第092回国会 決算委員会 第1号
昭和五十五年九月二十五日(木曜日)
   午前十一時三十三分開会
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   委員の異動
 九月二十四日
    辞任         補欠選任
     安武 洋子君     立木  洋君
     森田 重郎君     野末 陳平君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         野田  哲君
    理 事
                井上  孝君
                高橋 圭三君
                降矢 敬雄君
                円山 雅也君
                小山 一平君
                峯山 昭範君
    委 員
                石本  茂君
               大河原太一郎君
                河本嘉久蔵君
                坂元 親男君
                塚田十一郎君
                内藤  健君
                仲川 幸男君
                成相 善十君
                福田 宏一君
                穐山  篤君
                寺田 熊雄君
               目黒今朝次郎君
                黒柳  明君
                鶴岡  洋君
                立木  洋君
                柄谷 道一君
                野末 陳平君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外務大臣臨時代
       理
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
       通商産業大臣   田中 六助君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        丸山 利雄君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部長      谷口 守正君
       警察庁警備局長  鈴木 貞敏君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       外務大臣官房領
       事移住部長    塚本 政雄君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省中近東ア
       フリカ局外務参
       事官       堤  功一君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       国税庁長官    渡部 周治君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       資源エネルギー
       庁石油部長    志賀  学君
       郵政省貯金局長  鴨 光一郎君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
       会計検査院事務
       総局第一局長   佐藤 雅信君
       会計検査院事務
       総局第二局長   丹下  巧君
       会計検査院事務
       総局第四局長   高橋  良君
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  本日の会議に付した案件
○派遣委員の報告に関する件
○昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十二年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十二
 年度政府関係機関決算書(第八十七回国会内閣
 提出)(継続案件)
○昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第八十七回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第八十七回国会内閣提出)(継続案件)
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○委員長(野田哲君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る九月二十四日、安武洋子君及び森田重郎君が委員を辞任され、その補欠として、立木洋君及び野末陳平君が選任されました。
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○委員長(野田哲君) この際、派遣委員の報告に関する件についてお諮りいたします。
 第九十二回国会閉会中、当委員会が行いました国家財政の経理及び国有財産の管理に関する実情を調査するための委員派遣について、その報告書が提出されておりますが、口頭報告はこれを省略し、本日の会議録に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(野田哲君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(野田哲君) 次に、昭和五十二年度決算外二件の審査の今日までの経過につきまして簡単に申し上げます。
 昭和五十二年度決算外二件につきましては、第九十一回国会におきまして、その概要説明を聴取いたしております。従来の慣例に従いますと、通常選挙後の国会におきましても、すでに審査の終了いたしました点につきましては、再び繰り返さないことになっておりますので、前例に従いまして、本日は直ちに昭和五十二年度決算外二件の総括質疑に入りたいと存じますが、御了承願います。
 それでは、これより昭和五十二年度決算外二件を議題とし、本日は総括質疑第一回を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○小山一平君 きょうは官房長官がまだお見えになりませんから、後にさしていただきまして、お見えの大臣に対しての質問から入らしていただきたいと思います。
 イラン・イラク紛争はついに全面戦争へと拡大をしてまいりました。両国の拠点都市、製油施設、港などの爆撃が行われていると報じられております。またペルシャ湾内にある日本の商船、またペルシャ湾に向かっている商船は相当数に上っているのでありますが、中には乗務員が船を放棄をして、退避を余儀なくされている事態も生じていると報じられています。戦争の拡大、長期化ともなれば、日本の石油需給に大きな影響をもたらすことが心配されます。特に、戦火がホルムズ海峡を封鎖するまで発展いたしますと、OPEC諸国から輸出される石油の三分の二がストップされることになります。冬を迎えようとしているわが国において、石油の需給関係はどうなるだろうか、第三次石油危機の到来の心配はないのであろうかというのがただいまの国民の深刻な関心事であります。今後の見通しと対策について伺います。
 また、イランのバンダルホメイニに建設中のイラン石化のプラントに爆撃が行われ、破壊されたと言われております。日本の海外協力の大事業の前途について憂慮されておりますが、現状をどのように把握されておりますか、お伺いいたします。
 次に、現地では滞在中の日本人の一部がすでに海外に脱出していると言われておりますが、日本人の生命の保護などについての措置がどのようにとられているのか、あるいはまた、今後すべての日本人の脱出を考える事態にはならないのか、その場合の対策はどのように考えられているのか、このことについてもお尋ねをいたします。
 次に、この戦争の推移によっては、世界最大の産油地帯でもありますから、わが国のみならず、世界全体にわたって深刻な打撃となることを考えますと、一日も早く戦争の停止、和平の実現を図る必要がありますが、政府はこれについていかなる努力をされているのか、またなさろうとされているのか。
 以上の諸点についてお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(田中六助君) いま四点の御質問がございましたが、まずイラン、イラクのこの紛争につきましては、私どもまさしく非常に憂慮しておりまして、これが何とか一日も早く解決するようにと思っております。具体的には国連を中心に大きな動きをしてもらわなくちゃいけませんが、まず事態を静観すると同時に、私どもも外交ルートを通じまして、万全の措置を講じなければならないと思っております。
 ただいま御指摘がありましたように、イラン、イラク、中近東からわが国への原油、石油の輸入は八〇%近く中近東に依存しております。このペルシャ湾を通ってホルムズ海峡を通過する原油の量は七三二%だというふうに言われておりまして、したがって、この中、御承知のようにイランの方は、ことしの四月の二十一日から一応ストップしておりまして、イラクからはわが国の輸入量の石油の八・五%程度輸入しておりまして、これがこれだけの問題じゃなくて、いま申しますように、ホルムズ海峡を通過をするのが七八%、サウジアラビアあるいはその他クエートなども含まれておるわけでございまして、これが全く通過できないとなりますと、かなりのダメージを与えられるわけでございまして、こういうことを予期したわけではございませんが、私ども油の分散ということを強く考えておりまして、前内閣からこの内閣に至るまで、各地にそれぞれできるだけ分散ということで、ASEAN諸国の一部にも、あるいはその他東南アジア諸国、あるいはメキシコ、いろいろやっておるわけでございます。したがって、いまのところ石油代替エネルギーとかいうものの国内の施策も万全を期しつつありますけれども、ちょうど政府の備蓄が一週間分――七日分あるわけです。民間の方で百四日分、正式には百四・五ぐらいでしょうけれども、合計いたしまして百十一日分のストックを確保しております。ちなみに第一次石油ショックのときは約六十日分でございました。第二次ショックの直後は約九十日分でございますので、それを比較しましたら百十一日分でございますから、かなり安心はできると思います。さらにどういう点で安心できるかと申し上げますと、この百十一日分のうち、イラクからの八・五%分を差し引きまして、ちょうど三十日分ストックからこれを取りますと一年もてるわけです。六十日分を取りますと二年もてる。一応そういう計算になりますけれども、そう単純な計算ばかりではいけませんので、いろいろなことを手段を講じなければなりませんけれども、多少救われるのは、もちろん御承知のように、イランが航海の通路を変更しておること、それから一次チェックをしておるようなことで、懸念される事態もかなりございますけれども、地中海方面に対するパイプラインがございまして、これがある程度百七十万バレル・パー・デーぐらいでございますけれども、いくことになっておりますし、そういう点。国内の石油製品中間三品の例をとってみますと、たとえば灯油、これも前々からこういう事態を予測はしておりませんでしたけれども、前年、その前からの例がございますので、灯油のストックも六百五十万キロリットルぐらいはやって、これで九月末でそうでございます。これで北海道が来年六月まで消費しても十分なところを、さらに六百八十万キロリットル、正式には六百八十・一万キロリットルをストックしておりますし、その他軽油、A重油も昨年よりも二〇%から三〇%をストックしておるような状態で、いまのところ国内の石油、原油事情は、私どもは国民の皆様に大きなショックを与えて、売り惜しみ、買いだめとかいうようなことはないというふうに思っております。ただ一日も早くこの紛争が解決することを願うと同時に、先ほども申しましたように、あらゆる外交ルートを通じてやらなければならないというふうに思っております。
 それから、例のイランのIJPCの問題でございますが、これもまさしく大きな頭の痛い問題でございまして、私どもは八五%、あるいは九〇%まででき上がっているイランと日本のそういうベンチャーの工事でございますし、何とか一〇〇%完成して、それをつくり上げてイランに納めると、その後のことはいろんな国際的な問題、国内の問題、日本とイランとの問題などで、そう不信感だけを先行さしてだめにするということよりも、完成さした方がいいということで進めてまいりましたが、こういう事態で、きのうは二カ所爆撃されたという報道を得ております。幸いに従事しておる日本人の人々には何らの被害がなかったということでございますので安心しております。しかし、八百何名の人々がいますし、これは先ほど私が報告を受けたところによりますと、それぞれホテルに六百何室をとって収容して、現場から数百キロ離れたところにみんな引き揚げておるというようなことでございますので、これは大戦争にならない限りいいんじゃないか。それからこういう邦人の人命救助、あるいは保護につきましても、万全の措置を講ずるように、手配あるいは指示をしております。そういう状態で全体的なことを申しますと、この紛争が、何度も申しますように、一日も早く、ひとときも早く解決することを願い、あるいは外交ルートを通じてそういうふうに持っていこうという考えでございます。
○説明員(塚本政雄君) イラン、イラク地区所在の在留邦人救出策につきまして、ただいままでとりました措置についてお答え申し上げます。
 先週末、今次紛争が発生いたしましてから、イラン所在地区の邦人数は約千六百九十名、それからイラクには二千八百名、ほかの先進西欧諸国に比べて、わが方の経済協力その他に従事する在留邦人の数が非常に多うございます。そこで、特に南部戦線の拡大とともに、バスラのエリアに八百名、それからただいま大臣御指摘のように、私の方の数字ではバンダルホメイニの三井化学の関係の人は七百二十一名という数字を掌握しておりますけれども、外務省といたしましては、先週末当該のイラク、イラン所在の大使館に訓令いたしまして、在留邦人の緊急避難その他について十分協力するように指示済みでございます。なお、これら企業につきましては、幸いにして一部施設について被弾その他のあれはございますけれども、現在までに至って邦人の安全に危害が至ったという情報は、幸いにして船員一名の人が若干擦過傷を負ったという以外に受けておりません。したがいまして、現状におきましては、バスラエリアから近隣国であるところのクウェートについての脱出、これにつきましてクウェート当局に対しましての入国受け入れ、これを現地クウェート大使館に訓令いたしました。これも快諾を得て、大体国境線を無事に通過しているようでございます。なお、バグダッドエリアからさらに遠くヨルダンに抜ける企業の人もおりまして、これについてもヨルダン側は簡易入国について認められているような次第でございまして、ただいままでに関する限り、昨日の段階で約百名の方々が脱出し、さらに本日五十名の人たちが引き揚げると、こういうことでございます。
 外務省といたしましては、現地及び東京サイドにおきまして、これら企業の方々と十分緊密なる御連絡を得まして、必要な情報の提供、及び必要な今後の協力、援助という点に万遺漏なきを期している次第でございます。
○小山一平君 大蔵大臣に三点ほどごく簡単な御質問を申し上げ、お答えを願いたいと思いますが、総理は、増税をしない、財政再建に当たって増税はしないという意向を示されておりますが、大蔵省のキャンペーンを見てまいりますと、何とか国民に増税を納得してほしいというような姿勢がはっきり見えるような気がいたします。総理と大蔵大臣の間で考え方の相違があってはならないのでありますが、現在大蔵大臣は、総理と同じように、財政再建に当たって新しい増税はしないと、こういう考えで対処されているのでありますかどうなのでありますかという点をまず第一点としてお伺いいたします。
 次は、今日の財政は大変危機的状況にあることはよく承知をしているわけでありますが、この赤字は国民のニーズにこたえるために生じたものであるから、そのツケは国民が払うべきであるという論法であっては私はならないと思います。いろいろ申し述べたいわけでございますが、時間もありませんから申し上げませんが、財政危機の原因は一体何であったのか、反省すべき点は何であるのか、歳出構造において検討を加えるべき点はいかなるものであるのか、こういう観点が財政再建に当たっての基本的な立場でなければならないと思います。この点についてお答えを願いたいと思いますし、もう一つは、まあ大臣も積極的に財政再建に取り組まれて、かなり厳しい姿勢で対処されていることをよく承知をいたしておりますが、そういう中にあって、防衛予算だけは別枠で認めていくという態度は、大臣が財政再建のために各省庁の予算について、きわめて厳しい姿勢で臨んでいるということと相反するのではないか、どうして防衛予算だけは別枠で特別扱いをしなければならないのか、この点についてのお答えをお願いをいたしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えを申し上げます。
 一つは、総理大臣が増税はやらないというのに、大蔵省はいかにも増税をやるようなキャンペーンをやっておるということでございます。御承知のとおり、国の財政というものは、国民の税金によって賄われるというのがこれが原則でございます。しかしながら、昭和四十九年、五十年と、世界的な石油の大幅値上がりに端を発して、世界じゅうが不況になった。そのために日本も大変な不況に見舞われた。そういうようなことで、われわれといたしましては、何とかこの雇用の維持というものを図っていかなきゃならぬ、失業、倒産は困る、こういうような国民の強い要求もございまして、一方、昭和五十年度などは税収もかなり落ち込むというような状態の中でどうするかということのために、いろいろ議論の結果は、国債を発行して総需要を喚起する、いわゆる公共投資というようなものを一つはふやすと、そのために国債が発行された。
 もう一つは、いままで昭和三十五年以来、文教とか社会福祉とかいうものについて、ともかく力を入れていくべきじゃないかというような点から、かなりずっと力を入れてきたわけであります。しかし、これも税収が入らぬということになりますと逆戻りということになってしまうわけであります。本来ならば税金の範囲内で賄うのが本来でありましょうが、一刻も早くこの不況から脱出をして、税収が入るようになれば何とかなるんだから、その間のつなぎとして国債を発行して、やはり教育や、社会福祉も充実をさしていきたいと、こういうようなことで、特例公債等が税収の不足分を補うために発行されたという経緯でございます。それが二番目の私はお答えになろうかと存じます。
 しかしながら、現実の問題として、すでに七十一兆円という国債の残高ができたと。これは税収の何倍もになるわけでありまして、ことしの税収見込みは二十六兆円程度でございますから、その数倍に当たる。しかも、その利払いというのがすでに四兆四千億ですから、これも税収のまあ二割に近いような数字になってきたということになって、しかも昭和六十年からは赤字国債分の元本の返還もしなければならないという事態になると、税収がどれだけ伸びるか、今後の問題でありますが、恐らく税収の三割、あるいはそれ以上というものがいわゆる国債費として払われていく。こういうような状態の中で、ともかく公債依存度が三分の一以上あるというようなことは好ましくない。したがって、現段階に至ると、やはり政府の借金は少なくしていく方向に努力をしていかなきゃならぬということから、財政再建の重要性というものが叫ばれるようになったわけでございます。したがって、いま事務当局におきましては、極力行政経費の洗い直し、これを徹底的にやらなきゃいかぬというようなことからいまやっておるわけでございます。
 しかし、それだけで果たしてうまくいくかどうか、これはまあなかなかやってみなければわからないことであります。やはりこの来年度の税収見積もりというものは、正確なものはわからぬわけでありますが、四兆円ぐらいの仮に自然増収があったとしても、それだけではとても新規の財政需要に応じることはできない。四兆円ぐらいのものがあったとしても、その中で公債費というものがすでに一兆五千億円は降っても照っても利息がつくわけですから、これはよけいにふえる。それで一兆五千億はなくなってしまうと。そうすると、税金が仮に四兆円以上ふえるのですから、当然所得税、法人税あるいは酒税というものもその中で大きなウエートを占める。そうすると、それで入った税金の三分の一近くのものは自動的に地方交付税として流れていってしまう。一兆円ぐらいのものはなくなってしまう。そこへもってきて、どうしても国債を二兆円ぐらい減額する。これはどこから出ているかと申しますと、五十四年度の国債発行の実績が十三兆でありますから、それよりも多いのでは財政再建にならないということになれば、十三兆以下の国債発行ということになると、ことしの予算から比べて二兆円程度はぜひとも減額をしたい。すると十二兆円台になるわけであります。そうなると、もう自然増収は全然ないということになります。したがって、新規需要には一切応じられないというような状態になるわけですから、その中で経費の洗い直しをやって、さらに現在の経費も切っちゃう。しかしながら、どうしても切れないというものはどれぐらい残るのか、もし残る場合には、これはもう切る方をやるのか、それともどうしても切れないというものは何らかの負担をしてもらうのかというようなことは、どちらかに決断をしなければならない問題でございます。したがって、それらについての結論はまだ出しておらないわけでございますけれども、政府の公共サービスを低下させるか、あるいは一部適当な御負担をお願いをするか、あるいはその組み合わせのようなものを考えていくか、その三つのうちの一つしかないということでございます。したがって、総理大臣は新型の大型の増税をやらないというような意味のことを御発言なさったと思っております。私ども別に新型、大型の増税はいまのところ考えておらないわけでございますが、それらのどうしても経費を切ることができないのか、負担をするのかということになると、最終的にはいま言ったような三つの方法しかないわけですから、それらについて予算編成時期までに結論を得て、国会にもお諮りをしたい、かように考えておる次第でございます。
 なお、防衛予算の問題について、防衛予算についてだけ何でそれじゃ別枠を認めるのだというようなお話でございました。これは一防衛予算の査定に当たって特別扱いをする考えはございません。これは、われわれとしてはやはり真に必要なものはつけるし、御遠慮いただいてもいいものは御遠慮してもらうというようなことをやってまいりたいと思います。
 また、サマーレビューの予算の要求という問題について、これらにつきましては条約上の義務の履行に伴って、不可避的に必要とされる経費が原則枠に対する特例とされたのは事実でございます。したがって、このような不可避的な条約上の義務の履行、こういうものを考えた場合、当然これには日米相互防衛援助協定とか、あるいは日米安保条約に基づくところの地位協定とかいろいろございますが、これらの条約に関連をして、すでに国会の議決を経ておる国庫債務負担行為の歳出下にかかわる経費というものについては、これは非常に要求するなと言ってもなかなかむずかしい問題でございます。したがって、これらの問題の非常に特殊な性質に着目をいたしまして、これは要求はいいですよと。その結果が九・七%の要求になったということであります。しかし、先ほど私が申し上げましたように、予算の編成段階においては、防衛費についても一般の経費と特別に区分をするということでなくして、財政事情、他の経費とのバランス、こういうものを考慮しながら、徹底的な削減、合理化を図っていきたい。本当に真に日本の安全保障上、国防上必要だというような経費に限って予算計上はさしたいと、こう思っておるわけでございます。
○小山一平君 きょうは残念ながら総理が出席をいたしませんので、やむを得ず官房長官に若干の御質問をさしていただきたいと思いますが、またきょうは欠席の外務大臣の代行をされるということでございますから、外務大臣にかわっての御答弁もお願いをいたします。
 去る十七日、韓国戒厳普通軍法会議は、金大中氏に求刑どおりの死刑の言い渡しをいたしました。この極刑判決は正常とはとても考えられません。きわめて遺憾な事態と言わざるを得ません。これについて日本国内においてはもちろんのこと、世界各国からこの裁判の不当性に対する批判と、金大中氏の生命と人権擁護の声が高まっていることは御承知のとおりだと思います。この裁判は、七年前の金大中氏の拉致事件と、それに対する日本政府の二回にわたる政治決着が深いかかわり合いを持っていることを考えますと、今回の判決は、日韓関係を悪化させるきわめて憂慮すべき重大性を帯びておりまして、鈴木内閣は厳しい対応に迫られているはずだと思います。
 私は第一に指摘しなければならないのは、この判決の根拠たる適用法令に対する深い疑惑であります。法廷は公開されていたことになっておりますが、判決文は公開されておりません。外務省は、しばしば判決文を要求したと言われておりますが、現在も入手をしていないのでありますか。そしてまた、いままで判決文を外務省に提供できないという、そのことについての理由も全く説明がなかったと言われておりますが、この状況も今日変わっていませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 判決文をわが国に提供してもらいたいということは、外交ルートを通じまして正式に韓国政府に要請をいたしておりますが、ただいままでのところ判決文の提供を受けておらないというのが事実でございます。
○小山一平君 ただいまのような状況でありますと、一体何ゆえに金大中氏に対する死刑が宣告されたのかが疑問になってまいります。
 十八日、韓国の盧外相は、須之部駐韓大使に対して、日本との関係を考慮するよう司法部に要望した結果として、判決に考慮が払われたと説明したと言われております。このことは軍事法廷の判決が行政の裁量によって動かされることを意味していないでしょうか。そしてまた、同時に、私は判決文のテキストが渡されないことと深くかかわっていると思います。すなわち、判決文は公表できないような内容であるという疑いを持たざるを得ません。国家保安法が判決の適用罪名になっているのではないかという疑惑が濃厚であります。そして、これは政治決着とのかかわり合いにおいて大変重要な問題になってまいります。死刑の判決が国家保安法によらずに、起訴状にもない内乱罪によったとするならば、実に不思議なことに、いつどうして内乱罪が入ってきたのか、疑惑は一層深まるばかりであります。この裁判は、法律専門家の間におきましても、わが国内外を問わず、広く共通的にきわめて不透明で疑問の多い裁判であるという、こういう意見が一般であります。外務省はこの裁判について不透明であり、疑問である、このようにお考えになりますか。
○説明員(木内昭胤君) ただいま御指摘の国家保安法の適用がどうなっているか、あるいは内乱罪に関する法令が適用になっているかどうか、この点につきましては、先ほど大臣が申されましたとおり、判決文を入手した上で慎重に検討して対応してまいりたいと思います。
○小山一平君 私はそんなことを聞いているわけじゃありません。判決文をこれだけ提供をしてほしいと要求をしても提供しない、どこにも出さない。なおまた、なぜであるかという説明もなされない。そのことだけでもこの裁判には大変不透明なところがあるのではないか、疑問の点があるのではないかと考えるのが当然である。外務省はそういうふうに考えているのか、考えていないのか、長いこと要りませんから一言で答えてください。
○説明員(木内昭胤君) 判決文要旨はすでに私ども承知しております。判決文全体につきましては、向こうは出さないと言っておるわけじゃございませんで、提供を受けた上で十分検討してまいりたいと申し上げているわけでございまして、そこに疑惑があるということは私の立場からは申し上げられないと思います。
○小山一平君 こういう役人答弁というのは始末が悪いんでありまして、こういう経過を見ただけでも、日本のみならず、世界じゅうでこれは不透明ではないか、疑問が多いのではないかと、こういう声がほうはいとして上がっているのに、判決文を見なければわからない、それまで何とも言えないなんていう姿勢は、これは全く許されない姿勢ですよ。こんな議論をしていると時間がなくなりますから、先に進んでまいります。これは明らかに不透明であり、疑惑が多い、こういうことをやっぱりはっきりと認めるべきです。
 次に、判決で友邦国との関係に配慮したと言っておりますね。これはどういうことを意味するかというと、論告求刑の段階では、明らかに海外での言動について問題にしていたことを物語っているはずです。なぜならば、検察側が海外での言動を問うていないというのであるならば、どうして判決で配慮をする必要がありますか、そうでしょう。論告求刑の過程において、海外の言動は問われていない、韓民統に言及しているのは単なる背景説明にすぎないと言ってきた外務省の言いわけとは完全に食い違うものであって、矛盾撞着と言わざるを私は得ないと思います。外務省は常に政治決着には抵触しない、こんなことばかりに弁明をしてまいりました。責任回避にこだわって、真実に背を向けるような姿勢は、私は改めなきゃいかぬと思います。私は、金大中氏の死刑判決をめぐる疑惑というものは、当然政治決着に抵触している疑いがある。恐らく政府もこのことを一番心配していらっしゃるんでしょう。率直な御見解を外務大臣代理の官房長官からお答え願いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 起訴状におきまして、韓国政府の説明によりますと、訴因と背景説明とが分けられておる、事実そのような体裁になっておりますが、したがいまして、韓国政府の起訴に当たりましての説明は、日韓間のいわゆる政治決着を尊重したものである、一貫してそのように説明がなされてまいりました。しかるところ、判決におきましても、裁判長が、ただいま御指摘のような国際関係を考慮し云々ということを判決で述べたわけでございまして、この点は別段矛盾をしておるものではなかろうと、いかにして韓国政府のそのような対外約束が司法に影響を与えたのか、与え得るのかということにつきましては、韓国内部のことでございますので、何とも私ども申し上げることができませんが、事実問題としてそのような考慮が起訴においても、判決においてもなされたというふうに私ども理解をいたしております。したがいまして、その限りにおきまして、政治決着に背反するものではないと考えておりますが、先ほどからお答えのように、非常に厳格には判決文を入手いたしまして、そしてどのような法令が適用されたかということを私どもとして確かめたい、このように考えておるところでございます。
○小山一平君 官房長官、率直に答えてくださいよ。この判決文がなかなか公表されないということ、そしていま私が述べたような、大変皆さんのいままで言ってきたこととの矛盾撞着、こういうものを考えると、どうもさまざまな疑いや心配があるのではないか。ないですか。一言で結構です。
○国務大臣(宮澤喜一君) 韓国政府から説明されたところ並びに私どもがただいま知り得た限りの状況では、政治決着に背反することはないと考えておりますが、御指摘のように、正確には判決文を見て検討をいたしたいと考えておるところでございます。
○小山一平君 こんな議論をしていても始まりませんから先へ進ましていただきますが、私はさっき言ったように、大変不透明で、疑惑の濃厚な裁判であり、判決であると、こういうふうに強く指摘をしておきます。
 それから、韓民統問題が単なる背景説明であるというごまかしが私はすでに通用しないのではないか。したがって、政治決着の見直しということをやるべきではないか、こういうふうに考えるわけです。
 政府は、法廷でのことは韓国の法律によるもので、有権的解釈は韓国にしかないなどと言っておりますし、あの無法な、韓国政権がこう言ったから多分間違いないだろうなどとごまかしや逃げを打つようなことは、私はもう許されないのではないかというふうに思うんです。私は政治決着に抵触するかしないかというのは、これは韓国にかかわりなく、日本側として自主的に判断できる問題だと思うんですね。昭和四十八年十一月、田中・金両首相の会談による第一次政治決着、そして五十年七月、証拠不十分として金東雲元在日韓国大使館書記官の不起訴を確認したという韓国政府口上書を当時の外務大臣であったあなたが了承をして、第二次政治決着がなされました。
 しかし、考えてみると、金大中氏が現在のような過酷な、非道な運命をたどることになったのは、拉致事件とこれら政治決着が不可分にかかわっております。責任はきわめて重大です。したがって、当時国会においても政治決着は韓国に追従して行われたものである、わが国の主権をおろそかにした不明朗きわまるあいまいな決着であって、将来必ず禍根を残す問題であるとして厳しい議論が重ねられたことは御承知のとおりです。どうですか、やっぱりあのあいまいさを残しておいた政治決着というものが、今日のような大変な事態のもとになっている。こうである限り日韓関係はいつまでたってもすっきりしたものとなるはずはありません。
 一九六七年に西ドイツで起こったKCIAの犯行によって、韓国人学者、留学生十七名がソウルへ拉致された際に、西ドイツ政府は韓国に対して強い抗議を行い、経済援助の停止、国交断絶まで突きつけて全員を連れ戻して原状回復を図ったことを思い起こしますと、西独政府は原状回復によって彼らの人権を守る、そして恐らく彼らに加えられるであろう迫害から彼らを守るという人道的見地に立って、ああした措置をとったわけですね。それに引きかえ、日本政府のその姿勢は何ですか。政府は金大中氏の裁判について関心を持っているとか、憂慮しているなど、及び腰の姿勢はもう許されません。この際、金大中氏の来日を実現して原状回復を図る、こういう段階に私は来ているのではないかと思います。政治決着を見直す考えはありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、政治決着が図られましたゆえんのものは、一九七三年八月のいわゆる拉致事件に関して、わが国の主権の侵犯が行われたという証拠を確定し得なかったというところにあるわけでございます。したがいまして、今後新たな捜査の結果の証拠が出てまいれば、この決着はまた見直すということになっておりますことは御承知のとおりでございますが、そのような状況で政治決着が図られた。この点は主権侵犯を証拠立てることが可能でない限り、私は、政治的な判断としては正しい適切な判断であったと今日も考えております。したがいまして、新たに主権侵害があったという捜査の結果の証拠が出てまいりますればともかくでございますが、ただいまの段階といたしまして、政治決着の見直しを図るということは、政府といたしましては考えておりません。
○小山一平君 そうは申しましても、あなたの第二次政治決着は金東雲書記官、彼の犯行が明らかであるにもかかわらず、韓国政府の口上書を了承するという、そういう決着をつけたわけでしょう。心が痛みませんか、心が。
 それでは、私はあなたにお尋ねいたしますが、政治決着は見直す考えはない、こうおっしゃいます。しかし、あれを契機にして、長期的な軟禁、投獄、その果てに死刑の宣告、こういうことが拉致事件や政治決着によって道が開かれた。著名な韓国の一政治家がこのような不運の道を歩むことになったことに対して、当時の責任者として、率直にあなたはどう思いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども申しましたような事情のもとで政治決着が図られましたことは、私は、わが国としてはしかるべき処置であったと考えておりますが、しかし、一九七三年八月以来の経緯を私どもも決して忘れておるわけではございません。それでございますがゆえに、その後、金大中氏の身柄について、しばしば政府は関心を持っておるということを韓国政府に伝えてまいったわけでございますが、ことに、先般あのような判決がございましたので、政府が憂慮しております旨を表明をいたしたようなわけでございまして、このことは、事実問題といたしまして、過去のそのような経緯を踏んまえてのことである、このように御了解をお願いいたしたいと思います。
○小山一平君 私はせめて宮澤さんから、金大中氏の今日のことを思えば心が痛むぐらいなお答えがいただきたかったと思いますが、いいでしょう。
 次は、鈴木総理はテレビで、金大中氏がもし死刑になれば、対韓経済援助を制約することになる、こう言われましたが、これは政府一致した方針であると受け取ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 鈴木総理の発言は、テレビの番組の中で、地方等からの質問者の質問に一問一答する形で述べられたものでございますが、その趣旨とするところは、わが国としては、従来、韓国に主として人道的な見地からいろいろ経済援助をなしてきた。しかし、金大中氏の裁判の進行によって、わが国の世論も相当にこのことについてはやはり厳しい見方をするに至っておるので、政府の従来やってまいったようないろいろな対韓関係の施策、それがもし政府が憂慮しているような事態が差し迫ってくる、あるいは不幸にして実現するというようなことにでもなると、非常に政府としては従来の政策を継続してとることはとりにくいような状況になるのを憂慮する、こういうことを言われたものと考えておりまして、いまの段階で従来の関係なり、政策を凍結するといったようなことを直ちに意味されたものではないと了解をしております。つまり総理大臣の言われようといたしましたことは、わが国の憂慮というものを具体的に、それがどのようなことに発展し得る、そのような危険と申しますか、そういうものを含んだものであるということを言われることによって、憂慮を表明されたと、こういうふうに私としては了解をいたしております。
○小山一平君 もう少しわかりやすく言ってください。何を言っているのかさっぱりわからない。総理は、金大中氏が、もし死刑になるようなことになれば、いまおっしゃったようないろんな理由もあるでしょう。理由もあるかもしれませんが、いずれにしても対韓経済援助をいままでのように継続していくことはできなくなる。だから死刑などという極刑を実施するということはやめてほしいという意味のことをわかりやすく述べられたのだと思いますよ。違いますか。あなたは、それでも何でも国民世論のせいにして、国民世論が、対韓感情に対して非常に悪化をしてくれば、やむを得ないからそういうことにもなりかねない、自分の意思というものはないじゃありませんか。政府は、国民世論もこうであるし、政府としてもこうあるべきだと考えるということをどうして主体的な立場でおっしゃらないのですか。私は、ぜひあなたにはそういう点をはっきりさせていただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 死刑にすることはやめてほしいということを一国の総理大臣が言われますということが、たとえ御本人の気持ちはどのようにいたしましても、この際、ただ韓国側から、それは、いわゆる国内問題についての干渉であると受け取られかねないのみならず、むしろそのように受け取られました場合には、われわれが最も憂慮しておるような事態をかえって招きかねない、そういう考慮がございますから、したがいまして、総理大臣としては、死刑にすることをやめてほしいということは、これは口に出すことができない、これは御了解がいただけると思います。しかし、そういう心配を先ほどのような形で表明したのであろう、そういう御解釈であれば、私はそれについては別段異を申し立てる必要はないと思います。
○小山一平君 私は死刑にすることをやめてほしいと何も言えと言ったわけではないんです。総理がこういう発言をしたのは、そういう意味が含まれての発言であろうと、こう申し上げたんですよ。したがって、私は官房長官も少なくともそういう気持ちがおありでしょうから、韓国に対して万一死刑になるようなことになれば、日韓の関係は大変なことになる、経済援助も制約をせざるを得ないようなことになる、こういうことをはっきり言っていただけばそれでいいんです。いいですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) その点は、先ほど申し上げましたように、総理大臣は日本政府が持っております憂慮というものの深さをそのような形で表明をされたものと、こう考えておりまして、私もそのとおりに考えております。
○小山一平君 伊東外務大臣が米国でマスキー国務長官と金大中問題について話し合いを行って、両国とも事態を憂慮をしているということで意見が一致したというふうに報じられました。憂慮しているということはきわめて抽象的な表現でありますが、韓国に対する具体的措置について何か合意に達したものはありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国はわが国なりに私どもの持っております憂慮をいろいろな形で韓国政府に伝えておりますし、また米国も米国なりの方法でそういたしておるように承知しておりますけれども、両国がこの際共同して何かの意思表示に出るということは、伊東・マスキー両者会談では出ておりませんし、またそのようなことを日本政府としてただいま考えておりません。
○小山一平君 伝えられるところによりますと、米政府はかなり韓国に対して具体的な制約措置をすでにとっていると報じられております。私は、日本の政府も死刑になったらこうするんでなくて、そういうことにならないようにいまのうちからさまざまな制約措置を講ずべきだ、こう思います。たとえば実務者会談で合意を伝えられている円借款、こうした経済援助の供与なども一時凍結をするなどという措置をとるべきではないか、こう思います。
 それからもう一つ、日韓大陸だな開発問題について加えてお尋ねをいたしますが、田中通産相は九月四日ですかの記者会見で、石油公団法の一部改正法の採決の際の国会の附帯決議を無視して、開発に石油公団の投融資を可能にしたいとの見解を明らかにされたと報じられております。私は、これは日中間でもようやく話し合いが始まるところで、国会決議でいう国際紛争の地域でありますし、一つにはこれはあなたが恐らくこの金大中氏の判決以前のことであったということもあって、こういう発言になったと思いますが、いま申し上げたように、従来からの経済協力でも凍結しようという微妙な段階でありますから、いまここにおいて国会決議をやめてもらって、そしてこの開発の促進を図りたいなんという考え方は、やっぱりやめていただく必要がある。国会決議を遵守していくという姿勢をこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
 時間が参りましたから、以上の二点の御答弁を求めて、残念ながら質問を終わることになります。
○国務大臣(田中六助君) この問題は私はバックグラウンドは実は十分知っておりまして、あなたと同じ党の小柳勇先生に当時非常なレクチャーを受けておりまして、石油公団法の一部改正法の第四項目目に、そういう一つの衆議院の附帯決議があるわけでございまして、御承知のようにいま私ども中近東にエネルギーを依存して、全世界に依存しておるわけなんでございますが、八八%なんです。そのうち中近東方面は七三%で、御承知のように石油の九九・八%はわが国は輸入でございます。昨年度から今年度にかけての貿易の問題をとってみますと、全貿易量が千三百五十五億ドル輸入しているんです。その中にオイル関係に支払っているのが六百八十億ドルもあるんです。今回の二十八ドル・パー・バレルから二ドル値上げしまして、これが三十ドル・パー・バレルになっておるのですが、これが十億ドルです。足しますと実に六百九十億ドルというのが油に払っております。輸入量の約半分の金でございまして、これがわが国際収支、あるいは経済問題に与える影響は大きくて、しかも今回のようなことになりますと、本当を申しますと、綱渡りのようなことになって、私どもの生活はもちろん、全産業に与える影響が大きい。したがって、どうしても手っ取り早い安全な石油の確保はどこにあるだろうかと、こう責任者として考えざるを得ないんです。石油代替エネルギーの問題にいたしましても、私がいまさらここで述べる必要ありませんけれども、いろんなことを考えてやっておりますけれども、日韓大陸だなの将来はどうだろうか。第一回目に試掘したときに油徴があったということを私どもは聞いておりますので、これが早く本当に噴き出すことができるならば、ちょうど英国が北海の油田に成功して、経済の安定、国民生活の、しかも政局の安定という方向に向かいつつあることを考えますときに、やはり目は日韓大陸だなに向かわざるを得ないんです。御承知のように、物理探査から試掘、試掘からいろいろ開発という方向にまいるわけでございますけれども、しかし御指摘のように衆議院の附帯決議もございますし、あるいは漁業組合が五つございまして、その一つは漁期の一月から四月の間は触れてはならないとか、いろんな制約が三つも四つもあります。たとえば一本の削掘が三十億から四十億かかるんです。しかし、そういうものをあらゆる条件を克服していった方がいいんじゃないかということで、この附帯決議の一つの枠は十分承知しておりましたけれども、しかしそういうことどもを含めて、もし日本の企業、これに携わっている企業の人たちが、石油公団に何とか融資をしてほしいというようなことがあるならば、もう一度国会にお願いしてそういう附帯決議についても再考慮をしてもらわなくちゃいけないねというような話をしたわけでございます。私も新聞記者の出身でございますからわかるんですが、前後をカットしてその部分だけを浮き彫りにしておるわけでございまして、そういうことがあなたの質問の大きな原因になったと思いますけれども、私の真意はそこにあることでございまして、国会の附帯決議を無視しようというような考えはさらさらなかったわけでございます。
○寺田熊雄君 宮澤外務大臣代理にお尋ねしたいと思いますが、日本政府が金大中氏に対する死刑判決に関して、重大な関心や憂慮を表明しているということ、そしてその行き着くところは、もしもこの憂慮なり、関心が無視された場合には、韓国に対する経済援助などに重大な制約を受けると、そういう趣旨のことを鈴木総理は言っておられるように思います。私は総理のNHKの放送そのものを当時見、かつ聞いておったんですが、ところがきょうのあなたの御答弁では、単に憂慮を表明するというだけにすぎないようなトーンがありますね。しかし、どうなんですか。私は日本の外交の一番の欠点は、やっぱり土性骨がないというか、本当の意味の自己主張というものに欠けておるように思うんですね。いま韓国は、日本のそういう関心なり、憂慮の表明に対して、余り干渉するなというようなもうすでに反撃を開始しておるわけです。私は、そういう事態で、あなた方が憂慮なり、関心を先方によって無視された場合に、すごすごと引っ込むのか、それともやはりそういう憂慮なり関心をネグレクトされた場合に、土性骨を示して、経済援助の制約にまで突っ込むのか、あるいは定期閣僚会議の開催を無期に延期するというような自己主張をなさるのか、そのあなた方の決意をお伺いしたいんですが、この一問だけお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御質問の意味がわからないわけではございませんが、政府といたしましては、政府が憂慮しておりますような事態が起こらないために何をすべきか、何をしてはならないかということを中心に考えてまいらなければならないと思っております。これは決して土性骨云々ということではなく、憂慮した事態を回避したいと願いますればこそ、表現については細心の注意を払ってまいらなければならない、こう考えておるわけでございまして、外務大臣といたしまして、ただいまわれわれの憂慮しておる事態が不幸にして現出をしたというようなことを前提にお答え申し上げますことを、どうぞお許しいただきたいと思います。
○寺田熊雄君 時間がございませんので、外務大臣代理に対するのはまた今後にいたしますので、きょうはこれで結構です。
 園田厚生大臣にお尋ねします。
 所沢市の富士見病院のいわゆる乱脈な診療行為ですか、これはわが国医療史上にもきわめて特異な事件だと思います。病院というお城の中で、医師がその特権的な地位を利用して、非常な、国民の生命、健康を守る神聖な職務というものが放棄されて、われわれが指弾すべき薬づけであるとか、検査づけであるとか、あるいは不当な、あるいは不法な料金をほしいままにしておるとか、わが国の医療の荒廃というものは非常なものですね。しかし、今回の事件のように、健康な臓器をこれは摘出しなければならないというようなことを言って患者を欺罔して、そしてそれを摘出してしまうというような、こういう事態は私はきわめてまれだと思いますね。
 私は厚生大臣にこれはひとつぜひ考えていただきたいのは、これはあなた方に一半の責任があるということです。これは医師の不道徳なり、医師の倫理観の低下ということだけで済まされないわけですね。というのは、厚生大臣は法務大臣が弁護士に対すると違うんです。法務大臣は弁護士の行為に対しては何らの監督権を持たない、しかし厚生大臣は、医師に対しては免許の取り消しもできる、医業の停止も命じ得る、こういう強烈な監督権を持っておられるわけですよ。それだけに、あなた方がいままでこういうような医道の荒廃、医療の荒廃を放置して、そして今回のような、健康な臓器を患者をだまして摘出する手術を行うというような、そういう病院をそのまま放置していた責任はきわめて私は重大だと思いますよ。しかし、齋藤厚生大臣の辞任の弁を伺いますと、厚生省の職員に対して迷惑をかけたというような謝罪の弁はあるけれども、国民に対して御迷惑をかけたとか、あるいはそういう大きな被害を受けた患者に対して大変気の毒だったというような謝罪は一言もない。あなたも厚生大臣におなりになりましてからそういう御見解を表明なさったことがないでしょう。これは厚生大臣、あなたもまた責任を感ぜられて、そして国民に対して謝罪し、患者に対して謝罪をするというお気持ちがあってしかるべきだと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします前に、一言だけごあいさつをお許し願いたいと存じます。
 予期せざる事態で厚生大臣に就任をいたしました。いま置かれたる厚生行政の環境というものは非常に厳しいものでありまして、一歩過てば政治の基本が揺るぐような事態になると考えております。御承知のとおり浅才非力ではありますが、力を省みず、各位の御指導と御援助と御意見を賜りつつ、精根を尽くして業務に精励する所存でございます。どうかよろしく御指導を願います。
 お答えを申し上げます。
 いま申された御意見には一言の異存もございません。今度の事件は、医療機関の不正事件であるとか、あるいは保険の二重取りであるとか、あるいは医療機関が営利に走ったという医療の問題からはるかに超えた人間性、倫理の問題であります。したがいまして、私は、この問題は単に厚生省だけではなくて、内閣全般としてこれを受けとめ、深刻に反省すべきであると考えておりまして、記者会見でもそういうふうに言明をいたしております。指導監督強化、徹底的追及はもちろんのこと、その前に監督すべき立場にあった厚生省自体に問題はないか、厚生省自体が医療行政というものに対する倫理と、血の通った考え方が欠如していなかったか、それから制度の矛盾が、だんだん医療行政が、患者と医療機関が離れて、営利のためにためにと、こういう事件を起こしたということはまず反省をし、今後この点について十分責任を感じながら処置すべきであるということは、御意見のとおりでございます。
○寺田熊雄君 そうしますと、国民なり、健康な臓器を摘出された被害を受けた患者に対しても相済まないという、そういうお気持ちを持っていらっしゃいますね。
○国務大臣(園田直君) 気持ちの問題ではなくて、それから出発しなければ、この問題の今後の問題は、失われたる国民の信頼は回復できないと考えております。
○寺田熊雄君 いままで医師、医師会、医師会長などに対して、余りにも卑屈な態度をとり続けられました医療行政――いままで例外として非常に勇敢に立ち向かわれた厚生大臣もいらっしゃいましたけれども、これは例外で、大体において非常に卑屈な態度をおとりになったようですね。今回の事件では、厚生大臣、断固とした処分をそういう医師や病院に対しておとりになるおつもりございますか。
○国務大臣(園田直君) 当然のことでございます。
○寺田熊雄君 それでは時間がありませんので、大臣にはこれだけにします。
○委員長(野田哲君) 寺田君の質疑の途中ですが、午前中の質疑はこの程度とし、午後一時五十分まで休憩いたします。
   午後零時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時五十二分開会
○委員長(野田哲君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十二年度決算外二件について、寺田熊雄君の質疑を行います。
○寺田熊雄君 最初に、富士見病院の医師法違反、その後の捜査経過ちょっと説明していただきたいんだけれども。
○説明員(谷口守正君) お答え申し上げます。
 埼玉県警察では、かねてから埼玉県の所沢市所在の医療法人芙蓉会富士見産婦人科病院の乱診乱療ぶりにつきましての風評を聞き込んでいたわけでございますけれども、この点につきまして、何分病院内のケースであるということで、慎重に内偵を継続しました。また、法的にもいろいろの観点から検討を加えてきたわけでございますけれども、理事長に対する容疑が濃くなったということで、九月十日事件検挙に着手いたしました。この病院の理事長北野早苗五十五歳を医師法及び保健婦助産婦看護婦法違反容疑で逮捕したわけでございます。逮捕の容疑は、医師や看護士の資格を有しない北野がこの病院におきまして、昭和五十三年九月ごろから昭和五十五年五月ごろまでの間、主婦など十二名に対しまして超音波診断装置を操作し、患者などに対しまして子宮筋腫、卵巣嚢腫などの病名を告知するなどの診断行為をしまして、無免許で医師及び看護士の業務を行っていた疑いによるものでございます。現在、勾留が認められましたので、北野を引き続き取り調べを行いますとともに、関係者からの事情聴取を行っているという状況でございます。
○寺田熊雄君 いま保安部長の報告なさったもののほかに、私どもが非常にショッキングな事件として受けとめているのが、健康な子宮、健康な卵巣を持っておる婦人に対して、それが手術を必要とするものであるかのように偽罔をして、そういう健康な臓器を摘出してしまったという、そういう犯罪ですね、それを非常に重大に受けとめておるわけですが、その方についても突っ込んで捜査をなさっておられるんでしょうね。もしそうとすると、その立件の見込みはどうでしょうか。
○説明員(谷口守正君) お答え申し上げます。
 逮捕の直接の容疑になりましたのは、ただいまお答え申し上げましたように、患者十二名についてでございますけれども、現在までにさらに数十名の方につきましていろいろと事情をお聞きしているというようなことでございます。と申しますのは、北野を逮捕し、それが報道されますや、御案内のとおり非常に社会的な反響を呼んだわけでございます。現在、九月二十三日現在でございますけれども、警察に対して二百八十四名の方、それから保健所等に対しまして九百九十名の、合計いたしまして千二百七十四名の方から、いろいろな形でお話があったということでございます。これらの中には二回以上にわたってお話しいただいたという方もおられるわけでございますけれども、多数の方がこの病院の問題についてかかわり合いがあったということでございます。これらの方々の中で、先生御指摘のように、問題の富士見病院の診察を受けた患者さんで、御指摘のような趣旨の話をしておられる方もおられるわけでございまして、具体的な事実関係については現在まだ捜査中ということでございます。
○寺田熊雄君 いま健康な臓器を手術を要する悪性な病巣があるように言うて、それを手術して取り出すという行為ですね、これはもう診療行為とはわれわれが法律的に考えられないわけで、これはもう健康な身体に傷害を与える傷害罪だというふうに考えざるを得ないわけですが、あなた方もそういう観点からやはり捜査をしておられるのでしょうか。
○説明員(谷口守正君) 現在北野を逮捕、勾留、取り調べ中でございまして、関係者が非常に多いということでございます。また、事実関係について必ずしも明らかでないという部分がございます。とりあえずは容疑事実が先ほど申し上げましたように医師法等違反ということで問擬しております、この観点で捜査を続けておるということでございます。
○寺田熊雄君 きのうの夕刊で検察庁の方もこの事件について院長を取り調べているということが報道せられましたね。検察庁としても、いま保安部長が言われたように、警察とタイアップして、もうすでに捜査を開始しておるというわけでしょうか。
○説明員(前田宏君) ただいま警察の方からお答えがございましたように、九月の十日に逮捕が行われまして、検察庁の方には十一日に送致を受けたわけでございます。したがいまして、現在検察庁におきましては、警察当局と協力をして、この事件の捜査に当たっているわけでございます。
○寺田熊雄君 いま保安部長のお話によりますと、千名を超す方々がいろいろな訴えをしておるということでした。その中には、私がお尋ねした健康な臓器を摘出せられた者もあるというふうに承ったわけですが、それもやはり検察庁としては捜査なさるわけでしょうね、当然。
○説明員(前田宏君) その点も先ほど警察の方からお答えがあったところでございますが、当面は最初の逮捕事実、また勾留事実でもございます医師法並びに保健婦助産婦看護婦法違反、この事実につきまして証拠固めをするということに力を注いでいるわけでございます。しかしながら、いま御指摘のようないろいろな点が新聞等にも報道されているところでございますので、今後捜査がどのように進みますかは、捜査のことでございますから、いまの段階でははっきりしたことは申し上げられませんけれども、御指摘のような点も十分頭に置いて捜査をするものと、かように考えております。
○寺田熊雄君 法律的な問題だから刑事局長にお尋ねするわけだけれども、健康な臓器、つまり手術を要しないものを手術を必要とするかのように偽って手術をするというのは、これはもう疑いもなく傷害罪になるという私どもの解釈だけれども、一般論としてこれは刑事局長のその点に対する御見解を伺いたいと思います。
○説明員(前田宏君) いま寺田委員も一般論ということでございますので、そのようにお答えしてもいいかと思いますけれども、現に具体的な事件が進行中でございまして、御指摘のような点十分頭に置いて捜査すると思いますけれども、何分にも事実関係がまだ明らかでないわけでございますので、一般論と申しましてもこの件についてお答えをするようなことになるわけでございますから、明確なことは差し控えさしていただきたいわけでございます。
○寺田熊雄君 これは刑事局長、法律論としてあなたの御見解を伺っているのでね、だからいいんじゃないですか。健康な臓器を不健康な臓器であるかのように偽って、そして手術を必要としないのに、手術を必要とするかのように偽罔して、そして手術を承諾させる、それで切っちゃう。これは明らかに傷害罪じゃないか。一般論としてお答えなさったらどうでしょう。
○説明員(前田宏君) 同じようなお答えで恐縮でございますが、一般論としてのというお尋ねであり、お答えであるとすれば、そういうような考え方も十分成り立つかと思いますが、やはり具体的な事件が捜査中でございますので、それに影響を与えるようなことになりますといかがかと思いますので、その程度にさしていただきたいわけでございます。
○寺田熊雄君 同じようにまあ大体肯定していると見ていいね、局長のお答えは。
 それから、一般論として、これは手術が必要でないのに手術を必要とするというように偽罔して、そして手術をしてしまって、それで手術代を要求するというのは、これは詐欺じゃないかと私は考えるんだが、一般論としてこれはどうです。
○説明員(前田宏君) その点ももう少し事実関係が明確になりませんと、はっきりしたことはお答えいたしかねるわけでございますけれども、そういうような考え方もあり得るかと思います。
○寺田熊雄君 これは保安部長にも刑事局長にも、どちらにも御要望を申し上げたいが、これは全国民が関心を持って見ております。そして女性の生命とも言うべき臓器を、必要がないのに摘出してしまうというような、これに対しては大変な関心を女性である国民が注目しているわけだから、これはやはりこの点にぜひメスを入れて、徹底的にひとつ厳重な処置をしていただきたいと思いますが、その決意を持っていらっしゃるかどうか、どうです。
○説明員(谷口守正君) 本来無免許の医療行為というのは医師法違反の中でも、人の健康、それどころではなく、生命に直接かかわる悪質な犯罪だと、こう思うわけでございますけれども、今回のように病院の責任者が長期間にわたり、多くの患者の方で、また先生御指摘のようなケースということで、きわめて悪質な事例だと、こう思うわけでございます。埼玉県警においては、文字どおり総力を挙げて、この実態解明に厳しく刑事責任を追及するということで鋭意捜査中でございます。私どももそのように指導してまいりたいと、こう思っております。
○寺田熊雄君 刑事局長、これはあれですか、病院長を調べ始めたようだけれども、北野だけじゃなくて、病院全体の犯罪の容疑というのを頭に置いてお調べになっておられるんでしょうね。
○説明員(前田宏君) 現在外形的なことは、先ほど来申し上げておりますように、この北野早苗という人に対する医師法等の違反の容疑でございますが、その事実を確定するにつきまして、いろいろと必要な関係者を取り調べるということを警察とともにやっておるわけでございます。その間にその関係者につきまして、また独自に犯罪の疑いがあるということになりますれば、当然それについて捜査をするということに相なるわけでございます。
○寺田熊雄君 もう一つ、この点についてはいろいろな政治献金が行われておるでしょう。これについては涜職の疑いがあるという新聞報道が非常になされておるんだけれども、この方面にもやはりあなた、頭に入れて捜査を進めていらっしゃるのか。
○説明員(谷口守正君) 先生が御指摘のような事実につきましての報道、これにつきましては、私ども十分承知しておるわけでございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、現在医師法等違反ということで捜査中でございますので、現段階においてこれらについての捜査方針を申し上げることは差し控えさしていただきたいと、こう思います。
○寺田熊雄君 私、齋藤前厚生大臣、それから澁谷元自治大臣がこの富士見病院の北野理事長から政治献金を受けたということを認めていらっしゃるので、政治資金規正法上の届け出があるかどうかということを調べてみたんだけれども、いずれもどうも届け出がないようですね。齋藤厚生大臣については、社会政策研究会、これは宝示戸政次郎という人が代表者になっているようだけれども、これについてもそういう届け出が全くない。それから、新政策研究会、これは今野茂夫という人が代表者になっているが、これもやはり全くない。それから、福祉政策研究会、高木寿之という人が代表者になっておられるようだけれども、これも全くその届け出がなされていない。それから、澁谷元自治大臣、この人の政治団体は協和会という、これは代表者の記載がないけれども、協和会というものがある。それから、澁谷直藏後援会、直峯會というのがあるんです。これも調べてみると、いずれも北野からの政治献金の報告はなされていないというふうに私どもはこの事実を認めたのですが、これに間違いありませんか。
○説明員(大林勝臣君) 御指摘の政治団体につきまして、私どもも内容を見ましたところ、関係の個人、あるいは団体から寄付されたという寄付者の名称が載ったものはございません。
○寺田熊雄君 こういうふうに政治家が政治資金規正法というものを全く無視して、これが事実上ざる法になっているんだけれども、選挙部長としてはどういうこれに対して所見をお持ちですか。
○説明員(大林勝臣君) もう先生も十分御承知のことと思いますが、政治資金の問題、できるだけガラス張りにしたいということで、長年の間いろいろ各方面から議論を賜ってきたわけであります。二十三年以来改正がなかったものについて、五十年の改正で現在の制度までこぎついておるわけでありますけれども、結局政治資金の問題について、法的な規制をどうするかという非常に政治的な問題であるわけでありますけれども、同時にやはり政治資金の取り扱い自体というものは、結局は政治団体が年間の収支を国民の前に公表をする、同時に政治資金のいきさつであれ、あるいはその事実関係というのはその公表を通じて国民が判断をすると、こういうシステムで一貫をしておるわけであります。政治資金の規制の問題について今後いろんな御意見、いろんな問題点が残っておると思いますけれども、結局最後のところは世論の批判というところに待つ以外にないという思想というのは、恐らく今後とも続いてまいると思います。いろんな技術的な問題というのは残ってまいりますけれども、私どもとしましても、政治資金の問題というのは、これは諸外国でも同じでありますけれども、結局は常時、ふだんの国民の判断、批判というものに待つのが最良の良策であろうと、こう考えております。
○寺田熊雄君 この事件では富士見病院の脱税の問題が非常にこれもまた強い疑いを受けておるようですね。ある程度新聞報道もあるようですが、大体国税庁で調査なさったところではどんなふうでしょうか。
○説明員(渡部周治君) お答え申し上げます。
 個別案件につきましては、詳細な御答弁は御容赦をいただきたいと存じておりますけれども、医療法人芙蓉会に対しましては、この事件が発覚前の本年の初めに通常の調査を実施しておりまして、その際所要の課税処分を了しておるわけでございます。今回最近の新聞報道等にございますように、いろいろの新たな事態が出てまいったわけでありまして、われわれといたしましては十分な関心を持って現在事態の推移を注目しておるところでございまして、何分現在の段階は捜査当局が御捜査をされておる段階でございまするので、現在はその進展を見守っておるというのが現状でございます。
○寺田熊雄君 大体、そうすると所得税法違反なり、そういう疑いは持って捜査を行っているということですね。
○説明員(渡部周治君) 最近の事態につきましては、ただいまお話申し上げましたように、事態の推移を見守っておるところでございまして、重大な関心を持って見守っておるということでございます。
○寺田熊雄君 次に大蔵大臣にお伺いをしますが、先ほどあなたは小山議員の質問に対しまして、防衛庁の予算だけを特別扱いにはしないということをおっしゃったですね。しかし九・七%というこの天井を認めたことは、これは特別扱いではないかという疑いをだれしも持ちますね。あなたは何か条約上の義務によるものなどはやっぱりやむを得ないというお答えなさったけれども、しかし安全保障条約から当然に条約上の義務としていま防衛庁が要求しているような予算を必要とするものじゃないというふうに思うけれども、あなたの言われる条約上の義務から出るこの支出というのは何を言っておられるんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本国とアメリカとの間で、日米相互防衛援助協定、あるいは日米安保条約等に基づく地位協定、こういうようなことで、いろいろと約束事がございます。それで、その中でいろいろ防衛の問題で装備等をしなければならないもののうち、すでに国会において議決を経ている国庫債務負担行為等の歳出にかかわる経費については、その経費の性質上、すでにもうことしのうちに来年はこれをつくるという契約等が行われておると、そういうものを外すというわけにはいかないので、そういうものを取り込んだ結果、一般の指導枠である七・五%という増加要求枠をはみ出しても、それは要求としてはやむを得ないと、そういうことを申し上げたわけです。
○寺田熊雄君 そういう理論は一応わかるんですがね、じゃ具体的にどういう支出があるかというのは、具体的に何のために幾ら出すというその支出を伺っているんですよ、昔の臨時軍事費のように、内容がさっぱりわからぬというんじゃ困るから。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 艦艇の建造、その他何年かにわたるものがあるわけであります。
 委細については事務当局をして答弁いたさせます。
○説明員(吉野良彦君) 大筋は先ほど大臣から御答弁申し上げましたとおりでございますが、先生も御承知のように、この概算要求の枠の取り扱いにつきましては、去る七月二十九日の閣議了解で取り扱いをお決めいただいたわけでございます。この閣議了解にいろいろ書いてあるわけでございますが、その中でただいま御指摘がございました部分につきましては、こう書いてあるわけでございます。「国際条約の実施に伴い必要とされる既国庫債務負担行為等の昭和五十六年度歳出化に係る経費についても、」原則の枠の中で要求するように努めるものとするが、どうしてもそれを超える部分につきましては、超えてもやむを得ない、というふうに書いてあるわけでございます。
 そこで、この既国庫債務負担行為の歳出化に係る経費というものを、具体的に防衛関係費の場合に当てはめて申しますと、おおよそ三つ類型がございます。
 一つは先ほども大臣がお触れになりましたが、日米相互防衛援助協定に基づきまして、いわゆるFMSという形式で日本政府が米国政府から有償援助という形で武器等を調達しているものがございます。このいわゆるFMSにつきましては、米国との協定上、たとえば契約の価格でございますとか、それから前金をどのぐらい払うかとか、あるいはまたその後支払いが数年間にわたりますものにつきましては、年度別の支払いの金額を米国政府と細目を打ち合わせまして契約をしているわけでございます。そういう性質がございますために、年々、これは年々そうでございますが、国庫債務負担行為という形で国会の御承認をいただいているわけでございます。
 そこで、五十六年度につきましては、五十五年度以前にこのようなFMSの形式によりまして調達する武器等につきまして、国庫債務負担行為という形で国会の御承認をいただきましたものが、五十六年度以降いわゆる歳出化、つまり現金の支出として日本政府が支出をしなければならない――歳出化と私ども呼んでおりますが、こういう五十六年度にどうしても現金ベースで支払いを要するという部分があるわけでございます。そういう部分につきましては、原則的な枠の外に一部分はみ出してもやむを得ない、こういう扱いをしたわけでございます。これが第一の類型でございます。
 第二の類型でございますが、これも先生御案内のとおり、防衛庁の大型の艦艇につきましては、継続費という形で年々その調達につきまして国会の御審議をいただき、御議決をいただいているわけでございますが、この継続費も御案内のように各年度別の年割り額を国会の御議決をいただいているわけでございます。そこで、この継続費につきましては、五十六年度の年割り額になっているもの、これはひとり政府の意思だけでは変更することはできない、そういう性質の年割り額でございます。そこで、この継続費の五十六年度の年割り額に相当するもの、これも先ほど申しました第一の類型に準ずるものとして、原則の枠の外に一部分はみ出しても差し支えがない、こういうような取り扱いをしたわけでございます。
 それからもう一つ、第三の類型でございますが、これも御案内のように、いわゆる日米地位協定に基づきまして、日本政府が米軍にいろいろな施設を整備いたしまして提供いたしてございます。これは日米地位協定に基づく施設の提供でございまして、調達につきまして数年間を要しますものにつきましては、いわゆる国庫債務負担行為ということで国会の御議決をいただいているわけでございますが、これも、五十五年度以前に御承認をいただいたものの五十六年度の歳出化にかかる部分につきましては、原則の枠の外に一部出ることもやむを得ない、こういうような取り扱いをされている、こういうことでございます。
○寺田熊雄君 理論的には大体あなたのおっしゃることは理解できたのですが、その支出の内容、これがわれわれに全く知らされてないわけで、次長、その内容をわれわれにわかるように、たとえば具体的にこういう支出がこの年度に義務づけられているのですと、その概要とその金額を私どもに一覧にして出してください。よろしいか。
○説明員(吉野良彦君) ただいま手元に資料を持ち合わせておりませんが、委員の御要望にこたえるように、何らか防衛庁とも相談をいたしまして資料を先生のお手元にお届けできるようにいたしたいと存じます。
○寺田熊雄君 これは大臣、予算書を見ていつも私どもは感じるのですが、予算書を見ただけでは、一体どういう具体的な支出があるのか、そのための予算なのかということがわからないのですが、大臣もこの予算書をごらんになって、その支出の内容がよくおわかりになりますか。あなたの御経験を伺うのですが。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全くあれはむずかしくてなかなかわからない。私も議員十七年やっているけれども、すみからすみまで見たことはありません。非常に難解でございます。もっと何かやさしくなる方法はないかということでありますが、聞いてみると、これについてはいろいろな法律があって、その法律にかなうように書かなければならないので、どうしてもあんなことになってしまうというようなことであります。内容については次長から説明をさせます。
○寺田熊雄君 大臣はいま法律にいろいろ規定されておるのでこういう形式になると言われたのだが、法律の規定を踏んでないのですよ。つまり、財政法規を見ますと、これは財政法にあるのだけれども、「国会に提出する予算には、参考のために左の書類を添附しなければならない。」とありましていろいろ書いてある。その十号に「その他財政の状況及び予算の内容を明らかにするため必要な書類」というのがあるのだけれども、われわれが予算書を見ても、これはさっぱりわからない。たとえば、航空機購入費幾らと書いてあるでしょう。どんな航空機を一機幾らで、そしてそれを何機買うのだなんということは全然わからない。そこで、一般会計歳出予算各日明細書というのが添付されている。これによって私どもが見てみても、やはり航空機購入費幾ら、艦船建造費幾らということだけで、これでは大臣、あなたがおっしゃった、財政法第二十八条の十号の「予算の内容を明らかにするため必要な書類」を添附しているということにならないのじゃないですか。あなたのおっしゃるのはまさに逆だと思うけれども、どうです。
○説明員(吉野良彦君) 先生がただいま御指摘になりましたのは私かように理解をするわけでございますが。いわゆる予算書の中にございます予定経費要求書、項別、事項別の簡単な個条書きの説明がついたものが予定経費要求書として予算書の中に入ってございます。御指摘のように、予定経費要求書の説明によりますと、たとえば防衛庁の航空機購入費の部分を見てまいりますと、説明のところに「所掌の任務の遂行に必要な航空機の購入」というふうに説明が書かれているわけでございます。確かに一見非常に簡単でございます。実はあるいは先生も御記憶かと存じますが、いわゆる予算書は前は横長ではなくて、縦長の予算書でございました。これはたしか四十年代の初めごろでございましたか、私ども予算書にいわゆるコード番号を付しまして、統計的機械的な計数処理ができるように予算書自体のつくり方を変えたことがございます。この変えるときに当たりましても、説明の表現、予定経費要求書の説明の仕方と申しますか、その説明の書き方についてずいぶん局内でもいろいろ議論をいたしまして、結局いまごらんになっているような形のものに落ちついたという経緯がございます。これは経緯でございますが、それと別に、もう一つ先生が御指摘になりました財政法二十八条による参考書類でございますが、これはいわゆる予算書とは別に、たしかこのぐらいの厚さの財政法二十八条による参考書類ということで、別とじで予算書と一緒に国会に御提出申し上げていると存じますが、この財政法二十八条の参考書類、これをごらんいただきますと、防衛庁の場合には武器、艦船等大部分のものはこの国庫債務負担行為、あるいは継続費にかかるものでございますが、この財政法二十八条参考書類をごらんいただきますと、国庫債務負担行為のいわばかなり詳細な説明がこの二十八条の参考書類の中に織り込まれてございます。私どもは、この予算書それ自体と、それから財政法二十八条によります参考書類とあわせごらんいただきまして、相当の目的を達し得ているのではないかというふうに現状を理解をしている次第でございます。
○寺田熊雄君 私も今度この質問をするというので、防衛庁からいろんな書類を取り寄せてみて、大体四割か五割ぐらいまでは内容がわかったんですが、しかし、この各日明細にはっきりとわかるような書き方をしておるところもある。たとえば、この明細書の二十ページを見ると、国際学術連合会議等分担金というのがある。これなどはもう詳細にどこに幾ら出すかというようなことがはっきりと書いてあって、この明細書を見れば一目瞭然なのだね、支出は。それから警察庁の予算を見ても、これは二十八ページだけれども、航空機購入費というのがあるんです。それによると、ヘリコプター二機と書いてある。これは大体九億二千五百六十万円、だから一機幾らかということもすぐわかる。そういうふうに大臣、これは明細書を見れば当然その支出の内容がわかるというふうにしていただかないと、われわれが防衛庁からいろんな参考書類を取り寄せてみて、初めて予算の内容がわかるというようなことでは困るんですね、これは。国会議員にわかるように予算書なり、明細書を編成していただかなきゃいかぬでしょう。それでないとわれわれの審議というものが本当に形だけのものになってしまう、どうです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、委員の御質問の趣旨はよくわかります。ただ、問題は防衛庁だけの問題ではなくて、やはり予算の説明ということになると、たとえば道路の問題にしても、ダムの問題にしても、その他の問題にしても、一つ一つ防衛庁のところだけ詳しくて、ほかの役所は詳しくなくてもいいんだということになかなかならぬでしょう。そういうようなことで、大体ほかとの均衡とれるような形で予算書の部数もページ数も大体決まっているから、それに合うようにつくってあるんだと思います。しかし、御趣旨もよくわかりますので、もう少し関心のありそうなところは別冊か何かでも、何かもっとわかるようなことをひとつ研究をさせてみたいと思っております。
○寺田熊雄君 これはそうしてください。ほかのところの関係もあるとおっしゃったけれども、ほかのところを見てみると大体了解がつくんです。ところが一番茫漠として取りとめがないのは防衛庁費なんです。これはそうでしょう。武器、弾薬購入費という。しかし武器、弾薬といっても一番機械化、機甲部隊化するといって、大きな要請が出ている戦車、これは何両買うとか、それから自走火砲を何門整備いたしますと、これは中期業務見積もりにはっきりうたってある。それが予算書の方に入ると、もう武器購入費、弾薬購入費だけになってしまう。その中に一体戦車が何両あるのか、単価が幾らなのか、自走火砲なるものの単価は幾らで、これは何門買わんとするのか、そういう国民が最も知りたいと思うことが、すっかりかき消されてしまっているというのが、あなた方が配付なさっておられる予算書であり、明細書であるわけです。そこで、われわれ防衛庁からいろいろ取り寄せてみて一生懸命調べて、やっと四、五割わかります。これじゃいけないです。これは議員が全部見てやっぱり一目瞭然にわかるようにしないと、本当の意味で、私は防衛予算に反対だけれども、賛否の意見はひとまずおいて、やっぱり国民にわからせなきゃいかぬでしょう。それを大臣、あなた何でも積極的におやりになるお方ですから、あなたが大臣のときにこれ検討して、ひとつそういうふうに持っていっていただきたい、こう思うんです。もう一度おっしゃってください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 検討さしていただきます。
○寺田熊雄君 これは大臣に私は信頼をおいていますけれども、やはり検討の上で前向きにひとつ対処してください。いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どこまでできますか、いろんな問題等もあるかもわかりませんから、防衛庁の性格その他のことも考え、またあなたの御質問の趣旨にも沿うように検討いたします。
○寺田熊雄君 大変残念ですけれども、防衛庁長官御健康お悪いようですから、御健康を十分回復されてからいろいろ御質問しますから、きょうは結構です。
 これで終わります。
○円山雅也君 大蔵大臣にお尋ねをしたいと思います。
 きょうお尋ねの要点は、金融政策と郵便貯金との関連についてでございますが、郵便貯金はもともと庶民の小口貯蓄ということで郵政省の管轄でございますが、最近の郵便貯金の実態はどうも質的にその性格が変貌されつつあるんではないか。そのために金融政策上の大きな問題として大変クローズアップされていることは大臣も御承知だと思います。
 そこで、きょうはこの辺の問題点について、大蔵省の大臣でございますから、基本的なとらえ方と申しましょうか、考え方をお尋ねをしたいと思います。
 まず、郵便貯金の本質に関しまして二、三の御質問をしたいと思いますが、郵便貯金法の一条と十二条の二項を見ますと、いずれもこの郵便貯金の目的というのは、「簡易で確実な貯蓄の手段として」という断り書きが前提になっております。常識から見ましても確かに私ども郵便貯金から受ける感じは、庶民の少額の貯蓄の手段なんだというふうに理解をしておりますけれども、こういうまず基本的な理解については、大臣も同様の御認識ではないかと思いますけれども、ちょっとその点確認をさしていただきます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も同じような認識です。
○円山雅也君 ところが、最近の郵便貯金の実態は、この郵便貯金法が規定しているような目的の貯蓄手段にとどまらず、たとえば個人の融資とか、総合口座の開設とか、個人年金の推進とかいった、いわゆる金融機能、受け入れじゃなくて、金融機能の方に業務を拡大しつつあるようでございます。たとえば、九月六日に発表されました郵便貯金に関する調査研究会の報告でございますけれども、これによりますと、いわゆるパーソナル・ファイナンスヘの積極的な取り組みも明らかに公言をされておられる。ちょうどあたかもこれを見ますと、何か郵政省が国民銀行的な発想をお持ちなようにうかがわれるわけでございます。このような、つまり郵便貯金法とちょっと違ったような、変質と申しますか、質的な変化自体について、大蔵省としてはどのようにお考えになっているのか、たとえば賛成なのか、それともそれはまずいのかとか、その点ちょっとお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 物は程度問題だろうと私は思います。
○円山雅也君 程度問題というお答えでございましたけれども、じゃ、本質的にはそういうものも郵便貯金法が予定しているところの郵便貯金の本質に含まれるんだ、金融機能も含まれるんだというふうにお考えでしょうか、どうでしょうか。その点ちょっと重ねてお願いしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、やっぱり郵便貯金の本質は、郵便貯金法に書いてあるとおりが本質であって、現に少額融資というようなものも担保でやっておるようでございますが、それらについては例外的なものじゃないのか、したがって、それがさらに個人年金までやるということは、それは少し行き過ぎだろうと思っております。
○円山雅也君 郵便貯金の五十五年七月の残高は五十四兆円を超えております。世界一を誇るバンク・オブ・アメリカでも、昨年の総預金量は、日本円に直しますと約二十兆円。この比較から見ましても、大変な膨大な預金量を持っておるわけでございますけれども、それが近く郵貯のオンライン化が実現するとなりますと、ますますこれはもう貯金量は増大するだろうと思う。そしてさらに、金融業務へも拡大していくということになりますと、この実態は、どうも郵便貯金法の一条や十二条の、郵便貯金というのは本来簡便で、しかも貯蓄の受けざらなんだという意図に、つまり郵便貯金法違反になるのではないか。
 それからまた、従来金融政策上では、郵便貯金は一応郵政省のやることであって、金融政策上の別枠なんだ、金融政策上の外にあるんだというお考え、または金融政策の一元化の外にあるんだというお考え、これについても修正をしなければならなくなってくるんではないか、この二点について。一点は、郵便貯金法に違反しないか。その次は、従来の金融政策一元化の外に置いておいていいのかどうか、郵便貯金を。その二点についてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 郵便貯金は、いま申し上げたように、零細な貯蓄手段に便宜を与えるということからスタートをしているわけです。しかしながら、非常に最近大きくなってまいりまして、それが五十兆円というような金になってまいりますというと、いろいろな金融政策を行う場合において、全然それはもう一般の金融政策になじまず別なもので、勝手に動くんだというようなことでは、非常に大きな問題が別に起きてくるわけでございます。特に預貯金金利の問題、あるいは預入、払い出し等における競争条件、これらについては、これだけ肥大化いたしますと、やはり競争条件等、それらが同じようになってもらわぬと、えらい民業圧迫になったり、あるいは政府の金利政策上の弊害になったり、いろいろいたします。かように考えております。
○円山雅也君 大体大蔵省の郵貯の本質に関しての大臣のお考えはわかりました。
 そこで、次にいわゆる郵貯の、先ほどからも申しております郵便貯金の機能の転換の必要性に関して、二、三御質問さしていただきたいと思います。
 郵政省側は、郵便貯金のパーソナル・ファイナンスヘの進出は、国民的ニーズなんだというふうなとらえ方をされておるようにうかがわれます。確かにこれを利用するところの利用者側から見ますと、郵便局があのとおり日本全国にたくさんあって、預け入れも簡単、それから預けた預金の金利は高くて、かつまた、借りるときには非常に簡単に安く低利で貸してくれるとなれば、これはもう大変結構ずくめな構想だと思うんです。ただ果たしてそういうふうになるかどうかの点なんですけれども、たとえば郵政省が言われるように、郵貯が国民的ニーズなんだと言われるならば、何で外務員をあれだけ拡大したり、さらに奨励手当金を外務員にあげて、しかも外務員の一部は奨励手当金の中からさらに預金者へのおみやげまで出して、そうやって郵便貯金の預金を獲得しなければならないのか。国民的ニーズがあるんなら、黙っていたってどんどんどんどん郵便局へ入ってくるはずではないかというふうにも思われますし、それからまた、郵便貯金の特別会計は現在もずっと赤字でございます。しかも、発表された赤字についてさらに調べたならば隠れた赤字があるんではないかということは、大蔵省の方々もそれについて洗い直しが必要だということも言われております。
 そうしますと、こんな現状で、国民的ニーズにこたえる結構ずくめのパーソナル・ファイナンスの形成が一体可能なのかどうか、その点について大臣のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一々御指摘の点はごもっともなことだと私は思います。したがって、本当に奨励手当のようなものが必要で、外務員でどんどんどんどん募集しなければならないのかどうか。このように一方的に郵便局に貯金がシフトしておるというような現状からすれば、ともかくいままでに考えられない問題でございますから、新たな出来事ですので、これは一遍白紙に戻して私は検討しなければならぬ、こう思っております。
 それから、郵便局の預金がふえるといっても、私は全体のバランスがあって、民間もふえる、それに伴って庶民の預けている郵貯もふえるというんならいいんだけれども、過去半年間の状況を見ると、民間の資金が減って、郵貯の資金がふえておる。それだけ庶民の暮らしが楽になって、郵貯に預ける人の生活がうんと楽になっちゃったというようにもどうも考えられない。何か問題があるんじゃないか。一つは、私は金利の問題というのがあろうかと思います。これは十年間も保障されるというようなことであって、しかもこれは無税であるということになっておる。ところが、そのかわり郵貯法では一人三百万円以上は預け入れることができませんし、させませんということになっておるわけであります。この三百万円という限度が、実は適正に守られているのかどうか、問題はそこに私はあるんじゃないか。いろいろ事例等もありまして、一人で何十通あるいは百に及ぶ通帳を持っておって、多いのは一億とか何千万とかいうので、国税当局で実際にそういうのを押さえたという実例もあるわけでありますから、これが乱用をされて、そのために郵貯がふくれ上がったんだとすれば、これは不自然な実は姿であります。その結果は、仮に長期の非常に高い金が政府のコストとして利用されるわけであって、こういう高金利時代が何年も何年も続くことは好ましくないわけですから、当然もっと物価も安定して低い金利の時代がいずれかはくる時代があってしかるべきだし、そのときに政府資金だけが高いコストでだれも借り手がないと、民間が安いコストだと。そのときに民間に使ってもらうのに今度はまた利子補給だということになると往復びんたみたいな話になって、政府財政にも大変な何千億、場合によっては兆の負担をかけるということであって、いろんな面で弊害が多い。したがって、これは現在の自由金融市場というものに対して大きな変革を与えつつあると。したがって、われわれはただ単に郵便局と銀行との争いとかそういうちっちゃな話でなくて、もっとでかい経済のメカニズムからもこれはもう一遍メスを入れていく必要があると、かように考えております。
○円山雅也君 ちょっと話が変わりますけれども、大臣はノーベル賞受賞の経済学者のフリードマン博士が書かれた「選択の自由」という御本をお読みになりましたでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全部は読みませんが、要約したものや拾い読みをしたことはございます。
○円山雅也君 私もその程度でございますけれども、とにかくフリードマン氏に言わせると、とうとい目的が必ずしもとうとい結果を生むんじゃないんだと、だから政府が公共の福祉を図ろうとして何かやろうとすれば、それはある一部の集団の利益になっても、公共の福祉に反する結果となる場合があるんだと、要は、そう言っておいて、結局はよほどの後進国でない限り国が余りよけいなことにおせっかい、介入するなというようなことを言いたいらしんでございますけれども、こういう考え方、たとえば基本的な考え方について大臣はいかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はフリードマンの考え方はやっぱり一つの考え方だと思うんです、これは。しかし、彼ともこの間もテレビ対談かなんかさせられましたけれども、しかし全部私は賛成しておるわけじゃない。だが、フリードマンの言うように、財政学の原理、原則みたいな、古典的なところもございまして、これはやっぱりもう一遍このような財政事情になると、そういう原点に返って考え直す必要があるという点では大変参考になります。
○円山雅也君 いま、いみじくも大臣が、郵便貯金の問題は、単に銀行と郵便貯金とのけんかだけじゃなくて、もっと大きな観点から洗い直し、再検討すべき問題だと言うので、いまもっと大きな視点でもって問題を提起いたしました次第なんですけれども、郵便貯金の質的転換も、本当に庶民のパーソナル・ファイナンスとして役立つならこれは結構なんですけれども、一番心配されますのは、その結果がばらまき福祉とか、第二の国鉄とかいうような形でもって、税金とか、郵便料金の値上げにはね上がって返ってくるんでは全く意味がなくなってしまう。まさにフリードマン氏が指摘するような結果になってしまう。少なくとも、もともとは大体郵便貯金というのは、少額貯蓄の貯蓄の受け皿、これが本来の姿だと思います。その前提で郵便貯金法もできております。そうすると、もし郵便貯金を質的に転換をさせる必要があるならば、本当にそういう必要があるならば、そのもとになっている受け皿のかっこうを変えない限り、というのは、郵便貯金法は受け皿の役割りは果たすけれども、出す方の役割りまでは予想していなかったわけでございます。とするならば、もし本当に郵便貯金をいわゆる調査報告書が言うようなパーソナル・ファイナンスに進出をしなきゃいけないんだという意味があるならば、まず問題はその根本の受け皿の方を、郵便貯金法の方を根本的に見直して再検討をして、受け皿をきちっとしてからそういう質の変更を考えるべきではないかなというふうに危惧されるんでございますけれども、この点大臣はお考えはいかがでございましょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私はそこまでやる必要ないんじゃないかと、いまの郵便貯金法は少額貯金を集めるということなんだからそれでいいんであって、それはこれを改正して、それはいろんなことをやると。一方においては行革でお役所の仕事を減らして、それで民間でできるものはなるべく民間でやらせようと、お役人をどんどんふやすような国家公務員の要するに事業というものは余り能率上がらぬし、うまくいかないという点が一般に言われておって、簡素で効率的な政府をつくれという趣旨からも考えまして、郵便貯金法を改正して、その融資の方までやらせるようにするというのは時代逆行であるというように思っておりますから、そういう意味ではそこまで点検して、改正する必要は毛頭ないと、そう思っております。
○円山雅也君 それでは最後に、これはもうまさに大蔵省の直接の所管事項ですけれども、課税の公平の面からお尋ねをしたいと思います。
 郵便貯金が銀行貯金に比較して多少高利息であるということ自体が、郵便貯金法の十二条の二項からこれはかなり問題だと思うのです。この二項というのは、市中銀行との公平を図らなきゃいかぬという規定でございますけれども、この規定からもちょっと問題があるんですが、それはまあ一応郵便貯金が庶民の小口の貯蓄の受け皿なんだという本来の機能である限りは、多少高くともこれはまあ結構じゃないかと思っております。ところが、その高利と、それからさらに非課税扱いが一部の欲張りの方々に悪用されて脱税の手段になっちゃうとしたら大変これは困ることなんです。郵政省側は名寄せもきちんとしておるし、一人三百万円の限度額も守るようにきちんとやっておりますというふうにおっしゃっておられますけれども、実際は先ほどちょっと大臣が言われましたように、またさらに、五十五年――ことしの三月現在での郵便定額貯金の証書の発行数ですが、二億三千万口を超えております。日本の人口が一億ちょっとでございますね。そうすると、人口比から見ても当然にこの定額貯金の証書の発行数は一人でもって数十口、数百口、場合によっては数千口を兼ねているという数字になるはずでございます。明らかに限度オーバーということはもうこの数字からも明らかじゃないかと思われます。また、現に一人で何千口もお持ちになった方が発覚をされておられます。
 そこで、こういう郵貯が脱税または本来の庶民貯蓄の道から外れちゃって、大変欲張りな方の脱税の手段に利用されているということについて、大蔵省の方はどのようなお考え、または対応をお持ちか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、かねてから国会におきましては課税の公平を期せと、それで特に利子配当のような不労所得といいますか、資産所得といいますか、そういうような方が恵まれ過ぎているという批評はかなり根強い議論が行われてきておるところであります。そこで、政府としては、ことしの春の国会で、全部それらを総合課税にしようということで所得税法の改正が国会を通過をいたしました。そのためには捕捉をしなければならないわけでありますから、そこで昭和五十九年からいわゆるグリーンカードという番号によって登録をした人に限って、たとえば郵便貯金も三百万まで非課税と、一般金融機関も一人三百万まで非課税と、あるいは株式とか国債等においても三百万までは非課税と、こういうことにしようということになったわけであります。したがって、それは限度管理ができるということが前提でございまして、限度管理ができなければ何もならぬ。そのためにわれわれとしては郵政省当局に対して郵便貯金も五十九年以降統一されたカード番号によって限度管理をしてくださいと、つまり、名寄せをしてくださいということをお願いをしているところです。
 それからもう一つは、それでは五十九年度といってもまだ三年もあるわけですから、それまでにどんどん預けられたものはどうなんだということです。しかし、これは限度管理という以上は過去のものはどうでもいいんだ、将来のものだけなんだというのでは、これは限度管理になりませんから、やはりさかのぼって限度管理をしてくださいと。それがただ単に氏名と住所だけという名寄せであっては、実際問題として職場住所もあるし、手紙の届く自宅の住所もあるし、いろいろあるわけですから、なかなかそれだけでは本人がダブっているかどうかということは実際問題として把握することは不可能である。だから、やはり公正な、国家機関でありますから、公正な預金者の権利を守るという意味においても、あるいは一般金融機関との不公正な競争をしないという点においても、それは一人三百万という限度がきちんと守られるような手段について、ひとつ国家の機関なんですから御協力をお願いしますということを目下盛んにお願いをしておる最中でございます。
○円山雅也君 いつごろの新聞でございましたか、郵便貯金の外務員が預金をとりたいために郵便貯金の方に預金をされると税金でもって大変得をしますよという脱税の勧めをして預金を獲得している事実がありそうなので、大蔵省としてはそういう外務員を告発をするんだという決意であるというような記事を拝見をしたことがありましたけれども、その後この件はどうなっておりましたでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 正式に告発するということを事務当局でも言ったことはないようでありますが、そういうことは困りますと、それはひとつきちっと、そういうことをしないように厳正に自粛をさしてくださいということは言ってございます。
○円山雅也君 それからこれは九月の十六日の新聞でございます。日本経済新聞でございます。郵便貯金の特別会計について隠れた赤字があるのではないかというので、大蔵省が洗い直す方針を固めて特別会計にメスを入れるという記事でございますけれども、これはもうすでに御進行でございますか。これからやろうという段階でございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは先ほどもお話しをいたしましたように、このように巨大化した郵貯というものが、自然な形であるのかどうかということの問題もございますし、あなたの御指摘になったように、外務員に奨励金をやって、もう片っ方の預金が減っちゃって、郵便局がいっぱいふえてしまうことを国がお金を出しながら奨励することがいま必要かどうかということは非常に疑問のあるところでありますから、全体を含めて、予算編成の過程を通してこれは慎重に中身を十分調べていきたいと、そう考えております。
○委員長(野田哲君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(野田哲君) 速記を起こして。
○峯山昭範君 私はきょうは非常に短い時間でございますので、本来なら外務大臣に質問したいのですけれども、例の所沢の芙蓉会富士見産婦人科病院の問題につきまして質問したいと思います。きょうは大臣が都合で御出席できませんので、医務局長さんに御質問したいと思います。
 前提としまして、先ほど大臣の答弁がございました、今回の問題は人間性の問題であり、倫理の問題だということで、そういう点ではもうすでに答弁ございましたので、この点の質問は省きたいと思います。しかし、この問題が明らかになってまいりますと、非常に私たち何といいますか、びっくりするような問題ばっかりでございまして、本当にこういうふうなことが実際行われていたのかどうかと、悪くない内部の臓器を摘出されるなんていうことはこれは、もう本当に考えられないことでございますし、これは非常に重大な問題である、そういうふうに考えております。
 そこでこの問題、実は私たち新聞報道等でしかわかんないわけでございますが、現在理事長等警察の方でも取り調べが進んでいるようでございますけれども、実際問題としては、この問題については、どうしてこんなにおくれることになったのか、もう少し早くこういう問題をキャッチできなかったのかということがあると思いますね。この点についてどうですか。
○説明員(田中明夫君) 御指摘のとおり、今回の問題につきましては、九月十日に芙蓉会理事長の北野早苗が医師法及び保健婦助産婦看護婦法違反の疑いで逮捕されるという時点から出発しておるわけでございます。もう少し早い時期にどうしてこの事件が把握されなかったかという点につきまして、私どもも深く反省しておるところでございまして、こういう点も含めまして、こういうような事件がまた起こらないようにするにはどうしたらいいかということを、私ども厚生省といたしましてプロジェクトチームをつくりまして、検討をいたしておるところでございます。
○峯山昭範君 これはやっぱり一つはルールとして、地元の保健所なり、そういうところへいろんな届け出があった、地元でそういう問題が起きている、そういうときに逐一パーンと国の方でそれをキャッチする、そういうふうな対応がふだんから行われていなければいけないんじゃないか、そう思うんですね。この点についてもお伺いしたいと思いますし、また厚生省自身が県の報告を待って処置をするというんでは、これはとてもじゃないけど、こういうような問題のときにはやっぱりおくれがちになってしまう。そういうふうな意味で、厚生省自身はこの問題について具体的にはどういうふうな動きをしていらっしゃるのか、この点ちょっとお伺いしたい。
○説明員(田中明夫君) この医療法関係の事件につきましては、一義的に都道府県の知事がその処理に当たることになっておりまして、厚生省といたしましては、事件の発生後直ちに埼玉県の衛生部を呼びまして、まず事実関係を徹底的に解明するということ。次に、診療に不安を抱いておられる患者さんに対して、定員等の世話を行い、必要な診療が受けられるように受け入れ体制を整えるということ。第三点といたしまして、事実が判明した段階で、法に基づいて厳正な措置をとるという三点を指示いたしたわけでございます。
 現在、御案内のとおり、北野理事長は警察の方に逮捕されておりますし、関係の文書等も警察の方で押収しているという状態でございますが、私どもといたしましても警察と協力しつつ、また別途に県の衛生部のルートを通じまして、この事件につきまして、できるだけ事実の究明を行うように努力しているところでございます。
○峯山昭範君 私は、これ医務局長、実際問題としてはそういうことがあるのかどうかはわかりませんけれども、五十三年の九月にもうすでに富士見病院のやっていることはおかしいということで、防衛医大の先生がこの問題を持ち込んだということが報道されています。そして、地元の保健所ではこの問題について調べた。ところが実際問題、その調査がちゃんと最終的にどういうふうになったのかわかりませんけれども、所沢の警察の方でもこの問題を持ち込まれて調べた。しかし、証拠不十分でちゃんと最後まで突きとめることができなかったと、こういうふうな報道があります。実際問題として、私はこの時点でこの問題が表ざたになってきちっとしておれば、相当数の人が助かったであろうし、きちっとなっていたと私は思うんですね。ところが、実際問題として、医者仲間というのはお互いにカバーするというのか、あばきたてないというのか、臭い物にふたをするというのか、そういうふうなのがあるというのがこの新聞報道の中にも出ておりますし、私たちも巷間聞いているわけです。こういうことはあってはいかぬと思うし、こういう問題についてももう少し厳重に医師会に対しても申し入れをすべきでありますしね、またこういう無資格の人たちがいわゆる診察をした、それに基づいて資格のある医者が手術をするというんですから、これ一体どうなっているんですかね。そこのところをやっぱり、私はそういうお医者さんというのは資格というのはもう全部取り上げてもらいたい。そして本当に国民が安心してお医者さんにかかれるようにしてもらいたい。そうでなければ私いけないと思うんですけれども、これらの諸点についてお伺いしたい。
○説明員(田中明夫君) 御指摘のとおり、この事件は病院という場におきまして、資格のない理事長が超音波装置を使って検査行為を行い、さらにはどうも診断的なことまでやったような事実もうかがわれるわけでございます。先生ただいま御指摘のとおり、さらに進んでその無資格の理事長の検査結果に基づいて治療が行われたという疑いもあるわけでございまして、もしそのようなことがあれば、私といたしましても本当に遺憾なことだと存じますし、そういうような医者に対しては厳重な処分を行いたいというふうに考えております。
○峯山昭範君 いずれにしましても、この問題は相当重要な問題でありますし、それぞれの委員会で私も詳細やりたいと思っております。いずれにしてもこれはがっちりした処置を厚生省としてもとっていただきたいと思っております。
 そこで、今回のこの問題に関連をいたしまして、先ほども寺田委員の方から質問ございましたけれども、私は新聞資料しかわかりませんので、それに基づいて、具体的には答弁しにくいでしょうから、多少抽象的に申し上げますが、齋藤前厚生大臣、澁谷元自治大臣等に関する政治資金の献金の内容を見てみますと、それぞれ相当の金額に上がっているわけであります。そこで私は、政治資金規正法からいきますと、これは政治資金規正法の二十二条の二ですか、いわゆる一人の政治家並びに団体にする政治献金の金額というのは一応百五十万ということになっておりますね。この場合、選挙部長の解釈をお伺いしたいんですけれども、要するに、たとえば北野が元大臣に五百万円政治献金をした。その場合に五百万円そのまま受け入れるということはできない。したがって、する本人はもちろん違反覚悟で五百万やっているわけです、表へ出る出ないは別にしてですね。その場合に受け入れる方は、これを百五十万円ずつ分散をして、それでそれぞれ政治団体をつくるなり何なりして受け入れれば、これは政治資金規正法に言う違反にはならないんですか。ここのところの解釈を一遍お伺いしたい。
○説明員(大林勝臣君) 政治資金規正法の個別の枠規制の仕組みについては、先生も御承知のとおりでございますが、先ほど来の御質問につきましては、まあ現行法の体系が、一つの政治団体は、政党等は別といたしまして、百五十万円までは年間受け入れることができるというシステムになっておるわけでありまして、結局政治献金のやり方というのがいろんな形態があろうかと思います。思いますけれども、現在すでに活動をしております政治団体それぞれに百五十万ずつ受け入れたという形でございますれば、これは政治資金規正法違反ということにはならないであろうと存じます。
○峯山昭範君 それじゃ今度の政治資金規正法というのは言うたらざる法もいいとこですな。結局、献金をする方の意思というのはかかわり合いがなく、いわゆる受け入れる方が百五十万円ずつぱっぱ分けてやれば問題はないということですか。
○説明員(大林勝臣君) もちろんする方の意思、あるいは受領される側の意思なり、処理の仕方というものが、どの程度通じておったかということも、それは違反であるか、違反でないかということに十分参考として考えないといけない要素であろうと思います。
○峯山昭範君 そこのところは部長の答弁聞いておりましても非常にわかりにくいですけれども、する方が、これは五百万円なら、たとえばの話ですがね、分けてやる。これはいまのその意思がどこまで通じていたか云々ということでは私はとても納得できません、この問題は。政治資金規正法を審議したときのいきさつから言えば、私は当然そういうふうなのはやっぱりこれは政治資金規正法の違反になると。私はそういうふうなつもりで質問しましたし、政治資金規正法つくるときの、あのときのいわゆる考え方というのは当然私はそうであったと理解をしているわけです。
 きょうは時間ございませんので、この問題は後ほど時間をとってやりたいと思います。
 官房長官お見えになりましたので、まず初めに、イラン、イラクの問題につきまして御質問したいと思います。
 この問題は非常に重要な問題に発展をしてまいりましたし、国際紛争、全面戦争の様相を呈してきたわけでございますけれども、この問題について、現状、現在はどういうふうな情勢にあるのか、現在の情勢について、大臣が御存じの範囲内で結構ですから、情勢を教えていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般両国間に紛争状態が発生いたしましたので、政府といたしましては両国に自省を求めるとともに、その憂慮をあらわし、国際連合を中心にして事態が一日も速やかに平和的に解決されることを希望するという政府の態度を表明いたしたわけでございます。また、国際連合におきましても、安保理事会を中心に、非公式の協議が行われまして、他方でイスラムの国国も平和的解決に動きまして、ワルトハイム事務総長が平和的解決を望む旨、また安保理議長も同様の意思表示をいたしておるところでございます。
 他方、米・ソ両国は、いろいろな機会におきまして、この事態に干渉をしないという意思表示をいたしておるように承知をいたしております。しかしながら、戦争状態は継続をいたしておりまして、双方に相当の死者も生じておると、ただいまのところまだ平和が回復されたという情報には接しておりません。
 他方、わが国といたしましては、イラクに二千八百人ほど、イランに千七、八百人ほどの邦人がおりまして、その身辺と、それから多数の船舶がおりますので、その安全ということにつきましては、最大限の努力を払っておるところでございます。駐テヘラン及び駐バグダッドのわが方の大使に訓令をいたしまして、相手国外務省に対して、邦人並びに日本船舶の保護について、万全の対策をとられたき旨を申し入れるとともに、この紛争の平和的解決を希望するわが国の基本的態度について、すでに相手国にそれを伝えております。また、ただいままでのところ両国ともそれらの点については配意をしてくれておるようでございまして、イランにおきましては御承知のようにバンダルホメイニでわが国が石油化学の工事をいたしておりますが、ここの仕事に従事しております七百名余りの邦人につきましては、シラーズという都市がございますが、そちらに一斉に避難をさせるような処置を会社側並びにイラン政府の協力を得て、すでに準備をしております。また、一部の者がバスラあたりからクウェートに陸路避難するということも考えまして、そのためにビザなしで入国できるようにクウェート政府と交渉いたしました。その交渉も調いまして、一部がクウェートに避難を始めておる、そのような状況でございます。
○峯山昭範君 この紛争がどういうふうに解決するかということは、わが国にとりましても非常に重要な問題でございます。実際問題として、イラン、イラクの国境紛争の歩みというのをずっと見てみますと、相当長期間にわたる紛争が続いていたようであります。しかし、具体的な戦争行為に入ったのは最近のことでございますけれども、細かい紛争は絶えずあったようであります。
 そこで大臣、この紛争は長期化する様子なのか、あるいはそう長期化しないで解決するであろうという見通しを立てていらっしゃるのか、そこら辺の外務省の見解をお伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 紛争の一つの要因がシャト・アル・アラブの川におきます国境線をめぐるものであることは疑いがないように思います。すなわち一九七五年にアルジェで結ばれました協定に対して、イラク側が不満であって、いわば失地の回復を図るという動機があったであろうということは容易に想像をせられますし、またイランの現状にかんがみて、イラクが現在の状況がそういうことに適しておると申しますか、イラン側が御承知のような状態であるということも、今度の紛争の一つの要因になっておるかと思います。けれども、米・ソ両大国が不干渉である、そういう方針を宣明しておりますし、といたしますと、両国とも軍事的な補給を受けるということは、米・ソがそういう態度であります限り困難であろうと思われます。ことにイランの場合それがよけいに困難であると考えられますので、一般的にはそう長い戦争を両者が遂行する能力はないのではないだろうかというふうに言われておるようには存じますけれども、何分にも両国の国内情勢並びに戦闘状況、情報がきわめて貧弱でございますので、確たる見通しを申し上げるほどの自身がないというのが事実のところだと思います。
○峯山昭範君 それではもう一つ。
 わが国の例のイランと合弁で建設を進めております石油化学コンビナートの問題ですけれども、これはイラクの空軍の爆撃が行われて、タンクが一つ爆破されたとか、まあ報道もあるわけですが、これはやっぱりわが国にとりましても、相当の国民の税金と民間の資金が投入されているわけですけれども、これはもう実際問題として相当長い間中止したり、実施したりやっているわけですけれども、今回のこれでまた中止に至るわけですけれども、この石油化学コンビナートというのは、これは現状どういうふうになっているのか、あとどのくらいかかるのか、ここら辺のところ、概要で結構ですから、一遍お伺いしたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) 政府委員からお答え申し上げます。
○説明員(堤功一君) イランのバンダルホメイニにございますイラン・日本石油化学合弁事業でございますが、八五%を完成というところで革命となり、本年の夏に本格的な再開ということで、イランと日本双方で合意に達して、現在七百二十人日本人のスタッフが赴いておりまして、本格的な再開に向けて作業を開始したばかりのところでございまして、実は今回の武力衝突に際しまして、爆撃のおそれもあるということを考え、一昨日作業を停止して実は作業場から退避しておったのでございますが、そのときに爆撃ということが起こりまして、最悪な際でございましたけれども、幸運にも日本人の作業員はごく少数しか現場におらず、そのために被害はなかったわけでございますが、この状況から考えて、人命安全第一ということから、現場では数百キロ離れましたイラクの航空機の航続距離外の町に避難させるという方向で検討をしているというふうに承知しております。
○峯山昭範君 石油の需給の見通しなんですけれども、今回のこの紛争が起きまして、もちろん現在イランの方から石油の輸入はこれはストップしているわけですけれども、先ほどの大臣の答弁にもありましたが、イラクの方からはことしは約九%近くになるそうですけれども、それがこれストップする。そして戦火がますます拡大したりいたしますと、これは大変なことになるわけですが、先ほど大臣の答弁聞いておりましたら、当面需給の心配はないと、こういうふうな答弁でありましたが、実際これは当面というのはどのくらいの期間を考えていらっしゃるのか。実際問題としてこれから石油の需要期に入るわけですから、そこら辺のことも含めて、ここら辺まではもっと、あとここら辺から後はどうなるかという、そこら辺のところの見通しについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○説明員(志賀学君) 最初にちょっと現状を申し上げますと、イラクから日本が輸入しております原油の量は、日量にいたしまして三十九万バレルでございます。二十三日以降、イラクからの船積みが停止をしておる状況でございますけれども、まず九月分までの船積み、これはほとんどすでに終了しております。私どもが承知しているところでは九月に配船されたもので二隻程度が待機をしておるという状況でございまして、実質ほとんど九月までの船積みは終わっておるというのが状況でございます。ただいま先生がおっしゃいましたように、イラクの原油の日本の輸入原油の中に占めるウエートでございますけれども、大体八・五%ぐらいかなというふうに思っておりますけれども、そういう八・五%程度の依存度ということで考えてまいりますと、日本の備蓄の一日分で、大体十二日程度がもちます。したがいまして、たとえば三十日分の備蓄を食いつぶしますと一年ぐらいもつと、こういう形になります。
 現在の日本の備蓄の水準でございますけれども、これは本年の八月末におきまして、民間備蓄で約百四日、国家備蓄で約一週間ということで、両方合わせますと百十一日ぐらい、こういうことになります。したがいまして、これは第一次オイルショックのころには、日本の民間備蓄の水準は六十日ぐらいでございまして、それだけに影響が大きかったわけでございますけれども、現在の日本の備蓄水準から申しまして、もちろん私どもといたしましても、一日も早くイラン・イラク紛争が終結するということを心から希望しておるわけでございますけれども、備蓄という面から申しますと、かなりの期間イラクからの輸入がとまっても、日本としては大丈夫であるというふうに思っております。
○峯山昭範君 もう私の持ち時間が終わりましたので、最後に大臣に一言。
 この紛争はやっぱりいろんな立場でわが国にも影響を与えるわけですけれども、少なくとも国際社会の一員として、何とか平和裏に解決するための努力というのはやっぱりしなければいけないと私は思うんです。それで、実際わが国がこの問題を解決するために、早期解決を図るために、どういうふうなことがこれからできるのか、そしてこういうことならできるんじゃないかという、少なくともいろんな角度からやっぱりその努力をしなければ私はいけないと思うんですけれども、そこら辺のことについて大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) わが国といたしまして、まずやはり外部からのこの紛争への介入、ことに超大国の介入が行われないということが紛争を短期間に終わらせる一つの要素であると思います。伊東外務大臣が昨日ソ連のグロムイコ外相と会談いたしました際にも、この点はわが国の立場を申し述べておりまして、幸いにしてグロムイコ外務大臣も同様のことを述べておられるようでございます。したがいまして、この点は米・ソ両国に対して自省を求めなければなりません。これはわが国が当然いたすべきことと考えております。
 また、ことにイスラム諸国が一致してこの紛争を早期に終結させるという努力を結集すること、そういうようなふうに持っていきますこともわが国として大事なことであろうと思います。そのような国連を中心といたします活動も遺漏がありませんようにいたしてまいる所存でございます。
○鶴岡洋君 私は今回の冷害のことについて、農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
 ことし七月以降の低温、日照不足等の異常気象によって農作物はその影響が大変なものであって、予想以上、それを上回る甚大なものであります。戦後最大ではないかと、こういうふうにも言われているわけでございますけれども、したがって、被災農家は非常に厳しい状況に置かれているわけでございます。その上、農家経済を見ても、昨年の四月から十二月までの農業所得が前年の同期に比べると五・九%も減少している、こういう状況でございます。これは政府挙げてこの被害状況を把握し、救済措置を講じなければならないのではないか、こういうふうに私は思うわけでございますけれども、まず今回の被害の状況と、これに対して、大臣も何カ所かこの被害の状況を視察に行かれたようでございますので、この被害の状況に対して、どう認識しておられるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 今回の冷害等による農作物の被害につきまして、実は九月十五日現在で応急調査を実施いたしたわけでございます。中間的な被害見込み金額の取りまとめを急いできたわけでありますが、その結果によりますと、農作物被害は総額で約五千六百七十九億円に達しておるわけでありまして、うち水陸稲が約四千四十四億円、野菜が七百三億円、果樹が二百九億円が主なものとなっておる次第でございます。被害額の確定につきましては、被害の進行の終息を待って行うことといたしておりますが、現時点での被害見込み金額はすでに五十一年度の冷害を上回っておりまして、被害金額も、それから被害面積も、御指摘のように戦後最大であると、こういう認識をいたしております。
 私も被害地を見てまいりましたけれども、全く何百町歩、何千町歩、農家の心を込めた、病虫害の防除、さらには肥培管理等が本当によく行われておったにもかかわらず、青立ちになって全然実が入っておらない。こういう状況を、私が参りましたのは、青森それから山形、福島の三県を見てまいりました。さらに、政務次官をして岩手、宮城、さらに事務当局をして九州、中国、北海道等の調査をいたしたわけでございます。全国的に本当に冷害――凶作という言葉を使ってもいいんじゃないかという感じを受けてまいりまして、御指摘のとおり、この対策を緊急に講じまして、農家が不安、動揺を起こさないように、できるだけ早く処置をしてまいりたいと、かように考えております。
○鶴岡洋君 五十一年度がたしか四千九十三億、いま大臣のおっしゃったことしが五千六百七十九億と、こういう被害状況でございますけれども、農林水産省としては、きのう、この被害状況の発表を踏まえて、天災融資法の発動と激甚災害法の発動準備をしておられる、そういう考え、方針を固めたと、このように私は聞いておりますけれども、これは現状を見ると、やはり早急に、この被害を見ると、農業者の切なる願いとして、この発動を早くしてもらいたい、こういうふうに思うわけでございます。
 そういうことで、五十一年度の場合はたしか昭和五十一年十一月二十九日に交付になっておりますけれども、それよりも大幅に早くできないかどうか、またその時期はどうなのか、天災融資法と激甚災害法の発動。この時期はどうですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 実は昨日、天災融資法の発動、激甚災の発動についての方針を決定をいたしまして、御指摘のように、最終的な被害高の数字が出てまいりまして、それによる、さらに各県からのもろもろの報告等を集計をいたしまして、そして政令案をつくってまいる、こういう関係で、事務的手続はどうしても十一月にずれ込まざるを得ない。したがいまして、農家のところに資金を届くようにしてまいりますためには、つなぎ融資をしなければなりません。その間の手当ては、各金融機関につなぎ融資の依頼を、実は昨日、正式にいたした次第でございます。
○鶴岡洋君 私は時期を聞いているんですけれども、大体どのぐらいになりますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 時期につきましては、五十一年のときには十一月の末ということになりましたわけですが、昨日事務当局に対して、十一月の初めころにできないかということで促進方を指示をいたしてございます。
○鶴岡洋君 いま大臣が、その前にお答えになっておりましたけれども、十一月初めにしても、それまで期間があるわけです。そういうことでこの被災農家は、中にはひどいところは飯米もない、来年の種もみの考えどころじゃない、自分の食べるお米がないと、そういう状況であるわけです。したがって、きのうも通達を出されたと聞いておりますけれども、このつなぎ資金の件については通達出されたのはよくわかりますけれども、私の聞くところによると、そういう融資の面においても、手続がめんどうくさいとか、それから思ったようにそれだけ借りられないとか、もちろん限度額はいろいろありますけれども、そういう隘路があって、つなぎ資金といっても手元に来るのはなかなかおくれてしまうと、こういうことを聞いておるわけですけれども、この辺についてしっかりした指導をしていただきたいと思いますけれども、具体的にどうですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) この件につきましてはもう災害の都度被災農家から強く要請を受けておるところでございますので、実は私といたしましても事務当局に対しまして、とにかく手続は後でも、資金が速やかに農家の手に届くような措置をやるようにということで、これがために農協、それから地方自治体等にも緊密なる連絡をとっていくようにという実は指示をいたしてございます。
○鶴岡洋君 これに関連して、減反の問題でございますけれども、今回の被害状況から、対象面積の拡大であるとか、それから転作奨励金水準の引き下げ、これを行わないようにすべきである、こういうふうに思いますけれども、この点についてどうされるか。また二期対策の凍結という要望もそちこちで聞くわけでございますけれども、この点についてもどうか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど来申し上げておりますとおり、今回の冷害が五十一年を上回る予想以上の深刻なものであり、また被災農家の不安も大きいことから、当面は冷害対策に万全を期することに全力を尽くしてまいりたいと、こう考えておるわけであります。ただ、水田利用再編対策は、米の需給均衡を図って将来の農政を確立するために避けて通れない重要課題でありまして、第二期対策の目標の配分については、当初九月という要請が、知事会、農業団体等から強くあったわけであります。私といたしましても、九月末に割り当てをしたいという気持ちを持っておりましたが、その気持ちを事務当局に伝えまして、準備を進めさしておりましたが、何せこのような冷害、凶作という形になってまいりましたので、この冷害、凶作に対する対策の万全を期して、そうして農家に安心感を持っていただき、そうして政府のやることを信用をしていただかない限りは、厳しい来年からの第二期の水田利用対策の円滑なる推進にも影響をする、こういうことで各地方自治体、町村長、知事、さらには農業団体の方からも少し時期をおくらしてほしいと、こういう要請もありまして、実は昨日、十月中はもう全力を挙げて冷害対策に取り組むと、こういう方針を指示をしたところでございます。
○鶴岡洋君 その配分時期を私聞いているわけですけれども、配分時期はそうすると大体どのぐらいの時期になりますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 冷害対策のめどを一応つけまして、その後配分をしていきたい。したがいまして、十月の末か、十一月の初めころというふうに考えておるわけでございます。
○鶴岡洋君 この冷害の問題はまだたくさんございますけれども、大蔵大臣にちょっとお聞きしたいんですが、いま言ったようなわけで、非常に被災農家はいま困っているわけです。それに対して農林水産省として通達も出しておりますし、またそれに適切な指導もすると、こういうふうに大臣言っておられますので、それにはやはりお金がかかるわけでございますから、この点について、大蔵大臣としてどう善処されますか、応援していただけるか、その点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは極力農林大臣のいま言ったことが実現できるように協力したい。銀行局長からもすでに各いろんな金融団体等に対してつなぎ資金のこと等についても協力方を要請しております。そのための予算措置については、まだ予算がたくさんあるわけですから、極力既定予算の中でひとつやりくりをしてもらいたいということをお願いしております。
○鶴岡洋君 先ほども言いましたように、農林大臣、被災農家でひどいところは収穫ゼロ。米だけならばいいんですけれども、野菜、魚介類もそうですけれども、特に私が視察に行った青森の下北半島、あるところではもう米ももちろん収穫は皆無、その上野菜もとれない、こういうことで来年の種もみも心配しなきゃならないけれども、実際に食べる米がない、こういう実情でございます。この点について飯米ですけれども、政府が特別値引き売却を行うなどの処置はとれないかどうか。海外援助米の例もありますけれども、こういう点についてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 被災農家でもう飯米がないという農家が思いのほか多いということに私も実は驚いてきたわけであります。下北、さらには山形の上山の山手の方の部落に参りまして、九月いっぱい、十月半ばごろまでもう飯米なくなる人は手を挙げてごらんと、こう言いましたら、ほとんど全部が手を挙げておると、こういうことでございますので、この飯米対策につきましては、五十一年度にもやった経験がございますので、実は政府と、食糧庁と、県とよく相談をいたしまして、最も農家に便利な配給の仕方というものを考えて、しかもそれが結果的には普通の価格よりも安く手元に届くように、五十一年度にはやったわけでありますので、それが私は一番いい方法ではないかということで、食糧庁に検討をさらに命じておるところでございます。いずれにいたしましても、早く決めて処置をいたしませんと、農家に大変迷惑をかけるわけでありますから、その点急ぐようにも指示をしてございます。
○鶴岡洋君 まだお聞きしたいことがありますけれども、最後に、農林水産大臣。
 いま私が大臣にいろいろお聞きした点については、いわゆるこの冷害によって被災された農家の善後策というか、対処というか、そういう面でございますけれども、このように冷害に遭いますと、いわゆる農水産物の価格の安定ということですけれども、反面、罹災者側はそうであっても、今度私たちの消費者の立場になると、いわゆる冷害によってもたらされた農水産物の出荷の減少が起こるわけでございます。こういう点について消費者価格に当然悪影響を及ぼすわけでございますけれども、これは全体的な問題として物価安定対策を強化していただきたいと、こういうように思うわけですけれども、何か具体的にこの冷害の反面考えておられるか、どうか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 物価の安定は大変大事なことでもございまするし、特にこういう天候、気象の不順ということで、夏野菜等、あるいは秋野菜等、処置を誤りますと、農家の減収はもちろん、また野菜の高騰によって物価高というようなことになっても困りますので、これは企画庁の予備調整費を出していただきまして、そうしてキャベツ、玉ネギ、バレイショ等に対する手当てをさしておるところでございまして、何としても農産物の影響によって物価高という現象を起こさぬように、農水省としては十分の手配を講じさしております。
○鶴岡洋君 それでは、次は行管庁長官にお伺いしたいんですけれども、中曽根行政管理庁長官にお伺いします。
 財政再建も踏まえて行政改革はいま最大の日本の政治課題と、こう言っても私は差し支えないんじゃないか、こういうふうに思っております。したがって、国民の関心もそこに集中されているわけでございます。だからこそ大物の中曽根大臣であると、私思うんですけれども、その国民注視のこの行政改革に臨む長官の基本的姿勢をまずお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回行政管理庁長官を拝命いたしました中曽根康弘でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 行政改革は、現在の政治課題の中で、最も重大な政府の責任に係る政治課題であると心得ております。私のような微力な者で果たしてこれができるかどうかはなはだじくじたるものがございますが、一たび命ぜられました以上は、全身全力を傾けまして、その成果を挙げるように努力いたしたいと考えております。
 いわゆる五十五年行革、大平行革という行革によりまして、機構問題、そのほかの問題につきましては、かなり成果を見た結果をつくっていただいたと思って評価しておるところでございますが、残念ながら国会へ提出しました十六法案のうち、八法案がまだ未成立という状態でございます。この残りの八法案並びにいわゆる来年の五十六年行革として残された幾つかのまた問題がございます。公社、公団の整理統合であるとか、あるいは定年制の問題であるとか、来年度やる仕事がまだ幾つか残っております。これらの問題を一日も早く片づけるということが当面の第一の急務であると考えます。
 それと同時に、いわゆる五十五年行革でやり残したことで大事なものはないか。そういうことを考えまして、私の考えによりまして、いわゆる機構いじりは今回はやめようと、機構いじりということでは現在の情勢では空騒ぎを起こすだけであって、わりあいに実りが少ない。それよりも行政の実態に切り込んで、一番大事な減量経営の根本的なところにメスを入れよう、そう考えた次第でございます。そういう点から、たとえば法令を整理すること、あるいは許認可を思い切って廃止すること、あるいはいわゆる特殊法人の出資金や、剰余金の見直し、国有財産の売却等もやっていただくというようなこと、あるいは地方公共団体につきましても、中央に準じて御協力を願うように、増員問題につきましては自治省を通じて強力な要請を行って御協力を願うこと等々、減量という問題について真正面から取り組んでいきたいと思っております。
 そのほか、審議会の廃止ということもございます。
 さらに、もう一つ大事な点は、行政の本質とは何ぞやということを考えてみた場合に、「公務員は、全體の奉士者」と憲法に規定されております。いわゆる奉仕という考え方が公務員の基本になければならない。そういう意味で、その公務員精神の確立ということを思い切ってこの際刷新しなければならないときに至ったと思います。そういう点からまずサービスの改革を徹底的にやる。われわれの考えではやはり清潔とか、能率とか、あるいは親切とか、こういう標語をもちまして、全国的運動を展開して、この成果を国民の皆様にお示しいたそうと考えております。と同時に、公務員の倫理の高揚、最近警察官とか、あるいはそのほかのわれわれが尊敬し、大事にしなきゃならないような部面においても不祥事件が起きておりますけれども、こういう点を大いに刷新しなければならぬと思っておる次第でございます。このように公務員の精神的部面を中心にした改革を思い切ってやるということ。
 それから第三に、八〇年代を見越した一体政府のおさまりぐあいというのはどういう姿が本来これからあり得べき姿かと。非常に高学歴の成熟社会が出てまいりましたし、あるいはコンピューターという大きな機械が出てまいりましたし、一方におきましては老人問題もございますし、また情報の公開が要求されている反面には、プライバシーの保護ということもまた要求されております。あるいは国際関係も非常に重要な問題を内包してまいる時代になりました。こういうようないろんな点を考えまして、一体行政が守るべき分野はどの程度のものであるか、つまり政府は八〇年代以降どういうかっこうでおさまるのがより好ましい姿であるか、行政の機能の及ぶ範囲はどこにとどむべきであるか等々のビジョンをつくってもらいまして、その哲学と体系のもとに、具体的問題についてある決断をつくっていただこうと、そういう意味で新しい臨時行政調査会をつくりまして、できるだけ早期に結論を出していただいて、できた部分からそれを実行に移したいと、そのように考えております。
 いずれにせよ行革はいま国民の皆様方の最大関心事の一つであると思いまして、その責めに当たっておりまする私も重大責任を感じまして、真剣に取り組んでまいるつもりでおります。
○鶴岡洋君 重大な決意をして臨まれていることは結構でございます。そこで、精神面を特にと、こういうことをおっしゃっておりましたけれども、まあそういうことで、先日長官は名古屋を皮切りに行われた行政サービスの改革、こういうことの一環として、全国行脚をされているようでございますけれども、これからも逐次行われるようでございますが、行かれたその感想はいかがですか。
   〔委員長退席、理事小山一平君着席〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 大体午前中は各官庁及び府県、市町村、各特殊法人の代表者に集まっていただきまして、十六日に閣議決定しました行政サービスの改善という内閣の方針についていろいろ説明をいたしまして、協力を求めることをいたしました。私はやりっ放しがいけないと、そう思いましたので、今回は、行政監察局が各県にございますから、どの役所がどういうふうに改革されているか、ひとつ評価してもらおうと、それを十二月までに一応いまの状態の報告を受け、来年三月までに一応締め切って、どこがよくやったか、どこが成績が上がらなかったか、そういう信賞必罰を明らかにした形でけじめをつけようと、そう考えてやっております。そういうことも申し上げまして、各官庁あるいは府県、市町村、あるいは特殊法人等にも協力を求めました。午後は一般の民間の諸団体の方々にお集まりいただきまして、われわれの方針を申し上げ、苦情をいろいろお聞きした次第です。もう何でもいいから好きなこと言ってくれと。われわれの間違っているところはわれわれが考えまして、もうすぐ悪いものは直します、そういうことで苦情をお聞きすることを中心にお話を承りました。そういう情勢を見ますと、内閣がたとえばサービスの改善というものを中心に閣議決定をして、正面から取り上げたというのは余り戦後ございません。昭和十二年に林銑十郎内閣がやって、十七年に東条内閣がやりまして、戦後一回か二回ぐらいありましたけれども、それは諸改革の一つとして取り上げられておるんです。これを本格的に一つの単独の閣議決定にしたというのは今回初めてでございますが、それぐらいわれわれは意気込んで、成果を上げようと思っておることでございまして、そのことも大いに強調いたしました。
   〔理事小山一平君退席、委員長着席〕
諸官庁あるいは地方公共団体の皆さんもよく理解していただきまして、これはしっかりやらなきゃいかぬな、そういうお考えを述べていただきました。また民間の皆さんも、何でも好きなことを言ってくださいと、きょうは苦情を聞きに来たのでございますと、そういうことでお聞きいたしましたら、いろんな苦情をおっしゃっていただきまして、これは非常に参考になったと思います。
 そういう成果を踏まえまして、これから直すべきものは直し、政策を立案すべきものは立案していくと、そういう考えで取っ組んでまいりたいと思っております。
○鶴岡洋君 時間がないので、最後にもう一点。
 長官は先ほどちょっと言いましたけれども、第二次臨調のお考えをお持ちのようでございますけれども、新聞で見ると、八〇年代の行政哲学と体系づくりと、こういうふうにおっしゃっておりますけれども、それは結構だと思いますけれども、この三十九年の第一次臨調といいますか、あの答申のあった第一次臨調をどのように評価し、そして第二次臨調に入ろうとしているのか。
 それと、この第二次臨調でいろいろ第一次臨調の積み残しがあるようでございますけれども、全くその第一次臨調を白紙にして、もう時代も違いますし、高度成長時代と低成長時代と、もちろんもう二十年近くたっているわけですから、そういうことも踏んまえて、第一次臨調のものは全部白紙にして、第二次臨調は新しい時代に合わした考え方をお示しになるのか、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一次臨調は昭和三十六年から三十九年までかかりまして、四十項目にわたる勧告をいただきました。内容は非常にりっぱな、当時としては適切な勧告が多かったと思います。その中で全然手を触れなかったものが九件ばかりあると思っております。手を触れたものは大体残り三十数件は手は触れておると。その中で全部やったものとか、三分の一ぐらいしかやらなかったものとか、いろいろなニュアンスはございますが、その中で一番成果が上がったのは、たとえば一省一局削減というようなことは実行いたしました。あるいは総定員法をつくりまして、国家公務員につきましては四十二年の総定員でくぎづけにしました。それ以後は自然減をもとにしまして、できるだけ増員を抑制いたしまして、今日まで十二年間に約八千人の国家公務員は減員しております。この間に国立医科大学が各地にできたり、あるいは二百海里で海上保安要員がたくさん要ったり、あるいは各地にジェット空港ができまして、航空管制要員がかなり要ると、そういういろいろなことで増員要請がありまして、それは適当に認めてきたところでありますが、それでも八千人減員しております。ただ、地方はそういうことがございませんでしたので、約七十五万人ふえております。その中で警察、消防、学校の先生、これはもうやむを得ないものであると思いますが、それを除いた一般行政職が三十二万人ばかりふえております。こういうようなことはいま地方におきましてもいろいろ論ぜられているところでもあり、われわれとしても関心を持っておるところであり、こういう点は触れられなかったところであると思います。そういう点で、大体第一次臨調というのは、ちょうど高度経済成長期の入り口にできたものでございまして、それに合わせるような、ややもすると発展的な視野に立った改革案が多かったと思います。しかし、今日は安定成長の時代に入りまして、その上二回も石油危機を経験して、非常に国際化という問題が出てまいりました。その上にコンピューターが非常に出てきたり、あるいは非常な老齢化した社会になってくるとか、非常に大きな変化がいま起きているわけでございます。したがいまして、この安定成長時代の高学歴のかなりの熟成した社会に合うような行政のあり方、あるいは中央と地方の関係をどうすべきか、官業と民業の分野をどうすべきか等々の問題について、やはり一定の思想体系のもとに原則を決めて、そして実行していく必要があると思っております。そういう意味で今回新しい臨時行政調査会をつくりまして、権威のある御答申をいただきたいと、そう考えておるわけでございます。
○柄谷道一君 鈴木内閣の最優先の課題は財政再建であると、こういうことで、大蔵大臣はテレビや全国行脚などPRに努めていらっしゃいます。本日の質問に対して大蔵大臣は、行政経費の総洗いとその削減、これには努力するけれども、自然増収との兼ね合いで財政は容易ではない。したがって、増税または国民の負担増か、公共サービスの低下かという二者択一を国民に迫る、こういう印象の御発言を承ったわけでございます。私はそのような二者択一の選択を国民に求める前に、ただいまの質問にもございましたけれども、行財政の改革、さらには三K問題の根本的な洗い直しというものが必要な時期ではないかと、こう思うわけでございます。したがいまして、あすは国鉄問題についてメスを入れたいと思いますが、本日は農業の構造的問題と、食管会計の赤字問題について集中して御質問をしたいと思います。
 米に関しては、財政再建上、いまゆゆしい状況にある、こう私は考えるのでございますけれども、まず大蔵大臣の基本的な認識についてお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 米の問題につきましては、その生産過剰が問題になっておるわけでありますから、この生産過剰をなくするために、農林省としてはいろいろ適切なことをやっておるわけでございます。
○柄谷道一君 食管会計の財政負担、すなわち赤字補てんのために一般会計から食管会計への繰入額は、国内米の分だけ取り上げましても、五十一年度八千二百二十四億円、五十二年度七千三百億円、五十三年度六千三百八億円、五十四年度六千六百七十四億円、さらに五十五年度予算では六千五百十八億円に上っておることは大蔵大臣御承知のとおりでございます。国内米勘定のこのような赤字の増加というものは、一つには売買の逆ざや、第二には在庫米の増加ということの二つが大きな原因であろうと思います。後ほど農林大臣にもお伺いいたしますけれども、大蔵大臣としてこのような要因に基づく食管会計の歴年続く赤字というものについて、どのような方針でその健全化を図るべしと、こうお考えになっておるのか、お伺いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一つは、これは米でございますから、米の生産性を高めて生産者価格というものを極力値上げしなくとも農家がやっていけるようにするということが一つ。そのあとはやはりかかったものはかかったわけですから、これはもう政府の助成がなくとも、食管会計というのは何も二重価格にするためにつくってあるわけじゃございませんので、これは食糧の確保というところに重点が置かれているわけですから、これはやはり実費で御配付をするというようなことにしていけば、食管会計の赤字は出ない。それからもう一つは何といっても生産過剰にしないということでございます。
○柄谷道一君 いま大蔵大臣の述べられましたその方針が、いかに現実に適応していないかということについては後ほど逐一指摘をしてまいりたいと思います。
 そこで農林大臣にお伺いするわけでございますが、国内米の赤字補てんのため、一般会計から食管会計への繰入額はさきに述べたとおりでございますが、これは農林省の予算の二〇%に大体相当いたしております。米のための財政負担がいかに重くなっているかをこのパーセンテージは示すものだと私は思うのでございます。しかし、いま大蔵大臣の述べられました米価の逆ざやでございますけれども、これは五十一年度以降むしろその傾向は縮小傾向を示しております。一般会計からの繰り入れば横ばいからやや減少の状況にあると言っても過言ではない。これは統計が示しているわけですね。ところがそのような状況の中で、本年度の生産者米価の決定は、異例の政治加算諮問という形をとりまして、大臣も大分方針を途中で変えられて、われわれも面食らったわけでございますけれども、それは別として、基本米価で二・三%の引き上げになりました。一方消費者米価の取り扱いにつきましては、米価審議会は過去二年間の消費者米価引き上げの経緯、消費拡大推進の必要性等にかんがみ慎重を期すこと、このような答申を全会一致で行っているわけでございます。これを受けて、農林大臣は八月二日の記者会見で、今回の生産者米価の引き上げに伴う消費者米価の引き上げは当面考えていない、こう記者会見で述べられたと新聞に報道されております。それでは具体的に当面とは米価審議会の答申も尊重されて、大体いつぐらいまでは消費者米価を上げないと、このようにお考えですか、明言を願いたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 生産者米価二・三%引き上げにつきましては、いろいろ御批判はあったと思いますけれども、私といたしましては、やはり農林水産大臣としての責任上、権威ある米価審議会に諮問申し上げるためには、これ以上もうない、どこから見てももうこれが最良のものであるという責任者としての自信と申しますか、そういうものを諮問するのがこれが政治家としての私は道であると、こういうことで、実はああいう経緯を踏んであのような諮問案となったことは御了解いただけることと思います。その趣旨は米価審議会の委員の皆さん方に御理解いただいて、最終的には一本答申ということで御答申をいただいたということでありまして、この点は、私はいろいろ批判はありましたけれども、農林水産大臣としての責任上これはやむを得なかったと、こういうふうに考えております。
 ところで、この二・三%上げた結果、これはもうほうっておけば食管の財政負担をふやすわけでございますから、どうするかということにつきましては、米価審議会から厳しく慎重を期せと、こういうことを言われているわけでありますから、私といたしましてはいまのところまだ消費者米価については決めてはおりません。自分の心を決めてはおりません。御承知のように、先ほど来の御論議の中でもございますとおり、相当な売買逆ざやもまたございます。米の需給事情、在庫の増加、さらには物価及び家計の動向、その改定が米の生産、流通、消費などの各般の面に及ぼす影響、さらには国家財政事情等を総合的に考慮をいたしまして、家計の安定を旨として、適切に判断をして決めていきたい。その時期はいつかと言われましても、私いまここで、これらの事情もいろいろと変化をしてまいるわけでございますので、その辺を見きわめて最終的なその時期に至って決心をしたいと、こういうふうに考えております。
○柄谷道一君 私はこの米価審議会の一本答申、これを尊重する。その米価審議会は片や基準米価について二・三%、しかし、消費者米価は慎重に扱いなさいよと、これが二本が一体になって審議会の答申を形成しておるわけです。したがって、大臣がこの消費者米価についてもその米価審議会の意見をそんたくする、これは私は当然あらねばならぬ大臣の姿勢だと思うんです。まだ具体的に明らかにされていないということで、これ以上言っても水かけ論になると思うんですが。そこで、大蔵大臣にお伺いしますが、そうなりますと、基準米価は上げると、消費者米価は当面据え置くと言われるんですから、逆ざやは四百四十億円程度ふえるということになると私は計算するのでございます。その財源手当てについて大蔵大臣いかがされますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この生産者米価を引き上げたことについて御批判があるようでございますが、私はこれは、野党はみんなこれは安過ぎるといって、御丁寧に決まってから抗議まで来ているわけですよ。私は諸般の情勢を考えると、まあまあ仕方のないところではないか。そこで、上げたといっても一俵三百九十五円ですから、消費者と申しましても、消費者は四十八キロしか食べてないと。一日九十二銭の話なんですな、一日で九十二銭。ですからね、それも負担ができないんだということは、私はちょっと議論としてはあっても、実態論としてはないんじゃないかと。たばこだって、これぶかぶかみんな五円も十円も捨てておってね、それで一日九十二銭負担はとても苦しい、経済も苦しくてだめだというような話じゃないんじゃないかと。したがって、こういうことはよくひとつ、食管制度を置けという以上は、これは御理解願うように話をしていただくのが筋だろう。まあ財源の問題でございますが、それはよく相談をして、農林大臣とうまくそれはやりたいと思っております。これはとりあえず農林省の既定経費の中でやっていただきたい、こう考えております。
○柄谷道一君 いや、誤解してもらったら困るんで、私は生産者米価を引き上げたことにけちをつけているんではなくて、米審の答申が片や二・三%上げなさいと、消費者米価はこれ以上上げるとむしろ消費というものが減りますよと、当分据え置きなさいと、こういう答申ですね。すると、金額上逆ざやがさらに出てくるわけですから、これは大蔵大臣といえども米審の答申を十分に尊重して、その財政手当てを行っていくというのが、これは大蔵大臣としても当然の姿勢でなければならぬということを指摘しておるわけですから、誤解のないようにお願いをしたいと思います。
 そこで、農林大臣、冒頭に米価の逆ざや縮小を図って、食管会計の赤字を幾らかでも減すというようなニュアンスのことを言われたわけでございますけれども、これは米審が指摘しておりますように、これは需給バランスがとれた場合は確かにそうでしょう。しかし、今日の食管赤字の大きな要因は、むしろ管理経費でございます。昭和五十年度に売買逆ざや分が食管赤字の五五%、三千八百八十一億円であったんでございますけれども、昭和五十五年度の予算を見ますと、管理経費分がむしろ五五%を占めまして三千五百七十億円、まさに食管会計の赤字要因は、そのウエートが逆転をしておるわけでございます。管理経費の中には当然集荷経費、人件費、運賃等もありますから、適正に増加するのは当然であるとしても、何といっても大きいのは保管料と金利でございます。
 私が調べたところによりますと、五十年度から五十五年度の間に、保管料は単価では一・四倍、支払い額は二・七倍になっております。金利は同じ期間に単価で一・一倍、支払い額は二・四倍になっております。これは在庫米が急速にふえ、そのことがこの食管財政の赤字というものを増大させる今日においては最も大きな要因となりつつあるということを物語っていると私は読み取るのでございます。
 そこで管理経費を今度はそれではどう縮減していくか。これは簡単に言えば在庫、過剰米をなくすることでございます。しかし、私は今日までの政府計画を見ますと、五十年度以降消費の見通しは絶えず計画よりも下目でございます、実績は。五十二年度の場合は六十二万トンも政府計画より少なかった。逆に生産量の方は、五十一年は冷害で計画を下回りましたけれども、それを除けばいずれも計画よりたくさんのお米がとれております。私はこうした需給ギャップというものが即財政を非常に圧迫しているというこの現状から考えますと、どう見ても政府の米の需給計画が甘かった。生産についても、消費についても、その見通しというものが十分でなかった。この見通しというものから計画というものが生まれてくるわけでございますから、私は端的に言えば、今日までの農政の失敗をこの計画と実績との差は物語っていると、こう思うんでございますが、いかがですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 管理経費の増加の件についての大きな理由の一つに、在庫がどんどんふえてきたという御指摘は、私もそのとおりであると思います。しかしこの見通しというのは、なかなか農業の特質から申しまして、言いわけをするわけじゃありませんけれども、自然的な影響を受けるという面がまことに大きいことと、人間の食生活というものを予測するということも、食生活の変化の動向というものを読み取るということも、これはなかなかぴたりと当てるということはきわめて困難なせいもある。と同時に、日本の経済成長が非常に急速な時期等も加わりまして、とにかく農業基本法に基づく長期見通しというものを各作目ごとに基本法制定後三回ほど長期見通しをつくり、また改定をし、改定をし、まあそのときどきにおいては最高のスタッフで、最高の努力で、見通しをつくり上げたわけでありますが、結果的にはただいま御指摘のとおりに進んできたわけでございます。
 そこで、今回、大体日本人の食生活の動向というものも固まってきたと、二千五百カロリーくらいでずっと落ちついてきておると、ここ二、三年ですね。そういうことでもありますので、前の前の渡辺農林大臣のときに、農政審議会に今度は外れないしっかりした見通しをつくってほしいと、こういうことでお願いをして、近く答申を得るということに相なっておるわけでございますから、私どもとしては常に最大の努力を傾けて、需給のバランスをとるような努力をやはり農政の基本としていくことということが、食糧管理制度を維持していくためにも絶対に必要であると、こういう考えでやっておりまして、まあ農政の失敗という批判もあろうかと思いますけれども、私どもは、こういう状態を続けておりましたからこそ、まあポーランドのように食糧が非常に不足をして、肉もなかなか思うとおり手に入らないというようなことで、ああいう騒ぎの一つの原因をつくったとも聞いておりますが、日本には幸いそういうことが戦後三十五年――まあ戦後の食糧非常に不足のときには、それぞれ食糧で苦労はしましたけれども、ここ二十年この方は、そういう面で一億国民が食糧のために苦労したことはなかったと、こういうことで、一面で勤労者の皆さん方は国際的にも最も高い賃金で働くことのできるこういう国づくりをしてきたと、こういうことから見れば、私は、むしろ日本の農政というものは非常にむずかしい天候、気象条件に支配される中で、まあよくやってきているんじゃないかなと、こういう感じがいたすわけでありまして、しかし、私どもはやはり国に余りの財政負担をかけたり、納税者に余り迷惑をかけて、農政を何やってもいいというような安易な考え方は絶対に排すべきであって、やっぱりコストダウンを図ることこそ私は農政の目標でなければならないと、こういうふうに考えて指導をいたしておるところでございます。
○柄谷道一君 私は、計画と実績が時として若干違うと、これはもうやむを得ないことでございます。しかし、私が指摘しましたのは、これは五十年からこの五年間ですね、前回の冷害と、その生産量の減少という、これはまあ不可抗力であったと思うんですが、それを別として全部狂っているんですね。消費は絶えず多目を見、生産は絶えず過小の見積もりをした。私は、やはりそういうその不的確な需給見通しから適切な施策が生み出されるはずはないと、こう思うんでございます。
 そこで大蔵大臣。四十六年から四十九年の間に第一次過剰米処理五百二十六万トン、それに要した国費四千三百六億円、これは処理による直接の損失でございまして、処理するまでの管理保管の経費その他を含めますと約一兆円に上るわけでございます。ところが、その後再び在庫量は増加いたしまして、五十三年十月末には五百七十二万トン、第一次過剰時代の水準に達しております。これを五十四年度から五カ年計画で、五十年から五十三年に生産された分の過剰米を処理するということになっております。その後の過剰米も増加を続けておりますから、六百五十万トンの在庫を抱えておるわけです。政府の買い入れ価格はトン当たり約三十万円でございます。過剰米の処理をする場合、工業用はトン当たり十二万円、輸出用は約九万円、えさに至ってはたったの三万円でございます。だから第二次の過剰米の処理で発生する損失は約九千億円と言われておりますけれども、えさ処分が多くなれば約一兆四千億円になるであろう。これに処理までの管理経費等を含めましたコスト価格から見ますと、約二兆四千億円の処理経費を必要とするんではないか、これは一般に言われていることですね。しかし、これを処分しなければ保管料、金利はますます増大する。いま大蔵大臣は、赤字国債の二兆円減額というものをにしきの御旗とされておるわけでございますけれども、こうしたこれまでの過剰米処理に二兆円を超える国費を必要とするということは、これは全く後向きの施策でございます。こういう現実に対して、大蔵大臣はかつて農林水産大臣もやられております。どのような政治責任をお感じでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは私も政治責任は感じますが、これは農林水産大臣だけじゃどうにもならぬことなんですよ、国会みんなが協力していただかぬとね。それは生産者価格は上げろ、消費者価格は上げるな、赤字はつくるなと言われましても、これはだれもできない。それから、いま米が余るというけれども、余る米の原因というものは、余る米は余るが、余んない米は余んないんです。それは余る米は決まった米が大体余るんですよ、売れない米が余る。したがって、売れない米はじゃあ値段をどんと下げちゃうと、売れる米はいいと。じゃあ値段を下げますよということになれば、こぞって賛成する人はいないわけですから。それでも品質格差導入ということをやって、それをもっと広げていけば、やはり売れる米は高くても、売れない米は安くするということで生産制限をしていくというようなこと以外にはないんですね。これは農林水産大臣だけにやれ言われたって、そう簡単にできるものじゃない、私は国会の皆さんの御協力が非常に必要だと。しかし、政治ですからね、なかなか経済の学問的なことばかりではできない。たとえば災害が起きた、災害が起きてそんじゃ米が減ったと。減って喜んでいる人はだれもいないんですね、国会議員は。気の毒だと、こんなに減っちゃったと。純財政学から考えれば米が減ったらバランスとれていいじゃないかという話なんだけれども、そういうことを言う人は一人もおりませんね、私も言わない。ということになると、規格外のお米は買ってくれといって要求が来ているわけです。規格外のお米買っても配給はできませんね。しかし恐らくこれは各党ともみんな言ってくるでしょう、規格外の米買いなさいと。これはやっぱり過剰米として残りますね、必ず。ですから、もうできちゃったものは仕方がないと言ったんじゃまあ困るわけなんですがね。本当は仕方がないじゃないんですよ、もとには戻せないわけですから。だからこれは最も有利な方法で何とか始末をつけると、本当にむだな金ではないかと言われれば、全く私はそのとおりで、そのことについては反論の余地はないんです。しかしそうなったからにはなった原因がございますということもお見知りおきをいただきたい。したがって、今後はいろいろなそういう施策を講じて、銘柄、品質格差というようなものをもっと広げたり、いろいろな施策を講じて、それはやっぱり売れない米はつくらないという方向にひとつ指導をするという以外にはないんじゃないかと、こう考えております。
○柄谷道一君 大臣、いま言われましたような大臣の方針で、政府は今日まで何やってきたか。四十六年から五十三年までに一兆二千百九十億円、これは決算額でございます。五十四年と五十五年の今度は予算を含めますと、一兆八千四百十九億円の国費を使いまして、四十六年から五十年度までは稲作転換対策、五十一、五十二年度は水田総合利用対策、五十三年度からは水田利用再編対策、次々とこう対策を打ち出してきたわけですね。私はこの計画というものが本当に目的を達したんだろうかと疑問に感ずるわけでございますが、大臣は十分の効果を上げてきたとお考えになっておりますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) まあ御指摘の現況であるわけでございますけれども、いままでほうっておけば、これはもう取り返しのつかない事態になったことは御理解いただけるわけでありまして、いまここ二期の生産調整を、水田利用再編対策を進めることによって、需給のバランスをとろうというその過程に現在あると。急激に、一遍にこの需給バランスをとるというようなことは、これはもうなかなかむずかしいわけでありますので、やはり米の消費を一方でふやすと、こう申しましても、米を食わなくなるまでに三十数年かかっておるわけです。これは時間が長くなりますから申しませんけれども、日本独特の食生活というものをつくり上げる努力というものがやはり国民の中から起きてくるというような指導も今日までやってきておるわけであります。その結果、一応消費動向は減退の方向をある程度ストップさせることができるんじゃないかなという期待感を持てるところまで来ておるわけであります。そういう事情でありますから、とにかく農林水産省といたしましては、需給のバランスをとるための筋道、過程のある部分を取り上げて御指摘いただくといま御指摘のとおりかと思いますけれども、やはり政策はある程度の時間をかけさしていただかなければならぬと、こう考えますので、その点はよろしくひとつ、私どももそのために相当厳しい処置を将来とっていかなけりゃならぬと、こう考えておりますので、その点御理解をいただきたいと思います。
○柄谷道一君 私は、行政管理庁が調査いたしまして、五十四年一月二十九日、農業構造改善事業、これに関して中央計画監察の結果を発表いたしております。これによると、行政管理庁が調査した八十地区の中で、五十年度までに補助事業を終了した五十五地区の実績を見ますと、自立経営農家育成実績は目標戸数のたった二九・三%。その中でも、施設園芸、畜産などいわゆる施設型農業の方は六〇%とまだ高いけれども、水田、畑作といったいわゆる土地利用型農業の場合の実績は二二・八%にすぎない。また、補助金の使われ方につきましても、農業経営の能率化を図るための農用トラクター、コンバイン等を整備するため、協業施設整備事業補助を行っておりますけれども、その利用実績は、農業機械で二六・四%、施設は二二・五%に過ぎない。さらに、導入された農業機械施設の中には、遊休化しているものや補助目的に即した利用がなされていないものもある、このように指摘いたしておるわけでございます。そうしますと、今日までやってきた自立経営農家育成というものは、この中央監察の報告を見る限り、はなはだ失礼ですけれども、極端に言えば評判倒れであった。その施策に見るべき成果をまだ十分上げていないということをこれは物語るのではないか、こう思うのです。いかがですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) その点は確かに御指摘の面、私も否定はいたしません。しかし、お考えいただきたいことは、やはり自立経営ということになりますと、ある程度の規模拡大という問題とこれは離すことのできない面もあるわけでございます。そういう点も私どもは実は十数年前から農地の流動化でありますとか、そういう生産性の向上というものを実現するために規模拡大の方向の法律的な措置というものを考えるべきではないかと、こういうようなことで、いろいろ国会の方でも議論はさしていただいたわけでございますけれども、なかなか法的措置というものが与野党一致してできなかった。この辺にも成果が上がらなかった一つの原因が私は潜在しているんじゃないかと、こう思うわけです。したがって、その点は先般の国会で食糧自給力強化決議案と同時に、農地三法というものを通していただいて、そうして初めてここにその農地の流動化、農地の規模拡大というようなことをやってまいりますための環境というものをつくっていただいた。ここで私どもといたしましては、いままででも農地関係のもろもろの構造改善事業というものは相当な効果を上げておると、こう思いますけれども、御指摘の面も確かにあったわけでありますから、その点をこの国会でおつくりいただいた農地三法の趣旨を大いに生かしまして、行政的にもその面を埋め合わしていきたい、こう考えております。
○柄谷道一君 大蔵大臣、公明党の鶴岡委員が質問されましたので、私はあえて重複する質問は避けたいと思うんですが、本年度のいわゆる冷害による農家の損害五千六百七十九億円、戦後最大の被害である。私も農業共済金の早期支払いの問題、自作農資金やつなぎ資金などの融資の問題、救農土木事業の発注の問題、天災融資法の発動、激甚災害法の適用問題、さらに飯米対策、消費者、いわゆる食糧に関する物価安定の対策の問題、これを急がなければならぬということはもう同感でございまして、これは両大臣、よく十分にかつ早期にその対策を樹立していただきたい。このことは意見の形にかえておきたいと思います。
 ただ、農林大臣言われましたように、当面冷害対策に重点を置くのだと。そこで第二期水田計画の配分については十月末、もしくは十一月初めごろにいたしたい、こう言っておられますけれども、しかし、基本である生産者や生産者団体から出されておる来年度から三カ年計画でスタートする第三次減反を一年間延期してほしいとか、転作奨励金の据え置きの問題とか、また、被害地域の減反割り当ての緩和の問題、これは事情はわかるけれども、一方、過剰米の実態を考えると、なかなかそうもいきかねるというのが大臣のお考えなんですね。
 そこで、私は最近村祭りでございますけれども、村の鎮守さんに農民は何を祈っているか、これは五穀豊穣――豊作でございます、勤労感謝の日には天皇陛下がみずから宮中で豊作を祈願されるわけでございます。ところが、豊作を心から祈って農耕にいそしむ、その結果、豊作になれば米が過剰、そしてこれは減反にはね返ってくる。それでは天候不順になった、百三十万トンを超える減収が予想される。これは生産者にとりましては大変な打撃でございます。しかし、大蔵大臣言われましたように、そうなっても減反計画の緩和はなかなかできがたい。私はこれで生産者の土に対する愛情というのは本当に生まれるだろうか。そこに日本の農業の苦悩というものを私は物語るものである。大蔵大臣なかなか言わないと言いましたけれども、先週の週刊新潮を見ましたら、ことしの冷害は天佑ではないか、こんなことが皮肉られているんですよ。これは農民にとっては耐えられない言葉だと思うんですね。しかし、過剰米という問題を抱えた政府としては、口にはこんなことは言えないけれども、どっかにこれで過剰米多少は減ったな、こういうお考えは心の中にあるんではないか、非常に自己矛盾した現状の中に日本農政というものがいま置かれている、私はそう思うんです。
 時間の関係で私はもっともっとたくさんの質問を予定してきたのでございますけれども、私はこういう現状を打開するために、口幅ったいようでございますけれども、農林水産大臣、ひとつこの際日本農業再興の祖になってほしいんです。そのためには私は形式的な審議会だけではなくて、もっと国民各層から出た専門的なプロジェクトをつくって、これからの日本農業改善はどうなるのか、どうあるべきか、この問題を解決せずして、食管問題には突っ込んでいけませんよ、これは。私はいま中曽根行政管理庁長官が第二審議会の設置を言われたわけでございますけれども、私は日本のいま農民の置かれている実態、そしてわが国の財政に及ぼす食管会計の実態、これを考えれば、甘い言葉を言って、ただこのままずるずると推移するようなときではない。ここに大臣、勇断を持った日本農業のビジョン、これを農業基本法に基づいて、その理念に基づいて立案していくその時期ではないだろうかと、こう思えて仕方がございません。その点に対する農林大臣と大蔵大臣の所信をお伺いいたしまして、時間が参りましたので、質問事項を残しておりますけれども私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(亀岡高夫君) 大型プロジェクトをつくって、本当に八〇年代の農政の基本、二十一世紀へ向かってのしっかりした農政の基本をつくれと、こういう御趣旨でございますが、先ほど申し上げましたように、農政審議会、これは私はもう日本のこれ以上のスタッフはないと、委員が十五人、専門関係の方々が七十数人、これだけの方々があらゆる各界各層を網羅して、いままでずっとやっていただいておるわけでございます。そして、先ほど申し上げましたとおり、やっぱり自給力向上という国会の御趣旨もここに明らかになっておりまするし、しかもまあいままでなかなか法律的に突破口をつくっていただけなかった規模拡大と申しますか、経営面積の拡大を図ることのできるような法的措置を整備していただいたわけでありますから、そういう背景のもとに私は今回の農政審議会の答申というものは、いま委員の御指摘されたような線でなされるものと、こういうふうに理解しておりまして、その答申がなされましたならば、これはもうやっぱり農業の仕事というものは昔から責任を持ってやった人は腹切っているんですよ。最後はそうなるんです、これはもうそういう運命持っているんだ。ですから、私ももうなりたいと思った農林大臣にさしてもらったんだから、後はもう何にもならぬでもよろしいと思うほど思い詰めて実はいろいろと取り組んでいるわけですから、どうぞそういう気持ちを御理解いただいて、やっぱり国会においても、先ほど大蔵大臣が申し上げましたとおり、やっぱりわれわれが主権者に本当のことを言わないでおもねるというようなことがあってはならないと私は常に自戒をしておるわけでありますけれども、やはりそこは人間ですから、弱点も出てきますから、ついつい国会の方からこれはだめだと、こう言われますと決心も鈍ってきますので、その点はひとつ御協力をお願いしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全く亀岡農林大臣りっぱなことをおっしゃって、私も本当にそのとおりだと思うんです。
 どうして米がこんなに余ったか、いろいろございますが、私は見当違いが一つそれは確かにあったんです。その見当違いというのは、日本国民の所得がこんなに増大すると思わなかった。それば所得が所得倍増だと思ったら三倍半になっちゃったわけですから、池田さんのときでも。それが米を食わなくなった最大の原因であって、しかも最近とても不況とは言いながら、それじゃ米は食わなきゃ何を食べるんだと、豚肉が余って安いと、鶏――チキンの肉がうんと安いと、暴落していると、それを食べてくださいと言ってもやっぱり高い牛肉を食べたいと、こう言っているわけですから、これは何とももう国民所得が増大したことが悪いことしちゃったんだということなれば話は別だが、やっぱりそこら辺に食い違いがあったということは確かでしょう。したがって、私はこれからはやはりいままでと違って、ただつくっても政府がみんな買ってくれる、余っても始末の金が出してもらえるという時代じゃもうないのでございますので、これはやっぱり一緒になりまして、生産者も消費者も政府も一緒になって、やはりむだのない、そしてしかも国民食糧の確保もできるという道を一緒に考えていくほかないんじゃないかと、さよう考えております。
○立木洋君 宮澤長官にお尋ねしますが、先ほど金大中事件に関して政治決着の見直しをする考えはないというお話でございました。政治決着というのは、これは先ほど言われたように、主権侵害を確認することができなかったからという意味だと思うんですね。これは歴代の総理大臣にしろ、外務大臣にしろ、新しい事実が出てきたならば、これは見直すこともあり得るということを述べられてきたわけです。
 ところが、昨年来の事態を振り返って見れば明らかなように、スナイダー公電というのが出ました。これは当時の金東祚韓国外相が明確に、金大中を拉致したKCIAの要員である金東雲、これをひそかに解任したということが公電の形で金東祚外相がスナイダー氏に述べたことがアメリカに報告されている。もう一つは、御承知のように田中伊三次元法務大臣、これもはっきりあの事態が起こった時点で、明確に、それがラジオ、テレビで報道される前に、日本政府高官から法務大臣の部屋でKCIAにおける犯行であるということが報告されたと、話がされたと。それからもう一つは、つい先日金大中の死刑に関する問題が問題になったときに、元在日韓国公使である崔世鉉という在日KCIA責任者、彼が明確に金大中事件の犯行はKCIAの行ったものであるということを指摘をし、日本政府当局はこのことは詳細について知っているはずであるということが公表されました。
 まさにこれだけの事実、KCIAによる主権侵害であるということが明確になった事実、こういうことがこの一年来明確にされておりながら、なぜなおかつ政治決着の見直しができないのか、そのことを最初にお尋ねします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 問題はいわゆる主権侵害があったかどうかということについて、わが国がそれをはっきり証明し得る立場になければ、韓国政府とそのことについてのやりとりをすることができないわけでございますから、これにつきましては、いまも仰せになりましたように、いろいろな人がその所見を語り、あるいは伝聞等々もございますけれども、それらをもってしては韓国政府に対して、わが国の主権の侵害が行われたという動かない証拠としてわが国が交渉なり、あるいは抗議なりをなし得る立場のためには十分でないと、こういうことにはどうも変わりがないわけでございまして、したがいまして、政治決着に際しまして申しておりますことは、今後の捜査により新たな証拠が発見された場合には、これはもとに返すと言っておるのは実はそのような意味でございます。いろいろな伝聞等々は、それをもってわが国が動かない証拠として韓国政府と交渉をする、あるいは抗議をするというものとしては十分でないという状態は変わっていないということでございます。
○立木洋君 日本の法務大臣ですよね、発言しておるのは。これはただ単なる一介のちまたにおける人が伝聞を言っているんじゃないんですよ。あなた日本政府当局として、田中伊三次議員にどの高官がこういうことを話しに来たのか。在日韓国人の高位の人物が、直ちに某国による秘密機関からの指令によって金大中氏は殺されることがなくなりました。これは一体だれであるのか、あなた田中議員にお聞きになりましたか、日本政府当局として。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私の記憶に誤りがなければ、あのとき田中さんがお使いになりました言葉は、第六感と言われましたか、そういう表現をされたのではなかったかと思います。私としてそれがどういうものであるかを伺ったことはございませんけれども、ああいう立場におありになる方が、これで韓国政府に対して、日本政府として十分な証拠とするに足るというお考えであれば、それは当然にそれに基づいて日本政府の立場をお決めになっていたはずであって、それに足りなかったものであろうと推察をいたします。
○立木洋君 田中伊三次元法務大臣が第六感だと言うのはその前の話なんですよ。これは去年の五月の十八日、明確に述べているわけですね。これは第六感じゃないんですよ。いわゆる私の部屋に、テレビが放送される前に、法務大臣室に秘書官も通さずに入ってきた、政府高官が。そして犯人はだれかと問うと、その高官は、私に近づいて、耳元に口を寄せるようにして、韓国の秘密警察、KCIAですよと言ったというんですよ。いいですか。そしてそれから、四、五時間後に某大国の秘密機関から殺すなという指示が来たので、殺される心配はもうなくなりましたという、今度は在日韓国居留民団のある好意ある男からの電話だったと。これははっきり言っているわけですね。だから、私としては、政治決着、一次、二次にわたる政治決着の見直しをしなければならない。これに踏み切らなければ、国会も国民もおさまらないと日本の元法務大臣が言っているんですよ。六感じゃないんですよ。そしてあなた、それを日本政府当局として大臣に聞いたと、元法務大臣に聞いたということもあなた確証されない。警察としてはどうですか。田中元法務大臣がこういうことを言われた後、事情をお聞きになりましたか。
○説明員(鈴木貞敏君) 田中元法相の御発言につきましては、警察としましては、事件発生当時の問題としては、現職の法務大臣でございますので、そういう重要なる事項については、当然事実として警察に御通報願える、こういうふうな理解で終始いるわけでございます。
 その後、先ほど来のお話の第六感その他ございますが、そういう考えで当初からおりますので、特別正規に取り調べ、あるいは事情聴取をするというふうなことはやっておりませんが、ただ、京都のお方でございますので、そういう意味で、京都府警の警察官が田中さんにお会いして、いろいろ出ておりますがどうですかというふうなことをお伺いした際には、具体的に、新聞紙上に出ているようなKCIA云々というふうなことを推定するそういうものは何もお聞きできなかったと、こういうふうなことで現在まで推移しているという状況でございます。
○立木洋君 警察当局としても、この問題について捜査続行中であるはずですよね。やはりこういうことが述べられているからには、このことを重視して、事情をいろいろお聞きをする、お尋ねするということは当然あってしかるべきだと思う、京都府警だけではなくて。そして、ましてや政府当局としては、第二次政治決着を行ったのは、あなたはその当時、宮澤長官は外務大臣でした。私もこの問題についてその前後にお尋ねしたことがございます。だけど、今日こういう事態があり、政治決着を本当に見直す必要があるかどうかという問題を真剣に日本政府が考えるときに、この問題について全く聞いてもいない。そして、それは一回の伝聞にすぎない。前、私が聞いたら、昨年、この問題を園田さんにお尋ねしたときには、韓国政府が認めない限り仕方がないという外務省の立場ですよ。それが本音じゃないですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは捜査の観点にも関係があるかと存じますけれども、捜査上動かし得ないことがわかってまいりますと、これは相手に対して、こうではないかと言わなければならぬということは、私は、相手がどう出ようと、やはり捜査の立場からはあるであろうと思います。
○立木洋君 捜査上と言ったって、あなた、明確な金東雲の指紋が現場にあったという動かしがたい事実があるんですよ。日本は近代的な警察だと言って、その能力を世界に誇っているわけです。その事実すら認めないのが韓国政府じゃないですか。それ以上のどんな証拠を出せるんですか。日本政府がどういう姿勢をとるかという問題なんですよ、この問題は。
 質問を変えます。
 今度金大中氏に死刑の判決が出されましたが、これについてどういう罪名、どういう適用法令がなされているのかという点については、相手国からどういうふうな話を聞いておられるのか、それに基づいて罪名をどのように宮澤長官がいまの時点で判断されているのか、お尋ねします。
○説明員(木内昭胤君) 判決文を全文入手いたしておりませんので、入手いたした上でのことでございますが、これまで承知いたしておりますことは、起訴状に列記されております法条が関係しておるというふうに承知いたしております。すなわち刑法あるいは戒厳法、国家保安法、反共法、それから外国為替管理法というふうに承知いたしております。
○立木洋君 これは起訴状では、七つの罪名が挙げられておりました。しかし、いまだに判決のあれは入手されていないから、何が死刑判決の根拠になったかということは、はっきりしてないのですよ。一人の人の人命が抹殺されるという死刑判決が出されておるのに、その根拠さえ、罪名さえ明らかにされていない、日本政府が。いいですか。この七つの罪名が挙げられていますけれども、内乱陰謀、内乱扇動などというのは三年以上の有期懲役ですよ。これは韓国のあれを調べてもわかる。戒厳令違反などの問題は三年以下ですよ。そうして反共法違反、これはもちろん極刑もありますけれども、ここで挙げられているのは、五条一項ですから、これも明らかに懲役七年以下です。外為法違反についても十年以下ですよ。問題になるのは、国家保安法違反の第一条第一号なんです。つまり韓民統との関係が問題になるわけです。当初、韓国の新聞というのは全部内乱罪ではないかと言って書き立てました。内乱罪だと言って書き立てたって、起訴にされてないのに、起訴にされてない罪状で死刑の判決下せるはずがないですから、そうして後で全部国家保安法違反、第一条第一号ということになった。これはまさに日本に滞在していたときの問題と密接にかかわりのある問題ですよ。あなた自身は、長官は判決文を読んでからよく判断したいということを言いながらも、日本の行った政治決着には抵触しないものと考えるとあなた言われた。私は本当に宮澤長官ともあろうべき方ならば、少なくとも判決文を手に入れてないのだから、判決を直ちに入手せよと、どうして渡せないのか、理由をはっきりさしてくれ、いいですか。そうして問題は、その判決文に基づかない限り、われわれとしては、政治決着に抵触しないか、抵触するかは、あなたによる発言ではなく、判決文に基づいて私は明確な日本政府の態度を発表する、それまで抵触しているか、抵触してないかは、われわれは発言することを留保するということぐらいのことはあなた言えるでしょう。私は、この問題に関するというのは、日本政府の立場の問題だと思います。この点について、大臣どうお考えですか。
○説明員(木内昭胤君) 判決文を入手する努力を怠っておるわけではございませんで、これは近日中入手できるものと確信いたしております。
○立木洋君 大臣。私、宮澤さんが外務大臣のときも、答弁しにくいことになると大体政府委員の方に回答させるのですよね。きょうは短い時間ですから、ぜひ長官にお越しいただいているのですから、答えていただきたいと思います。
 ちょっと質問を変えますが、日本政府は、この金大中事件の問題に関して、何かと言うと政治決着だというふうに言われるわけですね。しかし、これは少なくとも私は認めませんけれども、これは日本政府と韓国政府の間での問題なんです、政治決着という問題は。しかし、問題は日本政府が、日本に滞在していた金大中氏の生命を保護しなければならないという金大中氏に対する責任というのは、別に考えなければならない点ですよ。これは韓国とどのような政治決着を行おうとも、日本に滞在していた人物の生命を保護するという責任はあるわけですから、この点については、かつて三木総理が明確に述べておられる。これは金大中氏が日本に滞在を許されておって、それを日本の政府が保護する責任があるわけです。強制的に拉致されたと、したがって、金大中氏の人権という問題に対して非常な関心を私は持っているのです。日本政府としては責任を果たしていない面があるわけです。いいですか、金大中氏に対しては責任を果たしていない面がある。だから、日本に滞在していた金大中氏に対しての生命を保全しなければならないという責任を果たすという観点から、現在この人物の人命が抹殺されるという事態になっている、日本政府は金大中氏に対して生命を保全しなければならないというこの責任について、どのようにされるおつもりですか、長官。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょっと御指摘の問題が必ずしも素直には理解できなかったのですが、この事件で主権の侵害が行われているという前提に立ってのお尋ねでありますと、私どもはそれはそうは言えない、それを証するに足る十分な証拠を持っていないという立場をとっておりますから、そこでお尋ねの立っております前提が違うのではないかという感じがいたします。
○立木洋君 じゃ、先ほどの点について大臣最後にお答えいただきたいんですが、一点は、判決文を見ていないのに政治決着に抵触していないなどというふうなことは言うべきではないんではないか。判決文を十分に見てからやるというのがやっぱり長官のとるべき態度ではないだろうか。この点について私は一点どうしてもお伺いしておかなければならないと思うんですね。
 それからもう一点は、こうした現在死刑の判決が出されたという点について、いまだにその罪名の根拠すらあいまいにされておる。この点については、日本政府としては重大な私は責任を感じていただきたいと思うんです。いわゆる政治決着に抵触するかしないかという重大な疑惑があるというふうに言っても過言ではない事態があるわけですから、この点について日本政府は、やっぱり死刑執行を中止して原状回復すると、そしてこの政治決着を白紙に戻すという強硬な態度をとるべきであるということを重ねて強く要求したいわけですが、この二点についてお答えいただきたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) この判決がなされましたときに、私は記者会見でこのように申しました。そのことは今日も同様に申し上げるわけでございますが、裁判官の判決の朗読の中で、諸外国との友好関係を考えて、国外における行動については不問に付することにした、ちょっと言葉が正確でないかもしれませんが、そのような判決趣旨の朗読があったわけでございます。これはわざわざ裁判官がそう言われたほどでございますから、それは一応それとして承るのが本当であろう。したがって、その限りにおいて政治決着に抵触していないとまず考える。しかしながら、詳細には判決文全文を入手して、正確に申せばそれで判断をするのが本当であろうと、したがって、判決文の入手に努力をすると、こういうふうに申してございます。ただいまの私の考えはそれと変わりません。判決趣旨の朗読では明らかにそう言われておることでございますから、それと異なったことが後に発見されません限り、そう考えていいことであろうと。もとより判決文の入手に努力いたしまして、その点をもう少し正確にいたしておきたいと考えております。
 それから次に、責任云々というお話でございましたが、他国で主権に基づいてなされております裁判でございます。私どもはその成り行きに非常な関心を持ち、かつ憂慮を感じておりますが、責任という言葉でそれを表現いたしますことはいかがかと思います。
○委員長(野田哲君) ちょっと速記とめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(野田哲君) 速記を起こして。
○立木洋君 これは答弁要りませんけれども、この事態というのは将来明確に私はされるだろうというふうに思います。
 渡辺大臣、これは質問ちょっと変わりますけれども、これはもう一問だけです。ですから明確にお答えいただきたいんですが、防衛予算特別扱いするつもりはないというふうに述べられました。ただし、概算要求としていまの九・七%を認めたのは、条約の義務履行を考慮に入れてのことである。しかし、査定の場合には同様に厳格にやりたいという趣旨のお話でした。私はここで言われたつまり概算要求としてこれを認めたというのは、条約の義務履行を考慮に入れたということが根拠だろうと思うのですね。この特別にこれを認めたという意味は、これが根拠だろうと思うのです。だから、当然アメリカから言われて、アメリカの言いなりになったから認めたんだなんというようなことでは私はないだろうと思うのです。そんなこと言ったら渡辺大臣は怒るだろうと思うのです。そうではなくて、もちろん内閣としては自主的に考えたのであって、根拠になったのは条約の義務を履行するという観点からだということが根拠になっているだろうと思うのです。ところが、それについて先ほど主計局長が三点挙げられました。それはもう繰り返しません。その三点の内容について言うならば、たとえば地位協定の問題ですよ。いままで米軍自身が当然払わなければならなかった経費すら、いわゆる金丸元自民党国対委員長のお話によれば思いやり予算ということでふやしてきたという経緯もあるわけです。そうすると条約の義務履行というのはだんだんだんだん拡大解釈されて、アメリカの言いなりになって、防衛予算をふやしていくということにもなり得るのではないか。だから、今度の防衛予算、いま伊東外務大臣行っていろいろ話をしておりますが、どうもいまの九・七%の概算要求ですら不満であると、もっと上乗せすべきであるみたいな話もマンスフィールド氏のお話によっても出されてきている。これは私は重大なことだと思うのですよ。だから、問題は条約の義務履行ということをおっしゃるけれども、いわゆるその根本にはアメリカの要求を受け入れざるを得ないという面があるのかどうなのか。この防衛予算の特別枠に対するいま私が幾つかの角度から述べた点について、明確に御答弁をいただきたい。それで私の質問を終わります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 結論から言えば先ほど答弁したとおりでございまして、要するに条約の義務履行上継続費とか既国庫債務負担行為というものを除外するわけにいかない。したがって、それを乗せるとシーリング枠を少しオーバーしたと、そういうことでございまして、これはどういうふうに査定をしていくかということにつきましては、真に非常に財政逼迫の苦しいときでございます。ですから、それはむだなものは切らしてもらいますし、真にやはり日本の防衛と安全保障上必要なものについてはこれはつけなきゃならない。今後これは検討すべき問題でございます。
○野末陳平君 先ほど円山委員からも郵便貯金の問題が出ておりましたけれども、私も郵便貯金とグリーンカードを関連させて二、三質問したいと思います。
 郵便局の職員がお金を集めてくると貯蓄奨励手当というようなものが出るということはもうさっきも出ましたが、具体的に言いますと、これは定額貯金の場合は千分の五・四だとかいう話で、つまり百万円の定額貯金を勧誘してくると五千四百円と、それから三百万円の定額貯金を集めてきますと一万六千二百円の手当が出ると、これはもう間違いないですね、郵政省。
○説明員(鴨光一郎君) お答えいたします。
 仰せのとおりでございます。
○野末陳平君 そうしますと、郵便局の職員が一人でこの手当をどのくらいもらうのか、これは過去の実績でいいですから、外勤と内勤と何か二通りあるそうなんですが、それぞれについて金額をお示しください。
○説明員(鴨光一郎君) 貯蓄奨励手当の一人平均支給額が昭和五十三年度の場合二十七万三千円となっております。内外別に分けますと、内務の方で二十三万九千円、外務が三十五万六千円ということになっております。
○野末陳平君 窓口でも勧誘して手当がつくというのは初めて知ったわけなんですが、給料のほかにこれだけ手当が入ってくるということで、やはりお金を集めるときに、さっき質疑にも出ましたけれども、商品券を配ったり、毛布とかおまけをつけるというぐらいに熱を入れる、これもわかるんですが、この手当の弊害についてちょっと指摘したいんです。
 郵政省が名寄せをしますね、この名寄せによって三百万円という限度枠をオーバーした、これがわかれば、郵政省としては減額措置をとっているわけですね。この数年の、減額措置をとって預ったお金を返したわけでしょう、その額について、この二、三年の数字を挙げてください。
○説明員(鴨光一郎君) 五十二年度からの数字を申し上げますと、五十二年度が件数で一万九千八十九件、金額で二百三十億円。五十三年度が二万二百件、金額にいたしまして二百二十一億円。五十四年度が件数で二万六百十八件、金額で二百十二億円でございます。
○野末陳平君 このうち、職員が勧誘して集めたという分については、彼らのもらった貯蓄奨励手当ですか、それを当然返還しなければいけない、会計検査院の指摘で現実に返還されたと思いますが、この返還額についてはどうなっていますか。
○説明員(鴨光一郎君) いま御指摘の制限超過によりまして、手当を返納いたしました状況が、五十三年度の数字で申し上げますと、一万三千三百十九件、金額にいたしまして五千四百二十五万円でございます。
○野末陳平君 五十四年度はどうですか。
○説明員(鴨光一郎君) 五十四年度の数字はまだ判明いたしておりません。
○野末陳平君 じゃあ五十三年度について言いますと、五千四百万円を、一たんもらった奨励手当を返した、つまりそれは三百万の枠をオーバーしていたからというわけですね。そうすると、この返還分の募集手当に見合う貯金額は大体どのぐらいになるんですか。
○説明員(鴨光一郎君) 御指摘の点は、募集手当の返納額と、それから定額貯金の場合の手当の支給率との関係において推計をしたらという御質問かと思いますが、五十三年度のただいま申し上げました数字、五千四百二十五万円を定額貯金の場合の支給率千分の五・四で割りますと、約百億円という数字が出てまいります。
○野末陳平君 そうしますと、さっき郵政省が限度超過で返還した、これが五十三年度は二百十二億円でしたね。この二百十二億円の半分近い百億円というものは職員が勧誘してきた分だと、こういうことになりますね。大臣どうですか。そうですね。
○説明員(鴨光一郎君) はい、御指摘のとおりでございます。
○野末陳平君 そうしますと、大臣にお伺いしますが、少なくもこれをオーバーだと言って返した、返した分の半分は郵便局の職員が手当つきでもって集めてきたお金であると、こういうことですよ。もし悪く言うならば、仕事熱心なんでしょうけれども、手当欲しい一心で、この郵便貯金法の枠というものをおろそかにして、無視して、この限度額のチェックなぞを余りやらないで、とにかく金を集めてきたと、こういうふうに解釈すると、これは職員そのものが郵貯法というものをまるで無視して金集めをやっているということになりますね、少なくも半分集めてきているんですから。どうですか。
○国務大臣(山内一郎君) いま御指摘のようないろいろ欠陥もございますけれども、昭和十二年からこういう手当の制度ができておりまして、一生懸命働いているというのが現状でございます。したがって、御指摘のような点についてはひとつ厳重に注意をいたしまして、今後は特にそういうことのないように、いまなお限度額の問題で非常に世の中で問題になっておりますので、今後はないように徹底的にやってまいりたいと、こう考えております。
○野末陳平君 それはもう当然しなければならぬと思いますけれども、それにしても、募集手当というものがあって勧誘をさせる以上は、やはり限度額のオーバーというのは一向になくならないと思うんですよ。預金者が知らずにやった分は別として、勧誘員は少なくも郵貯法を知っているわけですから、その辺は手当をなくしても、いまや郵便貯金がいろんな点で有利である、魅力のある商品であるということはかなり侵透してきているわけですね、ですから、どうでしょうかね、大臣、そういう弊害があるとお認めになるんだったらば、この際、昭和十二年からこの手当はついているというけれども、時代の変化も考慮しながら、廃止を含めてこういう手当の再検討をしなければいけないと、少なくも限度額超過が問題になっていて、この限度額オーバーの責任の一半は、こういう郵便局の職員が担っているということになると、これは問題だと思うんですよ。大臣のようなお答えは少し甘いと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(山内一郎君) 手当を廃止するかどうかというような、したらどうかという御質問でございますけれども、伝統のある、職員が一生懸命働いて、こういう制度が本日まで来たのでございますから、廃止するというよりも、いまのような弊害がないように、そういうそちらの方に重点を置いてやってまいりたいと考えます。
○野末陳平君 そうなりますと、今度は、もちろん弊害ないようにしてもらうが、今度は結果的にオーバーがかなりあるわけで、それを郵政省は名寄せによって発見次第減額させていくと、この名寄せの問題についてお聞きしたいんですよ。というのは、これがいいかげんで、おろそかだったら何にもなりませんから。
 そこで、この名寄せですが、先ほど円山、委員の質疑の中にも出たんですが、郵政省がいま口座数で二億何千万とか言いましたね。正確なところは口座数は二億どのくらいなんですか。
○説明員(鴨光一郎君) 定額貯金の証書の枚数でよろしゅうございましょうか。
○野末陳平君 いいです。
○説明員(鴨光一郎君) 約二億四千万枚でございます。
○野末陳平君 そうしますと、二億四千万、まあずいぶん多いなと思いますが、それにしても一人で何枚も定額貯金の口座を持っている、証書を持っている人がいるからこの数字があり得るとして、いいですか、あり得るとして、この二億四千二万という定額貯金の証書の枚数を支える利用者の数ですね、この利用者の数はどうなっているんですかね。名寄せが終われば当然利用者の数が出るわけですからね、答えてください。
○説明員(鴨光一郎君) いま御指摘の利用者の数でございますが、約六千万人というふうに推定をいたしております。
○野末陳平君 じゃ、この推定という意味は何でしょうか。その名寄せをきっちりして、人数がはっきりわかっているわけでしょう。年ごとに――年ごとにというか、名寄せが終わった時点で必ずそれはきちっと出ているわけですか。
○説明員(鴨光一郎君) 私の申し上げました意味は、概数的に申し上げたということでございます。
○野末陳平君 名寄せがきっちりしていれば、もちろん概数でなく正確な数が出るわけなんですね。ですから、それが郵政省の資料には発表されてないんで、その点を確めたわけなんです。
 そこで、郵政大臣にもお聞きしたいし、それから大蔵大臣にもこの際、お二人がここでそろわれたわけですからお聞きしたいんですが、この名寄せを郵政省がやっているか、やってないかとか、そういうことじゃないんです。もう当然きちっとやっていらしゃるという前提で、これからグリーンカードが導入される場合に、いまのところあと数年間は郵便貯金に持っていった方が有利じゃないかという観点、それから、ただでさえいまの高金利が十年続けば得であるというそういう思惑――思惑というか、それは当然の事実ですが、そういうお金がこれからなお一層郵便局へ流れていくと、こう考えられるんです。これは郵政大臣も大蔵大臣も異論がないと思いますがどうでしょうか、郵政大臣。
○国務大臣(山内一郎君) ごく最近の傾向は、いまおっしゃったように、定額貯金の金額はふえております。しかし、これから先どうなるかというお話でございますので、なかなか推定をしながらふえるとも減るとも言うわけにはいかないと思うんです。いままでの実績は最近はふえております。これだけ申し上げておきます。
○野末陳平君 私はもう当然ふえるだろうと。というのは、お金をかなり持っている人たちがそういう考え方に傾きつつあるんでふえるだろうと推定するんです。大蔵大臣はどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは経過を見ないとわからぬことですが、要するに、郵便局に行けば課税されないというように間違って思い込めばふえるということですね。
○野末陳平君 その間違いはみんなが、正しいと思っている人が多いんじゃないかと思うから心配なんですね。ですからここで私が心配するのは、このグリーンカードというのは、本来不公平税制を直すために必要な措置としてもう法律が通っているわけですよ。それが実現に当たっていろんな問題が起きちゃいけないわけですから、今後郵便貯金にお金はかなり流れるであろうと。そうなると、郵政大臣、限度額の管理というものはいままでより一層手間がかかって大変になるであろうと、まあそう思うんです。ですから、郵貯法をきちっと守るためには、さらにいままでよりも名寄せを正確に、効率的にやる必要がある。そこで、いま進めつつあるこのオンラインにグリーンカードの番号を使うという方法をとらなければぼくは無理になる、こう考えているんですよ。そこで、グリーンカードの番号をオンラインに使うことをおやりになるかどうか、これをお聞きしたいんです。
○国務大臣(山内一郎君) 名寄せの問題は、従来はいわゆる手作業でやっておりましたけれども、五十三年から、五十八年完成の目標をもちまして、オンラインに切りかえつつあるわけでございます。いまグリーンカードはないんです。五十八年から出てくるんですから、オンラインを強化することによって、従来よりも正確に、しかも敏速に三百万円オーバーしているかどうかということをチェックできますので、いまはその方針で進んでいるわけでございます。五十九年以降の問題はこれからの問題でございますので、いろいろと検討さしていただきたいと思います。
○野末陳平君 じゃ、五十九年以降のグリーンカードが実施されてからは、当然オンラインにグリーンカードの番号を使わなければ正確さは期せられないと、そう思うんですけれども、使いますか。
○国務大臣(山内一郎君) いまやっている郵政省の方式は、私はそんなでたらめじゃないと思うんです。この間も現地を見てまいりましたけれども、はっきりと、どこのたれたれは幾ら預金ができているということはコンピューターですぐわかるわけでございますね。したがって、従来は手作業で多少敏速を欠いた点もありましたけれども、今度は敏速にやっておりますから、グリーンカードの番号ができたときにはどういうふうにして移行できるかどうかという問題、いま磁気テープもちゃんとはっきりしたものがあるんですから、そういう点もよく検討さしていただいてやりたいと、こう考えております。
○野末陳平君 そうしますと、ちょっと疑問が一つあるんですが、確かにオンラインになれば、いままでよりはずっとよくなるんですよ。ということは、いままでも完全とは言えないと思うんですが、とにかく先の話ですが、五十九年以降の分について、いままでのやり方、つまり住所、氏名でやるやり方は、ちょっと問題が起きるのは、そもそも課税逃れとか、その他の事情で、お金を郵便局の方に持っていった方が安全だといって流すお金ですから、かなり悪知恵が発達している人ですね。そういう人は、住所はそのままにしておいても、名字はそのままで、名前を変えていくという分散の方法もあるし、それから住所が変わった場合に、一々郵便局に届ける人はいいけれども、届けない人も多いですからね。やはり住所、氏名というものの材料だけでオンラインで限度額を管理することには限界がある。この部分についてやはりグリーンカードを使わなければだめだと思うんですよ。それはどうですか。
○国務大臣(山内一郎君) 郵便貯金につきましても、五十九年から預け入れするものについてはグリーン番号を使うようにいたしております。したがって、五十九年から仮にグリーン番号を使ってやったとしても、五十八年以前のものについては番号がついてないんです、五十九年現在では。だから、逐次預け入れるものについては番号がついていきますけれども、過去のものにはついてない。これは、いまの所得税法の改正によりまして、グリーンカードはなくても従来の法律によってマル優にいたしますと、こう経過措置は書いてあるんですね。だから、五十九年直ちにやれば正確だというような御発言でございますけれども、過去の分にはついてないんですから、やはり郵政省の方式によって、五十九年からしばらくの間はやっていかなければ継続的にできない、どこかで切れてしまう、こういうおそれがありますので、検討している最中でございます。
○野末陳平君 じゃ、その検討についてさらに注文するならば、五十九年以降預け入れた分についてはグリーンカードですよ。それから五十八年十二月三十一日までに預けた分とそれは一線を画して考えるんですよ。一緒にしているわけじゃありませんよ。いま五十九年以降についてグリーンカードを使わなければ正確は期せないから、まずこれについてはいままでの方式でなく、カードの番号を使うべきだと、こういうことを提案したんです。大蔵大臣どうですか。私は郵政大臣にそういう質問をしたわけなんです、五十九年以降の措置について。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もお願いしているところであります。
○野末陳平君 お願いしておってもそれは郵政大臣と考えが違えばだめなんで、お願いじゃないのですよ。両者の意見が一致しているかどうかが問題なんですよ。それはどうなんでしょうね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体一致しなければならぬわけですから、一致するように努力中であります。
○国務大臣(山内一郎君) もう一回申し上げますけれども、郵政省のやり方できておるわけですね。五十九年からグリーン番号がつくわけです、預け入れたものが。番号のついた人が過去に貯金をしてあれば、それを合計しなければわからぬわけですね。五十九年から番号使いなさい使いなさいといって、仮に使った場合、五十八年以前に相当な金額があったら合計しなければ三百万以上あるかどうかわかりません。だから、預け入れごとに番号がついていくのですから、ある程度進行したところで、こちらの郵政省の方式をグリーン番号による方式に乗りかえていく。どうやって乗りかえていけばいいかと、こういうことを検討中でございますと申し上げているわけでございます。
○野末陳平君 だからそこが問題なんです。いや、わかりましたよ。つまり五十八年と五十九年分けたのは、五十九年からはグリーンカードの番号使ってくれ、そして五十八年までの分は、このグリーンカードをもとにして、さかのぼって確認をして合わせていく作業も同時にやってくれと、こういうことをお願いしているわけですよ。そうしなければグリーンカード導入以前にみんな郵便局にお金が行ってしまうぞと。それが問題で、せっかく不公平税制を直そうとしても全く意味がない。これを言っているわけですからね。郵政大臣は、いままでのやり方をやって、五十九年からは番号を使うか何か検討するが、いずれにしても後になって合わせると言うけれども、そうじゃないのです。さかのぼってグリーンカードによって限度額管理をきちっとしなければいけない、それをやってくれるかどうかをお願いしているのですよ。
○国務大臣(山内一郎君) 五十八年以前のものについて直ちにグリーン番号がつけばいいのです、これは。つかないのですよ。口座数が多いとか、それから定額貯金の証書の枚数が多いとか、二億何千万枚あるわけですね。だから、いろいろ法律を改正するときに検討して、五十八年度以前の郵便貯金については直ちにグリーン番号をつけなくっても、これはマル優とみなしますという経過措置が入ったんです、所得税法改正のときに。その改正の措置からいけば、おろすときにはだんだんとおりていきますから、預けるときに五十九年以降に新しくする人はどんどん番号がついていくんですから、ある時期にいけばこれは入れかわるわけなんですから、すっかり。そのときにははっきりできますということを申し上げているわけなんです。それでない限り郵政省のやり方と、グリーンカードで仮に五十九年やったってこれは合いません。ぴったりしないんです。その点だけをひとつ御了承、御認識をいただきたいと思うわけなんであります。
○野末陳平君 どうもちょっとその辺が、いずれ一緒になるというのが腑に落ちないんです。いずれじゃないんです。あと三年の間に相当の金が行っちゃうんですよ。それをできるだけ早い間に積極的に管理の網にかぶせていかなきゃならないと、これをお願いしているんです。
 ちょっともう時間もなくなりましたから、その点で郵政省の意見は聞きましたが、大蔵省の意見もきちっと聞いて、両方で合致するようにしておきたかったんですけども、時間がないんで次回に譲りますが、最後に大蔵大臣から、いまの郵政大臣のやり方が大蔵省としてもグリーンカードの公平化を期する上でいいのかどうか、それだけちょっと答えてください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 公平を期すためにはあなたの言うとおりでございまして、なかなか手数は大変でしょうが、ひとつ御協力をいただきたいということで、目下あなたが言っていると同じようなことを私頼んでいるわけですよ、いま。今晩もいまからまたやらなきゃならない。
○委員長(野田哲君) 本日の質疑はこの程度といたします。
 次回の委員会は明二十六日午前十時三十分に開会することとし、これにて散会いたします。
   午後五時四十二分散会