第092回国会 決算委員会 第2号
昭和五十五年九月二十六日(金曜日)
   午前十時三十二分開会
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   委員の異動
 九月二十五日
    辞任         補欠選任
     立木  洋君     安武 洋子君
 九月二十六日
    辞任        補欠選任
     野末 陳平君     森田 重郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         野田  哲君
    理 事
                井上  孝君
                高橋 圭三君
                降矢 敬雄君
                円山 雅也君
                小山 一平君
                峯山 昭範君
    委 員
                石本  茂君
               大河原太一郎君
                河本嘉久蔵君
                北  修二君
                坂元 親男君
                塚田十一郎君
                内藤  健君
                仲川 幸男君
                成相 善十君
                福田 宏一君
                穐山  篤君
               目黒今朝次郎君
                黒柳  明君
                鶴岡  洋君
                安武 洋子君
                柄谷 道一君
                三治 重信君
                森田 重郎君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外務大臣臨時代
       理
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    石破 二朗君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
    事務局側
       常任委員会専門
       員        丸山 利雄君
    説明員
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       大蔵政務次官   浅野  拡君
       大蔵大臣官房審
       議官       梅澤 節男君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       林野庁長官    須藤 徹男君
       林野庁林政部長  宮崎 武幸君
       運輸省航空局長  松本  操君
       郵政省貯金局長  鴨 光一郎君
       会計検査院事務
       総局第一局長   佐藤 雅信君
       会計検査院事務
       総局第二局長   丹下  巧君
       会計検査院事務
       総局第三局長   肥後 昭一君
       会計検査院事務
       総局第五局長   小野光次郎君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
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  本日の会議に付した案件
○昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十二年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十二年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十二
 年度政府関係機関決算書(第八十七回国会内閣
 提出)(継続案件)
○昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第八十七回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十二年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第八十七回国会内閣提出)(継続案件)
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○委員長(野田哲君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨日二十五日、立木洋君が委員を辞任され、その補欠として安武洋子君が選任をされました。
 また、本日、野末陳平君が委員を辞任され、その補欠として森田重郎君が選任されました。
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○委員長(野田哲君) 次に、昭和五十二年度決算外二件を議題とし、本日は総括質疑第二回を行います。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○穐山篤君 最初に大蔵省関係から入りますが、昭和五十五年度の予算はすでに執行されて約半年たっているわけですね。半年で今年度全体の状況を判断をするというのは非常にむずかしいと思いますけれども、五十五年度予算を編成する際に分析をしました情勢と、今日の経済、財政状況の中で、特に顕著に変わっている、これは考え直さなければならないというふうなものについては、どんなものがあるのか、細かくなくて結構ですから、概略で結構ですから御説明をいただきたい。
○説明員(吉野良彦君) 御質問の御趣旨があるいは取り違えているかとも存じますが、五十五年度予算を編成いたしました時点におきまして、前提といたしました経済全体の状況判断、端的に申しますと、あるいは経済見通しというようなことにも言い直すことができるかと存じますが、これは経済企画庁の方でいろいろフォローをいたしておりますが、先般本年度の第三・四半期におきます公共事業の執行のあり方その他も含めまして、経済対策閣僚会議におきまして、当面の経済状況、それから経済運営の方針について御論議があったわけでございますが、そのときの御論議の結果政府としての統一的な判断は、経済全体としては当初見通しをしたときと余り大差はない、ただし、その後いわゆる石油状況につきまして、かなりの変化がございました。こういった影響もございまして、特に卸売物価、それからそれのいわば波及効果といたしましての消費者物価、この点について、かなり当初の見通しと違った状況が出てまいっている。特に卸売物価につきましては、当初見通しました上昇率の水準よりもかなり高いところで推移をするというふうに考えざるを得ないというような情勢判断でございます。しかし、消費者物価につきましては、今後におきます政策努力も含めまして、当初見通しのたしか六・四%だったかと記憶しておりますが、その程度の上昇率の中におさめるように今後とも努力をしていくし、努力をすれば可能ではないかというような判断になっているわけでございます。
 ただいま主として物価について申し上げたわけでございますが、こういった物価の問題、それから雇用情勢、これはなかなかまだ著しい改善をされるという状況にはなっていないけれども、まあまあ当初見通し程度の水準でいけるんではないか。その他鉱工業生産でございますとか、いろんな要因がございますが、大まかに言って、大筋として当初の見通しと大きな改定をしなければならないというような状況ではない、こういった判断になっているわけでございまして、私どももそのとおりに心得ている次第でございます。
○穐山篤君 八月に国家公務員に対します人事院勧告が出たわけですが、当初計上してあります予算から言えば、かなりオーバーをしているわけですね。いずれこれは二十九日からの臨時国会に問題の提起がされると思うんですが、そこでこの人事院勧告の実施を含めて、予算の補正についてどういうふうに考えられているのか、あるいはまた、補正をするとするならば、二十九日からの臨時国会になるのか、それともその後の通常国会で提出をされるのか、その辺の見通しはいかがですか。
○説明員(吉野良彦君) いわゆる追加財政需要についての御指摘でございますが、追加財政需要といたしまして、項目として考えられます項目といたしましては、ただいま御指摘のございました人事院勧告に伴います給与改定の問題がございます。ただ、この人事院勧告に伴います給与改定の問題につきましては、現在まだ政府といたしましては、この勧告を受けて具体的にどうこれを取り扱ってまいるかということにつきまして、具体的な方針が定まっておりません。仮に人事院勧告どおり給与改善が実施をされるということになりますと、御指摘のように約千億以上の、これは一般会計でございますが、千億以上の追加財源を要するということになるわけでございますが、これもただいま申しましたように、人事院勧告どおりこれを実施すべきか否か、この点につきましてはなお政府部内で鋭意検討中でございまして、方針が定まっていないという不確定要因としてございます。
 それから、そのほかに、これも例年ある項目でございますが、災害がございます。御案内のように、本年は特に農作物を中心にいたしまして、いわゆる冷害に伴います被害がかなり巨額に上っております。そのほかにもいわゆる公共土木関係の被害も相当に上っておりますけれども、この災害関係に伴います追加財政需要につきましても、現時点におきまして、金額的にどの程度のものになるかというようなめどをまだ持ち合わすに至っておりません。
 それからまた、例年いわゆる義務的経費の不足の精算という項目が例年補正要因としてございます。たとえば義務教育費国庫負担でございますとか、あるいは社会保障関係のもろもろの義務的経費につきまして、五十五年度の執行の結果、どうしても不足を来したというような項目につきまして、翌年度の補正予算において措置をさしていただくという例が間々あるわけでございますが、これらの項目につきましても、現時点におきましては、なお金額的な把握をするには至っていない、こういう状況でございます。
 いずれにいたしましても、抽象的に追加財政需要となるべき項目としてはいろいろあり得ることは想定されるわけでございますが、いずれも金額的に、それからまた果たして具体的にどの項目について追加財政需要が生ずるのかといったような点につきましても、非常にまだ不確定要因が非常に多うございます。そういう事情で、現在のところ補正予算を組む必要が起こるのかどうかという問題自体につきましても、まだ的確なお答えをできない状況になってございます。
○穐山篤君 それでは財政再建、あるいは来年度の予算の立て方の問題についてお伺いしますが、大蔵省は「歳出百科」であるとか、それから「財政再建を考える」というふうなものを発行して、従来から見ますとわりあいに読みやすくはなっておりますが、さてそこで、この「財政再建を考える」、あるいは「歳出百科」を見ましても、財政再建についての基本的な考え方、これが一般会計にだけ焦点を当てておりますね。特別会計であるとか、あるいは第二の予算といわれております財投の問題などについては余り触れていないんです。しかし、今日の国の財政を考えてみた場合に、一般会計だけに焦点を当てておったんでは十分でないと私は判断をするわけですが、財政当局としてなぜここだけに課題をしぼったのかという点、いかがですか。
○説明員(吉野良彦君) 財政再建を考えます場合に、ひとり一般会計だけではなくて、特別会計あるいは政府関係機関等も含めて、全体として検討をすべき筋合いのものであるという御指摘は、私どももそのとおりに考えております。ただ、この御指摘の「財政再建を考える」というPRのパンフレット、あるいはまた「歳出百科」、これはいずれにいたしましても、財政再建の中心的な課題が一般会計にあるということは、これまた否定のできないところでございますので、主として一般会計を中心にしてつくられているという結果にはなってございます。しかしながら、問題意識といたしましては、御指摘のように、特別会計、政府関係機関等も含めて、全体として考えるべきことである。しかも多くの特別会計、あるいは政府関係機関に対しましては、これは一般会計と密接な関係がございます。一般会計から特別会計に対しまして、いろいろな繰り入れというような形で繰り入れが行われておりますし、それからまた政府関係機関等に対しましても、一般会計から出資あるいは補給金、補助金といったような形でパイプがつながっておりますので、一般会計を中心として財政再建を考えてまいります場合には、事の当然として特別会計や政府関係機関にもメスを入れていかなければならないという実態的な関係ももちろんございます。御指摘のように、全体を含めまして検討し、努力をしていくべきものであろうというふうに考えております。
○穐山篤君 そうしますと、昭和六十年までには少なくとも特例公債はやめたいということを含めて、大蔵省の財政再建は昭和六十年度ぐらいまで焦点を当てているわけですね。
 そこで、いま私が申し上げたことはそのとおりだというふうに言われたわけですが、それを来年度の予算編成の中で具体的に、財投の問題にしろ、あるいは特別会計のあり方の問題にしろ、さらには大変ウエートの高い地方交付税の問題などについても、来年度の予算編成の際に具体的に、ここの分野についてはこういうふうに今後五年間考えたいとか、あるいは来年度は初年度としてこういうふうに改善をしたいというふうな提案を考えながら、いまの御返事になったんですか。その点、明らかにしてください。
○説明員(吉野良彦君) 五十六年度予算編成に向けまして、これも先生御案内のとおり、春以来、いわゆるサマーレビューという形で、ありとあらゆる経費につきまして所管省庁と問題点を掘り下げ、そうして改善、改革の方途なきやということで、論議を深めてまいっているわけでございますが、その過程におきましては、当然のことながら一般会計だけではなくて、特別会計につきましても、それぞれの問題点に応じまして、論議を重ねているわけでございます。ただ、現時点におきまして、具体的にこういう問題についてこういう処方せんを書いたとか、あるいは書けそうであるとかいうようなところまでは、まことに残念ながらまだ立ち至っていない、今後とも各省と論議を深めまして、五十六年度予算の中に、その努力の結果をお示しするようにしていきたいと、かように考えております。
○穐山篤君 そこで、大蔵省が出しました財政再建についての基本的な考え方で、財政危機の現状というのは、まあ数字を見ればそのままよくわかるわけですが、大蔵省が一番大事にしておりますのは、大量の国債の発行というものを指摘をしているわけですが、これは昭和四十年に特例公債が最初、異例中の異例で約二千億円発行をしたわけですが、そのときにも社会党初め野党は厳しく問題を指摘をしたわけです。それから、昭和五十一年、五十二年度から公債発行の割合が三〇%を超えたときにも、相当声を大にして、返す当てのない借金をするなという指摘をしたわけですね。これは野党が挙げて反対したわけです。少数の差で通ったわけですね。大蔵省が挙げておりますこの大量発行の弊害というのは、すでに私どもが過去十年、十五年前から指摘したことがそのまま書かれているわけです。われわれの指摘をしたことを十分に考えておれば、こういう事態にならなかったわけです。
 そこで、明らかにしてもらいたいと思いますのは、こういうふうに赤字財政になったので、選択すべき道は三つしかないぞというふうに、大蔵省といいますか、政府は国民におどかしをかけているわけですね。財政危機に陥ったその責任といいますか、政治的な責任というものを十分に感じて、これからはそういうふうなことをしないと、過去の経済政策、財政政策が誤っていたということについて、余り自己批判を聞いた覚えはないんですよね。現状赤字財政だから増税をするか、あるいはサービスを下げるか、どっちにするか国民は選択しろというふうに言われたのでは、これは道理が通らないんですよ。その他の問題たくさんありますけれども、特に大量公債発行が財政赤字の片方の原因ですね。もう一つの片方の原因といいますのは、やはり高度成長型の財政を組んできたために、こういう弊害といいますか、赤字になったと私どもは指摘をせざるを得ないと思うんですが、大蔵省が声を上げていま叫んでおりますこの公債大量発行の弊害の問題について、もっと政治的な責任を感じて、十分に国民の前にその責任を明らかにする必要があると思うんです。その点いかがですか。
○説明員(吉野良彦君) ただいま御指摘がございました問題につきましては、たしか昨日も大蔵大臣がお答え申し上げていたかと存じますが、いわゆる石油ショック以降、御承知のように本来の財政収入であるべき税収が、世界的な景気停滞の影響もございまして、大幅にダウンをしたわけでございます。確かに、いわゆる政策的な選択の仕方といたしましては、理論的にはこの租税収入の低下に合わせまして、歳出の水準を直ちに切り下げていくという選択は、理論的には――理論的と申しますか、経済学的にはあり得た選択であろうかと存じます。ただ、その当時から亡くなられました大平大蔵大臣、あるいは大平総理大臣も何回か申し上げておられたかと存じますが、当時政府といたしましては、そういう選択をしなかったわけでございます。それは、やはり異常とも言うべきオイルショックに対応いたしまして、即座に行政サービスの水準を切り下げていくということは、これは国民生活に非常に大きな影響を与えるわけでございます。当時も雇用の問題、あるいは国際収支の問題、いろいろ問題がございまして、政府としてはやはりこのオイルショックに伴う経済の激変を、ともかく公債の発行という形で乗り越えていく。その危機を乗り越えた後に、いわば日本経済全体を一つの安定的な成長軌道に乗せたところで、財政の再建を図っていくことが適当ではないかというような選択をしたものと、私どもは理解をしているわけでございます。そういう意味におきまして、現にその後の日本経済の状況は、諸外国に比べましてもひけをとらない、つまり順調な推移をたどってまいったわけでございまして、この時点におきまして、いよいよ危機の状況に対応してとった公債発行のいわば後始末と申しますか、これを本格的に行うべき時期にいまやまさに来たということではないかと存じます。先生も御承知のように、こういった大量の公債を今後とも漫然と続けていくということは、これは経済全体にとりましても大問題でございますし、財政自体もいわば半身不随というような状況になるわけでございますから、この時点で本腰を入れて、この大量公債発行という道を縮少してまいりまして、一刻も早く少なくとも特例公債依存というような財政状態から脱却をしたいということで、懸命の努力をしている次第でございます。
○穐山篤君 公債発行のメリット・デメリットの論議はまた別に時間のあるときにしたいと思いますけれども、やっぱりわれわれが指摘をしたとおりのことがみんなここに書いてあるわけです。ですから、私はもっと政治的な責任を感じて、これから国民にいろんな負担をお願いをする場合でも、あるいはサービスを低下させる話についても、もっと謙虚な気持ちでなければ、国民は協力はなかなかできづらい、こういうふうに考えます。十分心してもらいたいと思うんです。
 それから、この「考える」でも、「歳出百科」でもそうですが、昭和六十年までがおおむねめどのようですね。計画としてはめどですが、しかし、問題は昭和五十年に発行した特例公債が二兆円、五十一年の特例公債が三兆四千億、五十二年が四兆九千億、五十三年四兆三千億、五十四年八兆円、それから五十五年度物、今年度が七兆四千八百五十億、膨大な書きかえの不可能な特例公債があるわけです。これは昭和六十年から全部支払いをしていかなければならぬわけですね。従来借りておったものの返済金として、公債費が計上されておりますけれども、その後借りたものを書きかえを工夫をするにいたしましても、特例公債だけは絶対に払わなければならぬ。そのことを考えてみますと、昭和六十年度を目途にすることは悪いことではないと思いますよ。節目として考えることはいいと思いますが、少なくとも財政当局としては、これから十年間ぐらいの展望を立てて、どういうふうに財政再建を図っていくかということを考えなければ、また昭和六十年度時点でもう一遍同じような事態になると私は判断するわけです。その長期計画をこの際考えるべきだというふうに思いますけれども、その点いかがです。
○説明員(吉野良彦君) 御指摘のように、五十年度以来発行してまいりました特例公債の償還期が、六十年度から本格的に到来をいたします。特例公債は借りかえ発行をいたさないということになってございますので、先生御指摘のように、かなり巨額の償還を六十年度以来現金でやっていかなければならないという深刻な状況でございます。そこで、私どもは、この特例債の償還が始まります六十年度以前、つまり五十九年度までに、少なくとも特例公債依存から脱却をするということを、いわば財政再建の当画の目標ということで努力をしているわけでございます。ただ、先生から御指摘がございました、これから十年間ぐらいの財政収支についての展望を持ち合わすべきではないかという点でございますが、財政収支の大まかな展望を描きますにいたしましても、やはり、御承知のように、その前提となります日本経済全体がどうなるか、たとえば十年後、あるいは十年後に至ります各年のいわゆる国民総生産の状況がどうなるか、それからまた今日のように国際経済に深く溶け込んでいる日本経済でございますので、そのときどきにおきます世界経済、あるいは世界貿易の状況がどういう状況であるか、それからまたそれらに応じまして雇用の状況がどうであるかといったような経済上の幾つかの指標が前提にございませんと、肝心の一体税収をどの程度として見込むことができるかといったような問題、それからまた歳出サイドにおきましても、社会資本なり、社会保障の整備の水準をどの程度のものとして考えるべきかという点につきましても、手がかりが得られないということに相なるわけでございます。そこで、私ども願望としては、確かに十年先程度の展望を持ちたいわけでございますが、ただいま申しましたような事情で、それは言うべくしてできないわけでございます。そこで、御案内の新経済社会七カ年計画に描かれてございます昭和六十年度の経済の姿を、一つの手がかりといたしまして、いろいろ御批判はございますけれども、財政収支試算というものの試算を試みまして、一つの展望の手がかり、あるいは財政再建の方途を探るための手がかりにしようということで、ここ二、三年この財政収支試算という形で、一つのアプローチをしているわけでございます。しかし、御批判ございますとおり、これは非常に機械的、直線的な試算でございまして、決してこれが十分なる財政の展望というわけにはまいらないことは私どももよく承知をいたしております。
 そこで、別途この財政収支試算とは別に、これもかねて来国会から御指摘もございましたが、財政計画といったようなものをつくってみようと、財政収支試算はいわば中身の非常に大まかな、かつ各年度別の積み上げのない機械的な計算でございますけれども、そうではなくて、年度別に、ある程度項目別に、現在の制度、施策を前提にした場合に、いわゆる後年度負担としてどの程度の歳出需要になるかというような点を中心にした財政計画というようなものを策定してまいりたいということで、これも先年来努力を重ねてまいっております。現在も鋭意検討作業を進めている段階でございますが、この財政計画がどこまで皆様の御批判にたえ得るものになるかどうか、まだ必ずしも自信がないわけでございますが、何がしか財政計画、あるいは財政計画的なものが策定し得ますならば、これもまた財政の展望をつかむための一歩前進になるのではないかというようなことで、これもいま鋭意努力をしているところでございます。
○穐山篤君 時間の関係で十分掘り下げられないのは残念ですが、そこで大蔵省配付の「五十六年度事前点検作業の前提」という一枚のコピーがあります。これはわれわれ、党に対しまして大蔵省が配付したものですが、これは来年度の予算の大づかみの考え方ですね。歳入で見ますと、税収が弾性値一・二%で見込んだようですが、来年度一六・二%の増、税外収入が一〇・一%、公債金の収入をマイナス一四%にする。それから歳出もそれぞれあるわけです。
 そこで端的にお伺いしますが、この骨子でいきますと、昭和五十六年度の税収入につきまして、大幅な増税は予定をしていないというふうに数字の上では見えるわけですね。この点いかがですか。
 もう少し申し上げてみますと、通常の自然増に若干のものを加えた程度で、税収を一六・二%上げようと、こういうふうに分析をするわけですが、その点いかがです。
○説明員(梅澤節男君) ただいま委員が御指摘になりました、五十六年度の歳出点検作業の前提になりました税収でございますが、三十兆七千億という推計を立てております。これの手法は、五十四年度の決算見込みに対しまして、ただいま委員からも御指摘がございましたように、GNPに対する税収弾性値一・二を前提といたします計算でございます。
 ただ、細かい作業の中身に入りますけれども、これは五十四年度、五十五年度とも税制改正をいたしております。したがって、その税制改正による増収分も含めまして見込んでおるわけでございまして、五十六年度に新たに増税をするという要因は入っておりません。
○穐山篤君 そこで、この「歳出百科」の六十九ページに、これは経済審議会企画委員会の試算ですね。「昭和六十年度経済の暫定試算」、これを見ながら、この公債費を調べてみますと、昭和六十年度までに特例公債は発行しない、できるだけ四条公債も控えたいと、こういうふうに基本方針が書いてあるわけです。そうしますと、来年は大幅――大幅というよりもほとんど新規の増税は広範囲にやらないと。ところが、昭和六十年度までには特例公債を全部ゼロにして、まあ段階的にゼロにするわけですが、その間にも公債の返還という問題があるわけです。そうしますと、来年は思い切った増税はないけれども、昭和六十年度までに財政再建の緒につきたいと言うならば、五十七、五十八、五十九から六十年度にかけて、相当思い切った増税をやらないと、数字の上ではつじつまが合わないことになりますね。大ざっぱな目の子勘定でも、少なくともこれから六十年度までに二十兆円近い新たな収入がないとやっていけないという計算になるわけです。
 そこで、端的にお伺いしますが、五十七年度から広範囲に、あるいは新規に増税ということをお考えですか。余り理屈は要らないですよ。端的に言ってもらえばいいです。
○説明員(梅澤節男君) 国債の減額をやっていかなければならないという前提に立ちました場合、これは当然の話でございますけれども、歳出がいかに削減できるかと。それに見合って税収をいかに確保しなければならないかということが、当然両方の問題があるわけでございまして、五十六年度、五十七年度、五十八年度を通じまして、どれだけの規模で増税するとかしないとかいう議論は、歳出の削減あるいは「財政再建を考える」というパンフレットでもお示ししておりますように、これは一にかかって最終的には国民の御選択の問題でございますので、大蔵省といたしまして、今後大幅に増税するという前提で物を考えているわけではございません。
○穐山篤君 少し言い方が問題ですな。歳出の方で、一般歳出は〇・一%の伸びですが、大ざっぱに言えばゼロ。平均的に言えばゼロ。大幅に一般歳出については伸ばさせないという基本的な考え方があるわけですね。当然補助金にしろ、行政改革、その他によっても相当の節約はするにいたしましても、まあ大体ゼロベースにならざるを得ないと思いますね。そうしますと、考え方の問題と具体的な数字というのは合ってもらわなきゃ困るんですよ、国民の立場から言えば。願望だけじゃ困るんで。大蔵省の最終的な考え方は明示されておりませんけれども、赤字国債を六十年度までに、まあ五十九年度にはなくすようですけれども、それを全部なくしていくということになれば、つじつま上思い切って五十七年度から増税をせざるを得ないでしょう。あるいはまあ増税といいますか、新規の増収というんですか、目下検討はしていると思いますけれども、財政当局がつじつまを合わせるためにはどういう方向があるか。節約だけではとてもそれはできないことはわかっているわけですね。皆さん方の発行されましたこれでも、人件費はそれほど削減はできませんというふうに明白に言っているわけですよ。どういうふうな考え方でつじつまを合わしていくのかその点はっきりしてください。
○説明員(吉野良彦君) 御指摘がございました五十六年度事前点検作業の前提という資料でございますが、これはその名前が示しておりますとおり、いわゆる五十六年度予算に向けてのサマーレビューを開始をいたします時点で、ある過程を置きまして、大まかな五十六年度予算の一つの姿をかいたものでございます。ただもちろん、大前提といたしましては、再三御指摘ございましたように、五十九年度に特例公債から脱却をしたいということとの関連も考慮いたしまして、ぜひとも五十六年度の公債発行額は、五十五年度当初予算におきます公債発行額よりも何とかして二兆円減らしたいということで、ここに二重の枠で囲ってあるわけでございます。こういう前提に立ちますと、この表がお示しいたしておりますように、税収は、先ほど主税局から御答弁ございましたように、これはこの四兆二千九百億円という税収の増加は、増税を含んでいないわけでございますが、こういう税収のもとでは、御指摘のように、歳出におきましては、一般歳出はほとんど全く伸ばす余地がない。一般歳出は、これも御承知のとおり、国債費と地方交付税を除くすべての歳出でございます。社会保障、文教、防衛、ありとあらゆる公共事業も含めまして、ありとあらゆる歳出がこの一般歳出であるわけでございますので、こういう前提に立ちますと、すべての一般歳出に係る経費につきまして、全体として伸びをゼロにしなければ、二兆円の公債減額はできないという姿が描かれているわけでございます。
 そこで、この前提となります試算をもとにいたしまして、この一般歳出を伸び率ゼロということにする場合には、どういう問題が個々の経費ごとに生ずるか。そうしてまた、そういう問題に対してどういった処方せんが書き得るかということを検討課題としてサマーレビューを自来続けているわけでございます。したがいまして、これは今後なお五十六年度予算編成に向けて検討をさらに続け、重ねていく次第でございますが、この一般歳出を全体として伸び率ゼロに抑えるということは、事柄の性質上きわめて容易ならざることでございます。決してなまやさしいことではないというふうに私どもも考えておりますが、ともかく、まず増税を考えるということではなくて、国民の皆様方のお声にもございますとおり、まず歳出の削減、合理化の方途を徹底的に考えてみるということでいまやっているわけでございます。その検討の結果、この一般歳出伸び率ゼロという姿にはもろもろの行政需要――社会保障、文教その他ありとあらゆる行政需要のサイドから、どうしてもこれが不可能である、また適当でないというようなことになりますれば、別途歳入の確保について、その時点で改めて考えていかなければならないと、かような性質の実は表であるわけでございます。
○穐山篤君 まあ具体的な考え方はまだ示されていませんので、きょうはその程度にしておきます。
 さて、グリーンカードの問題ですが、昨日も当委員会で指摘がされまして、大蔵大臣は、この委員会が終わった後でも十分に両省で協議するんだというお話がありました。けさの新聞では、両者の間に話がついたというふうに伺っているわけですが、最初に大蔵省にお伺いしますが、どういうふうに調整がついたんですか、グリーンカード問題。
○説明員(梅澤節男君) グリーンカードの問題につきましては、民間の非課税貯蓄の扱いと、政府事業でございます郵便貯金の扱いの問題につきまして、いわゆるイコールフッティングの問題が提起されておりまして、私ども事務ベースで、郵政御当局と大蔵省で鋭意折衝を続けてきたわけでございますが、最終的には両大臣の御決断で物事が決定いたしました問題でございますので、きょうは大臣もお見えになっておりますので、事務当局としてはそれだけの御答弁にとどめたいと思います。
○国務大臣(山内一郎君) 昨日の夜、大蔵、郵政両大臣で協議をして、決定したことを申し上げたいと思いますが、二つございまして、五十八年十二月三十一日までに預け入れられた郵便貯金につきましては、五十九年一月一日以降、払い戻しをされる際に本人確認を行い、その結果、架空名義のもの及び郵便貯金法第十条に規定する貯金総額の制限額――三百万円でございますが――を超えているものについては、郵政省は図税庁に通知をする、これが第一でございます。
 第二は、昭和五十九年一月一日以降の郵便貯金の限度管理につきまして、少額貯蓄等利用者カード――グリーンカードによって行うことを、大蔵、郵政両省間で検討の上、早急にその具体的方法を定めるという趣旨のものでございます。
 多少、ちょっとコメントをさしていただきますと、いろいろうわさされておりますけれども、郵便貯金につきましては五十九年からは一層厳しくなりますよというような点を一般の人に強調して、そういうことは五十八年までに解消してもらうようにというようなこれは第一の趣旨でございます。
 二番目は、五十九年以降の郵便貯金の限度管理について、グリーンカードを適用することにどういう方法で具体的にやるかと、こういうことを早急に詰めたいと、こういう趣旨のものでございます。
○穐山篤君 政治問題になっているわけですが、そもそもの話はことしの春の税法の改正に端を発しておりまして、それも利子・配当所得の総合課税への移行ということが本命なんですよね。まあ郵貯に逃げたり、脱税を防止をするという意味で、補完的に出された問題が、いまや本命のような話になっていて、考えてみますと摩訶不思議な話だと思うんですね。
 そこで、一つだけお伺いしますのは、新聞見たり、私どものところにいろいろな陳情がありますけれども、グリーンカード問題が発生をしたから金融資産が移動した、郵貯の方に移動し過ぎて、郵便局はもうかっているというふうに言われているわけですけれども、私は必ずしもこれは適当な分析ではないじゃないか。そもそもは金利の問題があったり、サービスの問題があったり、いろんなことが総合的に加味されて、どちらを国民の皆さんが選択をしているかという問題だと思うんですが、その点について郵政大臣の現状分析をお願いをしたいというふうに思います。
 それから、いまお話のありました調整はこれでいいわけですけれども、まだ、どういうグリーンカードを発行するのか、そのことの省令なり、政令というものも十分われわれは理解をしていない。それから、そもそも問題になりました利子・配当所得について正確に捕捉をするということが本来の問題であったわけですから、株式なり、あるいは社債なり、あるいは書きかえの問題なり、そういうものについてきちっとしなければ、この郵貯の問題だけを取り上げておったんでは本末転倒だと思うんです。
 その二つを、まあ後段の方は大蔵省からで結構です、お願いします。
○国務大臣(山内一郎君) 昨年度よりも今年度の郵便貯金のふえ方が大きいことは、これは事実でございます。どうしてふえてきたかということは、いろんな原因があるかと思いますけれども、郵便貯金に御承知のとおりに定額貯金というのがございます。そういう点がいまは有利であろうということで預金をされる方がふえたような、これも一つの原因かと思いますし、また、世間で言われているように、グリーンカード制が五十九年から実施をされますよと、まあいろいろな原因が重なってそうなっているというふうに私は考えております。
○説明員(梅澤節男君) ただいま委員が御指摘になりました後段の方の問題でございますが、これは委員の御指摘のとおりでございまして、ことしの国会で所得税法の改正を御承認いただきました、この実施細目につきましてどうするかという問題でございます。さしあたり、本日の閣議で御決定いただきまして、グリーンカード制度をどのようにして申請し、交付するかという手続の政省令につきましては、十月一日から施行させていただくということでございます。ただ、具体的に、グリーンカードが交付になりました後どういう手続で本人確認が行われるかという問題等を含めまして、これはいずれにいたしましても五十九年一月一日から実施されるわけでございますが、現在私どもの作業の過程といたしましては、ただいま委員が御指摘になりましたように、たとえば株式配当の場合に、どの段階で本人確認を受けるかという問題がございます。法律では、配当額が決定されるまでの以前に本人確認を受けなければならない、その場合の手続については政・省令にゆだねられておるわけでございます。考え方といたしまして、御承知のとおり、その場合に発行会社の名義書きかえの段階でやるのか、あるいは事務を代行されておられますたとえば証券会社の段階でやるのかといういろいろな問題がございます。考え方といたしましては、いずれにいたしましても税法の改正に伴いまして、政府ももとよりでございますが、民間の金融機関等につきましてもなるべく御負担のかからないようなやり方、これが非常に大事なわけでございまして、私どもといたしましては金融機関あるいは証券会社等の御意見も聞きながら、もちろん政府の税制調査会におきましても、さらに技術的な検討を進めまして、ただいま御指摘のありましたような点につきましては、恐らく来年以降の政省令で順次細目を決めさせていただくという段取りで、目下作業を進めているわけでございます。
○穐山篤君 まあ時間が来てしまったので、もっと細かく分析できないのは残念ですが、いま私が指摘をしますように、これは利子・配当所得総合課税の問題から出発しているわけでしてね、この問題を見落として郵貯の話だけをやっておくのは適当ではない。ですから、本来的な目的が達せられるように、きちっと政令、省令というものをしていただきたい。ただし、心配をしますのは、このグリーンカードを発行することによって、金融資産が大変特徴的に移動するということは新たな問題を提起することになるわけですから、そのことだけを警戒をしておきたいと思う。
 宮澤長官にお伺いします。
 時間ありませんので、二つまとめてお伺いしますので、御了解いただきたいのですが、一つは金大中さんの問題です。
 いま元総理の福田さんが韓国に行かれているわけですが、私どもの知る限りでは、総理大臣から親書を持って行ったような気配もない。言いかえてみますと、私人の立場で韓国を訪問されたというふうに見るわけです。鈴木総理大臣はきわめて事態を憂慮をしておりまして、極刑ということになるならば、日本としてもいろんな分野で対応措置を考えなきゃならぬと、こういうふうに、ある意味で言えば毅然たる態度をお持ちになっているわけです。まだわれわれにしてみれば不満ではありますけれども、一定の態度が出されているわけです。こういう時期に元総理である福田さん初め五名の方々が行かれるというのは、非常に不用意ではないか。
 それから、新聞報道に関する限り、どうもその話し合いの結果、日本人として考える場合に、日本の国益をいささか落としているんじゃないかという心配を私はするわけです。
 これは、福田さんの訪韓というのは、政府なり、自民党と十分御相談の上で行かれて、全斗煥大統領と会っているのかいないのか。私は、非常に今回の福田さんの訪韓というのは不用意じゃないかと考えますが、その点が一つ。
 それからもう一つ。五十二年度決算の冒頭でありますから申し上げておきますが、会計検査院法の改正については、再三衆参両院の本会議でも議決をされました。野党側の案もありますし、たたき台として検査院の考えられましたのもあるわけです。現状は官房長官預かりになっているわけですね。調整を預かりになっているわけです。
 そこで、態度をお伺いしたいのは、いま調整をされていると思いますが、調整をして、いつごろ院法の改正を正規に国会にお出しになるのか、あるいはその準備をされているかどうか。この二つについてお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 第一に福田元総理の訪韓についてでございますが、ただいま御指摘のように、政府といたしまして総理大臣の親書をおことづけする、あるいは何かの使命をお願いするといったようなことはいたしておりません。したがいまして、もとより国会議員ではいらっしゃいますが、行政府からの何かの資格を持って行かれたということではございませんで、承るところによりますと、亡くなられた大統領の墓参を当初考えて、主たる目的として考えておられたようでございますが、全斗煥大統領とも会見をされた由でございます。それがわが国の国益の上でどうかというお尋ねでございました。
 福田・全斗煥会談については、同席者がおりませんので、その内容を的確に存じませんが、その後記者会見をされたところによりますと、福田元総理も、今回の金大中氏の事態に関して、政府が憂慮の意を表しておるということはよく御存じの上で、そういうことは福田氏の独自のお立場で先方にお伝えになっておるように記者会見でお話をなさっておられます。したがいまして、この点は福田元総理御自身の御判断において、そういう形で国益に沿うような会談をなされましたというふうに私理解をいたしております。
 第二の会計検査院の問題でございますが、これにつきましては本院並びに衆議院におきまして、たびたび御意思の御表示がありましたにもかかわらず、事態が思うように進んでおりません。申しわけないことに考えております。両院のそのような御意思を受けまして、大平前総理大臣もひとつ努力をしてみたいという答弁をされましたし、また今年一月、当時の伊東官房長官が会計検査院及び関係各省から個別に意見を聴取いたしまして、何とか妥結を図ろうといたしました。また、私も就任早々関係各省の意向等も聞き、同様の努力をいたしておるのでございますが、今日までのところ結果が実っておりませんことは申しわけないことに存じております。
 ただいまの状況は、会計検査院側の意見は、検査の徹底を期するためには、政府関係の金融機関等の融資先の調査をする、その調査権を法定化することが必要であるという立場でございますが、関係各省庁の主張は、基本的に自由主義経済の基調の中で、公権力がどこまで介入すべきかという問題意識を持っておりますほかに、この調査権を法定化いたしますと、融資を受けているところの、いわゆる大企業等には経理の整理等がきちんとしておりますので問題が少ないといたしましても、中小企業あるいは農業関係者等には、いわば非常にこわいお役所から取り調べを受けるといったような、そういう受け取り方があって、政策がねらっておるところの融資が、その結果として十分に行われないようなことになるという心配を関係省庁としては持っておる。そういったような意見のいわば対立でございますが、これが行政部内のことでございますと、両院のたびたびの御意思の御表示がございますので、私が官房長官といたしまして、ひとつこの辺でもう俗な言葉で言えば、私に任せてもらいたいというようなことを現実に申しますことはしばしばございますが、問題は会計検査院の御主張がございまして、会計検査院は会計検査院法第一条におきまして、内閣に対し独立の地位を持っておられますので、行政各部を私が取りまとめるようなことをいたしますのは、会計検査院に対しましては不謹慎でございます。したがって、そういうこともならず、努力をしながら実を結んでおりませんことを申しわけないことに思っております。
 私といたしましては、もう少し時間をかけ、努力をいたしまして、両院の御決議の趣旨を踏みながら、何とか現実に会計検査院が意図しておられますような目的を達しつつ、しかも行政の政策目的の達成に支障が少ないような形の妥結というものを図るために、努力を続けてまいりたいと思っておりますが、今日までのところそれが実っておりませんことをまことに申しわけないことに思っております。
○委員長(野田哲君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(野田哲君) 速記を起こしてください。
○目黒今朝次郎君 まず私は、林野庁が昭和五十四年三月、和歌山市に売り払いした国有林野についてお伺いいたします。
 いまから申し上げることは、昭和五十二年十二月、和歌山市長から高野営林署長に対して、森林公園用地として払い下げの要請のあったものでありまして、ここから端を発していることをつけ加えておきたいと思います。
 林野庁が和歌山市に対して売った国有林野は、和歌山市深山字黒谷六百番地及び大阪府泉南郡岬町多奈川谷川三千七百九十四番、合計面積百五十九万千七百六十四・九八平方メーター及び立木竹六千七百八十二立方メーター、代金は、土地の部分が二億六千二百万円、立木竹の部分が一億三千万円、合計三億九千二百万円であると。この売り払いについて厳格な用途指定が行われているんです。すなわち、指定用途として和歌山市森林公園、二、指定期日、五十七年三月十八日までに必要な工事完了、三、指定期間、指定期日の翌日から十カ年間とする。同時に、国側の買い戻し特約の場合として、指定期日まで指定用途に供さなかったとき。二つ、指定期間中に指定用途に供さなくなったとき。三、申請書に添付した開発計画書のとおり開発行為を行わないとき等となっている。または、契約の中で国は相手方の用途指定の履行状態を確認するため、随時実地調査を行うことができる。二つ、相手方――いわゆる和歌山市は毎年三月三十一日までに登記簿抄本その他の資料を添付し、売買物件の利用状況等を国に報告しなければならないとなっているんです。当該土地の売買の概要について以上の内容を私は確認するが、間違いあるかどうかお答え願いたい。
○説明員(宮崎武幸君) お答えいたします。
 ただいまの御指摘どおりでございます。
○目黒今朝次郎君 じゃ、この開発工事について和歌山市側は、道路工事を先行させるため、伐開工事が完了して、十月中旬ごろから自衛隊に依頼して道路拡張工事を行う。またこれらに伴う付帯工事並びにハイキングコース開設工事を業者に発注済みということであるようだが、果たして市側は、大阪営林局に出したいわゆる買い受け申請書あるいは開発計画書のとおり行っているかどうか。国はそうした実地調査を随時行っているかどうか。たとえば国の指定する期日、いま言った昭和五十七年三月十八日までに必要な工事が完了しなくてはならないとなっている。ごく最近のわれわれが入手した情報では、昭和五十七年三月三十一日をめどにやればいいというふうに、きわめて現時点であいまい、ぼけたことを行っているが、この事実などについて国は確認をしておるかどうか。確認したとすれば、どういう指導をしておるか伺いしたい。
○説明員(宮崎武幸君) 御指摘のように、五十七年の三月末までに森林公園としての整備をやると、こういう条件でございまして、個々の年度ごとにどれをどれだけやるということは直接的には規定しないわけでございます。
 ただいま私どもがどのような監督等をやっているかというお話でございますが、この進捗状況等につきましては、毎年年度末、三月三十一日に買い受け者、この場合は和歌山県でございますが、そこから報告書をいただくと、こういうことになっておるわけでありまして、五十四年度分につきましては、本年の三月三十一日に報告書をもらっておるわけでございます。それによりますと、五十四年度は当初の見込みよりは工事の進捗はおくれているようでございますが、いわゆる公園内の通路、これをつくるための樹木の伐採と、そういうふうな工事をやったと、こういう報告書が来ているわけでございます。
○目黒今朝次郎君 和歌山市森林公園施設配置図というものは添付されてあるわけですね。
○説明員(宮崎武幸君) 添付されてございます。
○目黒今朝次郎君 この図面のとおり施設の工事が進行し、完成されていきますと、土取り及び整地に要する費用はどのくらい見込んでいるのか。及び採取した土はどこに捨てるのか、その採取される分量はどのぐらいなのか、採取した土砂を運搬するための道路はどうなっているのか、こういう具体的な問題について林野庁はチェックをしたのかどうか。チェックしたとすれば具体的な数字があるかどうか、あれば後ほど資料として私の方に提示願いたいんです。なければないで結構です。
○説明員(宮崎武幸君) 添付されました利用計画書の中では、工事の具体的な計画は、これは提出されておるわけでございますが、それに伴う土砂の採取でありますとか、あるいはその土砂を当該地域以外に搬出するとか、そういった工事設計等についてはなされておりません。そういう従来のやり方から申しますと、今後そういう大きな搬出等が行われるときは、当然事前に買い受け者たる市の方から協議がなされるものであろうというふうに思っております。
○目黒今朝次郎君 この図面に具体的に進行する過程についての資料が提供されていないということは、それは確認しておきます。
 しかし、私が現地の山を見て、この図面どおりやられると仮定しますと、私のような素人でも、実に莫大なことが行われるであろう、行わなければならないという感じをいたしました。
 それで、じゃ、和歌山市でどのくらいの金を計上しているかということを、私、予算書をとりました。予算書を見ますと、この予算書は農林水産費、緑化費として森林公園建設予定七億五千三百五十八万八千円、これだけしか計上していないんです。市側は、これだけしか計上しないで、これだけ膨大なことをやるという申請をされて、あなたの方がその申請を受けてこれを許可したというからには、では足りない金はだれがどうやるんだ、膨大な土はどうするんだと、こういう疑惑を持たざるを得ないというのが私の見解なのであります。そういう問題については疑問を持ちませんでしたか。あるいはいままでの国有林の払い下げで、そういう払い下げをする際に、用途とその払い下げを受ける相手方との因果関係、そういうものについてはチェックしないまま申請どおり行うというのが慣行になっているんですか、林野庁。
○説明員(宮崎武幸君) 私どもに提出されました計画では、園地込みでこれは確かに御案内のように七億七千九百万ということになっておりますが、用途につきましては、先ほどからもお話ございますように、和歌山市の森林公園にする、こういうことでございます。私どもとしましては、五十二年にそういう申請がございまして、五十三年の七月に国有林野の管理審議会でこれを検討しまして、売り払いを適当とする、こういう答申をいただきましたので、五十四年の三月に用途指定等を付して売り払った、こういう経緯でございます。
○目黒今朝次郎君 そうしますと、これは運輸省にお伺いしますが、運輸省は昭和四十六年、関西新空港の規模及び位置について、これを航空審議会に諮問しておるわけでありますが、この諮問と、いまの森林公園と、何らかの私は利害関係、利権構造が絡んでおるできごとだ、こう見ざるを得ないわけであります。たった七億の予算しか計上していない、この土取りには膨大な金を要する、金は何億かかるかわからない、それを市側も承知で、林野庁も承知で申請をし、許可をした。一体どうなるのか。現実にこれだけの工事をするためには莫大な金と土がかかる。そうしますと、どうしても私は四十六年のこの関西新空港の規模及び位置に関する航空審議会の諮問とのかかわり合いを疑念として持たざるを得ない、こう思うわけでありますが、運輸大臣は関西の出身でありますから、その辺の事情には篤と私より詳しいと思うんでありますが、いかがでありましょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) ただいまのお尋ねでございますけれども、私は全然そういうことを、公園の話も聞いたことございませんし、またその関係等、全然私は関知しないところでもあるし、また聞きもいたしておりません。いまお聞きいたしましてびっくりしておるような次第です。
○目黒今朝次郎君 当時担当した航空局長、どうですか。
○説明員(松本操君) 四十六年に諮問をいたしました時点におきましては、泉南、神戸沖、播磨灘沖及び淡路島、この四カ所の候補地があったわけでございます。現在の泉南というのが浮かび上がりましたのは四十九年の八月の答申の時点でございますので、そういった時点で、すでにそういう問題が起こっていたとは私には全く思えませんし、さらにまた、最初の答申に当たって、和歌山県に対する配慮がほとんどなされていなかったという点を激しく答申後和歌山県から指摘を受けた事実もございます。事実また、私どもの検討の中に、和歌山県に関する部分はきわめて一般的な形でしか触れていなかったというのも事実でございますので、先生おっしゃるようなことが当時からあったというふうには、私として全く思えない次第でございます。
○目黒今朝次郎君 それでは次に、具体的な私が調査した、林野庁が許可した森林公園、この周辺の土地の動き、売買の動きについて調べたことをちょっと参考までに。早口で申しますから、後ほど議事録でゆっくり見てください。
 この森林公園の北側に国有地があります。その西側隣に、すなわち森林公園の北西の深山地区に一庫総合開発株式会社、これは兵庫県川西市横路字峠六番地にありまして、昭和四十七年七月一日設立、資本金二千万円、現在の代表取締役佐藤さん。それからもう一つは太陽興産株式会社、これは大阪市淀川区西中島四丁目四番二十五の四百十三にあります。これは五十四年一月二十五日大阪地裁より破産宣告を受けた会社でありますが、その時点の代表取締役は富家栄氏、が相当地区の土地を持っております。
 ちなみに全部調べました。ここに資料ありますが、時間がありませんから申しません。全部拾いました。和歌山市深山五百九十六番地、一万九千三百六十八平方メーターほか四十四筆、登記上の面積だけで十五万五百三十二平方メーターであります。それから一庫総合開発と太陽興産の間にはさまれたところに米田利雄さんという方が持っております。この方の総面積二万三百八十六平方メーターを含めまして合計で四万四千三百九十。それから森林公園の北側、大川地区には、非常に有名だと言われておりますが、大谷貴義さん、東京渋谷区の方、これが関与している土地があります。和歌山市大川字北山四百二十一番地、四万六千八百十九平方メーターほか十三筆、十七万四千百二十七平方メーター。それから森林公園の南西、ここに南海観光開発株式会社の持っている土地があります。この土地は、和歌山市加太二千三百六十二番地の二十二万八千三百九十九平方メーターを含めて、二筆で五十九万四千四百十四平方メーター、このとおりあるわけであります。これは全部ほとんど四十八年から四十九年ころ買い占めた土地であります。
 また、直接この会社には関係ありませんが、個人として森林公園予定地の東側、大阪府岬町多奈川東畑及び西畑地区の個人の方があります。由村治男さん、この人は岬町多奈川西畑三百六十三番地の方でありますが、この方は合計九千二百八十六平方メーター、これを、いままで投げておった土地の登記を行いました。五十三年であります。同じく西畑百四十四番地の古谷庄次さん、この人も、親からもらった土地でありますが、五十年間ほど投げておったわけでありますが、昭和五十五年二月二十六日に突然土地保存登記を行いました。有力な情報があるということであります。同じく岬町多奈川谷川二千八百四十の四十三の浜田正子さん、この方も大体土地三千二百七十二平方メーター、五十二年の十二月保存登記をしております。
 これを簡単に図面にしますと、大臣、こうなんですよ。(図表掲示)大臣見てください。この青いところが森林公園です。それからこのだいだい色、これでやったのが、私がいま言ったいわゆる会社と、非常に土地買い占めで名高い大谷貴義さんとか、そういう有名な方々の土地であります。これがいま言った個人の方がやった登記図です。これが個人、その他はみんな会社、このグリーンがおたくの森林公園。
 なぜこんなに四十八年、四十九年からあれよあれよと一体なったんでしょうか。これは私みたいな国鉄上がりで素人は、どうしても理解できないですよ。しかし、私も仙台っ子ですから、仙台でどっかに道路が走るらしいなんていうことを非常に偉い人が情報やると、どっとこどっとこたんぼや山をどんどん買い占めていると。それが林野庁の払い下げ事件なんていう疑獄事件などが発生したということは知っています、私は。それとよく似ているんじゃないですか、これは。あなたが知りません、航空局長が知りませんと言ったって、現実に四十八年、四十九年から、現実にこの姿は何ですか、これは。これを介在してない、知らないということでは私は乗り切れない。世間が納得しない。私自身も納得しない。こう思うんですが、これを見て、私がいま早口で言いましたから後ほど議事録全部調べてください。この現実を一体何とおたくは見るんですか。
 また、私が林野庁長官に聞きたかったのは、こういうことについて、林野庁は、山を預かっているものとして、金の裏づけもない、たった七億、金の裏づけもないこの問題についてどういうふうに理解して国民の大事な山を払い下げたんですか。どうもその辺が私は何としても納得できない。私は、きょうは時間二時間もらえば一つ一つ具体的に聞こうと思ったけれども、どうしてもきょう一時間でやれというから、きょうこういう問題の輪郭だけはきちっとしておきますよ。これは十分頭にしみ込ませて、運輸省も航空局も、だれがどういう利権が絡んでこういう動きがあったのか、十分に私は精査をしてもらいたいし、私も引き続いでこの問題は追及して、国民の前に明らかにする必要があると、こう思うんであります。
 この点について、大臣の私の問いに対する考え、将来の姿勢などについてお答え願いたいし、林野庁はよもやここまで知っていたのか、知ってなかったのか。知ってないとすれば全部調べてもらう。そして高野営林署長に提案したときの経過をもう一回洗い直してもらう。その点について両方からお答え願いたいと、こう思うんです。
○国務大臣(塩川正十郎君) その地図見ましたら全部ひっついております、公園に。ですから、公園との関係で買っておるのかどうか。私もいまお聞きいたしまして、本当に初めてお聞きするのでびっくりしておるんですが、買った人の意図というものが何にあるのかわれわれもはかり知れないものございますし、いまお話がございますように、後で議事録を拝見いたしまして私たちも十分検討いたしたい。
 しかし、私が申し上げたいと思いますのは、そういう事実は全然私はもう存じておりませんし、また、その買った人の意図が何なのかもわれわれ全く見当がつかないというのが率直に申し上げさしていただくことだと思うんです。
○説明員(宮崎武幸君) 工事費の話を一つ先ほど答弁落としておりますが、金の当てもないのに売ったというふうなお話でございますが、私どもが和歌山市から聞きました段階では、この森林公園は、名前のとおり森林を山並みに残しまして、公園園地にするということでございますので、その段階では土砂を大きく削るとか、そういう中身はございません。したがいまして、七億何がしかの事業費でできると、こういうふうに考えたわけでございます。
 なお、森林公園周辺の土地等の動きにつきましては、私どもとしては全く知らなかったということでございます。
○目黒今朝次郎君 私は、ひとつ自覚として問題を提起したんですから、運輸省も林野庁もその関係について調べておいてもらいたい。私も引き続き、私はそれなりにだれがどこでどう言ったということはつかんでおるんですが、皆さん方が調べた上でないとかち合いませんから、この事実行為についてしっかとお調べを願いたい。
 私はここで、先ほど太陽興産株式会社と、こういう土地を持っている人ですね、それからもう一つ一庫総合開発株式会社というのがあるんですよ。どうもこの二つの関係を見てみますと、大臣がいろいろ検討する際の一つの素材になるんじゃないかと、こう思うんです。
 それで流れをちょっと言いますと、四十八年から四十九年、このいま示した土地を買うときの一番最初の出発の会社は興紀観光株式会社、ここから始まったんです。それからここに出てくる一庫総合開発株式会社というのは、大臣御存じの一庫ダムの水没者の救済ということで始まった会社なんです。当然私は一庫ダムは、兵庫県の川西市が本場でありますから、川西で一生懸命やるということはわかりますけれども、わざわざ和歌山県の深山まで出てきて、膨大な土地を買うというのはどうしても解せないんですよ。そこのところを私は疑問に思って調べてみたんです。そうしたら、前段で申し上げた興紀観光株式会社が土地を買った。しかし経営が思わしくない。まあ言わせてもらえば、関西空港の決定もなかなかうまく進展しない。そういう焦りなどもあって、昭和五十二年の二月二十三日、経営が苦しくなりまして二千万の借金をした。金銭消費貸借契約を結んで二千万の借金をした。買った土地に抵当権を設定した。そして五十二年の五月二十三日、会社の持っておる深山五百九十二番の一の約二千九百四十八平方メーターを飯尾ほか二名に売った。それから五十二年の八月十六日、個人である今井さんという人の申し立てによりまして、この買った土地の深山の三百六十八番地、三万六千九平方メーターについて大阪地裁から仮差し押さえを食った。ちょっと臭いですな、これは。同年同月二十四日、これは松原市のオール興発株式会社、この方の申し立てによって、深山五百九十九番の一の二千四百四十九平方メーターをこれまた大阪地裁から仮差し押さえを食った。こういうことを繰り返しておるわけであります。二週間後の五十二年の九月七日、高橋さんという方ほか七名から強制競売申し立てを知歌山地裁に申し立て、これを受理されて手続を開始されている。それでこのときに、ここからおかしくなるんですが、この開始された四日後の同年九月十一日、この時点で興紀観光株式会社は太陽興産株式会社と商号を変更した。そしてこの新しい会社の社長さんに竹内陽一さんという方が社長になった。社長になった一カ月後の五十二年の十月十六日竹内さんは社長をやめまして、竹内さんと昔から刎頚の仲の、――刎頚というのは小佐野の言葉で出てくるわけでありますが、非常に近しい冨家栄さんという方が新しい二代目の社長になった。そして五十二年の十月三十日太陽興産株式会社は所有地五万平方メーター、このときこの竹内さんが別な社長をやっているんですよ、先ほど言った水没関係の一庫総合開発株式会社の社長を竹内さんがやっている。自分がやめて刎頸の友に社長をやらして、自分の会社に五万平方メーターをそのまま譲り受けた。そしてこの五万平方メーター以外の一切のものについて、いわゆる二千万の貸借関係を結んで抵当権を全部もらった。自分がいままでおった、二つの会社の社長をやっておりまして、こっちの社長をやめて自分の友達に社長をさして、別の方のBの会社の方に全部もう土地から一切合財の財産をこっちの方に移したと、そういうことを行った方が竹内さんなんです、帳簿上を見ますと。そして、ちょうどそのやっておるとき、この年の十二月十四日津島譲さんほか四百名、この債権者が、約債権額五億円、この五億円の申し立てをいたしまして、大阪地裁に受理されまして、そして大阪地裁が五十三年の三月二十二日保全処分命令を出した。その後に、五十四年一月二十五日午後一時、大阪地裁は、いま譲り渡した太陽興産株式会社に破産宣告をした。こういうような非常にどろ臭いどろどろした流れがあるわけです。
 私はここで素人的に考えますと、一庫総合株式会社が太陽興産株式会社より土地の譲り渡しを受けて賃借権、抵当権を設定したその時期は、太陽興産の倒産がもう十分予見されたときにこういう芝居をやっている。いわゆる金もうけというか、土地もうけというかしりませんが、非常に世渡りのうまいといいますか、われわれにはとうてい想像し得ない、こういうことが何件か繰り返されて、この土地の現有の所有になっているんですよ。ですから、ストレートに農民から買うという形になったんではなくて、いま言ったような問題が非常に繰り返されておるわけでありますが、この問題については大臣、情報なり、その他業界の新聞なりで聞いたことはありませんか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は全く初めて聞く話でございまして、見当がつかない状態であります。
○目黒今朝次郎君 そうしますと、法務省に私は一般論として聞きますが、私も政治家の端くれで、いろいろこれをやりまして、破産法なんという条文を見せてもらったんですが、この破産法という条文を見ますと、一般論として、私はこのことが破産法の第三百七十四条と三百七十五条、三百七十六条、三百七十八条、これらに抵触するんじゃないかと、こう私は考えるわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか、見解を聞かしてもらいたい。
○説明員(前田宏君) ただいまお尋ねの土地の取引につきましては、いろいろいま御指摘がございましたように、複雑な事情があるんじゃないかと思いますが、二つの会社の間で取引といいますかがございまして、財産が移転された。そのことはいろいろな債権、債務関係があってのことだろうと思います。したがいまして、ただいま御指摘のような事実関係だけで、直ちにいまお尋ねのありましたような破産法の違反になるかどうかということになりますと、もう少し事実を詳しく承知いたしませんと、何とも申し上げかねるわけでございます。
○目黒今朝次郎君 私は一般論として聞いているんですよ。この法の解釈で、ただ三百七十四条で、「債務者破産宣告ノ前後ヲ問ハス自己若ハ他人ノ利益ヲ図り又ハ債権者ヲ害スル目的」云々と。「害スル目的」かどうか知りませんが、前後において他人に大変な損害を与える。それから三百七十五条でもそういうことが言われておりますね。前後を問はず左に掲げる行為を行ったときには云々と。こういう一般論としてある程度倒産がもうどうにもならぬと、こういう客観的にも、主観的にも理解される前後の段階で、こういう行為をやってはならないというのがこの破産法の私がいま言った条文でしょう。それは間違いありませんな。ちょっと解釈を聞かしてください、専門家から。
○説明員(前田宏君) ただいま目黒委員も御引用になりましたように、破産法には詐欺破産の罪というものがございますが、その犯罪の構成要件、いま一部御引用にもなりましたところですが、大変複雑な要件があるわけでございます。
 まず一点、御指摘のように、「宣告ノ前後ヲ問ハス」ということをもちろん書いてございますから、行為が前後であってもいいということはそのとおりでございますけれども、その取引をしました目的、また、その取引自体がどういう意図を持ってなされたか、また、それが債権者との関係でどういう意味合いを持つかというようなことがはっきりいたしませんと、一般論といたしましても直ちに詐欺破産罪が成立するというわけにはまいらないんじゃないか、かように考えているわけでございます。
○目黒今朝次郎君 警察庁、私はいまちょっと時間がなかったから早口に言いましたし、あるいは問題を提起したわけでありますから、問題を提起するには提起するだけの私もネタを持って提起しているんですから、私がこういう提起をした問題について、いま法務省の方から一般論としてもどういう具体的な問題で、どういう目的でと、りっぱな答えがありましたから、それはそれでおくとして、私は、この問題はやっぱり率直に言って、私も貧乏人でありますから、この津島譲ほか四百名の債権者が一体現在どうなっているんだろうか、そういうこともやっぱり政治として私は考えるべきであるし、処理をしてやらねばならぬ。これは総額五億円ですからね、どこかに泣き寝入りしている方が私はいっぱいいらっしゃると思うんです。片やぼろもうけする。片や泣き寝入りする。それを守る警察だとか法務省がいま言ったことでは困りますから、警察庁でこの問題について事実を調べてもらいたい。そして津島譲さんほか四百名の債権者が一体現在どういう状態になっているのか、どこに救済の手を求めているのか、破産法に関する問題と、この債権者の現状の問題と救済のあり方、そういうものを含めて警察庁でぜひ調べてもらいたいし、大臣にも私はやっぱり国務大臣として、非常に片方がもうかっている、もうかっているかどうか知りませんが、もうかる行為をする、片や泣いている、この泣いている四百名の方々の状態を見るのもまた私は運輸大臣と同時に国務大臣として私は当然の仕事ではないかと。したがって、大臣の責任においても調べてもらいたい、警察も調べてもらいたい。そして次のしかるべき早い機会にこの委員会で御報告願いたいと、こう思うんですがいかがですか。
○説明員(中平和水君) ただいまの御指摘の点につきましては、私ども各県警に一応現時点で調査いたしました結果は、いずれの県にも告訴等の届け出はございません。ただ、この場でいろいろと御指摘になりました事実につきましては、私どもの立場でも一応関心を持ちまして、事実関係を把握し検討いたしたいと、こういうように思っております。
○目黒今朝次郎君 じゃ、警察庁ね、五十二年の十二月十四日、まあおたくは申告されていないから云々という通り一遍の突っぱねた答弁だけれどもね、こんなことを私が言っているんだから、五十二年の十二月十四日大阪地裁が受理しているんですから。少しは庶民の立場になって警察行政をやってくださいよ。申告ないから参考までに調べますなんて、こんな無責任な答弁承服できませんよ。もう一回答弁。
○説明員(中平和水君) 法律的には、ただいま法務省の刑事局長が言いましたように、非常にむずかしい問題がございます。したがいまして、私どもは事実関係につきまして私どもの立場で確認をした上で、私どもは捜査機関でございますから、そういう立場で処理できるかどうかについて検討いたしたいと、こういうことでございます。
○目黒今朝次郎君 大臣。
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほどいろいろお伺いいたしましたが、この議事録をよく私ども取り寄せまして検討いたし、事実関係は一応確認いたしたいと、こう思っております。
○目黒今朝次郎君 じゃそれは両側に要請しておきます。
 もう時間がありませんが、もう一つ、大谷貴義さんの土地に関する問題もここにあるんです。この経過についても私は非常に合点がいきませんが、和歌山市の大川字北山四百二十一番地、これは大谷貴義さんの土地でありますが、この経過について、土地の登記をしていく動きがありますから、その動きについてひとつ、これはどこですか、山の売買だから農林省ですか、林野庁ですか。山の売買を管理しておるところにおいて、時間がありませんから、和歌山市大川字北山四百二十一番地、これの登記の動きについてひとつ参考までに御調査をお願いしたい。大谷貴義さんです。それはこの問題を解明するにきわめてまた大事なことなんですから御調査を願いたい。ただ、私はきょう法務省せっかく来たからお伺いいたしますが、これは和歌山市相坂五百三十二番地東和農協というのがありますね、この東和農協がやっぱり土地の売買に絡んで資本金五百六十万の先ほど言った共和実業、この共和実業に昭和四十八年の二月から十二月、当初十五億ぐらい融資をしようという話があって、いろいろやりとりがあって、最終的に五億程度の融資をしたそうでありますが、五百六十万の資本金の会社に五億円の融資というのはちょっと私もけた外れと思うんでありますが、いろいろ資料を調査している間に、これは昭和四十九年共和実業の倒産に絡む東和農協背任横領事件ということでやっぱり摘発されたというようなネタをつかんでおるわけでありますが、そして組合長ほか二名組合幹部が逮捕、起訴されたと、これは大臣知っているんだろうね、もう逮捕されたんだから。起訴されて債務の一部を償還して、なお債務残額が二億九千万の残額があるということを聞いておるわけであります。その後に山中政蔵さんという方が一億二千万のこれは申し立てをしておるんですね。この辺の事情が私はちょっと理解をできないんですが、法務省でこの辺の実情をつかんでおったら説明願えれば幸いだと、こう思うんですが、いかがですか。
○説明員(前田宏君) ただいま東和農協でございますか、背任横領事件があったという御指摘でございますが、私自身いま初めて伺うことでございますので、その実態は承知しておりません。
○目黒今朝次郎君 まあ私はこれは資料を集めておる間に政府委員の方から説明があったから、じゃ、ここのところは質問を少し勘弁しようといって質問をカットしたわけでありますが、いま担当者から聞くと、聞いてない、知らないということは、私に教えた政府委員の関係者は何を私に教えたんですかね。これはごまかしもはなはだしいと思うんですが、まあ時間がありませんから後ほど調べます。あなたが知らないと言うなら、知らない人に幾ら質問したってしようがないですよ。私はネタをつかんでいるんですから、私の方が確実ですから、これだけは言っておきます。
 それから林野庁長官、(図表掲示)あなたの部下が和歌山に払い下げた土地はこの土地、青い土地。ところが、四十八年関西空港の問題が起きてから土地の買い占めをわっとやっているんですよ。その土地の買い占めが、この黄色いところとか、いわゆる何というかね、土地あさり屋といいますか、土地買い屋といいますか、そういうような非常に巧妙な方々が四十八年、四十九年から買い占めた土地がこの周辺、個人の持ち主がこれは一もうけしようといって保存登記をやったのがこの土地、こうなっているんですよ。これは関西空港に関連あるんで呼んだんですが、いま林政部長から聞いたら、全然そういう関係は知りませんと、こう言っているんです。
 あなたに聞きたいのは、そういう関西空港とか土地買い占めの問題と因果関係が政治家と絡んであったかなかったかということを、あんたの答弁を聞きたいと、こう思うんです。
○説明員(須藤徹男君) いまの御指摘の点につきましては私は初耳でございますが、そういう政治家との絡み、そういうものは一切ございません。
○目黒今朝次郎君 それからもう一つは、山を払い下げする際に、受け入れ側が何に使うかという契約書のことをいま言いました。その際に、林政部長から聞くと、それを実施するための予算の裏づけが全然ない。和歌山市は七億の予算を計上しただけだと。七億で何ができるのかというのが私の考えなんですよ。そうすると別なところにやっぱり金づるがあったんだなと。だからあなたがありませんと言っても、金づるが存在しなければ森林公園などはできない。その金づるは関西空港じゃないのか。それに絡まる土建屋の土地買い占めじゃないのかと、こういうことなんですよ。この点についてはあなたに答弁求めたって、知りませんと言うだろうから、私は問題だけ提起をしておきます。そうして、この森林公園をやるにどれだけの金がかかるのか、土砂取りと整地と運搬と、それをひとつ参考までにあなたに問題提起をしておきます。
 そして最後に、私は運輸省にお伺いしますが、そんなことを知らない、初耳だと、こういうことが何回が繰り返されておるわけでありますが、航空局長、この関西空港の土地をとるのに十二カ所とか、十三カ所とかというのをよく耳にするんですが、何カ所なんですか、あなた方が事務段階で考えた場所は。関西空港の、埋めますね、海を。海を埋める土を運ぶその予定候補はどこどこなんですか、事務段階で。
○説明員(松本操君) ちままでの埋め立てに関する調査の中におきまして、埋め立てに要する土の量がおおむね五億数千万立米というふうに勘定されております。そこで、自然環境を破壊せず、環境問題に一切影響を及ぼさないという前提で、これらの土が周辺地域から得られるかどうかという点につきましての一般的な研究調査は私どももいたしました。その結果、関西周辺地区から、十数億立米の土は採取可能であろうというところまでは私ども突きとめておるわけでございます。これがございませんと計画そのものが成り立たないことになるからでございますが、具体的にどこから幾らというふうな話は、今後この計画が進みまして、具体的な事業主体もでき、その上で地元の市町村等と篤とお話をした上で、ここはいかがかということを合意をして決めていくということになるのが筋だと思いますので、現時点で私どもは、ここから幾らとか、あそこからどれほどというふうなことを具体的に決めていないわけでございます。
 ですから、いまの御質問の何カ所なんだと、こういうことでございますけれども、全工期を終わりまで仕上げるとすれば、五億数千万立米の土量が要るということは言えるわけでございますが、それをどこから幾らだというふうなところまでは現時点では全く詰めてございません。
○目黒今朝次郎君 あなたはそう言うけれども、私も運輸委員の一人ですよ。おたくがいまやっている関西の問題についても、あの埋め立ての問題はわれわれも知っていますよ。しかし今日、あなたがそんなきれいに答弁したって、私がこんなにものすごい動きがあるというものについて、知らぬ存ぜぬでこの場を乗り切るだけですか。これはだれが、何のたれ兵衛とは言いません。何のたれ兵衛がこれだけの動きをする的確な情報を提供したからこそ、こういうふうになっているんですよ。裏から言えば、じゃ私のこの問題が仮に事実だとすれば、この十二、三カ所、五億立米の土をとる土地の指定地から、森林公園の周辺に絡まる土地については除外できますか。そんなこと言うんなら、除外できますか。私は、除外するということをきちっと言えば、それはあなたたちのいまの答弁の裏側として信用しましょう。
 森林公園は、大臣がさっきいみじくも、言葉じりをつかまえるわけじゃありませんが、森林公園は和歌山市民の憩いの場だと、その憩いの場にむしろ良心的、よりよいものをつくろうという良心があって買ったという一面があるではありませんかということを大臣がちょっといま言葉を発しました。そういう意味ならそれなりに私は価値があると思うんですよ。私がずっと大谷さんから何さんからやった限りでは、やっぱり関西空港に重大なかかわり合いがあると。十二、三カ所、私も運輸族でありますから、ああ、あそことあそことあそことあそこと、こうそれなりに点検してみました。点検してみましたが、こういう動きないんですよ、こういう動きは。航空局長。こういう動きはないんですよ、あなたが言わなくても私言いますか。十何カ所知っていますよ、これ。でもこういう動きがあるのはここだけなんですよ。大臣。
 だから結論は、こういうことを調べて、こういう不正な動きがあったならば、これは除外すると、本来の森林公園一本でいくということを航空局なり、運輸大臣として公言できますか。御見解を聞きたい。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私はそのお話は本当に初めて聞くんで、見当もつかないんですけれども、どこにあるのか、地図の上でも私は頭に浮かんでこないんですが、さっきからおっしゃっている和歌山の深山というのは、まあ昔、深山重砲連隊か何かあった、そういうところじゃないかなと思うておるんですが、そうすると大阪に近いところでございますね。そういうことじゃないかと。そうしたら、大体あの辺かなということしか私はいま頭に全く浮かんでこないんです。そうすると、あの辺はたしか国定公園か何になっているんじゃないんですか。私、公園指定されておるように思います。そういたしますと、やっぱり森林というのは、公園指定地の中にあるんではないかなと、当然そういうのは用途制限を受けるのではないかなということを思いながら、いまお話聞いておったようなことでございまして、私ども十分調査といいますか、議事録で一回よく検討さしていただきます。
○目黒今朝次郎君 公園というのはこういうふうになるでしょう、これ。(図表掲示)ここが空港ね。この辺はずっと市街地ですからね。だからこの一番土砂を運搬するのど笛に大谷貴義さんの十七万平米の土地があるんです。いやがおうでも土砂を運ぶにはその大谷さんの土地を通らないと、通行料を払わないと通れない、そういう土地関係なんです。
 それで私は、いろいろ、初めてだとか、あるいは初耳だとかという話があるんですが、やはり野党のわれわれには理解できないんですが、与党の皆さんでありますし、権力持っておる皆さんでありますから、個人の名前挙げて申しわけありませんが、この中に出てくる竹内さんという方も、これは福島県の方ですね、私宮城県ですから隣県であります。もうわれわれ農家の小せがれなどは及びもつかないなかなかりっぱな方でありまして、しかし私は考えるに、たとえばこういうことはどうなんでしょうな。昭和五十年七月二十七日、PGF白河カントリークラブのオープンの式典に、当時の安倍晋太郎農林大臣が行って、御祝辞を述べておるんですね、政府レベルではできないこと云々と。ただ、この際に――一次会か二次会か知りませんが、オープンは一次会、あと二次会、三次会あるでしょうけれども、そういうところでいろいろな、なかなか政府ができないこともやっていると、次はこういうことを考えているというふうなことをくちばしで、意識的に言ったか言わないかは問いませんが、やっぱり政府の大事な戦略目標といいますか、政策の展望といいますか、そういうことが出てこないんでしょうか。あるいはこの人は「財界ふくしま」というのを出しています。この「財界ふくしま」の創刊三周年記念で、五十年八月、東邦銀行ホールで行われたとも聞いておりますが、このときも亡くなった大平現職大臣あるいは福島県知事、あるいは福島県の有力者、平尾東北財務局長、この方たちが出て、いろいろお話をなされておるやに聞いております。この問題も白河カントリーの疑惑の問題に私は一定のかかわり合いがあるんじゃないか、そんな気がするんです。また、この人は「官界」という雑誌を出しています。この「官界」の座談会というところを見ますと、非常に興味深い座談会やっておるんですね。ですから、知らぬ存ぜぬ、知らぬ存ぜぬということはわかりますが、しかし、こういう権力を持っているあなた方、政策決定の実行権を持っている方々、その下地をつくる官僚を全部占めているあなた方、そういう方々が、こういうごりっぱな方には結構なんでありますが、ごりっぱな方といろんなことをする際に、いわゆる政策の一端なり、政策を先取りすることがあるんではなかろうか。あってはならないことなんですけれども、往々にしてあるんではなかろうか、そのことがこういう問題にも派生し、五十年も投げておいた土地を、いま保存登記すれば何十倍にももうかるといって、せっせと保存登記をするという、保存登記に走らせた裏づけになっているある人がおるんです。それがこういうのものを形づくっているんじゃないでしょうか。ですから私は、関西空港が全般のために必要だと、それは運輸委員会でゆっくりやりましょう、私も運輸委員だから。これは成田空港の問題でもあなたにいっぱい言いたいことあるから。あっちこっち、何か千葉県とか、茨城県とか行っているらしいけれども、肝心かなめなのを忘れてませんか。油だれ運んでるんですか。一言もあいさつしないで、既定事実つくったって私は知りませんよ。そんな成田空港も中途半端、羽田沖の埋め立ても中途半端、この前行ってきた北海道の新千歳空港、あそこも大変ですね。みんな空港が中途半端、中途半端な空港つくっておいて、関西空港どかんとつくると。そういうことについてはゆっくり運輸委員会で討論しましょう。討論しますが、私はやっぱりそういう国民の公共の施設の問題と、こういう利権構造に結びつくような政治姿勢があってはならないと、そこのところ私は突っつくためにずっと回りくどく言ってきたんですよ。きょうは第一ラウンドでありますから、まあ私も東北人で言葉が悪いから、議事録を調べてもらって、関係個所を整理して、次回またゆっくりやりましょうや。ぜひこの全貌について、私は国民の前に明らかにして、そうではないんだということをやっぱり明らかにすべきだし、また森林公園の問題についても、やっぱり払い下げをする際には、国民に疑惑を持たれないような私は払い下げをすべきだと、こう思うんです、林野庁長官。その辺のおたくの政治姿勢について、最後に大臣と長官から聞いて、私の質問を終わります。
○国務大臣(塩川正十郎君) それはもうおっしゃるとおり、そういう疑惑をつくってはいかぬし、またその疑惑をうやむやにしておくということはよくございません。私たちもそういうようなせっかくわれわれが理想的な国際空港をもう一つ築いていこうというやさきに、そういう問題が出てくるということがあってはならぬので、十分に私たちも今後においても、あるいは現にあるものは、おっしゃるように真相をよく私たちの手で確かめていきたいと思うております。
○説明員(須藤徹男君) 現在、和歌山市におきまして、公園の開設計画に基づきまして、現に工事が行われておるわけでございまして、私どもとしましては、和歌山市を信じておるということでございます。
○委員長(野田哲君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四十一分開会
○委員長(野田哲君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十二年度決算外二件を議題とし、総括質疑を行います。質疑のある方は順次御発言願います。
○円山雅也君 郵政大臣並びに郵政省にお尋ねをいたします。
 郵便貯金の本質をめぐる問題でございますけれども、金融政策と絡めまして、きのう大蔵大臣から一応大蔵省の基本的なお考えを承りました。そこできょうは、郵政省の方からやはり同じような問題で基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思いまして、質問に立ったわけでございますが、郵政貯金は郵便貯金法の規定からすると、もともと庶民の小口貯蓄の受けざらとして発足をしたものだと思います。ところが最近の郵便貯金の実態は、どうも質的に変貌を遂げておるんではないか、そのため金融政策との関係においても大変問題がクローズアップされてまいりました。そこで最近の郵便貯金について、所管省としてどのようなとらえ方をされておるのか、また今後どのような取り組み方をお考えになっておられるのかについて、基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思うんです。
 なお、御答弁につきまして、基本的なことについては大臣に直接お答をいただけば結構でございますけれども、細かい点ではどうぞ事務当局にお答えをさせていただきたいと思います。
 それからまた、私は郵便貯金について目のかたきにして攻撃をしているわけではございませんで、大蔵省とのきのうの質問の結果からいたしますと、どうも郵政省がお考えになっておられる郵便貯金の本質と、大蔵省がお考えになっておられる郵便貯金の本質との間に、かなりの違いがあるんではないか。そこでその辺も含めまして、郵政省の所轄省としてのお考えをお尋ねをしたいと、こういう意味でございますので、忌憚のないお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 まず、郵便貯金の金融機能の点について二、三の御質問をいたします。
 九月の六日に、郵便貯金に関する調査研究会の報告発表がございました。この報告の中で、特に郵便貯金が個人金融、いわゆるパーソナル・ファイナンスに積極的にこれから取り組むべきだという御指摘がかなり強調されておられます。そこでこのような考え方、つまり郵便貯金法の規定からすると、郵便貯金というのは従来小口の受けざら、お金を預かる機能、これが本来の姿じゃないかと思うんですが、この報告書だとむしろそうじゃなくて、今後郵便貯金というのはいわゆる個人金融の場に積極的に進出をすべきなんだという御報告でございます。そこで、このような考え方について、郵政省としてはどういうお考えをお持ちか、まずその辺をお尋ねをしたいと思います。
○説明員(鴨光一郎君) ただいま先生の御指摘ございましたものは、郵便貯金に関する調査研究会からの報告に関連いたします御質問かと思います。
 この郵便貯金に関する調査研究会は、貯金局長の私的な諮問機関でございまして、五十一年の九月に設置をされまして、五十三年の九月に一回目の報告をいただいておりますが、ただいまお話ございましたように、五十五年の九月六日に改めて郵便貯金に関する調査研究会報告をいただいたわけでございます。
 この報告の中では、パーソナル・ファイナンスの充実という観点から、仰せのとおり郵便貯金の積極的な活動が提言をされておるわけでございます。この調査研究会は、東大の大石先生を座長にいたしまして、これまでに四十七回にわたる会議を開かれて、その結果を御報告いただいたわけでございます。
 内容は学術的な観点から検討をされたものでございます。総じまして郵便貯金、民間金融機関、両者がそれぞれ個性を生かしたサービスの提供をすることによって、両者が相まってパーソナル・ファイナンスの充実発展に寄与することが肝要である、このような基本的な姿勢を示されているわけでございます。
 郵便貯金につきましてね、国営の貯蓄機関として、個人金融市場において、国民の生活意識の高度化、多様化に応じたサービスの提供を積極的に行うことが求められているところでございます。
 私どもといたしましては、この貴重な御報告の中で、これからいろいろ研究をさらに詰めさせていただきまして、示唆を受けた点、大いに活用させていただきたいと考えている次第でございます。
○円山雅也君 多分郵政省のお考えも、この報告書に基づいて前向きな御検討を進められておると思うのでございますけれども、たとえば郵政省が郵便貯金を通じて、お金の受けざらだけではなくて、金融面までも担当する、しかもそれが多様化した国民的ニーズであるんだというような前提に立ちますと、何か郵政省が国民銀行を経営するような感じを受けないでもないのでございますけれども、この点についてはどうお考えでしょうか。
○説明員(鴨光一郎君) 先生の御指摘は、この報告書の内容にわたる点でございますが、いま御指摘の点につきまして、この報告書の中で述べられております概要を簡単に御説明をさせていただきます。
 郵便貯金の機能といたしまして、郵便貯金は個人取引をもっぱらとしたサービスを提供している、非営利で収支相償原則をとっている、全国的な店舗網を有すると、こういった特徴を持っているという点を踏まえまして、経営形態あるいは機能の点から見て、パーソナル・ファイナンス・サービスの専門的供給主体のあるべき姿に最も近い存在であると、こういうふうに御指摘をいただいているわけでございます。そうした中で、パーソナル・ファイナンスと郵便貯金の機能ということで、貯蓄サービスあるいは貸付サービス、送金サービスといったものについての中身をそれぞれ指摘をされているというものでございます。
○円山雅也君 ちょっと私のお尋ねとお答えがずれたようでございますけれども、まあいずれにしましても、これは一つの見解としてお尋ねをしたいんですが、郵便貯金がいまこの調査報告書が言うような、個人金融市場に積極的に進出することは、郵便貯金法から見て郵便貯金法の違反になりませんか。どうでしょうか、その辺は。
○説明員(鴨光一郎君) 郵便貯金法の目的でございますが、郵便貯金法の第一条にございます「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段としてあまねく公平に利用させることによって、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」というのがこの一条に掲げられました目的でございますが、私どもといたしましては、先生方の調査報告の中身は、この点を踏まえて、先ほどもちょっと触れましたように、非営利で収支相償原則をとっている、あるいはあまねくという意味におきまして、全国的な店舗網を有するというふうなことでの特徴を持っているということ、そういうふうな御指摘とマッチをしておる。御指摘のまた中身につきましても、国民の経済生活の安定を図る、あるいはその福祉を増進することを目的とするということにマッチをしているものというふうに考えております。
○円山雅也君 私も専門が法律でございますから、法律の解釈につきまして、それは確かに法律というのは一たん成立しますと、世の中の多様性になかなか追いつかないから、拡張解釈をする場合が多々ございます。しかしながら、郵便貯金法の一条で目的と掲げているところは、いま局長が言われたのは後段の方を力説されたからそういうふうにも解釈できるのですが、前段の「郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段として」という、「貯蓄の手段として」ということを意識した場合、それからさらにこれは御丁寧に十二条の利子の規定に入りますと、さらに「郵便貯金が簡易で確実な少額貯蓄の手段としてその経済生活の安定を」云々となっているんですね。いわゆる貯蓄手段として、つまり、この発足した当時の少なくとも立法精神は、縁の下や何かにお金を置いておくよりも、手近な郵便局に持ってきなさい、国が確実に安全に守ってあげますよと、利子もつけてというのが率直な目的じゃないんでしょうか。金融までも予想しておったでしょうかね。または、解釈上金融までも範囲が広げられるかどうかちょっとお尋ねをしたいと思います。
○説明員(鴨光一郎君) もとより先生御指摘のように、郵便貯金法との関連におきまして、ものによりましてはこの報告書で御指摘を受けているものの中には、法律の改正を必要とするものもございます。そして、その法律の改正につきましては、当然のことながら、郵便貯金法全体を貫きます精神なり、考え方なりといったものとの関連において、十分な吟味が必要であることは当然でございますけれども、この法律を離れまして、現在の郵便貯金というものの現状を申しますと、私どもの調べておりますところでは、郵便貯金の使われております態様と申しますものが、たとえば個人の利用率、個人名義による郵便貯金の利用が九九・二%、言うならば大部分が個人の利用である。それから、地域別の利用の状況でございますとか、あるいは職業別の利用状況でございますとか、年齢別の利用状況、そういった意味におきましても、あらゆる面で個人の貯金であるという実態がこれは実績としてあるものとわれわれ受けとめております。
 それから、これが小口の貯蓄であるかどうかという点につきまして、一口座当たりの現在高というものをとらえてみますと、いわゆる銀行の普通預金に当たります通常貯金の現在高が、都市銀行の場合の十二万八千円に対しまして、郵便貯金が九万八千円。それから定額貯金と銀行の定期預金の数字でまいりますと、都市銀行の定期預金の、これは一証書当たりの平均でございますが、都市銀行の場合が四十三万二千円に対しまして、郵便貯金が十八万五千円、こういう数字になっております。これは一証書当たりの現在高の平均の比較でございますが、先生御指摘の個々の預金の、貯金の額が一体ここで言うところの小口に当たるのかどうかという点に関しましては、私どもとしましては、現在の貯金の総額が十条で三百万円と決められているところでございますけれども、この総額というものを一つの指標といたしまして、いわゆる国民の所得、あるいは日本経済の全般的な見方の中から考えられるべきものと思っておりますけれども、いま申しましたような一証書当たりの平均というふうなものから見ましても、われわれとしましては、この簡易で確実な貯蓄の手段、あるいは個人の少額貯蓄の手段という性格は依然として存在をしているというふうに考えております。
○円山雅也君 私もあんまり少額についてはこだわっちゃいなかったんですけれどもね。何かいま局長言われるように、確かに、たとえば郵政省は郵便貯金分野に個人年金を取り入れようとされておられますね。この個人年金まで入ってくると、現在の郵貯法の範囲で改正を全然しなくて賄えますかな。
○説明員(鴨光一郎君) 恐縮でございますけれども、ただいま先生の御指摘のございました個人年金の問題は、郵便貯金法の問題でございませんで、簡易保険局の所管をいたしております簡易保険の方の問題でございます。
○円山雅也君 失礼しました。
 そこで、確かに私も小口の点は余り問題にしないんですが、郵便貯金の中で大半を占めるのが――大半どころか、もう大多数を占めるのが定額貯金でございますな。この点はいかがですか。
○説明員(鴨光一郎君) 御指摘のとおりでございまして、手元にございます資料で御説明をいたしますと、郵便貯金の現在高、五十五年三月末で五十一兆九千億ございます中で、定額貯金の現在高が四十四兆四千億という数字になっております。これを構成比で申しますと八五・六%。通常貯金の方をついでに申しますと六兆一千九百億円、構成比で一一・九%、これが貯金の大宗を占めておるものでございます。
○円山雅也君 そうしますと、もうこれは当然局長御存じですけれども、定額貯金というものは、昭和十六年の十月に新たに発足したもので、その当時の軍事費が足りなくて、その調達のためにもう金を集めなければならない。だから定額貯金という特別の扱いをして、それで集めようという意味で発足をしたんで、郵貯が郵便貯金法が予定している本来の姿ではなくて、臨時的なそういう金の需給の必要から設けられたものだというふうに理解をしておりますが、その点はどうでしょうか。
○説明員(鴨光一郎君) 確かに定額貯金の発足いたしましたのは昭和十六年でございますが、制度といたしまして、十六年から数えますと約四十年経過をいたしておるわけでございますが、最近の日本経済の発展の状況の中における郵便貯金というものと、戦時中におきます、あるいは戦後におきます日本経済の中の郵便貯金との対比というものは、確かに相違はあろうかと思いますけれども、戦時中の問題は、いま御指摘のような観点があったことも事実であろうかと思いますが、たとえば戦後、いわゆる経済復興の時期におきまして、やはり郵便貯金が、これはもう申し上げるまでもございませんけれども、財政投融資の原資というふうな形で、いわゆる戦後の経済復興の有力な資金源であったということは、われわれの自負をしておるところでございますが、その後の経済発展の中におきましても、日本経済の発展の重要な役割りを資金運用部に預託をされております中の約六割を占めます郵便貯金の役割りといたしまして、私ども大いなる力を発揮しているものというふうに考えている次第でございます。
○円山雅也君 そこなんですよね。いまの局長の御説明でもスタート時点では軍事費、それから今度はその後続いては戦後の経済復興のためにもいわゆる財投の資金源になった。ということは裏返せば少なくとも定額貯金というのは、本来の原則的姿ではないはずなんだし、それからまたじゃ仮にいまの定額貯金の結果たくさんの金が集まって、資金運用部に回ったと、そうすると大蔵省はもっと集めてくれ集めてくれ、足りなくてしようがないと、財投融資の資金源が。だから集めてくれというような需要があれば、それぞれそういう目的のためにやむを得ずやるというふうな、つまり例外的なものじゃないかと思うんですね。ところがいま局長のお答えのように、その例外的な、つまり何かある政策上の合目的な設定があって、そのためにやむを得ぬという例外的なものが逆に郵貯のほとんど八十何%を占める。本来の姿の貯金が陰に隠れちゃって、例外なものが浮き上がってきて、それが郵貯のもうほとんどを占めておるということ。そうしますと、そういうものをじゃ仮に局長の御答弁だとすると、じゃ仮にいま大蔵省の資金運用部がもういい、そんなに集めてこなくても結構ですよという必要がなくなったならば、定額貯金の残しておく意味はあと何でしょうか、その例外を残しておく意味は。
○説明員(鴨光一郎君) 郵便貯金の、いま先生の御指摘になりました、私が先ほど御答弁申し上げましたのは、運用の面をとらえた御答弁でございますが、当然のことに郵便貯金というのは、郵便貯金を簡易で確実な貯蓄の手段ということで、国民の皆様の利用に対するサービスの提供という側面を第一義的に持っていると。もちろん資金運用の面というものも大変重要なものとわれわれ考えておりますが、何といいましても、もとはいわゆる利用者に対するサービスということでございます。そのサービスという面におきまして、先ほど申しました個人性が非常に強いということが、これは一般的な傾向といたしまして、要するに一度預入をされますと、そう簡単には払い戻さない。払い戻しをされない理由はいろいろございます。現在の社会の中でも子供の教育、あるいは結婚、あるいは不時の災害、それから現在われわれシルバー貯蓄なるものを要望いたしておりますけれども、老後の生活の不安に備えると、そういったそれぞれの目的がございますが、本来的な個人の貯蓄の特性といたしまして、長期性を持っているということが言えるわけでございます。定額貯金はそのお客様の個人的な貯蓄であるというところに着目をいたしました場合に、商品といたしまして、一番長期性にマッチをした性格を持ったものではなかろうか、それをお客様が選択をされたというふうに考えております。もとより民間銀行の場合におきましても、先ほど数字の中でも取り上げさせていただきましたように、定期性の預金というものがございますが、これがそれぞれいわゆる国民の側から見ました場合に、そのサービスをそれぞれの選択において受けていただく。われわれ何も民業を圧迫するということが目的ではございません。国民の皆様の立場から見て、最も国民のニーズにふさわしいサービスを提供していくということを基本に置いている結果であるというふうに考えているわけでございます。
○円山雅也君 非常に局長の答弁はうまいんですね。ぱあっと問題が広がっちゃって、答弁でかなり時間かせがれているんじゃないかと思うんです。
 そこで、確かに定額貯金というのは金利も高いし魅力ありますよ。魅力ある。だから本当に国民がいい制度だと、結構だと、定額貯金もうしたいわと言って郵便局に集まってくる。つまり、局長の言われた向こうの方の自由な選択において選ばれたんだと、それが総額五十一兆ですかのあれになってふくれ上がったんだという理解が素直に受け取れれば問題ないんですけれども、それならば、国民がそれだけいいと思うんならば、ほっといたって集まってくるわけですよ。つまり、定額貯金の性質だけ公に公表すりゃいいんですね。それを何で外務員をふやし、その外務員に五千円の手当を上げ、その外務員の方々は、中には五千円もらうとその中から二千円ぐらい向こうにおみやげ品で渡しているとか、そうまでして何で定額貯金を必死になって集めなきゃならぬでしょうか。ということは、逆に実態は国民が自由な選択に基づいて集まってくるんではなくて、郵政省がさあ早く行って、おみやげつきでもいいからとってこいというのがいまの実態じゃないんでしょうか。これ私の誤解だったらその辺をちょっと説明していただきたいと思います。
○説明員(鴨光一郎君) いま先生の最初の御質問は、郵便貯金にとっての外務員の役割りというふうなことと理解してよろしゅうございましょうか。そういう意味で御説明をさせていただきますと、外務員の役割りというのを私どもは次のように考えております。郵便貯金というものが先ほどから申し上げておりますように、個人を対象にしてあまねく貯蓄手段を提供する、そしてその国民の経済生活を安定さす、あるいは福祉の増進を図るということを目的としておりますけれども、その目的を達成をいたしますために、いま問題になっております定額貯金というふうな商品をつくる、あるいは郵便局を津々浦々につくるということだけでは足りないのではないか、国民に対しまして貯蓄心を植えつける、あるいは勧奨をしていく、積極的な働きかけがあって、その目的が遂行可能となるというふうにわれわれ考えているわけでございます。郵便貯金における外務員の活動というものが、これまでの国民の貯蓄心といったものを向上させるのに、十分な働きをしてきたのではないかというのがわれわれの考えでございますし、そのことによって、国民の皆様の資産形成のお手伝いをさせていただいているというふうに考えているところでございます。
 それから二番目の募集手当から何かおみやげを出すというふうなことがあるのではないかという御指摘でございます。募集手当そのものは職員が積極的な勧奨によりまして、定額貯金等の契約を成立させました場合に、一定の率によりましていわゆる貯蓄奨励手当、募集手当とも言っておりますけれども、これを支給することにいたしております。そういう中で、奨励活動を推進してまいります中におきまして、職員がその手当の一部をもちまして、お客様に何がしか――何がしかと申しましても実は大変、こう申しては何でございますけれども、手ぬぐいであるとかいうたぐいのもの、そういったものを持ってまいることは、お客様のところに伺うことは考えられるところでございます。ただ、基本的には、そうした場合におきまして、われわれ常に現業の職員に対しまして、行き過ぎた奨励活動というものは当然に許されるものではない、国営の貯蓄手段としての郵便貯金において、常に品位と節度をもって当たるように指導をいたしているところでございます。
○円山雅也君 本当に御説明を聞くと、もうまことに結構なんですけれども。
 そこで、じゃちょっとこの点の疑問を解明していただけませんか。定額貯金の証書の現在の発行枚数が大体二億四千万ぐらい。そうしますと、二億四千万ということは、日本の総人口一億幾らですから、当然一人で何口かの定額貯金の証書をお持ちになる、これは計算上明らかですな。そうすると、この場合、たとえば定額貯金は十万円までに抑えられているのだから、二十万円預金したい人は二口に分けざるを得ない、これならわかるのですよ。だけど、定額貯金というのは限度額一口で三百万でもいいのですか、あれは。そうしますと、なぜ一人が皆さん物好きでなければ、普通ならめんどうくさく何口も同じ名前――円山雅也の口座を同じこれも円山雅也、これも円山雅也、これも円山雅也と分ける必要ないのですね。一本でいっちゃった方がいいはずなんです。ところが、おしなべてとにかく一億総人口が全部郵便局へ一人ずつやったとしても平均二・五倍なんですよね。ということは、分けるという必要があることを裏から考えていくと、限度オーバーを超えるから、一人の人間が名前を変えて何口にも分ける、そのあらわれが二億四千万になったのじゃないかというふうにしか積極的理由が見出せないのですけれども、その辺は局長はどういうふうにお考えでございますか。
○説明員(鴨光一郎君) 貯金証書の枚数の問題でございますけれども、これは銀行等の定期預金についても同じでございますが、私どもの定額貯金でまいりますと、一千円から一定の単位で預入ができることになっております。もちろんその最高額が三百万円でございますから、一口で三百万円までお預けいただけることにも先生御指摘のようになっておりますけれども、その逆に申しまして、三百万円の制限額の範囲内でございますと、一人で何枚でもお持ちになれることができるということでございます。先生がお話しございましたように、一度にある程度まとまったお金を、百万単位のお金を預けていただける方もないではございませんけれども、逆に中には、たとえば先ほど申し、ましたように、いわゆる個人の預金でございまして、サラリーマン等の方も非常に利用が多いわけでございますが、毎月毎月定額の収入がある方々が、毎月決まった額を定額貯金に預け入れられるお客様も多数あるわけでございます。その場合は、一人で毎月預けるということになりますと、これはもう当然一年間で十二枚ということになるわけでございますが、逆に申しまして、そういうものの総トータルが二億四千万枚ということでございますから、一人のお客様が御指摘のように何枚かをお持ちになっているという計算になるわけでございますが、このことが即いわゆる総額制限を逃れるということにはならないで、むしろ私の方といたしましては、国民の零細なそういう貯蓄の集まりであるということを、二億四千万枚が証明をしているのではないかというふうにすら考えているところでございます。
○円山雅也君 大体わかりました。そういうこともあるかもしれませんでね。ただ、何かどうも余り膨大過ぎるのでどういうことの説明になるのかなと思ったのです。
 そこで、ひとつ今度はこれは大臣の管轄でございますので大臣にお伺いします。
 先ほど穐山委員からの御質問のあった、きのうの大蔵省とのグリーンカードの取り扱い、限度枠チェックについての大蔵省との合意でございます。合意の内容については穐山委員の質問に対する大臣の御答弁で大体わかったのですが、そこで合意内容をもう少し詰めますと、たとえば五十九年一月以降の郵貯は、一応グリーンカードでもって名寄せをするということなんでしょうか、それとも名寄せをしようと検討しているというのでしょうか、それともそれについてもう一回検討を詰めた結果やめるという場合もあるということなんでしょうか、あの合意事項のまずその第一点は。
○国務大臣(山内一郎君) 昨夜、大蔵大臣、郵政大臣の間で取り決めをいたしました第二の項目の御質問でございますけれども、ここに書いてございますように、五十九年一月一日以降の郵便貯金の限度管理につき、少額貯蓄等利用者カードによって行うことを大蔵、郵政両省間で検討の上、早急にその具体的方法を定めるのですから、やめる方法を定めるということはないですね。具体的な方法を定めると、こういうことでございます。
○円山雅也君 失礼しました。第二点でしたね、いまのは。第一点の方について。
 以前の分の限度枠のチェックは、引き出すときに限度枠オーバーがあるかどうかをチェックして、オーバーがあれば国税庁の方へ通告をすると、こういうことでございました。しかし、大蔵省のいわゆる名寄せは常時行われているわけで、常時限度オーバーがあればお返しをするとかいうので、名寄せできちっとやっておりますということの前提でございますね。そうしますと、その以前の段階の名寄せがきちっと行われて、限度オーバーがチェックされているならば、払い戻しのときに改めてチェックする必要もないし、というのは、オーバーの払い戻しというのはあり得ないのですから。だけれども、そのチェックの漏れてきたやつを今度は払い戻しのところでチェックをしようという意味だと思うのです。そうしますと、それまで幾ら名寄せをしてもわからなかったオーバー分が、払い戻しのときにすぐわかるんでしょうか。
○国務大臣(山内一郎君) いろいろ詳細な御質問でございますけれども、理論的には郵政省としていま名寄せというものはやっておりますね。それで御承知のとおり、従来は手作業でやっていたものを、五十三年度から五十八年度に向かいまして、コンピューターによっていわゆる進行中の段階でございます。したがって、精度は従来よりも高まってまいります。しかし、いままでの過去のいろいろな調査の結果、やはり毎年何がしかの三百万円以上のオーバーのものが出ているんです。三年間おのおの大体二百億円ずつのオーバーが出ている。それはひとつ払い戻しをお取りくださいということでやっているわけですね。だから、完璧なものであれば何もこういうことを書く必要はないんですね。しかし、そういう現実の姿を見れば、何がしかあるという問題と、それから、ことしは昨年よりも郵便貯金が相当ふえております。昨年余りふえませんでしたけれども、ことしふえている。ということは、一般のいろいろな風聞からすれば、どうも三百万円以上を預けている人がどんどん入り込んでいるんじゃないかとか、架空名義があるんじゃないかとか、こういう話がありますので、五十九年度のグリーンカードの実施を契機にして、一層厳格になりますと。従来もわれわれ一生懸命やっておりますけれども、一層厳格になりますからということを、国民の皆さん方にお知らせしようという趣旨のものであると、そうお考えいただければ結構だと思います。
○円山雅也君 時間がなくなりましたので、最後に大臣に一応基本的なお考えを伺いたいのですが、いまの郵便貯金をもっと業務拡大をして、いわゆるパーソナル・ファイナンスの分野までも国民的ニーズのもとに郵便貯金は進出すべきなんだとお考えでしょうか、それともそういう進出は郵便貯金の本来の性質と異なるから、そういう気持ちはないという消極的なお考えなんでしょうか、その辺をお尋ねして、質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(山内一郎君) いろいろ従来から非常に重要な庶民の、一般の方々の金融機関として役目を果たしてきたわけでございます。そこで、預け入れておられる方がいろんな御要望があるわけですね。たとえば、いま三百万円までしか預けられないんだけれども、これは四十八年に決めた金額ですから、もう五百万ぐらいでどうでしょうかという、そういう要望が上がってくるわけなんです。私の方が一方的にこんなことをやりますよなんとかと言わないんです。いろいろな、インフレに強いような年金もひとつ決めていただけないでしょうかと、こういうことでございますので、いろいろ研究会の報告書も出ておりますけれども、あれも参考にいたしますけれども、私はやっぱり庶民の立場に立って、こういうことはしてもらいたいとおっしゃれば、そういう方向に郵政省もやっぱり力を入れざるを得ないと、こういう考え方でございます。
○黒柳明君 まずは厚生大臣の方にお伺いしたいんです。
 厚生行政いろいろ問題抱えるときに、さらにお荷物を背負ってのお立場で、非常に今後の行政手腕を国民から期待をされ、また注目もされているところでありますが、これまでに富士見病院関係の被害といいますか、訴えの件数等につきまして、現状を把握している分だけの数字でもお教えいただけますか、まず最初に。
○説明員(田中明夫君) 昭和五十五年の九月十七日から二十日までの間に、所沢の保健所にこの件に関しまして七百三十五名の人から訴えがございました。手術を受けたという者がそのうち四百八十一名でございまして、また超音波の診断装置による検査を受けたというのが六百五十三名、九〇%近くございます。また、この超音波の検査を北野理事長が実施したと申し立てている者が五百九十七名でございます。
 所沢保健所はこの訴えのあった患者につきまして、再診の希望を申し出た者につきましては、防衛医大で診断を受けるよう紹介いたしております。防衛医大で再診の結果、要観察あるいは要治療という診断を受けた者につきましては、地元の医師会と協議の上、しかるべき産婦人科の医者を紹介しております。防衛医大で再診を受けました百三十名のうち、異常のないというのが七十七名でございまして、残りの五十三名につきましては要観察あるいは要医療というような診断を受けております。
○黒柳明君 昨日の委員会でも、局長の方から、行政の手の打ち方が遅かったと、こういう反省、遺憾の意もありましたし、大臣からも決意の表明があったわけでありますが、これはただ単に反省、決意だけでは当然済まされない異例中の異例であると思うのですが、大臣も記者会見、あるいは昨日の審議等で、今後の見通し等につきましても、あるいは決意の表明等につきましても、お述べになりましたですけれども、私はいま申しましたように、相当これは、厚生省は当然、また内閣としましても、重大決意で対処しなければならない問題ではなかろうかと、私調べた中でそう感ずるわけでありますが、冒頭にひとつ、もう一回大臣のこの問題に取り組む姿勢、ないしは今後に対する厚生省の処置等につきましてお聞かせいただけますか。
○国務大臣(園田直君) 本日の閣議で、この件に関して発言をいたしました。当然医療行政は厚生大臣の責任と厚生大臣の反省から出発すべきものであって、全責任は私にございます。しかしながら、今度のような単なる不正事件とか、診療違反とかというものではなくて、人間的な、倫理的に考えて想像もできないことが医療で行われたということは、遺憾の意を越えて恐しいことでございます。
 そこで、この問題及び今後の問題、これまでに対する問題諸般について、私の全責任ではございますが、これは単に厚生省だけの問題ではなくて、政治全般の問題でありますから、総理以下全内閣がその責任の重きに思いをいたし、失われたる医療行政に対する信頼の回復に努めなければならぬと考えます。
 具体的に、少し長くなりますが申し上げますと、この事件が起こってから、仕方ないことではありますが、いままでこの病院に関するいろんな経緯を見ましても、ちょっと深刻に考えれば、私はどうももっと前にこれはわかったのではなかろうか、定例検査であるとか、いろんな保健所を通じて言ってきたことから、検査はしておるが、掃除のブラシがなかったのを備えたとか、あるいはどういうことを注意をして、その後は定員不足が二名埋められたとか、そういう程度でやっているところに、現行制度の中にも医療行政に対する厳しい考え方が欠如しておったのではなかろうか。したがって、この問題については、単なる一つの不正事件としてではなくて、人間の倫理性という医療に一番大事なものが欠けた。その欠けた原因は徹底的に追及し、これを今後ないように、ありとあらゆる手段を講じてやらなきゃならぬが、その前に厚生大臣以下みずからが、なぜいつの間にこういう風潮が出てきたのか。単に富士見病院だけではなくて、そのほかいろいろな問題が出てきております。こういう点をこの際総点検をし、総見直しをし、各省の協力を願いながら徹底的に追及し、これを処分もし、二度と起きないようにするだけではなくて、医療行政に対する根本的な考え方及び諸制度の総点検、もちろん医療行政、病院――公・私立を問わず、総見直しをする必要があると考え、具体的にこれをやるべきだと考え、各局から優秀な若手の事務官を集めてプロジェクトチームをつくって、これ専門に対応じていく所存でございます。
○黒柳明君 いま大臣がおっしゃった、いわゆる地元の保健所だけに任せる問題でもなければ、当然事件を起こした病院の責任だけにするわけにはいかないと思います。厚生行政のあり方、それからまあ閣僚のモラルのあり方、そんな点に分かれると思うんですが、まず初め、私手近な問題で、実力大臣がずらっとおそろいなもんですから、御多忙の関係もあるかと思いますので、お聞きしたいんですが、厚生大臣。厚生大臣としての直接の行政監督、あるいはいろんな権限の及ぶ範囲、まあ端的に言いますと薬事関係、医師会とか、そういうところからもう政治献金は受け取らないと、こういう発言があったように聞きますが、これは間違いございませんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 率直に申し上げて、私も過去においていろんな薬事関係あるいは医師会等から献金を月々、あるいは選挙のとき受けたことがございます。しかしながら、厚生大臣の指導監督の責についたからには、その病院の内容がよきあしきにかかわらず、監督すべき方々から献金を受けることは、これは緩みの始まりでありますから、丁重にごあいさつをして全部お断りを申し上げました。
○黒柳明君 今後もお断り申し上げると。
○国務大臣(園田直君) ええ。
○黒柳明君 当然大臣就任のときいろんなものが来る可能性はあったと思いますが、今後も含めてお断りすると。厚生大臣だけいまこう問題になっておりますが、各大臣、いつこういう問題が起こるかわからないわけであります。まあ法的には、これは政治資金規正法によりまして認められた範囲で受け取ったわけでありますけれども、まあ不幸であったというか、あるいは不幸という前に、当然やるべきことをやらなかったから起こるべくして不幸が起こったんだと、こういうことも言えるかと思いますね。まあ当面は、厚生大臣ですから、当事者として受け取らないと。ただし、これは厚生大臣マターの問題じゃなかろうと、こう私は判断しますが、防衛庁長官、いまの件に関していかがでございましょうか。防衛庁長官も相当やっぱり関連のところがあるわけですな。やっぱり防衛産業というのは巨大産業でありますから、ここから絶対政治献金は受けないと。厚生大臣に見習ってとは言いません。厚生大臣よりも早く決意を固めていたと、こう私は察しますが、いかがでございましょう。
○国務大臣(大村襄治君) 私といたしましてもそのように対処してまいりたいと考えております。
○黒柳明君 そのようにでなくて、もうちょっと具体的に。
○国務大臣(大村襄治君) 監督下の企業等から政治献金を受け取ることにつきましては慎んでまいりたいと考えております。
○黒柳明君 石破自治大臣、いかがでございましょうか。そういう点につきまして、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
○国務大臣(石破二朗君) 選挙に関しまする法律を所管いたしておりますので、いやしくも法律に違反することがありませんように戒心してまいりたいと考えております。
○黒柳明君 私、別に一番の当事者の自治大臣に法律的なことを言うつもりはありませんが、少なくとも現在の施行されている政治資金規正法の中では、前齋藤厚生大臣も過ったことをやったわけじゃないということは、これも周知の事実でありますが、いま申しましたように、その後こういう問題が起こったからそれが悪になったと。まあこういう面からは確かに不幸と言えないこともない。だけれども、少なくとも議員以上にモラルにつきましては、社会的な面についてのその責任、義務というものは厳しい、選ばれた閣僚ですから。そうなりますと、法にのっとってよりも、やっぱりモラルというものも大切ですね。
 そうなった場合に、法的な違反、これはあたりまえです。いま厚生大臣や防衛庁長官おっしゃったのは、そういう範囲をもう一つ超えているんじゃないんでしょうか。みずからの指導監督のもとにある、そういう企業、諸団体からは一切政治献金もらわないと、こうお二人の大臣おっしゃった。そうすると、自治大臣のお考えはいかがでしょうか、あるいはどう決意をお持ちでしょうかと、こういう質問なんですが。
○国務大臣(石破二朗君) 同じことを繰り返しますようで大変恐縮でありますけれども、いやしくも法律に違反することのないように、細心の注意を払ってまいりたいと考えまするし、お言葉の中にありました道義的にも不適当なことがありませんように、できる限りの注意を払ってまいりたいと考えております。
○黒柳明君 ちょっとトーンが下がっているような――これは担当大臣ですから、これは思慮深いところをお聞かせいただきました。
 中曽根長官、いかがでしょうか。内閣の副総理役としまして、行管庁長官ですから、これはもう広範な守備範囲があるわけですな。これは運輸大臣や農林大臣がいらっしゃいますと、いまおっしゃったように、直接の指導監督下というものはもう明確なんですが、あらゆるところに指導監督の目を届かせなきゃならない立場でもあり、また非常にやっぱり行革において重要なポジション、事をやっているわけでありますが、これは政治資金規正法についての不備も確かに私たちはあると思います。届けなければならないという範囲が非常に不明確だと。個人献金の百五十万限度、あるいは分散すれば、政治団体に届ければ、これだったってもう限度があってなきがごときと。政治資金規正法の問題も政府・与党としてお考えだということですが、これは臨時国会にはもう出ないみたいですけども、現行の政治資金規正法、これを踏まえながら、ひとつ直接指導監督のもとにある各企業、諸団体から政治献金は受け取るべきじゃないという厚生大臣、防衛庁長官の御発言、決意なんですが、行管行長官としてお考え、いかがでございましょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 黒柳議員のお考え、御趣旨には、私全く同感でございます。特にこういう厳しい時代でございますから、台閣に列する者は李下に冠を正さずと、そういう精神でまじめにみずから戒めていかなければならぬと、そう思っております。
○黒柳明君 官房長官。この発言が問題になるわけです。ニュアンスの違いはあるとは思いますよ。ですけれども、大体厚生大臣のおっしゃったこととそんなに変わらない御発言だったと思うんです。これは、私たち野党なものですから、厳しい注文をつけたいと思うんです。しかしながら、やっぱり現状は自民党の政権下です。また、政治資金規正法というものが厳として存在しているわけであります。許容限度というものはちゃんとあるわけですから、ですからそれも踏まえてですけれども、大臣になりますと、もう言うまでもなく企業の兼務はこれはまかりならぬ。これは閣議での了承事項ですね。やっぱり大臣たるものは利益団体に首突っ込んでいて、そこでプラスアルファの利益をやるとか、あるいは何かこう後ろめたいものがあっちゃいけない。決してこれは法律で決めたものじゃないわけですよ。閣議でそうしようじゃないかと。これとやっぱり私は同じ、あるいはそれ以上厳しいものじゃないかと思いますよ、この問題というのは。
 ですから、政治資金規正法では確かに許されますけれども、もしこれが閣僚がいまみたいに個人献金はいいんだと。企業だって、これはもうざる法みたいなものです。そうすると、絶えず大臣の座というのは不安ですよ。献金もらったところで、何か社会的な違反が起こると、その大臣は首をとられる。そうなると、今度は悪いやつがいまして、ひっかけられますよ。政治献金やっておいて、意図的に社会問題起こして、それで大臣の首をとろう、そんなことを私に話す人がいるんです、黒柳さん、企画したらどうですかなんて。そんな冗談みたいなことがまことしやかに言われるぐらい、その献金、合法であるにもかかわらず、やっぱり大臣というのはそれ以上に厳しいモラルを要求されるということじゃないでしょうか。ということで、ひとつ来週早々の閣議で、大臣、これだけ合意なんですから、ほかの農林大臣だったって、大蔵大臣だって、運輸大臣だって、ここにいらっしゃれば、いかがですかと言えば、おれは反対だという人は一人もいないと思います。あとはひとつ大番頭役の官房長官がおまとめ役になっていただきまして、閣議で、閣議了解事項として、決議事項として、閣僚にいる間だけはひとつ直接監督指導にある各種団体、企業等から政治献金を受けるなと、こういうことを申し合わせたらいかがでございましょうか、どうです。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど御指摘のいわゆる兼職禁止につきましては、このたび内閣成立第一回の閣議においてすでにそういう申し合わせをいたしてございます。
 また、先ほどからお尋ねの点でございますが、国務大臣といたしまして特に重い責任を背負っておりますので、ことに職務権限との関連につきましては、十分注意しなければならないことは、ただいま各閣僚が御答弁になられましたとおりでございますし、内閣全体としてもそのような心構えでやってまいるつもりでございます。
○黒柳明君 わかりました。
 心構えということは、やっぱり具体的に、心構えを今度は具体的な実行に移さなければならないとこう思いますので、老婆心というか、私おせっかいとは思いますが、来週の火曜の閣議あたりで――やっぱり早い方がいいわけです、こういうものは。わが党も確か不祥事件を起こしましたけれども、もう大反省しながら、いま私質問しているのも非常にじくじたるものがありながら、いつもみたいなだから爽快な気持ちになんないんですよ。ですけれども、やっぱり言うべきことは言いませんと、やるべきことはきちっとやんなきゃなんないと、こういう意味で私も遠慮なくして、誤りを反省しながらやっていると、こういうことなものですから、ひとつまあ来週の閣議なんて、こんなことを言って失礼かと思いますが、早い時期におきまして、閣議におきまして、あるいは園田大臣なんかね、官房長官が音頭とりますと発言しますよ、きっと、来週あたり。やっぱりその前に、やっぱり番頭役ですから、長官からひとつ全閣僚にどうなのかとお言葉かけてやるぐらいのことはお考えかと思いますが、早い時期にそういう合意を取りつけていただけば、根本的に閣僚の姿勢が改まったと、それがいま日本の政治に足らないんじゃないんでしょうかね、長官。中曽根長官なんか絶えずそんなことをおっしゃっている。そういうものがあれば政治の信頼が回復する、それがやっぱり積み重なって自民党に対する信頼が落ちないということになるんです。この次の選挙に危ないぞとささやかれているわけでしょう。この次も安泰になる。それはやっぱり各僚がそれだけの決意をするということは、これはもう私は大変なことだと思いますよ、ある面では。だけれども、やらなきゃなんない必然性もあるんじゃないでしょうか。ひとつ、くどいようでありますが、早い機会の閣議でその申し合わせ事項を諮っていただきたい。約束をしていただけますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来そういう心構えで各閣僚おられるものと信じておりますが、なお検討さしていただきます。
○黒柳明君 宮澤長官はあれに異論ございませんですね。直接監督指導にあるところから政治献金閣僚在任中はもらうなと、これ異論ございますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 特に職務権限のありまするところについては十分注意をしなければならない、そういうふうに考えております。
○黒柳明君 しつっこくて申しわけありません。注意するだけであって、決してもらっちゃいけないとまでは考えてないと、注意すればもらっていい面もあるんじゃなかろうかと、そういうことでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 注意をしながらもらえという意味ではございません。
○黒柳明君 注意をするということはもらうなと、わかりました、申しわけありません。それが一点であります。というのは、この問題調査していますと、そういう声が起こっているんですよ。それは国民あるいは関心持たれている方――女性の敵ですからね、これはやがて国会でも女性議員の方中心にして相当な強烈な運動が起こる可能性があるんじゃなかろうかと、期待しているという声が出ています。そのときにやっぱり閣僚が何らかのアクションを起こして、しかも具体的な実行を示すということがこの問題についての国民の信頼を回復する大きな端緒になると、こう言ってくれる人がいるものですから、私もそれを踏まえさしていただきまして御質問させていただいたと、こういうわけであります。
 それから第二点は、厚生大臣おっしゃいましたように、もうちょっと早く手が打てたんではなかろうか、こういう気がするとおっしゃいましたですね。それだから、いろんな人を集めてプロジェクトをつくったり、医療法の改正もなんてこう活字になっては出ておりましたですが、考えているんだと。私調査しまして、この事実関係を局長さんに確認していただきたいんですが、たとえば昭和五十四年の十二月、五十五年の五月十二日、これはもうつい最近ですね。まだ古い問題いっぱいあるんですよ。一つは、五十四年の十二月に埼玉テレビの広告で不適切なPR、コマーシャルを流したと、診療所を分院として広告したとか、二十四時間診療体制をとっているような表現をしたとか、こういうことがあった。それに対して所沢保健所長が注意を促したら、意見書が富士見病院から提出されて、それはそうじゃないと、埼玉テレビの誤りであると、こちらは責任がないんだと、こういう意見書が来た。さらにそれから半年たった五十五年五月十二日、地元のローカル紙に掲載した富士見病院の新聞記事で、病院における診療内容を写真入りで広告表現していると、これもうまくないと。これに対して保健所長が注意をしたら、六月七日、始末書が出された。これは北野早苗が一通、事務局長、専務理事連名で一通、保健所長に出された。こういう事実が二回並んであったと、これ間違いございませんか。
○説明員(田中明夫君) ただいま先生から御指摘のあった事実が私どもの方にも報告があります。
○黒柳明君 そこで、五十四年十二月のこのテレビの不適切広告、それについて保健所長が注意したら、意見書は、いや、富士見病院の責任じゃないと、埼玉テレビが悪いんだという意見書が出てきた。むしろ反発ですね、意見書というよりも、おれたち悪くないという、富士見病院の。この意見書について、これについて何にも手を打たなかった。それが半年後の五十五年五月十二日に、テレビと新聞は違いますけれども、同じような違法な不適切な広告を出した。これについては悪うございましたと始末書を出したわけですね。どうしてこの五十四年の十二月、こういうテレビ媒体を通じて違法なものがあった、そのとき、反発したときになぜそれをもっと厳しく指導、勧告しなかったか。それが甘いから――甘いからというのは、もういろいろ裏があるんですが、時間がありませんから言いません。それはもう局長さんの方も御存じだと思います。だからまた半年後に新聞なんか出している。そういうことですよ。こういうことも厚生大臣あるいは報告を受けて、先ほど言いました、もっと早く手を打てるんじゃなかったのかということの一つにもなっているんじゃなかろうかと、こう思うんです。さらに私言いたいのは、五十四年の十二月のテレビのときに反発の意見書をもらった。それに対して何も手を打たなかった。だからまたいい気になって、半年後に違法広告出した。始末書とった。始末書とっただけで、なぜここでおしまいにしたのか。その次の手を打たなかったのか。どうですか、これ。前には意見書だけ。反発で、それでおしまいにしちゃった。その次は、悪うございましたという始末書とった。重ねてやったんです。その間にもいろんな問題点あるんですよ。いまこの二つだけにしぼるんですよ。このことはもう御存じです。活字にもあれにもなっています。どうしてここで何らかの手を打たなかったのか、始末書、わび状とっただけでおしまいにしたのか、どうですか、ここらあたり。
○説明員(田中明夫君) 私どもが県から受けました報告は、若干先生がいま言われたのとニュアンスが違っておりまして、テレビのコマーシャルにつきましては、保健所に関係者を呼んで注意したところ、これは夏ごろ放映されたようでございますが、十二月、確かにこれはテレビ局の方でやったんだと、われわれの方は関係ないというような意見を付しましたけれども、今後はこういうことのないようにするというように同時に言っておったというふうに聞いております。
 それから新聞広告につきましては、始末書を提出させると同時に、新聞におきまして取り消しの広告も出させております。ただ、それ以上のことはやっていないということは事実でございます。
○黒柳明君 私が言うのは、やっぱり法的な処置ですよ。六十九条、医業等に関する制限とありますわな。七十二条は、これはもう懲役、罰金刑もありますね。ということは、これだけじゃないわけでしょう、いま具体例、広告のことだけ言いましたけど。その他訴えとか自殺者とか、私の調査だと四十九年から始まっているんです、これ。四十九年の三月一日。入院患者から訴えが始っているんですよ。それで、保健所なり、市役所なりにあるわけでしょう。それと並行してこういうことがあるわけですよ。これ知っているわけです、地元の所長は。自省で厚生大臣が監督権限がありますからね。そういうものがありながら、なぜこれを法的な処分をしないのか、見逃したか。謝りゃいいんだと、一片のわび状出しゃおしまいなんだと。これでなぜ見逃したのか、ここに大きなやっぱり私は行政の怠慢というよりも、もっと言うと、これは保健所とこの富士見病院との癒着があると思うんです。これはいろんなところへ金ばらまいていますね。いろんなところで飲み食いしたり、反対側から今度は、富士見病院りっぱですよなんて、いろんなあいさつがあったとか、こう言われていますが、問題なんです。その点については直接に関係ないわけですけど、どうしてここで法的な処置を講じなかったのか、これが私はもう最たるやっぱり大臣がおっしゃったもっと早くという中の一つの点だと思うんです。大臣どうですか。こういう点もうお聞きになっていますですか。初めてですか。
○国務大臣(園田直君) おっしゃるとおりでありまして、医者の資格を持たない者が治療をしているとか、いろいろ患者から市を通じて保健所等に正式に、間接に話があっているわけであります。それと並行してこういう事件も起こっている。したがって、こういう起こった事件に対して、徹底的に追及、処分すると同時に、もう一方こういうことがあるから何か臭いことがあるんじゃないかということで取り組んでいかなければならぬのが医療行政じゃないかと、こう思うわけであります。
○黒柳明君 おっしゃるとおりなんです。私がいま、もうこんなことは御自覚されているとは思うんですけれども、何かあったからということよりも、厚生行政の遅滞、手の打ち方のおくれ、これが相当、やっぱり今日の不祥事をつくった近因か、あるいは遠因かわかりませんけど、問題じゃなかろうかという点を私はいま指摘しているんです。いろんな指摘の方法がありますわね。これはもう当事者は富士見病院に決まっているんです、北野に決まっているんですよ。そんなことはここで言うまでもありません。しかし、大臣に考えていただきたいのは、これから問題発展していくわけですから、被害者同盟やなんかでいろんなこと聞きますとね、当然そうでしょう。これはやっぱり、いまのこの一点だけにせよ手の打ち方が遅かった、やるべきことをやっていない、これについてもう深い反省がなければ、大臣が本当に真剣に取り組んでいると、こうおっしゃっていることがやっぱり空回りになっちゃうと、こういうふうな感じがするんです。ですから、いろんな手を打たれていること、もう警察が五人の執刀医からも事情聴取しているとか、いろんなこともうどんどんどんどん出ています。非常に早いですよ。結構ですよ。ですけれども、それよりももっと重要なのは、厚生行政の手おくれ、ミスあるいは反省、そこらあたりを厳にしていただきませんとうまくないと。そうすると、いまのこの一点だけでも打つ手が打ってなくして、そして今日までの、この患者の訴えから初めてそういうものがクローズアップされたと。もう厚生省に、保健所に任せたら、これはいつまでたっても表面に出てこない、可能性としてはですよ。そういう方向にあったわけですよ、そうでしょう。これは今後うまくない。うまくないから、だから考えているんだ、これは結構です。その原点は、ここの事件の場合は保健所、そして直接の県知事、これを監督する厚生大臣、その厚生大臣、厚生省の厚生行政の大いな反省がなければ、この問題の本質は解明されないと、こう私言いたいわけでありますが、ひとつ、このことは厚生大臣御存じでしたか、この事実関係は。
○国務大臣(園田直君) よく存じております。
○黒柳明君 そうすると、この問題について相当考えをめぐらして、先ほどおっしゃったように、もっと早く手を打てたんじゃないかと、そういう発言をなさったと思うんですけれども、これに対しては相当やっぱり自覚、反省しておりますか。もっとこれは早くやっておけばよかった。いまこの広告だけですよ。
○国務大臣(園田直君) おっしゃるとおり、今後いかようなりっぱな制度をつくりましても、その制度の個条に合わして起こった事件をチェックするということでは、こういう事件は次から次に起こると思います。
 やはりそういう端緒を発見したら、さらに奥深く患者のために医療行政の本質からどんどん突っ込んでいくという、その根本的な姿勢が一番大事である。その上で制度その他の見直しと、こう思います。
○黒柳明君 深く反省しているとは思いますけれども、何か七年前には母子手帳のカバーに富士見病院の宣伝まで埼玉県のあれはしていたなんということが出ているわけでしょう、こんなことにもなっています。
 それから先ほど言いましたように、四十九年の一月からこの問題は始まっている。しかも、厚生省の報告では、五十三年の九月から十二月まで五件の通報、そのうち医師会を通じて三件――こんなどころじゃないんですね。これを市の方でも――それは窓口がネグったのか、その上の課長がネグったのか、あるいは市長まで行ったのかそれはわかりませんよ、これからやっぱり解明すべき問題だと思いますよ。市の方の訴え、保健所の訴えが物すごい数に上っていますよ。こんな数件だなんという問題じゃないんです。これが全く上に上がってこなかった、こういう雰囲気はなぜなのかというんですよ。これは市長が金もらっていたからなのか、それだけの問題なのか、あるいは保健所、保健所長と何かあったのか、こんな疑惑も憶測も生まれてもおかしくないようなことなんです。いままでさんざんあっちからこっちから問題にされました。しかも、地元の医師会よりももっと、産婦人科のもう局長知っていると思うんですけど、もうこんなのは四十年代のおしまい、四十八、九年ごろから、富士見病院はおかしいと、みんな産婦人科医はそう言っていたんです、地元では。なぜあんなとこへ行くんでしょうかと。だから当然その保健所はそんなこと知っている。市当局だって知ってんだろう。これがいまごろこんな問題が上がっできたのは、もう遅過ぎますよと、こういう話も地元の同僚の産婦人科のお医者さんが言っているんです。とっくの前からわれわれ言ってるんです。あそこはおかしいですよ、行っちゃだめですよと、防大でも同じことを言っているわけですな。手術したのも、手術しておかしいじゃないですかということで、件数上がってきているわけでしょう。言うならば、もうこれ五年越し、六年越し、七年越しの事件なんですよ。五十四年、五十五年に広告だけで起こったんじゃないわけですよ。長い間あらゆるところにやっぱり患者が訴え、自殺者が出――いまのこの一番早い四十九年の三月一日の人なんかもうひどいもんだ、五十万円を三十二万にまけてくれたんですって、手術失敗でいまもって寝たっきり。三月一日入院して三月二十六日退院しているんですね。これから始まってますね。一番早いですわ、この人が、どうも調査した千名近くの中ではね。
 まあそういう事柄を踏まえまして、ひとつどうなんでしょうか、厚生大臣、昨日答弁の中で、いまも若干同じニュアンスのことをおっしゃいましたけど、もうこれは厚生マターの問題じゃないと、国で、内閣で考えなきゃと、こういう発言を昨日もおっしゃいましたけれども、その中には、これはやがてこの事件の全容が解明されてくるかと思うんですが、将来的の問題として、国としてでも、何らかの補償とか、見舞い金とか、そういうものを考えなきゃならない、そのためには厚生省じゃどうしようもないと、国家としてやっぱり考えてもらわなきゃというようなお考えもあって、これは厚生省だけじゃなくて、内閣、国として考えなきゃならない問題だというような発言でおっしゃったんでしょうか。いかがでしょうか、その点は。
○国務大臣(園田直君) 医僚機関や、地元の県、保健所、こういうものともよく協議をして、万全を期していかなければならぬと思いますが、被害を受けられた方々の健康、精神上の被害というものははかり知れないものがございます。この問題は民法上の問題になっておりますから、これは当然司法上の見解で訴訟問題が出てくると思います。しかしながら、そういう立場から政府としてもこれには十分注意をし、その補償が適正にいかれるよう配慮する必要があると考えておりますが、いまこれについて申し上げますると、当事者が補償を逃げたり、あるいは肩がわりをするおそれがありますから、それについては民法上の問題でありますから、司法上のあれによって補償はされるべきものだという以外にはお答えはできません。
○黒柳明君 おっしゃるとおりだと思います。これは緒についたばかりですし、実態はまだこれからですし、被害者の方も国に対する補償なんというのはまだ――考えてはいるんでしょうけれども、要望事項には、一昨日の厚生省の陳情には出ていませんし、当然私もそういうものが先行すべきではないと、当事者は富士見病院ですからね。ですけれども、やっぱりいろんな情勢が展開するであろう今後の情勢を考え、あるいはいま言ったような数点の関係というものを調査して分析しますと、これはどうしても被害者の方もやっぱり国の方をある時点においては対象にせざるを得ない時期が来るんじゃなかろうか。あるいは当然、いまからそういう発言云々にしましても、厚生省の取り組み方、考え方も相当やっぱり広い角度で柔軟に考えておかないと、この被害者が全く浮かばれない。そうするといつの間にか、このいま私が言ったような、あるいは反省、自覚があるとは言っているものの、その厚生行政の遅滞、それから起こった事件であるにもかかわらず、そういう面がネグられてきちゃうのですね、忘れ去られてきちゃう。そんなことがあったんじゃこれはうまくないんじゃないか。こういうことで、いまその深い反省と自覚をしつつ、将来にわたってのやっぱり国家賠償法を適用せよとか、こんな段階じゃないですしね。そんなものはまだまだ将来的問題でありますし、当事者がやっぱりいま被害者団との相手になっておりますので、政府としてはそういう問題ではないんですが、そういう点も十二分にやっぱり考えの中に入れながら、今後の行政改革なり、あるいは医療法の取り組み方をやりませんと、そちらの方ばっかしいっちゃって、こちらの方が見捨て去られると、こういう可能性があると、こう思います。重ねてひとつ決意をお聞かせいただきたいとともに、医療法の改正なんかもその中に入っているんでしょうか。いまやっぱり保健所のあり方というのは中途半端みたいですね。何かありますと県知事の直接の指導監督でありますけれども、厚生大臣がやっぱりあおりを食うということにもなっていますでしょう。ですから、もうちょっと当然医療法なんかの保健所のあり方、力を強化するというのが適切なのか、あるいは民間の監視機関をつくるというのが善なのか、そこらあたりはわかりません。これはもう専門家の大臣にお任せするよりほかないと思うんですけれども、そんな発言もちょっとあったやに聞きますので、どんなことをこの事件を契機にしてお考えになっているのか、そのこともひとつお話しいただけますか。
○国務大臣(園田直君) 補償については先ほどお答えしたとおりで、御意見は十分承っておきます。
 二番目の医療制度の問題でありますが、いろいろ原因はあると思いますが、現在までの医療の制度が、医療を行う者と患者と隔離をし、一方医療する者は患者を営利の対象だとながめ、患者の方は患者の方で信頼なくして医療を受けるということから、だんだん営利が先に立ち、営利のためには生命も、人間性もということになってきたんじゃないかと抽象的に考えるわけでありますから、もちろん医療制度についても全般的に見直しをしたいと考えておりますが、どのように見直しするかはまだ具体的な案はできておりませんので、検討の結果は御報告をし御意見を伺います。
○黒柳明君 防衛庁長官、今度は防衛問題で御質問させていただきたいと思うんですが、昨日も大蔵大臣から御答弁ありましたですけれども、防衛予算だけ特別扱いしないのだと、こういう発言がありました。これから査定もありまして、来年度の本予算が決定の段階に入るわけでありますけれども、ただ日米首脳会談で中業の問題が出て、何か一人歩きしていますね、中期業務見積もりが。と同じように、いまのこの九・七%アップの二兆四千億、この予算が、もう何か概算要求が既定に認められたみたいの感じがありまして、アメリカからは高く評価を受けていますね、よくやったと。それから、今度は国防次官やなんかが来て、大臣が来年もがんばりますと、さらにその防衛強化、防衛費の増加にがんばりますと、頼むよと、こういうようなことで、何かこの中期業務見積もり、大平さんとカーターさんのあのアメリカでの発言、これ以来、なかんずく選挙終わって以来、アメリカの圧力によってとは私言いたくありませんけれども、アメリカに頼りながら、既成事実をつくって、それで防衛費の枠を先取りする、こんなふうに感じてならないんですが、その点長官どうでしょうか。
○国務大臣(大村襄治君) 国の独立と安全を確保することは、国政の最も基本的な課題であると考えております。政府は、従来から「防衛計画の大綱」に準拠し、内外の諸情勢を踏まえつつ、装備の更新、近代化等、質的改善を中心に、防衛力の整備に努めてきたところでありますが、最近の厳しい国際情勢にかんがみ、防衛力整備の問題については、今後一層真剣に検討していかなければならないと考えております。防衛庁としては、大綱に定める防衛力の水準を可及的速やかに達成する必要があると考えており、概算要求もこれを基本として取りまとめたものでありまして、防衛庁が自主的判断に基づいて、この概算要求を取りまとめて、大蔵省とこれから折衝にかかろうということでございます。したがいまして、一人歩きだとか、そういうことは毛頭考えておらない次第でございます。
○黒柳明君 私はこれから二十分くらいの質問する大前提のお答え全部おやりになっちゃったんでね、ちょっと戸惑っちゃうんですけれども、まあ大綱の見直ししたとかしないとか、こう一時自民党の研修会で――これは必ずしも大綱見直せとおっしゃったわけじゃないと思います。そんなことも含めて、こういうときには余りアメリカと、ただでさえもいま申しましたように、何かアメリカに圧力かけられてというような感じがするし、発言もあるし、非難もあるわけですから、そういう点は控えた方がいいと私はそう思います。これは政府、防衛庁のやり方ですから、私が言ったってこれどうしようもありませんけれども、私はどうも何かこうアメリカに既成事実をつくってもらって、アメリカと話すことを既成事実として、そして政府・自民党もその線路に乗っけてしまう、こういう非常に頭のいい人が防衛庁の中にいまして、そういうことをやっているというような感じを抱かざるを得ないんです。それはそれとして結構でしょう。
 具体的な問題、時間ありませんでね、魚雷とミサイル、これはもう新聞の方がよく書いていただきましたですけれども、これは五十三年、いまの事務次官が防衛局長のときに、空対空ミサイル持ったらどうかとこう私思い切って言ったの。そのとき防衛局長がああいいこと言っていただきますという答えが返ってくると思ったら、そうじゃなかったですよ。あなたは危険思想の持ち主ですと、自民党だってそんなこと言う人いませんと、これは冗談ですよ。平和時じゃ必要ありません、こう言われたんです。そうなると、平和じゃなくなったからミサイルを持ち、魚雷を持つようになったという裏返しの理論が成り立つんじゃないでしょうか、防衛局長。これは私質問の当事者だったものですから、私は善意で、要するに平和が三十六年続いたからたって、いついかなることがあるかわからないスクランブルで、ただ単に何かあったときに落としてくださいというようなスクランブルだったら、これは不安でしょうがないだろう。そういうことも含めまして、いろいろ今後の防衛、安全保障含めまして現実的な理論を展開しなきゃならない。そういう面を踏まえて視察をしていろんな話を聞いた中で、制約は何にもないんですから、こういうことは、持つ時期は来るんですかと言ったら、平和なときは必要ありません、こう言ったんです。そうなると、持つと言ったことは、平和のその要素がこうちょっと崩れたから持つということになったのか、これどうでしょうか。
○説明員(塩田章君) いま御指摘の答弁があったわけでございますけれども、私ども今回ミサイルの搭載、魚雷の自衛艦への搭載を踏み切りましたのは、まずミサイルについて申し上げますと、領空侵犯措置を実施するに当たりまして、ミサイルを、いままで旧機関砲でございましたけれども、機関砲ではだめであって、ミサイルでなきゃだめだというような何らかの情勢の変化があったわけではございません。そういう意味で、情勢変化があったということで今回搭載に踏み切ったわけではなくて、防衛庁はいまこのミサイルの搭載問題に限らず、いろんな意味で有事即応体制ということをいま整備を図っておるわけでございますが、その中の一環といたしまして、自衛艦にも実装魚雷を搭載する、要撃機にもミサイルを搭載するということに踏み切ったわけでございます。いま先生の御指摘の、当時の防衛局長の答弁の中におきましても、対領空侵犯措置として、いまの情勢ならばミサイルを積む必要はないと思うということをお答えしてありますが、同時に、防空作戦への切りかえということを検討いたします場合に、有事即応体制という観点からは別途検討をしていきたいということも同時にお答えしてあると思いますが、私どもといたしましては、そういう趣旨から検討をいたしてまいりまして、今般必要な後方支援体制も整いましたので、踏み切ったわけであります。
○黒柳明君 そうじゃなくてね。平和時においてのミサイルの着装は必要ありませんと、一番トップにはっきり言っておるわけです、それだけ言ってんの。有事即応体制、そのことはありますよ。だけれども、平和時においては必要がないと言った。だから、すると平和じゃなくなって、情勢が変わってきたから、アフガンとかイランとかあったから、だからそういう要素を踏まえて、要するに、装備したのかなと、そこだけですよ。平和時という問題、平和時には必要ないんだということ、するといまは平和という要素が崩れたのかなと、こういうことなんですかね。後半はもうそのとおりですよ。前半。
○説明員(塩田章君) 一般的に国際情勢がだんだん厳しくなっているということは私どもかねがね申し上げているとおりでございますけれども、もちろんいまは平和時でございます。そういう意味で、情勢が変わったわけではもちろんございません。それで、先ほども申し上げましたが、対領空侵犯措置を行うためにミサイルが必要であるというふうに判断をしたわけではなくて、有事即応体制といういろんな整備をいろんな面でやっておりますが、その中の一環として航空自衛隊の要撃機にミサイルを搭載することに踏み切ったということでございます。そういう意味で、平和時でなくなったとか、そういうことではございませんので、御了承いただきたいと思います。
○黒柳明君 あのね、有事即応というのは後段で言ってるんです。そうじゃなくて、平和のとき必要ないと言うから、それじゃ必要があるのは平和じゃなくなったのかと、こういうことなの。それを有事即応、有事即応と。それから空対空ミサイルはもう装備されているわけでしょう。機雷はどうなんでしょうか。機雷も何か聞くところによると、どこかの、危険性があるから瀬戸内海かどこかに埋めてあって、いざとなったときに積み上げるのに六カ月かかる、大変だと。こうなるとやがて機雷も絶えずキープして、それで持ってなきゃならないと、こういうことにもなるんですか。
○説明員(塩田章君) 魚雷につきましても、機雷につきましても、いま先生が御指摘のように、現在はその機体を、機体というのはまあ飛行機の機体でございませんが、魚雷あるいは機雷を分解いたしまして保存をしております。いざという場合には当然それを結合いたしまして、機能を発揮させる形で搭載をするわけでございますけれども、現状におきましては、いま先生は六カ月というお話でございましたが、六カ月はかかりませんけれども、何カ月かかかるという状況でございます。したがいまして、それでは大変有事即応体制という点からいきますと問題がありますので、私どもは、五十四年度から魚雷、機雷の調整場というものを逐次整備していきまして、もちろん定数いっぱいのものではございませんけれども、有事即応体制上必要な最小限度のものは装備しておきたいと。魚雷につきましては、先ほども申し上げましたように、護衛艦に定数の何分の一かは実装魚雷を搭載すると、平素から搭載しておくという形で即応体制を整えたいと思っておりますし、機雷につきましても機雷の調整場を整備していきたいというふうに考えておるわけであります。
○黒柳明君 魚雷はもう装備しているのか。あるいはもう間もなくするのか。しつつあるのか。機雷もそうすると近々中に有事即応体制にして、それで敷設艦、それにいざとなったときすぐ積めるようにと。それで敷設できるようにと。やがてC130も来る可能性がある。それに積んですぐ敷設できるように、こういう体制はいま言ったように場所はつくって、体制はもうつくっているんですか。これからその体制をつくるんですか。いまはまだつくってないんですか。五十六年度予算でそれをつくるんですか。魚雷と空対空ミサイルはもう出ましたですな。機雷。
○説明員(塩田章君) 機雷につきましても魚雷と同じように現在調整をいたしつつあります。
○黒柳明君 調整というのはどういうこと。
○説明員(塩田章君) 先ほど申し上げましたように、分解して置いてあるものを。
○黒柳明君 一つにまとめる。
○説明員(塩田章君) はい、そうでございます。
○黒柳明君 そうすると、魚雷はもう積んであるんですか。いま調整している最中なんですか。
○説明員(塩田章君) 魚雷は八月末から一部の自衛艦に搭載しております。
○黒柳明君 そうするといまの機雷は調整して、調整ができるのはいつごろなんですか。
○説明員(塩田章君) 機雷につきましては敷設艦とか、そういったものに搭載するわけじゃなくて、弾薬庫に調整したものを置いておくわけです。
○黒柳明君 だから、それはいつごろなんですか。
○説明員(塩田章君) すでに一部はやっております。
○黒柳明君 ああそうですか。非常に早いですね。こちらまだこれからかと思ったらもうあるんですか、調整した分。わかりました。
 もう時間ありませんでね。中業――中期業務見積もり、これがなんか一人歩きしたと、先ほどの長官もそんな発言しました。したとはおっしゃったんじゃないですけれども。これはどうなんです。これは五次防じゃないんですね。五次防じゃないけれども、五十一年のあの大綱をつくったときからはもう五年計画、何次防はやらないんだと。単年度だと。ところがこれは明らかに五年計画、それを三年にしろ、四年にしろといま言われているんですね。これはどうなんですか。単年度でもない。五次防でもない。するとこの中期業務計画というのは何なんですか。それが一つ。
 もう時間ないからまとめて言いますよ。
 それからもう一つ。大綱――一次防から四次防まではあの脅威に対するやっぱり対処が中心だったですね。そうじゃなくて基盤的防衛力であると。ところがその基盤的防衛力が、大綱を見直せとはおっしゃんなかったですね。大綱見直し論についても傾聴すべきだと、こう長官おっしゃったわけでしょう。そうすると、傾聴すべきというお考えの中には、あの五十一年の大綱――基盤的防衛力は、必ずしも全面的にこれからも続けていいという考えがあるかどうか、私は疑問だと思うんです、長官の腹の中に、あるいは防衛庁のお考えの中に。そうなると、見直し論を傾聴すべきだということは、大綱についての何らかのやっぱり見直しということも必要な時期に来ているんではないかという考えを長官お持ちなんでしょうか、どうなんでしょうか。それが一つ。
 それから、いま関連して言いましたが、一次から四次防までは要するに脅威対抗論だったわけですね。ところが基盤的防衛力は平和時にこれだけのものは絶えず持ってようと。ところがこれから中業――中期業務見積もりを見ますと、やっぱりそうじゃなくて、重点的に要するに脅威に対してやっぱり対処していくんだという、前に戻った計画のような気がするんですが、その点、いかがでしょう。
 以上、三つ。
○国務大臣(大村襄治君) 中期業務見積もりにつきましては、先生のお話にございましたとおり、各年度についての見積もりではございません。防衛計画大綱に基づいて、昭和五十五年度から五十九年度までの見積もりでございまして、毎年度の予算編成あるいは業務計画の作成の資料にする、防衛庁限りの内部資料でございます。したがいまして、これに基づいて概算要求を五十六年度につきましても先般提出したわけでございますが、これから予算編成の手続に従って進められ、また政府として決定したものが国会の御審議を経るということでございますので、決してひとり歩きをするという性質のものではないと私ども理解いたしているわけでございます。
 また、防衛計画の大綱見直しの点でございますが、実は、私自民党の研修会の席上の講演の際で、こういうことを申し上げているわけでございます。見直し論というような意見が最近あるようでございますが、そのような意見は傾聴に値するが、中期業務見積もりを達成してもなお大綱の水準に達しないという現実からして、防衛計画の大綱の実現に全力を挙げて取り組むのが最重要の課題であり、いま直ちに防衛計画の大綱を見直すことは適当でないということを講演の席上明確に申し上げているわけでございます。したがいまして、防衛庁としては大綱をいま見直すというふうなことは全然考えておらない。私も考えておりませんし、防衛庁も考えておらないということを明確に申し上げておきたいと思う次第でございます。
 第三番目につきましては防衛局長からお答えさせます。
○説明員(塩田章君) 先生が最後に、基盤防衛力の考え方を変えたのではないかと、あるいはその方向に行きつつあるのじゃないかという趣旨のお尋ねでございましたが、いま大臣からお答え申し上げましたように、私ども、中業を達成しても大綱の別表に達成しないという段階でございまして、御承知のように、大綱の別表は基盤防衛力というものの考え方に立ってああいう別表ができております。それに一日も早く届きたいとは思っておりますけれども、中業を達成してもまだ届かないという段階でございまして、私どもいまの時点で、いま大臣が申し上げましたように、変更を考えておりませんで、もっぱら中業を早く達成し、それによって早く大綱の別表の水準に到達したいという努力をしておると、こういう段階でございます。
○柄谷道一君 昨日、私は、三K問題のうち米の問題、すなわち、わが国農業の抜本的構造改善とこれに関連する食管制度のあり方について質問をいたしましたが、本日は、次のK、すなわち、国鉄の財政再建問題に集中して質問したいと思います。
 まず、運輸大臣にお伺いしたいわけでございますが、先般、大臣は、五十四年度決算、さらに監査報告を見て、国鉄経営努力を認め、その成果は結実しているから、この方法を堅持すれば再建の目標は達成できると記者会見で述べられたと、新聞紙上報道されております。再建特別措置法案が成立すれば、六十年度には再建の目標が達成できると、そういうお考えの根拠をまずお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) まず、私は、決算書の報告を受けまして感じましたことは、営業損益勘定におきまして、前年よりは、五十三年度よりは前進しておりまして、その点に関しましては、営業損益の面では改善の措置が少しでございましたけれどもあらわれておりました。ところが、営業外損失の面におきまして、前年よりは上回って相当数が欠損を出しておりましたので、国鉄全体といたしましての欠損状況を見ますと、確かに五十三年度よりは五十四年度は悪くなっておるんです。けれども、そこには、営業上の損益のみに見ます場合には、少し改善の兆しが出てきておる、これが一点でございます。
 それから人件費率を見ました場合に、収入に対する人件費率が五十三年度よりも五十四年度の方が改善されてきておりますので、これは額にいたしましたら少しでございますけれでも、そういう面から見ましても、少しは国鉄の合理化というものが、前進への兆候が見えてきたのではないか、そう感じまして、そういう所見を述べたような次第です。
○柄谷道一君 すると、新聞記者会見で述べられたということが新聞紙上報道されておりますけれども、やや改善の兆候が見えるという印象であって、六十年度、この国鉄の財政再建が責任をもって完遂できる見通しがついたということではない、このように私は受けとめておきたいと思います。
 そこで、大臣、昭和五十年の二月にサンケイ新聞国鉄特別取材班が「これでよいのか国鉄」、こういう本を発行いたしております。この書籍は大臣も読まれたと思うんでございますけれども、「誇りを失った〃傷だらけの鉄路〃」、「消え去った国鉄一家意識」、「孤立無援の中間管理者」、「スジの通らぬ職場管理」、「親方日の丸の甘い経営」、「労使関係を考える」など、約八章にわたりまして、新聞記者の立場から詳細に国鉄の経営内容を分析いたしております。そして国鉄出身の作家中村武志さんは「本書は、国鉄の問題点ばかりでなく、その恥部をあますところなく爼上に載せ、きびしくかつ大胆に批判している。労使間、各労組間の対立抗争、人事管理、学閥、経営、技術、組織、規律・モラル、サービスその他を、客観的に現状分析した上で、親身な忠告をしているが、国鉄出身の私が読んでも、よくぞここまで調べたものだと感心した。同時にその率直な批判はすべてもっともだと肯定しないわけにはいかないことばかりである。」、こう述べておられまして、これを国鉄職員全員のバイブルとして「謙虚にして反省し、真に労使が協調した上で、直ちに行動に移すことこそ、国鉄再建の道である」、このような書評を寄せておられるわけでございます。
 そこで、この本が発行されてすでに五年経過いたしております。大臣としてこうした問題点が改善され、完全に問題点が現在解消するに至っているとお考えでございますか、どうですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 御指摘の本のございますことは承知いたしておりまして、私も実は大概国鉄に関する本は読んでおるんでございますから、その本もずっと一読させてもらったような印象もありますけれども、しかしもう内容は私は覚えてもおりませんが、いずれにしましても、その当時から取り上げられております問題が、今日に至るまで部分的には改善の兆しもあるものもありますし、また未解決のものも相当あることは事実でございまして、その御指摘の事実一つ一つについて、あの本に書いてございますけれども、現在はこうでありますというようなことはちょっと私はいま申しかねるような状況であります。
○柄谷道一君 運輸大臣の御認識の程度を大体知ることができました。
 そこで、鉄道労働組合は、昨年の十月でございますけれども、「国鉄再建に関する提言とわれわれの任務」と詳細な提言を行っております。その中で、国鉄再建にとって最も肝要なことは、その当事者である国鉄労使自身がどれだけ真剣に再建と取り組むかである、これを最も重要な課題の一つとして取り上げておるわけでございます。そしてその文章によりますと、国鉄財政破綻の最大の原因は、国鉄は絶対につぶれないという親方日の丸的甘えを前提とした観念的合理化反対闘争や、これに対する同じ甘えの構造の土壌の中で、明確な経営方針を持たずに、無暴な労働運動といたずらな妥協を繰り返してきたいわゆる労使関係の正常化が十分なされていないというところに一つの大きな問題点があると、こう指摘をいたしておるわけでございます。私は、国鉄を監督すべき大臣の現状認識がその程度であれば、国鉄再建の道はきわめて厳しいなということを初めに指摘いたしまして、以下具体的な質問に移っていきたいと思います。
 まず第一に、十月ダイヤの改正についてでございます。この十月からのダイヤ大改正につきまして、国労、動労の両労組は、それぞれの大会で、実力でこれを阻止するということを決定しておりました。それが九月十九日夜に運輸大臣と両労組のトップとの間に話し合いが行われ、翌二十日に、今月二十五日から予定しておりました非協力闘争の中止が指令されました。その新聞は翌日の二十日の紙上で、各紙いろいろ取り方は多少ニュアンスは違っておりますけれども、その会談の内容を報道いたしております。それによりますと、ある新聞は「ダイヤ改正を切り抜けるための大臣のフライング」であったんではないかと、こう表する新聞もございます。また私自身が読みまして、新聞報道が真実だとすれば、国会審議にいささか、それに抵触する部分があったのでもないかとも受け取れます。本来であれば、私は、その真相をここで徹底的に質問したい気持ちでいっぱいなんでございますが、諸般の事情を考慮いたしまして、あえてと申します、あえて本日はその内容に触れることは避けたいと思います。ただ、日本は法治国家でございます。とすれば、第一は、国鉄など公共事業体からスト権を奪ったその代償として仲裁裁定という方式を与えておるわけでございます。とすれば、私は、再建法とは無関係に、法治国家である以上、そのたてまえというものをそんたくをして、早期かつ完全に仲裁裁定を実施するということは、これは法治国家として当然あらねばならぬ政治の姿勢であろうと、この点に対してどう考えられるか、これが一つでございます。
 第二には、ダイヤ改正とそれに伴う諸措置は、財政再建の第一歩として位置づけられておっただけに、問題はダイヤ改正がスムーズにいったことだけで国鉄再建の道が開けるわけではございません。今後多くの問題を解決していかねばならぬわけでございます。
 そこで、大臣はこの会談を通じまして、両労組が今日までの経緯というものを十分反省して、正常な労使関係の確立と、国鉄再建のために積極的に協力する姿勢を感じ取られたのかどうか。この二点に対する大臣の率直な見解をお伺いします。
○国務大臣(塩川正十郎君) まず最初にお答え申し上げたいと思いますことは、十九日でございましたか、各労組の代表とお会いいたしました。これは、国労の代表、動労の代表、そして鉄労の代表と、それぞれにお会いいたしました。しかしこれは何ら、私たちといたしましては、誠心誠意話をいたしたいというつもりであったのでございまして、ちょうどたまたまその時期に国会内におきましても、国会対策関係の会合があったことでもございますし、また、その国会対策会議の中におきましては、与野党間におきますその話し合いの中には、いわゆる国鉄再建法の問題なり、仲裁裁定の問題も出てきておりました。
 そこで、国会内において、そのようにいろいろと配慮もされ、またこの成り行きについて強い関心と御配慮をいただいておるということに対しまして、鉄道に関係しております者といたしましても、これはできるだけお互い双方が誠意を持って話し合うのが当然ではないかということでございますし、またそのような申し入れもございましたんで、この機会にそれぞれの代表とお会いしたということでございます。そこで、その機会におきまして、私は、この十月一日からのダイヤ改正がいわゆる国鉄自身で決定いたしました合理化体制、すなわち三十五万人体制への第一歩として踏み出していく一つのきっかけになるということを聞いておりますし、またそうあってほしいと願っておりますので、これがスムーズに移行していきますようなことを願っておることも一つございますし、それと同時に、かねてから私は、労使間においてはできるだけお互いが誠意で話し合って、お互いの理解の上で仕事を進めていくべきだという、そういう気持ちを持っております。そこで、この仲裁裁定の扱いにつきましては、かねてから問題がございますが、国会関係の諸先生方の御尽力というものも、私は、これは誠意を持って審議をしていこうという一点において、与野党の国会関係の方々で、意見が一致しておるように受け取りましたし、またそれに伴いまして、私たちも努力をするということの話もいたしておりましたし、そういうことから仲裁裁定が、先ほど先生御指摘のように、これはいわば当事者間において当然決めるべき問題ではないかというふうにおっしゃるような、そういう性質のものも一面持っております。それであるだけに、私たちはいま国会で議決案件としてお願いいたしておるのでございますが、それについてわれわれ自身が努力できるものは十分に努力をしていこうではないかということでございまして、国会で御審議していただくについても、議決していただくにいたしましても、われわれの努力もやっぱり必要ではないか、その努力は私も懸命にいたすということを組合に申し上げたようなことでございます。
○柄谷道一君 しかし大臣、繰り返しますけれども、スト権を与えないその代償として仲裁制度をつくっているわけですね。したがって、これは、法治国家なんですから、一面この仲裁裁定というものについては、再建法とかそういうものと絡ませて、ダイヤ改正その他と絡ませて問題の解決を図るというのは私はいかがなものかと、これはこれで完全に早期実施するということが、私は法治国家である以上、これは当然のことだと思うんです。これは言い合っておりましても、議論のすれ違いでございますから、この点は意見にとどめておきたいと思います。
 一方、そういう形で仲裁裁定制度をつくっておる。だからこれは完全に実施する。しかし、法律で禁止しているストライキに対しては厳正な態度をもって阻止する。それが私はあるべき姿だろうと、こう思うんです。
 そこで、国鉄は五十年十一月二十六日から十二月三日までの八日間にわたる違法ストライキにつきましては、損害賠償について二百二億四千八百二十七万円の損害賠償請求をしておられます。自後今日まで十五回の公判が開かれていると承知いたしております。
 これに対して、本年二月十四日の予算委員会で、わが党の井上計委員が質問したことに対しまして、高木総裁及び地崎前運輸大臣は、訴訟は進行中であり、法廷における論議をどんどん煮詰めることが当面の課題である。訴訟を取り下げる意思は全くないと、こう明確に御答弁されております。国鉄総裁は同一人物でございますから、大臣、運輸大臣だけかわっておられるわけでございます。前大臣のその意思はそのとおりであると確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 現在訴訟を進めておる段階でございますし、それに全力を挙げてまいりたいと、それはかわりはございません。
○柄谷道一君 訴訟取り下げの意思はないわけですね。
○国務大臣(塩川正十郎君) 現在ございません。
○柄谷道一君 私はこの違法ストによる損害額、この金額の算定についてはいろいろ先乗り、後乗りの問題とか、経費の算定をどう考えるか、いろいろ技術的に問題のあることは承知しております。ただ、鉄労が意見広告を出しております。その中では五十年九回、四百九十六億円、五十一年六回、百八十五億円、五十二年八回、百二十六億円、五十三年十一回、二百二十七億円、五十三年度までで三十四回、千三十四億円の収入減があったと意見広告に明確に出しております。本年三月の衆議院予算委員会における質問の中で、高木総裁はわが党の小沢貞孝委員の質問に答えまして、収入減は約一千億円であると、こう答弁をされております。このうち損害賠償請求がされておりますのは二百二億円でございます。残る収入減の損失額は約八百億円に上るわけでございますけれども、これに対してどう対応しようとしておられるのかお伺いします。
○説明員(高木文雄君) 現行の法制の上におきまして、先ほど来お話しのように、ストをすることは禁止をされておるわけでございます。したがって、現在のストというのは明らかに法律上違法なストだということが言えるわけでございまして、この違法のストに対して、私どもがいかに対処すべきかということについてはいろいろの考え方があると存じます。かねてからそれによる損害については、その都度賠償請求をすべきではないかという御議論がございましたが、いろいろ訴訟で争うということになりますと、きわめて厳格に、法律的な意味で厳格に権威ある立場で請求をしなきゃならぬ。ところが、収入減は確かにございますが、それが即損失額かどうかということになると、ただいまもお触れになりましたようなことで、非常に算定に困難性があるということから、従来からあえて訴訟を通じて賠償請求するということはしていなかったわけでございます。
 ところが、五十年の秋といいますか、暮れのときには、いわゆるスト権ストと言われる暮れのときには、大変ショッキングな事件でございましたし、また期間もかなり長きにわたったということもありまして、あらゆる角度から検討いたしました結果、これは当然法律的に成り立ち得るであろうということで、賠償請求訴訟を起こしたわけでございます。自来審議続いておりますが、なかなか法律論としてもむずかしい議論が展開されております。いまのところ私はこの法律論を明確にすることがまず大事なことではないかと、確かにその余の損害があるのを放置してあるのかという御指摘については、筋道としておっしゃるとおりでございますので、ほかの金額の部分につきましても訴訟を起こすべきではないかという御意見も、ただいま御指摘のような御意見も、鉄労の諸君が主張しておりますような立場の人以外の方々からも強く寄せられております。私もその辺の是非についてはしばしばいろいろ考えるわけでございますが、しかし、いまのところは、現段階におきましては、何としてもこの五十年時点での損害の法律的処理ということについての裁判所の判断を仰ぐということに重点を置くべきではないかと、つまり金額の大小も大変問題ではございますけれども、法律論として、どういう判断が、第三者といいますか、裁判所において下されることになるのか。私どもとしては、これは当然賠償を求むべきものと思っておりますけれども、それをもう一つ法律的に処理しました場合にどういうことになるのかということに全力をいま尽くしたいというふうに考えておるわけでございまして、現段階では、いまの意見広告のような差額問題について、いますぐ何かアクションを起こすというふうなことよりも、すでにアクションを起こしているものについて、きちっと処理を進めていくということに力を入れていく方が、全体として好ましい姿になるのではないかというふうに考えております。
○柄谷道一君 当面は、現在訴訟中の問題解決に全力を注ぎたいと、そういう趣旨であると、これはわかりました。しかし、運輸大臣、金額算定は、いろいろ問題はあろうと思いますけれども、訴訟を起こす起こさないという法律的手続をどうするかということは横に置きまして、少なくとも約一千億の損害の中の一部だけは損害賠償を請求する、あとは検討中だということじゃ筋立たぬわけですね。
   〔委員長退席、理事小山一平君着席〕
これは損害賠償を請求すべき性格のものであるということは御確認願えますね。
○国務大臣(塩川正十郎君) それは筋はおっしゃるとおりだと私は思います。
○柄谷道一君 国鉄総裁は、国鉄再建構想案を発表するに当たりまして、全職員の士気を強調しておられます。しかし、みずからの政策と安易な経営方針の姿勢によって、士気の低下を来したことについて、何ら反省することなく、ただ士気の高揚を強調してもそれはから念仏にしかすぎないのではないかと、こう思われます。
 二月六日と、三月三日の衆議院予算委員会における質問の中で、ただいまの違法ストライキによる収入減の問題とあわせまして、私鉄では軟券、硬券とも印刷業者に委託しておりますけれども、国鉄は硬券を直営で印刷しておる。行政管理庁より、全部外部委託をすれば半値で済むのではないかという勧告が行われているという事実。車扱い貨物フロント業務、荷電代行業務の外部委託問題。さらに今後推進可能な
   〔理事小山一平君退席、委員長着席〕
無人化もしくは駅の委託問題等が同様勧告されているという問題。国家公務員共済組合連合会の病院が赤字を出していないという実態に比べて、国鉄病院は年間二百四億五千七百万円の赤字を出しているという事実。鉄道学園は全国三十二カ所、千六百九十三人の職員を抱え、年間約六万四千人の職員に対して教育をしておるけれども、最近まて――最近やや改善されたと、こう言われておるんでございますが、これが団体交渉の場となり、正常な教育が阻害されていたと、こういう事実を予算委員会の答弁を通じて総裁は明らかにされておるわけでございます。これは国民の想像もできないような一つの現実ではなかろうかと思います。
 また、鉄道労働組合は本年九月、「「職場規律確立」のための実態調査報告」、いわゆる黒書と呼んでおりますが、これを発表しております。この中にはいろいろの事例を調査しておるわけでございますが、暴力行為、イヤガラセ、管理者に対するツルシ上げ、現場協議の実態、ポカ休の多発と管理者の労働強化、カラ超勤の実態、勤務等の悪慣行、私、これを一読いたしまして、これが本当かなと思うような事例が実態調査の結果明らかにされておるわけでございます。
 私、また、政府委員にいろいろ実態を聞きましたところ、動力車乗務員の勤務時間は、四週を平均して一週四十時間、一日平均六時間四十分を標準にすると、こう定められておりますけれども、山手線等の実乗務時間の実態は一日約二時間程度であると。私鉄とは一概に対比できないにしても、その実勤務時間の実態等もお伺いしました。
 その他、本年六月二日朝日新聞が報道いたしておりますけれども、現場管理者のモラル調査の結果というのが発表されております。この中にも多くの問題点が含まれておると見られます。
 さらに週刊ポストには、一日実働二時間五十分、二本のドラムかん運搬に六人もかかる現場協議の実態を斬る、こんな報道もされております。この週刊誌の報道につきましては、私は内容は十分承知いたしませんけれども、こうしたものを見るにつけ、国民の中には果たしてこれで国鉄再建ができるんだろうかという率直な疑問を抱く者が多いということは、これまた事実であろうと思うわけでございます。
 大臣と総裁はこの現実をどう把握され、今後どのようにして改革されようとするのか、お伺いいたします。
○説明員(高木文雄君) 国鉄には、実はいろいろ問題があるわけでございまして、いま御指摘のような事柄について、そういう事実がないというふうには私はお答えできない、残念ながらそういう事実が否定できないという状態でございます。ただ、それがあたかも全職場にそういう状態になっているというふうにいろいろ伝えられがちでございますけれども、しかし何分、全国にこれだけのたくさんの職場があり、いろんな種類の職場があるわけでございまして、いろいろの報道の中には、あたかも国鉄の職場がどこも皆そうなってしまっているというふうな印象に報ぜられがちでございますけれども、私は決してそうではないのであって、まあまあそれなりにきちっとやって、うまくいっている職場もございますし、残念ながら管理が行き届いていない職場もあるわけでございます。
 そこで、問題点といたしましては、そういう職場、好たしくない職場を一つ一つ立て直していくことが必要なわけでございまして、いまそういう努力をいたしております。抽象的に、一般的に議論するのでなしに、個々の現場について、極端なことが行なわれておる現場について、これを指摘し、是正をするということによって、全体を直していくということにいま力を入れております。
 また、ただいまお触れになりました予算委員会でのやりとりでございますが、これは一々については申し上げませんけれども、そういう御質問があり、その中で、私どもも遺憾に思っており、是正しなけりゃならぬと思っておることもございますし、いささか意見を異にする部面もございますけれども、その問題の点につきましては、それぞれ対応策をとりつつあるわけでございまして、先ほどの切符の印刷の問題でありますとか、病院の赤字の問題でありますとか、その他幾つかの問題について現実にいま対応策をとり、また、物によっては労使間で協議を進めるというようなことを具体的に進めておるところでございます。確かに、一般的に士気高揚とかなんとかいっても、十分の成果を期待することはできないわけでございまして、個別個別の案件について問題のあるところを、それを事実関係を明らかにすると同時に、その改善を図っていくということで取り組んでおります。まことに残念ながら、このようにりっぱになりましたというところまでは申し上げられません。現在そういう態勢への何といいますか、いわばそれぞれの問題の摘出と改善に個別個別に取り組んでおるところでございます。それがまずできませんことには、再建とかなんとかいってもなかなかうまくいかないわけでございまして、それが再建を全うできるかどうかというポイントであるという考え方で取り組んでおる次第でございます。
○柄谷道一君 私に与えられました時間が非常に短いものでございますから、以下六点につきまして質問だけ申しておきますので、これは後ほど文書をもって私の方に御回答を賜りたいと思います。
 その第一は、三十五万人体制の問題でございますけれども、六十年度までの再建期間中に約十三万五千人の自然退職者が出る、この補充を抑えて七万四千人を純減するというのが再建案の大体骨格になっておるわけでございます。私は民間産業出身者として、これが国鉄式定員のはじき方かなと、こう思うんでございますが、これは収入に占める人件費ウエートを約五〇%に落とそうということからはじき出された定数でございます。民間産業、特に構造不況産業の場合におきましてはこれ、労使が真剣に協議いたしまして、各職場における生産性をどこまで具体的に向上し得るのか、定員――適正人員は一体何であるのか、それに対する職場の配置転換がどう関連づけてくるのか、そしてこれと関連する新規採用はいかに調整すべきか、綿密な労使協議が行われまして、そのピラミッドの築き上げられたものが総定数になるわけでございます。ところが、国鉄の場合は必ずしもそういう厳格な定員計画がつくられたものとは把握できません。そこで、この三十五万人体制の基礎を一体どうなっておるのか、これが一つ。次に、五十一年度国鉄計画によりますと一万一千人の削減を、五十五年度の初年度に削減すると、こう言われておりますが、その内容をどうするのか、これが第一でございます。
 それから第二は、上越、東北新幹線の開業でございますが、人員は再建計画の中に入っておりますが、収支計算は見当たりません。この両新幹線の運営によって生ずる赤字は年間三千億円に上るであろうと言われております。この両新幹線の運転と国鉄再建計画との関連について明らかにしてほしい、これが第二でございます。
 第三は、地方交通線の整理問題でございますが、二年間は見切り発車をしないと、これが明確になっております。二年間かかります。その結果は審議会にかけられます、また期間が必要とします。そして、審議会の結論によりましては、国鉄当局の意思に反して、その地方線が存続されるということもあり得るわけでございます。こういうシステムの中で、再建案の中に盛り込まれている地方線の整理というものが閣議決定どおり行われる見通しがあるのかどうかでございます。
 次は上越、東北新幹線以外のいわゆる整備五新幹線の建設についてでございます。
 これも五十六年での着工は見送るということは承知いたしておりますが、国鉄再建計画は六十年まででございます。この間に整備五新幹線の取り扱いをどうするのか、それと国鉄再建計画との関連は一体どうなるのか、この問題でございます。
 次は、青函トンネルの使用についてでございますが、北海道新幹線の建設見込みがおくれておるために、当面鉄建公団から国鉄が借り受けまして、在来線の運転をするということが新聞に報道されておりますが、これをやりますと、年間五百億円に及ぶ賃借料といいますか、使用料を約三十年にわたって支払わねばならぬという結果になります。これの国鉄再建計画との関連をどう理解すべきなのか、この問題でございます。
 次の最後の第五点は、鉄建公団が基本計画に基づいて建設中の国鉄新線合計五十二線、このうちいわゆるAB線は四十線でございます。この取り扱いをどうしていくのか、それと同じく国鉄再建計画との関連がどうなるのか、この五つの問題点を詳細御質問をしたかったわけでございますが、この点につきましては時間の関係がございまして省略をし、後ほど文書をもってお伺いいたしたい。その答えによりまして、また再建法案などの審議の際に私の質問を続行さしていただきたいと思います。
 そこで、私は、総裁と大臣、これ大変だと思うんですね。再建の五十五年度予算を見ても、単年度で一兆五百十二億円の繰越損失でしょう。再建二年度の五十六年度の決算見込みも営業損失五千億、経常損失約七千億と国鉄は見ているわけでございます。すると、六十年度に五百億の黒字を出す、国鉄再建をなし遂げる、残る年度もう四年度しかないんですよ。しかも五百億円の黒字を出そうとすれば、営業外損失の額を二千億円にとどめるとしても、営業利益の額は二千五百億円を上げねばならぬ、五十六年度の営業損失が五千億円程度とすれば、現状に比べて七千五百億円分に相当する改善を行うというのが再建計画の骨子ですね。しかも、これは大蔵政務次官にもお伺いしたいのですが、こういう状態の中で繰り越し、たな上げですね、これについて二回は行う、こう言っておられるのでございますが、あとの残余は積立資本金で考える、積立資本金は崩しに崩しまして、現在約二千五百億円程度の積立金しか残っていないわけです。しかも、これ現金があるわけじゃないですね。資産評価を行った計算上の積立金が二千五百億円程度だと。こうなりますと、たな上げは二回、そしていま五つの問題点が明らかになれば、その関連が明確になるんですけれども、この問題について容易ではないと私は思うんでございます。この点に対する運輸大臣の御見解、大蔵政務次官の御見解をお伺いしたいことと、最後に予算委員会の質問で、わが党の小沢代議士が国鉄経営陣、すなわち理事者は大蔵省出身の総裁、国鉄関係者、副総裁以下十三名、民間人は三名にしかすぎない、新しい感覚で国鉄の再建を図るべきではないかと指摘したことに対しまして、亡くなられました大平総理は、経営陣の構成は国鉄だけでなく、特殊法人全体について民間の活力と英知を動員していくという意味で、過半数の人間は民間からという方向で考えたいと明確に予算委員会で答弁されているわけですね。いまの国鉄はもう民間であればこれ破産ですよ。民間会社であれば当然会社更生法適用会社ですよ。経営者総退陣、管財人が入って、労使が十分話し合いながら再建に取り組むというのがもう現状だろうと思うんです。亡くなられました大平総理の予算委員会におけるこの答弁を、今後大臣はどのように生かしていこうとされるのか、この点をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(塩川正十郎君) まず財政再建につきまして、十年度をめどにして、本当に自信があるのかという御質問でございます。私たちは六十年を一つの区切りといたしまして、あらゆる計画をやってまいりましたけれども、その間にいろんな予見の相違が出てまいりました。
 その一つの大きい問題は、石油ショック以降受けております経費の増大、そしてそれが物価にはね返ってまいりまして賃金のはね上がりと、こういう状況の中におきまして、当初計画した六十年再建というものを努力しておるわけでございまして、したがいまして、非常にむずかしい状況であるということは御指摘のとおりでございます。しかし、これはむずかしいからといって、一たん決めました目標をそのたびごとに変えていくべきではない、私は最善の努力をして、やっぱりその実現に当たるべきだと思うております。
 そこで、先ほども申しましたように、現在国鉄をめぐります問題は、ただ単に役所と国鉄の問題、あるいは労働組合の問題だけではなくして、いまや全国民が周知の中にあるわけでございまして、こういう中に、本当に危機的な状況になってまいりました。したがって、経営者の方におきましても、懸命の努力をすることは当然でございますし、組合の方におきましても、つまり従業員の方においても、これは一生懸命やっぱりやってもらわにゃいかぬ、私はそれを訴えておる。それに対しまして、今度のダイヤ改正等につきましても、やっぱり私らが訴えたことに意のあるところを理解もしてくれておるわけでございますし、私は、これは決して悲観的なものではなくして、やっぱり力強く労使協調してやっていくならば、私はその目標は達成できるんではないか、そういう期待を実は私は持っております。ですから、いまの段階におきまして、どうしても三十五万人体制を中心とした合理化をやっていきたい、それがためにはやっぱり国全体、政府全体もその姿勢で取り組んでもらいたい、その意味におきましても、国鉄再建法というものはできるだけ早く早期にこれを成立さしていただいて、国鉄の責任という、交通の維持ということと、それから国あるいは地方自治体において交通を維持していくということと、やはり私はそこに理解ある対応をひとつしていただきたいと思うのであります。国鉄が今日これだけの膨大な赤字になってまいりました一つの原因の中に、それのみじゃございません、一つの原因の中にも、全く採算を無視してでも鉄道を敷いていかなきゃならぬという事情もございました。しかしながら、それがなければ、その地方の交通は維持できないのかといえばそうではない、ほかの交通機関によってでもできるところがある、そうならば、それによってその交通を維持していただいて、国鉄の負担というものは軽減してもらえぬだろうか、これが今回私たちが再建整備法の中に盛り込んでおる趣旨の一つでございます。そういう努力と国の公的な助成というものと相まって、そして労使協調した仲をつくっていかなきゃならぬ。先ほど御指摘ございました各職場において、いろんな私は事態があるということも承知いたしております。しかしながら、これらはやっぱり時を重ね、話し合いを重ねていくことによって、改善されていくと思いますし、私自身もその努力はしてまいりたいと思うております。
○説明員(浅野拡君) ただいま柄谷委員が御指摘のとおり、この国鉄の問題は大変至難なわざであるということを承知をいたしております。それだけにいま運輸大臣が非常な決意に立って、何としてもこの再建をしなきゃならないと、こういう決意のほどを国鉄当局とともに示されておるわけでございますが、再建に当たりまして、この五兆五百九十九億という過去の債務を公的な援助をして、そして構造的にどうにもならないものを一応上げてやるということは、これはあくまで国鉄自身が徹底的に合理化案というものを推進していただいて、そしてとにかく再建案を実施していただくことによって、昭和六十年度までに何とかめどをつけようと、こういうことで健全な経営が成り立つという、そういうことにしていただくものと私たちは確信をいたしておるわけでございますが、それだけにもうこれ以上再々のたな上げということは考えておりません。少なくとも労使ともどもにがんばっていただいて、とにかく国鉄の再建を何としてもなし遂げていただきたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私答弁の中で一つ抜けました。これをひとつお答えいたします。
 民間の創意と努力を活用せよということでございました。いま民間の方から理事三名入ってもらっておりますし、監査委員におきましても一名強化して、これも民間の方を、組合出身の方に就任していただく予定でございますし、ただこれだけではなくして、私は国民の皆さん方が国鉄をどう考えておられるか、あるいはまた国鉄を愛していただくためにも何らかのそういう組織的な民間の意見を反映することを考えていきたいと思いまして、いま国鉄当局と鋭意相談しておるところでございます。
○安武洋子君 私、法務大臣にお尋ねいたします。
 大臣は、去る八月の二十七日の衆議院の法務委員会、ここで、「日本は戦争に負けました直後に、修身と歴史と地理の授業の停止をまず命ぜられたのです。国旗も国歌も許されなかったのです。」、こう御答弁なさって絶句をなさっていらっしゃいます。この光景を見た人はほとんど異様な感じを受けたと私は思います。戦後民主的で、平和的で、新しい日本再建のために軍国主義教育を排除して、そして戦前の皇国史観に基づいた修身、歴史、地理、こういう授業を中止いたしました。戦後三十六年たっておりますけれども、いまでも大臣は戦前の修身とか、地理とか、歴史の授業を中止したことを残念に思っていらっしゃるのでしょうか、まずお伺いいたします。
○国務大臣(奥野誠亮君) 残念に思っているとか、思っていないとか、そういう問題じゃございませんで、戦後日本がたどってきた道を素直に振り返りながら、今後の進むべき道をみんなで模索していかなければならないんじゃないだろうかなあという気持ちが私には強かったと思います。絶句したというのは大変不覚なことだったと、こう考えておるわけでございます。占領軍としましては、それなりに教育につきましても、いろんな干渉をしてきたことでございますし、また日本側にいたしましても、戦前の反省の上に立って、戦後の道を歩んできているわけでございますから、単純に戦後の日本がよかったというようなことは思っておりません。またしかし、戦後のすべてが悪かったというふうにも考えていないわけでございまして、過去の反省の上に立って今後の日本の道をいろいろと歩み続けていかなければならない、求め続けていかなければならないと、そういう気持ちでございます。
○安武洋子君 しかし大臣、御答弁の中で、日本が戦争に負けた直後に、修身と歴史と地理の授業の停止をまず命ぜられたというふうに御答弁でございます。ということは、このことについて大臣は、このことを当然だと思われるのか、あるいはそのことを非常に残念だというふうに思われるか、どちらか私は二つに一つだろうと思うんです。あなたは日本が戦争に負けた直後に、修身、歴史、地理の授業の停止をまず命ぜられたことについて、いかようにお考えかということをお伺いいたしております。
○国務大臣(奥野誠亮君) 二つに一つというような私は単純なものではないと思います。占領軍がそれなりに命じましたのは、陸、海、空軍を完全に武装を解除した、また日本が強大な力を持って、戦勝国に盾突くような日本になってくれても困る、そういうようないろんなことがあったろうと思います。したがいまして、国を中心に考えるような考え方に対しましては、追放の制度もとって排除いたしましたし、反対にまた、左翼的な活動で追放されていた方々を、当時教育者にも復帰させましたし、それなりのアメリカの占領政策のもとでいろんな政策がとられたと、こう考えているわけでございます。その中には大変日本にとってもいい結果をもたらしたものもございますし、しかし、反面また、悪い結果を今日残しているものもあると、こういう判断をいたしているものでございます。
○安武洋子君 私は、戦前の教育、戦前のいろんな暗黒政治、その一部がよくって、一部が悪かったというふうな御認識そのものが間違っているのではなかろうかというふうに思います。
 そこで、大臣が御答弁になっている修身、歴史、地理の問題でお伺いいたしますけれども、戦前の教育というのは、これはもう御存じのように軍国主義と皇国史観で貫かれております。当時の文部省令では、教育の目的というのは「皇国ノ道ヲ修練セシメ特ニ国体ニ対スル信念ヲ深カラシムベシ」と、その基本を明確にしているわけです。すなわち、主権在君、民主主義の否定を教育の中心にしているわけです。個々の科目について見てみましても、修身では皇国の道義、これでございます。そして国史では皇国の歴史的使命、これが中心に座っておりますし、地理では世界における皇国の使命、これを修得すると施行規則で明文化されております。
 私はここに当時の教科書を持ってまいりました。たとえば修身ですね。低学年において、これは「ヨイコドモ」というのがありますけれども、ここのところで、「日本ヨイ国、キヨイ国。世界二一ツノ神ノ国。」それから「日本ヨイ国、強イ国。世界ニカガヤクエライ国。」と、こういうのが出ております。それで、これに代表されるような皇国観念を植えつけると。そしてそれを土台にいたしまして、高学年になるとどういうようなのが出てくるかと言いますと、大東亜戦争は、日本の思うとおりにならぬものについてはこらしめて、「皇軍の威力をしめして、道義を貫ぬかなければなりません」と、これは初等科修身「よもの海」これに載っております。侵略戦争完遂こそが皇国の使命だと、こういうふうに教えているわけです。地理では、これはもう私が申し上げるまでもなく、当時の地理では、これは朝鮮半島、それから台湾、樺太の南部、こういうもの、これがわが国になっているわけです。
 ですから、私はお伺いいたしますけれども、大臣は、三十五年たったいまでも、その戦前のこの教育、こういうものを容認するところがあるというふうにお考えなのでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 教育に例をとって申し上げますと、やはり占領直後は、むしろ個人を中心に教育をしていく、反対にまた、国とか、社会とかいうことに関しましては、極度にそういう部面を取り上げないというような傾向が強かったと思います。
 私は、人を教育していきます場合には、りっぱな個人を育てていかなければならない、同時にその人間は家庭の中の人間であり、社会の中の人間であり、国の中の人間でありますから、よき家庭人としてりっぱな人間にしていく、よき社会人としてりっぱな人間にしていく、よき国民としてりっぱな人間にしていくというような配慮も備わっていかなければならない、こう考えるわけでございますけれども、よき国民としてりっぱに育てていくという配慮は、私はあの占領直後においてはなかったんじゃないか、また、することが困難であったんじゃないだろうか、こういう心配を持っておるわけでございます。
 戦前の教育の中によいこともあり、悪いこともある。やはり親を大切にするとか、やはり社会のためには進んで貢献していかなければならないとか、いろんな意味合いの教育も多分に行われておったと思うんでございまして、でございますから、私はよいこともあり、悪いこともあると、こう申し上げておるわけでございますし、占領直後の政策がすべて悪かったと考えるべきじゃございませんけれども、また、ないがしろにされておった面については配慮しなければならない面も多分にあるんじゃないだろうか、こう思っておるわけでございまして、そういう意味で常に過去を振り返りながら、将来われわれの進むべき道を模索していかなければならない、その姿勢を忘れてはいけない、こう思っておるわけでございます。
○安武洋子君 その過去の振り返り方が問題で、私がいま申し上げましたように、戦前の教育の基本というのは、「皇国ノ道ヲ修練セシメ特ニ国体ニ対スル信念ヲ深カラシムベシ」と、こういう皇国史観、主権在君、民主主義否定、これが貫かれているということを否定しなければ、戦後のこの出発というものは成り立たないわけです。だから、大臣はそういう戦後の民主化過程、民主化措置、それを全然お考えにならずに、昔のいいところもあったと、そして戦後にもまずいところがあったと、それをよく考えろと、全然三十五年前とお変わりになっていらっしゃらない、そういう感覚にお立ちだというふうに私は思います。
 そこでお伺いいたします。法務大臣は鹿児島県の特高課長をなさっていらしたと思いますが、いつからいつまでおやりでございましょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦前は帝国憲法のもとにおける国でございまして、その国の中における教育のあり方というものと、戦後の日本国憲法のもとにおける教育のあり方と、それは当然違ってくるんじゃないか、こう考えておるわけでございまして、そういう立場で物を見なければ、私は間違った判断が出てくるんじゃないだろうかなと、こう思っております。共産主義に関しまする限りは、戦前は許されてなかった、戦後は許されているということで、大きな違いが出てくるわけでございますけれども、そういう社会であったということを前提にして、そのときに行われておったことがそれでよかったのか、悪かったのかという判断も私はあわせ出されるべきじゃないだろうかなと、こう思っておるわけでございます。
 鹿児島におりましたのは、十八年の一月から八月の半ばでしょうか、ちょっと正確に覚えておりませんが、七カ月ぐらいの間特高課長をいたしました。
○安武洋子君 いまのおっしゃり方なんですけれども、憲法にはちゃんと書いてあります、主権在民だと、これは人類普遍の原理であると。ですから、人類普遍の原理であれば、戦前の日本人も人類ですから、こういう主権在民ということでやらなければならなかったわけです。だけどそうでなかった。だからそれを否定すると、これに反するものは全部排除するんだと。そういう立場にあなたはお立ちになっていらっしゃらないから、当時特高課長をなさっていらした感覚のままでいろんなことをなさっているんじゃないかと私は思います。
 私はいま、大臣が特高課長をなさっておられた十八年当時の、あなたが弾圧の対象になさった小学生の作文を持ってきております。これは「お父さんへ」という尋常小学校四年生の作文です。これは「お父さんあなたはそんな雪の降るそして食物もない所で支那人と戦争をして居られるのですね。それをお母さんも非常に心配して居られます。そのおられる所の名をどうぞ教へて下さい。お父さんの居所を知って居れば私も気が進みますから手紙をきつと下さい。貢もだんだん大きくなります、時々「ちやんちやん」と言つて父さんを探すので、すぐお母さんは涙を眼に浮べます。私もその時は少し泣きたくなります」、私はこの作文というのは当時の児童の心境を実に率直にあらわしたものだと思います。あなたは、このように子供が率直な気持ちを表明することを好ましくないことだとお考えでございましょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) その文章の経緯よく承知しませんけれども、児童が率直にその気持ちを表現することが悪いとは少しも考えておりません。
○安武洋子君 実はこの作文は、昭和十八年の十二月の特高月報、ここに持ってきておりますが、これに載っております。これは同人雑誌「きりしま」左翼集団中心分子の取り調べ状況の中に掲載されているものです。いわゆる「きりしま」事件、御存じだろうと思います。これは鹿児島県で俳句をつくっていた同人雑誌「きりしま」に載っていたものを、プロレタリアリアリズムだからけしからぬ、こういうことで三人の人たちを送検して、弾圧しています。当時、大臣は鹿児島県の特高課長で、この事件を直接指揮なさっているわけですけれども、先ほど私が読みました作文というのも、反戦的作文の指導をしたという証拠の一つに挙げられているわけです。
 このほかに、ここに俳句がずいぶん載っておりますけれども、その中の一、二を読んでみますと、「夕電車辨当からの音と帰る」、夕方の電車に弁当がらの音と一緒に帰るというふうな、労働者の心境がよく出ている俳句です。それから「しんしんと寄る魔風巨木地に構へ」、これは台風が来ようとしているときに大きな木が地に構えているように見えると、ちょうどいまごろの季節に詠んでいる歌です。それから「受精せぬ胡瓜の花の落つる夜ぞ」、キュウリの花が落つるというふうな、こういうものです。これをあなたは弾圧の対象になさったんです。いまこういう特高時代のことを、児童はすなおに表現することはいいことだとおっしゃった。しかし、弾圧の対象になさった。いまはその特高時代のことをどのように反省なさっていらっしゃるんでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は八月の半ばに東京へ帰ってきたわけでございまして、いまおっしゃったのは十二月の特高月報に載っているようでございますから、若干ずれがあるんじゃないかと思います。この間、赤旗にその関係の記事が載っているのを初めて見て知ったわけでございました。私がおりましたときに、ただ一件、そういう文筆活動の中に問題になるケースがあるので、調査をしたいということを聞かされたことがございました。一人だけでございましたけれども、赤旗を見ますと三人になっているようでございまして、でございますから、私が在任中に調査をしたというケースがそう発展していったのかなあということを初めて知ったわけでございました。当時は治安維持法のあった時代でございますので、治安維持法に触れる、触れないの問題で調査を始めたという記憶は持っておるわけでございます。
○安武洋子君 そうおっしゃるなら、大臣がお取り調べになった俳句というのは「熔岩に苔古り椿赤く咲く」、ツバキが赤く咲くのがけしからぬということで、あなたが発言なさったということを聞いております。
 しかし、いずれにしましても、こういう率直な気持ちをあらわす、それから率直に見た物事をそのまま詠むということまでも弾圧の対象になさってきた特高時代の御反省を、どうなさっているかということに明確にもお答えにならないというふうなことは、それが正しかったとお思いなんですか、いまでも。
○国務大臣(奥野誠亮君) 一つ一つの歌で判断することは困難だと思うんですけれども、当時は治安維持法という法律がございましたので、治安維持法に触れるか、触れないか、もし触れるといたしますならば、それはその当時としては事件にならざるを得なかったのだろうと、触れないものであるにかかわらず、事件にするということはこれは穏当ではない、こう思っておるわけでございます。
○安武洋子君 いま私は申し上げました、現憲法は主権在民をうたい、これは人類普遍の原則であると。戦前もそうでなければいけなかったんです。だから、誤っていたわけです。主権在君、皇国史観を国民に押しつけた。そうして、単純にこういう見たままを書いた、それから歌った俳句、こういうものまで弾圧してきた。そのことに対する御反省はないんですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 人類多年の努力によって、社会というものはどんどん変わってきているわけでございます。特定の思想を弾圧するというようなことはよくありませんけれども、しかし、発展の過程においては弾圧をした時代もあった。そういう意味で治安維持法が戦前には日本にあったんだと。こういうことでございまして、だんだんいまのような世の中になってきているわけでございますから、やはり発展への道をたどっていると、こう私は考えているわけであります。
○安武洋子君 それは御反省ないんですか、それはもう当然だったと思っていらっしゃるんですか、あなたは。
 私は重ねて申し上げます。
 この現憲法は、この主権在民が人類普遍の原則だと。戦前もそうでなければいけないのに、あなたたちはそうでないことをやってこられて、弾圧をしてこられた。それが歴史の発展じゃないんです。そこで改めなければいけない。そこから初めて歴史の発展があるわけなんです。だから私は大臣に申し上げたい。そういう特高時代の御反省がないあなたが、現憲法について、いや占領軍の押しつけだとか、いろんなことを言われる。しかし、それは単なる口実です。やっぱりあなたが考えていらっしゃるのは、そういう御反省がないということは、この現憲法に対する真っ向からの挑戦で、あなたが考えられる、憲法をみんなで、国民で論議をして云々というのは、旧憲法、主権在民でない主権在君、皇国史観を押しつけるあの憲法への復帰を願っていらっしゃると、私はこう断定をせざるを得ないわけなんです。
 そこで聞きます。
 あなたがいまの憲法に対して、いまの憲法の原則、原理ですね、ちゃんと前文にもうたい上げてあります。その中で何か不都合だと、こうお考えのところはございましょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私はおっしゃるほどもうろくした人間だと思っておりません。しかし、あなたが私をどう判断されようと、私が干渉すべきものじゃありませんから、とやかくは申し上げません。
 また、憲法一般について、私が政府見解を述べる立場にはございません。恐らく個人的に政治家としてどう考えているんだという意味でお話になっているんじゃないか。そうでないなら、政府見解を私は申し上げるべき立場にはありませんので、そう御理解いただきたいと思います。
○安武洋子君 現憲法を一番遵守しなければならない法務大臣です、あなたは。ですから、現憲法の原理、原則、あなたはこれを擁護しなければいけない。だからどっか不都合なところでもおありなんですかと、不都合だとお考えなんですかということを聞いております、法務大臣として。
○国務大臣(奥野誠亮君) 憲法の中にも私は改めるとすればこうした方がいいんじゃないかなと思っている点いろいろないわけではございません。
 原理、原則ですが、主権在民を否定するようなこともございませんし、また、基本的な人権を尊重していることも大事なことでございますし、また、平和主義に徹していくという考え方も、これも大事なことだと、こう考えているわけでございます。
○安武洋子君 ですから、現憲法の原理、原則、それは不都合なところはないと、こうおっしゃるわけです、法務大臣として。それなのに、いままでの論議でも明らかになったように、あなたはこの戦前の暗黒時代の反省がない。しかもそこで特高課長としてなさってこられたことに対しても悪いともおっしゃらない。そういう反省もない。そして、戦前の教育の中にも、戦後の教育の中にも、よいところも悪いところもあるというふうな、そういう立場をおとりになるというのは、私はこれは戦前の侵略戦争、これに対する、本当に侵略戦争に対するいままでのあなたは反省もないし、これを美化しようという私は立場であるというふうに断定をせざるを得ないわけですけれども、こういうあなたの立場は、現閣僚の中で一番憲法を守らなければならないのに、そして原理、原則に不都合はないと言いながら、戦前のそういうものを擁護なさる。こういうことは旧憲法にあなたは変えたいということにほかならないじゃありませんか。いろんなことを、押しつけだ何だと言われながら、結局はあなたは、現憲法、原理、原則は不都合でない、しかし憲法は押しつけられたから云々だと言いながらも、あなたの目指すところは旧憲法、主権在君、民主主義否定、ここへ戻るんだということがやっぱり歴然とするじゃありませんか。だから地理だとか、歴史だとか、修身だとか中止されたと、それで残念だと涙を流さなければならないというふうに私はなってくると思うんです。
 だから私は、何といっても法務大臣、あなたは法務大臣としての資格に欠ける、こういうことを私は強く申し上げまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私はいまお話を伺っていますと、一方的に私が旧憲法に戻したいと考えているなどと御発言になっておって、どちらかといいますと人権じゅうりんのような御発言のように思うわけでございまして、どちらが憲法を守っているんだろうかなという疑問を私は深く持たされました。
 私が憲法を守るということは、ただ憲法を固定的にそのままで、字句も一切変えちゃいけないんだという性格のものではなくて、あらゆる法制につきまして、改善を目指して努力していかなければならない。憲法についても改善に向かって努力をしていかなければならない。私は両方の責任を持っていると、こう考えているわけでございまして、そういう意味合いにおいて、御指摘になりました衆議院において発言をいたしているわけでございます。是非一元的にきめつけるようなことはお許しいただきまして、自由な論議の中からよい方向を求める努力をみんなでやっていきたいな、こう考えるわけでございます。そのことは憲法においても私は変わりないことじゃないだろうかなと、こう考えております。
○安武洋子君 異論がありますけれども、時間がありませんので、この論議は後刻に譲ります。
○森田重郎君 私は、政治資金規正法、そしてまたある意味では参議院の制度改革につながる問題、こういった問題につきまして、何点か特に大臣に御質問を申し上げたい、かように思います。
 実は、けさ朝刊各紙を読んでおりましたら、ちょうど昨日午後でございましょうか、総理が、外遊から帰国をなさった桜内幹事長に、衆議院の航空機輸入調査特別委員会の廃止のかわりに、もちろんこれは廃止ということじゃございませんし、野党が大変反対をしておるということでございますが、そういう現状の中で、その航特委にかわって、倫理委員会を設置するというような指示をなさったような記事を実は私拝見したわけでございますけれども、倫理委員会そのものにつきましては、これは何も航空機輸入の問題だけでなしに、昨今大変問題になっております所沢の富士見病院の問題等含めまして、大変結構なことではないかと思いますが、さような意味の中で、今回政治資金規正法について、特に大臣の昨今お考えになっておられる所感の一端といったものをお聞かせ賜りたい、かように思います。
○国務大臣(石破二朗君) 御承知のとおり、自治大臣に就任いたしましてからまだ日も浅うございますし、選挙につきましても十分の経験を持っておりませんので、政治資金規正法について、あれこれ所感めいたものを申し上げるのはいかがかと思いまするが、世間ではいろいろ政治資金規正法についての御批判もあるようでありますけれども、御承知のとおり政治資金規正法は、歴代の内閣なり、先輩議員各位が長年にわたって研究、努力されて、今日の法律制度ができておるものと、かように思います。冒頭申し上げましたとおり、選挙についての自分の経験も浅く、さらに自治大臣に就任したばかりでありますので、この際、政治資金規正法というものについての所見のごときものを申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
 ただ、前大平内閣当時、政治資金規正法の一部改正案が提案され、成立を見ずに終わり、今日に至っております。この法律について今後どうするかというような問題につきましては、現在鋭意検討中でありますので、御了承願いたいと思います。
○森田重郎君 大変御丁重な御答弁なんでございますけれども、昨今、先ほども触れましたように、この政規法についてはずいぶんいろいろな角度から論議をされておられること、このこと自体は大臣もよく御承知のことだと思います。政治資金規正法が先ほど大臣の御答弁の中で成立を見たその経緯、経過というものについては、私もそれなりに勉強させていただいておるわけです。
 御承知のとおり、昭和二十三年に政治の腐敗防止というふうなものを目的に、これ議員立法の形でこの法案が成立したと。その後たしか昭和四十二年でございましたか、第五次の選挙制度審議会の改正案等に対するいろいろ意見がなされて、たしか政府提案が三回ぐらいあったかと思います。各党からはそれぞれ各党の立場における提案もなされた。いずれも廃案になった。昭和五十年でしたか、百十七対百十七で議長決裁という劇的な中でこの政治資金規正法が生まれたわけでございますね。その辺の事情は私もよく存じておるわけでございますけれども、それだけにあえてこの政治資金規正法そのものについてお伺いしたい。
 先ほど大臣は、就任後間もないというようなお話で、鋭意その辺を検討しておるということでございましたけれども、前回の通常国会で改正案が流れた。その改正案につきまして、今臨時国会にはこれは提案をしないというような意味での何か発言を総理になさっておられるような点はなかったでございましょうか。
○国務大臣(石破二朗君) 検討課題といたしましては、何とかして選挙に余り金がかからない方法はないものか、特に世間でよく通常言われております参議院の全国区制度は、余りにも金がかかり過ぎるように思える。これを何とかしなきゃならぬではないかとか、あるいは選挙そのものに伴います――全く俗な言葉で恐縮でありますけれども、いわゆる選挙公害というような表現が用いられておるようでありますけれども、そういうものを少し規制したらどうかというような点、さらに、政治資金規正法の一部を改正をしたらどうかというような問題、さらには、現行政治資金規正法は五年ばかり前に成立したわけでありますけれども、その附則の実施後、五年後の見直しの規定による資金法の一部改正、あれこれそれぞれ相関連する面もありますので、これを一括して取り扱った方がいいんではないかと、五年後の見直し規定ももう目前に迫っておるわけでありますし、そういう意見がありまするし、前国会において廃案になった政治資金規正法の一部改正だけでも、この際、政界の腐敗防止のために提案し、御審議願ったらどうかという有力な御意見もありますし、目下のところ、はなはだ恐縮でありますけれども、今日のところ慎重に検討中であります。御了承いただきたいと思います。
○森田重郎君 いまのお話のとおりだと思います、その経過につきましては。ちょうど来年の一月が五年後の見直しというような形で、来年一月の見直し期間ということになるかと思いますが、いかがなものでございましょうか。現在のその立案作業の準備というような問題について、大臣の承知しておる限りで結構でございますけれども、たとえばの話でございますけれども、結局、前回廃案になったそのもの自体を御提案なさるような、その辺の雰囲気であるか、あるいはまた、いま大臣から御答弁がございましたように、いまこの際、諸般の情勢から全面的に見直しして、少なくともこの来るべき通常国会には、ぜひとも提案なさりたいか、その辺、大臣のおわかりの範囲で結構でございますので、御答弁をちょうだいしたい、かように思います。
○国務大臣(石破二朗君) いろいろそれなりに根拠のある意見がございます。重ねて恐縮でありますけれども、政界の浄化を何とかして一日も早く図りたい。それにはどうしたらいいかという見地で、鋭意検討中でありますので、御了承賜りたいと思います。
○森田重郎君 いまの鋭意検討中という御答弁は、来るべき常会には提案の見込みがあるのかないのかと、その辺についてもう一度ひとつ大臣の御答弁をちょうだいしたいと思います。
○国務大臣(石破二朗君) 何とかして提案いたしたいと考えて、努力いたしたいと思います。
○森田重郎君 実は、先ほど大臣の御答弁の中で、参議院の全国区には金が非常にかかるというようなお話がございました。これはもう世上いろいろ言われておることで、大臣の御答弁をまつまでもなく、私どもも金のかからない選挙というふうなことを、今後の参議院選についても特に考えていかなくちゃならぬ、このような気持ちでおりますけれども、この参議院の制度改革、特に選挙制度の改革につきまして、まあ自治大臣として、公職選挙法あるいは先ほどの政治資金規正法、この辺が制度改革には大きく関連、連動してくる問題ですが、その制度改革について、何かお考えがございましたら承りたい、かように思います。
○国務大臣(石破二朗君) 参議院の全国区制度いろいろ御議論もありまするし、あれこれ自分といたしましても検討はいたしておりますけれども、さあそれではこれでという確たる結論を得ておりませんので、御了承賜りたいと思います。あれこれ検討はいたしております。
○森田重郎君 あれこれ検討はなさっておるというような御答弁でございますが、これは私の記憶違いと申しましょうか、であるならばこれは大変御無礼なことになるかと思いますが、どこかの時点で私大臣の拘束名簿式比例代表制に対する何か御意見を伺ったような記憶があるんでございますけれども、政府・与党というふうな立場で、拘束名簿式比例代表制につきまして、大臣の何かお考えがございましたら、それをお聞かせ賜りたい。もちろんこういった問題は、これは明確な御答弁を要求するということが無理であることは私もよく承知しております。これはやはり各党間でのいろいろ出まするところの改革案件というふうなものの中から、われわれが考えていかなくちゃならぬ問題でございますから、その辺確たる御答弁をちょうだいするということは無理かもしれませんけれども、政府・与党というふうな立場から、拘束名簿式比例代表制に対する大臣の所見の一端でもお聞かせちょうだいできれば大変ありがたいと、かように思います。
○国務大臣(石破二朗君) 参議院の全国区の選挙を拘束名簿式比例代表制にすることについての所見いかんというお尋ねでありますけれども、何事についてもそうでございますけれども、特にこれにつきましては、こういう点でいい面もあれば、こういう弱点もあるという、いろいろメリット・デメリットというものもあります。それで、全体を比較考量して、プラスになるものか、マイナスになるものかというような判断もなかなか困難でありまするし、さらに、これは申し上げるまでもありませんけれども、選挙制度をどうするかといいますことは、日本の議会制民主主義の基本にもかかわることでありますし、もちろん各政党の消長にも大きな影響もあることでありますので、単に政府だけでありません。与党だけでもいけないと思います。各党間でも十分御論議いただき、一党だけに有利になるとか、そういう結果にならないようないい案ができますことを私どもとしましても期待申し上げ、できます範囲でそういうことになりますように努力してまいらにゃいかぬと、かように考えております。
○森田重郎君 大臣のおっしゃることは十二分に理解できるんでございますけれども、こういう問題は結局このままずっと放置いたしますと、私どもは参議院の改革というのは、これは口では簡単ですけれども、またまた次の参議院選につきましても、何ら打つところがなかった、打つ手がなかったというような形の中で、これは十年一日のごとく過ぎてしまうんではないだろうかと、こういう気持ちがするわけなんです。私これ思いますのに、やっぱり参議院改革というのは二つのねらいがあるんじゃないか。一つは大臣いまおっしゃいましたように、まずは金のかからない選挙、これを第一義の問題としてあえて取り上げた。それからこれは各党によりまして若干御意見の相違もあろうかと思いますが、やはり参議院は参議院としての自主性と申しましょうか、まあ言うなれば法規に、明文にちゃんとうたわれておりますように、やはり補完と抑制機能といいましょうか、衆議院の再審機能を果たす。言うなれば、衆議院と参議院との問題は、あくまでもそれは異質性の論理とでも申しましょうか、異質のものである。そういう参議院、要するに言葉をかえて言うならば、参議院の脱政党化指向の問題、この二つの問題じゃないかと思うんですね。私はこの金のかからない選挙、それから脱政党化というようなこういう大きな問題を、一度に、一挙に解決しようと思ってもなかなかできないと思うんです。ですから、公選制をとっているたてまえからするならば、これはある程度の政党化はやむを得ないと思うんです。少なくとも金のかからない選挙ということだけをひとつねらって、思い切ったやっぱり勇断を持って、これは総理みずからが判断をされることであろうかと思いますが、やっていかないことには、いつになっても同じような問題の繰り返しで終えてしまうというようなことを、大変危惧をしておる者の一人でございますけれども、当面の問題といたしまして、この政治資金規正法そのものにつきましては、現在いろいろな御意見が自民党さんの内部にもおありのようですね。規制をすると、この点を非常に強調する一方、物価にスライドして、まあとにかく献金枠を少し広げるとか、あるいはまた国政選挙の折には、これまた資金枠を特別に見るとかというようなことで、片や締めつける、片や枠を広げるというような大変矛盾した考えがおありのようでございますけれども、政資法そのものだけをとって、どうでしょうか。この問題につきましてもう一度ひとつ大臣の御答弁をちょうだいしたい、かように思います。
○国務大臣(石破二朗君) 森田委員の御質問の御趣旨に沿う方向で、早期実現のために自分としてできます限りの努力をしてまいりたいと、かように考えております。
○委員長(野田哲君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会