第093回国会 内閣委員会 第2号
昭和五十五年十月二十八日(火曜日)
   午前十一時十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         林  ゆう君
    理 事
                藏内 修治君
                竹内  潔君
                矢田部 理君
                藤井 恒男君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                中西 一郎君
                林  寛子君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                片岡 勝治君
                野田  哲君
                山崎  昇君
                中尾 辰義君
                峯山 昭範君
                安武 洋子君
                秦   豊君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
   政府委員
       総理府人事局長  亀谷 禮次君
       行政管理庁長官
       官房審議官    林  伸樹君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局長     中  庄二君
       外務省国際連合
       局長       賀陽 治憲君
       労働省婦人少年
       局長       高橋 久子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     柴田 知子君
       総理府北方対策
       本部審議官    藤江 弘一君
       外務省欧亜局審
       議官       堂ノ脇光朗君
       外務省条約局法
       規課長      野村 一成君
       大蔵省理財局国
       有財産第二課長  桜井  直君
       海上保安庁警備
       救難部救難課長  野間 寅美君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調
 査
 (国家公務員の給与改定に関する件)
 (沈没船アドミラル・ナヒーモフ号の所有権に
 関する件)
 (行政改革に関する件)
 (雇用における男女差別の撤廃に関する件)
 (北方領土返還問題に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○野田哲君 総務長官に伺いたいと思うんですが、きょう、あすで国鉄関係と郵政関係の仲裁裁定の取り扱いが議決案件という形で処理されるということがほぼ明らかになりましたが、この議決案件という形そのものが異例のことでもありますし、それから、四月からのことが今日まで遷延しているということも異例なことでありますが、もう一つ、公務員の八月八日に出された給与の引き上げの勧告をどう扱うのか、これがいまだに放置されたままで決定されていない。長官も内閣委員会の審議、長く委員長やられたり、理事をやられたりして御承知のとおりだろうと思うんですが、毎回公務員の給与法の審議に当たっては、公務員の給与が四月からの引き上げが遷延して十一月あるいは十二月にならないと決まらないということに対して、早く決定をすべきだという意向は、これは審議してきた各委員の一致した意見であったと思うんです。それが今日閣議決定さえもされていない、こういう状態、これはもう私どもとしては大変遺憾なことでもあるし、いままでの内閣委員会での審議の経過を政府が無視をしている、こういうふうな点をまず指摘をしておかなければならないと思うんです。
 そこで、けさの新聞にはいろいろこのことについて報道がされています。報道の点で一致をしていることは、きょう午後、給与関係閣僚会議が開かれると、こういうことでありますが、内容については長官は、新聞のことはおれは責任持たないと、こういうことであろうと思うんですが、いろいろ推測がされています。読売新聞によると指定職は十月からだと、半年おくれだというようなこと。あるいは毎日新聞によると、給与法案は他の二法案とセットなんだと、こういうことやいろんな報道がされているんですが、まず、きょう給与関係閣僚会議が開かれるという報道、これは事実なのかどうかということが一つと、それから総務長官としては、この八月八日の人事院の勧告について、この給与関係閣僚会議に給与担当大臣としてどういう方針で臨まれようとされているのか、この点をまず伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) お尋ねの公務員給与に関する人事院勧告の扱いにつきましては、本日午後二時過ぎから、院内大臣室において給与関係閣僚会議を開催することになっていることをはっきり申し上げておきたいと思います。
   〔委員長退席、理事藏内修治君着席〕
 もう一つ、総務長官として一体どういう態度で臨むかと、こういうお尋ねでございますが、私は、もうかねて申し上げておりますとおり、公共企業体においても労使関係を円満に持っていくということが国家のためにもきわめて大切であるということから、人事院勧告の完全実施ということによって公務員の方々の生活を確保するということが大変大切であるということから、一日も早い人事院勧告の完全実施を閣内で主張をいたしております。また、今後ともそのような姿勢を崩すつもりは毛頭ございません。
○野田哲君 総務長官の立場は了解をいたしますが、そこで一体いつ閣議決定の見込みなのか。巷間伝えられるところでは、三十一日あるいは連休明けと、こういう説があるわけですが、この点いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 大変各方面でも御心配をいただいておりまして、私どもとしましては、できる限り早急に閣議決定に持っていくように努力をいたしたいと考えております。
○野田哲君 新聞の報道でも、それから私どもがこの問題について政府やあるいは与野党の国対レベルでの相談をしていく過程で感じられることは、きょうの毎日新聞の見出しにもなっているが、他の法案とのセット論ですね、国家公務員法、それから退職手当法、法案の取り扱いをセットにするのか、あるいは一つずつ審議していくのか。これは法案そのものが全然別個なんですから、審議の順序とか取り扱いは国会が決めることであって、具体的に言えば付託された内閣委員会の理事会でその取り扱いが決められることであって、政府自身がセット論というような考え方に立つとするならば、私はそんな僭越な考え方はないと思うんですが、よもや総務長官がそういう考え方をお持ちではあるまいと思うんですが、政府は一体このセット論という考え方に対してどういうふうに考えておられるのか。私どもとしては、これは政府が言うべきことではないと、こういうふうに考えているんですが、この点いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 政府といたしましては、法律を国会に提案さしていただいて、御審議をいただくと。御審議につきましては、御指摘のように、すべて国会の責任で運営をしていただくわけでございますから、私はそのように考えております。
○野田哲君 きょうは大蔵大臣の出席は求めておりませんが、すべて給与関係につきましては総務長官の責任で提案をされることですから、そういう立場で総務長官にお伺いをするわけですけれども、いままでの給与問題についての協議の中で財源論ということが言われているやに伺っているわけですね、財源があるとかないとかいう話です。確かに、当初予算には二%しか組んでいないわけですから、数字の上では千数百億足りない、これははっきりしているんです。
 もともと、この公務員の給与改善費については、ずっと長い間五%計上するというのが慣行になってきていた。
   〔理事藏内修治君退席、委員長着席〕
それが二・五%、そして今年度二%、こういうふうな形で当初予算の組み方が減額されてきているわけですね。物価の上昇については六・四%を見込んでいる。そして、八〇年春闘は予算編成後に行われたわけですけれども、物価が六・四%であるとすれば当然春闘相場もその辺には少なくとも落ちつくだろうと、こういうことはもう当初から予測されていたことなんであって、にもかかわらず公務員の給与費だけ二%に減額をしているわけですから、足りないのは初めからもうわかり切ったことなんであって、それを二%しか計上してないんだから足りない、だから決定できないんだと、こういう理屈をいまになってつけられても、これは私は筋道が通らないし、公務員を納得させることもできないんじゃないかと、こういうふうに思うんですが、この点いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 労働大臣及び私、給与関係担当の総務長官といたしましても、御指摘の点は大蔵当局にすでに厳しく申し入れをいたしております。
 私どもといたしましては、消費者物価が非常に上昇しておると、こういう中で、労働省の統計でも毎月の実質所得が三・五%減っておるということでございますから、二%しか組んでいないということについては、先生御指摘のとおり、やはりこういう考え方で財源が不足するということについての理由にはならないと。ただ、御案内のように、日本の財政そのものが大変な危機になっていることは御承知のとおりでございまして、全体的な観点から見て、大蔵省としてはできるだけその財源をスケールを小さく持っていくということの基本計画、基本方針というものについても理解ができるところでございますが、鋭意御指摘の点を私ども主張しながら、できるだけ勧告を完全実施するという努力を続けてまいりたいと考えております。
○野田哲君 これは機会を見てまた大蔵大臣に伺いたいと思っているんですが、給与関係の担当の総務長官に見解を承っておきたいと思うんですが、今国会が始まったころに、大蔵省がゼロ査定のリストを発表いたしましたね。五十六年度について増税がなければゼロになりますよというリストを発表している。
 そのリストの一番最初のところを見ると、人件費の項が挙がっていて、これについては五十六年度のことについてのリストの発表であるにもかかわらず、五十五年度も五十六年度も給与費は据え置き、それから人員については六%の削減と、こういうことが一番最初に挙げられている。五十六年度のゼロリストの発表であるにもかかわらず、五十五年度まで持ち出して据え置きということを言っている。これ、やはり今度の給与関係の取り扱いの関係閣僚会議、やはりそういう議論が起こっているんですか。
○政府委員(亀谷禮次君) 先般、大蔵主計当局で発表いたしましたゼロベース予算の問題でございますが、私ども、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、基本の姿勢はいささかも変わっておらないわけでございまして、たまたま大蔵当局で、明年度以降の問題についてゼロベースという場合の想定のもとにそれぞれの事業、事務についてそういった見方も成り立つということを発表いたしたわけでございます。しかしながら、給与に関しましては、大蔵当局から私どもに事前の相談がありましてその計算を私どもと共同でやった結果発表いたした数字ではございませんで、全く大蔵当局で独自に試算をして出したものでございます。したがって、私どもとしてはこの問題について直接協議も受けておりませんし、関与もいたしておりません。
 また、当然そういうことでございますので、今年度の勧告に基づきます給与の取り扱いについては、ただいま大臣が申し上げましたように、目下鋭意詰めておることでございまして、これまた大蔵当局の発表の内容につきましては全く関与、関知いたしてないところでございます。
○野田哲君 給与問題は以上で終わりまして、別の問題に入ります。
 まず、海上保安庁見えていますか。――海上保安庁に伺いたいと思うんですが、現在、長崎県の対馬の近海で日本海洋開発という会社の手によって海底に沈没している船からの物資の引き揚げが行われているということ、このことが非常に話題になっております。日本のドンと言われるような有名な人が記者会見で引き揚げた物資を公開をしていることも報道されているわけですが、国内的にも国際的にもいま非常に話題になっているわけですが、海上保安庁はその状態についてどの程度のことを承知をされておりますか。
○説明員(野間寅美君) 御質問の件につきましては、多分、巷間伝えられておりますナヒーモフ号の引き揚げ関係ではないかと思います。
 私ども承知しておりますのは、ただいま長崎県の上県郡琴崎の東方六海里付近におきまして、ナヒーモフ号ではなかろうかと思われる沈没船の引き揚げが行われているということでございます。
○野田哲君 もう一回正確に、作業の行われている位置、それからその位置が六海里ということですか――領海十二海里を決める前と後で公海あるいは領海の関係はどうなったのか。それから作業船の名前、船籍、船の特徴ですね。何か私のところで入手した資料では、その引き揚げ船は、船の胴体に大きく「世界は一家人類は兄弟」、こういうような大きな文字が入っているというふうに聞いているんですが、その辺のことについてひとつ伺いたいと思いますし、それからナヒーモフ号ではないかと、こういう説明があったわけですが、ここに海軍軍令部による「明治三十七八年海戦史」というのがあって、そこにナヒーモフ号が沈んだ場所の地図がありますので、これちょっと見て、海上保安庁で確認をされた場所とほぼ似ているのかどうか、そのことも含めてお答えいただきたいと思います。(資料を示す)
○説明員(野間寅美君) 位置につきまして再度申し上げますが、長崎県の上県郡琴崎の東方約六海里、これは緯度、経度で申しますと、北緯三十四度三十一分三十秒、それから東経が百二十九度三十四分十八秒でございます。いま、いただきましたこの図が非常にラフでございましてはっきりわかりませんが、私どものいままで入手しました資料では、この辺に二、三隻沈んでおるということでございますので、従来引き揚げました状況等から多分ナヒーモフではなかろうかと思いますけれども、その確認はまだ得られていないと聞いております。
 それから、場所の領海法との関係でございますが、いま作業が行われております場所は、五十二年の七月一日、わが国の領海法施行前におきましては公海でございまして、施行後は領海内ということでございます。
 それから、作業船の特徴等でございますが、潜水作業に当たっております船の名前はTEN−OH、これはローマ字でTENIOHと書いてございます。船籍はパナマでございまして、総トン数が二千百九十七トン六十九、仕事は潜水作業が専門でございます。
 それから、作業船には先生おっしゃったように、両舷に「世界は一家人類は兄弟」という標示がございます。
○野田哲君 外務省に伺いますが、外務省は十月二十日にアドミラル・ナヒーモフ号に関して日本側としての回答を出されている。このアドミラル・ナヒーモフ号に関する回答を出すに当たって、ソ連側から十月三日に申し入れがあったということ、この申し入れに対する回答という形で十月二十日に行われているわけですが、ソ連側の申し入れ、これは一体どのような内容で何を根拠に申し入れをしているのか、まずその点、ソ連側の申し入れから伺いたいと思うんです。
○説明員(堂ノ脇光朗君) お答えいたします。
 十月三日、在京ソ連大使館ジノビエフ臨時代理大使が武藤欧亜局長を訪ねてまいりまして、その際申し入れましたことは、軍艦は他国の管轄権から完全に免除されている、ソ連側はナヒーモフ号及びその財宝のすべてに対する自国の権利を確認し、同船及び財宝の探索作業及び引き揚げに関するすべての問題はソ連側との合意に基づいて決定されなければならないと考える、こういう申し入れを行ってきたわけでございます。ただいま申し上げましたとおり、ソ連側がその主張の根拠としておりますのは、軍艦は他国の管轄権を完全に免除されていると、旗国以外の外国からの管轄権といったものは及ばないという点を主張しているわけでございまして、その主張の根拠についてはこれ以上明らかにしておりません。
○野田哲君 これに対する十月二十日の日本側の回答を説明してもらいたいと思います。
○説明員(堂ノ脇光朗君) 先生御指摘になりましたとおり、十月二十日、欧亜局の兵藤東欧第一課長から在京ソ連大使館コマロフスキー参事官に対して行いました日本側の回答の主な内容を申し上げますと、第一に、日本国政府としては、ソ連側の申し入れに言及されている沈没船がナヒーモフ号であることを確認するに至ってないという点が第一点でございます。
 第二点は、しかしソ連側の申し入れに言及されているナヒーモフ号について言えば、日本側は、同船が一九〇五年五月二十八日に日本海海戦において大日本帝国海軍により拿捕されたという明白な事実にソ連側の注意を喚起したいという点が第二点でございます。
 そして第三点としまして、戦時国際法上、拿捕された敵の軍艦及び積載品に関する権利は、拿捕した国の側に直ちにかつ最終的に移るものとされている。したがって、ナヒーモフ号に関するロシア側の一切の権利は帝国海軍による同号拿捕の時点で消滅したのであって、同号に関する今回のソ連側の主張は根拠がなく、日本側としてはこれを認めることができない。この三点からなる回答をソ連側に行っております。
○野田哲君 まず一点、ナヒーモフ号であるかどうかについては確認をされていないと、こういう点が日ソ間のやりとりの中で第一点として取り上げられているわけですが、いま対馬沖で引き揚げ作業を続けている沈没船が日本側の回答ではナヒーモフとは確認されていないと、こういうことですけれども、実際的にはナヒーモフ号という前提でやりとりが行われているわけですが、これだけ両国間で問題になったとすれば、その沈没している船についてまず確認の措置がとられなければならないんではないかというふうに思うんですが、この点は、外務省なりあるいは大蔵省なり海上保安庁なりで何か、あの沈没をしている船がソ連側はナヒーモフ号という前提で日本側に申し入れてきた。これに対する回答として、日本側ではまだ確認はしていないと、しかしナヒーモフ号であるならばこういうふうに考えると、こうなっているわけですね。だとすれば、やはり確認の措置が日本側としてはとられなければならないんじゃないかと思うんですが、この点はどういう措置を考えておられるんですか。
○説明員(堂ノ脇光朗君) 外務省といたしましては、これまで本件引き揚げ作業を行っております日本海洋開発の責任者の玉内社長を呼んで、引き揚げに着手した経緯などについて事情を聞いております。その玉内社長の説明によりますと、これまでのところ、当該船舶がナヒーモフ号であると推定はされるけれども、まだ確認されるに至ってないという説明をいたしております。外務省としましては、ナヒーモフ号であるかどうか確認する必要が生じた段階で関係各省において具体的な検討がされるものと考えております。
○野田哲君 確認をする必要が生じた段階というのは、どういう段階になったら確認をする必要が生じると考えられるんですか。
○説明員(堂ノ脇光朗君) 外務省といたしましては、ソ連側からの申し入れに対しては、国際法上の観点から、この船が仮にナヒーモフ号であるとすれば、それがソ連の財産であるか否かという点について回答すれば十分ということで、これまでの記録、資料、その他調査いたしまして、また国際法上の観点も検討いたしまして回答を行った次第でございます。
○野田哲君 引き揚げをやっている会社の社長から事情を聴取したということですが、引き揚げられたインゴットにロシア文字が刻印されている、こういう報道がされているわけですが、これは確認されたわけですか。
○説明員(堂ノ脇光朗君) 私どもは引き揚げ作業の関係者からインゴットらしきものが十数本引き揚げられたという話は聞いておりますけれども、インゴット自体を拝見してはおりません。
○野田哲君 この問題の第二点として、ナヒーモフ号であるかどうかは未確認の船であるが、ナヒーモフ号であるとすれば、ということで後のやりとりがされているわけですが、このナヒーモフ号が、日本海の海戦において日本側に拿捕されたものか、それとも自沈といいますか、砲撃を受けて船腹に穴があいて自沈をした、こういう様態なのか、そこのところが日ソ間の一つの焦点になっているんじゃないかと思うんですね。
 そこで、軍艦など艦船の拿捕というのは、戦時国際法で言えばどういう形態がとられたときにこれを拿捕というのか。この点、私の手元にある戦時国際法――これ、戦時国際法というのは何か文書できちっと決まったものはないんだというふうな説もあるわけですけれども、手元にある私の資料では、「拿捕ハ、拿捕船ヨリ其将校及乗員ヲ、拿捕セラルル艦船ニ送リ、該艦船ヲ其権内ニ置クコトニ依リ行ハル。然レトモ之ヲ実行スルコト不可能ナル場合ニハ、拿捕者ハ拿捕セラルル艦船ニ命スルニ、其船旗ヲ卸シテ命令ニ従ヒ航海スヘキコトヲ以テスルヲ得。」こういうふうな文書があるんですが、拿捕というのは大体そういうことで、「艦船ヲ其権内ニ置ク」――この「権内ニ置ク」というのは一体どういう形をとったら権内に置いたことになるのか、その辺の御説明をちょっといただきたいと思います。
○説明員(野村一成君) お答え申し上げます。
 先ほど先生の方から御指摘ございました自沈の件でございますけれども、日本側としましては、先生御自身も御引用になりました帝国海軍軍令部作成の「明治三十七八年海戦史」という公式記録がございまして、それによりますと、駆逐艦不知火から将校が行きまして、キングストン弁を開かな
 いように厳命しているということでございます。また、ナヒーモフ号は、艦首と申しましょうか、から沈んだということでもございまして、自沈したというふうには考えにくいというふうに考えております。いずれにしましても、ナヒーモフ号は
 沈没する前に帝国海軍によって拿捕され、戦利品となったということでございます。
 次に、戦時国際法のことで拿捕ということの意味について御質問があったわけでございますけれども、戦時国際法上特に敵国の船舶、これを拿捕したというためには、その船舶を現実に占有するという場合はこれはもちろんのことでございますけれども、拿捕し戦利品として保持する意図が十分に推定されるような行為があればよいのだと、そういうふうにされておるわけでございます。
 先ほど引用いたしました海戦史によりますと、ナヒーモフ号は軍艦旗をもう掲げない状態で、応戦する意図のないという状況で佐渡丸それから駆逐艦不知火によって発見されたわけで、佐渡丸はナヒーモフに接近しまして、その当時もうすでに白旗を掲げてボートで退船している乗員を救助したりするとともに、その佐渡丸の士官が捕獲員としてナヒーモフ号に乗り込みまして、ナヒーモフ号の前橋頭――前のマストでございますけれども、そこに旧帝国軍艦旗を掲揚したという記載がございます。ナヒーモフ号のこういった状態というものは、先ほど申しました戦時国際法の考え方からしましても、十分拿捕と言い得る状態であったというふうに考えております。
 なお、補足でございますけれども、当時の旧帝国海軍の内部規則と申しますか、に海軍大臣訓令、それから海軍次官の注意というのがございま出して、それによりますと、特に敵国の軍艦でございます場合には、拿捕ということを行うためには帝国軍艦旗を掲げるというふうな行為を必要とする、そういうふうにはっきり書いてございまして、そういう記述は、先ほど申しました戦時国際法の考え方にのっとりましてそういう内規をつくっていたということだと思います。そういうことから申しましても、ナヒーモフ号は旧帝国海軍によって拿捕された後沈没したということだと、そういうふうに考えております。
 以上でございます。
   〔委員長退席、理事藏内修治君着席〕
○野田哲君 拿捕して沈没したんだという御説明ですが、いろいろ資料があるんですね。いま私が位置の確認で示した海軍軍令部編さん第三巻「明治三十七八年海戦史」、これは図面も入っておりますし、いろいろ当時の状況、「第十節装甲巡洋艦「アドミラル、ナヒーモフ」ノ捕獲沈没」と、こういうことで当時の状況がずっと記録をしてあるんですが、それからさらに時事新報社、これは明治四十年に刊行している「露艦隊最期実記」というもの、これはソ連側の記録を訳したものを時事新報社が発行しているのがありますね。この中でやはり「残存二艦の最期」ということで、巡洋艦ナヒーモフ号の沈没した状態がずっと記録をされているのがあります。それから「バルテック艦隊の潰滅」という、これはやはりソ連側の小説風、記録風といいますか、なもので、スターリン賞受賞というあれがついていますが、日本語の訳があるわけですが、それから英文の訳もいろいろあるわけですけれども、これを見ると少しずつやはりニュアンスが違います。いま言われた軍令部の編さんの三十七八年海戦史、これはいま説明があったような記録になっているわけです。それから「日本海大海戦図解説明」というのがある。これもやはり日本側の恐らく海軍省で発行したものだろうと思うんですが、これとこの軍令部のあれでもちょっとやはり状況の違いがある。これによると、将校以下数名の者が行った、そしてこの艦長、航海長を、もう沈没寸然だから佐渡丸へ連れて帰ろうとしたが、艦長、航海長は拒否をした。で、あきらめて帰った。その後でキングストンバルブが向こう側の残っていた乗員によって抜かれて自沈をしていったと。そこで、日本側の佐渡丸の船長は、甲板に全員を整列をさして、艦長、航海長の艦と運命をともにされる決意は武人のかがみだというような称賛の言葉を述べて、ラッパを鳴らしてその沈没に敬意を表したと、こういうような記録もありますし、
   〔理事藏内修治君退席、委員長着席〕
ソ連側の記録によると、前檣頭に日本の数名の者が来て軍艦旗を掲げたのを、残留していた向こう側の艦長以下がまたそれを引きずりおろして、キングストンバルブを抜いてみずから沈んでいったんだという、いろんな説があるわけですけれども、結局日本側ですから、日本側の記録に基づいて回答されているんだと思うんですが、これは結局やはり外務省としての根拠は軍令部の三十七八年海戦史、これを根拠にされているわけですか。
○説明員(野村一成君) ただいま先生御指摘になりましたように、ロシア側、日本側含めまして、本件に、日本海海戦の模様についてはいろんな記述があるわけでございますが、私どもとしましては海軍軍令部作成の「明治三十七八年海戦史」というのを最も権威ある公式な記録と、そういうふうにとらえまして、それに基づいて判断すれば足りると、そういうふうに考えておるわけでございます。
 たとえば海戦史、公式記録としましてある軍令部の記録でございますけれども、そのほかにも、やはり関係していました仮装巡洋艦の佐渡丸の戦時日誌とか、あるいは駆逐艦不知火の属していました第五駆逐隊の戦時日誌、そういうのがございまして、そういうのを総合して作成された権威ある記録というのがこの「明治三十七八年海戦史」と、そういうふうに考えております。
○野田哲君 そういたしますと、ナヒーモフ号が日本が日本海海戦において拿捕した戦利品であるとすれば、当時の手続によりますと、海軍法規というのが当時ありますね。海軍戦利品取扱規程、これは明治三十七年三月十九日達第五十六号、こうなって海軍の戦利品の取り扱いをずっと規定しているわけです。
 第一条によりますと、「海軍ニ於テ獲得シタル戦利品ノ取扱ハ本規程ニ依ル」。第二条で「戦利品ヲ獲得シタル艦団其ノ他各部ノ長ハ其ノ品名、員数ヲ記載シタル報告書ヲ作り現品ヲ添へ」――現品を添えるというのは無理なんでしょうが、「現品ヲ添へ便宜ノ鎮守府司令長官ニ送付スヘシ但シ艦隊司令長官ニ於テ必要アリト認メタル戦利品ハ海軍大臣ノ認許ヲ受ケ出征地ニ於テ其ノ儘使用又ハ消費スルコトヲ得」。第三条「鎮守府司令長官ハ前条ニ依リ戦利品ノ送付ヲ受ケタルトキハ速ニ其ノ品名及数量ヲ海軍大臣ニ報告シ該品ノ処分結了迄部下官憲ヲレテ適宜之ヲ保管ヤシムヘシ」と。第四条「戦利品中艦船ノ処分ニ関シテハ海軍大臣之ヲ定ム」、こういうふうなずっと規定があるわけですけれども、この記録があるはずだと思うんですが、この点はいかがですか。
○説明員(桜井直君) ただいま先生が御指摘されました海軍戦利品取扱規程に基づきます記録が何かあるんではなかろうかということで、いま私どもいろいろ資料を探しておる最中でございますが、現在のところまだ発見されておりません。
○野田哲君 また外務省に伺いますけれども、戦時国際法の解釈といいますか、取り扱いで、軍艦の拿捕については、「拿捕ハ、拿捕船ヨリ其将校及乗員ヲ、拿捕セラルル艦船ニ送リ、」「其権内」と、そういうふうになっておりますが、それとあわせて搭載された品物については、艦船を拿捕した場合には搭載された品物も合わせて戦利品になるんだという説と、それからいわゆる戦争に使う物以外の品物についてはこれは拿捕した物にならないんだと、これは別なんだと、こういう説がアメリカやイギリスなどで分かれているんだと、こういうふうな点、これは一体どういうことに解釈すればいいんですか。
○説明員(野村一成君) ただいま先生から御指摘のございました点につきましては、特に戦時国際法上、敵国の軍艦につきましては、これを拿捕した時点でその軍艦の船体のみならずその積載品のすべてにつきまして、その相手側と申しますか、拿捕した側に所属する。したがって、相手側艦船の側に一切の権利がその時点で直ちにかつ最終的に消滅する、そういう考えをとっております。
○野田哲君 そうすると、日本側としては、国際的に言えば分かれている議論だけれども、搭載品についてもすべて拿捕した側のものに権原が移ると、こういう解釈なんですね。
○説明員(野村一成君) いま先生の御指摘になりました学説が分かれているという件につきましては、拿捕という場合もいろんなケースがございまして、たとえば中立船舶を拿捕しまして捕獲審検にかけるというような場合、これはよく使われるケースなんでございます。そういう場合には、ただいま先生の御指摘になりましたような点が問題になるかと思うんでございます。本件の場合は敵国の軍艦でございまして、この点につきましては、戦時国際法上、私、先ほど申しました点で問題はないと、そういうふうに考えておりますし、また日露海戦当時、ナヒーモフだけではございません、幾つか拿捕した、捕獲したロシア側の軍艦があるわけですけれども、すべてそのように処理してまいっております。
○野田哲君 問題はいま当然引き揚げが行われているという、この引き揚げの目的についても、あるいは七十五年たったときにソ連が権利を主張してきたのも、問題は、ナヒーモフ号に搭載をされていた品物が問題なんだと思うんです。
 そこで、その搭載品ですが、ナヒーモフ号には莫大な価格の搭載品があったということなんですが、一説によると、このナヒーモフ号が沈没する際に、莫大な金額の搭載品が日本側に渡って戦費に使われることを懸念をしてキングストンバルブを抜いて沈むようにしたんだと、こういう説があるわけですけれども、この搭載品の内容を示すものとして、これはナヒーモフ号がソ連側の皇帝などが乗る船として建造されて、そのために中に大変な財宝、金貨等が搭載をされていた。その根拠として、当時のフランス駐在の林大使の電報があるという報道があるわけですが、この電報は一体どういう内容のものが示されているんですか。
○説明員(堂ノ脇光朗君) ナヒーモフ号の沈没の事件は何分七十五年前の事件でございまして、それに積まれておりました財宝がどのような目的のためのものであったかという点につきましてもいろいろ推測がございますが、今日の時点でこれを断定することはなかなか困難でございます。
 ただいま先生の御指摘ございました在仏林大使が外務省に電報を打ったというような記録もございますので、外務省におきましてもこれを調べてみましたが、当時はまだフランスにおきましては日本の大使館は設立されておりませんで公使館でございまして、林という名前の大使ではなくて別の方がおられた、本野公使がおられたというのが事実でございます。したがいまして、先生の御指摘ございました林大使からの電報というのも、いろいろ探してみたんでございますけれども、見つからない状態でございます。
○野田哲君 官房長官がお見えになりましたので、話をまた別のことに変えていきたいと思うんですが、まず一つは、公務員の給与の取り扱いについて、国会が始まってもう一カ月近くになっているんですが、他に予定されているこの臨時国会で審議すべき法案は政府側から全部提出をされて、公務員の給与の取り扱いに関するものだけが依然としてたなざらしになっている。こういう状態については、毎回給与法を審議するに当たって、四月からの給与の引き上げ分が公務員の場合には十一月、十二月ごろにならないと決まらないという状態については改善をすべきであるという議論がずっとなされてきているわけですし、その都度政府は、早期にこの勧告が出た後の国会に法律を提案をして、審議、決定をしていただくと、こういう答弁を繰り返しているんですが今回はこの法案すらまだ提出をされていない。国鉄や郵政関係もやっと議決案件という異例な状態で今明日決まりがつくという状態なんですが、一体この公務員の給与の取り扱いについてはどのように運ばれようとお考えなのか、まずこの点を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 公務員給与に関します人事院勧告につきましては、政府は従来からこれを尊重するという基本的なたてまえをとっております。ただ、今回の場合、御承知のような財政の事情でございますし、また公務員の定年あるいは退職金等に関する法案も提出をいたしております関係もございまして、それらのことを総合的に考えなければならないという事情がございます。で、関係閣僚会議をすでに開き、また非公式にもう少し狭い範囲での閣僚が何回か集まりまして取り扱いを従来協議してまいりましたが、今日午後、正式の関係閣僚会議を開きましてこの取り扱いにつきまして相談をいたしたいと、こう考えております。
○野田哲君 閣議決定の予定、腹づもりというのをお持ちでしたら、何か新聞報道では三十一日には決定されるんじゃないかというような報道もされておりますが、この点はいかがですか。もう連休明けになってきますと、官房長官、会期は御承知のように迫っておりまして、実質的にはもう十日ばかりしかない状態なんですね、連休明けますと。そういう状態では、もうとてもこの臨時国会では処理し切れるような状態ではないと思うんですが、一体いつ決めて、いつ出されるおつもりなのか、その点いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今日関係閣僚会議を開きますが、その結論をいまから予測して申し上げるわけには実はまいりません。従来かなりいろいろな議論をいたしております。しかしながら、ただいま野田委員の言われましたような連休等との日程もよくわかっておりますので、私としてはできるだけ早く閣議決定に持ち込みたい、努力目標としてはそのように考えております。
○野田哲君 給与法の問題はわかりました。
 もう一つ、いまちょっと断片的に長官聞かれたと思うんですが、ずっと一時間ばかり、いま日ソ間で非常に問題になっているナヒーモフ号と思われる艦船積載物の引き揚げ問題を通じての議論をやっていたんですが、日ソ間の国際的な問題になってきておりますので、政府としてもソ連に対して最終的なきちっとした見解を出さなければならないんだと思いますし、また、その結論によって国内的に処理する場合にもやらなければならないことがあると思うんですが、この取り扱い、関係各省を取りまとめる立場にある官房長官としていまどういう判断をされておられますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ソ連側の申し入れに対しましては、もし当該艦船がナヒーモフ号でございました場合には、それはソ連がそれについての権利を一切有していないということにつきましては、すでに外務省からソ連側に回答をいたしました。これについては政府委員からすでにお聞き取りいただいたかと存じます。
 したがいまして、残りは国内の問題でございますが、いまの時点におきましてナヒーモフ号及びその積載品が国の財産であるかどうかということにつきましては、実は関係各省庁の間で資料等を集め、調査などをいたしておりまして、まだ国内法上どういうふうにそれを認定するかということを決定いたしておりません。いずれ決定をいたしましたら御報告ができると思いますが、ただいまはそのような状態でございます。
○野田哲君 長官もう結構ですから。
 長官お忙しいですから退席をしていただいて、もう少しいまの続きの議論を大蔵省それから外務省と進めたいと思うんですが、戦時国際法によって拿捕した戦利品だと、こういうことで外務省なり大蔵省なりは対処されようとしているわけですが、この戦時国際法による戦利品であるとするならば、戦時国際法、戦争中はそれでいいと思うんですけれども、戦争が終結した状態のときに拿捕した艦船等につきましては、戦争終結のときに取り決めを当事国同士でされなければならないと思うんですが、そういう取り決めの点はいかがになっておりますか。
○説明員(野村一成君) お答え申し上げます。
 日露戦争の講和条約としまして御存じのポーツマス条約が締結されたわけでございますけれども、この条約には、拿捕しました艦船等の取り扱いについては特に規定はございません。これはナヒーモフ号だけじゃないんでございますけれども、旧帝国海軍が戦時国際法にのっとって戦利品として拿捕したという軍艦に関する権利の問題に
 ついては改めて講和条約で書く必要がなかった、そういうことのためであると考えております。また現に七十五年間も、先生御指摘のとおり、経過しているわけでございますけれども、この点につきまして特に問題になったというケースもございません。
○野田哲君 そうすると、沈没して海底に沈んだんだから書かなかったということじゃないかと思うんですね、処理について。いまの官房長官の説明によると、国有財産であるかどうかまだ結論が出ていないと、こういうことなんですが、民事局はきょうは来てもらってないんですが、大蔵省の関係者に伺いますけれども、戦争終結のときの処理にも明確に取り決められていないし、七十五年間も海底にあったということですから、これはどうなんでしょうか、戦利品、国の所有に帰するべきものかあるいは無主物という扱いになるのか、その点大蔵省としてはどういう見解をお持ちですか。
○説明員(桜井直君) ただいまいろいろお話がありますように、これが戦利品となった段階で日本国政府の財産になったという点は間違いなかろうと、疑う余地はないだろうと私ども思っておりますが、それ以来七十五年たっておりまして、いろいろ巷間伝えられておりますように、沈没船の引き揚げ等したいというふうなことをいろいろやられたという事実もございます。したがいまして、その間の事実関係と、それに伴いますさまざまな法律関係等を調査しないことには、一体どういうことであるのか何ともはっきり申し上げられないというのが現在の状態でございまして、早急に結論を出すべく私ども鋭意いま仕事をしているところでございます。
○野田哲君 そうすると、いまの官房長官のお答えでも、ナヒーモフ号だと推定をされるあの対馬付近海でいま引き揚げが行われている沈没船、この所有権者については明確でないと。戦利品だということであれば国の物ということになるわけですけれども、それから七十五年も経過をしているということ、場所も当時は公海であったというようなこと、いろいろ説があるんだろうと思うんですが、いずれにしてもしかし日ソ間で国際上問題になったものですから、その所属の権原が明確でないということであれば、早急にこれを明確にすると同時に、これだけ日ソ間でも問題になっているわけですから、民間の企業が所有権者も決まらないのにどんどん引き揚げをやっている。そうしてしかも、引き揚げた品物については北方領土と引きかえならソ連に渡してやってもいい、こういうようなことを記者会見で広言をするようなことは僭越しごくじゃないかと思うんです。所有が決まらないなら決まらないでそれを検討して早急に結論を出すと同時に、はっきりするまではこの引き揚げ作業については差しとめるべきじゃないかと思うんですが、この点は大蔵省いかがですか。
○説明員(桜井直君) 先ほど申し上げましたように、この所有関係につきましては、その後の事実関係でいずれの所有になるか、国の所有と相変わらず言えるのか、あるいはそればもうすでに国の所有から離れているのかどうか、この点はっきりしないわけでございますので、まずその辺の検討を早急にいたしまして、その結果を待ちまして中止命令を出すか出さないか、その辺のことは検討をしたいと、その結果を待って判断したいというのが現在私どもの考えているところでございます。
○野田哲君 政府の検討している間に引き揚げがどんどん進んでいって、引揚者の方は引揚者の方でこれ営業活動、企業活動としてやっているんですから、これは処分していったときには一体どうなるんですか。その後であれは国の物だよという結論が出たときには、一体その経過はどうなるんですか。もしそういう勝手な処理がされておるとすれば、これは窃盗ということ、横領ということになるんじゃないですか。いかがですか。
○説明員(桜井直君) 私ども詳しくあれは知っていないわけでございますが、実はこの引き揚げております場所は対馬の沖でございまして、あそこでは事実上引き揚げ作業というふうなことができるのは、非常に海底、海の状態のよろしいときでも月に大体数日と言われておりまして、十一月以降になりますと、ほぼ作業が非常にむずかしくなってきているところではないかというふうに伺っております。引き揚げ作業に当たっております会社の責任者もそのように申しておりましたところでございますので、恐らくもう現在引き揚がっている物以上に引き揚げがなされる見込みは、当座はないのではなかろうかと私ども見ております。現在の引き揚げ作業そのものも、本格的な引き揚げをいたします前のいわば調査的な引き揚げをしようということで作業をしているというのが会社側の説明でございました。
○野田哲君 いや、それにしてもソ連に対しては、戦利品であれは日本の物だと、こういう答えをしているわけですね。戦利品ということになれば、これは国の所有でしょう。そうして、これは廃棄処分とか譲渡処分がされていない限りは、国の物だということをソ連に対して主張した以上は、やはりそれが現に民間企業によって引き揚げ作業が行われている状態というのは、これはやはり国で管理をする状態にしなければならないんじゃないですか。これからもずっと、何か十一月ぐらいまでは継続するんだというようなことを言っておられるようですが、その点どうですか。
○説明員(桜井直君) 先生のおっしゃることはよくわかりますので、私どもも早急にこの結論を出しまして、しかるべく適切な措置をとるようにしたいと思いますので、よろしく御了承をいただきたいと思います。
○野田哲君 何か説によると、先ほど海上保安庁では船名がテンオーという名前だという、そこであの引き揚げ作業というのは、実は一つのテストケースであって、小ライアルであって、本当はもう一つ別の船が予定をされているんだと、それがテンオー丸という船なんだと、これはオランダのテンオー号というのですか、オランダの船で舞鶴沖に沈んでいるんだと、本命はそれなんだというような説も流れているわけですね。そういたしますと、これは戦利品かどうか、沈没した船かわかりませんけれども、いずれにしても日本の海域には、いまのナヒーモフ号ではないかと言われている近くにも、やはり日本海海戦でほかに沈んだ船があるという記録もあるわけですね。
 そうすると、やはり日本の海域で幾つも沈んでいる船、これについてやはり調査をして、その所有権についてはそれぞれ明確にしておかなければ、また技術がどんどん進歩していって、海底の数十メートル、百メートルというようなところで沈んでいて、もうあきらめかけていたようなものが企業活動によってどんどん触手が伸ばされていくと、こういうことになったときに、その都度この所有権問題を通じて外国ともトラブルが起きる、国内でもいろんな所有権争いが起きる、こういう状態が続くのじゃないかと思うので、これらの措置を含めて、早急に私は大蔵省なり法務省なり外務省なりで統一的な見解、措置をとられるべきじゃないかと思うんですが、この点いかがですか。
○説明員(桜井直君) 確かに、先生おっしゃいますように、第二次大戦当時沈みました船が多数あるわけでございますが、実はその沈みましたといいましてもいつどこで沈んだか、その沈んでいる場所が明確になっているというのはきわめてレアケースでございまして、一般には何かのサルベージ等の作業をしている段階でたまたま発見される、それをいろいろな記録等に照らして日本のどういう船であるというふうなことがわかるというケースが多いわけでございます。そういうものにつきまして、たとえば日本の領海に沈んでいるようなものにつきましては、現在大蔵省の方で所管していることになっておりまして、この沈船につきまして売り払い申請等が参りますれば、その段階で売り払い等の契約をいたして処理すると、そういうことにしております。
○野田哲君 外務省に伺いますが、あなたの方は、あの船は拿捕した戦利品で当然日本のものだと、こういう回答をされているわけですね。ところが、現実には民間の企業が引き揚げをやっているという状態がずっと続いている状態で、あなたの方はソ連に対して日本の戦利品だという主張が貫き得るんですか。当然これはやはり国の管理下に置かなければそういう主張はできないんじゃないですか。いかがですか。
○説明員(堂ノ脇光朗君) ソ連側から十月三日に申し入れてきましたことは、ナヒーモフ号であるという前提でございましょうが、ナヒーモフ号については、ソ連側の解釈する国際法によれば旗国以外のいかなる国の管轄も及ばないということを言ってまいりましたので、これに対しましては、沈没する前に日本側で拿捕行為を終了しておりますので、拿捕行為を行った時点でソ連側のものでなくなったということを回答すれば十分であるという立場から、その点につきましてまず回答したわけでございます。国内的に、これが戦利品とされた後、日本国の財産であるのか、あるいは民間のどなたかがこの財産権を引き継がれたかは、その点につきましてはいまだはっきりしないということでございますから、この点は今後の検討にまつということでございましてソ連との関係におきましては、私どもはこれでこの問題は解決していると考えております。
○野田哲君 そこのところがどうも私は納得がいかないんですが、戦利品として日本のものになったということで、先ほど、戦利品、拿捕したものである以上は、海軍の戦利品取扱規程による何かの事務処理がされていなければならないはずだと思うんですが、それば沈没したんだからないんだろうということで、現実ないんだと、こういうことですが、いずれにしても、しかし戦利品だと、拿捕した船だと主張したその船が沈んだわけですけれども、拿捕した船だから国のものだということに一遍なっているわけですね。そうすると、それはあとはだれのものかわからないということ。これは民間のいわゆるあの海洋開発、あの会社が自由に引き揚げられるものだとすれば、その会社に対して払い下げ措置か何か当然国としての手続がとられていなければならないんじゃないか、あるいは引き揚げ作業はやるが取得品についてはこうしろというような国との間の取り決めがなされておかなければ、何にも記録がないのに戦利品がいつの間にか民間のものになっていたということはあり得ないのじゃないかと思うんですが、いかがですか、それは。
○説明員(野村一成君) 戦利品ということになりますと、特にソ連との関係ではもう一切のロシア――当時ロシアでございますけれども、ロシアの権利が消滅したということで非常に権利関係がはっきりしておるわけでございます。あとは、冒頭にございましたように、このナヒーモフであるかと言われているものが現在存在しているのは日本の領海の中であるということでございますので、これは先ほど御説明ありましたように、大蔵省を中心としまして検討すれば足りる問題だと、特にソ連との関係につきましては、先ほどの当時の権利関係の消滅でもって十分説明し切るし、また今後ともそのようにして対処していきたいというように考えております。
○野田哲君 だからそれはわかりました。ソ連との関係については、拿捕した戦利品だという主張をやっているんだ、その根拠としては軍令部がつくった明治三十七、八年の海戦史をもとにしてその主張をやっているんだ、これはわかりました。
 そういう主張をした以上は、今度は国内手続がきちっとされていなければならないんじゃないですかと、そうでなければ、あの日本海洋開発というところが自由に引き揚げたり、あるいはその処分についても笹川さんが奇想天外なことを主張したりする根拠はないんじゃないですか。そこのところが一体どういうけじめがつけられるべきものなのか、この点を聞いているんです。
○説明員(桜井直君) 繰り返しになりますが、戦利品となった段階では日本国政府の所有であったことは間違いございません。しかしながら、その後におきまして引き揚げようとする方が何人か民間にもございまして、当時の国の方に払い下げ申請をしたというふうなことを申しているわけでございます。それに対して国の方では、大分昔の話になりますけれども、自由に引き揚げて結構ですというふうな話をしたとか、あるいはそうでないまでももう長いこと自分たちが沈没個所を探しまして引き揚げていたために、もうすでに自分たちの所有になっているんだということを言う方がございまして、そういういわば自分たちの所有物を引き揚げるのだという考え方で現在の引き揚げに当たっております会社の方は引き揚げているということでございます。ですから、引き揚げている方は、自分たちの所有物になっているんでそれを引き揚げているんだというふうにおっしゃっているということでございます。
○野田哲君 それは、一体どういう根拠に基づいてそういう主張をされているんですか。これほどいまソ連との間で、国際間でやりとりがされているんですから、よほどしっかりした根拠がなければ、もしかして日本側の主張が国際的に覆った場合には、結局はソ連の主張のとおりになったと仮定した場合には、これはいま日本の国内の民間人がおれのものだということで自由にやっていることを全部もとへ復さなければならないことになるわけでしょう。一体政府部内ではその辺の問題についてどういう検討が関係各省の間でされているんだろうかという点、そこの戦利品、拿捕した戦利品だというところまでは海軍の記録を根拠にしてやっているんだけれども、そこから先、国が分捕ったものがなぜ民間が自由にできるような状態になったんだろうか、ここのところが私はどうしても理解ができないんです。
○説明員(桜井直君) いま申し上げましたように、長年の間にその沈没場所を探しまして引き揚げたので、いわば自分たちの所有になっているのだというふうなことを主張される方もございますので、その辺をひっくるめまして、私どもいま事実関係の調査を行い、また法律関係等につきまして関係省庁と協議をして結論を出したいと、かように考えているわけでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
○委員長(林ゆう君) 速記をとめてください。
   〔午後零時三十分速記中止〕
   〔午後零時四十分速記開始〕
○委員長(林ゆう君) 速記を起こして。
○中尾辰義君 私は、行政改革に対する基本的な問題につきまして、中曽根長官に若干お伺いをしたいと思います。
 最初に、鈴木内閣が発足をいたしまして中曽根さんが行政管理庁長官に就任されたわけでありますが、去る九月の十二日の閣議において、長官から「今後の行政改革に関する基本的な考え方」、これが説明をされておりますが、この内容は後で聞くことにいたしまして、せっかく鈴木総理大臣に嘱望をされて行管の長官に就任をされた。それだけ非常にこれは大事な問題でありまして、財政再建の点からいっても最大の政治課題でもあるわけでございますので、長官の行政改革に対する基本的な見解と決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行政改革は、現在の政治課題の最重要課題の一つであると心得ております。
 一つは、終戦以来三十数年たちまして、行財政が非常にうっせきして民意の暢達が必ずしも理想どおりはいっておりませんで、また中央と地方、あるいは官業と民業、そういう関係におきましても、民間の活力がややもすれば行財政によって阻害されているという沈でん物が出てきておる情勢も看過できません。
 また近来は、石油危機以来、国民の皆さんは危機を突破するためにみんな、あるいは財産を売り、株を売り、夜なべ仕事をし、いやな首切りまでやって減量経営に努めて石油危機を突破してきたわけでございますが、国がお金がないという段階になってすぐ増税というところへ短絡的に結びつくことはいかがであろうかと。やはり国が、中小企業の皆さんが御苦労なすったと同じ苦労をせよ、国有財産も売りなさい、あるいは余っている金をかき集めて国債を減らすお金にしなさい、公務員も綱紀を粛正してサービスの改善に努めなさい、あらゆる努力をして、その政治姿勢を正した上でなければ御政道の筋は通らない、そういう信念に立ちまして行政改革に思い切った力を入れて政治姿勢を正し、国民の御理解と御支持を得る一助にしたいと、こういう考えに立脚していただきました。
 もう一つは、八〇年代、九〇年代になりますと、行政の内容や体系も非常に大きく変化する可能性がございます。石油危機というような問題も出てまいりましたし、国際関係も非常に大きく影響してまいりますし、それからコンピューターが出てまいりまして、一面においては行政の公開が要求されますが、一面においてはプライバシーの保護も要求されるという段階になりまして、いままでと違った要素が行政の体系に出てまいっております。そのほかに、民間の活力を阻害しているものがかなり見えるではないかと、そういう点から官業と民業の限界点をもう少し洗い直したらどうであるか、あるいは中央が地方に対して余りオーバーなことをやっておりはしないか、そういうようないろんな新しい問題が出てまいっておりまして、それらに対する新しいビジョンをつくって、しっかりとした哲学や体系のもとに行政の基盤をつくりつつ具体的な問題を断行していく、そういう段階に入ってきているように思います。
 そういう全般を考えまして、行政改革の三つの柱をつくりまして、そしてそれを目下懸命に推進しているところでございますが、何と申しましてもこのような内外の情勢のもとに政治の姿勢を正すと、そういう意味におきましても、政府がまず汗を流して一生懸命やるという誠意を示すことが私は大事であると思いまして、微力ではありますが、一生懸命努力しておるところでございます。
○中尾辰義君 そこで、行政改革という問題は長期的な視点に立ちまして計画的に実行されてしかるべきものじゃないか、こういうことに思っているわけですが、鈴木内閣は大平内閣の基本路線を踏襲する旨を明らかにされておるわけでありまして、前の宇野長官は、まず器減らし、それから仕事減らし、それから人減らし、こういう順序で行政改革を進めたい、こういう観点からいわゆる五十五年行革の方針として出たわけでありますが、これはもう予算委員会等、前国会で何回も答弁をされておるわけです。しかし、今度中曽根長官が決められた「今後の行政改革に関する基本的な考え方」、これを見まするというと、いわゆる機構いじりや器減らしを重点とするものではない、仕事減らしをするのが柱である、こういうふうにここに書いてありますが、長官がかわりますとこういうふうにすぐ変わってしまうのもどうもおかしいな気持ちもするんですが、これは長官、どのようにお考えになっていらっしゃいますか、この点を少し説明していただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 宇野長官はかなり一生懸命よくやったと私たちは評価しております。しかし、残念ながら解散等がありまして、行革関係の重要法案が八件国会を通過しておりません。そういうような情勢を見ますと、宇野長官がやり残した仕事をまず完成させるということが現実的に実りのある大事なことであると思いました。そういう面からいたしまして、宇野長官のときは器減らしというところにわりあいに手がかけられたのでありますが、私の場合は、器の方は宇野長官がまだやれなかった法律を成立させる、そういうことで行政管理庁の力としては精いっぱいであります。
 そこで、次の仕事である仕事減らしというところへ矛先を向けまして、法律、政令の整理、許認可の整理あるいは特殊法人の見直しあるいは審議会の整理あるいは地方公共団体における定員の管理の要請、そういう面で仕事減らしを実質的に切り込んでいく、そういう方向を決めたわけでございます。
 そのほかやはり行政の本質は、一つは、国家の統治行為の一つの手段でありますが、国民の側から見、また行政の内在的な性格を見ると、国民に対する奉仕でございます。その奉仕ということをもっと徹底させて、公務員あるいは地方公務員あるいは政府関係機関の職員に自覚のある、そしていままでよりもさらに徹底した奉仕を実現しよう、そういう考えに立ちまして、行政サービスの改革ということを最重点の一つに入れまして、いま一生懸命努力しておるところでございます。
 それと同時に、八〇年代を展望した行政のあり方についてある方向――哲学とか、体系とか等決めていただく基礎的な準備をしようと、そして案をつくっていただいてそれを次の段階に断行する、そういう方向を考えている次第でございます。
○中尾辰義君 大体長官の意向もわかりましたが、結局は前の宇野長官のときに発表になりましたいわゆる五十五年行革、これは一部は実施されましたけれども、まだ残っておるわけでありますから、これを処理をする。あと違うところは、新聞にも出ておりますが、第二臨調をつくるのだと、今国会に法案が出る予定になっておりますけれども、それが少し違っているだけのことじゃないかというような気がするんですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 行革の中身といいますか、項目というものは、大体器かあるいは仕事かあるいは人かあるいは機能か、どっちかいずれかのところへ手をつけて、それを簡素能率化していくということにあると思います。それで、その内閣その内閣がいま手を入れなければならぬところがどこであるかということを見据えまして、内閣が歴代相受けて足らざるところに手を入れて補って改革していくということであると思いまして、私の段階におきましては、ただいま申し上げました線を重点的にやっていこうと考えておる次第でございます。それで、八〇年代九〇年代の行政の展望という点につきましては、宇野長官のときより一歩前進してこれを実行の段階に移してきたと考えております。
○中尾辰義君 そこで、先ほどもちょっと申しました新聞にもちらほら出ておるんですが、この第二次臨時行政委員会ですか調査会ですか、この法案を今国会に提出されるというふうに出ておるわけですが、この法案が出たときにお伺いすればいいと思うんですけれども、少しお伺いしておきたいと思います。
 これは、第二臨調の課題というのはどういう点にあるんですか。それから委員の数、あるいは構成、結論が出される期間、それから第一次臨調の答申実施のために設置されたいわゆる行政監理参員会はどうされるのか、この辺のところ、長官の構想をひとつお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) いわゆる第二臨調といわれておりまする臨時行政調査会の設置につきましては、坂井委員が二月の委員会で宇野長官に御提案になっておりますが、私もその速記録も拝見いたしまして、その御提案の趣旨も取り入れまして発想の根拠にさせていただいた次第でございます。先ほど申し上げましたように、八〇年代以降の日本の政府は一体どういう形におさまったらいいのか、あるいは行政の機能というものはどういうふうにあるべきかと、そういうような基本的問題について御討議をいただき、また案を策定していただくと、こういう意味でございます。それでこの法案は衆議院に提出いたしました。そして委員は九名で構成するということにしてございます。そして大体二年でこの委員会は終了にいたします。この委員会が成立すると同時に、現在の監理委員会は廃止いたします。そして、この二年以内に総会をどんどん開いてもらいまして、途中であっても案ができたものは総会で決定していただいてそれを実行に移すと、こういう考えに立っております。それから、この委員会の権限でございますが、この答申は内閣総理大臣は尊重しなければならぬと、それと同時に、内閣総理大臣に対して、内閣総理大臣を経由して両議院にその意見書を提出を求めることができると、こういうふうにしてありまして、議会の各議員の皆様の御高覧に供すると、そういう手続も法律上してございます。
 以上でございます。
○中尾辰義君 そこで、これはまあなるほど臨調のことはわかりましたが、宇野長官がこういうことをおっしゃっているんですね。これはことしの二月四日の衆議院予算委員会で、三十九年当時の第一臨調にも匹敵する大規模な調査会を設ける意思はないかと、こういう質問ですが、これにこうおっしゃっている。一つの提案かもしれないが、国民のいまの行革に対する熱意、要望というものはできるだけ早くこれにこたえるというのが今日の状態と思うので、極力実行に手を染めていきたい。臨調のような大仕掛けのものをつくると三年はかかる。今日までの経緯もあるし、われわれも十分資料を持っているので、できるならそういうものを中心に進めていきたい。長官とは反対のことをおっしゃっているんですね。ですから、この宇野長官の答弁に対してどういうようなお考えを持っていらっしゃるのか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 宇野長官の時代は、やれ鉄建公団だ、やれKDDだというようなわりあいに臨床的な問題に関する国民の批判が非常に厳しい時代でございまして、そういう面からも、機構等に手をつけて、そしてその法律を成立さすべく懸命の努力をしておったときであると思います。したがいまして、自分が抱えているそれらの問題を処理するのは、あの当時は非常に大きな仕事であるという考え方から、将来の展望というところまで気が余り進まなかったんではないかと思います。私の段階になりましてその法律も提案されておりますし、一部は成立もしておりますし、したがいまして、さらに一歩前進する段階に入ってきたと。しかも内外のそういう行政のあり方に対する要望というものが非常に強くもなり、行政上からも必要になってきておる次第でございます。そういう面から、坂井さんが委員会で御発言になりました趣旨にも私は同感するところもございまして、そして踏み切ったわけでございます。
○中尾辰義君 それで、いろいろこれは批判もあるようですので、一点だけこれ聞いておきますが、第一臨調の当時、これは答申が出てできなかったのもたくさんあるわけでありまして、その後はいま長官もおっしゃったように情勢も変わってきておりますが、一番大事なことは、この行政改革というものが日本の財政再建という最も大事な政治課題に対してどのように寄与するかということであります。
 その点ちょっとお伺いしたいんですが、財政の内容につきましては、もう長官御存じのとおり、これは赤字国債を昭和五十九年までにその発行をゼロにすると。五十九年といいますとあともう四年しかない。そして第二臨調の答申が出るのが、ことし法案が通りましてそれから調査会のメンバーをつくって答申が出ると、二年か、下手すると三年近くかかるわけですが、これでは財政再建にちょっと間に合わぬのじゃないかと、こういう批判もありますが、その点いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第二臨調は八〇年代、九〇年代を見通しました行政のあり方というものの基礎並びに具体案を決めていただこうと、こういう考え方でございますが、その委員会の成立をまたずとも、現在われわれは国債を減らすために、また政治の姿勢、行政の姿勢を正すために懸命にやれることはどしどしやっておる最中でございます。
 宇野長官も本委員会でお答えしたと思いますが、五十五年行革によってどれぐらい経費が節約できるかという御質問に対しまして、たしか二千億台の二千二百七十億でございましたか、答弁されておるように記録で拝見しております。補助金の整理等も三千八百件あるうち四分の一ずつ減らしていくと、こういうことで本年度は各省別に割り当てをしまして、大体どの程度やってきたかという話もしております。それから、来年度も同じようにこれを消化するように、具体的目標を掲げまして努力しております。
 これらは、予算編成の過程で大蔵省と各省が折衝する過程にそれを具体化していくという考えで、この十二月までに来年度分を決めるという関係になっております。このようにして、金額的に見たら十五兆の国債に対してそれほど大きな金額ではございませんけれども、しかし、できる限りの努力をしているという政治姿勢をお示しするという一助にはなると思いまして、やっぱり一生懸命努力していかなければいかぬと、そう思います。
○中尾辰義君 それで、大体長官の答弁聞いておりますと、いわゆる中曽根行革というものは、宇野長官の後を引き続いて五十五年の行革のその積み残しを完全実施をすると。それから、新しく第二臨調を設けて将来の展望に対処していくと、そういうことのように思います。
 そこで、「今後の行政改革に関する基本的な考え方」、これによりますと、当面の検討課題として行政サービスの改革の推進、それから事務・事業の縮減と移譲、中央省庁内の自主的・計画的な組織編成の推進、審議会等の廃止整理、公務員倫理の高揚、地方公共団体における定員の抑制、こういうものを挙げておるわけでございます。
 そこで、一点お伺いしたいのは、新聞等の報道によりますと、第二臨調におきましていわゆるオンブズマン制度について導入を審議をしてもらう、こういうふうに出ておるわけですが、オンブズマン制度というのは、ヨーロッパ諸国で北欧にもありますし、私も見てまいりましたけれども、わが公明党もこれは主張しておるわけですが、長官としてオンブズマンの設置を早急に実現することについてどういうようなお考えを持っていらっしゃるのか。まず長官の、特にオンブズマンの導入に対してのお考えをお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) オンブズマン制度に関する野党の皆様方の御提案を拝見しておりますが、野党の皆様方の御提案は国会に置く、いわゆるパーリアメンタリー・コミッショナー、そういう性格のように拝見いたしました。そういう国会に置くものに関しましては、これは行政管理庁の権限外のことでございまして、各党の政調や国対でお話し願うべきものであると考えております。
 ただ、行政管理庁としましては、国会に置くやり方と、それから行政各部内に置くやり方とございますので、行政各部内に置くやり方についていろいろ研究してまいりました。林修三委員を委員長にいたしまして研究会をつくりまして、スウェーデンそのほかにも視察に行ってもらいまして、いまも研究会を持続してやっておるところでございます。いかにしてこの日本の風土に合った効率的なオンブズマン制度をつくれるかということが、いま研究の焦点でございます。行政管理庁という役所がありまして、行政相談委員あるいは全国に支分部局を抱えて監察等やっておりますが、行政各部の中に置くオンブズマン制度というものが屋上屋を架すことになりはしないか。置くという以上は、非常に権威のある効率的なものでなければならないけれども、それが内閣制度の中においていかに機能し得るかどうか。そういう点もよく考えなければならぬ点でございまして、その点を目下研究しておる最中でございます。
○中尾辰義君 これは事務局の方でもいいですが、ヨーロッパ方面、北欧等におきましてオンブズマン制度が定着しているわけですが、その実情、現況についてお伺いしたい。
 それから二番目に、いま長官の答弁ありましたけれども、われわれとしては行政府にオンブズマン制度を置いても、いまもお話があったような屋上屋を重ねるようなことになりはせぬかということで、議会の附属機関としてこれを置いた方がいいと思うんですが、もう一度長官の御意向、後でいいですからお伺いしたい。
○政府委員(中庄二君) お答え申し上げます。
 諸外国のオンブズマン制度でございますが、スウェーデンを発祥の地にいたしまして、まずスウェーデンでございますと、議会の附属機関として設けられております。先生御存じのとおり、苦情の申し立てのほかに職権で調査もできるという権限を持っております。北欧諸国でございますと、デンマーク等もそういう型でございます。
 イギリスも議会に設けられておりますが、国民から直接受けるわけでございませんで、議員を経由して、いわば間接的に苦情の処理に当たるという型がございます。
 フランスも同様でございまして、これは大統領任命でございまして、行政府の一つではございますが、これもやり方としまして間接的に議員を通じた苦情の処理に当たるというふうな型でございます。
 各国の国情、風土等によりまして、一口にオンブズマンと言われておりますが内容に非常に差はございますが、全部共通して申し上げますと、いわば行政芳情といいますか受け身の型の行政救済の形、それからもう一つが、オンブズマンがいわば自分の権限で積極的に行政の監視なりに当たる機能と、こういう二つになりますが、現在の機能を見ますと、主に前者の行政の救済の方が中心ではないかというふうに見ておる次第でございます。
 行政管理庁では、いま大臣から御答弁ございましたように、各界の権威者にお集まりいただきまして、これで七回ほどやりました。外国の制度の研究をほぼ終わりまして、日本の国内の研究にいま入っておるところでございます。
○中尾辰義君 それでは長官。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国によってみんな国情が違いますから、それぞれに応じたオンブズマン制度をつくっておるように伺っております。たとえばスウェーデンのような場合は、一般の行政事務の、行政体系に固有の行政事務という分野については機会の権限が及ばないようであります。議会に対して責任を持たない、そういう分野はあるようであります。国務大臣は、議会には責任があるけれども、行政長官的な仕事をやっている部面というのは議会と別にあるというやに伺っております。そういう分野に対してオンブズマンが行政救済を中心に働いておる。しかもたとえばイギリスのように、人民から直接苦情が来るのを受けるというやり方でなくして、国会議員を通じて来る苦情を受け付けてそれを処理すると。それがいわば行政各部がやっているようなことの救済をオンブズマンを通じてやると、そういうような制度の由に伺っております。
 したがいまして、国によって千差万別の方法をやっておるので、日本のようなこういう体系を持っている国について行政各部の内部のオンブズマンというものを置く場合に、屋上屋を架さないように、しかも税金や経費のむだにならぬように効率的に置くにはどういう方法があり得るか、またその必要ありやなしやという点につきましても検討している次第なのでございます。
○中尾辰義君 それはまた後日質問することにいたしまして、次に長官は、新聞等の情報によりますと、あちこち飛び回っていらっしゃる。防衛庁長官のときも空飛ぶ長官と、ジェット機に乗って回られたんです。一昨年の自民党の総裁選出のときには、国民の声を聞くということで地方を回られた。今回は歩く行管庁と、こういうような新聞記事も出ておるわけですが、名古屋や大阪で経済界や自治体などの代表者と懇談をされたというふうに報じられておりますが、どういうような方々と話をされ、どういう点が問題になったのか、どういう効果が上がったのか、その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり行政を預かる者といたしまして、国民の皆さんの直接の苦情をお聞きする、またわれわれの考えも申し上げるという直接の交流が非常に大事であると、そういうように思いまして各地でそういう懇談会をやっているわけです。午前中は、政府の支分部局、出先機関、それから地方公共団体の代表者、市町村長代表、知事さん、あるいは公社公団あるいは日本航空とかあるいは国鉄であるとか専売公社であるとか、そういう方々に集まっていただいておりまして、多いところは約二百人ぐらい。きのう札幌でやりましたが、札幌では百人ぐらい集まっていただきまして、それで、今回政府はこういう考えに立って改革を始めたと、各省庁から通達がもう行っていると思うが、こういう趣旨でやるのであるからしっかりやってもらいたいと、具体的な注意も実はしておるわけです。
 たまたま私きのう使った資料で持っておりましたが、国鉄あたりで、東京駅でこういうように職場にパンフレットを張りまして、「ハイ……デスで心よい応対をしよう」と職員が積極的にこういうものをみんなでつくり合って張って、そしてお客さんにサービスしようと。それで組合と駅長さんが話し合いまして、実施目標として「接客態度は誠意をもって対応しよう。」「フロントでは気軽にハイ、デスを言えるように心がけよう。」「不行届や失敗は素直にお詫びしょう。」「電話応対にはエチケットを守ろう。」「決められたことは必ず実行しょう。」と、こういうことを駅長さんと組合で話しまして決めて、組合も積極的に協力している。これは刮目すべきことであると思っております。
 富山県富山市におきましては、市長さんがデパートに窓口の係の人を研修にやっております。約五十人ばかり二回に分けて、そしてデパートの朝の朝礼から行きまして、終日、中で一緒に売るのを見たり、いらっしゃいませというやり方を勉強したりやっております。
 やはりこういうふうに少しでも、だんだんだんだん改革が進むということは、国民の皆様方に税金が有効に使われているなという感じをお持ちになっていただくことである、これを奨励するというのが一つの趣旨でございまして、午前中は各官庁等に集まっていただいて、窓口の問題からあるいは町内の清掃の問題から受付応対の問題から、具体的にいろいろこちらから話をいたします。それで、午後は民間団体の皆さんにお集まりいただきまして、大体二百人から二百五十人ぐらい集まっていただきます。これは経済団体だけではなくて組合、青年会議所あるいは消費者団体、町内会の代表、そのほか大体日本を構成している大事な各層各層の方に出ていただいて文句を言ってもらおうと、そういう文句を言ってもらおうと思って実はやっておるわけであります。それで、知事さんやあるいは市長さんなんかも発言いたしますが、婦人の消費者団体とか、あるいは老人保護をやっている方々の団体の代表者であるとか、そういう方々にいろいろ文句を言っていただきまして、こちらもよく聞いて答える分はお答えをし、そして政府としてはこういうふうに始めましたから、皆さん方はよく役所を監視してください、もしサービスの悪いところがあったら言ってきてください、役所の方には十二月で大体各県ごとの行政監察局をして窓口そのほかを見させる、来年の三月で一応打ち切って評価を行おう、よくやっておるところはほめてもらうし、やってないところは大臣を通じて注意をする、こういうふうに午前中の会議で官庁その他にも話しておるわけであります。まあ示達もしておるわけです。そういうふうに今後は信賞必罰を込めた評価をやる、そういうようなことも申して、もし足りないところや間違っていることや、怠けているところがあったら遠慮なく言ってきてください、そういうふうにして市民の皆さんと直接手を握って一歩でも行政をよりよいものにしよう、こういう努力をしておるわけでございます。行ってみますと、やっぱり直接そういう指示をしてやっているということで、ある程度の熱意は感じていただいているだろうと思います。
 それから、職安とかあるいは区役所なんかにもそのたびごとに行っておりますが、きのうも札幌の中央区役所というところへ参りまして、全部話も聞き見てまいりましたが、ともかく窓口では一生懸命やっているように思いました。いろいろ改革を工夫を加えておりまして、そしてコンベヤーシステムで書類をすぐ配給したり、あるいは中央の市庁舎・本庁と各区役所との間にファクシミルを入れまして、そして印鑑証明とか出生届とか、そういうものは直ちに支所にあるものが本庁へ行って、来た人にお渡しできる、こういうようなことまで実はやっておるところもございます。そういう、こっちも勉強にもなりますし、また奨励にもなりますので、小さなことでありますけれども、しかしそれで、ある管区全体の人たちが集まる場所でもありますから、それはいずれ県にも流れていくと、そういうことで一生懸命努力しておるところでございます。
○中尾辰義君 いろいろと地方を回って、文句やら要望やら聞いてこられたわけですが、次に地方自治体と行政改革の関係につきましてお伺いします。
 これも今度のこの当面の考え方の中に、地方公共団体における定員の抑制の項目があるわけでありまして、私どももいろいろ陳情を受けておりますが、これに関して自治体側の言い分は、国は仕事をどんどん地方自治体に押しつけて定員だけは抑制しろと言っても無理だと思う、よく聞く言葉ですが、今度も長官が歩かれてこんな話もあったんじゃないかと思いますが、国と地方自治体の事務のあり方という点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。また、自治体の要望がどうであったか、どのように長官は感じられたか。その辺実感を承っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 定員の関係と仕事の関係と、二つ、国と地方の関係ではございますけれども、人間の関係を見ますと、国家公務員はこの十三年間に自然減耗で約十三万六千人減らしました。ところが、国立医科大学を各地につくっておったり、あるいは大学の学部の増設、それから航空管制官をふやさなければならぬ、あるいは二百海里で海上保安庁の職員をふやす、こういうようなことで十二万七千人ばかり補充いたしまして、ネットでこの十三中間に約九千人近く減らしておるわけです。ところが、地方公共団体では七十五万ばかりふえておる。しかし、それも無理もないところもありまして、警察、消防あるいは学校の先生あるいは医療関係、看護婦さん、そういうものでふえているのが非常に多い。一般行政職で三十一万人実はふえております。県と市町村でございます。しかし、その中にもたとえば保育所を一つつくる、だから主事を一人置け、そのかわり補助金をやる。そういうわけで、上の方から増員を要請されて置くという場合がかなりあるわけです。
 そういうようなこともよく点検いたしまして、やはりしかし、一般的に言えば、中央と同じように地方も定員の抑制に御協力願うべきである。いままで中央のいろんな措置について、地方もこれに準じて行うよう要請するということば文書には書いてありましたけれども、本気入れてやったことは余りないように実は伺っておるんです。そこで今回は、その八項目の一つの柱にそれを取り出しました。しかし、取り出すについては、地方自治の本義、本旨という言葉がございますから、地方自治を侵害してはなりませんので、よく自治省とも相談もし、また知事会の代表、市長会の代表、町村長会の代表の方にも私直接お会いいたしまして、いろいろ趣旨を説明申し上げて、御協力をいただくことになりました。そういうことで、いま、まず定員の管理について自主的におやりいただくように強く要請してやっております。
 が、しかし、いま中尾委員がおっしゃいましたように、地方のそういう文句もずいぶん私ら聞きます。それは中央から押しつけるからやむを得ずやっているんだと、そういうこともありますので、今回は、そういう地方に増員を要請するような、特に負担を求めるような法律等をつくる場合には、これはほっといちゃいかぬだろうと、そこで、たとえば自治省とかあるいは行管とか大蔵とか必要の関係のところで、ある協議会でもつくって、地方に負担を増すような法律等をつくる場合にはそこでスクリーンにかけようと、こういうことを考えまして、いまそれを検討しておるところでございます。そういうものができると、各省等は少なくとも法律を出すときにいままでのように安易に出すということはしなくなるし、それでスクリーンをかければ相当精査される、そういうことでこの許認可や補助金を減らす減らすというばかりでなくて、ふえることもチェックする、そういうところへいま目をつけまして努力しておるところでございます。
 そのほか、これは第一次臨調以来問題になっております地方事務官制度の問題とか、そのほかさまざまの中央・地方の関係がございます。支分部局の問題は、ブロック機関の手入れあるいは今週ぐらいに答申が出ます府県単位の機関の整理の問題、そういうような問題を一つ一ついま片づけておるところでございますが、ややもすれば臨床的にこれが行われておるわけです。したがいまして、体系的、統一的に厳然と行う必要があるという気がいたしまして、官業と民業の関係あるいは中央と地方の関係等について、しっかりした原則をつくって、それによって一律に行う、そういうことを考えるべきときに来たと思いまして、そういう大きな大綱につきましては第二臨調でできるだけ早く決めていただいて、そして断行したらどうかな、こう考えておるところでございます。
○中尾辰義君 それでは補助金の整理、これは大蔵大臣に聞くのが筋かもしれませんけれども、行管庁長官にちょっとお伺いをしておきたいと思うんですが、これも前国会で大分問題になったんですが、いまちょっと数字的に言ってみますると、昭和五十五年度予算における補助金等の総額、これが十三兆八千五百二十億、大体一般会計予算の三二・五%を占めているわけであります。そこで、どのくらいの整理をしたかといいますと、件数で千九百六件、それから金額で千六百六十七億円の整理合理化を図ったと、こういうふうに出ております。五十五年の補助金等の総額十三兆八千五百二十億円のうちに、中身は八一・八%に当たる十一兆三千三百三十三億円、これが法律補助なんです。それから法律によらない予算補助が一八・二%で二兆五千百八十七億と、こういう数字が出ておるわけですが、これも片方で削ってはおりますけれども、また片方でふやしておる。それで結局余り数字的には減っておらないわけですが、これは非常に大事な点でして、大蔵大臣も頭を悩めているんでしょうが、行管庁長官として、この補助金の整理統合等についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、非常にむずかしい問題ですが、ひとつ御見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 補助金の中には社会保障、文教、公共事業、農政等国の重要な施策を実現するための重要政策手段であるのもございます。お説のとおり、五十五年度予算における補助金の総額は十三兆八千五百二十億円、約三分の一の予算であります。これは五十四年度の十二兆八千八百五十一億円に比べて七・五%の増加となっておりますが、その中身を分析してみると、社会保障、文教、公共事業等主要経費に計上されているものが全体の八四%を占めており、また法律によって定められておるものが約八割を占めております。
 さらに内容的に見ますと、生活保護費、それから療養給付費補助金、義務教育費国庫負担金などのように、制度上それ自体の検討なしに補助金整理という観点から整理することができない経費もございます。また公共事業費関係のように、補助金整理という観点から増減を決定すること自体が必ずしも適当でないような経費などもございます。これらの経費の中には、たとえば児童数がふえれば自動的に義務教育費国庫負担金や公立学校施設整備費補助金がふえる、そういうような性格のものもあります。したがって、補助金につきましては総額を減らせと、あるいは全体を対象として一定率削減せよという議論は必ずしも当を得ているものではありません。やはり一つ一つ内容に立ち入ってその適否を考える必要があるのではないかと考えております。
 しかし、一般論として、補助金等につきましては、これが一たび予算化されるとややもすれば既得権化するなどの弊害が指摘されているところでありますし、地方公共団体に交付されている補助金等の中には、かなり零細補助金の中で効果のない、そして効率的でないものもあるように伺っております。したがいまして補助金等の役割り、効果等を常に見直して、積極的に整理合理化を進める必要があると考えております。
○中尾辰義君 まあ余り答弁になってないような、積極的にやると、それだけのことでしてね。これはいいでしょう、大蔵大臣の方が本筋かもしれません。
 それから、もう時間もありませんので、特殊法人の整理統合の問題につきましても、宇野長官の時代のときに年度を切ってちゃんと出されたわけでありまして、しかし今後まだまだやらなきゃならない、たとえば中小企業退職金共済事業団、建設業退職金共済組合、清酒製造業退職金共済組合の三つの法人を二つの法人に縮めるとか、あるいは鉄建公団と他との統合を図るとか、いろいろ出ておるわけですが、この特殊法人の統廃合、これもむずかしい問題ですが、これに対する長官の決意をひとつお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 特殊法人の統合というものは大事業でございますが、前長官時代に策定した案がございまして、ある程度年度をかげながら、その間にこれを断行しなければならぬ点がございます。これらの問題につきましては、前長官と同じ気持ちになりまして、やはり計画し、約束したものはこれをきちんと実行していく、そういうことで片づけていきたいと考えております。
 具体的には政府委員から御答弁申し上げます。
○政府委員(佐倉尚君) ただいまお話のございました特殊法人の整理の問題でございますが、五十五年行政改革には五十五年度以降数年間に十八法人の縮減をすることが定められております。それで、前の通常国会に五法人を減らすための法案を提出しまして、三法人につきましてはこれが実現いたしました。今国会に未成立となりましたあとの二つ、これを再提出してその成立に努めてまいっている現状でございます。
 それで、今後五十六年度でございますが、これは七法人を縮減する、それから五十七年度には二法人縮減するといったように順次やっていく計画になっております。五十七年以降は、全部でその六法人の縮減についても、ぜひいままでのベースで計画どおり縮減を着実に実施してまいるというふうに考えております。
○中尾辰義君 わかりました。まあ計画はわかっておりますから、どこまで実行するか、それが問題でありますのでお伺いしたわけであります。
 次に、特殊法人の監察につきまして、これはことしの春、衆議院の予算委員会におきまして質問があったわけですが、四十八特殊法人に限定して監察ができないのはおかしく、百十一全特殊法人について監察をすべきだと、こういうような質問があったわけであります。その後、行管設置法が改正されまして、現在行管は全特殊法人を監察対象にする権限が与えられたわけでありますが、その後この権限をどう行使をしようとしておられるのか、お伺いしたい。
○政府委員(中庄二君) ただいま先生お話ございましたように、さきの通常国会で全会一致をもって行政管理庁の調査対象法人を拡大していただきました。責任の重大さを痛感いたしましていろいろ検討しておりましたが、先ほど先生御指摘の九月におきます「今後の行政改革に関する基本的な考え方」の中で、特殊法人の経営実態を見直すという一項目が入りましたので、それとあわせまして、ただいま全部の特殊法人につきまして事業の実態、経営実態の見直しをやっているところでございまして、早速法改正の趣旨が生かされたものと私ども考えております。
○中尾辰義君 これで終わりますが、いま特殊法人の経営の見直しというお話が出ましたけれども、この目的はどういうところにあるのか、それをまずお伺いしたい。
 新聞等の報ずるところによりますと、経営改善の結果剰余金が出れば国庫への納入を図るというもののようでございますが、電電公社の五十四年度四千五百億円の利益を今年度予算編成で財政再建に寄与させる、こういうことも言われておりますが、当の電電公社の方では利用者へ還元するのが筋である、このように反論しておるわけですが、特殊法人の経営の見直しの計画と利益金の処理、こういう面はどうなのか、その辺ちょっとお伺いして終わります。
○政府委員(中庄二君) 今回の特殊法人の調査でございますが、先ほどの行政改革の考え方の中に出ておりますように、経営実態の見直しを主体としておりまして、財務の関係から見まして国家財政の負担増の軽減の面も入れました。国家財政の寄与の面のほかに負担の軽減、いろんな特殊法人につきまして約十四兆の財投もございますし、今年度で申しますと一兆五千億の補助金、補給金等も出ておりますし、なお出資等も出ておりますので、その全般を見直しまして、負担の軽減の面と国家財政への寄与の面から見ているわけでございます。
 見直ししております内容を簡単にかいつまんで申し上げますと、各特殊法人ごとに会計経理の基準のあり方がまだまちまちになっておるというようなことの会計基準のあり方、それから経営の効率化、合理化の内容。それから、ただいま先生御指摘の剰余金の処分等のあり方、それから民間能力の活用のあり方等を広い面から見ているところでございます。ただいま百十の特殊法人の全体の調査をやっておりまして、先生御指摘の特殊法人につきましても当然調査をやっておりますが、何もそれをねらい撃ちということではございませんで、すべてのものにいま経営財務の実態を洗い直しているというのが現状でございます。
○中尾辰義君 これで終わりますけれども、そういうふうに実態を調査して剰余金等が出たのはどうするかというのが私の質問だったんです。それはどうです。
○国務大臣(中曽根康弘君) こういうように財政的にも苦しいときでもありますし、先ほど申し上げましたように、中小企業の皆さんが石油危機を乗り切るときには、財産を売ったり、土地を売ったり、株を売ったりあるいはいやな首切りをしたり、そういうことでやっておるわけでございますから、国としても、特殊法人であろうが一般会計であろうが、ともかくお金の出せるところは出していただいて国債を減らすお金にこれを回すべきである、そう考えます。したがいまして、特殊法人につきましても経営の実態を見直しまして、そしてこれを国債を減らすお金に回し得るものはできるだけ回すように努力してみたい、そう考えております。
○委員長(林ゆう君) この際、午後三時四十分に再開することとし、休憩いたします。
   午後一時三十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時四十一分開会
○委員長(林ゆう君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○安武洋子君 総務長官、給与関係の閣僚会議ということで休憩をいたしてお待ちいたしておりました。
 そこで、ちょっと伺いますけれども、閣議決定をなさるんだと思いますけれども、給与の問題について。いまの段階で勧告に対する実施の内容、それから法案の提出の時期、それから閣議決定はきょうじゅうに持ち回りの閣議で決定なさるのかどうか、そこら辺のところをお伺いいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 二時半から、院内の大臣室におきまして関係八閣僚が集まりまして、人事院勧告に伴う実施を中心の課題としていろいろ議論をいたしました。議論をいたしました結果、それぞれ労働大臣あるいは総務長官からは、人事院勧告を完全実施するということはここ数年来のすでに慣熟した状況になっておりますし、公務員の家庭生活安定のためにも完全実施をすることが必要である、こういう発言をいたしましたが、大蔵大臣は、財源がまことに厳しいと、こういう厳しい中でやっていくということになっても、いろいろと今年夏が冷たい夏だったと、こういうことで農作物の不良に伴う国庫の支出というものがどれだけになるかということはまだ確定できない段階にある。また、福祉年金等についても二百億円余りの読み違いが出てきた。こういうことで財源がきわめて厳しい。こういう状況の中で、公務員給与に関する人事院勧告を完全実施するということは財政上非常に厳しい。こういう状況でなら、とにかく数カ月完全実施をおくらせざるを得なくなるのではないかというふうな御発言がまずございまして、とにかく納税者の納得を得ることが大蔵大臣としては至上命令だと考えておる。現在の国会に提案されている退職手当に関する法律、あるいは定年制に関する法律等が審議されないままでこの公務員給与に関する法律のみが審議を受けるということになれば、国民の納得は得られない。こういうふうな発言がありましたし、また人事院に対しては、公務員制度の全体的な見直しというものがこの際必要だと自分は思うと、また特別手当等についても再検討する必要があろう、こういう議論が出まして、二時半からの会議は合議を見るに至らず、休憩になったわけでございます。
○安武洋子君 完全に実施をせよというふうに総務長官が主張なさったということでございますけれども、私は、やはりここでさらに総務長官に対して、無条件で人勧は実施すべきだという立場を強く出していただきたいということを要望いたします。
 人事院勧告制度発足の当初を顧みますと、これは公務員からスト権を奪ったその代償としてこういう人事院勧告制度が発足したわけです。ですから、これは財政難ということと絡めるべきでもないし、まして定年法とか退職手当法とかというものと絡めるべきものでもないと。やはり公務員の生活を守るということで、これはあくまでも人事院勧告は無条件で実施すべきものだと、こういう点をさらに強く押し出していただきたいということを御要望申し上げます。
 それで、次に婦人問題について私お伺いいたしますが、基本的な問題をお伺いする前に、まず、いまの緊急な問題について婦少局と安定局にお伺いいたします。
 いま、大きな問題になっております問題に、女子大学生の就職状況についての問題がございます。男女平等を進めるためにも、あらゆる分野への婦人の進出、参加を促進するということは非常に大切なことですけれども、女性であるがゆえに就職の門戸を閉ざされると、社会参加の第一歩で、そのスタートに立って、受験をするということの機会を奪われるというのは私は許しがたいことであると思っております。
 ところが、ことしの就職状況といいますのは、七月に日本リクルートセンターが発表いたしました全上場企業の採用計画調査、これを見てみますと、来春卒業の大卒男子に対する採用予定というのは、ことしの春に比べますと二年連続増加の傾向です。しかし、大卒女子の伸びというのは横ばいです。さらに八二・九%の企業が採用予定はゼロという、こういう状態になっております。そして、労働省がお出しの婦人労働の実態、これを拝見いたしましても、大卒の女子の採用方針を持っている企業というのは二一・八%、つまり八割近い企業というのは女子大学生を採用しないというのが実態です。このようなことは放置できないと思いますけれども、一体どのような対処をなさるのか、お伺いいたします。
○政府委員(高橋久子君) ただいま先生がおっしゃいましたような実情につきましては、労働省もことしの八月に調査を実施いたしまして、来年の大卒の男子につきましては、昨年に比べましてかなり大幅に採用予定が増加しているにもかかわらず、大学卒の女子につきましてはそれが減少しているというような現状が把握されております。
 このように、女子が女子であるということだけで雇用機会が閉ざされるという状況は好ましいことではございません。このために、私どもといたしましては、いろいろな機会を通じまして使用者に対しまして、婦人労働者に対しても平等に雇用の機会が確保されるように啓発、指導等を行っているわけでございますが、特に、ただいま十月の二十一日から婦人労働旬間というものを設けまして、集中的なキャンペーンを行っているところでございます。この問題の指導等を含めまして、全国的に私どもの地方の出先でございます婦人少年室におきましてキャンペーンを行っているということでございます。
 また同時に、このような婦人労働者、大学卒業予定の婦人の増加に対応いたしまして、学生職業センターというものを増設いたしまして、職業指導や職業相談の充実を図っているところでございます。大変事態の改善ということがむずかしい問題でございまして、私どもも、いままでの努力にさらに一層今後こういった努力を続けてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○安武洋子君 職業安定局はいらしてないですか。――いらしてなかったらいいです。
 総務長官にお伺いいたしますが、いま御答弁いただきましたけれども、女子大学生が最高学府を卒業しながら、もうその就職をするという試験を受験をするというところで門戸を閉ざされるというふうな女性差別、これ至るところにあるわけなんです。そういうためにも、男女平等の施策というのが非常に緊急に求められているわけなんです。
 そこでお伺いいたしますけれども、昨年の十二月の十八日に国連の総会において採択され、そしてことしの七月の十五日にわが国も署名を行いました婦人に対するあらゆる形態の差別撤廃条約、この批准に向けての政府の対応について、婦人問題企画推進本部の副本部長でもございますので、お伺いいたしとうございます。政府として、この批准に向けての方針、そしてそのために国内的にとるべき諸条件の整備についてどのような措置が必要とお考えかということをお伺いいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘のあらゆる形態の差別の撤廃に対する条約の趣旨は、国内行動計画の基本的考え方及び施策の方向と合致しておりまして、デンマークにおける世界会議の署名式に先立ち、六月二十七日、婦人問題企画推進本部において、この条約について国内行動計画、後半期における重点課題として批准のため国内法制の諸条件の整備に努めることを申し合わせを行っております。この趣旨に沿いまして、国内行動計画後半期重点目標を今年度中に策定するため鋭意努力中でございます。
○安武洋子君 総理府に伺います。
 国連婦人の十年の後半期計画の重点というふうにいま長官から御答弁がございましたけれども、後半期計画の中で必要な整備を完了させていくという考えでしょうか。
○説明員(柴田知子君) 現在、国内行動計画に沿いまして各種の施策を進めておりまして、ただいま長官が申し上げましたように、後半期の行動市点目標を定めまして国内行動計画の推進に一瞬努力いたしたいということで努めております。
○安武洋子君 ということは、後半期の計画の中で必要な法整備を完了させるということなのかどうかということを、もう一度重ねてお伺いいたします。
 それと、外務省にお伺いしたいんですけれども、批准時期について、いつごろまでに行うということでお考えでございましょうか、その点をお答えいただきます。
○説明員(柴田知子君) 国内行動計画におきましては、法制上の婦人の地位の向上という課題が定められておりまして、雇用における男女平等の確保のためにも、婦人労働関係法令につきまして検討を行うという課題が掲げられております。これに基づきまして、従来より労働省におきまして検討が鋭意進められておるというところでございます。引き続き検討を進めたいと思っております。
○政府委員(賀陽治憲君) 外務省といたしましては、関係省庁と鋭意検討を行っておりまするが、すでにこれまでの検討で本条約を批准するに当たってのおおよその問題点が確認されております。大変長くなりますので、これは御希望がございましたらば後で資料を差し上げても結構でございますけれども、今後、国内法令と本条約との整合性を確保する観点から、国内法の改正ないしは新たな立法措置の必要性の有無等について具体的に関係省庁との間で詰めを急ぐことにしておりまして、これは各省庁と個別にすでに会合を何回か重ねて各省庁ごとの問題点を洗いざらしにしておるわけでございますが、今後はその詰めをやると、国内法との整合性、改正の有無の詰めをやるという段階に入っておりますし、またさらに、本条約の解釈上疑義がある一部の点につきましては、各国の法制その他を点検する必要があるということでございまして、端的に申し上げて相当大変な作業を抱えておるわけでございますけれども、批准の具体的見通しを言えというお話でございまするけれども、これは、私どもとしては現在の段階ではいつと申し上げるわけにはなかなかまいらないということと思いますけれども、関係各省庁との今後の情勢検討を急ぎまして、外務省としてはできるだけ早くやらしていただくというつもりでございます。
○安武洋子君 法制上の整備の上で、雇用の場における男女差別、これにいかに有効な規制が講ぜられるかということは非常に重要な問題だと思います。で、批准に向けての環境整備の上で、私は労働省の持つ役割りというのは非常に大きいと思います。労働省として、その点どのように認識をしておられるかということが一点です。
 それからまた、具体的にどのような法整備が必要と考えておられるか、この二点について御質問申し上げます。
○政府委員(高橋久子君) 雇用における男女平等を確保するためには、男女平等法の制定が必要であるというようなことが労働基準法研究会から提言されているところでございます。男女平等の確保の必要性はいまさら申し上げる必要もないわけでございますけれども、その具体的な姿とか実現の方策につきましていろいろな考え方がありまして、現在そういった考え方につきまして審議会において御検討をいただいているところでございますので、その御検討の結果を得ましてこの問題に対処していきたいというふうに考えているところでございます。
○安武洋子君 もう一度お伺いいたしますけれども、具体的にどのような法整備が必要とお考えなのかというところを、もう少し、わかりましたらお答えいただきとうございますが。
○政府委員(高橋久子君) 具体的にどのような形の法律になっていくか、法整備になっていくかということでございますが、その点もすべて含めまして、この問題につきましては男女平等が有効に確保されるような法制度のあり方ということでございまして、私どもはいま審議会に御審議をお願いしているところでございますので、その御審議の結果を踏まえて対処をしていきたいということでございます。
○安武洋子君 審議会の問題が出ておりますけれども、では、審議会に雇用の男女の平等ですね、平等法をつくるということで正式に諮問なさっておられますでしょうか。
○政府委員(高橋久子君) 平等法をつくるということではございませんで、男女平等を確保するための諸方策ということで審議会で御審議をいただいているわけでございます。
○安武洋子君 雇用における男女差別をなくすという上で法整備の問題とか、いろいろございます。条約の解釈ということも外務省の方から出ておりましたけれども、それをまつまでもなく、国会とか各婦人団体とか、こういう意向を、雇用における男女平等法を制定せよということでは、わが党を初め各野党もこういう法案とかあるいは大綱とかというふうなものを提出いたしておりますし、各婦人団体とか労働組合などでもそういう方向で要求がどんどんどんどんと出てきているというふうに思います。で、先ほどの女子大生の問題というのは実に氷山の一角でございまして、いま雇用の場での婦人に対する採用とか任用とか昇給とかと、あらゆる数多くの差別があるわけです。いま現在そういう差別を婦人たちが受けているわけですから、こういう差別を一日も早く解消しないといけない。ですから、雇用における男女平等といういま世論がどんどんどんどん起こってくるのも、こういう現実があるからこそ起こってきていると思うんです。
 それでさらに、先ほど御答弁にもございましたように、七八年の労基研の報告でも、男女平等法の制定が必要だと、こういうふうに言われております。また、出時の労働大臣もその点を尊重するというふうなコメントも行っておられます。さらにそれを受けまして、いままで部内でも検討を重ねてこられているというふうに聞いておりますし、審議会でもいま検討中というふうに御答弁がございました。そういう経過もございます。それが、いよいよこの国際舞台の場で婦人に対する差別撤廃と、こういう条約にわが国も署名をしたという段階になったわけです。だから、私はこういう肝心な時期、いろいろのいままでの経緯を踏まえて、世論も踏まえて、現実も踏まえて、いま必要なことは何かということは、婦人差別を即刻に解消もしなければいけませんので、手続問題というのはこれは別個にして、男女平等法というものを一日も早く提案するというふうに政府自体が意思決定をなさることだと、この意思を明確になさることだというふうに思いますが、この点いかがでございますか。
○政府委員(高橋久子君) 男女平等を確保しなければならないという必要性につきましては、先生おっしゃいますように、私どもといたしましては、もうこれは非常に基本的なことであるというふうに考えているところでございます。そして、労働基準法研究会から出されました報告で、男女平等法を制定することが必要であるというふうに御指摘を受けましたことは、私は、もうその労働基準法研究会の報告は大変貴重な御意見でございまして、その御意見を十分に尊重してまいらなければならないというふうに考えているところでございます。
 ただ、この点につきましては、私どもといたしましては、婦人少年問題審議会という大変公益、労働者、使用者という各界からの代表者の方がお集まりになっておられます審議会におきまして、この法制定の必要性、それからその法の内容というようなものも含めまして、平等の具体的な姿というものを御検討いただいているわけでございますので、その御検討の結果を待って対処をしてまいりたいという段階でございますので、その点を私どもは申し上げているわけでございます。
○安武洋子君 先ほどお伺いいたしましたけれども、この婦人少年問題審議会に、政府としては雇用平等法が必要なのかどうなのかということでは、正式に諮問はしていないということでございました。ですから、この審議会に対して、この法制化の必要性の有無、それから平等の具体的な姿はいいでしょうけれども、法制定の必要性をここにゆだねるというふうなことではなくて、政府が意思決定をして、先ほど私が申し上げましたような、現実に本当に一日も一刻も早く救済しなければならない婦人差別があると、そしていままでのいきさつもあるというふうなことで、私は、そういうことを踏まえた上で政府がこういう雇用平等法をつくるんだという意思決定をして、そしてこの審議会にも諮問をなさる、あるいはいま審議会でいろいろ審議をなさっておられるわけですから、そこに政府の意思を反映さすというふうな、こういう、何よりも政府がこの雇用平等法をつくらなければならないという立場にまずお立ち願うと、そのことが重要ではなかろうかということです。重ねてお伺いいたします。
○政府委員(高橋久子君) 現在、婦人少年問題審議会におきまして婦人労働法制等のあり方を審議しております。私どもは、その審議会に対しまして労働基準法研究会から男女平等法の制定が必要であるというような御指摘もいただいております。その研究会の報告を十分御審議の過程におきまして踏まえて御審議をいただきたいということで御審議をお願いしているわけでございますので、審議会の方ではそのことも十分踏まえた御審議がいただけるものと期待しているところでございます。
○安武洋子君 私は審議会を無視せよというようなことは申しません。審議会の中でそのようなことで審議が進められるということは結構なことだと思うんです。しかし、政府が意思決定をするということは、その審議会を妨げるというふうなことにはならない。それどころか、審議会の方向性をより明確にするということになります。そしてそれが条約を批准することに妨げになるか。そうではなくて、条約を批准するということに対して、よりよく推進する有効な役割りを果たすのではないかというふうに思うわけなんです。だから、なぜこういうふうに政府としては意思決定をまずなさらないのか、いまの現状から、そして過去のいきさつから。こういう国際舞台で差別撤廃条約に署名をなさったと、こういう一つのチャンスをつかまえて、国際舞台でそういう約束を果たすという立場に立ったわけですから、なぜそういうことをなさらないのかと、いかにも結論が審議会にゆだねられているというふうなことに納得がいかないわけです。重ねて御答弁を求めます。
○政府委員(高橋久子君) 差別撤廃条約につきましては、現在私どもや関係各省におきまして、その解釈とか国内法制との整合性に関しまして種々検討を要する問題がございますので、先ほど外務省から説明がございましたように、条約の審議経過等を踏まえまして、それらについて検討をしているところでございます。今後、その検討結果に基づきまして、批准のための国内法制等の諸条件の整備に努めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
 この差別撤廃条約につきましてはそういった運びをしているところでございますが、男女平等法の制定につきましては、私どもはこの差別撤廃条約の解釈、国内法制との整合性というものとは一応別個の問題といたしましても、男女平等法の制定につきましては、先ほど申し上げましたような取り組みをしているところでございまして、すでに審議会に対しまして労働基準法研究会から平等法の制定が必要であるというふうな御指摘を受けました報告を踏まえて御審議をいただきたいというふうに申し上げているところでございますので、平等法の制定も含めまして、審議会の御意見を尊重してまいりたいということでございます。
○安武洋子君 私、先ほどからの御答弁で、労働省の姿勢というのは、要するに審議会待ちという受け身になっているのではないかと思うんです。その背景には、労基研の言う労基法の母性保護条項の見直しですね、すなわち保護抜き平等、雇用の平等法の制定といかにこれを同時に行おうとするかということを私は固執なさっていらっしゃるのではなかろうかというふうに思うわけなんです。しかし、このいわゆる保護抜き平等論というのは、ずいぶんとたくさんの論議がなされました。そして、いまでは婦人団体とか労働組合とか、これに対して大きく反対という世論が盛り上がっております。それから、差別撤廃条約でも、第四条の第二項の中でこれは母性保護を目的とする特別措置――この条約に規定する措置を含む――を締結国がとることは差別とみなしてはならない、こういうふうに明白にうたってございます。ですから、このような国内的にも国際的にも合意された立場に立つということになると、私は政府のとるべき方向というのは、母性保護条項の見直しと同時決着というふうなことではなくて、男女平等法、この制定を先行させ、分離見切り発車をすると、こういう時期に来ているのではないかと、政府はやはりそういう意思決定を行うべきではないかというふうに思います。いかがでございますか。
○政府委員(高橋久子君) いま平等と保護という問題について先生から御指摘がございましたけれども、私どもは平等というものの具体的な内容の中に婦人に対する保護のあり方というものも含まれているのではないかと、平等といいます場合には、婦人に対する保護というものは、必要な保護は十分に確保されなければならないけれども、もしもそれが婦人の平等に働く場合の制約になっているようなものにつきましては、そういうものを解消していくということも必要な措置であろうかというふうに考えるところでございます。したがいまして、平等というものの具体的な内容を明らかにしていきます過程におきまして、私どもは平等と保護との関係についても明確にしていく、そのことが、私どもは国際的にも要請をされている平等の姿であろうというふうに考えているところでございます。
○安武洋子君 そこのところにやはり異論がございます。これは労基研の報告がなされたと同時に、たくさんの論議が国内的にも行われております。その中で、いわゆる保護抜き平等論ですね、これは婦人団体などからも労働省あたりにもたくさんの私は抗議のはがきも、それから署名なども行ったと思います。で、やはりいま必要なのは、婦人のこの保護を本当に前提として男女平等法を制定するべきだということが大きく国内的な合意になってきていると、そして私が先ほど申し上げたように、この差別撤廃条約の中にも明確に、母性保護を目的とする特別の措置を差別とみなしてはならないとうたわれているわけです。ですから、私はいまの時点になってやはりこういう母性保護の条項の見直しと同時決着を図るのではなくて、これはもう切り離して、いま世論の本当に求めている、そして救済を求めている、差別を受けている女の人がいまいるわけですから、どうしてもこの男女平等法の制定を先行させる、分離見切り発車をするという立場に私はお立ち願いたいと思います。総務長官はいかがお考えでございましょう。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま政府委興から御答弁申し上げましたが、政府といたしましても、条約に署名しました以上はできる限り早い機会に批准をするように、国内法の整備につきまして関係各省庁と今後とも十分検討を進めてまいりたいと考えております。
○安武洋子君 私は、冒頭の方で、この条約批准に向けまして労働省の果たすべき役割りというのは非常に大きいということを申し上げました。しかし、残念ながら私はいまの労働省の姿勢というのはきわめて消極的であるというふうに受け取っているわけです。
 それで、条約の署名と申しますのは、国際舞台で条約の精神を尊重する、そしてその批准に向けて意思を公然と世界に示すということです。ですから、国内関係法の整備の立ちおくれからこの批准がおくれるというようなことが一切ないようにと、私はそのことを強く申し入れたいわけです。
 それから、この条約の精神ですね、これはいささかなりとも弱めたり薄めたりして解釈をするということなどなさらないように、一日も早く批准して、いま現存しているこういう男女差別――批准できたからすぐに差別がなくなるものではありません。しかし、この批准を急がなければならないというわが国の現状があります。ですから、男女差別解消に本当に積極的にもっと政府が真剣に取り組んでいただきたい、このことを要望いたします。総務長官の御決意をお伺いいたしとうございます。
○国務大臣(中山太郎君) 男女の差別をなくするという条約の署名を行い、さらにこれを批准を行うということにつきましては、御指摘のように日本には男尊女卑という長い歴史上の慣習もございますし、この問題というものはなかなか社会の慣習の中で男女が平等に権利を志向する、これは法律をつくっていくということは政府の責任でございます。そのために努力をすることは先ほど申し上げておりますし、一日も早い批准を行うように持ってまいりたいと考えております。その決意には何ら変わりはございません。
○安武洋子君 行政管理庁長官にお伺いいたします。
 行政監理委員会は、都道府県単位の国の出先機関の整理計画の意見書、これは総理に近く提出なさる予定だと聞いておりますけれども、その中身はどういうものでございましょうか。
 それと、婦人問題に深いかかわりを持っております労働行政の分野の婦人少年室、この婦人少年室がその対象になっているのかどうか、婦人少年室についての政府のお考えはどうなのか、ここらをお伺いいたします。
○政府委員(林伸樹君) 府県単位機関の合理化につきましては、行政監理委員会におきましてことしの二月から現地調査も含めまして鋭意審議が重ねられてきておりますけれども、ただいま最終取りまとめの段階でございます。したがいまして、その内容につきましては、本日のところではまだ申し上げる段階に至っていないのでございますが、意見が出てまいりましたら十分御説明を申し上げたいと存じます。
○安武洋子君 では、婦少室がその対象になっているかどうかということも御答弁いただけないわけですか。
○政府委員(佐倉尚君) ただいまのお話の行政監理委員会の審議でございますけれども、国の都道府県単位に置かれている機関について御審議願っているわけでございますので、ただいまの労働基準局あるいは労働省の婦人少年室というものも府県単位に置かれている機関として審議の対象になっているわけでございます。
○安武洋子君 いま少し立ち入りまして、婦少室についての具体的検討の課題というのはどういうことなんでしょうか。
○政府委員(佐倉尚君) 先ほど官房審議官から御説明いたしましたが、現在取りまとめの段階で最終的な段階に入っておりますが、やはり都道府県単位の機関についてもいろいろと簡素化し効率化する部分があればするようにと、これはただいま先生のお話の労働基準局ないし婦人少年室ばかりでなく、各機関についてすべて言えることでございますけれども、特に労働基準局なりお話の婦人少年室というものについてどうであるかということは、いま取りまとめの段階でございますので、それだけ特に抜き出してどうということは申し上げられませんけれども、全体としていまの方向を、私の申し上げました方向で御審議が進められているというふうに承知しております。
○安武洋子君 長官もお聞き願いたいんですけれども、今年度の予算委員会の婦人問題の集中審議の中でも、私当時の宇野長官に申し上げましたけれども、わが国でまだ古い因習、それから慣習、こういうもので男女差別が現存しております。私はその婦人問題集中審議の中で、熊本の婦少室が調査をなさいました足入れ婚とか、あるいは尻助金、こういうことについて申し上げましたけれども、広島の婦少室でも女夫の出不足金、こういうことで調査をなさっておられます。女夫の出不足金といいますのは、これは女の人が地域の共同作業、こういうものに出るときに、男の人はそのまま出ればいいわけですけれども、女が出るのでは不足だということで三千円のお金を持っていってやっと男並みに認められるというふうなことで、そういう地域が広島の中で百三十五地区もあるという調査を出しておられるわけです。
 こうした事案を是正する部署というのは、これは婦少室しかないわけです。男女差別を撤廃しようというときに婦少室を縮小する、あるいはどういう形になるかもわかりませんけれども、婦少室の機構について一定の縮小とか、あるいは廃止の方向に向けるというふうなことは、婦人とそれから国際世論に逆行するものではないかと思うわけです。こういう点をいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) よく理解できるところでございます。
○安武洋子君 理解していただいて非常に結構なことですので、婦人少年室の行政というのが御存じのように各省庁に及んでいるということで、それからいま申し上げましたように、法規制だけではどうにも解決できない、こういう因習とか、あるいは女性差別の解決を行うというふうな総合的な機能を持っているわけなんです。ですから事務の一部を移管する、あるいは移譲するとか、こういうふうなことは部分的にしろそういう機能を損なうことになる。そして、婦人少年室を廃止に追い込むことになるということなんです。
 御理解いただいているので、いま国際的にも婦人に対する差別撤廃条約に署名をし、そして批准をしよう、こういう時期です。それから、国連婦人の十年の後半期を迎えまして婦人の地位向上を図ろうとしているときです。そういう重要なときに、この問題で本当にこういう責務を担える大きな大黒柱、中心柱というふうな婦少室を縮小するということは、婦人と本当に国民の世論、これに逆行する、国際的な世論に逆行するということを篤とお考えいただいて、婦人少年室、これの縮小それからあるいは廃止という方向をお出しにならないようにということを申し上げます。いかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いま監理委員会におきまして最終の詰めを行っているときでございますが、おっしゃることはよく検討してみたいと思います。
○藤井恒男君 きょうは時間も余りございませんので、総務長官に北方領土の返還問題に限って御質問申し上げます。
 私も、これまでしばしば納沙布岬での北方領土返還集会なるものに参加してまいりました。北方領土並びにソ連の巡視船が遊よくしておる姿などもこの目で何回か見てまいりましたし、元島民ともいろいろ懇談してまいりました。長官も九月十三日に、直接巡視船にお乗りになって北方領土の近くまで出向かれて視察なさったやにお聞きしておるわけだけれども、長官、現地に長官というお立場で出向かれてどのように感想をお持ちであったか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 御指摘のように、九月十三日に現地に北方対策本部長という資格で参りましたが、現場に参りまして、わが国古来の領土、それを洋上から巡視船で見るという正直なその当時の感想はまことに遺憾だと。わが国古来の領土がソビエトによって不法占拠されておると、こういうきわめて遺憾な感情を率直に受けたわけであります。一方、現地では、島を追われた元島民の方々が自分の祖先の墓参りに行くためにソビエト政府に対していわゆる渡航申請をしても許可がおりない。これが非常に私どもとしてはさらに遺憾な感じを持たされた。また一方、当時七名の方がいわゆるソ連に抑留をされておられました。この御家族の方から一日も早い送還をひとつ運動してもらいたい、こういう切々たる陳情を受けまして、これはやはり早急に政府としても外務大臣を通じてぜひこの抑留漁船民の早期送還を運動しなければならない、そういうふうな考え方を持ったわけでございます。
 いずれにいたしましても、われわれの古来の固有の領土であるということは、私は歴史が示すところだと考えております。御案内のように、日魯通好条約が安政元年の二月七日に結ばれて、両国とも平和のうちにソビエト――当時のロシア帝国から歯舞、色丹、国後、択捉は日本の領土であるというふうに認めた上で条約の交換を結んでおるわけでございますから、私どもとしては、北方対策本部長としてぜひ一日も早い四島の一括返還を心から念願をしておる次第でございます。
○藤井恒男君 本院でもこれまでに五回、衆議院では実に十回、全会一致で北方領土返還に関する決議がなされておる。一方、民間団体でもこの返還運動に真剣に取り組んでおる団体が多いわけです。とりわけ労働関係でありますが、同盟の諸君は、三十九年に同盟を結成以来一貫してこの北方領土の返還を求め、国民の世論を喚起するために力いっぱいこの運動に取り組んでおるわけですが、これら民間団体のこの種の動きについて長官はどのように評価しておられるのか、どのように見ておられるのか、お聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 民間団体、労働組合の方々も含めていろんな方がこの四島の返還連動に御尽力をいただいておることに心から政府としても敬意を表しております。
 領土の返還というものは、軍事力によるかあるいは平和的な外交交渉によるか、この二つの方法しかないわけでございまして、あるいはまた、これを放棄するか、三つあると思うんですが、軍事力によって奪われた領土を奪還するということは日本の憲法が認めるところではございません。また国民の気持ちもそういうものではない。私どもは放棄をする意思もない。われわれの古来の領土を外交を通じて平和のうちに返還をしていただく、こういう方針でまいっておりますが、その政府の外交交渉を裏づけるものは、やはり国論、国民各界各層の熱烈な返還に対する要望ではなかろうか。私は、そういう意味で民間団体多数の方方、いまお話しのございました総同盟の方々も含めて皆さん方が大変熱心にやっていただいていることに心から敬意を表しておる次第でございます。
○藤井恒男君 われわれは、この北方領土返還の運動についての基本的な姿勢は、一つにはこの領土問題の解決は国と国との外交交渉によってなされるべきである。しかもそれは平和裏に行われるべきである。したがって、北方領土返還交渉も外交権のある政府によって行うのが当然だと。政府は国民の結集した意思をもって積極的に返還を迫る行動を展開すべきである、こういう考えを持っております。二つ目には、そのためには国民世論を喚起して、そして国民が一人でも多くこの運動に参加し、力強い世論を形成していくことが政府が対ソ交渉を行う際の力強い背景になる。そして交渉を有効に展開できるであろう。三つ目には、この世論喚起によって返還を求める声を国内に充満させると同時に、国際社会での北方領土に対する無理解に等しい現実の厳しい環境をなくすために、国際世論を喚起してソ連の不当性を全世界に訴えなければならない、このように考えておるわけです。
 この種の考え方に対して一民間団体の方たちも同調をいただき、とりわけ先に申した同盟の諸君は、昭和四十三年から日本青年団協議会、全国地域婦人団体連絡協議会など大体五十ぐらいの団体で北方領土返還要求のための運動連絡協議会、俗に北連協というものを結成いたしております。この方たちが実に四億五千万という金をカンパして、納沙布岬に北方領土返還を祈念するシンボル像を建設しようという試みもある。それから、このうち一つの小さな組合でありますが、ゼンセン同盟などでは、五十年から五十五年までの間に千九百万円をカンパして、根室市に運動展開のための糧とするように寄付しておる。あるいは納沙布で毎年集会を開いて自費参加しておる人たちがこれまでに一万二千名に達しておる。そして十二万名の署名を集めておる。こういった本当に涙ぐましい運動を展開しておるわけです。
 しかし、これらの人たちに大変私申しわけないことだとは思うんだけれども、全国をながめたときに、やっておる人は一生懸命やっておるにかかわらず、まことに残念なことだけれども、かつての沖繩の復帰運動と比べると国内の盛り上がりというものが著しく欠けておる。この点について、長官はその原因はどこにあると思うか、率直に長官としてのお考えをお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(中山太郎君) 先生のお尋ねの点は、沖繩は対日平和条約の第三条によって施政権が米国に行使されることとなっておったと、やがて返還されるということが明確になっておりました。佐藤内閣総理大臣が、沖繩が返らなければ戦後は終わらないというせりふを吐かれたことは御案内のとおりでありますが、それに向けて国民の意思というものは、必ず返ってくるという強い、念願よりもむしろ約束に似たものが感じられておったんではないか、そのために沖繩の返還というものがいわゆる国民の総意とそして日本の外交によっていわゆるいまから八年半前に返ってまいったわけでございます。
 この北方四島の問題につきましては、御指摘のように一部の熱心な方々はいらっしゃいますけれども、国論が沸き上がっているという状態では私はないと思います。それは、ソビエトという強大な軍事力を持った国家に対して、日本のいわゆる憲法のもとで平和外交をやっていって果たして返ってくるんだろうかと、こういう一つの疑念が国民の間にあることは否めない事実だろうと思います。
 もう一つは、相当な戦後三十五年という日数がたちまして、いわゆる領土は返ってこないという雰囲気がそろそろ固定化し始めているんではないか、また日ソ間の外交交渉を通じましても、どうも具体的に両国首脳の間で北方四島の一括返還ということが記録に残らない、こういう一つの歴史的経過がございますから、なかなかこういういわゆる実際の外交の展開状況を見ておる国民各層が、やはり一つの何といいますか、期待感が薄れてきつつあるんではなかろうかと、こういうふうに実は私は率直に感じておるということを申し上げておきたいと思います。
○藤井恒男君 私は沖繩のときと今度の――今度というか、いままだ続けられておる北方領土との世論の盛り上がりの違いは、大臣御指摘の向きもございますが、やはりこれは沖繩には現に百万人の同胞が住んでおるという状況の中で復帰運動が行われた。北方の場合には、この北方四島から日本人は追い出されておる。だれも住んでいないんだと、ここが非常に大きな違いであろうと、だからここのところにやはり着目しなければいけない。
 それから、もう一つは相手が悪い、はっきり言えば。アメリカの場合は日本と同じように自由世界の一員である。したがって世論による影響を非常に大事にする。ところがソ連の場合は、もう言うまでもない全体主義の国であって、日本の世論というものがソ連の国民にストレートには伝わらない、伝えられない。ここがやはり問題じゃないだろうか。だから、やはりこの辺を考慮して国際世論というものを喚起する必要がある。だから、ソ連の思惑というのはもうわかっておることであって、実効的支配を継続する中から基地もつくり、人も住まわして、そして実効支配を永続化させようということにあるわけだから、間欠的な、時効中断的なアピールでは私はだめだと思う。さきに外務大臣がニューヨークで、国連総会でこの問題を訴えたことは、私は最近にないヒットであろうと思うわけだけれども、これも連綿とやっておるわけじゃない。まさに時効中断的に、スポットですぱっとこれ一発入れる。あとはじっとしておる。そして、民間団体が手弁当でみずからの金で運動しておるにかかわらず、むしろこれまでの政府のとってきた立場は傍観しておる。
 もちろん、この領土問題は、アメリカとメキシコの間でわずか二平方キロの、まさにネコの額のようなエル・チャミザルの領有をめぐって百余年争っておったと、一九六三年にやっとこれ解決したという歴史があるごとく、平和的に領土問題を解決しようと思えば、私はやっぱりそれぐらいの粘り強さが必要だとは思うけど、しかしいま大臣がおっしゃったように、率直な御判断なのかもわからぬけど、国見の中にそこはかとなくむなしいこの運動、結局はだめなんじゃないかというものが定着しつつあるというような弱気では困るんで、マスコミからも言われておるように、最も行動する大臣と言われておるわけですから、もうちょっとこれは力を持ってやらなければ、本当にこれはぽしゃってしまう。この点を非常に心配するんです。
 そういった意味で、私、あなたを責めるわけじゃないが、これまでの政府が北方領土返還について日本の国で行い得る最大の効果は世論喚起にあると、その世論喚起のためにどのような措置をとってきたか、これを一度お聞かせいただきたい。
○国務大臣(中山太郎君) 世論喚起の方法につきましては、詳しいことは政府委員から御答弁をさしていただきたいと思いますけれども、いま政府としては、政府広報を通じて北方四島の返還のPRをあらゆる機会をとらえてやっております。また、いま先生御指摘のように、国内世論だけではなしに国際世論に訴えるべきだ、こういうことで、大都会で外国人の泊まるようなホテルでは、先ほど申し上げました日魯通好条約に始まる日本とロシア帝国との間のきわめて平和、友好的な中に決められたこの領土の確認、その歴史的な事実から今日に至るまでの経過を英文でケーブルテレビジョンで各ホテルの部屋には流しております。また鈴木内閣としては、総理大臣はすでに施政方針演説で、日ソ友好親善ということはもとより望むところであるけれども、われわれは言うべきことは言わなければならない、だから不法占拠されておる四島の一括返還ということは鈴木内閣の外交の一つの基本の柱であるということを明確にしておりますし、また外務大臣もその意思に沿って国連での発言を行っておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
 また、総理府といたしましても、あらゆる機会にこれの国民へのPRをせなければならないということで、北対協の方々が募集されたスローガンの中から先日一編を選びまして、国民へのPRのために利用する、また全国市長会におきましても、全国の市役所でこの北方領土返還のたれ幕を下げるという御決議を全会一致でいただいておりますし、近く全国町村会においてもそのような決議が行われると承っております。
 私どもは、両院における全会一致の決議を踏まえて政府としては積極的に北方領土返還の運動を進めてまいりたいと、御期待に沿いたいと考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
○説明員(藤江弘一君) ただいま大臣が申されましたように、全国的運動の展開の態様といたしまして、私どもといたしましては総理府広報室を通じますところの各種広報媒体、つまりテレビ等の電波媒体あるいは新聞等の印刷媒体による一般向けの広報、それからパンフレット、リーフレット等の大量配付あるいは国、県、市町村、それぞれの段階での大会あるいは議決を行ってもらうといったことであるとか、全国的な意味での署名運動を展開いたしております。ちなみに、現在の段階では千七百万人に達しようということでございます。そのほかパネル展あるいは北方領土展等を各県で開催する、あるいは研修会を開催する、またキャラバン隊等を全国規模あるいは県規模において実施する等のことをいたしておるわけでございます。また現地での啓発体制といたしまして、私どもといたしましては北方領土を目で見る運動ということを展開しておりまして、一人でも多くの国民の方々に現に北方領土を目で見ていただくという運動を進めているわけでございます。そのために各種団体等に働きかけるほか、必要な施設を現地において整備する努力を重ねておるわけでございます。その他特に旧居住者の子弟等を対象といたしますところの特別研修等についてもさらに充実させるように、で、これらの方々が現地での啓発の核となるように推進しているつもりでございます。
○藤井恒男君 先ほども申したように、かつての島民は全部追い出されて根室を中心とする北海道に一番多くおられるわけだけれども、その他の方たちはもう内地の方に全部分散して定着しておられるわけですね。しかもどんどんお年を召してこられる。われわれが平和的に粘り強く、先ほどのアメリカとメキシコの例じゃないが、何十年かかってもわれわれの先祖の血と涙とあぶらの結晶の固有の領土を返還させるんだということになれば、次の世代の方たちにも十分このことを認識してもらわなければならない。そういった意味で、直接は文部省が管轄することではあるが、この種のことを考慮したとき、学校教育という中でこの北方領土問題がどのように扱われておるか御存じでしょうか、知っておられたらお答え願いたいと思います。
○説明員(藤江弘一君) 北方領土問題につきまして、学校教育に組み込まれ適切に指導されることは大変に重要なことであると私ども考えているわけでございます。そのために文部省にお願いし、あるいは直接教科書の編集委員等の方のために説明会を開く、あるいは資料等を十分に提供するというふうなことをいたしまして、その結果、最近に至りまして各教科書において少なくとも何らかの形で北方領土問題に触れるということに結果的にはなっておるわけでございます。ただ私どもとしては、この点さらに充実させるように文部省を通じましてできるだけの働きかけをいたしたいと、かように考えております。
○藤井恒男君 きわめて重要だとおっしゃるけれども、ところが実態はそうじゃない。小学校の社会科、中学校の地理、公民、歴史、高等学校の政治経済、日本史、世界史、地理のA、B、これらの教科書をざっと調べてみると、およそ三〇%は北方領土に対する記述がないんです。これは大変な私問題だと思う。なおよく調べていただきたいんだけれども、出版社の社名の発表ははばかりますが、小学校について言うと、高学年になるほどこの記述の内容が希薄である。たとえば四年生の場合には十七行使っていても六年生になると五行である、あるいはある社においては六年生になると一行しか書かれていない。まあこういったぐあいに、学校教育の面においてはほとんどと言っていいほど北方領土については触れられていないというのが現状です。
 根室の場合には、ここに持ってきておりますが、小学校、中学校とこのように一冊の副読本をつくって、そして北方領土というものについての歴史、そしてその根室におけるかかわり合いその他をかなり細かく子供に事実として教えておるわけだけど、この種のものをやっぱり総理府としても考えるべきじゃないだろうかというふうに思うんです。だからいまの教科書の問題、もうすでに出ておるものについてはやむを得ぬとしても、これからの問題として、やっぱりこの辺のことを十分根室の実態を、長官も行かれたんだから、参考にしてやるべきだと思う。何もそのことは気恥ずかしいことでもなければ何でもないあたりまえのことですから、私は早速にでも取り上げてもらいたいと思うんだけど、大臣どうですか。
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の点は、きわめて重要なポイントを指摘されていると私は思います。私も総務長官に就任以来、北方領土に関する政府広報あるいは学校教育における政府の取り組み方というものが少し弱いんじゃないかということで、厳しくただいま指導をいたしております。また、一般国民に対するテレビ等を通じての啓蒙活動もいままでずいぶん低かったと、こういうことで、十一月からは全国ネットで、ある時間帯にこういう北方領土の歴史的な事実を国民に理解していただくための活動をすでに広報室を通じて準備をしておるようなことでございますが、私は、先般総理府刊行物については、民間団体でいろいろ募集されたスローガンの中から、「北方の領土かえる日平和の日」という国民の願望を込めたスローガンを必ず総理府出版物には印刷するようにということをすでに指示をいたしております。
 先生御指摘のようにアメリカ、メキシコ間のわずかな領土をめぐる長い闘争あるいはユーゴとイタリアをめぐる七十年に及ぶ外交交渉を通じての領土問題の解決というものを見ましても、私どもは国民世論を背景に息の長い努力で外交を通じて北方領土の返還をさせなければならない。共産主義の国であっても、日中関係もかつての周恩来首相あるいは日本の社会党の委員長であられた浅沼先生の共同声明が行われた時点と今日とでは、きわめて想像もつかないような友好関係ができております。私は、日ソ間においても決して固定されたものではないと、双方、われわれの努力がソ連に通じる日には、必ず平和のうちに北方領土が返るという信念を持って今後とも取り組んでまいりたいと考えております。
○説明員(藤江弘一君) ただいま先生の御指摘ございましたが、各教科書、出版会社によりましてそれぞれの教科課程の段階に応じました記述がなされるようになっておりまして、たとえばK社と申しましょうか、四年の段階では固有の領土であること、北方領土を強く返還を求めているというようなことで、二ページ十七行にわたって記載しておる、あるいは六年の課程で、未解決であるというふうなことで、五行にわたりまして記述いたしておるわけでございまして、そういう意味で必ずしも私ども十分とは思いませんが、ある程度のそういう意味での成果は上がっているんじゃないかと、しかしさらに充実させるように努力させてまいりたいと思っておるところでございます。
 また、ただいま先生御指摘の副読本につきましては、これはおっしゃいますように、根室では使用されておりまして、確かに効果が上がっているところであると考えております。私どももできればそのような方向で考えていただきたいとは思いますが、これは先生御承知のように、都道府県のあるいは市町村の教育委員会の段階の決定にまつわけでございます。そのような意味で、今後とも文部省を通じましてそのような形での副読本の採用が進められますように努力してまいりたい、またそのための資料については、これも十全の努力をいたしてまいりたいと考えております。
○藤井恒男君 いま言われたこと、大変私不満なんでね。五行にわたってじゃないんだ、五行しか書いてないんだよ。小学校の副読本これだけあるんだよ、これだけ、この一冊ね。五行にわたってじゃないですよ。その感覚が間違っておるんだ。五行しか載せないんですよ、そうでしょう。だから、そういう感覚でやっておったらいつまでたってもだめですよ。お役所仕事だ、それは。
 だから、本当に北方領土のあの現地を見て、そしていま少し数が少なくなっておるけど、漁民がけ散らされておる姿が見えるわけですよ、目の前にね。拿捕される姿も見えるわけですよ。そういった現地を見たときに、やっぱり見ていないんだから、多くの国民は。わからない。だから、この種の副読本みたいなものをつくって、そして後世の世代にも固有の領土だと。それはソ連を足げにすることじゃない。日本の固有の領土を返してもらうんだと。そして、その上に立って隣国であるソ連と友好条約を結ぼうという姿勢を示しておることは、これは一つもおかしいことでも何でもない。それに反対する国民は一人もいないはずなんだから。だから、運動がいま足りない。この点は大臣もいま指摘されたことだから、十分考慮に入れてやってもらいたいと思うんです。
 大臣も出席された第十二回の北方領土返還要求国民大会というのが、十月二十五日に九段会館で行われております。これはもう本当に五十数団体の民間団体が集まって、まあ純真な気持ちで、イデオロギーとか政治色を抜きに北方領土返還を求めて結集しておる団体です。ここで、大臣もお聞き及びだと思うんだけど、一生懸命やっておる人たちがみずから、まだまだ多くの国民の間にこの北方領土に対する理解と認識が薄いということを嘆いておられる。そのためにどうしたらいいかということについて一つの提案があるわけです。それは、北方領土返還を求めるための統一行動がとれる日。だから、これをまあ北連協の方たちは北方領土返還の日というふうに言っておるわけだけど、そういった日をつくって、たとえばバードウィークというものもある、あるいは耳の日というのもある。同じように、全国の日本の国民が「あっ北方領土だ」ということを意識づけるための、要するに国民世論を喚起する、しかもそれを長い粘り強い動きにするために一、その種の日をつくってくれという要求をしておる。私は、このことは民間団体から出てきたものであっても、やはり内閣できちっと決めなければその日にはならないわけですね。ぜひ実現していただきたい。それも、努力しますというようなことじゃなく、ここまできたら私ははっきり大臣から、大臣の立場において明確に、北方領土返還に燃えて立ち上がるんだという決意の中から、ひとつこの北方領土の日の制定ということについてのお考えをお聞かせいただきたい。
○国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘のとおり、十月二十五日に開かれました第十二回の北方領土返還国民大会、私出席をさしていただきましたし、衆参両院の北方領土関係の委員長も御出席でございました。また、共産党の代表者の方もお越しでございました。そこで、民間団体から、ぜひひとつ国民世論を盛り上げるための北方領土の日をつくってもらいたいというお申し出がございました。私としましても、国民世論がそのように盛り上がってくることは、政府としてはきわめてとうといことでございますし、私といたしましては、北方領土の日が設定されるということについては全力を挙げて努力をするということを申し上げてまいったわけでございます。
 いま、先生御指摘の点は十分踏まえまして、そういう日はいかなる日がいいのか、これはやはり国民各界の方々の御意見を中心に判断すべきものであろうと私は考えております。
○藤井恒男君 いずれにいたしましても息の長い問題であり、国際世論を動かさなければいけない。国際世論を動かすためには、国内がやっぱり燃えなければいけない。燃えるための手段は、やっぱり民間を主体にしてやることが私はいいと思うけど、それを政府は、とりわけ統括される総理府は、あらゆる面でサポートしていくべきであろうと私は思うのです。そういった意味で、これからも力いっぱいがんばってもらいたいし、いま大臣がお答えになった具体的な問題としての北方領土の日というものについては、それを何月何日にするかということは国民の声を聞かなければいけないけど、北方領土の日を大臣としては設定すべきであると決意しておられるというふうに受け取ってよろしいですね。
○国務大臣(中山太郎君) そのように御理解をいただいて結構でございます。
○藤井恒男君 以上で終わります。
○委員長(林ゆう君) 本日の調査はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十六分散会
     ―――――・―――――