第091回国会 大蔵委員会 第4号
昭和五十五年三月四日(火曜日)
   午前十時三分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         世耕 政隆君
    理 事
                中村 太郎君
                細川 護煕君
                矢追 秀彦君
    委 員
                浅野  拡君
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                嶋崎  均君
                藤井 裕久君
                藤田 正明君
                片岡 勝治君
                丸谷 金保君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                佐藤 昭夫君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       経済企画庁物価
       局審議官     坂井 清志君
       大蔵政務次官   遠藤  要君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        名本 公洲君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵省主計局次
       長        禿河 徹映君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       国税庁直税部長  矢島錦一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       教育課長     菱村 幸彦君
       文部省初等中等
       教育局教科書検
       定課長      上野 保之君
       厚生大臣官房国
       際課長      金田 伸二君
       厚生省公衆衛生
       局結核成人病課
       長        大池 真澄君
       厚生省医務局国
       立病院課長    七野  護君
       自治省行政局選
       挙部政治資金課
       長        緒方信一郎君
       日本専売公社総
       裁        泉 美之松君
       日本専売公社総
       務理事      小幡 琢也君
       日本専売公社総
       務理事      石井 忠順君
       日本専売公社理
       事        立川 武雄君
       日本専売公社理
       事        後藤  正君
   参考人
       日本銀行総裁   前川 春雄君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
○筑波研究学園都市移転跡地の利用に関する請願
 (第六一号外四件)
○一般消費税新設反対に関する請願(第六六号外
 一七件)
○預貯金の利子引上げに関する請願(第八八号)
○一般消費税導入反対等に関する請願(第一八〇
 号外一件)
○陸上公共輸送整備特別会計の創設に関する請願
 (第一八二号)
○税理士法改正法案の試験制度改正反対に関する
 請願(第二九八号外七件)
○財務局の熊本市存置に関する請願(第三三四号)
○税理士法改悪反対に関する請願(第三四〇号外
 三一件)
○税理士法改正反対に関する請願(第三六四号外
 一件)
○家具物品税撤廃に関する請願(第三九四号外一
 件)
○税理士法の一部改正案反対に関する請願(第四
 一一号外一〇件)
○税理士法改正案反対に関する請願(第四九九号
 外五件)
○税理士法改正案の廃案に関する請願(第六九六
 号外一六件)
○一般消費税実施反対等に関する請願(第八三三
 号)
○日本専売公社法等の一部を改正する法律案(第
 九十回国会内閣提出、第九十一回国会衆議院送
 付)
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○委員長(世耕政隆君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(世耕政隆君) 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 前回に引き続き、財政及び金融等の基本施策についての大蔵大臣の所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木一弘君 最初に、日銀総裁、きょうはせっかくの政策委員会等がおありのようでございますので、冒頭に御質問申し上げたいと思います。
 二日の日曜日に、御承知のように、政府、日銀が円防衛の緊急対策を発表しましたけれども、これによって円相場の下落を防止できるということについては、可能性は非常に少ないのではないか。たとえば、大きな経常収支の赤字の問題、それから原油価格がこれからまだ上がるだろうという予想もございます。そういうことが改まらなかったならば、一体どうなるだろうかというようなことがあります。その点で、そういう見方もありますけれども、日銀総裁の見解をまず伺いたいと思います。
○参考人(前川春雄君) 円相場が最近――最近ではございません、昨年から強くないわけでございますが、それはただいま御指摘のように、基本的には、日本の国際収支の経常勘定の赤字がかなり大幅である、さらに石油情勢が不安定であって、今後も国際収支には悪い影響があるかもしれないという懸念が一般に広まっておるということが、基本にあると思います。しかし、国際収支自身も、経常勘定、なかんずく貿易勘定はすでに着実に改善の緒についておるわけでございます。したがいまして、そういう事態がはっきりいたしますれば、こういう市場の状況も心理状態も、また変わってくるものであろうというふうに思っておったわけでございます。
 ところが、市場心理は二月以降極端に円安の方向にぶれてまいりました。二月中に円は、一月末の二百三十八円から二月末の二百四十九円まで十一円、一カ月の間に円安になったわけでございますが、その間、これだけの、四%以上の円安が一カ月の間に起こるということは非常に異常でございます。そういう円安が起こらなければならないような経済的な事情というのはなかったというふうに、私どもは思っております。そういう意味で、円安は明らかに行き過ぎである、そういう市場心理は明らかに行き過ぎであるというふうに、われわれは判断いたしております。
 同時に、二日の夜、アメリカ当局も日米協調の見地から声明を出したわけでございまするが、その中にも、日本当局のいまの為替市場、この円安状況に対する懸念について、米国政府も同じ懸念を持っておると。しかも、行き過ぎた円安というものを防止するために米国側も介入するし、スワップの引き出しにいつでも応ずるということを声明しておるわけでございまして、円安が行き過ぎであるということは、私どもが見ておりまするだけでなしに、アメリカ当局もそういうふうに思っておることが声明にも書いてあるわけでございます。
 そういうことで、昨日の市場ではかなり強度の介入をいたしました。その結果、金曜日は二百四四十九円であったわけでございますが、昨日は二百四十八円でひけたわけでございます。途中の段階では、二百四十七円台も出ておったわけでございます。東京のマーケットが閉まりましてから後ロンドンあるいはニューヨークのマーケットが開いたわけでございますが、いずれにおきましても、二百四十八円五銭ぐらいのところでひけております。しかも、本日の東京の為替市場の寄りつきは二百四十七円九十銭、現在のところはさらに若干円高になりまして、二百四十七円八十銭ぐらいのところに推移しております。
 そういう意味で、行き過ぎました円安に対する市場心理が、こういう当局の強い態度、しかも国際的協調のもとに、各国もこれに対応して海外でも円の買い支えをやっておりまするが、そういう態度から市場心理が変わってくることは、十分期待できるというふうに私ども考えております。
○鈴木一弘君 いまの答弁でもわかるのですけれども、しかし、いままでのこのところの一年間を見てまいりますと、昨年五月に円安の防止策を発表して、ちょっとの間、円相場の下落は防止された。その次に、十一月二十七日に円安防止策が発表されて、また円安が若干回避されたと。しかし、しばらくたつと、また再び円安に皆なっているわけです。だから、そういう点で、四回にわたる公定歩合の引き上げをやっていながら、まだまだこれでは不十分という空気があったので下がってきたのだと思う。これから先、そういうことになると、第四次どころか第五次の公定歩合の引き上げやそういうものまで考えなければならないのじゃないか。
 いまのところは、確かにおっしゃったように効果は若干出ておりますけれども、どうも下げ足が、しばらくの間休憩してはまたいわゆる円安というふうに、こうなっていくというそういう傾向がありますので、その点をひとつどう考えているか。
○参考人(前川春雄君) 為替相場がどういう要因によって動くかという点につきましては、いろいろの理由があるわけでございまするが、国際収支が一番基本的な背景になるわけでございます。
 その国際収支の中でも経常勘定つまり貿易勘定――輸出輸入でございますけれども、そういう状態が大きな要素でございますが、それ以外に資本勘定によって外貨が入ってくる、あるいは出るということによって、為替市場に、相場に影響をもたらすことは当然であるわけでございます。
 それから、為替市場は、外貨の需給がそこで調節されるわけでございまするが、国際収支の先行きに対する見通しというものは非常に大きく影響するわけでございます。国際収支がさらに赤字が拡大するというときには、どうしても円を売って外貨を早く手当てしようという動きが出ますので、そのときの国際収支の実体以上に、為替が円安あるいは円高に動くということがあるわけでございます。
 もう一つの為替相場に及ぼします影響は、為替相場は円とドル、外貨と日本の円との相場でございまするから、相手のドルが強くなるか弱くなるかということによっても変わってくるわけでございまして、そういういろいろな要素が総合されまして為替相場になるわけでございまするので、なかなか的確に、どこを押せば、どの部分を直せば相場が改善するというわけのものではないわけでございます。
 一つ公定歩合との関連の御質問だと思いますが、為替相場を基本的に動かしますのは国際収支でございまするけれども、その裏にありますのは、やっぱり物価であろうというふうに私ども思っておるわけでございます。日本の物価がもし安定しておりますれば、それが国際収支にも好影響をもたらし、それが相場の円高を招来するという結果になるのであろうというふうに思っております。昨年初め以来、OPECの値上げが相次ぎまして、そのために日本の物価も上昇を続けておるわけでございまするが、そういう点が、やはり円相場にも影響しておるというふうに思うわけでございます。
 そういう意味で、私どもの金融政策も物価の上昇を極力抑制する、国内要因からそれが加速されないようにするということをねらって引き締め政策を昨年初め以来とり、しかもそれを逐次強化してまいったわけでございます。そういう姿勢は今日も変わっておりません。それが物価に影響を、物価の上昇抑制に好影響があるとすれば、それが必ずや為替相場にもいい影響があるというふうに確信しておるわけでございます。
○鈴木一弘君 今回のは、特に日米協調というのが特筆されると思いますが、日銀の市場介入、それから米国の通貨当局の介入という、いままでは日銀からの要請で委託介入した。これから、何か自己勘定による介入というような異例な措置がある。まあ言えば、余り円安が進めば、日本からの輸出がどんどんふえるというようないろいろなことが影響していく。逆に言えば、さらにドルヘの不安を円安から波及されるということになりかねない、こういうような判断をしているのかどうか、その辺、こういう異例な措置までいっているということについては、日銀としてはどういうふうにお考えになりますか。
○参考人(前川春雄君) 今回の措置は、日米間の協調的介入ということが声明の中でも特に明記をされておるわけでございます。それと同時に、西独並びにスイスの中央銀行とも緊密なる連絡をとって、為替市場全体の、全般の安定を期するということが目的になっておるわけでございます。
 こういう為替の国際的な通貨情勢の中で、ある一つの通貨に通常予想される以上の変動がございますると、それが必ずそのほかの通貨にも波及するというのが、最近の国際通貨情勢の中の特徴でございます。そういう意味で、全体の安定が図られるということが必要になってくるわけでございまして、そういう意味で今回の協調的行動というのは、各国当局がそういう認識を持ってこの問題にも取り組んでおるということのあらわれでございますし、変動相場制でのもとで次第に国際的な協調が図られていく一つの端緒にもなるというふうに、私どもは期待しておるわけでございます。
○鈴木一弘君 スワップの取り決めの発動体制に入るということになりますけれども、一ドル二百五十円というラインが円安の危機ラインというようにとられているのかどうかですね。
 それから、五十三年十一月にドルの下落防止ということでスワップ協定の発動があったということでありますけれども、円安でということで、今回が変動相場制の中での一つの特徴だと思います。それほど一ドル二百五十円というラインが危機的なものなのかどうか。
○参考人(前川春雄君) その水準について適正な水準がどのくらいであるかということは、これはいろいろ理論的には計算をする例がございまするけれども、なかなか水準が幾らということをある一定の時期において判断することは、数字的に算出することは困難であろうというふうに思っております。
 先ほども申し上げましたように、円安が行き過ぎておる、しかも円安になるスピードが非常に速い、一カ月の間に四%も円安になるような経済的な事情というものは、私どもはなかったというふうに思っております。そういうふうに水準もさることながら、通貨の減価するスピードが速いということは、日本の経済、物価、あらゆる万般にわたって非常に悪い影響がある。為替相場というのは、極力安定しておることが望ましいという基本的な考え方をわれわれ持っておるわけであります。そういう意味から申しまして、水準が幾らがいいかということよりも、むしろ極力安定さしていくということが必要だろうというふうに思っております。
 二百五十円が危機ラインかどうかということについては、一つの節目としては市場では考えられておるかもしれませんけれども、必ずしも私どもはそういうふうな観点ではなくて、極度の変動ということを避けることが必要だというふうに考えております。
○鈴木一弘君 先ほどの答弁の中でも、物価の高騰を抑える、そういうことが大事だと、あるいは国際収支の赤字の解消、赤字幅の縮小といいますか、こういったことがない限りは最終的に円安傾向をとめられないというような、そういう御答弁があったのを承知しておりますけれども、そういう意味からも公定歩合の引き上げがあったというお話を聞きました。これから先の中で、さらに円安が進むようであるならば、一体どういうふうにしていくかというようなことが一つの目だと思いますが、この点については、これは大蔵大臣からもひとつ、今回の防衛でも十分でない場合には今後の対策はどうするかということについて、御答弁をいただきたいと思います。
○参考人(前川春雄君) 円相場あるいは物価の問題について、金融政策の面あるいは為替対策上、その都度一番適当だと思う手段をとってきておるつもりでございます。私ども予断を持たないで、こういうきわめて流動的な事態に対応してまいらなければいけないというふうに考えております。私どもが昨年以来とってまいりました施策は、しょせん物価の安定を通じて国際収支あるいは全体の経済の持続的な成長ということに焦点を合わせてとってきたわけでございまするので、そういう意味で、いままでの姿勢は今後とも続けていくつもりでございます。
 具体的にどういうふうな、いかなる施策をとるかということにつきましては、その都度判断してまいりたいと思っております。
○国務大臣(竹下登君) 日銀総裁からもお答えがありましたとおり、通貨政策でございますので、予断を持って、このような場合にはこのような追い打ちをかけますとかいうようなことは言える性格のものではなかろうと思いますので、その都度適切なる対策を行うという答弁で、御理解をいただきたいと思います。
○鈴木一弘君 どうもありがとうございました。日銀総裁、結構でございます。
 次にお伺いしたいんですが、特に最近の物価高から、パートタイムで働く人や内職をやる人が多くなってきているわけですが、その関係についての税制上の問題でちょっとお伺いしたいんですが、中小企業、小規模企業の経営者の方々や勤めている人からの声でありますけれども、どうしても家庭の主婦を中心としたパートタイマーを多く雇用している。ところが、主婦のパートタイマーの場合に、一年間で給与所得の額が七十万円以上になると御主人の所得の中で配偶者控除が適用されなくなる。そこで、七十万円に所得が近づいたパートタイムーの方は会社に来ない。熟練しておりますのに、仕事が忙しいときに、もう七十万になるからといって、自分で計算してやってこないというようなことがございます。
 そういう点から、どうしても配偶者控除の適用要件の所得限度七十万というものを、これを引き上げてほしいという声があるんですけれども、この点については私も三年前に、五十二年三月にこの大蔵委員会で質問しました。そのときの答弁は、配偶者控除の適用条件の所得限度額七十万円に対して、給与所得控除の最低保障額五十万と申告を要しない所得限度二十万で七十万ということで、そういうことで、パートというような性格をわりに考えていないというふうにわれわれも考えられるんですけれども、この点については引き上げる考えはないかどうか。
○政府委員(高橋元君) ただいま御質問ございましたように、妻のパートタイム収入というのが七十万円と申しますのは、一つは、給与所得の最低保障が五十万円であるということ、もう一つは、配偶者控除の認定の要件になります妻の収入が二十万円が限度になっておるということ、その二つから成っておるわけでございます。
 そこで、まず給与所得控除の五十万円を、最低保障額をさらに引き上げることが可能かどうかという問題でございますけれども、私どもいろいろな家計支出の統計等から、給与収入を得るに必要な経費というものが家計支出上どうなっておるかということをいろいろ推算をいたしております。それによりますと、給与所得を得るに必要な経費というのは、かなり広範に見ましても約一割を前後したくらいの水準かと、これは所得の収入の階層のいかんを問わず、大体同じような割合になっておろうかというふうに、私どもの一つの答えを持っておるわけでございます。その中で、現在百五十万円までの給与収入については四割の経費控除をいたしておりまして、その最低を五十万円といたしておるわけでございますから、これをさらに引き上げるということになりますと、概算経費控除であるという性格からいたしまして、給与所得控除の法理上非常にむずかしい問題があろうかというふうに考えるわけでございます。
 二十万円の方の妻の配偶者控除の認定要件でございますが、御案内のとおり、わが国の所得税は稼得者単位の課税ということになっております。したがって、いわゆる共かせぎでございますと、奥さんには奥さんとして基礎控除の適用はございますけれども、配偶者控除の適用はない。だんなさんにも同じような形になります。そういうことで、妻、夫それぞれの収入に応じて所得に課税をいたすというたてまえでございます。その課税のやり方が、御案内のように、総合累進という形になっておるわけでございます。しかしながら、妻が夫の収入によって生計を維持しております場合、これを夫の所得から配偶者控除として差し引きまして、それによって夫に課税をしていくわけでございますが、妻にいかほどか収入があれば、直ちに配偶者控除を適用しないというわけにはなかなかいかないであろうと。
 そこで、妻のパート収入の限度というものを、これは昭和四十九年以来、勤労性所得二十万円、資産性所得十万円以下の場合に配偶者控除の適用ありということで推移してきておるわけでございます。これも先ほど申し上げましたように、共かせぎの場合とのバランスということを考えますと、現在の二十万円をさらに引き上げてまいるということは、所得税の法理上なかなかむずかしい問題をはらんでおろうかと思います。
   〔委員長退席、理事細川護熙君着席〕
 いま委員からお示しのございましたように、現在のパート状況等からいろいろむずかしい現実の事態はあろうかと思いますが、私ども所得税制という立場からただいまの判断を申し上げますと、いまお答えしたようなことになるわけでございます。
○鈴木一弘君 時間がいっぱいになってきたわけですけれども、前回質問しましたときにも、夫婦共かせぎのときは外食費はもちろん、子供の保育費、被服費というように必要以上に経費がかかるということから、アメリカ、イギリス、スウェーデンというようなところでは、共かせぎの場合はそれなりに税制上の配慮がある。当然、女性が職場へ進出するのが多くなってくるわけですから、これは考えなきゃならないということです。もう一つは、前月二十五日の法制審議会で妻の座強化の答申があって、遺産相続が三分の一から二分の一と配偶者の相続分がふえました。
 こういうことから考えると、やはり配偶者控除についても、前回指摘したような扶養控除と同額の二十九万というのはおかしい。こういうようなことを考えていきますと、当然、給与所得控除の最低保障額五十万、あるいは四十九年から――先ほどのようないろんな御答弁がありましたけれども、しかし、四十九年から見ますと、もうすでにそれから五年たっております。物価上昇が約三〇%あります。したがって、賃金でも五十三年度と四十九年度の比較では、一時間当たりの賃金が三百十二円から四百二十六円と三六・五%も伸びております。こういう実態から見ると、やはりいつまでもいつまでも給与所得控除五十万、それに加える二十万というふうな、そういう行き方をやめて、もっともっとパートタイマーの場合にこれをふやしてやるべきじゃないか。
 私が先ほど二十九万というのを申し上げたのは、やはりもう一つは、内職の方の場合のあれが二十九万ですね。だから、こういう点を改めてもらっていかないと、物価が上がっているときに、それから給与水準が上がっているときに、いつまでも前のままでは、パートをやる人もなくなれば、内職をやって少しでも助けにしようと思っている人たちが苦しまなきゃならない。せめて物価対策の一環として、税制上からもめんどうを見るというのは、これは当然のことじゃないかという感じがするわけです。実態に合わせて少し考えるべきだろうと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(高橋元君) いまお示しのような事態、基本的に、西欧の場合のいわゆる二分二乗ないしN分N乗のような世帯に対する課税のやり方をとるか、わが国のように稼得者単位でまいるかというところに、まず基本はあろうかと思います。
 この点につきましては、十年ぐらい前からたびたび税制調査会で審議をしていただきまして、稼得者単位の現行の所得税制というものには、共かせぎがだんだんふえてまいった場合にはかえってプラスになる面がある。奥さんが全部家の中におりますと二分二乗で一番安いわけでございますが、奥さんに所得ができてまいった場合には、むしろいまの稼得者単位の方がよろしいということであります。そういう答えを得て一応いまの制度を続けておるわけでございますが、なお、所得税全般については、これは税制というのは常時見直しの中にあるわけでございますから、税制調査会に毎年の国会の御審議の中で寄せられました御意見ないしお示しというものを御紹介をして、御審議をまたいただいていくわけであります。
 そういうことの中でやってまいるわけでございますが、御案内のような現在の財政状況でございますから、物価ないし所得水準の上昇に伴って、いま仰せのありましたように、直ちに税負担を軽減していくことが適当かどうかということになりますと、大変問題を多くはらんでおろうかと思いますが、なお税制調査会にも御報告をいたしたいというふうには存じます。
○鈴木一弘君 大臣は、いかがお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに税制というものは、たゆまざる見直しの対象にあるべきものでございますので、それらの意見を正確に税制調査会等にお伝えをして、その審議の中で結論を得ていただくという方向で対応しなければならない課題であるというふうに考えております。
○佐藤昭夫君 まず、財政再建についての考え方に対して二、三御質問をいたしたいと思いますが、言うまでもなく、今日の財政の危機はますます深刻な状況にあろうと思います。
 来年度の国債発行額は十四兆二千七百億円、依存度三五・五%、国債費は予算の一二・五%を占める。年度末の国債残高七十一兆円となっておりますから、国民総生産見込み二百四十七兆円の二八・八%に達するという状況でありますし、しかも六十年度からは特例公債の本格的な償還が始まるということで、財政再建の課題はきわめて緊急の重大問題だというのは、ひとしく認識をしておるところだろうと思います。
 そうした点で、来年度といいますか、昭和五十五年度の予算編成において、こうした財政再建のために、税制、財政の仕組みにも踏み込んだ徹底した見直しが必要だったと思うんでありますが、果たして五十五年度予算案に当たって大臣はその点で十分に対処できたか、まずその点の所感をお尋ねしたい。
○国務大臣(竹下登君) 財政再建元年というような言葉も使われたわけでございますが、私なりに肩を張って、まさに財政再建元年の予算が組めましたと言うほど、私もうぬぼれてはおりません。
 しかし、財政再建の第一歩を踏み出したと言えるその証左というものが、どこにあるであろうかということを考えてみますと、まず財政再建といえば、入るをはかって出るを制すると申すわけでございますけれども、私どもといたしましては、まずもろもろの世論の環境等を勘案して、出るを制することを先にやっていこうという考え方からいたしまして、一般歳出の伸び率が五・一%という、まさに昭和三十一年度以来の低い率で審議をお願いしておるということが、一つのあかしではなかろうかと思います。
 それからいま一つは、そういう歳出の削減によりまして公債の一兆円減額ということを行い得たということが、いま一つのあかしになるではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
 ただ、この入るをはかる点につきましては、世論の背景等から出るを制するを前面に出してみましたものの、従来とかく不公平税制であるとか不合理であるとか言われる点からまず手をつけようというので、租税特別措置の整理、合理化でございますとか、あるいは給与所得控除の見直し、退職給与引当金の見直しというようなことを行ったわけであります。
 そうして四番目には、これは直ちに財政再建に数字の上で出てくるわけのものではございませんけれども、行政改革というものに手をつけることによって、特殊法人の統廃合十六法人というものの純減の予定でございますが、そうして、近く三月末を予定しておりますブロック機関に対する対応の仕方、そして、六月末を予定しております府県単位機関の整理、そうして、この行財政改革の中では補助金等を整理いたしまして、千六百数十億という、これもいままでには最高の削減、合理化を行ったということが、財政再建第一歩のあかしとして御理解をいただくとすれば御理解がいただけることではなかろうか、このように考えております。
○佐藤昭夫君 ただいまのような大臣の御説明でありますが、いまも触れましたように、五十五年度の国債発行額は、建設国債、特例公債を含めて十四兆二千七百億円が予定をされておる。これは事実五十四年度の補正後の国債発行額、これと対比しますと、十四兆五百億円よりもかえってふえているという数字になっていることは明確でありますし、共産党はもっと大幅な国債の削減をするべきだということをつとに主張をしてきたわけでありますけれども、結果として、いまの数字でも明らかなような、五十四年度予算補正に比べてさえふえていると、こういう現状になっているわけであります。
 そこでお尋ねをするわけでありますが、五十五年度の経済見通しは依然不透明な部分も多いわけでありますが、五十四年度のように、ある程度の見込み以上の税の自然増収があった際には、優先的に国債発行の減額に回すということは当然の措置だろうと思うんですけれども、自然増収があった場合にはそういう方向で対処をするということでやってもらえるかどうか、この点をお尋ねします。
○国務大臣(竹下登君) これは佐藤さん、最善と信じて提案した予算をいま御審議いただいておるそのさなかで、いわゆる自然増収が出てくるであろうというようなことは、申し上げるには適当でなかろうかと思います。
 その意味においては、したがって国債の発行量につきましては、年度途中または年度末に減額が可能な場合には、減額措置をいままでとってまいりました。経済情勢に応じて、弾力的に今日まで対処してきました。五十五年度においても同様、財政事情等において可能な場合には国債発行額の減額を優先的に行うということは、五十四年度にとった措置に対する考え方をそのまま持っておる、正確にはそういうお答えをすべきではないかというふうに考えます。
○佐藤昭夫君 もしも見込み以上の税の自然増収があった場合には、いままで対処をしてきたと同様の精神で対処をしていくのだという御答弁かと思うわけでありますけれども、五十五年度からさらに五十六年、五十七年、こういう財政再建を進めていくわけでありますが、非常に合点がいかぬのは、提示をされております財政収支試算を見ましても、五十五年度国債発行十四兆二千七百億、五十六年度十四兆五千三百億ということで、五十五年度よりも五十六年度の方が財政収支試算上の計画としては国債発行がむしろふえていくという姿になっておる、この点は非常に理解に苦しむわけです。
 五十五年度はもちろんのこと、五十六年以降も、当然できるだけ速やかに国債発行の縮減を図っていくという方向が一貫して貫かれなければいけないのじゃないかというふうに思うのですけれども、この点についてはどうですか。
○国務大臣(竹下登君) いま財政収支試算というものは、いわゆる新経済七ヵ年計画というもので公共投資はおおむね二百四十兆やりますとか、あるいは社会保障移転費は対国民所得十四ヵ二分の一、六十年度になるようにしますとか、そういう支出の面を前提に置きまして、それに必要なものを租税負担は二十六ヵ二分の一を、これを六十年度にはそうしますというようなことから、今度は機械的に五十五年度予算ベースで数字をつないでみますと、おっしゃるとおりのことが出てくるわけであります。したがいまして、必ずしもそういう国債の発行額につきましては、それの年度内の数字を確定したものではないというふうに、まず一つは御理解をいただきたいのであります。
 したがって、後半の御意見を交えての御質問でございますが、五十六年度以降において五十五年度のような税収の伸びを期待することはなかなかむずかしい問題でございますだけに、今度は歳入歳出両面を通じて幅広い角度から財政再建の手だてを考えて、やはり精神としては国債の減額を図るように努力してまいりたいと、このように基本的には認識をいたしております。
○佐藤昭夫君 基本的には、一貫して国債の減額を図っていきたいと、こう言われていながら、財政収支試算にあらわれておる矛盾を指摘をしておるわけですけれども、どうも納得する御答弁になっておりませんが、時間がありませんので別の問題でお尋ねをいたしますが、今回、問題になっておりました法人税率の引き上げが見送られたわけでありますが、この課題は、例の税調の中期税制答申でも法人税に若干の負担の増加を求める余地があるというふうにうたわれていた問題であります。言うまでもなく、最近は大企業も好決算を上げ内部留保も年々増大をしておる、こういうことでありますので、当然、中小企業に対しては一定の配慮をしつつ、そういうことを前提にして法人税率の引き上げが取り上げられるべきではなかったかというふうに考えておるわけです。
 昨年の春、三月二十九日の本委員会でありましたが、私はこの法人税率の問題でも質問をいたしまして、その際、当時の金子大蔵大臣は、「今後の財政需要が高まるにつれてどう法人税の税率自体を考えるかということにつきましては、今後も検討を加えてまいりたい」と答弁をされておったんでありますけれども、結局、この問題が今回具体化をされていないという姿になっているわけでありますけれども、いろいろ新聞報道から推察をしましても、財界の圧力に大蔵省が結局は屈したのではないかという懸念を大きく持っておるわけです。こうした点で、大蔵省としてこの問題をどう検討されてきたのか、今回具体化を見るに至らなかった原因は何か、こうしたことについて御説明を願いたい。
○政府委員(高橋元君) 五十五年度の税のあり方というものを考えてまいります場合に、当然のことながら五十五年度の財政の編成、それを第一歩といたします今後の財政再建の問題というものにどう取り組んでいくかということが背景になったわけでございます。
 昨年以来の諸般の社会経済状況等から、税制調査会で年末に相当集中して熱心な御議論をいただいたわけでございますけれども、五十五年度は財政再建は緊急の課題であって、その具体的第一歩を踏み出すということは当然のことでありますが、その際の視点として、まず第一に、公債発行額を先ほど大臣からもお答えがありましたように一兆円以上減額を図る、自然増収を優先的に公債減額に充てる、それから予算の編成に当たっては歳出規模を極力抑制するとともに、租税特別措置について思い切った整理縮減を行うことなどによって対処していく、何らかの増収措置を講ずるとしても、必要最小限度のものにとどめるということが強く求められるというのが、基本的な姿勢であったわけでございます。
 わが国の法人税は、御案内のように、歳入の中で、税収の中で三〇%を超えております、ウエートが。これはどこの国にもその例がないわけでありまして、ヨーロッパにまいりますと、大体法人税の割合というのは国税の中の一割を切っております。でございますから、確かに佐藤委員からお話のございましたように、法人税率を上げて法人税収を高めていくということが、歳入としては非常に大きな力を持っておるということになると思います。
 その点につきましては、かねがねから各国の法人の実効税負担率の比較からして、わが国の法人税率は高いとは言えない。したがって、機会をとらえてその引き上げについて検討していくべきだという中期答申がございまして、私どもたびたびこの委員会でもお答え申し上げておりますように、税制調査会、それから私ども役所の中でも十分検討を加えてきたわけでございますが、先ほども申し上げましたような五十五年度税制の基本的な方針というものが、まず歳出の抑制というものを図ることによって財政再建に長期的に取り組んでいくために国民の御納得を得られるための一番のそれが捷径であるということから、ただいま申し上げたように、五十五年度の課題としては、法人税の税率の引き上げということは見送りまして、そのかわり退職給与引当金の繰入限度の改定によりまして、二千七百七十億円という税負担の増加を法人に求めるということにいたしたわけでございます。
○佐藤昭夫君 五十五年度法人税の扱いがかかることになった検討の経緯については御説明があったわけでありますけれども、そういたしますと、さっきも指摘しましたように、国債発行額が財政収支試算によれば、五十五年度よりも五十六年度の方がさらにふえていくというここの矛盾を解決をするためにも、もちろん歳出の見直しと同時に、歳入面でもどういう見直しをすべきかということが当然課題になってくる。
 そうしたことからお尋ねをいたしますが、法人税率の引き上げ問題はこれで断念をした、ピリオドを打ったということではなくて、五十六年度以降に向けて法人税率の引き上げ問題については検討課題に据えていくんだということは、確認をしてよろしいですね。
○国務大臣(竹下登君) 本院において行われました財政再建決議におきましても、歳入歳出両面からこの財政再建の手だてを考える、こういう御決議をいただいておるわけであります。したがいまして、法人税率の引き上げの問題等については、当然、避けて通る課題ではないというふうに理解をしております。
○佐藤昭夫君 もう一点お尋ねをいたしますが、いわゆる歳出の見直しにかかわっての問題でありますが、すでにいろんな場で議論をされておりますが、去る十二月の二十八日、予算案編成の最終段階で、大蔵大臣、厚生大臣、内閣官房長官、自民党三役との間の福祉見直しの覚書なるものがつくられたという問題に関してでありますけれども、衆議院で大蔵大臣が御答弁になっているのを拝見しますと、結局、大蔵大臣が呼びかけてこういう集まりが持たれ、覚書がつくられていったという経緯でありましょうねということを、率直に語っておられるわけでありますけれども、確かに予算編成の中心である大蔵大臣という役目ではありますけれども、しかし、本当に国民生活を守りつつ財政再建をどう進めていくかという上で、福祉問題というのを今日どういう位置づけをするかということについて、余りにも歳出を抑制をする、まず福祉の切り捨て、ここに非常に大きく傾斜をしているんじゃないかという危倶を大いに持たざるを得ないわけです。とりわけ、覚書なるものが、福祉の問題に集中をした覚書を交わされているということについては、どうしても理解に苦しむ問題だと思う。
 こうした点で、この十二月二十八日の覚書は、まああれはああいうことで、これからの財政再建をどういう方向で進めていくかという点については、文字どおり、言われるように、歳入歳出について国民的立場からの総合的で全面的な見直しをやるということで対処をする。あの覚書は、事実上あんなものは撤回をするんだということで対処をしてもらう必要があるだろうというように思うんですが、この点についてどうですか。
○国務大臣(竹下登君) 財政の現状を考えてみますと、財政全般の見直しを進めて歳出の節減、合理化を図るための厳しい努力が必要とされておるという認識は、これは共通するところであります。
 そこで、たとえてみますならば、御審議いただいております五十五年度予算にいたしましても、公共事業等は伸び率をゼロにした。しかし、社会保障等につきます予算はそれなりに対応してきておるという事実が証明しますように、わが国の社会保障は、制度的にもだんだんだんだん国際的に見ても遜色のないものになってきております。そして、これの水準を維持していくということは、福祉政策というものに携わる者としては、そのたゆまざる努力が必要であります。しかし、八十年代というものを称して、よく不確実性の時代でございますとか、あるいは不透明の時代でございますとか言われますが、確実でありそして透明であるのは、高齢化社会が来るということだけは、これは確実であり透明度がきわめて高いわけでございます。そうなると、費用負担というものがそれなりに増大していくということは、避けて通れないことになります。
 そこで、社会保障、福祉政策というものの水準を落とさないでこれを国民の皆さん方に還元していくという考え方に立つならば、少しく長期な観点で、これらの仕組みにつきましても体系の問題あるいは効率化の問題、給付の適正化の問題、そして高福祉、適正負担というような問題を、まさに長期の視点からとらえてこなければならないというのも、これは必然の理であろうと思うのであります。
 したがいまして、五十六年度の制度改正に関する覚書というものは、確かに言い出しっぺと申しますか、その場における発言は私が一番最初したと記憶いたしておりますが、お互いが一つの政策目標として確認し合ったという性格のものでございます。それが老人保健医療制度、児童手当制度、社会保障施策の所得制限全般等の基本的見直しというような文字の上であらわれておるわけでございますけれども、財政再建の際に、いわゆる福祉政策というものが聖域であってはならない、やはり高福祉には適正負担がついていくべきものであるという考え方で確認をし合ったという性格のものであるというふうに、御理解をいただきたいと思います。
○佐藤昭夫君 ただいまの答弁では納得できませんが、時間がありませんので、その問題は引き続きいろんな場で続けていきたいと思います。
 次の問題に移りますが、いわゆる銀行の大口融資規制に関する問題でありますが、すでに四十九年に銀行局長の通達が出されて五ヵ年がたっておる。この三月末が大口融資規制のいわゆる目標達成期限ということになっておりますが、一体その見通しはどういう現状にあるのか、簡単に御説明いただきたい。
○政府委員(米里恕君) 先生いま御指摘のございましたように、四十九年の暮れに通達を出しまして、大口融資規制を通達上指導してまいったわけでございますが、当初、四十九年十二月時点で超過件数は九十九件、六十二社という数字でございましたが、漸次これが減少してまいりまして、五十四年九月末で三十四件、十四社まで減ってまいっております。
 ただいま御指摘のございましたように、五十五年三月末というものが経過期間終了時ということになっておりまして、現在、各金融機関、極力解消に努力してまいりまして、かなり進捗いたしまして、ほとんどのものが五十五年三月には大口融資の解消を実現するという状態になっております。
○佐藤昭夫君 ほとんどのものが解消をすると言う。にもかかわらず、これは連日のように最近新聞に報道されていますから周知の問題でありますが、三井銀行については達成が困難だと。単に困難だということじゃない、むしろ最近、三井銀行については開き直りともいうべき、こんな銀行局長通達が守れるものかという態度に出ている。
 たとえば、「金融財政事情」という雑誌が出ておりますが、七九年九月二十四日号の草場敏郎さん、三井銀行の専務取締役でありますが、この方の論文のようなものが載っておりますけれども、そこを見ましても、むしろ電力や商社については融資規制の適用を除外すべきだ、要するにあの銀行局長通達、これをもう一遍もとへ戻すべきだ、こういう論が張られておる。これは非常に重大な問題ではないかというふうに思うわけでありますが、こうした点について一体大蔵省はどういう見解なのか、未達成の三井銀行に対して今後どういう指導措置をとっていくのか、この点についてお尋ねします。
○政府委員(米里恕君) 三井銀行の三井物産に対する融資でございますが、この通達を発しました当初、自己資本の約八〇%という数字でございましたが、努力を続けまして五十四年九月末現在で約四〇%、ここまでは下がってきておるわけでございます。しかし、普通銀行の場合には自己資本の二〇%というのが規制基準でございますので、それにはまだ達していないという状態でございますので、三井銀行がさらに一層の努力を重ねまして、この大口融資の解消を図るということを、私どもとしては強く期待しておるわけでございます。
 なお、ことしの三月末に超過を解消できるかどうかというようなことにつきましては、三井銀行からは、まだ解消できないという話は私どもは聞いておりません。もし伝えられますように、解消できないというようなことでございましたら、これは明らかに通達違反ということになります。各金融機関が非常な努力を重ねられまして三月末までに解消するという形になっておりますのに、もし通達違反というところが出るとすれば、それはきわめて遺憾であるというふうに考えております。
 今後どういうふうに取り扱うのかということは、先ほど申しましたように、まだ解消できないということを私どもは三井銀行からは聞いておりませんので、強く解消することを期待いたしますとともに、もしできなかったということになりましたら、それはその時点におきまして適切な取り扱いをしたい、かように考えております。
○佐藤昭夫君 これは多くの新聞が報道しておりますが、二月の五日に開かれた全国銀行協会連合会の会長会見の席上で三井銀行側が、二〇%枠の達成は困難であるということを表明をしているという報道もありますし、いま答弁をされておりますように、そういう話は聞いていないという簡単な問題であろうかというふうに思うわけでありますけれども、ただいまの答弁で、もしそういうようなことになれば明らかに通達違反であるということで厳正なる対処を、措置をとっていくんだということでありますね。
○政府委員(米里恕君) 解消をされました他の金融機関とのバランスというような問題もございますので、十分その場合には適切な措置を考えていきたいと考えております。
○佐藤昭夫君 大蔵省が特例として認めております東京電力でありますけれども、ここについて、いま問題になっております電力料金の値上げ申請にかかわって、昭和五十五年の一月出されております「需給計画ならびに施設計画」、その中を見ますと、今後とも資金調達は「民間借入れに依存せざるを得ない」ということで「引続き、大口融資規制の緩和措置を前提として、金融機関からの調達に努め」るというふうに、正式に提出をされております東電の「需給計画ならびに施設計画」、この中の二十四ページのところに書いておるわけであります。いわばこの大口融資規制通達に対して、極力その方向に向かって努力をしていこうという姿勢が全く見られない。
 エネルギー関係の公益事業だということで、電力に対してこのような特例を認めるということでいけば、今後さまざまに拡大をしていくおそれというのが十分にあるわけですね。そうした点で、金融制度調査会の答申や、また五年前の通達の精神、そういった点から見ても、この大口融資規制の今日とってきておる措置というのは最低限の措置でありますし、そういう公益性を理由にして特例を設けることについても、今後大蔵省としては、そういう特例は極力縮小をするというのが、当然今日までとられてきた精神だろうと。
 ところが、いまこういう東電のような、これまた開き直り姿勢の一例だろうと思いますけれども、こういうことが大手を振って通っていきますと、この特例がむしろ拡大をしていくということになるんじゃないかという危倶を私は強く持つわけです。こうした点で、いま東電のとっておるこういう態度に対して、これまた、厳正な対処をしていただく必要があろうと思いますけれども、その点どうでしょうか。
○政府委員(米里恕君) 電力業につきましては、私どもも一般的に電力業に対してこの大口融資規制の例外を認めているというものではございません。電力でただいま例外措置を講じておりますのは、東京電力だけでございます。
 で、東京電力につきまして申請がありました場合には、各期ごとに事業計画、資金計画を個別にチェックいたしまして、真にやむを得ない事情があるかどうかということを慎重に検討しておるわけでございます。東京電力の場合、御承知のように、いわゆる電力供給計画というものの主要な地位を占めております関係から、どうしても巨額の追加資金が将来の電力需給のバランスを達成するためには必要であるというようなことがございますが、資金調達面ではこれまたいろいろ努力を重ねております。社債につきまして、過去最高の社債というものを五十四年度におきましては発行する、四千二百億という五十四年度の社債発行額を予定しております。
 それから、間接金融につきましても極力調達源を多様化するという努力をいたしまして、最近に至りまして東京銀行あるいは農中あたりからの新規借り入れを行っております。あるいはまた、生保、損保からも借り入れ増加をしておるというようなことで、できるだけ東京電力も努力をし、私どももそのように指導してまいっておる。ただ、どうしても五十四年度末には限度超過という銀行が出てしまうというような状況にございますが、これをまた認めませんと、電力事業の公益性、いわゆる必要な設備投資というものを続けることができなくなる、したがって今後の国民生活にも大きな影響があるというような非常にむずかしい問題がございますので、やむなく五十四年度におきましては例外措置を講ぜざるを得ないというようなことになったわけでございます。
 いまお話しの五十五年度以降につきましては、またその時点におきまして事業計画、資金計画上どういう対応策がベストであるかということを私どもは個別に当たってまいるということで、五十五年度以降を大口融資規制の例外扱いをするかどうかというのは、そのときの時点のまた判断になろうかと思います。
○理事(細川護熙君) 時間が来ておりますから、よろしく。
○佐藤昭夫君 もう最後ですけれども、五十五年度以降は今後検討する問題だというふうに言われておるわけですけれども、現に五十五年三月末段階で、東電については目標達成をしないということが明らかだということでありますから、そういう場合に年限を切って、いつまでに東電についてもここへ到達をさせるんだという主導目標を持っているかという問題が一つです。
 それからもう一つは、こういう目標到達をしていくに当たって、系列金融機関からの肩がわり融資によって、形式上は一銀行からの融資規制にはなっているけれども、しかし、依然として系列銀行総体的に、全体として見れば融資比率が非常に高いという状況が多くの部分で残っているということでありますから、系列銀行総体として規制をしていくという、さらに大蔵省の主導を積極的に前進をさせてもらう必要があるだろうというふうに思うんですが、その点を二点お尋ねをして、終わります。
○政府委員(米里恕君) 御承知のように、現在、銀行法の全文改正という作業を進めております。そういった意味で、いろいろな今後の大口融資規制のあり方につきまして、各種の角度から検討してまいりたいと考えております。
○市川房枝君 まず、大蔵大臣にお伺いしたいことは、一月三十日に行われました本会議で、国務大臣の演説に関する代表質問というので、二院クラブ代表の青島幸男氏の、政治家個人に対しての政治献金の税法上における扱いについての大臣の答弁について伺いたいと思います。
 大臣は、あのとき第一に、政治家個人に対して税制上の特別な義務を付することは一般国民と差別することが問題であるとおっしゃっております。それから第二番目には、税法上守秘義務を課されている税務署への届け出にするとガラス張りにはならないということをおっしゃっておるし、そこで引き続いて政治資金規正法の領域の問題として検討していくべき課題だろうと思うと、こうおっしゃっております。これらについて、私としてはちょっと納得のできない点がありますので、ここでいま一度、これの説明を大臣からお願いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 先生おっしゃいますのは、政治家の政治姿勢として、すべて政治資金等ガラス張りであるべきだと、こういう御趣旨だと思うのであります。私は、政治論としてのその御意見には、くみすべき点がたくさんあると、かねて考えております。
 たとえば、資産の公開でございますとか、そういう問題も一つの方法でございましょう。ただ、それを税制面でとらえるということになりますと、それじゃ税制面で政治家はそういう明細を届け出しなきゃならぬ。そうすると、それがさらに裁判官はどうだとか、あるいは一般公務員はどうだとかというような感じになって、税制そのものというものは国民全体に対してあるものでございますだけに、そこで差別問題の一つの突破口を開くということに対して、税制の上から適当でないではないかというお答えを一つしたわけでございます。
 それから二番目のお答えは、いまも御指摘がございましたとおり、税務署には税務上の守秘義務というものがあるわけでございます。したがって、そこへ仮にもし明細を出したとしましても、それがガラス張りにはならないわけです、本人が自主的に、私はこのような申告をしましたと報道機関なりで公表しない限りにおいては。それは、守秘義務のまた例外規定をつくるわけにはいかぬということでありますので、税制の面からそれをとらえるのは適当でないではないか。したがって、やはりこれはモラルの問題もございますので、政治資金規正法の範疇の中で、これは御案内のように、自治省なり都道府県選挙管理委員会へそれぞれ報告が義務づけられておるわけでございますから、その中であるいは明細を付すとかいうような問題は考えられるべきものであって、税制上で考えることについては適当だとは言えないではないかという趣旨で申し上げたわけであります。
 したがって、モラルの問題として、また政治家はそういう身ぎれいにしておるべきである、かねての御主張のようにガラス張りであるべきであると、そういう問題は問題として、私どももお互い政治家として、国会の場等で議論をして進めていかなきゃならぬ課題だというふうに私も考えております。
○市川房枝君 大臣の御趣旨はわかりました。それについてのいろんな意見はありますけれども、時間の制限がありますので、簡単にこれは私の意見として申し上げたいんですが、一般国民と差別になるとおっしゃる。いまもやっぱりおっしゃったんですが、そういうことをおっしゃるのなら、現在の政治家個人に対してのいわゆる政治献金というものの収入は、どんなにたくさんもらっても届け出の必要がないと、こうなっておりますね。政治活動に支出して余りがあったらそれには課税するけれども、余りがなかったら全然届けなくてもいいと、こういうことになっておる。
 だから、結局、これは一般の国民と非常な差別といいますか優遇なんであって、これは私は国民はその点納得をしてないということであって、差別とおっしゃるのなら、それこそこれもちゃんと届け出をさせるということを、私は大蔵省、税制の方で考えていただいてもいいんじゃないかということを申し上げたいし、それからガラス張りの問題、それは公表するかどうかという問題になってきますけれども、私はいま申し上げたように、残りがあってもなくても、これだけ収入があったんだという届け出といいますか、あるいはその収入をどう使ったんだということの、それだから残りがもうないんだという届け出は少なくとも税務署に私はすべきだと。
 それでないと、やっぱりいま言いましたように、これは政治家に対する非常な優遇である、特別扱いなんだというので私は国民が納得しない。いや、そこからこの間のグラマン事件のような五億円個人への政治献金をもらったんだと、けれども何ら届け出をしていないし税金も払っていないというような事件が起こってくるので、それに対して国民は非常な不安を持っているわけなんです。そういう点をひとつ考えていただいて、また適当な機会に伺いたいと思いますから、それをひとつお伺いしたい。
 それから、政治資金規正法の問題だということでありまして、それはそうも言えると思うんですが、これは別の問題として、税制は税制として、さっき私が申し上げましたようなことについての大臣のちょっとお考えを伺いたい。
○国務大臣(竹下登君) これはせっかくの御提案でございますが、ガラス張りをどこでチェックするのが一番適当な場所かというと、私は、すでに報告が義務づけられておる政治資金規正法の範疇の中で解決した方がより可能性というものが強いというふうに考えておるわけです。
 税制というものは国民に対する平等、ただ税というものは意識の中にはこれは自分の義務と考えると同時に、取られるという意識がございますよね。したがって、政治献金の場合は、使って残ったものだけが雑所得になるというと、気持ちの上で非常に優遇されておる、こういう感じを国民が持つということ、これは私は全く理解できないわけじゃないのです。
 しかし、それをどこで、どこの分野でその姿勢を出すかということになると、税というものの国民一般に対する公平の原則から考えた場合に、政治資金規正法の範疇の中でそのことは検討されるのがやはり一番正確で近道ではないだろうか、こういう意味で申し上げたわけでございますので、先生の平素お考えになっている考え方、国民感情のとらまえ方、それを私は否定するものではございません。税制そのものの範疇の中で解決しにくい問題であるというふうに、お話ししておるわけでございます。
○市川房枝君 いまのお話伺いましたが、本当は私は、雑所得と政治献金を考えるところにおかしいこと――雑所得というのはそれこそいろんな、私どもから言えば、原稿料だとか、あるいは講演料とかいうのはみんな税金を差し引かれてくるわけなんですが、つまりその収入を得るために使った費用を差し引いてその残りに課税するというんですわね。ところが、政治献金の場合は、それを受け取るために一体どんな働きをしたのか。何にもしてない。何にもしてないでもらっているんじゃないのか。
 普通の雑所得の考え方とちょっとこれは逆になっちゃっているんですが、雑と言うからいろんなものをそこに入れるのだと、こういう解釈もあるかもしれませんけれども。だから、むしろ私は、政治献金を税の方で規定なさるのなら、一時所得ということになさればまだ所得としての考え方としてはいいと思うんですが、しかし、いまの、これは税法では扱わないということは、私はちょっと納得ができない。莫大な収入があるんだから、それに対して全然課税をしないということはですね。
 それからもう一つ、収入から政治活動に使って残りがあったらと、こう言うんですが、一体、政治活動に本当に使っているのかどうかということ、こういうものが政治活動でございますといって、国税庁からは毎年文書が私どもに来ているんですが、そうでなくって私用に使う、家を建てるとか借金を返すとか、あるいはいろんな私用に使ったのがそういう中に一体あるのかないのかということは、国税庁の方では全然それはお考えになっていないのか、お調べになっていないのか。それは国税庁の方の答弁かもしれませんけれども、大臣からその点ちょっと伺いたい。
○政府委員(高橋元君) 一時所得とすべきかどうかという問題でございますが、税法の解釈の問題でございますから、私からお答えをさしていただきます。
 政治献金といったような政治資金収入は、一般的には個人とか法人、後援団体、政党、それぞれがその支持する政治家に負託した政治活動のための費用を提供する趣旨のものである。したがって、政治家としての地位にある限り、どなたが提供なさるか、その提供者は異なったとしても、継続して入ってくる、収入する性質のものだというふうに思います。それで、また半面で、政治資金の収入を受けられた政治家は、その資金を負託された政治活動のために費消しておられるというのが実情であるというふうに思います。
 そこで、ただいまお示しのありましたように、一時所得ということになりますと、「継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しない」、これが所得税法上の定義でございます。
 ただいま申し上げたようなことからしますと、一時所得ということでございませんで、「継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しない」、それが一時所得でございますから、政治資金収入というものは一時所得にはならないというふうに思いますし、無償性を有する贈与という規定からも外れてまいるというふうに思います。そこで、現在の所得税法の十分類というものを前提といたします限りでは、これは雑所得として課税をさしていただくということが正当であろうと思います。
 それから、雑所得の経費としてどのようなものがあるかということは、申告書の手引きのようなものに書いてございますように、大体七つぐらい例示してございまして、もっぱら政治活動のために使用した秘書、事務所職員の給料、手当、ただし国から支給されるものを除く。第二番目に、もっぱら政治活動のために使用した事務所の賃借料。第三に、もっぱら政治活動のために使用した通信費、旅費。それから第四に、国会報告、政見発表などの費用。第五に、もっぱら政治活動のために支出した委託調査費、図書費、会議費。第六に、政党の政治活動費用を賄うために経常的に負担する本部費、支部費。第七に、政治活動に関する交際費、接待費。かようなものが、政治資金にかかる雑所得の必要経費であるというふうに現在取り扱っておるものでございます。
○市川房枝君 いまお答えいただいたことは、それは私よく承知している。私が伺ったのは一そういう政治活動として掲げてある事項のほかに、それを私生活に流用する場合が絶対にないのか、一体あるのか、そういうことを国税庁はお調べになっているのか、お考えになっているのか、そのことを伺ったわけです。
○政府委員(高橋元君) 国税庁が参っておりませんので、執行の段階で私どもの承知しております範囲で申し上げますれば、適正に雑所得としての収入金額及び必要経費の調査をさしていただいておるということであると承知しております。
   〔理事細川護照君退席、委員長着席〕
○市川房枝君 もう時間がほとんどないかと思うんですが、これに関連して、自治省の政治資金担当の方にも来ていただいていると思うんですが、いま大蔵大臣にお願いしました一月三十日の本会議での青島氏の政治家個人に対する政治資金についての質問に対して、後藤田自治大臣も答弁をしておられます。それで、後藤田大臣に直接伺うのが本当かもしれませんけれども、きょうは担当官の方に伺いますが、後藤田自治相は、内閣から事務的に検討するよう指示があったので、いま与党との間で検討しているところであります、こうありましたが、どれくらい進んでおりますかどうか。
 ついでに答弁していただくことがもう一つ、いまの改正になった新しい政治資金規正法は、五年たったら再検討するということに法で規定されておりますが、ことしはその五年目ですが、自治省ではどんな準備をしておいでになるかどうか。
 それからもう一つ、あの改正になった政治資金規正法で、たとえば企業あるいは労働組合の寄付限度額というものは規定されております。それで、それ以上寄付したらそれは違反になるということになりますが、一体それの違反――ほかにも違反のことはありましょうけれども、少なくともいま申し上げた寄付限度額に対する違反というものをお調べになっているかどうか、お調べになった数字がありましたら伺いたい。これはもしきょう伺えませんでしたら、後でお調べいただいてお知らせをいただきたいと思いますが、それで結構です。お願いします。
○説明員(緒方信一郎君) まず最初に、規正法の見直しの状況でございますが、政治資金規正法の見直しにつきましては、昨年九月に出されました航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言の趣旨に沿いまして、政治家個人の政治資金の明朗化を図るという方向で、現在鋭意検討を行っておるところでございますが、一方、自民党におきましても、選挙制度調査会で大変御熱心に御審議をいただいておりますところでございますので、十分連絡を密にしながら検討を急いでまいりたい、かように考えておるところでございます。
 それから、五年後の見直しの問題でございますが、現在検討しておりますのは、ただいまお答えをしましたとおり、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言の趣旨に沿いました緊急の課題として、当面取り上げるべきものについて行っているというものであるわけでございます。現在、五年までまだ若干時間があるわけでございますが、五年後の見直しにつきましては、今後の課題として引き続き検討してまいりたいというふうに考えております。ただ、現在取り組んでおります課題というものが、政治資金規正法全般にわたります見直しの中でも大変大きな問題の一つであるというふうには考えておるところでございます。
 それから、限度額違反の実態を調べたことがあるかということでございますが、いわゆる個別制限と言われます百五十万円を超えるものについては調べたことがございますので、これはまた後ほど御報告いたしたいと思います。
 総量規制につきましては、これは私どもの方では、公表されたところではわかりませんので、調べる方法もないということでございますので、御了解いただきたいと思います。
○市川房枝君 ちょっと一言だけ。
 調べる方法がないとおっしゃったけれども、私はああいう法の規制がある、規定がある以上は、やっぱり行政当局としてはお調べになると。それは全般がもしむずかしければ、あるものを限って調べていただきたい。
 それから、お調べになる場合にちょっと申し上げたいことは、いわゆる地方の政党支部といいますか、あるいは政治団体なんかに企業なんか寄付しておりますね。そういうものも計算しなければ総額が出てきませんね。だから、それもあわせて、部分的にでもいいから、ひとつちゃんとお調べいただきたい。いや、お調べいただくべき義務が自治省としてはあると私は思いますが、お願いをいたします。
 ありがとうございました。
○説明員(緒方信一郎君) お言葉を返すようでございますけれども、総量規制と申しましたのは、一つのある会社なら会社が総額幾らまで寄付できるかという、そういう制限のことでございますけれども、いわゆる寄付者の側から幾ら寄付をしたかという報告を受ける制度になっておりませんので、もらいました方から公表されましたものを、全部ただいま申し上げましたように調べまして、わかるものについてはわかるわけでございますけれども、必ずしも全部が全部公表されるものではありませんので、たとえば百万円以下のものでございますとか、あるいは個人にいっておりますものとかいいますのが現在公表されませんので、結局、私どもの方では手がかりがいまのところはない、こういうことでございます。わかりますものについては、後ほど調べまして御報告いたしたいと思います。
○野末陳平君 先ほど公定歩合の質問が出ておりましたが、お答えの方はほぼ出尽くしたように思いますので、それに絡めまして私は国債のことについて二、三聞いておきたいと思います。
 国債の個人消化ですが、いまどのくらいの比率で推移しているかという、ここ数年の動きですね、それを最初にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(渡辺喜一君) 最近数年の個人消化の比率を申し上げます。
 五十年が六・八%、五十一年が一七・二%、五十二年が二六・六%、五十三年度二一・九%でございます。
○野末陳平君 五十四年は。
○政府委員(渡辺喜一君) 五十四年度はまだ完全に実績が出ておりませんが、推計見込みによりますと、大体一四%強ぐらいということでございます。
○野末陳平君 推定で言いますと、かなり下がっているようですが、この辺どういうふうに判断されているんですか。
○政府委員(渡辺喜一君) 先ほど申し上げましたように、金融情勢が非常にやはり国債の消化に影響を及ぼしておるわけでございまして、大体金融が緩和に向かう局面におきましては、個人消化も含めまして国債の消化環境から言えば非常にいい成績を上げておるということでございます。
 御案内のように、五十四年度に入りましてから金融は引き締めの局面に入っておりますので、全体として国債、公社債全般の消化環境が悪くなってきておる、こういうことじゃなかろうかと思います。
○野末陳平君 それは投資家心理から言えば当然だろうと思うのですが、ただ、政府としては、国債の発行を抑えなければならないと言いつつも、どうしてもこれを出さざるを得ない。出す以上は、やはり売らなきゃいかぬということになりますと、個人消化の点ですが、これからもまだ個人消化を促進させるといいますか、個人に買ってもらうという努力を続けるつもりなのか、その辺、一段と力を入れようとなさっているのか、あるいは実勢に任しておるのか、そのあたりはどうでしょうか。
○政府委員(渡辺喜一君) 個人消化というのは、何と申しましても国債消化にとっては一つの大きな柱でございます。特にこういう国債の大量発行下におきましては、国債消化の円滑化、安定化という観点から、私どもは個人消化というのは大変重要である、今後ともできるだけその促進には努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○野末陳平君 そうしますと、個人消化をなお促進したいという点で考えると、先日来の国債の暴落が非常に好ましくないのは、これはだれが見ても当然なんですが、たとえば六分一厘が八十一円台をつけたというのも、これは言い方によっては国の信用ががた落ちというか、まるでたたき売りされているようなものですね。異常なことだとぼくは思うんです。ですから、特に六・一に限らずですが、昨今の債券市場全体の値崩れをどういうふうに分析なさったのか、その辺についてお考えを聞きたいのですが。
○政府委員(渡辺喜一君) 最近、特にことしに入りましてからの国債の市況というのは、一月中はほぼ安定しておったわけでございますが、二月に入りましてから公定歩合の引き上げの予測等が出てまいりまして、金利の先高感というふうなことから軟化をしてまいったわけでございます。公定歩合が二月の十九日から引き上げになったわけでございますが、その後はさらに急激に国債市況が悪くなった。本来ならば、公定歩合が決着を見た後というのは大体落ちつきを取り戻すというのが通常でございますが、今回はむしろ公定歩合引き上げ決着後、急激に市況が悪くなった。こういうことでございまして、私どもといたしましては、それが本当に市場の実勢金利であるかどうかということにつきましては、かなり疑問を持ったのは事実でございます。
 と申しますのは、その公定歩合引き上げ後に急激に、しかも一日ごとに市況が悪くなっていくというような状況でございまして、ある意味では、そこにかなり行き過ぎもあったかというふうな感じを持ったわけでございます。
 いずれにいたしましても、かなり心理的な原因、要因によって債券市況というものが影響されておるということでございまして、私どもといたしましては、市況の安定ということのためにそういう面についても十分配慮をしていく必要がある、こういうふうに考えている次第でございます。
○野末陳平君 いまのお答えの中の心理的な要因による行き過ぎ、この辺はどういうふうに分析できるかわからないんですけれども、投資家の心理、特に個人消化ということを考えている以上、個人に与える影響はこれは非常によくないと思いますね。
 ですから、当然何らかの市況安定のための手を打たなきゃならないし、ほんのちょっと当局も手を打たれたようですが、ぼくはここのところの値崩れが非常に国債不信ですね、国債を持っても決して有利じゃないぞ、あるいは国債を持つと損をしそうで、これはいい商品でないというような国債離れが今後一般と個人においても――機関投資家の場合はまた別の考えを持つでしょうけれども、個人においてこれは非常に進むと。ですから、個人消化をなお一段と大きな柱として進めたいという立場から言うならば、個人消化はますますむずかしくなるという懸念があるんですが、どうなんでしょう。そうなると、やはり簡単な手を打つだけじゃ済まないと思いますね。
○政府委員(渡辺喜一君) おっしゃるとおりでございますので、私どもといたしましては、何といっても市況をできるだけ安定させるということが必要ではないかと考えるわけでございます。
 基本的には、国債の発行量が多いというところに問題があるわけでございますので、今年度の国債発行量につきましても、補正予算で一兆二千二百億の減額をいたしたわけでございます。来年度の予算につきましても、当初ベースで前年度比一兆円の減額を図るというふうなことで、これからもできるだけ発行量の圧縮には努めてまいりたいと思いますが、それでもなおかつかなりの量の発行ということがこれから続くわけでございますから、その消化ということを考えました場合には、何といってもこの市況をできるだけ安定さしていくということに配慮をしていかなければいけないと思うわけでございます。
 したがいまして、市場のニーズ、そういうものに十分の配慮をする。たとえば発行の銘柄につきましても、できるだけ市場のニーズに合ったような銘柄、そういうものの発行に努力をしていくということで、銘柄の多様化にも努めてまいったわけでございますし、それから公社債金融等につきましても、できるだけこれを拡充していく、あるいは個人の場合につきましては、従来から税制上の優過措置というふうなことも講じられておるわけでございまして、何とかしてこの市況をできるだけ安定して、国債の円滑な消化ということに努めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○野末陳平君 非常にむずかしいと思いますので、ぼくもこれから国債を個人に買ってもらうにはどうしたらいいのかなというふうに考えるけれど、いい方法ないわけですね。やはり資産選択としてはどうも国債はよくないというのが、ほぼ定着しているようにも思うんです。
 で、市況安定とおっしゃるけれども、低迷のままの安定で、決してほめられたことでもないでしょう。それから、ニーズに合わせて商品も多様化と。事実、ここ数年は多様化していますが、しかし、中心はやはり十年物の長期ですからね。ですから、どうも簡単なことでは少なくともこの個人消化という点は進まないんだろうと思うんですよ。
 そこで、いろんな問題が生じてくるので、時間の関係で余りできませんが、大蔵省が今後どんな広告を出されるか知りませんが、証券会社の広告なども、ぼくはちょっと疑問に思ったりしているんですね。でもこれはいま言いませんが、ひとつ大臣にちょっとお聞きしたいんです。
 今度の三月債は一応八形ですね。この十年の国債を、特別マル優でも何でもいいんですが、大臣だったらどうでしょう、お買いになりますか。これは非常に大事なところだと思うんですよ。要するに、買う気にならないような、ぼくだったら、はっきり言って買う気になれませんね、いろいろな事情がありますが。しかし、買う気にならないものを、個人消化を促進するというのでいろいろな広告を出して買わせようと、その結果が必ずしも期待にこたえないような債券市場の現実ですね。この辺考えた場合に、非常にこれはむずかしいと思うんです。ですからお聞きするので、八%の国債、大臣はどうですか、余裕があったら買いますか。
○国務大臣(竹下登君) 三月債の八%にする際に、いろいろ省内で議論をいたしました。私自身が国債購入に意欲を持っておるかというと、これは国務大臣として閣議で決めて、何ぼか毎月買わせられておるという表現はおかしいのですが、お買い申し上げておるのです。しかし私自身、投資家でございませんので、そういう意味で国債というものをながめたことはいままでありませんので、途端の御質問に対しての心境を申し述べるほどの自信はありません。
 しかし、諸般の情勢から、六・一国債ですね、大変な問題のありますのは。その後の推移からして、私は三月債六千億でございましたが、これは消化できるだろうということで、そういう条件にしたわけです。しかし、重ねて御質問をなさるうちにその感触がつかめますように、やっぱり基本的には、国債発行額が多過ぎるというところに問題があると思うのです。
 したがって、素直な心境で申し上げますと、一兆円ことしは減額しましたと言いながら、売れないからやめたのじゃないかと、こういうふうに言われてみれば、なるほどそれもそうかなという自己反省をするぐらいな状態でありますので、いろいろな工夫をしまして、これらもこの市場のニーズに合うような発行条件等を考えていきたいというふうに思います。
○野末陳平君 三月債の売れ行きを見てからでないと、いろいろなことは言えませんので控えますけれども、いずれにせよ、どうも国債発行の条件について、もうちょっと弾力的に取り組まないと恐らくだめだろう。
 やはり発行姿勢が、少し全体の金利体系のバランスの上に立って、新聞用語で言うと、常に硬直化しているということになりますか、何といったって、ぼくはもう少し個人消化を考えるならば、やはり買いたい人の、あるいは買おうとしている人のニーズにこたえるように、発行条件は弾力化しなきゃもうだめだというふうに考えているんですよ。だから、これに踏み切るかどうかですね、問題は。そこら辺を大臣にお聞きしておきたいのです。
 それで、これは三月債が売れれば問題なくなるかもしれないんですが、しかし、今後のこともありますから、国債の場合に、買い手にいい条件を示すという魅力ある商品ということが一つですね。それからもう一つは、ここのところのいい教訓だと思うんですが、値崩れを簡単にするようじゃだめですね。やはり持っていても損をしないぞと、途中で換金しようというような必要があったときでも安心してできるというような、損しないという安心感。本来、これを言っていたんですね、発行するとき国は。それから広告もそうなんですね。大蔵省の広告、証券会社の広告も、それを何となくにおわせたような売り方をしてきたんですよ。でも、それが全然裏切りになったでしょう。
 ですから、条件の弾力化ということで、いままでどおり硬直してむずかしいとおっしゃるのか、それともやはりそういうことも当然考えなきゃならぬときに来ているんだということなのか。その辺だけを、はっきり大臣にお考えをお聞きしておきたいんですがね。
○政府委員(渡辺喜一君) 私ども国債の発行条件につきましては、決して硬直化した態度をとってきたつもりはございません。現に今年度においては、すでに去年の三月、四月、それから七月、またつい最近と、こういうふうに頻繁に発行条件の改定を行ってきておるわけです。
 ただ、改定時期におけるそのときの市況というもの、これはもちろん条件改定の際に十分参考にしなければいけないわけでございますが、それのみによって条件を決めるというわけにはなかなかまいらない。国債というのは、発行したらばそれから後、たとえば十年債なら十年という長い期間の金利がそこで決まるわけでございますので、ごく最近の短い期間の金利動向によって、今後十年の金利を決めるというわけにはなかなかまいらないわけでございます。やはり基調的なものといいますか、そういうものを十分勘案していかなければいけない。
 それからまた、他の公社債に与える影響あるいは他の公社債金利の現状、こういうものも十分勘案していかなければいけないということでございます。それからまた、その国債金利によって各種金利が影響を受けるわけでございますから、そういうものが金融、経済全般にどういう影響を及ぼしていくかというふうなことも、やはりこれは国の決める金利でございますから、十分勘案しなければいけないわけでございまして、そういうもろもろの要素を十分総合的に勘案して発行条件は決めていく。ただし、発行条件の改定については、これはできるだけ弾力的にやっていくと、こういう考え方でございます。
○委員長(世耕政隆君) 大蔵大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(世耕政隆君) これより請願の審査を行います。
 第六一号筑波研究学園都市移転跡地の利用に関する請願外百六件を議題といたします。
 本日までに本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりでございます。
 理事会において協議いたしました結果を御報告いたします。
 第八八号預貯金の利子引上げに関する請願は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第六一号筑波研究学園都市移転跡地の利用に関する請願外百五件は、後日改めて審査することに意見が一致いたしました。
 以上御報告いたしましたとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(世耕政隆君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(世耕政隆君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(世耕政隆君) 日本専売公社法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました日本専売公社法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 現下の厳しい財政事情にかんがみ、小売定価が昭和五十年末以来据え置かれてきた結果、製造原価の上昇に伴い、売り上げに占める専売納付金の比率が相当の低下を見ている製造たばこについて、その小売定価を改定することとし、所要の改正を行うことといたしたものであります。
 また、現行の専売納付金制度のあり方等につきましては、従来から種々の議論があり、制度の改正の必要を生じております。このため、昭和五十三年十二月の専売事業審議会の答申を踏まえ、製造たばこの価格形成方式の明確化、財政収入の安定的確保と日本専売公社の自主性の向上、その経営の効率化を図る見地から所要の改正を行うことといたしております。
 製造たばこの小売定価の改定等による専売納付金の増収額は、昭和五十四年度予算におきましても重要な財源となっております。また、現行の専売納付金制度に対しては、最近、諸外国からの批判が強まっており、制度改正の速やかな実現がぜひとも必要であります。
 このような状況にかんがみ、ここに日本専売公社法等の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案につきまして、その大要を御説明申し上げます。
 第一に、製造たばこの小売定価を改定するため、製造たばこ定価法において法定されている種類ごと、等級別の最高価格を、紙巻きたばこについては十本当たり十円ないし三十円、パイプたばこについては十グラム当たり十二円、葉巻きたばこについては一本当たり十円ないし四十円、それぞれ引き上げることとしております。
 第二に、専売納付金制度の改正につきましては、現在、日本専売公社法において、専売納付金の額は、日本専売公社の純利益から内部留保の額を控除した額と定められておりますが、これを製造たばこの種類ごと、等級別に応じ、小売定価に売り渡し数量を乗じた額に法律で定める率を乗じて得た額から、道府県たばこ消費税及び市町村たばこ消費税の額を差し引いた金額とすることとし、これにより、財政収入の安定的確保を図るとともに、小売定価に占める国及び地方の財政収入となる金額の割合を明らかにすることとしております。
 なお、法律で定める率は、製造たばこの種類ごと、等級別に応じ、三一・〇%ないし五六・五%と定めることといたしております。
 第三に、専売納付金制度を改正することに伴って、日本専売公社の経営がその企業努力だけでは吸収し得ない原価の上昇によって圧迫されるおそれが生ずることとなることにかんがみ、現行の最高価格法定制を基本的に維持しつつ、たばこ事業において損失が生じた場合または生ずることが確実であると認められる場合で、たばこ事業の健全にして能率的な経営を維持するために必要と認める場合に限り、大蔵大臣は、あらかじめ専売事業審議会の議を経た上、法律で定める最高価格に一・三を乗じた額を限度として、物価等変動率の範囲内において、製造たばこの種類ごと、等級別に暫定的な最高価格を定めることができることとしております。
 このほか、専売納付金制度の改正に関連し、輸入製造たばこの価格決定方式を明確化するため、関税定率法において、日本専売公社が輸入する製造たばこを無条件免税の対象から除くとともに、製造たばこに係る関税率を改定する等所要の改正を行うこととしております。
 以上、この法律案につきまして、提案の理由及びその内容を申し上げました。
 なお、この法律案は、第九十回国会におきまして衆議院で継続審査となり、今国会で同院において法律番号を修正して可決の上、参議院に送付されたものであります。
 何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(世耕政隆君) 本案に対する質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十八分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五分開会
○委員長(世耕政隆君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、日本専売公社法等の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行います
 質疑のある方は順次御発言願います。
○片岡勝治君 それでは、まず先陣を承って、今回提案されております俗に言われるたばこ値上げ法案、あるいは法定緩和措置のこの法律案に関連して、質問を申し上げます。
 まず、その前提条件といたしまして、最近の経済情勢、私たち国民の側から見ても大変心配をするわけでありまして、当初、政府が予定をいたしましたいわゆる経済見通し等も、昨今の国際的な、あるいは国内的な情勢からすれば、これは大幅修正をしていかなければならないのではなかろうかとさえ感ずるわけであります。特に、こうした物価高が心配される中で、軒並み公共料金の値上げが行われる、再び狂乱物価時代が到来するのではないかと心配するのは、ほとんど大部分の国民だろうと思うわけであります。この点につきまして、まず大蔵大臣から今日の経済情勢、特に物価問題を中心にした見通しなど、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この私の所信表明をお読みいただきましても、景気、物価両にらみの中で、当面は物価に重点を置かざるを得ないというような表現をいたしてきておりますが、本日、きょうの時点で仮に所信表明を申し上げるといたしましたならば、当面はということではなくして、まさに今日は物価問題が最重点になってきておると認識いたしておりますと、このような答えをしなければならないような環境であると思うのであります。
 いま経済見通し等についての御意見を交えての御質疑でございましたが、消費者物価が、最初は四・九と申しておりましたのが、五十四年度の実質見込みが四・七でおさまるのじゃないかということが一つ言えると思うのであります。ただこの問題は、三月が七・七で抑え込まれたときに、初めて四・七というものが守れるということに相なるわけであります。
 それで、二月というものがあれだけの上昇をいたしましたのは、まさにこれは季節商品とでも申しますか、野菜の高騰等ということが言われておりますが、三月さらに心配しておりますのは、まさに野菜等の問題が、われわれが施策を施した効果がどれだけ出てくるかということで、四・七が守れるかどうかという大変瀬戸際ではないかというふうに思います。そうしてまた、卸売物価につきましては、当初見通しを大きく変更して一二・一ということになっております。これは恐らく三月が二一・幾らということになれば、当初が三四というようなときがございますので、やっと守り得るものではないかというふうに考えておるところであります。
 ただ、幸いにいたしまして、一方で、いわゆる経済というものは堅調に推移しておるということは言えると思うのでございます。たとえて申しますならば、きょう入りました数字で申し上げてみましても、一月の失業率が前年同月は二・〇六でございますのが一・八七という、いわゆる雇用情勢も厳しいながら緩やかな改善基調を維持しておるということが、この失業率等から見れば言えるではないかというふうに思うところでございます。
 したがって、確かに景気というものもいつどういう事態になるかは別といたしまして、いまのところ着実な拡大を続けて、雇用情勢も厳しいながらも緩やかな改善基調を維持しておると言えるわけでございますが、先ほど来の御指摘のように、物価問題が最初に申し上げました数字に示されるとおりでございますので、これが五十五年度でどう影響してくるかということについて、日銀当局におかれましては、四回にわたる公定歩合の引き上げを、先般異例の措置として国会開会中にこのことが行われたわけでございますので、当面はこれらの推移を見守りながら、弾力的な対応策をやっていかなければならぬ。で、特に季節商品、野菜等につきましては、先般も、予備費等の支出をいたすことによりまして、緊急に産地に対して春野菜を早目に出荷してもらうための奨励措置を行うとかいうような措置は行っておるわけでございます。
 で、一昨日行いましたところの円の安定対策というものは、これはやはり経済の基調を自続的に維持していくという言葉の中には、当然、物価問題もこの中へ入っておるわけでございますので、まさに総合的に知恵をしぼって、そして国会の場等でいろいろ議論を寄せていただくことを参考にさしていただきながら、物価問題に対してまさに見通しとして立てておりますところの、消費者物価で五十五年度は何とか六・四という数字で抑えていきたいというふうに、精いっぱいこれから努力しなければならない課題であるというふうに考えております。
○片岡勝治君 日銀が発表したこの一月の卸売物価が総平均指数で一二四・〇、前年同月より一九・三%上昇、こういう数字になっており、さらに二月の卸売物価は前月比上昇率で一月を上回るということが予測をされているわけですね。このことが、直ちになだれのように、消費者物価に今日時点では影響されておりませんけれども、やがて必然的に消費者物価にあらわれるということは、ある程度覚悟しなきゃならぬと思うわけです。
 消費者物価を見てまいりましても、昨年秋ごろから物価の指数が上がりまして、九月まではほぼ三%台であったのが、十月には四%、十二月が五・八%、一月に六・六%、月がかわるごとにだんだんアップしているわけでありまして、二月の東京都の区部では七%台になってきた、こういうことが報道をされているわけであります。
 そういたしますと、もちろん私たちは悲観的な事態が出ることを望むわけではありませんけれども、しかし、このような事態を静かに考えてみると、やっぱりある程度われわれとしては覚悟しなければならないような事態に来ているのではないか。政府も決してこの情勢を楽観祝しているとは、私も思いません。思いませんが、しかし、どうも情勢を楽観的に見ている、そういうような心配といいますか、指摘ができるわけでありまして、そういう点で、こうした大変激しい卸売物価指数の上昇、これがやがて消費者物価に波及してくるわけでありますが、この長期的な見通しというのは大変困難でありますけれども、つまり五十五年度の経済見通しというものは、当初政府が考えておったようなそういう見通しと比べて一体どうなのか。
 それは一つの目標ということではありますけれども、この政府の経済見通しについて、今日時点ではこれを修正するとか訂正するというようなことはないと、そういう考えは持たなくていいのだというふうにお考えなのかどうか。それとも、この際、この見直しが必要なのではないかと私たちは考えるわけですが、この将来見通しについて、もう一度お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いま片岡委員御指摘のとおり、卸売物価で見ますと、これはまさに外的要因でありますと言ってしまえばそれまででございますが、当初見通しにおきましては一・六と言っておったものが、いま実績見込みでも一二・一と言っているわけでございますから、これは大変な、まあ言ってみれば見込み違いと言われればそのとおりでございます。
 で、御指摘のありました二月の東京都区部ではございますけれども、上旬が二〇・二、中旬が二一・一と、こういうことになっております。四月−六月三・六、七−九が一〇・五、十−十二が一六・一ということになりますと、当然一−三月が平均しましても二〇%あるいは二一%というようなことになるのじゃないかという感じがいたすことは事実であります。
 一方、消費者物価は、当初が四・九でありましたのが、四−六の三・二、七−九の三・五というようなものに支えられまして、東京都区部で七・六と言われておりますのが七・七で仮に三月がおさまるといたしますと、恐らく専門的な数字は、はじき方は私詳しく存じませんけれども、総務長官の発表では四・七におさまるだろうと、恐らく四捨五入で四・七四というようなことを頭に置いて言ったかなというふうに私承っておりましたけれども、そういう感じがいたします。
 したがって、卸売物価が一二・一で仮におさまったといたしましても、これが五十五年度の政府見通しの中で原油価格の上昇というものが急激に今後ももたらされるという、五十四年度ほどの状態にはなかろうかと思いますので、いま九・三を卸売物価では見込んでおりますし、消費者物価では六・四を見込んでおるわけでございますが、卸売物価上昇の影響が漸次及びつつございますものの、いまのところ安定的に推移しておる。
 一方、一昨日の措置等が、きょうのところは二百四十七円台というようなことで動いておるようでございますが、円安傾向がこの卸売物価に大きな作用をしたというものの、今後安定的に推移していったとしますならば、私はこれは目標として、いま直ちに片岡先生もうギブアップしましたという性格のものではなく、やはりこれを努力目標として、五十五年度の経済運営をやっていかなきゃならぬというふうに考えておるところであります。
○片岡勝治君 こうした先行き大変心配な情勢の中で、軒並み公共料金の引き上げが現に行われつつあり、あるいは国会に提案され、あるいは政府の認可としていま審査中のものも相当あるわけであります。これらがそれぞれ消費者物価を押し上げる要因になることは、これは否定できない事実であります。それに加えて、いま私が申し上げましたように、私どもの予測しなかった卸売物価の引き上げとか、あるいは最近急激な円安傾向、こういうようなものが、これにさらに大きく影響をされてくるのではないか。つまり、当初政府が考えておった公共料金の値上げ、引き上げ、そういうものが消費者物価を押し上げてくるわけでありますが、さらにその加速要因として卸売物価とか、あるいは円安とか、そういうものがあるのではないか、こういう気がするわけですが、この関係はいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 卸売物価の上昇の原因は、これは何としても一次産品、特に原油価格の上昇ということが一番大きなウエートを占めておりますが、さらに円安傾向がこれに拍車をかけておることも事実であると、これは片岡委員と私の認識もほぼ一致しておるところであると思うのであります。
 したがって、いまの御意見を交えての御質問というのは、いわゆるこの予算関連公共料金というもので、これが消費者物価への影響度を年度平均寄与度という表現でございますが、これにつきましては、確かに全部で約〇・八%程度というような計算をしておるところでございます。
 さらには詳しくは、たとえば国立大学授業料等につきまして申しますならば五十三年度改定の学年進行分も見込んでございますし、非常にその点は詳しく精査しておるところでございますが、この〇・八%程度というものも、この今年度の上昇率の六・四%の見通しに対する〇・八%ということであるわけでございます。したがいまして、このほかにございますのが、これは言わずもがなのことでございますが、電気、ガスの料金改定の問題があるわけでございます。
 これらが消費者物価に波及をしてきます大きな要素になるわけでございますけれども、これから私どもとしては総合的な中でこれに対応していかなければならないのは、いまおっしゃった円安傾向に対して、午前中日銀総裁も、大体通貨当局者としては、いまの二百五十円という線を超したらまさに異常であるというような表現は、平素よほどのことでないと使わないわけでございますが、あえて今日の円安傾向は行き過ぎであるということを、日銀当局からも言葉としてきょうお答えがあったとおりでございますので、これらについては、本当に総合的にこの対応策を、これはその時点において対応していくだけの心構えを絶えず持っていなきゃならぬ課題であるというふうに、理解をいたしておるところであります。
○片岡勝治君 まあ、公共料金の引き上げにはいろいろな理由もありましょうし、また、ある時期においてはやらざるを得ないそういう内部的な要因も出てくるわけでありますが、しかし、これは民間企業と違って、国会なり政府なりの恣意的な行為によってこれをストップもできるし、あるいは引き上げを決めることもできるわけであります。そういうことからすると、私はいまこの時点で公共料金を引き上げるということは、率直に言って時期としては一番悪い時期ではないのかということを感ずるわけですね。
 それじゃ、いい時期がいつかということになれば、これは大変むずかしいわけでありますけれども、しかし、今日の経済情勢を考えてみたとき、あるいは国民の心情的な傾向を見たときに、こういうときには大変苦しいけれども、何らかの便法措置を講じて公共料金の引き上げについてこれを抑制していく、そういうことによって国民のいわばインフレ的な機運、そういうものを冷やしていくというような政治的配慮が必要ではないかと感ずるわけですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) いまの御意見は、それなりに私はもっともな御意見だとは思います。
 ただ、今日いわゆる予算関連でいま影響がすでに出ておる、わずかでございますけれども、米の政府売り渡し価格が二月から行われまして、これが〇・〇八%程度CPIへの影響がございます。そうして、この予定されておりますものの中でも国立大学の授業料、これが〇・〇一、そうして国鉄運賃が〇・〇八、郵便料金が〇・〇四と、そういうことにいたしまして、〇・二一%にこれらのものでなります。そうして、いま御審議いただいておりますたばこ定価が、これが〇・三三影響度を持っておる。そして、健保法改正によりますところの初診時の一部負担でございますとか、あるいは入院時の一部負担でございますとか、そうしたものを考慮いたしますと、これが〇・二四、そういうことになるわけであります。
 したがって、国会の論議の中におきましても、まず、いま私が申し述べましたようなものは、他の卸売物価から経済のマーケットメカニズムによって変わってくる消費者物価への影響というものでなく、政府自身の対応でこれは抑え切ることのできる範疇に属するものではないかという御意見、まさにそのとおりでございます。
 ただ、そこで問題になりますのは、仮にこれを抑えたといたしますと、仮に当分の間値上げはしないというような方針を決定するのも、これは大変勇気の要ることであろうと思うのでありますけれども、そもそも公共料金は経営の徹底的合理化を前提としつつも、受益者負担の原則というものに立って、物価、国民生活の動向に十分に配慮しながら厳正に取り扱ってきたところでございます。そうして、公共料金を合理的なコストと著しくかけ離れたままにこれを放置したといたしますと、単に財政負担の増大という問題のみでなくして、費用負担の公平を欠くということから、結局はある時期に、いまも御指摘がありましたが、いずれかの時期は別として、今度は一時期に大幅な引き上げを行わざるを得なくなるというような、将来の物価行政を混乱させる要因にもまたなり得るわけのものでございます。
 したがって、いまは抑えるのも勇気が要るのでございますが、あえて値上げをこのようにして国会の場で審議をお願いするということにも、また、将来の物価体系から申しますならば大いに勇気の要ることであって、いまその勇気を持ってお願いをしておるというふうに、御理解をいただければ幸いであります。
○片岡勝治君 そういう勇気を余り派手にすると、これは国民の方は大変心配をするわけです。特に今回のたばこについては、その値上げの理由について確かに、なるほどそうかというような点もないでもありません。
 ただ、私たちが大変心配するのは、国鉄もそうでしたね。大幅値上げと同時に、国会のいわば審議権といいますか、そういう国会の私どもの権能というものを取り上げた。今回のたばこもそうですよね。ただ二一%の値上げじゃない、これからは国会はもう物を言うなと、もちろん三〇%という制限はありますけれどもね。今度はもう大蔵大臣の判こ一つで三〇%以下ならどんどん上げることができますよ、こういう法律案なものですからね。
 いま大臣はいみじくも言ったけれど、大変勇気のある提案ですよね、これは。われわれ国会の側からすると、これは大変困ったことだ。一体、公共料金というのはもう軒並み、今度は漏れ承ると郵便料金もそうらしい。一体、国会のいままで私どもが慎重審議をして、賛否はいずれにいたしましても、真剣に討議をして、これでよかろうという結論を出してきた、そういうものが軒並み今度はなくなっておりますね。大臣、あと何が残っていると思いますか、われわれ国会で決める公共料金というのは。重要な国鉄、たばこ、郵便料金、あとはもう余りありませんね。電報ですか。これも、やがて取り上げられるんじゃないかと私たちは心配するわけですよ。
 つまり、いま国民が、われわれが心配するのは、その公共料金の値上げそのものももちろん何とかこれを抑制してもらいたい、そういう強い願望を持っておりますけれども、それにも増して、なぜ国会の権限を一つ一つ剥奪して政府の権限に移していかなければならないのか、なぜ国会を通じて国民の声を聞くそのルートを閉ざさなければならないのか、しかも、この時期になぜそれをやらなければならないのかということについて、私たちはとても了解できないんです。
 百歩譲って、どうしても二〇%値上げしなきゃもうつっとっちゃうんだということなら、それなりの私は理解はできるんです。しかし、それにあわせてこれからはもうだめですよと、国会は三〇%以下なら口をはさむことはできないんですというようなことを同時に出すということについて、一体政府は、大蔵省は何を考えているのか。そんなところに勇気を出してもらったのでは私たちは大変困る、そういう気持ちが非常に強いわけなんです。大臣も次官も国会議員ですから、みずからの権限をもし取り上げられるという立場にお立ちになれば、これは困ったことだ、そういうふうにお感じになると思うんですが、ひとつ大臣の国会議員としてのお気持ちを御披露いただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる財政民主主義というものの考え方の基本に立った場合に、たとえ少し制限を付したとはいえ、国会の審議の外に置くということに対する政治家としての考え方を申し述べろと、こういうことであろうと思うのであります。
 私も、もとより同じ国会に席を持つ者でありまして、財政民主主義というものがいまの時代に最も適合しておるというものであるということは、よく承知しております。そこで、私もいままでいろいろな部署部署におって思いましたのは、非常に極端な例でございますけれども、高速自動車道の料金改定というようなものは、あれは大臣限りの決裁事項になっておるのでありまして、これはまさに受益者負担の原則だからだと思うのでございますが、そういたしますと、私も建設大臣をしておりましたときにも、間々イージーになりがちだという感じは事実持って、それでそれをチェックしてもらうところとして、まあ経済企画庁というところでチェックしてもらうという慣習をつけたわけでございます。ただ、また別の角度から申しますと、非常に対応がスピーディーにできるということは、確かに言えるではないかという感じを持ったことも事実であります。
 したがって、国会へかけたらすべてがスローモーションになってしまうという意味であえて申し上げるわけじゃございませんけれども、その辺の国会の審議権、財政民主主義と行政の効率化というものの調和点というものがどこに見出せるとしたら、一定の基準内における執行権にゆだねるというその制限というものが、ちょうどその調和点に当たるものではなかろうかなと、こういう感じを持ちながら大蔵大臣になって、初めてたばこのことは、実はたばこを吸った経験は、いまでも吸っておりますけれども、法律のことはさっぱりわからなかった私として、レクチャーを受けながら、率直な感じとして、財政民主主義と執行の効率化のその調和したものが、制限つけられた一つの緩和政策ではないかな、こういうことを私なりに感じておるということを、素直に申し上げたいわけであります。
○片岡勝治君 財政法第三条ですか、独占的な事業については一定の制限を設けることになっております。つまり料金を国会で決めろと、こういうことになっておるわけであります。いろいろ政府のやっております事業、企業等を見て、私はこの専売が一番独占的な事業の一つだろうというふうに考えるわけです。それからもう一つは、公共性というものを考えろと、こういうことがありますね。独占性、公共性。しかもたばこは、もうずばり言えば、百円のたばこを買えば今度の法律でも五十五円、平均五五%、半分は税金だと。こんな公共性の物品というのはないんですね。物品税は取られても一%とか五%。半分が税金だと、そういう物品というのはほかにないわけであります。
 いま大臣がたばこに火をつけますけれども、その半分は税金ですからね。こんな公共的な性格の物品はない。それをも国会の権限から外して行政権に移す、一体あと何が残るんだろうということを心配すると、いまのこういった公共料金に対する政治姿勢、行政姿勢というものはやっぱり国民の側に背を向けたそういう政治姿勢だと、こういう認識は、私はあながち誤りでないと思うんですよ、こういうふうに軒並みどんどんどんどんやってこられると。
 今度郵便料金がそうだ、そのうち電話がそうなるかもしらぬ。国会議員さん、頼みますよなんて国民の側から言われたって、冗談じゃない、われわれにはもう権限がないんだと、こういうことになっては、私たちは国民に対して責任を負いかねる。そういう点では、大変大げさに言うと、議会制民主主義の危機ということはちょっとオーバーかもしらぬけれども、そういうふうにさえ私は感ずるんですよ。一体どこまでいくんだろう、これで終わりなのか。
 これは大蔵大臣に対しての質問ではないのかもしらぬけれども、そろそろこの辺でストップしてもらいたいと、率直に私は感じているんですがね。これからも続々片っ端から、みんなこういう方式で取り上げるんですか、大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) 原則的なお話を申し上げますならば、まさに公共料金というものは、徹底した経営の合理化を前提として、やはり受益者負担の原則のもとに物価とか国民生活を勘案して厳正に対処していくべきものでございますので、私もイージーなそういう値上げというようなことを軽々にすべきものでないということは、よく存じております。
 そういうことがあったればこそ、五十四年度予算の財源として見込んでおった、いま御審議いただいておる法律も、そういうある種の世論の背景の中に今日までおくれてきたという現実は、私どももこれははだ身にしみて認識しなければならないところであるというふうに思っておるところであります。
 ただ、値下げするものがあるかということになりますと、最近、政府部内で議論しておりますので一つございますのは、いわゆる電電公社の電話料金の、これも夜間で遠隔の地帯とかいう制限はつくようでございますけれども、値下げというような方向の検討もさしていただいておるものもあるわけでございますので、何でもかんでも上げればいいというような安易な姿勢で、国民の皆様方に対して政権を預かっていくべきものではないと。
 それだからこそ、国会というものがそれなりの調和した機能を現実の問題として生かして、いまここで審議していただいておるという状況そのものが、私はまさに国民世論の大体動向がかくあって、そして、いよいよここで片岡先生に審議していただけるようになったということも、また国民世論の動向にこたえたあり方ではないかな、こういう期待と願望を込めてお答えいたしたわけでございます。
○片岡勝治君 そういうお答えを煙に巻いた答弁と、こう言うんですよ。国会の権限を取り上げてしまうという問題について、これは見解の相違になって、いつまでやっても結論の出ないことになってしまいますが、もう一つこれに関連して心配するのは、地方団体においても同じようなことがありますね。
 水道料金とか下水道料金とか、あるいは地方交通。やっぱり国がこういうふうに模範を示す、模範ということにはならぬけれども、国だってやっているじゃないか、今度は地方の知事や市長の方でも、これは知事、市長の権限にしたらいいじゃないかという声が生まれてきますよ。そういう点についてはどうなんですか。これは大蔵大臣の所管かどうかわかりませんけれどもね。そういう空気がなしとしないんですよ、いま。国だってやっているじゃないか、金庫番の大もとである大蔵省が率先垂範しているじゃないかということになれば、これはこういった空気が地方にまでどんどんどんどん浸透していく。これはやっぱり地方議会の権限というものが縮小される、果たしてそういう傾向が民主的だと言えるかどうか、大変私は心配するんですが、もし大蔵大臣として、地方団体のこの種の問題についての見解があれば、お伺いいたしたいと思いますが。
○国務大臣(竹下登君) 地方自治体に対して、あえて政府としての干渉がましい私の見解を申し述べるわけにはまいらないかと思うのでございますけれども、全般的にこうした問題は、経済学とは心理学であると言われるごとく、一つの大蔵省なら大蔵省なりが行う行為が、非常にイージーな形でそれぞれのつかさ、つかさに伝播しがちな傾向を持つものであるということは、私も理解できるところであります。
 したがって、国として地方自治体に対して指導、協力を要請しておりますのは、やはり安易な形でもろもろの公共料金に手をつけるようなことはできるだけ厳正にやるべきであるということで、地方財政計画等をつくる場合にも、そのような姿勢を貫きながら、知事会とかいうようなところとも折衝しておるというふうに、私はこれを見ておるところでございます。
 ただ、本当にそういう御質問があって、私どもが心構えを述べることが、また、別の意味において地方にもこれが当然のこととして知られて、そしてある種の緊張感ができてくることは、私は幸いなことではないかというふうに考えております。
○片岡勝治君 これに関連して、さらに具体的な今度の法律案について質問したいと思いますが、厚生省の方にも来ていただいておりますので、先にそちらの方をやりたいと思います。
 たばこと健康の問題につきましては、最近、特に大変重大な課題になってまいりました。私自身も大変ヘビースモーカーでございましたが、最近、思うところあってたばこをやめたわけであります。通常、人の倍ぐらい吸っておりましたので、私の平均年齢の分まではもう吸っちゃったぐらいの量だったと思うわけでありまして、そういう意味では相当政府にも貢献をしてきた一人であります。大変たばこの好きな一人であったわけであります。この点をまずあらかじめ申し上げておいて、たばこと健康の問題についてお伺いをしたいと思います。
 これは日本の公害問題に対する政治姿勢、行政姿勢というのは、率直に言って大変消極的であった、これは自他ともに許すところだろうと思うわけであります。いろんな人体に影響がある物質の制限等についても、ほとんどアメリカとか、ヨーロッパとか、そういうところで問題になった、それを受けて日本の厚生省なり政府がこれを制限をする、この使用を禁止する、大変受動的な政策であったと思うわけであります。この政治姿勢、行政姿勢は、たばこと健康の問題についても私ははっきり言えると思うんです。
 たばこが直ちに人体に大変重大な危険を与える、のんだらがんになるなんということを私は言っているわけではありません。大蔵大臣も大変たばこがお好きのようでありますけれども、きわめて健康のようでありますから、しかし、だからと言って、それではいままでのような、大蔵省というよりも公社の姿勢でいいかどうか、厚生省の姿勢でいいかどうかというと、これまた大変大きな疑惑を感ずるんです。これから、るるその点を指摘しながら、見解をお伺いしたいと思うんです。
 まず、たばこについては、WHOの勧告が数たび行われたわけであります。こういうものが出ないと、日本の政治というものは反応しないわけですね。もしこれがなければ、黙して語らず、幸いにしてWHOがたばこと健康の問題について勧告をし注意をしてきたものですから、これにようやく対応をしたとは言えませんね、特に公社は。ですから、このWHOの勧告について、一体政府は、厚生省は、あるいは専売公社は、基本的にどのような受けとめ方をしているのか、あんなものは大したものじゃないと言うのか、それともこれは重大な勧告だと、どのようにこれを受けとめているのか、その基本的な姿勢というものを、まずお伺いしたいと思います。
○説明員(大池真澄君) 御説明申し上げます。
 ただいま御指摘ございましたように、WHOにおきましては、一九七〇年に事務局長報告によりまして、たばこの人体への影響について報告があったわけでございますが、その後も一九七四年、最近また七八年と専門家委員会報告が提出されておりまして、身体的な影響の面について、広範な内外の研究成果の集約的な内容が紹介されておるところでございます。
 一番最近、WHOから日本政府の方へ申してきておりますことは、一九八〇年が世界保健デーのテーマとして、喫煙と健康の問題を取り上げておる、これについて政府がその趣旨に沿ったキャンペーンをするようにというようなことを勧告してきております。
 そこで、厚生省におきましても、関係機関、諸団体と連携をとりまして、四月、中央の会合を持つことにして、現在企画が進められておるところでございます。
 そのほか、先ほど御指摘ございましたWHOの勧告の中での対応でございますけれども、私どもの所管に係ります問題としては、主として一般国民に対する健康教育と申しましょうか、衛生教育あるいは啓発活動というようなことでございます。この点につきましては、昭和三十九年、児童の喫煙禁止の問題につきましては児童家庭局長通知をもって、また、喫煙の健康に及ぼす害につきましては公衆衛生局長通知をもって、広く全国の各関係機関に衛生教育の問題を呼びかけておるところでございます。
○説明員(小幡琢也君) お答え申し上げます。
 専売公社といたしましては、昭和四十五年以来のたびたびのWHOの喫煙と健康に関する勧告につきまして、厚生省から連絡を受けております。そういたしまして、この勧告を拝見いたしまして、公社といたしまして深刻に受けとめているつもりでございます。すなわち、四十五年にこの勧告を受けましてから、早速、専売事業審議会にその対応につきまして諮問をいたしたわけでございます。その諮問に対する答申が四十六年三月に出されまして、その答申の趣旨に従いまして、いろいろと対応策を講じているわけでございます。
 どのような施策を行ってきたかということを申し上げますと、まず第一に、昭和四十七年の七月以降、紙巻きたばこの包装に、例の注意表示でございますか、「健康のため吸いすぎに注意しましょう」と、こういった表示をいたしております。それからニコチン、タール量の掲示ということ、これはニコチン、タール量、銘柄ごとの測定は昭和四十二年以来いたしておりますけれども、これを機会に、販売店の店頭に銘柄別のニコチン、タール量の掲示を行って、消費者の選択の便に供しているわけでございます。それからなお、健康面に配意しましたたばこの吸い方についてのPR、サービス、そういうようなこと、あるいは情報の提供等をいたしております。
 なお、公社といたしまして、この健康問題、非常に大事な問題でございますので、実は公社といたしまして、昭和三十二年以来専門の学者に研究を委託して、三十二年以来ずっと勉強しておるわけでございますが、従来は、主として肺がんと喫煙との関係ということに主力が置かれていたわけでございますが、これを契機といたしまして、肺がん以外にも、たとえば心臓病などの循環器系疾患あるいは肺気腫や慢性気管支炎などの呼吸器系疾患あるいは喫煙習慣の話とか、あるいはニコチン等の薬理作用でありますとか、さらに最近は、妊婦とか胎児への影響あるいは受動喫煙、いわば吸わない人への影響、こういったことにつきましても幅広く研究を拡充してまいってきているわけでございます。
 それからもう一つは、このWHOの提言などによりますと、低ニコチン、低タール製品の効用というものがかなり示唆されております関係もございますし、そういうことからも消費者の皆様の関心がそこに向いているということでございますので、積極的に低ニコチン、低タール製品の研究開発を行いまして、具体的にそういった商品の導入を図ってきているわけでございます。
 それからもう一つは、未成年者の喫煙防止の問題、これはすでに明治三十三年以来、未成年者喫煙禁止法という法律によって未成年者の喫煙が禁止されておりますが、これの防止のPRをこれを機会に強化する、こういった措置を講じているわけでございます。
 以上、いろいろ配慮いたしまして、何とかこういった問題につきまして、適切な対応を図っていきたいと考えている次第でございます。
○片岡勝治君 厚生省の方のお答えによると、中央で何か研究会ですか、会合をして研究している、検討しているというような、私の聞き違いですか、この点、もう一度お答えいただきたいと思います。
○説明員(大池真澄君) 失礼しました。
 シンポジウムのような形の会合を中央で開催いたしまして、広く一般の方々に喫煙の健康に及ぼす問題点につきまして、正しい知識を御理解いただくという趣旨の会合を開くことを予定いたしまして、現在企画が進められている段階でございます。
○片岡勝治君 日本の公害に対する対応が大変鈍感であるということは先ほど申し上げましたけれども、厚生省のいまのお話を聞きましても、なるほどこれはひどいなあと感ずるんですよ。というのは、このWHOの勧告があったのは一九七五年ですね。いろいろありますけれども、そういう勧告があって、いまのお話を聞くと、シンポジウムを予定して、これからひとつというようなことですからね。果たして国民の健康を守るという立場に立つ厚生省として、恐らく皆さんもそう感ずるんでしょうが、いかにもこれは感度が鈍いのではないですかな。率直に申し上げてそう感ずるのです。
 なるほど厚生省の方から、「児童の喫煙禁止に関する啓発指導の強化について」という文書が出ておりますね。それから「喫煙の健康に及ぼす害について」、これが昭和三十九年、二つの通知が出ておるわけです。内容は、WHOの勧告に基づくその趣旨によって通達が出されておるわけであります。これは結構なことでありますけれども、こういう一片の通知だけで、あと一体何をしたか、私なりに厚生省と地方との関係を調べてみたところが、ほとんど皆無ですね。
 それから、いまお聞きのように、これからシンポジウムをやって関係者に啓発をしていきたい、こういうことになっておるわけでありまして、いかにも厚生省としての対応が鈍い、率直にこの点は申し上げておきたいと思うのです。
 それから、公社の方におきましても、この専売事業審議会の答申、これはどういう内容を答申されているのですか。これは後で答申の文書をいただけますか。
○政府委員(名本公洲君) 専売事業審議会は、昭和四十六年の三月に答申いたしたのでございまして、この答申につきましては、後ほどコピーいたしましてお手元に差し上げたいと思います。
 この審議会は、御承知のように、大蔵大臣の諮問機関として法律上定められておるものでございまして、答申におきまして述べておりますことは、紙巻きたばこの包装への表示の問題、それから研究体制の強化の問題、さらに、いわゆる低ニコチン、低タール、ニコチン、タールに絡みまして健康問題が議論されております状況でございますものですから、そういう関連での新製品の開発について十分力を尽くすようにというようなこと。それからまた、未成年者の喫煙防止対策について、公社といたしましても十分に留意をしなければならないというような内容のことが、大まかに申しまして、以上のようなことが答申の内容になっておりまして、これに従いまして、自後公社の方の対策も講じられてきておるという実情でございます。
○片岡勝治君 いま専売公社の方のお答えの中に、昭和三十二年から研究している、つまりたばこと健康のかかわりについて研究をしている、こういうことがありましたね。この問題につきましても、衆参の委員会を通じてあらゆる角度から検討、質疑がなされているわけでありますが、その中で明らかにされていることは、専売公社が研究をしているそのほとんどが委託でやっておるようです。ところが、その研究結果が出ますと、これは専売公社では発表しないということのようですね。事実そういうことのようでした、私が調べても。これはどういう理由でしょうか。
○説明員(小幡琢也君) 公社が研究を委託いたしまして、その研究の成果を発表するかどうかという問題でございますが、従来は、何分この問題は非常に長年月を要する研究課題でございますし、ほとんどがまだ結論が出ていない、研究途上にあるということもございまして、そういった中途の段階におきまして、それを区切って発表するうまい方法があればいいわけでございますが、先生方もそれはなかなかむずかしい、しかも専門的、部分的でかえって無用の混乱を招くのではないか、その言葉の端をとらえて極端に誤解されるおそれもあるということで、むしろまだ公表は控えた方がいいのじゃないか。そのかわり委託を受けました研究者自体が、論文なり、あるいは学会の発表あるいは専門の医学誌でございますか、専門の雑誌に発表する、そういった形で対処してきたというのが実態でございます。
 しかし、先般来のこの国会でもいろいろ御指摘がありましたように、何分三十二年からずいぶんだっておりますし、やはりこの辺でいままでどういう研究をやっているか、その成果がどういうものであるかということを、できればわかりやすく発表した方がいいのではないかというふうな御意見に従いまして、公社としてはいまこれを発表するという、公表するという方向で、何かいい方法がないかということを、実は委託をしました先生方と相談しながら検討している段階でございます。
○片岡勝治君 ここにも専売公社の私は姿勢がよくない、そういうことを指摘せざるを得ないんです。三十二年からですから、委託というのはそんなに長い期間の研究テーマを出して、お金を出して研究していただいているんですか。たとえば、三十二年だからことしはもう五十五年でしょう。今後二十年間こういうテーマでどこどこ大学、そういう非常に長期的な研究テーマ、研究体制で委託しているんじゃないでしょう。最近の公社の出されたあれによりますと、非常に限定したテーマですよね。そう長期、十年も二十年もというようなことでなくて、ある非常に限定されたテーマで委託をされておる、こういうことですから、いまのお答えはちょっと私は腑に落ちないんですよ。
 ついでに、どういうテーマでその研究委託をしているのか、いつごろその結果が出たのか、委託費、どこへ委託をしたのか。全部そこでお答えするのは大変でしょうから、代表的なものをちょっと読み上げていただけませんか。
○説明員(小幡琢也君) 昭和三十二年以来委託しました件数は累計で四十七件、それから委託した相手方は三十の機関、それから委託金額の総額は九億二千五百万円、これは昭和五十四年度まででございます。
 それで、内容はどういうものかとまず申しますと、大きく分けまして喫煙とがん、特に肺がんとの関係ですが、これが実は五十四年度にずっと継続しておりますのが十件ばかりございます。こういったものをたとえて申しますと、継続のテーマとして、喫煙と肺がんとの関連に関する研究という、これまた相手が日本肺癌学会でございまして、非常にこれは大きなテーマでございまして、肺癌学会の方でそういったテーマをいろいろ手分けをして分担しているということになっております。あるいは喫煙と肺がんに関する物理化学的研究というのが、これは労働省の産業医学総合策究所に委託いたしております。余り細かいのはなんでございますが、あるいは喫煙の影響に関する人体病理学的研究、東京大学、あるいはたばこタール中の芳香族多核炭化水素の代謝に関する研究、これは癌研究会癌研究所、こういったものが喫煙とがんとの関係のテーマでございます。
 それから、喫煙と心臓血管系といろ大きいテーマ、その中の継続課題といたしましては、喫煙の循環機能に及ぼす影響に関する研究、あるいは喫煙及びニコチンの自律神経系及び末梢血管への影響に関する研究、それぞれ浜松医大とか京都大学に委託しておりますが、こういったのが五件ばかりございます。
 それから、喫煙と呼吸器系という大きい分類では、継続が喫煙と肺疾愚に関する臨床医学的研究、順天堂大学、あるいは喫煙の肺機能に及ぼす影響に関する臨床的研究、そういったものが三件ばかりございます。
 それから、喫煙の生理、薬理という分類、これはたばこ煙中ガス成分の生体作用に関する研究とか喫煙の生体に及ぼす影響に関する研究、いろいろ四件ばかりございます。
 それから、喫煙と妊婦、胎児という分類では、喫煙の妊娠母体に及ぼす影響に関する研究、神戸大学、あるいは受動喫煙といたしましては、喫煙に伴う室内空気汚染に関する研究、その他三件ばかりございます。
 そういったものでございまして、非常に研究テーマが大きい問題でございまして、特にがんはそう簡単に結論が出るものではございません。私ども何とか早く出してくれと言いましても、むしろ医学の専門家の方々は、そんなものではない、研究というものは大変なものであるということで、ずっと継続しているわけでございまして、私どもはその中からいろいろ研究の反省というものを先生方のグループに集まっていただきまして、それで足りないところをこういうふうに補足したらいいのじゃないかというふうに、年々常に見直して研究を継続している、そういうような状況でございます。
○片岡勝治君 専売公社が研究所なり大学なりに委託をする、その研究成果があれば、当然その報告を受けるわけでしょう、専売公社として。それは当然だろうと思うんですよね、委託者にお金を出しているわけですから。それで、いろいろむずかしい問題で、その成果をそのまま発表するといろいろあるから発表しないのだということなんですが、それなら、なぜ研究者が雑誌に発表するんですか。それだったら、やっぱり専売公社がある大学に^あるいは研究所に委託したその断片的な成果であっても、それは国民の前に発表すべきじゃないですか、開かれた民主的な行政府としてですよ。それはもう当然の義務だと思うんです。
 もちろん、それを読んでわれわれが判断できるようなものではないと思うんです。非常に学術的なもの、あるいは研究途上のものである。しかし人によっては、うん、こういう資料が出たのか、これはひとつ参考に研究してみよう、そういうことで、たばこと健康の問題が広く国民の中に、あるいは学者、研究者のグループの中に浸透して、真剣に検討していく、そういうことになるんじゃないですか。そういうものを、率直に言って怠っていると思うんですよ。
 これはこの前の国会の衆議院における答弁ですね。これはいつだったか、こういう答弁をしていますね、総裁は。つまりこの問題について質問されて、「五十三年にはお話しのように、一億一千五百万円で二十八のテーマについて研究委託をいたしておりまして、そのうちもう完了したものもあるわけでございますが、せっかく金をかけて研究をして、それが完了したのだから発表してはどうかという御意見、まことにありがたい御意見ではございますけれども、外部に委託してやったものでありまして、公社がその内容を発表すると、その研究自体がかなり基礎的なもの、あるいは部分的なものが多うございまして、その発表の仕方いかんによっては、公社がたばこを売りたいために余り健康に害がないような宣伝をするのはけしからぬとか、あるいは逆に、どうもたばこを吸うことに問題がありそうだというふうに変に誤解される心配がございます。したがって公社といたしましては、従来から公社としては発表しないで、その研究をされました委託研究者自身が学会等におきましてこれを発表」することにしておりますと、こういう答弁をしているんですよ。
 つまり、いままで公社が、国民の健康とたばこの関係について莫大なお金を出して研究委託をしている。これを公社として発表しない理由は、これなんですよ。そうでしょう。これは総裁が答弁しているんですからね。つまり、たばこと健康の問題についてある研究成果が出た。これは大丈夫だ、安全だ、そういう成果が出たときに公社は発表するかというと、これはしない。なぜかというと、たばこをどんどん吸いなさいという宣伝になるからできない。たばこは国民の健康に害がある、そういう研究成果がある研究所から出てきた。これを公社が発表するか、しない。なぜか。これはたばこが売れなくなるからです。そうでしょう。これは総裁が答弁しているんです。
 ですから、公社におけるたばこと健康の問題の対応の仕方というのは、もう本質的にそういうものを私は持っている。したがって、三十二年からいまのお答えによれば九億二千五百万円、九億円のお金をかけて、しかしその成果は一切公社としては発表しませんよ。こんなことを国民が納得しますか。しかも、総裁がそういう答弁をして、どっちの結果が出てもまずいから発表できないんだ、こんなことが許されますか。私は国民の一人として、大変憤りを感ずるんですよ。
○説明員(泉美之松君) お話のように、前の国会――大分前でありますけれども、その際、そういったお答えを申し上げたことがあるわけでございますが、その後、衆議院の大蔵委員会などにおきましても、もしそういう委託研究の成果が出ておるのなら、それを発表すべきではないかという御意見もございました。ただ、その成果と申しましても、大変部分的なものが多うございまして、たとえば健康の問題の中でも肺がんの問題あるいは心臓病の問題、呼吸器病の問題等について結論が出ておるというわけではございません。そのごく一部のものについてだけ、ある程度の成果がわかっておるわけでございます。
 それで、それを公表するかどうかの問題につきましては、そのときにはいま申し上げたような理由でお断り申し上げておったのでありますけれども、お話のように、九億も金をかけて委託研究した成果が出てまいりますれば、それを公表しないということは適当でございませんので、先ほど小幡総務理事からお答えいたしましたように、ただ、その研究成果は大変医学の専門用語を使ってありますので、それをそのまま発表したのではなかなかわかりにくいということから、それをもっとわかりやすい表現に直してもらってそれを発表したらどうかということで、いまその発表のやり方について、委託申し上げておる研究者の方々と相談いたしておるところでございます。できるだけ早く発表いたしたいと、このように思っております。
○片岡勝治君 私が先ほど申し上げましたこの総裁の答弁は、これは去年のたばこ審議のときの衆議院における答弁だと思うんですよ。それは、いまのお答えとちょっと内容が違いますよね。この答弁は訂正しますか。
○説明員(泉美之松君) 先ほど申し上げましたように、この前お答えいたしました当時は、その研究成果を発表することによって公社の態度についていろいろ誤解を生じては困るという考えがあったからでございますけれども、その後いろいろ検討いたしました結果、せっかく相当の金をかけて委託研究したものでございますから、その成果が出てまいりますれば、それについて国民の方々におわかりいただくために、それを発表することが適当であるというふうに考えを改めたのでございます。この点は、前の国会の答弁を訂正させていただきます。
○片岡勝治君 私は、そうしたいわば学術論文ですよね、そういうものをやさしく直すというのは、これは公社なんかとてもできませんよ、これはね。これはそのままずばり発表したらいいんですよ。すでに研究者は発表するわけでしょう、学会で。それはやらしているわけでしょう。それは公社が許しているわけでしょう。発表してもいいか、当然委託者に対して許可を求めてまいりますからね。
○説明員(小幡琢也君) 研究の委託を受けた方が論文で発表されておりますのは、その一部でございまして、やはり特定の方が積極的にこれはこういう形で出そうということでまとめられたものでございますが、それ以外の大多数の方は、この段階ではまだ外へ出すことは待ってほしいと、これは委託契約の中にもそういう公社限りで発表できないという条項もございますので、従来はそういうことであったわけでございますが、これは何分まだ初期あるいは中期の段階でございまして、このように昭和三十二年以来大分年月がたってまいりますと、かなり内容も整備されてきておりますので、いまの段階におきましては、諸先生方に御相談いたしました結果、研究報告は毎年出てまいりますけれども、それをそのまま出してもよろしいということに先般なりまして、これからはそういうものをそのまま出すのが一つと、それから、それは非常にわかりにくいものでございますので、ただいま総裁からお答え申し上げましたように、ひとつわかりやすいものを並行して出したらどうかということで、現在準備いたしているわけでございます。
○片岡勝治君 喫煙と健康に関する研究協議会なるものがあるようですね。これはどういう性格の協議会で構成はどういうメンバーなのか、今日まで何をやってきたのか。
○説明員(小幡琢也君) 喫煙と健康に関する研究運営協議会というものが昭和四十八年にできまして、委託研究者の方々を主体に全部で九名から成る委員で構成しているわけでございます。
 その協議会の目的でございますが、それは喫煙と健康に関する研究の充実、それから適正な管理運営を期するために公社に置くのだと、そういうことで――失礼いたしました、協議会の委員は十人以内の委員をもって組織すると。そういうようなことでございます。
 それで、どういった事項について調査、協議をするかと申し上げますと、一つは、毎年度の委託研究計画というものを審査して決めまして課題を選考いたします。それからもう一つは、毎年度の委託研究費の配分計画というものの審査をいたします。それから、毎年度の研究報告の審査とか評価をいたします。そういうようなこと。それに喫煙と健康に関する世界各国の情報もございますので、内外情報の分析とか評価とか、そういうことをいたしているわけでございます。これは、特に先ほどのWHOの勧告に基づきます専売事業審議会の答申をいただきまして、それを契機といたしまして、研究体制を一層強化するという一環といたしまして設けたわけでございます。
○片岡勝治君 財団法人たばこ総合研究センターというのは、これは公社の俗に言う外郭団体になっていると思うんですが、この構成、性格、あるいはどういうことをやっているのか。
○説明員(小幡琢也君) たばこ総合研究センターというのは四十七年の九月に発足したものでございますが、最初は人格なき社団でございましたけれども、五十年五月から財団法人に改組されております。それでこれは関連事業、たとえば日本フィルター工業会の加盟会社とか、あるいは配送事業協会の加盟会社とか、あるいは香料の会社とか、あるいは専売弘済会というものが出損してできているわけでございます。それで、公社は実はこれには出指しておりませんが、会員になっております。ただ、こういった財団法人の認可をしたのは専売公社でございます。
   〔委員長退席、理事中村太郎君着席〕
 それで、何をやるかと申しますと、たばこの心理的、社会的効用であるとか、あるいは喫煙行動と人間のかかわり合いなどを解明いたしまして、広くたばこ産業、情緒産業のあり方について研究を深めると、こういうような目的を持っているわけでございます。
 それから、公社といたしましては、こういった性格の法人に対しまして、この総合センターに対しまして委託費を出しまして、それで先ほどのたとえば人間はなぜたばこを吸うかとか、こういった社会的、心理的な研究テーマなどの研究をお願いしていると、そういうような実情でございます。
○片岡勝治君 これは役員はどうなっていますか。公社から送っているというようなことがあるんじゃないですか。
○説明員(小幡琢也君) 役員は、学識経験者及び公社関連企業の代表者などでございます。
○片岡勝治君 このたばこ総合研究センターに、昭和五十二年、喫煙の場所的制限に関する研究というのを委託しておりますね、公社は。
○説明員(小幡琢也君) 公社は委託テーマがいろいろございまして、そういった内容のものを委託したこともございます。
○片岡勝治君 これは幾らで委託いたしましたか、予算。
○説明員(小幡琢也君) 恐縮ですが、ただいま資料を持ち合わせておりませんので、後ほどお答えさせていただきます。
○片岡勝治君 年度、何年度予算で幾らと。
○説明員(小幡琢也君) 失礼いたしました。
 その場所的制限の研究は、実は委託研究ではございませんで、たばこ総合研究センターの自主的研究のテーマでございます。実は、センターの活動としては、自主的に行うものと公社から委託を受けて行うものと二つございますので、自主的研究の方でございますので、その内容は承知しておりません。
○片岡勝治君 本当ですか、それは。いや疑っちゃ悪いんですけれども、私の入手した資料によると、そうではないことになっているんですが、これはひとつ確かめてください。
 委託したしないは別にして、ここで研究されたものがございますね。これを公社では極秘扱いにしているそうですけれども、これはどういう理由でしょうか。
○説明員(小幡琢也君) たばこ総合研究センターの研究いたしました内容につきまして、全部が全部これは外に発表できるものばかりとは限っていないわけでございます。といいますのは、やはり一応試行的に研究するという部分もございます。
 特に先生御指摘の研究テーマにつきましては、これは聞いてみますと、やはりあれをつくりましたときの設定条件が、どうも極端な場合を想定しておりますので、あれをそのまま外へ出しますと、非常に誤解を与えるおそれがあるということで、そういうものはやはりまだ内部の一つの研究の仮の段階であるということで部外秘と、こういう扱いをしている、こういうふうに聞いております。
○片岡勝治君 それじゃ、いまのお答えを聞いていると、まるで専売公社は知らないようなそぶりのお答えだけれども、そんなことはないんでしょう。ちゃんと手に入っているんでしょう。そうするとまた答弁が――これは私、きょう初めての質問じゃないんですよ。いままでだってこの問題は取り上げられたのだけれども、公社は非常にかたくなにそれは発表できない、マル秘だという答弁をしているんですよ。知らないなんておとぼけにならないでください。
○説明員(小幡琢也君) その研究の成果は公社としては受け取っておりますし、承知しております。ただ、これを外へ出すのはどうかということで、何でも出せばいいというものじゃございませんので、やはりこれは部外秘として扱いたいということでお出しできないということを、たしか大分前に御要望があったときにお答えしたという記憶があります。
○片岡勝治君 これも総裁の答弁によれば、委託調査をお願いいたしましてと、はっきり答弁しているんですよ。うそなら見せましょうか、書いてあるんですから。秘密のものがなぜそれでは外に漏れるんですか。だれが漏らしたんですか、これは。
 「タバコロジー」という本、皆さん関係者ですから全部お読みになったと思うんですけれども、これは毎日新聞社から出ております。毎日新聞社社会部長の森さんね。この十九ページ、お読みでしょう。
 日本専売公社の外郭団体、財団法人たばこ総合 研究センターが、一九七七年三月に出版したマ ル秘資料、「喫煙の場所的制限に関する研究」 には、いち早く一九七五年十月に、さまざまな 生活空間における空気汚染の状況を東京で調べ た結果が載っている。汚染の目安として一酸化 炭素の濃度が測定されたが、デパートの休憩
 所、喫茶店、酒場、タクシー、新幹線、応接室 などでタバコの煙による次のような高い値が記 録されている。紫煙汚染は専売公社も認めざる を得ないのである。
 一覧表が載っているんですよ。これを資料出してください。外交とか防衛なら、ぼくは極秘文書もあると思うんですよ。これが極秘文書なんですか。しかも、本に載っているじゃないですか。首かしげたってだめですよ。出しなさい。そんなものが出せないというなら、審議にちょっと協力できませんよ。
○説明員(小幡琢也君) 御提出いたしたいと思います。御提出いたします。
○片岡勝治君 いますぐにありますか。取り寄せてください。
○説明員(小幡琢也君) それでは、取り寄せて御提出いたします。
○片岡勝治君 先ほど答弁があいまいだったんですけれども、これは公社が委託したんでしょう。その点、何も隠すことはないんですから、正直に言ってください。
○説明員(小幡琢也君) 別に隠しているわけじゃございませんが、ただ、いま電話で照会中でございますので、しばらくお待ちください。
○片岡勝治君 それでは、いまの資料の提出をお約束をいただきましたので、その資料に基づいて若干質問をしたいと思いますが、それは保留をしておきたいと思います。
 もう一つ、最近、嫌煙権という、たばこをきらう権利ですか、そういう運動が盛り上がってまいりまして、そういう団体もできました。運動が進められておるようでありますけれども、これに対しての総裁のひとつ見解を、この際承りたいと思うんですが。
○説明員(泉美之松君) 特に昭和五十三年の春ごろから、いわゆる嫌煙権問題というものがマスコミによって喧伝されてまいりまして、各地にその嫌煙権を守る会といったような趣旨の会ができております。
 このそれぞれの地域でやっておられる運動の内容は必ずしも同じではございませんけれども、その主な点は、たばこを吸わない、いわゆる非喫煙者の方がたばこを吸う人が隣におって、その煙を受動的に吸うことによって害をこうむることになるから、そういうたばこを吸わない人の権利を守ってほしいと、こういうことが内容になっておりまして、各種の運動をなさっておられるようでございます。
 私どもとしましては、もちろん非喫煙者がそういう立場にあることは十分承知いたしておりますので、たばこを吸う人に対しましても、そのたばこを吸うことによってたばこを吸わない人に御迷惑をかけるようなことのないようにしてもらいたい。これはまあ社会的な儀礼としましても、隣に座ってたばこを吸うときには、たばこを吸ってもいいですかということを、了解を得て吸うのが本来の姿であろうかと思いますので、そういうふうな宣伝をいたしておるところでございます。
 ただ、いわゆる喫煙権というものが憲法上の権利として認められるべき性質のものかどうかということについて憲法論議をいたしますと、これはなかなかむずかしい問題があろうかと思いますが、私どもとしましては、要するに世の中にたばこを吸う人、これは日本全国で約三千五百万人おられるわけでありますが、そういう人とそれからたばこを吸わない人がおられるわけでございますので、その両者がお互いにけんかをし合うということでなくして、お互いにお互いの立場を尊重し合って仲よくやっていくということが大切なのではないか。そういう意味で、たばこを吸う人も、その吸い方について十分注意していただくというふうに、指導を徹底するようにいたしておる次第でございます。
○片岡勝治君 いまここで嫌煙権そのものを論議しようとは思いませんが、この嫌煙権運動が起こりましたときに、総裁がコメントをしているわけですね。つまり、嫌煙権運動の組織が発足をいたしましてアピールを出した。病院、保健所等では禁煙場所を設けるべきである、あるいは国鉄、私鉄等の駅あるいは車両では禁煙の場所なり車をつくるべきである、そういうようなアピールを出した。
 このとき、総裁はこのアピールに答えて、こういうことを言っているんですよ。日本専売「公社はたばこをつくって売るのが仕事。吸い方がどうとか、国民の健康を守るのは、厚生省の役目だと思う。嫌煙権の動きが欧米で高まり、日本でも出てきたことは知っているが、だから私どもがどうするという問題ではない。」。いや、そんなことを言った覚えはないと言うのなら、毎日新聞に言ってお取り消しになった方がいいですよ。こういうことをおっしゃっているわけですね。
 私は先ほどから、専売公社のたばこと健康にかかわる問題についての政治姿勢が非常に消極的であるという事例をずっと出してきたわけですよ。それはやっぱりいまの総裁のこのコメント一つ取り上げてみても、つまりおれの方はたばこをつくって売っているんだ、だからたばこが害があるとか吸い方がどうだというのはおれの方の仕事ではないんだ、おっしゃるとおりなんです。私はそういう点で、専売公社に多少同情しているんです。そうでしょう。自分でつくっているたばこは害がありますよなんというのは、口が腐っても言えないでしょう。そういうお立場では。私はそう思うんですね。
 だから、いい資料が、研究物が出てきても公社では発表しない、これが原則だ、二十年もそういうことを言ってきた。あるいは先ほど私が資料を要求した。これも、私が黙っていれば出てこないですね、ずっとそれは国会にいままで出さなかったわけですから。今度は出すようですけれどもね。あるいはいま総裁のこのコメント、つまり公社は国民の健康を守るそういう立場じゃないんだ、それは厚生省でやればいいじゃないか、これは私は、専売公社の持っている基本的な性格がそういう政治姿勢にしていると思うんですよ。
 そこで私は政府に、大蔵大臣に、いまずっと私が質問してきた事態はおわかりだと思うんですが、専売公社というのはたばこを売っているところなんですよね。そこでたばこと健康の問題について研究しなさい、何億の金を出している、九億の金も出した。いい研究が確かにあると思うんですが、私は素人だから、それを見てもわかりません。わかりませんが、いい研究は確かにあるでしょう。しかし、それは一切発表しない。気持ちとしてはわかるでしょう、専売公社というのはたばこを売っているんですから。だから、つまりたばこと国民の健康を守る研究、それは公社から離したらいいんですよ。公社にそれをやらせるというのは残酷物語なんです、これは。そうでしょう。
 だから、公社でやらしておけば総裁のコメントのようになり、いまのようなせっかくの成果も一切極秘だ、発表しない。もっとうがって言えば、国民に仮に健康上大きな支障があるようなそういうものが出れば、これはもう握りつぶされる危険性がある。あるいはあえてそういう研究テーマを出さないということも、大変うがった、疑いを持った見方であると思うんです。失礼なんですけれども、いままでの公社の政治姿勢を、あるいは行政姿勢を見ると疑わざるを得ない。しかし、私はやっぱり公社はそれはもう限界がある。限界があるから、たばこと健康に関する研究というのは専売公社から一切切り離したらいいんです。そうでなければ、これはうまくいきませんよ。これはいままでの歴史が、十年、二十年の専売公社の研究の態度というその歴史が明らかにしていると思いますね。
 そこで大臣、どうですか、この際、国民の健康を守るそういう研究については、公社にやらせることは残酷だ、これから切り離して厚生省、当面厚生省でしょう、直接いきなり大学というわけにいかぬと思うんですね。これこそ大臣の勇気ある答弁を私は求めますよ、ここで。
○説明員(泉美之松君) あらかじめ申し上げておきたいと思います。
 私に対して、先ほど「タバコロジー」の方から、私が嫌煙権運動について申し上げたことについての御言及がなされたわけです。それは嫌煙権運動が起きました当初、どういうことをなさるかはっきりわからなかった点もありまして、専売公社はたばこをつくっているんだから、そのたばこを売ることが仕事なんだというようなことを申し上げたわけでございますが、しかし、たばこを売ると同時に、たばこをどういうふうに吸ってもらうかということもこれは大切なことでございますので、その後スモーキンクリーン運動を起こしまして、たばこを吸うときには吸いがらを街路に捨てないようにとか、あるいは大ぜいの人中で吸うようなときには隣りの人に迷惑をかけないようにとか、あるいは駅でたばこを吸うについてはそれぞれ禁煙時間というようなものを設けるとかいうようなことについて、いろいろ各方面と相談申し上げて今日に来ておるわけでございまして、そういう意味では、当初申し上げた点から私どもの態度も違ってきておるということを、御理解いただきたいと存じます。
○国務大臣(竹下登君) 私もいま片岡さんのお話を聞きながら、たばこの量が平素ならもう五本ぐらい吸ってなきゃならぬのが、三本になっておりまして、これはやっぱり話を聞きながら、そういうある種の心理的影響を私が受けた証拠じゃないかなと、まあこれは現実の問題でございます。
 さて、いまの御質問に対するお答えといたしましては、私は専売公社、すなわちたばこを製造しておるものが自分の製造しておる商品に対して、これが害があるかないかを研究するというのも、私はやっぱりなさなければならない一つの責務だろうと思うのであります。が、一般的に、いわゆる医学上の研究としては、これはいまおっしゃったように厚生省というような感じが私もいたしたわけでありますが、そういう一般的なたばこの健康に及ぼす害ということについて、従来、厚生省にどのような予算がついておるのか、袋の予算――袋の予算と申しますが、一般的な研究費の中でどういうものが使われておるのかということについては、私その知識がございませんので、にわかにお答えするだけのそれこそ勇気がございませんけれども、御質問の趣旨は私にも理解できるような気がいたしますので、少しく勉強さしていただきたいと思います。
○片岡勝治君 私もかつて非常にたばこが好きだったし、いまでも大変いいにおいがする。そういうたばこですから、やっぱり慎重に対処して、どういう健康に影響があるのか。たとえば吸い方によって、これは公社の方のお話にも載っていますけれども、深く吸わない方がいいとか、ゆっくり吸いなさいとか。ですから、そういうようなことは非常に大切だと思うんですよ、当面。しかし、そういうことを公社が言えば、やっぱり公社は売りたくてそういうことを言っているんだというふうに誤解をされるわけですよね。つまり、研究の成果がどっちに出ても、公社はなかなか発表し得ない。いい結果が出れば、さっき言ったように、これはやっぱり大いにたばこを売りたいからああいううまいことを言っているんだと。仮に悪い結果が出れば、なかなか公社として発表しにくい。
 ですから、私は研究というものは公社から切り離して客観的な立場のものが研究をして、その都度国民に知らしていく、そういうことが私はいいと思うんですね。いま大蔵大臣はお金のこと、予算のことがありましたけれども、率直に言って、たばこのみが約一兆円ですか、国に金を出しているわけですね。ですから、その中から国が専売公社から納付金としてもらうわけですよ、一兆円。一兆円はどこから出てくるかと言えば、こうして皆さんが毎日たばこを吸っている中から出していくわけですから、その一部分を、一億でも二億でも、これはあるいは事によるとたばこを吸っている方々の健康に影響するかもしらぬ。せっかく国に対して財政寄与している人たちの健康に害があっては大変だから、一兆円の中から一部研究費に回すということは、これはまた非常に理論的にすっきりしているんじゃないですか。これは国民も納得すると思うんですよ。
 ですから、公社の納付金の中から一部健康とたばこの関係について研究費をもう天引き、五千万でも一億でも毎年投入をする、そういうことをやっていくことによって、私はたばこのみに関しては政府を大いに信頼していくと思うんですね。ですから、まあこれはいますぐお答えと言ってもいろんな機構、制度むずかしいと思うんですが、大臣、ひとつこれも御検討の素材にしていただけませんか。
○国務大臣(竹下登君) 特定な財源を特定なものに使うというような考え方ではなく、いま御指摘の、たばこと健康の問題について、製造者は商品として自分の商品に対しての研究をする、別途、健康管理の面から別のところで別の研究が行われると。そういう一つの思想は私も理解できますので、勉強させていただきます。
○片岡勝治君 私は、専売公社も大いに研究はしてもらいたいと思うんです。それは健康上の問題じゃなくて、たとえばこれもタールの少ない、ニコチンの少ない、ソフトな――マイルドっていうんですか、そういう点について、少しでも国民の間の心配をかけないようなたばこをさらに研究をして、逆に健康にいいというような、全くニコチンとかタールとは関係ないようなそういうものでも研究をするという、そういう意味では私はどしどしやってもらいたいと思うんです。
 ただ、いま言ったような健康にかかわる問題は、むしろ切り離した方が公社としてやりいいのではないか。まあ大臣の方も検討されるようでありますので、ひとつ十分御検討をいただきたいと、このように考えるわけであります。
 それから、たばこに書いてあります「健康のため吸いすぎに注意しましょう」という標語ですね。これもないよりはましでありますけれども、これはあんまり注意標語にはならないような気がするんですね。焼き芋の袋に、食い過ぎに注意しましょうと何か同じような感覚なんですよ。やっぱりもうちょっとたばこについては、警告的なそういう標語にもう一歩進んだらいかがでしょうかというふうに感じるんですが、この点はどうですか。
○説明員(小幡琢也君) 御承知のように、日本のは「健康のため吸いすぎに注意しましょう」ということでございますが、外国の例を見ましてもその表示文言はいろいろございます。やはりそれぞれの国の事情と申しますか、社会的な習慣なり風土、こういったものでお国柄を反映してまあいろいろ特異になっていると思います。非常に有害であると断定している国々もありますし、また健康に害があるかもしれないと、こういった表現をしている国もありますし、また日本とかカナダ、韓国のように、吸い過ぎに注意をするという、そういった注意表示になっている国もありますし、また西ドイツとかイタリア、オーストリアのように、全然そういった表示をしていない国もあると、そういうふうにまちまちでございます。
 それで、日本の場合は、これは昭和四十七年七月からこういった注意表示になっているわけでございますが、その当時、相当まあ審議会に諮ったりいたしまして検討いたした結果、日本の実情としてはやはりこの注意表示が一番適当ではなかろうかということで、このように決めたわけでございます。ただ、もうちょっと違う適当な言葉があればそれにかえたらいいのではないかという御意見もいろいろ伺っておりますので、その辺も検討はいたしておりますけれども、何分アメリカのように害があると断定するような書き方をするということは、こういった嗜好品につきましては日本ではやはり問題があるのではないか。
 現に、この健康と喫煙問題に関する研究におきましても、まだ研究経過からいいましても、一概に有害であると決めつけるわけにはいかないというような段階でございますので、やはり現在定着しておりますこの注意表示で、もうしばらく様子を見るのがいいのではないか、かように考えているわけでございます。
○片岡勝治君 たばこと健康にかかわる問題については以上で終わりたいと思いますので、厚生省の方は結構ですから。
○理事(中村太郎君) 厚生省、御苦労さまでした。
○片岡勝治君 それでは、ちょっと冒頭の質問に戻るようなかっこうになるかもしれませんけれども、今回の改正によって二つの要素がありますね。一つは、たばこの定価そのものを値上げする。値上げ率約二一%。もう一つは、納付金率を法定をして五五%平均これを納付する、そのための法定緩和というような、まあもちろん関連がありますけれども。
 そこで、まず法定緩和の問題について二、三お伺いをしたいんですが、今度は公社の経営の安定のためにたばこの値段を二分をいたしまして、五五%は国、四五%が原価といいますか経費、経営のための費用ということになりますね。それで、その部分について経営が赤字になる――まあそのほかいろんな要素がありますけれども、赤字になった場合には、三〇%、三割を限度として、今度は国会の承認を経ないで大臣の認可によって値上げすることができると、こういうことになっておりますね。この三〇%という理論的根拠はどこから来た数字でしょうか。
○政府委員(名本公洲君) 法定制の緩和をお願いするに当たりまして、無制限にこれを行政府の方にお任せ願うということは、財政法の精神から申しましても適当ではないということから、一定の限度をそこに設けるべきであるというふうに、私どもとして考えたわけでございます。
 それが、金額的に申しますと、法定されております価格の三割を限度とするということにいたしたわけでございますが、この限度の三割という数字を出しましたものは、今回定価の改定を御承認いただけるといたしまして、今後たばこの製造原価が恐らく毎年のように、種々合理化努力を重ねましても上がっていくことと思いますが、それがまず比較的安定をいたしておりました当時の状況から見まして、たとえばほぼ五%くらいずつ原価が毎年上昇してまいるというふうなことを想定いたしてみますと、専売公社の経営におきまして赤字が発生して、定価の改定をお願いしなければならないと考えられます時期までに、ほぼ三割程度の原価の上昇が見込まれるというふうに計算されるわけでございます。
 次回におきまして、御提案申し上げております法律によりまして定価の改定が行われます際には、原価の上昇をほぼ償うことができる程度の範囲まではその定価の改定幅をお認めいただきたいということで、三割という限度を設けさせていただいているわけでございます。
○片岡勝治君 私は、もう少し何か別な根拠があるのではないかと思うんですが、そうするとあれですか、つまり公社経営の赤字、そういうものを埋め合わす、赤字を解消する、そのためのたばこの価格、これについてはもう国会の承認を全部経ないで行政権でこれを対処していく、こういう考え方になるわけですね。私の考えが間違っていれば訂正していただきたいのですが、私は、つまり国会の承認を経ないで今度は大臣の認定ということになって上げることができるんだから、これを五割にしたんじゃちょっと高過ぎる、五割、十割じゃ高過ぎる、といって一割じゃ余り効果がない、常識的に三割程度は勘弁してもらえるのではないか、つまり国会の権限との関係でこの値上げの率というものが常識的に考えられたのではないかと初めは推測したわけですね。
 ところが、いまの答弁のようになりますと、これはちょっと非常に性格が違ってまいりますね、性格が。私の最初申し上げた考えは全く入っていないのですか。つまり、国会の権限と行政権で処理できるその上げ幅というのは、一体どの辺が適当なのかどうか。もしいまの理論で言えば、こういうことは極端な例だけれども、赤字になる場合には五〇%ぐらいの値上げをしなきゃならぬという仮に数字が出てきた場合には、これは五〇%ということになるわけですね。これはどうも国会の審議権、議決権との関係で私はちょっと理解ができないんですが、これに対してどういう見解をお持ちか。
○説明員(後藤正君) お答え申し上げたいと思いますが、先生が冒頭お話しになりました、まず小売定価を百円にいたしますと、国内税の平均水準として五五・五というものを今度は定価の一定割合として、一級品、二級品、三級品、それから特殊たばこ等で違いますが、仕込みでございます。それから関税率が約〇・五ございますので、定価の五六%が国、地方にまいる。それから、小売人手数料が現在約一〇%でございます。したがって、公社の原価というものは約三四%が公社の原価に当たるわけでございまして、それをひとつまず冒頭にお断り申し上げておきたいと思います。
 それから、今回の定改は、あくまでも従来の製造たばこ定価法に基づきます法定最高価格制で定改をまずお願いをしておるわけでございますが、したがいまして、法第一条にございますそれぞれの紙巻きたばこ、一級品、二級品、三級品、特殊たばこについて、それぞれ紙巻きたばこについては約二一%の価格引き上げをお願いをしてあるわけでございます。
 ただ、公社といたしましては、いままでの法律体系ですと、四十三条の十三で、公社は、地方税を納めた残りの専売事業益金からある程度の資産増に見合う内部留保を引いた残りを、益金の形で国庫に納付するという仕組みになっておりましたが、これはいろいろ問題があるということがもう三十年代からのいろんな審議会、調査会で指摘されております。やはり国民の前にたばこに対する税負担を明確化すべきである、そういう明確化を通じて公社のいわば公共企業体としての経営責任の明確化もまた同時に図るべきだというようなことが指摘されておりますし、五十年定改の際にも、附帯決議の際で、専売納付金等定価のいわゆる価格形成の明確化等についての抜本的な検討を行えということが、衆議院の附帯決議でつけられたわけでございます。
 そういうことを踏まえまして、それと同時に、やはり外国から、現在の益金処分という形では外国たばこに対して大変恣意的な値段をつけておるのではないかというような批判もございます。それで、この際、この内国消費税相当部分と専売公社が輸入する関税率について幾ら幾らということをお決め願う法案を、御提案申し上げているわけでございます。
 したがいまして、大変公社は従来と違った厳しい経営環境の中に置かれるわけでございますので、法第一条の法定最高価格をあくまで基本にしながら、公社のたばこ事業で赤字が出たとき、その時点において赤字が出た場合、あるいは赤字が出ることが確実な場合というのが第一点でございます。
 それから、いま定改を実施をお願いしておりますが、この定改実施年から新しく定改を、赤字が出た年の翌年になるかと思いますが、それまでの間の物価等変動率、しかし、それも野放しではいけないよ、あくまでも法定最高価格のいわゆる三割を限界にしますよと。それから、そういう暫定最高価格を定める権限は、やはり専売事業審議会に諮って、いろんな学識経験者の意見を聞いて大蔵大臣が決めるよと、そういうような諸条件の中で、いわゆる暫定最高価格を決める権限を大蔵大臣にお任せ願いたいというのが法定案でございます。
 いま監理官が、三割の限界ということを言いました。三割というのはどこの根拠かということについてのお答えを申し上げましたが、実は五十年定改をいたしまして、この五十三年末で総原価が約二割五分上がっております。今後私どもいまの物価動向等から考えますと、ちょっと五%ですと、公社が経営努力して五%で今後の原価上昇を押さえ切れるかどうか、大変むずかしい問題でございますが、五%にいたしますと、大体次期赤字が五十八年に見込まれる。したがって、赤字の翌年というと五十九年定改ということでございますが、五%の五カ年経過ということを考えますと大体二八%、それが六になると三十数%ですが、もう三十数%を超えますと、それで税金を納めて公社の健全な経営ができないということになりますと、法第一条暫定価格を定めるということが制度的に機能しなくなりまして、また、国会にもう一度法第一条の法定最高価格をお直し願うべく、法案を出しまして御審議を願わなければならない、そういう性格のいわば暫定最高価格をお認め願う権限を、お願いを申し上げている次第でございます。
○片岡勝治君 これを具体的に適用する場合に、仮定の話ですが、昭和五十五年当初の予定ですと、五十八年か九年ごろ赤字になる、そういうような計算ができるというようなことが、いままでも答弁されてまいりました。そこで、ここで決められたいろいろな制限といいますか、いまお話のあった幾つかのスクリーンを通して大臣の認可を仮に得た、二八%値上げをした。それから三年たってまた赤字になった。他の要件も備わった。そうして今度は二五先大臣の認定で値上げした、こういうことになるんですか。
○説明員(後藤正君) お答え申し上げます。
 それは、あくまでも暫定最高価格は、今国会に御提案申し上げている法第一条の三割が限界でございますので、二八%やりますと、あとはもう一度国会に法第一条の法定最高価格をお直し願うことを法案として御提出申し上げないと、大蔵大臣ではできません。
○片岡勝治君 わかりました。そうでなければ、三〇%以下なら幾らでも値上げできると、こういうかっこうになりますからね。現実の問題としては、一回で終わりということになりますね。
○説明員(後藤正君) 実際問題としまして、経済が非常に落ちついている状態の場合ですと、今後非常に成年人口の鈍化とか、それからいま先生から御質問いただきましたいわば喫煙環境の厳しさの問題とかいろいろ考え、それから輸入品との競争が今度は大変はっきりいたしますので、できるだけ公社も値上げというものはいろんな経営努力をして避けたいわけでございます。
 したがいまして、経済が比較的こう静止状態的なところであるならば、赤字が出ましても、仮にたとえば一五%ぐらいの定改を市場動向等を見ながらやりまして、あとまた一〇%ぐらいということが一応想定されるので、法律では二回以上できるような書き方になっておりますが、昨年来の大変オイルショック等に影響を受けました最近の物価等の動向から考えますと、先生御指摘のように、実際問題としては一回しかできないだろうというふうに考えております。
○片岡勝治君 今度の法定緩和の理論的な根拠は、いまもお答えがありましたとおり、たばこ事業の健全なかつ能率的な経営を維持する。そのために、その部分が赤字が出た場合には大臣の認可でいいじゃないか、これも一つの考え方ですよね。私は賛成はしませんけれども、一つの考え方であるということは言えると思うんです。ただ、今回の法定緩和について重大な点は、その部分だけじゃないんですよね。つまり、三〇%上がったという場合には、赤字経営を回避するその部分だけの単価が上がるわけじゃないでしょう。こっちの方も上がるんでしょう、税金の方も、だから、私は大臣認可をするなら、その経営の部分だけにすべきじゃないか。これはどうなんですか。
○政府委員(名本公洲君) 先生御指摘のように、今回の制度改正によりまして定価の改定を行いました場合には、納付金の率で法定されております関係上、納付金の金額がたばこの定価にスライドして増加することになるのは、御指摘のとおりでございます。しかし、間接税の中には、あるいは直接税でもさようでございますが、定額で税を決めておるやり方と率で定めていますいわゆる従価税方式と二つあるわけでございまして、今回の私どもが御提案申し上げております方式は、一種の従価税方式を採用さしていただいておるわけでございます。そのこと自体によりまして税額はふえますけれども、一つの体系といたしましては、論理的な矛盾は存在いたさないものというふうに考えております。
 なお、平均しまして五五・五%、一級品で五六・五%と申しますのは、納付金の率としまして一種の税率に相当するものでございますので、これにつきましては軽々に動かすべきものだというふうには考えておりませんで、国家財政収入を上げるために措置をいたします場合には、この納付金率につきまして改定を加えてまいるということでございまして、今回の法定制の緩和措置によりまして行う定価改定は、あくまでも公社の経営内容の改善、赤字に転落いたしました経営を改善するということの目的のために行うものでございまして、財政収入を上げる、増収を図るということを行うために制度を設けておるものではないわけでございます。
○片岡勝治君 そうは言ったって、現実に納付金の方にそのまま連動するんでしょう。たとえば百円のたばこが百三十円になった。まあ計算を簡単にするために半々としましょうね。五十円は政府へ納付金だと、五十円がいろんな経費だと。こっちの部分が赤字になった。こっちの部分が赤字になったから三割上げましょうよと。そうしたら三、五、十五――十五円上げますということじゃないんでしょう。こっちまでかかっちゃうんでしょう、三〇%というのは全部に。ところが、あなた方の説明を見れば、もうたばこ事業の健全な能率的な運営を維持管理して、赤字をなくして、赤字が出れば埋める、こればっかりですよね。
 しかし、今度の改正案というのはそうじゃない。ずばり言えば、公社が赤字になってもらった方が国はもうかるんですよ。皮肉ですね、これは。赤字でなければ、ずっとこの単価が百円のたばこは五十五円しかもらえない。公社が再来年赤字になる。ほくほくしているのは大蔵省ですよ、これは。パーセンテージが上がる、自動的に税収が入る、これは重大なことなんですよ。これは重大なこと。
 専売事業審議会の答申の中で、こういう表現を使っておりますね。つまり、今回の改正の下敷きになった答申なんですが、「現行専売納付金制度については、次のような問題点を指摘することができる。製造たばこの小売定価の最高価格が製造たばこ定価法によつて法定され、弾力的な改定が困難なこともあって、製造コストの上昇があれば益金率が低下して、専売納付金にしわ寄せされ、いわば意図せざる実質的減税が生じ、安定的に財政収入を確保することができない。」、これはこのとおりなんです。間違いじゃないんですよ。
 しかし、この裏側になったら大変ですね。つまり公社経営が赤字になった。三〇%――これはいけませんね。二八%値上げになった。どういう現象が出るかといえば、いわば意図せざる実質的増税が生じということになるんですよ、これは。そうでしょう。したがって、公社経営の赤字解消のためのいわゆる法定緩和というだけじゃないんですよ、これは。意図せざる増税措置がこの中に含まれている。そういうことまで国会の権限を奪って行政権にゆだねるということは、これは許されないと思いますよ、この点も。これは公社の答弁じゃなくて、大蔵大臣にお答えいただきたいんですけれども、そういう問題が含まれている。
○政府委員(名本公洲君) ただいま先生御指摘いただきましたように、納付金の率を従価制、従価方式で定めておりますので、たばこの定価改定が起こりますならば、反射的に専売納付金の額はふえてまいるわけでございます。従来の方式でございますと、専売事業審議会の答申にもございましたように、いわゆる専売公社の手元に残りました利益から国庫に納付するということになるものでございますから、原価が上昇してまいりますと、おのずから国庫に納付いたします部分は、一本のたばこについて例をとって申しますと、一本のたばこがしょっております国庫への納付すべきお金の負担の率というものは、年々低下をしてくるということに相なるわけでございます。
 これを、今回、平均五五・五%にいたすということにいたしたわけでございますので、今後におきましては、年々その率が低下するということはなくなるということでございます。これは昭和五十二年の税制調査会におきまして、御承知のように「適切な負担水準を維持する」ということが税制調査会の答申におきまして指摘されておるところでございまして、この答申の趣旨に沿いまして維持していくということが、今回の制度改正によりましてビルトインされたということに相なるわけでございます。
 負担率が原価の上昇によりまして低減していたものを回復するということでございますので、実質的にそれが増税というお言葉で御表現になるならば、そのとおりかと思いますけれども、私どもといたしましては、従来の方式でございますと低下していた率をもとへ返していただく、今回の定価改定の部分につきましてもそのとおりでございますが、低下いたしておりますものを回復さしていただきたいというのが、今回お願いしています定価改定の中身になるわけでございまして、納付金率を法定いたしますことによりまして、そういう意味におきまして、先生のおっしゃるような意味において増税部分がある、財政の収入の確保が図れるということは事実でもあり、またそれも、今回納付金率を法定をいたすにつきまして、ねらいとした一つの目的でもあるわけでございます。
○片岡勝治君 だから、公社側がいままでずうっと言ってきた要素、それはわかるんですよ、私も。それにプラスアルファがあるわけですから、これが問題だ。それは答申案に書いてあるとおり、予期せざる減税が出てきちゃうから、それは改めなさいということで五五%にするんだ。ですから、五五%でずっといく限り、ことしも売り上げの五五%、まあ詳しい計算は略して、入るわけでしょう。来年も五五%入る。再来年も入る。いままでは公社の費用が膨張すればこっちへ食い込むわけですから、率としたら五三になることもある、四五になったかもしれない。だから、それを食いとめた。一線を引いたんですよ。それは、私はそれなりに一つの意義がある。こっち側の公社の方はなかなか大変だと思う、率直に言って。大変だろうけれど、四五多でやりなさいということになる。
 ところが、公社は赤字になった。そこで三〇%上げた場合どういう現象が出るかと言えば、こっちにも連動するんですよ。おれはそんなつもりじゃないと言ったって、買った人はちゃんとその納付金まで納めるわけだ。消費者にしてみれば、予期せざる増税を強要されたことになるんですよ、これは。つまり、この答申のちょうど裏側の現象が出てくる。こういうつまり予期せざる増税という問題、これはやっぱりわれわれ国会の審議権にゆだねるべきではないか。これさえも取り上げるということは、私は理解ができない。
 公社だけの部分なら、これは百歩譲って、まあまあ仕方がないだろうということを言ってもいいと思うんです。そうじゃなくて、こっちの部分までも増税される、予期せざる増税が消費者に、有無も言わせずに取り上げるという、そういう措置が含まれるわけですよ、今度の措置が。だから分離して、こっちの部分だけ、公社経営の方だけ大臣の認定にすると、これならまあまあそれも一つの考え方だ。予期せざる増税が含まれるようなそういうことを行政権にゆだねる、いままでのたばこの売上高と納付金との関係からすれば、まさに革命的な変革なんですよ。そういうことまでこの国会の権限を奪われるということについて、私はやっぱり理解できないんですね。これは社会党だからじゃなくて、心ある人はみんなそう思っているんじゃないですかね。どうですか、これは。これは公社の答弁じゃなくて、やっぱり政府の答弁、大臣の答弁をひとつお願いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 私も、最初いわゆる財政民主主義のたてまえからしての法定主義と、それから行政の効率化の調和点がどの辺に求められるかというような議論をいたしておりましたが、その三〇%というものについての内容については、公社から、また事務当局からお話し申し上げたとおりであると思うのでありますが、基本的には、いわば税相当分というものを法定するわけでございますから、たとえて申しますならば、先般来問題になっておりました、予算審議の過程で問題になっておりました電気、ガス税をとらまえてみれば、これは率が〇・五%と決まっておりますから、まさに従価税、価格が上がればその税収がふえるという性格のものであります。増収になる性格のものであります。
 それから一方、電源開発促進税、これを考えてみますと、これは一キロワット当たり幾らというように法定されておるものでございますので、その金額そのものを法律で上げなければ増収にはならない性格のものでございます。
 それからまた、やはり議論されておりました自動車重量税、これは量に対しての税率でございますから、増収要因にはならないというものでございますので、このたびの納付金を税の性格から見れば、価格に従うという意味におきまして従価税の性格を持つものであると。その限りにおいては、法定されるものは五五・五%でございますので、そうして従価税に属するものは、やはり従価税の持つ税体系の中で理解をしていただかなければならない課題ではなかろうかというふうに思います。
○片岡勝治君 他の電気、ガス税等について私も承知しているわけでありますけれども、税率が非常に低いですよね、〇・五%というような金額ですから。税率を考えてみれば、たばこ納付金の一個のたばこに占める割合というものは非常に大きいわけですよね。そういうふうに、たばこを消費している人にしてみれば、莫大な、つまり価格の半分はすでに納付金として国家に納めているわけですから、私は電気とかガスというものと比べて、あれやっているじゃないか、あっちもやっているんだから、こっちもということにはならぬと思うんですね、これは。やっぱりそれだけ大きな負担をしている、そういう点については、温かい配慮があって私はしかるべきだと思うんです。
 特に、今回口を酸っぱくして言っていることは、公社経営の赤字克服だ、そればかりですよ、ずっと速記録を見たって。いや、同時に一国の財政も太るんですというようなことは余り説明しないんですね。だから、先ほど申し上げました極端なことを言えば、公社が赤字になって、大蔵大臣、もうかるのはあなた。あなた個人の金じゃないんですけれどもね。そうでしょう。そういう皮肉な現象が出るのですよ。しかも、赤字がふえればふえるほど、三〇%に近くなればなるほど。そして、次にまた基準価格を改定して、それから一、二年たって赤字になる、また国がもうかる、こういうシステムなんですよ、今回のこれは。ですから、公社経営を健全化させるその意図は私も理解するけれども、そういう赤字を期待する、そのことが国家財政に利益をもたらすというようなことは私は大きな矛盾だろうと、そういうことがこれから別な矛盾として私は出てくるような気がするんです。
 この点は、ひとつもう一度検討をと言ったって、もうあなた方はやる気がないかもしらぬけれども、そういう矛盾があるということはこれは大変な問題だと思うのです。四苦八苦して、赤字を本当はつくりたくないのだけれども、国の方の顔色を見て無理に赤字をつくる――なんということはないと思いますよ。ないと思いますけれども、これはしかし、そういう意図が働くんですよ、やっぱり立場、立場で。大蔵省、もう少し納付金何とかならないか。あ、いい方法がありますよ、それは赤字にすればいいと。法律にありますからね。いや、なるのですよ、それは数字的には。算術的にはそういうことになる。
 しかし、そんな非常識なことは私はないとは思います。ないとは思いますけれども、しかし、国民の側からすれば、公社が赤字になったとよ、二八%埋めなければだめだ。あ、あれはあれだ、大蔵省の方の財政がということになる。専売公社には大蔵省からの天下りはないのでしょうね。ぼくはないと思うのですが、そういう人事があったらこれは大変ですよ。すぐ疑われる。ですから、この問題については大変な問題が隠されている、含まれているということを、大臣も公社の方もしかと胸に置いておかなければ、国民に大きな疑惑を持たせる結果になると思います。特に、こういうふうに物価高でどんどん公共料金が上がる、物価が上がる、そういう時期でありますから、私は、そういう点について十分慎重に配慮していかなければならぬ、この点をこの際、厳しく皆さんに申し上げておきたいと思うわけであります。
 それから、先ほどもちょっと触れましたが、独占性の程度あるいは公共性の度合い、そういうことによって財政法第三条の適用というものを考える。必ずしも個々の価格を法律で、つまり国会の議決を経なくてもいいではないか、そういうふうに政府は解釈されて今回のような措置をとったと思うのですね。私は、専売というのはこれにまさる独占事業はない。独占度については他の公共的事業、公社、公団を通じて最高の部類に属する。それから、公共性についても、先ほど申し上げましたように、消費者にとって約半分は国のために金を出す。これにまさる公共性はない。だとすれば、これはやっぱり国会の議決を得る、つまり、財政法第三条からいたしましても、大臣の認可というようなことでなくて、国会の議決を得るということがこれは当然じゃないかと思うのですが、財政法第三条の解釈について、今度の法律案との関係をどう理解したらいいのか。
○政府委員(名本公洲君) 先生御指摘のように、財政法三条におきまして、独占度の高いものにつきまして、あるいは言うならば、国民が国のサービス以外のものを受けられないものにつきまして、その料金、価格等につきまして、法律または国会の議決に基づいて定めるというふうに定めてございます。その中で、たばこの独占性につきましてはまさに一〇〇%独占になっておるわけでございまして、独占性はきわめて高いものの部類に属するわけでございます。
 そこで、今回法定制につきまして緩和をお願いいたしておりますゆえんのものは、今回の納付金の率の法定によりまして、専売公社の経営体質に従来とはさま変わりな変化を起こすことに相なるわけでございます。一方、専売公社そのものは、もとのいわゆる特別会計でやっておりました専売局とは違いまして、企業体として効率的にかつ健全に経営を行っていくという責務を、専売公社法に書いてございますけれども、そういう責務を負っておるわけでございます。その責務を果たさせるということのために、納付金率の法定に伴う体質の変化に応じまして、若干の言うならば経営手腕が発揮できる部分を、財政法三条でお認め願える範囲におきまして、今回の改正をお願いをいたしておるというのでございます。
○片岡勝治君 今度の改正案に対する公社側の評価というものは、大変高いようです。私も、ある部分についてはそう感じます。しかし、先ほども触れましたように、納付金部分と経営部分とを分離した、それによって公社の自立性、独立性、そういうものがある程度確立されたことは、私も事実だろうと思うのです。
 しかし、どうですか、たばこ事業そのものについて将来展望を考えてみたときに、私は公社にとってこれは非常に重大な選択をしたなと思うのですよ。恐らく、数年とはいかないかもしらぬけれども、十年、二十年になったときに――二十年じゃない、十年未満のうちに専売公社というのは重大な危機に私は立たされると思う。というのは、先ほども触れましたように、たばこをのむ人口というものが日本は非常にまだ高いわけであります。しかし、アメリカの男子はすでに急速に減って四〇%、日本の場合は七〇%、私細かい点はわかりませんが、恐らくヨーロッパ諸国と比べても日本は最高の部類になっているだろう。ヨーロッパへ行っても、私の経験では、道で歩きながら吸っている人はほとんど皆無になっておりますね。つまり、たばこをのむということはだんだん減ってくる。恐らく今度の値上げでがっくり減るのじゃないですか、おどかすわけじゃありませんけれども。これは相当減りますね。だから、今度の法改正によって公社は大変高く自立性あるいは責任性、いろいろ評価されておりますが、これを機会に一歩一歩重大な経営の危機に入っていくということを、私はきょうここで申し上げておきたいと思うのですが、これはどうですか。つまり、たばこの消費の展望ですね。
○説明員(泉美之松君) ただいま御指摘をいただきましたように、わが国の場合には、成年男子の喫煙者率は一時に比べまして大分落ちてまいりましたが、それでも七三・一%ぐらいでございまして、諸外国に比べますと大変高い率でございます。ただ、成年女性が喫煙者率が一五%台でございますので、両者平均いたしますと四三・三%程度でございまして、諸外国とそれほど大きな開きはないわけでございます。しかし、御承知のように、わが国の場合には今後六十五歳以上の老齢化人口が、顕著にふえていくことが見通されるわけでございます。
 そういう点からいたしますと、喫煙人口はどんどん減っていく心配があるわけでございまして、たばこの今後の消費という点からいたしますと、なかなか消費が伸びない、伸び悩むということが予測されるわけでございまして、そういう意味では、今回の法改正によりまして納付金率の法定をされますと、公社としましては、いままでのように利益があったら利益の中から納めればいいというものではなくなりまして、利益があるなしにかかわらず、売り上げの一定率を地方消費税と国に対する納付金と両方で納めなければいけないことになります。公社の経営にとりましては、大変厳しい状態になることは御指摘のとおりでございます。私どもといたしましては、そういう点で、今回の法改正をお願いすることは大変な選択であるということは、十分承知いたしております。
 ただ、しかし、いままで指摘されました国民に対してたばこにかかる税金相当分を明示すべきではないか、それから公社経営の責任を明確にすべきではないか、そういったいろんな点からいたしますと、やはり納付金率の法定化ということをお願いせざるを得ないということで、今回のような改正をお願いしておるわけでございます。御指摘の点は重々含みまして、今後の経営に当たりましては万全を期してまいりたい、このように考えております。
○多田省吾君 私は、昨年も三時間ばかりこの法案について質問をしたわけでございます。その際は、製造たばこの定価二一%値上げ、また定価法定制の緩和の問題、あるいは専売納付金率法定化への改正、あるいは関税率の改定、あるいは葉たばこ耕作者の問題等につきまして種々質問したわけでございますが、重要な点につきましては後に質問いたしますが、私は最初に、やはりいま重要な問題になっております喫煙と健康について質問したいと思います。
 専売公社は、ここ十年余り、毎年外部の大学研究所に喫煙と健康をテーマに委託調査を行っているわけでございますけれども、研究報告を公表していないのは何ゆえでございますか。
○説明員(小幡琢也君) お答え申し上げます。
 先ほど片岡先生の御質問にお答え申し上げましたが、従来、研究項目なり成果自体につきまして、何分研究途上でございますので、それともう一つは、非常にわかりにくい、専門的であるということで実は公表を控えてきたわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、これから態度を変えまして、発表するという方向で検討をさしていただきたいと思います。
○多田省吾君 それではその発表の時期、また、発表の内容はどのようになりますか。
○説明員(小幡琢也君) 現在考えておりますのは、毎年度研究報告の概要が出てまいります。その報告自体、これは二冊に分かれておりますが、それが一つと、それからもう一つは、昨年、昭和三十二年以来、研究を委託いたしましたこれまでの取りまとめをいたしまして、研究の経過と展望と、こういう小冊子をつくりましたので、それを発表する。それからもう一つは、できましたら、それをさらにわかりやすく一般の方に御理解いただくように、何とかまとめたいということで、現在委託をお願いしました先生方と御相談してつくりつつある現状でございます。
○多田省吾君 本年は、世界保健機構いわゆるWHOでは、一九八〇年の活動目標をたばこ病制圧作戦にしぼって、加盟各国へ真剣な対応を求めているわけでございますが、いま態度を変えて発表する方向だと、発表の内容につきましても三つばかりお挙げになったわけでございますが、わかりやすく御理解いただくようにするということで、ちょっと時間がかかりそうなようなことをおっしゃっているわけでございます。しかし私は、やはり重要性にかんがみまして、発表を早めるように努力する、こういうことが非常に大事ではないか、これによってわが国のやはり対応もいろいろ評価されるわけでございますから、そのようにした方がいいと思いますけれども、発表時期はどのように考えておりますか。
○説明員(小幡琢也君) 御指摘の、わかりやすく取りまとめたものにつきましては、現在、鋭意準備中でございますので、できるだけ速やかに発表できるよう急ぐということで、御理解いただきたいと思います。
○多田省吾君 それじゃ第一番目の、毎年度研究成果の概要、それから二番目の、昭和三十二年以来報告があったものを取りまとめたもの、この一と二のものはすぐにでも発表できると思うのですが、これは具体的にはいつごろ発表の御予定ですか。
○説明員(小幡琢也君) 直ちに発表できるように、準備をすでにしております。
○多田省吾君 そうしますと、これは四月四日以前に発表なさるというお考えはあるんですか。
○説明員(小幡琢也君) 研究報告とそれから小冊子、経過と展望につきましては、四月四日以前に発表できる予定でございます。
○多田省吾君 そうしますと、さらにわかりやすく御理解いただくための国民向けの発表、これは若干おくれるわけですが、これはやはりおくれると言っても本年じゅうには発表すると、こういうことですね。ただ四月四日には間に合わない、こういうことですか。
○説明員(小幡琢也君) 本年じゅう、できるだけ速やかに発表いたしたいと思います。
○多田省吾君 いわゆる表示の問題ですが、アメリカとかスウェーデンというものは非常に有害ということで、危険ということで、非常に厳しい表示をたばこにやっているわけでございますが、わが国は非常にいわゆるなまぬるい表示の仕方をしているわけでございます。私は、日本のたばこと外国のたばこが、タールとかニコチンとか有害ガスとかそういうものの出る割合、あるいは品質については全く異なるとは思いません。どうして日本だけこのように表示がなまぬるいと言われるのか、その辺、ひとつお答えいただきたいと思います。
○説明員(小幡琢也君) これも先ほど片岡先生の御質問にお答え申し上げましたように、外国の有害表示、注意表示、さまざまございまして、これはやはりそれぞれの国の事情、社会的な習慣なり規制の仕方を反映してまちまちだと思っておりますので、外国のたばこと日本のたばこが品質面で異なるということではございません。
 ちょっと補足いたしますが、日本の注意示がなまぬるいではないかという御指摘でございますが、日本と同じような注意表示をしておりますのがカナダそれから韓国、この辺が同じような注意表示でございますし、また、西ドイツとかオーストリア、イタリーのように全然表示をしていない国もございます。
○多田省吾君 先ほど申しましたように、スウェーデンなんかでは一九七七年の一月一日から、箱の裏面に警告文が順次十六種類も印刷されておりまして、タール、ニコチン、そして一酸化炭素の含有量が表示されております。
 スウェーデンの場合は、二十五年という長期計画のもとに国民の健康という観点からこのような表示になったと聞いておりますが、この場合、たばこの公社のみならず健康福祉省といったところも、すなわち政府が一体となって取り組んでいるところにその特徴があると思います。私は、やはり専売公社だけがこれと取り組み、また、表示を決定しているということになりますと、このようななまぬるいと言われるような表示になりがちでございます。私は、厚生省もはっきりそれに参加して、スウェーデンと似たような体制をとってこれに当たるということが必要ではないかと思いますが、厚生省のお考えはどうでしょうか。
○説明員(大池真澄君) お答えいたします。
 喫煙と健康の問題は、国民の健康を守る上で重要な問題であるわけでございますので、厚生省といたしましても、今後とも健康教育等を通じての積極的な啓発普及を図る一環として、ただいま御指摘のような関係省庁、専売公社との連携も十分とるように努力をしてまいりたいと思います。
○多田省吾君 厚生省にお尋ねしたいのですけれども、いままではどうなんですか。いままでは全部専売公社任せですか、それともある程度若干参加しているのか、あるいは警告等を行っているのか、その辺のいままでの状況をお知らせ願いたい。
○説明員(大池真澄君) 随時必要な情報交換、意見交換を行っていると理解しております。
○多田省吾君 まあ、随時情報交換、意見交換と言いますと、余りいままでは厚生省の意見が取り入れられていないというように私は考えるのでございます。やはりこういったたばこの有害性を証明するデータなり、そういうものをはっきり厚生省でも持っていなければ警告もできないわけでございまして、そういった方面のやはり研究というものもこれから大いに必要だと思いますが、厚生省はどう考えておりますか。また、いままでの実績はどうでしょうか。
○説明員(大池真澄君) たばこの身体的な影響につきましては、すでに内外の研究がWHOその他の専門委員会報告書等で取りまとめられておりまして、私どもといたしましても、そこに盛り込まれている内容については、そのような影響があるという観点に立って、いろいろ予防的な措置を講じているところでございます。すなわち、長期の多量の喫煙というようなものが、典型的に申し上げますと肺がんとかその他の呼吸器性疾患あるいは虚血性の心疾患等各種の人体の病気に密接な関連があるというような疫学的なデータは、国際的のみならず、国内の研究におきましても数々出されておるというところでございます。
 その関連につきましてどのような実績という御質問でございますけれども、厚生省におきましてもそれぞれの疾病の研究、疾病予防の研究という面におきまして、積極的にこれまで取り組んできているところでございます。
 なお、補足して御説明申し上げますと、御案内のように、先ほど例示いたしましたような疾病一つ一つにつきましては非常に多数の原因、多数のメカニズムが絡んでおるものでございますから、たばこのみとその病気という観点では必ずしもございませんで、その疾病の原因あるいは関係の深い要因の研究というような形で、それぞれ研究が展開されております。がんの疫学の研究とか、あるいは循環器疾患の発生に関連する環境要因の研究でございますとか、そういったことがこれまで展開されておるわけでございます。
○多田省吾君 厚生省には、また後でまとめてお聞きしたいと思います。
 専売公社の方にお尋ねしたいんですが、国立がんセンター研究所の平山疫学部長の話では、こういう話をしております。専売公社に聞くと、低ニコチン、低タールの安全たばこをつくる技術はあると言う、なのに、消費者が要求していないからと研究情報をマル秘扱いにして公開しない、こう言っておりますけれども、こういうことで低ニコチン、低タールのたばこを開発しないというのならば、私はとんでもないことだと言わざるを得ませんが、この点はいかがでございましょうか。
○説明員(小幡琢也君) 公社としましては、低ニコチン、低タールの開発をしていないということは決してございません。新聞に出ておりました、低ニコチン、低タールの安全たばこをつくる技術があると言っているということでございますが、公社のこの取り組み方といたしましては、たばこの品種改良をやりましたり、あるいは原料の加工処理でニコチン、タールを少なくするような技術の開発、あるいはシートたばこを開発いたしましたり、それからフィルターに穴をあけて空気の流通をよくするという問題、それから巻紙についても同じようにろ過率の高い紙をつくるとか、そういった改良などをしまして、ニコチンやタールを少しでも少なくするような技術の開発に積極的に取り組んでいるわけでございます。現に低ニコチン、低タールのたばこというものを、たとえばジャストとかマイルドセブン、あるいはパートナーというものをすでに導入いたしております。
○多田省吾君 いまおっしゃったように、専売公社では低ニコチン、低タールのたばこといたしましてジャストを発売しております。これはわが国では低ニコチン、低タールのたばこと言えるものは、私はこのジャスト以外にはないようにも思います。ジャストの場合は、五十三年、五十四年調査ともに、ニコチンは一本について〇・三ミリグラム、また、タールにつきましては同じく一本について八ミリグラムですか、このような調査結果を公表しているようでございます。しかし一つには、世界的に見ますと、アメリカではタール一ミリグラム、ニコチン〇・一ミリグラムということで、日本のロングピースの二十分の一というたばこもあるわけでございます。ですから私は、日本でもつくろうと思えばジャスト以上のものはできるのではないかと思われますが、それをつくらない理由ですね。
 それからもう一つは、専売公社から資料をもらったんですが、「主要国におけるニコチン・タール量の推移(販売実績上位5銘柄の加重平均値)」ということで、ニコチンにつきましては、日本は一九七八年におきまして一本について一・〇六、アメリカは一・二五であるのに西ドイツは〇・六七、また、タールにつきましても同じく一九七八年に日本は一六・二、アメリカは一八・八、しかるに西ドイツは一三・一と、西ドイツの五つの銘柄の加重平均値というものが極端に低くなっているわけでございますが、これはニコチン、タール量の測定の違いがあるのか、あるいは本当にこのように実際に西ドイツのものがニコチン、タール量が少ないのか、また、この測定はどこでやられたのか、その辺をひとつまとめてお答えいただきたいと思います。
○説明員(小幡琢也君) まず、最初の御質問でございますが、ジャスト以上の低ニコ、低タールたばこの開発はできないかという問題でございますが、技術的には日本におきましてもニコチン〇・一とか、タール一ミリとかというような低タール、低ニコ製品の開発はできるわけでございますが、問題は、やはりニコチン、タールがただ低いばかりではなしに、低くなりますと、たばことしてのうま味がなくなるという問題もございますので、うま味を加味した、それで軽い商品、こういうものをつくり上げることがなかなかむずかしいのが実情でございます。しかしながら、ジャストより低い新しい製品につきましては、すでに開発をいたしまして、これは現在導入すべく検討中でございます。
 それから、第二の御質問でございますが、日本は西ドイツよりもニコチン、タール量は平均いたしまして高いわけでございますが、アメリカよりも低い。それで、西ドイツはどうして低いのかということでございますが、これは西ドイツは国民性といいますか、昔からどうも非常にこれが低い方の代表であるということになっております。それで、この測定方法が特に違うということではございません。大体各国とも同じような測定方法で一定の方法がございますので、それでやっているわけでございます。
○多田省吾君 いまおっしゃった、ジャストよりも低ニコチン、低タールのたばこの開発を検討中であるということでございますが、ジャストの場合はニコチンが〇・三ミリグラム、タールが八ミリグラム一本の中に含まれているわけでございますが、いま開発検討中のものはどの程度のものでございますか。
○説明員(小幡琢也君) 現在まだ開発中でございますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、目標といたしましては、ニコチンが〇・二から〇・三、タールが五から六ぐらいまでに何とかしたいというふうに考えているわけでございます。
○多田省吾君 次に、アメリカのリーダーズ・ダイジェストという雑誌の米国版の一九七七年の十月号、十二月号に、たばこの毒ガスという、独自に依頼した分析調査の報告がございます。それによりますと、アメリカのナウ、それからカールトンという超低タール、ニコチン銘柄以外は、フィルター付といえども一酸化炭素、それから青酸、それから窒素酸化物等のいわゆる毒ガスが発生するという、きわめてショッキングな報告が載っております。わが国のたばこにおいても事情は非常に似ておりますので、毒ガスの問題も当然あると思いますけれども、専売公社といたしましてはこのような分析調査も行ったことがございますか、どうか。
○説明員(小幡琢也君) たばこの煙の中に一酸化炭素その他のガス成分が含まれているということは御案内のとおりでございますが、ただ、こういったものの体への影響問題につきましていろいろ研究しているわけでございますけれども、ともかく喫煙によって取り込まれますそういうものの成分というものは非常に微量でございますし、しかも、たばこの喫煙動作というものは非常に間欠的でもございますし、また、非常に空気によって希釈されるというようなこともございますので、一般の健康な人にとっては、そういった健康への影響はないのではないかと考えられるわけでございます。
 御指摘のように、リーダーズ・ダイジェストの調査を初めとしまして、国際的にもこういった一酸化炭素等に対する関心が出てきておりますので、公社の方でもこういったことに取り組みまして、このたばこの煙の中の一酸化炭素の測定法の検討ということを、現在行っているわけでございます。
○多田省吾君 たばこの公営問題、民営問題という問題があります。経営形態懇談会報告書にも述べられておりますけれども、専売を直ちに民営化するという問題点の中で、「健康問題の見地から今後たばこ事業に一層強く要請されると考えられる喫煙に関する各種の措置を十分講ずることができるかどうかについて、検討しなければならない。」このようにございます。これは、ある意味で喫煙と健康という問題に関しましては、専売公社であればこれは強く推進できる。民営化すると、こういった喫煙と健康という問題にもなかなかメスが入りにくくなる。ですから、健康を強く考えた喫煙という方向に対しまして前向きに進むということが公営という利点である。すなわち、民営化反対のための専売公社の立場では、この喫煙と健康という問題が一つのよりどころに、また力強い根拠になっているわけでございます。
 ところが、それにしましては、現実にはこういった措置が二、三西ドイツとか他国よりも進んでいる面があるということを弁解されますけれども、少なくともアメリカとかスウェーデンとか、そういう諸国から見れば非常におくれている。そうしますと、これはみずから墓穴を掘ることになるのではないか。それならいっそ、公営の価値がない、民営にしたって同じことだという論拠にならないか。そういう点から専売公社は、どのように健康と喫煙の問題について、公営対民営という立場からお考えになっているのか、その辺をひとつ明確にお示し願いたいと思います。
○説明員(小幡琢也君) 経営形態懇談会報告書にございます民営化問題の中で、この喫煙と健康問題というのが、一つ検討しなければならない問題として指摘されているわけでございまして、それだから民営がいかぬということは毛頭言っているわけではないと思いますが、これはやはり一つの問題点であろうかと思っております。
 公社としても、従来からこの健康問題に対しまして相当努力してきたつもりでございます。これは申し上げるまでもないことでございますけれども、広告の自主規制を昭和四十四年から五項目やっておりますし、また、先ほど来たびたび御答弁しておりますように、医学的研究の拡充もやっておりますし、それから低ニコ、低タール製品の開発ということにも相当積極的に取り組んでいるつもりでございます。また、特に未成年者喫煙防止という問題につきましても協力をいたしております。それから、例の吸わない人に迷惑をかけないような配慮の呼びかけ運動、喫煙マナー向上のキャンペーン等をいろいろやっているわけでございますので、こういったことが、一つのこれから民営化を考える場合の問題点ではないかと、かように恐らく考えていると思っております。
○多田省吾君 ちょっと立場を変えてお聞きいたしますが、専売公社で研究開発をされたものの権利、すなわち特許というものはどこが管理し守っておられるのか、まずお尋ねしたいと思います。
○説明員(小幡琢也君) 公社が研究開発をいろいろいたしておりますが、これは言うまでもなく、公社の試験研究機関でやっているわけでございます。したがって、現場では、各試験研究機関におきましてその技術情報あるいは権利として特許化するような情報、いろいろ研究機関自体で管理しているわけでございますけれども、ある程度までまとまりますと、これは特許ないし実用新案を受けるという場合には本社に報告されまして、以後、特許の出願からそういった特許等の権利の保全等、ずっとそういった権利については本社の現在研究開発部に技術調査室というのがございますが、そこで一元的な集約管理を行っているわけでございます。
○多田省吾君 その管理あるいは特許の問題はいまお答えございましたけれども、その管理がどの範囲まであるのかどうかということになりますと、私は若干疑問に思うわけでございます。まあ過去のことでもあり、詳細について私はここで述べようとは思いませんけれども、公社で、すなわち中央研究所ですか、研究開発に携わっていた方によって、これは大した問題ではないかもしれませんけれども、海外で特許を取られたという例があります。これにしましても、研究開発に対する管理というものがいささかずさんではないかと、このように思われるわけでございます。
 公社としましては、大した価値はないんだと判断されるかもしれませんけれども、これからもいろいろ悪用されるおそれもあるわけでございます。ですから、その点、公社で研究開発されたものはすべて管理し、特許出願も公社がすべて行うというようないわゆる管理体制というものが必要だと私は思いますけれども、公社はどのように考えておりますか。
○説明員(小幡琢也君) 先ほど申し上げましたように、特許の管理は最終的には一元的に本社でやっております。それで、特許の権利の保全につきましては社内で手続規程が整備されておりますので、それによりまして、その侵害がされることのないよう管理に万全を期しているつもりでございます。
 それで、公社の知らない間に、公社の権利のようなものが外国で出願特許になったじゃないかというような御指摘でございますけれども、これにつきましてはちょっと見解が異なりまして、私どもはこれは決して特許を盗まれたものではないと考えております。
 御承知のように、特許というものは、個人の自由な発想に基づいて生まれた技術を権利化するものでございまして、やっぱりたまたま公社の技術に類似の第三者の技術が出願されるということがあるといたしましても、これは異議申し立てなり審判請求で排除できますし、また、公社に必要でないものは別にそうする必要もございませんので、実害がないのではないかと考えております。
○多田省吾君 じゃ、イギリスで、弟さんの名義でパテントになったと言われております二年前にございましたこの件につきましては、全然問題はないと、このようにおっしゃるわけですか。
○説明員(小幡琢也君) 御指摘の二年前のそのケースにつきましては、いろいろ調査いたしました結果、英国で特許を取りましたその権利の内容につきましては、公社としては、これはこう言ってはなんですけれども、余り効果を認めない、余り必要のないものと考えておりまして、結局、実用化もできなかったというふうに聞いております。
○多田省吾君 もし、この種のことが続発するようなことがあっても問題はないと思われますか、それとも多少問題だと思われますか。
○説明員(小幡琢也君) 特許の管理につきましては、今後とも遺憾ないように万全を期したいと思います。ただ、御指摘のような、本当に公社の技術が盗まれるということがあってはならないと考えておりまして、非常にその辺については注意いたしたいと思っております。
○多田省吾君 私は、やはり専売公社発足のときのテーマの一つが、安くてうまいたばこをつくる、いわゆる国民の利益のために発足したわけでございますから、こういった管理体制につきましても、私は国民の利益を守るという点に関しまして、あくまでも真剣に取り組んでいただきたいと、このように要望するわけでございます。
 次に、私は、いままでWHOからさまざまの提言が行われました。本年は特に強いわけでございますが、このWHOのいままでの提言に対しまして、厚生省並びに専売公社はどのように取り組んでおりますか、また取り組んでいきますか。
○説明員(大池真澄君) 喫煙は国民の嗜好、習慣と密接に関連いたしておりますので、一概に喫煙を禁止するといった方向ではなくて、喫煙の健康に及ぼす影響について十分国民に周知していただく、周知することによりましてこの問題の改善に努力をしていく所存でございまして、今後ともじみちな努力を重ねてまいりたいと考えております。先ほども御質問に答えましたけれども、健康教育、衛生教育、啓発活動というような各分野を通じまして、積極的な活動を講じていく所存でございます。
 なお、具体的な国立病院の規制の問題あるいは今回の世界保健デーにちなんでの行事としましては、別の部門の課長が参っております。
○説明員(小幡琢也君) 公社におきましても、WHOからたびたび出されております勧告の内容につきましては、深刻にこれを受けとめておるわけでございまして、いろいろ具体的措置をいままで講じてきたわけでございますけれども、これからもそういった線をさらに深めるということで、たとえば喫煙に関する医学的研究をさらにさらに拡充を図るとか、あるいは先ほど来問題になっておりましたそういった研究の情報を発表するとかいたしましたり、あるいは低ニコ、低タール製品の開発とか、未成年者の喫煙防止に対する協力あるいは喫煙マナー向上の呼びかけ運動などにつきまして、一層、今後努力していきたいと考えております。
○多田省吾君 本年の世界保健デー中央大会は、四月四日に東京で喫煙と健康をテーマに開かれるわけでございますが、主催するのはWHOの日本の窓口であります厚生省国際課でございます。本年の大会はどのような方針で行われますか、お聞きしたい。
○説明員(金田伸二君) お答えいたします。
 WHOは、憲章発効の日が四月七日でございますけれども、これを世界保健デーと定めておりまして、世界各国、加盟国が例年この日を世界保健デーとしてWHOの創設を記念するいろいろな行事を行っているわけでございます。わが国におきましても、この世界保健デーに毎年テーマを決めまして、国民一人一人が健康がいかに大切であるかということについてこの日を契機に思いを新たにする、また、WHOが推進している事業について認識を広めると、こういうことが世界保健デーの趣旨でございます。
 そこで、本年はWHOは、喫煙か健康か選ぶのはあなた、こういう世界共通の標語を決めておりまして、わが国でもこういう標語に従いまして、世界保健デーの中央大会におきましてはシンポジウムを開催いたしまして、喫煙の健康に及ぼす影響について討議をしていただいて、この喫煙の健康に及ぼす影響についての正しい知識の普及を図ってまいりたいと、かように考えております。
○多田省吾君 国際課長にもう一点お尋ねしますけれども、新聞報道によりますと、厚生省の国際課では大会を開いてたばこの害を叫ぶだけではだめだと、このような非常に消極的な発言をしているように思います。また、WHOの本年の重点テーマが喫煙と健康であるということを、厚生省としまして都道府県に文書で流していないとも聞いております。また、地方自治体では愛知県等が積極的に取り組んでいるということを聞いておりますが、厚生省はやはりこの問題に対しましてもっともっと積極的に取り組むべきではないかと、このように思いますが、いかがですか。
○説明員(金田伸二君) お答えいたします。
 ただいま御説明申し上げましたように、四月四日の中央大会におきまして、この喫煙と健康問題についてのシンポジウムを開催する、その討議等を通じまして、喫煙の健康に及ぼす影響について正しい知識を広めるということで、積極的に取り組んでおるわけでございます。
 それから、先生御指摘の、県に対する指導等が甘いのではないかと、こういう御指摘でございましたけれども、毎年私ども世界保健デーの実施要綱につきましては、三月に各都道府県に通知をいたしております。ことしも例年に準じまして、三月中に都道府県に実施要綱を通知する予定にいたしております。
 なお、ことしの一月に東京におきまして都道府県衛生主管部長会議を開催し、また、二月には都道府県結核成人病主管部課長会議を開催したわけでございますけれども、その際に、ことしのこの保健デーのテーマにつきまして出席の部課長に説明をすると同時に、各都道府県で積極的に取り組むように、指示をいたしておるところでございます。
○多田省吾君 先ほども申し上げたんですが、スウェーデンでは二十五カ年計画というもので着々とこの喫煙と健康の問題では総合政策を進めております。新聞報道によりますと、スウェーデンの計画に対して厚生省側では、そんな非常識な、十カ年はおろか五カ年計画ですら考えられない、このようにおっしゃっているというような報道もなされております。もしこういう発言が本当ならば、これはとんでもないことでございますけれども、私はそういうことはないと思いますが、改めてお伺いしますけれども、厚生省はこういうスウェーデンの二十五カ年計画というようなものはどう考えておられるのか。
○説明員(大池真澄君) ただいまの御指摘の中で、報道に関連する部分についてのことをまずお答え申し上げますと、どのような前後の関係でのやりとりであるのか、ちょっと私どもは承知しておらないという実情でございます。
 なお、スウェーデンの計画の点でございますが、私ども現在世界保健デーにちなんでいろいろ都道府県を初めとする関係方面に、参考となる資料を配布すべく、そのいろいろな内外の資料の翻訳なり解説なりを専門家の先生方に調査研究の形でお願いしている最中でございますが、現在そういったスウェーデンの問題につきましても、かなり情報がまとめられつつございます。その一端を拝見しておりますと、先生御指摘のようなかなり長期的な視野に立って取り組んでおるということ、あるいは先ほどお話が出ておりましたけれども、パッケージ表示の問題につきましても、いろいろとアイデアをこらしておるというようなことを資料としては私ども承知しております。まあ、今後のいろいろな検討、研究の参考にしたいと思っております。
○多田省吾君 厚生省にお尋ねしますけれども、いま国鉄、私鉄では禁煙区間をふやしたり、あるいはその他のいろいろな処置によって混雑時の喫煙にある程度の効果を上げているわけでございます。これは通勤地獄の危険防止という観点からの処置もございますけれども、間接的には禁煙の効果というものが非常に大きいわけでございまして、私は、厚生省は健康のため公的な場所での禁煙場所をふやすとかいろいろな施策が必要だと思いますが、これを実施するお考えがあるかどうか、厚生省にお尋ねしたいと思います。
○説明員(大池真澄君) ただいま御指摘のように、わが国におきましても鉄道、航空機を初めとする交通機関あるいは国立病院・療養所、さらには保健所等における喫煙規制が逐次進められているわけでございますが、これについては今後ともそれぞれ関係省庁、関係部門がございますので、よく連携をとりながら進めてまいりたいと思っております。
○多田省吾君 いまの御答弁をお聞きしますと、いままでは余り厳格にやっておられないというようなふうにお聞きしたわけです。
 で、わが国の、特に医学関係者の禁煙、節煙というものは、欧米に比べて格段の差があると聞いております。いま国立病院というお話も出ましたけれども、健康と深く関係している医学関係者の喫煙というものは、あくまでこれは個人の嗜好の問題であると同時に、患者と接触している場所におきましては当然禁煙、節煙を心がけることが大事と思います。そういうことで、特に国立病院等では喫煙の場所制限を進めるとか、やはり病院関係においても特に厳格な注意が必要だと思いますけれども、厚生省はこれをどのように考えておりますか、また、どのようにしようと思っておりますか。
○説明員(七野護君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、病院はもっぱら健康に問題がある人が集まる施設で、喫煙によります悪影響も少なくないと当然考えるわけでございます。このため、国立病院につきましては昭和五十三年四月に各病院に対しまして、喫煙場所の制限について課長通知を出してございます。その指導の徹底を図ってまいりました結果、現在では喫煙室を設けるとか、または喫煙場所を指定している施設、これを見てみますと、入院関係の施設につきましては一〇〇%、外来につきましては現在九六%は実施いたしてございます。外来について四多の施設、これにつきましては、病院内の喫煙を自粛するよう、現在指導に当たっているわけでございます。さらに、医療関係職員に対しましては、患者に接するような場所での喫煙は慎むよう、喫煙マナーにつきましても現在指導をしているところでございます。
 以上でございます。
○多田省吾君 いま国立病院についての喫煙の場所制限とか、あるいは喫煙室の設定とかお話がございましたが、それじゃ、国立病院以外のその他の公立病院とか、あるいは私立病院等における喫煙の場所制限に関しましては、大体どの程度であると調査されておりますか。
○説明員(七野護君) お答えいたします。
 いま先生の御指摘の点につきましては、公立病院はもちろんのこと、他の医療機関におきましても国立病院に準じまして配慮されることが望ましいということでございますので、医療監視等の機会を通じまして、これが普及、指導を行うように、各都道府県に現在指示しているところでございます。
○多田省吾君 それでは、国立病院のようにまだ調査結果は出てないということなんですか。
○説明員(七野護君) 現在のところ、まだ調査結果は出てございません。
○多田省吾君 厚生省にもう一点お尋ねいたしますけれども、いろいろいま御答弁なさっておりますが、国立がんセンターの平山氏等によりますと、たばこ病制圧に対する厚生省の態度は意識も非常に低くて意欲に乏しいと、こういう批評があるわけでございます。国民の健康を守るべき厚生省は、今後真剣にこの問題に対して取り組まなければならないと思います。私は、専売公社は健康の問題には余り真剣ではないと思っております。
 厚生省は、先ほど御答弁もございましたが、青少年の健康対策も含めまして、この喫煙と健康について強く前向きに取り組んでほしいと思いますけれども、もう一度ひとつ厚生省の決意のほどをお聞きしておきたいと思います。
○説明員(大池真澄君) 喫煙と健康の問題につきましては、国民の健康にかかわる重大な問題であると心得まして私どもはもとより、関係機関、地方公共団体等とも十分連携をとりながら積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
○多田省吾君 専売公社にWHO報告の中から一、二伺いたいと思います。
 まず、その報告の中に、たばこによる税収は、たばこ病患者の医療費、休業、早死になどの社会的損失に見合うものではないことを各国政府はよく考えるべきだと、このように言っております。また、日本でも昨年の「健康保険」二月号という雑誌に、厚生省の国立公衆衛生院衛生行政学部社会保障室の前田信雄室長が発表しております。この分析によりますと、煙の代償として年に一兆一千億円の損失があるとしております。この分析も、私はWHO報告の内容をある程度裏づけるものと思いますけれども、公社はこういうWHO報告あるいは厚生省の方の発表、分析というものをどのようにとらえておりますか。
○説明員(小幡琢也君) 御指摘の国立公衆衛生院の前田さんの発表論文は、公社においても拝見しております。ただ、これによりますと、その算出のデータがどうも疫学データが基礎になっていると思われるわけでございます。たとえば喫煙者と非喫煙者に分けまして、喫煙者の死亡率が非喫煙者の死亡率の、たとえばがんで言いますと一・六倍であるとか、そういった倍率を出しまして、その倍率で一・六ですと超過分が六だということで、統計的な手法で人数をはじきまして、たとえば四万二千人が喫煙に起因して死亡した人の数である、それで、その一人当たりの一生の所得損失額が二千万円であると、こういうことで掛け合わせて金額を出すとか、いろいろなやり方で、結局総額が一兆一千四百六億円と、こういう算定を出されておるわけでございますが、ただ、私どもといたしましては、これはやはり疫学的なデータでございまして、私ども委託して研究しております研究の成果を見ましても、まだ病理学的には必ずしもそういうふうに簡単に、超過死亡率が幾らでというような計算をするのはいかがかというようなふうな意見も持っているわけでございます。
 ただ、これは一つの研究データとして、あくまでも私どもはこれを一つの関心事として受けとめてまいりますけれども、ただ、たばこというのはそういった経済的に割り切れるかと言いますと、これは嗜好品でございますので、精神面を含めた評価ということも考えられるわけでございます。たとえば精神的な効用といたしまして、よく言われております、気持ちが落ちつくとか、気分転換になるとか、あるいは間がもてるとか、いろんな効用もあるのじゃないか。ただし、それは金額ではとてもあらわせない。そういったことで、プラス、マイナスを簡単に数字や金額であらわすことが果たしてできるだろうかというような疑問を持っているわけでございます。
   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕
○多田省吾君 私は、この問題に関しましては、若干データが違うとか、そう言ってけちをつけておさめるべき問題ではないと思います。やはり十分参考にして対策を考えるべきであると思います。火災につきましても、健康につきましても、あるいは非行犯罪とか青少年問題につきましても、いろいろなやはり損失というものがあるわけでございます。
 いま心理的な効用があるとか、あるいはプラスの面もあるんだというようなことをおっしゃいましたけれども、たとえば専売公社で出しておられる「たばこの話あれこれ」、これはちょっと古いものではありますけれども、昭和五十一年に改訂版を発行しているわけですから、そんなに古いものでもないわけです。そういったものの中には、たばこの効用として、喫煙の心理的効果を無視できないので研究を進めているというようなこともおっしゃっているわけでございますが、この心理的効果なるもの、どんな研究をしておられるのか、その状況をひとつお知らせいただきたいと思います。
○説明員(小幡琢也君) 公社としましては、そういった必理的効用についての研究を始めましたのはごく最近でございまして、人間の生活、人間はなぜたばこを吸うかと、そういった喫煙構造の研究というのをまずやるということで、現在、五十四年初めて開始いたしまして緒についたばかりでございます。しかし、この問題は非常に個人差もありますし、また個人につきましても場所とか時間などの差異もございますので、学問的な研究としましては非常にむずかしいテーマではないかというふうに考えているわけでございます。
○多田省吾君 どうもはっきりした御答弁がないようでございますが、厚生省にお尋ねしたいと思います。いわゆる日本においてたばこ病の象徴であります肺がんの死亡者数は年間二万人と、戦後二十倍以上の増加となっております。世界各国においても非常に重要な問題となっているわけでございますが、こうした影響があるからこそWHOが警告も出しているわけでございます。
 いろいろな研究の結果を見ますと、特に二十万本、すなわち一日三十本で二十年間吸うころから大変肺がんの発生率が高くなっているとか、こういった研究発表結果も見られるようでございます。それで、わが国がたばこを吸っている割りには肺がんがまだ少ないと言われるのも、青少年に対するたばこ喫煙の禁止ということを強く打ち出しているのでそういう影響もあるかもしれないとか、またしかし、現在の日本の肺がんの発生率は二十年前のたばこの消費量に比例するものだろうから、これからが大変だというような説もございまして、いろいろな研究がなされているわけでございますが、厚生省におきましても真剣な対応策を検討して実施すべきではないかと思いますが、この肺がんの問題に対してはどのように考えておられますか。
○説明員(大池真澄君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘のございましたように、肺がん死亡の増加につきましては世界的な趨勢でもございますが、わが国でも増加が顕著でございます。昭和二十五年と昭和五十三年を比較いたしますと、死亡者数で見ますと十六・六倍、ただその後、非常に人口が高齢化しておりますし、疾病構造も著しく変化しておりますので、死亡者数そのものの比較ではちょっと比較が問題ございますので、これを年齢補正いたしました訂正死亡率で比較をいたしますと、男子の場合に七・五倍ほど死亡率の増が見られております。女子の場合ですと六・六倍、約七倍前後の増加は確かに生じております。
 これが喫煙との関連につきましては、疫学的な考察からは相当強く指摘されているところでございますが、喫煙のみによる増加ということでは説明できないわけでございまして、先ほど触れましたような疾病構造自体の変化、その他いろんな要因が関連しておると考えられております。
 なお喫煙につきましては、肺がんのみならず、吐血性心疾患を初めいろいろな病気との関連が指摘されておりますので、今後とも真剣に喫煙問題には取り組んでいく所存でございます。
○多田省吾君 大蔵大臣に最後にお尋ねしますけれども、健康に対して有害であるたばこを専売公社が売っている以上、やはり私はWHOの勧告もあり、当然また人道問題としても、たばこの有害であることをやはり明確にたばこに表示すべき段階に来ていると、このように思います。
 ところで、専売公社ではそういうお考えがなかなかないようでございますし、日本では「健康のため吸いすぎに注意しましょう」といった、あいまいなきわめてなまぬるい表示に終わっております。いつも言われることでございますが、アメリカ等ではデインジャー・ツー・ユア・ヘルスと、危険という言葉が入っているわけでございまして、私は、本年がたばこ喫煙の有害性を追放しようという年に当たっているということもございまして、日本の表示を健康に有害という観点からもう少し明確にすべきである、このように思います。まあ厚生省でも研究しているとか、あるいは専売公社でも研究しているとかおっしゃいますけれども、要は、やはり実行が大事だと思います。大蔵大臣はこの点どう思われますか。
○国務大臣(竹下登君) 多田さんと当局との問答を聞いておりまして、私なりに感じさせられるところはありますが、一概にどういう表示をすべきかということに、画然たるお答えをするだけの基礎的知識が私にはございません。したがって、そういう意見を参考にしながら検討をさしていただきたい、このように考えます。
 と同時に、いま一つ、専売公社は専売公社として製造者の立場からみずからがつくる商品についての研究をやっておるわけでありますし、厚生省におかれましては、それぞれの疾病、疾患等との包括的な中でたばこの有害の問題等を御研究なさっておるようでございますので、私といたしまして多田委員の御質問にお答えするといたしますならば、予算の調整権のある大蔵大臣といたしまして、今年のようなことを契機として、そのような形の今後予算等については十分配慮しなければならぬなと、こういう心境になっておりますことをもって、お答えにかえさしていただきます。
○多田省吾君 大臣の御答弁、最後のところがよくわからないんですが、予算等については研究すべきものがあると思うということは、具体的にはどういうことですか。
○国務大臣(竹下登君) 具体的に申しますと、製造者としてその商品の持つ有害性があるかないか、この研究は専売公社でやって、それなりの私は価値があると思うのであります。一方、厚生省におかれては、がんとかいろいろな疾患の中で、この有害性というものがたまたま研究の課題に出ておることでいろいろ御提言をいただいておるやに承ったわけでありますので、むしろ私は、厚生省にある研究開発費等の中でそのような工夫が厚生省の中で行われたならば、予算編成権というか調整権とでも申しますか、そういう立場から御協力しなければならないなと、こういう印象を強くしたということを、あえて申し上げたわけであります。
○多田省吾君 私よくわかりませんけれども、やはり健康という立場から厚生省はもっと厳格に厳しく行うべきでありますし、また、製造者の立場で苦しいとおっしゃいますけれども、やはり一番大事なのは国民の健康でございます。大蔵大臣におかれましても、やはりもっと真剣な対処というものを私は心から要望してやまないものでございます。
 次に私は、文部省に未成年喫煙に対しましてお聞きしたいのでございますが、喫煙年齢の若年化というものが世界的傾向でございますが、日本でも大きな問題になっておりますけれども、現状をどう把握しておりますか。
○説明員(菱村幸彦君) 中学生とか高校生の喫煙問題がいろいろ問題になりますけれども、事柄の性質上、大変その数は、捕捉しがたいわけでございます。警察庁の調べによりますと、昭和五十三年に喫煙で補導を受けました数が中学生が一万七千人、高校生が約十一万八千人となっております。
 それから、これは五十二年の調査でございますが、東京都立の高校の十六校をサンプリング調査いたしましたところ、男子の二三%、女子の八%が喫煙しているという数字も上がっております。
 いずれにしましても、御指摘のように喫煙者の低年齢化、それから女子生徒の喫煙化、喫煙率の上昇というようなことが目立ってきておりますし、この喫煙が子供たちの非行化と深くかかわっておりますので、私どもも大変憂慮しておるところでございます。
○多田省吾君 いま文部省からお答えがあったように、警察庁の五十三年度の調査によれば、全国で中学生が一万六千九百六人、高校生が十一万八千二百二十四人、喫煙で補導されたとされております。この警察庁の報告は補導された数でございますから、喫煙経験者はこれよりずっと多いわけでございます。また、文部省は、昭和五十二年の東京都内の十六校をサンプリングしましてアンケート調査を実施した結果、男子が二三%、女子が八%の喫煙経験者があるという結果が出たと、これは中学校でございますね。そうしますと、これは相当の状況でございます。
 多くの医学者のおっしゃっていることは、総喫煙本数が多ければ多いほど、それから喫煙開始年齢が若ければ若いほど肺がんになる、死亡率が確実に高くなると警告しているわけです。喫煙本数では、二十万本を超えると肺がんが発生する率が急激に多くなるとか、あるいは喫煙開始年齢が若ければ若いほど、外国の例に見られるように肺がんによる死亡率が確実に高くなる、こういった医学者の多くの研究結果の発表があるわけでございます。こういう立場から、文部省はこういった傾向をごらんになって、中学生、高校生に対してどのような喫煙の指導をしておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(菱村幸彦君) 先ほどのは東京都立の高等学校でございます。これは男子が二三%、女子が八%という数字が出ております。
 ただいまお尋ねの、学校教育の中でどのような指導をしているかということでございますが、まず教科の授業のことでは、理科の化学の時間とか、ないしは保健体育の保健の時間に、たばこの喫煙のもたらします害の問題を扱っております。しかしながら、この喫煙問題は、教科指導以外のむしろ教科外活動、とりわけ特別活動の中などで指導しておりますが、たとえば高等学校で申しますと、ホームルームの時間に喫煙問題を取り上げまして子供たちに議論をさせ、教師が適切な指導をするというようなことをしております。いずれにしましても、学校教育全体を通じまして指導を十分にする必要がある、教師と生徒ないしは生徒相互の好ましい人間関係を育成するという観点からも取り上げております。特に教師の問題が大切でございますので、私どもとしましては、生徒指導に関します喫煙問題なども扱いました指導書を発行しましたり、それから生徒指導担当の教師の長期講座を開催しましたり、カウンセリング講座を開催したりして、教師がこういう喫煙問題について十分指導ができる体制をとるよう努力しているところでございます。
 しかしながら、この喫煙問題等は、学校教育だけでやるというのは大変むずかしい問題でございます。そこで、社会や家庭との協力による対処ということが重要なこととなってまいりますので、文部省としましては、今後とも学校教育はもちろん、社会教育等の面でも努力してまいりたいというふうに考えております。
○多田省吾君 先ほどのは東京都内の十六校の高校についてのお調べだったそうですが、これは昭和五十二年ですね。昭和五十一年の都内のある区教育委員会が中学校九校でアトランダムに抽出された二千百七人についてアンケート調査をしたところ、喫煙の経験者が全体の三四%、もちろんこの中にはいたずらに吸った子供も多いわけですが、ちょくちょく吸うというのが全体の一三%もあったと、このような中学生に関する調査結果も出ているわけでございます。いまいろいろな教師に対する指導書とかを通じて文部省は指導なされているということを聞きましたけれども、たとえば中学校や高校の教科書には、たばこに関するデータあるいは健康によくないという言葉がどの程度書かれているのか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(上野保之君) いまお尋ねの中学校の教科書の記述でございますが、中学校のこれは保健体育という教科書の中でございますが、その中で「健康な生活の設計」というような、指導要領上そういう大きな項目になっておりまして、具体的な教科書の見出しとしましては、「し好品と健康」との関係というような形で、中身としまして、「たばこ」としまして、たばこに含まれているニコチンが健康に好ましくないこと、あるいは呼吸器や心臓などの循環器の病気にはよくないこと、さらには肺がんにかかりやすいことなど、こういうことが具体的に教科書の中で書かれております。
○多田省吾君 高校になりますと、もう全然書かれてないんですか。
○説明員(上野保之君) 高校になりましても、少し書き方は違いますが、やはり保健体育の中でこういうニコチンなんかが健康に与える、病気等のそういう健康に好ましくないものとしてそういう物質がいろいろ挙げてあります。そのほかに高校の場合は、特に教科指導ということじゃなくて、生徒指導といいますか、先ほど高校課長から話がございましたように、そういう実生活の指導という面で、特にそういう指導書等を作成して行っております。
○多田省吾君 最近は小学生でも喫煙の例があると聞きますけれども、小学校の教科書には全然触れていないのですか。
○説明員(上野保之君) 小学校におきましてどの教科で指導するかということがございましょうが、いわゆる健康に携わります保健体育でございますが、小学校には実はこれの教科書がございません。それで、特にそういう取り出してたばこについては、これは小学生ですから、そういうことは中高校生ほどそう問題にならないということもあろうかと思いますが、特に教科書上はございません。
○多田省吾君 いろいろいまお尋ねしたわけですが、やはり青少年の喫煙はとかく非行化問題と一緒にされがちでございます。確かに非行の問題も大事でございますが、やはり喫煙が青少年の健康に深いかかわりを持っているということで、文部省においてもしっかりした喫煙に対する教育を行うべきではないかと、このように強く思うものでございます。
 また、別の観点から一つお尋ねしますけれども、三月一日のある新聞によりますと、発がん物質が見つかったので近くマイルドセブンの発売が中止というようなうわさが流れまして、地方のたばこ店にはゼブンスターと取りかえてほしいということで、マイルドセブンを大量に持参したというような話もあったそうでございます。また、マイルドセブンの空き箱を何千個か集めると豪華な景品と取りかえるというようなうわさが流れたこともございます。こういったうわさの原因、また、その対策はどうしておられるのか、お尋ねしておきたいと思います。
○説明員(立川武雄君) マイルドセブンにつきまして、昨年十二月ごろから先生御指摘のように、水銀あるいは発がん物質があるので早々に発売中止になりますというようなうわさが東京周辺からございました。最近になりましてこれが各地に伝播したようでございまして、各地の私どもの営業所等にも照会件数が数百件を超えたということがございます。私の方としてはそういう事実がございませんので、事実がないという旨を、二月二十九日でございましたか、報道機関に発表をいたしまして、その記事が三月一日に載ったということでございます。
 それから、たばこの空き箱の件につきましては、大分昔からたばこの空き箱もそうでございますけれども、セロハンを包んでおりますオープニングテープというのがございますが、これを何百本か集めると、福祉施設等で車いす等がもらえるよというようなうわさが、もうこれは大分前から流布されておりまして、私どもといたしましてはそういう計画がございませんので、その都度、御照会の方には御説明をいたしておりますと同時に、ときどき報道関係に対しても説明をしているという状況でございます。ただ、原因につきましては調査をしておりますけれども、まだはっきりつかめておりません。
○多田省吾君 次は、私は専売公社職員の方の健康管理の問題について二、三お尋ねしておきたいと思います。
 たばこ工場等の合理化に伴いまして二交代勤務が実施され、公社の二交代工場につきましては定期健康診断を年二回実施する、あるいは循環器系の検診を三十歳以上の職員は年一回実施する等、いろいろ配慮しておられるわけでございますが、職員の方々の健康面の実情はどうであるのか、お尋ねしたいと思います。また、電電公社とか国鉄等の方々と比べまして、専売公社の職員の方々の健康管理というものがどういう効果があったのか、その辺もあわせてお答えいただきたいと思います。
○説明員(石井忠順君) お答え申し上げます。
 私どもは職員の健康管理、安全管理にはいろいろ配慮をいたしておるつもりでございます。具体的に申しますと、病院を二カ所持っております。そのほか、大きな事業所には診療所等を大体持っております。そういったことで、予防でありますとか、あるいは疾病の早期発見、そういったことに配慮いたしております。そのほか、定期健康診断等は当然でありますけれども、だんだん高齢化をいたしてきておりますので、そういった高齢職員には特別な成人病その他の診断等もいたしております。
 また、お話にございましたように、最近、工場等で交代制勤務等をとります工場がだんだんふえてきておりますので、そういったところにはまたそれに特別な措置をいろいろとっておるところでございます。そういうことの効果であるかどうか、おかげさまで職員の病気で休みます件数等は、四、五年前の四十九年と昨年度とを比べますと、件数で申しますと、約六割ぐらいに減っております。休みました日数を比べてみますと、四年ほど前、四十九年に対しまして五十三年が八五%と、一五%ほど減っておるわけでございます。
 ただ、疾病の内容を見てまいりますと、循環器でありますとか、内分泌あるいは代謝系の疾患でありますとか、消化器の疾患でありますとか、そういったいわゆる成人病のようなタイプがだんだんふえてきております。これは先ほど申しました職員の高齢化が進んできている結果であろうかと存じますけれども、今後も先ほど来申し上げておりますようないろいろの健康管理対策を充実いたしまして、職員の健康管理に万全を期してまいりたいと考えておるところでございます。
○多田省吾君 もう一点お尋ねしておきますが、専売公社職員の方々の疾病で特に問題になるのは、非災害性疾病による労働災害認定申請における業務上の認定であると聞いておりますけれども、公社におかれましては、いまもお伺いいたしましたように、さまざまの面で努力しておられることはよくわかりますけれども、この非災害性疾病の因果関係とその対応をどのように考えられているのか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(石井忠順君) お尋ねの非災害性の疾病と申しますと、いわゆる俗に申します職業病ということであろうかと存じますが、たばこ工場等で作業に従事しております職員の一部の事業所で数年ほど前から、ごく一部の工場でございますけれども、やや集団的にそういう病気の申請が出てまいりました。
 私どもとしては事前に工場等の作業内容でありますとか、あるいは機械に従事いたします人員でありますとか、そういったものにつきましては労働組合とも十分協議をいたしておりまして、なるべくそういった非災害性の疾病等が起こらないように十分配慮をいたしておるつもりでございますけれども、たまたまそういった申請が出てまいりました場合には、これはいわゆる業務上のけがの場合と異なりまして、なかなか業務と疾病との因果関係と申しますか、相関関係と申しますか、そういったことの判定がむずかしゅうございます。なかなかお医者さんによっても意見が違うというようなことが、ケースが多いわけでございますので、これも労使で協議をいたしまして、専門的な医療機関に業務上との因果関係等を、鑑別診断と呼んでおりますが、鑑別をお願いをいたしておるわけでございます。
 私どもとしては、そこの鑑別診断をお願いをいたしました医療機関の専門医の診断をいただくと同時に、そういった申請者の現実に従事をいたしております仕事の中身、作業実態等につきまして十分な調査を行いまして、そういったものを総合判断をいたしまして、労働省の認定基準に照らして業務上外ということの認定を行っておるところでございます。
 それから、そういったことでときどき苦情等がある場合もあるわけでありますけれども、こういった非災害性の疾病に関します苦情につきましては、一般の苦情処理とは別な、それのための苦情処理の労働協約といったようなものも労使間で結びまして、なるべく紛争のないように、また起こらないように配慮をいたしておるところでございます。
○多田省吾君 次に、去る二月十四日の参議院本会議におきまして、わが党の桑名議員が質問したわけでございますが、専売病院の改善策につきまして大蔵大臣及び専売公社はその後どのように考えておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(石井忠順君) 専売病院は、先ほど申しましたように東京と京都と二カ所持っておりますが、元来、これは職員あるいはその家族の治療、そういったいわゆる職域病院という性格を持っておりまして、一般の健康保険の方が御利用できないというたてまえになっておるわけでございます。そういったことで収支率等におきまして問題がございまして、私どもそれなりに、たとえば診療単価を引き上げることでありますとか、あるいは契約によります診療先を拡大するというような努力をいたしてまいりましたけれども、まだまだ収支率等は必ずしも問題のないという水準ではございません。
 私どもとしては、今後も診療契約の拡大あるいは他の公社でない医療機関を使っております職員あるいは家族に、なるべく直営の医療機関を利用するようにと、そういったことの指導等もやってまいる所存でございますけれども、何と申しましても、地域住民の方々の利用ができるように、いわゆる一般開放と申しておりますけれども、健康保険の指定病院になるようにということで、いま地元の医師会その他と御相談をいたしておるところでございますけれども、まだいろんな関係で指定を受けるところまで至っておりません。そういう実態でございます。
○政府委員(名本公洲君) この専売病院の問題につきましては、大蔵省といたしまして専売公社ともども種々検討をいたしておるところでございますが、その収支改善の方策といたしましては、とりあえずは、ただいま公社からもお答え申し上げましたような方向を推し進めていくということが、まず第一であろうと思います。
 そのほかに、私どもとしてさらに検討してまいらなければなりませんことは、現在のような経理状況、経理の仕方というものでいいのかどうかというようなことも含めまして、制度的に何らかの収支改善策、収支改善の方向に向かうような手だてがとれないものかどうか、そういうような面についてもさらに検討を進めて、早急に結論を得て実施できるものは実施いたしたい、かように考えております。
○多田省吾君 いま、さらに私が質問いたしましたのは、御存じのように、医療さばくと言われまして、特にこの大都市、東京近辺、埼玉県とか千葉県とか神奈川県、また、東京も含めて大都市で非常に医療施設が不足していると、こういう事態になっているわけです。ところが、専売病院が三割の利用しかされていない、しかもその赤字を納付金で穴埋めして改善に対する努力が足りないのではないかという、そういう体質の改善ということでお尋ねしたわけでございますけれども、この改善の方向については、今後なお一層努力をお願いしたいと思います。
 特に、もう一点質問しますが、会計検査院が五十三年度決算報告の中に、東京の専売病院におきまして、物品の不当な価格での売り込みに対して適切な処置を講じないため購入総額で約八百万円もの損害をしたというような報告があるわけでございます。どうしてこのようなずさんな結果となったのか、また、その後どのように改善されたのかを、お伺いしておきたいと思います。
○説明員(石井忠順君) 病院等に限らず事務用品等の購入につきましては、内部手続がございまして、その手続に従いまして購入調達をいたすようになっておるわけでございますが、ただいま御指摘の件は、いわゆる団体の役職員というようなことで物品の購入を強要すると、俗に言う押し売りでございまして、そういうことの脅迫に負けまして、結果として何がしかの物品の購入をせざるを得なかったと、そういった事態があったわけでございます。事前にそういうことを防止できませんでしたということで、私どもとしては大変遺憾であると存じております。深く反省をしておるわけでございます。
 こういったことが公になりました一昨年の夏以降は、病院も含めまして全支部局に対しまして厳重な通達を出しまして、物品購買業務等が適正に行われるように、指導の徹底を図っておるところでございます。また、本件に関しましては、その後実態を調べまして、直接担当いたしました職員あるいは若干の監督責任等を含めまして、昨年末に厳重な処分等をいたしたところでございます。今後におきましても、絶対、二度とこういうことのないように、指導を十分徹底をしてまいりたいと考えておるところでございます。
○多田省吾君 今回、改定案によりますと、専売納付金の法定化という方向で改革されるわけでございますが、一つ心配があるのは、法定納付金率で計算金額が毎年五月三十一日までに国庫に納付されるということでございますが、当然コストの上昇があると内部留保が減少する、場合によっては赤字になる。この場合に、企業努力の強化、合理化促進ということが必要以上に言われて、労働者やたばこ耕作者や販売店、関連事業に働く人々の上に負担が降りかかってくるのではないかというような心配が言われておりますけれども、この点はどう思われますか。
○説明員(後藤正君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、このたび新たに納付金率の法定化とともに、専売公社が輸入するものについても関税の設定をいたしました。それが平均的に内国税水準としましては地方税込みで五五・五、関税率が約〇・六というふうに算定されるわけでございます。
 御指摘のように、公社は、したがっていままでは五千数百億というふうな益金でございましたが、今後は税金が全部損金になりますので、公社の内部留保というものは、仮に定改をお認め願いましても、来年度が大体七、八百億というのが公社の事業益金と、こういうふうになるわけでございます。
 この事業益金も、経年とともにやはり原価が上がってまいりますので、毎年減ってまいるだろうと思いますが、公社はそういう厳しい――当然、国民の企業でございますので、やはり十分な経営改善努力をいたしまして、できるだけいわゆる内部留保、逆に言うならば、専売事業益金が上がるような積極的な努力あるいはコストの低減努力をいたしてまいりたいと思いますけれども、いま御指摘のたとえば葉たばこの収納価格につきましては、たばこ専売法で、生産費を補償して適正な収益を上げるように収納価格は定めるということが法に書いてございますし、葉たばこ収納価格を定めるときは、あらかじめ耕作審議会の議を経なければならないというふうになっております。こういう現行法体系はいささかでも変えるつもりもございません。
 また、賃金問題につきましては、いままでわれわれ労使の間で自主交渉、自主解決ということで、お互いが賃金について要求が出、それに対する私ども回答をし、詰めてまいりましたが、残念ながら労使間で賃金問題の解決に至りませんで、いままでは公労委の調停、仲裁という手続を煩わして、国民の皆さんの御納得いただくような線で、いままで賃金の改定が行われてきているわけでございます。これも、私ども自主解決への努力を今後とも続けてまいりたいと思いますが、残念ながらいまの体制、状況の中では、やはり公労委というものの手を煩わさざるを得ないと思います。こういう仕組みは、今度の納付金率の法定化といささかもかかわり合いはございません。
 ただ、公社といたしましては、そういうことはそれなりそれぞれのルールに従ってやりますが、お互いの関係集団と十分協議をいたしまして、何と言ってもやはり国民一般の皆さん、あるいは三千五百万の消費者の皆さんに、本当にたばこあるいは塩を買っていただいて、そうして公企体が成り立っているわけでございますので、そういう意味のいわば公社設立目的に照らした努力は今後とも続けてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
○多田省吾君 昭和五十四年の七月に、たばこの喫煙状態の調査を専売公社で行われたと聞いておりまして、その資料も若干ちょうだいしております。その昭和五十四年全国たばこ喫煙者率調査によりますと、男女とも昨年よりも喫煙者率並びに喫煙者数が推計では減少しているように出ておりますが、その辺、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
○説明員(立川武雄君) 昨年の夏に喫煙者率の調査をいたしまして、その結果によりますと、御指摘のように、男子の場合に七三・一%の方が喫煙をしているということでございまして、昨年の実績が七四・七%でございますので、一・六%減っておるという調査結果でございます。女子につきましては一五・四%の方が喫煙をしておりまして、昨年が一六・二でございますので、〇・八減っているという調査結果でございます。
○多田省吾君 ですから、昨年の七月の調査結果を見ますと、男子の喫煙者率及び喫煙者数というものがだんだん漸減傾向にある。昭和四十九年は七八・八先、五十年は七六・二%、五十一年、五十二年は七五・一%、五十三年が七四・七%、さらに一・六%減少しまして五十四年度は七三・一%。それから、女子の方はちょっと上がり下がりがあるようでございますが、昨年よりは減少しているわけです。昭和五十三年五月の調査では三千五百三十三万人、昨年七月の調査では三千四百八十万人と、推計では減少しているようでございます。この原因はどの辺にあると考えておられますか。
○説明員(立川武雄君) 喫煙者率の調査は毎年行っておりまして、約一万六千名の成人の男女の方を選びまして、とめ置きまして、訪問して回収するという調査をやっております。有効回収報告が約一万三千でございます。昨年――昨年と申しますか、五十四年の七月の調査と一昨年の調査では、男子におきまして一・六、女子で〇・八喫煙者が減っております。
 この原因の推定でございますけれども、たばこをやめたという方が毎年おります。ただ、やめましても、やめる期間が人によりましては二カ月とか半年とかという例がございますけれども、昨年の調査では、おやめになった方がわりあい長くやめることを続けているというような傾向がございます。
 それから、もう一つ考えられますことは、五十年に四八%の定価の改定をお願いしたわけでございますけれども、この年にも同じように六月でございましたか調査をいたしておりますが、たばこの値段が上がるということで、心理的に禁煙をされたという方もふえているのではないだろうかということを推定しております。
○多田省吾君 最後に、私は大蔵大臣に二点お尋ねしておきたいと思います。
 一点は、公共料金値上げ反対という立場から、今回の製造たばこ定価二一%平均の値上げというものは、やはり国民生活に大きな影響を及ぼすのではないかと考えられます。もう御存じのように、この前、東京二十三区の区部で昨年よりも二月度において七・六%も消費者物価が上昇したと、そういう結果も出ておりますし、これはある種の野菜の極端な値上がりによるもの、あるいは石油価格の高騰の影響というようなこともございますけれども、やはり私はこの三月、四月ということを考えれば、卸売物価の影響というものも相当多く出てくるころでございますし、消費者物価を本年昭和五十五年度六・四%に抑えるという政府見込みも、私は非常に厳しいものになってくると思われます。
 そういう観点から、私はいま国民の一番関心事はこの物価問題であると思います。そういう観点から、政府が携わっているところの公共料金の値上げというものは極力抑えるべきものである、このように考えます。たばこもその一端といたしまして、私はこの製造たばこ平均二一%の定価引き上げというものは保留すべきものだというように思うわけでございますが、その点を物価問題の観点からどう考えられるか、これが一点でございます。
 もう一点は、やはりこの製造たばこ定価の法定制の緩和ということは、これは大変な問題であると思います。今回の改正で、定価の三〇%以内なら政府の裁量で自由に値上げできるわけでございまして、それは一つ、二つの歯どめはあるかもしれませんけれども、究極的には私は政府の裁量でできると思います。このように、この前は法定制の緩和で国鉄運賃が緩和されまして、その国鉄運賃の値上げでも大変国民生活は窮乏に瀕しておるわけでございます。今度また、たばこ定価の法定制緩和ということになりますと、国会の議決で決定する公共料金がますます減少してまいります。特に、たばこの法定制緩和というものは、全く国民を無視したやり方でございます。政府は、社会的、経済的諸条件の変化に応じて適正な料金の改定を行う、このように言っておりますけれども、国民の合意はここで入り込む余地がない、形成されないままに料金が決定されてしまうということになります。
 先ほども御答弁がありました財政法第三条との関連からも、政府は従来からあらゆる場合に、法律で直接的、具体的金額を定めることを要求しているものではないという答弁を繰り返しておりますけれども、これは私は、財政法の精神を全く無視するものだと言わざるを得ないのでございます。財政法第三条に全然関係ないという根拠を、明確に示していただきたいものです。そうしないと、絶対にこれは納得できないことです。それから、やはり公共料金の原則の上からも、法定制の緩和はなすべきではないと思います。
 大蔵大臣は、この二一%平均のたばこの定価の引き上げを中止すべきこと。それから、このたびのたばこ定価の法定制緩和を撤回すべきこと。この二点を私は強く要求いたしますが、御答弁を最後にお願いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いま御指摘のように、この二月の東京都区部で、まさに消費者物価が七・六ということであります。実績見込んでおります四・七%でおさまるためには、三月は七・七%以下に抑えなきゃならぬという厳しい情勢にあることは、御指摘のとおりであります。
 しかし、一方、今回のこの値上げの問題につきましては、五十四年度予算の歳入としてこれが見込まれておるということ。そしていま一つは、公共料金の値上げは確かに物価抑制と矛盾する場合がございますものの、公共料金であるだけに、経営の徹底した合理化を前提として受益者負担を原則としながら、物価、国民生活の動向に十分配意して厳正に取り扱って査定してきたつもりであります。さらに、公共料金を、合理的なコストが著しくこれがかけ離れたまま放置しておりますと、単に財政負担の増大という角度からでなく、一時に、一挙にまた国民に負担をいただかなきゃならぬと、そういう情勢を考えてみますと、やはりこの公共料金の体系というものは、長い目の物価情勢等々を考えながら、そのときどきにおいて適切なる判定をしていかなければならない課題であると、このように考えます。よって、これをいま撤回しろと言われて、撤回いたしますと言うほどの私には勇気がございません。
 次の、財政法第三条の精神からして、第三条の精神を著しくこれを否定しておる行為ではないかという御指摘でございます。御案内のように、第三条というものは、これはまさにそれなりに、厳しい条件を付さなければならないという立場に立って解釈をいたしておるわけでございます。したがいまして、今度専売公社が選択されたいわゆる五五・五多というその比率の選択というものは、それだけに専売公社に対しては大変厳しい経営態度を、表現をきつくいたしますれば、強制するような仕組みになるわけでございますので、その仕組みの中でやむを得ざる事情、一・三倍というような範囲内において赤字が生じ、あるいは赤字が生ずることが確実になったという厳しい条件で、しかも、審議会にかける等の厳しい過程を経ましてというしばりがかかっておりますだけに、これは財政法第三条の趣旨を逸脱したものではないというふうに考えておるところであります。
 ただ、本日質疑応答の中で私どもに啓発していただきました御意見につきましては、十分参考とさしていただきたいと思います。
○佐藤昭夫君 本日は、この法案についての第一回の質問でもございますし、私は、まず総論的に幾つかの問題について御質問をいたしたいと思います。
 まず、専売納付金制度について若干伺いたいと思いますが、実は昨年の六月の五日、八十七国会の当委員会でも同じ質問をしたのでありますが、どうも明確な御答弁を得られないまま終わった感じになっています。私は、たばこの売上高に一定率を掛ける算定方式は、一般に納付金という概念から逸脱したものではないかということを昨年も指摘をしてきたんでありますが、一体納付金というのはどういうものなのかという点を質問をしたのでありますが、当時の監理官からは専売納付金の話については、一般に納付金とはどういうものかという点については、はっきりした説明がなされなかったわけです。再度、この点についてまず答弁を求めたいと思います。
○政府委員(名本公洲君) 納付金という言葉、一般的、抽象的な言葉の意味ということに相なりますと、納付という言葉が、国または地方公共団体に対します税あるいはその他の収入をいわゆる納める行為が納付であるというふうに思います。したがいまして、納付金と言いますと、そういう性質の金員ということであろうかと思います。
 それで、一般的に、その特定の方法といたしまして、各法律におきまして、あるいはその他一般的に使われております納付金という形で、国営の企業あるいは公営の企業、政府関係機関等がその収益金のうちから国庫に納付する金額、これにつきましても、これを納付金というふうに言っておる場合もございます。そのほか、また、たとえば公社等がその所有しております固定資産につきまして、地方公共団体に固定資産税のかわりといたしまして納付するもの、これも納付金というふうに言っております。
 したがいまして、最初に申し上げましたように、納付金と言います場合には、国または地方公共団体に対しまして納付する金銭というのが一般的な概念ではなかろうか、かように考えます。
○佐藤昭夫君 昨年の質問の際の議事録を振り返ってみますと、こういう言い方がされておるわけですね。専売権の行使によって得られる専売益を国庫に納めるという点では、現行法も今度の改正案もその性格においては相違はないというふうに言われておるわけでありますけれども、しかし、考えてみますと、売上高に一定率を掛けて会計処理上も損金として扱うこの形態、それから一方、剰余金の中から一定額納付する形態、これはやはり明確な違いがあるんじゃないかと。私は、納付金の概念からそれを一緒に一括してくくるということについては、逸脱があるのではないかということを昨年も指摘をしておったんですけれども、重ねてその点をお尋ねしておきます。
○政府委員(名本公洲君) 昨年、先生から御質問がありました際に、私の記憶いたしておりますところでございますと、現在の専売納付金は、専売公社が得ました利益の処分として国庫に納付するものが納付金ということになっております。それで今回の制度改正によりまして、たばこにつきまして、たばこの定価に一定率を乗じたものを専売納付金として国庫に納付することになります。したがいまして、その意味におきましては、益金処分として国庫に納付しておりましたものが、定価に対して一定率を乗じて得た金額を納付することに相なりますので、益金処分としての性格は持たなくなる、そういう意味においては、確かに先生の御指摘のとおりでございます。それが第一点。
 それから第二点としまして、前回先生が御指摘のございましたのは、現在まではその中には塩について利益が出た場合も、その利益も専売納付金として当然入っているはずである、今後は入らない、それも相違することになるのではないかという御指摘がございました。それを同じ納付金という言葉で誓うのはいかがなものであるかという御指摘があったように記憶いたしてございますけれども、その点につきましては、前回もお答え申し上げましたように、塩につきましては、今後たばこと切り離しまして、独立採算のものとして納付金ということを生じないかっこうで、塩事業だけで収支、長期的に見て償っていくようにいたしたいということでございます。
 今後は、専売公社法上の専売納付金と申します場合には、たばこに対します定価に一定率を乗じて得た金額ということになるわけでございまして、従来の塩専売から得た益金も含んだ専売納付金というものとは、その意味においても確かに違ったものであるということは事実であるというふうに、お答えいたしたいと思います。
○佐藤昭夫君 そうすると、再度確かめるわけですけれども、財政専売の性格を公社が持っている限り、剰余金からの納付であろうと、売上高に一定率を掛けた金額の納付であろうと専売納付金としては変わりがないと、こういう解釈をしているということですか。
○政府委員(名本公洲君) そこで、専売納付金というものの性格でございます。財政専売でございますので、専売公社にたばこを製造販売する専売権を委任して執行してもらう。そこから上がってくる国庫の収入という意味におきましては、これは性格的には変わらないものである。ただ、その経理上の考え方なり、そういうものとしては損金処分、利益処分という相違は出てまいりますけれども、専売という行為によって財政収入を上げる。その結果、出てきた収入金であるという意味におきましては、本質的に相違は出てこないものであるというふうに考えております。
○佐藤昭夫君 そういう説明をされながら、納付金という呼称を使うそのことについて、どうも依然として釈然としないんですけれども、別の角度からお尋ねをしますが、地方公共団体の関係といいますか、専売公社が地方たばこ消費税を都道府県及び市町村へ納付する、この場合には消費税という呼称を使うという、このこととの関係はどうですか。
○政府委員(名本公洲君) 地方たばこ消費税、これは確かに地方税法に掲げてございます税として納めるものでございます。現在、御提案申し上げております納付金率は、地方たばこ消費税を含めた率として計算するかっこうになっておりますけれども、現在の御提案申し上げております納付金は専売公社法の改正、専売公社法の中の一つの制度として仕組むわけでございまして、専売公社が専売権の行使を委託されておるそのことに直接かかわりまして国庫に納付しなければならない金員であるというものでございまして、地方たばこ消費税は、地方公共団体がたばこの消費に対して専売公社を納税義務者として賦課する税金であると。
 そこに、性格的に相違があるわけでございますが、しかし、もっとも実質的に見まして、従来から言われておりますように、専売納付金というものが地方たばこ消費税の部分を除きました国庫に入ります専売納付金というものが、実質的に国の言うならばたばこの消費に対する課税に相当するものであるという、そういう実質的性格におきましては、仮に消費税をつくりました場合のたばこ消費税と専売納付金というものは、実質的性格という面から見ますと、非常に何と申しますか、等しいものであるということは事実でございます。
 ただ、その形式におきまして、いかなる形式で賦課すると、あるいは納付させるかというそういう面から見まして、税であるか、税としてではなく納付させるものであるかの相違が出てくることに相なるというふうに考えます。
○佐藤昭夫君 ただいまの答弁でも、納付金という言葉を継続して使用をしていくけれども、事実上、消費税的なそういう内容があるんだというふうに答弁をされているわけですけれども、そうなると、法の統一性といいますか、法の整合性というか、こういう点について依然として疑問が残るわけですね。これを逆から論ずるとすれば、専売公社が納付金という呼称を使わないようになるのは専売公社が民営になった場合、あるいは専売公社のままであっても財政専売の任務がなくなった場合、だから、たとえば今回の法に出てくる塩のような場合、こういう場合に、その暁、納付金という呼称は変えるんだと、逆論すればこういう問題になるんですか。
○政府委員(名本公洲君) 専売制度と消費税制度というものは、これは関連があるようでございますけれども、世界の例を見ましても、その間には必ずしも専売制度であるから消費税であってはならないということではございませんで、フランスのように専売国であり、かつたばこ消費税があるというところもあるわけでございますので、この二つはおのおの別のものとして考えてよろしいというふうに考えます。
 現在の専売制度、専売公社制度のもとにおきましても、国のたばこ消費税というものが制度的につくってつくられないわけのものではございません。が、今回御提案申し上げておりますのは、専売公社法の一条として専売公社に義務づけるものとして納付金という制度を考えておるわけでございまして、理論的に考えまして、消費税と専売公社というものが相矛盾する制度であるということではございません。
○佐藤昭夫君 どうも依然としてすっきりいたしません。で、政府として責任を持って今回のこういう改正案を提案をする場合、さまざまある諸法律との統一性、整合性、ここをよく踏まえて法的にも疑問や矛盾を来さないような、統一性を保った提案が責任を持ってなされるべきだというふうに考えてみた場合に、依然としていまの説明では疑問が残るわけです。この問題ばかりやっているわけにもまいりませんので、ちょっとその点を指摘をして、次の問題に移りたいと思います。
 問題の、製造たばこの価格法定制の緩和の問題について幾つか質問をいたしますが、今回の改正案の第二条、ここで大蔵大臣に暫定最高価格の決定、改定を委任する定めをしているわけでありますけれども、私はこの委任の要件をここの表現で果たして満たしているか否か、非常に疑問に思うわけです。
 そこで、まず質問をしますが、どういう要件の場合に大蔵大臣は暫定最高価格を決めることができるのか、この点はどうですか。
○政府委員(名本公洲君) 今回の法律の改正案でお示ししておりますとおり、条件といたしましては、専売公社の経営におきまして損失が生じたとき、または損失が生ずることが確実であると見込まれるときであって、かつ専売公社の事業が、健全にして能率的な運営が定価を改正するのでなければできないというような条件がある場合が、今回お願いいたしてございます制度が発動できる要件になるわけでございます。
 あと暫定最高価格が定めることができる幅その他は、制度が発動できる要件そのものではございません。要件としましては、ただいま申し上げた二つに相なろうかと思います。
○佐藤昭夫君 そこで、いま言われたこの二つの要件のうち、最初の損金が生じた場合または損金を生ずることが十分察知される場合ですね、この問題は客観的に明確に数量的にも把握できるものだ。ところが、もう一つの要件である「公社のたばこ事業の健全にして能率的な経営」というこの表現は、非常に抽象的な表現だと思う。この一体内容は何なのか、なぜこういう抽象的な表現を使うのか、その点についてはどうですか。
○政府委員(名本公洲君) 現在、法定制の緩和に関する規定がございますのはたばこの定価法でございますが、専売公社法の第一条に、専売公社というのはどういうようにどういうことを目的としてやるのかということが規定してございまして、「国の専売事業の健全にして能率的な実施に当ること」を専売公社としては目的としてその経営を行っていくのだと、それが目的になっておるわけでございます。今回の新しい第二条の「公社のたばこ事業の健全にして能率的な経営」というのは、まさにその公社法の第一条に書いてございます公社の設立の目的、それを果たすことができるようなという意味でここに入れておるわけでございまして、確かにこの表現は抽象的でございます。
 その内容を個々具体的について見てまいりますと、「健全にして能率的な経営」と申しますのは、具体的に専売公社が葉たばこを収納し製造し販売するおのおのの営業活動につきまして、おのおのの営業活動が設立の目的に沿って円滑に運営していけるようにするということでございますので、そのときそのとき、時代時代の変遷によりまして、その具体的な内容というものも変わってくることもあろうかと思います。そういうその時代時代の具体的な社会的要請というものも踏まえながら、これに当たるかどうかということは、具体的には専売事業審議会におきまして種々御検討を願い御判断をいただき、私どもの方でその結果を、御意見を尊重しながら決めていくということになるわけでございまして、ここの「たばこ事業の健全にして能率的」という言葉を、具体的に金額でお示し申し上げますとかそういうふうなことは、これは現実に専売事業審議会において御審議を願わなければならないような事態が発生したその時点におきましては、数字その他におきまして具体的に御審議の対象になるわけでございますけれども、現在ただいまの時点で、その数字がいかがなものであるかということをお示しすることは、これはできない状況であるというふうに御了解いただきたいと思います。
○佐藤昭夫君 現行の専売公社法第一条のこの目的にうたっている表現をそのまま使ったということで説明されても、それは同じ内容のことを違った言葉で言っているだけの説明にすぎないので、私がこの「健全にして能率的な」云々というここの表現は、具体的などういう物差しでこの判定がされるのかということについては、依然としてはっきりしないわけですね。
 元来、このたばこ定価については、もう同僚委員からも多く出ておりますように、本来は財政法の第三条によって、国会でその都度議決すべき事項として今日まで扱われてきた。それが今回、審議会で議論をするというその問題はありますけれども、暫定最高価格については大臣の決定権限にするという形になってきておる。しかも、たとえばこの審議会に諮るという場合に、いずこともなくある審議委員から、定価を上げようかというそういう議論が起こるはずではないだろうと思うんです。大蔵省なり、あるいは専売公社側から、いろいろ勘案をしたところ、定価改定をひとつ御検討をいただくべき状況になりましたという、言うなら発議というか、問題の提起というか、こういうことがまず出発になって、しからばどう判断すべきかという審議会の議論で進んでいくのだろうと思うんです。
 そういう場合に、大蔵省なり公社側がいよいよ定価の改定を考えるべき時期に来ましたというその物差しが、法律では二つの要件を定めておる。一つは、赤字になった場合またはこの赤字が十分察知される場合、それからもう一つの「健全にして能率的な経営」というこの二つの物差しの二番目の方の物差しが、どういう判断でいよいよ定価改定の時期に来ましたということで問題提起がされるのかという内容が、依然としてはっきりしないのじゃないか。
 そこをはっきりしないまま、審議会の議を経てということはありますけれども、大臣の決定権限にゆだねていくということは、従来、国会の議決事項として扱われてきた問題が、結局は、形式上は大蔵大臣、大蔵省なり専売公社の恣意的判断にお任せくださいという、こういう虫のいい提案を国会にしても、一体それはどうなのか。いや、そうじゃございませんと言うのだったら、「健全にして能率的な」、ここはどういう物差しで判断するのか。それを具体的に明示していただけませんと、とても納得できる問題ではありませんよということなので、そこをもう少し説明してください。
○政府委員(名本公洲君) まず、第一に申し上げておきたい点は、この「健全にして能率的な経営を維持」できるという点でございますが、これは公社経営におきまして赤字が出ただけではだめなんだという、そういう意味において、制限的な規定であるということでございます。
 それから、具体的にその中身はどのようなものがあるのかという点でございますが、これにつきましては、ただいまお答え申し上げましたように、具体的に金額的にこれこれしかじかというふうに申し上げることが、これは現在の時点においては不可能でございます。
 しかし、では具体的なその項目としてどういうふうなものがあるのかということでございますが、たとえば、専売公社は企業の効率化、能率化を図ってまいりますために設備投資を行わなければなりませんし、また、葉たばこを買い入れるための在庫投資というものも行わなければなりません。そういうような投資を行うための資金繰り資金として、適切な内部留保というものも必要でございます。
 これは、国営の企業あるいは公共企業体におきましても、所要の内部留保を持ちながら経営をいたしておるわけでございます、これは民間会社においてもさようでございますが。その内部に留保いたしまして適切な投資を行ってまいるための資金がショートをする、そのために、適切な投資――在庫投資を含めまして施設投資ができないというような事態に相なるということでは、「健全にして能率的な経営」をやっていけるという状況にないわけでございます。
 そういうようなことが発生して、定価の改定を行って増収を図らなければそういうことができない、そういう状況を維持することができないというような事態になった場合、具体的に一つの点で申し上げますと、さようなことが、今回、この「健全にして能率的な経営を維持する」ということの問題でございます。
 その他、実際にこの条項を使わしていただく時点におきまして具体的にどういう問題が発生してまいりますか、現在予測しておるような、ただいま申し上げましたようなもの以外のものが発生してくるかもわかりません。そのときそのときの状況に応じて、具体的に、その時点におきまして、公社の経営が定価改定を行わなければうまくやっていけないかどうかということ、定価の改定をやらなくても具体的に何らかの手段がとれるのではないかということ、そういうことを検討の上、この条項を発動さしていただくということに相なるものと考えております。
○佐藤昭夫君 ただいまの説明で、「健全にして率的な経営」というここの意味は、第一の要件で定めておるこの赤字になった場合ということだけではだめですよという意味、そういう意味からこれが入ってきたんだということはこれはわかりました。ところが、くしくもあなたいまの答弁で言われた、たとえば一つの点で申し上げますとと、こう言われた。こういう言い方というのは、この国会の審議を皆さん方提案をされる上で、非常に不見識な態度じゃありませんか。またどんなことが出てくるかわかりませんよ、今後の考え方によっては。当然、二つの要件のうち、後の方の「公社のたばこ事業の健全にして能率的な経営」とは、このことを判断をする指標はこれこれでありますということを明確に当委員会に提示をして、こういう内容でこの第二要件の適用、運用を図ってまいりますからひとつ御審議を願いたいという、こういうことで出されてしかるべき問題じゃありませんか。
 そこで、さらにもう少し聞いてみるんですけれども、当然この審議会が定価改定について審議をする場合、どういう基準に基づいて審議するのか。これは、先ほど来議論しています二つの要件に基づいて議論をやるわけですね。そこで、大蔵大臣はこの暫定最高価格の決定、改定について必ず審議会の議を経なければならないと、こういくのか、それとも必要な場合には議を経るという、こういう運用でいくのか、この点はどうですか。
○政府委員(名本公洲君) 議を経なければならないのでございまして、ときに議を経、ときに議を経ないというわけにはまいりません。
○佐藤昭夫君 それからもう一つお尋ねをしますが、大臣は審議会の結論に拘束をされるんですか。それとも、必ずしも拘束をされるものではないということですか、どっちですか。
○政府委員(名本公洲君) 「議を経る」こと、議を経て定めることになっておりますので、実質的にその審議会の御答申と違ったものを公布するということはあり得ないわけでございます。
○佐藤昭夫君 そうしますと、この審議会の結論と大蔵大臣の決定とは結果においては一心同体になっていくという、こういうことになろうかと思うんですけれども。
 そこで、なおかつもう一遍さっきの話に戻るわけですけれども、二つの要件がありますと。赤字になった場合、それからもう一つは「健全にして能率的な経営」、この二つのこの尺度で判断をするんですと。
 で、二番目の関係は、具体的にはどういうことかと言えば、たとえば一つですが、一例でありますがということで、公社が葉たばこのいろんな在庫なり、あるいはいろんな点でのそういう投資をしていく、それについての内部留保が一体どれぐらいあるかというここらあたりを総合勘案をしてという、そういうたとえば一つの問題として出される。これでこの国会、あと二つ、三つ、こうあるか知りませんけれども、大臣と審議会をひとつ信頼してお任せくださいと、こういうことで話が進むと思いますか。当然、それが一体何項目あるのか知りません、私は。指標が三項目あるのか六項目ぐらいあるのか、それをすべて、こういう指標で第二項の第二条件の判断をやっていくんですということが、明確に提示されてしかるべきじゃないかと思うんですが、大臣どうですか。
○政府委員(名本公洲君) ただいまお答え申し上げましたように、在庫投資の必要性、そのための資金の必要性というものにつきまして一つの例としてお答え申し上げましたが、ここに「健全にして能率的な経営」ができるかどうかということは、公社の財務諸表を分析した結果、値上げをしなければ経営がうまくやっていけないという判断ができるということが基本でございます。
 全般的に申し上げるならば、財務諸表を分析し、その上に立ってそのときのたばこに関する諸指標、情勢、そういうふうなものを勘案して、審議会において種々御審議をいただくということであろうかと思います。
○佐藤昭夫君 その財務諸表を分析をして判断をつけるということは、これまた、同じことを別の言い回しで言っていられるにすぎないですよ。財務諸表を分析をして、どういう点がこの定価改定をすべきだという決断をする上で、その財務諸表にどういうあらわれが出た場合ということを特定をして提示をしなければ、財務諸表を分析――あたりまえの話です、財務諸表を分析するのは。分析をして一定の判断に到達をした場合、そんなものは説明にならぬ。
○政府委員(名本公洲君) その先生の御指摘の点を具体的にお答え申すのは、大変これはむずかしゅうございまして、具体的に数字として出てまいりますものはそのときでなければ数字が出てまいりません。したがいまして、現在の時点におきまして申し上げられますのは、赤字になったことがまず一つの前提でございますから、経営が赤字になる、あるいは確実に赤字になるという見通しが立ちますときの財務諸表その他、財務諸表すべてのものを分析いたしまして、そのときの経理状況においては、公社としての健全で能率的な経営がやっていけないという判断が立つということでございます。
 それを、現時点におきまして、その中でたとえば内部留保がどのようになるかというのは、当然財務諸表の分析として出てくるわけでございますけれども、これが内部留保が一つもできない場合であるとか、何%できた場合であるとか、そういう数字につきまして現在御明示して、こういう場合でございますというふうには、現時点におきましてお答えできる問題ではないと、そのときそのときのいろんな情勢がございますから、その情勢に従って判断をいただかなければならない問題だというふうに考えます。
○佐藤昭夫君 何回も私お尋ねしているんですけれども、監理官としては具体的には答えることができませんというのだったら、もうそれでしようがないですよ。そうなったら、いよいよ大臣にはっきり答えていただく必要があるわけですけれども、他の委員からの繰り返しの質問に対しても、財政法第三条の本来的に定めておったこの精神からの逸脱はしてないつもりですというふうに強弁をなさっているわけですけれども、今度のこの法改正によって、定価改定をやるかどうかということの二つの要件で判断をしていくわけですね。
 その二番目の判断基準がどういう内容になるのかということについて、結局出てきた話は、財務諸表を分析をして定価改定の必要ありと認められる場合という――しかし、これは言葉を適当に使っておるだけでしょう。これこれの点が財務諸表分析の結果認識された場合に定価改定の必要ありと判断をするということを明示しなければ、その第二項の、どういう物差しで一体これの発動がやられていくのかということは一向にはっきりしないんじゃないですか。
 それで、政府として大蔵委員会にひとつ御審議くださいというのであれば、当然そのことがきちっとした形で、何も私はそれを法案の中に、法文の中に書けということを言っているわけじゃない。しかし、この法案を大蔵委員会で審議するに当たって、そのことが委員会審議に向けて明示されてしかるべきじゃないかというふうに思うんですが、大臣、同じ議員ですから、あなたがここへ座って法案審議をする、そういう場合に、当然議員の立場からそういうことを感ずるはずでしょう。どう思われますか。
○国務大臣(竹下登君) 私は、「健全にして能率な経営を維持する」ことができないと認められるときとは、まさに財務諸表を調査をしまして、そうして資産増、すなわち設備投資等の問題でありますが、それに内部留保の状況がたえ得るのか、あるいは次には、されば借入金でやったらどうだと、こういう分析もしなきゃならぬだろうと思いますが、その借り入れの返済また金利というようなものが将来の企業努力の中で可能であるかどうか、そういうことを考えれば、私は比較的明快にその説明のできるものではなかろうかというふうに、理解をいたしております。
○佐藤昭夫君 明快に理解できると思っておりますという、大臣、そこまで確信を持って言われるのでしたら、委員長お諮りをいただきたいのですけれども、この第二項発動の要件は具体的にこれこれですということを、この法案審議についての当委員会の判断資料として、それを具体的な第二項発動要件はこれこれですということを文書で出していただけますか。
○委員長(世耕政隆君) 速記をちょっととめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(世耕政隆君) 速記を始めてください。
○国務大臣(竹下登君) 数字を具体的に明記しろと、これは私はできないと思います。そして、事項については、およそ例示はできるというふうに思います。
○佐藤昭夫君 その出されたものを、私ども各委員がどういうふうに判断するかということは別問題ですから。あなたは非常に明確な問題ですと、こうおっしゃるから、そうならひとつ資料として出してくださいと、具体的な第二項の判断基準、判断指標、それをまず出してくださいと、こう言っているんですけれども、この方は出ませんよと、こう言っている。大臣は出ますと、こう言っているんですから、出してください。
○政府委員(名本公洲君) 先ほど大臣もお答えになりましたように、その例示は差し上げることができますけれども、それがすべてであるということは、現時点において判断はしかねます。そのときその時点におきましていろいろな事態が発生してまいりますので、こういうこと、こういうこと、こういうことが例示としてはあり得るということはお示しできると思いますけれども、それがすべてであって、それ以外に何物もないということは、ちょっとそういうものを具体的な例としてお示しすることは、これは困難であるというふうに御理解いただいておきます。
○佐藤昭夫君 また、ややこしくなってきたじゃないですか。そうすると、その提示できるのはすべてじゃございませんよと、ほかにもありますよと、今後のこの推移の中でどんな新しい話が出てくるかもわかりませんよということで、ひとつこの法案を審議、御承認願いたいということで政府側から提案したって、それは非常に国会を侮辱した話というか、単に侮辱だけじゃなくて、繰り返し言われておるように、本来あった財政法第三条からの逸脱ではございませんというのだったら、本当にございませんということが全うされるような形を整えて提案なされてしかるべきじゃないか。二つの要件の第二項の発動基準はこれこれでございますと、具体的発動基準はこれこれでありますということが出されてしかるべきじゃないか。そういうところが、そのすべては出せませんよというのだから、どう思いますか、この議論、大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) 私も専門家でございませんから、およそ私の考え方の中で数字でかくかくしかじかなる情勢になったらということは、私はお出しすることはむずかしいだろうと思います。ただ、包括的に事柄を整理するということは、先ほど私が申しましたように、資産増のための内部留保の必要性、されば借入金、それが消化できるかどうかというような筋道については、整理をいたしまして、そして当委員会にお出ししますものか、あるいは答弁の形で答えますものか、それはまた委員長のお計らいに従って結構であると、そう思います。
○委員長(世耕政隆君) ちょっと速記をやめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(世耕政隆君) 速記を始めてください。
○佐藤昭夫君 この問題だけで、何回も繰り返し同じやりとりを蒸し返しをしておってもあれですので、私の提起をしております趣旨は御理解いただけると思いますけれども、せっかくの大臣答弁もありましたしということで、そういう資料提出を政府側にひとつ出してもらうという点について、理事会で御協議をいただきたい。
○委員長(世耕政隆君) その資料については、理事会で検討いたしましてお答えいたします。
 じゃ、議事を進行してください。
○佐藤昭夫君 いま議論をやっておりました「健全にして能率的な経営」というこの表現を、どういうふうに判断、発動していくかということの具体問題として、幾つか今後の議論との関係でお尋ねをしておきたいと思うんですが、能率的という表現は、たとえば葉たばこを公社が買い上げ、ないしは購入される場合、輸入葉の方が安いとしますね。そういう場合には、「能率的な経営」というこのことをもって、とにかく安いものを買うということで、安ければ安いほどよろしということで、仮定の話ですよ、輸入葉の方が安いという場合には、もうどんどんと輸入葉に傾斜をしていくというこういうことになっていくんですか、この表現は。
○説明員(泉美之松君) 御承知のとおり、現在は製造たばこについてと同様、葉たばこについても専売制になっておりまして、専売公社がたばこ耕作者の耕作許可をいたしておるわけでございまして、耕作許可をいたしましてつくりました葉たばこは、全量購入しなければならないということになっておりますので、確かに輸入葉たばこの方が値段が安いという事情がありましても、公社の在庫事情からいたしまして国産葉の在庫が多い現状からいたしますと、いかに輸入葉たばこの方が安いといっても国産葉を購入せざるを得ませんので、その購入した上、在庫が過剰になったのでは公社の経営は苦しくなりますから、そういう輸入葉たばこを購入することはある程度まではできますけれども、そう多くはできない、こういうことになるわけでございます。
○佐藤昭夫君 いまの点はわかりました。
 それで、さらに聞きますけれども、「能率的な経営」というこういう立場から、現在は国内の葉たばこについては全量買い入れ制をとっておると。しかし、将来に向けて「能率的な経営」ということから、たとえばこの買い上げ制限あるいは葉たばこ耕作についての転作問題、こういう問題が登場するということなのか、全量買い上げ方式というのは断固として万古永久に貫くというのか、どうなんですか。
○説明員(後藤正君) 先生の御指摘の、全量買い上げの制度は、これは葉たばこ専売制と大変かかわり合いがあるわけでございます。私どもは現在葉たばこ専売制を継続する方がベターであるという見解を持っておりますので、ただ、現在でも公社は、全然使えない非常に異臭とか異常というような葉っぱは、これは購入前に廃棄という制度がございます。したがいまして、制度そのものとしての全量購買制というのは、葉たばこ専売制が続く限りこれは私は継続されるものというふうに考えております。
 ただ、いま先生が御指摘になりました、いま国内産葉で非常に問題になっておりますのは、一つは、品質が大変最近、まあ日本の土壌、風土、気象等いろいろな関係ございますが、一番大きくはやはり土壌の関係だろうと思いますが、品質がかなり従前に比べて低下しております。これをどうやって回復するかということを、耕作者とお互いの一つの大きな課題としていま公社は取り組んでおります。
 それから、二番目の問題は、非常に市場の停滞傾向の中で全量購買制でございますので、国内産葉が非常に過剰傾向にあります。ここ一、二年、耕作審議会で十分議論を尽くしまして、現在は廃減作の範囲内においての減反をお願いを申し上げ、審議会で種々議論の結果、対前年ある程度の減反をいたしておるわけでございますが、今後ともやはりその審議会の議で――たばこ産業である以上、原料である葉たばこというのは非常に基本的に大事でございますし、また、日本の葉たばこというものは、山間僻地で他の就業機会の少ない地域で葉たばこをつくっておる例が非常に多うございますので、畑作の中心作物になって、その意味では大変葉たばこ耕作農家の経営安定というものにも資しております。
 したがって、そういう面も私ども十分くみ取りまして、耕作審議会の場で十分議論をいたしまして、お互いの共存のためにどうやることが一番いいのかというふうなことを議論を尽くしまして、今後のそういった面積とか種類別の収納の等級とか、そういうようなことについての話し合いを進めていきたいというふうに考えているわけでございます。
○佐藤昭夫君 もう一つ、能率的ということとの関係でお尋ねしておきますけれども、いわゆる労働生産性、この問題も能率的ということの指標の中に含まれるのか、この点はどうですか。
○説明員(泉美之松君) 労働生産性の問題は当然入るわけでございまして、私どもといたしましては、過去十年間ほどの間に労働生産性を著しく上げてまいっております。
 ただ、それに対しましては、それは高速の巻き上げ機であるとか、あるいは包装機を導入したから生産性が上がったので、いわば設備生産性が上がっておるので、労働者自身の生産性が上がっているわけじゃないじゃないかというふうな御批判もございますけれども、しかし、その高速の巻き上げ機なり高速の包装機を使いまして、それをうまく使いこなして能率を上げておるということは事実でございまして、設備生産性だけでなしに、労働生産性も私は上がっておるというふうに認識いたしております。したがって、今後の問題として、そういう労働生産性の向上ということが大きな課題になっていくものと考えております。
○佐藤昭夫君 当然、労働生産性も「能率的な経営」の指標になるということでありますが、そうしますと、すでに今日まで労働生産性を高めるという角度から、幾つかある工場の集中統合とか、二交代制とか、あるいは機械導入に伴う合理化、ここから出発をしての相当大量の退職問題、こういう問題がずっと今日までも起こってきているわけですね。こういう方向を、労働生産性を高めるために統合とか二交代制とか、どんどん退職とか、こういうのを今後ともどんどんと推進をしていくということになるのか。
 いや、それは労働者の生活と権利の基本問題がありますからというふうにお答えになるでしょう。その場合に、どこでそれが歯どめをされるのか。ここまではやりますけれども、これ以上はそんなむちゃなことはできるものではありませんという、当然そういう歯どめの基準があるはずだろうと思うのですが、そこはどうですか。
○委員長(世耕政隆君) 時間が来ておりますので、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
○説明員(泉美之松君) お話のように、従来から労働生産性を上げますためにいろいろ努力してまいりましたが、その過程におきまして、大型機械の導入であるとか、高速機械の導入であるとか、二交代制であるとか、工場の統廃合というようなことをやってまいりました。その間、労働組合とも十分協議いたしまして、人員の削減もやってまいったわけでございますが、しかし、いわゆる生首を飛ばすような人員整理ということは、これは今日の事態ではなかなかできるものではございません。したがって、納得ずくで退職していただくという条件を満たしながらやっていくよりほかはないわけでございます。
 ただ、私どもとしましては、もう相当工場の統合、合理化が進んでおりますので、いますでにもう決まっておりまする関西新工場の建設の後では、北九州の工場、福岡工場と鳥栖工場を統合するだけでありまして、それ以外にそれほど大きな統合問題はございません。
○佐藤昭夫君 本日はこれで終わりまして、次回さらにゆっくりやります。
○委員長(世耕政隆君) 本案の質疑は本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後六時三十分散会
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