第091回国会 決算委員会 第10号
昭和五十五年四月二十一日(月曜日)
   午前十時三分開会
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   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     片岡 勝治君     和田 静夫君
     山崎  昇君     丸谷 金保君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     嶋崎  均君     藤川 一秋君
     岡田  広君     永野 嚴雄君
 四月十九日
  委員寺下岩蔵君は逝去された。
 同日
    辞任         補欠選任
                小林 国司君
     三治 重信君     中村 利次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         志苫  裕君
    理 事
                岩崎 純三君
                石本  茂君
                原 文兵衛君
                降矢 敬雄君
                穐山  篤君
                和泉 照雄君
    委 員
                伊江 朝雄君
                小林 国司君
                増岡 康治君
                佐藤 三吾君
                坂倉 藤吾君
                丸谷 金保君
                黒柳  明君
                沓脱タケ子君
                安武 洋子君
                円山 雅也君
                野末 陳平君
   国務大臣
       法 務 大 臣  倉石 忠雄君
       外務大臣臨時代
       理
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       伊東 正義君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  谷垣 專一君
       厚 生 大 臣  野呂 恭一君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       運 輸 大 臣  地崎宇三郎君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       建 設 大 臣  渡辺 栄一君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)
       (北海道開発庁
       長官)      後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       宇野 宗佑君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  土屋 義彦君
        ―――――
       会計検査院長   知野 虎雄君
        ―――――
   政府委員
       人事院総裁    藤井 貞夫君
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       内閣総理大臣官
       房会計課長兼内
       閣参事官     京須  実君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   和田 善一君
       総理府人事局長  亀谷れい次君
       総理府恩給局長  小熊 鐵雄君
       公正取引委員会
       委員長      橋口  收君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  妹尾  明君
       行政管理庁長官
       官房審議官    中  庄二君
       環境庁長官官房
       長        正田 泰央君
       環境庁長官官房
       会計課長     神戸 芳郎君
       環境庁企画調整
       局長       金子 太郎君
       環境庁自然保護
       局長       藤森 昭一君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    千葉 一夫君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       文部大臣官房会
       計課長      植木  浩君
       文部省社会教育
       局長       望月哲太郎君
       文部省体育局長  柳川 覺治君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省児童家庭
       局長       竹内 嘉巳君
       農林水産省畜産
       局長       犬伏 孝治君
       水 産 庁長官  今村 宣夫君
       通商産業大臣官
       房長       杉山 和男君
       通商産業大臣官
       房会計課長    石井 賢吾君
       通商産業省貿易
       局長       花岡 宗助君
       資源エネルギー
       庁石油部長    志賀  学君
       資源エネルギー
       庁公益事業部長  安田 佳三君
       中小企業庁計画
       部長       中澤 忠義君
       運輸大臣官房長  杉浦 喬也君
       郵政大臣官房長  小山 森也君
       郵政省貯金局長  河野  弘君
       郵政省簡易保険
       局長心得     成川 富彦君
       郵政省人事局長  林  乙也君
       郵政省経理局長  魚津 茂晴君
       建設省住宅局長  関口  洋君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
   事務局側
       事 務 次 長  前川  清君
       常任委員会専門
       員        丸山 利雄君
   説明員
       郵政大臣官房首
       席監察官     吉田  実君
       会計検査院事務
       総局次長     松尾恭一郎君
       会計検査院事務
       総局第一局長   岩井  毅君
       会計検査院事務
       総局第三局長   肥後 昭一君
       会計検査院事務
       総局第四局長   岡峯佐一郎君
   参考人
       日本住宅公団総
       裁        澤田  悌君
       日本住宅公団理
       事        有賀虎之進君
       日本住宅公団理
       事        櫟原 利嗣君
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  本日の会議に付した案件
○昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十一年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十一
 年度政府関係機関決算書(第八十四回国会内閣
 提出)(継続案件)
○昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第八十四回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第八十四回国会内閣提出)(継続案件)
○理事補欠選任の件
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○委員長(志苫裕君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 議事に先立ち一言申し上げます。
 本委員会の理事寺下岩蔵君は、去る四月十九日、急性心筋梗塞のため逝去されました。まことに哀悼痛惜にたえません。
 ここに、皆様とともに謹んで黙祷をささげ、哀悼の意を表しまして、御冥福をお祈りいたしたいと思います。
 どうか出席者全員の御起立をお願いいたします。黙祷始め。
   〔総員起立、黙祷〕
○委員長(志苫裕君) 黙祷を終わります。ありがとうございました。
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○委員長(志苫裕君) 委員の異動について御報告いたします。
 去る四月十五日、片岡勝治君及び山崎昇君が委員を辞任され、その補欠として和田静夫君及び丸谷金保君が選任されました。
 また、十六日、嶋崎均君及び岡田広君が委員を辞任され、その補欠として藤川一秋君及び永野嚴雄君が選任されました。
 また、十九日、三治重信君が委員を辞任され、その補欠として中村利次君が選任されました。
 また、同日、寺下岩蔵君が補欠として小林国司君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(志苫裕君) まず、昭和五十年度決算における警告決議に対し、その後内閣のとった措置につきまして、大蔵大臣からの説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) 昭和五十年度決算に関する参議院の審議議決について講じました措置の概要を申し上げます。
 政府は、従来から決算に関する国会の審議議決、会計検査院の指摘等にかんがみ、国費の効率的使用、事務事業の運営の適正化、不当経理の発生の防止等について特に留意してまいったところでありますが、昭和五十年度決算に関する参議院の審議議決について、各省各庁において講じております措置を取りまとめてその概要を御説明申し上げます。
(1) 特殊法人等の役員の選考の適正化及び給与等の是正の問題につきましては、特殊法人の役員の選考につきまして、昭和五十四年十二月二十八日閣議決定「昭和五十五年度以降の行政改革計画(その1)の実施について」により、昭和五十二年十二月二十三日閣議決定の役員選考基準を一層厳正に運用することとし、その適正化に努めているところであり、特殊法人の役員の給与等につきましても、昭和五十四年十二月二十八日閣議決定「昭和五十五年度以降の行政改革計画(その1)の実施について」により、その適正化を図っているところであります。また、いわゆる認可法人につきましても、それぞれの監督官庁を通じまして、その肥大化の防止に努めますとともに、給与等の適正化につきまして指導しているところであります。
(2) 官公署における物品調達の適正化、いわゆる物品の高価購入の問題につきましては、昭和五十四年十一月二十六日官房長等会議におきまして「官庁綱紀の粛正について」の申し合わせを行うなど不当な価格による物品購入の根絶を図ることとしております。
(3) 銃砲刀剣類の所持許可及び取り締まりの厳格化につきましては、まず正規に許可を受けた猟銃の所持者全員について再調査を行い、所持不適格者として新たに把握された者や、用途目的の認められない者については、許可の取り消しや廃銃指導など銃を所持させないこととする措置を講じ、また、違法に猟銃などを所持していた者については、昭和五十四年中千三百九十四件を検挙しておりますが、昭和五十五年においても引き続きこれら不法所持事犯の取り締まりを行っているところであります。
  一方、銃砲刀剣類所持等取締法に定める銃砲刀剣類の所持の許可基準について見直しを行い、同許可基準の厳格化を初めとする法規制の強化を図るべく、同法の一部改正法案を今国会に提出し、御審議願っているところであります。
  また、昨年の三菱銀行事件直後から約八カ月間にわたって暴力的不法行為前歴者による猟銃の許可申請についての許可を保留して調査を徹底し、慎重な審査を行い、約半数について許可を与えないこととしましたが、その後も所持の必要性や乱用の危険性について十分精査し、許可に関する判断を一層的確に行うよう措置しているところであります。
(4) FMS方式により調達する装備品等の納入促進につきましては、例年格別の努力をしているところでありますが、昭和五十四年度には、第十一回日米安保事務レベル協議におきまして、装備品等の納入問題も取り上げ、米国側に納入促進協力を要請したところであります。昭和五十五年度におきましては、FMS方式による調達に関する諸般の事務が増大しており、これに対処し、また、調達品の納入促進を図るため、調達実施本部にFMS調達を専門に所掌する課を新設しますとともに所要の定員増を行い、さらに、出荷促進業務を担当する係官を米国に派遣し、米国側と未納入問題に関する連絡調整を一層密に行うこと等により、FMS方式による調達業務の円滑な遂行を確保し、納入の促進に努めることとしております。
(5) 自然条件の厳しい豪雪地帯に対する施策につきましては、豪雪地帯対策特別措置法に基づき、住民の生活水準の向上と産業の発展等を図るため、従来から各般の施策を推進してきたところであります。昭和五十五年度における重点施策としましては、豪雪対策の中でも最重要施策であります道路交通の確保を積極的に推進しますほか、小規模公立小中学校の屋内運動場の補助基準面積の引き上げ等の措置を講ずることによりまして、義務教育施設の整備を進めますとともに、雪害に対する税法上の控除制度の周知に努めるなど雪害対策の一層の推進を図ることとしております。
(6) 地方バス路線運行維持対策につきましては、バス事業の合理化による能率的な経営と適正な運賃水準を確保することが基本となると考えられますが、運賃のみでその経費をカバーできない地方バス路線につきましては、地方バス路線維持費補助制度を中心として、関係都道府県の協力を得ながら年々その対策の拡充強化を図ってきたところであります。昭和五十五年度予算におきましては、従来の補助制度を延長して継続するとともに、最近のバス事業の経営状況及び物価の動向を勘案しまして、予算の増額を図っているところであります。
(7) 宅地、建物の取引の公正の確保につきましては、従来から地方公共団体とも協力して、宅地建物取引業者の指導に努めているところでありますが、住宅宅地審議会の答申に沿い、クーリング・オフ制度の新設、宅地建物取引主任者制度の充実を内容とする宅地建物取引業法の改正を今国会に提案して、消費者の保護と宅地建物取引業者の指導監督をより一層強化することとしております。なお、昭和五十五年度予算におきましては、不動産流通市場の整備、近代化を推進し、宅地、建物の取引の公正、円滑化を図るため財団法人不動産流通近代化センターを設置することといたしております。
 以上で終わります。
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○委員長(志苫裕君) 次に、昭和五十一年度決算外二件を議題とし、本日は締めくくり総括質疑第一回を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。佐藤三吾君。
○佐藤三吾君 郵政大臣が何か日程の都合があるようですから、まず大臣から質問をさせていただきます。
 いま、同僚議員の寺下さんの亡くなったことで委員全体で黙祷をささげたわけですが、実は、私、十九日にやはりこういう死亡事故がございまして、弔電を打ちたいと思って一一五に電話をしたんですが、十五分間待ちましたが電話に出てこない。よほど忙しいんじゃないかと思うんですが、さらに、私の場合には三鷹ですから、〇四二二−四三−二九九四の案内に電話をしたところが、定員がなくて大体十分から十四、五分待たしていただいておりますと、こういう報告なんですね。これはまあきょう私ここで質問するわけじゃございませんけれども、急ぎの用の場合の一一五がそういう実態にあるということは、ひとつ郵政省の中で調査をしていただいて、そういうことのないようにやっていただきたいということをまず冒頭に申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、綱紀粛正の問題で、昨年十月の九日以降に官房長官の通達なり、それを受けての各省の通達が出されておるのを見させていただいたわけでございますが、ちょっと腑に落ちない点があるわけです。それは、官房長官の十月九日の通達は、カラ出張等が頻発して国民のひんしゅくを買っておる、したがって、厳に綱紀粛正に徹底せられたいという通達が出されておる。ところが、それに対する郵政省の経理局長の通達を見ますと何らそれに触れていない。「予算執行の適正化について」と、こういう形で郵政省の場合には出されておるようです。これは出された直前の十月三日には、各新聞社を通じまして郵政省のいわゆる鉄道パスを通じての無用出張、出張旅費の二重取り、こういう実態が赤裸々に報じられて、郵政省自体の中でもその事実を部分的に認める、こういう報道がされておるわけですが、そういう中で出されたこの通達がその問題に触れていないということは、一体どういう意味を持っておるのか。その後にそれらに関する通達があるかということで調べてみたのですが、それについては何ら触れていない。十一月十二日に設置された点検委員会の報告を聞いてみても、この問題は触れていない。どういうことなのか、まずそこら辺をお聞きしたいと思います。
○政府委員(小山森也君) 先生御指摘の出張の件でございますが、実は、五十四年十二月二十六日に経理局長・人事局長の連名の通達によりまして「職員に対する旅行命令の手続等について」という通達が出ております。この中には、先生御指摘のように、官房長官からの通達、そのほか官房長会の申し合わせ等の内容を全部盛り込みまして、十二月二十六日に郵経会第二百三十九号という通達で出しておりますので御了承いただきたいと存じます。
○佐藤三吾君 その内容は触れていますか。
○政府委員(小山森也君) 読み上げますと非常に長いことになりますけれども、内部部局の局長または部長である旅行命令権者等の命令を発することについての郵政省旅費規程についての解釈の仕方、それから出張については旅行者の精算請求の確認に先立って当該旅行が命令どおり行われたかどうかも審査しなければいけないということ、それから出張に係る復命についての実施、これ等について、三項目から申しております。
○佐藤三吾君 いや、それは見さしていただいたんですが、いま言うように、問題はこの官房長官通達が出されたというのは鉄建公団の一連の不正事件から、カラ出張であるとかヤミ出張であるとか、もしくは旅費の二重取りであるとか、各省に、たとえば環境庁であるとか、大蔵省であるとか、各庁に一連に出てきたものを通じて出された綱紀粛正の通達だったと思うんです。郵政省はそれに該当するわけですから、その問題に触れてこの問題の処理がなされていないということを言っているわけです。いかがですか。
○政府委員(小山森也君) 先生御指摘のように、一部の新聞におきまして当省においてそういったようなことがあったのではないかという報道がございまして、このことにつきまして、五十四年の十月三日に事務次官指示ということによりまして徹底的に調査したわけでございます。この調査につきましては、各部局の局長が責任者となり、実行上は各部局の庶務担当課長がこれに当たりまして調査をいたしまして、実際に行った日にちと旅行命令簿というものを全部つき合わせてみたわけでございますが、その結果、そのような事実が出てこなかったという結果が出ております。
○佐藤三吾君 いや、あなたのところは、KDDの問題も何にも事実はございませんでしたと、その後に最高の管理責任者が逮捕されるという事件が起こっているわけで、なかなか信用しがたいんです、おたくの場合には。だから、そういう意味合いで私も聞いておるわけですが、国鉄の無料パスが皆さんのところに、郵政と運輸と警察、ここに中心に配られていますね。それのいわゆる旅費二重取りの運用の実態までOB、現職を通じて明らかにされておるわけですね。そういった問題について官房長官通達が出されておるわけですから、カラ出張を含めて。これについてやはり何もなかったということはないんじゃないですか。同時にまた、どういうふうにこれが配付されておるのかという実態も明らかにされてない。この際ひとつ、国鉄が大変な赤字状態に苦しんでおる事態だし、官公庁の場合には返上すべきではないかという世論も強い。そういう実態の中で出された綱紀粛正の通達ですから、当然やはりこの問題に触れて現にどういうふうに措置したのかということは国民的に明らかにすべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(小山森也君) 実は、国鉄の無料パスにつきましては、確かに国鉄の方から当省の輸送関係を受け持っております部局にいただいておりますが、これにつきましては、これは具体的に郵務局管理課と申しますが、ここにすべて原簿がありまして、ここに保管されております。それによりまして、いわゆる郵便貨物輸送の場合の監査等において必要な場合におきましては、そこから原簿から何日から何日まで出張という記録を設けまして、その間の旅費は支給しない、むろん日当、宿泊等は別でございますが、交通費は支給しないということで現在措置しております。
○佐藤三吾君 まあいいでしょう。そういうことで、あなたの方できっちり自信を持ってやられてないというなら、また別の機会に質問さしていただきましょう。この配付の実態をひとつ出していただきたいということを要求しておきます。資料として。
 それから、次に行きますが、大臣、郵政の場合には、KDDで御存じのとおりに逮捕者まで出しておるわけですが、現に大臣が訓示をされたり、もしくは通達が頻繁に出されているにもかかわらず、会計検査院の決算によりますと、不当事項というのが年々拡大してきている。昭和五十年から五十三年の実態を見ても、五十年が六、五十一年が七、五十二年が十、それが五十三年は三十七と、計六十件、四億六千万という不当な支出が指摘されておるわけです。これは五十四年度になるとさらに拡大するんではないかと思うんですが、この面においての綱紀の粛正というのは一体どのように処理されておるのか。
 また、時間がございませんからつけ加えて申し上げますと、悪徳業者による不当な物品の購入を検査院から指摘されておるわけですが、これに対する措置を見ますと、郵政省の場合には検査院の検定が未了であるがゆえにということで何らまだ措置をされておらない。しかし、事実検査院の指摘の中では、どこどこでどういう事態でどういう物品については国庫に何百万の損害を与えたという指摘がされておるわけです。たとえば国会図書館であるとか総理府、法務省などでは検定の結果を待たずに損害措置を補償しておる。こういった措置が郵政省の場合にはされてない。
 そこで私、検査院のこの検定の実態を調べてみたところがここは職員わずか八名しかおらない。このテンポでいきますと五十三年度だけでも約一億何千万という実態ですから、それを調査するだけで二年はかかる。二年もかかれば、これはもう新聞はもちろん世論も冷めてしまう。冷めたところで結果的にはうやむやにしてしまう、こういう計算で、そういうそろばんで検定待ちという態度をしておるようにうかがえるわけです。この法律ができてからもうかれこれ約三十年たちますが、そこで有責の有無を調べてみたところがわずかに十二件しかない。もう最近はほとんどない、検定の結果。なぜないかということを調べてみると、言うならば担当の職員が物品を買うよりも、こういう場合には、ほとんど部長や常務やそういうところが悪徳業者と組んで、まあいろいろあるけれども、これ買ってくれやと、こういうかっこうでやられるものですから、担当者にこの責任を有責とするわけにはいかないというのが検査院の内容のようです。だとするならば、結果的にはこういうものは制度としてあっても実際としてはほとんど有効に機能してない。また、各省の方はそのことをよしとして検査院の検定を待つ。世論が冷めたころにもう無責任に消していくと、こういう姿になっておるんじゃないかと思うんですけれども、これらについて一体どういう措置をとろうとしているのか、まずこの点を聞いておきたいと思うんです。
○国務大臣(大西正男君) まず、事実関係等につきまして、経理局長、首席監察官からお答えいたさせます。
○説明員(吉田実君) 先生御質問の部内者犯罪の関係から申し上げます。
 先生御指摘のとおり、部内者犯罪は会計検査院報告によりますと毎年出ておりまして、私ども部内者犯罪の防止につきましては日ごろから非常に努力しておるところでございますけれども、そういうような事態を生じておりまして、非常に遺憾に存じております。
 まあ、先生御理解いただけると思いますけれども、郵政省は大変たくさんの職員が多額の現金を毎日取り扱っておるわけでございます。しかし、一部の職員とはいえこういう不心得者がおるということはまことに残念でございまして、私どもとしてはその原因についていろいろ対策を練っておるわけでございますが、何といっても当該職員の綱紀に対する自覚の欠如というようなことではないかと思います。こういった犯罪が起こらないように服務規律の厳正化とかその他いろいろな各般の措置をとっておるわけでございますが、なお、それぞれあるいは業務について正規な取り扱いを完全に励行させるとか、完全にこういうことをやらせるとか、あるいは検査とか監査とか、こういう機会がございますので、こういったものを十分にさせるとか、そういう措置をとっておるわけでございます。
 なお、監察といたしましては、毎年大体郵便局二年に一度ぐらいの割合で考査もいたしておりますし、また犯罪が発生いたしました際には、その原因等を究明いたしまして、二度と起こらないように具体的、個別的に指導を展開しておるところでございます。
 以上でございます。
○政府委員(魚津茂晴君) 佐藤先生の後段の物品の高価買い入れ、俗に押し売りの問題についての御指摘についてお答えさしていただきたいと思います。
 過去にそのような事実がございまして、昭和五十三年度の決算検査報告にも指摘をされておりますことは、まことに遺憾なことだと存じております。
 省といたしましては、今後、このような押し売り行為があった場合の対策を十分講じますし、警察当局とも打ち合わせの上、防止体制を確立いたしまして、再びこのようなことを繰り返すことのないよう厳重に指導し、その体制が整ってまいりましたので、昭和五十三年十月以降、物品の高価買い入れの事例は根絶いたしております。現状はそういうことでございます。
 そこで、過去のそのような経費についての弁償責任、検査院の検定を待つまでもなく、当然、任意に弁償してその責めを果たすべきじゃないかという御趣旨の御質問だったわけでございますが、この件につきましてはいろいろ具体的事情を考えてみますと、あるいはまた調査をしてみますと、多種多様なケースでございますが、共通して言える問題といたしまして、長時間にわたって異常な状況のもとで押し売りに来た者と応対いたしまして約束させられた関係職員と予算執行職員とが、事実問題として別のケースであるということが多い事情もございまして、このような場合の弁償責任をどのように考えるかの判断が非常にむずかしい面がございます。
 そこで、近く予想される会計検査院の検定前に、予算執行職員に対して弁償を命ずることは、現実としてはいたしておりません。しかしながら、そうすべきじゃないかというような、今度は御指摘の点につきましては、残念なことでございますが、弁償の額がきわめて多いというケースがございました。また、このような結果を招来いたしましたけれども、関係職員といたしましては、いずれも安易に押し売りに応じたものではなく、極力排除に努めておりまして、購入に応じた場合でも、脅迫を受けて苦悩した末、購入数量、金額を極力圧縮するよう努力した上で、やむなく購入するに至ったものでございまして、自己の利益を図るために行ったものでないこと、その後、かかる事例の根絶に大きく貢献していることなどの事情を考慮する必要がございまして、目下慎重に検討いたしているところでございます。
○佐藤三吾君 私が検査院から聞きますと、あなたが言うような状態になってない。いわゆる、何でこの制度があって、そして、検査院で有責、無責の判定をしていく中で、この三十年間にこれだけの事故がどんどん起こりながら、わずかに十二件しか有責という判定ができない。この一番大きな原因は、直接担当の職員が、いまあなたがおっしゃったように、押し売りにやられるという事例よりも、むしろ、その管理者が、おい、この物品を買うとけや、もうおれが話つけたからと、こういう形でやられるので、そこでなかなか責任の追及ができないんだということを言っておる。検査院、いかがですか。
○会計検査院長(知野虎雄君) 私どもが、各省庁における物品の高価購入につきまして、これを不当事項として指摘をいたしました。これは不当事項として指摘をすることによりまして、各省庁にそれぞれの対応を求めたものでございまして、その指摘以来、大体におきまして高価購入というものはとまったと考えております。そういう点で、高価購入をしないということ、あるいはそういう押し売りに対する対応策を購ぜられたということ、それらの点におきまして効果を発揮しておると考えておるわけでございますが、現在私どもがいたしておりまするのは、この高価購入に関係をいたしました予算執行職員の一人一人につきまして、予責法上その人に弁償責任を課するかどうか、課するとすればどれだけの金額を弁償させるかという会計検査院に任された検定を一つ一つやっていかなきゃならぬという問題でございます。
 いろんなこれは背景を考えました上で、本人の責任を問えるかどうかということを中心にやっていくことでございまして、該当する数だけでも百数十人に実は上るわけでございまして、個人の責任にかかることでございますから、非常に慎重に一件一件審査をしてまいらなければならないということでございまして、現在までまだそう数はこなしておりませんけれども、今後進みぐあいによりまして有責の判断をしなければならないものも出てくるのではないかと考えております。
○佐藤三吾君 大臣、時間がありませんから、あなたの見解を聞きたいんですけれども、先ほどの、国鉄の無料パスの返上をするのかしないのかの問題とあわせて、いま申し上げたように、検査院の有責、無責のこの検定作業というのはわずか八人で各省またがってやるわけですから、これは大変です。しかもそのことの原因を見ると、ほとんど不当事項の内容というのは管理者の責任が多い。管理をする者が、たとえば押し売り業者にしても、事実上そこでは話をつけられて、そうして末端職員にしりぬぐいをさせる、こういうかっこうになっている。そのしりぬぐいをしておる職員に有責、無責を問うということに検査院ではなかなか審議がはかどらないという実態がある。私は、やはりこういった問題は、一罰百戒じゃございませんけれども、省全体もしくはその関係者全体が、この問題を今後根絶するという決意のもとに弁償していく、そういう姿勢がこの問題の解決の唯一の道だと思うんです。こういったことに対して大臣の見解を承っておきたいと思います。
○国務大臣(大西正男君) 一つは、国鉄のパスに関するお尋ねでございますが、私も事実関係をいま初めて聞いたわけでございますけれども、よく相談をいたしまして善処いたしたいと思います。
 それから第二の、物品購入に関する不当事項に関する弁償の問題でありますが、これも会計検査院でございますか、よく御相談をいたしまして、事実関係を明確にいたしまして、その上で適正な措置をとりたいと思います。
○佐藤三吾君 もう一つ、時間がございませんがお聞きしておきたいと思いますが、やはりこういった問題は、上から通達や指示や訓示を落としただけでは問題解決にならない。やっぱりこういった事実は職場の中では、同僚の中ではわかるわけです、不正とか、そういう問題は。ですから、そういうところで直ちにチェックされる、そういう職場環境、職場の民主化というのが私は腐敗防止の前提になるんじゃないかと思う。ところがあなたのところは、ほかの官庁ではないんだけれども、たとえば労務連絡員という者を各郵便局に置いて、これがそういう職場の民主化というものを抑えていく役割りを配置しておる、そのことを通じて各局の局長と労務員が対立する、そこにまた労使関係のトラブルの原因にもなっている、こういう事例等もあるように伺っておるわけですけれども、こういった点についてもあわせて、大臣の方で調査をしていただいて、改善の措置をひとつとっていただきたい、いかがですか。
○国務大臣(大西正男君) もとより労使関係の正常であるという、これはもうわが省にとってはきわめて大切な問題でございます。そういう観点に立って、もし改善すべきものがございましたら改善をしてまいりたいと思います。
○佐藤三吾君 そこで、院法の改正について質問したいと思うんですが、この院法の改正を見ますと、ロッキード事件から始まって、ダグラス、グラマンと、次々に日本の腐敗政治が明らかにされて、問題はそれをどう防止するかと、幾つかいろいろ手だてが講ぜられたわけですが、その一つが私はやはりこの院法改正の問題だと思うんです。で、もうこの問題が国会で議論されて、そして決議をされて四年たちます。当初は、これは福田総理も院法の改正についてはきわめて積極的で、そして再々国会の中で早急な実施を約束してきた。大平さんになっても、同様な発言はあるんですが、しかし一向にらちが明かない。私は先般の予算委員会のときにもこの問題を、官房長官、大蔵大臣、行管長官、それぞれ追及してきたんですけれども、どうもこれらの問題に対する態度が鮮明に出てこない。いま行政改革の問題が議論されておりますけれども、私はやはりよって立つ根原から見ましても、院法の改正というのはまさに緊急を要する課題じゃないかと思うんです。どうですか、これは検査院、院長来てますが、どういうふうなこの問題の取り扱いになっているのか、一向にまだ出てこないんですけれども、何に原因があって出てこないのか、まず院長から経過を聞きたいと思うんです。
○会計検査院長(知野虎雄君) 会計検査院法の改正に関する経緯につきましては、大方御承知のことと思いまするけれども、かいつまんで申し上げたいと存じます。
 御承知のように、過去たびたび両院の本会議におきまして、会計検査院の権限の拡大に関する御決議がございました。特に、五十二年の衆議院の決議の中に、政府関係機関による融資の実態の検査について現行制度では十分ではないから、その所要の措置をとるべきであるというふうな、具体的な御決議もございました。それで、会計検査院の案ができたならば、内閣で検討しようという御発言もありましたものですから、これについて一応私どもの改正案というものをまとめたわけでございます。
 ただ、この改正案に――その具体的な内容はもう御承知でございますので詳しく申し上げませんが、この改正案をまとめますまでの間、いろいろな論議を通じまして、また、私どもの検討を通じまして、問題になりました点が二つございます。
 その一つは、私どもは国家資金の使途の検査というものを厳重にするという意味で、政府関係機関の融資の検査に当たりまして、その融資が適当であるかどうかということを判断するのに必要最小限度の調査権を融資先に及ぼしたいということを主たる内容としたものでございますが、これに対しましては、私契約であります貸付契約に公権力が過大に介入することになるのではないかという、立法政策上の問題があるわけでございます。これはやはりこの、国家資金の使途の検査を厳重にするという立場と、公権力の私契約なり私企業に対する介入を最小限度に抑えるべきだという問題との調整の問題がございます。それからもう一つは、融資先にまで検査を法律上の権限をもって及ぼすということになりますと、政策金融に支障を来すのではないかという、政策論からの論議でございます。この点は、会計検査院としましては立場上、政策論議に深入りをするということは避けなければなりませんので、いずれにしましてもこの二つの問題は、検査院の考えました案は案としまして、やはりより高い見地から御判断をいただくべき問題であろうということで、内閣により高い見地から御判断、御検討をお願いしたいということを申し上げて、いま内閣におきましてその問題の御検討をしていただいておるというのが大体の経緯でございます。
○佐藤三吾君 そこで官房長官、あなたなかなか、日ごろは歯切れがいいんだけれども、この問題に対するとなかなか、ああでもないこうでもないということで来ておるんですが、もういいかげんにこの問題に対する結論を出さなきゃならぬ時期に来ておると私は思うんです。で、一体あなたの預りになってもうかなり日数がたつんですが、何が根本的理由でこの問題に対して結論が出せないのか。私は院法改正案の内容を見ると、非常に慎重な改正案だと思うんですね。後ほどまた聞きますけれども、地方自治法百九十九条に基づく地方自治体のいわゆる監査の内容から見ると非常に遠慮しておるというか、融資先に対する調査に神経をとがらしておると、こういう改正案です。その改正案がなぜあなたの手で塩づけになって、一向にこれが国会に出てこないのか。まあ、見方によると、もう大体四年たったと、ロッキード裁判も終わりに近づいておると、もう少しすれば世論が冷めるんじゃなかろうかと、そうすればこの法案はほおかぶりで逃げ切れるんじゃないかという憶測さえされておるわけです。あなたがいま握っておるこの問題に対して、どういう理由で結論を早く出さないのか、明確なひとつ歯切れのいい答弁をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 確かに私、いまの職につきましてから、この問題がある、国会でも御質問をいただきましたので、私の前任者からずっともう先生おっしゃったように四年にもなるということでございまして、法案事項になっておりますので、ひとつこの法案をどういうふうに取り扱うかということで、関係省の意見も聞いてみて、検査院の意見も聞いてみて、できるものなればということで実は調整をやったのでございます。いま先生がおっしゃったように、これを握って、握りつぶしてるという意味じゃ全然ございませんで、そういうことではないことだけは御承知おきを願いたいのでございますが、検査院の意見を聞き、それから各省の意見を聞いたのでございますが、いま検査院の院長からおっしゃいましたように、私契約の部分に公権が介入をしてくることは、これは本当になるべく避けるべきじゃないかという意見が一つございます。これは実は航空機の購入の疑惑に関する委員会という委員会を開きまして提言をいろいろ受けたことがございますが、その中でも実はこの公権の介入の問題が先生方から議論が出まして、どちらかというと消極的な意見が実は出ておるのでございます。
 それはそれとしまして、各省の意見は、一回、開発銀行なら開発銀行、公庫なら国民金融公庫あるいはその他いろいろ公庫がございますが、そういうところから融資をする、これは政策金融なんだと、その先までに検査が法定で及ぶということになると、非常に銀行なり公庫から金融を受けるということに消極的になる、心理的負担が非常に大きいので、現実にはいわゆる肩越し検査ということを検査院と相談をしてやっておるのでございますので、それ以上それを法定化することは政策金融が円滑に行われないというおそれが多分にあるというその点で、一点でございますが、その点でなかなか折り合いがつかないというのが現状でございます。それ以外の理由じゃない、それだけの理由でございますが、関係各省と検査院の間で私ども中に立ちまして話し合いをしておるのでございますが、なかなか妥協点が見出せないということで、実は院法の改正をお願いするということに至っておらないというのが実情でございまして、私どもとしましてはどこかに妥協点が見つからぬか、見つけることができないかということを実はやっておるのが現状でございます。
 そういうことで、先生おっしゃったように、はなはだすぱっとした解決ができなくて今日に至っていることは申しわけないのでございますが、現状はそういうことでございますので、現状の報告を申し上げておきます。
○佐藤三吾君 これは、いまあなたが心配する私契約に対する公権力の介入の問題であるとか、政策金融に対してどうかという問題を心配なさっておったですけれども、この院法改正案はそこら辺まで配慮しているじゃないですか、向こうの企業の承諾を求めるとか通告をするとか、事前に。問題はこういうロッキードやグラマン、ダグラスのような事件が起こって、そうしてそこまで検査院の手が伸びてない、そういう事件が起こっても手が伸ばせないという、こういうところに国民のもどかしさが、いろんな私契約の問題とか、さらにまた政策金融の問題、いろいろな条件があろうけれども、ここはひとつ、そういう問題の起こったところについては検査院が直ちに国民の負託にこたえて調査ができる、こういう趣旨の内容ですからね、これはいまあなたがそこで弁解するまでもなく、そういう配慮をした改正案だと私は思うんですよ。そこら辺ができないという理由はほかにあるんじゃないですか。どこの省が一番反対しておるんですか、通産ですか、大蔵ですか。反対しておる省の大臣、大蔵大臣なり通産大臣も含めてひとつこの問題に対する見解を聞きたいと思うんです。
○国務大臣(伊東正義君) 私から先にお答えします。
 先生御承知のように、補助金が直接出ている、あるいは国が出資しているというところには検査院が検査をされるのは、これはいま法律があるとおりでございまして、今度の国会では、御承知のように特殊法人につきましては、出資もしていない補助金も出していないというところにつきましては、問題になりましたKDD等は検査院の検査を受けるというふうに法律を直していこう、個々に問題になりそうなところはそういう法律を直すし、特殊法人全部につきましては行政監察が及ぶというような改正をしまして、一歩一歩何とか、問題があったときは検査院の検査ができるようにということに、実はできるようにというようなことは個々の問題としてやっておるわけでございますが、公庫から中小企業に融資をするとかあるいは農業に融資をするというような場合に、どうも政策金融がそういうことになると、法定されると、心理的な圧迫を受けて伸びないんじゃないか、うまくいかぬじゃないかということで、いまそういうところを主管しておられる関係省庁では先生のおっしゃるようなことにはなかなか議論がいかぬというのがいまの現状でございます。
○国務大臣(竹下登君) 官房長官からそれぞれお述べになっておりますことに尽きるわけでございますが、大蔵省と申しましょうか、財政当局の立場といたしましては、たび重なる決議等をよく精査をいたしてみますと、言ってみれば機能の強化充実ということが一つと、権限の強化、この二つに分けられるんではなかろうかと思います。したがって検査機能の充実強化という点については本院でもたびたび御指摘を受けた線に沿ってそれなりの配慮をしておるところでございます。
 権限の問題につきましてのただいまの問題点でございますが、これは佐藤委員の御指摘というものは、私はさらに強い行政指導でもって行うならば、契約約款の中においてその趣旨にこたえ得るところの可能性は十分あるというふうな理解の仕方の立場に立っておるわけであります。
 ただ、内閣官房でお預りいただいておりますが、その席へ出てまだ私どもが議論をするという段階にまでは立ち至っておりません。事務当局の段階であるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○国務大臣(佐々木義武君) 官房長官からお話ございましたとおりでございまして、中小企業政策金融に大きい支障を来すんであれば、本来の中小企業の振興あるいは救済等の目的と逆行するんじゃないかというおそれがあるからでございます。
○佐藤三吾君 いま官房長官が何か記者会見の関係があるので三十分ほど中座したので、その間にちょっと聞いておきたいと思うんですが、自治省来ていますか。――
 自治体の場合には地方自治法百九十九条ですか、いま官房長官なり大蔵、通産大臣が心配しておる部分についてはとうにもう実施をされておるわけですね。いかがですか、何か支障ございますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 自治法の百九十九条でしたか、あの規定は戦後地方団体に対する国の公権的な監督制度がなくなった、そこで地方公共団体みずからが監査の制度を設けて地方公共団体の行財政運営の適正化を図ろうと、こういうことであの規定が設けられたわけでございまして、それなりの効果を上げていると思います。
 ただ問題はその監査のやり方ですけれども、これは第七項に書いてございます関係人を招致するとか書類の提出を求めるとか、こういった規定が設けられて、これが働くわけでございますね。問題はこの規定の改正はたしか昭和三十一年だったと思います。その当時の記録を若干見てみますと、やはりここまでいくのは行き過ぎじゃないのかという議論が出ております。それに対して政府当局としては運営については十分慎重な配慮をしてやりたいと、こういう回答もしておるようでございます。
 そこで若干の府県等について調べてみますというと、やはりその運営は慎重にやっているようで、今日まで六項の規定による権限は与えられ、それなりに十分な機能を果たしていると思いますが、監査のやり方について、七項によってそこまで徹底したやり方をやっておるという実例はないようでございます。したがって、いわば伝家の宝刀といったようなことで、こういった監査に伴うプラスの面、マイナスの面それぞれ考えて慎重に運営をしておるのが今日の実情でございます。
○佐藤三吾君 慎重に運営もあるでしょうが、問題は、この問題でいま大蔵大臣や通産大臣が言う、心配されるような事例はないと、起こってないと、こういうふうに理解していいですね。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私ちょっとおくれてまいりまして、終始の御議論を承る機会を失ったんですが、そういったやはりマイナス面もあり得るということで、地方団体としては慎重な配慮で現実に七項の規定を働かして監査をしたという実例はないようでございます。
○佐藤三吾君 ちょっと大臣の答弁わかりかねる点があるんですが、言うならばこの問題が起こったというのは、ロッキードやダグラス、グラマンという事例が起こらなかったらここまで議論はなかったと思うんです、逆に言うならば。そういった企業に対してこれは当然国民の目で何とかならないのかと、この焦燥感が院法の改正に通じてきたと思うんですね。ですから、自治体の場合にそういう事例がいままで起こってないと、だから七項の適用がされてないと、こういうことだと思うんですが、そういう理解でいいでしょう。
○国務大臣(後藤田正晴君) 確かにおっしゃるように、そういった面もあって慎重な配慮で適用をしてないと、しかしいざとなればこれは適用ができるということだけは間違いございません。
○佐藤三吾君 そういう前提に立って、大蔵大臣、通産大臣、それでも今度の改正案については承服できかねるというふうに理解しておるんですか。それとも自治大臣がいま言ったように、やはり規定はきちっとなきゃいかぬと、やるかやらないかの運用の問題についてはよほど事態を慎重に見きわめていかなきゃならぬだろうと、これは検査院もそう言っておる、そういう前提に立ったときにいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる伝家の宝刀というものは、その宝刀があることによって意義があり、それはめったやたらと抜くべきでないと、そういう抑止力というものが私も存在するということはいろいろな法律によってあり得ることだと思うんであります。
 ただ、今回の問題につきましては、私ども、いわゆる産業界に対する問題でございますだけに、自由主義経済を基調として、それなりのそれに対して政策金融とか、そういう面で国の財政投融資とか、そういうものが機能をしておるという状態にありまして、元来、行政指導の範囲内でやるべきものを、産業界の自由潤達な活力というものを前提に置いて経済運営その他を行っておる場合において、必ずしも抜かざるの伝家の宝刀というものがあるよりも、より行政指導によって強力に御協力申し上げることが実効が上がるではないかと、こういう考え方であります。
○国務大臣(佐々木義武君) 先ほど申し上げましたことと同じでございますけれども、中小企業者の立場に立って考えますと、検査院の公権力による検査を受けるということは、警察とか税務署などの立ち入り検査と同様に恐らく受け取るんじゃないかということになりますと、中小企業者の心理を考えますと、かえってそういうことでありますればもう借りぬ方がいいというふうなことになりますと、政策金融に大きな支障を来すことになりますので、慎重に検討すべきだと、こういう意見でございます。
○佐藤三吾君 どうも一向すっきりしないんですがね。この問題は官房長官が帰ってからもう一遍議論しましょう。
 そこでもう一つ、衆参両院の決議の中では、院法改正とあわせて検査院の体制の強化の問題に対する決議がされておるわけです。たとえば定員増、給与改善、検査活動費の充実強化と、こういう問題が決議されておるわけですが、これは決議された以降どのように改善されたのか、院長からお伺いしたいと思います。
○会計検査院長(知野虎雄君) 機能の強化につきましては、まず定員の問題がございますが、これは現在定員の規制が非常に厳重に行われております際ではございますけれども、財政当局その他の御理解をいただきまして、過去純増で八名か十名ばかりふえております。それから検査手当の増額につきましても、あるいは検査活動費の増額につきましても逐次改善を見ておるところでございます。
○佐藤三吾君 十分決議が生かされてきておると、こういうふうに理解していいんですね。
○会計検査院長(知野虎雄君) もうこれで十分であるというふうには必ずしも考えておりませんけれども、やはり現在定員の規制ということを非常に大きな命題としておらるるときでございますから、そういうことともあわせまして、検査院もみずから研修その他で機能を充実していかなければならぬとは一方では考えておりますけれども、なお今後必要があります場合には、そういうものの充実につきまして、一層皆様の御理解をいただきながら努力をしてまいりたいと考えております。
○佐藤三吾君 これは蛇足になるかもしれぬが、大蔵大臣の方で検査院の兵糧攻めということは考えていないと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) それは全く考えの外にあることでございまして、事実問題といたしまして、この本院の決議とその重要性にかんがみまして従来とも配慮したことではございますものの、五十五年度予算におきましては、定員については、定員全体について厳しい抑制方針のもとにおかれても、二名ではございますものの、これは純増ということを行っておるわけでございます。それから、検査業務のまさに円滑化を図るための検査活動費、これは五十四年度と比較いたしまして約四〇%の増額を行っておるという実態でございます。ただ、検査旅費につきましては、検査従事人日数が五十三年度中出張日数が平均九十七・四日であるということからいたしまして、いわゆる限界的水準というふうな範疇に属しますので、五十五年度は前年度同額ということにいたしておるわけでございます。確かに千二百十二人という定員が四十年から四十九年まで続きまして、それから五十年以来――五十三年が一度ストップいたしておりますが、純粋な増ということでいま千二百二十四名と、こういうことになっておるわけであります。
○佐藤三吾君 数字を見るとほとんどふえていないというか、この決議が生かされてないと、私はそう思ったんですが、まあいい。検査院長も十分体制が整いつつあるというふうな御報告ですから、ぜひひとつ財政的な制約についても、大蔵大臣のように、考えてないということですから、これはやはり決議を生かす意味でひとつ今後も努力をお願いしておきたいと思います。
 院法の改正の問題、ちょっと官房長官、肝心なのがおらなくなったのでその間、別の問題で質問さしていただきます。
 まず、法務大臣来ていますか。――いま名古屋の高裁で審理をされております、子供会のハイキングに伴う事故によって、責任者でない者がボランティア活動の一環として参加したゆえに全責任を問われて、刑事事件として争われておるわけです。これは、五十一年の八月に、三重県津市の河辺町四葉子供会の事件でございますが、水遊び中に子供が一人事故死をした、その責任を問われておるわけです。
 で、津の簡易裁判所の判決を見ると、引率した地区育成会の会長、さらにまた事故死をした子供の班が第二班でありますが、その第二班の班長――班長というか班の担当の育成会の役員、そういうところに問題の焦点がしぼられたんじゃなくて、その責任を何ら持ってない、単に地域に住んでおるということで、地区の子供会のことですから、たまたま県の職員でもあるし中央児童相談所の職員でもあるということでボランティアに参加した田村さんが、本日そこにおいでになっておりますが起訴される、こういう公訴権の乱用ではないかと言われるような事例なんです。判決の内容を見ると、その育成会の方々やボランティアを含めた中で田村さんが保母資格を持っておった、専門知識を持っておったということが、言うならばまあ子供会の運営の際には発言が何かと多い点もあったと思うのでありますが、それが理由に起訴され有罪となっておるわけです。
 これは非常に私は問題じゃないかと思う。田村さんにしてみれば、職務でもなく育成会の役員でもない、ただ地域の皆さんと一緒に参加をした、ところがその田村さんが持っておる保母資格を理由にして起訴をされるということは、これはもう本人ももちろんですけれども、今後のボランティアの活動そのものに重大な影響が出てくると私は思うんです。現に三重県ではそれまで、保育所にお母さん方が子供を受け取りに来る、その際に共かせぎの近所の子供もいままでは一緒に連れて帰っておった。ところが、この事件が起こってからぱたりそれがとまってしまった。なぜかと言えば、善意が罰せられるわけですからたまったものじゃない。もちろんこの地域の子供会はもうほとんど壊滅状態なんです。こういう実態が出ておるわけです。
 これは、全国の子供会の実態を私も調べてみましたが、四十七年から五十五年の間にこういった子供会の行事の中での事故死というのが七十七件起こっております。この田村さんの事件の五十一年の際も十四件事故死が起こっておる。しかし、刑事事件に問われたのはこの事件以外に一件もない。これは、私はそういう意味では異例な、いわゆる公訴権の乱用につながる性格を帯びる内容ではないかと思うんですが、まず、法務大臣から見解を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(倉石忠雄君) 刑事局長参っておりますので、刑事局長から御説明申し上げます。
○政府委員(前田宏君) お尋ねの事件はただいま御指摘のありましたようなことでございますが、また、いま御意見にございましたように、いわば公訴権の乱用ではないかというような御議論もあったようでございます。しかしながら、ただいまのお尋ねの中にもございましたように、第一審でございます津の裁判所で有罪の判決がございまして、弁護人の方から控訴の申し立てがあって名古屋の高等裁判所に係属中ということに相なっております。
 お尋ねの中で、保母の資格があるというだけで起訴されたのではないか、こういうような御指摘があったわけでございますけれども、事案の内容に即しまして、この児童の方が亡くなったことにつきましてどなたかに責任があるのではないかということをあらゆる角度から検討いたしました結果、田村マキ子という方について過失が認められるということで起訴をした次第でございまして、裁判所でもその点が認められておりますし、公訴権の乱用ということもまた法廷で議論されたようでございますけれども、その点も乱用とは言えないという裁判所の御判断をいただいている次第でございます。
○佐藤三吾君 この事故の内容を若干調べてみますと、事故当日から捜査が行われておるわけですね。ところが、この判決では溺死と、こうなっておるわけです。しかし、その診察した医師の診断を見ると、水はほとんど飲んでない、こういう結果が出ておる。しかも、これは捜査が当初から開始されたにかかわらず解剖もされてない。駒田医師の検察調書も請求されてない。この点はいかがですか。
○政府委員(前田宏君) いわば死因の点も一つの問題であったようでございます。そのことも公判で一つの争点になっていたように承知しているわけでございますが、当初、事故で亡くなられました直後に診断をされました医師の方、この方が診察の結果溺死であるという死体検案書なるものを作成しておりますし、また、その方が公判廷で証人に呼ばれましてその旨を述べておられます上に、さらに三重大学の教授がいまの問題をいろいろ検討し、公判でやはり証言をしておられまして、この方の証言によりましても溺死であるということになっております。そのようなことを総合勘案されまして、裁判所におきましてもこれは溺死と認められると、こういう御判断になっておるわけでございます。
○佐藤三吾君 ここは裁判所でないから、その中身の問題を議論をする時間もございませんが、しかし仮にそういう事態、三重大学の教授の鑑別結果が云々と言われておりますが、しかし診断をしたのは駒田医師、その駒田医師は余り水は飲んでない、こう言っておるわけですから、そこに私は若干の食い違いがあるのではないかと思うんですが、しかし三人の被疑者の中から、いわゆる育成会の会長、直接担当の第二班の責任者の中から、何らその日に責任を持ってないこの田村さんにしぼられた経緯というのは一体どういうことなんですか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど来、責任者でない、あるいは職務でもないというようなお尋ねがあったわけでございますが、事案に即しまして結論が出たというふうに申し上げるほかないわけでございます。
 まあ確かに御指摘のように、いわゆるボランティア活動の中で生じました不幸な事件であろうというふうに思いますけれども、やはり一人の児童の方が亡くなりましたことでございまして、そのことについて法律的に責任があるかどうかということを、先ほども御指摘になりました会長さんあるいは班長さん、そういう人も含めまして総合的に検討した結果、田村さんについて責任があると、こういう判断になったというふうに理解しているわけでございます。
○佐藤三吾君 総合的に審査の結果云々と言われても、具体的にいま私が言ったように、責任者でない者がどうして責任を問われるのかという疑問は私は解けぬと思うんです。しかも、もし仮に過失責任を問うとすれば、やっぱりそれに必要な社会的な合意というのがなきゃならない。しかし、この場合にはその合意すらできない、実態が証明しておると私は思うんですね。こういうことをやりますと、これは率直に言ってボランティアで、単なる善意で参加した人がたまたま育成会の中で責任をなすりつけられていくという、こういう仮定だってあり得るんじゃないかと思うんで、ここら辺については、私は慎重な審理が必要ではないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(前田宏君) 確かに刑事事件の責任を問うという形になるわけでございますから、慎重な検討が必要なことはもちろんでございますし、先ほども申し上げましたように、いわゆる善意のボランティア活動の中で生じたことでございますから、そういう観点からも検討をしたものというふうに理解しております。
 ただ、先ほども申しましたように、役員でもない、責任者でもないと、こういうお尋ね、御意見でございましたけれども、まあ実質的に子供会のいわば指導者というような立場にあったというふうに見られたようでございます。また、そういう一般的な立場だけでなくて、当該、川遊びをしておりました際の事故防止の措置というものについて具体的に検討をした結果、田村さんについて、事故防止について手落ちと言えば手落ちがあったと、こういう判断になったと、こういうふうに考えているわけでございます。
○佐藤三吾君 大臣、いま局長が答弁しておりますように、実質的に指導的な役割りを担っておったと見られておるようだと、こういう言い方なんですが、これ、たとえば本来ボランティアで参加した育成会の皆さんから見ますと、こんなことで、善意でやったことが罪に問われてはたまらぬという気持ちがありますから、したがって、確かに田村さんが保母資格を持ち、中央児童相談所の職員ということで、こういう子供の扱いについて普通の人よりは博識を持っておったでしょう、専門的な知識を。そういうことから絶えず地域の会合の中では発言がリードするというか、そういう役割りはあったと思うんです。それが実質的な指導的役割りというふうに見られて何も責任のない本件の事件で起訴される、こういうことは私はたまったもんじゃないと思うんですが、この問題について大臣、いまやりとりを聞きながらどういうふうにお考えになったのか、まず聞いておきたいと思うんです。
○国務大臣(倉石忠雄君) この件につきましては、当時からいろいろ心配をされる方がありましたが、ボランティア活動でこういう結果になりましたというふうなことについては、まことに私どもはお気の毒だと存じますが、裁判もそういう意味できわめて慎重にいたしたようでございます。大変むずかしい問題でありますが、こういうことについて、なお私どもといたしましても、これからこういう同種なことが発生しないとも限りませんので、こういう点については慎重に検討してまいりたいと思っておる次第であります。
○佐藤三吾君 いま現実に、私がさっき申し上げましたように、四十七年から五十五年の一月までを見ましても、全国子供会でこういう事故が、子供会の行事中に起こった事故というのが、七十七件事故死が起こっておるわけですね。五十一年度も十四件起こっておる。しかし、いま大臣も心配して言ったように、こういう事例がありながら、刑事事件に問われたことはないんです。どうしてこの問題が問われておるかということが私は――しかも内容を見ると、育成会の責任者でもなければ子供会の役員でもない、単なるボランティアで参加した、たまたまその人が子供の扱いについての、保母資格を持っておるように、中央児童相談所の職員であるということも含めて、まあ一般の人よりも知識を持っておった。それだけが実質的指導的役割りを果たしたと見られるというかっこうでやられたんでは、これはたまったもんではないと思う。私は、ボランティア活動などというのは、この判決いかんによっては全国的に大きな影響を与えてくる、そういうふうに思うんですが、この子供会を主管しておる文部大臣の見解を聞いておきたいと思います。同時にまた、こういう活動が非常に多い厚生大臣の見解もあわせて聞いておきたいと思うし、もう現実に厚生省所管の保育所ではこういう事例が起こっておるわけですから、そういう意味でひとつお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(谷垣專一君) ボランティアの方々の活動が社会教育の運動の中で重要な役割りを果たしていただいておりますことは、これはもう言うまでもないことでございまして、本件に関しましては、文部省といたしましては、この成り行きが社会教育活動に影響を及ぼすことがはなはだ大きいということを考えまして重大な関心を寄せてこの裁判の状況を見守っておるところでございます。
 今後のボランティア活動につきましては、ボランティアの方々及び社会教育活動に従事していただいておる団体の皆さん方にも十分にこういう事故の起きないような、あるいは安全な社会教育活動のできまするように注意を促しておるところでございまして、この事故発生が、こういう今後におきますボランティア活動に重要な一つの反省をもって対処してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
○国務大臣(野呂恭一君) このたびのこの事故につきまして、ボランティア活動に参加したというゆえをもって刑事責任を問われておるということについて、大変私どもの立場として、今後こういうことの起こらないようにどのように対応するかということがきわめて大事であることは言うまでもございません。
 こういう事故が起こりまして、津の方におきまして公私立の保育所に対して口頭で、園外保育については保護者会の主催であることを明確にしなさい、あるいは引率保母については保護者会の要請に基づいて協力するんだ、これを明確にするために事前に保護者会から市に保母の協力要請についての文書を提出させる、それで承認を得て実施しなきゃならぬというようなことを口頭で申したということでございまして、このことが新聞にも取り上げられまして、保育所の園外活動というものがこれによって萎縮するのではないかということが心配されておるわけでございますが、しかしいまのところ、こうした園外保育は中止されたとか、あるいは保護者が行事に参加しないという具体的な事例には至っていないわけでございます。津のこの事件につきましては、その責任問題については司法当局にゆだねなければなりませんが、この事件が起きたからといってボランティア活動が萎縮することのないように十分指導し、またむしろ園外保育というものを推進さしていくように指導をしていかなければならない、かように考えておる次第でございます。
○佐藤三吾君 法務大臣、いま関係の文部、厚生大臣から、この問題に重大な関心を持って、この帰趨いかんがボランティアの全国的な活動に大きな影響を与えるということで御意見があったわけですが、先ほども大臣は慎重にそういう点を配慮していかなければならぬということを強調されたのですが、これは私は、いま両大臣から言われたように、単に津もしくは田村さんの問題にとどまらない事例だと思うので、この裁判の成り行きについて、ぜひ慎重な審理をして、できれば疑いによって罰するというのではなくて、少なくともボランティアの性格等も含めて本人の無罪が実現できるように、御努力というわけにまいりませんが、ひとつ慎重な配慮をお願いしておきたいと思うのですが、いかがですか。
○国務大臣(倉石忠雄君) 先ほども申し上げましたように、ボランティア活動というのは本当に大事な社会活動の一つでありますので、これが萎縮されないように願うことは当然でありますけれども、裁判が進行中で、その裁判について私どもは非常に適切な措置を講ぜられるものであると確信をいたしておるわけでありまして、裁判中の案件について私がとやこう言葉を申し上げるのは適当でないと存じますが、私どもは裁判が公平に実施されるものであるということを確信をいたしておる次第であります。
○佐藤三吾君 それでは法務大臣結構です。
 次に、行政改革について質問をします。
 行政改革については当委員会、予算委員会でも議論されてきたのですが、特にいままでの事例、政府の作業を見てみますと、特殊法人、許認可の一部、ブロックの、組織の一部の改善ですか、こういった点が出されておるのですが、肝心な府県段階は六月まで、それから莫大な補助金の整理については手を触れず、本省関係、認可法人についてはまだ当たってない、こういうのが現状だろうと思うのですが、これらの作業の現状、方向がどうなっておるかということが一つ。
 それから、行政改革で国民の皆さんが最も期待しておるし、今回の行政改革の基本はむだのない行政機構の確立というところに焦点が一つあるのと、同時に、ふくそうしておる国と自治体の行財政分担の明確化、大平さんの看板である地方の時代、そういうことも言われておるわけでありますけれども、それらをどう確立するかということが基本であったと思うのですが、いままで発表した内容を見ますと、これが率直に言って実現されておるというふうには思われない。いわゆる明治以来の官僚統治という仕組みはもうそのまま、むしろ強化していく、こういう姿にしか映らないわけですけれども、この点は一体どういうふうに今後の中で考えておるのか。いわゆる行政権限を大幅に地方に移譲する、補助金を整理する、国の縦割り行政で起こっておる弊害をなくする、そうして同時に、もう戦後だけでも三十数年たっておるわけですから、したがって交通や自治体の機能も強化されておる。そういうものに見合って国の二重、三重行政のむだをなくするというのが私は基本でないかと思うのですけれども、この辺についてはほとんど見捨てられているようにしか受け取れないのです。いかがですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 一応昭和五十五年行革と銘を打ちました行革は、いま佐藤委員御指摘のとおり五本の柱を中心に進めてまいりました。その一つは定員削減でございます。一つが特殊法人の整理統合、一つが地方支分部局、もう一つが補助金の整理、大体そうした五本の柱でございますが、特に、中央はさわらないというのは、しばしばお答えいたしていますとおり決して無視しているわけじゃございません。ただ、第二次大平内閣発足のときに、行革に意欲を持たれました総理みずからが五本の柱をお立てになって、まずその消化からかかれということでございますから、一つ一つ着実にやっていくという意味合いにおきまして、中央の問題は無視しておるわけじゃございませんがいま手はさわっておりません。
 そこで地方支分部局の問題でございますが、大きくはブロックとそして府県単位に分かれるわけでありまして、ブロックは先般閣議決定をいたしました。ただ、党内調整が未調でございますから近くそのことも調整をしていただけると思っておりますが、いわゆる都道府県との間あるいは市町村との間等々における事務の再配分を中心とし、そうした問題はどうなのかということは、これは従来からもいろいろ言われておりますが、六月の末をめどといたしまして御承知の行政監理委員会からこの問題でひとこ新しい見解を出してもらおう、こういうことで鋭意その仕事を進めていただいておるわけでございます。特に許認可等に関しましては、今日までも相当数地方との間におきまして、これは極力国から地方に渡そうというふうな体制で、今後もそれは私は必要なことではないかと思いますし、ブロック機関の整理再編成に際しましても、ブロック機関全部が全部二重、介入だと言われるからいろいろ問題がある、できたならば許認可は中央よりも地方の方に、ブロックに渡されて、そうしてわざわざ上京しなくてもよいからそこで一つ仕事が終わる、そういうふうな姿勢でやっていただきたい、こういうことで今回もやった面もかなりあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、直接的な事務の問題等に関しましては一応六月三十日をめどといたしまして作業を進め、それと並行して、各省庁間の問題もございますから、そういう問題も今後各省庁間で話し合っていただこう、大きくは、私と官房長官と大蔵大臣の三人が行革を推進しておりますが、地方の問題は当然自治大臣の御意見も聞かなければなりませんから、そうした一つの仕組みにおきまして取り組んでまいりたい、かように存じておる次第であります。
○佐藤三吾君 大臣の説明では、念頭にないわけじゃない、ただ、いま作業の過程であって、中央省庁の整理の問題、こういった点についても当然今後手がけていく、こういうふうに理解していいですね。
 私は率直に言って、たとえばブロック組織の場合でも、もういま交通が便利ですから、現実にまたブロックに行ってみても相談にならない、ですからほとんど本庁に来る、こういう仕組みになっておるんですね。ましていわんや、県段階の場合には、そういうことはもう端的に言えるんじゃないかと思う。ところが、どうもやっぱりこういうふくそうしておる内容を見ると、中央省庁が自治体を信用できないから自治体がやった内容をさらに国が監査をしていくんだとか、調査をしていくんだ、こういう感じがする。その各省の調査した内容を今度は大蔵省がさらにまた調査をする、言うなら、各省庁信用できない、大蔵省が。こういうのが二重、三重行政として大変な事務の繁雑を招いたり、そしてむだをつくり出しておる一番大きな原因だと思うので、この点はひとつぜひ六月段階における府県段階の整理を含めてきちっとしていただきたい。そうして、あなたはなかなか一足飛びにという言葉を使っておりましたが、しかしもう自治体はそれぞれ議会を持ち、機能をしておるわけですから、もっと自治体を信頼して、地方でできる問題は地方に全部権限移譲していく、こういう線を貫いていくべきであると思いますので、この点もあわせてひとつ今後の中で検討課題にしておきたいと思いますが、よろしいですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 私は、地方との関連におきましては、かつて予算委員会でもお答えいたしましたが、国の許認可等々が複雑多岐にわたっておりまして、あちらで判こ、こちらで判こ、地方でもらってまた中央、こういうことであってはいけませんから、三角形にたとえて二辺をたどるのではなくしてやはり三角形の一辺で仕事が終わるように、そういうことを心がけて今後やっていきたい、かように思っておる次第でございます。
 現在でも、ある程度は私は地方で済むようなことがあるにもかかわりませず、ややもいたしますと地方の役人が、これは本省と相談しないことにはと、自分たちがやればいいことをそういうふうな言葉も出てくる次第でありまして、だから皆が東京までやってくる、こういうこともしばしばございます。そういうことのないように鋭意分析をしていこうと考えておるところであります。
○佐藤三吾君 そこで、もう一つ聞いておきたいんですが、行管庁は今度法改正でもって全特殊法人を行政監察の対象にすることになります、出してますね。ところが検査院の内容を見ると、今度はKDDが事件を起こしたものですから、あわてて検査院の監査を受け入れるという法改正が出てまいりましたが、しかしこれはKDDであんな状態が起こったというのは、ある意味で検査院の調査がいってないところの盲点、いわゆる郵政省の監督官庁の監査ではあんなことが防げないということを、いみじくもあんなでたらめを整理できないというのは郵政省自体が認めたわけですから。しかも監督権限の強化が癒着の強化になってきておる。こういう点から見ると、私は今回の郵政省の設置法の改正案というものは癒着を強化するんじゃないかと国民の目に映るんじゃないかと思うんです。そういう中で何よりもやっぱりいま必要なことは、検査院が全特殊法人を検査対象にすべきである、そういうふうに思うんです。ところが、それは今回出されてない。また、これが私は次の事件をつくっていくんじゃないか、こういうふうに思うんですが、この点は一体どういうふうに考えられておるのか。
 それから同時に、仮に全部が入れられなくても、少なくともいま外されておる自転車振興会もしくは小型自動車振興会であるとか船舶振興会、それから競馬会であるとか非常にいろいろな疑惑が言われておるところでございまして、こういったところについては、今回のKDDと同じように検査院の検査対象に入れるべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 会計検査院と行管の行政監察とはおのずからその使命が違うということは、もう佐藤委員御承知のところでございます。しかしながらKDDという問題が起こりましたので、従来会計検査院の検査を受ける対象は国が二分の一以上出資をしておるとか、一つの規定があったわけでありますが、大西郵政大臣と十二分に話し合いまして、いわゆるNHK方式を取り入れてやったということでございます。
 今回私が全特殊法人に行政監察を及ぼしたゆえんは、やはりそうした面もございますが、直接的には各所管大臣の権限を越えるものではありません。越えるものではありませんが、率直に私申し上げますと、やはり天下りというものは、今回は官房長官の手元におきましても相当厳しい線を引きました。引きましたが、やはり中には何々省の先輩が行っておる特殊法人を何々省の後輩が監督するんだというところに一つのいろいろ従来問題があったということですから、第三者的立場におきまして行政監察を行管庁がやるということは私は大きな意義がある、かように存じております。
 したがいまして、会計検査院の問題ということになりますと、従来は個々の事案の、しかも会計経理というものに限定されておりまするから、私からいまこれはこうだなあというふうなことを申し上げて果たしていいかどうか非常にむずかしい問題もございますが、しかし、たとえば問題が起こるであろう、また起こっておるというふうなことに関しましては、やはりこれはまた別の角度でひとつ考えていかなければならないと思っておる次第でございます。いま名前を挙げられました幾つかの特殊法人ございますが、中で問題になったものもありますが、しかし、他は問題なくきれいにがんばっておるというところもございます。しかし、いずれにいたしましても百十一の特殊法人が現在ございますが、甲乙の差別なく公正に厳正に私たちといたしましては今日その法案をもう提出いたしておりますので、速やかなる御審査を仰ぎまして、そして全特殊法人の監察、これは厳重にやっていきたい、かように考えております。
○佐藤三吾君 私はKDDのこの事件から見てあんな乱脈経理はもし検査院が入っておれば未然に防ぐことができたんじゃないかと痛切に思っておるわけです。
   〔委員長退席、理事穐山篤君着席〕
そういう観点から見れば、いま私が申し上げたところについてはまだ表に出てませんけれども、出たらまた大変なことになるんじゃないかという気がするわけです。そういう意味で指摘しておるわけですが、通産並びに運輸大臣ですか、関係大臣としてあわせて見解を聞いておきたいと思う。
○国務大臣(佐々木義武君) 関係官から御説明申し上げます。
○政府委員(杉山和男君) ただいま御指摘ございました日本自転車振興会等通産省所管の御指摘の団体につきましては、私どもあえて反対をしていないというか、まだ議論をしていないところでございます。ただ、御指摘になりました特殊法人につきましては、国家資金が全く投入をされておらないという関係はございますので、会計検査院の任務になじんでいるものかどうかという点は問題があるところであると考えます。
○佐藤三吾君 私が質問しておるのは、KDDもやっぱり国家資金がいってない、しかし、事件が起こってみればもうこれは目を覆うような乱脈経理、そういう事実に照らして今度はKDDについては検査院の検査対象にするということになったわけです。しかし、そういう事件が起こってからするんじゃなくて、このKDDの事件を一つのいい参考にして検査院の検査対象を広げていく、こういう観点から特に聞いておるわけであります。もう一遍ひとつ答弁してください。答弁になっていない。
   〔理事穐山篤君退席、委員長着席〕
○政府委員(杉山和男君) 御指摘の点でございますが、私どもまだ十分な検討をしておりませんので、その点につきましてはあえて反対ということを申し上げておるわけでは決してございません。ただ、自転車振興会等の資金配分につきましては、通産大臣の諮問機関でございます車両競技審議会というのを開きまして、これは補助金の交付の対象等につきましては一件一件全部この審議会の審査対象といたしておるところでございます。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 運輸省の所管の特殊法人等につきましては、先般の鉄建公団の事件等もございまして、運輸省といたしましては綱紀粛正、監督を厳正に行っておるところでございます。いま御指摘の会計検査院との問題等につきましては十分検討をさしていただきたいと存じます。
○佐藤三吾君 いま行管長官お聞きのとおり、関係省自体も何も拒否する考えはないと言っておるわけですから、ぜひひとつ全特殊法人を目指して検査院の検査対象を広げるという努力もあわせてこの機会に私の方から要望しておきたいんですが、いかがですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 院法との関係もございますが、すでに例外事項もあるわけでございますので、関係閣僚との間におきまして今後のあり方に関し十分に検討したいと思います。
○佐藤三吾君 時間がございませんから、官房長官も帰ってきましたから院法の問題についてもう一度議論をしたいと思うんですが、いま官房長官、あなたの不在中に大蔵大臣それから通産大臣からそれぞれ御意見があった。自治大臣から地方自治法百九十九条ですか、いわゆる自治体の監査の実例等も御報告があった。いま自治省の報告によりますと、ここは先に融資先までも監査対象に入れているわけです。これについてはいままで実施はしてないけれども、またそういう事例もないけれども、さしていま問題になっておるわけではない、伝家の宝刀としてちゃんと抜く用意だけはしておく、そのことによって牽制と言うんですか、こういう融資先の企業の不正をなくしていくという役割りを果たしておるんじゃないかというこういう御意見もあったわけです。
 各関係大臣の意向を聞きましてもいろいろ言いますけれども、ここはやっぱり官房長官、あなたは内閣の番頭としてこれは決断する時期に来ているんじゃないですか。お聞きしますと、大蔵、通産大臣も積極的に反対というふうには受け取れません。そこを悩んでおるようです。端的に言うならあなたの決断を待っておる、大蔵大臣は、いま事務レベルの議論であって、まだ大臣として口をはさむところまで行っていないということです。この辺ひとつこの際衆参両院の決議を生かして、同時にまた、福田内閣からの懸案でありまして、福田、大平両総理もこの問題についてはできるだけ早急にやるということについてはたびたび言明しておる内容でございますから、院法改正に踏み切ると、こういうふうに決断する時期に来ておると思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) ちょっと中座をしまして申しわけございませんでした。
 留守中に大蔵大臣、通産大臣の意見ということがあったというお話でございます。私のところへは実は関係局長そういう者に集まってもらってやったことがだけは確かでございまして、いま大蔵大臣、通産大臣からいろいろ御意見があったということでございますので、この問題はどっちかに早く決着をつけなければ、院の決議もございますので、結論を余り延ばしているということはこれはまずいと思うわけでございますので、関係大臣、恐らく農林大臣もおるとか、ほかにも大臣がおられるわけでございますが、ひとつよく相談をしまして、これはどういうふうな決着をつけるかということをなるべく早い機会にひとつやってみたいというふうに思っております。
○佐藤三吾君 わかりました。ぜひそういう結論を早急に出して国民の期待にこたえる、これをひとつ強く望んでおきたいと思います。
 時間がございませんから綱紀粛正の部分についてほとんど入れないのですが、一つだけ、四月九日の決算委員会の関連がございますからただしておきたいと思うのですが、鉄建公団の例のカラ出張、不正経理の問題が起こって、たとえば大蔵省が鉄建公団だけで約八カ月に六百万近い接待を受けておった、こういう事例が出されて、大蔵省は官房長、次官ですかを含めて処分をせざるを得なかった、また国民に謝罪する、こういう事例がなされておるわけですが、この量刑は別にして、そういう姿勢を明らかにしました。
 ところが、運輸省は大蔵省を上回る接待行政というものも明らかにされた。これは一々数字は言いません、もう何遍も出された問題ですから。しかし、九日の委員会で運輸大臣はこれは社交儀礼の範囲内であって処分の対象にはなっておりませんと、そう言う。これは官房長官も来ておるからちょっと聞きたいと思うのですが、一方、大蔵省の方はこれはやっぱり世間に、再三にわたってこういうことをやったということは申しわけない、金額の問題もありましょう、しかし何よりも回数も多い、こういったことから、処分の内容はいろいろあったとしても一つの姿勢を示した。しかし、それ以上にやっておる運輸省の方は社交儀礼の範囲内で対象にならないとこう言う。これはどう理解したらいいのか、運輸大臣の見解も承りたいと思いますが、こういうことをスタートにして、そして幾ら通達を出し、大臣訓話をやってみたって私はやはりまず姿勢を正すということは、過去にあったことに対して明確に内閣の方針を示す、その上で今後はこうだということが前提になきゃならぬと思うのですけれども、運輸大臣、官房長官の見解をまず承っておきたいと思います。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 鉄建公団から運輸省職員が受けた接待の内容を調査しましたところ、その内容は人事異動の際の顔合わせや会議の後の会食等であり、一件一件をとってみますと社会通念の範囲を越えてないものと判断したわけであります。しかしながら、運輸省とその監督を受ける公団との関係においては社会通念の範囲を一層厳格に考えなければならないわけであり、このような観点から鉄建公団との会食を見ると、全体としては適切ではなく、行き過ぎがあったと判断した次第であります。このような点を踏まえて、運輸省といたしましては、鉄建公団を監督する責任を有していた職員四名に対し、国家公務員法による戒告処分をするとともに、今後公団等との会食を原則的に禁示する通達を出して、厳正な執務体制を整備したところであります。
○佐藤三吾君 大臣、あなたは九日の私のこの問題の追及に対して、議事録を調べればわかると思うんですが、いわゆる運輸省の処分は、鉄建公団に対する監督不行き届きのゆえにやったといったことではないですか。したがって、いま私が申し上げた点については、これは社交儀礼の範囲内であって、したがってこの処分の対象には考えておりませんと、こう言い切ったじゃないですか、いかがですか。
○政府委員(杉浦喬也君) 先般、御質問に対しましての答弁につきましては意を尽くさない点がございまして、大変申しわけございません。ただいま大臣が御答弁申し上げましたとおり、個々の例を取り上げますと、これは必ずしも問題があるというふうに言えないわけでございますが、やはり鉄建公団等、公団等の監督の立場にある者といたしまして、全体としましてこれはまことに遺憾である、行き過ぎがあったと、こういう判断を最終的にいたしました。この点を申し添えなかったわけでございますが、ただいま大臣から申し上げたとおりでございます。したがいまして、処分の内容につきまして公団に対する監督責任上の処分というふうに申し上げたわけでございますが、広くそうした接待等の問題等も含めまして、包括的に公団の監督責任を有しておった者を公務員法上の戒告処分にしたというのが実情でございますので、この点改めて御答弁をさせていただいたわけでございます。
○委員長(志苫裕君) 運輸大臣、そうしますと、九日の答弁を訂正なさいますか。
○国務大臣(地崎宇三郎君) いま官房長が説明した内容に訂正をさせていただきたいと思います。
○佐藤三吾君 いま訂正をしましたから、私はこの問題について深追いはしたくございませんけれども、しかしそれにしては、いままでの衆参両院における大臣の答弁も訂正をするということになるんだろうと思うんですが、この責任のあり方が非常に私は不鮮明だと思うんですね。何か言い逃れに、追い詰められたからやむを得ず答弁を変更したと、こういうふうにしかとれない。そうじゃないですか。あなたは社交儀礼の範囲内だと言い切ったんでしょうが。それが今度は含まれると、これは大変な違いですよ。そこら辺は答弁の変更だけでは済まされないものが私はあると思うのですね。だからあなたのところの通達以後の措置を見ると、幾つか問題がある、綱紀粛正について。たとえば厚生、環境等については官房長官の通達なり、さらには官房長の申し合わせ事項を本文にきちんと入れて、そして厳重に示達をしておる。ところがあなたのところはそうではない、運輸省は。そういう今後の姿勢にもやはり出ておると言っても過言でないと思う。官房長官からこういう通達があったので、以下知らせるという程度の内容になっている。どうですか、単なる変更でなくて、もっと責任を明確にしたらいかがですか。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 官房長通達を出すほかに幹部会議等を開きまして、十分官房長官通達の趣旨を徹底するようにいたしておるところであります。
○委員長(志苫裕君) 佐藤君、時間です。
○佐藤三吾君 わかりました。それではそういう会議の中でいまの処分の問題については見直しをする、こういうことで受け取っていいですね。よろしいですね。大臣に聞いているんだ、大臣に。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 十分検討してみたいと思います。
○佐藤三吾君 官房長官にいろいろ聞きたい点がたくさんあったんですが、時間がございませんからこの程度でとどめますが、各省庁の通達を見ると、率直に言って綱紀粛正に関する扱いがまちまちですね。私は今度出された十月以降の、この通達の趣旨という基本は何かと言えば、たとえば鉄建公団やKDDに見られる特殊法人を中心とした不正乱脈経理、各官庁におけるカラ出張、ヤミ超勤、こういったものを何とか防止しなきゃならぬということで出されておると思うのです。ところが、たとえば四十三年の官房長官通達もしくは総理府長官通達、この中には四十三年十二月三日付の内閣閣第二百八号ですか、それから総人局百五十号、四十四年三月十四日、この中には政府関係職員に徹底を図られたいということで、いわゆる関係する業者ですね、「職務上利害関係のある業者等」という文言があるわけです。ところが九日のいわゆる決算委員会における運輸大臣の答弁は、この「等」の中には鉄建公団は含まれないんだと、だから処分の対象もしくはそういうことにはならないんだというような言い方をするわけです。で、やはり関係省庁、地方公務員まで徹底せよという趣旨を四十三年の通達の中には書いてある。ところがこの「業者等」であって、自分の管轄する特殊法人はそのらち外にあるんだ、だから飲んでも食っても結構なんだ、こういう理解にとってもいいのかどうなのか。出した本人の官房長官と総理府長官の見解をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
○政府委員(亀谷れい次君) 官房長官、総務長官からお答えをする前に、事実の問題についてお答えをしておきます。
 佐藤先生御質問の四十三年の通達でございますが、御指摘のようにあの時点におきます官庁綱紀の粛正につきましては、当時の不祥事件の発生にかんがみまして、総務長官名をもって官庁綱紀の粛正に関しまして示達をした次第でございますが、その中で、なおこれらの案件につきまして、管下政府関係機関の職員、地方公務員についても、それぞれこの趣旨に準じて行うよう指示または要請をいたしますととも、内容につきましては、御指摘のように、いわゆる職務上利害関係のある業者等との接触について疑惑を招かないよう行為を厳重に慎むということと、本省庁等の指導監督の地位にある機関の職員が出先機関または地方公共団体の職員と接触する場合にも、この趣旨にのっとり厳に自粛すると、こういうことでございます。もちろん官庁間及び官庁の監督にあります政府関係機関と官庁との間につきましては、いわば一つの常識としまして、それぞれ適正な、国民の批判を招かないような服務が当然期待をされておったわけでございまして、当時のこの示達につきましては、その点を明確に具体的事例として含めて示達をしたということでは必ずしもなかったわけでございます。昨年来、官庁間のこういう問題に際しまして総務長官あるいは官房長官の御指示のもとに官房長打ち合わせ等を行いまして、昨年十一月二十六日の規定の中では明確に官庁間相互、当然それに準じました政府関係機関と官庁間とのそれらの問題についての取り扱いを明確にした次第でございますが、繰り返しで恐縮でございますが、四十三年の時点においてはそういった具体的御指摘の事案については、いわば基本的な常識と申しますか、公務員倫理という概念で特にその点に言及して示達をしたことにはなっておらないことを申し添えておきます。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 十一月の十二日に私の名前で総務長官に綱紀粛正と行財政の刷新に関するお願いをしたことがございます。この中には、明らかに特殊法人等にかかる事項については所管する特殊法人等に対して周知徹底するように取り計っていただきたいということをお願いをしたわけでございまして、お願いした中には、公務員が関係業界等から接待及び贈答品の受領というものは国民の疑惑を招くことのないように厳に慎んでもらいたいということは、公務員と業界のことが書いてあるわけでございまして、こういうものをつけてお願いをしておりますので、特殊法人とそのまた業界との関係、当然これは関係してくる、この中に入っているものと私どもは考えて出したわけでございます。
○国務大臣(小渕恵三君) ただいまの官房長官の御説明にありましたように、官房長官通達を受けまして、その後、昨秋官房長等の会議の申し合わせがされたことは委員御承知のとおりでございます。その席へ私も出席をいたしましてその申し合わせを決定をいたしたわけですが、その三項目の(2)の項目に当たりまして、いま御指摘のありました公団等につきましても関係業者とのおつき合いについて特に留意をするように述べられておるわけでございます。
 委員御指摘の点につきましては、昭和四十三年の同様の総理府総務長官よりの官庁綱紀粛正についてでございますが、この通達につきましては、先刻行われましたものに比べますとやや公団というものを明確に文書の中で示しておらないという意味では明確化を欠いておるかもしれませんが、しかし、「貴管下政府関係機関の職員」云々について、業者等の接触に当たってはいけないということの同様の趣旨がここに盛られておるわけでございますので、昭和四十三年の通達も昨年の通達も同様の趣旨の徹底を図っておるものと理解をいたしておる次第でございます。
○佐藤三吾君 もう時間がございませんから最後になりますが、運輸大臣いまお聞きのとおり、これはだれがどう考えても、官房長官、総理府長官の説明のように、業者という字は指摘しているけれども関係法人については指摘がないという理屈にはならない。その以前の基本的な問題として、政府関係職員の綱紀を戒めておる通達であるということは明確なんです。それを九日の委員会ではあなたは、決算委員長が指摘してもなおかつそうじゃないと言い張った。この点はひとつ明確に取り消して、そうして、さっき処分の見直しも厳しくということでございますが、あわせてひとつ明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 御指摘のように、監督官庁たるものが監督機関との間の癒着あるいは供応というようなものは厳に慎まなきゃならないということで厳正な通達を発し、いま厳重に守っておるところでございますので、今後ともそのような意思を徹底させてまいりたいと存じます。
○佐藤三吾君 厳重に守ってないから言っておるんです、私は。あなたは九日の委員会のときにも、これは四十三年の通達は業者を指摘しておるのであって関係法人は指摘されておらないのでこれはらち外だと言ったじゃないですか。だからそれはおかしいということでいま官房長官と総理府長官の説明を求めたところが、いま、それは当然基本的に入るんだと、こういう説明があったわけだから、そのことを認めた上できちっとしなさいと言っておるんですよ。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 官房長官通達、総務長官通達につきましては、その御趣旨のとおりと理解いたしまして、厳重に遵守してまいりたいと、かように存ずる次第でございます。
○佐藤三吾君 終わります。
○委員長(志苫裕君) 佐藤君の質問を終わります。
○丸谷金保君 最初に、環境アセスメント法案の行方について御質問申し上げます。
 環境庁長官は三月五日、本会議で私の質問に対し、昨年四月の中央公害対策審議会の答申の趣旨に沿って法制化をしておると、こういう答弁をしております。しかし、最近閣僚会議で決められてきました法案の内容等については、環境長官の意見制限というふうなことまで言われて大変骨抜きになったという状態でございますが、長官はあくまで公害対策審議会の答申の線に沿って法案を提出する見解にいまも変わりございませんか。
○国務大臣(土屋義彦君) 環境を守ることは環境庁の使命でございます。昨年四月、先生御指摘のとおり、答申をいただきましたこの中公審の線に沿いつつ、環境影響評価制度が真に環境保全に資するものとなるようにただいま最善の努力をいたしておる次第であります。
○丸谷金保君 閣僚会議でまとめられた法案の内容を見ますと、中公審からずいぶん後退しているんじゃないですか。
○政府委員(金子太郎君) 私どもは大臣から中公審答申の線を最底線と心得て努力せよという指示をいただいております。したがいまして、中公審答申の線よりも後退するようなことはできないということで、関係各省庁との折衝をやってまいりました。現在までのところ、中公審答申と違うところが若干出ておりますが、それは、たとえば評価書、準備書の公告、縦覧は従来は事業者が行うということに答申などにおきましてなっておりましたものを知事さんにやっていただくように改めておりますが、これは法定力が高まるという意味でむしろプラスになると、そういう意味の変更でございますし、関係地域の定めも事業者でなくて知事さんにしていただくとか、あるいは中公審の答申にはなかった、知事さんが公聴会を開くことができるという規定を新しく入れたという点、これも法的安定性が高まるとか、より広く意見を聞く機会が出てくるという意味でプラスになる方向の変更であろうというふうに考えております。
○丸谷金保君 環境庁の長官の意見、あるいはまた公聴会における学識経験者の発言を求めないというふうな問題につきまして、開発計画が環境に及ぼす影響を科学的あるいは総合的に予測評価するという道が大きくふさがれたと。それから評価を住民に公開して意見を聞くというふうな点におきましても大きく後退しておる。さらにまた、地方自治体の上乗せ規制、このようなものも法の中で明らかにうたうということで、現在進んでいる環境行政に対してむしろ大きく後退し、世論は環境庁の存在価値すら問われるというふうに厳しく批判していることを長官御存じないですか。それでもあなたは中公審の線に沿って法案は進んでいるんだと言い切れますか。
○国務大臣(土屋義彦君) お答え申します。
 要綱におきましては、環境庁長官は環境影響評価の指針を定める場合に考慮すべき基本的事項を定めるほか、主務大臣が指針を定める際には環境庁長官に協議をするということにいたしております。また、この作成されました評価書につきましても環境庁長官は必要に応じまして意見を述べることができることといたしておりまして、さらにまたこれを受けて主務大臣等による環境保全上の配慮等につきましても所要の規定を設けることといたしておるような次第でございます。したがいまして、要綱におきましては、環境保全上の見地から、十分に環境庁長官が環境影響評価の手続にかかわることとなっておりまして、私は実質的には中央公害対策審議会の昨年の答申に沿ったものであると、かように考えておるような次第であります。
○丸谷金保君 時間がありませんので、この問題、現在の進め方は私に対する本会議答弁から見ると、第一次、第二次、次第に骨抜きになりつつあるということについてきわめて遺憾であるということを申し上げて、先へ進ませていただきます。
 通産大臣、エネルギーの中期需給見通し計画の中で、地熱開発についての計画ができております。そして、これはエネルギー庁の方から出ております地熱開発計画等によりましても、具体的な地名を挙げてこれらを計画あるいは調査をすると。この中に北海道の白水沢という地熱開発地域がございます。これは先般開発庁は、これらの地域は国立公園内の重要な地域であるから、なかなか簡単に認められないという、環境庁はそういう答弁をしております。これらは一体相互の省庁間における調整が行われないでこういう計画というのはどんどん通産省としては発表しているんですか、いかがなんですか。
○国務大臣(佐々木義武君) 具体的な問題でございますので、関係局から御答弁いたさせます。
○政府委員(安田佳三君) 昨今の厳しい石油情勢にかんがみまして、代替エネルギーの開発のためにいろいろの計画を練りまして、いま先生が御指摘になりましたような地熱開発につきましても計画を立てまして、これを長期エネルギー需給暫定見通しの中に掲上したわけでございます。この地熱開発の計画につきましては現在ありますいろんな既存の発電所に加えまして、全国有望地点を調査いたしました上、それらにつきまして計画にのせたわけでございます。
 地熱開発の推進につきましては、従来とも環境庁と個別地点ごとにいろいろ話し合いを行ってきたわけでございますが、それらの状況を踏まえて、また今後の見通しでございますから、最終的な調整済みのものまでを掲上したわけではございませんが、いままでの状況を踏まえまして、開発可能なところを掲上し、さらに個別の具体的な問題につきましては今後環境庁と協議を続けていくと、そういうことで作成したところでございます。
○丸谷金保君 通産省の方ではそういうことを言っているんですが、長官、環境庁の方はもうこれはだめなんでしょう、そうでないのですか。
○政府委員(藤森昭一君) 先般の委員会でお答え申し上げましたとおり、私どもとしましては、現下のエネルギー事情からいたしまして、地熱開発が代替エネルギー開発の一つの分野としましてそれなりの重要性を持っているということにつきまして、よく認識をしておるわけでございますが、私どもとしましては自然環境を保全するという立場がございますので、景観及び風致維持上支障があるようなところにつきましては、これを安易に認めていくということは自然公園法の運用上できないところでございます。
 お尋ねの白水沢につきましては、私どもは現段階でこれにつきまして認めるとか認めないとかいう個別の判断をする段階にもございませんし、そういうお話を受けておるわけでもございませんが、将来のこの問題に対する姿勢といたしましては、環境保全上重要な地域を避けるという基本的な枠組みのもとにこれからの個々の問題に対処をしてまいりたいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
○丸谷金保君 そうすると、一部新聞報道で「大雪山の地熱発電 環境庁は認めず」というふうなことではないですね。私、この前の答弁ではそこまでの答弁でなかったように思っていたんですが、報道がそうされているので、いま重ねて質問し、ているんです、この問題。
○国務大臣(土屋義彦君) お答え申し上げます。
 ただいま局長の方から御答弁がございましたとおり、自然環境保全上重要な地域は避けるということを基本といたしまして、何と申しましても石油にかわる代替エネルギーの利用拡大、これはもう国策でございます。国を挙げてやってまいらねばなりませんので、その点を踏まえて通産省とも今後よく相談しながら地熱開発と自然保護との調整を図ってまいりたいと、かように考えております。
○丸谷金保君 要するに自然環境保全上重要なところはできるだけ避けたいと、そういう姿勢で通産省との間で詰めをすると、こういうことですね。決定しているわけじゃないですね。
 それで、この中でも、どうもおたくの方から出ていると思うんですが、層雲峡が上流にあるという言い方で言っているんです。ところがこれは川が違うんですから、上流じゃないんで、そういうおたくの方の発表も間違いなんです。たとえば熊野川の上流に十津川と北山川ですか、あの瀞八丁の。瀞八丁の方は名勝だからこちらの方はダムや何かも規制しておりますわね、瀞八丁の熊野川の上流。ところが支流の十津川の方は電源開発をどんどんやっているんです。同じように、これは沢が違うんですよ。そういう点もう少し現状の認識もされた上でこういうときの新聞発表をしてもらわぬと困ります。このことを御注意だけ申し上げて先へ進めたいと思います。
 イラン石化の問題もありましたけど、ちょっと時間がありませんので、通産省結構でございます、環境庁も、それだけで。
 それからあと農林省。先般来関税暫定措置法を中心にして、乳製品の輸入規制の問題でそれぞれ大蔵大臣あるいは総理大臣に質問申し上げました。で、結果、非常に私ども不満に思ったことは、あれだけ農村が大問題として抱えているのが意外と大蔵当局になるとほとんど知っていない。これはもう微妙に、二十五日、二十七日それから二十八日と、三日間にわたって質問してありますが、大蔵当局の答弁が非常に変わってきているんです。最初は、輸入割り当てで十分規制ができます、それで問題ないという言い方を二十五日にしております。そんなばかなことないんだと言いましたら、二十七日になりますと、そういう事実であるならば検討しなきゃならぬと、こう変わってきているんです。二十八日になりますと全く大変わりで、これは大蔵大臣及び総理大臣から、そうした問題点については十分農林省との間で検討すると、こういうことで、事実これは農林省から審議官の方が出られて、大変なんですねと、国内大変なんですという答弁をして初めてわかるというふうな状態なので、この点は農林大臣、もう少し関係閣僚との間で、本当に日本の酪農がもう危機的様相を呈しているこの問題についてはしっかりやっていただかなきゃ困るという感を深くしました。いかがですか、その点。
○国務大臣(武藤嘉文君) 酪農というのは私の方の所管でございますので、私どもの責任においてやはり解決をしていかなきゃならない問題でございます。まあこれは情勢の判断に対する考え方の違いかもしれませんが、閣議に持ち出して私がどうすべきかということをするんではなくて、私どものところで何とかしなきゃならないと、こういう気持ちでいままでやってきておるつもりでございます。しかしまだ必ずしも成果が上がっていない点はまことに遺憾に存じておりますけれども、なお一層努力をしていかなきゃならない。特に酪農関係はやはり生産計画もやってまいりましたけれども、五十三年度でございましたか、そのときに立てました生産と消費の見込みが相当ギャップが出てきておるところにやはり一番大きな問題があると思いますので、何とか今後より一層消費が拡大をするような方向でいまの在庫を一日も早く少なくしていくように努めていかなきゃならないと考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 これは特に大蔵大臣にも聞いていただきたいんですが、日本の酪農を大きく圧迫している中に、ECからの疑似乳製品その他の輸入もございます。ところが、ECの予算の中で共通農業政策に七五%、大体三兆六千三百億、これはドル二百五十円で計算して、その程度の財政支出がされているんです。ミルクだけとってみましても六十三億ドル、一兆五千七百五十億、この程度の財政支出。これらが日本の酪農を圧迫しているんです。ですから、国内消費も当然ですけれども、国内消費するための日本の酪農業に対する国の予算などというものは、それはECなどと比べて問題にならぬくらい少ないんです。不足払いの問題にしましてもわずか七百億ちょっとです、日本の財政支出は。そういうところから安いのが入ってきて、それは量が違うんじゃないかと言いますけれども、先般も申し上げましたように、実際にキロ当たりの政策費用を換算してみましても、EC諸国の方は九円十八銭、日本は八円三銭というように日本の方が少ないんです。
 ですからそういう点で、農林大臣、特に関税相殺制度あるいはIQ以外のものについても十分お考えをいただいて、国内の酪農を守るようにしていただかないと、この一年間いろいろこういう問題についての質疑を通じて、総括的にどうもそういう点で弱過ぎるんではないかという感じが強いんです。農林大臣、ひとつもう少ししゃっきりと御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) この間うち、いろいろと先生から御質問をされまして、私どもの井上審議官も出ておりましたときの議事録は私も読ませていただきました。
 問題は、疑似乳製品などについて相殺関税をかけたらどうか、こういう点が御中心であったかと思うんでございますけれども、問題は、疑似乳製品と言えばココア調製品とそれから食用脂でございますね、バターとマーガリンとまざったもの、これが大体主なものでございますが、そのうちのココア調製品の方はこれはニュージーランドあるいはオーストラリアから入ってくるものが大半でございまして、ECから入ってきておるものは一〇%以下だと承知をいたしております。それから、バターとマーガリンがまざって入ってきているのは、これはベルギーがたしか約半分近くあるわけでございまして、問題はそのベルギーから入ってきているこれなどが相殺関税の対象になるかならないかという問題ではなかろうかと思うんでございます。
 ところがこれは、大変むずかしいのは、いま酪農関係は確かに非常な危機状態でございますが、それは果たしてベルギーから入ってきたその疑似乳製品であるマーガリンとバターのまざったものが直接の影響を与えているのかどうかというやはり判断をしていかなきゃならないんではなかろうか、それだけのやはりこちらが事実関係をはっきりさせないと相殺関税は、これはなかなかガットで文句を言われますから、その辺をはっきりしないと相殺関税をかけられないんではないかと思うのでございます。そういう点がまだ私どもの方でも残念ながらしっかりした調査ができておりませんけれども、先生から御指摘もいただいておりますので、できるだけ早くその調査を進めまして事実関係をはっきりさせまして、大蔵省とも十分協議の上対処してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 バター、七十九年度ECは百キロ当たり二百八十五ECU、これはドルに直すともう少し多くなりますわね。そういう介入価格で支持しております。それから国際価格は、八十から九十ECUですから、もう三倍くらいの介入価格で価格を維持しておる。もちろん、ですから輸出する場合には輸出の払戻金を出して輸出をしているというふうな状態なので、これは農林省がわからぬはずはないと思うんですが、ひとつしっかり。
 それともう一つ、疑似乳製品だけでなく、えさ用脱粉あるいは学校給食用のスキムミルク、これらの問題につきましても、ECのような価格介入をやって国が財政投資をすれば日本の国内のものだって使えるんですよ。そうでしょう。少なくともアメリカを相手にあるいは豪州を相手にした酪農で日本が立っていくわけないんですから、ECと同じ程度の農業政策をやってEC諸国に比べて日本の農民がどうも能力を上げないでないかというんなら言われても差し支えないと思いますよ。しかし、全然面積の違うところと比較されて世論でたたかれているなんていうのは、やはり農民とすれば承知できないことなんです。第一、一頭当たりの乳量でもECはまた四千キロちょっと出たくらいなものです。日本はもう五千キロです。日本の酪農民の方がはるかに能率も上げながら、農業政策が弱いためにこういうところに落ちこぼれているということを一つ申し上げて、御答弁をいただいて終わりにしたいと思います。
○国務大臣(武藤嘉文君) 私どもの方も不足払い制度その他があることは先生御承知のとおりでございますが、いまの御指摘はそれでも不十分であると、こういうことかと思うんでございます。確かに規模は酪農関係はもうEC並みあるいはそれ以上になってきて、北海道はそれ以上になってきているわけでございまして、それでも苦しいところには何か問題があるんではないかという御指摘でございますので、十分御意見は御意見として私は拝聴さしていただき、尊重さしていただきながら検討を続けてまいりたいと思いますが、まあ確かに世論なんかは構わないということかもしれないが、しかし、私ども努力をしてまいりますけれども、やっぱり国民の御理解をいただきながらそういうことを進めてまいらなきゃいかぬことは当然でございますので、そういう点も努力をしてまいりたいと思います。
○委員長(志苫裕君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時四十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十五分開会
○委員長(志苫裕君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 現在、理事に一名欠員が生じておりますので、この際、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(志苫裕君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に石本茂君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(志苫裕君) 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。黒柳明君。
○黒柳明君 イランの石油の問題が緊急な要件なものですから、私、まずこの点から質問いたしたいと思いますが、昨日、一昨日大平総理がパーティーで同じことを言ってまして、先ほどマンスフィールド大使とお会いしたときも同じことを言っておりましたが、多少の犠牲を払ってもこの問題はともかくやらなきゃならないと。新しい価格についての拒否回答、先週の金曜日に通産から各業界に行政指導したと、こう伺っておりますが、官房長官、外務大臣も兼任されておるわけでありますが、政府としまして、このイランの原油輸入停止、新価格受け入れ拒否、この総理の多少の犠牲という中には当然このイランからの石油のストップを、これを言っているのだと思うんですが、そのほか考えられる点、あるいは多少にならなくて多大になるという可能性も今後の推移いかんでは出てくるんじゃないんでしょうか。ひとつそのあたりの見通しから教えていただけますか。
○国務大臣(伊東正義君) イランの問題でございますが、去年の十一月に人質事件が発生しましてからいろいろアメリカとの話し合い、何回も実はあったことは確かでございます。そうした中でいままでは、先生も御承知のように、金融上の措置につきましてあるいは日本でできることはいたしましょうというようなことで大蔵当局と話し合いが行われ、あるいは油の問題では人質の問題が起こる前に買っていた量を超えないようにしよう、あるいは購入に当たりましてはドル建てで、ドルで買うとかあるいは価格も世界的にOPECで決まった価格とか、そういういろんな話し合いの価格がありますので、それより非常に高いような価格では買わないようにしようというようなことでずっとやってまいっているわけでございます。その中でいま先生のおっしゃった価格の問題が出てきたわけでございますが、カーター大統領がイランとの断交をするという前から実はこの価格の問題はあったわけでございまして、日本としましては決まった価格以上の高い価格で買うことは世界の石油市場を混乱させるおそれがあるということで、毎々そういう高い価格で買うことはできないという交渉をしていたのでございまして、それがたまたま断交の後にまたやってきたというのが現状でございます。
 石油の問題等につきましては、通産大臣から後ほど詳細お答えがあると思うわけでございますが、日本としましてはアメリカとイランとの二国間の問題でございますが、あの人質ということはこれは本当に人道上の問題であり、世界の法秩序を乱すという問題でございますので、日本としましては、イランに対しましてあらゆる機会を通じて人質の解放をするようにということを日本としましても手段を尽くしていたわけでございます。アメリカも忍耐強くそれをやっていたわけでございますが、御承知のような断交という事態に立ち至った。
 それで日本としましては、アメリカからいろいろ要請がございます、こうした要請につきまして、自由主義陣営のヨーロッパの諸国となるべく歩調を合わせた考え方でやった方がいいじゃないかという考えでおりましたところに、先般ECの大使がそろってイランの大統領にお会いして人質の解放の方法、日程等につきまして大統領にひとつ意見を述べようじゃないか、ついては日本の大使も一緒にそこに入ってもらいたいという要請がございまして、和田大使が一緒に大統領に会いまして、一時帰国をしていま報告を総理、外務大臣にしたわけでございます。そしてまたヨーロッパでは、きょう二十一日、二十二日あしたにかけましてECの外相会議がございますので、日本もヨーロッパ、ECとできるだけ歩調をそろえて、完全に一致とはいかないかもしれませんが、それぞれの国の事情がありますから、できるだけしかし歩調を一致してこの問題を考えた方がいいということで、大来外務大臣が急遽国会のしかるべきところにも御了解を得まして、昨日立って、きょう向こうでECの外相会議の議長をしていますイタリーの外相と会いまして、どういう会談をするか、ECの外相に会って意見を述べるか、向こうの意見を聞くかということで向こうに参っているというのがいままでの実情でございます。明後日帰国いたす予定でございます。
 その後でいろいろ日本としてとるべき態度ということをまた相談をする予定になっておりますが、基本的には、アメリカのやりましたことにつきまして、まあいままでがまんをしてやっていてああいう断交ということになったのでございますが、そういう立場については理解する、そしてヨーロッパの諸国と共同してひとつイランに話して人質解放をするようにということをやろうじゃないかということの中には、経済的な制裁の問題もございますればあるいは政治的な問題もいろいろあるわけでございまして、どういう方法でやるかということにつきましては、これから大来外務大臣が帰りまして協議をしようといういま考え方でおるわけでございます。
 その中に、いまの石油の問題、前からこれは継続して交渉していたことでございますが、石油の問題が起きまして、日本ではそういう高値で買えない、イギリスもやはり買わないということを言っているわけでございます。そうしたときに、あるいは石油の輸出、積み出しを停止するかもしらぬということを向こうが言っているわけでございますが、これは実は制裁ということよりも前々からの方針で、高い油は買わない、それが世界の油の市場を乱すようなことがあってはならぬということで交渉していたのが、ちょうどカーター大統領の断交の後にぶっ続いてきたということでございます。
 それで、総理が犠牲を払ってもということを言っておりますのは、場合によりましては石油の向こうの積み出し停止ということがあるかもしらぬ、あるいは、向こうに投資したものもあるわけでございます、こうしたものの取り扱いとかいろんな問題が考えられてくるわけでございますが、人質解放という世界の秩序体系を守っていくというためにはある程度のことがあってもこれはやむを得ないじゃないかという総理の考え方を述べたというふうに御了解をいただきたいと思うわけでございます。
○黒柳明君 大半がいままでの経過説明、大体その認識は私もしているわけでありますけれどもね。イランからの原油の停止ないしは投資がほごになる、こういうことを多少の犠牲と総理が言っているやにいまの答弁は聞こえますが、カーター大統領はこの次は軍事的行動も起こすと。イランの石油相はきのうの各社のインタビューで受けて立つと、こう言っているわけであります。また、御案内のようにヨーロッパ諸国は非常に第一次大戦前夜的な不安な恐慌が一時に蔓延している、こんなことも当然、官房長官は報道で御存じかと思います。
 そうなりますと、多少の犠牲がいわゆるそういう投資のほごなりあるいは原油のストップ、何とか備蓄でと、こういうことで短期的将来は済ます。しかし、その短期的期間でも、まあイランの国は私の認識では非常に何か国際通念から外れたような行動をしてきた国でありますし、そこから事件は持ち上がったわけでありますから、となると、いわゆるアメリカと一緒に行動はとれない、ECとならば若干のイランの反発も少ないだろうと。これは確かにそういう認識はあるかと思うんですけれども、こちらの認識以上にイランの姿勢というのがまた主体になってこれは動いているわけですからね。そうなりますと、多少という認識が甘い。あるいは当事者のアメリカとイランが非常に強硬な、最終的な軍事行動もあると言っているときに、もし日本の認識というものが甘いと、多少にならないんじゃないですか。
 言うならばそういう時点も、いま早急に考えてしりに火をつけてという状態は必要ないかと思いますよ。ですけれども日本国の生命、財産を預かっている政府としまして、第一次オイルショック、そして第二次、その間において政府としては万全の処置は手を打ったとは言うでしょうけれども、私たちはそうは感じない。そういう中において、きょうかあしたか輸出ガストップになる、こういうときに、多少の犠牲、多少の犠牲というこれで済めばいいんですけれども、それ以上のことを考えて早急に手を打てと、こう私は言うんじゃないんですが、少なくとも最悪の事態を考慮して、多少の犠牲もその中間的処置としてやむを得ないという考えをお持ちなのか、それともそんなことはもうあるわけないよ、そんなことは論外なんだと、こういう姿勢で当面を糊塗しようとするのか。そこらあたりはこれから中期的な米、イランの間に入っての日本の態度というものを大きく狂わせるような結果になるかわかりませんよ、今日の政府の姿勢というのが。
 何か大来外務大臣も十九日の昼間までは行くな、行かなくていい、夕方になったらすぐ行けなんて、ちょっとそこらあたりも失礼ながら見通しの甘さがあったのかなあと、私素人目で感じがするんですがね。まあ行かれたこと、話し合うことは大いに結構でしょう、いまの時期において。そういうことも含めまして、ここでの基本的考えが本当にこの問題を左右するという感じが私はしてならないわけでありますので、その点をお伺いしたかったわけであります。どうですか。
○国務大臣(伊東正義君) いま先生おっしゃった最悪の事態ということは、恐らく軍事行動をアメリカが起こすとかあの辺の中近東に非常に混乱が起きるということだと私は思うわけでございます。
 それで、日本としてはECと大体考えを同じくしてこの問題に対処しようじゃないかと。それには、何とかして最悪の事態にならぬようにして人質解放を求めるということがこれは最良の道でございますので、最悪の、アメリカが軍事行動をするというふうなことが避けられて、なおかつ人質解放の目的が達せられるという方法がないものかということで、最後までその手段を日本としてはヨーロッパ諸国と一緒になって見つけるという努力が今度の大来外相がヨーロッパに参りました目的だというふうに私は考えておるわけでございます。
 それで先生の御質問の、多少の犠牲というふうなことだけで済むと思っているのかと、こういうお話でございますが、最悪の場合はこれはあるいはあるのかもしらぬ。しかし、そういうことをなるべく避けるように、日本の犠牲もこれは少なくて済むことにこしたことはないわけでございますから、最後までその道を探す。しかし、腹はちゃんと固めてやらなきゃいかぬというふうに私は思うわけでございまして、和田大使も在留邦人のことを考えれば一日も早く自分は帰りたいんだということを言っているわけでございますが、大来外務大臣が帰るのを待って、大きな方針を立てて、またアメリカにも言うべきことは私は言わなけりゃいかぬと。総理が訪米もしますので、その辺のところをにらみまして、最悪の事態を避けるように最後まで日本としても努力をするというのが日本の態度でなかろうかというふうに思っておるわけでございます。ただ、最悪の場合はどうなんだというようなことは当然に日本としては考えておかなけりゃならぬことだというふうに思っております。
○黒柳明君 これは私のいろんな情報の中におきましても、昨年十一月に始まった時点から相当やっぱりアメリカ国内は緊迫した軍事体制をとっているわけであります。それが即日本に影響するとか、それが行動に起こすなんということは考えられないとは思うんですけれども、これは最悪のことから考えて、それで平和裏に解決できればこれにこしたことはないわけであります。それを全く考えないで、要するに何かECに寄りかかっていくというような外交をやっていたならば、本当に国益が守られるかどうかという非常に今度は緊迫した事態だと、こう思いますので、私ごときがこういうことを官房長官に、政府に声を大にして言う筋合いのものじゃないですが、やっぱり国民の不安というものは政府としても受けとめて、そこを踏まえた上で、当面平和裏に解決するということになろうかと思います。
 それから、まだ決まったわけじゃありませんですけれども、もう政府の指導は新価格をのむな、拒否ということでありますので、そうするとどうなんですか、イランからの原油の輸入が減った分はアメリカの方からもらえるんでしょうか。先ほどから、アメリカとは何回も話し合っています、意思疎通していますと。その中において当然今日の事態が想定され、また先週の金曜に業界に通産として行政指導したと、けさ総理がマンスフィールドに会ったと、こういうことでありますので、もう当然この辺で明日あたり、LCに対する、新しい信用状に対しての拒否回答を出せば、向こうは原油ストップ、輸出ストップ。そうすると、アメリカから当然その少なくなった分はもらえる――まあ備蓄のなし崩しということはあるかと思いますよ。しかし、なし崩ししてどこまで――通産大臣にお聞きしなきゃならないテーマでありますが――プランができているのか私わかりません。しかしその前提には、備蓄をなし崩しにするというよりも、アメリカから回してもらうといった方がこれは日本にとってベターに違いありませんですな。あるいはそれと並行して若干でもなし崩しということも考えられるのか、そのアメリカとの約束はどうなっているんでしょうか。
○国務大臣(佐々木義武君) お話ではございましたけれども、イランとの石油価格の交渉でございますけれども、これはいま新聞にも出ていますとおり、業界と向こうの公社との話し合いになっているわけでございまして、私どもの感じといたしましては、世界の油の需給はいま相当緩和してございます、日本も同様でございますけれども。そういう際に、去年の十月一遍値上げして、十二月値上げ、二月にやってまた今度と、こういうわけでございますので、需給が緩和して、スポットの値下がりなどを見ているときに、また矢継ぎ早にこう上げるということは、どうにもこれは国内的な価格影響も大変大きい問題でもございますし、あるいはまた、他の産油国がこれに追随いたしましてやりますとえらいことになってまいりますので、この際はうかつには向こうの提案どおりはのめませんぞという気持ちでいままで進んでございます。したがって、日本の業界の方にもできるだけひとつ、できるだけというよりはむしろ粘り強くその価格に応じられませんと言って、何度でもひとつ反省を促すように努力してもらいたいということで、あるいは船積みを向こうの言うとおりきょうあたりからストップするやもしれませんけれども、これは一応は価格の交渉のいかんに今後かかっているわけでございますので、わが方としてはできるだけひとつ粘り強く今後とも業界は努力してもらいたいということで、ただいま慎重な構えで業界に要望してございます。
 それから、そういう油が一時切れたというようなときにはどうするのかという御指摘でございますけれども、これはいまお話し申し上げましたように、世界の油の需給関係はもともとことしはIEAの見通しからいいましても、供給の方は若干オーバーするだろうという見通しでございましたし、現実にまだ需要が世界的には大分締まってまいりまして、需給関係が緩和している最中でございますし、わが国といたしましても不需要期にいま入っているときでございますから、それこれあわせまして、国内の備蓄あるいは産油国等に幅広く供給確保するように働きかけてまいりますれば、需給関係そのものから見ますとそれほど憂慮することはないのじゃないか、もちろん今後の努力次第ではございますけれども、ということでただいま進めてございます。
○黒柳明君 あるいは質問の方が前後したのかわかりませんけれども、そうすると通産大臣は、モインファル石油相のインタビュー記事が各紙にきょう出ていましたですね、あの中に、これは交渉じゃないんだと、こういうふうなこともお読みになったと思うのですが、それはまだまだ各社とも交渉の余地があると、こういう前提でいらっしゃるわけですか。ちょっとそのあたりの御意見が、まあこれはマスコミは何も政府を指導するものじゃありませんですけれども、国民の世論を代表しているマスコミとはちょっと通産省の感覚が、もしそうだとすると違うというような私感じがするのですが、いかがですか。
○国務大臣(佐々木義武君) 先ほど官房長官からお話がございましたように、もし停止あるいは輸出禁止等になった場合にはどうするかという対応策は研究していることはもちろんでありまして、これは行政でありますから、あらゆる場合を想定して研究はしておりますけれども、さらばと言っていま向こうが価格の交渉に、わが方としては一次と申しますか、第一グループ、第二グループまでありますが、第一グループの交渉が済んだわけで、第二グループの交渉がまだ残されておりますので、それこれあわせましてまだ粘り強くひとつ交渉したらどうだろうということで、慎重に交渉するように指導しております。
○黒柳明君 ですから第一グループの交渉はもう拒否した、第二グループが二十二、三日にやる、こういうことでしょう。これでも政府がやっぱり新価格を拒否しろと言うのですから、そういう行政指導のとおりに拒否するんじゃなかろうかと私は思うんですけれども、その交渉の余地はないとイラン側は言っているんですから、それをあくまでも踏まえて、まあ結論は出たわけじゃありません。きょうの時点では。確かにおっしゃるとおりです。第二グループの交渉の余地はあるわけですよ。ですけれども、あのイラン側の要するに石油相のインタビューの談話なんか見ますと、いま申しましたように交渉じゃないと、こういうことであります。そうすると、もうアメリカの方だってこれは交渉の余地があると思ってはいないんじゃないかと、こう思うのです。ですから、総理大臣も犠牲を払ってもいいんだと、こういうことをたびたび言っているわけですからね、総理みずから。もうこれはストップするだろうと、こういう想定を強くしているわけですよ。ですから交渉は交渉でいいです、努力ですから、目標ですから。ですけれどももう交渉というものが、まず第一グループがだめで、第二グループもだめになるのじゃなかろうか。それに対して準備もしているというわけでしょう、どういう手を打つかと。その中において、それじゃアメリカとの約束はできているのですかと、こういう質問でもいいんじゃないでしょうかね。
○国務大臣(佐々木義武君) これは先ほどもお話し申し上げましたように、まだまだ粘り強く、価格だけの問題でございますから、交渉してまいりますればあるいは打開の余地があるかもしれませんし、それはそれで粘り強く進めるということは当然のことだと思いますので、進めてございます。
 もしお話しのように、そう粘り強く何回もやっても油の船積みはしないということでございますれば、そのときにはそのときで対応策をいまから考えてございますから、その対応策に従いまして行動していく、こういうことでございます。
○黒柳明君 そのときの対応策、それじゃ教えてくれますか。
○国務大臣(佐々木義武君) 対応策には、ただいま、先ほど申しましたように備蓄の問題とかあるいは需給がいま言われているように緩んでいるときでございますから、各産油国等に働きかけまして、そして供給をふやすような道を講ずるということでございます。
○黒柳明君 その中には、アメリカから減少分を何らか補てんしていただくという対応策は入っていないんですか。
○国務大臣(佐々木義武君) あるいはそういうことになるかもしれません。
○黒柳明君 いま考えているのは、いまの対応策で考えているのは。
○国務大臣(佐々木義武君) いまの事態はその事態まで達しておりませんので、慎重にかつあわてずに考えてございます。
○黒柳明君 何か当事者の通産大臣、非常に悠長で結構なことですね。官房長官の方がしりに火をつけてかっかしているみたいで、非常に対照的な御答弁かと思いますけど、通産大臣も本音はそうじゃなかろうと、こう思いますけれども、そうすると他の産油国の供給をお願いする、それが一つですね。それからもう一つは、備蓄を取り崩しする、それが二つ。この二つだけを、もしイランの原油がストップした場合の対応策として考えていると、こう了解していいわけですか。
○国務大臣(佐々木義武君) 対応策は、これからでございますので、何をどういうふうに考えているというのは、詳しくはきょうは差し控えたいと存じます。
○黒柳明君 担当の局長いらっしゃいますか。大臣、政治的に発言できない面もあると思うんですけれども、一応事務当局としまして、万が一のことを、あるいは相当の時点においても、政府としては考えているというんですから、当然いまの段階におきまして対応策を考えてないというわけじゃない、考えているというんですから、考えているという中に、もうきょうかあしたかということでしょう、この原油についてのストップが、第一次グループについてね。そのときに、対応策は、そうすると完全に輸入がストップになってから対応策を発表するのですか、それまで発表はできないんですか、そこらあたりどうでしょうか。発表の時期が、いまじゃできないで、完全に原油の輸入がストップになったときにその対応策は発表するのですか、いまはもう持っているけれども。どうなんでしょう、その点。
○政府委員(志賀学君) ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、私どもといたしまして、ことしの世界の原油の需給というのは、現時点でもそうでございますし、見通しといたしましても、かなり従来の見通しといたしまして、需給はかなり緩んでおる、緩んだ形で推移するだろうというふうに見ておるわけでございます。
 片や現在、イランからの価格の新しい引き上げ問題につきまして、現在関係企業におきましてイラン側と交渉しておるわけでございます。その中におきまして、イラン側から、二十日までにLCの改定をしなければ二十一日から船積みを停止する、こういうようなお話があったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、これはいまの情報でございますと二十日時点におきまして――昨日でございますね、昨日時点におきましては、船積みは順調に行われておるという情報も入っておるわけでございます。
 私どもとしては、この交渉については、基本的に経済的な問題といたしまして、われわれとしては現在の日本の経済が、価格がさらに引き上がるということによってわが国に与える影響というのは非常に大きい、あるいは国際的な石油価格に与える影響は非常に大きいということで、そういう面から、イラン側の再考を求めるべきではないかということで私どもも考えておりますし、それから関係企業におきましても、現在の石油企業の状況あるいは国内のマーケットの状況から申しまして、今回のイラン側の要求というものについてはなかなか受け入れがたいということで交渉を進めているわけでございます。
 私どもの基本としては、やはりそういうネゴシエーションということで、粘り強くイラン側に再考を求めるということでやっているわけでございます。
○黒柳明君 そうすると通産大臣、イランからの原油輸入ストップ、これは避けられる見通しが強いと、こういう判断をいまお持ちですか、基本的に。
○国務大臣(佐々木義武君) その見通し云々の問題以前に、お話のように、船積みがストップしたからすぐに日本がどうだこうだという問題じゃございません。まだまだそこら辺は落ちついて配慮すべきだと考えております。
○黒柳明君 何かおかしいね。ぼくの方が何か意欲がなくなっちゃってぽかんとしていますけれどもね。原油の輸出がストップされたから何だかんだという問題じゃありませんって、何ですか、何だかんだという問題というのは。ちょっとお座りくださいませ。要するにいま現在、何かあったときのことを考えていますというのでしょう、考えていますと。それはイラン原油の輸入のストップという時点、あった場合を考えているというのでしょう。その考えていることは何ですか。アメリカということは考えていません、まず二つですと、こういうのでしょう。その発表時期はいつなんですか。ほかにあるのですか。
 ですから根底的にはイランの原油ストップということを想定して考えているわけでしょう、その策を。そのストップということについていま盛んに交渉しているのだ、努力しているのだ――わかりますよ。だけれど、冒頭官房長官にも、大蔵大臣よく聞いておいてよ、御両人何かこう意見が食い違って、私が感じるだけ、そうじゃないかもわからない、私が感じるだけ、頭が悪いから、みたいな感じがするのですよ。いいですか、通産大臣。それじゃ基本的には、要するに輸入原油ストップについてのイランの石油ストップ時点において考えているけれども、ストップということは非常に可能性が薄いのだ、こういう基本的立場に立っているんですか。ですけれどもそういう時点があったら困るから、一応考えているには考えているのだ、こういうことなんでしょうか、基本的な見解。
○国務大臣(佐々木義武君) 基本的には価格の交渉の問題でございますから、言うなれば経済ベースの問題でございまして、それを業界と向こうの公社がやっている最中でございまして、まだ最終的な、ファイナルな問題になっているわけじゃございません。したがいまして、粘り強くひとつ努力しなさい、しかしいまの値上げというものには、さっき申しましたような状況ですから慎重に構えるべきで、いたずらに上げるわけにはいきませんぞ、こういうことでございます。
 お話は、それじゃいつ切れるのだ、切れる見通しですか切れない見通しですかと。そういう点はいまから予測するよりは、やはり交渉した結果、船積みがストップして何日も続いたという場合に考えるべきであって、船積みがとまったからすぐに日本経済がどうだとか、油に対しては大変だというふうな、そういうものではございませんということを申し上げているのでございます。
○黒柳明君 だけれども、船積みが停止された場合の事後策は考えているともおっしゃったんでしょう。そのことは想定して考えているわけでしょうね。
○国務大臣(佐々木義武君) 行政府でございますから、こういう際にはあらゆる場合を想定いたしまして、それに対応できまするような勉強をしていることは当然でございます。
○黒柳明君 そうしますと、備蓄で埋め合わせる、あるいは産油国からさらに供給をふやしてもらう、そういう見通しないしそういう考え、その計算はどういう計算がいまできているのですかね、見通しとして。
○国務大臣(佐々木義武君) それはまだ申し上げる段階ではございません。
○黒柳明君 だからさっきのにまた戻っちゃう。それじゃいつそれは入れるのですか。完全にストップしたときに発表するのですか。またさっきの質問に戻っちゃう。
○国務大臣(佐々木義武君) 何も全貌を発表しなくたって、あるいは小出しに政策を積み重ねていけばよろしいかもしれません。ですから何も全貌をこの際に、このときはこうだあのときはどうだという発表は、対外的な環境もこれあり、差し控えさしていただきます。
○黒柳明君 それじゃひとつ小出しにしてくださいよ。何かちょっと小出ししてください。
○国務大臣(佐々木義武君) お答えできません。
○黒柳明君 お答えできませんって、要するにさっき言ったように、全部輸入ストップした、輸出ストップしたときじゃなかったら小出しもできないというわけだ、いまはまだ交渉中だから、こういうことですか。こういうことなんですか。小出しにもできないのですか、いま。全貌を言わなくたって結構ですよ。小出しでも結構ですよ。だってここだけの問題になって、これだけの時を迎えていて、政府がどう対応するのか全く国民がわからなかったらこれはどうなんですか、不安で。そのときになったら――そのときはきょうかあしたですよ。しかも第一グループの交渉はだめじゃないですか、向こうは交渉じゃないと言っているんですよ。それについていまの時期に政府が、こんなことは全貌言えませんと。全貌じゃなくていい――小出しも言えません。いつの時期ですか――まだ交渉しています。そんな姿勢だったら全くあした不安じゃないですか。それで国民が納得しますか、そんなものについて、政府の姿勢について。アメリカのあれとは――アメリカは大統領選があるとはいうものの、全く逆じゃないですか。アメリカの場合には、これでもどうですかあれでもどうですかと、むしろ国民がいやになるほど対策案を立て、日本はこれほど追い詰められる可能性があっても、全くそんなこと言えません――そんなことでいいんですか。通産大臣がいいと言うのを私はそんなことでいいんですかなんて野党の立場で言うわけにいきませんけれども、そんな、日本政府は国民に対していまの時期に何にも言えません、そのときになったらやりますから――それでまた第一次オイルショックみたいな事態になって、さらに最悪の事態になったらどうするんですか。
○政府委員(志賀学君) 先ほど申し上げましたように現在交渉中でございます。で、その過程におきまして可能性としては、私どもといたしましても一時的にイラン原油の船積みが停止される可能性というのは私どもとしてもあり得るというふうに思っているわけでございます。ただ、いずれにしてもその価格交渉の過程において出てくる問題であるということで、それがどのくらい続くのか、要するに交渉はわれわれとしては続けていくという基本姿勢をとっておるわけでございまして、仮に船積みの停止が起こった場合にそれがどの程度続くのか、その辺を見きわめながら私どもとしては対応を考えていくべきだというふうに思っております。
 で、とりあえずの話といたしましては、私どもとして、先ほど大臣からもお答え申し上げましたように、備蓄の弾力的な運用であるとかあるいは他の産油国あるいはスポットの手当て、そういった原油の確保対策ということによって十分対応できるというふうに思っておるわけでございます。
○黒柳明君 そうするとこういうことですね。価格交渉が万が一決裂しても、一時的にストップする可能性は当然できてくるかもわからないけれども、そんなに長続きするもんじゃないと。その間というのは、先ほど言った二つの、他の産油国ないしは備蓄、これでなし崩しにできるだろうと、こういう見解を通産省は持っていると、こういうことですな、私まとめさしていただくと。
○国務大臣(佐々木義武君) お話のように、大変停止自体が日本の経済を混乱に導くなんというふうに私どもは考えておりません。
   〔委員長退席、理事穐山篤君着席〕
打つ手は幾らでもまだあるんじゃないかというふうに考えてございます。でございますから、きょうこの段階で何がどうだかにがこうだと言うよりは、対策はいろいろ考えておりますので、その点は御信頼くださいと申し上げる以外にはしようがないと思います。
○黒柳明君 御信頼申し上げることができないから、心配だから……。だけれども、そんな政府の姿勢ですかな。
 外務省、大来外務大臣が十九日の昼間まではまあ行かないとか行くとかいって、夕方になって急遽決まったとか、こういう新聞報道ですけれども、これはやっぱり確かに外相理事会には出られなくても、ECの外務大臣が集まるわけですから、個別折衝でも話し合いすることにはもうマイナスじゃない、結構なことですけれども、急遽決まったという中にはやっぱり何かしらの緊迫感というものを感じたからこそ急遽派遣ということになったんじゃないでしょうか。どうですかね、その辺の過程は、経過は。ああ、外務大臣代理か。
○国務大臣(伊東正義君) 代理でまことに申しわけございませんが、いまのお話でございますが、実は鹿取審議官が向こうへ行ったわけでございます。そして出先の大使等といろいろ打ち合わせをしておったというのは御承知のとおりでございますが、二十一、二十二のECの外相会議というのは、人質解放のワンステップを踏み出すに非常に重要な問題でなかろうかということを内々相談をしたわけでございまして、やはりこの際は日本で責任者の外務大臣が行きまして、事前になりとも日本の考えも述べ、効果的な、最も効果的な方法をそこに見出すことが最も必要じゃないか、最悪の事態を避けるためにも必要じゃないかという判断で、外務大臣に実は急遽行ってもらうように総理と御相談をして決めたというのが実情でございまして、特に新しい問題が起きてきたからどうとか、そういうことじゃなくて、この二十一、二十二の外相会議というものを非常に重要視しまして、その結果ああいうことの決定を、行ってもらう決定をしたということでございます。
○黒柳明君 通産大臣のは非常に楽観的であって自信があるみたいですけれども、官房長官は何か政府として、非常に悲観的ということはありませんけれども一応の最悪の事態を考えてと、こういうことで、非常に慎重であるように感ずるんですが、まあ最悪のこれも事態を想定してということですけれども、最悪じゃない、最悪までいきませんかな、いままで問題になっていた新価格の交渉が失敗しますとね、原油が輸入ストップになりますと、イラン石化の問題、あれなんかどういうふうになりますか。あれはもう完全に見捨てる、こういう結果になる可能性が強いと思うんですが、どうですかね、そこらあたり。
○国務大臣(伊東正義君) 何か通産大臣と私とで認識が少し違うような先生の御発言があったんですが、声の大きさが違うぐらいであって、そう違ってないんです、本当は。大体打ち合わして……
○黒柳明君 それから発言も違う。
○国務大臣(伊東正義君) ああそうですか。そう実は違ってないわけでございまして、いまは制裁ということでなくて価格交渉という経済的なベースの問題でいままでずうっときていたわけでございます。その中でたまたまいまのカーター大統領の断交というところの声明の後にこういう問題が出てきたということで、両方が、制裁と経済交渉が人によって見方が、右から見るか左から見るかで違ったような状態になっていることだけは確かでございますが、私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、最悪の事態、それはもう恐らく軍事行動が起こるということだと思うんですが、そういうことのないように、日本としましては欧州の諸国と一緒になって、そういうことの事態にならぬように、それはもう非常に大問題でございますので、先生のおっしゃったようなこともあるいは出てくるかもしらぬというようなことになりかねない問題になりますので、これは日本にとっても大変でございますし世界にとっても大変でございますから、何とか最悪の事態を避けたいというのが日本の基本的な考え方でございまして、大来外務大臣もそれで行ったわけでございます。
 でございますので、いまのところはまだ制裁に路み切る――制裁というのは輸出禁止とかそういうようなことが言われているわけでございますが、そういう問題にはまだ入ってないわけでございまして、そういう問題はECもどういうふうに考えるかというような、みんな歩調をそろえまして、最悪の事態を避けるにはどうしたら一番いいんだということをいま模索しているというのが現状でございます。
○黒柳明君 通産ではイランの輸出制限についての商社や鉄鋼や自動車に行政指導をしているんじゃないですか。
○政府委員(花岡宗助君) 昨年十一月の人質問題以来、通産省といたしましては商社に対しまして、アメリカが輸出をとめた分について日本がそれをテークアドバンテージする、漁夫の利を得るような輸出は差し控えるべきである、駆け込み輸出をしないようにという指導をいたしてまいりましたが、その方針を現在も継続しておるということを商社に再度確認をいたしておるというのが現状でございます。
○黒柳明君 それはある意味においては制裁じゃないですか。業者ですから、やっぱりもうけるためのイラン進出ですから、それについてストップをかければ抑制じゃないですか、ある程度の制裁にもなるんじゃないですか、別の意味で。いまあるものを全然手を引く、ストップするという意味じゃなくて、もうけ口というものに対して封じ手をかけるわけでしょう。制裁じゃないですか、それ。制裁じゃないですか、これ。
○政府委員(花岡宗助君) ヨーロッパ諸国の輸出のビヘービアと合わせるような形で自粛をするようにということを要請をしておるということでございます。
○黒柳明君 言葉はヨーロッパに合わせ自粛をするようにという要請あるいは行政指導あるいは抑制、何でもいいんですよ。要するに、もうけ過ぎるな、アメリカが引っ込んだ分を日本が出過ぎるなと、こういうことでしょう。間違いありませんね。これ、一つのやっぱり経済制裁じゃないですか。制裁というのは何も、いま十のものを九にするだけが制裁じゃない。業者ですから、十を十二にしたい、それはやめろと言うんでしょう。制裁の言葉にはぴったりじゃないですか。大臣、制裁でしょう、これ。間違いなく制裁ですよ。
   〔理事穐山篤君退席、委員長着席〕
やっているんじゃないですか。通産省がもうやってきているじゃないですか、制裁を。明らかです、これは。そんなものやってこないなんて言ったらおかしいですよ。業界怒りますよ。表面に出て大っぴらにやっているんじゃないですか、いままで。やってもないなんて。
○国務大臣(佐々木義武君) 行政指導で自粛をお願いしておるのを経済制裁の一つだと御解釈いただけば、それはまた一つの解釈かもしれません。
○黒柳明君 それはおかしい。いま制裁やってないと言ったじゃないか。だから、やってますよと言ったんじゃないか。御解釈だって、そんなばかなことあるか。いままでの答弁とは違うじゃないか、そんなことは。制裁やってないと言うから、やっているじゃないですかと。それを御解釈は勝手だと、そんなばかな答弁ありますか。制裁じゃないですか。明らかに経済制裁じゃないですか。やってないと言うから、やってますよと言ったんだ。解釈するのは勝手、そんなばかな答弁ありますか。やっているじゃないですか、経済制裁を。
○国務大臣(佐々木義武君) 私は別に経済制裁やってないなんて答弁していません。していませんです。
○黒柳明君 やってないって言ったじゃないですか。だからぼく言ったの。
○国務大臣(佐々木義武君) いつですか。
○黒柳明君 いま。
○国務大臣(佐々木義武君) いやいや、そうじゃなくて、経済の自粛を、輸出の自粛等を通産省としては業界の方に要望していますというふうに申し上げたんでございます。
○黒柳明君 いやいや、その前だ。じゃ、議事録起こして。
○委員長(志苫裕君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(志苫裕君) 速記を起こして。
○黒柳明君 経済制裁やってないと言うから、ぼくは言ったんですから。たとえ大臣の、いま自粛を要請している、同じ言葉、自粛を要請している――行政指導でしょう。行政指導ですから、それは経済的に、何回も言うとおり、十のものを十二にするなよと、こう要請しているんですから、自粛を。それを置きかえれば経済制裁となるんです、受ける方の側は。それを大臣が、いや、それは自粛の要請だと、これは日本語のあや。そうでしょう、官房長官。困ったなというような顔をしていまやっていますよ、通産大臣、よく左見てごらんなさい。あんな国語の解釈なんか、困ったこと言ってやがるなというようなお顔をしていらっしゃる。自粛を要請する、そうでしょう。政府が業界に自粛を要請するのはこれは行政指導ですよ、行政指導。おまえたちはアメリカのディスアドベンテージをテークアドベンテージするなと、こういうことでしょう。これは経済的な一つの要請、自粛、ある程度制裁じゃないですか、受ける方から見れば。メリットがあるのに先取りしちゃいけないんだったら制裁じゃないですか。そんなことはもう自粛を要請する、そんなきれいごとじゃ済まないじゃないですか。そのとおりじゃないですか。そういうことでしょう。何もそんなことで論議したくないな、私は、もう時間がないから。
○国務大臣(佐々木義武君) 抑制の中にもいろんな種類があると思います、御承知のように。ですから私どもといたしましては、ただいまは自粛を要請しているという行政指導をしていますということを申し上げたのでありまして、それが行政制裁の一つの道だという解釈もございましょうし、その段階ではまだ抑制とまでは言えぬじゃなかろうかという解釈もございましょうし、それはいろいろだと思います、強度によるんだと思いますが。
○黒柳明君 何だかわかったようなわからないような、私はごまかされますよ、この点はね。いいですよ、ごまかされましょう。しようがない。
 またこれ仮定の話で申しわけありませんけれども、要するに、仮定にして仮定じゃないわけです。先般の場合には、いわゆるスポット買いというのがはやりましたな。アメリカからクレームをつけられましてね。政府の方はそんなはずじゃないけれど、業者の方はしようがないですよ、スポット買いして、高いのをどんどん買った。今回やっぱり政府の方は、行政指導で新価格を認めるなと、こう言っておるわけです。交渉しろ、粘り強くやれと。こうもやって、まあ交渉するでしょう。しかしながら、やっぱり新価格は拒否した。あるいは拒否しないにしても、いずれにしてもスポット買いという可能性は、全く先ほどの話の中じゃ、非需要期だからそんなこと起きない、石油がだぶついているから起きないという意見だったですけれども、そのスポット買いというのは、業界はもう絶対どう見たって、客観的、今日の条件下においては一〇〇%ないと、こう見ておりますですか。
○政府委員(志賀学君) ただいまの国際スポット市場の価格というのは、先週におきまして、アラビアン・ライトで大体三十四ドル七十五ぐらいだったと思います。昨年の暮れに非常に上がっていったわけでございますけれども、昨今の世界の原油市場を反映いたしまして、ことしに入りましてから下落を続けておるわけでございます。で、確かにまだ今後どうなるかわかりませんけれども、仮に船積みが停止された場合に、ある程度ほかの産油国、あるいはスポット買いというようなことというのは、これは考えていかざるを得ないというふうに思っております。ただいずれにいたしましても、その場合におきましても私どもとしては、世界の原油価格に対する影響というものを慎重に見ながら業界に対応してもらうように指導をしていきたいというふうに思っております。
○黒柳明君 先般もこれは業界に対して行政指導を、それこそ強くするか弱くするかと、これしかないと思うのですけれども、要請でしょう。自粛でしょう。しかし、それでアメリカから、日本は勝手に買ってという文句が出たわけでしょう。今回の場合もやっぱりそういうことがあってもこれはいたし方がないと、こういうことでしょうか。要するにそういうスポット買いという条件はあらわれるというわけでしょう、もしかすると。あらわれてもしょうがないと、こういうわけですね。そうすると、片一方では経済制裁と言われてもやむを得ないような自粛を要望して、片一方では、石油の問題では、形だけは業界の方がどういこうと日本じゃしょうがないのだと。業界指導、これは日本は、政治家がそこに圧力をかけて介入するということは不可能でしょう。やってはいけないことでしょう、業界。ところが、アメリカとはこの問題で緊密に連絡をとり合っている。ECと同調したい、こう言いながら、スポット買いの可能性はあるだろう、そのときはそのときでまた指導しなければならないよというような、全く日本の業界に対する行政指導、これはもう業界任せだという感じですか、いまもって。スポット買いをやったって、そのときはまた行政指導しなければならないのだと、それほど弱いものですか、日本の政府の姿勢というのは。もっとこの際、やっぱり石油問題については、政治がいい意味で強力な指導性を発揮しなければならない時期じゃないんでしょうか。
○国務大臣(佐々木義武君) 誤解されると大変困るのですけれども、スポットというのは、恐らくお話は、イラン自体からスポットを買うというふうに解釈なさっていると思いますけれども、そうじゃないんです。スポットはロッテルダム――オランダ等から買うのでありまして、その点は、いまのイランの方の価格はスポットでも何でもないのでありまして、これはGSP、公式の販売価格そのものの底を上げようということですから、これは大変なことでございまして、そういう意味でございますので、ヨーロッパにあるスポット物を買うという場合には、それは余り高価なものは買ってはいけませんけれどもという制約はございますが、それは買っちゃいかぬということではないのでございます。
○黒柳明君 そこらあたりは私も素人ですけどわかっておりまして、それが世界の石油価格の価格を乱すとか、要するにイランに対してのある意味でアメリカを中心にして歩調をそろえているのに、日本の業界だけがスポット買いしてと、こういうクレームがついたわけですよ。イランのものを買おうなんということじゃありません、そのぐらいのことはもう知っているわけであります。ですから、そういうこの時点に来ても、最悪の事態が想定されるときに来ても、いい意味での業界に対する強力な行政指導というものはなかなかむずかしいですか。スポット買いする、そういう時点もある。それについてまたアメリカがクレームをつける。それじゃ何のために総理大臣がアメリカに行って話し合うんですか。ECと外務大臣が話し合うんですか。こういうときこそいい意味でのやっぱり行政というものを、政治というものは、きちっと石油業界との話し合いというものは必要じゃないんですか。またそんなことがあったらこの前の二の舞じゃないですか。日本の政治はどうしようもない、片一方では話し合ってなどときれい事言っているけれども、片一方じゃまた業界が先行してスポット買いまでどんどんやる、これは避けられないですか、こういう事態は。
○政府委員(志賀学君) 現在、石油業界におきまして他の産油国とのDD取引の交渉なども従来から行ってきております。それから先生御案内のメキシコのGGにつきましては、これは逐次上がっていくということになっておりまして、ことしの秋にはことしの最終的な十万バレル・パー・デーというようなところまで持っていくことになっておるというようなこともございます。そういうことで、私どもといたしましてはできるだけ長契物の増量というものに努力を重ねていきたいというふうに思っておるわけでございますけれども、ただ、スポット市場、レギュラー・スポット・マーケットからの購入というものもある程度考えていかざるを得ないのではないかというふうには思っております。
 ただこの点につきまして、現在の世界の原油の需給状況から申しまして最近のスポット価格というのは落ちついた動きをとっております。そういうことから考えてまいりますと、余り世界の原油価格に対して大きな影響を与えないで原油の確保ということができていくのではないかというふうに思っておるわけでございます。
○黒柳明君 時間がありません。官房長官、きのうのモインファル石油相の日本記者団とのインタビュー、活字で読んだわけですけれども、商業面と政治面の二面があるけど、日本は政治が先行しちゃっていると、こんなことを言ってました。確かにイラン側ではそうとるんでしょうけれども、また別の角度から見ますと、イランの方こそ政治を絡めて原油のつり上げと、こういう挙に出ているのじゃないかという見方もあると思うんですが、官房長官その点どう見ますか。日本だけが商業ベースのものに政治を絡めている、政治を先行させていると、こういう向こうの見方でありますが、いわゆる日本から見た場合にはこれどうでしょう。盛んに通産大臣あるいは石油部長は、商業ベースでと、価格交渉と、粘り強くと、政治なんか関係ありませんと、官房長官もすでにこれは以前に決まっていたのですと、石油価格新価格拒否というようなことを含めまして決まっていたのですと。ところがイラン側はそう見ていませんですね。政治が先行していると。あるいはそういうきらいもあるでしょう。否定はできないんでしょうか。あるいは日本側から見た場合にイランの方がと、こういう見解もあるいはあるのかどうか、いかがでしょう。
○国務大臣(伊東正義君) この油の高値の問題は、これは実は前々から経済問題として世界の油の価格をつり上げるということになる可能性、おそれがありますので、そういう買い方はしないようにということでずっと進んでいたわけでございますので、本件につきましても二十日まで日を切ってLCの開設の問題を言われてきたわけでございますが、これは私どもは、日本側としては普通の経済ベースで物を考えたものの延長だというふうに実は思っております。ただ、イラン側が先生おっしゃったように経済問題と政治問題とを絡めてこのことを見ておるんじゃないかということはどうだというお話でございます。これはイランのことでございますから私どもそれについてとやかく意見を言うのはどうかと思いますが、ちょうど時期がカーター大統領の断交の後になったという時期の問題がありましたので、向こうから見れば経済の問題と政治の問題が非常に混合して見られるようになったんだというおそれは私は考えられると思うわけでございますが、日本側はこの問題はあくまで経済問題として取り扱っていく。これからの問題は大来外務大臣が帰ってから対イランの問題はどういうふうに考えるかということでございまして、私どもはこの問題は政治問題とは切り離して経済問題だということで実は日本は考えているというのが現状でございます。
○黒柳明君 最後、通産大臣、また仮定のことでおしかりを受けるかと思いますが、先般衆議院の委員会で、事態が発展した場合の貿易管理令の発令、これはマスコミ報道かわかりません、示唆したと、こんなことであります。私は現場にいませんで、正確な発言は知りません。万が一輸入停止になった場合にはこれは貿易管理令の発動ということはやむを得ないということが推測されるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(佐々木義武君) 貿管令の発動という問題は、大変これはシリアスな問題でございまして、また発動する要件等もいろいろございますから、法律の本旨等もよく考えまして慎重に構えなきゃいかぬ問題でございます。ただいまの段階では、貿管令の問題等は研究はしておりますけれども、発動する意思はございません。
○黒柳明君 重ねてのようですけれども、イランの原油、石油輸入ストップということはその発令の要件になるんじゃないでしょうか。いかがでしょう。
○国務大臣(佐々木義武君) それだけでは要件と考えておりません。
○委員長(志苫裕君) それでは黒柳君の質問を終わります。
 次に、安武洋子君。
○安武洋子君 きょうは私、釣り問題についてお伺いをいたします。特に釣り用のえさについてお伺いいたしたいんです。これは国会でもまだ取り上げられたことがございません。しかし、今日釣りは国民的なスポーツとしまして日本じゅう至るところで愛好者がおります。釣り愛好者というのは千七百万人から二千万人というふうなことで年々増加もいたしております。で、この人たちの海釣りにかかせない釣り用の生きえさでございますが、このゴカイ類は、アオムシ、アオイソメとも言います。それからイシムシ、これはスナムシとも言いますし、またホンムシ――マムシというふうなことでいろんな種類がございますけれども、公害とか沿岸の埋め立てが進められましたためにいま国内ではほとんどとれません。それで輸入にいま依存するようになりまして、この生きえさの輸入問題というのは釣り人口二千万にかかわる問題になってきております。結構市場の規模も大きいわけです。そして、生きゴカイの値上がりというのは、値段の値上がりですが、これはいま非常に釣り人やそれから釣りえさ屋さん、ここでは大きな問題になっておるんです。
 そこで、お聞きいたしますけれども、輸入の生きゴカイの実態の把握とか行政指導とか、一体どこの省庁が行っておられるんでしょうか。これは農水産省なのか、通産省なのか、お伺いをいたします。
○政府委員(花岡宗助君) ゴカイにつきましては、ただいま先生から御指摘ございましたようなことでございますが、その輸入量につきましては、通関統計上はその他動物、生きているものということで〇一・〇六−五というところに分類をされておるわけでございまして、したがいましてゴカイだけを取り出した明確な数字というのは不明でございまして、輸入業者等から聞き取りましたところでは、昨年七九年の輸入量は韓国からの輸入が……。
○安武洋子君 どこがこういうことを所管されているかということです。
○政府委員(花岡宗助君) 従来余り行政上問題として提起されておりませんけれども、輸入商社の行動に関する限りは通産省でございますが、卸段階以降の国内流通は農水産省の所管であると考えております。
○安武洋子君 この輸入ゴカイを一貫してどこの省庁が把握なさるのかというふうなことが明確になっていないということが非常に困るわけです。私は調査をいたしましたので、いま韓国から生きゴカイというのが輸入されてきておりますけれども、日本でのゴカイがとれないという中で韓国からの輸入というのはいま大体使用量の八割になっているわけです。こういう市場の中で八割を占めるという状態を利用してどういうことが行われているかということをお示ししたいと思います。そして、この生きゴカイの韓国の輸出窓口といいますのはこれは水産業協同組合中央会、日本の全漁連のようなものに当たるわけです。これを日本の総輸入元の韓国物産株式会社が取り扱うことになっております。
 で、私はここに図を持ってきておりますのでごらんいただきたいんです、なかなかちょっとややこしいですので。この韓国物産といいますのは、韓国政府の全額出資の特殊法人の農漁村開発公社の窓口として日本に設立したものなんです。そして、ここは全額これは公社の出資でできておりますけれども、この韓国物産というのは資本金が二億四百万円、で、水産物――たしかいま御答弁の中で少し出ておりましたけれども、魚介類、農産物を輸入しておりますけれども、これは七割が釣りえさなわけなんです。そして、昭和四十八年からこの輸入が一元化されております。日本への韓国産ゴカイの輸入というのは、ここに出ております韓国物産、ここだけが取り扱うことになっているわけなんです。この韓国物産の日本代理店というのが十四社あります。関東に五社、それから関西に七社、九州に二社と、こういうふうになっておりまして、その下に第一次の卸、これが約九十社あるわけですね。ここから釣り具店などのえさ屋さんとかそういうところに流れていくというふうになっているわけです。
 それで、いま私がお示ししました韓国物産の第一次卸ですね、十四社です。代理店です。ここでは日本釣餌連合協議会、これをつくっているわけです。で、日本釣餌連合協議会の会則を見てみますと、第六条でちゃんと「本会は、韓国物産株式会社との釣餌特約店を会員と定め組織する。」と、こういうことになっております。
 問題なのは、この韓国物産と代理店との取引条件なんです。ここに私は代理店の契約書を持ってきております。この生きゴカイの価格といいますのは、韓国基準価格、輸出価格を基準として、甲と乙、韓国物産と代理店の協議により決定するということになっております。これは問題はございません。しかし、同時に代理店はこのときに覚書を提出させられております。で、価格についてもそれから商行為についてもこの覚書が縛っているわけですけれども、覚書を読んでみます。
 当社は、このたび貴社と韓国産活ごかい売買基
 本契約を締結するに当たり、別紙契約書条項を
 誠意に遵守することは勿論、当社と取引する日
 本国内の活ごかい販売業者とともに、第三国産
 の活ごかいは絶対に取り扱わないこと、および
 両国の活ごかい価格安定を混乱させるような行
 為も決してしないこと、ならびに一般消費者利
 益を確保するために当社の取引先および販売価
 格を随時貴社に報告して、適宜調整処理するこ
 とを確約致します。
 万一上の約束に違反した場合は直ちに本契約を
 取り消されても何らの異議もありません。というふうな覚書を入れさせられているわけです。
 こういう覚書について、公取にお伺いいたしますけれども、どういう見解をお持ちでございましょうか。
○政府委員(妹尾明君) 一応一般的な答弁でお許し願いたいと思いますが、たとえば輸入業者が輸入しました商品の取り扱いにつきまして、その取引先の卸業者等に対しまして競争品の取り扱いを禁止するとかあるいは再販売価格を指示しこれを守らせるというふうな行為がございますと、これは独占禁止法で事業活動を不当に拘束するような条件をつけて取引することを禁止する、これは一般指定という――不公正な取引を禁止しておる十九条の規定との関係でこれは一般指定というのがございまして、その中に細かに決めてございますが、その八号にそういう趣旨のことを禁ずる規定がございますが、この規定との関係で問題があると考えます。
○安武洋子君 そして、この協議会はこの覚書どおりのことをやっているわけです。代理店価格も含めまして一次卸から小売価格も定めて具体的な指示をいたしております。
 私はここに議事録を持ってきておりますけれども、この議事録というのは五十四年度の議事録で、三月十三日付です。これはこの中で、「三月十六日よりの販売価格改正に伴い国内販売価格を実施日付下記の様に多数決にて決定した」と、こういうことになっております。ここの中に、アオゴカイは仕入れ価格が三千百七十円で、問屋渡しが四千六百円で、小売渡しが六千円というふうに、アオゴカイだけでなく、マムシもイワもコガネムシもチロリもイシゴカイもというふうに値段を指定いたしまして、実施日は三月十九日よりというふうなことを指定してございます。以上のことを含めまして十四社合意を得て閉会したという議事録でございます。
 私は、この議事録だけではなくて、関西の釣り具屋さんにずっと話を聞いて回ったわけです。そうすると、この値動きというのはみごとに符合しているわけです。韓国のゴカイというのはいまや年商で大体百億円ということを言われております。これを超えているんじゃなかろうかと。そして、このゴカイの値段といいますのは、一元輸入会社とそれから協議会による価格決定で値段というのがみごとに徹底しているわけです。こういう行為について、公取では独禁法に照らして一体どうお考えなのかお伺いいたします。
○政府委員(妹尾明君) 先生御指摘のような事実がございますと、これは独占禁止法に違反する行為が行われている疑いが強いかと思います。
○安武洋子君 そして、この代理店と韓国物産が覚書の指示どおりいろいろやっているわけなんですが、これは韓国物産と日本釣餌連合協議会がやっておりますのは、第三国の生きゴカイを取り扱った業者に対して強硬的な手段をとっているわけです。第三国産を扱うといいますのは、韓国のものより小売店にとっては非常にメリットがある。キロ当たり千円ぐらいは安いわけです。しかし、安定的に輸入をされてこないという問題があるので、韓国産を中心にして第三国物も扱えたら値段も安く手に入るのにというふうなことになるわけなのですが、こういうことについては、先ほどの覚書のように制裁行為があるということなんです。
 具体的に私はここに持ってきておりますけれども、関東の一次問屋さん二店に対しまして、「以上二店舗は昭和五十四年四月九日より関東支部に於て協議合意して認める迄当分一次店取消を決定しましたので通知致します。」「理由中共産餌虫を取扱った。」こういうのがございます。さらにはこれは、「関東支部は全員一致をもって下記の第一次問屋を昭和五十四年三月二十六日から約一週間受注を差控ることを申合せました」というふうなことで、各方面に通知しているわけですけれども、理由としては、やはり「第三国産活餌を取扱ったことの違反」、こういうことで四店が処分を受けております。これが五十四年三月二十日付と、こういうことなんですが、このような行為について重ねて公取にお伺いいたしますが、どうお考えでございましょうか。
○政府委員(妹尾明君) 実は、関東支部というか、関東地域につきましては、先生御指摘のような情報がございまして、現在調査をいたしているところでございます。先ほど来申し上げておりますように、競争品の取り扱いを、業者がその取引先に対して終始これを守らせる、あるいは再販売価格を終始守らせるということは、これは独禁法との関係で当然問題になる行為でございまして、調査が必要な事態ではなかろうかと思っております。
○安武洋子君 それからさらに、私はこの韓国物産や連合協議会の資料を見てみましたのですが、ゴカイの輸入というのはどんどんふえて、日本の市場をほとんどもう席巻しております。それで日本市場を独占しつつあるわけですが、数量的に言いますと、五十一年に七百トンです。五十四年になりますとこれが一千トン。ことしになりますと千二百トンの目標を立てております。そしてこの値動きがどうなっているのかと見てみますと、これは大変なことになっているわけです。いま国内ではどんどんどんどんえさが上がっていくということが言われているんです。それで調べてみますと、アオゴカイを例にとりますと、五十一年ごろはキロ当たり三千五百円です。それが五十三年ごろになりますと四千五百円から五千円です。五十四年当初は五千円から五千五百円だったものが、現在は六千五百円から七千円になっているんです。ところが、輸入価格を調べてみてびっくりいたしたわけですが、これは貿易月表などで拾ったわけです。これは五十一年から五十四年まで見てみますと価格は上昇していないんです。それどころか、円高の影響だと思いますけれども、五十三年ごろは下がっているわけです。それは、五十一年には二千九百二十一円、それから五十二年になりますと二千八百八十八円、五十三年は二千六百四十六円、五十四年になりますと二千九百九十三円。すなわち、五十一年から五十二年、五十三年は値段が下がった。そして五十四年には五十一年とほぼ同じ値になっている、こういうことなんです。輸入価格は一向に変わらない。それなのに、先ほどのアオゴカイのように、小売の仕入れ値というのは、五十一年ごろの三千五百円が現在七千円。倍になっているわけです。だから、莫大な利益があるということはうなずけるわけなんです。
 ところが、これは私調べてみましたけれども、まず第一に韓国物産がマージンを一〇%取るわけです。そしてアオゴカイを例にいたしますと、五十四年の三月なんですが、向こうが値段を指定しておりますから、代理店は三千百七十円で韓国物産から仕入れて四千六百円で第一次の卸店に売ることになっております。第一次卸店は小売屋さんに六千円で売ることになっております。これで見てみますと、代理店の利益というのはキロ当たり千四百三十円です。卸売店はキロ当たり千四百円です。通常はこの代理店の利益というのは薄いはずなんです。ところが、通常の取引から見てみましてもこれはちょっと異常で、非常に上に厚い利益になっているというふうなことなんです。厚い利益なんですけれども、代理店がこの膨大な利益を上げる。しかし、大変魅力あるものですから、この膨大な利益を上げる代理店の地位を一応維持しようと、そういうことになりますと、これは韓国側の輸出窓口の水協とかあるいは韓国物産のために、また膨大な接待費を強制的に割り当てられるというふうなことになっているんです。
 私はその例を持ってきましたけれども、これは頭から強制的に接待費というのが割り当てられております。一九八〇年の二月なんです。これはサウナ「ニュージャパン」とか、あるいは二月の八日になりますと「石亭」という料理屋さんに行くとか、十二万円ほども使っておりますね。これは韓国の水協の会長さんとかあるいは所長さん、そして韓国物産の社長、部長それから課長、社員と、こういうところを接待いたしております。それからクラブ「ピヨ」なんというようなところに同じように部長とか課長とかいうふうなところを招待したり、クラブ「明洞」ですとか、それから何か料亭「網元」とか、「クラブ殿」だけしか書いてないような請求書が回ってきたり、ゴルフ「泉南カントリー」とか、「クラブ殿」とかというふうなことで、何とこの十日間ほどの間に接待費として使われているお金が九十万円というふうなことになるわけですが、それがすべて代理店に日にちを指定をしております。これは三月十日まで現金でというふうなこととか、支払い方法は空港にてある商店までとかというふうなことで、請求金額もぴしゃっと割り当てられる。やっぱり言うことを聞かなければ代理店の地位が維持できないというふうなことになっているわけです。
 いま言いましたように、膨大な利益を上げる、何も元が上がっていないのにもかかわらず倍にもするということでえさ代をつり上げている。そうして代理店の中から強制的にこういう接待費を払わせているというふうなことで、これが私はえさ代をつり上げている仕組みだということを申し上げたいわけです。えさを食い物にした商法といいましょうか、釣り人やえさ屋さんをえさにした商法だと、こういうことを申し上げたいわけなんです。
 そこで私は、ここで政府にお願いいたしますけれども、ひとつこの全輸入の生きえさですね、これをどこが一体実態を掌握して指導をなさるのかということを明確にしていただきたい。野放し状態では困るわけです。この野放し状態を改めるために、まず所管を明確にして、行政指導を必ず行っていただきたい、こういうことをお願いいたしますが、これは農水産省でしょうか通産省でしょうか、どちらが責任を持ってくださるのか、協議をせぬとわからぬとおっしゃるかもわかりませんけれども、ひとつ政府としてこの所管を明確にしていただきたいということをお願いいたします。いかがでしょうか。
○委員長(志苫裕君) これはどこがやりますか。
○安武洋子君 答えるところがない。
○国務大臣(武藤嘉文君) どうもいま委員長がおっしゃいましたように、どこがやりますかと言うとおりでございまして、なかなかその所管が実ははっきりしていないわけでございます。釣り具商ということになると、これはたしか通産省の所管になると思うんでございます。漁業関係という観点からいけば私どものこれはやはり所管になるわけでございます。一体どこなのかが正直まだいまのところはっきりしてないわけなんです。ですから、どうも私がお答えすべきなのか、通産大臣がお答えすべきなのか、迷って実は立ち上がったというようなことでございますが、いずれにしても、しかし、そういういろいろの問題が提起をされておりますし、また最近、遊漁と申しますか、いわゆるフィッシングを楽しまれる方が非常にふえてきていることは事実でございますし、そういう点についてはゆるがせにできない問題だろうと思いますので、どこが所管をすべきかについて通産省の方と私どもとよく打ち合わせをさせていただいて、どこがやるかをきちんとひとつ決めさしていただきたいと、こう考えております。
○委員長(志苫裕君) この点は通産省もいいですね。双方協議なさるということでいいですね。
○安武洋子君 農水省はいまさまざまな釣り対策は講じてなさいますね。それで、釣り人の規模から言いますとまだまだ私は対策は少ないと思うんです。遊漁振興事業では、魚礁整備とか海岸、釣り堀の整備とかということで、海釣り公園にも補助が出ております。神戸市にも海釣り公園がございまして、ここは五十二年度十八万人、五十三年度には十六万人、こういう人が利用いたしております。非常に市民にも親しまれておりますし、また姫路市にも完成いたしまして利用が待たれているわけです。水産庁もいろいろと御苦労されていることと思いますけれども、施設面でももっと積極的な対策を私は講じていただきたい、その必要があるのではなかろうかと思うのです。と申しますと、どんなことかといいましたら、釣り具の保存とか、あるいは製作技術の継承を図るとか、初心者の講習会を行うようなセンターになる釣り会館を建設するとか、それから釣り人のために宿泊施設を整備するとか、こういうことのやはり施策ですね、いまの釣り人対策、この施策の一環として考えていただきたい、このことをお願いいたしますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(武藤嘉文君) 実は確かに御指摘の点よくわかるのでございますが、この間ほかの委員会で実は私大変おしかりをいただきましたのは、そういうフィッシャーマンを助けるために漁業者が今度困ってくるんだと。たとえば船でこう行きますと、片方で漁業者が網をずっとやっておりますと、そこへもってきて釣りをやるものでございますから、今度は網をやっておる漁業者が非常に文句を言うわけでございます。一体農林水産大臣はどちらの味方になるのかと、こういう話でございましたので、私はまあできるだけ両方うまくやっていただければいいのでございますが、どうしても最後はやはり漁業をなりわいとしておる方を私どもはどちらかといえば助けなきゃいかぬのじゃないかと思っておりますと、こういう実は答弁をいたしまして、そうするといまのお話は逆の話にこれはなるわけでございますが、私どもしかしせっかくいままでも補助事業もやっておるわけでございますから、その辺漁業者との調整を図りながら、やはりレジャーとして、フィッシャーマンとして、フィッシャーウーマンもあると思いますが、いわゆる素人の方でそういうことをおやりになるものについてもできるだけ配慮はしていきたいと、こう考えております。
○安武洋子君 それで、やっぱり遊漁対策の充実ということが求められると思うんです。何も漁業者と対抗するというふうな、対立するというふうな面をやはり施策面で十分やっていただくということでなくして、国民の健全な、二千万がやっているスポーツとしてどう発展さすかという観点が私は必要だろうと思うんです。五十三年には釣り愛好者とか関係団体、こういうところから釣り人課――仮称ですけれども、つくってほしいというふうな請願も出ております。農林水産省では遊漁対策検討会、これは設置されておられますけれども、関係者の声を聞きますと、ここでどんな検討がされているのかとか、どういう趣旨なのかというふうなことがもう一つよくわからないというふうな声もあるわけです。検討会の性格から言いましてやむを得ない面もあろうかと思いますけれども、この検討会でいままでどういう論議がなされて話し合いがなされてきたのか、今後どういう点を優先して検討されるのかというふうなことを簡単で結構でございます、御報告いただきとうございます。
○政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように近年遊漁人口が増加をいたしまして、各種各様の遊漁が盛んになってきています。そういう状況にかんがみまして、改めて水産行政の中で遊漁問題を見直しまして、新しい遊漁のあり方と今後の遊漁に対する対策の検討を行いますために遊漁対策検討会を開催をいたしておるところでございます。
 検討会の項目といたしましては、一つは漁場利用の秩序づけ、それから資源の保護培養問題、それから漁業者及び漁協の遊漁対策、それから遊漁漁船及び遊漁案内業の秩序づけ、それから五番目として遊漁の振興をどうしていくかという問題をとらえまして、幅広く検討いたしておるところでございます。現在までに三回行っておりますが、私たちは以上のような問題認識のもとに今後さらに問題を詰めまして、今後どういう対策を講ずべきかについて鋭意検討いたしておるところでございます。
○安武洋子君 それでは、私は次に高級公務員の営利企業への就職問題についてお伺いをいたします。
 いわゆる私の企業――私企業ですけれども、そこへの天下りによる官民の癒着問題、これにつきましては、もうKDDの事件、これに大変象徴的にあらわれておりますけれども、一連の航空機疑獄事件でも大きな問題になりました。高級官僚が天下った企業に公共事業の入札価格が事前に漏れていたというふうなことは枚挙にいとまがないわけなんです。ですから、官から民に下る、こういう天下りは、いま中高年の就職が大変厳しいと、こういう事情も相まちまして、いま強い国民の批判にさらされているわけです。公務員の私企業への就職につきましては国家公務員法の百三条二項ですね、これで在職していた省庁と密接な関係にあった営利企業への就職は退官後二年間は禁止をするというふうになっております。同時に同条の三項なんですけれども、これで人事院が人事院規則に基づいて承認した場合は就職してもよい、こういうふうにもなっております。私はもとよりこういう制度だけで官民癒着がなくなるというふうに思いません。しかし、私企業への天下りは律する法はこれしかない、こういうことになっているわけですから、この制度の厳正な実施と、それから制度の強化、これが強く要求されると思うのです。
 そこでお伺いいたしますけれども、人事院の説明によりますと、この制度の主なねらいというのが何か。これは職員が在職中その職権を悪用して営利企業と情実を結び、やがてコネを使って当該企業に就職するという弊害を防ぐことにある。在職中にその職権を利用してコネをつくっておく、それでそのコネを使って当該企業に就職するということを防ぐのだというふうなことになっております。しかし、私がさきに述べましたようなKDDとか、そういうふうな問題というのはそうじゃないわけですね。天下ったOBの官僚がさまざまな工作を行って、在職していた機関の職員に働きかけてその服務を乱すというふうになっているわけです。ですから在職中の職員が自分の就職のコネのために服務を乱すというよりも、天下った者が在職中のコネとか先輩であるというふうな、上役だったというふうなそういう顔を利用して中の職員の服務を乱すという、いわば逆輸入型といいましょうか、そういう形になってきているわけです。もちろん人事院も就職時の企業の地位とか、それから業務の内容とか、こういうことをチェックなさっておられます。私はこういうことも踏まえた上で天下った者が機関への影響力、これを遮断する、こういう側面をやっぱり有効にしていくということが私はいま最も重視すべき問題ではないかというふうに思うのですけれども、この点についての御見解をお伺いいたします。
○政府委員(藤井貞夫君) 営利企業への就職についての制限規定の問題について、その背景なり趣旨なり、また実際の運用の状況なりということについてただいまお話がございました。
 全体の背景といたしましては私は先生おっしゃったとおりのように受けとめております。いろいろ最近世論も大変厳しゅうございますし、われわれ人事院といたしましても、この審査については大変慎重に対処をしてまいっておるつもりでございまするし、今後ともその姿勢は崩さずに、さらに世論等もよく配慮しながら厳正に適用を続けてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 何分にもこの営利企業への就職制限の問題は、いまお話しになりましたような、要するに官とそれから民間との癒着、その他の不公正な問題が起きてくるということを絶対にやっぱり抑止しなければならぬという問題がございまするし、それと同時に、やはり公務員といえども御承知のように一般の国民でございますので、その就職、転職等につきましてはやはり憲法上も保障されております自由というものがあるわけでありまして、その点の調整をどういうふうに図っていくかということが大変むずかしい問題であろうと思います。その時々刻々でいろいろ御批判をいただいておりますることは十分承知の上で頭に入れ、また腹に備えまして、これらの問題については対処する所存でございまするし、今後ともこの運用につきましてはさらに厳正な態度で対処をしてまいるという姿勢を貫いてまいる所存でございます。
○安武洋子君 一般公務員と高級官僚というのは、これは私は区別して考える必要がいま生じてきたのではなかろうかと思っております。先ほど私が申し上げましたような角度から考えてみますと、私は制度のあり方、それから人事院の承認のあり方、これは見直していただかなければならないと思うんです。特にその点で局長以上の高級官僚の扱い方、これが主要だと思うのでこの点でお伺いいたしとうございます。
 その前にちょっと委員長の御承認を得て、この資料を委員長とそれから大臣のところに配っていただけますでしょうか。
   〔資料配付〕
○安武洋子君 いまの私の資料をごらんいただきましたらよくわかるわけですが、昭和三十八年に人事院の承認が国会に報告されるようになって以降なんです。昨年の五十四年度末まで承認件数といいますのが二千八百七十九件に上っております。そのうち局長以上で在職中の省庁と密接な関係があった企業に天下ることを承認した件数というのは百三十二件になっております。このうち特殊会社を除いております。民間企業には百二十四件が承認をされております。
 この百二十四件の承認理由を私どもなりに分類してみました。理由が重なる場合もあるので分類の仕方によって少し見方は違うかとも思いますけれども、傾向としては変わらないと思います。これの中で、つこうとする地位が非役員であるということで二十八件、それから離職後相当期間が経過しているということで十三件、関係の内容が軽微であったということで二十二件、それから職務上関係がなかったということで六十一件、こういうふうになって都合百二十四件というふうになっております。このうち離職後相当期間を経過したことを理由とするものというのは最近なくなっております。その他の理由について私は特に高級官僚の場合に問題があろうと思うんです。
 たとえば、つこうとする地位が非役員という場合というのがありますけれども、こういう場合は多くは顧問という漠とした職名ですけれども、高級官僚の就職先の地位が非役員とか顧問とかいうふうな名前であるからといって在職中の機関へのにらみ、影響力、これは私はやっぱり物すごいものだと思うんです。そういうふうな顧問であるからそれが削減されたというふうには考えにくいです。そして局長とか次官とか、こういう権限から言いましても軽微であるというふうなことにもなっておりますけれども、軽微というふうなことは常識上考えられない、十分に大きな影響力を持っているというふうに思います。
 それからさらに、職務上関係がなかったということが理由になって承認されております高級官僚の就職先、これを見てみますとまた問題なんです。大蔵関係が金融、保険業に十件も行っております。それから、通産が電気、ガス、石油などに二十二件です。それから建設関係が建設、不動産に四件です。運輸関係が陸、海運、それから航空関係これが八件、こういうふうになっております。
 で、最も密接な関係があるから承認を受けている、こう言えばそれまでなんです。しかし、各省の重要な方針を決めるとき、これは必ず局長さんがタッチなさっている。で、局長以上というのは各省の省議決定に加わるというふうなことで、法律の政令とか省令とか告示とか訓令とか通達とか、こういうふうなときには必ず大臣とか両次官とか官房長、局長、こういうクラスによる省議が行われて決まるはずなんです。言うならば、局長以上の高級官僚、こういう方はその省の最高の意思を決定する、それに参画をしてきているわけです。ですから、単に国家行政組織の局内部の服務と、こういうことだけではないわけです。実態は各省庁を代表するし、それから省庁全体にまたがる問題、これにも関与をされてこられているわけです。会社で言えばまさに重役でございます。そういう意味で本来局長以上というのは国家公務員法の百三条二項そのものの私は対象にしなければならないと思うわけです。三項の特例というのはこれは当たらない職務として考えてみるべきだと、いまはそういう時期に来ている、こういうふうに思いますけれども、これはいかがでしょうか。
○政府委員(藤井貞夫君) その点が大変むずかしい問題でございますので、私たちといたしましては日ごろ大変頭を悩ましておる事柄でございます。各省庁が持っている権限、それと民間の企業との間柄というものを考えますと、いろいろ大変密接な関係と程度がそれほどでもないというものがございましょうけれども、現在の法律あるいは行政というもののたてまえから申しまして、やっぱり政府とあるいは各省庁と民間企業というものはそれぞれ大変なつながりが大なり小なり多いわけでございます。そういう中におきまして、関係は密接だけれどもそのことだけをもって、あるポストにいた公務員の方々が、そこにいたというだけで全然企業にも就職ができないというようなことが余りにも顕著になりますと、また行き過ぎになりますと、そこには一つ憲法上の問題も出てまいるものですから、そこの調整をどうするかということについていままでもいろいろ頭を悩ましてまいりまして、一つの基準というものをつくってそれとの見合いで事を処理してきておるつもりでございます。
 ただ、いま御指摘もございましたように、世の中の進展、変化というものもございますし、また世論の批判というものについての厚薄の問題もございます。そういう点はわれわれといたしましてもやはり十分頭に入れながら事柄の処理には対処をしてまいってきておるつもりでございます。したがいまして、ここ数年の傾向等を見ましても、たとえばいままで全然問題にしなかったある会社について、それはある省とは全然関係がないように見える、しかしその親会社という関係を見るとなかなかやはりいろいろ機微に触れるような問題も出てくる可能性がある、そういうような場合にはやはり親会社の関係等をも考慮に入れつつ判断をしてまいるというような大変慎重な態度もとってきておるつもりでございます。
 全体といたしまして、いまお話がございましたような点はわれわれといたしましても無視できない情勢であろう、また要素であろうというふうに考えておりますので、そういう点を十分に頭に入れながら今後ともこの承認基準の運用に当たりましては厳正な態度をもって臨んでまいる所存でございます。
○安武洋子君 まあ人事院は就職する場合には役員、非役員の選別を行っておられます。で、出るときは課長でも課長補佐でも局長でも同じ基準で見るというふうなことでは私はやっぱり不合理な面もあろうかということで、先ほどの問題を申し上げているわけです。
 それから、在職中持っていた力が強ければ強いほど、局長なりそういうことで次官なりというふうになれば、大変影響力が強いわけです。天下った場合にも、もといた機関に対して働きかける、この影響力は大きいのは、これは言うまでもないことなんです。そういう点から見てみまして、局長以上の高級官僚の場合の天下り、これにつきましては制限期間、これが二年になっておりますけれども、私はやっぱりこの影響力が大きいということを、この影響力の大きさ、強さから考えて、二年というのはやっぱり延長して適用すべきではなかろうかというふうに思うわけです。
 先ほど私が読み上げましたけれども、人事院の本制度のねらいの説明によりますと、在職中の癒着を防ぐにはふだんの監督や制裁による道があるが、さらにこの制度によって退職後関係私企業に就職することを規制することで、コネをつけてもむだだというようにしている、言うならばからめ手からの第二の壁だという趣旨が先ほどの後に述べられているわけです。ところが、この制度によりましてコネをつけてもむだだというどころか、高級官僚というのは制限期間の二年が過ぎますと、実にすいすいと関係の私企業に天下りをされております。
 たとえば通産省の例を引きますが、通産省の歴代の事務次官を見てみますと、昭和二十八年から昭和五十年まで二十二年間、これは何と佐橋滋元次官と、それから電源開発株式会社に行かれた両角元事務次官お二人を除きまして、全員が二年前後で密接な私企業の役員におさまっておられます。からめ手からの第二の壁といいますのも、局長とか次官とか、大変跳躍力が高いです。だから、少々の壁でも飛び越してしまうというふうなことで、この壁は二年ではだめです。もっと高くしなければどうにもならない。そうして二年ぐらいたちますと、自分の部下だった人たちが本当に実力を発揮するという立場にいるわけです。ですから、局長以上の方が天下って私企業に行く、そうすると非常に働きかけやすい条件に恵まれているというふうなことで、退官後の影響力の遮断ということも期間的に考えなければいけないんではなかろうかと思います。
 時間の関係上、そうはゆっくり申し上げておれないんですけれども、こういう次官の方が行っておられるところは、東芝とか八幡とか東京電力とか関西電力、富士製鉄、日本鋼管、日本石油、日本合成樹脂、トヨタ自工、住友金属、アラビア石油、三井物産、こういうところにすとんと行っておられるという実態がございます。こういう点についてどういうふうにお考えでございましょう。私は期間を延ばせという主張をいたしております。
○政府委員(藤井貞夫君) 公務員が退職をいたしましてからどのくらいの年限を、いまのように就職制限をやるかという点は、これは大変むずかしい問題ではないかというふうに思っております。外国のことを申し上げて恐縮でございますけれども、日本の営利企業への就職制限という規定は、外国の立法例に比較いたしましてかなり厳しいものがあるということは、これは事実でございます。私はそれなりの意味もあるし成果も上げておるというふうに考えておりまして、いまこれについてさらに緩和する措置を講じるとか何とかというつもりは毛頭持っておりません。おりませんが、いろいろやっぱり諸外国の立法例その他から見まして、これはやっぱり相当なところまで規制措置が及んでいるのではないであろうかという感じを持っております。
 ただ、その運用につきましては、世の中いろいろ批判もございます。実際にわれわれが追跡調査等をいたしてみました場合に問題なきにしもあらずという件数がないこともないということは、絶無でないことは事実でございます。そういう点については十分注意していままでも運用をやってまいり、必要な場合においては注意もいたしてまいっておりますが、しかし全般的に申しましてこの規定の運用というものはやっぱり厳正にやるべきであるという世間一般の批判というものはわれわれも本当にそのとおりであろうというふうに受けとめておりまして、今後ともそれらの点につきましてはさらに厳正な運用というものについて極力努力をしてまいる所存でございます。
○安武洋子君 さらに見過ごせない点がございます。こういう本制度による天下り先の制限というのは、商法に言います商行為を主な業務としております会社、ここだけになっているわけです。業界団体については制限をされていないということがあるわけです。業界団体といいますのは関係の個別企業の経済的な利益と、これだけではなくて業界ぐるみの利益と、こういうことを図るわけです。そこへ天下った官僚が許認可とか行政指導に関して官界に工作をする、この先頭に立つというふうなことは、先ほどの私鉄協会で元運輸官僚がOBとして運輸省工作の先頭に立たれたというふうなこともあるやに聞いております。昨年一年の例を見ましても、関係業界に天下った部局長、こういうクラスの人がずいぶんおられるわけです。たとえば大蔵省の官房審議官、これが生命保険協会、それから九州地方建設局長さんが建設機械化協会、それから運輸省の事務次官が港湾近代化促進協議会、そのほかにも、厚生省からは化粧品工業連合会とか、あるいは運輸省がバスやトラックの協会とか、それから民鉄協会など、こういうケースがあるわけなんです。行政と業界との癒着を防ぐためにも、こういうフリーパスですね、これは私は大変ぐあいが悪いと思います。こういう点でもいま現実的な対応を考えるべきではなかろうかというふうに思うんです。業界団体につきましても私企業並みにこういう制度を取り込むかあるいは準ずるというふうに対応していく必要があるのではなかろうかと思いますが、この点いかがでございましょうか。
○政府委員(藤井貞夫君) 業界団体というものがございます。また、中には大変力を持って活動をしておるという団体のあることも私十分承知をいたしておるつもりでございます。ただ、営利企業の就職制限の規定の趣旨等から見ますると、やはりこれはあくまで対象は営利企業ということでございまして、営利企業といえばいわゆる商法上の営利行為を主たる目的とするという、そういう企業ということに相なります。いまお話がございましたように、業界団体というのは業界全体に対しての利益を追求をする、そのための活動をやるということは事実でございますけれども、個々の企業について、特定のものについて営利を図るという趣旨のものではございません。そういう意味で全体としての日本におけるこれらについての位置づけというものは営利企業というふうにはなってないわけでございます。
 そういう点から申しまして、これを営利企業の就職制限の対象にすべきであるということは、いまの私の立場としてはなかなかむずかしいことで申し上げかねる事柄でございますけれども、これもやはり情勢の展開、経済社会情勢の推移というようなものも直接、間接に影響を持ってくることは事実でございまして、そういう点も十分見きわめながら、われわれこの審査に当たる者の立場といたしましては、いろんな点を考慮に入れながら今後とも対処してまいるというふうに考えておる次第でございます。
○安武洋子君 もう時間がまいりましたので、この問題の最後に私さらにお伺いしておきたいと思います。
 KDDなど特殊会社に就職する場合ですけれども、この制度に言います営利企業として人事院の承認の対象になるわけですけれども、過去総じて関係特殊会社に就職する場合、これは相手が国策会社であるというふうなこともありますし、それから役員も人事権も国が握っているということなので、特別扱いされているケースもあるわけです。過去十七年間、これは国会に報告が義務づけられましてから十七年ですけれども、この間に特殊会社への就職承認ケースといいますのが三十九件です。このうち、特殊会社であるからということで承認理由の一つになっているというものが二十二件もございます。で、最近では、昭和五十年とそれから昭和五十二年に通産次官と審議官が電源開発の株式会社の就職承認の際にこういう理由になっているというふうに思っております。KDDとか日本航空の場合、こういう問題が起きましたけれども、やっぱり特殊会社であるがゆえに監督官庁の縛りが強い、こういう側面がありますから、結局監督官庁に強い天下り組の利用価値も、これも強いわけです。非常に活躍の場があるわけなんです。だから、人事院としても、こういう現実を踏まえられまして、特殊会社への就職も民間の私企業と同等に扱う、こういう審査を行うというふうに私はやるべきだと、こういうふうに思いますが、いかがお考えでしょうか。
○政府委員(藤井貞夫君) この点はお話しのとおりでございまして、特殊法人というのは、それぞれの国の立場から各省庁の代行の機関、あるいは自分でやりたいけれども能率的その他の点から見てやっぱり特別の目的を与えた法人にやらせる方がいいというような判断で設立をされているものでございます。したがいまして、予算的な措置、あるいは人事権、人事等についての特別のやはり措置というものも留保されているわけでございます。
 そういう意味から申しまして、率直に言って人事院といたしましては、いままではそういう特殊性にかんがみまして、ほかの民間の営利企業とは若干異なった措置を講じてまいったことは事実でございます。要するに、各省庁を信頼をいたしまして、その点はなるべくお任せをするという態度でまいっておったことは、これは事実でございます。
 ただ、最近のいろんな事情が出てまいりました。そういうような事柄から、人事院といたしましても、その点のやはり取り扱いは厳正にやっていただきたいということを繰り返し各省庁にお願いをいたしております。また事実、事後において審査をしたり、あるいは承認の件数等についても、直接にタッチをしていくというような姿勢を強めてまいっておることは事実でございまして、今後ともその点につきましては、大体一般の民間の企業等と同じような方針でもってやっていいのではないだろうかというようなことで、現在慎重に検討を続けておりまして、速やかに結論を得次第各省庁の協力を得てそういう方針を厳正に打ち出したいというふうに考えておることを御報告申し上げておきます。
○安武洋子君 終わります。
○委員長(志苫裕君) 安武君の質問は終わりました。
 次に、野末陳平君。
○野末陳平君 行政改革が叫ばれていますけれども、なかなか思うようにいってない。しかしぼくは、行政改革の基本はまず国会のむだを省くことである、あるいはもう一つ議員のいろいろな特権とか特典とか、そういうようなものを洗い直すことでまずわれわれが始めなければ行政改革などできないと、こういうふうに考えているもので、この立場から、きょうはこの間改正法案が通りましたけれども、議員の互助年金について、これも特権の行き過ぎであるから是正すべきだという観点から質問したいと思います。
 いま国会議員が退職しますと幾ら年金が支給されるのか、これを在職十年、在職二十年、三十年とそれぞれの場合の年額と月額を明示してほしい。
○政府委員(小熊鐵雄君) ただいまの御質問につきまして、退職した年次によって違いますけれども、現在退職したものといたしまして、十年の場合、報酬月額の百五十分の五十でございますので、したがいまして、月額二十八万円、年額が三百三十六万円、それから二十年の場合ですと十年を超える一年ごとに百五十分の一ずつふえてまいりますので、二十年ですと百五十分の六十ということになりまして、月額三十三万六千円、年額四百三万二千円、それから三十年ですと同じような計算によりまして月額三十九万二千円、年額四百七十万四千円ということに相なります。
○野末陳平君 人によって違うんですが、しかし三十万円という月にもらう支給額は年金としてかなり多いと思いますね。一体何人がいまこの年金を支給されているのか、衆参における人数も参考までに。
○参事(前川清君) 年金受給者の数でございますが、普通退職年金につきましては、参議院議員が百二十八名、衆議院が百九十九名でございます。また、遺族扶助年金につきましては、参議院が八十名、衆議院が百七十四名で年金受給者総数は五百八十一名でございます。
 なお、この年金受給者の数は、本年四月二十一日現在の数でございます。
 以上でございます。
○野末陳平君 まず、退職年金としてもらうこの額ですが、どうももらい過ぎだと思いますので、総務長官に聞きますが、率直にどうでしょう、この額を聞いて。
○国務大臣(小渕恵三君) 国会議員の互助年金制度につきましては、国会が定められるところでございますので、政府の立場からこの問題についてコメントすることは差し控えさしていただきたいと思います。
○野末陳平君 総務長官としてのお答えはそれでわかりましたが、しかしおやめになれば個人として長官も私もこれをもらう権利があるわけですから、一国会議員としてひとつ生の声を感想として聞かしてほしい。
○国務大臣(小渕恵三君) 正直を申し上げまして、まだ年金問題につきましてそう関心を深くいたしておりませんことでございまして、さらに引き続いて有権者が許されるなれば大いに政治活動をいたしていきたいと、こう思っておりますので、この際私自身も国会議員の一人として法律案に賛成をいたしておる立場でございますので、一般世間的に考えましての高低を問われますと、あるいは庶民感覚としての感情もあるかと思いますが、まあ同時に国会議員としての職責を果たされた後に、その余生といいますか、そういうものを過ごされるには、それにふさわしい処遇というものもおのずと必要とされるものもあるのではないかと、こう考えますので、なかなかむずかしい判断だとお答えせざるを得ないかと思いますが、いずれにいたしましても、最初に御答弁申し上げましたように、国会議員すべての方々が御判断をされまして適正であると定められたこの数字でございますので、私におきましてもこの額をいただくことによって国会議員を経験された方々がそれにふさわしい品位を保ちつつ生活をされる金額と理解をいたしている次第でございます。
○野末陳平君 国会議員がこの額は適正だと思っているのは、これはお手盛りだからそう思うわけでして、ぼくはもしもらう立場になれば、これはやはりもらい過ぎだと思うんですね。確かにぼくたちの納付金は歳費の九・三%で、月額七万八千円になっているわけですから掛金は多いとも言えるんです。だけれども、支給額だけで民間といま比較するならば、厚生年金は御存じのとおり二十八年加入でもって、モデルケースですけれども、月に十万八千円ですね。それから国民年金の場合は夫婦で二十五年加入していて、月にもらえる額が二人合わせて八万八千円になっていますから、実際にこんなにもらっている人はいませんけれども、それにしてもやはり民間に比べてわれわれの年金は優遇され過ぎているのではないかと、こう思うんですよ。退職なさった後、議員の皆さんというのは確かにいろいろな事情はあるけれども、大体において民間に比べれば自力でやっていける能力がそもそもあるわけですから、民間とのバランスがほぼとれる年金額でいいのではないかと、そういうふうにぼくは思うんですよ。
 そこで大蔵大臣にもお聞きしたいんですが、もらい過ぎだと思いませんか。
○国務大臣(竹下登君) 私が二十二年になりますから恐らく三十四万幾らになるんじゃないかと思います。
 一般論としての高い低いの問題はございますが、これは野末さんも御案内のように、私どもも賛成してつくっておる法律でございますので、これについて、なかんずくいま私の立場は政府にありますし、従来とも官房長官などをしておりまして、国会と政府の接点の役目ばかりやっておりましたので、したがって論評はすべき課題でないと、あえてそう言わざるを得ないわけであります。
○野末陳平君 角度を変えて、それではこの支給額を予算面で答えていただきたいと思うんですが、五十四年度はどうだったでしょうか。それから五十五年度の予算では、いまのところこの年金支給額はどんな数字になっているか、それをお答え願います。
○政府委員(小熊鐵雄君) 五十四年度の互助年金の予算額でございますが、予算額として計上していますのは十三億七百万円でございます。それから五十五年度でございますが、これは十五億四千二百万円でございます。
○野末陳平君 それが年金支給額として、われわれ議員からの納付金額はそれに対して五十四年度、五十五年度、それぞれどうなるのでしょうか。
○参事(前川清君) お答えいたします。
 五十四年度の納付金額は、予算額におきましては六億六千七百四十七万二千円でございます。それから五十五年度は七億一千五百二十六万七千円でございます。
○野末陳平君 そうしますと、五十五年度の予算で見ますと、これはあくまで予算ですけれども、十五億支給しなければならぬ、ところが、納付金は七億円となれば、半分以上、つまり八億円余り不足しているわけですね。この不足分はどうなっているのか。これはすべて国庫の負担と見ていいのかどうか。総務長官に聞きます。
○政府委員(小熊鐵雄君) 私どもが扱っております互助年金の経費でございますが、これは恩給費の予算の中から支出されるということで、制度のたてまえから言いますと、納付金とは直接結びついてないわけでございますが、ただ互助年金制度運営全般について見ますと、先生おっしゃられたように実質的にはその不足分は国庫が負担しておるというように考えていいんじゃないかというように思います。
○野末陳平君 そうしますと、国庫負担が五十四年度は四九%近くて、しかも五十五年度は五〇%を超えて五三%ちょっとということになるわけですね。つまり互助年金というけれども、そして掛金が少々高いとはいいながら、互助というよりも補助金をもらうことによって、補助金が少なくも半分以上であるという、国庫負担が半分以上であるというそういう性格の年金、こういう性格の年金はほかにありませんね。少なくも支給額が多いというのは、補助金が多過ぎるから結果的にこうなっているという見方もできるんですね。どうでしょう、大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) 結果的にはそういうことだと思います。
○野末陳平君 これはお金の問題ですから、やはり結果がすべてですからね。何かぼくは補助金が、国庫負担が多過ぎる、あるいは言い方をかえれば、国庫に頼り過ぎているのがこの互助年金である、互助ではないと、こういうふうに判断するわけです。この半分近くの国庫負担がないとした場合を仮定して、われわれの納付金だけでもって自前運営というか、自力運営をしたと仮定したらば、一体幾らの支給になるか。ぼく自身も計算はしてみたんですが、事務局で試算はできましたか。
○参事(前川清君) お答えいたします。
 納付金だけで年金を支給するといたしました場合に幾らになるかということでございますが、支給するのには年金には普通退職年金と遺族年金とありますので、若干ラフな計算になるかもしれませんが、昭和五十四年度を取り上げてみますと、五十四年度の納付金額は六億六千七百四十七万二千円でございますから、これを年金受給者一人当たりにしますと、普通退職年金が約百四十七万二百三円でございます。それから遺族扶助年金が約七十三万五千百二円と、そういうことになります。
○野末陳平君 普通退職年金について言えば百四十七万円ですから、これは月に直せば厚生年金なぞと比べてほぼバランスのとれた額になると、こういうふうに試算できるわけですね。
 そこで、ぼくはこの補助金は全部なくなったっていいんじゃないかと、そう思うんですよ。そこで、いままでは高いか安いかとか、もらい過ぎかとかいうことを言っていましたけれども、補助金は全部カットすべきであるという根拠について、これからぼくの意見を言いたいと思うんです。
 まず、この法律ができた昭和三十三年ですね。これは補助金――補助金というか、国庫負担はなかったんですね。年ごとにふえてきた。これは一覧表がありますけど、もう御存じのとおり年ごとに国庫負担がふえまして、ついには五十五年度は割合が五〇%を超えた、ここらで歯どめをかけないと、これはもうきりがなくなるんじゃないか。
 そこでこの際、この立法の原点に返って、これは議員立法ですから、立法の原点に返って考えてみますと、昭和三十三年、本会議で当時の議運委員長であった安井現参議院議長がこういうふうに報告しているんですね。これは「議員相互の互助の精神を根本とし、努めて国庫の財政的負担に依存することを避け、議員全員の平等な醸出に」よって賄うと、こうはっきり言っているんですよ。そうしますと、これは拠出が中心で、国庫負担はあくまでできるだけ避けるんだと、こういうふうに言っている。これが立法の精神だ。となると、大蔵大臣、総務長官どちらでもいいんですが、現在のこの姿は立法の精神からかなりずれてきていると思わざるを得ないんですが、どうですか。
○国務大臣(小渕恵三君) 繰り返しになりますが、御指摘をいただきましたこの法律が制定をされました時点における立法に対する議員の意思というものはそこにあったことはお示しのとおりだろうと思います。しかし、年が経て、年々改正案が提案される過程におきましても、それぞれの国会の御意思が反映をされて成立を見ている次第でございますので、今時点においては改正案が提出をされた時点における国会議員の御意思によってそれが定められたものでございますので、これまたそれに対する意見は差し控えさせていただきたいと思います。
○野末陳平君 ぼくは立法の精神からずれてきていると。本来の立法の精神とはまるで違ってきたことに対して、やはりわれわれは謙虚にここで反省すべきだと思っているんですよ。しかし、それは総務長官のお答えでは時代時代に合わして変わってくるのもやむを得ないようなニュアンスですが、じゃ別の根拠、これは非常に何といいますか、弁解ができない根拠をもう一つ挙げたいと思うんです。
 というのは、補助金をカットすべきだという根拠の第二は、今度互助年金法が改正になりましたね。この改正でわれわれは国民年金にも加入することができるようになったんです。そうすると、公的年金というのがもらえるんですね。ですから、互助年金、つまり国庫負担が半分以上もあるような互助年金をもらい、その上国民年金も片一方でもらう、これは国のお金を二重にもらえることになるんです。法的には互助年金は公的年金とは言っていないんですが、しかし国のお金に半分以上負担を求めている。これはやはり公的な意味が強いわけですから、ぼくは国の金を二重にもらえるという、二つの年金に同時に入っているというこの権利は、どう考えてもほかの年金の手前われわれが余りにも親方日の丸というか、国民の税金に甘えているようで恥ずかしいんじゃないかとこう思うんですよ。ですから、国民年金に入れることが決まった以上は、もはやこの互助年金の国庫負担は遠慮して自前運営に切りかえるのがこれは当然だとこう考えるんですが、大蔵大臣どうでしょう。補助金補助金といろいろ言ってもなかなか削れない、この互助年金はわれわれの意思一つで削れるんですから、補助金を。どう考えますか、大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) 私どももよく講演に行ったりいたしますと、年金の国民感情の中でいわゆる官民格差の最たるものではないかというような指摘を受けた経験は私にもございます。しかしながら、これはやはり私どももその都度それなりの理由に対して賛成をして今日まで来た院の意思に基づいた法律でございますので、私なりの論評をするわけにはまいらないというふうに思います。
 そして、今度は財政当局の立場からいたしますと、いま自主的にという前提で御意見なり御議論なり承っておるところでございますけれども、ハウスと裁判所というものはわれわれの行財政改革の聖域だと私は心得ております。院と、三権でございますね、三権の所在に対しては、いろいろ御協力もいただいているんです、それは事務経費とかいろいろな面で。しかし一応、聖域という言葉は少し表現がきつかったんでありましょうか、とにかくわれわれの意思を介入せしめない、そっちの意思を参考にするという形で予算編成等に際しても当たっておると、こういうことでございます。もちろんいろいろな意味において御協力をいただいておることは事実でございますが、ハウスと、いわゆる院と裁判所というものに対してはそれなりの三権の立場もわれわれとしては貫いて今日来ておるという意味であえて申し上げたわけであります。
○野末陳平君 財政当局がそう言うならば院の意思が法改正すべきだとなればこれはもう問題にないわけですから、かかって大蔵大臣よりも大蔵大臣でない竹下さん個人の意見がどこにあるかということをいずれは聞かなきゃならないと思うんですが、この互助年金はいろいろ問題があるんですね。ぼくも実を言いますと、やめてこれだけの年金をもらえればこれはありがたいに決まっていますよ。欲しいですよ、正直言って。しかしながら、これをもらうことによる後ろめたさのようなものだってあるわけで、できれば、やめたらもうもらい過ぎだなんて言えませんよ、黙ってもらっているだろうと思うんで、いまのうちに言っておきたいと、こう思って年金問題の一つとして研究してみたんですよ。そうしたら問題がいろいろありまして、所得制限なしというのもちょっとおかしいと思うんですね。
 たとえば、事務当局に聞きますが、十二年国会に在職して現在仮にどこかの自治体の知事をやっている、こういう場合に年金は幾らになりますか。さっきので大体当てはまるんですけれども、とりあえず。
○参事(前川清君) 十二年議員を勤められてやめられた場合で現在の歳費月額を基礎にして計算すると、そういう趣旨でございますか。――そういたしますと、年額で三百四十九万四千四百円でございます。
○野末陳平君 そうすると、月額は。
○参事(前川清君) 月額では二十九万一千二百円でございます。
○野末陳平君 この場合は、たとえばこういう方がいらっしゃるとすれば、当然知事の年収というのが約一千三百万から一千五百万ぐらいあるわけですから、どう考えても月に三十万円の年金をもらう、何というか、もらわなくてもやっていけるわけですよ。もちろん知事さんだけが悪いんじゃなくて、悪いというのはちょっと言い過ぎですが、知事さんだけが問題なんじゃなくて、特殊法人の役員も、あるいは大会社の社長もみんなかなりの収入があって、その上に年金をもらう、これは国民感情からしっくりこないと思うのですよ。それで、所得制限がないというのも問題ですが、その前にそれともう一つ、歳費が上がるたびにそれを基礎にして計算していく、こういう年金計算の方法もこれもどうもおかしいと思うのですね。
 そんなわけで、ひとつこの所得制限の問題ですが、厚生年金には御存じのとおり在職カットというのがありまして、収入があれば年金カットされている。そんなことで考えると、やはり幾らいろいろいままで功績があった、その苦労に報いるためとか、名目はつきますけれども、やはり議員たる者は民間に比べて、それでなくても特権階級なんだから、所得制限ぐらいは設けてあたりまえじゃないかと、全然所得制限なしで年金支給というのは、果たして総務長官、いままで法律で決まっているから問題ないようなお答えですが、どうですか、所得制限はつけるのがあたりまえだと思うのですが。
○国務大臣(小渕恵三君) 総務長官は、もう再三申し上げますように、本問題につきましては、予算と裁定事務について所掌いたしておりますので、これも意見を述べることを差し控えさせていただきたいと思いますが、お許し願えるとしますと、先ほど来御議論いただいておること、国会の事務当局から御答弁されることがあるいは順当かと存じますが、私も衆議院の議院運営委員会の庶務小委員長をいたしておりまして、法案の提案をいたしたこともございますので、そうした観点から立ちますと、国会議員互助年金法の根本は、第一条で示しておりますように、国会法の三十六条の規定に基づいて行うことになっておりまして、それは結局、国会法三十六条の退職金を設けることができるという仕組み、すなわち国会議員には退職金がない、したがってそれにかわるものとしてのこうした年金の仕組みも考えられているわけでございます。そういった点も考慮しなければなりませんし、いまの御質問の点について私見でお許し願えれば、国会議員になられる方々はまことにその職種あるいは所得というものが千差万別、それこそそれぞれ国民を代表しておるような形に相なっておりまして、したがって、そういったそれぞれの方々でおりますので、おやめになった後、みんな所得制限するというような形で逆に制限を設けることについてまたいかがかなと、国民全体を集約された形での身分というような形になりますので、所得で制限をしていくことについてはいかがかなというような感想も持っておりますが、これまた許される範囲の御答弁ではなかろうかと思いますので、これ以上はお許しいただきたいと存じます。
○野末陳平君 ちょっとそれは長官が誤解しているので、所得制限というのは要するに余りにも高い収入がある人はやや遠慮するとか、そういうことなんですがね。
 最後に、この法律は、ぼくの考えでは少なくも互助という美名のもとにわれわれ国会議員の特権を税金で守るというような、そういう役割りがいまや強くなっていると思います。ですから、これはもともと議員立法なんですから、法を改めるべき点があると、これを改めようとするならばそれほどむずかしくないと思うんです。自分たちでできるわけですね。ですから、立法の原点に戻って、そして現在のいろいろな国民生活の実態なども参考にしながら次の国会で何点かは改正に踏み切るべきであると、そういうふうにぼくは考えているわけで、その働きかけを個人的に大平さんなり竹下さんにしたいと思っているわけです。
 そんなわけですから、最後に、もうお考えはわかりましたけれども、今度は法改正に次の国会で踏み切りたいと思うが、応じていただけるかどうか、もしわからなければ説明に来ますから、最後にそれをお聞きして質問をやめます。
○国務大臣(小渕恵三君) いずれにいたしましても、院の意思は尊重いたすことは当然のことかと存じます。
○委員長(志苫裕君) 本日の質疑はこの程度といたします。
 次回の委員会は、四月二十三日午後三時に開会し、締めくくり総括質疑第二回を行うことといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時一分散会