第087回国会 予算委員会 第16号
昭和五十四年三月二十七日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 三月二十六日
    辞任         補欠選任
     藤原 房雄君     馬場  富君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     志村 愛子君     鍋島 直紹君
     八木 一郎君     北  修二君
     太田 淳夫君     上林繁次郎君
     小巻 敏雄君     渡辺  武君
     柳澤 錬造君     井上  計君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         町村 金五君
    理 事
                井上 吉夫君
                岩動 道行君
                糸山英太郎君
                嶋崎  均君
                久保  亘君
                瀬谷 英行君
                多田 省吾君
                内藤  功君
                栗林 卓司君
    委 員
                伊江 朝雄君
                上田  稔君
                小澤 太郎君
                亀長 友義君
                北  修二君
                下条進一郎君
                鈴木 正一君
                鍋島 直紹君
                秦野  章君
                林  ゆう君
                真鍋 賢二君
                野田  哲君
                広田 幸一君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                吉田忠三郎君
                太田 淳夫君
                上林繁次郎君
                馬場  富君
                矢追 秀彦君
                渡辺  武君
                井上  計君
                喜屋武眞榮君
                野末 陳平君
   国務大臣
       法 務 大 臣  古井 喜實君
       大 蔵 大 臣  金子 一平君
       文 部 大 臣  内藤誉三郎君
       厚 生 大 臣  橋本龍太郎君
       農林水産大臣   渡辺美智雄君
       通商産業大臣   江崎 真澄君
       郵 政 大 臣  白浜 仁吉君
       労 働 大 臣  栗原 祐幸君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      澁谷 直藏君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       田中 六助君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       三原 朝雄君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       金井 元彦君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山下 元利君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       小坂徳三郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  上村千一郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  中野 四郎君
    政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       給与局長     角野幸三郎君
       総理府人事局長  菅野 弘夫君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  伊従  寛君
       警察庁刑事局保
       安部長      塩飽 得郎君
       行政管理庁行政
       管理局長     加地 夏雄君
       防衛庁参事官   古賀 速雄君
       防衛庁長官官房
       長        塩田  章君
       防衛庁防衛局長  原   徹君
       防衛庁人事教育
       局長       夏目 晴雄君
       防衛庁経理局長  渡邊 伊助君
       防衛庁装備局長  倉部 行雄君
       防衛施設庁総務
       部長       奥山 正也君
       経済企画庁国民
       生活局長     井川  博君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       経済企画庁総合
       計画局長     喜多村治雄君
       環境庁自然保護
       局長       金子 太郎君
       国土庁計画・調
       整局長      福島 量一君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       法務省民事局長  香川 保一君
       法務省刑事局長  伊藤 榮樹君
       大蔵大臣官房審
       議官       米里  恕君
       大蔵省主計局長  長岡  實君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  田中  敬君
       大蔵省銀行局長  徳田 博美君
       国税庁長官    磯邊 律男君
       文部省管理局長  三角 哲生君
       文化庁次長    吉久 勝美君
       厚生政務次官   山崎  拓君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省保険局長  石野 清治君
       厚生省年金局長  木暮 保成君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     二瓶  博君
       食糧庁長官    澤邊  守君
       林野庁長官    藍原 義邦君
       通商産業大臣官
       房長       藤原 一郎君
       通商産業大臣官
       房審議官     島田 春樹君
       通商産業省立地
       公害局長    伊勢谷三樹郎君
       通商産業省基礎
       産業局長     大永 勇作君
       工業技術院長   石坂 誠一君
       資源エネルギー
       庁石油部長    神谷 和男君
       郵政省郵務局長  江上 貞利君
       郵政省人事局長  守住 有信君
       労働大臣官房長  関  英夫君
       労働省労政局長  桑原 敬一君
       自治大臣官房審
       議官       石原 信雄君
       自治省行政局公
       務員部長     砂子田 隆君
       自治省行政局選
       挙部長      大橋茂二郎君
       自治省財政局長  森岡  敞君
       消防庁長官    近藤 隆之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        菊地  拓君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
   参考人
       日本銀行総裁   森永貞一郎君
       税制調査会会長  小倉 武一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十四年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十四年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○分科会に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。
 昭和五十四年度一般会計予算
 昭和五十四年度特別会計予算
 昭和五十四年度政府関係機関予算以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁森永貞一郎君及び税制調査会会長小倉武一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) それでは、昨日に引き続き安恒良一君の一般質疑を行います。安恒君。
○安恒良一君 まず、郵政大臣にお伺いをしたいんですが、俗にいまマル生問題ということでこの成り行きについて大変国民も注目をしているわけですが、私は、この郵政事業というのはいわば労働力集約産業であります。でありますから、何といってもまず労使関係の安定ということが郵政事業を遂行する上できわめて重要なことだと思いますが、その点いかがですか。
○国務大臣(白浜仁吉君) おっしゃるとおり、どうしても人力によって能率を上げていかなければならない、国民の期待に沿うように努力しなけりゃならないという仕事でありますから、労使関係が安定をしなければならないということはおっしゃるとおりであると思います。
○安恒良一君 そこでお伺いしたいんですが、すでに昨年末この問題が問題になりまして以来、本国会におきましても、わが党の多賀谷書記長を初めとしまして約三十名に及ぶ衆参両議院の議員から労使問題の改善に関しての質問がされています。ところが、どうも郵政省当局の御返事を見ますと、双方の責任とか相互信頼とか全く抽象的な答弁が繰り返されておりまして、問題の解決、進展になっていないように思います。そこで、現在におきましては、この問題の解決のためにどのような協議がされ、どのように進んでいるのか、こういう点について御説明を願いたいと思います。
○政府委員(守住有信君) お答え申し上げます。
 昨年の年末におきましては、郵政省の人事政策や労務政策の基本の変更を迫るということでいろいろなポイント要求があったわけでございますが、また、その交渉の仕方も入口のところで省の反省、謝罪を求める、それが交渉の入口であり出口であるというふうな形で非常に二者択一を迫られまして、交渉のあり方自体も中身についてじっくり話し合うということができなくて、非常に国民の皆様に御迷惑をかけたと申しわけなく思っておる次第でございますが、年が明けまして、そういうことではいけないということで、私の方から全逓の方に呼びかけまして大臣会見を両組合との間に持ったわけでございます。
 それを糸口といたしまして、従来の二者選択のようなやり方でなくて、もっとじっくり話し合いを続け、なかなかむずかしい問題、いろいろ基本的問題を含んでおるわけでございますけれども、共通に理解し合える部分はないかという気持ちで話し合いをしようということで入りまして、現在、たとえて申し上げますと、団交ルールの問題だとか、あるいはまた、いろいろ御指摘を受けております訓練の中での、特に日も迫っておるような新規採用の訓練の問題だとか、あるいは宿舎入居につきましての住宅困窮度合いという問題があるわけでございますが、それについての話し合いだとか、いろいろございます。そのほか経済問題もあれば労働条件問題もあるということで、それを大臣会見以降話し合いに入って、なおまた継続してやろう、こういう確認、合意を得ておるところでございます。
○安恒良一君 人事局長はそういうふうに答弁をされておりますが、私、全逓の組合から事情を聴取しますと、どうもいわば抽象論、精神論、こういうことで交渉がなかなか難航している、進まない、こういうふうに聞いています。
 そこで、私は、私も民間の出身で議員になる前に約三十年間労働運動をやっておりましたが、こういう民間の場合に労使が対立をする、しかも第一組合と第二組合とがある――わかりやすい意味で第一と第二と表現しておきます。正式名称を省略しておきますが、そういう場合に、問題を解決をするときに、いわゆる双方責任とか相互信頼とか、そういうような抽象的な答弁では片づかないわけです。やはり問題が解決できるやつから踏み込んでいくという方法があるんではないでしょうか。
 たとえば一つの例を挙げますと、宿舎入居問題について十二項目の回答に対しましては、病舎入居選考については従来から公務員宿舎法等の定めに基づき云々と、こういう回答になっていますね。ところが、こういう問題に問題がありますとき、たとえば民間の場合で言いますと、それならば宿舎入居委員会というものを労使でつくると、組合が二つに分かれておるときには第一、第二からも代表を出して、そして労使で宿舎入居について明朗にしていく、こういうことになれば、いわゆるえこひいきという問題がなくなるわけです。ですから、そういうようなことをどうしてされないんだろうか。それからレクリエーションの問題でも、いろいろ問題があるならば、そういう問題のレクリエーションのやり方について私は話し合いをする。ですから、この十二項目の要求の中にはいろいろ問題点がたくさんあると思います。しかし、とりあえず片づけられるところがたくさんあるわけです。
 しかも、それはその場合に、まず郵政省当局側から、こうしようじゃないか、こういうふうに改善しようじゃないかと、こういうふうに示していくことでいま非常に難航していることが私は片づくと思うんですが、どうも私のように民間で育った者には、いま郵政省当局がとられている双方責任とか相互信頼とか、そんな抽象的なことを繰り返してみたところで事態は全然解決しない。そのような問題点の解決について、大臣、これは大臣にお聞きしますが、いわゆるとりあえずできるものから具体的に解決策を示していく、そして問題の打開を図る、こういうことについて大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思う。
○国務大臣(白浜仁吉君) いま御指摘されたような、そういうふうな考えに基づいて私も話し合いをした方がいいではないかと、どうも抽象的な話だという御指摘でありますが、そもそもいろいろなお話を聞きましても非常な不信を持っている、お互いが不信を持って対処しておっては、これはなかなか進まないではないかということを考えて、私も話し合いを進めたらいいではないかというふうなことで、先ほど局長からも御説明がありましたとおり、いま話し合いを進めているところであります。したがいまして、いろいろ国家公務員という立場で法律で定められたいろんな方法もあるようでございますし、また宿舎の問題なども法律で決められている、そういうようないろんなことがあるようでありますから、その点につきましては、また政府委員から答弁をさせて進めさせてもらいたいと思います。
○政府委員(守住有信君) ただいま先生から御指摘、サゼストを受けたわけでございますけれども、まことに同様でございまして、わかりやすいものから解決策を示していく。私どもも、人事の問題等、国家公務員の成績主義、勤務成績順序で登用していくというような物の考え方と非常に基本的対立がある部分がございますけれども、御指摘のように、わかりやすいもの、入りやすいものから、あるいは時期等も切迫しておるものから入ろうということで、御指摘の点の宿舎の関係でございますけれども、大臣がお答えいたしましたように、私どもの方では民間の社宅と違いまして国設宿舎法あるいは施行令という枠があるわけでございますけれども、その枠の中で、たとえて申し上げますと「住居の困窮度」というものが施行令の入居の判断の基準の中に入っておるわけでございますが、その場合、労使の中で「住居の困窮度」というのは一体何なのかというふうな共通の認識を持つための話し合いをしようということで、三月の九日にも、全逓の方から要求のポイントが出ておりますし、私どもとしましても、その「住居の困窮度」というものにつきまして、十分これを中心に話し合いを続け理解を得ていきたい。
 ただ、一つ申し上げますと、現実の問題といたしましては、全国に国設宿舎等で郵政省の宿舎管理しておりますものが約五万弱、四万九千戸ぐらいあるわけでございまして、また事業所も二万近くあるというもの、あるいはまた郵政局管内でも、非常に局所別では判断できない、やはり維持管理機関である郵政局で調整、決定をしなきゃならぬいろいろな技術的実態的な面もあることも御理解いただきたいと思うわけでございます。
○安恒良一君 重ねて大臣にお聞きしたいんですが、民間であろうとどこであろうと、社宅に入れるときに住居の困窮度というのが基準にならぬことはないんですよ。そんなばかげた答弁はやめてもらいたいんです、国家公務員だからといって。民間で入れるときにどうして住居の困窮度を考えないで入れるばかがおりますか、あなた。少しまじめに答えてもらいたい、まじめに。住宅に入れるときには、住宅の困窮度というのが民間でもまずそれになるのはあたりまえじゃないですか。何ですか、いまの答弁は。
 私が言っていることは、そういう問題があるときに、不信感がある、不信感があるならば、それを解くためには、たとえば一つの例を挙げますと、私鉄の場合に、新車が入ってくる、新車をどの組合員に割り当てるかというときに、第一と第二があるときにはやっぱりもめるんです。もめるときには会社側と労組それぞれ第一、第二の代表が出て、新車割り当て委員会というものをちゃんとつくって、そこでオープンでやるから、組合が分裂をしておっても新しい車の割り当ては至極円満にいくわけですよ。ですから、住宅に入るときには、住宅の困窮度というのが基準になること、こんなことはあたりまえの話なんだ。その場合、それでもいまもめているから、しかし、いまあなたが言ったように、人事権問題というのはなかなか踏み込み得ないと言うならば、せめてそういう住宅の割り当てとかレクリエーションのやり方とか、こういう問題について当局側から、むずかしいむずかしいということじゃなくて、前向きに解決策を示して、そこから労使のもつれをほぐしていったらどうなんでしょうか、こういうことを聞いているわけだ。大臣、どうですか。
○国務大臣(白浜仁吉君) いま御指摘のとおりのそういうような考え方で話し合いを進めているわけでありますから、いろいろなそういうふうな問題を双方でひとつ不信を抱かないで、お互いに信頼し合って話し合いを進めてくれということを私は両方に話をしているわけであります。
 どうも私どもが同じ職場におりまして、パートナーというふうな立場で話し合いをしようとしているのを、何かしらそこにかたき同士みたような印象を与えるようなことでは、非常に私どもも残念至極だと思いまして、ざっくばらんの話し合いをなるたけしてもらいたいということを私は双方に話しているわけであります。したがいまして、安恒委員がいま御指摘になりましたようなことで進めようということをしておるわけでありますから、どうぞ誤解のないようにしていただきたいと私は思います。
○安恒良一君 労働大臣にちょっとお聞きしたいんですが、郵政省労使問題は郵政大臣だということであります。私は、こういうふうに非常に不信感があって、残念なことですが、組合が二つに分かれている。そういうとき問題の解決のやり方というのは、できるだけオープンにできるものはオープンにする、たとえば一つの一番いい例として、どういう人を住宅に入れるかというときには住宅困窮度なんですよ。その場合には、いわゆる組合が二つあれば、その組合の代表と郵政省との間でオープンでやれば、私はそんなむずかしいことじゃないと思うんです。労働大臣として、労働行政の角度からこういう問題の解きほぐし方についてどうお考えになりますか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 労使の問題、特に郵政の問題は公共性の非常に高いものでございますので、その点を労使ともによく認識をして、平和的に話し合いを続けていく、基本的には公共性の認識と精力的な話し合いを続けていくというところにあると思うんです。
 ことしの二月になりましてから、郵政大臣と組合側との間で精力的な話し合いが持たれつつありますので、私ども、大変結構なことだと実は考えております。いろいろ複雑な問題を抱えておりますので、一遍にぱっといくということはこれはなかなかむずかしいのではないかと思いますが、虚心坦懐に話をしていく、同じ人間でございますし、同じ日本人でございますから、接すれば情を発すということで、両者のさらに御努力を望んでおるというのが私のいまの考え方であります。
○安恒良一君 また労働大臣も労働大臣らしからぬいわゆる抽象的な答弁で大変不満なんですが、郵政大臣、どうですか、ひとついま私が申し上げましたように、解決できる問題から郵政省側が積極的に解決の具体案を提示していく、そして問題の解決をするようにひとつ大臣として一段と努力をしていただきたい、こういうことをこの点では申し上げておきます。
 次に、訓練問題についてお聞きしたいんですが、私が見ます限り、訓練に名をかりた不当労働行為、それから全逓への加入妨害、思想改造という問題が行われていると思います。いま参考資料をお配りをお願いしておりますが、配っていただけましたか。――ここに「郵政マル生の構造」ということで、これを全部読み上げる時間がありませんが、こういうように現在のところいわゆる職場訓練、研修所、こういう問題が私は行われていると思います。
 そこで、具体的に一つ例を挙げて聞いてみたいんでありますが、まず、新しい人が採用されますと、私は率直に言って、第一と第二の組合、全逓と郵政がありますから、その間において新しく入ってきた人を自分の組合に入れようという努力があることは、これはよし悪しは別にしまして、組合運動としては当然だと思うんです。ところが、問題は、それに管理職、職制が加担をするというところに労使間の問題が出てくるわけでありますから、そういう場合に、いま皆さんのお手元に差し上げてありますが、いわゆる次から次に、ここにも書いておきましたような、たとえば、めくっていただきたいと思いますが、荏原郵便局の事例等を見ますと、新規採用者に対して、課長それから全郵政の主事、主任が、出勤から勤務中はもとより休憩時間、昼食時間まで同行する、それから退庁時には駅まで送る、それから黙って帰った場合には家まで電話をかける、こういうことが堂々と行われておるわけであります。そして私はできるだけ個人名は挙げたくない、こう思いましたが、ここにおけるところの担当課長等がこういうようなことをやっているわけであります。私は、やはりこれらはもう明らかに行き過ぎだと思います。実は、私は、後で大臣のお手元にお届けしますが、新入生のS君が入ってから毎日毎日繰り返されることについての日記が私のところに届いています。この日記を見ますと、いかに課長等の職制が全逓への加入を阻止するということで具体的に動いているかということが非常に明らかになるわけであります。これは時間がありませんから、読み上げるあれがありません。
 そこで、私は、まずお願いをしたいし、お約束してもらいたいのは、ここに書かれておりますように、職制がつきまとうということは私は誤りだと思う。自宅に帰っておると自宅にも電話する、駅まで送る、それから昼休みであろうが何であろうが、全逓とちょっと接触したと思えばすぐ内容を聞かせろと、こういうつきまといということは絶対に私はやめてもらいたいし、まさに人権じゅうりんだと思いますが、この点については、そういう事実はない、そういう事実があればやめさせると、こういうことを、大臣、約束していただけますか。大臣にお聞きしています、大臣にこのことは。
○国務大臣(白浜仁吉君) いろいろ指導という立場でどんなことをやっておるのか、私もそれは具体的にはつまびらかにいたしませんけれども、もしそんなことが行われるとするならば、当然行き過ぎの点があれば改めるべきだと、私もそういうふうに考えます。
○安恒良一君 行き過ぎがあればということじゃなくして、ここに書いてあるようなことはこれは事実なんですから、やはり私は、大臣、それを調べられて、そういう行き過ぎをやっている人にやめさせること、行き過ぎがあれば適当にこれはやはり処分をする、こういうことをやってもらいたい。
 そこで、いま一つ、大臣、これお手元に配付してある資料を見てください。ここに「同期の桜」の替え歌、「巨人の星」の替え歌が入っていますね。それからその次を見ていただきますと「露営の歌」の替え歌等が大臣のお手元に配付してありますが、これらは当局がやっておりますところのいわゆる訓練、研修の課程の中でキャンドルサービスということで、ここに書いてあるように「貴様とおれとは同期の桜」ということで、これも「みごと散ります郵政のため」にとか、それから「露営の歌」の替え歌、「とつてくるぞと勇ましく」と、こういうようなことが正式のいわゆる訓練の課程の中で歌わせられておる、しかもキャンドルサービスという形の中においてやられる、こういうことは明らかに私は行き過ぎだと思いますが、この点は、大臣、これを見てどうお思いになりますか。
○委員長(町村金五君) 安恒君、時間が参りました。
○政府委員(守住有信君) 大臣へのお尋ねでございますが、その前に少し状況を御説明したいと思います。
 御指摘の点は、中央郵政研修所における高等部二科の替え歌の点だと思っておりますが、これは一年に一回、八十日間研修所訓練を行っておるところでございますが、年に三回、長い歴史がございますので、研修生の中から同じ寮に入居いたしておりますために、いろんなコンパ等の中でいろいろ替え歌が出てまいったように聞いております。もちろん同期の者としてのいろんな寮歌とか賛歌とか、そういう正規のものはあるようでございますが、それ以外にいろんな伝統的に替え歌が出てきた、そうしてまたそれをいろんなコンパ等の中で歌っておる、こういうふうに承知しておる次第でございます。
○安恒良一君 承知していると言うが、事情を聞いているのじゃないんですよ。大臣に聞いているんです、こういうことは行き過ぎじゃありませんかと。キャンドルサービスの中で全員に歌わせるとか、大正生まれや明治生まれの人がカラオケのバーで余興で歌っておるのとは違うんです。訓練の課程の中でこういうことを全員に歌わせるということについて行き過ぎではありませんか。この点、郵政大臣、それから文部大臣、この歌を見てあなたはどういうふうにお感じになりますか。正式の訓練の課程の中でこういうことがやられておる。どうも聞くと教員の課程にも何かこれに近いものがあると聞いていますが、きょうはそのことはおきまして、こういうようないわゆる軍歌の替え歌を正式の訓練の課程の中において訓練生全員が歌わせられる、こういうことについて、まず郵政大臣と文部大臣のお考えを聞かしてください。
○委員長(町村金五君) 安恒君、時間が参りました。
○国務大臣(内藤誉三郎君) いま替え歌の話がございましたが、私も中身を見たけれども、お互いが仲よくしていこうということを歌っているのであって、私は昔の軍国主義の歌だとは思ってないし、「巨人の星」にしても、一生懸命努力しなきゃ物にならないのだということで、私はこれが何か教育的に非常にけしからぬというふうには考えてないわけで、この程度のことなら私は歌わされることはそれほど害があるとは思っていません。
○国務大臣(白浜仁吉君) 自然発生的と申しますか、一部の人がそういうようなことで歌うということであって、私どもの方では、そういうふうな指導はしてないというふうに聞いております。
○安恒良一君 自然発生的じゃなくて、全員のキャンドルの集いの中で歌わせられるということですね。それから、文部大臣は、この程度のことと言われますけれども、全く軍国主義時代の歌であって、私はこれで文部大臣がいかにタカ派かというのがよくわかりました、あなたの思想は。それはわかりましたが、私は、こういうことはやめさせてもらいたいと思うんです。こういうことを正式の訓練の中でやるということ、歌わせるということは私は間違いだと思います。ぜひやめさせていただきたいと思います。
 それから最後でありますが、いままで十二項目の回答が出ていますが、十数年にわたってこれらの問題についてはずっと当局と全逓との間にお話し合いが進んでいるわけであります。そうしてたくさんのことがそこで約束をされています。ところが、そういうことが今回踏みにじられたというところに問題があるわけですから、たとえば訓練について訓練の項目をどうするのか、それから使用材料についてはどうするのか、こういうことを私は訓練問題でもめているなら、これもまた組合と相談をする。
 それから新規に入った者を訓練するときに、組合が二つある場合には、やはりえこひいきをしないように、その訓練の過程で組合を立ち会わせる。そうしてどちらの組合にもえこひいきしてないのだ、こういうことを普通民間の場合には経営者側はきちっと示して、いわゆる不当労働行為的なもの、労使不信になるものを排除していく、こういうやり方をするわけですね。ところが、どうも郵政は訓練問題にしても研修問題にしても、十分な訓練項目、使用材料等について組合と相談をしないし、それから不信感を持たれたときには、立ち会いをさしてその不信を除いていく、こういうようなことをやってほしいと思いますが、これは大臣どうでしょうか。
○政府委員(守住有信君) 私どもの訓練は、郵政省職員訓練法に基づいて実施計画を立ててやっておるわけでございますけれども、労働組合の間に不信があってはなりませんので、年間の計画を立てました場合に、労使間でいろんな訓練の目的なりやり方なりカリキュラム等につきまして相互に理解し合うということで意思疎通を図る。それから、さらにまた、いろいろ組合の方から指摘があった場合等もまた、そこの点につきまして話し合いをする、こういうことでやっておるわけでございますが、訓練そのものにつきましては、やはり郵政省の責任でやっていくということと、もう一つは、やはり教える側、教わる側との一つの緊密な関係ということがございますので、公開だとか労働組合の立ち会いという、現実の研修の場をそうすることはいかがであろうかと、このように考えておる次第でございます。
○安恒良一君 最後に、どうか郵政大臣いま何項目か挙げましたが、これらの問題は具体的に取り組めば解決できる問題ですから、ぜひ大臣みずから、頭のかたい官僚に任しておったらだめです、大臣みずから問題の解決をやっていただきたいということをお願いして終わります。(拍手)
○委員長(町村金五君) 以上で安恒君の一般質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、野田哲君の一般質疑を行います。野田君。
○野田哲君 まず大蔵大臣に伺いますが、公務員の給与改善費ですけれども、例年ずっと長い間五%の計上をされていたわけでありますが、この五%の計上についてはそれなりに経過なり根拠もあったわけでありますけれども、今度これを二・五%に削減をされている、これはどういう理由によるものですか。
○国務大臣(金子一平君) 本年度は五%計上いたしましたことは御承知のとおりです。しかし、人事院の勧告が低かったために相当の差額が残りました。そういうことで、新年度は、財政事情の関係もこれあり、一応半分くらいを計上しておいて、必要な場合には必要な措置をその時点においてとりたいと、こういうことで半分に計上いたした次第でございます。
○野田哲君 これをガイドラインにするというような意図はありませんか。
○国務大臣(金子一平君) ございません。
○野田哲君 人事院総裁に伺いますけれども、人事院としては例年の五%が二・五%になったことについてどういうふうに受けとめておられますか。
○政府委員(藤井貞夫君) 例年五%が先組みをされておったわけでありますが、ことしはその半分ということになったわけであります。この点につきましては、私自身としてもいろいろ考えはございますが、しかし、これはもう財政当局の財政の仕組みの問題ということに尽きると思うのでありまして、人事院といたしましては、勧告が完全に実施されるということが本来のねらいでありますし、また、そうでなければならぬということがいままでの念願でございまして、この点につきましては今度の措置によっていささかもその点については変わりがないということを確信をいたしておるわけでありまして、その点につきましては従来のことと全然関係がないというふうに私自身は確信をいたしております。
○野田哲君 そろそろ民調の準備をされていると思うのですが、人事院の公務員給与に対する扱い方としては、ずっと今日まで較差解消方式という原則でやってこられたと思うのですが、その考え方は変わりありませんか。
○政府委員(藤井貞夫君) 公務員の給与をどういうふうに決めていくかということは、これは大変むずかしい問題でございます。しかし、従来からの経験、いろいろな世界各国の情勢というものを見ましても、官民較差という方式というものはやっぱり一番正しい方式じゃないかというふうに私は確信をいたしております。この点は専門家であります野田さんもよく御承知のとおりでございまして、欧米でもこの方式がだんだんと受け入れられておりまして、一番りっぱな方式じゃないかというふうになってきておるように思います。詳しくは申しませんが、欧米方式、欧米でも匹敵制の原則とかあるいは均衡制の原則とかいうようなことで、これは一番いい方式じゃないかというふうに言われてきておるようでございます。そういう意味から言いましても私はこの方式が一番いいのじゃないか、また世間一般に納得される方式じゃないかというふうに信じておりまして、この方式は長年の積み重ねでもございますし、これを変えることはやはりよくないというふうに信じております。そういう意味で、この方式は今後とも私が人事院総裁であります限りはずっと続けていきたい、かように考えております。
○野田哲君 人事院の給与局長に伺いますが、民調の準備に入っておられると思うのですが、ことしの民調の方式についてはおおむね従来どおりの方式というふうに考えてよろしいですか。
○政府委員(角野幸三郎君) お答え申し上げます。
 民間給与の調査のお尋ねでございますが、四月一日時点で調査の準備をするということでいませっかく検討中、大詰めの段階でございます。従来と基本的には違った点は一つもございません。ただ、私ども作業いたしておりますときに、毎年、それぞれの社会一般の情勢というのを頭に置きまして総合判断をいたしました上で調査の細かい点までおさらいをいたしまして詰めておるというところでございます。基本的には変化はない、こういうことであります。
○野田哲君 大蔵大臣と総務長官に伺いたいと思いますが、予算的な扱いは五%が二・五%になっている。しかし、人事院としては従来からの較差解消方式、これが一番正しい方式だということで民間給与実態調査についてもいままでと同じような方式でやっていく、こういうふうに言っておられるわけです。そういたしますと、勧告が出たときには、これは完全実施という立場で取り扱う、二・五%にはこだわらない、こういうふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(金子一平君) 給与の関係は直接的には総務長官の御担当でございまして、また勧告後給与関係閣僚会議で諮られることでございますが、人事院の勧告につきましては従来どおり誠実に取り組み尊重してまいる考えでございます。
○国務大臣(三原朝雄君) お答えをいたします。
 先ほど御指摘の五%を二・五%に予算計上を変更いたしました際にも、私はこれ自身が身分保障に関する重要な予算措置でございまするので、変更することにつきましてもいろいろと相談をし、大蔵大臣が先ほど御答弁なさいましたような線で話し合いをした結果二・五%を計上したという経過もございます。したがいまして、人事院勧告が出されますれば、その時点に立って諸般の情勢を判断いたしますけれども、今日まで政府といたしましてとっておりまする基本的なたてまえでございます人事院の勧告はこれを誠意を持って尊重してまいるという方針には変わりございません。
○野田哲君 防衛庁に伺いますが、自衛隊に部外者が体験入隊というのをやっている例があるわけですけれども、この体験入隊というのは一体どういうことを体験させているわけですか。
○政府委員(塩田章君) お答えいたします。
 基本的には隊員の生の生活をそのまま見ていただくということでございますけれども、具体的には実施に当たります各駐とん地の司令等が決めております。その際の標準的なことといたしましては、三ないし四日ぐらいの日程で、たとえば自衛隊、防衛問題に関する現況説明、あるいは個人及び集団の行動に関する基本動作、あるいは体育、さらに教育訓練、装備品等の見学、さらに場合によっては広報映画の上映といったようなことを実施いたしております。
○野田哲君 自治大臣に伺いますけれども、地方公務員の研修というのは――研修機関は自治大学とか各県に研修所があるわけですけれども、この地方公務員の研修というのはどういう目的でやられているわけですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 職員のいろいろな意味での総合的な能力の開発、資質の向上、こういうことを目的として行われておるわけであります。
○野田哲君 地方公務員が自衛隊に体験入隊をして、防衛の現状説明やあるいは自衛隊員が体験をしていることを体験をする、これが地方公務員の能力の開発、資質の向上にどういうふうにつながっておりますか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 研修というものも、最近の実施状況を見ておりますと、非常に幅が広くなってきております。体力を鍛えるということもこれは一つの研修の項目にもなり得るわけでございますし、でありますから、これは具体的にはそれぞれの自治体が判断をして行うべきものでございますけれども、私は、自衛隊にいわゆる体験入隊というんですか、そういうものをやることも、それが決して研修の目的から逸脱しているものとは必ずしも考えておりません。もちろんそれは個別に具体的に判断をすべきものでございますが、私としては、研修というものは幅広く考えるべきものだと、一般的にはそのように考えております。
○野田哲君 集団生活をやって体力を向上させるようなこと等について必要があるのであれば、これは自治大学とかあるいは各県に設置されている職員の研修機関でもそういう課程をつくればいいのであって、現状を見てみると、各県にある地方公務員の研修所の課程を見ると、行政法とかあるいは財政とか、こういうものが朝から晩まで講義をやられていて、別に鉄砲の撃ち方とかこんなことは教えているわけではないのであって、そういう点で、具体的にある市で、研修ということで地方公務員を自衛隊に体験入隊させる、こういう問題でそのあり方をめぐって労使間に非常なトラブルが起こっていた例があるわけですが、防衛庁の方では、そういう労使間にトラブルを起こしてまでも体験入隊を歓迎する、こういう考え方ですか。
○政府委員(塩田章君) 体験入隊をされる前に各団体あるいは会社等でどういう事情がおありなのかということは、私どもにとりましては手続以前の問題でございますから、直接申し上げるべき立場にはございませんけれども、来られた場合に、来られた方がそれなりの効果を上げてお帰りになるということはもちろん私どもとして当然期待するわけでございまして、そのために、来られた結果がかえって反射的にトラブルを招くというようなことであれば、これは一般論としては少なくとも好ましいことではないというふうには申し上げられると思いますが、いずれにしましても来られる以前の問題でございますので、直接申し上げるべき立場にはないというふうに考えます。
○野田哲君 自治大臣ね、地方公務員の研修については、何も自衛隊に体験入隊というようなことを計画しなくても、自治大学もあれば、各県に地方公務員の研修所もあるわけでありますから、これを使って研修を行うという方法もあるわけで、自衛隊に体験入隊することが唯一の研修の方法ではない、こういうふうに考えますが、いかがですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 御指摘のように、研修の方法としては、そのための機関、施設というものをつくってやっておるわけでありますから、それによる研修を行うということが基本であると考えます。したがって、自衛隊に体験入隊することが唯一の研修方法であるというような考え方は、これは非常に偏った考え方であると思います。
○野田哲君 自治大臣、五十三年度の特別交付税の配分はもう終わったわけですね。
○国務大臣(澁谷直藏君) 終わったわけであります。
○野田哲君 鹿児島県の財部町というところで、職員団体の役員になった職員に対しては全員一律に昇給を停止すると、こういう措置がとられております。これが労使間の非常な紛争になって、議会でも問題になっているわけです。当然、こういう措置がとられたわけでありますから、県の人事委員会への救済申し立てとか、あるいは行政措置の取り消しについての地裁への提訴、こういう問題が起こっているわけですが、これを町当局が応訴するための経費を一体どうするのか、こういう点が議会で問題になって、財部町の町当局の方では、これは自治省の指示によってやったことであるから、この応訴の経費については全額特別交付税で保障をしてくれるはずだと、こういうふうに議会で答弁をしておりますが、そういう労使間の紛争で裁判ざたになった費用を、具体的には鹿児島県の財部町の問題ですが、特別交付税で見るという措置をとっているのですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 御案内のように、特別交付税という制度そのものが、一般交付税では予想できなかったような事態が起きた、たとえば災害とかですね、そういった予想しなかった財政需要ができてきたという事態に対処して特別交付税という制度が設けられておるわけでございます。したがって、裁判という問題につきましても、それがまた非常に大規模な裁判というようなことになって、全く予想しなかったような巨額な経費が必要になったという事態が起きれば、これは仮定の問題ですよ、その個別の事案によらなければなりませんけれども、特別交付税で見るということもこれは理論上はあり得るわけであります。ただ、ただいま御指摘の財部町の問題について申し上げますると、特別交付税で手当てをしなければならないほどの大きな裁判だと私どもは考えておりません。
 それからこれはもちろん町村に対する特別交付税の配付は都道府県がやることになっておりますから、五十三年度分の特交について財部町についてどのような対応をしたかということを照会いたしましたところが、五十三年度の特別交付税において財部町に特交を配付したということはしておりません。
○野田哲君 別の問題に入ります。
 法務省に伺いますが、まず法務大臣に伺いたいと思いますが、数日前に日商岩井航空機疑惑問題について検察の首脳会議が開かれた、こういうふうに報道されておりますが、この首脳会議での方針については法務大臣は承知されておりますか。
○国務大臣(古井喜實君) 具体的の捜査活動につきましては、法務大臣としては一々くちばしを入れたりできることでもないし、すべきことでもありませんもので、検察当局が責任を持って処理しておることでありますから、私としてはこの点に申し上げることもありませんが、若干その辺の周辺の事情を刑事局長から申し上げたいと思います。
○政府委員(伊藤榮樹君) 世上検察首脳会議と言われておるようでございますが、私が報告を徴しましたところでは、SECの非公開資料が全部手元へ来たという関係で、東京地検が最高検察庁及び東京高検に対して一括して説明をした、こういうことを外部から見て検察首脳会議と言うのであろうと思います。
 なお、検察部内でそういう形で行われます捜査に関する報告聴取とか、あるいはそういう問題につきましては、一々大臣のお耳には入れておりません。
○野田哲君 法務省の民事の方に具体的な問題で伺いたいと思うのですが、港区に新環境開発株式会社というのがあるわけですが、この資本構成は六〇%が日商岩井、四〇%が黒沢という商店の所有になっていると思うのですが、いかがですか。
○政府委員(香川保一君) お尋ねの会社の資本金は一千万円でございますが、その株主がだれであるかということにつきましては私どもの所管事務から申しましてつまびらかにできないわけでございます。
○野田哲君 それでは、役員について伺いたいと思うのですが、この社長はごく最近までは日商岩井の亡くなられた島田三敬さん、現在の社長は日商岩井の東京建設部長小山田さん、それからいま逮捕されている山岡航空機部長が重役に名を連ねていると思うのですが、この点はいかがですか。
○政府委員(香川保一君) 登記されておる取締役の状況から申しますと、故島田三敬氏が社長であったわけでございますが、死亡によりまして交代いたしまして、現在お説のとおり小山田氏が代表取締役になっております。それから山岡氏でありますが、これは登記から見ますと、昭和五十三年の六月二十八日に辞任の登記がされております。
○野田哲君 この重役の中に中野重之という方がかつていらっしゃったと思うのですが、その点いかがですか。
○政府委員(香川保一君) 取締役になっておりましたけれども、五十三年の六月二十八日に辞任の登記がされております。
○野田哲君 防衛庁に伺いますが、これは政府委員の答えで結構です。
 この中野重之という方は防衛庁に在籍をされた方だと思うのですが、いかがですか。その略歴をちょっと示してもらいたい。
○政府委員(夏目晴雄君) 中野重之氏は、元海上自衛官でございまして、八戸航空工作所、これは海上自衛隊の工作所でございますが、そこを最後に四十三年一月一等海佐で海上自衛隊を退職しまして日商岩井へ就職したというふうに聞いております。
○野田哲君 この人は、日商岩井で航空機部に在籍をして、官需関係の課長あるいは部品の課長を担当していたと思います。
 そこで、もう一回法務省の民事の方に伺いますが、この新環境開発株式会社、この業務目的は定款ではどうなっておりますか。
○政府委員(香川保一君) 定款記載のとおりに会社の目的が登記されるわけでございますが、登記簿上から申し上げますと、一が地域緑化に関する事業並びにそのあっせん、二が建設用機器資材等の販売並びにそのあっせん、三が建物及び鉄骨鉄筋構造物の解体事業並びにそのあっせん、四が地中障害物の解体撤去及び造成事業並びにそのあっせん、五号としまして前各号に付帯する一切の業務と、かようになっております。
○野田哲君 手形割引業務などというのは明記されておりませんね。いかがですか。
○政府委員(香川保一君) されておりません。
○野田哲君 国税庁に伺いますが、国税庁では、昨年来、この新環境開発株式会社の税務調査をやられたというふうに聞いておりますが、どの点が問題で税務調査をやられたわけですか。その内容はいかがですか。
○政府委員(磯邊律男君) 昨年の秋でありますが、麻布税務署におきましてこの会社の調査をいたしました。特に具体的な問題云々ではありませんで、これは通常の調査として処理したというふうに聞いております。
○野田哲君 その調査によって手形割引等の業務務をやっていた事実が判明されておりますか。
○政府委員(磯邊律男君) 会社の個々の業務内容でございますので、詳しく御答弁申し上げるのはお許しいただきたいと思いますけれども、そういった業務をやって収益を上げているという事実はございます。
○野田哲君 この新環境開発株式会社がある経済研究所に毎月情報料というか何かの料金を支払っていた、この金額に双方で誤差があってそのことが一つの税務調査のきっかけになったのじゃないか、こういう情報があるわけですが、この新環境開発株式会社が毎月何か手数料か料金を払っていた研究所というのは、これは東洋政治経済研究所という研究所であろうと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(磯邊律男君) 新聞でいろいろ報道されておりますが、私たちとしましては、その会社の個々の取引の内容でございますので、ここで具体的に御答弁申し上げるのはお許しいただきたいと思いますが、いま先生が御指摘のような研究所に対しまして取引があったということはほぼ間違いないと思います。
○野田哲君 この東洋政治経済研究所というのは、ときどき問題になる「北方ジャーナル」とかあるいは「軍事研究」という情報を発行している。そしてこの主宰者は小名孝雄という人だと思うのですが、その点いかがですか。
○政府委員(磯邊律男君) そのように承知しております。
○野田哲君 防衛庁に伺いますが、防衛庁ではこの「軍事研究」とか、あるいは小名孝雄という人については非常に印象に深い人であると思うのですが、過去に防衛庁にかかわることで何か事件があったと思うのですが、その事件の内容はいかがですか。
○政府委員(塩田章君) お尋ねの小名孝雄氏が月刊雑誌である「軍事研究」の編集発行人のことかと思いますが、そうであるとすれば、かつて同「軍事研究」という雑誌に記載されました記事につきまして告訴問題があったということを聞いておりますけれども、防衛庁自身としては関係がございません。
○野田哲君 防衛庁自身は関係ないことはないんですよ。防衛庁は被害者でしょう。海原さんの「日本防衛体制の内幕」の中にもはっきりと書いてあるんですね。海原官房長が次官になるコースをいっていることに対して怪文書を発行して、そしていろいろ防衛庁の人事について動いた、その怪文書の張本人が小名孝雄ということで、この人はそのことで有罪の判決を受けている。これは間違いないでしょう。
○政府委員(塩田章君) 防衛庁は関係ないと申し上げましたのは、いまお話がございましたように、当時の告訴事件におきまして、当時の官房長海原治、あるいは事務次官三輪良雄、陸上幕僚監部第二部長の田畑良一、この三名が同誌に掲載されました内容につきまして事実無根である、名誉を著しく傷つけられたということで、いまお話しの小名孝雄氏を相手取りまして告訴いたしましたということで、いまお話のございましたような判決があったわけでございます。
○野田哲君 この新環境開発株式会社が、いま法務省から説明がありました定款にある資材の納入とか、あるいは建物の解体とか、こういうものを表の仕事として、防衛庁関係の工事資材の納入についての情報を防衛庁からとる、あるいは生コンとかサッシとか、こういう業者に知らせて防衛庁の担当者に紹介をする、そしてこの契約金額の何%かをあっせん料として取る、こういう業務をやっていたというふうに言われているわけであります。そして、いま名前の出た小名孝雄氏の研究所がこの情報料の提供を受けていた、つまり新環境開発株式会社と防衛庁との間の情報の媒体役をやっていた、こういう情報があるわけですが、防衛庁ではそのような実態について調査をされておりますか。
○政府委員(塩田章君) 御指摘のような会社と防衛施設庁との間の建設資材の納入につきましての契約関係はございません。建設資材の納入契約につきましては請負業者において決定するものでございまして、施設庁が直接資材の納入契約をするという関係にはございません。
○野田哲君 新環境開発株式会社が請負関係にあるかないかということではないんです。情報を防衛庁から得て、それを業者に知らせることによって情報料を受けたり、紹介をすることによってこれに対する仲介料を得ていた、その役割りをこの小名孝雄がやっている政治経済研究所が媒体として果たしていた、こういうことについて調査をされたことがありますかと、こう言うのです。
○政府委員(塩田章君) 調査をしたことはございません。
○野田哲君 法務省に伺いますけれども、刑事局長に伺いますが、その前に国税庁に伺いますが、日商岩井の税務調査の中で、新環境開発株式会社に対する手形の割引とかあるいは不渡り手形をつかまされたことによる欠損金等の処理があるいは支出があったのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
○政府委員(磯邊律男君) 総合商社でございますから、やはりいろいろな取引先に対する貸し倒れであるとか、あるいは債権の償却ということが行われるわけであります。ただ、その場合に、いま御指摘の会社に対する貸し倒れといいますか、債権の償却があったかどうかということにつきましては、いまはっきりいたしません。
○野田哲君 先ほどの税務調査の御答弁で、この新環境開発株式会社が手形割引等の業務もあったというお答えであったのですが、定款にない業務をやっていたということが明らかになったと思うのですが、これは商法上の扱いとして、これは国税庁の担当ではないのですけれども、商法上の扱いとしてはいかがですか。
○政府委員(香川保一君) 商法におきましては会社が目的の範囲外の行為をした場合の効力については何ら規定がないわけでございまして、民法の四十三条に、法人は法令の定めるところに従って定款または寄付行為に定めた目的の範囲内において権利及び義務を有するという規定があるわけであります。この規定が会社に類推適用されるかという点につきましては学説が割れておりまして、現在は、通説は適用がないというふうに言われております。
 そこで、会社が目的の範囲外の行為をした場合の効力については、解釈によるわけでございますが、この解釈は、やはり原則的には無効だというふうに解釈すべきだと思うのでありますけれども、近時有力な学説は、定款の目的というのは内部的に取締役に対する行為制限の意味があるだけだと、こういう説がございまして、説が分かれているわけであります。判例も確たるものはないわけでございます。しかし、目的を定めそれを登記するわけでございますから、私どもとしては、解釈としては範囲外の行為は無効だという説をとるべきだろうと思いますけれども、ただ、その場合に、目的の範囲内かどうかということの判定につきまして、判例学説上は非常に広く解釈されておりまして、したがって、具体的な個々の行為について広く解釈をした場合に目的の範囲内に入るかどうかということの解釈によって決まると、こういうことになろうかと思います。
○野田哲君 伊藤刑事局長に伺いますが、先般日商岩井の東京建設部に対する強制捜査が行われたということでありますが、この東京建設部に対する強制捜査の容疑は具体的にはどういうことですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 東京建設部を捜索したというのは正確ではございませんで、日商岩井の東京本社の中で捜索差し押さえ令状記載の物件が存在する可能性のある個所を捜索したわけでございます。被疑事実はその前の十四日のときと全く同じでございまして、山岡外一名に対する外為法及び私文書偽造、こういう被疑事実によりまして補充的な捜索をしたわけでございます。
○野田哲君 続いて伊藤さんに伺いますが、新環境開発株式会社というのは、資本構成については法務省民事の方では明確に答えられなかったわけですけれども、私の調査したところでは、六〇%が日商岩井、こうなっておりますし、役員構成としては、島田さん、そして現在の社長はいまの日商岩井の東京建設部長をやっている小山田さん、それからかつては山岡、いま容疑者になっている、彼も重役に名を連ねていた。あるいは防衛庁から日商岩井に入った中野氏、この人も重役に名を連ねていた。こういうことで、日商岩井の機械第三本部、航空機部、建設部、ここと非常に密接なつながりを持っているわけでありますけれども、との点については捜査当局としては関心をお持ちでしょうか。いかがですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 新環境開発株式会社という会社のことにつきましては、毎日新聞でしたか、何回かにわたって報道された関係もありまして、検察当局としては一応関心の範囲内に置いておると思いますが、今日までにこの当該会社を捜査の対象にしているというような段階には至っていないようでございます。と申しますのは、察するに、そこまで手が回らない、また社長であった方がもう亡くなっておられる、諸般の状況から急ぐことから先にやっておると、こういうことではないかと思います。
○野田哲君 新聞の報道にもありますけれども、この新環境開発株式会社は、裏金形成のプールの場に使われていたのではないか、こういう非常に深い疑惑が持たれているわけです。つまり、不良手形を集めて、金にも何もならない手形を集めて、それを日商岩井に持ち込んで割引をさせる、あるいは融資をさせる、こういう形で日商岩井から支出をして新環境開発株式会社に裏金ルートをつくっている、こういう疑惑が持たれておりますし、それからこの新環境開発株式会社とずっと継続して取引関係にあった東洋政治経済研究所、これを主宰する小名孝雄、この人は、先ほど御指摘がありましたように、かつて海原さんを追放するための怪文書をつくった張本人として刑法の対象になって有罪の判決を受けている、この人が非常に密接なつながりを持っている、こういうことからしても、日商岩井の裏金づくりとそれから防衛庁に的を当てた怪文書、この製作者である小名孝雄と日商岩井の関係というものは、この新環境開発株式会社とともに非常に私どもは疑惑を持たざるを得ない状態にあるのではないか。このような関係にある人が防衛庁に出入りをして、情報をいろいろ集めて業者にあっせんの業務をやっている。そして、この新環境開発株式会社の重役には、防衛庁を退官した制服の高官が日商岩井に入って官需課長を務め、あるいは航空機部で部品課長を務めている、この人がこの新環境開発株式会社というえたいの知れない会社に重役として小名孝雄と接触をしている。これは私どもは疑惑を持たざるを得ないわけであります。
 この点について防衛庁は調査をしていないということでありますから、私どもとしてはそういう疑惑だけを指摘して、次の問題に入っていきたいと思うのです。
 山下防衛庁長官、先般の十九日の海部証言、これによりますと、RF4Eの事務所経費二百三十八万ドルについては、海部証言によると、四十八年三月三十一日の契約の際に、自分はスキーに行っていて、橋本副社長に防衛庁に行ってもらって協議をしてもらった、相手がだれであったかは承知をしていないが、その経過を島田三敬氏から電話で報告を受けた、こういうふうになっているわけでありますが、その証言どおりだとすると、防衛庁は、RF4Eの契約の際にすでに二百三十八万ドルの事務所経費というものが日商岩井に入ってくる、このことを承知されていたことになるわけでありますが、一体防衛庁はどうしてこの問題についていままで明らかにしなかったわけですか。一体どういう協議の内容を受けていたんですか。
○国務大臣(山下元利君) お答え申し上げます。
 いわゆる事務管理費二百三十八万ドルにつきましては、今般初めて知ったことでございまして、当時は一切承知いたしておりませんが、いま御指摘のございました海部証百につきまして、橋本副社長が防衛庁に来られた点につきましては、政府委員の方から御説明さしていただきますのでお聞き取り願いたいと思います。
○政府委員(倉部行雄君) いま大臣からお答えがありましたように、二百三十八万ドルの事務所経費あるいは事務管理費につきましては、昨年の暮れにダグラス社関係のSECの報告が出まして知ったわけでございまして、四十八年三月三十一日のRF4Eの完成機に関します輸入契約につきましては、いまお話がございました橋本副社長が契約の当事者として来庁したというふうに聞いておりますが、その際そういった話はないということでございます。
○野田哲君 再度長官に伺いますが、防衛庁の方では、昨年の暮れにSECの報告でこの二百二十八万ドルについては初めて知った、こういうふうに言われたわけですが、そういうことになると、そのことだけで、十九日の海部証言というのは、二百三十八万ドルは契約の際に橋本副社長から防衛庁に協議を行ってもらったと、こういう証言があるわけですが、あなた方の方の御回答では、それはあり得ないと、こういうことになると、これはそのことだけでも海部八郎氏は明確な偽証ということになるわけでありますけれども、そういうふうに受けとめていいわけですね。
○政府委員(倉部行雄君) いまのお話でございますが、私どももこの間のいわゆる海部証言を目を通してみたわけでございますが、その契約のときにそういった話をしたというようなことは証言の中にないように思います。したがいまして、偽証かどうかについては意見を差し控えさしてもらいますけれども、私どもが見る限り、その契約のときに二百三十八万ドルの話をしたというようなことはないように思いますが。
○野田哲君 あなたがその証言の内容を確かめてみたというのは、何によって確かめてみたのですか。
○政府委員(倉部行雄君) 参議院予算委員会におきますところの証言につきましての議事録を読んだわけでございます。
○野田哲君 議事録はもう出ておるのか。――それではこの点は後で精査をいたしましょう。
 先般、日商岩井から、海部証言についての釈明があったと、こういうふうな報道がされておりますが、どういう釈明が行われたわけですか。
○国務大臣(山下元利君) 海部証言の内容につきまして防衛庁として納得しがたい点がございますので、たしか航空幕僚監部におきまして日商岩井から事情聴取いたした経緯はあると思いますが、その点につきまして見ましても、海部証言にございますような、防衛庁職員に対するそういうような事実は全くなかったというふうなお話があったようでございます。
○野田哲君 二百三十八万ドルについて、セントルイスに制服の方が大ぜい来られてその接待に金がかかったということの事実はなかったということを防衛庁に対して日商岩井から釈明があった、こういうことですか。
○国務大臣(山下元利君) 自衛隊の職員がセントルイスの方へ監査のために参っていることは事実でございまして、この前も私の方から、政府委員から申し上げておりますけれども、その間、海部証言にございましたような接待のようなことは絶対になかったというふうに、日商岩井の方からも言われているようでございます。
○野田哲君 そうすると、あなた方の方に対して日商岩井の方から釈明があったということは、ここでの海部八郎氏の証言、これは偽証であったと、こういうことですね。
○国務大臣(山下元利君) 私どもといたしましてはその偽証云々につきまして申し上げる立場にございませんので、御了承賜りたいと思います。
○野田哲君 この問題はこれでとどめて自治大臣に伺いますけれども、消防職員の問題について、ILOの条約勧告適用専門家委員会等では、一九七二年以来、再三消防職員の団結権を認めるような意見あるいは報告を述べているわけでありますが、これに対して、政府は、一九七五年に、公務員問題連絡会議で関係各省の課長レベルの検討を続ける、こういうことになっておりますが、その検討内容はどういうふうになっておりますか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 消防職員の団結権の問題は、御承知のように、大変古い、しかもきわめて重要な問題でございます。昭和四十年のILO八十七号条約の批准のときにも、これは国会におきましても政府の内部におきましても大変な議論の対象になった問題でございます。あの際は、国内法は消防職員の団結権を禁止しておるわけでございますから、その現行法のままで八十七号条約を批准することは差し支えないというILOの結社の自由委員会の二度にわたる確認を得て八十七号条約の批准をしたことは、もう御承知のとおりでございます。その後、御指摘のようにILOの内部におきましてもこの問題についてのいろいろな討議が行われておるわけでございまして、国内におきましてもこの問題についてのいろいろな議論があるわけでございますので、公務員制度審議会も三次にわたって公務員制度全般にわたって討議を行ったわけでございますが、その中の重要な一つの項目として消防職員の団結権の問題が討議されたことも御承知のとおり。そういった経緯を踏まえて、現在なお政府部内におきましても各方面の意見も聴取しながらなお慎重に検討を続けておると、こういうことでございます。
○野田哲君 日本政府のこの問題についての基本的な考え方というのは、団結権を付与しないという考え方の基本に立っているのは、消防職員は警察職員と同じ性格のものだと、こういうふうに消防職員を警察官と同一視した考え方、これが基本にあると思うのですが、ILOの議論の中では、一貫して消防職員については団結権付与という方向を向いているし、そして消防職員を警察の職員と同一視することについては否定的な立場をとっていると思うのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 御案内のように、外国の法令を見ましても消防職員に団結権を与えておる例はあるわけでございますから、したがって、ILOの内部におきましては団結権を与えるべきだと、こういう意見を持っておられる方も当然おるわけであります。ただ、そういったいろいろな討議を経て、現在のILOの最終的な考え方としては、要するにそういう団結権を与えておる国もある、日本のように与えない国もある、しかしそれを最終的にどう決めるかということは国内問題である、こういうことがILOの最終的な考え方になっておるように私は承知をいたしておるわけでございます。
○野田哲君 そこで、国内問題として扱う場合に、政府の方としては、いまだもってこの消防職員というのは警察職員と同じように考えているわけですか、どうなんですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 警察の任務と消防の任務は当然違うわけでございますけれども、火災あるいはその他の災害の際に公共の生命、財産、そういったものを守るという特殊な任務、使命を持っておるわけでございますので、そういう意味でその性格、任務の内容が警察に非常に類似しておると、日本政府としては一貫してそういう考え方に立っておるわけでございます。
○野田哲君 警察官とどこが類似しているんですか、その職務内容について。全然これは類似しているとは私どもは考えられないのですけれども、類似している具体的な点はどこですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) この点が非常に議論の分かれる点であるわけでございます。警察とはもう全然違う、したがって団結権は与えるべきだと、こういう論と、従来政府がとっております解釈のように、もちろん警察とは違うわけでございますが、警察に準ずる、そういった性格、内容を持っておると、こういう考え方、この両論が対立をしておるというのが従来からの経緯でございます。
○野田哲君 昨年の六月のILOの第六十四回総会では、公務員の関係の条約について、公務における団結権の保護及び雇用条件決定手続に関する条約、この適用範囲をめぐって消防職員を除外するというポルトガル政府の修正案、これは労働者側も使用者側も双方が反対をされて撤回をせざるを得なかった、こういう経過があるわけですし、日本政府は、国内事情を考慮すべし、こういうことで別の骨抜き案を提出したわけですが、これも退けられている。こういう点からして、ポルトガル政府の修正案、全くこれは問題にもならなかった。日本政府の、国内事情を考慮すべきだ、この案についても退けられている。このことは、もう国際的な潮流というものが、消防職員の団結権は保障すべきだというのが世界の常識になっているわけです。第三次公制審の答申の中では、「今後のILOの審議状況に留意しつつ、」と、こういうふうな趣旨でうたわれているわけですけれども、「今後のILOの審議状況に留意しつつ、」ということになると、この昨年の経緯を見ても団結権保障の方向ということは明らかだと思うのですけれども、これに対していつまでもいまの状態を固定化し放任をする、こういう考え方は、このILOの状況に全く逆行すると思うのですが、この点いかがですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 団結権の問題は、これはもう当然ILOの最も関心を持つ重大な項目でございますから、したがって消防職員の団結権の問題を考える場合に、ILOがどういう考え方を持っておるかということを留意する、参考にするということは当然のことであります。政府におきましても従来からそういう基本的な態度をとって取り組んできておるわけでございますが、先ほどお答えいたしましたように、ILOは、いろいろなことがございましたけれども、最終的には、この団結権をどうするか、どう取り扱うかということは国内政策の問題であると、こういうのがILOの結論であるわけでございますので、私どもとしてはそういった考え方に立って、日本政府としては消防職員の団結権は現行のままでいくべきであると、こういう考え方に立っておるわけであります。しかし、第三次公制審の公労使三者一致した答申が出ておるわけでございますが、その中で、この問題は御指摘のようにILOのそういった動向にも留意しながらなお慎重に検討すべきであると、こういう答申が出ておるわけでございますので、その答申を受けてなお慎重に検討を続けておると、こういうことでございます。
○野田哲君 この第三次の答申の、ILOの状況に留意しつつ検討していくということになれば、いま自治大臣が言われた国内問題としては現状でいくというのとは一致しないと思うんです。ILOの状況に留意しつつということになれば、これは当然団結権付与という方向を持った検討ということでなくてはならないと思うのですが、そういう考え方には立てませんか。
○国務大臣(澁谷直藏君) ILOの中で、先ほどもお答えしましたように、消防職員の団結権を認めておる国もたくさんあるわけでございますから、したがってそれをその国が認めておるということについて日本政府としていいとか悪いとか申しておらないわけであります。ただ、日本の国情というものの上に立って、現在の法制は消防職員の団結権は認めないという、そういう法制をとって現在まで来ておる。そして、それが国内における一つの重要な論議の対象になってきておると、こういうことでございます。したがって、ILOの動向というもの、これを全然無視するという態度をとるべきでないというふうに私どもも考えておるわけでありますから、ILOの動向にも十分留意しながら、すぐれてこれは国内立法政策の問題でございますから、日本政府の立法政策としては現行制度のままでいくべきであるというのが現在の考え方。しかし、いま言ったような事情もございますので、なお各方面の意見を聴収しながら慎重に検討を続けておると、こういうことでございます。
○野田哲君 消防庁の長官かあるいは総理府の人事局長、どちらでもいいんですけれども、先進国首脳会議の国の中で消防職員の団結権を否定している国はありますか、日本以外に。
○政府委員(菅野弘夫君) 急のお話で、いま資料を持っておりませんけれども、日本以外の国も消防職員の団結権について認めていない国はあると思いますが、いまお話しの先進国ということでございますと、その数は非常に少なかったように思います。
○野田哲君 先進国首脳会議に参加をしている国で消防職員の団結権を否定している国はないですね。一部フランスとかあるいはアメリカ、これは州の権能が非常に強いから、州独自あるいは市独自で一部否定的なところはありますけれども、国全体としてこれを否定している国は、先進国首脳会議参加国の中では日本以外はない、こういうふうに考えて間違いないと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(菅野弘夫君) 先生の御指摘のとおりだと思います。
○野田哲君 自治大臣、これは国内問題と言われても、もう世界におくれていますよ、この消防職員の団結権を否定するという態度は。国内問題として立法措置としていま今日なお消防職員の団結権を否定するというのは、一体どこに理由があるんですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 消防職員の持つ任務の特殊性から見て団結権にはなじまないと、こういう立場に立っておるわけであります。
○野田哲君 任務の特殊性からなじまないというのは、どういう特殊性から団結を否定されるのですか。
○国務大臣(澁谷直藏君) 消防の持つ任務、その特殊性というものは、私が申し上げるまでもなく、野田さんも十分御承知のことだと思います。そういった消防の持つ仕事、任務、そういった特殊性が団結権というものになじまないと、こういう考え方に立っておるわけであります。
○野田哲君 消防庁の長官に伺いますが、長官は、全国で幾つか自主的に消防職員の協議会とかいう形で、あなた方の方では組合の団結権としては否定されておりますけれども、幾つか自主的な団体ができておりますね、消防職員の持つ任務の特殊性から、そういう消防職員協議会というような団体ができたときに、消防の業務に何か差しさわりが起こっておりますか、具体的に。
○政府委員(近藤隆之君) 先生が御指摘のいわゆる協議会と称するものが、互助会あるいは職員の研修会と、そういった程度のものでございますならば、これは法律で禁止しておるところの団結権に触れるものではございません。したがいまして、それによってどうこうという問題はないと思います。
○野田哲君 職員が自主的に会をつくった、協議会をつくった、そのことによる業務の支障は起きていないと、こういうことですね。
○政府委員(近藤隆之君) 現在できておりますのは、互助会あるいは何といいますか研修会といったような程度のものでございます。これが法に禁止しておるところの団結権に触れるというようなものになるならば私どもは非常に問題であるということで注目しておるところでございます。
○野田哲君 いや、業務に支障が起きているかどうかということです。
○政府委員(近藤隆之君) 現在の段階では、まだそれほどこの協議会というものは育っておらない、幾つかの県におきまして動き始めておる状況であるというふうに把握しております。
○野田哲君 それが業務に支障を来しておるかどうかを聞いているんです。
○政府委員(近藤隆之君) 業務に支障を来すほど育ってはおらないし、また、業務に支障を来すほど育ったら大変なことだという理解を持っております。
○野田哲君 全国的な状態ではなくて、個々の市で、そういう組織があるところについて、業務に支障を来しておるかどうかと、これを聞いているんです。
○政府委員(近藤隆之君) ただいま申しましたように、業務に支障を来せば大変なことでございます。そういったものは法で認めておらないところでございますので、消防長などに対しまして絶えず厳重に注意を喚起するよう申しておるところでございます。したがいまして、業務に支障を来しておりません。
○野田哲君 防衛庁長官に最後もう一回伺いますが、この前の山口の地裁における、自衛隊員で亡くなった方の奥さんが提起をされた護国神社合祀の問題、これが判決が出たわけですが、この判決についてどういうふうに受けとめておられますか。
○委員長(町村金五君) 野田君、時間が参りました。
○国務大臣(山下元利君) 山口地方連絡部が宗教的活動に当たる行為をいたしたとは思いませんので、この判決はまことに意外でございました。そのように考えております。
○野田哲君 あと一言。
 意外ということですが、判決が出たわけですが、端的に、上告するのかしないのか、どういう考え方に立っておられるのか、これを伺いたいと思うんです。
○国務大臣(山下元利君) いま私がこの判決について意外と考えておりますと申しました点について御推察賜りたいと思いますが、しかし、控訴するか否かにつきましては、法務省と十分協議した上結論を出したいと、かように考えております。
○野田哲君 一言だけ。
 未亡人が、自分の信仰上の立場から、そういうことはやってほしくないと、こういうふうに主張されているわけだし、そのことで数年間もその信念で法廷でがんばってこられたわけですから、やはりこの意向というのは尊重されるべきだと、このことを強く指摘をし、まあ大平総理大臣も聞くところによるとキリスト教徒であるということでありますから、総理だってその心情はわからないはずはない。これがわからないようだったら総理のキリスト教徒というのはにせだと思うんです。ひとつよく考えていただきたいと思うんです。
 終わります。(拍手)
○委員長(町村金五君) 以上で野田君の一般質疑は終了いたしました。
 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後零時四十分から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
   午前十一時四十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後零時四十六分開会
○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を再開いたします。
 昭和五十四年度総予算三案を一括して議題といたします。
 それでは、馬場富君の一般質疑を行います。馬場君。
○馬場富君 最初に、航空機の疑惑について質問いたします。
 国会の証人で、国民に大きな疑惑を持たれております日商岩井副社長海部八郎氏に対して、何らかの形で接触をなされたかどうか、まず最初に御質問いたします。
○国務大臣(山下元利君) 防衛庁といたしましては、何らかの形にいたしましても接触いたしておりません。
○馬場富君 刑事局長に答弁願いたいと思いますが。
○政府委員(伊藤榮樹君) 特定の方に事情を聞いたか、あるいは取り調べたかというような点は明らかにしないのが常でございますが、あえて申し上げれば、御指摘の人につきましては、現在、国会における証人喚問の手続も進んでおるようでございますので、検察当局としては、恐らく事情聴取等を差し控えておるのではないかと思います。
○馬場富君 ただいまニュース等を聞きますと、海部副社長と辻会長が日商岩井を辞任したようでございますが、事件の捜査について何らかこれから関係が出てくるかどうか、この点について刑事局長に御質問いたします。
○政府委員(伊藤榮樹君) 一般に犯罪捜査と申しますのは、過去に行われた犯罪を証拠によって追い求めるわけでございますから、ただいま御指摘のような事情と捜査とは特段の関係は生じないものと思います。
○馬場富君 次に、過日、逮捕されました日商岩井山岡航空機部長と今村航空機部長補佐の勾留を延期されたのは、どのような理由か、刑事局長にお尋ねいたします。
○政府委員(伊藤榮樹君) 刑事訴訟法で認められておりますが、とりあえず勾留になりますと十日間の勾留になるわけでございまして、十日間の間に捜査が十分できなかったということになりますと最大限あと十日間勾留期間が延長になるわけでございますが、いずれにいたしましても、検察当局としては、この十日間の調べではなお詳細を解明するに足らないということで勾留期間の延長を請求しましたところ、裁判所があと十日間の勾留を認めた、こういうことでございます。
○馬場富君 それでは勾留期間中に起訴もあり得ると考えてよいのか、どうですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 勾留期間というものは、仮に十日間の勾留にさらに十日間延長になりましても、これをまるまる使わなければならないということにはなっておりませんので、勾留満期の前にも事案がはっきりいたしまして、これが起訴相当であるということになれば起訴の手続をとるということもあり得ると思いますし、通常の場合は勾留期間いっぱいを使いまして、事案を徹底的に解明した上で処理を決定する、こういうのが普通でございます。
○馬場富君 先ほどの国会の証人喚問のときに、マクダネル・ダグラス社から偵察機RF4Eの輸入に関して受け取っていた事務所経費二百三十八万ドルは過大ではないかとの質問に対して、海部氏は、航空自衛隊の調査団が来たので金がかかったとか、あるいは円とドルとの換算率が不安定で為替のリスクの問題があったため仲介手数料も大きかったという趣旨の答弁をいたしておりますが、ここで、この最初の点の、航空自衛隊の調査団が来たので金がかかったとの証言に対して、この事実関係を防衛庁長官としては明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(山下元利君) 御指摘の点につきまして申し上げますが、問題となるような事実は全くございません。
○馬場富君 このような疑惑をかけられたことに対して、ただ防衛庁としては非常に心外だとかと怒っておっただけではこれは問題にならないと思います。この点について、この問題をどのように今後処理されるか、御説明願いたいと思います。
○国務大臣(山下元利君) 私どもの知る限りにおきましては、ただいまの航空自衛隊の問題については問題となるような事実はございませんが、ただ、事柄が現在関係当局において御解明中でございますので、私どもはその推移を見守ってまいりたいと思いますけれども、そうした事実は全くないのでございますので、これにつきましてははっきりとこの場でも申し上げさしていただきたい、このように思っております。
○馬場富君 ロッキード事件に次ぎましてグラマン・ダグラス事件が起こり、国民の政治不信の念は強くなっております。これはやはり一刻も早く疑惑の解明を待つとともに、再びこのような事件起がこらないように、防止対策をとることが急務であると私は思います。そういう意味で関係各大臣にその考えておられる対策並びに再発防止に対する決意をお伺いしたいと思います。これはここにいらっしゃいます防衛、法務、大蔵、通産、公取、自治大臣、経企庁長官からおのおのこれに対する所見を賜りたいと思います。
○国務大臣(山下元利君) 御指摘のとおり、私どもといたしまして、防衛庁の調達に関しましてはいささかの疑惑もあってはならない、かように考えております。私どもといたしましては、従来ともにこの機種選定等につきましては、純粋に防衛上の見地から専門的技術的に検討してまいっておりますので、その間に不正はないと思いますが、しかし、いまの御指摘もきざいましたし、ロッキード事件等の経過にもかんがみまして、航空機のような主要な装備品につきましては、その代理店契約書を提出させるとか、あるいは価格調査を強化するとか、あるいは誓約書を提出させる――これはもう現実に誓約書を提出さしておりますけれども、そのようなことをいたしておりますが、さらに、こうした点につきましては十分努めてまいりたいと思います。なおかつ、今回、政府間の契約と申しましてFMS方式でございますので、こうした方式を取り入れましたことも、この不正防止の点につきましては御理解がいただける点であろうと思うわけでございますけれども、以上申しましたことを今後ともさらに励行いたして不正防止に資したい、かように考えている次第でございます。
○国務大臣(古井喜實君) 再発防止対策の問題でありますが、前にも申し上げたかと思うんですけれども、いまは当面のこの事案を解明することが一番の問題でありまして、これを途中でお茶濁しのようにして次の再発防止に飛ぶのはいかがなものかと私は思うものですから、それは究明を第一にし、いまから検討はしますけれども、また一方において再発防止の対策を研究をしながら、適当な時期にこの再発防止対策の方に本腰を入れる、そういう行き方の方が適当じゃないかと、こういう考え方を持つんであります。
 で、それぞれ関係の大臣なり各省、そのほかにおいても研究はされておると思いますが、この問題は、申すまでもなしに、再発防止とは何を再発防止するんだと、つまり疑惑事件が起こらないようにするということであり、広範な問題ですから、犯罪事実のようなものが起こらぬようにする、こういう問題もありますし、それから犯罪にならぬまでも不正不当な事実がないようにするということが大切ですから、これについては、行政部内の関係については、政府が行政部内の問題としてまずもって再発防止、不正不当がないように方策を考える。それだけでは足らぬのかもしらぬ、たとえば会計検査院の権限をどうするとか、そういうこともあるかもしれません。それからさらに経済界の方、企業ですな、企業もいままでのとおりであって、一体、こういうことが防げるかと。いわばもうけのためには手段を選ばず、倫理的なミニマムも踏みにじっていいというような姿で企業があっていいかどうか、こういう企業に対する問題もあると思うんですね。で、これに対しては企業が自分で自主的に起こさぬようにするように導くのが第一ですけれども、行政上の指導監督をどうするという問題もありましょうし、あるいはまたもっとより以上の強い対策を考えなきゃいかぬかもしらぬと思う。
 それから、もっと大きな問題は、政治的な面における疑惑をなくする、どうすると、こういう問題があるわけで、これは行政部がくちばしを入れるというんじゃなくて、国会がどうしたらいいか、最高の機関として国会議員なり政治家がどうしたらいいかということは、これこそ国会が考えられるべき問題だと思うんでありますから、これは国会の方で大いに再発防止対策は検討されて有効な対策を考えられる。そういうふうに総合的に考えていかないというと、何遍だって繰り返す。で、格別、国会におかれては、政府がやっている範囲内のことは政府が一生懸命やりましょうが、政府の手の届かぬ分野というものについては国会が責任を持っていただきたい、当然だと私は思うんです。そういう意味で、政府政府とおっしゃるのみならず、国会の分野においてもぜひ検討願う、こういうことでないと再発防止にならない。だから、よく考えて、この問題には腰を入れてやりましょう、こういうことになるわけでございます。
○国務大臣(金子一平君) ただいまのお尋ねの件でございますが、ロッキード事件が起こりました直後に、再発防止のいろんな対策を政府としては決めておるところでございまして、その中には、たとえば刑法上の収賄罪の刑の加重の問題、これは目下国会で継続審議中でございますが、そのほか、あっせん収賄罪の新設とか、いろんな刑法上の規定を改正することにいたしますことはもちろんでございまするけれども、OECDでの国際多国籍企業の行動の取り締まりに関する取り決めに日本も積極的に参加しようというようなことで、現在、動いておるようなことでございますし、また、こういった問題はやはり政治家なり個人、企業のモラルの問題でございますから、特に政府部内といたしましては、こういう点につきまして今後十分趣旨の徹底を図るように努力いたしたいと思っております。
 また、大蔵関係の問題といたしましては、証券行政のあり方につきまして、いろいろ御指摘をいただいております。今後、こういった点についてさらに調査、監査を厳重にやっていくように、公認会計士協会ともども連携してやってまいりたいと考えておる次第でございます。
○委員長(町村金五君) 馬場君、ちょっとお尋ねしますけれども、経企庁長官、それから公取委員長にお求めになりますか。
○馬場富君 ええ、各大臣にみんなお伺いしたい。
○政府委員(橋口收君) 航空機の問題と独占禁止法の接点は二つあるかと思います。
 一つは、当委員会でしばしば問題になっておりますいわゆる国際的契約の届け出の問題でございまして、これは当委員会でもお答えを申し上げておりますけれども、大体、年間で五千件を超える国際的契約の届け出がございまして、限られた予算、人員で完全な管理を行うということはほとんど不可能なのが現状でございます。当委員会としましては、届け出をされました国際契約のうちでも、技術導入契約とかあるいは総代理店契約とか、独禁法違反の疑いのある契約についての審査を中心にいたしておりまして、いわゆるコンサルタント契約につきましてはほとんど手がついてないというのが実情でございまして、こういう点につきましては、将来、予算並びに人員の充実を図りまして、一層管理を厳重にしたいというふうに思っております。
 それから、もう一点といたしましては、いわゆる商法に関連しましての物品の販売、納入に関連しましてのリベートの問題でございますが、いわゆるリベートと目されるものにつきましてはアメリカではかなり厳重な取り締まりをいたしております。取引行為を行うにつきましてリベートを使うということは公正な競争条件を害する、こういう考え方でございまして、日本におきましてもそういう考え方が全くないわけではございませんが、少なくとも過去の取り扱いの事例等に徴しますと、日本におきましてはまだアメリカほどリベートに対してシビアな態度をとっておりません。したがいまして、これは将来の問題あるいは立法にも関連いたすかと思いますが、リベート等による商品の納入行為に対しましては、いわゆる不公正な取引方法であるということで独禁法上の取り締まりにすることも将来の問題としては可能ではないかということで、今後、研究を進めてまいりたいというふうに思っております。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 基本的には、私は、政治並びに政治家は潔白でなくてはならぬというそのことはもう申すまでもないことでありますが、往々にして、こうしたケースの中にいろいろ問題が生じておることは非常に遺憾なことであると思います。
 私の担当する部面におきましては、対外経済協力等がございますが、あるいはまた経済協力基金の運営等につきまして、特段にこうした問題の発生することのないように、十分注意をして運営をしてまいりたいと思っております。
○国務大臣(澁谷直藏君) 海外との飛行機の購入という事件でございますから、地方自治団体としては直接の関係はないわけでございますけれども、もう私はやはりこういう事件の一番大事な問題は、関係者の倫理観、これが基本だと考えます。したがって、こういう手段を講ずれば、たとえばこういう法律をつくればそれだけでこういった事件の再発が防止できる、そういった単純なものではないと私は思います。したがって、これに対する対応も多角的総合的なものでなければならぬと考えておるわけでございまして、いま各大臣からいろいろ御発言がございましたが、政府サイドとしては、これはもう内閣全体の問題として総合的に取り組んでいかなければならぬ、このように考えております。
○馬場富君 先ほど答弁いただきました中で、法務大臣は、答弁を聞いておりますと、何か国会がしっかりやらなきゃいかぬとしかられておるような答弁でございますが、やはりこれは私どももいま闘っておるわけでございます。そういう点で法務大臣としての決意をお伺いしたのであって、その点について明確にお答え願いたいと思います。
○国務大臣(古井喜實君) お答えします。
 政治家であろうとだれであろうと、犯罪、こういう問題については、われわれの立場で全責任を持って糾明をすることをやらなきゃならぬし、再発防止の策も考えなきゃならぬと思っておりますけれども、しかし、これは犯罪の問題でございまして、法に触れる犯罪でなくても、いまの国会でも問題になっておりますように、政治的道義的責任とか、そういうところまで及ばないというと再発防止にならぬのですから、そういうことになりますと、政治家のあり方という問題になれば、これはわれわれが行政部内におってかれこれ言うのは少々出過ぎになりますもので、そんな倫理的な問題まで、国会議員の方などのですね、ですから、これはやはり最高の権威を持っておいでになる国会がそれこそ考えて、こうあるべきだということを考えていただくべき分野だと、私はそう思うのです。われわれはわれわれなりの立場で、持ち場はやるべきことはやる、こういうことなので、われわれの手の届かぬところの問題については、政治家の倫理的道義的な責任、こういうふうなことになると、やはり国会の方にお願いするしかないんじゃないか、私はそう思うんであります。
○馬場富君 次に、ナフサの輸入について質問いたします。
 ナフサを原料とする石油化学製品の利用状況について御説明願いたいと思います。
○政府委員(大永勇作君) 石油化学製品につきましては、国民生活の各分野で広範に使われております。代表的な用途でございますと、たとえば衣類の部分ではナイロン、アクリル、ポリエステルといったような合成繊維原料、それから食品関係では各種の容器、包装材、あるいは農業用のビニール、フィルム、漁網、また住宅の分野では建築材料、接着剤、塗料といったような非常に広範な分野に使われております。
○馬場富君 このように国民生活に深い関係のあるナフサを中心とした石油化学工業の工業界に占める位置について説明願いたいと思います。
○政府委員(大永勇作君) 石油化学の範囲をどこまで見るかによりまして数字が大分変わってまいりますが、産業連関表によって見ますと、全製造業の中で生産額で三・四%、雇用で一・六%になります。ただし、もう少し広い範囲で、たとえば合成繊維の紡績あるいはゴム、薬品、合成染料、これを加えますると、それぞれ生産額で八.六%、従業員で七・九%、まあ八%程度のウエートということになるわけでございます。
○馬場富君 ナフサの消費量の五十三年度と全石油製品消費量の割合をひとつ説明願いたいと思います。
○政府委員(神谷和男君) ナフサの需要量につきまして御説明いたします。
 五十三年度はまだ最終的な数字が出ておりませんので、見込みの数字で御説明させていただきますが、需要全体で三千五百万キロリットル、正確に申し上げますと三千五百一万八千キロリットルということになろうかと考えております。石油製品の五十三年度の数字もまだ固まっておりませんので、概数と申しますか見込みで申し上げますと、燃料油計で二億三千五百万キロリットル、こういう数字になっております。
○馬場富君 そこで、ナフサの需要は最近増大しておりますが、この中で、国産ナフサの供給はこれに対応できないような実は状況になってきております。そのために輸入量が非常に大きくなっておる。その需給ギャップについてひとつ説明していただきたいと思います。
○政府委員(神谷和男君) 御承知のように、わが国におきましては消費地精製主義を原則といたしております。したがいまして原油を輸入いたしまして、それによって賄い得る燃料油、すなわち石油製品につきましては国産で賄うわけでございますが、御承知のように石油製品は連産品でございますので、一定の原油からとれるおのおのの石油製品には一定の限度もあり大小もございます。
 したがいまして、全体としてできるだけ需給が合うような生産をいたしますが、それによっても需要を賄い切れない石油製品につきましては、その差額を輸入によって賄うという政策をとってきておるわけでございまして、主として先生御指摘のナフサと、それから重油、特にローサルファのC重油並びに一部A重油の輸入をいたしまして、石油製品全体の需給をバランスさせておる、こういう状況にございますが、その中でもナフサの需要の伸びが戦後の重化学工業化の過程においてきわめて著しかったわけでございますので、輸入の比率はナフサがきわめて高くなっております。
 最近の数字を申し上げますと、五十年度では需要に占める輸入比率は一八・五%でございましたが、五十一年度に至りましてこれが二二・五になり、五十二年度二四・二%、五十三年度は国産が二千四百四十万キロリットルに対して、輸入が一千万キロリットル強という見込みでございますので、約三割と、こういう状況になっております。ただ、御承知のように最近のイランショックの影響で、輸入ナフサが現在非常に入手がむずかしくなってきておりますので、国産の供給に今後一層の力を入れていきたいと考えております。
○馬場富君 そのギャップの中で、五十二年度の全体のナフサの消費量の中で、この輸入ナフサがどのぐらいの割合になるか説明していただきたい。
○政府委員(神谷和男君) ただいま御説明させていただきました輸入ナフサ全体で一千万キロリットルでございますが、このうち石油化学用に用いられるナフサ――数字を正確に申し上げますと、輸入全体で一千六十万キロリットルでございますが、このうち一千十九万キロリットルが石油化学製品に使われております。国産の方は二千四百四十万キロリットルの生産に対して、石油化学には千九百万キロリットル使われておるわけでございます。全体といたしまして三千五百万キロリットルの需要あるいは供給と申しますか、それに対して石油化学製品が使っておるのが二千九百万キロリットル、こういう数字になっております。
○馬場富君 従来、国産ナフサが主力で、輸入ナフサが補完というような形にあった状況から、最近の状況を見ますと、三分の一を占めるような、そういう輸入ナフサに頼るような現状が日本の状況でございますし、そういう点で、この状況でいきますと、やはり輸入依存度というのが非常に高くなってきたんじゃないか、この点はどうでしょうか。
○政府委員(神谷和男君) 御指摘のとおり、輸入依存度は近年かなり高まっておりまして、先ほどはナフサ全体の輸入比率を申し上げましたが、石油化学用ナフサについて申し上げますと、三四・九%が輸入に依存しておる、こういう状況になっております。
○馬場富君 五十二年度より始まった円高の関係で、国際的供給の過剰とあわせまして、ナフサ、石油製品の輸入価格と国産価格に大きな差ができたわけでございますが、その経緯についてちょっと説明していただきたいと思います。
○政府委員(神谷和男君) 一般的に申し上げまして、国産ナフサと輸入ナフサとの価格関係でございますが、従来は国産ナフサの価格が輸入価格を下回っておるというのが通例でございまして、手元の表で検証いたしてみましても、四十六年から五十一年の間で輸入ナフサが国産ナフサより安かったのは四十七年一度だけでございます。ただ、五十二年から五十三年に至りまして円高がかなり急速に進んだことが一つと、それからロッテルダムにおきますナフサの需給関係がかなり緩んだ、すなわちソ連、東欧関係から相当ロッテルダムにナフサが流出をいたしまして、このスポット価格が暴落いたしましたので、これに引きずられまして輸入ナフサが国産ナフサよりかなり下回る価格になってまいりまして、国内におきましても、ユーザーと石油精製業者との間の交渉で国産ナフサも相当下がってまいりましたが、格差はなかなか埋まらなかったわけでございます。
 ただ、イランショック以降は、東欧あるいはソ連からロッテルダムあるいは西欧に流れてまいりますナフサが少なくなり、あるいは一部途絶したことが一点と、アメリカその他のナフサあるいは石油化学製品に対する需要が急速に回復したことが一点と、この二つで、海外ナフサ、特にスポットものが急騰いたしておりますので、現時点においては、また従来のように海外ナフサが国産ナフサよりかなり高いという状況に戻ったのではないかと考えております。
○馬場富君 いま説明されたように、五十二年の七月より始まった円高によりまして、やはり輸入価格と国産価格の間に大きい開きができた、そのために日本の石油製品は国際市場においての競争に勝てずに一歩後退したという感じを実は円高のために迎えたわけです。それとあわせまして、非常に国内的にも不況が続きまして、そのためにこの業界が非常に苦しい中にあった。そういうために、どうしてもいろんな海外との競争のために、やはりその原料であるナフサを直接輸入したいという、そういう業界の方々が多くなってきております。そういう点で五十四年の一月より通産省に石油輸入業の届け出の動きが出ておりますけれども、その会社の内容についてひとつ説明していただきたいと思います。
○政府委員(大永勇作君) 先生御指摘の会社は、石化原料共同輸入会社という名前のものでございまして、これは石油化学企業七社の共同出資によりまして石化原料の輸入等を共同して行おうということで昨年の九月に設立されまして、いま先生御指摘のように輸入業の届け出が行われたわけでございますが、最近、この問題につきましては、通産省内部におきましていろいろ検討いたしました結果、石油業者の代理商という形で従来に比べましてより自主的に輸入を行うということで話がまとまりましたので、今後、そういう形で、従来に比べましてより自主的にナフサ等の輸入を行うということになります。ただ、何分、資本金にいたしましても、払い込み資本千四百万円というような小さな会社でございまするので、それほど大きな輸入量を考えておるわけではございませんで、五十四年度におきましては約二十五万キロリッター程度の輸入を行うという予定にいたしておる次第でございます。
○馬場富君 いま届けられた会社に、届け出によって通産省が代理商という名前を与えた。それでは、石油業法に基づくこの会社の輸入業者としての届け出は現在どのような形になっておるか、説明願いたいと思います。
○政府委員(神谷和男君) 御指摘の会社の石油業法第十二条に基づきまする届け出につきましては、関係書類を私どもの関係課に、話し中であるので一応預かっておいてほしいということで一時預かってございましたが、先ほど基礎産業局長から御説明いたしましたような形で決着いたしましたので、輸入業の届け出書は取り下げるということになってございます。
○馬場富君 いま代理商という名前が出てきましたけれども、石油業法上、代理商というのはどういう立場でこれを扱うのか、説明願いたいと思います。
○政府委員(神谷和男君) 石油業法上は、代理商という定義あるいは規定はございません。したがいまして、今回の場合は、この石油化学関係の石油会社が輸入する場合の石油業法上の輸入業者は関係した石油精製会社ということになりまして、この石化会社はその精製会社の事実上の代理商として、先ほど基礎産業局長から御説明いたしましたような、自主的な形での海外ナフサの確保並びにそれの日本への導入という実態上の働きをしていただく、こういう整理になってございます。
○馬場富君 石油業法上は届け出によってこれを受理することになっておる。その他に代理商なんというのは一つもありゃせぬわけです。そういうようなのを通産省が勝手に決めて、しかも、業界がナフサが高いから自分たちが外国からぜひ輸入したいといって、そういう業者の方々が届け出をしたのに対して、届け出をしたのか、それとも断ったのか、どちらかも明確でないままに、こんな結果に、代理商というようなことを通産省が勝手に決める権限がどこにありますか。
○政府委員(神谷和男君) 私どもの方では、石油の大半を輸入いたしておりますし、特にエネルギーの安定供給という観点から、消費地精製主義並びにこれによって不足をいたします石油製品の輸入についてエネルギー安定供給の確保という観点から、できるだけ適切な行政を行ってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、この観点から、石油製品の輸入に関しましては非常に重視をしておるわけでございます。したがいまして石油業法上の届け出に基づく輸入業者もできるだけ少数の、しかもかつ石油を常時大宗として取り扱っておる業者にしぼるという方向で行政指導を行っておりますので、今回の共同会社の届け出につきましても、私どものその考え方を御説明をいたしまして、十分御納得をいただいた上で、いわゆる届け出を取り下げていただく、こういう運びにしたわけでございます。
 ただ、自由な活動を行います際に、事実上の代理業務というものを行うことがより事態に即しておるというふうに考えましたので、そのような方向で今後進めてまいることが適当であろうと関係者と話し合いをしたわけでございまして、私どもは断ったとか、あるいは新しく代理商というものを設けたということではございませんで、私どもの考え方を御説明いたしまして御納得をいただいた、こういうふうに考えております。
○馬場富君 いま部長は納得したと言っておりますが、それは納得したわけではないわけです。
 先ほど答弁の中で言ったように、いままでその届け出を受け取っておって、そしてその届け出に対して受理をさせずにおいて、そしてどうしても受理してほしいと強硬にせがまれて、思案のあげくにつくったのが代理商という方便です。そんな方便を使ってやっておいて、そして代理商を受け付けたから、それじゃ届け出は返すという、そんな勝手のいい、石油業法上に届け出は受理できることになっているものを、そんなことは断じて許すわけにいきませんよ。しっかりともう一遍答弁してもらいたい。
○政府委員(神谷和男君) 先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、石油製品の輸入というのはきわめて重要なものだと考えております。特に今日のようにエネルギーの安定供給というものが非常に不安になっている段階におきまして、いわゆる原油の安定確保をベースにして石油製品の国内供給の安定を図るという基本的考えに基づいて石油行政を行っておりますが、この際に石油製品輸入がどのような形で入ってくるかということは石油行政上非常に重大な関連があるものでございまして、私どもは、石油製品をすべて海外に依存するということは日本のエネルギーの安定供給の確保にとって必ずしも適切ではない。そのことは今回のイランの動乱が如実に示しておりまして、原油は最大の努力をしながらわれわれは確保しておりますが、ナフサ等は暴騰をいたしておりまして、もしわが国がナフサあるいはその他の石油製品を今日すべて海外に依存しておったというようなことを想定いたしますと、背筋に寒けが走るほど海外の石油製品の需給状況というものは逼迫しておるわけでございます。
 したがいまして、私どもは、消費地精製主義並びに原油の安定確保をベースにした石油の安定供給という政策は、今日においても正しいと思っておりますし、その重要性はますます強まっておる、こういうふうに考えておるわけでございます。その思想に基づきますれば、石油製品の輸入については、できるだけ整然と石油供給計画その他と整合する形で行われることが望ましいし、適切であると考えておるわけでございまして、そういう面から、輸入事業者の拡散、増大というのは好ましくないというふうに考えておるわけでございます。その考え方を届け出をなさった方々に十分御説明をした、こういうことでございまして、この点を御理解いただいたものというふうに了解しております。
○馬場富君 それじゃ、あなたがいまおっしゃる消費地精製主義というものはどういうことかね、ちゃんともう一遍しっかり答弁してもらいたい。
○政府委員(神谷和男君) 消費地精製主義と申しますのは、主としてエネルギーの供給を原油の形態で確保いたしまして、これを国内において石油製品にして供給をする。ただ、先生御指摘のように、物によりまして足りないものが出てまいりますので、これは残余分といいますか、足りない分、不足分を石油製品という形で海外から導入する、こういう考え方でございます。この考え方に基づいておりますればこそ、石油公団をつくりまして自主開発原油の確保、開発等に懸命の努力をわれわれは行っておる状況にございます。今日の石油政策は消費地精製主義の基本的な考え方に基づいて一貫しておるものと考えております。
○馬場富君 それではね、いまここにあります五十六社の届け出をされておる輸入業者がございますが、この内容について説明してもらいたい。
○政府委員(神谷和男君) 先生のお手元に提出さしていただきました石油業者の一覧表でございますが、大半は石油精製業者でございます。それ以外に一部商社が入ってございますが、これは石油業法施行日の段階ですでに石油輸入業を営んでおった会社でございまして、新しく法律が施行される場合には、この種のものは基本的にやはり輸入業者として認める、こういう形で輸入業者として届け出を受理いたしておりますが、ほとんどが先ほど申し上げました重油の輸入の会社、特にA重油の関係の会社でございます。
 それから、石油業法後、新しく届け出を受理したものもほとんど石油精製会社でございますが、ジャパンインドネシアオイル、住友商事、ファーイーストオイルトレーディング、これらにつきましては重油、あるいはジャパンインドネシアオイル等は原油を輸入いたしておりますが、経済協力案件との関連で、いわゆる借款あるいは融資等の返済という関連で、当事者が輸入業者にならない場合にはLCその他の開設の関連でどうしてもスムーズにいかない、こういうことで経済協力案件を重視したという観点から受理をいたしております。それからペトロコークス、三共油化工業等は、石油コークスあるいは潤滑油という、むしろ燃料油以外のものに限っての輸入業者としての届け出でございます。
○馬場富君 いま説明されたように、この五十六社の中には、いまの三菱商事や三井物産、そういう全然石油精製とは関係のない商社がたくさんずらっと並んでおるわけです。そして現在ここにいまあんたのところへ届けを出した共同輸入会社というのは、現にナフサを使って精製しておる、そういう業界が集まったいわゆる組合みたいな会社だと。そういう点から言ったら、よっぽどあなた方の立場からいけば、そういう方々をやはり輸入業者として認めるのが当然の立場じゃないか。そういう点で、そのいまの商事会社と共同輸入会社とはどこが違うんですか。
○政府委員(神谷和男君) 先ほど御説明いたしました商事会社は、石油業法施行日以前のものでございますので、これは私どもとしてはやむを得ないものというふうに考えておりまして、これ以外の商事会社に拡大することは極力抑制していただこうという方針で御納得をいただいております。
 それから石油化学の原料の共同輸入会社につきましても、極力抑制をしていただこうという方針の後で出てまいっておるわけでございますので、この方針にひとつ御了解をいただきたい、こういうことでお話をしたわけでございますし、また、現実にこの共同輸入会社の原料のみでナフサの需給が担保できれば問題はないわけでございますが、実際問題といたしましては、輸入ナフサ並びに国産ナフサ全体としての需給関係というのは私どもの石油の供給計画を策定する上できわめて重要なポジションを持っておるわけでございます。したがいまして、その輸入計画その他につきましては、国産ナフサの供給可能量あるいは海外からの入手可能量、国内の需要等を総合的に勘案しながら、しかもその輸入の確度等についても引いてくる石油精製会社等に個別によく確かめながら供給計画を組んでおりますので、先ほど御説明いたしましたような形で、精製会社を通じて輸入をし、実態の取引あるいは海外での調達を代理商という形で行っていただくということが今日の実態には最も適しておるというふうに考えてお話し合いをしてきたわけでございます。
○馬場富君 私がなぜこのことをやかましく言いますかというと、五十三年の四月の商工委員会において、やはりあの国内ナフサと国際ナフサとの差が非常に多かった、七千円もの違いがキロリッターであったときに、そういうやはり希望者が石油製品を使う方々の中から多くあった。そのために、輸入業者の希望が届け出をしたとしたら、これを受理するかという、そういう質問に対して、政府委員である通産当局の方は、ナフサは自由品目であるし、あるいは許可なしで輸入できるので、これは自由に輸入していただいて結構だと、そういう答弁を、ちゃんと議事録もありますが、はっきりしておるわけです。それじゃ私がその会社をつくって届け出したら受理するのかと言ったら、するという、そこまで政府委員として答弁しておる。
 それと、現在の共同輸入会社が結局届け出を出したら全然受け付けずに、持って帰ってくれと。そうして何としてでも業法上これは受け付けてもらわなきゃいかぬ、こう言ったら、それじゃ預かっておくということで長く引っ張り放したあげくに、最後の手として代理商という、そんな通産省の中に全然言葉のないようなことを使ってきて、そうして結局その人たちを輸入業者として認めないような立場をとるということはもってのほかだと思う。これは部長に聞いてもらちが明きませんので、大臣、ひとつこの点について答弁を願いたい。
○国務大臣(江崎真澄君) 先ほどから石油部長が一生懸命答弁いたしておりますとおり、やはり石油の安定供給ということが第一だと思います。それからきわめて重要な物資であること。これは御承知のように、今度のイランの問題で、あの民間備蓄がどれだけかということによりまして、私どもは、たとえば一−三月、昨年同期並みより百万キロリットル多く入手できましたというのも、やはり業界としてある程度の信頼性があって長期契約を取り決めておる、そういう背景で安定的な輸入も可能なわけでありまして、そういった長年の一つの商業的信用といいますか、そういう上に立った業者を輸入業者としては指定すべきであるということになっておる。特に今後のOPECの総会がきのうからきょうに持ち越しまして、今夕は相当な幅の値上げがなされるのではないかという推測がどんどん電報で入ってきておるようなわけでありまするが、そういう他の産業にまで、また大きく言うならば日本経済にまで影響を与えかねないこの重油を扱う業者でありまするので慎重に配慮したということで、ひとつ御了解をお願いしたいと思います。
○馬場富君 そこで、大臣、石油業法においては、結局、届け出をすると、それを受理するか返すかなんです。で代理商なんということはあり得ぬわけですよ。で、それはいい方策としてそれをやったと言いますけれども、やはりそういう不自然な形でなしに、もう一遍この問題については、通産当局で、大臣を中心として本当にそういう業界の方々が納得できるようなひとつ一遍検討を考えてもらえぬか。そういう代理商というような、きちっとした明確な立場もないような状況に置かずに、もう一遍この業界がどうだかということをよく検討してもらいたい、こう思うわけですが、この点どうでしょうか。
○国務大臣(江崎真澄君) 私も、これは報告を受けておりますが、ナフサの輸入そのものには支障のないようにということで、行政的には要望をされた業者に実を与えて、そして石油輸入業というもののむずかしさ――先ほどから申し上げておりますような意味で、原則的に簡単には許可しないという、よほど内容がしっかりしておるとか、実績があるとか、そういう経緯に立たないものについては容易に指名できがたいという先ほどから申し述べておりまする事情のもとに、通産省側の意向は一応通したと、そこで業者も実質的にナフサ輸入が確保できるということで、一応、御了解を願っておるというふうに私は了承しておるわけでございまするが、そういうことでしばらくこの推移を見守っていただきまして、何か特段の不自然なまた矛盾などが出てまいりましたときには、もとより私はよく関係者と相談をいたすことにやぶさかでございませんが、この段階はもうしばらく様子を見ていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
○馬場富君 それは理解しますが、そういうことで、いままでのそういう輸入業者の届け出の経緯というのはよくわかっておるわけですよ、五十六社も許可しておるわけですよ。そういう点で、今回の場合、いろんな事情もありますけれども、これはやはりそういう手続のあり方について疑いを持つような点がずいぶんあるわけですよ。そういう点で、その点だけ、いまの代理商等をあわせまして、よくやはり業界の意見を大臣、次官が一遍聞いてもらえぬかと、こう思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(江崎真澄君) わかりました。それはぜひ聞かせていただきます。
○馬場富君 次に、この円高等について、五十二年度並びに五十三年度の石油業界の利益について説明願いたいと思います。
○政府委員(神谷和男君) 昭和五十二年度の収益は、経常ベースでございますが、三十六社計で二千八百五十億円の経常利益を計上しております。それから昭和五十三年度の上期でございますが、この期は前年度に引き続きまして円高メリットがございましたが、これを上回る製品価格の値下がりがございましたので、経常利益は九百八十三億円ということで、前年同期比で二〇%の減益となっております。
○馬場富君 一応、発表は帳簿上の利益でございますけれども、やはり専門家間では、これは実質の利益というのはもっと大きいというのが通念のようです。先般、五十三年の四月の商工委員会で、私、前の通産大臣の河本さんに質問をいたしました。そうしたならば、やはり石油業界の利益というのは円高の一円が上がると年間二百五十億円の増収になるんだと。この数字からひとつずっと考えてみますと、円高関係で起こった業界の利益は少なくとも一兆五千億円という数字が出てくるわけです。
 そこで、先日、三月二十四日に参議院の予算委員会で、小坂企画庁長官が質問に答えて、最近までの円高によって二兆六千億円の利益を得ておるということを御答弁なさっておりますが、長官から説明願いたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 計算方式につきましては、すでに委員御承知のとおりだと思いますが、私あのときに申し上げた二兆七千億というのはちょっと私の記憶違いでございまして、二兆一千三百億円程度というふうにわれわれはいま推計いたしておるところでございます。
○馬場富君 ここで、このように石油業界の莫大な利益は上がったわけですけれども、この還元は具体的にどのようになされたか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(神谷和男君) ただいまの円高メリットと言われておりますのは、通常の仕入れ差益、これの計算上の数字でございます。円高によりまして、同じ原油を輸入いたしましても、その間の円表示の原油価格のダウンによりまして、トータルで二兆一千三百億円程度の差益が出たことになるであろう、あるいはそれだけ仕入れ値が減ったことになるであろう、こういうことになろうかと思います。
 これに対して、どういう還元が行われたかということでございますが、一つは、石油製品の値下げが、この間、私どもの計算でございますと一兆五千五百億円程度値下がりをし、値下がりによって収入がダウンしておるというふうに考えております。それから別途コストアップがございまして、この間、原油代も上がっておりますし、石油税等が新しく出てまいっております。それから諸コストの増も若干ございますので、九千二百億円程度のコストアップが同期間に見られる、こういうことでございますので、これを足しますと二兆四千七百億という数字になります。この数字のプラス・マイナスというのは、それほどリジッドな意味では余り意味がございませんが、大ざっぱに申し上げますと、コストアップを吸収して石油製品を値下げしたといいますか、値が下がった、こういう形で還元をしておるということでございます。
○馬場富君 そこで、その問題について経企庁長官に。
 経企庁長官は、先日の答弁の中でこの問題についても触れてみえますが、この莫大な円高差益は完全に還元されたでしょうか、どうでしょうか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 業界の方々から伺いますと、還元したようなことになるんですが、どうもその辺が私にはよくわからぬわけであります。特に、ガソリンを確かに大変投げ売りしたことは事実でございましょう。しかし、それが何兆円に達するほどの安売りをしたとはわれわれはちょっと思わないし、いまも御説明がございましたが、コストアップで九千億円――私は、十三社くらいの企業のコストアップが九千億になるなんということはちょっと常識的にも考えられないところでありますが、そのような報告が出されておりまして、そういう形の中で、昨今問題になっておりまする石油製品の値上げを石油各社がやろうとしておるということについて、私は、いささかそれに対しましては疑問を持っておるということでございます。
○馬場富君 次に、通産大臣にお尋ねいたしますが、大臣はOPECの今年の一四・五%の値上げの発表に対しまして、閣議の中で、二月二日に、石油会社の発表した石油製品の値上げ幅が大きいので、便乗値上げがあれば行政指導をするということで大臣が発言されましたが、この点についてお尋ねいたします。
○国務大臣(江崎真澄君) これは三月末から値上げをしたいという申請が、あれは一月行われました。それがたまたま一四・五%前後の値上げと当時言っておったわけであります。OPECの値上げは一〇%値上げで、複式方式で一年末の最終値上げの段階で一四・五%になるわけですが、たまたまその値上がり分の最終分に符節が合う値上げ幅ですね。それは何も偶然の一致であって、関係があるとは私も思いませんが、これはとりあえずの年初からの五%アップの分、それから今日の円がだんだん価値が下がってきたという円安の分、そして過般過剰ぎみであったために、先ほど石油部長が言いましたように値が下がり過ぎた、その是正の意味も含めて一四・五%でございますと、こういう説明であります。
 この一四・五%内外の値上げが市場で通るか通らないかということは、これは需要者側がその値段で了承するかしないかという点に大きくかかるわけでございます。これは需要供給の原則で両者の話し合いによって決まるべきものでありますが、かりそめにも便乗値上げの傾向があるときには、私ども通産省としては、これは当然行政指導しなければならぬということを申したわけであります。
 その後、イラン情勢が依然として混迷を続けております。第一船は日本に向けてとりあえず出してくれましたものの、まだ政治が本当に安定したとは言い切れない形ですね。しかもまた、きのうからきょうに引き続いてOPECがいろいろ協議をして値上げを策しておる。それからまた世界的には五%消費量が足りなくなった。供給が足りなくなったと言ってもいいんですが、そういう背景にスポットものと称するものが、これは市場のほんの三%か四%程度のものですが、ぐんぐん上がって二十四ドルにも五ドルにもなったというようなことで、ちょっと環境は値上がりやむなしといったような雰囲気ですが、過去に仕入れたもの、これはそんなに高い値段で仕入れたわけではありませんから、馬場さんが言われるように、やはり円高メリットの消費者への還元ということなどとにらみ合わせて、業者としては十分そのあたりを配慮して良心的に行動される必要がある。特に石油製品及びこの関連製品というものがそういう国際情勢を反映してどんどん値上がりするということになりますと、諸物価に与える影響というものは甚大なものがあります。したがって、今後将来のことを含めながら、私は、政治家でありまするから、また所管大臣として便乗値上げなどということがあってはならないということを一言添えたわけでありまして、これは今後に処する一つの気構え、心構えといったものを喚起する意味で多少アクセントを強くしたという点があったかと思いますが、そういうふうに御理解を願いたいと思います。
○馬場富君 いや、私はアクセントが気になっておるわけじゃなくて、その後からの言葉が大切だ、やはり石油製品の値上げ幅が大きいので便乗値上げがあれば行政指導をするというのは、私は、大臣の立場としては当然のことだ、ここらあたりがぼけてきたら大臣は大変だと思いますので、これは非常に私も理解しておるわけですけれども、小坂長官が三月二十四日にこの点につきましてやはり発言をしていらっしゃいますが、最近のガソリンの値上げについて便乗値上げの疑いがあるということで、経企庁としては調査を開始した、こうおっしゃっていますが、この状況について御説明願いたいと思います。
○国務大臣(小坂徳三郎君) まだ元売り会社が値上げを言っているわけでございますから、この元売り会社が言ったことが果たして第一線のところまで十分に浸透しているものと、ないものとございますが、われわれとしましては、調査の開始というよりも、むしろそうした値上げ幅が異常に私は大幅だと考えます。二十数%に達するんではないかと思うんでありますが、このような値上げをこういう時期に、しかもやや円高になった時点に、しかもまたイランの情勢等々による世界情勢の石油の変化の事態の中で率先していくということは、私としては物価の担当者としまして見逃せないわけでございまして、もちろん物価局その他を通じまして、そうした動向についてのよりはっきりとした具体的な情勢についていま調べておるところでございます。
○馬場富君 ここで同じ二月二日のやはりこの石油各社の値上げに対して、公取においても監視体制を強化された、こういうように言われておりますが、この点について御説明願いたいと思います。
○政府委員(橋口收君) 一月から二月にかけまして石油の元売り各社が値上げの宣言をいたしておりますが、いま小坂大臣からお答えがございましたように、どの程度これが実現するか、また実現しました結果としての決済はいつになるか、そういう一連の行為によりまして実際値上げが行われたかどうかがはっきりするわけでございますけれど、私どもとしましては、まず元売りの段階につきましては、これもしばしば申し上げておりますが、元売り十二社及び石油連盟は昭和四十九年に告発を受けまして、現在、東京高裁で訴訟の当事者になっておるわけでございますから、元売り各社が万に一つも協定、共同行為等の独禁法違反の事件を繰り返すものとは思っておりませんけれども、しかし、過去において一再ならずそういうことをやっておる業界でもございますから、元売り各社の行動につきましても十分注意をいたしてまいりたいと思いますし、それから末端石油商業組合、それからその支部、これも昭和四十年代には実に五十件を超える独禁法違反の事件を起こしておるわけでございまして、そういう点で申しますとカルテル的な体質を持っている業界というふうに申し上げても差し支えないと思いますので、いま幅広く情報を集めておるところでございまして、末端のガソリン価格がすでに上がっている、限られた地域ではございますが、一斉に上がっているというような消費者からの訴えも出てきておりますので、従来以上に幅広く情報を集めて、法律違反の事態があれば、機を失せず処置をとりたいというふうに考えております。
○馬場富君 先ほどの二月二日の通産大臣の閣議の発言に対して、二月五日付の新聞やあるいは業界誌の「燃料油脂」という雑誌に、この問題についてエネルギー庁の見解が出ておるわけです。これについてひとつエネルギー庁から読んでもらいたいと思うんですが。
○政府委員(神谷和男君) 「燃料油脂」二月五日付で、石油部計画課の発言といたしまして「「大臣の発言はまったく事実誤認に基づくもので、当庁としては値上げ幅の圧縮などの〃行政指導〃は行なわない方針だ。また便乗値上げかどうかはユーザーが判断するもので、値上げが実施されていないいまの段階で行政指導のはいり込む余地はまったくない。こんご値上げの状況をウォッチしていくというのが当庁の方針だ」として、」いる。
○馬場富君 いま読んでいただいたことは、ここに書いてありますけれども、エネルギー庁石油部計画課の発言だとありますが、部長、それは間違いございませんか。
○政府委員(神谷和男君) ただいま先生御指摘のように「燃料油脂」という業界誌の中に「石油部計画課では」ということで、あとかぎ括弧で引用しておるわけでございます。計画課のだれが具体的にどう言ったという氏名がございませんし、事実このような発言をしたかしないかにつきましては、私どもとしては承知をいたしておりません。
○馬場富君 業界誌ならず、各新聞についても、この大臣の発言について、先ほど私が申しました、値上げに対して便乗値上げの行政指導をするということは、あの当時としてやはり時を得た発言だとわれわれ思っておったわけですけれども、エネルギー庁はそれに対して反発的な記事が載ったわけですね。これは新聞でもはっきりしておるわけです。部長、これしっかりもう一遍答弁してください。
○政府委員(神谷和男君) ただいまの先生御指摘の新聞記事を別といたしまして、当時の新聞にただいま読み上げましたような類した趣旨の記事があったことは承知をいたしております。私どもといたしましては、通産大臣の発言は、OPECの段階的な値上げを当初から先取りをしたりするような便乗的な値上げがあれば、所要の措置を講じなければならないというふうに指摘しておるわけでございまして、その趣旨に基づきまして、私どもといたしましては、内容その他についての説明、分析等をその後も引き続き行っておるということでございまして、私どもがこの発言そのものを否定したというような事実はございません。
○馬場富君 私はなぜこんなことを取り上げたかというと、別に通産大臣の肩を持つわけじゃございません。だが、やはりいま一つは、石油を中心とした値上げが行われ、国際情勢等も考えて、四十八年のあのオイルショックを再び想起するようないろんな諸状況が起こってきておる、そういう点で非常に国民は皆心配しておる、そういう中でやはり本当にこのことを考えたならば、何としてでもそういう事態を招かないようにしていかなきゃならぬというのが私は行政にある者の当然の態度だと思うんです。
 それについて、その内容を私ずっと読んで、これはまさしく業界寄りの、業界に肩を持ったそういう人たちの発言としか思われないような発言なんです。こういう点について非常に私は憤りを感じましたし、これは一通産大臣と部長との対立とか、そういう問題じゃなくて、やはりこれは本当にこれからのエネルギー問題を扱っていく場合に大事な問題だと私は思う。そのポイントである通産省がそんなようなことでは実際困るわけですが、大臣、それについてしっかりした答弁をお願いしたい。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は、まさに私は政治家として、また所管大臣として、政治的含みを今後に置きながら発言をした。
 それから、恐らく計画課のだれが言いましたか、これは事務的にまさに――さっき私がちょっと申し上げたように、OPECの五%の値上げがあった、いまの円安だ、ちょっと値割れが前から激しかった、そういうごく事務的な視点だけで物を言ったのが――これはもともと値段というのは、行政指導の前に、需給両者によって話し合いが行われて、元売り側がこれだけに売りたいと言っても、買い手の方が、いやそんな高いものはだめだと言って値が通らぬこともある。そういう事務手続のことにウエートを置いて、これは課以下のしかるべき――課長が言ったとも思いませんが、係長ぐらいが放言したというふうに私は思っておるわけです。
 そこで、いま部長が後からこういうことを言っておりますというように、かりそめにも便乗値上げなどというようなことがあったら、われわれとしても十分監視体制をとっていく、こういうことにエネルギー庁長官、石油部長その他一致いたしております。また、私も、そういうふうに理解をいたしておりまするので、その点は御了解を願いたいと思います。
○馬場富君 特に、その点につきまして、いまその文章等にもございましたが、どうかそういう点で国民の期待にこたえた、そういうやはりしっかりとした態度で臨んでいただきたいと思います。
 次に、ここで、先日、私どもが調査した中で官房長に資料要求をいたしました。これは通産省より石油業界に天下った、一つはそういう役職のある人たちの名簿でございますが、それについてひとつ発表していただきたいと思います。
○政府委員(藤原一郎君) お答え申し上げます。
 御要請によりまして調査いたしましてお手元に差し出した資料でございますが、共同石油会社の社長を初めといたしまして、石油関係業界へ通産省出身の者が役員として就任いたしております者二十八名ほどでございます。一々氏名を挙げますことは煩瑣にわたりますので御容赦いただきたいと思いますが、精製、元売り関係が約十六名、開発関係八名、その他三名、こういう内訳でございますが、御承知のとおり、石油関係につきましては確かに一般の業界に比べますと当省出身の方々の役員就任は多いようでございます。これはやはり石油業界の一種の特殊事情があるわけでございまして、戦後非常に急膨張した業界でございまして、人材に欠ける点があったようでございまして、御要望が非常に強かったということもございますし、また、御承知のとおり、石油業界は非常に外資系統の力の強いところでございまして、メジャーの支配の強い業界でございまして、石油政策といたしましては民族企業の育成ということに力を尽くしておったという経緯もございまして、結果として、現在申し上げたようなことになっておる、このように承知いたしております。
○馬場富君 官房長の方から、その名簿の会社と、それから二十八名に対して、かつて通産省のどこの部局の役職をやっていらっしゃったか、簡単に説明していただきたいと思います。
○政府委員(藤原一郎君) それでは、やや煩瑣にわたりますが、御説明を申し上げます。
 共同石油の社長及び専務取締役、それから、これはちょっと商社めいたものでございますが、日本輸出入石油株式会社の社長、西部石油株式会社の社長、九州石油の社長、丸善石油の社長、極東石油の副社長、東亜石油社長、同常務取締役、アジア石油専務、大協石油副社長、東北石油常務取締役、それから富士興産の社長及び常務、これは潤滑油の製造会社でございます。それから昭和石油の社長、鹿島石油社長及び常務。それから外資系といたしまして、モービル石油の常務、シェル興産取締役、キグナス石油常務取締役。それからあと、開発関係でございますが、これは非常に多うございまして、アラビア石油の社長、インドネシア石油の社長、ジャパン石油開発株式会社の常務、海外石油開発株式会社の専務取締役、芙蓉石油開発の社長、帝国石油株式会社の副社長、石油資源開発株式会社の社長及び専務取締役。
 以上でございます。
○馬場富君 それは入った会社の名前ですよ、出てきた先の官庁のやっぱり役職を言わないといかぬですよ。
○政府委員(藤原一郎君) ちょっと重複いたしまして恐縮でございますが、共同石油の場合は経済企画庁事務次官、それから日本輸出入石油株式会社の場合は、これは非常に早くでございまして、東京商工局と申しました時代の調整課長でございます。それから共同石油の専務の場合は東京通産局長、それから西部石油の場合は経済企画庁事務次官、九州石油の場合は特許庁長官、極東石油の場合には科学技術庁原子力局長、丸善石油の場合は通産省企業局長、東亜石油の社長が繊維雑貨局長、それから常務が中小企業庁指導部長、アジア石油の場合広島通産局長、大協石油の場合日銀政策委員でございます。それから東北石油の場合通産省の工業品検査部長、それから富士興産の場合には通商局の輸出振興部長、常務の方が石油課の精製班長、これは技官でございます。それから昭和石油の場合には繊維局長、鹿島石油の場合企業局の産業資金課長及び環境庁官房審議官、それからモービル石油はアルコール事業部長、シェル興産は在米大使館参事官、キグナス石油の場合には貿易振興局貿易振興課長、アラビア石油の場合通産省の事務次官でございます。それからインドネシア石油の場合には官房の審議官でございます。ジャパン石油の場合通商参事官、それから海外石油開発の場合に中小企業庁の計画部長、芙蓉石油開発の場合日銀政策委員、帝国石油の場合公益事業局の経理参事官、それから石油資源開発につきましては軽工業局長及び工業技術院総務部長、これが最終の官歴でございます。
○馬場富君 いま発表していただいた方二十八名は、全員かつて通産省の高官であった。そしていまは石油業界の常務、幹部でございますが、私どもの調査ではこれ以外に五十六社の中にはまだたくさんそういう関係の方がございますが、その点官房長どうでしょうか。この名前以外にまだございますね。
○政府委員(藤原一郎君) 役員としましては以上のようでございますが、その他職員として入社いたしておる者はほかにもあると存じますが、ちょっと調査が行き届いておりません。
○馬場富君 それから、いま官房長から説明がございましたが、外資系のそういう関係の外因が多いために人材難だとこうおっしゃっていますけれども、その点についてもこの五十六社の中で実は外資系というのはモービルとシェルだけでございますよ。その他ありますか。
○政府委員(藤原一郎君) 外資系の石油会社の役員として就任いたしておりますものはいまおっしゃったとおりでございます。ただ、先ほど外資系と言いましたのは、結局、日本の石油会社の場合、精製会社は外資と合弁のものもございますし、非常にメジャーの力で原油のソースにおいて強く抑えられておるという実態を申し上げたわけでございます。
○馬場富君 ここで大臣に、私は天下りが全部悪いと言っておるわけじゃございません。中にはそういう点で非常に立場上適切な方もあるのじゃないかと思うわけですが、先ほど来、長々と質問させていただきましたが、先ほどのいろいろな質問の中で何点かございました。そういうナフサの一つの問題、届け出の問題、それから先ほどのいわゆる便乗値上げ等の問題についての発言の問題等、あわせまして私がずっと一貫して言えることは、天下り名簿に見られるような、そういうにおいが、またそういう問題が、関係業界からとかくのうわさの出るような話等も出てきておるわけです。そういう点で、私は、いまこの名簿を皆さん方の前に示してお話をしたわけでございますが、実はこういうことで、本当にそのためにそういう天下り人事というのが官庁に圧力になり、まじめな人たちのためにマイナスになるようなことになってしまったら、それこそ大きいマイナスですね。そういう点で、大臣、この点についての見解をひとつ説明願いたいと思います。
○国務大臣(江崎真澄君) 御指摘の点は、通産省としてもよく心がけなければならない点だと思います。石油産業というのは、御承知のように、戦後急成長をした産業であり、エネルギー源が変わったというわけで、特に民族系資本というものはにわかに、一山当てようといったようなそういった人も、輸入業者たらんとか精製業者たらんということで申請したこともあろうと思います。資本力も小さいというようなことから、この商品の性格が国際性のきわめて強いものですし、さて経営に当たってみるというとなかなか困難だ。そこで、石油問題に明るい通産省の役人に、むしろ業者の側から協力してもらいたいということで迎え入れたという形が私はこういうことになったのじゃないかと思います。
 しかし、原因は仮にそうであっても、そのことによってかりそめにも不公平があったり、不公正があったりというようなことではこれはいけません。ましてや、また、そういう誤解を受けないように通産省たるもの十分戒めていかなければならぬというふうに考えます。間違いのありませんように、そのあたりについては十分私も配慮をし、事務当局とも打ち合わせて公正を期していきたいというふうに考えます。
○馬場富君 もう一点だけ。
 先ほど私が質問しましたけれども、代理商等の問題にいたしましても、そういうものが渦巻いておる中で、そういう関係のない者が届け出をしたという場合についての、非常にむずかしさや大変な差別というものをその人たちはみんな訴えておるわけです。この点についてもひとつしっかりとお願いします。
 以上です。
○委員長(町村金五君) 馬場君、時間が参りました。
○国務大臣(江崎真澄君) 十分配慮してまいります。
○委員長(町村金五君) 以上で馬場君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、上林繁次郎君の一般質疑を行います。上林君。
○上林繁次郎君 時間も幾らもありませんので、直ちに質問に入りたいと思います。
 初めに、鹿児島県屋久島における屋久杉の保存について関係官庁のお考えを伺いたい、こう思います。
 まず、熊本営林局管内の屋久島営林署による上屋久、下屋久、ここにおける伐採量、これを昭和四十三年以降年度別にひとつ報告を願いたい。
○政府委員(藍原義邦君) 屋久島の上屋久、下屋久営林署におきます伐採量でございますけれども、四十三年から十年間申し上げますと、四十二年が十五万七千、四十四年が十七万四千、四十五年十五万七千、四十六年十三万六千、四十七年十二万、四十八年九万九千、四十九年六万二千、五十年七万四千、五十一年八万一千、五十二年七万五千、年平均にいたしまして十一万四千というふうになっております。
○上林繁次郎君 昭和四十二年から四十五年は、全国計でも一・七倍、屋久島の場合には五・二倍あるいは五・八倍、こういうふうになって非常に多いわけですが、伐採された材種はどんなものなんですか。
○政府委員(藍原義邦君) いま申し上げましたのは、俗に屋久杉と申します杉のほかに、そのほかあそこに生えておりますモミ等々の針葉樹それから広葉樹が含まれておりまして、俗に申します屋久杉について申し上げますと、四十三年一万三千、四十四年一万六千、四十五年一万四千、四十六年一万四千、四十七年一万七千、四十八年一万四千、四十九年五千、五十年八千、五十一年九千、五十二年八千と、年々減少させておりまして、年平均でこの十年間では一万二千ということになっております。
○上林繁次郎君 聞かないところまで言ってもらったんですが、いま屋久杉の話が出てまいりまして、私どものねらいは、その屋久杉についてお尋ねをしたいわけなんですが、この屋久杉の伐採なんですけれども、当初はどの程度の数量があったのか、そして現在はどのくらい残っているのか、この点わかったらひとつ御説明を願いたい。
  〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
○政府委員(藍原義邦君) 当初と申しますと、非常に昔のことになりますのでちょっとわかりませんが、現在の状況を御説明申し上げます。
 屋久島の島の面積が五万三千八百ヘクタールございます。そしてそのうち国有林が三万八千五百ヘクタールでございます。三万八千五百ヘクタールのうち屋久杉が分布しております地域が二万六百ヘクタールでございます。そしてこの二万六百ヘクタールの中に屋久杉が――私ども俗に千年以上たちましたものを屋久杉、千年から三百年の間を小杉と申しておりますけれども、この両方を足しまして屋久杉と俗に申しますものが十四万五千本ほどございまして、その蓄積が百二十七万立方メートルぐらいであろうというふうにわれわれ推計いたしております。
○上林繁次郎君 そうしますと、あれですか、いままでにどのくらいこれが伐採されてきましたかね。
○政府委員(藍原義邦君) 屋久杉につきましては、昔から地元の産業として江戸時代から伐採が続いておりまして、いまどのくらい切られたかというのはちょっと私どもいまのデータとしては持ち合わせございません。申しわけございませんけれども持ち合わせございません。
○上林繁次郎君 これからだんだん問題の核心に入っていくんですけれどもね、どのくらい切られたかわからない。ここにおたくの方のいわゆる林野庁の資料が私の方に回ってきておりますけれども、これ一つ一つ言っておりますと時間を食っちゃうんですけれども、少なくともおたくの方で出してもらったんだから、これはおたくの方でわかると思う。これに基づいて、私の試算でございますが、たとえばシャラの大杉、これを例にとってみますと、大体、樹齢が千六百年もの、それで材積が十四・六五立米とするんですね、そうしますと、大体一千八十九本ぐらいになるんですね、こういうことになるんです。で、やっぱり、これから聞くんですけれども、相当大量にこの屋久杉が伐採されておる、こういうことになります。
 そこで、だんだん聞いてまいりますけれども、屋久杉は世界的にもまれに見る希少価値の高いものです。で、どのような特質、特徴、また価値を持ったものなのか、この点についてひとつお話し願いたい。
○政府委員(藍原義邦君) ただいま御指摘になりましたように、屋久杉は確かに非常に植物生態学的に見ましても希少な存在でございますし、また屋久杉の材質を見ましても非常に特徴がございます。
 と申しますのは、いま先生がおっしゃいましたように、千年以上、平均いたしまして三千年ぐらいと言われておりますけれども、そういう長い間風雪に耐えて生きておりますために、非常に年輪が細かく緻密でございます。さらに光沢を非常に持っておりまして、特殊な樹脂分が入っておるようにわれわれ見ておりますけれども、そういう意味で、加工いたしますと非常に希少価値が高いということで工芸品的にいろいろな面から利用されておるというのが実態でございます。そういう点で、一般的な樹木の材の中でも銘木として現在取り扱われております。
○上林繁次郎君 いまその説明がありましたように、非常に価値の高いものである。そうだとすれば、これは当然これを永久に保存をするという考え方がもう常識じゃないかというふうに思うんですね。しかるに、それを承知で乱伐、こういう貴重なものという立場から言うならば、私は乱伐と言われても仕方がないんじゃないかと思うんです。そういう乱伐に近いような状態で伐採されてきた。なぜそういう希少価値の高いものがこうやって多く切られてきたのか、その点特別な理由があるのかどうか、また特別な事情、そういうものがあるのかどうかですね、その点どうですか。
○政府委員(藍原義邦君) ただいま御指摘で乱伐というお話がございました。私どもも決して過去において、慎重に――全部を切ったということは申し上げません。ただ、御存じのように、戦後、日本が復興の最中、外材、外国から材が入りませんでした。そういう関係で、家あるいは家具、その他木工品が非常に使われて木材が不足した時代がございます。そういう過程の中におきまして、この屋久杉につきましてもやはりそういう特殊な屋久杉の特徴をとらまえて、いろいろな事情があったというために、一時確かに伐採が少しふえたという実態もございます。しかしながら、その後、私どもといたしましても、こういう貴重な地域については十分慎重に対応しなきゃいけないということで、昭和四十四年あるいは五十一年に調査を入れまして、それなりの調査をし、いろいろな計画を立てて、先ほど申し上げましたように、伐採量を漸減する方向で現在対応している次第でございます。
○上林繁次郎君 この伐採されたものが、いまちょっとお話がありましたけれども、どういう形でこれが市場に出回ってきているんですか、どういう形で。
○政府委員(藍原義邦君) いま御指摘になりました、どういう形というのはちょっとわかりませんけれども、一応、これは国有林でございますので、国有林で伐採いたしまして丸太にしてそれを一般に販売するなり、地元の工場には一部組合を通じて随意契約で売るものもございますけれども、そういう形で丸太で販売する。販売されたものはやはり貴重なものでございますので、そのまま使うことはほとんどございませんで、大概は一ミリ以下、大体〇・二ミリぐらいの薄いものにいたしましてそれを張って天井に使うとか、あるいは家具その他に使うというような形で利用されております。
○上林繁次郎君 一例として、この屋久杉によってつくられたいわゆる加工品です、そういったものの価値、価格、何か例を挙げてひとつ述べてくれませんか。
○政府委員(藍原義邦君) 屋久杉につきましては、ちょっと私ただいま価格を持ち合わせございませんけれども、たとえば天井板あるいはその他一般的な机、戸だなというような家具類、こういうものでもすべてが十数万するというのが大体実態でございます。
○上林繁次郎君 文部大臣、あるいは文化庁長官にお尋ねしたいんですけれども、天然記念物保存に対する基本的な考え方、これについてひとつお答え願いたい。
○政府委員(吉久勝美君) お答えいたします。
 天然記念物は、文化財保護上わが国の現在に生きる国民といたしまして、これを後世に残すべき貴重な文化財と考えるものでございます。動物、植物、地質鉱物いろいろございますが、これらのうちで学術上の価値の高いものにつきましてこれを指定をし、保存をしておるわけでございまして、そういうような見地から、これを後世のために保存をしていくという考え方で取り組んでおるわけでございます。
○上林繁次郎君 あのね、私が聞いたのは、天然記念物保存に対する基本的な考え方で、それはそれだけじゃないでしょう、いろいろあるんじゃないですか。
○政府委員(吉久勝美君) 先ほども申し上げましたように、天然記念物が今日われわれの国民の文化生活の上で果たす役割りはきわめて高いものでございまして、これはわれわれの先祖がこれを保存をし、今日われわれに伝承されているものでございまして、これを他の文化的所産と同様に後世のために残すということは、これは現代に生きる私どもの務めであるということでございまして、それぞれの天然記念物につきましては、先ほど申し上げましたような学術上の価値を持っているわけでございまして、それぞれの学術上の価値が損失されないように、これを残していくという考え方が私どもの務めとして申し上げたわけでございます。
○上林繁次郎君 そうなりますと、いまいろいろとお尋ねしましたように、屋久杉というのは千年以上の樹齢、三千年、五千年、中には七千年という非常にみごとなものがある、そういう樹齢を持っているわけですね。当然、こういったものについて天然記念物として指定されるべきが至当ではないか、妥当ではないか、こういうふうに考えるんです。これがこういうふうに伐採されてきているわけですよね、文化庁としてはこれはどういうふうに考えていますか。
○政府委員(吉久勝美君) 屋久杉原始林を私ども文化庁といたしましては、大正十三年に天然記念物、それから昭和二十九年に特別天然記念物に指定いたしておるわけでございますが、これの趣旨は、いわゆる屋久島というところの環境におきまして、二千メートルになんなんとする高地から低地に至るまで杉を含めて原始林があのような生態で保存をされておるわけでございまして、それが学術上の価値がきわめて高いということに着目をいたしまして、特別天然記念物に指定をいたしておるわけでございます。
 もちろん、屋久島の天然記念物に指定してある地域以外のところにも杉は現にあるわけでございまして、これらの杉につきましても、もとよりこれが保存されることは当然望ましいわけでございまして、これらの点につきましては、いろいろ従来から林野庁、環境庁あるいは地元と十分話し合いながら、いろいろ対策を検討しておるわけでございますが、先ほど申し上げました文化財保護の見地から行うところのいわゆる天然記念物の指定といたしましては、そういう趣旨から行っておるわけでございまして、そういう趣旨の中で保存を図ってまいりたいというのが当面の対策として考えておるわけでございます。
○上林繁次郎君 ですから、いままで聞いてきたことは、非常に希少価値の高いものであるという証明をしてもらったわけです。だから、文化庁とすれば、当然、こういうものが伐採されているという現状、そういう現状を踏まえて文化庁としてはどう考えるのかと、当然、これはすべてが天然記念物として指定されて長く保存されてしかるべきものじゃないか、こういう考え方を私は持つからお尋ねをしているわけです。ですから、そうやって伐採されているわけです、現在。それは少しでございますとかなんとかという問題じゃなくって、そういうものが伐採されていいのかどうかという問題、文化庁の立場から、長くそういうものは保存しなければならぬという基本的な考え方があるわけでしょう。にもかかわらず、そうやって切られている。文化庁はどう考えるのか。地元との話し合いとかなんとかという問題じゃないでしょう。どうですか、そこは。
○政府委員(吉久勝美君) 文化庁が屋久島のあの植物の生態の中で特に貴重と考えまして、文化財保護行政の見地から保護を進めなくてはならないと考えました見地につきましては、先ほど申し上げましたように、屋久杉を含めて、屋久杉も一つの要素となっている原始林の生態、それが低地から高地までずっと変化していっておる、そういうところに特に学術上の価値が高い、これを保存すべきだということの観点に立ちまして、特別天然記念物に保存をして対策を進めてまいっておるというのが私どもの立場でございます。
 ただし、それ以外の杉につきましても、これは保存が望ましいことはもとよりでございますが、これにつきましては、文化財保護行政の見地から特に対策を進める前に、林野庁におきましても、昭和四十四年以来、調査を進め、いろいろな対策を進めているところでございます。環境庁におきましても、また対策を進められておるところでございますので、そこら辺と十分協議しながら、各省庁の対策にお待ちをしておるということでございまして、私どもの方は、私どもの見地から、文化財保護上、特に必要な施策というものを進めてまいっておるというところでございます。
○上林繁次郎君 ちょっとその辺がかみ合わないんですよ。問題は、いわゆるそういう貴重なものが当然文化財として残されるべきであるということを、私はさっきからその答弁を求めながら、そういう大事なものだということでその証明をしてもらってきているわけでしょう。あなたの立場でもってこういう考え方でやっておりますというその考え方はわかる。わかるけれども、実際には伐採されているんだということなんです。これから出てきますけれどもね、もっと。だから、そういうあなたたちの考え方からすれば、そういうものが伐採されてはならないわけでしょう、本当から言えば。だから、その辺はどういうふうに考えるのかって聞いているんです。そこだけぱちっと答えてくれればいいんですよ。
○政府委員(吉久勝美君) 先ほど来からたびたび申し上げましたように、屋久杉そのものの価値というものについては私ども認めるわけでございますが、屋久杉を文化財保護上の見地からこれを守るということにつきましては、先ほど来から申し上げておるような見地からの対策ということを進めざるを得ないと思うわけでございます。これを一木、一木守るということを文化財保護上でやるとすれば、一木、一木単木指定ということにならざるを得ないかと思うわけでございますが、この点につきましては、ああいう原始林の中で一木、一木の対策を進めるということは事実上困難でございますし、また必ずしも適切ではないんではないか。ああいうような環境の中で、低地から高地に至るまで屋久杉を含めて原始林として存在している生態というものを保護するというのが文化財保護上の見地であるわけでございまして、それ以外のいわゆる一般の杉の保護につきましては、当然、ほかの官庁と十分協議をしながら今後とも検討、対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
○上林繁次郎君 あなたの言っている理屈はわかりますよ、だけれどもそれは逃げだよ。文化財を保護するという、長くこれを保存するという立場から言うならば、いま言っているように、それに匹敵するものはそうやって多く伐採されてるんですよって言ってるわけですよ。だから、その現状を踏まえてどうするんだということなんだ、文化庁として。どういう話をしてきたのか。また、その一本一本は無理だ、そういう言い方はないんじゃないの、あなたたちの立場からすれば。当然学術調査をやるなり何なりして、まあそういったものが済んでいるのかどうか知らないけれども、当然どの程度の屋久杉が生存しているのか、そういったものを何かの形でもって調べていこうという姿勢がなけりゃならぬのじゃないですか。そういういまのあなたの答えじゃね、いいかげんと言う以外ないですよ、立場上、私はそう思います。
 だから、そこでまあ単木指定についても後から聞きますけれども、その前にちょっと角度を変えましてお尋ねをしてみたいんですが、屋久島は昭和三十九年に国立公園として指定されたわけです。国立公園の特別地域は第一種から第三種に区分されている。その内容について御説明願いたい。第一種から第三種まで、こういうふうに区分されているんですよ。
○政府委員(金子太郎君) 第一種特別地域は原則として林業施業を認めておりませんが、二種、三種は林業施業を認めております。その違いがございます。
○上林繁次郎君 そうすると一種、二種、これはまあどっちかと言えば保護される。だけれども三種の場合にはこれは保護されないことになるのでしょう。この辺が問題になってくるんですよ。もう一遍両人、その辺どうですか、第三種は保護されないんでしょう。
○政府委員(金子太郎君) 自然公園の観点からは、特別保護地域が全面的に保護をすべき地域でございまして、これは木を一本切ることも認めてておりません。第三種については林業施業を認めておりますが、それは種別区分をいたしますときに関係省庁と協議いたしまして、ある程度の林業施業はやむを得ないと判断したものでございます。
○上林繁次郎君 やむを得ないと、こう判断したわけですね。やむを得ないかやむを得るかはこれからまあお話ししましょう。
 文化庁の方は文化財を保存するという、いわゆるさっきから基本的な考え方を述べてもらったんだけれども、その第三種はこういう区分け、第一種から第三種までの区分け、その第三はいわゆる伐採しようがどうしようが、どうにもならないんだという、そういう区分けをしているんです。こういう区分けについてあなた方がやっぱり文化財保護という立場からいろいろ調査もしたでしょう。
  〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
その実態を踏まえて、こういう区分けそれ自体をどう考えていますか。
○政府委員(藍原義邦君) ただいま環境庁の方から御説明ございましたが、林野庁とすれば、一応私どもは林業経営なり、それから森林の管理というものを私どもあずかっておるわけでございまして、そういう観点から、関係省庁が管理しておられるいろいろな行政上の問題と十分調和をとりながら対応していかなければいけないという観点に立ちまして、それぞれの特別保護地区、あるいは一種、二種、三種については、その法令の定めるところによりまして打ち合わせをし、調整をいたしまして、十分意思の疎通を図ってそれぞれの林業経営をいたしております。
○上林繁次郎君 これは話し合いの中でこういうようなことになったと思いますよ。まあ農林省、林野庁、そういうところの圧力もあったかないかそれは知らない。知らないけれども、いわゆるどれだけかの話し合いをやりながらこういう区分けをしたんだろう、こう思います。それがだから問題なんだ。だから問題なんです。なぜ問題かというと、その一種、二種の範囲に屋久杉はどのくらいありますか。
○政府委員(藍原義邦君) 私どもは、申しわけございませんけれども、一種、二種ごとには押さえておりません。
○上林繁次郎君 それで文化庁、そういう区分けになってるのをどういうふうに考えるんだ。少なくとも話し合いをやったのだろうからね。そういう区分けをした、その区分けを妥当と考えているのかということをさっき聞いたんですよ。
○政府委員(吉久勝美君) 私どもが特別天然記念物として指定しております屋久杉原始林の指定区域内にはそのような区域はございませんので、そのようなことで御答弁にかえさせていただきます。
○上林繁次郎君 何を言っているのだ。そんな答弁はないでしょう。少なくとも文化財を保存するということは、昔と比べていまはもっともっとその考え方に対する強い国民の要望があるわけだ。それなのに、私たちには関係ないみたいな、あんたたちはそういったものがあるということをわかっているんだから、当然相当な調査をし、これはこの区分けは妥当ではない、これを保存するためには。その辺のところまで突っ込んであたりまえじゃないですか。いまの答弁なんというのは何も答弁になってない。
 で、これから申し上げますが、いわゆる伐採のできる第三種というその地域だ、その地域には一番屋久杉が多いんですよ。もう一種なんというところは高くって屋久杉の育たないところ。いま三種に指定されてるところが非常に屋久杉の多いところなんです。それを部分的に保護するためにいわゆるその保護地区としてある。だけれども、その三種の中にいわゆる屋久杉というのは、何千年もたった屋久杉というものは非常に多いわけですよ。だから、その一番屋久杉の多い地帯をなぜ第三種としてその伐採が許されているかという、これはだれが聞いたっておかしいと思うでしょう。どうなんですか。どうですか、そこのところは。みんなそれぞれの立場でもって答えてください。
○政府委員(金子太郎君) 屋久島の第一種特別地域と第二種特別地域と合わせて千三百ヘクタールぐらい、第三種特別地域が約一万ヘクタールでございます。樹齢千年を超えると言われる屋久杉はおおむね一ヘクタールについて一本程度ということでございますので、第一種及び第二種特別地域に約千三、四百本、第三種特別地域に約一万本あるわけでございます。私ども国立公園の地種区分をいたしますときには、特別保護地域を中核といたしまして、その周りを特別地域にし、さらにそれをガードする形で普通地域があるわけでございますが、屋久島の場合は全島面積約五万ヘクタール、その三分の一程度の一万七千ヘクタールを国立公園に指定いたしまして、さらにその中の三分の一を特別保護地区にしているわけでございます。現状が最も望ましい姿とは私ども申しませんが、このような線で昭和三十九年に関係省庁の協議が成り立ちまして、国立公園の指定及び地種区分ができた、こういういきさつでございます。
○上林繁次郎君 細かく言いましょう。あなたは特別保護区をつくって守っているみたいなことをいま言いましたね。ところが、この地図を見せてあげましょう、図面をちゃんと書いてある、調査してきたんだから。あなたが言う特別保護区というのは、いわゆる第一種地帯、いわゆる屋久杉のないところ、そしてあとは尾根地帯だ、屋根というのは風が強くてそこでは杉は育たないんだ、ひん曲がっちゃって。そういうところばかり特別保護区になっているんだ。どういう考え方でそういう保護区を設けたの。気をつけて答弁しなさいよ。調べてきて、これは尾根地帯だ、特別保護区というのは。これを見せればわかるんだ。なぜそんな、いわゆる特別保護区だなんてもっともらしく保護しているみたいに言っているけれども、実際はそんなところに屋久杉はないんだよ。さっきから言っているように第三種のところ。だからこういうことを言っているわけです。
 それじゃ聞きますけれども、特別保護区というのはそういう尾根地帯なんです。そして一番上のもう屋久杉のないところ、それがいわゆる特別保護区になっている。どういう考え方のもとにそういう特別保護区を設けたのか、その点を聞かしてくださいよ。
○政府委員(金子太郎君) 国立公園の指定はいろいろな観点からいたしておりますが、いわゆる自然環境の保全という観点から考えます場合も、霧島屋久の国立公園の場合は屋久杉だけで指定しているわけではございません。御承知と思いますが、屋久島には宮之浦岳などのかなり高い山岳地帯がございまして、そこで亜熱帯から亜寒帯に及ぶ植物の垂直分布というものが見られるわけでございます。私どもはそれを非常に貴重なものと考えまして特別保護地区に指定しているわけでございまして、その中にたとえばヤクザサとかシャクナゲなどの生育する地域、あるいは屋久杉とモミ、ツガなどが混交している森林地域があり、そのほかヤクシカというシカ、あるいはサルなどが生息する地域、こういうものがございますので、こういうものをいろいろ総合勘案いたしまして特別保護地区を決めた次第でございます。
○上林繁次郎君 体裁のいいこと言っても、私はいま屋久杉を主体にして話をしている。だから、その特別保護区というのはそれじゃどういう意味なんだということについては何もあんた言ってないよ。私は屋久杉のこと、これはあくまでも天然記念物、いわゆる文化財として長く保存すべきもの、それを対象にして特別保護区というものを設けたのだというふうに私は解釈している。もちろんそれはあんたが言ったようなこともあるかもしれない。しかし、その中でどう絡めようが、それは問題のないものについてとやかく言ってもしょうがない。いま言っているのは、少なくともいわゆる希少価値のある屋久杉を守るための特別保護でなけりゃならぬだろうと、こういうわけなんです。そこで、あなたに聞いてもだめ、大臣、いまお聞きのとおりです。第三種のところに多いんですよ。だとするならば、この特別保護区だとかなんとか言ったって何にもならぬ、一種から三種まで設けたって何にもならぬ、全部刈り取ることができる、極端に言えば。そういうふうにこれはなっているんです。それでさっきから言ったように相当高価なものだ。営林署、林野庁、これを売ると金が入ってくる、そういうふうにも勘ぐりたくなるじゃないですか。文化財保存というのと、いわゆる林野庁や農林省の金もうけとどっちが大事なんだと、そういう論議になる。
 そこで、これは当然保護区を、いわゆるそういう屋久杉という非常に価値のあるもの、これを保存するための保護区でなきゃならぬと私は思うんです。その点大臣どうですか。
○国務大臣(上村千一郎君) 上林委員のおっしゃる御趣旨はよくわかります。屋久杉というものは八百年から千年、多いものは三千年以上という非常に樹齢の多い世界的に珍しい木であるということです。ですから、これをどう保存するかといういろんなことにつきましては、これはいま御質問を聞いておりましてわかるわけです。
 環境庁としましてこの問題にどう対処するかということでございましょうが、環境庁としましては、原生自然保全地域という意味と、それから国立公園の特別指定と、こういう枠組みで保護していくという対象になるかと思います。それで、いま担当の局長から御説明を申し上げましたけれども、一種、二種、三種の指定というものにつきまして、三種のところに屋久杉が多いということです。ただ、環境庁としまして、これを地域指定する場合におのずから環境庁としての自然環境の保全とかいろいろな使命を持っておる。また、文化庁の方は文化庁として文化財としてのことがあるでしょうし、またこの部面のほとんどが国有林になっておるということで林野庁の方のお考えもある、こういうことだと思うのであります。けれども非常に珍しい木でもあるし、しかもこれが国立公園の中にある、あるいは景観のためこれを保全するというようなことで、環境庁としましても、この問題につきましては非常に関心を持っていかなけりゃならぬ、こういうふうに思います。ただ、いま申し上げましたように、関係省庁との関連もございますし、また国立公園の地域指定あるいはいろいろな問題も委員御承知のように、地域その他関係省庁との協議をしながら地域指定をしておるわけでございますので、関係省庁その他と相談をしていくということになります。ただ、四十八年から自然公園の地域の見直しということが行われております。いまそれを検討しております。
 いま上林委員が御指摘をされましたようなことを踏んまえながら、また国立公園の地域の見直しの検討に入っている時期でございますので、十分それを配慮いたしまして検討していきたいと思います。
○上林繁次郎君 ほかの省庁との関係性があるという、それはわかるんです。それは一般的な物の考え方であって、私の言っているのは、こういう重要なものがあるんだよというのだ。だからこれをどうするんだと、のんびりしているうちにみんななくなっちゃうよ、だから急がなきゃならぬからこの問題を取り上げているんです。これからのんびり何年かかるか知らないけれども協議しましょうじゃこれはうまくない。文化庁なら文化庁の立場を、そういう貴重なものであるならば、当然いわゆる保護区も広げなきゃならない。場合によっては単木指定もしなきゃならぬ。そういったはっきりした文化庁としての姿勢を明らかにすべきじゃないですか。それでなければ質問した価値がないんだよ。協議をしていくといつまでたつのかわからない。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も詳しいことは知らなかったのでありますが、お話をお聞きいたしまして、まことにごもっともだというふうに思います。
 ただ、地図から見ますと、確かに一番真ん中のところが斜線が引いてあって保護地区になっているから、そこに屋久杉がうんと生えているようにちょっと考えがちでございますが、いまのお話のとおり、それ以外の地区にたくさん生えておると。何でそういうふうにしたのかこれはいきさつはよくわかりません。農林省の方が古いし、農林省の方が原住民族みたいなもので、後から環境庁ができたから農林省にうまくやられたのかもそれはわからない。これは権利の争いの問題があるわけですからね。しかし、それはそれといたしまして、現実に農林省の方である程度自由になる地域が多いと、しかもその中で屋久杉を保存していかなきゃならぬと、ごもっともなお話であります。したがって、大体全体のうちで約八割程度のところは伐採を極端に制限し、あるいは禁止をしておるわけでございます。ございますが、今後もう一遍私も現場へ行ってみます、北海道が終わったら。そうして、あなたの御趣旨に合うような適切な方法を講じたい、かように思います。
○上林繁次郎君 大臣がいま答弁されたので、全部それでもって含まれると。あと結論が出なかったらまたやりますよ。それだけ大臣がもう自信を持って言ってくれたんですから。だからあとは何も言わない。
 怒っているうちに時間がたってしまったんですが、次は工業団地の問題ですが、大平総理が提唱している田園都市構想、これに対して通産省は産業政策の立場からこれを進めることをこの前明らかにしましたね。その中で地域の雇用拡大に役立つ企業の進出、こんなものを挙げている。そうしますと、やっぱりこれからこの中に工場敷地の造成、こういったものも当然考えて、これらが目玉になってくると思うんですね。この点についてはどう考えていますか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは最も重要な点だというふうに思っております。
 工業の地方分散の促進、それから産地産業、伝統的工芸品産業等の地場産業を振興する、こういったことに今後とも力を入れましてやはり雇用機会をこの田園都市につくり上げることに努力していかなければならないというふうに思います。
○上林繁次郎君 いままで地域振興整備公団や県の開発公社が工業の地方分散化、このために大規模な工業団地をつくってきましたね。これを今後のいわゆる田園都市構想、これにつなげていく考え方があるのかどうか。
○国務大臣(江崎真澄君) 当然田園都市構想の中に組み込んでいきたいというふうに考えます。
○上林繁次郎君 工業再配置計画によりますと、昭和六十年度の工場敷地面積は二十二万ヘクタール、現在まで十六万ヘクタールが造成または造成中、こうなっている。あと残る、二十二万ですから六万ヘクタールは新たにつくらなければならない、こうなっている。少なくとも六万ヘクタールは決まっているんだ。ですから、六万ヘクタールを田園都市構想の中に繰り込んで今後やっていこうという、こういう考え方なんですか。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) いま先生のお話しになりました六万ヘクタールと申しますのは、私どもの立てております工業再配置計画の六十年の姿と五十年の現状との差をお示しになったと思いますが、その差がすべて田園都市構想になるかどうかということは私どもはよくわからないところであります。
○上林繁次郎君 本当にもう時間がなくなっちゃいましたので。
 それで、いずれにいたしましても、その田園都市構想のやっぱり目玉になってくるのは、どれだけかの工業導入というこういう問題になってくる。二十二万ヘクタールで六万ヘクタールが残っているのですね、そうすると、当然これはいわゆる田園都市構想を実現するための、やはりそのためにこの六万ヘクタールというものは織り込んでいかないとまずいんじゃないかと思うのですよ。そうしませんと、あのいわゆる田園都市構想というのは日本国全体を目標にしているのですから、部分的にできればいいというものじゃない。だから、そういう意味で私は言っているわけです。やはりそういったことを考えますと、工業再配置の問題についてもこれは十分検討のし直しをしなければならぬのじゃないか、そういうものを考えたときに。こう思いますが、いかがですか。
○委員長(町村金五君) 上林君、時間が参りました。
○国務大臣(江崎真澄君) いま局長がお答えした意味は、私が申したように田園都市構想の中にやはり組み込んでいく。これは組み込め得るところはもう当然なことですが、それがそれじゃ全部組み込めるかということになると、多少やはり議論の存するところで検討の余地があろうかというふうに思います。そのことを局長が答えたのだと思いますが、今後の田園都市構想の中には組み込んでいく方向で検討をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
○上林繁次郎君 時間がありませんからいいです。(拍手)
○委員長(町村金五君) 以上で上林君の一般質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、渡辺武君の一般質疑を行います。渡辺君。
○渡辺武君 私は、工業団地の売れ残りの問題について伺いたいと思います。
 いま政府の指導で無計画に造成した工業団地が売れ残って、それで財政圧迫その他で苦しんでいる地方自治体が非常に多うございます。そこで伺いたいのですが、全国でこれまで造成された工業団地の面積はどのくらいか。また、そのうち分譲済みの面積がどのくらいで、残った面積ですね、これはどのくらいか。この辺を伺いたいと思います。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) お答え申し上げます。
 工業団地で計画及び造成がされておりますものが全国で約九万ヘクタールございます。この九万ヘクタールの中で、工業用地といいますものは約六万六千ヘクタールでございます。
○渡辺武君 残った面積はどうなっていますか、売れた面積と残った面積。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) 失礼しました。六万六千ヘクタールのうち、分譲済みのものが四万四千ヘクタールでございまして、残ったものは約七千ヘクタールでございます。
○渡辺武君 その七千ヘクタールというのは、私もあなたのところでつくった資料をいただいているのですが、売却中面積と、こういうことになっている。つまり、もう造成して売りに出されている面積と、こういうことであって、まだ造成中の面積などは入っていないと思うのですね。そういうものを含めたら、どのくらいありますか。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) 目下造成中のものというのが一万五千ヘクタールございますので、七千ヘクタールと合わせますと二万二千ヘクタールになります。
○渡辺武君 そうしますと、工業用地だけでも約三分の一が売れ残っていると、こういう状況だと思うのですね。
 そこで、私、ここに国土庁の「国土の利用に関する年次報告」というのを持ってまいりましたけれども、このうちの四十六ページに、「約七千ヘクタールが未売却」と、こういうことになっているんですね。売却中とは書いてない、未売却となっている。これは造成中のものも未売却なんだから、やはりこの表現は私は事実に反しているなあというふうに思うのです。それで、これはある新聞に出ていたのですが、ペンペングサ七千ヘクタールと、こうなって、七千ヘクタールにペンペングサが生えているということなんだけれども、いまのお話ですと、二万二千ヘクタールにペンペングサと、こういうことですね。これは大変なことだと思うのです。
 それからもう一つ伺いたいのは、いまのは工業用地の売れ残りですよね。しかし、この団地の中には関連施設の用地も入っていると思うんですね。その用地がどのくらいか。そうしてまた、その用地の中で未利用の部分はどのくらいか。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) 一万五千ヘクタールは、これはまだ造成ができておりませんわけですから、先ほどの新聞の引用ではございませんが、まさに工業団地としてでき上がっていてペンペングサが生えているという表現になっておりましたが、それが七千ヘクタールということでございます。これがまず最初の御質問のお答えでございます。
 それから後の方の御質問でございますが、工業団地と申しますのは、工業用地のほかにいわゆる道路とか緑地帯というような関連施設というものが付帯いたしますが、これが大体三〇%ぐらい必要であるということでございます。したがいまして、一番大きく申し上げますると、売れ残りの七千と、それから分譲されていない分譲中であるという一万五千、合計合わせて二万二千、それに三〇%増しというのがそれにかかわる面積であるということでございます。
○渡辺武君 ちょっと計算があんまり大まかなんですよね。これにちゃんと出ているんだから。団地面積が約九万ヘクタール、それから工業用地面積が六万六千ヘクタールでしょう。それを引けば関連施設の用地の面積が出ますよね。それが約三割という話でしたけれども、それを入れて約三万ヘクタールというのが大体売れ残っている面積というふうに見て差し支えないのじゃないですか。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) 造成中のものを売れ残りというふうにお考えになるならば、そのとおりだと思います。
○渡辺武君 大体この団地面積の約九割は地方自治体及びその関係機関つまり公社などの造成したものだといわれているのですが、地方自治体や関係機関が要した事業費ですね、それからまた、売れ残りのためにこげついている費用、これはどれくらいでしょう。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) お答え申し上げます。
 いま先生が御指摘になりました全体の面積についての金額を私ども把握しておりませんが、この中で、当省が五十二年度に工業用団地の造成の利子補給金を交付いたしました八十九団地について見ますると、その造成に要しました事業費は約四千九百億円というかっこうになっております。その面積は約二万七千ヘクタールであるということでございます。
○渡辺武君 こげつき分はわからないですか。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) いまの同じベースの数字でございますが、このうちこげついておる額というのは、この額を長期借入金の残高と理解いたしますと五十二年九月末現在で三千四百七十億円でございます。
○渡辺武君 とにかく全国的な数字は掌握してないというような実情で、いまの地方自治体が置かれている深刻な財政難その他からしてみますと、少し私は担当官庁として無責任じゃないかという感じがするのです。いま、普通常識的に専門家に聞きましても、大体一ヘクタールの事業費、これは約一億円はかかるだろう。売られる土地から逆算しまして、大体そういうのが普通に考えられているわけですけれども、三万ヘクタールがまだ未利用のままで置かれてペンペングサが生えているというような状態ですと、三兆円の金が寝ているということに大まかに言えばなると思うのですね。三兆円もの金をかけてペンペングサを栽培する必要は私は少しもないと思うのですね。大体政府の高度成長政策で大いにあおられまして、各地方の主として保守県政、あるいはまた市政、これが全く無計画に住民の福祉も農漁業も地元産業も、こういう点はお留守にして、産業基盤造成だということでむちゃくちゃな投資をやってきている。いまこれで泣いているのですよ。しかも、工場の来たところはどうか。特に太平洋沿岸ベルト地帯なんかは、工場が来て自然は破壊される、農漁業は破壊される、住民は公害で苦しむ、大変な状態になっている。あの水島コンビナートなんか、あれをつくるのに倉敷市はとうとう財政難で再建団体に落ち込むというような状態になった。大分県の大分新産都市、あそこには確かに工場は来ましたよ。しかし、周辺はこのために日本一の過疎地帯に変えられてしまっている。大変な被害を受けている。しかし、これも各地方の首長の責任でもあるが、同時に私は最大の責任は国が負わなきゃならぬと思うんですね。通産大臣、こういう事態を前にしてどういうふうな政策をお考えなのか、これを伺いたい。
○国務大臣(江崎真澄君) 工業団地の開発等については、四万ヘクタール余はすでに売却済みであり、しかも地方に雇用の機会を提供したという面で非常にうまくいっておるところも相当数あるわけです。いま御指摘のありましたように、それが弊害を及ぼしたところも確かにあるだろうというふうに思います。しかし、また、それが非常にいい意味で企業が誘致され、地方に雇用の機会がもたらされて発展をしたという地方もあるわけでありまして、これは全体をながめてみまするというと、地方としては喜ばれておるところの方が多いというのが実情だと考えます。
○渡辺武君 こういう地方自治体の財政危機、あるいは売れ残り団地、こういうものに対してどうするのかということを伺っているんです。
○国務大臣(江崎真澄君) 長い間の不況がもたらした結果として、思うに任せませんそういう団地も確かにございます。私も一部の団地を視察したことがありますが、全く未利用のままにあるという団地を見ました。したがって、今後こういう団地をどうするかという点については、地方自治体とも十分意見を徴しながら、できるだけ、先ほども上林委員の御質問にお答えしましたように、田園都市構想の中に組み込めるものは組み込んで、今後といえども景気の回復を待って企業を熱心にひとつ誘致してみたい。これは地方自治体にも努力していただかなければなりませんが、われわれ通産省側としてもできるだけの協力はできると思います。
○渡辺武君 企業が来たところの実情はさっき申しましたが、企業が来ないために大変な財政難に落ち込んでいる。深刻ですよ、これは。それに対していまのおっしゃるような答弁では、これはどこも満足しないと思うのですね。景気が回復するまで待てと言って、いままでだって高度成長でよくなるから団地をつくりなさい、工場が来ますよということでつくらせて、こんな売れ残りができているわけでしょう。景気回復まで待てなんと言ったって、だれも待てるものじゃないんです。どうなさるおつもりなのか。実情はもっと深刻なんですよ。私、二、三のところを調べてみましたが、長崎県では県及び土地開発公社が十九団地造成して、いままで売れたところが十団地、しかし面積は百八十七・六ヘクタールで総面積の七八%が売れ残っている。その売れ残った中で、売却済みのものがわずかに四・四%、こういうことです。特に佐世保の針尾工業団地なんかは、百八十ヘクタールを八十億円かけてつくった、そうして、道路も護岸工事も、電気、水道施設も全部引いて、しかも工場が一つも来ないでペンペングサが生えている、こういう状況です。それから愛媛県の西条市は、二団地三百二十五ヘクタールの造成をやって、二百七十八億円の事業費をかけて年に金利の負担が十二億六千万円、こういう状態です。どうなさるおつもりか、重ねて聞きたい。
○政府委員(伊勢谷三樹郎君) いま大臣が申し上げましたことを私からもう少し具体的に申し上げてみたいと思います。
 第一は、地域指定をいたしまして誘導地域または特別誘導地域というふうに考えておりますが、その誘導地域または特別誘導地域の中で工場が移転し立地した場合には、それに対しましては補助金を出すということをやっておるわけでございます。特に売れ残りの部分は遠隔地でございまして、これは特別誘導地域ということに格づけいたしておりますが、これにつきましては、ただいま御審議を願っております五十四年度の予算におきましては、平米当たりの単価をさらに引き上げるという措置をとりまして、私どもの主力は、このような売れ残っております団地にできるだけ早く工場が立地するという策を進めたいということを考えております。
 それから第二には、これらの地域には、工場誘致のための指導員制度を厚く配慮いたしまして、この指導員の専門家の知識によりましてそれらの地域に最もふさわしい工場を誘致するということをやっておるわけでございます。さらに、これらの地域におきます造成につきましては、開銀あるいは北東公庫等の地方開発のための融資というものもやっております。また、これらに対しましては一・七%の範囲の中で利子補給ということも行っておりまして、いずれにいたしましてもできるだけ工場が立地しやすいような誘導策をとっておるわけでございます。
○渡辺武君 自治大臣は、こういう地方財政の深刻な事態、これは十分に掌握されておりますか。資料がございましょうか。また、どういう対策をおとりになるつもりか、これを伺いたい。
○政府委員(森岡敞君) 地方公共団体自体が行いますもの、あるいはお話の中にありましたように各種の公社で造成いたしておりますもの、非常に区々にわたっておりますので、私どもとしては網羅的な資料の収集は現段階ではいたしておりません。ただ、おっしゃるように、かなり焦げつき、売れ残って大変重荷になっておるという状態のところがかなり出ておるということは承知いたしております。先ほど来通産省からお話がございましたように、私どもといたしましては、できるだけ早く企業が立地するように各般の手段を講じてやっていただきたいと思いまして、そういう意味合いで通産当局と十分御相談しながら地方の重荷ができるだけ早く取り除けるように努力をしてまいりたいと、かように思います。
○渡辺武君 通産省にも資料がない、自治省もこの深刻な事態は全国的に掌握していないというような状態は、少し無責任じゃないですかな。全国的な実情を調べて、そして資料は国会へ提出していただきたいと、両大臣にお願いしたい。どうですか。
○国務大臣(江崎真澄君) これは全国にまたがっておりますが、自治省と協力をいたしましてできるだけ早い機会に調査したいと思います。
○渡辺武君 次に、物価の問題について伺いたいと思います。
 まず、経済企画庁長官に伺いますが、最近わが国の生活物資の価格が国際的にも異常に高いということが問題になっております。実情はどういうことなのか、御報告をいただきたい。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 国際的な比較というのが私は非常にむずかしいと思うのであります。特にまた、現在のように為替レートが変動制でございますから、それを掛けたり割ったりいたしまして比較するということも私は十分な理解を求めるものにはならないと思うのであります。しかし、一般的に申しまして、やはり土地の規制を受けているものの食料とかあるいは住宅はやや高目ではないかというふうに思っております。また、一般の商品やサービスは、世界的レベルに比べて必ずしも割り高ではない、そのような考えでおります。
○渡辺武君 生計費の国際比較というようなものはつくっておりますか。
○政府委員(井川博君) 生計費の国際比較を行いますためには、各国の消費パターンを同じにいたしまして、同じような内容の調査をする必要がございますけれども、現段階ではそういう統一的な調査がございません。そういう意味で比較はきわめて困難でございますが、一応各国の国民所得統計によりまして消費支出額を比較をするということは可能でございます。
 各国の統計が全部出そろっておりますのは一九七六年でございますので、一九七六年の一人当たりの消費支出額を一応そのときの為替レートで換算をいたしましたものがございます。これを指数で申し上げますと、わが国の場合を一〇〇といたしますと、アメリカが一七五、西ドイツが一四七、フランスが一四〇、イギリスが七七、イタリアが六五というふうな指数になっております。
○渡辺武君 消費支出では物価の高さだけが出るわけじゃないんです。収入が多ければまた支出も多いわけですから、だから生計費指数でなきゃならぬと思うのですね。国連職員の生計費の国際比較というのが発表されておりますけれども、ニューヨーク一〇〇で、日本、西ドイツ、イタリア、イギリス、フランス、こういうところの首都の生計費、これをおっしゃってください。
○政府委員(井川博君) 「国連職員の生計費に関する小売価格指数」というのが一番新しいのが一九七八年六月の分が出ております。住居費を除いた指数ということで……
○渡辺武君 入れてください。
○政府委員(井川博君) 住居費を含んだ場合には、ニューヨークを一〇〇にいたしまして、東京が一六二、それからロンドンが九八、パリが一三〇、ボンが一三八、ローマが九〇でございます。住居費を除きますと、これが、東京が一五四、ロンドンが一〇七、パリが一三二、ボンが一〇四、ローマが九七という数字になっております。
○渡辺武君 だから、物価高を反映する生計費指数ですと、日本はニューヨークの六二%も高い、物価がね。そういうことになろうかと思うのです。それで関連して、日経連が昨年の暮れに「賃金・労働時間の国際比較」という資料を発表しておりますが、この中に、各国労働者の時間当たり賃金の購買力というのが比較されております。どういうことになっているか、御報告いただきたい。
○政府委員(井川博君) 日経連の労働経済特別委員会が試算いたしました時間当たり賃金の購買力指数でございますけれども、ここで試算されて示されている数字といたしましては、一九七七年の数字で、日本を一〇〇といたしましてアメリカが二三〇、西ドイツが一八九、イギリスが二二七、フランスが一三五、イタリアが一五四と承知をいたしております。
○渡辺武君 そういう事態になった理由ですね、どういう物価が高いと書いてありますか。
○政府委員(井川博君) この報告の中身によりますと、国際比較をすると、先ほど申し上げましたように、わが国と他の主要国との格差は縮小傾向にあるけれども、しかし、地価、農産物価格などが相対的に高いためにまだわが国の水準は低いというふうに述べております。
○渡辺武君 日本の労働者の賃金は国際的な水準になってきているということをよく言われる。しかし、地価、食料品、それからこの国際比較ではそのほかの消費物資というのも挙げていますね、これが異常に高い。そのために、日本の労働者の賃金は実質上はアメリカの二・二分の一ですか、西ドイツの約二分の一というような状況にあるわけですね。これは労働者の賃上げ要求が正当であるということを示す指標でもあると思いますけれども、同時に、歴代自民党政府の物価政策、この大きな責任を物語るものだというふうにも見なきゃならぬと思うんですね。この点、長官、どう思いますか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま委員からお示しいただきましたいろいろな数字、私はそれが間違っているということは思いません。同時にまた、われわれは現在物価問題に対して非常な熱意を持って取り組んでおるわけでありますが、問題はやはり勤労者の生活の向上ということ、同時にまた失業の防止ということ、これが私らの非常に大きな政策目標でございまして、過去においての至らぬ点はあったかもしれませんが、われわれといたしましては、この時点に立ちまして、特にいま御指摘の食料品であるとかあるいは住宅問題というものに対してできる限りの努力をして、これがいわゆる世界的な水準に近づく努力をいたしたいと思っております。それにも増しまして、消費者物価あるいは消費者物価の上昇というものに対しまして特別な配慮を現時点ではいたしておるわけでございますが、なお足らぬ点がございましたらまたいろいろと御指摘をいただきたい、努力を続けてまいるつもりでございます。
○渡辺武君 私は、同じ資本主義国ですから、アメリカその他を別に美化するわけじゃないんです。ないけれども、日本よりもはるかに物価水準が安いということは十分注目する必要があると思うのですね。ですから、わが国も今後の物価政策をやっていく上で、大概前年度に比べて消費者物価何%で抑えますというような目標しか立てないんです。これでは私はうまくいかぬと思うのですね。やっぱり、外国で安い物価水準であれば、それに少なくとも接近するという目標を立ててやるべきじゃないかと思いますが、その点どうですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 先般のオイルショック以後の異常な物価上昇の後を受けまして、結局政策努力がその時点からの引き下げということにようやく端緒をつかみかけているところでございますが、もちろん御指摘のように世界的な水準に対してわれわれ努力をする。その一つの方法としましては、やはり安いものがあればそれを輸入するということになるかもしれません。しかし、これは一面におきまして牛肉の例をとりましても、なかなかその枠の拡大は内政の問題とぶつかって進展をしないというところがございますが、しかし、その辺の調整を上手にとりながら、安いものがあるならばなるべく輸入に切りかえるということも私は一つの方法だと思うわけであります。同時にまた、日本の生産性が低くて、その結果コストが高い、売り値が高い、それは結局において生計費を圧迫するというような状態のものに対しましては、今後は各種の施策を集中いたしまして、生産性の向上によるメリットを物価の安定とさらに引き下げに活用してまいりたい、そのような方向で努力してまいるつもりであります。
○渡辺武君 努力するということだから結構ですが、外国の物価が安いから輸入すればこっちも安くなるというようではあんまり貧困な政策ですね、それは。感心しませんよ。もちろん輸入していけないということを言っているわけじゃないんですが、もう少し物価政策を、これは外国が日本より低いということはそれなりの私は理由があると思うんですね。外国の物価政策でもしすぐれたものがあれば、これも十分に学んですぐに実行するというくらいの気持ちはありませんか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) われわれも、現時点でやっております政策がすべて満点だとは思っておりません。もちろん、いろいろなわれわれにとって有益な政策を各国で実施しておりますから、そうしたものの中のいいものをできるだけ吸収してそうしてできるだけ国内的な努力の中で前進を図る、その方針につきましては委員と全く同意見でございます。
○渡辺武君 それで、先ほど伺いますと、すでに国連でもつくっている生計費指数の国際比較、これがまだ日本でつくれないというような状況です。いろいろ理屈を言われましたけれども、技術的困難はあろうとも、本当に大臣が外国の低い物価水準に近づけたいと言うんなら、その実態を反映させるために生計費指数の国際比較、このくらいの計算はやるべきだと思うが、どうですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) そういうことは、個人的と申しては少し語弊があるかもしれませんが、一種のスタディーとしてやってはおります。しかし、これは政府の公的な資料として申し上げるのにはやはりいろいろと難点が多いわけでありまして、したがいまして、われわれといたしましてはあるめどを持ってもちろんやっておりますけれども、それを公的に発表することができないというところがございまして、その点もひとつ御理解をいただきたいと思います。
○渡辺武君 公的に発表できるものをつくってくださいと言うんです。
○国務大臣(小坂徳三郎君) それは、先ほど来申し上げておりますように、製品の質であるとか、あるいは特に換算率の問題でございますね、こちらの百円のものが何ドルになるかということが、現在のようなフロートの中では日々違ってくるわけでございまして、大体のめどでいいではないかと言われましても、それがまた変動したときにはそれがまた違うではないかという議論になるのではないかと思いますが、いずれにいたしましても、そうした数値をわれわれが出す前に、やはり国際的に見て高目であるというものに対して政策を集中して、これの引き下げなり、これを妥当なラインに近づけるということをいたしてまいりたいと思います。
○渡辺武君 西ドイツの連邦統計局はもうつくっているわけですよ、生計費指数の国際比較を。ほかの国でできて日本でできないなんてばかなことはないと思う。重ねてお願いします。
 それからもう一点、最近の新経済社会七カ年計画ですね、これによりますと、向こう七年間年平均五%の消費者物価の上昇という目標になっておりますね。外国ではどうでしょうか。西ドイツの中期的な物価見通し、これもおっしゃっていただきたい。
○政府委員(喜多村治雄君) 西ドイツの中期財政計画によります一九七七年から一九八二年までの五カ年は、三%以下となっております。
○渡辺武君 一国だけとりましたけれども、長官、考えていただきたい。西ドイツよりはるかに物価は高いんですよ。その西ドイツが三%以下という目標を定めて努力しようとしている。日本は今後七カ年計画で年平均五%ずつ上げていくという、こんなことじゃしようがないじゃないですか。この七カ年計画を達成するためにいろいろ物価政策が書いてある。慎重に読んでみたら、いままで政府がやってきたことを並べているにすぎない。これじゃだめですよ。根本的に物価政策を練り直すべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) やはり今日まで行ってきた政策そのものが全く否定されるものではないと私は思うのです。また、それは一種の判断の違いもあるかもしれません。しかし、われわれとしましては、五%程度の物価の上昇ということをそれ以上にはしないという考えでありますし、また同時に、日本の現在の五千七百万人に及ぶような膨大な労働力人口を、せめて失業が百万人程度のところで抑えたいということを考えますと、やはりある程度の経済成長もやらなくてはいけない。もう一つは、わが国は御承知のように資源が全くない、ほとんどこれを海外に依存せざるを得ない。特にエネルギーなどにおきましてはその比率は強大でございますが、そうした等々の理由から考えますと、やはり目標は低めに抑えるべきであることは委員と私は同じ考えでございます。また、その努力をそうした低いパーセントの中に意欲を盛り込むことは賛成でございますが、しかし、七カ年計画というものは、ある程度これは実現し、実施していくという目標になっておるわけでございますので、それらのことを考えましても、やや高目であるかもしれませんが、五%程度の上昇というその枠内で政策努力を積み重ねたいと思っておるわけでございまして、決して物価を高くすることがわれわれの計画の基本ではないということを御理解賜りたいと思います。
○渡辺武君 それじゃ、外国の消費者物価の水準に近づくように努力すると言ったって、これは近づかないですよ。その点をよく考えていただきたいと思うのです。
 それから次に、インフレ問題に移りたいと思いますが、日本銀行総裁、お忙しいところありがとうございます。
 最近、経済同友会が「当面の物価問題に対するわれわれの見解」というのを発表しておりまして、その中で「最早、物価問題は放置しえない段階に至っていると考える。」というふうに述べて、特に「現状と四十七年のいわゆる狂乱インフレ直前の状況を比較すると、」中間を略しますが、「程度の差はあれ、かなり似かった状況にもあるといえる。」というふうに述べております。この点について総裁の御認識を伺いたいと思います。
○参考人(森永貞一郎君) 同友会の見解にも指摘されておりますように、十一月以後の卸売物価の動向には私も警戒を要するものが多分に含まれておると思っております。幸い暖冬に恵まれまして消費者物価の方はまだ落ちついておりますが、卸売物価にいずれは影響してくるというような問題もございますし、今後の物価動向には特に注意して施策に当たらなければならないと思っております。
 卸売物価高騰の原因でございますが、初めは海外要因あるいは円高による押し下げ要因の後退等によるものが多かったのでございますけれども、だんだん国内要因のシェアが増加してきておりますし、また、品目で見ましても、基礎的な資材から二次製品等に移りつつあるというようなこともございまして、このまま騰勢が続きますと、先高観から巨額の国債発行かあるいはインフレマインドを引き起こさないとも限らないことを心配しているわけでございまして、そういうことがないようにということが今後の施策の姿勢でなければならぬと思っておる次第でございます。
○渡辺武君 卸売物価のほかに、狂乱インフレ直前の状況に近いとお考えになっている点がございましたら……。
○参考人(森永貞一郎君) 数字の上から見ますと、四十七年の夏から秋口ごろから卸売物価の騰勢が始まったのでございますが、そのときの要因なども、また、数字の足取りなども、四十七年当時とやや似通ったような情勢があることは否定できないと思います。ただし、物価をめぐる環境の中には、同じような要素もございますが、そのころとまた違った要素もあるわけでございまして、正確にはあの当時と同じような情勢だとは思いませんが、警戒を要する点においてはあのころと全く同様だと思っております。
○渡辺武君 マネーサプライの状況はどうでしょうか。最近、M2の伸び率が一二%程度だから心配ないというような意見があるわけですが、しかし、四十七年当時と比べまして、現在はあの当時になかった企業の短期保有有価証券、これが総裁の先日の御答弁によりますと約十三兆円ぐらい見られるということをおっしゃっているわけですが、これはM2の統計に入らないわけですね。この辺から考えてどうなのか。
 それからもう一点、マネーサプライの増加率だけを見たのでは意味はないと私は思うのです。経済成長率との比較で見ないといかぬと思うのですが、そういう見地から見た場合に、物価狂乱直前の状態と比べてどうでしょうか。
○参考人(森永貞一郎君) M2だけで見ましても、昨年の初め、前年比一〇%ぐらいでございましたのが、昨今は一二%台まで高まってきておるわけでございます。にわかにそれがさらに高まるという様子でもございませんが、M2だけではどうも過剰流動性の有無を考える場合に少し不十分ではないかと思いますのは、いま先生もお話しになりましたように、最近企業の短期保有有価証券の量が非常に増加してきておるのでございまして、これはいつでも現金あるいは流動性化する性質の保有でございます。さらにはまた、金融機関の貸出態度がこのところずっと楽になって、楽と申しますか容易になってきておりまして、企業側としては借り入れのアベーラビリティが著しく高まってきておる、その点もやはりあわせ考えますと、M2の表面上の数字よりももう少し流動性が高まってきておる。一部には過剰流動性も起こってきておるのではないかというようなことを私ども心配しておるわけでございます。
 それからもう一つ、GNPとの比較でどうかという問題でございますが、M2の前年比一二に対しまして名目国民所得は一〇ぐらいでございます。この二つだけを単純に比較してM2が多過ぎると言うことはできないかもしれません。そこで、いわゆるマーシャルのKが問題になってくるわけでございますが、マーシャルのKで申しますというと、昨年の暮れには七九・八でしたか、ぐらいまででございまして、四十七、八年当時のピークが八〇・五ぐらいでございますから、それにやや近づいておるというのは、これは数字が示すとおりでございます。ただし、日本の場合、個人の貯蓄性預金の伸び率が比較的高いのでございまして、マーシャルのKは長期的にやはり上昇のトレンドがあるわけでございます。そこで、そのトレンドをどの期間で見るか、長い期間で見ると比較的過剰流動性が多くないという結果も出ますが、最近の経済情勢の変化から、最近に近いもう少し短い期間でとりますと、必ずしも同じような結論にはならないわけでございまして、その辺をどう判断するかというのが問題でございます。
 それからもう一つは、国債が巨額に発行されるようになりましてからマネーフローの動きが変わってきております。また、企業も減量経営にいそしんでおるというようなこともございまして、そういうことからマネーサプライの表面上の数字はやや低目に出るというような要素もあるわけでございまして、結局、いろいろな要素を加味して過剰かどうかということは判断しなければならぬわけでございます。M2、あるいは短期保有の有価証券の現在高、あるいは金融機関の貸出態度、株価、地価などの動き、そういったようなことを総合的にあわせ考えますと、少しどうも流動性が過剰にわたっておる面も見受けられるのが昨今ではないかと思っております。
○渡辺武君 物価狂乱の後で、日本銀行として当時の金融政策を検討されて反省されたということを伺っているのですが、その反省の内容はどうなのか。そしてまた、その反省の上に立っていまおっしゃったような状況に対してどのような政策をとるべきだと考えていらっしゃるか。
○参考人(森永貞一郎君) 四十七、八年ごろは私どもに大変貴重な教訓をいろいろな点にわたって与えておるわけでございますが、中でも一番痛切に感じますことは、もっとマネーサプライの動向を注視すべきではなかったかということでございます。初めのうちは一二、三%ぐらいで、その上り方も増加の趨勢もそう大きくはなかったのでございますが、ピーク時にはそれが二七、八%という大きな数字になってしまったわけでございます。私ども、物価を上げない、インフレを避けるという意味からは、マネーサプライの動きをもっともっとやはり重視していくべきではないかということを肝に銘じておる次第でございまして、それ以来というものはこのマネーサプライの動きに非常な関心を払ってきておるのが現状でございます。
○渡辺武君 当面の政策はどうですか、どういう政策をとるおつもりですか。
○参考人(森永貞一郎君) マネーサプライの動きに影響いたしますのは、四十七、八年ごろは、これは圧倒的に民間に対する信用の増加でございました。その点が今度の場合は少し違っておりまして、マネーサプライの増加の要因を分析しますと、民間信用は九%ぐらいでほぼ横ばいでございますが、その間、国債の発行に伴う財政面からの要因が昨年の当初は二、三%でございましたのが、昨今は五%弱というようなところまで増加してきておるわけでございます。これから五十四年度も国債の発行が続くわけでございますので、マネーサプライの増加要因の中での財政的な要因が増加してくることは必至だと思いますが、幸いいまはまだ民間資金の需要がそれほど起こっておりませんので、その間の調整にもそれほど難儀を感じておりませんですけれども、これから民間資金の需要が起こってまいりますと、この民間資金と公的資金とをどう調整するかという問題がどうしても大問題になるわけでございます。財政はとかく小回りがききませんので、巨額の国債を発行している財政面の調整にはいろいろむずかしい問題が伴うわけでございます。私どもといたしましては、まず自分の守備範囲内のこの民間に対する信用をどう調節するかという問題に当面するわけでございますが、民間資金の需要が増加してくるような場合には景気の方もかなりよくなっておる。したがって、自然増収も増加するというような時期でございますので、そのときどきの市場の情勢によって国債の発行の量も調整していただく、あるいはまた発行条件も弾力的に調整していただくということをやはり政府にもお願いしなければならぬのではないかと思っておるのが現在の現状でございます。
○渡辺武君 松沢全銀協会長が、二十日の衆議院大蔵委員会で、夏以降クラウディングアウトが表面化する可能性があるということを言っておられますが、総裁もそういう点はお考えですか。
○参考人(森永貞一郎君) 松沢協会長のお話は、私も衆議院で伺ってはおりましたのでございますが、夏とか秋とかいう特定の時期にこうなるということはいまは的確に判断してお答えするわけにはいかないのではないか。すべて今後の経済情勢の推移いかんにかかっておるわけでございますので、的確にいつごろからということのお答えは控えたいと存じますが、だんだんにいわゆるクラウディングアウト的な事態が起こってくることはいまから予期してかからなければならないのではないか。夏とか秋とか、あるいはもっと先かもしれません、そういう事態が起こってくることはいまから十分覚悟と申しますか、用心して臨んでいかなければならぬのではないかと思っております。
○渡辺武君 大蔵大臣に伺いたいのですが、金融業界の指導層の人たちが夏以降というふうに具体的に時期まで言われてクラウディングアウトの危険があると。日本銀行総裁のいまの御答弁は、そういうふうに時期を特定することはどうかというふうにおっしゃったが、いずれにしてもそうなるだろうという御趣旨だったと思うのですね。この点についてどういうふうに対応されますか。大量国債発行がクラウディングアウトというような状態になる。私は、公債は日本銀行の金融統制の外にある問題だから、そういう事態になれば、どうしたって買いオペに追い込まれて、そうしてこれがインフレ促進の主要な原因になっていくおそれがあると思うのですね。政府として責任を持ったことを考えなきゃならぬと思うのです。どうですか。
○国務大臣(金子一平君) 今日の民間の経済活動の状況から申しますと、日銀総裁も仰せられますように、夏か秋かにもうそういうクラウディングアウトの状況が発生すると即断するわけにはまいりますまいと思います。ただ、だんだんと企業活動が活発になりましたときのそういう状況をいまから考えておかなきゃならぬと、これはそのとおりだと思います。私どももいろいろな前提を置いて、新年度の金融情勢が、現在のような金融情勢が今後も継続するとして、預金なり金融債などによる来年度の資金増加額、これを試算してみたのでございますけれども、大体三十六、七兆円になるのだろうと。他方、来年度の金融部門による公共債の実質負担分は十四兆くらいと見込まれまして、民間貸し出し、社債等は二十二兆円くらいと見込まれますので、来年度の公共債の消化は、資金需給面からまあさしあたって問題はないと、一遍に競合するような場合には金融操作によって十分に国債発行と事業債の発行との調整はやれると、また、そういう場合の国債発行の弾力化につきましては、いまも日銀総裁のお話のように、やはり市場の実勢を考えてやっていけば十分最悪の事態は回避できると、こういうふうに考えておる次第でございます。
○渡辺武君 発行条件を弾力化して済む話じゃないんですね。大量の公債が出ると、どんな発行条件であろうとも、それはもう金融の能力の枠外に出るほどの莫大な公債が出されるから、クラウディングアウトという心配さえしておられるわけですよ。公債発行を削減するとか、あるいはまた大型公共事業、これについて繰り延べるとか、そのくらいのことは考えないですか。
○国務大臣(金子一平君) 資金の繁閑に応じて国債の発行を考えなきゃいかぬと、これは第一に考えなきゃいかぬことでございますけれども、企業活動が非常に活発になりましたら当然自然増収も出ますから、場合によれば国債の発行を減らすことも考えられましょうし、それから公共事業の施行につきましても、いまは平準化を考えております。前倒しするとか後ろ倒しするとか、そのことは考えておりませんけれども、今後の金融情勢に応じた弾力的な財政全体の運営を私どもは考えていかにゃいかぬ、これは渡辺さんと全く同意見に考えております
○渡辺武君 もともと赤字公債の大量発行などはやらなきゃいいんですよ。まあそのことはもう時間がないから余り言いませんが。
 総裁、もう二、三点伺いたいんですが、私、従来、経済成長率に見合ったマネーサプライの目標値を西欧諸国でやっておりますように公表してそうして金融政策をやったらどうかということを何回も申し上げてきたんです。最近、同友会の見解の中でも同じようなことを言っておられるようですね。いまこそ、やはり目標値を公表してやるというお考えはございませんか。
○参考人(森永貞一郎君) マネーサプライの目標値をつくれという御持論はかねがね拝聴いたしておるわけでございまして、私どもも内部では鋭意検討を続けておる次第でございますが、どの程度のマネーサプライになるとインフレもなく経済も発展するという情勢になるかという、その辺の実体経済との関連づけをもう少し検討しないと自信がないというのが現状でございます。なお、もう一つは、諸外国で公表をいたしました中では、どうも失敗であったというようなことでいまやめておるところも出てきておるわけでございますので、諸外国の経験なども検討しながら、どうしたらいいかということを今後とも検討を続けてまいりたいと思っております。
 ただ、一つだけ申し上げたいのは、マネーサプライをターゲットにこそいたしておりませんが、私どもはターゲットにした場合以上にこのマネーサプライの動きには慎重かつ周到な注視を怠っていないつもりでございまして、日々のあるいは毎月の動きにかんがみながら、将来どうしたらいいかということを毎日考えておると申し上げても過言でないような関心を持っておることだけをつけ加えたいと存じます。
○渡辺武君 いま、国民は、インフレを非常に心配しているんですね。だから、日本銀行の決意を示すという意味でも、やはりこの目標値をはっきり公表してやっていくということが国民に対する安心感を持たせるという意味でも非常に大事だと思うのですね。もう一回御答弁いただきたい。
 それからもう一つ、金融の窓口規制をやっておられるようですけれども、これを一般的にやりますと中小企業に大きな影響があるおそれがある。中小企業が影響を受けないように配慮することはできないのか。
 それからもう一点、不動産業やそれから建設業に対する銀行の融資の規制ということを政府も言っておりますけれども、現在卸売物価が急騰している、そうして総裁も認めていらっしゃるように仮需要が出てきているということもあるわけですね。したがって、この卸売物価の急騰している商品についての関連企業、これに対する融資の規制ということもお考えいただく必要があるのじゃないか。
○参考人(森永貞一郎君) 先ほどマネーサプライにつきましてお答えいたしました際に一つだけ申し落としましたのでございますが、このマネーサプライを私どもが重視していることばもう先ほど申し上げたとおりでございますが、国民の皆さんにもこのマネーサプライの重要性をわかっていただく、そういう必要があるというような観点から、昨年の七−九月以来毎四半期に、目標ではございません、見通し……
○渡辺武君 見通しじゃだめなんですよ。
○参考人(森永貞一郎君) 見通しを公表いたしておるわけでございまして、見通し公表以後の実績は大体見通し程度のところで動いておるわけでございます。これによりまして国民の理解も進み、また私どもの関心も一層増してまいりましたことを申し上げたいと存じます。
 今後どうするかという問題につきましては、御意見を拝聴いたしましてなお今後とも十分検討をいたしたいと思っております。
 第二に、窓口指導の枠の問題でございますが、本日四−六月の窓口指導の大枠を発表いたしました。前年の四月−六月の実績に対しましては一〇%の減でございますが、残高で申しますと昨年の六月末の残高に対しまして八・二%ぐらいの増加になってきております。その枠の作成に際しまして、各銀行からいろいろと資金需要の状況などを聞きました結果このような大枠を決めたわけでございますが、ねらいは、ややもすれば過剰と認められる流動性をこの際幾分かでも吸収しようというのがねらいなのでございまして、いわば警戒中立型の金融姿勢を打ち出したものと御理解いただきたいと思います。
 中小企業につきましては、別に中小企業の枠を特定しているわけではございませんが、いやしくも健全な企業、中堅中小企業が必要とする正常な用途の資金でございます限りにおきましては、それほど困難をおかけするというような事態はまずまずないのではないかというような感じでおります。
 なお、地方銀行、相互銀行、信用金庫等につきましても大枠を決めてまいるわけでございますが、これらの中小金融機関の枠組みにつきましては、やはり中小企業の金融の疎通も無視できませんので、十分それらの点は考慮するつもりでおります。
 なお、もう一点、土地その他需給が緊迫化しておる物資等で値上がりを来しておるものについて個別的な融資の規制ができないかというお尋ねであったかと思いますが…
○渡辺武君 特に卸売物価が急騰している。
○参考人(森永貞一郎君) 卸売物価に影響のあるような業種についての個別的な融資規制ができないかというお尋ねであったと思いますが、私どもの政策運用のスタンスから申しまして、どうも個別的な規制にはなじまないのでございまして、必要がございます場合には政府において別途行政指導等を加えられることと存じますが、私どもといたしましてはメーカーが製品の値上げに容易に訴え得ないような金融環境を維持するというマクロ的な施策にとどめざるを得ないわけでございまして、今回の窓口指導に当たりましてもそういう点を考慮いたしました結果、いわば警戒中立型的な運用のあらわれとして先ほど申し上げましたような大枠を決定した次第でございます。
○渡辺武君 大蔵大臣、いまの点どうですか。
○国務大臣(金子一平君) 土地の問題につきましては、本委員会でもしばしば申し上げておりますとおり、すでに仮需要と申しますか、そういった融資につきましては十分慎重にやるようにという警告をすでに銀行関係者に発してございます。そういう必要のあるたびに私どもといたしましては……
○渡辺武君 いやいや、卸売物価が急騰している。卸売物価が急騰している品目について、関連企業にちょうど不動産業や何かにやっているのと同じような融資規制は考えないのかと。
○国務大臣(金子一平君) 土地ですとわりといいのでございますが、たとえば石油製品の関係はどうだとか、こういう個々の品目についてはわりとこれは簡単にいかないのじゃなかろうかと考えておりますが、なお事務当局から答弁させます。
○政府委員(徳田博美君) 卸売物価の上昇を抑制するために特定の業種に対して融資を抑制してはどうかというお話でございますけれども、卸売物価の上昇の要因には、流通部門、製造部門いろいろございますし、またその物価上昇の要因もいろいろあるわけでございまして、特定の業種を把握することは非常に困難かとも思われます。したがいまして、先ほど日銀総裁が述べられましたように、やはり総量の枠の全体の中で卸売物価を安易に上昇することのないようなそのような金融環境をつくっていくことが当面必要なことではないかと、このように考えております。
○渡辺武君 どこで売り惜しみをやっているのか、買い占めをやっているのか、わからないという趣旨だろうと思うのですが、そんなことだったら経済企画庁と相談してやればいいわけで、不動産業にやられていることが何でほかの業種にできないのか、どうですか。
○政府委員(徳田博美君) 土地関連の融資の場合には、土地の投機を誘発するような融資を抑えることによって土地の価格の不当な上昇を抑えるという経路が比較的容易に把握できるわけでございますので、実は四十八年におきましても同じような規制を行ったわけでございますが、しかし、それ以外の一般の卸売物価につきましては、それぞれの品目別に非常に複雑な要素がございまして、金融面で特定して把握することは非常にむずかしいのではないか、このように考えております。
○渡辺武君 長官、どうですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) 金融面だけで卸売物価の上昇を食いとめるわけにもいかないと思います。したがいまして、二月二十六日に、少し早目であったのでありますが、金融のM2問題以下を踏まえまして、さらに各省庁で特に卸売物価上昇の勢いのいいものについては品目別にその動向を十分監視しておるわけでありまして、その状態が余りずば抜けてくる場合には行政指導ということにももちろんなると思います。われわれといたしましては、金融面だけにすべてしわ寄せましてもその効果は十分ではないのであって、政府の全機構を挙げまして現在総合的な物価対策を推進しているところでございまして、まだ現時点におきまして異常な飛び離れたものが出てきておらないということと、二月二十六日の総合物価政策を打ち出して以来やや卸売物価もそれほど騰貴が激しくなくなって、むしろやや頭打ちというものも多数出てきておりますので、こうした傾向を政府全体として、金融面ももちろんでございます、そしてまた、先ほど日銀総裁や大蔵大臣がお答え申し上げましたように、総枠でもって金融の面を考える、個々の問題につきましてはそれぞれの担当省庁が責任を持って当たるというようなことでこの事態を乗り切っていきたいというふうに思っております。
○渡辺武君 日銀総裁、ありがとうございました。
○委員長(町村金五君) 森永参考人には御多忙中のところ御出席いただき、ありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。
○渡辺武君 長官、そうおっしゃるのなら、卸売物価の問題について伺いたいと思うのです。
 日銀総裁も言われましたが、物価狂乱直前の状態に似ているという趣旨の御答弁だったんです。これは早く手を打たなきゃ大変なことになるんですよ。
 それで、いま監視をしているとおっしゃったけれども、監視をして何をやるんですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) やはり物価動向を非常に注意深くまず見るということですね。それで、それが異常であるかどうかという判断はまたおのずから別の判断に立って行動すべきだと私は思っておりますが、いずれにいたしましても事態を早目に把握するということが委員の御指摘のとおり非常に重要だと思っておりまして、その動向を早目に察知するためにもまず監視をすること、注視をすること、そうしたことで現状を動いておるわけでございます。
○渡辺武君 為替差益の還元のときも、監視する監視すると言って、あなた方発表するたびにワースト七品目か六品目いつも顔を並べている。少しも効果がないじゃないですか。監視して危ないと思ったら、どういう対策をとりますか。
○政府委員(藤井直樹君) お答え申し上げます。
 やはり、国民経済上重要な物資について、また生活必需物資等について、価格の動き、さらに需給の動きを見て、そしてその中で異常な状態があればそれに対して対策をとるということになるわけでございます。その前提として、やはり監視という形でやっていくことが前提として非常に重要なわけでございます。
 そこで、その場合どういう手を打つかということでございますが、基本は需要がふえたら供給をふやすということが基本でございますので、増産をするとか、それから備蓄があればそれを放出するとか、そういうような手を講じていくということになるのではないか。そういう形で全体として需給のバランスをとって価格の安定を期していくということが基本であると考えております。
○渡辺武君 増産しろと言ったって、いま減量経営で人がいなくなっているし、設備だって廃棄しているんですよ、老朽して。すぐ増産に応じられるような体制でないんです。外国でやっている価格に対する直接の規制とか、あるいはまた原価の公表とか、そういうものを学んで厳しい措置をやる時期にもう来ていると思うのですね。少なくともその準備をする。どうですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) われわれといたしましては、一義的にただいま物価局長が申し上げましたように需給の状態を把握することであって、その需給状態が逼迫することによる値上がりというものあるいはまた思惑というものがどの程度であるかということを一義的に把握することが第一だと思っております。
 それからいまおっしゃいましたように、物価の監視と申しますか、原価の監視といいましょうか、あるいはそれを公表をするというようなことにつきましては、私はいまそれを考えておりません。しかし、また同時に、そういうことをいたしましても、結局統制経済になるし、同時にまたそれには膨大な人員がその原価が正しいか正しくないかを調べるためにも必要なことになると思いますし、行政費の増大ということはわれわれとしては慎みたいということもございます。また、いま日本の経済界の良識というものがそれほどまでにして監視をし、チェックをし、統制をしなければならぬほどのものだとは私は思っておりません。事実、供給力につきましてもまだ非常に余裕があると思います。また、いまお話しのように減量経営とおっしゃいますが、それだけでもまだまだ余力はあるという報告をわれわれは受けておりますが、これも実態によく即して今後も調べていかなきゃなりませんが、全体といたしまして日本の供給力はまだ十分にあるというふうに思います。
 また、世界全体の経済動向を昨今調べておりますが、お示しの四十七年当時のような状態との差はいろいろな面でまだございますが、そうしたことを十分に踏まえまして、今後の運営には万全を期していきたいというふうに思っております。
○渡辺武君 価格に対する直接の規制、それからまた原価の公表、こういうものをもう資本主義国でやっているところがあると思いますね。どういう国でどういうことをやっているのか、御報告いただきたい。
○政府委員(橋口收君) 原価の公表あるいは価格に対する直接的な規制をやっておる国といたしましては、ヨーロッパに若干ございます。日本と同じような競争的な体質を持っておりますアメリカにおきましては一切そういうものはございません。イギリスの場合には独占的な状態にある企業、これは一社で二五%以上の市場占拠率を持つ企業でございますが、そういう企業の不当な価格を規制する命令というものを行政機関が出すような仕組みがございます。その中で原価を引用される場合がある、こういうことでございます。それから西独におきましても、市場支配的な地位にある企業、詳細は省略いたしますが、市場支配的な地位にある企業がコストに見合わない価格引き上げなど、その地位を乱用する行為があります場合には、価格引き下げの勧告または命令が出せるようになっています。フランスにおきましては、御承知のように従来広範な価格規制が行われておりましたが、最近は規制を緩和する方角に向かっておりまして、原価や価格に対する政府の介入はできるだけ少なくして自由競争にゆだねる、こういう方角でございます。
 なお、西独とかイギリスにおきましては、従来原価の公表を含めて価格の引き下げの指示ないし命令をしたことはございますが、これにつきましても、現在、物によりましては裁判所でその当否が争われているような状況でございまして、過去の経験に徴しますと、ある時期に集中してそういう引き下げ命令というものが経験的になされておりまして、まだその効果についてこれが是であるかあるいは非であるかについての判定は出ていないというのが世界の現状であろうかと思います。
○渡辺武君 諸外国がそういう措置をとった背景に一九七一年の十二月のOECDの勧告があるかと思いますが、その勧告の内容やその背景ですね、これを伺いたい。
○政府委員(橋口收君) お示しになりましたのは、一九七一年のOECDの勧告であろうかと思います。正確に申しますと、「競争政策の分野におけるインフレ対策としての理事会勧告」ということでございまして、これをもとといたしまして一九七〇年代に先進諸国ではもろもろの独禁法の改正強化が行われたわけでございまして、一昨年行われました日本の改正独禁法もまさにこの路線に沿ったものでございます。この勧告の主な内容を簡単に申し上げますと、短期と長期に分けておりまして、短期の措置といたしましては、現行法制の枠内で独禁法の積極的な適用、寡占的経済分野における価格状況の調査を実施すること、これが短期的な措置でございます。それから長期的な施策としましては、再販価格制度及び推奨価格制度の禁止または規制、独占的寡占的勧告に対する有効な規制、集中の規制、サービス業適用除外分野への独禁法の適用というようなことについて法の改正を含めて検討することというのが勧告の主な内容でございます。
○委員長(町村金五君) 小倉税制調査会長さんにはお忙しいところを御出席いただきましたけれども、もう質問の時間がなくなったそうでございますから、御退席いただきまして結構でございます。
○渡辺武君 OECDでそういう勧告があって、それに基づいて各国が原価の公表制度あるいは価格に対する直接の規制というような制度をつくったわけですね。ところが、日本は、そのOECDの勧告にもかかわらず、そういうことをやっていなかった。そうして、いまに至って、やれ監視するとか増産をお願いするとか言っても、何ら実効はないじゃないですか。先ほど長官は外国にすぐれた物価政策があればこれは取り入れるんだという趣旨のことを言ったけれども、いまの事態の緊迫性に照らしてこの制度を至急に実行するように検討する必要があると思うが、どうですか。
○国務大臣(小坂徳三郎君) もちろん、委員が先ほどから主張していらっしゃいますように、現在の物価動静というものは、われわれとして十分に監視をし、注意を要する時期であるということはよく認識しております。しかし、さればといって、直ちにいまここでまだまだいろいろと打つ手はたくさんあると思っておりますし、また同時に、やはり日本経済がある程度成長をしてまいりませんと、先ほど来の国債の問題初め失業の問題等々ございまして、やはりこうした面においての成長もある程度維持をしなければならぬ。私はそういうような環境の中でこの物価の問題だけに関連して異常と思えるような手段をとることは現時点ではまだ早いし、またそうしたことをやるにいたしましてももっとよく国民の全体的な理解を得た上でなければできないことだと思うわけでございます。したがいまして、現状におきましては、物価に対して、委員は大変手ぬるいとおっしゃると思いますが、しかし、早目に政府は全力を挙げて各部門でこうした事態に対応していくということを努力しておるわけでございまして、お示しのような直接物価統制というようなことについては、私としましては、現時点ではなお考える時期ではないというふうに思っております。
○渡辺武君 公正取引委員会に伺いたいのですが、いま卸売物価商品の急騰しているものの中に、セメントとか梳毛とかライナーとかかつて不況カルテルをやっていた業種、それから板ガラスとか鉛地金とかそれから軽量形鋼とかいわゆる寡占業種ですね、これが多いわけですが、公正取引委員会としてはこういうものに関心は持っておられるかどうか。
○政府委員(橋口收君) いまお挙げになりました品目それぞれにつきましてお答えをしますと大変長くなると思いますが、御承知のように、現在進行中の不況カルテルは四品目でございまして、三月末に三品目の不況カルテルが終了いたしますから、四月以降に残りますのは両ざらクラフト紙ただ一つになるわけでございます。いまおっしゃいましたセメント等につきましては、これは一昨年の十二月にすでにカルテルが終わっておりますので、その後市況は一進一退で多少上がりぎみでございますが、これはカルテルとは直接関係がないというふうに考えております。その他もろもろの品目につきましてカルテル実施期間中は万に一つの価格の急騰ということがございます場合には、これは機を失せず打ち切る、こういう体制をとっておるわけでございますが、問題は、カルテルが終了いたしました後で一時価格は下がってもまた上がるということがあるわけでございまして、これは率直に申しまして、カルテルによる後遺症と申しますか、そういうことではなくて、カルテル終了後の経済情勢の変化、ことに最近のような状態になりますと、物によりましては売り惜しみとか買い急ぎというようなことが出てまいりますので、そういういわば相場商品と申しますか、そういう性格で上がっているものがあるわけでございます。
 それからもう一つおっしゃいました寡占的な性格を持った商品ということにつきましては、これは先ほど来議論のございます、原価公表の制度に議論のもとを発しております現行独禁法におきますいわゆる同調的値上げの場合の報告徴収という規定がございます。これは現在五十六品目を監視品目として挙げておるわけでございまして、そういうものにつきましては、特にお示しがなくても、われわれの行政機関の責任として監視を続けておりますし、いまここでどの品目について調査をしているということを申し上げることは御遠慮さしていただきたいと思いますが、すでに予備的な調査に着手いたしておるものもございますし、それから昨年現実に二輪自動車につきまして値上げが行われたものにつきましては、その理由についての報告を徴求いたしておるわけでございますから、現行法制の枠内におきましても相当程度のことはできる。もちろん、それに加えまして、いわゆる共同行為とかカルテルということがあれば、これは独禁法に真正面から触れるわけでございますから、こういうものにつきましても常時監視を怠らないと、こういう体制でおるわけでございます。
○渡辺武君 寡占業種のものについては調査しておられるとおっしゃるのですが、不況カルテルをやっていた業種で、たとえば梳毛繊維は二月に不況カルテルをやめたのですが、もう三月の上旬にはそのころに比べて一六・五%も上がっている、ライナーについては八・二%も上がっていると、こういう状況ですね。不況カルテルがなくなったんだから公取として関係ないのだということじゃないでしょう。どうですか。
○政府委員(橋口收君) 梳毛糸は一月でカルテルは終わっておりますので、二月、三月と二カ月たった現時点で価格が上がっているということでございまして、この点はカルテルが直接の関係があるというふうには私は認めにくいのではないかと思います。その後の状況によるものだと思います。それから中しん原紙につきましても、これは価格の地合いというものが強くなってきておりますが、私どもそういう御質問をいただきまして一番胸を痛めますことは、もともとは、不況カルテルというのは需給のバランスが崩れて市価がコストを下回るという異常な事態になりましたときに認めるものでございまして、問題はいついかなる時期を選んで解除するかというのが大変むずかしいところでございまして、これはあくまでも業界との合意がございませんと簡単にはいかないわけでございまして、先ほど機を失せず措置をすると申しましたが、法律的に厳密に申しますと、相手方が承知をしない場合にはいわゆる審判の手続が必要になるわけでございまして、審判ということになりますと二週間や三週間はすぐたってしまうわけでございます。したがいまして、そういう点で申しますと、現行法の不況カルテルという制度は、行政当局が打ち切りたいと思ったときに簡単には打ち切れないという大変むずかしい仕組みになっておるわけでございまして、それだけに私どもは認可をいたしました後その状況については注意をいたしておりますが、しかし、いま御注意がございましたように、われわれが解除を業界との合意においてやりましたのが本当に正しい時点における判断であったかどうかということにつきましては、これはわれわれの行政体験として常に反省もし、また検討もしなければならぬというふうに考えております。
○渡辺武君 不況カルテルを認可するとき、そのコストの内容については届け出さしてそれを判断の一つの基準にしておられると思うのですね、市況がそれより下なのか上なのか。解除したときは、恐らくコストは十分回復できているという時期に彼らも申請しないだろうと思うですね。その解除時期に比べて異常に高くなっている。そうすると、あなた方の手持ちの平均生産費の資料で照らしてみて、いまの価格はどうですか。
○政府委員(橋口收君) お尋ねに対しまして正確にお答えするということは、実はそのデータがないわけでございますから、たとえば梳毛糸で申しますと、いまの生産費がどうであるかということにつきまして有権的な資料を持たないわけでございますから、的確なお答えはできないわけでございますが、しかし、カルテルを終了するとか解除するという事態のときには、大体において市価が生産費を上回るということにつきましてのまあ洞察力を持った見通しと申しますか、洞察力を持った判断というものがあって業界を説得して打ち切るというのが実態でございますから、恐らくは現時点におきましては生産費をかなり上回るゆとりある姿になっているのではないかというふうに考えます。
○渡辺武君 そうしますと、経済企画庁長官、長官に伺いたい。一般的にコストを公表するのはいやだと、価格についての直接規制はやりたくないという御趣旨の答弁だったわけですが、それをやらなきゃ、いまの卸売物価の急騰は必ず消費者物価に反映してきて大変な事態になる。いまのうちに抑えなきゃだめだから必ずぜひおやりなさいと言っているんだけれども、全般的にやる意図がないと仮にしても、公正取引委員会に不況カルテルが申請されたときの平均生産費の資料があるんです。不況カルテル解除後ほんの一、二カ月しかたっていない、それでどんどん上がっているんですから、公正取引委員会から平均生産費の資料を取り寄せて、そして異常に高くなっているものについて引き下げさせるというくらいの措置をとる良心があっていいと思うんだが、どうですか。
○委員長(町村金五君) 渡辺君、時間が参りました。
○国務大臣(小坂徳三郎君) もちろん、われわれとしまして、公取に出されている資料のことは内内には伺っておるわけでございまして、それに比較しまして現時点における卸売物価の現状が、これはどこの時点でとらえるかは別といたしまして、十分それを把握しながら、異常にそれが高いという場合には的確な処置をとっておるわけでございまして、その点につきましては御安心をいただきたいと存じます。
○渡辺武君 最後に一言だけ。
 大蔵大臣、どうも済みませんでした。一般消費税をやるつもりのところ、時間がなくなりましたので、ありがとうございました。
 その公正取引委員会の資料ですね、これを見て考えるとおっしゃるんだが、国会にも提出してほしい。そうして、やはり国会としてもこれを十分に検討するということのできるようにしてほしい。どうですか。
○政府委員(橋口收君) 企業の原価について私どもが承知いたしております、あるいは承知し得る範囲というのは、不況カルテルの審査の場合と、それから同調的値上げの報告徴収の場合と、二つのケースでございまして、したがいまして、すべての商品についての原価を承知するという立場にはないわけでございますし、それからこれはもう先生よく御承知のように、平均生産費でございますが、これは個々の事業者の生産費をベースにして公正取引委員会が加工して平均生産費というものをつくるわけでございますから、これはあくまでも事業者の秘密に属するものでございますので、これを一般に公開するということは独禁法上許されておりませんし、経企庁長官が大体そういう平均生産費を見てというお話がございましたが、これはやかましく申しますと経企庁長官にもお見せすることはできないという立場にありますこともひとつ御了承いただきたいと思います。
○委員長(町村金五君) 以上で渡辺君の一般質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) 次に、井上計君の一般質疑を行います。井上君。
○井上計君 最初に、大蔵大臣に一般消費税の導入についてお伺いをいたしたいと思いますが、現在現時点において一般消費税の導入について大蔵大臣はどのようにお考えでありますか、承りたいと思います。
○国務大臣(金子一平君) いろいろ議論はございまするけれども、今日の財政事情からいたしまして、当初の方針どおり五十五年度のなるべく早い時期に導入するようにお願いしなければならないと、このように考えておる次第でございます。
○井上計君 最近特に各地で各団体、各界階層等を集めて一般消費税導入についての反対の大会、運動が非常に活発になっておりますけれども、御承知だと思いますけれども、そのまた反対をしておる理由等については大臣は御承知でございますか。
○国務大臣(金子一平君) いろいろ理由はあると思うのですが、一つはああいう間接税と申しますか、一般消費税に日本ではなれておりません。特に戦後の取引高税の苦い経験もまだ印象に残っておるというような問題があります。特に中小企業の皆さんは、極力手間をかけないでくれという御要望が強いと思うのでございます。それからまた、こういう際でございますから、物価を押し上げるような税は、仮にそれが中立性としての税の形であろうともやめてほしいという御要望が強いことは十分承知いたしております。
○井上計君 いまそれらの反対の理由、大臣の御承知の点をお述べいただきましたけれども、そのほかに、やはり政府がもっと始末をしてほしい、むだなことをやっておってそれらのしわ寄せを国民大衆に持ってくることについては納得できない、こういうふうな声が非常に強いわけです。そのようなことについてはどう受けとめておられますか。
  〔委員長退席、理事岩動道行君着席〕
○国務大臣(金子一平君) 申し落としました。その問題も大事なことでございまして、そういう意味で、私どもも新年度の、五十四年度の歳入、歳出全面を見直しまして、特に歳出面につきましては、こういう際ですから思い切った歳出のカットはできませんでしたけれども、政府の経常部門はある程度メスを入れたつもりでございますし、また歳入面につきましても、従来からいろいろ問題がございましたような租税特別措置等につきましては、全面的な見直しをしてまいりました次第でございます。民間にだけ減量経営を強いて、政府だけぬくぬくとやっていけるような時代でないことは十分承知いたしております。したがいまして、五十五年度におきましても、さらに政府としては減量経営と申しますか、不要不急の歳出のカット、税制の見直しについてさらに一歩進めてまいりたいとかたく決意をしている次第でございます。
○井上計君 大臣、いまお話しの中で減量経営というふうなお答えがありましたが、これは減量経営、すなわち行政改革も含めてというふうに理解をいたしますけれども、国民の声を聞いておりますと、現在大蔵省の言っておられること、考え方、率直に申し上げまして、もう出るものはもう要るんだから仕方がないんだ、そこで足りないんだからもう税でもらう以外に方法がないんだ、税でもらわなければ大幅に赤字公債を発行することになって大変なことになるんだと、ここまではわかるんですね。ところが、そのもらわなければ仕方がないんだ、したがって取るのがあたりまえだという考え方は実は苛斂誅求である。私は実は昨年の本会議でも申し上げたと思いますけれども、まあ言えばテレビの講談等に出てくる悪代官と同じだ、こういう怨嗟の声が上がっておるんですが、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(金子一平君) 税金は安いにこしたことはないのでございますが、これはもう井上さんは専門家ですから百も御承知でございましょうが、日本の税負担全体が先進国に比べましたらぐっと安くなっておる。これはまあ高度成長時代に自然増収がどんどん出ましたから、それを国民の皆さんのふところに還元しろということでずっとやってまいりましたから、そういう低負担でもまたある程度福祉の充実がやれたということが一つの原因になって今日のような税負担の実情になっておりますし、これはやっぱりある程度増加しないことには、今日、いまも問題になっております国債の大量消化の問題も片づかない、国債の脱却も片づかないわけでございますし、今後また、福祉の充実だけは国民のこれは声でございますので、何としてでも優先的にやっていかなきゃいけませんけれども、その財源に困ってしまうという実情でございますので、われわれとしましては、削るべきところは削って、もういまのような点につきましては打つべき手だけは十分打つだけの心構えは持っていかなきゃいかぬと考えておる次第でございます。
○井上計君 いずれにしても、国民が行政のむだをもっと整理をしてほしい、むだを整理をして、さらに無理なあるいはばらつきのあるようなそのような行政機構、あるいはそのようなむだをもっとなくして、その上でなおかつ足りないのなら、やはり増税もあるいは新税の創設についてもやむを得ないという理解を国民はしてもらえると思うのですね。したがって、そのような合意、納得を得るための努力を大蔵大臣だけじゃありません、政府がもっと積極的にやっていただきたいと思うのです。そこで、国鉄総裁にまたいろいろとお伺いしたいこともありますから、また大蔵大臣には後ほどお伺いするといたしまして、国鉄総裁がお急ぎのようでありますから、ひとつ国鉄総裁にお伺いをいたしたいと思います。大変どうも御苦労さまでございます。
 最初にお伺いしたいと思いますけれども、先般新聞に出ておりましたが、例のスト権スト、長期ストのときに行われましたあれによっての損害賠償の請求訴訟が各地で幾つか実は行われております。その一つでありますところの愛媛県のミカン訴訟、先日国労、動労との間で和解が成立したと、このように新聞で報じられておりますけれども、その和解条件、また同時にそのときに国鉄も相手取って実は訴訟されておるわけでありますけれども、国鉄と青果連との間はどのようになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(高木文雄君) ただいまお尋ねございました愛媛県のミカンに関する訴訟は、私どもと関係労働組合とが共同被告になって訴えられておるわけでございまして、輸送に関する契約があるにかかわらず輸送しなかったということで、債務不履行であるということで訴えを受けておりました。何回か審理が進んだわけでございますが、最近に至りまして、ミカンの組合と私どもの関係の労働組合との間で和解が成立――和解といいますか、話し合いがつきました。ミカンの組合側が訴訟を取り下げられたということは承知をいたしております。
 その場合にどういう条件であるかということにつきましては、私どもは当時者でございませんので、明確に申し上げられないわけでございますけれども、要するにミカンの組合としましては、われわれの関係の労働組合のある種の立場を認めるという考え方をとりながら、今後二度とこういうことが起こらないようにするという、つまり輸送に関して御迷惑をかけることはしないという労働組合側の将来にわたる一種の紳士協約というようなことの話し合いがございました。それでは今後も円滑に輸送してほしいということを前提にして訴えの取り下げがあったわけでございます。
 その際、私ども国鉄当局側に対しても、何か一種の和解と申しますかあるいはいろいろ条件をつけての訴えの取り下げをしたいというお気持ちの表示が、訴訟代理人を通じて私どもの方に非公式に出てまいったわけでございます。しかし、そのお示しの条件は私どもとしてはちょっとのみにくい条件でございました。現に私どもはこうした案件は、大変ミカン訴訟は有名になりましたけれども、輸送に関しますいろいろな債務不履行についての争いは細かいものがいろいろたくさんございますわけでございますので、その辺につきましては、大変冷たいようでございますけれども、もっぱら法律的に処理をいたしておるわけでございまして、本件につきましては民法上の債務不履行に該当するものではない、私どもの責めに帰すべき事由によるということにはならないのではないかということで、私どもとしてはこの訴訟は、確かに御迷惑をかけたことは事実でございますけれども、法律上の問題として処理する、債務不履行に関して賠償請求を受けるという事案には当たらないのではないかということで、私どもは今後とも訴訟を法廷で続けてまいりたいというふうに考えてそのようにお答えをいたしております。
 まあしかし、そうは申しましても、御迷惑をかけて訴えを受けて、そしていつまでもただがんばっいるというのも余り利口ではないわけでございますから、なお今後ともいろいろとお話し合いといいますか、いろいろの条件その他の御提示があれば、そう絶対にがんばっておりますということでもないわけでございまして、今後もうしばらく様子を見て、何か円満な解決が、方法がつけばというふうに考えております。
○井上計君 としますと総裁、いまお答えの中にありましたけれども、法律上の賠償責任はない。で、私も実は国鉄当局には賠償責任はない、こう考えておりますが、そこで、したがって青果連の方から非公式ではあるけれども和解条件が提示をされた、しかしそれについては断ったと、こういうことでありますが、提示をされた非公式の和解条件というのは、非公式でありますけれども、お差し支えなければお答えいただけますか。
○説明員(高木文雄君) いま正確に覚えておりませんが、何千万円かの被害を受けたからそれを払えということであったわけでございますが、その請求額の半分ぐらいで折り合う道はないかと、こういうようなお申し出であったわけでございますけれども、私の方としては、いろいろな法律的な見地から申しますと債務不履行ということにはならないというふうに考えておりますので、何らか、いわばはっきりしない、見舞金といいますか、そういうものを支払うということも、あっちこっちでいろんな仕事があり、いろいろ紛争が起こっております立場上、なかなかできないということで、まあいわばお金で解決ということは御勘弁願いたいということでお断りをいたしたわけでございます。
○井上計君 総裁、いまのこの青果連が起こしておりますスト賠償訴訟、そのときのストですが、すなわち五十年の十一月二十六日からのストによる国鉄の損害二百二億四千八百二十七万円を、国労、動労に対して国鉄当局が賠償請求の訴訟を起こしておられますね。その後のこれについての経過をひとつお答えいただけませんか。
○説明員(高木文雄君) 大変広範囲なむずかしい訴訟でございますけれども、その後たしか十回か十一回か公判が開かれておりまして、それぞれ準備書面を用意して、われわれはわれわれの方、組合の訴訟代理人はその立場で、それぞれ主張をいたしておるところでございまして、過去において余り例を見ない種類の訴訟でもございますし、問題が問題だけに、裁判所もきわめて慎重に取り扱っておられます。たしか来月でございましたか、再来月でございましたか、また次の公判が予定されておるわけでございまして、いまのところそう早いテンポとは言えませんけれども、まずまず普通のテンポで審理が進んでおるという段階でございます。
○井上計君 総裁、青果連と国労、動労との間の和解成立、まあこれについては私は結構だというふうに思います。ところが、その和解によって、もう各新聞が、ミカン列車は走らせる、ミカン列車はとめぬ、労農提携、まあミカン列車――各新聞ともまことにこれについては、和解は不可解だと、こういうふうな報道をしておるんですね、ミカン列車はストをしないとか。まるでこれでは国鉄の運行責任が当局側にあるのか、あるいは国労、動労側にあるのか全く疑わしい、こういうふうな印象を受けるのですが、どうなんでしょう、どうお考えでしょうか。
○説明員(高木文雄君) 制度的、法律的には当然運行責任は私にあるわけでございます。
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
で、それが阻害されないように、国鉄の場合にはきわめて特殊な法制のもとに置かれておる。つまり、一般の労働者と違ってスト権を与えられていないという形になっておるわけでございます。ただし、私と申しますか、経営者側と申しますか、がみずからハンドルをとって運転をするとかあるいは信号の仕事をするとかいうことではございませんので、非常に大ぜいの職員がパート、パートを持って仕事をしております関係で、事実上の問題として、現在われわれの力不足でそうした違法行為といいますか、法律が予測しない事態を事実上阻止することができないということで、まことに申しわけない事態が時折発生をしておるわけでございます。これはいい悪いと言っていることのできない問題でございまして、何とかこうした事態を避けなければならない、こういうことがあってはならないと思いますし、そのような気持ちで職員の指導に当たるわけでございますが、まあいろいろな紛争との関連で、まだ、最近といえどもなおかつ十分私どものあるべき姿を発揮できないという状態になっているわけでございまして、まことに遺憾とは思いますけれども、率直に申して私どものまだ力の及ばざるところでございます。
 今後の問題といたしましては、国鉄の経営自体がこういうことになってきております関係上、何としてでも自分たちの職場を守り抜かなければならないという気持ちを全職員に持ってもらうことによりまして、ここ数年来続いてまいりました状態を何とか回避をいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
○井上計君 もう大変国労、動労のいえば力が強くて、違法ストを繰り返しておるけれども、実は力がないので残念ながらやむを得ないと、そうシャッポを脱がれると実は大変困るのですが、いま総裁がおっしゃいましたけれども、労使双方協力して、努力をして大いに改善をしていきたいということをもっと強力にひとつ進めていただきたいと要望いたします。
 そこで、いま一つお伺いいたしますけれども、国鉄の赤字がもちろん一遍になくなるとは思いませんが、しかし赤字がなくなったとしますと、一般会計からの支出は現在かなり高額のものが行われておりますけれども、それらのものは大体どれぐらいの額、一般会計からの支出をしなくてもいいのかどうか、それらの数字について御検討いただいておりますか。
○説明員(高木文雄君) 五十四年度予算におきましても、いま、一般会計の方から六千億を超える助成金をいただくことになっておるわけでございます。これは大変大きな金額でございまして、納税者の方々に御迷惑をかけること、きわめて大きなものがあるわけでございます。ただ、その中には、たとえば新しく線路を建設いたしますときの建設費の利子負担を軽減していただくための助成というようなものも入っておるわけでございまして、すべてが赤字のためのものではないわけでございます。
 それからもう一つは、率直に申しまして、実は現在私どもの方は職員が四十万強でございますけれども、すでに退職されました方が二十八万人おりまして、その方々のための年金負担といったようなものが非常に大きなものになってきておるわけでございまして、それをなかなか、私どもの経営を合理化をいたしましたり、あるいは運賃を改定さしていただきましても、とてもそういうものをこれから絶えず負っていくことはできないわけでございますので、まあ大変納税者の方々には申しわけないわけでございますけれども、抜本的に立て直しを図りましてもなおかつ、なかなか助成金なしではやっていかれないという状態にございます。
○井上計君 いま国鉄総裁、年金についてのお話がお答えの中へ出てまいりました。先般聞いたところによりますと、五十四年度、国鉄共済年金に対しまして、負担金及び追加費用として大体私の聞いておる範囲では約三千億円支出をする、このようなことになっておるようですが、事実ですか。
○説明員(高木文雄君) ちょっといま手控えがございませんが、六体それに前後する巨額の負担をいたしております。
○井上計君 この問題、もっと実は詳しくお聞きをして、また私も意見を申し上げたいと思っておりましたが、時間が実は余りございませんので、また別の機会にこれらの問題等についてもっと詰めていろいろと意見も申し上げて、またお尋ねもしたいと思います。
 そこで、いま一つお伺いいたしますが、国鉄には服装服務規程というものがあるんですか。それをお聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(高木文雄君) 「服制及び被服類取扱基準規程」というものがございます。
○井上計君 それはどのような内容ですか。
○説明員(高木文雄君) 国鉄では御存じのように制服が決まっておるわけでございますので、職務に服するときにはその制服を着て仕事をするというルールでございまして、その場合に、一定の決まりました制服を着用して、勝手にいろいろな物を、アクセサリーを、いい意味でも悪い意味でもつけてはならぬということになっております。
○井上計君 いま総裁は大変苦しい御答弁、アクセサリーを勝手につけてはいかぬと、こういうことでありますが、事実、国鉄の職員全部とは言いません、鉄労の人たちはつけておりませんけれども、国労、動労の人たちは年がら年じゅう大変アクセサリーをつけておりますのを総裁は御存じですか。
○説明員(高木文雄君) 主としていわゆる闘争が行われます時点におきまして、職員集団が自分たちの主張をアピールするという趣旨で、いろいろマークとか腕章とかワッペンとかいうものをつけるということが行われております。これは非常に遺憾なことでございますので、ずいぶん以前から、極力、いま申しました規程に違反するという趣旨で除去するように指導はいたしておりますが、それが必ずしも徹底をいたしていないということを認めざるを得ない現状でございます。
○井上計君 指導はしておるけれども残念ながらなかなか言うことを聞いてくれぬと、こういうふうな苦しいお立場のようでありますけれども、年末年始にかけては郵政マル生粉砕という大きなワッペンをつけておりましたね、それから、まあ賃上げ云々というのは若干まだ認められると思いますけれども、合理化反対であるとか、あらゆる組合活動のスローガンを全部、ワッペンなりリボンなりぶら下げておる。私はこれは服務規程に明らかに違反をしておると思うのですが、どうでしょう。
○説明員(高木文雄君) 御説のとおり、違反をいたしておるわけでございます。
○井上計君 違反をしておることが明瞭であって、実はそれを処罰するということはお考えになっていないんですか。
○説明員(高木文雄君) 私、古い時代のことを詳しく存じませんが、過去におきましては、かなりそうした問題で処罰といいますか、そういう強い処置がとられたことがございました。これが裁判所まで争いになりまして、ある時期においては私どもの主張が通りましたり、ある時期においては判決で私どもの主張が通りませんでしたり、まあいろいろなことを繰り返してきたわけでございます。現在では、長年のそうした経験から、何としても一人一人の職員がルールを守ろうと、これは何もその服務規程、服装規程だけじゃなくて、いかなる場合においてもルールを守ろうということを腹の中から考えてくれるような雰囲気がありませんと、単に見ばが悪いとか、あるいはお客様に不愉快の念を与えるとかいうだけじゃなくて、およそルールを守るということを徹底いたしませんと、安全の仕事をやっております関係もありましてよくないということで、ルールを守るという趣旨から、一人一人の職員に十分納得をさしてそういうことをしないような教育をしなきゃならぬというふうに考えて、そういう気持ちでやっておりますけれども、まあ現場現場によりまして、現場の雰囲気のいいところもあるし、どうも荒れているところもございます。また、現場の管理者の足腰がきちっとしているところもございますし、どうも残念ながら現場管理者がもう一つ締まっていないといいますか、毅然としていないといいますか、そういうところもございまして、現場ごとに非常に大きな差があるわけでございまして、これを大きく包み込んで全体の水準をどうして上げていくかということに腐心をいたしておるわけでございますが、かなり最近に至りましては、現場の管理者諸君の足腰も、少しずつ何といいますか腰がすわってきたという感じでございますし、職員諸君の方にも漸次反省の色が見受けられるのではないかと思っております。どうもしかし、ぱっとした、ずいぶん変わったねというところまでの変化が見られないのは残念でございますけれども、やっぱり何としても一人一人の職員自身がその気になりませんとうまくいかないので、いまおっしゃいますように、処罰とかなんとかいう形でなしに、何とかいまの事態を直したいという気持ちでおります。
○井上計君 いろいろと私自身意見を持っております。非常に総裁のお立場、お気持ちについては私も十分理解をしております。大変むずかしい、またお気の毒なお立場にあられるということについても十分承知をいたしております。ただ、国民が国鉄当局に対しまして、あるいは国鉄の職員等に対しまして、全部とは言いませんけれども、非常な不満を持っておる。それがただ単に、私鉄と比べて国鉄の運賃が高いからということだけでなくて、そういうふうな不満を持っておることが国鉄離れを起こしておる一つの理由でもあるというふうに思うのですね。もっと労使ともに大いにひとつ真剣に努力をしていただいて、そうしてむだな支出をなくするように、それで節約をしていただいて、貴重な国民の税金から国鉄の浪費に回さぬように、それらのことをぜひひとつ努力をしていただくことを、また国労、動労等についての違反行為についてはひとつ厳しい態度で臨んでいただくように希望しまた期待をいたしまして、総裁、大変どうも御苦労様でございました。
 次に、農林水産省にお伺いをいたしますが、昨年の三月の当予算委員会と六月一日の内閣委員会におきまして、私は行政改革の問題、具体的に農林水産省の中の生糸検査所と、食糧事務所の米穀検査の問題等について質疑を行っておりますけれども、その際、当時の中川農林大臣より前向きに対処していくという御答弁がありましたけれども、現在、この生糸検査所のその後の経過、また合理化の現況等について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(二瓶博君) 生糸検査所でございますが、これの合理化という面につきましては、特に職員の定員といいますか、こういう面につきまして合理化を特にやっていきたいということでございます。そこで、五十二年度末に八百六十人以上ありました定員を五十三年度までに約三百人減少させたわけでございますが、五十四年度におきましてさらに三十五人縮減をしたいということでございます。もちろん、今後につきましては、本年一月十六日の閣議了解「行政の簡素、効率化の推進について」というのがございまして、これに従いまして定員の計画的な縮減なり内部組織の合理化ということを図っていきたいということで、現在人員縮小の規模なり配置転換の方途なり鋭意検討を進めておるというのが現在の姿でございます。
○井上計君 ちょっと、いま五十二年度と言われましたね、八百人定員は。ちょっと間違いじゃないですか。
○政府委員(二瓶博君) 四十二年度でございます。どうも間違いまして失礼しました。
○井上計君 局長、大変御無礼ですけれども、横浜と神戸にありますところの生糸検査所を視察なすったことがありますか。
○政府委員(二瓶博君) 農蚕園芸局長を拝命して以降は、二月の十日に横浜の生糸検査所の視察をいたしております。まあかつてもおりましたことがありますので、その段階でもいろいろ検査所は見ておりますが、現職になりましてからはこの二月の十日に横浜生糸検査所を見ております。
○井上計君 二月に横浜の検査所を視察をされたそうでありますけれども、視察をされまして局長として、現在あの検査所の機構が果たして必要であるのかどうか、あるいはあの機能が現在の人員等からしてむだがないのかどうか、その点についてどのようにお感じになりましたか。
○政府委員(二瓶博君) 生糸検査が必要かどうかというお話でございますが、まずこの面につきましては、生糸はこれは天然の高級繊維で品質等の差が大きいわけでございます。簡単に品質等を判別するというのがむずかしい物品でございます。したがいまして、国内で流通をいたします生糸、これも現在二十六、七万俵ございますけれども、その取引の円滑化を図っていくというためには、やはり関係業界の信頼を得るに足る公正な機関の行います高度な検査がやはり不可欠であるというふうに考えておるわけでございます。全面的に民間に移管というようなのは困難ではなかろうか。そこで、現在検査をやっておりますときに、国の生糸検査所とそのほかのものもございますけれども、やはり国の生糸検査所、これにつきましては、この検査所で生み出された検査規格といいますものが国際規格になっておるというようなことでございまして、やはり検査技術の面では世界で一番すぐれておるというところでございます。したがいまして、今後とも検査の実施なり研究の推進、こういう面で国の生糸検査所は中核的な役割りを果たしていく必要があろうというふうに考えております。
 それから第二点は、必要性はそうであったにしても人員が果たしてあれほど要るかどうか、その辺の感想はどうかということでございますが、この面につきましては、最近の検査件数等に比べますと、やはり人員の方はこれは相対的には過剰であることは否めないというふうに私は感じました。したがいまして、先ほども御答弁申し上げましたように、計画的な縮減を図っていくというような方向で具体的な規模なり配置転換の方法等について検討しておる、こういうところでございます。
○井上計君 局長、型どおりの御答弁でありますけれども、五十二年の七月二十七日、行政監理委員会から出たこの合理化方策についての答申の中で、特にこの生糸検査所の問題が強く取り上げられておるのですね。これで見ましても、直ちに廃止とは書いてありませんが、ほとんど必要がないというふうなことが書いてあるわけですね。したがって、指定検査所をもっと国が指導すれば、実は事実上田立のこの横浜、神戸の検査所がなくてもいいというふうに思われるわけです。この勧告からいきましても。
 それから、いまいろいろとお話しになりましたけれども、人員も先ほど御答弁がありましたが、四十二年に八百六十二人、定員が。その後どんどん削減をしておると言われても、まだ五百六十何名。今度の三十五名削減と言われますが、実質は十五名削減でしょう。ただ、従来の定員の欠員を実はそのまま削減に回したということですね。だからそれらのことを、時間がありませんから余り細かく言いませんけれども、もっとお考えになりませんと、したがって一人当たりの検査量にしても指定検査所の四分の一だと、それから現在の検査量は、これは五十二年時点でありますけれども、最盛期の五分の一になっておる。そのようなことを考えますと、それは直ちに全廃はもちろん不可能でありましょうけれども、いずれにしてもこれは大変なむだがこの検査所にあるということは事実ですね。私も昨年横浜と神戸の検査所を直接実はいろいろと見てまいりました。見た感じは、大変なむだがある、これを国民が見れば怒るだろう、怒るのはあたりまえだ、それから同時に、働いている人が気の毒だ、こういう感じもしました、仕事が全くないわけですからね。全くとは言いませんが、ほとんどないでしょう。一日のうち八時間仕事なんかありゃしません、見ておっても。だから、これでは働く人が気の毒だ、こういう感じがいたしました。時間がありませんから生糸検査所の問題についてはこれ以上の質疑を続けることを控えますけれども、いずれにしてもこの問題についてはもっと積極的に取り組んでいただくということが私は必要だというふうに思います。
 次に、同じく農林水産省の関係でありますけれども、米の検査の問題等について伺いたいと思います。
 食糧事務所の米穀検査の現況、それから五十四年度の合理化、改革等についての方針をひとつお聞きをいたしたいと思います。
○政府委員(澤邊守君) 食糧事務所の職員は二万五百八十四名、これは五十四年度末にそれを目標にして五十四年度中にも四百三十一名の削減をすることにいたしておりますが、仕事の内容は、検査をやっておりますのがそのうちで一万四千名余りおります。そのときどきによって若干数は変更いたしますけれども、大体一万四千若干上回った人数が検査をいたしております。検査の対象は主として米でございまして、麦とか豆類、雑穀等も一部地域によってはやっておりますが、御承知のように最近それらの生産量が減っておりますので、それらの検査は業務としては減少傾向をたどっております。ただし、最近麦は一部生産が回復しておりますので下げどまっておるという現状でございます。なお、米につきましては、確かに生産調整もやっておりますので生産量そのものは減ってまいっておりますが、包装容器の軽量化というのが進みまして、現在米の検査は、毎個検査といいまして一袋ずつ検査をするというやり方をしておりますので、検査の対象個数は、生産量の、あるいは検査の数量といいますか、トン数では減っておりますけれども個数ではふえるというような傾向をたどっております。四十一年ごろを一〇〇といたしますと米で一三七、八%の検査対象個数になっております。それらの業務をやっておるわけでございます。業務の実態といたしましては、米の検査が中心でございますのでどうしても秋の収穫期に業務が集中をするということでございます。検査のほかやっておりますことは、買い入れ、これは検査と同時にやりますが、保管、輸送、売却、それらの業務に関連いたします調査あるいは流通、集荷業者に対します指導、監督といったようなこと、それからまた最近新しい業務といたしまして野菜の生産、出荷関係の確認事務、それからまた加工食品を含みました食品類の価格、需給、品質管理等につきましてのチェックを中心といたします巡回指導、点検事務というのをやっておりますし、五十四年度からは新たに食品の安全に関連いたします農薬の使用状況、それから飼料で添加物等を使いますけれども、これの使用状況につきまして種々基準を決めて指導しておりますが、これのチェックの仕事を食糧事務所でやるというような仕事を加えております。大体いまのようなのが業務の現状でございます。
 そこで、第二点のお尋ねの五十四年度においてどのような改善を加えるつもりであるかという点でございますが、まず、定員の削減につきましては、食糧事務所を中心といたします食糧庁関係は、政府全体の中でも一番厳しい削減をこれまでやってまいっておりまして、四十三年から定員削減始まっておりますが、当時二万八千おりましたのが、現在は約二万一千と、さらに五十四年度中に四百三十一人の削減と省内での振替をやることにいたしておりますので、それを入れますと七千六百人ぐらいの減少をいたしておりまして、約二七%ぐらいの減少をこの十二年間にやったということになるわけでございます。そのようなことを五十四年度におきましても削減をしてまいるということでございます。
 第二点といたしましては、組織につきまして本所、支所、出張所の三段階制をとっておりましたが、昭和四十六年以来本所と支所だけの二段階制に改めるということで進めてまいりまして、五十四年度末では五十五の出張所を残しまして、当時二千八百ありました出張所を五十五ぐらいまで減らすということで、五十五年度中にはゼロにしてまいりたいということで、五十四年度中には二百三十七カ所の出張所を減らすことにいたしております。なお、支所におきましても今後約一割程度減らしてまいりたいというふうに考え、一部五十四年度についても手をつけていきたいというふうに考えております。
 それから、なお先ほどの現状におきまして若干御説明申しましたように、食糧管理業務以外の新しい行政需要に対応する仕事を食糧事務所の職員を活用して行わせるということで、これまで野菜と食品と二つやってまいりましたが、食品の価格なり品質あるいは需給動向等についての調査、チェックをやってまいりましたが、五十四年度から先ほどもちょっと触れましたように食品の安全性を確保するための農薬、飼料の使用状況についての確認、調査というようなことに二百五十六名を一般会計に振りかえまして行わせるというようなことをやっておりますので、これは五十四年度からやるわけでございますが、今後もそのように新しい行政需要に対応した仕事の方に活用していくということを一層進めてまいりたいというように考えております。
 なお、検査業務の簡素合理化につきまして、一気にはできませんけれども、種々引き続きやっておりますことのほか、特に昨年御質問いただきました以降実行いたしましたものといたしましては、検査等級区分が五段階になっておりましたものを昨年から、昨年といいますか五十三年の収穫期から三段階制に簡素化をいたしまして効率化を図っております。抽出検査あるいはバラ検査あるいは検査場所の整理統合とかあるいは農協等による協力を一層強めていく、協力を受けるようにして直接食品の事務は簡素化していくというようなことは引き続き進めておるところでございます。
○井上計君 いま米の検査官は一万四千何がしと、こう言われましたね。ところが私がいただいている資料からいきますと、五十四年度は一万七千三百人の検査官が実在と、こういうようになっていますが、それはどう違うのですか。
○政府委員(澤邊守君) 確かに先生の御指摘いただきましたのは、当時は約一万七千八百名近くおったかと思いますが、これは食糧事務所の職員のうちで必要に応じて検査官を任命するということになっておりますので、やや余裕をもって検査官を任命しておりましたが、実際に検査業務をやっておりますのはそこまでの数には至っておりませんので、実際に検査に携わっている者だけに任命をするというように改めまして、その結果昨年の八月一日現在で一万四千五十三名ということでございます。
○井上計君 昨年の八月で一万四千人になっているけれども、五十四年度ではまた一万七千三百人ということじゃないんですか。
○政府委員(澤邊守君) それは昨年の八月以前の話でございますので、五十四年度は実際に任命いたしますのは、一万四千五十数名というのとそう大差なく任命をすることになると思います。
○井上計君 といたしますと、じゃ食糧庁全般の人数は五十四年度は何人ですか。
○政府委員(澤邊守君) 食糧庁の職員は、食糧事務所が二万五百八十四名と先ほど申しましたが、五十四年度の末の定数というふうに御理解いただきたいと思いますが、五十四年末にはそれに本庁と、講習所が一カ所ございますので、それを加えまして、全体は二万一千八十八名でございます。
 以上でございます。
○井上計君 ということは、検査官については確かにいろんなことで配置転換等があったかもしれませんが、若干減っておりますけれども、全体の人数はそれほど減っていないということになりませんか。
○政府委員(澤邊守君) 二万一千八十八名のうちで二万五百八十四名が食糧事務所でございますので、食糧事務所の職員がほとんど大半でございます。先ほどお答えいたしましたのは、食糧事務所の職員の減少が七千六百名になるということを申し上げたわけでございますが、本庁の方は、四十三年から定員削減が行われましたが、四十二年当時の本庁の職員は五百六十二が五十四年末では四百七十七ということになりますし、講習所という小さな機関がございますが、これは二十五名が二十七名ということで、これは二名ばかり講習を強化しております関係でふやしておりますが、食糧事務所も、内部部局である本庁もそれなりの減員をしておるわけでございます。
○井上計君 時間がありませんので、私の調査したことと大分違うので合点がいかぬ点がありますが、これはまた後日に譲ります。
 ずばりお聞きしますけれども、長官、現在の食糧事務所関係の人員は過剰だとお思いですか、それとも適正だとお思いですか、これをひとつお伺いしておきます。
○政府委員(澤邊守君) 地域差と時期差がございますので一概には言い得ませんけれども、全体としてはまだまだ合理化の余地があるというふうに思いますので、私どもといたしましては、できるだけ新規の行政需要に振りかえていくという努力をしたいと思っております。
○井上計君 検査官、食糧事務所関係の職員全部含めてよろしいわけでありますが、兼業農家、すなわち自分のうちで奥さんなりあるいはお父さんなり息子なりが農業を営んでいる兼業農家の職員はどれぐらいあるとお考えですか。
○政府委員(澤邊守君) これは食糧事務所の職員全体でございますので、検査官だけではございませんが、いまの数字はそれのほか持っておりませんので、それでお答えいたしたいと思いますが、昨年の調査で約二万一千人中兼業農家は七千九百人ということでございますので三八%、これは県によりましては七〇%超すところもございます。
○井上計君 県によっては七〇%のところもあるというお話でありましたが、私の聞いておる範囲、もちろん正確な数字ではありませんけれども、大体トータルで七〇%ぐらいは兼業農家の職員がいるということを実は聞いております。実はこの問題についてもっとお伺いしたいと思いますし、また農林大臣は先ほどから大変御熱心にメモをとっていただいておりますし、農林大臣にいろいろとまたお伺いいたしたいのですが、実は厚生大臣に特に社労からお越しをいただきますので、厚生大臣が見えましたら厚生大臣にお伺いをするといたしまして、後でまた農林大臣にいまの生糸検査所それから米の検査制度、食糧事務所の職員の数、それらについてひとつお伺いをいたしたいと思います。
 厚生大臣がいま特に社労からお越しをいただきましたので、それでは厚生大臣に早速お伺いをいたしたいと思います。
 厚生大臣、去る二十日のことでありますけれども、日本医師会武見会長の名前で、このような「健保法が通ったら」という全面広告、意見広告が出ておりますけれども、これはお読みになりましたですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 職責上一応全部目を通しております。
○井上計君 大臣どのようにお感じになりましたでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) この前、本委員会で同様の御質問をいただきましたときに、うらやましいな、厚生省もこれぐらいのPR費用が持てたらなということをちょっと申しましたけれども、率直に申して、本当に大きな広告だなという感じと同時に、現行の現在国会に提案をしております政府の提出案件であります健康保険法改正案に対する一つの意見の表明として受けとめております。これは日本医師会だけではなく、健保連その他あちらこちらからいろんな御意見が寄せられておるわけでありますが、私どもとしては、外部でそうした御意見がどんどん出てくることと同時に、国会の中でも一日も早く御審議を願いたいという感じを持っておるわけでありまして、率直な感想を申し上げればそういうことになろうかと思います。
○井上計君 厚生大臣の御感想はわかりましたけれども、実は私ずっとこの広告を見まして事実と違う点が幾つかあるということを、実は私素人でありますけれども感じた点があるわけです。どうですか、事実と違う、すなわちはっきり言いますと虚偽の内容が掲載をされておる、このように私は感じ取っておりますが、その点についてはお感じになりませんでしたか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私は意識して虚偽とは考えませんけれども、一部事実の誤認があることは間違いないと思います。
○井上計君 それはどの点ですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 私はいま手元に持っておりませんので、全部については申し上げられませんけれども、たとえば一つ例をとりますと、健康保険の一部負担金につきまして、たとえばそこの文章で言えば、医師の収入であると思われているようですけれど、実はこれは保険者、健保連が自分たちのふところに入れるものであって医師の収入には全然無関係なものという記述があったと思います。これは、一部負担金は全額保険医療機関の収入になるわけでありまして、この点は事実誤認の一つの例でございます。
○井上計君 いま厚生大臣がお述べになりましたが、これは一部誤認という程度のものでしょうか。実は逆に意識した虚偽の広告内容だというふうに私は感じておりますけれども、そうではありませんか。
○政府委員(石野清治君) ただいま大臣がお述べになりました点でございますけれども、こういう一部負担金が全額保険者の方に入るもので医療機関には関係ないということを言っておりますけれども、これはどういう発想で出てきたのかちょっと私ども理解に苦しみますけれども、ただ一つ考えられる点は、考え方の違いが一つあると思うのでございます。一応医師会の方は十割給付ということを前提に物を考えておりますので、十割給付でございますと、当然医療機関の方は保険者の方に医療費を請求する、一部負担金は当然保険者が取ればいい、こういう発想になりますと、その一部負担金なるものはあくまでも保険者が取るべきものであって、医療機関に全く関係ないじゃないか、こういう発想からだと思いますけれども、これはやはり現行の制度とは違う、こういうことでございます。
○井上計君 大変医師会の弁護をしておられるように実はどうも聞き取れるのですけれども、実際にこの広告の文面から見ますと、要するにこれは医者の収入には全くなっていない、一部負担金は。初診のときあるいは入院のときも、すべてそれは保険者あるいは健保連の収入であると明らかに書いてあるんです。これは事実と全く違うと、こう思うのです。
 このような、ほかにも実は若干おかしいところがあります。時間がありませんからもう指摘をしませんけれども、このような虚偽の広告が出されたことについて、厚生省としては特に医師会に対しましての忠告といいますか、それらのことについてはなされたのですか、それともどうなんですか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 健康保険法改正案につきましては、いま御指摘になりました日本医師会の意見広告のほかにも、たとえば健保連の広告でありますとか、いろんなものが実は出されております。私どもできるだけ目を通すようにいたしておりますが、やはり御自分の都合のいい部分を強調されているというケースは往々にしてありがちのことでございます。私どもとしてはそれを一一取り上げて抗議等はいたしておりません。あるいは訂正等を申し入れるというようなことはいたしておりません。それよりも、国会の御審議の場などを通じまして、むしろ今回の改正案の内容、趣旨というものについて広く国民の方々に御理解をいただく方がより重要なことであろうと考えております。
○井上計君 国会の審議、もちろん国会の審議の中でこれらの問題等について明快にしていくということ当然でありますけれども、このような間違った広告が広くなされておるということについて、国民が大変実は惑わされる、こういう点を懸念をいたしますので、今後十二分にこういうふうな問題等については善処願いたいというふうに思います。
 そこで、もう一つお伺いいたしますが、政管と健保組合との財政調整については厚生大臣はどうお考えでありますか、お伺いいたします。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 厚生省としては、現在国会に御提出をいたしております健康保険法の内容にも明らかなとおり、これは健康保険組合と政府管掌健康保険のみならず、共済までを含めた、私どもは将来実質的な一本化というものが必要であるという認識に立っております。ただ、その過程において、それぞれの制度の違い、それに基づく給付内容また負担の方法の違い、さらには、政府管掌健康保険の場合で言いますと、累積赤字等、一つにまとめていきます過程において、それ以前の段階で処理をしておかなければならない問題が幾つもあるわけでありますから、健康保険法の改正案の中にも、将来において別の法律をもってそれについては定める、それまでの間は組合管掌健康保険内部においての財政調整を行うという内容をとっておるとおりでございます。
○井上計君 厚生大臣、現在健保組合が行っております企業努力といいますか、レセプトのチェック等大変厳しくやって、いわばようやくにして黒字を出しておるというふうな組合が非常に多いわけですね。しかし、それでもなおかつ赤字であるという組合もあるわけですけれども、このような健保組合の企業努力についてどう評価されておりますか。同時にまた、聞くところによりますと、健保組合に対して余りレセプトのチェックを厳重にしないようにというふうな、そのような勧告か指導か何か知りませんけれども、そのようなことが最近なされたというふうに確聞をしておりますけれども、そういう事実があったのですかどうですか、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(石野清治君) 健保組合の方で医療費につきましていろいろ合理化について努力をしていることは私どもも認めておるわけでございますが、同時に、健保組合と政管健保の間にもかなり体質の差もございます。健保連が言っているように全部が全部合理化によって黒字になったと、こういうふうに私ども考えていないわけで、ある面は非常に努力をいたしてその結果によって黒字になっておりますけれども、ある面では体質的にそもそも黒字になる要素がある、こういうことでございます。
 第二点でございますけれども、健保組合が医療費についていろいろその審査をすることについてチェックをするという行政庁のあり方はどうかという話でございますけれども、私どもはこの健保組合が医療費のお知らせ運動をやることにつきましていろいろ被保険者の、何といいますか、秘密の保持というような問題もございますので、医療費そのもののお知らせ運動をやってはいけないと言っているわけじゃなくて、やる場合につきましては十分な留意をしてほしい、こういう通知を出しておるわけでございます。
○井上計君 十分な留意とおっしゃいますけれども、それはどういう点ですか。要するに患者の秘密保持というふうな点についてということであるのか、それともほかに何かお考えがあるんですか。
○政府委員(石野清治君) たとえば医療費をお知らせする場合でも、私の方は医療費のかかった金額そのものを知らせてほしい。たとえば病気がどういう病気であってそれに幾らかかったとなりますと、その病気そのものは被保険者にとっては大変、たとえば知らせてはならないような問題もございます。それから家族にとっても大変な問題がございますので、そういう秘密の保持ということを十分やってほしいということが一つ、それからやる場合には被保険者自身にやってほしい、つまり事業主を通してやりますと人事管理上いろんな問題が出てまいりますので、そういうことも留意してほしい、こういうことを申し上げているわけでございます。
○井上計君 健保組合のそのような努力に対して少しでも赤字を出さないように、少しでもやはり医療費を低減をしよう、こういうふうな努力に対して水を差さないように特に今後とも慎重に御配慮をいただきたいということを大臣にひとつお願いをしておきます。
 それから、先ほど局長が、努力をしておる組合もあるけれども体質上当然黒字になるという組合もある、こういうお話でありましたが、健保連傘下の約三分の一は中小企業の事業所の被保険者をもってつくっておる実は総合健保ですね。それらの努力は大変なものです。だからせめて、政府管掌の健保もそのとおりとは言いません、何分の一かぐらいの努力をしていただけば、私は現在のような大幅な赤字はかなり防げる、このように考えておりますが、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 先ほど私ちょっと言葉を言い間違えました点がありましたようなので先に訂正をさせていただきます。その財政調整のお尋ねでありましたのに対して、その政府の案として将来における政府管掌、組合管掌だけではなく、共済までも含めて何か一本化という言葉を私使ったようでありますが、これは大変申しわけありません。負担、給付の公平を、バランスをとるというつもりで御説明をしたつもりが、言葉を過ちましたようなのでその点は訂正をさせていただきます。
 また、いま御指摘のありましたような点について私どもも十分留意をいたします。ただ、よく御承知のように、総合健保の場合でありましても、実は政管健保に比べますとやはりそれでもまだ平均的に所得は多いわけでありますし、年齢構成も低いわけでありまして、条件的には政府管掌健康保険に比べるとより恵まれた面があることもこれは事実でございます。私どもとしてはそういうことも踏まえながら、先ほど申し上げましたように現在の組合管掌健康保険内部の財政調整というものについては、少なくともこれは自主的にやっていただきたい。そのための法律改正というものを健康保険法の中に盛り込んでおるわけでありまして、そうした点ぜひ御勘案をいただきたいと存じます。
○井上計君 大臣大変済みません。もう時間がございませんので、どうかひとつ社労の方へお越しいただいて環衛法をひとつお願いをいたしたい。どうもありがとうございました。
 農林大臣、お待たせしましたけれども、先ほど私が政府委員の方々と生糸検査所の問題、米の食糧事務所の問題等につきましていろいろと伺いましたけれども、お聞き取りいただいておりましてどのようにお考えでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) あなたの御発言を一貫して聞いておりますと、要するにこの消費税を取るような状態ならば、政府がもっと自分たちのむだを省けと、こういうふうな趣旨で貫かれておると私は思います。その精神は私も全く同じ考えでございます。
 この生糸検査所の問題につきましてはこれは御指摘のとおりだろうと私は思っております。問題なのは、非常に女性で高齢者が比較的多い。問題はどうしてやめてもらうか、やめてもらうにしても、政府は民間に対して雇用の確保というようなことをいま言っている最中でございまして、なかなかほかに職もないのにすぐやめろということも現実的にはなかなか言えない。そこで、これも景気の回復と相まって、やはりいままでの仕事に何かなじむようなところで、しかも年金をももらえるというような人などについては極力生活に支障のないような工夫をしながら、一方、仕事がなくて税金でお金を払っているということもこれも問題ですから、何かそんなことも考えたり、まず農林省の内部で必要な部門もあるわけですから、そういうところに配置転換を進めるとか、いろんなことで要するにむだな時間を空費するということのないようにこれは極力していかなけりゃならぬ、かように考えております。
 それから、食糧検査員の問題でございますが、この問題も長官からお話があったように、個数がふえたとか、あるいは機械化になって検査が一時的に集中するとかということは事実ございます。しかし、これはやり方でして、何とか今後もバラ貯蔵、バラ輸送とか、もみ貯蔵とか、そういうふうなことの方針を進めていけば抽出検査でもいいわけですから、そういうような制度、それから施設、そういうようなものとのみんな絡んだ話であります。これも私としては、やはりぶらぶらしておってみんな世間の人から非難を受けるようなことがもしあれば、これは本人も困るし社会的な地位というものにも決していい影響はない。したがって、これなども極力農林省の中で新しいニーズがあるわけですから、その方面にはことしも何百人か振り向けておりますが、極力そういう点では新しい国民のニーズに対応するような配置がえですね、それを最優先的に行う、後は不補充とか、いろんなことをやって仕事にも支障のないようにしながら、御趣旨に沿ってなるべく世間からの批判のないようにしてまいりたいと考えております。
○井上計君 大臣から前向きにお答えをいただきましたけれども、いずれにしても大変なむだがあることは、これはもう事実だと思うのですね。私は実は米の問題にも生糸の問題にも全く素人なんです。ところが、なぜそのようなことを調査をしたかと言いますと、実は私のところに周辺の人から、あんなものを見ておったらもう税金を納めるのがいやになる、こういう実は申し出があった。それで実は生糸検査所を見に行ったということなんですね。昨年私が質問をいたしましてから若干新聞等にも出たようであります。したがいまして、それ以降私のところへいろんな、この食糧事務所の状態等につきましてずいぶんと実は手紙をもらいました。どの手紙を見ても、こんな状態を放置しておくならわれわれは税金を払うのをやめるぞというふうな実はずいぶん声がありますね。そういうような点もぜひお考えをいただいて、先ほど来政府委員のお話がありますけれども全く遅遅として合理化は進んでいないと、こういう感じを持ちます。大いにひとつ積極的にお進めをいただきたいことを、ぜひひとつお願いをしておきます。
 そこで、金井長官ひとつ、いままでの私の質疑、お答え等をお聞きになりまして、どうお感じでありましょうか、お伺いをいたします。
○国務大臣(金井元彦君) ただいまの点でありますけれども、これは昨年の委員会におきまして井上委員から御質問がありまして、それに対して前行政管理庁長官なり前農林水産大臣からかなり前向きのお答えがあったことを私は速記録で拝見をしたわけであります。で、ただいまは農林大臣からもいろいろ苦労をしておる、何らかのやはり前向きの道を発見すべく努力をしておられるということは、まああのお答えの中で井上委員おくみ取りいただけたことじゃないか、こう思うのであります。私どもも、この生糸検査所の問題につきましてはこれは現在ではその縮減なり能率化について言っておりますけれども、さらに基本的な見直しという点もやはり考えなければならぬじゃないか、こういうことで、ただし、これはそう右から左に簡単にできるものではありませんので、よくその点を掘り下げてやってまいりたい、こういうふうに考えております。
 それから、米穀検査の問題でありますが、これはもう先ほどからお話し合いのありましたとおりのことでありまして、私どももこれもやはり国民の批判される点については、これはやはり十分それにこたえるだけのことをしなきゃいけないんじゃないか、こういう考えを持っておりまして、農林当局とさらに緊密に連携をいたしまして前向きの姿で進めたい、かように存ずる次第でございます。
○井上計君 金井長官、二月の十三日でありますが、政策推進労組会議というところから行政改革について長官あてに要請書が出ておりますが、ごらんをいただいたと思いますけれども、やはり国民の声は非常に高まっております。ところが、逆に大平内閣は行政改革については後退をした、消極的だということも実は新聞で報ぜられておりますように、国民はそういう印象を持っておりますので、ぜひ強力にひとつお進めをいただくことを要望しておきます。
 そこで郵政大臣、お待たせをいたしましたが、郵政省にもかなり国費の浪費、むだがあるというふうに聞いておりますが、時間がありませんから一点だけお伺いいたしますが、この年末年始における年賀状闘争につきまして、郵政省、まだ先般繁忙手当を、何か二十年前からの慣習というようなことでお出しになったと、こう聞いておりますが、どうなんでしょうか。
○政府委員(守住有信君) お尋ねのとおり、昭和三十二年からこの年末年始の特別繁忙手当というものを労働組合との間に団交、協議いたしまして、協定を結んで支給しておるということでございます。この理由でございますけれども、年末というのは御承知のとおり平常の数倍に及ぶような一般の郵便物、それから年賀状というのを処理するわけでございますので、ふだんの勤務時間中も非常に労働密度が高くなる、あるいはまた時間外の問題で健康管理等の問題もある、あるいはまた労働組合職員にも時間外についてあるいは年末年始につきまして協力をもらう、こういうふうな意味合いにおきまして、三十二年以来このような手当を創設し、毎年協定を結びまして支給しておる、こういうことでございます。
○井上計君 あれだけ国民に迷惑かけて年賀状を一月の二十五日ごろ配達した、それでもなおかつ繁忙手当が出る、まあ全くうらやましいなあというのが国民のもう率直な声であるということを時間がありませんからそれだけ申し上げておきます。
 それからもう一つは、すでに衆議院の段階におきましても逓信委員会で論議されたようでありますから、私もあえて重複した質疑は避けますけれども、全郵政の働いた諸君が実はもらわなくて、全く働かなかった全逓の人たちがもらっておるという、非常にばらつきがあるということですね。このような矛盾を早くなくしていただかぬと、ますます国民から怨嗟の声が起きるということをひとつ申し上げておきます。もう御答弁結構であります。
 そこで、官房長官にせっかくお越しいただきましたので、ひとつ官房長官にお伺いをいたしたいと思いますが、まあ年金等の官民格差がずいぶん言われて久しいわけであります。非常に国民の不満が実は高まっておることも御承知のとおりであります。それにつきまして、受給年齢の引き上げ等、公務員の年金等について検討が行われておるということについては、これは承知をしておりますけれども、ぜひ速やかに国民が納得できるような具体案を早く発表していただくということを、これは官房長官お一人の責任ではありませんけれども、各省庁に対しまして十分ひとつ督励をしていただくということをお願いをいたします。
 そこで公社、公団、特殊法人等の天下りという言い方がいいか悪いか知りませんけれども、役員の方々の給与、退職金というか、これまた大きく問題になっておりますが、これについてはきょうは時間がありませんから私は触れません。ところがそれらの人たちがまあいわばかなりの高額の給与を得ておられますけれども、同時に、あわせて年金なり恩給なりを受給をしておられるという事実があるわけですね、これは御承知だと思います。大蔵大臣、大変御無礼ですけれども、大蔵大臣は年金を受給しておられますか。
○国務大臣(金子一平君) 旧文官恩給をもらっております。
○井上計君 官房長官、ひとつお聞きいただきたいのですが、私が実はいろいろと、必ずしも絶対正確ではありませんが、調査をいたしました数字によりますと、現在総理大臣以下二十一名の閣僚の中で恩給、年金を受給しておられます方々が実は六名あるいは七名かと思いますが、おられますね。それから国会議員は衆参両院でいま欠員がありますから一応七百五十名といたしましょう、その中で文官恩給を受けておられる方が三十八名、国家公務員共済の年金が七十六名、地方公務員共済年金受給者二十一名、公共企業体共済年金が十四名、軍人恩給はちょっと不明でありますけれども大体二十名程度おられる、こう思います。したがって合計百七十名になります。七百五十名中百七十名が何らかの年金あるいは恩給を受給しておるという、こういう事実があるのです。私は、ここで時間がありませんから率直に申し上げますけれども、現在のやはり国民の不満をやわらげる、先ほど大蔵大臣にも申し上げましたけれども、国民がこういうふうなむだがあり、あるいは不公平な中でこれ以上税金を取られることはかなわぬ、けしからぬという声があるわけですね。だから、そういうふうなやはり国民の理解、納得を得た上でやはり一般消費税を創設すべきである、こういうふうなことでいま申し上げたわけでありますけれども、そこで私はこの恩給法、年金法等の改正はそう容易ではないと思いますが、少なくとも国及び国に準ずるところから給与を受けておる人たち、公社、公団の役員あるいは特殊法人の役員あるいは国会議員、それらの人たちは在職中はこの年金あるいは恩給等についてはこれを辞退をする、こういうふうなことをひとつ考えたらどうかという、これは提案でありますけれども、官房長官はどうお考えでしょうか。
○委員長(町村金五君) 時間が参りました。
○国務大臣(田中六助君) いま国会議員で百七十名、閣僚で六名か七名の恩給あるいは年金の受給者がある、こういうのはいろんなことがあろうが、給与ももらっているのだから、高給をはんでいるのだから、これをやめたらどうかという御意見でございますが、御承知のように、恩給はやはり一定の条件がございまして、退職後に就職をするあるいは職業についた場合それに差別を加えないということで決まっておりますし、また各種の年金につきましても、やはり恩給と同様に、保険集団から離脱して職業についた場合、つまりやはりこれも職業の差別をつけないということになっておりますので、これ自体一定の給与というものと職業の差別をつけないということは決っておる相反することでございますので、私どもとしては、あなたは恩給、年金をもらうことを御辞退なさいという勧告とか、あるいはそういうことはできないと思いますが、やはり一定の給与をもらった場合、恩給の場合はこれを停止するというようなこともありますし、現在各種年金についても改正法というようなことを国会などで考えております。したがって、将来そういうことになるかもわかりませんが、現在のところはやはり職業の差別をしないというようなことでやっておりますので、官房長官あるいは私としてはこれをどうというようなことはできない現状でございます。しかし委員のおっしゃる方向ということは、一応いろいろなところで考えられていることだし、私どもも頭には入れなくちゃいかぬというふうに考えます。
○井上計君 もう一問、簡単です。
 官房長官、いまの段階でそのような辞退の勧告はできないということであります。もちろんその点についてはわかります。しかし、それぐらいのことをやっていただくということは、やはり今後のためにも必要だ、こういうことで、大変御無礼でありましたが、私はあえて提案をいたしました。なお今後、年金法あるいは恩給法等改正の中でそれらの点を十分お含みいただいて御検討いただきたいと思います。
 そこで大蔵大臣、先ほどからずうっと行政のむだ、余りにもむだが多過ぎて、これではなるほど国民が一般消費税に反対するのは当然だということがおわかりいただいたと思うのですが、それでもなおかつ五十五年度早期に一般消費税を導入されるお考えに変わりがありませんかどうか、最後にそれを承って終わります。
○国務大臣(金子一平君) 財政事情から申しましたならば一刻も猶予できない。毎年毎年多額の国債を発行して財政を運営するようなことをやりましたら、それこそ、本日も朝からいろいろお話が出ておりましたようなインフレ経済に突入する危険があるので、それを防止する意味においても、これは本当に真剣に私どもは取り組まなきゃいかぬ問題であると考えておる次第でございます。ただ、役所側としても、大変残念なことでございますけれども、まだ中身の調整中でございまして、納税者の皆さん方に細かい点についての御理解をいただくまでに至っておりません。これは一刻も早く私どもとしては作業を進めまして、こういうことで手をかけないように極力便宜を図りながら御協力いただけるように持っていきたいのだということを納得していただけるようにこれからも努力してまいるつもりでございます。
○井上計君 終わります。(拍手)
○委員長(町村金五君) 以上で井上君の一般質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(町村金五君) この際、分科会に関する件についてお諮りいたします。
 本件に関する理事会における協議決定事項について御報告いたします。
 分科会開会の日数は、明二十八日午後から来る三十日までの三日間とすること、分科会の数は四個とし、その所管事項、分科担当委員数及び各会派への割り当ては、お手元に配付いたしました資料のとおりとすること、分科担当委員の選任並びにその辞任の許可及び補欠選任については先例により委員長に一任すること、分科会への参考人の出席についてはその取り扱いを委員長に一任すること、以上でございます。
 右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三分散会