第091回国会 決算委員会 第11号
昭和五十五年四月二十三日(水曜日)
   午後三時開会
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   委員の異動
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     喜屋武眞榮君     市川 房枝君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     永野 嚴雄君     浅野  拡君
     藤井 裕久君     熊谷  弘君
     藤川 一秋君     嶋崎  均君
     和田 静夫君     大森  昭君
     黒柳  明君     矢追 秀彦君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         志苫  裕君
    理 事
                石本  茂君
                岩崎 純三君
                原 文兵衛君
                降矢 敬雄君
                穐山  篤君
                和泉 照雄君
    委 員
                浅野  拡君
                伊江 朝雄君
                河本嘉久蔵君
                北  修二君
                熊谷  弘君
                小林 国司君
                坂元 親男君
                嶋崎  均君
                世耕 政隆君
                降矢 敬義君
                増岡 康治君
                大森  昭君
                佐藤 三吾君
                坂倉 藤吾君
                丸谷 金保君
                田代富士男君
                矢追 秀彦君
                沓脱タケ子君
                安武 洋子君
                中村 利次君
                円山 雅也君
                市川 房枝君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   大平 正芳君
       大蔵大臣臨時代
       理
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       正示啓次郎君
       農林水産大臣   武藤 嘉文君
       通商産業大臣   佐々木義武君
       運 輸 大 臣  地崎宇三郎君
       郵 政 大 臣  大西 正男君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       伊東 正義君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       長田 裕二君
        ―――――
       会計検査院長   知野 虎雄君
        ―――――
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長兼内閣総
       理大臣官房審議
       室長       清水  汪君
       内閣総理大臣官
       房会計課長兼内
       閣参事官     京須  実君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   和田 善一君
       警察庁長官官房
       会計課長     城内 康光君
       行政管理政務次
       官        宮崎 茂一君
       行政管理庁長官
       官房審議官    中  庄二君
       防衛庁経理局長  渡邊 伊助君
       経済企画庁長官
       官房会計課長   吉岡 博之君
       経済企画庁物価
       局長       藤井 直樹君
       科学技術庁長官
       官房会計課長   永井 和夫君
       環境庁長官官房
       会計課長     神戸 芳郎君
       沖繩開発庁総務
       局会計課長    宮島  茂君
       国土庁長官官房
       会計課長     大森 敬介君
       法務大臣官房会
       計課長      石山  陽君
       外務省経済局長  手島れい志君
       大蔵大臣官房会
       計課長      金成 圭章君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       大蔵省理財局長  渡辺 喜一君
       大蔵省銀行局長  米里  恕君
       文部大臣官房会
       計課長      植木  浩君
       厚生大臣官房会
       計課長      小林 功典君
       農林水産大臣官
       房経理課長    渡邊 信作君
       通商産業大臣官
       房会計課長    石井 賢吾君
       運輸大臣官房長  杉浦 喬也君
       運輸大臣官房会
       計課長      熊代  健君
       運輸省鉄道監督
       局長       山地  進君
       郵政省経理局長  魚津 茂晴君
       労働大臣官房会
       計課長      白井晋太郎君
       建設大臣官房会
       計課長      杉岡  浩君
       自治大臣官房会
       計課長      苫米地行三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        丸山 利雄君
   説明員
       会計検査院事務
       総局次長     松尾恭一郎君
       会計検査院事務
       総局第一局長   岩井  毅君
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  本日の会議に付した案件
○昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十一年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十一
 年度政府関係機関決算書(第八十四回国会内閣
 提出)(継続案件)
○昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第八十四回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第八十四回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十二年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十二
 年度政府関係機関決算書(第八十七回国会内閣
 提出)
○昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第八十七回国会内閣提出)
○昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第八十七回国会内閣提出)
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○委員長(志苫裕君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十二日、喜屋武眞榮君が委員を辞任され、その補欠として市川房枝君が選任されました。
 また、本日、永野嚴雄君が委員を辞任され、その補欠として浅野拡君が選任されました。
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○委員長(志苫裕君) 次に、昭和五十一年度決算外二件を議題といたします。
 本日は内閣総理大臣に対する質疑を行います。
 総理に対する質疑時間等につきましては、理事会におきまして協議し、各質疑者に御通知申し上げましたとおりでございます。大変窮屈な時間でございますので、質疑される方並びに答弁される総理大臣の御協力をお願いしたいと思います。
 それでは、これより質疑に入りますが、まず私が各会派のお許しをいただいて、決算委員会の委員長として若干の質問をいたします。
 最初に、公費の不正経理、KDD事件等の問題と綱紀の粛正についてであります。
 昨年来、次々と発覚した特殊法人及び官公庁の不正経理、KDDの膨大な交際費をめぐる疑惑等、その乱脈と綱紀の紊乱は目に余るものがあり、いまいましい限りであります。
 当委員会では、昨年十月、折から衆議院の総選挙中ではありましたが、委員会を開会して調査に当たり、以後引き続きいわゆる公費天国の実態究明と綱紀の粛正にかかわる審査を進めてまいりました。この間、昨年十一月二十八日にはあえて公費の不正経理根絶に関する決議を行い、政府に猛省を促したところであります。この決議に関しては、伊東官房長官から政府を代表する答弁をいただいてはおりますが、この際改めて政府の最高責任者たる総理から、決議に対する所見も含め、乱脈経理、綱紀紊乱、KDD疑惑など、これら一連の問題にどう対処していかれようとするのか、決意のほどをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 不正経理の問題につきましては、まず内閣といたしまして、内閣自体が姿勢を正すことから始めなければならぬと存じまして、第二次内閣の組閣に当たりまして具体的な遵守すべき事項を決めまして、各省に徹底させて、ただいまそれを実行いたしておる次第でございます。
 KDD事件等に絡んで見られますように、公費による交際、招待でございますとか、あるいは公費によるパーティー券の購入でございますとか、いろんな事件が出てまいりましたので、これから一切そういったことはないように慎まなければならぬと存じまして、具体的に遵守すべき事項を決めまして、各省庁にその遵守方を要請いたしておりますので、私といたしましては、その後政府部内におきまして、政府機関を通じましてそのようなことはないものと確信いたしておるわけでございまして、当委員会におきまして十一月の暮れに御決議をいただいて、官房長官から決意を表明いたしておりますが、そのラインに沿いまして今後も真剣に綱紀を正してまいって、指弾を受けることのないようにいたしたいと念願をいたしておりますので、この上とも御鞭撻をお願いしたいと思います。
○委員長(志苫裕君) 次に、国会の決算審査に対する総理の認識について伺います。
 乱脈経理問題等を背景に、最近とみに決算審査の重要性が指摘されてまいりましたことは喜ばしいことであります。言うまでもなく予算審査と決算審査は国の財政に対する国会の監督の両面でありまして、決算審査は予算執行の適否にとどまらず、将来の予算編成に影響を及ぼそうとするものでありますが、この点についての総理の認識と、さらに予算と決算の審査を比べてみますと、予算では総括質問中総理がすべて出席をされるほか、関係各閣僚も積極的に審議の進行に協力しているように見受けます。ところが、決算審査になりますと、総理は本日のように最後の総括に二時間ほど出席するのみ、総じて政府側に逃げの姿勢が感じられ、各省庁に対する資料要求についても不十分な対応がしばしばでありました。
 国会の決算審査を本当に重視されるのであれば、総理は少なくとも最初の総括質問にも出席する等積極的な姿勢をとるべきでありますし、各省庁に対しても進んで審議に協力するよう指示すべきでありますが、お約束をいただきたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 国会における決算の審査は、予算の審査と同様きわめて重要であると考えておりまして、予算の執行が適正であるか否かということに絡む問題でございまして、国政上にとりましても重要な問題であることは申すまでもないと心得ております。また、その結果は次の予算編成、予算の執行に十分生かされなけりゃならない性質のものであると考えておりまして、決算審査の果たす役割りは、いま委員長御指摘のとおり、きわめて重大だと心得ております。
 第二に、これに対しまして政府の協力でございますが、政府は国会の御要請に応じまして最大限の審議に応じて御協力をしなければならない立場にあるわけでございまして、予算であろうと決算であろうと、それを二にしてはならないと考えておるわけでございますが、これをどういうように審議に応じていくかということにつきましては、国会対策でお決めいただきました手順に従って政府としては協力を申し上げておるわけでございまして、政府の方から決算の方は二の次にしていただきたいというようなことを申し上げておるわけでは決してないことは、委員長もまた各委員の方々も御了承いただいていることと思うのでございます。
 また、私並びに閣僚の出席の問題ばかりでなく、資料の件につきましても、本審査の重要性にかんがみまして、政府としては最大限の協力をしなければならぬと考えまして、各省はそのつもりで対応いたしておることと確信いたしておりまして、今後も十分気をつけてまいるつもりでございますけれども、政府に対しましての御要請に対しましては、これまで同様最大限の協力を申し上げて、審議に差し支えないようにしてまいるつもりでございます。
○委員長(志苫裕君) 最後に、会計検査院の検査機能の拡大、拡充強化についてお伺いいたします。
 検査院の権限強化のための院法改正問題については、すでに衆参両院が警告を重ねており、検査院自身も改正を決め、政府関係省庁との調整に努めてきたところでありますが、もっぱら政府部内の事情でさっぱり進展いたしません。最近の諸般の状況を見ても、会計検査院の権限強化はますます重要であって、総理はもっと積極的な措置をとるべきであり、この際、院法改正についてのめどを御提示願いたいと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(大平正芳君) 会計検査院の果たす役割りは重要でございますし、その重要性はますます高まっておることは私もよく承知いたしております。で、この会計検査院の検査機能を拡大して政府金融に及ぶ範囲にも拡大すべきじゃないかという議が国会に起こってまいりまして、政府といたしましては、これに対して官房長官を中心といたしまして各省との詰めを急いできたわけでございますが、同長官からは会計検査院の考え方と、政府金融に対する影響を懸念する担当省庁の考え方との間には大きな隔たりがまだあるようであると聞いております。両者の意見を調整することはきわめて困難でありますが、もう少し時間をかけて努力してみたいという報告を受けておるのでございます。しかし、いつまでもこのまま放置しておくわけにもまいらないので、今国会中には私としてもこの問題をどうするかについてめどをつけたいと考えて、いま鋭意督励をいたしておるところでございます。
○委員長(志苫裕君) ありがとうございました。以上で私の質問は終わります。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。穐山篤君。
○穐山篤君 最初に、最近の外交姿勢についてお伺いしますが、けさ大来外務大臣がEC会議から帰ってこられて、御報告があったと思いますが、そのECの外相会議の決定といいますか、申し合わせといいますか、それにつきましてはどういうふうに報告を受けられておりますか、冒頭にお伺いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) ECとの接触をいたしました外務大臣の報告はただいまお受けしたところでございます。それによりますと、EC側の考え方もわれわれが考えておるところとそう隔たりがあるようには思えないと、すなわちアメリカが半年近くも人質事件の未解決の状態にある中で、いままで忍耐をもって耐えてきたわけでございますが、これは最近になりまして断交というような措置に出たということは理解できないことではない、しかし、この問題は平和的に解決すべきものである、したがって、アメリカが忍耐の限界を超えて軍事的な行動に出るというようなことがあってはいけないので、一方において、イラン側にEC諸国が協力して平和的解決を迫ってまいる、同時にアメリカに対しましては軍事行動に訴えることのないようにという要請をしていくという基本の基調におきましては、われわれ等の考えと軌を一にしておるということでございました。
 それから第二に、しからば具体的にいまどういう措置を講ずるかということでございますが、さしあたってとるべき措置といたしましては、EC諸国とイランとの間には外交官がそれぞれ滞在いたしておりまするけれども、それを漸次縮減することを考えよう、あるいは査証等の交付につきましても、無条件に与えるというようなことについてはもっと考える必要があるのではないかというようなこと、それから新規の信用供与というようなことは慎しむべきでなかろうかというようなことにつきまして、とりあえずそういうことを構えながら、共同でイラン側に早期の解決を促すという措置をとろうというような趣旨のものであったと承知いたしておるわけでございまして、いまECの外相会議の決定なるものを細かくまとめておるわけでございますが、それを踏まえた上で、わが国といたしましても、基本的にはEC諸国と協力いたしまして平和的解決に努力してまいりたいと存じておるわけでございまして、具体的に何を、いつ、どういう姿で、どういう手段をどういう手順で講じていくかというようなことにつきましては、明日関係閣僚にお集まりをいただいて協議していこうと考えております。
 また、ECの方でも、いま本国に報告で帰国いたしておりまするイランに派遣いたしている大使はそれぞれイランに帰任させて、またみんな相談の上で一致した対イ説得工作をやっていこうということでございますので、わが方といたしましても、二十六日には帰国いたしておりまする和田大使を帰任させたいと考えておるのがいまの私どもの持っておる段取りでございます。
○穐山篤君 仄聞するところによりますと、その外相会議は平和的にイラン問題について、人質問題について解決をするという前提条件であることは間違いないんですが、ただ、五月の十七日までに解放しない場合には五月三十一日までの間に制裁措置をとると、こういうふうに聞いているわけであります。
 そこで、いま総理は、基本的にはEC諸国に協力をする、こういうお話ですが、これは制裁の問題も含めてECと同調をするというふうなお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) ECの姿勢は仰せのように二段構えになっておるようでございまして、五月十七日という時限を設定いたしまして、それまでになすべきことは一応やっていこうということでございまして、その場合に、まだ人質問題が解決しないというようなことになった場合には、第二段の措置を考えなければなるまいということのようでございます。私ども基本的にはEC諸国と協力いたしまして対イ説得、それから対米要請をやっていかなければならぬと考えておりますが、具体的にどのようにわが国が措置してまいるかということにつきましては、いま申しましたように、これまでの経緯を十分踏まえた上で何ができるか、何をすべきであるかというような点につきましては、これから具体的に決めたいと考えておりまして、検討する時間は与えていただきたいと思うんでございまして、いまこの段階で具体的にどういう手順でどうだということを申し上げるまでの用意はまだございません。
○穐山篤君 総理は幾つかの委員会で、イラン問題についてはわが国が多少の犠牲を負ったとしてもアメリカの要請にこたえたいというふうに述べているわけですが、この「多少の犠牲」というのは、国民生活を含めてかなりいろんな分野があるわけですが、「多少の犠牲」というのはどの程度までのことを予測をして発言をされているのか、その真意をもう少し具体的に明らかにしていただきたい。
○国務大臣(大平正芳君) イラン問題というのは、去年の暮れに在イ・アメリカ大使館の五十人の人質が拘束されたということでございまして、確かにアメリカとイランとの関係ではございますけれども、基本的には国際秩序の根幹に触れることでもございまして、われわれといたしましては、この国際秩序を守るという意味におきまして、国際社会の一員という立場から、日本もそれなりの見識を持ってこの問題に対処しなければならぬと考えておるわけでございます。アメリカからの要請があるないということより前に、そういう立場があろうかと考えております。
 それから、アメリカは、同盟国あるいは友好国に対しまして、何をどうやってくれという具体的な要請はいたしていないわけでございまして、自分の方ではこういう措置を講じることにした、友邦各国におかれましてはできることを協力していただければありがたいというのがアメリカの姿勢でございます。今日までわれわれがやってまいりましたことは、たとえば、イランから購入するところの原油は人質事件が発生する前の水準を超えないようにするということでございますとか、新たな信用を供与するというようなこともしばらく遠慮しようというようなことでございますとか、少なくとも、対イ関係を深めていく、強めていくというようなことを遠慮して、イランに対処してきたわけでございます。
 これとても国民生活に影響がないわけでは決してないのでございますが、国際社会の一員として何をどの程度やっていくかということは、われわれ自身が一つの見識として持たなければならぬと存じてやってまいった次第でございまして、日本だけの都合を考えておれないことでございますので、こういった問題につきまして多少の犠牲ということは当然覚悟してかからなければできないことではないかと思っておりますが、具体的に何をどうやってまいるかということは、それは十分現在の法制のもとで、また現在の状況のもとで日本としてどれだけやるべきであるか、どれだけやれるかということを十分見きわめた上で日本がみずからの判断で決めにゃいかぬと考えておるわけでございまして、ECと同調してやるにいたしましても、どういう手順でどういうことをいまから考えていくかということもこれから検討いたしまして決めたいと言っておる趣旨はそこにあるわけでございます。その結果、多少御不便を国民にかけるようなことがあるかもしれませんけれども、それはわが国の国際社会の有力な一員としての立場であるということで御理解をいただきたいと私どもは考えております。
○穐山篤君 われわれも人質が平和的に解放されるということは国際法上最も望ましいことであるというふうに考えます。ただ、いままでアメリカがとってまいりました対イラン政策というのはことごとく失敗をしておりますし、素人目から見ましても展望のない手を使っていたのではないかというふうに考えられるわけであります。
 さてそこで、ECがアメリカの要請に応じて幾つかの手を打ってまいりますと、これで解決するならば最も望ましいことでありますが、もし解決していかないということになりますと、これはますますエスカレートをすることになることは当然だと思うんです。相当覚悟を決めてECは外相会議でこの方針を決めたと思いますが、わが日本としては、多少の犠牲でなくて、もっとそれ以上の相当の覚悟を決めて、アメリカの要請なり、あるいはECとの共同歩調をとっていく、そういうふうなかたい決意のもとで具体的な方策について相談をされるんでしょうか。きちっとその点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) アメリカとしては同胞が五十名も半年間の長きにわたって拘束状態にある、しかもそれは公然たる国際法違反という姿においてやられておるということでございますから、アメリカがこれを忍耐して平和的解決をするということは、アメリカの立場になってみると非常な忍耐が要ることであることはわれわれもよく理解できるところでございまして、しかも、なおこの問題がまだ解決のめどが立っていないということもまた事実でございます。こうすれば解決ができるという展望もまた開かれていないことも道実でございます。けれども、アメリカも忍耐強く平和的解決を図ってもらわなければなりませんけれども、イランにおいても諸般の事情は十分踏まえた上で自重ある行動をとっていただかなければならぬ。そのために、何をなすべきであるか、何ができるかということをEC諸国なり日本なりが考えるのは当然なことでもございますし、また、われわれの責任でも一面あろうかと思うのでございまして、それをやる以上は、穐山さんおっしゃるように、相当の覚悟をしてかからなければならぬことでございまして、なるべく、われわれ国民に御迷惑をかけないように解決を図っていくことは第一に心がけなければならぬことでございますけれども、解決のめどがまだ立っていないわけでございますから、万一の場合、どういう状況に、相当深刻な事態を迎えるかもしれないということは十分念頭に置いて事に当たらなければならぬということはあなたが御指摘のとおりだと私どもも考えておりまして、そういうことを念頭に置いて慎重に対応いたしまして、事態の平和的解決に日本なりの協力ができたということでありたいといま腐心いたしておるところでございます。
○穐山篤君 イランに対しますアメリカの認識というものについてもそれぞれ意見があるわけですが、イランはイランとしてのイスラムの宗教国家をつくるべく革命が現在行われているわけですね。わが国が十分常識的な、良識的な方法で折衝するということならばともかくとしまして、介入の仕方いかんによりましては、革命に対します内政干渉、そういう問題にまで発展しかねない要素を持っているものと思います。それと、いま総理もお答えがありましたように、多少の犠牲どころでなく、場合によりますとかなり国民生活への影響とか、あるいは日本の安全保障全体についてかかわってくる重要な問題だと思うんです。イラン問題もそうでありますが、さらにオリンピック不参加の問題につきましても同様のことが指摘できると思うんです。少なくとも今日置かれております日本の立場から言うならば、国益を守る、あるいは国論を統一して、この際当たることが一番肝心ではないだろうかというふうに私どもは考えます。
 そこで、できるならば、速やかに総理みずからが野党の党首に会っていただきまして、いかにして国益を守っていくか、国論を統一するかという点で御努力をいただくことが、一番時宜に適した方法ではないかというふうに考えますが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 大変御親切なアドバイスをいただきまして感謝いたしますが、事外交問題につきまして、各政党それだれのお立場があるわけでございまして、外交的な決断についてはわれわれ用心深く各党には御迷惑かけないように、われわれの責任と決断で大抵のことは片づけていかなければならぬのじゃないかと考えております。しかし、いま穐山さんもおっしゃったとおり、事が非常に重大な選択、国家として大変な選択という場面に相なりますならば、国を挙げて聡知をおかりいたしましてやらなきゃならぬような場面に逢着しないとも限らぬわけでございますが、ただいままでのところ私どもの判断で事に当たらしていただいて差し支えないと私はいま考えておるわけでございまして、事態の進展いかんによりましてはあるいはいま仰せのようなことで、各党のお力をかりなけりゃならぬというような事態になるかもしれませんけれども、精いっぱいわが政府の力で対応いたしまして、皆さんの御心配になるような事態に逢着しないように最善の努力を重ねていきたいと、いまのところ考えております。
○穐山篤君 次に、政治の浄化といいますか、政治不信回復についてお尋ねしますが、先日糸山議員が政務次官を辞任をいたしました。選挙違反に問われたので辞任をしたわけですが、ただ、その際新聞記者発表で、総理から懇望されてやめることにしたと、こういうふうに胸を張って記者会見があったわけですが、大平総理が糸山議員に懇望したというのは事実なんでしょうか。
○国務大臣(大平正芳君) 私はかねがね、わが党員が政治倫理に絡んで問題が起こった場合におきましてどのように対処してまいるかということにつきましては、党がまず決めるということはよくないことだと考えて、そのように実行してまいりました。いやしくも政治家である以上は、政治家御自身がその見識においてそれに対処される、進退を決められるということが当然のことであり、それがまずなされなけりゃならない道行きではないかと考えておりまして、党が党規に照らして云々というような事態になることは決して望ましいことではないと考えておりまして、したがいまして、糸山さんの場合におきましても、御自身の分別によって御処理されることが望ましいのでないかということは、友人として申し上げたことはございまして、私はそれは当然のことだと考えておりますし、糸山さん御自身もそういう自分の御決断で政務次官も辞任されて、次の選挙にも御出馬を遠慮されたというように私は承知しておるので、そういう処理の仕方は当然でもございまするが、正しいあり方であったと考えております。
○穐山篤君 先ほど委員長の質問にもありましたように、KDDを初めとして、糸山事件、あるいは元浜田代議士の賭博事件、非常に政治不信を深めた大きな原因だと思うんです。ところが、その処理になりますと、一つ一つしっぽ切りをしていって、まあ総理の言葉をかりますと勇気ある決断ということで、何となしに始末をつけているわけです。しかし、いま国民が一番望んでおりますのは、そういうしっぽ切りでなくして、本当にこの構造的な腐敗というものを排除していく、これがすべての国民の気持ちだろうというふうに思うわけです。政策以前の、政治家の姿勢、政治の姿勢というものがいま一番問われているときではないかと、そういうふうに考えますと、総裁であり、かつ総理であります大平総理大臣の責任というのは非常に私は大きいものだというふうに思います。浜田代議士の場合には国民運動本部長という、非常に党としては重要な職責ですね、糸山議員の場合には政務次官、いずれも総理なり総裁として任命をした方々が以上のような状況になっているわけです。そこで、総理として、あるいは総裁としての責任をどう痛感をされているのか、改めてお伺いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) まあ弁解をするということを潔しとしないのでございますけれども、私が御両氏をそれぞれの職にお願いいたしました当時、私としてはそういうことをよく承知していなかったわけでございます。ずいぶん以前の問題であったようでございますが、それがあらわになりましてから、この問題は先ほど申しましたような姿で処理するのがベストでないかということで、そういう処理の仕方をさしていただいたわけでございます。
 政治の責任といたしましては、穐山さんも言われるとおり、こういう不始末が起こるということはわれわれの政治責任であることは申すまでもないことでございまして、そういうことのないようにわれわれといたしましてはあらゆる手だてを講じていかなければならぬと考えておりまするし、それぞれの政治家が衆人環視の中で公の政治活動をいたしておるわけでございまするから、それだけの政治責任を御自覚の上みんながやっていただいていかなければならぬものと思うのでございますが、不幸にいたしまして指弾を受けるようなことが起こった場合におきましては、それはその方がどういうお立場であろうと、やはり過ちは正さなければならぬ、真実は究明されねばならぬわけでございまして、それを踏まえて国民の納得のいく処理をすることが政治の責任だと心得ておるわけでございまして、刑事責任を問うものとして捜査当局に周到な捜査と公正な処断を求めなければなりませんし、政治倫理の問題といたしましては、われわれの党の中で正しくこれを処理していくということをしなければなりませんし、再発の防止につきましては、立法でお願いすべきものはお願いするし、事実行為でできることにつきましては、先ほども委員長のお尋ねに答えましたように、綱紀の粛正等につきましてはみずからが率先してやっていく、内閣自身が率先してやらなければならぬという趣旨でやっておるわけでございまして、いろいろな御批判があろうかと思いますけれども、われわれといたしましては、果たすべき政治責任は果たさなければならないと鋭意努力をいたしておるところでございます。
○穐山篤君 非常に明快を欠いておりまして、はなはだ不満であります。
 さて最後に、昭和五十五年度の予算が成立をしまして、いよいよ実施の段階に入ったわけですが、これからの一年間の財政運営を考えてみましても非常に厳しいというふうに見なければならないと思います。景気につきましても必ずしも楽観はできない、物価はますますインフレ加速の状況である、こういうことを考えてみますと、財政再建初年度と銘打ちましたことしの予算執行というのは非常に重要だというふうに私は考えるわけです。
 その意味で、これから一年間担当されます総理大臣としまして、財政執行についての基本的なお考えを改めてお伺いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 四月初めに予算案を成立さしていただいたわけでございますけれども、非常に世界的に流動的な状態にある世界経済にさお差しておりまして、この予算案が編成されましてから成立に至る段階にまで、すでに大きな客観情勢の変化があったことは穐山さんも御承知のとおりでございます。あるいは円為替の状況におきましても、あるいは石油の値段にいたしましても、その当時想定したよりは相当上がってまいり、円は円安になってきたというようなこともございまして、すでにこの予算につきましては執行上相当危機をはらんだ予算だと考えておるわけでございます。そこへもってきまして、金融当局が予算審議中に公定歩合の引き上げを大幅にやらなければならぬというような事態にも立ち至りまして、これは当然国債費その他予算の歳出面に大きな影響を及ぼすとともに、歳入面にも目に見えない大きな影響を与えるものであったと思うのでございます。
 かたがたそういうことを考えますと、いま御指摘のように、この予算案の執行というのはよほど――それからまた同時に、最近の国債市場の状況を見てみましても、国債の売れ行きは非常にむずかしくなってまいり、国債が安値を呼んでおるということでございますので、かたがた、この執行は仰せのように大変むずかしいことになってきたと思うのでございまして、大蔵当局の方でいま考えられる歳出増の要因、歳入増の要因、いろいろ考えてみましたところ、どう見ても二千億、三千億というものにつきましてはつじつまが合わない、このまま推移すると合わないのではないかという懸念を持っておるわけでございます。
 そこで、この間、予算成立の後の閣議で、この執行につきましては早々もう一度節約について各省の御協力を願わにやならぬということで、いま財政当局と各省の間でも御相談を願っておるところでございまするし、いまからの執行についてはよほど用心してかかり、国債の消化についてもいろいろな工夫をしてまいらなければならぬわけでございまして、最大限の緊張を持って予算の執行に当たるということで、なるべく国会に新たな権能をいただかなければ処理できないような事態にならぬように、できるだけ政府としては努力を重ねてみるつもりでございまして、仰せのとおり容易ならぬ執行であるという覚悟の上、いま鋭意対応策を講じつつあるというのが現状でございます。
○穐山篤君 三月、四月の国債発行、消化、あるいは流通の状況を見ておりましても、全く限度いっぱいの状況ではないかというふうに思います。その上に、今年度は十四兆二千七百億円のまた公債の発行を準備しているわけですが、銀行なりあるいは証券業界からは、もし政府が買ってくれというならば買いましょう、しかしそれは国債整理基金なりさらには資金運用部資金で買い上げてくれるならば引き受けましょうと、極言するような意見も出ているわけですね。
 そのことを考えてみますと、四十二兆五千八百八十何億円かの歳出の予算はあったといたしましても、この際、年度当初に思い切った節約の方針を出すべきじゃないか。そうしなければ、また来年の三月になってつじつまが合わなくなる、これはもう素人目にもわかるような感じがするわけです。政府も御努力を重ねるだろうと思いますが、あらゆる方法を通してもなおかつ財政再建が困難だということになるとするならば、もう一歩前に踏み込んで、ECでも一部取り上げておりますように財政再建の特別措置法というものを考えて、国民全体の合意のもとに財政再建を図るという道も考えなければならないと思いますが、最後にその点をお伺いをして、質問を終わります。
○国務大臣(大平正芳君) まあ、西独で財政構造改善法のような法律が制定されておりますけれども、そういうことをわが国で考えるのも一つの対症療法じゃないかという御提案でございますが、一つの私は考え方であろうと思います。しかし、私はまず立法を考えるというのではなくて、むしろ財政再建の進め方についてコンセンサスを求める、そしてそれを着実に進めていくということが先行しなければいけないのではないかと存じまして、いま仰せのように、予算成立早々でございましたけれども、予算の執行について極力節減を図っていくように各省の協力をいま求めつつあるところでございまして、精いっぱいこれに努力をいたしまして、なるべく御迷惑をかけないように努力を重ねてまいりたいと思っております。
○委員長(志苫裕君) 田代富士男君。
○田代富士男君 最初に、私はインフレ対策及び景気対策についてお尋ねをしたいと思います。
 去る四月十八日の日銀の発表によれば、四月上旬の卸売物価は三月下旬に比べまして一・九%上昇していると言われております。これは対前旬比では、一昨年十一月から始まった卸売物価の上昇局面の幅で最大の上げ幅である、これは御承知のとおりだと思います。また、同前年比では二三・二%の上昇となっております。この元凶は、言うまでもなく新年度早々の電力、ガス料金の大幅値上げでありますが、その上に鋼材の値上げが月内に実施されるならば、四月の卸売物価はさらに上昇することは必至であります。
 これに対して政府は、三月の十九日、第三次総合物価対策を立てて、まず第一番目に第五次の公定歩合の引き上げ、第二番目には五十五年度の上期の公共事業契約率を六〇%に抑えるといういわゆる後倒しなどの措置を講じられたのでございますが、この卸売物価の高騰がやがては消費者物価の高騰に連動いたしまして昭和四十九年度の狂乱物価を再現するのではないかということを国民はいま最も恐れているところでございます。総理は去る三月の二十四日の記者会見におきまして、昭和五十五年度の消費者物価上昇率を当初の見込みどおり六・四%に抑制することを約束されるとともに、六月ごろには物価騰勢が鎮静する旨の発言をされたわけでございますが、その根拠は何であるのか御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 田代さん仰せのように、卸売物価が異常な上げ足を早めておるということは御指摘のとおりでございますが、しかしこれを分解してみますと、海外から入る素原料、これが七〇%を超える値上がり、去年の同月に比べまして値上がりになっておるわけでございまして、卸売物価でも完成品では大体五%程度のところで落ちついておるようでございます。しかし、あなたもいま御指摘になりましたように、これがだんだん素原料から中間製品に移ってくる傾向が見られるわけでございます。そこで、政府としてはそういうことを最小限度にとどめなければなりませんので、財政、金融、産業、各方面からこの総合物価対策を講じまして波及度を最小限度に抑えるというようにいたしたところでございます。
 一方、空前の高値を呼んでおりました野菜でございますが、これは去年の異常天候のもたらした原因が最大の原因であったと思いますが、その後産地の生産体制もだんだんと回復を見てまいりまして、政府の出荷政策も奏功してまいりまして、三月、四月とだんだんと好転をしてまいりまして、農林省におきましても高値解消宣言ができるのではないかという状況にまで立ち至ってきておるわけでございます。
 したがって、私は、それから最近電力、ガス料金を初めといたしましていろいろな公共料金の値上げ、予算との関係もある公共料金の値上げも予定どおり実行さしていただきましたけれども、こういったものも全部どのように影響してまいるかをカウントいたしました上で、われわれとしては六・四%という消費者物価の値上がりというところに抑えるということにつきましては、何としてもやらなきゃならぬ目標であるし、それはできない相談ではないじゃないかということで考えておるわけでございまして、四月、五月、この気流を乗り切っていきますならば、六月には愁眉を開いていただくことになるのではないかということを頼みといたしまして、いま精いっぱい努力をいたしておるところでございます。
○田代富士男君 私がお尋ねしたのは六月ごろには物価騰勢が鎮静するというその根拠をお尋ねしたんですけれども、状況説明であって、その根拠の答えは出ておりません。
 それでいま申されたのは四月、五月の気流を乗り越えれば何とか六・四%はやらねばならない目標であるし、できない相談ではない、このように申していらっしゃいますが、四月八日に自民党の櫻内幹事長は六・四%の達成は困難である、このように、いま総理はそれと反対の方向ですが、幹事長は困難である、このように発表されております、これは正式発表。また民間の経済予測においても六・四%以上の上昇を見込んでいるわけなんですが、この食い違いをどうされるのか、総理の見解をお尋ねしたいと思いますし、物価対策の具体策をあわせてお聞きいたします。
 質問時間が短いんです、総理。だからそのことも考慮して要領よく、根拠と言ったら根拠、広路要の要中の要だけお願いいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 櫻内君がどう言われたのか知りませんけれども、困難であるということはできないということを言っているわけじゃないんでございまして、何事も楽ではございませんけれども、これはやり遂げなければならぬ目標だと考えておるわけでございまして、いま供給体制を整備し、需要管理も財政金融各方面から攻めておるわけでございまするし、消費者の最終消費も非常に手がたいことでございまして、われわれはこれは達成できない目標とは考えておりません。去年の四月、去年の消費者物価は四・九%が最終的に四・七%でおさまったわけでございますので、政府の目標というものは去年もできたことはことしもできないはずは私はないと思っています。
○田代富士男君 この問題には異議がありますが、これだけやっていたら時間がありませんから、次に移りますが、近く開催される日米首脳会議並びにベネチアサミットにつきまして、わが国としてどういう態度で臨まれるのか、この点をお尋ねしたいと思います。
 まず、第一点でございますが、日米関係でありますが、現在アメリカとわが国の間では円安、貿易摩擦を初め、防衛力の増強、イラン制裁問題等々の問題が起こっておりまして、今後ますます多くの問題が起こることは覚悟すべきであると思いますが、日米関係に関する総理の見通しをまずお尋ねしたいと思います。また、これらの問題に対する基本的な対米姿勢はどうあるべきか、日米首脳会議を前に明らかにしてもらいたいと思います。
 第二番目には、アメリカ追随外交はアメリカのためにもならないし、また日本の国益にもマイナスであると私は理解をしておりますが、アメリカのかげりが世界に大きな影響を与えることにかんがみまして、重大な決定に際しましては事前に関係国とよく相談すべきと進言すべきではないですか。少なくともアメリカ自身が決めることを他の国に協力を依頼するような場合は、事前に相談をすべきであると思います。このような進言、忠告こそ真のパートナーシップであると確信するものでありますが、日米首脳会議に当たってはこのような基本姿勢で臨むべきであると思いますが、総理のお考えをお尋ねしたいと思います。
 三番目に、ベネチアサミットにおける主要テーマと、これに臨むわが国の基本姿勢をお尋ねしたいと思います。GNPでアメリカの半分、英、仏の二国合計に匹敵する規模に達していることは御承知のとおりと思いますが、世界の総生産に占めるわが国のシェアは七八年度に一〇%強、また共産圏を除く世界の輸出に占めるわが国のシェアも米、独に次いで第三位というような経済力を持ったわが国は、世界のエネルギー問題、インフレ、景気問題について重要な役割りを果たさねばならないと考えるし、またそのようなことが期待されていると思うわけでございます。そこで、わが国としまして、このサミットだけの集まりであったならば限界があるのではないか、このことを深く認識をされまして、これをより発展さすために先進国あるいは産油国、非産油途上国がともに同じテーブルにつきまして真剣に話し合い、そしてもって世界経済が安定的かつ持続的な成長を実現すべきことを提案すべきではないかと思いますが、総理の所見をお尋ねいたします。
○国務大臣(大平正芳君) 日米関係でございますが、去年の私の訪米以来一年経過いたしたのでございまして、この一年間を回顧いたしますと、非常に大幅な黒字を続けておりました日本の国際収支は大幅な赤字に転じたのでございまして、アメリカの赤字は逆に相当大きく改善の傾向を示しておりまして、アメリカが望んでおりましたような方向に日米関係を軸にいたしまして世界の経済は行っておると思うのでございまして、当時のわれわれの間でそういう方向に努力しようということにつきましては、その目的がほぼ達成されておる状況だと思うのでございます。で、現在四百五十億ドルもの往復の貿易をやっておるわけでございますから、いろいろな問題が起こることは、私はたびたび申し上げておるように、ごく自然でございまして、電電の調達問題でございますとか自動車問題であるとかいろいろ問題がございますが、これはいろいろなレベルにおきまして鋭意詰めておるわけでございまして、日本側の対応につきましてもアメリカがそれだけの理解を示しておるし、評価も示しております。また両方の事情は非常によく理解をしてきておりまして、私はこれが政治問題になることなく解決ができるものだと思っておりますし、またそうしなければならぬと考えておるわけでございます。
 防衛問題につきましては、なるほどアメリカ側から日本の防衛努力は要請されておるわけでございます。着実かつ顕著な増強というように要求されておりますが、わが国といたしましてもこの問題につきましては十分日本の国論で受けとめていかなければならない、納得がいかなけりゃならぬ問題でもございますし、財政経済の状況もいま御案内のような状況でございまして、国防増強、防衛力増強の必要は十分感じておりまするが、国民の納得を得ながら着実に考え、自主的に考えてまいるという基本の姿勢はアメリカにもよく理解を求めていかなければならぬし、アメリカもまた理解をしていただけるのではないかと私どもは考えておるわけでございます。
 イラン問題につきましては、先ほど申しましたように、ヨーロッパ各国と協調いたしまして、対イラン説得にも力をいたすと同時に、アメリカにはあくまでも自重を求めて、軍事力の行使というような事態にならぬように努めていただかなければならぬと考えておるわけでございます。
 アメリカ追随外交はいけないということでございまして、アメリカ外交はあくまでも国益を踏まえて自主的なものでなけりゃならぬと私も考えておるわけでございますが、アメリカと考え方が帰一する面におきましては、同調してちっとも差し支えないのではないかと考えておるわけでございます。
 サミットでございますが、サミットは、去年のサミットはたまたまOPECの値上げの会議の時期と相呼応して、東京での先進国、消費国の首脳が集まってのサミットでございまして、エネルギー問題に集中いたした感があるのでございますが、エネルギー問題は深くインフレに構造的に絡まっておるわけでございまするし、これは南北問題とも底辺において非常に深刻にかかわっておるわけでございまして、最近、ベネチアサミットの準備会議を開いたわけでございますが、大方の意見は今度のサミットはインフレ問題にどう対応するかという問題、エネルギー問題、それから南北問題、そういった問題を主として論ずべきではないかというような考えがだんだんと固まりつつあるようでございまして、私といたしましても当然そうあるべきではないかと考えておりまして、インフレ問題が去年より一層深刻な世界経済の問題になってきておる時期でございまして、サミットを通じまして国際協力を組織いたしましてこの共通の敵に対しまして、インフレという敵に対しましてどのように対応していくかということは、仰せのように基本姿勢として確立しなければならない課題ではないかと考えております。
○田代富士男君 次に、今回のイラン石油の船積み停止の事態につきましてお尋ねをしたいと思いますが、通産省、外務省の対イラン石油値上げ交渉は純然たる価格の問題であって、経済ベースで解決する旨繰り返し表明されておるところでございます。一方、人質問題につきましては、政府の方針として対米協調を最優先させるとのことでありますけれども、イランを舞台に二つの問題が混同されているのではないかと私はいま思っている次第でございます。総理は二十日のマンスフィールド大使との会談で、国際協調のための多少の犠牲はやむを得ない――けさの本会議からるる問題になっているところでございますが、このように説明をされまして、二十一日のランキン・カナダ大使との会談では、対米協力はちゅうちょできない、協力は人質解放のための効果あるものでなくてはならない、このようにお述べになられたことが伝えられておりますが、そこでまず国際協調云々と、このように言われておりますが、これは人質解放のための米国のイラン制裁の協力を意味するのであるのか、またそれともGSP三十五ドルを拒否し、国際石油価格の安定を図ることを意味するものであるのか、ここらあたりが朝からずっと答弁を聞いておりますけれども明確にしておりませんから、明確にしていただきたい。また効果ある協力と、こういうことを言われておりますが、GSP三十五ドルを拒否して「多少の犠牲」である石油購入をストップするということを意味するのではないのか、これも明確なる説明を求めたいと思います。
 それと、次に、イラン石油の船積み停止が相当に長引いた場合に、わが国の石油供給の安定とわが国経済に与える影響について遺憾なきを期することができるのかどうか、総理の所信をお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 第一の、国際協力は人質解放なのか、あるいは石油の取引との関連で言っておるのかということでございますが、あくまでも人質問題の平和的解決でございまして、石油の値段の問題ではございません。石油値段の問題はあくまでも経済的な問題として、先方の石油公社と日本の石油会社との間でいま強く先方の再考を求めておるという立場でございまして、政治問題とは関係ございません。
 第二に、人質解放を実現するためには効果的なものでなければならぬということ、これは油と関係があるのかどうかということでございますが、先ほど申しましたように油とは関係ございませんで、われわれとしてはやる以上は効果的なものでなければならぬ、そういう意味で、一国だけでやるのでなくてECとも一緒になってやるのであるということでやっておるわけでございますが、先ほど穐山さんにも申し上げたとおり、こうすれば必ず解決ができるというめどがあるのならばこれはよろしいのでございますけれども、この問題は今日半年もたちましてまだ解決に至らない厄介な問題でございまして、こうすれば効果があるじゃないかというようなことを一義的に申し上げる自信は全然ないわけでございますが、できるだけ効果があるように配慮せにゃならぬじゃないかという意味で、いま申しましたようにECとの協力を軸にいま対応をいたしておるわけでございます。
 第三の問題といたしまして、イラン石油の停止が長く続く場合日本に対する影響はどうか、対応をどうするかという問題でございますが、これはけさほどの本会議でお答え申し上げたとおりでございまして、対応といたしましては、幸いに九十五日分の備蓄がございまして、民間で八十八日分、政府分が一週間分ございます。これだけの備蓄がございますので、当面支障がなく対処できると考えております。
 かたがた、ことしの石油の状況でございますけれども、けさほども本会議で通産大臣が申し上げたとおり、長期的に見るとなかなか石油の値段というのは、石油の需給はタイトになりますし、値段も大変でございましょうが、短期的に見るとことしは相当市場が緩んでおるときでございまして、われわれがほかの市場で原油を確保するということも全然できない相談ではないと考えておるわけでございまして、非常に長く続くというようなことになりますとゆゆしいことになりまするけれども、相当な期間、イランの石油の停止がございましても対処できると考えております。しかし、こいねがわくは長くこういう状況にならぬように、努めてイラン問題の解決を急がなければならぬと考えております。
○田代富士男君 最後の質問ですが、現行公職選挙法の登録制度についてでございますが、この前の決算委員会でこの問題は詳しく私は質問いたしまして問題を提起してございますが、時間がないからまとめてその要点を質問いたします。
 定時登録では多数の新有権者が選挙人名簿に登録されないことが起こっている、これは御承知のとおりでございます。で、定時登録、選挙時登録のいずれにおいても、住民票の転入転出に際し、て、ごく普通の届け出の状態でありながら選挙人名簿から抹殺され、あるいは未登録であるため、国政レベルの選挙で選挙権が行使できなくなるなどの欠陥があるわけでございます。参議院選挙を控えて――六月二十九日に決まるやに聞いておりますが、現時点においてすでに選挙権が行使できなくなってしまっている有権者も相当いるものと予測されます。六月二十九日投票日となりますと、二月の二十九日から三月の四日、この間を飛び越した人は選挙ができません。要するに二月の二十九日以前に転出をして三月の四日以降に転入をした人は、本人は選挙できると思っているけれどもできないんです。これは図表をかきまして私はこの前説明しました。だからこういう面で問題点がありますから、運用面、法改正の両面にわたってどのように対処されるのか、総理のお考えをお尋ねいたしまして私の質問を終わります。
○国務大臣(大平正芳君) 選挙人名簿制度は、複雑な社会組織のもとで多数の選挙人の一人一人についてあらかじめその選挙資格を調査し登録しておくことによりまして選挙を混乱なく公正かつ能率的に遂行するために必要不可欠な技術的な制度であると私は理解いたしております。
 御指摘の問題は、できるだけ多くの有権者に選挙に参加していただくという要請と、正確な選挙人名簿による公正な選挙を執行するという要請との兼ね合いの問題であると考えます。その結果といたしまして国民の選挙権の行使にやむを得ぬ制約が加えられることもあろうかと思いますけれども、その制約は必要最小限度にとどまることが望ましいことは申すまでもないことであると思います。名簿の正確性を確保しながらできるだけ多くの有権者を把握できるよう、現場の選挙管理事務関係者の意見を聞きながら御指摘の問題は検討を進めてまいりたいと思います。
○委員長(志苫裕君) 次に、沓脱タケ子君。
○沓脱タケ子君 大平総理にただすべき問題というのは非常にたくさんございますが、本日は時間がきわめて限られておりますので、国民がいま政治に求めている最重要課題の一つでございます政界の浄化、これについて、自民党の総裁でもおいでになります大平総理にお聞きをしたいと思います。
 最近、KDD問題、日税連の法案の買収問題、浜田氏の賭博問題など一連の事件を通じまして政界の腐敗に対する国民の批判はますます高まり、政治不信はいよいよ深まっておるのでございます。
   〔委員長退席、理事穐山篤君着席〕
いまこそ政治への信頼、議会制民主主義への信頼を回復するというための努力、これはわが国すべての政党に求められていると考えるわけでございます。
 そこで、総理、この信頼回復のためにまずやらねばならぬこと、これは、KDD、あるいは日税連問題、あるいは浜田賭博問題などなどで疑惑を受けた自分の党の議員の問題については真相を隠蔽するのではなくてその党みずからが責任を持って調査をし、進んで国民の前に疑惑を明らかにして必要な措置をとるということだと考えますが、総理の御所見はいかがでしょう。
○国務大臣(大平正芳君) 政治に対する信頼を確保し不信を取り除いていくことは政治の基本だと思うのでございまして、何よりも大事なことは、民主主義体制というものを堅持いたしまして、何事もあらわになるという、国民の知る権利にこたえられるような体制を維持していくことが基本に大事だと考えておるわけでございます。
 第二に、しかし、そういう事態が起こりました場合は、まず刑事責任を問うべき問題につきましては、検察当局に厳正な究明と公正な処断を要求しなければならぬと思いまするし、現に日本の捜査当局はその要請にこたえてくれておると私は確信をいたしておるわけでございます。
 残された問題は、刑事責任に及ばない政治責任の問題でございます。政治責任の問題は、お互いの政治家個人の問題といたしましても、また政党といたしましても、十分戒慎してかからなければならぬ問題でございまして、第一義的には、政治家個人がその分別におきまして、みずから姿勢を正していくということが大事だと考えて、それによって問題が全部片づけば、それが一番有効な方法だと思うんでございますけれども、どうしてもそれがかなわないということにつきましては、政党といたしまして、あるいはこれに対して処置しなければならぬということも考えておかなければならぬと存ずるのでございますが、いずれにいたしましても、われわれといたしましては、非違がありました場合にこれを包み隠すことでなくて、真相をきわめまして、それに対応を誤らないようにしなければならぬと考えております。
 第三は、防止措置をあわせてやってまいらなければならぬということでございます。これにつきましては、立法をお願いすべきものは立法をお願いいたしておるわけでございますし、行政措置でできることは行政措置でやるというようにし、個人の自覚にまたなければならぬものは個人の自覚にまつというような形において対処いたしておるところでございます。必ずしもお気に召さないかもしれませんけれども、われわれといたしましては、精いっぱいやっておるつもりでございます。
○沓脱タケ子君 お気に召さないかもしらぬけれどもとおっしゃったんですが、私が申し上げているのは、
   〔理事穐山篤君退席、委員長着席〕
たとえば、福田前総理、これは四月二十一日の東京の都内のホテルで講演の中で、一連の政治腐敗事件についてこういうふうにお述べになっているんですね。「単なる党の吹き出物でなく、体の中の血が悪いから出てきたものであり、この悪い血を治すまでの改革をやらないと、第二、第三のロッキード事件や日商岩井事件が出てくる恐れがある。参院選に間に合うか、間に合わないかは別にして、自民党の体質に横たわる黒い血を取り除いてしまおう。それをやることが政治家としての責任であり、良心と思う」と、こういうふうに福田前総理も発言をしておられますが、この発言は政党のいわゆる自浄作用を求める世論を反映したものだと考えるわけです。ですから、いまこそすべての政党が自浄作用というか、自浄能力を発揮するべきではないかという立場で実は私お聞きをしているわけです。
 で、時間が非常に限られておりますので、簡潔にひとつ、そういう政党みずからが、みずからの疑惑を受けている議員その他については究明をし、国民の前に明らかにして必要な措置をとっていく、みずから自浄していくというこの能力をいま発揮するべき時期ではないかと、こういう立場でお聞きを申し上げたわけでございます。その点簡潔にどうですか。そういう自浄作用が必要であるかないかという点でどうですか。
○国務大臣(大平正芳君) 最大の自浄作用は、先ほど申しましたように開かれた民主主義だと思うのでございまして、私は、そういう民主体制を死力を尽くして維持していかなければならぬと考えております。
 それから、現にそれでは党としてどうするかという前に、私は先ほど申しましたように、個人としてまずその見識において、その自覚においてみずからが分別を出して去就を決めていく、政治責任にこたえていくということが一番望ましいし、それが正しいと考えております。そういうことはそういうこととしてやっておるわけでございます。
 その上に、なおそれが足らないので政党としてやるべきものがあるかないか。やるべきであるということでございますならば、それは党がその問題を処理していかなければならぬことは当然でございまして、最近自由民主党といたしましても、われわれは党紀維持の制度を持っておりますけれども、これは改めていこうという機運が出てまいりまして、倫理憲章を具体的に設定しようというような機運になってきておりますことも御案内のとおりでございます。福田さんの御指摘、ごもっともでございまして、みんながそういう自覚を持って当たらなければならぬことは当然のことだと思っております。
○沓脱タケ子君 非常に総理の御答弁は、私、簡潔にお聞きをしているんだけれども、あいまいになるわけです。
 たとえば、KDD事件で最も疑惑の濃厚な状況になっております服部元郵政相については、この問題については七日の記者会見ですか、記者に聞かれたときに、大したことがなければよいがというふうに言われた。その日、七日の午前中といえば板野前社長が逮捕された直後なんですね。これから政界工作をやらなければならぬ、政界にメスを入れなければいかぬという時期にこういうふうに言われる。総理のお立場でそういうことを言われると、これは捜査当局に対して圧力になりますよ。あるいは、浜田氏の辞職に際して総理のところへあいさつに来たら、あんまりそのことは言わぬ方がいいぞと、これから黙っていることが君の財産になるというようなことを言われる。これもはしなくも出てきた総理の御本心だと思いますけれども、そこに総理の政治姿勢というのがうかがわれる、こういうふうに思わざるを得ないわけです。
 時間がありませんから、たとえば賭博の問題でもそうですが、浜田前代議士賭博の責任を問われてきたわけですけれども、たとえば賭博の問題、責任を問われなければならないのは浜田氏だけではないと言われている。
 ところで、総理、わが国ではこの賭博行為は犯罪行為になっておるんでしょう。いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 認められていないと思います。
○沓脱タケ子君 たとえば、週刊朝日の四月二十五日号を拝見しますと、こういうことが出ております。「実際、某野党の書記長の賭博のウワサが最近、永田町をかけ回っている。賭博といっても賭けマージャンなのだが、同氏の一晩の勝ちが三百五十万円というのはいかにも大きい。他の三人のメンバーはいずれも浜田氏と親しい自民党の幹部級議員(一人は現職閣僚)で、信憑性はかなり高いとされている」などと、こう報道されているわけですね。こういうふうに言われるということになりますと、野党書記長と言えば、たまたまわが党は関係がないわけですが、そうなったら対象者が数人に限定されてくる。対象となり得る人はみずから、こういうことが疑問として出された場合には、国民の前に真相を明らかにすればいいと思う。疑問を解けばいいと思う。
 問題は、現職閣僚までが加わっていると報道されているところに問題がある。もし、こんなことが事実であったら、大平内閣の基本姿勢にかかわる重大問題だと思うんですよ。単なる報道だとか、うわさだから放置しておいてよいというふうな問題ではないです。放置できない内容をはらんでいると思うわけです。ですから、こういった問題についての真相究明をすること自身が今日国民の政治不信を招いているという状況の中で大平内閣のみずから果たさなければならない国民への義務ではないかと思うんですがね、総理御見解いかがですか。
○国務大臣(大平正芳君) 私は、先ほど申しましたように、政治家は一かどの見識を持った方々ばかりでございまして、衆人環視の中で多くの方の支持を受けて責任のある議席を全ういたしておるわけでございますから、みずからが指弾を受けるようなことをしてはならないというようなことは十分他の指摘を待つまでもなく一人一人が自覚されておると思うのでございまして、私はわが政界にいま言われたようなことがないものと私は思っておるわけでございまして、各人が深い自覚のもとで姿勢を正しておられるのではないかと考えます。
 政府の方におきましても、去年の暮れ内閣を中心といたしまして細かい具体的な申し合わせをいたしまして、この種のことのないようにみんな戒めてかかっておるわけでございますので、沓脱さんお調べいただきましても、いま私は政府部内にそういう心配はないと確信しております。
○沓脱タケ子君 総理は一人一人の方々が御見識のある方々だからとおっしゃる。御見識のある方々のはずが次から次へと問題が起こっているから国民の不信を招いているというのが今日の姿なんです。だから、私は冒頭に申し上げたのは、少なくとも内閣としての行政上の立場での厳正な姿勢というのはもちろんのことではございますけれども、政治不信になっておる国民の信にこたえるためにはすべての政党がみずから自浄能力を発揮する時期ではないのかということを冒頭に申し上げたのはそこなんです。だから一人一人はしっかりしているのだから、見識があるのだからその点は心配をしなくてもよろしいというふうなことだけで、いま具体的に起こっている問題について、たとえばKDD問題についても自民党さんの一貫した反対でついに証人喚問さえも実現できなかった、こういう状態のままで国民の信にこたえるなんというようなことはできませんよ。参議院選挙を目の前に控えて、あなたの方の自民党としても国民の批判にこたえるために倫理憲章をおつくりになったりしておられるようですけれども、金権腐敗という面に関しては、これは倫理憲章でなんぼ文字づらだけ書いていいことを並べてみましても、いまの総理のお答えのようなことでは、これは実効が上がらないし、国民の期待にこたえることはできないと思うんです。すでにこの半年間の国会の審議の過程でそのことは明らかになっている。ある新聞の社説でも、有権者の目は節穴ではないと言っておりますが、まさにそのとおりだと思いますし、そのことを御指摘を申し上げておいて私の質問を終わります。
○委員長(志苫裕君) 次に中村利次君。
○中村利次君 わが国が当面する課題にはいろいろあると思いますけれども、インフレ懸念が非常に強いと言われておりますときに円安の傾向もなかなかこれはおさまらない、安定をしないわけであります。国際収支の問題もわが国としては大変に重大な問題として対応をしなきゃならないと思うんですが、これらの問題の対応はなかなかむずかしい。ところがその起因するところがすべて石油問題だと思うんです。ところがその石油問題がアメリカ・イラン間のトラブルを中心にしてわが国をどうも直撃しているような感じがするわけであり、パーレビ時代のアメリカとイラン関係といいますか、アメリカのイラン政策、ここに端を発しておると言われておりますけれども、それは日本とかかわりのないことでありまして、当面現象的に出ておるのはやっぱり国際法を無視して大使館を占拠をし人質を取っておるという事態にどう対処するのか、これは国連におきましてもそういう不当な状態の速やかな解消ということが決議をされておりますけれども、先ほどからの総理の御答弁を聞いておりましても、そういうアメリカとイラン関係に対する日本の対応は、これはECともいろいろ関連を持ちながら対応をしていきたい――それなりにそれで結構だと思うんですが、イランの三十五ドル原油を拒否したのはこれは完全な商業ベースの問題である、こういう御答弁でございますけれども、それは間違いございませんか。
○国務大臣(大平正芳君) 間違いございません。
○中村利次君 そうなりますと、日本は五十三万バレル・パー・デー、現在これはDD契約によるのですかね。ところがちっとも欲しくもないC重油をそれと抱き合わせで国際価格よりもえらい高い価格で年間に外貨を十億ドルぐらいも使ってそういうものを輸入させられておる。しているのじゃなくてこれは抱き合わせでさせられておりますけれども、これに対しては何というのですか、イランとの石油問題をつないでいくためにこれはどうも向こうの言い分で船積みしているというのですね、そういうのは。こういうのをそういうように応じようというお考えですか。
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、いまの問題はイランの石油公社とわが国の石油会社との間の値段の交渉問題でございまして、政府がもろに直接対処する問題ではないわけでございまして、いかにも二ドル五十セントをついこの間上げたばかりの上にさらに上げるということにつきましてはどうも経済上のめないという立場を日本の石油会社がとっておるということで、先方に経済的な立場から再考を求めておるという問題でございまして、それ以上のものではございません。
○中村利次君 いや、それはまことに私は納得いたしかねますよ。業界といいますか、これは日本とアメリカ、アメリカとイランとの間、それで日本がイランからの石油に問題があるという先見性というのですか、スポット市場に手出しをして国際的な批判を買うような、すでにもう数ドルスポット市場は値上げを呼ぶようなことをやっておるんですね。それを政府の指導で、だから業界に任せっぱなしだったら三十五ドルであろうと三十六ドルであろうと買うかもしれない。それをやっぱり政府の指導で拒否をしたんでしょう。政府が指導して拒否をしたのは商業ベースであるとおっしゃるのだったら、それと契約は別契約であっても重大な絡みがあって、重大な絡みでこの間全くこれはもう不可分的に連動して押しつけられている迷惑なC重油は残しておくというのでは、商業ベースで言うと、これは筋が通らぬと思うんですよ。これをやっぱり、それは業界のやることで政府のかかわることではございませんという御答弁では、それはおかしい。やっぱりそういうのを私は業界を指導すべきである。だから、日本はスポット市場においても悪名があって、政府が行政指導したでしょう、過去に。やっぱり筋の通るような行政指導をして、指導することは一向私は差し支えないと思う、筋が通れば。いまの、イラン原油の三十五ドルを拒否したという点でも、私は、私なりに時間があればそれは決して間違いではなかったと思う理由を申し上げますよ。しかし、外為市場なんか見ますと、あのきわめて相場感というか、市場感というか、敏感な外為市場が、そのことによって円安の問題には響いてないじゃないですか。それを拒否して商業ベースの交渉を続ける――原油価格なんてのは売り手市場で、一方的にこれだけ上がるということを買い手側には通告すればいいという慣行がすでにでき上がっておる。しかし、それがむちゃな場合には、やっぱり商業ベースでこれと交渉をするという姿勢が私は必要だと思うんですよ。それを日本はやっているわけですから。全く迷惑千万なC重油は、それはどうも業界の問題で、政府は関係ございませんなんという答弁では納得できません。首尾一貫してひとつ対処してください。御答弁をお願いします。
○国務大臣(大平正芳君) せっかくの御指摘でございますけれども、C重油は一月から値上げはしていないと私は聞いておりますけれども、いずれにしても今度イランから二ドル五十セントの値上げの話がございました時期が、ちょうどイラン問題がこういう緊張を呼びました時期にたまたま合致したわけでございますけれども、この問題は、先ほど申しましたように、石油会社と石油公社の間の経済取引の問題と心得ておる、日本側はそうたびたび上げられては困るということで、値上げについて再考を求めておるという立場だと承知いたしております。
○委員長(志苫裕君) 中村君、時間です。
○中村利次君 はい。
 総理はお逃げになっちゃいけませんよ。確かに原油の問題は去年の十二月から毎月改定をして、それを受け入れていて、四月、ここで改定をしようというのを、値上げしようというのを、やっぱりそれじゃ困るという意思表示をした。幾ら絡んでいても、契約は別だから値上げを言ってこない、何のあれもないのに、C重油は船積みされても困りますと断れないという、そういうことだろうと思うんですがね。これはやっぱり原油とも不可分の絡みがあって押しつけられている問題ですから、もっと私は検討してほしいと思います。
 時間が来ましたから……。もうどうせそれ以上の御答弁は受けられないんでしょうから、筋目の通った私は対応をしてほしいと思います。
○委員長(志苫裕君) 次に、円山雅也君。
○円山雅也君 私は、国政調査権といわれる守秘義務とが衝突する場合に対する政府の基本的なお考えをお聞きしたいと思いますが、時間が限られておりますので、簡潔なお答えを得るために多少誘導的な御質問になるかもしれませんが、その点はお許しをいただきたいと思います。
 民主主義国家の場合は、行政面に対する国民の知る権利が尊重される傾向にあるというのは、これはもう世界的な傾向だと思います。わが国の場合でも、情報公開法を制定しろだとか政治家の資産を公開しろだとか叫ばれておられますし、それに対して総理自身も、これまでの御発言から見ますと、これに対して非常に積極的に取り組む姿勢だということはうかがわれます。とするならば、特に、行政の疑惑をただすための国政調査権の行使については、より尊重されこそすれ、これを否定したり、ゆがめたりすることは時代の逆行だし、それに民主主義政治の否定につながると思うんです。こういうお考えについては総理も御同調いただけますか。結論だけまずお答えいただきます。
○国務大臣(大平正芳君) 国会が国政調査権を行使されて、その場合に、政府の協力を求められるという場合におきましては、政府としては極力これに応じていかなきゃならぬ責任があると思うのでございまして、政府がどこまでこれに応じられるかという問題でございまして、政府はいろんな制約を現行体制の中で持っているわけでございますので、それに支障がない限りにおきましては、いま円山さんがおっしゃったように、できるだけ協力をしていくという姿勢でなければならぬと私は思います。
○円山雅也君 結構でございます。
 ところが、いわゆる行政の疑惑をただすための国政調査権が行使される場合、国会の各種委員会の質疑の実情は全くいまのお答えと違うのでございますね。答弁に立つ政府の関係者の方々は、真っ先に守秘義務を盾にして頭からこの国政調査権を否定するような態度が非常に目立つのでございます。
 まず、具体例で総理にお訴えをしたいと思うのですけれども、法務省側にこのような場面で御質問をしますと、たとえば、捜査中の事件であれば、それは捜査中でございますので言えませんと、こう頭からぽんと門前払いを食わしてしまう。たとえば、過日ある委員会で、小佐野被告の公判で検察庁の冒頭陳述の中でK・ハマダというのが出てきた。そのK・ハマダは実在の人物であるかどうか、それだけをお尋ねしても、最初は捜査中だ、やれ滑った、ころんだとやって、結局最後は、実在の人物であるという答えを引き出すのに十分くらいかかってしまったんです。それだけでもってもう私の持ち時間は全部なくなってしまうわけです。どうせ答えるなら最初からなぜお答えにならないか。
 それからまた、大蔵省に対しての質問でもこういう例がありましたですね。ある政治家が関係する会社の納税状況についてある国会議員が質問したわけです。そうすると、まず最初の答弁が、古いことで正確にはお答えできないと言うのです。じゃわかるだけで答えてくれと言うと、今度はがらっと理由が変わりまして、いや慣例でもって個人の納税義務については答えられないことになっているのだ――じゃ差し支えない範囲でまた答えてくれと、こう執拗に食い下がりますと、やっと、そこまでおっしゃられるならと言ってちょびっとこう出すのですね。結局出すなら、最初から出していただければいい。つまるところ、もう最初から一応拒否の構えになっている。そして、できれば答弁したくないのだという逃げ腰なんですね。これはおかしいと思うんです。
 というのは、昭和四十九年の十二月二十三日に内閣の統一見解がこの場合に出されました。つまり、国政調査権と守秘義務とが衝突した場合には、国政調査権によって得られる公益とそれから守秘義務によって守られる公益とをその都度比較考量をして、どっちが重いかによって答えるべきかどうかを決めるべきだというのが内閣の統一見解なんです。ところが、実際はこの統一見解すら無視されていまのような門前からお断りという態度なんです。これについて総理はまずどういうお考えをお持ちなんですか、お尋ねをします。
○国務大臣(大平正芳君) いつも私はそのお話を聞くたびに非常に不思議に思うのは、公務員に守秘義務を課したのも国会なんですね。それを一方において義務づけておりながら非常に国会の方で大変いやがられるわけでございますが、そこは私は非常にフェアでないと思うのです、国会の方は。つまり、統一見解にもありますように、どっちの公益が大きいかという、国政調査権で守るべき公益と守秘義務で守るべき公益がどっちが大きいかの比較考量の問題として、私は、フェアに議論してしかるべきだと考えておるわけでございまして、何か、政府の方が非常にマナーとして、どうも非常に消極的であるのはけしからぬと、それはマナーの話でございまして、それは議論にならぬので、結局、それをできるだけあなたの方で引き出していただいたらいいんじゃないかと思います。
○円山雅也君 総理、いま確かにおっしゃったように、比較考量してお答えをいただいているのならいいんです、各関係者が。ところが、比較考量しないで門前払いを食わせるから、統一見解にも反しているんじゃないかと私は言っているんです。
 それから、たとえば国政調査権は国権の最高機能の一つでございますね。とするならば、まず答えるのが原則であって、ただし、確かにおっしゃるように、守秘義務を認めています。だから、例外として守秘義務で守らなきゃならない場合は、実は、これこれこういう守るべき重大な公益があって、だからお答えができませんというふうに理由を開示して答弁を拒むべきが正当であるというのは学者の見解もほとんど一致しているんです、この点では。それが全然、明示も何もなしに、捜査中でございます、いや、これは従来の慣例でございますということで拒否されることが私は大変けしからぬと申し上げておるわけなんでして、じゃ、引き出せばいいって言いますけれども、総理、少数会派の場合は、いまだって私は十分しかもらえないです。先ほど言ったように、一つの答えを引き出すのに十分もかかっていたんじゃ、本当に質問できないわけですね。だから、いまもこうやって、大先誘導的な不本意な質問の仕方をせざるを得なくなっているわけです。
 そこで、もう時間がないものですから、最後に、要望を込めて一点だけお願いをしたいんですが、たとえば、どう見ても、どう考えても政府関係のそういう衝突の場合の御答弁の仕方は、国政調査権へ協力をするというようなことじゃなくて、何とかもう事なかれ主義、その場を何とかうまくごまかして時間切れに持ち込むという態度が非常に強いんです。総理の答弁だって、何かそういう気配が多分に見られますよ。
 そこで、お願いをしたいんですが、ひとつ総理から、改めてそういう関係機関に国政調査権をその場合尊重せいと、そしてもっと積極的に協力しろと、あとはおれが引き受けるから、というぐらいの御指示をいただけば、国政調査権も正当な発動をするし、国会も民主的に運営されるんじゃないかと思うんですけれども、いまの現状ではなかなか国民の知る権利に私どもはこたえることができない。しかも国政調査権が一番発揮されなきゃいけないときに拒否権を食っちゃうんですね。ひとつ、その点をぜひ、叱咤御激励いただくことを御要望しますと同時に、その点に対するお考えを最後にお聞きして終わりたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) 最大限の協力を惜しむものではございませんというのが公式な答えでございますが、私、正直に申しまして、政府は政府として、国会との間におきましていままでの長い慣行がございまして、ちょうど労働協約におきましても、第一線のいろんな協商の結果、いろんな慣行ができていくように、もういま巨大な大きな慣行の山ができているんじゃないかと思うんです。こんなものはもう全部吹っ飛ばして、円山先生のおっしゃるとおり、ひとつまる裸でつき合おうじゃないかと、こう言うてみても、これはごあいさつになるわけでございまして、いまのこの慣行というのは、大変尊重されなければならぬ面が一面あります。しかし、それをできるだけ国政調査権の行使に役立つように改めてかかる、これは長い努力と年月がかかると思いますけれども、そういう方向に私は努力してまいるということが正しいと考えております。
○円山雅也君 終わります。
○委員長(志苫裕君) 次に、市川房枝君。
○市川房枝君 私は緊急を要する婦人関係の問題、二点について総理に伺いたいと思います。
 第一は、家庭の日を国祭日とし、来る参議院議員選挙直前である六月の第一土曜日から実施しようとする国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律案の要綱を、この二、三日前に衆議院の内閣委員会に提示され、各党の意向を打診をしておいでになるようです。この問題については、今年早々内閣に家庭の日に関する懇談会を設け、各方面の有識者二十名で三回にわたって協議をされましたが、参加していた婦人委員四名の中から強硬な反対の意見があり、とうとう統一見解が出されませんでしたね。また、去る四月十二日に開催されました民間の全国的な組織を持っておる中立、保守、革新の婦人団体、各政党系列下の婦人団体、労組の婦人部等四十八団体から成っておりまする国連婦人の十年中間年四月会議では、「「家庭の日」制定反対。「家庭基盤の充実」を進めることが、男女の役割分担の固定化につながらないようにすること。」と、こういう決議をいたしました。総理にこのことを近いうちに実はお願いに上がろうとしておるところでございますが、なぜ婦人がこういうものに反対をするのか、総理におわかりになるでしょうか。いや、それを私は申し上げている時間がないので省きます。
 なお、野党の中の社会党は、中執委ですでに反対することを決定しているそうでありますが、こういう問題は全会一致といいますか、が望ましいと思いますが、政府は多数決で強行して実施される御意思でしょうか。それを総理に伺いたい。
○国務大臣(大平正芳君) まあ国民の祝日の一つとして、家庭の日を設けるべきかどうかというような問題につきましては、従来からそういう御提議が出てまいりましたので、仰せのように懇談会を設けて検討いただきましたが、市川先生おっしゃったように結論に至らなかったわけでございます。
 この種の問題は、十分各方面の御意見を聞きながら、納得を得てやるかやらぬか決めなければならぬことと思います。強行しようとか多数決で云々というような考えは私は持っておりませんで、皆さんがいろいろな角度から御検討いただきまして、座りのいい結論を出していただきたいと存じております。
○市川房枝君 それでは第二の問題を簡単にちょっと伺いたいと思います。
 行政改革と労働省婦人少年局の下部機構であります婦人少年室の府県移管の問題でございます。行政整理は大賛成でございます。ただ、余り金を使わないで成績が上がっておる、将来ますます必要であるというこの婦人少年室は存置して強化すべきだと思います。現状において婦人少年室を府県に移管するということは、消えてなくなるということだと私どもは心配しているわけでございます。
 先般行われました本院の予算委員会の婦人問題についての集中審議の際、総理は御欠席でございましたが、発言した各党の婦人議員のほとんどの方々がこの点を主張をされましたし、前日の民間の婦人団体の四月会議でも、この存続強化を決議しております。総理としてあるいは政府の婦人問題企画推進本部長として、この問題をどうお考えになっておりますか、伺いたいと思います。
○国務大臣(大平正芳君) いま労働省にあるものがなくなるおそれがあるという御心配のようでございますが、これは慎重に検討せなければならぬ問題だと思います。
○市川房枝君 ありがとうございました。
○委員長(志苫裕君) 次に、野末陳平君。
○野末陳平君 行政改革が叫ばれていますけれども、われわれ国会議員が数ある特典や特権の上にあぐらをかいているようでは行政改革の実は上がらないと思うんです。前回この場で質問もしましたけれども、国会議員の互助年金ですけれども、これは余りにもわが身に甘過ぎると前回指摘したんです。
 総理にかいつまんで御説明申し上げますと、在職十年で国会議員は月に二十八万円の年金がもらえる。二十年在職すれば三十三万六千円の支給が毎月ある。退職金という性格を考慮に入れても、これはもらい過ぎだとぼくは思っているんです。なぜならば、民間はどうかといいますと、民間サラリーマンの厚生年金ですね、これは二十八年加入して年金の月額は十万八千円なんです。しかし、これはあくまでもモデルケースでして、実際にこれだけもらっている人はいまのところいないんです。いまは月に八万六千円というのが厚生年金の支給額になっていますね。そうすると、いかにこれは議員の年金と世間の実態との間に差があるかということがわかるんです。
 もう一つ問題として、この議員の年金というのは、やめた後年収が一千万円以上仮にあっても、たとえば知事さんをやる、大会社の社長さんあるいは特殊法人の役員、いろいろありますが、この第二の人生で高給を取っていても、この年金は全く額面どおりもらえるんです。御存じのとおり、民間の厚生年金というのは、在職カットといいまして、収入がちょっとあれば年金が削られるというような、これがありますね。そうすると、国会議員のこの互助年金は所得制限があってもしかるべきで、収入のない人はともかくとして、一千万円以上もあればある程度のカットだって当然考えなければいけないと、こういうふうに考える。そうしますと、この点から見ても、われわれ国会議員の互助年金というものは恵まれ過ぎていると、こう思うんです。
 まず第一に総理にお伺いしたいのは、このままでいくと――このままでいくとというよりも、現在このままでも民間との間に余りにもバランスを失し過ぎておりまして、いわゆる年金の官民格差といいますけれども、その上をいくような、政があって官、民とある。政治家が官民格差のさらに上をいっている。そして、官は民間とも差をつけている。こうなると、この互助年金というものは当然このままにしておいてはいけないと、こう判断するんです。
 そこで、まず総理には率直な感想をお聞きしたいんで、この互助年金というのはどうももらい過ぎであるという私の受けとめ方、総理はどう思われますか。
○国務大臣(大平正芳君) 国会議員の互助年金制度について、野末さんから実情を踏まえて一つの考えが示されたわけでございます。これは年金でございますので、仰せのように、他の年金との比較ということも考えなければなりませんし、将来日本の高齢化社会に向かうに当たりまして、年金制度全体の見直しというような点が問題になっておりまするけれども、そういう視野の中で、あなたの御指摘になりました問題は検討に値する御指摘ではないかと思うんでございます。
 ただ、この問題は、国会の議員立法としてできたものでございまして、私の立場でとやかくコメントはできませんけれども、一つの感想として何か言えということでございまするならば、そういう意味において検討してみる値打ちのある問題ではないかと、そういう感じがいたします。
○野末陳平君 もらい過ぎていると私が指摘した原因は、国庫負担というものが五割を超えているというこの事実なんですね。五十五年度では八億円余りが計上されているんですが、これだけ国の補助に甘えているという年金はほかには全くありませんですね。これじゃ互助ではありませんで、国におんぶにだっこしているという、われわれ国会議員が国におんぶにだっこでもって老後の年金をもらえるというのは、これは余りにも情けない、恥ずかしいと、こういうふうに考えるんです。
 そこで、総理も検討に値するという御感想をお答えになりましたが、この立法の原点というものがこの年金の性格をはっきりさせているんです。昭和三十三年にこれが議員立法でできたんですが、そのときに、できるだけこの年金は国の財政負担に依存することはやめよう、そして議員相互の互助の精神を根本にして平等の拠出で賄うと、こういうふうにはっきり決めてあるんですよ。それがだんだんだんだんずれていっちゃって、で、前回総務長官にこの問題を言ったら、時代が変わるから仕方がないと。時代が変わってどんどん金をふやせるって、これは国会議員がお手盛りでやっているからです。こういうばかなことを答えてもらっちゃ困ると思うんですね。
 そこで、こういう性格の年金なんですから、この趣旨に従えば、補助金というものは少なくも縮少していく、ぼくは全額カットしてもいいと思うぐらいなんですが、少なくも縮小、打ち切りの方向が当然だと思うんです。ましてや、今度の互助年金法の改正でもって議員は国民年金にも入れるようになったんです。国民年金で公的年金の基礎部分はカバーされるわけです。だから、その上に五割も補助に甘えているような年金をまたもらうと、これは補助金を二重取りしていると同じことですから、補助金の世話にならないで、まともな意味の互助年金として自力運営をするということを考えなきゃいけないと思うんですね。この際、総理がいまおっしゃったように議員立法ですから、これは国会の問題ですから、お手盛りの法律を今度はわれわれ自身の手で幾つかの問題点を踏まえて法改正の方向に進むべきだと、こう考えている。その場合にもやはり総理が、個人的にですよ、もちろん、総理としてではなくて個人的に趣旨に賛同していただけないことにはどうしようもないんですね。
 ですから、お聞きしたいのは、法改正の方向で総理の応援がいただけるかどうかということなんです。この応援がいただけるならば積極的にこの問題に取り組んでいきたいと私は思っているわけなんで、政治の信頼を回復するにはまず隗より始めよですから、われわれ自身の問題にメスを入れるということ、これしかないと思うんですね。これを怠っていてあれやこれや言っても、これは結局は単なる机上の空論で終わってしまって実が上がらないと、そう考えますので、最後に総理のお答えをいただいて質問を終わります。
○国務大臣(大平正芳君) 互助年金制度に関する問題は、いま御指摘のように問題点の御指摘がございましたが、国会議員の皆様方が考えていただくべき問題でございますことはいま申し上げたとおりでございまして、御指摘の点につきましては今後議院運営委員会等で検討されるべき問題と考えております。
 私といたしましては、野末さんのおっしゃることは理解できますし、この問題は検討に値する問題だと考えます。
○委員長(志苫裕君) 他に御発言がなければ、昭和五十一年度決算外二件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(志苫裕君) 御異議ないと認めます。
 大平内閣総理大臣、御退席いただいて結構であります。
 これより直ちに討論に入ります。
 各党討論に入るに先立ち、理事会におきまして協議いたしました内閣に対する警告について、お手元に配付いたしましたような案文とすることに意見が一致いたしました。
 それでは、警告の案文を朗読いたします。
   内閣に対し、次のとおり警告する。
 (1) 日本鉄道建設公団における不正経理についての会計検査院による指摘を発端として、相次いで明らかにされた特殊法人及び省庁の一部におけるこの種の類似行為については、先般、決算委員会において「公費の不正経理根絶に関する決議」を行い、今なお厳しい追及が続けられているところである。これら諸機関の財源は、国民の税金、あるいは財政投融資資金によって賄われていることに照らし、極めて遺憾である。
   政府は、まず閣僚が姿勢を正し、明らかにされた不正・不当経理については、引き続き厳正な事後処理を行うことはもとより、このような事態の再発を根絶するため、公務員等の綱紀粛正を厳にするとともに、監督・監査体制の強化にあわせて、情報の公開と会計検査院の検査機能の充実に一層意を用いるなど、いやしくも財政執行について、国民の疑惑を招くことのないよう、実効ある措置をとるべきである。
 (2) 会計検査院が行う検査を、増大する財政に対応して強化徹底させ、不正不当経理の絶滅を期することは、国民的要請であり、先年、本院においても政府に対し、その具体的措置を講ずるべきであると議決したところであるが、まだ十分な措置がなされず、特に検査機能の拡充強化については、進展をみないことは遺憾である。
   政府は、会計検査院の検査を、十分に及ぼすことのできない検査個所が存在する実情にかんがみ、これらの事態を抜本的に改善するため、会計検査院の検査機能の拡充強化について、なお一層十分な措置を講ずるよう努めるべきである。
 (3) 行政改革については、地方公共団体に対する国の権限移譲、補助金及び許認可事務の整理、特殊法人の統廃合及び役員給与の見直し、認可法人及び公益法人の整理等について繰り返し指摘されてきたが、従来、政府の対応は、数次にわたり行政改革に関する閣議決定等を行ってはきたものの、その実施において必ずしも十分な成果が得られなかった。
   政府は、各方面の意見をもとに、基本的な改革に努め、少なくとも、公務員等の特殊法人あるいは職務関連企業へのいわゆる天下りを規制し、また、公団、事業団等については、役員のたらい回し人事を厳しく抑制し、かつ、役員の半数以上に民間人を登用するなど、役職員の人事・給与等の適正化に一層努めるとともに、今後、引き続き行政改革の実を挙げ、国民の期待にこたえるべきである。
 (4) 原子力船「むつ」については、先年、会計検査院から、開発に多額の国費等が投じられているにもかかわらず、その成果が確認されない状況にあるとの指摘があり、その後、遮蔽改修及び安全性総点検のため、佐世保港への回航は終ったものの、改修工事等に必要な契約の締結もなされぬ状態が長期間続き、修理予定が大幅に遅延するに至っているのみならず、新定係港の選定が必ずしも明確にされぬままの状況に置かれていることは、国費使用の効率性からみても、看過できない。
   政府は、原子力船「むつ」開発をめぐって発生した種々の問題の経緯を反省し、国費の効率的使用について十分に配慮することはもとより、安全性の確保と将来における本船についての基本的な考え方を、より鮮明にすべきである。
 (5) 農林水産省所管の国有農地で、昭和二十五年以降大分市に有償で貸与し、同市が日本国有鉄道大分鉄道管理局に無償で転貸している国有地については、かつて昭和三十七年会計検査院から、農業用に供しないことが明らかであるのに、一時貸付を継続しているものとして、売払いするよう是正改善の処置を要求されたが、いまだに実現をみていない。
   政府は、このような事態が、地方財政にとって少なからず負担となっている事実にも省み、国有財産の適正管理のため、関係者の相互理解のもと、早期に改善措置を講ずべきである。
 (6) 近年、英会話教材等を販売する業者の中には、あたかも海外旅行割引などの受けられる会員を募集しているかのように勧誘するもの、あるいは、架空の特典を強調して売り込むものなどがあり、また、粗悪品を売り込むものもあり、当局の行政指導にもかかわらず、いわゆる悪徳商法による販売行為が横行しており、いまだに被害をこうむる者が後を絶たないことは、看過できない。
   政府は、早期に業界体質の改善を図るとともに、苦情の処理にあたっては、消費者保護に徹し、誇大広告、不当表示行為等に対して、積極的に排除措置を講ずべきである。
 (7) 日本国有鉄道が経営合理化と輸送力増強のため、巨額の資金を投じて整備した輸送施設の中には、貨物の輸送量の需要予測が的確でなかったことなどにより、神戸港駅に設置したコンテナクレーンのように、稼働したものの、今日では稼働率が著しく低下しているもの、あるいは吹田操車場における軌きょう敷設装置のように、当初から稼働しないまま、遊休化しているものがあることは、投資効果の点からも、看過できない。
   政府は、日本国有鉄道の財政事情に照らし、設備投資計画を策定するにあたってはもとより、予算の具体的な執行にあたっても需要動向を見きわめつつ、きめ細かな検討を行い、この種施設整備を経営改善に生かすよう、指導に努めるべきである。
 (8) 特殊法人国際電信電話株式会社の職員の関税法違反事件に端を発し、明るみに出た同会社の乱脈経理に関連して、監督官庁である郵政省の一部幹部職員が同会社から接待等を受け、ひいては双方から、贈・収賄の罪に問われて逮捕者を出すに至ったことは、行政に対する国民の信頼を著しく失墜したものである。法律によって、国際公衆電気通信事業の独占が認められている同会社の責任はもとより、郵政省の責任は極めて重大であって、厳しく指弾・追及されなければならない。
   政府は、従来、しばしば綱紀粛正に関する通達を出していたにもかかわらず、このような事態が発生したことについて深く反省し、事件の真相を徹底的に糾明して、事実に即し、関係者に対して、厳正な処分等を行うとともに、郵政省の監督権限については慎重に検討し、国際電信電話株式会社の会計に対する検査制度の強化も含め、同会社の在り方について抜本的な見直しを行うべきである。
 以上であります。
 なお、議決案はお手元に配付されているとおりであります。
 それでは、討論をされる方は賛否を明らかにして御意見をお述べ願います。穐山篤君。
○穐山篤君 私は日本社会党を代表して、昭和五十一年度決算外二件に対し、これを是認することができないことを表明し、内閣に対する警告案につきましては、賛成するものであります。
 以下、主なる反対の理由を申し上げます。
 まず第一に、五十一年度の財政経済運営は、国民生活の犠牲のもとに行われたことは明白であります。そもそも五十一年度予算は、政府によれば、石油危機後のいわゆる経済の調整過程の仕上げの年に対応するものとして、景気の回復と雇用の安定を図ることを主な目標としたものと説明されておりますが、その実態は、道路整備などの公共事業の拡大を中心に目標を達成することをねらった従来と変わらない大企業本位の予算であり、これは、わが党が主張しております所得税減税による消費の拡大を基礎として景気の回復と国民生活の安定をかち取る国民本位の予算とは基本的に相入れないものであることは言うまでもありません。
 しかも、厳しい財源事情のもとで景気回復策を実施することを口実に、最近になって前年度初めて行われた赤字公債発行の特例措置を踏襲しただけでなく、七兆円を超える公債を発行し、公債依存度を一挙に二五%台から二九%台へと高め、今日の七十兆円余の国債発行の基盤がこのときにつくられ、財政危機を恒常化させることになったのであります。
 さらに、公共事業の実施の結果は、公共事業関係費の予算現額四兆六十六億円に対して、支出済み額は三兆九千八十四億円にとどまり、翌年度繰越額は千三百五十九億円、不用額は二百二十億円にも達し、公共事業費の予算現額に対する支出済み額の比率は九六%になり、一般会計の平均九九%よりかなり低率のものとなっているわけであります。経済は、不況の域を脱し切れず、史上第二の企業倒産、雇用不安などの状況が続いたわけであります。これは、基本的には、夏以降の景気回復のテンポの緩慢化などの状況に対応してとられた公共事業の執行などに関する七項目の経済対策と予算の補正が時期を失したものであり、かつ、国民生活の安定に十分役立ち得ないものであることを証明したものと言わざるを得ません。
 第二に、せっかく予算に組まれました国民の血税が不的確な予測によりまして、使われずに多額の不用額を出すというむだが目立っております。しかもその実態は、国民軽視の財政運営となっているものがあります。
 さきに述べましたように、公共事業関係費におきます不用額が発生した最大の原因は、住宅政策の挫折であったことは、決算上も明確であります。五十一年度は、第三期住宅建設五カ年計画の初年度でありますが、公営住宅の建設事業は、地方自治体との調整遅延などにより主として大都市地域で停滞し、八万五千戸の建設計画に対し実績は六万九千九百五十戸であり、以後毎年一万ないし一万五千戸ずつ残っており、結局、最後の五十五年度に二年分の事業量となり、これを達成することは全く困難であります。低所得者向け賃貸住宅供給の責任が十分に果たされていないのであります。
 また、雇用調整給付金につきましては、失業の予防が重視される状況にありながら、三百八十九億もの不用額を出しております。これについて政府は、雇用調整給付金制度は、発足後間もないため、十分に浸透しなかったことが原因であると説明をしておりますが、これこそ雇用の安定に対する政府の消極的態度を端的にあらわしたものにほかなりません。
 第三に、行政改革は、かけ声だけであって国民が納得できる成果を上げておりません。
 行政改革に対する要請が高まる中で、政府は、財政再建に関する寄与、一九八〇年代の山積みする諸問題に対応する体質改善などの必要性を強調して、当面、特殊法人、省庁の付属機関及び地方支分局等につきまして統廃合に関する計画を早急に作成し計画的にその実現を図る方針であると説明をしましたが、現状は、膨大な補助金の整理があと回しになり、それを支えている許認可事務の整理、あるいは地方公共団体への事務移管などの中央官庁の行政改革は全く手がつけられておりません。
 特殊法人役員への中央官庁からのいわゆる天下りは増大傾向が見られ、従来六〇%台であったものが、最近の発表によりますと、七七%にも達しております。また、特殊法人役員の四人に一人がたらい回し人事があることが明らかにされております。
 このような状態のもとでは、実効の上がらない行政改革は、役人天国を聖域化することにつながるので、とうてい認めることはできません。
 第四に、会計検査院が行う検査を、増大し続ける国家財政に対応して徹底させ、不正不当経理の絶滅を期することは、まさに国民的要請となっており、本院におきましても、すでにその具体的措置を政府に求める議決を行っているところでありますが、まだ十分な措置がとられず、特に検査権限の拡大につきましては成果が全く認めらわれておりません。
 ことに、一連の航空機輸入に関する疑惑などにつきましては、関係会社などにおいて国家資金が使用されているにもかかわらず、現行の検査院法のもとでは、これに対する検査を十分及ぼすことができない事例が多々存在をいたします。したがって、実情に応じた検査権限の拡大を実現しない限り、決算に添付されて提出される検査報告は、基本的には不完全なものであって、政府の予算執行の責任を十分に追及することができない場合があり得ると言わなければなりません。
 以上の理由をもって本件決算には反対、委員長提案の警告案には賛成であります。政府は今後本委員会における論議を十分に尊重し、警告の趣旨を体して財政執行の適正化、行政の効率化に万全を期すよう強く要求をして、私の反対討論を終わるものであります。
○委員長(志苫裕君) 次に、原文兵衛君。
○原文兵衛君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表いたしまして、昭和五十一年度決算外二件に対しまして、これを是認するとともに、委員長提案の警告案に対しても、賛成の意を表明するものであります。
 昭和五十一年度の財政経済運営は、五十年度に引き続き、財政の健全化に努めるとともに、インフレを回避しつつ、景気の回復及び雇用の安定を図ることにより、わが国経済が安定成長路線を持続することを目指していたのでありますが、ロッキード問題の影響で予算及び特例公債法案など予算関連法案の成立がおくれ、景気回復を目指した政府の政策が、必ずしも意図したとおり進まなかったということもあって、財政経済をめぐる状況はきわめて厳しいものがありました。
 しかし政府は、十一月に、七項目の景気対策を打ち出し、公共事業の執行を促進して景気回復に努めた一方、雇用の機会が少なかった中高年齢者及び身体障害者の雇用を積極的に進め、ともすれば社会問題化する雇用面の摩擦現象の緩和を図ったほか、五十二年二月には、公共事業関係費の追加を内容とする補正予算、次いで三月には、公共事業等の早期執行等を内容とする四項目の景気対策等諸施策を講じて、景気の回復、国民生活の安定のために懸命の努力を行ったのであります。
 この結果、昭和五十一年度の経済成長率は、当初見通しを上回る実質五・八%になったほか、消費者物価は対前年度比で一けたの上昇にとどまり、景気は安定して、国民生活に明るさが戻ってまいったことは御承知のとおりであり、五十年度に次いで順調な景気の回復過程を示す二年目の年となったのであります。
 このように、昭和五十一年度における政府の財政経済運営は、まことに時宜にかなったものとなったと言えるのであります。
 なお、財政執行上、個々の細かい事項について見ますと、本委員会の審査の過程で明らかになった事項あるいは会計検査院から指摘された事項のように、留意すべき点があります。
 政府は、この際、警告の趣旨を体して、今後一層財政運営の効率化と行政の適正化に努め、国民の信託にこたえられるよう要望いたしまして、賛成討論を終わります。
○委員長(志苫裕君) 次に、和泉照雄君。
○和泉照雄君 私は公明党を代表して、昭和五十一年度決算外二件に対してこれを是認することができないことを表明し、委員長提案の内閣に対する警告に対しては賛成の意を表するものであります。
 以下、その理由について申し上げます。
 その第一は、財政経済運営の失敗についてであります。
 昭和五十一年度予算編成の政府の基本方針は財政の改善合理化と景気の着実な回復を図ることでありました。しかるに、財政は改善どころか三兆四千七百三十二億円の赤字公債を発行し、ようやく切り抜けるありさまであり、また景気回復についても、政府・与党は五十一年二月に露呈したロッキード事件の真相隠しとその後の政権抗争に明け暮れ、十一月十二日に至って経済対策閣僚会議でようやく景気てこ入れ策をとるまで何ら有効な施策を講ずることがなかったのであります。政府の対策が後手に回り、景気浮揚の効果が上がらなかった結果、景気の回復は著しくおくれ、特に中小企業の倒産は五十一年後半から急増し、五十二年度には史上最高の一万八千件を数えるに至り、さらに雇用不安は五十二年度になって一層深刻化し、国民生活を大きく圧迫したことは御承知のとおりであります。これらはすべて五十一年度の政府の財政経済運営の失敗によるものと断ぜざるを得ません。
 その第二は、官庁等の不正経理と綱紀弛緩の問題であります。
 鉄建公団を初め幾つかの省庁で見られたいわゆるカラ出張による乱脈経理等は組織ぐるみで行われたものであり、しかも、これによって捻出した金で、財政運営のかなめとも言うべき大蔵省など官庁間の接待が繰り返し行われたということはまことに許すべからざることであります。一方で財源難を理由に福祉予算を抑えてきたことを考えるならばはなはだ遺憾なことと言わなければなりません。綱紀の紊乱は組織の内部にあって、一部の不正をなれ合いで見過ごしているうちに習性化してきたものであり、この際、政府は厳しく反省し、再発の防止に全力を傾注すべきであります。
 また、各省庁幹部職員の私宅電話の通話料が、何ら根拠もなく、長年の習慣で国費から支払われてきたことは明らかに公私の混同であり、容認することはできません。
 その第三は、KDDの乱脈経理に関してであります。
 KDDの疑惑解明について、政府当局のきわめて消極的な姿勢について良識ある多くの国民から厳しい批判が起こっているのであります。KDDと郵政省の癒着ぶりは、双方より逮捕者を出したことでも明白でありますが、政府はこの疑惑の解明について部内調査を行ったとはいうもののその内容は不十分であり、全貌の解明に努めるどころかむしろ真相を隠すような姿勢が見られるなど、積極的な解明の努力に欠けていることは遺憾であります。
 このほか、今日、地方の時代と言われながら、地方の国立大学については十分地元に根差した整備充実が行われていない問題、農林水産省が大分市に有償で貸与し、それを同市が国鉄に無償で提供している国鉄宿舎用地の問題、また、国民の基本的権利である選挙権が住民登録の転出・転入日によっては行使できなくなるといういわゆる幻の期間を生ずる問題、さらに新薬開発をめぐる製薬会社と大学等研究機関との癒着など、委員会で指摘した問題で解決されていないものが数多くあり、この際早急に政府の改善を求めるものであります。
 以上反対の理由を申し述べましたが、最後に、委員長提案の警告に対しては、政府は十分その意を体して反省すべきは反省し、その実現に万全を期することを要望して反対討論を終わります。
○委員長(志苫裕君) 次いで安武洋子君。
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、昭和五十一年度決算について、これを是認できないとする反対討論を行います。
 昭和五十一年度予算は、日本経済がその存立の条件を失い、戦後最大の不況とインフレに落ち込んでいる最中、国の財政、経済のあり方が根本から問われているもとで編成されました。にもかかわらず政府の予算は、わが党が指摘したように従来からの大企業優先の政策を踏襲するものにほかなりませんでした。
 そしてその執行の結果、大企業は上位五十社の合計所得が前期比三五・六%増という膨大な利益を上げました。
 一方、国民生活は、消費者物価が五十一年九月には前月比二・八%増と、狂乱物価以来二年ぶりの急上昇をしたのに見られるように、電力、ガス、電話料金、国鉄運賃など公共料金引き上げ主導型の物価上昇が続き、実質賃金は停滞し、勤労者消費支出は前年より〇・五%減という深刻な状態に至りました。負債総額一千万円以上の倒産件数は、年間一万五千六百三十八件という最悪の記録を残し、鉱工業生産指数の伸び率も低下するなど、この年政府が経済運営の第一の目標に掲げた景気回復は失敗に終わり、不況はさらに深刻化したのであります。
 このように、五十一年度決算は、大企業本位の不況対策優先と国民への収奪に貫かれたものにほかなりませんでした。
 また、五十一年度は、当初予算から巨額の赤字国債が計画され、国債の発行総数は七兆二千億に及び、国債依存度は二八・七%にも達したのであります。これが財政破綻への重大な契機となったことは言をまたないところであります。
 さらに、防衛費については、国民総生産に占める割合が五十一年度には〇・九%に達し、この年度を最終年度とする第四次防衛力整備計画は、その主要部分では護衛艦を除きほぼ目標を達成、一段と軍事力の増強が進むとともに、この年には日米防衛協力小委員会が設置され、日米共同作戦体制の新しい危険な段階に踏み出したのであります。
 以上の基本的問題点に加え、さらに財政執行上の問題点も指摘しなければなりません。
 会計検査院の決算検査報告によりますと、不当事項は依然として後を断たないばかりか、その金額は年々増加しており、全検査対象のうちわずか八%強の個所で実施された検査によっても、五十一年度は四十三億円と、前年の二・四倍にも上っております。これは文字どおり氷山の一角だと言わなければなりません。また、予算議定主義の原則を逸脱するような公共事業予備費が設置され、しかも予算委員会での説明趣旨とは異なる使われ方がされるなど、財政民主主義に反する予算執行がなされたこともきわめて重大であります。
 以上のごとく、重大な問題を含んだ昭和五十一年度決算についてはとうてい是認できません。
 また、国有財産の増減及び現在額総計算書は、大企業優遇と国民収奪に貫かれた五十一年度予算の執行に伴う国有財産の決算であるという性格にかんがみ、是認できないものであります。
 国有財産無償貸付状況総計算書につきましては、約九九%までが地方公共団体等の公園用地に対する無償貸付ということであり、その限りにおいては賛成いたしますが、なお貸付の一件ごとの状況や個々の増減理由等、詳細については明らかにされておりません。この際、重ねて資料を提出されるよう要求するものであります。
 最後に、委員長御提案の警告決議案につきましては、賛成を表明いたしまして、私の討論を終わります。
○委員長(志苫裕君) 次に、中村利次君。
○中村利次君 私は民社党を代表して、昭和五十一年度決算外二件に対し反対、委員長提出の警告決議案に賛成の討論を行います。
 五十一年度当初予算は、行財政の改革に効果的な取り組みを行わないままに多量の特例公債を発行する一方、勤労者に対する実質的な増税と公共料金の大幅値上げによって、消費の冷え込みを招きかねないようないろいろな問題をはらんだものでありました。そして、このような予算の執行結果として、第一に財政再建のめどが立たないままにその後も引き続き大量の国債発行に依存することとなり、第二に、たとえば国鉄に見られるように五〇%に及ぶ大幅値上げを行ったにもかかわらず、経営の合理化、近代化も労使関係の正常化も一向に進まないで、逆に国民の国鉄離れを招き、その後毎年の値上げを繰り返しつつも巨額な赤字を累積し、しかも再建のめどすら全くたたないという惨状にあるのであります。
 第三に、エネルギー対策についてのおくれであります。わが国にとって決定的な重大政策とも言うべきエネルギー対策には、巨額の資金的裏づけが必要であります。しかし、その対応のおくれが目立つのみでなく、電源開発促進対策特別会計に見られる電源開発のおくれによる剰余金と繰越金はこの会計がエネルギー対策に有効に機能しなかったことのあらわれであります。
 反対討論の最後に、私はわが国の外交姿勢、とりわけ難民対策について指摘をしたいと存じます。
 わが国の国情に照らして難民の受け入れが必ずしも容易でないことは理解できますが、しかしもはや難民対策は金を出すことのみではとうてい国際的な理解が得られるものではありません。政府の積極的な難民受け入れ対策を期待し、私の討論を終わります。
○委員長(志苫裕君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(志苫裕君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
○委員長(志苫裕君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、藤井裕久君、藤川一秋君、和田静夫君及び黒柳明君が委員を辞任され、その補欠として熊谷弘君、嶋崎均君、大森昭君及び矢追秀彦君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(志苫裕君) それでは、これより順次採決に入ります。
 まず、昭和五十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十一年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十一年度政府関係機関決算書を問題に供します。
 第一に、本件決算は、これを是認すると議決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(志苫裕君) 多数と認めます。
 第二に、内閣に対し、先刻朗読のとおり警告することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(志苫裕君) 全会一致と認めます。よって、昭和五十一年度決算につきましては、多数をもってこれを是認することとし、内閣に対し、先刻朗読いたしましたとおり警告すべきものと議決されました。
 次に、昭和五十一年度国有財産増減及び現在額総計算書を問題に供します。
 本件につきましては、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(志苫裕君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。
 次に、昭和五十一年度国有財産無償貸付状況総計算書を問題に供します。
 本件につきましては、異議がないと議決することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(志苫裕君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって異議がないと議決されました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべきこれらの案件の報告書につきましては、ただいまの本委員会の議決内容によりこれを作成することといたしまして、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(志苫裕君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 この際、関係大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。伊東内閣官房長官。
○国務大臣(伊東正義君) ただいま御決議のありました公費の不正経理根絶の問題についてでございますが、これはまことに申しわけない次第でございまして、御趣旨に沿って今後一層厳正な態度で臨み、いやしくも国民の疑惑の招くことがないよう最善の努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 また、会計検査院の検査機能の充実強化につきまして、政府としましては会計検査の実が上がりますように今後とも御協力をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
 また御指摘のありました行政改革問題、そのうちで特に特殊法人の役員等の件につきましては、御趣旨に沿いまして、閣議決定もしたことでございますし、改めて今後とも引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○委員長(志苫裕君) 宮崎行政管理政務次官。
○政府委員(宮崎茂一君) ただいま御指摘のありました行政改革の件につきましては、昨年十二月の閣議において決定いたしました昭和五十五年行政改革計画に基づき、その着実な実施に努めておるところであります。もとよりこれで十分であるということではなく、御決議の趣旨を尊重して、引き続きその推進を図ってまいる所存であります。
○委員長(志苫裕君) 長田科学技術庁長官。
○国務大臣(長田裕二君) ただいま御決議のありました原子力船「むつ」の問題につきましては、遺憾ながらその開発は当初の予定より遅延しておりますが、先ごろ佐世保重工業株式会社との係船等に関する契約がなされ、改修工事契約の見通しも得られておりますので、御決議の趣旨に沿い、今後早急に所要の修理点検を実施するよう努める所存であります。
 また修理終了後、実験船としてその最大限の活用を図ることとし、将来の原子力船の研究開発に「むつ」の成果を効果的に結びつけていくよう一層努力してまいる所存であります。
○委員長(志苫裕君) 武藤農林水産大臣。
○国務大臣(武藤嘉文君) ただいま御決議のありました大分市に貸付中の国有農地につきましては、御趣旨に沿うよう関係者の協議により早期改善に努力してまいる所存であります。
○委員長(志苫裕君) 佐々木通商産業大臣。
○国務大臣(佐々木義武君) ただいま御決議のありました英会話教材等の訪問販売事業者に対しましては、従来から事業活動の適正化を指導しているところでありますが、今後とも御趣旨に沿って指導の強化を徹底するとともに、あわせて消費者保護の見地から消費者苦情の処理を含め消費者啓発のための措置を積極的に講じてまいる所存であります。
○委員長(志苫裕君) 地崎運輸大臣。
○国務大臣(地崎宇三郎君) ただいま御決議のありました国鉄の設備投資の問題につきましては、国鉄経営の現状にかんがみ、経営改善のために効率的に行われるよう、御趣旨に沿って今後も厳しく指導監督してまいる所存であります。
○委員長(志苫裕君) 大西郵政大臣。
○国務大臣(大西正男君) ただいま御決議のありました当省関係の事項につきまして、御指摘のような不祥事件が発生しましたことはまことに遺憾でございます。国民全体の奉仕者として職務の公正厳正な執行に当たるべき公務員がこのような事態を招いたことについて、心から国民の皆様におわび申し上げる次第であります。
 当省といたしましては、事実に即して厳正な措置を講ずることはもちろんでありますが、このような不祥事が二度と起きないよう、全職員が行政責任の重みを自覚し、綱紀粛正の徹底を期し、一日も早く郵政行政の信頼を回復するよう努力する所存であります。
 また、国際電信電話株式会社に対する監督体制の見直しにつきましては、国際公衆電気通信事業の適正な運営を確保するため、ただいま御提案申し上げております国際電信電話株式会社法の一部改正の措置とも相まって、今後一層国民の信頼を得るに足る監督体制の充実を図っていく所存であります。
○委員長(志苫裕君) どうも御苦労様でした。退席していただいて結構であります。
    ―――――――――――――
○委員長(志苫裕君) 昭和五十二年度決算外二件を議題といたします。
 それでは、昭和五十二年度決算、すなわち一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書、政府関係機関決算書につきまして、これより概要説明を聴取いたします。大蔵大臣臨時代理正示国務大臣。
○国務大臣(正示啓次郎君) 昭和五十二年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書を会計検査院の検査報告とともに国会に提出し、また、昭和五十二年度の国の債権の現在額並びに物品増減及び現在額についても国会に報告いたしましたので、その大要を御説明申し上げます。
 昭和五十二年度予算は、昭和五十二年四月十六日に成立いたしました。
 この予算は、国民生活の安定と経済の着実な成長に資するとともに、財政の健全化を推進することを基本として編成されたものであります。
 その後、内外経済情勢にかんがみ、公共事業等の追加を行うほか、人事院勧告の実施に伴う国家公務員等の給与改善費等について所要の措置を講ずるため、補正予算が編成され、昭和五十二年十月二十四日その成立を見、さらに、その後における経済情勢にかんがみ、予想される税収減を補てんするとともに、公共事業の追加等について所要の措置を講ずるため、第二次補正予算が編成され、昭和五十三年一月三十一日その成立を見ました。
 これらの補正によりまして、昭和五十二年度一般会計予算は、歳入歳出とも二十九兆三千四百六十六億千五百十四万四千円となりました。
 以下、昭和五十二年度決算について、その内容を数字を挙げて御説明申し上げます。
 まず、一般会計におきまして、歳入の決算額は二十九兆四千三百三十六億二千二百八十二万円余、歳出の決算額は二十九兆五百九十八億四千百七十三万円余でありまして、差し引き三千七百三十七億八千百八万円余の剰余を生じました。
 この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計の昭和五十三年度の歳入に繰り入れ済みであります。
 なお、昭和五十二年度における財政法第六条の純剰余金は千二百八十億五千七百五十八万円余となり、この剰余金の二分の一を下らない金額は、財政法第六条第一項の規定によりまして、公債または借入金の償還財源に充てることとなるわけであります。
 以上の決算額を予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額二十九兆三千四百六十六億千五百十四万円余に比べて八百七十億七百六十八万円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れが予算額に比べて増加した額二千三百四十億四千六百八万円余が含まれておりますので、これを差し引きますと、昭和五十二年度の歳入の純減少額は千四百七十億三千八百四十万円余となるのであります。その内訳は、租税及び印紙収入における増加額千九百八十九億四千七百九十万円余、専売納付金における増加額十七億七千九百九万円余、官業益金及び官業収入における増加額二十八億九千九百万円余、政府資産整理収入における増加額百八十九億二千九百六十三万円余、雑収入における増加額五百四十一億五千六百十二万円余、公債金における減少額四千二百三十七億五千十六万円余となっております。
 一方、歳出につきましては、予算額二十九兆三千四百六十六億千五百十四万円余に、昭和五十一年度からの繰越額二千二百十三億七千七百三十三万円余を加えました歳出予算現額二十九兆五千六百七十九億九千二百四十七万円余に対しまして、支出済み歳出額は二十九兆五百九十八億四千百七十三万円余でありまして、その差額五千八十一億五千七十三万円余のうち、昭和五十三年度に繰り越しました額は二千二百八十五億千三十三万円余となっており、不用となりました額は二千七百九十六億四千四十万円余となっております。
 次に、予備費でありますが、昭和五十二年度一般会計における予備費の予算額は二千六百二十億円であります。その使用額は千四百七十二億八千八百八十万円でありまして、その使用につきましては、すでに、国会において御承諾をいただきましたので、説明を省略させていただきます。
 次に、一般会計の国庫債務負担行為について申し上げます。
 財政法第十五条第一項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は一兆二千三百四十三億八千九十二万円余でありますが、実際に負担いたしました債務額は一兆千六百二十七億二千四百八十七万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額九千七百七十九億八千三百六万円余を加え、昭和五十二年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額八千四百三十七億三千七百九十六万円余を差し引きました額一兆二千九百六十九億六千九百九十六万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。
 財政法第十五条第二項の規定に基づき国が債務を負担することができる金額は八百億円でありますが、実際に負担いたしました債務額は九十八億四千三百四万円余でありますので、これに既往年度からの繰越債務額三百十三億二百三十五万円余を加え、昭和五十二年度中に支出その他の理由によって債務が消滅いたしました額三百十三億二百三十五万円余を差し引きました額九十八億四千三百四万円余が翌年度以降に繰り越された債務額になります。
 次に、昭和五十二年度の特別会計の決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十でありまして、これらの決算の内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。
 次に、昭和五十二年度における国税収納金整理資金の受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は十七兆九千五十三億三千九百九十四万円余でありまして、この資金からの一般会計等の歳入への組み入れ額等は十七兆八千五百七十七億千六百二十八万円余でありますので、差し引き四百七十六億二千三百六十六万円余が昭和五十二年度末の資金残額となります。これは、主として国税に係る還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。
 次に、昭和五十二年度政府関係機関の決算の内容につきましては、それぞれの決算書によって御了承願いたいと存じます。
 次に、国の債権の現在額でありますが、昭和五十二年度末における国の債権の総額は五十二兆四千八百八十五億六千五百四十四万円余でありまして、前年度末現在額四十五兆八百四十八億四千九百九十五万円余に比べて七兆四千三十七億千五百四十八万円余の増加となります。
 その内容の詳細につきましては、昭和五十二年度国の債権の現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。
 次に、物品増減及び現在額でありますが、昭和五十二年度中における純増加額は千九百二十億二千七百七十万円余でありますので、これに前年度末現在額一兆三千四百五十三億二千七万円余を加えますと、昭和五十二年度末における物品の総額は一兆五千三百七十三億四千七百七十七万円余となります。その内訳の詳細につきましては、昭和五十二年度物品増減及び現在額総報告によって御了承願いたいと存じます。
 以上、昭和五十二年度の一般会計歳入歳出決算、特別会計歳入歳出決算、国税収納金整理資金受払計算書、政府関係機関決算書等につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。
 なお、昭和五十二年度の予算の執行につきましては、予算の効率的な使用、経理の適正な運営に極力意を用いてまいったところでありますが、なお会計検査院から、九十三件に上る不当事項について御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。
 予算の執行につきましては、今後一層配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存であります。
 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(志苫裕君) 次に、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書につきまして、その概要説明を聴取いたします。大蔵大臣臨時代理正示国務大臣。
○国務大臣(正示啓次郎君) 昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書並びに昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書を、会計検査院の検査報告とともに第八十七回国会に報告いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。
 まず、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要について申し述べます。
 昭和五十二年度中に増加しました国有財産は、行政財産一兆三百四十五億六千四百二十五万円余、普通財産九千九百四十六億三千百四万円余、総額二兆二百九十一億九千五百二十九万円余であり、また、同年度中に減少しました国有財産は、行政財産二千六百五十八億五千百二十一万円余、普通財産二千五百二十九億九千百三十万円任、総額五千百八十八億四千二百五十一万円余でありまして、差し引き一兆五千百三億五千二百七十七万円余の純増加となっております。これを昭和五十一年度末現在額二十三兆千六百三十二億五千二十七万円余に加算いたしますと二十四兆六千七百三十六億三百五万円余となり、これが昭和五十二年度末現在における国有財産の総額であります。
 この総額の内訳を分類別及び種類別に申し上げますと、行政財産においては、公用財産八兆五千七百五億七千百三十四万円余、公共用財産二千八百九十六億四千百五十一万円余、皇室用財産三千二百九十億三千二百二十五万円余、企業用財産六兆千六百八十八億千三百九十七万円余、合計十五兆三千五百八十億五千九百九万円余となっており、普通財産においては九兆三千百五十五億四千三百九十五万円余となっております。
 また、国有財産の総額の内訳を区分別に申し上げますと、土地七兆千九十一億二千七百三十万円余、立木竹三兆八千五百十六億二千三十七万円余、建物二兆八千五百二十一億二千二百四十一万円余、工作物二兆五千二百六十一億三千三百四十二万円余、機械器具九億二千百四十六万円余、船舶四千四百三十五億二千五百四十六万円余、航空機五千二百六億四千百八十三万円余、地上権等十二億四千四百八十七万円余、特許権等二十五億九千六百七十六万円余、政府出資等七兆三千六百五十六億六千九百十二万円余となっております。
 次に、国有財産の増減の内容について、その概要を申し上げます。
 まず、昭和五十二年度中における増加額を申し上げますと、前述のとおりその総額は二兆二百九十一億九千五百二十九万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって増加しました財産は一兆七千百三十三億五千二十五万円余。第二に、国の内部における異動によって増加しました財産は三千百五十八億四千五百四万円余であります。
 次に、減少額について申し上げますと、その総額は五千百八十八億四千二百五十一万円余であります。この内訳を申し上げますと、第一に、国と国以外の者との間の異動によって減少しました財産は二千百八十一億九千百七十七万円余。第二に、国の内部における異動によって減少しました財産は三千六億五千七十四万円余であります。
 以上が昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書の概要であります。
 次に、昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要について申し述べます。
 昭和五十二年度中に増加しました無償貸付財産の総額は四百二十二億六千六百九十一万円余であり、また、同年度中に減少しました無償貸付財産の総額は三百八十三億六千九百五十九万円余でありまして、差し引き三十八億九千七百三十一万円余の純増加となっております。これを昭和五十一年度未現在額三千七百八十億三千九百五十五万円余に加算いたしますと三千八百十九億三千六百八十六万円余となり、これが昭和五十二年度末現在において無償貸付をしている国有財産の総額であります。
 以上が昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書の概要であります。
 なお、これらの国有財産の各総計算書には、それぞれ説明書が添付してありますので、それによって細部を御了承願いたいと思います。
 何とぞ御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(志苫裕君) 次に、昭和五十二年度決算中、日本専売公社の決算につきまして概要説明を聴取いたします。大蔵大臣臨時代理正示国務大臣。
○国務大臣(正示啓次郎君) 昭和五十二年度日本専売公社収入支出決算につきまして、その概要を御説明いたします。
 まず、たばこ事業の概況について申し上げますと、昭和五十二年度の製造たばこ販売数量は三千五十六億本余、金額にして一兆八千七百四億二千三百七十一万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において六十億本余、金額にして二百五十九億三千二百二十八万円余の減少となっております。
 また、葉たばこの購入数量は二十五万九千トン余、金額にして三千二百九十一億八千六百十三万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において一万四千トン余、金額にして六百九十五億二千七百五十九万円余の減少となっております。
 次に、塩事業の概況について申し上げます。
 昭和五十二年度の塩販売数量は、一般用塩百五十三万五千トン余、ソーダ用塩五百九十四万三千トン余、金額にして合計六百九十三億二千四百八十四万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において百十三万トン余、金額にして百九十六億四千九百六十七万円余の減少となっております。
 また、塩の購入数量は、国内塩百五万二千トン余、輸入塩六百四十三万七千トン余、金額にして合計四百八十三億九千四百四十七万円余であり、予定に比較いたしますと、数量において百十六万九千トン余、金額にして百九十一億五千百二十一万円余の減少となっております。
 次に、決算の内容について御説明いたします。
 まず、収入支出について申し上げますと、昭和五十二年度における収入済額は一兆九千四百五十三億四千七百三十八万円余であり、収入予算額の一兆九千八百八十五億四千百三十二万円余に比較いたしますと四百三十一億九千三百九十三万円余の減少となっております。
 これに対しまして、支出済額は一兆四千五十億二千五百九十八万円余、翌年度に繰り越した額は二百八十億三千二百九十八万円余、合計一兆四千三百三十億五千八百九十七万円余であり、支出予算現額一兆六千六十二億一千四百二十五万円余に比較いたしますと、差し引き不用額は一千七百三十一億五千五百二十八万円余となっております。
 次に、損益計算について申し上げます。
 総収益一兆九千五百一億九千五百八万円余から、総損失一兆二千九百十四億八千三百十三万円余を控除した純利益は六千五百八十七億一千百九十四万円余であります。これから日本専売公社法第四十三条の十三第三項の規定により積み立てる利益積立金一千二十七億八千九百七十万円余を控除した五千五百五十九億二千二百二十四万円余が専売納付金であり、予定額五千四百五十二億八千百十三万円余に比較いたしますと百六億四千百十万円余の増加となっております。
 以上が昭和五十二年度の日本専売公社の決算の概要であります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(志苫裕君) 次に、昭和五十二年度決算中、日本国有鉄道の決算につきまして概要説明を聴取いたします。地崎運輸大臣。
○国務大臣(地崎宇三郎君) 昭和五十二年度日本国有鉄道決算書を国会に提出いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。
 昭和五十二年度における日本国有鉄道の運輸成績は、対前年度比、旅客輸送人員は約二%減、旅客輸送人キロは約六%減、貨物輸送トン数は約七%減、貨物輸送トンキロは約一一%減となり、収入においては、旅客収入において約一九%、貨物収入において約一〇%おのおの増加いたしました。
 以下、収入支出の内容を勘定別に御説明申し上げます。
   〔委員長退席、理事穐山篤君着席〕
 まず、損益勘定におきましては、収入済み額は二兆八千九百十八億七千四百二十六万円余、支出済み額は二兆九千三百五十三億九千四十九万円余でありまして、支出が収入を超過すること四百三十五億一千六百二十二万円余でありますが、これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では昭和五十二年度の純損失は八千三百三十九億三千七百五十一万円余となっております。
 この決算額を予算額と比較いたしますと、収入予算額二兆九千六百十億五千八百六十八万円余に対しまして六百九十一億八千四百四十二万円余の減収となっております。これは雑収入二百五十四億七千七百二十八万円余の増加に対し、運輸収入九百四十六億六千百七十万円余の減少によるものであります。
 他方、支出は予算現額三兆五百九十七億六千九百四十八万円余に対しまして、支出済み額は一千二百四十三億七千八百九十八万円余下回っておりますが、そのうち六百二十五億六千二百七十九万円余は翌年度への繰越額であり、残額六百十八億一千六百十九万円余は不用額となっております。
   〔理事穐山篤君退席、委員長着席〕
 次に、資本勘定におきましては、収入済み額は一兆八千三百七十三億八千四百七十二万円余、支出済み額は一兆八千五百十九億一千八百六万円余であります。
 この決算額を予算額と比較いたしますと、収入は予算額一兆七千六百九十億二千万円に対しまして六百八十三億六千四百七十二万円余の増加となっております。
 これは大都市交通施設整備費補助金受け入れが三十六億三千六百八十四万円余減少しましたが、資産充当が三百八十七億一千百八万円余、鉄道債券及び借入金が三百三十二億九千四十七万円余それぞれ増加したことによるものであります。
 他方、支出は予算現額一兆八千六百九十一億四千百七十四万円余に対しまして、支出済み額は百七十二億二千三百六十六万円余下回っておりますが、そのうち百六十八億六千五百九十二万円余は翌年度への繰越額であり、残額三億五千七百七十四万円余は不用額となっております。
 次に、工事勘定におきましては、収入済み額は一兆三百十二億二千九百四万円余、支出済み額は九千六十三億二千九百五十八万円余であります。
 この決算額を予算額と比較いたしますと、収入は予算額九千四百七十六億一千五百九十七万円余に対しまして、八百三十六億一千三百六万円余の増加となっております。これは資本勘定からの受け入れが多かったことによるものであります。
 他方、支出は予算現額一兆一千五百九十三億九千七百三万円余に対しまして、支出済み額は二千五百三十億六千七百四十四万円余下回っておりますが、そのうち二千四百五十九億五千百九十万円余は翌年度への繰越額であり、残額七十一億一千五百五十四万円余は不用額となっています。
 この工事勘定の内容に関連して主要施策の実績について申し上げますと、輸送力の増強、業務運営の能率化及び安全の確保等を図るため、昭和五十二年度におきましては、新幹線三千五百六十一億四千四十万円余、大都市圏輸送九百八十四億九千二百二十万円余、幹線輸送九百四十四億九千四十一万円余、安全・公害対策、合理化等三千五百七十二億六百五十六万円余、合計九千六十三億二千九百五十八万円余を投資いたしました。
 また、特定債務整理特別勘定におきましては、収入済み額は二千四百四十億七千五百四万円余、支出済み額は二千四百四十億七千五百四万円余でありまして、収入支出の差はございません。
 この決算額に対しまして予算額は、収入予算額、支出予算現額とも二千四百四十億七千六百万円となっております。
 最後に、昭和五十二年度の予算の執行につきまして、会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算の効率的運用に一段の努力をいたすよう指導監督してまいりたいと考えております。
 以上をもちまして、昭和五十二年度日本国有鉄道の決算に関する説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(志苫裕君) 次に、昭和五十二年度決算中、日本電信電話公社の決算につきまして概要説明を聴取いたします。大西郵政大臣。
○国務大臣(大西正男君) 昭和五十二年度日本電信電話公社決算について、その概要を御説明申し上げます。
 昭和五十二年度は、去る昭和五十一年十一月以降実施されました電信電話料金改定の影響が初めて全事業年度に及んだことなどにより、収支状況は大幅に改善され、損益計算上四千三百八十九億九千七百六十八万余円の当期利益金を計上するところとなり、四年ぶりの黒字決算となったところであります。
 収入支出決算の内容を各勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済み額は、三兆三千七百十二億九千七百四十三万余円で、予算額に比べ三百六十四億八千九百五十六万余円の減収となりました。一方、支出済み額は、三兆三千三百六十二億三千百九十八万余円でありまして、支出予算現額三兆四千百十三億二千八百十九万円に比べ七百五十億九千六百二十万余円下回りました。
 次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二兆三千三百三十五億二千四百五十五万余円、支出済み額は二兆三千三百八十四億五百七十二万余円であり、また、建設勘定におきましては、支出済み額は、一兆六千二百四十六億五千七百十七万余円であり、これにより、一般加入電話百三十三万四千加入の増設を初めとする建設工事を実施し、年度末の一般加入電話の積滞数は前年度末に比べ七万加入減少し、十五万九千加入となりました。
 最後に、昭和五十二年度予算の執行につきましては、会計検査院から不当事項一件、是正改善の処置を要求されました事項として一件、合わせて二件の指摘を受けましたことはまことに遺憾に存じます。
 今後、この種の事例の発生を未然に防止するよう日本電信電話公社を指導監督してまいる所存であります。
 以上をもちまして、昭和五十二年度決算の概要についての説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
○委員長(志苫裕君) 次に、会計検査院より、昭和五十二年度決算検査報告並びに昭和五十二年度国有財産検査報告に関する概要説明を聴取いたします。知野会計検査院長。
○会計検査院長(知野虎雄君) 昭和五十二年度決算検査報告につきまして、その概要を説明いたします。
 会計検査院は、五十三年十月十三日、内閣から昭和五十二年度歳入歳出決算の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十二年度決算検査報告とともに五十三年十二月十五日内閣に回付いたしました。
 昭和五十二年度の一般会計決算額は、歳入二十九兆四千三百三十六億二千二百八十二万余円、歳出二十九兆五百九十八億四千百七十三万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において、四兆三千五百七十六億六百二十二万余円、歳出において、四兆五千九百二十二億二千九百六十九万余円の増加になっており、各特別会計の決算額の合計額は、歳入六十兆五千六百二十億八千五百八十三万余円、歳出五十二兆二千六百八十四億二千七百四十一万余円でありまして、前年度に比べますと、歳入において十一兆二千七百二十九億五千二百二十二万余円、歳出において九兆五千六百七十八億五千二百二十三万余円の増加になっております。
 また、国税収納金整理資金は、収納済み額十七兆九千五十三億三千九百九十四万余円、歳入組み入れ額十七兆二千七百八十四億二百八十七万余円であります。
 政府関係機関の昭和五十二年度の決算額の総計は、収入十七兆二千七十六億八千八百九十二万余円、支出十六兆五千六百十七億九千七百四十一万余円でありまして、前年度に比べますと、収入におきまして二兆七千七百七十三億千九百三十八万余円、支出において二兆七千七百五十三億二千五百二十六万余円の増加になっております。
 昭和五十二年度の歳入、歳出等に関し、会計検査院が、国、政府関係機関、国の出資団体等の検査対象機関について検査した実績を申し上げますと、書面検査は、計算書二十三万三千余冊及び証拠書類六千四百九十二万余枚について行い、また、実地検査は、検査対象機関の官署、事務所等四万千九百余カ所のうち、その八・四%に当たる三千五百余力所について実施いたしました。そして、検査の進行に伴い関係者に対して、約千四百五十事項の質問を発しております。
 このようにして検査いたしました結果、検査報告に掲記した不当事項等について、その概要を説明いたします。
 まず、不当事項について申し上げます。
 不当事項として検査報告に掲記いたしましたものは、合計九十三件であります。
 このうち、収入に関するものは、三件、十三億三千六百九十五万余円でありまして、その内訳は、租税の徴収額に過不足があったものが一件、十一億八千六百五十六万余円、保険料の徴収額が不足していたものが二件、一億五千三十九万余円であります。
 また、支出に関するものは、七十九件、四十九億千七百四万余円でありまして、その内訳は、工事に関するものとして、予定価格の積算が適切でなかったため、契約額が割り高になったもの、及び監督、検査が適切でなかったため、設計と相違して施工したものが五件、二億五千八百二十三万余円、物件に関するものとして、契約処置が適切でなかったため購入価額が著しく高価となっているもの、及び購入した用地が遊休しているものが二件、三十五億二千六十二万余円、役務に関するものとして、計画が適切でなかったため、不経済になったもの、予定価格の積算が適切でなかったため、契約額が割り高になったもの、契約処置が適切でなかったため、不経済に支払われていたもの、及び監督、検査が適切でなかったため、支払い額が過大となったものが五件、四千六百七万余円、保険に関するものとして、保険給付金の支給が適正でなかったものが二件、一億六千八百三十五万余円、補助金に関するものとして、補助事業の実施及び経理が適切でなかったものが六十一件、五億八千八百十九万余円、貸付金に関するものとして、貸し付け後の管理が適切でなかったため、貸し付け目的に適合しない結果となっているものが三件、三億千九百五十七万余円、不正行為に関するものとして、職員が、障害補償一時金及び障害特別支給金を領得したものが一件、千五百九十九万余円であります。
 以上の収入、支出に関するもののほか、施設等の管理が適切でなく、かつ、国有財産及び物品が損害を受けたものが一件、八百七十六万余円、繰りかえ払い現金等について職員の不正行為による損害を生じたものが十件、一億九千九十六万余円でありまして、これらの合計は、九十三件、六十四億五千三百七十三万余円になっております。これを前年度の七十四件、四十三億千九百七十七万余円に比べますと、件数において十九件の増加、金額において二十一億三千三百九十五万余円の増加になっております。
 次に、意見を表示しまたは処置を要求した事項について説明いたします。
 五十三年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは八件、また、同法第三十六条の規定により改善の意見を表示しまたは改善の処置を要求いたしたものは二件であります。
 このうち、会計検査院法第三十四条の規定により、是正改善の処置を要求いたしましたものは、総理府の地籍調査事業の実施に関するもの、文部省の東京大学医学部附属病院精神神経科の管理運営に関するもの、農林水産省の管水路等の建設に伴う地上権の設定に関するもの、農業近代化資金利子補給補助金の経理に関するもの、労働省の失業給付金の不正受給金返納金債権に係る延滞金債権の取り扱いに関するもの、日本電信電話公社の可搬形交換装置設置のための敷地造成及び基礎台工事の工事費の積算に関するもの、日本道路公団の高速道路新設工事における土工工事費の積算に関するもの、中小企業振興事業団の中小企業高度化資金の貸し付けの適正化に関するものであります。
 また、会計検査院法第三十六条の規定により改善の意見を表示しまたは改善の処置を要求いたしましたものは、農林水産省の水田買い入れ事業の実施及び一時貸付水田に係る水田総合利用奨励補助金の交付に関するもの、郵政省の郵便局における窓口職員の責任に関するものであります。
 次に、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項について説明いたします。
 これは、検査の過程で会計検査院法第三十四条または第三十六条の規定により意見を表示しまたは処置を要求すべく質問を発遣するなど検討しておりましたところ、当局において、本院の指摘を契機として直ちに改善の処置をとったものでありまして、検査報告に掲記しましたものは十一件でございます。その内容は、総理府のP−2J航空機用燃料セルの仕様に関するもの、C−1航空機用メインタイヤの所要量の算定に関するもの、文部省の合板型枠費等の積算に関するもの、厚生省の外国製医療機器の購入契約に関するもの、建設省の下水道工事における開削工法による管渠布設工事の埋め戻し工費の積算に関するもの、日本専売公社の建築工事における鉄骨の工場加工費等の積算に関するもの、日本国有鉄道の東北新幹線高架橋工事における排水設備の設計及び鉄筋加工組み立て費の積算に関するもの、日本電信電話公社のとう道工事における材料費の積算に関するもの、日本住宅公団の学校等の用地に対する固定資産税等の負担に関するもの、日本道路公団の舗装工事における下層路盤工費の積算に関するもの、日本鉄道建設公団の上越新幹線高架橋工事における鉄筋加工組み立て費の積算等に関するもの、であります。
 最後に、特に掲記を要すると認めた事項について説明いたします。
 この事項は、事業効果等の見地から問題を提起して事態の進展を図り、または今後の事業運営、経理執行等の参考に資するために掲記しているものでありまして、昭和五十二年度決算検査報告には、次の六件を掲げてございます。すなわち、農林水産省の国営静清庵灌漑排水事業ほか二事業の施行に関するもの、建設省の大滝ダム及び川辺川ダムの建設に関するもの、日本専売公社の葉たばこの生産及び調達に関するもの、日本専売公社、日本国有鉄道及び日本電信電話公社の直営病院の運営に関するもの、日本国有鉄道の経営改善に係る投資設備等の建設状況、稼働状況及び投資の効果に関するもの、年金福祉事業団の大規模年金保養基地の建設計画に関するものであります。
 以上をもって概要の説明を終わります。会計検査院といたしましては、機会あるごとに関係各省庁などに対し、適正な会計経理の執行について努力を求めてまいりましたが、なお、ただいま申し述べましたような事例がありますので、関係各省庁などにおいてもさらに特段の努力を払うよう、望んでいる次第であります。また、特に掲記を要すると認めた事項につきましては、国や各機関の財政の健全化のために、または投下した多額の資金が効果を発揮するよう速やかに打開策が講ぜられ、事態の進展が図られますことを切望するものであります。
 次に、昭和五十二年度国有財産検査報告につきまして、その概要を説明いたします。
 会計検査院は、五十三年十月二十七日、内閣から昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書の送付を受け、その検査を終えて、昭和五十二年度国有財産検査報告とともに五十三年十二月十五日内閣に回付いたしました。
 五十一年度末の国有財産現在額は二十三兆千六百三十二億五千二十七万余円でありましたが、五十二年度中の増が二兆二百九十一億九千五百二十九万余円、同年度中の減が五千百八十八億四千二百五十一万余円、ありましたので、差し引き五十二年度末の現在額は二十四兆六千七百三十六億三百五万余円になり、前年度末に比べますと一兆五千百三億五千二百七十七万余円の増加になっております。
 また、国有財産の無償貸付状況につきましては、五十一年度末には、三千七百八十億三千九百五十五万余円でありましたが、五十二年度中の増が四百二十二億六千六百九十一万余円、同年度中の減が三百八十三億六千九百五十九万余円ありましたので、差し引き三十八億九千七百三十一万余円の増加を見まして、五十二年度末の無償貸付財産の総額は三千八百十九億三千六百八十六万余円になっております。
 検査の結果、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算書及び昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書に掲載されている国有財産の管理及び処分に関しまして、昭和五十二年度決算検査報告に不当事項として掲記いたしましたものは、総理府の西表国立公園における植栽工の監督、検査及び事後管理が適切でなかったもの、文部省の移転統合のため購入した用地が、校舎等諸施設の建設の目途も立たないまま遊休しているもの、施設等の管理が適切でなく、かつ、国有財産等が損害を受けたものの三件でございます。
 次に、五十三年中におきまして、会計検査院法第三十四条の規定により是正改善の処置を要求いたしましたものは、文部省の東京大学医学部附属病院精神神経科の管理運営に関するものの一件でございます。
 また、本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として掲記しましたものは、総理府のP−2J航空機用燃料セルの仕様に関するものの一件でございます。
 以上をもって概要の説明を終わります。
○委員長(志苫裕君) 以上で昭和五十二年度決算外二件に関する概要説明の聴取を終わります。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十九分散会