第094回国会 予算委員会 第4号
昭和五十六年三月九日(月曜日)
   午前十時十九分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十四日
    辞任         補欠選任
     梶原  清君     岩動 道行君
     関口 恵造君     堀江 正夫君
     村上 正邦君     八木 一郎君
     大森  昭君     大木 正吾君
     鈴木 和美君     安恒 良一君
     本岡 昭次君     竹田 四郎君
     山田  譲君     小野  明君
     伊藤 郁男君     田渕 哲也君
 二月二十日
    辞任         補欠選任
     田渕 哲也君     三治 重信君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     赤桐  操君     粕谷 照美君
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     三治 重信君     田渕 哲也君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     下田 京子君     上田耕一郎君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     井上  裕君     村上 正邦君
     鈴木 省吾君     長谷川 信君
     山田  勇君     喜屋武眞榮君
三月九日
    辞任         補欠選任
     土屋 義彦君     関口 恵造君
     藤原 房雄君     中野  明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         木村 睦男君
    理 事
                亀井 久興君
                古賀雷四郎君
                平井 卓志君
                宮田  輝君
                粕谷 照美君
                和田 静夫君
                渋谷 邦彦君
                沓脱タケ子君
                柳澤 錬造君
    委 員
                岩動 道行君
                板垣  正君
                岩上 二郎君
                熊谷  弘君
                藏内 修治君
                源田  実君
                下条進一郎君
                田代由紀男君
                竹内  潔君
                谷川 寛三君
                玉置 和郎君
                土屋 義彦君
                名尾 良孝君
                長谷川 信君
                林  寛子君
                堀江 正夫君
                増岡 康治君
                村上 正邦君
                八木 一郎君
                山崎 竜男君
                小野  明君
                大木 正吾君
                志苫  裕君
                竹田 四郎君
                寺田 熊雄君
                村沢  牧君
                安恒 良一君
                大川 清幸君
                桑名 義治君
                田代富士男君
                中野  明君
                上田耕一郎君
                田渕 哲也君
                前島英三郎君
                喜屋武眞榮君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外 務 大 臣  伊東 正義君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
       厚 生 大 臣  園田  直君
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
       通商産業大臣   田中 六助君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
       建 設 大 臣  斉藤滋与史君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    安孫子藤吉君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長
       官)       宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖繩開発庁長
       官)       中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官)  原 健三郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  鯨岡 兵輔君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   石川  周君
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第一
       部長       味村  治君
       内閣総理大臣官
       房同和対策室長  小島 弘仲君
       内閣総理大臣官
       房総務審議官   和田 善一君
       青少年対策本部
       次長       浦山 太郎君
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       警察庁刑事局保
       安部長      谷口 守正君
       行政管理庁長官
       官房審議官    林  伸樹君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局長     中  庄二君
       防衛庁参事官   岡崎 久彦君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁参事官   番匠 敦彦君
       防衛庁長官官房
       長        夏目 晴雄君
       防衛庁長官官房
       防衛審議官    西廣 整輝君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁経理局長  吉野  実君
       防衛庁装備局長  和田  裕君
       防衛施設庁長官  渡邊 伊助君
       経済企画庁調整
       局長       井川  博君
       経済企画庁物価
       局長       廣江 運弘君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    赤羽 信久君
       環境庁長官官房
       長        北村 和男君
       環境庁企画調整
       局長       藤森 昭一君
       国土庁長官官房
       長        谷村 昭一君
       国土庁長官官房
       審議官      柴田 啓次君
       国土庁土地局長  山岡 一男君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       法務省人権擁護
       局長       鈴木  弘君
       外務大臣官房審
       議官       関  栄次君
       外務省アジア局
       長        木内 昭胤君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省欧亜局長  武藤 利昭君
       外務省経済局長  深田  宏君
       外務省経済協力
       局長       梁井 新一君
       外務省条約局長  伊達 宗起君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵省主計局長  松下 康雄君
       大蔵省主税局長  高橋  元君
       国税庁長官    渡部 周治君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省社会教育
       局長       高石 邦男君
       文部省管理局長  吉田 壽雄君
       厚生大臣官房長  吉村  仁君
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省環境衛生
       局長       榊  孝悌君
       厚生省医務局次
       長        山本 純男君
       厚生省社会局長  山下 眞臣君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       厚生省年金局長  松田  正君
       農林水産大臣官
       房長       渡邊 五郎君
       農林水産大臣官
       房予算課長    京谷 昭夫君
       農林水産省経済
       局長       松浦  昭君
       農林水産省食品
       流通局長     渡邉 文雄君
       林野庁長官    須藤 徹男君
       通商産業省通商
       政策局長     藤原 一郎君
       通商産業省貿易
       局長       古田 徳昌君
       通商産業省産業
       政策局長     宮本 四郎君
       通商産業省立地
       公害局長     松村 克之君
       通商産業省機械
       情報産業局長   栗原 昭平君
       資源エネルギー
       庁長官      森山 信吾君
       中小企業庁長官  児玉 清隆君
       運輸省海運局長  永井  浩君
       運輸省鉄道監督
       局国有鉄道部長  永光 洋一君
       海上保安庁長官  妹尾 弘人君
       郵政省電波監理
       局長       田中眞三郎君
       労働省労政局長  細野  正君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       建設省計画局長  宮繁  護君
       建設省住宅局長  豊蔵  一君
       自治省行政局選
       挙部長      大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        道正  友君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
   参考人
       日本銀行総裁   前川 春雄君
       高千穂商科大学
       助教授     名越二荒之助君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十六年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十六年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任を行います。
 委員の異動に伴い理事一名が欠員となっております。理事の補欠選任につきましては、先例により、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に粕谷照美君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(木村睦男君) 昭和五十六年度一般会計予算、昭和五十六年度特別会計予算、昭和五十六年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(木村睦男君) 次に、総括質疑に関する理事会の協議決定事項について御報告をいたします。
 総括質疑は七日間分とすること、質疑割り当て時間は総計九百八十一分とし、各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議及び日本社会党それぞれ三百四分、公明党・国民会議百六十九分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ六十八分、新政クラブ及び第二院クラブそれぞれ三十四分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
 右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(木村睦男君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十六年度総予算三案審査のため、本日の委員会に日本銀行総裁前川春雄君及び高千穂商科大学助教授名越二荒之助君を、また明十日、元京都府立洛東病院長榎本貴志雄君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(木村睦男君) それでは、これより総括質疑を行います。小野明君。(拍手)
○小野明君 私は、日本社会党を代表いたしまして、総理初め各大臣にそれぞれ質問をいたしたいと思います。
 まず、総理にお尋ねをいたしますが、総理は御就任以来、和の政治ということを唱えてこられました。そこで、先般衆議院予算委員会におきまして各党政審あるいは国対関係者が話し合いをしておるその最中に強行採決、こういう挙に出られたわけであります。これは二十九年ぶり、かつてない暴挙と言わなければならぬと思うんです。新聞の漫画を見ましても、総理と小山予算委員長と大蔵大臣と三人がこう出まして「ワッハッハ」と笑っておる。和の政治が破れたと、「和、破、破」ですね。「破」が二字ありますが、こういう、まことにこれは的を射ていると思うんです。総理はこの強行採決について、また和の政治についていかなる釈明をなさいますか、お尋ねいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 去る五日に行われました衆議院予算委員会におきましてあのような事態になりましたことはまことに残念に存ずるわけでございます。小山予算委員長は、委員の各位が全員出席をされて円満に議事が進められることを願い、しばしば予算委員会の開会を延ばし各委員に出席方を呼びかけられたようでございますが、その努力も実らずにあのような結果になりましたことはまことに遺憾にたえないところでございます。今後このような事態が起きませんように、委員会の運営はもとより、本会議等につきましても議員各位の御協力を得て円満な国会の運営を図ってまいりたい、このことを私も強く念願をいたしておるものでございます。
 なお私は、今後におきましてもやはり議会政治はあくまで審議を尽くす、その論議を通じて与野党ともに共通の目標、認識をそこに見出すことができれば議会制民主主義の目的が達せられるわけでございまして、今後そういう方向に私は全力を尽くしてまいりたいものだと、こう思っております。
○小野明君 今回の社会党を初め野党の要求というのは、物価の急上昇あるいは大幅増税、実質賃金の目減りという国民の声を予算修正、所得税減税という形で出しているわけであります。切実な国民の声を反映をしていると思うわけです。この声もこの強行採決によって踏みにじった、こう言わざるを得ないわけでありまして、今後かかることのないように十分ひとつ御配慮願いたい。
 次に、きょうの報道によりますと、高知県の窪川町で原発推進派に対しリコールが成立をいたしました。この事実を見て総理はなおかつこの原子力発電所の建設を強行されるおつもりであるかどうか。ここには和の政治は生かされないものかどうか。十分科学的な根拠もあることである。いかなる所見をお持ちでありますか。(「総理、総理」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(中川一郎君) 後でまた総理からお答えいたします。
 原発推進派町長がリコールで町長の資格を失ったことは、原子力を預かる政府として、特に担当大臣として残念であったと思っております。ただ、あすこの場合そのほかのファクターもありまして、必ずしも原発不賛成という声が圧倒的であったとは思っておりませんが、ああいう結果が出たことに着目をして、今後とも地域の皆様方の理解を得られるように最善の努力をし、いま、強行するかというお話がありましたが、あくまでも地域の納得を得た上で大事な原子力行政を推進してまいりたい、こう思っております。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、核に対する拒否反応といいますか、アレルギーといいますか、それが非常に根強いものであるということを改めて感じ取ったわけでございますが、今後とも原子力発電、これは石油に大きく依存しておりますところのわが国のエネルギーの脆弱な実態からいたしますと、どうしても今後代替エネルギーの開発、導入ということが絶対に必要である。その中におきまして、原子力発電ということは私はきわめて具体的な、可能な代替エネルギーとして重要視をいたしておるところでございます。そのような観点に立ちまして、今後ともこの安全性の問題を十分政府としても努力をいたしまして、地域住民の理解と御協力を得ながらこの政策を推進してまいりたいと、このように、考えております。
○小野明君 一番住民の危惧は安全性にあるわけですね。安全性にある。しかも総理は、なおかつこの結果を見ても推進をなさると。和の政治は何ら生かされておらぬじゃないですか。安全性に立脚した道理ある住民の要求、ここにこそ私は和の政治が生かされなきゃならぬと思うんです。一体、総理の和の政治というのはこれは何ですか。先ほど申し上げたとおりじゃないですか。全くこれは見せかけ、党内派閥の和だけじゃないですか。再度答弁を願いたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、ただいま御答弁申し上げましたように、この原子力発電の立地の問題につきましても、安全性の問題につきまして、政府においても地域住民の皆さんが安心をされ、納得できるように最善を尽くし、そして御了解を得ながらこれを進めてまいるということでございますから、和の精神に反するものとは考えておりません。
○小野明君 いまの答弁は非常に不満でありますが、時間がありませんから次に進みますが、衆議院の議長裁定、五項目ございますが、第二項について、これは各党間の話し合いがありますように減税を意味すると、このように受け取ってよろしいかどうか、お尋ねします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 議長裁定の二項目目の問題でありますが、予算修正の問題と私は心得ております。野党の皆さんは、この予算修正ということにつきましては、所得減税ということにつきまして強く御要求になっておりますことも十分私承知をいたしておるところでございます。今後、議長裁定を受けまして、各党間におきましてこれから十分具体的にお話し合いをして結論を出そうと、こういうことでございますから、各党間において御折衝の上、そして結論が出た場合におきましては、政府としてはそれを尊重して善処してまいる考えでございます。
○小野明君 いまの御答弁では、減税をやるともやらないともお答えになっていない。ところが、その各党の話し合い、確認事項では所得税減税を意味すると確認をされているわけです。これをはっきりおやりになるのかどうか、再度御答弁いただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はただいま非常によくわかるように申し上げたつもりでございます。予算修正の問題につきましては、議長さんからあのような裁定が出ておりますが、野党の皆さんは所得減税をすべしと、こういう強い御要請があることも十分私は承知をいたしております。そういう点を踏まえて今後与野党において十分御折衝なさるであろうと思いますが、その結論につきましては政府としては尊重してまいるということを申し上げておるのでございます。
○小野明君 そうすると、総理、減税ということを意味するということは総理も了解なさっておるわけですね、そのように理解をしてよろしいですね。
○国務大臣(鈴木善幸君) 議長裁定がああいう表現になっておりますが、私はあの裁定が出ました経緯、それから野党の皆さんが所得減税ということを強く御要請になっておるということ、そういう点を踏まえて十分各党でお話し合いを願う、その出た結論につきましては政府は尊重してまいると、こういうことでございます。
○小野明君 よくわからぬですね。これはくどいようですが、所得税減税を要求した、政府はその減税を踏まえて対処するということですか、一言でいいですよ。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは議長の裁定、あの文言をそのとおりに私は、政府としては受けとめておるわけでございます。しかし、小野さんがせっかくのお話でございますから、かみ砕いてその受けとめ方はどうかと、こういうことでございますから、いま申し上げたように、予算修正の問題につきましては、あの衆議院における予算審議の経緯を踏まえ、また野党の各党の皆さんが強く所得減税を要請されておる、そういう点も十分勘案をしながら各党間であの議長裁定の線に沿って御協議をなさるでありましょう、その結論につきましては政府はこれを尊重すると、こういうことでございますから、大変物のわかった御答弁を申し上げておると、こう思います。
○小野明君 なおよくわかりませんが、この問題は税財政のところで再度やります。
 議長裁定にあります予算修正問題の意味するところは所得税減税であるということを確認するということを政府は御存じですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 議長裁定の解釈について、総理大臣がかれこれ言われるということは適当でないというふうに先ほど総理大臣に言われているわけでございますが、他方で、ただいま小野委員の言われました件でございますが、三月七日に衆議院のいわゆる六党の国会対策委員長の会談がございまして、その合意事項によりますと、議長裁定第二項の予算修正問題とは所得税減税を意味するものである、こういう合意事項がございますことを承知いたしております。
○小野明君 総理、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま官房長官が申し上げたとおりでございます。
○小野明君 さらに、あとの各項の基本になりますのは、鈴木内閣の統一見解である憲法を守るということに一番その根拠があると思います。総理は、私の耳に一番残っているのは、改憲閣僚は鈴木内閣の閣僚から去れと、こういう言明をされたことがございます。鈴木総理の憲法に対する御見解、再度ここで承りたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 憲法の問題につきましては、鈴木内閣におきましては憲法改正は考えていないということをしばしば申し上げておるところでございます。また、鈴木内閣の閣僚は全員鈴木内閣のこの方針をあくまで守っていくのだと、このようにも言明をいたしております。私は、今後におきましてこの鈴木内閣の方針に反するような閣僚があれば、これはともに内閣としてやっていくわけにまいりませんから、いまでもそのように考えておるわけでございます。
○小野明君 次に、八〇年代激動する国際情勢の中で、世界の中で日本の果たすべき役割りというのをどのように認識なさっておられるか、端的に御説明いただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国は、平和憲法のもとに今日平和国家として、また経済大国として国際間におきまして重きをなしておるわけでございます。それだけに、日本はこの世界第三位、自由陣営におきましては世界第二位の経済大国として、平和憲法のもとにおきまして世界の平和と繁栄に寄与していかなければならない、このように考えておるわけでございまして、特に、激動する国際情勢のもとにおきましては、米国その他日本と価値観を同じゅうするところの自由主義陣営の国々と十分緊密な連携をとりながら、日本は前段で申し上げたような立場において、国際社会の責任ある一員としての役割りを果たしてまいりたい、こう考えております。
○小野明君 それはごく普通の認識でありまして、私は、被爆国日本として軍拡への歯どめあるいは核廃棄への努力、これを世界に向かって訴えていく、この気持ちが最も大切ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 平和国家であり、また世界における唯一の被爆国である、あの悲惨な戦争の惨禍、原爆のああいう大きな痛ましい犠牲、こういうことを体験いたしました日本としては、世界に向かって核の廃絶、また核軍縮ということにつきまして強く今後も訴えていかなければならない。いままで国際連合の特別会議、軍縮の特別会議等におきましてもこれを訴えてまいりました。また、ジュネーブの国際特別委員会におきましても、包括的な核実験の禁止等々を初めとしまして、これを訴えてまいったところでございます。
 先般、ローマ法王が来日をされまして、私もお目にかかり、約二十数分にわたってお話し合いをする機会を得ました。ローマ法王からもそういう御提言がございました。私は日本憲法の理念から言って、日本としてもいま申し上げたような日本の体験からいっても全く同感でございます、日本は、今後におきましても国際会議の場その他を通じましてこのために一層努力をしていきたいということも申し上げた次第でありますが、パウロ二世も大変日本のこのあり方ということに対しまして共感をされ、激励をされておられたことをつけ加えて申し上げます。
○小野明君 そこで、私はそれを受け継いでいいと思うんです。ただ、総理のいままでのなさってきたことを見ますと、靖国神社へ参られる、あるいは伊勢神宮へ参拝される。私も第二次大戦、戦争の被害者に対する尊崇の念というのは総理に劣らない、他に劣らないつもりでおります。しかし、靖国神社に参られる、あるいは伊勢神宮へ参られること、憲法上一点の疑義がないか、これはやっぱりあるわけです。それは現に田中通産大臣も靖国神社へは参っておらぬ。あとはそろい踏みで大体参られている。ヨハネ・パウロ二世も広島に行かれ、長崎に行かれて、世界へ向けて声明をなされた。総理も――広島の祈念式典に宮澤官房長官出られたようですが、総理自身が出られて世界に訴える、こういう行動があってしかるべきではないかと思いますが、どうお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私が私人として靖国神社あるいは伊勢神宮を参拝しておりますことは、これはどなたからもとやかく言われる立場にはない、あくまで信教の自由に基づきまして私人として参拝するわけでございます。
 なお、広島あるいは長崎等につきましては、私の日程の都合で宮澤官房長官に代理として出席を願ったわけでございますが、今後におきまして、日程の許す限り私もぜひ出たいと、こう思っております。
○小野明君 ぜひひとつ広島あるいは長崎の、両方というのは無理かもしれませんが、式典には御出席をいただきたいと思います。
 次に、日米首脳会談に進みたいと思います。
 五月七日、八日、日米首脳会談がございますが、この主たる議題はどういうものでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日米首脳会談の議題は、率直に申し上げましてまだ固まっておりません。今後時間をかけてこれが煮詰まってくるものと期待をいたしておるところでございます。
 しかしながら、日米両国の二国間の重要な問題は、当然議題になろうかと思います。また、国際情勢全般につきましてもぜひ意見の交換をしたいものだと、このように考えておるところでございます。
○小野明君 通商摩擦でいま浮かび上がっておりますのは自動車問題です。総理はこれに対して事前決着と、こういう御方針のようであります。窓口だけはいろいろお決めになったようでありますが、事前決着ができるのかどうか、現状を御説明いただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今日まで、日米の貿易通商の摩擦は幾つかあったわけであります。電電公社の資材調達問題あるいは輸入たばこの問題等等ございましたが、これらの問題も、日米の友好関係ということを基盤にいたしまして、十分話し合いを尽くすことによって円満に解決することができました。私は、自動車問題につきましても、できるだけ早くいまのように話し合いにより解決を図りたい、経済問題を政治問題に転化させるというようなことはこれは避けた方がよろしいと、このような認識の上に立って努力をしておるところでございます。
○小野明君 私は、アメリカ側は、防衛力増強問題、自動車問題あるいは経済協力、包括的に考えていると思います。
 そこでお尋ねをしたのは、自動車問題は事前決着は可能なのか。ニュースによりますと、もう自主規制で話が済んだというようなニュースもございますが、事前決着は可能かどうか。また、その内容いかんということでお尋ねをいたしておるわけです。
○国務大臣(田中六助君) 日米の経済摩擦は、現在のところ自動車問題が主としてあります。過去、繊維、鉄鋼あるいはTVその他いろんな経済摩擦がございまして、これは日米間の貿易量が膨大でございまして、御承知のように三分の一以上――四分の一近くございますので、いずれにしても何らかの多少の摩擦が起こるのは当然でございます。
 私としては、自動車問題につきましては、日米間で、総理が日米首脳会議でいろいろお話しする前に何らかの決着をつけておきたいと思いますし、これは単に日米間の自動車摩擦だけではなくて、ECあるいはカナダその他の国々にも波及する問題でございますので、そういう面の経済的な摩擦ということからグローバルに考えて対処しなければならないというふうに考えておりまして、経済的なそういう自動車摩擦についての決着は、できるだけ総理がいろいろ向こうの大統領とお話しになる以前に、一応、他国との関係もございますので結論をつけておきたいというふうに考えております。
○小野明君 まあ希望的観測にすぎないと思いますね。
 そこで日米首脳会談ですが、ワインバーガー国防長官等の発言を見ますと、アメリカは対ソ戦略で非常に強硬姿勢に出ておる。そうして、日本にその共同防衛構想の一環としての役割りを要求する、協力を要求すると、こういうことが予想されるわけであります。現に、もうサッチャーとの会談も済ました、あるいは全大統領との会談も済ました、次、日本ですからね。全部押さえ込んできておるわけですから。相当厳しいものがある。これについて、これに臨まれる総理の基本姿勢を伺いたい。
○国務大臣(伊東正義君) 私から先にお答え申し上げます。
 具体的に日本に対して、こういうことを期待しているというようなことは、何もまだ連絡がないわけでございます。恐らく、国会のお許しを得て私が向こうへ行けるようなことになりましたら、そういう際にはいろいろ期待表明があるかと思いますが、先般、レーガン大統領の経済再建計画というのが発表になりましたときに、歳出は抑えるが防衛費はふやすというのが出たわけでございますから、あれで見ましても、アメリカが並み並みならぬ決意を持って財政再建はやる、また防衛は考えるということの決意があれはあらわれているわけでございまして、それに基づきましてワインバーガー国防長官でございますとかいろいろな人がいろいろな場所で、アメリカも最大限の努力をするので同盟諸国も最大限の努力をしてもらいたいという抽象的な話等はあるわけでございますが、まだ具体的には何ら協議を受けているわけではないわけでございます。
 日本の立場は、総理がおっしゃいますように、憲法上の制約がございますし専守防衛ということでございまして、個別的自衛権ということはこれははっきりしているわけでございますから、できることとできないことがあるわけで、その点は日本としましてもはっきりした立場を向こうに、伝え、日本として自主的に独自にどういうことを考えるかということを判断をしてまいりたいというふうに思っております。
○小野明君 私は、総理の基本態度をお伺いしておるわけですが、先ほど政治姿勢でも触れましたように、アメリカとの友好というものはこれは守らなきゃいかぬ。しかし、米ソのいたずらな軍拡競争に盲従、追随することではなくて、やはり軍縮という問題に焦点を合わしてこの会談に臨んでいただきたい。それらを含めて総理の基本方針、基本態度を再度お尋ねをしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほども軍縮の問題につきましてはお話を申し上げましたとおり、これは相対的な問題でございます。核の抑止力ということが現時点におきましては現実の国際間におきましては存在をしておるということでございますから、アメリカもソ連もともに核軍縮を合意の上で推進をするということが現実的であり、また、そうでなければこの問題は解決をしないと、こう思うわけでございます。この点につきましては、日本が平和国家の立場から国際の場におきまして今後ともこの核軍縮という問題につきましては努力をしてまいるということは申し上げたところでございます。
 なお、日米首脳会談につきましては、伊東外務大臣からも御答弁申し上げましたが、まだ防衛問題について日本側に何らの具体的な要請もございません。端的に申し上げますと、日本としてはできることとできないことがございます。こういう点はきちっと踏まえまして、日本としてのできる立場というものを実行に移していきたい。また日本は、前段でも申し上げましたように、日本の国力、国情にふさわしい責任ある国際社会の一員としての平和への貢献、こういうことをやってまいりたいということは強くお話をしたいと、こう思っております。
○小野明君 ソ連の共産党大会が先般開かれました。ブレジネフ演説というのは御承知のとおりであります。米ソ首脳会談の開催、また戦略兵器制限交渉の継続、いわゆるSALTの継続と、こういうことになっておりますが、これについて総理はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) ブレジネフ書記長の演説の中で、軍縮の問題、特に核軍縮の問題等につきまして触れておるわけでございますが、私はこれを評価をいたすにやぶさかではございません。冷静に今後の具体的なその足取り、実行というものを見守っていきたいと、こう思っております。
○小野明君 私も、ソ連のアフガニスタン侵入あるいはポーランド介入への姿勢を崩していない、こういうことを認めるわけではありません。しかし、米ソの首脳会談、核軍縮の提案、こういうことはやはり非常に重要である、緊張緩和のためにも非常にいまの日本にとって重要であると思うのです。
 そこで、日米首脳会談で総理がアメリカに行かれる。レーガン大統領もこれを否定はしておられぬわけですね。おりません。そこで、総理からレーガン大統領に対して、米ソ首脳会談に応じてはどうかと――必ずこれは聞かれると思うのですよ、それぞれ同盟国に聞くというのですから。そういうことを言ってもらいたいと思うのですが、どうでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、米ソを中心とする核抑止力、このバランスという問題があろうかと思いますが、その点について、ブレジネフ書記長の呼びかけにはアメリカも大きな関心を寄せ、掘り下げた分析と検討をされておるということを伺っておるわけでございます。アメリカがどのように対応いたしますかアメリカの方針も聞きたいし、日本としては、御承知のように先ほど来申し上げるような平和国家としての立場がございます。いろいろ十分意見の交換をしてみたい、こう思っております。
○小野明君 このSALTの交渉がアメリカも制服組のあれによって切れようとしておる、中断されようとしておる。そこで米ソ首脳会談に入るように総理としてはレーガン大統領にお話しになるおつもりがあるかどうか。話してもらいたいというのが私の質問です。ぴしゃり答えてください。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは意見の交換の中に同じような共通の認識、目標が設定されればもうこれにこしたことはない。十分レーガン大統領の考えもお聞きし、私の考えも申し述べて、こういう重要な問題でございますから、十分討議をしてみたいと、こう思っております。
○小野明君 討議をしてみたいというのはわかるのです。総理がそれにどうお考えであるか。レーガン大統領も否定しておられぬわけですよ。アメリカにこれを聞かれることは間違いないわけですから、どういうふうに言われるか。一言でいいです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 首脳会談でこれから話し合うようなことをいまここでどうこう申し上げるということはいかがかと思いますが、私は、先ほど来申し上げますように、日本の平和国家としての立場というものはるる申し上げたとおりでございます。十分意見の交換をしてみたいと、このように考えております。
○小野明君 そうすると、先般来政治姿勢からずっとお聞きをしてきましたが、その精神、基本方針で臨まれるというふうに理解してよろしいですね。
 次、朝鮮問題について若干お尋ねしますが、米韓共同声明が先ごろ出されました。これをどう評価されておるか。外務大臣。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、米韓共同声明の内容はもう御承知でございますから一々申し上げませんが、アジアの平和にとりまして朝鮮半島の平和というものは非常に大切だという認識は、これはアメリカも日本も同じ考えを持っているわけでございます。韓日の安全、またもっと広げれば朝鮮半島の平和ということにつきましては、これはアジア、また日本の安全にとっても非常に重要なものだというふうに考えておりますので、先般行われました米韓会談に基づく声明につきましては、私どもはそういう同じ認識に立って評価をしているところでございます。
○小野明君 全く意に反する答弁、米韓共同声明は米軍の撤退計画の中止、武器援助の強化と、この二点です。これがアジアの、あるいは朝鮮の平和を促進することになるかどうかということをお尋ねしておるんです。
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。
 現実の問題として各地にいろんな紛争ができておること、小野さん御承知のとおりでございまして、いろいろバランス・オブ・パワーでございますとか、あるいは恐怖のバランスとか、いろんなことを言われているわけでございますが、日本としましては朝鮮半島が本当に平和であることを期待する、それにはその一つの方法としてバランス・オブ・パワーという問題もございましょうし、私どもとしましては小野さんと意見は違うかもしれませんが、この間の米韓共同声明ということにたくさんのことが盛られているわけでございますが、あの声明は評価する、これが一つの朝鮮半島のいま平和を維持することに私はやっぱり役立つという判断で評価をする、こういうことを申し上げたのでございます。
○小野明君 いまの御答弁は日本の基本的な態度といいますか、大分違うようです。総理はこの朝鮮問題について衆議院で御答弁になっておる、これは二月十六日ですが、再度この朝鮮半島問題、南北問題についての御見解を承りたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 外務大臣から米韓共同声明についての評価、これは申し上げたとおりでございます。私は、朝鮮半島の平和ということはアジアの平和と安定のためにきわめて重要である、こういう認識を持っておるわけでありまして、南北が再び干戈を交えるようなことがあってはならない、このように考えるものでございまして、日本としては、この朝鮮半島の平和維持ということにつきましてできるだけの環境、条件がそういう方向に向くように努力していかなければならないと、こう考えております。
○小野明君 総理の御答弁は、御自分がなさったんですからわかりますように、南北の平和統一ができるような条件、環境づくりに努力をしたい、このことをレーガン大統領にも申し上げたいと、こういうふうに御答弁なさっておるんです。これに間違いありませんか。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は、全斗煥大統領みずからが南北の首脳の対話ということを提言をしておられる、また韓国政府もそういう方向に努力をしたいと、こう言っております。いま私申し上げたように、日本としてもそういう環境、条件が成熟するように日本としても努力をしたい、これはアジア情勢全般についてレーガン大統領と意見交換する場合におきましては重要な一つの問題になろうかと、こう思っております。
○小野明君 この平和統一のための具体的な環境づくりに努力をしたい、これは具体的にはどういうことを意味しますか。
○国務大臣(伊東正義君) 実は私も外交の方針の演説で、実質的な対話が韓国と朝鮮民主主義人民共和旧の間でできるよう環境づくりに努力をすべきだという旨のことを申し上げたのでございます。これは何度も私、中国の首脳部とも会って話をしましたり、あるいはアメリカ関係とも話したことがございますし、事務レベルではまたソ連とも話をしているのでございますが、朝鮮半島の本当に平和というためにまず話し合いができるということが大切でなかろうかということを、日本だけでなくて、朝鮮半島に非常に関心のある、影響力のある国々にもそういう話を実はしているわけでございます。
 今度一月十二日に、韓国の大統領が演説をしました中でも、同一民族――同一言語、同一文化の民族が別れているということは好ましくないので、平和的な話し合いをして統一をしたいという演説をされて、両方の南と北の首脳が無条件に相互に訪問して話し合いをするということを提案をされ、あるいは国連の事務総長にもその仲介を頼まれ、実は日本にも話があったわけでございまして、私は実質的な話し合いが首脳の間で行われるということは大切だと思っておりますし、またそういう環境をつくることに日本としてもできるだけのお手伝いができればというふうに考えておるわけでございます。
○小野明君 外務大臣も韓国に行かれて日韓関係は全面修復、こういうふうに、新聞にも日韓の関係は修復されたと、こう言われておる。しかし問題は、何で全面修復されたか。金大中氏問題は死刑から罪一等減じられて無期になった。日本における主権侵害ということは何ら解決されておらぬ。原状回復ということはできていない。にもかかわらず、あなたは韓国に行かれて全面修復と、何ら根本的な解決を見ていないのにもかかわらずそういうことを言われる、またなさってこられた、これは一体どういうことですか。何にも解決されておらぬじゃないですか。
○国務大臣(伊東正義君) 私参りまして向こうと話しましたのは、今後の日韓関係の維持発展にお互いに努力しよう。金大中氏の裁判をめぐってかげりがあったことにつきまして、いま小野さんがおっしゃったことでございますが、これはもともとは韓国の国内問題というふうにわれわれは認識しているのでございますが、拉致事件ということがありましたので、身辺について重大関心を伝えておったのでございますが、最悪の事態は免れたということで、今後金大中氏に関しましていろんなことを言うことは、これ以上日韓関係の友好ということに今後プラスにならぬだろうという判断で、向こうの外相の訪日も招請し、日韓定期閣僚会議も秋口にやろうというふうなことで話し合ってまいりました。金大中氏の問題につきましては、政治決着がしている問題でございますし、ああいう特赦ということで裁判のけりがついたわけでございますので、私どもは今度は将来に向かって日韓関係の維持発展をやっていこうという態度でございます。
○小野明君 政治決着というようなわけのわからないことで、そうして全面修復と、こういうふうに何か私は非常に黒い癒着というものを感ずるわけです。先ほどから明らかになっておりますように、あなたが訪韓されたことによって米韓軍事体制、米韓共同声明を承認されたという結果を招いているのではないか。そして、それはいま総理が言われておる朝鮮半島の平和的な環境づくり、これとは認識が違うんではないか、こう思いますが、どうですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、米韓の共同声明につきましては大統領とも、話が出たときに、私はいま小野さんにお答えしたと同じ評価をするということを言ったわけでございます。これは米韓の関係で、米韓が相互の友好関係を強めていくということでございます。それを日本は、アジアの安定のために必要だということから評価をしたわけでございます。
 今後の問題につきまして、向こうから経済協力の話が出ました。貿易は片貿易で百九十億ドルぐらい支払い超過になっているが、投資が少ないということで日本の経済協力の要請があったことは確かでございますが、私どもはいま小野さんがおっしゃるように癒着とかそんなことはもう全然考えてないわけでございまして、正々堂々と経済協力は進めていくという考えでおります。
○小野明君 百九十億ドル、経済援助の問題触れられましたが、それ以外に何か経済援助を要求されましたか。
○国務大臣(伊東正義君) 今度行きまして会談の時間はそうよけいありませんでしたので、具体的にどういう問題どういう問題について経済協力をしてほしいということはそこまで立ち入った話はしませんでした。向こうの話は、支払い超過が百九十億ドルぐらいあると、それに比較して投資が少ないので今後とも経済協力にひとつ、軍事的なことは日本はできないんだから、それはよく知っていると。経済協力でございますとか文化の協力でございますとか、そういうことを考え、日韓関係の友好を図ってもらいたいということの一般論でございまして、具体的に個々の案件とかそういうものは一切ございませんでした。
○小野明君 全大統領は朝鮮民主主義人民共和国、この輸出も規制せいと、こういうことを言っておるということが報道されましたが、これはどう日本政府としては対処されますか。
○国務大臣(伊東正義君) その話が出ましたのは、大統領じゃございませんで、慮外務部長官と話したときに、日本が北側に対してどういうふうなことを考えていますかというような話の中に出たことでございます。それで、そのとき私が述べましたのは、日本には武器輸出の問題、大方針がございますと、これはいま国会でも問題になっておりますということを言いました。それからまた、非常に高い技術のものにつきましてはココムの抑制がございますと、これは日本では。でございますので、これに違反するようなものは出しておりませんと。その他一般の経済交流につきましては、これは一般の原則に従ってやっていると、あるいは文化の交流とか人的交流、人的交流といいましても政治的なことは非常に微妙な問題がありますが、避けておりますが、人的交流、文化の交流あるいは一般的な問題として経済交流はやっておるということを説明したのでございまして、それ以上のことを何も言っておりません。
○小野明君 日本政府の対応を聞いておるんですよ、どうするかと。
○国務大臣(伊東正義君) 御承知のように、国交がありますのは韓国だけでございまして、北側とはございませんので、いままでも経済の交流あるいは人的交流、ハイレベルのものは政治的なものはやっておりませんが、文化の交流はやっておるわけでございますので、これは従来どおり日本としては続けていくということを言いました。
○小野明君 南北平和統一のための環境づくりというのは私は朝鮮民主主義人民共和国との人的交流を拡大することだと、まずこれだと思うんです。これについては総理はいかがですか。
○国務大臣(伊東正義君) 私からお答え申し上げますが、人的交流につきましては非常に韓国との関係、微妙な関係もございますし、いわゆる政治的に問題のあるようなことは避けまして、一般の考え方で、文化人でございますとか経済人でございますとか、そういうような人々の交流ということはその都度その都度考えていくということをやっております。
○小野明君 これは人的交流の拡大にもっと努力をしてもらいたい。
 それから、経済協力について質問いたしますが、若干最近の日本の経済協力というのは実態が変わってきておるようです。この経済協力、開発援助等、経済協力に対する基本方針をひとつ説明をしてもらいたい。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 経済協力、一般的に考えておりますのはい日本は御承知のように資源もない国でございますので、非常に世界と相互依存関係が多いわけでございますので、そういう相互依存関係の非常に多い国あるいは人道的な問題でございますとか、そういうことを実は頭に置きましていままでやっておるわけでございまして、これは外務委員会の決議もございましたが、軍事用になるようなものについては経済協力はしないと。その国の社会経済開発あるいは民生の安定、福祉の向上ということを考えて、国の円借款いわゆる経済協力はやっておりますということでやっているわけでございまして、これが原則でございます。その原則に基づきまして、南北の問題でございますとか、あるいは広い意味の資源その他を考えた場合の広義の安全保障の問題でございますとか、いろいろ頭に置きながら広い立場に立って経済協力をやっているというのが現状でございまして、あくまで日本としてこれは必要だ、これはどうだという自主的な判断に基づいてやっておるわけでございます。
○小野明君 ASEANとの協力関係を強めなければならぬということはよくわかる。ただ、最近トルコに援助をしましたね、NATOの一員。それからさらにオーマンあるいはカリブ海のジャマイカ、これに対する援助を決められたと、こうお聞きしておりますが、いま説明された基本方針との関係で決められたかどうか。その理由は何か。
○国務大臣(伊東正義君) まだ決定はいたしておりません。新聞紙上に決定したように出ておることがございますが、まだ決定はいたしておりません。これは、先ほど申しましたように、その国の社会経済開発あるいは南北問題とか、いろいろなことから考えまして、社会経済開発あるいは民生とか、あるいは社会福祉とか、そういうものにどの程度の必要性があるか、どの国と比べてどうだろうかというような広い判断に立ってやっているわけでございまして、まだいまのところそういうものを決定したということには至っておりません。
○小野明君 やるつもりじゃないんですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますか、これはさっき申し上げましたように、広い立場でいろいろ考えているわけでございまして、やるかやらぬかというところまでまだ決定はしておらぬわけでございまして、いまここでやるとかやらぬとかいうことをお答えする段階にはまだなってないということでございます。
○小野明君 やはり経済援助というのは、人道的な立場、相互依存あるいは最貧国と、こういう基本的な足場を踏まえて援助をすべきである。トルコもNATOの一員ですよ、これはもうすでに決めておる。オーマンはアメリカとの軍事基地協定のある国ですよね。ジャマイカ島はカリブ海。これはアメリカとの軍事協力、防衛の一端を経済協力で担う、こういう役割りしか考えられぬじゃないですか。そういう経済協力というのは本筋をたがえていると思いますが、総理はこの問題について、オーマンあるいはジャマイカ、これをどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(伊東正義君) 総理の前に一言。
 トルコは去年からやりましたんで、これはもう私、それは否定も何もしません、これはやったわけでございますから。
 それから、そのほかの地域は、たとえば世銀とか債権援助国とか、いろんな会議があるわけでございます、御承知のように。その会議で、世銀の会議とかそういう会議で世界じゅうが集まって、どうしようかというような相談をこれはするわけでございまして、日本だけでこれはということじゃなく、そういう国際的な問題も片っ方にあるということだけはお答え申し上げておきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 伊東外務大臣から申し上げたとおりでございまして、日本の経済協力というのは、発展途上国等、そういう国々に対する経済社会開発のために、また民生の安定、向上のためにやろうとするものでございまして、その精神を逸脱するようなことはやる考えは持っておりません。
 また、多くの場合におきましては、世界の関係の深い国々と共同をして、協議をしてやるという場合が多うございます。日本が、先ほど来申し上げるように自由陣営における経済力の大きな国になってまいりましたし、国際的な立場も大きく広くなってまいりましたので、それにふさわしい貢献というものはしていかなければならないと、こう考えております。
○小野明君 総理、いろんな理屈はつけられるわけですよ。しかし、アメリカの世界戦略の一環として軍事協力の肩がわりとしての経済協力と、こういうふうに見られても仕方がないようなオーマンやジャマイカ、これはまさにそのとおりですよ。これについてどうお考えですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 小野さんはオーマンの問題にも触れられましたが、これは御承知のように、ああいう砂漠の多い国で、異常に水に困っておるということで、井戸を掘るとか、そちいう民生の安定、向上と、そういう面についての技術協力というぐあいに私は報告を受けております。
○小野明君 だから、基本的には防衛の肩がわりとしてのそういう経済協力はなすべきでない。いまオーマンはありましたが、ジャマイカはどうです。カリブ海の真ん前ですよ。
○国務大臣(伊東正義君) いま総理からおっしゃったように、やっておりますこと、あるいは検討の対象になるのは経済開発あるいは社会開発あるいはその国の民生安定あるいは福祉の向上ということなんでございまして、そういう人道的な問題あるいは相互依存関係の問題とか、そういうことを中心にしまして、外務委員会の決議もそういうことでございますので、それを基準にしてやっておるわけでございまして、軍事の肩がわりとか、そういうことじゃなくて、あくまでその国の民生安定だと、あるいは福祉の向上だということを中心に、さっき言いましたように世銀の会議等、債権国の会議等が、あっちこっちに援助の会議があるわけでございます。そういうところは日本は常に出ておるわけでございまして、そういう国々とも相談もすることもあります。しかし、最後は日本の自主的な判断でこれはやっているということでございます。
○小野明君 何かごまかしておるんですが、アメリカははっきり軍事協力の肩がわりとして、防衛力増強の肩がわりとして経済協力を求めると、こう言っておるんです。それに応ずるかどうか、基本方針を尋ねておるんですよ。
○国務大臣(伊東正義君) その問題は、恐らく私が向こうへお許しを得て渡米すれば、いろいろ防衛の話が出るだろうということを申し上げたのでございまして、具体的な問題としてそういう話が出るかどうかの出題でございます。
 それで、日本としては外務委員会のこれは決議がございますので、そういうものを頭に置いて判断をするわけでございまして、それが小野さんおっしゃるように、すぐ軍事の肩がわりになるかどうかというような、そういう決めつけての御質問でございますが、私はもっといろいろ広い立場で考える必要があるんじゃないかと思いますので、私はさっきから御答弁申し上げておるところでございます。
○小野明君 一向にわかりませんが、そういうことにならないように、経済援助の本旨に基づいた経済協力をやるようにしてもらいたいと思います。よろしいですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) るる政府の考えは申し上げておるわけでありますが、先ほど小野さんはジャマイカはどうだと、こういうこともおっしゃいましたけれども、これはまだ伊東大臣からも申し上げたとおり結論は出ておりませんが、多分私の承知している範囲では、世銀を通じてのこれは国際的な協力と、こういうぐあいに――世銀を通じてのものであるというぐあいに承知をいたしております。
 今後におきましては、日本は平和的役割り、そういう役割りを通じて世界の安定と繁栄に寄与していこうというこの基本精神はあくまで堅持していきたいと、こう思っております。
○小野明君 ソ連との間に第六次貿易支払い協定が期限切れになっております。これについて、どのように交渉が進められておるか、またヤンブルグの天然ガスパイプラインの問題についても、最近政府がアグレを与えたと、こういう記事が出ております。これについてはどうですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。
 支払い協定が昨年の暮れで切れたことはおっしゃるとおりでございまして、ことしの一月、年次協議といいますか、その協定をレビューしてみるという会議が東京で行われたわけでございます。それで、支払い協定をどうするかということにつきましては、向こうからも事務的な打診がございますので、これにつきましては早急に結論を出すよういま検討中でございます。
 それから、もう一つのヤンブルグの天然ガスの問題でございますが、これはよく新聞紙上に、ヨーロッパでは話がついたというようなことが出るのでございますが、実は、ガスの量とか価格の問題でございますとか、こういう問題についてまだ話はついておりません。それで、最近ソ連側から人がこっちへ来て、日本の協力について話をしたいということを言われているということを私も聞いております。それで、具体的にどういう話がございますか、話の相手はこれは日本側では輸銀でございますので、私が御答弁するより大蔵大臣の方がいいのかもしれませんが、まだ輸銀の方からそういうことについて具体的に協議を政府が受けるというようなことにはなっておらぬわけでございまして、この問題については、具体的になれば日本側としてもどういうことが日本としてやれるのかということを考えてみたいと思っております。
○小野明君 そうすると、第六次貿易支払い協定は進めるということですね。
○国務大臣(伊東正義君) 向こうから打診がございますので、これは事務的な問題でもございますし、どういうふうに進めるか早急に結論を出したいというふうに思っております。
○小野明君 いや、やるのかやらぬのか。
○国務大臣(伊東正義君) ですからまだ――やると決めればここでやりますと申し上げるのでございますが、まだそこまではいってないわけでございますが、どう措置するかということにつきまして早急に結論を出したいと思っております。
○小野明君 なぜ決めてないんですか。
○国務大臣(伊東正義君) この問題は、日ソ間の一般的な原則論の問題もございますし、ソ連の中の一環として考える問題でございますから、一月に年次協議をやったばかりでございまして、その後向こうから打診があったということ、これはもう最近のことでございますので、これは早急にひとつ結論を出すということで取り組みたいと思います。
○小野明君 次に日中の問題に入りますが、先ほどの問題はこれは明確にひとつ、いままで継続しておったんですから、きちっと続けてもらいたいと、こう要求しておきたいと思います。
 日中経済協力ですが、中国の宝山製鉄所並びに石化プラントの中止をめぐって、大来代表が中国に行かれた際に、中国人を甘やかし過ぎた、こういう発言があって非常に反日感情が高まっておると、こういうことが報じられておるわけです。宝山製鉄所の二期工事中止に伴う問題あるいは石化プラントの問題、これについては、現状を把握されておると思いますが、まず現状をひとつ説明いただきたい。
○国務大臣(伊東正義君) 大来政府代表が行ったのは、これは、新聞にいろいろ中止とか延期とか出て大きな問題になりかねないということを心配したものですから、政府代表に行ってもらって、向こうの実情をよく聞くようにということで行ってもらいましたり向こうの実情がわかって私は非常によかったと、こう思っておるのでございますが、いま小野さんのおっしゃったようなことが一部新聞に出たことがございまして、おかしいなと、大来代表がそんなこと言うはずないかと思って、私は大来君に確かめたんですが、そんなことは全容言っていないのでございまして、これはまさに向こう側の誤報でございます。日本側としては、いま向こうの公司の副総経理が来て一つ一つ話をしておられるというところでございますので、その結果を見守っておるというところでございまして、基本的には日中関係がこのことによって傷がつくというようなことにならぬようにということで考えているわけでございます。
 現状でございますが、宝山製鉄所のほかに石油化学の四つのプロジェクトが延期とかいうことが言われたのでございますが、そのうち北京の燕山はそういうことはないということで、宝山の第二期と、あと石油化学の南京とか勝利とか、三つのものについてそういう話し合いがいま行われているというのが現状でございまして、私どもはその結果を見守っているというところでございます。
○小野明君 大来代表の発言は、これは誤りですか。――そのほか、エコノミックアニマルと言われる、中国の十億の市場を目当てにしました財界人のいろいろな発言もある。たとえば、賠償を放棄したのはこれは中国の勝手じゃないかというような、中国を刺激するような非常に不見識な発言もございます。これは私は日中友好のためにきわめて遺憾な事態だと思うんです。ですから、コマーシャルベースということで放置することなく――総理、いいですか、コマーシャルベースで放置することなく、それはそれなりに詰めなければならぬ問題もあろうと思います。しかし、これは園田外務大臣のころ締結されたわけですが、アジアの安定のため、日中子々孫々に至る平和友好ということを考えて今日に至っておるわけですね。向こうは政府ですよ、こちらは民間であっても。ですからこの際政治的な決断を下す、供与可能なあらゆる借款を与える、それはコマーシャルベースでなくて、やはり中国の、困難な経済調整という時期に入っている、こういう実情を踏まえて、政治的決断を下す時期が来ているのではないか。このまま放置すればするほど私は日中両国間のこじれはひどくなる、亀裂はひどくなると、こう見ているんです。ここで私は政治家が決断を下すべきときだと見ていますが、修理、いかがでしょうか。
○国務大臣(伊東正義君) 総理のお答えにかわりまして、私がお答え申し上げますが、政府がいま何か決断を下すべきだという御意見でございますが、私どもは、いま実務的な話が進んでおりますので、その結論がどういうふうに出るかということを見ているわけでございます。これは向こう側も来て説明をするということでございますので、その関係は当然向こう側もよく知っておると思うのでございます。その結果、これをどうするかという問題につきましては、そのときになって出ました、残った問題の性質によってこれは判断をしなければならぬわけでございますので、いまここで軽々にどうだと言うのは、私はまだその時期じゃなかろうと思っております。ただ、小野さんのおっしゃるとおり、このことによって日中友好関係に傷がつくということは、これは避けるべきだというお考えは、私はこれは同感なんでございまして、極力そういう考え方で、ひとつこの問題はこの問題として、ああ何でもなかったわいと将来なることを本当に期待しているわけでございます。
○小野明君 総理にお聞きしたいんですが、実は日銀総裁を呼んでおりまして、一問だけですからちょっと日銀総裁にお尋ねをしたいと思います。
 最近景気が落ち込んでおりますが、政府はこの中旬にも総合経済対策を樹立されようとしております。その中で公定歩合というものが占める位置が非常に大きい、ウエートが大きいわけです。そこで、公定歩合の引き下げというのは第三次引き下げで、なかなかこれはむずかしい言いにくい問題でもあろうと思います。しかし、現在、日銀総裁としては、公定歩合の引き下げる時期あるいは幅等について御見解があればひとつ伺っておきたいと思うんです。
○参考人(前川春雄君) 実は公定歩合、いろいろ新聞紙上憶測記事が出ておりまするけれども、私自身まだ決断をしておりませんので、この問題につきましては一般論としてお答え申し上げたいと思います。そういう意味でお聞き取り願いたいと思います。
 原油価格上昇の影響が物価あるいは国際収支等へインフレ的な効果をもたらしたわけでございまするが、それがさらに経済全体に対するデフレ効果をもたらしつつある、かげり現象ということが各所に起きているわけでございます。
 そういう中で、これからの金融政策につきましても、もし物価が安定するということがはっきりいたしてまいりますれば、それに対応する政策をとってまいることはできるわけでございます。現に、私ども昨年の夏以来、金融政策につきましては緩和政策をとってきておるわけです。公定歩合につきましてもすでに二回引き下げておりますし、量的な面におきましても、いわゆる窓口規制につきましては、昨年の十−十二以降毎期緩和体制をとっておるわけでございます。そういう政策対応をいたしまするに当たりましては、物価あるいは国際収支等、そういう問題に対する影響を見きわめながらやってきたわけでございまするので、今後ともそういう環境の変化に対応した私どもの金融政策の対応ということは当然考えていくべきであるというふうに思います。
 ただ、その際にどういうふうな考え方をとるか。いま幅あるいは時期ということについての御質問がございました。公定歩合を仮に下げるというふうに決断いたしましても、金利水準がやはり全体として下がるということが大事でございまして、公定歩合を下げればすべての金利が下がるというわけではございません。貸出金利を下げますためには金融機関のコストを下げてまいらなければいけないわけでございます。また、長期金利を下げてまいりまするには長期廣の価格が上がる、あるいは利回りが下がるということが必要でございます。そういういろいろの状況を判断いたしまして、総合的に判断してまいるわけでございまするが、現在果たしてそういうふうに金融機関のコストを下げ得るような、つまり預金金利を下げ得るような環境にあるかどうか。あるいは長期債につきましても長期金利の現状、それからこれからの見通しがどうであるか、また内外金利差、海外の金利につきましては少しずつ下がってはきてはおりまするけれども、西欧諸国の短期金利は最近になって引き上げが図られつつあるというようなこともございます。そういうことから、内外金利差が為替に及ぼす影響ということも考えてまいらなければいけませんので、そういう点につきましての見きわめをいたしました上で決断いたしたいというふうに考えております。したがいまして、幅その他時期等につきましては、今日私ここで申し上げることは御容赦願いたいと思います。
○委員長(木村睦男君) 前川参考人には、御多忙中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。御退席くださって結構でございます。
 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後一時から委員会を再開し、小野君の質疑を続行いたします。
 これにて休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三分開会
○委員長(木村睦男君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和五十六年度総予算三案を一括して議題とし、小野君の質疑を続けます。小野明君。
○小野明君 日中の経済協力について総理にお尋ねをいたしますが、この問題を考えますときには、やはり日中の長い歴史を考えなきゃならぬと思うんです。古くは日清戦争の賠償の問題、あるいは日中戦争の問題、これを踏まえて、いまプラント建設をめぐって日本の悪徳商法が中国にまかり通っていると、こういうような非難が起こりつつある、反日感情が高まりつつある。これは非常に私は重視をしなければならぬ問題だと思うんです。
 そこで、中国問題を考えますときに、日本に贖罪の気持ちがあるかどうか、これをひとつ総理にお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日中関係はいまや成熟した関係に入ろうとしておると私は考えておるのでございます。今回の問題は、いろいろ中国側の調整の過程で出てきた問題でございまして、日本側からこのプラント輸出の計画を中断をしようといってやった問題でないことは明らかでございます。したがいまして、中国側もこのことにつきましては日本側の契約の当事者等と実務的によく詰めようと、こういう方針のもとに現在それがなされておるということでございます。私は、その結果をよく見きわめまして、そして政府としてこういう面についてはどのようなお世話ができるのかというような点をその時点でよく考えたい、このように考えるものでございます。先ほど伊東外務大臣からも政府の基本的な方針として申し述べましたように、このような問題で日中の友好協力関係に影を落とすようなことがあってはならない、もっと大局的な立場で日中友好関係にひびが入らないように、むしろ今後とも日中関係をわれわれは育てていくという心構えで取り組んでいきたいと、こう思っております。
○小野明君 防衛の問題、シビリアンコントロールの強化という問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最近、金丸試案というものが発表されました。これはGNPの二・五%、海空の二倍増という非常な大きな内容を持ったものであります。これについてどのような評価をされておるのか。これが五六中業の柱に座るんではないかということを私は危惧をいたすわけであります。この点についてお答えをいただきたい。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 いわゆる金丸試案と申しますか、提言と申しますものは、日本戦略研究センターの所長である金丸元防衛庁長官がまとめられました防衛力整備に関する提言であると承知しておるわけでございます。防衛庁といたしましては、貴重な御意見として今後の防衛力整備に当たっての一つの参考として考えていきたい、さように考えている次第でございます。
○小野明君 これは非常に重大な問題ですから総理の御見解も承りたいんですが、一つの参考にしてということは、五六中業の柱に座ることもあり得ると、こういうふうに見る見方もあろうと思うんです。この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 小野さんももう先刻よく御承知のように、いま政府は防衛計画の大綱に従いまして防衛力の着実な整備を進めておるところでございます。この五六中業にいたしましても防衛計画の大綱の枠内のものでございまして、私どもは、この現在持っております防衛計画の大綱、まだ未達成である、そういうものを跳び越えて五六中業で別のものを持つというようなことは考えておりません。
○小野明君 そうしますと、それでわかりましたが、防衛計画の大綱は見直さない、こういうふうに受け取ってよろしいですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 防衛計画の大綱の水準をできるだけ早く達成をしたい、政府はそれをいま目標として努力をしておる段階でございまして、それ以上のことは考えておりません。
○小野明君 自衛隊法百三条あるいは百四条もありますが、この問題は七十六条における問題と関連をして、土地、物資の強制収用、国民の基本的人権にかかわる問題を含んでおる。この政令についてはいまどこまで検討がいっておるのかお尋ねいたします。
○国務大臣(大村襄治君) 自衛隊法第百三条のことについてお尋ねがございましたが、現在防衛庁といたしましては有事法制の研究を進めておりまして、その一環としまして、防衛庁の所管法令に属する事項として自衛隊法第百三条等の検討を行っているところでございますが、まだまとまる段階には来ておりません。また、この研究は憲法の範囲内で行っていることは申すまでもないところでございます。
○小野明君 防衛計画の大綱の中に「限定的かつ小規模な侵略については、原則として、独力で排除」しと、こうあります。これは五年前から続いている問題。これにかかわって戦費はどれくらいと見ておられるのか、またその調達方法についてはどのように考えておられるか御答弁をいただきたい。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 わが国に対し、直接侵略事態が発生した場合、自衛隊はこれに即応して早期に侵略を排除するため所要の行動を起こすこととなりますが、ただいま防衛計画の大綱で「限定的かつ小規模な侵略」に対処する、これを原則とするというふうに定めているわけでございますが、この「限定かつ小規模な侵略」がどの程度になるか、これは事態の規模、態様等で複雑多岐にわたることが考えられますので、侵略排除に要する経費が具体的にどのぐらいになるか想定することはきわめて困難であると考えております。
 しかしながら、いずれにいたしましても、既定予算の枠を超えて経費を必要とするというような場合には、その規模、時期等に応じまして予算の流用、移用あるいは予備費の使用、予算の補正等必要な措置を講ずる必要が生じてまいると思うんでありますが、これらの場合におきましてもその措置につきましては内閣の決定を必要とし、かつ法律に基づき、必要な場合には国会の審議、議決を経るのでございますので、シビリアンコントロールが確保されることは言うまでもないところであると考えているわけでございます。
○小野明君 この七十六条が発動されるということになれば金は幾らでも使えるんだと、こういう認識でいま防衛研究その他有事法制の研究等おやりになっておるんではないか、そこにシビリアンコントロールが何ら働かないではないかという危惧を持ちます。そういう点で再度御答弁をいただきたい。
○国務大臣(大村襄治君) ただいまシビリアンコントロールが守られないではないかという趣旨のお尋ねがあったわけでございますが、ただいま予算についてお答えしましたとおり、既定予算で貯えない場合には所要の手続を講ずるということを申し上げたわけでございまして、予算の面におきまして文民統制が乱されるというようなことは起こり得ないと考えているわけでございます。
 また、有事法制につきましては、先ほど百三条の関係について申し上げたわけでございますが、これに基づく政令を制定する場合におきましても、憲法の範囲内で、また法律に基づいての政令を制定するわけでございますので、けじめはしっかり守っていく考え方でございます。
 また、防衛研究におきましても、研究は進めているわけでございますが、研究の成果を実現する場合におきましては、法律、予算等につきまして所要の手続をしっかり踏んで進めてまいる所存でございますので、これらの点におきましてもシビリアンコントロールをあくまでも守っていくというかたい考え方でございますので、御理解を願いたいと思う次第でございます。
○小野明君 一向に要領を得ない答弁ですが、予備費があります。予備費は三千五百億しかありません。そういう中で賄えると、こう見ておるんですか、どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、限定的、小規模の侵略と申しましても、事態の態様に応じまして非常に相違があるわけでして、一体何十億円要るのか、何百億円要るのか、そのときになってみなければわからないわけでございます。したがいまして、予備費の範囲内で賄えるものであれば予備費使用の閣議決定を待つ、また国会に後で承認を求める、こういうことになるわけでございますが、足りない場合には、先ほどもちょっと申し上げましたように、補正予算の手続を講ずると。いずれにいたしましても、必要な予算についての財政法その他で決まっております手続を講ずることによって賄っていくということでございまして、そういった法令を無視して防衛庁限りで予算を支出すると、そういうことは一切行わない考え方でございます。
○小野明君 まあ実際独力でこれを排除するというようなことになれば、そんな防衛庁長官が言うような甘っちょろい数字で済むわけのものじゃないですね。ですから、いろんな研究はなさっておるが、実際財政的な面というものがじゃぶじゃぶ幾らでも出てくると、こういうような考え方でおやりになったんではどうにもならぬ。この点で十分コントロールというものをきかせなければならぬが、この点は大蔵大臣どうですか。三千五百億使えばいいと、こういうふうに言っておるんですが。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 聞いたこともない話にお答えはできません。
○小野明君 まあ総理、シビリアンコントロールという面も十分考える必要があろうかと思いますから、御配慮いただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) どうも、先ほど来小野さんと防衛庁長官のやりとりを聞いておったんですが、いみじくも大蔵大臣が言いましたように、突然そういう話が出まして私どもも困っておるんですが、私は、この防衛力の整備、これは着実に、やはり独立国ですからやっていかなければなりませんが、ただそれだけに依存しておるわけではない。政府はあらゆる平和的な外交努力もいたします。いろんなことをするわけでございまして、いまおっしゃるようなことに至らぬように全力を挙げなければならない、このように考えておるわけでございます。
○小野明君 税財政の方に入りたいと思いますが、今年度物価見通しを誤った原因、これを経企庁長官から伺いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 昨年末に物価見通しを修正せざるを得なかったのでありますが、大変遺憾に、かつ申しわけなく存じておりますけれども、この背景は、主として昨年の秋にイラン・イラク戦争が勃発いたしまして石油価格が急上昇した、それからまた異常気象がずっと続きまして生鮮食料品がこれまた急上昇した、この二つが背景でありましたから、その後二つともおさまりつつございますので、現在はだんだんと消費者物価は鎮静の方向に進んでおります。
○小野明君 消費者物価は一月で七・四、このままいけば七・八――八に近くなりますね。実質賃金の目減りも一%近い、こういう現況にある。物価対策費が五百億計上されて、四十四億しか使われていない。なぜこれを使わなかったんですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 物価対策費は五百億円まで使うということは四党の合意でございますが、昨年の十月とことしの二月、四党の合意に基づきましてある程度使うことになりまして、いま御指摘のように主として野菜対策に五十億弱の資金を使ったと、こういうことでございます。
○小野明君 そういうことはわかっておるんですが、なぜ使わなかったのかと、こういうことです。
○国務大臣(河本敏夫君) 対策費は、使うということになりますと、ここ数カ月間の物価情勢から考えまして、主として野菜対策に使うということになります。野菜対策に使う場合に、これは大規模な対策を立てるか、あるいはもう少し小規模な異常気象に対応できるような対策にするのか、そこらあたりのやり方が大変むずかしいわけでございます。まあ一種の保険でありますから、小さな保険を掛けるか大きな保険を掛けるかということでありまして、小さな保険を掛けますと大規模異常気象には対応できない。大きな保険を掛けますと大規模異常気象には対応できますけれども、ロスも多い。こういうことで、野菜に関しましては数%の小規模の異常気象に対応できるような対策を立てたと、こういうことでございまして、五十億で事が足りたわけでありますが、大規模な保険を掛ける、あるいは異常気象対策を立てるということになりますとこれは相当な金が要りますが、これは政策の選択だと思うのでございます。そういう問題がございますが、幸いに最近は消費者物価は鎮静の方向に進んでおりまして、いまのところは、四月中には、特別のことがなければ――突発事情でもあれば別でありますが、大体五%台に下がるのではなかろうかと、このような見通しを持っております。
○小野明君 野菜対策というのは、消費者物価の寄与率から見ればきわめて低いと私は思うのです。しかしそれでも重要である。農林水産大臣、この物価対策費がこれだけあるということは御存じだと思いますが、野菜対策について欠けるところはなかったんでしょうか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 昨年九月から十月にかけまして、やはり物価問題イコール野菜対策を充実しろということで、農林水産省としてとりましたのは、まず生産者団体に協力を願って作付面積をふやすということでございますが、これがなかなか容易じゃない仕事であることは御理解いただけると思います。大体各党から一割の生産面積をふやせということでございました。私どももかけ合いました。全国農業協同組合中央会並びに野菜団体、何回か会議を持ったわけでありますが、二%ふやして、それがもし豊作になれば、野菜は捨ててみんな埋めなくちゃならぬ事態を今日まで何回も経験しておる。したがって、もうそれ以上は勘弁してくれ、こういうのが生産者団体でございましたけれども、しかし、やはり異常気象の年でもあることにかんがみまして、とにかく五%くらい生産作付をふやしてほしいと、こういうことで、結局品物によりまして三%から四、五%の間で作付面積をふやしていただいたわけでございます。それが寒波、豪雪等の理由によりまして、特に一月の末から二月にかけての寒波、これによって非常に葉物の生産ががた落ちしたわけであります。また一方、キャベツ、こういうものにつきましては、鹿児島県、沖縄等の温暖地帯に契約栽培をいたしまして、八千トンほどの契約栽培をいたしまして、これを放出をして高騰を防いできたわけでございます。これでもキャベツ等の値が落ちつきませんために台湾から二千トンの緊急輸入をしておると、こういうことでどうにかこうにか暴騰を防ぎながら今日に至っておると。また、あと四千トンほどの契約栽培のキャベツがございますので、これらを適当に放出をいたしまして物価の安定を期していきたい。
 何と申しましても、物価安定をいたしますと、物価安定のために台湾からの二千トン緊急輸入に対しましても、愛知県あるいは三浦半島等の生産地から猛烈な反対があるわけでございまして、こういう点を説得をいたしまして、そうしてやってきておると、こういうことで、本当に天候の影響がまことに厳しいわけでございまして、これからも生産者の協力を得なければなりませんが、生産者の納得を十分に得ながら、しかも高騰のしないようなために私どもとしては万全の措置をとってきたと、こう申し上げることができると思うわけであります。
○小野明君 先ほどの所得税の減税について関連質問がありますから。
○委員長(木村睦男君) 竹田君の関連質疑を許します。竹田四郎君。
○竹田四郎君 いま物価論争があったわけでありますけれども、物価が下がれば消費がふえるというふうに政府は宣伝をしてきたわけでありますけれども、その物価が、政府の見通しはだんだん上がっていくというようなことがここずっと続いているわけでありまして、こういう状態の中で設備投資の方も落ちてきております。恐らく景気はよくならないだろうと思うんです。
 そういうことから、所得税減税ということが私は大きな意味があるわけでありまして、ただ単に税金をまけてやるという問題じゃなくて、五十六年度の日本の経済をどうするかはいま所得税減税にかかっている、私はこういうふうに考えるわけでありますけれども、しかし衆議院の事態を見ますと、所得税減税をするかしないかはっきりしない。まあ先ほど六党の国対委員長の申し合わせをやっと官房長官が認めるというような事態でありますし、そのほかここ数日の新聞を見ますと、総理を初めとして、金がない金がない、大蔵省あたりは下手をすれば歳入欠陥が出るだろうという形で国民をおどかしている。私は、まことにこういうあり方というものは、政府が狭い考えてこの問題に対処しているということしか言えないと思います。盛んに税の自然増収が出ないぞ出ないぞというふうにおどかしておりますけれども、自然増収を待たないでもいま要求されている程度の所得税減税はできる、こう思うわけであります。
 大蔵省に伺いますけれども、昭和五十年度以降の予備費残を含めての不用額というのは、年度にどのくらい出ておりますか。五カ年分を言ってください。わからなければ私の方で言いますよ。
○政府委員(松下康雄君) 不用額につきましてお答えを申し上げます。
 最初に、一般の経費の不用額についてお答え申し上げますが、昭和五十年度千七百四十一億、五十一年度千四百十一億、五十二年度千六百四十九億、五十三年度二千六百八十九億、五十四年度三子七百五十一億でございます。この他、予備費の使用残がございますけれども、通常不用額という言い方をいたしておりませんので、いまの一般の経費の不用額を申し上げました。
○竹田四郎君 それを言わなくちゃだめじゃないのかな。議長裁定の趣旨にのりとれば、当然予備費の残ということを含めているんだもの。
○政府委員(松下康雄君) それでは、予備費の使用残を申し上げます。
 昭和五十年度二百十六億、五十一年度七百九十五億、五十二年度千百四十七億、五十三年度五百四十五億、五十四年度千百七十六億、以上合計をいたしますと、昭和五十年度千九百五十七億、五十一年度二千二百六億、五十二年度二千七百九十六億、五十三年度三千二百三十四億、五十四年度四千九百二十七億でございます。
○竹田四郎君 以上の数字を見ますと、五十五年度も自然増収を見ないでもこのくらいの金額は恐らく出てくるということが趨勢的にわかるわけでありますから、私は当然所得税減税、五十五年度の追加になりますけれども、やるべきであると、こういうふうに思うわけでありますが、そこで、二つ、ひとつ大蔵大臣なり総理に聞いておきますが、いまぐらいの不用額が出て、それに自然増収額というものが上へ加わるだろうと思います。幾らかオーバーするかもしれませんが加わると思います。その分を含めて減税をしていくというふうに考えていいのかどうなのか。もちろんこれは整理基金へ入れる分は考えないで、剰余金を全部減税に回すということになれば、当然自然増収分があればその上へ積み重ねて減税の財源に充てる、こういうふうにすべきだと思いますが、どう考えているのか。
 それから、先ほどの私の考えからいけば、五十六年度も当然所得税減税をやっていかなければ消費の回復には私はならぬと思いますけれども、五十六年度はどうするか。
 この二問をお願いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 政府としたしましては、一貫して財政再建というのが目下の最大の政策の課題である。したがって、健全財政にするために昭和五十六年度を初年度としてスタートしたわけでございます。したがって、政府としては、現在間接税なども増徴しなければならないというような状態のもとでございますから、減税は御容赦をいただきたいということを重ねてずっと実は言ってきておるわけであって、大蔵省ももちろんその方針に変わりはないわけであります。
 したがいまして、五十五年度の自然増収が出たりなんかしたときにはそれは減税にしろと言われましても、私どもとしては目下のところそういうことはできませんということを言っておったわけでございますが、このたび議長裁定というものがありまして、ごらんのような裁定案が出されました。したがいまして、政府としては、その裁定案は額面どおりやっぱり尊重していく必要があるんじゃないかというふうに考えておりますが、いずれにしてもその裁定案というのはまだずっと先になってみないとわからぬわけでございますから、その裁定案のとおりにしていきたいと考えております。
○竹田四郎君 総理は何かありませんか、御意見は。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、小野さんに午前中お答えいたしましたように、この問題は議長裁定に基づきまして今後各党において鋭意御検討いただく問題でございますから、その結論につきましては、政府としては尊重して実行に移してまいりたいと、こう思っております。
○竹田四郎君 ありがとうございました。
○小野明君 先ほどに続いてお尋ねしますが、労働大臣、実質賃金が一%目減りをしておる、政府は物価公約を果たせなかった。しかも、昨年の春闘では平均六・七%である。この政府公約が果たせなかった問題について責任をどう果たすか。労働大臣、ひとつお答えをいただきたい。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたしますが、政府がこういった消費者物価の高騰に伴います実質賃金の目減りに対しまして政治的な責任を負わなければならぬ、こういうことは私は事実であろうと思います。しかしながら、どのようにしてそれではその政治責任を負うかということにつきましては、これは総理大臣を初め大蔵大臣、経済企画庁長官、その他政府を挙げてどのようにしてお答えすべきかということを検討すべきでございまして、私がいまここでこのようにいたしますと言うわけにはちょっとまいりません。
○小野明君 答えになっていないと思うんですがね。何ら政府は、総理、この実質賃金の目減り、政府公約六・四%を果たせなかった。しからば、この政治責任を云々という問題もありましょうが、今後一体どうするんだと、これをお尋ねしているわけです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 政府としては、五十五年度の消費者物価の目標六・四%を達成すべくあらゆる努力をやってまいったのでございます、私は繰り返して申し上げませんが。しかしながら、残念ながらそれを達成することができなかった。七%程度という目標値を変えざるを得ないということに相なったわけでございます。その結果といたしまして五十五年度の実質賃金の目減りを生じたと、まことに申しわけがない、こう思っております。
 五十一年度以来、ずっと国際的にもむずかしい局面の中で、わが国の物価はうまくいってまいりました。五十六年度におきましても、経済企画庁が立てましたところの成長率五・三%、消費者物価は五・五%、こういう目標は経済企画庁長官からしばしば申し上げておりますように、これは達成できるという政府としては確信を持っておるのでありますが、そうなりますれば、全体として勤労者の皆さんの所得というのは通算いたしますと目減りをするようなことはない、幾らかでも賃金の上昇率の中におさまると、こういうふうに私どもは考えておるのでございます。
 ただ、私がこの際勤労者の皆さんにも申し上げたいのでありますが、政府の財政も苦しい、企業も中小企業を中心としまして相当経営の内容も苦しい、勤労者の皆さんも目減りが五十五年度においては生じたと、こういうことでございますが、私どもはよくこういう状況を踏まえまして、この苦しい日本の経済状況を、また財政のこの事態を乗り越えていくように御協力をいただきたい、こう思っておるわけでございます。
○小野明君 勤労者には泣き寝入りをせい、あるいは中小企業も同様だと、泣き寝入りをしなさいということにすぎないと思いますね、いまの答弁は。
 さらに、経済指標を見てみますと、中小企業の倒産が一千三百十三件、非常に大きい。中でも住宅投資の落ち込みから、建設業を中心にする中小企業の落ち込みがひどいわけであります。この対策を一体どのようにとられるのか、経企庁長官にお尋ねします。
○国務大臣(河本敏夫君) まず、現在の景気の動向でございますが、概して申しますと、相当落ち込んでおるということは御指摘のとおりでございますけれども、ただ、大企業と中小企業との間には非常に明暗がございます。また、大企業の間にも非常に明暗がございます。非常にいい業種と若干悪い業種と、そういう差がございまして、概して申しますと、大企業は過去数年の間の体質改善によりまして減量経営のもとでも相当な利益を上げる体質ができ上がっておりますので、現状におきましても業種によっては史上最高の利益を上げておる、こういう業種もございます。同時に、設備投資の方も計画どおり、あるいは計画以上に進めておる業種もございます。しかしながら、中小企業はそういう体力がございませんから、中小企業は概して非常に落ち込んでおるということはいま御指摘のとおりでございます。だから、こういうばらつきがございますので、そういう点を十分考慮しながら、特に中小企業に対する対策は、いま相談中でございますが、強力な対策が必要であろうと、こう思います。それから同時に、住宅も非常に落ち込んでおりますので、これに対する対策も必要であろうということで、目下相談中でございます。
○小野明君 住宅建設がマイナス一五・三、ことしはそれを上回る計画が立っておるようですが、民間住宅の建設というのが非常に落ち込んでおる。これは土地価格の上昇というもの、土地を抑えないということが大きな原因であろうと思います。国土庁はこの土地価格を抑えるためにどういう努力をされたのか。土地の暴騰に加勢をしておるんじゃないか、アクセルを踏んでおるんじゃないかという気さえするんですが、国土庁長官どうですか。
○国務大臣(原健三郎君) お答え申し上げます。
 最近、土地が上昇しておることは事実でございますが、そのために民間住宅建設が低迷しておるとおっしゃるんですが、それはお説のとおりでございます。民間住宅の建設が非常に低迷しておるのには、地価もあるし、さらに建築費の上昇、あるいは金利の非常に高水準等々がありますが、その中で地価に対してはこれは何とかしなければならぬということは、いま経済企画庁とも相談して地価に対する抜本策をやるようにずっと指示しておるところでございますが、なかなかまだ結論に到達いたしておりません。
 それで、地価に対しては、長期的にはやはり過密過疎を解消して国土の均衡ある発展を図りたい、それから当面の対策としては引き続いて投機的な土地取引を禁止したい。そういうので、このところ地価の上昇は全国的にまた大都市圏においてもやや鎮静の傾向にあります。だから、投機的土地取引はやや抑制されつつあります。
 それと、宅地供給を促進することが非常に重要でありますので、いろいろ各般の施策をいまやっておるところであります。たとえば、投機的土地取引を抑制するために国土利用法の的確な運用、税制による抑圧、あるいは土地取引に対する金融措置でやる。あるいは宅地供給のためには市街化区域における宅地の促進を図る。たとえば過般衆議院及び参議院で通過させていただきました農住組合法のいま鋭意これが発動を求めて対策をやっておるところであります。それも一つであります。あるいはその他遊休地の利用を図る、あるいは都市再開発を図る、その他財政上、金融上の措置を図る。これはいずれもそれらのいろいろな諸般の対策を総合的にやりまして地価の鎮静を図っていきたい、こう考えておるところであります。
○小野明君 土地にひとつ重点を置いて、年に一回価格を発表するような役所にならぬようにしてもらいたいと思うんです。有効な措置をとってもらいたい。
 それから経企庁長官、今月中旬に第二次総合経済対策を発表なさるということですが、その柱、目玉を御説明いただきたい。
○国務大臣(河本敏夫君) 十二、三日ごろまでにはいろいろな経済指標も整いますので、それをいろいろ分析いたしまして、関係各省とそれから具体的にどういう対策が必要かということを至急に相談いたしたいと考えておりまして、目下その準備をしておる最中でございます。
○小野明君 その内容、目玉になるものを話してください。
○国務大臣(河本敏夫君) 中身は目下相談中でございまして、まだ申し上げる段階ではございませんが、まず考えられる対策といたしましては、やはり政府は昨年の九月に金融政策を今後機動的に運営するという基本方針を決めておりますが、さらに引き続いて金融政策を実情にあったように機動的に運営するというその基本方針はぜひ必要かと、こう思っております。
 それからなお、五十五年度は公共事業、上半期非常におくらせることにいたしまして、昨年の秋になりましてから急いで促進をしようということに方向転換をいたしましたが、なかなか年度の途中で方向転換をいたしましても思うようには進みませんので、こういうときには、やはり上半期には相当思い切って促進することが必要でなかろうかと、こう思っております。
 それから、先ほども申し上げましたように、中小企業が非常に悪い。中小企業に対する何らかの緊急の対策というものが考えられないかということが、一つの大きな課題でございます。
 それからもう一つ、引き続いて重要視してまいりたいと考えておりますことは物価対策でございまして、物価が安定をいたしませんといろんな経済政策は進めにくいのでございまして、やはり物価の安定ということがすべての経済政策の前提になると考えておりますので、引き続いて消費者物価の安定のためにあらゆる施策を集中してまいりたいと、このように考えております。
 その他数項目につきまして目下相談をいたしておりますが、それらの項目につきましてはまだ具体化をいたしておりません。
○小野明君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今年度二兆円国債減額と、えらい手柄のように言っておられますが、自然増収四一五兆円、これに大幅増税一兆四千億上乗せしていけば、二兆円なんて簡単だと私は思います。そう大手柄のように言われる内容じゃない。しかも一兆四千億の増税というのはきわめて大きな国民大衆に負担になりますが、この点についてどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大手柄か中手柄かは見る人によってこれは違うわけでございまして、私も別に大手柄と言っておるわけじゃございませんが、極力、誠心誠意やってきたつもりでございます。
 御承知のとおり、五十六年度の自然増収は四兆五千億円程度というように見積もりまして、そのうちからまず優先的に二兆円を国債減額の財源に充てますと、あと残りは、これは国債費、利払いですね、利払いが主たるものですが、国債費と地方交付税で吸収をされてしまいます。
 ところが、一方各省庁の枠をはめて予算の概算要求をしていただいたわけですが、それによると、どうしても当然増及びそれに次ぐ経費で切りにくいというものが一兆六千億プラス三千億、一兆九千億円ぐらいある。何とかこれ切れないかというんだけれども、法律、制度その他のものでなかなかもうそんなに大幅には切り込めない。こういうことになって、どうしてもそれをやるのにはどうしたらいいかということで、歳出削減という問題について、抑え込んだり削減をしたりしたものが約八千五、六百億円というように大体推計をされるんです。それでもとても足りないというようなところから、一兆四千億円弱の増税をお願いしたんですが、これは御承知のとおり、政府の手に入るのがそのうち一兆一千億円ぐらいなんです。あとは地方交付税で出てしまいますから、その分地方交付税がふえる。そうすると一兆一千億円の政府の一般歳入の財源で一兆八千億円前後の当然増を賄うんですから、苦労しているわけですよ。それでいろいろな歳出カットをしてその中にはめ込んだ。一兆三千数百億の歳出の伸びというものは、その中で大部分が要するに社会保障費と恩給と文教費でもう大部分取られてしまう。そこに国際協力、防衛費というものでもうほとんど一〇〇%に近いものがなくなるという状況なわけでございます。
 歳出削減につきましても、本当にこれは社会保障関係だけでも、よく補助金のことが言われるんですが、補助金が五兆円からあるわけですから、文教関係で三兆円とか、それでその伸びも、補助金も切った切ったというんだけれども、千七百億円弱切って、何で六千五百億円ふえるんだと、私もこれよく当惑する質問なんですが、これはもう法律、制度で決まっておる、九七%も社会保障関係の補助金決まっておる。したがって、そこではもう一遍に三千億円以上ふえてしまうというようなことなんです、一つの例をとれば。そういうようなことですから、いろんな制度の見直しというようなものも含めてやらないと、十四兆円に上る補助金カットのうちの大幅なものというものはとうていできない。社会保障の補助金と文教の補助金と公共事業の補助金でもうすでに十一兆五千億になっちゃうわけですから、ほとんど大部分が法律で決まっておるものだと。したがって、今後はそういうような問題については皆様の御議論をよく聞いてこの次、五十七年度に向かっては法律、制度も含めた歳出削減の方途について一緒にこれは相談に乗っていただきたいと、かように考えております。
○小野明君 社会保障だ、あるいは教育だと、こう言われますが、これは伸び率を下げられておる、こんなばかなことはない。全部それに責任をおっかぶせるような説明では、これは納得いかぬ。この問題はまた後で財政中期展望でやりますが、特にひどいのは、一兆四千億の中で酒税三千百億、中でビールなんか特に大衆課税だと思うんですが、これいま大体一本二百四十円ぐらいですね。これ二十五円上がるわけですね。そうすると、そのまま上乗せしてそのままで売られていくか、あるいはそれより以上に売られていくのか、これは業務用とあるいは家庭用との差はありましょうが、酒税の消費者物価へのはね返りは、寄与率はどれぐらいありますか。
○政府委員(廣江運弘君) 酒税の改定が消費者物価指数に与える影響は、仮に増税額がすべて小売価格に転嫁されるとした場合、〇・一二%程度と試算されます。このほか外食の分が〇・〇四%程度あろうかと思います。
○小野明君 大蔵大臣、〇・一二と〇・〇四と、そういう低いところでおさまりますかね。とてもビールが原価で二百六十五円で売られるかと、あなたも外食が多いでしょうけれども、これはそんなもんじゃないですよ。酒税なんというのは大変な私は物価への寄与率を生むと思いますが、大蔵大臣どうですか、これが一番私は大衆課税の最たるものだと思いますが。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 大体計算をすると企画庁が言うような数字でございます。われわれといたしましては、便乗値上げがこわいわけでございますから、便乗値上げは極力抑えてやっぱり計算どおりの方向に持っていきたいと、そう思っておるわけでございます。同じ酒類の中でもやはりいろいろ工夫もしなきゃならないわけでありまして、たとえば清酒にいたしましても、二級酒などは九・六%、したがいまして、盛り切り一はいにすると一円五十銭弱、ですから、もう本当に九十何分の一ぐらいのところですね、価格からすれば。その程度の最小の値上げにした。しょうちゅうについても同様でございまして、やはり同じ酒税の中でもビールについては高いじゃないかという御批判もございますが、やはり安くしてあるものもあるんだということで、これもひとつ御推察をいただきたい。
 それからもう一つは、こういうことも頭のすみっこの中にあるんですよ。要するに国会の論議を聞いておりますと、農産物というものは国内でつくらせろと、外国から入れるなと、こういう御議論が圧倒的に多いんです。ところが御承知のとおり、ビールの材料というのはほとんどが輸入品でございまして、国内のものは二〇%ぐらいでしょうか、これもやっと頼んで使ってもらっておる。お酒の方は一〇〇%国産でありまして、そういうようなことも考えますというと、やはり外国製品ばっかりどんどんどんどんシェアが多くなるのもいかがなものか、やっぱり国産品も愛用してもらわなきゃいかぬというようなことも考えまして、これはいろいろ知恵もしぼっているんです。そういうようなこともひとつ御了承を願いたいと存じます。
○小野明君 そういう酒の宣伝をやれと、こう私は言っておるんじゃないんですよ。ビールの課税は高過ぎるじゃないか、これはいろんな業務用あるいは家庭用からいきますと〇・一二というような寄与率でおさまらぬじゃないかと、これを言っているんですよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) したがいまして、それについては便乗値上げを厳重に監視をするというようなことで対処してまいりたいと存じます。
○小野明君 いま景気は落ち込みまして、ことしのCPIもおさまらなかった。来年度五・五と予想されておりますが、これは個人消費の増大を図らなきゃ私は五・三の成長率守れないと思うんですね。五・五%の消費者物価上昇率、これはきちんと守れる保障がありましょうか、長官。
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和五十六年度の消費者物価は、いま御指摘のように五・五%と想定をしておりますが、これは私は五十五年度よりも相当やりやすいと、こう思っております。
 その一つは、卸売物価が非常に安定してきたということでございます。卸売物価は数カ月たちますと消費者物価に影響が出てまいりますが、五十五年度は年度間を通じて一四%ぐらいでございました。一年前は大体二〇%から二四%ぐらい年率で上昇しておりましたが、二月、三月は大体四%前後に落ちついております。そこで、年度間を平均いたしますと一四%という数字になるわけでございますが、五十六年度は四・一%と想定をしております。これは十分達成できるであろうと、こう思います。
 それからなお、石油事情も昨年のような大きな変化はないと、このように見ております。
 それからまた、昨年消費者物価を非常に大きく押し上げました原因の一つは電気料金とガス料金、この大幅値上げがございました。これが一・一%以上消費者物価を押し上げましたが、五十六年度はそういう大きなものはございません。そういうことで先ほどもちょっと触れましたが、もうすでに来月はよほどのことがなければ、突発事情がなければ五%台に消費者物価は落ちつくと、年度間を通じて五・五%は十分達成できると、このように考えております。
○小野明君 財政の中期展望についてお尋ねいたしたいと思いますが、財政再建ということで総理、方途はいろいろありますが、一つは自然増収によってやる場合、その次は歳出削減でやる場合、その次は増税と、私はこの三つの方法があると思います、これは中期見通しも含めましてね。私は自然増収と歳出削減、これでやるべきだ、増税はすべきでないと、特に五十七年度の大型間接税というものは、いまの冷え込みから見て、個人消費の落ち込み、あるいは賃金の目減りということから見て導入すべきでないと、こう思いますが、総理のお考えを伺いたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 大蔵省から中期財政計画を出しまして御審議の参考にしておるわけでありますが、これは五十六年度の予算編成に当たりましてのいろいろの諸条件をそのまま今後に投影をしたと、その結果要調整額というものが五十七年度以降、年度におきまして出てくるわけでありますが、この要調整額が、私どもはそれをそのまま増税なり何なりでやっていこうというようなものではないわけでございます。私はやはり財政再建の基本というのは、高度経済成長時代に肥大化したところの行財政の縮減、合理化と、これにまず第一に全力を挙げて取り組まなければならない。五十六年度におきましても努力をいたしましたが、しかしこれは一年でできるものではない。五十七年度も五十八年度も私どもは引き続き努力をしていきたい、このように考えております。五十七年度におきましては、御指摘のようにできるだけ新たな増税等に頼らなく、行財政の徹底した合理化、見直し、そういうものによって財政再建を軌道に一層乗せていきたいと、このように考えておりますので、その際は野党の皆さんにも御理解、御協力を切にお願いを申し上げたいと、こう思います。
○小野明君 五十七年度は増税によらなくてと、こういう総理の御見解でいいと思いますが、大蔵大臣、この中期展望は要調整額を大幅に見せて、非常に見積もり以上に書き上げて大型間接税の導入に必要だと、この宣伝のためにこれはつくったんじゃないですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは決してそんなことはないんです。皆さんがそうおっしゃるのも私はわからないわけじゃないですよ。たとえば、一般歳出というものはことしの五十六年度では四・三%しか伸びないじゃないかと、五十七年は一〇・四%も、五十八年は九・四%も伸びると、ですからことしですら四・三%なのに何で来年一〇%になるんだと、こういうことだと思うんです。
 ところが、そこが問題なんです。それは、ことしは偶然に四・三%になったんじゃないんでございまして、いま私が言ったように、いろいろな工夫をして八千億円からのものを切ったり、抑え込んだりしている。例示的に申しましょうか、たとえばそれじゃ学校の校舎の建築費について四百数十億円カットしているとか、あるいは要するに水田再編対策等についても単価を五、六千円減らしておるとか、これでやっぱり五百億円からの削減になっておるとか、もう例を挙げていけばこれはかなりあるんです。そういうようないろんな政策手段を用いてそれで減らしているんですよ。ところがこれは減らさなければ、そういう政策手段を用いなければ、もっとことしの予算規模はふくらむんです。したがって、来年はそういう政策手段を用いないんですと、要するにいままでの現行制度の中で黙っていれば自然にふくらまるというものをありのままに書いた姿がこういうものなんですということでございますから、それじゃ来年のやつはどういう政策手段でやるんだと、来年のものについてその決定がなされてないわけです。たとえば、じゃ所得制限をもっと強化しろとか何とかというふうな、もっと補助金について何%カットだというような政策手段がここにはっきりされていれば来年度も計算できますが、そういうことは決まってないわけですから、そうするといまのままで自然にふえるものはふえるという数字で計算をしたわけです。税収につきましてはある一定の条件のもとで、これは、経済がこれぐらい伸びて、物価がこれぐらいだということになると弾性値一・二で、これくらいの税収しかないという差額をここに要調整額ということで出したわけでございますから、これはいま総理が説明したように、思い切った歳出削減の手法を講じて抑え込んでいくということが一つです、それで、どうしてもできない、はみ出すものがあるとすれば何らかの負担も考えなきゃならぬ、これは当然なんですね。全部抑え込めればそれでいいということでございますから、なかなか、抑え込む方に私は全力を挙げますよ。挙げますけれども、非常にむずかしい問題もある。まして国会の皆さんの御協力を得なければ法律、制度は直せませんから、大蔵省だけでは。だから、その点の皆さんの御理解と御協力をいまのうちからお願いをしておきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○小野明君 これは、いまのは総理答弁と矛盾するじゃないですか。歳出削減の努力、これをやるなら、この財政見通し、これの一五%あるいは一〇%、ずっと高いですが、各積算費目について五十七、五十八、五十九、これの基礎を出してもらいたい。その根拠は、公務員の賃金を一%上げると、こう試算をしているわけですね、一%今年度は組んでいるわけですが、それを組んでいない。そうすると、各予算の費目の積算基礎というものもなきゃならぬですよ、これは。その積算費目を出してもらいたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これにつきましては当然積み上げ計算をやっておりますから、その中身については大体どういう費目ではどれぐらいというもちろん見当はついているわけです。ですから、それについては主計局長から答弁をさせます、数字の問題ですから。
○政府委員(松下康雄君) 中期財政展望をつくります際には、各省と御相談をしまして、個別の経費ごとに将来をいろいろな手がかり、手法を用いまして積算をいたしております。最初につくって公表をいたしましたときは非常に取り急いで全体の枠だけをとりあえず公表いたしましたが、その後内訳の計算も集計を部内的にはいたしてございます。
 私どもこの主要経費ごとの将来の伸び率等につきましては、これを公表いたしますことで、あるいは関係省庁等との間で予算につきまして何らか既得権のような意識を持たれることは気にかかるなというような気持ちがしておりまして今日に至っておりますけれども、ただいまの御要求でございますので、これはいまできております概略の数字を至急念査をいたしました上で、できるだけ早く資料として提出をいたします。
○小野明君 大体大蔵大臣、これは不親切ですよね。この財政中期見通しを出して、そうしてこれによって財政再建を図るかのような、あるいはこれはもうただ単なる資料であるかのような出し方で、意図としてはこれだけ要調整額が要りますよ、増税の意図だけを出しておる、しかも、積算の費目は出さない、そんなばかなことはない。公務員の賃金は一%組み込んでありますよという以上は、いまのような積算基礎があるわけです。いつごろ出しますか。
○政府委員(松下康雄君) 一両日中に御提出いたします。
○小野明君 この財政中期見通したと、総理、仮に四・三%に、削減をずっと今年度並みに伸ばすならば、五十九年度は六兆円余り出てくるわけですよ、これをこのままいけば。そうすれば、大型間接税というものは必要なくなる。大部分は処理できる。これに歳出削減の努力をすれば、これは私は間接税導入必要なし。総理もしたくないと、こう言われる。大蔵大臣はするかのような、せぬかのようなことを言われる。あなた、総理の言うとおりにしたらどうですか。総理見解に従ったらどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もそれは、ことしの増税だけでもうたくさんなところをそれ以降の分まで言及するようなことはもちろんしたくないわけです。しかし、財政を預かるものとしては、歳出削減がきちんとできるかどうかということはやってみないとなかなかわからない、現実問題として。しかし、そういうふうな努力をまず最高にしなきゃならぬということは御承知のとおりなんです。これらの明細等についても、それは当然にそういう御要求があってしかるべきなんです。しかし、それを見てみれば、大体大蔵省の言うとおりにだんだんなってくるというように私は考えておるわけでございます。
○小野明君 そんなばかなことはないですよ。初めからこういう不親切な、積算基礎を出さないで、増税の政策意図だけばんと出すなんて、人をたばかるもはなはだしいと私は思う。どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは先ほど主計局長がお話しいたしましたように、経費別に出しますと、皆さんからそれは過大評価じゃないかというような、すでにもう御指摘があるわけですよ、その後の事態が。経費そのものを過大に見積もっているんじゃないかという御指摘がある。したがって、それをさらに今度は各主要経費別にすると、それがあたかももう既定の、それだけ大蔵省が見てくれるんじゃないか、それだけ容認されるんじゃないか、そういうようなことになって、歳出削減の際にむしろ非常にやりづらいんじゃないかというような意図もございましてあえて出さなかったわけでございます。
○小野明君 まあ資料を出すそうですから、それによって後、以下同僚委員がまた質疑すると思います。
 エネルギー問題について聞きたいと思いますが、石炭液化計画、これはアメリカが中止をしたということで、日本側の予算も切り落とすべきではないかという議論がありますが、その石炭液化計画はどうなっていますか。
○国務大臣(田中六助君) 具体的には石炭液化問題はアメリカが教書でSRCIIを合成燃料公社ですか、そこに移管するということでございますが、私どもはこれは昨年度からアメリカと日本とのアグリーメント、協定、合意によってでき上がったものでございますし、西ドイツがまたアメリカとも協定をしております。したがって、この協定を一方的に云々することは国際慣例上、私どもはないというふうに信じております。しかし、アメリカ側も教書の中に十分日本、西ドイツと合意、協議の上に立って正式に決めると言っておりますので、正式になれば私どもはいつでも協議に応ずる、応じてその結果は私どもはあくまで――すでに昨年から七十四億円というものを出しておりますし、ことしは百五十億円を計上しておりますので、その方針を貫いていく考えでございます。
○小野明君 これはアメリカ側がこの計画をおこすということになるんですか。
○国務大臣(田中六助君) 小野委員御承知のように、アメリカ側はこれを合成燃料公社に移すということを言っているだけで、これをギブアップ、断念するとは言っていないわけでございます。
○小野明君 そうすると、何らかの形で継続されると、こう見ていいわけですが、現状はどうなんですか。
○国務大臣(田中六助君) 現状はSRCIIを合成燃料公社に移管するということを言っておるわけでございますので、また議会の審議もございますし、私どもは、向こうの会計年度の始まりでございます十月からのことでございますし、十分相談したり、協議したり、話し合ったりする余地はあると思っております。
○小野明君 次に原子力発電の問題ですが、午前中も高知の窪川町の問題を、住民の意思をなぜ反映しないかという質問をしたわけですが、この政府の供給計画を見ますと、五千三百万キロワットの計画になっていますね。これはいま二十一、これから電調審で十四、あと十四から十六の原発をつくる計画になっておるようですね。これは非常にいまの安全性あるいは経済性にも問題がありますが、あくまでもこの原発計画は国民の安全性に対する疑問、生命に対する不安、こういうものを押してこれを強行するつもりですか。
○国務大臣(田中六助君) 私どもは燃料の代替エネルギー、省エネルギーということで、石油のいまの輸入率を五〇%に下げる、それを代替あるいは省エネルギーでカバーするという長期エネルギー暫定見通しというものを持っております。したがってこれを実現すべく努力しているわけでございますが、いま小野委員御指摘のように、十年後には五千百万から五千三百万キロワットを原子力発電所でカバーするというふうになっております。この目標を達成するために、私どもは原子力発電所の稼働率、この工事を、現在すでに六一・二%になっておりまして、これはアメリカをすでに追い越しております。フランスに次いで二位でございます。そのほか、電源立地促進のための原子力発電所周辺地域整備交付金とか、あるいは他府県から、他の県に電力を移送、移出する、そういう交付金に対しましても二十三億円を計上したり、いろいろな方策をとっておりますが、何よりもやはりこの原子力発電所につきましては安全性が第一でございますし、電調審あるいは原子力安全委員会などのダブルチェックというものを心がけておるところでございまして、いずれにしても民意を十分くんだPR、そういう点にも心がけて、目標でございます五千百万から五千三百万キロワットの達成に一生懸命努力していこうと思います。
○小野明君 政府は、もうこれは原発に対する不安というもの、TMIですね、スリーマイルアイランドの事故――国民はいやというほど安全性に疑問を持っています。それに、今年度予算を見ますと一軒に三百円から九百円、あるいは新規立地は五割増というような金で買収するというか、住民をたたいて、幻惑をして、そして原発立地を強行する、こういうのは私はきわめて遺憾だと、強行すべきでないと、安全性を立証する、安全性を確保するということを第一義的に考えるべきだと私は思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田中六助君) ただいまも申し上げましたように、私どもは産業立地あるいは民生の安定、そういうものにももちろん立脚した立地の方法を講じておりますけれども、先ほども申しましたように、何よりも安全性、それから民生の安定と地方の安定ということが大事でございますので、先ほど申しましたようにダブルチェックをやって十分な対策を講じていきたいと思っておりまして、金でほっぺたをたたくような立地のやり方というものはあくまで排除していこうと思いますけれども、ただ地方のそういう人たちが立地条件で、たとえば公共物の施設に対する交付金にさらにメンテナンス、維持管理費までよこせというような意見も強くございますので、そういう点も勘案して立地交付金あるいは交付金制度というものを新たに設けておるわけでございまして、あくまで安全性ということは研究に研究を重ねていかなければならないと思っております。
○小野明君 総理にお尋ねしますが、このエネルギー計画というのは、東京サミットですね、これにおける昭和六十年六百三十万バレル・パー・デー、これが基礎になっています。しかし、これを確保するのは容易でない。これはサミットでは私はできないと思う。やはり非同盟諸国あるいはOPEC、これらの諸国との協議というようなものが基礎にならなければいかぬ。そうするとやはり平和というものが基礎になりますが、この六百三十万バレル・パー・デーというのが狂うような国際情勢というものも考えられるわけですが、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(田中六助君) 御指摘のように、六百三十万バレル・パー・デーという天井を設けておるわけでございます。これは東京サミットで正式に一応決まっております。その後IEAのパリの会議におきましても同様な趣旨のことが決定されております。これは御承知のように、サミットは七カ国、IEAの会議は二十一カ国ございまして、それぞれ消費国という大きな命題を抱えております。しかし、相手側のOPEC、つまり生産国は、資源は限りがあるということから増産を避ける傾向にあると同時に、これらの国々も自分の国で燃料が非常に要るというようなことで相反する利害関係がございます。しかし私どもは、もちろんIEAあるいはサミットにおける決定だけじゃなくて、あらゆる機会、非同盟諸国あるいは非OPEC諸国、そういうものも含めた協議というもの、発展途上国の人々の意見も十分くみ、あるいは国連でもこの問題がたびたび取り上げられておりますように、南北サミット、あるいは多くの国々の協議あるいは話し合い、そういうもとにそれぞれ決まっていくのが一番理想的でございますし、私どももそのように心がけたいと思っております。
○小野明君 原発についてはあくまでも推進をするというような御答弁ですが、まことに遺憾であります。和の政治にも反すると私は思うのです。それについても環境庁長官、環境アセスメント立法については、何か聞くところによると、原発推進の妨げになるので安倍政調会長預かりになっておる、そういうことを聞くのですが、そんなばかなことはない。これは原発は言うに及ばず、道路、港湾あるいは鉄道、すべてに関係があります。これを出し切らぬような環境庁ならあるだけの私は意味がないと思うのです。環境アセス立法をおやりになるかどうか、お答えをいただきたい。
○国務大臣(鯨岡兵輔君) おっしゃるとおり、そしてまた御承知のとおり、原子力発電所の安全という問題については、われわれが考えているアセスメントとじかに結びつくような形になっていないことは御承知のとおりです。しかし、これも大きく言えば当然アセスメントに関係するわけであります。原子力発電所をつくることにこのアセスメント法が成立すれば支障になるという考え方は誤解であります。しかし、誤解でありますけれども、そういう心配をなさっておられる方々のいることは御承知のとおりであります。そこで、いま自民党の中ではこのアセスメント法の懇談会をつくりましてせっかく努力をいたしております。われわれも汗を流してこの機会にアセスメント法をつくるということでなければ、これは転ばぬ先のつえですから、あれだけの苦い経験を有するわが国としては、この機会にせめて国のやる事業並びに一つ民間の事業として電力がありますが、これについてアセスメント法をつくりたい、こういうことで全力を挙げておるわけでございますので、御協力を願いたいと思います。
○小野明君 次、行政改革についてお尋ねいたします。
 中曽根長官、責任を全部第二臨調におっかぶせたような形で、責任を逃れておるような感じがいたします。この行政改革についての長官の基本的な姿勢をお尋ねいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 五十五年行革でいわゆる大平行革と言われている積み残しがございましたが、それは鋭意去年から持続的に努力しておるところでございます。御承知のように、ブロック機関の整理、あるいは本年度におきましても住宅公団と宅地開発公団を統合するとか、外貿埠頭公団を地方第三セクターに移すとか、ともかくやり残した仕事がまだたくさんありまして、それを目下懸命に努力しております。それと同時に、私が着任して以来懸案の事項がございまして、法令の整理等も今回の国会に法案として提出すべくいま準備しておりますし、そのほか許認可の整理につきましても、二年間に千整理しようと、本年度からそれを各省と折衝して整理することに入りますとか、そのほかいわゆるサービス改革につきましても、去年から努力した成果をいま評価するところで、三月の時点で各省庁出先機関あるいは地方団体まで含めまして御協力をいただいて、そして、よくやったところやらないところ、これをいわば点数をつけて、いいところは総理大臣にもほめていただく、悪いところは各省大臣を通じて注意すると、そういう形で、信賞必罰を明らかにしてサービス向上を的確に把握していこうと、そういうこともやっております。その上にいわゆる第二臨調という委員会を近く発足させまして、当面の緊急課題及び長期的視野に立った改革案件をつくっていただきまして、その答申をいただいたら、よく検討の上、これは誠実に実行しよう、そう思いましていま緒についたところでございます。以上のような事々で、微力ではございますが全力をふるっておる次第でございます。
○小野明君 私は、大きな問題は補助金の整理という問題があると思うんです。中曽根長官は、電電公社から取り上げる、あるいは競馬会から取り上げる、大蔵省の露払いみたいなことをおやりになっておるのですが、入りをはかって、今度は出の補助金の整理、ことしは十四兆何がしありますが、結局、整理をしたけれども六千五百四十七億の増。四・七%の純増になっている。補助金の整理というものに長官はどのように取り組まれるおつもりであるかお尋ねいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 補助金の整理につきましては、昨年、昭和五十五年度から発足いたしまして四年間に約四分の一これを整理すると、そういうことで昨年度から入りまして、本年度もそれを実行いたします。約三千八百ばかり補助金がございますが、そのうち九百数十件を整理するという計画で、大体本年度を入れまして六百件ばかりの整理ができる見込みでございます。しかし、これはいわゆる件数の整理でございまして、金額的に見て幾ら整理するというところではございません。で、本年度の予算編成につきましては、金額的に見て約千六百八十八億程度の補助金を減らしたつもりでございます。しかし、ふえたのも実はまた別の面でございます。そういう意味において全体的に見ますと補助金は約十四兆五千億円に上ります。そのうち約六千億円が昨年から見ればふえていると、御指摘のとおりでありまして、これを何とかして思い切った削減をするというところに行革のねらいがございまして、この点につきましても第二臨調において相当な勇断をふるってもらうように期待しているところでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 件数の問題については中曽根長官からお話しのとおりでございますが、補助金の伸び率は二、三年前から見たらさま変わりに変わっているんです。たとえば、昭和五十三年度は五十二年度に対して一八・四%補助金がふくらんでいる。五十四年度が一三・八、こういう数字のものを五十六年度は四・七。伸び率から言ったら三分の一とか四分の一ぐらいに抑え込んできておるわけですから、それでも、いま言ったように、件数ではかなり整理をしておるが、でかい根っこのものがいっぱい手つかずに残っておる。こういうところに問題があって、たとえば、義務教育国庫負担金二兆九百四十六億とか、前年より千二百二十五億円ふえるとか、あるいは国民健康保険関係補助金八本で二兆三千七十五億とか千八百四十四億円ごとし一遍にふえるとか、あるいは国鉄関係の補助金七千二百四十四億円で五百三十六億円ふえるとか、たくさんありますから全部は申しませんが、いずれにしても、そういう兆単位の補助金ですね。老人医療費補助金三千二百八十億、三百七十五億円ふえるというようなもの、児童保護費等補助金四千九百十四億、百六十二億円ふえる。こういうふうな何千億単位のものがふくらんでいくわけですから、ですから件数だけで補助金の総体を減らすということは言うべくして不可能に近い。したがって、そういう大もとのでかいものも含めていろいろ今後御相談に応じてまいりたいと考えます。
○小野明君 あなたは、何かというと社会保障、教育だと、こう言われる。私が言いたいのは、それは大きい小さいにかかわらず、あなたが農林水産大臣をしておられたときに前農林水産大臣のときの補助金を形を変えてあなたはそれをふくらました。そういうインチキみたいな補助金をずばずば整理をしなさい。そういう勝手なことばっかり言っちゃいけませんよ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは村落対策の百億円の話だと思いますが、それは廃止をいたしました。そして今回新しい法律ができまして、それで農林省の方から要するに土地の流動化、つまり土地利用増進法ですか、それによって、土地の流動化で要するに小作の方がたくさんの土地が借りられると予想して企業的農業が営めるというための、それを動かすための補助金をそれに関連して八十億円づけたというのが事実でございます。しかし、それはそれなりの新しい近代化に必要な要請でございますからそれを認めました。そのかわり、農林省関係で、たとえば学校給食の補助金というものについては、私は、これについてはスーパーに安売りをして学校に高く売っているような現況が往々にして多い、したがってそれはおかしいじゃないか、これについては学校売りのものを安くしないならば切りますよということを私言ったわけです。ところが、これに対する反対は強くて、各党私のところへ名前と書類とを持って全部来ております、ほとんど全部。それほどむずかしいということもひとつ知っていただきたいわけでございます。
○小野明君 次、社会保障についてお尋ねいたしますが、ことしは国際障害者年であります。特に障害者対策を充実していかなければならぬと思うわけです。テーマはもちろん「完全参加と平等」ということでありますが、その前に、社会保障全般についてのお考えを総理からお聞きをいたします。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の社会保障制度は、近年、相当充実をしてまいっております。恐らく先進国に比べましても日本の社会保障の水準というものは劣らないところまで来ておると私は確信をいたしておるものでございます。しかし、これは全体として申し上げることでございまして、急速に到来しておりますところの高齢化社会、こういう社会構造、年齢構造が大きく変わってきておるわけでございまして、老後の保障あるいは中高年齢層の職場の確保、いろいろの新しい時代の要請にこたえなければならない問題がございます。医療の問題につきましても、私は、今後はむしろ病気になってから治すというのではなしに、健康管理、そういう点に重点を置くべきものであると、このように考えるものでございます。そういうような観点から、社会保障制度全般について私は見直しをする時期に来ておる。また、一方におきまして、負担能力のある方と非常に経済的にお困りになっておる階層とあることも事実でございます。
 限られた資源の配分の中で、私は、この負担の公正というようなことも考えながら、社会保障の実質的な充実を図ってまいりたいと、こう思っております。
○小野明君 労働大臣、労働省が把握をしておられる身障者の雇用状況あるいは納付金額等について御説明いただきたい。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 細かい数字の問題につきましては後ほど政府委員から説明をいたさせますが、御案内のとおり、いままではこの納付金といいまするものの額が積み上がってまいりまして、二百五十億に達しておったわけでございます。それが五十五年度に入りまして急速にその原資を取り崩しまして対応しなければならぬというくらいこれが有効に使われてまいったということはまことに慶賀すべき傾向であると、かように考えております。
 残りは政府委員から答弁をいたさせます。
○政府委員(関英夫君) 雇用の現状と納付金の状況について御説明申し上げます。
 雇用につきましては、身体障害者雇用促進法で法定雇用率が定められておりますが、民間について申し上げますと、法定雇用率一・五%に対しまして、昨年六月一日現在の状況が一・一三%というふうになっております。非常にわずかでございますが、伸びてきておるわけでございますが、納付金の収支状況について申し上げますと、五十四年度納付金収入が百九十六億余ございました。それに対しまして支出の方が百四十四億余でございまして、それまでの剰余金の累計、積立金の累計が二百五十三億に上っておりました。で、先ほど大臣からお話ございましたように、五十五年度に入りまして、重度雇用の促進のための助成金制度が大幅に伸びてまいりました。その結果、約八十億程度の取り崩しということに五十五年度はなろうかと考えております。
○小野明君 いまお聞きのように、労働大臣、法定雇用率に対しまして非常に未達成の企業が多い。これをぜひ大企業に対して法定雇用率に行くように格段の努力を私はお願いをしたい。
 さらに、この納付金制度というものが障害者雇用の障害になっておるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(藤尾正行君) 雇用率が一・五%をいまだに達成できていないということはまことに残念しごくなことでございます。しかしながら、ただいま申し上げましたとおり、わずかではございますけれども、昨年の六月までにも上がってきておりますし、それ以降さらに少しずつではございますけれども上がる傾向にございます。でございますから、私どもといたしましては、ここ一踏ん張り、いままでの二倍ぐらいの努力をいたしまして、そうしてこの雇用目標といいまするものを達成をいたしたい。その上で、皆様方におかげさまでこれだけになりましたということで雇用率をさらに前進をさしていく、そういう方策をとっていきたい、かように考えておるわけでございます。
○小野明君 厚生大臣にお尋ねいたします。
 医療費が賃金、物価に関係なく増大をする。これを抑えるためには薬価基準を下げなきゃいかぬ。これについての御所見。
 さらに、老人保健医療制度、これが新設されるようでありますが、無料化は新制度の中でも必ず導入をしてもらいたい。
 この二点についてお尋ねをいたします。
○国務大臣(園田直君) 医療費の増大は御指摘のとおりでありまして、これが将来の医療の適正効率化を図る最大の課題でございます。そこで、これは一つだけでは解決できませんので、一連の医療対策というものを考えなきゃなりません。一つは、いま総理が言われましたように、この医療費を、まず早期診断あるいは早期発見、続いて健康の管理推進ということに使って病人をなるべく減らすという方向に帰っていくことが大事だと存じます。第二番目にはむだを省くと、こういう意味において五十六年度予算でもお願いしておりまするが、指導、監査の強化、コンピューターの導入、それから医療機関の方々に対する御協力をお願いすると、こういう諸般の問題をくるめてやっていきたいと考えます。
 老人医療につきましては、老人医療の無料はそのまま導入しろと、こういう御意見でありまして、実は、これは老人医療を実施いたしましたのは私がきっかけでございました。ところが、残念ながらその後無料のために各所でいろんな問題が起こっておりまするので、これは何とか一部負担をしなきゃならぬぞと、こういう意見も強まってきておりまして、ただいま検討しておるところでありますが、ただ、その一部負担をお願いする場合に、いま問題になってまだ決定しておりませんのは、これは老人の方々に医療の一部を負担してもらおうということではなくて、いまのような弊害を除くためのものでありますから、これは一般の保険と違った老人の方が納得されるような負担をやるべきである。額の問題。第二番目には、負担していただくとすれば、その場合に段階を設けておるわけでありますが、段階は断じて反対と、これは高齢者の方々もそれから第三者もそういう御意見であります。したがいまして、これはやるならば、老人医療だけじゃなくて、ほかのものも段階式になると、こういうことで二つの問題をいま検討中でございます。
○小野明君 次、青少年非行の問題についてお尋ねをいたします。
 文部大臣、いま非行がピークになっておりますが、第一義的には文部省ですから、この原因をどうとらえ、対策をどうお立てになるか。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、少年非行の問題が今日最も社会の重大な問題になっておりますが、その原因の問題につきましては、決して単一的な問題でもなく、また一過性の問題でもございません。これはもちろん学校教育というものが、これが当面の責任を持ち、これを強化していかなきゃなりませんけれども、さらにまた、その前提となります家庭教育でありますとかあるいは社会全般の一つの客観的な条件でありますとか、そういうふうないろいろな要素によって今日の少年非行の問題が出ております。なおまた、われわれといたしましては、ただいま学校教育の問題が最も重大な案件でございますので、これにつきましては本当に愛情を持ってこれらの非行少年に対して教化をしていかなければなりませんし、同時にまた、その問題につきましては学校は校長さんを初め、学校挙げて一体となってこれらの少年に対しまする教化を充実していかなければなりませんし、同時にまた、範疇を超えたと申しますか、手に負えない段階になりました者につきましては、教育委員会あるいは校長さんたちとも十分お話し合いを願いまして、警察その他の力によって補導もしていかなきゃならない、こういうふうないろいろな手だてを講じております。
○小野明君 文部省が警察を導入するなんということを言うというのはまことに私は心外。教育的観点からあなたは対処しなければならぬじゃないですか。
 私は、青少年白書から見てみますと、自殺の原因は、まず三分の一近いのが学業不振、入試苦である。それから家族との不和が一二%である。精神障害、ノイローゼというのが一二%。それからセックスにかかわる問題が一二%。一番大きいのは学業不振、入試苦。やっぱりこの背後には学歴偏重の社会を是正する、入試によって、たった一回の試験で生涯が決まる、こういう受験地獄というようなもの、この是正が背景になきゃならぬと思うんです、第一。
 第二は、先生が悪いんだと、日教組が悪いんだと、こういうことでは私は直らぬと思う。総理府はこの前、会議をおやりになっていち早く教師も呼んでと、こういうことをおやりになりましたが、文部大臣は立ち上がりが非常に遅い。中央は中央でいま有効な対策を立てにゃなら側ときですよ。日教組を含め、それは校長会を含め、専門家を含めて協力する。県段階は県段階で非行、暴力をどうするか、あるいは地教委段階では地教委段階で、私も日教組だけとは言いません、いろんな団体を入れて協議をする、そうしてこれをなくすという、次代を担う青少年を健全に育てる、これの気構え、構想が私は文部大臣に必要だと思うんです。どうですか。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 文部省といたしましても、ただいま先生が御指摘のとおりに、あるいは教育委員会を中心といたしました会議を持ちまして、その補導の問題、教化の問題について検討をいたしましたし、同時にまた、指導書を学校の方に配りまして、それによりまする指導に全力を尽くしておるような次第でございます。私どもは、先生の冒頭おっしゃいましたように、何といいましても教育をするということが私どもの本務でありますから、それは決してただいま申しました警察力に頼ってどうこうとは断じて思っておりません。しかしながら、ただいまも手に負えないと私が申しましたように、学校におきまして、あるいは校長先生あるいは地方の教育委員会におきましても御協議を願いまして、たとえば外部の勢力ですね、番長あるいはまた、さらにいろんな麻薬とか何とかというふうな外部勢力との関連のあるような問題に対しましては、学校だけでこれ処理することができないことは当然でございます。そういう万やむを得ない場合にのみわれわれはこの少年の補導には、その任にある方にお願いをしなければならないということを申したのでございます。
○小野明君 総理、この問題は次代を担う青少年の育成、健全な育成ということできわめて重大な問題です。総理の御所見をいただきたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 青少年の校内暴力あるいは家庭におけるそのような行為、しかもそれが十四、五歳というような非常に若い年齢層に多く発生をしておるというようなことでございまして、私も大変心を痛めておる問題でございます。これはおっしゃるとおり学校だけの責任ではない。家庭、それから社会、そして子弟の教育に当たっておりますところの学校、それぞれ協力をし、そういう非行がなくなるように指導していかなければならないと、こう思いますが、私は一番大事なことは、父兄あるいは学校の教師と子供たちの間における対話、それから信頼関係、愛情、それに裏づけられたところのしつけあるいは厳しさ、そういうようなことが私は必要ではないかと、こう思うわけでございます。今後青少年の非行化防止のためにそのような広い観点から協力して対処していかなければならないと、このように考えておりますし、政府におきましても関係機関を十分動員をいたしまして最善を尽くしてまいりたいものだと考えております。
○小野明君 教科書問題で質問をいたします。
 いろいろなところから文部省に、大臣、教科書を書きかえよと、特に原発あるいは商社問題、これはありのままに書いているにすぎないんですが、書きかえろというプレッシャーがかかっておると聞きますが、いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの書きかえの問題でございますが、われわれはりっぱな教科書をつくるということがまず大前提でございまして、同時にまた、そのためにこそ検定というものもあるわけでございます。この観点から、教科書会社から自主的な判断に基づきまして正誤訂正の申請が行われ、同時にまた、記述の改善が行われたものと承知いたしておりますが、ただいま御指摘の若干の問題につきましても、これはこの注意が寄せられました意見を教科書会社の方に申しまして、そうしてこれを参考として申しました結果、関係会社におきましてこの意見を参考として検討の上で自主的判断に基づいて正誤訂正を行ってまいった、かように考えておる次第でございます。
○小野明君 大臣、この教科書を私も読んでみました。正誤訂正以上の訂正が書かれているわけですよ。そうして私は、この教科書問題については、かつて日本の教科書は、戦争に向かうときは、小学校一年生で、「ススメ ススメ ヘイタイ ススメ」、平和なときには「サイタ サイタサクラガ サイタ」。今日の圧力は、憲法を無視する、愛国心を書けとかなんとかいうのはそういう類に間違いないわけです。国定教科書にせいという、憲法を無視せいと、こういう圧力なんですよ。原発に問題があることは事実じゃないですか。商社が悪いことをしてきたことは事実じゃないですか。これを封殺する、それを書き直させるというのは、学問の自由に反する、研究の自由に反する。これは政府政策の宣伝機関が教科書じゃないんですよ。どう思いますか。
○国務大臣(田中龍夫君) さようなことは少なくとも文部省においては断じて考えておりません。
 なおまた、ただいまの正誤訂正の問題に当たりましても、検定規則の規定にのっとりまして記述の改善が図られたものでございまして、われわれはあくまでもりっぱな教科書をつくるということが眼目でございます。同時にまた、正誤の正規の規定に基づきまして、最後の最後までわれわれはりっぱな教科書をつくるという意のもとにこれが行われておることは当然でございます。
○小野明君 教育基本法十条に言う、「教育は、不当な支配に服することなく」、これが一本文部行政には通しておかなきゃいかぬわけです。教科書行政については、その筋をぴしっと大臣通しますか、どうですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 基本法第十条の前段の不当の支配に云々ということは当然でございます。われわれは、あくまでも国家のためにりっぱな、中正な教科書をつくることを念願といたしております。なおまた、基本法の後段におきましても、これをきちんと明記しておるところでございます。
○小野明君 私はこれ、原発でどうだこうだ、書き直せ、愛国心でどうだと、あるいは商社はどうだと、こういうのは言論の自由を封殺するものであると、今様焚書坑儒であると、こう私は言いたいんです。総理、不当な支配に教育は服してはならぬと、教育は中立であると、こういうふうにきちっとお認めいただけますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 教育基本法の精神というものは貫かなければならないわけでございまして、私はいずれにも偏向してはいけない、このように考えるものでございまして、お互いにこれはそういう方向で努力をしていきたいものだと、こう思っております。
○小野明君 次に、私立医大の問題について聞きます。
 これは、文部大臣、経理の公開は学校法人会計基準によってできるんですか。それと、入試の公正は保てますか、どうですか。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまの御質問は、医科大学等におきまするいろいろな問題を言われていることと存じます。御案内のとおりに、もちろん私立大学と申しますものは、非常に経営のむずかしいところから、われわれ挙げて私立大学の経費の援助をいたしておりますことは先生も御承知のとおりであります。その経理があくまでもりっぱなものでなければならぬ、あるいは会計規則に照らし、あるいは監査に照らしましてもりっぱなものでなければならぬにもかかわりませず、いろいろの問題が巷間伝えられ、同時にまたそれに対する非違があらわれておりますことは、非常に残念でございます。つきましては、このあくまでも試験というものの合否の適正化、これは堅持しなけりゃならない問題でございます。同時にまた私立大学というものは御案内のとおりに、国立や公立と違いまして、私経営でございます。さような関係から、いまの監査の制度なり何なり、法に従いましたこれは規制を受けておるわけであります。同時に、これらの当事者の方々がその公正を期して、それで、みずからの意思によってこの経理の問題を善処してもらいたい、かように考えております。
○小野明君 これは、私立医大の問題は大臣、われわれの命にかかわる問題ですよ。力のない者が金によって医大に入って医者になっていく、そんなばかなことは許してはいかぬですね。同時に、力があり、そしてしかし金がないという学生、入試の希望者に対しては、何らかの措置はできないものかどうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 ただいまの問題でございますが、われわれは、いまのような学生が非常に負担の過重から、いろいろないまわしい問題が起こりましたことにつきましては、非常に残念でございます。同時に、それが救済の制度といたしましては、あるいは奨学資金の問題でありますとか、あるいは授業料の減免の問題でありますとか、そういうふうないろいろな問題がございますが、これは、これらの自主機構でございまする私立大学の財団法人がございます。まあ、そういうところによりまして今後の措置を検討してもらわなきゃなりません。同時にまた、ただいまは試験が行われている最中でございます。いまこれらの問題、いろんな問題になっておりますけれども、その学校その他の対策と申しますか、今後の適正化についてはわれわれは厳しい態度で断固としてこの問題の非違をただしていかなきゃならぬ、かように考えておる次第でございまして、当該責任者を呼びまして先般来事情を聴取いたしましたり、あるいはその他の問題につきまして真剣に検討をいたしておる最中でございます。
○小野明君 次に、同和対策事業特別措置法についてお尋ねいたします。
 総理が、最大の努力を総合的改正の立場でしてまいりたいという御答弁がございました。さらに、三年延長の際に全党一致でなされた附帯決議を踏まえるならば、啓発、あるいは雇用、教育、産業、総合的かつ計画的な対策が必要である、また、それに法の総合的改正が必要であることは明らかだと思うんです。岸、あるいは佐藤、大平総理は、この問題にきわめて積極的な姿勢を示しました。日本の民主主義にかかわる重大な問題。この際、総理が総合的改正の方向で指導性を発揮し、閣内の取りまとめを行うとともに、今国会中に一定の方向を出すべきだと思いますが、まず、総務長官の御見解をいただきたい。
○国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。
 昭和五十六年度の予算で、概算要求の段階で各府県の同和地区事業の中で予算要求ができるものはすべて要求をいたしました。ただ、用地の取得等の問題について話し合いができないものについては一部積み残しがあることは事実でございます。しかし、この法律の扱いにつきましても、また、これからの同和対策事業の持っていき方にいたしましても、ただいま関係各省庁ではそれぞれ残存事業の事業量の計算もいたしておりますし、昭和五十七年度の概算要求の時点においてこれからの方針を決定いたしたいと考えております。
○小野明君 広範な施策を必要としますね。ですから、関係各省の予算要求等をまとめることはもちろんでありますが、今後の施策の推進に支障を来さないように配意をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) いま御指摘のとおりでございまして、院の附帯決議の趣旨を尊重して十分努力してまいりたいと考えております。
○小野明君 総理の御見解を承りたいです。
 いまのとおりであれば、それでよろしい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 同和対策事業特別措置法、これは五十六年度までの時限立法に相なっておるわけでございます。私は、今後の同和対策の方向、内容をいかにするかという問題につきましては、国会における決議また国会における御論議、そういうものを踏まえまして、五十七年度の予算の概算要求の段階におきまして、今後の施策に支障を来さないように、そういう観点に立ちまして方向づけをしてまいりたいと、こう考えております。
○小野明君 わかりました。
 次に、産炭地振興について伺いたいと思います。
 さきに挙げました高知県の窪川町では、ローカル線はこれは切り捨てない、こういうことのようですが、運輸大臣、いかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 窪川町のあの線は予土線につながっておりまして、いわば四国を循環する貴重な基幹鉄道でございまして、それは存置いたす方向で現在政令の中に載っておるところであります。
○小野明君 それは明らかに政策的配慮で、原発という問題を踏まえてのことだと。私は、産炭地振興という立場も考えてもらわにゃいかぬ。福岡県内でいま門司鉄道管理局で赤字が一千億と。今度廃止予定の七線を見ますと、大体赤字はどれぐらいになりますか。総裁が来ていると思いますが……。
○説明員(高木文雄君) 七線のとり方にもよるわけでございますけれども、大体二十五億から三十億ぐらいというところでございます。いま第一次ということで政令等で考えられておりますのは比較的短い線でございますし、さほど長いところは入っておりませんで、金額的には非常に少ないということになるかと存じます。
○小野明君 運輸大臣、窪川町にそういう政策的配慮があるなら、産炭地についても当然そういう政策的配慮があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 窪川町に対しましては、原子力発電の有無にかかわらず鉄道の幹線として存続をしたものでございます。したがいまして、おっしゃる観点がいささか違うのではないかと思います。
○小野明君 通産大臣、産炭地振興法は十年延長出していますね。国鉄再建は五年、この政策矛盾をどういうふうに御意見をお持ちですか。
○国務大臣(田中六助君) 産炭地振興法は十年の延長をこの同会にお願いしているわけでございます。したがって、国鉄ローカル線の廃止問題と矛盾しないかということでございますけれども、私どもは、現在、将来の展望を十分踏まえた上で産炭地振興も考えておりますし、そういう調整は地方自治体あるいは県知事、私ども協議して進めたいと思います。
○小野明君 だんだん、あなた声が小さくなりましたね。
 国鉄総裁、今度の再建法、地方線、ローカル線の切り捨ては、スクラップばかりでビルドがないんですよ。たとえば福岡県内で――聞こえますか、県内ですと、桂川−臼井間をつなぐ、あるいは油須原線をつなぐことによりまして環状線になるんですよ。そういうビルド建設が全然なくて、キルばっかり。しかも油事情は予測がつかない。もう一遍外せば全然できないわけですから、産炭地振興ときわめて矛盾をする私はローカル線廃止だと思いますが、ひとつ忌揮のない御意見を言ってください。
○説明員(高木文雄君) 私どものこれからやらしていただきます仕事の中で、都市近郊の通勤に対する仕事をいままでよりはより重点的に考えていかなければならないと思っております。北九州におきましては、いまのレールは石炭が盛んに出ました当時につくられたレールでございますが、別の意味において、北九州あるいは博多地区といったところについての通勤問題等を中心とする新しいビルドが取り組まれなければならないということは、地元でも非常に御熱心でございますし、私どもとしても関心を持っておるところでございまして、今回のローカル線問題とはまた別の問題としてこうした問題にも取り組むべきものと考えております。
○小野明君 通産大臣ね、地域振興整備公団が出したりっぱなパンフレット、産炭地に対する企業誘致、これは御存じだと思いますが、ここには何々の駅があります、ここにはこういう駅があります、全部廃止予定の駅を書き込んで工場団地を造成しておる、地域振興整備公団。これは全部進出を決めた企業あるいは来ておる企業にとっては政府はうそを言ったことになる。この点はどうですか。
○国務大臣(田中六助君) 政府はうそを言ったつもりはないわけでございまして、あくまで産炭地は振興せねばなりませんし、その方法あるいはやり方、調整、そういうものが食い違っている点もございますけれども、私どもはあくまで産炭地振興ということを目標あるいはウエートを置いて進めたいと思います。
○小野明君 最後に、運輸大臣、そういう窪川町だけ配慮するんでなくて、産炭地についても十分そういう事情を考慮した上で今後の施策を進めてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 産炭地であれ、どこであれ、鉄道としての律性が生かされ、かつその需要が十分見込まれるところにつきましては、十分対処してまいります。
○小野明君 終わります。
○委員長(木村睦男君) 以上で小野君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
○委員長(木村睦男君) 次に、玉置和郎君の総括質疑を行います。玉置和郎君。(拍手)
○玉置和郎君 自由民主党・自由国民会議を代表しまして総括に立たしていただきましたことに感謝をいたします。
 ところで、運輸大臣、あなたは新幹線担当の大臣で、時間を大切にするということですが、時の流れをとめることはできますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私ではとっても時の流れはとめられません。
○玉置和郎君 科学技術庁長官、科学技術の枠をもっても時の流れをとめることができるかどうか。あなたならとめることできるな。
○国務大臣(中川一郎君) 私でもとめることができません。
○玉置和郎君 総理、この参議院で時の流れがとまったこと知っていますか。
   〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は寡聞にして承知いたしておりませんが、鈴木内閣におきましても時の流れをとめることはできません。
○玉置和郎君 昭和二十二年の十二月の九日です。この参議院の第一国会、ここで食管法の改正のときに、時の占領軍の国会対策課長がウイリアムズというんで、それがやってきて、きょうじゅうに、衆議院から法案送ってきて、通さなかったら食糧援助してやらぬぞと恫喝されて大騒ぎになった。それで私はいろんな証言を今度求めましたが、そのとき時計をとめた人がいま課長補佐でここにおるんです。山賀辰夫さんという人です。それを指令した人がまだ生きておるんです。藤沢で恐らくきょうテレビを見ておると思う。そのときの親時計がこれなんです。(写真を示す)これが親時計。いま参議院の時計はこの親時計で動いておるんです。昭和十一年一月沖電気一号機というやつなんです。そうして、十一時三十分に待機命令が出て、十一時五十分に参議院のすべての時計がとまったんです。そうしてその法案を通したんです。すでにもう通ったときにはいわゆる会期のなかったときなんです。それどう思いますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 占領下における異常な事態であったわけでございまして、今日では全く想像もつかない事態であると、こう思います。
○玉置和郎君 この中でそのようなことを知っておる人まだあると思いますが、中曽根大臣どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 何の法案であったか記憶は明らかでありませんが、私たちが衆議院の議場で審議をしておりますときに、たしか時計が十一時五十八分か九分ごろまで来たら針がとまってしまって、あれどうしたんだろうかと、五分か十分くらいたしかとまっておった記憶がございます。後で聞いてみたら、何か作為が施されていたんではないかと、そういううわさでありました。
○玉置和郎君 総理、ここに読売新聞で責任持って出した「国会おもて裏」と、これ読みます。「昭和二十一年十月五日、第九十帝国議会の貴族院本会議で新憲法制定をめぐって議決の段階まできたが、特別委員会で各種修正案が出たため審議は意外と手間どった。GHQは審議促進を求める。やむなく貴族院は午前零時五分前で時計をストップ。法案が本会議へ上るのを待って採決した。そのとき時計を再び動かしたが、本会議場の時計では深夜の午前零時に散会して、外へ出てみると、もう夜はすっかり明けていた」。私、この証言だれかしてくれんかと探したんだ。記録ないんですよ、これ参議院に。すべてどっかへ持ち去られておるんです。
   〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
こういうことは国民皆知らぬです。これは大事なことなんですね。憲法がいいか悪いかというようなのは問題外のことなんです。歴史の事実を後世に伝えるというのはわれわれの責任じゃないですか。総理、どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そういうことは非常に大事なことだと、こう思っております。
○玉置和郎君 ところでおったんだ、この閣僚の中におったんだ、証言してくれる人が。敏腕をもって鳴った読売新聞の、現労働大臣藤尾正行先生なんだ。どうかひとつそのときの話をしてやってください。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 私は、御案内のとおり、その当時の新聞記者でございます。私はその当時は外務省の担当でございまして、直接国会あるいは内閣の担当ではなかったわけでございますけれども、新しい憲法と申しますか、憲法改正と申しますか、この問題がどのようなことになっていくのかということは、恐らくいまから考えましても、日本の国の再生を左右する重大問題でございましたから、私ども新聞記者といたしましてもこれがどうなることかということについて深甚な関心を持ち、私どもは担当ではございませんでしたが、当時参議院の本会議場に詰めておりまして、その成り行きを見ておったわけでございます。ただいま中曽根行政管理庁長官からも――これは衆議院のお話でございますけれども、時計がとまったというお話があったわけでございますが、私も新聞記者といたしまして、定かではございませんけれども、いま玉置委員の御指摘のとおり、私どもが事が終わりまして外へ出たというときには朝であったということを記憶をいたしております。
○玉置和郎君 田中文部大臣、あなた非常に恐縮ですが、幣原内閣で現在の憲法をつくったわけですね。そのときにあなたはこの幣原内閣の総理秘書官をしておられた。非常に苦心をされたということを私は聞くんです。この辺でやっぱり政治家として国民にあのときの真相を知らすということは、私は非常に大事だと思うんです。どうかひとつそのときの苦心のほどをお願いをしたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) 当時私は貴族院議員でもございましたし、同時にまた、小笠原三九郎さんの秘書官でございました。しかし、ただいま御指摘の時計の問題は、あの当時は大変な最後の瞬間で、院内大騒ぎのときでございましたので、時計のことは私は明確には記憶にございません。しかしながら、私もそのときに議席を持っておりましたことは御指摘のとおりでございます。
○玉置和郎君 あなたの話の中のことを、これはだれが書いたのか知りませんが、書いておるんですね。「幣原総理は、GHQから戻られるや、秘書官室の机の上に大きなふろしき包みをどかっと置かれて、これを二十四時間以内に日本文に翻訳し直ちに新聞に発表しろと命じられました。すぐ白洲終戦連絡事務局長を呼んで作業させよと申されて、閣議は急いで翻訳会議に変わったのであります。」と、このときの状況はどうですか。大臣、遠慮なしに言うた方がいいですよ。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 そういう事実はございましたが、しかし私は秘書官でございまして、秘書官室におりました。
○玉置和郎君 やっぱり田中龍夫先生の性格ではこういうことずばっとよう言わないんですね。私は無理だと思うんです。(「だから大臣になれた」と呼ぶ者あり)だから大臣になれたというようなやじが飛んでいますが、総理、これは笑い事じゃないんです。この事実はやっぱり国民の前に明らかにせにゃなりません。
 そうして、田中大臣、お聞きしますが、いま現役の政治家で当時の貴族院の席を持っているのはあなた一人なんです。本会議で現憲法が上がったときの状況、それをひとつここで披露してください。
○国務大臣(田中龍夫君) これは、世紀の憲法の成立でございまして、議場は本当に粛然としておりました。
○玉置和郎君 あなたね、そこまで言うなら、これ、あなたの文ですよ。そんなこと言うんなら、これを読まなければならぬ。冗談言いなさんな。あなたはね、ここに書いておるじゃないか。「最後の採決の瞬間こそ、あの広い貴族院の議場は、涙と鳴咽に満ちた悲痛な決定でありました。佐々木博士は、たとえ死刑になろうともこの屈辱の憲法には協賛はできないと起立されなかった光景は、いまなお彷佛として眼底に焼きついています。」とあなた自身書いたことじゃないか、これは。これはあなたの文と違うのか。冗談言いなさんな。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 玉置先生のその御発言は信義にもとるものでございます。私はかつて、大臣でない時代にいろいろのものを書いております。しかしながら、そのことは、私は断じて、今日の閣僚といたしましてはお答えの外にございます。
○玉置和郎君 閣僚としてじゃないんですよ。歴史の事実として、あなたは日本人として、人間として、歴史の事実をどう後世に伝えるかということなんだ。どうですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 歴史の事実はそのとおりでございますが、私は、ただいま一国の国務大臣としての重責を担っておるのでございます。私人としての発言は差し控えたいと存じます。
○玉置和郎君 これね、憲法改正するとかせぬとかという議論じゃないんですよ。歴史的事実をはっきり国民に伝えてくれと言っているんですよ。そんなに大臣というのは自由な自分の意思さえ抑えなければならぬのですか。
 内閣総理大臣、そこまで個人の自由の意思まで束縛するのですか。あなた、それだけの力があるんですか。お聞きします。
○国務大臣(鈴木善幸君) そのようなことは私は考えておりません。
○玉置和郎君 総理ね、私はお聞きしますがね、人間田中龍夫として、政治家田中龍夫として、国務大臣以前にそうなんですよ。だから、人間田中龍夫として本当の話をいまここでして、あなたが責任をとることにしますか。どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、いま玉置さんがおっしゃったような意味合いにおいて、田中文部大臣がいろいろ当時の事実をお話しになるということはちっとも差し支えない、こう思っております。
○玉置和郎君 田中先生ね、私はあなたを尊敬しておるんだ。尊敬しておるあなたがこういうことまで言うということは、かつてなかったことなんです。自由民主党ができたときには、鳩山さんのときも石橋さんのときも、それから岸さんのときまで、ずっと憲法論議は自由にやれた。これが国会なんですよ。憲法にいつも縛られて、野党にびくびくして、そして真実を国民に伝えないというのは、これはどうかしていますよ。真相を知らざるをこれ迷いと言うというんです。真実を伝えないで何が本当のりっぱな力が生まれできますか。
 もう一回聞きます。あのときのことは、佐々木惣一先生が涙を流して、そうしておえつをして立たなかった、あの姿をあなたごらんになったんでしょう。
○国務大臣(田中龍夫君) 議席を持っておりました私といたしましては、そのことは存じております。しかしながら、ただいま玉置先生が私に答弁を求められております問題は、それは、私が貴族院議員としてかっての憲法議会に協賛をいたしたということであります。
 同時にまた、ただいまこの議場において、この予算委員会の議席からお答えをいたしますと、私は公人といたしまして、鈴木内閣の文部大臣としての立場でお答えをいたしておるのでありまして、その点はどうぞ立場の違いを明確に玉置先生も御承知を願いたい、かように存じます。
○玉置和郎君 ぼくは、こんなところで先生なんかつけて、要らぬですよ、玉置君でいいんだ。
 それはね、田中龍夫先生、おかしいですよ。私は先生と言いますが、おかしいです。それはね、大臣というものはそんなものじゃありません。憲法という問題に対しても、常に政治家は憲法を尊重せにゃいかぬ、これはあたりまえのことですよ。しかし、時には国家の最高意思をつくる、国民合意の上で国家の最高意思をつくるということ、これは大切なことなんだ。それだけに、憲法の上位に立ってお互いが論議をするということが当然じゃないですか。
 法制局長官、そういう当然なことがあっていいんじゃないですか。あなた憲法いろいろ勉強しておりますが、どうですか。
○政府委員(角田禮次郎君) そのとおりだと思います。
○玉置和郎君 そのとおりなんですよ。これが本当なんです。憲法というのは、ここに問題があるんです。いつも憲法の条文に振り回されて、それで国会の機能が停止をしてしまうなんというのは、心ある国民がナンセンスだと思っておるんですよ。今度の参議院の自民党の総括はほとんど憲法をやるんです。これは当然じゃないですか。
 もう一回聞きますが、あなたは当然と思わぬですか、どうですか。思わぬというんだったら、われわれあなたを不信任するよ。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 私は、何遍でも申しますが、この予算委員会のこの席において大臣といたしまして答弁をいたしております文部大臣の田中龍夫でございます。で、いまあなたがお示しになりましたのは、私人としての私が過去を語りました文書の一ページでございます。
○玉置和郎君 そうすると田中先生ね、奥野さんが発言したり中川君が発言したりすることは国務大臣として間違ったことなんですか、どうですか。
○国務大臣(田中龍夫君) 人おのおの意見がございます。
○玉置和郎君 もう情けないと言うより仕方がないね、これ。
 中川さん、どう思う。
○国務大臣(中川一郎君) 私は憲法については、自民党の政綱に、占領憲法は弱体化政策の一環である、日本をしっかりしたものにするためには自主憲法を制定しなければならないと自民党の政綱にはっきり書いてありますから、自民党に入党して今日まで憲法改正をうたい続けて圧倒的支持をいただいておるわけでございます。いきさつについても、そのようなことを知っておりますから、自主憲法をつくりたいなあと、こう思っておるわけでございます。しかし、鈴木内閣では憲法改正しないという決め事の中にいる以上は憲法改正いたしませんけれども、私は改憲論者でございます。
○玉置和郎君 そこで、法制局長官ね、これ非常に大事なことなんで、あなたはこの大変な権威だけれど、実定法と自然法の関係、これについてひとつ説明してください。
○政府委員(角田禮次郎君) 実定法というのは、国家機関等の制定行為あるいは慣習など、人間の行為によってつくり出された法であって、一定の時代、一定の社会において効力を持つものというふうに言われております。
 これに対して自然法というのは、時代、社会を超えて、人間の本性とか事物の本性とか、そういう普遍的な、根源的なものに基づく法があるという考え方があり、そういう法を自然法ということになっております。
○玉置和郎君 であるなら、長官ね、実定法は文字であらわされたものなんで、自然法と違いますね。自然法は変えることはできませんが、実定法は、文字であらわされたものを実定法と、こういうふうに言ってますが、それだけに時の流れによって改正することもできるし、または解釈においても拡張解釈も類推解釈もできると、こういうふうに理解しておって間違いございませんか。
○政府委員(角田禮次郎君) 第一段に言われました実定法の中には、むろん文字に書かれたいわゆる制定法も含みますが、慣習法なども含まれますから、その点はちょっとお断わりしておきます。
 それから第二段に言われました実定法について改正ができると、あるいは解釈によっていろいろな補い方ができるというのは、そのとおりだと思います。
○玉置和郎君 であるならば、第九条に対する解釈、吉田内閣の中でも変わりましたね、朝鮮動乱からずっと変わったと思いますが、それはいかがですか。
○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘のことは、制憲議会におきまして第九条の論議が行われましたときに、昭和二十一年の六月の二十八日の衆議院の本会議におきまして吉田総理が、「近年ノ戦争ハ多クハ国家防衛権ノ名ニ於テ行ハレタルコトハ顕著ナル事実デアリマス、故ニ正当防衛権ヲ認ムルコトガ偶々戦争ヲ誘発スル所以デアルト思フノデアリマス、」、こういう答弁をされました。また、二十一年の六月二十六日に衆議院の本会議で、防衛のための戦争をも否認するような答弁をされたわけであります。
 もっとも、この答弁につきましては、吉田総理は、二十一年の七月四日に、衆議院の帝国憲法改正案の委員会におきまして、さきに「私ノ言ハント欲シマシタ所ハ、自衛権ニ依ル交戦権ノ放棄ト云フコトヲ強調スルト云フヨリモ、自衛権ニ依ル戦争、又侵略ニ依ル交戦権、比ノ二ツニ分ケル区別其ノコトガ有害無益ナリト私ハ言ツタ積リデ居リマス、」というような答弁をされましたし、また、第七国会における施政方針演説において総理は、「戦争放棄の趣意に徹することは、決して自衛権を放棄するということを意味するものでない」とか、あるいは十二回国会の衆議院の平和安保条約委員会において、自衛権に関し、制憲議会当時の説を変えたのかとの芦田委員の質問に対して、吉田総理は、「私の当時言ったと記憶しているのでは、しばしば自衛権の名前でもって戦争が行われたということは申したと思いますが、自衛権を否認したというような非常識なことはないと思います。」という答弁はされてはおります。
 されてはおられますが、率直に申し上げて、二十一年当時の答弁とその後の答弁との間に客観的に言って変化があるということは事実として認めざるを得ないと思います。
○玉置和郎君 総理ね、やっぱりしっかりしていますよ。歴代の法制局長官の中で彼が一番しっかりしておる。いや本当、三百代言みたいのが多いけれども、本当にこれはしっかりしている。私は第一部長のときからつき合いしておるんだけれども、私、別に打ち合わせしているわけじゃないですよ。
 それはいま言ったように、この立法者の客観的意思というもの、これは非常に大事なんだ。それは法を制定するときの確定者の物の考え方、理念、それから先見性、これが非常に重要な要素を占めるんですね。だから、現在の憲法をつくるときには、これはもうだれしも常識になっておりますが、占領軍というものがあったんです。これは憲法制定権者とも私らは思うんです。それだけにこの占領軍の理念というものは一体何であるか。きょうはそれは議論しません。それから先見性というものは一体何であったかということを考えなきゃいかぬのですね。
 そこで総理にお聞きしますが、この昭和二十一年、憲法当時のGNP、それから最近のGNP、これは数字は河本先生に聞いた方がいいかな。ちょっと答えてください。
○国務大臣(河本敏夫君) 昭和五十六年度のGNPの目標は二百六十五兆円であります。昭和二十一年の当時の数字はいま記憶しておりません。
○玉置和郎君 これは総理、七兆九千八百二十五億なんです。これは五十年に直してね、そうすると、実に何十倍ということになるんです。それから鉱工業生産指数、これが昭和二十一年は二・二なんです。昭和五十四年は一三三・一なんです。実に六十倍強なんです。電力の消費量も実に三十五倍以上になっている。
 だから、憲法というものは、昭和二十一年はちょうどイワシをはかるぐらいの、十センチだったんだ。いまは鯨のようにこんな大きくなっている。だから、鯨のように大きくなったこの日本国の力を当時の制定権者が考えたような物差しではかれるかどうかということをあんたに聞きたいんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、玉置さんが御指摘になっております理念と先見性、これを大事にしなければならない、重視しなければならないという御意見につきましては、私も全く同感でございます。
○玉置和郎君 総理、そこでお聞きしますけれども、きょう、私ら与党ですから――いままであなた苦しかったと思うんですよ。私は憲法を改正しませんと、こう言う。苦しそうにテレビに映ってくるあの顔見て、私があんたに話したことあるね。国民は、ああ鈴木善幸さん気の毒に、気の毒に、自民党の総裁で、自主憲法制定で言われて、それでこっちで憲法改正しませんと、こう言う。その肩をほぐしますからね、きょうは。
 それは、あなたは、反語として聞きますが、憲法を改正しませんということの反語は憲法を改正することができるということなんですか。どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、憲法改正についての発議権、これは国会にあると、こう思います。国会が発議し、国民にそれを投票でもって問う、こういう形になるわけでありますが、そこで国会が発議されます際に、原案というものをもとにして審議をされる、こういうことになろうかと、こう思います。
 そこで、原案の提案権というものはいままでの通説としては政府にもある。このように私は承知をいたしておるわけでございまして、私は、そういう意味合いからいたしまして、鈴木内閣におきましては憲法改正の原案の提案はしない、こういう考え方に立つものでございます。
○玉置和郎君 長官ね、あんたに聞くが、憲法を制定する権利を持っておるのは国民ですよ。主権を持っておる国民なんです。だから国民のことを憲法制定権者とも宮澤さんの本の中には書いてあるんですよ。内閣は憲法を、いま総理も言いましたが、憲法を改正しませんなんて言い切れないんです、これは。憲法改正案をつくる意思はありませんということなんですがね。どうですか。
○政府委員(角田禮次郎君) 憲法制定権者はだれであるかということにつきましては、ただいまおっしゃいましたとおり国民であります。
 憲法改正はしませんというのは、これまたいま正確に言われたように、政府としては憲法改正案を国会に原案として提出することをしませんと、こういう意味であります。
○玉置和郎君 総理、私はこう思うんです。なぜ国会が憲法改正の発議ができるのか。三分の二以上の賛成ということなんですね。それは主権者である国民に一番近い立場にあるのが国会なんです。だからこそ現憲法の中で国会が憲法改正の発議権を持つわけです。だから、会社で言うなら、国民はちょうど株主なんですよ。発議をすることのできるのは、この国会は、まあ重役会なんだ。あなたは憲法改正案を作業する室長さんなんです、これは憲法に関しては。残念ながらそうなんです。それだけに憲法を改正したくとも、とてもいま三分の二の物理的数がない、だからしたってむだな作業だと。しかし、政治家として、自由民主党の党員として、自由民主党の党ではしっかり守っていくんだというふうに御理解なさったらいかがでございますか。どうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、憲法は国の基本法でございます。したがいまして、憲法の改正の問題につきましては慎重の上にも慎重でなければならない。国民の間にこの条項、この条文はこのように改正をした方がよろしいと、こういうことが国民の中に成熟をする、こういう状況になりました場合に初めて具体的な政治日程に私は上るべきものだと、こう考えておるわけでございます。そういう意味で私は、前大平内閣あるいは前福田内閣、三木内閣等々の歴代内閣がそのような立場に立ちまして、憲法改正ということは考えておりませんと、こういうことを申し上げた。その内容というものは、先ほど申し上げましたように国会に御審議を願う、憲法改正の原案を提案をするということはいたしません、そういう政治日程として提案をする状況にないと、こういう判断に基づくものでございます。
○玉置和郎君 総理、冒頭、時の流れの話をしましたね。それでいろいろ証言していただきましたね。これはなぜかって言うんですよ。自由民主党ができたときに、これは自主憲法をつくらなければならぬというこういう歴史的背景があるから、自分たち日本人の手で日本人にかなうような国家基本法をつくりましょうというので自由民主党ができたんですよ。だから、あなたは憲法改正しませんというよりも、憲法を改正する案をつくる作業はしませんということであって、つくってもまた物理的にはこれはできませんよということなんで、私がいつもやじるように、しませんというのと、できませんというのはこれは根本的に違うんです。これからはどうですか。できませんと、憲法全体を考えたときにはとてもできる状態でないとお認めになるでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、先ほど申し上げたような意味合いから、憲法改正の原案を提案をしない、いたしませんと、こう申し上げておるわけでございます。しかし、私はこの際明らかにしておきたいわけでございますが、憲法九十六条には憲法改正ということを、その手続をうたっておるわけでございます。憲法の内容等につきまして、あるいは条文等につきましてこれを論議し、あるいは検討し、あるいは意見を述べるというようなことは、これは国務大臣、公務員といえども――が信奉しなければならない憲法の尊重、擁護という義務に反するものではない、このように考えておるわけでございます。自由民主党は、先ほど来玉置さんが御指摘になりますように、立党の政綱の中に自主憲法の制定ということをうたっております。そして、現在自由民主党におきましては、憲法調査会において、この憲法の内容につきましていろいろな角度からどういう点を改正する必要があるのか、また、ありとすればどういうぐあいに改正すべきかということを勉強をしておると、こういう段階でございまして、各条文につきまして結論が出ておるということを私まだ報告も受けておりません。憲法調査会においてりっぱな仮に案ができました暁におきましては、総務会あるいは国の基本法でございますから、党大会等におきまして党としての方針を確定をしなければいけない、このように考えておるわけでございます。
○玉置和郎君 武器輸出禁止決議というのは、衆議院でやられるように聞いていますが、ぼくはこれは大変な間違いであると、こう思うんですよ。これはこの前文の中に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」と、こうありますね。
 もう一つは、「われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」ということがありますね。これからいくなら、自衛のために日本が外国から武器を輸入することができるということはこれは定着しておるのです。であるならば、日本と同じように他国を侵略する意図はない。むしろ、長い歴史を持っておるスイスのように、あるいはまたASEANでも、どう見たって、周囲の環境を見たってシンガポールは他国を侵略する意図はない、平和を求めておる。パラグアイだってそうですよ。パラグアイ――土曜日に海軍長官と飯食ったら、百年前に周囲の三田から攻められて、専守防衛でやって八〇%の国民が死んでしまった。にもかかわらず、われわれは専守防衛に専念したんだと。しかし、いまわれわれのように他国を侵略する意図はない、専守防衛で今度も国是としてやりたいんだが、何とかしてひとつ払い下げるような駆潜艇というものを日本がくれないものだろうかということになれば、私はこの憲法前文の自国のことのみ考えて他国を無視してはならぬということに当てはまると思いますよ。武器輸出禁止なんてこんなことでぎゃあぎゃあ騒いでおられる、これに対して参議院が良識を持って、衆議院よ間違っておるぞと。まあ、きょうは衆議院の連中も来ていますが、これはやっぱり大事なことです。通産大臣どうですか。
○国務大臣(田中六助君) 玉置議員のおっしゃることもうなずけますし、私どもあらゆる観点からこの問題に取り組んでいこうと思います。
○玉置和郎君 いや、そんな簡単じゃ困るんだよ。通産大臣、いまの前文の関係と武器輸出の関係、それを聞いておるのです、あなたに。あなたの見解を聞きたい。
○国務大臣(田中六助君) 憲法の前文の問題と武器輸出の問題でございますけれども、私そういう結びつけ方をして分析しておりませんので、いますぐ即答ができないことを遺憾に思います。
○玉置和郎君 それなら、どうして武器輸出禁止というような決議をやっていいのか、それは。それとも、どうなんだ。
○国務大臣(田中六助君) 武器輸出の禁止決議というものをいま私が具体的に申し上げられないのは、御承知のように、衆議院の議長裁定ということで四項目目にそのことが入っておりますし、私が軽々にいまそのことに対する明確なお答えをすることは差し控えさしてもらいたいと思います。
○玉置和郎君 もう一回聞きますがね、前文のこの趣旨というものはどう考えたらいいの。自国のことを考えて他国のことを考えないようなのはだめだというのは、これは間違っていますか。
○国務大臣(田中六助君) 憲法の前文は、私としては守っていかなければならないというふうに考えております。
○玉置和郎君 これは通産大臣、もう一回聞くけれども、あなたほんとのこと、本音を言いなさいよ、これ。やりたくないならやりたくないと言いなさいよ、どうなんだ。
○国務大臣(田中六助君) ただいまも申し上げましたように、国会の衆議院で議長裁定ということになっておりますから差し控えたいと思いますけれども、本音を言えといいまして、私が本音を言っていいのかどうか疑問でございますが、まあ本音を言えというならば、私は、私の衆議院の行動からもわかりますように、そういうことはいまさら現段階では必要がないというふうに思っております。
○玉置和郎君 これで結構です。そのとおりひとつ行動してください。
 これは私から言わしたら、そういう決議をすることが憲法の精神からいったら間違っています、これは。参議院自民党の中で、野党はどうあろうとも、政権政党の参議院の自民党の中にはこういう意見が圧倒的にあるということをひとつ了解するかどうか、もう一回聞きます。
○国務大臣(田中六助君) 頭に入れておきたいと思います。
○玉置和郎君 憲法はこれで終わります。
 そこで、今度は教育の問題、特に教科書の問題についてお伺いしますが、名越参考人、お忙しい中を本当にありがとうございます。
 お聞きをしますが、最近、この教科書の問題、これ偏向しておるということで大きな問題になっております。名越先生たちの研究されておるグループ、そういうものは幾つあるんですか。
○参考人(名越二荒之助君) 昨年から教科書問題に対する関心が各地で高まりまして、サークル活動のような形で教科書を取り寄せ、あちらこちらからいろいろの声が上がって私のところへも連絡がありますが、私は東京に住んでおりますので、東京都と神奈川県の小中高校の現職の先生方を対象に何回か研究会を持ちました。数にして二十人ぐらいでございましょうか、主として私たちが検討いたしましたのは小学校の教科書でございます。小学校を選んだのは、私が大学で学生に接触いたしましても、小学校時代に与えられたイメージが末長くつきまどうものである。日本史のイメージも日本そのもののイメージも小学校時代に培われるということになれば、小学校の教科書が一番大事なのではないか、こういうことが一点。そして、戦後教育を受けた三十、四十の若い教師の方々はどういうようにこれを評価されるか。年配者と若い先生方と一緒になって会合をやりましたが、会の名前をつけておるわけでもございませず、友晴で結ばれたというような会の性格でございます。
○玉置和郎君 ちょっと参考人待っておってくださいね。関連したいというのがおったのを忘れちゃって。憲法十三条と、これは最近の豪雪の問題で長谷川君が関連をしたいというのでお許しをいただきたいと思います。
○委員長(木村睦男君) 長谷川君の関連質疑を許します。長谷川君。
○長谷川信君 関連で申し上げたいと思いますが、いま玉置委員からお話しございましたように、国民はやっぱり幸せをひとしく受けなければならない、そういう観点から今回の豪雪――今回の豪雪ほどひどい雪はございません。まさに安政四年以来の百数十年ぶりの豪雪でございます。そしてなくなった人、生活、交通それから経済ですね、ほとんど豪雪地域は麻痺してしまった。亡くなった人は百二名、けがをした人が六百人、それからぶっつぶれた家が約四、五百軒ぐらい、床下床上浸水が三千軒ぐらい。これがもし風でもってそんな状態になったら、あるいは水でもってそんな状態になったら政府は大騒ぎをして、もう大変な騒ぎだということで激甚法の指定を瞬時にして私はやったと思うんです。また、過去の経過がそうなっております。そういう中でいまでも現在なおかつ三メートルも雪がある。その中でまだ本当に雪地獄ですよ。だから私は、そういう面でせっかく発動していただくなら、温かいお気持ちを持ってこの激甚法の指定というものは本当に早くやっていただいた方がどのくらい豪雪地域の国民の皆さんが喜んでくれるかわからないと思うんです。またそれを望んでおる。
 もう一つ総理お考えをいただきたいのは、いま豪雪地域から出ておるところの福島県と新潟県の電力はほとんど東京に送られておる。そして、いまここについておるこの電気は、新潟県や福島県よりも電気料は東京の方が安いんですよ。発電地の方が高くなっておる。今度通産大臣いろいろ御配慮いただきまして若干将来の補正は約束されたようでありますが、現在ではあの雪が解けて流れて水になって電気になって、そしてこんなこうこうとついておるが、新潟県、福島県の電気の方が高いんだから。そして人間だって高校生は半分ぐらい東京に就職をしておる。水を送り、ガスを送り、人間を送る。だからいまの都会の豊かさというのは、まさにこれは豪雪地域が支えておるようなものです。そういう中でいろいろいま先生おっしゃいましたようなお互いに幸せは均等に受けるという立場からすれば、まさにこれは手厚い施策をしていただくのが当然であります。いま政府が三全総だとか田園都市構想だとかあるいは定住圏構想だとかいろいろございますが、それらのものはこの激甚法の対策あるいは手厚い対策なくしては私は絵にかいたもちになるかもわからぬと思うんです。そういう面でこれは即刻やっていただきたいということであります。
 なお、簡単でございますが、市町村が除雪費を予算の二倍から三倍も使っておる。これをこのまま放置しておったら地方財政は破壊をしてしまいますが、これらの措置について自治大臣から御答弁をいただきたいと思います。激甚法については総理大臣、それからあれについては自治大臣から明確なる御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の豪雪は数十年ぶりの大変な大豪雪でございまして、そのために亡くなられた方もたくさんございます。またいろいろ被害を受けられた方々多数ございます。こういう方々に対しましては、この場を通じまして心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
 政府はこの対策を早急に進めますために、御承知のように豪雪対策本部を設置をいたしまして被害の状況等を調査把握をし、また現時点でできます対策はこれを逐次進めてまいりました。また、豪雪地帯対策特別措置法、これに基づきまして豪雪地帯に対する対策の万全を期するということでやっておるわけでございます。
 激甚法の指定がおくれておるということについての御指摘でございますが、国土庁が中心になりまして各省庁とともにこの被害の状況を把握をして、できるだけ早くこの指定をやろう。融雪の時期にまた相当の災害等が発生するのではないかということも予想されるわけでありますが、できるだけ早くこの被害の状況を把握をして、そして激甚災害の指定をし手厚い対策を進めたい。政府としてはそのように考えております。
○国務大臣(原健三郎君) いま総理大臣からるる御説明いただいたとおりでございます。
 補足的に申し上げますと、御質問のありました市町村、県等の除雪費用、これが非常に莫大なものになっておるのでどうするか。これは交付税で足らない場合は特別交付税、それでもまだ足らない場合にはいわゆる予備費をもってこれを補う、そういうことも閣議で了承をとっております。それでその万全を期して御期待に沿いたい、そして地方の振興を図りたい、こう考えておりますからよろしく。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 本年度の特交枠が大変低うございまして、大体でいきますと七%ぐらいにしかならなかったわけです。
 そこで、補正予算を組む際に、その一部をどうしても本年の特交財源にいたしたいということで、議会の御審議を経ましてさような措置を講じたわけでございますが、それで大体特交の伸び率は前年度から申しますと一〇%台になると思っております。
 これを、冷害があり、豪雪の問題がありましていろいろ四苦八苦をいたしまして、いま大体案をつくりかけておるところでございます。ここ数日、今週中にでも結論を得たいと思っております。これについては、各地の状況を十分に把握いたしまして適切な配分措置を講じたいと思っております。
 ただ、これだけで私は豪雪の問題は十分だというわけにはいかないだろう、こう思いますので、いま国土庁長官からお話のございましたとおり、どうしても予備費支出を五十一年度と同様な、あるいはさらに拡大した方向で措置してもらわなければこの事態に対応することは不十分じゃないか、こう思っておるわけでございます。御了承願います。
○委員長(木村睦男君) 長谷川君の関連質疑は終わりました。
○玉置和郎君 参考人にお聞きしますが、教育を政争の具に供するなどか、教育を政治の場に引き据えるなというようなもっともらしい意見がマスコミなんかで流れできますが、私はそのことについておかしいなと思うんですが、あなたの意見をこの際参考にしたいと思いますが。
○参考人(名越二荒之助君) 国会は国権の最高機関でございまして、国会は国政全般に対して関心を持っていただき、責任も持っていただきたい、こういうように思います。特に、教育という問題は日本の将来を卜する最も重要な問題でございまして、国会の皆さん方が先頭を切ってこの教育問題に取り組んでいただきたいという希望を強く持っておる者の一人でございます。
 戦後は、教員の勤務条件であるとか給与並びに施設設備の問題であるとか、こういう問題についてはずいぶん熱心にお取り組みをいただきまして、いまや義務教育諸学校の先生方の給料は国家公務員よりも、地方公務員よりも上になりましたし、学校の施設設備もりっぱになりました。世界一とも言われるような状態かもわからないと思いますが、教育の内容について、教育の内容をエキスにした教科書の問題については、教科書の戦後は終わってない、こういうような感じさえも持っておりまして、このたび国会でこの問題を取り上げていただくことに対して大変感謝いたしております。それで、私のような者をお招きいただきましたことに光栄を感じておりますし、感謝もいたしております。
○玉置和郎君 検定教科書の中に、長期政権はいかぬというふうな記述があるように聞いておりますし、そういうものは克服せにゃならぬ、いわゆるぶっ倒さなきゃいかぬというような物騒な表現があるようですが、どこですか。
○参考人(名越二荒之助君) そう露骨には書いてないんで、なかなか巧妙な書き方をしておるわけなんです。ちょっと読みますと、これは大阪書籍という中学校の公民科、中学校の大体二年生か三年生で取り扱う教科書でございますが、こういうように書いております。「政権を担当している政党は四分の一世紀もの長いあいだ交代したことがありません。そのため、政権をになうことへの責任感や意欲がうすれ、国会も、国民不在の政争の場になっているきらいがあります。このようなことは今後、克服されなければならない問題です。」と、こういう教科書になっております。
○玉置和郎君 総理ね、そうすると、あなたに直接聞きますがね、「政権をになうことへの責任感や意欲がうすれ」と書いてある。それであんたを倒さにゃいかぬと書いてある。それ、あんた、どう思う。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、大変間違った考え方だと、こう思っております。主権者である国民が国会議員を選挙で選ぶ今日、わが国の議会制民主主義の中におきましては政党政治が成熟をしてきております。そこで国民は自由民主党を長く支持してきておるわけでございます。それを教科書の中で批判をするというようなことは、これは私は容認できないことであると、こう思っております。
○玉置和郎君 また、政党支持率を教科書でどのように教えていますか。
○参考人(名越二荒之助君) 同じ教科書の百九ページでございますが、各政党の支持率がずっとグラフにして出ておりまして、「支持政党なし」がずいぶんふえていると。なぜこのように「支持政党なし」がふえたかということの理由づけですが、コメントをこういうように書いております。「多党化の傾向にありますが、長いあいだ一党だけの政治がつづき、政権交代が行われないことも、「支持政党なし」を多くしているといえます。」と、こういうように書いております。
○玉置和郎君 総理、お聞きしますけどね、私はこう思うんですよ。これは政党支持率が低くなったと言いますけどね、これは選挙に行かない人が多くなったということなんです。全体主義、権力主義国家では投票率は非常に高いんです。これでね、選挙はこれはあんまり政治というのを身近に感じないでも幸せな生活を送れるという、こういうことが日本の社会の中に起きておるんじゃないですか。あなた、どう思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は大抵のことなら玉置さんの御意見に賛成おおむねするんですが、いまの問題は、私はにわかには賛成しがたい。やはり民主政治のもとにおきましては、主権者である国民は常に政治に対して関心を持ち、自分たちの意思を選挙を通じて、これを国政に反映してもらう、各種いろんな県政なり何なりに反映してもらう、こういうことが望ましいわけでございまして、できるだけ選挙に参加してもらいたい、こう思っております。
○玉置和郎君 ならばね、長い間一党政治の政権交代なしが支持政党を失っておるんだと、支持を失っておるんだということですが、これはどうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、必ずしもこの「支持政党なし」とか、つまり投票に行かないというのは、いろんなこれは事情、意味合いがあろうかと、こう思うんでありまして、いまのような解説は独断的ではないかと、こう思います。
○玉置和郎君 参考人にお聞きしますが、最近校内暴力が大きな問題になってきておりますし、家庭内暴力も大きな問題になってきていますが、それを醸し出すような教科書の記述があると聞いておりますが、どういうところでしょうか。
○参考人(名越二荒之助君) ここへ小学校六年生の中教出版の教科書を持ってまいりました。この教科書は、表紙を開けばデモの写真がこのように載っております、グラビアで大きくですね。それには「団結する労働者」と、こういうようにタイトルがついており、赤旗も見えるという、こういう図であります。
 中学校の「公民的分野」という教科書ですが、これもグラビアで「社会福祉の充実」というタイトルで、こういうデモの写真が載っております。それからこれも人権じゅうりんを許すなというデモです、デモの写真がトップに出ておるわけでございます。現在の生徒は、中学生にしましても、小学校六年生にいたしましても、視覚に強く訴えるものがございまして、表紙を開けばいつもデモの写真を見ているというようなことになりますと、デモのような形で訴えるのが政治への参加であろうかというような錯覚を起こすのではあるまいかと、こういうような感じがいたしております。
 それで、つぶさに教科書を見ていっておりますと、特に小学校の場合が顕著なんですが、歴史の展開の中に一揆が実にたくさん出てまいります。この教育出版という教科書では、「山城国一揆」「一向一揆」「島原の乱」「アイヌモシリ武器をもつ」「年貢と百姓一揆」「百姓武左エ門一揆」「打ちこわし」「世直し一揆」「打ちこわし、百姓一揆」「農民団結、土一揆おこす」「各地で一揆」「徴兵反対の一揆」「地租改正反対の一揆」「米そう動」「食料を求めるデモ行進」「日米安保改定に反対するデモ行進」と、こういうようにデモの記述が全体の六分の一ないし五分の一と言えましょうか、そして各教科書にそれらのデモの想像図が載っております。私、全部集めてみましたんですが、たとえば中教出版の場合は八枚、刺激的といいますか、ちょっと扇情的といいますか、むしろ旗を立てたりしまして、刺激的なデモの図が視覚に訴えるように、一揆の発生件数の統計図表も含めて、どれも取り上げているという状態でございます。平素こういうような形で一揆とかデモというものが目の中に飛び込んできておれば、相当の影響を、年齢が小さいだけに受けるのではあるまいか、こういうような感じがいたします。それで、団結して、そして要求していけばこれが正義であるかのごとき印象を与えるのではないか。ある教科書のごときは、一揆は大勝利をおさめましたというような表現をしている小学校の教科書もあるわけでございますが、このような刺激的なグラビアや、そして想像図による訴え方。そして、こういうようなことよりももっとバランスをとって、たとえば江戸時代を書くのであったら間宮林蔵あたりでも載せたらどうか、北方領土問題が取り上げられておるころですから。実際に間宮海峡というのは日本人の名前が初めて世界の地図に載っているただ一つの例でございますが、あるいは近藤重蔵なんていうのは、択捉に最初に、「大日本恵土呂府」という標柱を立てた人でもありますが、あるいは大岡政談の、テレビの人気者のそういうようなものやら、水戸黄門でもいいと思うんですが、あるいは忠臣蔵でもいいのではないかと思います。そういうようなものを載せることによって親しみを生徒に起こさせるのではなかろうか。あるいは二宮尊徳などにいたしましても、これは一揆に数倍する大きな利益を当時の農民にもたらしたと、こういうように奈良本辰也さんあたりも申しているような状態でございます。(発言する者多し)
○委員長(木村睦男君) 参考人簡潔に、簡潔に願います。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(木村睦男君) 速記を起こして。
 参考人に申し上げますが、参考人の答弁はできるだけ簡潔に、短くお願いします。
○玉置和郎君 私はやっぱり、国会が決めた参考人です、私が呼んだ参考人じゃない、これは。国会の理事会で決定した参考人。それだけに参考人におかれても、それは答弁の簡潔さというのは要求されます。しかし、ある程度参考人の自由意思というのは尊重しなかったら、どこに民主田会があるんですか。それだけに参考人、答弁は簡潔にしてもらいたい。しかし、答弁は簡潔にしてもらいたいが、あなたにお聞きをしますが、歴史の教科書に日本人としての誇りを失わせるような記述があると私は聞いておりますが、参考人の意見はどうですか。
○参考人(名越二荒之助君) 簡潔にやります。
 ここにパネルにして持ってまいりましたが、小学校、中学校、高校の歴史の教科書の古代史は、古い中国の歴史でもって説明されておるということは、これはもう厳然たる事実で、指摘せざるを得ません。
 最初登場するのはいわゆる志賀島の金印から発する奴国なんですよ。奴国というのはやつの国、こういう字を書きます、やつの国と書きます。これはものを軽べつする場合の接尾語なんですね。奴国。
 それからその次は倭国というのが出ますが、これはやがて日本人が気づいてこの倭国はやめにしました、従順という意味になるからですね。これはアイデンティティーをあのころ持っておった、あのころの日本人は。
 それで邪馬台国が次に出てきますが、邪馬台国というのは中華思想に基づいて書かれたものですから、よこしまな馬の台の国とこう書いてあるわけなんです。それから卑弥呼というのがそこの女王ですね。卑弥呼というのはいよいよ卑しいと呼ぶとこういうように読める。この卑弥呼の弥は語尾を強める接尾語なんですね。だから卑弥呼というのはいよいよ卑しいと呼ぶと、これは魏志倭人伝がそっくりそのままコメントなしに紹介されております。そして、その内容はどうなっているかと言えば、「鬼道を事とし能く衆を惑はす」という言葉がそのまま高校の教科書には出ております。われわれの祖先の民族信仰といいますか、あのころ祖先信仰、あるいは自然信仰のそういう信仰を「鬼道」、鬼の道とこういうようにそのまま書いてある。そしてその信仰心を、とうとい信仰心、われわれの祖先の抱いておったとうとい信仰心を、よく衆を惑わしたと、卑弥呼は衆を惑わしたと、こういうように書いておりまして、日本の古代史はこのように古い中国の中華思想でもって染め上げられておる。われわれの祖先はこういうような言い方はしなかった、邪馬台国という言葉はなかった。実はこういうように「葦原なかつ国」であるとか、「大人島」「日本」「大和」そして卑弥呼ではなくて、いよいよ卑しいと呼ぶではなくて、「日御子」であると、こういうようにそのころ言っておったわけで、やはりそろそろ日本人の歴史を教えるようにしなければいけないのではないか。現に、日本の歴史はあったわけですから、日本の歴史はいまなお継続して続いておるわけなんだから、日本の歴史を教えるように配慮してやらないと、子供たちがかわいそうなのではないか、こういうように思うわけです。
○玉置和郎君 近代史の中で日本の命運を決する戦いの最たるものの一つは、私は日露戦争であったと思うんですが、その日露戦争の問題についてこれは教科書でどういうふうに取り扱われておるか、参考人の意見を聞きたいと思います。
○委員長(木村睦男君) できるだけ簡潔に願います。
○参考人(名越二荒之助君) 日露戦争につきましては、ここに紹介しておりますが、現在の小中高の日本史の教科書に出てくる日露戦争の主役は反戦主義者ばかりなんです。与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」――与謝野晶子という人は本当は反戦主義者ではなくて愛国者であったんですね、その後の作品を見てみますと。それから幸徳秋水、内村鑑三、堺利彦、こういうようなのが出てきまして、その日露戦争を推進した大山巖とか児玉源太郎、東郷平八郎、乃木希典は出てこない。それでは日露戦争が、実際あれだけの大戦争が行われたということの説明がつかないし、日本が勝ったということの説明にもならない。主役が出ずにわき役といいますか、反戦主義者ばかりが小中高を通じて出ております。そして外国の教科書も調べてみましたが、フランスの教科書は大山巖と東郷平八郎がはっきりと出ております。ソ連の教科書を見ますと、われわれの将兵は英雄的に戦ったといって、海の英雄マカロフ元帥とコンドラチェンコ将軍――あの二百三高地を戦ったコンドラチェンコ将軍の名前がはっきり出て彼らの勇戦ぶりをたたえております。ソ連の教科書はそうなっている。ただ日本の教科書だけが反戦主義者だけを強調する仕掛けになっているということを指摘せざるを得ないわけでございます。
○玉置和郎君 教科書に使っている統計には現実とかけ離れて日本の国がいかにも悪いように宣伝をされておるようでありますが、そして不正確なものが多い。その点について参考人の意見をお聞きしたいと思います。
○参考人(名越二荒之助君) これは中学校の「公民的分野」から見られる例でございますが、七冊ある教科書のうち四冊までが、たとえば下水道の普及率とか道路の舗装率とか一人当たりの公園面積とかこういうものをアメリカ、イギリスその他先進諸国と比べております。ある教科書のごときは自動車の混雑度あるいは地下鉄の混雑度まで比べて日本が一番悪いように出ておるわけなんです。これは事実ですよ。御指摘のとおり事実なんで、これをお書きになるのは結構。書かれて結構だけれども、しかし相手が中学生の場合、こういうものだけで済ますのはどうであろうか。日本には明るい面がある。肯定的な面があるわけですね。探せば幾らもありますが、たとえば中学生あたりによくわかりやすい例で言えば、各種の工業製品の生産台数とか生産量にしましてもいま世界一がたくさんできております。昭和五十一年現在でも、一九七六年現在でもカラーテレビから白黒テレビ、家庭用VTRから電卓、造船、自動車は去年日本が生産台数世界一になりましたが、産業用ロボットにしましても、時計、タイプライター、家庭用ミシン、あるいはカメラというように、日本にはそういういい技術を持っているというようなそういう記事も教えてやっていいのではないか、教科書に出てきていいのではないか。あるいは日本は犯罪の発生率が世界で一番低いとか、検挙率が一番高いとか、これはどの面から言っても、殺人、強盗、窃盗、強姦、どの面から言っても日本が一番いい条件下に置かれておるとか、あるいは離婚率が一番低いとか、こういうようなこと、いい面もあわせ教えて、日本そのものを立体的に、多面的に理解させるべきではないか。相手が中学生ですから、大学生の教科書と違うわけですから。あるいはさらに……
○委員長(木村睦男君) 簡潔に願います。
○参考人(名越二荒之助君) 簡単に、やりますと、福祉なども日本が一番おくれている資料が次々出ているわけなんです。先進国に比べて日本が一番、年金支給率その他そういうふうになっております。
○玉置和郎君 そこで厚生大臣、何か五時から用事があるそうですが、お出になって結構ですが、ここに、私が自分でつくったものです。「年金支給額の伸び」というので、これはこっち側が教科書に出てくるんですよ。現在こっちなんです。これを見てあなたどう思う。ちょっと見てください。
○国務大臣(園田直君) 子供に事実と違ったことを教えることは罪悪であるとさえ考えております。この教科書に載せられた表はおおよそ十年前の数字をそのまま書いてございまして、教科書をつくる先生方がそれがわからぬはずはありません。私の方もこれを気づかなかったことはまことに恥ずかしいことで、早速文部大臣と相談をしてこれは訂正をいたしてもらう、こう思っております。
○玉置和郎君 私はいま野党の先生方、いろいろな意見言っておられますけれども、後ろの方から。これはやっぱり事実は事実としてお開きになって、お互い国会議員として、日本の政治家としてどうあるべきかという合意をどこかで見出すのが国会じゃないかと私は思うのです。それだけに意見は意見として参考人の話を静かに聞くという民主主義のルールをまず確立したらどうかと思うのですが、委員長まず答えてください。
○委員長(木村睦男君) ただいまの玉置君の御発言はそのとおりでございますが、ただ時間の制約がございますから、参考人としてはできるだけ簡潔に意見を述べてもらうということも委員会の運営上必要でございますので、その点はひとつ注意をしていただきたいと、こういうことでございます。
○玉置和郎君 ならば、社会党が、小野君があれだけ時間使った。ぼくは少なくとも向分の持ち時間、答弁も含めて三時間以内で終わらそうと思っておる。少なくとも小野君より少なく、皆さん腹減るからね。これ七時過ぎますよ、こんなこと、小野君と同じことをやったら。それまでに協力しようと思っておる。私は私の持ち時間をどこかで減らしてもいいから、参考人の意見を聞かしたいという政治家の良識はどこにあるんですか、これは。
○委員長(木村睦男君) 各質疑者の持ち時間は理事会で決定いたしましてそれに基づいてやっておりますので、問題があれば理事会で検討してもらってもよろしいと思います。
○玉置和郎君 私の時間は私の時間の範囲のことですよ。だから、参考人の意見が短かろうが長かろうが、私の時間の範囲内でびたっとおさめればいいんです。そうでしょう。どうですか。
○委員長(木村睦男君) 申し上げますが、参考人が幾ら長く意見を述べられてもよろしいということでございますが、やはり一日の予算委員会の運営の都合がございますので、できるだけ簡単に発言をしていただいて、協力していただくということを委員長としては要請をいたしておるわけでございます。御協力を願いたいと思います。
○玉置和郎君 うちの筆頭理事がもういいかげんにしてやれよと言うから勘弁するよ。
 次に、天皇についてお伺いしますが、参考人は天皇についてのこの検定教科書の中でどのように扱われておるのか、そしてまた天皇についての象徴のこういう動き、そういうものについて知っとったら答えていただきたい。
○参考人(名越二荒之助君) 最近ある県で象徴とはにきびのようなもんだというようなことを学校の先生が社会科の時間に解説されたら、生徒がにきびというならつぶしてもいいんだとか、やがて消えてなくなるもんだとかいうようなことを言ったのが物議を醸して、県議会で問題になっているというようなことを聞いておりますが、教科書は、天皇は日本国の象徴であり、統合の象徴ということは書いております。そして政治的機能は持たないと、こういうように「公民的分野」には書いてありますが、象徴ということの持つ意義といいますか、歴史的背景について全然触れておりませんので、象徴はにきびのようなものというような言葉が出たりするんじゃないかと思うのですが、かつて天皇は悪魔だという作文を書いて物議を醸した話も聞いておりますが、それは仁徳天皇陵に見学に行ったときに中学生が書いたんですが、たとえば仁徳天皇の扱い方は――ここに持ってきておりますが、ピラミッドよりも大きい、仁徳天皇陵は。仁徳天皇のお墓はピラミッドよりも大きい。国会議事堂よりも大きい。そして世界で一番大きい。当時の天皇の権力を誇示したものと思われますというような書き方をしております。そして想像図なども、重い荷物を運んでおる奴隷のようなかっこうをしたのがやりや剣を抜いた侍たちが下知しながらやらしている。そういうような姿を見るもんですから、そういう発想が出てくるんじゃないかと思いますが、われわれの祖先の書いた仁徳天皇像――日本人が千何百年にわたって抱いてきた仁徳天皇像というのはこの教科書のイメージとは全然違うわけでして、日本書紀、古事記に詳しくその模様が書かれております。この模様を詳しく話せばまた時間が長くなりますが、仁徳という贈り名をしておりますように本当に人徳の高い方で、みんながこぞって仁徳天皇の御殿をつくったんです。ちょうど現在の天皇陛下が、御文庫――防空施設の中にお住いで、側近の方から、皇室会議の方で、御殿をつくらしてくださいとこういうように言いましたけれども、国民の生活はまだ十分でないというので、昭和三十六年に吹上御所をつくられ、四十二年に新宮殿ができたような、そういう一連の天皇にまつわる日本の民族の伝統といいますか、長く天皇朝が続いていることの意義、そういうようなこともあわせ教科書に取り上げれば、象徴の持つ歴史的背景も明らかになるのではないか、こういうように思います。
○玉置和郎君 今度は、これ文部大臣にお聞きしますが、文部大臣、この小学校国語見たことがありますか。これの表紙だれかいたんですか。
○国務大臣(田中龍夫君) その教科書の表紙をかいた人は、御案内のとおり政治家の奥さんでございます。
○玉置和郎君 だれです。
○政府委員(三角哲生君) いわさきちひろさんという方でございます。
○玉置和郎君 これ文部大臣は知っておってああして遠慮しておられるんですよ。憲法でもそうですよ。これ松本善明君の亡くなった奥さん。だからこういう表紙をかくんだ。子供の頭にかぶっておるのは何です、これ。この帽子日本に見受けますか、これ。人民帽ですよ。
 教育出版のこの教科書、これは参考人に聞きますが、どのくらいの量がありますか。
○参考人(名越二荒之助君) この教科書の量でございますが、そこらの辺については私明らかにしておりません。
○玉置和郎君 これはなかなか私は絵はいいと思います。芸術的ななにがあると思いますが、問題は、これは三百八十三万冊売れておるんですよ。そして、定価が平均して四百八十六円なんだ。総売り上げが十八億六千百三十八万円。この印税どこへ行ったんですか。大蔵大臣、どこへ行ったんです。知らぬなら知らぬでいい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 突然のことでわかりません。
○玉置和郎君 これ総理ね、問題なのは、この印税が松本善明君のところに入っておるのか入ってないのかということなんです。これは共産党の代議士なんだ。大蔵大臣どう、調べる。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 印税はちゃんと納めるべきところへ納めなければならないと思います。事務当局から答弁させます。
○政府委員(松下康雄君) 私どもは教科書の経費の査定をいたしておりますけれども、その教科書経費の内容が、教科書会社からそれぞれのコスト、原価に応じましてどのように配分されているかまでは存じておりませんので、失礼をいたします。
○玉置和郎君 印税というのはどのぐらい取っておるの。
○政府委員(三角哲生君) 個々の教科書によって、会社によって異なっておるようでございますが、全体の平均は四・一%というふうになってございます。
○玉置和郎君 総理ね、問題に私はするのは、松本善明君個人のところに入っておるならこれは当然やっぱり申告せないかぬ、税金では。これが問題一つ。もし入ってなかったならどこ行ったのかということになって、共産党の本部にこれが入っておるということになれば、この印税で、検定教科書で、自民党が払った検定教科書であなたが倒されることになるのよ。どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 印税の問題については、どのように申告をされているか一遍調査をしてみます。
○玉置和郎君 ぜひ大臣、思い切って調査してください。
 それから、検定教科書にも問題はありますが、教師用の指導書、いわゆるとらの巻、これにやっぱり大問題があると思うんです。それについて参考人の意見を聞きたいと思います。
○参考人(名越二荒之助君) 各教科書にそれぞれ皆指導書というのがついておりまして、これは教育出版の指導書をたまたま持ってまいりましたが、先生方はこの指導書を愛用しているというように聞いております。授業の補助教材といたしまして、忙しい先生方はこれを見た方が手っ取り早いし、生徒に教科書を持たせ、先生はこのとらの巻で教科書以外のことも話ができるから、案外指導書の有効な効果が発揮されておるのじゃないかと思うんですが、この指導書の方は文部省の検定の対象になっておりませんので、勢い筆者の本音がこの中に盛られると、こういうことになります。各学校では大体PTA予算あたりで買っておるわけですが、値段が案外高くて大体三千五百円から三千九百円ぐらいかかるわけでございます。
 それで、この指導書の中には教科書と違う内容がどのように入っているか、私はちょっといま日露戦争の例でお話ししましたので日露戦争の記述を、教科書では文部省の検定を受けておりますから、いま申し上げたように反戦主義者が主役になってできておりますけれども、この検定を受けなくてもいい教師用指導書は、たとえば日露戦争のところでは、「宣戦布告をあとから出す(不意うち)であった。」と、こうして、「一九〇四年二月九日、日本の艦隊は仁川で……」というような調子で、その経過をずっとこう書いておるわけなんですが、そして、さも日本が侵略した、日本から戦争をしかけたというようなそういう叙述になっております。それで、私もこれはちょっとおかしいなと思いまして調べておりましたら、極東国際軍事裁判でソ連のゴルンスキー代表検事が論告している内容とほとんど変わらない。日本のこの指導書の方がもっと詳しく書かれておるということでございます。このゴルンスキー代表検事の諭告はどうか。「日本は一九〇四年、」書き出しからもう全く同じなんですね。「旅順の露国艦隊を宣戦布告なしに攻撃した。」と、こういうようなことでございまして、極東国際軍事裁判のソ連の検事の諭告がこちらの中に入っているという、こういう世にも不思議な現象が起こっているということを指摘申し上げます。
○玉置和郎君 参考人、これで最後ですけれども、これで後野党がばたばた言うことないと思うんですが、正常な教科書づくり、このためにはあなたはどういうふうにしたらいいと思うか、最後に御意見を承っておきたいと思います。
○参考人(名越二荒之助君) これ何分ぐらいでしょうか、十分いただければいいんですが――またおしかりを受けるようでございますので二、三分でまとめさしていただきますと、私は三つぐらいを一つの案として持っている。一つは、戦後の教科書に対して決定的な影響を与えたのは、やはり何といっても占領政策でございまして、その占領政策まで私は全面的に否定するとか全面的に肯定するとかいうことでなくて、たとえばマッカーサーとCIEが検定した教科書といわれる「くにのあゆみ」ですが、「くにのあゆみ」は大変よろしい。素直に書けております。現在の教科書よりもずっとバランスがとれておりますね。あの「くにのあゆみ」を使っておったらこういう校内暴力も起こらないだろうと思います。あるいはまたアメリカの教育視察団も、大正十五年ごろの教科書は評価しております、大正デモクラシーの影響があるからでしょうか。そういうようなことで、この占領政策が日本の教育内容にどのような影響をもたらしたかというところの原点に立って、ひとつそこから教科書をもう一遍洗い直してみて、いわゆるバランスシートをとってみたらどうかと、こういうふうに思うのです。憲法調査会のような大げさなものでなくて結構だから、そういうこと。
 それから、外国の独立国の教科書はたとえば神話をどのように扱っているか、戦争をどのように扱っているか、一揆をそれじゃどのように扱っているか、そういう外国の教科書との対比をやってみたらどうか。
 そして一つは、教科書六種類を検討しておりますが、どうも内容的にずさんで問題点がたくさんあります。それで、この間もその編集の総責任者に聞いてみましたら実は自分は読んでないんだというようなことを言っておりましたし、大変ずさんだから、どこか一カ所で、教科書出版協会でもいいからひとつ、一つの教科書を一教科ごとにつくってもらったらどうであろうか、そうすると国民の目も行き届きますし、文部省の検定も厳重にやれるであろうと思うのですが、そういうような方法はどうであろうか。国民全部が教科書に関心を持ってもらいたい、そうするためには一番いいんじゃないか。
 そしてもう一つは、やはり最終的にいい教科書たらしめるためには教育基本法の一部手直しをやったらどうであろうか、こういうように思うわけでございます。その一部手直しは、祖国の伝統を尊重するとか国を愛する心を養うとかいうような意味合いをどこかに挿入したらどうであろうか、自衛心を養うという言葉が入ればそれにこしたことはありませんですが。いまの教育基本法というのはどこの国にも通用する無性格な教育基本法であるという指摘はすでに国会議員の先人の方々が何回か指摘せられたわけで、この辺も原点の一つとしてお考えいただいたらどんなものであろうかというようなことを、われわれのささやかな研究の中から結論づけておるわけでございます。
○玉置和郎君 文部大臣にお聞きしますが、教科書出版会社とこの親会社、こういうものの関係について、知っておったらひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまいろいろと御議論になっております教科書の成立の過程でございます。ちょっと一言申し上げたいのでございますが、御案内のとおりに、文部省といたしましては検定の基準を定めまして、そうしてそれに基づいて出版会社がつくるわけでございます。大体出版会社の数は、小中学校の出版会社が約二十三社、それから高等学校を入れますと六十五社の出版会社があります。この出版会社は今度は執筆者をお願いをするわけでありますが、これは出版社が勝手に執筆者を選びましてそうして執筆を頼みます。それができ上がってまいりましたのがこれが要するに白表紙と言われるものでありまして、原稿木でございます。それに対して文部省の検定官が審査をいたしまして、そうしてその後いろいろと交渉を重ねました後に、今度は出版社の方においてその次の教科書のいわゆる原稿本というものができ上がります。その原稿本に対しましてもなおいろいろと意見を申し調整をするのでございますが、しかし、いまお話しの出版社とそれから印刷所の関係は担当の係官からお答えをいたします。
○委員長(木村睦男君) 名越参考人には、御多忙中のところ御出席くださいまして、まことにありがとうございました。御退席していただいて結構でございます。(拍手)
○政府委員(三角哲生君) 数社について、ただいま親会社はどこかという御質問でございましたので、お答え申し上げます。私どもとしては、教科書会社の筆頭株主になっておりますものの調べがございますので、それについてお答え申し上げます。
 まず、東京書籍でございますが、これは凸版印刷、それから教育出版、これが大日本印刷、日本書籍は共同印刷、それから学校図書は図書印刷、光村図書出版は光村原色版印刷所というところがそれぞれ持ち株を持っておりまして、筆頭株主になってございます。
○玉置和郎君 株数も、持ち株数。
○政府委員(三角哲生君) 凸版印刷が三七%、大日本印刷四八%、共同印刷の場合は三八%、図書印刷の場合が四四%、光村原色版印刷所の場合が一五%と、こういうぐあいになってございます。
○委員長(木村睦男君) 速記ちょっととめて。
   〔速記中止〕
○委員長(木村睦男君) 速記を起こして。
○玉置和郎君 いま何だったんですか。
○委員長(木村睦男君) これは理事会のことですからどうぞ質問を続けてください。
○玉置和郎君 理由を聞かしてくださいよ。待たされて、われわれ聞く権利あるよ。
○委員長(木村睦男君) いや、玉置君の発言のことについていま理事から話がございましたが、これは後で協議することになっております。
○玉置和郎君 いま局長から説明いただきましたように、この出版会社の方は大手印刷会社の皆ダミーなんです。全部この三〇%以上、人事権を持つ株数を握られておるんです。それだけに、この出版会社も大手印刷会社もこれは出版労連というのに入っておる、加盟しておるんです。出版労連について、労働大臣、知っておる範囲のことをお答えをいただきたいと思いますが。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 出版労連は会員数約一万三千でございまして、これはどこのナショナルセンターにも属しておりません。ただ、この出版労連が入っておりますのは、マスコミの共闘会議並びに統一労組懇と申しまして総評のナショナルセンターから一歩出られました共産党系の労働組合に属しておられるはずでございます。その他につきましては政府委員から御答弁させます。
○玉置和郎君 このいまの統一労組懇に入っておることはこれは事実です。これは統一労組懇が共産党系であることはもうはっきりしておる。それだけに、この委員長、副委員長、書記長、同次長、こういう方の名前がわかっておったらここでひとつ聞かしてください。
○政府委員(細野正君) お答えいたします。
 中央執行委員長は楢橋さん、それから副中央執行委員長は安東さん、池田さん、後藤さん、松原さん、森下さん、それから書記長が渡辺さんでございます。
○玉置和郎君 これは総理、文部大臣、全部日本共産党員だ、これは全部。それだけに共産党員に牛耳られておるんですよ。その事実をあなたどう思います。
○国務大臣(田中龍夫君) まことに遺憾な点でございます。
○玉置和郎君 これはまた大事なことは、日教組の教研集会の正式メンバーになっておることを知っていますか。
○国務大臣(田中龍夫君) 寡聞にしてよく存じません。
○玉置和郎君 総理ね、これがこの七九年の「教科書レポート」、日本当版労働組合連合会、これが出しておるんですよ。ここにこういうのが書いてあるんです。「今後も国・文部省の行政や政策の狙いを精確に読みとり、その欺瞞性を明らかにし反撃を開始する」と書いてある。それからここにこの中で一番問題があるのはこれですよ。この「教科書営業マンは語る」というところでこう書いてあるんです。その検定教科書を売りに行くのには、ここに書いていますが、中元、歳暮、飯み食いの接待はもとより、いまははっきり言って金を渡さなければならないと言い切っておるし、学参のリベートを取るということをはっきり言っている。これについていま政府がやっておるからというようなことを言っておるけれども、これは実際笑い事じゃないですよ。これは国家公安委員長、警察担当ですが、これは私は汚職になると思いますが、どうですか。
○政府委員(中平和水君) 教科書の選定の問題につきましては、かつて汚職事件に発展した事例もあるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この種の問題については従来から関心を持って対処をしておるところでございまして、ただいま御指摘の問題につきましてもそれなりに関心を持って対処し、的確に対応してまいるようにしてまいりたいと、こういうように考えております。
○玉置和郎君 法務大臣、きょう憲法で御登場いただかなかったですがね。これは告発があった場合、検察としては当然取り上げるでしょうね。
○国務大臣(奥野誠亮君) 十分調査して所要の措置をとることは当然のことだと思います。
○玉置和郎君 これは総理ね、問題なのは、こうして偏向だということはわれわれ大体わかってきた。ところが、偏向だ偏向だと決めつけてみても、五十六年、五十七年、五十八年三年間は改定なしに使わなければならないということになっておるんですよ。ここに問題があるんです。これ文部大臣どう考えます。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまおっしゃいましたように、小中の検定は終わっておりまして、印刷にかかっておるという段階であります。三カ年これは定着いたしますが、なおこれらの問題につきましてもこの教科書の十六条二項、四項と申しますか、客観情勢と合わないような節がございました場合におきましては、これを注意もいたしまして、そうしてその出版会社自体の自発的な意思によりましてこれを修正をいたすことは可能でございます。
○玉置和郎君 厚生大臣お聞きしますが、さっきあなたはとんでもないことだと言った。その記載は間違っておると言った。またほかの大臣も言った。だから総理ね、担当大臣で一回自分の所管のところを、教科書を調べてほしい。大事なことです。そして誤りがあれば改めるにはばかることなかれです、これは。
 大蔵大臣聞きますがね、この五十六年、こういう偏向した教科書にあなたどれだけ金出したんですか。
○政府委員(松下康雄君) 教科書購入費の予算額を申し上げますと、五十六年度四百五十三億円でございます。
○玉置和郎君 大蔵大臣ね、あなたわしにこう言ったんだよ。おい無償予算つけるなよ、おまえ総務会で反対してくれと、こう言ったんだ。わしは識見だと思った。わしもやるつもりだった。そうしたら党のあっちからこっちから、おい頼むから通してやってくれと言って、わしは内容何も知らぬものだから、まあただでやることはいいだろうといってやった。とんでもないことだ、これ。私自身も反省しておる。申しわけないと思う。国民に申しわけない。こんなうその、しかも偏向した――共産党が書いてそして社会党さんがこれで教えて、自民党さんが金を払うというんですよ。こんなばかなことありますかいな。それだけにこれはやっぱり改めなきゃなりません。早く、少なくとも五十七年からは改めるという方向、総理ひとつお答えを願いたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 教科書の無償交付の問題については、非常に財政窮乏の折、ひとつこれは――小中学校、それぞれ違う、二千数百円とか三千幾らと。一年分でそうですから、何とか父兄負担にしてもらえぬかということを大蔵省言ったことは事実でございます。
 ところがこれは、野党ばかりでなくて自民党の中からも大変に反対が多くて結局実現をしなかった。反対の中でもいろいろありますよ。いろいろありますが、もしこれを無償でなく有償にすると、もっと偏向するんじゃないかというようなことを言う人もあった。いずれにしても結果的に四面楚歌で、私だけ賛成言ったって通過しませんから、今回は下がったわけであります。
○玉置和郎君 これは確かに彼らの言うとおりで、自民党だけ金出してない。国民全部出したんです。しかしぼくらはそれはかなり出しておる。これはことしの申告だって一億近く出すんだから。それは少なくとも野党の言っておる連中よりわしの方がずっと多額納税者です。それは間違いがない。
 しかし、国民が全部出したということについてはそれは認めます。問題は金じゃない。問題はこうした偏向した間違った教科書、これが無償で国民の税金で払われておるということに問題があるんですよ。ならば大蔵大臣、これからあなた予算の執行せないかぬ。こういう問題についてことしはもう、五十六年はもう仕方ない。そうしたら五十七年からはこういう偏向した教科書ならば、あなたは政治生命をかけて反対するかどうか、ひとつ聞きたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 文部大臣とよく相談します。
○国務大臣(田中龍夫君) いろいろの御指摘をいただきましたが、私どもは何とか次の時代を担ってもらう青少年、その一番教育の中核をなす教科書がりっぱなものにならなきゃならないという念願で努力をいたしておりますが、なお、ただいま御指摘のような数々の事例も、これをぜひとも正常なものに戻していかなきゃならないということに全力を挙げて闘っておる次第でございます。
○玉置和郎君 私は、五十六年はもう仕方ない。これはちゃんと組み込んで、しかも衆議院を通ってきてもう仕方がないが、少なくとも総理ね、こういう間違った、偏向した一担当各大臣が言っておるんだから、閣議でも一回、後刻相談なさって、そうして五十七年にはこういう間違った教科書をつくらないという、決意だけでもあなたからお聞きしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、文部省として、文部大臣としてこれは重大な問題を提起されたと、こう存じます。文部大臣を中心に政府部内におきまして十分調査検討をいたします。
○玉置和郎君 検討するということは、この新指導要領に基づいた問題を、新検定制度の名に基づいたものを改めることもあるということですね。
○国務大臣(鈴木善幸君) 検討の結果によって措置いたします。
○玉置和郎君 総理と自治大臣にお聞きしますが、総理の御熱意を受けて――いわゆる全国区制の問題ですが、一票制、名簿式拘束比例、わが党で一生懸命に勉強してきた。それで、意見の云々の問題も大体クリアできたと私は思うんです。この問題について総理として不退転の決意を持っておるかどうかお聞きをしたい。急がないと間に合わない。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、この全国区制度の問題は、自由民主党総裁に就任いたしました際、最初の記者会見でこの問題を提起いたしておるわけでございます。その後、国会を通じまして、選挙制度の改革、特に全国区制度の問題につきましては、次の五十八年選挙には新しい改正された制度で実施をいたしたい。こういう考え方で、ただいま参議院自由民主党の方では審議が進められ大体まとまったようでございますが、ただいま自由民主党の選挙制度調査会、竹下調査会長のもとで鋭意作業を急いでおります。一応党として成案を得れば、各党に御相談をして今国会にも提案をしていただく。そして、繰り返しますが、五十八年選挙にはぜひ新しい制度で実現できまするように、これは国会でお決めいただく問題でございますから、どうかそういうことができるように、各党各会派が大局的な立場でこの選挙制度の改正を進めていただきたい、こう念願しております。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 全国区制につきましては私も経過をよく承知しているものでございます。ただいま総理がお述べになりましたとおりでございますので、今後各党間におきまして十分な連携のもとに結論を得られるようにお願いをいたしたいと存じております。
○玉置和郎君 総理、次に安全保障の問題に移りますが、世界の流れを見ておりますと、これはまあ大きな国が武力でもって対決しておる――クローズアップして見えますね。しかしぼくは、人類的な大きなうねりというのは、人類がひとしく持つ平和への希求です。たとえばローマ法王が来られた。あなたもきょうは言っておられましたが、そうすると、あの平和の言葉の前に、イデオロギーを超え、宗派を超えて大歓声を上げて歓迎をする。亡命中のダライ・ラマ猊下。僧衣を着て御仏の使いとしてということで平和を訴えられたら、もうあちこちで大歓迎を受ける。
 二月五日に、私の方の、宗政研でございますが、そこの佐藤幹事長が団長でワシントンに行きました。そうして、力の政治家と言われておるカーター大統領がみずから主宰をして、百カ国もの宗教実践の政治家を集めて――カーターじゃない、レーガン。間違えました、レーガンです。そこで、この三千五百人集まったその人たちが、カーターが、われわれこの困難な時代に一どうしてもレーガンを、私がカーターと間違うのは、去年私、団長として行ってきたんだ。それでカーターのなにを聞いたから、感動したからいまカーターと言うが、レーガンのことです。レーガンが、神とともに行くんだ、それでないと困難なこの世界の問題は解決しないんだと言って訴えたときに、三千五百人がわあっと立ち上がって、大歓声を上げ、そして、神よ、米大統領に祝福あれという合唱になったということを帰ってきた連中に聞いた。これには民社党の代表、新自由クラブの代表、各宗教団体の代表が参加をした。こういう動きについて総理としてどう考えますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、宗派を超えて人道的立場から世界の平和を希求するためにそういうような催しをされたということに対しては、敬意を表するものでございます。
○玉置和郎君 ぼくはやっぱりこういう一つの世界的流れというのを重視するんです。それだけに、どうもこう見ておりますと、日本の防衛で正面装備、正面装備と言って動いていく。本当に、正面装備を充実することを否定するものじゃありません。しかし、本当に正面装備だけでいいのかという疑問を持つんです。それについてどうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 ただいま玉置議員御指摘がございましたとおり、五十六年度予算におきましては正面装備に重点を置いて、もちろんこれと関連あります後方関係の経費につきましてもできるだけ充実を、強化を図ったのでございますが、防衛力の現状について見ますると、全般的にまだ防衛計画の大綱に定められた防衛力の規模に達していないほか、陸上装備、艦艇、航空機等の装備の老朽化、即応体制の不備、基地等の抗堪性の不足、弾薬備蓄の不足等による継戦能力の不足等、種々の問題を抱えておりますし、現下の厳しい国際情勢にかんがみ、可及的速やかにこれらのを是正して、大綱に定める防衛力の水準を達成する必要があると考えております。今後も引き続きこういった点の是正につきまして力を尽くす所存でございます。
○玉置和郎君 海上保安庁、北海道の海上保安庁の体制どうなっておるか、お聞きをしたいと思います。
○政府委員(妹尾弘人君) 北海道海域に関しましては、第一管区海上保安部が所管いたしておりますが、北海道各地の海上保安部署、航空基地の現状は、巡視船二十隻、巡視艇十七隻、飛行機三機、ヘリコプター六機を配属しております。また、昭和五十五年度における第一管区海上保安部に要した予算は、人件費を含めまして約百七十三億円でございます。
○玉置和郎君 長官、保安部と保安署、どの辺に。あるのか、ちょっと答えてください。
○政府委員(妹尾弘人君) まず、北方四島関係でございますが、根室海峡に関しましては根室海上保安部及び羅臼海上保安署をもって警備をいたしております。そのほか、各地、釧路、紋別、稚内等に保安部を設けております。
○玉置和郎君 長官ね、海上保安庁で把握をしておる北方四島正面に日本の自衛艦、これが来たことあるのかないのか、お聞きをしたい。
○政府委員(妹尾弘人君) 自衛艦の行動につきましては、海上保安庁といたしましては一々報告を受けておりませんが、根室海峡に関しまして自衛艦を視認したという報告は受けておりません。
 それからなお、釧路等につきましては、年間十数隻の自衛艦が入港いたしております。
○玉置和郎君 北方四島正面というのは、これね、各大臣、これ閣議で問題にしてほしいのは、ここが根室なんだ、ここが羅臼なんだ、ここが網走なんだ、ここが紋別なんだ。少なくともこの地域に海上自衛艦は一隻も来ない。防衛庁長官、どうしてなんですか。
○国務大臣(大村襄治君) わが国周辺の海域につきましては、防衛庁、特に海上自衛隊が監視をいたしているわけでございますが、北方四島周辺におきましては若干の部隊が駐とんしているわけでございまして、特に護衛艦を派遣する、そういう必要はいままでのところ生じておらないわけでございます。
○玉置和郎君 海上保安庁長官ね、あなたのところも飛行機持っておるし、ヘリコプターも持っておるんだが、この付近でかなり使っておると聞いています。この北方四島正面、この付近に日本の航空自衛隊機がこの領空を飛ばないという事実、これはどういうふうに確認していますか。本当のこと言わなきゃ本当にりっぱなものにならないんだ。
○政府委員(妹尾弘人君) 自衛隊機の行動につきましては、私の方から申し上げるより自衛隊から聞いていただきたいわけでございますが、平時における領海警備の第一線は、私どもとしてはわが海上保安庁で当面担当いたす、かように考えております。
○玉置和郎君 中川さん、あなたの選挙区なんだよ。これ知っとる、この事実。この事実知っておるかというの。
○国務大臣(中川一郎君) 私も、選挙区として非常に心配いたしております。どうも手薄のような感じがいたします。
○玉置和郎君 総理ね、この北方四島正面に日本の自衛艦は行かないんです、これは。釧路まで行くんです。ここの稚内にはたくさん来るんです。この正面よう入らない。軍事専門家に言わしたら自分の領海、自分の領空に自衛のための軍艦を持ち、航空機を持ちながら入らないということになったら、放棄をしたと意味されても仕方がないという見解があるんです。どうですか、これは。これは総理ですよ、これは総理がおっしゃったら。大きな政治的判断だ。初めて聞くんでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、そういう防衛体制の面から言って、そういうことになっているというようなことは素人でも私は非常に意外だ、こう思うんです。
○玉置和郎君 そこで、中山長官、あんた北方の日つくったんだよ。この事実知っておる。
○国務大臣(中山太郎君) 存じております。
○玉置和郎君 存じておったら何であなた、防衛庁長官と話したことあるの、これは。何で対応しないの。
○国務大臣(中山太郎君) わが国の領土の防衛に関しては所管の防衛庁長官が責任を持っております。
○玉置和郎君 あなた総務長官の前に国務大臣なんだよ。国務大臣は自分の所管だけじゃない、全体の問題をやるんですよ。それだけにあなたが知っておったら、なぜ防衛庁長官に、そうして総理に話をして、こういう状態に対して改めないということは私はおかしいと思う。どうなんですか。北方の日ばっかりつくったってだめだよ、そんなものは。
○国務大臣(大村襄治君) 私どもに関係のあるお尋ねでございますので。先ほど申し上げたわけでございますが、護衛艦あるいは航空機の状況につきましては具体的な御質問でございますので、政府委員から補足説明さしていただきたいと思います。
○政府委員(塩田章君) お答えいたします。
 北方四島周辺の哨戒体制につきましては、航空機による哨戒は海上自衛隊及び航空自衛隊の航空機をもって実施いたしておりますが、艦艇による哨戒はいたしておりません。
○玉置和郎君 これはね、私のところは総理、ここに私の組織の人たくさんおるんです、これ。特に根室なんてたくさんおるんです。この辺も網走もそうなんです。この人たちの調査に基づいて私か言っておるんですよ。それだけにいま言っておりますが、航空自衛隊が飛んでおるなんていうのは、一年に流氷の調査に来るだけなんです、これ。そんなしょっちゅう飛んでおるわけじゃない。米軍が飛んでおるんだ、これは。だからそんなうそ言ったらいけません。私は何も責めるんじゃない、こういうところに対して航空自衛隊も海上自衛隊もやっぱりちゃんと行くべきだということを言わんがために事実関係を明らかにしておるんですよ、野党の追及とはわけが違う。だから、もっとそういう不可思議な答弁しないで、本当のことを言うべきです、これ。私から注意しておきます。これは大事なことです。
 次に、そこで、総理ちょっと軍事知識を、これこう三つ並んでおります。これどこの戦車ですか、知っていますか。(模型を示す)――防衛庁長官先に行け、これどこの戦車、あんた。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 ちょっと見ただけでございますが、一番左がソ連で、真ん中が西独、一番右側がわが自衛隊、そのように思います。
○玉置和郎君 これ百点満点でゼロだ。これが西ドイツのレオパルトII、これが七四式戦車、日本製。これがソ連のT62なんです。こういう方がこれ防衛庁長官になって日本の防衛、これ大丈夫ですか、総理。笑い事じゃないですよ、これ。どうです。
 これはなぜそんなことを言うかというと、私きょう外務省を通じて調べてもらったんですけどね、防衛庁長官だとか外務大臣だとか大蔵大臣だとか、そういう者はしょっちゅうかえるもんじゃないです。防衛庁長官一年ごとに首切ってころころころころかえるでしょう。わかるはずはないですよ。私は防衛問題十年追っかけているんだ。私なんかはしかし防衛庁長官になったら一日もたぬです。野党がぎゃあぎゃあ言うからすぐ首だ、これは。国会とまる。またなる気もない。それだけにこういういまの政治家が軍事に暗いということは非常に危険なことです、私は。それだけに周辺の軍事情勢に明るいことと真のシビリアンコントロールというのはこういう正面装備に出てくる、そういうものについてもある程度の専門知識を持つということでないと、真のシビリアンコントロールはできないと、私の見解ですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) まさにそのとおりだと思います。
○玉置和郎君 そこで、これはT62ですからね、こんなものは第二世代の戦車といって古いんです。いまソ連はT72。それもっとすばらしい戦車をつくっておるんです。この七四式戦車もこれも第二世代の戦車というんです。もう遅いんです。おくれておるんです。レオパルトIIは西ドイツの戦車です。このレオパルトIVがいまできておる。しかし、第三世代の戦車というものと第二世代の戦車、七四式というもの、これの比較がここに出ておるんです。防衛庁の塩田君でもいいし装飾局長でもいいが、この比較について主立ったところだけでいい、説明してほしい。
○政府委員(和田裕君) 御質問の点についてお答え申し上げます。
 主立った点ということでございますが、七四につきましては私どもの資料から、それから、御質問のございましたレオパルトIIでございますか、それからソ連の戦車につきましては……
○玉置和郎君 ソ連はいいです。
○政府委員(和田裕君) よろしゅうございますか。
 レオパルトIIにつきましてはジェーン等公開の資料によりまして申し上げます。
 まず火砲から御説明いたしますと、火砲につきましてはT72は百二十五ミリの滑腔砲、スムーズ・ボヮーというやつでございます。中にらせんが敷いてないやつでございます。それからレオパルトIIは百二十ミリの滑腔砲でございます。七四式戦車は、先生御存じのとおり百五ミリの施旋砲、ライフルの切ってあるやつでございます。そういうものを搭載しております。
 次に速度でございますけれども、いずれも最高時速で申し上げますと、レオパルトIIは約七十キロメートル、七四式戦車は約五十三キロメートルでございます。
 次に航続距離でございますけれども、レオパルトIIは五百キロメートル、それに対しまして七四式戦車は約三百キロメートルでございます。
 それから、渡渉能力、要するに水の中へ入っていける能力でございますが、これはレオパルトIIは約四メートル、それから七四式戦車は約二メートルでございます。
 装甲につきましてでございますが、レオパルトIIは特殊装甲――先生よく御存じのとおり、どういいますか、隔板装甲といいますか、そういった、あるいは多層装甲といいますか、いろいろな種類の装甲を重ね合わせまして、それによりまして防護能力を強くする、そういう特殊装甲を使用しております。七四式戦車の方は、基本的には鋼板による装甲をしておるということでございます。
 以上のほかに、レオパルトIIにおきましては射撃統制能力の面でわが国の戦車に比べまして世代が新しいだけにすぐれている、そういうふうに考えております。
 以上でございます。
○玉置和郎君 全大臣お聞きください。あなたたち、所管大臣と同時に国務大臣です。所管大臣の先に国務大臣があるんです。だから閣議があるんであって、これはおれは厚生大臣だから関係ないとか、農林大臣だから関係ないとか、行政管理庁長官だから関係ない――しかし中曽根さんの場合は次期総理になられるのだから関係あるかもわかりませんけれども……。
 とにかく、こういうことですよ。主砲一つとってみても、いま言いましたように滑腔砲で百二十ミリがこのレオパルト。ドイツです。それから、こっちが百五ミリでライフルのらせんを切ってある。だから、七四式戦車だと弾を百発撃ったらもう後撃てないんです、摩滅して。滑腔砲の場合は二千発続いて撃てるんです。しかも弾の威力がもう全然違う。これ一つとってみても大変な違い。百発撃ったら砲身をかえなきゃいかぬのです、七四式戦車は。しかし私は、恐らくこれは日本が後発部隊です。戦車というのは大体五年から十年で仕様が変わってくるんです。だから、七四式戦車がことしの予算で七十二台、これはどうですか、認めますね。
○政府委員(塩田章君) 七十二台でございます。
○玉置和郎君 レオパルトは幾らで、それから七四式は幾らですか。
○政府委員(和田裕君) 七四式は、ことしの予算で申し上げますと三億四千二百万円でございます。それからレオパルトIIにつきましては、いろんな資料がございまして正確なところわかりませんけれども、この間サウジアラビアに輸出したものにつきましてはかなり安くなっておりまして、これにつきましては……
○玉置和郎君 二百五十万ドル。
○政府委員(和田裕君) そうです。二百五十万ドルというような見当になっております。
○玉置和郎君 総理、大蔵大臣ね、これだけ性能が決定的に違うんですよ。こっちは、レオパルトIIというのは第三世代の戦車だと言うんです。こっちは第二世代の戦車なんです。これと反対なんです。こんなものは本当は間に合わないんです。T72の前に来たらこれはイチコロなんです。射程が全然違うんです。レオパルトIIは射程が三千五百なんです。こっちは二千ちょっとなんです。だから、戦車なんというのは早う見つけて撃ったものが勝ちなんです、いまは、必ず当たるんだから。そんなものに何で三億四千二百万円もこれ出すんですか。こっちは二億四千五百万で買えるんですよ。どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 御指摘のように、性能にはかなり開きがあるわけでございますが、しかし戦車の能力は時と場所、状況により異なるものがありまして、たとえば比較的近距離で地形を利用した戦闘を行う場合などにおきましては、七四式戦車が列国の最新鋭戦車に対して対抗できないとは言えないものがございます。そこで、わが国の陸上自衛隊の戦車は、その一昔前のがまだ数が多い。そこで、七四式戦車を昨年六十両、ことしは七十二両、中業期間中に三百両ということで整備を図っているわけでございます。そこで私どもは、それで甘んじているわけではございませんで、先生御指摘のような性能の開きが出ておりますので、次期の戦車の開発研究につきましても、技術研究所を中心にいま一生懸命研究を行っているところでございます。
○玉置和郎君 総理ね、私の言いたいのは、それは確かに七四式戦車もちょっとちょっとちょっとでつくっていくと高いものにつくし、なかなかいいものできないですよ。やっぱりつくるときには、だんとつくらなきゃいかぬのです。ある程度の経済性というか、企業ですから、つくる方は。これは三菱重工でつくっておるんですが、私は三菱重工に味方するわけじゃない、ないが、つくるときには思い切った予算を出さなきゃだめなんです、これは。武器というのはそうなんだ。私はそれを言いたい。いま八八式を開発しています。もうすでに委託費を渡しておる、結構だと思う。しかし、小出しに注文しておくようなことじゃ、また五年たって十年たったらもうおくれるんです。軍事というのはそういうものなんです。それだけにその見解についてもう一回防衛庁長官にお伺いしておきます。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 新戦車の主要な構成要素に関する研究は昭和五十二年度から実施しております。これまでに砲塔装置、動力装置、車体懸架装置、戦車主火砲及び同弾薬、防弾構造等の研究、試作を行っているところでございます。五十六年度は総合システムスタディ及び防弾構造について研究を行うこととしております。
 なお、先日私、技術研究本部を視察しました際に、相当この研究は進んでいるということで職員を激励してきたところでございます。
○玉置和郎君 日米で恐らくこういう問題話し合いされると思うんです。そのために大事なことは、一%以内に抑えるんだとかなんだとかいって、それで国会がいろいろ言う。それは間違っておるんです。防衛というものは、特に軍事装備という問題は金を出すときにはだっと出さなきゃだめなんです。真の福祉は――これは大蔵大臣に聞きますが、真の福祉はやっぱり国民の安全が保障されて真の福祉があると思うんですが、あなたどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 総合的に安全が保障されることが大切です。
○玉置和郎君 そのとおりだと思うよ。福祉だけでは――福祉福祉と、野党はもう立ち上がると福祉と言うんです。福祉というのは国の安全があって、そして――外部からいつも脅威にさらされておる。潜在的脅威というのはこれが顕在したらどうなるんですか。顕在したらこれ戦争のことですよ。西ドイツの法律によるところの緊迫事態というのは、これは潜在的脅威なんです。緊急事態法というのは、これは顕在的脅威なんです。そのことすら知らない、これは。そうして、得意になって福祉が優先する、福祉が優先せよ。安全がなかったらどこに福祉がありますか。
 もう一回聞きますが、これはだれに聞いたらいい――総理に聞きましょう。総理、答えてください。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、防衛努力をやっていかなければならないことはよく承知をいたしております。これは、防衛計画の大綱に基づきまして着実に進めておるわけでございまして、一遍に予算をつけて一遍に装備をするというようなことは確かに効率的かもしれません。しかし、全体のやはり国政としては総合性を持ちながら進めていかなければならないと、このように考えておりますので、防衛努力につきましても、そういう中において着実に進めていきたいと、こう思っています。
○玉置和郎君 ぼくは、それではアメリカとの対応はできないと思いますよ。私もアメリカに多くの友人がおりますがね、政治家でも。その連中は非常に心配しておるんです。それは、心配しておるとはどういうことかというと、正面装備の問題を幾ら言ったって日本はなかなか腰が上がらない。これが一つです。もう一つ心配しておるのは、日本人が、日米安保があるから大丈夫だと言い切っておる。ところが、その日米安保をいまアメリカで実質的に後退させようという意見が出てきておることを総理は知っていますか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、いま玉置さんおっしゃったのは恐らく戦争権限法の関係じゃないかと私は思うんですが、三、四年前から議会筋で兵力投入権の制限ということに関しまして動きが出ているのはこれは確かでございます。昨年もたしか玉置さんここでその御質問があったと思うんでございますが、玉置さん非常に研究しておられるのでございますが、安保条約はこれはまあ行政府だけでなくて、議会も承認してでき上がったわけでございますが、まあ日本が武力攻撃を受けるときは、御承知のとおりアメリカが一緒に防衛をする、共同で防衛をするということでございますが、しかし、それは私どもも、日本がやっぱり努力しなければいかぬと、そのためには、日本の自分で自分を守るという努力をしなければいかぬと、防衛費の問題でございますと着実に取り組んでいく、あるいは基地の体制を整備するとか、共同訓練の問題もあるかもしれません。自分で自分を守るという努力をすることと一緒に、やっぱりアメリカが日本を守ってやることはアメリカの国益にもこれは絡むんだということをアメリカの国民、議会の人にも十分知ってもらうということが必要でございますので、日米関係の安保体制を円滑に運営するという意味から、日米関係のそうした実態を常に保っていくということが私は必要だというふうに思いますので、今後ともそのことについては努力をしていかなければいかぬというふうに思っております。
○玉置和郎君 総理ね、今度恐らくあなた行かれたら、問題になるのはここだと思うんですよ。この日米安保の第五条、これは官房長官、あなた詳しいからあなたに聞こうか。日米安保の第五条、この第五条を削除しようという動きがあるんです、これは「アメリカ戦争権限法の課題と改正の動向」という国会図書館の宮脇君が最近翻訳して私にくれたやつです。私もアメリカから資料をとった。英文の資料をとって私なりに翻訳した。で、私は戦争権限法の第一部作はもう手に入れた。そして二部作をいまやってもらっておる。レーガン大統領の周りがいまこれに証言をしていただいておる。それで三部作はこのアメリカの国内法、大統領の戦争権限をチェックしよう。そしてもう若者が、他国に出ていって血を流すことはお断りだというアメリカの強い世論に支持されておる国会の動き。これを見逃すわけにいかないんです。これは総理にお聞きしますが、戦争権限法というものを研究されたことがありますか、総理にお聞きします、これは。
○国務大臣(鈴木善幸君) 外務省、防衛庁から報告は受けております。
○玉置和郎君 亡くなった人にむちうつようですがね、大平さんに聞いたら大平さん知らなかったんですよ、これは。戦争権限法って玉置君何じゃって、こう言った。あのとき確かに藤尾さんも同席しておった。ぼくらびっくりした。アメリカの国会では戦争権限法というのはこれは大変なものなんだ。いかにしてアメリカの若者が外国で血を流さないようにするかという、この研究をもう盛んにやっておるんです。それが一国の総理であった大平さんが、昼飯よばれたときに申しわけなかったが、戦争権限法知っていますか、いや知らない、戦争権限法って玉置君側じゃと、こう言う。それだけに、ぼくはここでこの第五条を削除しようという、この米国会の動きがあるということについて、もう一回外務大臣に聞いておきますが、あなたはそれは確認しますね。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、いまの点はいままで結んだ条約の規定を削除しようというような動きでございまして、向こうのアメリカの議会にはそういう動きがあることは知っておりまして、それはわれわれとしても機会あるごとにそれはおかしい、困るということを言っておるわけでございます。
○玉置和郎君 ぼくは今度外務大臣が非常に苦しい立場に立つと思う。あなたも行かれたときに苦しい立場に立つと思う。それは大きな世界戦略の変化なんです、これは。相対的にソ連の力が非常に強くなったということなんです。それだけに正面装備をやってくれということを、これは非常に大事なんで、私は早く充実したいという考えを持っている。人後に、落ちない。しかし、もう一方では、日米安保を大事にしたいという日本人の願いがあるならば、もう少しく日本人は日本の周辺を守っておる第七艦隊あるいは沖縄の第三海兵隊、こういうものに対して素朴な感謝の気持ちの表現はできないのであろうかというふうによく言われる。あなたはどう思われますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本の防衛はわが国の自衛隊による防衛力の整備と、それから日米安保体制によって確保されておる。これを常に私どもは大事にしていかなければならないと、こう考えております。そして、いま第七艦隊がペルシャ湾方面の情勢に対応するためにインド洋からペルシャ湾方面に展開をしておると。この地域というものは日本の海上交通路、非常に大事な海上交通路の防衛にも間接的に当たっていただいておると、こういうことで私どもはその労苦に感謝をいたしておるわけでございます。
○玉置和郎君 ところが、現実アメリカの第七艦隊の乗組員の連中はそういうふうに思っていないんですよ。六カ月インド洋の暑いところで展開する。そうして、そこを通るタンカー、船はとんと日本船ですよ。最近の上院軍事委員会で証言をしておりまするが、七五%以上の日本の船をわれわれ守っておるんだと。二隻の航空母艦の費用だけで一日日本金に直して一億円かかると、こう言っている。五十以上ある第七艦隊ということになれば、一日のこの経費は大変なものですよ。膨大なものです。そして日本を守っておるんですよ。ところが、その辺から横須賀の基地へ帰ってくる。そうしたら、ジャパニーズオンリーと書いてある。米海兵隊入るなということですよ。一万円札握って何とかしてアットホームのような雰囲気を味わいたいといって行ったら、水割り二杯で一万円消えてしまう。
 ぼくは、去年たまたまあなたも非常に親しくしている豪州へ行った。パースへ行った。そうしたら、そこへ第七艦隊の旗艦であるエンタープライズが入ってきた。私はボート持っておるんで、その周辺見に行った。大きなものです。でっかいものです。ところが、見に、行ってびっくりしたのと同時に、もっとびっくりしたことは、その日のテレビ、ラジオ、新聞、一斉にダイヤル・ア・セーラーと言う。水兵さんに電話かけましょうと言う。各艦に電電公社が出てきて緊急に増設される電話だ。そしてテレビ、ラジオ、新聞で何々艦は何番、さあ、皆さん電話して各家庭に迎えましょうと言うんです。私の子供の近所の家の方も何人か迎えた。アットホームの歓迎をするんです。皆それぞれの国民の自腹を切ってやるんです。そうしたら、隣りの家は日本人が住んでいるが、日本人は何で呼んでくれぬのだ、やっぱり日本人というのは豪州へ来ても同じなのか、われわれはもう日本に行きたくない。これが戦争権限法になってくるんですよ。私は野党がいかにやじろうとも、やっぱり日本の国は守らなければならぬという観点に立てば、この辺が一番大事なことだ。そして、エンタープライズのパーティーには首相以下何十人という人が出ていって、そして心からなる歓迎をするんです。乗組員のパーティーには銀行に勤めている人、それから保険会社、証券会社、そういう人のしっかりしたお嬢さん方がパーティーに参加する。もちろん英語ができるからでもありましょうが、こういうことと日本のこれだけの差と、あなたはこれで日米安保が完全にいくと思いますかどうか、その辺を政治家としての判断をお聞きをしたい。そして、これからどうするのか、これをお聞きをしたい。――あんたじゃない、政治家の判断です。
○国務大臣(大村襄治君) ちょっと総理の前に……。
○玉置和郎君 いや、いいからいいから。そんなものはあなた答えることない。政治家の判断です。あなたも政治家だけれども……。
○国務大臣(大村襄治君) ちょっと……。
 玉置先生御指摘のような点もあるわけでございますが、昨年の十一月末空母ミッドウェーが長いインド洋の警備から横須賀に帰ってまいりました。横須賀の市民の皆さんが商工会議所を中心に自発的に歓迎会を開いていただきまして、その点は乗組員一同非常に感謝しておるというふうに聞いております。また、十二月の初めに私は司令官と艦長以下の幹部をお招きしまして、感謝の意を表しましたところ、司令官以下これを多とされまして、全将兵に伝えるということも言っておられたわけでございます。また、五十六年度の予算編成に当たりましては、日米安保条約を平時から効率的に運営するために、苦しい財政事情でございますが労務費について引き続き所要額を計上するとともに、環境整備等の施策につきましてもほかの経費よりは増額していただきまして、平時からこの日米安保体制が円滑にいくように進めているところでございます。
○玉置和郎君 これは米軍から文句が出たんです、文句が出てこうなったんです。それは艦長の交代があったときにだれが来たかといったら佐世保の市長だけ来たんです。現地の横須賀市長も知事も行かなかった、こっちからだれも行かなかった。それで米軍が怒り出した。その結果彼が行ったんです。そういうことは私はいかぬと思いますよ。オーストラリアと比較して。それで一番恩恵をこうむっている日本国が総理以下そういうふうな態度では私はいかぬと思う。あなたの見解をこの際聞いておきたい。これはアメリカに行かれる前に非常に大事なことだから、国会で責任ある答弁を期待をしたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど申し上げましたように、この日本の生命線ともいうべきところの海上交通路、これに寄与しておるということにつきましては私どもは高く評価をしておりますし、感謝をいたしておるところでございます。私は日米関係につきましてはいろいろな立場におきましてこの友好緊密な関係を増進していくということを進めていかなければいけないと、こう考えておりますが、なお、基地である横須賀を初め各地におきましてこの感謝の気持ちというものを十分米軍将兵にも伝えられるようにする必要があると、こう考えております。
○玉置和郎君 防衛問題はこれ一問で最後にしますが、海洋有事の際を考えて、国民生活に基づく所要輸入量に関する研究というのを防衛庁が行っておりますが、現在のこの時点に焼き直したときにどういうことになるのかひとつお答えを願いたい。
○政府委員(塩田章君) 御指摘の研究は、時点が五十年、五十一年に行いまして、当時の資料としましては四十八年当時の資料を使っておりますので大変古いわけでございますが、現在の時点で直して申し上げますと、そのときに、四十八年に、当時わが国が一年間に輸入しておりました原油、鉄鉱石、石炭、木材、食糧品、その他合計いたしまして約六億百十九億トンでございましたが、昭和五十四年度の同様の物資について申し上げますと、六億一千八百四十九億トンで、トン数から言いましてそんなに大きく変わっていないという状況でございます。
○玉置和郎君 国民生活上どのくらいの量を輸入したらどうなるのかという研究も海幕分析班でやっておりますが、私は非常にこの分析が大事だと思いますが、皆さんに知っていただくためにもひとつ説明してください。
○政府委員(塩田章君) いま申し上げました五十年、五十一年の作業で海幕の防衛部の研究分析班で行ったものでございまして、必ずしも防衛庁としての作業ではございませんけれども、御参考までに申し上げますと、当時四十七年、八年の生活保護基準、大都市四人世帯で約五万一千円。それから当時厚生省で発表されました日本人の栄養所要量、熱量で二千百カロリー、たん白質七十グラム、脂肪四十七ないし七十グラムということをベースにしまして、人口増加見込みを昭和六十年で一億二千二百万人と仮定をいたしまして作業いたしました結果、昭和六十年にいま申し上げました現在約六億トンでございますが、それがもし有事の際に最低国民生活維持上どれだけのものが要るかということを想定しまして、昭和六十年に原油で八千四百万トン、鉄鉱石で三千九百万トン、食糧で二千三百万トンないし二千八百万トン、合計でその他のものを含めまして約一億九千万トンは国民生活を維持していく場合に要るのではないかというふうな推定をしておるわけでございます。
○玉置和郎君 それに要する船舶数は。
○政府委員(塩田章君) 所要の船舶につきましてもトン数の大きさとかいろいろな要件がございますから定かにはあれですけれども、一応試算を申し上げますと、年間にいま申し上げました一億九千万トンを輸入するのにタンカーで毎月約五十隻、貨物船で約三百ないし三百五十、したがいまして合計で三百五十ないし四百隻の船が毎月外国から日本に入ってくるという必要があるというふうに計算されます。
○玉置和郎君 塩田さんね、その船舶に対する対応というのは将来どういうふうに考えていったらいいのか。
○政府委員(塩田章君) 恐らくそういった船舶が日本に入ってくる場合の海上護衛についての見通しのお尋ねではないかと思いますが、船舶を護衛する方法いろいろございますけれども、その一つとして船団を組んで海上自衛隊の艦艇で護衛すると仮に仮定いたしますと、いま一個護衛隊群で護衛艦八隻で編成をいたしておりますが、八隻の護衛艦で護衛のできる船団の所属する船舶の数、一応最大限五十隻ぐらいではないかというふうに見込んでおります。したがいまして、いまの、月に四百隻要るとすれば八組のそういった船団が要るという計算に計算上なります。護衛隊群が、現在は海上自衛隊四つございますので、四つの護衛隊群がいまの任務をフルに回転いたしたとしまして、月に一往復する必要があります。一往復しますということは、私どもがかねてから海上自衛隊の護衛能力のめどとしまして、一応航路帯を設けた場合一千海里ということを申し上げておりますが、その一千海里の往復にまあ月二回往復できるということで、計算上は、いま申し上げました四百隻の船を八組に分けてフル回転をした場合に護衛ができるという計算になりますが、まあそれは実際問題としましては大変困難なことであろうと思いますが、計算的に申し上げますと以上のようなことになるわけでございます。
○玉置和郎君 その七つの海に散っておる日本の船舶に対してどういうふうなことを求めるんですか。
○政府委員(塩田章君) お尋ねの趣旨が必ずしもよくわかりませんけれども、いま申し上げましたように、海上自衛隊の場合の海上護衛の実際上の能力を整備するめどとしまして、航路帯の場合に一千海里程度ということをめどにしておりまして、それにつきましては、いまのような護衛能力が考えられるわけでございますが、いま御指摘のように、七つの海に散らばっておるということになりますと、実際問題として海上自衛隊の護衛能力では及ばないんではないかというふうに思うわけであります。
○玉置和郎君 塩田君ね、将来の問題としてね、私は、船舶運航統制機関というようなものを持てということをずうっと言い続けてきた、それについての研究はどうですか。
○政府委員(塩田章君) いま私が、四つの護衛隊群がフル回転をして云々という例を申し上げましたが、その場合に、どこにそういった五十隻の船がいつ集まって、どの港に行って何を積んでくるのか、そういったことは実は大変大きな問題だと思いますけれども、防衛庁の問題というよりも、むしろ別の分野での、別の観点からの研究がなされるべきであろうと思いまして、私どもはいま数字的なことを申し上げましたが、具体的な先生のいまの御指摘の船舶運航統制の問題も含めまして、いま具体的にそういった船がいつ、どこに集まって、どういう形の船が何を積んでくるのか、そういったようなことについては現在何も検討は加えられていないという状況でございます。
○玉置和郎君 官房長官、これについてどう思いますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題は、五年ぐらい前から大変私自身も問題感を持っておりまして、当時、私、外務省におりましたが、防衛庁等といろいろ話をし、そして、それがいわゆるガイドラインになり、またいろんな研究になってきたわけでございます。率直に申して、はっきり問題が定義されておらないという点が一つ、それから、そこからまいります対策が、したがってもう一つ明確でないということを申せるのではないか。当時に比べますと、しかしかなりそういう意味での問題意識、それから、それについての対応の気持ちは進んでまいったと思います。
○玉置和郎君 総理ね、これは私は三木さんのとき、それから福田さんのとき、大平さんのとき、ずうっと言い続けた。これは河本大臣も知っておるはずです。だからね、内閣にできる総合安全保障会議ですか、こういう問題がなり進んできていますので、いまのこういう防衛庁の海幕分析班の調査、分析、こういうものをたたき台にしながらこの問題を考えていくという意思はおありなのか、全然ないのか、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほど来、一連の御質問ございました中で、要するに安全保障体制の一環としてのわが国の商船隊の保有船舶、これにつきましては、われわれ海運局を中心といたしまして、十分保有体制を点検いたしておりまして、これは先ほどお話しの安全保障会議の席で絶えず貨物の輸送状況、それから商船隊の活動等については検討事項としていたしております。
 それから第二点の問題でございますが、現在一言で言えば、その船がどこにあって、どういう荷物を積んでおるかと、あるいは方向をどう向いておるかということ、これにつきましては、アメリカで現在アンバーシステムということで、非常に研究は進んでおります。が、しかし、これアメリカも現に実用的にそれを組み立てて、安全保障体制の中に組み入れておるというところまではいっておらないようには聞いておりますが、しかし、研究は非常に進んでおりまして、それは沿岸警備隊が担当いたしております。
 そこで、われわれ海上保安庁におきましてもその体制を一刻も早くとりたいと思いまして、かねてから大蔵、財政当局と話してはおったのでございますが、五十六年度予算におきまして、どういうふうにして船の位置をつかむのがいいかというシステムの研究から始めたいと思いまして、本年度五百万円の予算を計上しておるところでございまして、なお一層の御支援を賜って、これの充実に努めてまいりたいと思っております。
○国務大臣(鈴木善幸君) 玉置さんはこの重要性に着目されて、三木内閣以来このことを警鐘を鳴らしておられるということでございますが、壮大な七つの海に動いております日本の輸送船、運搬船、漁船等も含めたら、これ、大変な数になると思うんです。それをいかにしてこれに秩序と計画を与え、これを守っていくかということになりますと、これは大変な、私は大きな問題であろうと、こう思います。海上自衛隊だけでできる問題ではないし、いま塩川運輸大臣からもお話がございましたが、総合的な角度で、日本が海洋国でございますから、その総合安全保障の観点からどう対処するかという問題、これは大変重要な問題でありますが、今後とも政府において研究を進めていきたいとこう思います。
○玉置和郎君 次に、中国問題をお伺いしたいと思いますが、中華人民共和国の元首、これはいまだれですか。
○国務大臣(伊東正義君) 葉剣英さんが全人代常務委員会の委員長になっておりますので、元首としての取り扱いは葉剣英さんだというふうに私は思っております。
○玉置和郎君 いま、どこにおるんです。
○国務大臣(伊東正義君) 中国のどこにおられるかでございますが、新聞にはよく広東というようなことが出ておりますが、現実にどこにおられるか、私、中国のことでございましてよく存じません。
○玉置和郎君 日本で元首的なお迎えをした華国鋒さん、これいまどうなってます。
○国務大臣(伊東正義君) 昨年の九月に参りましたときに、国務院の総理を、あれ九月十日でございましたか、やめるということでございまして、党の主席をやっておられると、そのときに、党の主席だけになったということでございましたが、その後その地位は私どもは変わったということは何も公式に聞いておらぬわけでございます。
○玉置和郎君 いまどこにおるんです。
○国務大臣(伊東正義君) これも中国のことでございますので、どこに住んでおられるかというようなことは私存じませんで、教えていただければまた結構と存じます。
○玉置和郎君 総理ね、なぜこんなこと聞くのかと言ったら、国家元首的な人がどこにおるか、どうなっておるかわからぬような国とこれは平和友好をやれと言ったって無理ですよ。これどう思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 玉置さんのような見方もございます。しかし日中の友好協力関係、これを私どもは重視しておるわけでありますが、アジアの平和と安定の見地からいたしますと、このアジアの大きな隣国である中国との関係というものは私どもは重視し、この友好関係を保っていかなければならないと、このように考えておるわけであります。
○玉置和郎君 林・江裁判、どのように理解していますか。林彪、江青、あの裁判。
○国務大臣(伊東正義君) これも中国の国内問題でございますので、私がここで公の立場でこれを批判するということは私は差し控えたいというふうに思うわけでございますが、ちょうど昨年の十二月に閣僚会議で行っておりましたときにそのことがあったわけでございますが、私どもはこれは経済調整の話が出たりなんかしましたが、いまの現政権ではああいう裁判をやっても国内的な政治的には安定をしているという自信の上に私はいろんなことが行われているだろうというふうに思うわけでございまして、あのこと自体を批判するということは差し控えたいと思います。
○玉置和郎君 私から言わしたらこれは党員が党員を裁いた内ゲバ裁判です。ケ小平の考え方が全部裏目に出た、これが中国というものを研究している人のほとんどの見方です。それについてどうですか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えしますが、裁判についてはいろんな意見があることは私も知っておりますが、さっき申し上げましたように、いまここでそれをどうということは私差し控えたいと思います。
○玉置和郎君 現実の問題として、日本がいまプラントの建設中止、延期、それで大変迷惑がかっていますがね。これが現実はどう見ますか。
○国務大臣(伊東正義君) お答えします。
 あの問題が起きましたときに、大来政府代表に行ってもらいまして、向こうの事情、いろいろわからぬことがございましたので、聞いてもらったわけでございますが、そのとき私は大来君に政治的ないろいろな権力争いでございますとか、そういうものがあの裏にあるかどうかということもひとつ向こうへ行ったら調べてほしいということで行ってもらったのでございますが、帰ってきてからの報告では、これはやはり経済的な問題で、農産物の価格とか賃金の問題とか、財政赤字とか、そういうような問題から経済調整をやっているということでございまして、私はやはり中国の近代化あるいは経済再建の途中の一つの試行錯誤と言っちゃなんでございますが、そういう問題で、政治的な争いとか、そういうことから来たものじゃないというふうに見ておるわけでございます。
○玉置和郎君 これは見解が違うからね。これは政治的影響がたくさんあるんです。少なくとも中国問題ではあなたより私らの方が権威なんだ、これは総理も認めるところ。ずっと追っかけてきたんだ。それだけにぼくは総務会で言ったとおりにいま中国なっておる。これは中川さん、あんたどう思う。青嵐会つくったときはその中国問題だったんだ。政治家として答えなさい。
○国務大臣(中川一郎君) しばらく外交問題の勉強から外れておりますので、詳細よくわかりませんけれども、日中を結ぶに当たっては、中国の政情というものをよく見きわめなければ、不安定要素もあるぞという議論もしてきたことを思い起こします。
○玉置和郎君 同じく青嵐会代表であった渡辺さん、どう思う。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は国務大臣でございますから、青嵐会の答弁は差し控えます。
○玉置和郎君 いや、政治家の責任として、あなたもやっぱり青嵐会の代表の経歴を持つんです。だから、いまその経歴の上に立ってそれで大臣になったんです。少なくとも政治家の見識があるはずだ。中国問題についてのあなたの見識を問いたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま申し上げたとおりでございます。
○玉置和郎君 あなたと時間をとっておったら長くなるので、また今度個人的にやろう。
 それから藤尾先生、これお聞きしますが、あなたの見解はどうですか。あなたも青嵐会の代表だったんだ。
○国務大臣(藤尾正行君) あなたの御心配と、御心痛と全く同じでございます。
○玉置和郎君 ぼくは、総理ね、間もなく、いま右ですけれども今度左になる、必ずなる。その左右に振れる期間がだんだんだんだん短くなってきておる、これが中国なんです。動、反動の法則というのは全く中国大陸に当てはまるんだ。やっつけた者は必ずやっつけられる。必ずケ小平一派が滅びる。それだけに、現在の軍の体制、どのように理解しておるのか、外務大臣。
○国務大臣(伊東正義君) 軍の体制につきましては、今度の四人組の問題その他の一連の事件を通して、非常に軍が慎重にこの問題を見守っているという立場だと私は見ておるわけでございまして、それが非常に動揺しているとか、そういうことでは私はないというふうに見ております。
○玉置和郎君 総理ね、これは両派からの妥協で国防部長が出た、国防大臣が出た。それだけにケ小平にすべてが傾斜しておるというわけじゃないんです。それだけにぼくらは中国問題について心配をしておるんです。軍の動きを十分注意してかからなかったらとんでもないことになる。それは総理、どう思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、中国の動きというものは長い目で見ていかなければならない。あれだけの大国であり、歴史を持っておりますし、また中国人という国民性、そういう面からいたしまして、長い目でこれを見、またおつき合いをしていかなければならないと、このように考えております。
 玉置さんのいまの分析なり、あるいは見方というのも一つのこれは見識であろうかと思いますが、私は、国交を結んでおります隣国でございますから、これに批判あるいは干渉がましいこと、あるいは影響を――私は日本の責任者でございますから、慎重に私はしなければならないと、こう思っております。前段で申し上げましたように、中国との関係はアジアの平和と安定の上から非常に大事だと、そして、中国というのはああいう国柄でございますから、長い目でおつき合いをしていかなければならないと、このように考えております。
○玉置和郎君 総理、ならば、アメリカも日本にとっては大切な国なんです。そのアメリカは、レーガンはレーガンの中国対策というのはあるんです、政策はあるんです。それに対して、これは新聞だと思いますが、「台湾寄り中国政策自制要請」だとか「台湾接近一線画せ」とか、これは本当に言ったんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私はそういうことは申し上げておりません。先ほども申し上げましたように、中国と日本との関係、また、最近の中国というものが西側に向かって開かれた国として、日本はおつき合いをしておる。これはアジアにおける平和の確保の上から大事にしていかなければならない。このように考えており、そのような認識の上で中国とのおつき合いもやる。また今後国際情勢もそういう観点に立って対応していきたい、こう思っています。
○玉置和郎君 「台湾接近一線画せ」なんでいうことば、アメリカへ行って言わぬでしょうね。
○国務大臣(鈴木善幸君) そういう国の方針、相手国の方針に対して、あれこれ介入したり、注文つけたりというようなことはいたしません。
○玉置和郎君 私は非常に大事だと思うんです。
 もうこれで最後になりますがね、私はあなたが総務会長のときに徹底的にやったわね、日中問題であなたは総務会長でよく聞いてくれたと思うのですよ。しかし、ぼくはあのとき一番心配したのは、このままにしておったら、中国に無制限に傾斜をしていくことはやがて日本の大きな脅威を生むことになると、こう言ったんです。それはソ連なんです。だから、中ソの問題について非常な懸念を表明してきたはずなんです。日中に無制限で傾斜をしていくと、ソ連は自分の敵の味方は敵である、必ず報復すると、こう言った。その結果いままでなかった樺太に一級師団二個師団持ってきて、北方四島に一個師団持ってきて、そしてウラジオストクに二級師団二個しかなかった。それを今度五つに一級師団ふやした。日本を取り巻いていま十個師団になっている。中ソ国境から全部来ちゃったんだ。この責任は一体だれがとるのか、この見解について私と全く同じ意見を持っておる藤尾さんに最後に聞きます。
○国務大臣(藤尾正行君) ソ連の日本に対しまする軍事的な一つの威嚇と申しますか、軍事体制、それは私は全般的な考慮によって起こってきたものであろうと思いますけれども、その根源、発端、そういったところに日中問題といいまするものが胚胎しておったことは私は疑いを入れないことであろうと、かように考えております。
○玉置和郎君 終わります。
○委員長(木村睦男君) 以上で玉置君の総括質疑は終了いたしました。(拍手)
 本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ―――――――――――――
○委員長(木村睦男君) 引き続き、派遣委員の報告を聴取します。
 大蔵大臣、農林水産大臣、通商産業大臣、運輸大臣、労働大臣、自治大臣及び国土庁長官にはお残りを願いたいと思います。総理大臣以下、他の閣僚は御退席くださって結構でございます。
 本委員会は、昭和五十六年度総予算三案審査のため、福島県、愛知県及び熊本県にそれぞれ委員を派遣し、去る二月二十五日各地において同時に地方公聴会を開会し、つぶさに現地の意見を聴取してまいりました。これよりその概要について御報告を願います。
 まず、福島班につきまして亀井久興君にお願いをします。
○亀井久興君 予算委員会地方公聴会福島班につきまして御報告申し上げます。
 福島班は木村睦男委員長、和田静夫理事、鈴木省吾委員、竹内潔委員、藤原房雄委員、そして私亀井が参加し、去る二月二十五日福島市において開催されました。
 公述項目は経済、景気動向、農林災害問題、交通網整備問題を含む地方財政の三項目であり、九名の公述人から意見を聴取し、これに対して各委員より熱心な質疑が行われました。
 以下、公述順に従い、公述人の陳述内容につきまして、その概要を御報告いたします。
 まず、経済・景気動向につきましては、福島県農業会議副会長松田徳君、福島大学教授米田康彦君、福島県商工会議所会頭三枝利光君から意見を聴取いたしました。
 松田公述人は、福島県の景気動向は、昨年来の冷害や豪雪等によって、農業機械、家電、自動車関係等、特に中小企業の落ち込みが激しく、百貨店の売り上げも前年比四%台の伸び率にとどまり、物価の上昇が続いていることを考えれば、実質的な伸びはマイナスとなっている。このため、速やかな景気浮揚策を望みたい。
 また、地域振興のため、公共事業費の配分等を実態に即するよう適正化するとともに、零細な補助金でも効果があるので、一律削減は行わず、農村環境をよくするため、農林計画法のようなものを策定し、公共施設を合理的に整備するほか、農地三法の施行に伴う関係機関の分担を明確にし、米の消費拡大の措置、国産飼料の試験研究の充実、畜産振興のための国有林の活用等について配慮されたい。
 なお、農地の値上がりに影響されて、宅地も値上がりしているので、地価対策の確立が必要であるなどの意見が述べられました。
 米田公述人は、現在わが国もいわゆるスタグフレーションの状況にあることを認識する必要がある。わが国の場合、従来型の財政・金融政策では、その効果は期待できない。それは、わが国の経済が、大企業の管理価格の強化とか、設備投資の手控えのため、不況の中の物価高という現象があらわれている。わが国では欧米諸国に比べ、物価上昇のテンポも鈍く、生産性低下もやや微弱であるが、これは輸出増、省力・省エネ投資によるものである。しかし、それも限界にきている。個人消費の不振、中小企業の経営深刻化等に見る不況の打開のためには、内需拡大は不可欠であるが、金融緩和措置だけでは、いたずらにインフレを促進するおそれがあると思われる。財政支出や、金利操作によらない個人消費の拡大と、設備投資、特に中小企業の設備投資拡大が重要ではないか。その方策としては、法人税についても、企業規模別、収益別に段階的な課税方法が必要であるし、大企業の余裕資金の吸収とか、所得税減税と福祉拡大、あるいは農業の振興、独禁法の強化などの対策を抜本的に講ずる必要があるとの意見が述べられました。
 三枝公述人からは、まず行政改革推進の必要性が述べられ、景気については、冷害、豪雪の影響は、今後ますます深刻化し、建設、自動車、繊維関連の企業を初め、大企業の進出に押されている本県の食品雑貨等の中小零細企業は強い危機感を持っている。
 従来二月にはほとんどなかった倒産も増加しており、六月ごろが危機ではないか。加えて、県内企業の約半数は赤字経営に陥っており、特に金利負担に苦しめられている。
 今回の法人税の増税実施については一応賛成するものの、その条件として貸出金利の引き下げが絶対不可欠である。現在の本県の平均貸出金利は、普通銀行、相互銀行とも五十四年当時と比べ二%程度高くなっているので、少なくとも、厳しい環境下にある中小企業活動の活性化のため、早期の金利引き下げを要望するとの意見が述べられました。
 次に、農林災害問題について、福島県相馬郡飯館村冷害対策本部長山田健一君、福島県東白川郡鮫川村雪害対策本部長石田卯子八君、振動障害対策巡回指導事業実施市町村代表星力君より意見を聴取いたしました。
 山田公述人は、昨年の気象条件は、二十八年の冷害年より悪く、日照時間は平年の四三%であった。このため、水稲の作況指数は一〇を割り込み、被害金額も米十二億七千万円、葉たばこ、牧草等総額十五億円にも達し、農家の実態は困窮をきわめている。
 飯館村としては、国、県とタイアップして、農業共済組合補助、種子確保事業、桑の樹勢回復事業等のほか、暗渠排水事業、造林地保有等を内容とする救農土木事業を行い、また、税の減免、給食費免除等の予算措置を講じてきたところである。今後、冷害を克服して足腰の強い農業を確立し、若者が喜んで農業に取り組めるよう、各種施策推進のため、天災融資法及び激甚災害法の早期指定、農業共済制度の改善、畜産を中心とした農業転換制度の確立を要望したいとの意見が述べられました。
 石田公述人は、阿武隈山系は、従来積雪量が少ないことで、豪雪に対し無防備であった。このため雪害の復旧もほとんど進んでいない。
 森林災害の特殊性は、農林施策の復旧が遅くとも一年以内に完了するのに、森林資源は直ちに復旧造林をしても、現状復帰までに二十年から三十年かかり、その間の収入の道がとだえることにある。
 また、森林資源の公益的機能の低下は重要で、折損木等の放置は、春先の乾燥期において山火事の原因や害虫の巣窟となる。その他、河川のはんらんや、水源涵養機能の低下は大きい問題である。今後とも造林意欲を喚起させるため、森林の公益的機能を重視して、激甚災害法、復旧造林の早期指定を希望するとともに、復旧造林の補助率は少なくとも五〇%程度にしてほしい。
 また、従来公共事業の対象となっていない折損木の整理を、その対象にしてもらいたいと要望されました。
 星公述人は、舘岩村は福島県南会津郡の最南端にあり、林野率は九五%を超えている。当村における林業従事者は、百六十名程度であり、うちチェーンソーを使用する者は八十名に及び、主に伐木造材作業に従事している。長期間のチェーンソー使用が原因と考えられる振動障害による労災補償保険認定者は六名となっている。
 振動障害防止対策については、国、県の指導のもとに、振動障害の早期発見と健康の維持増進のため、巡回方式で毎年実施している一次と二次の特殊健康診断を行うほか、チェーンソー操作技術、障害防止のための特別教育の実施、さらに昭和五十五年度より三カ年計画で振動障害対策巡回指導事業を実施している。今後とも振動障害防止のため、低振動チェーンソー買いかえに対する助成とともに、当地区には総合的医療機関が皆無という状況から、医療機関の整備強化に対し配慮してほしいとの意見が述べられました。
 最後に、交通網整備問題を含めた地方財政について、福島県副知事友田昇君、福島県市長会会長高橋元君、福島県町村会会長田中清太郎君から意見を聴取いたしました。
 友田公述人は、昭和五十六年度地方財政対策について、地方税の若干の充実、地方債の依存度の低下等、歳入面で改善された点は評価される。しかし、一般財源不足の補てん策は、地方交付税の借り入れ、地方債の増発という数年来変わらぬパターンで、抜本的な税制、財政の確立という点には至っていない。
 福島県財政の特徴としては、人口、面積等の関係で量的な面は大きいが、県民所得や財政力指数等で見た質的な面ではおくれており、県道舗装率も全国平均に及ばない。本県の五十六年度予算は五千二百三十八億円、前年比七・二%増であるが、歳入面では自主財源率が低く、農林水産費、土木費等投資的経費の割合が高い。退職金の支払いや、県立医科大学の移転費用等の負担増で、今後とも財政運営は厳しい。国に対しては、県民ニーズの多様化に対処するため、補助金のメニュー化、総合補助金の拡充の実現が早急に望まれると述べられました。
 高橋公述人は、県内の人口の流動は、近年、都市集中化傾向にあり、市部と町村部の人口比は、約六対四の割合である。市町村財政も財政体質の強化が必要であり、そのため、地方税制制度の見直し、地方交付税の税率改正、地方債資金の総枠の拡大、国庫補助負担制度の改善、特定地域に対する財政援助等を、国との行財政関係の改善、簡素化、合理化とあわせて断行すべきである。緊急の課題としては、高齢化社会に対応した保健医療制度の抜本的な是正、幼稚園就園奨励事業の国庫負担率引き上げ、水道事業に対する起債の利率の引き下げ等が必要である。
 県内市町村では、冷害の被害六百億円、豪雪被害が三百二十五億円あるのに加え、高潮の被害もあって、市町村財政は三重苦に責められているので、国の積極的な援助を要望したいと述べられました。
 田中公述人は、福島県内の交通網は、東北新幹線、東北縦貫自動車道の整備に伴い、高速交通時代への対応が重要な課題である。いわき市、郡山市、福島市等都市化の進化と、会津地区等の過疎地域や、電源地帯との交通網の確保のため、常磐及び東北横断道路の建設促進を期待している。
 東北新幹線については、大宮暫定開業では、特別のメリットはないので、早期の上野開業が望まれ、それまでは在来線特急等の確保が必要である。赤字ローカル線については、いわゆる会津三線のほか、丸森線など、それぞれ地域の事情があるので、将来とも確保することが望ましく、単に乗車密度だけで廃止されることだは問題がある。なお、東北地方に空港がないのは本県だけであり、成田空港の副空港としての役割りもあり、第五次空港計画に福島県空港の計画を組み入れられたいとの意見が述べられました。
 以上で福島地方公聴会の報告を終わります。
○委員長(木村睦男君) 次に、名古屋班については平井卓志君にお願いをいたします。
○平井卓志君 名古屋地方公聴会は、渋谷、沓脱の両理事、岩動、谷川、八木、竹田、三治の各委員及び私平井の八名が参加し、二十五日、名古屋市で開催いたしました。
 公述は、地方財政、経済・景気動向、産業問題の三項目で、八名の関係者より意見が述べられました。
 最初に、地方財政につきましては、まず愛知県知事仲谷公述人より、財政再建のため歳出を抑制した国の予算は評価し得るが、愛知県では景気対策に県単独の公共事業をふやす措置を講じたが、資材の値上がりから実質的公共投資は減っているので公定歩合等財政以外の政策手段を配慮してほしい。地方自治体も厳しい人員管理を進めているが、国も行政合理化の範を示すとともに、零細かつ細分化されている補助金を各省庁の官房で調整統合することを望みたい。近年、県財政は、交付税の交付、不交付を繰り返すほか、不交付団体に伴う割り戻しにより変動要因が生じ、安定的な財政運営が阻害されているので是正措置を検討してほしい旨述べられました。
 名古屋市長本山公述人は、地方の時代にふさわしい地域づくりを目指し施策を進めているが、起債の増加などで辛うじて財政収支を均衡させている。地方交付税や負担金などを通ずる現行の財源配分では国の方針によって歳入が変動し不安なので根本的見直しが必要である。都市公営交通を維持するため経営努力を続けているが、バス、地下鉄二事業の累積赤字は現在九百億円に達している。建設費高騰に悩む地下鉄建設に対する負担の強化とあわせ一層の援助を願いたい旨述べられました。
 なお、名古屋市が八八年に招致を望んでおるオリンピックについて、仲谷、本山両公述人から、オリンピックは、名古屋のみならず、国民に希望を与え国際親善に資すると確信している。名古屋開催が決定されたならば、簡素を旨とした新しいオリンピックのモデルとなるよう努力するつもりなので政府も最小限の援助は願いたい。また、国会においては招致運動を推進するため名古屋オリンピック招致決議の検討を願いたい旨述べられました。
 次に、経済・景気動向については、まず中部経済連合会会長加藤公述人は、投資や輸出の増加で順調だった中部経済も、円高による輸出増勢の鈍化、実質所得の目減り、住宅投資の減少でかげりが生じておる。自動車を初めとして輸出依存度が高く、また繊維、窯業など中進国の追い上げを受ける地場産業を抱えていることから、物価が落ちついても、円高や通商摩擦で輸出が鈍化し、景気が停滞することを考えると先行きはまことに厳しい。公定歩合の引き下げや公共事業の前倒しなど景気対策を遅きに失することなく早目に打ち出してほしい旨述べられました。
 また、名古屋銀行協会会長加藤公述人も、需要の跛行性の広がりで昨年後半以降経済は低迷を続けているが、ことしも円高や世界的な景気後退から輸出が鈍化し、在庫調整もおくれぎみで引き続き停滞ぎみに推移すると思われる。しかし、東海地域に優良企業が多く投資意欲も根強いので厳しい不況感は避けられ、後半には経済は上昇に向かうと思う。経済の持続的拡大を図っていくには風間経済の活力を維持していくことが大切で、投資減税など投資促進のための施策のほか、郵貯問題に見られる官業の民間圧迫を排除するなど過度の行政介入をやめ、自由化の推進を図っていくことが必要である旨述べられました。
 消費者の立場から愛知消費者協会東三河支部長高橋公述人は、ふくれ上がった国債を減らすため増税や公共料金の値上げはやむを得ぬ措置だが、消費生活に少なからぬ影響を与えることになる。企業への特別措置や医師優遇などの不公平税制の手直し、あるいは国鉄などを初めとする行政改革の徹底と合理化の促進を図るなど国民の納得いく政治を願いたい。国民が安全で豊かな暮らしをするため消費者保護行政に力を入れる必要があると思う。物価については、特に生産者、消費者双方の利益となる農作物の価格安定を図るとともに、複雑な流通機構の簡素化に努めてほしい旨述べられました。
 最後に、産業問題につきましては、まず自動車についてトヨタ自動車工業株式会社副社長山本公述人より、昨年後半から盲動車産業は不祝と消費抑制によって低迷を続けているが、人口当たり普及率はまだ低いので潜在購買力は今後も期待し得ると思う。ただ、自動車に対する種々の課税は国際的にも高いにかかわらず、今回物品税の増徴を決めたことはタイミングの点がらも不適切なる措置と考えている。輸出は、昨年の反動減や世界的不況、円高などで若干減少するものと予想され、また貿易摩擦を避けるため分別ある態度を心がけていくつもりだが、中には政治的に日本車の責任にしている例もあり、正当な評価を得たいと願っている。全体として本年の生産は横ばいにとどまり、一部減産を余儀なくされることから配置転換などで雇用に悪影響を与えないよう努めるつもりである旨述べられました。
 繊維につきましては、豊島株式会社社長豊島公述人は、秋冬物の出足のよい織布、メリヤス業界を除くと原糸、織物、二次製品の各業界とも原料高や輸入制限あるいは内需の大幅落ち込みで価格の低迷や在庫調整に苦慮している。織機の買い上げによる構造改善が進められたり、需要者ニーズの高級化に対応する品質のレベルアップに意欲を燃やしているものの、全体的に繊維品に対する消費性向が低下傾向にあるため、いかに国内需要を掘り起こしていくかが大きい課題となっている。繊維業界は輸出にも力を入れており、中近東地域にふえる傾向にあるが、円による取引は為替変動のリスクの回避につながるので円為替の取引増加に政府の特別配慮を願いたい旨述べられました。
 最後に、陶業について日本陶業連盟会会長藤田公述人は、陶磁器業界は中小企業が多く、政府の施策に関心を持っているが、五十六年度予算には失業対策や食管会計への繰り入れなど後ろ向きの予算が計上されている一方で中小企業への対策費が二千五百億円に満たぬことはまことに残念である。中小企業対策の中で要望したいことは、まず中小企業の育成を図るための組合研修の助成枠の拡大や産地振興法の期間延長と助成金の増額である。また、輸出ウエートの高い陶磁器としては、本年三月に廃止予定の中小企業海外市場開拓準備金制度の延長継続や中小輸出貢献企業に対する表彰等の各種奨励措置を講ずることを望みたい旨述べられました。
 以上で名古屋地方公聴会の報告を終わります。
○委員長(木村睦男君) 最後に、熊本班について古賀雷四郎君にお願いいたします。
○古賀雷四郎君 熊本班につきまして御報告いたします。
 熊本班は、柳澤理事、岩上委員、藏内委員、田代委員、小野委員、寺田委員、桑名委員及び私古賀の八名で構成され、二月二十五日、熊本市において公聴会を開催してまいりました。
 熊本班の公述項目は、農業・水産業及び地方行財政並びに経済・景気動向の三項目でありまして、六名の公述人から意見を聴取し、また、派遣委員から熱心な質疑が行われました。
 以下公述の要旨につき簡単に御報告いたします。
 まず、農業・水産業につきましては、熊木県農業協同組合中央会会長原利之君並びに熊本県漁業協同組合連合会会長理事松岡義昌君から意見を聴取いたしました。
 原公述人は、熊本県の農業は、関係者の努力の結果、全国第五位の生産額を上げるまでに成長し、国民食生産の安定に大きな役割りを果たしている。しかし近年、食糧消費の停滞に加え外国農産物の輸入増大から、米、養豚、酪農、養鶏、温州ミカンなど主要農産物の多くが厳しい生産調整を余儀なくされ、加えて、価格の低迷、生産資材の高騰などで農家経営は悪化の一途をたどり、五十四年度一戸当たり農業所得は前年比実に一〇・八%の減少となっている。今後、時代の請要にこたえ、農業の再編を果たすためには、農家の自助努力はもちろん、国においては、わが国の食糧はわが国で賄うとの基本原則に立って国内農産物自給率の向上と農産物輸入の抑制を行うべきである。また、水田利用再編第二期対策を推進するに当たっては、転作奨励金の増額、転作作物の価格保障制度の確立、飼料稲の転作作物指定と流通体制の開発整理を図るほか、用排水対策等の基盤整備は、農林水産省の計画では対象が限られ、農家の負担も高く、実行はむずかしいため、国庫負担の増額が必要である等の意見が述べられ、次いで松岡公述人から水産問題について、熊本県の漁業は三トン未満の漁船が八〇%以上を占めることでわかるように零細漁業が主体である。こうした中にあって、全国並みに石油危機前までは順調な生産を続けてきたが、石油価格の高騰、二百海里問題などたび重なる苦難に見舞われ、漁業経営は困難な状況に置かれている。目下、省エネ対策、魚価対策など経営の維持に懸命の努力をしているが、自主努力には限界があり、組合経営の悪化、未収金の増大など深刻化してきている。国におかれては、漁業を食糧産業として正当に位置づけを図るべく漁業基本法を制定するとともに、当面の救済策として、燃油対策特別資金の拡充、漁業経営安定特別対策事業の継続、漁業者福祉対策の推進、漁業用燃油の価格対策、安定供給対策の確立等を図られたいとの意見が述べられました。
 次に、地方行財政につきましては、熊本県知事沢田一糖君、熊本県市長会会長星不敏雄君から意見を聴取いたしました。
 沢田公述人は、行政改革についてはかけ声にとどまらず、地方行政事務は原則として地方の事務とし、国、地方を通ずる事務権限の再配分を断行することが国民の負託にこたえる重要事項であり、地方の時代の実効もこれにかかっている。具体的には許認可事務の整理縮小、権限の地方移譲、補助金の整理統合、メニュー化等が挙げられる。また地方財政の面では、交付税借入金と財源対策債の発行が累積して、これら借入金の償還額が年々増大して地方財政を悪化させる大きな要因となっている。こうした中で住民の生活環境整備等財政需要にこたえねばならず、地方財政制度全般にわたり、交付税率の引き上げ、超過負担の解消など恒久的な財政対策が不可欠である。なお、現在熊本県が当面している課題は、九州新幹線の鹿児島までの早期着工、国鉄の地方交通線対策、熊本県独自の問題である水俣病対策等がある。
 このうち地方交通線対策は、国鉄の再建を地方交通線の切り捨てで行うものでとるべき方策ではない。政令案の検討及び選定基準の適用に当たっては地域の実情を十分勘案してほしい等の意見が述べられ、次いで、星子公述人は都市行政の第一線に立つ立場から、地方の時代は地方分権への潮流変化のあらわれであり、この変化に即応した行政を行う必要があるが、まだ地方の時代からほど遠い状況にある。
 熊本市は、五十四年十月に健康都市宣言を行い、スポーツ施設等の積極的な推進を図ることとしているが、これらの推進に当たり、経済社会的な生活圏の広域化に対する対応が都市行政のあらゆる面で求められている状況にある。しかし、これらの都市づくりの具体的実行を図る場合、国と地方の事務分担の明確化並びに改善が必要であるほか、各省縦割り、手続繁雑な国庫補助金制度の改善、合理化が求められる。国、地方を通ずる行財政事務の現状は、明治以来の中央集権志向と地方に対する国の信頼感の不足から改善対策が進まず、むしろ応急措置の積み重ね等から、国、県、市町村の間の事務分担が複雑に入り組んできたものであって、地方都市の独自の創意工夫による総合施策の運営を困難にしている。地方の時代の推進のためにはこれらの改善が不可欠であるとの意見が述べられました。
 最後に、経済・景気動向については、熊本経済同友会代表幹事横山治助君、熊木商工会議所会頭田副敏郎君から意見を聴取いたしました。
 まず、横山公述人は、熊本県の経済は第一次産業のウエートが高く、高度成長期には労働人口の供給県となって人口減少が続いていた。第一次オイルショック以降は全国的に不況が広がったが、熊本県は総じて不況の波が軽く、県や国の農業関連公共投資が着実に実を結んだほか、IC産業の進出などで県民所得もふえ、全国との格差も縮小し、人口も増加に転じるなど五十年代は総じて景況は明るく推移してきた。しかし、最近に至り製造業に明暗が生じてきたほか、住宅建設の前年比三〇%減、新車販売の七%減など、個人消費の落ち込みの影響が心配される状況となっている。加えて、国の財政再建から、五十六年度において公共事業費の伸びが横ばいとなっており、熊本県経済が公共投資依存経済であることから懸念されるところである。今後は、農業の振興を図るほか、高付加価値産業の立地を進めなければならないが、交通基盤の整備が大きなファクターとなる。他方、金融面においては、郵便貯金への資金シフトから民間向け産業融資資金に心配な面があり、金利の一元化、税制の一木化等を図り、金融政策に万全を期してほしいとの意見が述べられ、次いで、田副公述人から熊本における景気のかげり現象について、昨年の冷夏長雨で農業所得が減少し、個人消費の伸び悩みに一増拍車をかけており、倒産業種も建設業のみならず卸売業、サービス業へと影響が及んでいる。熊本市の産業構造は、商業、サービス業のウエートが高く、九州での商業販売額は福岡市に次ぐ地代を占めているが、商店規模は零細であり、消費減退の影響は厳しい。また製造業においては、企業規模や業種間格差が生じており、その要因は、人企業と地場中小企業の技術力のギャップ、設備近代化の遅延などが挙げられる。こうした商工業をめぐる厳しい経済環境の中で経営の安定を図るため、景気対策として、公定歩合の引き下げ、公共事業の早期執行、設備投資と住宅投資の促進を要望するほか、中小企業対策として、地場産業振興対策の推進、後継者対策、融資制度の拡充、大型小売店出店規制などを図ってほしいとの意見が述べられました。
 以上で報告を終わります。
○委員長(木村睦男君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。
 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時五十三分散会
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