第094回国会 科学技術特別委員会 第4号
昭和五十六年四月十七日(金曜日)
   午後一時十分開会
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   委員の異動
 四月十日
    辞任         補欠選任
     大木  浩君     長田 裕二君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         太田 淳夫君
    理 事
                後藤 正夫君
                林  寛子君
                八百板 正君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩上 二郎君
                長田 裕二君
                片山 正英君
                上條 勝久君
                源田  実君
                鈴木 正一君
                西村 尚治君
                長谷川 信君
                藤井 孝男君
                藤田  進君
                松前 達郎君
                近藤 忠孝君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      下邨 昭三君
       科学技術庁計画
       局長       園山 重道君
       科学技術庁研究
       調整局長     勝谷  保君
       科学技術庁原子
       力局長      石渡 鷹雄君
       科学技術庁原子
       力安全局長    赤羽 信久君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       工業技術院総括
       研究開発官    五十嵐義男君
   参考人
       財団法人国際科
       学技術博覧会協
       会事務総長    伊原 義徳君
       日本原子力船研
       究開発事業団理
       事長       野村 一彦君
       日本原子力船研
       究開発事業団専
       務理事      倉本 昌昭君
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  本日の会議に付した案件
○新技術開発事業団法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
 (国際科学技術博覧会に関する件)
 (宇宙開発に関する件)
 (温度差発電に関する件)
 (地震予知に関する件)
 (原子力船「むつ」に関する件)
 (わが国の貨物船と米国の原子力潜水艦との衝
 突事故における放射能汚染調査に関する件)
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○委員長(太田淳夫君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、大木浩君が委員を辞任され、その補欠として長田裕二君が選任されました。
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○委員長(太田淳夫君) 新技術開発事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中川科学技術庁長官。
○国務大臣(中川一郎君) 新技術開発事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。
 国土が狭く資源に乏しいわが国が、今後とも経済の安定成長と国民生活の向上を図っていくためには、積極的に技術革新を促進し、科学技術立国を目指すことが不可欠であります。
 これまでわが国は、主として、海外からの技術導入とその改良、発展により、技術力の向上を図り、世界にも例を見ないほどの経済的発展を遂げてまいりました。しかしながら、世界的に技術革新が停滞し、技術導入も困難になりつつある今日、わが国としては、従来の導入技術依存型の体質からの脱却を図り、みずからの力で技術革新の一層の展開を図ることが必要となってきております。
 このためには、革新技術の源泉となる科学技術の芽ともいうべきものの探策に努めることが重要であり、内閣総理大臣の諮問機関である科学技術会議の結論をも踏まえ、産・官・学の優秀な研究者を結集し、卓越した指導者の指導のもとにその創造性を遺憾なく発揮させる流動研究システムを創設して、この研究を積極的に行うことといたしました。
 政府としては、その推進母体として、内外の革新技術に関する研究動向等に精通し、産・官・学を有機的に連携させる機関として適当と考えられる新技術開発事業団を活用することとし、所要の措置を定めることを内容とする新技術開発事業団法の一部を改正する法律案を今国会に提出した次第であります。
 次に、この法律案の要旨を述べさせていただきます。
 第一に、新技術開発事業団の目的及び業務に、新技術の創製に資すると認められる基礎的研究及びその成果の普及を行うことを加えることとするものであります。
 第二に、新技術開発事業団に設置されている開発審議会への付議事項として、新技術の創製に資すると認められる基礎的研究に関する基本方針の決定などを加えるとともに、同審議会の委員数の拡大を図ることとするものであります。
 第三に、基礎的研究は、研究主題ごとに、実施期間を設定し、新たに雇用される研究者により行うこととするとともに、研究を指揮する者として総括責任者を指定し、その指揮下の研究者の雇用に関しては総括責任者の意見を尊重しなければならないこととするものであります。
 以上、この法律案の提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(太田淳夫君) 以上で本案の趣旨説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
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○委員長(太田淳夫君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 科学技術振興対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、財団法人国際科学技術博覧会協会事務総長伊原義徳君、日本原子力船研究開発事業団理事長野村一彦君及び同事業団専務理事倉本昌昭君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(太田淳夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(太田淳夫君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○後藤正夫君 本日は科学技術に関して幾つかの問題について質問をいたしたいと思っておりましたが、時間の関係もございますので、本日は科学技術博覧会の問題を中心といたしまして質問をいたしたいと思います。
 なお、科学技術博覧会、「科学万博−つくば’85」、これにつきましては、去る四月八日に法案の審議、採決が当委員会において行われております。本来ならばその法案の審議の際に質問をいたすべきであったかとも思いますけれども、しかし、この科学技術博覧会につきましては、その基本方針については一部決定されておりますけれども、今後さらに検討をされるべき事項が多いということもございますので、この法案の審議以後においても、なお質問をさせていただいても差しつかえないだろうという考え方で、本日この問題を取り上げて質問をさせていただきたいと思います。
 先般、八日の本委員会におきまして八百板委員、塩出委員両委員からこの法案、この博覧会の目指す目的、その趣旨等について質問がございました。それについて長官、科学技術庁からも御答弁がございました。私もこの博覧会の趣旨といいますか、あるいはこの博覧会のフィロンフィーといいますか、どういう考え方、どういうねらいを持ってこの博覧会を開催していくかということにつきまして、大きな関心を持っております。この科学技術博覧会、国際博覧会条約に基づく特別博覧会というのは、人類の活動の一つの部門のみを対象として行うというのがたてまえになっているようでございます。そして、先般の委員会における御答弁からもテーマは「人間・居住・環境」というように、この博覧会と前後して行われます他の国際博覧会との関連のもとにいろいろ相談をされて、このテーマをお定めになったというように伺っております。
 しかしながら、考えてみますと、今日博覧会を開催します場合には、ほとんどどのことについて科学技術と関係のないものはないというように思われるわけでございます。科学技術博覧会の基本構想につきましては、ことしの一月に国際科学技術博覧会協会から発行されました基本構想の案にも書かれておりますけれども、この博覧会について、いま申し上げた特別博ということによって何らかの制約を受けるのか、どの程度制約を受けるというようにお考えになっているのか、その点についてまず御意見を伺いたいと思います。
○政府委員(園山重道君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、今度の国際科学技術博覧会は、博覧会条約に基づきます特別博覧会という位置づけでございます。したがいまして、先生御指摘のように、人間の活動一つの分野を取り上げての博覧会ということが、この特別博の基本的な理念になっておるわけでございます。私どもも当初科学技術というのが、一つの活動分野という形で取り上げられないかということで、いろいろ博覧会国際事務局とも折衝いたしたわけでございますけれども、これも先生御指摘のように、今日あらゆる活動科学技術にかかわらざるものなしということで、少し漠として広過ぎるんではないかという指摘が国際事務局の方からございました。
 そこで、いろいろ国際事務局の方とも相談をいたしまして、また先生御指摘のように、来年はアメリカのノックスビルでエネルギーを中心といたします博覧会がある、また昭和五十九年には河川文明ということでニューオーリンズでの国際博がある。さらに六十一年にはカナダで交通を中心とした国際博覧会があるということでございます。これらの各国が、やはり日本が余りに広い科学技術という範囲で博覧会を開くということに懸念を示したいきさつがございます。したがいまして、こういった国際事務局なり各国の代表に対しまして、私ども科学技術というもので、この時点に開催したいという基本的な考え方というものを説明いたしたわけでございます。
 私どもの発想というのは、やはり二十一世紀に向かいまして、御承知のようにいわゆる資源有限時代と、この資源有限の壁というものが人類に大きくのしかかってきておる。これを切り開いていくのは科学技術をおいてほかにないということで、現時点におきまして、科学技術というもので人類がどうやって二十一世紀に向かって、この資源有限の壁を切り開いていくかということを、一緒に考えるような場にしたいんだということをいろいろ説明いたしたわけでございます。
 この点につきましては、国際事務局あるいは各国とも決して反対をいたしておるわけではございませんので、先生御指摘のような、特別博覧会ということで、もう少ししぼったテーマを出してくれないかという話がございました。そこで、先生も御指摘の「人間・居住・環境と科学技術」というような考え方、英語にいたしましては、ドエリングス・アンド・サラウンディングスサイエンス・アンド・テクノロジー・フォー・マン・アット・ホームというものを出しまして、これで国際事務局あるいはわが国の前後で博覧会を開きたいといっておる諸外国の代表も御了解をされたわけでございます。
 それでは「人間・居住・環境と科学技術」ということで、どういう展開をしようとしているのかということでございますけれども、この点は私ども人間を中心に進めまして、人間が豊かで、安全、快適な生活を保障する居住様式及びこれらを取り巻きます、広く言えば大宇宙まで含めましたいわゆる環境、そうしてこういうものの中で人間がどうやって科学技術を使っていくかという、そのかかわり合いを考える場としたいというつもりでおるわけでございます、
 若干わかりにくい点あることは私どもも承知いたしておるわけでございますが、先生御指摘のように、現在博覧会協会におかれましても、基本構想の原案を一月に出されまして、現在各方面の意見を聞かれまして、五月ごろにはまとめたいということでございまして、こういった基本構想を練っていきます過程におきまして、私どもも当然博覧会を開催したいという原点の発想の理念を踏まえまして、協会ともよく御相談をいたしまして、特別博覧会にふさわしい一つの全体を貫く基本理念、フィロンフィーというものを確立していくべきだろうと、こう考えておるところでございます。
○後藤正夫君 いま御説明のございました、私もそういう点ぜひ力を入れて、今後検討をしていただきたいと思います。特に、そのフィロンフィーの問題というのは非常に大事なことだと思います。
 若干私の意見も交えてお願いをしたり、また意見をお伺いしたいと思うんですが、実は私は子供のころから博覧会というのが非常に好きで、古くは大正九年の平和博覧会、そうすると年が幾つかということがわかるかもしれませんけれども、大正九年の平和博覧会以来、博覧会というのはずいぶん好きでたくさん見てまいりました。
 実は一番印象的なのは一九六七年に行われましたカナダのモントリオールの万博でありまして、この万博は「人間とその世界」というのがテーマでありましたけれども、この博覧会全体を貫いている一つの考え方は、人間が選択の自由を失いつつあるのだと、それをどうやって乗り越えていくかというところに重点が置かれているような印象を受けました。もちろん、この博覧会は映像の祭典――もしこれが映像の祭典であるならば、大阪の万博は映像の大祭典であったかもしれないと思います。マルチスクリーンを使った映像の祭典であったと思います。この「人間とその世界」というテーマに関連する中で、たとえば、人間が生まれてから死ぬまでの間を幾つかの場面にしまして、それを鉄の格子の中で、すべての景色も人間も石こう製の真っ白い像であらわしていて、人間は生まれてから死ぬまで鉄格子の中に閉じ込められながら生存をしていくのだと、そういうことになりつつあるのだということから、いま申し上げた選択の自由を失いつつあるということをクローズアップさせようとしていたこと。あるいは「一九六七年文明の墓」という、テレビだとか自動車だとかいうものがごろごろ山のようにスクラップになって捨てられていると、その文明の墓の次に来るものは何だろうかということを考えさせるような展示館。あるいは「ビューロクラシーの組織」という題の、これは写真ばかりの展示でありましたけれども、これでもか、これでもかというように、ビューロクラシーのために人間がだんだんと追い詰められていって、最後は、だれかわかりませんけれども、巨大な写真の前で弁護士も置かない裁判で判決を下されていくという大きな場面で終わっていると。そういうようなことで、これでもか、これでもかというほど、選択の自由を失うというような印象を与えておりました。
 もっとも、それを乗り越えるために、「人間と共同社会」というパビリオンの中では、医学の進歩、たとえば子供が生まれてくるその瞬間、それがサリドマイド見であると、そして、その障害児をどのようにして教育をしていくか、お医者さんをどんどん出場させて働かせると、映像と一緒にそういう場面も展開をいたしておりました。
 これに対して大阪の万博は、これはテーマが「人類の進歩と調和」という題であったと思いますが、この場合はモントリオールとは全く逆に、高度選択社会といいますか、人間が自分の意思で選んでいくという、選んでいかなければならない、決定を自分で下していかなければならないと、そういうことを主張しているように思われました。基本理念としては、開けゆく無限の未来に思いをはせつつ、過去数千年の歴史を振り返るというようなことが、テーマ館でもはっきり打ち出されていたように思われます。これも先ほど申し上げたとおり映像の大祭典で、七十のコンピューターを使っておりましたが、その大部分はいわゆるマルチスクリーン、たくさんのスクリーンの映像のコントロールで、それを見ながら観衆がみずからその中で決定を下していくと、同時に映し出された映像の中から自分で選んで決定を下すと、そういうような場面が展開されていたように思います。
 そのようなことで二つの万博が非常に対照的であったと、したがって、今回計画されております科学技術博覧会は一体何を訴えていったらいいかという点について、よくその基本構想の委員会においても検討をして考えていただきたいと思います。もっとも、大阪の万博におきましては、私は私なりに、大阪の万博というのは非常に巨大なパビリオンが並んでおりまして、はっきりした主張を見つけるということはなかなかむずかしかったようには思いますけれども、しかし、全体を通じて私が強く感じたのは、小さな国と大きな国との不均衡な発展ということを目の前に見せつけられた。これは人類の進歩と調和ということとは、むしろ逆な印象をも受けたような感じがいたしております。
 しかしながら、たとえば、非常に簡単な展示館であっても強い印象を与えるようなものもあったと思います。スカンジナビア館というのは、中には何の展示もない。がらんとした大きな部屋で、与えられた紙を持って歩いていきますと、そこに次々と天井のプロジェクターから言葉が映し出されてくると、たとえば、人類全体の破滅を防ぐような、子供を車のえじきにするなとか、公害を防ごうというスローガンがたくさん映し出されてくるということで、強い印象を与えられました。
 また、ベルギー館を見ますと、ベルギー館では、ベルギーの古代と現在と将来というふうに分けておりまして、古代のけんらんたる北欧ルネッサンスの物が展示されておりまして、その次には科学技術の粋を集めたものが展示されていると。そして未来のところでは二つのスクリーンがあって、その一つのスクリーンには、文明が人間をロボットに変えるという題の映画をやってると、その次のスクリーンにきますと、教育がロボットを人間に戻すという映画をやってると。そういう非常に印象的なものも中にあったと思います。
 新聞には、万博を見た失望と怒りといったような記事が朝日新聞に載ったのも私は覚えておりますが、見る人によっていろいろ違ったと思いますけれども、しかし、やはり何だかいつまでも印象に残るようなものを考えていただきたいということをこの際お願いをいたしておきたいと思います。
 次に伺いたいと思いますのは、衆議院における附帯決議の中で、これは参議院の附帯決議には取り上げられておりませんでしたけれども、博覧会の準備運営に必要な資金、人材の確保のために、関係機関の緊密な協力とともに総合的な施策を講ずることと、ここに資金の問題に触れております。それから国際科学技術博覧会促進議員連盟の決議というものが科学技術庁の方に要望として出されておりますが、その中の二番目にも必要な資金の確保に努めるということが述べられております。しかしながら、昭和五十四年十一月二十七日の閣議了解、科学技術博覧会の開催を国際博覧会協会に申請する閣議了解の中には、国の財政再建のたてまえから、関係各省の既定の費用の枠内で捻出せざるを得ないということが書かれておりました。さらに、この博覧会については三分の二が国庫補助ということになっており、また予算は七百五十億円ということになっているようでありますけれども、この衆議院の附帯決議並びに議員連盟の要望等と、従来の決定とどういうような関連で考えたらいいか、そういう点についての御意見を伺いたいと思います。
○政府委員(園山重道君) 先生御指摘のとおり、先般の法律をお認めいただきましたときの附帯決議の中に、資金確保等についてお触れいただいておるところでございます。また一方、御指摘のように一昨年十一月に博覧会にゴーをかけていただきまして、国際手続を開始するという閣議の御了解をいただきましたときに、非常に厳しい方針が示されておりまして、先生七百五十億ということをおっしゃっていただきましたが、この金額自体が認められておるわけではございません。これはこれからの財政当局との折衝にかかっておるわけでございますが、いろいろ補助率でございますとか、補助対象事業の考え方、あるいは公共事業の考え方等につきまして、非常に厳しい条件をおつけになっておるわけでございます。
 私どもはこの博覧会を開催いたします以上、やはりこれを成功させなければならない、おいでいただくお客さん方にも喜んでいただかなければなりませんし、そのことが日本の科学技術振興の将来にとってきわめて有意義であったという評価がなされ、さらには日本だけではなく、国際的にも人類の将来にとって一つの寄与をしたという博覧会にしなければならないと思っておるわけでございます。
 しかしながら、御承知のように非常に国の財政も厳しい折でございますので、私どもはその間におきまして非常に努力をしなければならないかと思っておりますけれども、やはり科学技術博覧会ということでございますので、先生いろいろ御指導くださいましたような大阪の万博等のように、非常に巨大なという形で全体のトーンを貫いていくということは、なかなかむずかしいかと思っております。したがいまして、できるだけ知恵を出しまして、単に見るというだけではなくてお客さんが参加できる。しかも、考えるというようなこともできる場ということを、いろいろ知恵を出していかなければいけないかと思っております。
 ただ、やはり現在二千万人という予測をいたしておりますけれども、ポートピアにおきましても予定をはるかに上回った観客が来ておられるということもございますし、このための輸送対策というものも万全を期さなければいけないと思います。したがいまして、会場の直接経費だけでなく、交通関係を初めいろいろ関連の公共事業につきましても資金が必要かと思いますので、この辺につきましては関係各省とよく御相談をいたしまして、財政当局ともよく御相談をいたしまして、現在の厳しい財政事情の中で何とかこれを成功に導く努力を積み重ねなければいけないかと、こう思っておるところでございます。
○後藤正夫君 ぜひその努力を科学技術庁にも、また博覧会協会の方にもお願いをいたしたいと思います。
 次に、本委員会の附帯決議の第二番目に「博覧会への招請は、できる限り多くの諸外国に行うとともに、特に発展途上国からの積極的参加が得られるよう努力すること。」ということを取り上げておりましたが、この発展途上国からの参加ということについて、できるだけ私も努力をしていただきたいと思います。そして、その際発展途上国のパビリオン、展示館をどういうふうにするかという問題についてもよく考えていただきたいと思います。
 モントリオールの万国博覧会のときには、アフリカの地域とそれからアジアの地域と、その二つを分けてつくっておりました、しかし、大阪の万博の際にはそれが評判が悪かったために、インターナショナルプレースという地域で、両方アジアとアフリカとを分けないで展示をしているというような心遣いをしていて、この点は私も非常によかったように思っております。
 それからまた、中小国の中には一つの国だけで一つのパビリオンをつくるということのできない国もあると思います。たとえば、大阪の万博のときにはパキスタンとイランとトルコ、いまから考えるとこれは不思議な組み合わせになりますけれども、それが共同のパビリオンを持っておりまして、映画も一つの部屋で同時に三つの国の映画を上映をしているというようなやり方をやっておりました。
 それからベネズエラ館とかあるいはインドネシア館とか、開発途上国は途上国らしいことをこの万博で訴えていたように思います。たとえば、ベネズエラ館ではアナウンスでもって繰り返し繰り返しわれわれの国はいつも前を向いておりますということを繰り返していたと、あるいはインドネシア館では日本の「夜明けのうた」というあの歌を繰り返し繰り返し歌っているというようなことから、開発途上国は途上国らしいいろいろ訴えをしていると、そういうことから強い印象を受けましたけれども、こういう中小国も積極的に参加をする方法をできるだけとっていただきたい。
 もちろんアジア地域あるいはアフリカの開発途上国からは、昔ながらの展示で科学技術とは少し縁の遠いようなものも出てくる可能性は大きいと思いますけれども、しかし、大阪の万博のときも映像のはんらんの中で昔ながらのものが展示されているということが、かえって何か心が休まるような感じも与えていたということもありますので、そういう中小国からの参加を積極的にしていくように努力をしていただきたい。そういうことについて現在何かお考えがありましたらお伺いいたしたいと思います。
○参考人(伊原義徳君) 国際科学技術博覧会協会事務総長伊原でございます。
 まず、お答え申し上げます前に、この博覧会の準備並びに運営につきまして責任の一翼を担っております博覧会協会といたしまして、私どもの仕事に対しまして国会挙げての御指導、御支援をいただいておりますことにつきまして厚く御礼を申し上げます。
 ただいま先生の御質問の御趣旨は私どもといたしましてもまことに重要な点ということで、従来から基本構想の検討その他の場を通じていろいろと検討いたしております。特に科学技術というものが正面に出ます場合に、途上国がどのような対応ができるであろうかということにつきましては、従来の考え方の近代西欧科学技術という扱いだけでは、途上国としては非常に対応がしにくいということが検討されまして、そういう狭い考え方ではなくて、もっと幅の広い考え方をとるべきではないかという議論があったわけでございます。
 この基本構想原案におきましてもその点を踏まえまして、世界にはそれぞれの文化、それぞれの価値の体系にふさわしい多様な人間の生き方があるんだと、したがいまして、固有の文化が固有の価値の体系をもって固有の科学技術を育てると、こういうとらえ方をすべきであろう。また近代科学技術といういわばギリシャにそのもとを発しております西欧の思想以外に、たとえば東洋の思想、東洋の科学というふうなものも再検討をすべきではないか。そういう立場から考えまして、かつまた、このテーマといたしまして「人間・居住・環境と科学技術」と、こうなっておりますので、居住問題につきましては、あらゆる民族がそれぞれの問題を持ち、それぞれの知恵を働かせまして一つの科学技術の体系を持っておると思われます。したがいまして、そういう観点からの展示をお願いをいたしたい。
 途上国の展示につきましては、私ども今後参加招請を各国に具体的にいたします場合に、私どもの基本的な考え方もよく御説明を申し上げまして、そういう観点から途上国として十分適切な展示ができるように、そういうふうなお打ち合わせを十分いたすつもりでございます。
 なおまた、共同出展その他それぞれの国情に応じましての御便宜は十分図りたいと、こう考えております。
○後藤正夫君 参加する各国によってそれぞれ価値観の違いなどがあるということは当然のことでありますし、またこれを見る日本人自体についても個々の人間の価値観の違いというものがありますから、その点は最大公約数といいますか、そういう点を考えながら方法をいろいろ検討をこの上ともしていただくようにお願いをいたしたいと思います。
 それからその国の富裕の状況といいますか、富の状況等によって必要以上に大きなパビリオンをつくるというような場合も、過去においてはあったように思います。たとえば、沖繩の海洋博の場合にイラン館というのが大変大きなパビリオンをつくっておりました。そして海洋博でありながら、海洋にはほとんど関係のないようなものが大部分を占めているような、そういう何か全体としての調和を欠くようなことがありましたので、そういう点も参加国とよく話し合って、調和をとるような努力をしていただきたいと思います。
 それから次に、この委員会からの附帯決議の三番目に、博覧会の出展については、中小企業特に伝統産業等が積極的に参加し得るよう配慮をしてほしいということを附帯決議として要望いたしております。この中小企業の参加という方法、やはりこれはぜひ努力をしていただきたいと思います。ただその場合に、中小企業の参加をしてつくられておりますパビリオンの名称をどういう名称にするかという点についても考えていただきたいと思います。大阪の万博のときには当初は中小企業館という名前で計画をしていたようでありましたけれども、途中から名前が変更されまして生活産業館という名前に改められました。この生活産業館というのは、私の印象としては非常にりっぱなパビリオンで、非常にいい展示がたくさんなされておりましたが、もっともこれに参画した企業というのが日本においてはいわば中堅的な企業といいますか、そういうのが多かったということもあったと思いますけれども、この名称をどういうふうにするかということをもひとつ考えていただきたいと思います。
 前の大阪の万博のときには、ちょうど日本の高度成長の一番ピークのときにあったと思いまして、いろいろ日本の万博について外国の人たちからも批判をされていたような時代でございましたが、たとえば、国際未来問題のシンポジウムが芝の東京プリンスホテルで行われました際に、東京の会場とニューヨークのNBCのスタジオを、当時まだ動き始めたばかりの通信衛星を使って結びまして、アメリカの大統領直属の民間通信委員会のニコラス・ジョンソンが、テレビで通信衛星を使って参加するというようなこともございましたけれども、その際、ニコラス・ジョンソンの主張の中に、日本の伝統的な価値を失うような動きに挑戦をせよという言葉があったのが非常に印象的でございます。
 ヨーロッパでは伝統への挑戦ということが、伝統にがんじがらめになっていることに挑戦して、それから解放されなければヨーロッパというものは取り残されてしまうという意味で、伝統への挑戦という言葉が使われておりますけれども、私は前から、むしろそれとは逆に日本のよき伝統に挑戦して、そしてよき伝統を残しながら、さらに新しい伝統を築いていくような努力をしなければいけないということを考えておりますが、そういう日本のよき伝統が、今後の文明の中にどのように生かされていかなければならないか。また、いま生かされているかということを展示するような努力をしていただくことが望ましいと、そのことをひとつお願いをいたしておきたいと思います。伝統の問題については恐らくいろいろお考えだろうと思います。先ほどのお答えの中にもそういう点が含まれておりましたので、私もその点をぜひひとつお願いをいたしたいと思います。
 それから次に、附帯決議の四番目に、博覧会の開催を契機として、筑波研究学園都市における研究活動を広く内外に紹介されるよう適切な措置を講じてほしいということを取り上げております。このことにつきましては、ことしの二月に科学技術庁の計画局がお出しになりました青い表紙の印刷物、「国際科学技術博覧会について」の中で、二ページにも「国際科学技術博覧会の意義」というのがございますが、その中の五番目に「筑波研究学園都市を世界的な科学技術の中心地として育成できる。」ということが掲げられておりましたし、また去る八日の大臣の提案理由の御説明の中でも、「本博覧会の開催を契機として、筑波研究学園都市を広く世界に紹介するとともに、その一層の整備を図り、これを世界的な科学技術の中心地として育成し、もってわが国の科学技術の画期的な振興に大きく寄与いたしたい」という意味のことを述べておられました。このことから見ましても、筑波学園都市というものと今度の科学技術博覧会というものは、博覧会の運営に当たっては深いつながりを持たせなければならないだろうということを考えるわけでございます。
 したがって、博覧会に対する輸送の問題あるいは宿泊の問題、これまた後に触れたいと思いますけれども、入場の方法等につきましてひとつお願いをしておきたいのは、同じ日に二度入場する場合、一度外に出てどこかの研究機関を見て、また入場をしたいと、入場をするというような人も恐らく相当出てくるのではないか。また外国から博覧会に来た人の中にも、研究機関と博覧会とを同時に見るためには出たり入ったりする、そういう希望も出てくるのではないかと思います、大阪の万博のときには、国際博覧会協会の方からそういう希望も出ていたように聞いておりますけれども、日本にはそういう習慣がないと、それは理由になるのかどうかわかりませんが、習慣がないということから、入場は一回限りということにしていたようでございますけれども、今回の科学技術博覧会では一度外に出て、また入る人のためには入場券に特別の印を押すとか、何らかの方法で再入場が可能になるような方法をとっていただきたいということをお願いいたしたいと思います。
 それからもう一つ伺っておきたいことは、全期間中に使えるような有料のパスですね、たとえばモントリオールの万博のときには当時の日本のお金で八万円ぐらい。当時二百六十円のレートのときだったと思いますから、いまでは五、六万ぐらいかもしれませんけれども、そういう何回も入場できるようなパスを発行されておりましたけれども、そういう御計画があるかどうか。あるいは夜間入場料について半額にされるような御計画があるかどうか。そういう点について伺いたいと思います。
○参考人(伊原義徳君) 先生御指摘のとおり、この博覧会を開きます大きな趣旨の一つが筑波研究学園都市を大いに国内のみならず世界に紹介すると、こういうことであるわけでございまして、その関係で筑波研究学園地区が広い意味での会場的なものとして扱われるべきであるということは、私どもいろいろ考えさせていただいておりますが、ただ研究業務の遂行の妨げにならないような配慮も当然いたさなければいけないわけでございまして、そういう配慮も含めまして、いろいろ具体的な対応を考えさせていただきたいと思っております。
 そこで入場券の問題でございますが、御指摘のように、一度見て研究所へ立ち寄ってまた戻りたいという御希望もあるかと思われます。したがいまして、多少細かい話にはなるかもしれませんが、同一人が同一日に再入場するものであるということの確認の手法につきましていろいろ検討をさせていただきまして、合理的な方法が見つかりますれば、先生の御趣旨のようなことをぜひやらしていただきたいと考えます。
 また、全期間中の有料パスにつきまして、これは従来日本の先例、二回の博覧会で検討はされましたものの、そういう扱いは最終的にはされなかったように聞いておりますけれども、これも十分そういう需要があるかどうかを検討いたしました上で、具体的な対応を考えさせていただきたいと思っております。あるいは夜間入場料の割引の問題、あるいは逆に非常に連休日などで入場者が立て込むようなときには、多少割り増しというようなことも考えるかとか、いろんな具体的な対応は今後さらに詰めさせていただきたいと、こう考えております。
○後藤正夫君 いまの点につきましては、まだ相当これから検討する期間もあることでありますから、よく御検討、御研究をいただきたいと思います。
 それからいまの問題にも関連いたしますが、次に附帯決議の五番目に掲げておりました「博覧会の関連公共事業は、地元の地方財政事情に十分配慮しつつ推進するとともに、博覧会場への観客輸送の円滑化を図るため十分な輸送対策を講ずること。」というのがございますが、これにつきましてはいろいろ検討はすでにされて、かなりの制約のもとにやらなければならないということになっているように承知をいたしております。
 そこで、博覧会会場への輸送についてはバスの問題であるとか、あるいは国鉄の問題とか、今後いろいろ御検討をいただきたいと思いますが、もう一つ輸送の問題に関連いたしますけれども、一体一日当たりどれぐらいの入場をピークの場合に予測されているか。たとえばモントリオールの万博のときには一番多い日が五十九万人であり、一番少ない日が十二万であったとか、あるいは大阪の万博のときには五十一万と十六万、そういうような数字を私見たことがございますけれども、一日当たりどれぐらいの人数を想定されているのかということと、あるいは一人当たり一日どれくらい見物する時間を考えておられるか。これも私が何かで見た資料では、モントリオールの万博のときには一人一日五時間ぐらいだった。大阪の万博のときには七時間ぐらいだったので、日本人の方が非常に勤勉なんだというようなことを何かで見たことがございます。
 しかし、非常にふだんの生活とは違って、博覧会を見物している間には大きな変化、あるいは動きの速い環境の中にあるわけでありますから、肉体的な疲労も非常に大きくなることは当然であると思います、そういうことを勘案されて、たとえば、お年寄りのための休息の場をできるだけつくるとか、そういう配慮もしていただいた方がいいのではないかと思いますので、入場の予測等につきまして、現在お考えになっていることを伺いたいと思います。
○参考人(伊原義徳君) 入場者が開催期間中にどれくらい入るかということにつきましては、いろいろ事前の予測も行っておりますし、今後とも定期的な調査、予測をいたしたいと思っておりますが、政府の方の御決定では半年間で約二千万人と、こういうことになっておるわけでございます。その場合、過去の例で申しますとピークのとき、たとえば、二十日ぐらいが全体の入場者についてどれくらいの割合になっておるかという調査がございまして、大体全入場者数のピーク日で一%程度になるだろうと、こういう数字がございます。したがいまして、ピーク日で二十万人をやや超える程度の入場者があるのではないか。もちろんこれもそういうピークをできるだけ平準化するような努力をいろいろしなければいけないわけでございますけれども、過去の大阪の実績などではそのようになっておるようでございます。
 それから一人当たりの滞留時間につきましては、モントリオール、大阪は先生御指摘のような数字かと思いますが、御参考まででございますが、最近神戸のポートピア、ポートアイランド博覧会におきましての滞留時間は、四時間ないし六時間というのが一番多いグループのようでございます。したがいまして、先生御指摘の数字とほぼ似たような実績が神戸でも出ておるようでございます。
 なお、お年寄りの方あるいはいろいろお体のおぐあいの悪い方などにつきましての休息所あるいは医療施設、そういったものにつきまして十分の準備をいたしたい。いたすことはもう当然と思いますので、その点大いに努力いたしたいと思っております。
○後藤正夫君 いま最後にお話のありましたお年寄りあるいは身体障害者のための便宜を図ると、これはできるだけやっていただきたいと思いますが、大阪の万博のときはそういう努力はされていたようでありますが、なおかなり不十分なような私は印象を受けておりました。
 それから、これは交通の問題とは直接関係ございませんけれども、恐らく博覧会の中の道路に名称をいろいろおつけになることをお考えになるんじゃないかと思います。その道路の名称等についても、いろいろ工夫をしていただきたいと思います。たとえば、モントリオールの万博のときには科学者の名前をつけた、たとえばラボアジエ通りだとかいうものが私の印象に残っておりますけれども、科学技術と関係のある名前を道路につけるようなそういうひとつ工夫もしていただきたいというふうに思います。
 附帯決議の六番目、これは会場跡地の問題、もう時間が余りありませんので省略いたしたいと思います。
 最後に、できるだけ今後の科学技術博覧会は、その名称にもかなうような最新の科学技術を取り入れる努力をしていただきたいと思います。科学技術の進歩というのは日進月歩でございますから、昭和六十年までの間にはどういう新しい科学技術が出てくるかわかりませんけれども、そういうものをできるだけ漏らさないように、今後取り上げる努力をしていただきたいということをお願いいたします。
 もっとも画期的な科学技術というのは、そうたくさんは出てこないかもしれないと思います。たとえば、モントリオールの万博の際にはホーバークラフトが初めて登場したり、それから博覧会全体のコンピューターによる管理などかなり目新しいものもございました。また、大阪の万博ではレーザー光線の利用、これはカナダのモントリオールのときにはほとんどありませんでしたが、レーザー光線の利用とかというようなものがありましたが、実は新しいものと見えておりましても、しかし実際にはかなり歴史的に前からあるもので、さらに改善されたものがどうしても多くなるだろうということが考えられます。
 沖繩の万博のときには、たとえばアクアポリスみたいなものであるとか、あるいは東京工大で研究しておりましたロボットというのが大変目新しいもので出ていたように思いますし、また新幹線開通記念の福岡博覧会の際には、太陽熱によるヒートポンプでもって自転車のライトをつける発電機を回して、おもちゃの電車を動かす、これは太陽熱によって動かした、私の見たものとしては最初のものでありましたが、そういうものも出ておりました。
 また、今度のポートピア博覧会におきましても、テーマ館にはハイオービス、光ファイバーを使う通信網によって対話を行うというような新しいものも出ておりますが、新しい今後出たものはひとつ漏れなく取り上げるような努力をしていただきたいと思います。
 そして最後にお願いしておきたいことは、さらに新しいものの一つとしては、たとえばスペースシャトルの成功とも関連いたしますが、今後のリモートセンシングの問題に日本がどういう協力ができるかと、もちろんリモートセンシング全般についてなどということは、これはむずかしいと思いますけれども、たとえば電子工業、電子科学の分野において、あるいは光学の分野においてとか、日本の持つべき役割りもあるだろうと思います。そういうものについての研究を進め、その成果についても、今度の科学技術博覧会でひとつ展示できるようなところまで持っていっていただけるならば、われわれとしても非常にうれしいことであると思います。
 また先般、これはどこまで事実であるか詳しいことはわかりませんが、新聞に報道されておりましたような日本化学会の総会で、京大グループが発表したと言われております熱を蓄えるような新しい新合成物質、そういうものについても、ぜひそれが進んだ場合にはひとつ漏らさず入れていただきたいと思います。
 そして最後に、私がいまひとつ関心を持っておる問題で、これは今後の研究テーマとして考えていただき、さらにそれが展示にまでいくならば非常にうれしいことであると思いますけれども、エネルギーのシステムの問題についての研究開発を科学技術庁として積極的にしていただきたい。システムといいますのは、たとえば太陽熱であるとか、波力発電であるとか、あるいは温度差発電であるとか、潮力発電であるとか、いろいろなものがありますけれども、ただ、それの個別的な開発研究だけではなく、これはあるいは各省にまたがるものであるかもしれないと思いますけれども、そういうものを使ってただ発電をしたばかりでなく、発電した電力によって海水の淡水化を図る。さらに淡水、つくられた真水によって水耕栽培、野菜の栽培をやる。そういうシステムを開発するならば、太平洋の島々で水のないところあるいは野菜類に乏しいところがたくさんありまして、そういうものの開発を待っております。
 日本からの海外に対する援助として、そういうシステムとして援助をするというような方法をとるならば、日本として太平洋の新しい島々の国に対して新たな役割りを持つことができるようになると思いますし、またそういう国々も日本の協力というものを望んでおります。そういうシステムの模型のようなものをたくさん展示して、こういう利用の方法、こういう利用の方法もあるということを海外から来た人にも見てもらえるような展示館といいますか、そういうものが欲しいと思います。今度のポートピア博覧会においても、関西電力は個々の発電の方式については大変わかりやすい模型をたくさん展示しておりますけれども、そういう模型を一連の一つのシステムとしたものとして展示できるような努力、これはやはり科学技術庁を中心にやっていただきたいと思いますし、そういうことを今後期待をいたしたいと思います。
 大体予定時間に近づきましたので、私の質問はこれで終わりますけれども、長官も非常に熱心にこの問題と取り組んでおられるようでございますし、今後の科学技術博覧会の計画が順調に進展して、世界の国々の人にも強い印象を与えることができるような博覧会として成功するように御努力をお願いしたいと思います。以上で終わります。
○国務大臣(中川一郎君) 後藤委員、非常に御熱心でございまして、過去の経緯その他貴重な御指導をいただきまして本当にありがたいことだと思います。
 いまや科学技術は世界じゅうが大事にしなければならない中心になっているように存じます。今度の科学技術博覧会が人間の生活あるいは環境と、こういうことを中心にして歴史に残るいい博覧会にしたい。今後とも御指導を賜りたいと存じます。私も一生懸命がんばりたいと存じます。
○塩出啓典君 それでは、長官の所信表明につきまして、前回に続いて質問をさしていただきたいと思います。
 きょうは、長官の所信表明の第三の宇宙開発の問題、第四の海洋開発、それから第五の防災科学技術の推進の問題、それと最後に原子力船「むつ」等の問題について二、三お尋ねをしたいと思います。
 皆さんも御存じのように、スペースシャトル「コロンビア号」が十二日に米国のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、そうして十五日に五十時間余の宇宙旅行を終え、カリフォルニア州のエドワーズ空軍基地に無事着陸をしたわけであります。中川長官も早速祝電を打ったそうでありますが、長官としての率直な御感想を承りたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 世界が驚くようなスペースシャトル計画をここまで推進し、今回の初飛行を成功裏に運ばれたアメリカ航空宇宙局を初め、関係者さらにはアメリカ国民に対して心から祝意を表するものであり、直ちにその旨の祝電を打ったところでございます。
 スペースシャトル計画は、広大な宇宙を人類の身近な活動領域とするため、アメリカ宇宙科学技術の総力を結集して進められたもので、今回の成功によりまして、人類は宇宙開発の新しい時代に向けて第一歩を踏み出したと言えるものだと存じます。
 わが国においても、スペースシャトルを用いて宇宙における科学実験及び材料実験を計画しており、スペースシャトル計画が今回の初飛行を初めとする試験飛行を経て一日も早く本格的な運用段階に達する日の一日も早いことを期待しておる次第でございます。
○塩出啓典君 今回のスペースシャトルの計画は、いままでの計画と違って本船を何回も使えると、こういうところに特徴があるやに聞いておるわけでありますが、大体科学技術庁のつかんでいる情報ではどの程度使えるものなのか。
○政府委員(勝谷保君) 私ども聞いておりますところでは、当初の計画はできれば百回ぐらい続けたいというように考えていたようでございますが、最近の報道機関の情報によりますれば、NASA当局は当初の予定をほぼ達成できる。いわゆる百回ぐらいは引き続き用いることができるということを考えているようでございます。いずれ私どもの情報先からそういうものが入手できますれば確認をいたしたいと思っております。
 先生いま御指摘のように、このスペースシャトルは往復可能ということと同時に、そのときに人間、しかも、さほどの特殊な訓練を経ない科学者が乗って支援できるという体制でございます。いわゆる人間が何度も行って帰ってこれるという、大変な壁を打ち破ったという画期的な科学的な勝利であるわけでございますので、私どもは科学技術的な面で非常に注目をいたしていると、先生御指摘のように考えているわけでございます。
○塩出啓典君 このスペースシャトルは、新聞の報道等では加速度が三Gぐらいで衝撃が強くないと、一般人でも乗れると。この三Gというのはどれぐらいなんですか。
○政府委員(勝谷保君) 私どもが生活しておりますときの重力の三倍程度でございますから、まあちょっと訓練すればやれるということではないかと思います。
○塩出啓典君 それで、開発費が大体二・二兆円ぐらいかかっておると。そうして、今後百回も使うんであれば、かなりコストも安くなるんじゃないかと、こう言われておるわけでありますが、このシャトルに乗って地球の周りをずっと旅行をすると、こういう申し込みが大分アメリカでは多いように聞いているわけですが、大体将来は運賃はどれぐらいになるのか。新聞では何か一億円とかいって、ちらっと見たんですが、そのあたりの原価計算の将来の見通しはどうなんでしょうか。
○政府委員(勝谷保君) スペースシャトルの大きな特徴の一つが、いま御指摘のように何度も使えるということでございますので、相当程度利用料金も軽減されるということは予想されるわけでございます。しかし、私どもが現在手に入れております公開資料のみでこれを推定するわけにいかない点が多々ございます。新聞紙上その他では十分の一、ソー・デルタといいまして、いまアメリカが使い捨てのロケットで打ち上げておりますものに比べて、十分の一とか四分の一という数字も提示されておるわけでございますけれども、大体こういうものについては政策的な面もございますし、さらに今後三回実用化するまでに実験をいたしますし、そのほか日本の立場から考えますときに、アメリカの方へ人工衛星を持っていったり持って帰ったり、途中の連絡をしたり、いろいろなことを考えますと、日本で打ち上げることと、それからスペースシャトルに打ち上げてもらうことの比較等は相当慎重にいたさなくちゃいかぬというように考えておりますが、いずれにしても従来のものよりは安く打ち上げられる。そのためのスペースシャトルの開発でございますので、そういうことになろうかとは考えておりますが、あと三回打ち上げて、いよいよ実用化いたします段階までには、私どももさらに綿密な検討を進めてまいりたいど思っております。
○塩出啓典君 いろいろ科学技術庁からいただいた資料等によりますと、スペースシャトルは一九八一年から九二年まで四百八十七回打ち上げると、そのうち六四%はNASAと国防省が打ち上げて、その他は米国及び外国の研究者にも開放していくと、このように伺っておるわけであります。そうして、わが国もこのスペースシャトルにいろいろな実験装置とかあるいは科学者を乗せて、その研究に参加する計画もあると、こう承っておるわけですが、どういう計画であるのか、簡単で結構ですからお聞きしたい。
   〔委員長退席、理事後藤正夫君着席〕
○政府委員(勝谷保君) 先ほども申し上げましたように、今般の成功の後、三度の試験飛行を経まして実用化される予定でございますが、もしこの予定どおり順調に進みまするときには、私どもとしては二つの面でとりあえず計画を持っておりまして、これを進めてまいりたいと思っております。
 第一は、文部省の宇宙科学研究所が企画しておるものでございまして、粒子加速装置を用いた宇宙科学実験というテーマでございまして、実施の時期は昭和五十八年度、五十八年の六月が予定されておりますが、この六月に予定されます第一次のスペースラブ計画に参画するものでございまして、目的は人工オーロラによるオーロラの発光機構等の研究ということでございます。実施者は先ほど申しました宇宙科学研究所でございまして、経費が三十六億円ということになっております。
 いま一つの計画は、宇宙材料実験でございまして、日本人の科学技術者をスペースシャトルに搭乗させまして、無重力、超真空という宇宙空間の特性を利用いたしました材料実験等の宇宙実験を行うことを目標といたしております。いまのところ昭和五十六年度予算、約四億円でございまして、目標年度は六十一年度以降というように考えております。
○塩出啓典君 日本人の科学者を一人このスペースシャトルに乗せるということになりますと、日本人としては人工衛星に乗る最初の人になるわけでありますが、この人はもう決まっておるのか、あるいはいつ決まるのか、あるいは現在がなりそういう希望がたくさん申し出てきておるのかどうか、そのあたりどうなんでしょうか。
○政府委員(勝谷保君) 一応そういう計画を企画いたしましてからは、ぜひやってみたいという御希望の方が多々あるかのように聞いております。
 実は先ほど申しました日本人を乗せてというのは、六十一年以降に行います材料実験のときでございます、この材料実験のときに、何と申しますかスペースラブ、その宇宙実験室に機器を持ち込みまして、そこへ日本の科学者が乗り込んでいって実験をするわけでございます。その人が日本人で初めて乗り込むわけでございますが、実はこの宇宙材料実験自体が、第一次の最初のわが方がやります宇宙材料実験を六十一年か六十二年か六十三年度か、ここらが予算的にまだ最終的に決定をいたしておりません。その関係で財政当局との関係もございまして、私ども何年に打ち上げを始めるというようなことが言い切れないところに問題はございます。しかし、一応六十一年度以降にやるためには、できますれば、来年度以降には数名の人選をいたしたいと思っております。
 人選をいたします暁には、手順がいま一応決まってはいるんですが、五十六年度の本年度に搭乗科学技術者の選抜の実施計画、手順というのをことしは決めます。そして来年に募集をいたしまして、五十八年度に第一次の選抜、それから第二次の選抜をいたしまして、五十九年度に第三次の選抜、逐次しぼっていくわけでございますが、適性をしぼってまいりまして、そして最後はアメリカのNASAに送り込みまして、そこでNASAの選抜を受けるということになります。そして六十年、六十一年度に国内及びNASAでの訓練を経て、六十一年度以降に宇宙実験に参画をする。これくらいの計画でいま進めておりますが、これも財政との関係がございますので、若干のずれはあろうかと私ども考えておるところでございます。
○塩出啓典君 わが国の宇宙開発の方向につきましては、昭和五十二年宇宙開発委員会が政策大綱を発表し、また宇宙開発計画というものがあるわけでありますが、一九八〇年以降の人間の宇宙開発活動の多くは有人、
   〔理事後藤正夫君退席、委員長着席〕
人間が乗るような宇宙開発の方向に行くように思います。しかし、わが国の現在の宇宙開発の計画には人が乗る、有人飛行計画というものはいまだないわけでありますが、将来こういう問題についてはどう考えておるのか、私はやっぱりアメリカの風土と日本の風土というのはかなり違うところもあると思いますし、やっぱり人工衛星に人間を乗せて打ち上げるというようなことが、果たしてアメリカのように国民の喝采を浴びるかどうか、そういう点に非常に違いがあるような感じがするわけでありますが、こういう有人、人が乗るいわゆる飛行計画についてはどう考えておるのか、それを承っておきたいと思います。
○政府委員(勝谷保君) 日本におきましては宇宙開発委員会で方向をお決めいただくわけでございますが、いままでのところ日本独自で有人の宇宙船を開発し、これを打ち上げるという計画はございません。したがいまして、有人活動のようなわが国の技術能力を超える問題が生じてきた場合には、当面はアメリカのスペースシャトルを利用してこれを進めるという方針を立てております。
 このような考え方のもとに、宇宙開発事業団において、先ほどから申し上げておりますように、日本人の科学技術者をスペースシャトルに搭乗させまして、宇宙空間の特性を利用した材料実験等を行うことを目標に、シャトル搭載実験システムの設計研究等を行っているところでございます。
 また、わが国が独自でそういう有人宇宙船の開発等に着手するかどうかという問題は、現時点では技術的見通しが得られておりませんので、今後科学技術というのは、どこまで進むか、はかり知れないものがございますので、今後そこらの推移を見て改めて宇宙開発委員会で後年に御検討になるものだと私どもは考えております。
○塩出啓典君 次に、中川長官にお尋ねをしたいわけでありますが、このスペースシャトルの四百八十七回の打ち上げのうち、約四分の一の百三十五回は米国の国防省が打ち上げる。しかも、その内容がどういうものであるかということは航空宇宙局も知らない、このように言われておるわけであります。今回のスペースシャトルの打ち上げを高く評価をし、喝采を送る声と同時に、また一方では、たとえばソ連政府の発表あるいは日本の国内にもそういう意見があるわけでありますが、宇宙というものはだんだん米ソの軍拡競争の場になっていくのではないか、そういう点を憂慮する声があるわけであります。私たちもこのスペースシャトルの今後の打ち上げの四分の一が国防省によって打ち上げられるという点から考えると、そういう点を非常に心配をするわけでありますが、長官としてはそういう点をどう考えておられるのか承っておきたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) スペースシャトルが特徴的であることは再使用、何回も使用ができるということ、それから特別の訓練を受けていない科学者が宇宙活動ができるということ、このためスペースシャトルは有人活動、経済性等の面において非常にすぐれている。そして、今後宇宙の平和利用に大きく貢献していくことを期待しておるものでございます。
 一方御指摘のように、スペースシャトルの軍事利用については、一部の国から軍拡競争を宇宙空間に拡大することになるという非難が表明されていること。またわが国の新聞社説等においても同様の懸念が論ぜられておりますが、国防省がどういう実験をするのか、われわれはよく承知しておりませんで、その非難が当たっているかどうか、私どもには論評のできる資料を持ち合わしておりません。ただ、私としてはスペースシャトルの利用が世界の宇宙平和利用に大きく貢献していくことを期待しております。もちろんわが国の宇宙開発は終始一貫して平和目的に限り推進しておりますし、またアメリカのスペースシャトルをお借りする場合も、平和利用に限った実験研究を行いたい、こう思っております。
○塩出啓典君 わが国としては平和憲法を持ち、長官のいま言われたような方向にいくことに私たちも危惧の念は何ら抱いていないわけでありますが、しかし米国あるいはほかの国がどうなっているか、そういう点を心配をしておるわけであります。
 宇宙条約は日本を初め世界の五十六カ国が加盟をしておるように聞いておるわけですけれども、この宇宙条約はお聞きしたところでは、核兵器などの大量破壊兵器を地球の周円軌道に乗せることはいけない、このようになっておるわけであります。だから、大量破壊兵器でなければ、少量破壊兵器とか、あるいは地球の周円軌道でないのであれば、これは何ら制限はない、こういう内容になっておるわけであります。私は、平和憲法を持つわが国として、現在の宇宙条約等をさらに軍備拡張に歯どめをかけることができるように、そういう点を今後国際的な場において私は推進をしていくべきではないかと、このように考えるわけでありますが、これは中川科学技術庁長官であるとともに、鈴木内閣の閣僚の一人として、そういう方向に努力すべきではないかと思いますが、その御意見を承っておきます。
○国務大臣(中川一郎君) わが国は非核三原則を持ち、核不拡散条約にも入っており、また核武装を縮小していくように、核軍縮の縮小ということを基本方針といたしておりまして、国連その他においてわが国の主張を各国に提唱しておると、こういうことでございますので、閣僚としてはそういう認識を持っております。
○塩出啓典君 それから、やはり今後の宇宙開発においては、できるだけわが国の自主技術を開発していくという、そういうことが大事ではないかと思うのであります。現在、たとえば打ち上げのロケットあるいは打ち上げられる衛星、そういうものの国産化率がいま大体どの程度であるのか。政府としても国産化率のアップには努力をしていると思うのでありますが、今後の見通しとして、大体一〇〇%ぐらいになるのはいつごろであるのか、これを承りたいと思います。
○政府委員(勝谷保君) 宇宙開発は広範な分野にわたる最先端の技術を必要とする上に、大規模な施設とか設備を必要とする巨大プロジェクトでございます。莫大な開発投資と永年にわたる技術の蓄積を必要といたします。先ほど御指摘のスペースシャトル一つとりましても、アメリカは二兆二千億の投資をいたしましたが、わが国では宇宙開発に今日まで投じております金額は約七千億前後でございます。したがいまして、全宇宙産業に投じましたアメリカの投資は、いままで数十兆円に達するのではないかと思っております。
 このような宇宙開発をわが国が進めるわけでございます。したがいまして、本格的に宇宙開発をわが国が開始いたしまして以来まだ日が浅いことなどもありまして、ロケット、人工衛星の開発技術をまず十分習得しつつあるいまの段階でございます。さらに、わが国の現在の宇宙開発の規模からしますと、すべてのものを自主開発でいたしますと、かえって一つ一つの部品なりロケット、人工衛星が割り高になるということがございます。したがいまして、現段階ではかなりの点で、米国等一部ヨーロッパを含めました技術に依存しているところでございます。
 しかしながら、わが国の技術水準が低いままで外国の技術に依存していては、今後の円滑な宇宙開発は望めないということでございます。先生御指摘のとおりでございます。したがいまして、わが国の宇宙開発活動に必要なものをすべて自主開発する必要はないとは思いますが、少なくとも宇宙活動システムの主要部分につきましては、みずからの手で措置できるということにいたしたいと考えております。
 このような考え方のもとに、ことしの二月に最初の一号機を打ち上げましたNIIロケットに続くものといたしまして、HIロケットを五十六年度から開発に着手いたしましたが、この中におきましては、宇宙技術として最先端の技術でございます液体水素エンジン、慣性誘導装置の技術を日本みずから開発するという方法を採用いたしております。また、人工衛星につきましても、先般打ち上げに成功いたしましたNIIロケットで打ち上げました技術試験衛星の服型きく三号は、国産化率一〇〇%であることはもちろんでございますけれども、その他のものにつきましても今後とも人工衛星の国産化率を高めてまいる所存でございます。
 まず、ロケットにつきましても、最初のNIロケットが五三%から六七%、と申しますのは、NIロケットの初号機が五三で逐次国産化を進めまして六七%まで進めました。NIIロケットにつきましても、目下のところ五六%でございますが、これを六一%まで高めてまいりますし、HIロケットにつきましては、これを九〇%以上にいたしたいと私どもは考えております。
 なお、人工衛星につきましても、技術試験的なものにつきましては先ほどのように一〇〇%にいたしまして、現在アメリカで打ち上げてもらっております放送衛星、気象衛星、それから通信衛星、これらにつきましては残念ながらいずれも二、三〇%程度のものでございますけれども、これを逐次五〇%に近い数字に引き上げてまいりたい、かように考えておりますし、国産技術を中心として行いますMOSI、いわゆる海洋観測衛星でございますが、これは非常に高い国産化率を確保いたしたいと目下努力をいたしておるところでございます。
○塩出啓典君 それでは、次に海洋開発の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 現在、海洋法会議が行われ、もう終わろうとしておるわけでありますが、今回の会期においては長年の海洋法会議の論議がほぼ結論が出るような方向であったわけでありますが、新聞の報道では、今回レーガン政権になったことによってアメリカが態度を変えてきた、このようにお聞きをしておるわけでありますが、そのあたりのいきさつまたは今後の見通しがどうなのか、お伺いいたします。
○政府委員(勝谷保君) 海洋法会議につきましては、一九五八年の第一回会期以来延々と会議が進められまして、昨年の七、八月に開催されました再開第九会期までの審議、特に昨年の審議で、限られた特定問題を除きまして、基本的な合意が得られたわけでございます。やっと曙光を見たということでございまして、昨年の会議の最終段階で海洋法条約非公式草案というものが作成されたわけでございます。
 そして、今年に入り具体的な問題点幾つか残されております点は、大きく挙げまして、マンガン団塊の採取技術の開発に関する条約発効時までに投下された資本の保護の問題とか、それから近接する複数国間の領海とか、経済水域、大陸だなの境界の画定の方法をどうするかとか、さらには条約加盟国の範囲としてPLOなどを入れるかどうかというような問題が残されておりましたが、このような問題の片をつけて、今年の三月九日から四月二十四日までのニューヨーク国連本部で開催されました第十会期で片をつけるということでございました。ところが、たまたま米国が新政権誕生ということで、米国政府から海洋法会議に対しまして二つの点が申し入れられました。
 第一は、新政権のもとで新しい海洋法の詳細な検討を再度いたしてみたい、したがって今会期で討議が終了することがないようにしてもらいたいということの申し入れでございます。したがいまして、今会期中に実質的な審議を終わろうとした各国の態度は、ここで中断をせざるを得ないということになってしまいまして、会議は実質的には今週で終わり、来週、あと若干の議事が残っておりますけれども、実質的な最終段階に達しないままで会期が終了するということになるわけでございます。
 この見通しにつきましては、私ども外務省の見通しをまだいただいておりませんので、また会議も終了いたしておりませんので、申し上げるわけにいきませんけれども、従来から政府といたしましては公正な海洋法秩序の確立を目指しまして、この国連海洋法会議の早期妥結に努力してまいったわけでございますから、今後ともこの方向で努力を進めていくという方向を続けるのではないかと考えております。いずれにしましても、会議が終わりましたら、今後の方針を関係各省集まって決めることになろうかと思っておるところでございます。
○塩出啓典君 私は、宇宙開発に比べて海洋開発というのは、よりわれわれ国民の生活にも身近に感ぜられるように思います。
 そこで、海洋開発審議会が昭和五十四年の八月、「長期的展望にたつ海洋開発の基本的構想」というものを百二十人の専門の委員の皆さんによってつくっておるわけでありまして、私もちょっと拝見いたしましたところ、たとえば西暦二〇〇〇年においてわが国の二百海里水域内の漁獲量を現在の六百万トンから九百万トンないし千二百万トン、五割から十割アップと、さらに海底マンガンの団塊を年間千三百万トン、あるいはニッケル需要の五〇%を賄う、あるいは海水中のウランは四十億トンあると、あるいはまた波のエネルギー、温度差エネルギー、こういうものも、たとえば波のエネルギーだけでも日本周辺に十四億キロワットあると、そういうようなことで、これを取り出すことはいろいろむずかしい問題ではありますけれども、そういう点から海洋開発というものは、国民の合意を得つつ着実に前進をしていかなければいけないと思います。しかし、昭和四十八年にも海洋開発審議会が答申をしておる。けれども、余り見るべき前進はない、そういう意見があるわけであります。
 今回五十四年八月に答申が出されたわけでありますが、ともかくこの海洋開発というものは、宇宙開発のように宇宙開発事業団がまとめてやるんではなしに、各省各庁にまたがり、しかも民間にもまたがっておる、大学にもまたがっておる。そういう点で、海洋開発を進めていくということは、やっぱりこの調整をしていくというそういう責任は私は非常に重大じゃないか、この前の委員会でも申したように、科学技術庁はそういう調整的な役割りも果たしていかにゃいかぬわけですので、こういうような推進をどういう体制で進めようとしておるのか、それを伺いたいと思います。
○政府委員(勝谷保君) 海洋開発審議会で答申をいただきまして、そしてどのように進めるかということは予算委員会でも前国会以来ずいぶん御指摘がございまして、政府といたしましては、先生いま御指摘のようにそれぞれの所管官庁がございますので、それぞれの分野で最大の努力をすると同時に、それぞれの分野で解決できない関係各省相集って調整をしながら進める分野が残されている、これをどのようにするかということになりまして、実は内閣官房に海洋開発関係省庁連絡会議というものをこの答申をいただいて以来設置いたしまして、関係行政機関相互間の事務の緊密な連携を図るとともに、総合的な施策の推進に資するということで、この作業を延々と続けております。
 今回まですでに八回の会議をいたしまして、関係各省の持てる特徴と相互に出すべき方向の検討が進められております。さらにこの国連海洋法会議が若干とんざはいたしましたが、方向が出ますれば直ちに日本としては対応をいたさなきゃなりませんので、ここらの会議を中心にその対応も検討を進めていくことになるのではないかと私どもは考えておりまして、御指摘のように、内閣で関係各省集いまして進めております。さらに海洋開発の技術の面では、当庁科学技術庁がその責めに任ずるわけでございますから、従来もその調整を進めてまいりましたが、今後も海洋開発技術の面で内閣と特に緊密な連携を図りながら御指摘の点を進めてまいりたいと思っております。
○塩出啓典君 海洋エネルギーをどう活用していくかということは、海洋開発の大きなかなめの一つでございます。この海洋開発審議会の先般の第一次答申では、特に温度差エネルギーを利用した温度差発電を、一九九〇年代前半に二十五万キロワット級の実用化を目指しておるわけであります。いま香川県の大平さんの住んでいるところの近くで、サンシャイン計画として太陽熱でいろいろやっておる。千キロワットでありますが、ああいうものは大規模なものはなかなかできないわけでありまして、そういう点から言えば、この海洋温度差発電というものは、二十五万キロあるいはもっと大きなものもできる。そういう意味で、非常に石油にかわるべきエネルギーとして、私は重要視していかなければいけないんじゃないか、このように思うわけであります。いただきました資料によりますと、海洋エネルギー開発に政府全体としては昨年は二億六千二百万が三億二千百万と、こういうことで特に温度差発電には力を入れてくださっておると確信をしておるわけでありますが、この海洋温度差発電の現況と、ことしどういう方向で力を入れるのか、そのあたりを伺いたいと思います。
○説明員(五十嵐義男君) いま先生御指摘のように、工業技術院で現在新エネルギー技術の研究開発の施策の一環といたしまして、サンシャイン計画というものを推進しております。昭和四十九年から研究開発を行っておるわけでございますが、現在までに二十度C程度の低レベルの温度差を利用する熱交換器の特性の研究、また海洋環境下における機器及び材料の特性等の比較的基礎的な研究開発を進めてまいったわけでございます。また片方で、全体システムの構成をどう考えるかといういわゆるフィージビリティースタディーと申しますか、そういう技術的な可能性の検討も進めている段階でございます。今後技術的さらに経済的な検討を十分に打って、まずさしあたり千キロワット程度のパイロットプラントの開発を目標にしていきたいと、こう考えております。
○塩出啓典君 長官に要望しておきたいわけでありますが、原子力も大事でありますが、しかし、海洋開発もさらにまさるとも劣らない重要度があると思います。わが国の科学技術庁の予算は、とかく原子力関係に少し偏り過ぎているんではないかと、こういうような意見もあるわけでありますが、私は原子力に力を入れるなと言っているわけではありません。ただ、海洋開発等についてもひとつさらに力を入れて各省のかなめ役としてその責任を果たしてもらいたい。この御決意を承っておきます。
○国務大臣(中川一郎君) 石油有限時代を迎えて、エネルギー問題は世界各国共通の問題でございます。したがって、省エネルギーと並んで代替エネルギーの開発というのは、非常に大事なことでございます。その場合、あらゆるエネルギーについて努力をしなきゃならぬことは言うに及びません。したがって、ソフトエネルギーと言われるサンシャイン、まあ地熱、太陽熱、あるいは波力、温度差等いろいろございます。多面的にやっていかなければならないことはもう言うに及びません。
 ただ、現段階においてはコストの問題、あるいは発電量等の問題から言って、原子力が有力な柱になっていくことは避けられない。こういうことで、将来に向かってはともどもに研究開発を進めて実施段階へと進んでいきたい、こう思っております。
○塩出啓典君 潜水調査船等その他の問題については次に譲りたいと思います。
 次は、長官の所信表明の第五である防災科学技術の推進の問題でありますが、この点も時間も余りございませんので、二、三お尋ねしたいと思うんでありますが、地震を予知するということは、いまのところ、わが国においては地震予知連絡会を年に四回やって、いろいろなデータを集めて検討しておるそうでありますが、いまだ地震の予知は全然やっていない、研究段階であると承っております。
 そこで、中国等ではいわゆる動物の挙動から地震を予知すると、人間よりも動物の方がある面ではそういう予知能力があるということが、経験の上から言われているんじゃないかと思うんでありますが、そういう研究がかなり盛んであると、このように承っております。私も、やっぱりそういうような研究も非常におもしろい研究だと思うんでありますが、わが国としては、そういうような研究に科学技術庁は力を入れておるのかどうか。中国の現況とわが国の現況をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(勝谷保君) お答えいたします。
 中国におきましては、一九六六年に起こりました河北省のケイ台地震というものを契機にいたしまして、本格的な地震予知事業を進めておると聞いております。一九七五年、一九七六年に発生した五つの地震のうち、四つの地震の予知に成功したと言われております。
 昭和五十四年度に中国を訪問いたしました地震予知の専門家等の調査団の報告、これは科学技術庁が予算を出したものでございますが、中国の地震予知の体制は、国、省、県レベルでの計器による地震予知観測、これが約七百二十カ所のほかに、一般大衆が観測に参画しているのが特徴でございます。学校とか工場の職員とか農民が、簡単な計器を用いた地下水、地電流等の観測及び動物の行動等の観測を行っておりまして、観測結果は定期的に各地の地震非公室という役所に報告されますほか、異常が発生しましたときは直ちに報告が行われることになっておると聞いております。この地震非公室はこれらを参考にいたしまして、独自の予報意見をまとめて、省レベルの地震局に提出いたしまして、地震局が最終的な予報情報を取りまとめるということになっている由でございます。
 なお、中国では、一般大衆による観測点の整理合理化を進めてきておりますが、現在、計器による観測点が約一万五千点、動物の異常観測とか水位測定を行っておりますものが約十万あると聞いております。
 これが中国の状況でございますが、参考までに一例を申し上げますと、一九七五年の二月四日に発生いたしました海城地震、これはマグニチュード七・三の由でございますが、この際には地殻変動や地震活動の大きな変動が予測されましたほかに、地震の前に冬眠中のヘビが穴から出てきた、ネズミが群をなしてあらわれたなどの動物の異常が数多く報告されているということが、これらの私どもの手元にございます資料でも書いてございます。これは一例でございます。
 一方、それではわが国ではどうかということでございますが、最近地震予知の勉強の一手法といたしまして、昔起きました地震の発生機構を調べるために、古文書をいま調査をいたしております。この古文書の調査によりますと、わが国で起こりました過去の地震の例では、安政の江戸地震の際に、数日前から鶏が小屋に戻らなくなった、多くのネズミがはい出した、それとか関東大震災の四、五日前にネズミが見られなくなった等の事例がこの古文書で書かれております。
 現在、動物の異常行動等の観測を続けているところといたしましては、たとえば東京都の水産試験場及び神奈川県の淡水魚増殖試験場ではナマズの観測をいたしておりますし、伊東市のサボテン公園では、鳥、爬虫類の観測を行っておりますし、焼津市ではナマズ、キジの観測などがございます。しかし、地震予知は、社会的、経済的にも重大な影響が及びます。中国においては地震があるぞというんで一斉に逃がすことができる、そして結局起こらなくてまた帰った、また行ってまた行ったけれども、結局起きなかったという例もあるようでございます。わが国で一度そういうことをしたときの影響は甚大でございますので、よしと言ってもなかなかむずかしゅうございますが、現在は私どもといたしましては、地震を予知しますための基本となりますのは、まず地震はどのような発生機構で基本的に起こるのかという研究、さらには各種の精密計器を用いた長期及び短期の地震の前兆変化に関します観測とか、研究を鋭意進めているところでございますが、地震の前の動物、植物の異常行動につきましても、その因果関係についてはいまもささやかに進めてはおりますが、今後もこの方向での検討もあわせ研究するつもりでございます。
○塩出啓典君 前の奈良市長でありました鍵田忠三郎という市長さんやめられた人でありますが、その人が雲を見て、雲の形で地震を予知する。私も先般この人に会いまして、この本もいただいたり、お話も聞いたわけでありますが、大体この人は昭和二十二年の福井の大地震の前々日の異常な雲からの地震予知というものが最初で、昭和五十三年度、日本列島に起こったマグニチュード七以上の大地震四つのうち三つを予報しておるわけであります。さらに、五十四年中に起こった奈良市を中心とする半径六十キロメートル内を震源地とする震度三以上の地震三つのうち二つは的確に予報できた。
 いろいろ調べてみますと、雲によって地震を予知するというのは、三百年前に中国の清朝時代に書かれた「徳隆縣誌」という雑誌にも書いてあるそうであります。そういう地震が起こる前になると、さっと雲が割れたり、一条の雲がずっと走る、そういうようなことを言っておるわけで、私はこれは非常におもしろい研究だなあと思うんです。九州大学の工学部の先生である真鍋という助教授が一緒にいろいろ研究をしておるわけでありますが、私は何も科学技術庁の研究というものは大きな設備を買ってつくるだけが研究ではない。本当に雲と地震に因果関係があるのかどうか、そういうことをいろいろなデータを集めて調査をしていく。地震はなぜ発生するかということはわからなくても、こういうときには発生するんだということがわかっただけでも、私は科学的な前進じゃないかと思うんですけど、そういう点科学技術庁としてはどういうお考えであるのか、その点どうでしょうか。
○政府委員(勝谷保君) 先生いま御指摘のように、地震が発生します前に特殊な雲が観察されるということから、この雲の観察によりまして地震を予知することができるのではないかという説が前奈良市長を中心とし、さらに一部の大学の先生も含めてわが国で行われておりますとともに、中国でもこの前市長さんが一緒に会議をされておるということも、私ども実は勉強さしていただきまして十分承知しているつもりでございます。
 雲によります地震予知につきましては、その因果関係が必ずしも科学的に理解されるというところまではいっていないというのが、現在の私どものポジションでございます。しかし、先生いまの御指摘もございます。現在知っておりますのは、先ほど申しましたような基本的な問題、長短期にわたる観測等々をいたしておるわけでございますけれども、これにあわせまして地震予知を補足する資料として利用できるかどうか、先ほどの動物の問題ともあわせまして今後勉強してまいることにいたします。
○塩出啓典君 そこで科学技術庁長官、先ほど勝谷局長は因果関係というものが科学的に理解されていないという、そういう言葉を言ったわけですけれども、科学的にというのはどういうことか。科学的というのはどういうことを科学的というのか、どうですか。
○国務大臣(中川一郎君) 言ってみれば理論的にということであり、一足す一は二になるというのが根拠があるように、やはり機械器具その他で科学的に、地殻変動があれば地震があるとかいうような相関関係が出てくることを、科学的というのだろうと思います。
 雲と地殻変動がどういうふうに関係あるのか、これを科学的に証明しろと言われてもできないのじゃないか。ましてやネズミが逃げ出す、鳥が鶏小屋に入らないのと地震とどう科学的にあるないと言われても、まあないと言わざるを得ないのじゃないかと思います。詳しいことは専門家からひとつ。
○塩出啓典君 私は、科学的というのはやはり一つの法則が普遍的にあらゆる場合に適用すれば、これは科学的だと思うんですよ。じゃ、なぜ地震があるときにはヘビが出てくるかということがわからなくても、必ず地震があるときにはヘビが逃げ出すと。ヘビが逃げ出せば地震があるということになれば、やっぱりヘビが逃げ出すときには地震があるということは、ばくは科学的な結論じゃないかと思うんですね。それと同じように、なぜこういう雲が出ると地震が起こるかということがわからなくても、こういう雲が起これば必ず地震が起こるということになれば、これはやっぱり科学的と言わざるを得ない、その確率がたとえば五〇%でもいいんじゃないかと思うんです。いま気象庁の天気予測でも雨が降る確率は何%と言っているわけですからね。そういう意味で、私は地震の前に動物が変な動きをするわけがないじゃないかと、そういう見方ではなしに、もっと謙虚にわれわれ人間よりももっと感覚の鋭い動物もあるわけですから、私はなぜそうなるかということよりも、実態を調べると、実際にこういう雲と地震との間には因果関係があるのかどうか、有意差があるかどうか、何%の確率であるのかどうか、そういうようなデータを積み上げていけばこれは余り関係がない、そういう結論が出るかもしれませんし、あるいは何%の確率で地震予知に使えるかという結論も出てくるんじゃないかと思うんですね、そういう意味で、科学技術庁としてこういう問題についての力の入れ方が非常に足りない。そういうものをやるのは非科学的なことで、科学技術庁のやるべきところではないというような感じがするわけです。いまいろいろおっしゃったのはどこそこの動物園とか何とかで、科学技術庁がやっているところはどこもないわけです。そういう点もうちょっと検討してもらいたい、そういう問題にも取り組んでもらいたい。その点どうですか。
○政府委員(勝谷保君) 先生御指摘の点を私ども否定しているわけではございませんで、先ほどから申しておりますように、私ども目下一番問題にされております東海地震、関東直下型につきましても、基本的にどういう都市の下の地殻構造変化で地震が起きるものかということを、いま科学技術的に究明をいたしておりますし、その原理、原則に基づいてどういう前兆データがとれるかということで、何百という地点に計器を配列いたしまして、それを即時気象庁へ送っております。したがいまして、そこで、大きな地震の前兆になるような微小地震が次々に起きてくる、これは危ないではないかというときに、キジが鳴く、ネズミが逃げる、雲が出るというようなことも合わせて一本ということで、予知をするということになるのではないかと私ども考えておりまして、したがいまして、基本的なことはもちろんいたしますけれども、先生いまおっしゃっているようなことにつきましても、私ども今後は勉強を進めてまいりたいと考えているわけでございます。
 ただ、さっきの点をちょっと御説明いたしますと、動物が地震が起きます前に、何か人間では感じ得ない地中からのシグナルを動物だけが感じる、そして逃げる。ところが、人間はそのシグナルをよう感じないというようなことでありますとするならば、地殻から出るシグナルが何であるかということを、科学的に究明いたしたいという願望があるわけでございます。そういうことについての努力はもちろんいたすわけでございます。
 それと同時に、先ほど古文書のことも申し上げましたけれども、古文書で過去どういうふうな事象が事前にあらわれるかというときのことにつきましても、先生御指摘のような点でやってまいりたいと思っております。私どもやはり中心は動物とか雲でなくて、基本の路線を進めさしていただきまして、あわせて先生おっしゃるようなことにつきましても今後何らかの形で勉強いたしまして、御報告できるようにいたしたいと考えております。
○塩出啓典君 ぜひひとつ力を入れてください、余りお金がかからぬことですからね。
 だから、なぜそうなるかということも大事ですけれども、たとえば、なぜ薬が効くかということは実はわからないんだな、いろいろ理屈つけるけれども。それは効く原理はわからぬよりはわかった方がいいでしょうけれども、わからなくても百人が飲んでかぜが治るんなら、それ飲んでおけばいいわけであって、だから私はそういう原因の究明も大事だけれども、やっぱり地震予知に利用できるものは早く調べて、その原因がわからなくても予知できる情報は早くつかんで流した方がいいんじゃないか、そういう点努力をお願いしたいと思います。
 最後に、むつ市に先般長官が行かれたわけであります。長官は今回の所信表明の中でも原子力船の研究開発、さらには定係港問題の早期解決を目指しているわけでありまして、その実施のために現地に赴かれ、精力的に努力をされたことを私たちも深く敬意を表しているわけであります。新聞等のお話によりますと、現在のむつ市ではなしに太平洋岸にあるいわゆる通称関根浜、そういうところが新しい母港の方向でほぼ固まったような感触を、地元としてはそれなら協力できると、こういう方向にほぼ固まったように理解をしておるわけでありますが、そのあたりの感触はどうなんでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) 昨年八月私が就任いたしました直後、いろいろな経緯はありましたが、何とか大湊を再母港化することに御検討いただけないかと地元の方々、知事さん、市長さん、漁連の方々にお願いしてございました。もう一方、私の方から一度現場を見していただきたい、現地の生の声も聞かしていただきたい、さらには私の真意も申し上げる機会もつくってほしい、こうお願いしてあったわけでございます。
 しかるところ、先般十日から十二日までの三日間現地を訪問する機会を得ました。この間陸奥湾内の漁業の実態、あるいは沿岸の漁業者の方々あるいは加工業者の方々等々の現地に参りますと同時に、現地の代表者約二百名の方々とも二時間余にわたる話し合いの場も持ち、さらに市長さん、漁連の代表、さらに知事さん、自民党県連の代表の方々とも個別会談を行う等々、非常に協力的な地元の方々の好意によりまして十分現地を視察し、意見の交換を行うことができました。
 その結果、まず第一番目には四者協定というもの、すなわち大湊から撤去するという物の決め事の重さ。第二番目には「むつ」をお願いしました昭和四十二年ころわずか二億円程度であったホタテ漁業がいまや七十億産業、加工を入れますと二百億を超える、リンゴに並ぶ大きな産業になっていること、同時に、当時は共かせぎができなかった、出かせぎをしなければならないという厳しい状態から一変をして、夫婦ともどもに零細な漁業ではあるけれども、豊かな明るい生活ができるようになった。したがって何者にもこの漁業は荒らされたくない、こういう気持ち。また外洋ならば協力しよう、こういうところから母港を外洋に持っていくことについて、政府並びに与党に協力を求めてみようと、そのかわりそれまでの間は大湊港に入港し、停泊させていただくことを認めていただきたい。その入港、停泊中の取り扱いについては別途協議をするということを基本として提案をいたしました。
 これに対してそれぞれ理解はできると、市長さんは、実は大湊をもう一回使ってほしいというのが町民、漁民を含めての大方の意見であるので、持ち帰って相談をしたい。知事は、四者協定の精神を生かしたことであるから結構なことではあるが、むつ市が大湊港を使わしたいという気持ちもありますことでありますから、新定係港、新母港を決めるに当たってはむつ市長の意見を尊重してほしい、県連の方々も知事さんの意向を尊重すべきである、こういう意見がありました。漁連の皆さんは、私たちの希望である外洋に出たことは高く評価するが、その後のできるまでの間のことについては、これはひとつ相談をしてみたい、こういうことでございました。
 したがって、御指摘のように、関根浜に決まったというわけではありませんで、青森県内の外洋、そして市長さんの意見を尊重して決めるということになっておりますので、むつ市長さんかどういう意見を持つか、今後市長さんの意見、地元の意見等も聞いて決めていきたいということでございまして、関根浜に決まったとか、どこに決まったというわけではありませんが、関根浜も有力な候補地の一つにはなっているようですが、いろいろとこれから交渉した上、地元並びに政府間との話し合いを進めまして最終決定をいたしたい。いずれにしても、基本的なことは大体見通しを得たと、こう見ておるわけでございます。
○塩出啓典君 大湊に多額の設備投資もし、そうしてそれに関連をしていろいろな地域対策にも努力をしてきたわけで、私だちとしては大湊が母港になるのが一番いいと、これは長官もそういうお気持ちだったわけでありますが、そういう方向で昨年長官に就任以来今日まで努力をしてこられたわけでありますが、現在の大湊港をあきらめたいろいろな理由はあると思うんですが、一番のポイントはどこだったのか。
 それからもう一つは、当然外洋のどっかに母港が決まったときには、また新たなる財政が必要なわけであります。こういう国全体がいま財政再建という厳しい状況にあるわけでありますが、長官は帰られてから閣議でも報告されたようでありますが、鈴木内閣としてそういう方向に協力が得られるものであるのか、そのあたりの感触、この二点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 第一番目に、私が外洋へという気持ちを持ったのは、先ほども申し上げましたように、陸奥湾が当時とは違ってリンゴに次ぐホタテ漁業というものが非常に漁民の間の生活の場として大事にされている。しかも、共かせぎができる非常に大事な生活の場になっておる。そこを荒らされたくないという気持ちが私の胸を非常に打ったということでございます。
 第二番目に、しからば、かなり金のかかることであるのに外へ出た理由は何か、その辺はどうかと言われますと、確かに新しくまたつくるわけでありますから、かなりの財政負担を伴うことではありますけれども、この点は昭和四十九年政府代表として行かれた現在の鈴木総理大臣、当時の鈴木総務会長が母港を撤去するということは約束をしてあったことでございまして、私が新しく決めたことではございません。従来決めてあったことをそのまま確認したことでありますので、新たな財政負担を私が持ってきたというふうには思っておりません。ただ、財政事情が厳しいことでもございますから、その点何とか避けたいという気持ちは十分持っておりますけれども、これから「むつ」の開発をやっていく上において、これ以上時期を延ばしておくわけにもまいりませんので、政府にもひとつ理解をしていただきたい。閣議でも報告をいたし、それぞれ関係閣僚と具体的に煮詰めて、財政上厳しくはあるけれども、私の案をひとつ政府案として近々まとめたいと、こう思って努力をいたしておるところでございます。
○塩出啓典君 もちろんこれは中川長官が就任される以前から、すでに四者協定という約束もあったことでありまして、大湊港を撤去することが約束であったわけでありまして、そういう点においては長官の責任はないわけでありますが、しかし、科学技術行政としては長く継続性がなければならない。そういう意味で、結果的に大湊撤去ということになれば、これは二重投資、やっぱり国民の皆さんに対しても、一つの私は責任があると思うのでありますが、そういう意味で中川長官として、今日までのいわゆる母港をめぐる原子力行政というものについて、長官が就任されるまでの原子力行政というものについて、どういう点を反省をされ、また、これからはこうしていきたいと、こうしなくちゃいかぬと、こういう点はどうお感じになっておるのか、この点を。
○国務大臣(中川一郎君) 確かに御指摘のように、二重投資のきらいかないわけではございません。この点は政府としても、国民の大切な税金でございますから、深く反省をいたさなければならないと、こう思っております。ただ、言えることは、決定した段階に、陸奥湾があのような大事なホタテ養殖になっていることの見通しがなかったこと。この点はもう少し検討すべきでなかったかということが第一点でございます。
 第二番目は、途中においてもう少し漁民の皆さんと、特に四十九年当時ひざを交えて話し合いをし、お互いの立場を理解し合える努力をもっとすれば、何かもっといい方法があったのではないかと、この二点について反省をいたしておるところでございます。
○塩出啓典君 それでは最後に、現在「むつ」が佐世保港において修理をしておるわけであります。五十六年十月までに修理を終えて佐世保から離れるという五者協定があるわけでありますが、新聞の報道等では、修理がかなりおくれるんではないか、そうするとまた五者協定の違反になるんではないかという、そういうことを非常に憂慮しておるわけでありますが、現在のところの修理の見通しはほぼ順調に期日までに終えそうなのか、余りあわててやって不完全でもこれは困ると思うんですが、そのあたりの見通しをお伺いしたいと思います。
○参考人(野村一彦君) 佐世保におきまする工事の現状でございますけれども、さきの国会でお答えいたしましたように、修理に工夫をするということで分割契約をし、あるいは先行発注をするということでやっておりまして、第一期の工程が終わりまして、現在第二期の工程にかかっておるわけでございますが、工事そのものは大体順調に進んでおるわけでございます。
 ただ、何と申しましても、さまざまな事情のために、工事の着工がかなりおくれましたということと、それから改修工事そのものが非常に精緻な作業を要しまして、いろいろ経験的にも未経験な分野もありますというようなことで、なかなか困難な事情がございます。それともう一つは、安全第一にして、十分手順を踏んでやらなければならないということでおります、そういうことのために、なかなかむずかしい問題がございますけれども、鋭意作業を安全第一を旨として進めておりますので、工事の完了の期限内に工事を終了するべく現在最大限の努力をしているところでございます。事業団といたしましても、工程に現在部分的には凹凸がございますけれども、全体としてはほぼ順調に進んでいるということで、何とかお約束を守るべく最大限の努力を傾注しておるというのが現状でございます。
○近藤忠孝君 科学技術行政の基本的あり方につきまして前回に引き続いて、最近発生した三つの事件に関係して質問をしたいと思います。
 最初は、日昇丸に対するアメリカの原子力潜水艦の当て逃げ事件であります。これについては、すでに参議院においても各委員会で大きな議論になっておりますが、私は、科学技術庁並びに当委員会にも重大なかかわりを持っておるという立場から、それについて質問したいと思います。
 まず、前提として、今回の事件はなぜこの場所で事故が起きたのか。要するに、アメリカ潜水艦は何をしておったのかという問題。それから二番目には、なぜ衝突したのか。潜水艦が浮上するときに上にある物とぶつかるはずがないというのが、これは常識なんですけれども、なぜそれが衝突したのかという問題。この辺は科学技術的にも解明すべきだと思います。それから三番目には、なぜ当て逃げしたのか。要するに、すぐ救助しなかったのか。四番目には、なぜ三十五時間も通報がおくれたのか、こういう問題があると思うんです。
 それぞれの委員会の問題だと思いますが、私は、特に当委員会としては、この事故の放射能汚染問題、要するに、これの環境汚染等の問題が大変大事だと思います。そこで、具体的に指摘したいと思いますが、二千数百トンの貨物船が十数分で沈没してしまったというのですから、これはぶつけた方の原潜にも大きな損傷があったと見るべきだと思います。そうして、損傷があれば当然汚染もあったはずだと思います。ところが、その点がいまのところ余り明快でない。一応の調査結果はありますけれども、実際どういう調査をし、そして現段階の調査で汚染がないと断言できるのかどうか、まずそれについてお答えいただきたいと思います。
   〔委員長退席、理事後藤正夫君着席〕
○政府委員(赤羽信久君) この間の放射能調査について伺いましたことを御報告申し上げます。
 まず、海上保安庁の方では、救助されました乗組員とそれからゴムボート、これが港に帰ってきたわけでございまして、その人及びボートの放射能調査を現地で行いまして、これには全く異常がなかったということを聞いております。しかし、さらに海洋汚染等の有無を確認しなければならないと考えまして、四月の十日、外務省から相手がアメリカの原潜だということの情報を得ました段階で、念のために海上保安庁と協力して調査を行うことといたしまして、翌日専門官を鹿児島の第十管区海上保安部へ派遣いたしまして、その担当官は海上保安庁と相談しながら、海上保安庁の方で現地の海水を採取してもらったわけでございます。現地で担当官が携行いたしましたシンチレーションカウンターで測定しましたところ、海水には何の異常もございませんでした。
 それから、これは海上保安庁の方が別途十一日に、巡視船それからヘリコプターによりまして、メーターによる調査を行っておりますが、これでも異常は認められないということでございます。また、アメリカの方から、放射能汚染はなかったという、外交ルートでの回答も来ております。
 これらを総合いたしますと、わが国民の安全に問題のあるような汚染が生じたことはないんではないかという感じを持っておるところでございます。
○近藤忠孝君 私は、アメリカの方の汚染はなかったというこの報告は、余り当てにならぬと思うのですね。大体当て逃げした車の犯人でも正直なことをまず言わぬ、だから逃げるわけですから。
   〔理事後藤正夫君退席、委員長着席〕
 それからもう一つは調査地点、海水のサンプリング地点についての資料をもらいました。十三地点についてのサンプリングありますけれども、この海上の幅を見ますと、大体鹿児島県の幅ぐらいのところの十三件ですから、それぐらいとったところで果たしてこれで汚染ないと断言できるのかどうか、こういう問題があります。
 それから、実際通報は三十五時間後ですが、この調査に行ったときも相当時間たっていると思いますね。相当時間がたった後の海水を持ってきて果たしてわかるのかどうか、海流その他あるわけですから。
 そういう点で、いま自信を持って汚染はないと、こう断言していいのかどうか。いまはないのかもしれぬけれども、汚染なかったと、こう断言していいのかどうか、いかがですか。
○政府委員(赤羽信久君) 先ほど申し上げました各種のデータ等から、わが国民がすぐ対策を講じなければいけないような汚染はないんではないかという感触を得ているわけでございますけれども、大量汚染があった場合には、少し時間はたっておりましても、海水に相当量の放射性物質が検出されると思われますので、この海水をさらに現在詳細な分析を行っております。その結果によって最終的な判断ができるんではないかと考えております。
○近藤忠孝君 そうすると、まだ最終的な判断ではないということと、それから、この汚染が日本の国民に直接影響を及ぼすほどの汚染かどうかと、そういう問題の答弁としてお聞きしたいと思うんです。
 ただ、私は、この問題は単にそういう次元の問題ではないと思うんですね。もうすでにこれは国会でも議論されておりますように、日本近海が動く核基地になっている。いわば原子力潜水艦の銀座通りのような状況だと、そういう中で起きた問題であります。しかも、先ほど私が申し上げた四つのなぜという問題が全然解明されてないとなりますと、今後も起こり得る問題だと思うんです。ですから、全回の事故を一つの契機にして、ここでこういう問題に対する万全の体制、特に科学技術庁としては、放射能汚染から日本の国民、日本の近海、日本の国土を守る、こういう立場から私は対策が必要だと思うんです。
 そこで、これに関してさらにお聞きしますと、原潜の放射能汚染に対する常時の監視体制ですね、これはどうなっているのか、これはいかがですか。
○政府委員(赤羽信久君) 原子力軍艦につきましては、アメリカの原子力水上艦、潜水艦あわせてでございますけれども、わが国に寄港いたしますときに、日米間の申し合わせによりましてモニタリングを行うことになっております。そのために幾つかの手法を用いているわけでございますが、常日ごろはモニタリングポスト――カウンターでございますが、これによって空中と海中の放射能レベルを観測しております。入港時ももちろんこれが働くわけでございます。
 それから、放射性物質が蓄積する度合いを見るために、年四回でございますが寄港する港の海水、海底土それから海産生物、これを詳しく分析を行いまして、異常の有無を測定しております。これはいままで異常があったことはございません。
 さらに、軍艦が入ってまいりましたときには、その港での観測を強化いたしまして、海上保安庁のモニタリングポートが出動いたしまして計測を行い、かつ一部はサンプルをとって分析をするということをやっております。これらのデータを総合いたしまして、評価するために専門家より構成されます放射能分析評価委員会、それから原子力軍艦放射能調査専門家会議、こういうところで総合評価を定期的に行っております。
○近藤忠孝君 常時監視体制が一応あるようでありまして、そして科学技術庁、海上保安庁、さらに水産庁、そういうようなのがそれに関与しているということでありますので、私はこの機会にこの体制をもっともっと強化すべきであるということを申し添えたいと思うんです。
 そこで、問題は当て逃げした原子力潜水艦ですが、行方がどこかまだわからないわけですね。先ほどのようにこの原子力潜水艦に損傷があったかなかったか、これも大変問題だと思うんです。私はその跡追いをして破損や汚染の有無、これを徹底的に調査をすべきだ、こう思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(赤羽信久君) 私どもでやっております放射能調査は、あらかじめ用意したものは入港する港だけでございますし、それから前回のソ連の原子力潜水艦のときもございまして、海上保安庁と協力して急遽現地の放射能の測定をするということをやっておりますが、これはあくまでもわが国の国民が海産物を通して、あるいは現場での船の航行を通して害を受けないかどうか、それを確認するための調査をやっておりますし、それをやるべく努力はいたしておるわけでございますが、それ以上の精度の高い調査能力は私の方にございませんし、また省庁別の任務からいたしましても、科学技術庁の放射能調査の域を脱するんではないかと考えております。
○近藤忠孝君 私はこの機会に、もしいま体制がなければその体制を強化すべきだと思うし、またいまぜひやるべきときだと思うんです。というのは、鈴木総理も日米首脳会談に当たってこの問題持ち出したいと、どういう持ち出し方をするかはこれからの問題だと思うんですけれども、そこで、これは私は中川長官からも向こうの原子力潜水艦にじかにわが方が当たって調べることまで申し入れろと、こういったことを私は総理大臣に進言すべきだと思うんです、そういうお気持ちはないでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) これは外交ルートを通じてやっておることであり、実態がどうなっておるか明らかになった上で、壊れておるものか壊れておらないものか等、事故の実態についていま話し合いをしておるところでございます。したがって、その結果を見た上でないとわが方として意見を出すという気持ちはございません。
○近藤忠孝君 私は外交ルートの交渉を待っているんじゃなくて、外交ルートにおける交渉の際、科学技術庁の立場から、こういうことを申し入れたらどうかとか、こういう方法があるんではないかということを、私はむしろ積極的に言うべきじゃないか。むしろそれが私は放射能汚染から日本国民を守る科学技術庁長官の仕事である、こう思うんですね。現にいまアメリカ側から調査に来ておりますね。海軍大佐を団長にして実際調査に来ておりますし、昨日の夕刊によっても、三十日以内に調査完了――というのはいろんな説があるようですが、結局これは首脳会談に間に合わせるとかあるいは間に合わないとかいう問題ありますけれども、そこに向けてアメリカ側が調査に来ておるんです、私はこのアメリカ側の調査については、法的には問題あると思うんですね。どういう調査なのか法務省に聞きましたらば、ようわからぬと言うんです、外務省に聞いてくれと。きょう外務省呼んで聞こうと思いましたら、ほかの委員会たくさんあるので勘弁してくれと言うんで、ここには来てないんですけれども、法的な問題と申しますと、アメリカ側の調査がもしも当て逃げした人々に対する責任追及というようなことに関係するとなると、これはやっぱり捜査ですね。そうすると日米司法共助の問題、日本の主権に関する問題だと思います。いまのところ比較的おおらかに調査を受け入れているようでありますけれども、アジア、日本に求めている面もあると思うんですけれども、一面そういう問題あると思うんです。アメリカ側はもう日本に現に来ていますね。どんどん調査に来ている。被害者側の日本は、一番もとの原子力潜水艦を全然調べない、調べる気もないようなそぶりを示しておるというんで、私とてもこれ対等でないと思うんですよ。むしろ被害者側としてはもっと強く、一番そのもとはどうなのか調べる姿勢を示して、それが結果的に外交ルート上可能かどうかはまた別問題です。その以前に責任者である長官がその気ありませんというようなことでは、余りにもアメリカに対して遠慮し過ぎるんじゃないかと思う。せっかく鈴木総理大臣が、この問題アメリカ交渉の中に持ち出そうと言うんですから、実力大臣としての中川長官は、当然そういうものをここに持ち出して、進言をして、私は科技庁並びに中川長官の存在意義を大いに高からしめるべきだと思いますが、その気持ちはありませんですか。
○国務大臣(中川一郎君) 私は実力があるとも、また存在意義を示そうとも思っておりません。ただ、日本国民に放射線によるあるいは放射能による被害があってはならないということを担当いたしております。現段階においてはそういう放射線漏れという事故を起こすような状態にはないんではないかと思っております。もし今後そういう事態があるとすれば、その点を通じてお願いをするところはお願いし、調査するところは調査しなければなりませんが、現段階においてはそういった行動を起こすという判断を得る材料はまだないと、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 この機会に強く求めたいと思うんですが、今後も起こり得る問題でありますし、私はこの機会にそういう準備と体制をつくるべきだということをこの機会に申し上げて、次の質問に移りたいと思います。
 これは先ほど塩出議員も触れた原子力船「むつ」の母港問題であります。長官が青森へ行ってある程度の事態が展開されていると思うんですが、問題は、いま佐世保で改修工事を行っております、当初三年もかかると言われた修理期間が一年二カ月で行う突貫工事です。しかもこれ核封印、一番大事なところは封印してそこはいじらぬと、こういうまま行われることから、これは技術的に安全な船になる保証があるんだろうか、再びああいう問題が起きやしないか、こういう危惧が依然として強いわけです。そこで、科技庁として安全だと断言できるのか。また、できるとすればその根拠は何か、これをお示しいただきたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 確かに三年間のうち一年数カ月工事に着工できなかったと、したがって短い期間で工事をしなければならぬということで苦労しておりますけれども、だからといって、突貫工事をやって粗漏な工事をやろうという気持ちは全くありません。何よりも何よりも安全を第一にということでやっておりますし、また、でき上がった段階において、あるいは途中の段階においても、いま安全審査について安全委員会が審査をして安全であるという確認をとっていきたい。そういう審査を通じて、国民の前に信頼の得られるようにしていきたい、こういうふうに思っております。
○近藤忠孝君 私は今回の場合には、このことは幾ら強調してもし過ぎることはないと思うんですね。というのは、これは七四年八月この事故が起きた際、当時の森山科学技術庁長官は、強行出港に当たってこう言っているわけですね。「むつ」の安全性を疑う者は世界の科学に挑戦するものだということで、安全性を強調したわけです。それから原子力船開発事業団の方でも反対漁民に対して、これは火を恐れる野獣だ、こういわばののしったような発言まであったわけですね。ところが、漁民の反対を押し切って試験航海に出港した直後に、原子炉の出力わずか一・四%上げたところで設計値の千倍を超す異常放射能漏れを起こしたということですが、私は少なくとも当時完全に安全審査をやったと思うんですね。当時安全だと、いま長官がおっしゃるように当時の長官もそう言っておったのですが、あにはからんや、そうではなかったということであります。
 そこで私は、いまの段階でこの安全審査体制あるいは検査体制、これは十分であるのかどうか。この点から私はまず疑ってかかる必要があると思うのです。そこでいろいろ工事としては遮蔽改修工事それから安全性総点検、補修工事とあるんですが、それぞれについていまどこまで工事が進んでおり、そして安全審査体制及び検査体制はどうなっておりますか。これについて御答弁いただきたいと思います。
○参考人(野村一彦君) 工事の進捗状況を申し上げます。
 工事におきましては、先生御指摘のように、種々の理由によりまして着工が予定よりも一年以上おくれたということは、私ども非常に残念なことでございますが、しかしながら安全の手順を踏んで、しかも慎重にかつできるだけ早く約束の期限に工事をやるといういろいろ工夫をいたしまして、工期を分けまして昨年の八月から本格工事に入ったわけでございまして、第一期の工事を終了して現在第二期の工事の途中でございます。その間の当初立てました工程につきましては、多少の部分的な出入りはございますけれども、工事はおおむね順調に進んでおるということでございまして、現在予算的に申し上げますと、全額の七〇%程度の契約で工事の進捗を見ておるということでございまして、今後も努力をして、私たち事業団としても安全に万全の配慮をしてお約束を果たせるようにしたいと、せっかく努力中でございます。
○政府委員(赤羽信久君) 遮蔽以外の安全性総点検に基づきまして必要となりました補修工事に関しまして、現在安全審査を行っているところでございます。私どもの方も行政庁審査を慎重に行った結果、大体大詰めにまいりまして、今月中には原子力安全委員会に対しましてダブルチェックの諮問をすることができる段取りになってきております。
 なお、安全審査体制でございますけれども、確かに御指摘のように、かつての安全審査は基本的な部分だけ、基本設計だけを安全審査いたしまして、具体的な設計や工事につきましては行政庁に全く移管するという形がとられておりましたが、いろいろな経験を踏まえまして、現在ではそこをオーバーラップさせるような運用をしておりまして、その点でも間にはさまって見落としがあったというようなことが防げるのではないかと考えております。
○近藤忠孝君 まず安全性総点検、補修工事の方ですが、先ほど事業団の方で工事は順調に進んでおると、そうしますと今度、工事が進んだ段階で事業団からの原子炉設置変更許可申請、これが出るんですね。それに対して科技庁の方の検査がある。さらにそれに対して、今度ダブルチェックとして原子力安全委員会のチェックがある。こういう段取りになると思うんですが、この方はどう進んでおるか、あるいはなされておるのか、その時期はどうなのか、いかがですか。
○政府委員(赤羽信久君) 補修工事の関係につきましては、変更許可申請は昨年の十月に出されたわけでございまして、それを外部の専門家を交えて行政庁の審査をしてまいりまして、来週か再来週には原子力安全委員会に諮問できる運びになってきたわけでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、それに対する原子力安全委員会の審査はこれからと、こう見てよろしいわけですね。そうしますと、幾つか問題があるのは、原船事業団からの許可申請が昨年の十月と。そして、これはあくまでも変更許可申請ですから工事はそれから始まるんでしょう。そうすると、工事が進んでその工事がうまくできたかどうか、それの検査は当然あるんじゃないでしょうか。その点どうですか。
○政府委員(赤羽信久君) 工事の段取りとしましては、安全委員会の答申がありますと変更許可がおろされるわけでございます。その後に工事が始まる。工事が始まるに当たりましては、設計と工事方法のまず認可の申請があって、おろしまして工事が進んで、終わった段階で今度は検査がある、そういう手順がこれからあるわけでございます。
○近藤忠孝君 ですから、去年の十月に変更許可申請があったわけですから、それから工事が始まっている、こうなりますと本当に間に合うのかと、こういう心配が現にあるわけです。そして、工事を急いでまた失敗しやしないかと、これは当然国民が持つ疑念ですが、その点はどうなんですか。
○参考人(倉本昌昭君) 私どもといたしましてはこの改修工事、補修工事ともに安全確保のために、また工事を確実に行うことについて、メーカーの方と慎重な打ち合わせを鋭意進めて工事を行っておるところでございますが、補修工事につきましては政府の方の御許可、御認可を得次第いつでも工事にかかれるように、メーカーの方と現在鋭意準備を進めておるところでございまして、御許可があり次第工事を竣工したい、かように考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 ですから、これから工事にかかるわけですれ、となりますと、それこそことしの十月ですが、佐世保の方は間に合うんだろうかと、大臣は専門家じゃありませんから、部下の言ったことをうのみにする以外ないんだと思いますけれども、もう一度大臣恥をかきやしないかという問題、私は大臣にかわって心配しておるんです。というのは、実際こういう問題は、すでに指摘されておることです。去年の衆議院の科学技術委員会に参考人として出席した日立造船の木下社長がこう言っておるんです。「今後、何月何日までにきっちりやれといったようなしりを押さえて無理をする、もし無理ならば、無理をするといったようなことではなくて、やはり納得のいく慎重さを持ってやるのが本当ではないか。」ということを、実際事業をやる方が言っておるわけです、しりをはたいて期限までにやるということが失敗のもとであると。となりますと、期限内にやるやるとおっしゃっておるんだけれども、それまでにできるという立場で、いま物事を進めていること自身に無理がありはしないか、こう思うんですが、これは大臣どうでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) この工事に取り組む姿勢としては、まず安全を第一に置くべきであると、これが基本方針でございます。一方、期限もございますから期限に間に合わせるという努力もしなきゃならぬ。そういうことでいまやっておりまして、いまのところ期限内に、しかも安全にできるのではないかということでございまして、必ずできます、心配ありません、こうも言っていないんです。二つの約束がありますから、守らなければならない安全と期限内と、これが両立するよう努力をしておるということであって、期限のために安全性を損なってでもやると、こういうことは申しておらないところで、まじめに一生懸命やっておりますから、しばらく御信頼をいただいて、またその段階になりましたら、安全第一という観点からまた五者の間で話し合うことがあるかもしれませんが、いまのところはそういう立場で進めておるところでございます。
○近藤忠孝君 そうすると、時期の問題と安全の問題があるんですが、時期の問題では、やりたいという願望はありますけれども、そのため努力をしているという決意もわかりますけれども、しかし、これは客観的にはどうなっているかわからぬわけです。それで、もしも約束の期限までにできなかった場合には、佐世保の方はこれどうなるんでしょう。約束がありますね、それはどうなりますか。
○国務大臣(中川一郎君) 五者の間で話し合ったことは五者の間でまた話し合うと、こういうことになるわけでございます。
○近藤忠孝君 そうすると、また向こうへ行って頭を下げなきゃいかぬこともあるし、また向こうがそうはいかぬという、苦況に陥る場合もあるわけですが、きょうはそれはそれで、またその問題が起きたときに指摘をしたいと思いますけれども、そういう問題があるということを、ひとつ腹をくくっておいていただきたいと、こう思うんです。
 ところで、安全の問題については長官大分自信をお持ちのようで、この間青森へ行った際に、報道によりますと、漁民を前にした集会でこう言っておりますね。「原子力、原子力発電所で被ばくを受けた人はどこにもいない」、それから「放射線漏れといっても裸で抱きついても安全だった」と、こう大臣がおっしゃっていることを新聞で拝見したんです。それに対して報道した新聞記事でも、「原子力発電所での被ばく事故は科技庁に報告されている例もあるほか、使用済み燃料再処理工場などでは年数回、やはり事故が報告されており、「むつ」の安全性を強調するあまりの同長官の失言」と新聞は指摘しておるんです。私、初めて大臣に聞くわけですが、大臣本当にそういう発言をしたのかどうか。そして本当にそう思い込んだのか、裸で抱きついても大丈夫だと本当に思い込んでいるのかどうか、いかがですか。
○国務大臣(中川一郎君) 私はこの間参りましたときにも、例の大騒ぎになった燃料キャスクがあったと、ああ大変だ大変だというような話がありました。その燃料キャスクにもほおずりをしてみて大丈夫だということを確認してまいりましたし、また低レベルの廃棄物、ドラムかん海洋投棄、これも危ない危ないという物だそうですが、これにもほおずりしてみましたが何らの事故はないと。そういう意味では、私の経験から人様が危ない危ないと言うけれども、そんな危ない物ではない。また専門家によれば、スリーマイルアイランドの事故の放射線の星も、あるいは原子力船「むつ」の放射線漏れの星も、言ってみるならば、そこで裸で受けてもレントゲン写真一枚ぐらいのものであると、こう聞いておりますから、まあその程度のものではないかということについては、自信を持っておるわけでございます。
 そこで、何と言ったかというと、たくさんの新聞社の前で言ったのでございますが、一社だけが被曝はないと、言い過ぎだと、こう言っておりますが、私が被曝はないと言ったのだとすれば、それは言い違いではなかったかと。被曝による人身事故はいままでない、死んだ人もないし、それによって特別障害を受けて大変な騒ぎになったという事故はない、こういうことを言いたい余りに少し言い過ぎた点もあったかもしれませんが、私の認識では世界じゅうの原発においても、わが国においても、そのような大騒ぎをする人身事故はなかったと、こういうことでございます。
 それから、先ほど燃料キャスクと申しましたが、新燃料二体ということでございます。訂正しておきます。
○近藤忠孝君 いまのお話聞いていまして、科学技術庁長官が余り科学的でないことをおっしゃるんでちょっと驚いたんですけれども、何しろ放射能は目に見えないんですし、とても大臣が抱きついたかどうかということで判断できる問題じゃない、こう思うんですね。
 それからもう一つ、被曝による人身事故の問題については、われわれの得ている報告では実際そういう被害が起きている、こういう例もあるわけで、私はそう断定するのもいささか早いんじゃないか、こう思うんです。そういう段階で、青森のような発言をされたとなりますと、しかも、安全性について大臣が確信を持ち、そしてその確信に基づいて行動するとなりますと、森山元長官と同じ過ちを繰り返すおそれがあるんじゃないか。先ほど申し上げたような発言をしてその直後に事故が起きちゃったわけですから。となりますと、私は、これは単なる中川長官の恥だけじゃなくて、むしろ国民の命や日本の環境にかかわる問題だ、こう思うんですけれども、その点でもう少し慎重であるべきじゃないんでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) 私も慎重にならなきゃいけないが、委員の方も、批判される方も事故事故と、まあ私は森山長官をバックアップするわけじゃありません、表現その他について真相を知りませんけれども、言われているようなことがあったとしたらば私は言い過ぎだと思いますが、放射線漏れというような事故があった場合、これは事故と言えるのかどうか、故障という範囲内ではないか。汽車でいえば、途中でストップをした、スリップをした。しかし、人をひき殺したわけでもないし乗客がけがをしたわけでもない。さあ危なそうだからというんで、とまるべからざるところで停車をした、こういう程度をもって、さあ国民に不安を与えた、国民に大変な迷惑を与えたと、こう言い過ぎるのも少し考えなければいけないのではないか。私たちも表現について十分注意をしなければなりませんが、やはり国策上、これからの代替エネルギーを進めるに当たっては、われわれの頭の中では国民に迷惑をかけちゃいけない、安全を第一にということはもう最大、念頭に置いていかなければなりませんが、若干の故障をもってしてこの行政が事故につながるものでだめだというふうに誇大に言われることも、国家国民の将来のことを考えたときには、お互いがやっぱり考えていかなきゃいかぬことだと、私はそう信じているんです。
○近藤忠孝君 日本共産も原子力発電の開発に反対していないんです。ただ、安全性が確認されないままいまのような進め方をすることは間違いだ、こう言って批判しているわけですね。と同時に、安全性がまだ確認されないまま、スリーマイル島事件ははっきりと示したわけですが、特に営業ペースとしては絶望的に安全性は確認されてないという、こういう状況のもとで、それで突っ走っていく人がおるから、だからわれわれは逆に危険な面を強調する。また、そういうのがいなけりゃ突っ走っちゃうわけですから。ですから、それは大いにこちらの言うことに耳を傾けて慎重であってほしい、こう申し上げたわけであります、
 そこで今度は、具体的に青森での外洋の新母港問題ですが、先ほどの話では、まだ場所は具体的に決まったわけではない、こう言うんですが、外洋に幾つかやはり候補地があるんだと思いますが、その候補地というのはかなり具体化したものなんでしょうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 候補地という名前では呼んでおりませんが、過去、青森県知事さんを通じまして二カ所、誘致と申しますか、そういう希望があるという個所があるという御紹介をいただいております。ちなみに申し上げますと、大畑という港とそれから岩崎村というところにある港の二カ所でございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、具体的に二つの名が出ていますが、これはやっぱり地元との協議、あるいは国として最終的に考えて、この辺でこれから煮詰まっていく、こう聞いてよろしいんでしょうか。
○政府委員(石渡鷹雄君) 先般の中川長官の訪青時に、新母港の候補といたしましては、むつ市長の御意向を十分そんたくしてほしいという県知事並びに県連の御意向もございまして、そういう方針で進むというお返事も差し上げてございます。そういう過程を通じまして、今後具体的な母港の候補地が決まってくる、こういう段取りになるかと考えます。
○近藤忠孝君 それから、先ほど大臣は現地へ行って調査した自分のお気持ちを言われましたけれども、青森へ行く前には大湊に再度お願いしよう、こういうお気持ちだったのかどうか。もうすでに行く前に外洋の方に変わっておったのか、それとも現地へ行って実際そういうのを見た上で気持ちが変わられたのか、これはどうでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) 現地へ行く前から、地元の知事さんが検討した結果、各方面の意見を聞いた、しかし、漁民の皆さんが大事な漁場を荒らしたくない、この一点についてはどうしてもいまの段階で了解をとることはむずかしい、こういう御報告をいただいております。
 また一方、漁民の皆さんからも原子力船「むつ」に反対はしないんだが、湾内ということならばわれわれは大事な漁場を持っておるので賛成しかねる、こういう意見は十分聞いておりました。
 そこで、現地に臨むに当たっては、私としては行ってぎりぎりお願いして、何とか大湊にお願いできるものならばという気持ちは持っておりました。その段階から、ああもうあきらめなきゃいけないなということで臨んだのではなくて、そういう漁民の強い考え方、また私のお願いしたい気持ち、そういった段階で現地に参り、地元の皆さんに会い、意見を聞き、特に漁業を営んでおられる夫婦そろったお二方の職場、大事にしているその点を見て、これは尊重してやらなけりゃいけないなという気持ちに打たれてああいう判断になった、こういうことでございます。
○近藤忠孝君 そこで、外洋建設の問題ですが、最新の報道によりますと、けさ自民党の原子力船対策特別委員会では、原子力船「むつ」の母港問題打開のため、中川長官が地元青森県の代表者に示した新提案の報告を受け、全会一致でこれを了承したという報道があります。そして中川長官を応援しようということのようですが、そうすると、現段階ではまだこれは政府の正式決定になっていないわけですね、ですから、まだかなり流動的な問題があると思います。
 一つは、かなりお金がかかるという点と、それからもう一つ、いま大臣が提示されたのは、あくまでも条件づきだと思うんです。条件つきというのは、これも新聞報道でわれわれが理解する限りでは、一つは、新母港完成までの間修理の終わった「むつ」の大湊港仮停泊、それから二番目には機能試験、それから出力試験だと言われておるんですが、これはどうなんでしょうか。これを地元がのむことが外洋港建設の条件であり、これらについて全部もしくは一部でも地元がのまない場合には、外洋建設というのは壊れてしまうのかどうか、どうなんでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) その点については、地元では仮停泊という言葉ではございません。入港し、停泊を認めてもらうことが条件である、ぜひとも認めていただきたい、こういうことでございます。
 それと三番目は、以上により合意された場合、大湊港における入港、停泊に当たっての取り扱いについては別途地元と協議さしていただくこととしたい、こうなっておりまして、今後話し合いによってどうなるか、お互い合意を得たことでやっていきたいということで、何々をやらしてもらえないからやめだとか、そういうことではございません。
○近藤忠孝君 これ一つは仮停泊か、あるいはいま大臣が言われたような言葉かは別問題といたまして、外洋港ができるまでの間「むつ」が停泊しますと、やっぱり大湊港が母港化してしまいやしないかと、こういう問題があります。相当期間がたつわけですから、その間に国の情勢、社会の情勢が変わって外洋港がだめになった場合、それこそもう永久的な母港になってしまうと、こういう可能性もあるんだと思うんです。いまの大臣のお話でもその辺がきっちりしていないような感じがしますね。
 それで、いま地元との今後の話し合いで協議していくということですが、これも最近の報道によりますと、青森県知事が「「母港の着工以前に「むつ」がむつ市大湊港を仮母港として出力上昇試験などを実施することは認められない」と語った。」と、こういう報道がありますし、先ほど幾つか掲げた事項がもし条件だとしますと、その条件が認められないと、こういう可能性もやっぱり出てくるんじゃないかと、こう思うんです。その辺は大臣どう処理されますか。
○国務大臣(中川一郎君) 新聞も見出しと中身が違っておりまして、必ずしもいま読んだとおりではなさそうであります。ただ言えることは、ずるずると居座るというようなことは、先ほど言った大湊における取り扱いがどうあれ、居座ってしまうというようなことであっては、地元が最終合意に応じないということだけははっきりしているんだろうと思います。やはり一定の期間で母港を決定していくという担保というか、なるほどと、こういうことだけは政府の責任においてやらなきゃならぬ。これがのまれなければ合意は成り立たないと、こう見ております。
○近藤忠孝君 私は弁護士なものだから、いつも最悪のことを考えてその対策を考えるのですが、最悪の事態となりますと、地元の方から返ってくるいろんな要求や返事がとても大臣としてはのめないものとなった場合には、せっかく打ち出した外洋港構想が壊れてしまう可能性もあるんじゃないかと、理論的にそうなりましょう、その点どうなんですか。
○国務大臣(中川一郎君) まだ最終合意に達したわけじゃありませんで、先ほど言った三つの条件について皆さんがそれぞれ持ち帰ってひとつ話し合おうと。ただ言えることは、皆さんが善意を持って前向きでひとつ検討もしてみましょうということであって、これが成立するしないということは今後の課題で、私としてもぜひ提案をしたことをベースにして最終合意が得られ、「むつ」の開発が最終域まで到着できるように最善を尽くしたいと言う以外に申し上げられることはないわけでございます。
○近藤忠孝君 じゃ、その点はわれわれも見守っていきたいと思うんです。
 そこで、「むつ」の問題について最後の質問は、炉は全く封しちゃったわけです、原子炉はね。そうでしょう。いじっていないわけで、昔のままですね。そして、ほかの遮蔽とかいろんな装置を改修したわけですが、本当に大丈夫なんだろうかという心配が依然として残るわけです。しかも、大臣は「むつ」を軍旗だと、自分にとっては「むつ」は軍旗だと、こう言ってどうしてもこれを最終まで貫きたい、こういうことが新聞報道、朝日に出ておりますけれども、軍旗としますと相当ぼろぼろの軍旗ですね。そうでしょう。旗も相当ぼろぼろになっておる状況ですね。しかも、一番肝心の原子炉の方はずっと昔の古いままと。それで、しかもいろいろ発注しているのが分割発注ですね。分割発注が前回の事故にもつながったんじゃないかと、こういう意見もあるくらいですが、これから外洋港に五百億ぐらい金かける。そうすると、いままでかけた金は全部で一千億円になっていくんですが、こういうぼろぼろになった軍旗と大臣が考えておられる「むつ」に、そんな金をさらに投資することが本当に日本全体から見て妥当なのかどうかと、こういうことはもう一度考えられてしかるべきだと思うが、そのことが全然大臣の頭の中にも腹の中にもどこにもないのかどうか、その点どうですか。
○国務大臣(中川一郎君) 私は軍旗と言ったかどうか知りませんが、世間一般から見て原子力行政といいますか、平和利用の象徴みたいになっておると。一番最初に手がけてああいう事故を起こし、あれが成功するかしないかということは、わが国の原子力行政を進めていく上において大きな影響を与えるものである。そういう意味で、軍でたとえるならば軍旗という解釈が成り立つのかもしれません、士気にかかわることですから。
 そこで、じゃぼろぼろであるかどうかということは、これは相手が見ることであって、私は若干トラブルを起こしたという事実はあっても、これがぼろぼろであって幼稚なものであるとは思っておりません。やはり原子力船を開発していくのには、まず初期の段階のもの、私は言うんですが、小中学校程度の教育から次は高校、大学の教育とだんだん進んでいって実用の社会に出ると。やはり高校、大学まで行く次の試験をやるためには、相手が何と批評しようとも、あの段階のものはやっていかなきゃならぬ。まあ若干政府の責任もありまして、母港を変えなければならないとか、あるいは若干トラブルを起こしたということは遺憾であっても、大局的に見てこれをやめろというようなことは、責任者としてとるべきではないという判断のもとに、いま血のにじむような苦労をしておるところでございます。
○近藤忠孝君 それでは次の質問、最後に移りたいと思いますが、もうすでに質問もあったスペースシャトル問題で、私もこの成果の面、人間の新しい夢がさらに開けたと、こういう面でこれを大きく評価するものです、ところが、もうすでにこれも指摘がありましたように、軍拡に拍車をかけやしないかという問題、これが大変大きな問題だと思うのです。これはすでに決まっていると十九回のシャトル打ち上げのうち、十八回は国防総省専用だということですね。それは宇宙に半永久的な作戦司令部を建設しようということで、これは元宇宙飛行士のシュミット上院議員がレーガン大統領に勧告したと、こう言われておって、まさに米ソ対決の軍拡の中で拍車をかけやしないかと、こういう心配があるんです。
 そこで、その認識はもう客観的事実ですが、それを前提として、日本の立場としてはまさに宇宙に人間がどんどん行くような道が開けた今日、地上で戦争なんというのは本当にやめるべきだという、こういう立場から国際的にもこれを軍拡競争の対象にしてはならないと、こういう発言をすべきだと思うのですが、幸い日米首脳会談もありますし、その他発言の機会もありますから、閣僚として総理にそういうことを進言するお気持ちはないでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) このたびのスペースシャトルは何度も何度も使えると、一回ぽっきりのものじゃないということが特徴的であり、また特別の訓練を受けない科学者等が宇宙活動をできると、こういう利便を持っておるという意味で、今後大きく宇宙の平和利用に貢献できるものと期待しております。
 御指摘のように、スペースシャトルが軍事利用になり、軍拡競争を宇宙空間に拡大することになるんだと指摘する国があることも承知しております。また、そういう新聞の論調もあることも承知しておりますが、そうしてまた国防総省が何回か使うということも承知しておりますけれども、これが軍拡になるのか、核戦争の材料になるのか私ども承知しておりませんで、これについて論評をするという立場にはございません。
 ただ、われわれとしては平和利用に活用されることを期待すると。ましてや、わが国がこのスペースシャトルをお借りするときはもちろんのこと平和利用に限ると。ただ、一般論として、わが国は非核三原則、そしてまた核不拡散条約に入っておると。そして核軍緒を唱える国であるということでございますから、これは私から特別言わなくとも、総理みずからが外務大臣と御判断の上でやられることであって、科学技術を担当する者から特に総理にどうのこうのと言う気持ちは持ち合わせておりません。
○近藤忠孝君 きょうの読売の記事によりますと、アメリカの対ソ戦略家ダニエル・グラハムという人、これは退役陸軍中将だそうですが、昨日外人記者クラブで記者会見してこう言っておるんですね。「スペースシャトルを利用した太陽発電衛星や宇宙兵器の開発に、期待される日本の役割は大きい。日本は、ソ連や石油輸出国機構の脅威に対抗するために、アメリカをはじめとする西側諸国と協力して行かなければならない。」ということを語ったと言われております。このグラハムという人は、去年のアメリカ大統領選挙でレーガン大統領の軍事顧問を務めただけではなくて、かつて国防総省や中央情報局で対ソ戦略を担当した人物と知られているというわけですが、日本側防衛関係者に対してこういう働きかけをするということで来たようです。大臣、こういう事実を御存じか。
 そしてまた、こういうことが具体的に起きますと、さっき大臣が言ったようなのんびりしたこと言っておれないわけですから、それに対して日本としてもしっかりした態度をとらなければいかぬ、こういうことですが、いかがでしょうか。
○政府委員(勝谷保君) 先生御指摘のような記事を私どもも本日読んでおりますが、事は、軍事評論家の議論でございます。私どもは、相手方でございますアメリカのNASAと常時接触を保っておりますが、すべて平和利用に関するものでございます。そして私どもが、いま技術の提供を受けて、るる先ほどから説明いたしておりますように、NI、NII、HIと進めてまいりますが、このハードウエア並びに技術についてもアメリカとの間で平和利用に徹することがうたわれておりまして、そのような御心配のことにつきましては議論もいたしておりませんので、私どもは、評論家の議論として、言論の自由に基づいて御発言になっていると認識をいたしております。
○近藤忠孝君 これで予定した質問を終わりますが、いま入った情報によりますと、動燃の再処理工場で放射能漏れがあったという、こういう情報が入っているのですが、これは事実でしょうか。
○政府委員(赤羽信久君) 詳しいことを存じておりませんけれども、先ほど再処理工場の浄化槽の放射能レベルが普通よりちょっと高いという話だけをまだ聞いた状態でございまして、詳細は存じておりません。
○近藤忠孝君 そのように、やっぱりしばしは故障というか事故というか、起きるわけですので、ひとつこの問題につきましてはさらに慎重に対処されたいということを要求して質問を終わります。
○委員長(太田淳夫君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会
     ―――――・―――――