第093回国会 航空機輸入に関する調査特別委員会 第2号
昭和五十五年十一月七日(金曜日)
   午後一時三十三分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         上田  稔君
    理 事
                成相 善十君
                円山 雅也君
                村田 秀三君
                渋谷 邦彦君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
    委 員
                江島  淳君
                大島 友治君
                梶原  清君
                上條 勝久君
                川原新次郎君
                熊谷  弘君
                高木 正明君
                塚田十一郎君
                仲川 幸男君
                堀内 俊夫君
                粕谷 照美君
                片岡 勝治君
                矢田部 理君
                桑名 義治君
                矢追 秀彦君
                市川 房枝君
   国務大臣
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       自 治 大 臣  石破 二朗君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
   政府委員
       総理府賞勲局長  小玉 正任君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       大蔵省理財局次
       長        宮本 保孝君
       運輸省航空局長  松本  操君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○航空機輸入に関する調査
 (航空機輸入に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(上田稔君) ただいまから航空機輸入に関する調査特別委員会を開会いたします。
 航空機輸入に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○片岡勝治君 久しく懸案でありました航空機調査特別委員会が開催されましたことについて、委員長初め関係各位の御努力に深く敬意を表する次第であります。まさしく参議院の良識の発露でありまして、どうかこの良識を今後も続けられまして、国民の期待にこたえられるよう冒頭希望しておく次第であります。
 きょう、この航特委で質問するに当たりまして、奥野法務大臣と相まみえることになったわけでありますが、私は、奥野さんとこうして質疑することができ得ましたことにつきましては、かつて本会議を通じて奥野さんと論議をしたことがございます。田中内閣全盛時代、奥野さんが文部大臣として、例の教頭法で質問に立ちました。そのときに田中角榮さんが提唱いたしました五つの大切・十の反省という徳目を当時国民の前に出したわけでありました。しかし、私はそのときに、この五つの大切・十の反省というのは、田中さん、あなたが国民の前に言うべき言葉ではなくして、われわれ国民が田中内閣に突きつけるべきそういう徳目ではないのか、こういうことを私は田中さんに迫ったわけであります。これについて総理は答弁をしませんでした。これについて奥野文部大臣は一体どう考えているのか、こう質問したところ、奥野さんは、これは大変いいことだ、いい徳目である、こういうことを大いにひとつ出し合わなければいけないと言って、田中角榮首相のこの道徳論に大いに賛意を表したわけであります。
 しかし、いまこうして奥野さんと相まみえるに当たって、やはり歴史は私の忠告どおり田中角榮被告はまさに日本最大の構造汚職の頂点に立ってこうした特別委員会を開かなければならなかった、こういう結果になったわけでありますが、当時を回顧して、奥野さんの心境をまず初めにお伺いしたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 戦前の修身教育のあり方から、戦後は道徳律を口ずさんでいくことを極端にきらってきたように思います。しかし、私はやはり道徳律を口ずさむことを通じてそれを実践していくことを身につけていく、それもまた大切なことじゃないかなと、こう考えておるわけでございまして、その当時もそういう気持ちでお答えさしていただいたわけでございました。
○片岡勝治君 いまここで、こういう席で奥野さんと私が相まみえるという結果になった、こういう事態に対して奥野さんはどういう心境かと。いまでも田中さんのあの五つの大切・十の反省、りっぱな徳目だと胸を張って国民の前に言い得ますか。それについて一体奥野さんは、いままた法務大臣であるわけでありますから、どういうふうにお感じになっているのか、こういうことなんです。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私は徳目を唱えることも大切だと、こう申し上げたわけでございまして、田中さんの問題に関しましては、私がここで批判すべき筋合いのものでもないと思いますので差し控えさしていただきたいと思います。
○片岡勝治君 そもそも私はこういう姿勢が鈴木内閣の政治姿勢を端的に物語っているような気がするんですよ。やはり時の総理大臣が、結果はいずれにいたしましても逮捕される、容易なことではないですよ、これは。われわれは野党に籍を置く者であっても、時の総理が汚職で逮捕される、これは容易なことではない、国際的に見て本当に恥ずかしいことなんですよ。
 私は、田中さんに非常に近いと言われる奥野さん、悲憤憤慨して、それこそ涙を流したんじゃないですか。激怒したんじゃないですか。そういうことについて一言も触れられないということになれば、私は奥野さんらしからぬと思うんですよ。あなたはこの間涙を流したそうですけれども、こういう事件のときこそ悲憤憤慨、激怒して、田中さんのやかたに殴り込みをかけるぐらいの正義感があってしかるべきじゃないですか。全くそういう点についてはお感じにならないんですか、この事件に対して。
○国務大臣(奥野誠亮君) 検察庁はその信ずるところに従って起訴したわけでございますし、御本人はその信ずるところに従って無罪を主張しておられるわけでございますし、現に裁判所において公正に手続が進められておるわけでございまするから、法務大臣としてはそれに対して批判がましいことを言うべきものではないんだと、こう考えているわけでございます。
○片岡勝治君 では、あなた個人としてどうお感じですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 裁判の進行を公正に見守らせていただきたいと、こう思っております。
○片岡勝治君 非常に遺憾な事態とは思いませんか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 疑惑が起きたということは残念なことでございます。
○片岡勝治君 もう少し謙虚にお答えをいただきたいと思います。まさに鈴木内閣が誕生して初めてのこの問題に対するいわば鈴木内閣の姿勢の象徴ともなるべき場でありますから、ひとつ謙虚にお答えをいただきたいと思います。
 次に、鈴木内閣は大平内閣の政治姿勢を継承していくんだということを鈴木さんもしばしば言明されておりますが、このいわゆる政治腐敗について、昨年九月、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会というものが設けられ、その提言がございました。これは有識者と関係閣僚によって構成された協議会でありますが、その提言をそのまま継承してこの政治腐敗に対処していくであろう、こういうふうに私は期待をするわけでありますが、そのように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 提言につきましては、あとう限り実現していくべきだと考えますし、また相当の部分は実現できたものも御承知のとおりあると思います。
○片岡勝治君 もう一つ、基本的な鈴木内閣の姿勢として、過般の参議院の本会議、これは衆議院でも同じでありますけれども、施政方針の中で緊急の課題として取り上げられたのが政治汚職、政治倫理の問題でありますね。これをトップに掲げておるわけであります。そういうことからいたしますと、鈴木内閣の政治姿勢というのは政治倫理の確立、これを最も緊急課題とするということ、その具体的な方針としては、いま申し上げました昨年九月五日の航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言、この提言に基づいて今後腐敗政治の打破と政治倫理の確立、これに向けていくと思いますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。
○国務大臣(奥野誠亮君) 政治倫理の確立には特に力を入れていくべきものだと思っております。
○片岡勝治君 そういうふうにおっしゃいますけれども、さてそれでは具体的に鈴木内閣の今日までの足取りをずっと振り返ってみますと、なるほど口ではそういうことをおっしゃっていますけれども、事実はそういうことになってないということを私は大変残念に思うわけであります。
 具体的に申し上げましょう。二階堂さんが総務会長に起用された。これは御承知のようにいわゆる灰色高官と言われた。まあ他党の組織関係はそう私はつまびらかにはいたしませんけれども、総務会の会長といえば党の役職のいわば三役の一人、非常に重要な役職にあるわけですね。これに国民の非常に疑惑をかけられている二階堂さんが抜てきされる。政治倫理の確立、汚職追放するんだと口では言いながら、こういう人事をやることについて一体これはどうなのかなと、私一人じゃありませんよ、全国民がそういう疑惑を持って見ております。それから二階堂さんが伊藤――いま被告になって裁判が行われておりますけれども、この伊藤さんが証言をした内容について告訴いたしました。これは全く事実無根のことを伊藤被告が証言をしたと。ところがこれは取り下げてしまいましたね。もし本当に事実無根ならば、なぜ告訴した裁判を続けられないのか。あるいは今度の叙勲の問題について新聞は灰色勲一という見出しですよ。灰色高官が勲一等をもらった、こういうことであります。
 これら一連の鈴木内閣の足取りを見てみますと、汚職追放だ、政治腐敗を打破する、除去するんだ、政治倫理の確立をするんだと言ったって、一体何をやってきたんですか。むしろ逆の傾向ではないかと私は率直に感じます。法務大臣はいかがですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 人それぞれ考えのあることでございますから、片岡さんの言っておられることにつきまして、私がどう考えるということは差し控えるべきものだと思います。ただ、灰色高官と言われるような問題が起きましたのは、秘密会において法務省が報告をした、それがその後において表に出てきたことに始まるわけでございまして、法務省が報告いたしましたのは、起訴をしなかった事案について報告をいたしたわけでございます。法務省の場合には、起訴するか起訴しないか、いずれかしかないわけでございまして、したがいまして、起訴をしなかった人について疑いがいつまでも残っていくということは、法務省の立場から考えますと穏当でないという感じがするわけでございます。同時にまた、憲法上人権を尊重するということ、これが大切なことであることは言うまでもないと思います。政治家は常に選挙におきまして国民の信任を受けなければ政治家として働けないわけでございまして、御指摘の方、何回も選挙戦を通じまして信任を受けてきておられるわけでございますので、それだけに私は政治家としてその方の活動を認めていくべきじゃないだろうかなと、こうも思っておるわけでございます。
 したがいまして、私は、この段階においてなお先ほど申し上げました秘密会のことの経緯をつかまえるのはいかがなものだろうかなと、こう思っておるわけでございまして、それが起訴されていますならば、本人はもらったことはないとこうおっしゃっておるわけでございますから、裁判の過程でどちらが正しかったかということはわかるわけでございますけれども、そういうことも不可能なわけでございますので、むしろ不幸にしてそういうものが表に出てきた、しかし本人はそんな事実はないと言っておられるわけでございますし、たびたび選挙戦を通じまして国民から信任を受けてきておられるわけでございますから、その方の政治活動に障害を与えるような言動は私としてはなるべく避けた方が憲法の人権尊重の精神に合うんじゃないかなと、こうも思っておるわけでございます。しかし、人によりましていろいろな批判の考え方があるわけでございましょうから、それは私とやかくここで申し上げようとは思いません。
○片岡勝治君 いまのお答えを聞いておりまして、ますます私は非常に不思議あるいは不可解に感ずるわけです。少なくとも私はここで質問をするというのは、もちろん私自身の感じ、感情、感覚というものもありますけれども、しかし、私自身としては、多くの国民、大げさに言えば大多数の国民を代表していまこの航空機疑惑について問いただしたい、そういう角度で、態度で質問をしているわけですよ。それに対して、人はそれぞれいろいろな感じがあるでしょうと、それには答えられない。それじゃあなた、われわれここでいろいろ質問したって、みんなそういうことになってしまうんじゃありませんか。人はそれぞれ感情があるから答えないんだ。少なくともこういうやり方について大部分の国民は疑惑を持っていますよ。鈴木さんは政治倫理の確立ということを緊急課題の第一番目に挙げておきながら、こういうことをやっているのは一体何だ、そういうことを政府に聞きたいんですよ、国民は。人それぞれ感情があることでということで答弁を突っ張るということになればこれは大変なことですよ、そういう態度でいいんですか。そういう態度で今後もお答えになるんですか、国民が聞いているんですよ。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私の考えは申し上げたつもりでございます。起訴にならなかった事案だと、また物によってはそのことを否定されているのだと。もしそれが起訴になった事案であれば、本人は否定する、片っ方は事実があったと言う、それは裁判所で争われて黒白がつくんだと、それはできないんだと。だから、国際人権規約ですか、人権宣言でしたか、世界人権宣言でしたか、たしか裁判の判決があるまでは無罪と推定すると、こうまでうたわれているわけでございます。
 そして、日本の憲法も人権尊重ということを最大限度に強調しているわけでございます。しかも、お挙げになりました方の中には何回も選挙戦に出て国民から信頼されている方もいらっしゃるんだと、その方には国民は政治家としての活動を期待しているのじゃないかと。そうなると、いつまでもその人の政治活動を妨害するような言動ということも、人権尊重という点からいうと慎まなければならないということになるのじゃないだろうかと、こう私は考える。しかし、片岡さんは別な考え方をお持ちになる。それを私はあえて批判しようと思いませんと、こういう意味合いで申し上げているわけでございます。
○片岡勝治君 いまのお答えの中で、そもそもこれは法務省が秘密に発表したんだと、それが漏れた、あたかもそこに原因があるというふうな、そういうふうに受け取られるような御発言がありましたけれども、秘密であろうとなかろうと、そういう事実があったということは大変なことなんですよ、これは。事実があったということを発表したんでしょう、法務省内部で。よもやうそを発表するとは思わない。検察が全くでたらめなことを私は発表するとは思わない、相当の証拠があり確証があってのことだろう。それが漏れたからそもそもこの問題が出たなどというようなことでこの問題を考えていくということは大きな誤りであると思うんです。
 それから刑事事件にならなかったということで黒白が結果的にはっきりしなかった、そういう点はもちろん言えるでしょう。しかし、これは当時三木さんを初めとして、この問題が論議されたときに、政治家というのは単なる刑事的な問題でその責任をとる、とらないということにはならない。少なくとも政治的、道義的責任はあるんだ、これをむしろ第一義的に考えていかなければいけないんだと、そういうことを強く叫ばれておったわけでありまして、これはわれわれも全く同感であり、大変失礼な言い方ではありますけれども、自民党さんの方でもそうしたことについて真剣に当時考えておられた。そういう発言もあったわけであります。
 そういうことからすれば、俗に言われる灰色高官、この問題についても私は政治的、道義的責任というものがある、こういうふうに考えるのは当然ではありませんか。それは全くないんだというようなことでもし政府や法務大臣が認識をしていくということであれば、まさしく日本の政治腐敗というものは永久になくなりません、残念ながら。われわれ政治家は、私もその一人でありますけれども、そういった問題についての政治的、道義的責任、これをまず考えていくということでなくしてどうして日本の腐敗政治をなくすことができますか。おれは刑事事件無罪になった、あるいは起訴猶予になった、たまたま時効になった、これですべて免罪になる、選挙をやって当選した、これで免罪になるんですか、そうした道義的、政治的責任の。そういう謙虚さが、鈴木内閣、あるいは失礼だけれども奥野さん、あるような気がするんですよ。そんなことでどうしてこの腐敗政治をなくすことができ得ますか。私は大変残念なんです。
 この際、これは法務省の方のあれではありませんが、叙勲についての基準、その手続、だれがどういうふうにして決めるのか。地方に達した通達、そうしたものが相当あるようであります。これを全部この際公開していただきたい。これを要求いたしたいと思います。
 それから叙勲あるいはその他のあれで、証書のようなもの、これは正式には勲記と言うんだそうでありますけれども、これのモデルをひとつ見せてもらいたいということをきのうお願いしておったんですが、ちょっと見せていただけませんか。
 委員長、その一切の基準等の資料提出は、ひとつ諮って出すようにお願いしたいと思います。
○委員長(上田稔君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(上田稔君) 速記をつけて。
○政府委員(小玉正任君) ただいま先生の御要望の資料に関してでございますが、私の方に、いま先生がおっしゃいましたことに関連する基準関係の資料といたしまして、かつて閣議決定をいただき昭和三十九年に定めました叙勲基準という資料がございます。これは本委員会に提出してよろしいかと思いますが、そのほかの資料その他のお話は、実は具体的でございませんし、事務的な内規あるいは手続を決めたものをおっしゃったかと思いますので、この方の資料はいわば事務資料でございますので、前段の叙勲基準という資料は提出させていただいてよろしゅうございますが、後段の方はひとつ御容赦いただきたいと思います。
 それから第三点の、いま持ってくるようにと言われた、これでございますが……。
○片岡勝治君 それは、そうすると秘密なんですか。むしろ基準よりも言ってみれば軽い文書じゃないんですか、手続とかなんとかと言うんですから。
○政府委員(小玉正任君) お答え申し上げます。
 確かに、先生おっしゃるように細かい規定でございまして、これは事務担当者が参考にするというような細かいものでございまして、非常に区々にわたっておりますし、従来からもこれは一般に公開したりあるいは提出するということは差し控えて事務を遂行しておりますので、御勘弁いただきたいと思います。
○片岡勝治君 これはひとつ理事会で十分協議していただきたい。私は秘密文書ではないと思う。むしろそういうものを公開して、基準というものはこういうふうになっているんですよと。そういうことがないから、いや政治的に非常に配慮があるらしい、事実あるようじゃないですか。今度の叙勲なんかでもそうなんです。
 ちょっと場外れの質問ですけれども、奥野さん、この日本の、わが国の正式の名称というのはどういうふうに言ったらいいんですか、呼称、わが国の呼称。法務大臣のあれかどうかわかりませんけれども、大臣はどうお考えになりますか。
○委員長(上田稔君) 片岡君のただいまの資料要求については、理事会で諮るようにいたします。
○国務大臣(奥野誠亮君) 「ニッポン」とか「ニホン」とかいう、どちらが正確であるか正確な呼称は承知しておりませんけれども、昔は「ニッポン」と思っておりました。「ニッポン」国。
○片岡勝治君 「ニッポン」「ニホン」、これは両方読めますから、いずれともいいと思うんですね。ところが、この叙勲なんかでは国璽に何と書いてありますか、大日本なんですよ。きのう調べたらそうだ。ずっと昔から使っている。これは間違いじゃないですか、言われれば間違いです、こう言うんですね。つまり、そういう因襲と言っては失礼ですけれども、非常に依然として昔のようなやり方をやっている。
 それから賞勲局長が見えておりますからひとつお願いしたいんですが、田中角榮さんが総理のころ、こういうものをもらうとここに田中角榮と書くわけですね。私はこの叙勲をもらったからもらわないから人間の価値がどうこうとは思いません。だけれども、もらった人は飾っておく。いやだって言うんですよ、田中さんでは。これは取りかえてくれますか。
○政府委員(小玉正任君) お答え申し上げます。
 勲記に内閣総理大臣が署名することは、天皇の国事行為である栄典の授与に内閣の助言と承認を必要とするという憲法の規定に従ってこれを行っているものでございますので、勲記の署名は、当該叙勲の発令日に在職する総理が署名することは当然のことと存じておりますので、取りかえるわけにいかないと思います。
○片岡勝治君 いや、私が聞いているのはそうじゃない。名前だけないのと取りかえてもらいたいという希望が非常に強い。これだけ汚職、疑獄をやって逮捕までされた者、ちょっと飾っておくわけにはいかぬと言うんですよ。これは素朴な国民のやはり感情ですよ。これはひとつ検討してください。
 また後でやりますけれども、ちょっとここで交代します。
○矢田部理君 最初に、防衛庁長官に伺いたいと思います。
 防衛庁に関連して、第一次FX以来、軍用機など使用兵器の調達に当たっては必ずと言っていいほど疑惑や問題が提起をされて、実は後を絶たないわけであります。どこにそういう原因があると考えられるか、今後どういう姿勢でこういう疑惑や問題の解明に当たるか、さらには今後この種問題を絶滅するためにどういう具体的な対策があるのか、その点をまず長官に伺っておきたいと思います。
○国務大臣(大村襄治君) 矢田部委員のただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。
 自衛隊の使用する航空機の整備に当たりましては、具体的な機種の選定については、まず防衛上の必要性に基づいた運用要求を明確にし、各機種の中からこの運用要求を満たすものについて、性能、補給、整備性、経済性等種々の評価すべき要素を総合的に勘案して、最もすぐれたものを選定してきております。これらの機種選定のための作業は、効果的で質の高い防衛力を整備するという観点から、防衛庁内の各レベルにおいて純粋に防衛上の見地に立って実施してきておりまして、さらに主要な航空機については国防会議にも諮られる等きわめて慎重な手続がとられており、適正に行われてきたものと考えております。今後とも機種の選定に当たっては慎重かつ厳正に行っていく所存でございます。
○矢田部理君 法務省にお尋ねをいたしますが、E2Cについての問題点であります。
 従来、8Kレポートで区分けをすれば大綱三つぐらいの問題点が指摘をされておりました。一つは、代理店の変更に日本政府の関係者が関与していた点、それから日商岩井からE2Cの手数料の一部を米人コンサルタントに支払う可能性の問題、そして三点目には、そのコンサルタントに支払われた一部が日本政府高官に渡される可能性の問題、これに沿うてそれらの調査をしてきたと思うのでありますが、この指摘に基づいてE2Cに関してはどの程度捜査が進展をし、最終的には犯罪容疑がなかったということではありますけれども、内容的にはどの程度把握をされているのか、概括的で結構でありますから、まず法務省から説明をいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) お尋ねの点につきましては、たしか昨年の五月であったかと思いますけれども、御報告を国会にしておるわけでございます。いま御指摘のように、E2Cに関しまして8K報告でいろいろな点が指摘されておるわけでございますが、まず代理店の変更の問題、これは代理店の変更の経緯はそれなりに調べまして相当程度判明しておりますが、もともとそれ自体が犯罪を構成するものではないということになっておるわけでございます。
 それから日商岩井が手数料の一部をアメリカ人のコンサルタントに支払う可能性があったと、また、その一部がさらに日本の政府高官と申しますか、日本の公務員に支払われる可能性があったということが指摘されておりますけれども、その点につきまして捜査を尽くしました結果、日商岩井が受け取るべき手数料の一部をコンサルタントに支払うという話があったことは一応認められますけれども、その話自体もその後に解約されておりますし、結論として、その手数料が実際に払われた事実はないということも明らかになっておるわけでございます。
 それらを総合いたしまして、このE2Cに関する8K報告で指摘された事項につきましては、犯罪の容疑を認めるに至らなかったということでございます。
○矢田部理君 8Kレポートの第一の問題点である代理店変更に関与した日本政府関係者は松野氏であると思われますが、そうであるかどうか。あわせて、松野氏はE2Cの購入問題にかかわってどういう動きをしたのか、どんな役割りを果たしたのかについて、法務省として捜査をした内容があれば、その点に限って説明をいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) お尋ねの二点を通じてのお答えになるかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、このE2Cの売り込みと申しますか、そのことに関して犯罪の疑いがあるかどうかということをあらゆる角度から検討したわけでございますけれども、そういうことは結局認められなかったということになっておるわけでございます。
 また、先ほど申しましたように、代理店の変更自体また犯罪を構成するような事実でもないということでございますので、私どもの立場からいたしますと、捜査上犯罪の容疑が認められなかった事実につきまして、だれがどういうことをしたかということを申し上げるのは、いろいろな意味で適当でないというふうに従来からも申しておりますし、そのことはこの場合にも当てはまるのじゃないか、かように考えております。
○矢田部理君 それでは、別の角度から伺いたいと思いますが、松野氏はかつて当委員会でこの種の問題について証言をいたしました。その証言内容の一部でありますが、E2C問題に限って申し上げますと、「その当時、代理店変更というような印象は私はほとんど持っておりません。」「代理店変更などという印象も最初からありません。向こうも言われませんでした。」と当委員会の証言で述べております。この代理店変更に関して松野氏は全く役割りを果たさなかった、それなりの役割りを果たしたのかという点に限って伺いたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 似たようなお答えになって恐縮でございますけれども、先ほど申しましたように、私どもの立場からいたしますと、捜査を尽くしました結果、犯罪の疑いがないと、認められないということに関することでございますので、そのことにつきまして具体的なことは申しかねるわけでございます。
○矢田部理君 ここにハリー・カーン氏がグラマン社を相手取って名誉棄損の裁判をアーリントンの州巡回裁判所に提訴しました。最終的には両者間に和解が成立をして取り下げられたのでありまするが、その裁判記録の全部がございます。この内容を分析し検討するということになりますと、かなり膨大なものでありますから相当の時間が必要なのでありますが、これはカーン氏らの証言記録だけではなしに、本人尋問調書といいましょうか、だけではなしに相当の物証が実はつけられているわけであります。この物証の中で、書証になりますが、証拠番号八号というのがございます。グラマン社の法律顧問であったポール氏が書いた当時のメモでありますが、「住友については、松野氏は「小さな品物を扱うには完璧に優れているが、主要兵器システムを扱えるような地位にも、影響力もない」と語り、「好ましくない」と語った」、「彼は」、つまり松野氏は「「グラマンは優秀な猟犬が必要」といった」、そして「松野氏は「よろこんで航空自衛隊幹部を紹介しよう」ともいった」、こういう趣旨の記載があるわけであります。従前、当委員会の質疑の中でも、グラマンは優秀な猟犬が必要だという言葉はかなり有名な言葉として論議の中に出てきているわけでありますが、この辺の事実は大筋押さえていますか。
○政府委員(前田宏君) 最近、いま御指摘のアメリカでの民事訴訟におきます書証と申しますか、訴訟記録の一部と申しますか、そういうものが新聞報道で指摘されたことは私も承知しておるわけでございます。そのことをどのように理解しておるかというお尋ねかと思いますけれども、これもやや抽象的なお答えになって恐縮でございますけれども、この事件の捜査当時のことでございますけれども、御案内のように、いわゆる司法取り決めによりましてアメリカ側からいろいろな資料も入手しておるわけでございます。また、国内での証拠もいろいろと集めておるわけでございまして、そういうものを総合いたしまして、この関係につきましては検察当局としてもそれなりの把握はしておるわけでございますが、その内容は先ほど申し上げたようなことでございますので、それ以上のことは差し控えさせていただきたいわけでございます。
○矢田部理君 防衛庁の方の時間の都合があるようでありまするから、質問の順序としては少し飛ぶことになりますが、このポールメモでも実は防衛庁のことが出てくるわけであります。
 六九年の二月二十六日のことが書かれてあるわけでありますが、「松野氏は「よろこんで航空自衛隊幹部を紹介しよう」」というふうにもポール氏に語ったというふうに記載がなされております。しかも、その後の経過を見ますと、ここにまた、裁判所の証拠番号でありますが、ナンバー一六というのがございます。当時、防衛庁の牟田氏から松野氏に対して、四次防の早い時期にE2Aを――後にこれはCとなるわけでありますが、購入するという報告があったということが、海部氏からカーンあての書簡でありますが、に記載をされているわけであります。
 そしてさらに、それに前後するわけでありまするが、松野氏は、次には五月初め、航空幕僚長に会うべきだと示唆をしていることも、これは別の証拠でありますが、伝えております。これまたこのカーンの説明資料というのに出てくるのであります。当時、六九年四月段階の航空幕僚長は緒方氏でありますが、かなり松野氏を介し、その他のルートを通して、防衛庁とE2Cの導入なり予算化をめぐって折衝があったと思われるわけでありますが、防衛庁、その点は把握しておりますでしょうか。
○政府委員(塩田章君) いま御指摘の点、私ども承知いたしておりません。
○矢田部理君 航空機、とりわけ軍用機調達に絡んでさまざまな疑惑が出た。その際、防衛庁は内部的にもどういう接触があったか、問題があったかどうかということについて調査をするはずでありますが、牟田氏なり緒方氏に対して、この種問題について調査をしたり事情聴取をしたことはございますか。
○政府委員(塩田章君) いま突然のお尋ねでございますから、私、当時どういう調査をしたか承知いたしておりませんが、恐らく当時、松野先生と航空幕僚幹部の間には当然のことながら、指揮権といいますか、昔の上司でございまして、その時点においては関係がございませんので、いま御指摘のような報告とかそういうようなことはあり得ないことだと私どもは思います。したがいまして、具体的にいま御指摘のようなやりとりがあったかどうか、そういうようなことにつきまして私どもいま承知いたしておりません。
○矢田部理君 どうなんですか、防衛庁長官、まあ新任だから余り昔話はわかりにくいかもしれませんが、ずっと防衛庁の大型兵器導入に当たってはしばしば問題が指摘されてきた。ロッキード、グラマン等々でも幾つかの機種が具体的に挙げられ、内容的にも多くの問題が出されてきているわけでありますが、さっき防衛庁長官が述べられた程度では実際の真相つかめない。少なくともいま私が指摘した問題等についても、かねてから出ておるし、このたびは裁判所の証拠の上でも具体的な指摘としてあるわけですから、当然この種のことは調べてしかるべきではないでしょうか。そういうことをせずに防衛庁は大丈夫ですと言うわけにはいかぬでしょう。長官どうでしょうか。長官の姿勢を聞いているのです。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 早期警戒機につきましては、昭和四十年ごろからその必要性が認識され始めまして、防衛庁において検討が進められてきたものでございます。その後、長い経緯がございまして、いろいろな過程があったわけでございますが、いまお話しのE2Cにつきましては、五十一年九月のいわゆるミグ事件発生以後具体化してまいりまして、そしていよいよ選定の作業が進み、国防会議等の議も経まして決定になったというふうに承知しておるわけでございます。
 いま先生の御指摘になりました六九年でございますか、ちょっとその辺の時点のことにつきましては、私まだ報告も受けておりませんし、承知もしておらないというのが事実でございます。
○矢田部理君 いや、どういう経過で導入することになったかじゃなくて、現に牟田氏から松野氏に対して、四次防の早い時期にE2Aの購入をすることを決めたという報告があったと、それを松野氏からカーン氏に伝えられる、こういう事実を指摘した証拠が裁判所に上がってきているわけですよ。だから防衛庁は、疑惑がありませんではなくて、果たして牟田氏がそういうことをしたのかどうか。あるいはその後も、恐らくその前に牟田氏に会っているんでしょう。カーン氏に対してこの次はやはり航空幕僚長の方に会うべきだという示唆をし、その後会っている形跡があるわけだ。当時の航空幕僚長は緒方氏でありますが、直接当たって当時の状況を調査をすべきなんじゃありませんか。長官、それを約束してください。そうでなければ、昔のことだからわかりません、当たったか当たらないかわかりませんということでは回答にならぬでしょう。
○政府委員(塩田章君) 先ほど大臣からも経過を申し上げましたけれども、私ども機種の選定に当たりまして疑惑とか不正を招くようなことは、防衛庁に関して一切なかったということを確信いたしております。
○矢田部理君 これは防衛庁長官、間もなく時間的には解放しなければならぬわけですが、そんな話じゃだめですよ、私はそんなことを聞いているんじゃない。アメリカではありますが、巡回裁判所の証拠書証として海部、カーンの間で交わされた書簡であるとか、カーン氏がみずから作成した説明資料、これまた重要な証拠でありますが、そこに具体的な指摘があるわけですよ。繰り返すのもなんでありますが、四次防の早い時期に購入することを報告した、大変なことでしょう、防衛庁にとっては。こんな内部的な決定が松野氏のところに報告をされ、それがアメリカに筒抜けになっている。単に、公正にやりましたとか、不正はございませんという話では説明つかぬでしょう。この次はだれに会うべきだというふうなことまで言われ、かつ航空幕僚長が会った可能性がきわめて強いわけであります。これはまた後で問題にします。
 長官、直ちに調査をして、次回までに明らかにするという返事をすべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 ただいま防衛局長が答えましたとおり、機種の選定に当たりましては、防衛庁といたしましては不正はなかったものと確信いたしております。したがいまして、ただいま御指摘の点につきまして改めて調査する考えは持っておりません。
○矢田部理君 それじゃ私はこれは時間をかけて質問します。
 防衛庁内部の情報や決定が外に漏れるというのは大変なことでしょう。しかも、それがアメリカに筒抜けになっているとしたらどういうことになるんですか。不正があったかなかったかは結論の問題ですよ。調査をするのはあたりまえじゃありませんか。牟田氏から当時の事情を聞くのは当然のことじゃありませんか。いまの答弁には全く納得できません。ただ、うわさや情報じゃないんだから。
○政府委員(塩田章君) 先ほどのお答えの繰り返しでございますけれども……
○矢田部理君 そんなことは聞いたってしようがない。
○政府委員(塩田章君) 私どもは不正はなかったと確信をいたしております。
○矢田部理君 いや、余りくどいこと繰り返し言わさせないでくださいよ。不正があったかなかったかを私はいま直ちに問題にするつもりはありません。しかし、そういう指摘があり、具体的に裁判所に証拠として出てきている。これは大変なことだということで、まずもって、少なくともその真偽なり、あるいは事実としてあったのかどうかということを調査するのはあたりまえの話じゃありませんか。長官答えなさいよ。調査や事情聴取をするのはあたりまえのことでしょう。
○国務大臣(大村襄治君) たびたびで恐縮でございますが、先ほど申し上げたとおりでございまして、改めてこれから調査するということはいかがかと考えている次第でございます。
○矢田部理君 ちょっと理事会であれしてくださいよ。
○委員長(上田稔君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(上田稔君) 速記をつけて。
 ただいまの件につきましては、両方の意見が平行線になっていますので、理事会においてこれを取り扱っていきたいと、こういうふうに考えております。
○矢田部理君 理事会で協議ということですからお任せはいたしますが、ただ、一点だけ申し上げておきたいのは、単なるうわさや情報でこういうことが言われているがどうかということで、私が裏づけも根拠もなしに指摘をしているわけではありません。裁判所に提出された公の証拠の中にそういう記載がある以上、不正がなかったらなかったで結構ですが、少なくとも本人に事情をただすとか、そういう事実があったのかなかったのかぐらいは調査をしますぐらいのことは返事し得て当然のことだと思うんですよ。このことをやはり強く要求し、あとは理事会でもそういう方向で諮っていただきますようお願いをしまして、次の質問に入ります。
 率直に言うと、この質問が長くなったが、同じような問題がまだあるんですよ、たくさん。防衛庁は、世の中には秘密漏洩だとか機密が云々ということをしばしば言いますが、ファントムのときも全く同じような問題があったのです。これは後であわせて要求するつもりですが、長官は何かどうしてもということでありますから、あと事務方の方にお願いをしておきたいと、このように考えます。
 ファントムについて触れておきたいと思いますが、三次防でFXを当初四機輸入することを決めたのはいつでしょうか、防衛庁に伺います。
○政府委員(塩田章君) ファントムの最初の二機のお尋ねだと思いますが、最初の二機は四十六年でございます。
○矢田部理君 何月何日ですか。
○政府委員(塩田章君) そこまでいま資料を持っておりません。
○矢田部理君 それを公にしたのはいつごろでしょうか。
○政府委員(塩田章君) お尋ねの趣旨がよくわからない点もございますが、いまの四十六年の二機を公にした時期ということでございますれば、予算要求の段階には公にしたはずであると思います。
○矢田部理君 では、もう少し正確に聞きましょう。
 防衛庁で内定をしたのはいつか、それから対外的に公にしたのはいつか、時期的な特定をしていただきたいと思います。
○政府委員(塩田章君) ファントムの機種決定をいたしましたのは、四十四年の一月十日の国防会議及び同日の閣議でございます。
○矢田部理君 法務省に伺いますが、海部メモに関連いたしまして、六五年の七月二十日過ぎに岸・フォーサイス会談があったわけでありますが、したがって、そのときの模様を中心に海部メモは作成されているわけでありますが、ここの中の記載で、フォーサイス氏らからファントムの売り込みについて陳情を受けた、それは従来から明らかになっているわけでありますが、同時に、陳情を受けただけではなしに、そこで次期戦闘機について岸前総理らと懇談をして、岸前総理から四機輸入することの確認といいますか、回答を得たというふうになっておるのですが、それは事実でしょうか。
○政府委員(前田宏君) いま御指摘になりましたような具体的な話はなかったように聞いております。なかったように徴しております。
○矢田部理君 法務省の起訴状に書いてあるんです、検察庁。
○政府委員(前田宏君) 先ほどのお尋ねは、岸元総理がそういうことを何か言われたということがあったかということでございますので、そういうことはなかったのじゃないかというふうにお答えしたわけでございます。
○矢田部理君 判決文でも、この岸氏によるF4完成機四機輸入の確認がその会談でなされた。海部メモ全体の中では事実の部分もあるし、そうでない部分もあるが、四機の輸入については事実として判決でも認定をされているんですが、どうですか。
○政府委員(前田宏君) そういう御趣旨でございましたらそのとおりでございます。
○矢田部理君 局長、法務省の捜査報告は、巧妙に、ただ岸氏に陳情しただけだ、あとは全部うそだみたいな話になっているけれども、実際は、岸氏としては海部メモの中で、いまの指摘をした完成機四機輸入の確認と、ファントムの次期戦闘機としての採用へのできるだけの協力と、それからライセンス生産折半には異存がないと、三点を確認しているんですね。当委員会に対する法務省の捜査報告は、そこを巧妙に欠落させている、陳情しただけだと、こういう言い方になっている。ところが、起訴状なり判決なりを見てみると、あの海部メモの中には相当の部分の真実性が含まれている、その点どうですか。
○政府委員(前田宏君) 御指摘のように、起訴状にもそういう趣旨のことは触れているわけでございますから、意識的に隠したとかというようなことではないというふうに理解しております。
○矢田部理君 陳情しただけではないではありませんか。ちゃんと岸氏の方もその中では幾つかの点についてはかなり具体的な回答をしているんじゃありませんか。
 そこで、問題は、こういう回答を岸氏がどういう根拠で、どういう立場、権限でやったのか、法務省は調べておられますか。
○政府委員(前田宏君) あの事件の捜査は、御案内のとおり偽証なりあるいは外為法違反という面からの捜査といいますか、起訴がなされておるわけでございまして、その他の点につきましても十分捜査はいたしたわけでございますが、先ほども申しましたように、犯罪になる点とならぬ点といろいろあるわけでございます。したがいまして、犯罪になる点につきましては十分な捜査を尽くしておりますが、犯罪の疑いが認められないものにつきましては詰めた捜査はしない、これがむしろ検察の立場であろうと思います。
○矢田部理君 ここでも一つ問題が出るわけですね。岸氏が三次防でFXを当初四機輸入することをフォーサイス側に確約をしたと、あれほどの人でありますから、ただ適当に言ったというふうには考えられないわけです。防衛庁が決める前に岸さんはアメリカ側にFXの輸入について約束をしてくる、これが軍用機調達の内実なんですよ。政治家が絡む、商社が躍る、黒幕も動く、こういうことに対して防衛庁は一体どう思っていますか。
○政府委員(塩田章君) 先ほどのE2Cのときにも申し上げましたけれども、私どもは戦闘機の場合であれば、戦闘機の要求性能にかんがみまして十分な技術的調査を行いまして選定をし、購入に当たっているわけでございまして、私どもの立場から申し上げられることは、その間に私どもとしてはあくまでも技術的立場で厳正に選定に当たっておりますということだけでございまして、それ以外のことにつきましては私どもの関知し得ないところでございます。
○矢田部理君 技術的に優秀かどうか、値段がどうかということだけで決めたということではないんです。裏方ではいろいろな暗躍や大変な動きが躍っている。まだ対外的には発表もされない、国防会議にもかけられないうちに、一国の元総理ともあろう人が、それは四機買いますとアメリカの会社と約束されてくる、これはあなたの事務方の答えにはならぬかもしらぬが、こういう状況が実は疑獄を生み、構造汚職を次から次へと派生させていっているということに実は問題があるんですよ。それが結果として犯罪にならないからといって、これで日本の軍用機調達はいいのかということは当然問題になってしかるべきだと思います。
 法務大臣おられますから、犯罪になるかならないかではなくて、政治家としてこういう事実が次から次へと出てくることについてどう考えられますか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 御指摘のような疑惑が生じないようにしなければならないと思いますし、また、そういうこともございまして、多国籍企業が金を使って売り込みをする、不正を働いて売り込みを成功させる、そういうことがあってはならないものでございますから、国際連合の中にもその関係の委員会をつくりまして、日本も参加してそういうことを防止しようと努力をしているわけでございます。
○矢田部理君 またE2Cに戻りますが、松野氏は当委員会の証人喚問に答えて、代理店変更については先ほど触れましたが、同時に、このE2Cについては日商から依頼を受けたことはありませんと、きわめて断言的にこの部分は少なくとも証言をしているんですね。ところが、これまた先ほどのカーンの裁判記録によると、きわめて具体的に依頼をした経過と状況が記載をされている証拠がございます。たとえば、これまた海部氏からカーンにあてた書簡でありますが、証拠番号は一二号であります。E2Aの防衛庁売り込みについて友人Xと語り合い、Xが協力する意向であること、この取引の完成を支援する意向であることを確認しましたと。そのほか松野氏の動きについては、次から次と実はこの証拠の中に大量に出てくるわけであります。ところが、日商から全く依頼を受けたこともなかったというのが松野氏の証言なんですね。
 法務省刑事局長どうでしょうか。法務省の捜査は捜査として先ほどのような態度を堅持されるんでありましょうが、同時に、アメリカの裁判所で出てきたさまざまな資料、そこに指摘されている事実と、当委員会で松野氏が証言をした、E2Cについては日商から依頼を受けたことはありませんという証言は明らかに矛盾しますね。これは一般論としての見解でもよろしゅうございますから、一応確認的に承っておきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) ただいま御指摘になりましたアメリカでの裁判の証拠関係の書類等につきまして新聞報道等がなされたことはよく承知しておりますし、その中で、いま御指摘のような証言のあるものがあることも承知しております。ただ、それはそういうものが向こうの裁判の証拠に出たということでございますので、それをあながち否定するわけではございませんけれども、その内容がいわば客観的事実に合致しているかどうかという問題がまずあろうかと思うわけでございます。それと一方、松野氏が証言をされましたその表現は先ほど御引用のようなことでございますが、その場合に、証言された御本人がどういうことを頭に置いてどういう受け答えをされたかということになりますと、その辺は必ずしも明らかでないというふうにも考えられるわけでございますので、食い違いがあると言えばあるように思いますし、それをそう断定するわけにもいかないというような感じを持っております。
○矢田部理君 これは刑事局長に聞くまでもなく、食い違いは事実の問題ですからだれが見ても明らかなのでありますが、その点で松野氏の偽証というのは、かねてから五億円をめぐる問題について当委員会でも指摘をしてきましたけれども、今回カーンの裁判記録が出ることに及んで、E2Cにかかわる問題についても、その偽証性がきわめて実は明白になってきているわけであります。これはしたがって後ほどぜひ松野氏を当委員会としても偽証として告発をすべきだということをお願いしたいと思っているわけでありますが、さらに関連して幾つかの問題点に触れておきたいと思います。
 法務省は、8Kレポート、E2Cについてお金の動きを相当程度調べられたと思います。8Kレポートの指摘も、実は日商から手数料の一部を米人コンサルタント、これはカーンでありますが、に支払う可能性が指摘をされた。その一部が日本の政府高官に払われる可能性と二つの問題点が指摘をされておるわけでありますが、これ以外にお金のルート、流れがあった可能性ということについては捜査をされてきたでしょうか。また、捜査をしているとすれば、どんなルートがあったのか。その点について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) E2Cに関します疑惑は、主として先ほど御指摘のような点が中心だったと思います。ただ、そのことに関しましては、いろいろと当時から国会等でも御論議がございましたし、また新聞報道等でもいろいろな点が指摘されておったわけでございますので、そういう点は十分頭に置きながら、あらゆる角度から犯罪の容疑があるかどうかということを検討したというふうに私どもは理解しております。
○矢田部理君 それでは、8Kレポートについて伺いますが、この米人コンサルタントというのはカーンであるということはそう受けとめてよろしゅうございますね。
 それからカーン氏から、カーン氏が受け取ったお金の一部が流れる可能性があった日本の公務員というのは、正確に言えば政府高官と訳した方がいいでしょう、政府高官というのはどなただったか、特定しておりますか。
○政府委員(前田宏君) 先ほども同じことを申したかと思いますけれども、要するにそのことに関して不正があるかどうかと、犯罪の疑いがあるかどうかということが問題でございまして、そういうことが結論的になかったということになりました以上、だれがどういうことに関与したかということを申し述べるのは適当でないと、かように考えております。
○矢田部理君 それなら私の方から指摘をしておきたいと思います。従前この8Kレポート等で出てきた状況というのは、ここにも指摘されておりますように、日商からカーンを経て日本の高官にお金が渡るルートが、あるいはその可能性が指摘をされていたと思うのです。これはカーンの裁判記録によってかなり明白になってまいりました。これは松野さんに失礼な話でありますが、カーンを経て渡る可能性のあった高官は、当時一部のマスコミ等では松野さんではないかということとして報道された経緯もあるわけでありますが、これはそうではなくて、川部さん――川部というのが本件でもしばしば登場してまいりますが、そちらに流れる可能性ではないかというふうにこの裁判記録からは思われます。そして、松野さんについてはもう一つ別のルートがあった。カーンを経てではなくて、日商から直接松野氏に流れる可能性が実はこの裁判記録で指摘をされているのであります。しかも、そのお金の割合も具体的に証拠上明らかになっています。
 まず、グラマン社から受け取ります日商と松野氏の手数料の合計は総契約価格の一・五%、証拠ナンバー一二というのに記載があります。この日商と松野氏との間でどう分配するかは不明なのでありますけれども、半々かあるいは一対〇・五かということばありますが、そういう契約内容になっています。それからもう一つ、8Kレポートで指摘をされておった米人コンサルタントから日本政府高官筋へ行くという方の契約は総契約価格の一%、両者折半ということが明記をされているわけであります。言うならば、後段の方については従来8Kレポートで指摘があったのでありますが、今回の裁判の内容から、もう一つの日商・松野ルートが直接ルートとしてあったということが一つ重要な新しい事実として出てきているわけです。
 当時の話としては、E2Aが十二機から十六機ぐらい購入が予定をされていました。大ざっぱに見て、契約価格の一%というのは十億前後のお金になると思います。それを二つに分けるということになりますと、またここで五億というのが出てきます。松野さんと日商との配分は不明でありますが、日商は商社でありますから、仮に日商が一%、松野さんが〇・五%ということになりますと、これまた五億ぐらいの見当のお金になるわけでありまして、どうも飛行機にまつわるお金の動きというのは、五億というのが言うならば相場といいますか、になってはいやしまいかと思うのでありますが、それはそれといたしまして、こういうお金の流れや配分や契約内容等について、当時法務省はそれなりに捜査をしてつかんでおったのでしょうか、概括的で結構です。
○政府委員(前田宏君) 先ほど来矢田部委員が、アメリカの民事裁判におきます記録あるいはその記録に関しての書証を引用されまして新しい事実があるということの御指摘をされておるわけでございますが、先ほど私抽象的に申し上げたつもりでございますので、やや明確を欠いたかと思いますけれども、先ほども申しましたように、当時、検察当局といたしましてはいわゆる司法取り決めによりましていろいろな資料を入手しております。また、国内の証拠もいろいろと集めておりまして、いまここで御指摘になりましたような問題も、そういうことからその概略は十分把握をして捜査をした、こういうことでございます。
○片岡勝治君 答弁者の都合で出たり引っ込んだりして大変恐縮でありますけれども、お許しをいただきたいと思います。
 官房長官が参りましたので、私の方から総論ということで政府の政治姿勢をひとつお伺いしたいと思います。先ほども法務大臣に対しまして政府の考えをお尋ねいたしました。部分的なお答えはいただいておりますけれども、総括的に申し上げますのでお願いをしたいと思います。
 鈴木内閣の施政方針演説の中で、当面の最も緊急課題の第一に挙げたのが政治倫理の確立である、こういうことになっておるわけであります。また、いま法務大臣のお答えによりましても、そのために航空機疑惑問題等防止対策協議会というのが昨年つくられ、その提言があるわけでありますが、それに基づいて今後こうした汚職問題に対応していきたい、こういうお考えがあったわけであります。しかし、私が指摘したのは、にもかかわらず鈴木内閣の今日までの足取りを見ると、灰色高官の党役員への登用、あるいはどろ沼のような選挙違反をやっている人を入党させる、あるいは灰色高官に対して勲一等を与える、衆議院においては航特委を廃止してしまう、あるいは倫理委員会をつくるという答弁を本会議でやっておきながら、いまだそれができ得ない。
 また、ダグラスDC10、いまいろいろ質問が行われましたけれども、この問題が新たに発生してみますと、奥野法務大臣は、いやもうあれは時効だから犯罪にならないと。少なくともそういう疑惑が出れば調査をするぐらいの態度があってしかるべきではないか。さらに法務大臣は、どうも日本人は日本よりもアメリカの言うことを信用しているというようなことがあると。私は、日本がもっと徹底的に追及をしていく、こういう姿勢があれば何もアメリカからの情報でこうした審議をする必要はない。そういう点をむしろ残念に思うわけでありますが、奥野法務大臣の発言も全く逆である。こういう一連の鈴木内閣の足取りを見ると、政治倫理の確立とは言っておりながら、しかしやっていることは何にもやっていない。むしろ逆にそういう問題を伏せているのではないかという疑惑を、私だけではありません、率直に言って多くの国民が持っていると思います。
 こうした鈴木内閣の政治姿勢について、政府を代表する官房長官はどうお考えになるのか、今後一体どういうふうに対処なされるのか、この際ひとつ明確にしていただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまのお尋ねの中には、国会に関するものあるいは自由民主党に関するものも含まれておりましたが、そのうちで政府に関係いたします部分についてお答えを申し上げます。
 政治倫理の確立につきましては、すでに総理大臣が今国会におきまする所信表明でも申し上げましたように、政府としては最も焦眉の問題と考えております。総理からも申し上げましたが、お互い政治家にとりましてやはり一つの問題は選挙に非常に金がかかるということでございますので、その点について、選挙制度を改める点がないかどうかということにつきましてはただいま自民党内でもいろいろと議論をいたしておりますが、また各党各派のお考えも承りまして、何かの案を国会においてひとつ御討議いただきたいということを政府は希望いたしているわけでございます。また、より直截に、政治資金そのものが明朗を欠くということにつきましては、政治資金規正法の一部改正案を国会に御提案いたしました。御審議をお願いいたしたいと考えておるところでございます。
 なお、先般の叙勲につきましてもお尋ねがございましたが、報道機関等で問題になりましたお二人の前国会議員につきまして、私どもとしては、その方々に刑事訴追を受けるような疑いがあったわけではないと承知をいたしておりまして、賞勲当局が作成いたしました厳正な擬叙の案に従いまして三長官会議で決定をいたしたわけでございます。
○片岡勝治君 大変不満です、率直に言って。しかし、時間がありませんので、これらの問題については他の委員会等でも十分取り上げていくべき課題だろうと思います。
 ここで私は、さきに日商岩井事件の判決がございました。これまで衆参を通じてこの問題についていろいろ審議をして、ある程度明らかになった点も多々あるわけでありますが、この判決によって一層新しい内容といいますか、認定があったわけであります、松野議員にかかわる問題、田中被告にかかわる問題、あるいは岸元総理にかかわる問題等。すでに私ども社会党は、昨年の一連のこの問題の審議を通じて松野さんの偽証は明らかだということを主張してまいりました。しかし、いま日商岩井事件の判決が出るに及び、ますますこのことが判決文の中で明確になったわけであります。したがって、ここで私は、松野議員の告発をこの委員会の動議として提出いたします。委員長でよろしくお手配をいただきたい。
○委員長(上田稔君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(上田稔君) 速記をつけて。
○片岡勝治君 なお、この日商岩井事件の判決の内容からしても、岸さんの名前が出て、いろいろ私たちもお尋ねしたいことが多々あります。これはわれわれだけじゃない、国民の多くの皆さんもそう感じ、特にかつての総理大臣でありますから、この際、岸さんの証人喚問もぜひこの委員会でやるように、これまたひとつ動議として出しますので、よろしく手配をしていただきたい。
○委員長(上田稔君) ただいまの片岡君提出の動議につきましては、理事会にまだ諮られておりませんので、後日理事会において協議をいたしたいと存じます。
○矢田部理君 ちょっと細切れでありますから恐縮なんですが、そのほか松野氏につきましては、この裁判記録では、先ほどから指摘した事実以外にも数多くの問題点が出されております。特に、松野氏の会談や役割りが詳細に証拠上明らかになっております。
 たとえば、六九年をとってみますと、二月の二十六日ごろ、川部・松野・チータム会談を行う。五月には海部から松野に電話があって、E2Aの販売目標完遂に協力をしてくれるかどうかを尋ね、松野は仕事に乗り出すことに同意する等々を含めて、またお金の問題が絡むような内容についてはXという名前が出てまいります。これはやがて後で、カーンの裁判所に対する説明などによりますと、このXとは松野氏であるということを特定しておったりするわけであります。等々を含めて、あるいは七〇年には松野氏がグラマン社を訪問することなども含めて詳細に実はE2C関係の購入に絡んだ動きが出てくるわけでありますが、きょうは時間の関係でそれは省略することにしまして、もう一点、いま片岡委員から指摘のあった岸さんについてもずいぶん出てまいります。
 その一つ、たとえば証拠番号ナンバー三四というのを見ますと、「チータムは、岸氏が与えてくれた数々の便宜に感謝しており」、これはカーン氏から川部あての書簡であります、数々の便宜に感謝していると。「感謝の気持ちを表わすために、」「ナカガワに招待して、パーティをやりたい」、「この時、チータムはルナの模型を贈呈したい」というふうに、この書簡は、レターはなっているわけであります。チータムが指摘をしたこの数々の便宜というのは一体何だったのか。
 法務省はこういうことについてどの程度調べているのか。「ナカガワ」でパーティーが行われ、ルナの贈呈がなされたようでありますが、どうもこのルナをだれに贈るかというようなことをめぐって大分アメリカと日本との間に連絡がとられているようであります。松野さんにもどうだろうか、福田さんに贈ってはどうかというようなことも含めて出てくるわけでありますが、どの程度の価値のものか知りませんが、どうも名前を彫り込むプレートは金製であるというようなことから、あるいはしばしばこのレターが交換されたようなことから、それなりの価値のあったものではないかというふうにも考えられるわけでありますが、この辺について法務省はどんな感触を得ているか。数数の便宜を与えてくれたという岸氏に対してどんな調べをしてきたのか、その一点だけ伺っておきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 岸元総理に関しましては、先ほど御指摘のような会談のことも当時から出ておったわけでございますし、そういうこともございますので、この航空機の売り込みに関して、何か関連して犯罪の疑いがあるかどうかということは広く捜査をしたというふうに承知をし、理解をしておるわけでございますが、その結果、特段の犯罪の容疑は認められなかったと、こういうことでございます。
○矢田部理君 数々の便宜ということになりますと、かなりいろんな問題があったのではないかと思いますが、あと残された時間、DC10について伺っておきたいと思います。
 大蔵省に伺いますが、大蔵省は日本航空の株式を持っておられますね。四十七年ごろの話になるわけでありますが、当時三千八百万株ぐらい持っておられた。これを四十七年の八月八日に二百五十八万株売却されたようですが、その経過を簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) お答えいたします。
 先生御指摘の点はまさにそうでございまして、四十七年の八月に政府保有の日本航空株式会社の株式を二百五十八万三千株を売却いたしました。これは政府保有の株式を売却することによりまして、売却代金を経まして、それを同年十二月に予定されておりました同社の増資の引き受けに応ずるために売却いたしたということでございます。
○矢田部理君 実際の運用は運輸省がやっておられると伺ったんですが、そうでしょうか。
○政府委員(松本操君) 実際の運用という御趣旨、ちょっと私わかりかねましたが、株式を保有しておりますのは大蔵大臣名義になっておりますので、株式の売買等に関する手続事務は大蔵省の方で行うわけでございます。
○矢田部理君 大蔵省に伺いますと、いや運輸省だと言い、運輸省に伺うといや大蔵省だと言って、ここは行ったり来たりしているのがきのうからの実情なんでありますが、いずれにしても大蔵省が売却をした二百六十万近くの株式、どこに売却をされたのでしょうか。もっと具体的に聞くならば、小佐野に行っていることはありませんか。
○政府委員(宮本保孝君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げましたような理由によりまして政府保有株式を売却いたしたわけでございますが、具体的には私どもは証券四社にこれを売却いたしまして、証券会社を通じまして一般に売られたということでございます。
○矢田部理君 証券会社を通じたことはいいのでありますが、小佐野に行っていませんかと、こう聞いている。
○政府委員(宮本保孝君) 私どもは、証券会社に売却いたした後のことにつきましては関知いたしておりません。
○矢田部理君 運輸省、お願いしているんですが、日本航空筋を確かめておりませんか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 矢田部さんのお尋ねの件はこういうことではないかと思うのですが、昭和四十七年から持っておった小佐野賢治の株が四十八年に急にふえておった、この時期に政府が放出した株が小佐野賢治へ行ったのではないかと、こういう御質問だと思うのです。
 そういうことを前提にしてお答えいたしますならば、小佐野賢治は確かに昭和四十七年三月末で百八万九百七十四株持っておりまして、それが四十八年三月三十一日に二百三十四万五千六百三十二株にふえております。これふえておりますのは、この間に増資をいたしておりますので、増資引き受けで二十九万二千三百九十四株ふえております。それから転換社債によるところの転換で二十五万三千百六十四株ふえております。その他七十一万九千百株、この分が一般市場から小佐野賢治が取得したものである。一般市場でございますので、われわれはその入手先はわかりません。
○矢田部理君 その説明はお聞きしなくても私も調べてあるんですが、この一般市場から入手したという小佐野の七十二万近い株は、言うならばどこから入手したのか。これは株主名簿の書きかえ等もやるわけでありますから日本航空を調べればすぐわかるわけでありますが、その調査を依頼したんですが、わかりましたかと、その次の話を質問しておるのです。
○政府委員(松本操君) 七十二万株という株式でございますので、日航自身はこの株の管理を別途委託しておるわけでございます。御案内のように、株式の裏書き等を克明に調べていけばあるいはわかるのかも存じませんけれども、一般に株の売買がなされますときに、必ずしも書きかえがなされないで動いていく場合もあるやに聞いておりますし、そこら辺のことにつきまして、私どもははっきり申し上げまして株式のそういった取り扱い等については門外漢に近い状態でもございますし、これの調査ということになりますと、恐らくきわめて困難なことでもあるし、時間もかなりかかるのではないか。また、だれからだれへというふうなことをどういうふうにして調べ、かつそれを公にしてもいいものであるのかどうかという点あたりにつきましても、もう少し関係の向きの御意見なども伺ってよく検討いたしませんと、なかなかにもって私ども急にお答えに応じるほど敏速に作業ができないというのが実情でございます。恐縮でございますが、御了承いただければと存じます。
○矢田部理君 運輸大臣からお聞きしないことまで説明されたので私はその辺の問題点は省きますが、四十八年の三月末までの一年間でありますが、この一年ばかりの間に小佐野氏は百八万株持っておったのが二百三十四万株、倍以上の株式を実は取得しているわけです。この取得はもちろん増資割り当て分もあるし、転換社債の分もあるわけでありますが、七十二万ばかりのものを市場から購入しています。この時期に大蔵省が放出をしている、売却をしているということで、どこから小佐野は入手したのかということをぜひ運輸省に調べてほしいということをお願いしておきたいと思います。そうして彼は、年間で倍以上の株式を保有して、日本国における株主のランクは四位から二位に上がっております。大蔵省がトップであります。そして、それまで日本航空の顧問だったのがその時期に取締役に就任をする。そしてそういう時期に、実は先般他の委員会等でも問題にされておる、言うならばダグラス社の調査特別委員会が最終報告で出したような役割りを担い、かつ動くことになるわけであります。
 当時、小佐野氏が株式を取得した時期は四十七年から八年にかけてでありますから、田中内閣がスタートします。田中総理、佐々木運輸大臣、加藤政務次官ということになるわけであります。そういう政治的な背景の中で小佐野氏の日本航空とのかかわりが一層強められ、影響力が強められる中で、ダグラスの特別調査委員会最終報告書に記載されているような一連の動きに発展をしてやくわけでありますけれども、他の委員会における法務省の答弁を聞いておりますと、こういうことも含めて調査をしたということを法務省は言っておられるわけでありますが、百万ドルの密約の話が出たのはいつごろだというふうに法務省は受けとめているんでしょう、理解しているんでしょうか。
○政府委員(前田宏君) いわゆる密約なるものができた時期自体はちょっとはっきりいたしませんけれども、それがいわゆる解約されたと申しますか、破棄されたと申しますか、それがたしか昭和四十九年のことではなかったかと思います。
○矢田部理君 小佐野氏の当時の株式取得の状況、通常ですれば、たとえば株が値上がりをするというようなことでありますならば購入の意味もそれなりにわかるんですが、その後、日本航空の株は必ずしも値上がりをしておりません。むしろ下がりぎみであります。どういう意味で株を取得したかというようなことについて法務省は捜査をしているでしょうか。
○政府委員(前田宏君) ちょっとお尋ねの趣旨を十分理解しないかもしれませんけれども、そういう点につきましては特段の捜査はしていないと思います。
○矢田部理君 この最終報告書を見ますと、DC10の日本航空への販売に関し重役兼大株主から日本支社の幹部へ接触をした。小佐野の方から話を持ちかけ、一機当たり百万ドルというんですから三億見当になりましょうか、日航のDC10購入を確実なものにするために、しかもこの百万ドルは政治目的に使用するために必要なんだということとして話が進んだというふうに記載をされておるわけでありますが、そういう事実については捜査として大綱的な確認をしているんでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 御指摘の一機につき幾らといういわゆる密約でございますが、その点はSECが公表したダグラス社の報告書、いわゆる最終報告と呼ばれておりますが、その外形から見ますと新しい事実のように見られるわけでございますけれども、率直に申しまして、その具体的な事実の内容につきましては、この関係の事件を捜査しておりました当時、検察当局といたしましても承知しておったことでございまして、そういう意味では、捜査当局にとりましては新しい事実ではないということでございまして、その点は当時十分検討したと。したがって、いわば検討済みの問題であると、こういうことでございます。
○矢田部理君 そこで、捜査当局の捜査の結果でありますが、どういう役割りをこういう話の中で、とにかく日航に対する関係で小佐野は果たしたかと聞くと、余りはかばかしい答えは出ないんだろうと思いますが、こういう話と前後して、小佐野がDC10の導入のために日本航空に何らかの働きかけをした、何らかの役割りをしたというふうな状況はありましたか。
○政府委員(前田宏君) このいわゆる密約なるものは、すでに御案内のとおりその後解約されておりまして実現していなかったということでございます。したがいまして、検察当局の立場といたしましては、それに関連する周辺の事実はもちろん含めて捜査をしておりますけれども、結論的に金の動きはなかったということになるわけでございまして、そういうことを中心にして捜査をしました結果、関連して犯罪的なものは認められなかったということでございますので、それ以上の細かい点まで捜査をしているということにはならないわけでございます。
○矢田部理君 この最終報告によりますと、言うならば支払いをすることの合意、口頭によるものだと思われますが、これがまずなされた、それから契約書の作成についても合意がなされた、そしてさらにこの契約書を送ったら三井物産の方で署名せずに返送したというふうに記載されているわけですね。三段構えになって、前二段までは合意されておるのが、なぜこの段階で破棄というか署名せずに返送されたのか、その間の事情をちょっと伺っておきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) いま矢田部委員は、三段構えであるので二段まではできておったのではないかということのようにおっしゃったと思いますけれども、たしか私の理解では、そういうことが書面できちっと確定されるということは、いわば条件といいますか、そういうことであったように理解しておるわけでございまして、結局その条件が成就しなかったといいますか、実現しなかったということでありますから、合意自体が成立しなかったということになるのじゃないかと思います。
○矢田部理君 結論的にはどっちからいっても同じことにはなるんですが、要するに条件が成就しなかったから合意が最終的にできなかったということですが、その条件というのは一体何であったのか。つまり、かなり煮詰められた話として詰まってきたのになぜこの段階でつまずいたのか、うまくいかなかったのかということを伺っているわけです。局長の言う条件というものの中身というふうに伺ってもいいと思います。
○政府委員(前田宏君) 私が条件と申しましたのは、契約書できちっと書面による契約ができるということが条件であったということでございまして、その内容的なことを申したつもりは実はなかったわけでございます。したがいまして、その契約書が結局できなかったということを申したわけでございます。たしか、この公表された報告書の中でも、日本の商社とダグラス社との間での書面による契約に従って支払いが行われることを条件としてそのような支払いに同意をした、こういう表現があったと思いますので、そのことを申したわけでございます。
○委員長(上田稔君) 矢田部君、あと三分です。
○矢田部理君 もうまとまった問題ができませんので、三分だそうでありますから、最後に結論的なことを申し上げておきたいと思います。
 率直に言って、このカーンの裁判記録だけをとってみてもまだ非常に数多くの問題がございます。質問としても行わなければならぬ事実がたくさんあるわけでありますし、とりわけここで多くの人の、政治家なり関係者の氏名も出てきているわけでありますから、ひとつこのカーンの裁判記録を当委員会として何らかの方法で取り寄せて今後の審議の資料にしてほしいというのが委員長に対する第一のお願いであります。
 それから二番目には、先ほど片岡委員からもお話がありましたように、従前、五億円の授受をめぐるさまざまな証言について偽証があるということで私どもは松野氏について指摘をしてまいりました。きょうの審議でも明らかなように、E2Cに関してもまた偽証が追加される、内容が付加されるというふうにも考えますので、当委員会として松野氏を偽証として告発すべきであるというのが第二点であります。
 そして三点目には、先ほど質問でも幾つか触れましたが、このカーンの裁判記録で出てまいります数多くの名前の中で、特にやっぱりどうしてもこれは調べてほしいということで考えておりますのが川部美智雄、海部八郎、松野頼三、岸信介、牟田弘国、これは先ほどの元統幕議長でありますが、この五者についてぜひ証人として呼んでほしい。
 それからこれは参考人でも結構でありますが、三井物産と日本航空の当時のDC10にかかわる関係者等について、これはまだ名前は特定し切れませんけれども、証人または参考人として当委員会に呼んでいただきたい。
 以上数点を特に委員長にお願いをいたしまして、ひとまず私の質問を終わりたいと思います。
○委員長(上田稔君) ただいまの矢田部君提出の動議につきましては、後日理事会において協議いたします。
○渋谷邦彦君 ロッキード、グラマン、そしてダグラスと、航空機輸入をめぐる疑惑についての調査、もうすでに衆参両院においてさまざまな角度から審議がなされ、そしてまた解決をした案件もありましょうし、依然として疑惑を残したままという状況の中で現在を迎えている。そして、ここで再びこの種の問題について当委員会が開かれ、さらに問題の追及をしなければならぬということはまことに残念であり、きわめて屈辱的なことではなかろうか。一国民の冷静な判断を通して考えてみた場合、やはり日本国民として無念やる方ないと、そういう心情が多くの方々の胸の中に依然として残るであろうと、こう思うわけであります。
 海のかなたで起こった事件、それが日本に飛び火をいたしまして、そして大変な社会的な大きな問題に発展した。いま私は、すでに衆議院あるいは参議院の航特委においていろいろ審議された問題をここで繰り返し申し上げるつもりはございません。言い尽くされた問題もございましょう。ただ、これからこうあってもらいたいという願望を込めて政府当局に確認をしながらお尋ねをしてまいりたい、このように思うわけであります。
 初めに、自治大臣の御都合もございますので、順序を変えて、まず石破さんからお伺いをしていきたいと思うわけであります。御承知おきいただいておりますように、先ほども若干お触れになった内容でありますが、ロッキード事件が起こった直後にいわゆる再発防止の対策と今後検討すべき事項ということで、関係閣僚の会議がずっと持たれてきておる経過がございますね。それは五十一年、いまから四年ほど前のことでございます。五十一年十一月十二日なんです。そこで、なるほどもっともだと思う提言が実はなされていることも私ども承知をしております。しかし、残念ながら、その後時間の経過があるわけでありますけれども、依然としてその結論らしいものが出てこない。具体的に申し上げますと、非常に御熱心に、と申し上げたいわけでありますが、政府部内において検討された大きな柱は、個人の政治献金というものに限定をすべき方向で改善しなければならないという項目があったはずであります。
 そして、第二点としては、政治家の個人の収支も明確化すべき必要があると。今回政治資金規正法の一部手直しが国会へ上程されるようであります。しかし、その中身を拝見いたしますと、果たしてそうした手直しだけで再発防止というものに役立つであろうか。先ほど宮澤さんは選挙に金がかかり過ぎると。こういうことで、やむを得ないということはおっしゃいませんでしたけれども、したがって、勘ぐって物を申し上げては大変恐縮でありますけれども、どうしても癒着が起こる危険性があるというような受けとめ方を、いま私は答弁を伺っておりましてお聞きをしたわけであります。倫理の確立だとか政治家個人の自浄作用によってこの種の問題は解決を図るべきであろう、そのように私も思います。できるならば、法律によって拘束をされなければ政治家の姿勢が正されないなんということは、これは非常に遺憾なことであろうかと私も思います。かといって、しかしある程度の交通整理をいたしませんと、そういった問題の再発が果たして防げるであろうかというような心配は、私のみならず多くの方が胸に抱いている一つの大きな疑問点であろう。
 ロッキード、あるいはグラマン、ダグラスは未遂に終わったとは言われておりますけれども、しかし、この種の問題があるいは形を変えて起きないという保証は果たして現在の環境の中であり得るだろうかと、そのように思うわけでございまして、そうなれば、まず次善の策として、当然、いままで各党とも大変熱心に鋭意検討されてまいりました政治資金規正法の合理的なこの内容の改正、あるいはこれに伴う選挙制度のもう一遍基本的な見直しというものをやらないことには、金にまつわる問題というものは後を絶たぬであろう。政治家として非常に残念なことだと思うのです。収支を明確にしなければならぬとかというようなことは、いかがなものであろうか。
 そうしたような経過をいま私おさらいをしながら申し上げたわけでございます。恐らく非常に熱意を持って石破さん御自身が現在の選挙制度のあり方については鋭意御検討もなされ、将来展望の上に立って、この種の問題の再発防止をめぐり、もうすでに着手をあるいはされているのではなかろうか。まず、主務官庁であります自治省において、どういういま方向性に立った――まあ与党のいろいろな御意見もございましょう、そういうものを整理しながら、こうあるべきだ、これが日本の将来において政治を浄化する基本であると。それをまずここでお聞かせいただきたいと思うわけであります。
○国務大臣(石破二朗君) お答えいたします。
 近年、航空機購入等に絡みます事件を契機といたしまして、政界の腐敗事件とも申すべきものが次々と表ざたになってまいりまして、世間一般の政治に対する信頼が薄らぎ、わが国民主主義の基盤をも脅かしかねないというような事態になってまいりまして、去る昭和五十年、政治資金規正法の大きな改正が行われ、さらにその後、昨年でありましたか、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会というものから去年の九月五日に内閣総理大臣あての提言もございましたこと、御承知のとおりであります。この協議会の提言によりますると、政界の浄化なり政治の信頼を回復するための各方面にわたりましての提言がなされております。
 御承知のとおり、第一番には「政治の浄化のための対策」、第二には「企業倫理の確保のための対策」、第三には「行政の公正確保のための対策」、さらに第四番目には「制裁法規等の整備強化」に関する提言等が行われておりまするが、第一の「政治の浄化のための対策」につきましても、さらにその中が四つに分かれておりまして、第一番は、公正で金のかからない選挙を実現するため、国会及び政党と緊密な連携のもとに、現行の個人本位の選挙から政党本位の選挙に移行するための選挙制度の基本的あり方、選挙費用の党費負担、選挙運動に対する規制のあり方等について検討する。二番目には、政治家の個人としての経済と政治活動に必要な経費とを明確に区別し、政治資金の明朗化を図るため、その届け出を義務づける等政治資金規正法の見直し等を検討する。さらに三番目には、倫理委員会の設置等。第四番目には、政治倫理を高めるために世論の高揚、有権者の啓発等と、こういう四つを挙げて政治の浄化のための対策という提言がなされておるわけでありまして、現在私どもの考えておりますことは、第一番目の、公正で金のかからない選挙を実現するためという選挙制度の基本的あり方等に対する対策措置でありますけれども、これは何分にも議会制度の根本にも触れます問題でありまするし、いわば国会のルールづくりの問題でもありますので、これはひとつ政府がいきなり手をつけるよりか、国会において各党各会派におかれまして十分御相談願い、合意が成立した時点で、国会みずからでひとつ改革案をまとめていただいてこの提言にこたえていただいたらどうであろうかと、かように考えておる次第であります。
 私の所属しまする自由民主党におきましては、とりあえず参議院の全国区制度から手をつけようということで目下鋭意検討中でございます。自由民主党におかれまして今後これをどうされますか、党内の意見が取りまとまりますれば他の会派等とも御相談になり適当な結論が得られることと期待いたしておる次第であります。
 なお、その第一の中には、選挙運動に対する規制のあり方等について検討せいと言われております。この点につきましては、これも恐らく各党各会派、国会の方で自主的に御検討いただくことになると思いますけれども、政府といたしましては、これも急ぐ問題でありまするし、多くの会派におかれましてある程度はお話し合いも進みつつあるやに承知いたしておりますので、できますことならば今臨時国会において国会の方で積極的な御検討をいただければ大変幸せと存じておる次第であります。
 その次が、いま御審議を煩わしております政治資金規正法の一部改正案であります。これはこの提言の第一の二に挙げてあることでありまして、すでに前内閣において提案されたものと大体同じものであります。現行法によりますと、政治家個人が寄付を受けました際には、もちろん一定限度に制限はありますけれども、その制限以内ならばどこにも報告しなくて政治活動に使ってよろしいということになっておりますのを、実質は同じでありますけれども、報告の義務を政治家たる個人に課すことにした。そして、政治家の個人の経済と政治活動に必要な経費とを明確に区別し、政治賞金の明朗化を図ろう、こういう趣旨のものであります。なお、そのほかに倫理委員会の設置等の問題もありますが、恐らくこれも国会のみずからり御判断によって御措置願えるものと政府としては期待いたしておる次第であります。
○渋谷邦彦君 石破さんも四時にはここをお出にならなければなりませんので、それを十分頭に入れながらもう一点だけ確認しておきたいと思うのでありますが、いまおっしゃっていることは、もうすでに公表されている分もございますし、十分承知をしております。ただ、大変残念という言葉が当たると思うのですけれども、政治資金規正法にしろ選挙制度にいたしましても、改正の手直しが加えられましたときには、どうしても大政党に有利な骨格に変えられるというそれがずっといまよで続いてきたような印象を私持っているのです。
 かつて私も選挙制度審議会のメンバーとして三期務めさしていただきました。もう十数年前の話でございますけれども、その時代からもうずいぶん問題が提起されてきているのです。しかも、戦後における疑獄事件というのは後を絶たないというふうに、大きなものだけでも三十件に近いというふうに言われております。今回は象徴的に航空機の疑獄事件が起こった。その都度何かが起こらないとこれに真剣に取り組めない。取り組んだと思うと非常に穏やかな手直しで、言うなればざる法になってしまうおそれがある。いま石破さんはるるおっしゃられました。おっしゃられたその精神について私は同感ですよ。それは強力に推進して実現してもらいたい。それは各党ともそれぞれのニュアンスの違いはあれ、やはり選挙に金がかからない、だれしもが望んでいることだと思うんですよ。かかるがゆえにいろいろな利権と結びついて不測の事態を起こすことはもう言うまでもないことであります。
 そこで、もう一点と申しますのは、今回の政治資金規正法の手直しも必ずしも私は満足のいくものであると理解しておりません。やはり根本的な手直し、それはいまおっしゃったように議会制度の根幹に触れる面も出てきましょう。また、それまで触れなければ根本的な改革というものはなされない、いわゆる政治に対する信頼感を回復することはできないだろうということを強く私は意識しておりますものですから、その点を考えますと、単に多数を持っている政党に有利、あるいは政権を担当している政党に有利というようなことではなくして、だれが見ても、なるほどこういう政治資金のあり方であり、こういう選挙制度のあり方であるならば国民全体としても納得し、そこで初めて民主制度というものが一層理想的な方向へ向けられていくであろう。これは私のみならず皆さん方も恐らく同一のお考え方をお持ちになっていると思いますが、いま非常に大まかな考え方について、御退場になりますので、最後に、その辺の問題点をどうするか。確かに急がれているんです、おっしゃるとおり。これを急ぎませんと、第二、第三のまたロッキード事件が起きないということは言えない。ですから、まず最初にそのことを私は確認をしておくつもりで、あえてきょう御出席をお願いしたわけであります。
○国務大臣(石破二朗君) 御承知のとおり、選挙というものをやります以上は、有権者の皆さんに候補者自身の人柄なり抱負なり政見というものをあまねく広く周知徹底しなければなりません。そうしなければ選挙になりません。皆さんに自分の人柄なり政策を十分御理解いただきますためにはそれなりの運動が必要であります。運動の方法でありますけれども、いろいろありましょう。全く友人、知己、同志の自主的な労力により候補者の政見政策を周知徹底さすという方法もありましょう。あるいはまた、自分たちはそう手足を持たない、ついては金を出してやるから、それで出版物をやるなり、あるいは講演会を開くなり、そういう方法で周知徹底をせいというようないろいろの方法があろうと思いますけれども、いずれにしましても、一概に換算はできませんけれども、これを金で換算すると仮定しますると、どなたがおやりになっても相当の金が要るだろうと私は思います。これは避けがたい事実だと思います、選挙という制度があります以上は。
 ところが、それじゃ金に全部換算します、その金をどうして調達するか、その調達の仕方が問題だと思うのであります。政党が堂々と、いい悪いは別です、必要な金を政党が堂々と有権者の面前で集めるということになりますと、比較的弊害は少なくて済むであろう。ところが、政党でなしに個人が選挙なり政治活動に必要な金を集めるとなりますと、これはどうしても無理がいく。結局、選挙というものは党営選挙というところまで徹底してやらないと、どうしても個人のスキャンダルというものはぬぐい去ることはできぬじゃなかろうかと思います。私は、最終的には党営選挙というところまでいって、そして政治資金を一切合財政党の責任で収支とも明確にすると。申しわけありませんけれども、これだけわが党は政治活動にかかりました、選挙にこれだけ金を使いましたということで国民の審判を受けるというのが必要じゃなかろうかと思います。
 そこで、質問にはなかったかと思いますけれども、去る七月、就任直後に、衆議院の小選挙区制について発言したことがありますけれども、簡単にあんなものができるとは私も思っておりません。しかし、将来の問題としては、やっぱりあそこまでいかなければ解決しないのではなかろうかと思いまして、あえて御批判は覚悟の上で小選挙区制がいいがごとき発言をした次第であります。御了承いただきたいと思います。もちろん、素人でありまして十分の自信もありませんけれども、各党各会派の皆さんの御指導なり御協力をいただきまして、金の要るものはしようがない要ると、しかしながら、それを出入りとも国民の皆さんの前に明確にして、その上で選挙を通じて御審判を仰ぐというような制度の実現に努力してまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○渋谷邦彦君 詳細についてはまた公選法特別委員会等がございますし、そこで議論されるであろうと思いますが、選挙部長が残っておられるはずでございますが、いらっしゃいますね。
 そこで、例の閣僚協議会で提言された問題はその後どう進んでいるのか。大きな柱は、いま石破さんが基本的な問題についてはお触れになりました。また、そういう方向でぜひ各党の意見も尊重しながら理想的な合理的な方向へ結論が出るように取り組んでいただきたい。これは当然だろうと思います。
 また、一方、少々細かい問題になろうかと思うんですが、これも一つの柱として、航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会の提言として、昨年の九月五日に出されておりますが、三つございますね。一つは「自浄作用に真剣に取り組み、政治倫理の確立とこれを担保する制度の創設に努める」、これは直接選挙にかかわりはないと思うのですが、その後の「企業の倫理を確保するための所要の措置」、「行政の分野においても、その公正を確保するための対策」というような項目が挙げられております。こうしたことも、ちょっと自治省としての枠外の話になろうかと思いますが、非常に連動する問題として大切だなと思う。
 そこで、それらを頭に描きながら、まずわれわれ自身が、いま石破さんの言われた所信を通じて、具体的にこれからどういうスケジュールの上に立って、いま私が要望を込めながら申し上げた改革への道が可能かどうか、この辺を総体的にいままで検討されてきた経過を踏まえてお述べいただき、具体的に、いまどこが盲点であるのか、ここを整理をし解決をすることによって、二度とと申しますか、相当強力なこの種の疑獄に対する再発防止に役立つであろう、そうした問題ですね、この二本。所信はいい、結構だと思います。おっしゃっていただければ結構です。
○政府委員(大林勝臣君) 政治資金の問題を通じまして政治浄化を図りますためには、当面に緊急を要する問題といたしまして、御承知の個人政治家の収支報告というものを急遽御提案申し上げ、いま審議をお願いいたしておるわけでありますけれども、今後の問題といたしましては、御承知のように五年後の根本的な見直しというものが大きな宿題として控えております。過去五十年に改正がされまして以来、四回、すでに各政党の収支公表というものが行われておりますが、現在、将来の宿題を目の前に控えまして、過去の収支報告についていろいろ分析をいたしておる段階でございます。いろいろいままで御批判というものをいただいております。個人献金の問題であるとか、あるいは政治資金の枠の問題であるとか、万般にわたっていろいろな御批判は十分いただいておりますので、それぞれについて頭に置きながら検討をしてまいりたいと考えております。
 ただ、先ほど大臣も申し上げましたように、結局は、将来の政治浄化を徹底させるためには、やはりもととなる選挙制度の基本というものを考えずして、単に政治資金だけの面でこれを解決するということは、従来の経験にかんがみましてなかなかむずかしい問題だろうと思います。したがいまして、私どもとしては、今後の政治資金の問題を検討します場合には、あわせて将来の選挙制度のあり方というものを片方に十分心に刻みながら、そういう姿勢のもとに、どういった政治資金の規制のあり方というのが一番いいかということを、また各党各党の御論議を踏まえながら検討してまいりたいと考えておるところであります。
○渋谷邦彦君 もうそれ以上のことは伺いたいとは思いませんが、今回提案されようとしている改正案の中で、入りの分についてはきわめて明確になっているんですね。出る方の分については非常に何か不明確である。これはあえてそういう意図があったのかどうなのか、これだけを最後に一つ伺っておきたいと思います。
○政府委員(大林勝臣君) 今回の個人の収支報告の公表の方法につきましていろいろ検討をいたしました。ただ問題は、結局は、世間で疑惑の対象となる政治献金と申しますのはいろいろあるわけでありますけれども、できるだけすべてをいわゆる第三者である後援団体等を通じまして報告をしていただくというシステムにいたしておるわけでありますが、ただ、政党であるとか、あるいは一番の信頼関係に基づいて設立されておられます後援会、今回はいわゆる指定団体と、こういう名称を付しておりますけれども、そういう信頼関係に立った政党、政治団体からいただく政治資金というものについてまで、その内容を報告していただくということにはしていないわけであります。そこら辺がざるであるというような御批判も十分承知はいたしておりますけれども、そういった一番の信頼関係に立つ政治団体から支給される資金というものについては、これは信頼関係に立っておるという意味で、もともとそういった疑惑的なもの、たとえば私的な方法に使う、政治団体からもらったもので家を建てるとかそういう話になりますと、これは政治家の政治生命そのものにかかわってくる問題でありましょうから、政党とかあるいは後援会といったところからいただく資金については、入りはもちろんそれぞれの団体の支出面を見れば、どの政治家に幾ら渡ったかということはわかるのでありますけれども、それをさらに個人からその使途について報告していただくことまでは要求をしなかったわけでありまして、あくまで信頼関係を前提として物を考えておるわけであります。
○渋谷邦彦君 選挙部長はもう結構です。
 次に、わざわざ運輸大臣がお越しになりましたので、そう多く触れる問題はないかと思いますが、いままでも、運輸行政の立場から見た場合に、航空機の輸入にかかわるこの種の問題が起こった、恐らく主務官庁としてはきわめて深刻にショッキングな事件としてお受けとめになったであろうと。通常の商慣習に基づく取引行為については、いたずらに運輸省自身が口を差しはさむというお立場ではないであろうと思うのでありますけれども、ただ、申し上げるまでもなく、一機当たり何十億もする航空機の輸入について、しかも日本航空あたりは運輸大臣の認可がなければ実際の正式な契約は結ばれないというような背景を考えますと、やはりもっと厳格な意味でチェックする行政的な指導というものがあってもいいのではないだろうか、これは大変素朴なささやかな疑問が出てくるわけです。
 いままで運輸省の担当者の方々にもこうした問題についてのお尋ねをいたしました。現在の機構の中では、これは運輸省自身がしゃしゃり出てそれをチェックするという立場にはないというふうにしかどうしても受け取れないわけですね。それはそれなりに私は意味があると思います。いたずらにそうした商行為に対して枠をはめるような、あるいは圧力をかけるようなことは好ましい行き方ではないかもしれません。しかし、この種の問題の発生に伴って、主務官庁として当然行政の責任者の立場から、あえて再発をさせない上からも、起きないことを願いつつも、再発が起きないというためにはやはりそれなりの対応の仕方というものが運輸省自身にあってもよろしいのではないだろうか、そんな気持ちがいたします。
 それらについて今後運輸省は、できることとできないこと、それは当然あろうかと思いますけれども、この種の問題がしかも運輸省の最高責任者が連座するというようなそういう不祥事態もあったわけですので、むしろ当然チェックしなければならない方がチェックされるようなことになったのではこれはもうナンセンスな話だと思うのですけれども、それだけにえりを正したそういう正常なあり方を維持するために運輸省としても何らかの働きかけというものが考えられるものなのかどうなのか、その辺をお聞かせいただければありがたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 仰せのように、航空機の輸入そのものは、機種の選定から手続、そして代金を払います、こういうようなことは全部その会社の商行為として行われておりまして、したがいまして、運輸省としてはその飛行機を買いたいという意思表示をしてまいりましたときにチェックをする、こういうときが一つの重要な時期だと、チャンスだと思っておるのです。それ以上の介入は実は余りできないようになっておりますが、したがって、この飛行機を買いたいといったときに、そのときにあらゆる角度からいま問題となっておりますような取引のルート、あるいはこれがどういう機械で、あるいはどういう経過で審査をした結果購入することになったのかとかいうそういうことを詳細にやっぱり聞き取っておくことも私は重要ではないかと思うのです。ある方の意見として、機種を選定して運輸省で決めたらどうだという提言をされた方もあるのです。けれども、飛行機の性能をいろいろ見ますと一長一短それぞれございまして、これはもう最後になりますと、会社が技術屋、つまりパイロット等を入れて、技術屋で最終的にこれにしたいという意向、やっぱり運輸省はそれを承知せざるを得ないということになってまいりますので、したがって、運輸省で購入の指導するということはこれまで事実上不可能でございます。
 そういたしますと、先ほど申しましたように、この機種を何機買いたい、資金はこういうふうにして調達したいと、あっせん者といいましょうか、商社はどこを通すとか、あるいは直接取引するとかいう、そういうことの細かいことを聞いて、それをやはり厳重にこちらの方で審査の対象にしていくという、そういうことによって少しでも未然に防止できるのではないかと、こう思っておるのでございまして、最近航空機の購入のことはございませんけれども、今後において出てくる問題であると思いますので私たちは十分に注意しておるのでございますが、特に新しい機種を買うときが、このときがやっぱり一番問題が含まれると思うのでございまして、そういう立場を貫いていきたいと、こう思っております。
○渋谷邦彦君 いま、所信を交えてのお考えを述べていただいたわけでありますけれども、やはり最小限度の範囲でその程度のことはぜひコントロールできるようなお取り組みをしていただくことが望ましいのじゃないだろうかと。われわれ一般の航空機を利用する者は、いままでもこういう議論が恐らく取り交わされたであろうということは想像にかたくないのでありますが、不当なコミッションのやりとりがありまして、そしてそれが運賃に上乗される、しわ寄せになるというようなことになったのでは、これは大変多くの利用者が迷惑をすることはもう論をまたないところでありますので、十分それらもお含みの上いまのお考えというものを述べられたと、こう理解をしながら、今後やはり主務官庁としての何らかの責任あるチェックというものがなされることを期待しながら、一点だけで大変恐縮でございましたけれども、運輸大臣に対する質問を終わらせていただきます。
 限られた時間の中であれもこれもということは大変むずかしいことでありまして、また、一つの問題点でも突き詰めていくと相当時間をかけなければならぬというふうになろうかと思いますが、先ほども同僚委員の方から、当委員会が開かれた最もポイントになるものは、何ともすっきりされていない松野証言についての偽証にかかわる問題、どうしてもぬぐい切れない。もうすでに報道等においてもわれわれ知らされているわけでございますが、これもいま刑事局長の答弁を伺っておりまして、非常に微妙なニュアンスの面もございましたようでありますので、あえて確認をしながらお尋ねをしてまいりたいと思うわけでございます。
 最近伝えられる、いわゆる日商岩井の元副社長であった海部八郎氏からハリー・カーンにあてた書簡というものがありまして、実に詳細にわたって、松野氏が関与していたという、またハリー・カーン氏がそのことを、求めに応じて、そのミスターXなる者の氏名について明らかにしているということが最近の報道でも私ども聞き知っているわけでございます。これは当然法務当局といたしましても、その関係性、いわゆる事実関係というものについて当然時を移さずいろいろお調べになったであろう。果たして議院証言法による松野さんのかつての証言というものと今回明らかにされたいわゆるハリー・カーンの言明というものが矛盾していはしまいか。矛盾しているということになれば当然偽証ということになるわけでございまして、まずハリー・カーンのいわゆる調査の際に求めに応じていろいろと述べられたその点について、信憑性のあるものかどうなのか、その点からまずお伺いをさせていただきたいと思うわけであります。
○政府委員(前田宏君) お尋ねが、先ほどございましたように、松野氏の証言と今回新聞等に報道されましたいわゆる事実と矛盾しているのじゃないか、即それは偽証じゃないか、こういう御観点からのお尋ねのようにも承ったわけでございますが、そういうことになりますと、実は偽証になるかどうかということの御判断は、そういう御判断権をお持ちになる国会の方でお考えいただくべきことではなかろうかと思うわけでございまして、それをまたない段階で私どもからそのことに関して意見を申し上げるのは適当ではないのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 いまの御答弁は、去る十月二十二日、これは衆議院の委員会で刑事局長はやはり同様の御答弁をなさっておられたようでございます。ただ、ちょっと私疑問に思っている点が一つございますのは、衆議院のロッキード問題に関する特別委員会でいろいろ審議され、そして証人喚問ということがございました。その際、丸紅の大久保利春、伊藤宏等々、そこで意見を開陳したわけでありますが、このとき、逮捕日が大久保利春の場合には五十一年六月二十二日、ところが告発の議決がその後になっているわけですね、五十一年六月二十五日。また、同様に伊藤宏の場合にも逮捕日が五十一年七月二日、院で告発の議決をいたしましたのが五十一年七月六日。いわゆる告発日と逮捕日がずれております。告発の方がおくれているわけです。また、渡辺尚次についても逮捕日が五十一年七月九日、告発の議決が五十一年七月八日ですから、これはまあ前の日になって、そうしてこれは日にちとしては合っているわけであります。
 こうなりますと、いま刑事局長は、当然告発の権限は院でもってそれを決める、これはそのとおりだと思います。しかし、いま申し上げましたように逮捕日がその先である。十分その証拠を固められ、これは逮捕するに有力な証拠があるということでおやりになったのではないか。もちろん罪名については偽証罪だけじゃなくてほかの罪名もあったかもしれません。この関連についてはどのように私ども理解したらよろしゅうございましょうか。
○政府委員(前田宏君) ただいまお尋ねのような事実があったことはそのとおりでございまして、これは理論的と申しますか、理屈のようなことになるかと思いますけれども、捜査をすること自体は差し支えがないと申しますか、決して不可能ではないということになるわけでございますが、やはりこの議院証言法ということの重要性からいたしまして、通常の場合であればやはり告発をまってから捜査に着手するのが穏当であろうといいますか、適当であろうというふうに考えておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 それはもう当然だろうというふうに理解できますが、いま申し上げましたように、検察当局としても十分立証できる内容を掌握したと、いわゆる逮捕に踏み切るだけの証拠が十分であるという場合と、また逆に、そこまでは不鮮明ではあるけれども国会の告発をまってからと、両方あろうかと思うのでありますが、その当時において松野氏の場合にはやはり立証できるだけのそういう証明ができなかったというふうに、これは確認でございますけれども、受けとめてよろしいものかどうなのか。
○政府委員(前田宏君) そういう観点からのお尋ねでございますと、そのとおりと申し上げた方がいいと思います。
○渋谷邦彦君 当然ここは裁判所じゃございませんので、あれやこれや法律的なことを通じて言うことはいかがかと思うのでありますが、今回の冒頭に申し上げました海部書簡、これは当然お調べをいただいていると思うのでありますが、これは事実海部書簡なるものがあるとここで認識をしてよろしゅうございましょうか。それがまた正確なものであるか、いままで伝えられているその海部書簡というものが。
○政府委員(前田宏君) お尋ねの海部書簡といいますのは、海部氏からカーン氏にあてられた書簡で、今度アメリカの裁判所でそういうものが出ていることが明らかになって報道されたものと、こういうことであろうかと思いますが、そのこと自体は私ども承知しておりますわけですけれども、先ほど来もやや抽象的に申し上げましたように、この事件の捜査の過程におきまして、アメリカからいわゆる司法取り決めに基づきいろいろな資料を入手しているわけでございます。しかしながら、どういう資料があるかどうか、またその内容はどうであるかということになりますと、これは委員も御案内だと思いますけれども、日米の司法取り決めによりましては、その取り決めによって提供される資料というものは裁判以外の用途には使ってはならない、こういう厳しい条件がつけられているわけでございます。したがいまして、当時いろいろな資料は入手しておったということは申し上げられるわけでございますけれども、どういうものがあったかどうか、いまのお尋ねに即して具体的にお答えできないということを御了承賜りたいわけでございます。
○渋谷邦彦君 もう一つ、やはりこの辺依然として霧が晴れないなと思える点は、今回の海部書簡、そしてまた実際にハリー・カーンが述べた証言内容、これを突き合わせてみますと、明らかに、いままで国会において松野氏はあくまでも政治献金であるという御主張でございましたけれども、それはもう根本から崩れる。いわゆる成功報酬と判断するのがこれは常識であろうかと。その辺のくだりもいろいろあるようでございます。いまそこへあえて入ろうとは思いません。また、そうした判定についてここで果たして法務当局として断定的に述べられるものなのか、そうでないのか。
 しかし、少なくとも、いま非常に抽象的とお断りをされながら申された中には、これは海部書簡についても明確に松野氏が今回の問題に介在していることは明らかでありますし、そしてまた成功した場合には具体的にパーセンテージも示されながら成功報酬として受け取る、そう判断することが常識であろう。こうなりますと、当然のことながらここで大きな食い違いが松野氏の証言の中であるのではないかというふうに私は判断をしておりますけれども、その判断が正しいか誤りであるかという点についてはいかがでございましょうか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど来御引用の海部書簡というものがあるという前提でございますけれども、仮にそういうことがそのとおりであったといたしまして、またそこに出てくる人物が松野氏であるということを仮に前提といたしましても、その内容がすべて客観的事実に合致しておるかどうかということがまず問題になろうと思いますし、一面、松野氏の証言が、どういうことを頭に置いてどういうふうなお気持ちから答えをされ、証言をされたかということになりますと、その前後の事情なり御本人の主観なり、またさらには記憶の問題なりいろいろの問題があるのじゃないかと思うわけでございます。したがいまして、直ちにいまのお尋ねのように食い違いがあるというふうに申し上げるわけにもまいらないのじゃないかというふうに思うわけでございます。
○渋谷邦彦君 いま御答弁を伺っておりまして、これ以上恐らく、その正確を期するためにこれがどうだということをお尋ねをいたしましても、あるいはすれ違い、かみ合わない、そういうことになりやしまいかというふうに、いま大変微妙な御答弁をされましたので、それ以上なかなかお聞きができないのではないだろうかというふうに思うわけでございます。いずれにしても、今回こうしたことが次々と明らかにされ、その食い違いというものも改めて社会に提起され、そしてその根の深さというものが思い知らされるような状況の中で、われわれがそれを聞き知るということは大変残念なことだと思うのであります。
 法務大臣といたしましても、いままでの経過の上に立って、先ほど石破さんにお尋ねしたような恐らく考え方に立って、二度とこうあってはならないと、少なくとも政権担当者の名誉にかけてもこんなことがあってはならない。恐らくこれで一切決着がついたと私思いません。しかし、これと並行して、当然ロッキード、グラマン、あるいはダグラスの二の舞を踏むような事件は断じて起こしてはならないという責任が当然おありになるだろう。法務省としても、それはただ法律に従って人を裁けばいいのだというだけの問題ではなかろう。やはりその点は奥野さんは奥野さんとしての、最高責任者という政治的な判断に立っての、あるいは法の整備というものを図りながら、一方においては二度とこうしたような事態の起きないことをやはり考えるべきだと。それにはいろいろなやはり法の改正といいますか、あるいは手直しを図ることによって、万全とまでいかなくても、いままでよりは九九%ぐらいあるいは防止できることに役立つ改革ができるのではないだろうか。そういうことも恐らく頭の中に描きながらあるいはその法改正をお考えになっていらっしゃるかどうか。それを政治的な立場に立っての御判断を交え、具体的にそうしたものがあればお聞かせをいただきたい、こう思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 大変重要な問題でございますし、そのためにまた政治倫理を確立するということに政治家みんなが努力していかなければならない、こう思っておるわけでございます。先ほど来話が出ておりますように、航空機疑惑に関する協議会が内閣に設けられまして、幾つかの提言がございました。先ほどはその提言のうちで、自治大臣所管に係る問題につきまして石破自治大臣からも御報告しておったわけでございました。また、その中には法務省の所管に係る問題もあるわけでございまして、そういう問題につきましても、刑法の改正でありますとか、あるいは国際犯罪捜査共助法でありますとか、あるいはまた犯罪人引き渡しに関する条約でありますとか、すでにでき上がったものもございますし、あるいは商法を改正いたしまして企業の自主監視機能を強化していく問題でありますとか、あるいは公認会計士の地位を高めていく問題でありますとかいろいろな問題があるわけでございまして、これらの提言をできる限り実現させていかなければならないと、こう思っておるわけでございます。みんながそれぞれ分担しながら政治倫理確立に向かってそれぞれの改革を続けていくことが大切だと、こう思っております。
○渋谷邦彦君 大体いままでお考えになっていることをずっと羅列されてお述べになっていただいたのだろうと思います。私は、一方において、この種の問題の再発防止には、政治家はもちろん姿勢を正さなければならぬことは言うまでもないと思うのでありますが、やはり企業の倫理ということも、これは一方において片手落ちになってはいけない。公正な商行為というものが行われるためにはそういったものも当然要求されていく必要があるであろう。恐らく、いまおっしゃった中に、商法の改正というものはそういった面のお考えを含めてお述べになっていただいたのでしょうか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほど申し上げました協議会の提言の中にも、今度のような問題を起こさないという意味での商法改正についての提言があるわけでございまして、それを実現させていきたいと、こう申し上げているわけでございます。
○渋谷邦彦君 もう限られた時間がやってまいりました。
 いずれにしても、突き詰めて、この問題がどこに原因があり、またどうすればいいのだという、なかなか議論の尽きない問題であろうかと思いますけれども、しかし、いままで各党がそれぞれの立場に立って展開されてきた、再発防止を前提として、この種の国民にまたいやな思いをさせるような、あるいは国民に負担をかけるようなそういうようなことが行われては、少なくとも私のみならず多くの方が政治に対する失望しか残らないであろう。いま大事なときだけに、今後政府としても、政治資金規制の問題一つをとりましてもまだ決して十分だと私言い切れません。もちろんそれに連動するであろう選挙制度の問題、また、いま法務大臣が総括的にお考えになっている企業倫理の方の確立を図る上からも商法の改正、それぞれ連動する問題であり、やはり急を要する問題ではなかろうか。そうした点を十分踏まえた上で全力を挙げて取り組んでいただきたいということを要望を交えて申し上げ、私の質疑を終わります。
○近藤忠孝君 最初に、刑事局長にお伺いしますが、F4Eファントム採用に関して松野氏に五億円贈られた、これが松野氏の方から要求したものだという点につきまして、これは五十四年四月二十三日付海部八郎の検面調書、そこに書いてあります。第一回は、昭和四十三年五月末ごろ松野先生を訪ねた際、実は同先生からお金の要求をされたのですと。第二回目は、四十四年十二月末近く要求があったと。これは選挙用の軍資金として別途五千万円の調達を要求された。それから三回目は、四十五年に再び松野先生から二億円の要求があったというふうに記載されております。海部八郎がこの検面調書でこのように述べているという事実については間違いないでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 調書の上でそういう趣旨の供述があったことはそのとおりでございます。
○近藤忠孝君 さらに、その趣旨及び海部が松野氏に依頼した内容につきましては、五十四年五月十三日、同じく検面調書に載せられておりますが、内容は省略しますけれども、その事実は間違いないでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 供述者である海部氏が自分の考えていたことを述べたこと、それはそのとおり記録されていると思います。
○近藤忠孝君 それから先ほど来問題になっておりますE2Cについての密約、いわゆる海部メモでありますが、刑事局長は、犯罪の成立がない以上、だれがどのように関与したのかを述べることは妥当でないというので中身を述べません。しかし、いま問題になっておりますのは、これは松野氏が実際偽証をしたかどうか。となりますと、まさにこれは刑事事件です。ですから私は、述べる必要があろうと、こう思います。
 そこで、お伺いいたしますが、E2Cの対日売り込みが成功した場合に、日商岩井などに契約額の一・五%の報酬を出す、これが第一項ですが、さらに第二項は、カーンと川部、こういう契約につきましてここでお伺いしたいのは、この契約第一項の一・五%によって報酬を受ける政治家がおったかどうか。この点はお答えできると思うんです。どうでしょう。
○政府委員(前田宏君) まあ政治家と申しますか、日本の政府高官と言うのか、いろいろ言い方があろうかと思いますけれども、そういう話が一応あっただろうということは言えるのじゃないかと思います。
○近藤忠孝君 そういたしますと、いまの問題は、別の資料から明らかにこれは松野氏であることがわかります。それから先ほど私が引用いたしましたこの二つの調書によって、松野氏の五億円に関する偽証の事実、これは五億円をもらったという事実、それから要求したと、しかも三回にわたって要求をしたわけです。一回は政治資金ということまで言っておるわけです。となりますと、これは明らかに偽証の犯意もあって偽証したということがもう明々白々であります。
 そこで、当委員会で松野氏を偽証告発するように要求するものであります。お諮りいただきたいと思います。
○委員長(上田稔君) ただいまの近藤君提出の動議につきましては、後刻理事会で協議をいたします。
○近藤忠孝君 また、これも刑事局長でありますが、十月三十日のロッキード裁判小佐野ルートの公判で、リチャード・ダナー氏の供述書などによって、検察庁は、浜田幸一前代議士がバカラ賭博で百五十万ドル負けたこと、それから第二点として、小佐野賢治がこれを三十万ドル値引きさせて四回に分割返済したことを立証いたしました。この事実は、弁護側が同じくダナー氏らの宣誓供述書によって反証をされたということですが、実際はいま指摘した二点については否定されておりません。かえってこの二点は動かしがたい事実になったと、こう理解しておるんですが、どうでしょう。
○政府委員(前田宏君) 御指摘の点は、いまも御引用になりましたように、検察官側は検察官側として立証をし、弁護人側は弁護人側として反証をしているということでございます。それがどのような結果になるかと申しますか、裁判でどのような認定になるかというのはこれからの問題であると、かように考えます。
○近藤忠孝君 それはまあ裁判所であって、検察庁が反証があったから動揺したとかというんじゃこれは困るわけですね。私はいま検察庁の認識、これを聞いておるんです。検察庁としては、このいわゆる反証という証拠があったけれども、中身を見てみれば、結局いま申し上げた二点についてはこれはむしろ実質的に認めているわけで、むしろこれは自信を持ったんだろう、こう聞いておるんです。
○政府委員(前田宏君) 検察官側といたしましては、冒頭陳述で主張した事実をそれなりの証拠によって立証すべき立場にあるわけでございますので、それなりの立証を尽くしたものと考えていると思います。
○近藤忠孝君 このリチャード・ダナーという人、一躍名前が出てまいったんですが、この人は賭博の舞台となったラスベガス・サンズホテルの社長でありまして、これは浜田ばくち問題が起きた当時の同ホテルの総支配人であったわけであります。この経歴についてでありますが、このダナー氏は元FBI捜査員で、ニクソン元大統領と大変親しい関係にあった人であるということ、それからニクソンの弁護士時代及び下院時代からのつき合いでありまして、二回の大統領選挙でニクソン陣営の中核として働いた事実、さらに、一九六八年、ニクソン大統領から、ラスベガスでホテルとカジノを所有するハワード・ヒューズ、これはその道では大変有名な人です。このハワード・ヒューズ系の組織より政治資金を獲得することを命ぜられて、翌年二月ラスベガスに移住してここで活動していた人物であると私たちは理解しておるんですが、そう理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(前田宏君) ただいまお述べになりましたようなことが、まあ言われておると言うと失礼でございますが、いろいろと書かれておったりすることは承知しておりますけれども、捜査の過程におきましては、いわば立証事実とは直接関係のないことでございますので、その点まで確認していないと思います。
○近藤忠孝君 これは検察側でむしろ証人申請して、東京地裁では一度証人として採用決定されている人物であります。となれば、いま私が述べた程度の事実、これは実際アメリカの上院の大統領選挙資金調査特別委員会の調査の中にもはっきり出ておることでありまして、かなりこれは知られている事実であります。そういう事実を私は検察庁ないしは法務省が知らぬはずないと、こう思うんですが、どうでしょう。
○政府委員(前田宏君) でございますから、先ほども、そういうことがいろいろ書かれておったりすることは承知しておりますがというふうに申したつもりでございます。
○近藤忠孝君 となりますと、それを前提に私は次の質問を進めたいと思います。
 私は、ことし九月アメリカに参りましてこの問題を調査してまいりました。特に、これは大統領選挙資金調査特別委員会の記録でありますが、この中で、ダナー氏は証言いたしまして、ヒューズからニクソンに対する献金を五万ドルずつ二回、第一回目は一九六九年七、八月、第二回目は一九七〇年七月、二回渡したことを証言で述べておるわけであります。これはアメリカでは企業献金が禁止されておりまして、個人献金もウオーターゲート事件後に一人一千ドルと制限されて、前はもっと少なかった。こういうアメリカで十万ドルという献金、しかもこれは証言の中で明らかになっておりますが、裏金であり、さらにカジノからの現金という異例のものであるとしてアメリカの上院では徹底的に調べた問題でありますが、こういう事実は御承知でしょうか。
○政府委員(前田宏君) 先ほども申し上げましたように、起訴をし、公訴維持をしております事件とは直接関係のないことであるというふうに理解しております。
○近藤忠孝君 理解しているから、中身は知らぬというんですか。実際こういうはっきりした記録もありまして、繰り返し繰り返し追及されておるんです。この事実を知らぬということですか、どうですか。
○政府委員(前田宏君) まあ知っているか知っていないかということよりも、検察当局の立場としては、そういうことは知っておったとしても直接意味のないことではないかと、こういうことを申したわけでございます。
○近藤忠孝君 となりますと、この中にもうたっぷり書いておりますので、法務大臣、これはきわめて大事なことでありますので、ひとつ関係のところで十分にこれは検討されるように私は要望したいと思うんです。
 私は九月にラスベガスへも参りました。それから関係のカジノ、それからホテル、それから税務署まで行ってまいりました。ラスベガスの税務署まで行った国会議員は私が初めてだそうでありますけれども、そこで調べました結果、ダナー氏はニクソンの期待にこたえましてサンズホテルの社長におさまっているんです。その後も密接な関係を続けておるわけでありまして、サンズホテルには、カジノの上がりが、まさにニクソンが期待しダナー氏に命じたように、ニクソン大統領への政治献金として流れるキックバックルートが存在しておったと、こう考えるのが私は自然だと思うんです。小佐野賢治がラスベガスへしばしば行くようになったこともこれは有名な事実でありますが、それは大体一九七〇年ごろ、先ほどの二回目の政治献金があった時期でありまして、百五十万ドル負けた浜田賭博事件は、その少し後の七二年十月であります。
 ところで、これは四月十四日の衆議院航空機特別委員会におきまして前田刑事局長は、小佐野が浜田に肩がわりした四億五千万円と、ロッキード社が小佐野分として児玉に支払った五億円とのつながりにつきまして、これは否定しないと、また検討すべきものと、こう答弁されましたが、その結果はどうでしょう。
○政府委員(前田宏君) どのような表現でお答えしたか正確に覚えておりませんけれども、たしかそういうようなお尋ねがありまして、そういう見方も場合によってはあるのかなという程度のお答えをしたような記憶でございます。
○近藤忠孝君 となりますと、ここで、ロッキードのお金と、それから先ほど来申し上げております、カジノからニクソンのところへお金が行ったという問題がつながってくるわけであります。これはもう刑事局長も十分御承知のとおり、小佐野公判ルートでは浜田氏はうそを言っておりますね。明らかに二十万ドルは自分が払ったという、そんなことはあり得ないということはもう明々白白です。
 そこで、問題は、この浜田氏が一晩で百五十万ドル負けたという事実、検察庁は果たして本当にそう考えているかどうかは別ですが、やっぱりこれはどうもおかしいと思うんです。第一は、浜田氏は、これは公然と言われておりますように、ある意味ではプロギャンブラー、いわばばくちの専門家です。それから二番目には、これはアラブの王様なら別ですけれども、この返済というのはまさに身に余る大金です、四億五千万円というのは。それから小佐野賢治は、これは検察庁が調べておる当時一緒にラスベガスへ行った人々などの供述によりましても、むしろ問題のその晩は小佐野賢治がバカラをやろうじゃないかということを持ちかけておるんです。けちと言われる小佐野が最初から百五十万ドル、これを保証しているというこういう事実であります。ロッキード事件との金のつながりがここで出てまいる。やっぱりここで裏金にするための工作が浜田幸一氏のこの四億五千万円のばくちであると、これを否定する根拠もないと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(前田宏君) お尋ねのような問題は、ことしの五月ごろでございましたか、共産党の神谷委員からだったかと思いますけれども、お尋ねがあったように記憶しております。その際も申し上げたと思いますけれども、検察庁が捜査をした過程におきまして、そういうような徴候といいますか、認められるような事実はなかったというふうに理解しておるということを申し上げたように思うわけでございますし、一方、いま御指摘の浜田氏が絡んでおります問題、これはその後冒頭陳述の補充訂正という形で行われてきたわけでございますけれども、その冒頭陳述の補充訂正で検察官側が主張しておりますように、検察官側といたしましては、そういう事実があり、その最後の返済として問題の二十万ドルがホテルの方に支払われたと、こういう主張をしておるわけでございますから、いまの何か裏金づくりの工作でございますか、そういうことになりますと、その主張とは矛盾することになるわけでございます。
○近藤忠孝君 いま答えた五月十四日の神谷質問に対するあなたの答弁、もう一度記録を読んでほしいと思うんです。あなたは、なるほどそういう見方もあり得ないことではないと、別に否定してないんですよ。いまは否定した気持ちになっておるかもしれませんけれども、否定しておりません。
 それから浜田氏は、これは検察庁の認識と違う点ではっきりしておるのは、要するに二十万ドル自分で払ったというのは、これはもう明らかにうそですね。こういう大事な点について事実と相違することを言っておる。となりますと、この裏金の問題もやはりそれは本当にここで疑ってかからなければいかぬ問題だと思うんです。ですから、なるほどそういう見方もあり得ないことではないということを、さらに私は具体的な資料、しかもアメリカにまで渡って実際仕入れてきた資料を提供しておるのですから、ひとつこれをさらに追及されるように求めたいと思うんです。
 そこで、この賭博事件の約一カ月前の九月一日、これが有名なハワイでの田中・ニクソン会談が行われた日であります。ここでニクソンから、ロッキードのトライスターにしてもらうとありがたいと言われたと田中角榮は小佐野に語っている。これは冒陳です。となりますと、この事実からはっきりわかることは、ロッキード社にとりましては、日本へのロッキードの飛行機の売り込みはニクソンが最大の功労者ということになります。田中角榮、小佐野賢治には各五億円、児玉譽士夫には十数億円の金が渡っておりますのに、一番の功労者のニクソンに金が渡らないはずはないんです。アメリカでは企業献金が禁止されて、個人献金にも制限があります。そこで、ラスベガスで裏金にしてニクソンヘの献金にする役割りを演じたのが浜田ばくち事件であると、私はこの推理は十分に成り立つことであると思うんです。
 そこで、さらにこれは具体的に私は資料を提供したいと思うんです。大統領選挙資金調査特別委員会の次席調査官で、ダナー氏を直接大変綿密に長時間にわたって尋問したテリー・レンズナーという人に私は会ってまいりました。その証言を得たわけであります。それによりますと、ダナーが直接ホワイトハウスに現金を運んだと考えられる。それから第二点は、二回目の五万ドルの献金は、ラスベガスのシルバー・スリッパー・カジノで、「シルバー・スリッパーより」と書かれた包み紙に包まれた百万ドル札の包み十個がダナーに渡された。三点として、カジノの金がニクソンに行ったのはわれわれの結論だと。これは上院です。上院の委員会で、カジノの金がニクソンに行ったのはわれわれの結論だと、こう証言しております。小佐野が支払った百二十万ドル、あるいはその一部がダナーを通じてニクソンへの政治献金に流れていった可能性を私は否定する根拠はないと、こう思います。この点についてどうお考えか、また、これをひとつ追及してみる、こういう意思はおありか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(前田宏君) 先ほど今年五月ごろの委員会での御質疑、また御答弁につきまして御引用があったわけですが、私としては、そう積極的に肯定をしたつもりでお答えしたような記憶はないわけでございます。そういうようなお話がございましたので、それを頭から否定するのもいかがかというような気持ちで、そういうこともあろうかなというふうに拝聴しておったというような言葉を使ったように思うわけでございますので、そのように御理解をいただきたいわけでございますし、そのことがありましたので、もちろんいまのような気持ちから、帰りまして、検察当局の方にもそういうことが当時考えられたかどうかということも聞いてみたわけでございますけれども、当日お答えいたしましたように、事件の捜査の過程においてそういうことはなかったし、そういうことは考えにくいのじゃないかというふうに聞いておるわけでございます。
○近藤忠孝君 その事実を可能性がきわめて強いとして放置しておったら大変な話ですね。それからいまの答弁でも、そういうことは考えづらいということでありますけれども、それはこういう資料がない段階での話です。私は、こういう資料を提供しておるんですから、これはぜひともこれからもこの点についての調査を進めてほしいと思うんです。
 さらに指摘をしたいのは、レンズナー氏はこう言っておるんです。疑う余地のないことは、ダナーがニクソン政権との間にヒューズの仲介者であったということ。ヒューズがニクソンと連絡をとりたいときは、いつもダナーがワシントンヘやってきてニクソン関係者といろいろのところで会ったと証言しているのであります。ヒューズというのは、人も知るラスベガスをいわば支配している人であります。そしてさらに、ここが大事なんですが、外国人の金はラスベガスではカジノをやっても報告されないというんです。勝っても負けても別に置いて、裏金となりやすいと述べたんです。私自身も、税務署当局などに参りまして調査しましたけれども、この点について確信を持って帰ってまいったわけであります。ロッキードの金が小佐野、浜田氏らの手によってニクソンに還流したという事実は、その可能性が大変強いということを私は再度指摘したいと思います。となりますと、事は、日本の首相とアメリカの大統領にかかわるこれは国際的な大疑獄事件の様相を呈してきたと思うんです。
 そこで、奥野さんに私は要求したいんですが、これほどの疑惑が具体的に存在しながら十分な捜査がなされていない。いまの刑事局長の答弁からはっきりしています。ですから、捜査当局はこのアメリカの特別委員会の資料をもっともっと勉強をし、もっと徹底的にこの問題を解明し、そしてダナー、小佐野、浜田、こういう人々からもう一度この事実をお聞きになる、こういうお気持ちはないか。いかがでしょう。
○国務大臣(奥野誠亮君) 捜査に関します問題は、検察庁を信頼しておりますし、検察庁に対しまして、その信ずるところに向かって最善を尽くさせたいと思います。いまの話もそのとおり伝えていきたいと思います。
○近藤忠孝君 これは委員会に要求いたします。いまの私の指摘でも、やはり浜田幸一氏が大変矛盾ある行動、また発言がございます。それから浜田幸一、小佐野賢治は、これは証言が違ってくるわけですから、ですから、この両名を証人として喚問することを要求いたします。
 そこで、次に四十八年十二月十日付島田メモについてお伺いいたします。この島田メモというのは、すでに衆議院の予算委員会におきましてもわが党の正森成二議員が指摘をした問題でありますが、内容は、XX、これは久保ですが、に五十万ドル、総理に一社成功の場合百万ドル、そういう約束があったと書かれておるんです。前田刑事局長は、正森氏の指摘に対して、金の解明について不明確な点は認めながらも、政界に金が流れたことを含めて犯罪の疑いがないということで追及しないということなんですが、これは私はぜひとも具体的に刑事局長にお聞きしたいんです。この海部メモには実際海部の署名があるんです、海部承認と。この事実はお認めになりますか。
○政府委員(前田宏君) 存じております。
 いま海部メモとおっしゃいましたけれど、むしろ島田メモというものではないかと思いますが、その点は、この前正森委員にもお答えしたところでございまして、この関係の金の流れの中で、島田氏が亡くなったこともあってよくわからぬ点があることは、これはもう争いのないことでございますので、その点も申し上げましたけれども、それはそれといたしまして、このメモにあるような金の動きはなかったというふうに考えられるわけでございます。日商岩井事件の判決によりましても、この島田メモにつきまして、御本人はおられないわけでございますけれども、山村氏が島田氏に確かめた際に、そういうことはないんだということを答えたということが一部引用されておったように思います。逆に、田中元総理に何か金をやるとかやったとかいうようなことは判決の上でも出ていないと、かように理解しております。
○近藤忠孝君 海部メモと言ったのは島田メモに直してください。
 いまは二十五万ドルの金銭の行方の問題についての否定的な発言だと思うんですが、ただ、はっきりしていることは、ここに総理に百万ドル贈る約束がもうあって、それはその債務が発生したという御指摘です。これを海部氏が承認したという事実は、いま挙げました山村氏並びに松尾達也、いずれも日商の財政関係者ですが、彼らの供述調書によっても明らかであります。となりますと、この百万ドルを総理に献金するその約束があった事実まで否定しないでしょう。
○政府委員(前田宏君) こういうメモがあったことは事実だろうと思いますが、内容についてまでははっきりしないわけでございます。
○近藤忠孝君 内容がはっきりしないということは、百万ドルを贈るという約束があったかどうかもわからないという意味でしょうか。しかし、これは実際このメモに基づいて送金もなされ、そうして支払いもされているわけですね。特に、第一項の久保、伊大知などはされているわけですよ。そうなれば当然第二項も約束があった。しかも、海部もこれは承認ということで認めておる。そこまで否定する趣旨はないわけでしょう。
○政府委員(前田宏君) このメモがどういう目的といいますか、意図でつくられたかということ自体がやや不明確というか問題でございまして、そういうことからも、いま御指摘のように、一部が事実のように見えるから全部そうじゃないかと言われましても、そのようには直ちにいかないのじゃないか、かように考えます。
○委員長(上田稔君) 近藤君、あと一分です。
○近藤忠孝君 少なくとも中身に事実の部分があるということはお認めになったんですが、私はこれはかなり真実のものだと思うんです。となりますと、島田メモというのは、かなり実態に即したものであると思うんです。
 そこで、これはボーイングに関するメモでありますが、これは島田メモというのがグラマン社の関係でも存在すると思うんですが、どうでしょう。
○政府委員(前田宏君) ちょっと思い当たることがないわけでございます。
○近藤忠孝君 それは、全然そういうものはアメリカから司法共助によっても入っていない、あるいは国内でも入っていないと、そういう趣旨なのか、あるいは無視しておるのか。もっと端的に言いましょう。それは五通あると私は思うんですが、もしそういう点が新たな指摘とすれば、そういう点を調べてみるお気持ちはありましょうか。
○政府委員(前田宏君) 再々申しておりますように、いわゆる司法取り決めによっていろいろな資料を入手しておりまして、その詳細一々まで私承知してないものでございますから、明快なお答えができないわけでございます。
○近藤忠孝君 それでは、もう時間が来ましたのでやめますけれども、結局、これは島田氏が自殺してしまったところに、それ以上追及しないという一番の問題があると思います。しかし、この島田氏の場合も、それから田中角榮の運転手の場合も、捜査の伸びていく線上の人が自殺しておるんですね。だから、これは半谷裁判長も判決の際、この種の事件では、うみを出している切り口だけじゃなくて背後の腐敗の実態をえぐり出すことが必要だと、まさに裁判官が怒りの言葉を述べたのも、こういうことをお考えになってのことだと私は思うんです。そうなりますと、私がきょう指摘しましたのはまだまだほんの一部です。これからもますます疑惑を追及していくことを、当委員会で進めていくことを委員長にも求めまして、私の発言を終わります。
○三治重信君 昨年の二月にわれわれ航特委の派米調査団で行って、その後、昨年集中審議も行われ、いろいろ質疑をしたんですが、その関連で二、三残っていると申しますか、の関連の問題を質問をしたいと思うわけなんです。ことにきょうは運輸省も防衛庁も大臣の御都合が悪いために意思決定の問題については質問できぬのは残念なんですけれども、前の質問との関連で二、三お尋ねしたいと思うんです。
 初めに、運輸省の関係についてお尋ねします。この参議院の昨年の集中審議のときに、森山大臣に質問をして、調査をし、また対処の仕方も考えてみますと、こういう答弁になっているんです。その中身は、当時運輸省の輸入したガルフストリームの手数料の問題で、住友商事が運輸省から七百万円、またグラマンからも三十万ドルの手数料が支払われた。両方から手数料を取っている。こういうのは少しおかしいじゃないかということからこの手数料の問題が発展をし、われわれはアメリカの各社で調査をし質問をしたわけなんですが、そのときに、いずれも日本の各社が輸入した航空機について、ダグラスもボーイング社も、三井物産、日商岩井にその売上機数に応じて商社の代理店に手数料を払っておる。こういう事実がわかって帰ってきたわけなんですが、いろいろな質問の中で、日本航空は、われわれはダグラス社でもボーイング社でも、DC10でもボーイング747でも、輸入するには全部航空機製造会社と直取引をやっているので、商社は通じていないから商社の関係は一切ないんだと、こういうことを社長以下非常に強く主張されたわけなんです。しかし、それじゃ日航が輸入したDC10やボーイング747は、輸入に関して日航は相当な人と経費を使って契約して輸入をしていながら、商社の方はただもうけじゃないかと、こういうことが問題になって質問したわけなんです。
 それに対して、いろいろそういう商慣習といいますか、またはそういう輸入代理店に対する手数料の支払いは、輸入商社が代理店を使う使わぬにかかわらず払うような商慣習になっているのかどうか一応調べてほしいと、こういうようなことであったわけですが、おわかりのことと思うんですが、それについて運輸省のその後の検討の結果をひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
○政府委員(松本操君) ただいま先生おっしゃいましたように、日本航空におきましては、航空機の輸入に当たりまして、初期のころは商社を輸入代理店として使っておったようでございますが、昭和三十年代ごろからいろいろと細かなノーハウとでも申しましょうか、そういうことがわかってきたことにつれまして、メーカーと直接契約をする、こういうことにしておるわけです。そのために、もちろん所要の組織なり人数なりを現地にも置いておる。これは一体どういうことかということで、私どももさらにいろいろ突っ込んで話を聞いたわけでございますけれども、やはり実際に使う側にとって、細かな仕様書の設定でございますとか、あるいは細かな性能上の質問をして確認していくとかいうふうな場合に、間に中間的なものが入って議論を詰めるよりも、直接自分のところのエンジニアなりパイロットなりが話を詰める方が非常にわかりやすい、また、きめ細かな詰めができるというふうなことから、これに踏み切ってすでに相当期間たっておりますのでかなり定着した制度になっておる、こういうことのようでございます。これはこれなりに合理的な考え方であろうかと思いますので、私どもこれをにわかにどうしろと言う立場にはないわけでございます。
 それに対して、しからば商社の方は一体どういうことになっておるのかと申しますと、これは必ずしも私どもの方で十二分の調査というところまではいきかねる面もございますが、一般的に言って、これらの商社あるいは代理店といったようなものは、メーカーの立場を仮に本社といたしますと、支社というたとえがいいかどうかわかりませんが、そういったような感覚でとらえるというのがわりあいに商習慣になじんだとらえ方ではないのだろうか。たとえばアジア地区の支店があると、こういうふうにメーカーの方では考えている。したがって、その広いエリアの中におきます販売活動でございますとか、あるいは情報の収集でございますとか、そういったようなものについては常日ごろからいろいろと援助を受けるようでございます。
 このことは、いま御指摘のございましたことに関連しまして、私どもの方が日航に指示をし、日航の方から直接ダグラス、ボーイングに対して手紙を出して、一体どういうことになっているのだということを確認いたさせましたときの両メーカー異口同音の返事でございますけれども、日航は、直接取引をしておるので、これらの商社を自分は使ったことは全くないと。全くないが、しかし、いま私がちょっと触れましたように、地域の情報の収集その他もろもろの面で商社にアシスタントを受けておるし、それからまた日航以外のユーザーの場合には、これらを介して、あるいはこれらの直接的な援助を受けて航空機を売ることもある。したがって、日航に売れた売れないということとは無関係に、当該管轄地域において飛行機が売れた場合、それなりのコミッションというものを払うんですと、これは日航とメーカーとの間には全く関係のない話でございます、こういうふうなことでございました。
 これがよしあしの点につきましては、私、にわかに判断する立場にございませんけれども、いろいろと聞いてみました範囲におきまして、いま御返答申し上げましたようなことがかなり確立された商習慣というふうな形で行われておるのではないだろうか。したがって、直接取引をいたしたからといって特段に安く買えるというふうなものでは必ずしもない、それほど単純なものではないというのが、メーカーとこれら代理店との間の仕組みと申しましょうか、関連性と申しましょうか、そういうことのように思います。
○三治重信君 非常にわかりやすい御説明で、またそれは調査されておるので、これは商慣習ということで承知するわけなんですが、そこから問題が、何と申しますか、いまから防衛庁に御質問しますこの航空機の輸入の問題について、ひとつ注意をしながら今後商社活動について勉強してもらいたいと思うわけです。と申しますのは、直接取引をやるかとか言ってみても、結局商社の方は自分のところで代理店をつくって各国にいわゆるアンテナを張らしてやっている。そうすると、その売れた機種によって販売手数料をもらえるわけだから、どうしてもそれを売るようにいろいろと、またこれは日航も全日空も東亜航空、さらには防衛庁にも、新しい航空機を買おう、こういうような動きが出ると、代理店の商社は、それを買ってくれれば、直接取引だろうが何だろうが売れればこれは必然的に手数料をもらえる、こういうことで商社活動というものや代理店活動が非常に活発に行われ、それがいわゆる日商岩井のものすごい何と申しますか政治家を使っての活動と、こういうことから汚職問題に発展をするんじゃないかと思うわけなんです。日航は、まあ半官ですけれども、直接取引で商社とは関係ないという慣習をつくったわけです。
 しかし、いま御説明でわかったように、また商社の方をこれはとめるとかなんとかということは、日航においても日本政府においてもできるものじゃない。いわゆるアメリカの世界的な航空会社が各国に航空機を売るために販売代理店を置く、これはもう商売上正当なことだ。ただ、それをいろいろの情報や宣伝を使って売らせるということにおいては間違いないわけだから、非常なアンテナを張られる、こういうことだろうと思うんです。
 そういうことから航特の問題が出てきているわけなんですが、それでいろいろ問題が出た結果、去年、まだ疑惑中のものだから予算の執行を待てというようなことや、それじゃ遅くなってとてもじゃないが防衛に差し支えると、こういうことから最後は議長に一任ということで切り離してE2Cの契約をされたと思うんですが、その契約した時期や、それからあの当時は非常に急がれたわけですが、それが予定どおりいつ入ってきて、E2Cによる早期警戒体制が万全を期してやっていけるというふうないきさつについて、ごく簡単にひとつその後どうなっているか御説明願いたいと思います。
○政府委員(和田裕君) お答え申し上げます。
 御質問のE2Cでございますが、先生御存じのとおり、五十四年度に四機をFMSによりまして契約いたしまして、この契約年月日は五十四年九月四日でございます。これは国会の御配慮によりまして米軍との一括発注に間に合わさせていただきまして、それによりまして当初の予定どおりに入ってくるということでございます。すなわち、五十七年度に二機、それから五十八年度に二機それぞれ取得をする、こういう予定でございます。
 それから契約額は、これは予算の額と同じでございますが、三百四十三億円、単価は、これは御質問ありましたかどうかわかりませんが、八十六億円でございます。
○三治重信君 これが大体当時国会で言われたとおり、いま向こうの方は製造に入り、そして見通しがいわゆる五十七年、五十八年に二機ずつ入るということについては間違いないわけだろうと思うんですが、その他そのときに問題になっていた、いわゆる防衛庁がアメリカへ発注した防衛用の装備などでも部品の引き渡しやなんかが相当おくれているものがあるようなことがあったわけですが、これはちょっと質問を通知していなかったことですけれども、関連で。いま、そういう注文の装備については納入がおくれているとかいうような問題がなくてスムーズにいっているのか、そういう問題についての、細かいことはいいんですが、発注してそれが輸入されているのか。また、そういう問題について、直取引とそれから商社を使っての輸入、当時は部品とかなんかというのは数や種類も多いから商社を使うというような回答だったと思うんですが、細かいことはいいんですが、そういうようなものの大体の契約やら輸入の動向がどうなっているかということをお伺いします。
○政府委員(和田裕君) 御質問の点は、その部品等につきましてFMSによりがたいものもあったということを当時答弁しておったので、その後どうかと、こういう御趣旨だと思いますが、確かに、一般論で申し上げますと、補用部品等非常に細かいものに分かれまして、かつ長期に非常に数も多いものを入れるということで、どうしてもコマーシャルによらざるを得ない場合もございますけれども、五十四年度で契約したものにつきましては、これはただいま御質問の部品等につきましてもFMSで輸入している、それからまた当初の計画どおり一応円滑に取得する見込みでございます。
○三治重信君 そうすると、そのときの答弁といいますか、山下大臣なんですが、このときに私が問題にしたのは、FMS方式の輸入、いわゆる向こうの国防省を使っての直接取引と、こういうことで疑惑を解くし、また、ことにE2Cは電子兵器に属しておって秘密の部面が非常にあるからFMS方式の契約に一番適しているんだと、こういういわゆる秘密保持の部分が多いからFMS方式が一番適しているんだと。しかし、全部が全部FMS方式で今後やるということではない、ケース・バイ・ケースで総合的に長所、短所をにらんで防衛庁の輸入問題を対処していくと、こういうような答弁になっているわけなんです。そうすると、今度新しく輸送機のC130なんかも、今後新しい機種を輸入したり新しい装備を輸入するということも予算の要求の中に入っているようなんですが、まだそれは予算が決まってからだという答弁になるかもわかりませんが、しかし、それと一応切り離して、FMS方式というものと、いままでのいわゆる商社を使っての方式と、利害得失といいますか、実際の事務手続は大体なれたというのか、うまくいくか。また、そういうE2Cのような特別な秘密の部面が多い兵器と申しますか、航空機以外のものはまた商社を使う方式が考えられるということかどうか。その点をひとつ、事務当局だからちょっと答弁しにくい問題であるかと思うんですが。
 と申しますのは、これは当時アメリカの国家安全保障援助及び武器輸出管理法が、七六年度制定のものがまた七八年に改正されて、日本とニュージーランドとオーストラリアはこういう政府間取引でなくてもいい武器輸出の対象国になった。いわゆる格上げされた、NATOと同格になったわけなんだから、その点についての態度というものを聞いたわけですが、その点、検討してなければそれでいいわけですけれども、大臣がいないのだから。しかし、そこまで質問する予定でおったわけで、一応御答弁を願います。
○政府委員(和田裕君) いまの御質問、三点あったかと思いますが、先生の御質問の順番に従ってお答えしたいと思います。
 まず第一に、五十六年度概算要求に私どもの防衛庁案ということで入れておりますC130でございますが、これにつきましては、概算要求上はFMS価格で計上をしてございます。したがいまして、まさに先生おっしゃったとおり、予算、これから国会にかかって決まる、その後で正式に決まるという性質のものかもしれませんけれども、私どもといたしましては一応FMSを考えている、こういう状態でございます。
 その次に、FMSと商社輸入とのいろいろメリット、デメリットが率直に言ってあるのではないか、こういう御質問かと思いますが、まさにそのとおりでございまして、片やFMSの方は、先生御指摘のとおり、秘の物件等につきましてはこれはFMSでなければいけないということを米軍によって指定したものがございます。これにつきましては必然的にFMSによらざるを得ない。それからまた、メリットといたしましては、FMSの場合には、私どもからかねて米国防総省に対しまして商社のコミッションを決してその中に入れてもらっては困るということを申し入れ済みでございまして、米国防総省もそれを受けて、そのようにいたしますということを確約しておりますので、仮に日本に米国のメーカーの販売店があり、あるいは日本をカバーするようなそういう代理店がある場合にも、そういったコミッションというものは入ってこないシステムになっている。それによって、不正が起こる余地もなく、また金額的にも上乗せされることはないということが確保される、これが非常に大きなメリットだと考えています。その他、米軍から直接に要員の教育を受けるとか、技術上の支援を受けるとか、そういうふうに米軍との非常に密接な連携のもとに調達するようなものにつきましては、FMSの方がなじみやすい場合等もございます。
 というようなことで、FMSについてのメリットも幾つかございます反面、またFMSについても欠点もございます。と申しますのは、FMSというのは、いわゆる普通の意味での契約ではございませんで、先生まさに御指摘のように、アメリカの武器輸出管理法という法律に基づきまして、いわば援助というような位置づけを与えられているものでございます、われわれも有償援助と呼んでおりますけれども。したがいまして、たとえばデリバリーのそのタイム、何といいますか、引き渡しの時期というものについては、これは約束ができないというのが原則でございます。もちろんわれわれとしては、大体この時期までに引き渡してくれということをお願いし、向こうもそれに協力的ではございますけれども、いわゆる普通の商取引の場合のように引き渡し時期というのが確定されません。それが大変なデメリットでございます。
 それからまた、原則は全額契約時に払い込みをするという、これもまたきわめて一方的――一方的と言うとやや言葉が過ぎますけれども、かなり厳しい条件が、厳しいというふうに見られるような条件がついておりまして、そこらにつきましてはいろいろ私どもも、若干のそれを緩めるような規定もございますので、それを十二分に活用させていただきまして、実際には全額頭金を払うというような場合をなるべく少なくしておるような運用をさせていただいておりますけれども、原則はいま言ったようなことになっておるというようなことでございますし、その他、援助という性格からいたしまして、普通の商取引に比べますと、必ずしも対等者間の契約というものとはやや性格を異にしている面がございます。それはそのとおりなんでございます。
 片や、商社の方につきましては、これはここで私が云々するよりも、先生方よく御存じかと思いますが、やはり何といっても商社の場合にはいろいろな機動性もありますし、それから情報提供能力等にもすぐれておりますし、そういった面がございます反面、確かに商社の場合には商売熱心の余りいろいろ売り込み活動が場合によりますと度を超しまして、それがいろいろ問題を起こす種になりかねない場合もある、あるいは問題を起こした場合もあると申し上げた方がいいのかもしれませんけれども、そういうようなこともあるかと思います。
 いずれにいたしましても、防衛庁といたしましては、以上挙げましたような、あるいは若干細かい点漏らしたようなこともあるかもしれませんけれども、以上申し上げましたような長所、短所を総合的に勘案いたしまして基本的には契約の方式を決定しているわけではございますけれども、いろいろ国会で御関心を引くような非常に大きな調達の品目、特に航空機とかそういった大口の調達につきましては、やはり国民の税金を最も効率的にかつ公正に疑惑の余地のないように使うと、こういう観点もございまして、FMSを非常に重視して、これまで御存じのとおりF15、P3C、それからE2C、それからいまおっしゃいましたように、一応の私どもの予定といたしましては、C130といったようなものにつきましてはFMSを利用させていただきたいと、こういう状況でございます。
 最後に、第三点の御質問でございます。先生の御指摘のとおりでございまして、実は七八年でございますか、日本とアメリカとの間では、日本をNATO並みといいますか、FMSの上ではオーストラリア、ニュージーランドと並んで、金額の制限なしにコマーシャルとFMSを自由に選ぶことができると、こういう地位になったわけでございます。それによりまして、いわば理論的にはコマーシャルの方がいろいろな面で有利な場合にはコマーシャルを選ぶことができるという選択上の自由を得たという意味で、明らかにこれは改善ではないかというふうに考えておりますけれども、いま申し上げましたようないろいろな事情等を考えて実際には処置しているというのが実態でございます。
○委員長(上田稔君) 以上で本日の質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十分散会