第093回国会 科学技術振興対策特別委員会 第6号
昭和五十五年十一月七日(金曜日)
   午後二時五分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 淳夫君
    理 事
                後藤 正夫君
                林  寛子君
                八百板 正君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩上 二郎君
                長田 裕二君
                片山 正英君
                上條 勝久君
                源田  実君
                鈴木 正一君
                鍋島 直紹君
                長谷川 信君
                対馬 孝且君
                松前 達郎君
                吉田 正雄君
                佐藤 昭夫君
                小西 博行君
                山田  勇君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      下邨 昭三君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    赤羽 信久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       運輸省船舶局首
       席船舶検査官   新藤 卓治君
   参考人
       日本原子力船開
       発事業団理事長  野村 一彦君
       日本原子力船開
       発事業団専務理
       事        倉本 昌昭君
       日本原子力船開
       発事業団理事   野沢 俊弥君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法
 律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(太田淳夫君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案の審査のため、必要に応じ日本原子力船開発事業団の役職員を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田淳夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 また、来る十四日、日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め意見を聴取することとし、その人選につきましてはこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田淳夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(太田淳夫君) 日本原子力船開発事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○吉田正雄君 私は、原子力行政というものの日本の政治の基本的なあり方、あるいは行政の最高責任者としての大臣の姿勢なり見解について当初にお尋ねをいたします。
 御承知のように、日本の原子力行政については今日なお多くの国民が不信感を解消しておりません。特に「むつ」問題につきましては、御承知のように、原子力安全委員会が原子炉の安全審査を行って大丈夫であるというお墨つきを下して、そして建造が開始をされたということなんですね。ところが、出力試験の最中にわずか二%未満の段階で放射線漏れ事故を起こしたというごとなんです。ところが、その後の地元における四者協定なりあるいはその後の長崎における五者協定等を見ても、協定だけは結んでおるけれども、ちっとも実行されていない。つまり地元にとっても政府代表が入っての協定であるにもかかわらず、これが少しも遵守をされない。口先では誠意を持って実行いたしますということを繰り返し言いながらほとんど実行されていない。最も肝心な点については完全に無視をされると言ったらいいんでしょうか、とにかく実現を見ていないということで、私はこれは青森県の皆さんを初め、長崎の皆さんたちもそういう点で非常な不信感と不満を今日の原子力行政に持っておるということは御存じのとおりだと思うんです。また、原子力行政に秘密があってはならぬということは、歴代大臣が繰り返し主張をされてきております。ところが、原子力行政ほど日本において秘密行政はないんじゃないかという強い批判も出ておるわけですね。たとえば「むつ」建造をめぐる契約等についても、ちっとも明らかにされないということがあるわけです。私は大臣自身が果たして「むつ」建造に関する契約等について詳細にごらんになっておるのか、あるいはお聞きになっておるのか、多分私はお聞きになっていないんじゃないかというふうに思うんです。
 私は、ここで当初になぜこんなことを言うかと言いますと、これだけ重大な問題であり、過去十数年間にわたって物議も醸し、委員会の席上でも議題になり、さらには本会議でもこの問題をめぐっては、いろいろ論議をされてきたんですよ。そこで、審議をするに際してはあらゆる資料というものについては委員会の場に提供されなければ審議はできないわけなんですね。そういうことで、従来も情報公開法とかいろいろなことがありましたけれども、法案審議に関連をして必要な資料というものについては、私は秘密にすべき事項ということはなかったと思うんです。そういう点で、とりわけ原子力船「むつ」の問題に関しては何か秘密にすべき、国民の目から覆い隠さなければならないような契約であるとかそういうものはございますか。まず、当初にそれをお聞きいたします。
○国務大臣(中川一郎君) 原子力行政の基本的な姿勢、こういうことでございますが、これは言うに及ばず、エネルギーが石油を中心に非常に問題になってきたということに当たっては、代替エネルギー、省エネルギー等もいろいろ問題ありますが、国際的にもこの問題は大事だというのでいろいろ議論のあるところであり、その中でやはりいま考えられる代替エネルギーとしては原子力が第一番目であろうと。二十年、三十年後はまた別としても、どうしても避けられないものであるということで強力に取り進めてることは言うに及びません。また、「むつ」の問題もそういった観点から二十一世紀初めには世界が舶用炉を使うだろうと言われるのに対処してやっていかなければならぬという姿勢で取り組んでおるところでございます。そこで、五者協定が守られた、守られない、少しも守られてない、四者協定もそうでありますが、あるいはほとんど守られないといっておりますけれども、私は守られておると思っておるわけでございます。たとえば四者協定について言うならば、撤去の問題が一番重要な約束……
○吉田正雄君 協定の内容はこれからまたお聞きしますので、当初に基本的に何か契約やその他で隠さなきゃならぬことがあるのかどうなのか。そうでなくて、この法案の審議に関連をして、原子力行政はとりわけ秘密があってはならぬわけですから、そういう点でこの問題に限って言います。原子力船「むつ」の建造に関し、従来から秘密にすべき契約のようなものはございましたか。まず、秘密の契約があったのかないのか。
○国務大臣(中川一郎君) 基本的姿勢というものですから、原子力の基本的姿勢かと思いまして申し上げたんですが、秘密の約束とかそういうものは一切ございません。出し得る資料は出しますが、秘密の資料はございません。
○吉田正雄君 そうすると、当初の原子力船「むつ」の建造に関する契約、これは御承知のように船体に関しては石川島播磨重工、それから原子炉については三菱原子力工業との間に契約が結ばれておりますけれども、この契約の中に秘密の事項ございますか。
○国務大臣(中川一郎君) 秘密の事項はございません。ございませんが、ただ先の答弁になるかもしれませんが、秘密でなくても出せない場合もあるということだけは申し上げておきます。
○吉田正雄君 ところで、あれだけ事故を起こして、大騒ぎになって、そして原子力船については出発当初から大きなつまずきを見せたわけです。そしていままた佐世保で改修工事が行われているわけですね。またその改修工事の結果が思うようにいかなかった場合、一体どういうことになるのかということを考えた場合に、当初の「むつ」建造に当たっての契約内容において問題点があったのかどうなのか、こういう点から検討していかないと、同じ過ちを再び繰り返すことになるのではないかということでお尋ねをしているんですよ。論議ができないんですね。なぜ論議ができないかといいますと、ずっと前の、ちょうど約二年前の委員会においてもこの「むつ」問題が論議をされたんです。そのときに私は造船会社や三菱原子力工業と事業団との契約内容についていろいろただしたんですけれども、はっきりしないんですよ。
 そこでまず、お尋ねをしたいと思うんですが、契約の内容というのは発表できるんですか、できないんですか。秘密はないとおっしゃったが、審議をするのにどうしても必要なんですよ、契約の内容というのは。そうでないと、どこに問題があったのか、どちらが責任を負うべきなのかというのがはっきりしないんです。二年前の論議の中では、契約書を持っておいでにならなかったから、当時の原子力局長は見てないのでよくわかりませんがというふうな内容の答弁をされたんですよ。したがって、論議にならぬわけです。私の方でも契約書の内容がわかりませんから、一体どちらが責任を負うべきものなのかというのがはっきりしないんですよ。そういう点で大臣あれでしょう、物を買ったり売ったりする場合、これは一つの商行為であり、いろんな観点、とりわけ国がこの問題には大きく関与しているわけですね。事業団というのはもっぱら私は国の機関と見ていいと思う。しかも、原子力開発事業というのは、これは国家プロジェクトであるということまでおっしゃっているわけですから、そういう点で国民の税金を使ってやる原子力船の研究開発なんです。そういうことで契約の内容が国民の前に明らかにされないとか、国会審議の場で明らかにされない中で、一体何を審議するんですかね。そういう点で、さっき秘密はないとおっしゃったんですよ。しからば、公表できないのかできるのかということを、まず当初にお聞きしたいと思うんですよ。もし公表できないとか、この委員会の場にも契約書の内容というものが提出できないということになれば、法案審議できませんよ、これは。なぜできないかということはこれから申し上げますけれどもね。
○国務大臣(中川一郎君) これは私契約でございまして、確かに事業団は政府の指導している機関でございますから、こちらについての指導力はありますけれども、これは相手方もございまして、相手側が公表したくないというものをこちらが一方的にやると、こういう秩序ができますと、そういうことが当然だということになりますれば、あらゆる私契約は公表しなきゃならぬということになってまいりまして、これはもうこの問題だけじゃなくて全体に影響するものでございます。したがって、相手側もよろしゅうございますということであるならば出せますが、相手側がそういうことは今後仕事をしていく上に、国の命令で出せと言われたら出さなけりゃならぬものだということになっていけば、これはこの問題だけではなくて、あらゆる契約に非常に支障を来す、こういうことだと存じます。ただし、何か御疑問の点があったり、あるいはこういう点についてどうなっておるかというようなことがあってお尋ねがあれば、その個所についてはこういう約束になっておると、こう言いますが、何でもかんでも契約したものは全部出せと、こう言われても出し得ませんが、「むつ」の安全問題について議論をしたい、こういう点について出してほしいというものがあれば、そういう点は出しますが、全部出せと言われても残念ながら出すわけにはまいりません。
○吉田正雄君 国家が関連したあらゆる契約を全部出してくださいと言ってないんですよ。いま原子力船「むつ」に関しては、これだけ大きな問題になって、国会でも常に論議をされてきておるわけですよ。責任の所在がはっきりいたしておらないということなんです。何回法改正に絡んで論議をしても、一体どちらに責任があったのか、そのことが全然明らかにされていないですよ。大山委員会あたりの報告では、行政に対しても相当厳しい批判を述べております。述べておりますけれども、行政当局の口からどこに責任があったのかという明確な答弁というのは今日までないですよ。そこのところを聞かしてくれと言えば、いや契約は私契約であって、これはなかなか公表することはできませんと。公表することはできないというのは、だれが言っているんですか。契約した相手がこんなの公表されては困るというそんな困るような内容になっているんですか。一般論で言っているんじゃないんですよ。現実にこれだけ問題が起きているから言っているんですよ。
○国務大臣(中川一郎君) 契約について問題があるならば、それは場合によっては秘密会その他で先生方に見てもらうこともあり得るかもしれませんが、私の承知しているところは、契約そのものにあるんじゃなくて、やはり設計そのものにミスがあったと。行政側に責任があったことであって、相手側あるいは相手側との交渉に問題があったとは承知いたしておりませんので明らかにできないということでございまして、問題がなぜ起きたかという事務的なことについては事務当局から報告させますが、私の承知したところでは、契約の内容にミスがあったとか不正があったとか秘密のことがあって、そのことが問題になったとは承知いたしておりませんから、確かに事故のあったことについては反省いたしておりますけれども、契約を出せ、そこから調べなければ解明ができない、こういうものではないと承知をいたしまして、一般の範疇に契約については入る、こういうふうに思っておるわけでございます。
○吉田正雄君 大臣ね、私は大臣は比較的正直におっしゃる方だと思っておるんで、当初から行政の姿勢も聞いておりますし、いまの答弁で設計に問題があったと、行政に責任があると、こういう点は明確におっしゃったんですよ。これほど明確には従来おっしゃる方は少なかったんです。ああでもない、こうでもないと言って責任回避をやってきたんですよ。設計上問題があったとおっしゃるんですけれども、果たして設計上だけの問題なのかどうか、ふたをあけて調べていないのですよ、あの原子炉については。だからまだ原因の解明については完全に行われていないというふうに私どもは見ているんですね。その点についても明確ないままで答弁をいただいたこともないんですよ。これは単なる一方的な言い方でしがなかった。これは事業団にしろ科技庁当局にしてもそうだった。そこで私がいま言ったのは、私も契約そのものに不正があったから出しなさいとか何とか言っているんじゃないですよ。責任の所在を明らかにするためには、契約の内容がどうなっておるのかということがわからなければ、行政の側にあるのか事業団の側にあるのか、あるいは石川島播磨重工にあるのか三菱原子力工業にあるのか、この辺がはっきりしない。両方の責任である場合もあるだろうし、あるいはそうではなくて原子力船事業団の方の責任に入るのかということがわからないんですよ、この前聞いた段階では。こういって抽象的に言っていると、何を言っているんだろうなというふうにお考えになると思うんですけれども、いま私は書いたものをどこかに置いてきたんで、ちょっとまいっているんですけれども、この前のこれは五十三年十月十三日のここの委員会における私の質問の主な内容はどういうことかといいますと、普通の場合、うちを買う場合でも自動車を買う場合でも、完成品でしかもそれが検査を要する物品については、国なりそれなりの検査機関の合格証というものをもらって初めて正式に商行為、売買が完了するわけですよ。まだうちができて建設局あたりの検査も終わらぬうちに、あるいはガスの検査も終わらぬうちに、これが完了したなんて言って買うばかないわけです。自動車についてもしかりです。これ車検も出て、完全にこれでもう乗れるんですということになって、初めて金を払って自分の物にするわけでしょう。だから、そういう点で放射線漏れを起こしたというのは一体どちらが責任を負うべきなのかということですが、運輸省の船舶検査の定期検査を受けた後じゃないのです。その試験を受けている最中にあの事故が起きたわけですよ。したがって、まだ正式に、日本国籍の船籍はありますけれども、定期検査を受けてないですから、船はまだ走るわけにいかないのですよ。まだ完成をしていないのです。検査終了以前なんですよ。検査終わる以前の放射能漏れ事故ですから、一体その責任はどちらが負うのかということを聞いているわけですよ。だから、そこのところで契約がどうなっているのかということを、この前もちょっと聞いたんです。局長何かいろんな答弁やっておりますけれども、そこのところがちっともはっきりしないんです。いや保証期間というのがありますとかいろんなことを言っているわけです。そこで、船を引き取るというのはどういう条件のもとにおいて船を引き取るということになったのか、契約書を出せるのか出せないのか、まだはっきりしませんがね。ということでいろいろ聞いてみたいのですよ。契約ではこういう条件のもとで船を引き渡すことになっていますと、いろんなこと書いてあると思うのです。検査前にもう船もらいましたなんてそんなばかな話ないと思うのですよ。検査終了後もらうのが普通でしょう。検査前にもらって自分の物にしてしまったら、事故が起きた場合これ自分の責任で今度はやらなきやならぬことになるわけです。こんな取引は普通考えられないのですよ。そういうことでお聞きをしたんですが、どうもこの前のときは、いや保証期間の後だとか前だとかという単なる言い方で、明確な答弁なかったんです。そういうことで、私は皆さん方のおっしゃっていることはうそだと言いません。国会の場でうそついたと言ったら、これは偽証罪じゃありませんけれども、大変なことになりますから、そこまでは疑っていないのですけれども、しかし国会の論議をスムーズに進行させるためにも、また国民に疑惑を招かないためにも、私はやはり発表していい内容の契約書であれば発表すべきだと。石川島播磨重工や三菱原子力工業がこの契約を発表してもらっては困るというふうに、とりわけ事業団に注文がついておるんですか。ついておったら、これはまた大変な話になりますし、特に発表して差し支えない内容なら私は発表すべきだと思うのですよ。契約書の中にこの契約書は秘密とすると、発表しないことにするとでも書いてあるのですか。書いてあればまた別ですけど、まずそこから聞いてみましょう。大臣からまた後で御答弁いただくことにして、まず契約書をこの国会審議で必要だというのに、その契約書については発表できませんか。これはマル秘扱いでもいいですよ。そういう何か約束でもあるんですか、発表しないというふうな。まずそこから聞かしてください。
○参考人(野村一彦君) 契約書の性質につきましては、先ほど大臣がお答えになったとおりでございます。それで、それに関連してただいま先生がおっしゃいました事実関係と申しますか、私ども当事者として、御疑問を先生が提示されましたのでそれにお答えいたしたいと思いますが、契約書の性質は、ただいま大臣がお答えになったとおりでございます。
 そこで、問題は先生の御質問にありますように、一般に新造船――新しく船をつくります場合は、造船所におきまして海上公試運転というものを行いまして……
○吉田正雄君 まず、内容に入る前に、私が聞いたことに答えてくださいよ。公表できるか、一般論じゃないんですよ、具体的に聞いているんだから。何か三菱とか石川島との間にこの契約については発表したらぐあいが悪いから発表しないことにしているというふうな約束でもあるんですかということをまず聞いているわけでしょう。そこから逐次答えていきなさいよ。いま中身なんていうのは聞いていないんだから。
○参考人(野村一彦君) その点は先ほど大臣がお答えになったとおり……
○吉田正雄君 大臣じゃないよ。契約結んだのはだれです。どことどこが契約結んだの。
○参考人(野村一彦君) 事業団と石川島播磨それから三菱重工がそれぞれ契約を結びました。
○吉田正雄君 だから、事業団としてどういう約束があったのか、大臣に責任を押しつけなさんな。いま事業団としての立場を聞いているのですよ。
○参考人(野村一彦君) 事業団といたしましては、民間との双務的な契約でございますので、事業団の一方的な判断で契約書を外部にそのままお出しすることは差し控えてもらいたいという先方の要望もございますので、先生の御質問に応じてその内容についてはお答えいたしますけれども、生のままの契約書をそのまま出すことは、先方としても営業上のいろいろな問題や他に及ぼす影響もあるようでございますので、それは御容赦願いたいと申しておりますので、私どもだけの判断ではそのまま契約書をお出しするということは、ちょっと差し控えさしていただきたいと思います。
○吉田正雄君 そんな答弁では納得できないですよ。いいですか。この原子力船の建造については、日本の造船業界それから原子力産業会議全体の統一された意思と国の意思のもとにこの研究開発が行われたんです。したがって、競合相手があるとか企業秘密であるとか、そういう内容じゃないですよ、この研究船の内容については。契約も七社の指名入札で当初行われたわけですよ。ところが、それが拒否をされたと。経過は後でまたいろいろお聞きしますけれども、だから一般的な商行為として何が何でも発表しなければならぬという必要はないでしょう。そんなのあたりまえの話ですよ。普通の民間の取引会社がやっている商行為を一々発表するなんという義務もないでしょう。しかし、これは国の事業として国の予算を大幅につぎ込んでやっているんですよ。国権の最高機関である国会でそれを審議するというのに、その契約書が出せないというのはどういうことなんですか。審議できるわけないじゃないですか、国の予算をつぎ込んでいるのに。どういう契約の内容だか、その契約書が見せられない、国会の場に出せないなんということで何が審議できるんですか。周囲の皆さん、大臣にどういう説明をしていらっしゃるかわかりませんが、俗に言う官僚が大臣に説明する際にいつもぼくは疑問だと思っているんですよ。一般の民間会社における甲乙者の契約を国会が権限を持って公表せよなんて、そんな権限もないでしょうし、そんなことを言っているわけじゃないでしょう。一体この金はどこから出てだれが契約するんですか。表面は事業団であっても、あなたは大臣が答弁したとおり、大臣が答弁したとおりと言っているじゃないですか。これは国家プロジェクトとしてやっているんですよ。それが何で国会で審議をやる場合に、その契約書の内容は出せないんですか。理屈にならぬですよ、理由に。単なる一般の民間会社の契約とあなた勘違いしてもらっちゃ困りますよ。じゃ発表できない理由を言ってくださいよ。たとえば法的根拠でこれこれこうですとか、国家公務員の場合には守秘義務がありますとか、秘密を守るあれがあってこれは発表できませんとか、そんな何かひっかかるものがあるんですか、法上。
○参考人(野村一彦君) いわゆる国家的な秘密とかそういうことはもちろん何もございません。ただ、これは契約の相手方が民間企業でございまして、民間企業と国家機関であります私どもが契約をいたしておるわけでございますが、先ほど先生もちょっとおっしゃいましたように、この契約は普通の造船の契約と多少違う形態のことがございまして、いろんないきさつがございましたが、要するに随意契約を結んでおるわけでございます。したがいまして、金額の支払い条件とかあるいは引き渡し期限の変更とか猶余とかあるいは違約とか、そういうような条項が含まれておりまして、その具体的な内容がいわゆる俗な言葉で言いますと、商売上の一つの特殊なケースであるので、そのままの形で発表されて第三者にわかるというようなことになりますと、その会社としてほかの契約の場合にも悪い影響が及ぶ。したがって、これを請け負っている企業としてそのままの形で公表されては困るということでございまして、別に国家の機密とか、そういうようなことではございません。そこで、私どもは、先生のお話のように、どうしても国会の御審議で必要であるということでございますれば、具体的な御質問に応じましてその内容についてはできるだけお答えするということで、むしろ企業側の方から営業上の秘密と申しますか、いろいろ向こうの企業としての立場からそのままの形で公表されては困るということでございますので、国家機密とかなんとか、そういうことではございませんので、そういう御質問に応じて内容はお答えいたします。
○吉田正雄君 普通の商行為と違うというのはわかりますね。単なる民間同士の契約じゃないのです。これはむしろ国家と民間との契約というふうに見るのが本質的に正しいと思うのですが、その点は同感でしょう。そうですね。そこで石川島と三菱が、これは国会の場に契約書の内容というものが出されたらぐあいが悪いというふうに何か注文がついたんですか。だから私は当初聞いたでしょう。これが出たらぐあいが悪いというふうに何か向こうから注文がついたのですかと、あるいは契約書の中にこれは外部に公表しないという何か一項でも盛ってあるのですかと聞いている。その点どうなんです。いまあなたは何か困ると、向こうからこんなものを公表されたんじゃ困るというふうなことを言われておるような言い方されたんですが、そうなんですか。
○参考人(野村一彦君) これにつきましては先生から今回その契約書を出してほしいという強い御要望がございましたので、向こうの方とも相談をしたわけでございます。そうしたら向こうがこちらの相談を受けて、営業上のいろいろ問題があるから、そのままの形で出してもらっては困りますという、そういう向こうの返事が返ってきたわけでございます。
○吉田正雄君 ぐあいが悪いというのは何がぐあいが悪いのか。ただ言葉の上でぐあいが悪いじゃ全くわからないのですよ。当初の契約段階の指名入札の際、見積もりがつくられますよね。この見積もりというのにはだれが参加したんです。わからなければわからぬでいいですよ。大臣聞いていてください。これはまさに原子力産業会議、それから七大造船会社が挙げて、とにかくこれは国家的事業として造船界も原子力産業界も協力をしてこれに取り組もう、こういうことになって、いろんな民間会社から原子力開発事業団に来たり、設計段階でも特定の一社じゃないのですよ。あらゆる民間の人たちがこれに関与して、分担して業務というのはずっと進められてきた。したがって、この見積もりについても造船七社、大手七社というものがみんな関与しているのですよ。中身はわかっているのですよ。何も秘密にする内容じゃないのです。まさに大っぴらでやってきたのです、これは。ところが、何らかの理由でその見積もりの三十六億円では安過ぎるということでもって、衆議院の科学技術対策振興特別委員会で中曽根康弘議員が、今度は随意契約にしたらどうだと、三十六億じゃだれも引き受け手がないから、それでは随意契約ということで金額も上げたらどうだというような話になって、そして七十億ですか、これは後で正確な数字聞きますけれども、こうなったんで、ということで、何にも隠すべき性格のものじゃないのですよ。みんなわかっているのだ、造船業界の中だって原産界の中だって全部どういう内容であれは幾らぐらいかかる、こんなことみんなわかっているのですよ。ただ、一つの企業が全く自分の資本で、独自の研究費で開発をやっていくということになりますと、これが失敗するかもわからないし、大変な危険性があるわけですよ。だから、こういう研究開発段階では国の事業として、国が最大限めんどう見るべきだということで、これには金つぎ込んできたわけでしょう。そしてこの研究開発が終わって、いよいよ本当の商業船として運航するような段階になってくれば、実用船の段階では今度は民間がやればいいわけなんですよ。だから、この段階までは民間も総力を挙げて各社協力できる部分でそれぞれが全部やろうということでやってきたんで、秘密も何もないのですよ、こんなものは。あっちゃ困る、あっちゃ困るような契約はやるべきじゃないですよ、そんなもの。何がぐあい悪いんですか。国民の前に明らかにされて何がぐあいが悪いのですか。単にぐあいが悪い、ぐあいが悪いじゃ困るんですよ。ぐあいの悪いことを具体的に言ってくださいよ。そうでなかったら審議できないじゃないですか。何がぐあいが悪いんです。契約書の中身がわからなかったら質問ができないんですよ。この前の二年前の質問だってはっきりしていないから、またきょう同じ質問をせざるを得ないんですよ。たとえて言うならば、こういうことでもわからない。まず、放射線漏れ事故が起きた段階でどういう条件で船を受け取るのか、完成はどこまでをもって完成と見なすのか、こういうことが明らかでないんですよ。核燃料装荷をして出力試験をやるというのは、一定の保証期間内で原子力事業団の責任でもってやるんだと、この前こういう答弁なんですよ。ところが、その試験が保証期間過ぎちゃったものだからと、こういう言い方なんです。こんな無責任な答弁はないんでして、そうであるならば、一体何でその保証期間の中で核燃料装荷と出力試験を完了しなかったのかということでしょう。じゃ、もし保証期間内にその試験が行われて、この間の事故が保証期間内で発見をされた場合のその責任はだれが負うのか、そういうことはみんな明確に書いてありますか。だから、保証の期日がどうなっているのか、そういうことがちっともこの前の答弁じゃわからぬですよ。一例で言うとそういうことなんですね。こういうことで、契約の内容を見ないとどこが責任を負ってやるのか、共同の責任になるのか。研究開発段階で国の事業としてやってきているんですから、故障が起きた場合、あるいは未完成でまたぐあいが悪いことになれば、やっぱり国がある程度めんどうを見てやるんだというのはこの段階ではぼくは当然だろうと思うんですよ。賛成するか賛成しないかは別にして、経過からすれば多分そうなってくるんだろうと思うんですけれども、しかし、契約内容がはっきりしないで、そして何か責任があいまいだ。もし、本当に事業団の責任なんですということになれば、それは責任とってもらわなきゃだめじゃないですか。そのような責任がまた全然とられていない、無責任体制もいいとこだというのは、そのことを言っているんですよ。だから、契約書の内容を明らかにしなさいと言っているんだ。それでもまだ明らかにできないんですか。
○参考人(野村一彦君) ただいまの先生の具体的な御質問でございますので、内容は明らかになっておりますのでお答えいたしたいと思いますが、石川島播磨及び三菱原子力工業は、事業団に対していわゆる船の速力、船速それから炉熱出力、燃焼量、こういうものをいわゆる性能保証しておるわけでございますが、この性能保証の確認は事業団の責任において実施いたします海上公試運転、この海上公試運転は同時に出力上昇試験でもあるわけでございますが、事業団の責任においてなされるということになっておったわけでございます、いま申し上げました性能についての試験は。その後、契約の当初には予期されませんでした試験の実施、先ほど先生がおっしゃいましたような出力上昇試験の実施が予定どおりできませんでしたので、事業団は両社と折衝いたしましてその性能の保証期間、いま申し上げました船の速力と炉の熱出力と燃焼量、この性能を保証する期間を延長いたしまして、すなわち四十九年の三月十二日まで両社とも延長いたしたわけでございます。そして、それとあわせて工事の保証期間もその性能の保証期間とあわせまして、両社に対してそれぞれ四十九年の三月十二日まで延長をいたしたわけでございます。ただ不幸なことに、その後四十九年になりましても出力上昇試験を行うという事態になりませんでしたために、事業団はその性能保証の期間とそれから保証工事の期間を再延長をしてもらいたいという交渉を当時やったようでございますけれども、これが不調に終わったと。したがいまして、四十九年の九月にこの事故が起こりまして、この性能保証期間とそれから工事の保証期間とがともに過ぎておった時点において事故が起こりました。したがいまして、いままでのいろいろ両社との審議、折衝その他国会における御論議においても出たわけでございますが、弁護士等の意見を聴しましても、いわゆる法律上の責任というものはどうも企業、特に三菱原子力工業に対しては問えないのではないか、ただ道義的な責任はあるがということで、その辺残念ながら保証期間後に事故が起こったというのが実情でございます。
○吉田正雄君 残念ながら保証期間後に事故が起こったという言い方は主客転倒の言い方ですよ。そうでしょう。本来は保証期間までに一切の試験というものを完了して、そして船舶安全法で言うところの運輸省の検査というものも受けて、そしてこれが完全な船ですということが確認されるまでは、これはつくった方に本来責任があるわけでしょう。本来責任ありますよ。ただ、あなたがいまおっしゃったように、契約の中には核燃料装荷をやってそして出力試験をやります、これは事業団の責任でやりますと、こうなっているわけだね。だから、試験を担当するのは事業団であっても、つくられた船、これから引き取ろうとする船が果たして当初の、言うとおりの船であるのかどうなのかという点について、欠陥商品であるのかどうなのかということについては、それまでに検査でもって確認をするのが常識でしょう、これは。事業団が試験をやるならいいですよ。いいんですけれども、その試験も、だから保証期間中に本来は完了すべきなんですよ。ところが、あなたのいま説明を聞いているというと、残念ながらそれはできませんでしたと言う。これは何でできなかったかということも、これまたはっきりしてないんでね。何が理由だったのか、またそれを聞くといろんなことをおっしゃるでしょうけれども、とにかく、どこを突いていっても結果だけまずいことははっきりしているんですけれども、どこに一体もとの原因があって、どこが責任を持ったら、これが改善されるのかというのが何回論議したってはっきりしてこないんですよ。いまもまた答弁を聞いていてもそうなんだ。明敏な大臣ですから、私の質問が余り要領よくなくても、大体何を質問しようとしているのかということはおわかりだろうと思うんですよ。だから、結局責任の所在がはっきりしなくなっている、いまだって。最終的にはだれの責任になるんですか、こんな欠陥商品受け取っちゃって。物の役に立たない。それでまたいま佐世保へ突っ込んでこれやっているんですけれども、佐世保へ行くまでの段階のこういう事態になった責任というのはどこにあるんですか、これは。もともと欠陥商品だというのは、設計もあるでしょう、私は設計だけだとは思わぬですね。施工についてもあるだろうと思うんですよ。原因は完全に解明されてないですよ、はっきり言って。大山報告もいろいろ読みました。その他の報告も読みましたけれども、実際にふたをあけて全部ばらして見たわけじゃないんですからね。そういう点で、一体事業団としてはどこに責任があったと思うんですか。契約もまずかったと思うんですよ、ぼくは。どういうふうに反省されているんですか。
○参考人(野村一彦君) 事業団が船主でありますし当事者でございますので、そういう保証期間内に所要の海上公試並びに出力上昇試験が実施できなかったというのは、これはもう第一には事業団の責任でございます。その責任の具体的な内容につきましては、やはり技術上の大きな問題としては、大山委員会で御指摘になっておられますような設計上のミスということが考えられるわけでございまして、そのことについては、事業団ももちろん関与いたしておりますので、設計上のミスについては事業団としての責任は当然あるわけでございまして、この点については十分反省をして、今後設計上の責任については、現在の「むつ」の修理についてさらに事業団と企業側の責任の分野を明確にすべく、この不幸な事故を参考にしてやっておるところでございます。ですから「むつ」の四十九年の責任については当然事業団が第一次的責任を負うべきものだと考えております。
○吉田正雄君 そうすると、契約の中には、もし設計上のミスということが明確になった段階では、出力試験その他の原子炉に関する試験の結果事故が起きても、故障が出ても設計上のミスの場合にはつくった方は、メーカーとしては責任は負わないというふうな何か一項入っていますか。
○参考人(野村一彦君) 法律上の契約に基づく契約法上の責任というのはもちろんメーカー側にもあるわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、その責任を具体的に決めたものがいわゆる工事の保証期間でございまして、その工事の保証期間の終了後に事故が起こったわけでございます。したがいまして、契約法から来る法律的な責任ということをメーカー、この場合は炉の部分でございますので三菱でございますが、三菱について契約法上の民事的な責任を問うということは、これはいろいろその後も調査をしたわけでございますけれども、法律上責任を問うてそいつを追及するということはどうもできないようだという法律の専門家の意見でございました。ただ、それにいたしましても、当事者は三菱でございますので、それについての技術的な道義的な責任は十分先方も痛感をしておるということで、私どもこの点は今回もそれを踏まえまして、そういう事故が起こらないようにしたいということで話し合いをいたしておるわけでございます。
○吉田正雄君 いまの答弁はいまの答弁なりにわかるんですよ。私もその契約書見てないからわかりませんけれども、いままで皆さんが答弁してきた限りでは、要するに保証期間を過ぎてから試験をやってそこで欠陥がわかったと、事故が起きましたということなので、契約上はメーカーには責任がないというふうな言い方なんですけれども、私が聞いているのは、そういう契約ならそうでしょうけれども、逆に言うと、もし仮に保証期間中に予定どおり試験が行われて、
  〔委員長退席、理事後藤正夫君着席〕
そこで事故が起きた場合には、これはだれが責任を負うのかと。それは明確に書いてありますかということを聞いているんですよ。
○参考人(野村一彦君) 保証期間中の事故についてはそのメーカーが責任を負うということは明らかになっております。
○吉田正雄君 そうすると、設計上のミスということが仮にその期間中で発見されても、設計上のミスの場合には負わないというふうに書いてありますか。
○参考人(倉本昌昭君) その点につきましては明快に設計上の云々という言葉はございませんけれども、三菱との契約の中に、予測しがたい技術上の障害等により、この契約の履行が困難になったときは、両者協議して対処するというような形のものが一応入っておるわけでございます。
○吉田正雄君 大臣ね、こうやって一々聞いていくでしょう。大変なことなんですよ、逆に言うと。こっちが聞かなきゃみんな黙って、どういう契約内容になっているか、さっぱりわからぬですよ。大臣だっていまやり取りやっている中で隣へお聞きになったり、ああそうかと、そんな内容かと、こういうぐあいにお考えになっていると思うんですけど、私はこれ秘密会の席で、委員会以外には出さぬということで、ぼくは契約書を出してもらいたいと思うんですよ。これは俗に言う一般国民に公表するというのと違いますからね。なぜ私はそういうことを強く要求をしているのかというと、今度また遮蔽改修工事、総点検工事にかかわって、その契約内容がどうなっておるのか明らかでないと、再び同じようなことが今後起きたときに、だれが責任を負うのか、責任の所在が不明確になってしまう。相も変わらずさいの河原の石積みのようなばかなことを繰り返していくということになるんですよ。これだけ膨大な金をつぎ込んでやっている。歴代の大臣の中じゃもうあんなものは廃船にした方がいいと個人的に思っているなんという大臣だってあるんでして、これは本当にそうなんですよ。だれが考えたってこんなむだ使い、民間会社へ行ったら、こんなもの通りませんよ、これはっきり言って。財政再建というけれども、金持ちの日本政府だからこういうむだ金どぶへ捨てるようなことを平気でやれているんです。私はそう思っているんです。それはとにかくとして、いやみに聞こえるかもわかりませんけど、しかし、私はいま財政再建が叫ばれておりますし、それから原子力行政の国民的な信頼感回復とかいろんなことが言われている中で、この契約書の内容すら発表できないとか、こんなばかな話ないと思うんですよ。いま聞いておったって、そこは余り明確に書いてありませんとかで、やっぱり契約というのは全体を見て判断をしなきゃだめですよ。そしてここは落ちているとか、ここはどうだとかいうことになるんですよ。
   〔理事後藤正夫君退席、委員長着席〕
そういう点で委員長、ひとつこの問題については直ちに緊急理事会を開いて、契約書については前の契約書と、それからいま行われておる改修工事、現在佐世保で行われております改修工事の契約について、同様に契約書の内容についてはマル秘扱いにして、この委員会に提出をされるよう要求します。そうでなきゃ審議進まぬですよ。契約の内容が明らかに全部できないなんて、そんなばかな中で何審議できますか。しかも現に行われているでしょう、改修工事が。そのまた内容もわからぬで何が審議できるんですか。秘密なら秘密だと言いなさいよ。秘密の内容ありませんとか言いながら、ただし公表するのはぐあいが悪いだとか、こんなばかな話がありますか。これだけ国の金つぎ込んで、民間の出した金なんて幾らです。これも聞いていけばあるんですけど、民間なんて幾らも金出してないですよ。ほとんど国の金ですよ。ほとんど国が金出しておるのに、審議をやる国会の場でその金がどう使われておるのか、契約の内容がわかりませんとか、契約書は見せられませんなんて、こんなばかな話ありますか。国民に責任が負えますか、そんなことで。私はそういうことで緊窓に理事会を開いてもらって、この契約書の取り扱いについてあれされるまでは質疑を一応保留します。
○委員長(太田淳夫君) 速記とめてください。
   〔午後二時五十八分速記中止〕
   〔午後三時二十分速記開始〕
○委員長(太田淳夫君) 速記を起こして。
○吉田正雄君 それでは引き続いて質問を行います。
 それじゃ今度は具体的に内容をお聞きをいたしますが、「むつ」の研究開発に関して今日までどれだけの経費がかかったのか。これは五十四年度末までのものはそろそろ決算も出ておって明らかになっておると思いますから、それを明らかにしていただきたいと思います。内容的に申しますと、整理の仕方はいろいろあろうかと思うんですが、とにかくだれが見てもわかるような内容、たとえば事業団発足までの経費が大体どれくらいであったのか。それから船の建造費がどれくらいであったのか。それから陸上付帯施設等にはどれくらいかかっておるか。さらに、運営費にどれくらいかかっておるのか。それから四者協定に絡んで――これは四者協定だけじゃないですよ、四者協定の内容の一つにもありますけれども、たとえば漁業振興費などの名目で漁協に対する補助、助成であるとか、あるいは各市町村に対する体育館建設等の助成であるとか、そういうものにどれくらい出してきたのかということと、それから全体として五十四年度の民間の出資がどれくらいで、国まあ事業団でもいいですが、それがどれくらいになっておるのかということを、まずお聞かせを願いたいと思います。
○政府委員(石渡鷹雄君) お答えいたします。
 事業団発足以来、昭和五十四年度末までに要した経費でございますが、まず総額から申し上げますと二百八十四億八千万円でございます。まず、事業団自体の支出合計二百四十七億六千万円、このうち民間出資二十一億六千万円を含んでおります。それから、四者協定関係十三億九千万円。長崎におきます五者協定関係が二十五億円でございまして、以上の合計が二百八十四億八千万円でございます。
 以下もう少し詳細に申し上げます。事業団の二百四十七億六千万円のうち、「むつ」の建造費合計七十三億円、うち船価五十六億円でございます。この五十六億円の内訳は、船体に二十九億円、原子炉関係に二十七億円でございます。また、診燃料八億円、その他九億円でございます。
 次に、定係港関係の建設費二十六億円。この「むつ」建造費七十三億円と、ただいまの定係港関係二十六億円で合計九十九億円になりますが、この費用に対して民間出資二十一億六千万円が投入されたというふうに理解をしております。それから、その他が百四十九億円になりますが、この内訳でございますが、まず人件費関係が百一億円というのが一番大きゅうございまして、あと運航費あるいは乗員の養成費、訓練関係費等が十四億円でございます。その他が環境評価等々で三十四億円ということになります。
 次に、四者協定によります支出の十三億九千万円の内訳を申し上げますと、放送設備の整備及び体育館建設費、合計で一億七千万円ほどでございますが、この金額は先ほど申し上げました事業団の支出のその他の中に入っております。漁業振興対策として十二億二千万円でございます。
 最後に長崎関係で、五者協定による二十五億円でございますが、これは魚価安定特別基金造成に二十億円、それから魚価安定基盤整備のために五億円、こういう内容になっております。
○吉田正雄君 その次に、運輸省にちょっと確認をいたしておきますが、すでに国籍証明というのが七三年の六月十九日に出されておるわけですが、国籍証書というのはどういう要件を満たしたときに交付をされるのかということと、それから船の検査ですね。この検査について、運輸省としてどこまでタッチされてきたのか。まだこの「むつ」自身が研究開発船ということでありますので、船体、原子炉とその原子炉系を除くその他の設備等については、これは運輸省が直接私は検査されると思うんですけれども、しかし原子炉とその附属についても、これは第一義的にはどこが責任を持って検査をするのかという点で、安全委員会との関係がどうなっているのか。運輸省はどういう見解をお持ちなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○説明員(新藤卓治君) お答え申し上げます。
 まず第一点の船舶国籍証書の発行要件でございますが、ちょっと御説明がくどくなって恐縮なんですが、船舶国籍証書は船舶法という法律がございまして、その法律は日本船舶たる資格を取得するに必要な要件を定めてございます。そこで船舶国籍証書は、その船舶の所有者がその船舶の船籍港を所管しております管海官庁というのがございまして、「むつ」の場合は東北海運局の青森支局でございますが、そこに船舶原簿というのが備えてございますが、そこに登録をしたときに管海官庁から交付をするということになっております。
 しからば、その登録はどういうものであるかと申しますと、その船舶の所有者が登記所、法務局でもってその船の登記を行った後に登録を受け付けるという順序になっております。その登記は、それならばどうしてできるかということでございますが、船舶の所有者がまずその船の船名、船籍港、どこに本籍を置くかという船籍港を定めまして、先ほど申し上げました、その船籍港を管轄いたします管海官庁に積量の測度というのを申請いたしまして、それを受けた後、総トン数、純トン数あるいは機関の種類等々のものを記載いたしました船舶件名書というものをもらいまして、それを持っていって登記ができる、登記規則でそういうふうに定められているわけでございます。
 そこで結局、いつの時点で国籍証書が出されるかということでございますが、この積量の測度ができる時点――その間は省略いたします――で国籍証書が出るということでございまして、その積量の測度というのはトン数をはかることでございますけれども、通常、船体、機関、設備等の工事が終わりまして、物理的に船としての要件を備えた段階、その段階でもって積量の測度ができるわけでございます。
 それから第二の御質問でございますが、私ども船舶安全法に基づきまして、ただいま「むつ」の製造検査、それから第一回目の定期検査という申請が出ておりまして、いまその両方の検査を実施しておる段階でございます。それで製造検査につきましては、設計、材料試験、工作工法あるいは個々の単体の機能試験等をやっておりまして、そういったものが全部完了しました段階で船全体としての効力試験、これは実際には海上公試運転の段階で行われるわけですけれども、そこであらゆるテストを行いまして、技術基準に合っているということになりまして、初めて検査証書が発給されるわけでございます。
 先ほどの炉の部門についてはどうかということでございますが、先生先ほども御指摘になりましたように、これは試験研究段階の炉でございますから、原子炉等規制法によりまして、内閣総理大臣の規制も受けておるわけでございます。私どもにおきます船舶安全法における規制、若干法域は違いますけれども、安全という点につきましてはラップするところもございますので、私どもは安全法の立場から、それから科学技術庁の方は炉規制の方の立場から重ねて検査をしておるということでございますが、実態的には同じものもございますので、相互によく連絡をとりながらやっておるということになっております。
○吉田正雄君 四者協定とか五者協定の中にもいろいろ定係港という言葉が出てくるんですが、これは科技庁の方にお尋ねをしますが、その前に、これもいままでもずいぶん論議をされてきたんですが、この四者協定の場合には政府代表ということで自由民主党総務会長鈴木善幸さん、現首相ですが、これが四者協定のときには行っておいでになるわけですよ。政府代表というからには当然閣議決定を経て行っていると思うんですが、これは一応念のためにお聞きをしておくんですが、それは間違いないですね。
○政府委員(石渡鷹雄君) 青森に当時の鈴木総務会長が行かれる前に閣議決定があったのかどうか、ちょっと私定かにしておりませんが、その四者協定をおまとめになりましてお帰りになった時点と思いますが、その時点では当時の原子力船関係閣僚懇談会というところで、昭和四十九年十月十四日に四者協定を確認したという事実がございます。
○吉田正雄君 関係閣僚会議ですから、一応これは正式な政府の代表ということでよろしいわけですね。もう一回、念のために。
○政府委員(石渡鷹雄君) そのように考えます。
○吉田正雄君 ところで、ここでただいまの船舶法上の国籍証書というのはもうすでに交付をされておるんですけれども、ここでは船籍港ということになっているわけですね。ところが、この四者協定のところでは、今度は定係港と、こういうふうになっているわけです。そしてさらに、佐世保に今度は修理のために行ったわけですが、そこでは今度は修理港というふうなことになっているわけですね。
 そこで、科技庁にお尋ねをしますが、船籍港、定係港、修理港の定義をおっしゃっていただきたい。
○政府委員(石渡鷹雄君) 船籍港の定義につきましては運輸省の方から御答弁をお願いしたいと存じますが、定係港につきましては原子炉等規制法上、原子力船の定係港という用語はないわけでございまして、規制法上の付帯陸上施設の設置されている港が一般に定係港といわれているということでございます。
 それから、修理港でございますが、これはきわめて便宜的な呼び方と考えておりまして、単にそこで修理を現在行っているという意味で修理港と呼んでいるというふうに理解しております。
○吉田正雄君 運輸省の方はどうですか。
○説明員(新藤卓治君) お答え申し上げます。
 先ほど申し上げましたように、船舶法でもって日本船舶たる国籍を取得するためには、まず船籍港を定めていろんな手続を始めるというふうに、取得のための一つの条件になされております。それで、この船籍港と言いますのは、人の場合で言いますと戸籍の本籍地みたいなものでございまして、船の場合船名、船籍港等は必ず決めなければならないということに相なっておるわけでございます。
○吉田正雄君 運輸省の方では、定係港なんて言葉は日常使いませんか。
○説明員(新藤卓治君) 海事法規といいますか、船舶法あるいは船舶安全法等海上法規を適用いたす場合は船籍港というものだけでございまして、定係港というのはそういった法的な意味では使ってございません。
○吉田正雄君 定係港それから船籍港や修理港の問題については、これは四者協定と五者協定の関係で、またいずれ質問をいたしますが、まず四者協定の今度は中身についてちょっとお聞きをいたしますけれども、先ほど大臣は四者協定については大分実行してきておりますと、こういうことで、確かに金の面では実行されてきたと思うのですが、一番肝心な部分については全然実行されておらないということですので、この四者協定についてはもちろんお手元にお持ちだと思いますが、この協定については今日までどのように協定を守ってきたのか、実施に移してきたのかということについて、簡単に経過を聞かせてください、順を追って。
○政府委員(石渡鷹雄君) 四者協定は大別しまして三つの項目になっております。まず、第一が「原子力船「むつ」の定係港入港及び定係港の撤去に係る事項」でございます。二番目が「定係港地元対策及び漁業金融対策に係る事項」。三番目が「原子力船「むつ」安全監視委員会に係る事項」。この三つになっております。
 順を追って申し上げますが、まず第一につきましては、政府はこの協定が締結されました後、直ちに原子力船「むつ」を定係港に入るように指示をいたしました。昭和四十九年十月十五日「むつ」は大湊港に入港したということでございます。二番目に、「原子力船「むつ」の定係港入港後の取扱いに関しては、入港後六カ月以内に新定係港を決定するとともに、入港後二年六カ月以内に定係港の撤去を完了することを目途として、昭和四十九年十一月一日からその撤去の作業を開始する。」ということでございます。このことにつきましては、新定係港の決定及び新定係港の撤去は完了しておりません。次に、「定係港の撤去が完了し、原子力船「むつ」が新定係港に回航されるまでの間、原子力船「むつ」を原子炉が凍結された状態で定係港に係留しておくとともに、次の措置を講ずる。」と決められておりまして、まず第一が「使用済燃料交換用のキャスクを昭和四十九年十一月中に青森県外に搬出すること。」、これにつきましては昭和四十九年十一月二十九日に搬出をいたしまして、現在日本原子力研究所に保管しているわけでございます。二番目に「使用済燃料貯蔵池の埋立作業を、昭和四十九年十一月から開始すること。」ということでございますが、これも昭和四十九年十一月二十九日から埋め立て作業を開始いたしまして、翌年の一月二十九日に完了しております。それから三番目に「クレーンの鍵を青森県知事に預け、補修、点検等の際にクレーンを用いる必要がある場合には、青森県知事と協議の上、これを行うこととすること。」、鍵につきましては、四十九年十月二十三日から青森県知事にお預けしてあるということでございます。
 以上が定係港に関する事項でございます。
 二番目が「地元対策及び漁業金融対策に係る事項」でございます。まず、道路整備につきましても、お約束どおり実行されております。それから体育館の建設、これも終了しておりまして、昭和五十一年の五月十二日に竣工しております。放送設備につきましても、昭和五十一年三月二十九日に完了しております。
 それから、陸奥湾の漁業振興対策につきましては、補助金が昭和五十年三月二十日に交付されておりまして、五十年度に事業完了をしております。ホタテガイの稚貝減産等の補償対策につきましても、漁業協同組合助成事業として実施済みでございます。それから、魚価安定対策及び漁業金融対策三億円の預託及び拠出でございます。補助金といたしまして、昭和五十年三月二十八日に県に交付済みでございます。漁港、港湾整備事業につきましては、水産庁あるいは運輸省、建設省、自治省においてそれぞれ実施が完了しております。
 それから最後に、「原子力船「むつ」安全監視委員会に係る事項」でございます。昭和四十九年十月十四日に設置をされまして、現在日本原子力船開発事業団の協力の事項につきましては、事業団と青森県等との間に四十九年十月十四日に協定が締結されまして、現在も放射能監視等につきまして協力中でございます。
○吉田正雄君 いまの中で、むつ市内の関連公共施設整備というので、道路整備というのがありますね。これ大体どれぐらいの金かかったんですか、二番目の1です。
○政府委員(石渡鷹雄君) 道路整備につきましては、むつ−川内バイパス約三千メーター、総工費約十七億円の建設計画でございまして、昭和五十年度から着工されておりますが、五十年度以降五十五年度までの予算で累計約六億円が計上されておりまして、残りにつきましては五十六年度以降の予算措置が必要とされているという状況でございます。なお、用地の買収につきましては、本年度でほぼ完了するという報告を受けております。また、同じ道路整備計画のむつ−川内バイパスのほかに、このバイパスに附属する街路整備の計画がございまして、全長七百十五メーター、総工費約四億円の計画がございますが、ほぼ半分まで予算措置がされているということでございます。
 これらの道路整備につきましては、財政上の理由から計画が若干ずれているということでございますが、引き続き早期完成を図ることとしているということでございまして、現在担当の建設省でそのように作業が進められているという連絡を受けております。
○吉田正雄君 次に、いま改修工事が進められておりますが、改修工事の資料については先般いただいたんですが、契約の概要というものでは、第一期工事の船体部分と原子炉部分のことが概略書いてあるわけですね。それから、日程表では第二期工事といいますか、来年の十月までの完成予定の日程表、これは総点検も含めてずうっと出ておるんですけれども、どこまでが第一期工事なのかということを、日程表の上で示してもらいたいと思うのです。言っている意味わかりますか。契約の概要というのがあります、三菱重工とかありますね。それと、日程表というのもいただいているんですよ、この前。それで概要の中身というのは、一期工事の分として挙げられておるわけですから、それが日程表ではどこの部分に相当するのかということをお聞かせ願いたいということと、それから同じくそれぞれの経費が大体どうなっているのか。あれ総額で、たとえば三菱重工の場合幾らというふうに書いてありますが、おおよそどこの部分でどうなっているのか。遮蔽工事部分、原子炉部分、それからもう一回総点検というあれがありますから、それぞれがどうなっているのか、もう少し詳しく聞かしてください。
○参考人(倉本昌昭君) ただいま私どもが遮蔽改修工事で結んでおります契約は、石川島播磨重工業と船体部の第一期工事。それから三菱重工業と原子炉部の第一期工事というものについて結んでおるわけでございますが、石川島播磨重工業とは、現在船体部関係の工事を結んでおりまして、これは格納容器の外側についております遮蔽体の撤去と申しますか、それからそこへつけます遮蔽体の製作、またはこれに関連をいたしました治工具等の製作、これらを主として一期工事として考えておるわけでございまして、一期工事といたしましては、来年の二月いっぱいまでの工事でございます。
 それから三菱重工業とは格納容器の中の原子炉部についての工事について契約をいたしております。これは格納容器の内部でやはりこの一期工事の関連で現在ついております遮蔽体、それから工事に関連をいたします格納容器の上部の機器等の取り外し、それから三菱の方には、私どもといたしまして、遮蔽体は別途メーカーと契約をして遮蔽体をつくっておりますので、これらを三菱の方に支給をいたしまして、これを三菱の手で取りつけるという形になっております。それで、こちらの方も大体来年の二月いっぱいまでの工事になっております。
 それで、この原子炉部の関係の工事といたしまして、三菱重工業関係でお願いをしておりますのは約八億円。それから三菱の方に支給をいたしますいろいろの材料関係でございますけれども、これらが約九億円。それから船体部関係、石川島関係でございますが、こちらの方が石川島と契約をいたしましてこれが約七億円。それから船体部関係では、これら遮蔽改修工事をいたしますための準備工事と申しますか、船の上の原子炉ハッチ部の上に仮建屋を現在乗せておりますが、これらの設置に関連をいたしましたものとして約二億円ということで、現在までに約二十六億円の契約をいたしておるわけでございます。
○吉田正雄君 いま修理が率直に言って始まったばっかりだということですけれども、五者協定からいたしますと、来年の十月というのっぴきならない日程がすでにずっと決まっているわけですよ。ところが、私がさっき言った四者協定、五者協定という一番中心というのはどこなのかというと、要するにむつの方にすれば新定係港というのはほかへ定めてくださいと、それから佐世保にすれば、これは単に修理を引き受けるという修理港として認めたのであるということですから、修理が終わり次第出ていってくださいと、その期限は来年の十月ですよと、こういうふうな内容になっておるわけですね。
 そこで、事業団としては、これさっきは局長と運輸省からは答弁いただいたんですが、事業団の私は考え方もうちょっと聞きたいと思うんですよ。というのは、事業団がもうちょっと責任を持つ立場からも聞きたいと思うんですが、船籍港というのは要するに本籍地のようなものだと、定係港というのは定められたというあれですから、どちらかと言えば本籍というよりも、永住地じゃありませんけれども、そこが中心的な船の母港と言ったらいいんでしょうかね、そういうものが定係港だろうというふうに思うんですね。そうすると、この定係港というのは本来であればそこが本拠地になるわけですから、本来ならドックもちゃんとあり、そこで上昇試験であるとかテストであるとか、これは原子力船という特殊な船なんですから、そういうものを兼ね備えた修理もそこでできるというものでなければいけないと思うんですよ。ところが、そういう点に関して船籍港、定係港、修理港というふうに適当に使い分けをしているという感じがするわけですね。だから事業団としては船籍港、定係港、現に定係港という言葉を使っているんですから、どういうぐあいに一体きちんと区別をされておるのかということなんですね。だから、たとえばドックに入らなければならないような状況が来た場合、再び事故が起きた場合、佐世保から一たん出てまたそういう事態が生じた場合、佐世保へ戻るのかどこへ行くのかという、また大きな問題が出てくるんですよ。だからもう一回お聞きしますが、事業団としては船籍港をどのように考え、定係港というのはどういうふうに理解をされ、それから修理港というのはどういうふうに考えられておるのかということを聞かしてください。
○参考人(野村一彦君) 船籍港につきましては、先ほど船舶局の首席検査官が答えられましたように、法律に定められた船舶国籍証書に記載された場所でございますので、これは法律上に定められた用語、本船「むつ」について言いますと、いわゆる大湊港が船籍港でございます。それから定係港は、これも先ほど局長が答えられましたように、法律上の用語ではございませんが、一般の船舶ですと最も多くその船を係留しておる、商業船でありますれば商業航海に出ていくことの一番多い場所に定係をしておるということで、事実上そういう言葉でございますが、「むつ」の場合は陸上の付帯施設等を備えて、そしてそこで所要の試験等が行い得ますように、また将来船が運航する場合の運航の基地になるところが定係港でございまして、これは法律上の用語ではございませんが、私どもはいま政府がお願いをしておるむつに、また定係港をお願いしたいということで、これは俗に母港という言葉も使っておりますが、同じ内容でございます。
 それから修理港といいますのは、これも法律上のあれはございませんので、これは一般の船舶におきましても、その船舶が必要に応じて修理をするときの造船所のある港をそういうふうに指すわけでございますが、「むつ」の場合も現在は佐世保で修理しておりますので、現在の修理港は佐世保でございますが、今後は修理をする場所によりまして具体的な港ということは、これはその都度と申しますか、修理を行う都度地元との了解を得て、そこの造船施設を有する港に入って修理をしていただく、そういうことでございます。
○吉田正雄君 「むつ」の修理が終わった後の出力試験というのはどこでやられるんです、予定は。
○参考人(野村一彦君) 出力上昇試験は、私ども原則として母港といいますか、定係港で行うということでございますので、定係港をいま政府でいろいろと交渉をしていただいておりますが、私どもは定係港で出力上昇試験を行うということを原則にいたしております。
○吉田正雄君 そうすると、定係港でやるということになると、現在の定係港というのは一体どこになっているんですか。四者協定からすれば、もうむつは定係港でないようですし、それから佐世保はもちろん定係港でなくて修理港だ、こういうことですから、来年の十月修理が終わって佐世保から出ていくと、こういうことになったときに新定係港で出力試験をやられると、こういうことですね。それ間に合うんですか。
○参考人(野村一彦君) おっしゃったとおり、新定係港で出力上昇試験をやりたいと思っておりますので、できるだけ早く新定係港を決めていただきたいということで、私ども政府と一緒になって新定係港のあれをやっておるということでございます。
○吉田正雄君 大臣ね、私は事がさように簡単に進むとは思わないんですよ。というのは、四者協定ではとにかく「むつ」の定係港としては認めないんだと、入港後二年六カ月以内に定係港の撤去を完了することを目途としてやってくださいと、こういうことになっているわけですよ。これはもう二年六カ月過ぎちゃっているんですよ、はっきり言って。だから、この四者協定上は現在の「むつ」の定係港というのはどこになっているんですか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 規制法上は現在もむつが定係港ということになっております。
○吉田正雄君 もう一回言ってください、何上ですか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 原子炉等規制法上「むつ」に関連する陸上付帯施設がある大湊港が、俗に言う定係港ということになっているわけでございます。
○吉田正雄君 そういう解釈でいいんですか。当初はむつを定係港とするということで、船籍港即定係港にしようということで付帯施設をつくったということですね。しかし、付帯施設をつくったからといって必ずしもそこが定係港としてずっといくとはまた限らないわけです。ほかのところへまたつくったっていいわけです。定係港というものも動いたってかまわないわけです、この協定からすると。とにかく締結しちゃったんですよ、協定は。そうすると、これはどういうことになるんですか。これは空文であって、一片の紙切れだということですか。だって、二年六カ月以後というのはもう定係港ではないんだと、ほかのあれにするんですと、こう書いてあるんです。どういうことですか、これは大臣。
○国務大臣(中川一郎君) 先ほど守られた部分もあると申し上げたのは、地元対策等は守られておりますし、また「むつ」が大湊から実際上去っておるということ、あるいは帰りたくてもなかなか帰れないということ等からいけば、まあかなり守られたと。しかし、大事な点は守られてない点もある。というのは、新定係港を半年以内に決めるということと、それからもう一つは、二年半以内に定係港を撤去すると、この二つが守られていない。この点についてはまことに申しわけない、遺憾であるということで、四者間の他の三者におわびを申し上げて、いまお許しをいただいておると、こういうことでございまして、この点はお約束が守れていない。一片の紙切れと言われればそれまでですが、誠意を持って守れるところは守っておりますが、残念ながら、新定係港が決定できない段階では、まことに申しわけないがお約束を破っておりますと、守られておりませんと、遺憾であります、お許しを願います、こういう姿勢で対処しておるわけでございます。
○吉田正雄君 そこで、私は繰り返し申し上げておりますように、現在の首相がとにかく政府代表ということで、しかも、自民党の総務会長という責任ある立場で乗り込んでいって、こうやって署名捺印までしたわけですからね。ところが、二年半どころか三年たっても四年たったってなかなか実施をされない。もう満六年になりますよ、四十九年の十月十四日ですから。片や佐世保では、狂者協定でもってこれまた期限が迫ってきておるわけですね。そういたしますと、いまおっしゃるところを聞くと、現状の定係港はむつだとおっしゃるんですね。おっしゃっているんですから、来年十月来て修理が終われば、これは何が何でもやっぱり佐世保は出られるんですね。そうすると、むつへ向かわれるわけですか、どうですか、そこは。
○参考人(野村一彦君) 五者協定の期限内に修理を終えまして定義港に入港したいと、こういうふうに考えております。
○吉田正雄君 そうすると、これは大臣、どういうことになりますか。修理が終わったら佐世保を出て定係港のむつへ向かうと。今度はむつは、いやそれはだめですと、これ協定結んでいるんですよ。これはどういうことなんです。
○国務大臣(中川一郎君) そこで、正直申し上げて三年間の中でやろうと思ってお約束をしたわけですが、何分にも一年以上おくれて工事に着工したのがことしの八月でございました。したがって、十月までにやるのにはなかなか大変だが、お約束はお約束であるから、ぜひとも十月までに完了するようにということで、いま事業団あるいは工事を担当してくださる業界の皆さんにもお願いしておるわけでございます。しかし、さりとて粗製乱造裏にやってはこれも困ることでありますから、安全を第一に、そして期限を守るようにということ、佐世保における「むつ」の修理問題はそういうことでございます。
 そこで、来年の十月にでき上がったということで、さてどこへ行くかということになれば、いまのところは定係港は大湊になっておりますけれども、お約束がお約束で、定係港を撤去するというところへお話し合いがないままに帰るわけにはまいらぬということでございますから、何とか十月までの間に新定係港をつくりたい、決めたいということで努力をしてまいりましたけれども、残念ながら適地がないというので、もう一度ひとつ大湊を使わしていただけないか。来年の十月、工事期間も迫って、修理期間もお約束が来ておりますから、何とかもう一度大湊を、守れない点は率直におわびをし、改めてひとつ検討願いたいと、こう申し上げておりまして、私どもとしては来年の十月、佐世保を出る段階においては、ぜひとも地元の了解を得て、四者協定の扱いをどうするか、そして新たに定係港としてお願いをすると、こういうことで吉田委員の御指摘のように、十月になったら行くとこがないもんですから、頭をしぼっていま全力を挙げて大湊にお願いをしておると、こういうわけでございます。
○吉田正雄君 まあ勘当された子供が帰るうちがなくて困っているようなものだろうと思うんですけど、しかし、勘当した息子が心を改めて、うちへ入れてもいいような状況なら、それはまた親も考えると思うんですが、何しろ安全性という最も大事なところでそれが確認をされないということなものですから、たとえば、先ほどは設計のミスであるということがはっきりいたしましたとおっしゃっているわけですね。それだけですか。設計のミスだけだということでよろしいんですか、どうですか。
○参考人(倉本昌昭君) 放射線漏れが起こりまして、この原因についていろいろ専門家の方々に御意見を聞き、また私どもの方でもいろいろ実験あるいは解析等もやりまして原因を究明いたしましたところ、放射線漏れにつきましては、原因は設計のミスであるということが非常にはっきりいたしたわけでございます。
 大山委員会の御指摘もございまして、遮蔽関係だけでなしに、本船についても総点検をしてみろと、こういうような御意向もございました。これを受けて、私どもといたしましてはやはり遮蔽のみならず、「むつ」の原子炉の設計、また現在ありますプラントの健全性、また最近「むつ」ができました以降、陸上の発電所等におきましてもいろいろトラブルが出ております。これらを参考にいたしまして設計等の見直し、解析のやり直し、あるいは事故解析のやり直し等を、この遮蔽改修と並行して進めてまいってきたわけでございますが、その結果につきましては安全上ここはとにかくどうしても改装、また設計やり直しというような点は特にないということははっきりいたしておるわけでございますが、最近の陸上の発電所等々の経験から見まして、やはり現在の「むつ」につきましても、安全性をより高めておく方が望ましいと思われる点がございますので、これらについては私どもとして約二十件ほどの改修工事等をやりたいということで、これらにつきましては現在政府の方に所定の手続をとっておる段階でございます。
○吉田正雄君 燃料棒の被覆管というものの材料はステンレスですね。今度の修理改修計画の中ではこれを変えるというあれはないわけですよ。ところが、今日燃料棒の被覆管がステンレスではだめだということはもう結論が出ていますね。肝心な燃料棒の被覆管をステンレスからジルコニウムに変えないということで、果たして一体もつのかどうなのかという点では非常に疑問があるわけですね。なお、放射線漏れについては、これは一次冷却水、これがまた放射線というものの漏れを防ぐわけですね、水というものが。そういう点では間隔が少し狭いんじゃないか。それこそまさに設計上の欠陥というものが、そこに出たということも言えると思うんですが、それはとにかくとして、燃料棒については大丈夫ですか。これは多くの学者が指摘していると思うんですよ。相変わらずステンレスのあんな被覆管ではもうだめなことはっきりしているじゃないかと。何で変えないんだという批判に対してはどういう見解をお持ちなんですか。
○参考人(倉本昌昭君) 「むつ」の燃料体がステンレスであるということは先生のおっしゃったとおりでございます。また、「むつ」の設計をやりました当時は、確かにステンレス関係の被覆の方が当時の各社の技術的情報、またこれに関する学識経験等も豊富でございましたし、まだジルカロイは開発されておらなかった時点でもございます。しかし、ステンレスと申しますのは、むしろ安全サイドと申しますか、その当時の経験から見てステンレス被覆を採用したわけでございますけれども、現在一般の商業用の発電所等がジルカロイの被覆を使っておるのも事実でございますが、これは安全という面よりもむしろ経済性の面からジルカロイを採用しておるということでございまして、安全性の面で現在ステンレスをジルカロイに変えるということについて、私どもとしてはその必要性は何ら感じておらないところでございます。また、ドイツのオット・ハーンの例を見ましても、一次燃料はこれはステンレスでございまして、やはり将来の経済性ある舶用炉という点から、二次燃料につきましては発電と同じような形のジルコニウム合金の被覆を確かに使っております。しかし、オット・ハーンの一次燃料、これを取りかえるまでの間、ステンレスの被覆管については何ら問題が起こっておらないという点。また、私どもの方のステンレス被覆管、また燃料につきましても、製造中の過程におきますいろいろの検査、またその後の臨界試験等をやりました経過、またこの試験が終わりましてから現在まで鋭意私どもの方でやってきております水質管理等の状況、また一次冷却水の分析結果等から見て、現在この燃料には何らの異状も生じておらないというぐあいに確信を持っておるところでございます。
○吉田正雄君 その論争はまた次回やることにしまして、大臣もう一回聞いておきますが、佐世保港における修理が終わって、そして青森との約束ではとにかく新定係港を探してそちらへ行きますと、こう言っているんですけれども、来年の十月ということではこれは物理的に私は不可能だろうと思うんですよ。これからこれだけの厄介者をいらっしゃいなんと言って大手を広げて迎え入れるところが果たして日本全国のどこにあるかと思いますと、とても簡単にそんな新定係港が見つかるとは思えない。そういう場合には、佐世保との約束では、とにかく修理が終わり次第出ますと。それからいまの答弁では、いやいまのところはむつが定係港でございますからむつへ戻りますと、こういういま答弁なんですね。地元で、いやそれは困りますと、来てもらっちゃ困るんですと、こう言っても、断固として実力で行かれるんですか。これどうなんですか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 先ほど答弁に不手際があったと存じますが、原子炉規制法上の「むつ」の陸上付帯設備がまだむつにあるという意味で、通称定係港がむつになっておりますということと、それと自動的にむつに戻るということは申し上げておりません。新定係港に行きたいんだということを申し上げたわけでございます。
○国務大臣(中川一郎君) 定係港であるからしゃにむに戻れるんなら何にも心配ないのでございまして、実際は新定係港をつくるという約束がありますから、話し合いがつかないうちに戻ることはできない。そこで新定係港を探したがないというので、従来の約束があるからひとつ入れてくれというんじゃなくて、新定係港的な立場でもう一回考えさしてくれと、しかも来年の十月までには間に合わしたい、こういう姿勢でお願いしているわけでございます。
○吉田正雄君 とにかく一番肝心なところの約束が守られておらないから、私はしつこく聞いているんですよ。だから、十月に修理が終わりましたと、終わらすつもりですと、これも私はなはだ心もとないですよ。また十月十月言って、いいかげんな安全性軽視の作業が行われて、これまた出てみたら途端に出力試験と同時に放射線漏れ事故を起こしたとか、引っくり返るということもないんでしょうけれども、船体不安定ですとか、いろんなことが出てくるということじゃ困るんですけれども、とにかくむつの方じゃ、もうこの四者協定で来てもらっちゃ絶対困りますと。片方は十月で出て行ってもらうことになっているんですから出てくださいということで、出たら新定係港が見つからなかったらどうされるんですか。それこそこれが原子力船のいいところで、燃料は何カ月でももちますので、太平洋上見つかるまで遊よくいたしますと、これなら話がわかります、見つかるまで太平洋上遊よくするというのならね。ここがちっともさっぱりしてないから地元じゃ困っているわけでしょう。言えないんでしょう、それは、いかに中川勇猛大臣をもってしても。そこは断固として言えるんですか、どうですかね。
○国務大臣(中川一郎君) それは本当にもう御指摘のとおり言えないのでございまして、いまのところは十月までに終わらして、十月までの間に新定係港として大湊にもう一度お願いしたい。何とか間に合わしたいという、もうぎりぎりのお願いをいたしておりまして、行くところがないというようなことにならないようにしたいと思っている以外申し上げることはありません。本当にそれ以外にないんです。
○吉田正雄君 これは審議が始まったばかりですからあれですが、いずれまたわが方の理事の方から大所高所に立ったいろんな提言なんかもなされると思うんですけれども、むつへ戻ると言った途端にあれだけのまた反対運動が起きているわけですよ。だから、私は何を無理してむつへ戻す必要があるんだろうと。わが党が提案をしているように、大臣、もうボタン一つかけ違えたから、ええ最後までそのまま行っちゃえなんというのじゃなくて、かけ違えがわかったら、早くかけ違えのボタンを外してもとへ戻すということが一番いいんでして、そういう点では、いまこの法案のねらいというのも、最後は他の原子力研究機関と統一するんですということになっておりますし、とにかく船として役に立たぬですよ、はっきり言って。これはどっちが正しいかというのは歴史的に事実が証明していくと思いますけれども、絶対大丈夫と言ったのがもうわずか一・四%程度の出力試験でもってもはや放射線漏れを起こす。それから当初の設計でこれならば船の安定からしても大丈夫ですという設計の上に、また何百トンという物を上へ積むわけですから、じゃいままでの設計がどうなったのか。五百トン積んでも千トン積んでも同じだなんという、そんなばかな話はないんでして、そういう点で当初は千五百トンもよけいになんという話があったんだが、そんなんだったら船ひっくり返っちゃうんじゃないかという話で、だんだん減ってきちゃった。装備も軽くなったようなんですけれども、船としてはこれは役に立たぬですよ。だからそうでなくて、私はやはり炉と船というものを切り離して、研究炉ということで、まずじっくりと陸上でもって取り組まれたらどうかというふうに思うんです。決してあの船のままでいかれたって、また仮にむつに入ってみたって、港の中で出力試験やろうなんと言ったら、これまた大騒ぎになりますよ。いま新定係港で出力試験やりますと、こうおっしゃっているんですが、それはとんでもない話ですよ。この前だって太平洋上へ出ていってやったわけでしょう。太平洋上へ出てやって一・四%の出力で放射線漏れ事故が起きて大騒ぎになって、そんなものは入ってもらっちゃ困りますということになったんですね。ところが、今度は修理ができたら新定係港で出力試験やりますと言うんですからね。そんなの聞いたら地元民なおさらびっくりしますよ。なおさら絶対入れられないと、こうなるんでして、だからこの辺で、私は中川長官だからこそ勇断をもって船と炉を切り離して、まさに研究炉にふさわしい、研究船にふさわしい、こういうものに早く戻した方がいいんじゃないか、こういうふうに思っているんですけれども、見通しありますか、むつの皆さんが地元が認めるというふうに。私は、そういうふうにもしお考えでしたら、これは非常に甘い観測だろうと思いますし、それをまた強行突破するなんということになりますと、やはりタカ派長官だなんという話になりかねない。私はタカ派とかハト派なんてどうでもいいと思うんですが、国の行政を誤っちゃならぬと思うんで言っているんですが、長官、ここで本当にじっくりと私は腹を据えてひとつ再検討されたらどうかと思うんですよ。論議の当初からこういうことを言うのもなんですけれども、結論は私ははっきりしていると思うんです。
 そういうことで、時間がもうありませんから、まだまだ技術的な問題やいろんな点で、また他の同僚議員からも質疑が出ると思いますから、その点だけまずきょうはお聞きをして終わりにいたしたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) せっかく前向きの誠意ある御提言、ありがたく拝受いたすものでございますが、私もそういった意見もありまして、ここで切り離してというようなことができないかと検討したんでありますが、現在の舶用炉といいますか実験炉を陸上に上げて切り離してやるということは技術的に不可能である。やるとすれば新たなものをまた別の角度でやるということになりましょうから、それはそれとして今度は研究開発でそういったことも解いていきますが、せっかく先ほども話あったように二百八十数億円をかけまして、ここまで来た「むつ」でございますから、「むつ」の使命である航海実験、そのデータだけは取れるようにしたい。若干ボタンのかけ違いで非常に苦労いたしております。四者協定も守れない、五者協定についてもいろいろと御批判をいただいておりますけれども、もう少し時間をかしていただいて、ぎりぎりひとつ安全性の問題あるいはあそこの養殖漁業、こういった差し迫った生活権のかかった問題もあります。こういったことはよく理解できますので、それらを含めて何とか「むつ」が「むつ」としての使命を果たせるように、もう少し努力をさしていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと存じます。
○塩出啓典君 まず最初に、原子力商船の実用化の動きというものが顕在化に至っていない、こういう現状について政府としてはどのように認識をしておるのかお尋ねをいたします。
   〔委員長退席、理事後藤正夫君着席〕
○政府委員(石渡鷹雄君) 先生御指摘のように、現在原子力商船につきましては実用化の動きは顕在化しておりません。私ども従来からいろいろな予測がされておりまして、たとえば昭和三十六年当時、まだ事業団ができる直前の話でございますが、三十六年当時の予測といたしまして、恐らく一九七〇年代にはわが国の海運界においても原子力船がその船列に加えられるのではないかということが言われていたわけでございます。二十年前の話でございます。その後、何回かいろいろ予測がされておりまして、わりあい最近までは一九八〇年代の後半にはということが予測であったわけでございますが、これらを踏まえまして昨年約一年間を費しまして、原子力委員会におきまして今後の原子力商船の見通しということについて検討したわけでございますが、やはり原子力商船をとってみますと、現時点におきましては経済性の点で在来船と競合し得ない状態にある。また、最近の世界的な不況をバックといたしました造船、海運業界の不況等のために原子力商船の導入を急ぐ機運が非常に遠のいているというようなことで、現在の見通しでは恐らく来世紀の初頭には欧米先進国において原子力商船がある程度出回るような状況になるだろうというふうに、約二十年近いおくれと申しますか、当初からの実用化の見通しが遠のいたという判断をしているわけでございます。理由を端的に申し上げますと、やはり在来船との競争力という点になるかと考えております。
○塩出啓典君 この原子力船開発事業団が設立されたのは昭和三十八年、その当時は原油価格も恐らく二ドル前後で非常に安定をしておった時代だと思います。それが昭和四十八年の油ショックあるいはまた第二次石油ショック等を通して、恐らく昭和三十八年当時われわれが予想しておった以上に油の価格というものが高騰してきておるわけですね。そういう点で考えれば、昭和三十八年あるいは四十年当時の予測よりも、もっと早く原子力商船の実用化の時代が来なければならないように私は思うんですけれども、しかしいまお話しのように、非常に経済的な点で在来の商船に競合できない。
   〔理事後藤正夫君退席、委員長着席〕
そのように見通しが大幅に狂ってきたというのは、どういう要素に見込み違いがあったのか。たとえば船の建造、原子力船を建造する場合の予想コストが非常に安全性を重視する結果、高い金額になったから経済性が合わないのか、そのあたりはどうなんでしょうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 非常に重要なポイントだと考えるわけでございます。理由は幾つかございましょうが、第一の理由といたしましては、先生御指摘のように、原子炉のコストが思うように下がらないという点が第一かと考えます。
 それから第二は、安定した油の供給ということに支えられまして原子力船が最も得意とするであろう大型船舶の逆に建造あるいはタービンの技術が非常に向上して競争力がより強化されたということになろうかと思います。
 その二つが主な理由になろうかと存じますが、確かに油の価格につきましては、非常に最近高騰しているわけでございます。先ほども申し上げました原子力委員会におきます検討におきましても、昨年の八月当時舶用燃料油の価格がトン当たり三万五千円であったわけでございますが、その時点での予測といたしまして、現在三万七千円程度まで値上がりしているわけでございます。そういう意味では、舶用の燃料油の価格がそれほど上がっていないという事実があるわけでございます。逆にほかの物価等も上がっておりますので、相対的にはむしろ若干値下がりしているというような状況に舶用燃料油につきまして特殊な事情があるわけでございます。そういうことで、競争力が思ったより出てきていないというのが実態であると考えております。恐らくこの油の価格が現在の三倍程度にならないと十分な競争力が出てこないんじゃないかというのが、昨年八月時点での分析でございまして、そういう時点が現在の中長期的な原油の需給を考えますと、今世紀末あるいは来世紀ということになるのではないかというのが、現在時点における予測の根拠となっているわけでございます。
○塩出啓典君 昭和三十八年ごろあるいは昭和四十二年に、原子力開発利用長期計画というものを科学技術庁の原子力局が出しているわけでありますが、これはたしか昭和四十二年だったと思うんですけれども、四十三年一月発行ですね、これでも十年後には想定した原子力開発が実現すれば、三十ノットの高速コンテナ船及び五十万トンの巨大輸送船において十分競合し得ると考えられると。確かに油はこのときに比べれば、舶用油はもちろん原油の価格にそのまま比例するわけではないでしょうけれども、恐らく十倍、二十倍と上がってきておるわけで、それでさらに経済性において競合しないために実用化が遠のいてきた。そうなりますと、またこれから油が三倍なり五倍になればこうなるんだといっても、今度は一方では建造のコストも高くなってくる。そうなると、果たして原子力商船というものが競合できる時代が来るのかなあと、そういうようなやはり見通しというものはどうなんですか。ただ私はいま局長が言われたように、油の価格が一・五倍になれば七万馬力、三倍になれば三万馬力で競合できるような報告は読んだんですけれども、昭和四十三年のこれにはいろいろな点から詳しく検討して、船の建造費がどうなる、原子炉の建造費がどうなる、いろんな条件を踏まえてかなりやはり細かく将来の見通しを立てているわけなんですけれども、今回の科学技術庁等からいただいている資料では、そういう点の本当に十分な予測をやっているのかどうか。「むつ」がここまで来たからやらざるを得ないというようなことでは、これはまさにむだ遣いにむだ遣いを重ねていくことになりますし、そのあたりの慎重な将来を見通しての考え方というものをどう考えているのか。これはどうなんでしょうか。
○参考人(倉本昌昭君) この原子力船の将来の見通しでございますけれども、やはり原子力船と申しますのは、一つにはやはりエネルギー問題ということで、現在やはり石油の将来というものが非常に不安になってきておるような状況というのは片一方にございます。またそういう状況の中でやはり海運界の石油の消費量というのも、わが国だけで考えてみますと、海運界が約全体の一〇%程度の油を使っておる。またさらに将来を見ますと、やはり原子力船と申しますのは、何といいましてもやはり大型あるいは高速の船というものに限られてまいりますので、やはりそれ以外の中小型からさらに漁船等につきましては石油関係の燃料、石炭もございますけれども、やはり何と申しましても石油関係の燃料がどうしても必要になってくるだろうと思います。それらの燃料の確保という面から考えますと、やはり原子力船というものが代替エネルギーとして将来必ず海運界の中で登壇してくることは否めないのではなかろうかと思います。
 また一方、最近確かに原子力船の将来といいますのは、各国の動きから見ましてなかなか明るいものではございませんけれども、その一つとしては、やはり世界全体の経済の問題、経済活動の問題等から海運活動というのが、非常にオイルショック以来低下してきておるということが、やはり一つの大きな要因になっているのではなかろうかと思います。当時やはりドイツ等におきましても、大型の八万馬力のコンテナ船等を原子力船として具体化しようということで、もう建造一歩手前まできておったわけでございますけれども、オイルショック、また海運界が不況ということからこれらの計画も現在ペンディングに一応なっておるというような段階でございまして、いま各国、現在までに原子力開発と取り組んでおりますところも、決して原子力船というものをあきらめておるわけでございませんで、やはり現在でもなおかつ原子力商船としての設計、あるいは舶用炉についての研究等は現在でも続けておるというようなことでございますし、私どもといたしましても、また特に日本のように海運がやはりわれわれの生命線であるというようなことから見ましても、また原子力船の特徴は、やはり高出力、また高速力というだけでなしに、原子力船の特徴としては燃料が非常に長い間使える。現在の在来船でございますと、一航海ごとに油を補給しなければならない。この前のオイルショックのときも、外洋船が外国の港でバンカーオイルが取れないために立ち往生したというようなこともございましたけれども、原子力船というものは、やはりそういう事態に対してある程度必要な海運力の確保はできるというような点につきましても、各国とも一応注目をしておるところでもございますので、必ずや原子力船の将来というものは、世界の経済活動が活発になる、また石油の事情が悪くなるということで、またその時点で原子力船の台頭というのは必ず来るのではなかろうかと、こういうぐあいに思います。
○塩出啓典君 いまかなり陸上軽水炉の実績も積んできているわけですから、ぼくはある程度、原子力商船の将来の経済性については、十年前に比べればはるかにデータはそろっていると思うんですね。そういう点で、この原子力委員会の研究開発計画ワーキンググループでは原子力商船の将来性については検討したと、そういう報告はあるんですけれど、ここにも書いているんですけれど、どの程度、どういう条件のもとで検討した結果将来はこうなんだと、そういうものを資料として御提出をいただきたいと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 早速提出させていただきます。
○塩出啓典君 米国とか、あるいはソ連、英国、フランス等においては約三百隻の潜水艦が動いておる。そういう意味で、この原子力船研究開発専門部会の昨年十二月二十日のレポートによりますと、大体、軍事目的の原子力船はすでに実用の域に達していると言い得よう、こういうことが書いてあるわけでありますが、軍事的な潜水艦については実用化の域にある、このように判断できるわけですか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 原子力潜水艦につきましては詳細は承知しておりませんが、米、ソ、英、仏さらに中国において約三百隻近くが就航しているというふうには聞いております。で、三百隻という大量の潜水艦が動き回っているということでございますので、軍事目的の原子力潜水艦はいわゆる実用の域に達していると言っていいのではないかと考えます。
○塩出啓典君 じゃあ、いま世界の潜水艦は大体、原子力潜水艦がだんだんふえてきていると、そういう方向にあるんですか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 原子力によらない潜水艦がどのくらい動いているのか私承知をしておりませんが、三百隻という一方の数字をながめますと、それ以外の潜水艦がそう多くあるとも思えませんので、まさに実用化ということは言えるかと思いますが、いわゆる一般化という言葉が当てはまるかどうか、ちょっと判断いたしかねるわけでございます。
 なお、あるいは先に申し上げることになるかもしれませんが、この一般化ということにつきまして、私どもが使います場合には、いわゆる商船を対象に考えているということをこの際申し上げさしていただきます。
○塩出啓典君 だから、やっぱり軍事目的の場合は経済性ということよりももっとほかの要素がより強く働くわけで、そういう意味で三百隻ふえたから実用化の域というわけでもない。そういう余り詳しい資料もデータもつかまないのに、ただ三百隻ふえたから実用化の域に達していると言い得ようと、そういう結論は、ちょっとぼくは科学技術庁らしくない結論じゃないか、そういう気がするんですけれども、その点どうなんですか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 恐らくこの報告書のその部分につきましては、先生御指摘のように原子力潜水艦の実態を十分把握したとは思えませんし、そういう意味ではやや想像で書いたという感じが私個人としてはいたしますので、この点十分今後注意をいたしたいと存じます。
○塩出啓典君 アメリカはサバンナ、それから西ドイツはオット・ハーン、もちろんソ連においては砕氷船等がいままで実用で動いているわけですが、サバンナ、オット・ハーンはすでに航行を終えていま動いてはいないと聞いておるわけですが、サバンナ、オット・ハーンのいろんなそういう試験運航の詳細なデータ、そういうものはわが国には来ているのかどうか、その点はどの程度来ているんでしょうか。
○参考人(倉本昌昭君) サバンナ、オット・ハーンにつきましては、過去におきまして原子力船についての国際会議あるいは国際シンポジウム等が何回か行われておりまして、そういったところには相当のいろいろの成果あるいは経験に関連した論文等が発表をされております。また、これらの会議以外におきましても、それぞれ原子力関係のほかの関連のシンポジウム等にも、これらのサバンナ、オット・ハーン関係のいろんな研究成果等も一応発表をされております。これらにつきましては、私どもの方もその大半はといいますか、ほとんど入手して勉強をいたしておるわけでございます。また、特に最近でございますか、サバンナは大分前にもう係船をいたしましたけれども、オット・ハーンにつきましては昨年まで運航をいたしておりました。その過程におきましてオット・ハーンにおきます燃料交換、あるいは定期検査、また運航等の際に私どもの職員を、先方と話をいたしまして、実際に現地に派遣し、また、あるいは乗船するというようなことで先方との協力関係も非常に緊密にいたしておるわけでございます。ただ「むつ」がこういうような状況になっておりまして、やはりこういう研究開発はギブ・アンド・テイクと申しますか、やはりこちらからもある程度のものは出ていかないと、向こうからは肝心なところは入ってこないというような点もございますので、そういったところまではまだ踏み込んだ細かいノーハウ的なものを入手するという段階には至っておりませんけれども、私どもの将来計画等につきまして、また今度の遮蔽改修等におきましても、ドイツあたりとは非常に緊密な連携をとりながら先方のコメントをもらったり、いろんな情報を入手をしたりいたして、「むつ」の方にも反映をさせたりしておるような状況でございます。
○塩出啓典君 非常に時間もおそいので、ひとつ御答弁も簡潔にお願いしたいと思います。
 それで、米国、西ドイツともにわが国とは非常に友好関係の深い国ですが、こういうサバンナ、オット・ハーンのいろんなデータを日本にいただくための特別な協力関係は結んでいるのかどうか、その点はどうなんでしょうか。
○参考人(倉本昌昭君) 特に事業団として両者と協定を結ぶとかいうような段階にまでは至っておりませんけれども、個々のいろいろ問題が出たとき、あるいは必要なデータ等についてはこれらを入手するというようなこともいろいろやっております。また一方、民間企業におきましては、現在何社かの方々がいまフランスあるいはドイツ等と技術提携等をしておられまして、先方の情報の入手等も図っておられます。こちらの方からもいわゆる契約に触れない範囲内においては、私どもも情報を得ておるというような形で、情報の入手を図っておるようなことでございます。
○塩出啓典君 それで米国、西ドイツともに次の原子力商船の設計を始めておる、あるいはフランスも原子力潜水艦の経験をもとに、次の原子力商船の設計を始めておるように原子力船研究開発専門部会の報告は書いておるわけですが、それはどの程度具体化しているのか。ただそういううわさだけなのか、実際に原子力商船をつくるスケジュールがあるのかどうか、その点どうなんでしょうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 私、すべてを知っているわけではございませんが、たまたまこの春に、フランスの研究所を訪れまして舶用原子炉の研究施設を実際に見てまいったわけでございます。フランスではテクニカトムという会社、政府の金が相当入った会社でございますけれども、ここでCASと言っておりますが、CASの設計とそれからそれの原型炉を陸上でございますけれども、実際に動かしておりまして、それからその模型をわれわれに説明をしてくれたわけでございます。それで現在この舶用炉をカナダに売り込み中だということを説明されまして、現実にやっているのだということを確認した次第でございまして、私この一例しか存じませんが、とりあえず御報告さしていただきます。
○参考人(倉本昌昭君) ただいまフランスの方のお話がございましたが、フランスはただいまのCASタイプの炉を一応百五十メガワット、二百五十メガワット、三百五十メガワットという形でシリーズでの炉の開発研究、またこれを載せるためのタンカー等についての設計研究等も進めておると思います。
 それから、またドイツの方は先ほどちょっと申し上げましたが、オット・ハーンに次いで八万馬力の鉱石運搬船につきまして、これはもう設計を全部終わりまして、安全審査も一応終わって注文があればすぐもう着工できるというところまで開発が進んでおる。さらにそれに引き続いて二十四万馬力ですが、二十四万馬力のものについても炉の設計研究等を実際に着手をいたしておるというような段階でございます。
 アメリカの方は、これはサバンナの炉をつくりましたB&W社におきまして、ここが中心になって、これもアメリカの海事局が予算をとり、そこの関係で炉の開発丁舶用炉の開発研究をやり、その炉につきましてももう船に載せられる標準型の炉の設計を実際に進めております。これも安全審査について議論が終わった段階でございます。したがいまして、注文があればすぐ着工できる状態にいまこれらの国はなっておるというようなことでございます。
○塩出啓典君 わが国の造船業界として原子力商船に対しては現時点においてはどういう考え方を持っているのか、またどのように取り組んでおるのか伺っておきます。
○説明員(新藤卓治君) お答え申し上げます。
 先生御案内のように、わが国の造船業は石油危機以降の世界的な船腹過剰による極端な需要の減少によりまして長期かつ深刻な不況に見舞われております。その経営状況は依然としてなお厳しいものがあるわけでございます。一方、先ほど来お話ございますように、外国での原子力船の実験航海が一段落いたしまして係船されているなど、原子力商船の開発が進むに従いまして、その実用化を図るためにはなお原子力第一船の建造運航に加えて、経済的な舶用原子炉の研究開発が必要なことが明らかになってきておりまして、造船業界におきます実用化の見通しもいっときのような楽観的なものではないということを承知しております。しかし、船舶の推進には一〇〇%現在石油が使われておるわけでございまして、長期的に見まして石油事情が悪化しておること及びわが国の造船業が将来にわたりまして国際競争力を維持強化していくことの観点から、原子力船につきましても早い時期に先進諸国との技術格差を克服し、その技術基盤を確立しておく必要があるということにつきましては、造船業界としても従来と同じように十分認識しておると私ども理解しておるところでございます。
○塩出啓典君 長官にお伺いしたいんですけれども、私たちも確かにいま運輸省の方からもお話がありましたように、原子力船、原子力商船というものが将来そういう方向にいくであろうと、そういうことは理解もできるし、そういう研究もやっぱり進めていかなければいけないということは一般論としてはわかるわけですけれども、本当にわが国として力の入れ方ですね、日本の国は造船王国というか、世界の造船量の五割以上も日本の国がつくった時代もあったわけでありまして、そういう点から言えばアメリカがどうあろうともフランスがどうあろうとも西ドイツがどうあろうとも、やっぱりやっていかなければならないものであるかもしれないし、そういう点がいまの科学技術庁の政策で果たしていいのかどうかという、そういう点に私は非常に疑問があるわけであります。だからそういう意味では、もうちょっと世界の情勢とかあるいはまた実際原子力船がやっぱり運航していくということになると、寄港する港が果たして受け入れてくれるかどうかという、こういうような社会的な情勢もあるわけです。そういう意味でもっと本格的に原子力船というものについて取り組まなければいけないのじゃないか。取り組めということはどんどん予算つけて前へ進めということじゃなしに、やっぱり政府としても原子力商船をどうするかということについて、もっと真剣に取り組むべきじゃないかなと、何となくいまの科学技術庁の姿勢というのは「むつ」ができちゃったと、もうすでに佐世保にあるからこれをどうするかという、そういう目先のことだけに追われて、もっとそういう原子力船がどうなるか、どうしていくのかという、そういう点のやっぱり説得力のある取り組みがない。だから国民の皆さんに対するPRにおいてもそういう点が非常に欠けておるのじゃないかなと、私はそういう気がするんですけれども、そういう意味で、私はもっと原子力船をどうするかという問題について、目先のことではなしにもつと長期的な展望に立って政府としても取り組んでいかなければいけないのじゃないかなと、そのことを強く要望したいんですけれども、その点どうでしょうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) まず、世界的に原子力船を受け入れるのかどうかという点につきましてお答え申し上げますが、現実にサバンナ号は海外の二十六カ国、この場合香港が一つの国として勘定されておりますが、二十六の国、四十五の港を訪問しております。また、オット・ハーンにつきましても二十二カ国、三十三の港を訪問しているわけでございます。もちろんまだ世界的な協定といったものは成立していないわけでございますが、現実にこれだけの国が受け入れているということは、それなりの受け入れについての基盤があるんだというふうに判断していいかと思うわけでございます。
 それから第二点、現実の問題があることは事実でございまして、これは避けて通ることができないと考えておりますが、長期的な観点に立ってもっと腰を入れて真剣に考えた上で動くべきであるという御意見につきましては、私どもも全くそのように考えているわけでございます。
○国務大臣(中川一郎君) 石油情勢、今後どうなっていくか、いろいろ推測のあるところではありますが、厳しくなっていくことだけはもう間違いない事実でございます。
 そこで、一般的には二十一世紀に入ったら原子力船が商業船として使われるだろうという見通しが一方にあります。こういったことに対処して備えておかなければならないということも十分理解をいただきたいところでありますし、もう一つは「むつ」がいまいろいろと御批判をいただいているのは、やはり安全性の問題について事故――私は事故と思っていません、試験船で故障を起こしたと。あの故障も実験船の段階であったからこそよかったんであって、これが実用船にああいうことがあってはならないということのためにやるのが実験船でございますから、実験の過程でああいうことになったということは、商業船で事故を起こしたに比べれば幸いであり、あるいは実験船の目的が――目的といいますか、実験船としての一つの効果であったという評価もして差し支えない。いずれにしても、原子力を平和利用しなきゃならないこういう時代に、しかもわが国では発電については世界では相当有数なところまで来ておるわけでございます。そういうときに、海洋国であり造船国であり、また海運国である日本が、原子力船について実験も不成功に終わったというようなことでは、世界に対しても非常に恥ずかしいと言ったら表現はおかしいんでありますが、情けないということであって、技術立国をもってなす日本、海運国の日本、あるいは船舶国としての日本としては、やはりこれを成功さしておきたいと、こういうことは国民の理解を得られるものと思います。ただ、実験段階でああいう故障があっておくれたことは本当に遺憾ではありますが、それだけにさらに一層安全性については徹底した総点検を行う等、さすがはという成果を残しておくことが、これからの世界情勢に対処するあり方だと、こう思いまして、いろいろ御非難はありますが、そしてまた苦労も多いことではありますが、ぜひとも安全性についてしっかりしたものにし、母港の決定等、国民の理解をいただきまして、「むつ」は「むつ」としての成功をさしたいと、こういう姿勢で取り組んでまいりたいと思います。どうかいろいろの意見はありますけれども、科学技術立国日本がこれが成功できないということは本当に情けないことでございますので、ただ従来の行きがかりというだけではなくて、やはり先々のことを考え、また世界における日本の立場も考えてしっかり取り組んで今度こそは成功さしたいと、こう思っております。
○塩出啓典君 原子力船の将来の計画というのは、いまいつまでの計画があるんですか、長期計画みたいのはありますか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 計画という名にまでまだ育ち上がっていないわけでございますが、一応今後十五年ぐらいをにらんでの研究開発の進め方というものが、先ほど来御報告申し上げております原子力委員会での専門部会で検討され、まとめられております。私どもはそれを下敷きにいたしまして、一応十五年ぐらいの期間をにらんで、当面五年ぐらいはこんなふうにやっていこうというスケジュールを持っているわけでございます。
○塩出啓典君 まあ、いま長官が技術立国日本としてもう成功させなければこれは非常に恥だと、その気持ちは私はわかるんですけれども、しかし、やっぱり使うのは全部税金ですから、確かにいま佐世保で「むつ」はいろいろ改修をしてでき上がったと、けれども、じゃ母港が決定しなければ、やったことはむだ遣いになっちゃう。また、じゃ母港、定係港が日本でできても、いま廃棄物の問題がいろいろ各地で問題になっておるわけでありますが、そういう試験運航ができても、さらにその次においてどういう問題があるのか、さらには世界各国、当然原子力商船というものは大型で高速艇によりメリットがあることを考えれば、当然これは国内船ではなしに外航船、外国へ行かなくちゃならない。そういうような点にもいろいろ問題があると思うんですね。私はやっぱりいまここで「むつ」だけを改修し、あるいは定係港だけ決まっても、果たしてそのほかのもっと大きな問題についても、同時にやはりアタックしていかなければいけないんじゃないかと、そういうやっぱり将来を考えて、いろいろいま国民の皆さんの中に反対あるけれども、必ずこれは科学技術庁なり原子力船事業団なり政府の努力で、当然こういう方向に解決していけるんだという、そういう確信の上に立って進めていかなければいけないんじゃないかと思うんですね。私たちが科学技術庁からいろいろ説明を受ける、そういう中においてはそういう点の果たして確信があるのかどうか、そういう意味でのやはり長期計画というものを本当に練って、それでこういうやはり問題があるけれども、これはこうやって解決できるんだと、だから進めていかなきゃならないんだという、こういうものが私はもっと欲しいなと思うんですが、その点はどうなんですかね。
○国務大臣(中川一郎君) 「むつ」については航海実験をして「むつ」なりの実験成績データ、貴重なデータを得て、次の段階は経済性というものにウエートを置いた研究開発を進めて、やがては商業船として成功せしめると、こういう長期的な考え方、やり方についてはいろいろ専門家にこれから御検討いただきますし、この法案を通していただきますと、さらに研究開発についてもゆっくり腰を据えてやれる体制ができるわけであります。そういうことで成功せしめ、また世界じゅうに行って寄港できるかという御懸念も理解できますけれども、私はサバンナあるいはオット・ハーン等の動き、あるいは原子力潜水艦等世界じゅうを回って、日本ではいろいろと原子力船については寄港させないとかといういろんな問題もありますが、日本でも実験段階できちっとした成果をおさめて成功すれば、世界じゅうを回るに当たってそれほど心配されるような寄港反対というようなものがないのではないかと、こう思っております。
 そういうことで、いま一番むずかしいのは「むつ」の処理の問題、このむずかしい山を越えるならば、先々は必ず成功するものだと、国際的な理解も得られるものだと、こう思って、とりあえずは先ほど答弁した今度の「むつ」の成功ということが、原子力船を実用化するまでの大きな一つの山場である、ひとつ何とかこのむずかしい山を乗り越えて、先々はひとつ洋々とした試験研究、実用船への着工といいますか、実用化するように努力をして、国民の皆さんの期待にこたえたい。私は、まあ反対されておる人もおりますが、「むつ」に対する国民の期待の大きいこともあるのではないかと、私はそう思って、いまの段階法案を通していただき、「むつ」の問題を処理していくことが国民の大方の願いであろう、こういう自信を持ってこの問題に対処しておるわけでございます。
○塩出啓典君 いろいろ困難もありますし、何もかも順調にはいかないと思うんですが、私は日本の将来を考えるときに、原子力商船の取り組みは非常に大事だと思うんですね。この選択を誤ってはいけないんじゃないか。そういう意味では、われわれも野党ではありますけれども、納得できれば協力できるわけですから、そういう点はひとつ科学技術庁長官も、各野党に本当にそういう長期的なビジョンを持って説得をして、国会に来ていらっしゃる人は皆常識ある人たちばかりですから、そういう人たちも説得できないようでは、これは地元へ行っても話にならぬわけですし、そうしてやはり国会が党派を挙げて母港の選定に当たっても力を合わすように、そこまでやっぱりひとつ、先ほどのような資料等もどんどん出していただいて、表も裏もなしに本当にみんながコンセンサスを持って一つの方向に前進できるように、私は科学技術庁ももっと本気で取り組んでもらいたい、こういうことを強く要望するわけであります。
 それから次に、この法案は「むつ」の開発がある段階に達するときに、日本原子力船開発事業団は科学技術庁に属する他の機関に合併をするとありますが、「むつ」の開発がある段階に達するまでというのはどういう段階なんでしょうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 先生の御指摘は、原子力委員会の昨年末の「日本原子力船開発事業団の統廃合問題について」という決定の中で述べられております「「むつ」の開発がある段階に達するまでの間は、事業団は責任ある独立機関として「むつ」開発を推進すべきである。」という指摘を行ったことを指しておられるものと考えます。この「ある段階」と申しますのは、具体的には現在「むつ」の修理あるいは総点検、さらには定係港の問題等「むつ」にかかわります研究開発自体以外の問題が非常にウエートが高くなっているわけでございます。大きな問題となっているわけでございますので、これらの諸問題が解決いたしまして、「むつ」を実験船として運航することによりまして、諸データの蓄積あるいは経験の蓄積が可能となっているような状態ということを「ある段階」という表現をしたものでございます。
○塩出啓典君 そうしますとこの法律は、今回原子力船開発事業団を一部研究的な要素を入れて改組をし、そして昭和五十九年末でございますか、末までに統合すると。もし――こういうことは余り考えたくはありませんけれども、定係港も決まらず、佐世保の修理はできたけれども、ある段階に至る実験航海等ができなかった場合は、これはどうなんですか。また法律を延ばして合併は先に行くのか、あるいはどうあろうとも他の原子力機関との統合はこの期限内に行うのか、そのあたりどうなんでしょうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 仮定の問題でございまして非常にお答えしにくいわけでございますが、まず第一に申し上げるべきことは、昭和五十九年度末までにはただいま御説明申し上げました「ある段階」、どうしてもそういう状態にすべきである、またしなければならないということでございます。それから、仮の話でございますけれども、「ある段階」に達し得なかったような事態ということを私どもも想像したくないわけでございますが、そういう事態におきましては、恐らく今後法案をお認め願いました後は「むつ」の開発に絡みます仕事と、それから次の時代の経済性を重視した新しい舶用炉の開発と、二本立てで研究開発事業団の運営が進められていくと考えておりますが、その新しい炉の開発ということにウエートが非常にかかっていくという姿が想像されるわけでございます。そして、そういう姿のもとで統合ということが進められるというふうに考えているわけでございます。
○塩出啓典君 私は、いままで「むつ」行政においては、いろいろな約束をしたことが、あるいは計画したことがすべて予定どおりいかなくて、あちこちでうそをついて、まあうそをついたつもりじゃなかったんでしょうけれども、結果的にはそういうことを繰り返してきておるわけで、科学技術という最も科学的なそういう庁のやることにしては、余りにもイメージを崩すことになっちゃいますので、そういう意味で私は、できないことは決めない、決めたことは必ずやると、こういうようにやはり今後やってもらいたいと思うんですよ。そういう意味で統合すべき他の原子力機関というのはいつ決めるのか。また、統合といってもすぐ簡単にあしたいきますよというわけにもいかぬ。人間の結婚においても、いろいろ見合いをし、長い期間をかけてやはり結婚式に至るわけでありますから、ましてやこういう一つの大きな組織体が統合するということには、長期的な計画でいろいろ調整もしていかなければいけないと思うんですが、そういう統合へのスケジュールはもう考えているのかどうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) ただいま法案の御審議をお願いしている段階でございますので、その先のことということは具体的には検討しておりませんが、内々いろいろ考えてはいるわけでございます。たとえば先生御指摘のように、統合ということでございますから、その業務がなじまなければならないということ、それから人の異動ということを当然考えなければいけないということが、非常に時間をかけて進めなければならない事項かと考えるわけでございます。そういう意味では、どんなに遅くても三年程度の期間をかけて統合というものを考えるべきであろうということを内々思っているわけでございますが、そういうことにつきましてはこの法案が成立した段階で早急に検討に入りまして、間際になってばたばたするというようなことは絶対にすべきでないと、このように考えているわけでございます。
○塩出啓典君 私が心配するのは、この国会でこの法律が通ると、将来原子力船開発事業団は統合するということを国会が決めたわけですけれども、実際統合しようと思っていろいろ検討してみるとなかなか統合はできない、いろいろ問題があると、そういうことではこれはわれわれ国会としても責任を問われると思うんですよ。そういうできないようなものを適当に原子力船事業団の行き場がないからこうやったんだと、そういうようなことになったんでは私は非常にいけないんじゃないかと思うんで、そういう点を心配するわけです。そういう意味では、他の原子力機関が動燃であろうが日本原子力研究所、それは私は問いませんけれども、必ず統合はできると、それは自信はありますか。
○政府委員(石渡鷹雄君) いろいろその事態に現実にかんがみますと問題は出てくるとは思いますが、自信というとおかしな表現になりますけれども、基本的にむしろその方がいいんだという判断でこの統合の問題を決断していただいたわけでございますので、必ずできるしやらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 実はこの原子力船開発事業団にもっと研究所的な要素を入れて、そして恒久化すべきであると、これを私もかつてこの委員会でも主張したわけでありまして、それはやはり現在のような時限立法、何年か先にはもう事業団解散するという、こういう職場では研究者の皆さんが本当に熱が入らないじゃないかと、安心して没頭できるように恒久化をすべきではないか。
 それともう一つは、やはり原子力船開発事業団という開発よりも、いまの段階はもっと研究的な要素を入れてやるべきじゃないか。そういう意味でこの委員会においても私は主張したわけでありますが、どうも今回の開発事業団の統合というものは、行政改革の一環としてやられているような気がしてならぬ。私いただいた資料の中にも行政改革の一環としてやるということがついているわけですけどね、その点はどうだろうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 原子力船開発事業団のあり方につきましては、第八十二国会でのいろいろの御討議の折にも、特に公明党のお考えといたしまして、今後のわが国における舶用炉の研究開発は、現時的な現在の原船事業団でなく、人材が定着化し落ちついて研究活動が行えるような組織で進められるべきであるという強い御指摘があったことは、私どもも心に銘記しているところでございます。このような考え方は大山委員会でもすでに指摘されておりましたし、私どもといたしましてもできることならばこの原船事業団の現時的な性格をとりまして、恒久的な機関にしたいものだということで検討してまいったのも事実でございますが、御指摘の現下の行財政をめぐる厳しい環境の中で、行政の簡素化という趣旨を踏まえまして、当面のところは事業団を責任ある独立機関として、「むつ」にかかわる諸問題の解決に当たらせますが、落ちついて研究開発活動が行えるような環境を何とか備えまして、その時点で将来は恒久的な他の原子力関係機関と統合するということによって、実質的に長期にわたって一貫した体制で研究開発に取り組んでいけるという方法をとらざるを得なかったというのが実態でございます。そういう意味で統合という一つのプロセスは経るものの、何とか安定した形で人材が定着化し、また落ちついた雰囲気で長期的な研究開発に取り組めるという実態は、何とか確保したいというのが今回お願いしている法案の内容でございますので、何分その点につきましては御理解を賜るようお願い申し上げます。
○塩出啓典君 じゃ最後に長官にお願いしたいことは、ひとつ行政改革も必要であり、むだなところは省いていかなければいけないと思いますが、やっぱり原子力船の研究は大事な研究でございますので、そういう研究者が安心して研究できるようなそういう体制をつくってもらいたい。
 それともう一つは、いまちょうど長官席外しているときに言ったわけですけれども、この法律が通ってそうして何年か先には統合するわけですけれども、そのときになっていろいろ問題があって統合できない、そういうようなことになったんではわれわれもこれは責任はあるわけでありまして、そういうことのないようにひとつ早くケスジュールを立てて、そういう方向にひとつ努力してもらいたい、この二点を要望しておきます。
○国務大臣(中川一郎君) 公明党の皆さん、特に当委員会でも御意見がありましたように、原子力船の研究はやっぱり恒久的なものにしないと定着した、しかも優秀な人間が落ちついて仕事ができないという点は、本当に御同感でございまして、その点を満足させなきやならないこと。それから行政機構改革ということもありますが、これにも沿わなきゃなりませんが、もう一つはやはり研究機関としては他の機関と一緒になることによってのまた意義も大きいわけでございます。そういった三つの落ちついた研究、合理化、そして他の専門家との横のつながりを持たせる意義を持つわけでありますから、ぜひとも昭和六十年の三月三十一日には恒久的な試験研究ができる他の機関との合併、統合、こういうことをぜひともやっていきたい。せっかく今回この法案について前向きに御議論いただきましたので、ぜひとも約束どおり、法案の提案の趣旨のとおりやっていくようにいたしたいとお約束をいたす次第でございます。
○佐藤昭夫君 今回の法改正の第一に、事業団の業務について原子力船開発に加えて、これに必要な研究を行うことをつけ加えた、この問題についてまずお尋ねをいたしますが、昭和五十四年十二月二十日の原子力船研究開発専門部会報告書、その第三章で「原子力船研究開発の課題」として、今後の研究開発についての方向性、二つの柱と三つの課題といいますか、一つは「原子力商船実用化をめざした研究開発の推進」、もう一つの柱は「基礎的・先導的研究の実施」、第一の柱のさらに内容として「「むつ」開発の推進」、「改良舶用炉プラント等に関する研究開発の推進」、「安全規制研究」というこの三つの課題を打ち出しているわけでありますが、これ当然この専門部会報告を受けて、原子力委員会としてもこの方向での研究開発を進めていくと、法案に言っている必要な研究の中身がこれだというふうに理解をしてよろしいですね。
○政府委員(石渡鷹雄君) そのような御理解で結構でございます。
○佐藤昭夫君 そこで、この原船事業団について例の大山委員会以来指摘をされているように、今日までプロパーの研究者、職員が非常に少ない。技術の蓄積に問題が多々あったということが確認をされているわけでありますが、今回の法改正で研究を新たに仕事につけ加えて今後やっていくんだというんですが、果たして本当に研究が十分やれる体制にあるのか、私は不安に思うわけでありますけれども、そうした点で、たとえばこの事業団の職員構成といいますか、研究者、技術者それから事務系職員、大別してこの三つぐらいに分けてこれどういうふうになるんです。現状はどういうふうに変わるんです。
○政府委員(石渡鷹雄君) お答え申し上げます。
 現在の原船事業団の人員構成でございますが、まず実員で百二十七名でございまして、うち技術系職員四十四名、それから船員三十二名、その他、その他と申しますと事務あるいは事務系の技術者ということでございます。五十一人という構成になっております。それで、それぞれ出向者の比率をとってみますと、技術系職員については七五%、船員につきましては一〇〇%、その他事務系五一%、こういうことでございまして、百二十七名中九十一名が出向者でございます。比率として七二%、こういうことになるわけでございます。そこで、現在そういう意味ではいわゆる研究員という分類がされる職員はおりません。
 将来この姿をどう変えていくのかということでございますが、まず技術系職員のうち、できるだけ出向職員を今後プロパーの職員にかえてまいりたい、このように思っているわけでございます。それは現在遮蔽改修総点検の作業に全員従事しているわけでございますが、これが山が見えてきますと、随時余裕が出てくる分について、その定員については研究員ということで振りかえてまいりたい、このように考えております。また、恐らく統合の時点では、四十四名のうち相当の部分の方が研究に従事するという姿になると思っております。その時点での出向者の比率もぐんと下がっている姿になると考えます。
 次に、できればプロパー、特に若手の職員という意味で新規採用を考えたいわけでございまして、これは定員増という話になりますので、非常にむずかしい面もあるかと思いますが、そういう努力もしてまいりたい。
 それから三つ目の考え方といたしまして、統合ということによりまして、その他五十一名と申しましたが、このうちのどのくらいの率になりますか、いわゆる統合によりまして表面上は合理化ができるという可能性があるわけでございまして、そういう面で余裕が出た分は、研究員の増強ということで振りかえていきたいものだと、このように考えております。
 それで、希望といたしましては、統合時点ではいわゆる新しい研究、舶用炉の研究開発の第一段階が進んだ状態になりますので、次の段階に入るための研究開発担当のスタッフといたしまして、約五十人以上のスタッフを用意できるようにいたしたいというのが現在の考え方でございます。
○佐藤昭夫君 いまの説明で幾つか疑問あるんですけれども、一つは、将来持っていきたいというんですが、法改正は直ちにやろうというんでしょう。で、その法改正に基づいて研究の仕事を新たにやっていこうというんでしょう、事業団は。それは将来の話じゃないと思うんです。直ちにどういうふうに変わるのかということと、それからいま「むつ」改修やっている、それの目鼻がつけば人員の振替やるんだということでいけば、これは事業団というのはそもそも人が余っておったのか。「むつ」開発は続くんでしょう。改修でしまいじゃありませんね。ちょっとそこらの辺説明してください。
○政府委員(石渡鷹雄君) 当面、五十六年度につきましては、振替二名、新規要求七名ということで、合計九名をもちまして研究開発室をスタートさせたいと考えております。以下、五十九年度に約五十名ほどを考えるという姿で増強を考えていくということでございます。
 それから、第二点の研究スタッフと申し上げましたが、「むつ」を使っての研究開発も担当するわけでございまして、その辺新しい舶用炉の研究と、「むつ」を使いましてのデータあるいは経験の蓄積ということをあわせまして、この研究スタッフが担当していくという姿を考えているわけでございます。
○佐藤昭夫君 当面この法改正が行われたら、次年度については振替と新規合わせて九人の研究体制でいくという、これが麗々しく法改正をやっていこうという、いよいよスタートの体制だということで、これ法改正の一体名に値するのかという問題を指摘をせざるを得ませんね。
 もう一つ聞きましょう。今回の法案で新しい研究開発の事業団役員、これは法文にも出てきますように、現在の事業団の役員横滑りでいきますね。いままで「むつ」開発をやってきた、それに研究開発を加えていく、これにふさわしい役員体制となりますか、これで。どうですか。いや、法律の条文に書いてあるのですよ、横滑りと。
○参考人(野村一彦君) 私どもが承知しておりますのは、法案にございますように、現在の役員が、法改正をお認めいただきますれば、新しい研究開発事業団の役員に、その任期を何といいますか、従来の任期の範囲内においてなるというふうに承知いたしております。
○佐藤昭夫君 それは横滑りでしょう。そうして、役員の定数をふやすとも書いてないわけですからね。ということで、この新しい研究の仕事を加えてやっていくんだと、こう言いながら、実際のトップの役員の体制、言うなら事業団の指導体制、ここは何にも変わらぬ。そして、研究スタッフというのは出発初年度九人という非常に貧弱な体制だしという、これは全く私は法改正の名に値しない国民を欺くやり方じゃないかというふうに思わざるを得ないのです。
 次、研究の中身に即してお尋ねをしましよう。さっき言いました研究の方向として二つの柱、三つの課題でやっていくというわけですけれども、その二番目の課題を第一、第二、第三の段階という研究段階、これを順を追ってやっていくんだというふうに書いてますね。これの三段階の研究計画、これを何年ぐらいやるのか、それぞれ。それはすでにもうできているのか、これから研究計画の検討をやろうというのか、どうですか。
○参考人(倉本昌昭君) 私どもといたしましては、現在原子力委員会の専門部会の報告が出ておるわけでございますが、法改正になりますと、国としての基本計画と申しますか、研究についての御方針が示されることであろうと思います。その計画に応じて、現在の出ております段階、いま委員会の方の御報告の線がそういう形で出てまいりますれば、これについては私どもとして当然具体的な計画等を考えていかなければならないと思っております。委員会の方では専門部会としての考えが一応出ておるわけでございますが、具体的にこれをどういう形でどういうものをやっていくかということになりますと、それについてのより具体的な研究計画を私どもとしてつくっていかなければならない、そのための準備にこの法改正ができましたら早速取りかかっていきたい、かように考えております。
○佐藤昭夫君 そうしますと、ただいまの答弁でいきますと、法改正を待って第一段階、第二段階、第三段階の具体的な研究計画を煮詰めていく、つくっていくという御説明だと思うんですけれども、私はこれ非常に本末転倒じゃないかと思うんです。片一方は、今回の提案が出てくる大前提に、政府としては当初八〇年代を考えていたけれども、これは見込みの間違いだったと。二十一世紀には原子力商船時代が来ます、だから引き続き「むつ」の開発もやらなくちゃならぬ、原子力船開発研究、これを今後ともどんどん進めていくんだという、こういう論法でしょう大臣。と言いながら、しからばどういう具体的研究をやるかという研究プログラムはまだ何にもない、法改正を待って研究プログラムの検討に入りますと。私は、これは非常に無責任な今回の法案の提案だというふうに言わざるを得ないのです。
 六時ぐらいで大体終わったらどうかという話が出ていますので話を次に進めますけれども、さっき言いました麗々しく法改正をする、研究という仕事を加えていくと言いながら、その研究スタッフの初年度のスタートは非常に貧弱だ。それからトップの指導体制、役員体制はいまのままの横滑りと。研究という仕事を加えていくということにふさわしい役員体制の、何というか、補強というか更新をやるわけじゃない。プログラムの検討もこれからだということで、これはお話にならぬのじゃないかというふうに私は思わざるを得ないのです。
 法改正の二点目、いわゆる統合問題についてお尋ねをしますけれども、ちょっと塩出さんも言っていましたが、この改正案でいきますと、昭和六十年三月三十一日までに原子力船研究開発事業団を他の原子力関係機関と統合する、そのための必要な措置をこれから講じていく、こうなっているんですけれども、もしも統合に必要な措置がそれまでにできなかったときには事業団はどうなるんです。もうパアですか、解散ですか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 事業団の統合の問題につきましては、政府の行政簡素化に関する閣議決定に従って進められるものでございます。また、法案が成立いたしました暁には、立法府の御意思としても明らかにされるものでございます。したがいまして、政府といたしましては、昭和六十年三月三十一日までに必要な処置を講ずる義務を負うものと考えているわけでございます。当然立法府に対しましての義務というふうに考えております。しかしせっかくのお尋ねでございます、もし万一法案に定められている時期までに統合のための必要な法的措置が講じられないというような事態が生じた場合のことでございますが、法律的には日本原子力船研究開発事業団は昭和六十年四月以降も引き続き存続するものというふうに理解しているわけでございます。
○佐藤昭夫君 そうしたら、六十年三月三十一日までとこう言いながら、それまでに必要な諸条件が整わなかった場合、廃止立法をしない限り残るのだという、まあ勝手な理屈ですね。その問題はまたおいおいお尋ねをしていきましょう。
 それで、六十年三月三十一日までに統合をするためにどういう条件を整備する必要があるというお考えですか。
○政府委員(石渡鷹雄君) いろいろあろうかと思いますが、先ほども触れましたが、まず、「むつ」開発が抱えております当面の諸問題が解決されまして、「むつ」が実験船として運航することによりまして諸データあるいは諸経験の蓄積が可能になっているということが第一でございます。第二に、現在の事業団の体質が研究開発事業団にふさわしいように変わっているということが第二の要件かと考えております。それから第三に、統合先がある程度の枠で示されているわけでございますので、そういう統合先のことも考えましたいろいろな諸条件と申しますか、状況が整えられているということが三つ目の要件かと考えます。
○佐藤昭夫君 大きくいま三つの諸条件と言われましたけれども、何というか、四者協定にかかわる問題というか、母港問題、これは「むつ」開発の中に含めて言われたのかしりませんけれども、母港問題がきちっと解決をするということも重要な条件ですね。
○政府委員(石渡鷹雄君) はい。
○佐藤昭夫君 そこで、果たして六十年の三月三十一日までにそういう三つなり四つなりの条件がきちっとでき上がるだろうかということを私は大変疑問を持っているんです。これは衆議院の私のところの党の瀬崎議員が衆議院の委員会でもいろいろ指摘、追及をしてきたと思いますけれども、スケジュール的に見るとこういうことになるのじゃないかと。大湊再母港問題についてはいま猛烈な反対が起こっていますね。ですから、これがそう簡単にここあしたあさってに決着がつくというような問題ではないと思いますが、仮にそれは大湊であろうとどこであろうと新しい母港がいま直ちに決まったとして、港の改修再整備のための基本設計の作成に約六カ月かかる、その安全審査に六カ月かかる、それから詳細設計の作成作業に三カ月かかる、その安全審査に一カ月かかる、それから建設工事に一年半かかる。これはもう最小限見積もってもこれくらいかかる。合計すると、母港として使えるようになるまでに三十四カ月、約三年間かかるということですが、大体こういうことで確認してよろしいですね。
○政府委員(石渡鷹雄君) 衆議院におきまして瀬崎議員からのそういう内容の御論議があったことは事実でございます。
○佐藤昭夫君 そうしますと、いま佐世保でいわゆる改修作業をやっているわけですけれども、これは来年の十月末に、約一年後までにこの改修作業を完了すると。ところが一方母港ができ上がるのが、母港が使えるようになるのは最小限見積もっても約三年間かかる。そうしますと、長官どうですか、修理完了した「むつ」はどこへ行くんですか。また海の上に二年間、洋上に浮かぶ物体になるわけですか、どうなんです。
○国務大臣(中川一郎君) むつに御決定願えれば、むつに停泊することは決定と同時にできるわけでございますから海の上にいる必要はございません。
○佐藤昭夫君 いやいや、冗談言ったらいかぬ。
 母港が仮にそれが大湊であるにしても、母港として使えるようになるのはあと三年かかるんです、いま大湊を母港だと決定をしても。いろんな工事、安全審査、こういうものをずっと順を追ってやらんならぬ。一方佐世保でやっておる改修工事はあと一年後に、必ず一年後に完了しますというふうに明言しているんですからね、五者協定まで結んで。そうすると、あと二年間その船はどこへ持っていくのか。
○国務大臣(中川一郎君) ですから、上昇試験をやって、やるのにはそれだけのことはかかるけれども、船をつないでおくのには、お許しさえあればいつでもおつなぎはできるから海の上にいる必要はありませんと申し上げているわけです。
○佐藤昭夫君 中川さんはときどき政治家としての明晰な判断されますけれども、ちょっとやっぱり少し素人のところがあるんです。さっき言いました約三年、その後に出力上昇試験があるんですよ。それからその後に実騒航海があるんですよ。ということで、ちゃんと物事を区別して、頭の中で数字をぱっと描かぬと、そんな大ざっぱな議論で事柄を済ましては大変です。
○国務大臣(中川一郎君) 間違ったら困りますから。つないでおくのにはすぐつないでおくことができると言ったんです。上昇試験をやるまでには三年かかるか二年かかるか知らぬが、相当かかりますけれども、海の上に漂っておる必要はないと、こう申し上げたんで、政治家であろうと何であろうと何も違っておらないんです。つないでおくことはできますよと言うんです。上昇試験をやるまでには二年かかるか三年かかるか、これはいろいろありますけれども、つないでおくことについては、お許しさえあればできますと、こう申し上げたわけです。
○佐藤昭夫君 つないでおいたって、実際に出力上昇試験もできぬような状況でつないでおって、一体どういう意味があるのかという問題があるわけですよ。――まあいいですわ。
 それで、とにかく母港を使えるようになるのに三年かかると、その後に出力上昇試験、これは大体一年間ぐらいかかりますよ。そうしますと、この改正案の言っておる期日まで対比した場合に、四カ月ぐらいしかあと残りませんね、差し引きしたら。その後引き続いて実験航海やる。実験航海というのは何カ月ぐらいかかるんですか。
○参考人(倉本昌昭君) 実験航海と申しますのは、これはその中でいろいろ試験をやりますので、これにつきましては具体的にどういうことを実験航海でやるかということにつきましては、出力上昇試験等が終わりましてからその辺は出てくると思いますし、また実験航海としてどの海域をどういうぐあいに走るかということについては今後検討をしていかなければならないと思いますが、オット・ハーン等の例から考えますと、オット・ハーンは十年間運航しておったわけでございますが、その十年間の間において、初期の段階では大半が実験航海的な運航をしておったわけでありますが、もう八年目、九年目、十年目あたりにおきましても、それぞれ前の、それまでの航海の経験を積んで、さらにいまこういった点について実験航海をやはりやるということでございますので、私どもといたしましては、その実験航海、「むつ」を使っての実験航海といいますのは、実験船としてこれが使え得る間において、できる限りの期間はやはり実験航海、またその間に乗組員の教育訓練ということをやってもらいたいと考えておるわけでございます。したがいまして、その実験航海については、第一期、第二期、第三期と申しますか、毎年、その実験航海が始まりますれば、その間でどういうスケジュールを組んでいくかということになると思います。
○佐藤昭夫君 いろいろ言われていますけれども、実験航海の具体的な内容というのはこの時点で、いま時点ではっきりしてないし、したがってどれぐらいの期間実験航海、万全な実験航海をやるのにどれぐらいの月数を必要とするのかということについて断定的には言えないと。とにかく出力上昇試験をやってみないと、どれだけの実験航海をしなくちゃならぬかということの判断がつかぬのだということですね。
 そこで、さっきから言っているんですけれども、今度の法改正で六十年の三月三十一日までに統合をすると。統合するまでには最低これこれの必要な条件が要りますと、その中の条件の重要な一つに、「むつ」が実験航海、出力上昇試験もちろんのこと、「むつ」が実験航海をして、必要な実験的データが十分把握をされて、もうこれで大丈夫と、こうなっていよいよ他の原子力機関との統合、六十年三月三十一日と、ここへ行くんだと、こういうプログラムですね。ところで片一方、どこに決まるか知らぬけれども、いますぐ仮に大湊なら大湊に母港が決まっても、母港が使えるようになるのに三年かかると、その後の出力上昇試験一年かかる、合わせて四年。残っておるのは四カ月しかないと。いまはあれでしょう、五十五年十一月ですから、六十年三月三十一日まであと残っておるのは四年四カ月でしょう。果たしてこれで法律に麗々しく六十年三月三十一日までにという、もう何月何日という日まで書き込んで、こう書いて一体このとおりにいきますかという疑問というのはだれだって持つでしょう。あした、あさってに大湊に決まるわけじゃないでしょう。今度、参考人にも青森の代表が来ますけれども、恐らく強力に反対をされるに違いないという状況で、本当に責任を持った今回の改正提案かと、とにかくもう何か場当たり的に、その場その場取りつくろう、そういうやり方というのはかっての「むつ」からずっと振り返ってみた場合に、今回も同じやり方が繰り返されているんじゃないかというふうに考えざるを得ないんですよ。
 それで、もうちょっと、大分時間来ていますのであれですけれども、ちょっと関連がありますのでもう少し続けてみると、いま出力上昇試験をやってみぬと実験航海のプログラムが組みようがないという話ですよね。ですから、したがっていま改修中の、改修暁の「むつ」についての実験航海のプログラムはないということだろうと思います。なら、かつての「むつ」ですね、事故を起こした、長官はあれは故障だと言うんだけれども、事故ですよ、明らかに。ともかく、いまそのことの論争ではないんですけれども、かつての「むつ」についての実験航海プログラムはあったんですか。
○参考人(倉本昌昭君) ただいまの私の御説明が若干舌足らずの点があったかと思いますが、この「むつ」につきまして出力上昇試験に前回出ます前の時点におきましては、各出力上昇試験、それぞれの段階においてどういうことをやる、そのためには大体どのくらいの日数がかかる、またそれが終わりましてから実験航海に出た場合にどういうようなことをやるかということにつきましては、一応の計画案等は持っておったわけでございます。またこれにつきましては、私どもといたしまして現在遮蔽改修が進んできておりますが、そのために現在全力投球をしておるわけでございますが、私どもといたしましても、遮蔽改修も一応軌道に乗り、それから総点検関係の工事も一応現在安全審査等の段階に入っておりますので、これから出力上昇試験について前回の計画の一応見直しをやりまして、今後の具体的な計画をつくっていきたいと、かように考えておるわけでございますけれども、一応出力上昇試験につきましては、大体さきほど申し上げました約一年近くをかけてやることになると思います。
 それから実験航海につきましては、一応第一期、第二期ということで、どの程度のデータとりますか、一応二年ぐらいまでやってもいいとかというようなこともありますけれども、実際には出力上昇試験の段階で、あと具体的に実験航海一年もずっとしっ放しということもございませんので、それについては具体的な計画をやり、まあ一カ月とか三カ月とか半年とかというような形で、それぞれ具体的なものはつくっていきたいと、こういうぐあいに思っております。
 それから、先ほど先生がおっしゃいました……
○佐藤昭夫君 ちょっと時間ないし……
○参考人(倉本昌昭君) 母港の施設関係でございますけれども、これにつきましては、先ほど先生のあれで、瀬崎先生の御質問のときにお答えしたあれからしますと、約三年というお話でございますけれども、これは中にいまの詳細設計等、これは並行的にやれるものも実際にはございますので、これを全部縦に足すという形には実際にはなりませんので……
○佐藤昭夫君 そんなことないよ、順を追ってやる作業。ごまかしたらいかぬよ。
○参考人(倉本昌昭君) まあこの詳細設計の作業というのはダブっておりますので、そういった点であれは一応三年はかからず、統合までの時期には実験航海を何カ月かはやり得る、少なくとも何カ月かはやって、実績は出せる、こういうようにいま考えております。
○佐藤昭夫君 出力上界試験についても旧「むつ」と新「むつ」とは見直しをしなくちゃならぬ。いわんや、それとセットの関係にある実験航海プログラムについても見直しが必要だと、しかしいま成案を持っているわけではないということだと思うんですけれどもね。
 もう一つ聞いておきましょう。母港の話が出ていますけれども、寄港地ですね。というのは、事業団の発行しておられるこのパンフレットにも、実験船と言いながら、この船の用途は貨物運搬と船員の訓練だというふうにいまも書かれておる、貨物運搬を含んでおると。そうすると、言うなら貨物の積みおろしということだ。ですから、母港だけじゃない、寄港地というものが必要になってくると思うんですけれども、この検討はやっているんですか。
○参考人(野村一彦君) これは船の種類ということで特殊貨物運搬船ということになっておりますが、現在の「むつ」につきまして、これを貨物船としての実験をするというつもりはございません。したがって、実験航海の計画を立てる場合でも寄港地ということは特に考えませんで、洋上で実験航海をするという前提で考えております。
○佐藤昭夫君 もう終わりますけれども、パンフレットには貨物運搬を含めての仕事をやると、こう書きながら、貨物運搬に伴うそういう積みおろしの寄港地というようなことは全く考えていないということは、これも原子力船「むつ」について国民を欺く宣伝計画の打ち出し方だ。もうどこ見たって国民をだますやり方いっぱいと、こういう無責任な提案はないと、さまざまな角度からきょう申し上げた。もうそれで終わりますが、最後に長官に聞いておきます。
 衆議院の委員会で、大湊再母港化の問題で総理はオンリーワンではないと言うたんですね。長官が言うのは大湊ベストワンだと、こういう総理と長官との不統一のこういった発言というのは、私は許されるものじゃないというふうに思うんです。私はこの間も言いましたように、大湊母港化案、これは白紙に戻すということが当面最も賢明な措置だというふうに思うんですけれども、こういう総理と長官と食い違っておるというこの点については、政府としての統一見解をはっきり打ち出してもらう必要があるということを最後に指摘をしておきまして、残余の時間次回にということで本日は終わります。
○国務大臣(中川一郎君) ただいまの御質問の前に一つ、大変大事なことですから申し上げておきますが、「むつ」が成功することが合併の条件であると、「むつ」が成功するためにはこれだけの期間がかかるから、成功しなかったら合併できないではとこうおきめつけになってお尋ねでございましたが、そうではございませんで、「むつ」が成功しておることが研究開発をしていく上に非常に望ましいことであると申し上げたのであって、仮に「むつ」が上昇試験ができない、あるいは航海実験ができない、だから合併できないというものではなくて、それはそれなりのデータとして利用できるわけでございますから、望ましい姿としてどんどんどんどん進んでいった場合、それをベースとしてできると、こう申し上げたんでありますから、どうか三年たたないとどうだとか、こうだとか言われても……
○佐藤昭夫君 それは詭弁ですよ。そこをごまかしたらまた無理押しをやるんです。
○国務大臣(中川一郎君) 無理押しはいたしません。ただ、私たちの考え方はそうであるということだけ申し上げておきます。
 次に、総理大臣がオンリーワンではないと申し上げたのは、政府としてはまだオンリーワンというふうに決めていないんです。私は科学技術庁長官として最適当であるということでお願いしたわけです。政府で決めるということになれば、関係閣僚会議といいますか連絡会を開いて、運輸大臣その他の大臣とも協議して、ここに決めましたからどうぞよろしく、こういって初めて決定になるのであって、まだオンリーワンとして政府として決めたわけじゃないということでありますから、意見の違いはない。ましてや今後むつがだめだということになれば、他を探さなければならないという意味からいっても、これがだめならばもう新母港の決定はやめたということでもありませんから、そういう意味で総理大臣がオンリーワンではないと、こう申し上げたのであります。なお、私が科学技術庁長官として大湊にお願いするに当たっては、政府決定ではありませんけれども、総理大臣あるいは関係閣僚にも、私としてはここしかないからこういうことで交渉いたしますという連絡はとって、政府の了承はいただいておりますが、政府がオンリーワンとして決めたものではないということと、私が「むつ」がいまのところ最適当であるとお願いした間には矛盾がないということを申し上げておきます。
○委員長(太田淳夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後六時九分散会