第094回国会 大蔵委員会 第13号
昭和五十六年三月三十一日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 三月三十一日
    辞任         補欠選任
     古賀雷四郎君     板垣  正君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         中村 太郎君
    理 事
                衛藤征士郎君
                嶋崎  均君
                藤井 裕久君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                板垣  正君
                岩本 政光君
               大河原太一郎君
                梶木 又三君
                片山 正英君
                河本嘉久蔵君
                古賀雷四郎君
                塚田十一郎君
                野呂田芳成君
                藤井 孝男君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                竹田 四郎君
                対馬 孝且君
                多田 省吾君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
                野末 陳平君
   衆議院議員
       大蔵委員長代理  越智 伊平君
       大蔵委員長代理  沢田  広君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局監察審議
       官        佐々木晴夫君
       外務省経済局長  深田  宏君
       外務省経済局次
       長        羽澄 光彦君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        萱場 英造君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       梅澤 節男君
       大蔵大臣官房審
       議官       垂水 公正君
       大蔵大臣官房審
       議官       吉田 正輝君
       大蔵省主計局次
       長        吉野 良彦君
       大蔵省主計局次
       長        西垣  昭君
       大蔵省主計局次
       長        矢崎 新二君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       大蔵省関税局長  清水  汪君
       国税庁長官    渡部 周治君
       国税庁次長    川崎 昭典君
       国税庁直税部長  小幡 俊介君
       国税庁調査査察
       部長       岸田 俊輔君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       経済企画庁国民
       生活局国民生活
       調査課長     香川  勉君
       外務省北米局外
       務参事官     松田 慶文君
       外務省経済協力
       局政策課長    松浦晃一郎君
       厚生大臣官房統
       計情報部社会統
       計課長      澤井  章君
       労働大臣官房統
       計情報部賃金統
       計課長      浅井 英男君
       日本専売公社総
       務理事      石井 忠順君
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  本日の会議に付した案件
○所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
○昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処
 理の特例に関する法律案(衆議院提出)
○関税暫定措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
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○委員長(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法の一部を改正する法律案、昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案、以上五案を便宜一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○穐山篤君 きのう持ち越しになっていました例の医療会社の問題についてお尋ねをします。
 検査づけあるいは薬づけというふうに医療の荒廃がとみに顕著に最近なっているわけですが、さらにそれの上塗りとも言うべきいわゆる医療会社が設立をされている問題が相当マスコミでも報道されているわけですけれども、これは私ども、医療法の見地に立ちましてももう明らかに脱法行為ではないかというふうに考えますが、まず基本的にこの種のいわゆる医療会社というものを厚生省としては認めるつもりがあるかどうか、統一見解を示していただきたいというふうに思います。
○政府委員(田中明夫君) 有限会社等営利を目的とする法人による医療機関の開設は、厚生有といたしましては従来から一貫してこれを許可しないことになっております。
○穐山篤君 そうしますと、従来から一貫して認めていないということは、今後もその方針には変わりがないというふうに確認してよろしゅうございますか。
○政府委員(田中明夫君) 先生おっしゃるとおり、今後ともそういう営利を目的とする法人による医療帳関の開設は許可しない方針でございます。
○穐山篤君 さてそこで、マスコミにこれほど報道されておりまして、そのまま放置をしておくわけにいかない重大な問題だというふうに思うわけです。そこで当然のことでありますが、この種の問題について厚生省が実態を十分に把握をして世間に明らかにするということも、これから医療行政をまともなものにしていくためには必要なことではないか、その意味で早急に実態を把握をしてもらって、何らかの方法で明らかにすることの方がいいと思いますけれども、その点は準備をされますか。
○政府委員(田中明夫君) いわゆる医療会社が医療機関を開設運営しているという事例があるという先生の御指摘につきましては、その実態の解明に努めたいと存じております。
○穐山篤君 十分に国民の期待にこたえてやってもらいたいと思うんです。
 さて、そこで問題になりますのは、明らかに脱法、違法行為をやっている、こういうことが統一見解として示されたわけですから、現に有限会社を設立をして脱税あるいは節税をしようとしている者については、けしからぬ話ですからしかるべき処理を、処置を厳格にやる必要があると思うんです。少なくとも一定期間の医療行為の停止であるとかあるいは免許の取り消しであるとか、そういう厳しい態度をとらないとますます医療行政がゆがんでしまう、こういうふうに思いますので、われわれとしてはこの際厳重な措置を要求したいと思うんです。その点について厚生省の考え方はどうでしょうか。
○政府委員(田中明夫君) 厚生省といたしましては、医療法上開設届け、保険医療機関の指定、支払い基金に対する診療報酬の請求等がすべて医師個人の名前で行われている場合には、医療機関の実質的な開設運営は当該個人が行っていると判断すべきであると考えております。いわゆる医療会社が実質的に医療機関を開設運営している実体が明らかになった場合には、医療法に照らし厳正に対処してまいりたいというふうに存じております。
○穐山篤君 これこそ厳重、厳正に、厳格に措置をしなければ示しがつかないというふうにわれわれは思うわけです。
 さて、具体的に問題を指摘をしたいと思いますのは、脱法行為ではありますけれども、有限会社を設立をして要員の配置もしかるべく行われている、設備も整っている、そういう有限会社もあろうと思うんですね。実質的に機能しているといいますか、有限会社らしい会社があるのではないかというふうに一面では考えられます。それからもう一つは、ペーパー一枚で有限会社をつくったことにして、脱税なりあるいは節税をしている、こういうケースが考えられるわけです。
 問題は、実質的に有限会社をつくって実務を行っているものについては、先ほど統一見解が示されたわけですから、直ちにもとの通常の医師に戻す、こういうことがなければ統一見解の権威というものはないというふうに思うわけです。そのことを直ちにやってもらえるかどうか。
 それからもう一つは、ペーパー一枚で有限会社をつくっているとするならば、それは間違いであるぞということを明らかに通達をして旧に復さなければならない、こういう手続が必要になると思うんですけれども、その段取りはどういうふうにこれからされようとしますか。
○政府委員(田中明夫君) 実質的にいわゆる医療会社が医療機関を開設運営しているというケースは、実体的には最初は個人立の医療機関として開設の申請等があって、その後実質的にそういういわゆる医療会社が開設運営していくというふうに実体が変わった例であろうかと考えておるわけでございますが、この場合には当然開設者が変わったわけでございますので、法律上、従来の個人立の医療機関につきましては新たに開設届けがなされなければならないというケースであろうかと考えておるわけでございます。したがいまして、そういう正規の手続がなされないでいわゆる医療会社が実質的に医療機関を開設運営しているという場合には、医療法の七条第一項の規定に反することになろうかと思いますので、われわれとしては法律違反ということで告発しなければならないというふうに考えております。
 第二に、御指摘がありましたいわゆるペーパーカンパニーについてでございますが、これにつきましてはすでに医務局長の通知をもちまして、そういうペーパーカンパニーといいますか、営利を目的とする法人による医療施設の開設というのは認められないのであるということを都道府県に通知して指導しておるところでございます。さらに今回の機会に実態を調べまして、必要がある、数県あるいは全国的にまたがってこういうケースが非常にあるということになれば、また改めてしかるべき指導の通知をいたしたいというふうに思っております。
○穐山篤君 いまいみじくも悪質なものについては告発しなければならぬ、こういう決意の表明も含めて御回答がありましたので、私はそれを信頼します。とにかくこういうことが、特に医療関係におきましては次から次と問題が発生しているわけですね。国民の不信をますます深めるばかりでありますので、いまの決意を十分に生かしていただきたい。
 さて、次に大蔵省ですが、いま原則がきちんと明確になりました。したがって税の立場から過去のものについてどうするか。たとえば昭和五十四年三月十五日におきます確定申告、あるいは今月の十五日におきます五十五年度分についての確定申告というものがすでに終わっているわけですが、基本的な考え方とそれから具体的な取り扱いについてどういうふうにされるのか、明確にこの際してもらいたい。
○政府委員(渡部周治君) お答え申し上げます。
 税法の適用に当たりましては、形式のいかんにかかわらずそれぞれの医療会社の実態に即しまして、実質所得者課税の原則に従って適正に対処してまいりたい、このように考えております。その場合の判断に当たりましては、先ほど厚生省の方から御答弁がございましたように、医療法上の開設届け、保険医療機関の指定あるいは支払い基金に対する診療報酬の請求等がすべて医師個人の名前で行われている場合には、医療機関の実質的な開設運営は当該個人が行っていると判断すべきであるというぐあいな御答弁がございました点を重要な参考として判断をいたしてまいりたい、このように考えております。
○穐山篤君 もう一度確認をしますが、いわゆるペーパーだけで有限会社をつくっている、これにつきましては体をなしていないわけですから、これは従前の課税の方式、現行の課税の方式に基づいて行う。仮に実質的に有限会社として現存をしておって機能をしておったとするならば、それは実質課税という立場から徴税を行う、こういうふうに確認をしてよろしゅうございますか。
○政府委員(渡部周治君) 先ほど御答弁申し上げましたように、私どもは形式のいかんにかかわらず、それぞれの医療会社の実態に即しまして、ただいま御指摘のございました実質所得者課税の原則に従って対処してまいるということでございまして、先生の御指摘のとおりに対処してまいりたい、このように存じております。
○対馬孝且君 いまの医師会の医師の会社化の問題がちょっとありましたが、一つだけ医務局長の方に聞いておきます。
 五十三年、私社会労働委員長のときに、多少この問題の質問が委員会で出されたことがあります。はっきりしておきたいことは、丸茂議員が、医務局長の昭和二十八年通達に対して、これは差し支えないんだからと。この問題については一応いわゆる圧力をかけたような読売新聞に相なっておるが、この点だけひとつ明らかにしておきたい。これはなぜそう言うかと申しますと、後で、まず答弁を聞いてから一つだけ申し上げたいと思いますから。
○政府委員(田中明夫君) 私が医務局長になりましてから、この点につきまして丸茂先生からどうこうしろというような話は一遍もございません。
○対馬孝且君 これは医務局長、言っておきますが、北海道の医師会の話し合い、まあ懇談会の中でそういう節の発言をしているということを聞いておりますので、これは北海道だけではなくて、私、東京都でも聞いたという話も聞いておりますから、いずれこれは別な社労委員会を通しましてこの問題を明確に解明ができるように厚生省側としては事実関係をはっきり精査をしていただきたい、これだけ申し上げておきます。よろしゅうございますね、いまの。
 いずれにしましても、きょうをもって増税がらみの法案が上がるわけでありますから、審議を議了する予定になっておりますけれども、まずポイントをしぼって時間もありませんから申し上げますので、ひとつお答えを願いたい、こう思っています。
 一つは、総理府が五十四年の八月、税金問題等についての世論調査を行っています。また、三月七、八日、NHKの「くらしと政治」という中で世論調査を行っておりますが、特に税の問題に関して、暮らしの問題に関してどのようにこれを受けとめていられるか、この点一つまず冒頭お伺いします。
○政府委員(川崎昭典君) まず、総理府の行いました税金に関する世論調査でございますが、これはいろいろな意味で世論調査を総理府の方で行っておるわけでございますけれども、たまたま税金に関する世論調査を行いたいという御希望がございまして、私どもの方もそれはぜひお願いをしたいということで行われたものでございます。
 この中でいろいろ調べられておりますこと、たとえば税金についての関心の問題、あるいは税金の負担感あるいは対処行動、そういったのはすべて信頼のできる調査結果であろうと考えておるものでございます。
 あと一点、所得税課長がテレビに出演いたしまして放送いたしました点は、これは具体的に近く確定申告の時期が参るといった点で、税法の、特に所得税のPRといった意味で出演をいたして解説をしたのでございまして、還付を受けるにはどうすればいいか、あるいは種々の控除はどういう仕組みでどういう申告をすればいいか、そういったことを具体的に対談の形で解説をしたものでございます。
○対馬孝且君 いまお答え願いましたが、受けとめがどうも正しく受けとめられておりませんな。これは総理府の、私の手元に持っておりますが、これは端的な表現で税金に対する負担感ということが出ておりまして、所得税が高いと思うかという問いに対しまして、かなり高いというのが四四%あります。非常に高いというのが一四%ある。そうしますと五八%の方が現在の税金は高い、こういう世論の結果になっております。これは間違いであれば間違いだとはっきり言ってください。私の方にははっきり載っておりますから。それからNHKのあれからいっても、所得税の負担が大幅にふえるから減税を見送るのは反対だということに対しては五一・五%の世論の結果が出ております。これをもってしても、いかにこの税金に対する国民の怒りなり国民の減税の声が求められているか、このことに尽きると思うんでありますが、いかがですか。
○政府委員(川崎昭典君) この調査の結果、国民の意見なり意識としまして、税金が高いというお答えの方のパーセントがずっと高いわけでございますけれども、この調査は信頼はできるものでございますけれども、これはあくまでも意見なり意識の調査でございますから、御本人が高いと考えておるということと、実際に各国の平均なりあるいは日本国民の個人の平均でその方の税金が本当に高いかどうかということはまた別でございまして、こういった世論の動向というものは十分参考にしなければならないものでございますけれども、実情と絶対に一致するというものとも考えていないわけでございます。
○対馬孝且君 大臣、いま担当者からお答えありましたが、素朴に受けとめるものは受けとめて、しかる後に対策をどうするかというのは別問題でありまして、やはり世論は世論ですからこれはやっぱり素直に受けとめて、大蔵省としてはどうするのか、こういうふうにいかないと何かこじつけのような言いわけをしたって庶民感情になじまないんであって、その点いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どっちの言うことも私は本当じゃないかという気がするんです。たとえば世論調査を見ても、約一年間にあなたはどれだけ税金を納めてますか、納めていません四三%、納めてないけれども税金高いと言うのは、みんなが高いと言っているから高いんじゃないか、おれは納めたことないからわからない、そういうものもあるわけですよ。しかし人が高いと言っているから自分は納めてないんだけれども高いんじゃないかとか、それから一万円から五万円未満九%とか、納めている人についてはいろいろそれはあるでしょうけれども、ですから、国税庁次長の言ったこともまるっきりおかしな話ではなくて、そういうことも加味して、要するに意識と実体というものは違うんじゃないかということを言ったんだろうと、私は弁護するわけじゃありませんが、そういう意味でございますから。
○対馬孝且君 いずれにしても、数字はいま大臣もお認めになって、これ不当であるかないかは別として、これは実感なんですから、これをいずれにしても参考にしてこれからの税改正に当たるあるいは税問題を取り上げる、こういう姿勢があっていいんじゃないか、こう思うんですが、大臣、どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは十分参考にいたします。
○対馬孝且君 はい、わかりました。
 それでは、参考にするという大臣の答弁ですから、それでは国民がいわゆる増税と歳出増、歳出減と減税というものをいずれを望んでいるというふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これもむずかしい話ですが、マスコミによると絶対歳出カットだというのが世論ということになっておりますから、私も歳出カットをやりたいと思います。しかし税金を払わないで、もらっている人からすれば歳出カットは余り喜ばないかもわからぬが、これはやっぱり歳出カットで行くべきである、これが世論であります。
○対馬孝且君 簡潔明瞭に歳出カットと、こういうお答えですから、これ以上は申し上げません。
 それではひとつ、きょうは厚生省来ていると思うんでありますが、経済企画庁にひとつ、厚生省の場合昭和五十五年国民生活実態調査が出ております。それから経済企画庁、ことしの五十五年度の結果を踏まえての国民勤労者の生活実態認識というものが出ておりますが、この点について簡潔にひとつ考え方をお伺いします。
○説明員(澤井章君) 御質問の調査は昭和五十四年の所得を調べたものでございますけれども、それによりますと平均所得は三百七十七万六千円、対前年比は五・三%でございまして、五十四年の調査の対前年伸び率六・七%を下回っております。現在の暮らしについての生活意識も前年に比べまして大変苦しいと答えた世帯が広がっているのは事実でございます。ただ所得階層別で見ますと、所得の低い階層ほど所得の伸びは高くて、高齢者世帯の平均所得は年金受給額の増大などがございまして、全国平均より高い伸び率となっておりまして、所得の格差の縮小が見られております。
○説明員(香川勉君) 先般発表されました総理府の家計調査報告書によります最近の国民生活の実態を簡単に申し上げますと、昭和五十五年度の勤労者世帯の実収入は冬日で七・三%伸びましたが、実質ではマイナス〇・六%でございます。これに対して消費支出の方も名目では七・一%伸びましたが、実質ではマイナス〇・八%ということでございます。このように昨年の国民生活は名目では比較的堅調な伸びを示したわけでございますが、物価の上昇率がかなり高かったために実質ではマイナスという状況になったわけでございまして、国民生活にとりましては厳しい状況でございました。しかし昨年中の動きを四半期で追ってみますと、次第に物価も安定してきておりますので、マイナスの幅がだんだん小さくなっておるという状況でございました。
○対馬孝且君 総理府のいま出した、先ほど冒頭申し上げましたが、いま経済企画庁と厚生省にお伺いしました。これは総理府が出した――日経の一月三十一日付のこれに出ていますが、この認識からいくとあなたの言っているのとちょっと違う。私が聞きたいのは、国民消費支出に対して税がどういう動向になっているかということを言いますと、いまあなたがおっしゃいましたように七%強確かに実収になっておるが、税の場合は二〇%増になっている。しかも実収に対して対比一三%で非消費支出は上昇が続く、一−十一月まで、こういうふうにはっきりしています。それから厚生省の生活実態調査から言っても、これを見ますと五五・二%の方が家計が非常に苦しくなっている、こういうことが明らかになっていますね、この事実をお認めになりますか。この点どうですか。
○説明員(香川勉君) お答えいたします。
 一月三十一日付の新聞に出ております数字は私の方で計算した数字でございますが、これは一月−十一月分の数字でございますが、その後五十五年の十二月まで入れました五十五年の数字も出ましたが、ほぼ同様の傾向でございまして、五十五年の実収入は先ほど申し上げましたように七・三%上昇いたしましたが、税につきましてはそのうち非消費支出――税と社会保障負担を含めました非消費支出は一二・六%伸びました。そのうちこれを実収入に対する税及び社会保障負担の割合で見ますと、税が六・九%、社会保障費が五・六%というふうになっておりまして、これは最近の傾向を見ますと若干上昇ぎみでございます。
○説明員(澤井章君) 厚生省が行いました国民生活実態調査によりますと、五十五年の時点で前年に比べて生活が苦しくなったと言っている人は五五・二%ございまして、半分以上の人が前年に比べて苦しくなったというのが出ているのは事実でございます。
○対馬孝且君 主税局長いまお聞きのとおりで、総理府から始まってNHKの世論調査、いま経済企画庁を加えて厚生省の国民生活実態調査、いまも言われたとおりです。したがってこういう状況、実態だということは、これは私は世論の趨勢という単なる抽象論ではなくて、国民の実感がトータルとしていまあらわれたと思うのです。これは何もわれわれか言っているのではなくて、まさに政府機関の中で出されているわけですから、この点をどういうふうに踏まえていられるのかということをまず大蔵段階にひとつお伺いします。
○政府委員(高橋元君) いまの国民生活白書にいたしましても、それから家計調査でございましても、総理府の行いました税金に関する世論調査でございましても、すべてこれ国民の貴重な声であるということは私どもそのとおりに認識をいたしております。それをどういうふうに判断していくべきかということにつきまして先ほど大臣からもお話がございましたが、この中で納税者の実情を表現しているものにつきましては、確かに制度を考えてまいります場合に重要な一つのファクト、事実であるというふうに思います。それにつきましてもう一つ財政の最近における現状というものも、やはり税制全体を考えていきます場合に当然考慮に置かなければならないことで、これはもう申し上げるまでもございませんけれども、昭和五十六年度で四兆五千億近い自然増収を計上し、かつ一兆四千億に達せんとするような大幅の国民の税負担増をお願いをいたしましても、現在全体の予算の歳出の七割弱というものが税金で賄われているにすぎないわけでございます。石油ショック後、どの国でも税金の割合というのが非常に経済の伸びを反映して縮んでまいりました。しかし現在では、アメリカやフランスは石油ショック前の、大体九割は税でもって歳出を賄い得るという状態に戻っておりますし、ドイツ、イギリスも八割水準まで戻っておりますが、日本はたしか五十二年に六割を切りましたが、現在でもまだ七割に達していないという状況でございます。国民生活ももちろん楽でないというようないろいろな世論調査を私ども十分認識をいたしておりますけれども、国民全体の共通の何といいますか、一種の共同消費といったら言葉が悪うございますが、そういう共通の基礎的な社会的消費を賄ってまいります財政につきましても、やはり非常に窮乏した状態にあることは御案内のとおりで、国民生活を今後安定させてまいりますためにも、財政の対応力を回復しますためにも、物価の安定を図ってまいりますためにも財政の再建が緊急の課題であるというふうに考えておりまして、所得税以外の税目につきましては五十一年以来たびたび相当な規模の増収を図っておりますけれども、所得税につきましては五十二年税制のままで現在まで推移してきておる。その結果がただいま各省からお話のございましたような具体的な数字になっておると思いますし、また国民の中に税を何とかしてくれという声があることは私どもそのとおりの事実として受けとめておりますが、現在の財政全体の状況、またその中での所得税の地位ということからいたしますと、ここで恒常的な減税措置をとるという議論にはいまだ達していないんではないかというふうに考えている次第でございます。
○対馬孝且君 いま事実認識については、率直に出た答えについては受けとめていきたいということで、しかし財政全般から見ると云々という、これは必ず出る言葉で、外国の例が課税最低限が少ないとか何とかと言いますけれども、これは生活様式も違うしそれから実態感も違っているし、それから社会保障制度だってこれは全然日本とは違うので、それは私は理屈にならないと思うんですよ。ただ問題は、そういう現在の日本国民が受けとめている認識というものをやっぱり踏まえながら、どうしたらこれから所得税を中心にして税体系というものを見直していくか、これ性同僚委員からも出ておりますから、きのうも議論されていますから私もくどくどは申しませんが、そこでそういう視点で受けとめていきたいというあなたの考え方については、一応世論の結果を踏まえていきたいとこう言っていますから、それはそれで子としたいと思うんですが、ただ税全般からという問題になると、これまた後から申し上げたいと思うのでありますが、そこで大蔵大臣、一つ聞きたいんですが、これはだめ押しの意味できようが増税審議の最後の日になっていますからね。総理は政治生命をかけて行政改革を断行すると、そういうふうに胸を張ってはんと言ったわけだ、これ。渡辺大蔵大臣式に物を言わせるともっと切れ味のいいところで、いつもなら渡辺大蔵大臣が言うのが本当かなという感じがしておるんだけれども、まあ慎重型の鈴木さんがそう言ったわけですから、本当のことを言っているのかうそのことを言っているのか別にして、本当だと評価したいと思うんですがね。
 そこで問題は、五十七年度税負担を大きくお願いすることは国民の納得が得られない。五十七年度予算は増税せず編成をするとの基方方針を固めたと報道されている。一方大蔵省は、行政改革で大幅な歳出削減は望めないとし、増税路線は変わっていないとも言われ、どうして行政改革では歳出削減にならないのか、行政改革をやる気があるのかないのか。また大型間接税の導入という問題について、むしろ渡辺大蔵大臣の日ごろの歯切れのいいところがどうも出てこないというあたりが一体どの辺にあるのか、あるいはあるならあるようにひとつここで明快に胸を張って、ひとつ鈴木総理を上回る答弁をぜひお願いしたい、こう思っておる次第でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 行政改革はやる気があるか、当然やる気があるわけです。やる気があるわけですが、私はかねてから言っておりますように、行政改革――狭い意味での行政改革では、それは数千億、兆という金は出てこないんです、これは。特に人員整理なんて言いましても、それは仮にたとえばいま農林省で米の検査員の話にすくなりますが、一万二千人いますかね。そのうち仮に五千人本当に四月一日から仮にやめさしたと仮定しても、それは五、五、二十五、約二百五十億ぐらいの金ですね。その人には、いまこういう時期ですから退職金は勘弁してくださいと、差し上げるわけにいきません、当分は、というわけにはいきませんでね。やっぱりやめるとその人に対する退職金というのがぞろぞろと当然ついてくるわけですから、そうするとそいつが二百五十億どころじゃない、もっと大きな金目になりますよ、一千億円とか。そうですな、何倍かの金目になります。ですから行政改革というのは当面とってすぐに即効性というのはないんですよ。そのかわり将来長い目で見れば、それは何千人かが少なくなるということは、長い月では大変な金目になる。これは事実なんです。したがって私どもはこれは別に食糧検査員やめさせるという話じゃなくて、一つ例としていま出したわけですからね、例として。行政改革ででっかい金日がすぐ出ると、狭い意味の行政改革ですぐ出るとは私はなかなか思えない。しかしある程度のものは出ます、これは必ず。したがって私は、そういう点は現実的に考えていかなきゃならぬ。行政改革――広い意味で行政改革というならば、それは補助金の整理とか、そういうようないわゆる広い意味での行政改革――総理が言っているのは広い意味での行政改革だと私は思います。したがって、広い意味での行政改革というのは、それがいろんな歳出カット、こういうようなものも入るわけでございますから、そういう意味になるとやり方次第で私は金日になるということも言われるだろう。したがって広い意味での行政改革は断固としてこれはやらなければならないと。問題は、中期見積もりによると約二兆円以上の必然増がいままでの結果出てくるわけですから、それは行政改革をやって制度を直して、当然増が出ないようにしちゃうということをやらなければおさまらないわけでありますから、そこまで一遍やると。やってみて後は、後の話ですよ、これは。まず後のことまで考えたんじゃ何もできないわけですから、まずやってみるということでなければできないんじゃないか。できないんじゃないかと言ったんじゃいつまでたってもできないわけですから、だから後の大型間接税なんというものは一切考えない。考えないでまず歳出カットで、せっかく世論も盛り上がって国会でもみんな歳出カット、歳出カットとどこでも全部言っておるわけですから、これはむずかしい問題であることは私は百も承知でございますが、せっかくのこれは国を挙げての世論みたいなもんでありますから、何でもやらなきゃならぬという不退転の決意で取り組んでいかなきゃならぬと、こう思っておるわけでございます。
○対馬孝且君 後段の方、ちょっと歯切れよかったけれども、何か前段の方、かなり解説めいたけれども、やっぱりちょっと渡辺大蔵大臣にしては歯切れが悪いな、正直に申し上げて。まああなたと何回か予算委員会で質問をやっていますから、やりとりやっていますけれどもね。いつもにちょっと似合わないような感じがしますね。やっぱり官僚の圧力に押されているのかな、そういう感を深くしますね私は。
 それで私が言いたいのは、広い意味とか狭い意味とか言うから誤解を招くんだよ。これを広いとか狭いとか言ったって、ぼくは姿勢を聞いているんだから、総理は二兆円と言っているんだよ、具体的に言っているんだよ。二兆円行政改革で出すとこう言っているんだから。これは国民にすれば全く不思議というか、まさにこれはどっち向いているかわからぬけれども、しかしかなり姿勢をはっきりしてきたなと。ある意味では延命策だという声もあるが、それは別にして、二兆円と出てね、広いも狭いもないんだよ。二兆円は二兆円なんだから、広いも狭いも二兆円という数字には変わりないんだから。そういうことで、最後は大型間接増税は考えないと、こう言うんだが、私は、後から考えるも先から考えるもとにかくやるという総理の考え方について大蔵大臣としてどうなんだと、こう聞いているんだが、解説はわかるよ。しかし実際にやってみた場合どうなるかということなんだよ。ただいまほうはいとして各官僚ベースでずいぶん農林省の事務次官から始まっていろいろ反対出ているわけだ。いま国民がそこらあたりを、やっぱり総理は二兆円と言うと。しかし渡辺大蔵大臣にしては、マスコミに出てくる表現ではどうもわかっているようなわからないような、やる気があるのかないのか別にして、あの人なら言ったことはやるだろうと、みんなそう思っているんだよ。思っているだけにその歯切れも悪いんだろうけれども、それにしてももうちょっと、二兆円と総理がばんと言った限りは、財布を持っているあなたが、将来少なくとも五十七年はびた一文とにかく増税はさせないと、このぐらいのことを、ばんと二兆円と総理が言った限りは、大蔵大臣、そこを言わなければ国民はすとんと腑に落ちないよ、これははっきり申し上げて。その点いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは御承知のとおり、法律制度という問題は、それは大蔵大臣がぼんと胸をはたいたからといって法律違反のことはできないわけですから。したがって、それはやれるかどうかということは一にかかって与野党が一致をして押してくれるということであって、それはもう対馬さんは押していただけると思いますが、社会党が一致してそれは押してもらわなければ。ここで私の方にやれやれやれと言って法案出たら反対とか、これはできないわけですからね。法案も賛成をしてもらうということになれば私はできると思いますよ。これはできると思います。だから、そこのところは両方で考えなきゃ、こういうのではだめだ、ああいうのではだめだと言われてもなかなかこれはむずかしいんでして、ですから、それには皆さんの意向も聞いて極力賛成できるような法案をつくらなきゃならぬ。うまくそれは与野党一致するかどうかという問題もございますからね。国会マターの話なんですよ。ですから、私は極力やりたいと思っているのです。ぜひやりたい。決して逃げてない。
○対馬孝且君 私が言っているのは姿勢を問うているんで、ここで具体的にこれからどういうものが出てくるかわからないんだから、はっきり言わしてもらうと、さっきみたいに片一方で増税をしていながら片一方で医者の脱税を見逃がしているなんていったって、こんなもの国民の胸にすとんと落ちないよ。とんでもない話だと言うよ。そうでしょう。あなたも専門家だから、私もざっくばらんに言う方だから、ぼくは率直だから、あなたと性格が似ているからね。
 だから、私言っているのは、国会で合意が得られるかどうかというものは、これは出してくる内容によってわれわれ賛成するのも反対するのも、国民の合意を得られるものを出してくればいいんであって、それはこれから大いにひとつわれわれも積極的に検討したいと思っているし、それは変わりはないんだ。私が聞いているのは、総理大臣がそういう姿勢なものだから、その姿勢を国民がいま本当に注目をしている。その意味で大蔵大臣にその将来を、本当に五十七年度以降大型間接税はないんだろうなと、そういう決意で、やっぱり総理と同じ気持ちでこれに対処されるかと、このことを私は聞いているんであって、具体的な解説を、これは私なりに考えていることもあるし、あなた方のやっていることだって間違いが多いんだから、これはやっぱり直していかなきゃならないこともあるし、そういう意味で言っているんだから端的にひとつ、余り解説つけると歯切れが悪くなっちゃうんだよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は鈴木内閣の大蔵大臣ですから、総理と違ったことをやればすぐやめなきゃならぬです。ですから、私がやっているうちは総理と同じだと、こう思ってもらえばいいんであって、それは当然に総理大臣も言うように、五十七年度は大型間接税は考えないと言うんですから、私も五十七年度は大型間接税は考えない、歳出カットに取り組むと、これははっきりしているでしょう。
○対馬孝且君 そう言えばいいんであって、解説つけるものだからあなた何かやる気があるのかないのかと今度は疑いを持つんであってね、まあわかりました。そういうことでひとつその方針は変わりないと、党と同様運命共同体で対処すると、こういうふうに理解していいですな……。
 それじゃ、次の問題一つお伺いしますが、先ほども出ましたけれども、わが国は昭和五十三年度から一連の増税政策、ことしは一兆三千九百億と、こうなっておるのだが、アメリカの場合は所得税減税は三年間一〇%ずつやるとこう言っている。まあレーガンさんはきょう凶弾に倒れるという状況でございますから、非常に私なりに心配をいたしておりますけれども、それは別にしまして、イギリスでは間接税があったとしても所得減税はやる、サッチャーさんが最近そう高々と言っています。フランスの場合は課税最低限が日本より高い。もちろん低いところもありますけれども。しかしわが国は、常に政府が言うことは、いままで総理も言っていますが、世界で一番安定している、いまやインフレもなければ、まさに日本は資源のない国にしてはこれだけ発展した国はないと、まあこれは常に胸張っておっしゃるわけだ。それは結構なんだが、わが国民として結構なことなんだが、しかしそれにしてはどうも、減税減税というときになると歯切れが悪くなる。なかなかそれはいましばしお待ち願いたいとか、国民の寛容にまっていただきたいとか、こうなるわけだな。どうもこれでは、私いつも国民に聞かれるんだよ。ずいぶん日本は世界の最たる模範の国であると言っていながら、実際になると、税金問題になるとさっぱりそうではない。これは一体どういうことなんだと、素朴な国民の声なんだ。私が言っているのではない。国民がそう聞いてくれと言うんだよ、これどうなんだと。アメリカが一〇%ずつ三年間やると言うし、いまも言ったようにイギリスも減税やると言っているし、フランスの場合は課税最低限が日本より高いと言っているし、一体どうなんだと、ここらあたり対馬さんはっきり大蔵大臣の渡辺美智雄大先生にひとつずばっと聞いてくれやと、こういう声なんだよ。どうなんです、これは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはずばっと申し上げます。それは対馬先生のおっしゃるように、イギリスあたりはもう非常に日本より税金高いです。それから社会保障、医療の問題だって、保険制度をとっている国家で国費で四兆円近い補助金を出している国はございません。ですから、フランスあたりにしたって、社会保障は日本よりすぐれているというが、私はそう思っておりません。あそこはいまでも償還払い制ですから、みんな医者に行って領収書もらってきて、そしてそれぞれその八割またはそれより以下の金を返してもらうというようなことで、何百万という金を立てかえるのはとてもじゃないが日本ではできない仕事。そういうような観点から、たとえば年金にしたってそれはもうドイツでもどこでも六十五歳、日本は六十歳から厚生年金支給して、それで掛金はドイツのおおむね半分。その差額は、もらう金は大体一緒。どこでそういう問題が起きるかというと、だれかが納めているから。もう一つは、国は借金をしながら、税にかわるものとして借金をして結局社会保障や文教やその他のものの充実に充ててきたということも事実なんです。ですから私は、そういう点において総合的に考えますれば決して日本の場合はそう高い、特に個人に対して、特に所得税に対して、まあ高額所得者は別として、一千万以下というものについてはそう高いなにを課税しているというようには思っておりません。
 小学校へ二人子供出せば一人四十万で八十万円かかっているわけですから、三百万円の人だと住民税と所得税で十二万円しか払っておらない。間接税はまあ十五万払うか二十万払うか人によって差がありますが、ともかく二十万円から三十万円ぐらいです。しかしその中で、やはり子供二人あると八十万それだけでかかっておる。おばあちゃん一人いれば二十五万円は現金でもらっているというのも現実の世界であって、そういう人の方が大半であるということも間違いない。ですから私は、そういう点から絵合的に考えて、医療の場合も含めてそう悪いとは思っていないんです。だからいますぐ減税やれと言われましても、私もやりたいんです実際は、しかしながら、現実には増税をしながらあるいは社会保障の掛金等を上げながらそれを賄うのが本来であったでしょうが、国民生活が非常に困る、不景気だ、失業者が出るというようなときですから景気を持ち上げなきゃならないし、生活も一方充実しなきゃならない。そのために臨時応急、緊急の措置として借金政策をやったわけでございますから、これは永久に続けるわけにはいかないということを申し上げておるわけでございます。
○対馬孝且君 これは何回も本会議でも聞いておるし、予算委員会でも聞いておるわけです。ただ、大臣ね、すぐそういうお言葉が返ってくるだろうと私は思うんでありますけれども、これは東洋経済新報社が出した「統計月報」の五十五年十一月号をちょっと持っておるんですが、これがうそだと言われれば別なんだけれども。たとえば国連の各国の主要都市に駐在する職員の生計費指数というのが出ていますが、これはニューヨークを一〇〇にして、ずっと各国が百二十カ国ばかり出ておるのだが、これでいくと、一向に日本の税金は、あなたは外国の税金は高いと、日本は低くてあれなんだというけれども、そうはなってないよ、これの指数でいけば、この指数がうそを書いておるかは別にして。この指数でいくと、税金から何から全部差し引いたトータルの生計費指数を出しているんですが、日本の場合は、これはちょうど調査したあれが一九八〇年で一五三だよ。依然と高い数字になって、あとはずっと見ると一五〇を超えている国はどこかといったら二ヵ国ぐらいしかないね。アルゼンチンだとかそれからウガンダ、それとザイール、この三ヵ国だな、私がこれを見て。これがうそだと言うなら別だけれども、そういう胸張って大臣が言うような、あなたはそういう実態じゃないなんて言うが、私はこれは違うと思うんだよ、この問題については。
 私は、そのことについてあなたがそういう言い方だから、私はそういう意味で反論するのだけれども、とにかくいずれにしても減税問題ということが、私は何も減税減税とばかり言っておるんじゃなくて、後から申し上げますけれども、これは何回も出ておりますが、やっぱり所得税の全体の見直しの時期に来ておるのではないか、そういうことを私は言いたいわけです。それはもちろん総合課税の問題も出ておりますから、グリーンカードの問題を後でも申し上げますけれども、こういう問題を含めて全体的にやっぱり所得税制というものを同僚委員もやっていますから、あれですが、いずれにしましても、所得税体系、それから総合課税を含めての見直しという段階に来ておるのじゃないか、長期的な一工場から考えたとしても。そういう意味も含めてお伺いしているわけでありまして、その点はどうですかね、これは。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は購買力平価、それが絶対であるとは思っておりません。おりませんが、私はレートで換算するのが世界共通で一番わかりやすいということを言っておるのであって、しかしそれじゃ、それがまた絶対だということは言っておりません。ですから、購買力平価の問題は参考にしたいというようには考えております。
 したがいまして、所得税の問題についても私は財政的に余力があれば、そして一方財政再建というものができる――急激でなくてもいいんですよ、いま一応の見通しを立てて、五十九年度までに赤字公債の脱却というものを一応考えておるわけですから。そういう見通しがつくということになっていけば、私は所得税減税という問題を決して考えないわけじゃないんです。ですから、それは景気の動向にもよりますし、いろいろ条件がございますが、私はやはり所得税減税というものはある時期においてはしなければならぬのじゃないかと。その時期が一日も早いことを私は希望しておるんです、実際は。それにはやはり財政の状況、それから私はもう一つはいつも言うように、直間比率の問題というものについて、それはもうイギリスやフランスやドイツでも日本よりも間接税比率が高い、アメリカは別ですが。ですから、そういう国がみんな逆進性の国家であるとはだれも言わないのでありましてね。ですから、そういうようなものも何か参考になり得ないかと。所得税を減らしてでも間接税の方へ少し移行さしたり、歳出カットでその一部を所得税減税に充てたりということができることが一番いいんじゃないかと。歳出カットも大幅にできるということになれば、そして全体の景気の見通しもつき、それから多少所得税と間接税の入れかえも少しはやったらどうかというようなことになれば、これはミニ減税でなくてもう少しはっきりした所得税減税らしい所得税減税を私は考えないわけじゃないんです。それは今後の御相談であると、いますぐここで幾ら幾らと、いつからということは断言できないが、私は頭の中心にはいつもあるのです、そういうことは。ということも御参考までに申し上げておきたいと思います。
○対馬孝且君 一応そういうことで大臣の姿勢はわかりましたが、そこで私、具体的に一つだけこれは浮き彫りにしてちょっと質問してみたいのですがね。税負担率の問題でちょっと疑問を感じているのです。
 この間、予算委員会でちょっと私も傍聴しておって感じたのですが、五十六年度国民所得に占める国税、地方税を含めますと租税負担率は二四・二%、国民が一年間にかせいだ所得の約四分の一が税に取られることを示されています。租税の負担率は五十年度は一八%、五十二年度が一九・三%、五十四年度が二二%、この負担率が着実に高まっていっているわけですが、そこで大臣、新経済社会七ヵ年計画の五十四年度から六十年度まででは六十年度に二六・五%の負担率を想定していると、こういうペースになっているんです。それは間違いなら間違いで指摘してもらっていいんですが、これは増税をしなくても二六・五%が五十七年度には私の計算でいくと逆にこのままの率でずっと上がっていってしまうと、新経済社会七ヵ年計画の六十年度に二六・五%ではなくて、もっとこのスピードでいくならば五十七年度、五十八年度でもう新経済社会七ヵ年計画の二六・五%に達してしまうのではないか、こういう結果になるんですね。これはいかがなものでしょうか、この点について。私はこの数字が間違いなら別だけれども、私は実際に予算委員会でずっと資料を見て、衆参の予算委員会のやりとりを見て会議録を読ましてもらったが、どうもこのあたりが私はこれは新経済社会七ヵ年計画と税の負担率という問題が基本的にやっぱり違っているのじゃないかということよりも、これは大蔵省が試算したものがどうもこれはやっぱり新経済社会七ヵ年計画と大きく違ってきている。それだけ国民の負担が多くなってきていると、こういう感を深くするのですが、いかがなものでしょうか、この点。
○政府委員(高橋元君) 五十六年度の経済見通しの上の国民所得というものをとりまして、国税、地方税の合計の予算額を割りますと税負担率が二四・二%になる、これはいまお示しのとおりであります。問題はこれから先二四・二%の税負担率が自然増収、つまり税制改正のない現行税制での経済ないし所得の伸びに相応した増収で幾らになるかという点でございますけれども、ちょっと話がそれるようで恐縮でございますが、全体の国税の中で四割は所得税です。三割が法人税であります。三割が間接税であります。最近の税収の実績なり予算から御説明になりますように、いま間接税の伸びというのはほとんど期待できない。そうしますと、七割の所得税と法人税が幾ら伸びる力があるかということなんですけれども、これは過去相当景気のいいときを見ましても、所得税と法人税がそろって二割伸びたという年がないのであります。たとえばそこを極端に両方とも二割伸びたとしても、年に一四%ぐらいの税収しか自然増収の伸びというのは出てまいらないわけであります。
 そういう前提も一つございますし、それから過去十年間に平均をしまして租税のいわゆるGNP弾性値は大変上下しておりますけれども、これから先予測するとすれば十年平均ぐらいということでありますと一・二ということになります。新経済社会七ヵ年計画の六十年値というものから逆算をいたしますと、五十六年から六十年までのGNPの伸びは一一・七%と、こうなるわけでありますから、一一・七%に一・二を掛けますと一四・〇四%というのが毎年期待される自然増収の伸びであって、それは経験的に現在の税制が持っておりますこれからの伸びる力の一番いわばマキシマムの数字であろう。そういうことで一四%ずつ今後税収が伸びていくというふうに考える、それ以上考えるのはむしろ地方税等考えますとむずかしいのではないかというふうに思います。その点を捨象をしまして一四%ずつ伸びていくといたしますと、現在二四・二%のものが五十九年まで毎年一一・七%の冬日成長をした場合に税収はその一・二倍で伸びていくわけでございますけれども、二四・九になるだろうというふうに思います。五十七年、五十八年、五十九年を待たずして税が二六・五になるというふうにはとうてい考えられないわけで、いま委員からお話のありましたのは五十四年または五十五年、五十六年いずれも増税を含んでおりますので、その増税を含んだ伸び率でやればということかと思いますけれども、増税のない自然増収、つまり五十六年税制が今後何ヵ年か続くと考えました場合の増収だけでは、私どもどういうふうに見ましても二六・五%の税負担水準には六十年以前に達するということにはならないという考え方であります。
○対馬孝且君 これは間違いありませんな、新経済社会七ヵ年計画、このデータは。これでいくと、第一表で見ると二六と二分の一程度と、こういうことで出ていますね。これは間違いありませんね。そうすると、そこで私は、予算委員会でこれ出していますな、「財政・金融・経済動向資料」というのが出ていますが、これ見ると、あなたの言ったようなことを、そうすると結論的にこの資料で見る限りでは私はそうならないという感じがしますよ。昭和五十五年度のずっと五、六、七、八、九、十、十一と出ているんだが、二九、二二、一七、一八、二三、二七、二一と、ずっとこれ予算委員会で出た資料間違いであれば別だが、三十一ページごらんになればわかるんだ、これ。実際出ていますよ。これで行ったら間違いなく二六・五、トータルで二六・五になるんじゃないんですか。結論的に言うならば、さっき大臣が言うとおり五十七年以降はびた一文とにかく増税はしないということでいけば金が余るという結果になって、これまた新経済社会七ヵ年計画からいけばまたおかしな試算になってくるなということになるんだが、これがまず間違いかどうかということですよ、私が言いたいことは。これは予算委員会で出したものだが、間違いかなければ間違えていないということを言ってもらいたい。
○政府委員(高橋元君) いまお示しの資料、私どういうものかちょっとわかりませんが、お尋ねの新経済社会七ヵ年計画の六十年における租税負担率二六%と二分の一程度と申しますのは、これは税制改正による増を含んでおるわけであります。したがって現行税制で、これをつくりましたのは五十四年度でございますか、五十三年度の税制がそのまま続いた場合でなくて、そのほかに税制改正による増収を含んで二六・五になるといういわば目標値を示しておるわけでございますから、それが一つと。もう一ついまお手元の資料後で教えていただいてよく見さしていただきますけれども、毎年毎年の税収の伸びがそのように高いということが続くんではないんだろうと思うわけであります。そこで、私が先ほどから申し上げておりますように、これから先の税収の伸びというものを考えます場合には、一四%以上の税収の伸びというのが長期に継続するということを想定するのは一一・七%というかなり高い名目成長のもとでもむずかしい。したがって一四・〇四%というのが極限値であろうという考え方は変わらないわけでございます。
○対馬孝且君 いずれにしても、この資料これ後でやりますけれども、この数字で出た限りではトータルが二六・五は五十七年か遅くとも五十八年には達成するというんだ。そうなってるんだ、これ数字うそだったら別として、ちゃんと出てるんだよ。私が言いたいのは、いずれにしてもいまあなたがお答えになったのは食い違いがございますから、この点ひとつ精査をしていただいて、少なくても新経済社会七ヵ年計画と大蔵省の税体系、税の見込みというものが狂っておっては困る、やっぱり国民が信頼を得るためには新経済社会七ヵ年計画は出した限り修正するなら修正するように、新経済社会七ヵ年計画を再検討するなら別でありますが、これをひとつもう一回検討してもらいたいということを申し上げておきます。私は直せということまで……、時間ないからこれひとつ検討してもらいたいと、大臣どうですか。検討してもらいたいということを言っているんだよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 七ヵ年計画というのは増税見込みなんですよ、これ。見込んでいるんです。こちらの方はただ自然増収というようなことで中期展望は考えておりますから、そこでは食い違いが多少あってもそれは仕方がないんじゃないかと、そう思っております。
○対馬孝且君 いずれにしても食い違いの問題があるのでね、これはひとつ精査してください、この点。よろしゅうございますね。
 そこで、時間がありませんから、グリーンカードの問題できのうも同僚の大木委員あるいは鈴木委員、竹田委員の方から御質問があったようでありますが、いずれにしても大臣は決定した方針を貫くという、きのうはいなかったんですが、答弁を貫いて、あくまでもグリーンカードを見直しをやらないという基本的態度を堅持して貫きたいという答弁に承っているんですが、間違いであればこれを直してもらっていいんですが、そういうふうに聞いております。
 そこで、私はいずれにしても、最近自民党挙げて、衆参三百名以上を超える、あるいは銀行筋いろいろ財界挙げてのかなりの巻き返しがあるということで、きのうの日経にも出ました。あるいは中央三紙にもそれぞれ出ておりますが、そこで具体的にちょっと私聞きたいんですよ、このことについて。間違いなら間違いだと。これ一つ一ついきますからね。私はグリーンカードの問題というのは少なくとも総合課税あるいは不公平税制の見直しのやっぱり原点である、まず突破口であると、こういう認識にまず間違いないかということが第一点。これ間違いなら間違いと、こう言ってもらえばいいし、いいならいいと、こう言ってもらえばいい。それが一つ。
 それから二つ目は、そこでどうも最近自民党中心の三百人の声を聞くと、財界等の声はどうもこれは全部土地の投機に回るとか、郵便貯金に回るとか、あるいは株式に回るとか、金買いに回るとか、外国の証券を買うとか、あるいは外国預金をするとか、こういう幾つかのことが挙げられています。これを一つ一つ私なりに申し上げたいんでありますが、第二点目は、五十五年度の個人貯金の増加は三十二兆六千六百二十一億円あるんです、私が調べた限りでは。三十二兆円、まあ端数捨てて。そこでね、大体二・六%、小幅の増加ですよ、貯金の動向というものが。個人貯金動向二・六%。そこで前半は八・八、それから後半は一〇%、こういう状況になっているんですがね。ほとんどグリーンカードを行ったら金融資産動向がふえていくなんという認識はぼくは絶対ならぬと。これ私が調べた限りではこういうデータ出ているんですが、まずこの点どういうふうにひとつ判断されていますか。
○政府委員(高橋元君) グリーンカード制度が総合課税の基本であるかというお尋ねでございます。源泉分離課税制度または、そういうことがあってはいけないわけでございますが、非課税貯蓄の比較的ルーズな管理ということが行われますと総合課税の本旨が失われる、そういうことで五十五年度の改正でグリーンカードによる利子・配当所得の総合課税というものを御提案をして御可決をいただいたわけでございますから、私どもはいま対馬委員のおっしゃるとおり、これは総合課税の基本であるというふうに考えております。
 第二に、貯蓄の動向についていまお示しがございましたが、五十五年の後半から個人貯蓄の伸び率は持ち直してまいりまして、年後半では対前年度一〇%増という形になっておることもお話のとおりであります。
 それから第三に、この制度によって税金をきらいまして、郵便貯金なり、土地なり、株式なり、それから金なり、海外資産なりというものに逃避するんではないかというような疑いがあって、それが押し詰まるところ換物傾向が行き詰まって物価が上がる、産業資金の枯渇を来すと、こういうような指摘がありますが、すでにこの委員会でもたびたびそれは理由がないということを申し上げておりますが、時間もございませんので繰り返しませんけれども、私どもはそういうことによって貯蓄が逃避するということはあり得ないというふうに考えておりますし、郵便貯金の問題につきましても、五十九年以降、五十八年以前の預入分も含めてグリーンカードによって限度管理及び名寄せを行うということを昨年度末郵政省と合意いたしましたので、そういうこともあり得ないというふうに考えておる次第であります。
○対馬孝且君 いま主税局長からかなり明快なあれがありましたが、特に自民党の先生方もおりますけれども、入ってるか入ってないか一概に言うわけにいきませんが、新聞報道である限りは三百名を超えていると、こう聞いているものですから、いま言われたとおりひとつ、私自身も含めて、やっぱりこれは決まって総合課税の第一歩である、こういういま主税局長の明快なお答えがございました。これができなくて何で総合課税ができるかと、私にすれば、そのくらい言いたいところであります。したがってこれはぜひひとつやってもらいたい。
 そこで、土地の場合を考えましても、四十四年度以降の譲渡所得、これは所得税の一〇%増しという高い重課をされているわけですし、株式の場合で言うならば、逆にこれは五十六年一月が六百六十七億円、それから二月は五百九十一億円ということで売り越しになっておるわけですから、株式に投資してみたって、こんなものは何のあれにもならない。むしろ課税最低限になるものはないというふうに私も考えますし、それから金の場合だって、こんなものは個人が金を買って、最近クルーガーランドというようなものがはやっておりますけれども、こんなものもずいぶん調べてみましたけれども、いささかもこれはありませんね。クルーガーランド金貨十分の一オンス、これもかなり売れているようでありますけれども、若い者のペンダントみたいなもので、アクセサリーだというふうなことで、ちょっと買っておるようでありますけれどもこれも大した影響はない。逆に、こんなもの買ってみたって一万一千四百四十七円、現在の小売価格。買い取り価格では一万二百二十七円。逆に一〇%損しておるというようなものであって、こんなもの若い者のペンダントみたいなものだと。こういう興味でいま若干の比率が上がっているのだろうと、こう見ています。
 それから海外に預金をしたって、誠備グループの問題にあらわれておるような、逆にこれは課税対象になってくるということは外為にもひっかかるわけですから、いささかも理由はないということですから結構なことですが、時間が参りましたのでこれ以上申しませんけれども、大臣、最後にひとつこの点について、グリーンカードについては、きのうもお答えあったようでありますが、相当いま世論がそういうふうになってきて、必ずこれはとめてみせるというように豪語している先生もおりますのでね、これはちょっと遺憾なことだと思っているんだけれども、ひとつ大臣としてここでいま一度明快に国民に対してお答えを願いたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) グーリーンカードは、社会的不公正の是正というようなことの観点からできたわけであって、特にこのことはまたよく理解されないんですね。そこにいろいろ問題があるわけですから、グリーンカードというのは、要するに無税で貯金をできる人のためにつくっているわけですから。しかしその枠はこれだけですよと。いまのように乱用されちゃ困りますよと。ちゃんとグリーンカード使えば無税になりますということを趣旨徹底を図れば、もう少しみんな誤解がなくなるんじゃないだろうか。したがって私は、グリーンカードの基本は変える必要は毛頭ないと思っております。
○対馬孝且君 これは毛頭ないということで確信して、今後もその方針を貫くということで確認してよろしゅうございますね……。私は庶民だから言うんだけれども、銀行はマル優は三百万でしょう、郵便貯金は三百万、そして国債は三百万、財形が五百万といったら、千四百万になるんだし、これ。私の場合は、ほかの人は知らぬが、逆立ちしたって千四百万の金は一生かかったって出るか出ないかという、私は国会議員やめたって年金は三十万足らずで、大体一千四百万なんてどこから出てくるのだと私は思うんだが、自民党の先生方は三百人も署名を連ねているというんですから、かなりのもんですなあと、本当にうらやましい限りでございますけれども、それは別にいたしまして、いま一度ひとつ社会的不公平の是正、総合課税への道ということで、この方針は将来とも貫いていく。このことだけひとつもう一度歯切れのいいところで明快にお答え願いたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) グリーンカードの基本を変える必要はないということです。
○対馬孝且君 わかりました。
 それじゃ終わります。
○竹田四郎君 対馬さんが大所高所から日本の租税、財政ぶちまくりましたから、私は今度細かい方からお尋ねをしたい、こういうふうに思います。
 まず、今度の所得税で控除対象配偶者あるいは扶養家族、この控除適用額が二十万から二十九万になったわけですが、給与所得等はそうでありますけれども、給与所得等以外のものはこれは相変わらず十万円だということなんですが、これはどうなんでしょうか。片っ方は二十万円から二十九万円になって、恐らく資産所得ということになる思いますのですけれども、そちらは十万円の枠、これから少しもふえないということでありますが、最近の奥さん方というのはかなりへそくりをためているような感じも実はいたしますから、資産所得がもっとふえてきているのじゃないだろうか、あるいは内職にほかのことをおやりになっている方もあるわけでありますから、資産所得がもっとふえていると思うのですが、そういう意味でいけば給与所得以外の場合も十万円というこの枠では非常に窮屈じゃないだろうか、こんな感じがしますが、どうでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 今回御審議を願っております所得税法の改正案の中で、従来二十万円でありましたものを二十九万円に引き上げるのは給与所得と事業所得と雑所得でございます。そういうものが配偶者または扶養家族にありましても、これらにつきましては依然として配偶者控除または扶養控除の適用が受けられるというふうにしたわけでございますから、いまお話しのように、利子所得、配当所得そういうものがありましても直ちにそれが十万円を超えた場合に対象者になれないということになることは仰せのとおりでありますが、ただ、今回改正をお願いいたしております趣旨がいわゆる共働きと申しますか、家計を助ける主婦とそれに対する配慮という形で起こりましたので、資産性の所得につきまして、たとえば十万円というものに達しますには相当大きな元本というものがやはり必要でございますし、これにつきましてはマル優制度等もありますので、マル優制度の外で十万円に達するような利子・配当所得ということを考えますとかなり大きな資産ということになろうかということもいろいろ勘案をいたしまして、今回は勤労性の所得ということに限定をいたしまして配偶者または扶養親族の非課税の範囲を拡張したわけであります。
○竹田四郎君 最近は、パートに出る人が非常に多くなっていることは現実であろうと思います。特に住宅などなかなか入れないものでありますから、先ほどの議論の続きでありますけれども、入れないから、持ち家を持たされるということになりますと、恐らく給料の二五%というのは大体普通償還のために払える金額だ、こういうふうに言われておりますけれども、もっと多くて三分の一ぐらいは恐らくとられるというのが現状だろうと思うのです。学校にしてもいろいろ最近は医大の問題もありまして金がかかるということでありますから、どうしても主婦がパートに出ていくということになります。そうなりますと、この七十九万円という給与所得等のこの天井も、どうなんでしょうかもう大体天井にくっついてきているのじゃないかというふうな感じが私はするわけでありますが、労働省お見えいただいているのじゃないかと思うのですけれども、パートタイマーの時給というのはどんなふうな変化を一体しているのか。それであるいは労働時間なりあるいはボーナスなり、一体そんなものはどんなふうに動いているのだろうか。あるいはできたらもう少し調査を踏み込んで、ある一定の枠を守るための婦人パートタイマーの行動、どんな行動をとるだろうかということです。たとえば年末なんかに七十九万円という線が出てきますから、それに達する、その線をオーバーするとかしないとかというようなことが大分話になっているようであります。その辺でどんな行動をとったというようなもし御調査があればひとつ述べていただきたいし、なければよろしゅうございます。
○説明員(浅井英男君) 私どもの調査しております賃金構造基本統計調査というのがございます。一番最近時点の調査では、五十五年の六月の調査でございます。現在のところ全産業の結果はまだ集計されておりませんので、製造業について申し上げますと、これは女子でございますけれども、一時間当たり所定内給与は四百六十六円ということになっております。月間の就労時間が百五十四時間でございますので、一応月内の所定内給与というものは七万一千八百円ということでございます。そのほか年間賞与が八万二千四百円ということになっております。ですから、単純に推計さしていただきますと、いま申し上げました七万一千八百円の十二倍と八万二千四百円を加えさしていただきますと一応年間の推計所得――あくまでこれは単純に推計しただけでございますけれども、これによりますと九十四万四千円というのが、最近のパートタイムの五十五年六月の調査結果でございますけれども、年間の所得ということになろうかと思っております。
 それで、最後の問題でございますけれども、年末にかけまして七十九万円の枠を超えないように云々ということでございますけれども、そうした調査は現在のところ私どもは調査しておりませんので、わかりませんということを申し上げさしていただきます。
○竹田四郎君 いま労働省でおっしゃったのは製造業の数でありますから、実際はそれよりやや全体とすれば低くなっていくだろうというふうに私は考えます。それにいたしましても、いまのお話で九十四万円。全体を含めましても恐らく七十九万円前後のところへいま現実にいっていると思うんですね。そして今度はパートタイマーを雇っておられる事業主の立場とすれば、大きな事業主のところもありますけれども小さなところも非常にあるわけでありまして、そういたしますと、これは大体年末の忙しいときになりますとその七十九万円という枠、それを起さないようにいろんなことを実はしているというのが現状であります。たとえばもう年末ごろになると休んじゃう。休んでしまってその線からもう出ないというふうにすれば税金を払わなくてもいいわけですし、亭主の配偶者控除を受けられると、こういうことでありますから。あるいは極端なのは、どうしてもオーバーするというのはもうボーナスを遠慮しちゃう、こういうのも現実にはあるわけです。そうすると、本人はいろいろ電卓で計算して、きょうはもう休んじゃおうとかボーナスも要らないやということでいいだろうと思うのですが、もう一つ困る人が出てくるわけですよね。特に年末なんというのはもう事業主にすれば忙しくてしようがないときですよ。特に販売関係なんかになりますれば、もうネコの手も借りたいというようなときに税法によってそういうようなことで休まれてしまう。これは事業主としても私は大変人のやりくりで困るというふうに思います。そういう意味では何かもう少しこれを考えていいんではないだろうか。それでないと、もちろん税金のこともありますけれども、企業主そのものがそういう忙しいときに人の配置をさらに何か考えて手だてを講じなくちゃならぬという問題がこの問題から発生しているというのが私は現状ではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。そういう意味では二十万円を二十九万円にしたということは一つの前進ではあると思うんです。どうせやるならもう少しこの辺をふやさないとせっかくやったのが実際の効果を上げ得ないではないか、こういうふうに私は思いますけれども、その辺、主税局長あるいは大蔵大臣、その辺のことは考慮したのかしなかったのか。ただ単にほかとのつり合いだけ考えてこういうようなことをしたのかとか。私はそういう意味では、この二十万円を二十九万円にしたと胸を張るかもしれませんけれども、現実問題とすればどうもいままで余りそのままに放置しておき過ぎた、だからここへきて大きく変更せざるを得なかったというようなことになるんではなかろうか、こういうふうに思うのですがいかがでしょう。
○政府委員(高橋元君) 先ほど御質問のありました国民生活実態調査、これは昨年の九月一日現在の調査でございますが、その中に婦人パートの調査が出ております。大体全体の世帯の七・七%がパートに出ておられるということでありますが、その婦人パートの一日当たりの就労時間は五時間と四十分、一ヵ月当たり十九・六日働いて平均の時給は四百四十五円、したがって月当たり四万九千七百円、これを単純に十二倍しますと五十九万六千四百円、こうなります。製造業全体と申しますよりは商店などにバートで出ておる方も多いわけですから、パートの方々が六十万円ぐらいの実際の平均収入であるということが一つの実情をあらわす資料かというふうに思います。しかしながら、私ども昨年、本年度の税制改正の案をつくります際に、いま竹田委員からもお話がございましたように一つはバートに出ている婦人の税負担の問題、むしろ婦人のだんなさんの税負担の問題。それからもう一つは、そういう時間給で働くような、常時雇用じゃない者に依存しております経営者の問題、その辺も十分いろいろ考えたわけでございます。七十九万円では中途半端ではないかということでございますけれども、実はこれは本人が基礎控除以上になりまして税金を払っておるのにだんなさんの扶養親族として税法上そっちの方で税金を引くわけにいかない。これは税金の基本の考え方だと思います。したがいまして、二十九万円という基礎控除同額まで勤労性の所得がある場合に、それはやはりだんなさんの控除対象配偶者として認めるというのが税制上のいわば適用の限度であります。
 さらに五十万円の給与所得控除の最低限を考えよということでありますけれども、これにつきましても四〇%の給与所得控除、その中での五十万円でございますから、これも限度でございます。そういう意味で七十九万円まで引き上げるという形で、いまも御報告いたしました商店も含めました主婦のパートの実際の賃金というものがほぼそれによってカバーされるというふうに私ども思いますし、これから先いろいろ推移もあることと思いますけれども、現行の税制で控除対象配偶者と認めるということをもって対応しようとすれば、これが限度ではないかというふうに考えます。所得税は稼得者単位の税制でございますから、世帯として合算した所得がある場合でも、奥さんの収入は奥さんの収入、主人の収入は主人の収入でございます。前にも衆議院でも御議論がいろいろ出たわけでございますが、そういう場合に世帯の収入を全部合算いたしまして世帯単位の課税をやるか、たとえば二分二乗とかN分N乗とかいろいろな問題がございますが、そういうことをどう考えるかということ。それから奥さんが病身で働けなくて所得が低いという方とのバランスもあるだろうと思います。後の方の問題はさておきやはり消費単位としての課税を考えるか、稼得者単位としての課税という現行の税制で対応するか。いま竹田委員の御指摘はそういう所得税の課税の枠組みの基本論というものにも触れていることだと思います。それらの基本的な問題は、先ほど大臣からも仰せのありましたような所得税の基本問題の一環として、これから掘り下げて勉強いたしてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○竹田四郎君 確かに税制の一番根源の枠のところにこの問題は触れてくると思うのですが、しかしそのために、実際は働きたくてももう少しというところで、働きたくても働けないような税制というのはどうも私不親切じゃないか、こう思うのですよ。こういうことであると、やっぱりどうなんでしょうか、国民の勤労意欲がいま多過ぎて困るという議論をする人は別でありますけれども、まじめに勤労をして、そして持ち家も何とかしよう、子供の教育も何とかしよう、こういうことを考えている国民からすれば、この辺のことでまじめに勤労をする気がなくなる、あるいはまじめに勤労をしようとする、そういう習性がそこでゆがめられるというようなことは私はむしろ残念だと思うんです。
 ですから、政府も民間の活力を云々ということをよく言われている点から見ますと、こういうような政府のやる行為によって勤労意欲が鈍くなったり、あるいはそれによって職場におけるいろいろな秩序というようなものが壊されるあり方というのは、どうも合理的な近代的なあり方だとは私は申し上げるわけにはちょっといかないんじゃないだろうか、こういうふうに思うんですが、これは大臣もひとつ聞いていて、もう少しその辺は、まあどうしたらすぐ直るかということはもう少し研究しなければいけないことだと思いますけれども、いままでの枠で考える限りはどうもその辺がぎくしゃくしておもしろくない、こういうのが現状でありますし、また同時に、もう一つは、私の立場で、あなたと立場は違うかもしれませんけれども、ある意味では、こういうのを低く抑えることによって国民の賃金水準を全体抑えるという役割りもこれは同時に私はしていくと思うんですよ。そういう意味では、やはりこの辺にメスを入れて所得税の枠組みそのものも考え直さなければいかぬだろうし、あるいは、日本の国民の特徴であるところの勤勉な勤労意欲というようなものもこういう面からやはり考えてみなければいけないんじゃないだろうか、こんなふうに私は考えるんですが、これはひとつ大臣から御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) パートタイムのことはいつもこれは問題になるんですが、一つは先ほど局長が言ったように、働きに出ないけれども亭主のために一生懸命尽くしている妻があって、その妻がいなければ実際は亭主の収入は上がらないとか、代議士に当選しないとか、それぐらいの働きのある妻がいると。しかしその妻は必要経費も認めてもらえないし何もないわけですよ。ただ扶養控除二十九万円だけだということですから、それ以上に働いている人が収入があった場合妻として扶養控除を受けるのはいかがなものか。これは確かにそうなんです。それからもう一つは事業所得者で、うちで手内職して、材料か何か持って封筒張りか何かして出す。しかしそれは材科代だって一割もかからない。ですから所得ははっきり出てくるわけですね。こういう人との関係もございます。この人は二十九万円だけですから、手内職の人は五十万円という控除というやつは認めないわけですから、そことのバランス。もう一つは、要するに妻が百万とか百二十万とか所得があるようになったら、それはやはり所得者として納税者に加わればいいのであって、それでも扶養控除でいくんだ――問題は、扶養控除でいってもだんなさんの方は二十九万滅ってしまうわけじゃございませんから、それは二百二十万とか四十万ぐらいの人だったらば、妻が扶養控除から欠けた、それによって自分は税金が二万九千円とか二万何千町とか、五千円とか一割ですから、そこのところの階層だったら一割税金が、二万幾らか高くなるというだけのことでございまして、妻の方はそれによって百万円別にもらえるというんだったら、自分の税金が二万か三万減って妻が百万円収入があった方が一家としていいのでして、ですからそこらのところの問題もございますので、それじゃ二十九万を三十万にしたらば同じ理屈が出ないかといえばやはり同じ理屈が出るわけですよ。
 そこらのところの問題もございますから、全体の制度のときに一緒に検討はいたしますが、なかなか理論的にむずかしい問題を含んでいるということでございます。
○竹田四郎君 私もそう簡単な問題だとは思わぬですが、やはりこれは、いまパートタイマーというものを抜きにして日本の産業経済というのは考えられない時期へ入ってきていることも事実であります。それでは、一足飛びに主婦が勤労所得税を払う一人前のものになるかといっても、急にそこまではいけない。そこのいまちょうど接点あたりに現状はあると思いますから、この辺はひとつ考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。そういう不均衡のあることも十分私は知っていながら質問しているわけでありますが、その辺を突破していかないとその不均衡の問題も私は解決されないと思うんです。
 それから、今度の所得の、割引債のことですが、どうもよくわからないんですが、四二%まず差っ引いてしまう。そして今度は、一年たって償還差益のときに、結局は保管を委託しておいた場合には二二%返る計算になるわけですかな。それから五十九年、六十年は三五%ということでありますから、一五%が償還差益のときに返ってくる、こういうことですが、私がよくわからないのは、この数字、四二%という数字は何の根拠であるのか。たとえば、今度ふえてくる法人税を根拠にしているのか、あるいは次の三五%というのは、いまの分離課税のときの引く税率でありますから、そういうものを根拠にしているのか。それからいままでは一六%でありましたんですが、これを二〇%にしたというのは一体どういうことなのか。たとえば利子・配当の源泉が二〇%だからこういうふうにしたのか。どうもこの辺の数字が余り明らかでないわけです。三五%から四二%へ七%飛んでいく、これもなぜこういうふうなことをしてみたのか、よくわからないんですが、この辺の事情をひとつ聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 五十九年から総合課税という場合に、割引債の発行額は年間八兆円ぐらい残高があるわけでございます。これをおいて考えられないわけでございます。したがって総合課税に移行する場合に、割引債の償還差益についても総合課税の方法を考えなければならない。それをグリーンカードによって総合いたすという基本的な考え方のその実現の方法といたしまして、利子・配当課税とのバランスということ、それから割引債の流通性ということ、その二つに配慮を特にしたわけでございます。
 頭で四二%取っておって、満期になりますと二二返ってきて、二〇%源泉徴収されたという形になるわけでございますが、これは買ったときからずっと買いました証券会社なり何なりに保管の委託をしておきまして、満期まで一年間持ち続けておるという場合には、利子・配当についての二〇%の源泉課税と同じと考えていいであろうということで二〇%と。つまり四二を一応取っておきますけれども、満期の償還時に二二を返しまして、二〇%源泉徴収をして、残りは申告によって総合をして課税をする、こういうことを基本としておるわけでございます。
 それで、四二%というのを発行時に源泉徴収するゆえんは、これもよく御承知のことでございますけれども、割引債はしばしば中途で売却されます。全体で半分近いものは売却されると思います。売却されてしまいますと、これはいわゆるキャピタルゲインでございますから、キャピタルゲイン税制がどうなるかということはございますけれども、現状では課税の外になってしまうわけでございます。したがいまして、発行時に四二%源泉徴収をして、後は流通の段階で税負担を、前の人後の人それぞれが価格によって分け合っていくということをやりませんと、キャピタルゲインに対する非課税制度というのがもろに働いてしまって課税のバランスを失する。そこで四二%というものをいただくことにしたわけであります。
 四二%とは何かということでございますが、これはいろいろの考え方はございますけれども、現在は一六%源泉分離で取りっ切りになっておりますが、総合課税でございますから、そういうキャピタルゲイン等の問題も考えまして、課税所得一千万円超の限界税率四二%というものを頭に置いてつくりました。それで、法人税率も今回の引き上げ案によりまして四二%になるわけでございますから、その二つを一つの目安として定めたわけでございます。一千万円超と申しますとかなりの高額所得者でございますから、その場合の税額をあらかじめいただいておけば、中途で売却されても税負担の公正をそれほど多く害することはないであろうというのが基礎の考えてあります。
 ところで、現在の一六%の源泉分離課税から五十九年一月一日以降急激に四二にいくということになりますと、発行時の手取りが激減をすると。したがってそれがかなり重要な産業資金調達の方法であります割引債、国民の選択するかなり重要なウエートを持っております金融資産であります割引債、こういうものを発行、流通、消化にかなりの影響を及ぼすということでございますので、大体倍ぐらいということを頭に置きまして、三五%ということを考えたわけでございます。倍ぐらいという雑な考え方であるというおしかりをいただくかもしれませんけれども、現在の源泉分離税率が三五でございますから、それを下回らないで、かつ四二にできるだけ近いところということで、二年間新しい課税条件のもとでの流通の秩序をつくって、本則の四二に移っていただくという法制を考えて御提案を申し上げておる次第でございます。
○竹田四郎君 何か非常にいいようですが、要するに、たとえば証券会社なり銀行なりがその割引債を投資をいたしまして、それを委託を保管をして一年たってもらう。そのときには二二%返ってくるんですけれども、結局二二%分というのは国が勝手に先取りしちゃって、利子も払わないでやるということになるんじゃないですか。それは売る人はいいですよ。売る人は後の人にその分を負担させる、あるいはさらに先にいって買う人は、後の買う人がそれで負担をしてしまうということでいいんですよ。いいけれども、いまおっしゃられましたように八兆の償還差益のうちの半分ぐらいは流通するとおっしゃられる。半分ぐらいはみんな委託して一年たって差益をもらうということになりますね。そうなりますと、最初は四二%の税金分を含めて買っているわけですね、四二岩の税金分を含めて買っているわけですから、余分にお金が要るわけですよね。それで返ってきたときにはもちろん二二%の税金分と賞還差益分はこれは返ってきますわな。そうしますと、こういうことが私ども日常であるわけですよ。
 たとえば政府の金融機関であります商工中金、これに金貸してくださいよと言いますと、じゃひとつうちの割引債を少し持ってくださいよと。これはいいことか悪いことかいろいろ問題はありますけれども、金が欲しいということになれば、これは必然的に割引債を買わなくちゃならぬ。また商工中金と取引をするということになりますと、それも余りこっちへ買ったはいいけれども、ぱあんと売っちゃうというわけにもなかなかいかぬ。その次に借りるときにはこれ持っていないとまた貸してくれない。こういう事態がかなりあるんです、現実問題として。
 そうしますと、この人にとっては非常に高い金利のお金を借りなくちゃならないということになりませんか。私、計算してみました。利率六分で売り出し価格、賞還価格、それで利回りがどのくらいになるかという計算を私してみました。そうしますと大体いままでの二〇%の源泉徴収で、そして満期になって額面だけのお金をもらうといういままでのやり方の一六%を二〇%にしたときと、私の計算が合っているということになりますと、〇・〇六一%ぐらい違うんですよ。これを百万円で計算しますと、一万二千四百円分だけ先に金を出さなくちゃならぬ、こういう結果に私の計算ではなるんです。そうしますと、こういうことによって果たして中小企業、われわれよりも利回りというものについては厳しいと思うんですよ。いまあなたのおっしゃったような所得が一千万円というような、超えるというのばかりがこれを利用するわけじゃないと、それから下のところ、とんとんのようなところだってこれを利用しなければ、なかなかほかでは金を貸してくれないというのが私は現実だと思うんです。そういう流通をさせないでちゃんと持ってお金を借りるという、そういうことを考えている人にとってはまことに酷なんですよ。よけい金を出さなければならない。それで、ただで政府の方は二二%分の、償還差益の二二%分ですが、一年間はただで前取りしちゃう。一年たって利子もつけないで返してくれる。まことに税金だけを考えていて中小企業や、これは一般のあれも同じですわな、一般の個々に投資をして貯金をするという人も同じですわな、それは。そういうところにまことにやらずぶったくりで金を取っておく、一年間自分の方にやっておくと。政府の方取っちゃっている。こういう結果がこれで出ませんか。私の計算じゃ出るんですがね。こういう問題どうしてくれますか。
○政府委員(高橋元君) 確かに賞還差益の源泉徴収は現行でもそうでございますが、新しい御提案しております五十九年以降の制度でも発行時に源泉徴収をするわけでございますから、いわば二二%途中で売ってしまわれてキャピタルゲインになってしまう、その部分の税金については、いまおっしゃるようにその金利の問題というのが起こってくるかもしれません。利回りは現在一年物の割引債が七・六三一、七分六厘三毛一糸でございます。一年定期が七分でございますから、六厘三毛一糸だけ高くなっておりますが、これから先中途で売却される方、それから満期まで持っておられる方、それぞれのふところぐあいというものが市場に反映をいたしまして妥当な価格形成なり、発行条件というものが三年の間に形成されてきて、それが実際に五十九年以降の債券市場という形で出ていくものだというふうに思います。現行の発行条件を前提といたしますと、いまお話にありましたように〇・一%弱という金利負担が生ずるわけでございますが、それが今後の発行条件または市場での流通価格というものにどう反映していくかということはこれから先の債券発行銀行なり、流通市場のあれによるわけでございますけれども、いずれにしても四二%から二〇%引いた残りの二二%を満期の際に払い戻すという制度によりましてキャピタルゲインと、それから利子・配当所得をそれぞれに準じた課税というものが適正に行われるという趣旨で御提案をしておるわけでございます。
 いまお示しの点につきましては、たとえばそれが事業のために担保として割引債券を買って、その割引債券の源泉徴収分を余分に払い込むためにまた借入金をしておるということでございますれば、これは事業の経営にもなるわけでございますけれども、そういうことはさておき、今後の市場の発達ないしこの新しい税制の適用ということに私どもは円滑にまいるように関係の部局ともいまのお示しのところは頭に置きまして相談をしてまいりたいというふうに考えます。
○竹田四郎君 局長ね、それは発行価格が幾らになろうがどうなろうが、やっぱり一年間持っていてやった人と現に違うんですよ、どんな計算したってね。だから私が簡単に計算すると、もっとこれはいろいろ計算してみないとわかりませんが、返すときに普通なら二〇%の線をもう少し下げる。二二%返すのに二三%返す。この数字の上だけの問題ですよ、現実にいろいろこうやってみないとわからぬですけれどもね。私のさっきの計算の六%の利率の点でいきますと、四二%源泉で差っ引かれるときに一%ぐらい下げて返してやる。だから源泉を二〇%じゃなくて一九%にしてやる、保管した分についてはね。そうすると、大体売った分と大体ペイするという形になると思うんですよ。それでないと、もう売らないで一生懸命持っている人なんていうのは考えてみればささいな貯蓄者ですよ。そういうところにはやらずぶったくりの形でたくさん持って一千万円もやって、これで金もうけをしようという人のところにはうまくいくというあり方はどうも私はおかしいと思うんですよ。もう少しこれは考え直してみてくれないと、やっぱり弱い者いじめということに私はなっちゃうと思うんですがね。これはもう一回検討してみてくれませんか。
○政府委員(高橋元君) 金融資産選択の問題でございますから、定期預金にしておく、それから割引債にしておく、利付債を買っておく、割引国債を買う、いろいろなケースがあると思います。そういう場合に、ただいまのバランスは一年物の割引債七・六三一に対して一年定期七でございますが、いまお話がありましたようなことを含めて、今後の金融資産の金利のバランスというものが新しく形成されてまいるであろうと思いますし、そういういまのお話のようなことを念頭に置いて、銀行局なり関係の部局とよく相談をしてまいりたいというふうに考えますのが第一と。それから第二に、償還差益の源泉徴収を受けられた方はほぼ申告をしていただくことになると思うんでございます。申告の際に総合税率というものが定まってまいりまして、その方その方の源泉徴収、つまり二〇%源泉徴収をした後で幾らの税率になるかは総合課税の際に決定されるわけでございますし、仮に事業等で借入金の利子が必要経費として算入されますならばその場合の余分な借入金の利子というものについては所得税の課税標準からそれだけ控除されるというような形で、全体として調整がとれてまいるということを期待したいと思うわけでございます。利子・配当に対する二〇%の源泉徴収税率というのは、これはもう居住者、非居住者を通じまして一つの通則でございますから、そこに余り細かい手直しを加えてまいるということは、ただいまの御提案でございますから、またいろいろ税制調査会にも御報告して勉強してまいらなければならないと思いますが、余りに細かい手直しを加えてまいるということは、やはり源泉徴収制度そのものの持っております意味からして概算課税でございますから、ひとつそこは余り差別をつけない方が適当であるという考え方を持っておりますが、竹田委員のいまのお話というものはよく税制調査会にもお伝えをしたいと思います。
○竹田四郎君 もう時間がありませんから細かいことは言いませんがね。やっぱり同じものだったら同じ条件にしてもらわないとね。確かに、後になって総合課税でひっくるめればそれで大丈夫だからおまえ先に払っておけ、これは私ちょっといただけない議論だろうと思いますからね。これはひとつお願いをしたいと思います。
 もう少し聞きたいことがあるんですが、もう余り時間がないようですから省きますが、大蔵大臣いませんからまた後で若干質問を申し上げたいと思います。
 その次は、関税関係少し質問をさせていただきたい、こういうふうに思います。
 関税もいろいろたくさん問題点があるように思いますけれども、余り時間がないからごく簡単にひとつやっていただきたいと思います。ほかの局で、せっかくおいでになったところであるいは質問をしないというようなことになるかもしれませんが、それはお許しをいただきたいと思います。
 まず、今度の関税の改正で、特に自動車部品、それからたばこ、これによる減収見込みというのがございますね。これは調査室でお調べいただいた資料をそのまま使わしていただくわけですが、大体百億でしょうか。自動車部品の関税率の引き下げで約二十億、たばこが八十億、その他もありますけれども、時間がありませんからこの二つだけですが、できたらこれ国別にどんな事情になっているのか。ほかの細かい特恵関税なんかになりますと全世界を相手にしなくちゃならぬですから、それをしゃべるだけでも時間がかかりますから、自動車とたばこの二つだけ、大体国別にしてどうなるのか、その辺ひとつお答えいただきたいと思うんです。
○政府委員(清水汪君) お答えを申し上げます。
 減収額というのもこれは一つの試算でございますが、それを国別に分けるということになりますと、もう一つそこに仮定を入れざるを得ませんが、この場合昭和五十四年度の輸入実績というものがございますので、これによりまして国別の分けるときの案分比例のもとにいたしまして計算をしてみました。
 そういたしますと、たばこにつきましてはいま御指摘のとおり全体八十億でございますが、そのうち約七十五億円ぐらいというものが米国からくるたばこに係るものということになろうかと思います。あとの五億円程度が主としてEC、主としてこの中でも特にイギリスということになります。それから自動車部品につきましては、全体で約二十億円という減収試算をいたしましたが、これを国別に見ますと、そのうちで米国から輸入するであろうと思われる部品に係る分は約五億円でございまして、あとの残りは大体におきましてEC諸国でございます、たとえば西独からということで計算いたしますと、まあ五、六億円かというところでございますし、イタリー、フランス等はさらにその半分ずつぐらい、こういうような数字になろうかと思います。
○竹田四郎君 私、少しこれはたばこということが中心であろうかと思うんですが、またアメリカの圧力が非常に大きいということもあろうかと思うんですけれども、どうもそういう方面のものが要求があればそれを下げていくというようなことになってしまうわけですが、たばこの場合それに対して非常にアメリカからの要求が多いわけでありますが、これで一体、専売公社はどんなふうなぐあいにこれによってなっていきますか。たとえば金額とか数量とか、こういうものは一体どんなふうになっていくんだろうか、あるいはそれが国内の販売価格に対してどんなふうな影響が出てくるだろうか、恐らくこれは紙巻きたばこがかなり大きなウエートを占めてくるだろうと私は思いますけれども、そういうものの価格は一体どうなってくるだろうか。
 また、そういうものがいまこういうことでありますが、為替レートの動きによってこれまた違ってくるだろうと思いますが、いまの段階で、いま言われたのは一体どのくらいの円ドル価格で計算をしているのか。たとえば二百二十円くらいなのか、二百十円くらいなのか、こういうことも私大きく影響があるだろう、こういうふうに思うんですが、その辺をお伺いしたいと思います。
○説明員(石井忠順君) お答え申し上げます。
 輸入たばこは現在約十七ヵ国ぐらいから銘柄数にしまして百六十ぐらいの銘柄のものを輸入をいたしておりますけれども、数量的に最も多いのは米国でございまして、全体の九〇%以上を米国製品が占めておる、こういうことでございます。
 最近の輸入たばこの売れ行きでございますけれども、最近三ヵ年をとってみますと、年率で一二、三%で伸びております。同じ期間国内製品は約二%でございますので伸び率としては大変いいと申しますか、高いと申しますか、そういう状況にございます。ただ今年度に入りまして、御案内のように昨年の四月下旬に定価改定をさせていただきましたのでその影響もあろうかと存じますが、今年度に入りまして四月から二月までの累計で見ますると、国内製品が九八・五、これは対前年度でございます。値上げの直後はどうしても数量が落ちますわけでございますけれども、国内製品の方は九八・五、輸入たばこの方は九三というようなことで若干国内製品の方が回復が早いというようなことでございます。全体のシェアで申しますと、今年度で一・二%でございます、輸入たばこ全体といたしまして。
 そこで、今回日米間でいろいろなことが話し合われたわけでございますけれども、そういった結果で輸入たばこの先行きがどういうふうになるだろうかということでございますけれども、これは最終的には愛煙家の方々の御選択の問題でございまして、御選択の基準として価格でありますとかあるいは味の問題、ニコチン、タールの問題そういったこともあろうかと思います。さらに輸入たばこの売り場がどういうふうに今後ふえていくかどうかというようなこと、あるいはさらに、今回の合意の中にあるわけでございますけれども、広告宣伝あるいは販売活動といったようなものを内外共通の基準でやりましょうということになっておりますので、そういったことは一体どういうふうになってくるのか。そういった最終販売数量に関係を持ちますであろういろいろなものを計量化いたしますことは大変むずかしゅうございますので、いま数量は幾らになるか、金額はどうなるかというお尋ねでございますけれども、数字的にどういうふうになるかということを申し上げるのは大変むずかしいというふうに考えております。ただ、全体といたしましては、いままでよりは若干早いテンポでふえていくのではなかろうかというふうに思っております。ただ、何と申しましても絶対数量がいまのところはまだ一・二とかいう程度のシェアでございますので、近い将来にそう大きな数量になるというふうには私どもとしては考えておりません。そんなようなことでございます。
 それから、為替レートのお話がございましたけれども、従前為替レートの問題が輸入たばこの価格と国内製品の価格との関係に微妙に左右いたすわけでございますけれども、そういったようなことを考えまして輸入価格を円建てにいたすというような方針で交渉いたしてまいりまして、かなりの国と申しますか企業と申しますか、そういうことでお話ができまして、大体全数量的に申しますと九〇%以上のものが恐らく円建てで契約できるのではなかろうかというふうに思っておりますので、いままでのように為替レートの問題が国内製品の最終価格に変動を及ぼすことは少なくなってくるんではないだろうかというふうに思っております。
○竹田四郎君 時間がないから、済みませんが答弁もひとつ短かくしていただきたいと思うんです。
 もう一つは、マグネシウム、鉛、亜鉛、こういうものに対するスライド関税というのが今度言われてきたわけですが、これは一体どういう意味なんでしょうか。やっぱり総合経済安全保障というようなことで、高い米でもうんとつくろうという日本のいまやっているのと同じように、何かあったときには、こういうのは恐らく軍需品をつくる原料の一つになる可能性が非常に私はあるような気がいたしますけれども、高くても何でもこういうものは戦争のときに心配だから残しておこうというようなことでこういうスライド関税というようなことをしているんですかね・この辺はどうなんですか。通産省は通産省で考え方あると思うんですが、通産省はきょうは呼んでおりませんけれども、大蔵省としてはどんなふうに考えているんですか、その辺は。
○政府委員(清水汪君) 簡単にお答え申し上げるのはむずかしい問題でございますが、私どもとして通産省ともいろいろ話し合っているわけですが、大体こんなふうに考えられます。
 いま例示されましたお米とはちょっと違うと思います。要するに、国内におきまする鉱山がら出るその鉱石を使って製錬している業者がおりますけれども、これだけでわが国の必要なものを、供給を賄うということはできないのが現実でございます。したがいまして、重要資源の確保ということでございますが、その方法は現在でもすでに、一つは国内からの問題と、それからもう一つは海外鉱の開発手当て、鉱石なり地金による輸入ということに現になっているわけでございます。そこで、現在のスライド関税制度はそうした現実を踏まえまして、片方ではやはり国内の鉱山、それから出てくるものを製錬するというその一連の製錬業というものをある意味で保護をするという観点を持っていると思います。と同時に、これが安易な保護になってはいけないと、現に国際競争があるわけでございますから。そこで、海外との競争条件をうまいところへ設定するというような思想がそこにあると思います。やや競争をそこに及ぼすというか、きつめなところに設定をすると。大体いまのスライド関税の無税点というのはそういうような考え方のところへ持っていくということでやっているように思います。現実には多少の金額の問題で果たしてそうかとおっしゃられますと、必ずしも十分そうであるかどうかは問題があろうかと思いますけれども、そういう観点から見直しを続けながらやっているというのが現状だと思います。
○竹田四郎君 反論を一々している暇はございませんので反論いたしませんが、恐らくレーガンさんがああいうことになりましたから南北サミットがどういう形になるか、予定どおり開かれるのかどうかわかりませんけれども、一応六月こるでしょうか、南北サミットが大体予定されているのは。ここではやっぱり最近の日本の海外の経済協力のあり方というものに対する一つの反省なども生まれてくる可能性もあるだろうし、あるいはそこでレーガン方式の二国間援助を中心とするような海外への援助の問題も出てくる可能性が私はあると思うんですけれども、私は日本として、この関税を含めて――関税も私は一種の経済協力であろうと、こういうふうに思うんですけれどもね。やっぱりアメリカやソ連とは違いますから非常に、永井陽之助さんの言葉で言うと縦深構造でない日本の国でありますから南と北ですぐぺしゃんこにやられる国でありますから、特にそういう意味ではもっと経済外交というものが、ある特定な国の方向にいくバイラテラルな形ではなしに、オールラウンドのような形で経済協力というものを私は、そういう方向で進めていくべきであると、こういうように思うんですが、どうも最近はいろいろなのを見ておりましても、この関税の問題もその一種じゃないかと私は見ているわけでありますが、バイラテラル的な形への経済協力、経済援助、そういう方向にどうも向いているような気がしてしょうがないんですが、これは外務省どんなふうなお考えですか。
○説明員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のバイラテラルとマルチラテラルの関連でございますが、現在日本の政府開発援助の七割がバイラテラル、それから三割がマルチラテラルということになっておりますが、過去にさかのぼりますとマルチラテラルのシェアがかなり高まっております。先生御存じかと思いますが、六〇年代の終わりに出ましたピアソン委員会の報告で、マルチラテラルの援助を七〇年代はふやしてもらいたい、二〇%にもっていってもらいたいという勧告が当時出たわけでございますが、それは六〇年代の先進国の援助がバイラテラル中心でマルチラテラルが少なかったという反省から生まれております。その後各国とも、アメリカを含めまして、それから日本もいま申し上げましたようにマルチラテラルが比重が高まりまして、先進国全体で大体三割、七割がバイラテラルになっておりまして、私どもはこれは先進国全体につきましても、それから日本につきましても、大体いい形ではないだろうかと思っております。ただ先生御指摘のように今後の方向といたしましては、レーガン政権がバイラテラルの援助重視ということを打ち出しておりますので、バイラテラル援助の比重がアメリカにつきましては高まっていくかと思いますが、私どもといたしましては、バイラテラルな援助は外交的に見ますとマルチラテラルよりも効果があると思いますけれども、先生御指摘のようにマルチラテラルの援助はマルチラテラルの援助としての長所もございますし、いま申し上げましたような歴史もございますので、できるだけマルチラテラルの援助も伸ばすように努力していきたいと、こう考えております。
○竹田四郎君 時間が過ぎましたからもういろいろ議論しておれませんが、大蔵大臣、最後にお伺いしたいことが一つあるんですけれども、一つは、中小企業が非常に倒産をしておりますが、債権確保で賃金と国税の関係というのがときどき問題になるわけです。それで国税の方が先に取っちゃって賃金の方は知らぬ顔するというような点がありますけれども、この点はひとつ十分御注意をいただきまして、とにかく賃金の方の優先性というものをぜひひとつ確保していただきたいということが一つ。
 それからいまのお話ですが、これはあなたもきっと南北サミットにあるいは行かなくちゃならないという事態になる可能性もあると思うんですがね。最近どうもレーガン政権の方向に日本のいろんなことが流れてきている。そして私は、この海外援助というのはたとえば世銀を通ずるとか、アジア開発銀行を通ずるとかあるいはODAですか、こういうものを通じてやるとか、そういう一対一のバイラテラルの形でないのが日本としては私は理想的だと思うし、そういう方向に日本というのは進んでいかなくちゃならぬと、こう思うんですがね。その辺は大蔵大臣、政府の閣僚の一員としてもう南北サミットはあるしオタワ・サミットはあるし、こういう中でいろいろ議論されると思うんですが、その辺のことをひとつちょっと考え方をお聞きしておきたいと思うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 多角的な援助につきましてはわれわれとしても十分配慮をしてまいっておりますし、今後も努めたいと思います。
 なお、中小企業の賃金未払いの中で、国税が先に巻き上げていっちゃうということは困るというお話でございますが、実態に即しまして御趣旨に沿うように極力努力をしたいと存じます。
○委員長(中村太郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
○委員長(中村太郎君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、五案の質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○矢追秀彦君 しばしば議論に出ておる問題でございますが、政府は五十三年度以来四年間も所得税減税を見送っております。そのためにサラリーマンの納税者は、五十二年の二千七百九十八万人から五十六年の三千三百九十七万人と五百九十九万人、これだけふえております。また一人当たりで見ましても、給与は二百七十五万円から三百四十八万円と七十三万円増の二六・五%の伸び率になっております。それに対して税金の方は、十三万六千円から二十一万二千円と七万六千円増加し、この増加率は五五・九%、こういう増加率になっております。つまり、サラリーマン一人当たりの税金の伸び率は給料の伸び率の二倍強と、こういう単純的なデータですけれども、なるわけです。要するに、給与所得者に対しては税負担というのは大変過重になっておる、こういうふうに考えられるわけですが、大蔵省はこの現状をどのように考えておりますか。
○政府委員(高橋元君) いまお話しのように、五十二年の課税実績から申しますと、給与収入に対する所得税は十三万六千円で負担率にしますと四・九%でございますが、五十六年には三百四十八万円の給与収入に対して二十一万二千円の所得税でございますから、平均して六・一%の納税者の税負担割合になっておるわけでございます。このようにふえていることをどう思うかということでございますけれども、所得税が累進課税でありますということはしばしば申し上げておりますが、二百一万五千円という基礎的な非課税部分を引きまして、その残りを課税所得として累進構造を持つ税率を適用しておるというのが累進課税でございますから、したがって所得がふえてまいりますと課税所得の割合というのがふえてまいりますのが第一。第二に課税所得に適用される税率が累進的に増加していくということが第二。その二つのことから所得税の負担割合が上がっていくわけでございます。
 日本の場合には、それもたびたび申し上げていることで恐縮でございますけれども、二百一万五千円まで夫婦子二人の給与所得者でありますと課税が行われませんので、三百万円の年収の方の給与収入が一割ふえた場合には課税所得、つまり非課税部分を引きました残りの所得は六十五万円から八十八万円と一・三六倍にふえます。したがいまして、税負担もそのような割合でふえてまいるわけでございますが、五百万円の給与収入であれば課税所得は二百二十一万円から二百六十一万円、約一・一八倍ふえるわけであります。つまり一割の給与収入の増加に対しまして課税所得の増加が基礎的な非課税部分がありますために下に行くほど大きいということも、いまお話のありますような給与に対する税負担の増加ということになっておるんだと思います。それで五十二年と五十六年、それでは実際にその間に給与が三割ふえておるわけでございますけれども、三割ふえた場合に所得税、住民税、社会保険料引き後の可処分所得がどうなるかということでございますけれども、たとえば五十二年に三百万円の方であれば五十六年に三百九十万円、三割収入がふえるわけでございますが、その間再処分所得は二百七十四万六千円から三百四十九万五千円と二七・三%ふえておりまして、なお実質的に、つまりこの間の物価上昇二二・五%を引きました実質的な可処分所得の増三・九%があるということもこういう累進構造のもとで現実には起こっておるということをお認めいただきたいと思います。
○矢追秀彦君 いま可処分所得がふえておることも認めていただきたい、これは私もよくわかるんですが、そういうことを言い出すと切りがないわけでございまして、やはり私は、さっきも申し上げましたように四年間で納税人口は六百万人もふえて三千三百九十七万人になっておるわけです。現行税制でいけば五十七年度はさらにふえるわけです。ただ本年度所得税減税をやるということになりまして――それがどういう形でなるのかわかりませんが、課税最低限が上がるのか、あるいは戻し税減税という形がとられるのか、また税率がいじられるのか、あるいはまた控除の関係でいじられてくるのかこれはわかりませんけれども、まあ実際の減税の中身がどうあれ、私は五十七年度にはまた納税人口はふえてくる、そうなりますと徴税義務も増加してまいりますし、余り効率的でないのではないかと思いますが、この納税人口の考え方ですけれども、大体一説によると三千万人が限界である、こういう考え方もあるわけですが、大蔵省としてはこの納税人口は大体どの辺が適切なのか、あるいはそういう人数ではかることが間違いであって、あくまでも所得という面からやっていくのが正しいと、そう言うのか、その辺の納税人口に対しての適度というものをどう考えておるのか、その理屈といいますか基準というもの、これをお示しいただきたいと思うんです。
○政府委員(高橋元君) いまお尋ねのような御趣旨での納税人員の適正な割合というのは、一義的にはなかなか申し上げにくいと思います。これは賃金の何と申しますか分配と申しますか、それが非常に急激に上に偏っております場合には納税人員は少ないわけでございますし、比較的平等化してまいるという段階では納税人員割合はふえてくるということで、かつて昭和四十年、三十年とさかのぼってみますと、納税人員割合が低いのは、そういう賃金構造にも起因しておると思うわけでございます。給与所得の納税人員が三千数百万人というくらいの大きな方々に税金をお願いしておるわけでございますけれども、これは源泉徴収という形で実際には処理しておるわけでございますから、源泉徴収義務者の数がふえてまいるという意味で、国税当局の事務量というものがふえてまいっておりますけれども、しかしながら、現在の財政の状況なり全体の国民に対する税負担の水準、それからさらには、それをどのような税目で負担をお願いするか、全体を総合して給与所得者の中の納税人員をどのくらいが適当かということが定まってくるものであるというふうに考えております。
○矢追秀彦君 大蔵大臣、いまの主税局長の答弁では、ちょっとアバウト過ぎると思うんですけれども、ある程度やっぱり原則を決めて、国民に税負担をお願いするということになれば、いま言われたような、かつては少なかったのは高い所得の方から税金を取っておったと、しかしいまは全体的によくなっておるから、たくさんふえるのはやむを得ない。やむを得ないならやむを得ないわりに何か原則というものをやっぱり国民に示して、そうして税負担をお願いすると。これからの将来展望を考えますと、私は日本の経済は、高度成長した方が一面においてはいい面があると思いますが、恐らく今後の経済成長というのもそうかつてのようなことは期待できない。やはり安定成長あるいは低成長になる。それからまた高齢化社会になっていく。年金生活者もふえていく。こういうふうな中で、私はある程度納税人口というのはふえるのもやむを得ない面も私はわからないではありませんけれども、もしそうするならば、それだけの原則というものを私は示しておくべきではないかと、こういうことでいま質問をしたわけですけれども、いまの主税局長の答弁であると、ちょっと私はまだ国民は納得できないんじゃないかと、ある程度のルールというものを示してもらいたい、こう思うんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どういうような原則を示すか、これも非常にむずかしいことでして、税務署で消化し切れないほどの納税人口でも困るわけですから、しかし課税最低限を据え置いて、しかも毎年所得が上がるということになれば、当然納税人口はふえるわけですね。二百一万円の人が月給が十万円上がれば、いままでは税金を納めなかったんだけれども、十万円上がれば一万円納めるということになるわけですから、だからそれはある意味で、税金を納める人がふえるということは税金払うほど所得がふえたということで、そのこと自体は決して私は悪いことじゃないと思うんです。ただ問題は、物価の値上がりというのがありますから、せっかく月給が上がってもそれがみんな物価で食われちまうということは困るわけであって、やはり物価を極力抑えなければならぬというのはそこから出てくるわけです。ですから、所得税全体で幾らに見るかどうかというようなことは、全体の国の歳出規模を何ぼに見るかという、そこから私は一つはくると思うんです。結局、極力抑えてもどうしてもある程度の歳出が必要だということになれば、その財源を何に求めるか、その中で要するに大きく言えば直接税で幾ら幾ら、間接税で何ぼ何ぼという大ざっぱな目安ができるのかと。これも議論がありまして、私は三割よりも四割ぐらい間接税のシェアがあったっていいんじゃないかと思っているけれども、これじゃいかぬという人もある。だけれども、ここらも、じゃ直接税何割、間接税何割ということもなかなか決めかねておる、これも実際問題。それから直接税の中でも法人税のシェアが何ぼで、それから所得税のシェアが何ぼでといったって、そこに一つの原則をつくって線を引いて枠をはめちまえといっても、これもなかなかむずかしい話でございますから、やはりそのときどきの全体の状況からにらんで、大体これらの税目で無理なく納めていただけるのはどの程度ぐらいかというようなところからこれは決めていくほかない。学問的に割り切って、もう科学的、計数的に理論づけられる、何といいますか枠というものはなかなか決めにくいんですよ、これは。やっぱり政治の世界で私は決めていくほかないんじゃないか、そう思っております。まことに御不満な答弁かもしれませんが、ほかに答えようもないというのも実際じゃないかと思います。
○矢追秀彦君 結局極端な言い方をすると、いまの大臣の答弁だと行き当たりばったりと、こういうことになるわけでして、それじゃちょっと私は、少なくも経済計画だって七ヵ年出ているわけですから、ある程度の目安というものは私は出していいと思いますが、なかなかむずかしいことは理解します。ひとつ御検討をいただきたいと思います。
 それから、いま大臣も歳出規模等の絡みで云々と言われましたけれども、五十六年度予算において国債減額はしたけれども、五十六年度の所得税の伸びは二兆六千億円余り、結局サラリーマンの、極端な言い方をしますと犠牲によって国債減額ができたと。これはつじつま合わせと言われると思いますけれども、それほど給与所得者に負担がかかっていることは事実であります。これは結局社会的不公平が拡大しておると、こう私は言いたいわけですけれども、そこで、大蔵省の資料である「業種別所得者数と所得税納税人員の推移」で五十年から五十六年の推移が出ておりますけれども、五十年は所得者数に対する納税者の比率が給与所得者が七一・九%、農業所得者は一五・四%、農業以外の事業所得者は三二・四%。これが五十六年になりますと給与所得者が八三・九、農業所得者は一四・六、これは五十四年です。次に農業以外の事業所得者は三六・二、これも五十四年度ですが、このように給与所得者への税負担が大変高まっておりまして、農業関係は逆に減っておる、農業以外の事業所得者もわずか三・九と、こういうふうな状況で、結局いま申し上げたように、要するに給与所得者、サラリーマンの犠牲でいわゆる歳入が賄われてきておる、こういうことになると思うんですけれども、このデータどうお考えになりますか。
○政府委員(高橋元君) 二兆六千億はサラリーマンの負担でという仰せでございますが、ことしの所得税は実は利子所得にかかります。その基礎になります預金の金利の引き上げということが昨年の三月、四月に起こりましたものでございますから、したがって利子所得にかかる源泉徴収が非常に多くなっております。給与分の五十六年度の自然増収額は一兆二千百四十億円というふうに見込んでおるということを最初に申し上げておきたいと思います。
 それで、給与所得者に占める納税者の割合が高まっているという御指摘は、そのとおりでございますけれども、まず第一に農業所得者、これは専業農家と一種兼業農家でございますが、それに占める納税者の割合がそれに比べて横ばいまたは低下しているではないかという御指摘でございますけれども、これは水稲の生産調整、農産物価格の動向、さらには作況というようなものがかみ合わさって農業の場合にはなかなか納税者の比率というのは高くなってまいっておりません。それから事業所得につきましては、これはいわば事業所得の給与所得化と、たとえて申せばそういう現象がありまして、所得が非常に高くなってまいりますと、高額の事業者は法人化をいたします。そうしますと、本人、家族全部給与所得になるという現象もございます。そういう形で給与所得者の納税者がふえ、事業所得者の納税者が減ると、こういう構造的な要因があろうと考えます。
 いま申し上げた三つの事柄から、給与所得者に占める納税者の割合がふえておるということは事実でございますけれども、一概に全部が給与所得者の肩に振りかかっておるというばかりではないのではないかというふうに考えております。
○矢追秀彦君 いまのような答弁が出てまいりますので、私はこういった点をもう一歩明らかにするためには業種別の所得税額の推移、こういうものをやっぱり出していただきたいと思うんです。残念ながらその資料は大蔵省はなかなかお出しにならないわけでして、たしか予算委員会でもこの資料は提出を要求されておったと思いますけれども、残念ながら出てきておりません。そういった点が明らかになれば、いま言われたようなことが大きな流れとなって、私の言っている給与所得者がうんとふえてきておると、実際はそうではないんだと、負担がそっちへばかりかかるわけではないと、特に農業以外の事業所得者なんかは実質的にはもっとふえておるんだということがわかるわけですから、そういう意味では業種別の所得税額の推移が欲しいわけですが、これは出せますか。
○政府委員(高橋元君) 課税統計から過去五ヵ年間の給与、農業、農業以外の事業、その他と分けて人員と税額を整理した表がございますが、金額、人員を一々申し上げるのも繁雑でございますから、五十年分の五十四年と、そういう比率で申し上げますと、給与所得者は人員で一九%増、税額で八六%増でございます。農業は人員で二八%の減、税額で一五%増。農業以外の事業、これは営業者層でございますが、人員で二三%の増、税額で一〇四%の増でございます。その他、これは人員で三一%増、税額で三四%増。以上申し上げたようなことになっておりますが、必要があれば数字は後ほどお手元にお届けしたいと思います。
○矢追秀彦君 ぜひ届けていただきたいと思います。これはいわゆるトーゴーサン等の税の捕捉率とも関係がございますのでぜひ出していただきたいと思います。
 次に、給与所得者の所得税負担額、夫婦子二人の給与別の推移、これはどのようになっておりますか。
○政府委員(高橋元君) これはいろいろ前提の置き方があるわけでございますが、給与収入が三百万、五百万、七百万、千万という夫婦子二人のサラリーマンが物価分だけ給与が上がったと、こういう前提でございましょうか、御質問は。いろいろなケースが考えられるわけでございますが。
○矢追秀彦君 私が示しておりますのは、「給与所得者所得税負担額の累年比較(付住民税負担額を含む)」という、三百万、五百万、七百万、一千万、これは「税制改正の要綱」という大蔵省の資料です。
○政府委員(高橋元君) ちょっといま御質問のそのままの資料が手元にございませんので別の数字を設けさしていただいて恐縮でございますが、給与所得に係る収入税額等及び手取り額の伸び率でございますが、源泉所得税につきましては、五十二年一人当たり給与が二百七十五万一千円、それから社会保険料、源泉所得税、住民税の合計一人当たり三十五万五千円、差し引き手取り額が一人当たり二百三十九万六千円であります。それから五十三年で申しますと、実績納税人員二千九百九十九万人でございますが、一人当たりの給与が二百八十七万五千円。それから三つの社会保険料及び源泉住民税の合計が一人当たり三十八万五千円、差し引き手取り額は二百四十九万円。五十四年が納税人員三千百二十八万人、給与の一人当たり三百三万八千円、それから三つの控除項目の合計が四十一万八千円、手取りが二百六十二万円。五十五年の補正後、これはまだ概数でございますが、一人当たり給与が三百二十六万五千月納税人員が三千二百九十二万人、差し引かれます税金、社会保険料の合計が四十六万一千円で手取りが二百八十万四千円であります。五十六年は改正法によりますと三百四十八万二千円で、人員は三千三百九十七万人、それから社会保険料及び税金の合計が五十二万三千円、手取りが二百九十五万九千円、こうなっております。
○矢追秀彦君 ちょっとデータが私の議論しているのと違いますのであれなんですけれども、要するに五十二年以来、人的控除の引き上げが行われずに課税最低限は変わっておりません。そのために負担額というものも固定されてしまっております。しかし給与は毎年上昇しておるんですから税率の高い方へ当然移行していくわけです。そのためにサラリーマンの税負担は毎年増加しておる。名目所得がふえても物価上昇によって実質所得は減少している。これはもう言うまでもないとおりです。それにもかかわらず税負担率が増加している。これはやっぱりちょっと問題ではないかと思うわけです。そこで、そういうふうになっておるのは現行超過累進税率が持っております本来の公平性、こういったものが損われておる、これ以外にないわけです。したがって、いわゆるブラケットの調整というものが必要と考えるわけですが、その点についてはいかがですか。
○政府委員(高橋元君) 税負担が累進をいたします構造的な理由というのは二つある。これは先ほど申し上げたわけですが、一つは基礎的な非課税部分の大きさであります。もう一つは税負担カーブの累進性でございます。二つのことを総合しまして、これはもちろん名目の課税所得ということを課税標準にしておるわけでございますから、名目の増加によって所得税が増加していく。それによって、いまのお示しは超過累進税率構造が持つ本来の公平性が損われておるのではないかというお尋ねだと思いますけれども、しかしながら、私が先ほど申し上げましたように、長期にわたってやはり五十二年と五十六年というような少し長い目で見ていただきますと、年収が三割ふえ、税金はそれよりも高い割合でふえますけれども、物価が上がってもやはり可処分所得の実質は増加しておるという状況が維持されておりますわけで、やはり先ほど大臣からもお話がありましたように、全体としての財政需要なりそれに適応してまいりますための所得税の大きさ、またそのあり方ということとの関連で全体を判断いたすべきことかというふうに考えるわけでございます。
○矢追秀彦君 可処分所得がふえているから、ふえているからとおっしゃいますけれども、この議論はまたやればきりがないのでちょっとこれは横に置かしていただいて、所得階層別分布の推移、これを見ましても大変大ざっぱな階層別になっておるわけですね。百万以下、二百万、三百万、五百万、一千万、一千万円超とこれだけの階層に分けてありまして、一番問題はこの三百万から五百万のところがこれは一番ふえているわけです。これは四百万が入っていないからという理由を言われるかもわかりませんけれども、この三百万から五百万の層というのはやっぱり一番子供なんかの教育にはお金のかかるところでございますので、やっぱりこの辺の分布のあり方というものも一つは問題ではないかと思いますし、
   〔委員長退席、理事藤井裕久君着席〕
かつて税率の低いところにいたこの層の人たちが、名目所得がふえただけで実質所得は増加しないにもかかわらず税負担率が高い方へ移行されておる、こういう大変な不合理があるわけですね。それからいまも少し申し上げましたが、この資料ではなかなか分け方が大きいものですから、推移が特にさっき申し上げた三百万の次は五百万、その次は一千万と、こういう五百万単位となっておるわけでして、一番税負担の増加の著しいのは大体六百万円台、こう言われておるわけですね。特に税率なんかも御承知のようにこの辺が一番高くなっておる。これは会社で言えばかなり中堅層であり収入も多い方ですから、しかしその辺はまたそれなりに子供さんが大学へ行っているとか非常に厳しい状況もあるわけです。さっきも少し言いましたが、この所得階層別分布の階層別の分け方をもっと小刻みにしてやるわけにはいかないのか。この資料だと非常に大ざっぱ過ぎると、こういう点を伺いたいんですけれども、いかがですか。
○政府委員(高橋元君) 民間給与実態調査という広範な調査を国税庁でいたしております。一方で申告所得税につきましても申告所得税の実態調査というのをいたしております。これはそれぞれサンプルではありますけれども、かなり全体に延ばしました場合でも差異の少ないような標本抽出方法によっておりますので、最も信頼できる統計だと思います。いまお話のもっと細かい刻みで資料をつくれという仰せでございまして、これは十分検討さしていただきますが、実は源泉と申告でこれは事務の流れが違うものでございますから所得の刻みが違っております。それをなかなか単純にくっつけられないものでございますから、共通項を求めますと二百万、三百万、五百万、千万ということになりまして、その辺一段と工夫いたしてみたいというふうに思います。
○矢追秀彦君 いま主税局長言われた理由はようわかるんです。だけれども、いま申し上げたような理由でもう少し工夫してもらいたいと思うんですが、大蔵大臣はいかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税率区分の問題については、これは毎回大木さんを初めいろんな人から注文を受けておるところでございますが、一長一短なんです、これは。一長一短。ある程度税制を改正しないということになれば二年間か三年間ぐらい月給が上がっても同じ税率が適用されるようにしなさいということなんですね。そうすると、イギリスみたく三〇%最初っからもう十万円上がっても日本なら一万円のところ三万円というふうに取ってあれば、かなり三年ぐらいはそれでいいんですよ。いいんですけれども、そこの方がどうしたらいいのか。私はいまのやつはちょっと親切過ぎるというふうに思っているんです、確かに現在は。だから割合から見ると、たとえば所得の割合にかかわらず税額の割合がいまあなたのおっしゃったように大きくなると、しかし可処分所得はうんとふえるわけですからね、それ以上に。だけれども、累進構造を持っていると月給が二割上がったんだから税金が三割上がるということになっちゃうものですから、これは月給が二割上がっても税金も二割というようにすればいいとこう言うんですね。いいけれども、そのためにはやはり二%刻みを一〇%刻みにするかというようなところになってくるわけでございますので、一長一短あるんだけれども、そういう空気が強ければそう直すのも一つの手だと、こう思っております。いずれにいたしましても、これは所得税法改正のときには真剣に検討してまいりたいと考えております。
○矢追秀彦君 その問題もそうだけれども、この推移の分け方、刻み。
○政府委員(高橋元君) その推移の分け方につきましてはただいま申し上げましたように、両方の原始統計の区分というものをさらに検討して、より御審議に即するようなものを工夫してみたいと思います。
○矢追秀彦君 局長のはわかっているから、大臣はどうなんだと聞いている。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体局長と言ったこと同じでございますから。
○矢追秀彦君 税目別の税収弾性値、これを明らかにしていただきたいのです、最近のデータ。
○政府委員(高橋元君) これも非常に数が多いわけでございますが、所得税で五十年から五十四年まで逐次申し上げます。一・六七、一・〇一、一・四一、一・二六、二・二八。それから法人税でございますが、同じ年次区分で申し上げますと、マイナス三・〇二、一・二四、一・二〇、〇・八五、一・八三。それから酒税一・二三、マイナス〇・一一、〇・八二、〇・四一、一・一六。それから物品税一・五六、〇・六〇、〇・九六、一・七一、一・九一。それから印紙一・〇六、〇・九五、一・〇〇、〇・九三、一・四一、合計いたしました一般会計分、いま省略しました税金も含めましてマイナス〇・三五、一・〇一、一・一三、一・〇三、一・九二、かような推移でございます。
○矢追秀彦君 いまの数字でおわかりのように、所得税が五十一年から五十四年を比較いたしますと、一・〇一が二・二八と、法人税が一・二四が一・八三、間接税が一・七〇が一・六五ということで、所得税が弾性値の比較でいきますと大変高いわけですが、この所得税が高い理由、それから弾性値が高いということは具体的にはどういうことなのか、その点はいかがですか。
○政府委員(高橋元君) GNPが伸びました場合に、その税目の税収の伸び率が幾らになるかということでございますから、弾性値が高いと申しますとGNPが一%上がった場合に、所得税額はたとえば先ほどの二・幾らというのですと二%伸びると、こういう関係でございます。それは二つの問題になっていくと思うのですが、一つは成長率と賃金伸びとの関係でございます。それから二つ目は税率表、もっと細かく申しますと基礎的非課税部分及び税率表、それによります税収の累進の問題でございます。しかしながら、そこには利子所得それから分離譲渡所得などの動きが入ってまいりますので、弾性値についていま申し上げたようなのは、整然たる関係で論理的に積み上げてこうなるという計算はなかなかできませんので、先ほどもお断り申し上げましたように、五十四年、五年――五十四年は特に分離譲渡所得の税収が非常に伸びた、土地の譲渡の税収が非常に伸びた。それから五十四年の後半から五年にかけましては利子所得の割合が非常に伸びた、こういうような関係がございますので、一義的に弾性値が何によっているかということは申し上げにくいわけでございますが、概して申せば先ほど私が申し上げた三つの要因からなっておるというふうに思います。
○矢追秀彦君 五十五年度、五十六年度の推定はできませんですか。
○政府委員(高橋元君) 失礼いたしました。五十五年度の見込みの弾性値でございますが、源泉分が二・四三、申告分が一・七六、合計二・二六。五十六年は同じ区分で申しますと二・一九と一・七七で、合計二・〇九ということになります。
○矢追秀彦君 いま非常に弾性値というのがむずかしいということもよくわかりますが、ここでマイナスの弾性値というものはどう考えたらいいのか。これはさっきおっしゃったような計算方法でいくと、仮にGNPがマイナスになった、だから弾性値もマイナスという考え方というのは、何か計算でいうとちょっと出てこない。むしろゼロということが弾性値であって、どうしてマイナスというのが出てくるのか、その考え方――前年度の比較等が入ってきてマイナスというならわかりますけれども、いままで言われておる弾性値の計算方法でいくと何か、マイナスというのはどうなのかという、そこら辺いかがですか。
○政府委員(高橋元君) 法人税でマイナス三・〇二ということが五十年度にあった、五十一年度には酒税でマイナス〇・一一という弾性値を示したことがあったと先ほどお答えしたわけですが、GNPがふえておるのに税収が減っておるということでございます。五十年は四十九年に比べますと、たしか法人の所得水準というのは六割も下がった年というふうに記憶しておりますが、その結果税収が非常に縮んだわけでございます。また、赤字ができまして繰越欠損に充てられてしまったとか、そういうような関係で法人税の税額がダウンをしたわけでございます。この年のGNPの伸びは正確に記憶しておりませんが、法人税が前年に対して減になったということがこういうふうになっておるわけでございます。五十一年は石油ショック後の不況で全体として消費が非常に萎縮した年でございますから、酒に対する消費支出がこの年に小さくなったということでございます。
 概して申し上げれば、法人税は理論的には一の弾性値を持っておるはずでございます。それから間接税は一よりも小さい弾性値を持っておるはずでございます。それから所得税は一よりかなり大きい弾性値を持っておる、こういうふうに思いますが、年によりまして、不況の年には法人税が非常に小さくなり、好況の年には法人税が二に近い弾性値を示すというふうに、国民所得の中に占める法人所得の割合が伸び縮みしますことによって、法人税にはマイナスからプラスの二までの弾性値が出てくるわけであります。それに比べますと間接税の方は、ほぼ一または一を下回る弾性値ということが多いようであります。
○矢追秀彦君 その弾性値というものの考え方、私も素人でもう一つようわからぬのですけれども、さっき言われた寸確かにマイナス成長ということならマイナスというのはわかるんですけれども、何かもう一つこうすっきりしない。ただ単純的にそう言えるのか。ただプラスマイナス本当に裏表同じような率なのかどうか、その辺ちょっと私も疑問に思いますので、もう少し私も勉強してみたいと思います。
 そこで、税収弾性値はどのくらいを適正と考えるべきなのか。いま少しお触れになりましたけれども、大体そういう考え方でいかれるのか。といいますのは、現行所得税法のままでいけば、名目所得は高くなるのであるから弾性値というのはますます高くなっていくわけですね。そうすると、他の税との弾性値のバランスというのが何かアンバランスになってくる。だから他の税との弾性値のバランスというものもとっていくべきではないのか、こう考えますので、その点、これは結果論として出てきている数字でしょうけれども、その辺はどうですか。
○政府委員(高橋元君) 法人税の弾性値が理論的に一であって、後は法人の利益が大きくなるか小さくなるかによって弾性値が動いてくる、それから間接税の弾性値はリミット一であって、一よりも低くなるのが普通であろうということを申し上げました。非常に構造的にプラスの弾性値を持っておりますのは、一より大きい弾性値を持っておりますのは所得税でございますが、その弾性値が一から二の間を上下しておるということでございますけれども、これこそまさに税率表の構造が一番大きく起因しておるわけであります。課税最低限と申しますか、基礎的な非課税部分の大きさ、それから税率表の刻み方、それから最高税率、それから所得分布、四つのことが影響してくるわけでございますが、それは先ほど大臣からも仰せのありましたように、所得税を根本的に検討する時期に、税率表の問題として一つは私どもも検討いたさねばならないというふうに考えておりまして、そのことは昨年の暮れの税制調査会の中期答申の中にも述べられているとおりであります。
 いかほどの弾性値が適当かということは、実は外国の比較ということをしょっちゅうお答えをするわけですけれども、この問題については、実は外国の所得税の弾性値の正確な計算というのはできないものでございますから、国際比較をもって日本の弾性値がこの辺にあるというお答えをすることも、いまのところ理論的にびしっとしたお答えをすることはむずかしいわけでございますが、要は所得税の税率表の問題であろうというふうに考えております。
○矢追秀彦君 次に、経企庁いらっしゃいますか。――勤労世帯において非消費支出の家計に占める割合が大変高くなっておりますが、その状況と、それに対してどうお考えになっておるのかお伺いしたいと思います。
○説明員(香川勉君) お答え申し上げます。
 総理府統計局の家計調査によります勤労者世帯の実収入と非消費支出の動向でございますが、実収入に占める非消費支出の割合は五十一年以降高まる傾向にございます。そして五十年の八・七%が五十五年には一二・六%となっております。このように非消費支出の割合が高まっているわけでございますが、非消費支出の内訳としましては、勤労所得税その他の税、さらには社会保障負担というものが入っているわけでございますが、こういうふうにふえていることにつきましての経済企画庁としての考え方としましては、確かに国民の負担としてはふえているわけでございますが、これが大きいかどうかということを判断いたします場合には、この反対側としまして社会保障の水準だとか、あるいは住宅の状況だとか社会資本の整備状況、こういったことがあるわけでございますが、そういったものがまだ外国に比べて低いものもございますが、着実に改善されておる。こういう面から考えましてこの高さというのを判断すべきであろうというふうに考えておりまして、特にこれで、この表の数字がどうこうということではございません。
○矢追秀彦君 ということは、税及び税外負担というものが上がっても、いま言われたようなことで、たとえばこの五年間で約三・九伸びておるにもかかわらず、そっちの方もいっておるからそう負担としては上がっていない、こういう判断なのか、あるいはもしそう言われるならそれなりのデータが出てこないと、いまの国民の実際的な感覚としては、税金も重くなった、社会保険料等もふえた、そっちの福祉の負担もふえた、にもかかわらず生活は現実は厳しいんだ。よくなった面もある程度は認めるけれども、厳しくなったという声がありますので、いま言われたことで政府の方から私の議論に反論をされるとするならば、それなりのデータというものを出していただきたいと思うんですが、そちらを含めた上でのデータというのはあるんですか。
○説明員(香川勉君) 負担の状況と受益の状況と申しますか、実際にどの程度便益なりあるいは利益を得ているかという状況を、両方合わせたデータは実はございません。特に負担をする世帯と受益をする世帯というものに差がございます。同じものもございますが違っているものもございますので、そう簡単に比較することはできませんものですから、御質問の趣旨はよくわかるんでございますが、大変むずかしいということでございます。
○矢追秀彦君 まあむずかしいでしょうけれども、企画庁というのはわりあい数字の強いところですから、またひとつ御研究いただきたいと思います。
 次に、いままで給与所得者、いわゆるサラリーマンの税負担は大変高いということを種々の点から指摘をしてまいりましたが、次に、五分位別非消費支出の項目の推移、これでまいりますと、勤労所得税の増加率というものは、五十二年度をボトムといたしまして、五十三年、五十四年と急激に高くなっておるわけですね。しかも、それが分位の低い方、第I分位にそれが一番著しく見られるわけです。五十三年度は平均で一五・〇%が、これは総理府統計局の資料で「五分位階級別一世帯当りの勤労所得税推移(対前年度比率)」です。五十二年度が一五・〇%、五十四年度は一八・五%であるのに対して第I分位は二一・一%から三二・一%、第I分位が一〇・四から三一・一と、こういうふうなふえ方をしておるわけですね。そういうことで、要するに所得の低い方にそれが集中してきておると。それに反して所得のかなり高い方、第V分位では一三・〇が一五・一という、ふえ方も少ないわけでして、
   〔理事藤井裕久君退席、委員長着席〕
こういう点を見ましても、課税最低限、超過累進税率、こういったものが実情に合っていない。こういったことはしばしば指摘をされ議論もされてきましたが、私も改めて。くどいようでありますけれども、この問題に対してはやはり深刻にひとつ理解をしていただいて、これの是正というものにやっぱり努めてもらわなければ不公平感ということも国民の間に高まるばかりと、こう思いますので、五十六年度の減税の際にでも少しはこの辺の手直しということも含めましてぜひ御検討をいただきたいと、こう思いますが、大蔵大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(高橋元君) 五十四年の家計調査年報と五十年の家計調査年報と比べてみますと、確かにいま仰せのように分位の低い方ほど所得税の伸び率は高いという傾向はあるわけでございますが、これを実収入に対する所得税の負担率という見方で見ますと、第I五分位は五十年の〇・九から五十四年の一・二というふうに〇・三ポイント上がっておるわけでございますが、第V五分位、一番高い分位では三・六が五・二と一・六ポイントの上昇になっております。全体としての税負担率が二・四から三・三というふうに推移している中で、やはり所得税全体としてはかなり累進が効いておりまして、高い五分位ほど税負担割合が高くなってきておるということは申し上げられると思うわけであります。これは収入の中で課税最低限等によって構成されますところの基礎的な非課税部分が所得の小さいほど大きく出てくる。したがって、残りの課税所得の部分の伸びが第I分位に近づくほど伸びが大きくなる。もともとゼロのところからの増加でございますから最初の分位ほど税負担の割合の増加は著しいわけですが、全体としての税負担割合で申し上げれば、ただいま私が五十年と五十四年の対比で申し上げたような姿になっておって、これが所得税としての全体の累進構造をあらわしているというふうに理解をいたしております。
○矢追秀彦君 いま言われたデータ、私否定するわけじゃありませんけれども、それはそれといたしまして、やっぱりこのふえ方、いま私が指摘しましたような、パーセンテージ上がることもわかりますけれども、相当大きいものであると思うわけです、いま局長の言われたデータでいきますと、その五分位の方の、全体の負担の増の中では第Vの方がふえておる。そういう点を私は決して否定はしません。しかしやっぱり所得の内容から言いますと、もうずいぶん第I分位というのは御承知のように低いわけですから、五十四年度の場合は二百五十九万、五十五年度で二百七十八万ですからやっぱり相当、仮にいま言われた負担率が低いと言ってもパイ自身も小さいわけですから、それだけ負担率が低いから、〇・三ぐらいだから大したことないと言っても、私は実際こたえる感じとしてはやっぱり第I分位の方の方が厳しいという気がしてならぬわけですけれども、その点も含めまして――決してだから私はいまのこの不公平税制、もちろん所得税の場合はそれなりに私はほかのものよりは公平性があると見ておりますけれども、もう少し第I分位に対する手厚い施策というものが必要ではないかと思うんですが、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 数字の上で見ると確かにそういうことは言えるんですが、実感的に、低所得者の方が月給袋を開いてみてそれで何が一番よけい取られておるかと、実感論から言うとないんですよ。三百万ぐらいでそれで所得税、子供二人だったらともかく月二千円ぐらいですから、ボーナスや何かのときにふえて全体で六万円ぐらいしか払ってないんですからね。そのほかの費用の方が、二倍ぐらいのがいっぱい引かれている。したがって、実感論としては低階層が所得税額うんと高いというようなことは数字の上では出てくるんですよ。だんだん上がったとか何だとか言うけれども、実態論としてはほかのと比べてみると、所得税の場合は中堅所得者層になるとがさっとふえるということはよくわかりますが、私はしたがって現在でいいとは思っておりませんよ。思っておりませんが、そんなに低所得者層に過重な所得税体系になっておるというふうにも考えておりません。
○矢追秀彦君 それは大蔵大臣、データを否定するような言い方はいかぬですよ、実態とか実感とか言われますけれども。だから私さっき言ったでしょう、確かに五百万から八百万ぐらいのところも税率は大変高いんですよ。この辺もやっぱりある程度考え直していかなくちゃ――この実態というのは確かに取られているという感じなんですよ。大体管理職ぐらいの人ですね、われわれぐらい、私の年代ぐらいの人で普通の会社に勤めている方はいま相当取られている感じを受ける。この辺の税率、確かに高くなっています。だからと言って、じゃ低い人はいま大臣の言われたような、ちょっとだからそんなの大丈夫だと、ほかの方が高いんだと。こう言ってもまたこれ言い過ぎじゃないかと思うんですよね。だからその辺でやっぱり、こういうデータもある、さっき主税局長言われたようなデータもある、いま大臣言われた実感というのも私は決して否定はしませんが、そういう点をもう少し私は冷静といいますか、やっぱりこうしわ寄せになっていることは事実なんですから、この辺は取る方だけの頭ではなくて、出す方のことも含めた上でやっぱり考え直していただきたいと思うんですね。いまの大臣のはちょっと乱暴過ぎる答弁だと思うんですよ。低所得者の方が聞いたら怒るんじゃないですか。再度……。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も選挙やっていますし、いろんな方とお話をするんですよ。それでテレビなんかでもいろいろ言って御質問も受けます。受けますが、やはり世の中というのはだれかが持ち合っているわけですから、だからあなた税金どうですかと、高いですと。いまお幾ら納めていますかと――月給まで聞くわけにいきませんからね。そうすると、幾らということも余り言いませんが、月給袋見てくださいと言うと、所得税等は健康保険料の何倍かですよ、実際は。それは、二十万円の月給もらっていればそいつのともかく一〇%ということになると二万円ですから、その半分が自分が払う健康保険料ですからね。そうすると二百四十万円ぐらいの人は所得税は三千円とかね。その程度になっているんです。したがって。要するに特に非常に所得税がうんと高いんだという実感でなくして――私は減税をできるだけしたいという気持ちはもうやまやま持っているんです。持ってはいるんですが、やはり政府としてはお金がいろいろかかると。で、小学枝に二人やれば八十万円国と地方でお金がかかりますというようなことをお話ししますと、意外と納得してくれる人が多い。納得しない人もいますよ、それはいっぱい。いるけれども、私は話せばわかるんじゃないかというようなことで、今回もそういうわけでございますから、本当は所得税減税をやりたいんですが、こういうような財政事情なので、今回はひとつ御容赦をいただきたいということを言っておるわけです。財政事情がもっと好転をすれば、私は所得税の減税問題というものは避けて通れない問題だと、このように思っております。
○矢追秀彦君 次に、いわゆる職員世帯、ホワイトカラー、労働世帯、昭和五十三年で職員世帯が一一・八、五十四年度が一六・三%、これはいまの総理府統計局のデータですね、対前年度比率。で、労働世帯が二〇・七が二〇・九、職員世帯が一一・八が一六・三と。要するに、労働世帯の方が依然として負担率の伸びというのはホワイトカラーより高いんですね。これはやっぱり所得が低いということに対するしわ寄せの一つのデータと思うんですが、これはいかがですか。
○政府委員(高橋元君) いまのお示しの資料はちょっといま手元に持ち合わせておりませんで恐縮でございますが、確かに収入の少ない、または所得の少ない方が、所得が増加します場合の税負担の伸びは、これは基礎的非課税部分の割合が大きいわけでございますから、繰り返しのお答えで恐縮でございますが、高くなりますが、全体としての収入または所得に対する税負担率の推移というものもあわせて御勘案をいただきたいと思います。いま手元で調べておりますから、それに該当する資料が出ましたときにもっと正確にお答えをしたいと思います。
○矢追秀彦君 さっき大蔵大臣が減税やりたいということで、今年度についてはなかなか厳しいと言われましたが、これはあるいは予算委員会等で質問が出たかと思いますが、先ほども少し触れましたが、税収がどこまでくるのか、あるいは剰余金がどこまで出るかいろんな問題ありますので即答はできないと思いますが、考え方の基本として、大体どれくらいの財源ができれば、いわゆる所得税減税、課税最低限を引き上げるあるいはまた控除の方でいじる、あるいはまた、これは私は税務職員の立場に立ちますと余り好ましくないと思うんですが、戻し税減税ですね、これは手間が大変かかるし、非常に税務署の方大変ですから私は余り好ましくないと思いますが、戻し税減税。それからまた、いじるときは年末調整でやるのか、その辺即答はできないと思いますが、大体こういうふうな条件が整えばこうやるんだという、それはいま出せませんか、五十六年度。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 五十六年度については、一貫して減税は御容赦願いたいということを言ってきたんですが、いろんないきさつがありまして、それで五十六年度は議長裁定というものが出て、それで各党間でそいつを受諾したわけですから、理屈は理屈、現実は現実、そういうことで私としては議長裁定を忠実に履行いたしますと。それによって結局剰余金が出た場合は、きょうの法案にもあるように、剰余金二分の一は国債整理基金に繰り入れないと。それで繰り入れなくてもよろしいという法案も可決されるでしょう。したがって、そういうことには幾らの減税になるか出てみないことにはわからない。千億単位になるのか何百億単位になるのかわかりません。わかりませんが、どっちにしてもその結果には私は従いますということをはっきり言っておるんです。五十七年、八年、先の展望につきましては、これは要するに財政再建のめどがつくと、一口で言えば。とにかく景気の問題もあるでしょう。それから何か直間の問題も頭の中にないわけではないんですが、そういうようなことで、いずれにしても財政再建のめどがついて、そうして歳出カットができて、そして増税をしなくてもなお財源に余裕があるというようなときには、私は優先的に所得税減税を考えていきたいと、そう思っているんです。
○矢追秀彦君 いやいや、私聞いているのは、五十六年度に、金額はまだわかりません、大体仮定としてどういう形の減税――方法論ですよ。これは全然見当つかないのか。たとえば三千億ぐらいのお金が仮にできたとすればこういう減税の形にできると。ただ時期については年末に持ってくるぞとか、あるいはまた補正の問題もありますから、いわゆる歳出カットというものがどれぐらいできるか、その辺のこともありますので、なかなかむずかしいと思います。仮定の上から言って、こういう条件があればこういうふうな方向、こういう条件であればこういう方向、そういうふうなことはまだいまの段階では言えないかどうかということです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それはもともと政府が考え出した減税案じゃないわけですから、政府の方は考えないわけなんですよ。それは各党で話し合いをしてもらって、その財源の範囲内で話のついたところでやっていただくのがいいんじゃないかと、そう思っております。
○矢追秀彦君 ということは、政府としてはもう出さぬと、こういうことですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 各党がいいということでいいんじゃないか。政府としては、あれがいいとかこれが悪いとかということをいまさら申し上げる立場にありません。
○矢追秀彦君 もう時間も余りありませんので、次の質問に入るとちょっと時間切れになりますから、私ちょっと、質問通告していない問題ですが、総論的な面ですから、大蔵大臣もお答えできると思いますので……。
 本年度、予算委員会でも減税論等が出まして、結局財政再建の増税という面では政府は一つ下がられたと。そのかわり今度は行政改革ということで歳出を減らしていくんだと、それがいま非常ににぎやかな議論がされておるわけですけれども、私は、歳出カット、行政改革のあり方、これについてひとつ、短兵急といいますか一律カット的なそういう単純のぱんぱんと切るようなやり方は反対でして、いい言葉は私自身まだ見出していないんですけれども、もう少し時間をかけた上でいろんなことをちゃんとやれば、自然にお金が要らなくて済む行政改革といいますか、節約といっていいのか、それはいっぱいあると思うんですね。
 具体的に例を言いますと、これは言っていいのかどうか非常に私も心配なんですけれども、今後老齢化社会になると、六十五歳以上が一〇%になる時代はそう先ではありませんね。そうすると、たとえばいまシルバーシートがある。これは高齢化社会になったら山手線に一台空つぼの車、シルバー電車走らなくちゃいかぬ、車両一両ね。そういうことをするより、むしろみんなが席を譲れば要らぬわけですよね。ただし教育は徹底的にやらなきゃいかぬと思う。こういうのは、一つこれは卑近な具体例です。
 それからまた、たとえば救急病院などは果たして急患がどれだけ行っているのかと言いますと、半分しか行ってません。普通の患者さんが半分です。こういう普通の患者さんは、もう少し地域における医療がきちんとシステム化してくれば、開業医の先生あるいは地域の病院で片づく。何も救急病院まで行かなくていい。そうすると、救急病院一生懸命いまつくってますけれども、そういう規模だって適正な規模にすることは私は可能だと思いますね。
 私の専門になりますけれども、たとえばことしは障害者年で、障害者の問題が出ておりますが、障害者の歯科の治療一つ見ましても、たとえば大阪府の身障者センターに来ておる障害者の患者さんの歯科の治療、半分は一般の開業医で十分できるんです。大変重症で、全身麻酔をしたり、専門的にその障害者治療をやらないとできないようなのは、極論をすれば二割、せいぜい半分。しかしそのためにやはり設備もちゃんとし、人も雇っておるわけです。それでもまだ定員は満ちておりません。で、大阪府は年間五千万の赤字。こういった点も開業医の先生方が障害者をみんなが責任を持って診る、そのかわり、保険の点数は治療はいまプラス五百円ですよね、障害者の治療でプラスされるのは五百円しか加算されない。これはもう少し上げていただく。そのかわりみんなが協力する。しかし一人ではできませんから、近所の方もある程度障害者の方を運んだりするのを手伝っていただくとか、そういうことをやれば五千万の赤字があるいは二千万ぐらいで済む可能性は十分あるわけでして、そういう面の問題、あるいは国保の赤字一つ取り上げても、地域医療をしっかりやれば、国保が赤字になっている市町村もあるんですよ、これは受診抑制でなくて。実際データは出ているわけです。そういうふうに下手をすると財政再建に名をかりて、それこそさっきの話ではありませんが、弱者にしわ寄せになったりあるいは首切りにつながったりいろんな面が出てくる。こういう点は非常にまずいので、これは第二臨調等でこれから検討されると思いますけれども、とにかくそういう一律カット的なものではなくて、もう少しそういう節約のできるあるいはお金がかからないで済むような体制づくりといいますか、そういうものを先にやった上で自然の流れの中でやっていく。五十七年度でこれだけ切る、五十八年度でこれだけ切る。私は、大体主計局の考え方というのは絶えず何割カットとかという考え方が多いように思うんです。そういった点で、要らなくなった補助金の問題、全部事業が終わっているのにまだ補助金が続いている、これなんかとんでもない話です。そういうことだけではなくて、もっと国民の協力とそれからそういうことができるような体制づくり、そういうことに政府は努力をした上で、じゃ五%泣いてくださいとか、それならわかるんですけれども、往々にして金がないから、税金取れませんから今度はカットだということで、非常に大事なものまでカットされてしまうと私は大変問題になると思いますので、今後の財政再建の一つの大きな柱である歳出カットの問題ですね、これをひとつ大蔵大臣よくお考えいただきたい。御感想を伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政再建のために増税を避けてやろうということになれば経費の節減しかないわけでございまして、どの経費が必要なくてどれが必要があるか、大所高所から見ることもちろん大切です。大切ですが、主観によってこれはえらい違いもございますからね。いま矢追委員のおっしゃるような、それはみんなが席を譲ればシルバーカーは要らないんじゃないかということも、それはそういうことも言えるでしょう。それから医療の問題も道義的な問題でしょう。それはみんなが喜んでともかく身障者を見て差し上げるという気持ちになれば特別な支出も要らぬでしょう。ところが現実の世界というのは、第二会社までつくって、トンネル会社までつくらなければともかくもうけの処理が困るみたいな話をしているのも現実の世界なわけです。ですから、ただ道義的にやることも、もちろんこれは一番大事なことなんです。これは一挙にできないかもしれない。時間がかかる。しかしその前にやはり各省庁において、もう本当に予算は伸ばさない、むしろ減らすということをまず省庁の中で一遍考えてもらったら私は一番いいんじゃないか、そうとすら思っているんですよ。
 ですから、大所高所で全体どこへ幾らつけ足すかということは、また別途考えなきゃならない問題です。その具体的な手法につきましては決まったもの何もありません。何にもございません。試行錯誤的なところもありましょうし、何もこれは大蔵省だけで考える必要はないんであって、各党からもこういう財政再建案で、ここのところの経費はこういうふうに具体的に――ただ行政改革、行政改革と言われたって困るわけですから、具体的にここはこういうふうにしようと各党からみんな持ち込んでこられて、われわれも一緒になって相談をして、それでみんなの最大公約数がとれるものがあれば一番いい、そう思って、そういうものは優先的にカットするということがいいんじゃないか。決して政府だけでやろうなんという考えはないんでございまして、大いに今後皆さんから具体的な御提案を大歓迎をして一緒になってやりたい、そう思っておるわけです。
○近藤忠孝君 最初に、昭和五十六年度から新設されるエネルギー対策投資促進減税の問題についてお聞きします。
 この対象となる設備を購入した企業については取得額の七%の税額控除、三〇%を特別償却するということになっていますが、これによる減税規模はどれくらいでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) ネットの減収額といたしまして総額四百五十億円を見込んでおります。
○近藤忠孝君 大臣、一つ財源をいま見つけましたので、ひとつ御検討いただきたいと思うのですが、この問題でまず昭和五十六年度の省エネ、代替エネルギー関連投資ですね、これがどれくらい見込まれるか。新聞報道によりますと約一兆円とされておりますが、間違いないでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 取得価格ベースで約一兆円でございます。
○近藤忠孝君 問題は、その額が達成できるか、特に私が指摘をしたいのは、中小企業がこの減税の対象となる投資ができるのかというこういう問題であります。これは大臣も予算委員会ずっと立ち会っておられて中小企業の危機的状況についてはもう十分御承知だと思うのです。これは私も指摘しましたけれども、特に最近では商社系列の中小企業に対して、いわゆる商社金融をだんだんしぼっていく。そういう意味で倒産がどんどん続出をして、私の見込みでは、これはいまも、まさにこれは日本経済の危機ラインを突破している。このラインを、さらに突破に拍車をかける状況じゃないかと思うのです。私が指摘をしたのは三井物産の例でしたけれども、その後三菱商事関係でも倒産が出ている。こうなりますと、私は、この設備投資、対象となる設備投資に中小企業が果たして金を出す余力があるのか、こう疑わざるを得ないのですが、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはやってみないことにはもちろんわからない問題でございますが、私どもといたしましては金利の引き下げ、それからこういうような助成措置を講じて、ともかくおくれがちな省エネルギー設備に拍車をかけて前倒しでやってもらいたいということの呼び水として、これは非常に厳しい予算の中で計上したものでございます。
○近藤忠孝君 これは日経が「地殻変動する設備投資」という特集をしておりまして、大変さま変わりになっているという、こういう状況を指摘しています。その一つとして大企業と中小企業の設備投資格差がはっきり出てきた。同じ業界であっても規模の大小によるこれほどの大きい投資格差が出てきたということが指摘されておるのですね。その原因というのは、最近の設備投資が技術開発型であるのがその一因である。それからもう一つは、大企業の場合には自己資金を大いに使っておるけれども、中小の場合にはその力がなくて借入資金でやっている。そしてその借り入れがこれまた制限される、そういう状況の中で、具体的には政府がせっかくつくった省エネの減税の対象になかなかなり得ない、こういう実態があると思うのですが、その点の把握はいかがでしょうか。
○政府委員(高橋元君) いまも大臣からお話がありましたように、中小企業金融というものは、中小企業の設備を更新し能力を拡張していく、大企業に対して競争性を強めていくというために行われているものでありまして、その消化の実績というのはかなり高いと思うわけであります。毎年年末になりますと、中小企業金融を追加をいたすというような形でかなり利用されてきておると思います。
 設備投資が低調であるというような御指摘でございますけれども、設備能力を拡充してという形の設備投資についてはかつてほどの旺盛な投資需要というのは、いまの段階では期待できないとは思いますけれども、省エネルギーでございますとか技術革新投資でございますとか、そういうものにつきましては、いまや一種の設備投資循環で上昇局面にあるというふうに考えておりますし、ただいま御審議をいただいておるエネルギー対策税制につきましては、これはもうエネルギー原単位を下げてエネルギーコストの低減を図っていくということが刻下の急務であるということは、大企業、中小企業とも同じでございますし、企業面でも省エネルギー、代替エネルギー投資をやっていくという企業的な意味での必要性というのは同じように認識されておると思うわけであります。
 大臣も仰せになりましたように、現在必要な省エネルギー政策というものを推進するための税制でありますし、それを企業の面で受け入れる素地も十分あると。全体として一兆百億円ぐらいの投資の中で、六千六百億円は中小企業によって消化され得るものというふうに考えておるわけであります。
○近藤忠孝君 私は、その見込みがだんだん狂ってきつつあるんではないかということを指摘をしたいんです、ともかくも最近いろんな出てきている指標とかあるいは経済記事、それは確かにいま局長言ったとおり省エネ投資がふえてはおる、これは事実です、しかしそれはあくまでも大企業であって、中小企業にふえたという資料はどこにもないんですよ。逆に中小企業はそういう投資がむしろむずかしくなっている。逆に倒産どんどんふえていると、そういう資料は幾らでもあるんですが、それでもなおかついま言った六千八百億円ですか、それが達成できるという自信はあるんでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 産業所管省とも十分相談をいたしまして、五十六年度の経済見通し、それをつくっております産業の資金需給等々を踏まえまして六千六百億円という見込みを立てたわけでございます。
○近藤忠孝君 私は、これはもう一度慎重に実際の経済の動きを見直してみるべきだということを指摘をいたします。片方でせっかくつくったこの減税措置が、中小企業に余り利用できないんではないかという問題とうらはらに、大企業の場合に果たしてこれだけの恩恵を与える必要があるんだろうかという、こういう問題があるわけであります。現に、エネルギー価格高騰によるコスト低減対策として、省エネルギー、石油代替のための設備投資を急速に進めているのが、これは大企業の実態であります。たとえば鉄鋼業界では一九八〇年度の設備投資は六千二百四十億円でありますが、このうち省エネ投資は前年比七八%増、総投資額の二七%を占めているわけでして、しかもその設備投資は、資金はすべて自己資金の範囲内におさまっている。これは「鉄鋼界報」、これは千二百二十七号ですが、ここにちゃんとはっきり書いてあるんですね。これは八〇年の段階です。八〇年の段階ですでに自己資金で全部賄っている。しかもそれがふえているとなりますと、何もここで自分でできるこういう業界に対して、わざわざ四百五十億円もの減税ですね、そうまでしてやる必要があるんだろうか、その点はいかがですか。
○政府委員(高橋元君) エネルギーの使用という点からしますと、日本は暖房用のエネルギーとか運輸用のエネルギーの割合がヨーロッパ、アメリカに比べて低いわけであります。したがって、産業用に使われるエネルギーというものが非常に大きい。しかもこれが海外に依存をしますエネルギーで、経済の基礎でありますエネルギーの供給体制というのは非常に薄弱であるということは申し上げられると思います。全体の三分の二が産業用に使われておりまして、そのまた三分の二が、大企業、中小企業という分類で申し上げれば大企業が使っておるエネルギーであります。これを原単位を対外依存度七五%から五〇%まで下げていくということが日本全体の民生のためにも経済のためにも大事なことでございまして、そのための省エネルギーまたは代替エネルギー対策であります。大企業の場合には内部資金の割合が高いから、助成措置を講ずる必要がないではないかというお示しかとも思いますけれども、私はいま申し上げたような理由から、現在の省エネルギー、代替エネルギー対策を促進していく必要性というものは非常に高いというふうに考えておりまして、それで政策金融、それから財政支出、それぞれ全体を通じまして総合的なエネルギーの政策というものを精力的につき込んでおるわけであります。
 なお、ただし電力業のように計画的に電源開発税財源、原重油関税財源というものをもって代替エネルギー、省エネルギー投資が進められております部門につきましては、このエネルギー促進対策税制の適用は及ぼさないということにしております。
○近藤忠孝君 大臣、ちょっと中座している間に一つ指摘をしたのは、この省エネ投資減税の問題について、中小企業はさっき触れたとおりです。大企業につきましては、すでにもう八〇年の段階、去年の段階でどんどん投資が進んで、しかも大体自己資金でやっている、すると大体余りそこに減税という恩典を与える必要ないではないか、こう指摘をしたわけであります。肝心の中小企業については余り投資が期待できないとなりますと、あるいはその制度の分は残しておいても構わぬと思うんですが、大企業の分については別にこの制度をつくらなくてもきちっと投資減税進んでいく状況でありますから、その分削りますと大体四百五十億円の財源のほとんどが私はこれは浮いてくると思うんですが、そういうお考えは頭の中にこれぽっちもないでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは産業界の実態は大蔵省よくわからぬわけでして、通産省などの指導に基づいてやっておるわけでございますが、局長からもお話しがあったように、二百四十億円は中小企業向けにやると。あなたの話では、中小企業の方はほとんど使わぬじゃないかとおっしゃいますが、使うように仕向けていかなければならないのであって、いまの現況では景気が低迷していると、しかし物価も落ち着き将来の見通しもよくなってくると、夏から秋にかけて。ということになってくれば、われわれ金利も下げたりしておりますから、やはりこれは中小企業の方にも大いにそういうような点で活用してもらうようにしたい。
 また、大企業向け云々というお話がありましたが、全部うまくいっておるところにはこれ出さないわけですよ。普及率が三〇%未満のもの、そういうようなものに限って適用しようと、それで普及率をもっと高めようと。それから電力会社のようなところはこれは対象にしてないんです、ああいうところは。ですから、私はこれが有効に一兆円の設備投資の呼び水になるようにさらに努力をして誘導をしていかなきゃならぬと、政府全体としてそうだと思っています。
○近藤忠孝君 中小企業に対して施策よろしきを得て十分に、投資が行われればそれはいいことで、その分の減税分はそれはよろしいと思うんですね。しかしそのほかの分については、これはもう一度ひとつ考えてみる必要があろうと、こう思うわけであります。
 それから、いま大臣が触れた電力会社の問題ですが、これは関税の問題になりますので、ひとつ関税局長お答えいただきたいと思うんですが、原子力発電その他原子力の利用のために使用する物品等について免税になっておりますが、その理由は何でしょうか。
○政府委員(清水汪君) 原子力研究用物品についての免税をいたしてございますが、これはわが国におきまする原子力関係機器の研究あるいはその開発、そういったものがやはりおくれてスタートしたという関係もございまして、かなりの程度いままでのところで企業努力によりまして追いついているものもありますけれども、やはりまだそれがかなり立ちおくれているというようなことから、国産の困難な分野というものはかなりあるように思います。この制度はそうした国産困難な分野に対する措置ということで、そのようなものについてまで関税を課するというのは適当でないということから免税措置を講じていると、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 研究機器だけではなくて、原子力発電その他原子力の利用のために使用する物品について免税になっているわけですね。結局それらを含めて使用するのは電力会社であります。電力会社は絶対赤字にしないということで、赤字になろうとすると値上げするわけですが、そういうことでやはり相当のこれは能力のある企業ですね。そうなりますと、私はそういう面に着眼しますと、これまた免税の必要はないのではないかと思うんですが、その点はどうか。そして、この免税による税の減免額はどれくらいでしょうか。
○政府委員(清水汪君) 減税額は、先に申し上げますと、時点によっていまの関連機器の輸入というものが変動いたしますので余り一定しておりませんが、最近のところで申し上げますと、約三十億円というのが大体年間の免税額の大きさだと思います。
 ただいま電力会社のような大企業に対する措置ということになるではないかという御指摘がございましたけれども、これは最初制度の趣旨を申し上げましたが、研究用のみならず原子力機器の利用ということがもちろん入っておりますけれども、たまたま電力会社は御案内のとおり大規模でやっておるということの結果として、結果的に大企業が利用する結果になっておりますけれども、制度の趣旨はあくまでも国産困難なものに対して関税をかけないというところからきているというふうに御理解を賜りたいと思います。
○近藤忠孝君 国産困難という面の着眼だけではなくて、やはりそれを実際に利用し、税額を実質的には負担するそこの問題も私はやっぱり考えるべきだ、こう思うわけです。
 同じ関係では、航空機についての免税の理由とその免税額お答えいただきたいと思います。
○政府委員(清水汪君) 航空機につきましては、免税の大体の金額が、これも年によってかなり振れますけれども、最近のところで申し上げますと、約三百億円ないし三百二、三十億円、こういう数字になるわけでございます。
 この制度は、一つは航空機――最近の開発を迫られております航空機のメーカーのやはりまだ技術開発がおくれている、しかしながら、わが国の産業というものの将来を考えますと航空機製造業というものの将来性というものにはやはり大きな関心を持たざるを得ないわけでございまして、そうした製造業の保護という面がございます。そういうことから関税を設定しているわけでございますけれども、やはりその国産困難なものを輸入する、素材なりあるいは部品なりを輸入するという場合につきまして、これに関税を課すのは適当でないという面が一つございます。それからもう一つは、航空会社、つまり航空運送事業者でございますけれども、これが購入いたします大型ジェット旅客機、これももちろん免税にいたしてございますが、これも、言うまでもなく、わが国で国産がないということから免税措置を及ぼしている、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 同じような問題について、石油化学製品の関税還付問題がありますね。これについても、その還付の額とこれを還付している理由、いかがですか。
○政府委員(清水汪君) ちょっと額をいま調べますけれども、石油化学系統の原料に使うところの原重油に伴っての関税の減免、還付は、これはそもそも、原重油関税というものが石炭との関係から、つまり燃料としての競合性というところからスタートしてやっておりますという面が強いのでございまして、逆に言えば、石油化学のようないわゆる原料として使う分についてまでその原重油関税を課すのは適当でない、こういうふうに考えておりまして、従来からそれに見合う分についての関税は免除する、手続きとしては還付というのもございますけれども、考え方としてはそういうことにいたしておるわけでございます。
 その金額でございますけれども、還付の金額として申し上げますと、たとえば昭和五十四年度でございまして約八十億円というような数字になってございます。
○近藤忠孝君 この還付問題は国際競争力をつけるために設けた、こういう面はあるんでしょうか。
○政府委員(清水汪君) おっしゃいますような面がございます。
○近藤忠孝君 現状を見ると、その配慮はなくなっておるように思うわけです。
 以上、いろいろな面を見てみますと、大体財源が約九百億円ぐらい出てくるんですね。大臣の欲しがっている財源これくらいあるんですね。まあ国産ができないものというようなことも、これは大臣の頭の切りかえで、いやそれに対してもひとつ普通に課税していこうというお考えを持てば、それはちゃんと取れるんですよ。だからいま私が挙げたのはごく幾つかの問題点であって、そのようにしさいに見ていくとたくさん問題があるじゃないか、こう思うんですが、とりあえずきょう、いままとめただけでも約九百億ですから、何とかこれいたしませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 本来から言えば、関税というものは国内産業保護という大きな使命もあるわけですね。要するに外国から安い値段で入ってきて国産高い、どんどん入ってこられたんじゃ国内の産業がつぶれてしまう、だから差額の関税を取るとかそういうふうな関税制度、そういう一つの大きな使命があるわけですよ。ですから、国内にそういう産業がなくて外国から本当は安いものがどんどん入ってきた方がいいんだという場合には、それは関税を取らないということの方がむしろいいのかもしれない。しかし最近財政難になっておるもんですから、原油関税なんて世界に例のないようなものもありまして、これはもう財源対策だと言われても仕方がない。そういう例外はございます。ございますが、本来は、要するに国内の産業を維持したり、国際間の価格のバランスを考えたり、もともとそういうことでどこの国でもやっているんですから、お互い同士が一〇%ずつ関税かけ合うんなら両方でやめた方が一番いいんですからね。ですから、私はそういう点も考えなければならないので、航空機に関税をかけるということになっても高い飛行機を仕入れるだけのこと保になっちゃうわけですね。その結果は、結局はまあどっかで負担させるということになるわけですから、原油にかけているんだから飛行機もかけたらどうだという理屈も私はないことはないと思いますよ。ないことはないと思いますが、現在のところ航空機の問題については、むしろ安い航空機でそいつの償却等によって何とか会社関係や料金関係のことも配慮をするというような観点からこれは免税になっているものではないか、詳しいことは私はわかりませんがね。だから一般にそういうもの全部かけたらどうだというそれは一つの考え方かもしれないが、直ちに賛成はできないということでございます。
○近藤忠孝君 大臣言うとおり、外すんなら全部外しちゃえばそれは一つの理屈でまだいいんですね。ただ現在は一応課税している、その中で外すもんですからね。外したうち私が指摘したものは、これはいずれも相手が、利用するのは大企業であって、そこへ負担さしても決しておかしくない。そこをきちっと取れば財政困難の折がら、約九百億円も出てくる、こういう指摘なわけですね。となれば、これを考えていただいてもよろしいんじゃないでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ考えてはみますが、メリット、デメリット両方もそれもあわせて考えなければならないので、両方あわせて考えてみます。
○近藤忠孝君 まだ質問があるんですが、時間がなくなりましたので、まあ関税にはプラスのわれわれが賛成できる積極的な面もありますけれども、まだこういう幾つもの問題となる点がたくさんありますので賛成できないということを申し上げて、質問を終わります。
○三治重信君 きのうの質問の続きをやります。したがってあと残ったグリーンカードの問題に関連したのを一、二御質問したいと思います。
 いま所得税というのは個人の所得に対する課税になっているんですが、所得が夫婦で一千万以上の場合には合算をして累進課税をかける、こういうふうになっているわけなんですが、これはやはり総合課税になった場合には、それでもなおこういうことを続行してやっていくのか、全面的に検討するというようなお話もあり、こういうようなのには早速検討しなくちゃならぬというような答弁もあったかと思いますが、その点を一つ。私は、絵合課税をやる場合に夫婦の同一世帯の高額所得の合算というのは、これはやめた方がいいんじゃないか、こういうふうに思う。時代おくれの考え方じゃないかと思うんです。
 それからもう一つは、いま税務署でたしか高額所得者と言って一千万円以上なのは各税務署ごとに発表している。これを新聞、各地方紙なんかが非常に大げさに出しているわけなんですが、こういうのはもう大分年代もたち、いま一千万円というのは、これを発表した戦後のすぐのときから見ると普通の、特別高額所得というほどのことではないんじゃないかと思うんですが、こういうものも総合課種とともに、やはり余り刺激的になるかどうかというこれは個人の判断になろうかと思うんですが、やるとしても特別タレントとか政治家とか社会的の関心の強い人に限って、一般の金もうけを商売にしている人のやつを余り一生懸命これはどれだけ取ったというようなのを普通の人にまでやる必要があるかどうか。この二つをちょっと御説明いただきます。
○政府委員(高橋元君) 二つのお尋ねでございます。
 資産合算は主たる所得者の所得が一千万円を超えております場合に、家族について生じております資産性の所得を本人に合算をして申告した制度でございます。これはかなり税負担率が高い一千万円以上の階層という者につきまして、一種の租税回避ということが起こらないようなことで考えておるわけでございますが、たびたび大蔵大臣からもお答えがございましたように、利子・配当の総合課税というものが実現をいたしました際に、資産性所得に対する税負担の求め方が過重にわならないかという観点が一つ。もう一つは、納税者単位と個別、個人単位ということからむしろ夫婦単位ないし家族単位の課税のやり方ということが考えられないか。そういうことを含めまして広範な問題の一環としてこれは掘り下げて検討していかなければならない問題であるというふうに考えております。
 次のお尋ねは所得の公示でございますが、現在四十九年以来所得金額が一千万円を超えますと、五月一日に税務署にその所得を公示をいたします。これも守秘義務を一部解除して、一定額以上の所得を申告した方についてその住所氏名と所得金額を公示することによって、納税者がみずから正確な申告をする慣習を身につけるということで長い間続いてまいった制度でございます。
 どのくらいの人を対象としてやったらいいかということでございます、いまのお尋ねはそういうことだと思います。現在は四十九年以来一千万円といたしておりますために、現在納税人員が申告納税五百七十一万六千人おいでになる中で三十三万七千人法人になったというのが五十四年であります。全体の六%の方が税務署のいわゆる長者番付に名を連ねておられる。これはかってさかのぼってみますと、昭和三十七年に六%を超えたことがございましたが、非常に公示になります方の割合が高いということは事実でございます。そこでこれをさらに引き上げて、たとえば二千万とか、そのくらいから上の方だけを公示したらどうだという話もあるわけでございますけれども、こういう社会的に納税者がみずから正しい所得を申告していただくための一つの手だてであるという観点からは、余り軽々に議論をいたして柱どうかという御意見もかなりあるわけでございます。いろいろな角度からの御意見もございます。ただいまの三治委員の御指摘もございますので、そういうことを踏まえて適当な時期に水準の見直しについて検討してまいりたいと存じます。
○三治重信君 それからもう一つ。これは最後に、税の守秘義務の関係なんですが、最近いわゆる申告漏れとして幾ら追徴されたとか、そういうようなのがよく出るわけなんですが、これも私から言えば、特別の一般の人が興味を持つタレントとか政治家とかいう特殊な社会的地位で、相当あばかれてもしようがないという職業の人はやむを得ぬけれども、先ほども言ったように、金もうけのために一生を費やしているような人のやつを、税の関係で追徴したり何かしたやつも一々新聞に出るというのはどうかと思うわけなんです。そうなると結局守秘義務とは何だと、こういうことになるわけなんですが、この税務署の実地調査に会ってそうして追徴されたと、また申告漏れたといって指摘されたというものがどうしてこう新聞に出るのか。またそういうものは守秘義務に当たらないのか。脱税なんかはあるいはしようがないが、どの程度が脱税ということになって、税務署がやってみたらこれは完全な大きな脱税だったという場合には、これは守秘義務を免除してこういう脱税があったと。これは戒めのために世間にある程度知られるのはやむを得ないと、こういうふうなのか。どういうふうな基準をもって守秘義務とされているのか。ひとつお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(川崎昭典君) 税の実務に関しまして、個人のいわゆる所得とか税額に関しますことはすべて守秘義務ということで、新聞に載っておるのは、残念ながら私どもとしましてもどういう理由かということで推測に苦しむ場合が多いわけでございます。
 ただ先ほどからお話がございますように、公示という制度がございまして、法人税の場合、申告所得金額が四千万円を超える場合は公示ということになるわけでございますが、修正申告の場合にも公示になるわけでございます。したがいまして、修正申告があったと、これが何らか税務署の調査に関係しているんじゃないかといったようなことで世間の注目を引くといったような場合には、ある程度やむを得ない場合もあろうかと考える次第でございます。
○三治重信君 ちょっともう一遍。その修正申告のやつの発表というのは、あと追加はいつごろ発表になるんですか。
○政府委員(川崎昭典君) いつごろ発表ということは一概に申し上げられないわけでございますけれども、修正申告というのは、一度申告をされた方が御自分で気がついて、また改めて自分の申告を正して申告をするわけでございますから、これが出されますと、やはりいわゆる公示という法制のたてまえから当然公示になるわけでございまして、修正申告をしてから二ヵ月以内に公示されるというふうに御理解願えればよろしいかと思います。
○三治重信君 次に……
○政府委員(川崎昭典君) ただいまの話は法人税に関することでございまして、所得税の場合には修正申告があったからと言って公示されることはございません。したがいまして、守秘義務が全般に働いておるというふうにお考え願いたいと思います。
○三治重信君 じゃいまのこの個人の所得についての申告漏れとか、修正申告をした場合に一千万円を超えても、それをわざわざこういうふうに修正申告があったという発表はしないと。発表というのか、そういうふうに理解していいわけですか。
○政府委員(川崎昭典君) 個人の場合は最祝から一千万を超える申告は公示されるわけでございますが、修正申告によって初めて一千万を超えることになっても公示されることはありません。
○三治重信君 ありがとうございました。
○委員長(中村太郎君) 次長、答弁ありますか。
○政府委員(川崎昭典君) 大体先ほど申し上げたとおりでございます。
○三治重信君 じゃ一つ――いや、いま大臣が何か聞いておられたから質問をちょっと待っていたんですが……。
 私は最近、今度の増税について、日本の国民経済いわゆるGNPから見ると、日本のこの負担割合は非常に軽いんだというような、したがってある程度の担税力というんですか、増税の余地は先進諸国から比べてみるとあるんだ、こういうような意見を非常によく聞くわけなんで、したがって今度、「国民経済に占める財政の役割(国際比較)」いう資料を出していただいたんですけれども、これもまあ、先進国のアメリカ、イギリス、西ドイツ、フランスと日本を比較すると、確かに国債をこれだけ抱えた政府でありながら、なお先進五ヵ国の中では日本が七〇年代では政府の歳出は一番安いというかっこうになっているわけなんです。念のために言うと、七〇年代の終わりの七八年ではアメリカがGNPに対して三三・五%、イギリスが同じく四二・八%、西ドイツが四四・八%、フランスが四五・二%に対して日本が三一・七%、こういうふうになっておるわけなんですが、この中で比較して顕著に日本が低いのは、やはり一般政府の最終消費支出というものが非常にほかの国から比べると低いというのと、社会保障の移転費がアメリカ、イギリスとは余り大して違わないんですが、西ドイツ、フランスと比べると社会保障移転費が非常に少ない、こういうふうに出ていて、これは恐らく一般最終消費支出が極端に少ないのは、日本が軍事費をGNPに対して〇・九%しか負ってないということが大きな原因だと思うんですが、それに間違いないか。
 それから、社会保障の移転費でイギリスと日本とは一%も遣わぬぐらいなんですけれども、西ドイツ、フランスが非常に多いのはこれはやはり老齢化が進んでいるのか。また日本がこういう問題、いまから社会保障の年金とかいまの制度をやっていっても、先進国並みの老齢化社会になるとこれ以上の負担になるというふうに思うわけなんですが、その点についての見通しはどういうふうになっておるのか。
○政府委員(矢崎新二君) ただいま御指摘のございました国民経済に占める財政の規模の中で、一般政府の最終消費支出が日本の場合九・九%というふうなことで、主要先進国に比べましてかなり低いという状況になっているわけでございますけれども、この点は御指摘もございましたように、軍事費、いわゆる日本で言いますと防衛費の負担が日本の場合はかなり低いということが主たる理由というふうに理解をしておるわけでございます。
 それからまた、御指摘ございました社会保障移転、これが現在の状況では確かにこういったイギリス、西ドイツ、フランスに比べまして低い数字を示しているわけでございますけれども、これは日本の社会保障の仕組みが年金制度を中心といたしましてまだ未成熟である、あるいは老齢人口の比率が非常に少ない、低いという点に由来するところが大きいわけでございまして、日本の社会保障の制度は、医療とかあるいは年金を初めといたしまして、制度的な内容を見ますと国際的に見ても遜色のない水準に保達しているわけでございます。したがいまして、今後高齢化社会が急速に進展していくというふうなことになりますと、現行制度のままでも社会保障の負担が長期的に相当なテンポで増加していくであろうということが考えられるわけでございます。したがいまして、そういった面を総合的に勘案いたしますと、今後の問題といたしましては社会保障につきましても給付面での重点化、適正化を図ると同時に、費用負担の面でも安易に国庫負担に依存するというようなことではなくて、一般財源なり社会保険料、あるいは受益者負担といったような面を適正なバランスをとって制度を考えていくということが必要になるのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
○三治重信君 ここでぼくは思うのは、大臣、これはまあ支出の割合はいま使っている国債費も入っての割合なんですが、これは日本の安全と防衛の問題でもある程度負担増は避けられない。ことに社会保障移転費というのは、いまの制度のままじっとしておってもこの割合は非常にふえる、こういういまの御説明で、それはそのとおりだろうと思うんです。そういうふうな状態を考えると、いずれ義務的にGNPに対する政府の割合は非常に増加する趨勢に日本はあるわけなんです。ことにもう七〇年代だけでも日本は一九・四%から三一・七%まで上がっているわけです。上がっている中でも先進国の中で比べると、一番国としてなさなければならぬ安全防衛の費用と社会保障の費用というものが抜けていて、これだけもう七〇年代で一一%ふえている。ほかの国はみんな、ことにアメリカなんかは七〇年代では国家予算はゼロ%、全然ふえていない、GNPに対する割合はふえていない。四五%を占める西ドイツやフランスでも七〇年代約十年かかっても七、八%しかふえていない。日本はそういう基本的な負担がまだ低いにもかかわらず、国家予算が一一%もふえている。こういうぐあいになってくると、大臣が言われる赤字国債を解消すれば日本の財政基盤は盤石になるというふうなことより、さらにこの二つが、いわゆる老齢化社会に基づく社会保障の移転費の負担と、あるいはなければ結構なことなんだけれども、国際情勢の変化によってヨーロッパ並みの三%、五%、そのうちの三%の一番低いやつでも四倍にしなくちゃならぬ、こういうふうなことを考えると、日本の財政構造というものは単に赤字財政を直すだけではまだ中途半端なことになるだろう、こういうふうに認識しているんですが、その点はどうなんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も全くそのとおりだと思います。要するに日本はフランスやイギリスなんかよりもGNPは大きいですからね。大きいですから、GNPの中に占める割合ということになると、数字の上では小っちゃく出る場合もございますが、それは将来、現在の社会保障費というものは老齢化が進めばいやおうなしにこれは大きくなっていくわけです。したがいまして、五十二年の統計を見ても、日本の場合は五十五年度で国民所得に占める社会保障負担率というのはこれは二一・八でございますが、スウェーデンのような国の社会保障負担率は、国民所得の中で五二・七と日本の倍以上ですね、これは。というようなことで老齢化が進みますから、日本の場合もいやおうなしに社会保障関係の費用はふくらんでいく。しかしそれを、全部それは租税を使わないで掛金なり保険料なりそういうものだけで賄うとすれば、その方がでっかくなっていくわけです。しかしながら、仮に年金の率を上げないとしても、年金の額がふえればやっぱり政府の負担がふえるわけですから、現在の財政のような体質ではその負担に持ちこたえられない。したがってそれは率を上げて国庫の補助率を減らすとか、そういうようなことをだんだんやっていくほかはないではないか。それとも制度そのものを全部もう一遍見直して、こんなに負担し切れないから変えていくかということになろうかと思います。その一番端的な例が厚生年金です、これは。現在の掛金率は半分しか取ってないわけですから、半分しか、必要なものの。ですから、これはいまの倍取らなきゃならない。ドイツあたりではすでに日本の倍ぐらいの掛金を厚生年金で取っておりまして、それでしかも支給年限は六十五歳と、日本は六十歳と。それで済むということは、要するにまだ若い層がいっぱいいるということであって、いまのような状態で仮に掛金を上げないでおけば、いまの若い人たちがもらうときには自分の積んだ金が全然なくなってしまう。そこに気がつけば若い労働組合は大騒ぎになると私は思っておるんです。ですから、むしろ本当のことを話をして、それでいいのかということの話をしなければ本当の話は通じないんですね、これは。私はそういう意味で非常に実は心配をしておるわけであります。
○三治重信君 余り同感だと言われると議論がそれで終わっちゃうわけなんで、それはひとつぜひ、赤字財政はもちろん必要なんだけれども、赤字財政やっていくだけでも相当大幅な増税を政府はやっているということに対して、そんな増税より、こういう基本的なことについての増税ならまだしも、赤字のやつはこれはぜひ歳出の削減でやってもらいたいと、その点を区別した政策をしてほしいと言うがためにこういう問題を持ち出したということを御理解願いたいと思います。
 それで、老齢化社会に進む上においての、いわゆる国費で賄うかあるいは社会保険料として別の保険募集団をつくってやるかということになってくると、私はやはり厚生年金や国民保険でも、これは年金のやつは保険制度でやった方が、何でも政府が全部責任を負う社会よりか健全な社会に向くんじゃないかと思うんです。そういう意味において、ひとつ財政当局もやはり年金の問題は、厚生年金ばかりじゃなくて三公五現もあれば地方共済もあれば、こういうものの全体の見通しを財政再建とあわせてやっていかぬと、財政再建はある程度めどがついた、こちらの方がぱっとこう来るということについて、私はやはり働く者の立場から見て、後からそれは知らなかったと、こういうことにならぬためにも、やはり労使が責任を持ってやるためにも、この年金制度は保険制度でやっていくのが筋だということを政府としてしっかり主張してもらいたいと思うんですが、いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全く私はこれも同感なんでございます。
 年金制度についてはドイツあたりでも補助制度がございます。ただ、医療保険制度については日本のようなこんな助成をしている国はございません。みんなそれは医療保険の料金の中でやっているわけでございまして、私は年金の問題、医療の問題というものはそういうような負担の問題、だれが受益をするかという問題、こういう基本問題について真剣にお互いに率直な話し合いをしていく必要があると、かように考えております。
○野末陳平君 きのうの続きを先にちょっとやりますけれども、銀行が医科大学のあるいは歯科大学の異常なる寄付金募集に一役買っているという、こういう事実に対して銀行局はどんな意見をお持ちか、簡単に。
○政府委員(吉田正輝君) 昨日、北里医大の件について御質問があったわけでございますけれども、私どもの方は、たとえば銀行が過当な預金獲得の運動をやるようなことは厳に自粛するように指導しているわけでございます。それを受けまして全国銀行協会でも、行き過ぎた外訪活動の自粛というようなことに関連しまして、たとえば銀行本来の業務以外の過当なサービス提供というようなものも自粛するような申し合わせを行っております。
 本件につきましては、そういう動機があったかどうかということが一つの問題であろうかと思いますけれども、この預金の受け入れということについては銀行も厳正にやっております。ただし、昨日の御議論を承っておりますと、文部省では入学時に際して寄付金の受け入れ等を即時に行わないように指導しているということでございます、したがいまして、銀行の事務として厳正に預金関係では処理されているとしても、そういう政府の方針がある場合には十分に気をつけなければならない。仮にそういうようなことで過当な預金獲得運動つながるようなことがあるのであれば好ましくないというふうに考えております。
○野末陳平君 考え方はわかりましたけれども、そうすると例の問題で三菱銀行を呼んで事情を聞いたとかあるいは何らかの指導をしたとかということはなかったわけですね。
○政府委員(吉田正輝君) この件は報道もございましたので、私どもといたしましては事情は聴取いたしまして、社会的な疑惑を招かないようにということが必要であるというふうに指導しておるところでございます。
○野末陳平君 わかりました。ただし、それはたまたま新聞などに出たあの北里大学の問題が発端であり、またほかについてはなかなかわからないだろうと思いますんですが、ぼくの知る限りでも実態はかなり預金獲得のための過当競争なんというようなことではないような部分もありまして、たとえばこれはたまたま三大学しかわからないのでほかはどうなっているかわかりませんが、全部東京都それから東京近辺ですが、入学の予約制度というのもありまして、要するに大体一年前から父兄と学校側の間で、大体開業医なんです、これはOBとかそういうのが間に入って話をまとめるからそうなるんですけれども、受験予定の子弟を持つ開業医と学校側がいわゆる入学の予約をするわけですね。で、この予約と同時に指定する銀行の支店がありまして、そこにお医者さんは保険の診療や何かの支払いも全部窓口移すわけですよ。それで移しまして、いわば強制的に口座をかえさせられるわけですけれども、そうすると保険の診療の支払いなども全部そこにプールされていくわけで、いわば息子を入れたさの一心だけれども、人質にお金を取られるようなものですね。しかし口座移すだけですから実害はないのですが、これがどうして問題かというと、要するに入学が決まればその口座からそのまま寄付金がすうっと学校にいくわけですね。それから学校側としても寄付金の取りっぱぐれなんというのはもともと考えてないでしょうけれども、この父兄はどの程度の寄付金を負担できるかということもまたおのずからわかるわけですね。そんなことで銀行側がある種の情報といいますかね、協力の形が露骨なんですね、大学に対して。それで今度の事件、北里が出てから一校だけはあわててこれをやめるような話をしていたと聞いているのですが、いずれにしても銀行がこういう裏でもって動きをするということを知りますと、少なくもこの公共的性格を持つ銀行にしてあるまじき行為じゃないかと。ましてや大学の寄付金がいろいろチェックされなきゃならないというときに、その裏にある銀行の方を一緒にやはり含めて考えないとこの問題は正常にならないと、こう思うわけなんです。
 大蔵大臣どうですかね、やはり銀行を呼んで、寄付金集めに協力を一体どういう形でしているのか、そのような実情をもう少しやっぱり大蔵省としても把握した上で厳正な指導をしないと、文部省だけが事情聴取をしているという形だけでは中途半端で済まぬとそう思うんですが、ちょっと御意見をお聞かせ願います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実態の解明がはっきりしていない、私もはっきりした意見を申し上げられませんが、よく実態をつかんだ上で銀行として行き過ぎがあれば厳重にそれは処置をしなきゃならぬ、私はそう思っております。
○野末陳平君 ぼくの知るのも一部の話ですから、しかし一部であるけれども数から言うとかなりでありまして、やはりお医者さん仲間ではこういう話はわりと日常会話で交わされておりますからやはり実態をつかんでほしいと、そしてしかるべき指導をしてほしいと、そう思います。
 次に、テーマ変えますが、税務署の仕事が最近非常にふえていると、そのための弊害も大分出ているように聞きますけれども、これは当然定員とのバランスの問題も出てくるはずですが、当局としてこの定員とそれから仕事量の増大との間にバランスが狂ってきていると、この辺を踏まえて今後どういうように税務事務の合理化をするのか、どんな方向で検討なさっているのか。たとえば定員問題あるいは一部コンピューターの導入とか、そういうこともあると思うんですね。ぼくのところの地元の練馬税務署はコンピューターかなんか入れてやっていたようですが、それにしても経費の問題で果たしてこういうことが今後考えられるのかどうかわかりません。そこで、これからもますます税務署の仕事がふえる、しかしそう簡単に人もふやせないかもしれない、その辺でどういう合理化の案を検討しつつあるのか、その辺を現段階で御説明願いたいと思います。
○政府委員(川崎昭典君) 御指摘のとおり、事務量は非常に増加しておりますが、定員は余りふえないという状況でございます。当分こういう状況になってまいっておりますので、私どももできるだけ内部事務を圧縮するとか事務の合理化をやるということをまず第一に考えて、先ほどお話のございました電子計算機の導入ということもかなり以前から着々やっておるわけでございます。なお、あわせまして納税意識の高揚といいますか、あるいは納税環境の整備と申しますか、高い納税意識を持った納税著がふえていけば好ましいわけでございますので、具体的には税務指導といったものを強化する、協力団体を育成するといいますか、また制度としましては青色申告者をふやしていくといった方向で努力をしておるわけでございます。
 一方、職員の資質の向上といった点も非常に重要でございまして、変遷する社会状況に応じて調査技術が向上できるようにということで研修をやったり、いろいろ職員の資質向上にも努めておるわけでございます。いろいろやっておりますけれども、やはり基本的には能力のある職員数の確保ということが絶対必要でございまして、増員もずっと毎年お願いをしておるわけでございます。今後はやはり政府間での配置転換といったようなことを中心にお願いをしてまいりまして、能率のいい職場ということも重要でございますが、職員の負担ということにも限度がございますので、いろんな意味で関係方面の御協力を得て配置転換等で定員をふやしていただくという面にも努力したいと考えておるわけでございます。
○委員長(中村太郎君) 委員の異動について御報告いたします。
 ただいま古賀雷四郎君が委員を辞任され、その補欠として板垣正君が選任されました。
    ―――――――――――――
○野末陳平君 むずかしい問題はあろうかと思いますけれども、しかしこれは解決をしなけりゃならないことですから、一日も早くいろいろな点で検討してほしいと思うんですが、たまたま二、三気がついたことを提案してみますと、現在確定申告をする義務者の中に年収が一千万円以上というサラリーマンが入ってますね。この年収一千万円の、先ほど三治委員からは公示の場合所得一千万という話が出ていましたけれども、それとはもちろん違うんで、この年収一千万以上のサラリーマンですね、一体どういうふえ方をしているのかということなんで、かなりふえたんじゃないかと思うんですね。そこで過去数年間で結構ですが、この種のサラリーマン、つまり年収が一千万円以上あるというだけで確定申告しなきゃならぬと、こういう人たちはどのくらいふえておりますか。
○政府委員(高橋元君) 昭和五十年に一千万を超えます給与所得者は年末調整を行わないという制度になったわけでございますが、その年にそれに該当します給与所得者が五万五千人で、全体の税額のある納税者の〇・二%でございました。その後八万八千人、十二万五千人、十六万八千人と年を追うごとにふえまして、五十四年には全体の税額のある納税者の〇・八一%に当たる二十三万五千人と、こうなっております。
○野末陳平君 そのうち、年収一千万のサラリーですが、一ヵ所からの給料だけでほかからはないと、こういうサラリーマンの数はわかるんですか。それはわかりますか。
○政府委員(川崎昭典君) 大体先ほど申し上げました数字の九六、七%でございまして、五十年が五万三千人、五十一年がちょっと資料がございませんが、五十二年が十二万二千人、五十三年が十六万五千人、五十四年が二十二万七千人、大体九六、七%ということになっております。
○野末陳平君 想像以上にこのふえ方がすごい――すごいといいますか、ほぼ五年で四、五倍になっていますね、人数から言っても。というのは、それだけ確定申告の事務がふえたということにもなるわけでしょうけれども、どんなものでしょうか。いまの九六、七%ものサラリーマンは結局一ヵ所だけから給料もらってるんだということになれば、この人たちに確定申告をわざわざさせるということが果たして必要かどうかという点ではどうなんでしょう。年末調整をしないんだということから来ているわけですが、その辺は。
○政府委員(高橋元君) この規定が設けられました趣旨は二つあると思うんでございます。一つは、比較的高額の給与収入を得ておられる方は年末調整やった場合でも、結局他に収入がありまして確定申告をしていただくことになる、その確率は高いということであります。もう一つは、源泉徴収義務者の事務簡素化を図るということでございます。そういうことでこの規定が昭和四十二年につくられたわけでございますが、現在までの推移もございますし、いま国税庁から言われましたように、一ヵ所からだけ給与を受けておるという人の割合もかなり高くなっております。そういう人がそれ以外に収入があったかないのか、それはちょっとわかりませんが、給与が一ヵ所からしかもらっていないという人の割合は高くなっておりますから、今後の給与の動向の実態というものを踏まえて検討をしてみる必要があると考えております。
○野末陳平君 ですから、これは一千万という線の引き方がやはり時代に合わなくなってるんじゃないかなと、少なくもこの線を検討する時期に来ているんじゃないかと、そう思うわけですから、いろいろな理由があるでしょうけれども、これを大ざっぱに、これからはサラリーマンの場合は一ヵ所だけからの給料だったらば一千何百万以上になったら確定申告をというような方向は当然もうここ一両年のうちに決定して、それが千三百万になるか千五百万になるか、これはわかりませんけれども、それをお願いしたいなと。そうなると、それだけでも、まあそれだけで税務署の仕事が楽になるとかそういう意味では直接ありませんけれども、実情に合うようにこれも変えていかなきゃならぬじゃないか、そう思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(高橋元君) 仰せのように、今後の給与水準の動向を踏まえて検討を要すべき問題というふうに考えております。
○野末陳平君 次には、やはりサラリーマンが多いんですが、当然そうなるんですが、還付の請求が年ごとにふえているということを聞いております。事実そうだろうと思うんですが、このふえ方はどうなっていますか。還付請求だけの確定申告です。
○政府委員(川崎昭典君) ちょっと正確な数字手元に持っておりませんが、二〇%ぐらいの感じでふえておる時期があったと思います。ことしもかなりふえておると考えております。
○野末陳平君 もし毎年二〇%ずつふえていって、これからもふえ続けるとしても、それはもちろん限界があるわけですけれども、いままでここ数年が異常に伸びたのであろうと、そう思うものの、還付請求の事務が確定申告の時期と当然重なるわけですから、ほかの時期と重なるわけですから、かなり税務署の負担になっているんじゃないかと、そう思うんですが、実情はどうですか。
○政府委員(川崎昭典君) やはり税務署が非常に忙しいということの原因になっておりまして、現在こういったことのために、アルバイトの人に来てもらったりするというような状況の税務署が多いわけでございます。ただ確定申告のときでなければ還付申告ができないということではございませんで、これは制度としましては翌年の確定申告開始前でも、翌年の一月一日以降五年間はいつでも提出できると、そういうふうになっておりますので、最近はやはり事前にかなり多目に出ておるようでございます。
○野末陳平君 それはもちろん制度がそうなっているのはわかりますが、一般の人はどうしても例の二月半ばから三月半ばまでの期間だと思い込んでいる節があるし、それから税務署のPRが行き届いている地区では早目の還付請求の申告もあるようです。そこで思い切って、これが事務上できるかどうかわからないんですけれども、還付請求に限りちょっと早めまして、一週間なら一週間早めまして、この期間が実はサラリーマンの還付請求用の確定申告だというように、五日でもいいんですが、そういう期間を特に設けたらどうかなと思うんですね。そのPRの方が、一年じゅういつでもできるからといってとんでもないときにぱらんぱらんと来られても、税務署の方も困るでしょうからね。どっちみちやるなら二月十六日からやると。そうすると還付請求だけは二月一日からとかあるいは二月十日からとかいうふうに決めて、そのぐらいのはっきりした制度に切りかえた方がむしろ合理的ではないかと。納税者側もそれから税務署側もどちらにもその方がいいんじゃないか。ただ事務的にそれができるかどうかがわからないんですが、そういう検討は可能なんでしょうかね。
○政府委員(川崎昭典君) 先生おっしゃいます趣旨は、法律上の制度を直してということじゃなくて、実際上税務署にも都合がいい日、また納税者の皆さんも米やすいだろうといったような期間を選んで、税務署でそういう期間に還付申告をしてくださいというPRをしたらどうかというお話かと思いますが、十分検討に値する御提案と思いますので、慎重と申しますか、持ち帰って検討さしていただきたいと思います。
○野末陳平君 いずれにせよ、いまのままで各税務署の事務量がどんどんふえていくと、結果的に人手が足りないという理由で十分な調査もそれから検討もできないまま、かえって税の不公平が拡大するという不安があるわけですね。ですからほうっておくと、いままでいろいろなそちらでも案を検討なさっているようですが、おくれればおくれるほどこれはいずれパンクしてしまうのですから、いまのうちに先を見越して合理化の方向を強力に打ち出す。それは現場だけでなくて、制度上税法上のいろんな問題もあるかもしれません。いろんな角度全部含めて、やはりこの際現場の合理化を考えてほしい、そう思うんです。具体的なことはそちらにお任せします、
 いま現場の問題聞きましたけれども、どうなんでしょうか主税局長、やはりこれは現場だけに任せて解決できない部分もあると思います。ですから、この委員会でも制度上のいろんな問題出ましたけれども、そういうのをひっくるめてこれから定員と事務量の増大とのアンバランスを解決する方向に踏み出すべきだと思いますが、御意見。それで終わりにします。
○政府委員(高橋元君) おっしゃるとおりと思います。ことしの税制改正でも、予定納税の基準額を五万円から十万円に上げて予定納税事務の簡素化を図るとか、それから一定額以下の金額の場合には納税担保の提供を免除するとか、そういう道を開いておりますが、さらにいまお話しのように、第一線のいろいろな苦心、状況も聞きまして、税制上それを緩和して適切な税の執行ができるような制度を考えてまいりたいというふうに考えております。
○穐山篤君 総理にお伺いをいたしますが、御案内のとおり所得減税の問題につきましては議員立法が提出されておりまして、当委員会でも間もなく可決されると思うわけです。この所得減税、その立法を行うに当たりましてはずいぶんいろんな背景なりいろんな交渉経緯があったわけでありまして、これから剰余金の確保のためにはわれわれも努力しなければなりませんが、政府は最大限の努力をしなければならぬ、こういうふうに確信をいたしますが、まずその点からお伺いをしたいと思うんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 所得税減税をやるべしという御意見が、野党から強く御発言が、御要求がございました。政府は、いまのような財政状況等ではなかなか困難であるという御説明を申し上げてきたわけでありますが、結局衆議院の議長裁定が出ました。裁定の第二項に基づきまして与野党国対委員長その他関係者の間で御協議をいたしました結果、剰余金が出た場合におきましてはこれを所得減税を行う、こういう各党の合意がなされたわけでございます。政府は、国会におきまして議長裁定に基づく各党の合意がなされた場合には、これを尊重し誠実に実行してまいる、こういうことを申し上げておったわけでございます。今回その合意に基づきまして立法措置がなされ、今後において剰余金がはっきり確認されました段階におきましては、政府としてはこれを誠実に実行する考えでございます。
 なお、この剰余金等の問題につきましてでありますが、議長の裁定あるいは与野党の合意、特例法の成立等があるなしにかかわらず、不要不急の支出は厳に慎まなければならない。特に財政の厳しい今日におきましては、一層各省庁において経費の節減を図るということは当然のことであるわけでございまして、私は閣議におきましても特に発言をいたし、閣僚諸君にこのことを十分各省庁において徹底するように指示をいたしたところでございます。
○穐山篤君 いま総理から非常に重大な決意を持って事に当たるというお話がありましたので大いに期待をするわけです。もちろん最終的な剰余金の確定といいますのは七月以降でないとわからないと思いますが、少なくともいまの総理の決意、決断から考えてみて、所得減税というのはスズメの涙ほどのことではない、相当の還元があるというふうに確信を持ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは実際に七月にならなければその額がどの程度のものになるかということは把握できない問題でございます。ただ政府としては誠意を持ってこの国会の御決定に従う、これを尊重する、これだけを明確に申し上げておきます。
○穐山篤君 それにつけても、今後十分重視をしなければならないのは物価対策の問題だと思うのです。過去のことを多く言うつもりはありませんけれども、御案内のとおり六・四の対前年比というのは、今日ではそれを一%以上上回るような物価の上昇になっているわけです。せっかく所得減税をしようというふうに合意できたにもかかわらず、さらに物価の上昇が予見をされるようなことになりますと、これはもう元も子もなくなってしまうと思うのです。その意味でこれからの物価対策を重視をしなければならぬと思いますが、特に総理としては主としてどういう分野で物価対策を図っていこうとされるのか、その点についてお伺いをいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 五十五年度の消費者物価の上昇をいかに政府の見通しのとおりにやるかということで、政府としてはあらゆる努力をしてまいりました。また、野党各党の御意見等も伺いながら、物価対策費の五百億の使途等につきましても、効果的な、効率的な目途が立てはこれを使ってまいる。いろいろ努力をいたしたのでありますが、予想を超える石油価格の上昇あるいは冷夏、豪雪というような不測の事態が重なりまして、目標値を大きく上回る、五十五年度年度末に七・八%前後、こういうようなことに私なりましたことは、まことに申しわけがない次第でございます。しかし政府としては、この物価の安定を図るということが経済運営の上からいたしましても、国民生活を安定せしむるという上からも最も大事な問題でございますので、五十六年度におきましては政府目標の五・五%、これはぜひ全力を挙げて達成を図るということに最善を尽くしたい、このように考えておるところでございます。
○穐山篤君 実は私は一月三十日の本会議におきます代表質問で、昭和五十六年度所得減税はもちろんのことであるけれども、昭和五十五年度に自然増収はあるのだから、また剰余金が出るのだから、それを還元するのは当然ではないかというふうに総理にお尋ねをしたわけです。当時としては十分なお答えはいただくことができなかったのですが、いろんな努力の結果、五十五年度の剰余金を対象にして減税ができるということは、私といたしましても非常に高く評価するわけです。そういう意味から言いまして、くどいようでありますが、ぜひ実効が上がって国民全体から、なるほど鈴木内閣は所得減税の問題について十分に努力をしたという痕跡が残るように、これは要望をしておきたいと思うのです。
 次に、行政改革についてお伺いをいたします。
 われわれは増税を行う前には、やるべき事柄がたくさんある、歳出カット、不公正税制の是正あるいは行政改革というものを相当主張したわけですが、率直に申し上げまして見るべきものがあるとは必ずしも言いがたいと思うのです。いまになっては今後の努力にまつ以外に方法がないわけですが、その今後の努力の一つとして行政改革、第二臨調というものが発足をしたと思うわけです。
 そこで、率直にお伺いをいたしますが、この行政改革について総理は政治生命をかける、こういうふうに厳しい態度の表明がなされましたけれども、この決意につきましてはいまだに変更する、変えるというようなことはないだろうと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 財政再建は当面わが国にとりまして最重要の政治課題である、このように考えております。
 五十六年度予算の編成に当たりましては、相当歳出、歳入両面にわたりまして思い切った見直しをやりました。前年度対比予算の伸び率は九・九%、国債費並びに地方交付金等を控除いたしますと実質四・三%、こういうような伸び率に相なりました。二十数年ぶりのこれは厳しい緊縮予算であるわけでございます。しかし一方において、文教政策でありますとかあるいは社会福祉関係でありますとか、そういうような行政水準を維持したいという考えもございまして、一兆四千億に近い、法人税その他の現行税制の枠内ではございましたが、国民の皆さんに負担をおかけをする、こういうことに相なったわけでございます。
 私は、この財政再建の道は五十七年度以降もこれはぜひ引き続き推進をしなければならない、このように考えておるわけでございまして、この五十七年度予算を編成するに当たりまして再び国民の皆さんに大型増税というようなことをお願いするわけにはまいらない、このように考えておりまして、そのためには思い切った行財政の改革、歳出の思い切った節減、そういうことによって五十七年度予算の編成に取り組み、財政再建二年度の予算としての成果をおさめたいものだと、このように決意をいたしておるところでございます。
 行政改革につきましては、第二臨調が発足をし、第二臨調には中間答申をお願いを申し上げております。七月の中旬ごろまでに答申をお願いをいたしまして、そしてこの中間答申を五十七年度予算編成に十分取り入れていきたい、このように考えておるわけでございます。私はこの道は非常に険しいものがございますけれども、内閣の先頭に立ちまして、閣僚諸君の協力を得、全力を尽くしてこれを達成をいたしたい、このように考えております。
○穐山篤君 七月の上旬には第二臨調からの中間答申を得たいと、こういう菌話であるわけですが、第二臨調に対してどういう方面でどういう分野の問題について中間答申を期待をしているのか、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 第二臨調におきましては、土光会長が中心になりまして、これから具体的に取り上げる検討課題をいろいろ御審議を願っておるところでございますが、私に対する行管長官からの報告によりましても、第二臨調においても五十七年度予算の編成に当たって新たな大型増税のない財政再建を図るということを目標にされまして、歳出の思い切った節減合理化によってこれを達成しよう、そういう基本的な方針に基づいてこれから第二臨調に向けて御審議をいただく、そして七月の中ごろまでに答申を出していただける、こういう方向でお進めいただいておるということを報告を受けております。私もその御報告に期待をいたしておるところでございます。
○穐山篤君 第二臨調、もうすでに発足をして具体的にいま審議が開始されたわけです。私ども仄聞するところによると、膨大な問題を抱えているわけですから、全部について中間答申ということは非常に困難だと、第二臨調としては中間答申は主として補助金の分野に焦点を当てて十分な検討をするというふうに伺っているわけですけれども、総理もそういうふうに理解をしておられますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) やはり時間の関係等もございまして、五十七年度予算を新たな大型増税なしの財政再建予算と、こういうことを基本にして中間答申をいただくということになれば、いま御指摘になりましたように、補助金、交付金等の思い切った節減合理化と、こういうことになろうかと、こう思っております。
○穐山篤君 そういうことになりますと、問題はこういう点が心配になります。一つは、政府自身も行財政の改革ないしは歳出カットの問題について十分に検討しなけりゃならない、それから第二臨調の方でも作業をしている、それと十分整合性を合わしていきませんと、具体的に財政再建を軌道に乗らせるということは非常にむずかしいと思うんです。ごく抽象的にあらゆる分野で歳出カットといいましても、なかなかそんなうまい調子になるわけにいかないと思うんです。
 そこで、第二臨調の方が補助金の方に徹底的なメスを入れるとするならば、それは第二臨調に期待をするとして、政府自身はどういう分野でこれから努力を払っていくのかという問題が残るわけです。その点についての考え方はいかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 第二臨調の方でいろいろ補助金、交付金その他を御検討いただく場合におきましても、政府の各省庁、各機関に対して資料の提出等を求められる、このように考えておりますし、政府としては、この第二臨調の御審議が成果を上げられるように全面的に御協力を申し上げるつもりでございます。そういう資料の提出その他を通じまして、私は十分補助金等の内容なりいままでのその補助金の効果なり、そういうような検討につきましても政府の各機関が説明をする、資料を提出すると、こういうことになろうかと思うわけでございまして、政府の方針と第二臨調の方針というものがそう全く食い違った、かけ離れたものにならないものと私は考えておりますし、また第二臨調におきまして、あらゆる補助金、交付金等全部漏れなく洗い直しができるかどうか、仮に臨調の方でお取り上げにならないものにつきましても、政府自身として各省庁において進んで既定経費等の節減合理化、補助金の整理統合、合理化ということにつきましては政府自身も取り組んでまいると。第二臨調と両々相まって、この大型新税なき財政再建の五十七年度予算をぜひ編成したいと、このように考えておるわけでございます。
○穐山篤君 すでに第二臨調に対しまして公式、非公式に圧力もかかっております。過去の例で言いますと、第一次臨調の答申についても一〇〇%実施、実現をしたわけではないと思う。非常にこれからの作業が大変だと思うんです。どういう中間答申が出されるかはこれからの作業にまつわけですが、総理の姿勢として、中間答申が行われた場合、いわゆる大骨、小骨を抜かない、十分答申をまじめに受けて、それを五十七年度の予算編成なり政策の上にのせていきたいというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、私は財政再建第二年目の予算としての五十七年度予算、大型新税というようなことは全然念頭に置かずにこれを実現しようということでございますから、私は第二臨調の御答申を十分尊重する、それだけでない、政府自身も各省庁挙げて経費の節減、合理化等には積極的に取り組んでまいる、このように考えておるところでございます。
○穐山篤君 それに関連をして、たとえば一例ですけれども、財政再建法を立法化するというふうな話も飛んでおりますね。それから行政改革問題について臨時国会を開いたらどうかというふうな話もあっちこっち飛んでおりますけれども、そういう点についての総理の考え方はいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 自由民主党の安倍政調会長が、補助金等の節減、合理化を図る、そういう場合に、法律による補助金が八〇%近いものに相なっておる関係から、どうしても法律の改正ということになってきた場合に、一本一本の法律を養護するというようなことでは時間がかかり、かつ十分な成果をおさめることができないのではないか、であるからこれをまとめて、仮称でございましょうが、財政再建整備法のようなものを一本にまとめてやったらどうか、こういうことを安倍政調会長が提起をしております。私はまだ自分の腹は固まっておりませんが、この安倍政調会長の御意見も評価するに値するものだと、検討に値するものだと、このように考えておりますが、いずれにしてもこれからよく大蔵大臣その他政府部内でも研究を進めてみたいと、このように考えております。
○穐山篤君 政調会長の提案という意味ならばよくわかりますが、まだ五十六年度の予算の審議をしている最中にずいぶん先の話を固めてしまうということは、これは見識の上でずいぶん問題があると思うんです。きょうはそれ以上は申し上げません。
 いま総理から、五十七年度はいわゆる大型間接税の導入はもう全然考えていないし、導入するつもりはないというお話がありましたが、少しそれらに関連をして質問をしますが、税制調査会は昨年の十一月に政府に財政の体質について答申がなされました。その中を読んでみますと、いろんなことがありますが、特に国債の問題では次のように指摘をしております。今後六十年までに特例公債を平均二兆円ずつ減額をしたらどうか、そして六十年以降に備えるべきではないかという答申が出されて、数字が出てきたというのは珍しい答申だと思うんですね。約二兆円という数字が出てきたわけですが、これについて総理の御感想、考え方はいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府税調の中間答申の中にそのような御意見が述べられております。いずれにいたしましても、私は五十九年までの間に特例公債に依存しておるような不健全なわが国の財政の体質をどうしてもこれを改善をし、これから脱却をしたい、六十年から特例公債の本格的な償還が始まるわけでございます。そういうことを考えますと、どうしても五十九年までにこれをなし遂げたい、こう考えておりますので、それが平均いたしまして二兆円になりますか、一兆八千五百億になりますか、一兆九千億になりますかわかりませんが、いずれにしても五十九年までに特例公債依存の体質から抜け出るように進めたい、このように考えております。
○穐山篤君 考え方は明らかになりましたが、さて、大ざっぱな言い方で恐縮ですが、数字の整合性についてお伺いしたいんです。
 まだ総理も確定的なことを言われているわけではありませんが、特例公債は毎年毎年下げていく、昭和五十九年度中ぐらいにはそれを全部なくしていくということになりますと、そこの分野では歳入が減るということになるわけです。二兆円になりますか、一兆何千億になりますかよくわかりませんけれども、かなりの数字が歳入不足になるわけです。歳出の方につきましては、先ほどのお話もありまして、かなり思い切ったカットをしていくということもありますが、これも何兆円、あるいは三兆円とか四兆円というふうな数字を期待をすることはまずまずむずかしいだろうというふうに思うんです。そうしますと、少なくとも一般会計で伸び率一けたに抑えたにいたしましても、歳入が足りない、こういう問題にぶち当たるのは物理的に言いましてこれは理の当然だと思うんです。そこで、大型間接税の導入をしないというふうに決意は表明をされましたけれども、そこの数字の整合性がきちっとしていませんと、国民はまたこれはだまされるかもしらぬという心配を持つのはこれまた当然だと思うんです。いまは具体的な数字が出ておりませんので概略的な言い方で恐縮でありますが、数字の整合性から考えてみて、大型間接税はもちろんのこと、いわゆる大衆増税によって五十七年度賄うことはしない、そういうふうに総理の決意をくみ取って差し支えないでしょうか、改めてもう一回お伺いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税調の答申では御承知のとおり国債依存度を減らし、一方歳出の八〇%を税金で賄う、こういうような構想で大型間接税というような話が出てきたわけでございます。しかしながら、国民にそういうような税負担を求める前に、そういうことは念頭になく、ともかく五十七年度に向かいましては行政改革や歳出カットを最優先でやれという総理の御方針でございますので、私といたしましても同化されまして、そういうものは考えないということでもっぱら歳出カットに最重点を置いていこうと、しかしそれにもかかわらず、御指摘のように二兆円前後の歳出の増というものがこのままでは見込まれるということは中期展望でも明らかでございます。したがいまして、ともかくいままでにないような本当の決意でやらなければならないことであって、そのためには先ほどお話があったように既存の制度――法律にかかわる制度を含めた制度についても、高度経済成長時代にでき上がったものもたくさんあるわけでございます。しかし、再び高度経済成長のような夢はなかなか希望すべくして世界じゅういずれもそううまくはいっていないわけでありますから、日本とてもそううまく手品を使うようなことはできないだろうということになれば、やはり歳出のカットについて国民もともかく考え直せという大多数のこれは世論でもございます。国会でもそのことばかりで私ども責められておるわけでございますから、御協力が得られるものとこう考えまして、ともかく歳出カットで歳入に見合うものをつくっていこうということが目下の考え方であります。
○穐山篤君 大蔵大臣のいまの御意見はずっと当大蔵委員会で答弁を聞いておりますと、総理が決断をしているんだからおれもやむを得ずやるんだと、やや消極的なニュアンスが残っているのは非常に残念です。それは実務を担当しているから、幾つか心配事がたくさん頭の中にあるから慎重な発言をしているわけですが、総理の決意、決断というものをいささかも曲げるようなことを大蔵大臣がやってはならぬと、私はそういうふうに思うわけです。
 さてそこで、今回いろんな増税法案を審議をしているわけですが、それでもなおかつわれわれ社会党初め野党の諸君からは増税の前に不公正な税制を正せ、その問題の指摘は非常に多いわけです。なおかつ昭和五十六年度の予算の中に占めます直間の比率というのは七〇対三〇ですが、その中で所得税の割合というのは非常に多いんです。税制改正が行われておりませんので、五十六年度でも五五%以上の所得税がサラリーマンから捻出をされる、そういうことについての課税最低額の是正であるとかあるいは税率構造の改定というふうな注文はことごとく出ているわけです。
 そこでお伺いをしますが、税調は租税特別措置についてはある程度一段落したけれども、またいわゆる不公正税制が残っているというふうに指摘をされているわけです。また私どもも土地増価税の問題であるとかあるいは富裕税、さらには広告税の問題などにつきまして税調なり大蔵省が長い間研究をしておりますけれども、なかなか決断をしないわけですね。それが毎年毎年残っているわけです。残っていることについて国民からは相当の不満も出ておりますし、不公正税制が解消しなければ財政再建の協力はむずかしいという意見さえも出ているわけです。
 そこで、数々指摘されております不公正税制の問題について、もはやこの辺で決断をして政策の上にのせていく必要があろう、こういうふうにまず第一に考えますが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 不公正税制というとやっぱり制度上の問題と執行上の問題二つが言われるわけです。制度上の問題で特別措置法が言われるわけでございますが、これはもう御承知のとおり毎年見直しをしてまいりまして約一兆円ぐらい減額になっていることは事実でございます。しかしその大半というものは個人向けのマル優制度とか、住宅対策とか、中小企業関係とか、そういうようなものが大部分でございまして、そういうようなものについてももうそういう時期じゃないということになれば話は別でございますが、これらについては、しかし細かいものは政策的なものございますから、これはそれぞれの用事が済んだかどうかということを丹念にその都度調べまして、そうして目的を果たしたものはどんどん整理をする、実態に合わして直していくというようなことはさらに進めてまいります。
 それから、土地増価税とか広告税、富裕税、これもよく話に出るわけでありますが、土地増価税を取らないから不公正だということはなかなか言い切れないのじゃないか、土地の値上がりについてその値上がり分課税しろというのでありますが、どこの土地でもみんな固定資産税がかかっておって、大企業の持つ土地も固定資産税払っているわけですし、三年に一遍は見直すということにもなっておりますからそれは評価がえということが行われてまいります。したがって、これはいまのところ私は考えておらないのでございます。富裕税につきましてもこれはかつてやったことがございますが、富裕税のつかまえ方というのは非常にむずかしい問題がある、固定資産を持っているのはすぐつかまるが流動資産の人はなかなかつかまらない。今後しかしながら、いろいろな点でつかまえられるようなことがうまくできて、手数もそんなにかからないでやれる、前の失敗を二回繰り返さないと。これは一遍やって失敗したんですからね。ですからそういうような見通しがつけば、それらのこともあわせて研究をしてまいりたいというふうに考えています。
 広告税の問題も、これもわれわれ与党の中でも両論ございまして、大いにやるべきだと、私どもはやろうという意見の方なんです、実は。しかしこれはなかなかいざとなるとむずかしい問題がありまして、よく検討をさしてもらいたいと。これは与野党一致すれば必ずできるのです、これは。与野党一致すれば必ずできる。途中でしかしへこたれちゃ困るわけですから、これは一緒に与野党がそれまで御提案なさっている以上は真剣にこれは私は考えていきたい、そう思っております。
 それから、執行面におきましては、要するに申告が悪くて、後で調べてみたらごそごそ医療機関なんか十何億脱税が出てくるとかそういうのが現実にあることも事実でありますから、これは制度面というよりも執行の問題であって、これらについては重点的で厳しく対処していきたいと、そのための税務関係についても調査の内容の充実、それから能力の向上いろいろな点においての勉強等もあわせてやらしていきたいと考えております。
○穐山篤君 いま大蔵大臣も言明されましたけれども、まじめな国民の立場からいいますと非常に重税感が強いんですね、あるいは不公平感というのが非常に強いんです。源泉所得の人はもうほとんど一〇〇%に近いほどまじめに所得を明らかにして納税に協力をしているわけです。ところが一方では、いろいろな企業会計の上でも優遇措置がとられ、あるいは税制の上からも、さらには金融の面からも大いに優遇措置がされている、そういう企業あるいは分野のものが脱税が多いんですね。きょう午前中からも医師のいわゆる医療会社の問題が指摘をされました。さらには外国に法人を設立をして税金逃れをしているというのも年々ふえていっているわけですね。そういうものに対して本当にきめ細かく厳正な態度でいかなければ、国民の納税に対します意識というのはますます遠ざかってしまう、こういうことになるのは当然だというふうに思うわけです。
 そこで総理、お伺いをしますが、しばしば大蔵大臣も指摘をしておりますが、来年は所得減税ということは考えられないけれども、いずれは何とか方法を講じなければならぬ、こういうふうに言明をされているわけですが、絵理としては勤労者にどういう分野で還元をしていくのか、あるいはそういうめどをお持ちになっているのか、その点をお伺いします。
○国務大臣(鈴木善幸君) まず勤労者の皆さんの生活を守っていくというためには、やはり物価政策、これが私は最も大事だと、このように考えております。これから春闘等もあるわけでございますが、恐らく春闘の場におきましても、政府の消費者物価の目標値というようなものと物価の推移、経済情勢等を勘案をして労使の間で決まると、こういうことになろうと思うのでありまして、勤労者の生活を守っていくためには、何といってもまず物価を安定をさせる、目標値を超えないように努力をするということが政府に課せられた最大の役割りだと、このように考えておるわけでございます。
 なお、もう三年間も所得税の減税をやってない、四年目にもなる、こういうようなことで、この問題をひとつ考え直したらどうかという御意見のあることも承知をいたしております。しかし、しばしば大蔵大臣からも御答弁を申し上げておりますように、課税最低限等は諸外国に比べて決して日本は不利に勤労者に対してなっていないという問題もございます。それから財政事情が非常に厳しい。穐山さんも御指摘になりましたように、相当思い切った歳出の削減等やっても、果たしてそれで五十七年度予算等が編成できるかなと、こういうような厳しい状況でございます。いろんな状況を勘案しながら、政府としてはこの問題は慎重に今後検討し、対処していきたい、こう思っております。
○穐山篤君 いま大蔵大臣も総理も言われているわけですが、税の執行上の問題について厳格にやらなきゃならぬというお答えがあったわけですが、今回大きく税制も変わろうとしておりますし、それから国税の税務署の方々の定員も余りふえていないわけです。計算機など導入して事務の合理化を図るといいましても、まだまだ問題点が非常に残っている。その意味でいきますと、税務の機能をもっと強化をしなければならないということが当委員会でもしばしば指摘をされているんです。
 そこで、総理、大蔵大臣に十分にひとつ配慮してもらいたいと思いますのは、税務職員の最近の死亡率を調べましたところ、他の諸官庁に比べましてわりあいに死亡率が高いんです。それからさらに顕著なことは、ここ十年ぐらいの間に大量に国税の職員が、税務署の職員が退職をする。言いかえてみますと、そこに断層ができるという大変な問題があるわけでありまして、そのことから考えますと、税務環境の整備なりあるいは処遇、要員の問題は、これは単に労働問題だというふうに考えないで大きな政治問題として配慮すべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 確かに税務関係の仕事がふえておるということは事実でございます。私どもも各省庁に定員の削減ということを厳しく言っておるわけでございますから、大蔵省の方も自分の手前みそというわけにもなかなかいかない。そういうようなことでございますが、やはり入れかえをやりまして、それで生産性の向上を図る。それによって機械化とか合理化とか簡素化とかこういうものは一層推し進めてやっていくということで対処いたしますが、今後とも従事者、特に調査関係の人が足らないということについては工夫をいたして充実に努めてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○穐山篤君 次に、グリーンカードの問題に移りますが、御案内のとおりグリーンカード制度、名寄せの問題は、利子・配当総合課税の問題から出発をして所得を正確に把握をするということが第一義でありまして、正しく納税をしてもらう、こういう角度のものでありますが、目下五十九年の発足に向かって準備中にもかかわらず、内外で見直し論が出ております。この見直し論につきましてはいろいろな思惑があるだろうと思いますけれども、しかし見直し論のその論拠の裏側に課税逃れを考えるようなことがあったんでは、これはもう本末転倒だと思うんです。少なくとも、もし見直し論があったといたしましても、それは発足をした後に具体的な事実に照らして十分に再検討をする、そういう姿勢でなければこれは正しい見直し論にならぬと思う。仮に見直しをするにいたしましても、いま私が申し上げましたように、税金逃れのための見直し論というふうなことに走るようでは、これは本旨ではないというふうに思います。
 そういう見地から言うならば、このグリーンカード問題についての見直しは、論議はあちこちにあることは承知しますが、発足までは絶対あり得ない、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 基本的にはそのとおりだと思います。ただ、グリーンカードという問題はよく理解をされないものですから必要以上の誤解を与えているということも事実でございます。これはもともといろいろな利子・配当等について三百万円まではその預貯金についても無税でございますよという制度があるわけでございますが、それをいいことにしてそう何倍も――中にはときどきつかまえてみると郵便局で一億円とか二億とかという数字が出てきているわけです。そういうことでは非常に不公平になりますから、要するにそれぞれ決められた額まで無税の特別扱いをしてもらいたい方はこのダナーンカードで登録してくださいというだけのことでございますから、そういうことがよくわからないというと、何だへそくりまで探すんじゃないかとか言って心配している奥さん方がいることも事実なんです。したがってまだ時間がございますので、早く国会でも終わったらよくPRをして、それで安心をしてもらうと。非常にこれは社会的不公正をなくす制度でもあるし、一般庶民大衆に余り関係のない制度であるということを知ってもらうように、これを利用すれば有利な面が出ても不利な面は出ないわけですから、そういうことで努めてまいるつもりでございます。そのうちに見直し論は消えるのではないか、そう思っております。
○穐山篤君 けさの報道によりますと、レーガン大統領が撃たれたと非常にショッギングな事件があったわけです。まあ、歴史的に見ますと周期的にアメリカの恥部が出るような感じでありますが、それはそれの評価としまして、総理は、五月に入ったならばアメリカに訪米をして当面の問題について十分協議したいというプログラムをお持ちであったようでありますが、レーガン大統領の今回の事件で、これからの国際的な政治日程、アメリカへの訪米の問題についてはどういうふうにお考えでしょうか、その点をお伺いします。
○国務大臣(鈴木善幸君) レーガン大統領が日本時間で本日早期にあのような思わざる狙撃事件に遣われまして重傷を負われたということ、本当にお気の毒でございまして、心からお見舞いを申し上げたいと存じております。ただ、その後の手術等も順調に行われ、経過もよろしいようでございます。ほっとしておるところでございますが、したがいまして、私は再来月の七、八日ということでございますから、まだ時間もございます。二週間ぐらいで退院ということも報ぜられておりますし、私は一日も早い回復をお祈りをしておるわけでございまして、したがいまして、いま既定の訪米の日程を変更するというようなことは考えておりません。今後早くレーガン大統領がお元気になられて、そして日米の両国の関心のある諸問題、国際情勢その他につきまして隔意のない意見の交換、今後の日米関係の一層の協力関係の強化発展を図るようにいたしたいものだ、このように考えております。
○穐山篤君 伊東外務大臣が最近アメリカに出かけられまして、自動車問題についての一定の協議を行って戻ってまいりました。この国会では、御案内のとおり、自動車に対します。あるいはその他に対します物品税の引き上げ、それから、主としてアメリカのたばこ、それから自動車部品に対します関税の問題について当委員会で審議をしているわけです。
 そういう状況を踏まえてお伺いをするわけですが、率直に申し上げまして貿易摩擦が余り長く続くことはいいことではないというふうに思います。政府もいろいろな配慮の上で今回国内の措置もやられたと思うわけですけれども、伊東外務大臣の経過報告を私ども十分伺っているわけではありませんけれども、どうもニュアンスとしては日米対等ではなさそうだ、どちらかと言いますとアメリカの方から日本の譲歩を期待をされて帰ってきた。それに基づいてこれから日米の自動車関係者が協議をするというふうにどうひねってみても考えられるわけですが、私の理解は間違っているでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日米間の通商貿易の問題でございますが、いまアメリカとの間の貿易額は年間五百億ドルに及ぶような非常に大きな額に相なっております。したがいまして、いろいろなそこに時として通商上の摩擦、まあ私はよくさざ波と言うのでありますが、そういうことが起こる、これは私はむしろ当然のことだ、こう思っております。しかし、私どもはそういう問題に対しましては日米の友好信頼関係の基礎の上に立ちましていままでも率直な話し合いをやってまいりました。そういう話し合いと協議の中に相互が納得するような結論を出すようにしてきたわけでございます。
 いま御指摘のたばこの問題にいたしましても、あるいは電電公社の資材調達の問題にいたしましてもそのようにして解決をし、これが通商貿易全体の対立というものにならないように、またいやしくも政治問題にならないように、そういうことで私どもはやってきたわけでございます。
 先般来起こっております日米の自動車の問題、これは率直に申しまして私は第一次、第二次の石油危機に対するアメリカの自動車産業の対応がおくれた、十分でなかった、こういうことが基本的にあるわけでございまして、日本の自動車の輸出が少々伸びたからということが、これがアメリカの自動車産業を危機に陥れた原因ではない、われわれは基本的にそのように考えております。しかしながら、私はこういう問題が放置されておりますと、やはり議会方面であるとかあるいは業界の一部でありますとか、そういう方面で立法措置によってこれを規制しようとかそういう動きが出てくる。そういう保護貿易主義の誘惑と申しますか、そういうものがとかく頭をもたげてくるわけでございます。私は、自由主義陣営の中における二大経済大国である日本とアメリカが、貿易の自由化、開放経済体制、これをあくまで力を合わして守っていくということが大事だ、これは日米両国の責任でもあると、このように考えておるわけでございます。
 そういう観点からいたしまして、この保護貿易主義の台頭をできるだけこれを抑制をし、抑止し、そして自由貿易主義を堅持するために、発展させるために、日本としてもできるだけの配慮をする必要があると。こういう観点で取り組んでおるわけでございまして、アメリカがこう言ったから日本がこうだと、そういうようなものではない。むしろ日本が大きな立場に立って世界の自由貿易体制を堅持する、守っていくという立場でこの問題に取り組んでおると、こういうぐあいに御理解を願いたい、こう思っております。
○穐山篤君 たとえば二月の自動車の輸出台数を見ますと、アメリカ向けは七・七%の減少、EC向けは六%の増と、こういう状況になっているわけです。
 過去の貿易摩擦をいろいろ見ておりますと、総理ね、たばこがありましたね、電電の機材の問題があった、それから自動車があると。日本のやり方というのは一品ずつその始末をつけていく、こういうふうな方針をとっているとするならば、日本のその体質というのは輸出指向型ですから、これからNCだとかICの問題を初め、いろんな問題が山積しているわけですね。また、アメリカとの間に一品料理の消化方式をとっていけば、ECからも同じようなことが言われると思うんです。これはまあ当然予想しなければならぬことだと思うんです。日本の安全保障全体の立場から言うならば、一品料理の処理の仕方もさることながら、もっと総体的な問題の解決を図るというやり方を考えていかなければ、一つ一つの問題で非常に追い込められてしまうという危険性もはらんでいるわけです。
 なおその上に、日米で重要な課題といいますのは、防衛費の問題ではないかと思うんです。時間ありませんから細かくは申し上げられませんが、たとえばかつて安保体制下にありましても、アメリカの戦略で平和共存の時代もありました。緊張緩和の時代もあったわけです。今日ではアメリカの優位という力の政策というものが出てきたわけですから、日米安保体制の中におきますわが国の負担という問題は相当将来にわたって大きくなるということを予想しなきゃならぬと、総理はしばしば憲法の範囲内で日本の立場を主張すると言っておりますが、考えようによりますと、日米安全保障条約というのは日本にとっては重荷になってきているのではないかと、こういうことを言う人さえもあるわけです。そういう意味で、締めくくりの問題として、これから日本の経済協力なり、日本の安全保障の立場から考えてみて、どうやって国際的な地位を確立をしていくかと、こういう大きな課題が残されていると思いますが、その点について最終的にお伺いして、質問を終わりたいと思うんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のように日本とアメリカは最も有力な、最も信頼し合っておりますところの両国でございます。そういうことで一方において防衛の問題では、日米安保条約を締結をいたしております。日米安保体制によって日本の自衛力を超えるような大きな外部からの侵攻に対しては、アメリカの支援によって日本の防衛を図っていくと、こういうことに相なっておりますし、また一方におきましては、自由陣営の二大経済大国として経済の自由貿易体制の今後の一層の発展ということに対して責任を負っておる、こういう両国でございますが、私は防衛の問題は防衛の問題、また経済の問題は経済の問題と、こういうよくリンケージということが言われておりますけれども、私はそのようには考えておりません。国際政治の面におきましても国際経済の分野におきましても、日本は日本の国力、国情に応じて、国際の平和と安定と発展、このためにその責任と役割りを果たしていく、貢献をしていくという考え方でございます。
 私は訪米をいたしましても、こういう日米両国の立場というものを明確にいたしまして、そしてお互いに協力し合って国際の平和の発展、経済の安定と振興に協力していきたいと、このように考えておるところでございます。
○塩出啓典君 それでは、今日まで当大蔵委員会で今年度の一兆四千億に近い増税案を審議してきたわけでありますが、最後に総理にいろいろ質問する機会を得たわけであります。
 最初に、行政改革についてお尋ねをしたい。できるだけ先ほどの質問とは重複を避けてお尋ねしたいと思うわけでありますが、歴代の総理大臣、私が四十三年に国会へ来てから何人かの総理大臣がいらっしゃったわけでありますが、行政改革に触れない人はほとんどいなかったわけであります。しかし先ほども話にありましたように、行政改革に政治生命をかけるという、こういう強い決意の総理は私はいなかったんではないかと、そのように思います。
 昨年の選挙を終わって最初の施政方針演説でたしか鈴木総理は、原敬の言葉を挙げて、行政改革のことは話をされましたけれども、あの当時はあるいは五十六年度の予算編成等においては、総理は行政改革からは必要とする財源は出せないとか、五十七年以降の増税は避けられないあるいはまたわが国の租税負担は諸外国に比べてそう重くはないんだと、財政再建のためにはある程度増税をがまんしてもらいたい、こういうようなニュアンスであったのが、突然と申しますか行政改革に政治生命をかけるという、こういう心境の変化がいろいろ巷間いろんなことを言う人もおりますけれども、首相としてはどういう心境の変化でこのような決意をされたのか、そのあたりをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私が内閣の責任者に就任いたしましてから七ヵ月余になるわけでございます。私は就任当時から財政の再建、それからそのためには行政改革、高度経済成長時代に肥大化した行財政に対して思い切ったメスを加えなければいけない、こういうことを主張してまいりました。五十六年度予算の編成を財政再建第一年どこう位置づけましてやったわけでありますが、これも相当私は歳出、歳入ともに思い切った見直しをやったつもりでございます。しかし二回におきまして、現行税制の枠内でありますが、一兆四千億近い御負担を国民の皆さんにお願いをするということにしたわけであります。五十七年度予算もこれも引き続き財政再建第二年度として推進をするわけでありますが、その際にまた増税をお願いをするということは私の政治家としての良心がこれを許さない。やはり行財政の思い切った削減、合理化、そういうことによって五十七年度予算の編成はしなければいけない、こういう決意をいたしたわけでございます。行政改革の中にもいろいろ問題がございます。官業と民業の問題もございます。特殊法人等の統廃合の問題もございます。三Kの思い切った改革もあるわけでございます。私はこういう問題は一年でできる問題ではない。第二次臨調におきましても、五十七年度予算に間に合うもの、これは七月の中旬ごろまでに中間答申として出していただく。今度は五十八年度予算以降で引き継ぎをしなければならないものは引き続いて御審議をいただく、こういうことで取り組んでまいりたいというのが私の基本的な考え方でございます。突然一晩で変わったものではないということを御理解を賜りたい、こう思います。
○塩出啓典君 政治家の良心が許さないと、そういう総理のお気持ちを私は率直にきょうのところはお受けしたいと思います。
 そこで、具体的にどうやるかという問題で、ともかく五十七年度予算編成ではやっぱり短期間ですから補助金の整理ということが重点のようでありますが、これを各省ごとに補助金の削減の枠を示して、そうして削減の項目の選択は各省庁の判断にゆだねると、新聞によってはノルマ方式というように書いているわけですが、具体的にその点は総理としてはお考えはまとまっておるのかどうか、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) この大型新税なき財政再建、こういうことを決意しております以上はいろいろのことを実は考えてはおります。考えてはおりますが、まだ固まってはおりません。ここに私が最も信頼する大蔵大臣もおりまして、いろいろ考えてくれておると思いますので、今後におきまして十分ひとつ勉強し、研究しながら実効のある道を選んでいきたい、こう思っております。
○塩出啓典君 いままでの行政改革は、たとえば公務員の人員削減等は一律ということでやってきたわけでありますが、やはりこのようなやり方はどの省も文句言うなと、そういうことで一番やりやすいようではありますけれども、しかしこれからの福祉社会の根幹をなすそういう領域、たとえば教育とか福祉という、そういう領域と高度成長のときに肥大化したそういうむだな領域、そういうものをやはり同一に処理するということは、私は国民の生活に犠牲を強いることになり、これは賛成できない。もちろん福祉の領域でも、先般暴力団が生活保護を受けておったと、暴力団も人間ですから本当に困っておれば生活保護を出すのもこれはいいんじゃないかと思うのでありますが、豊かな生活をしておるのに出すと、こういうことがもしあったとするならば、これはあったというわけじゃありませんけれども、もしあったとするならば、そういう点はもちろん是正をしていかなければ私はいけないと思うわけでありますが、そういう意味で一律にやるんではなしに、本当にむだなところを排除していくと、こういうやはり精神でやるべきだと、これは絵理大臣どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) まあ機械的に一律に削減をするというようなことは、いま御指摘のございましたようにそれでは政治にならない、こういうことだと思います。しかし厚生省関係といえども、また農林省関係といえども、さらに文部省関係といえども、それぞれの省にはやはりいままでやってきた補助金なり交付金なり助成金なりの中でももうおおむね役割りを終わったというようなものもあろうかと思います。またそれがむだなあるいは不正な、不急な方面に使われておるという場合もなきにしもあらず、こう思いますので、私は各省庁――この省は文教を扱っているから、この省は福祉関係を扱っているからと、その省の予算には一切手をつけないんだということではないと思います。中身をよく吟味いたしまして、そして必要なところにはやはりこれを手厚く見ていくというのは当然だと、こう思っておりますが、一律にすべて削減をするとかいうようなそういう機械的な考え方、これは私は政治ではないとこう心得ておりますので、十分配意してまいりたいと、こう思っております。
○塩出啓典君 きょう午後の大蔵委員会で、わが党の矢追委員もいろいろ大蔵大臣に提案をしたわけですけれども、たとえば国民健康保険にいたしましてもやっぱり町村によっては、私の住んでいる広島県の府中町というところなんかも非常に財政がいい、やっぱりそれはいろいろそういう点の努力をして、お年寄りのグループをつくって運動したり、年寄りが病気にならないように、病院に行くよりはこっちの方が楽しいというような、そういうものをつくればだんだん医療費もプラスになっていくと、そういうようなやはりソフトウエアと申しますか、そういう点が私はやっぱりちりも積もれば山となる、これは非常に大きな問題じゃないかと思います。広島市にしても一広島のことばかり言って申しわけありませんけれども、広島におるわけですから……。ごみも五種類の分別収集をやっておる。最初はわれわれ市民がぴんとか紙とか分けなくちゃいかぬ、そういうことで多少の文句もあったわけでありますが、しかしそれをすることによって炉を一つ節約できたわけであります。最近は紙が高くなると家の前に紙を出しておくとどろぼうにばっと持っていかれると、それは刑法上は問題にならぬそうでありますが、それぐらいなっておる。やっぱり市民の皆さんも、そのようにわれわれが分別収集することによって市の清掃に努力しておるんだ、こういうことで非常に、ごっちゃにして出すよりは分別収集によって出すことによって結果的には市民全体が非常に得をしておる、こういうようなことがいろいろあるんじゃないか。したがって行政改革においても、ただ人員を減らすとか省を削減する、そういうことも大事ですけれども、やはりソフトウェアと申しますか、そういう点ももっと力を入れるべきではないか。大蔵大臣は先ほど、どしどし提案があれば喜んで受けると、それを必ずやるとは言わなかったわけですけれども、総理大臣はそういう点はどうでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これから日本の行政あるいは政治をこの機会にみんなで見直して新しい時代に対応できるようなものにしていこうと、こういうときでございますから、各党各会派の皆さんのお知恵も十分拝借をしましてやってまいりたいと、こう思っております。そういう意味で、行財政改革の問題について各党の党首の皆さんから党首会談を開けと、また訪米を前にして外交、防衛問題等についてもあわせて意見を聞くべきだと、こういう御提案もございます。私は内政、外交各般にわたりまして野党の皆さんの建設的な御意見というものは十分拝聴し、またこれを国政の上に生かしていきたいと、このように考えております。
 いまソフトウエアというようなお話がございましたが、たとえば国民の健康と医療の問題にいたしましても、従来の病気になってから治すということでなしに、健康管理計画というようなものをきちっと立てて、そして病気にならないように健康管理を十分やるというようなことが私は国民の幸せのためにも、ひいては国のそういう財政の支出を抑制をし、健全な方向にこれを使うという意味からも大事なことだと、このように考えております。
○塩出啓典君 総理は、そういうソフトウエアの点でも努力をし、また各野党の党首の意見も聞くと。その党首の意見を聞くことに私は反対ではないわけでありますが、それはぜひ聞いていただきたいと思うんですけれども、しかしそれも大事ですけれども、やっぱり国民の意見を聞くと、こういうことは私は非常に大事じゃないかと思うんです。
 先般わが大蔵委員会は、自動車税の関係でトヨタ自動車等へ参りました。なぜトヨタ自動車を初め日本の自動車が世界の自動車に打ちかったかという、こういう点は、労働者の質がいいとかいろいろあると思うんですけれども、その一つは、アメリカと違うところはやっぱり提案制度が非常に多いんです。従業員一人当たり年間どれだけの提案をするか。どの工場に行ってもこういう提案をして幾ら時間を節約した、コストを安くした、そういう提案制度、それによって従業員がこぞって一スト意識と申しますか――もちろんそれには賞金も出るわけですけれども、こういうやはり提案制度をやっておる。
 私はやっぱり、言うならば鈴木総理は日本という会社の社長でございますから、金お役人の方々あるいはそういう国民も含めて財政の改革という問題についてもっと意見を求める、そして国民の意見を聞いて、その中で優秀なものには賞金を出すとか、それは大した金額じゃなくてもいいんじゃないかと思うんでありますが、やっぱりそういう国民運動を起こすべきじゃないか。ただ国民の側から見ると、何か土光さんの第二臨調というのは財界の代表じゃないか、そういうような意見もなきにしもあらず。第二臨調だけでは行政改革はできない、国民のやはり協力も必要ではないかと思うんでありますが、そういう点で何らかの提案制度というか、国民の声を、意見を聞くとか、何らかのそういう点を検討すべきではないかと思うんです。その点はどうでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はお説のとおりだと思っております。第二臨調も臨調だけで私は行政改革の審議をされておるものとは思っておりません。あすこに国民の皆さんが非常な関心を寄せて、いまや行政改革、行財政の改革は天の声にもなっておるというようなことで、いろんな提言、投書、要請というものが臨調の事務局に対して相当来ておるそうでございます。私は今後もそういうことがたくさん出てくるんだろうと、そういうものを十分吸収し、消化をして、そして国民にかわってああいうところで問題を集約していただくというようなことに寄与できるものだと、こう思っております。各党各会派の首脳の方々と私がお会いするというのも、各党に対して国民各層からいろんな御要望が出ておる、国民の声を皆さんがお聞きになっている、そういうことを私は拝聴したい、生かしていきたい、こういう趣旨でございますので、御理解を賜りたいと、こう思います。
○塩出啓典君 広島県の千代田町というところで、これはことしの三月十五日の中国新聞に載ったわけでありますが、ここには公民館、体育館があるわけでありますが、そのそばに雇用促進事業団の共同福祉施設、八千九百万であります。それから一方、山村開発センター、これは二億五百万円、この二つの施設が人口一万の千代田町にできておると。これは全く各省庁のなわ張りと申しますか、地元の町長としてはそういうものができれば地元の仕事もふえるし非常にいいということで誘致したんでしょうけれども、そういうなわ張り、縦割り行政によるむだ、こういうものも私は一つの例じゃないかと思うのであります。そういう意味でひとつそういう、特に私たちがいつも感ずることは、大蔵省の団結、各省の団結は強いわけですが、その省と省の間に非常にすき間がある。そういう点にも十分配慮をして進めていただきたい、このように思います。この点は答弁は結構でございます。
 それから、もう時間がございませんので、次にグリーンカードの問題についてお尋ねをいたします。
 これは御存じのように利子・配当、そういう分離課税というものが資産所得者に非常に優遇されておるではないか、そういう点を長年言われて、そういう長年のやはり論議の上からようやくこのグリーンカード制が法律ができまして五十九年一月から実施されようと、こうしておるわけでありますが、最近いろいろな反対論が起きておるわけてあります。先ほど大蔵大臣はグリーンカードの誤解に基づく意見があるやに、私はそういう非常によく、真実を話せばすぐ納得するようなそういうような反対論であれば、これは心配はしないわけであります、がそれだけではないんじゃないか。グリーンカード反対の動きの中にはもうちょっと深いものがあるんではないか、そういう感じがしてならないわけでありますが、総理はその点はどのように感じておられますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は利子・配当課税の問題、不公平税制を改善しようということで総合課税に持っていくと、それを確実にこれを実行していくということ、そういう問題等を総合勘案をされて衆参両院の大蔵委員会等でこの問題が取り上げられ、そして相当時間がかかったわけでありますけれどもあのような改善がなされたと、こういうことに私承知をいたしておるわけでございます。そしてまだそれが実行に一遍も移されていない。五十九年からこれが実行されると、こういう中におきまして、間におきまして、いろいろ見直し論が出ておるということでございますが、政府としてはせっかく国会で長年の御論議を通じて御決定をいただいた制度でありますので、これを誠実に、確実に実行してまいる、こういう方針でおるわけでございます。
○塩出啓典君 まあ総理は衆議院の大蔵委員会で、このグリーンカードの実施後問題が出てくれば改善を加えると、手直しをするような発言をされておるようでありますが、それはどういう意味でございましょうか、具体的に。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は実施前からいろいろ論議をして、その結果国会で御決定いただいた、これが一番課税の公平を期する道であると、こういうようなことで御決定をいただいたわけでございますから、これを実施しなければいけない。そして実施した上でもしそこに、もしですよ、改善を要する点、見直しを要する点が出てきた段階において、初めてこの新しい制度ではあっても実施後において検討を加える、再検討を加えるということはあってしかるべきであるけれども、まだ実施もされない段階においてこの見直しをするというようなことは政府としては賛成できないと、こういう趣旨のことを申し上げた次第でございます。
○塩出啓典君 今回の法案審議の過程で、わが党の多田委員の質問に対して大蔵大臣は、もしこのグリーンカード制が施行されると、いままでは高額所得者が分離課税である程度税金に持っていかれた残りがあったわけだけれども、今回は八五%。したがって意欲もなくなると。だからこのグリーンカードの実施とともにそういう高額所得者の税率を変えなければならないという、こういう大蔵大臣の個人的な見解だと思うんで、そういうニュアンスの発言をされたわけでありますが、先ほどの総理の御答弁では、ともかく実施するまでにそういうことはやらないと、そう理解していいわけですね。
○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。
○塩出啓典君 で、やはり反対論があるということは、考え方によってはやはり不公平税制の是正に効果があるという証拠でもあるんじゃないかと私は思うんですね。もうへのかっぱにもならぬような法案であればだれも反対しないわけで、そういう意味で少々反対論があっても、総理としても大蔵大臣としてもやはり信念を持って、もちろん運用上のいろいろな誤解を解くとか、そういう徴調整はあったにしても、この制度の根幹は私は絶対に崩してはならないんではないか、このように思います。この点一言だけ総理の御決意を。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げたとおり、政府としては既定方針どおり国会の御決定の趣旨を踏まえまして誠実に実施してまいりたい、こう考えております。
○塩出啓典君 それから総理も新聞紙上で御存じのように、最近診療報酬に対する課税、税金を節税というか脱税というか、そういう意味でいろいろ有限会社をつくるあるいはまた第二薬局をつくる、こういうようなことが起きて国民の不信を買っておるわけであります。しかし私たちが個人的に知るお医者さんは、そのほとんどは黙々とやっておる。そんなに何億ももうかっているようには思えない。今回もこの会社をつくった、これも医療法に違反をしてどうも勝手につくったような、そういうようなのが二百五十ぐらい全国にいまあると言われておるわけでありますが、こういうようなことに対して、総理としてどのような見解をお持ちであるのか。
 で、大蔵大臣は本委員会の答弁で、これはやはり現在のそういう税金を隠さなければならないほどもうける体制がよくないんだと、そういうようなことを発言をされたわけであります。やはり確かに診療報酬というものも国民の負担において行われるわけですから、そういう意味からもやはりそういうもうけ過ぎのような事態があるとするならば、これは是正をしていかなければならない。それは財政再建にも不可欠ではあると思うわけでありますが、そういう点のお考えがあればお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 総理大臣がお答えする前に私から一言。
 私が申し上げましたのは、医師の特別措置の特例、これがなくなったために、非常に実際の所得は同じでも所得の額が大きく出てくると。で、かなりそういう人たちは高額所得者であると。そのために非常にいままで払ったことない税金を払うと、普通の人は払っているんだけれども。そういう人たちは払ったことがないわけですから、そのために借金をしたり何かをして払ったという実例たくさん聞いております。そこで結局考えたことが、要するに医療というのであっても業でございますから、その自分の経営とそれから技術料の報酬を分離をしようというように、純然たるそういうふうに考えてやった人もありましょうと。しかしそれは理解ができますと。できますが、しかしそういうことを利用して安いコストを二つぐらいトンネルをくぐらしてわざと高くつくり上げるというようなことはこれは認めるわけにいきませんよと。それには要するに現在の医療保険制度の中に問題がある、その本質を直さなければ後を絶たないと。だから余りもうかり過ぎるような制度でまずないようにしてもらいたいということを申し上げたんです。
 それからもう一つは、課税をどうするかという問題につきましては、統一見解を出しましたように、厚生省が法人の実体を備えていないというような認定をされるということについては、それを重要参考にして課税を執行いたしますということを国税庁の見解として申し上げたところでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の医療保険制度のもとにおきまして、診療報酬の支払い、取り扱い、これはこの医業の社会性、公共性というものを信頼をいたしまして、そして本来であればサービスを提供する、物を売った場合には必ず領収書を取ると、これが常識でございますが、そうでない、やはり医業の社会性、公共性というものを高く認めましてあのような診療報酬の支払い制度、こういうものに私はなっておると、こう思うのであります。したがいまして、課税等におきましても私はまじめに国民が納得するような税を納めてもらいたい、こう思うわけでございまして、それを法人として適格性を持たないようなものをあえて法人か会社のようなものをつくって、そして税金を軽減をするとかあるいは何らかの操作をするというようなことは、これは私はわが国の診療報酬制度のその本質に反するものと、このように考えておりますので賛成いたしかねるわけでございまして、厳正にそういうものは厚生行政の面におきましてもあるいは税務行政の面におきましても厳正にひとつ取り扱ってもらいたい、指導してもらいたい、このように考えております。
○塩出啓典君 その点はひとつよろしくお願いしたいと思います。本当にまじめな医者から見れば、ああいう事件でもう全国の医者が悪者にされてしまって、本当に迷惑している人もたくさんいるわけでありまして、やっぱりそういうところには厳しくやってもらわなくちゃいかぬ、その点を、いま総理の御答弁でございましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから次に、これも有価証券取引税が今回値上げされるわけでありますが、その審議の過程で――この有価証券取引税はいわゆるキャピタルゲインがあってもロスがあっても払わなければならない流通税ですから、今回〇・五五、これは一般の投資家が株を売った場合の税金でありますが、〇・五五%、そういう意味では国際的にもかなり高い。やっぱりこういう問題、この流通税を今後上げていくということはおのずから限度があるのではないか、そういう点は大蔵大臣も認めたわけであります。やはりいままで問題になっておりましたキャピタルゲイン、いわゆる有値証券譲渡益への課税を検討すべきではないかというこういう論議の際に、大蔵大臣は、昭和五十九年一月、いわゆるグリーンカード施行までに何とか何らかの方法を見出さなきゃいかぬと、こういう御意見だったわけでありますが、総理としてはどうでしょうか。まあ信頼する大蔵大臣がおっしゃったことですから……。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 総理は私と同じ考えだと思いますが、これはやはり一般に総合課税にしてやろうというときに、株の売買の所得というものが非課種扱いにされておる、金額もかなり大きいものがあるというような実態は野放しにできませんから、五十回、二十万株というものの中で非課税が取り扱われておっても、それの行き過ぎというものはどうも整合性を欠くと、したがって総合課税という段階までには何らかの措置を考えなければならぬ、そう思っております、
○塩出啓典君 じゃ最後に。先ほど穐山委員からもお話がございましたように、これからの税務行政はもう非常に複雑になる、グリーンカードの実施とかそういう点で。ところが定員にふえていない、しかも現在の税務職員五万数千のうち二万人はもう四十六歳以上である。こういう点で、長期的な展望に立つべきであるということを私たちも主張をしたわけでありますが、大蔵大臣は、先ほども話がありましたように、行政改革の責任者として各省の定員をぶった切る中に税務職員をふやすことは非常に言いにくいと。しかしその体制もつくっていかなくちゃいかぬ。もちろん定員増よりもほかのやはり税務行政のあり方そのものを簡素化するということと相まって、やっぱり私は必要なところには人員を確保すべきじゃないか。いま五%、一〇%という実調率ではますます不公平を増大する危険性がある。そういう意味で、これからの税務行政の体制について総理から一言御意見を承って終わります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 税の不公平感の中に確かに執行上の問題がございます。特に徴税官が手不足である、大変労働強化になっておるというような問題がございまして、執行面での適正を確保するために国税庁の職員等を十分考えるべきだと、こういう御意見は確かにそのとおりだと思っております。五十六年度予算の編成に当たりましても、大蔵省の中ではございますが、他の部局の人員を不補充にしてそして国税庁の方だけは何とか定員を確保するというような配慮もしておるわけでございます。今後におきましても税執行の適正を期するために、人員の整備等につきましてはこれは特別な配慮を加える必要があると、私もそのように考えております。
○近藤忠孝君 総理は参議院の本会議で、大木議員の質問に対して大型新税は念頭にない、私の質問に対しては再び念頭に浮かぶことはない、こう答弁したわけです。まあ総理の決意の並み並みならぬことをうかがうわけですが、そうだとすれば、私はそれを具体的な行動に示すべきだと思うんです。
 そこで一つ提案します。と申しますのは、税調の会長代理に当委員会でそのことを指摘したんです。そうしましたらば、総理がそれだけ自信があれば税調の方にも何らかの指示があるはずだと、こう述べたわけであります。ですから総理が、大型新税は念頭に上らないから、もう考える余地はないから、だからそれをないということでひとつ税調で検討してくれと、こう指示をすればそれに従うという趣旨なんです。ですから、総理が税調に対して大型新税の検討はやめるようにと、こういう指示をして初めて総理の本会議の答弁が私は本物であると、こう信じられるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はこの五十七年度予算編成に当たりましては、大型新税は念頭に置かずに行財政の合理化、経費の節減に徹してこれをやっていこうと、こういう決意をいたしておるわけでございます。この点は国会を通じて明らかにいたしておるわけでございまして、政府硬調の諸君も私の考えているのはよく理解をしていただいておるものと、このように考えております。いずれそういう機会を持ちまして私の考えをよく申し述べたいと、こう考えておりますが、しかし私は、大蔵省の主税局におきましても、あるいは政府税調におきましても、税の問題を絶えずいろんな角度から勉強しておるということは、これは当然の仕事だと、こう思っておるわけでございます。勉強することと政府がそれを採用してこれを実行するということは全然問題のないところであろうかと、こう思うわけでございます。私はそういう考えを持っておりますので、今後適当な機会に私の考えはよく税調の諸君にも御理解を願うようにお話をする機会を持ちたいと、こう思っています。
○近藤忠孝君 それは直接申し述べるということだと思います。ただ五十七年度はと限定つきになってしまったんですね、再び念頭に浮かぶことはないと、こうおっしゃったので、私は少なくとも鈴木総理が総理在職中は再び念頭に上らないと、こう思っておったんですが、五十七年度だけですか。ということは、総理は五十七年度だけでおやめになるんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) それもわかりません。私は、これからのわが国をめぐるところの経済社会情勢もいろいろ変わっていく、それから国際的な経済情勢等も大きく変動があろうかと、こう思うわけでございまして、五十七年度につきましては私はこの方針で取り組んでおりますが、五十八年度以降こういうことにつきましては、私のような知識の乏しい、先見性の乏しい人間としてはそうはなかなか二年後、三年後のことまで見通してどうこうと言うわけにはいかない。これは謙虚に私はそういうぐあいに考えておるわけでございまして、私の申し上げておることは、ひとつ五十七年度はこうだと、そういう確固たる腹を決めて取り組んでおるんだと、それから先のことは、これは私は、責任ある立場の者としてそういうことを申し上げることはかえって国民に対して誤解を与え、また思わざる影響を与えるようなことがあってはいけないと、このように考えております。
○近藤忠孝君 普通の日本語の意味が大変後退したことを私は残念に思います。しかし、時間の関係で次に進みますが、日米首脳会談準備のために伊東外務大臣が訪米いたしました。三月二十四日にワシントンで日米協会主催の夕食会で「平和と安全のための日本の役割と日米関係」と題して演説されました。その内容は知っておるかどうか。これは公式演説である以上、総理も事前にその内容については確認されていると思いますが、いかがでしょうか。伊東外務大臣の演説です。――時間がなくなっちゃうんで私の方で言いますわ。どうも御承知ないようですけれども、私全文を入手したんです。これによりますと大変大事な発言がございまして、そこで総理の考えをただしたいんですが、一つはこう言ってます。「ヘイグさんとは長時間にわたり意見交換を行い、その国際情勢に対する認識の的確さと深い洞察力に対し、感銘を覚えました。」さらに、アメリカが「強力なリーダーシップを発揮することは、何にも増して重要」だ。「国防力を増大させるため真剣な努力を払っておられることは、まことに感銘深く、わが国としてこれを高く評価」していると。
 で、EC諸国もアメリカのタカ派軍事路線と言われているこの路線に決して全面的支持を与えていないのですが、日本の外務大臣がこれを全面的に礼賛したということになるわけですが、総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は詳しくその真意をまだ聞いておりませんが、アメリカは何といっても自由陣営の中における最も大きな力を持った国でございます。この米国がこれから厳しい国際情勢の中におきまして信頼性と一貫性を持った政策をとっていくと、これは西側の自由主義陣営の国国が一緒にこれから力を合わせて世界の平和と安定のためにやっていこうという大事な時期でございますから、アメリカが一貫性と信頼性、これを失わないでやってほしいというのが私は共通の考え方であろうと、こう思うわけでございます。これがふらふらしておったんでは困るという意味合いのことを伊東外務大臣が率直に申し上げたと、こう私は理解をしておるわけでございます。
○近藤忠孝君 それどころじゃないんです。さらに重要な発言があります。こう言っておるんです。西太平洋地域の「一角にあってわが国がこのような政策」――これは日米安保体制下での日本の軍事力増強のことだと思うんですが、「を推進していることは、この地域の安定に大きく貢献」している。この分野で「防衛力整備の努力を積み重ねていきたい」。
 ここで大事なことは、西太平洋地域というこの概念、これはアメリカの第七艦隊の行動範囲を示す軍事的な概念であります。この言葉が日本の政府の首脳の公式発言として使われたのはこれが初めてであります。ということは、総理もこのことをお認めになるんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の防衛政策というのは、もうしばしば申し上げておりますように、平和憲法のもとにおきまして専守防衛に徹する、国を守る必要最小限度の防衛力しか持たない、それを超えるような防衛力、近隣諸国に脅威を与えるようなものは持たない、つまり軍事大国にはならない。しかもシビリアンコントロールでもって防衛はやっていくんだと、こういうことをしばしば申し上げておるわけでございます。
 そこで、日本の防衛をやる範囲は、御承知のように、従来から申し上げておりますように日本の領土、領海、領空、その周辺海域、こういうことを申しております。航路帯で言いますと一千海里、それからその幅はせいぜい数百海里、こういうことを申し上げておるわけでございまして、私は、伊東外務大臣は十分そういうことを腹に据えて、そういうことを踏まえてアメリカの首脳との間の話し合いには臨んでおる、このように考えております。
○近藤忠孝君 そうしますと、西太平洋地域という言葉を使ったとすれば、これはいまの、いままでの総理のお考えより少しばみ出すわけですね。その点どうなんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) どういうところでどういう表現をしたかわかりませんが、いま私が申し上げた従来からのわが国がとってきた方針、これをはみ出すようなことは伊東外務大臣は考えてないと、このように思います。
○近藤忠孝君 考えていないということを総理が思うのと、現にここに全文あるんですが、そこに、いま言った西太平地域という用語を使っていること、これは別問題です。特に日本の政府関係者は、日本では大変いまのようなことをおっしゃるんですが、アメリカへ行きますと結構迎合的なことを発言する場合が多いんですね。たとえば今回の伊東外務大臣は、イラン・アフガニスタン問題について、やはりあの政策が画期的な日本の外交政策の転換だったと、こう言っとるんです。これは油を売ってアメリカについたということで大変問題になった事例ですけれども、やっぱり迎合的な発言であります。そういうものと思わなきゃいかぬです。特にこれは財政問題との関係で申しますと、幾ら節約節約とこう申しましても、がっぽりアメリカから軍備増強をアメリカへ行って総理が押しつけられできますと、国内のそんな努力なんていうのはすっ飛んでしまうんです。ですから総理もこの伊東さんと同じように、国内で言うことと外で言うことと違ってきますと大変なお荷物をしょってくることになるんですが、そういうことは絶対にないということをこれは断言できるんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私が外へ行って責任ある立場の人と話し合ってくる、そういう話し合ったことは、これは大きな責任がそこに生まれるわけでございます。しかし一方におきまして、それを裏づける予算の問題にしてもあるいはいろいろの施策の問題にしても、国会の御承認が得られなければそれは実行することができないことは当然のことでございます。私は、国会がわが国の防衛のシビリアンコントロールの最高のコントロールをされておる、こういうぐあいに承知をいたしておりますので、国会の御承認が得られないようなことを無責任に外国へ行って話し合ってくるということはいたしませんし、あり得ないことでございます。
○近藤忠孝君 端的にお答えください。西太平洋地域という、そういう言葉を使っておれば、これは従来の考えのはみ出しだ、こう思うんですが――ちゃんとここに書いてあるんですよ。
○説明員(松田慶文君) 御指摘の点について御説明申し上げますと、この外務大臣の日米協会の演説の御指摘の部分は、お手元の資料のとおり、「西太平洋地域は、わが国を始め、米国、ソ連、中国、さらに韓国、ASEAN諸国等、政治体制や経済・社会状況の異なる様々な国々の利害が係わりを有しており、地政学的にみて複雑な様相を呈しております」、これはアジア全体のことを述べている次第でございます。「その一角にあって」わが国が、安全保障条約、安保体制の枠組みのもとで所要の自衛力を整備している、このようなわが国の政策はこの地域の安定に貢献しておりますと、こう申し上げておるのでありまして、わが国が西太平洋全域について防衛上の措置を云々というふうな意味合いは全く持っていない点を申し上げさせていただきます。
○近藤忠孝君 これは、入っているということを申し上げて質問を終わります。
○三治重信君 総理は、五十七年度ですね、増税、ことにわれわれが心配していた大型増税を今年度に引き続いてやられる態勢とわれわれは承知していたんですが、早々と来年は増税はやらぬで行財政の改革をやるという決意を宣明されたことは、わが党にとっては非常に敬意を表する、まあこういうふうに、この趣旨が生かされるように来年度われわれもできるものなら協力をしたい、こういうふうに委員長が言ってみえることは御承知のとおりでございまして、今年こうやってわれわれも最終的な増税法案の審議でございますけれども、まことに気が重いわけであります。それに増して、いわんや一兆四千億からの、全部の法案が通ると増税になるわけなんですね。それに来年引き続いてと、こういうことになってくると、来年のこの大蔵委員会はどうなることか、こういうふうに思っていたところ増税なくしてやると、こういう決意について非常に敬意を表するわけなんですが、これは実行上の問題については各同僚委員から今日も相当突っ込んだ御質問があったわけですけれども、そのやり方にはいろいろあって、まだ総理としても大蔵大臣、関係閣僚との……、また政府としての考え方も変わろうかと思うわけなんですが、ここでひとつ、私は従来から思っておる財政の歳出削減のためには、やはり基本的に国民に対して政府の財政について、ことに補助金を中心とするものはやはり相当カットしていく、こういうふうなことを示すためには、いろんなたくさんの補助受領団体が毎年毎年予算のときに物すごい陳情団を編成して東京へ押しかけてくるわけですね。これをやはり整理といいますか、こういう補助金の受領団体がわざわざ押しかけてくるのをあらかじめ防止する対策を相当とっていかないと、やはりもらう方というのか、揺すぶる方がどうしても強くなる、守る方が弱くなると思うんですが、こういう補助金受領団体に対する、陳情、圧力に対する予防措置、これは相当前からやっていけば、私はいまの強力な自民党の政府の中では防遏できるんじゃないかと思うんですが、その点についてひとつ、これをやっていくためには、そういう外堀を埋める対策が私は相当必要だと思うんですが、御意見をお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いま御指摘がございましたようなことを自粛していただくためには、まず政府がこの点をはっきりしなければいけない。来年度はこういう方針で予算の編成に取り組みます、陳情あるいは圧力、そういうものには一切屈しません、受けつけません、こういう確固たる態度をまず示すことが第一である、こう考えております。このことを御理解を願えれば、地方団体におきましてもいろんな各種団体等におきましても、私はそういうむだな陳情等は自粛をされるものと、このように思っておるわけでございまして、国会におきましてこうして申し上げておるということ、これは私はマスコミ等を通じまして、十分政府の考え方、方針というものが御理解をいただけるものだ、このように考えております。
○三治重信君 このように早々といろいろの基本的な考え方を表明されることが非常にいい効果を持ち、またそれに対する対応が各所でとられるということはいいわけですが、しかし、これは大変な力関係があるわけですから、具体的に相当事務的にも整理をしていかないと大変なことになる。私のいままでの長い経験の中ではやはり陳情を相当抑えた大臣もおれば、また役所もあるわけなんです。現在においてもいろいろ公共事業なんかやる役所だと陳情時間を決めたり、あるいはせっかく来ても、それは名刺なりなんなりはある一定のところへ置いて、要点書いてくれれば一々中へ入って来ぬでもいいというような、これは一例なんですが、そういう陳情に対するいろいろの中央政府各省庁の対応の仕方も早々とひとつ宣明をして、陳情は非常にむだなことだ、こういう具体的な措置もぜひとっていただきたいと思います。
 それからもう一つは、私たちが第一線の市町村で聞くのは、やはりこれはいつも言われていることなんですけれども、補助金が細か過ぎる、もう少し各自治体の出先で同類的な補助金については彼此勘案して、いわば流用して使えることを認めてほしい、こういうようなことが言われておるわけなんですが、これは主として公共事業や福祉施設になろうかと思うんですが、こういうようなものをやはり各市町村段階で彼此流用して、この市町村段階のある判断で、金額が示されたらそれを具体的にこういうふうにしたいという意見が返ってきて、それで実行上効果あらしめる、こういうふうなこと、これは少し細か過ぎるかもしれませんが、そうしないと、歳出削減した後のやつにさらに実際的な効果をもたらすような施策というものも私は必要かと思うんですが、その点についての御意見もお伺いしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、そういう点は大いに研究を尽くす必要があろうか、こう思います。やはり地方のそれぞれの特性、ニーズあるいは地方の要望、そういうものを限られた予算の中でこれを満たしていくというためにはいろんな工夫が必要であろうか、こう思っておりますが、そういう点は大蔵大臣並びに各省庁において十分今後研究しながら節減、合理化を図られる予算の中で地方もそれぞれ地方の事情にマッチするように、またその効果が上がるように、そういう点については一層の工夫を必要とするのではないか、こう思っております。
○三治重信君 それから、せんだっての間接税三法の本会議の質疑で、私は最後に、これは税務行政の強化に対しての質問の中で、やはり政府全体として行革をやるからには税務だけ増員ということはこれはなかなかむずかしいだろう、したがって政府全体として不要不急と言っては語弊があるかもわかりませんが、人員の配置転換あるいは出向制度なり、こういうものを相当強力にやるべきではないか、こういう質問に対しては、関係大臣から答弁はなかったわけなんですけれども、私見ていますと、いま大企業は超企業的に、民間においてはそういう余剰人員の配置転換ですか、出向制度、たとえば三菱重工から三菱自動車へとか、石川島重工からトヨタへ何百人、これは労務者ということもありますけれども、出向でそういう、本来からいけば人員整理で失業者が出るやつをやっているわけなんです。政府は、これは各省庁と言っていても一番上は政府なわけなんですから、これは各省庁の配置転換をひとつ必要な職業職種については何人こうやる、こちらの方はこれだけ減る、しかし首切りを前提にしない行革ということも必要でしょうから、それをやるためには相当な大量な配置転換、出向制度、定員はある程度置いていても実人員は必要なところへ回す。そういうふうにしてだんだんこなしていくということが私はぜひ必要だと思うんですけれども、これに対しては相当やはり職員組合あるいは三公五現だと労働組合との対応が必要なわけですが、これに対して、私は政府が一番弱いと思うんですが、職員組合や労働組合に対するこういう交渉についての人員の配置、そういう責任者、こういうものをやはり相当体制を直していかないといかぬとともに、その趣旨をやはり一般に公表しないと、私は公のやつは交渉の問題を公表しないとやはり十分な効果が出ないと思うんですが、そういうことについてもひとつスムーズに行革が行われるためのこういう職員組合、労働組合のいわゆる政府側の責任者をつくって対応をしっかりやっていただきたいと思うんです、それといわゆる配置転換、出向制度というものをやはり利用をしないとうまくいかぬじゃないかと思うんですが、ひとつよろしくお願いいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 総定員法のもとにおきまして国会の決議等もございます。そういう枠内において人事管理を適正にする、配置転換等も円滑にこれを進めて、全体として定員が縮減され、最も効率的に行政サービスが行われるように、こういうことが非常に大事な点だと思います。それには公務員の諸君が国民に対する奉仕者であるという気持ちに徹してそういう点に御協力を願う、こういうことが必要だと思いますので、今後財政の削減合理化とあわせてこの人員の適正な配置、人員管理というものについては、今後臨調の御意見等も踏まえて政府としても十分努力してまいりたい、こう思っております。
○野末陳平君 行政改革に寄せる総理の御決意といいますか、御熱意といいますか、先ほどから頼もしく拝聴していたわけなんですが、総理が行政改革をおっしゃる場合に、頭の中にはまずわれわれこの足元の国会にメスを入れるということをも含まれているのかどうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いまや行政改革、行財政の立て直しというものが国民各層の挙げての要請になってきておる、このように思っておるのでございます。そういう認識の上に立ちますと、国会は国民の代表でございますから、これは国会がまず率先してこれに取り組んでいただくということは私は当然のことだ、こう思っておりますが、しかしこれは政府と国会とあるいは司法、これは三権分立になっておりますから、国会の定員制の問題その他は国会の各党各会派でひとつ十分御検討いただきたい、こう考えております。
○野末陳平君 もちろん各党各会派ですが、総理御自身も国会に籍を置く一員としてどうお考えなのか、個人的な意見に踏み込みますけれども、それがお聞きしたいわけなんですね。当然国会にメスを入れると言った場合、どこからか非常にむずかしいんですけれども、世論の中には国会議員そのものの数をもっと減らすべきじゃないかという声も相当根強くありますね。これは議員心理としてはもう当然いやなのは言うまでもありませんけれども、しかし私が考えますに、もし国民投票でもやった場合には、これは議員の数減らすべきだと、それがまず行政改革の第一歩であるという意見が圧倒的になるんじゃないかとすら思うんですよ。つまりこれは、まあ古いことわざにまず隗より始めよというのもありますが、行政改革、財政再建と言いながら金のことばかり言いがちですが、会ももちろん大事ですけれども、しかし姿勢というものが一番物を言うわけですね、そうすると一つはく自身が気になるのは、行政改革と言いながら他人にメスを入れることをのみ考えて、みずからにこのメスをふるうということを考えずして果たして行政改革ができるのか、あるいはそういう決意が本物と言えるのかどうかというふうに考えますと、非常に複雑な気持ちになるわけです。
 そこで、これは具体的な提案ですけれども、私は国会議員の数は果たして何を基準に多いと言うか少ないと言うか、これは非常にむずかしい、諸外国と比べても必ずしもはっきりした答えは出ませんけれども、少なくもやはり行革を口にする以上は一、二割は議員定数を減らせということを言い出してもいいんじゃないかと、まあそこまで思うんです。で、定数是正がいろいろ叫ばれておりますけれども、このままでいくとふえる方にどうしても行ってしまいますね、是正というのが。しかしそれじゃまずいんで、むしろ定員減を第一に考えて、同時に定数を是正するというような大胆な方向を打ち出すということが大事じゃないかと。もちろんそれは総理が御自身でおやりになるわけじゃありませんが、いろいろな協力なくしてできませんけれども、総理がそういう方向でお考えを示されるということは非常に効果があると思っているんです。総理、どうでしょう、議員の数を減らすべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題についてはいろんな御意見があろうかと、こう思うのでございます。この議院民主制のもとにおきましては、地域代表的な意味合いも私は一方においてあると、こう思っております。選挙民の頭数に比例をして定数を定める、その際に、その機会に定員についても削減をしたらどうかとか、こういう意見、あるいは一方、大都市等で選挙民の激増したことに対して、選挙民が少なくなったところから定員を移したらどうかとかいろんな意見があるわけでございますけれども、やはり一方においては、この地域代表的な性格もあってそれにも限度があるというようなこと等もございますから、私は姿勢としてはわかるわけでありますけれども、国民の意思を国会に適正に反映させるという意味合いから言って、それをここで一概にどうこうということを申し上げることはいかがかと、こう思うわけでございます。
○野末陳平君 お答えがちょっと焦点がぼけてるんで残念なんですが、まあもちろんこれはここでずばりとお答えできにくい事情もわかるんです。しかしもう少しこれを具体的に考えますと、じゃ議員定数はそのままでもいろんな事情でやむを得ないとして、補助金の削減がいま非常に緊急の政治テーマになっていると。その場合に、これはほんの一例ですけれども、大平総理時代にも提案したけれども全然問題にされなかったので、鈴木総理ならば大丈夫じゃないかと思ってお聞きするんですが、われわれの互助年金というのがあるわけですね。これは結構なことなんですが、これに対する国庫からの補助が年間五十五年度は八億円を超えましたね。そうすると、八億円の補助金をもらわなければわれわれの互助年金は成立しないのかということになりますと、いまこの制度がスタートした当初は国庫補助の比率というのは非常に低かったんですよ。ところが年々ふえましてね、最近ではもう五〇%を超えた国庫補助に頼っていると、これが互助年金の実態なんですね。これはいかにも多過ぎると。国庫補助をゼロというのが本来だと思いますよ。議員の納付金だけで賄うのが本来だと思いますが、少なくも人様の補助金を削る話をしているときに、自分たちの補助金を全然不問に付していいのかどうかと考えますと、補助金のまず第一に削るべきはわれわれの互助年金に対する補助金であると、そう考えますが、総理はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大変結構なお話でございまして、私といたしましてはぜひそういうふうにお願いをしたい。これはしかしながら、国会の問題であって、司法、立法、行政分かれておりまして、大蔵大臣といえども勝手にメスが入るという仕組みになっておらないわけでございますから、ぜひともお願いしたいと。一時は年齢制限を撤廃しちゃったりしたこともありますが、また年齢制限をもちろん復活するとか、あるいは高額所得者に対しては二割カットをするとか、そういうようなことで御自粛は願っておるのです。五十五年度は五三%の補助率ですが、五十六年度は四九%というように下がっておるわけでありますから、どうぞそういうことで全党一致でひとつ御決議いただけば、私は大変感謝を申し上げます。
○野末陳平君 いや、これにはやはりもらえるものが減るんですから抵抗はあると思いますけれども、やはりそのぐらいは当然で、国庫補助を仰がなければ、いわゆる補助に頼るような年金をもらわなければ食っていけないというような政治家というか、引退なさった方でもですね、それはないと思うんですね。で、総理に、ですから、全党一致でというきっかけをつくるためにも、総理の一言が欲しいわけで、で、こう考えるんですよ、在職期間にもよりますけれども、いま大体三十万円前後になるんですよ、いまの補助金をそのまま生かしていますからね。そうすると、一人三十万前後の年金というのは、民間に比べて当然高いわけですね。べらぼうに高いとも言えますね。そこで補助金を仮に全額カットしてわれわれ議員の納付金だけでもって賄うと、こういうふうにすると、年金額が急に落ちまして大体民間のレベルに近づくんですね。これでいいんじゃないかと。つまりこれでがまんすべきだと。国会議員が行政改革、財政再建を口にしてあれやこれや言うならば、自分たちもこれだけ削ったという姿勢を示さなかったらば、具体的に姿勢を示さなかったらこれはだれだってそんな納得するはずないですよ。ですから、総理の決意が本物であるかどうかということを別に試したくて言ってるんじゃありませんが、この補助金は少なくも、いまの大蔵大臣の話もありましたが、国会でやるべきことですね。国会でやるべきことだが、総理もやはり国会議員である以上はそれに対して当然の意見をいただかないと非常に質問する立場としても困るわけですよ。ですから、いかがなものかと。つまりこの補助金をカットすることによって行革、財政再建に対する政治姿勢が一層総理の場合ははっきりして説得力を増すと、こういうふうに思うので、全党一致を実現するきっかけにもここで総理の力強い決意をお聞きしたいと、こう思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御趣旨はきわめて明快であり、よくわかるわけでございます。私も自由民主党の総裁でございますから、自民党においてもこの問題をひとつ財政再建の観点に立ちまして検討していただくように私からもお願いいたしますし、各党各会派においても御検討いただくようにお願いをしたい、こう思っております。
○野末陳平君 私のところの新政クラブは第一に応ずることになっておりますからこれはぜひお願いしたい。私が窓口をやっておりますので、どうしてもそれを何とか実現しないと非常にかっこうがつかないわけなんです。
 時間もありませんから、最後に一問だけお願いしておきますけれども、この三法の質疑の途中で、途中というか質疑の過程で、非常に問題になったのがやはり税の不公平というので、いまや制度から徐々に執行上、課税上の現場の問題に移りつつある。この現場における税の不公平というのが非常に大きくなってきて、これを何とかしなきゃいかぬということが出ました。同僚委員の質問にもありましたけれども、いわゆる税務署の仕事量の増大と人員がふえないということのアンバランスがもうパンクしそうになっていることは事実なんですね。その弊害も事実非常にあっちこっちで出ておりますので、この税務署の仕事というものに対して定員増という問題もまたあると思いますし、これはまた安易にやっていいということは言えませんけれども、しかし税の不公平というものにかかわる問題ですから、こういう定員の問題も含めて合理化の方向というものを早急に打ち出すべきだと。これは大蔵大臣、それから当局からもその方向に間違いないという答弁はいただいておりますが、なお一層総理からこの問題を早急に解決しなきゃいかぬという強い姿勢を示してほしいと思います。それで終わりにします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 税務執行の適正を期するために、税務関係の職員の充実を図るべきだという御指摘は、各党からいろいろお話を伺っております。今後厳しい定員の中でございますけれども、十分その点は政府として配慮してまいりたいと、こう考えます。
○委員長(中村太郎君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 ただいま議題となっております五案のうち、所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の修正について、近藤忠孝君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。近藤忠孝君。
○近藤忠孝君 私は、もっと審議を尽くすべきだと思います。したがって終局宣言には反対ですが、やむを得ませんのでここに所得税法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出いたします。
 その内容はお手元に配付されております案文のとおりであります。
 これよりその趣旨について御説明申し上げます。
 今国会の審議を通じ、政府の所得税減税拒否の不当性はいよいよ鮮明となっております。空前の大増税による家計への過酷なまでの圧迫の実態やわが国の課税最低限が購買力平価による国際比較では最低であったことなど、政府も認めざるを得なかったところであります。財源がないとの政府の主張も、二兆四千億円にも達する軍事費の大幅削減や、大企業、大資産家優遇税制の是正により、十分に確保できることが論証されております。
 ところが政府は、四年越しの所得税減税見送りによって低所得層への犠牲を強めるばかりか、逆進性の強い物品税や酒税の引き上げを進め、加えて中小零細企業の活力を損う重税を強要して史上空前の一兆四千億円もの増収を見込んでいるのであります。この内容が大企業奉仕と軍備拡張のための財源確保策にほかならないことは、明白なところであります。
 さきに、衆議院においては、自民、社会、公明、民社、新自由クラブ、社民連の六党で、五十五年度剰余金を財源とする所得税減税の実施が合意され、現在所要の措置が進められております。減税実施の必要性から見て、わが党もこれを評価するものでありますが、剰余金が出るかどうか不確定なこと、実施されてもその額がきわめて少ないこと、単年度限りの措置であることなどの不十分さを指摘せざるを得ません。
 政府統計によってさえも、物価高、実質賃金の減、税や公共料金負担の増大などかつてない深刻な事態が記録されている今日、国民生活を守るためにも、個人消費の低迷による不況を打開するためにも、わが党が主張し続けてきた六千億円規模の所得税減税を実施することは、政治に課せられた焦眉の責務であると確信するものであります。
 また法人税率について、中小企業の税率も一律に二%引き上げることとされております。しかしながら中小零細企業は、不況と大企業の圧迫のもとで、日本経済の危機ラインを突破する最高水準の倒産件数が常態化するなど、慢性的な危機に追い込まれております。中小企業に対する増税は撤回し、むしろ軽減措置をこそ講ずべきであります。
 これらの減税措置に要する財源は、大企業への優遇税制を一部是正するだけで十分に確保できるものであります。
 以上が、所得税法一部改正案及び法人税法一部改正案に対し、本修正案を提案する理由であります。
 次に、本修正案の概要について御説明いたします。
 まず、所得税法一部改正案に対する修正案は、五十六年度において総額六千億円、本人には一万二千円、家族一人に六千円、夫婦子二人の標準世帯で合計三万円の所得税減税を、税額控除方式により実施することといたしております。恒久的措置として実施する結果、現行の標準世帯の課税最低限二百一万五千円は二百四十七万円となります。また税額控除方式をとることによって、高額所得者ほど有利な従来の所得控除方式とは異なり、逆に所得再分配にも著しく寄与するものとしております。
 法人税法一部改正案に対する修正案について申し上げます。
 第一に、中小法人税制について、現行の軽減税率二八%を維持するとともに、軽減税率の適用所得限度を現行の七百万円から一千万円に引き上げることとしております。
 第二に、法人税制に段階税率を導入することとしております。巨額の利益を上げ、担税力のある大企業に対し相応の負担を求めることは、税の公平の確保にとって必要不可欠のことであります。
 第三に、法人税法に内包されるさまざまな大企業への優遇措置のうち、当面、次の二点を是正することとしております。
 その一つは、法人間相互持ち株などによる受取配当の益金不算入制度を廃止し、企業の配当収入にも適正な課税を行おうとするものであります。
 その二つは、株式を時価で発行した際の券面額との差益、いわゆるプレミアムに対し、その収益の特殊性に着目して現行の非課税措置を廃止しようとするものであります。
 これら不公平税制の是正によって、所得税減税等の所要財源を確保することとしております。
 以上が所得税法一部改正案、法人税法一部改正案に対する日本共産党の修正案の概要であります。
 何とぞ御審議の上、委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。
○委員長(中村太郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 ただいまの近藤君提出の両修正案のうち、所得税法の一部を改正する法律案に対する修正案は予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいまの修正案について、昭和五十六年度予算に影響を及ぼすこととなるほか、現下の財政事情、所得税の負担水準の状況等から見て適当でなく、政府としては反対であります。
○委員長(中村太郎君) 別に御発言もないようですから、これより五案並びに両修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました所得税法、法人税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案に対し反対、また共産党提出の修正案に反対の立場から討論を行うものであります。
 政府は、財政再建をスローガンに、国債発行額は前年度当初予算に対比して二兆円減額すること、一般会計予算の伸び率を一けたに抑えること、一般歳出の伸び率を前年度増加率以下に抑えることとし、大増税を前提に一般会計四十六兆七千八百八十一億円の予算編成を行いました。大蔵大臣は「世論成って早い再建」とのごろ合わせを発表しましたが、「余録なし幅一杯の負担額」と国民泣かせの予算編成と言わざるを得ません。
 わが党がすでに再三指摘してきましたとおり、国民生活を安定させながら財政再建を行うことは当然であります。だが、財政再建の前提は、今日救いがたいほどの財政危機を招来した政府の財政政策運営について厳粛に反省することが先決であります。また、再建の具体的計画は、かつての高度成長政策の惰性を徹底的に克服し、国自身の減量経営、歳出のカット、節約、行政改革、不公平税制の是正などに全力を傾注することであります。にもかかわらず、国民世論に耳を傾けることなく、政府は安易にも酒税の引き上げを初めとする各種の大衆増税によって財政再建を図ろうとしていることは絶対に容認することができません。
 今回の増税について鈴木総理は、既存税制の中での選択増税とは言っておりますものの、その中身は全く総ざらい増税と言わねばなりません。また、四兆五千億円もの税の自然増収の六二%は勤労者の負担、一兆四千億円の大増税の大部分は最終的には消費者である勤労国民の負担に転嫁されることであり、世界でも例のない国民泣かせと言わなければなりません。
 次に、所得税法の改正につきまして、今回寡夫控除の新設、パートタイマーの非課税限度額の引き上げがありますが、これはわが党が年来主張してきたものでありまして、ようやく実現したものではないでしょうか。わが党が今国会に提出しております所得税法の改正案と対比しても明らかなごとく、いま実現を迫られております重要な課題にはまだ全然手をつけていないのであります。特に、国民世論の願っております物価調整減税や課税最低限の引き上げを拒否していることは断じて容認することができません。
 次に、法人税は一律二%の引き上げとなっていますが、現行の税率はそれぞれ四〇%、二八%、二三%となっておりますので、大企業よりも中小企業、公益法人の上げ率は高くなる仕組みとなります。しかし、大企業は企業会計や税制、金融価などであらゆる恩恵を受けており、さらに不公正格差を拡大することとなります。
 次に、租税特別措置法の改正につきましては、合理化はまだ不十分であり、依然として大企業奉仕の税制措置にしがみついていると言わざるを得ません。また、われわれが提起しております土地税制の強化、富裕税、広告税などにつきましてはまだ検討中であるとして決断をされていないことは全く不満であります。
 また、近年大企業、医師、海外所得、大学寄付金など計画的な脱税は、量的にも拡大しているにもかかわらず実効ある措置がとられておりませんのはきわめて残念であります。まじめな勤労国民は不公平感、重税感をますます強めており、政府は十分に心しなければならないと強く反省を求めるものであります。
 なお、政府は、今回の各党合意によります剰余金によります所得税減税がスズメの涙ほどの少額ではないことを私どもは期待をいたしまして、反対討論を終わるものであります。
○衛藤征士郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表し、ただいま議題となりました五法案のうち、まず所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三原案に賛成、近藤委員提出の二修正案に反対の意を表明いたします。
 わが国財政が、大量の国債に依存する状態から一刻も早く脱却することが当面喫緊の課題であることは言及するまでもありません。五十六年度は財政再建を大きく進めるため特例公債二兆円の減額を行い、予算規模の伸びを一けた台に圧縮することといたしましたが、そのために生ずる行政水準の落ち込みを防ぐため、既存税制の枠組みの中で税負担の公平に配慮しつつ、一兆三千九百六十億円の増税措置を講じようとすることは、必要にしてやむを得ざる措置であると考えるものであります。
 三原案は、今次税制改正の柱をなすものでありますが、まず所得税法の改正内容を見ますと、極めて厳しい財政事情にもかかわらず、パート等により家計を助ける主婦や、父子家庭の父親などにきめの細かい減税が行われることとなっているのであります、また雪おろしの費用等についての雑損控除制度の拡大という豪雪地帯の方々にとってはまことに時宜を得た適切な措置が講じられることとなっているのであります。
 法人税法改正原案においては、経済に及ぼす影響に配意しつつ法人税負担の引き上げが行われることとなっておりますが、反面、苦しい経営環境に置かれている中小企業にとっては、軽減税率の適用所得限度の引き上げが行われ、実情に即した配慮がなされているのであります。
 租税特別措置法改正原案においては、企業関係の特別措置についてさらに一層の整理合理化の努力が払われており、交際費課税の強化、割引債の総合課税のための措置とあわせ、税負担の公平の見地から、国民の理解と協力を得るための努力が見られるのであります。さらに、今回創設されるエネルギー対策促進税制は、当面の緊急課題であるエネルギー対策の促進上不可欠の措置であると考えます。
 以上、三原案の内容は、税負担の増加を求めざるを得ない状況の中にあって、諸般の配慮が払われており、当面の措置としては時宜適切なものと考えるものであります。
 以上の理由から、三原案に賛成し、三原案に賛成する立場から近藤委員提出の二修正案に反対の意を表明いたします。
 また、昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案、関税暫定措置法の一部を改正する法律案は、ともに時宜適切な措置でありますので、賛意を表明し、私の討論を終わります。(拍手)
○多田省吾君 私は、公明党・国民会議を代表し、ただいま議題となっております内閣提出の所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案、さらに日本共産党提出の両修正案に対し反対の態度を表明し、また昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案には賛成の態度を表明して討論を行います。
 内閣提出の所得税法案に反対する主な理由は、政府が所得税減税を見送り、勤労者を中心に巨額の見えざる実質増税を強いていることであります。
 今日のわが国の勤労者の生活は、去る十七日に発表された総理府統計局の五十五年の家計調査報告でも明らかなように、勤労者の要求よりはるかに低い平均六・七%の賃上げ傘と、政府見通し六・四%を大幅に上回る七・八%の消費者物価の高騰の狭間で実質収入の減少を来しております。加えて、所得税減税の見送りは、勤労者に一九・一%と二割に近い実質増税となるため、物価高と並んで家計を火の車に追い込むとともに、所得の伸び悩みが個人消費の低下につながり、景気の後退をもたらすという悪循環となり、結果としては税収減から財政再建の足場さえも崩しかねません。したがって所得税減税を見送っている所得税法の改正案には強く反対するものであります。
 衆議院段階で、わが党を含む五野党の要求により議長裁定がなされ、所得税減税の与野党合意を見ましたが、剰余金という枠づけである以上、再度政府与党の最大限の努力を強く要求するものであります。
 次に、法人税法案ですが、政府は一律二%の引き上げを図っておりますが、これでは経営困難な中小企業にとっては余りにも配慮のない増税であると言わざるを得ません。大企業、大法人の法人税率の引き上げについては、政府税調答申に沿うもので、わが国の法人関係税の実効税率あるいは実質的税率が先進諸国に比べて低いことなどから、当然の引き上げですが、中小企業については、五十五年の倒産件数が史上第二位を記録し、政府の総合景気対策も中小企業へのてこ入れを主要な柱とせざるを得ないことなどから、中小企業の経営に配慮し、少なくとも軽減税率の据え置きと、適用区分のさらなる拡大を図るのが当然であります。
 また、不公平税割の是正についても、政府は金融保険業の貸し倒れ引当金の法定繰入率を千分の五から千分の三に引き下げるとしておりますが、大蔵省資料でも貸し倒れ実績率は千分の一程度であり、当面する財政状況を考えれば、退職給与引当金等とともにさらに積極的な取り組みがなされてしかるべきであります。
 最後に、租税特別措置法案についてでありますが、さらに交際費課税の強化を図るべきであり、また課税の公平化を図るためのグリーンカードの実施がいまだにあいまいな部分を残しているのは残念であります。
 このように、不公平税制の是正や行財政改革に積極的に取り組むこともなく、所得税の実質的増税によって、勤労者の生活を窮地に追い込むとともに、中小企業にも過分の税負担を要求しようとすることは、とうてい国民の納得を得られるものではなく、直接税三法に反対せざるを得ないのであります。
 政治に対する国民の信頼を回復させるためにも、政府与党は国民の声を謙虚に受けとめ、心ある施策を誠意をもって実行されんことを重ねて要求し、私の討論を終わります。(拍手)
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表し、政府提出の所得税法、法人税法、租税特別措置法及び関税暫定措置法の四改正案に反対、わが党提出の所得税法、法人税法両修正案及び昭和五十五年度剰余金処理特例法案に賛成の討論をいたします。
 政府提出の直接税三法に反対する第一の理由は、政府が国民の切実な要求である所得税減税をまたもや拒否し、二兆八千億円にも及ぶ実質大増税を推し進める点であります。
 大蔵大臣は、財政厳しき折柄今度だけは御勘弁をと繰り返しておりますが、「今度だけは」が四年も続くのであります。勤労者は、実質賃金マイナスという最悪の事態に直面し、国民の間の所得格差も広がっています。しかるに、所得再分配効果を最も発揮すべき所得税で、その累進性が一層弱まることは無視できません。
 先般、自民党など六党で昭和五十五年度剰余金を財源とした減税の実施が合意され、今度そのための所要の措置が提案されております。わが党は、減税につながる措置としてこれには賛成ですが、先ほど指摘したようにきわめて不十分なものであります。国民生活防衛、消費不況の克服、さらに税の公平さを取り戻す点からいっても、わが党の修正案が実現されるべきであります。
 第二は、法人税制で、中小企業の税率を一律に二%引き上げている点であります。
 大企業の大もうけとは逆に、中小企業の倒産件数は今や危機ラインを突破し、国民生活と日本経済の危機となっております。中小法人については、わが党修正案のように、税率を据え置くと同時に、大企業に対しては、その利益、担税力に応じて若干高率の税負担を課し、緩やかな段階税率を導入すべきであります。中小企業つぶしにつながる今回の一律二%増税には断固反対するものであります。
 第三に、わが党が従来から強く主張している不公平税制の是正が全く不十分で、しかも新たに拡大されている点であります。
 法人税制における各種引当金など、従来わが党が指摘してきた大企業優遇の諸制度は温存され、所得税制でも配当控除制度や有価証券譲渡益非課税など大資産家優遇制度は全くの手つかずではありませんか。それに今回、大企業が要望していたエネルギー対策投資減税の新設、大手家電業界向けの製品保証引当金が拡充されるなど、逆に不公平の拡大も行われております。わが党の修正案は、大企業優遇の諸制度のうち、とりあえずその一部を是正しようというものであります。
 第四に、増税諸法案が軍備拡張財源を確保するためのものであることであります。軍事費を削って、福祉と教育の充実をという国民的世論にもっと耳を傾けるべきであります。
 次に、関税暫定措置法の一部改正案には、発展途上国からの強い要求である特恵関税制度の延長など、賛成できる内容もありますが、大企業向けの減免税還付制度がほとんど手つかずで残されていることなどにより、全体として反対の態度をとるものであります。
 最後に、今回の法案審議に当たり、いわゆる日切れ法案の期限内成立を理由に、わが党の徹底審議要求を排し、短時間の不十分な質疑で事足れりとしたことは、議会制民主主義の形骸化と言わざるを得ません。この点を厳しく指摘し、私の討論を終わります。
○三治重信君 私は民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法、法人税法及び租税特別措置法の一部を改正する各法律案に対し、一括して反対の態度をとり、昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案は賛成の立場から討論いたします。
 わが党は、わが国経済の発展と国民生活の安定を図る立場から、行財政改革の断行と、不公正税制の是正を図り、大衆増税によらない財政再建を図るよう強く主張してまいりました。しかるに、昭和五十六年度予算案は、行財政改革をないがしろにし、財政再建の名のもとに、国債の二兆円減額を国民生活全般に多大な影響を及ぼす大幅増税で賄おうとする大衆増税予算と断ぜざるを得ないのであります。
 まず、所得税について述べます。
 第一次石油危機を契機として、わが国経済は激しいインフレに見舞われ、次いで深刻な不況に陥ったのでありますが、その痛手から回復したのもつかの間で、一昨年来、再び第二次石油ショックの影響をもろに受けたのであります。わが国経済は、このショックを実質賃金の低下に見られるような勤労者の犠牲のもとに辛うじて乗り切ったのであります。
 すなわち、昨年一年間の賃金は、前年に比べ七%増加したのでありますが、消費者物価指数はこれを上回り八%上昇したため、昨年一年間の平均実質賃金は対前年比〇・九%城となり、戦後統計史上初めての賃金目減りという異常な事態を招来したのであります。年度間をとりましても、消費者物価指数は七・八%程度で大勢には変わりはありません。現在の景気のかげりは、まさにこの実質賃金の減少による個人消費の低迷がもたらしたものにほかなりません。
 政府は、来年度において個人消費を中心とする民間活力により、五・三%の実質経済成長の達成を期待されております。そうであるならば、この際、勤労者や中小企業者に対する各種の大幅増税を取りやめるとともに、五十二年度以来据え置かれたままになっている所得税に対し、少なくとも物価調整減税を無視し続けたことに対し、厳しい反省を求めるものであります。幸い議長裁定により、五十五年度の剰余金は、その全額を所得税減税に充てることが与野党間で合意され、全党一致の議員立法ができることを喜ぶものであります。このたびの所得税法改正案では、配偶者控除の対象となる配偶者の所得限度を現行の二十万円から二十九万円に引き上げることとされております。これは、配偶者控除を受けられる所得限度額を七十九万円に引き上げるものであり、一歩前進と認めるにやぶさかではありません。しかしこの限度額を超えてしまうと控除が受けられなくなり、税負担がふえるためむしろ減収になるケースが多く、このため主婦のバートの年収はその限度額以下に抑えられがちで、諸物価高騰の中でパートの賃金が伸び悩んでいる元凶ともなっております。今回の改正による限度額の七十九万円への引き上げ程度の措置によっては、パートで働く主婦にとって、厳しい物価高の状況を解消することはとうてい期待できるものではなく、配偶者控除が受けられる配偶者の収入限度額を当面少なくとも百万円程度へ引き上げることが必要だと考えるとともに、できる限り早く夫婦の経済、社会的存在を示す配偶者控除は、高額所得合算の一千万円までは受けられるように前向きに対処されることを強く要望するものであります。
 次に、法人税については、先進国との対比において、税率の低位、大法人の担税力の余地の存在、企業収益の回復等にかんがみ、大企業の法人税率を二%引き上げるとともに、中小法人の軽減税率の適用所得限度現行七百万円を千二百万円に引き上げるべきだと主張してまいりました。これに対し、今回の改正案は、税率の引き上げを、大企業に対してのみならず中小法人、公益法人、協同組合等に対しても一律に行われようとされ、同時に中小法人に対する軽減税率の適用所得限度を八百万円に引き上げるにとどめておられることは、とうていわれわれの容認できるところではありません。しかし、大蔵大臣の御説明によれば、中小企業の九〇%が八百万円の限度額以内におさまるものと理解されます。今後における限度額引き上げについて九〇%をめどに十分の配慮をもって対処されるよう要望しておきます。
 最近の金融機関の取引先企業に対する厳しい選別融資、公共投資の抑制、個人消費の低迷、住宅建築の不振、素材部門を中心とした在庫調整の大幅なおくれなどにより、このところ中小企業の倒産が相次いでおり、昨年一年間の企業倒産は件数、負債総額とも五十二年に次いで史上二番目の高水準を記録したのであります。さらに、今後緩和の方向にある金融政策の効果が中小企業に浸透するには時間がかかること、また円高や貿易摩擦によりこれまで景気の牽引力であった輸出の伸びが余り期待できないことなどから、企業倒産は引き続き高水準で推移することが予想されるわけであります。このように中小企業を取りまく環境はきわめて厳しい状況にあることを十分認識され、税務行政、特に徴税実務上無理のないよう特段の配慮をお願いいたします。
 最後に、租税特別措置についてでありますが、わが党はかねてより、社用族天国との批判が多いことから、交際費は原則として益金扱いとするよう主張してまいりました。これに対し、政府は来年度の税制改正において、当初交際費課税のかなり強化を検討されていたにもかかわらず、最終的にはわずかばかりの課税強化にとどめられたことはきわめて遺憾であります。この交際費課税を初めとして現行の租税特別措置にはなお見直しを要する不公正が温存されており、今後その不公正是正に政府が全力を傾注されるよう強く求めるものであります。
 なお、近藤君提出の所得税及び法人税法の一部を改正する両法律案の修正案には反対であります。
 以上をもちまして私の討論を終わります。
○委員長(中村太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより順次五案の採決に入ります。
 所得税法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、近藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 少数と認めます。よって、近藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に、賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、近藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 少数と認めます。よって、近藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 穐山君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。穐山君。
○穐山篤君 私は、ただいま可決されました三案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブの各派共同による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、所要の措置を講ずべきである。
 一、所得税制については、今後における社会経済情勢等を踏まえ、課税最低限、税率構造等を含め、その基本的あり方について検討すること。
 一、災害雑損控除制度については、その災害の実情等を勘案し、円滑な適用に十分配慮すること。
 一、法人税の基本的な仕組みについては、法人税制の国際的動向を注視しつつ、今後とも引き続き検討を進めること。
 一、貸倒引当金、退職給与引当金等各種引当金の繰入率等については、その実情に即し、引き続き見直しを行うこと。
 一、準備金、特別償却等各種の特別措置については、その政策目的、政策効果、利用状況等を勘案し、その整理合理化に努めること。
 一、税制上の公平の実現の推進を図るとともに、税務執行面における負担の公平確保については特段の努力を払うこと。
 一、変動する納税環境のもとにおいて、複雑かつ高度の専門的知識を要する国税職員について、財政再建の緊急性、税務執行面における負担公平の確保並びに職員の年齢構成の特殊性等にかんがみ、今後ともその処遇の改善、定員の増加に特段の配慮をすること。
  右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いをいたします。
○委員長(中村太郎君) ただいま穐山君提出の附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 全会一致と認めます。よって、穐山君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに、決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、渡辺大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意いたしたいと存じます。
○委員長(中村太郎君) 次に、昭和五十五年度歳入歳出の決算上の剰余金の処理の特例に関する法律案について採決に入ります。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、関税暫定措置法の一部を改正する法律案の採決に入ります。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(中村太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、五案の審査報告書の作成は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(中村太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時四十分散会
     ―――――・―――――