第091回国会 大蔵委員会 第8号
昭和五十五年三月二十七日(木曜日)
   午後四時四十二分開会
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   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     衛藤征士郎君     坂野 重信君
     和田 静夫君     小谷  守君
     竹田 四郎君     小野  明君
     柏原 ヤス君     鈴木 一弘君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         世耕 政隆君
    理 事
                中村 太郎君
                細川 護煕君
                片岡 勝治君
                矢追 秀彦君
                中村 利次君
    委 員
                浅野  拡君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                坂野 重信君
                嶋崎  均君
                塚田十一郎君
                藤井 裕久君
                藤田 正明君
                小谷  守君
                小野  明君
                丸谷 金保君
                多田 省吾君
                佐藤 昭夫君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       前田 正道君
       法務大臣官房審
       議官       水原 敏博君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       大蔵政務次官   遠藤  要君
       大蔵大臣官房審
       議官       福田 幸弘君
       大蔵大臣官房審
       議官       垂水 公正君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省関税局長  米山 武政君
       大蔵省国際金融
       局長       加藤 隆司君
       国税庁次長    伊豫田敏雄君
       国税庁直税部長  矢島錦一郎君
       国税庁間税部長  小泉 忠之君
       国税庁調査査察
       部長       矢崎 新二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      根來 泰周君
       通商産業省通商
       政策局国際経済
       部通商関税課長  内村 俊一君
       通商産業省基礎
       産業鉄鋼業務課
       長        小川 邦夫君
       通商産業省基礎
       産業局非鉄金属
       課長       中島 福雄君
       通商産業省機械
       情報産業局電子
       機器電機課長   田中 達雄君
       通商産業省機械
       情報産業局自動
       車課長      横山 太蔵君
       自治省税務局企
       画課長      吉住 俊彦君
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  本日の会議に付した案件
○税理士法の一部を改正する法律案(第九十回国
 会内閣提出、第九十一回国会衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
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○委員長(世耕政隆君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、衛藤征士郎君、柏原ヤス君、和田静夫君が委員を辞任され、その補欠として坂野重信君、鈴木一弘君、小谷守君が選任されました。
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○委員長(世耕政隆君) 税理士法の一部を改正する法律案及び関税定率法等の一部を改正する法律案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 関税定率法の問題についてまずお伺いいたします。
 一昨日の本委員会におきまして東京ラウンド、この関係については必ずしも関税局が自画自賛しているような成果をおさめたと思えないということについて、半ば肯定、半ば否定というようなきわめて微妙な御発言がありました。一番最後のところだけ聞いていると、のまされたということを明らかに申しておりますので、その点では私の質問を肯定したようでもありますが、前段からずっと後で反すうしてみますと、そうでない部分もある。私はやはりこの東京ラウンド、これに対する論議をもっと深めておくべきでなかったか。特に、品目によって国内の産業を非常に圧迫する、農業関係においては非常にその感が強いわけです。
 大蔵大臣にお伺いいたしますが、一方で、大蔵省は予算の査定をして、畜産振興ということでどんどん出しております。一方で、今度農林省は、牛乳が余ったから生産調整をしろということで生産調整が行われておる。さらに一方では、関税暫定措置法その他関税を緩めて、自由貿易をしておるということで、非常にたくさんの乳製品並びに擬装乳製品等が入ってきております。ですから、擬装乳製品なり乳製品をとめれば、国内の牛乳並びに乳製品は決して余っているという状態でないわけです。国内の牛乳生産を抑えてまで乳製品をなぜ入れなきゃならないのか、この点について関税定率法との関係で矛盾しているので、自由貿易主義を唱える大臣の御見解を承りたいと思うんですが。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、食糧政策が大きなわが国のセキュリティーの一つであるという考え方から、主食のみならず畜産振興と、こういうことはやはり重大な農業政策であるという考え方のもとに立って、農水省において種々な施策を行われ、われわれの方も適当と認め、予算が計上されておるということは事実であります。
 一方、酪農品が生産過剰になったと。したがって、これに対して生産調整を指導するということは、私はそれは現実の実態としてはあり得ることであろうと思うのでありますが、いま丸谷委員のおっしゃいますのは、いわゆる輸入割り当て制度でございますので、それについての調節をとれ、こういう御趣旨だろうと思うのであります。それは私は、東京ラウンドの問題とは別として、考えられ得る施策であると思っております、率直に申しまして。ただ、私から答える筋のものかどうかについては、若干ちゅうちょを感じていながら、そのように申し上げたわけであります。
○丸谷金保君 実は、これはやっぱり大蔵大臣によく認識してもらわなきゃならないことなんです。たとえば、米が余ったということで、米を国が相当程度安く開発途上国の方に出す、食糧のないところに出すということについても、アメリカからクレームがつきましたね。これは一昨日も話のありましたように、関税相殺条例ですか、協定ですかによってそういうことに対するクレームもついてくるわけです、国内の政府が財政補助をして値段を下げたやつを出すことはダンピングであるという意味でですね。同じように、いまECから域内貿易の中で日本に入ってきている乳製品、これについても私は同じことが言えるんでないかと思う。
 というのは、一昨年もECに行って調査してまいりましたけれども、それぞれECの域内では、たとえばスミソニアン協定ですか、そういうふうなことで、通貨の問題を絡めてどういうふうに域内における農産物の価格安定をするかということについては、ECが各国から吸い上げた負担金のうちもう相当部分、ほとんどのものが農業の安定と振興に使われているわけです。そのためにECの農業は安定し、そういう財政投資があることによって、安い製品が日本に流れてきているわけです。これも言うなれば一種のダンピングじゃないですか。その場合に、協定でもって関税をかけて、日本の国内の乳製品とのバランスをとっていくと、こういうことは農業なり農林水産省の問題でなくて、大蔵省が考えなければならない問題ではないか、こういうことなんです。ここのところをひとつ御理解いただかないと、質問の趣旨が外れていきますので。
○政府委員(米山武政君) ECの酪農品輸出に対しまして補助金が出ているということは御指摘のとおりでございまして、わが国に入っております脱脂粉乳等についてもそういう事実があることは、私どもも承知しているわけでございます。
 そこで、これに対してわが国の産業が損害を受けますれば、当然その補助金に相当する分につきましては、これを相殺するための高い相殺関税がかけられるわけでございます。この措置をとるべきであると、こういう御指摘だろうと思います。
 この点につきまして、私どももいろいろ検討しておりますが、まず第一に、先ほど大臣からもお答えがありましたように、これは大部分が輸入割り当て品目になっておるわけでございまして、非常に輸入量が多くなりそうになって国内産業に影響を与えそうになるならば、まず輸入制限ができるわけですから、そこで抑えるというのが第一次的な措置じゃなかろうかと思います。ただ、いま問題になっておりますのは、私ども理解しておるのは二つあると思います。
 一つは、輸入割り当て品目であって制限ができる。しかも、国内で牛乳が、酪農品がだぶついているにもかかわらずなぜ入れているかと、こういう問題が一つ。それから、輸入割り当て品目でないものが、実際輸入割り当て品目でありながら実は擬装してそうでないような形で入ってきていると、こういうものを制限すべきである、こんな問題が二つあるということを私どもは理解しております。
 第一の問題につきましては、現在、脱脂粉乳等相当確かに入っておりますが、これは国内の飼料用でございますのと、もう一つは給食用でございます。そういう特殊な政策目的で入れているのだろうと思いますが、その政策目的と現在の酪農品の過剰とをどういうふうに判断するか、問題をどういうふうに考えるかということだろうと思います。これは私どもが考えるよりも、むしろ農林省の問題だろうと思います。
 それから、第二の擬似AA品目といいますか、実質的には輸入割り当て品目でありながらそういうもの、たとえばバター類似品目、それからココア調製品というようなものが問題になっております。このバターにつきましては、私ども分類上相当の量のバターが入っている場合には、これをある程度規制していくべきであるということで検討をしております。それから、ココア調製品につきましても、現在の分類の国際条約によりますと、ココアが含まれていればココア調製品であるとして輸入割り当て品目とは別の分類になっておりますが、この辺はやっぱり量によって検討しなきゃならない問題だと、こういうふうに理解しております。
○丸谷金保君 関税局長さん、大分勉強なさって、農業の問題等をきょうは一昨日と違ってとらまえて御答弁していただいて、大変ありがたいと思っております。
 問題は、確かに許可品目で制限されることになっております。ところが、これは酪農振興法ができた四十一年当時はそういう制限品目がたくさんあったんです。しかし、これは政令でもって外せることになっていまして、ただいま脱脂粉乳のほかにチーズ類だとかいろんなものがどんどん外れて、要するに許可品目で制限のできない形のものの数がふえたので、非常に多くのものがそういう許可品目でなく入ってきているという実態、二百七十万トンくらいの乳製品のうち半分以上が許可品目でなく入ってきているのです。そのほかに擬装乳製品として、たとえばビスケットだとかココアの類ですね、そういうものだとかに加工されて、お菓子類とかいろんな形で非常に多くヨーロッパから入ってくる。これらが全部許可品目から外れて、日本の国内の産業を圧迫しておるわけです。
 ですから、そういう法律があって許可で数量制限すればいいだろうと言いながら、一方では、四十九年に吉野審議官がEC等に出したところの文書によりますと、これからどんどんそういうのは外して、これは農産物ばかりでないですが、入れるように努力いたしましょうと。そのころと前後して、政令指定でどんどん外れていっているわけです。これは外しているのは農林省ですけれど、外して入ってくる。これが国内産業に及ぼす影響が出てきた場合には、あとは大蔵に関税で措置してもらう以外にないわけですよ。そうでしょう。私が申し上げているのはそこのところなんです。許可品目だからいいじゃないかということにならなくなってきている。それが相当程度に入ってきて、いま申し上げました飼料用あるいは学校給食用、――学校給食用なんというのはもうほとんど数は知れています。それから脱脂粉乳ですが、脱粉については飼料用もたくさん入ってきておりますけれども、そうでないものもずいぶんあるんです。
 そこいら辺について当然何らかの措置を関税でしなきゃならないときに、関税暫定措置法で、一昨日も指摘したように、われわれは日本の関税は高いと思っていたら、諸外国に比べて安いんですから、こういう際は――全国の酪農民、きょうも大会をやっています、農林省を相手にして。これらの国内の現状を踏まえて、何らかの措置を打っていただかなきゃならぬのじゃないか。また、そういう実態を調べてやってもらわないと、農林省の問題でなくてもう大蔵省の問題になってきておると、このように考えるが、いかがでございましょうか。
○政府委員(米山武政君) 農業部門に占めます酪農品の重要性ということで、今回の東京ラウンドに当たりましては、米国、EC等から多数の引き下げ要求がありましたが、これにつきましてはほとんど全部お断りして、酪農品については関税引き下げは一切行っておりません。
 いまの委員御指摘の点は、そういう問題より、むしろ実際に補助金がついて輸入されているものが国内の酪農を圧迫しているので、これについて許されている関税措置をとるべきであると、こういう御指摘でございます。
 それで、いま委員が御指摘されました飼料用、まあ飼料用が大部分でございまして、この飼料用につきましてもIQ物資、すなわち割り当て品目になっているわけでございます。その割り当て品目を農林省その他が政策目的から割り当ての枠内で入れているわけでございまして、この考えは、国内の酪農品と、あるいは飼料用の飼料価格を引き下げるために輸入している、この政策のウエートをどう置いているかという問題だろうと思います。
○丸谷金保君 飼料用でないんです。
○政府委員(米山武政君) 飼料用以外のものは、いま一元輸入でございますのでほとんど入っておりません。ですから、もし入っているとすれば自由化品目、擬装したものが入っているということでございまして、それにつきましては、先ほど申しましたように、バターが入っているバター類似品につきましては、私どもこれはバターとして分類して入れないようにしたいと思っております。まあ量にもよります。
 それから、いまのココア調製品につきましては、そのココアの量はこれはいまの協定上解釈がなかなかむずかしいところがありますが、できるだけ実態に即すような形で、分類を割り当て品目の方の分類に入れて入るのを制限していくとか、そういうふうな実態に即する分類をすることによって、疑似自由化品目をそちらの方に入れることによって制限していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 お話はわかるんですが、そうなってないんですよ。なってないから、国内の乳製品は余っているんです。いいですか、大臣、牛乳に紅がら入れて牛に飲ましている。これはこの前話しましたけれど、牛に飲ませるならしぼらないでもいいんですよ。一遍しぼった牛乳を、余っているということでまた牛に飲ませるために紅を入れて、色をつけてあるからこれは飲料に回さないということで牛乳を戻している。それから今度は、牛の頭数の制限も始めているんです。それで今度は南北戦争といいまして、南の方と北の方でもって国内の酪農民が中で、おまえの方を減らせ、おまえの方を減らせというふうな争いをやっている。
 これくらいだぶついているのに、擬装乳製品、許可品目はいいんですよ、許可品目を減らすことは農林省の仕事です。ところが、農林省の手の届かないところで政令指定でもって外れたのがずっとふえたのと、チーズなんかうんと入ってきていますでしょう。チーズなんかうんと入ってきているんですよ。それらのものは、向こうはやっぱり域内の農業保護でもって保護政策をとって安い価格になったものが入ってくるんですから、相殺関税によって税をかけて、国内とのバランスをとるという必要が出ているんじゃないか、現に余っているんですから。ストップしている、ストップしていると言ったって、いろんな形で入ってくるものを抑えられないというんですよ。そうですわね。それはここで守らなきゃ、日本で米が余っているから外へ出そうとしたら、けしからぬじゃないかと言われるようなことと同じように、わが国がなぜ言えないのか。まして日本の関税が全体として低いんですから、これは至急に検討してもらわないと困る。
 きょうも千人くらいの農民が、はち巻きを巻いてそこら辺いっぱい陳情して歩いています。だから私はきょう言ったんです。農林省にも行かなきゃならぬけれども、あしたは私、大蔵省へ行こうと。これは大臣なんか、やっぱり感覚としてなかなかつかめないんじゃないか。大臣のおくにの方は肉牛の方は盛んですけれど、酪農、牛乳の方は余り盛んでないですから、感覚としてつかめないんじゃないかと思いますが、これはもう本当に国内の農業の大問題になってきている。それなのに全然いま手を打つところまでいってない、実態の調査も大蔵省ではやってない。そういう状態を、ひとつ大蔵もそういう方に目を向けてもらわなきゃ困るということなので、ひとつ何とかよろしく。
○政府委員(米山武政君) 関税法の規定によりまして、相殺関税という制度が設けられているわけでございます。これはやはり国内産業に必要な保護をするためのものでございますので、現実にその輸入によりまして国内産業に損害を与え、あるいは損害を与えるおそれがあるというふうな事実があるならば、そういう事実を十分調査いたしまして、これはもちろん農林省とも十分相談しまして、必要な法律の規定もございますので、そういう実情を十分調査した上で決定していきたいと思います。
○丸谷金保君 事実があるならばというような程度のものでないんです、いまもう。どんどんどんどん農業振興で構造改善とかいろいろなことでもって、牛をふやせ、牛をふやせといって大きなサイロを建てさせて、きょうもまた中標津というところから来ていましたが、一戸平均二千七百万くらいのみんな借金をしょっているんです。もっといまの倍に牛乳をする計画で進んでいるんですよ。それなのに、途中でストップなんです。事実があるならばという、とてもそんな状態でないんですよ。事実があるんですから、もういま。そういうことですから、投げるわけにもいかぬと。
 そうかといって、安い北海道の新鮮な生牛乳をこっちにどっと持ってくると、本州方面の小さな酪農家が困っちゃうから原料の方に回せと。チーズでも何でもどんどん入ってくる。北海道の酪農を見ながらチーズの工場をつくらせればいいのに、なかなか決まらないんです。それで牛乳を減らすと言う。事実があるならばというふうなことをいま言ったら、本当にここに農家の陳情者なり傍聴者がいたら、それはもう頭にきますよ。去年から、もう一年も前からの話なんですから、事実はあるという認識に立って至急大臣、あるんですから、大蔵省としても対応をお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 基本的には、IQ物資にするということが一つの考え方であろうと思います。
 それから、次は相殺関税という問題でありますが、それ以前に丸谷委員のおっしゃいますのは、すでにそのおそれがあるのじゃなく事実そのものが存在すると。そういう認識に立って、もちろん農林省といろいろ御相談しなければならぬことでございますが、大蔵省としても対応しろと、それはそのとおりに認識をしてやります。
○丸谷金保君 農林省、畜産関係どなたか来ておりますか――来ていませんね。きょうは何かあれだというので、いいです。
 それで、農業のことだけやっているわけじゃないんですが、この中にあることをひとつ聞きたいんですが、局長さんでなければどなたでもいいです。
 コード番号〇二〇一の一、牛の臓器及び舌というのがこの二百八十八ページにございます。これが基準税率が二五%で譲許税率一五%まで下げるんですが、この中にテールが入ってないんですよ、テール。舌は入っているんです、こっちの方は。こっちが入ってないんです。これはどういうことになっているんです。臓器ではないですわね。
○政府委員(米山武政君) 至急調べまして、この質問の時間中にちょっとお答えさせていただきます。
○丸谷金保君 これは臓器ではないですわね。それで非常に高価なものなんです。非常に高価なものです、テールというのは。大臣、御存じですわね、テールシチューなんてヨーロッパでは非常に高価なんです。これはどうなんでしょうか。頭だけやる、頭はなっていますわね。それはひとつ至急どうなっているのか。
 まだまだいろいろたくさん疑問はあるし、東京ラウンドのこの品目の調整を中心にして、本来はこれはもっともっと時間をかけなければならない問題なんです。一昨日申し上げましたように、こういうことに時間をかけて審議できないで、法律案を日切れ法案だと言ってどんどんやっていかなければならない。これはやっぱり参議院の自主性という問題から本当に、重ねて言いますが、私はこういうことがあたりまえになってきている状況というのは、もう大変問題だと思うんです。もう少しできるだけ法案の審議を参議院に回せということを、重ねてひとつ委員長から要請をしていただきたいと思いますが、お願いいたします。
 それで、関税の方は一応、本当はもっとやりたいんですがね。
 それから、税理士法、きょうはひとつ法律問題を中心にしてやりますが、一つは現行法の四十九条、改正法でも同じですが、一局一会制ということがうたわれております。私の方の質問要旨のあれで、二つの事務所ということで三十一に挙げてあるんですけれども、これに関連した問題です。これは実際には東京国税局に東京税理士会と東京地方税理士会と、名古屋国税局に東海税理士会と名古屋税理士会と、こう二つありますね。これを附則でもって当分の間認めると。こういう現況を認めるということが、それから改正法でも同様の趣旨の改正が附則の中でうたわれております。これは、どうしてこういうものを認めていくということを附則でうたわなきゃならないのですか。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 直接には立法の問題だと思いますけれども、やはり利権をカバーするために、それなりの経過措置を講ずるというのが筋かと考えております。
○丸谷金保君 ちょっともう一度はっきりお願いしたいと思います。どうしてこういうことをいつまでも認めるのか。本文では原則で認めないでおきながら、附則でいつまでもこういうことになっておるのはどういうわけなんですか、もう一度。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 四十九条の税理士会の管轄の問題でございますね、四十九条とおっしゃいましたが。四十九条につきましては、ただいま申し上げましたようなお答えでございまして、税理士に事務所を二以上設けてはいけないという問題の方でしたら、また別途主税局の方からお答えさしていただきたいと考えております。
○丸谷金保君 一局一税理士会――事務所でなくて、税理士会です。それを附則の方で認めておるのはどういうわけだということなんです。事務所の方と言ってないです。事務所はこれから出てくるんです。その前段の話としてどうしてこれを認めるのか、法的な理由です。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 御承知のとおり、今度の改正によりまして、一局内における税理士会の認め方は、従来のようなただし書きによる二つ認めていた場合と、それから今回の改正に基づきますように地域指定するという考え方と、その間に相違がございますことは改正案で御承知のとおりでございますが、そういう趣旨から申しまして、急激にこれを変えるというよりも、ある程度の経過規定が必要であろうということからそのような措置が講じられた、このように考えております。
    ―――――――――――――
○委員長(世耕政隆君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、竹田四郎君が委員を辞任され、その補欠として小野明君が選任されました。
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○丸谷金保君 本文を読んでみますね、何か二つ混乱しているようなので。四十九条の一項で、「税理士は、国税局の管轄区域ごとに、一個の税理士会を設立しなければならない。」と、こうあります。いいですか、「一個の税理士会」を。改正法でもこれは「一個」から「一」と変わりましたけれど、附則ではこれは当分の間現況のものはいいというような附則がございますね。そうして、同じく改正法でも、附則の四項ですか、改正法でもこれを生かして、この法律の施行の際現に存在する改正前の税理士法に基づいて行われた税理士会の主たる事務所の所在というふうなことで、そういうふうになっておりますけれど、どうしてこれがこの法律からいうと認められるのか、ちょっとわからないんですよ、この附則からは。
○政府委員(福田幸弘君) 御指摘のとおりに四十九条の第一項で、原則が従来どおりに国税局の管轄ごとに一つというのは、これは行政の対応ということで地域原則をとっておるということであります。しかし、現在、名古屋の方とか東京地方とかいうのがすでにございます。したがいまして、すでにあります現在のそれは一局に複数あるわけでございますから、それはそのまま認めるということを書いてあるわけでございます。その際、その場合に、今後それは継続するわけであります、すでにありますから。その場合も、地域割りは、地域を画定してその管轄区域を明確にするというふうになっておるわけでございます。
○丸谷金保君 それで、現在は管轄区域が入り込んでいるんですよね。これをこの法律で、今度は管轄区域を分けるというんでしょう。たとえば東京税理士会で言えば、横浜だとか千葉は地方税理士会であって、東京都内は東京税理士会というふうに分けるんでしょう。そういう意味ですね。そういうふうにしていくと。今度の法律の改正はそうなんですか。
○政府委員(福田幸弘君) 地域原則をとりますので、その入り組みのところは管轄区域を明確にしまして、そこの整理をするということになります。
 その現状の状態と変わる方があるのでそこはどうであろうかという御質問であろうかと思いますが、これは今回の改正で、一国税局の管轄区域内に複数の税理士会がつくられるという、こういう場合になるわけでございますが、法律的には、その場合この入り組みのところは、やはり原則どおりにその管轄の中に新たにその地域の事務所を持っておられる方はその会にお入りいただくということの調整が必要になるということが、規定されておるわけでございます。
○丸谷金保君 ところがこれ、東京でも名古屋でもずいぶん皆さんが行政指導しても、なかなかきちっといかないのですよね、いま。これ福田審議官、本当にできますか。本当に御自信ありますか、審議官。
○政府委員(福田幸弘君) この辺は東京会からも意見がございまして、国税庁でも実態を調べておると思います。所属税理士会を変わることになるのがどれほどの影響なのか、その辺やはり原則どおりに、その地域に事務所を持っておられたら管轄区域を明確にした税理士会に入られるということが支障が生ずる問題かどうか。そこに事務所を持っておられますものでその管轄区域が明確になれば、新たな線引きが画定された新税理士会の区域の事務所ですから、そこに入られるという原則をお守りいただくのが一番すっきりすると思うので、事務所と所属の税理士会が別のところにあるというのは地域原則から見ればおかしなことで、やはりそこは整理する必要があろうかと思っております。
○丸谷金保君 これはそう簡単でない。たとえば一つは、東京の地方税理士会に所属している方がおりますわね。この方たちがやっぱり東京で業務をしていると、主たる業務を。そうすると、東京税理士会という名前の方が、東京地方税理士会よりはいいんですよ。それから横浜の中税務署の管轄のところで看板を上げているけれど、東京税理士会に入っていると。これはずいぶん長く初めから入っていますから、今度互助会、これは東京税理士会の互助会規則によると、十年以上入っていると掛金をつけて亡くなったときに香典として百万とか、二十年なら幾らとかあるんです。これはやめるときにそれからお金は持っていけない、亡くなってないんだから、互助会ですから。いろんな面で問題が出てくるんですよ。それを、いまおっしゃるように線引きしてやれますか。
 第一、法的にも二つあることはおかしいでしょう。一つにしなきゃならんので、地域を分けて別々にするということの方がこの四十九条の精神から言うとおかしいんです、一局一会制ということを原則にしていて。いまおっしゃることは、そうすると、やむを得ないから現状あるやつは二つ認めると、既得権は尊重するということを言うわけですか。どうなんです。
○政府委員(福田幸弘君) 今回の改正により、一国税局の管轄区域内に複数の税理士会が設立された場合というのは、すでにあるものをも複数ということで扱われるわけでありますが、その場合、それら税理士会の一部の会員については、それら税理士会の基盤となる区域を新たに定めることということで、いままで複数というものが事実上地域になっておりますけれども、そこの管轄区域が明確でないという問題がありますので、そこを明確にして、この複数の例外の現状を確定するということをやります。
 そうしますと、いまおっしゃるように、横浜に事務所があって東京で仕事をやっておられるというときに、東京の会に入っておられるという問題であろうと思いますが、それは横浜に事務所を持っておられる以上、やはり横浜の属します地域的な管轄は東京地方でありますからそこにお入りいただくということで、やはりそれはその事務所がそこに掲げてあるわけでありますから、そこが代理業務の本拠である以上は、その地域を管轄する税理士会にお入りいただく。いま東京に入っておられることは既得権というよりも、むしろこの際東京の方にお移りになるか、それとも横浜の事務所で仕事をやっておられるというので事務所を設けられておるわけですから、やはり東京地方の税理士会にお入りになるというふうにこの際整理していただくと。
 その間どういうふうな問題があるかはつまびらかではありませんが、原則として、やはりそういうふうに地域に応じて整理するというのが、複数となった場合もこの地域を線引きの原則にするので、そこをまたがることはやはりこの際調整をしてしまうという必要があると私は思います。
 あとは、地方の方で実態の御説明があれば――そういうことです。
○丸谷金保君 これはいま言ったように、たとえば互助会規則一つとってみても、そう簡単に地域で割ったからそっちへ行けといって、この命令の法律ができたから簡単に行けるような性質のものでないんですよ、実態を調べてみますと。設立当初からの会員とか、こういう関係が東京や名古屋にはあるわけです。しかも、法のたてまえは、一局一会制というのがたてまえですからね。それを、地域で割ったからそっちへ行けというふうなことは、実際に実務を担当する国税庁側としてどうですか。いまおっしゃったようにすかっといきますか。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 実際問題として、会を変わられるにつきましていろいろなめんどうな問題があろうことはよくわかりますけれども、やはり今回の税理士法改正の全体の流れの中において、また、従来所属していた税理士会の区域内で決して税理士業務が行えなくなると、そういうふうな基本的な問題でございませんので、どうか御協力を願うようにわれわれとしてはお願いしてまいりたいと、このように考えております。
○丸谷金保君 御協力を願うということになると思うんですよ。しかし、これは現在の法律にもあるんですよね、四十九条は「一個」と「一」が変わっただけで。いままでなぜできなかったのか。御協力いただけなかったのか、いままで。いままでの法律の中でも、現行法でも四十九条は「税理士は、国税局の管轄区域ごとに、一個の税理士会を設立しなければならない。」と、しなければならないんだと。それなのに、現実はできなかったでしょう。できなかったですね、いままでは。今度やっぱりお願いでしょう。お願いでできますか。
○政府委員(福田幸弘君) 今回一局に複数会という新たな制度ができたのは御存じのとおりでありまして、これは非常に大きな人数の、まあ東京会なんかが問題になりますが、それは一局で複数会の道が開かれておりますが、その際に、その管轄区域によって税理士会が複数にできると、こうなっております。
 その原則は、地域主義をとっておりますから、いまあります複数のものもその地域主義をこの際徹底するといいますか、それに合わせないと法律的におかしいものですから、一局複数会という新たな制度を入れますと、現在あります一局複数というものを、新たなその一局複数会の法律の書き方に合わせまして、その辺の区域を明確にした場合に、その区域内の事務所の者はその区域にある税理士会に入るということをはっきり合わせなければいけないというのがいまの問題でございまして、一局複数会の分割規定が入ったために、従来ある一局複数の現状を整理してきちっとするという趣旨でございます。
○丸谷金保君 趣旨はわかるのですよ。だけれど、国税庁側の方としては、お願いしてそうするというのでしょう。ところが、この改正法によると、この法律に「違反した者」という条項がございますわね。そうすると、この法文に「違反した者」になって、罰則規定の適用になります。
 これは必ずしも助言義務だけじゃなく、全体にかぶさるいままでにない大変な法改正が行われているんですよね。そのときに、そういう明文できちっと罰則規定を設けて、国税庁として混乱を起こしてでも、処罰してでも地域指定したから戻れ――何十年もそのままやってきて、しかもいろいろな積立金やったり、いろいろな形のお客さんもつくし、いろいろな問題があるのですよ。そうしてそっちへ移ったら、どうも相当な営業上も損害が出ると、いやだという場合に、強権力を発動してやれますか。
○政府委員(福田幸弘君) これはいま東京でおやりになっている仕事ができないということじゃございませんので、東京地方税理士会にお入りになるということでありまして、東京で活動することはできるわけであります。これは従来どおりです。ですから、東京税理士会にお入りになっている、しかし、事務所がそれなりの理由があって、営業の本拠ということで横浜にある以上は、東京地方という地域主義にのっとって、そこに税理士会としてお入りくださいということで、活動されるのは、それは東京でおやりになるのは従来どおりでございまして、それが既得権の侵害という問題ではございません。
 東京会に入ることの方を選んで、東京地方がいやだという種の問題ではないかと思いますが、そうじゃなくて、やはり地域によって、そこは本拠地に属した地域の税理士会に入ると、しかし活動は東京で従来どおりできますので、その辺は誤解のないようにお願いしたいと思います。
○丸谷金保君 たてまえはわかるのですよ。しかし、たとえば互助会の規則一つとってみましても、行けったってその場合どうやって移籍するのですか。移籍した場合に、互助会規則にあるそういう特権はなくなる、片っ方にずっと積んでいるんですから。こういうものはどうします。具体的に言うと、死んだらもらえる百万円が、こっちへ移ったらもらえなくなる。これはどういうふうに処置するつもりです。御答弁願います。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 実際の問題としては、各税理士会のそれぞれの互助会なり何なりに残余財産その他の問題がいろいろございますと思いますが、われわれといたしましては、今回の立法趣旨に従いまして、できるだけその線で混乱のなきように移り変わりをお願いするということを考えております。また、御協力いただけることを期待しております。
○政府委員(福田幸弘君) これは実態をよく、また御指摘のとおりの問題があれば、どういうふうにその調整が行われるかの問題かと思いますが、これは名古屋の方も同じ問題があるのですが、この問題は出てきておりません。その辺、どういうふうに名古屋の方は調整を実際やっているかを参考にして、東京の方のその種の問題を円滑に処理したいと、こう考えております。
○丸谷金保君 主税局側の御答弁はきわめて明快なんですが、現場を預かる国税庁側としては、いまも最後に御協力を願うと。法律によって、強制的には国税庁側はおやりになる意思はないんでしょう。あくまで話し合って何とか移ってもらうと、こういうことなんですね。いやだと言っても必ずそれはもう一定の時期まで必ずやるんだと、そうして混乱を起こさないでやれる御自信が国税庁側ありますかと私は聞いているんですよ、この法律を可決されたときに。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 具体的な問題につきましては、個々の税理士会と十分検討をさしていただきまして、実情に応じて円滑な転換というものを図っていただくようにわれわれとしては最善の努力を尽くしてまいると、それ以外にわれわれとしての務めはないものと、このように考えております。
○丸谷金保君 国税庁側は、実際は中身がわかっているから最善の努力を払うとか、そういうことになってしまうんですね。御苦労わかるんです。これは法律を可決しても、こういう法律になったからといってそう簡単ではない。そうですわね。しかし、明らかに今度はこの法律によって網をかぶせるように、この法律に違反する者はということで明らかに違反するんですよ。網がかぶさるんです。そういう法律なんですから、今度の改正法というのは。助言義務だけでない、至るところが、全部そういうことが問題になってくるわけですね。そうすると、非常に現場を預かる国税庁側としては御苦労なさるなと、こういうふうに私はこれはもう大変心配だし、いまの両方の答弁を聞いていると、もう大変な食い違いがある。
 それから、このことがさらに、それだけに、今度は事務所の問題にも波及するんです。今度二つ事務所の問題、これは衆議院の答弁によりますと、何となく既得権を認めるがごとき御答弁をしているんですが、これは現在あるものはやむを得ないということで認めるんですか認めないんですか、どっちかはっきりしてください。
○政府委員(福田幸弘君) 現状あるものは認めるという前提であります。
○丸谷金保君 まあ、それで二百四、五十人おりますわね。これは文句だけ言うんじゃなくて、私はこの二つ事務所の問題にはいろいろ問題もありますけれど、監督責任義務というのが今度できましたね、使用人の。これがあるから、現状の二つそのままにしておいてもいいと思いますけれど、本来、税理士というのは一身専属権ですから、既得権としてこれはやむを得ないとしても、やはり何十人も使ってただ判こ押すだけ、あるいは申告書の書き方もはっきり言って知らない税理士さんもいるんです。
 所得税の申告書の書き方も知らないでも、ちゃんといまの無試験になったり、現行でもそう余りわからない方を私も知っております。それがたたき上げの、試験には受からないけれど、計算や実務をやらしたら非常に上手だというふうな使用人をたくさん使ってやっている例もあります。これはやっぱりいかぬと。その点では、もう文句ばかり言っているんでなくて、使用人の監督義務なんというのは、なかなかこれはそうあるべきだという改正になっているので賛成の面もあるんですから、そういう点ではその二つというのは既得権という形でやるんではなくて……。
 それから実は、この問題はそういうことで大変問題があるし、いまの両方の微妙に食い違う御答弁というのは、もう少し検討させていただかないと、どうも釈然としないんです。こういうことは至るところにあります。しかし、特にきょうは自治省を呼んでいるんです。しかし、もうきょう時間がないので後日に譲らなきゃならないんですが、問題点として挙げておきます。自治省おいでになっていますね。
○政府委員(福田幸弘君) ちょっと回答を補足いたしますが、今回の改正で先生の御趣旨も踏まえまして、いままでは複数の場合、非常に国税庁長官の判断で複数の考え方が緩かったわけです。必要だったらすぐ認められたのですが、今回は簡単に言えば一代限りと申しますか、そしてその国税庁長官の方で、まあ一代と言っても、もう仕事もできなくなられるようなことになれば困りますので、それで複数にする特段の必要がないというふうな次第でしたらその閉鎖を命ずるということで、やはり一カ所が原則であると。いまあるものも、しかしそれは実態にそぐわない、担当される方がもう老齢でどうにもならぬというようなときには閉鎖を命ずるというので、やはり代理業務でございますので一カ所と。これは監督の問題もございますし、先ほどおっしゃいました使用人の問題、それを考えまして前よりは厳しくなっております。
○丸谷金保君 やっぱりこれは十分監督できる限度が原則であろうと思います。ただしかし、やはり既得権は読めなければなりません、いまも許可しているんですからね。一代限りという方針だということで、その点は理解いたします。よろしゅうございますね、それで。
○政府委員(福田幸弘君) おっしゃるとおりでございます。
○丸谷金保君 それから実は、今度の改正で非常に大きな部分が地方税法と関連してくるわけです。それからまた、地方自治体職員に対する資格付与と、これは一歩前進だと思うんですよ。思いますけれど、これが助言義務と絡むと大変むずかしい法律的な問題がたくさん出てくるんです、実態として。
 建設省にも来てもらって――実は贈与の固定資産税の評価の問題、これ一つとってみましても、国税庁とそれから自治省の固定資産税の評価のやり方では全く違う。ここいら辺の調整について、相互に話し合いをして結論が出ておりますか。
○説明員(吉住俊彦君) 御指摘の固定資産税の評価の件に関する限りにおきましては、固定資産税は従来から税理士試験の科目ともなっておりまして、従来と全く同様の方法で税理士さんがお仕事をお進めになる分におきましては、問題は特には生じないというふうに考えております。
 なお、相続税と評価の方法が違うということは、現在も違いまして、それは税理士さんも御理解になっているはずでございます。
○丸谷金保君 固定資産税の評価にも、路線価方式を使っておりましたね。それから税務署の方も評価に路線価方式を使っている。ところが、ちょっと奥へ入りますと倍率方式を使っているのです、国税庁の方は。ここいら辺からむずかしくなるのです。たとえば助言義務で縛られる税理士さんが固定資産税の評価で、本人が、私はこれで税金を納めているのだと言った場合に、これで申告させます、調べに来るんですから。しかし、路線価方式で評価の決まっている国税の方の問題はいいのですが、倍率方式になると全くわからなくなってくるのです、これ。
 ちょっと一つ具体的な例を挙げましょう。東京でも――ちょっとこれは原稿を探していると時間がかかりそうですが、砂川町ございますね。あそこの倍率方式の地番を抜き出してみたのですが、倍率方式の場合は、国道何号とか市町村道何号とかいうふうなものからどうだということが基準でしてね。ところが、税理士さんが行ってみると、ないような場合があるのですよ。これは税務署でわからないのですよ。わからないという、もう本当に。もしわかるというなら、具体的にこれわかるかということで御指摘いたしたいんですが、わからないのです。時間があればこれをちょっと見てよくあれしたいと思うのですけれど、それで今度は市町村へ行っても、道路台帳には道路はあるけれど、実際には道路ないところがありますわね。こういう点でわからなくなってきたときの両方の調整をどうやるのか、こういうことをやっていますか。
 倍率方式の場合には、私たち実際そういう部面にぶつかっているんです。こういうときどうするんだと、どっちをとってどうするんだと言っておるわけです。税務署の方は路線価方式できちんとしているんですよ、一応は。一応はきちんとしているんだけれど、実際には何にもないという――時間ありませんから、具体的なやつをもっと今度あれいたしますが、この問題については、ひとつそう簡単でないということをちょっと次までに調査しておいてください。砂川なら砂川でもいいです。
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生御質問のように、相続税並びに贈与税の評価額、土地の場合には、御承知のように最高路線価を基準とした路線価方式による場合と、固定資産税の倍率方式その他の方式もあるわけでございますが、一応御本人がおいでになった場合には評価額についてその閲覧もできますし、証明書の交付もできるというのが一般でございます。
 ただ、先生のいま御質問になりましたような砂川の土地の場合のように、特定できないという場合があるいはあるかもしれません。そういうケースにつきましては、私ども突然の御質問なので十分なお答えができませんので、実際に一応実態調査しまして、また御報告させていただきたいと思います。
○丸谷金保君 衆議院でも、地方税との関連する部分というのがきわめて――きわめてでなく全く余り論議されておりませんが、むしろ今度の法改正の中で、それらの整合性をきちんとするということは大変な問題だと思うんです。料飲店の問題一つをとってもそうです。所得税の計算をしていきますと、たとえば料飲店の合わない部分というのは出てきますわね。出てくるはずなんです。今度は助言義務で必ずそれは指摘しなければならぬのです。
 これは私、実態として持っているんですが、日本橋の都の税務事務所、この関係では、私の関係していた町出資の、テーブル七つですよ、二十七坪、これが一番料理飲食店で払ったんです。最高なんです。テーブル七つ、五年前ですけれど。なぜかというと、一銭もごまかしちゃいかぬと。町村が出資している、関係しているレストランなんですけれど、お客さんがいいと言っても必ず領収書を持って帰ってもらってきちっとやれということできちっとやったら、テーブル七つのちっちゃなレストランが日本橋で一番料飲税を納めたんです。いかにいろいろだかと。しかし、その実態は、それは納めないのが悪いんだから、全部それは所得税の申告を扱った税理士さんがわかったんだから全部拾い上げてやれと言えと言ったって、これは大変なんですよ。
○委員長(世耕政隆君) 申し上げます。
 時間が来ておりますので、結論にお入りいただきたいと思います。
○丸谷金保君 大変なので、そういう点については、そういう大変だということについてよく相談しておいてください。そんなに簡単に助言義務でもって、所得税でわかってきたから、法人税でわかってきたから、そちらの方を直せるような仕組みにいまなっていない、これは一体、助言義務の中で税理士さんに罰則をつけてどうするんだ。ちょっとこの次までにひとつよく相談しておいてください。
○政府委員(福田幸弘君) 現在でも同じ問題でありまして、それで不真正な申告であるということであれば、四十五条自体の問題であろうかと思います。
 それから、先ほどの固定資産税と相続税、その種の問題は、これは故意にそれをやったという問題ではございませんので、助言義務の範疇外だと考えます。
○政府委員(米山武政君) 先ほどの御質問に対しまして、調査できましたのでお答えいたします。
   〔委員長退席、理事細川護煕君着席〕
 牛のテールは、他の牛の肉と同様にIQ品目になっております。ただ牛の肉の関係で、先ほど委員御指摘の臓器と舌のみが自由化品目になっております。そういうふうに、臓器と舌はわりあい先にあらかじめ自由化品目にしているように、国内産業に影響を与えることは少ないということで、他の物と取り扱いを変えているわけでございます。したがいまして、牛の臓器と舌は、今度は自由化品目であると同時に、二五%を一五%に下げたわけでございますが、牛のテールは、従来どおり割り当て品目にし関税も下げてない、それでいまのところに入ってないということでございます。
○多田省吾君 私は、二法案に対する質問につきまして初めてでございますので、きわめて大綱的な問題から取り上げてまいりたいと思います。
 初めに、関税定率法等の一部を改正する法律案に関連して御質問したいと思います。
 最近、日米間の経済摩擦が再燃し始めたようでございますが、アメリカの大統領選挙等とも絡んで、特に自動車の対米輸出の問題が焦点のようになっております。現状はどのような進展になっているのか、通産省及び外務省にお尋ねしておきたいと思います。
 最近の外務大臣の訪米等に絡んで、私は大平総理を初めその周辺あるいは外務省等が、余りにもアメリカに政治的にサービスをし過ぎたというような面があるのではないかと思っておりますけれども、この点に関してもお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(羽澄光彦君) お答えいたします。
 大来外務大臣が先般アメリカを訪問されました際、この自動車問題というのは取り上げられまして、アメリカ側からの説明がございました。しかし、その際非常に明らかになりましたことは、アメリカとしては、輸入制限とか、あるいは日本による輸出抑制というものはきわめて安易な解決策であって、保護貿易主義に対する波及とかインフレ並びにエネルギー対策に対する障害とか、いろいろな障害を伴うのでそういうことは考えておらない。しかし、アメリカでこの自動車問題を何とかしょうという非常に大きな問題になっておるので、ぜひ日本側から日本の自動車企業の投資を得たいという要望がございました。
 これに対しまして大臣からは、自動車の問題がいまアメリカで大きくなっておるのは、アメリカの自動車産業が大型車から小型車に移るタイミングというものを間違えた問題であって、そもそもこれはアメリカの問題であるというようなことを指摘されました上、さらに、投資するか否かということは本来最終的には企業の決めることであって、政府としてはこれを決定するわけにはいかないということを指摘されたわけであります。
 なお、この問題につきましては、双方の政府の事務レベルにおきましてさらに話し合いを通じて理解を深めたいということになっておりますが、とりあえずそういうことでアメリカ側には回答してございます。
○説明員(横山太蔵君) ただいま外務省の方からお答えがありましたところで尽きるわけでございますけれども、米側の要求の中心になっております対米投資の問題につきましては、いま外務省の羽澄次長もお答えになりましたように、全く企業の自主判断の問題ではございますけれども、私どもといたしましては、その実現が日米間の摩擦を解消し、その関係の円滑化に資するものであるといったような立場に立ちまして、業界と種々意見の交換をしているところでございます。
○多田省吾君 通産省にもう一点お尋ねいたしますが、日本の自動車産業のアメリカ進出につきましては、本田技研はアメリカ進出を表明したわけでありますけれども、トヨタ、日産は決定していないわけでございます。フォードやゼネラルモーターズ等の小型車への進出がこの秋ごろから急激に高まるというような予想もございまして非常に厳しいわけでございますが、この辺の事情について通産省はどのように判断されておりますか。
○説明員(横山太蔵君) 先生ただいま御指摘になりましたように、日本の企業の中にもすでに対米進出を決定した企業もございますし、まだ決定に至らない企業もあるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、対米投資の問題は私企業の経営判断の問題でございますので、その判断結果にはいろいろな違いがあるだろうと思います。
 特に、ただいま先生の御指摘の中にもございましたように、米国における自動車企業が、小型車戦争という言葉で象徴されますように非常に激変をいたしておりますので、その対応の仕方も日本の各メーカーによってさまざまであるのも、これまた、ある意味においては当然のことかと私どもは判断をしております。
○多田省吾君 一応この自動車の問題につきましては、当面の対策といたしまして輸出の抑制あるいは自主規制というようなものが対応策として考えられているようでもありますけれども、輸出の抑制につきましてはアメリカの販売業者からの反発もありますし、また、米国ホンダがディーラーから訴訟をされてもおります。また、アメリカの国内法との問題、特に独禁法との関連もあるでありましょうし、アメリカの政府側もこの前こういった輸出の抑制ということは希望しないというようなこともはっきり表明しているわけでございますが、今後通産省は、この輸出の抑制あるいは自主規制問題に対してはどのように考えておりますか。
○説明員(横山太蔵君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘になりましたように、この日米自動車問題を貿易の量的な制限によって解決しようという考え方は、アメリカの国内の一部に確かに存するわけでございますけれども、アメリカの政府を初めといたしまして、これに強く反対する意見も少なくありませんので、私どもはこれが当面の問題の解決策にはならないというふうに考えております。
○多田省吾君 次に、鉄鋼の問題でございますけれども、幸い日本はまだ何にもアメリカから具体的に要求されておりません。しかし、アメリカとECとの間には、すでにUSスチールのダンピング提訴がございまして、米欧貿易戦争という様相をきわめて深めているわけでございます。これが現在どのような進展になっているのか。また、今後日本にもこれが関係してくると考えているのか。また、わが国鉄鋼業界への影響をどう見ているのか、通産省にお伺いしておきたい。
○説明員(小川邦夫君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、三月二十一日にUSスチールがEC七カ国を相手取りましてダンピング提訴いたしまして、それとともにアメリカの商務省は、いままで二年間鉄鋼貿易の安定のために役立ってまいりましたトリガープライス制度というものを直ちに停止いたしました。こういう状態になりましたので、米欧間でいわば鉄鋼貿易戦争とも言うべき混乱事態のおそれもなしとしないわけでございますが、現在はアメリカ政府関係者あるいはEC関係者においてそれぞれ対応策を模索しておるところだと思います。今後、事態解決の努力が両者間で払われると考えられますので、当面これを見守っていく必要があると考えております。
 日本への影響でございますけれども、日本の鉄鋼業はトリガープライス制度が二年前に発足いたしました時点以後、数量的にも非常に落ちついた動きを示しておりますし、価格もコストを上回ったものであるということで、トリガープライス制度のもとに慎重な輸出態度を続けておりましたので、基本的には日本の対米輸出に関する限り余り問題はないとは考えられますが、非常にアメリカ鉄鋼業界がいら立ちを高めておる情勢下では、より一層慎重な輸出態度である必要があるというふうに考えておりまして、通産省といたしましても、日本の鉄鋼業界には一層慎重な輸出態度で臨むよう求めておりますし、業界におきましても、実際の商談においてそのような態度で臨んでおると承知しております。
○多田省吾君 次に、三つ目の問題といたしまして、電電公社の門戸開放の問題がまた再燃するおそれが多分にございます。また、ATT――米電信電話会社との関係がどうなっておるのか、これも外務省にお聞きしておきます。
○政府委員(羽澄光彦君) 電電の問題に関しましては、昨年の六月、当時の牛場大臣とストラウスの間に交わされました発表文の中におきまして、「相互の市場への進出機会に関し相互主義が適用されるべきである」ということが規定されております。ところが、先生御存じのとおりに、わが方は公社でございますがアメリカは完全な民営でございまして、しかもATT以外に千何百という非常に小さい独立の電話会社がございます。そこで、相互主義と申しましても、一体どういうふうにすればその相互主義を適用することができるかということで、まず日米間の専門家レベルにおきまして、相互の調達手続というものの実態を洗ったわけでございます。現在までに四回その会合が持たれましてほぼ実態は明らかになったわけでございますけれども、なお解明を要する点は若干残っております。
 なお、先日来、安川政府代表がワシントンに寄られました際にアスキューと、向こうのUSTRと電電の問題を含めまして話し合いが持たれましたけれども、これは交渉ということじゃございませんで、意見の交換といいますか、情報の交換というものでございます。
 それで、われわれといたしましては、今後そういった事務的な詰めを行いまして相互の調達の実態を解明し、それに基づいて相互主義がいかに実現し得るかということで解決を図ってまいりたいというように考えております。
○多田省吾君 次に、半導体の問題で通産省にお尋ねいたします。
 半導体の需要の急増で半導体戦争も一時下火になっておりますけれども、技術進歩の急展開と陳腐化している設備の更新の必要性、あるいは製造設備の巨大化の中で、アメリカの中小半導体専門メーカーというものは八〇年代を生き延びるのが非常に困難な状況になっているわけでございます。このようなさまざまな状況下のもとで、日本も関税率を米国並みに引き下げたり超LSI特許を公開するなど真剣に対応しているようではありますけれども、今後の半導体問題の見通しについてお伺いしたい。
○説明員(田中達雄君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、半導体の重要な部分でございます半導体集積回路につきましては世界的に需要が急速に拡大してございまして、その中でわが国の輸出も高い位置で伸び続けております。そのうち、主要な貿易相手国でありますアメリカとの関係を見てみますと、昨年一年間の実績でわが国からのアメリカへの輸出が五百十八億円、アメリカから日本へ入ってまいりますアメリカからの輸入が八百六億円という状況になってございます。
 それで、先生御指摘のアメリカの中小半導体メーカーといいますのは、主として西海岸の中心に集まっておりますアメリカ半導体製造業者協会というところに所属しております企業の方々で、従来から日本のマーケットの閉鎖性、それから政府の助成等々の理由を挙げまして、日本の輸出に対して批判を加えてきておりました。しかし、現在まで大体三回ほどアメリカで公聴会が開かれておりましたが、その過程におきまして逐次これらの企業の論点が変わってまいりまして、対日批判というよりはアメリカ政府に対する助成の要望というふうに変わってきております。
 ちなみに、本年一月にアメリカの上院の小委員会で行われました公聴会でも、アメリカ側企業の主張はそのように大きく変わってきております。もちろん、日米の半導体貿易の秩序ある関係というものを維持するために私どもといたしましても広く相互理解を機会を見ては促進し、また先方の批判のうちには一部誤解に基づくものも見られますので、そういう意味も兼ねて情報交換を頻繁に行い、今後の友好な関係を維持したいと、このように考えております。また、必要に応じ、関係国内業界に対し適切な指導も行っていきたいと考えております。
 以上です。
○多田省吾君 次に、大蔵省に最近の国際収支の問題でお尋ねしておきたいと思います。
 本年二月の経常収支も十二億四千万ドルの赤字となりまして、昭和五十四年度の累計赤字幅は百二十五億ドルと、政府見通しの百十三億ドルを早くも上回った結果になっております。大蔵省は今後の貿易収支、国際収支の動向についてどう考えているのか、まず見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) わが国の本年度の二月までの経常収支は、いまおっしゃったとおりの数字でございます。したがって、政府見通しを早くも一月前に上回ったということも御指摘のとおりであります。
 これは基本的には、輸出が過去の円高の影響がございまして伸び悩んだと、これが一つでございます。それから、輸入が石油等第一次産品の大幅な価格上昇や、内需が堅調なために急増したということ、これが二つであります。
 したがって、今後の見通しはどうかということになりますと、五十五年度につきましては、輸入面では原油価格の上昇等から輸入金額の増加は引き続き続くと思います。ただ、いまの傾向を見ますと、輸出の伸びが見込まれますことから、貿易収支は改善し、これに伴って経常収支は五十四年度に比べれば赤字幅が縮小していくというふうに見込んでおるところでございます。
 したがいまして、わが国経済のために国際収支の健全性の保持というのは非常に重要なことでございますので、政府といたしましても、今後国際的に調和のとれた収支の改善を図るように、不断の、そして着実な努力を続けていかなければならない、基本的にはそのように考えております。
○多田省吾君 大臣もおっしゃっているように、最近の国際収支の特徴というものを見ますと、大幅な赤字のドルベースということが一面にございます。それから、数量ベースにつきましては、輸出の好調な伸びで着実に収支改善に向かっているという二面が、同時に備わっていると思います。で、当然金額ベースの赤字解消を図るためには、輸出量をふやすということは、対外摩擦をまさに激化させるという、非常にきわめてむずかしい問題でございます。
 私は、今回のやはり円安動向とも絡んで、かじの取り方は非常にむずかしい。原油を初め第一次産品の輸入金額が非常に増大しておりますし、また昭和四十九年、五十年当時のいわゆる第一次オイルショックの状況を見ましても、今回と同じような経過をたどって、その後、いわゆるトリレンマ、もう成長もマイナスに向かうとか、大幅な国際収支の赤字幅とか、こういった苦難を経て初めて立ち直ったと、こういう状況もあるわけでございます。私は、現在非常にかじ取りがむずかしい。こういう状況において、こういった問題をどのように把握し、また対処していこうとしておられるのか、大臣にお伺いしたい。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘のとおりに、この国際収支につきましては、ドルベースと数量ベースでわが国は大変な食い違いが存在しておるわけであります。輸出につきましては、円安傾向というようなものを反映いたしまして、昨年の秋以後は数量的にも回復傾向を見せております。
 しかしながら、いま御指摘がありましたように、集中的にある国に、あるいはある地域にそういうような輸出の拡大というものが行われますと、これは御指摘のとおり、まさに経済摩擦を起こすということになるわけでございますので、したがって、秩序ある輸出ということに心がけておりますし、そうして輸出企業におかれましても、たびたびの試練の中に、そういう集中的輸出ということに対しては、非常に拡大を避けるという秩序ある輸出ということに心がけておるところでもございますので、そうして一方、経常収支はどんどん黒になっていくという状態ではございませんから、そういう意味からいえば、特に問題が生ずるというようなことはいま直ちには私はないと見ておるわけであります。
 したがって、いずれにいたしましても、国際的に調和のとれた秩序ある輸出というようなものを進めていかなければなりません。本当に従来の経験からすれば、あるときには貿易立国という言葉を使うこと自体で経済摩擦が生ずるというぐらいな時代もあったわけでございますから、それに対して政府の政策も、そしてまた、輸出企業の心構えも、いまは大変秩序あるという方向にございますので、いま直ちに大問題が起こるという情勢にはないではなかろうかというふうに思っております。
○多田省吾君 この問題は非常に簡単な問題ではございませんで、大変な問題を抱えておると思います。
 次に、いわゆる札幌ポルノ訴訟問題で御質問したいと思います。去る二十五日、札幌地裁で判決があったいわゆる札幌ポルノ訴訟でございますが、判決では関税定率法に定める輸入禁制品に当たるとして検査したということは、実質検閲に当たるので違憲であるとなっているわけでございます。新聞報道等では、大蔵省の関税局では控訴すると言われているようでありますが、大蔵省として今回の判決をどのように認識し、また今後どのように対処をされるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(米山武政君) わいせつ物に対する税関検査が検閲であり、憲法違反であるかどうかという点につきましては、従来からいろいろの学説もありましたし、今回の札幌地裁の判決では、いま委員御指摘のような判決になっておるわけでございます。ただ、これと同様な事件につきまして、すでに横浜地裁で争われまして、これは合憲であるというような判断をいただいておりますし、またその横浜地裁の判決を受けまして、被告側が東京高裁でその点について争ったわけでございますが、この東京高裁におきましても、これは現在の税関の検査は合憲であるという判断をいただいておるわけでございます。
 税関長が輸入の申告を受けまして、関税法六十七条の規定によって一般の貨物と同様な検査をする。この税額の確定なり、他の法令の規定による輸入の許可承認等が適正になされているかどうか、こういうものを検査する際、たまたまその中に二十一条に該当する物品を知覚し、この知覚に基づいて税関長が当人に通知する、こういう行為は、普通の輸入貨物に対する検査の過程でなされるものであって、これは検閲と解することはできないと、こういう判決をいただいておるわけでございます。
 大蔵省としても、従来からこういう主張をしてきているわけでございまして、今回の札幌地裁の違憲判決というのは承服できないわけでございまして、今後関係当局とも十分協議の上、控訴して争っていくという方向でございます。
○多田省吾君 いわゆる今回の札幌ポルノ訴訟における判決というものは、多くの問題があると思います。つまり、輸入禁止品を大量に輸入をし、これを頒布販売して組織暴力団の有力資金源になるというようなことは、社会的利益にも反しますし、当然関税定率法や刑法を適用すべきだという考えも強いようでございます。しかし、このようなケースと、今回の個人が輸入したというようなケースの場合は、明らかに社会的影響というものが異なってまいると思います。
 先ほど御答弁にもありましたように、学者の中にもこういった今回の札幌地裁の判決につきましては、非常に同調する向きも多いわけでございまして、私はやはり憲法の問題という大事な問題に絡みまして、関税定率法の適用につきましては、あくまでも慎重に取り扱うべきではないかと、このように思いますけれども、もう一度ひとつ関税局の見解をお聞きしておきたい。
○政府委員(米山武政君) この税関の輸入物品に対する検査、これが検閲に当たるということでありますと、憲法違反ということで大問題でございまして、私どもこの問題につきましては非常に慎重にしておりますし、現在関税定率法におきましても他の輸入禁制品とは違いまして、思想表現物に対しましては特別の取り扱いになっておるわけでございます。
 なお、委員のいまの御質問の中で、大量に販売目的で輸入される物は影響が大きいが、個人的使用の物というのは社会的影響はそれとは違うので、そうした面は取り扱いを変えたらどうであろうかというふうな趣旨のお言葉がございました。これは、札幌地裁の判決にも同様な内容の判示がされておるわけでございます。そういう考えようも一部あろうと思いますが、最近の海外旅行者というのは激増しておりまして、年間五百四十万人にも達しております。それからまた、通信販売というようなことで外国からの郵便物で送られてくる物も、年間に五千六百万個というふうな非常に膨大な数量になっておりまして、個人的使用であるかどうかということで、これを一切制限なしにした場合には、やはり大量なわいせつ物品が流布されるということになりまして、問題ではなかろうかと思っております。
 しかも、現行法では、この目的ということは一切書いてございません。そのもの自体の属性に基づいて、使用目的を問わず、そういうものに該当する物は輸入を禁止すると、こういうことになっております。そうした面から、やはり個人の携帯品であるならいいじゃないかという点につきましては問題があろうかと、こういうふうに考えております。
○多田省吾君 この問題に関しまして、法制局の意見を聞いておきたいと思います。
 関税定率法は明治の末期に制定され、戦前におきましても思想、言論の国家統制にも重要な役割りを果たしてきたわけでございます。検閲を禁止している現行憲法のもとでも、税関検閲ではないかと批判する憲法学者もかなり多いわけでございます。そういう状況下での今回の判決でございます。ですから、私はこの判決には多くの意味が含まれていると思います。法制局としては、今回の判決を含めまして、この税関検査と憲法の検閲禁止規定との関係についてどう考えているのか、その見解を伺っておきたい。
○政府委員(前田正道君) 憲法二十一条二項に言いますところの検閲と申しますのは、思想、感情あるいは主張を表現いたしました表現物を外部に公にいたします前に国家機関がその内容を審査いたしまして、妥当を欠くと思われるものがございましたときに、それを公にすることを禁止する行為を言うものと解されております。
 このような検閲の概念を前提にいたしまして、現在の関税定率法の規定につきまして結論として申し上げますと、私どもは関税定率法二十一条三項あるいは五項に行われておりますところの通知なり決定処分というものが、ただいま申し上げました意味での憲法に言う検閲には当たらないものというふうに考えております。
 その理由として申し上げますれば、先ほど関税局長の方から御説明がございましたけれども、関税法の第六十七条は、貨物を輸入しようとする者は、ちょっと飛ばしますが、必要な事項を申告し、貨物につき必要な検査を経なければならないという趣旨の規定を置いておりますけれども、これは貨物の輸入にとりまして税関手続の適正な処理を図るという関税法の趣旨にのっとりまして、貨物の検査が輸入手続にとりまして不可欠であるということに基づくものであると考えております。
 したがいまして、表現物でございましてもこの検査に服することにはなるわけでございますけれども、その検査はあくまでその貨物の種類でありますとか、あるいは数量、価格、こういったものにつきまして貨物一般に対して行われますところの検査として行われる検査である。したがいまして、その表現物につきまして示されました思想なり感情、こういったものの内容にまで立ち入って審査するものではない。そういたしまして、こういったような貨物一般について行われます検査の過程におきまして、たまたま関税定率法の二十一条一項三号の物品に該当するものがありました場合に、その旨の通知がなされるというのが、定率法の二十一条三項の規定に基づく通知であるというふうに考えております。こういったような税関検査の性質と通知の性質にかんがみまして、現在行われています税関検査なり通知が、冒頭に申し上げました意味での検閲には当たらないものというふうに理解をしております。
○多田省吾君 私は、まだかなりそこには問題があると思います。
 関税定率法に関連して最後の質問になりますが、東京ラウンドの問題で大蔵大臣に伺っておきたいと思います。
 このたびの東京ランドでは、大蔵大臣も結果として大きく前進したと自画自賛、評価されているようでございますが、この関税と貿易の問題は非常にむずかしい問題も含んでいると私は認識しております。そこで今度、対外経済摩擦の問題、特にわが国国内業者、特に第一次産業等に対する対策等もきわめてむずかしい問題が含まれているわけでございますが、そういった問題に対しまして、大蔵大臣としては今後どのようなお考えを持って対処するのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 基本的に、いまおっしゃいましたとおり、貿易と関税との問題はむずかしい問題だと。そのとおりであると思います。
 貿易自由化の原則というものは、まさに地球上に生存する人類が、安価にして良質なものをどこからでも持ってこれるというのが原則だと言われるわけでございますけれども、それぞれの国というものが存在して、その国のなかんずく第一次産品に対する利害という問題が避けて通れない。
 そこで、どのような点においてその調和をとっていくか、こういうことがどの国にもあることでございますが、なかんずくわが国の場合は、貿易立国といたしまして少しでも各国の保護主義圧力というものを防止していかなければならない、そうして自由貿易を維持し強化していくことが、すなわちわが国の利益になるという本来の必要性というものがあるわけでございます。また、貿易の拡大を行うことが消費者の利益にもつながるというふうに、基本的には考えられます。
 しかし、大原則として、御指摘になりましたとおり、他方におきまして、たとえば農水産業につきましては、食糧政策の持ついわゆる安全保障の大きな柱ではないか、こういう認識からいたしますならば、その適切な保護を図っていかなければならないということも、これはまさに基本的な物の考え方の中に置くべきものであると思います。いま一つは、特にわが国の産業構造の中に多くを占めております中小企業、国際競争力の弱い分野であります中小企業、これについてのまた配慮も、もとより必要なところであるわけであります。
 中小企業、農水産業等の問題と保護主義圧力をはね返していくという問題と、その兼ね合いをどこに適切に図っていくか。私は、よくその調和点をどこに求めるかという言葉を使っておるわけでございますが、そういうような観点から慎重な配慮を加えて基本的には交渉に当たられたというふうに、私が当たったわけじゃございませんが、とにかく長い間そういう基本的な考えに基づいて当たられたと思うのであります。
 したがってまた、今後につきましても、これらの産業の実情には十分配慮をしていかなければなりません。いろいろな手法はございますが、そのことはやはり大切なこととして、産業政策の基本に置いておかなければならない問題でもあろうと
 いうふうに理解をいたしておるところであります。
○多田省吾君 次に、税理士法の一部を改正する法律案につきまして、若干質問したいと思います。
 初めに、税理士の使命の中に、今回の改正案では「独立した公正な立場」とありますが、現行法の「中正な立場」とどのように違うのか。また、今回の改正案で言うところの「独立した公正な立場」というものは何からの独立であり、また何に対して公正なのか、まずお伺いしておきます。
○政府委員(福田幸弘君) 従来「中正な立場」がいかなる意味を持つものであるか、必ずしも明確でないという意見があったわけでありますが、中立公正という立場という意味に解されておったと思います。しかし、この中立という言葉は、納税者と税務当局との中間にあって、いずれの立場にも立たないという消極的な趣旨に解される懸念がありますけれども、本来、税理士は納税者の適正な納税義務の実現を図る上で、税務の専門家として特定の者の利害に偏しない独自の公正な判断に基づき活動すべきであるというその積極的な立場が明確でないので、今回の改正はその点を明らかにしたものであります。
 したがって、「独立」とは、税務官署、納税者を含むすべての特定の立場からの独立であるということであります。また、「公正」とは、租税法規及びその根底にある健全な社会的良識に照らして正しい判断に立つことを言うものであります。
 さらに敷衍しますと、「税務に関する専門家として、」というのが「独立した公正な立場」の上に書いてございます。したがって、税務に関する専門家としての専門的判断というものが一つございますし、さらに、その前に「、」が打ってありますので、それを切り離しても、それ自体一般的なこの独立公正な立場ということもあるというふうに、両面からこれは解釈すべきであります。
 さらに、「独立」をまた別の言い方としまして税務官署からの独立、それから依頼者からの独立、それからこれは自己の良心の独立を意味するという、こう三者の独立を意味するというふうに言われる場合があります。この独立は、自由職業人の本来の性格を示すものであります。この依頼者との関係は、本来代理関係で民法上できていますが、憲法上の納税義務ということから、この第一条の制約がかかるわけであります。独立というものはその立場を意味するわけでありますが、それを今度は公正というふうに社会的な価値判断がそこに加わるということであろうと思います。これは適正な納税義務の実現という租税法律主義の憲法規定からくる趣旨を明確にしたということが、この「独立した公正の立場」の解釈でございます。
○多田省吾君 いま御答弁がありましたように、現行法の「中正」という意味はいままで必ずしも明確でなかった。しかし、中立プラス公正ということのようにも思われるというような答弁があったわけでございまして、どちらかの側につけば第一条の違反というようなことも言われたのではないか。しかし、今回の改正案では、従来のように結果として中立であったかどうかに関係なく、税理士の方が独自の判断で、独自の立場で行動すれば第一条違反にはならないんだ、このように理解してよろしいのかどうか。
○政府委員(福田幸弘君) 税理士制度の第一義的な意味は、納税義務の適正な実現にあるということでありまして、そのために税理士は納税者の委嘱を受けて職務を果たしていくその立場と申しますのは、委嘱者の立場とは全く重複するような形ではなく、税務会計専門家として、見識ある独自の判断を加えるということで把握される必要があるかと思います。
 したがって、現行法においても税理士が「税務に関する専門家として」の独立した立場での判断に基づいてのものであれば、その結果いかんによって第一条違反になるわけではありませんが、改正案においては、この点がさらに明らかになったものと考えます。
 さらに敷衍しますと、一条違反というふうに考える問題よりは、これは使命として考える性格のものであろうかと思います。また、結果で判断するということよりも、その立場そのもののあり方というふうに把握する方が意味があろうかと思います。先ほど申しましたように「中正」という言い方は消極的、またあいまいな感じがございましたのを、「独立」という言い方で積極的役割り、すなわち「専門家」としての判断の自主性を強調したということであります。
 したがって、結果的に適正な結果をもたらすよう「専門家」としての公正な独自の判断をするということがこの「使命」の意味でありまして、この第一条の趣旨をさらに明確にしたというふうに考えるわけであります。
○多田省吾君 次に、「税務に関する専門家」とありますけれども、この「税務」の定義がはっきりしていないように思われます。ここで言う「税務」というものは行政事務の立場なのか、あるいは納税に伴うすべてを言うのか、お伺いいたします。
○政府委員(福田幸弘君) ここでの「税務」と申しますのは、租税に関する事務を総称するものでありまして、納税者の適正な納税義務の実現を図るため納税者の援助を行うという、税理士の専門的な立場をあらわしたものでありますので、御指摘の後段の納税に伴うすべてのものと、広い意味に解すべきであろうと思います。
 さらに敷衍しますと、ここは「税務に関する専門家」と、「税務に関する」という言葉をつけましたのは、ただ専門家だけでございますと、他の職域との関係で行政書士、公認会計士等の専門家との区分の問題が必要になりますので、「税務に関する」というのが形容詞としてついたわけであります。すなわち、他の職域との関係で、この「税務に関する」というのがついております。
 それから「税務」という際に、税法の専門家であるということがございますが、税法だけの専門ということよりも、「税務」ということはプラクティス、すなわち実務面、経験面のまた専門家であるということを期待しておるわけでありまして、税理士の行政当局との折衝という事実行為が大きな部分を占めています際に、この税務という言い方は広く行政面、さらに行政以外の民間におけるいろいろな申告に際する相談というものもございますので、行政に限らず、広く税務という意味は納税に関する事務の総称というふうに解する方が適当であろうかと思います。
 さらに、その範囲を法的に言いますと、第二条の業務の範囲にまた限定されるという問題もございます。
○多田省吾君 いわゆる日税連の要望書と申しますか、初めの方の基本要綱には納税者の権利擁護がうたわれていた。しかし、今回の改正ではこうした文言がないことから、初めの考え方と比べて大幅な後退ではないかという意見もあるわけでございます。今回の改正で「税理士の使命」が明確にされたと言われておりますけれども、いわゆる行政上の立場とそれから司法上の立場からの解釈の違いがあるのではないかと思われますが、これはどのように考えておりますか。
○政府委員(福田幸弘君) 先ほども申しましたように、今回の第一条の「使命」の明確化されました点は、税理士の税務会計、税務の専門家という地位の明確化にございまして、それは適正な納税義務の実現を図るということであります。適正な納税義務を実現するということの中に、委嘱者の立場から言えば、その権利が守られるということを含めておりまして、適正な納税義務の実現というのは、過大な課税をしてはいけない、また過少な課税もしてはいけないという意味がございますので、その中に権利の擁護は当然に入りますが、それはそれ自体、権利の擁護というよりも適正な納税義務という憲法上の納税義務、さらに憲法による租税法律主義の執行という中で実現されるべきものであると考えるわけであります。
 さらに、権利の擁護という言葉を使います際に、その権利とは一体何かという問題が法律論としてまず出ます。第二点として、権利の侵害ということは、司法の場合のように原告、被告ということで、さらにその上に裁判官があるという構成を考えるわけになりますが、この税務の場合には、そういうことではない行政問題でありますので、まず権利の侵害から始まるという立場はとれない、こう考えるわけであります。
 したがって、繰り返しになりますが、租税法律主義に基づき税法を適正に執行するという立場、さらに憲法上の納税義務を適正に果たすということ、この両面がございまして、そういう意味で通常のこれは行政であり、また国民の通常の正常な義務の問題でございまして、権利の侵害ということを前提にした権利の擁護の考え方は適当でないと考えます。
○多田省吾君 大体お答えがあったと思いますが、私は納税者の権利擁護ということは非常に大事な問題でございますので、もう一回お尋ねしておきますけれども、「税理士の使命」の中にも、私は税理士は依頼者から報酬を受けて業務を行うのでありますから、納税者の不利益との関係でいろいろな問題が起ころうと思います。こういう納税者の権利擁護というものが具体的にどう守られるのか、お伺いしておきたいと思います。
 この場合の権利擁護という問題は、裁判上のいわゆる司法的な立場と私ははっきり違うと思いますが、その点も重ねてお伺いしておきたい。
○政府委員(福田幸弘君) いま御指摘のとおり、司法の場合とは違うということでございまして、適正な納税義務の実現ということの中に、委嘱者の御指摘のようなこれは権利というよりも利益の擁護ということであろうかと思いますが、それを果たすと、それが委嘱者の信頼にこたえるということになろうかと思います。
 いずれにしろ、この第一条の前提には代理関係、民法上の代理を基礎にした関係がございますので、それを第一条が納税という特殊な公共的な問題でありますので、ここで「使命」という観点から、その代理関係をさらにチェックしておるというか、規制がかかっておるというふうに解釈しておるわけでございます。
 そういうことで、さらにこれが納税者の権利というそのものの問題になってきますればこれは司法面の問題に移行する、司法面自体の問題として取り扱われる問題が別途あるということで、行政の範囲においては適正な納税義務を実現するということの中に含まれると、こう考えます。
 以上であります。
○多田省吾君 次に、税理士の業務と職域の問題でありますが、今度の改正案では従来のいわゆる限定列挙主義から今回は包括主義になったと言われておりますが、これは当局では税理士の職域の拡大と理解しているのですか。
○政府委員(福田幸弘君) これは全税目になりましたのは、税理士が税務の専門家であるということから出たわけでありまして、税理士業務の対象となる税目が包括主義になったということで、一般化されましたものということはその意味で税理士の職域の拡大であるというふうに考えます。また、これは国民の側から見ますと、税という自分の非常に重大な問題でありますので、それを税の専門家に依頼するという意味におきましても、国民にとりましてもこの包括主義というのは有益であるというふうに考えます。
○多田省吾君 いまのお答えのように、いわゆる職域の拡大と考えますと、また一つ問題があるわけでございます。つまり、特に除外された租税のほかはすべての租税について業務ができるということで、いわゆる今回の改正が一般消費税導入のための地ならしであるという見方もあるわけでございます。一般消費税との関連について今回の改正がどういうものか、明確にひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) 今回の税理士法改正において、税理士業務の対象となる税目が拡大されておりますのは、いま申しましたように、税理士の税務に関する専門家としての地位を明らかにしたということからくるわけであります。また、申し上げましたように、税務について専門的な援助を受けるという納税者の見地から見て税目の拡大が必要であるというふうに考えたわけでありまして、一方、従来申告納税が拡大されまして、間接税に及んでおるということを考慮したものであります。
 で、これは法技術論になりますが、一般消費税が導入された場合に、これは仮定の問題でございますが、法律技術の問題でありますが、これを税理士業務の対象税目とするのに税理士法改正をこういう形でやる必要はないわけでありまして、これは本当に仮定の問題でありますが、一般消費税法案の附則で税理士法の一部改正を行うことも技術的にできます。さらに、現行税理士法の政令改正というものがございますので、これでも対応できるわけでありまして、そのためにいまの段階で税理士法改正をしておくと、こういう形で全税目に及ぶという改正を期する必要がございませんので、先ほど申しましたように、この税理士法の合理化、税理士の専門的な立場と国民の便益及び間接税にすでに及んでおる申告納税という現状を踏まえた合理的なこれは改正で、全く一般消費税の導入のためではないと、こういうふうに明確に申し上げられます。
 なお、三十八年十二月の税制調査会答申で、これは対象税目を原則として全税目にするのが適当であるという答申がすでに三十八年十二月にあるわけでありまして、これはいまのような事由からでございます。また、その当時その問題はなかったわけでございます。三十九年の改正法案にも全税目というふうに書かれておりまして、全くその因果関係はないというふうにお答え申し上げます。
○多田省吾君 次に、この改正案の第二条第一項一号に「代理し、又は代行」とありますが、代理と代行の違いについてお伺いします。
○政府委員(福田幸弘君) 代理とは代理人が本人にかわって意思表示をし、または意思表示を思量し、その法律効果が直接本人に帰属する関係を言うのでございまして、本来、法律行為の場合について用いられる概念と考えます。他方、代行と申しますのは、上述のいま申し上げました代理のみならず、本人にかわって事実行為をすることも含むものと解釈します。
○多田省吾君 現行法では、代行というものが税理士の業務から除かれていると理解をしておりますけれども、現行法では税理士以外の人が納税者の事実行為をかわって行っても税理士法違反にならないと思いますけれども、今回の改正では「代理し、又は代行」となったわけでありますから、これは税理士の業務が拡大された、また税理士以外の者が代行したら違反になるということになるのか、その辺の関係を、ひとつ現行法とそれから改正案と二つに分けてそれぞれひとつおっしゃってください。
○政府委員(福田幸弘君) 税務代理の範囲につきましては、従来から事実行為の代行を含む趣旨に解してきております。しかし、代理という言葉が通常法律行為の場合について用いられる用語でございますので、今回の改正では、税理士業務の範囲の明確化を図るという見地から代理し、代行としたものでございまして、実質的には税務代理の範囲を拡大したものではございません。
○多田省吾君 そうしますと、この改正案でも、税理士以外の者が納税者の事実行為をかわって行っても、この場合は違反になるんですか、ならないんですか。
○政府委員(福田幸弘君) その内容が第二条に該当するかいかんによります。この条文の中に「申告等」、さらにその「申告等」に関しまして税務署が行います調査もしくは処分について、税務当局に対して主張もしくは陳述をいたします。これは「申告等」、こういう言葉と「主張若しくは陳述」という、この二つの概念につきまして代理と代行ということがあるわけであります。
 事実の問題というのが「主張若しくは陳述」のところは事実行為でございます。で、その「主張若しくは陳述」にかかわるものが事実行為でございますので、その事実行為が主張、陳述に該当する限りこの代行という概念に入りますので、それは事実行為の内容によりますけれども、「主張若しくは陳述」にかかわる限りは代行ということで、この税理士業務に該当いたします。ただ、判断する基準は、具体的な納税者の納税義務に関して、納税者に専門的な立場から援助を要するという基準でそこは判断すべき問題でございます。
○多田省吾君 この第二条の解釈というものは、税理士業務の拡大、またそれに違反すれば処罰ということになるわけでありますので、この規定の解釈というものが一般国民の権利の問題にかかわることでもありますから、私は念のために再度この第二条第一項第一号の法文の読み方について、もう少し具体的に例を挙げてひとつ読み方をはっきりおっしゃっていただきたい。
○政府委員(福田幸弘君) 税務代理の範囲につきましては、もう一度繰り返しでございますが、もう一回明確にしますと、従来から事実行為の代行も含む趣旨に解してきたのでありますが、代理が通常法律行為の場合について用いられる用語でございますので、今回の改正では、税理士業務の範囲の明確化を図るという見地から、「代理し、又は代行」としたものでございまして、これは変わらないというのがまず一つでございます。
 次は、もう少し技術論に入りますが、「申告等」につき、またはさっき申しました主張、陳述につき、代理、代行するという規定は、税理士に独占権を与える趣旨がございますので、納税者の具体的な租税債務の確定に際して、先ほど申しました専門的見地から援助をする必要があるという観点から判断すべきでありまして、具体的に申しますと、まず「申告等」というものは通常は法律行為でございますので、代理となることが一般であります。次に、「主張」につきましては、通常は事実行為でございますので、代行となる場合が通常であります。それから「陳述」につきましては、租税債務に関する場合はその代行ということになります。
 問題は、事実の説明の問題であろうかと思います。事実の説明で単なる事実の説明の代行、これは事実行為ですからその代行で具体的な納税義務に影響がないようなものがどうなるかという問題になりますが、これは先ほどのような納税義務者の具体的な債務に関するものであって、その援助を要するような事実の説明の場合、これは代行として独占業務に入りますが、それ以外のもの、単なる事実そのものの説明にとどまるというものであればこれは独占業務に入りませんが、実際は事実の説明が主張に移っていきますので、全体的にはこの第二条の独占の範囲に通常は入っておって、そこを切り離すことはなかなかむずかしいかと思います。単なる計数だけの説明に終わらないで、それから次に主張に移りますので、そこのところはその事例が全体としてどういうものであるかという判断を要するというふうに考えます。
○多田省吾君 次に、大変問題になっております「助言義務」の規定でございますが、この「助言義務」の規定の性質、これが法規範なのか倫理規定なのか、まずお伺いしたいわけでございますが、いろいろこれには学者の説も違うようでございます。その辺を、ひとつ詳しく明確にお述べになっていただきたい。
○政府委員(福田幸弘君) 最初に結論だけを申しますと、法規範であるということであります。
 内容に入りますと、税理士がその業務を執行していくに当たりまして、委嘱者たる納税者が脱税を行っている事実、それから脱税等の意図を持って、二重帳簿の作成や架名取引を行っている事実があることを知っているにもかかわらずこれを看過するということは、第一条にございます適正な納税義務の実現に資するという趣旨に反しまして、また社会的にも許されることではなくて、まして税務の専門家としての立場から言えば、その助言をしてそれを直すということは、依頼者との代理関係からいっても、その依頼者の地位をむしろ保護するということであるわけです。もしこれが問題になった場合、重加算税その他の脱税犯の訴追は依頼者が受けるわけでありますから、そういう意味で、そこでアドバイスするということは必要な、またこれは代理及び専門家たる見識からいって当然のことであろうと思います。
 今回の改正は、こうした税理士の社会的責任を法律の規定で明らかにしようとするものでありまして、それ自体やはり法規範であるということは、法律に書いてある以上やむを得ないことであります。また、言うまでもないことであります。法規範という意味が強制力を伴う法規であるという意味であれば、法規定に違反した場合には、税理士法四十六条の「一般の懲戒」の規定に該当しまして、大蔵大臣は懲戒処分することができますので、この規定は、強制力を伴うという意味では法規範であるということは法形式的には申し上げられます。
 しかしながら、「助言義務」に違反したからといって常に懲戒処分が行われるというわけでもございませんで、また懲戒処分を行おうとする場合には、新たに今度は税理士審査会というものができまして、この税理士審査会の議決に基づく必要があるということでありますので、懲戒権の乱用ということは考えられない、こう考えます。
 なお、脱税や仮装、隠蔽の事実を知りながら税理士業務を続けていく場合には、注意しましてそれでやめることを期待しますので、九〇%以上は善良な国民の判断からいけばやめます。そういう予防的な意味がありますが、これを知りながら税理士が仕事を続けていくということになりますと、脱税相談の禁止あるいは不真正税務書類の作成禁止の違反の方にかかります。流れとしてはそっちの方に移っていきますので、そっちの方の脱税相談等の重い懲戒処分、これは営業の禁止まで入りますが、重い懲戒処分、さらに刑事罰、これは懲役、罰金が入りますが、その対象となるわけでございます。しかし、この「助言義務」違反自体は、これは一般の法令違反でございますので、どの業法でもその法令違反の場合には懲戒処分があるということの令文をただここで受けるだけでございまして、積極的な懲戒処分の目的でないということは、法律構成上そうなっておるわけであります。
 したがって、単なる「助言義務」違反により懲戒処分が問題になりますのは、これは非常に例外的な場合でありますが、脱税等の事実を知って、そして助言をしませんが、しかし、その脱税の事実を知ったことによって税理士業務をもう打ち切っちゃったということ、税理士業務を続けますと、先ほどのように脱税相談もしくは不真正税務書類の作成に移りますが、それを知って、しかし注意はしなくて、その仕事はしかし手を切ってしまったという場合が考えられるのであります。
 そのように、この場合は非常に例外的でありますし、そこで責めを追及するかとなれば、当然そこには常識的にそういう事態ではないと思いますし、また、その場合において懲戒処分を問題にすることは、法律的にといいますか、実際に起きますのはそういう脱税相談、不真正の方の問題でありまして、後はその注意によってやめるわけでありますから、いまのような非常にレアなケースについて懲戒処分という事例は考えられない、また慎重にそこは運用上も対処すべき問題である、こう考えます。
 いずれにしろ、その規定自体は倫理的な性格を持っておりますが、法規範であることはそれは法規範である、しかし、倫理的なモラルを基礎にした法規範であるということでございます。
○多田省吾君 私は、むしろこの「助言義務」の規定を読みますと、倫理的規定がきわめて強いと考えておりますけれども、その点についてもう一回お伺いいたしたいし、また、このような改正案で非常に反対の強い「助言義務」の規定を設けなければならなかった背景というものがどういうものか、お伺いしておきたい。
○政府委員(高橋元君) 税理士法の中に、第三十七条をたとえば取り出しますと、「税理士は、税理士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。」、いわゆる品位保持規定と申しますか、信用失墜行為の禁止という規定もございます。これはごく一般に、税理士が税理士に期待される社会的な職能を営んで、社会的な信用を維持していかなければならないという趣旨の規定でございます。
 先ほど審議官からお答えを申し上げておりましたように、法規範であるかどうかということだけを取り上げてのお尋ねでございますから、それはまさに法規的な効力があるわけで、それは信用失墜行為の禁止と同じような法律上の条文ではございますけれども、審議官のお答えの中の末尾の方で申し上げておりましたように、これは懲戒を目的とするための規定ではございませんので、税理士の皆さん方が、期待されておる社会的な責任を果たしていかれる、また、依頼者との関係で相互信頼に立って適正な依頼者の納税義務の実現に努められる、そのための専門的な助言者である、そういうことからして置かれております規定で、そういう意味で「助言義務」の規定を設けたことは、税理士さんの社会的な地位と信用というものを高めていくための趣旨であります。決して法規範であるということだけをもって、直ちに四十六条の違反が一般懲戒に当たるという趣旨で入れたわけではございません。
○多田省吾君 私は、今回の改正案の「助言義務」の中に、すなわち第四十一条の三項に「不正に」云々と「不正」という規定がありますけれども、との「不正」という概念について、具体的にどういうものか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) 四十一条の三に「委嘱者が不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れている事実、不正に国税若しくは地方税の還付を受けている事実」という場合の「不正」の意味でございます。
 この「不正」につきましては、重過失さらに過失まで含むのか、故意の場合であるかという御指摘、御疑問かと思いますが、これはこの不正に国税を免れた事実ということを判断しますには、客観的な証明を要しますし、またそれだけのきちっとした構成要件を要しますという意味から考えますと、これは故意というふうに考えるのが適切であろうかと思います。あと後段の方で「事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮装している事実があることを知ったとき」、これはまだ税を免れている事実ではございませんで、それに至る過程の程度をここで「事実の全部若しくは一部を」隠蔽、仮装という言い方をいたしていますのは、これは明らかに脱税を意図したという客観的な状況を意味しておる、そういう構成要件でありますので、これは明らかに故意を前提にしたもので、そういう後段の解釈からいきましても、前段にあります不正に税を免れている事実というのは、そういう状況から発生した故意の脱税を意味するというふうに考えるわけであります。
○多田省吾君 この「助言義務」の規定というものが非常に重大でございますので、私は念のためにもう一回お尋ねしておきますが、どのような場合に「助言義務」違反で制裁があるのか、具体的にもう一回お答えしていただきたいし、それからもう一点は、この「助言義務」の規定というものが税理士の社会的責任を明らかにする倫理的規定であるから税理士に対する処分自体を目的とするものではないと、こういうお答えもあったわけでございます。
 ですから私は、やはり税理士と納税者の地位というものを不当に損なうことのないように、この「助言義務」違反にかかわる懲戒処分の取り扱いに当たってはきわめて慎重にも慎重を期さなければならないと思いますけれども、この点はどう考えているのか、この二点をもう一度お尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 先ほどもお答えをしまして重複にわたるかもしれませんが、この規定だけに該当をして一般税理士法違反に問われるという場合はきわめてまれだと思います。
 大体、その「助言義務」があります場合に助言をしませんで、その税理士さんが引き続き依頼者の仮装、隠蔽、不正、脱税と、こういうことに関与していかれれば、それは三十六条に違反いたしました脱税相談ないし不真正の税務書類の作成ということに該当すると思います。助言が有効に働いて、先ほども私お答えいたしましたように、社会的な責任を明らかにする、税理士さんの信用を高めていく、そういう趣旨が達成される場合がほとんどでございましょうから、そういう場合には全く問題はないわけであります。
 それで、ごくまれなケースとして、これは審議官からも申し上げましたように、事実を知って助言をしなかった、しかしその不正等の事実に関連してそれ以後税理士業務をやめられたという場合が一般懲戒に当たる唯一のケースだと思いますけれども、そういう場合は税理士さんの違反の責めを問うという状況にはないというふうに考えます。それから、仮にその責めを問おうというようなケースが全くないかどうかわかりませんが、そういう場合であっても、委嘱者の不正の事実等を知っていたか否かの立証責任は当局側にあるわけでございまして、いまもお答えをしておりますように、そういう懲戒処分を問題にするということにつきましては、運用上もきわめて慎重を要する、これはまさに仰せのとおりに私どもも考えておるわけであります。
 繰り返して申し上げるようでございますが、この四十一条の三という御提案申し上げております条文は、税理士さんの社会的責任を明らかにするまあ倫理的な趣旨の規定でございます。税理士に対する処分自体を目的とするものではございませんので、「助言義務」違反にかかる懲戒処分の取り扱いに当たっては、税理士と納税者の地位を不当に損なうことのないよう慎重を期してまいりたい。これはもう私ども先ほど来お答えしておりますことを要約すると、ただいま申し上げたようなことになるわけでございます。
○佐藤昭夫君 本日、一括審議の案件となっています法案の一つ、税理士法改正案について、わが党としては断固として反対であり、しかも、この法案の促進過程において日税連、税政連の政治献金の問題があり、重大な疑惑があることを他委員会においてたびたび質問をしてまいりました。
   〔理事細川護煕君退席、理事中村太郎君着席〕
少なくとも検察当局の調べの白黒がはっきりするまで審議を凍結すべきこと、予算にも関係がなく、日切れ法案でもないものを何ら急ぐ必要がない、こういうことを私も繰り返し主張してきたのでありますが、残念ながら一昨日の委員会で多数決をもって一括審議入りが決められました。
 そこで、私としてはただすべき問題が山ほどあるわけでありますが、本日は時間の制約もありますので、この税理士法改正案については後日に徹底して質問することを冒頭に表明をしておきまして、きょうは関税定率法改正案を中心に幾つかの問題をお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、引き上げの早期実施措置にかかわる問題ということで、こうした措置を実施することになった背景に、アメリカやECからの強い要請があったということは、たびたびいろんな形で指摘をされておる問題でありますけれども、「貿易と関税」という雑誌がございますが、七九年の六月号に歴代関税局長の座談会、そこで前関税局長の副島さんがこういう発言をされております。貿易収支の黒字という短期的な問題と、関税引き下げという長期的な問題を不当に関連させて譲歩を強いられた。こういう発言も現に行われておるわけでありますけれども、早期実施措置をとらざるを得ない要因となった前回の前倒し引き下げのときにも、黒字減らしと引っかけてアメリカなどからの強い圧力があったのではないかということが問題になったと思いますが、今回のこの措置について、アメリカからの圧力をどのように一体とらえているのか、まずお聞きをしたいと思います。
○政府委員(米山武政君) 今度の譲許は、わが国の関税率が実行税率を張っているものが多うございまして、現在の譲許税率より実行税率が低いという実情から、今度新たな譲許税率だけやりましても、数年間は実際にほとんど引き下げの効果がないという事実につきまして、アメリカ、EC等から、妥結したその年から実際にそれが働くように、動くようにしてほしいという強い要請があったことは事実であります。そして、それはなぜかと申しますと、日本は対米、対EC等に対して大きな黒字を持っているから、少しでもその黒字を減らすために早期実施をしてほしいと、こういう要請があったわけです。
 私どもは、そうした要請もわかりますが、ただそれだけでなくて、やはり保護主義の高まりを防遇するというのがわが国の大きな国益になるという判断から、そうした要請を踏まえる一方、わが国の独自の立場から、自主的な措置として今回の早期実施という措置をとるということを内外に表明したわけでございます。
○佐藤昭夫君 わが国のいわゆる黒字問題をとらえてのアメリカからの強い要請はあった、しかし、わが国の自主的な措置としてこういう方向をとるんだという答弁でありますけれども、そこで、実際にこの黒字なるものをどういうふうに把握をするのかということの一つの判断資料として、衆議院の大蔵委員会に大蔵省、通産省から「日米投資関係資料」という、こういうものが出されております。
 これを私、ちょっと見てみたんですけれども、ここで掲げられております数字、一つはわが国における米国を母国とする外資系企業の売上高は七七年度七兆五千四百八十億円、一方、日本企業で北アメリカに進出している現地企業の売上高は七七年度で十一兆九千二百七十八億円、こういう数字を並べて、いかにも日本がいま急速にアメリカに進出しているんだということを浮き出させる数字が挙げられているわけであります。しかし、この数字を分析をいたしますと、大変な矛盾があると思うんです。
 最初の、わが国におけるアメリカを母国籍とする外資系企業のこの売上高、これをどういうふうに調査をしたかといえば、通産省の外資系企業動向調査という、そこから引用をされておるわけですけれども、「本調査の対象企業は、我が国内に存在する外資比率二五%以上の会社であつて、外資が経営参加を目的として株式を取得しているもの」という形でとる。一方、日本の企業が北米に進出をしておるその現地企業の売上高、これをはじき出してくる根拠は、「本調査の対象企業は、本社企業の出資比率が二五%以上のものの他、二五%以下であっても、役員の派遣、製造抜術の提携、その他永続的な経済関係の樹立のいずれかがともなうもの」だということで、把握をする対象が全く範囲の違うものを、ここから数字を拾い上げて、いかにもいま日本がアメリカへがあっと進出していることを印象づけようかとするような、こういう資料が出されておるということは、これは非常にずさんな資料だということでは済まない問題だと思いますし、同時に、この数字、企業の中には当然商業系が含まれておることと思いますけれども、たとえば私この種本になっておるこれから拾い出して数字を出してみたら、製造業について言いますと、わが国におけるアメリカ系企業がどれだけの売上高を持っているかというと、製造業について言えば五兆七千三百十五億四千二百万、日本の企業でアメリカへ進出をしておるこれについて同様の製造業の数字を拾い出してみますと一兆七千百九十八億五千五百万、これは私がかってに出した数字じゃなくて、ここへ出てきますから、こういうことになる。
 明らかに、この数字をとれば、わが国におけるアメリカの製造業系列の企業の売上高がうんと多いという、この全く際立った逆の数字の対比になるということは明瞭だと思うんですけれども、一つは、なぜこんな資料でおつくりになったこれで、いわゆる黒字云々をどう把握するかという問題についての適切な資料とお考えになっているかどうか、まずその点お伺いしたい。
○政府委員(米山武政君) この資料は、衆議院の大蔵委員会におきます関税定率法等の質疑の過程におきましていろいろ御質問がありまして、とにかくいま手持ちにある資料でもいいからこの委員会が開催中に出してほしいと、こういう要請がごさいました。それで私どもも非常に急ぐということと、手持ち資料が非常に限られているという、そういう前提でよろしゅうございますかということで、その前提を了承していただきまして出したものでございます。したがいまして、いまの比較する場合でも、アメリカが日本で活動している企業、それから日本が北米で活躍している企業、それぞれ出した調査が違ったものから出したりしておりますのでそうした食い違いもあると思いますが、大きな傾向をつかむものとして出したものでございます。
 現在こういう投資の関係を見る資料としては、通産省と相談しましたところ、これしかないということで、それをもとにしてとりあえず出したものでございます。
○佐藤昭夫君 つくろうと思えば――これしかないということで、このアメリカからの要請と称するいろんな圧力に対して、一体どうやって日本の民族的利益を守りつつ適切な対処をしていくかという点で、果たして説得力のある対応を政府はやっているのかというふうに私疑わざるを得ないわけです。私、つくろうと思ったらできるんじゃないか。この出資比率二五%以上にそれぞれ対象を限定をして数字的な比率を出すということが、果たしてできないものかというふうに思うわけでありますけれども、どうですか、それは出ませんか。
○政府委員(米山武政君) やはり比較する場合には、御指摘のように、同じものを比較するというのがこれは当然でございますが、そうした配慮をしながら何とかできないかと、こういうことで通産省と相談したのですが、現在手持ちの資料ではできるのはここまでだということでございました。
○佐藤昭夫君 ここまでしかできないというのは、もういまも申しましたような理由でどうでしょうか。アメリカからのいろんな圧力がかかってくる、その際に、日本の黒字というこのことをとらえて、現象をとらえていろいろ圧力がかかってくる、それに有効に適切にどう対処をしていくかということについて、出資比率二五%以上、ここの部分について、製造業についてということで数字を出すことはできないんですか。
○国務大臣(竹下登君) できるかできぬかよくわかりません、私は。対米交渉、私も官房長官時代に何度かお供をしたことがありますが、そういうような場合に、トーキングペーパー等準備するに当たってはかなりの資料が整えられておるという事実認識はございますけれども、この問題について私もうかつに、本当は衆議院でこれを出したことを知らなかったのでございますが、いま見て、調査の仕方としてはこれは一つの仕方だなと、こういう感じがしておりますけれども、もとより、いろいろな努力をすれば、調査のテーマを変えてやればそれなりのものはそれは出てくるのではないかなという感じがするだけでございまして、私自身正確なお答えをする自信はございません。
○佐藤昭夫君 いずれにしましても、私はできるはずだ、ものだというふうに思うんですけれども、局長並びに大臣は非常にあいまいな答弁を繰り返しておられますけれども、やはりそこらあたりに今日のアメリカの不当な攻撃に屈服をしていく政府の姿勢が如実にあらわれているんじゃないかというふうに感ぜざるを得ません。
 そこで、衆議院で答弁をなさっているわけですが、この黒字という問題に関連をして、いわゆる日本の競争力という点を頭に置いた場合には、決してわが国がこれを引き下げ過ぎ、こういうふうには考えていないというふうに局長が答弁されておる。この競争力を考える場合に、主として独占大企業で競争力をつけていく。これはもういろいろな委員会で今日まで議論をされてきている問題だと思いますけれども、特に自動車とか家電とか、こういう独占大企業の輸出の急増が貿易収支の黒字の主たる要因であったことは明らかになってきていると思うんです。
 ところで、大企業は、いろんなところで発言がありますが、たとえ関税がゼロになっても、いまや日本の力はついてきたと、耐え得る力を持っているという発言がされているわけですけれども、その競争力なるものはいわゆる減量経営による労働者への犠牲の押しつけ、下請中小企業の犠牲の上に成り立ってきたものではないか。
 端的な例で、予算委員会でもわが党が問題にいたしましたようなトヨタにおけるかんばん方式、この点に特徴的なあらわれが出ておるというふうに思うわけですけれども、こうした中小企業や労働者の犠牲の上に成り立っている今日の国際競争力、そこからの貿易黒字、それを今度は理由にしてさらに関税切り下げをやると。そうすると、さらに今度は、また再び中小企業へのさらなる犠牲の押しつけに進んでいく、こういうパターンになっていくんじゃないか。どうしてもこの点のパターンの転換を図る必要があるのじゃないかというふうに私切に思うんですが、大臣の御見解はどうですか。
   〔理事中村太郎君退席、委員長着席〕
○国務大臣(竹下登君) まあ振り返ってみますと、私は通商産業省の政務次官を半年ほどやっておったことがございますが、当時昭和三十九年でございますか、その際、いかにして自動車産業が国際競争力をつけるかというような形で開発銀行融資等によりまして政策金融をやったと、そういう政策的てこ入れというものが、国際競争力を強めていった一つの背景であったと私は思います。
 それといま一つは、私はたとえば今度のアメリカとの自動車のお話のときに、外務大臣等が絶えず申されるように、私自身も申したことがございますけれども、いわゆる省エネ、小型自動車の開発努力自体をあなた方は怠っておったではないかと、こういうことを主張しておるのでありますが、その努力というものがやはり日本にはあったのだと思います。そうして労働者の犠牲とおっしゃいますが、確かに労働生産性の向上という面においては、アメリカよりもはるかにそれは確かに高うございます。それは労働者の犠牲ということじゃなくして、日本民族が労使の協調の中にすぐれた能力があったというふうに、私はこれは理解すべきではないかと思っておるところであります。
 そこで、自動車産業を例にとって、いわゆる一般中小企業とは別として、下請の系列のものと系列でないものとございますが、下請に対するしわ寄せというものに対する御批判もございましたが、この自動車の部品工業会というようなところへも、ある時期にはいわゆる政策金融というものがなされて体質が大変強化されておった。したがって、まさに親が子に対して犠牲を強いるという形ではなく、私はこの自動車については、小型自動車についてはなかんずく国際競争力ができてきたというふうに思うわけであります。
 そこで、今度は一般論としての関税、いわゆる東京ラウンド交渉の問題等の際の対応の仕方としては、第一次産業とそして中小企業そのものの持つ競争力というようなものを念頭に置いてこれは交渉したものである。だから、私は一概に今日の国際競争力とは下請いじめと、そして労働者の搾取によってこれができたというふうには理解いたしておりません。日本民族の優秀な努力の中に国際競争力というものがついてきたというふうに、理解をいたしておるものであります。
○佐藤昭夫君 これだけ議論をされてきておるのに、いまに至るも大臣がそういう所見を持っておられるということはまことに残念至極な、もっとよく事態の内容を研究をされて、正確な問題の把握をしてもらう必要があると思うんです。
 問題を進めますが、相殺関税、ダンピング関税のことで少しお尋ねをいたしますけれども、アメリカに損害要件を導入させたのが最大のメリットであるかのように政府は説明をしておられますが、アメリカの国内法では損害要件にいわゆる注をつけている。この問題をどう理解をするかというのが、一つの今後の重要な問題になってくるのじゃないかと思うんです。
 そこで、実はこれも「貿易と関税」昨年の九月号、ここに伊藤哲治さんという大蔵省税関研修所の教官の方が「一九七九年米国通商協定法の概要」という論文を書いておられる。その中に、「これまで国際貿易委員会(ITC)の慣行となっている「些細な損害」以上の損害という基準と殆んど変わりなく、この点依然としてあいまいさが残っている」というふうに書かれているわけですけれども、どうでしょうか。実際、この七九年アメリカの通商法、この実施後もダンピング提訴が相次いでいると思うのですが、ことしに入ってからの提訴、仮決定、決定、これは何件ですか。
○政府委員(垂水公正君) いまの御質問に対して、突然のあれでございますので、とりあえず私が承知している限りにおいて申し上げますと、アメリカにつきましては最近二年でございますが、ダンピング防止税の賦課決定がされたものとしては鉄鋼厚板とかインプレッションファブリックスとか、あるいはPC鋼線等がございます。また、現在調査中の案件としてはアクリル紡績糸、電動タイプライター、電子レンジ、電動モーター、鉄道車両等がございます。
 以上、とりあえずダンピングの関係についてはそのように申し上げます。
○政府委員(米山武政君) いま委員御指摘のように、注釈で実質的な損害について取るに足りないものではなくとか、実質的でないものではないとか、重要でないものではない損害とか、注釈に多少あいまいな点がついていることは事実でございます。しかし、私どもは実質的な損害というのは、いかなるアメリカが注釈をつけようとも、協定では実質的な損害ということになっておるわけでございますので、そうしたアメリカの注釈に基づく運用がわれわれが理解している実質的な損害というものと違うものであるなら、やはりこれは協定に定める紛争解決手続によってこれの是正を求めていくという姿勢で対処していくと、こういう考えでございます。
○佐藤昭夫君 それで、いまも触れましたこういった相次ぐ提訴、そして日米経済摩擦ということを誇大に問題にして日本側の自主規制を引き出すと、こういう方向へ事態が推移をしているんじゃないかというふうに私は強く思うわけでありますけれども、さっきの委員も少し触れられておりましたが、アメリカの最近の高姿勢というのが大統領選挙と絡んでおるとも言われておりますが、特にわが国へのこの問題の影響ということを考えてみますと、たとえば中小企業市場開拓準備金制度が補助金問題、相殺関税の問題として取り上げられる、結果として中小企業に打撃を与えるような、そういうアメリカ側からの圧力がかかっているという状況にもなっていると思います。
 そこで、先ほどの非常に抽象性、あいまいさを多く含んでおるアメリカの損害要件の注、これの是正を、内容的明確化を求めていく方向で、日本の政府としてもっと日本の産業を守る立場から毅然たる対処をやってもらう必要がどうしてもあるのじゃないかというふうに私は思うんですが、一つは通産省、それと大臣、それぞれ見解をお尋ねしたい。
○説明員(内村俊一君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、注がついております。この注につきましてはアメリカの司法省が見解を出しておりまして、これはアメリカにおきまして被害調査を実施する委員会でございます国際貿易委員会というところがございますが、その委員会に対しまして意見を出しておりまして、国際協定上及び国内法を、新たにマテリアルという実質的という言葉を追加するという改正を行ったという観点から見ますと、従来の単なるインジュリー、単なる被害よりももっと大きい被害というふうに運用すべきであると、これが法律的解釈であるという意見を申し述べております。
 したがいまして、アメリカ政府といたしましてもその辺は十分理解しておると思っておりますが、具体的なケースにつきまして、あるいはそういう疑いがあるというようなケースが出ました場合には、先ほど関税局長お答えいたしましたように、ガットの場におきまして今度新しいコードによりましてガットのダンピング委員会の調停、紛争解決、そういった機能が非常に強化されましたので、その場を通じまして、十分わが方の主張を申し述べていくことにいたしたいと思います。
○政府委員(米山武政君) 大蔵省といたしまして、いまの通産省の答弁のとおり、そういう実際の適用の場でそういう事実がございましたら、われわれといたしましては、いま委員の御指摘のような主張を行って紛争解決に努めたいといこういうふうに考えております。
○佐藤昭夫君 マグネシウム塊の免税点引き上げの問題が、今度の改正の内容に含まれているわけでありますけれども、このマグネシウム塊を扱っております国内メーカー、これは宇部興産と古河マグネシウムじゃないかというふうに思うんでありますが、私も会社四季報なんかで調べてみましたけれども、これらの企業が特別の保護を必要とするような深刻な経営状況にあるというふうには判断できません。にもかかわらず、なぜこれらの問題についての免税点の引き上げを行うのか、どうも合点がいかないのですけれども、その点どうでしょうか。
○説明員(中島福雄君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘のとおりに、免税点の引き上げを改正をお願いしているわけでございますけれども、これはいままで数年間、輸入品に対してほとんど関税がかからないというような状態になっておりましたので、今回企業の動向等を踏まえまして、国内生産の確保ということと、より低廉な輸入品の確保とということの調和があるような点まで、免税点を引き上げさしていただきたいという趣旨でございます。
 先生御指摘の関連の企業でございますけれども、三社でございまして、古河マグネシウムと宇部興産でございます。石油ショック後で見てまいりますと、石油ショック後、まず非常に需要が減退いたしまして経営状況が悪くなったということでございますが、五十三年度に若干持ち直したわけでございます。しかし、五十四年度に入りましてから、明らかに採算性が悪化しているという状況でございます。
 御承知のとおり、宇部興産は大きな総合化学会社でございますけれども、マグネシウムの生産部門においては採算性が悪いと。また、専業であります古河マグネシウムにつきましても、やはり採算性が悪いというのが現状でございます。
○佐藤昭夫君 時間がありませんのであれですが、製造用原料品の減免税措置、これに今回脂肪酸系洗剤製造用の砂糖を加えるということになっておりますけれども、この対象品目のユーザーはどこになっていますか。
○説明員(内村俊一君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の商品は、これは洗剤に使われる原料でございます。その洗剤に使われる原料を製造するための砂糖について免税措置ができたということでございまして、ユーザーは私どもの聞いておりますのは、この商品自体が日本生活協同組合連合会とあるメーカー、化学メーカーが共同で研究開発をいたしまして開発をした商品というふうに聞いておりまして、その販売につきましては、この生活協同組合連合会が行うというふうに伺っております。
○佐藤昭夫君 この製品をつくっておる会社は三井東圧化学じゃないかというふうに見ているんですが、そうじゃないですか。
○説明員(内村俊一君) お答えいたします。
 先ほど申し上げました化学メーカーと申しますのは、三井東圧化学でございます。それで、三井東圧化学がつくりまして、さらに最終の洗剤にいたしますのは、これはコープクリーンという会社でございまして、これは生活協同組合の関係の会社というふうに聞いております。
○佐藤昭夫君 それで、今回これを減免税の新たな対象に加えるということになるわけでありますけれども、いわゆる減免税のメリットですね、この三井東圧化学、これが全部吸収をするということではなくて、生協の運動の中で広がってきた製品でありますし、そういう意味で生協、結局は消費者、ここにこのメリットを還元をする積極的指導方向をぜひとってもらいたいというふうに思いますが、どうでしょうか。
○説明員(内村俊一君) 御指摘の洗剤は、従来原料として使用される砂糖に関税が課されておりまして、これは品質的に申しますと、燐を含まないということで公害の関係などでは非常にいい品質でございますが、残念ながら値段が若干高くなっておったわけでございます。しかし、今回の減税によりまして、ある程度の価格の引き下げが可能となるというふうにわれわれ考えておりまして、当然消費者へのメリットの還元も行われるというふうに期待しておるわけでございます。
○佐藤昭夫君 まだ幾つか関税評価の問題などでお尋ねをしたい点もありますが、ちょっと全体の時間がございまするので、この関税の問題と関係をして、税関行政の一つの問題であります税関職員の問題について幾つかお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、明日の予算委員会で、婦人問題集中審議がやられるということで、ことしが国際婦人年の折り返し点であるということで、婦人の地位、権利の向上を初めとする問題が大きな内外の注目を浴びておりますし、政府としても、国連の精神に沿って速度を速めて行政を改善をする任務を背負わされておるということは、言うまでもないことだと思いますけれども、先日私、税関の関係の職員の皆さん方といろいろ懇談をした折に、強く訴えられておった問題の一つに、依然として税関職員において女性差別が強く残っていると。たとえば、昇級、昇格の問題で、女性なるがゆえにということでなかなかこの昇任、昇格が進んでいかないという問題が訴えられておるわけであります。
 そこで、きょうこの質問をするに当たりまして、当局に、年度としては昭和三十六年度採用の人について男女比較をして、昇級、昇格の分布状況がどうなっておるのか、その資料を提出をしていただきたいということで要望してまいりました。これ、出せますか。
○政府委員(米山武政君) 人事統計資料というのは、なかなか取り扱い微妙なものがございまして、従来ともこれは人事管理上、できるだけあんまり公表しない方がいいと、こういう理由で外へ出したことはございませんので、今回もそういう意味で、人事管理上あんまり適当でないので、御容赦いただけたらと思うわけでございます。
○佐藤昭夫君 私は、何もきょうの質問、紛糾させようと思ってこういう質問を仕組んだわけではさらさらないんですけれども、なぜ一体秘密にしなければならないのか。同じ年度に同じ学歴ですね、そして男女がおおむね平均をしてどういうふうに昇任、昇格をしているかという数字的分布、これがなぜ人事管理上ということを理由にして発表できないのか、秘匿をしなければならないのかということについては、どうしても私は合点できません。
 逆に言うなら、お尋ねをして答弁を拒否をされるのかどうか、ひとつためしに聞いてみますけれども、私が懇談の中で聞きました横浜税関の場合、昭和三十六年度採用の初級職、高等学校卒業者の昇級、昇格の状況、その中で女性の採用者は三十六年度横浜税関では女性は十一人、男性は五十五人、合計六十六人ということなんでありますが、そのうち主任になっているのは何人ですか、女性と男性それぞれ主任になっているのは。
○政府委員(米山武政君) 人事資料であるからすべてお断りするということでございませんで、やはり相当マクロ的なものにつきましては公表もしていることもございますし、また、御要求につきましては、提出もしておるわけでございます。ただ、非常に範囲が狭くなりますと、やはりこの人事というのは非常に微妙なものでございまして、いつも自分と比較してあちらがうまいことをしているとか、こちらが優遇されているとか、おれよりあっちの方が成績がいいのだとか、悪いのだとかというようなことで、いつも適当でない問題が起こるわけでございます。
 したがいまして、余り個別の数字につきましては提出を差し控えたいと思いますが、大きなマクロの数字につきましては、必要がございますればお答えするつもりでございます。
○佐藤昭夫君 私がお尋ねをしておるのは、昭和三十六年度採用、五十四年度現在で、採用された女性十一人のうち何人が主任になっているか、男五十五人のうち何人が主任になっているのか、これも言えませんかと言っている。
○政府委員(米山武政君) もしお許しをいただければ、全国の数字で役付ということでさしていただきたいと思いますが、それで見ますと、全国で三十六年度採用、高卒初級職在職状況でございますが、全体で二百九十一人でございます。そのうち役付が二百八十二人でございます。女子について見ますと、二百八十二人のうち二十二人、男性は二百六十人でございます。
○佐藤昭夫君 いまの全国数字でも非常に歴然としているだろうと思うんです。昭和三十六年二百九十一人新採用があって、現在二百八十二人トータルで役付になっている。そのうち女性は二十二人、あとは全部男だと、もう十対一以上の役付になっておる開きが出ているわけですね。私は職員の方々との懇談の中で聞いたあれでも、横浜税関について男性五十五人、ほとんど役付になっている。女性は十一人中五人だと。だから、同じように、大体十対一ないしそれ以上の開きという全国的傾向が、横浜税関の場合にもやっぱり出ているということだと思うんです。
 昇給について言えば、横浜税関のことを言うのはいやだったら全国状況でいいですけれども、どうですか。
○政府委員(米山武政君) いまの昇給という意味がよくわかりませんですが、何等級在職という意味でございますか、何等級でございましょうか。
○佐藤昭夫君 そうです。昇任ですね。
○政府委員(米山武政君) 全体で申しますと、三十六年採用は先ほど申しました二百九十一人でございます。その中で役付二百八十二人、そのうち五等級役付二百六十四人、六等級が十八人でございます。六等級の中で役付になってないのが九名でございます。
 なお、これは女性について見ますと、全体でこの年次に女性は三十人採用になっているわけでございます。その中で役付になっているのが二十二人、うち五等級になっている者が十七人、六等級の役付が五人、一般、役付にならない六等級が八名でございます。
○佐藤昭夫君 もう時間がありませんので端的にお尋ねをいたしますけれども、いまの役付の問題といい、あるいはこの昇格の問題といい、現状のこの姿が好ましいと思っておられるのか。あすも婦人問題の集中審議が行われますけれども、この男女差別をどう早く解消をしていくかという角度から、こういった事態については改善をしていく必要があると思っておられるのか、その点どうですか。
○政府委員(米山武政君) 当然、改善していく必要があると思っております。
 なお、税関は、御承知のように職場がどちらかというと男っぽい職場でございますが、女性につきましても、審査事務なり携帯品検査という面に、従来男の職場とされていた面につきましても、女性をそちらの方に最近は大幅に向けてきております。
 なお、税関職員と一般全公務員の女性の状況を見ますと、税関職員の役付率の方が相当割合が大きくなっているということを申し添えておきます。
○佐藤昭夫君 もう一点、実は昨年の当委員会で、私、この税関職員の研修の問題を取り上げて、いろいろとただしたんです。この研修制度についても、やはり男女差別があると。本当にその能力を正しく開発をしていくために、研修を受ける機会自身が女性なるがゆえに狭められておるというここの問題を提起をいたしまして、結果、従来一週間の研修を十日間に女性について延ばそうというささやかなる、ごくささやかなる改善というか、研修日数の延長、これをやられたということにはなっているわけでありますけれども、しかし、依然として、女性なるがゆえに自分の能力を伸ばしていくためのこの研修の機会が大きく狭められているという、ここの根本問題は依然として改善をされておりません。
 きょうは時間の関係で税関の職員の問題しか言えないわけですけれども、税務職員についても同じように研修の問題、あるいは昇任、昇格の問題が同様にありますし、財務局の職員についても同じようなことがある。
 まとめて最後に大蔵大臣、ひとつこういった大蔵省管轄のもとにおける女性職員に対する理由にならないいろんな面での差別、これをどう早く改善をしていくかということについての決意のほどをお伺いしたいと思います。
○委員長(世耕政隆君) 時間が来ておりますので、ひとつ簡潔に御答弁を願います。
○国務大臣(竹下登君) 私、いままでの過去十年にさかのぼっての採用とか、そういうものを見てみますと、逐年改善されておるという感じは率直に持ちました。先般同じ趣旨の御質問がございまして、引き続き改善をしなければならぬということであります。
○中村利次君 税理士法とその改正につきましては、これは長年にわたってのいきさつがあるわけでありまして、法案として提出をされた後、日税連の中からも非常に強い反対の主張と、その主張に基づく活動が起きておることは、これは私どもも、また政府も十分に承知をされておるところです。
 わが党は本法案に対して賛成でありますから、いま問題になっておりますいろんな対立点については、立法作業の過程で承知をしていたつもりであり、その上に立って賛成の態度を出しておるわけでありますけれども、しかしながら、また一方、反対の主張をお持ちの方々の個々の意見を徴しますと、これは決して主体性が揺らぐという意味ではなくて、やっぱりもっともであるという点もあるわけであります。
 私は、関税と税理士を含めてたった二十五分というような問題にならないような非常に短かい質問時間の中で、やっぱり何とかして審議を通じてあとう限り問題点を明らかにしていきたい、こういうぐあいに考えておるわけでありますけれども、そうなりますとやっぱりこれは入り口から――そんなことは私はあんまり問題提起をして議論の対象にしたくはないんですけれども、しかし、これは問題として提起をされておりますから、だめ押しの意味を含めて、事実関係をまず入り口で明らかにしておきたいと思うんですが、やっぱりこの献金問題は税政連の中からこの本法案成立にかかわる事実上の贈収賄であるというので告発まで起きているわけです。
 仮にそうであるとすれば、これは刑法上の罰を受けるのみでなく政治のモラルとして重大問題であることは、私は何もここで指摘をする必要はさらさらございません。しかし、本来ならば、これは正当な献金であればもちろんですけれども、また仮にそういう刑法上の問題であると仮定をしても、これは影響を受けないことはないと思いますけれども、純粋に言えば、立法府が法案の審議をする場合には、これは法案の中身についての審議であって、いろんなかかわりで右顧左べんをするというのは、本道からいけばこれは間違いである。
 そういう意味からして、入り口でだめ押しの確認をしておきますが、わが国のいろんな団体が政治団体をつくるのは全く自由でございまして、税政連はそういう意味ではやっぱり税理士会の集団として、団体として政治活動の必要性をお考えになって税政連をおつくりになったと思う。その政治団体が選挙に当たって特定の候補者を推薦をするというのは、これは自由であろうと思うのです。こういう議論なんというのは大蔵大臣は不向きというか、あるいは迷惑かもしれませんが、やっぱり政府の統一見解としてこれはだめ押しの意味で承っておきますけれども、この政治団体をつくって特定の候補者を推薦するということについて、違法であるとか間違いであるとか、それはどういうぐあいにお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) これは私も政治家としての見解はございますが、いまたまたま大蔵大臣でございますので、したがって担当ではございませんので、一国務大臣として発言をいたすといたしますならば、結社の自由ということも当然あり得るし、そして、届け出られた政治団体が特定の候補者を選挙に当たって推薦するというようなことは、これは当然あるべきことであるというふうに理解をいたしております。
○中村利次君 私も、それは政治団体をつくって、その政治団体が選挙に当たって特定の候補者を推薦するのはこれは自由である、決して違法でも間違いでもないと思うのですよ。そこで、その特定の候補者に対して陣中見舞い、これが適法な政治献金であるか、あるいは法案処理にかかわる贈収賄であるかということが争点になろうかと思うのですけれども、そういう争点をここでとやかく言ったって、それはいま警察がやっているわけですから、われわれの議論になじませる必要は全くありませんが、特定の推薦をすることは自由であって、その特定の推薦をした候補に陣中見舞いを送ることも、これも違法でも間違いでもないと思うんですが、その点はどうですか。質問時間が短いですから簡単に。
○国務大臣(竹下登君) そのとおりであると思います。
○中村利次君 これは、入り口でだめ押しをそれだけやっておきたいと思うんです。
 次に、冒頭申し上げましたように、これはもう大変に強い反対の主張とその主張に基づく活動があるわけでありますが、私も個々に承りますと、もっともであると思われるものもあるわけであります。そこで、あとう限りこれはやっぱりどうなんだということを明らかにしていきたいと思うんですが、この税理士法というのは、シャウプ勧告によって制定をされたものであることはもうみんな知っているとおりですけれども、そこで「税理士の職責」、現法の「職責」が会度は税理士の「使命」ということになったわけですね。これはシャウプ勧告によれば、納税者と税務官吏が対抗をする場合、税務官吏と同じぐらいの精通度をもって対抗をするためには、やっぱり専門家の一群の援助が必要なんだというので、その趣旨を受けて税理士法が制定をされたと私は理解をしておるんです。
 そうなりますと、やっぱりその趣旨からいきますと、これは納税者側に立つといいますか、ですから、この第一条におきましても、納税義務の適正な実現を図るという点については、全くこれはどこも異論がないようでありますけれども、現行法の中立な立場において納税義務の適正な実現を図るのか、改正案の独立した公正な立場において納税義務の適正な実現を図るのか、あるいは、いや、そうじゃなくて、シャウプ勧告の趣旨から言っても、納税者の権利を擁護する立場に立って納税義務の適正な実現を図るのかという、やっぱりいろんな主張なり考え方があると思います。
 私は、そういう意味からして、納税者の権利を擁護することに徹しなければならぬとは、そういう条文にしなければならぬとはあながち思いませんよ。それはシャウプ勧告を受けて現法ができたんだが、やっぱり税理士の職責の中で中立な立場においてという表現が現法に生かされておるわけでありますから、納税者の権利を擁護するという表現でなければならぬということが正しくてその他は間違いだという、そういうぐあいには考えませんけれども、しかし、やっぱり納税者の権利を擁護するというたてまえに立つべきだという意見も、これは決して不当であり誤りだとは考えられない面もございます。
 そこでお尋ねをしたいのは、この「税理士の使命」について、税務行政の運営に当たって一体税理士にどんなことを求めておられるのか、どういう役割りを期待しようとなさるのか。この第一条、何かいままでの国会審議の会議録なんかを見ますと、中立の立場においてというのも、独立した公正な立場においてというのも、そう中身においては変わりはないようなそういうあれもあるようでありますけれども、納税者の権利を擁護するというそういう主張も含めて御答弁を伺いたい。
○政府委員(高橋元君) 申し上げるまでもないわけでございますが、税理士制度というものが設けられましたにつきましては、いまもお話ございましたように、シャウプ勧告がその基礎になっておるわけでございます。
 いまお示しのシャウプ勧告のくだりの前にちょっと読ましていただきますが、
  単にえこひいきまたは寛大を得るために交渉するのではなくて、納税者の代理を立派につとめ、税務官吏をして法律に従って行動することを助ける積極的で見聞の広い職業群が存在すれば適正な税務行政は、容易に生まれるであろう。
  また引き続いて、適正な税務行政を行うためには、納税者が税務官吏に対抗するのに税務官吏と同じ程度の精通度をもってしようとすれば、かかる専門家の一団の援助を得ることが必要である。従って、税務代理士階級の水準が相当に引き上げられることが必要である。
 こういうことが書かれております。それを受けまして二十六年に、「戦後申告納税制度及び青色申告制度等が実施せられ、租税制度に根本的な改正があり、税務代理士の職責はますます重加し、その素質の向上をはかる必要が強く要望」せられ、そのために、「試験制度及び登録制度を採用して、人格及び能力ともに適切な人材が納税者の代理等の業務に当たり、納税者の信頼と国家の期待にこたえて、租税負担の適正化を図りつつ、申告納税制度の適切な発展に資せしめることとする等のため、」に税理士法が制定されたわけであります。
 これがいまの、ちょっと長々と読みまして恐縮でございますが、申告納税制度のもとでの納税義務の適正な実現を図っていくというために税理士制度が改善され、その後発展をしてきた基本的な趣旨でございまして、先ほど来他の委員に対して福田審議官の方から御答弁申し上げましたように、改正前、改正後の第一条の条文、いずれもそのことをいろいろな表現を用いて言っておるわけでございますが、期するところは、申告納税制度のもとで納税者の適正な租税債務の納税義務の実現を図っていく、そのために税理士制度が設けられており、その制度をさらにその後の社会経済情勢の発展なり間接税にまで申告納税制度が及ぶ、そういう税制の進展等も踏まえまして合理的な改善をしていこうということであります。
 第一条の趣旨は、細かく法文に即して申し上げることは、この際時間もございませんから、その趣旨、基本的な税理士制度に対して期待しておる私どもの考えというものを簡単に申し上げて、お答えにさしていただきたいと思います。
○中村利次君 局長の説明はそれなりによくわかりましたけれども、これはしかし、私の質問に対しての直接のお答えではなかったようでございまして、これは私にも、まだ本法案に対する質問時間というものがきょう以外にもあると確信をしますから、改めてまたお伺いをしたいと思いますけれども、これであと幾らも質問時間がないわけでしてね。
 いまちょっと試験制度の問題までお触れになりましたけれども、試験制度にしてもやっぱりいろんな意見がありますね。廃止してしまえと、これはもう税務職員に与える特権であって、法のもとの平等をうたった憲法にも反するものである。まあそれほど憲法違反だから廃止してしまえというぐあいにきつい考えは、そういう御意見を伺っても私は持てません。これはやっぱり現行法においても特別試験制度というのはあるわけでありまして、しかしながら、改正によって税法とは全く異質である会計科目まで免除する、結局そういう特権を伸ばしていこうとしているんだという、そしてだんだんだんだん税理士のエリアを広げるという、法改正の名のもとに、実はこの税理士試験に合格をして税理士をなりわいとしようとしている人たちをだんだんだんだんそういう職業の範囲を狭めていこうとするんだという、そういう主張については、私はやっぱり賛否は別にして傾聴をすべき点もあると思う。
 ところが、また反面、改正案はそうではなくて、現行制度をより厳しくするものであって、税務職員にこれはむしろ不利になるんだという主張も片方にはあるわけです。この双方の主張を恐らく政府もお聞きになっていると思いますよ。お聞きになっていると思いますから、双方の主張に対してどういうぐあいにお考えになるのか、伺いたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 国税庁からもお答えをいたすことでございますが、今回御提案をいたしております研修制度というものの内容は、今後法の実施をお認めいただけますれば税理士審査会がその研修の内容の指定をいたすわけでございます。その指定する研修の内容がどのようになるか、恐らく相当高度の研修ということになるものと私どもは考えておりますが、そうなりました場合には、現在の筆記試験、口頭試験がなくなることによって無試験で税理士の資格が付与されるから試験制度に弱い人は研修制度の方がいいと思うだろうし、一方、経験年数の伸長なり管理的地位の在職年数の付加、これは現在二十年のものを二十三年にいたします、国税の場合には。管理的地位にあること五年という要件を要求いたすわけでございます。それから相当高度の研修終了、その三つの要件を満たした場合に限って科目免除にされる。それから研修の内容もいま申し上げたように、かなり長期、高度の研修ということを私ども予定をいたしておりまして、それを受講しなければならないことから見て、短期間の受験準備によって資格を取得することを得意とする者にとっては、今回の制度は厳しいものとなるだろうというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、税理士の制度の趣旨というのは、先ほど私が申し上げましたように、高度の内容を持ち、それから税務に関する専門的な職業人として適切なアドバイスを納税者にし、また、税務行政の執行についても円滑を期していくということにあるわけでございますから、したがって、今回の改正で高度の研修終了が要件とされることになりますので、今回御提案申し上げております試験制度の改正につきましては、税理士となる方の資質の向上と税理士会の水準向上にプラスとなるというふうに考えておるわけであります。
○中村利次君 これで大体私の質問は、もう一丁やるとおしまいで、質問時間が尽きちゃうのです。ですからどうにも御答弁をいただくと、それに対してまた再質問という時間は全くとれないような残念な状態であります。
 いろいろまだいろんな課題について質問をしたいところですけれども、最後に、これは冒頭申し上げましたように、いろんな経過がある。それで立法作業の中では、そういう関係者、関係方面といろんなやっぱり調整、意向等を聞いたりなんかして、私どもそのことはよく承知をしております。
 しかしながら、やっぱり日税連の中にも、何回も申し上げますけれども、強い反対の主張がある。そして、どういう方たちかはせんさくの限りでは、そんな必要はないと思いますけれども、税理士法の改正を促進しておるのは、何か表現は悪いかもしれませんけれども、大蔵省の手先みたいになっておる日税連の執行部だけなんだという、こういう極端な意見すらあるわけです。私は、それは三万数千人の日税連の中で執行部だけがこの推進者であるとはもちろん思いませんよ。そうであれば機関決定はできないはずでありますから、またしからば執行部は過半数の信頼を得ておるのか、過半数ではないという、いろんな意見がある。
 そこで私は、これは立法作業の過程の中でいろんな調整をおやりになっておる、そういう中でこういう点をどういうぐあいに受け取っておられるのか。また、あんまり強い主張なり強い行動にはなっておりませんけれども、公認会計士との関係も私どもは立法作業の過程においていろいろ伺ったこともあるし、あるいはその主張等も承知をしておるんですけれども、公認会計士との関係についてはどうなのか。
 私の与えられた質問時間が非常に短うございますから、できればその時間内に入るような御答弁をお願いをしたい。これで終わります。
○委員長(世耕政隆君) 答弁は簡潔にお願いをいたします。
○政府委員(福田幸弘君) 改正に当たりましては、これは日税連の正式機関決定を数次にわたりまして重ねながら確認をとっていくしかないということで手続を進めております。で、その意向は日税連の意向でありますが、一方において関係業界がまた多いわけであります。したがって、公認会計士を初めとしまして行政書士その他の関係団体ともまた折衝しなければいけないということで、関係業界との調整を一方においてまた進める。で、政府提案の形になりましたので、関係各省とやるというようなことで、その各方面との調整を最大の努力をもって政府案にまとめたということで、日税連につきましては、いま申しましたような折衝を何度もやります過程で機関決定を何度もしてもらう。
 その機関決定は、それは一部の意見はあろうと思います。しかし、一部の意見をとりましたら、それは一部意見を尊重することになりますと全体意見が無視されるという、民主主義の原則に反しますので、それは一部にございましても全体の意見をわれわれは尊重しなければ交渉できないということで、その過程は七、八回にわたってその都度、問題がある都度確認をとっておるということでございます。
 関係業界とは、これは関係各省を通じながら調整を経て、やっとここに政府案に至ったわけでありまして、公認会計士との関係も、会計業務を具体的にやれるという確認のところと、それから他人の作成しました申告書に書面添付をするということ、それは法定監査との関連がございます。それからもう一つが通知公認会計士の関係で登録と入会、この三点でございましたが、これは証券局、大蔵省の中でありますので、常に交渉を続けながら関係業界と、関係業界同士のまた交渉をしてもらい、これが法案の段階にまとまったのがいまの規定でございまして、十分調整は図っております。
 いずれにしても、公認会計士協会の正式決定をわれわれも意向を尊重してやるしかない。中にはいろいろ意見はございますが、その全体としての意見が政府提案の中でおのずからまとまっておるということでございまして、経過規定等については十分に意見を尊重しながら、今後さらにその小規模とかいろんな通知公認会計士についての経過的なところがございますので、十分にその辺を尊重した上で実施段階も考えたいと、こう思っております。
○中村利次君 終わります。
○市川房枝君 私は、この税理士法の改正案について二、三お尋ねをしたいと思っております。
 きょう傍聴席に税理士の方が多数おいでになっているようですが、私は納税者としての立場から率直に申しますと、本当は税理士の方はなくてもいい、納税者自身が簡単に申告できるというように税法を簡素化し、手続を簡単にするということが望ましいのではないかと、こう思いますけれども、大蔵当局はどういうふうにお考えになっておりますか。
 納税をしますときに、申告に行きますときに、税務署では税理士の方の手を通った申告は簡単にわりあいに受け付けられるけれども、納税者自身が持っていったのは何だかいろいろめんどうな手続だというふうに聞かされておるんですが、やっぱり税務署は税理士の方を必要とすると。いまその税務署の人員が足りないといいますか、あるいはそういう意味で税理士の方々を、手伝ってもらうというか、そういうような必要があるとお考えになっておりますかどうか、まずそれをお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(福田幸弘君) これは、申告納税という基本から考えるべき問題であろうと思います。だから、納税者が自分で申告するというのがシャウプの基本であろうと思います。それが、税法が複雑になってくるのは問題でございますが、事実そうでございますし、また社会環境、それから経済も複雑になる、その際、自分で申告が一番望ましいのですが、それがやはりなかなか困難になってきますと、諸外国も同じでございますが、職業専門家がそれを援助すると、納税者を援助するという形でこの税理士制度があると思います。
 したがって、税理士が国の方の手伝いをしているということじゃなくて、納税者をお手伝いをすると、それは専門家としてやるということであります。したがいまして、今回のこの税務に関する専門家としてやるというところが、納得者を援助する高い水準を期待するということで、税務署が何か手が足らないから助けてくれという意味ではございません。納税者の必要に応じてそういう職業の高度のグループが発達していくということは、近代社会の趨勢であろうと思います。
○市川房枝君 お話のように、私は税理士の方はむしろ納税者の代理としてといいますか、味方として置いてくださるべきだと、そう考えておりますけれども、必ずしも今度の改正案なんか見るというとそうではないような点が出てくると、これは後でまた申し上げたいと思います。
 きのう、きょうの各新聞紙をごらんになっていると思いますけれども、税理士の指導で有名な芸能人十七人が十一億円脱税といいますか、あるいは申告してなかった、それも五十一年から五十三年までの間であったといった記事が出ておりました。
 これは、ある新聞社関係の人に言わせますと、国税庁はそういうことはいつもあるんだけれど、余り発表しないんだと、個人の名前はいつも発表しないんだけれども、今度はこの税理士法案が審議中であり、それに悪い税理士がそういうことをしたんだということのむしろ宣伝をするためにといいますか、この記事を出させたんだと、こういうふうに言った人がありますけれども、その問題は別として、少なくとも一般の納税者から言いますと、あの記事はみんなもうびっくりしていると、あの記事を見て一般の納税者は第一番に、一体五十一年から申告してなかった、脱税していたというのを、五十一年、二年、三年、まあ四年になるわけですが、どうしてそれを一体東京国税庁は、これは調査したと出ていましたけれども、一体調査しないのかという疑問あるいはそういうことならば、これだけでなく、もっとたくさん未申告脱税があるんじゃないか。
 まじめに正直に納税しているのがばかばかしいといったような感じを持つでありましょうし、また、この指導をした税理士の方、どういう方かわかりませんけれども、こういう方は一体どうなるんだというような疑問をみんな持っていると思いますが、これについて一般の人たちが納得のいくような説明を、国税当局からしていただきたいと思います。
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生いま御質問の点でございますが、まず最初に、国税庁が発表したのではないかというお話がございましたが、これは私どもは個別事案のこういう問題につきましては、国家公務員法に定められている守秘義務のほかに、所得税法を初めといたします各税法に基づいた守秘義務が課せられております。適正な課税を担保するためにも、そういう守秘義務のもとにおいて私どもは仕事をしておりますので、一切そういう発表をするといったようなことはございません。まず、それを最初に、お答えに申し上げておきたいと思います。
 それから、先ほど来御質問のございました、新聞紙上にいろいろ報道されておるという芸能人の問題とかいろいろございますが、お尋ねの件につきましては個別の事案でございますので、答弁することはひとつこの席では差し控えさしていただきたいというふうに思うわけでございますが、国税当局としては、いまいろいろお話のありましたこの方ということではございませんが、すべての納税者につきまして得られる限りの情報とか資料というものを集めまして検討を行うということによりまして、税務上措置すべきことが明らかであるといったようなものがあれば、適正に処理するという方針で従来からやっております。
 芸能人についてというお話がございましたが、一般的に申し上げれば、所得の非常に高額な方が多いとか、あるいは課税とか調査のために情報が多いといったようなものは、従来からも重点的な調査をするといった方針でいままでやっておるわけでございまして、やはり私どもの方針といたしましては、高額の方、悪質な方といったような層の方を中心としまして重点的な調査を行うという方針でおるわけでございます。
○市川房枝君 続いて国税当局に伺いますが、今度の改正法が成立したらこういうようなことはなくなりますか、それもついでに伺いたい。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 税理士につきましては、現行法におきましても、また改正法におきましても、その職責においてきわめて明快にその税理士たる職業の性格というものを規定しておりまして、きわめて公共的性格の強い職業専門家ということをわれわれは実は期待しておるわけでございまして、そういう意味におきまして、今回、ただいま御指摘のありましたような問題あるいはそういう税理士がいるということは、非常にわれわれとしては残念に思っておる次第でございますが、今後においてはこのようなことのないように、ぜひ皆さんに期待したいと考えている次第でございます。
 なお、御指摘の件につきましては、これを具体的に確認申し上げる立場にございませんけれども、ただいまおっしゃったような税理士さんにつきましては、われわれといたしましては今後十分な事実調査を行いまして、すでに若干調査を始めておりますが、違反行為、税理士法上の問題につきましてその必要な措置を講じてまいりたい、業務禁止あるいは登録停止その他を含みます懲戒処分を考えると同時に、必要に応じてはでございますが、刑事上の問題もまた考慮の中に入ってくるのではなかろうかと、このように考えております。
○市川房枝君 一応いまのお答えは伺っておきますが、今度の改正案は、大蔵省当局としてといいますか、国税当局としてといいますか、ねらいはどこですか。いろいろ法律にはたくさん出ていますけれども、一般の国民がわかるように、今度の税理士法の改正の重点はこういう点だということを、簡単にはっきりおっしゃっていただきたい。
○政府委員(福田幸弘君) 納税者の方が税金を納められるのに非常に信頼できる税理士さんに御相談願えるように、その方々の地位を向上するように、いろいろ対策といいますか、配慮して、今後ともまたそれを伸ばしていこうと、こういう方向であります。
○市川房枝君 直接、法の適用をお受けになるのは税理士会、税理士の方々なんですが、日本税理士政治連盟を通じて昨年の十月の衆議院の選挙の前に、自民、社会、民社の三党と九十七名の候補者に、一億七千万円を選挙の直前に寄付された、そして政府案の成立を要請されたと伝えられておりますが、税理士会としては一体どんな利益があるんでしょうか。人によっていろいろ違いますけれども、税務署、国税庁当局としてはどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(福田幸弘君) これは全然われわれ関係ございませんで、法案自体は最も合理的な、近代的な形につくってございまして、それを審議いただいておる過程でのそういう政治の問題でございます。
 行政の問題として、この法律自体は最善のものであると思っておりますし、内容も税理士会からの基本要綱的な、一方的と申すとなんですが、その業界だけの主張ということじゃなくて、国民全体から見て社会的批判にたえ得るものでなきゃいけませんので、そのとおりの法案になっておるわけじゃありませんで、そういう社会的な批判にたえ得る合理的な内容ということで提出してございますので、そういうことが影響を及ぼす面は一つもございません。むしろ厳しい内容も持っておるということでございます。
○市川房枝君 この政府の改正案に対しては、税理士会の中でも強い反対があることは、大蔵省当局も御存じだと思うんですが、当局としては、その反対の点はどういう点というふうに理解しておいでになりますか。
○政府委員(福田幸弘君) 賛成されている面もあっての御反対だと思うのですが、全税目を対象にするとか、登録即入会とか、それから懲戒の合理化とか、申告書に書面を添付してその専門家の地位を明らかにするとか、会計業務を付随業務として明確にするとか、非常な進歩というか明確化された業法としての面があるわけですね。
 一方において、これは要求としてはなかなか出にくい問題かもしれませんが、社会的責任に対する規定がございます。使用人監督それからいわゆる助言義務とか、間違っておる点について注意していただくというあたりまえの規定なんですが、これは国民の目から見て、やはりそういうものがいまの社会としては要請されておるわけでございまして、そういうバランスの上に立っておりますが、業界は業界の立場ですから、そういう規制についてはやはりなかなか御理解願えない。
 しかし、これはその地位が向上してくる過程で、結局は国民の目からやはり尊敬される、敵視して侮辱という問題じゃなくて、やはりそういうことまでやってもらっておると、そして依頼される方が一つも損害を受けないわけでありますから、これが外に出れば脱税犯になって責任は納税者が負うわけでありますから、これはやはり専門家の税理士さんが注意されるというようなものがあるということを、別な意味に解されますとわれわれも迷惑でありますが、全体としては非常に合理的な内容であるというふうに考えております。
○市川房枝君 いま当局から法案のねらいを、両方の立場のを伺ったんですが、実は私のところへも賛否両方の方々から陳情を受けまして、あるいははがきは山と参ったわけなんですが、それで私は税法なんかには暗いんですけれども、私の立場で一応そういうものを考えて、そしてその結果、私はこういうふうに考えるようになったんですが、一つは今度の改正案は税理士の方々が、さっきちょっと言いましたように、私の解釈では、税理士の方はやっぱり一般の納税者の代表として、その立場でやってくださるのが当然だと思う。そういうふうに努力してくださっている方も多数あると思うんですが、しかし今度の改正案は、前よりも何といいますか、税務署の補助機関みたいな点が非常に強く出てきていると。その中には、いわゆる税務署に長くいた方は無試験で今度は資格を与えられるというふうな点なんかもそれに関連していると、こういうふうに一つ思って、それは望ましくないと私は思うんです。
 それから二番目には、反対の立場で運動しておいでになりました方々の御意見をよく伺いますと、先ほどからもちょっとお話に出ておりました助言義務というのが新しく規定が加わって、そして全くあいまいで、いつ何どき罰せられ、あるいは資格を問われるというような心配があると。それで今度の改正案は、戦時中に悪評の高かったいわゆる治安維持法なんかにちょっと似たところがある規定だと、こういうふうな説を大分伺い、いろいろ私も聞いて、なるほどそういうふうにお感じになる方々もいられるということも私はもっともだと、こういうふうに考えて、どうもこの改正の内容については私は疑問を持ったわけであります。
 なお、このほかに、この法案について私は一番納得できないのは、先ほどもちょっと触れましたけれども、税理士会がこの改正案の成立のために莫大な政治献金を政党なり、あるいは候補者になされたと。それで、これは明らかにこの改正案の成立を前提としてだから、それは一種の賄賂なんだと、こういうことで税理士の方の中から告発されて、いま法務当局で調査中でございますから、私はこの問題は非常に重大であり、国民から言えば、この法律は何だ金で買ったのかというふうな印象も与えているんではないかと、そう思うのです。これは予算関係の法律じゃないですね。だから、何も急いでそのいまの重大な、お金で買ったと言われる問題が、当局の調査が私は出るのを待ってから、それからでいいんではないのか。なぜ税務当局はこんなにお急ぎになるのかということを疑問に思うわけでして、その点をこれは大蔵大臣からちょっとおっしゃってくださいよ。
○国務大臣(竹下登君) 今回のこの改正は、税理士制度の合理的な改善を内容とするものでございますし、特に最近における税理士制度に対する社会的批判も踏まえて、その公共的な性格を明らかにする趣旨も織り込まれておりまして、現段階においては最善のものと考えて提案をいたしたわけでございます。
 したがって、今回の献金問題と立案当局とには、私はこの法案の内容に影響があったというようなことは全くないと。したがって、手続に基づいて提案したものに対しましては、現段階で最善と理解しておるわけでございますから、可及的速やかに成立することを期待をしておると。これがやはり提案者側の態度であるというふうに私は思います。
○市川房枝君 大蔵当局としてはそうかもしれませんけれども、私は、金の問題と関係がないのじゃなくて、やはり一般の国民ことに納税者から言えば、さっきも言いましたけれども、この法律は一種の金で買われた法律というか改正案なのだというふうな印象を与えることは非常にまずいと思うのです。だから、法務当局でいま調査中なので、それがどこまで調査がいっておりますか、いつごろどういう見込みが立ちますか、法務当局からも御出席をいただいておりますので、ちょっとそのことを伺いたいと思います。
○説明員(根來泰周君) 結論がどういうふうになるか、全く現在では予測できないわけでございますけれども、要するに、早期にかつ厳正に結論を得べく、大ぜいの検事を投入いたしまして捜査を言うならば日夜兼行で続けているわけでございまして、捜査のことでございますので、いつ終わるかということはちょっと申しがたいわけでございます。
○市川房枝君 おしまいにします。
○野末陳平君 ほとんどのサラリーマンにとっては、税理士に仕事を頼まないで、源泉徴収ですから、無関係とは言いませんけれども、それほど深い関係はない。大体事業所得の申告をする人が税理士を必要とするという前提に立って言いますと、毎年のように申告漏れがある、あるいはかなり悪質な脱税と言われるような事件がある、そういうときに、ほとんど税理士が絡んでいるのではないかと思いますけれども、どんなものでしょう。
○政府委員(伊豫田敏雄君) ほとんどの場合と言われますとちょっとお答えしにくいのですが、やはり絡んでいる場合もあり絡んでいない場合もあるとしか、ただいまの段階では申し上げられないと考えております。
○野末陳平君 それではもうまるで答えにならないので、絡んでいてもいなくても、ケースによって違うにせよ、税理士に相談した結果そういう悪質な例が出ているというのがないわけじゃない。これを税理士が悪いと言うか、納税者の方に非難されるべき点があるか、そこは微妙なところなのですが、最近の芸能人の申告漏れ、あれはかなり額も大きいのだが、肝心のあの税理士自身もかなりの申告漏れをやっていると。税理士が申告漏れというのはちょっと考えられないので、これは意図的な脱税に近いと、こう思うのですが、そういう事実はあったのですか。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 全く個別問題でございますので、お答えすることは非常に困難なのでございますが、新聞に出ておりますような状態の税理士がいるとすれば、われわれ国税当局といたしましては当然これを脱税問題があるのではないかと疑うのは、われわれとしても筋としてあたりまえのことだと思うのです。したがいまして、国税当局としては、そういうことにつきましてこれを資料として考えて、十分適正な措置を講ずることは当然のことと、このように心得ております。
○野末陳平君 大臣に聞きます。
 大体ぼくも新聞で読んだ範囲で言うのですけれども、芸能人だけではないけれども、やはり申告というのはむずかしいですから税理士に相談するのは当然なのですが、なぜ人気が出てくるのだろうか。はやる税理士、はやらない税理士というそういうのがあるかどうか知りませんが、少なくも芸能人あたりの税支出のレベルだと、なぜあの税理士が人気があったか。どういうところにあったと思いますか、これはもちろん個人的な感想でいいのですが。
○国務大臣(竹下登君) 私もいま大蔵大臣でしょう。そうなると税務上の守秘義務、そうしてあの税理士、こういうことになりますと個別案件になりますので、私がここで感想を述べる立場にはないかな、こういう感じでございます。
○野末陳平君 そうかなあ、述べて悪い理由ないと思うのだな。ではぼくが言ってあげると、要するに、あの人に頼めば税金が安くなるということですよ。どういう理由で安くなったかなんというのは、素人だからわからない。要するに、税金を安くしてくれるかどうか、そこで結果的に得になるというのが税理士の人気の秘密であることも、一面の事実ですよ。となると、これは税理士の問題ではなくて納税者それぞれの、特に自由業も含めて事業所得を申告するその連中の税意識の問題の方が大事だと思うんですよ。
 だから、ああいうケースでぼくは税理士だけを批判する気もないし、社会的批判はそちらに集まっているけれども、全体に大蔵省、国税庁の納税者に対する税意識をさらに高めるような努力もやはり足りない、その辺がああいう結果を生んでいるんだと判断しているわけです。だから、その分析をいろいろやるわけじゃないんですが、そういうニュースが次々と新聞に出ているときに、税理士の問題というのは、やはり別のいろいろな関心も呼んでいるようなんですが、ぼくは幾つかの問題点があると思うんですよ。思いますが、その中で二つの点にちょっとしぼって聞いてみたいんですね。
 たまたまいま出ました問題の税理士が、どういう資格で税理士になったのかというあたり、非常に疑問を感じたんですね。どうなんですか。実名は言いませんが、問題の税理士はどういう試験で税理士になったのか。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 税理士法第八条第一項第一号及び第二号の規定に基づきまして、税法及び会計学に属する科目、すなわち全科目について試験を免除されておりまして、それによって税理士となる資格を取得して税理士登録をしております。
 それで、ただいま申し上げました項目は「学位を授与された者については、」ということでございまして、財政学並びに商学に関する科目、いずれにつきましても修士という学位を本人が得ておりますものですから、これによって税理士試験を免除されているものでございまして、この点は官報に公示されております。
○野末陳平君 試験の免除ですよね。その免除の理由が、要するに大学の修士課程を終わったということでしょう。そうすると、大学の修士課程でどれだけ税理士としての能力が養われるかどうか、大学に行ってみればわかると思うんですが、ぼくはこの程度の緩い甘い資格の与え方というのは、これは問題だと思うんだな。ですから、現行法でこれがあるようですが、当局はどういうふうに考えるのか。これだけで果たして税理士の識見、それから能力が身につくと思うのか、大学の修士が終わっただけで免除してもいいのかどうか、その辺が問題だと思う。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 他の試験等を受けたことによりまして税理士の登録を得たという者とのバランスの問題を御質問になっているのだろうと思いますが、非常にむずかしい問題でございまして、現在の科目免除というのは、一定の資格のある者、その資格をどのように判断し、どのようにこれを評価していくかという立法政策の問題かと思いますが、このように商学あるいは財政学についての修士の資格を得た者について、専門的研究を通じてそれぞれについての学識、能力を得た者、こういう判断を行っている現在の立法というのは、やはりそれなりの理由は十分認められるものではないか、このように考えております。
○野末陳平君 そうかなあ、税法を知らなくても資格をとれるということになるんだけれどもな、この大学の修士だけでいくと。でも、まあこれを売り物にしている大学もあるようだし、これでなる人はどのくらいいるか知りませんが、ぼくはこれが通るならば、別に税務署員の味方をするわけじゃないけれども、税務行政に十年でも二十年でも携わっているならば、これに匹敵する、あるいはそれ以上の税理士としての資格ないしは能力が身についている、こういうふうに判断するわけですよ。
 だから、今度の改正案のこの試験の部分ですが、ぼくは別に全然構わないと思っているわけです。こんな大学ちょろちょろっと行って資格が取れるというような、こっちの方を削ってもらいたいと思うんだね、むしろ。でも、これはまあ改正案と外れるからこれ以上言いませんけれども、いずれにしても、資格の与え方だってかなりずさんな面もないとは言えないと思うんですよ。だから、こういう大学の修士課程の終了だけで税理士の資格を取ったという、こういう税理士が、全部が悪いって言うんじゃないけれども、堂々とまかり通って脱税の手助けみたいなことをしている、これがやっぱりこの法律そのものの欠陥から来ているんじゃないか、こう思うんです。
 そこで大臣、おかしいと思わないですか。ぼくは今度の税務署員に対してキャリアを生かして資格を与えることには賛成ですよ。しかし、それと大学の修士課程を終わったらそれが同じくらいの、果たして同じ資格を取るのに同じ能力を養われると見るかどうか。甘過ぎると思うんですよ。大学なんていま大した勉強をしていませんよ、正直言って。ぼくは現場の方がはるかにいいと思いますよ。それと、この現場の人と、また一般の試験を通る人とのこの均衡の問題は別ですよ。だから、それを比較するのじゃないけれども、何か大学に少し甘いと思うんですよ。
○国務大臣(竹下登君) 窮屈な答弁をすれば、税理士制度のあり方については今後ともその運用の実態及び社会経済情勢の推移に対処し得るよう引き続き所要の検討を行うこと、こうなっております。
 いま野末さん、大学っていいかげんなものだとおっしゃいましたが、私もあなたと同じ大学なものですから、そうすると私もいいかげん――まあしかし、卒業は大分古いわけでございますけれども、私どものときにも、私は商学部ですから、いま問題が起こっておりますけれども、確かにきちんとした科目を取って、そうして経験を二年でございましたか、積めば経理士になれるという資格を、私もその時点においてはたしか一科目だけ足らぬからそれを取れと言われて、一生懸命に勉強して取ったことがございます。しかし、基本的に、ずいぶん経験を積んだお方を尊重するということは私は賛成です。
○野末陳平君 何か大事なところを答えないからね。
 時間も限度あるから次にいきますけれども、税理士がやはり当然事業所得の申告者に対して、自営業の人に対して青色を勧めていると思うんですが、これは結構なことだと思うんです。で、今度は税理士自身が自分の経理はどういうふうにやっているかということですね。これは帳簿上明らかなんで青色申告だろうと思うんだが、どうも白もいるらしい。いても構わないけれども、その辺はどうなっているんですか。
○政府委員(伊豫田敏雄君) 税理士のおおむね九〇%程度の者は現在青色申告をしておりますが、なおその他に白色申告の者が残っていることは事実でございますし、これらの者はたとえば老齢で雇い人もいないし、あるいは税理士業務による収入もわずかであるとか、あるいはまた、専従者控除等の青色申告の特典に当たるものがないから青色申告をしないというのも、また別の意味もございますけれども、そういうふうな理由から青色申告を行っていないものと考えております。
 したがいまして、白色であるからといってそれをもって直ちに税理士として不適格であると、こういうふうには考えておりませんが、われわれの立場としては、青色申告の趣旨にかんがみて、できるだけ青色申告でお願いしたいというたてまえはわれわれの基本的な考え方でございます。
○野末陳平君 別に白をやっているから不適格だと言っているんじゃなくて、他人に税務の専門家の立場として指導する、帳簿上のいろいろなめんどうを見る、こういう税理士が、みずから青色を勧めながら自分は白であるというのはおかしいんじゃないかなと思いますから、青色であるのが望ましいということなんですよ。ですから、どうも税理士の方にも自覚と厳しさに欠けるのがいるわけだ。その辺はやっぱり別に大蔵省が指導しろとか言うのじゃないけれども、さっきの納税者の税意識の低さと相まってやはり適正な正しい申告が行なわれていないと、こういうふうに見ているんですよ。
 なぜって、サラリーマンから言わせればトーゴーサンですから、これはもうサラリーマンの十は当然文句のないところですが、別にあれはサラリーマンが十で、ほかが五とか三とかとは思いませんが、少なくもいわゆる源泉徴収をされているサラリーマンから見れば、事業所得の申告者というのは少なくも十ではないと。感じとしては五じゃないかという、これは当然ですね。現実にこんなことはないとは思うが、国税庁としてはトーゴーサンと俗に言われる実態はどの程度であるというふうに見ていますか。
○政府委員(矢島錦一郎君) 先生の御質問、税務執行上不公正があるのじゃないか、トーゴーサンとかクロヨンとかよく言われますが、私は単なる一種のごろ合わせという感じであろう、言われているほどのことはないというふうに考えているわけでございますが、謙虚に考えますと、ちまたにそういう声があるということも十分承知をいたしておるわけでございます。少ない人員で調査も不十分であるとか、あるいは調査能力がなかなか行き渡らないとかいろいろな問題はございます。
 そういうことで、実際の所得の把握が不十分だということもあるいはある場合もあると思いますが、しかし、一般的にはクロヨンというものはなぜ言われるかということでございますが、もう先生御承知だと思いますが、給与所得者は支払い者のもとで全部源泉徴収されるということだけに、的確に所得が比較的把握されやすいということはあると思います。それに対しまして、事業所得者の場合には、御自分で自主的な申告によりまして納税されるということで、やはり事業の種類によりまして徴収方もまた違う、あるいは調査の難易度もあるということ、あるいは実調率と申しますか、調査率も非常に低くなっていることと相まちまして、所得が正確に把握されにくいという御批判のあることもよくわかっているわけでございます。まあしかし、そういう問題だけではございませんで、やはり事業所得者の中にもあくまでも記帳を一生懸命やって青色申告もやっていこうという人もたくさんふえております。三百万円以上の低収入所得者で八十数パーセントの方がすでに青色になっているという状態であります。
 いずれにいたしましても、そういう意味で、そういう問題も含めまして申告納税制度というのはだんだん定着しているというふうに私どもは一応考えておるわけでございますが、税制の問題、執行の問題いろいろございます。まあ、いずれにいたしましても、最終的には納税者の納税道義というものの向上に期待するものが非常に大きいというふうに思うわけでございます。
 もう御案内と思いますが、そういう問題を含めまして、税の執行上の問題の合理化あるいは調査力の向上といったような問題も含めまして、指導、広報ということによって究極的には申告水準を何とか向上させていくということを、今後ともやっていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
○野末陳平君 いま言ったようなサラリーマンから見ていろいろな不公平、それから税法上の不公平というより徴税上の、執行上の不公平の差を埋めるためにも税理士の役割りというのは非常に重要であると思っているわけですよ。ですから、ぼくは税理士の地位が社会的にやや低いという判断をしているから、だからもう少し地位を高めるということは非常に大事だと思うのです。そういう面からして、今度の税理士法がじゃあ完全であるかどうかというところが問題ですね。
 大筋でいいと思うんだけれども、一番うるさく言っているのが、さっきから出ている助言義務のところでしょう。これは、特に解釈の仕方がむずかしいと思うのですが、ただ素朴な疑問を言うならば、現行法でも脱税の相談のようなばかなことはできないことになっているわけですよ。だから、それ以上にどうしてじゃ助言義務のような規定が必要なのかどうかと、こう考えると、ちょっとわからないんだな。ですからいまのままでだめだと、どうしてもこの助言規定というのは必要なんだという、その根本的なところを、ちょっと簡単に説明してください。
○政府委員(福田幸弘君) これは先ほどのように、納税者が正しい申告をするというのが一番望ましいわけでありますから、それを助長するというか、脱税相談に至らない前に二重帳簿とかはっきりしておれば、それは直していただくということで、そこで正しい申告に戻るという趣旨でありまして、何か脱税相談に行っちゃってからの規定だけではそれは申告納税の趣旨は生きないので、途中であたりまえのことを注意していただくというのは、また納税者のためでもあるわけです。そういうことで、申告納税の本来の趣旨を生かした当然の規定であると、こう思っています。
○野末陳平君 当然の規定であるというものの、この税理士がすべて納税者の内情を全部わかるわけじゃないですからね。売り上げなんか故意に落としてきて出してこなきゃ、これ以上わからないからね。そうなると、この辺はどういうふうに解釈するのかわからないんだけれども、「知ったときは、」というのがありますね。「知ったときは、」というのはそれはどういうんだろう、知ったか知らないかという判断やなんかはそれはむずかしいから、細かいとこはともかくとして、知ったらばだれだって助言するのじゃないかと思うんだね、こんな規定がなくたって、現行法で。そこがちょっとぼくにはわからない。たてまえはいまの答弁でずっとわかるんだけれども、どんなものですか。
○政府委員(福田幸弘君) これは事実を知ったときということで、積極的調査じゃなくて、知ったときに注意するということになっておるわけです。「知ったとき」というのは、仮装、隠蔽という客観的な事実、明白な脱税を意図しておるという者が目の前にあるというときに注意するということであるわけですね。それによって後の脱税相談等に至らないで済む、そして本来の申告に行くという趣旨でありますので、これは法律論でぎりぎりやればいろんな議論はあるかもしれませんが、この規定自体は、非常に明確な条件についてそれを知ったときに注意するというふうに素直に読んでいただけば、これは国民一般から期待されておる、先ほどのいろんな執行上の問題も絡んできた批判に対する一つの答えでもあるわけです。
 アメリカの規定ではこれは当然の規定で、ノーリッジ・オブ・クライアンツ・オミッションというので、これと同じようなことが書いてありまして、税法に従わなかった、またエラーがある、オミッションがあったということを知ったときには、シャルということで、しなきゃいかぬということで、直ちにその事実を相手方に、クライアントに知らさなきゃならない、こういうことが当然のことでありますけれども書いてあるわけです。これは、やはりこういう仕事をやっておられる方は、そういうことを当然やっておるという職業道徳を明文化して、納税者全部の申告納税というものはそういうものを前提としておるわけですね。そういう意味合いがあるというふうにお考え願いたいと思います。
○野末陳平君 そうすると、モラルを明文化したということになりますね、簡単に言えば。そうすると、そこで、じゃぼくなんかは明文化しなくたっていまのでいいんじゃないかと思ったりするから、そこら辺はちょっと解釈が違うと思うので、こういう場合にはどちらも一理あるんだね。当然のことだから書かなくたっていいじゃないか、何でわざわざ書くんだという意見と、それから当然のことなんだから明文化することによってなお一層はっきりさせようと、どちらも一理あると思うんです、客観的に言うと。
 そういう場合には、やっぱり現場の――現場というか、税理士の意見というものも聞いた方がいいと思うんです。これがまた両方あるんだね、賛成と反対が。それを参考にしようと思ったって、賛成と反対あるから、その辺でもう少し、ただモラルを明文化したということでなくて、具体的にどういうふうな罰則になるのか、あるいはどういう違反というか、助言義務の違反というのはどういうケースをいうのか、その辺が本当はもう少し聞きたいわけです。
 ちょうど時間が来ましたからその部分は次回に譲るけれども、先ほどから出ていて、どうしてもわからない、賛成と反対がどっちもあるんですよ。どっちも意見なんて聞いていられないからね、正直言って。参考にはするけれども、やはり数が多い方が、反対意見が多ければこれはだめなんだということもありませんから、だからぼくは、大蔵省の方は賛成、反対どっちが多いという判断をしているのかだけを聞いておきたい。ぼくのところは六、四で反対の方が多いんです、正直言って。反対の陳情というか、反対のアピールの方が多いんです。だけれども、だからといってこれはいかぬとは思っていないので、ただ問題はあるなと、ちょっと納得できるまで質疑したいなと思っているだけで、大蔵省は賛否どのぐらいの程度と思っていますか。
○政府委員(福田幸弘君) これは先ほどから申し上げますように、税理士会の正式機関の決定を尊重せざるを得ないわけです。ですから、正式機関がこの原案を支持しておると。しかし、一部の会が反対の意向がある。しかし、全体の機関としてはそれを否決すると。で、税理士の大多数と言えばそれは正式機関の決定ですから、こういうふうな社会的なやはり批判にたえる規定を設けることを支持しておるわけでして、ただ反対の方々の運動が強いということはあるかもしれませんが、税理士会が正式決定をしておるということは多数決定でありまして、それを否決して一部の非常に強く反対される方の意見をとるということは、手続上も、また民主的なプロセスからも考えられないということで、これがわれわれは多数意見でありますと同時に、税理士以外の方の国民一般があるということをわれわれは忘れてはいけない、こう思います。
○野末陳平君 終わります。
○委員長(世耕政隆君) 両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 次回は、明二十八日午後一時開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後九時一分散会