第095回国会 社会労働委員会 第3号
昭和五十六年十月二十七日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十月二十六日
    辞任         補欠選任
     対馬 孝且君     青木 薪次君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         粕谷 照美君
    理 事
                遠藤 政夫君
                佐々木 満君
                安恒 良一君
                小平 芳平君
    委 員
                関口 恵造君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                丸茂 重貞君
                村上 正邦君
                青木 薪次君
                渡部 通子君
                沓脱タケ子君
                前島英三郎君
                山田耕三郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  村山 達雄君
   政府委員
       厚生大臣官房長  吉村  仁君
       厚生大臣官房審
       議官       吉原 健二君
       厚生大臣官房審
       議官       下村  健君
       厚生省公衆衛生
       局長       大谷 藤郎君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  持永 和見君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       社会保険庁医療
       保険部長     入江  慧君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        今藤 省三君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部外勤課長   田中 和夫君
       厚生大臣官房審
       議官       新田 進治君
       厚生省保険局医
       療課長      仲村 英一君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度等に関する調査
 (スモン病対策に関する件)
 (薬価基準の改定に関する件)
 (大鵬薬品のダニロンの発がん性問題に関する
 件)
 (丸山ワクチン問題に関する件)
 (中央薬事審議会委員の任期に関する件)
 (支払基金業務のコンピューター導入に関する
 件)
 (国立病院及び国立療養所における定員削減に
 関する件)
 (社会保険診療報酬改定問題に関する件)
 (医薬品副作用による被害者救済に関する件)
 (精神障害者の人権と医療問題に関する件)
    ―――――――――――――
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○安恒良一君 まず、私はスモン訴訟問題についてお伺いをしたいんでありますが、特に十月二十二日に、東京地裁におきまして和解が成立したもの及び勧告がなされたものがあると聞いていますが、それがどうなってるのか。それからスモンの解決状態、全体は私承知いたしておりますから、これはごく簡略に説明していただきたいと、こう思います。
○政府委員(持永和見君) 十月二十二日に東京地裁で和解及び勧告がございまして、東京地裁の十月二十二日の和解は、十三件の和解が成立いたしております。それから勧告が二十七件出ております。
 それから全体の状況でございますけれども、提訴患者に対する和解率でございます。これは十月二十三日現在でございますが、提訴患者が現在六千二百二人おりまして、和解が成立いたしておりますのが五千八十二人でございますから、率にいたしまして八二%でございます。それから鑑定報告者数、そういった鑑定が済んだ人などに対する和解率で見てみますと、鑑定の報告などがありました人たちが五千三百三十三人、これに対しまして、和解が成立いたしましたのが五千八十二人でございまして、九五%の和解率と、こういうことでございます。
○安恒良一君 全体の状況はわかりましたが、東京で今回出るであろうと思われた中で保留された数。和解成立したのはわかっていますが、和解が勧告で、その諾否について態度を明らかにしていないところがあると思いますから、その中身について説明してください。
○政府委員(持永和見君) 現在、東京地裁では、まだ未解決として残っております数は、七月以前に鑑定報告があった者が二十三人でございます。それから八月以降に鑑定報告があった者につきましては十三人でございます。
 この二十三人の内訳でございますけれども、二十三人のうち、五人は十月の二十九日あるいは十一月の二日に和解が成立する予定でございます。その他患者側の事情、あるいは立証の問題ということで、私どもの感じといたしましては、七月以前の鑑定報告分、鑑定報告があってから時間がたっておる患者については和解がほぼ事実上成立しているというふうに見ております。
 それから先生御指摘の和解勧告の問題でございますが、和解勧告につきましては、会社側がこれを受けて現在検討しているというふうに伺っております。
○安恒良一君 人の質問を的確に聞いて答えてください。要らぬことをしゃべることない。
 私は、二十二日に出された中で和解したものはわかった、和解しないで勧告にとどまっているものの内訳はどうなっているのか、それだけ聞いているんですから、後のことは要らぬことです。時間が足りませんから、ぼくの聞いたとおりに答えてください。その会社の内訳はどうなっているのかと、こういうことを聞いている。
○政府委員(持永和見君) 二十七人の内訳は、チバ、武田関係が四人、それから田辺関係が二十三人でございます。
○安恒良一君 チバ、武田関係は、田辺との複合でありませんか。
○政府委員(持永和見君) チバ、武田、田辺ということで複合のケース、御指摘のとおりでございます。
○安恒良一君 ですから、初めからそう答えてくださいよ。事実をわかった上でここで議事録にきちっとするために聞いているんですからね。
 そこで大臣、いまお聞きのとおりの現状であります。このスモン問題というのは五十四年九月十五日、橋本大臣のときに、製薬三社と原告団、それから国の間に和解を進めるための覚書、協定ができて、それから一挙に進み出しました。その後、橋本大臣、野呂大臣、齋藤大臣、園田大臣、そして現大臣と、大臣が五代かわっています。それから業務局長も現局長に至るまで三人おかわりになっているわけです。
 それから五十四年九月十五日出たとき、橋本大臣は年内に解決したいということの御努力をされました。園田さんも年内解決ということで努力をされたわけでありますが、いずれにしましても、五十四年に解決しませんでした。そして五十五年も終わって、すでにことし五十六年の十月ですから、もうまる二年経過しています。
 そういう中で、解決がおくれている一つの原因は――地裁から和解についての勧告が出されたときに、大体チバガイギーと武田製薬はほぼ勧告を即座にのむ。ところが田辺がああでもない、こうでもないと言って引き延ばしをやるわけ。この点は大臣が御就任されたときに、スモンの弁護団、患者とお会いになったときに、大臣は裁判所が出したものに必ず従って解決させるんだ、だからまず裁判所に早く見解を出してもらおうじゃないかと、こういうことを強調されたことを私は立ち会いをいたしまして覚えております。
 そこで、いまも聞かれたように、せっかく東京地裁の裁判長が十月二十二日に出されて、チバと武田は即座に和解に応じた。ただし田辺関連のあるものは田辺が保留していますから、やむを得ずチバと武田は保留している。だから一にかかって田辺の態度にあると思います。
 ですから、私ども前から言っているんですが、裁判が出たら、国も製薬三社もお互いに無条件に従う、もちろん原告団側もそれに従ってやる。ですからそれがないと――いまもお聞きしますと、提訴患者の中でまだ約千に近い数が未解決で残っていますね。そして、大臣も御承知のように、東京地裁の解決が全国の裁判所の解決を促進することも現大臣も御承知だと思います。そういう意味で、せっかく二十二日の日に東京地裁裁判長がきちっとしたことを提案されているわけですから、そしてどうしてもあなたたちが聞かなければ十一月に入ったらまた見解なり判決を下さなきゃならぬ、こういうことで期日まで、東京の裁判長は十一月の期日を二つ指定されていると私は聞いています。ですから、ぜひ大臣、早急に田辺の会社との間に、少なくとも東京地裁からいま出ているものについては直ちに受諾してそして一歩前に進める、こういうことについての大臣の御努力をお願いしたいし、また当然これは、大臣がすでに公約されていることですから、やっていただかなきゃならぬことであります。
 そこら今後のスモン訴訟、二つ聞きたいんです。一つは、いまの事態の解決をどういうふうにされようとするか。それからさらに、今後のスモンですね、歴代大臣が一日も早くと言われながらもうすでにまる二年を経過してしまいまして、千名切れておりますがまだ残っている。こういう問題についての大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(村山達雄君) この二十七名でございますが、おっしゃるようにもうすでに勧告が出されているわけでございますので、厚生省といたしましてもこの関係会社にそのままのむように説得いたします。
 それから第二点の問題でございますが、これにつきましては、やはり裁判所の指揮に従いまして、そして一日も早く裁判所でもって解決案が出ますようにわれわれも当事者の一人として全力を挙げて一日も早く問題の解決に努力したいと、かように考えているわけでございます。
○安恒良一君 それじゃ、まず二十二日に勧告が出て、いま主として田辺が保留している、田辺関連でチバと武田が一部保留していますが、これはひとつ大臣の責任で早急に関係会社の社長なり首脳を呼んで受諾するはうに勧告していただきたい、これをお願いしておきます。
 それから第二番目の点は、これももうすでに何回か大臣にお目にかかって申し上げていますが、また厚生省も御努力されているようでありますが、スモン患者と認定されているが投薬証明の全然ない人があるわけですね。ないとどうしてもとれない。この人の扱いについて、各地方裁判所は東京地裁のこの扱いを待っているわけですね。でありますから、この点については、東京地裁の裁判長が、全然投薬証明のない人についての解決の方法についてひとつ早急に東京地裁の見解を示す必要がある。そうすれば現在滞留しているのが片づいてくると思いますが、そういう点についていままでも努力をされていると聞いています。法務省なんかと連携をとって努力をされていると聞いていますが、まだまだ東京地裁の裁判長を動かすまで至っておりませんが、いずれこの問題はどこかで突破しなきゃならぬ問題なんです、率直なこと言って。そういう意味からいいますと、もうちょうどまる二年たちましたから、大臣も五代目ですから、現大臣の時代に、どうも内閣改造が十一月あるとかないとか言われていますけれども、そんなことはさておきまして、少なくとも今年いっぱいに事態が解決できる。最近提訴して鑑定が済んでない者、これはやむを得ませんよ。最近提訴した人はやむを得ませんが、そういう者については年内に解決する。こういう方向で一段と努力をしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(村山達雄君) この和解の促進方につきましては、いま安恒委員のお話もありましたが、もう極力進めてまいります。いろいろ聞いておりますと、裁判所の方もかなり自信を持っているようでございますので、さらに促進方を図ってまいりたいと思います。
○安恒良一君 それではスモン問題はそれぐらいにしまして、次に薬価調査についてちょっとお聞きをしたいんですが、二つのことをお聞きいたします。
 一つは、薬価調査は、私が新聞で見る限り、また御連絡いただいた限り、十二月の市場取引分を対象にして来年の一月に調査を行いたいというふうに聞いておりますが、これは事実でしょうか。
○政府委員(持永和見君) 御指摘のとおり十二月取引分について一月に調査を行いたいということで、先般中医協にも御相談いたし、了解を得たところでございます。
○安恒良一君 大臣、これは聞いておいてほしいんですが、十二月の調査というのは私は余り適当でないと思うんです。それはなぜかといいますと、年末年始の薬の流通形態が非常に不安定なんです。たとえば年末年始休み等もありますから、あるところでは一月の半ばころまでの分を買い込むところもありますし、いろんなことありますね。それから資金繰りの点でなかなかうまくいかない。そういうことで、私中医協に十三年お世話になったときに、薬価調査の一番いい時期はやはり四月か五月、秋やるならば十月、これが一番ノーマルな月だというふうにいままでの薬価調査はほぼやってきたと思うのでありますが、今度年末に、十二月の取引をやられるということは、どうもアブノーマルなときに行われるというのは私は問題があると思いますが、そこのところはなぜ十二月に行うのか、それから今後もこういうようなアブノーマルなやり方をするのかどうか、ひとつ見解を聞かしてください。
○政府委員(持永和見君) 薬価調査の実施につきましては、国会でもいろいろ御議論がございまして、年一回の調査ということは強く社会的に要請がございます。これは臨調におきましても、医療費の適正化ということに関連いたしまして年一回の薬価調査実施ということが強く言われておるわけでございます。
 ところで、薬価基準の改定が先生御承知のとおりことしの六月に行われ、さらに新薬あるいは後発品の収載が九月に行われたわけでございます。したがって、新薬及び後発品の市場価格の形成を適切に的確につかむということのためにはある程度の時期が必要かということも考えられるわけでございます。また片一方、一月になりますと、取引量がきわめて少なくなるとかいうような問題がございまして、年内実施というようなことも踏まえて、私どもとしては、多少そういう御指摘のような事実もあるかと思いますけれども、十二月にやらしていただきたいというふうに考えております。
 次の薬価調査でございますが、中医協の方から確かに四月を調査月として五月に実施するというような建議が前に行われております。こういう問題につきましては、次回の調査につきましては、こういう建議の趣旨を踏まえていつ調査するかというのを検討してまいりたいというふうに考えております。
○安恒良一君 大臣、いまお聞きくださったように、十二月という月は私はきわめて変則的だと思います。いま言われましたように取引が非常に流動的であります。しかし国会との約束もあるので今回はやむを得ないということになれば、それは今回限りにしていただいて、次回からは調査は一番安定しているとき、私どもから言わせるとやはり四、五月を調査月にすることが一番いいだろう。これは長い間中医協でも議論をし、それから薬価の動き等を研究した末にしておることなんですから、今回は調査月としてはことしの分十二月ということでありますから、来年からはやはり来年度分を――というのは、御承知のように調査をいたしましても、集計して約半年かかるわけですから、半年ぐらいいままでかかっていますから、そういうこと等を考えますと、ことしはやむを得ないと思いますが、ひとつ来年からはノーマルなところへ戻してもらいたい。十二月という月とか一月という月は一番いけない月です。一番いけない月に調査をして本当の実態がわかるのかどうかということになると大変疑問。そうかといって、それならばもうことしはやめたということになると、また年一回調査をやらなかったということを私ども言わなきゃなりません。それがためにひとつ、私のところでは、十一月における特別事前調査、それから来年一月に経時変動調査、そういうことも行ってできるだけ十二月のアブノーマルを埋めたいというふうに聞いていますから、そういう点についてひとつ来年以降は正常に戻すということについて大臣よろしゅうございますか。
○国務大臣(村山達雄君) 安恒委員の御意見十分に参考にさしていただきまして検討させていただきたいと思います。来年以降どういうふうにするか、これを中医協にも諮りまして、十分効果の上がるようにしたいと思っております。委員の意見は十分参考にさせていただきます。
○安恒良一君 いや、参考にしてくれと言っているんじゃないですよ。すでに業務局長も言ったように、中医協で議論して、調査の対象月は四月か五月が適当であるという結論が出ているんですよ。ただ、ことしの場合は、年に一回ということであるからやむを得ず十二月にやったんだから、来年から戻しますかと言ったら、戻しますと言ってもらって、それをあなたの意見を参考にしてとか、また中医協に語るということじゃないんですよ。中医協ではそういう議論をした上で四月か五月が一番適当であるという結論が出て、それに基づいてやっておったのがだんだんずれてきて、ことしはたまたま年に一回の約束で十二月にやることになったから、来年からは正常に戻してくださいよと、こう言っているんですからね。正常に戻すなら戻すということで、戻さぬなら戻さぬ、戻さないならばなぜ戻さぬかという理由を言ってもらわなければいかぬですわね。あなたの意見を参考にしてとか、中医協に諮ってということにはならぬわけだ、このことは。どうですか。
○国務大臣(村山達雄君) 私が申し上げているのは、中医協の意見がすでに決まっているそうでございますので、尊重してまいりたいと思いますが、年に一回調査をやって、そして調査の結果に基づいて改定をやるわけでございます。安恒委員いま御指摘がありましたように、調査後集計まで六カ月かかるわけでございます。いろんな約束をしているものでございますので、いつそこに切りかえることができるか、四、五月にやることができるか、年に一回調査をやり、それに基づいて一回必ず改定をするということでございますので、その辺の期間のところの移り変わりをずっと見てみたいというふうに考えて申し上げたわけでございまして、もちろん尊重してまいることは当然でございます。
○安恒良一君 それじゃ、尊重するということで……。
 そこで次にお聞きしたいんですが、現在中医協に薬価の算定方法について諮問をされていると聞いておりますが、中医協に薬価問題にかかわって諮問をされている中身は何でしょうか、それを聞かせてください。
○政府委員(大和田潔君) 中身、つまり中医協に対しまして、私どもの案がこうこうであるのでいかんというようなことではございませんで、薬価算定方式につきましてどうかひとつ、いろいろ議論があるところでございますので、御検討をお願いしたいという、いわゆる検討依頼という形でお願いをしておるわけでございます。
○安恒良一君 それじゃちょっとお聞きいたしますが、薬価の調査方法は中医協にかけなくてもできることでしょうか、算定方法は中医協にかけなければできないことなんでしょうか、そこの二つについて考えを聞かせてください。
○政府委員(大和田潔君) 私の方から薬価の算定方式につきましてお答えを申し上げますが、いま先生の御質問は、諮問事項かどうかというような御質問ではないかと思います。
○安恒良一君 いや、ちょっと違う。諮問事項とかそんな言葉で言っても――だれがお答えになってもいいんですが、薬価は調査方法と算定方法があります。調査方法は中医協に諮問をされているんですかどうか。それからいま現在中医協に諮問をされていることは算定方法なのですかどうですか。こういうことを聞いておりますから、それぞれ担当局長から正確に、また前に自分が答えた議事録をよく読み直して、間違いがないように答えてください。
○政府委員(大和田潔君) 私どもの方は、算定方法を中心といたしましたところの薬価基準の適正なあり方というようなことでお願いをしておるわけでございますが、これは御承知のように、中医協におきまして従来から薬価基準のあり方につきまして種々建議がなされておる。こういう経緯もございますし、実際問題として、この問題につきましては関係者が非常に多いわけでありまして、問題の多いことでございますので、私ども薬価基準の適正なあり方、それは薬価基準の算定方式についての検討が中心になるわけでございますが、そういったことにつきまして御検討をお願いしておるわけでございます。
○政府委員(持永和見君) 保険局長からお答えがありましたとおり、現在中医協で薬価基準の算定方式について検討が行われておりますけれども、私ども薬価調査の方法もその中に含めて検討をお願いしているというふうに理解いたしております。
○安恒良一君 去年の十一月十八日の参議院の議事録を見てください。大和田さんは、「薬価の算定方式につきましては中医協で御議論願うことでございますが、薬価調査自体は中医協ではなく厚生省プロパーでやるわけでございます。」と、こういうふうにお答えになっている。ですからわざわざ私はお伺いしている。
 私は、いま本当に大臣が薬価の算定方法も調査方法も御検討願いたいという諮問をされているんなら、それはそれでよし。ところが、私がお聞きをする限りにおいては、薬価の算定方法ですね、九〇バルクライン問題を初めとする薬価の算定方法について御諮問されているように聞くんですが、調査方法についても衆議院、参議院でもうたくさんの議論が出ているわけですね。
 これはどういうことかというと、まず第一に、自計か他計がという問題、そして自計調査の場合に、いまの調査は一週間分を一カ月に引き延ばしているわけです。各委員から、これではどうでも帳簿操作ができるじゃないか、せめて調査は三カ月なら三カ月、三カ月もできなければ、最低一カ月は調査対象としなきゃならぬと。それから自計だけではだめだ、他計ということで、その後私たちの意見が入れられて、専門官の立入調査なり経時変動調査が入っています。しかしもとになる調査自体が一週間ではどうでも、人を疑ってはいけないんでありますが、帳簿上これはだれでも書きかえられるわけです。そういう点についても私どもは何回も言って、歴代大臣はそのことを含めて十分検討さしていただいて解決をしたいということを、大臣は園田さんだけではありません、前の大臣も。特に健康保険制度の法律が出るたびに、これは私だけじゃありません、いろんな委員から、調査が法自体もひとつ変えなければいけないんじゃないかということを言っているんですが、今回はいままでどおりの調査方法になっています。
 その点、大臣どうでしょうか。いま中医協でおやりになっているところを正確に言ってください。片っ方の局長は、調査方法も含めて諮問をしている、こう思いますと業務局長は言っているんだね。大和田さんは、算定方法を中医協の方にお願いをしていますと、こう言っている。しかも大和田さんはこの前のときに、算定方法は中医協マターでありますが、調査方法その他は――ずっと長いやりとりしていますからあれですが、これは中医協にかけなくてもできるんですということは前から何回も議論している。ですから私は、たとえば調査方法は中医協にかけなくてできるんならば、いわゆるいま言ったように一カ月になるか一週間になるか、これは調査方法なんですから、そういうものは大臣のところで改められてしかるべきだと思いますが、二人の局長の間の答弁の食い違い。それから、いま私が言ったように、調査方法はもう中医協にかけなくても厚生省プロパーの問題だ、こういうことであるならば、私はやっぱり調査方法について――これはみんなが言っていることですからね、一週間では不正確ですよと。三カ月やりたいけれども、せめて一カ月は調査対象にきちっと自計の場合入れないと、そこに不正確が出てきますよということでして、そのこと自体は、歴代大臣も調査方法を何とか検討しなければならぬということをお答えになっているんですが、そこはどうなんでしょうか。
○政府委員(大和田潔君) 先ほど申しましたように、私ども薬価基準のあり方についてよろしく御検討をお願いしたいということを申し上げておるわけでございます。さらにその薬価基準のあり方についてというのは、先ほど申しましたように、薬価算定方式を中心にいたしまして御検討をお願いいたしたい、こういうことでございます。
 そこで、先ほど先生御指摘いただきましたところの私の答弁でございますが、「薬価の算定方式につきましては中医協で御議論願うことでございますが、薬価調査自体は中医協ではなく厚生省プロパーでやるわけでございます。」と、こう申しておるわけでございますが、これは薬価調査自体は厚生省プロパーでやれるということを申し上げておるわけでございます。
 ただ、その場合に中医協の御意見を承るということは当然あり得ることでございまして、薬価基準の適正化という問題で薬価算定方式を中心にして御検討願うわけでございますが、その際に薬価調査につきましても御意見というものを承るということも、当然これはあり得ることだと思うわけでございまして、業務局長の答弁はそういうような趣旨で答弁をしておるというふうに考えてよいと思います。
○安恒良一君 いや、あり得ることじゃない。いまあなたは中医協に何を諮問されているんですかと言ったら、薬価の算定方法について御議論願いたいと言っておるという、今度はこっちの局長は、いやそうじゃない、調査方法も含めて中医協に諮問していますというから、二人が食い違っている、その食い違いをはっきりしてくださいと言っているんだ。あり得る、あり得ないということじゃないですよ。
 私は、あなたとのやりとりの後に、園田さんに調査方法まで含めて、調査と集計方法を変えなきやならぬと思う、「それらを踏まえて近々の中医協に調査方法、集計方法を変えるということについての諮問をされるお考えをお持ちですか」、こう言ったら、「中医協に相談したいと思います。」ということになっているわけですよね。
 にもかかわらずに、現在中医協に諮問されている中に、諮問事項の中に調査方法が入ってないように承るので、これは間違っておりゃしませんか。それならばこの際、中医協でせっかく集計方法を議論しているならば、加えて調査方法も議論することも一つ。これは中医協に必ず語らなきゃならぬ事項じゃないですよ。ないけれども、それも一つの手じゃないかなと思ったから聞いているのに、両局長の答弁が食い違っている。本当はいま中医協にお願いしていることは何なのか。それが集計方法だけだというならば、その上に立って私は私なりに意見を言わなきゃならぬのです。そのことはもうすでに中医協に御相談くださっていることだから、うそを言ったらいけませんよ。何をやってくれということを中医協に――これは大臣が言われたんです。大臣、あなたは何を頼まれたんですか、中医協に。大臣、答えてください。
○政府委員(大和田潔君) 先ほども申しましたように、薬価基準の適正化について御検討願いたいと、こう申して御検討を口頭で依頼しておるわけであります。その薬価基準の適正化についてという中には、中心は薬価基準の算定方式である、こう申しておるわけでございます。したがいまして、薬価の算定方式の周辺問題につきましても、これは御検討願うことについてはもちろんやぶさかではないということでございます。
○安恒良一君 大臣、答えてください。官僚というのは自分が一遍言い出したらつじつまを合わせようと思うからいたずらに時間がかかる。私は端的にやってもらいたいんですよ、中心とか中心でないとかじゃなくて。大臣がいま中医協に薬価問題を御相談されておることは、調査方法並びに集計方法が入っているんですか、入ってないんですかということを聞いているんだ。何とか中心、何とかかんとかってそんなのはへ理屈なんですよ。あなたが諮問しているんですから、その中身をはっきり言ってください。それで論理を展開したいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) いまお願いしておりますのは、薬価基準の算定方法を聞いておるわけでございます。
 今度の薬価の実勢調査は従来方式でやっているわけでございまして、先ほど言いましたような自計調査について十二月分・一月というのは、やはり従来方式でやっておるわけでございます。
○安恒良一君 そうしますと、いま明らかになったように、薬価の集計、算定方式を諮問されている。だから、調査方法は諮問をされてないそうでありますから、それならば大臣、今回は十二月の分は間に合いませんが、調査方法はずっと前から問題になっているわけですね。一番わかりやすいのは、たった一週間分を一カ月に引き延ばしているところに無理がある、だからせめて最低一カ月間を調査対象にしなさいという意見、これは私だけでない、衆議院、参議院において各党がほとんどみんな言っているわけですよ、野党側は。また一般的に言っても、調査するときに一週間分を一カ月に引き延ばすというのは無理なんですよ、調査方法としては。この点について大臣どうされますか。いま中医協に諮問をされているときに中医協に相談をかけられますか。それとも中医協に相談をかけなくてもやれることですから、今回は間に合いませんが、次回からは調査方法について改められますか。そこのところのお考えを聞かしてください。
○国務大臣(村山達雄君) 調査方法についても中医協に諮問いたしまして、そして妥当な結論を出していただくようにしたい、こう思っております。
○安恒良一君 それじゃ、幸いいま中医協が算定方法を中心にやっているようですから、直ちに調査方法も追加諮問をしてください。いまやらぬと、またそれが終わってというとややこしくなりますから。私は算定方式と調査方法というのはかなり密接な関連があると思うんですよ。ただし、中医協にかけなきゃならぬ事項と中医協にかけなくていい事項はごっちゃにしていけませんから、この点を明確にしたわけです。しかし、かけては悪いということじゃないわけですから、せっかく算定方式をいまやっておられるならば、調査方法についても中医協に重ねて諮問をされて、できるだけ早くひとつ中医協から答申をもらっていただきたい。
 そこで、中医協は大体こういうものについてはいつごろを目安にいま議論が進んでいますか。これはあくまでも目安だと思いますが。
○政府委員(大和田潔君) 確かにおっしゃるように目安ということで御勘弁願いたいんでありますけれども、御審議の過程等いろいろございますので、一概にはなかなかはっきり申し上げられないわけでありますが、今年度中をひとつめどにお願いをいたしたいということを私ども口頭でお願いしておるわけでございます。
○安恒良一君 わかりました。
 大臣、そういうことだそうでございますから、ぜひ調査方法も、いままで歴代大臣が改善に向かってやるというお約束がありますから、ひとつ中医協にすぐはっきり諮問追加していただいて、調査方法についてもいまのと並行してできれば本年度内に結論が得られるように、目安ですが、そういうことで御努力願いたいと思いますが、よろしゅうございますね。
○国務大臣(村山達雄君) 追加諮問いたすことといたします。
○安恒良一君 次に、大腸薬品工業が九月から発売をしております抗炎症剤ダニロンについてお伺いをいたします。
 実は私、非常にびっくりしたんですが、厚生省が薬事審議会等で十分調査された上で新薬として許可をされたんであります。ところが、当該の労働組合から、会社側は、マウス実験で発がん性が明らかになったにもかかわらず、このデータを故意に隠して中央薬事審議会の承認認可を申請した、販売に踏み切ったとして、新たな薬害の危険性がある以上製造販売を禁止すべきだという内部告発があって、新聞を大きくにぎわしました。私は、キノホルムによるスモンの害を例に挙げるまでもなく、この副作用の徹底究明は企業の社会的責任だと思います。と同時に、製造販売許可をいたす厚生省の責任でもあるわけです。でありますから、スモンについて国が三分の一いま解決についての負担をし、残り三分の二を製薬メーカーがやっているのも、そこにあると思います。でありますから、この点について厚生省がとられた処置、こういう点についてまず考え方を聞かしてください。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘のとおり、大鵬薬品がつくっておりますダニロンにつきましては、発がん性を疑わせる資料があったというような、これは承認申請時に提出されてなかった資料でございますけれども、そういう資料があったということが新聞に報道されました。こういった新聞報道がありまして、大鵬薬品側としてはまず自主的に販売を停止、また出荷をいたしております製品の市場からの回収を行いました。
 一方、私どもといたしましては、こういう事実を早速確かめにゃいかぬというようなこともございまして、十月十日に新聞に出たわけでございますが、十月十二日の日に事情の聴取を行っております。それで十六日に、ラットに関する発がん性の試験は出ておりましたけれども、マウスに関する発がん性の試験が出ておりませんでしたので、そういうマウスによる発がん性に関する資料等の関係資料を提出させました。
 こういったいま申し上げました提出資料につきましては、内容につきまして専門家の意見を求めているところでございますけれども、その意見の結果によりましては、必要な場合には薬事審議会に検討を依頼するというような考え方をとっております。
 また現在、追加資料と申しますか、出されなかった資料につきましての原試験記録、こういったものについては、県の方に依頼いたしまして確認を行っておりますし、また私どもの方も、県の確認の仕方によりましては、厚生省自体が係官を現地に派遣して現地調査をやりたいというふうに考えておるところでございます。
○安恒良一君 薬品の製造承認は薬事法十四条に定められていて、同三項の中で、申請者は「臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならない。」とあり、動物実験などのデータはすべて薬事審議会に提出することが原則になっていると思いますが、その点は間違いありませんか。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘のとおり、承認申請の際には、メーカーが行いました試験などについては全部資料を添付して出すというのが、これは本来の姿だろうと思います。
○安恒良一君 そうしますと、いま言ったように、当然このマウスの実験データは添付しなければならなかったと、この薬事法の解釈からいいますとですね。動物実験を含めてすべてのそういうものは提出しなきゃならぬというふうになっていますが、その点についていまもあなたも認められたように、そのマウスの実験データだけは出さなかったようですが、この点は間違いじゃないですか。少なくとも薬事法の第十四条の精神、それから薬事法全体に流れる副作用は徹底的に究明するということからいうと、当然そういう動物実験が行われた場合にはそれを提出しなければならなかったと思いますが、その点はどうですか。
○政府委員(持永和見君) 御指摘のとおり、大鵬薬品の方でラットの発がん性試験、それからマウスの発がん性試験、そういうものを事実やったとする場合には、特にその試験自体について科学的な問題として全然根拠がないとかなんとかいうような場合は別でございますけれども、それ以外の場合でしたら、これは御指摘のとおり出すべきだと思っております。
○安恒良一君 どうもあなたの答弁、歯切れが余りよくないんですがね。
 やったとしたらって――マウスの実験はやっているでしょう。それから科学的であるとかなんとかと、こういうふうに言いわけされますけれども、薬事法には、申請者は「臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付」しなければならないとあり、動物実験などのデータはすべて薬事審議会に提出することが原則でしょうが。この原則を大鵬薬品は破ったわけでしょう。そこの点はきちっとしておかないと、あなたたちはまたスモンのような痛い目に遭いますよ、スモンのように。スモンの場合は国が三分の一いま持っているじゃないですか。本当なら薬害というのは、私たちは製造したところだと思いますけれども、国が製造、販売の許可を与えるから、スモンの場合も三分の一責任をとらされているわけでしょう。ですから、間違ったところは間違ったというふうにきちっと言ってもらわないと、何となく製薬メーカーをややかばうような印象を与えてはいけません、こういうことについては。あなたたち自身がスモンで痛い目にいま遭っているわけでしょうが。その点どうですか。
○政府委員(持永和見君) マウスの試験は、行ったのは事実でございますから、これを出さなかったというのは私どもとして大変残念なことだと思っております。
○安恒良一君 大臣、お聞きのとおりですね。当然出すべきものを出してないんです。そして、いま遺憾だと言われた。
 そこで、この措置ですがね。まず、そういう点について今後そんなことがないように大臣から厳しく当該者の社長以下に申しつけられることと同時に、ダニロンの販売を一たん中止する。回収を会社側が自主的にやられているということですが、私はいま言ったように、当然やるべきことをやってないんですから、会社側がやると同時に、前に、厚生省みずからがこういう問題が起こったときには直ちに販売を一たん中止させる、そして当然出すべき資料を出さしてそれを十分検討されると、こういう措置があってしかるべきだと思います。いまお聞きをすると、会社側が自主的にやっていると、こういうことでありますが、私は会社側が自主的にやっていることは間違いがないと思いますけれども、すでに流通過程にありますから、この際は厚生大臣が一たん販売を中止させる、そして全品の回収を薬事法に基づいてやれるわけですから、それをおやりになった方が徹底をする。会社側が自主的にやっておられることはわかりますけれども、私はやはりそれをやってもらいたいと思いますが、その点どうですか。私は、やらなかったことは、厚生大臣は一々細かいこともできませんけれども、業務局長のやや怠慢だと思いますよ。そこはやや怠慢だと思います。いまになっても遅くありませんから、やはり提出する資料を出されて、そしてこれはいま言われたように国立衛生試験所でいろいろあれをされるわけでしょう。その間厚生大臣としてもこれらの問題については発売をきちっと当面とめておく、こういう措置があってしかるべきだと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(持永和見君) 大鵬薬品が、先ほど申し上げましたように、ダニロンについて自主的に該品の販売を停止しましたのは新聞報道の直後でございます。直ちにそういった措置をとったわけでございまして、私どもとして、大鵬薬品がそういった報道があるにもかかわらずまだそういう措置をしてないということになれば、先生御指摘のように、厚生省として行政措置をせにゃいかぬと思いますが、大鵬薬品が新聞報道の直後そういった措置をとりました。で、結果的に該品の回収その他については私どもも十分見守っていきたいと思っておりますので、そういう点でまた問題がございましたら検討さしていただきたいと思います。
○安恒良一君 いや、私は大鵬薬品さんがすぐされたことはそれでいいんですよ。しかし行政として、あなたたちは製造、販売を許可している立場にあるんですから、そこで大臣として、全医療機関なりそういうところに、これを使用するな、結論がわかるまで使用するなということは当然出されていいんじゃないんでしょうか。薬事二法をつくるときにどうして水際で防ぐかという議論もしているわけですからね。あなたたちは行政として全医療機関に対して、これが解明するまではこれの使用をやめるべきだ、そういう指導なりそれから回収も早急に、会社側が自主的に決めたことですが、完全にやりなさいと、こういう指導をされる。何も行政的に罰しろとか措置をしろと言っているんじゃない。そんなことは業務行政として当然なことじゃないですか。そこまで念には念を入れないと、スモンで痛い目に遭っているのが痛い目に遭ったことにならないでしょうと言っているんですよ、私は。だから会社が自主的にやられたことはそれで結構なこと。しかしそれだけではまだ不十分じゃありませんか。厚生大臣なり業務局長の名前をもってそういうことを全国の医療機関にもするし、販売機構に対しても、この問題が明らかになるまではやるなということをやることは、決して行政の行き過ぎでもなければ、むしろ国民の生命と健康を守る薬事行政としてあたりまえのことでしょう。そのあたりまえのことを会社側がやったからいいじゃないかというところは、まだまだあなたたちはスモンにおける手痛い目に遭ったことへの反省が足らないんですよ。ですから、また次のことが起こってくる。
 大臣、どうですか、これは政治の問題です、行政の問題じゃありません。政治の姿勢として、そういうことはきちっとやって、国民なり医療機関なり販売ルートに注意を喚起するということがないといけないと思うんですが、どうですか。
○政府委員(持永和見君) 大鵬薬品が行っております該品の回収は、先生御指摘の卸のみならず、医療機関も全部やりまして、そういった形で通知をいたしておるわけでございまして、出回っている先にはすべて回収の措置がとられているというふうに私ども聞いておりますし、その結果で問題がありますれば、当然私どもとして御指摘のようなことをやっていきたいと思っております。
○国務大臣(村山達雄君) いま、行政の責任のけじめをはっきりせい、こういう御指摘であろうと思います。非常に傾聴に値する議論だと思います。早速その方向で検討さしていただきます。
○安恒良一君 私は大臣の答弁でいいんですけれどもね。
 局長、問題があればじゃ困るんですよ。問題が起こったときでは遅いんだよ、君。問題が起こらないようにやらなければだめなんだよ。製薬会社だけに任しておると問題がやっぱり起こるんだよ。一番いい例はスモンじゃないですか。だから、私は行政の姿勢として、問題が起こる前に――製薬会社が自主的にやっていられることは評価しているんですよ。しかしそれだけでは足らないじゃないですか。だから、所管大臣として念には念を入れて、こういうものは試験をいまから厚生省でやるんだから、その結果がわかるまでは使用しないようにと。それから回収にあれをするようにということをやることがどうしてあなたは言えないんですか。問題があればと――問題が起こってからでは遅いんですよ。その一番いい例がスモンでしょうが。スモンも中間で学者がいろんな警告をしたにもかかわらず、問題があればあればということでずるずるずるっといっておって、あれだけの世界に例を見ない薬害を引き起こしているじゃないですか。ですから厚生大臣ぜひ早急に――所管大臣として、問題があればじゃない、問題が起こったら遅いんですから、その前に念には念を入れて、いま言ったようなことの医療機関なり流通機構なりに徹底をする御指示方をぜひお願いしたいと思います。よろしゅうございますね。――それじゃこの問題は終わりにいたします。
 次に、丸山ワクチン問題について考えを聞かしていただきたいと思います。
 まず、丸山ワクチンの扱いがこれは非常に問題になりまして、衆議院の社労委員会でも集中審議をされました。その後、それらを受けて皆さん方がとられましたことは、丸山ワクチンを準医薬品、いわゆる治験薬として認める、そして一部有償にする。有償というのは、これを使用する人から対価を取る。それからいままでは東京まで参らなければとれなかったのを郵送方式で全国に供給する。こういう中身で厚生省と製造元のゼリア新薬工業との間で大筋合意が成立した。そして二十日厚生省みずからも異例の措置だということで発表されたのですが、私は私なりにそういうことをされたことは一応評価いたしてます。しかしいろいろまだ問題があると思いますからお聞きしたいんです。
 まず、いまの現状は、大筋ゼリア新薬工業との間に合意をしたということですが、この大筋合意というのは、まだどことどこの間に合意しないのが残っているんでしょうか。問題点はどこにあるんでしょうか。それからいつごろ最終的なこの問題に対するゼリア新薬工業なりそれから丸山先生のところを含めて決着がつくんでしょうか。それをお聞かせください。
○政府委員(持永和見君) 丸山ワクチンの供給継続の問題につきましては、いま先生御指摘ございましたように、丸山ワクチンを治験薬として実施する。それから治験の実施医療機関を丸山先生の研究施設がございます日本医大とする。また丸山ワクチンの使用を希望する医療機関は、主治医でございますけれども、こういった方々は日本医大に共同治験の申し入れをする。その共同治験者に対しまして丸山ワクチンを日本医大から郵送方式によって郵送することによって患者さん方の入手がしやすいようにする。それから治験薬は有償とする。こういうような基本的な方針につきましてゼリア新薬工業側と基本的な合意に達しております。
 で、いま申し上げましたように、丸山ワクチンの治験機関、これが日本医科大学ということになっておりますので、日本医科大学に現在ゼリア新薬側が、こういう方向で基本的な方針を了解いたしておりますので、その了解した線に沿って話し合いを進めるということでございますが、現在日本医大の直接の担当先生でございます丸山先生が入院中でございまして、そういう意味でこの話が現在まだ結論が出てないということでございます。私どもあるいはゼリア新薬工業側としては、できるだけ早くこれを進めたいということでそういう希望を強く持っておりますけれども、丸山先生側のそういった病気の回復待ちというのが現在の状況でございます。
○安恒良一君 有償ということですが、幾らお取りになるんですか。
○政府委員(持永和見君) 有償の問題につきまして、私どもといたしましては、ゼリア新薬側にできるだけ患者の負担を大幅にふやさないでほしいということで申し入れをしておるところでございます。具体的な金額につきましては、ゼリア新薬とそれから日本医大とが話し合い、それを私どもの方に治験計画届の中に有償の金額を入れてまいりますので、そのときに具体的に検討さしていただきたいと思っております。
○安恒良一君 現在、丸山先生のところに行ったときにお金を払っていますね。それと考えてどうなんですか、そこらは。それはあくまでもまだあなたは、丸山先生のところとゼリア新薬工業の話し合いの上で、それからだ、こう言われていますけれども、厚生省として丸山ワクチン、これだけの異例のことをおやりになった以上、少なくともゼリア新薬工業との間については、そういう点についても話し合いされているんじゃないですか。あなたの意見を聞いていると、何か全くゼリア新薬工業と丸山先生のところから出てきたとき初めて、値段はできるだけ患者負担を少なくと、こういう抽象的なことを言われていますが、そういう点はどうですか、中身は。
○政府委員(持永和見君) 薬事法上の治験薬と申しますのは、先生も御承知のとおり、無償と有償とございまして、有償の例は今日まできわめて少ないわけでございますが、丸山ワクチンの場合には、治験の対象としての症例数が非常に多い、あるいは製造、供給にはメーカー側のかなりの経済的負担を伴うというようなことで、有償にしてもやむを得ないということで私ども判断いたしまして、現在ゼリア新薬側で有償の問題について詰めておる、ところでございます。
 先ほど申し上げましたように、現在日本医大で患者に直接手渡しをいたしておりますが、今度やります治験薬というのは、全国の共同治験者を募りまして郵送方式、こういうことにもなりますので、そういった点の経費も勘案しなければならないというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、できるだけ患者の負担の軽減を図るという趣旨で話し合いを進めていきたいというふうに考えております。
 一方、今回の治験のやり方というのは、現在日本医大に全国から、北海道、九州から全国の患者が時間と経済的負担をかけてとりにこられるというような形態が郵送方式によってなくなるというふうに考えておりますので、そういう点では患者さん方の経済的な時間的な負担の軽減は大いに図られるというふうに思っております。
○安恒良一君 遠隔の地から日本医大まで月に一回足を運んでいるということで、この点で物心両面から遠隔地の患者さんの負担が軽減になったということは私もわかった上で聞いているんです。私が聞いていることに端的に答えてくださり
 いま丸山先生のところでもらうときの薬の値段と、郵送料は別ですよ、郵送料は別ですが、今度有償治験薬になったわけですから、その有償についてはどのくらいのことで決まるんですかと、こう聞いているんで、それだけのことを聞かしてくれればいいんだ。いろんなことを言うことはないんだ。
○政府委員(持永和見君) 現在丸山先生のところで患者さんにお渡しされている薬の値段は、四十日分で五千円でございます。四十日分で五千円という値段でございますが、今度の治験薬がどの程度になるかということは、これは私どもとして現在の段階でまだ具体的に申し上げられる段階ではございません。
○安恒良一君 大臣、これは値段の決まり方いかんで大変な問題になる。というのは、国民皆保険なんですよね。皆保険でこういうものが有償であること自体が大体おかしい。それはなぜかというと、すでに丸山ワクチンというのはいわゆる治験薬の範囲を越えているんです。現在三万五千人の人がこれを使っておりますから、もう研究用の薬の範囲を越えておりまして、むしろもう治療薬なんですね。ただ、たまたま薬事審議会でああいうことになっただけの話ですから、その限りにおいて治療薬であるならば、皆保険下において――特にがんにかかった場合には本人は大変苦しいし、また負担も大変なんですよ。その場合にまた薬代も患者が持たなきゃならぬということになると、何のための国民皆保険かと実は言いたくなるところです。
 そこで、その価格はまだいま言えないというんですから、公の席上では言えないということですから、後からお聞きをしますけれども、私はその点については、現在三万五千人の人が丸山先生のところで四十日分五千円ということでもらっているわけですから、そういうことを十分参考にして患者の負担にならないような方法を考えてもらいたいと思いますが、どうでしょうか。
 それからいま一つは、そうかといってゼリア新薬工業の方だけに負担をかけるのもまた間違いなんですね。それから治験に協力される丸山先生を初め多くの先生が、全国で今度はまたいわゆる臨床医としての治験設定者にかなりなられるだろうと思いますが、そういう方に御負担をかけても私はいけないと思うんです。
 そこで、政治として、これだけの特例中の特例をあなたも認められたんですから、認められた以上は、本当ならば一番いいのは、後から申し上げたいんですが、条件つき認可ということに論理を展開していきますが、その前に、財政負担論からだけ言うと、何か方法はないのか。たとえば一製薬メーカーの新薬開発に助成金を出すわけにはいかない、こういう理論もありますね。それから治療薬というふうに認めてない治験薬の段階で保険が持つわけにいかぬという論理もあるわけです。だから、そんな論理を言っておったのではこれは何にも片づかぬわけです。そこで、そういうときに政治、行政というのがあるわけですから、何らかの方法を大臣は検討されてしかるべきである。
 たとえば私の一つの試案的なことを言いますと、丸山先生のところなり、それから治験者と設定された臨床医がこれを扱われるところに対する何らかの方法の援助とか、いろいろ知恵を働かしてみられた方が私はいいんじゃないかと思います。私もいますぐこれだという決め手を持っておりません。私は私の個人的な考え方から言うと、一番無難なことは、たとえば日医大なり、これを実際臨床で扱われる医療機関に対しての何か方法はないものか。そういうことになれば現行の健康保険法にも薬事法にも抵触しないだろう。だから健康保険法の逸脱にもならない、薬事法の逸脱にもならない方法で、これが患者だけで三万五千、家族を入れると百万という人の問題ですから、何か方法を考えていただきたいと思いますが、ここらは大臣どうなんでしょうか、何か御研究されていますか。
○国務大臣(村山達雄君) 丸山ワクチンというあの薬が非常に特殊の経過をたどってきたことは私も十分承知しておるわけでございます。したがいまして、今度の試験の成績では有効性が確認されなかったけれども、治験薬としていま話を進めているのもまたそこにあるわけでございます。
 問題は、今度有償の治験のときにどうするか。いま安恒委員が、あるいは国が場合によっては財政負担をしたらどうかというような、そこまで気持ちがおありになるかどうかわかりませんが、もしそういうふうにとると、私は丸山ワクチンであろうと、ほかの薬であろうと、これは製薬会社がみずから責任を持ってやるべきであって、国が特定の薬に対して援助するということはいかがなものであろうかと、基本的にそう考えております。
 それから問題は、まだ新薬として承認されていないところでございます。したがって、会社の方で非常に利益を上げるなんということは、これはとんでもない話だと思うのでございますが、さらばといって会社の方に余り負担をかけますと、会社側が供給をだんだん少なくするという問題も考えられるわけでございます。
 したがいまして、一体こちらの方としては、患者にできるだけ手に入りやすいようにという注意をして、そしてどんな案を持ってまいりましょうか、恐らく妥当な結論を出してくるんじゃないだろうかと私は期待いたしているのでございます。したがいまして、患者の手に入りやすいように、そしてまたその範囲でできるだけ安くと、ここがねらいなわけでございます。
○安恒良一君 私が大臣に言っていることは、一つは、患者の手に入りやすくということは価格問題もあるわけですね。それから私も、治験薬というものをいまの健康保険法に基づいて持てと、こう言っているわけじゃない。それは法の問題があるでしょう。それから薬事法から考えてもいろいろ問題があるでしょう。しかしながら、あなたたちは現実に口では治験薬と言いながら治療用の方向で実際は認められているわけですから、それらの方法について何か方法がないのか。何も私は全額国が持てなどということを言っているわけじゃないですよ。こういうものの研究開発に大変苦労され、それの治験でこれからもまたいろんな実験データを集めて報告しなければならぬわけですから、そういうような問題についてもひとつ何か方法を考えてほしい、こういうことを言っているんです。
 そこで、どうもなかなかいい知恵もあなたたち浮かばないようですから、そういうことになりますと、一遍これをもとに戻して議論をせざるを得ません。
 まず、今回のとられた措置は、薬事法の拡大解釈ですね、これは。しかし、薬事法を厳密に読みますと、やっぱりこれは法違反をしている行為だというふうに私は思う。というのは、未承認の薬、それが治験薬という名前で全国に出回るわけですね。そういうことになりますと、今回の場合には、すでに丸山先生を初め多くの臨床医の方々がたくさんの実験をされて、治療にも効果ありということでありますからいいんですが、法というものは、一たんこういうふうに拡大解釈をしてまいりますと、さらに未承認の薬がやみルートで全国に出回りはしないか。こういうことでは薬事行政に大きな問題を起こすというふうにこの点が思えます。
 それからこの有償ということも、局長も言ったように、治験薬で有償というのも、またこれも例外中の例外なんですよ。有償の制度が全くないとは言いません。しかし例外中の例外のことをあなたたちはされようとしているわけですね。でありますから、どう考えてみましても、少し無理をされているというふうに私は思います。
 しかし、それは国民のためになる無理なら無理でいいじゃないかということに論議が発展しそうでありますが、私はそのことは否定しておりません。しかし私から言わせると、条件つきで認可するというやり方がありはしないか。そういう点について御検討くださったのかどうか。余り法の拡大解釈を無理をしてやるよりも、過去にも条件つきで認可をされている方法があるんですから、丸山ワクチンは、ここまでまいりますと、一番いい方法は、条件つきで認可をしておく、そしてその条件をできるだけ早く満たしてもらうように行政指導をやっていくということが一番いいことだと、私はずっと今回の措置をいまも申し上げたような点から見まして考えるんですが、こういう点について大臣のお考えを聞かしてもらいたいと思います。
○政府委員(持永和見君) 先生の御案内のとおり、現在の薬事法上では、厚生大臣は医薬品について有効性というものが確認されない場合には承認を与えてはならないというような規定があるわけでございます。現在その薬事法上で、先生御指摘のような条件つきの許可なり認可というような法律上の根拠もございます。根拠もございますが、これは医薬品の、そこをごらんいただければおわかりと思いますけれども、保健衛生上の危害発生防止の観点からこういった場合には条件をつけるということになっておりまして、主として副作用が発生する可能性のあるものについてそういった条件と申しますか、報告義務を条件として認可しているというようなことはあるかと思います。しかし一般的に医薬品につきましては、有効性というものが確認できない場合には承認ができないというようなたてまえになっておりまして、私どもといたしましては、先生も御案内のとおり、八月十四日の薬事審議会の答申で、現在の段階においては有効性は確認することはできないというような答申が出ましたために、ちょっとそういった道はとり得ないというふうに考えざるを得ないわけでございます。
○安恒良一君 同じ免疫療法剤のクレスチンですね、これは呉羽化学工業が出していますが、初めに薬効成分の解明、副作用のチェック、臨床効果の報告など条件つきであなたたちはクレスチンを認可をしているじゃないですか。そして、ここに私は新聞の切り抜きを持ってきていますが、がんの免疫療法剤のピシバニール、クレスチンについて効能をこれから二年がかりで追試する。いわゆる「ガンの免疫療法剤として広く使われている」これについて、「財団法人・がん実学的治療研究財団はこのほど、患者の延命効果を調べる二年がかりの比較臨床試験を開始した。制がん剤の組み合わせによる最も効果的なガンの治療法をさぐる研究の一環」であるということで、すでに試販売をし、許可されているものについても、ただ単に副作用だけではなくして、いま私が申し上げましたような問題、いわゆる効能の再評価についてまでこれから二年間の追跡調査をやられようとしているということが新聞でも報道されていますし、対象は全国二百五十カ所の大学、国立病院などで、調査方法なんかは除いて書いてありますが、一方においてはそういうことをおやりになっているんじゃないでしょうか。ですから、あなたが言われたように副作用だけではないんじゃないでしょうか。
 私は率直に言って、この制がん剤というのは一つで決定的なオールマイティーはないんです。あれば早いところノーベル賞をもらっていますよ。ですから、いろいろなものを複合して治療するところに制がん剤というものがあるわけですから、そうしますと、このクレスチンのときにとられたようなことが丸山ワクチンの場合においてもとられてしかるべきではないだろうか。というのは、かなりの臨床実験、人体実験、動物実験等はたくさんされた中で、丸山ワクチンが副作用がない、そして免疫療法剤としても有効だというデータもたくさんあるわけなんですよね。ですから、そういう限りにおいては、余り法を拡大解釈して、後からまたしまったと思うような、いま申し上げたようなやみルートができるような道を開くことは、私はやっぱり余りよくないと思う。そういう意味から言って、私はぜひ治験薬ではなくて、条件つきで認可するという方向に踏み切られてしかるべきだと思います。
 そこで、それの前提としてちょっとお聞きしておきたいんですが、薬事審議会から附帯意見が出ていますね。私ここにいただいていますから、読み上げていただくことは結構ですが、三つのことが書いてありますね。この三つのことは、「この物質の医薬品としての有効性を確認するためには、順次」(1)(2)(3)を「整備すること等について、引き続き試験研究を行う必要がある。」と、こういうふうに書いてありますが、これはどういうふうにやっていけばいいんでしょうか。たとえば(1)(2)(3)を順番でやるんでしょうか、それとも並行的に(1)(2)(3)をやるんでしょうか。それからこれからのこの見通しはどうなんでしょうか。たとえばすでに従来のデータがたくさんあります。このデータは全部不採用にして新しくデータをとり直されるつもりですか。それとも従来のデータはデータとして採用しながら、さらに新しいデータをこれに基づいて追加要求されるんでしょうか。そういうところについての考え方を聞かしてください。
○政府委員(持永和見君) いま御指摘の審議会の附帯意見の問題でございますが、三つの附帯意見がついております。それで、私どもといたしましては、今回承認申請のありましたSSM注射液というものにつきましては、すでに先生御指摘のように臨床試験もかなりの数行われておりますし、安全性については特に問題がないというようなことがございます。それから基礎研究、こういったものについて資料が不十分な点はございますけれども、研究実績としてはございます。
 こういうようなことから、(1)(2)(3)というふうに順を追っていきますと臨床試験――臨床試験は一番最後になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、いま申し上げました理由で(1)(2)と同時並行的に臨床試験も継続することにも意義があるというふうに考えておるわけでございます。
 それからいま先生御指摘の、従来すでにあるデータはどうするか、こういうようなお話でございますが、従来あるデータは、現在承認自体が不承認の決定もしてない段階でございますので、預かりのような形になっております。そういう意味合いからしましても、従来出されておりますデータの中で有効なものは、これから出されるデータに当然包括されまして新しい審議の対象になるというふうに理解をいたしております。
○安恒良一君 そうすると、(1)(2)(3)は並行的にやると、こういうふうにお聞きをいたしました。それから従来のデータも、これは不採用にしなくて採用し、さらに追加データに基づいてやる。
 そういうことになりますと、それでどのくらいこれはかかるんでしょうか。普通のように長々とこれを五年も六年もやられたんじゃたまったものじゃない。いままでも相当かかってきているわけですから、できるだけ早くこういう点について、いまあなたがおっしゃったように、安全性の確認もされているし、副作用のないということも確認されているし、多くの臨床実験もあるわけですし、それから有効性があったというのもあるわけですから、そうしますと、そういつまでも何年も何年もまた(1)(2)(3)をやるのだからということになると、いろんなまたきな臭い話が出てくるといけませんので、ですから、そういう点については、いまあなたも言われたように、これらの問題をできるだけ早くデータを集めて、そして再度薬事審議会で議論をするということが私はきわめて必要だと思いますが、その点はどうですか。
○政府委員(持永和見君) 私どもの気持ちとしては、先生のおっしゃったような気持ちは持っております。ただ問題は、ゼリア新薬工業側が試験研究を継続する、それから治験もゼリア新薬工業側の責任で行う、こういうことでございまして、こういった試験研究なり、治験の届け出あるいは試験研究の実施方法、そういった中身については、私どももきめ細かく相談をし、指導するとともに、これが推進が図られるよう積極的な指導をしてまいりたいと思っております。
○安恒良一君 私は、ゼリア工業側がと言われますけれども、あなたたちができるだけ早くこれの結論を持ちたいということの行政指導をする場合と、そうでない場合では、全然違ってくるんですよ。普通、新薬の承認を得るのにはかなりの年数がかかっていますね。その場合でも、局長以下担当課長が、これは国民のためになるから早く世に出したいというふうに思っていろいろアドバイスをする場合と、単に事務的に扱う場合では、全然違ってきます。ですから、その限りにおいて、今回は異例の措置をしたんですから、法解釈から言うとかなり無理があることもやっているわけ。ですから、そういう点についてはもちろんゼリア工業がやったり、臨床は臨床のお医者さんがやられることですが、いま私が言った気持ちを踏まえてやっていただけますね。
○政府委員(持永和見君) 先生のお気持ちを踏まえましてできるだけのアドバイスはいたしてまいりたいと考えております。
○安恒良一君 大臣、以上のようなことでございます。本当にこれが治験薬じゃなくして治療薬として認められることを渇望している人が百万もおる。しかも不思議なことには、薬事審議会でこれが待ったがかかった以降も、逆に使いたいという人がどんどんふえているんですよ。本当なら待ったがかかりますと、使いたいという人が減るはずなんです。ところが、逆に使いたいという人がどんどんふえているわけですから、このことをきちっと踏まえて、あなたたちは行政としてできるだけ親切な指導をされて、一日も早くこれが治療薬としてがんの治療に当たるように――これだけがオールマイティーじゃありませんけど、私はがんの治療薬というのはいろいろなのがあっていいと思うんです。ただし副作用があっては困る。副作用さえなければ――また場合によると、薬によると、いままでは副作用がある程度あっても、薬効が著しい場合には許可している薬もあるんです、率直なことを言ってですね、薬というのは、若干副作用は、残念ながら、特に化学薬品はつきがちなんですね、これはいいことじゃありませんが。しかしそれでも薬効の方が高い場合には、いままでは許可していることがあるわけですから、そんなことも考えてぜひこれを一日も早く認可していただく。それから完全認可ができない場合でも、ある段階までくれば条件つき認可というやり方もあるわけですから、それらを含めてひとつ前向きにこの問題について検討していただきたいということで、ちょっと大臣の所見を承ります。
○国務大臣(村山達雄君) まさに安垣委員御指摘のように、この丸山ワクチンというのは本当に前例のないように非常に普及してしまった。そういう事実の上に今度の薬事審議会が持たれたわけでございます。で、附帯意見もございますし、われわれといたしましても、患者のことを考えますと、できるだけ親切に相談に乗っていきたいという気持ちでございます。そしてその成功を本当に心から祈っているものでございます。
○安恒良一君 成功を心から祈られるのも結構ですけど、祈るだけじゃだめなんですからね。何回も私が言っているように、早くこれが治験薬から治療薬になるような、いい意味の行政的な指導ですね、そういうことをやっぱり積極的にやってほしいと、こういうことであります。
 それからこれにかかわる問題として一つだけちょっとお聞きをしておきたいのですが、いわゆる二重盲検というのがございますね。丸山ワクチンはこの二重盲検をされたのですが、私はこれを読んでみますと、東北大学病院で百五名、A群には丸山ワクチン、百七名、B群には生理食塩水、塩水のことですが、それを打たれて、もちろん制がん剤を併用されていることは事実でありますが、臨床実験をやられたようであります。その結果はどういうふうになりましたでしょうか。それから臨床実験の対象者になった患者はどういう患者なんでしょうか、それを聞かしてください。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘の臨床試験は東北大学の第三内科が行った臨床試験だと思いますが、この臨床試験は二重盲検試験という形で行いまして、対象症例数は化学療法剤と丸山ワクチンを打ちましたのが百八十四例、それから化学療法剤と生理食塩液を打ちましたのが百七十九例で、解析対象例といたしましては、先ほど申し上げました丸山ワクチンと化学療法剤、これを打ちましたのが百五例、それから化学療法剤と生理食塩液を打ちました症例数が百七例でございます。これにつきましては、対象疾患といたしましては、各種消化器がん、胃がん、肝がん、胆嚢がん、あるいは肺がんの切除不能、あるいは術後再発患者、そういった人たちでございます。
 で、結果でございますが、この結果につきまして申し上げますと、これは提出された資料から申し上げますが、提出された資料から申しますと、S群、いわゆる丸山ワクチンを打ちましたものと、それからP群、生理食塩液を打ちましたものとの間でがんに対する腫瘍縮小効果、あるいは自覚症状、そういったものについては両群における開差はございませんでしたが、生存率、延命効果、そういったものにおきまして、丸山ワクチンの投与群は非投与群に比較しまして累積の生存率で五〇%の時点、五〇%の人たちが生き残っているという時点で二十日間程度の延長がございました。それから治療開始後二百二十九日あるいは四百四十九日、こういった時点で丸山ワクチンを打ちました人たちの生存率は、統計的には有意であるというような報告がされております。
○安恒良一君 私は結果を聞いているのですがね。
 結局、丸山ワクチンを打たれた方、私はこれをA群と呼んでいるんですが、結果として、A群の方は三名を残して全部死亡した。それからB群は百七名全部が死亡したと聞いておりますが、それは間違いありませんか。そして三%という数字が出てきているんですが、それも間違いありませんか。
○説明員(新田進治君) お答えいたします。
 ただいま御案内の三%につきましては、私ども有効率について三%という数字を出したものではございません。ただいま局長からも御説明いたしましたように、百五例の試験対象者の中で生存者が三名あったということでございます。
○安恒良一君 村山大臣、ちょっとお聞きしたいんですが、あなたは山崎局長から東北大学の結果はこれこれだということをお聞きになりましたか。
○国務大臣(村山達雄君) 聞いております。
○安恒良一君 そのときに生き残った人は三名だと、こういう報告だったんですか、それともいま言われているような詳しい中身をあなたはお聞きになったんでしょうか。それを聞かせてください。
○国務大臣(村山達雄君) いまの話、それから三名、いろいろなことを聞きましたが、余り専門的なものだから忘れましたが、その三名についていま私が覚えておりますのは、申請ではそうであったけれども、結論において二人の方は末期がんでなかったといったしか判断だと思います。それからもう一人の方が膵臓がんということで、そうじゃないんじゃないかという話がありましたが、それは、東北大学の臨床に当たった先生から、いやまさしく膵臓がんであったということで、調査会の方で後で改めてあれは膵臓がんであったということになったと思います。
○安恒良一君 二重盲検というのは、私は読んで字のごとく、患者とその家族は何をどうされているか全くわからない、主治医も看護婦も抗がん剤以外何を打っているのか全くわからない、こういう検査方法を二重盲検と言うんでしょうか。私はそういうふうに聞いていますが、それは間違いありませんか。
○説明員(新田進治君) お答えいたします。
 二重盲検試験法と申しますものは、現在臨床試験におきまして薬効を検定いたしますときに用いられる方法の一つでございまして、現在先進諸国では非常に権威のある試験方法の一つということで広く利用されておる方法でございます。
 これは真の薬効以外の作用が薬には非常に多くつきまとうわけでございます。たとえばプラセボ効果と申しまして、お医者さんから、この薬は非常によく効くよ、そういう一言で患者に対して心理的な影響が非常に大きいわけでございます。そういうふうな心理的影響をできるだけ排除いたしまして、適正な薬の薬効を評価しよう、こういうことで客観的な評価方法ということでとられた新しい――新しいと申しますか、もう過去二十年ぐらい前からこの方法がとられております。
 そういうことで、いま御案内の、たとえばどういう実験方法でやられたかということについての患者に対する説明はどの程度やられたかということについては、私も十分理解しておりませんが、そういうふうなことで、患者にできるだけそういう不安な条件を課さないということがあって患者に対して言われなかったこともあるのではないかと思います。
○安恒良一君 ぼくが聞いたことに的確に答えてください。
 二重盲検方法なんか私は勉強した上で聞いている。私が聞いていることは、これを東北大で現実に行う場合に――これは患者はもちろんのことですよ。患者にがんですから何だかんだというばかはいないんですよ。患者とか家族に中身が知らされてなかったんじゃないだろうか。また実際に治療に当たる主治医も看護婦も抗がん剤を使っていることはわかる、以外のものについては何を使っているか知らさないでやっている方法が二重盲検というのではないでしょうかと聞いている。あなたは専門でなければ、医務局長が来ているから答えなさい。そういう方法ですか。あなた専門でなかったら専門家が答えなさい。
○説明員(新田進治君) 患者に対する同意でございますが、治験の依頼をしようとする者が患者に対しましてどういう実験をやるかということは、原則的にこれは医師の倫理に基づいてやっておられるわけでございます。御案内の治験に当たってどういう薬を使っているかということは、この二重盲検試験法によっては担当医師もそれから患者ももちろんそれは知らされておりません。それは片方にコントローラーという実験全体をコントロールする医師がおりまして、そこで薬の割りつけをするわけでございます。
○安恒良一君 患者はもちろんです。私が言っているのは家族のことも聞いているんですよ。家族にはどうされていますかと聞いている。いたずらに時間を取らさないでください何回も同じことを言わせないで。患者、家族、主治医も看護婦も知らなかったんじゃないですか。知っているなら知っているとか、それでいいんですよ。どうですか。
○説明員(新田進治君) 薬事法によりまして、いま御案内の治験の依頼をしようとする場合には、治験の依頼先に対しまして治験の内容等を証明することが、たとえば患者さんに対して医療上好ましくないというような場合には、当然患者の家族、同意を得られる家族の方たちに同意を得るわけでございますが、そういう場合を除きましては、原則的に患者の同意を得るのを原則としております。
○安恒良一君 全くわからぬ、あなたの言っていることは。わかりやすく言ってください、日本語でああでもない、こうでもないじゃ……。
 大臣、ここはちょっと重要なところですからお聞きしたいんです。まず、抗がん剤と食塩水を打っているんですよ。だから私は、患者の同意というよりも最低限家族の同意は必要だと思いますね。一方は抗がん剤と丸山ワクチンを打つ。一方の患者群にはいわゆる食塩水と抗がん剤を打っているわけですね。それで有効性を試している。しかし患者はもちろんのこと家族も、がんで入院しているときには、抗がん剤を初め有効な薬を使ってくれるだろうと思っていますよ。それが食塩水を片方はずっと打っていたというんですからね。そんなことが家族の同意がなくてどうしてできるんですか。どうも私どもの調べでは、家族の同意を得ないままやっているように聞いているわけです。それだから盛んにそれを聞いている、すると、ああでもない、こうでもないと言う。もちろん後藤教授がコントローラーになられたことも全部知っているんですよ。その上で、主治医も知らなかった、看護婦も知らなかったということも知って、患者はもちろんのこと家族の同意も得られないで、いわゆるB群百七名の人には抗がん剤と食塩水が打たれておったということについて、私はいかに医学の実験とはいえ、せめてそういう場合には家族の皆さんには、こういうことをやりますよ、ということを言って同意を取るのがあたりまえだ。それが私は医の倫理だと思う。ところが、私のお聞きする範囲では、どうも家族の同意を得られていないように聞きます。
 大臣、こういうことはどうなんでしょう。いま申し上げたように、私は二重盲検法というものを否定しておりません。またそういうものも医学の進歩のために必要だとも思っています。しかし今回のこの措置をやられるときに、どちらにも抗がん剤を打たれていますが、一方は丸山ワクチンが使われている、一方は単なる食塩水を使ってやられた。結果、食塩水を使われた方の方は全部亡くなっています。片っ方の方は大臣がおっしゃったように三名助かっています。ですから、私はそういう場合に――たとえば大臣でも私でも同じだと思いますね。家内を入院させておった、たまたまがんになって、そんなことを私に相談せぬまま勝手にやったら、私は告訴しますよ。食塩水と制がん剤を打ち続ける、私の家内は元気ですけれども、そういう事例がもしも起こったら私は抗議しますね。告訴しますよ、裁判に持っていきますよ、私は。今回のこの東北大学で行われました場合、どうも私どもは家族の同意も得られていないというふうに思いますが、その点どうなっていますか。
○説明員(新田進治君) 御案内の点につきまして、患者家族の同意が得られているかどうかにつきましては、私ども詳細に承知はしておりませんけれども、これは御指摘のように、当然のことながら、治療を実施する医師の医の倫理にもとる行為は絶対あってはならないというふうに私どもも考えておりますので、この点についての指導も十分今後やっていきたいと、かように考えております。
○安恒良一君 大臣、いまお聞きのとおりです。そんなむちゃなことがあってどうですか。知らないと言うんだ、わからないと言うんだ。少なくともこれだけのたくさんの人の人体実験をやるときに、医の倫理として当然家族の同意を得なきゃならぬ、その上で始められてしかるべきだ。こんな試験の方法は間違いですよ。私はいわゆる二重盲検をやるということについてはいい、しかし最小限度家族のやっぱり同意を得なきゃいかぬと思うんです。それが医の倫理だと思うんです。ところが、いま連中はわからぬと言うんです。調べないとわからぬと言うんです。大臣、まず実態を調査してください。一つは、家族の同意を得たかどうかということの実態調査。それからいま一つお願いしておきたいのは、この患者の中に進行性胃がんその他いろいろがんもたくさんあったと思いますから、実験に使われました丸山ワクチンの百五名、それから百七名の人々がどんながんであったのか。これも後から資料を下さい。いまのではわかりません。ここでやっておっては時間が長くなります。
 特に私は大臣に調査してもらいたいのは、家族の同意が得てなかった場合には、私は医の倫理に違反することを後藤教授を初め東北大学はやったと思います。こういう点について大臣から厳しく指摘するものは指摘していただかないとね。私は医学、薬学の進歩のために必要に応じて人体実験もやむを得ない。ただし、それはあくまでも本人ないし家族、ただし本人に知らせることがかえって悪い場合には家族の了解だけはきちっととってやるということが、私は古今東西を通じても医の倫理だと思う。残念ながら今回はそれがやられてないように私どもの調査では思いますが、その点について大臣の考え方、これからどういう措置をされるのか聞かせてください。
○国務大臣(村山達雄君) 初めの方の丸山ワクチンを使った症例と、それから食塩水を使った症例につきましては、できるだけ整えまして後刻提出いたします。
 それから食塩水を使って家族に知らさなかったんじゃないか、それは医の倫理に反するんじゃないか、そこの点でございますが、家族の同意を得たかどうか、その点はひとつ調べてみましょう。
 ただ、私にはちょっとあれでございますが、二重盲検法でございますから、お医者さんもわからない、患者もわからない。しかし恐らく、そういう治験をやっておりますから、診療機関はその計画を知っているわけでございますから、当然その病院として食塩水が有害であるかどうか、それからどの量がどうかという点は、十分吟味してやっているということはまず私は常識だろうと思います。しかし先生がおっしゃるわけでございますので、家族の同意を得たかどうか、そういった点はよく調べてみたいと思っております。
○安恒良一君 大臣ね、有害なものを打つばかはいないんですよ。有害なのを打ったら大変なことになりますよ。そんなことはあたりまえなんだ。
 ただ、私が言っているのは、たとえば私なら私の親類が入院しているときに、そういうことで制がん剤と食塩水を使うときに、そういう人体実験をするときに、断りなくやられては困るということなんですよ。そのことがいいなどという考えをもしも厚生大臣がお持ちだったら、あなたは大臣として不適任ですよ。私は、その家族には断ってもらいたい、当然断るのが医の倫理ではないかと、こう言っているんですよ。そのことを厚生行政としてあいまいにしてはいけません。当然家族に断るのが世界各国の常識なんですよ、そんなことは。
 初めから無効性のあるものを使うばかはいないですよ、有害なものを使うばかはいないですよ、そんなものは。食塩水が有害だと思って使ったら殺人罪ですよ、そんなものは。
 ただ、私が言っていることは、家族の同意を得たのかどうか、得なかったならば、これは間違いじゃないか。今後の医療行政として家族の同意を得るように正さなければいけないんじゃないですか。人ごどのように考えてはいけませんよ。百七名の人がこれの実験の対象になっているんですからね。たまたまあなたの身内で起こったらどうするんですかと言っておる。私は、私の身内で起こったら、私に断わればいいけれども、断らぬで勝手にそういうことをやったら、とことんまで告訴して闘いますよと、こう言っているんだよ。あたりまえですよ、こんなことは。だから実態を調査して、そういう実態があれば、そういうことはきちっとたしなめてもらわにゃいけないんじゃないですか。私は決して無理なことをあなたに言っていると思いませんよ。どうですか。
○国務大臣(村山達雄君) よくわかりました。そのように調査いたしまして、今後は納得をいかせるようにいたします。
○安恒良一君 私はぜひ早急に調査されて、そしてそういう過ちを犯されておったならば、今後だけじゃなくて、過ちを犯した人に対しても、厚生行政として、医療行政としてきちっと警告して、今後はそういうことを起こさないようにしてもらいたい。過ちを犯しておれば――調査した結果、全部家族から同意を得ておられれば結構ですよ。得ておられたら結構ですが、得ておられなかった場合は、これは明らかに医の倫理に反することですから、そういう人々については、医の倫理に基づいて所管大臣としてはきちっとした警告を発するなら発するとか、そういうしかるべきあれをきちっとしてもらわないと、二重盲検だからといって無断で何でもやればいいということじゃないんですよ、事人体実験ですからね。人を使ってやる実験ですから、そういうものは最小限度家族との間に同意書をきちっと取り交わすとか、こういうことがないと、たとえばお医者さんも安心してやれないでしょう、そんなことは。医療事故の問題で訴えられたらどうしますか、黙って勝手に食塩水をどんどんどんどん打っておって。そういう点がありますから、この点は私からしかと申し上げておきます。
 では、続いて次のことにまいります。
 薬事審議会ですね、これも衆議院で大分問題になりまして、今度薬事審議会の任期を改められることになったようでありますが、私たちは、一般の国の附属機関である審議会の任期というのは、三十八年の九月の閣議口頭了解によりまして、各界の意見を広く行政に反映させるために、任期三年の場合は三期まで、四年の場合は二期までが原則とされています。でありますから、私はこの薬事審議会の場合もやはりこの原則というのは守られるべきだというふうに思いますが、どうもいままで薬事審議会の委員の皆さん方の中身を見てみますと、この原則が守られておりません。それはどういうことかというと、正委員、臨時委員、そしてまた正委員、こんなやり方で非常に長くおった方がたくさんおる。この改革は、大臣が私に任してくれという衆議院社労委員会の御答弁の中で、今回新しい任期制限をつけられたようでありますが、どうも新聞で見る限りにおいて任期制限が何年なのか定かでありません。これはどういうふうにされていくんですか、考え方を聞かしてください。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘の中央薬事審議会でございますが、中央薬事審議会の先生方の委員の任期が、実は今月の末に大半の方々が任期満了ということになりますので、そのための改選の手続を現在進めておるところでございます。
 御指摘の委員の問題につきまして、国会でも任期等について御議論ございまして、薬事審議会の委員の任期は二年でございますが、閣議了解の線で選任をしないという線が、任期三年の場合には三期まで、それから任期四年の場合には二期まで、こういうふうになっておりますので、それに準じまして任期二年で四期まで、四期以上長期にわたる人たちにつきましては、原則として再任しないということで進んでまいりたいというふうに検討いたしております。
○安恒良一君 そうしますと、正委員も臨時委員も含めてそういうことで承っておっていいわけですね。いままでのようにたとえば正委員を八年やって、それからまた臨時委員を八年やると、十六年になってしまいますからね。いかに薬事専門であっても私はそれは長過ぎると思う。だから、閣議口頭了解の線に従って、正委員も臨時委員もいまあなたがおっしゃったとおりやっていく。こういうことで原則的に運営していきたい。これでいいわけですね。
○政府委員(持永和見君) 私は、いま申し上げましたように、閣議了解の線で拘束されます委員というのは正委員だと思いますが、正委員につきましては任期四年の八年ということで制限をしてまいりたいというふうに考えております。
 従来薬事審議会におきましては、正委員を八年やりまして、その後臨時委員を何期かやってまた正委員に戻る。その場合の正委員につきましては従来の期間は通算しないという形で、そういう一種の抜け穴と申しますか、そういうことで正委員も長期にわたる人はございました。したがって今回は、こういったいろいろ薬事審議会に関する御議論もございましたので、そういったことはなくすということで、正委員の人につきましては、通算して八年以上になる人については再任をしないという線でやっていきたいと思います。
 臨時委員の方でございますけれども、臨時委員につきましては、先生御承知のとおり、薬事審議会は、五十六人の正委員と、四百九十四人という非常にたくさんの臨時委員の方々がおられます。この臨時委員の方につきましては、閣議了解の線による任期の拘束はございませんけれども、私どもといたしましては、先ほど申し上げたように、臨時委員につきましてもこれに準じた任期をつけていきたいということでございますが、正委員と臨時委員というのは、正委員、臨時委員通じて八年で終わるというようなことは考えておりません。準じて臨時委員についても任期は考えてまいりたいと思っております。
○安恒良一君 そういたしますと、大臣ね、合計十六年やれることになるんですよ。まず正委員をやって臨時委員をやったら、どっちも八年ですからね。正委員の八年、臨時委員の八年の準じてというのはいいけれども、二つをやられる場合があるわけですから、正委員をやめて臨時委員になられる場合、そういうときに正委員の八年は終わった、今度臨時委員になったからまたそこで新しく八年、十六年。これはぼくはやっぱり長過ぎると思うんですよ。私はそこのところは一遍研究してもらいたい、検討してもらいたい。でないと、やっぱり十六年というのはいかに専門であってもよくありません。
 それから臨時委員は閣議了解の線から外れておると言ったって、臨時委員は何年でもやってもいいということじゃないんですよ。それはへ理屈なんです、そんなことは。正委員に制限が設けられれば臨時委員にも設けられるのはあたりまえですよ、世の中は。余り長くやっておるといろんなことが起こるから、政府の各種審議会の委員の任期というものは、閣議で口頭了解をして、できるだけそれを原則に運営されているんですから、少なくとも正委員についても臨時委員についてもこれはやっぱり守ってもらう、そういう発令をしていく。
 それから通算をする場合に、十六年というのは長過ぎやしませんか。だから、ここについて大多数がいままではどうも、正委員から臨時委員、臨時委員から正委員と、こういう交流があって、聞くところによると、ものすごく長くやっている人がおるわけですね。だから、その道は封じられた。いまあなたがおっしゃったように、後からやっても全部通算するんだ、正委員の八年は通算するということだから、封じられましたけれども、しかしこの方法でうまくやれば十六年間やれるわけですよね、薬事審議会。私はやっぱり一つの審議会で十六年というのは余りにも長過ぎると思います。ですから、私ここで何年ということを申し上げようと思いませんが、この点は大臣、正委員を八年やって臨時委員をやられた場合の措置について、さらにひとつ考えてみてください。どうですか。
○国務大臣(村山達雄君) 工夫をしてみます。ただ、私が聞いているのでは、薬の専門家というのは第一級の人が非常に少ないので、やりくりに非常に苦心をしているということを言っております。しかしお話がございますので工夫してみます。
○安恒良一君 そこで大臣、工夫してもらうと同時に、薬事審議を特定の専門委員におんぶしているといういまの制度に問題があるんじゃないでしょうか。私はやっぱり本来行政の内部の中に審査する核となるべき専門的な人材と組織を持つべきじゃないでしょうか。これは何も私が言っているだけじゃなくて、国立療養所の東京病院の名誉教授なんかもそういうことを言っておられるわけですね。そういうものを持ちながら、審議会を一つ別に持っておくというのがいいんではないでしょうか。ところが、どうも薬の薬効問題については行政の内部にそういう専門的な人材とか組織というのがなくして、もっぱら薬事審議会に判断をゆだねているというところに一つの問題が私はあると思いますが、こういう点についてどういうふうにお考えですか。
 それからいま一つは、これも衆議院でえらい問題になったんですが、私は、薬の研究開発に携わった人を全部薬事審議会から外せと言ったら、なくなっちゃいますから、そんなこと言っておるわけじゃない。ただし制がん剤なら制がん剤を一生懸命研究されて製薬メーカーと組んでやられた先生が、違う会社の制がん剤が出てきたときにそれを審査することはおかしいじゃないかという議論だと思うんですね。ところが、よく履き違えて、開発に関係した薬を自分で審査するなど言われると、人材が不足して審査できないなどというばかげたことを言っている学者もいますけれども、私が言っていることは当然なことじゃないでしょうか。自分が研究開発を、製薬メーカーと一緒になって制がん剤なら制がん剤というものを開発された先生が、その先生が中心となってまた違う制がん剤が出てきたときに、これは効くの効かぬのと言ったって、これは国民から言わせますと、どうかな、信憑性がないなど、こう思うんですから、私はやっぱりこれも薬事審議会における倫理だと思うんですよ。いま言われたようなたくさんの委員の方ですから、それはもともと薬事専門の方ですから研究開発はやられるんでしょう。しかし少なくとも国民から疑いを持たれるような、疑惑のまなざしで見られるようなことがあってはいけないと思うんですが、この二つの点について大臣のお考えをお聞かせください、
○政府委員(持永和見君) まず先生御指摘の薬の承認審査に関する機関の問題でございますが、御議論がございますように、アメリカなどでは、FDA方式といいまして国の機関でこういうものをやっております。日本はささいな業務局という形で、すべてが薬事審議会というところでやっておりますけれども、こういった機構問題についていろいろ議論もあるところでありますが、メリット、デメリットもいろいろあろうかと思います。すべて役人ということになりますと、なかなか開発意欲の問題あるいは自由な発想の問題、そういった点での問題がございますし、日本で長年こういうことでやってまいりましたので、そういう点を踏まえてこういう問題はさらに勉強さしていただきたいと思っております。
 それから審議会の運営の問題でございますけれども、私ども、今度の薬事審議会の先生方の入れかえでことしの十一月早々に総会を予定いたしておりますが、その中で、データを作成したそのデータにかかる医薬品の審議については、従来とも発言を差し控えるというのが慣例でございましたけれども、これを審議会の運営規程の中に明文化いたしまして、原則として発言したり議決に加わることができない、こういう規定を審議会の方に御相談申し上げたいと思っております。
 なお、先生が御指摘のほかの類似の薬品にかかわるものにまでこういった規定が働けるかどうか、実は薬事審議会の人たちの数の問題、運営の問題、それで運営ができるかどうか、その点はひとつ検討さしていただきたいと思っております。
○安恒良一君 ぜひとも二つの点――アメリカの方式も私は知ってますが、私はすべてを政府機関でいまの場合やれと言っているわけではないんです。しかしいまの業務局の機構では、ほとんど薬事審議会に、一〇〇%といったら言い過ぎかもわかりませんが、おんぶしているわけですよ。それは間違いじゃないか。本来こういうものは行政がある程度きちっとする、それに専門家の知識をおかりする、こういうことでないと……。ややいまのやり方は、本末転倒とまでは言い切れないと思いますけれども、そういう点があります。少なくとも本来行政の内部で審査をする核となる人材や組むというのがまず確立される、そして横に審議会があって、これが有効な働きをするという方が、薬害という問題を考えると、私はその方がいいと思いますし、またこの前薬事二法を議論したときもそういう議論もしているわけですから、これはいつまでも研究じゃなくして、こういうものについて中身をどんどんこうしたい、ああしたいということをして、国会の議論の場にのせてもらいたいと思います。
 それから後の運営方法は、ぜひ国民から疑惑の目をもって見られないように。でないと薬事審議会の先生方もかわいそうじゃないですか。専門家で忙しい中、薬事審議会でわずかの手当をもらってやっているわけですから、それがまた色目で見られたらたまったものじゃないでしょう、薬事審議会の先生。すでに丸山ワクチン問題では告訴まで起きてるじゃないですか、裁判まで。そういう国民の疑惑をもって見られるような審議、運営の方法というのはこの際やめた方がいい。私はこう思いますからこの点を申し上げておきます。
 それじゃ次にまいります。次は、時間がだんだんたってまいりましたから、去年十一月に健康保険法改正を大変な議論をしてやりました。そのときに今後の医療のあり方について時の園田さんとかなりのことについてやりとりをし、しかもそれは単に社会党だけではありません、野党全体を代表しまして、当時高杉さんが一問一答の中で、こういう点はどうだ、ああいう点はどうだということでやられてます。それをこの際全部洗う時間がありませんから、またいずれ改めて、ひとつ日にちを改めてたくさんのことをお聞きしますが、きょうは持ち時間の範囲内で二、三の点をお聞きをしておきたいんです。
 まず、審査にコンピューター制度を導入しようじゃないか、いまの支払基金の手作業でやっていることでは審査が不正確だ、そこで世界各国でよく採用しておりますコンピューターシステムの採用及び要員の確保を図ることによってやろうじゃないかということについて、当時園田さんは、「今日の審査にはコンピューターの導入が当然必要でございます。コンピューターシステムの採用及び適正要員の確保を図ることによって重点審査ができるよう十分検討し、可及的速やかに実施することとしたいと存じます。」、こういうことを言われました。私はやりとりの中で、できれば五十七年度からどうだという議論までした。そしてお聞きをしますと、支払基金との間にこの作業がどこまで進んでいるのか、どうもお聞きすると、最近は余りこのことについてまじめに取り組んでないように聞きます。私は大変に遺憾に思っているんですが、まずどこまで話し合い作業が進んで、いつの時期からそうなるのか。園田さんは「可及的速やかに」と言われていますし、私はいろんな各国の例も挙げてそのことをやっていますが、そういう点はどうなっていましょうか。
○政府委員(大和田潔君) 支払基金の審査にコンピューターを活用いたしまして、統計的数値を用いましていろいろ重点審査をするということにつきまして、厚生省にも検討委員会を設けまして、システムの検討その他コンピューターの導入の具体的方法につきまして現在検討中でございまして、先生がおっしゃいましたように五十七年度から試行的に、これはトライアルでございますが、試行的に導入を図るという予定でございます。
 また最近の私どもの検討といたしましては、つい最近でございますけれども、西ドイツの状況――西ドイツの状況につきましては、出来高払い等をとっておりますところで日本と似ております。日本と似ております支払い方式でございますが、そこでコンピューターの導入を図りましていろいろ事務処理をやっておるわけでありますが、その西ドイツに約二週間にわたりまして、九月でございますが、支払基金と共同で職員を派遣いたしまして調査をいたさせておるわけでございまして、この検討につきましては、かなり具体的な進捗をしておるというふうに私ども考えておるわけであります。
○安恒良一君 五十七年度から試験的にやるんですか、どこかの基金で。抽象的じゃなくて。私が言っていることは、いつごろから、どういうふうにして実施するのか、問題点があるのかないのか、あるならば何なのか。そういう点についてせっかく私が聞いているし、私も支払基金は理事を長くやっていますから、そのことは専門的に知っているわけですから、もうちょっと専門的に答えてください。そんな抽象的じゃ答えになりませんね。
○政府委員(大和田潔君) 具体的に、先ほど申しました五十七年度から行いますのは試行でございます、トライアル。本格実施はちょっとまだできませんが、トライアルといたしまして実施をいたしたい。
 当面、私ども実施可能であるというふうに考えられますものといたしましては、重点審査を行う、その重点審査の対象医療機関を選定いたしますために統計資料をコンピューター活用によって作成するということは可能ではないか。たとえば平均点数であるとか平均日数といったようなものにつきまして、コンピューター活用によってこれを作成するということは可能ではないか。そういう面で、トライアルといたしまして来年度からコンピューターを導入していきたい。
 なお、今後の問題といたしましては、さらに具体的に、たとえばレセプトに基づきまして個々の診療項目等につきましてコンピューターに入力してまいるというような問題も検討事項としてあるわけでございます。ただ、これにつきましては、コンピューター機器の選定とか具体的なシステム設計等が必要でございます。なお、これにつきましては検討を要するところでございますが、当面、先ほど申しましたようなことで五十七年度のトライアルをやってまいりたいというふうに考えておるわけであります。
○安恒良一君 五十七年度のトライアルをやった後、いつからこれを全面的に採用されるんですか。私たちとの間には当時五十七年とか「可及的速やかに」ということになっておるわけですよね、これは議事録で明確にその点はなっているわけですから。五十七年度にトライアルをやればいいということじゃないわけなんですよ。ですから、その後の日程はどういうふうになりますか。
 それからいまあなたが口頭でぺらぺら言われたことだけであれですから、後から文書にして、いままで研究会は何回やった、それから海外調査はどういうところを調査した、そしてこういうふうに作業を進めたいんだということを文書で出してください。口頭だけではわかりかねます。
 それから支払基金とあなたたちとの間に何回検討会を持ちましたか。またあなたたち自身が何回やりましたか。そういう点をちょっとここで聞かしてください。
○政府委員(大和田潔君) 検討の対象につきまして、なお後ほど文書でお出しいたしたいと思います。
 その前に、五十七年度からトライアルをやる、その後の計画ということにつきましてどうか、こういうことでございますが、私どもトライアルをやりまして、これはできるだけ早く恒常的な導入ということを行ってまいりたいということでございますので、いまのところ具体的に年次計画といったようなものにつきましてはまだ申し上げる段階までいっておりませんが、とりあえず来年度から試行を開始するというようなことで御了解いただきたいと思います。
 なお、支払基金との会合でございますが、四回すでにやっておるところございます。
○安恒良一君 大臣、もうまる一年たっているんですよね。たった四回しかやっていない。少なくとも一カ月に最低一回ぐらいは十分議論すべきものは議論していかなければならぬ。
 それから私たちには「可及的速やかに」と、こうなって、まあ五十六年度からは無理だろう、五十五年の議論でしたから。しかし五十七年度からということの議論も含めて議論しています。いまお聞きすると、トライアルは五十七年度にやるけれどもあとはまた可及的に速やかにと、こうなるわけですね。こんなことは隣の韓国でもやっていることなんですよ。
 私が言ったように、コンピューターに入れて一定の平均値をプログラムに入れれば、それ以上のやつははじき出すんですから、はじき出したやつを重点審査すればいいわけです。そうすると平均値以内のものはもうそれでいいわけですよ。それでなければできっこないんですよ、物理的に。もう簡単なこと、そんなむずかしいことじゃないんです。問題は、コンピューターがはじき出したいわゆる平均値以下のやつをどういうふうに重点的にやるかということでありまして、そこまでの作業というのは、ちゃんとプログラムさえつくれば比較的簡単にできるし、諸外国に実例はいろいろあるわけです。
 法案を通すときには「可及的速やかに」とか、できれば五十七年度からと、こう言っておきながら、法案が通って一年たってみて、何回やったかと言ったら、四回支払基金とやった、いや、回数じゃない、中身だと。こんな三百代言なことが返ってくるかもわからぬけれども、そういう新しいむずかしい問題であれば、せめて最低月に一回ぐらいは双方が集まって、どんどん中身を研究し議論をしていくという熱意があって私はしかるべきだと思うんですよね。一年間で、ちょうどもう来月でまる一年ですから、まる一年間の間に四回、三カ月ごとに一回ずつぐらいやっておったら、それはいつのことになるかわからんですよ。そういうのはいけません。少なくとも国会の公式の場において「可及的速やかに」導入するようにしてまいりたいということを言ったら、その方向で――それはその後いろんな茶々が入ることも聞いていますよ。若干の茶々が入ったということも聞いていますけれども、それではいけないと思うんです。大臣、この点どうですか。少なくともいま少し精力的にやってもらわぬと、月に一回や二回ぐらいの議論をしていかぬと。年間でたった四回やったんじゃどうにもならぬですよ。どうですか、大臣。これは大臣に聞きます。
○国務大臣(村山達雄君) 五十七年度はトライアルでやりますが、五十九年までには導入したい、実施したいと考えております。
○安恒良一君 いやいや、五十九年といったら「可及的速やかに」なりますか。五十五年に「可及的速やか」と言っておって、五十九年で「可及的速やか」――日本語をどう解釈されるかということになりますね。私は、いま言っていることは、いま少しピッチを上げてもらいたい。会議の回数なんかも月に一回ぐらいきちっとやってどんどんやっぱり議論する。三カ月に一遍ぐらいやっておったら、それこそ大臣、あなたが言うようにそれは五十九年になってしまいますよ。それじゃいけないじゃないですか。そんならそのように国会のやりとりのときに正直に言わなきゃいけないんだよ。法案を通してもらいたい余りに、そのとき、はい、わかりました、わかりましたと言うとって、後になるとまたそういうやり方されると、これから法案を審議するときには全部信用ならぬということで審議しますよ、私は。言ったことは責任を持つ、お互いが。これがやっぱりあれじゃないですか。
 そういう意味から言うと、あの当時の議論としては、まあ五十六年は、安恒さん、無理だよと。そうだろう。それじゃ五十七年ごろからやってもらうか。そういう意味で「可及的速やかに」ということで、議事録をずっと読んだらそうなっているんだよ。いまになったら、来年はまあ試みをやって、あげくの果ては五十九年などということを言われたんじゃ困るんですよ。
 ですから、これ以上このことだけ論争しておるわけにいきませんから、大臣は遅くとも五十九年と言われておりますから、できるだけそれを早めるということで努力をしてくださいよ。それから会合もどんどん開いてやってくださいよ。だれが見ても本当に真剣に取り組んでいるなということがわかるようにやってくださいよ。
 それから次のことについてお聞きしますが、この法律が改正された後に医療費が引き上げられました。その中で、たとえば部屋代の差額をなくするため看護の加算等いろんな苦心をして医療費を引き上げられたんですが、いまもって、何なら名前を言ってもいいんですが、私が知っている大学病院で、八人部屋で四千五百円、六人部屋で四千円を取っている大学病院がございます。具体的な名前をここで言うことを差し控えてもいいんですが、言ったらそれはきちっと処置してくれますか。三人部屋以上の議論じゃないですよ。あなたたちは私たちとのやりとりの中で、「三人室以上は三年を目途に解消いたし、特に三人室以上の差額病床の比率の高い私立大学病院については文部省と連携をとりつつ解消を図ります。」と、当時こう言っている。ところが、医療費が改定されましたその後も、調べてみたら、いわゆる大部屋というのは全体のくわすか。あなたたちが言ったことは、国立は一〇%、私立は二〇%、大学病院は一遍にはできぬからできるだけということで、こういうやりとりになっている。ところがいまもって八人部屋、六人部屋で四千円や四千五百円を取っているところがあるわけですね。
 で、私のところにお見えになった方は、もうとっても部屋代の差額が持ち切れぬ、何とかなりませんかという家族の駆け込み訴えで、あえて私がここに病院名を出さないのは、そういう家族のことが明らかになっちゃいけないから私は病院名をいまは出さない。しかし大臣、後から保険局長のところに言っておきます。そういうのは三人部屋以上どころじゃないんですよ。八人部屋で四千五百円とか六人部屋で四千円。幾ら私立医科大学であっても私はそういうのは行き過ぎだと思います。この前のこれを入れるときのやりとりで、現実的にまずそんなところからメスを入れていかなけりゃ、とっても三カ年でなおらないと思うんですよ、三人以上は取らぬということにならぬと。目の前に八人部屋や六人部屋で四千五百円も四千円も平気で取っているのがある。そういう病院を調べてみると、八割から九割がみんな差額ベットです。大部屋というのはほとんどない。これはちょっと私はひど過ぎると思いますが、具体的に公の席上で言えば、今度私のところに訴えられた患者に御迷惑をかけますから――その方はその後かわってもらいました。そんなところにおる必要ないということで、とってもそんなものは払えないでしょうということで、国公立の方にかわった方がいいですよということでいろいろあれをしていただきましたが、しかし私はその人がかわったからいいということじゃいけないと思うんですね。そういう制度自体を根本的に国会のお約束に従って――それはひどいじゃないか、八人部屋とか六人部屋で四千五百円も四千円も取るのはひどいじゃないかということで、きちっと行政指導があってしかるべきだと思いますが、この点どうしてくれますか。
○政府委員(大和田潔君) かねてから御指摘の問題でございます。中医協におきましても、先ほど御指摘ございましたように、三人室以上の差額ベッドの解消ということについて非常に強く指摘されておるところであります。
 それで、差額ベッドにつきましては、一番問題は私大の附属病院である。これにつきまして、この解消というものを図っていかなければ差額ベッドの解消の実は上げ得ないということで、実は私どもかなりこれにつきましては精力的に私大の附属病院関係につきまして話し合いをいま進めておるところでございます。私どもといたしましては、そう遠くない時期に話し合いというものがついていくんではないかというようなことでございますが、三人室以上ということでございますので、いま先生おっしゃいました八人とか六人とかといったような問題も当然のことながらその際に解決をする、三年以内に解消するということで進めていくということによりまして、この差額ベッドの解消につきましては大きく一歩踏み出し得るんではないかというふうに考えておるところであります。
○安恒良一君 大臣、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。去年からもう一年たってますから、私は私立医科大学の差額ベッドが問題になっていることは百も承知しているんです。だから、あなたたちが一年努力した結果どういう実績が上がっているのか。話し合いだけしてたってだめなんですよ。話し合いすると同時に実績が上がらなきゃ意味ないんです。実績が上がっているんなら、去年健康保険法を議論した後一年たった今日では、今回医療費の改定もやったことなんだから、こういうふうにこれだけなくなりましたとか、そういうのがあってしかるべきじゃないですか。
 それからいま一つは、六人部屋とか八人部屋というのは言外でしょう、論外でしょうと言っているんですよ。そんなことを話し合っていて、三年間も六人部屋、八人部屋で四千五百円取られてたまりますか。そうでしょう。六人部屋、八人部屋入っていて四千円も五千円もまだこれから三年間取るのをあなたたちは黙って見ておるんですか、こう聞いているんです。あなたの答弁を聞いていると、どうも三年間かかって話し合いをしなけりゃ解決しないようなことを――六人部屋、八人部屋ですよ、三人部屋じゃないんですよ。八人部屋で何で四千五百円も取らなきゃいかぬのですか、差額代を。それを言っているんで、そういうのは後からちゃんと教えますからきちっと処置をしてくださいよ、こう言っているんです。そんなもの話し合いもへったくれもないですよ。八人部屋で何で四千五百円も取るんですか。どうして話し合いしなきゃならぬのですか。八人部屋で四千五百円取っているのに、まだこれから鋭意話をして、それをなくするのに何で三年もかかるんですか。大臣、答えてください。こんな話はばかげて聞いておられませんよ。
○政府委員(大和田潔君) ちょっとその前に一言、時間がかかるではないかというお話で一つつけ加えさしていただきたいと思いますが、例の医療費改定、六月でございましたが、その医療費改定の際に、御承知のように重症者加算という制度ができたわけであります。室料並びに看護加算、これは差額ベッドの解消というものにこの重症者加算というものは大きな武器になるというようなことで、これは先生も御承知のように、国会における話し合いをスタートといたしまして、こういう制度ができることになったわけでありますが、これが六月一日から実施されたわけでありまして、それから実は精力的に、先ほど申しましたように、私大の方とも話し合いをしておるわけでありまして、その過程で日の目を見つつあるわけでありますが、いまの八人部屋とか六人部屋という問題も当然その段階で私どもは解決をしていくべきものというふうに考えておるわけであります。
○国務大臣(村山達雄君) 保険外負担で差額ベッドの問題が一番大きな問題の一つだと思いまして、先般の医療費の改定につきましても大きな重要問題でございまして、それであればこそ、いわば差額ベッドの解消のあれといたしまして、重症患者の特別加算をやりまして、同時にこの差額ベッドの三人以上の解消についても中医協から強い指摘を受けたところでございます。おっしゃるように何も三年待って三年後にやるということではございませんので、精力的にこの問題を解決してまいりたいと思っております。
○安恒良一君 ぼくは大臣、私大なんかで三人部屋だとか一人部屋、二人部屋で取っているのにはやっぱり時間がかかると思いますよ。しかし六人とか八人入れておって取るのは、こんなものに時間をかけてはいけないんですよ。具体的にそういうのはどんどん厚生大臣として指摘をされて、文部省との協議が要るなら文部大臣とお話し合いされて今あなた、六人部屋、八人部屋で四千円と四千五百円なんですよ、一日。一カ月十二万円要るんですよ。たまらないじゃないですか。たまたま私の耳に二つとも入ったから、そういう方のある程度家族の御負担を下げるために、率直に言って私は厚生省とも話をして救済の道を講じましたよ。しかし私がその病院に行ってみたら、たくさんの人が入院されているわけですよ、八人部屋、六人部屋で。たまらないですよ、それは。一人部屋とか二人部屋とか、いま過渡的な措置で三人部屋もありますけれどもね。
 私は、差額の概念から言ったら、本当はこの前も議論したように一人と二人だと思うんですよ。それを八人と言ったら普通大部屋ですよ。そうでしょう。六人でも大部屋ですよ。そんなところに入れておって、しかも金額が百円とか二百円というならまだかわいいんですけれども、一日四千円も四千五百円も取られてはたまったもんじゃないですよ。いかに私立医科大学であろうともそういう不法は許してはいけません。
 私は、後から保険局長のところに名前を言っておきますから、直ちに大臣、実態を調査して、それを改善してください。六人や八人のところは改善してもらわないと、こんなものをいつまでも待つとったらたまりません。六人部屋、八人部屋というのは具体的にちゃんと証拠があるんですから、いつでも出します。だから、そういうところはどんどんとりあえず直せるところから直していかないと、なかなか直るもんじゃないですよ、こんなものは。そのことを強く言っておきます。
 それから、もう時間がありませんから、二つのことだけお聞きしておきます。
 検査点数の適正化について、毎年委託検査料の実態を調査するという約束になっていますが、あれから一年たちましたが、委託検査料はいつ調査されましたか。それから調査されたならば、した結果がどうなっていますか、そういうことを報告してください。
○政府委員(大和田潔君) 臨床検査技師法の改正に伴いまして、いま十月一日現在の登録衛生検査所の実態を把握中でございまして、把握でき次第調査客体を選定いたしまして、速やかに検査数、検査料金の実態を把握するための調査を行う所存でございます。
○安恒良一君 これも大臣、一年たってしまっているわけですよね。だから、私は臨床検査技師法の改正はこの前の通常国会でやっておりますから、早急にこういう約束事は約束事でぼくはどんどんやっていかなきゃいかぬと思うんですよね。でないと、何回も同じことを言うようですけれども、そのときは約束されるけれども、どうも行政が少しテンポがのろいんじゃないか、もしくは怠慢じゃないかと私は思います。ですから、国会で約束したことについてはもう少しテンポを速めてやっていくということがないと、せっかく国会で各党がいろんなことを議論して、しかもいま言ったこともこれは全野党共同で言って、そのことについて速やかにこれもやりましょうと、こういうことに当時はなっているわけですから、どうも聞くところによると、年に一回というのが去年の十一月に約束されてますが」いまのお話を聞くと、どうも年に一回の調査になりませんね。いまの話によると、年に一回ということにどうもなりそうにありませんね。それじゃ私は約束が違うんじゃないかと思うんですよ。
 それから何回も言うように、できぬことはできぬとそのとき言わなきゃだめですよ。たとえばこれはそう言われても二年かかりますならかかりますと、そういう上で議論しておかないと、いや、年に一回やりましょう、毎年検査料の実態調査を実施してくれということで、「今国会での臨検法の改正をまって、御趣旨に沿って委託検査料金の実態を調査し、その適正化を図りたいと存じます。」、こういうふうに当時大臣はお答えになっておりますから――本国会で改正されたことは事実ですよ。その後きちっとされています。
 ですから、これ以上このことを余りきょう議論してもあれですから、私の持ち時間もなくなりましたから、ひとつピッチを速めてもらいたいということを強く要望しまして、私の質問をきょうは終わりたいと思います。大臣、答弁してください、そのことについて。
○国務大臣(村山達雄君) いろいろ御指摘いただきましてありがとうございました。われわれも精いっぱい努力をいたしまして、国会並びに国民の期待にこたえてまいりたいと思っております。
○委員長(粕谷照美君) 本調査に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩といたします。
   午後零時三十分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十三分開会
○委員長(粕谷照美君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○小平芳平君 行政改革ということが論議の的になっておりますが、先日の新聞報道では、国家公務員の定員削減について、医師、看護婦も今回は例外ではない、定員を削減するという方針であるというふうに報道されております。国立病院、国立療養所の医師、看護婦も定員を削減するというふうに報道されておりますが、どういうふうになっておりますか。
○政府委員(田中明夫君) 去る九月十一日に閣議決定されました第六次定員削減計画で、臨時行政調査会の答申の趣旨を踏まえまして、医療職についても削減の対象とされるということになりまして、国立病院、療養所につきまして、昭和五十七年度以降五年間で約二百人が厚生省の削減数の中に含まれております。
○小平芳平君 どういうところで減らすことになりますか。
○政府委員(田中明夫君) 御案内のとおり、医師、看護婦等の医療職につきましては、現在国立病院、療養所におきまして決して余っているというような状態ではないわけで、むしろいろいろまだ不足しているような部門もあるわけでございますので、この具体的な削減方法につきましては、今後予算編成の段階を通じまして行政管理庁と協議してまいりたいというふうに考えております。
○小平芳平君 厚生省としては減らすつもりでいるわけですか。今後協議するにいたしましても、国立病院、国立療養所において医師、看護婦、薬剤師等の医療職を、二百人ですか、二百人定員を減らすという方針はもう決定済みのことでありますか。
○政府委員(田中明夫君) 一応閣議決定によりましてそういうようなことが決められたわけでございますので、これは尊重いたさなければならないというふうに考えておりますが、御案内のように、国立病院、療養所につきましては、五十六年度につきましても、五百人を上回る数の定員増を得ておるようなわけでございますので、そういうような意味合いにおきまして、来年度につきましても、必要な部門につきましては増員を図るということがどうしても考えられるわけでございますので、その増員との兼ね合いにおいて関係省庁とも十分協議して対処してまいりたいというふうに思っております。
○小平芳平君 すでに定員が五万二千人で、賃金職員という臨時の職員が六千六百人おりますね。すでに五万二千人という定員に対して一割以上の臨時職員がいて初めて病院としての機能が果たされているわけです。ですから、その五万二千人と六千六百人が基本にありますから、これをどうやって減らすか。厚生大臣いかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 定員削減は、これは常勤の人間について行われたわけでございまして、今回行政の簡素化という点から閣議決定でやむを得ず認めたわけでございますけれども、御案内のように、国立療養所あるいは国立病院につきましては、定員がほかの病院に比べますと約半分ぐらいになっております。したがいまして、非常に足りないことは事実でございますので、われわれは年末に行われます増員のときにできるだけこれを復活し、できれば純憎いたしまして、そしていま国立病院あるいは国立療養所は地域医療の中核機関としてやっているわけでございますし、また非常に専門的な分野も扱っておるわけでございますので、その機能が衰えないように増員計画でがんばっていきたい、このように考えておるわけでございます。
○小平芳平君 厚生大臣が、あるいは医務局長がそういうお考えであれば、現在ある定員、臨時職員を含めてようやく機能している国立病院が縮小されるということはおそらくなかろうというふうに想像いたします。
 で、これは五十四年十二月三日の朝日新聞ですけれども、国立立川病院を取り上げているんです。午前八時半から受付が始まる。ところが、一番早く行列した人は明け方五時半に来た。明け方五時半に来て八時半の開門を待つ。八時半から夜七時過ぎまでぶっ通しで診察を行う。八時半から七時過ぎまでぶっ通しでやっても、小児科の例を挙げておりますが、小児科においては一人平均四分の診療時間しかないという状態なんですね特に小児科が忙しいようですね、いろんな要素がありますけれども。
 それで、十七の診療科があって医師は二十六人、一人一科が十科もあるというのですね。一科にお医者さん一人しかいない。ですから手術のときには大学から応援に来てもらう。それからその一人一科の科のお医者さんが学会で留守になると、その都度本日休診にしなくちゃならない。そういう状態ではとても定員削減どころじゃないですね。ですから、そこで減らせば、結局市民に対する、国民に対する医療サービスが低下するわけですね。結局患者さんをシャットアウトする以外にないわけです。そういうこと。
 それから看護婦さんでも、八日夜勤ということは全然守られてない。十日、十一日という夜勤が続いている。
 それから薬局ですね、薬局は職員は六人いるだけなんです。臨時が三人、九人でやっているんですが、医療法施行規則によって、立川病院薬剤科の調剤数は一日平均九百二十二件で、これを八十で割ると十一・五、すなわち十二名の薬剤師が必要となりますが、現実には九名で、うち三名がパートです。こういう状態なんですね。しかも薬ですから間違えたというわけにいかないですね。何しろ忙しくてつい間違えましたというわけにいかないです。そういうぎりぎりの勤務状態が続いている。ですから、定員を減らすなんてどこの話をしているかと思うわけですね。そう思いませんか。
 それからお尋ねしますが、賃金職員という臨時はどうなさるお考えですか。
○政府委員(田中明夫君) 国立立川病院につきましては、先生御指摘のとおり、人口の急増地帯を控え、付近に適当な医療機関の数もそう多くないということで、非常に忙しいということは私どももよく承知しております。ことに小児科は、先生申されましたように、殺人的と言っていいぐらいの非常な忙しさであるということも十分承知しておりまして、なかなか定員事情が許しませんので、国立の小児病院の方から援助に行ってもらったり何かいろいろ手は打っておりますが、御指摘のように、小児科等の部門におきましては非常に人手が不足しておりますので、私どもも五十五年、五十六年の二年間にわたりまして、母子医療対策担当の医師、看護婦等をそれぞれ一人、二人とふやしておりますけれども、なかなかそれでも需要に追いつくことができないというような実情でございます。今後とも、こういうような需要が非常に高い部門につきましては、必要な職員の確保に努力してまいりたいというふうに考えております。
 賃金職員につきましては、中にはまさに賃金職員という雇用形態がふさわしいような者もございますけれども、相当数は定員化した方がよろしいというような賃金職員がいるわけでございまして、これの定員化につきましても今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
○小平芳平君 看護婦さんあるいは薬剤師の方で、免許を持っていて、同じ職場で全く同じ仕事をしているわけですね。これは努力してまいります程度でよろしいんですか。
○政府委員(田中明夫君) まことに御指摘のとおりのような実情があるわけでございまして、われわれといたしましては、従来から何とかそういうような職員の定員化を速やかに図りたいということで努力いたしておりますけれども、今後ともその努力を続けてまいりたいというふうに考えております。
○小平芳平君 厚生大臣も同じお考えだと思いますけれども、行政改革ということは、行政の能率化、簡素化、それから行政の肥大化を防ぐ、そのための行政改革でしょう。現に「殺人的」という表現をしておられます、この記事では。そういう殺人的な医療業務に追われているところを行政改革するためには定員をふやさなきゃいけないですね。何となくいまは行革行革で減らすことがいいことだというふうに思われる向きもありますけれども、こういう面は定員をふやすことが本当の意味の改革になるんですね。どうでしょうか。
○国務大臣(村山達雄君) 私も最終的には、少し手のすいているところから非常に忙しいところに移していく、そういう中で全体の能率の向上を図っていくというのが行政改革であろうと思っているのでございます。したがって私たちは、削減というのは、要するに行政改革の一つの手法だと考えているわけでございまして、その意味で、一遍はおつき合いだから、一遍見直すという意味で削減するんだ。しかしもちろん必要な増員については、これから年末にかけて折衝があることを前提にしておるわけでございますので、いま小平先生の御指摘もございますし、それを待つまでもなく、いま国立病院がどんなに忙しいかわれわれはよく承知しておりますので、おっしゃる趣旨に従って国民の医療サービスが低下することがないように全力を挙げてがんばるつもりでございます。
○小平芳平君 賃金職員の方が共済組合加入を求めて訴訟中でありますね。この件はどうなっておりますか。
○政府委員(田中明夫君) 現在東京地裁において審理中でございまして、近く判決がおりるというふうに聞いております。
○小平芳平君 それも共済組合加入を要求しての訴訟ですので、最低限の要求としか考えられないですね。本来の定員として働いているし、個人個人も免許を持って同じ仕事をしていらっしゃる方が大多数であります。それから病院としてもその方がおられないと――先ほどの立川病院の薬剤師の例で申しますように、九人というのはもうぎりぎりなんですね。厚生省の基準どおりいけば十二人必要なんだけれども、それを九人でやっている。うち三人が賃金職員というような状態です。ですから、その判決を待つだけですか、これは。
○政府委員(田中明夫君) これも閣議了解によりまして、賃金職員につきましては、賃金職員という性格上、年をわたって雇用するようなことがないようにという了解がございますので、われわれといたしましては、現在その了解の趣旨にのっとりまして、年をまたがって雇用するという形態をとらないようにということで対処いたしておるわけでございますが、先生御指摘のとおり、実態的には賃金職員という形態が適当でないような賃金職員もおるわけでございますので、先ほども申しましたように、できるだけ早く定員化を図って対処いたしてまいりたいというふうに考えております。
○小平芳平君 大臣、重ねて発言を求めませんけれども、ぜひ国民に対する医療サービスが行政改革のゆえに低下するというようなことがないように。
 それから現状においての賃金職員というのはまことに奇妙な存在で、こういうことがあり得ることがおかしいんですが、大臣からひとつ賃金職員をどうするかについてお考えを聞かしてください。
○国務大臣(村山達雄君) 正規の定員が不足しているために賃金職員を恐らくたくさん六千人も雇っているわけでございます。そういうことでございますので、できる限りそれを定員化の方向で増員を求めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○小平芳平君 では次へまいりますが、病院の診療報酬のうちで、室料、給食料、看護料はどのように算定されているかというような質問をしたいわけです。
 いままでの経過があって、室料、給食科、看護料が決まっていたわけですが、それが今回どのように改正になったか、ごく簡単で結構ですからお尋ねしたい。
○政府委員(大和田潔君) 室料につきましては百点、つまり千円でございますが、それが百五点、それから看護料につきましては九十一点が百点、それから給食料につきましては百点が百十五点というような改正が行われたわけでございます。
○小平芳平君 それで病院の経営状態は十分成り立っていると考えますか。
○政府委員(大和田潔君) 私どもといたしましては、医療機関の健全な経営が確保される、さらに各診療科ごとの均衡が保たれるというようなことで診療報酬の改定を行ってきたというふうに考えておるわけであります。
○小平芳平君 診療報酬のたとえば給食にしましても、これはもう公立病院の院長とかそういう人でも、給食料が低い、給食料が低いために、やりくりしても十分な給食ができない、だから食べ残しが大量に出ると。そういうような傾向はありませんか。
○政府委員(大和田潔君) 私どもといたしましては、病院の経営につきましては、たとえば個々の給食料あるいは室料、そういった個々の点数というよりも、全体といたしまして医療機関の健全な経営が確保されるという見地から、医療費、診療報酬の改定をしてまいってきておるわけでございます。したがいまして、給食料につきましても、ただいま先生おっしゃいましたようなことではなく、当然その医療機関におきましては妥当な給食が行われているというふうに考えておるわけでございます。
○小平芳平君 妥当な給食が行われているというふうに考えているといいましても、室料が千円から千五十円に引き上げられたわけでしょう。給食料が千円から千百五十円に引き上げられたわけでしょう。それで妥当ですか。
○政府委員(大和田潔君) 先ほども申しましたように、これらの診療報酬の点数につきましては、全体として医療機関の健全な経営が確保される、さらに各診療科ごとの均衡が保たれるというふうな考え方で決めてきておるわけでございます。いわゆる均衡の問題、健全経営の問題、全体として保たれる、そういったようなことでございますので、個々の診療報酬の改定についての根拠というようなことではなく、全体として見ておるというふうに私ども考えておるわけでございますので、それによりまして健全な経営が行えるというふうな考え方に立っておるというわけでございます。
○小平芳平君 結局、個々の金額を挙げていけば、それはもう説明がつかないわけでしょう。
 で、全体としては病院経営は楽になったのか、それとも苦しいのか、それはどうでしょう。病院が一方では倒産が相当数出ていると言われ、また他がでは新増設の建設が続いているというふうに言われていますが、いかがですか。
○政府委員(田中明夫君) 後半の御質問についてお答えいたしたいと思いますが、病院数、病床数はここ数年、年次推移を見ますと、毎年増加しておるわけでございます。本年に入りましてからの病院の整備状況を建設統計月報によって見ますと、着工対面積で対前年比六%程度の増加がございまして、ここ一、二年の増加傾向とほぼ同様であるというふうに考えております。
 また、倒産の関係でございますが、昨年ごろから病院、診療所の倒産が非常に問題になっておるわけでございまして、東京商工リサーチの調査によりますと、昭和五十五年におきまして医療機関の倒産件数が三十九件、うち病院が十一件ということでございました。五十六年につきましては、八月までの数字きりございませんが、医療機関の倒産件数二十二件、うち病院が四件ということでございまして、ことしに入りまして特に増加しているという傾向は見られないわけでございますが、ここ数年来相当数の倒産が見られているということは確かであろうと思っております。
○小平芳平君 いま説明した数字でもことしは多いですね。
○政府委員(田中明夫君) 八月までの数字でございますので、これからどうなるか何とも申し上げられませんですが、昨年に比べまして特に多いということはないのではないかと思います。昨年は一年間で三十九件でございますし、ことしは一月から八月までで二十二件ということでございますので、三分の二でございますから、比例でいきますと二十六件あるとちょうどつり合うということですので、大体そう大きな変化はないのではないかと思っております。
○小平芳平君 病院の経営安定については、経営安定こそ望むところなんですね、厚生省としても病院側としても経営が安定することが望ましいわけです。また別の機会にこの問題はお聞きしたいと思います。
 次に、厚生省が九月十八日に発表した五十五年度医薬品副作用モニター報告について御説明をしていただきたい。
○政府委員(持永和見君) 五十五年度の医薬品副作用モニター報告でございますけれども、五十五年度の医薬品副作用モニター報告といたしましては、死亡症例が二十四報ございます。このうち主なものは悪性腫瘍患者が感染症罹患などをして感染症が悪化して死亡したという例が四例。それから難治性慢性関節リューマチに消炎鎮痛剤とか解毒剤とか、そういうものを使用した結果血液障害を起こして死亡したというのが二例。肝障害あるいは腎障害を起こして死亡したというのが各一例ございます。それから肝炎などの検査のため診断薬を使用した結果ショックによって死亡したものが二例あるわけでございます。
○小平芳平君 報告数が六百六十八件ですか。うち死亡が二十四人。その内容をいま御説明してくださったわけですが、私がちょっとお尋ねしたいのは、医薬品被害者救済制度ですね、この救済制度は暇の方がいいんでしょうけれども、この救済制度によって救済を申請した数、救済された数はどのくらいありますか。五十五年度における六百六十八例と二十四例がその救済制度を利用されておられるかどうか、そういうことについてお尋ねしたいわけです。
○政府委員(持永和見君) 医薬品の副作用被害者救済基金に対する救済給付の請求あるいは支給件数でございますが、五十六年の十月で、請求が三十五件、支給が十六件でございます。
 これは非常に少ないわけでございまして、私どもといたしましても大変少ないなという感じを持っておるわけでございますが、いま先生御指摘の副作用モニター報告、これとは必ずしもつながらないわけでございます。実は、副作用モニター報告というのは、病院の先生方に医薬品の副作用情報を提供してもらい、それを安全対策の上に役立てるということでやっておるわけでございますけれども、このモニター報告は患者の名前とか、あるいは報告される先生の名前、そういうことを言わないということで報告していただいておるものでございますから、副作用の情報を収集するという目的でそういう形でやっておるものでございますので、必ずしもこの救済基金の問題とは結びつかないかと思います。
 ただ、御指摘のように、私どもといたしましては、救済基金の件数が、出方が大変少ないなということで、この問題についてはいろいろとこれから検討していかにゃいかぬなというような意識は持っておるわけでございます。
○小平芳平君 モニター報告と救済制度とは結びつかない、直結はしてないということはよくわかります。よくわかりますが、少なくとも死亡された二十四人の方は、こういう方はほとんどその救済制度で救済されても可能な方ではないかということはどうでしょう。
○政府委員(持永和見君) モニター報告で死亡ということで報告された方々の中には、たとえばがんの末期患者の方などが、そういった重篤な方がおられるわけでございまして、このモニター報告は必ずしも医薬品との因果関係が明確になったものだけを報告するということじゃないわけでございまして、そういう意味で、医薬品との因果関係がこの死亡症例について十分でないというケースも報告の中にはあるわけでございます。そういう意味合いで、この症例のうち、モニター報告の死亡例のうち救済制度の対象になるのは何人かということはちょっとそれだけでは判断できないような、そういう状態でございます。
○小平芳平君 それでは伺いますけれども、この救済基金は年間にどの程度の件数を予想しておられたのですか。
○政府委員(持永和見君) 救済基金におきましては、実は製薬企業の方から拠出金を徴収しておりまして、その拠出金の算定に当たって推計しました件数は年間三千件ということになっております。
○小平芳平君 死亡は何件くらいですか。
○政府委員(持永和見君) この推計によりますと、死亡は百件ということになっております。
○小平芳平君 それで実績は幾らですか。
○政府委員(持永和見君) 現在まで支給したという形での死亡の件数は一件でございます。
○小平芳平君 ですから、私が最初申し上げたように、薬害被害者、中毒被害者というようなものは少ないほどよろしいんじゃないか。救済制度があってもなきがものになった方がむしろ望ましいではないかと思います。思いますが、六百六十八件のモニターからの報告があり、死亡が二十四人という報告があって、しかも救済基金では死亡が百件、救済件数が三千件と予想しておりながら死亡はわずかに一件、それから救済は十六件、余りにも違い過ぎやしないか。そういうふうに違っても違う方がかえって望ましいということなのか、それともせっかくある制度が活用されてないという欠点があるのか。その点どうでしょう。
○政府委員(持永和見君) この点に関しては先生の御指摘のとおりだと思います。
 私どもといたしまして、被害者救済基金が、一つは、その制度発足間もないというようなことから、まだ十分なPRが行き届いてない面もあるんじゃないかということで反省もいたしております。基本的にはこういった被害者救済というか副作用被害というのは、少ない方がいいわけでございますけれども、しかし現実問題として、私ども自身も余りにもかけ離れているという率直な認識を持っておりまして、この点について多少なりともPRも足りないんじゃないかというような反省をいたしておる段階でございます。
○小平芳平君 厚生大臣、そういう被害者はない方が望ましいけれども、しかし厚生省がとっているモニターによっての報告でもこれだけの件数があるのに余りにも開き過ぎはしないか、制度をつくった意味がないではないか。そういう点どうでしょう。
○国務大臣(村山達雄君) いま政府委員との応答を通じておりまして、その両者の関連についてもう少し詰めてみたい、こう思っているわけでございます。
○小平芳平君 もう少し、何ですか。
○国務大臣(村山達雄君) 詰めてみてどんな関連があるのか、それからどうしてそういうことになるのか。大体政府委員の答弁でも、答弁は答弁で理解しているわけでございますが、先生の御指摘もありますので、その両者の関係についてもう少し詰めて考えてみたい、かように思っております。
○小平芳平君 モニター報告は、最初に局長が言われたように、病院名、患者名等はあらわれないわけですね。それはそれで意味があると思いますが、そのために救済制度で救済を申し立てるとそれがあらわれてしまうんじゃないですか。
○政府委員(持永和見君) 救済制度への申し立ては、申請者が申請をするということになっておるわけでございまして、この救済制度に申し立てた医薬品の被害救済については、この症例については、副作用情報の一環として私どもとしては十分活用するつもりで現在おるわけでございます。
○小平芳平君 それはそうなんですけれども、救済を申し立てますと、どこの病院でどういう投薬を受けた、あるいは注射を受けたためにこれこれしかじかの症状があって、こうなんですというふうに申し立てなくちゃならないわけでしょう。そうすると、病院名も患者さんも表面にあらわれてくるでしょうと申し上げているわけです。そういうことをきらわれはしないか。
○政府委員(持永和見君) 御指摘のとおりに、救済制度への申し立ては、その症例なり因果関係の問題についてお医者さんの診断書なり何なりをもらうことになっております。しかし、これは私どもといたしましては、あくまでこういった被害者救済基金というものが現にあるわけでございますから、これはできるだけ活用していただくというのが私どもの基本的な方針でございますので、そういう趣旨で臨んでおるところでございます。
○小平芳平君 そういう趣旨で臨んでいるから、病院名が明らかになる、それから申し立てをすればその人の名前も明らかになる、しかし病院側でそういうことは困ると言って非協力的になったんじゃ因るということを申し上げているわけです。
○政府委員(持永和見君) こういった問題について病院の方で非協力的になったのでは確かに困るわけでございます。私どもといたしましては、できるだけそういうことがないように現在医薬品の被害者救済基金の中にも相談窓口を設けておりまして、そういったところで具体的な手続あるいは病院に対する相談の仕方、そういったものについても十分御相談に応じたいと思っておりますので、もしそういった御心配がおありになるというようなことであれば、まず基金の方の相談窓口を御活用いただいて、そういった心配をなくすためにはどういうふうにしたらいいか、ひとつ御相談をいただければというようなことを考えております。
○小平芳平君 それで、モニター報告は、数ですね、どのくらいとられているわけですか。
○政府委員(持永和見君) モニターの報告の数――先生の御指摘は恐らくモニター数、モニター病院数のことじゃないかと思いますが、モニター病院数は大学病院、国立病院、公立病院、そういったものを中心にいたしまして九百九十八施設でございます。それから参加しているお医者さんの数は約六万五千人、そういった数のお医者さんがカバーされているかと思います。
○小平芳平君 したがいまして、先ほど御説明のあった三十五件申請、十六件救済というものは、潜在的には相当の数があるんじゃないかということを申し上げているわけです。五十六年十月から九百九十八病院になったわけですね。それで全国の何割くらいがカバーされると思いますか。
○政府委員(持永和見君) 全国の病院数が大体八千ぐらいだと思いますので、一割強の病院数がカバーされると思います。またお医者さんの数にいたしますとおよそ三分の一程度、こういった数はカバーされるんじゃないかと考えております。
○小平芳平君 ですから厚生大臣、そういうふうに病院数で一割、お医者さんの数で三分の一くらいカバーされるというふうに厚生省が説明しております。その限られたモニター数でも六百六十八件あるわけですから、潜在的には相当数が実際に救済を申し立てることが可能であるにもかかわらず、制度を知らないとか、あるいは何かの事情で救済申し立てができないでいやしないかということを心配しますが、どうでしょうか、
○国務大臣(村山達雄君) それぞれ違う目的でできているものでございますし、その因果関係がどの程度モニターの場合と救済制度の場合、同じような確度で、正確度で因果関係が出ているのかどうか、私実は不明にしてそこまでは詰めていないのでございます。しかし先ほどから小平先生の御指摘もございますので、その辺を十分詰めまして、そして救済制度が本当の意味で生きるように検討してまいりたいと、かように考えているのでございます。
○小平芳平君 では次に、本年の六月一日から新しい薬価基準が実施されて一八・六%の薬価引き下げがあった。そのときに厚生省はどういう指導をされてきましたか。公正な価格決定ということでもめておりますが、厚生省がどういう指導をなさったわけですか。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘の問題は、医薬品の流通の問題ではないかと思いますので、私からお答えさしていただきますが、医薬品の流通に関してはその公正性を確保するということが基本的な条件でございまして、私どもといたしましては、添付販売、リベート支給、そういったものがないような指導を行ってまいりました。
 また御指摘の本年六月一日に薬価基準の全面改定がございました、このときに改めて公正な競争に基づく適正な価格による納入をするようということで関係業界に指導を行っているところでございます。
○小平芳平君 その適正な価格形成をするようにという指導を行った結果、適正に行われましたかどうか。
○政府委員(持永和見君) 六月一日の薬価基準の改定に際しまして、いま申し上げたように改めてこの薬価基準の改定の趣旨を説明いたしますとともに、いやしくも公正な競争に基づく適正な納入が阻害されるということがないようにという通知を行ってまいっておりまして、そういう点で業界も臨んでいるというふうに考えておるわけでございます。
○小平芳平君 やみカルテルまがいのことが行われていると言って公取に提訴がなされている。そういういきさつはどうですか。
○政府委員(持永和見君) 日本病院会の方から公正取引委員会に対しまして、日本製薬工業協会が一種のやみカルテルを行っているんじゃないかという申し立てを行っている事実は承知いたしております。
○小平芳平君 そういうことがありまして、それで厚生省が指導したことが引用されているんですね。ですから、厚生省の意図はどこにあったかということです。
○政府委員(持永和見君) 厚生省の意図は、先ほど来申し上げておりますように、公正な競争に基づく適正な価格納入ということをやってほしいというのが、私どもの従来からの基本的な方針でございまして、現在、いま申し上げましたように、やみカルテルを実施しているんじゃないかということで、日本製薬工業協会がですね、病院会から公取へ申し立てが行われておりますが、この点については、製薬工業協会の方も絶対にそういうことはないということをはっきり明言いたしておりますので、そういうことで私どもは理解しておるところでございます。
○小平芳平君 別に厚生省では独自の調査は行っておりませんか。
○政府委員(持永和見君) 私どもといたしましては、先ほど申し上げておりますように、薬価基準改定に際しましてそういう指導を行いましたので、その指導を受けて業界は対応しているという認識を持っております。
○小平芳平君 次に、先ほどの丸山ワクチンの問題はいろいろ安恒理事から御指摘があったので繰り返しません。それから丸山ワクチンのことについては私も何回かこの委員会で質問いたしたので繰り返しませんが、この丸山ワクチンは、先ほどのお話だと、要するに効き目があるかないかですね。ほとんど効き目がないと。まあ効き目がないから認可にならなかったわけでしょうけれども、しかし町で聞く話、あるいは安恒理事も指摘なさったように、かえって人数がふえている現状ですね。そういう点はどう考えておられますか。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
○政府委員(持永和見君) 丸山ワクチンの問題については、先ほども申し上げたと思いますけれども、申請者から提出された資料について、薬事審議会が医学的あるいは専門的な立場からいろいろと総合的に評価いたしまして、現在の段階では医薬品としての有効性は認められないということで、そういう結論になったわけでございます。先生御指摘のように、確かにこの丸山ワクチンを使っておられる患者さんの数は相当な数に上がりますし、八月十四日の薬事審議会の答申以後その数がふえたんじゃないかというような話も私どもも聞いておりますけれども、現在の段階では、薬事審議会として総合的に評価をしました結果、有効性についてもう一つ問題があるんじゃないかというようなことで承認できないという答申が出されたというふうに理解するわけでございます。
○小平芳平君 そういうふうに理解しているからこういう措置が、午前中説明があったような措置がとられているわけですが、週刊誌等でもあるいは新聞等でも、丸山ワクチンによって副作用があったということはないわけですね。
 それはそうと、がんの薬は副作用があるわけですね、大部分のがんの薬は。副作用があっても使うという、そういう制がん剤の中にあって、丸山ワクチンは副作用はないと丸山先生もはっきりおっしゃっている。それで何となく腑に落ちないわけですね。
 それから熱心に丸山ワクチンによってがんを制圧しようとしている患者さんがたくさんいるわけですね。ですから、薬事審議会がこう決めたぞといっても、ああそうですか、じゃやめますという気が余り起きないわけですね。どうですか。
○政府委員(持永和見君) 先生御指摘のように、がんに対する制がん剤、特に化学療法剤はいろいろな意味での副作用が強いかと思います。ただ、医薬品というのは、有効性の問題と安全性の問題の両方の面から比較考量して医薬品の承認が決められるわけでございまして、副作用があるからすべてだめだというようなものでもございませんし、また安全であっても有効性において、医薬品としての有効性において欠けるところがあれば、これは薬事法の上にはっきりしておるわけでありますけれども、承認できない、こういうような規定になっておるわけでございまして、丸山ワクチンの場合には、先ほど来申し上げているように、有効性についていまのところそれが確認できない、こういうようなことでございますので、現在の段階で承認できない、こういうことになるかと思います。
 ただ、先生最後にお話しになりましたように、現にたくさんの患者さんが使っておられるというようなことでございますので、そういう実態はわれわれとしては踏まえて、それに対応した措置はとっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○小平芳平君 厚生大臣が村山厚生大臣にかわったがために非常に手続がおかしくなったというようなことがどっかの記事にあったかと思いますが、厚生大臣としては、たくさんの方が使っていらっしゃる、かえって減らないということをどう思われますかね。
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
○国務大臣(村山達雄君) 丸山ワクチンというのは、世に出たときから普通の薬と非常に違いまして名前が知れる方が非常に早かった。承認になる前に早く名前がとどろいていますし、そしてまた同じような薬で名前が消えたものもたくさんあるわけでございます。
 一方、またがんの原因というものが究明されていない。世界的に見ても、日本でも究明されていない。それで、がんの化学療法剤にいたしましても、何にいたしましても、これを飲めば大丈夫だというところまではいかない、みんな相対的な関係にあるわけでございます。そういう中で丸山ワクチンの再度の審査が行われたわけでございます。
 ですから、一方におきまして、科学的にその有効性、これが証明されるということはやはり薬事法上必要であることはもう当然でございます。残念ながら、出されたデータではそれが検証されなかったということでございますので、承認を与えることはもちろんできなかったわけでございます。しかし、そういう非常に奥深いがんの問題でございますので、それだからといって、一朝一夕にこのとうとい研究というものを捨てていいということにはならぬわけでございますし、特に日本医大の丸山先生のところ、またゼリアも一生懸命に研究しておるわけでございますし、世の中に需要も多いわけでございますので、できるだけその事実を踏まえて、そしてさらに研究を重ね、そうして少しでもこの丸山ワクチンが将来りっぱな薬として世に出ることを望んでいるわけでございます。
 これは別に丸山ワクチンだけではございませんけれども、厚生省といたしましては、りっぱな新薬が、どんどん研究をして、それは大変な研究費がかかることはわれわれ十分承知しておりますけれども、しかし製薬会社に社会的使命というものを感じていただいて、そしてりっぱな薬をどんどん出していただくということを私たちはこいねがっているものでございます。そういう意味で、残念ながら承認を与えることはできませんでしたけれども、なお研究を続けてもらいたい。同時にまた、飲んでおられる方もたくさんおられるわけでございますので、現行の薬事法の範囲内でその具体的な要求にどうこたえ得るかということで、私たちも乏しい知恵でございましたけれども、できるだけの対応をしたつもりでおるわけでございます。
○小平芳平君 大臣、そういうわけで認可にならなかったわけですが、薬事審議会の委員が大幅に入れかえになりますですね。このことは丸山ワクチンが響いたということはないという説明もありますけれども、やはり丸山ワクチンの審議が響いたんだという見方もあるわけですね。事実はどうでしょう。
○政府委員(持永和見君) 先ほども申し上げましたように、この十月の三十一日、この十月の末日がたまたま薬事審議会の二年という任期の期日に該当するわけでございます。これもたまたまと申しますか、丸山ワクチンの薬事審議会の答申がことしの八月十四日というようなことでございましたんで、この結びつきがとやかく言われておるかと思いますけれども、厚生省といたしましては十月三十一日、今月末にきます薬事審議会の委員の改選に当たりましては、従来から国会でいろいろ御議論になったこと、あるいは従来からの閣議了解事項を適切に運用する、そういうような立場で委員の選任を行っているわけでございまして、八月と十月、たまたまそういう時期が同じような時期でございますけれども、これは直接関係はないことでございます。
○小平芳平君 一つは局長にお尋ねしますが、この桜井座長はそのお話の中で、要するに少しでも他の薬に関係した人を不適とするなら委員になれる人はほとんどいなくなってしまうが、というようなことをおっしゃっておりますけれども、それは少しでも他の薬にというその表現が問題でありますけれども、厚生省としては従来とも、また今後とも大量に入れかえをする、それから八年ということで午前中御答弁のあったように区切りをつけるということで、十分それは可能だとお考えなんでしょうね。そのことをお尋ねします。
 それから厚生大臣に、そのようにして入れかわった立場で、丸山ワクチンも今後出てくる新薬も、そういうふうな入れかわった立場で論議していただきたいというふうに希望しますが、いかがでしょう。
○政府委員(持永和見君) 先生のお話のございました、同じような薬にかかわった人の云々というような問題でございますが、私が先ほど来申し上げておりますのは、国会の審議の過程で、自分の答案を自分で採点するのはいかがなものだろうかと、こういうような御意見がございました。確かに自分の答案を自分で採点するということについて、従来薬事審議会としては、委員の間の慣例といたしまして、そういう場合には遠慮をしていくというようなことで運営を行ってまいりましたけれども、国会などの御議論もございまして、これをできれば今度開きます新しいメンバーによります総会にかけまして、運営規程、そういったきちんとした規則の中に、自分でデータを作成したりなんかした場合には、そのデータに関する医薬品については、審議あるいは議決に加われないというようなことを明確化いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
 先生御指摘の同じような薬にということになりますと、先ほど来も申し上げておりますように、医薬品の専門家の数というのは非常に限られておるわけでございまして、果たしてそこまで排除してしまった場合に議事運営ができるかどうか、そういった問題もございます。できるだけ私どもとしては、関係者は排除するという形で公正な運営を期するというのが基本原則でございますけれども、片一方薬事審議会の議事運営という問題もございますので、そういった面をにらみながら、こういった問題については検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(村山達雄君) 先ほどから業務局長が答えておるとおりに、今度薬事審議会のメンバーが大幅にかわるわけでございます。その趣旨は、さっき業務局長が申しましたように、余り長いのはどうであるか、それからそういったことで少しでも世間に公正さを疑われるというようなことのないようにということでございまして、直接丸山ワクチンとは関係ないことは御答弁したとおりでございます。また丸山ワクチンの審議自体も、私がずっと見ておりまして、少なくとも皆さんが一生懸命良心的にやっていただいたと確信いたしておるのでございます。しかし、十月の末が任期でございますので、丸山ワクチンその他いま申請中のものがたくさんございますが、これはいずれ新しいメンバーによる委員会によって審議されることになることは事実でございます。
○小平芳平君 終わります。
○沓脱タケ子君 それでは、きょうは診療報酬の改定問題についてお伺いをしたいと思います。
 ことしの六月一日に診療報酬の改定が行われました。ところが、その後今日まで全国的に各地区医師会、あるいは病院の団体では日本病院会、全国公私病院連盟、あるいは保険医団体、また医師会では大阪府医師会、それから山口県医師会、東京都医師会等が、今度は直ちに点数の再改定を要求する運動、緊急集会、決議、署名あるいは請願、陳情というのが繰り返し行われているようでございますけれども、大臣はこれを御承知ですか。
○国務大臣(村山達雄君) 診療機関側でいろんな動きがあることはよく承知しております。
○沓脱タケ子君 そこで、なぜこういう異例のことが起こってきているかということでございます。厚生省が六月の改定時の発表では、これは診療報酬の引き上げが八・一%、そうして薬価基準の引き下げの補正が六・一%のダウンで、実質二・〇%の引き上げたということでございました。ところが、全国公私病院連盟が六月の病院運営実態分析調査というのを実施いたしまして、これをコンピューターの集計を行った。その結果、報道をしておりますけれども、「前例ない改定後の落ち込み」「悪化の一途たどる病院経営」ということでまとめておられるわけでございます。
 で、今回の改定といいますのは、御承知のように、三年四カ月ぶりに行った診療報酬改定でございます。したがって、厚生省の当初おっしゃられました二%のアップというのはきわめて非現実的であり、非常識なものであると思ったわけですけれども、それにもかかわらず実態はそのわずかの改善さえも行われずに、引き下げであるということでございます。
 ちなみに具体的な数値をちょっと申し上げておきたいと思いますが、六月一日から引き上げ改定がなされまして、六月分の支払基金の全国統計を見てまいりますと、社会保険の被保険者本人の資料を見ますと、たとえば支払い方式の乙表ですね。乙表の外来では、これは一件当たりの点数で前月分、五月と比べまして五・四%のダウン、一日当たりの点数では、これも五月対比で八・八%のダウン、甲表におきましても、甲表が比較的ましたと言われておりますけれども、甲表におきましても、一件当たり五%のダウン、一日当たり六・四%のダウンになっております。これは厚生省御承知ですか。大臣の御見解はどうですか。
○政府委員(大和田潔君) ことしの六月に診療報酬の改定をいたしたわけであります。先生おっしゃいましたように八・一%の診療報酬改定、薬価基準は六・一%、そのほか材料等〇・六%を差っ引きますと、おおむね一・四%程度のプラスということになるという理論計算でいっておるわけであります。
 で、最近の六月におきます医療費の伸びがどうなっているかという問題でございますが、実は大体の年におきまして五月と六月を比較いたしますと、五月よりも六月の方が減っておるというのが医療費の推移の状況、これは例年ともそういうふうになっておるわけであります。この問題につきましては、対前年同月比というもので見るような考え方があるわけでありますが、政府管掌健康保険で申しますと対前年同月比、これは六月の総額でいきますと八%程度の増になっておる。ただ、しかしながら医療費の改定の影響につきましては、なおしばらく様子を見なければわからないというのが、私どもといたしまして本当の気持ちではないか。もうしばらく様子を見なければ影響がわからないというような感じでございます。
○沓脱タケ子君 それは患者の増減とかなんとかというようなことはしばらく様子を見なきゃならぬかもわからぬけれども、一件当たりの点数、一日当たりの診療点数というのは、これは患者が多かろうが少なかろうが比較的安定した計数でしょう。だから、それが一日当たりが八・八も下がる、一件当たりが五・四も下がるということは、これは大変なことなんですね。そういうことをお認めになっているかどうかということ。これは事実ですからね。私が好きなところから持ってきた数字ではないんですよ。支払基金の資料なんですね。それは御存じですか。
○政府委員(大和田潔君) 存じておるわけでございますが、先ほど申しましたように、今回の医療費改定につきましては、御承知のように非常に技術料評価というものをいたしまして、従来の点数表からかなりいろいろな点で改善を加えておるわけでございますが、それだけにまた算定方法の変更に伴います事務上の問題であるとか、季節変動等いろいろな要素があるんではなかろうか。したがいまして、短期間で判断をするのはなかなかむずかしいものであるというふうに申し上げておるわけであります。
○沓脱タケ子君 まあ後の御託は結構なんで、私が申し上げた実情というのは御存じなんですね。
 で、考えてみていただきたいんだけれども、診療報酬の改定というのは三年四カ月目にやっとやったわけですが、一方、人件費、物件費、諸物価の高騰というのは医療機関だけがストップしているわけではないんですね。ですから、公私病院連盟の調査で、たまたまこれは九月の終わりごろですけれども、ことしのベースアップだって約八割ぐらいがストップされている。私立の病院でも四割ぐらいが改定待ちということでストップをされているという状況でございます。したがって、今度の改定と告示の問題点というのがきわめて重要な課題になってくると思うんですが、すでに大臣も御承知のように、たびたび陳情、要請その他伺っておられますから、諸団体の要望や意見でよく御承知だと思うんですが、私限られた時間でございますので若干具体的にお聞きをしておきたいと思います。特に、私ども考えましても、医学的な根拠から言っても常識的に言っても、一体これはどうしてこうなっているのかというわからない点にしぼってお聞きをしたいと思います。
 一つは点滴という処置がございますね。点滴というのは、大きなびんに入った薬液を血管に入れて、一遍にさっと注射みたいに入れるんじゃなしに、ぽとぽとぽとと一時間なり、病状によっては二時間もかけて、きわめて徐々に輸液をするという手技でございますけれども、この点滴についての点数が五百五十以上ということで限定をして七十五点という点数が告示されているわけです。これがどういうことでこうなったのかなということの一つは、薬液のびんの容量というのは五百ccというのが通常なんです。それを五百五十以上でなければ七十五点をやらない、二十点だと。二十点というのは二百円ですわね。七十五点というのは七百五十円です。五百五十以上にしようと思うたら、何か薬を入れて五百五十以上にするか何かしないと一びんがまずないんだからね。いま五百ccの薬しかつくってないんだから。そのうち五百五十以上が出てくるかもわからぬ、いまの時代ですからね。しかし今日ではそうなっておる。それをどうして五百五十cc以上という限定をしたんだろうかというのが一つの不思議です。
 それからもう一つは、小児科などは、これは大腸炎などで下痢の頻発をした場合など、輸液をするかしないかというのは回復に決定的な影響があるわけでしょう。その場合に子供に大人並みに五百五十以上使うわけにいかぬですよ。大概子供には年齢に従って二百ccとか三百でしょう。ところが、これは五百五十以下だから二十点と、こうなるわけ。ところが、医療関係者でなくてもおわかりいただけるかと思いますけれども、血管というのは、大人の血管でも太ったりなんかしている人はなかなか入らない。子供の血管はきわめて細くて入れるのには相当な熟練が要ると、そういう状態なんですね。しかも子供でございますから動きますし、終わるまで一定の時間常時監視が必要だということで、技術的な問題から言うたら、私は非常にウエートが高かろうと思うんですね。だから技術的な評価でもなさそうだし、五百五十以上ということに決めたのは一体何が根拠なのかな、薬の量だけで二百円と七百五十円に決めたのかなと思って、さっぱり理解ができないんですけれども、そういうことの告示をなさった根拠は何ですか。
○政府委員(大和田潔君) いろいろ問題ございますが、この点につきましては非常に技術的な問題でございます。説明員をして答弁さしたいと思います。
○沓脱タケ子君 技術的な問題って、何を言っているの。さんざん問題になっているのに、そんなことをあなたは答えられないの。局長おかしいですよ。
○説明員(仲村英一君) 技術的な問題を含みますので私から答弁さしていただきたいわけでございますが、点滴注射の五百五十ccの問題でございますけれども、これは今回の改定の基本にございます技術料を重視するという観点で、過去の点滴の注射と考え方を変えまして、輸液を……
○沓脱タケ子君 もう結構です。そんな答弁なら局長どうして答えられないの。技術料中心なら、私が言うたように、二百ccの子供の方がむずかしいんだと言うんですよ。私だって医療関係者の端くれだからよく知ってますよ、そんなこと。どうしても考えられないから、あんたのところは薬の量で二百円と七百五十円の差をつけたのかと聞いているんじゃないですか。技術料の差という観点は何にも論拠がないから聞いているんだ。どうして局長さん、そんなことぐらい答えられないの。たびたびあんた陳情も要請も受けて話し合いしているんでしょう。何を言っているんですか。そんな技術的なむずかしい問題は言ってないですよ。何を言うんですか。
○政府委員(大和田潔君) この問題につきましては説明員に答弁さしたいと思います。
○沓脱タケ子君 そんなこともわからぬでこんなむちゃな点数決めたの。だめだよ。薬の量以外何にも差はないんだよ、限られた時間だから、ちょっとはっきりしてもらわぬと前へ進まんならぬからね。
○政府委員(大和田潔君) この点につきましては、いろいろと小児加算等の問題もございますので、このような決め方をしておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 それは小児科はそういうことで逃げたけれども、大人はどうしますか。五百ccと五百五十ccと技術的に何の違いがありますか。はっきりしてもらいましょう。そんなわけのわからぬことを言ったら困りますよ。
○政府委員(大和田潔君) 今回は一日分の基本としてこの問題を決めておるわけでございまして、そういう点におきまして点滴注射の合理化をしておるということでございます。
○沓脱タケ子君 これはね、理屈にならぬのですわ。五百五十cc以上の点滴をやるにも、五百ccの点滴をやるにも、技術的には同じ水準が要るんですよ。医務局長わかっているでしょう。ちょっと医務局長の御意見を聞きたい。そんなあほなことを言ってちゃ困るわ。あんたは医者だから、医者としての意見、医療としての立場での意見を言ってください。
○政府委員(田中明夫君) ちょっと御質問の趣旨がよくわからないんでございますが……。
○沓脱タケ子君 五百ccの点滴をする技術水準と五百五十ccの技術水準とで何か変わりありますかと言っているんです。同じ水準を持っていなかったらできない仕事でしょう。
○政府委員(田中明夫君) その点につきましては、技術的に差はほとんどないというふうに考えます。
○沓脱タケ子君 だから、技術的な評価とおっしゃるけれども、薬の量の差しかないんだよ。それでこんな筋の通らぬことが起こっている。こんなものはだれが見たって理解できませんよ。時間がないからこれで粘るわけにいかぬので、次にいきます。
 もう一つこれはどういうことかというのがあるんですね。これは十数項目ある中でごく限られたところだけ言うんですが、慢性疾患指導管理料というのがあるんですね。ところが告示には、初診日及び初診から一カ月以内に行った指導の費用は初診料に含まれるとわざわざ書いてある。慢性疾患指導管理料というのは二百点なんですね。ところが初診料というのは百二十点でしょう。私どう考えてもこれはわからぬ。初診料が五百点とか千点で、その中で二百点は込みに丸めて理解してもらうんで初診の月は出しませんというんなら話はわかる。二カ月目から出すというんなら話はわかるんだけれども、初診料が百二十点で慢性疾患指導管理料は二百点なんですよ。どういうふうに理解をするのか、これがわからぬ。だから、こういうふうにわざわざ初診から初診の月一カ月以内は初診料に含まれますと書いてあるということは、含みようがないので、初診から一カ月目は慢性疾患指導管理料はお出ししませんということの書き方ですか、別の書き方ですか。それしか理解できないんだよ。これはどうなんです、局長。
○政府委員(大和田潔君) これは慢性疾患管理科、要するに初診溝との性格の違いというふうに申し上げた方がいいと思いますが、慢性疾患管理料につきましては、いわゆる管理的な技術料といったようなものとして二百点を設定したわけでありまして、それは初診科との違いというふうに言わざるを得ないわけであります。
○沓脱タケ子君 質問に答えてない。
 だから、初診の月は管理はしてもらっても出しません、支払いませんということですかと聞いている。二カ月目から管理料で出すんでしょう。初診料と管理料とは性格が違うというのは、あなたのおっしゃったとおりです。ところがこの告示には、初診日、初診から一カ月以内に行った指導の費用は初診料に含まれると書かれておる。こんな筋の通らぬ告示がありますか。おっしゃるとおり初診科と管理料とは性格が違いますよ。それがどうして、しかも足らぬ金額の中で含まれるとは、これは小学生だって勘定できません。こんな高等数学あるんですかな。おかしいと思いませんか。いっそのこと最初の月一カ月は出しませんというんならまた話はわかる。二カ月目からは管理科を出しますというんなら話はわかるんですよ。いいとか悪いとかは抜きにして、筋としてはわかる。これはさっぱり勘定もつかぬし、書いてあることの話もわからぬですよ。もっと普遍的に、国民がみんな読んでわかるような告示と内容にしてもらわぬと困りますがな。どうですか。
○政府委員(大和田潔君) やはり先ほど申しましたようにそれぞれ性格が違うということでございますが、一月以内のものについてはそれに含ませるというような仕組みにしているということでございます。
○沓脱タケ子君 わかっている、そう書いてあるから。百二十点の中に二百点をどうして含ませるのかと聞いてる。五百点の中に二百点を含んで考えますというんなら話はわかる。百二十点のところへ二百点をどうして含ませるのか。八十点あふれる、初診料から。どういう勘定をするんですか。だから高等数学かといって聞いているんです。
○政府委員(大和田潔君) ちょっとその問題について医療課長に答弁させます。
○沓脱タケ子君 いいかげんにしなさいよ、そんな技術的な問題じゃないですよ。
○説明員(仲村英一君) 点数の決め方ということで私から御答弁さしていただきたいんでございますが、初診科、再診料等は、先生も御案内のように、頻度をもちまして点数を配分するという従来からの方式をとっておりますが、この慢性疾患指導管理料につきましては、従来二週間に一回で五十点という点数を設定されてあったわけでございますけれども、先ほど局長からも申し上げましたように、外来患者についても管理的な技術科を評価するという観点から、四週間でそれの倍の二百点という点数を設定した、こういうことでございます。したがって、初診科に含まれるというふうな算術的なことでは、おっしゃるような意味では数が合わないという面はあるかと思います。
○沓脱タケ子君 そうではなくて、初診料は初診料で、管理料と性格は違う。初診のときから慢性病かどうかというのは、わかるときもわからぬときもありますわ。しかし数回の検査なり診察なり診療によって慢性病かどうかという診断がつくんですよ。それは一カ月以内につきます。そんな一カ月もかかりません。そうしたら当然慢性疾患指導管理料というのを出さなかったらおかしいじゃないか、二カ月目からは出すんだから。それが百二十点に二百点が含まれるというのは、こんなことは筋が通りません、何ぼうまいこと説明しても。どうしたら含まれますか、さっぱりわからぬ。そんなことを言っていたら困ります。あんたの答弁は答えになっていないですよ。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
 で、時間の都合があるから次に行きます。
 もう一つわからないのは理学療法科、これがなかなかわかりにくいんですね。これは全部点数をまとめて何をやっても三十点ということに変わったんですね。消炎、鎮痛を目的とする理学療法三十点ということになったわけですね。そうなりますと、どのくらい違うかといいますと、改定前は、たとえばマッサージだと、部位によってそれぞれ一部位十二点だったんですね。だから全身やると、両腕で二部位、両足で二部位、それで体で一部位、合わせて五部位なんです、全身のマッサージをしたらね。だから十二点掛ける五で六十点なんです。それからマッサージもしてその後電気療法とか超音波をやると、その一療法について十点ずつ加算するから、全身のマッサージをやり、そして電気療法をやって超音波療法をやったら八十点になったんですね。それを今度の点数改正では丸めて三十点にするということのようですね。だから、幾つかせにゃいかぬ場合でも、それはやっぱり資本主義の社会ですわな、マッサージしてもせぬでも一緒やったら、やめとこかということになりますがな。そんなものあたりまえですよ。こういう大幅な丸めをやった理由は何ですか。
○政府委員(大和田潔君) この問題につきましては、実は理学療法につきましていろいろと学会等の御意見もありまして、従来のいわゆるマッサージというようなものからさらに進んで、総合的な計画的なリハビリをやるべきであるという御意見が強いわけでございます。たとえばマッサージをやるときに器械でもって体操をやらせる、あるいは引っ張るといったようなことを総合的にやることによって、その理学療法というものをさらに前向きに進めることができる。こういうようなことでございまして、そのかわりその場合には、いわゆる運動療法として大幅な点数の引き上げというものを行うことによって、医療機関の経営というものをよくするということになったわけであります。したがって、マッサージという項目はこの運動療法の中に――この運動療法の中の相当部分をマッサージが占めるわけでございますが、そういったようなことでこの点数表の丸めをやっておるわけでございまして、理学療法の前進というような観点からこの点数を決めていったわけでございます。
○沓脱タケ子君 その運動療法の点数改正がやられていることは私も知っております。しかしマッサージをやってもやらなくても、あるいは超音波をかけても電気療法をしても、とにかく三十点ということになりますと、これは今日のたくさんの患者さんを消化していく上でマッサージをやってもやらぬでもいいということになってくると、これは何しろやったってやらぬでも三十点一緒なんで、マッサージ師の給料の出どころがなくなってくるんです。だから当然経営上の問題として心配が起こってきますよ。千葉ではすでに二、三人が病院から解雇をされたという話も聞いていますし、埼玉でも大阪でも解雇の不安が起こっております。盲学校で聞きましたら、医療機関からの求人の予約取り消しが出始めている。
 で、大臣ね、国際障害者年なんですね。厚生大臣、厚生省というのは障害者対策の推進役でしょう。ところが、この厚生省の診療報酬の改定の不合理、それからさじかげん一つで視覚障害者が職域を狭められる結果になってきている。だから、これは医療機関はもちろんのこと、視覚障害者の団体、全視協などから大変怒りの声が上がっていますよ。これは当然ですわ。御承知のように、わが国では視覚障害者の対策というのもおくれていて、中途失明者の方々の場合はほとんど三療が中心で自立をなさっていっているというのが今日の姿でしょう。そういう人たちが厚生省の点数の改定のさじかげんで職場を狭められているんです。どう思われます、大臣。
○政府委員(大和田潔君) いまのお話につきましてなおコメントいたしたいと思いますけれども、先ほど申しましたように、運動療法の方にかなりの点数増、大幅な点数増というものを行っているわけでありまして、これは従来ありましたリハビリをさらに総合的計画的にやることによって効果をもたらせるという趣旨があるわけでありまして、しかもその運動療法の中に相当部分マッサージという業務が入るわけで、この点を十分私どももPRといいますか、理解を求めていく必要があると思いますが、そういう意味で、運動療法をやるところについては、大幅な医療費の改定増の対象になるわけでありますので、医療経営というものもこれはよくなる。それによりましてマッサージ師に対する雇用というものは十分確保されるというふうにわれわれは考えるわけでございまして、その点は十分われわれも理解を求めていきたいというふうに考えておるわけであります。
○国務大臣(村山達雄君) ことしは国際障害者年でございまして、われわれはこれを契機に障害者対策を一段と進めていきたいということで、各種の施策を進めているところでございます。とりわけ目の不自由な方、こういった人の雇用の問題は非常に大事な問題だと私は思っておるのでございます。
 で、いろいろ今度の保険点数についてのお話がございました。私もその辺をひとつ勉強してみたいと思っております。ただ私は、実をいうと、マッサージは、私個人の話でございますが、大好きでございまして、しょっちゅうやっておるのでございますが、別に医者に行ってやるのではございませんで、私は自由契約でどんどんやっているわけでございます。全体として、障害者の雇用の場が失われないようにこれからも努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○沓脱タケ子君 局長、そんなのんびりしたことをおっしゃっているけれども、全国病院理学療法協会が、これは四千人ぐらいの組織らしいですが、雇用上深刻な問題だということで反対して、再改定の要求をしているでしょう、厚生省にも陳情をしたはずですわ。こういうことは再検討が要るんですよ。
 なぜ私は再検討が必要だと言うかというと、だって現に労災では、ちょっと都合が悪いということになったんだと思いますよ、九月から変わったというじゃないですか。何でもかんでも丸めて三十点というふうにはしてないですよ、労災は。部位別とか局所別でとにかく三カ所までは認めようということで、九十点までは認めるということで、若干緩和するっていうような措置もとってるんですよ。やっぱり無理があるからこういうことが起こっているんだから、これは再検討する必要があると思いますよ。どうですか。――まあ、また長うなるから、時間ないから、もういいですわ、答弁は。
 それで、もう一つ理解に苦しむ問題があるんです。それは歯科なんですね。これは時間があったらいろいろ言いたいんだけれども、歯科のことだけちょっと言っておきたいんです。
 これで一つおかしいのは、歯科の点数改定は五・九%、実質は五・二%だということを厚生省は言われました。ところが、これも改定直後から本当に大問題になった異例の状態で、新聞やテレビにどかどか出ましたね。こんなことも珍しいですわ。これを見てみますと、これは一つは、検査機器についても問題がありますね。私は、歯科における検査機器等が正しく導入されて国民の歯科医療が前進するということが保証されるなら、これは非常に結構だと思うんです。しかしたとえばMKGという検査機器、これを開発した先生が、いま岡山大学におられる山下淳という教授ですが、こう言ってるんですよね。日常の臨床上のために開発したものではないんだ、特殊的な研究用に開発したもので、今度も、健康保険に採用されるについて事前に何も聞いていなかった、こう言ってるんですよ。
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕
 もう時間ないですからまとめて聞きますが、もう一つはポリサルホン義歯床ですよ、大問題になった。これも私、午前中からの質疑を聞いていて思ったんですが、丸山ワクチンを認定するかしないかということでは、ずいぶん資料を非常に克明に検討されて、あれだけ慎重に扱っておられるのに、ポリサルホン義歯床というのは、これは私、聞いてびっくりしたんだけど、日本の補綴学会の会長さんですか、日本の補綴学会では、ポリサルホンというのは一遍も発表されたことがないと言っている。私が存じております日本の歯科大学の歯科工学の先生方、あるいは歯科の補綴科の先生方が言っておるのでは、何しろ臨床例が学会でも報告されたことがないし、公表されたことないし、評価はしばらく待ってくださいと、聞いたら皆そう言うんですよ。
 そんなのをあわててちゃんと六月一日から片方ではやるじゃないか。丸山ワクチンみたいにあんなに慎重にどうしてやらないんですか、検査機器にしてもポリサルホンにしても。これは有床義歯の何か金属床の代用にするんで、大変薄くできていいんだという売り込みになっていますけれども、
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕しかし実際に検討された結果では、一・五ミリ以上にならないとたわみがひどくて利用できない。一・五ミリ以上にもなるというんだったら、これは現行のレジンと何の変わりもない。もう一つの欠陥は、非常に高温で噴射するんで、一番いいと言われている義歯である陶歯が使えない、ぼろぼろになって高温には耐えられない。一番大事な修復がきかない。こういうふうなことが専門家の中で言われてきているわけでございます。それが一般の有床義歯の二倍以上の点数加算がされておるんです。片方ではずいぶん石橋をたたいて渡るという姿勢をおとりになるかと思うと、たとえばポリサルホンではろくに先生方は知らない、学界では共通の認識にもなっていない、評価も一致していない、そういうものがひょろりと認定されて保険扱いで出てくる。こういうことが起こりますと、これは一体厚生省は何を考えているんかということになりますよ。
 一方、歯科では前から言われている不採算部門である歯冠補綴ですか、歯冠修復か、それから欠損補綴など、技術料の評価というのはろくに上がらぬわけですよ。だから有床義歯一つが今度の点数千五十点ではできないんですよ、大概ね。プラスアルファの二、三万ぐらいですか、全国的にはいろいろあるんですが、二、三万なり五万円程度の自己負担なしにはなかなかできないという状況になっているんです。だから生活保護患者とか老人医療というのは冷遇されているんですよ。歯科で生活保護を扱っている医療機関というのはものすごく少ないんです。東京を調べてみたら二八・八%、大阪がちょっと多くて四〇・二%、こんな状態を改めるために、これは技術料評価を正しくして国民医療が健康保険制度によって十分受けられるというふうに改めるというところが一番大事なんです。ところが、そういうことになっていないわけですね。
 で、時間がもうありませんので、最後にお聞きをしたいんですが、私ども本委員会でもたびたび言ってきたんですが、大体薬のさやかせぎで医療機関の経営を維持しなければならないという制度を長く厚生省は医療行政としてやってきたという問題があるわけなんです。そういう不正常な状態を改めて、医師や歯科医師あるいは看護婦さん、その他関係の医療関係者の適正な技術評価、労働評価をやって、それぞれの人たちが本当に胸を張って国民医療に喜んで参画のできるような技術料の評価をやるべきであるということを私はたびたび言ってきたんです。ところが今回の改定というのは、やったことは何かといったら、薬価基準の大幅引き下げをやりました。ところが、われわれが主張してきた医師、歯科医師その他医療関係者の技術料の引き上げがきわめてわずか。検査や理学療法の大幅な丸め、組みかえ、こういうことで実質的に引き下げになっている。これは人件費、物件費の高騰に見合うところか、医療関係者は、一つはマッサージの例を出しましたけれども、マッサージ師のように職場まで失う。このままこんな状態でいきますと、医療機関の経営が危なくなるというのは、公私病院連盟も言っていますけれども、そのとおりです。病院の経営が危なくなるということはひいてはどういうことになるかというと、国民医療が荒廃し、安心して医者にかかれないというところへやっぱり落ち込むんです。
 私は、大臣、最後に言っておきたいんですが、臨調行革でとにかく金を削りゃいいということじゃないと思うんです。むだは削ったらよろしい。しかし必要なところまで、勘定合わすためにということで、つじつまも合わぬような勘定の合わし方、削り方というのはやってはならないと思うんです。私はそういう立場でいま三、四点の問題を指摘いたしましたけれども、すでに十数点の問題点については関係者からお聞きのはずでございますから、そういった点をあわせて、これは問題点を検討して、再改定に踏み切るべきだと思うんです。そうして医療機関の経営に一定の安定をもたらし、患者さんたちにも安心して医療にかかれるような体制をつくるというために再改定を検討するべきだと思いますが、大臣の御見解を伺いたいと思います。
○理事(安恒良一君) それじゃ沓脱さん、時間ですから。大臣、答えてください、それで終わりにします。
○国務大臣(村山達雄君) 医学の進歩を保険制度に取り入れておるということは非常に大切な観点だと思っておりまして、単に行政改革で歳出を減らせばいいという問題とはまた別個の重大な問題だと思っております。委員が御指摘になりました点、多々あったわけでございます。われわれは医療機関の今後の経営状況は一体どういうふうになっていくか、それからまたこれから新しい点数による医療費がどうなってくるか、もう少し慎重に見守ってまいりたいと思っておるところでございます。大体伺いますと、半年ぐらいは見なくちゃいかぬということが言われておりますので、御指摘もございますのでしっかり見守ってそうして考えてみたいと、かように思っております。
○沓脱タケ子君 時間がないので済みません。私、時間がないので終わりたいと思いますけれども、御指摘を申し上げた点で説明の合理性のない部分については即刻検討をなさる必要があると思うんですが、その点だけをひとつ最後に聞いておきたいんです。
○国務大臣(村山達雄君) 非常に技術的な問題のようでございますし、それから全体との関係がどうなっておるのか、私も勉強させてもらいたいと思います。
○山田耕三郎君 私は精神医療と保安の関連についてお尋ねをいたします。
 滋賀県では各保健所でその管内の市町村の保健婦が月に一回集まって、それぞれの勤務の地域において精神病患者の援助をどのように進めていったらよいかとの話し合いの機会を持っておるのであります。ところが、本年六月ある保健所での話し合いの席上、複数の町の保健婦より、警察から町内の精神病患者のリストを出してほしいと言われている、どうしたらよいものかの意見が出されております。
 その後、県厚生部の記事として公表されているのでありますけれども、今回の警察のとられた方法の特徴は、一応県厚生部、保健所に要請されておりますけれども、拒否をされますと、その後は各町の保健婦に町内の全精神障害者あるいは在宅精神障害者、精神障害者で犯罪歴のある者等々、言い方はそれぞれ異なっておりますけれども、精神障害者の名簿の閲覧またはリストの提出をしてほしいとの要請でありました。当然のこととして町の保健婦は拒否をいたしましたが、その後上司を通じて重ねて要請がありましたところが多かったと承っております。そして結果的には、国民健康保険診療報酬明細書から精神病患者の名前を掘り起こしてリストを作成し、あるいは各部落の人数のみをこっそりと要請にこたえて渡しておりますようであります。この場合、上司とは町長の場合もありますれば、直属課長やあるいは民生課長等の場合もあるようでございます。
   〔理事保安恒良一君退席、委員長着席〕
 御承知のとおり、滋賀県では、本年は第三十九回国民体育大会が開催をされ、皇族の行幸啓がございましたが、問題を提起いたしております地域は、いずれも夏季国体を控えて皇族の行啓とかかわりを持っております。そしてこのことは何も滋賀県に限った問題ではなく、国体や植樹祭等で皇族が行幸啓に出られますたびに関係地域で警察による精神病者のチェックが行われ、あるときには行幸啓地付近の精神病院に患者の外泊をとめるように要請をされたとか、またある県ではアルコール中毒患者を予防拘束したという報告が、その公立病院の医師から出されているとかいった問題の報道が絶えないように思われます。そしてこのような問題が起こる都度、各地の精神科医から抗議が行われておりますけれども、警察はときにはいたけだかとさえ思われかねない姿勢でこれを拒否し、さらには否定をされ、あるいは第一線警官の職務に忠実の余りの行き過ぎであるかのごとく対応してこられたのが今日までの姿勢であったように思います。
 以上のような経過から私は次の四点をお尋ねをいたしたいと思います。
 私たちは今日まで、田舎では国民健康保険を使うと精神病で治療をしておる方が知れるという患者や家族の危惧をよく承りましたが、言下に否定をしてまいりました。しかしそのことは単なる危惧ではなかったように思えます。問題になっているのは精神科医療だけのことではありません。住民サービスの増大していく中で疾病や税金の情報が別の目的に横すべりする危険をはっきりと示しております。住民の個別情報は秘密であるという感覚がかなりもろいものであることを示しておるように思うのでありますが、特に厚生行政の中で人権尊重や守秘義務の観念が、市町村まで下りますと、麻痺しておるように思います。厚生大臣はこの現実をどのように認識されますか、さらに関係公務員の注意を厳しく喚起していただく必要があると考えるのでございますけれども、この件についてあわせて大臣としての所見を承りたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 厚生行政は、御承知のように、比較的社会的経済的に弱い立場にある人たちに対しての行政が主でございまして、とりわけ疾病の問題になりますとこれは大変な問題でございます。それだけに秘密の保持という問題は当然のことでございますし、それからプライバシーの問題もございますので、公務員あるいは地方公務員を含めて、当然でございますけれども、守秘義務があるわけでございますし、医師についてはまだ特別の守秘義務があるわけでございます。これは確実に守っていただかなくちゃならぬと思っております。いままでもそういう指導をやってまいりましたし、今後もそれを続けてまいるつもりでございます。
○山田耕三郎君 ぜひそのようにお願いをいたします。
   〔委員長退席、理事安恒良一君着席〕
 こういう御要請をなさるということは、守秘義務を侵すということになるのでありますけれども、そのことをあえて要請をなさる警察側のお考えもあわせて承っておきたいと思います。
○説明員(田中和夫君) 精神障害者等の守秘義務の件でございますけれども、また私ども警察といたしましては、警察官の義務は、そもそものことを申し上げますと、日常の勤務活動を通じまして管内の実態を把握したり、あるいは犯罪情勢の把握を行うのが警察の職務だと、このように考えております。したがいまして、精神障害者のことを申しますと、自傷他害のおそれがあるこういう人たちの実態は、精神障害者本人のため、あるいは家族のため、あるいは場合によっては付近住民の人たちのため、この人たちに対する危害防止の観点からいたしまして、防犯上必要な観点からこれを観察していかなければならないと、こういうふうに考えておる次第でございます。
 特に先生御承知だと思うのですけれども、このごろは通り魔が多くなりまして、自傷他害のおそれがあるということでもって、警察としてはそういう人たちをわれわれの視界の内に置いておるわけでございます、したがいまして、身体障害者だからということで直接にわれわれの視界に入れると、こういうことはいたしません。先ほど申し上げましたような、あくまでも犯罪防止のために実態把握という観点から調査をしているわけでございます。しかしながら、調査するといってもその手段だとか方法だとかということは十分に気をつけまして、先ほどの厚生大臣もおっしゃられましたように、プライバシーの問題だとか守秘義務の問題、これには十分配意しながら努めてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
○山田耕三郎君 次の問題は、結局今回の問題も、警察が時期を同じくして精神衛生行政の関係職員に精神障害者のリストを要求されておるその背景には、精神障害者に対する警察の一定の方針がありますとともに、警察全体として精神障害者の取り締まりのための一致した意図と方針があるように私は伺うのでございます。警察が精神病者、広く精神障害者の名簿を要求されますと、これは全体が一般に精神障害者は危険な人たちだという認識を持つようになると思いますし、そう印象づけます。
 今日の精神障害者に対する日本の精神医療の実態は、医療なき拘禁とか、医療なき放置とかの言葉で酷評されますこともありますとおり、余りにも問題が多過ぎます。その中で精神障害者の人権は大きく損なわれておりますし、中にはもうけ主義の犠牲者になっておる人もないとは言えません。これを正していく責任は、厚生省を中心とした関係行政機関及び精神医療関係者にありますのはもちろんですけれども、偏見を完全にぬぐい去ることのできない私たちにもありますと思います。
   〔理事安恒良一君退席、委員長着席〕そんな中にあっても医療をよくして障害を克服しようとしている患者、家族あるいは良心的な医療関係者の努力をこういった行為で台なしにしないようにしてほしいと思うものです。警備の立場を理解しようといたしましても、なおかつ警察の行為によって患者さんが医療保険機関から遠ざかった場合には、家族も患者も孤立化の道を進みます。そのことは不幸な次の大きな事故が準備されかねないと私は思うから心配をするのです。
 さきに厚生省では通院医療やアフターケアを充実させるという必要性及び早期治療を進めるために、昭和四十年に精神衛生法の一部を改正をされまして通院医療費公費負担の制度を設けられました。通院医療の普及が図られることになりまして、精神障害者の通院医療費の二分の一が公費で負担されることになっております。幸いこの制度は今日相当普及をいたしまして、昨昭和五十五年度において公費負担を承認された件数は三十二万件余を数えて、この数値からすれば全く定着しておると考えても過言ではないようです。
 府県が精神障害者の名簿として持っておりますのは措置入院患者どこの外来公費負担患者の二つであります。精神障害者のすべてが危険というレッテルを張られるということになりますのであれば、だれも公費負担を申請する者はなくなっていくのではないか。精神医療を一般から遠ざけることになってしまいはせぬか。そして遠ざけた上で精神病者が放置されているということで騒ぎ、もっと収容せよということになってきますと、精神科の医療費は際限なく伸びていくことになります。このような悪循環を避けますとともに、病気に苦しめられ、さらには医療の谷間で呻吟をしております精神病者を危険視したり敵視したりすることなく、取り締まり優先の思考を改めて、疾病に苦しむ患者や家族に対して理解を示していくべきなのではないか。日本の精神医療に新たな流れをつくり出そうとする精神医師のグループも出てきておるときであります。今日厚生省のせっかくの施策であります通院医療費公費負担の制度が後退するようなことになりますと、厚生省の責任は重大だと考えますのでございますけれども、リスト要求の行為が厚生行政に影響を及ぼすことがないのかどうか。もしありとするとお考えになられますなれば、その場合はどう対応しようとされますのか、そのお考え方を承りたいと思います。
○政府委員(大谷藤郎君) 精神障害につきましては、先生御指摘のように、病気であり、社会的弱者でありまして、早期発見、早期治療、リハビリテーション、そういった施策を十分に進めまして、できるだけ社会復帰を図るということが第一義でございます。またそのために国民の皆様の御理解を得るという努力を図ることが政府としても非常に大事なことだと考えます。先ほど先生もおっしゃいましたように、厚生省では、精神病院内での閉鎖的治療から開放して開放化に向かう、また地域におきますいろいろな社会適応施設あるいは通院医療といったふうな社会復帰施策というものを精神科医療の最重点施策として進めているところでございます。
 いま先生御指摘のようないろいろな問題につきましても、できる限り関係者の方々に御理解いただきまして、精神障害が病気であり、また社会的弱者であるという立場で、政府としても社会復帰を推進していく、国民的御理解を得るというふうな方向でできる限り努力いたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○山田耕三郎君 先ほど警察庁では、精神障害者に対しましては、自傷他害を防止するために警察としてはある程度いたしかたがない旨のお答えがありました。わからないではございませんけれども、たとえばそのようなリスト要求をなさることは、結果的には自分が、さらに自分の家族に精神障害者があるということが世間に知れ渡ることを恐れて、もう公の場合は名前を出さないでおこう、せっかく二分の一の公費負担制度があるのにかかわらず、公費負担制度の適用を受けようとすると名前が出るから、これはやめておこうということになったとしますと、せっかくの施策も利用する人がなくなり、後退をしていくことになる。それは結果的には野放しになり、追い詰められていってまた自傷他害を誘発していくという悪循環を私は心配するのです。リスト要求という行為はそういった面への影響があるのではないかということを心配してお尋ねをいたしておりますけれども、要求をなさいました警察庁としてのお考え方をこの際述べていただきたいと思います。
○説明員(田中和夫君) 私どもが、先ほど申し上げましたように、自傷他害のおそれのある人たちの調査をしたということも事実でございまして、先生の御質問は滋賀県でございますけれども、滋賀県では例年二回ほど巡回連絡等の月間を設けまして、実態把握であるとか、あるいは犯罪情勢の把握であるとかということをやっております。それで、八月には、過激派及び指名手配、被疑者等に関する情報収集ということでもって、家庭訪問であるとか、あるいは個人、アパートであるとか役場であるとかというところに警察官が訪問いたしまして、皆さんに御協力願ったわけでございます。
 したがって、私どもの方といたしましては、リストの要求は全部はしてなかったやに私どもは受け取っておりますけれども、もし精神障害者であるがゆえに一様にリストの提出を要求したのだったらば、それは私どもの方針と違っておりますので改めさせたいと思います。
 なお、そういうリスト要求ということが先生のおっしゃるようにさらに悪循環になりまして、犯罪の発生ということに結びつきましたらば、なお私どもにとっては目的に反することでございますので、そういうことは十分慎重にやりたいと思います。
○山田耕三郎君 そのようにお願いをいたします。
 続きまして三つ目の問題は、警察の警備についてでありますけれども、今回のリスト提出の要請は、国体に行幸啓をなさいます皇族の警衛にかかわりますことと存じます。これも警察庁に教えていただきましたんですけれども、私は警衛規則というものが現存をしておるように思いましたが、昭和五十四年、一昨年に警衛要則に変わっておりますようでございますが、そういったことからしますと、今日では古い規則になってしまいましたのですけれども、警衛規則の第十条には、「警察本部長等は、あらかじめ、一般治安情勢および管内の特殊事情を考慮し、状況に応じ」取り締まりを実施するということになっておりまして、その第四項に、「精神障害者その他警衛上注意を要する者の警戒」、これが一項入っておりましたが、いまも申し上げましたとおり、この規則は廃止をされまして、昭和五十四年の二月に警衛要則として再生をされております。その要則には精神障害者に関する項は削除をされておりまして、私にとってはまことに喜ばしい限りなのですが、その精神はいわゆる精神障害者は、当然のことではあるかもしれませんけれども、自傷他害のおそれがある危険な者という思想が潜在的に残っているように思われます。
 滋賀県内でもこの湖北地帯というのは民情最も穏やかな地域でありまして、管内の特殊事情といっても、警衛をなさる側にとっての良好な条件こそありましても、悪い条件はまずないと考えられるところであります。患者の家族の平安を破ってまで踏み込んだ警衛体制をとる必要があったのかどうかについては疑問を持っております。
 だからこそ旧規則の第二条及び新しい警衛要則においても第二条ですけれども、それらには、「警衛の本旨」の中で、「警衛の実施は、形式にとらわれることなく、皇室と国民との間の親和を妨げることのないよう行われなければならない。」と戒めてあります。
 で、精神分裂症が遺伝病であるのかどうかを調べますことについては門外漢でありますけれども、承りますところによりますと、有力な方法として、一九二四年にH・W・ジーメンスによって始められました双生児法があります。いわゆる双子によってそれを出すんだそうですけれども、一九四六年の米国人カールマンの調査のころまでは、その調査結果が有力な遺伝のよりどころとされておりました。ところが最近になって、特に福祉国家における健康管理がコンピューター化され、双生児がすべて登録をされ、データが正確になった結果、すでにメンデル遺伝的な発想で精神分裂症を遺伝的疾患と呼び得なくなったと報告されており、その原因は社会病理だとさえ言われるに至っております。しかし一般的には遺伝的疾患と思い込んでおられまするし、わが国の優生保護法もまた不良な子供の出生を防止するといって精神病遺伝説を固定化することに役立っておると思いますんですが、そういう中で精神病が遺伝的疾患と信じ込んでいる患者や家族は、世間の目を逃れ、なるべく知られないように耐えながら静かに暮らしていこうとする願いが行幸啓のたびに無残に破られるということになれば、親和が図られるどころか、親和を妨げることになると考えられます。で、多くの場合、今日の精神病院に入院すれば、そこから先はブラックボックスで地域と切り離され、病院内での医療と地域でのケアが結びつかないという現状をそのままにしておいて、その都度リストアップだ、保安処分だといって隔離されてしまうようなことになれば、親和はどうなっていくのか。要則の本旨に反することになるのではないかと思いますのでございますけれども、こういったことに対しての警察庁のお考え方と、また親和を妨げる要因の大きな部分がわが国の精神衛生医療の不備にあるとすれば、厚生省の責任は大きいと思いますんですけれども、どのようにお考えになられますか、それぞれにお尋ねをいたします。説明員(田中和夫君) 行啓時における護警のあり方でございますけれども、警察といたしましては、天皇及び皇族の御身辺の安全、これと歓送迎者等の雑踏がございます。それから交通整理もございます。こういうことをうまくやるために所要の警戒措置をとっているというのが、これが基本の態度でございます。
 したがいまして、そういう場合には、私どもといたしましては、過去に過激な言動があったり、警衛上注意をしなければならないような人々に対しましては、これはもちろん警戒をいたします。しかしながら精神病者であるというがために、われわれが必ずそれを警戒しなければならないというようなことはございません。あくまでも警察は、表面的にあらわれたことで判断いたしたい。したがいまして、いま先生がおっしゃいました精神病者を抱えておる家族の苦労というものも十分身にしみて感じながらこれからの護警もやっていきたいと考えますし、またそうでないと、先生が御心配されましたように、皇室とそれから国民との親和にひびが入ると思います。そこら辺十分注意してやっていきたいと思います。
○政府委員(大谷藤郎君) 精神衛生対策の中で、先ほど先生御質問のように、精神病院の中における治療というものが何といっても大きい役割りを占めると思います。これにつきましては、行政といたしましては、医療法に基づきまして医療監視を実施いたしておりますほか、特に措置入院患者につきましては六カ月ごとに病状の報告を求めて審査を行う、あるいは必要に応じまして、精神衛生鑑定医を派遣して適正な精神医療が行われているかどうかチェックをいたしてきているわけでございますが、これにつきましては、先生も御指摘のように、私どもとしても今後十分指導監督を徹底いたしたいというふうに考えているわけでございます。
 そのほか、先ほども申し上げましたように、何と申しましても精神病院外――精神病院周辺の医療あるいは精神衛生というものが非常に大事でございますので、保健所、精神衛生センター等を中心にいたしまして、精神衛生相談あるいは社会復帰の促進等につきまして地域活動というものをできる限り活発にやっていく。それによって精神障害に対する偏見の問題、あるいは社会適応の促進というふうなことを図っていきたい、それが大事であるというふうに私どもとしては考えているわけでございます。
○山田耕三郎君 次の点は、保安処分の新設よりも先に厚生省としてしなければならないことが山積しておるのではありませんかという立場からお尋ねをいたします。
 まず、保安処分と精神医療につきまして、及び今日の日本の精神医療のおくれの実態等につきましては、後日発言の機会を与えられたときに詳細に申し述べ、厚生省の御意見を承りたいと存じますが、きょう特にお願いをしておきたいのは、今日通り魔事件が起こるたびに、犯罪を犯した精神病者の特殊収容、つまり刑法を改正して保安処分を新設せよの声が高くなります。十月十六日の閣議の一部が新聞に出ておりました。法務大臣は、現在は精神障害で責任能力がなければ何の刑罰もない、これでは社会の防衛はできないと言っておられますし、さらに措置入院制度を改善する場合でも司法機関の判断を入れる必要があると述べ、措置入院では退院時期が早過ぎる点を指摘されておられますのに対しまして、村山厚生大臣は、新聞の発表でありますので全部出ておりません、部分的なことしか出ておりませんが、多分その文章の前後があるのだろうとは思いますけれども、医者としては治った者を病院に入れておくことはむずかしいと説明をしておられますのですけれども、医療法人十全会に見られるごとく、精神病院での貧困な医療の実態を、さらにはまたただいまも局長がお答えいただきましたが、地域精神衛生活動体制の現状をこのままにしておいて法的取り締まりにのみ加担されるようでありますと、これは厚生省の怠慢を責めなければなりませんのでございます。
 ある精神科医はこのように言っております。精神病者が犯罪に至る前には、本人あるいは家族から必ず精神的危機の救助を求める信号が送られているということです。そしてその信号を聞き取ることのできないのは精神科医の未熟さ、精神衛生相談の不備、精神病院の貧困と言い切っておりますのです。
 そこで、まず私は厚生省に最低次のことを確実に実施していただきたいと思います。
 一つは、いまも言いましたように、地域精神衛生相談が無機能であってはいけません。地域精神医療の担当機関が近隣の人々の共同体感情に耳を傾け、地域精神相談が機能化するようにまず指導をしてやっていただきたい。
 二つ目には、精神病院に対する指導監督を強化してほしいと思います。今日、先ほども申し上げましたように、病院がブラックボックスとして地域と切り離されることなく、病院内と病院外との風通しをよくするために、最低法律で決められてあることだけはぜひひとつ守らしていただくような強力な行政指導をお願いいたしたい。
 三つ目には、精神病院の人的配置は、一般病院よりも劣悪な条件で認められておりますが、精神科医療の基本原理からすれば、早急に質的向上を図るべきだと考えます。しかし当面、医師法施行令に見られる例外規定だけはぜひ削除されるべきだと思います。
 四番目には、病院の人的資質の向上のために、臨床心理士でありますとか溝神科社会福祉士等の職種を早急に資格化される必要があると思います。
 以上四点について厚生省の対応をお尋ねをいたします。
○政府委員(大谷藤郎君) まず第一点の地域精神医療の担当機関が、近隣の人々の共同体感情に耳を傾け、地域精神相談が機能化するよう指導すべきではないかという御指摘でございますが、これは当然のことでございます。先ほどからも再々御答弁申し上げておりますように、私どもといたしましても、できる限り地域における精神医療というものに全力を挙げて、積極的な活動を進めてまいりたいというふうに考えております。
 第二点目の精神病院に対する指導監督を強化せよというお話につきましても、今後とも、先ほども申し上げましたように、精神病院に対する指導監督につきましては、いろいろな面からその徹底を図ってまいりたいというふうに考える次第でございます。
 第三点につきましては、医務局長がお答え申し上げますので、次の四番目につきまして先に答弁さしていただきますが、臨床心理士、精神科社会福祉士等の職種を資格化させたらばいかがかというお話でございますが、確かにこれも一つの考え方でございますけれども、何と申しましても、臨床心理士あるいは精神科社会福祉士といったような職種につきましては、他の一般のソーシャルワーカーあるいは保健婦その他、そういった地域のワーカーとの業務分担の問題が必ずしも明確になっておりません状況では、現在のところ直ちに法制化するということははなはだむずかしい点があるというふうに考えておりますが、なお先生の御指摘の点につきましては、十分研究させていただきたいと思う次第でございます。
○政府委員(田中明夫君) 第三点の精神病院における人的配置のことについてお答え申し上げたいと思います。
 まず、医療法で定めております人員配置基準といいますのは、すべての病院に適応できる最低基準を示しているものでございまして、重病患者が多い病棟等では、この基準を超えて必要な人員を配置するなどの措置を講ずるということは、管理者としての院長の当然の責務でございまして、管理者の判断にゆだねているところでございます。また社会保険の診療報副点数におきましても、それぞれ配置された人員に対応した点数も定められておるところでございます。
 次に、精神病院について考えますと、精神病院に入院している患者の症状というのが、一般的に申しまして、いわゆる一般病院における患者の症状に比べまして慢性的であり、かつ安定しているということは否定できない事実であろうかと存ずるわけでございまして、したがいまして、一般病院より少ない医師あるいは看護婦で対応することが、通常の場合を考えますと可能であるというふうに考えられますので、現時点におきましてこの人員配置基準を変更する考えはわれわれとしては持っておりません。
○山田耕三郎君 それでは、最後にまとめとして、厚生大臣にお尋ねをして御所見を承りたいと思います。
 先ほどからも申し上げておりますとおり、大変困難なことではありますけれども、現在あります精神病院に対しまして、法律の定めの最低限は守らしていただきますとともに、願わしいことは、今日よく言われますように、医療なき放置から本当の医療のある精神医療行政をお願いいたしたい。で、このままで保安処分、拘禁、隔離ということで精神障害者が措置されますことは、ただでさえ病気の責め苦に悩んでおる人、そしてまた今日の劣悪な治療の中で呻吟をしておる人、二重にも三重にも人権を侵されていかなければなりません。どこでこの人たちが発言をいたしましても、それは正常な者の発言と比べて差別をつけられる現状の中で、だれが救っていくのかと言えば、やっぱり医療しかありません。
 そして、今日の医療の実態を見てみますと、かなり入退院の回転の速いところもありますかと言えば、老齢化の一途をたどっておる病院もあります。それぞれのそこには原因がありますと思いますけれども、ぜひひとつ精神病患者のための医療の確立に向かって厚生行政を指導していただきたいと思いますのでございますけれども、その辺に対するお考え方を承りたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) いま委員から御指摘がありましたように、精神病者に対する医療という問題は非常に重要な問題でございますし、また最近におきます病床数の増加から言いましても、一説には、情報化社会になるとどうしても精神病患者が出てくるという説もあるわけでございまして、それが遺伝的なものであるか、あるいは社会的なものであるか、いろんな問題があるわけでございますけれども、やはりこれはゆるがせにできない厚生行政としては基本的な問題でございますので、われわれといたしましては、勉強いたしまして的確な対応を進めてまいりたいと思っているわけでございます。
○山田耕三郎君 終わります。
○委員長(粕谷照美君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時八分散会
     ―――――・―――――