第095回国会 行財政改革に関する特別委員会 第6号
昭和五十六年十一月十日(火曜日)
   午前十時五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月十日
    辞任         補欠選任
     成相 善十君    大河原太一郎君
     鈴木 和美君     山田  譲君
     和泉 照雄君     中野 鉄造君
     小平 芳平君     中野  明君
     市川 正一君     下田 京子君
     小西 博行君     伊藤 郁男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         玉置 和郎君
    理 事
                坂野 重信君
                嶋崎  均君
                平井 卓志君
                降矢 敬義君
                小柳  勇君
                野田  哲君
                峯山 昭範君
    委 員
                江島  淳君
                大木  浩君
                梶原  清君
                楠  正俊君
                後藤 正夫君
                下条進一郎君
                関口 恵造君
                田沢 智治君
                田代由紀男君
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                成相 善十君
                藤井 孝男君
                三浦 八水君
                穐山  篤君
                志苫  裕君
                鈴木 和美君
                本岡 昭次君
                安恒 良一君
                山田  譲君
                和泉 照雄君
                小平 芳平君
                塩出 啓典君
                市川 正一君
                山中 郁子君
                小西 博行君
                柳澤 錬造君
                森田 重郎君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外 務 大 臣  園田  直君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
       厚 生 大 臣  村山 達雄君
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
       通商産業大臣   田中 六助君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
       建 設 大 臣  斉藤滋与史君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    安孫子藤吉君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 宮澤 喜一君
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       中川 一郎君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  原 健三郎君
       ―――――
       会計検査院長   大村 筆雄君
       ―――――
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第二
       部長       関   守君
       内閣法制局第四
       部長       工藤 敦夫君
       臨時行政調査会
       事務局次長    佐々木晴夫君
       青少年対策本部
       次長       浦山 太郎君
       北方対策本部審
       議官       藤江 弘一君
       警察庁長官官房
       長        金澤 昭雄君
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       警察庁刑事局保
       安部長      谷口 守正君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局長     中  庄二君
       防衛庁参事官   石崎  昭君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁人事教育
       局長       佐々 淳行君
       防衛庁経理局長  矢崎 新二君
       防衛施設庁次長  多田 欣二君
       経済企画庁長官
       官房長      吉野 良彦君
       経済企画庁調整
       局審議官     大竹 宏繁君
       経済企画庁総合
       計画局長     谷村 昭一君
       環境庁水質保全
       局長       小野 重和君
       沖縄開発庁総務
       局長       美野輪俊三君
       国土庁長官官房
       長        福島 量一君
       法務大臣官房長  筧  榮一君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        高倉  建君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       矢澤富太郎君
       大蔵省主計局次
       長        窪田  弘君
       大蔵省主計局次
       長        宍倉 宗夫君
       大蔵省主税局長  福田 幸弘君
       大蔵省関税局長  垣水 孝一君
       大蔵省理財局長  吉本  宏君
       大蔵省銀行局長  宮本 保孝君
       国税庁直税部長  吉田 哲朗君
       国税庁間税部長  篠原 忠良君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省社会教育
       局長       別府  哲君
       文部省体育局長  高石 邦男君
       文部省管理局長  柳川 覺治君
       厚生大臣官房総
       務審議官     正木  馨君
       厚生省環境衛生
       局水道環境部長  山村 勝美君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  持永 和見君
       厚生省児童家庭
       局長       幸田 正孝君
       厚生省保険局長  大和田 潔君
       厚生省年金局長  山口新一郎君
       農林水産大臣官
       房長       角道 謙一君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     小島 和義君
       農林水産省畜産
       局長       石川  弘君
       通商産業大臣官
       房審議官     斉藤 成雄君
       通商産業省貿易
       局長       中澤 忠義君
       通商産業省産業
       政策局長     杉山 和男君
       通商産業省立地
       公害局長     神谷 和男君
       通商産業省機械
       情報産業局次長  宮本 治男君
       運輸大臣官房長  角田 達郎君
       運輸大臣官房総
       務審議官     石月 昭二君
       運輸省船舶局長  野口  節君
       運輸省鉄道監督
       局長       杉浦 喬也君
       運輸省自動車局
       長        飯島  篤君
       労働大臣官房長  松井 達郎君
       労働省労政局長  吉本  実君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省計画局長  吉田 公二君
       建設省都市局長  加瀬 正蔵君
       自治大臣官房審
       議官       小林 悦夫君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
       自治省行政局公
       務員部長     大嶋  孝君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       日本専売公社総
       裁        泉 美之松君
       日本国有鉄道総
       裁        高木 文雄君
       日本電信電話公
       社総裁      真藤  恒君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一
 環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の
 特例措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
    ―――――――――――――
○委員長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨九日、山田譲君、中野明君が委員を辞任され、その補欠として安恒良一君、小平芳平君が選任されました。
 また、本日、鈴木和美君が委員を辞任され、その補欠として山田譲君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(玉置和郎君) 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は御発言願います。安恒良一君。
○安恒良一君 中がとぎれたわけですが、この前の質問の場合に、御承知のように医療費の伸び率を一二%程度と見込んでこれを九%に抑える、三%節約を行う、こういうことによって合計で千百七十億の節減ということでありましたから、具体的にどのような方法でされようとしているのか、簡潔に御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) この医療費の節減につきましては各種の方策を考えているわけでございますが、その主なるものを申し上げますと、まず医療機関に対する指導監査の強化、それからレセプト審査方法の改善、それから薬価基準の適正化、高額医療機器の共同利用の推進、それから医療費の通知、こういったもろもろの事項によって節約せんとするものであります。
○安恒良一君 私が聞いていることはそんなことじゃないのです。それはもう前に何遍も言われていますから。この前の私の質問は、たとえば指導監査の強化とかレセプトの云々で具体的にどの項目で何%、幾ら節減できるのか、こういうことを聞いている。というのは、合計で千百七十億節減できるというふうに明確に書いてありますから、それならば少なくともそういう積算がなくしてお金が出てくるはずがないわけです。ですから、項目ごとに幾らのパーセントを節減し、幾らのお金が出るのか、このことを明らかにしていただきたいと、こういうことを申し上げているわけです。
○国務大臣(村山達雄君) これは一つ一つ項目ごとにこの措置によって幾ら節減になるという、そういう積算の根拠はございません。全体として三%ぐらいの医療資源を節約することによって国庫負担を減らしたいという一つの努力目標を三%にしているわけでございます。
○安恒良一君 少なくとも積算の根拠がなくしてまず一二が三下がるはずがないんですよ。それからまた金額も千百七十億と、努力目標であっても明確に出されているわけで、そうしますと、どの項目をやることによってこれだけお金が出てくるということがなければあるはずがないわけですから、そうしますと、これで時間とるのいやですが、目の子勘定ですか。あくまでも努力目標でそういう積算の積み上げも何もない、そして千百七十億節減できるというのは、まあ私流の万言になるかもわかりませんが、目の子勘定というふうに承っていいんでしょうか。
○国務大臣(村山達雄君) 三%についてはまあ努力目標でございます。千百七十億というのは、五十六年度予算の国庫負担総額に対する三%を見て、それで千百七十億と、こういう数字でございます。
○安恒良一君 そうしますと、これは幾らやってもしょうがありません。総理お聞きください。いまのように三%というのも、少なくともゼロシーリング、来年の概算要求の中でこういうふうに出されますと、医療費は本当は一二%伸びるのをいろいろな節減をやって三%節約するんだ、そのことによってお金を千百七十億浮かすんだと、こう言っているんですが、全く何にも積算の根拠はないわけですね。項目だけ挙げて積算の根拠はない。大蔵大臣も聞いておいてください、あなたの方で査定するとき一番必要なことですから。ざっくばらんに言わせてもらうと全く目の子勘定なんですよ。少なくとも三であるとか千百七十億というのは、いま言われたように三という数字が全くもう根拠がないわけですから、何をやって三になるかわからないと言うんだから、項目だけずらずらと挙げて大体三%程度、それで総金額にかけてこれだけのお金が節減できます、こう言って行政改革によって厚生省の節減と、これは全くお粗末きわまりありません。目の子勘定です。こういうことでは私は見せかけの削減だと思います。ですから、こういう点の取り扱いについて大蔵省は査定をされるのですが、どう扱われますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どういうふうに見るかは現業官庁で一応の検討をするわけでございますが、確かに間接的な方法でございますからはっきりした数字が出ないというのは事実でしょう。しかし私は審査、監査を厳格にもっとやれば私の目の子勘定ならばもっとできるのじゃないか、やり方次第で。そこらのところは、ここはもっと一〇%ぐらい私は厳しく当たればできるんじゃないかという気もしますが、実際はこれもわからない、どういう根拠かと言われましても。しかしながら、全然無審査、無監査状態に近いような形から審査、監査を厳格にやればいままでどおりでないということはこれもまた事実。したがって厚生省は内輪に見込んだのではないかと、そう思っております。
○安恒良一君 いま言われましたように厚生省はどうも内輪に見込んだのじゃないか、やり方が手ぬるい、こういうふうに大蔵大臣の御見解を承りました。そこで、これ以上このことについて議論をしている時間はありませんから、いずれまた専門委員会である社労委員会でやることにいたしまして、いまも言われたように大蔵大臣が、やり方が手ぬるい、たとえば審査、監査を厳重にやればそれだけでも一〇%下がるのじゃないか、こういうことを言われているわけです。
 そこで、臨調の答申の中には、まず第一には、医療機関に医療費の金額等を明らかにした文書を患者に対して発行させること、第二は薬価基準の算定方式を改善すること、第三は医療費の支払い方法の改革案を検討して早急に実施すること等が臨調では明確にうたわれています。ところが、皆さん方が来年やろうとされていることの中で、薬価基準については、この前の委員会でも質問しましたら、調査方法それから集計方法を含めて中央医療協議会にいま諮問中であるということでありますから、これは答申を速やかに得でやってもらいたいと思うわけでありますが、あとの肝心の一番大きい問題になりますところの医療費の支払い方法について早急に検討して実施をせよということが全然具体的に出てきておりませんが、五十七年度この問題について臨調から指摘をされておりますところのいわゆる領収書の発行の問題なり、それから支払い方法を改正することなり、そういう点についてどうしようとされているのか、厚生大臣の御見解を聞かせてください。
○国務大臣(村山達雄君) お答えいたします。
 いわゆる支払い方式の改定問題につきましては、いま老人保健法でそのことを、老人保健審議会をつくりまして支払い方式の全面的の見直しの検討をお願いする予定でおります。一方、中医協につきましては、前々からその問題がやはり論議されておりますので、論議を深めていただき、そして適切なお答えが出ることを期待しているわけでございます。
○安恒良一君 私は支払い方式について二つお聞きしたいのですが、何か老人の保険に関する支払い方法は老人保健審議会でやるという政府原案は出ているようでありますが、これは総理にもお伺いしたいのですが、政府提案に対して今度は自民党は必死になりまして、老人保健審議会では支払い方式については扱わないようにしろ、こういう修正を、政府原案と全く逆のものを持ってきて衆議院でいまもみ合っているわけです。これはもみ合っているわけですから、大臣はそう言っているけれども、自民党の修正案は。それで老人保健法はいまもって衆議院で宙づりになっているわけです。というのは、社労委員会でそこが与野党が一番対立しておるわけです。だから、あなたが言っていることと自民党がやろうとしておることは全く別ですね。いやあれは自民党は自民党だと言うけれども、総理は自民党の総裁であると同時にわが国の総理でありますからね。ですから、あなたが出された法案について自民党は全く逆さまなことを一生懸命やろうとして、それがために老人保健法の審議が非常に衆議院で難航している。こういう事実についてどうお考えなのか、これは後で総理にお聞きします。
 そこで、その前に今度はあなたにお聞きしなければならぬことは、あなたはそういうことを言っておきながら、これまた衆議院で問題になったのでありますが、老人保健法の取り扱いについて武見さんが、日本医師会のこれは正式の雑誌の中の理事会の議事録、九月十六日に行われた第六回全理事会の中で明確に、支払い方式は自民党とも話をした、さらに厚生省とも話をして支払い方式はいままでどおりにやると同時に、老人保健の機関についての指定もこれはしなくなった、こういうふうになったからということを明確に答弁をされています。それに対してすでに衆議院段階で問題になりまして衆議院でも少しもめたようでありますが、最終的には理事会扱いということに向こうはなったそうであります。そして出てきました文書を見ますと、そういうものは自分としてよく調査したけれどもそういう該当者はいないと、こういう御返答が返ってきておるようでありますが、私はそういう返事をいまここで聞こうと思っていません。こういうことは大臣が調査したらいないということでは困るわけなんです。
 少なくともこれが事実に反する、もうすでに衆議院では事実に反するとおっしゃっています。事実に反するのだったら、公式の医師会雑誌の中に議事録でこれだけかかわった人の名前も書かれている。吉原審議官の名前が残念ながら出ています。そうしますと、これはあなたがおっしゃったように本当にこれは大臣としてこういう人間はいない、こういうことはしていないと言うならば、少なくともその潔白を証明するためには医師会に対してこの取り消し方を要求されるべきじゃないでしょうか。そして医師会雑誌の中で、何号の議事録の吉原審議官にかかわるところは誤りであったと、こういうことが雑誌に掲載されるなり、あなたのところにそういう回答が来たならば私は信用できると思いますが、あなたが吉原さんを呼んで調べたら吉原君はそんなことかかわっていないから信用せいとおっしゃっても、それは証明にならぬです。そのところについて厚生大臣どのように処置をされますか。
○国務大臣(村山達雄君)「日医」に載りました記事につきましては私も真剣に調べたわけでございますが、そういう事実はありませんでした。そこで私は、そのことを衆議院の委員会にも正式に報告し、また衆議院の社労におきましても老人保健法の審議の過程でやはり同じようなお話がございましたので、ありませんでした、どうぞひとつ御信用いただきます、国会が最高のやはり場所でございますので、そこで責任を持って厚生大臣が言っておりますのでどうぞ御信用いただきますと、こういうことを申し上げているのでございます。
○安恒良一君 信用できません、信用。というのは、証明する方法はあるわけです。証明する方法はある。こういうふうに議事録に明確に載っている以上、あなたが部下を調べて、なかったからおれを信用しろと言ったって、言う方が無理なのですよ。何もあなたの個人的人格を言っているわけじゃないのですよ。公式の議事録に載っている以上、それをあなたの方から問い合わせをして相手から回答もらって、安恒君こういう回答が来たから信用してくれとおっしゃるならばいいですが、おれが調べたら部下はそんなことしていないから安垣君おまえ信用しろと、それは無理な話ですよ。そんなことは信用できません。この扱いをどういうふうに――私はいま無理なことを言っているわけじゃないのです。あなたがおっしゃったとおりであるならば、日本医師会に対してこの取り消し方を申し入れをされたらどうですか、そして相手側から取り消しされた文書をお持ちくださったらどうですかとこう言ってるんですから、それをやってください。答弁してください。
○国務大臣(村山達雄君) 繰り返しになって恐縮でございますが、どうぞ私を御信用いただきたいと思います。
○安恒良一君 信用できないです。そんなばかなことはない。
○委員長(玉置和郎君) 委員長から御報告申し上げますが、安恒君の発言に対して厚生大臣の答弁について明確でないということでございますので、さらに厚生大臣として日本医師会とも接触をして、後日そういう問題について明確に答弁をしていただきます。
 引き続き質疑を行います。
○安恒良一君 それじゃ、委員長のお計らいで結構でございます。
 最後に総理にちょっとお聞きしたいのですが、これはぜひ総理にお答え願いたいのですが、臨調でもやはり支払い方式の変更について十分に検討しろ、こういうことになっています。それから、しばしばいままでの委員会でも、また健康保険法の改正のたびに、やはり支払い方式の変更を含めてやるということは関係大臣が御答弁になっていますし、かく言う大蔵大臣もいわゆる支払い方式についてのいろいろの御見識をお持ちで、名著もお書きになっているようでございますから、そういうことを受けて、私はやはり支払い方式というのは、いまのままの支払い方式にはいろいろいいところもありますが、欠点がたくさんあるわけであります。そういう意味から言って、どうしてもこれは改正の方向にいかなければならぬと思うんですが、いまも後ろの方で政治だと言われていますが、たとえば老人保健法の審議について、御承知のように老人保健審議会というものを設けてそこで支払い方式を検討しようということに対して、今度は自民党側が政府原案のそこだけを外すことに必死になるわけですね。そしていまの問題が多いと言われている現行支払い方法を守ろうとされている。これでは私は国民は納得をしないと思いますから、これらの問題について総理のお考えを聞かしていただいてこの問題は終わりにしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 臨調の答申を踏まえて支払い方式の改善についてどういう手続、手順でその検討を進めるかという問題につきましては、いま政府と党との間におきましてもいろいろ話し合いをいたしておるところでございます。支払い方法の改善等の問題につきましては、これは不断に私ども努力をしていかなければならない問題でございますから、十分党と政府の間で調整をいたしたいと、こう思っています。
○安恒良一君 ぜひ、これを変えることは、戦後ずっと長い間やってきておりますから大変勇気の要ることです。勇気の要ることでありますが、もう各界からの御指摘があっていますから。総理は行政改革に政治生命をかけると言われています。私は医療を改正するための一つの重要なポイントだと思いますから、ぜひその改正について一段の御努力をお願いをしておきたいと思います。
 それでは、続いて次のことに移ります。
 次は、年金関係でございますが、年金関係についてはすでに衆議院の段階で、またきょうまでたくさんの方から議論がございましたから、今度の法律に出されている年金のやり方については私は大変に意見を持っていますが、それは重複いたしますのできょうは割愛をしたい。ただ、大変政府がいまやろうとされているところには問題があるということだけは指摘をしておきたいと思います。
 そこで、年金に関しまして、私は根本的な問題で少し質問をして国民の前に明らかにしていきたいと思いますが、まず総理は、この夏以来年金制度の一本化を主張されておりますし、衆議院の質疑を通じても同趣旨の答弁をされていますが、そのねらいがどうもはっきりしません。そこで具体的にお聞きをいたしますが、社会保障制度審議会が五十二年の十二月提出の基本年金構想と同じような目標を総理としてお持ちなのでしょうか、どうでしょうか。その点は総理からお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) もうここで申し上げるまでもなしに、安恒さん専門家でいらっしゃるからよく御承知のところでありますが、わが国の大きく分けて八つの年金制度、これは給付の面におきましても、あるいは負担の面におきましても、また財務内容におきましてもいろいろまちまちでございます。これはどうしても所得保障の問題であり、老後の生活の安定という観点から、そういう格差をなくしたい、それには制度の一本化に向かって努力する必要があるというのが年来の私の主張でございます。
 その目標に向かってどのように進めていくかということになりますと、当面私はこの年金の各制度間の合理的でない面の改善、これにひとつ関係省庁は全力を尽くしてもらいたい、努力を尽くしてもらいたい。そしてその格差を縮めて、その上に立って一本化が可能な条件を整備していく、こういう方向で努力をいたしてまいりたいと、こう思っております。
○安恒良一君 一本化に至るカテゴリー、総理の考え、わかりましたが、私がお聞きをしておきたいのは、社会保障制度審議会が五十二年の十二月に基本年金というのを一本にして、その上にそれぞれの産業別なりをという、そういうことに大体側賛成なのか、そこだけ聞かせていただければいいわけです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、あの提言は、年金制度一本化へ向けてのきわめて有力な御意見であると、このように評価をいたしております。
○安恒良一君 総理はきわめて有力な提言であるという評価をされている。
 そこで、今度は厚生大臣にお聞きをしたいのですが、厚生省は五十四年の四月、年金制度基本構想懇談会の報告を受けて「分立を前提としながら制度間の不均衡の是正」を図ると、こういう態度でありますが、そうしますと、私はいまの総理の態度、御指示は、やはり制度の一本化をやるのだ、カテゴリーとしてはこういうことがある、こういうことでありますから、いわゆる「分立を前提としながら」というところは、総理の指示を受けて厚生省も変えられて、いま総理が言われたようなカテゴリーを経ながらやはり制度の一本化をやる、こういうふうなお考えだというふうに、厚生省の考えもそのようだということで承っていいでしょうか、厚生大臣。
○国務大臣(村山達雄君) 総理のお話は、非常に何といいますか、根本的なかつ長期的なお見通しの上についての総理のお考えだと思います。懇談会のあれは、ややどちらかと申しますと中期的な、まあ言いますればそれまでに至る過程の上において、とりあえずはやはり分立ということを前提にしながら不合理の格差を是正するということで、終局的には大体同じ線にあるのではなかろうかと私は想像しているわけでございます。
○安恒良一君 私は、このところは大切だと思いますがね。もちろん一本化をするためのまず不公平の是正、合理化とか格差、これは当然ですね。ところが、年金の改正というのは、少なくとも私たちは二十年なら二十年先ぐらいを展望して、そして一本化なら一本化に持っていく必要があります。ただ総理はやっぱり一本化と、こう言われていますが、厚生大臣は中期的には分立を前提と、これでは違うわけです。やはり昭和七十五年なら七十五年ぐらいを目標とか、もしくはまだ先二十年で足らなければ四十年でも結構ですが、そこに焦点を当てていま八つに分かれている制度を一本にするんだ、こういうことで格差是正をやったり合理化をやっていくことと、当面はまだ分立のままでいってやるんだということでは違いますから、少なくとも厚生大臣は最終的には一致だということですから、少なくとも年金をやっていくためには二十年なら二十年ぐらいの長期展望を持って、一本化の方向でわが国の年金政策はいくのだ、こういうことに承ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(村山達雄君) これは私の私見でございますけれども、やはり厚生年金が一番大きく問題になるのは恐らく三十年ないし四十年後でございます。したがいまして、その辺を目途にして最終的な一本化を図っていったらどうであろうか、それが最も実効的ではないであろうかというふうに私は考えているのでございます。
○安恒良一君 そこで、今度はそれぞれ年金をお持ちの関係大臣にお聞きをしたいのですが、まあ二十年がいいのか三十年がいいのか四十年がいいのか、これは論争のあるところです。論争のあるところですが、いずれにいたしましても、この制度の一本化ということをやっていかなければならぬということになります。
 そうなりますと、問題になるのは、この各制度ごとの年金財政の収支がどうなっているかということが私は国民にもわれわれにも公にされなければならぬと思う。たとえば厚生年金と国民年金、これは厚生省が所管をして明らかにされていますが、その他の八種類と言われているところの各種共済等については、どうも私たちが国会でいろいろ議論をしましても、その年金の長期給付の財政の収支が明らかにされていない。これではどういうカテゴリーをして一本化することができるかということはできませんので、それぞれ所管大臣がおいでになりますが、私はやはりこの一本化をするためには現在の各年金の長期給付の財政の収支を明らかにしていく。そしてきょうここに資料と言ってもすぐできないと思いますから、そういうものの資料を出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 そして、その中で私は議論をしていかなければならぬと思いますが、私ども社労委員会におりますと、厚生年金と国民年金の資料はいただけますが、ほかのやつは厚生省もよく知らないと言うのですが、各大臣、それぞれ自分のところで年金をお持ちの大臣はこの収支を明らかにして、そうしてその中で総理の御指示どおり二十年かけるのか三十年かけるのか知りませんが、その方向で一本化にいく、こういうことについて各大臣よろしゅうございますか。簡単に、いいならいい、悪いなら悪いと言ってください。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 私学共済年金は、ただいまの御質問の内容であります長期予測、財政の関係は非常に堅実でございまして、二十年後の七十五年度の状況の推計を見ましても、なお受給者との割合は一四・三%でございまして、沿革がございますので、一本化の方向につきましてはまことにそのとおりでございますが、直ちにというのはなかなかむずかしい問題であろうと、かように考えております。
○安恒良一君 私が聞いていることを答えてください。私は、一本化の方向はもう総理が言われたのですから、何十年でいいかというのは、それはこれからの議論ですから。問題は、私が聞いていることは、それぞれ共済をお持ちのところの長期的な財政の収支の見通しについていまここでべらべらしゃべられてもわかりません、私の方は健全でございますとか。そういうものを全部資料を出していただけるのですかどうかということ。だから、出すなら出す、出さぬなら出さぬと、それだけ言ってもらえばいいわけです。それだけの話です。
○国務大臣(田中龍夫君) 結構でございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 結構に存じます。
○安恒良一君 文部大臣と大蔵大臣が言われましたから、ほかの大臣も資料を出していただく、こういうことで次に進めさせていただきます、時間の関係がございますから。
 それでは年金を終わりまして、続いて児童手当に入りたいと思います。
 今回の児童手当の改正ですね、私これまた大変問題があると思いますが、これも時間の関係で、問題が非常にあるということを指摘しながら一、二点だけお伺いをしておきたいと思いますが、児童手当制度は単に低所得者対策ではなく、次の社会を担う児童の健全育成と資質の向上に資するために設けられている、家庭における児童の育成について国や社会も親とともどもに育成の責務を分から合う、私はこういうものではないかと思います。そこで厚生大臣にお聞きしたいのですが、諸外国で児童手当を実施しているところで、家庭の所得、収入を問題にしている国がございますか。あるならある、どことどこ、ないならない、こういうことをお聞きしたい。
○国務大臣(村山達雄君) これは政府委員から答弁させていただきます。
○政府委員(幸田正孝君) 現在のところ、欧米先進諸国で所得制限を行っている国はないと承知しております。
○安恒良一君 総理、お聞きのとおりなんです。欧米先進諸国では、家庭の所得とか収入を基礎にした国は一つもこれはございません。
 そこでお聞きをしたいのですが、いろいろ所得制限を設けるために大蔵省の方で歳出百科などでいろいろなことが書いてあります。その中で、これは全部やる時間はありませんから一、二点だけお聞きをしたいのですが、わが国の場合、ヨーロッパ諸国に比べ親子の家庭における結びつきが強く、広く社会的に負担するヨーロッパのような考え方はとりにくいと言われますが、そういった考えでこれからの高齢化社会を若い世代の負担で担ってやっていけるとお考えなんでしょうか。いま言ったような考え方で高齢化社会問題がやっていけるというふうにお考えになるのでしょうか。
 すでに財政、特に年金財政はいまでも後代負担なんですね。これは後代負担なんです。老後の所得保障たる年金が、将来は積み立てが意味を持たなくなる。いわゆる積み立て制度ではできなくなる時代が来ることもこれは明らかであります。早晩やってくると思います。ですから私は、この親子の結びつきが強いからといって、国や社会が応分の責任を果たしていくという思想を育てなくていいのだろうか。単なる目の前の予算を削減する、こういうことに振り回されて国の将来を誤ってはいけない、こういうふうに私は考えるのでありますが、この点について厚生大臣どうお考えですか。
○国務大臣(村山達雄君) 現行の児童手当制度は、おっしゃるようにこれは低所得者政策ではございません。しかし同時に、所得制限を持っていることも事実でございます。今度四百五十万から私たちは三百九十一万、これは来年度、五十七年度の六人世帯の平均給与収入というところを大体ねらっているわけでございますが、それでやっているわけでございます。
 そして将来の問題で人口政策をどのように加味していくかどうか、これはこれからの議論のあるところだと思います。それからもう一つ、日本では御承知のように家族手当というものを出しているわけでございます。こういった問題と、それから将来のこの児童手当政策の中に人口政策的なものを入れていくかどうか。こういったところの絡みでこれからどういうふうに持っていくのが最も日本として将来必要になるか、これをこの特例期間終了までをめどにいたしまして、各方面からの御意見をお聞きし、そして適切な答えを出そうと思っておるところでございます。
○安恒良一君 私がお聞きしていることと全くかみ合いませんが、これもまた改めてゆっくり専門委員会の中で議論をすることにして、私が大臣にお聞きをしようと思っておったのは、社会的に負担するという考え方というものを大切にしておかなければいかぬのじゃないか、こういうことを言っているのです。いまさっきも政府委員が答弁したように、諸外国では所得とか収入を対象にしている国は一つもないのですよ。日本だけなんですよ。それを言っているわけですから。もう答弁結構です、あなたのは長くなりますから。全く私が聞こうとしていることとあなたが答えていることは違っていますから、これは後で結構です。いずれゆっくりやります。
 そこで、今度は法制局長官にちょっとお聞きをしたいのでありますが、国の社会保障制度の一環として現在の児童手当は実施されておりますが、合理的な理由もなく同一の所得で児童手当を受給できる者と受給できない者ができますね。中身はもう繰り返して出さなくても厚生大臣が言いましたから言いません。そうすると私は矛盾が出るのじゃないか、法のもとの平等に反するということで憲法違反ではないかと思いますが、法制局長官の法律的な見解を伺いたい。法律的な見解を間がしてください。
○政府委員(角田禮次郎君) 御指摘のように、憲法十四条におきましては、いわゆる「法の下の平等」の原則というものが規定されておるわけであります。この規定の趣旨としては、合理的な理由なしに区別をすることを禁止する趣旨であって、事柄の性質に即応して、あるいは一般社会観念上合理的と認められる範囲内の区別を否定するものではないということは判例、学説とも認めているところであります。
 そこで、今回の特例措置ということになるわけでございますが、今回の特例措置では、児童手当の所得制限額自体につきましては自営業者も給与所得者も一律に引き下げることになっておりまして、その限りでは両者の間に区別は一応ないわけでございます。ただ御指摘は、給与所得者にのみ特例手当が別途支給されるという点において両者に区別があると、こういうことに法律的にはなるわけでございます。
 そこで、この措置につきまして合理的であるかどうかということが一応問題になるわけでございます。これは今回の措置の結果、特に給与所得者である受給者の相当の部分が児童手当を受けられなくなる。そういう事態に対処するために、給与所得者につきましては自営業者の場合とは異なる特有の事情、つまり生計の資を事業主から支払われる賃金にもっぱら依存しており、かつ個々の給与所得者について見ましても、その賃金の額が必ずしも養育する児童の数とかその養育費の額に対応していないために、多子家庭である給与所得者の家庭における児童の養育費用のいわば共同支出的な事業を、賃金の支払い者である事業者に行わせる社会的な必要性が特に認められ、かつ、そういう事業を事業主に行わせることによって事業主自体もメリットがある、いわば雇用関係に特有の事情に着目して、事業主の全額負担のもとにおいて別の措置として臨時特例の給付を支給することにしたわけでございます。そういう意味で、特例給付は確かに給与所得者のみに支給されるものではありますが、最初に申し上げたような合理的な理由に基づく、あるいはその範囲内における区別だというふうに考えられますので、私どもとしては憲法十四条の平等の原則に違反していない、こういうふうに考えておる次第でございます。
○安恒良一君 いま法制局長官は、支給率をそろえるためにと言われたのですね。ところが問題は、児童手当というのは、わが国は本来なれば入れてはいけない所得によってこれは制限をしているわけです。今回、所得について自営業者は三百九十一万円ですね、そして逆に被用者は五百六十万円ということで区別をしているんです。そのことが私はこの法のもとにおける平等、同一の所得でやはり児童手当はもらえるべきじゃないか。あなたが言われた労使関係というのは関係ないわけですね。事業主にメリットがあるかないかというのは関係ないわけです。これはいわゆる社会保障制度の一環としてやられておるわけですから、事業主にメリットがある、ないは労使問題ですから、そこのことだけは申し上げておきまして、これもまた議論をすると長時間になりますから、もう一遍法制局長官、そこのところはよく研究しておいてください。いずれまた、この問題はどこかの委員会であなたと論争をどうしてもしなければならぬと思います。
 そこで、この児童手当問題というのは、いま申し上げましたように非常に私は矛盾がある。たとえば、法制局長官は、サラリーマンは給料だけで生活している、事業主は何かそうではないようなことで、そうすると、問題はまた大蔵大臣の方に返っていきますが、クロヨンのことになっていくわけですね。いわゆる所得の捕捉が不公平ということをあなたはお認めになっているわけです。サラリーマンは給料だけでやっている、事業主はそうでないということは、あなた自身が所得の捕捉の不公平をお認めになったことになるわけですよ。そうすると、それはもう税制だけじゃなくて、福祉の面でもこれからは不公平を私は拡大していくことになると思います。
 こういうことで、私は結論を言いますと、やっぱり児童手当の基本にかかわる改正を今回のように二本立て制度にするということは全く合理性がない、こういうように思います。ですから、これは今後十分に検討してもらわなければならぬ課題だ。こういうことをやると、ますます税制の面においてもまた児童手当の面においてもいわゆる不公平の拡大という問題になりますことを申し上げて、この問題を譲って次に移りたいと私は思います。
 次の問題は、こんなふうにして厚生大臣は、不合理なことを承知の上で経費の削減を一生懸命やっておられるわけでありますが、そういう中で、一方厚生行政が出しているところの補助金というものは大変な問題がございます、問題はその補助金が本当に合理的に使われているかどうか、この点は適正に使用されているかどうか、こういうことは私は今回の財政危機におけるところの重要な課題だと思う。
 そこで、具体的な例を一つ挙げてお聞きをしたいのでありますが、大阪府の守口市で精神薄弱者通所更生施設を建設する際に、談合入札を行わず最初の入札で西田工業が一億二千六百万円で落札しました。その後、落札価格が安過ぎるという趣旨で市当局の行政指導に屈して契約を辞退させられ、この後今度不思議なことですが、同市は工事を本体、それから給排水、それから電気の三つに分割をしまして、前回の入札に加わらなかった業者を指名をして、今度は九月の十五日と十月の六日に入札をさせています。その結果、工事費は今度は一億四千九百九十万円となりまして、西田工業が落札をしたよりも二千三百九十万も高くなっておるわけであります。きのうも志苫委員からいろいろ自治体における入札問題を質問されていますが、まず私はこの点で厚生大臣に次の点をお聞きをしたいと思います。
 こういう問題が新聞にでかでかと報道されましたが、実態をどれだけ厚生大臣はお調べになりましたか。
 それから第一の問題は、この競争入札に当たって、市側はいわゆる最低入札限度価格、ローアーリミット制度と言っていますが、それを設けているのでしょうか、設けていないのでしょうか。いわゆる最低入札限度価格制度を設けていたのでしょうか、設けていないのでしょうか。
 第二は、守口市は最低価格の入札者を落札者としないことができる場合についてどういうような規則を持っているのでしょうか。
 第三番目は、守口市はこの入札に当たって入札保証金を納めさせなかったのはなぜなんでしょうか。地方自治法施行令第百六十七条の七に反するのではないでしょうか。
 以上のことを厚生大臣にお聞きをいたします。
○国務大臣(村山達雄君) 第一の問題について私からお答えし、第二、第三の問題につきましては政府委員から答弁させていただきます。
 守口市のこの入札問題につきまして、新聞に出ましたことは承知しております。早速大阪府並びに守口市の当局者を呼びまして、そうして西田工業が辞退した背景に市なりから何らかの、言葉は適当でないかもしれませんが、圧力のようなものがあったのかないのか、本当に自発的な辞退であったのかどうかということを調べました。その結果そういう事実はなかったということでございます。
 それから、最低限度額を設けておったか設けていないか、第一回の入札と第二回の入札を通じてのお尋ねだと思っておりますが、本件の場合は最低限度価格は設けていなかった事例でございます。
○政府委員(幸田正孝君) 第二の御質問の最低価格入札者に落札をしない場合について、大阪府守口市は規則を設けていたかどうかという点でございますが、守口市契約規則というものを決めておりまして、この契約規則におきまして、そのような場合には、契約担当職員は「理由を附して市長の決裁を受けなければならない。」と、かような規則を定めていたということでございます。なお、今回問題になっておりますケースにつきましては、落札者が落札後に契約の辞退の申し出をいたしましたために、この規則の適用はしていないというふうに私どもの調査では申し述べているわけでございます。
 それから第三番目の入札保証金の問題でございますけれども、守口市の同じ契約規則に基づきまして入札の都度、入札保証金を免除をいたします場合には「契約担当職員は」「必要があるときは、別に納付を免除するものの範囲を定めることができる。」と、こういう規定を設けておりまして、今回のケースにつきましてもこの手続を踏みまして入札保証金は免除をしたと、かような調査結果でございます。
○安恒良一君 私がお聞きしたのは、地方自治法施行令第百六十七条の七には、入札に当たっては入札保証金を納めさせるというふうになっているのですから、そういう点が違反ではないかと聞いたのですが、いずれ後で。
 そこで、自治大臣に少しお聞きをしたいのですが、きのうもいろいろ問題になりましたが、自治体の公正入札方法について国はどのような指導をされておるのか。さきにも申し上げましたような、いわゆる最低入札限度価格の設定とか、それから最低価格を入札した者を落札者としなかった場合にはどうするのかとか、それから入札保証金の納付などはどうなっているのか、こういう点について自治省としては御調査くださったことがあるのでしょうか、ないのでしょうか。
 それから第二番目は、全国の自治体が競争入札についてどのようなルールを持っているのか、もしくは持っていないのか、実態を把握されたことがありますか。把握していなければぜひ把握してもらいたいと思います。
 それはなぜかというと、そういうものがないと、いろいろ新聞をにぎわしておりますところの自治体における入札問題について行政指導が私はできないと思うのでありますが、こういう二つの点について自治大臣のお考えをお聞かせください。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 申すまでもございませんけれども、契約事務の執行が公正であるということがきわめて重要な問題でございまして、各自治体の責任者が住民の信頼を得るかどうかという点については、この一点もきわめて重要なファクターになっていると私は考えております。したがいまして、自治省としましては契約事務の公正なる執行というものについては常に注意を喚起しているところでございます。
 そこで、一般競争入札、指名競争入札でありますが、原則は一般競争入札でございますけれども、しかし法令等によりまして指名競争入札というものもいいわけでございまして、これに適合するかしないかは理事者の判断に基づくのでございます。
 それから最低価格保証制度でございまするが、これは非常に不当な安値をやりまして工事の完成が危ぶまれるとか、あるいは不正工事が行われるというような危険性もある場合を考えまして、最低価格保証制度もとっております。これは恐らく全国の都道府県におきましては七、八割は最低価格保証制度をとっておると思います。市町村におきましては約半分ぐらいがこの制度を決めておるのではなかろうか、こういうふうに想定をいたしております。保証金の免除につきましては、非常に例外な場合を除いてはほとんどないのではなかろうかと私は見ておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、最初に申し上げましたとおりに、この契約事務の公正なる執行というものが、本当に地方自治体にとりましては住民環視の問題でございまするので、常々この点については注意を喚起しておるところでございますが、最近におきまして、いろいろな事犯が出ておりまするので、関係省庁と連絡をとりまして、一層公正なる執行について注意を喚起したいと考えておるところでございます。
○安恒良一君 これは建設大臣にも関係することですが、時間がありませんから建設大臣の方はあれをしまして、私は少なくとも自治大臣にお願いしたいことは、最近非常にこれがあちらこちらに出てくる。私は守口の問題は氷山の一角ではないかという心配をしております。
 そこで、いまローアーリミット制の設定の問題、それから最低価格の入札者を落札者としない場合の処置の問題、それから最低価格の設定の問題、それから入札保証金の納付の問題、こういう問題についていま大臣は、都道府県は七、八割、市町村は五割ぐらいだろうと思っているということで、思っているじゃ困りますから、具体的に自治省として実態を調査されて、そして地域住民が一番これは注視をするところですから、ガラス張りでできるような御指導をぜひひとつやっていただきたい、調査もやっていただきたいということを私はお願いしたいのですが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) はい。
○安恒良一君 それでは結構です。
 そこで、次は会計検査院にお聞きします。
 最近しばしばこういうことが問題になっておりまして、官公需をめぐる不正入札、談合入礼について会計検査院は実態を把握されておりますか。
○会計検査院長(大村筆雄君) 御承知のとおり、会計検査院は国の財政収支の決算の検査を通じまして財政収支の適正を図っているところでございまして、その検査目的なりあるいは検査対象において検査の目的を達成いたしますために必要な検査権限を与えられているところでございますが、これも御承知のとおり、たとえば価格競争が行われるような場合の独禁法に基づく公正取引委員会の強制調査権限なり、あるいは不正談合罪が行われる場合の司法当局の強制捜査権限のような強制調査権を与えてもらっているわけではございません。したがいまして、公共事業等の事業が執行される場合の検査に当たりましては、その支出の原因となっております契約につきましての検査に当たりましては、その設計、仕様が妥当かどうか、予定価格の積算が適切に行われているかどうか、それから入札手続を含みます契約手続が正しいかどうか、あるいは工事の施工が適切かどうか等につきまして厳重に検査をいたしておるところでございますけれども、そういう工事の施工をめぐりまして、御質問のような談合行為が行われているかどうかを調査いたしますためには、公正取引委員会のような調査権限ないしは司法当局のような強制捜査権限を持ちまして、当該工事の契約相手方のみならず、当該入札に参加いたしました業者全般にわたりましてこれを調査いたしませんと、実態を把握するのがきわめて困難でございます。したがいまして、私どもの検査権限を越える、あるいは検査権限目的を越えるところでございます関係上、談合の実態につきましては、会計検査院といたしましては十分把握はいたしておりません。
○安恒良一君 十分な把握をされていないということでありますが、私は公正入札が行われたかどうかを検査する権限を持つ必要があると思います。たとえば国の補助金による工事を自治体が事業主に発注した場合に、その請負をした業者を検査できるかどうかということにつきましては、現行法の会計検査院法第二十三条ではそれはできない。できるのはいわゆる肩越し検査だけであるというふうに私は法を解釈する。こんなことでは私は行政改革の実は上げられないというふうに思いますが、いまあなたもできないと言われたのですが、率直に言って、国はお金は少ししか出さぬ、そして余り地方自治体に干渉されてもこれは困るわけです。超過負担の問題がある。そのことを言っているわけじゃありませんが、少なくとも私は国が補助金を出して、そして工事を自治体が業者に発注する、そういう場合にいまの会計検査院法二十三条ではできないというふうに聞きますが、こういうものの法改正について何か会計検査院の責任者としてのお考えはございませんか。
○会計検査院長(大村筆雄君) 国が工事を発注いたします場合に、その契約の相手方につきましては、検査院法二十三条第一項七号によりましてこれは検査ができるわけでございます。ただ、地方公共団体が補助事業を行います場合に、それの契約の相手方につきましては、御指摘のとおり、現在、院法では検査の対象とするわけにまいりません。ただ、それを立法論としてどうかという御質問に対しましては、地方自治のたてまえもございますので、そこまで検査院でやるべきかどうか。また地方公共団体におきましては、それぞれ監査委員という制度もお持ちでございますので、その方でおやりになるのがあるいは適切かと存じます。またそれに関連いたしまして、談合について云々ということを念頭に置かれましての御質問でございましたら、先ほどの答弁のとおりでございます。
○安恒良一君 私は、このところはきょう結論は出ませんが、国が補助金を出してやる事業というのは非常に多いわけでありますから、ぜひ研究をしておいていただきたいと思います。
 そこで、最後に厚生大臣にお聞きするのですが、いまいろいろ大臣もお聞きのような議論の中で、厚生省として調査されたのは、業者がおりたいきさつだけを調査されていますね。それだけでは不十分であります。いま言ったように、なぜこんなに価格が高くなったのかということについても調査をしていただかなければなりません。まだ建設補助金は交付されていないと聞いておりますが、こういうような疑惑を持たれたままの交付では困ります、率直に言って。ですから、まず疑惑を解明していただきたい。その疑惑が解明されるまでは建設補助金をお出しにならないということでよろしゅうございますか。
○国務大臣(村山達雄君) 委員のおっしゃるとおりに、この事態をはっきり解明いたしまして、交付金の交付はその後いたすことにいたします。
○安恒良一君 それでは私はお願いしておきますが、きょう質問したわけでありますから、ぜひ解明の進行については御報告をいただきたいと思います。
 続いて次に移らせていただきます。労働大臣が十一時半に御退席されるというふうに了解しておりますから、ちょっとそちらの方からまず話を進めさせていただきたいと思います。
 御承知のように、ことしは国際障害者年でありまして、今度の臨調答申の中に私は雇用問題が登場してこないのは非常に不思議です。それはなぜかというと、活力ある社会をつくるということになりますと、雇用問題ということは非常に重要なことでありますから、きょうは時間がございませんから、雇用全体の問題については改めて議論をさせていただきたいと思いますから、とりあえず雇用の中でも一番むずかしいと言われております身体障害者の皆さん方の雇用問題について一、二点お聞きをしたいと思います。
 御承知のように、労働省は毎年の六月時点で調査をし、十月になって発表している身体障害者の雇用状況調査、これがいま十一月なんですが、実は発表されておりません。きのう質問通告をしましたら、夕方あわててお持ちになりました。私資料をいただいていますから、時間がございませんから本当にポイントになる点だけについてこの席上で明らかにしていただきたいと思います。労働大臣。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 安恒委員の御質問の点は恐らく明日新聞発表で公表される、さように思います。
○安恒良一君 いや、新聞発表は明日ですが、私がお聞きしておるのは実態についてどう改善をされたかということをポイントの点だけを御報告してください、こういうことを言っているわけです。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 大体私どもは、一般的に身体障害者の雇用率といいまするものは一・五%という目標を決めておりまして、それに近づくべき努力をどの会社にも求めておる。これは一・一三%であったということでございますので、これを一・五%にできるだけ近づけるという努力をいままでやっておるわけでございます。ここ一年、一応の成果は上げておりますけれども、なお私どもが想定をいたしております一・五%に達しておりません。したがいまして、今日のところは一・五%に達するというように認められるまでいままでのような努力を続けてまいりたい、かように考えております。
 なお、官庁におきましては、御案内のとおり、私どもの雇用率の達成目標は一・八%ということでお願いをいたしているわけでございますが、これはおかげさまで、国土庁がいままで達成できなかったということでございますけれども、これも達成をいたしました。
 地方の公務員でございますが、これは御案内のとおり教育委員会という面で雇用率の達成がきわめて困難であるということで、今日まで成果が上がっていないことはまことに残念でございますけれども、その他におきましては大体、沖縄という特殊な地域といいまするものはいまだその成果を上げておりませんけれども、一応の成果が出てきたものと、かように考えております。
○安恒良一君 抽象的でなくて、数字があるわけですから、政府職員の方から全体がどうなっているかとか、大企業の雇用率がどういうふうに前進をしたのかというところの数字を一、二点答弁してもらうようにお願いしてあるわけですから、やってください。
○政府委員(関英夫君) 本年六月一日の身体障害者の雇用状況につきまして、まず民間企業の場合でございますが、法定雇用率一・五%でございますが、昨年の六月一日現在の実雇用率一・一三%から一・一八%というふうになっております。規模別に見ますと、千人以上の企業の実雇用率が〇・九八%で、昨年の〇・九〇%から〇・〇八ポイント上昇いたしております。産業別では一番伸びましたのが金融、保険、不動産業でございまして、実雇用率昨年の〇・七一%から〇・一三ポイント上がりまして〇・八四%、こういうことになっております。
 公団、事業団等の特殊法人、法定雇用率一・八%の実雇用率は一・五六%で、昨年の一・三四%から〇・二二ポイント増という伸びでございます。国、地方公共団体におきます実雇用率は、非現業的機関で一・八五%、昨年の一・八二から〇・〇三ポイント増でございます。現業機関につきましては一・八九%で、昨年から比べて〇・〇四ポイント増ということでございまして、まだまだ不十分ではございますが、従来の年の伸びから見ますと、昨年からの一年間は非常に大きな伸びを示しております。
○安恒良一君 大きな伸びを示したと言われましたが、伸びるのはあたりまえなんですね。それはなぜかというと、国際障害者年ですから。それで衆議院、参議院でも大変追及しましたし、特に政府、公庫、公団、特殊法人については、総理と官房長官が責任を持ってまず政府機関が率先垂範をしてやると、こう言われましたし、金融機関は大蔵大臣が直ちに銀行局長示達を流しなさいと、こう言われたものですから、前進したのはあたりまえだ。ところが、総理、お聞きを願いたいのですが、民間の大企業の達成率は、昨年の未達成率八一・五が今度八一になったんですよ。だから〇・五ふえただけなんです。〇・五ですよ、一%じゃないんですね。それから全体で見ますと、雇用率未達成四八・四が四六・六になったんです。ですからこれは約二ポィントなくなっただけだということでありまして、国際障害者年だから努力はされたのでしょうが、民間の場合非常によくない。
 それから政府関係についてもひとつ聞かしていただきたいのですが、私はこの前、運輸省や建設省その他特殊法人で非常に悪いというところを指摘して、当時大臣は、みんなもう総理のあれを受けて一生懸命やりますと言われましたが、具体的に運輸省管轄の特殊法人や建設省管轄の特殊法人がどれだけ改善をされましたか、ちょっとこの前指摘をされた大臣お答えください。
○国務大臣(塩川正十郎君) 運輸省所管の公社、公団の身体障害者雇用状況でございますが、御指摘ございました以降、鋭意努力いたしまして非常に私は改善されてきたと、こう思っておるのでございます。
 具体的に申しますと、お手元に行っている資料はたしか六月一日現在のが行っていると思うのでございますが、十月一日現在で申しましたら、船舶整備公団の方ではこれは完全に達成いたしました。それから日本鉄建公団でございますが、これも達成の不足が二四でございましたのが現在一九になりまして、なおこれは努力を要するのでございますが、それにいたしましても、以前は一・一五でございましたのが一・二六に現在なってきておりまして、これは早急達成に努力いたしたいと思っております。それから新東京国際空港公団でございますが、これが達成率が昨年は〇・九でございましたのが、今回一・二三と相なってまいりました。それから国際観光振興会でございますが、これが現在目標達成いたしました。それから帝都高速度交通営団でございますが、これが以前は一・一九でございましたが、現在一・六八となってまいりまして、これもう少しの努力でございますので、ぜひ達成するように努力してまいりたいと思っております。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 建設省関係でございますが、建設省の雇用率は本年六月一日現在一・九一%でございまして、法定雇用率一・九%でありますので……。
○安恒良一君 特殊法人だよ。
○国務大臣(斉藤滋与史君) 特殊法人、一つ一つ申し上げますか、平均でよろしゅうございますか――。六特殊法人につきましては、本年三月における特殊法人の平均雇用率が一・二〇%でございましたが、法定雇用率が一・八%でございますが、十月現在において一・四九%でございます。なお達成はいたしておりませんので、引き続き努力をしてまいりたいと考えます。
○安恒良一君 総理、この前の予算委員会で総理が明確に雇用率の成績の悪いのはすべて私の責任だ、国際障害者年を契機に政府関係機関等を督励し、達成するようにしたいと、こういうふうに私の質問に対して明確な御答弁いただきまして、私は大変結構なことですと言ったのですが、特殊法人の達成率、六月一日現在、これしかありません、労働省が調査したのはこれですから。これで見ますと、去年が未達成率が六三だったんです。ところが、ことし改善努力されましても五一・五なんです。まだ半分達成していないのです。少なくともこのときは官房長官もこういうことを言っている。大事な問題なので閣内一致して努力いたしますと、こう官房長官もおっしゃったのですからね。ところが国際障害者年、ことしいま現実にもう十一月なんですが、まあその後若干よくなったということですから、これは一番最近の資料、きのう労働省からもらったばかりですから、その後の状況はわかりません。わかりませんが、私がいただいた資料では、まだ政府機関の特殊法人が九十七企業ありますが、その中で半分達してない。これでは国際障害者年を本部長としてもお誇りになることはできないと思いますから、まあそうは言ったっていま年度の途中じゃないかということをおっしゃるかもわかりませんが、せめて総理がお答えになったように、特殊法人を含めて政府関係機関ですね、これはやっぱり少なくとも今年度じゅうということになりますと来年の三月になりますか、三月末日までに達成させていただきたいと思いますが、官房長官とお二人でありますが、総現代表して重ねてお考えをお聞かせください。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は、政府といたしまして各省庁に徹底をいたしまして、特殊法人等については強力な指導をするようにということで努力を傾けておりますが、今後も引き続きその達成に向かって努力いたします。
○安恒良一君 総理が引き続いてこれを達成するように努力する、こういうことでありますから、私は、まず政府が率先垂範をしてやって、非常に大企業中心におくれていますから、そういうところにもやれということをやっていただきたいと思います。
 そこで労働省にお聞きをしておきたいのですが、特殊法人についてはひとつ、いま言ったように最近になって達成したということになると議論がかみ合いませんから、できるだけ九十七の特殊法人の実態がどうなっているかということを後で資料で私の方に一番新しいのでいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○政府委員(関英夫君) 現在私どもの手元にありますのは、本年六月一日現在のものしかございません。ごく最近時点のものをもう一度調べて、そして調整をして報告をいたしたいと思います。
○安恒良一君 そこで大臣、退席される時間が来ましたから、ちょっと最後にお聞きしておきたいのですが、民間の雇用達成状況がまだ残念ながら非常に悪い。こういう中で、ことしはこの雇用率を見直しをする年であります。五年に一度ずつ雇用率の見直しをやることになっておったのでありますが、ところが、私予算委員会等で質問したら、いま関係審議会に諮っている、関係審議会の意見を聞いてから法定雇用率を直したいと、こういう大臣の御答弁でありました。しかしながら、いま言ったような現状でありますから、関係審議会の中で、わが国の法定雇用率は国際的に見ても民間企業の半数近くが雇用率未達成である現状から、むしろ現行の雇用率の完全達成に努めることが先行すべき課題であるということで、国際的に見ますと非常にわが国の雇用率は低いのですが、関係審議会が雇用率の改定を見送ったのですね。まあそのことのよしあしは別にいたしまして、そういたしますと、労働省としては見送られた以上、この民間企業の法定雇用率を達成するためにどのような手段でいつを目標におやりになるのか、ひとつ御説明願いたい。これが一つ。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
 それから二つ目は、特殊法人を除きますと、行政官庁は現行の法定雇用率を一応達成してます。そこでとりあえず国が率先垂範をするということで、行政官庁の法定雇用率を引き上げるために審議会に諮問する考えがあるのかないのか、この点について大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。
 御指摘のとおり、審議会におきましても、目標ばかり上げるということで実効が上がらぬということではだめであるということで、従来の私どもの目標を早期に達成するように努力をしてもらいたいという審議、御決定をちょうだいをいたしております。したがいまして、私自身各未達成企業に今日までもあらゆる機会にお目にかかりまして、私自身から達成をしてもらうようなお願いをしてございます。それぞれの会議におきましてそれぞれの業種、私どもの趣旨を了とされまして努力をしてくれるということでございますから、六月一日の統計ではまだまだその成果が上がり方が少ないということはございますけれども、恐らく今後の六月一日調査の時点におきましては、私はかなりこの成績は上がるであろう、かように考えますし、今後とももし非常に達成率の悪い企業がございましたならば、その業態全体に対しまして責任を持ってその達成をさせるように指導を続けてまいる、強化をしてまいる、かように考えております。
 第二番目の目標でございますけれども、今日官庁におきまして一応の達成を見た、さらにこの目標を上げる気はないか、こういう御指摘でございますが、改めてこれは安恒委員のお志もあり、審議会と十二分に相談をいたしまして、どのようにこれを引き上げていくかということについて相談をいたしてみたい、かように考えております。
○安恒良一君 大臣、後段の方はわかりましたが、私がお聞きしたことに的確にお答えくださってないのは、もうことしの六月一日の現状は出ているわけですね。そして審議会の方も一・五に達してないじゃないか、だから今回は据え置いておくから、早く一・五にするように指導しろ、こう大きく出ているわけです。そこで私がお聞きしているのは、責任を持ってとか、やらせますとおっしゃっても、これはもう去年から一年議論してこれだけしか進んでいないのですから、民間の法定雇用率一・五を達成させるために大体いつを目標にしておやりになるんですか、そんなに簡単にあなたは責任を持ってとおっしゃっても、一年間で進捗状況は政府委員が言ったとおりしか進んでいないのですから、いつを目標にしておやりになるのですか、また具体的にどうさせようとするのですかということで、抽象的に私が一生懸命やりますとか責任を持ってと言われても、具体的にはなかなかそう簡単にいかないことですから、その点についてのお考えを聞かしてください。
○国務大臣(藤尾正行君) 今日私が申し上げておりますのは、六月一日の時点で調査のとおり差し上げてございますけれども、その後今日に至りまするまで五ヵ月間たっておるわけでございます。その間においても相当な進捗を私は見ておるだろう、かように考えますし、その自信もございます。したがいまして、今度の調査、来年の六月一日時点の調査のときには、恐らくあなたが目をみはっていただけるような成果は必ず上がる、かように考えております。
○安恒良一君 大臣、声だけでかく言われましたから、来年の調査のときにあなたは大臣をおやりになってないかもわかりませんけれども、そのときは議員では残られていますから、どうぞ全力を挙げて御指導願って、私がびっくりするように、一・五が一年間で達成できるようにぜひお願いをしたい。どうか大臣がそう言われましたのですから、関係の担当局長以下よくお聞きになって、来年になって、いや実は先生だったこれだけしか進みませんでしたということがないように、このことは申し上げておきます。それでは、この問題はこれぐらいにして終わります。大臣、結構でございます。
 続いて質問させていただきますが、私は、今度は税制について大蔵大臣や経企庁長官に少しお聞きをしたいと思いますが、税制問題の中で非常に問題になりますのは、一つは税の不公平ということ、特にサラリーマンが不公平感を強く持っています。しかも税収のかなりの部分を所得税という形でサラリーマン労働者が受け持っている。
 そこで、九月の二十九日、朝日新聞が大きく報道しました事業者所得の妻や子に専従者給与を払われている。中には、私もこの新聞を見てびっくりしたのですが、年間に三千万円も払っているといったとえばパチンコ屋さんがあって、八千万円の事業所得を申告したが、その中で労務管理の補助的な仕事をしている奥さんに三千万円給料を払っている。ほかの使用人の大体十倍も払っている。こういう実態等を、時間がありませんから、大臣も新聞を見られたと思いますから一々例を挙げませんが、これを見て国民みんなびっくりしているわけですよ。こんなばかげたことが世の中にあっていいのだろうか。そこでちょっとお聞きしたいのですが、専従者給与の実態を一つ一つ五十万円刻みで個人と法人に分け、刻みごとの件数と全体に対する比率を示してほしい。
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
なお、白色申告者についても報告をしてもらいたいと思いますが、実態をまず明らかにしてください。
○政府委員(吉田哲朗君) 青色専従者給与の実態につきましては、可能な限り御説明申し上げますが、ただいま御要望のありました五十万円刻みの資料は、国税庁では現時点では調達できませんので御容赦いただきたいと思います。
○安恒良一君 なければ、私はずっと前からこの資料を要求しておきましたが、私に来た資料はまるで見当が違っていましたから、けさほど訂正を言いましたからやむを得ません。これはひとつ、いま申し上げた五十万円刻みで個人と法人に分け、刻みごとの件数、全体に対する比率、それから資料要求、後から出してもらいますから、できれば職業別専従者給与等も付加をしていただきたい。こういうことをひとつ私は資料として求めておきます。
 そこで、白色申告者では、専従者給与は年間四十万しか認められておりません。青色では仕事に見合った額を必要経費とするということで、これは大臣、青天井になっています。現状はどうなっているかということについては、ごく簡単にしか資料いただいていませんが、また青色申告の特典というのが四十項目以上あるというふうに私は聞いていますが、これを説明していただきまして、そしてこれを今日どうしても存続しなければならない特典であるというふうに大蔵大臣はお考えでしょうかどうでしょうか、その点をお聞かせください。
○政府委員(矢澤富太郎君) 御指摘のように、青色申告者に対しては種々の特典がございます。その一番大きなものは青色申告控除と申しまして、帳面を記帳していただいたことに対する恩典といたしまして十万円の所得控除が認められる。数はいろいろございますが、現在租税特別措置法で認められている各種の準備金等、こういったものは、青色申告が要件になっておりますので、数がふえているのはそういう関係であろうかと思います。
 そこで問題は、青色申告に対してのみと申しますか、青色申告なるがゆえに認められている狭義の特典を整理すべきかどうかという点が問題になろうかと思いますが、御承知のように現在青色申告の水準、個人で申しますと五三%程度の水準でございますので、まだそういった特典を設けることによりまして記帳水準の向上を図っていくことは必要ではなかろうかというふうに考えております。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま審議官が答弁したことで尽きると思います。要するに、まだ半分程度しか青色申告をやっていない。したがって、やはり帳面をつけていただくことはこれは脱税回避に一番いいのです。帳面がつけてないと実際は税務署が探さなくちゃならない。帳面というものは、つければつけるほどどこかぼろが出ましてね。そういう点もあります、確かにつけていれば、どれか資料を持っていって合わせてみればいいわけです。一つでも漏れていれば漏れたことがすぐわかる。しかし、つけていなければ、資料がたくさんあっても、すべての資料を全部集めることは不可能です。したがって推計課税になる。したがってまたトラブルも多いということになりますから、やはり一般の法人でみんな行っておると同じように、個人事業者も帳面を備えて、正規の簿記の原則に従って明瞭かつ整然とつけてもらうということはまだ奨励する期間である、そう思っております。
○安恒良一君 いや、私は帳面をつけることはいいのですけれども、いま具体的な実例を挙げましたように、奥さんの給与に年間三千万円も組んだり、いろいろなことがされているわけです。それはなぜかというと、青色申告の場合は、仕事に見合った額を必要な経費とすることで青天井になっていますからね。私は、こういうところは、帳面を記帳させることと、青色申告の問題があるところをそのままにしておくこととは別だと思うのです。そういう点で、私は事務当局じゃなくてあなたに見解を聞いておるので、事務当局と同じようなことを答えるなら、それは大蔵大臣じゃないんですよ。私の聞いたことを正確に言ってください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 質問の趣旨を違えたものですから、大変御無礼をいたしました。
 青色申告で三千万円の給与を認める、これは簡単に言えば所得の分散を図ったものだというふうに私は考えております。御承知のとおり超過累進課税でございますから、三千万円奥さんにやらなければ一億円とか一億一千万円に仮になるという場合は、八千万円以上は七五%の所得税がかかる。それを三千万円別におろせれば、そこのところは平均して幾らになりますか、半分ぐらいの税率で済むということになるでしょう。したがって、そういうことを悪用すると言えば悪用することになります。
 一方、個人の同族会社を考えますと、それでもかなり高額の所得を取らせているという実例がないわけではありません。しかしこれはおのずからブレーキがかかりまして、法人税の税率と所得税の税率とを比べてそれほど、個人で取っても会社に置いてもおれの物はおれの物だというような考えがありますから、おのずからそこでブレーキがかかる。したがってそこらのところの兼ね合いをどうするか、これはよく真剣に検討してみたい、そう思っております、悪用されないように。
○安恒良一君 すでに大蔵省は申告税制全体について洗い直しをするということで研究会もおつぐりになっているようですから、そういう中で青色申告の場合も、記帳するということは私も非常にいいことだと思いますが、いま申し上げたような問題がいろいろありますし、それから特典が四十項目ありまして、ここで一つ一つ議論をする時間がございませんが、こういうことも今日の段階において必要なことかどうかということをぜひ一遍洗い直しをしてもらいたい、こう思いますが、そういう点はよろしゅうございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 青色申告の特典を外すことは考えておりません。
○安恒良一君 洗い直してくれと言うんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 洗い直すことは洗い直してみましょう。
○安恒良一君 私は青色申告制度が悪いとは言っていないのですからね。そういうものについて正すべきものは正してください。四十項目あるうちで検討して正すべきもの、たとえばいまあなたがおっしゃったように、幾ら所得を認めるといっても、奥さんに三千万円給料をやることはないですよね、八千万円の収入を上げておって。実例が新聞に書いてありますから一々申し上げませんが、こういうことを申し上げておきます。
 それからその次に、印紙税のごまかしが、これもでかでかと十月二十日の朝日新聞にたくさん出ましたが、その中で非常に悪いのが不動産、建設、銀行、これがワーストスリーでということが出て、印紙税のごまかしだけでも約一億円あるというふうに当時報道されていますが、大蔵大臣としてはこれはどんな対策でこうした脱税をお防ぎになろうとするのか、具体的に大臣のお考えをお聞かせください。
○政府委員(篠原忠良君) お答えいたします。
 最近の調査の結果、約四億五千万円ほどの不納付が発見されておりまして、国税庁といたしましては、間税の職員の印紙税の調査をできるだけ充実させながら、かつまた、広報並びに指導を徹底いたしまして不納付の是正を図りたいと考えております。
○安恒良一君 そこで、いろいろお聞きをしたいことがあるのですが時間が余りありませんから、私は次の点をまずお聞きをしたいと思います。
 いわゆる給与所得者の税の負担について、大蔵省の提出資料を見ますと、給与所得者階層別人員増減表がありますが、五十一年から五十四年まで百万円以下と二百万円以上の納税人員構成比率が大きく減って、三百万円以下の階層も減っている。これに引きかえて、五百万円以下の階層が五十一年から五十四年の構成比一七・九から三二・二に、ほぼ倍になっています。人員では毎年百万人を超えておりますが、結局、三百万から五百万の階層に異常な重税が課されているというような構造になっていると思いますが、こういう偏りについて大蔵大臣はどういうふうにお考えなんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) どういう御資料に基づくのかよくわかりませんが、私は所得税に関しては、三百万から五百万のところが税金が重くかかっているというようには考えておりません。
○安恒良一君 どういう資料かというのは、これは大蔵省提出の五十六年六月の私たちがいただいた資料です。それでありまして、結局それはなぜかというと、三百万から五百万という階層は、ボーナスを含めますと、これを一七・一八で割りますと月当たり十七万円からせいぜい十六、七、八万円になるわけですね、これはボーナスを入れますから。いわゆる中堅所得者層でありまして、年齢的にも社会的にも世帯構造からも大変な生活費の経費がかかる年齢なんです。そこに重税が課せられているというところに問題があるのじゃないかというふうに思うのでありますが、私は財政再建の必要性は認めております。しかし国民からの減税の要望が強いというところも、どうも私はこの層にあるのではないかというふうに思うのです。
 そういう観点から、私は減税問題を含めてまず大蔵大臣に所見をお聞きをしたいのですが、大蔵大臣は窮して鈍したと思わないのか。なぜかというと、大蔵大臣はいまの税金をうんと取り立てたいということで、一円を惜しんで経済の拡大による百円の収入の増を放棄されているのじゃないだろうかというふうに私は思えてならないのです。減税論はかなりもうやっていますから、大蔵大臣の意見はよくわかっています。
 私は、どうもいま申し上げた二つの現象から考えてそういうふうに思いますが、そこで、大蔵大臣にお聞きをしたいのは、不公平税制の是正についてはかなり臨調が具体的に指摘をしていますね。これを、いま言った点を踏まえて五十七年度予算でどういうふうに実行されるのでしょうか。五十七年度予算で、臨調の指摘を受けた点でこれとこれは五十七年度やりたい、これとこれは後年度に送りたいとか、こういう点についてお考えをひとつお聞かせください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 二つお答えをします。
 最初の方は、三百万−五百万という方の所得税でございますが、御承知のとおり三百万円の方は所得税は年間六万六千円、二・二%でございますし、五百万の方は二十八万一千六百円で五・六%というようなことであります。これは三百万程度の場合は一ヵ月にすれば千五百何十円というのが所得税の源泉税、標準家庭ではそういうふうになっています。ボーナスのとき少しよけい取られるというようなことでございまして、むしろそのほかの経費の方がはるかに実は多いというのが月給明細書の内容だと私は思っております。
 問題は、その次の臨調で指摘をされました税制、その中で、特別措置法等については期限の到来するものとか制度の創設以来長期にわたるようなもの、その他いろいろなことが言われてあるわけでございますけれども、これにつきましては、措置法についても毎年洗い直しておりますが、五十七年度においてもこれは十分に中身の検討をしていきたい、そういうように考えておるわけであります。
○安恒良一君 前段のところは議論を後で続けたいと思いますが、もう少し具体的にお答え願いたい。
 税の負担の公平のために「制度面、執行面の改善に一層の努力を傾注する必要がある。」というふうに答申では指摘をされているわけです。そこで私が具体的にお聞きしたいのは、税の不公平が存在する制度面と執行面の検討の内容とその検討の結果を五十七年度予算編成までにどう是正をされようとしているのか。法律改正は必要ないのかどうか。これは、そういうふうな指摘がされているわけですからそのことを聞いているわけで、あなたの二問目のお答えはまことに抽象的でありますから、具体的に五十七年度予算編成までに、五十七年度中にどういうふうにやるのか、予算編成を踏まえて。不公平が存在する制度面と執行面の内容を検討してやりなさいと、こういうふうに臨調は指摘をしているわけですから、それをお聞きしているわけです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、私が先ほど言ったこととまた重複をいたしますが、特別措置については、五十七年度におきましてもそれは厳しく見直しをいたします。その中身を私は先ほど申し上げたのです。
 それから交際費等につきましても、これはさらに課税の強化を図るという方向で、五十七年度の税制改正に間に合うように検討を進めたいと考えておりますし、これは措置法ではございませんが、いろいろな引当金等がございます。これは債務性のものではございますが、しかし現実に税制上認めてあるほどの繰り入れ率がないそれが利益の留保になっているんじゃないかというようなものにつきましても、これは見直しを行っていきたい。
 所得税については、これは先ほどからお答えしているように、記帳水準の向上を図るとか税務相談を充実するとか、あるいはそのほかいろいろな、青色申告を普及するとか、それから地方の税務当局、民間団体の協力を得て資料、情報の交換、こういうようなことをやって、まず情報をもっと緊密にとれるようにする。あるいは国税庁の中もいろいろな、コンピューターの利用によって統計をもっと整備するとか、あるいは重点的に悪質納税者に対しては調査を強化するとか、いままでややもするとちょっと手を抜きがちだったいわゆる税金を納めたくない団体等についても、これは官民の協力を得て、勇気と正義感を持って取り組んでいくというようなことを執行面においては特にやってまいりたいと考えております。
○安恒良一君 臨調の答申を尊重する、これは総理もそれから担当長官もしばしば言われておりますが、どうもいまの大蔵大臣とのやりとりを見ましても、歳出を切ることだけに精力を使われまして、いま一番国民が問題にしておりますところの不公平税制の是正をたな上げしているのじゃないかという感じを国民全体が持っています。
 ですから、たとえば具体的に五十七年度に何をするのか、そして不公平税制の是正でどのくらい歳入がふえるのか、こういう点についてもいま大蔵大臣から御答弁いただけませんでした。私はもう時間がありませんから、これとこれをやる、それによって歳入がこれだけふえる、こういう計画をぜひ示してほしいと思います。でないと、私から言わせますと、臨調の答申の食い逃げだというふうに言っても過言ではないと思います。でありますから、私は率直に言って税制度の改善に対する私の質問に対するお答えは納得ができませんし、ただ減税は困るということだけでは私は政府の同答にはなっていないと思います。この点は強く私は総理、大蔵大臣、それから行管庁長官に申し上げておきたいと思いますので、さらに一段の御努力をお願いしたいと思います。
 そこで、経企庁長官にこの点に関係してお聞きしますが、経企庁長官が、民間の活力を生かし来年度実質成長を五・五%以上にしたいと、こういうことを五日に経団連の会館で御講演をなさっておりまして、それが新聞に報道されました。私はこれを注意深く読ませていただきましたが、この中に、民間の活力を生かして、たとえば来年度の経済成長は五・五以上に上げたいと。そして上げる方法については、こうこうこういうことをした上でと、こう書いてありますからそれはよく新聞を見て承知しておりますが、こういう中で「こうした民間の活力を生かした高目の成長で、大蔵省の試算以上の税収を確保するとともに、思い切った行財政改革で財源を確保すること」と同時に、所得税減税の実施ということで、これは単なる「物価調整減税でなく本格的な減税が必要」だ、景気が憩いその一つの大きい要因は個人消費にある、個人消費の復活は不可欠である、こういうことで長官が講演をされたと聞いていますが、これらの考え方について、また具体的にどうされようとするのか、河本長官のお考えを聞かしてください。
○国務大臣(河本敏夫君) 国民経済全体の立場から申し上げますと、国民の所得が伸びる、実質所得が伸びるということが経済成長の一番の原動力だと考えております。ところが最近は実質所得がなかなか伸びないというところにいろいろな問題があるわけでございますので、そこでまず第一には物価の安定を図らなければならぬと思います。これは大体その方向に進んでおると思うのです。
 それから第二点は、所得を伸ばすためにはやはり生産性の向上が全体として進むということがその背景に必要だ、このように考えておりますので、産業政策の面で生産性向上のための幾つかの施策が必要だと、このように思います。
 それから、わが国の税制は所得がふえるたびに相当重くなる、こういう税制になっておりまして、名目所得が伸びましてもそういう税制のためになかなか実質所得、可処分所得が伸びない、こういう面もございます。そういう幾つかの問題がございますので、それらを総合的に解決するためには、やはり国の財政が背景として豊かになるということがぜひ必要だと、このように思うのでございます。
 そこで、私が先般講演で述べましたのは、一つはわが国の経済、いま国民の個人消費も落ち込んでおりますし、住宅の投資も大変落ち込んでおります。それから中小企業の投資も落ち込んでおりまして、それぞれ幾つかの理由があってそういうことになっておりますので、こういう問題を解決をしながら、また解決をすれば、政府の考えております七カ年計画で決定をいたしました七年間平均五・五%成長、それ以上の成長も可能だと、このように思うのでございます。そこで、そのような成長ができるような幾つかの条件をつくり出すということが必要だということを一つに言ったのでございます。
 もう一つは、行政改革の中心は、来年以降の課題だと思うのですけれども、やはり三K問題を中心とする本格的な問題の処理にあると思います。そういうことによりまして財源を確保しながら、本格的な減税ができるようなそういう条件をできるだけ早くつくり出すということがこれからの大きな政治課題である、そういう趣旨のことを言ったのでございます。
○安恒良一君 いま言われたこと、こういう場ですからかなり慎重に言われていますけれども、やはり私がお聞きしたいことは、あなたが景気の悪い要因のすべてである個人消費の回復が不可欠であると。だからわれわれが物価調整減税を言っているんですが、そんなものどころじゃない、やはり本格的な減税をやることが一つ、たとえばあなたが五・五%以上に来年度の経済成長を伸ばしたいと、こういうことなんですから、これは架空の話でない、来年のことを話されているわけですね。そこのところについて、そういうお考えをお持ちなのかどうか。いわゆる思い切った所得税減税そのものをやらないと、あなたもおっしゃったように実質所得は減っている、そういう点から言って、どうしても経済成長をやっていくためにはそういうことが必要だというふうに私はこの新聞を読み取っているのですが、そういうふうに理解をしていいのでしょうか。そこのところをひとつ端的にお話しをいただければと思うのです。
○国務大臣(河本敏夫君) 所得減税は私は必要だと、こう思っております。ただしかし、そのためには財源が必要でありまして、財源なしにこれをやることはできませんので、財源を確保するのにはどうすればよいか。これは一方で財政再建を進めながらの財源確保でございますから、なかなかの難事業でございますけれども、そこで先ほど二つのことを言ったのでございます。一つは高目の成長と、それからもう一つは本格的な行財政の改革、とのことを申し上げたのでございますが、来年度の成長目標をどう設定するかにつきましては、目下関係各省との間で調整中でございまして、私自身はこの七年計画の平均以上の目標を達成したいということを言っておりますが、ただ幾つかの条件があるものですから、その条件につきまして各省の間でどうすればよいかということについて目下話し合いをしておる、こういう段階でございます。
○安恒良一君 そうすると経企庁長官自身としては、ここに書かれているような政策を積極的にやって来年度は高目に、五・五%以上にしたい。そうしますと、あなたがおっしゃったことがそこへ出てくるわけですから、その場合にはいわゆる物価調整減税ではなくして所得減税実施もやりたいと、こういうふうに承っていいでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 私が言っておりますのは来年の問題ではございませんで、来年はもうすでに予算編城方針が決まっておりますので、五十八年度以降の課題として、そしてできるだけ早くそういう条件が整備されることが望ましい、これからの大きな課題である、こういうことを言ったのでございます。
○安恒良一君 私、新聞で承る限り、あなたは来年度実質経済成長率をと、こういうふうにお話をされたと聞いたものですから、いまお聞きする、どうも五十八年度だとこういうことですから、まあいずれにいたしましても五十八年度以降そういう経済成長を達成した、五十八年に達成した場合にはそういうお考えをお持ちだというふうにこれは承っておきます。これより以上ここでやりとりすると私の持ち時間がなくなりますから、それぐらいにします。
 それでは次の問題について運輸大臣にお聞きしたいのですが、実はいろいろお聞きしたかったのですが、十二分までと、こう聞いていますから、そこでお聞きしますが、七月六日に今後の交通政策のあり方ということで、長期展望に基づく総合的な交通の基本が運政審から答申されました。時間がありませんから私は総論や各論をいろいろ言う時間がありませんが、特に私は、どうもこの総論と第二の各論の間には、総論はかなりよくできているんですが、各論になりますと全くこれは総論と相矛盾をした状況になっておりまして、これで本当に今後の交通政策ができるのかという心配をしています。いずれゆっくり時間をかけてこれは議論します。
 そこで一つお聞きしたいんですが、七八年の十月、地方交通の補助育成のために六党の共同決議がされたことは大臣御承知のとおりだと思う。そこで、それと今回の答申の中でかなり相矛盾する点があります、公共交通に不利な点が。ですから私は、この答申の中で公共交通に不利な点を取り除いて、国会の決議の趣旨に従った内容を今後運輸政策として推し進められる意思があるのかどうか。六党決議、私はこれを読み上げるとまた時間がかかりますから、そういう点についてのお考えをひとつ聞かしてください。
○国務大臣(塩川正十郎君) 六党決議、五十三年のあの決議でございますが、あれと今回の運政審の答申とは私は基本的には相違しておらないと思っております。ただ五十三年の決議の際に、財源問題につきまして相当厳しい要請が盛られております。したがいまして、その財源問題とそれから地域交通のあり方、そういう問題もひっくるめまして、運輸省の方におきましては昨年の十月に、地方陸上交通審議会というものを改めてきめ細かく各府県単位でつくっていただきたい、そこで地域交通のあり方について真剣な検討をしていただきたいと、こういうグラウンドをつくろうと思って現在やっておるところでございます。つきましては、私たちは五十三年の決議を実現すべくこの財源問題について一番悩んでおるところでございますが、現在の財政再建途上でございますだけに、この対策につきまして十分なものはとれないのでございますけれども、なお今後この決議を踏んまえてやっていきたい。これを実施する段階において、運政審の答申とは矛盾いたさないように今後努めてまいらなければならぬと思っております。
○安恒良一君 それじゃ最後にお聞きしますが、たとえばこの答申の中に自家用の活用ということが非常に大きく取り上げられていますが、私は非常にこの点には問題があると思いますし、時間がありませんから改めてまた連合審査その他のときやらしていただこうと思いますが、私はたとえばレンタカーやリースなど自家用自動車の利用を利用者の選択にゆだねる、こうなっていますが、営業用と自家用の区別がつかなくなる。そうすると、タクシー業界は市場が混乱し、競争が激化する。これは取り返しのつかない状態が出てくると思いますし、また運輸省としては既存の公共交通を犠牲にしてマイカーの活用を図る、モデル地区の設定は市町村で代替バスで利用の少ないところを選ぶと言っていますが、いつどんなところで、どんな内容で実施するのか、そのときに料金は取るのか取らぬのか、こういうことについてだけ伺いまして終わりたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 自家用自動車の活用というのは確かに運政審で盛られておりました。これにつきまして実は誤解も生まれておると思うのでございまして、まさに御質問の中にございましたように、レンタカーの利用であるとか、あるいは都市圏内におきまして白タク、白トラというものが横行する、これは私たちは全く考えておらないことでございまして、現に地域的に白トラの取り締まりを強化しておる実情でございます。
 ただ、運政審で言っておりますのは、特に第三種路線、御承知の生活路線、そういう地域等において市町村が中心となって地域交通対策を考えると同時に、その一環として、つまり市町村がそういう地域交通を考える中に自家用車の活用を考えてはどうだろう、これはどうしても大量公共交通機関では維持できない路線でございますので、そういうところに限って自家用の活用というものをいわばボランティア活動の一環として考えたらどうだろうということでございますが、しかし、それを具体的にどういうふうにするかということはまだ私たち考えておりません。これから検討していかなければならぬと思っておりますので、いずれ検討が終わりましたら御報告もいたしたいと思います。
○安恒良一君 それじゃ、まだ具体的に検討されてないということですから、私は強く要望しておきたいのは、そのやり方でやると第三種路線が全部だめになります。そうすると、次に第二種路線も全部だめになる。これは川の流れと同じですから、支流から本流へとお客は集まってまいります。そうしますと、公共交通はもう全く壊滅をすることになります。そういう意味で、どこでどうやるかということはまだ検討してないということですから、それらを含めて十分慎重な検討をしていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
○委員長(玉置和郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時十三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時四分開会
○委員長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を、行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。穐山篤君。
○穐山篤君 最初に検査院長にお伺いしますが、行財政改革ということになりますと、幾人かの人が出番があるわけです。政府の場合には中曽根長官が大きな役割りを果たしていると思うのですが、独立した機関として、会計検査院の役割りというものも行財政改革に関しましては非常に重要だというふうに認識をします。
 そこで、七月十日の答申までの間に、検査院としてどういう役割りを果たしてこられたのか。言いかえてみますと、臨調答申までにいろいろな角度からの行政あるいは財政の見直しが行われるわけですが、それに関して検査院としての注文というものも当然あったと思うのです。その点についてまず最初にお伺いをしておきます。
○会計検査院長(大村筆雄君) 御承知のとおり、臨調におかれまして、行財政改革の効率的な執行というようなことを主眼に鋭意御検討いただいているわけでございまして、このことは、私どもが重点といたしております効率的な財政執行を目的とする検査とその精神において符合するわけでございまして、私どもの検査成果が大いに活用され、あるいは行財政改革の成果を踏まえて私どもの会計検査のあり方も今後考えていかねばならない、かように考えているわけでございます。
 御質問のようないままでの経緯について申し上げますると、本年五月におきまして、臨調よりの御要望によりまして、私どもの戦後から今日に至るまでの会計検査報告その他御審議の参考となるようなもろもろの資料を御提出いたしておりまするし、本年の十月におきましては、臨調第二部会のヒヤリングに出席要請がございまして、会計検査院の基本的なあり方なり、あるいは最近の会計検査の報告の傾向なり、あるいは会計検査の機能に対する各界の要望なり、あるいは検査の結果の予算編成への反映の点なり等々につきまして御説明を申し上げた次等でございます。
○穐山篤君 その点に関して中曽根長官にお伺いしますが、いまも私お話し申し上げましたように、検査院の行財政改革に対する役割りというのは非常に大きいと思うのです。当然臨調としても活用のことを考えただろうし、あるいは長官としても大いに活用してもらいたいという気持ちは当然あったと思うのですが、中曽根長官としては、行財政改革と検査院の位置づけをどういうふうに考えられて今日まで対処をしてきたのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 会計検査院は非常に重要な機関として非常な大きな力を発揮していると思いますが、臨時行政調査会におきましても、また行政管理庁におきましても、会計検査院のやり方を大いに勉強もする必要があると思って検討してまいっております。
 それで、会計検査院の場合は金銭を中心にして、しかも事後処理という形でございます。しかも、懲罰を要求するとかそのほかの強大な権限を法的にお持ちでございます。われわれの場合は、事後よりもむしろ事前の場合でありまして、金銭のみならず、主として行政機能あるいは制度を中心にやってきておるわけで、その点は性格は違います。しかし近来、会社におきましても監査機能の強化ということが言われておりまして、監査役の地位が非常に重要視されてまいっておりますが、国政全般におきましても、事前ないしは事後の監査という問題がやはり非常に重要になってきていると痛感しております。そういう観点から、現在の制度、監査を中心にしていかにして改革していくかという観点から、いろいろいま検討しておる最中でございます。
○穐山篤君 私の仄聞するところによりますと、いま院長が言われたように、資料の提出はなるほど五月にあったと思うのです。しかし、臨調が積極的に検査官の意見を求めるということは七月十日までには全然なかったわけです。答申が終わり、閣議で行革の方針を決定した後で、臨調からお話を聞く会と言いますか、申し上げる会が行われているわけです。少なくともむだを排するとか、あるいはぜい肉を落とすとか、小さい政府という場合に、政策全体の問題もあります。しかし、財政の分野から言いますと、相当検査院の過去検査をしました材料から、これから財政再建に向かってどうしてほしいという共通の問題がたくさんあるわけですね。
 たとえば一般会計でも特別会計でもそうでありますが、補助金の問題につきまして毎年同じような指摘が行われているわけです。私学振興に対します補助金につきましても、毎年学校の名前こそ違いますけれども、同じような補助金の不正が行われているわけですね。それを検査院はチェックをしているわけです。あるいは農業者団体に対します補助金の問題につきましても、これまた件別にあるいは事務組合別に違いはあったにしてみても、毎年同じような性格の不正事件が続発をしているわけです。これは一例です。そういうものの根絶を図るということが少なくとも行政改革、財政改革のスタートでなければならぬと私は思うわけですね。
 そうしますと、検査院の役割りというのは、おれたちは検査をして不当事項なり特記事項を明らかにすれば、あとは政府の問題だというふうには考えたくないと思うし、また国民も検査院の任務、役割りというものを大きく見ているだけに、今回の行財政改革に対します対応を注目していたと思うのです。ところが、この数カ月間の臨調あるいは政府、検査院の動向を見ておりますと、まことに不十分であると指摘をせざるを得ないと思うのです。ましてや、財政再建は来年からだから、ことしは用はないというふうな姿勢がもしあるとするならば、これはもう非常に問題だと思う。そこで、検査院としても、もっと積極的な立場をとる必要があるだろうというふうに考えますが、その点どうでしょう。
○会計検査院長(大村筆雄君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、臨調におかれまして現在鋭意御検討中の効率的な行財政改革という点は、私どもが従来重点的に推進しております効率的な財政執行の検査という点から精神的に共通する点がございまするし、昨今の財政再建を要する財政の危機的症状にもかんがみまして、特にこういう方面を頭に置きながら重点的に効率性検査を推進してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○穐山篤君 総理も見えましたから、私は一例をちょっと申し上げておくのですが、毎年毎年共通した事項が検査院から指摘をされ、参議院の決算委員会でもあらゆる角度から議論をして、改善を要する事項につきましては警告を行っているわけです。その中で、きょうは場所は鮮明にすることを避けますけれども、ある畜産組合あるいはある事務組合としておきましょう、国からの補助金を多額にもらう。それは申請をして適切と認めるならば補助金を交付されるのは当然でしょう。トラクターを十台購入をする。それに対する補助金が出るわけです。一両買いますと百万円でありますけれども、十両買いますと、一千万円でなくて八百五十万円なり八百万円に、商いですからサービスをしてくれるわけです。国からは一千万円の補助金を取りながら、実際に業者に支払った金は八百万円、二百万円はある特定の事務組合なり畜産組合のポケットに入っている。
 そういう事例は毎年三つも四つも五つも指摘をされているし、またその改善を私どもも要望をしているわけです。これは来年からの財政再建とは関係がないという問題じゃないと思うのです。少なくともそういうものについて厳しい節度を持って行うということが行財政改革の基調でなければならぬと思うのですね。そういう意味で、会計検査院の報告書というものを十分に精査をして、二度とそういう問題を起こさないようにする。それが臨調の私は行財政改革のスタートだろうというふうに思うのです。
 昭和五十四年の決算でいきまして、収入の分野で十八億円の不正の事項がありました。それから支出の分野では、ほぼ二百十億円の不当事項が発見をされているわけです。もちろんこれは検査院のせいぜい一〇%程度の実調の中で出てきた実績です。ですから、検査院が相当の要員をもって行うとするならば、むだを省くという面では相当機能を果たしていると思う。これだけの陣容で、これだけの組織でなおかつこれだけのものが発見をされているわけです。発見をされますと、返せばいいでしょうという最近ならわしになっているわけです。責任が最後まで追及をされないままでおるために、来年も同じような問題が指摘をされ、あるいは同じような不正事項が発生をしているわけです。そのことを考えてみまして、この検査院と行政改革の問題についてもっと深刻に事態を考えていただきたいと思いますが、まず中曽根長官のお考えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、会計検査院がおやりになっていることは、われわれとしても非常にこれは勉強になることであると思っています。それで臨調の顧問に、実は会計検査院の前院長をしておりました知野さんをお願いいたしまして、土光さん、臨調委員と二度ほど個人的にお会いをしていただいておりますし、私も二度ほどいろいろ直接お話を承りまして、行革の進め方について御助言をいただいてきておるわけです。正式に会計検査院としておいで願ったのは先般でございますが、しかし、これから行革を進める上において、各省のくせなり日本の行政の体系あるいは業態について一番知悉しているのは会計検査院ではないかと思います。
 そういう面からも会計検査院のいろいろいままでの獲得した知識やら御意見をよく受け入れまして、われわれ行革を進めてまいりたいと思っております。
○穐山篤君 こういう席上では、とかくそういう響きのいいお話がありますけれども、国民の税金が効果的に使われるということを考えてみますと、本当に関心を払っていただかなければならぬというふうに思うんです。
 いま検査院は、多分五十五年度の取りまとめを行っているだろうと思いますので、先々のことはまだ十分検討はしてないとは思いますが、財政再建期間中の検査院の検査の重点、特色というものも当然必要になってくると思うのですね。この点についてのお考えがあればお伺いをしておきたいと思うのです。
○会計検査院長(大村筆雄君) 私どもは、国民の貴重な税金をもって執行されております財政の検査を担当しておる役所でございますから、従来も、それの効率的な執行ということに十分着意しながら検査をしておる所存でございまするが、特にこの数年間の財政再建期間中でございまするし、私どもがここ数年見てまいります財政の執行面におきまして種々検討を要する面もございまするから、特に財政再建に資するよう格別な配慮をもって、従来に引き続きまして、財政の効率的な執行という点に着意いたしまして検査を進めてまいりたい、かように存じておる次第でございます。
○穐山篤君 引き続いて院法の改正に入りたいのですが、官房長官がおいでになりませんので。検査院長にはこれで結構でございます。
 次には、厚生年金事業などにかかわります国庫負担の繰り入れの問題についてお伺いをいたします。
 最初に厚生大臣にお伺いをいたしますが、厚生大臣は、本問題につきまして社会保険審議会に諮問をしております。そして、社会保険審議会からは御案内のとおり答申がされて、それで今回の法律ということに相なったと思うのです。
 そこでお伺いしますが、この特例措置につきまして、こういう答申になっているわけです。全部読むわけにいきませんが、「緊急避難的な意味もあり、かつ、将来の補填も担保されていると認め」る、こういうふうに答申が行われたわけですが、「将来の補填も担保されている」と思うというこの審議会の考え方をどういうふうに理解をされたのか、その点をお伺いします。
○国務大臣(村山達雄君) 社保審で「将来の補填も担保されている」ということは、要するに、元本並びに運用利益、そういうものは確実に返還されるということが担保されているかどうかと、こういう意味であると社保審の答申については理解しております。
○穐山篤君 自治大臣にお伺いしますが、自治大臣も地方公務員共済組合審議会に諮問をして答申をいただいていますね。この答申の中では「昭和六十年度以後における速やかな元利の返還を前提として」現段階ではやむを得ない、こういうふうになっているわけです。ただいまの社保審の方と多少ニュアンスの違った答申が行われているわけですが、「速やかな元利の返還を前提として」という、この意味をどういうふうに理解をされているでしょうか。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
○国務大臣(安孫子藤吉君) 基本的な考え方は同様に考えておるのでございまして、表現の差はございますけれども、実質的に余り変化はございません。
○穐山篤君 自治大臣は表現の違いはあるが、まあ同じようなニュアンスのものだという、そういう理解だということですから改めてお伺いしますが、国が四分の三を基準として来年度の予算で明示をするわけですね、「基準として」ですから。金額のことはいまのところよくわかりません。しかし、四分の一はないことになるわけですね、三年間は出されないことになるわけですから。そうしますと、それぞれの保険あるいはそれぞれの共済組合としては債権者になる、それから国の方は債務者になるというふうに理解をするのが当然だと思うのですが、その点、自治大臣と厚生大臣のお考えをいただきたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) この法案の中身を見ますと、四分の三を基準にして減額する。そして、その再建期間が済んだらその元本、運用利子を含めて、そして財政状況をも勘案し、それからまた年金財政の安定に支障を来さないように適切なる措置を講ずる、こういうことでございます。したがいまして、その全体を考えますと、一種の負担の繰り延べであろうと私は思っているのでございます。国債とか借入金とかいう債務ではなくて、負担の繰り延べであろうと私は理解しております。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 厚生大臣と同様でございます。これは債権債務というような形で考えるべきカテゴリーではない。一種の責任、責務とでも申しますか、そういう性格のものである、こういうふうに理解をしております。
○穐山篤君 法律をよく読んでみますと、来年の予算の提示をする際にその数字を明らかにしますが、政策的には借りだからお返しをしましょう、財政再建期間が過ぎて、財政状況を見てお返しをしましょうと。借りたものですから返すというのは当然ですが、この負担の繰り延べという考え方、これはいままで国会の答弁では余りなじまなかった見解だというふうに思うのです。少なくとも国はそれぞれの厚生保険なりあるいは共済組合に対しまして借りをつくったわけです。そういうふうに考えられないでしょうか。そういうふうに考えたとすれば、借りだから返さなければならない。少なくとも従来四分の四、言いかえてみますとそれぞれの、それぞれのといいますか厚生年金基金としましては、政府から四分の四の金が来るということが法律上明示をされているわけです。その意味から言うと、法律を背景にして権利がそこにあるわけです。それから給付を受ける者につきましても、給付額の二〇%は常に国から金が出るんだという、そういう意識、理解のもとにこの厚生年金に加入をし、あるいは負担をそれぞれ負っているわけです。
 その点について、負担の繰り延べというよりも、基金の立場あるいは加入者の立場から言うと債権と債務になる。これは法律でなくて、単に補助金というようなことならば、これは政策の問題ですから別ですが、少なくとも法律的な背景を持った四分の四である以上これは債権債務というふうに言わなければならない。そこでこの法律の、少なくとも来年の予算の編成の際に明示をいたしましょうと、こういうふうになったわけですから、私は多分、債権債務に近い物の考え方で来年の予算編成のときに四分の三に相当するものを明示をしましょうと、こう書いてあると理解をするわけです。負担の繰り延べという考え方と違うとと思いますが、厚生大臣、その点いかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 法律では、厚生年金は給付額の二〇%補助をすることになっております。今度法律だけを読みますと、四分の三を基準として、そして予算の定めるところによりますということでございまして、われわれと財政当局でいろいろ協議したあげく、五十七年度ベースで申しますと、厚生年金で言うと千八百億減額することになるわけでございます。そして、財政再建期間中同様にやってまいりますと、五十八年度では二千二百億、それから五十九年度では二千七百億、財政再建期間中合わせますと六千七百億いわば減額されるわけでございます。これは法律的には減額になるわけでございますが、しかし後で、財政再建期間が済みましてから、その元金とそれから運用利益を含めて年金財政に返すことになっております。この減額いたした、私たちは繰り延べだと考えているのは後で返してもらうから繰り延べだと、こう言っているわけでございますが、それをわれわれの方で了承いたしましたのは、いまのところ厚生年金その他はやはり積立増があるわけでございまして、この措置をとりましても年々大体四兆円ぐらいの積立増が厚生年金についてあります。したがいまして、これを繰り延べて後で返していただいても年金財政には当面何の支障もない、こういうことで見ているわけでございます。
 おっしゃるように、債権債務という問題をどういうふうに理解するか、法律的に言いますと、どうも債権債務ではないのじゃないか。国の債務というのは、やはり借入金であるとか国債とかいうのが代表的な例であって、これは負担を減額して後で年金財政に支障が来ないように必ず返しますというのであるから、やはり負担を一時延ばすということでは、正確の意味ではその方が私は当たっておると思うのでございます。
○穐山篤君 法制局長官にお伺いしますが、法律でもお返しをしましょう、こういうことですから、政策的に返すということが明示をされているわけですね。明示をされている。そうしますと、客観的に言いますと、それは債権者があって、債務者があって、そこで合意が成立をして、政策的にはお返ししましょうと、こういうふうに受け取ることがいまの事態としては正しいと思うんです。しかし、その基金に金があるとかないとかという話は別にしまして、その基金の立場、あるいは給付を受ける者の立場から言いますと、返してくれるという確約はあるけれども、いつ、どういう形で返してもらえるのかということは、債権債務を生じた場合には当然主張できる話です。
 私が先ほど申し上げましたように、単なる補助金でなくて、法律的な背景を持った国の繰り入れになっているわけです。ですから、少なくとも二〇%の四分の一程度というものは、基金にとりましても、給付者の立場から言いましても、あれは政府に貸しがある、政府は負債を負っている、そういう意識のもとに了解をするわけです。そういう意識のもとに理解をするわけですね。それで、いつ返してくれるのか明確でないところにこの問題の盲点があると思うのです。
 憲法でも財政法上でも、その点について、少なくとも歳入歳出というものについては議会の議決を必要とするというふうに明示をされているわけですね。代表的な例として、例の四条公債は別表をもって償還計画を明示されているわけです。今回のこの負債は、繰り入れ問題というのは、それに準じます第三の債権ではないか、債務ではないかというふうに私は理解をいたしますけれども、法制局のお考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
○政府委員(角田禮次郎君) 今回の措置の性格につきましては、先ほど厚生大臣から御説明申し上げた以上に余り付加することもございませんけれども、要するに今回の措置は、国庫負担制度そのものを変更するというわけではなくて、特例適用期間中の繰り入れの特例措置を講ずるということにしておるわけであります。したがいまして、そこでは政府に対して特例適用期間経過後における差額分の繰り入れ等の責務は課しておりますけれども、そういう立場から、事後措置としての繰り入れの期間、方式等は、法律に書いてありますとおり、年金財政の安定を損なわない範囲で、国の財政状況を勘案しつつ決定するということだけを定めているわけでありまして、繰り入れの具体的な細目まで確定しなければならないというふうには決めておりませんので、御指摘の、財政法などで言う国が債務を負担するという意味における具体的な債務性を持った債務とは言えないように思います。
 非常に常識的な意味で、借りるとか、返すとかいう表現が今日まで使われておりますが、少なくとも法律的には、そういう意味において債務であるというふうには言えないものであろうというふうに考えております。
○穐山篤君 これは見解の相違になりますので、ある意味じゃやむを得ないと思いますが、しかし、政策的な見地から考えてみましても、財政状況を十分に勘案をしてお返しをしましょう、これも一つの国民に対します見解だと思うんです。これで納得する人もあるだろうと思うんです。しかし今回は、国民年金と公共企業体等の共済組合につきましては、これが適用がないわけです。全部の保険法なり共済組合が同じ取り扱いならば、貸してもらいましょう、お返しをしましょうということで、ある意味では安心できるわけですね。今回は二つを除いた以外の保険事業、共済事業についてのみ問題が提起をされているわけですから、特定なものだけが対象になっているわけです。だから、それぞれの基金なり共済組合なり、それから給付を受ける者の立場から言うと、おれたちだけ、特定のものだけが対象になっている。そうすると、将来返してくれるとは言っているけれども、償還計画がないじゃないかという不安を感ずるわけです。
 もちろんいま償還計画をつくる余地はないと思うのです。これから三年が過ぎて、最終的に財政状況を見てから仮につくるにいたしましても、その時点で政策的な見地から政府としても償還計画を明らかにして、財政再建期間中大変御苦労であったという、そういう政治的な役割り、責任を果たす必要があるだろう、こういうふうに思うんです。
 そうなりますと、そこの分野は法制局長官ではないのではないだろうか、大蔵大臣になりますか、中曽根長官になるかどうかわかりませんが、政策的には私の申し上げるようなことが一番親切ではないかと思いますけれども、中曽根長官なりあるいは大蔵大臣なり厚生大臣から、その点についての見解を明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうような御意見があっても別に不思議ではないと私は思います。しかし、政府といたしましては、要するに年金法で百分の二十を負担すると決まっておるわけですから負担しなければならない。それを今度の法律を特例的にこしらえまして、その額の四分の一を今回は減らす。減らすけれども、その減らしたものについては、これは後日繰り入れをいたしますということになっておるわけでございます。
 これに期間とか利息とかが明記されていないじゃないかという御質問でございますが、これは国債等と違いまして、国債を発行するのならば当然にそれは期日とか利率とかをはっきりしなければならないわけでございますが、そうでなくて、これは特例のものでございますから、その財政再建期間が過ぎれば、厚生年金の財政に支障を来さないということを条件として、それは支障を来すとなれば一年にでも返さなければならぬという問題が起きるわけです。しかし、そのときの財政事情を見ながら支障を来さないということがはっきりわかっておって、そうなればこちらの国の財政事情もそのときに考えてください、三年で返すか、十年で返すか、幾らで返すかというときは国の財政事情もひとつ、支障がないのですから、そのときにはそのときに相談いたしましょう、こういうような仕組みになっておるわけでございます。
○国務大臣(村山達雄君) いま大蔵大臣が述べたのとほぼ同様でございますけれども、この財政再建期間が過ぎまして、運用利息はもう完全に返還していただくわけでございますので、年金財政には支障ございません。ただ、これがやはり財政再建ということを基本にして考えておるのでございますので、その財政再建期間終了時における財政状況を勘案しながら返す。そこが言ってみますと、普通の債務でございますと、当然債務を起こしたときに幾ら返すか、どういうふうに、利率は幾らかというのが決まるわけでございますが、その辺がやはり法律的に違う点として出てきているのではないだろうか、かように考えているわけでございます。
○穐山篤君 もう一遍念を押しておきますと、財政再建期間が終わる、それで昭和六十年を迎えて財政状況をそれぞれ見るわけですね。そのときに厚生年金保険の財政状況と、たとえば私学にしろ船員にしろ、それぞれの共済組合、保険、基金の財政状況は全部違うわけです。そうでしょう。そうすると、一律にお返しをするということが、時と場合によりますと変更せざるを得ないという場面に逢着するわけです。これはまあ想定の域を出ませんが、あるものについては三年間で返すことになるかもしらぬ、あるものにつきましては財政状況、その事業の財政基盤を考えて一年なり二年で返さなければならぬという事態が出ると思うんです。ですから、借りるときには同じであったにしましても、返済のときには情勢が違うわけです。だから、それぞれの保険なりあるいは基金なり共済組合にしてみますと、先ほど私が答申を読みましたように担保されていると言ってみましても、それは政治的な発言としては担保されておりましても、本当の意味で担保がされているかどうかということは明言できないわけです。
 私は、いま償還計画表を出してくれということを言っているわけじゃない。少なくとも再建期間が終わって、いよいよ六十年に入ったときには返還をするスタートに立つわけです。そのときに、それぞれ条件が違うわけだから、政治的には償還計画表というものを明示をして、その事業なりあるいは給付を受ける者に安心をさせるのが、今日いままでつくられております法律の精神だと思うのです。私はそのことを申し上げているわけです。いま私が幾ら幾ら明示をしろと言ってみても、それはできる相談じゃないんです、これは物理的な問題だから用しかし、昭和六十年になれば金額というもの、あるいは金利というものも含んだものが十分わかるわけですね。ですから、少なくとも八つか九つありますこの種のものの中で、今回だけ特定に二つを除いた以外のものが実施をされるわけです。そのことを考えてみれば、その返還をするに当たって償還計画というものを明示して、政府は財政再建中の協力に対して責務を果たしたらどうかということを申し上げているんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、それぞれの確かに年金等については財政事情が違うのも事実でございます。したがって、積立金があってその中から年金が支払えるというものは即座に必要だというわけではございませんが、仮に、これは仮定の話ではございますが、支払いに困るというようなものがあれば、それはその保険財政を損なわないという法律のたてまえでございますから、私はそれが優先をするというように考えております。
○穐山篤君 私のような意見もあるということを十分に認識していただいて対応をしてもらう、そのことをきちっとして前に進みたいと思うのです。
 次に、特殊法人幾つかありますが、三公社の問題についてまず最初に中曽根長官にお伺いをするわけですが、第一次答申で三公社の問題について答申がありました。
 そこで、どういうふうに物を考えるか、あるいは受けとめるかという意味でお伺いをするわけですが、三公社それぞれに違った答申を行っておりますね。専売公社につきましては、当面のいろんな合理化の問題が指摘をされています。これは別に指摘があるなしにかかわらず公社としてもやっていることでしょうが、「民間資本の導入等民間活力を導入する方式などを含め、民営化の方向で当調査会において検討する」、調査会が経営形態の問題は責任を持って検討いたします、こういうふうに書かれておるわけです。それから日本国有鉄道につきましては、いろいろありますけれども、経営改善計画というものを進めなさい、そして合理化をそれぞれやりなさい。それから電信電話公社の問題につきましては、合理化問題も指摘をしておりますが、「現行公社制度の在り方、民営化等を含め、経営形態について、当調査会において今後抜本的な見直しを行う」。
 国鉄の問題は土俵の外にありまして、専売と電電の問題だけが当調査会でやるというふうに、あたかも、あたかもと言っちゃ語弊がありますが、責任の所在を臨調は明らかにしているわけなんですね。この取り扱いについて、臨調報告を受けました政府としてはどういうふうにこれを受けとめているのか、その点をまずお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一次報告におきましては、臨調の心構えと大体の方向を示されまして、その具体的な内容については、来年初夏に予想される答申でそれを決めてくると考えております。
 国鉄の問題については、いま第一次の合理化が進行中でございまして、その進行の上に立ってさらにどうするか、抜本的な改革云々という考えがあったと思いますが、そういう面について考慮していると考えております。
○穐山篤君 国鉄問題は除きますが、たとえば専売と電電について、この数カ月の検討の間の中で、民営化の方向で当調査会が抜本的にやりましょう、こうなっている。
 そうしますと、政府としてはこの調査会の答申が出て、そこで経営形態というものを判断をする。ここは非宿に大切なことですから繰り返し申し上げておきますと、政府側は再三再四、臨調の答申を細大漏らさずに尊重して実施に移したいという気持ちがあるわけですね。そのことは結構ですが、専売と電電の問題についていままで政府自身もあらゆる角度から勉強してきたわけです。専売公社も、あるいは電電公社当局もそれぞれ勉強してきたわけですね。そういうものがすべてこの臨調報告では民営化ということでくくられているわけです。現在のたとえば公社制度をもっともっと機能を強化する、あるいは機能が回復できるようにいろんな方法を考えようと思いましても、少なくとも民営化というふうに言われてしまうと、公社はもちろんでありますけれども、政府側としてもお困りにならないかどうか、その点を中曽根長官にお伺いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 民営化するというふうに決まっているわけではございません。現在、第四部会におきまして、三公社五現業等を中心にしてヒヤリングもやり、また独自の研究も進めております。どういう方向に結論が出るか、まだ輪郭も出ておらない状態で、しかしいま懸命にポイントを探っているというのがその情勢であると思っております。ただ、傾向としましては、大体世論及び委員の皆様の大体の感触というものは、いままでの三公社的な覊束、手足を縛っておる、そういう形をもっと緩めて、そして思い切った活力を伴った経営の方向に進めていきたい、そういう考えではないかと想像しております。
○穐山篤君 この段階ではまだ民営化が決まっているとは私も言っていないんです。私が問題にしようとしておりますのは、あたかも二つの公社につきまして臨調がすべて責任を負って検討するから、その間はしばらく何もするな、まあいろんな合理化のことはやれと、こう書いてありますが、少なくとも経常形態、経営のあり方の問題につきましては口出しをするなというふうに書かれていると私は見るわけです。そういうふうに受け取ってはいないというふうなお考えであるならば、それはそれで私も了承しますが、その点どうなんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調といたしましては、三公社五現業等特殊法人の改革論を心がけておられますし、われわれもまた期待しておるわけでございますから、特に三公社五現業等については非常に責任感を持って仕事に当たっておられるわけでございます。そういう意味においてその心組みを示したのでありまして、三公社五現業は自分でみずから改革案を出してくるとか、あるいは世の中の見識のある方々がそれに対する改革論を出してくるとか、これらは大歓迎するところであると思っております。
○穐山篤君 それでは専売の総裁にお伺いしますが、いまの中曽根長官のようなお考えで理解をされているかどうか、専売と電電公社の総裁にお伺いします。
○説明員(泉美之松君) 日本専売公社の経営形態の問題に関しましては、御存じのように、昭和五十三年に公共企業体等労働問題懇談会におきまして一つの方向が提言されております。それを受けまして、現在、専売事業審議会におきまして日本専売公社の経営形態の問題について検討されておるところでございます。
 今回、第二次臨調が設けられるに及びまして、去る七月十日に第一次答申が出されまして、先ほど穐山委員のおっしゃったような臨調としての心構えとも言うべき第一次答申が出されたわけでございます。私どもは、臨調において民営化の方向で検討するというふうに出されておることは十分承知いたしておりますが、これが、公社みずからいろいろ進めておりまする改革について、そういうことをするなという意味にはとっておりません。私どもといたしましては、基本的には現在の専売制度、公社制度を存続しながらやっていくのが最も国民のためになると思っておりますけれども、現在の制度そのままでいいとは考えておりません。昨年、専売納付金制度の改正をいたしましたのもそれが一つでございまして、それに続きましていろいろの制度を改正いたしたいという考えを持っておりまして、そういうことは一向に差し支えないことと、このように思って鋭意検討いたしておるところでございます。
○説明員(真藤恒君) お答えいたします。
 私どもは、臨調の第一次答申がああいうふうに書かれておりまして、臨調の方から当事者としてのいろいろな資料をお求めになれば出すことができるようにということで、いま鋭意調査しておるところでございますが、調査の方向といたしましては、公社制度という形でいくならばどうだ、民営としていくならどうだ、あるいはその中間としていくならどうだというふうに幾つかの案を想定いたしまして、それについていま鋭意調査中でございまして、ここでまた申し上げるほどの勉強には到達いたしておりませんし、臨調からお求めになればお答えするつもりで準備いたしております。
○穐山篤君 たばこの専売事業あるいは電電の事業、いずれも公共的な機関として、あるいは独占的な機関としていま位置づけられているわけですが、問題は、民営にすることが目的ならこれは別でありますが、少なくともこの両公社につきまして、もっともっと活力をつけるとか、あるいは競争力をつけるとか、特に外国との競争というものを無視できない企業にあるわけですね。そう考えますと、いま特に、専売の総裁がお話がありましたように、専売としては現行の中でなおいろいろ創意工夫をこらしながら競争力を強めていく、あるいは国の財政基盤の強化にも当たると、こういう御返事があるわけですが、そういうふうな態度を中曽根長官、この臨調というものは十分に踏まえてこれから御相談をすることになるでしょうね、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調は各方面の意見をじっくりよく聞いて、その上で自分の判断を出す、こういう態度でおります。これは結構なことでありまして、ヒヤリングを慎重にやりながら各方面の意見を聞いておるのが現状でございます。
○穐山篤君 中曽根長官、いろいろ経理的なことを検討してみますと、三公社五現業の中で、率直に申しまして、専売はたばこ消費税も出したり、あるいは益金を国に納付しているわけですね。これから努力するならば非常に将来有望な産業です。それから電電についても同じようなことが言えるわけです。まあ民間の活力という意味は非常に大事でしょうが、もし私の杞憂であるならばこれは撤回してもいいんですが、専売なり電電の公社を民間にしてしまって、もうけを一人占めにしようというふうな気持ちは多分ないと思いますけれども、しかし財務処理、財政上から言いますともうかる企業ですから、どうしても飛びつきやすい産業であることは間違いない。ですから、頭から民営にするということを目的にするようなやり方は避けなければならぬと思うのですが、どうでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) たとえば専売にすれば、外国たばことの競争の関係とか、あるいは耕作組合の皆さんの将来とか、そういういろいろな複雑な問題もございます。いずれも電電も専売も独占企業で、独占的権利を付与されているがゆえにまた経営がうまくいっているという面もあります。がしかし、また一面において、それがゆえに冗費もありあるいは冗員もあるという面もございます。そういういろいろな面をよく分析して、何が一番最善の形であるかということを勉強してもらっておるのでございます。
○穐山篤君 私の杞憂であるならば、それはそれとしますが、ちまたうわさされているようなことがないように、ひとつ努力をいただきたいと思うのです。
 さて、国鉄問題です。同僚委員の中に非常に国鉄に関心のある方が多く、いろんな議論がされたことも十分に承知をしていますが、そのことによって国鉄の経営者あるいは職場の中で士気を喪失をしたり、あるいは財政再建、経営再建についての意欲がそがれるとするならば、これは余り好ましくないことだというふうに思うのです。
 そこで、国鉄当局にお伺いする前に、先日運輸大臣が公労法の改正も必要ではないか、ストライキにはロックアウトという、そういうお話があったわけですが、少なくとも運輸大臣といえば、国鉄を監督して一日も早く経営の再建をしてもらわなければならない立場の方が、よもや、そのときの議論のいきさつでこうなったと思うのですけれども、私は真意ではないというふうに思いますが、もう一遍その辺の考え方をお伺いをしておきたいと思うんです。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、現在の公労法によりますとストはできないということになっております。ところが、現実にストが行われておる。これは組合員諸君が本当に真剣に反省してもらいたいという気持ちで毎日おるわけであります。
 その中で、私はよく感じますのは、多くの組合員は一生懸命やろうとしておるのです。ところが、一部の組合員がどうしてもやっぱりストに入っていく。ああいう鉄道事業等は、御説明するまでもなく一部、一カ所がとまれば全部とめざるを得ない。これは安全対策上から申しましてもそうなってまいります。そこで私は、今日の国鉄を再建するのに従業員の万全部が、組合の万全部がスクラムを組んでやってもらいたい。そのためには、一部の者がストをやったら全部の者がやっぱり迷惑を受けるんだぞと、こういう考え方を導入してもらわない限り、私は立ち直りができないのではないかということを思っております。でございますから、私のロックアウトと言っておりますのは、いわば一部の人がストをやったら全部の責任になるぞという態勢、そういう態勢がとれないだろうかということを私は念願しておる、こういうことでございます。
○穐山篤君 抽象的な念願というのはいいと思うのです。前の運輸大臣は、異常な労使関係というものをできるだけ正常に戻そうと努力をされたというふうに私は記憶をしております。私もかつてその衝にあったわけですから。大臣もそのお気持ちは変わりないと思うんです。いま政治的に物を見まして、ロックアウトで対抗するというふうな話をすることが時宜に適切であったかどうか、そういうことを慎重に、大臣という立場ですから考えていただかなければならぬと思うのです。
 少なくとも、いままで処分、ストライキ、処分の悪循環をできるだけ断っていこうじゃないかということで、組合もあるいは経営側も努力をしてきた実績があるわけですね。労働運動というようなものは生きているものですから、一晩で全部変わってしまうということはなかなかむずかしい体質を持っているわけなんです。ですから、そういうことを十分にながめて、分析をしながら運輸大臣は慎重に重言をしていただきませんと、先日のような発言では、職場でまじめに働いている人でさえも、運輸大臣いつからああいうふうに変わったのかという話があっちこっちに出るわけです。
 御案内のとおり、かつては処分をする、その処分の反対のためのストライキがあったんです。現在では、処分がある、気持ちの上では反対ですよ。だけれども、その反対の気持ち、抗議の気持ちというものをストライキに訴えた例は最近絶無なんですね。少しづつ変わっているという事実関係についてもっと認識してもらいませんと、ロックアウトで対抗すればそれで国鉄はよくなるというふうな発想があるとするならば大間違い。この点は厳しく指摘をしておきたいと思うんです。
 そこで、国鉄総裁にお伺いをしますが、昭和六十年までに財政再建、経営改善計画を全力を挙げてやっていただかなければならぬと思うんです。組合とも相談しながら多分やっておられることだろうと思うのですが、しかし、国鉄の財政というのは、国の財政と同じように質の面からも量の面からも大変な赤字ですね。そこで、それを心配するがゆえにお伺いをするわけですが、いまの推定で、最近たな上げをいたしました累積債務を含めまして、昭和六十年ぐらいにはどの程度の累積債務を背負うことになるのか。これは推定で結構です。
 それから、これは債務ですから返さなければならぬと思うのですね。総裁が返すわけでなくして、国鉄全体が返す。まあ極端なことを言えば、国鉄に働く職員、家族を含めて返す。その影響は利用者にもわたるわけですけれども、どういうふうな考え方でこの債務をお返しになろうとするのか、そのことを冒頭にお伺いをしておきたいと思うのです。
○説明員(高木文雄君) 私どもの債務のうち約五兆強のものについては、現在特別勘定ということでいわばたな上げをさせていただいております。そのたな上げしたものについては、毎年財政的に処理をしていただいております。たな上げをしていただきましたのは五十四年度までの分でございますので、五十五年度から六十年度までの間に発生いたします単年度赤字額の累積額というものの処理については、必ずしも明確に決まっておらないわけでございまして、その金額は、やはりいまの状態で申しますと、さらに五兆ないし六兆というような金額になろうかと思いますが、その処理については必ずしも明確にされていないわけでございます。
 現在は、私どもの経営は法律に基づきます経営改善計画で決められているわけでございますが、その経営改善計画では、財政収支がどうなるかということは正規には御承認が得られておりませんので、いわば参考表というものが添付はされておりますけれども、これは正式にお認めいただいたものだということにはなっていないわけでございまして、したがいまして、この処理は政府の方におきまして処置を決めかねるということで経営改善計画ができておりますので、私どもとしての願望はありますけれども、その処理方については決まっていないというのが正確なことであろうかと存じます。
○穐山篤君 いま総裁の話では、前回たな上げをして特別勘定になっている。しかし、五十五年から六十年までおおむね一兆円に近いものがまたたまっていくわけですね。いまのお話でいきますと、六十年までに経営改善計画を行って、言うところの三十五万人体制にすることがいま急務であって、多分四、五兆円ぐらいたまるであろう累積債務については、その処理が決まっていない。言いかえてみれば、そのときに政府が何らか決めてくれるだろう、そういうお気持ちでいま五兆円というお話が出たのか。いま私どもの希望があるというふうなお話がありましたが、その希望というのは、六十年国鉄の財政再建の暁には、これは国鉄の責任でなくて政府の責任で処理をしてほしいという意味であるのかどうか、その点もう一遍確認をしておきます。
○説明員(高木文雄君) 現在の計画では、残念ながら六十年まで毎年一兆円近い赤字が単年度で発生するだろうというふうな計算になっております。ただ、内容的には非常に違ってまいりまして、現在では毎年運営しております鉄道の収支に差額がございまして、その赤字のウエートが六割から六割五分ぐらい占めておるわけでございますが、いまの計画を計画のとおり実行いたしますと、幹線では収支が均衡できるだろうといいますか、しなければいけないという前提でございますので、地方交通線につきまして約二千五百億から六百億円ぐらいの赤字が六十年時点で出るだろう、それから退職金と年金のうちの異常負担部分に伴うところの負担が七千七百億円ぐらいになるだろうということで、一兆円と申しましても赤字の中身というものはすっかり変わってくるわけでございます。
 そうした状態において、どう処理するかということにつきましては、政府で御苦心いただいておるわけでございますが、やはりその前には、特に年金の問題の恒久的処理というようなことが決まってきませんと経過期間の処理もなかなか決まってこないのではないかと思うわけでございまして、現時点で政府としてその経過年度中の赤字処理についての方針を決めかねるというのもまことにごもっともなことだと存じますので、私どもは年金処理がどういうふうになっていくかということをまず決めていただくと同時に、経過期間中の処理の問題もせっかくお願いをいたしたいとは思っておりますが、政府側のお考えもまことにごもっともでございますから、いまは、そのときまでは御方針が決まるのを待っておるという以外に仕方がないのではないかというふうに考えております。
○穐山篤君 若干の経過期間中の措置だとか年金の取り扱いということが仮にあったにしてみても、金額の上では私は大同小異だろうと思うのです。運輸大臣としては、何兆円というふうに別に確定をしているわけではありませんけれども、多分四、五兆円ぐらい、これから節約を、仮に合理化をしたとしてみても、累積赤字は四、五兆円になる可能性を持っているわけですね。国鉄は、本来累積債務ですから返さなければならない責任を負っているわけですけれども、いまのようなお話です。監督官庁としては、この累積債務をどういうふうに最終的に処理をしなければならぬと思っているのか。あるいは、それをやるためには何らかの前提条件が必要になってくるだろうというふうに思うのですが、その点いかがでしょう。
○国務大臣(塩川正十郎君) 確定的な対処方針というものはまだ決定したわけではございませんが、仰せのように、六十年までにまだかなりの累積赤字がそこへ累増されていくという見通しは、これは否定することはできないと思うのであります。その累積されていくであろう中身を見ます場合に、新線建設に伴います、すなわち東北、上越新幹線とか、あるいは青函トンネルの開通に伴います負担増、こういう資本費の増加の分につきましては、これは新規の一つの赤字要因といたしまして財政当局と十分に相談をいたしたいと思っております。これは六十年をめどにいたしました経営改善計画の中には実は含まれておらないものでございますが、新しくこれが国鉄の経営を圧迫することは当然であろうと思いますので、そのように別個の問題として財政当局と協議いたしたいと思うのであります。
 それともう一つは、特定人件費、共済の負担も合わせてでございますが、この赤字が、本年度一兆八十三億円赤字を出しました中におきましても約三〇%近くこの特定人件費からくる赤字が含まれておるのでございます。これにつきましては、国鉄の経営努力だけではいかんともしがたい要因を含んでおりますので、この特定人件費の問題についても財政当局と相談をいたさなければならないと思っております。
 それ以外に、いわば営業から出てまいります純損失の積み重ね、これはもう極力、全力を挙げて食いとめていかなければならぬ。私はそういうものの増加に見合うものについては、不動産の処分をするとか、あるいは現在経営改善計画で示されております合理化、これの上にさらに上積みした、さらに一層の合理化をしていかなければならぬ、こう思うのでございまして、先ほどお尋ねの六十年までの累積対処ということについての明確なことは申し上げられませんが、この経営改善計画を承認いたしますときに、すでに六十年を見通しました当時考えておりましたことを要約いたしますと、そういうことで対処いたさなければならぬ、こういうことでございます。
○穐山篤君 膨大な借財を国鉄は構造的に背負っているわけですね。営業上の純損失を国鉄の自助努力あるいは合理化などで何とかしなければならぬということはわかりますけれども、この構造的に背負っている分についての処理というのはなかなかむずかしいと思うのです。
 いまも大臣からお話がありましたが、六十年までの当初の経営改善計画によりましても、これは幹線だけが黒字になっている。赤字は地方線だとか特定人件費を含めて、これまた六十年以降も累積をしていくわけです。どんどん累積をしていくわけです。その上に東北新幹線と、鉄建公団から多分引き受けることになります上越新幹線の問題がこれに加わるわけですね。東北新幹線と上越新幹線が営業開始をしますと、それぞれの新幹線は収入を得ることになるでしょうが、在来線は減収になることも当然推定ができるわけです。青函トンネルも、これも一説には七百億円ぐらいで借りるというふうなお話がありますと、もう財政的には全く疲弊しこんぱいをしております国鉄が、また新しい赤字要因を背負っていくことになるわけです。がんばれがんばれと言ってしりをたたいてみたところで、子や孫の代までこの構造的なものを背負っていかなきゃならぬという、こういう問題について、少なくとも政治の土俵の中で問題を解決していく必要があるだろうというふうに思うのですね。
 そこで、いま大臣が言われました、たとえば東北新幹線、上越新幹線、青函トンネルなどのいわゆる資本費の部分について、どうするというふうな考え方はまだ立っていないのですか。
○説明員(高木文雄君) 私どもの考え方では、六十年時点というのは非常にぐあいの悪い時期でございます。と申しますのは、東北、上越新幹線がようやく動き出すか、上野駅開業なり東京駅開業なりということで完全な形で動き出すかどうかという時点でございますので、恐らく六十年度という年は、大変この新幹線にとっては経営がうまくいかない年だと思います。その時点におきましてどのような収支見込みになるかということは、まことに申しわけございませんけれども、まだ明確になっておりません。在来線も含めてどういうことになるかということは必ずしも明確となっていないわけでございまして、私どもが払います利息、それから償却費、それから鉄道建設公団にお支払いいたしますところの公団借料等を合わせまして約四千億ぐらいの資本費負担が単年度に発生するのではないか。それを営業収入の方で経常経費を払いましたあとどのぐらいわれわれの運営で採算し得るか、在来線も含めてどうなるかということが大問題であるわけでございますが、とてもそれは六十年時点では負担できません。
 ただいまの長い見通しては、十年以上、十五年ぐらい経過時点で採算バランスがとれるかと思います。東海道新幹線の経験、あるいは博多までの経験から申しましても、それほどはうまくいきませんけれども、十五年ぐらいであればバランスがとれるかと思います。そこで、この問題につきましては、もう少し収支見通しを明確に立てました上で、政府と御相談して処理方をお願いしたいと思っております。
 一方、青函トンネルにつきましては、先ほどお触れになりましたように、七百億ないし八百億の償却負担、利子負担が、と申しますよりも公団借料負担が出るわけでございますが、この方の運営費については、現在の在来線、主として船舶でございますが、在来線と比べましてさほど多くの収入増が期待できませんので、この分はやや永久的に採算がとれないという計算になろうかと思っております。
○国務大臣(塩川正十郎君) 先ほどの御質問を聞いておりますと、非常に悲観的な御質問でございますが、私は、先ほど総裁が言っておりますように、この六十年度のめどというのを国鉄の経営基盤をつくるということに重点を置いておりまして、とりあえず幹線だけでも、幹線がいま赤字でございますから、この幹線だけでも黒字にいたしたい。それの波及効果をローカル線にも及ぼしていきたい。この赤字を解消する、これを黒字に転化したいということがわれわれの念願でございます。新幹線も、先ほどの説明と重複いたしますが、初期投資の償却が余りにも膨大でございまして、これによるところの累積赤字が重なってまいりますが、しかし、これは経過年数半分以上経過してまいりますと経営も比較的楽になってくる。
 六十年度のめどを見ました場合に、一番問題となりますのは、特定人件費と言われておるものが非常に大きくなってくる。この五十六年度の経営改善計画発足当時約三千億円ほどの特定人件費が、昭和六十年度には七千七百億円になってくる。この赤字を実は心配をいたしておるのでございますが、これにつきましては、六十三年、六十四年ごろで一応のいわば退職の密度というものが薄くなってまいりまして、これ以降、六十三、四年を一つの転機にいたしまして退職金負担というものは非常に軽減されてまいります。
 その経過をずっと見てまいりますと、昭和七十年ごろに見まして、経営は、幹線並びに地方線の経営基盤が固まったといたしますならば、七十年ごろにおいては、いわば資本費、現在の新幹線等に投下されております資本費の負担というものにたえ得る力が出てくる、こういう見通しを持っておるのでございまして、したがいまして、この六十年を一つの絶対的な合理化の基盤とし、それからさらに十年を見越したいわば予測というものをわれわれはつけ、その予測に一つの施策を盛り込んでいかなければならないと思っておる次第でございます。
○穐山篤君 大蔵大臣、いまお話を聞かれておわかりのことと思いますが、国鉄側の経営改善計画でいろんな努力をしなきゃいけないでしょう。そうであったとしてみても、六十年現在で四、五兆円の累積債務を新しくまた持つわけですね。それから東北新幹線、上越新幹線、青函トンネル、本四架橋と、大きい事業を逐次国鉄が引き取って営業開始をするわけです。いま国鉄側のお話によりますと、単年度四千億円ぐらいの推定赤字が出る。そのほかに青函トンネルの借り料というものがあるわけですけれども。
 こうしますと、国全体の計画から言いますと、まあ長期計画、中期展望いろいろ努力をされます。いよいよ国の財政再建が三年間で終わったといたしましても、この構造的な何千億円という債務が、赤字がもう予定をされているわけです。どんなに努力をしてみても、単年度四千億円とか、あるいはもうかるところと差し引きいたしましても、二千五百億円ぐらいの構造的な新幹線を営業したために生じた赤字というのはそのまま続いていくわけです。そうなりますと、これは単に国鉄の問題だけでなくして、国の長期的な財政再建、そういうものとつながりを持った計画にしなければ、これはもうつじつまがどうしても合わないんです。
 そこで大臣に聞くわけですが、いろいろなプロジェクトができていいことはいいのですけれども、こういうふうなもう完全に構造的に政策的に赤字になっていくようなものについての取り扱いです。財政上の取り扱いをどうしたらいいか。叱咤激励をすることは結構ですけれども、どうしようもないんですね、財政的に言えば。まあ新幹線をつくるときにはそれぞれ署名したり陳情したりして一生懸命につくらせるわけですけれども、国の財政、国鉄の財政基盤のことを考えてみますと、全く暗然たる気持ちにならざるを得ぬ。そこで、まとめとして、大蔵大臣としてどういうふうにその辺のことを理解されるのか、お伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 全くそのとおりでございまして、私は同意見なわけでございます。
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
新幹線をつくることは、いまの技術ですから、金さえ出せばつくることができます。問題は経営の問題でございまして、だれが経営するのか。それはそのまま国鉄におっつけて、それで赤字をつくるなど言ったって、最初からもう赤字はわかっているわけですから、それは国鉄のせいにするわけにはいかない。したがって、われわれは赤字をつくらないと言う以上は、やはり採算のとれないところは新幹線は引かない、これが一番簡単明快なわけであります。しかし、それでも何でも新幹線は引くんだ、引いてくれと言うのであれば、だれがそれを負担するんですかと、その取り決めをしてもらわなければ私は困ると思うのです。
 乗客に全部持たせるといっても、これだけ飛行機と自動車が発達して、それはもうめちゃくちゃに上げちゃったら乗る人がない。それでまた赤字が出ちゃう。ですから、地元で引けと言った人に持ってもらう、それが一番いいのじゃないか。引けと言った人に持ってもらう。その人も持てないと言うのであれば、国民全体として、乗らない人も税金を納めた以上は、国鉄が赤字になれば国鉄だからといって国有鉄道ですし、政府が保証するので金借りるのですから、穴埋めするのですから同じことなんですよ、これは。ですから、そういう場合には本当に国民が増税をしてでも新幹線を引いてもらいたいとみんなが言うのなら、それも一つの方法。ですからこれは大きな国家的課題であって、われわれは財政再建の途上においては、少なくとも新幹線をこれ以上その根本問題が解決しないで新しくどんどん敷設をするということには賛成いたしかねます。
○穐山篤君 いまの大蔵大臣の見解に対して不満のような顔をした大臣もおるようですが、これは国の財政、国民の税金の負担という面から十分に考えてもらわなければならぬ。これは後ほども触れますけれども、やっぱり六十年時点においてまた新たな発想を提示をしてもらわなければならぬだろうというふうに思います。
 次に、いわゆる特殊法人の問題に移りますが、これはきのうもきょうも同僚委員から指摘をされました。少なくとも特殊法人の問題は長年の懸案だから、これぐらいはすぐやったらどうかというお話があったのですが、中曽根長官のいままでの御答弁では、これから十分に慎重に検討するということで、来年から直ちに実施をしますという御返事をもらっていないのです。これでは行財政改革に取り組む政府の姿勢というものが不十分だという意味で、私は一、二代表的な例を申し上げておきたいと思うんです。
 特殊法人の役員の問題、五十二年の十二月二十三日の閣議で役員の選考という問題が決まりまして、それから四年間たっています。それから昭和五十四年十二月十八日の閣議了解でも役員の選考基準の運用方針というものが決まって、すでに二年を経ようとしているわけですが、役員の問題それすらも全然進んでないんですね。資料が皆さんにお渡りになっていませんから、私が簡単に読み上げてみます。
 建設省関係の住宅公団、いわゆる役員が十五名ですが、天下りが十三名、内部登用が二名です。道路公団は、ここは少し研究が進んでおりまして、役員十四名のうち天下りが八名、内部登用が六人。首都高速道路公団は、役員九人のうち天下りが八名で内部登用一名。農水省の農用地開発公団、役員八名のうち天下りが八名、これは全員ですね。畜産振興事業団、役員八名のうち天下り七名、内部一名。こういうふうに、いままで予算委員会で指摘をされた公団あるいは各委員会で指摘をされました事業団、さらには決算委員会で再三指摘をされたところが少しも直っていないんです。これでは行財政改革に命をかける言ってみても、これは証明にならないわけですよ。
 それから安恒委員からも指摘をしましたが、役員一名に対して職員一名とか職員二名というのがありますね。資料の二枚目です。わかりやすいという意味で各特殊法人全部欄を整理をしてみたわけです。役員一に対して職員一というところが三カ所ありますね。職員十人以内で役員一名というのがそこに記載をしてあります。百万円近い月給の人が一人で、十二、三万円の職員の人が一人で、何億円、何十億円、何百億円という事業をやっているということ自身が非常に不思議でしょうがない。
 総理、この資料をごらんになって、少なくともことしじゅうかあるいは来年に何とかしなきゃならぬという気持ちは起きないでしょうか。総理にお伺いをします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 特殊法人の役員の選任のあり方、それから現在の役員構成、そういう問題は、これは前々かう国会でも御指摘になっており、政府におきましてもこの点は何とか改善をしなければいけないということで取り組んできたところでありますが、いま穐山さんがおっしゃるように、ここ一年なり一年半の間にこの問題を行革の趣旨を踏まえて抜本的に改善できるかどうかということになりますと、これはもう申し上げるまでもなしに、役員の任期その他もございます。いままで再任をするとかあるいは長期にわたる者でありますとか、そういう者はこれを避けるようにという方針を立てまして、その線で努力をいたしておりますが、任期途中の者につきましてはなかなかそれは困難な事情もございます。しかし御指摘の点はごもっともでございますから、私どもこの特殊法人の役員問題、またその構成、こういう問題につきましては御趣旨に沿うようにさらに努力を重ねてまいりたいと思います。
○穐山篤君 従来の御答弁の中になかったことをいま総理大臣言われたわけです。それは、任期の途中で首を切るわけにいかない、まあ私どももそう思いますが、年内にあるいは年度内に任期が来る者、あるいは来年任期が来ておやめになるところでは、必ず内部の登用なり民間の登用をして血の入れかえをするというふうに理解をしていいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 八月二十五日の内閣の決定で、五十九年までに役員は二割これを切る、そういう方針を決めておりまして、その方針で内閣官房の方でいま鋭意各省ごとの割り当てと申しますか、あるいは特殊法人一つ一つについて精査しておりまして、ここは何人、ここは何人という数字をいまつくっておる最中でございます。したがいまして、それを実行していく過程において任期の来た者はもう再任しないとか、あるいは任期中でも年をとった者はやめてもらうとか、いろんな機宜の処置をとって五十九年までに二割減らすということを断行したいと考えております。
○穐山篤君 実は、そこがみそなんですね。二割減らすということは、まさか総裁、理事長という者をやめさせるわけにいきませんから、実質は二割でなくて、三割なり四割になるわけですね。役員の数をできるだけ小さくするということはいいのですが、それだけまた天下る競争が激しくなる。言いかえてみますと、天下り以外は役員になれないという逆の現象を起こすわけですよ。そこで、数を減らすと同時に、民間の登用なり内部からの登用をやりますと、五十四年で閣議了解がありますように、公務員から天下りをする者はその役員の半分ということを確認をしてもらえますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 特殊法人の役員で天下るという者は五〇%以内にするという目標をつくりまして、たしか、いま五三%前後に下がってきているはずであります。これは閣議でそういう方針を決めたとおり、できるだけ短い時間の間に五〇%以下に減らすつもりであります。
 ただいま見ていますと、民間人で来る優秀な人がわりあい少ないのですね。会社でも半端者で使いものにならぬというような人が、ややもすれば来る危険性がある。あるいはまた特殊法人の内部におきましても、覇気が乏しくて、内部から活用しようと思ってもどうも人がよ過ぎるとかやさし過ぎるとかというので、官庁と堂々と渡り合うとか、ほかの特殊法人と正面から渡り合ってやるというような気 に乏しい人が多いのです、実際は。そういうふうになぜなったかというと、やはり励みがなかったりして、自然にそういうふうに飼いならされてなってしまったという面もありまして、必ずしも内部から登用するのがいいとは限らぬという人材の状況が、やはり遺憾ながら現実であります。
 国の税金を使い、あるいは国のおかげをこうむってやっている以上は、やはりしっかりした人間になってもらわなければ困るのでありまして、しっかりした人間で、それじゃどっちをとるかという場合には、もちろん民間の方をとり、内部から登用いたしますが、やはりその点で甲乙があるという場合には、実力のある方を天下りであってもやむを得ずとるという場合もある、そういう点もひとつ御了解願いたいと思うのであります。
○穐山篤君 わが田に水を引いたような話をやられても困るんですよ。少なくとも、特殊法人の問題は前から問題になっていて、毎年毎年閣議了解とか閣議決定とか、いろんなことが積み重ねられているわけですね。それは門戸の開放をきちっとして、出るくぎは打たれるかもしらぬけれども、出てこいというふうにしなければ、これは門戸の開放にならないと思うのですよ。
 そこで、若干大臣にお伺いしますが、私は先ほど資料を配りました。たとえば農林水産省でも、自分の関係するところで半分の、たとえばいままで十五人あった役員の数が十名になる。十名のうち、半分は天下りでも専門家という意味でやるにしてみても、あとの半分は民間の登用あるいは内部の登用でひとつやってみよう、こういうお気持ちがありますかどうか。農水大臣、一番手近におりますからちょっとお伺いします。
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど来行管長官からもるる説明がありましたとおり、なかなかこれは期限がございまして、たまたま私の在任中にちょうど任期交代というような時期がある場合と、なかなか順番が回ってこないという問題もありまして、規則でそのように決められておりまして、内部登用さらには民間登用という線は、必ず人事ごとに事務当局を督励してやってきております。
 ただ、特殊法人の性格上、公共事業等の仕事をやります際に、請負関係といいますか、契約関係をやらにゃならぬという場合があるわけでございます。たとえば農用地開発公団なんかという場合には、民間の人を登用するということになりますと、どうしてもその業界関係の関係者が候補に上りやすい。そうしますと、どうしても内部にそういう業界の民間人を置いておくというのは公平上うまくない、こういうことでやはり公平な仕事をしてきた公務員の諸君を使った方がいいというような例もあることをひとつ御理解をいただき、そういうところはできるだけ内部登用ということでやってきておるわけでございます。さらには、この間統一しました蚕糸事業団等につきましては、民間の団体からも登用をいたしてきているところでございます。
○穐山篤君 総理、先ほども申し上げましたように、実を上げるためには何といっても政府自身が範をたれるということでなければ、行財政改革に私はならないと私は思うのです。総理は常に述べられているわけですが、少なくとも高度成長時代に肥満化したものについてできるだけ整理整とんをしていくんだ、こういうお話をしきりにされるわけですが、現実の処理としては全然そういうふうになっていないわけですよ。当委員会でも同僚委員から一番指摘をされておりますのは、この特殊法人の問題であったりあるいは補助金のあり方の問題なんです。少なくとも来年度からはその精神を生かして手をつけていくという、その決意がぜひ欲しいと思うんです。抽象的に慎重に対処するというだけでは、われわれを含めて国民は絶対に承服できないというふうに思いますが、特に特殊法人の問題についてもう一度総理の考え方を確認をしておきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 特殊法人の問題につきまして先ほど来いろいろ御意見がございました。大平内閣当時に決めました十八法人の問題につきましては、あの方針に沿いまして鋭意統廃合を進めておるところでございます。なお今後の、残余の現存いたしますところの特殊法人等の問題につきましては、せっかく臨調でもこの問題に焦点を当てて御検討いただいておりますから、その答申を待ちまして取り組んでまいりたい。
 また、穐山さんが先ほど来お触れになりましたところの役員の人選あるいは役員構成その他の問題につきましては、御趣旨の存するところはよく私も理解をいたしておりますから、できるだけそういう方向で努力をいたします。特に、先般閣議で決定をいたしました特殊法人の役員を二割削減をするという問題につきましては、これはぜひ実行に移していきたい、このように考えております。
○穐山篤君 さて、そこで具体的な例として、農水省関係になるわけですが、畜産振興事業団のことについてお伺いします。
 畜産振興事業団はいろんな事業をやっています。そのことは十分にわかりますが、その中で似たような仕事がたくさんあるわけですが、そういうところに出資が、ある場合には一〇〇%、ある場合には二五%というふうに、仕事の量、質を見て出資がされているだろうと思うんですが、ちょっとお伺いをします。
 全日本卵価安定基金というのがありますね、それから全国鶏卵価格安定基金というのがあります。前の方に申し上げました卵価安定基金の方は事業団からの出資が一億円ですね。その事業の経理割合からいいますと約二五%、四分の一です。役員が一人で職員が一人ですね。これは確認してもらえますか。それから、同じく全国鶏卵価格安定基金というのがありますね。これは卵の値段を両方とも安定させる基金ということでしょう。出資が一億五千万円、出資率が一五・五%、役員二名で職員五人、こういうふうに書かれているわけです。
 これは卵の価格安定のために基金制度が持たれているんですが、どうしてこの二つの基金がなければ運営がやっていけないのか、その点をお伺いします。
○政府委員(石川弘君) 卵の価格安定事業につきましては、御承知のように、当初全農系を中心といたしまして卵価安定基金をつくっておりまして、それに対して事業団は必要な出資をいたしたわけでございます。畜産はすべてそうでございますけれども、一つは、いわゆる総合農協系と申しますものが主力となってやっておりまして、もう一つ、どちらかといいますと企業的色彩の強い専門農協というものがございまして、その専門農協がもう一つの分野を担当しているわけでございます。
 この卵価安定基金につきましても、当初、全農を中心といたします総合農協系に統合してやるというようなこともございまして、二億五千万の出資をいたしたわけでございますけれども、やはり企業の経営の仕方と申しますか、組合運営の仕方につきましてそれぞれの主張がございまして、なかなか一本化することが困難でございまして、昭和四十一年でございますが、そういうことで企業的養鶏をなさいます方がいわゆる全鶏連という組織をつくりまして、そこでやはり自分たちの趣旨に合った企業活動をしたいということでございますので、この二億五千万の出資金を分割いたしまして二つの基金に分けまして、現在、両者が互いに競い合いながら鶏卵生産にいそしんでいるというのが現状でございます。
○穐山篤君 時間の都合で全部を言うわけにいきませんけれども、みんな同じビルの中に入っていて適当にやっているわけですね。電話をかけてみますと、若い女性の職員が一人ぽつんとおるだけで、よくこういうものに出資をしているなというこれは素朴な感じです。
 それぞれの基金の任務、役割りというのはわからぬわけじゃないのですけれども、やり方にむだがあると思うんですね。何億円かの事業をやっているのに、女性の一人で間に合うような事業とするならばこれは要らないのじゃないか、あるいは統合したらいい、あるいは事業団がまとめて統合整理してやればいいじゃないか、こんなものはわかり切った話ですよ。一つを二つにいま分けたと言う。逐次これは分割になっていくわけですよ。そういうばかばかしいようなことについて、きょう細かく指摘ができませんが、これは農林水産大臣としても検討してもらわなきゃならぬ。これも慎重な検討というよりも、検討して決断をしてもらわなきゃならぬ、こう思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(亀岡高夫君) 先生御承知のように、日本の養鶏事業は、比較的国の助成等を受くることなく、独自の境地を開いて発展してまいった面が多いわけでございます。特にこの団体関係の努力というものは日本農業の中では非常に大きいものがある、こう思うわけでございまして、そういう中でのやはり団体の独自の活動に沿った制度というものができておりますことは、ただいま畜産局長から申し上げたとおりでございます。
 しかし、確かにこの国際競争の激しい中で発展をしていかなければならない日本農業の宿命として、合理化を図り、近代化を図っていくということは避けて通れない道である、こう考えますので、御趣旨の線をしっかりと検討してみたい、こう思っております。
○穐山篤君 毎年検討というようなお答えなんですが、少なくとも財政再建期間中に必ずその一省一省は改善措置をとるということを私は厳しく要求をしておきたいと思うんです。
 さて、そこで次に進みますが、大蔵大臣にお伺いをしますが、最近の税収の状況ですね。それから衆議院で、ことしは災害が多かったということで歳出についての多少の手違いといいますか、新たに歳出を考えなければならない金額の明示があったわけですが、その後の状況を含めて、歳入の状況、歳出の状況をお伺いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 歳入は新聞でも報じておるとおりでございますが、大体八月末、九月末の税収というのがそれぞれ予算対進捗割合でマイナスの二・七、二・九というように実は予定よりも少なくなっておるわけでございます。もしこのままでいくとすれば非常に困った問題が起きるわけでございますが、八月のビールなどはかなりいい売れ行きであった、蔵出しの関係は。しかし、税収面ではまだ上がってきておらない。したがってよくわからない。九月決算というのがございますが、法人税もこれが十一月末の締め切り、したがって早くとも十二月の半ばぐらいにならないと前半のことの全貌は実際わからないのであります。
 しかし、いずれにせよ、予定した歳入以上に出る見込みはよほどの問題が何か起きない限りは、まずまずないのではないか。多少足りなくなるかということは懸念されるが、年度内の自然増収はいまのところはまず考えられないということが一つでございます。
 歳出の問題につきましては、ことしは災害が非常に普通の年より多くございまして、総被害が八千億とも言われ、一兆円とも言われ、全体的には正確なことはつかんでないわけでございますけれども、そういうように災害が非常に多い。これは一年で全部それを復旧しちゃうというわけではございませんけれども、緊急を要する問題があって、川のようなもので堤防が決壊しているとか、道路が交通途絶だとか、そういうようなものはいつまでもそのまま置くことはできません、これは。災害とかそういう問題があるときに、お国とか県とかが住民に安心をさせるということがやはり一番大事なことだと私は考えておりますので、災害に対してはいかなる経費よりも最優先でできるだけ対処するというのが政治の役割りではないか、こう思っております。
 なお、災害がありますと、表面上の問題だけでなくて、保険つまり農業共済というようなものから何百億という金が出るわけであります。これも実は去年が大凶作でございましたが、残念ながらことしも不作という地方がございまして、この方にも多額の金がかかる、こういうようなことであります。したがって、そういう経費は通常追加的にふえる経費のほかに、ことしはそういうような異常な事態で追加財源が必要になってくるという見通してございます。
○穐山篤君 いま税収のお話と歳出の予想せざる増加のお話がありました。そこで、今後にまつわけですが、経企庁長官にお伺いをしますが、当委員会でもしばしば景気対策を講じているのでこれからは景気は上向きになるだろう、したがってこれからは内需の拡大にかなり注目してもいいのではないか、またそう期待をしたいというふうに言明されておりましたが、今日の状況ではその辺の見通しはいかがでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) 景気は徐々にではありますけれども回復の方向に進んでおります。本日も月例経済報告会を開きまして、その方向、内容を明らかにしたわけでございますが、ただ、物価が非常に安定をしてまいりましたので、実質経済成長はほぼ五%前後で進んでおりますが、名目成長の方が当初の予定よりも相当落ち込んでおります。当初一一%強の名目成長と考えておりましたが、九%前後あるいはそれ以下の成長になるのではないかと、このように思われます。そういうことから若干税収等に影響が出てくるのではないかと、このように思いますが、何分にも年度の途中でございますから、いま大蔵大臣が言われたとおりだと思います。
○穐山篤君 年度の途中だからまた全体を見るのには早過ぎる、こういうお話がありましたが、しかし長官ね、これからの名目的な所得がふえるチャンスというのは来年の春闘まではないですよね。これは具体的な事実として言わなきゃならぬと思うんです。それから、名目的に所得は少しは上がりましたけれども、実際に使います可処分所得はここ数カ月マイナスの傾向を示していて、個人購買力というのは非常に弱い。それから外需の問題につきましても、資料で見ますと輸出の成約の伸びが鈍化しているから景気がどんどん上っ調子になるということはない、そういうかげりが片方あるわけですね。それから、アメリカやヨーロッパから日本は黒字でだぶついているから解消しろという外圧もあるわけです。非常にむずかしい状況にあると認識しなければならぬと思うんです。それらの問題についてここでやりとりする時間はありませんが、総じていま考えてみるならば、そういう景気対策を十分片方では考えなければなりませんが、国の財政全般の見地から言いますと、税収を含めた歳入対策を一遍この辺できちっと見直しをする必要があるだろう、こういうふうに考えるわけです。
 そこで大蔵大臣、具体的にお伺いをしますが、税収対策というものも含めて歳入対策ということを考えなきゃならぬと思うのです。卑近な例でありますが、そんなに国が困っているならば、これはちまたにある代表的な声ですが、交際費の税金の問題は少し考えた方がいいんじゃないかという話が出ていますね、交際費課税ですよ。あるいは宣伝費の問題について、アメリカのテレビ、カナダのテレビをごらんになったと思いますが、向こうでは製品の中身をよくコマーシャルはしますが、企業のコマーシャルというのはずっと少ないですね。日本の場合には品物よりも企業のイメージというものの方がコマーシャルにたくさんのっているわけですから、大分性格が違う。広告費も相当何兆円という金が使われているわけです。これらについて何か歳入対策を考えた方がいいのじゃないか、これもちまたの声ですね。
 競馬につきましては、国がそれぞれ一種、二種を定めて歳入を得ているわけです。それに比較をしまして自転車であるとかあるいはモーターボートであるとか、競艇であるとか、こういうものもひとつ歳入の対策に充てたらどうか。もちろん不公正税制は理の当然でありますが、これほど世知辛くなりますと、現行の税制の中の不公正の問題はもちろんでありますが、もっと幅を広げて歳入対策を考えるという意見は無視できないと思うのです。その点について大蔵大臣の考え方をお伺いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私といたしましては、当然財政を担当しておるものでございますから、財源がなければ歳出はできないわけです。いまのように追加財政需要があることも事実。だからと言って極力私は五十六年度予算におきましても経費の切り詰めというものをやってまいりまして、しかしながら、なかなか半年ぐらいでは長い間続いた制度を直すということもできませんし、法律上の制約もございます。したがってことしはこのような特例法もお願いし、それを契機として来年は層一層ゼロシーリング予算で経費の切り詰めを行うということで目下やっておるわけでございます。
 しかし何といっても、ゼロシーリングを言いましても、それは来年の税収が中期展望で予定した程度のものが入らなければさらにそれでも不足をするわけでございます。したがって、そういう場合にどうなるのか、もう少し財政というよりも景気の展望が明らかにならないと予算の規模が決められないという問題があります。しかしなかなか、経費は極力私は切ってはおるのですが、どうしても高齢化社会を迎えるというようなことで切りきれないものももちろんあるわけでございます。ただ、ここで私は安易に増税をするということは歳出カットの意欲をなくすというようなことでございますから、それはやらないということであります。
 しかしながら、いま言ったように、歳出を削るということは、いままでもらっていたところを切り離すわけですから、人によっては痛みがあるのは当然でございます。したがって、いわゆる不公平と言われる税の制度、執行面には毎年メスは入れておりますが、これもさらに厳しく見直していこう。その一つとして、交際費については現行でも、本来から言えば交際費というものほかかっただけ認めるというのが本来の措置なんです。しかしながら、それを特別措置で認めないということにやってきておるわけですが、さらにそれを一層強化をしようということを考えております。
 ところが、交際費を抑えつけると、交際費と広告費というようなものは入り口は別だけれども中ではつながっている部分もございまして、例がいいか悪いかわかりませんが、昔の銭湯屋の男湯と女湯みたいなもので、入り口は別々だけれども中では水がつながっている、片方を押えつけると片方へ水があふれていくというようなU字管現象みたいなものでして、そうなると、片方が手放しになっているということはいかがなものかという問題が、これは識者の間で議論をされておるところでございます。これはわれわれといたしましても研究は十分にしなきゃいかぬかなと、そう思っておるわけであります。
 ギャンブル税の問題についても、これもよく言われていることであって、ただ取り方をどういうふうにするのか。日本のたとえば競馬等では二五%一応取って、その中で運営しておるのでございますが、そこの中から納付金をことしはちょうだいをいたしました。しかし、それをもっと競馬ばかりでなくて競艇とか競輪とか、そういうようなものにも納付金が何かできないのか、できないとすれば何か方法がないのかというようなことでございますので、これは増税するというわけではありませんが、研究させてもらいます。
○穐山篤君 大蔵大臣、しばしば新聞はかなり精度の高い情報を国民に送っているわけですね。けさの新聞にもいろいろ書かれていますが、国民の立場から言いますと、政府は本当に不公正税制なり歳入対策について何を考えているかということが、かいもく見当がつかない。まあ風が吹いてくると少し風に当たるような感じの記事が出てくる、余り風が強いと大蔵省はずっと引っ込んで物も言わなくなる、こんなような感じのものが非常に多いのですよ。
 そこで、具体的にお伺いをしますが、臨調はこういう態度を圓城寺さんが述べられているんですよ。もし大蔵省が減税の問題について、あるいは不公正税制などについてやらないとするならば、事柄にもよるけれども、臨調も考えなければならぬのかなと、こういう積極的な御発言があったわけですが、これは臨調にお任せするという性格のものじゃないと思うんです。大蔵大臣としては税制調査会にこういうものをひとつ諮問をしてみようと、来年の歳入対策、税収対策に当たりたいという意味である一定の事柄を考えていると思うのです。そのことについてもう少し砕いて話をいただきたいと思うのです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いま私の言ったようなことは、これは本当に私はまじめに研究しているんですが、それはやっぱりいち早くこの法律案を通していただいて、それでまず歳出カットを第一に、歳出の節減ということをまず第一義的にできるだけ精魂を込めてやらしていただく。そうして、それでもいろんな財政の見通しが思わしくないという場合には、これは背に腹はかえられないこともあろわけでございまして、それにはもう何といっても早く国会をおやしていただかないと時間的な問題もございますので、一刻も早くひとつこの法案をまず成立をさせていただきたいということをお願いをしたいと存じます。
○穐山篤君 同僚委員からも指摘が再三あるわけですが、少しお伺いします。
 グリーンカードの問題は、いろいろのやりとりがあったにしても、五十九年に発足しますね。
 それから社会保険診療報酬の、例の特例の問題です。これも前回改正をしましたが、現実に種々問題が残っているわけですね。この点についてもう一遍再検討をする用意があるかどうか。
 逐次いきます。各種準備金の問題について相当国会の中で議論がされました。これについても思い切った措置をとるべきだというのが国会全体の意思だというふうに思います。この準備金の数は膨大な種類がありますから数多く申し上げることはできませんが、たとえば特定ガス導管工事償却準備金というふうなものがあるわけですね。それから試験研究のための税額控除の問題もあるわけですが、これももうこの辺で廃止、検討をすべきだと思うんです。
 それで、技術などの海外所得の特別控除の問題があるわけですが、これも当初ならばともかく、かなりもう日本は実績を積んできたわけですから、これももう考えなければならぬ問題だというふうに思います。
 それから、特別償却及び割り増し償却制度というのが飛行機だとか船舶にあるわけですが、これも今日の段階では、もう存続をしていくということは優遇になり過ぎるというふうに思うんです。
 それから引当金の問題です。貸倒引当金、退職給与引当金、賞与引当金、こういったようなものについて具体的に、時間がありませんからそう長い説明は要らないと思いますが、もうこの辺で決断をしなければならぬ。特に財政再建を目の前にして、いま大臣も言われておりますように何とかしなければならぬときにあるわけですから、以上の問題についてひとつ見解をお伺いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いずれも私はごもっともな御意見と存じます。極力それらの問題については国会終了後、具体的に検討をさせていただくつもりでございます。
○穐山篤君 それに関連をして、例の所得税減税の問題が衆参両院で出されております。それについての政府側の態度は一貫してノーという態度であります。これは見解の相違ということになると思いますが、最近有権者あるいは納税者の意識の中に、物価調整減税という、名前が適当かどうかはわかりませんけれども、金が余ったから減税をするというふうな政策的なものでなくして、制度として減税という制度があっていいじゃないかとか、それは有権者といいますか、納税者の権利として所得税の減税があってよろしいというふうに、最近少しずつ意識の革命が納税者の間で広がっているわけです。この問題、この点について大蔵大臣としてはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一時、世界的風潮としてそのような考えがあったことは事実でございます。ところが、いわゆる物価が上がれば減税をする、自動的に、半自動的にやるということは、ややもするとインフレ抑制というところに緩みが出てくる危険性がございます。イギリスなどはいい例でありまして、結局物価が上がった、それ以上にベースアップをやった、それで減税も自動的にやったという結果はインフレ助長。結局インフレにまさる減税もベースアップもない、結局インフレが一番だ、したがって追いつくことができない。こういうような結果、大量の失業という問題が起きて、サッチャー政権は正反対の政策をことしからとっておるわけであります。一応経験済み。
 調整減税をカナダもやっておりますが、あの資源大国も一〇%余のインフレと、それから七%台の失業という問題に悩んでおって、どういうわけか、直接の関係はないにせよドイツと日本は調整減税をやっておらないわけでありますが、これは物価、失業ともに日本はいまのところ一番いいわけですが、それはインフレも低くて済んでいるというようなことでありまして、私としては、したがってインフレになったから自動的にという考え方はどうも賛成しかねる。一遍ほかの国でもやってはみたが、結局イギリスのようにやめるというところもございますものですから、これは慎重に扱ってまいりたいと考えております。
○穐山篤君 慎重に取り扱うことはいいのですが、再三指摘をされておりますように課税最低限が変更がないんですね。実質的にはどんどん増税、重税をされているわけです。いままで所得減税だとか、今回もミニ減税を行いますが、それは政策的な面の減税ですよね。そういう政策的な減税というのは当然だというふうにみんな納税者は考えるし、またわれわれもそのことを前から主張をしてきたわけです。しかしながら、隠されたインフレ増税が実質的にあるわけですから、それをもとに戻してほしいという、その税を納める人の気持ちというものも、これは政治の問題として考えなきゃならぬ。そこで、納税者の中にはもはや、物価調整減税という名前が適当かどうかわかりませんが、途中途中で減税を行うのは納税者の権利である、そういうふうに意識が高まっているわけです。このことを無視をしますと、結局、重税感、不公平感のあります今月の税に対しまして、それならばおれは節税をしていく、あるいは脱税をしていく、そういう問題に現実に発展をしていることも無視できないわけです。そのことについては見解の相違になりますので、これ以上申し上げません。
 そこで、もう一度歳入対策の分野で確認をしておきたいと思うんですが、最近の実績でも税金の滞納が四、五千億円あるわけですね。これは大変膨大な数字であります。それから最近の査察の結果を見ましても、相当悪質なものがある。それも個人あるいは業種、産業を見まして、毎年似たようなものがある。それについての努力も国税庁は行っている。それから最近新たに創設をしましたタックスヘーブンにつきましても、初年度からごまかしがある。御案内のとおり、昨年の実績でいきましても、タックスヘーブンは初年度の倍額のごまかしが、所得隠しがありましたし、それから納税額も半分しかなかった。それもごく限られた人たちの実調によって生じているわけですね。ですから、そういう問題についても歳入対策としてきちっとやってもらわなきゃならぬ。
 そこで、大臣に強く要求をしておきますと、いま各税務署は自分の要員にかなったような徴税、実調の計画を立てるわけです。したがって、どうしても一〇%であるとかあるいは七%以内の実調率しか上がらない。しかし、その実調率の中でも、脱税にしろ節税にしろ、そういうものについて大いに効果を発揮しているわけですね。その現場の状況と、いま私がそれぞれの所得税なり法人税なりのことについて申し上げましたけれども、もっともっとその分野についての対策を講ずれば、私はある意味の効果的な歳入対策はでき上がる、こういうふうに考えますけれども、その点はいかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これも一々ごもっともなことでございまして、層一層内容、執行体制を充実いたしまして、創意工夫をこらしまして、所期の目的が達せられるように努力をしていきたい、そう考えております。
○穐山篤君 そこで大蔵大臣、まとめのような感じになりますが、財政再建期間中は特にそう考えるわけですが、いままでは国会で予算を議決する、それに基づいて各省庁が執行していく。歳入がどうあろうともと極端なことは言いませんけれども、各省庁は自分の枠というものは、これはおれの枠だ、こういうことで予算の執行が行われている感が非常に強いですね。これでは本当の意味で財政再建というのは私はむずかしいというふうに思うんです。
 そこで、新たな提案になるわけですが、少なくともこの三年間は一遍中間的に歳入と歳出の状況を照らし合わせて、そして金がないから何もやらないという意味でなくして、財政再建をどうやって効果的に進めていくかという意味で、中間の時点で収入支出全体についてチェックをするような、そういう方法をおとりになったらどうだろうか。それも単に大蔵大臣一人でやるのでなくして、閣議全体としてそういうことに当たるというふうな方法はいかがなものだろうかということを注文として申し上げるわけですが、その点はいかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 質問の御趣旨を私は正しく理解できないわけでございますが、各省庁の歳入歳出については、極力それは掘り起こしする際には掘り起こしをするし、それからいろいろな手数料、そういうようなもの等についても合理化を図っていかなきゃなりません。歳出については、これは各省庁とも厳しく行いますが、御承知のとおり、たとえば年金の平年度化というようなものを前年と同じくしろと言ってもこれはできない相談でありますから、そういうようなものは別扱いにしたということはございます。ただ、一律だけというので片方は案外緩いところがある、しかし片方は一律のためにうんときついところができるというようなことのないように、全体の整合性を持たせた予算編成をやりたい。したがって、一応概算要求ではゼロシーリング枠ということでございますが、中身の査定に当たりましては、それは各費目の整合性、それから緩急軽重、こういうものも比較検討して、よくバランスのとれた引き締まった予算をつくりたいと、そう考えております。
○穐山篤君 時間がないのが非常に残念ですが、なお別なときに改めてまたその問題は申し上げたいと思うのです。
 総括の第一日目に野田委員が防衛費の問題について質問をいたしました。なおその問題について政府の見解があいまいでありますので、もう一遍確認をしておきたいと思うんです。
 それは防衛関係費とGNPとのかかわり合いの問題であります。私の計算が間遠いであるならば、これはまた後で御指摘をいただきたいのですが、昭和五十一年度当初予算を提示をしたときには〇・八九九になっていましたが、決算の時点では〇・八八二、五十二年では〇・八七六が決算時点では〇・八九〇、五十三年では当初見込みで〇・九〇二、決算で〇・九、それから五十四年、〇・九〇二が〇・九二四、五十五年は〇・九が決算では〇・九三五と、計算に誤りがなければ、私は以上のように計算したわけです。これは当初予定よりも最近の決算はGNPに対しまして防衛関係費の割合が実績として高く残っているという傾向を示しているわけです。そのことについて防衛庁長官はお認めになりましょうか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 当初と決算の対GNP比率のお尋ねでございますが、ただいま先生、五十一年度から五十五年度まで数字を挙げてお話しくださいました。私どもの計算の結果もそれとほぼ一致しているわけでございます、切り上げ、切り下げの関係はございますけれども。
 ただ、先生の最後のお言葉で近ごろはどうも決算の方が上回るようだと、こうおっしゃっておりますが、私ども必ずしもそうは受けとめておりません。たとえば五十一年度は、切り上げた場合予算ベースが〇・九〇、決算ベースが〇・八八でございます。また五十三年度は当初ベースが〇・九〇、決算ベースが〇・八九でございます。五十四と五十五は決算ベースの方が若干高い、こういうことでございまして、その点はやはり予算の執行の結果と、それからGNPの予算のときに見込んだものと決算のときのは相関関係でございますので、一概にまだ結論を下すのは早いのではないか、そういう感じがいたしています。
○穐山篤君 防衛庁長官ね、来年はゼロシーリングであるけれども、防衛関係費は七・五である。五十八年、五十九年のことはこれからの問題ですから、ゼロになるか七・五になるかはよくわかりませんが、しかし五三中業、五六中業の性格から言いますと非常に費用がふえる仕組みになっていますよね。そこで五三中業では五十八、五十九年で一兆七千から一兆八千億円程度必要であろう、こういう数字を国会では明示をしてあります。当初計画よりも四千億円程度高い数字になっているわけです。それから後年度負担は、御案内のとおり五十八年一兆七百億、以下昭和六十一年まで二兆二千六百億円の総枠が一昨日明らかにされたわけです。ここまでは数字が明確ですね。これからが数字が明確にならないわけですけれども、防衛庁のいまの五三、五六中業の傾向でいけば、少なくともゼロということにはならないと思うんですよ。ゼロということにはならぬ、要求としては。
 そこで、少なくとも五十八年から六十年の伸びを四%に見るか、あるいは五%以上に見るかによって大分違いがありますが、五三と五六中業、それから後年度負担を一応六十年までの伸びを四%にいたしますと、対GNPは〇・九九九という、そういう数字になるわけです。それから非公式な数字で防衛庁も計算をされているやに聞きますが、仮に伸び率を六・四にとりますと、GNP一%を超える。こういうことは五十八年の段階で明瞭になるわけです。
 先日、野田委員の質問に対して、一%を超えるかもしらないというふうなニュアンスのお話がありましたが、過去の国会の論争のいきさつを見ますと、政府の態度としては一%以内に抑えますという、そういう筋で来ているわけですね。なし崩し的にどんどんどんどん防衛関係費が量的にふえていく、GNPに対しましてふえていくということについて、われわれも憂慮しますし、国民も非常にその点不安に考えるわけです。そこで、五十七年度のことは一昨日も昨日もお伺いしましたが、五十八年度とういう計算になるのか、どういう見込みを立てているのか、その点を明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 野田委員の御質問に対しまして、五十七年度の概算要求における後年度負担額が約二兆二千六百億円でありまして、五十八年度の歳出予定額は、現時点における防衛庁の試算によれば約一兆七百億円であるということは確かに申し上げたところでございます。また、五十八年度の防衛費全体はどうなるかという試算についてでございますが、五十八年度の防衛費は、いろいろなファクターがございますとは申しますものの、そのときの経済財政事情等を総合的に勘案して検討さるべきものでございますので、いま五十七年度の概算要求を要求している段階でございますので、また今後の経済見通しについても明らかにされていない現時点で、せっかくのお尋ねでございますが、五十八年度の防衛費の見通しをつけること、また対GNPがどのぐらいになるかという見通しを申し上げることはきわめて困難でございますので、この点の御事情は御理解をいただきたいと思う次第でございます。
○穐山篤君 防衛庁長官、それはそのときになってみなきゃわからぬと言いますが、少なくとも昭和五十五年度の実績でGNPを計算をする方法もあるわけですね。それから経企庁が出しております七カ年計画で何回となくフォローアップしました、これで計算をする方法も現実にあるわけです。それと対照をしまして、防衛庁が五十八年、五十九年以降に考えております防衛関係費というのは、対GNPに対しまして非常に高い比率を示すことになるわけです。そのことは十分認識をしていただかなければならぬと思うんですよ。気持ちの上では景気の上昇を図りたいということはよくわかりますけれども、あるいは国民総生産を上げたいということはよくわかりますけれども、現実にはそう進んでいないわけです。
 そこで、問題にしたいのは、GNPに対しまして一%ということを厳守をするとするならば、五十八年度はあるいは五十九年度は、五六中業というものを含めて防衛関係費を見直しをしなければならぬというふうにわれわれは思うんですが、その点はどうなんでしょう。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 対GNP一%を現在見直す考えは持っておりません。また、五十八年度以降についてでございますが、先ほど申し上げましたような事情でございますし、また次の中業もこれから作業をする、こういう段階でございますので、私ども対GNPの問題につきましても現在の閣議決定をできるだけ尊重してまいりたいと考えておりますが、見通しについて現時点で申し上げることはきわめて困難であるというふうに考えております。
○穐山篤君 これは大事なことなんですが、閣議の決定であります対GNP一%、このことは守っていくということになりますと、先ほど五十五年度のフォローアップの計算、それから五十五年度の実績で計算をしたGNPというものが出てくるわけですね。それで、一%を厳守いたしますということになれば、防衛関係費というのは必然的に財源の面で見直しを余儀なくされるわけです、と私は思うわけです。その際は五三中業及び五六中業についても見直しをするのか。言いかえてみれば、一%以内におさめるためにそれは計画を縮小する、こういうふうに考えていいんですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えします。
 五六はまだ作業中で、できておりませんので、見直すということは考えておりません。
 それから、先生、過去の状況から将来が推定できるじゃないかとおっしゃいますが、経費の性質によりましては過去の傾向をそのまま将来に押し延ばすということにつきましては、いろいろ問題の多い点もあろうかと思うわけでございまして、一概にただ延ばして推定するということにつきましては、慎重に対処しなければならぬ面があると思うわけでございます。
 また、GNPそれ自身につきましても今後どうなるか、また、これは別途検討されておる問題でございますので、私どもといたしましては、そういった点を勘案して今後対処してまいりたいと考えておるわけであります。
○穐山篤君 総理、当の責任者が一%閣議決定についてできるだけ尊重するというふうなあやふやな態度であるのは非常に不見識だというふうに思うんです。少なくともその他の予算について抑え込んでいるわけですから、防衛関係費を含みます。その他の点についても相当努力をしなければならぬ差し迫った時期にあることも当然だと思うんです。なるほど五六中業というものはこれからの問題です。しかし、少なくとも当初の見通し、GNP対防衛関係費というのはしり上がりに実質的に上がっていっているということは、防衛関係費というのはほぼ計画どおり進む。ところが、GNPの方につきましては予定どおり上がっていないために結果としてしり上がりの状況になっているわけです。先ほど河本長官も言われておりましたが、十分期待はしたいという気持ちはありましても、GNPの伸びというものをそう大きく見ることはできないし、三回もフォローアップをしている現実があるわけですね。そうしますと、どんどん――まあどんどんかどうかわかりませんが下がる。そういうことを予想してみますと、五十八年の防衛関係費は少なくとも一%を超える可能性が現実にあるわけです。そのことをいまわれわれが黙っているというわけにはいかない国民的な感情があるわけですが、その点について総理としてはどういうふうに抑えられるのか、明らかにしてもらいたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政問題でございますから、まず私からお答えをいたします。
 防衛力の整備の問題は日本の防衛に関する問題でございますが、これはやはり国際的な西側陣営としての安全保障の一環でございますので、そういう面も考慮しなければなりません。しかし、一方において財政再建を進めていくというような厳しい現実もあるわけでありますから、われわれといたしましては、当面各年度の防衛費の総額というものはGNP一%に相当する額を超えないというこの方針は守ってまいりたいと考えておるわけであります。
 なお、防衛関係費についても、一般の経費と差別することなく、必要最小限度のもの以外は認められないということで予算の査定はしていくつもりでございます。五十八年度以降の後年度負担分についても、それが一年度に集中するというようなことではそれは一%をオーバーするということにもちろんなるし、財政的にもとうてい負担し切れないという問題があるかもわからない。したがって、これについても全体のバランスを考えながら適正規模のものになるようにこれはしていかなければならぬ、かように考えております。
 五六中業の問題につきましては、これは何らかの形で国防会議の議題となると私は思っておりますが、財政当局としては、五六中業ができ上がったからこれをのんでくれと言われましても、それは簡単にいかないわけでありまして、その作成過程において、作業の進捗状況に応じながら防衛庁とよく相談をして、財政当局としてものめるものでなければ困るわけでありますから、そういう点は十分に配慮をしてまいりたいと考えております。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の防衛政策、これはもう繰り返し申し上げておりますように、防衛計画の大綱に基づきましてできるだけ早くその水準に達するように努力をしていきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。
 そういう際に、財政再建という一方におきまして厳しい制約もございます。また、国際情勢の厳しさもまたあるわけでございますが、この防衛計画の大綱の水準に進めるに当たりましては、いま大蔵大臣が申し上げましたように、財政との関連、他の施策との総合的な調整、そういうようなことを考えながら進めていかなければならないわけでございます。
 五十七年度の予算編成に当たりましては七・五%、こういうシーリングの枠内でやるわけでありますけれども、その際におきましても、防衛関係費の査定等におきましては、これも厳しい、これを例外にするということなしに、むだがないように努力をすることは当然でございます。
 なお、河本経企庁長官も言われましたように、いろいろの今後厳しさはございますけれども、大体わが国の経済成長は実質で五%前後で推移するであろう、こういう面もございます。私はそういう点を総合勘案しまして、いまGNPの一%を変えるというようなそういう必要はない、従来とってまいりましたところのこのGNPの一%内に防衛費をおさめていくようにしたいと、こういう考えで今後も取り組んでいく所存でございます。
 なお、五十八年度以降につきまして、五十七年度で債務負担行為等々もこれあり、ふくらんでいくのではないか、こういう一方において懸念があるわけでございますけれども、御承知のように五十九年、六十年になりますとこれはまた支払いの額が下がります。そこで、五十八年等のピークに達するものを支払い条件その他でこれをなだらかにやる工夫がないか、こういう点も防衛庁並びに大蔵省に指示をいたしまして検討いたす、極力GNPの一%内で防衛努力を進めていくという従来の方針はこれを変えないと、こういう立場で取り組んでまいります。
○穐山篤君 総理がそれだけきちっと節目のある答弁をされたわけですから、しり上がりに計算をした結果上回るというようなことはよもやない、絶対にないと私は確信をします。
 さて、時間が来てしまったんですが、最後に総理と官房長官にお尋ねしますが、検査院法の改正の問題は長年議論をされてきまして、いまは官房長官預かりということになっているわけです。言いかえてみますと、大平総理が私も真剣に考えるというものを受けて官房長官預かりになっているわけですが、全然進んでない。これは与野党満場一致の院法改正なんですね。
 そこで、最後に確認をしますが、少なくとも財政再建期間に入るわけです。そのときに一番国民から注目を浴びております財政のチェックの問題について、まだ国会では引き続き継続して慎重に審議しているというようなことは、国民に対しても本当にばかにした話じゃないかというふうに思うんです。そこで、私は、厳しく注文をするわけですが、少なくとも来年の予算編成前までに最終的な政府の決断を期待するのです。何回となく追及をしますと、慎重に審議しますということで二、三年過ぎてきたわけです。もうこれでは困るわけですよ。院法改正をやるとするならばこういう角度でやりたいと、できないとするならばその理由を明確にして国民の前に明らかにしなければ、本問題についての責任は私はとれないんじゃないかというふうに思いますが、最後にその点を確認しておきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、他の委員会でもお尋ねがございましたのでもう詳しくは申し上げませんが、要するに昭和五十三年十月に検査院から法律の改正を求めてこられまして、それについて各省庁との調整をいたしておったわけでございます。先ほど仰せのように、五十五年二月には大平総理大臣ができるだけ結論を急ぎたいということを申し上げております。その趣旨に従いまして、私の前任者も私も、この改正案をめぐりまして検査院と各省庁との一致点を見出すべく何度か努力をいたしました。が、主張の対立がございまして、この点はもう御存じでございますから省略をいたしますが、調整をすることができずに、じんぜんいわば時間が経過しておるわけでございますが、他方でしかし、会計検査院の検査機能の充実を図るということは、法律によるとよらないとにかかわらず大事なことであるということは、これは各省庁とも合意をいたしておりますし、また自民党自身が今年の三月にこの問題について懇談会をつくりまして、実行上で検査機能の充実を図るべきである、しかし院法改正そのものは慎重でなければならないというようなことを、自民党としてはそういう意見が大勢を占めた経緯がございました。それからも私ども検査院、各省庁の間に立ちまして調停をいたしましたが、話がそれ以上展開をいたしません。
 七月になりまして、改めまして各省庁並びに検査院に対して二つのことをお伝えいたしました。一つは、検査院の検査機能の強化充実ということは必要であるので、いわゆる肩越し検査等への協力等各省庁一層の協力をしてもらうとともに、また関係の金融機関にも周知をさせてもらいたいということ。第二に、法律の改正は、会計検査院の原案のままでは、これまでやりましたが、各省庁とも調整をして内閣としての最終案を決めることができないので、したがって検査院と各省庁とで引き続き内容について検討をお願いしたい、こういうことを申し述べましたのが今年の七月でございます。したがいまして、この問題についてはただいま会計検査院と各省庁との間で再度、片方では事実上の協力関係、もう片方で法律案の改正の検討が行われているということになります。
○穐山篤君 結論ですが、なかなか困難があることはよくわかる。しかし、やらなければならぬという状況であることもそのとおりだと思うんです。
 そこで、官房長官の話を受けて、私はできるならば、少なくとも来年の予算編成の時期までにと言いましたが、少なくとも来年度決断をしてやってほしい。そのことについて総理に改めて注文をつけておきたいと思います。いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 予算の執行に当たりまして、不当あるいは不正という点が指摘されております事案がございますことは大変遺憾に考えております。特に、行財政改革をやって厳しく見直しをしていかなければならないというときでございますから、この検査機能の充実強化ということは私は非常に重要な問題である、このように考えております。
 したがいまして、政府におきましては、院法の改正について政府部内で会計検査院の実との間にまだ相当に開きがございます。調整ができませんが、そういう院法の改正まではいま直ちにできませんけれども、この会計検査の機能を充実強化するという観点で、その機能充実のために努力をいたしておりますし、この会計検査院のそういう仕事に対して政府の各省庁が全面的に協力をするということにつきましても指示をいたしておるところでございます。
 また、政府関係金融機関から融資を受けておりますところの企業等に対しましても、できるだけ、資料等の要求があった場合にはそういうものは提供するように、会計検査院の検査に協力するようにということも要請をいたしておるところでございます。政府としては、当面この検査機能の充実の面を重視しながら、そういうことで対応していきたい、こう思っております。
○穐山篤君 終わります。
○委員長(玉置和郎君) 小平芳平君。
○小平芳平君 私は、公明党・国民会議を代表して、若干の質問をいたします。
 初めに、ごく大まかなことですが、経済問題について総理に伺います。
 いろいろな要因が複合して思わぬ結果が起きるようなことがないかどうか、それが経済問題で言えるのではないか。といいますのは、現在の経済は財政再建、行財政改革ということがありますので、大変財政運営が変則的になってきているように思います。経済運営に当たりましても、財政再建のために財政需要拡大はゼロシーリングで封じられております。財政再建のための特例期間中、財政の拡大は一切ないということになりますと、景気の調整機能としての財政の役割りがきわめて小さくなってきはしないか、そういう点をまずひとつ伺います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 経企庁長官から後ほど詳しくお話を申し上げることになろうかと、こう思いますが、私は、わが国の経済の現況は比較的順調に推移している、このように思います。これはここで欧米先進国、世界の国々との比較を申し上げる必要はないが、成長の面においても、あるいは物価の面におきましても、あるいは雇用の面におきましても、国際収支の面におきましても比較的日本の経済は順調に推移しておる、こう思います。しかし、それを掘り下げて見てまいりますと、必ずしも楽観を許さない。中長期的に見た場合におきましては、やはりエネルギーの問題等もございますし、楽観を許さない。特に最近は、地域間における、あるいは中小企業と大企業との間の規模別の問題、いろいろのここに 行性が見られるところでございます。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
 そこで、先般、十月二日の経済閣僚会議におきまして、当面の対策を講ずることにいたしたわけでございます。このように、政府といたしましては、絶えず物価そして景気の動向ということに慎重な配慮をしながら、できるだけ先手先手と手を打っていくというようなことを怠らずにやっていこう、このような姿勢で取り組んでおるところでございます。そして一方において、行財政改革ということでゼロシーリングと思い切った歳出等の削減をいたしますので、この行革が与えるデフレ効果、行革デフレになるのではないかという御心配が一方にあるわけでございます。どういうぐあいにそれに対する手当てをしていくか。われわれ基本的には、民間の活力を大きく伸ばして、それによって行革デフレというような景気の後退、経済活動の停滞というものを防いでいこう、こういう配慮をしながら取り組んでおるところでございますが、いずれ御質問によりまして経企庁長官等から詳しく御説明を申し上げます。
○小平芳平君 では、経企庁長官に伺いますが、そういうふうにとにかく経済運営そのものが窮屈になってくる、その上に社会保障、社会福祉施策も切り詰めてくる、そこで景気調整の役割りを財政が持たないとなりますと、政府の財政を通じてのリーダーシップは、小さい政府のためにますます小さくなってしまうんではないか、こういう点はありませんか。
○国務大臣(河本敏夫君) 日本の経済全体の動きを見ますと、確かに財政はいまゼロシーリング等で消極的になっておりますから、これは従来のような積極的な役割りは果たせないと思います。それからさらに、石油価格が急上昇したという影響がまだ残っておりまして、外国への支払いが大変ふえておりますから、これもやはり景気に消極的な影響を与えております。しかし、一方におきまして、最近は新しい技術を産業面に取り入れるということから技術革新投資が非常に進んでおりますし、それから省エネルギー投資も進んでおります。民間の設備投資全体はことしはGNPの一六%ぐらい占めるのではないか、このように思っております。それからまた貿易も、最近日本経済は非常に国際競争力がふえましたので予想外に伸びております。こういう面は積極的な効果が出ておると思うのです。それでありますから、経済全体といたしましては私は大勢に変化はない、このように思っております。
 また、財政が消極的になりますと公共事業なども余り伸びないということになりますが、しかし一面、国債の増発をしなくてもよろしいとか、あるいはその資金調達のための増税をしなくてもよろしいとか、そういう面でのやはり効果も考えられますので、私は、国民経済全体から見た場合には、いわゆる財政のデフレ効果というものは、これは完全に吸収できるのではなかろうか、こう思っております。
○小平芳平君 その上、金融政策にしましても、アメリカの高金利政策のために、わが国の金融政策もかつてのような自由な選択がとれない、非常に硬直的になってきているのではないか、いかがでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 仰せのとおりでございまして、金融政策が機動的に運営しにくいということはございます。それは、アメリカの高金利、このために足を引っぱられておるということでありますが、幸いに最近ずっとアメリカの金利も低下の方向に進んでおりますので、この調子が続きますと、私は日本でも低金利政策をとり得るいろいろな条件は整うのではなかろうかと、こう思っております。国内の条件は大体整備しておるわけでありますから、アメリカの金利さえ下がればよろしいと、こう思っております。ただいま日本銀行の方でいろいろな景気に対する配慮をしていただきまして、量的の緩和はできるだけやっていこうと、こういうことでやっていただいております。
○小平芳平君 それやこれやで去る七日に総理が閣僚にそれぞれの指示をなさったと、先ほどもちょっと触れられましたが、どういう指示をされましたか、お聞きします。
○国務大臣(河本敏夫君) 特に最近はアメリカとEC諸国に対するわが国の貿易の黒字が大変目立っております。そういう動きがございますので、この際これらの貿易問題を何とか急速に対処をしていかなければならぬ、ついてはこの一連の貿易問題を中心として経済対策閣僚会議でこの具体的な対策をできるだけ早く結論を出すようにと、こういう指示でございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 経企庁長官から申し上げたとおりでございますが、その際に、私は、特に通商貿易の問題をとかく帳じりを合わせるということになると縮小均衡の方向に行く心配がある、これはやはり拡大均衡の方向で国際経済の活性化を図っていく必要がある、そういう中で日本の経済も大きく伸ばさなければいけない。こういうような観点から、諸外国からも指摘をされておりますように、わが国の非関税障壁が強いのではないかとか、あるいは製品輸入が非常に少ないのではないかとか、あるいは自由化の面に対する努力が足らぬのではないか、関税に対する措置も非常に厳しいとか、そういうような問題等についてまず見直しをして、そして日本が自由貿易体制を主張しておるわけでございますから、日本のこれに対する国内体制もそれに対応できるようなものにしていきたいと、このように考えておるわけでありまして、輸出の抑制というようなことは、集中豪雨的だというような特定品目、特定地域に対するもの、これは万やむを得ない場合にとる措置でございまして、基本的にはいま申し上げたような方針でひとつ関係各省庁真剣に取り組もうではないかと、こういうことを申し上げておるところでございます。
○小平芳平君 まあ普通に言って、国際収支が大幅黒字であり、しかしながら円安傾向が続いた、ますます輸出がしやすくなり輸入がしにくくなるというようなことが続きまして、それでいま総理がおっしゃったようなことになったと思うのですが、その問題もよほど思い切った、あるいは即効のある対策がとられなければ、そういうことが原因となって爆発的なことが起きはしないかということを恐れます。
 たとえば政府としては、利子平衡税の構想だとか、あるいは輸入の仕組みをオープンにして海外の誤解を回避するための通商オンブズマン制度だとか輸出課徴金をやったらどうかというようなことが議論として出たというふうに新聞には出ておりますが、こういう点はいかがでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 貿易問題につきましてはいろいろな意見が出ております。熱心の余りいろいろ意見が出ておるわけでありますから、十分検討はいたしますが、ただしかし、日本といたしましては貿易立国でもございますから貿易の拡大均衡と、こういう形で問題を解決する、それを基本にしたいと考えております。
○小平芳平君 もとよりその拡大均衡を望むところでありますけれども、拡大均衡と言っていて間に合わなくなったらどうされますか。また、拡大均衡を願っていながら、そうならないようなところに追い込まれてきたらどうなさいますか。
○国務大臣(田中六助君) もちろん私どもは、政策といたしましては保護貿易主義にならないように自由貿易主義と、つまり総理の言う拡大均衡を目指して通商政策を進めておるわけでございます。
 具体的には輸入の促進、つまり内需を刺激する、それから外需依存型の現在の貿易構造をできるだけ内需に振り向けるということから出発をしているわけでございます。そういう点で外国との摩擦――日米関係はもちろん、ECとの最近のシンポジウムもそれが主眼でございましたが、具体的にはいま委員のおっしゃる輸出に対する課徴金などはもちろん私どもは考えておりません。と申しますのは、私どもはやはり貿易立国でございますし、輸出に課徴金を設けて輸出抑制というような手段をとることは、やはりそういう輸出マインドを大きくそぐ可能性の方が強うございます。したがって、輸出課徴金を設けるとかオンブズマン制度でこれをチェックするというような考えは持っておりませんが、むしろ秩序ある輸出と申しますか、そういうことをやる。つまり、総理の指摘する集中豪雨的な輸出は避けていこうということを厳に私ども戒めてやっていくということ。
 他方、輸入面におきましては、関税の引き下げとかあるいは輸入手続の簡素化あるいは輸入拡大のための措置というようなことで、相互に、最近私どもも輸入ミッションを、大デリゲーションを稲山会長を中心として欧州、ECに派遣いたしましたけれども、現在メキシコにまた派遣をするわけで、次々に輸入ミッションというものを派遣して製品輸入という、拡大を図っていくと同時に、シンポジウムあるいはまたフェア、そういう博覧会などを開いていくという、あらゆる手段を講じて諸対策を実施してまいりたいというつもりでございます。
○小平芳平君 総理、いずれにしてもこの財政再建という大きな課題が三年あるわけですから、その間の景気がいまのように、ともすると輸出に流れて、息をついていくということも非常に困難になるんじゃないかと思いますが、政府の経済政策のかじ取りがきわめて困難になる、また選択の幅が縮められてくる、そういう点を乗り越えていかなければならないというふうに思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(鈴木善幸君) 全く小平さんおっしゃるとおりでございまして、したがいまして、時期を失しないように、物価や景気の動向あるいは雇用情勢、輸出入の関係、国際収支、いろいろなものを注意深く見詰めながら経済政策を誤りなく進めていきたい、こう思っています。
○小平芳平君 次に、下水道の問題について伺います。
 下水道の整備計画とそれから予算につきまして、建設省から御説明願いたい。その趣旨は、いまお話しのような非常に財政の厳しい中においても下水道は重点的に配分をされてきたように思いますが、その点についてお答えをいただきたい。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 細部の数字的なことは政府委員からお答えいたしますが、御指摘のように下水道事業につきましては建設省では重点的に執行を図ってまいったところでございます。すでに四次、今度五次に進めてまいっておるわけでございますが、五十五年度、五十六年度におきまして、前年伸び率はそれぞれ七%、一%の増というような形で予算組みをいたしておるわけでございます。特に、公共事業全体の平均伸び率の中で下水道を重点的にということは、先生も御案内のように、日本の下水道整備率が非常におくれてございます。ようやく三〇%というところでございましょうか。近代都市東京都が平均的に約七二%、しかし江戸川、葛飾は二〇%台ということでございます。これを欧米で見ますると、アメリカが平均的に七二%、英国が九七%、フランスが六五%、西独が七九%、こういうような状況でございますので、いわゆる経済大国と言われておる日本の社会環境の中で一番おくれておる下水道事業につきましては、私たちといたしましては環境整備の上から、またそうした先進国並みの環境整備という意味からも、やはり重点的にやってまいりたいというようなことで進めておるところでございます。
 細部の数字的なことにつきましては政府委員の方からお答えいたします。
○小平芳平君 いま大臣がおっしゃったような趣旨で私たちも下水道の建設は推進すべく主張してまいったわけであります。それで、このような不況下においてもあるいは財政再建期間中においても、どちらかというと下水道には重点的に力を入れて推進すべきだというふうな主張もしてきたわけであります。しかし、最近報道されるような下水道関連の汚職、地方公共団体における汚職とか、あるいは建設業者の談合入札、下水道に限りませんけれども、これは。談合入札、あるいは下水道事業団というものは特に使命があってできた事業団であろうと思いますけれども、ここでの起きた汚職、こういう点はまことに遺憾なことでありますが、それらについてお答えいただきたい。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 下水道事業団、また下水道関係事業で汚職が最近出てまいっておりますことは事実でございまして、大変遺憾のきわみでございます。従来から建設業関係につきましてはいろいろと暗いイメージ等もございますので、近代化あるいは合理化、明朗化について厳しい綱紀の粛正と行政指導、それから事業執行の面についても厳正な執行をやるように指導しておるところでございますが、こうしたことが起きることにつきましては大変遺憾に存じており、その都度それぞれの関係者に強い指示を与え、また事業団につきましては、対策委員会等を設けて具体的にその対策を進めているところでございます。
 なお、具体的な面につきまして御指摘がございますれば、政府委員からお答えをさせていただきたいと思います。
○小平芳平君 国家公安委員長からお答え願いたいですが、談合入札、これが再三にわたって連日のように新聞に報道されておりますが、どのように把握しておられますか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) いろいろ談合あるいは各種の不正と思われるような事案が続出しておることはまことに遺憾でございます。警察といたしましては、そうした事実を十分承知いたしております。各府県におきまして府県の警察本部がそれぞれ事情の、あるいは資料の収集等をやっておるはずでございます。ただ、これを刑事事件として取り上げるかどうかということになりますと、具体的な事実というものをつかまなければなりませんので、この点についてはいま何とも申し上げかねます。十分な注意をもって対処しておるつもりでございます。
○小平芳平君 私は、指摘したいことは一その前に一つ伺いますが、下水道事業団はどういう目的でありますかということと、それから日本下水道施設工業というものが、法人の認可申請が出ておりますかどうかということを伺いたい。
○政府委員(加瀬正蔵君) お答え申し上げます。
 日本下水道施設工業会は、処理施設、電気、機械等の下水道施設関連の事業者の団体でございまして、下水道施設に関する技術の改善向上のための調査研究、知識の普及啓蒙等を行い、不水道施設業の健全な発展を図り、下水道事業の円滑な執行に寄与することを目的としております。一方、日本下水道事業団は、地方公共団体における下水道技術者の不足等に対処し、これを支援するため下水道の根幹的施設の建設の受託、技術援助、下水道技術者の養成等を行うものでございまして、それぞれ性格を異にするものでございます。
○小平芳平君 都市局長、いずれも天下りの団体ですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 下水道事業団は、公共団体の技術者の不足に対処するためのものでございまして、技術者不足の支援組織でございまして、したがいまして、ある程度何といいますか専門的な知識を持った技術者がおります。したがいまして、建設省からの出向者もおるわけでございます。下水道施設工業会につきましては、これは業者の団体でございますので、おっしゃるような傾向の人員構成ではございません。
○小平芳平君 次に、私は下水道の水質を問題としたいわけです。ともすると、建設省の下水道は、下水道建設の促進、下水道の建設推進にはきわめて熱心でありますけれども、放流する排水にはむとんちゃくというか、あるいはずさんというか、そういう面があるのではないか。こういう点は総理のおっしゃる行政改革も大いにこういうところに改革が入らなくちゃならないと思うわけです。
 まず、行政管理庁から五十一年四月から六月までの間に行った監察の結果を御報告をいただきたい。特に、これは膨大な中身になっておりますから水質の関係のところをお願いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 五十一年の四月に実施しました監察の結果につきましては、まず監督の概要といたしまして、下水道計画を策定しなさい、流域別下水道整備総合計画の策定促進、それから下水道の管理につきましては、終末処理場からの放流水の水質検査の励行、汚泥の処理の適正化、それから除害施設の設置の届け出の励行、それから下水道事業の実施体制としまして中小都市等の下水道技術者の研修の充実、さらに水質についての勧告としましては、終末処理場における所定回数の水質検査の励行等々でございます。
○小平芳平君 もう少し水質のところを具体的に申しますと、基準を超過したことのある終末処理場がBOD四十二カ所、大腸菌三十二カ所あったと、こうなっておりますが、これはBODあるいは大腸菌が基準をオーバーしていたという御指摘を受けた施設に対して建設省は具体的にどういう処置をとられたか、あるいは今日どうなっているかということをお伺いしたい。
 それから基準を上回ったというのはまだともかく、全然検査をしていないという処理場があったと、そういうところは検査ができるような体制ができたのかどうか伺いたい。
○政府委員(加瀬正蔵君) お答え申し上げます。
 過去におきましてはおっしゃるような水質基準超過の処理場がございましたことは事実でございます。その後もろもろの改善措置をとりまして、現在では、私ども調べましたところ、排水基準に違反するもの、通常の状態で排出基準に違反するものはなくなっていると承知しております。なお、今後とも排出基準を重視するよう、処理場の施設能力の確保あるいは適正な維持管理等を指導してまいりたいと思っております。
 なお、検査能力云々につきましては、各公共団体で実情は異なりますが、検査を十分にするように指導してきておりますし、今後も指導を強化したいと考えております。
○小平芳平君 基準をオーバーするところはなくなったという御答弁ですが、その基準とは幾らですか、一体。
○政府委員(加瀬正蔵君) どうも失礼申し上げました。
 水素イオン濃度、水素指数につきましては五・八……
○小平芳平君 ちょっと待ってください。
 じゃ、非常に複雑ですので、BODだけを問題にしていきましょう。
○政府委員(加瀬正蔵君) BODは三〇ppmと承知しております。
○小平芳平君 三〇ppmというのは何の法律のどこにあるんですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 失礼を申し上げました。
 「活性汚泥法、標準散水濾床法その他これらと同程度に下水を処理することができる方法により下水を処理する場合単位一リットルにつき五日間に二〇以下」、こういうことになっております。二〇でございます。
○小平芳平君 二〇に変わったですか。二〇に変わって要するに活性汚泥法だと二〇ppm以下でしょう。そのほかのはどうですか。じゃ日本全国の下水道が二〇ppm以下におさまったと、先ほどの答弁によりますとそういうことになりますか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 高速散水濾床法等によりますと六〇以下、あるいは沈てん法により下水を処理する場合は一二〇以下、こういう基準になっております。
○小平芳平君 それでは、終末処理場からの排水、雨水吐き、ポンプ場の排水、こういうものは水質汚濁防止法と下水道法の適用を全部受けますかどうか。
○政府委員(小野重和君) 環境庁の水質保全局長でございますが、水質汚濁防止法の関係でございますと適用を受けることになっております。
○小平芳平君 建設省はいかがですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 法律的には処理場のみが受けるというふうに承知しております。
○小平芳平君 そこで、どうしますか、そういうふうに食い違うのを。環境庁は全部水質汚濁防止法の適用を受けると言う、建設省は下水処理場だけが受けると言う、どうしますか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 私どもの所管しております下水道法上は、処理場のみが規制される、こういう意味で申し上げたわけでございます。
○小平芳平君 では、建設省は下水道法の適用を受けるだけで、水質汚濁防止法の適用は受けませんか。
○政府委員(小野重和君) 水質汚濁防止法の適用は受けるというのが私どもの考え方でございますが、私どもが承知しているのは、下水道の法律によりまして下水の処理基準、これを決めるというものであるというふうに理解しておるわけでございますが、一般に公共用水域に下水から排出される処理水、これにつきましては水質汚濁防止法の適用を受けるというのが私どもの考え方でございます。
○政府委員(加瀬正蔵君) 水質汚濁防止法の適用については、環境庁の答弁のとおりでございます。
○小平芳平君 水質汚濁防止法の適用を受けて、それで処理場からの排水と雨水吐きとポンプ場からの排水がどういうふうな適用を受け、これこれしかじかで基準を達成したというふうに説明してください。
○政府委員(加瀬正蔵君) 終末処理場からの排出につきましては、基準を現在一般的には達成しているということを承知しております。
 ただ、合流式下水道なんかの雨水吐き等につきましては、異常な降雨のときとかその他の場合に、雨水と一緒に汚泥を排出することがありますが、これにつきましては必ずしも検査が十分にできない。これは雨のときに限って検査しなければいけないというような問題もございまして十分な検査ができておりませんので、十分な実態は把握しておりません。
○小平芳平君 十分な実態が把握されておらなくて、しかも全部基準を満足しておりますとさっき答弁したのはおかしいじゃないですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 先ほど御答弁申し上げましたのは、通常の状態において処理場からの排出される水は排出基準にかなっておると、こういうふうに御答弁申し上げたわけでございます。
○小平芳平君 それでは、処理場に限ってしばらく論議を進めますが、
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
処理場の排水基準は、私が何回も要求しまして建設省からいただいた書類はこれ一枚です。委員長、ちょっとごらんになってください、参考のために。このたった二行で基準に合格しておりますということを建設省は断固として言い張るわけですがね。しかし、私の知るところでは、処理場の排水はそんなに全国一律になっていないでしょう。第一、条例で全部県によって違うでしょう。それがどういうふうに合格しているんですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 県によりまして、条例でいわゆる上乗せ基準をつくっているところがございますが、先ほど申しましたのは私どもの下水道法の放流水の水質の基準で、技術上の基準が政令で定められておるわけでございますが、現在この政令の基準を超過するようなものはないと承知しているというふうに申し上げたわけでございます。県によっては上乗せの基準をつくっているところもございます。
○小平芳平君 では、上乗せ基準をつくっていない県はあるのですか、どこですか。
○政府委員(小野重和君) ほとんどの県は上乗せ基準をつくっていると思いますが、いま各県ごとの上乗せ基準をつくっているか、つくっていないかというのは、手元にいま資料がございませんが、ほとんどつくっているのじゃないかというふうに考えております。
○小平芳平君 環境庁は直接下水道を管理監督していないでしょう、直接に下水道は。これは、事業としては建設省がやっているわけでしょう。その直接の指導監督をしていない環境庁の答弁の方が正しいじゃないですか、ほとんどの県が上乗せ条例をつくっているという方が。建設省の、上乗せ条例をつくっているところもありますというのは、正確じゃないじゃないですか。
 ですから、私が先ほどから指摘しますように、建設省は下水道をつくることに熱心なんです。ところが、維持管理し、基準を守り、周辺に迷惑をかけないように、そういう考えがないんだね。どうですか、建設大臣。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 施設をつくる方と管理の関係でございますが、この管理は一応それぞれの自治体に委譲はいたしておりますが、つくったからにはそこまで徹底することが本来的なことであろうかと思います。
 御指摘の向きにつきまして、ばらばらのような印象を与えておりますが、一応所管の関係につきましては厳しい環境基準を守りながら指導してまいっておるつもりでございますが、いろいろと欠点等御指摘のようでございますので、なお関係機関等と協議いたしまして、この点につきましては研究をさせていただきたいと、このように考えます。
○小平芳平君 建設省に申し上げますが、たとえば私が手に入れたごく一部の書類で、またそのごく一部の県で基準に合格しているかどうかを見ますのに、ある市ではこれは一律基準が二五ppmですが、ある市では春夏秋冬に分けて三五・二、四二・四、四一・四、三七・七と、一律基準二五を全部オーバーしているというところがあるように私には思える。ある市では管理処理が一二〇、一番下の線で条例が決まっているんですが、一二四というふうにオーバーしている。また、ある市では中級処理で六〇という条例があるんですが、六一、六三というふうに基準をオーバーしている。こういう実態がありませんか、どうですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 具体の事例についての御指摘でございますので、私ども承知しておりません数字でございますので調べてみたいと思います。
○小平芳平君 それはあなたが承知していないだけで、建設省にある書類じゃないですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 私ども現在は承知しておりませんが、下水道協会の何か資料でございましょうか。――調べまして後ほど御報告に上がりたいと思います。
○小平芳平君 後ほど上がってももう間に合わないですね、いまの質問には。
 要するに、下水道建設をすることは――総理大臣、建設大臣も聞いていただきたいんですが、下水道建設というと反対しないですね。まあ流域下水道反対というような運動もありますけれども、下水道を充実しましょうというと、大変結構なことですということになるわけですが、それでいながら家庭あるいは工場、事業所などの排水を全部受けるわけですから、その受ける下水道を建設して、そこから排出する排水については、国の機関でこれほどのん気に構えている機関は珍しいじゃないでしょうかね。要するに、どんな事業所をつくっても排水を考えてつくるでしょう。ところが、その排水を処理する機関が自分の方の排水には全くとんちゃくないというようなところは珍しい、全く珍しいと思います。ですから、もっと積極的に環境ということを、あるいは衛生ということを考えてもらわなくちゃ困ると思うんですね。どうですか、建設大臣。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 下水道施設関係につきましてはもう先生御案内のとおりでございます。国においては排出基準というものはしかと定めておるわけでございますが、先生御指摘のように、それぞれその後の維持、運営、管理は地方の自治体に権限を任せてございますので、その自治体の環境に基づいて上乗せをしているところもございましょうし、ほとんどが上乗せしているところでございますが、私は十分な水質基準を守りながら環境汚染について監督をしておるものと信じておるわけでございますが、御指摘の向きでありますと、処理場からの排水についていささか疑問の環境があるやに承知しましたので、その点につきましては、施設のみでなく、なお自治体への強い指導をやってまいりたいと、このように考えるところでございます。
○小平芳平君 次に、先ほど申しましたところの雨水吐き、ポンプ場等からの排出される水ということについて伺いたいのですが、これは環境庁に伺いますが、環境庁では四十六年十二月十六日、水質保全局長から通知を出しましたね。そうして、「終末処理場、雨水吐き、ポンプ場等から」排出される水についてはすべて、「排水基準を定める総理府令第一条の排水基準に適合しない排出水を排出するものは、水質汚濁防止法第十二条および第十三条の規定に基づく直罰、改善命令等の措置が適用されることとなるので」御注意くださいというふうに通知を出しましたが、これで改善命令なり直罰を受けた例がありますか。
○政府委員(小野重和君) ポンプ場や雨水吐きから流れ出すものにつきましては、基本的には構造上の問題あるいは管理上の問題、いろいろございますが、なかなかその辺の問題が解決しませんと、実際問題として排水基準が守れないという状況にあるわけでございますけれども、いずれにしましても、いま御質問の件につきまして、特にその改善命令、直罰等の例はございません。
○小平芳平君 それもおかしいですね。行政管理庁が監察をしたときには全然検査もしていないとか、あるいはこれだけの基準違反があったと言いながら、しかも今日なおかつ、私の見るところでは、施設から、処理場から出る水でも基準をオーバーしているものがありはしないかという疑いを持つときに、改善命令も全然出したことがないというのはどういうわけですか。
○政府委員(小野重和君) この問題は、雨水吐き等を例にとってみますと、大雨のときに流れ出す場合でございますから、それが流れ出さないようにしないといけないわけでございます。そのためには管渠を増設したり、あるいはそのほかのいろいろな構造上の問題を解決しないとなかなかこの基準を守れない、こういう状況ということでございますので、なかなか直罰で是正するということにはまいりませんもので、実際問題としてそういう直罰なり改善命令をかけていない、こういうことでございます。
○小平芳平君 この雨水吐きとポンプ場の問題を建設省に質問します。
 雨水吐きやポンプ場からは、処理しない水を雨が降りますと放流するわけですね。ですから、これは何らかの規制を受けているのですか、受けていないのですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 雨水吐きは、御承知のように、管渠が雨水がふえまして手狭になったときに、せきをオーバーして川なら川に放流するという施設でございますので、通常はそこから水が出ないようになっておりますが、雨が一時期に多量に降りますと雨水吐きから水が出ていく。これは汚水と一緒になって出るわけでございまして、この場合は水質汚濁防止法の適用は当然あるというふうに考えております。
○小平芳平君 水質汚濁防止法の適用がありますと、その規制値は幾らで、その分析調査はどういうふうにやっておりますか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 規制値は、先ほど申し上げました数値と一緒でございますと承知しております。実際に検査をやったかどうかということにつきましては、何分雨が降ったとき、そのときに雨水吐きから水が出たという状態で排水を採取しなければいかぬというような条件もございまして、現実に下水道管理者がやりにくいということもございまして、やってないような状況と承知しております。
○小平芳平君 中曽根長官、あなたのところで監察をしまして、それで勧告を出されたのが五十一年ですが、全然よくなっていないですよ。また監察しなければならないですね。要するに、行政管理庁からは、雨水吐きからの放流水についても水質検査をするように下水管理者を指導しなさいと、こう言っているわけです。ところが、いまの局長の説明だと、そんなことはできませんよという、こういう説明なんですが、どうしますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 勧告どおりやってもらうようにしたいと思います。
○小平芳平君 政府部内で、勧告どおりやれと言うし、できませんと言うし、どうしますか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 先ほど申し上げましたような状況で、水質検査は非常にやりにくい実態ではございますが、それより前にたとえば管渠の増設等を行いまして、そういう事態になりましても雨水吐きから水が出ないというような方法が望ましいこと等もございまして、私どもとしては水質検査をするような指導はしております。指導は何回もしておるわけでございますが、どうも実態は自治体では非常にやりにくいということでございますし、それから管渠をつくることが何よりも根本がと思いますので、そういう面から、東京都では行政管理庁の監察後に二百六キロの管渠の増設、たとえば横浜市では五十年度から貯留施設の建設ということで、それに対処するような方法を講じていると承知しております。
○小平芳平君 より具体的に申しますと、東京都の例で申しますと、羽田にポンプ所があります。これは羽田空港に近接のところですが、ここに海老取川という川があるんです。羽田ポンプ所から海老取川に放流される汚濁水について、私は質問主意書を今国会始まってから提出いたしました。ところが、その質問主意書に対する御返事では、そのような報告は受けていないというだけの返事だったです。ところが、実際問題、その周辺は下水道が普及したために環境がきわめて悪くなったんです。そういう現象が起きているんです。
 ということは、下水道をつくるために従来あった雨水ポンプ所は壊したんです。それから溝なんかも埋めたんです。だから、雨が降ると、その下水道を集めているポンプ所へ集中して水が集まる。そうすると、そのポンプ所では問題なく、八ミリとか十ミリとか雨が降ると、水門を上げて水を流すわけです。このポンフ所から水を流す場合に、そのままの水を流すんですね、全然処理しないで。そのために点も、魚のえさのゴカイなんかも全滅してしまった。工場は埋立地へ移転したし、下水道ができて環境がよくなるはずのものがかえって悪くなって、臭いとか、それから海老取川は文字どおり死の川になる、そういう現象があるんですね。どうですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) おっしゃいますポンプ所は、通常下水処理場までそこから管渠を伝いましてポンプで汚水を圧送する施設でございますが、おっしゃるように、雨が降りますと、その圧送し切れない水を海老取川に出すという場合がございます。その場合に私どもが受けています報告では、その上流も含めまして何かそういう被害が出たというようなことは聞いておりますが、その辺詳細はつまびらかにしておりませんので、なお調査してみたいと思います。
○小平芳平君 洪水が出ますと、洪水が通り過ぎた川の底にはいろいろな流されてきたものがたまっているでしょう。要するに、洪水が流れたからといって川底がきれいさっぱりになっちゃいないですね。ところが、海老取川というのは潮の干満によって水がいっぱいになったり引いたりしているわけです。ここが雨の降るたびに放流する、その放流も何の処理もしていないわけですよ。とにかく下水道から来たそのままと、プラス雨水ですね、それを海老取川へ出すわけですよ。だから、海老取川は雨がやんだら何が残ると思いますか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 合流式の下水道の場合に、ある程度雨と汚水がまじって出るというのは、これは施設の性質上やむを得ない向きがございますが、おっしゃるような実態について私つまびらかにしておりませんので早速調べてみたいと思います。
○小平芳平君 調べてみるという、何が残っているか調べてみますか。それは調べてみてください。それで、要はポンプ場とか雨水吐き――雨水吐きはともかく、ポンプ場からの水は水質検査もしないし、それから何の処理もしない、ただ流すわけですから、これは厚生大臣、衛生にも大変よくないじゃないですか。それで、厚生大臣もこの指導をする権限があるわけですが、いかがですか、伝染病でも起きたら大変じゃないですか。
○政府委員(山村勝美君) 厚生省、私どもの所管いたしますのは、終末処理場からの放流の維持管理と終末処理場におけるくみ取り屎尿の処理といった立場から所管をいたしておりまして、御指摘のポンプ所あるいは雨水吐き等につきましては直接的な所管でございませんので、それに対する意見は差し控えたいと存じます。
○小平芳平君 じゃ、伝染病が起きても知らぬ顔をしておりますか。
○政府委員(山村勝美君) 一般論といたしまして、衛生行政を所管します厚生省といたしましては関心を有するところでございます。
○小平芳平君 要するに、先ほど来説明しますように、住宅がありまして、すぐその前に道路があり川があるわけです。その川は潮の干満によって水が移動しているだけのところです。そこへもってきて要するに生下水を流すわけですよ、固形物とか紙を含んでそのまま流す、それが川へたまる、それで衛生上おかしいと思いませんか。
○国務大臣(村山達雄君) いま委員から数々の具体例をお聞きしまして、保健衛生上も非常な問題点だと思いますので、建設省ともども対策を立ててまいりたいと、かように考えておるところでございます。
○小平芳平君 総理、こういうところに住んでいる人は大変なんです。これは晴天の場合の写真です、川の底の。
 建設省にもう一つだけ伺いたいですが、下水道法第八条によって一般的に水質規制を受けているんですから、施行令で水質検査を免れるようにしてあるのはおかしいじゃないですか。
○政府委員(加瀬正蔵君) 下水道法上は検査を、回数も義務づけておりますので、検査が可能なように、処理場からの排水というものの検査を義務づけているわけでございます。
○小平芳平君 処理場からの排水は検査がやりやすいわけですね。ところが、雨水吐きやポンプ場は雨の降るたびに放流するわけですから、先ほど御答弁なさったように、検査は実際上むずかしいわけですね。だから、全然その検査はしていないでしょう。
○政府委員(加瀬正蔵君) 実際にはしていないかと思います。
○小平芳平君 これは先ほど来申しましたように、建設省が一方で下水道建設をするとともに、維持管理に意を用いなければならない。行政管理庁からも監察を受け、こうしなさいということがたくさん指摘を受けたけれども、全然実行していない。ですから、行管庁長官か総理から、もう少し建設省が組織的に、これは一局長や一大臣の問題じゃなくて、組織的に機構的にそういう維持管理に力を入れなければならないと、力を入れるという体制が必要じゃないですか、
○国務大臣(中曽根康弘君) お話を聞きまして大変恥ずかしいような気がいたします。早速、建設省、厚生省とも協議いたしまして、実行するようにいたしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は古くから問題になっておる点でございます。建設省と厚生省に行政が分かれておったときもございます。終末処理は厚生省がやって、そしていまの環境基準等をきちっとやると、こういう仕組みになっておったのでありますが、それを一元化した方がいいだろうというようなことから今日のような形になってきておるのでありますが、またいい面もありますけれども、いま御指摘のような点も出てきておる。なかなか行政改革というのはむずかしい面がございますが、いずれにしても環境の維持保全ということとこの下水道の建設行政、これを有機的に連携をとりまして、十分住民の福祉に沿うようにしてまいりたいと、こう思っています。
○小平芳平君 私は、以上で下水道に関する質問を終わりたいのですが、最後に下水道関係を一問質問しますが、いまは水質の問題を提起しましたが、そのほかに下水道の抱えているいろんな問題があります。その一つは流域下水道の問題。これは工場排水を下水道へ受け入れる、そのときに起きるいろんな問題を指摘されております。
 それで、建設省に最後に伺いたいのですが、「下水道法改正に向けて」というパンフレットが出ておりまして、建設省の御意見を伺いたいのですが、下水道法一部改正案というものをつくる場合に、「第一 水の自然循環及び生態系との適合」「第二 工場排水受入の原則禁止」「第三 住民参加及び環境アセスメント手続きの保障」というふうなことで運動している方がいらっしゃるわけですが、これについて建設省は御承知かどうか。それから御意見があったら承りたい。
○政府委員(加瀬正蔵君) 御質問の件は、下水道法研究会及び下水道問題連絡会議の「下水道法改正に向けて」というあの改正案のことと存じますが、私どもまだ改正案の内容、明確に承知しておりません。したがって、詳細な検討は行っておりませんが、たとえばいまおっしゃいました水の自然循環と生態系の適合、これは当然の理念でございますが、法律の目的に入れるのになじむかどうかというようなことにつきましての問題点もございますし、それからたとえば工場排水を全部下水から排除する、入れないということにつきましても、現実のわが国の住まい方がまあ工場と住宅が混在しているというような状況もございまして、かなりその仕切りもむずかしかろうと思います。
 また、住民参加の手続につきましては、必要に応じてどういうことをやったらいいかというような問題につきましても検討点がございまして、まだ建設省としての明確な意見というものはございませんので、引き続き内容について検討させていただきたいと思っております。
○委員長(玉置和郎君) 塩出啓典君から関連質疑の申し出がございます。これを許します。塩出君。
○塩出啓典君 それでは、建設大臣とそれから環境庁にそれぞれ一問ずつ関連質問をいたしたいと思います。
 小平委員がいろいろ水質の問題を取り上げましたが、このことは、もしこれを怠ると、海を汚し、湖を汚し、やがて人類の破滅につながる、こういう点から非常に大事な問題であると思います。
 それで、まず最初に赤潮との関連についてお尋ねしますが、赤潮はここ数年広域的に多発しており、五十五年度において二百十二件の発生が認められております。その約半数が大阪湾を含めた瀬戸内海で発生しており、漁業被害は減少しているとはいえ相変わらず減少傾向は見せていないわけであります。赤潮の発生件数も十三年前の約四・四倍で、漁民が安心できる状態とは決して言えないのであります。それで赤潮発生のメカニズムはいまだ解明されておりません。しかし、最近では工業排水よりもむしろ家庭排水の及ぼす影響の方が大きい、これを無視することはできないと言われております。そういう点で下水道施設の完備は非常に必要であり、現在進行中であるわけでありますが、それ以前の問題として、降雨時に大量の未処理水が放流されておることがいま判明したわけでありまして、特に雨の降った後に赤潮発生が多い、そういう点からこういうことも赤潮発生に大きく影響していると言わなければならないと思います。
 そこで、当然この改善がなされなければならないわけでありますが、建設省にお尋ねしますが、特にこの瀬戸内海は閉鎖水域になっておるわけであります。この瀬戸内海沿岸の諸県の下水道の普及率はいまどういう状況であるのか、また今後この普及率の向上にはどのように対処するのか、この点をお伺いいたします。
○政府委員(加瀬正蔵君) 瀬戸内海沿岸各県、二府十一県ございます。全部数字を申し上げますか。
○塩出啓典君 平均。
○政府委員(加瀬正蔵君) 平均では、五十五年度末で普及率三四%になっております。それから閉鎖性水域でございます瀬戸内海の水質保全を図るために、瀬戸内海環境保全特別措置法がございます。この法律に基づきまして、今後も強力に下水道の整備を進めてまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 それからもう一問は環境庁にお尋ねをいたしますが、特にダムとかあるいは湖沼、琵琶湖のように大変たくさんの人が水源にしておりますこういう湖沼、琵琶湖あるいは霞ケ浦、こういうものが年々汚染をされておる。先般、環境庁は、何ら特別の処置を講じないでこのまま推移するならば二〇〇〇年には大変なことになると、こういうことを推定しておるやに聞いておるわけでありますが、こういう湖沼の未来に対して環境庁としては率直にどのような推定をしているのか、この点をお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(小野重和君) 琵琶湖について申し上げますと――その前に、この二〇〇〇年における推定でございますが、これはいまの対策のままであると、たとえば琵琶湖について申し上げますと、滋賀県が琵琶湖の富栄養化防止条例をすでに制定いたしまして実施されておりますが、これはカウントしない、こういうようなことで、それ以外の点については現在の施策、対策のままと、こういう前提がございますし、またきわめて大胆な推定といういろいろな前提を置いての推定になりますけれども、それによりますと琵琶湖、これは御案内のように北湖と南湖がございますが、琵琶湖の北湖は二〇〇〇年、つまり二十年後にはいまの南湖並みの水準になると。南湖につきましては現在でもたとえば海水浴ができないというようなこともございますし、また、いまの南湖並みになると、いまは淡水赤潮というのが北湖にも出ていますけれども、アオコが相当出てくる可能性があるというようなことが推定されるわけでございます。
 それから霞ケ浦について申し上げますと、これもわかりやすく申し上げますと、いまの千葉県にございます手賀沼の水準になるのじゃないか。手賀沼は、この夏に手賀沼の水が利根川を伝わって利根川下流の水道水に入りまして悪臭問題がございましたが、そういうようなことになる可能性がある。それからいま霞ケ浦では魚がいろいろとれますが、この魚にも非常に大きな影響があるというような大胆な推定でございますが、そういう推定をしております。
○小平芳平君 次に、環境庁は湖沼法の法制化は今国会提出は断念されたのですか、お伺いしたい。実際問題として会期はもうわずかしかありません。それで、いままでの経過を御説明願いたいと思います。これは八月に私たちが琵琶湖で湖沼環境問題シンポジウムを開いて、明くる日に長官に対して申し入れをしましたときに、長官は湖沼法案を臨時国会に提案したいと熱意を持って語っていたが、どうなりましたか。
○政府委員(小野重和君) 湖沼の水質保全のための、これは仮称でございますが、湖沼水質保全特別措置法案、これを私ども原案を作成いたしましてこの前の通常国会に提出したいということでございましたが、政府部内の調整がつかなかったわけでございます。そこで、いまの湖沼の状態からいたしまして、この問題は緊急かつ重要な問題であるというふうに考えておりますので、できればこの臨時国会にこの法案を提案したいということでさらに政府部内の調整に努めたわけでありますが、関係省との調整がつきませんもので、いま現在まだついてないわけでございますが、まだ国会提出というところまでいってないわけでございます。国会提出はむずかしいかと思いますが、政府部内の調整はなお進めたいと、かように存じております。
○小平芳平君 伝えられるところでは通産省が反対していると。それで、当初は排水量の問題で意見が合わなかったのだが、最近になって通産省は許可制そのものに反対し始めた、ために湖沼法の法制化ができないんだというふうに言われておりますが、通産大臣いかがですか。
○国務大臣(田中六助君) 私どもも湖沼の水質保全ということの重要性については十分認識しておりまして、これについての配慮というものは考えておるわけでございますが、具体的にこれが確実性あるいは安全性、保全性というようなものについての話し合いがつきませんので、これを待っておるわけでございますけれども、その重要性については私どもも十分認識しております。
○小平芳平君 もう一つ、水辺の環境保全ということを中心にした中公審の答申が出ているわけですが、環境保全ということを強調しているのに対して、建設省でそういうことには反対して、環境庁で検討している原案は水質に限るようになったというふうに言われておりますが、いかがですか、建設大臣。
○政府委員(吉田公二君) 私からお答え申し上げます。
 いわゆる湖沼法関係の問題につきまして、環境庁といろいろお話ししてきているわけでございますが、湖沼及びその周辺の環境保全につきましては、これは中公審の御答申にもございますけれども、河川法でございますとか都市計画法でございますとか、既存の法制度を十分に活用することによって目的を達し得るところがある、そういった調整が適切であるということで御調整を図ってきたということでございます。
○小平芳平君 環境庁長官がきょういないのは不満だということを申し上げておきますが、環境庁は長官がみずから琵琶湖サミットとか全国湖沼サミットというふうに開いて機運を盛り上げようとした。それから、国でもやりますと、知事の皆さんはどんな意見がありますかというふうに盛んに言っておいて、土壇場へきて法制化断念ということは非常に政府不信ということになるんじゃないかと思います。環境庁もそういうふうな行動を起こしたら、やはりそれなりの責任を持って行動を最後までやってもらわないと困るのじゃないかということ。
 それから総理はどう考えられますか。要するに、政府部内で調整がつかなくって、まだ総理の出る幕じゃないかもしれないですが、しかし湖沼の汚濁は急速に進むわけですね。ここで私がるる説明するまでもなく、急速に進む。それこそ進み始めたら切りがないわけですが、御意見を伺いたい。
○国務大臣(鈴木善幸君) 鯨岡環境庁長官はいまアメリカに行っておりまして、環境関係の会議に出ておりますので、厚生大臣が臨時事務を扱っておられます。
 私に対しての御質問でございますが、最近わが国における湖沼の汚染、水質汚染その他、相当進んでおります。諏訪湖のようなところは本当に危機的状況にあると、こう指摘を受けておるわけであります。一遍そういうような状況になりますと、これを回復をするということは非常に困難でございます、全く閉鎖的な水域でございますから。そこでなるたけ早く手を打たなければならない、私もそのことはよく承知をいたしておるわけでありますが、ただ、その湖沼の汚染の原因等が生活排水的なもので多く汚染しておるところもあれば工場排水によるところもございます。いろいろ原因は多様に分かれておるわけでありまして、それだけにいま政府部内の省庁の意見の調整に苦労しているというのが率直なところでございまして、まだ私のところに上がってきておりません。いま申し上げたような、とにかく死の湖にしてはいけない、回復はそうなれば困難であるということは十分認識をいたしておりますので、政府としてもこれに真剣に取り組んでまいりたいと、こう思っております。
○小平芳平君 総理が、諏訪湖のようにと、こう言われますが、私はその諏訪湖のそばで生まれたわけですが、それは惨たんたるものであります。それで環境庁に、先ほどの伺いましたこと、行動を起こしながら、しかるべく知事さん方に集まっていただいたりしたわけですから回答をしてほしい。それが一つ、先ほど質問しました点。
 それからもう一つは、環境庁は窒素、燐の環境基準を決められるのかどうか。この点についてはいま総理もちょっと触れられましたが、窒素、燐の環境基準を決めるのかどうか。それでその場合、公害対策基本法で定められている環境基準なのか、それとも単なる水質目標値なのか。それらの点についてお答えをいただきたい。
○政府委員(小野重和君) いわゆる湖沼サミットなどを催しまして、いろいろこの湖沼問題についての知事さんのお互いの理解あるいは今後の対策を論ずるということでやってきたわけでございますが、私どもそのような各知事さんの御意向も外しまして最大限の努力をしてきたわけでございますが、現在のところ、先ほどもお話ししましたように調整ができてないわけでございますが、湖沼対策のきわめて重要なことは私ども十分に頭に置きまして今後とも最大限の努力をいたしたい、かように存じております。
 それから窒素、燐の問題でございますが、これは私どもは、公害対策基本法に基づく環境基準、これの設定の諮問、これは中央公害対策審議会に諮問をする必要がございますが、その諮問を今年度中にはやりたいと、かように存じていま準備を進めておるところでございます。
○小平芳平君 次に、総理に行革についてのいろいろな問題について御質問したいわけですが、行革は、一つには行政の合理化、効率化を実現すること、また機構及び事務事業の見直しなどを進めること、そういうことが必要だと思います。それで、基本的に、いま進めようとする行革は、行政の合理化、効率化、機構及び事務事業の見直し、そういう点についてどう進めようとなされておられますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、行政改革は国民のためのものであるという基本的な認識の上に立っておるわけでありますが、納税者である国民の皆さんは、できるだけ負担はこれ以上重くしないようにしてほしい、税金の面におきましてもあるいは社会保険料等の面におきましてもそのように考えておられる。また、納めた税金なり料金というものは、最もむだがなく効率的に国民の福祉なり生活の安定のために使われてほしい、こういうことが私は国民の皆さんの願いであろうと、このように考えるわけでございます。
 そういう観点から、行政につきましても簡素で効率的なものでなければならない、また、そういうことをすることによって税の効率化ということになりますから、財政の健全性の確保ということを図らなければならないわけでございます。その上に立って、私は、これから新しい時代が到来する、高齢化社会の到来に対して新しい福祉政策というものを展開しなければなりませんし、また国際社会におきますところのわが国に対する期待も高まりつつあります。この要請にもこたえていかなければならない、このように考えるものであります。そして、われわれが目指すところは、やはり平和で豊かな住みよい日本というものを建設するということを目指してわれわれは取り組んでいかなければいけない、このように考えておるものでございます。
○小平芳平君 たとえば、人員削減という場合でも、行政の合理化、能率化はやらなくちゃなりませんけれども、具体的にそれじゃ国立病院、国立療養所の医師、看護婦も例外じゃない、削減するんだと。それで二百人というような数字も挙げられておるかと思いますが、そうしますと、国立病院や療養所は直接国民が通っているわけですね。しかも私がるる説明するまでもなく手いっぱいに働いているわけです。そういうところで削減が可能と思われますか。あるいは削減したらはっきりと外来を制限するか、入院患者を減らすか、どちらかしなければ、あるいはその両方ともすれば生命に関する危険な状態が起きる、そういうようなことがあるわけですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 定員の削減につきましては、いままで各内閣累次にわたりまして努力してきたところでございますが、四十三年−五十六年、十四年間におきまして一般省庁は約四万三千人純減をしておりますが、国立医療機関につきましては七千五百二十六人の純増員を行ってきております。今回の行革におきましても、五年間に五%削減するという計画でまいっておりますが、その中でも国立病院の看護婦さん、医師、こういう系統は削減の率を非常に少なくしております。一般行政職等々は非常に大きく切っておりますけれども、国立病院等は特に注意をいたしまして、多少はしかしやっていただく。ただし、ある部門においてはある程度新陳代謝を必要としている部門もなきにしもあらずなのであります。しかし、この実施につきましては厚生省、あるいは大学病院につきましては文部省等ともよく連絡いたしまして、事務にあるいは実務にそこを来さないように配慮しつつやるつもりでおります。
○小平芳平君 国立病院、国立療養所の場合は、現在は定員五万二千二百十人で、ほかに六千六百人の、一割以上の賃金職員というものがいるわけですね。それで、その人たちが臨時だから――賃金職員という臨時なんですが、臨時だからといって、その人たちがやらなければ病院はきょう一日運営できない状態にあるわけです。
 たとえば、国立立川病院のような人口急増地帯におけるところでは、組合の機関紙とか五十四年十二月三日の朝日新聞の記事、こういうのによりましても、もう精いっぱい働いて、朝八時半から夜七時過ぎまでぶっ通しやって一人平均四分の診療時間しかとれない、それで午後七時までもやっている。医療費計算係、会計係、薬剤師などはみんな居残りをさせられてしまうとかそういう状態で、減らすと言われてもどこが減らせられるかと疑問に思うわけですね。それから薬剤師は医療法施行規則によってはじくと十二名必要になるんですが、現実には九名で、うち三人はパート、賃金職員。ですから、私がさっき申しましたように、患者さんの受け付けを減らすか――要するに間違えたというわけにいかないでしょう。お医者さんが間違えたとか、お薬を間違えたとか注射を間違えたとか、ついうっかりとかいうことがきかないわけですからね。そういうことで、きょう一日無事故で送れるかどうかということで精いっぱい取り組んでいるような場合に、これは減らしようがないじゃないですか。私は、ふやせとか、こうしろと言っているわけじゃないですが、客観的に見てそういう気がするわけですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 病院等によりましては臨時職員でやむを得ずやっているところもあることはよく承知しております。その臨時職員の皆さんも非常によくやってくだすっているようであります。しかし、いま定員削減しようと、かなり苦痛をこらえながらやろうとしておるときでございますので、そのままひとつがんばっていただいて、これを定員に繰り込むというようなことはしないようにしたいと思っています。
○小平芳平君 要するに、じゃおつき合いでこうやっているけれども、そのうちにまた別な折衝が始まるのだというような意味なんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 要するに、定員に繰り込むということはしないという方針を貫いていきたい、どうしても手間が不足だという場合には関係当局とよく相談して適宜な措置をとっていただくということであります。
○小平芳平君 要するに、減らすということですか、患者を。もう精いっぱいやっていまして、ただいま九人の薬剤師がいる、内三人は臨時、十二人が必要なところに正規の職員は六人しかいないということでやっていて、しかも定員を減らすというのはどこから出てくるかというわけですね。
○国務大臣(村山達雄君) 国立病院それから国立療養所につきましても、今度は第六次定員の問題で若干の削減をされたことは事実でございます。私たちはこの実行に当たりまして、その削減によって国立病院あるいは国立療養所の仕事に支障がないように努めると同時に、また年末の予算編成についても、増員要求等も含めまして、この国立療養所、国立病院が現在果たしている機能、これが低下しないように関係省庁の理解を得まして精いっぱい最大限の努力をするつもりでございます。
○小平芳平君 この立川病院の場合などは診療が主体ですが、国立病院医療センター、この場合などは診療のほかに研究教育というような機能を果たしておりますが、いずれにしてもいま厚生大臣が言われたように、現在果たしている機能を十分果たしていけるようにやっていくということに了解してよろしいですか。
 大蔵大臣、よろしいですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 定数の問題は仕事の量と裏表でございます。どういうようにやるかは厚生省の病院の枠の中で緩急よろしきを得て工夫をしてもらいたいと思っております。
○小平芳平君 枠の中で緩急よろしきを得てと言うけれども、減らし得るところがあるのかということです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、現場を担当しておりませんからわかりませんけれども、極力中で仕事の量等も勘案をしながら、まず第一にそういう工夫を先にこらしていただきたいということをお願いしているわけでございます。
○小平芳平君 工夫して、いずれにしても現在果たしている機能は低下させないようにするのが務めじゃないですか。この臨調でも、「真に必要なサービスはこれを維持すべきことは当然」と言っておりますね。自衛隊はどうなんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛官の場合は、これは防衛庁設置法によりまして定員を決めておりまして、一般の扱いとは別の扱いをしております。
○小平芳平君 別の扱いをして減らすわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 自衛官につきましては、いろいろ航空機をふやすとか艦艇をふやすとか、それに伴いまして乗組員やパイロットもいるわけでございますから、その点については触れない。ただし、自衛官以外の、制服以外の者については、一般官庁並みにやっておるわけであります。
○小平芳平君 総理、国立病院の場合などは、現在果たしている機能をわざと低下させるようなことがないように、必要なサービスはこれを維持するのが当然と思います。それでいいかどうかですね。
 それから自衛官は別に定めるわけでしょうが、この場合自衛官は永久に減らさないのか、どうなんでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 国立病院等の機能を低下しないように、あらゆる工夫をこらして努力をするということは当然でございます。
 自衛官の問題につきましては、もうこれは小平さんもよく御存じのとおり、わが国の防衛力というのは、自衛のための必要最小限度の防衛力しか持っておりません。今後もその方針でまいりますが、そういう観点から、その必要最小限度の自衛隊、自衛官でございますから、いま申し上げたように、制服以外の方の防衛庁等につきましては、これは一般の公務員と同じような扱いをするわけでございます。
○小平芳平君 次に、臨時措置法について若干質問いたしますが、この点についてはずいぶんもう論議されておりますので簡単にいたします。
 厚生年金の国庫負担金の繰り入れの特例について、四分の三に相当する額を繰り入れるとありますが、この特例期間中は四分の三というものが固定されているのか。たとえば五分の四とか四分の二のように動くことはあり得ないと理解してよろしいのか。
○国務大臣(村山達雄君) これは特例法案の中にもはっきりうたっておりますように、四分の三を基準としてこの財政期間中はやりますということを書いてあるわけでございますので、変わることはございません。
○小平芳平君 この三年間に保険料率が変わるということもないのか。
○国務大臣(村山達雄君) この措置は、負担率をさっきもお話ししましたように繰り延べるという措置でございますので、この措置によって保険料がどうなるということは全然ございません。
○小平芳平君 この措置によってどうなるということはないとしても、じゃ、この措置によらない保険料改定はあり得るのか。
○国務大臣(村山達雄君) 御承知のように、財政再計算というのがございまして、これは五年ごとに実施しているわけでございます。したがいまして、普通で申しますと六十年度になるわけでございますので、保険料が問題になるのはその時期であろうと思うわけでございます。
○小平芳平君 このこともずいぶん論議されましたが、「その他の適切な措置」ということにつきまして、厚生省、大蔵省は完全に一致しておりますのですか。
○国務大臣(村山達雄君) 完全に一致しているのでございまして、その内容は運用収益を含めて必ず返還する。その返済方法につきましては財政再建後の状況を見て協議して決めると、こういうことにおいて完全に一致しておるのでございます。
○小平芳平君 運用益もプラスして繰り入れをするということですね。いつから始めて何年くらいかかるわけですか。
○国務大臣(村山達雄君) その点が、「財政状況を勘案しつつ」というところに出ておりまして、いろいろな試算はしておりますけれども、具体的な返済期間等返済方法については、その状況のもとで年金財政に影響を及ぼさないように、そしてまた国の財政状況も勘案しながら具体的にその時点で両省間で決める、こういうことにおいて完全に一致しておるのでございます。
○小平芳平君 大蔵大臣、大蔵省も完全に一致しておられますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一致しております。
○小平芳平君 大蔵省では、五十九年で三年が終わったときに、六十年から開始するというふうに予定しておりますか。先ほどの午前中か、大蔵大臣の答弁では、三年かかるか十年かかるかみたいなこともおっしゃっておられましたが、そういう点はいかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは先ほどのお答えのとおりでございまして、要は厚生年金は積立金があるわけでございますから積立金で支払っておる、積立金は利息を生んでいる、これも事実でございます。国の方が財政事情が悪いので、二〇%の負担をするところをとりあえず給付金の一五%だけにしてくださいと、あとの五%はわかりやすく言えば積立金を立てかえておいてくれませんか、そうすれば給付の方は同じわけですからその分だけ積立金は減るということになります。したがって、それはそういうようなことのまま放置することは当然できません。したがって、それは補てんをいたします。しかし、その間利息はどうするのかという話になりますので、それはその利息に相当する部分についても給付をいたします。
 そうすると、それじゃ何年間でやってくれるかという話に当然なるわけです。それはそのときの財政事情を見て、一度にお返しするということはなかなかむずかしいでしょうが、それでは何年にするかというようなことについては厚生大臣とよく相談をしながら、無理のないように、国の財政事情の方も助かるように、保険財政には支障はまずないと、これが優先ですから、そういうことで決めさしていただきたいと、そう考えております。
○小平芳平君 大蔵大臣、十年というのは長過ぎませんか。それはそのときになって相談することだけれども、幾ら何でも十年なんて長過ぎませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは何年になるか、たとえばの話を私は申し上げたので、もっと短くできるか、いずれにしても運用部に預けておくわけですから、それはもう国が保証するわけで、大蔵省が運用部以外に借りておっても運用部に預けておっても国は国なわけでございまして、一般にそれが預けられた部分は何かに運用されているわけです、みんな。したがって、保険財政で支出に困るという場合には、それはすぐにでも返さなければならぬということですが、何年にするかは国の財政事情によって無理のないように相談して決めましょうと、そういう意味でございます。
○小平芳平君 臨調の趣旨は、国庫負担を下げる、国庫負担の削減を図るということにあるのですか。
○国務大臣(村山達雄君) 臨調の答申は、ごらんになるとわかりますように、年金については各種公的年金のバランスを図りながら、当面国庫負担の引き下げ等削減を図るものとする、こういうことでございますので、それに対応するものとして今度の措置を提案いたしたわけでございます。
○小平芳平君 制度審では、「年金財政に実質的損害を与えないこと」となっておりますね。そうすると、庁方では年金財政に全く実質的な損害は与えない。与えないけれども、国家の財政は得するということになるわけですか。要するに、損する人が全然いなくて国家の財政だけが得するわけですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、年金を支給する場合に二割の負担をする。それは一般会計から持ち出すわけですね、一般会計は非常に苦しい。したがって、それを一五%だけ持ち出す、五%だけは一般会計はとりあえず助かるわけです。しかし、それについては、助かって、それっ放しにするのではなくて、後でそれは利息をつけてお返しします。とりあえず三ヵ年間一般会計が少し助かるということであります。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
○小平芳平君 とにかく、国庫負担ですね、厚生年金に対する国庫負担。ほかの年金もいろいろな負担率がありますけれども、さしあたって厚生年金に対する国庫負担は減らさない、国庫負担を減らすような改正はしない、年金改正はしないというふうに理解してよろしいのですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この特例に関しまして、国庫負担を減らすということは考えておりません。
○小平芳平君 それから次に児童手当についてですが、三カ年にわたって事実上制度の凍結を行うという措置でありますから、これはまことに異例の措置というよりほかないと思います。三カ年にわたって凍結する、その特例措置の期間中にも新しい制度の検討を始める。それで特例措置は三カ年は絶対動かないのか、あるいは特例措置の三カ年を経過する前でも新しい制度ができたら新しい制度を立てようとしていかれるのか、そういった点はいかがでしょう。
○国務大臣(村山達雄君) 今回の特例措置につきましては、三年間は今度提案さしていただいているそういう内容で実施してもらいたいと思っております。
 それから今度の特例法案に書いてあります根本的検討でございますが、これはこの特例期間が済んだらどういう制度をやるかという問題でございますので、その検討につきましては制度審の御意党もございまして、できるだけ早い機会に検討を開始したい、かように思っておるわけでございます。
○小平芳平君 ちょっと厚生大臣、それじゃ遅いですね、いまの表現は。特例措置の期間中に新しい制度を検討して結論を得なきゃならないでしょう。そうして特例措置が経過したら、その検討してきた新しい制度を立てなきゃならない。ですから私は、特例措置の期間中でも新しい制度を立てられる条件がそろったら立てますか、立てるのですかと、これを聞いているわけです。
○国務大臣(村山達雄君) 私のいまの説明があるいは言葉不足であったかもしれませんが、特例期間中でも検討は開始するつもりでございます。しかし、この問題は御承知のように非常に各種の議論があるわけでございますし、この制度をどういう方向に持っていくかということについても非常な大きな問題がございますので、三年間はこの特例措置でやってまいりたい、そしてその特例措置が済んだらどういう制度にするかという検討は、この特例期間中でもできるだけ早く始めないと間に合いませんので検討を始めたいと、こういうことを申し上げたわけでございます。
○小平芳平君 総理大臣に伺いますけれども、大体厚生大臣のいま答弁された御趣旨だと思いますけれども、児童手当についてはいろいろな意見があるわけですね。特例措置の期間中に検討しましょう、この三年間にも検討しましょうというその案が、検討しましょうと言っている人によって違うかもしれないわけですね。要するに、児童手当を廃止しようというようなことを考えて特例期間中に検討しましょうと言う人と、いやそうじゃない、児童手当はますます充実した内容にして、たとえば第一子からとかというふうな内容にして、特例措置の期間が終わる前に結論が出ていないと、特例措置が終わったその途端に困るわけですから、ですから鈴木内閣としては特例措置の期間中に充実する方向で検討をいたしますのですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回の措置は三年間の臨時特例の措置でございますが、この三年の間に早速にでも制度の検討を始めます。その際、あくまでこの制度は存続をするという大前提に立って検討を進めるわけでございまして、この三年の間に制度審等の御意見も十分伺います、各方面の御意見も伺うわけでありますが、そして三年後におきましては直ちに新しい制度へ移行できるようなそういう準備を十分整えていきたい、こう思っています。
○小平芳平君 よくわかりました。
 最後に、自閉症児について若干質問して終わりにしたいと思います。
 まず厚生省に伺いますが、小児精神科という診療科目を立ててもらいたいということで、三月二十六日の予算委員会で質問したときに、時の厚生大臣、園田厚生大臣は、「小児精神科の問題は、ただいま精神科に入っておりますが、小児精神科を設けるかどうか、これは専門の学会の方々ともいろいろ御意見を聞いた上で検討をいたします。」ということになっておりますが、この検討の結果はいかがでしょうか。
○国務大臣(村山達雄君) 小児精神科の標榜につきましては、日本児童精神医学会からの要望がございますので、これを近くお聞きする予定にしております。そして、新たに標榜診療科目が必要かどうかにつきましては、さらに関連するところの小児科学会あるいは精神神経学会等の意見を踏まえまして、そして判断したい、かように思っておりまして、園田前大臣がおっしゃっていることをいま具体的に進めているところでございます。
○小平芳平君 厚生大臣がそのように検討していてくださればよろしいわけですが、日本児童精神医学会では委員会を設けて研究をしてきまして、請願運動を起こすことになっておるそうです。印刷物があしたできるそうです。
 そういうようなことがありますのと、それから国立仙台病院の白橋宏一郎先生ですが、この先生が、「児童精神科医療と一般精神科医療」というふうにこれは区別しなければいけないという意味の論文なんですね。それで、この論文では、「児童の診療は一般精神科医療の一隅において、専ら個人的関心に基づくか、社会的要請に応えるため診療、研究を余儀なくされている現況にある。」というふうなことをおっしゃっておられますが、こういう点は厚生省はよく承知をされておると思います。ですから、それで進めていただきたい。
 それから文部大臣に伺いますが、文部大臣に養護学校の教員の定数をふやしてもらいたいということ。それは行政改革に逆行するような話ですけれども、しかし問題が深刻なんです。要するに、手数がかかること限りないわけですね、特に情緒障害という子供さんたちが。ですから、従来定数として配置されている特殊学級などに教員がいるわけですけれども、その先生方の重労働たるやまあ大変なものなんですね。もうすぐパニック状態になる。子供たちがパニック状態を起こす。机をひっくり返す、いすを投げつける、教師の顔や髪をかきむしる、そういうことがまま起きる。ですから、普通ならば特殊学級を担当することを希望する先生なんかいないわけですね。普通ならば、教員免許状を持っている方は、ちゃんと教えたらすくすく成長する生徒を担当した方がどんなに張り合いがあるかしれないですよ。けれども、そういう特殊学級を担当して献心的にやってくれる人がいなくても困るわけですね、また特殊学級で献心的にやってくれるそういう先生が必要なんです。ですから、この特殊学級に対して定数が割り当てられている。中には一人、二人、学校によっては多く定数を置いているところもあるわけですが、そういうところで、とにかく十人、十一人という情緒障害の子供を担当していくのは並み大抵のことじゃないということなんですが、文部大臣の御意見を伺いたい。
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 先生御心配の養護訓練担当の教員等の定数の問題でございますが、この問題は特例法の中におきましても養護教育の義務制というものにかんがみまして、この点につきましては大蔵大臣並びに総理とも篤とお話をいたしてまいった次第でございます。
 なおまた、今回の標準法の改正におきましても、特殊学級の児童生徒数の標準を十二人から十人にというような特別な配慮をいたしております。
 なお、先ほど先生のおっしゃいました自閉症児等に関します治療上の問題でございますが、文部省といたしましては、国立の特殊教育総合研究所におきまして、これらの方々に対しましてはいたしております。
○小平芳平君 それから厚生大臣に伺いますが、自閉症の成人ですね、要するに自閉症児の子供さんの施設はできておりまして措置費も計上されるようになったわけですが、この児の施設に二十代、三十代というような人も現状は入っているんですね。そこで、あさけ学園というような新しい施設を親たちが協力してつくったのです、厚生省からも応援していただいて。この親たちが自分の家を抵当に入れてお金をつくってそれで建てたというそういうところなんです。ですから、厚生省として、自閉症児とともに自閉症者ですね、成人の施設、成人の位置づけを早く立ててもらいたい、はっきりさしてもらいたいということですが、いかがでしょう。
○国務大臣(村山達雄君) 成人の自閉症の方の施設につきましては、極力やはり助成措置をしてまいりたいと思ってわります。ただ、何分にも自閉症というものの本態なりあるいは原因、したがってまだ治療法、こういったものは確立されておりません。したがいまして、何よりもその研究を進めまして、その研究の成果の上に立って本格的なやはり即応体制を進めていく必要があると、かように考えておるところでございます。
○小平芳平君 終わります。
○委員長(玉置和郎君) 本岡昭次君。
○本岡昭次君 まず、私は、教育行政について基本的な考え方を総理との間で幾つか確認したいと思います。
 鈴木総理は、しばしば、平和、民主主義、基本的人権の内容をより充実していくことが行政改革の精神である、未来像であると明確に述べられています。私もそうあるべきだと考えます。教育の場合、それは教育基本法に基づく教育行政が進められていくことになると、このように私は考えますが、総理はいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。
○本岡昭次君 その教育行政のあり方は、教育基本法第十条に示されていると私は思います。教育行政の改革は、したがってこの教育基本法第十条に示された教育行政の特質を最大限尊重して行われなくてはならないと考えますが、総理、いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 教育基本法は、わが国の平和憲法の基本理念の上に基づいて定められておるものでございまして、私は日本の教育はこの教育基本法に基づいて進められなければならないと、このように認識しております。
○本岡昭次君 そして、私はさらに話を続けてみたいんですが、教育基本法に基づいて進められる教育行政の内容は、広く国民各界各層の要望と遠大な国家社会の目的に即し、党派的利害、特に政党政治下における政治的影響力からの申立性を保ちつつ、長期にわたって一貫した展望と、安定継続した計画に基づいて決定、実施されなければならないと、こう考えます。そして、その行政は他の一般行政と性格を異にする政治的中立性確保の要求がきわめて強いものと考えています。また、行政の仕組みは、地方自治の本旨にのっとり、教育の地方向治をより具現していくものでなくてはならない、このように考えますが、このような観点から、総理も述べておられるように、文教行政もこの際思い切って見直し、特に国と地方の役割り分担というものを十分ここで考え直して新しい国際化時代に機動的に対応できる文教行政にすべきである、私はこのように考えますが、総理いかがでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国の教育は偏ってはならない、やはり中正な立場を堅持さるべきである、このように考えるものでございまして、本岡さんの御主張もそこにある。政党政治の時代であっても、政党に大きな影響を受けるようなものであってはならないし、特定の団体の影響を受けるものであってもいけない。私は、やはり教育は中正でなければならない、このように考えます。
○本岡昭次君 いまの御答弁は、教育の中立性という一つの特性についての御見解でしたが、後段の私の質問についてもお答えいただきたいのです。私が後段に申し上げましたのは、教育行政の改革という問題の中に国と地方の役割り分担、これは総理も絶えずおっしゃっているわけで、中曽根長官もおっしゃっています。ここの点にやはりメスを入れて、そして国際化社会というのですか、国際社会の一員としてこれから日本が教育の分野でも大いに貢献していかなければならないという状況に対応すべきだと、私はこう考えているんですが、総理はいかがでしょうかということです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本の教育を本当に充実したものにし、そして子弟の教育、育成をりっぱにやっていくというためには、国も地方も力を合わせて、そして国民の理解と協力を得ながら、国民的立場の上に立ってこれを進めるべきである、私はこのように考えておるわけでございます。
○本岡昭次君 どうも国際化時代に向けての新しい展望というものはお示し願えないようです。そこの点にかかわっておる時間もありませんので、次の問題に入ってまた総理の御意見を伺います。
 そこで、私は、昨日、わが党の志苫委員が質問された教育長承認制廃止の問題について、政府の見解をただしてまいりたいと思います。
 現在は、教育長の任命について、市町村の場合は都道府県教育委員会が、都道府県の場合は文部省が承認する制度になっています。そこで、志苫委員が昨日、他の省庁と関連させて文部大臣に対して、文部省として国と地方の行政事務再配分に関する問題として提起された事柄に対して、昨日の文部大臣の答弁というのはまことに私は問題があると思うんです。いわば一言のもとにはねつけるという態度でありました。
 どういう事柄かと申しますと、終戦後の経緯もございますが、国と地方との行政を一体的に運営するという一つのくさびといたしまして必要なものであると、かように考えております、このような答弁を文部大臣はされています。鈴木総理が行政改革に政治生命をかけて、そして内閣が打って一丸となってこれをやるんだという中にあって、他の大臣は、国と地方の役割り分担あるいは事務の再配分の問題についてそれぞれ検討をしようとか、いろいろ行革にかかわる事柄ですからもう少し慎重な答弁、そしてまた行革との関係においての答弁をなさいましたが、文部大臣だけは、そんなものは全然関係ありません、する必要はありません、くさびでございますからというふうな形ではねつけるということ、これはどうも鈴木総理のもとに打って一丸となって行政改革に取り組んでいこう、そしてその事柄は国と地方のいわゆる役割り、任務分担という、鈴木総理が四つの理念の中の一つに掲げられている問題にかかわって一言のもとにはねつけていくということ、私はどうしてもこれは納得できないんですが、鈴木総理、この田中文部大臣の志苫委員に対する答弁について総理大臣としてどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 実は、昨日の志苫委員の御質問に対して田中文部大臣がどのような答弁をされたか、そのとき私おりませんでしたが、速記もまだ実は見ておりません。しかし、国と地方のくさびを云々というのでなしに、これはくさびでなしに鎖でつなぐという意味じゃないでしょうか。
○本岡昭次君 鎖なら鎖としてのまた意見の言い方もありますが、速記というんですか、そのときの発言は、一つのくさびといたしまして必要なものであると、かように考えておりますと、このようにはっきりおっしゃっている。後ほどまた文部大臣の方からお聞きしますが、くさびとおっしゃっている。くさびということなんです。どうですか。(「文部大臣に聞け」と呼ぶ者あり)ちょっと、文部大臣には後においてまたいろいろ論議します。いまは総理大臣の……。
○国務大臣(鈴木善幸君) いや、そのくさびか鎖かという……。
○本岡昭次君 ああそうですか。それだけ答えてください。くさびと言われたのか、鎖なのか。ほかの弁解は後でまた聞きますから。
○国務大臣(田中龍夫君) まあ私は同じようなものであろうと、かように考えております。
○本岡昭次君 ちょっと私はいまの発言聞き取れませんでしたがね、もう一遍言ってください。同じようなものと発言されたのですか、もう一遍。
○国務大臣(田中龍夫君) 御案内のとおりに、国の文教政策とそれから地方自治体におきまする自治をあれといたしました、一つのそれをつなぐかなめと存じますな。私はあれ、くさびと言った……、かなめと言ったのじゃないでしょうか。
○本岡昭次君 これは大事なことなんですよ。いまかなめと言われた。それからくさび、くさり。これはそれぞれ国と地方の関係をそういう表現をされているんですからね、これは大変なことですよ。これ、どれが本当なのかはっきりさせてください。じゃないと私は論議できませんわ、ちょっとこれ、こんなこと。あとの質疑ができぬじゃないですか。
○委員長(玉置和郎君) 本岡君、本岡君に申し上げますが、鎖、くさび、かなめ、私もわからぬ。文部大臣、やっぱり一番偉い人だからもう一ぺん。
○国務大臣(田中龍夫君) 文教というものはやはり国として一体に運営されなきゃならない重要な国政でございます。さような関係から申しまして、やはり地方自治は地方自治として十分に尊重をいたしますが、各県各県の自治体における教育行政の整合性という上から申しましても、いまのような教育長制度がよろしいものである、ことに戦後の経緯からかんがみましてこれは絶対必要なものであろう、かように存じております。
○本岡昭次君 これはいずれ速記を起こして、鎖、くさび、かなめ、どれが本当か明らかにした上で、この問題は論議すべきだけの意味のあるものだと、私はこう考えているんです。
 そこで、それはそれとして置いておきまして、その問題にかかわっていましばらく論議してみます。
 そこで、総理それから行政管理庁長官、文部大臣にお尋ねしますが、この教育長承認制度の廃止問題は何もいま事新しく出た問題じゃありません。第一次臨調の答申の中にもこれは出ております。一九六五年九月十日の地方制度調査会の答申の中にも出ているのですが、それについてそれぞれ内容を御存じですか、御存じありませんか。お三人、ひとつお願いします。知っているか知っていないかだけで結構です。
○国務大臣(田中龍夫君) 私は、最初にできた制度時代には県知事をいたしておりましたので、経過はよく存じております。
 なおまたこの教育委員会制度と同時に、教育長の果たしておりまする国政上の非情な文教政策上の重要性を特に存じておる次第でございます。
○本岡昭次君 ちょっとね、注意してくださいよ。私の質問に全然答えられていないんですから。私は、あなたが教育長をしておったか、知事をしておったかということで、この教育長承認制度がどうできたかなんというような語は聞いてないですよ。教育長承認制度の廃止というのは、何もきのう志苫委員が言われたから起こったことじゃなくて、昔からこの問題は再々論議されていることでしょうと。その中の大きなものは二つでしょうと。その二つの事柄を知っておられますかと。第一次臨調、それから地方制度調査会の答申、それを知っているか知っていないかだけをお答えください。
○国務大臣(田中龍夫君) 第一次臨調にありますことも存じております。
○本岡昭次君 地方制度調査会も。
○国務大臣(田中龍夫君) はい、存じております。
○本岡昭次君 長官。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一臨調の中に入っているということは、私は忘れて知りませんでした。
○本岡昭次君 総理。
○国務大臣(鈴木善幸君) この問題は、先ほど来本岡さんが言っておられるように、地方に権限は移したらどうかというような趣旨の答申が地方制度調査会から出ておるということは知っています。
○本岡昭次君 第一次臨調の答申も、地方制度調査会の答申も、これは総理大臣の諮問機関として総理に答申をされたものということで、鈴木総理が直接その答申をお受けになったということではありませんけれども、これは内閣の継続性の問題で、当然、総理として現在行政改革を推進されている以上、それにかかわる問題の全貌をやはりあなたは知っておられるべきであろう、こう思うんですよ。だから、いま第一次臨調の答申と、地方制度調査会の答申をここで読んでくださいと言いたいところですが、それも資料をいますぐ出せと言っても無理でしょうから、私が代読します。いま中曽根長官も忘れておったということですから、よくひとつ思い出してください。「行政事務の配分に関する改革意見」の「勧告」の中に入っています。
 「1 行政事務の具体的再配分 行政事務再配分に関する基本的方針に従い、主要な行政分野に関し、国および地方公共団体に再配分すべき行政事務を具体的に示すと次のとおりである。(1)教育関係 教育行政については、現在、義務教育の第一の責任を市町村としており、」――もう一遍読みます、大事なところですから。「現在、義務教育の第一の責任を市町村としており、国および都道府県は若干の権限を保留するにとどまっている。しかし、地方公共団体がなお一層自主的に教育行政を行なっために、教育長の任命について、市町村の場合における都道府県教育委員会、都道府県の場合における文部大臣の承認制度を廃止すべきである」。そして、その後に、学校の就学を認める云々、認可の問題が出てまいりますが、これは関係ありません。省きます。このようにはっきりと「承認制度を廃止すべきである」ということに勧告はなっています。はっきりしています。
 それから続いて、地方制度調査会の答申には「八 教育行政」とあって、「教育委員会(関与是正) 都道府県教育委員会が教育長を任命する場合は国の承認を、また、市町村教育委員会が教育長を任命する場合は都道府県教育委員会の承認を要することになっているが、この承認制は廃止することとする」。このように明確に第一次臨調とそれから地方制度調査会の答申の中には出されています。
 総理、この二つの答申と現在の行政改革、これをどのように考えていくおつもりでございますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) この承認制度は、昭和三十一年であったと思いますが、この制度が設けられました。これは全国的に教育水準が平準化されなければいかぬと、こういうような観点等からいたしまして、この制度が設けられたものと承知をいたしておるわけでございまして、歴史的な経過もこれあり、私は今後この問題については、第二臨調がどのような答申をお出しになりますかわかりませんが、この制度は私はいまでも間違っていないと、このように思っています。
○本岡昭次君 いまでも間違っていないと、こうおっしゃいますが、そうすると、その第一臨調の答申あるいは地方制度調査会の答申が間違っていたと、その間違っていたのをそのときの総理大臣が恭しくお受けになったと、こういうことになるんですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 昭和三十一年当時のこの制度改正によって設けられたものであります。それがいまの状態に照らし合わせても間違っていないと、こういうことを申し上げておるわけでございます。私は、第一回の臨調でありますとか、地方制度調査会の答申でありますとか、その言わんとする御趣旨は私もわからないではないけれども、政府の責任においては三十一年の制度改正、これを私は現在でも適当であると、このように考えています。
○本岡昭次君 そうすると、答申というものについて、まあ第二臨調の場合は、いろんな場合において第二臨調の答申を待ちましてと、第二臨調が答申しましたことは私が政治生命をかけてこれは実行しなければならないとか、大変な思いのかけよう、今のかけようでございますが、そうすると、第一次臨調の答申とかあるいは地方制度調査会の答申というものは、同じ総理の諮問機関として答申されても、いまのような形でお扱いになる。これは少しおかしいんじゃないんですか。(「つまみ食いはだめよ、つまみ食いは」と呼ぶ者あり)
○国務大臣(鈴木善幸君) 第一臨調あるいは当時の地方制度調査会の答申、そういうものを踏まえて当時の内閣が、政府が責任を持って国会にわ諮りをして、そして三十一年にそういう制度改正がなされた。政府の責任において提案をし、なされた。しかし、いまの臨調、今回の臨調でありませんが、第一次臨調あるいは制度調査会の御答申があったと、そこで当時の政府がその三十一年の制度改正によって実現をしたところの制度をどういうぐあいに見直すかという問題は、当時、諸般の情勢を勘案して、三十一年の制度をそのまま維持すると、こういうことに相なって今日に至っておるわけでございます。私は、今日の状況におきましても、さっき申し上げた観点からいたしまして適当であると、このように考えております。
 なお、第二臨調と政府の関係、第二臨調の答申をどういうぐあいに扱うかという問題につきましては、これは法律にもありますように、政府としては最大限にこれを尊重する、こういう立場に立っておりますが、しかし、あくまでこの臨調の答申をどのように処理するかの問題は、すべて政府が国会にお諮りをして国民に対して責任を負うものでございまして、政府の上あるいは国会の上に諮問機関や臨調が存在するものではない、これだけは明確に申し上げておきます。
○本岡昭次君 結果は、いまも後ろから出ていますが、つまみ食いをして、よいとこどりをしていったということでしょう。
 そこで、私は総理にいま一つ詰めたいのは、政府がこの答申の中から必要なものを取り上げてきて、そして制度として改善する、内容を充実する、あるいは廃止する、さまざまな政策的な措置をとる、その中で必要がないと考えたからそれをしなかったと、当然あり得ることだということなんですが、その問題はその問題として置いて、問題はその答申に書かれてある文言ですね、そのこと自身、やはり現在の法律解釈、教育基本法とか地方自治法とか、さまざまな法律がありますが、教育関係の法律も。そういうものを考えてみて、やはりこの答申は間違った法律解釈をしている、答申自身が間違っているのだと、だからこれは実行に移す必要がなかったのだと、こういう立場と、これはそれとしてわかるけれども、いま取り上げるべきでない、こういう立場、それから、わかるけれども、この問題についての選択はしなかったんだと、こういういろんなものがあると思うんですが、私は一番問題になるのは、いまの総理の答弁では、答申が間違っていたと、答申自体に間違いがあるんだという答弁のように私は受けとめたんですが、ぼくはそれではちょっとおかしいと思うんですね。もう一回。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は先ほども申し上げたように、三十一年にこういう制度改正がなされたと、その後において第一臨調あるいは地方制度調査会から御答申がなされた。その当時、政府はその答申を受けて、その答申の文言だけでなしに、総合的に判断をして、やはり三十一年の制度改正、これを堅持した方がよろしいと、こういう結論に達して今日に至ったものと私は考えるわけでございまして、決して答申が間違っておるとか、誤っておるとか、そんなことを私が申し上げておるのではないわけです。(「まだわからないのかな」と呼ぶ者あり)
○本岡昭次君 あなたわかっても、私わからぬですよ。わからないから質問しているんですよ。
 そこで総理、あとは私があなたの話の文脈を整理しますから。あなたは間違っていないと、こう言う。間違っているか、間違っていないかの問題じゃなくて、その当時の教育の諸情勢を総合的に考えて、それを採用しなかったんだと。三十一年当時の法律でいいだろうと、こういうことになったんだということですから、逆に言えば、この答申が間違っているということではなかったんだと、この答申の言わんとしていること、それはそれなりに一つの考え方としてあるんだというふうに私はいまの答弁は理解をしておきます。それでいいですね。何も別に反論がないんですから、そういうことだというふうに私は受けとめておきます。
 そこで、田中文部大臣、いまの総理大臣の答弁であれば、それは間違っているという解釈に立っておられないわけで、ただ総合的に判断してそれを採用しなかっただけだと、こういうお考えなんですね。それなら私も、完全理解できませんが、ある一つの理解はできるんですが、しかし田中文部大臣の発言たるや、もう必要ないという、くさびということをあなたはおっしゃっているんですよ。くさびというものは二つのものを無理やりに一つにくっつけるという物理的な一つの事柄でしょう。いやがるものを一つに、国と地方を一つに押しつける。だから、そういうものなんだからそれを外すと二つがばらばらになっちゃう。だからどうしても必要なんだという、こういう論理であるわけなんです。そうなってくると、文部大臣の認識の問題としては、これは現在の行政改革を進めていく鈴木内閣の中の一閣僚として、行政事務の再配分というずっと過去から答申されてきた事柄に対してまことにこれ不見識であり、オーバーを言い方をしたら、現在の憲法下の民主国家の中の一閣僚としてこれは失格ものの発言だと私は思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま御意見のように、いやがるやつを無理やりにつなぎ合わせるというのではなくて、やはり行政を運営する上から申しまして、両方が好きであってつながっていく場合もあります。その点は誤解のないようにお願いいたします。
○委員長(玉置和郎君) 野田哲君から関連質疑の申し出がございます。これを許します。野田君。
○野田哲君 先ほど来、本岡委員が質問をして、第一次臨時行政調査会の答申、それから地方制度調査会の答申にそれぞれ教育長の承認制度を廃止すべきだ、こういう答申が明確に出ているわけです。私は第一次臨時行政調査会の答申、それから地方制度調査会の答申も、そして今度第二次臨時行政調査会でどういう答申が出るか、この件についてはまだ不確定でありますけれども、いずれにしても過去の法律によって設置されている臨時行政調査会あるいは地方制度調査会でそういう見解、答申が出ておる。これに対して文部大臣が、いまの承認制度はくさびを打ち込むために必要な制度なんだ、こういうような意味を言われている。これは臨時行政調査会あるいは地方制度調査会の答申を全く無視をする、こういうことで、私はいまの文部大臣の昨日来の見解なり、あるいはまた本岡委員の質問に対する総理の見解も、これはきちっと統一したものを示してもらわなければ重要な問題が後に残ると思うので、この点はぜひひとつ政府の方で統一的な見解を後刻、明朝の本岡委員の質問が継続して行われるこの時点までに示してもらいたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいまのお使いになりましたお言葉をちょっと私よく聞き取れなかったんでございますが、私がくさびと申しましたのは、委員のおっしゃるように、くさびを打ち込むと言いますと大変悪いようなことに相なります。つまり、国政と地方自治体との間の文教政策の連携でございます。
○本岡昭次君 いまの問題は、野田委員の方からありましたから、これはひとつ、まず文部大臣が正確に何をおっしゃったかということを調べて、その上で再度統一してくださいよ、それは。
 それともう一つは、総理はいまのような形でおっしゃいましたが、それでは、一九七六年の五月二十一日に最高裁判所が学力テスト問題で判決を出しているんです。その判決文の中に次のような内容がございます。「現行法制上、」「教育に関する地方自治の原則が採用されているが、これは、戦前におけるような国の強い統制の下における全国的な画一的教育を排して、それぞれの地方の住民に直結した形で、各地方の実情に適応した教育を行わせるのが教育の目的及び本質に適合するとの観念に基づくものであって、このような地方自治の原則が現行教育法制における重要な基本原理の一つをなすものであることは、疑いをいれない。」、このように最高裁判所は学力テスト判決の中で教育の地方自治という問題について一つの判断を下しております。
 その場合に、最高裁判所の方も、教育の地方自治の原則というものが現在の教育行政の重要な基本原理の一つとして認め、それがやっぱり生きているという事柄と、それでは現在のそれぞれの教育長を承認していくということが一体どうなのかという問題について疑義を感じて、第一次臨調も地方制度調査会も期せずしてそういう中身のものを打ち出したということで、これは政府としてそう軽々に扱うべき性格のものでないと、ぼくはこう考えるんです。もっとこれは慎重に扱っていくべきものだ。
 総理は、総合的にこれを判断してその当時の内閣はそれを採用しなかった、そしていままた私もその当時の判断が正しいと思うというふうな筋のことを申されましたが、その問題と、答申を最大限やはり尊重して、答申の意味するところを十分行政の中にかみ砕いていかなければならないという問題は、やはり内閣の責任としてこの答申を受けた以上残るのじゃないかと思うんですね。一つの判断をしてしまったからもういいんだということじゃなくて、その答申で言わんとした趣旨、考え、意義、そうしたものは、総理の諮問機関が答申した中身だけにやはりいつまでもそれは、採用するかしないかというのはそのときどきの状況判断はあるにしても、尊重されていくべき性格のものであろうと、こう思うんですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、ただいま本岡さんから御説明のございました、教育の第一の責任の立場として市町村なり県なりそういう重要な責任を負っておるという最高裁の判断は私は間違っていない、正しいと、こう思うわけでございます。と同時に、国が教育に対しては国政の基本として位置づけておるわけでございます。そういう観点から、地方に国が協力をし、そして一体になって国民の健全育成なり教育ということを進めるということは、これは当然国としてもやるべきことである、こう思います。
○国務大臣(田中龍夫君) ただいま総理のお言葉で尽きておると存じますが、もう一度言葉を調整いたしますと、国と都道府県及び市町村の教育の行政当局がお互い協力する制度である。ただいまくさびという私の言葉が、向こうの方から、間違っているぞと、くさびじゃない、それはかすがいと言うたらば非常にはっきりするんだぞと、こういう御注意もございました。私の言わんとする言葉は十分に本岡委員御存じであろうと、かように考えまして、以上でお答えといたします。
○本岡昭次君 これは、速記を委員長の責任で起こしてもらって、そしてはっきりさせてください。でないと、いろいろ言われたって私にはわかりませんから。
 それと、いまのようにおっしゃるなら、この前志苫委員に発言されたあの答弁、それを取り消してくださいよ。そこまでいろいろと言葉を変えられるなら、取り消してください。
○国務大臣(田中龍夫君) よく速記録を見まして、そうしてお答えをいたしましょう。
○本岡昭次君 そこで、自治大臣にお伺いをいたしますが、第二臨調に対して地方六団体がこの教育長承認問題について廃止することを強く要望していると聞いておりますが、その事実関係についてひとつ教えていただきたい。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 地方団体がそういう要望をしておることは、私も承知をいたしております。
○本岡昭次君 行政管理庁長官も御存じですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 聞いております。
○本岡昭次君 それでは、その地方六団体はどのような理由をもって廃止してほしいという要望をしているんですか、自治大臣。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 詳細は私聞いておりませんけれども、想像するところによると、それは地方にこういう問題は任してもらっていいじゃないか、こういうような考え方からそういう要望をしておるものだろうと、こう思います。
○本岡昭次君 長官はその理由はお聞きですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり地方分権という考えから、助役や部長を町村長や市長は自分で任命するとか、あるいは府県で総務部長やそのほかを知事さんが自分で任命する、もっとも議会の同意を要しますが、そういうような感覚でおっしゃっているのではないかと思います。
○本岡昭次君 そこで、中曽根長官にお伺いします。
 長官は第二臨調が進めている行政改革の仕事について包括的に責任を持っておられる立場です。そこで、六団体が、いま長官がおっしゃったように、地方分権の立場に立って、教育長の承認ぐらいはひとつ都道府県あるいは市町村、それぞれの地方自治体に任せてもらいたいと言ってきているという事柄、しかもそれがなお第一次臨調、地方制度調査会からずっと引き続いて行われている。また、臨調の始まる前も、私の聞くところによれば、再々この六団体はそうしたことの要望を繰り返してきておられるということも聞いているのですが、行政管理庁長官として、国と地方の事務の再配分の問題、あるいはそれぞれの国と地方の事務分担の問題、あるいは長官も中央集権というものが余り強くなってはいけないというふうなことを参議院の本会議でもおっしゃっておられます。いまも分権とおっしゃいましたが、そういう立場からこの教育長の承認廃止問題を素直に考えてみられて、どのような現在見解をお持ちですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題はいろいろな面から検討しなければいかぬと思います。地方の公共団体の首長からすれば、自分たちで任命したものは自分たちでいいじゃないか、そういうふうにお考えになるのはあたりまえで、だからおれたちにその権限は完全に渡せと、そういうふうにお考えになるだろうと思います。しかし一方、また国の行政あるいは国家の教育をつかさどる府の方からいたしますと、全国的な整合性という問題、それは施設の問題につきましても、あるいは教育内容についてもあります、もちろん教育基本法のもとにおいて行われることでありますけれども。そういうような整合性を確保するという面もあるのではないかと思います。恐らく、三十一年にそういう改正がなされたということは、全国的な整合性を非常に考えて改正が行われたんだろうと思いますが、その後の各府県の実情あるいは各市町村の実情というものが、完全に自分たちだけでやっていて、しかも全国的整合性を図られるかどうか、これは国としての大局的見地からまた検討しなけりゃならぬところであると思うんです。そういう意味において恐らく臨調でも検討するだろうと思いますが、私も臨調の討議の模様を見守っていきたいと思います。
○本岡昭次君 そこで、長官は見守りたいと、当然長官として、こうあるべきだということで具体的に正面切ってそれに切り込んでいくことはできないと思いますが、地方六団体が自治省あるいは行政管理庁の方に要望したこと、第二臨調に対しての要望になるんですが、それはこういうことなんですよ。教育長の任命を文部大臣あるいは都道府県知事の承認にかかわらしめている理由は、教育行政の一体性の確保を目的としているものと思われるが、承認制度は地方公共団体の事務に関する明らかな権力的関与であり、地方自治の本旨に反する、このように言っている。
 それで、この問題で、総理、昭和三十一年に地教行法ができたときですね、そのときの日本の文教行政、文部省、地方教育委員会という一つの関係は非常に未熟なものであり、いま中曽根長官もおっしゃったけれども、全国、教育委員会ができても、国が見ておらなければ非常に不均衡、アンバランスができるのではないかという国からの整合性、あるいはまた水準を保つということにいろいろな意を注がなければならない面があったと思います。
 しかし、戦後教育委員会制度が新しく、いまの地教行法のもとにおける教育委員会制度になってからもう二十数年経過をしているわけで、それぞれ地方自治体は教育長あるいは教育委員会委員の任命、承任というものをそれぞれの自治体の力によってやっていくという力を持ち合わせているわけで、そこまで地方自治体は私は成長していると思うんです、この問題。それを依然として教育長を東京に呼びつけて初市局が面接をするというふうなことをいまだに続けているというのは、余りにもぼくは地方自治体を信頼せず、不信感に満ち過ぎているんじゃないかと思うんですね。地方自治体を信頼してない。これは少し時代の進歩という問題、こういうものから見て、その当時は必要だったかもしれないけれども、もう必要のないものだという判断に立っても決しておかしくない。いかがなものでしょうね。どうですか。ちょっと長官にお願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 地方自治体の御要望は私もわかるような気がして、私も首長だったらそう言うかもしれません。しかし、国全体を考えてみますと、教育の整合性とか、あるいは水準の維持とか、いまおっしゃったとおりの問題はまだ非常に大きく残っておると思います。また、全国の父兄、PTAの皆さん、そういう第三者の意見もよくまた聞いてみる必要もあると思います。第三者の意見といっても表へ出てきている意見と黙っている意見と幾つもありますが、黙っている意見もよく考えてみる必要もある。そういうような全般的な考慮のもとにこの問題は判定さるべきであると思っております。
○本岡昭次君 そこで、自治省の方は第二臨調との間でいろんな接触があると思うんです。自治省の所轄の行政分野の問題でやはり第二臨調で検討してもらいたいものとか、あるいは第二臨調の方から問われていろいろ自治省側からの意見を述べる、こういうようなこともあると思うんですが、この教育長承認廃止問題について自治省はいまどういう対応を第二臨調にしているんですか。
○政府委員(砂子田隆君) ただいまのお話でございますが、第二次臨調に関しまして自治省の考え方をもうすでに述べております。その中に、いまお話がございました地方制度調査会から従来答申されたもの、そういうものの中で必要なものはすべて提示してございます。またさらに、いまお話がございましたし、総理からもお話がございましたが、少なくとも国と地方を通ずる行政の効率化、それはまず進めるべきである、それからもう一つは、地方分権というのが今後の民主政治にとって必要なのでこれが進められるべきであるという二点からその考え方を提示してございます。
○本岡昭次君 これは考え方だけじゃなくて、いまのお話は、第一次臨調あるいは地方制度調査会でいままで出されてきたものを自治省としては大切にして、そしてそれをやはり実行していくべきであるということで出しているというふうにいまの答弁を聞いたんですが、私は当然そうあるべきだと思うんですが、自治大臣いかがですか。
○国務大臣(安孫子藤吉君) 自治省が説明いたす場合に、やはり地方分権ということに主眼を置く、こういったてまえになると思います。それから地方制度調査会の答申等々の意見もやはり十分そしゃくをいたしまして、そういう立場に立って私は事務当局も臨調には説明をしているだろうと思います。しかしながら、臨調におきましてはさらにあらゆる角度からこの問題を検討いたしまして結論を出すものであろうと、こういうふうに私は考えております。
○本岡昭次君 それでは、もう時間もありませんので、また残りはあすにすることにしまして、最後に総理に申し上げておきます。
 きょうの総理の答弁はまことに不満であります。総理大臣が諮問し、そしてその諮問に対して答申された事柄について、もっとやはり誠意を持って誠実に中身を受けとめていくべきであろうと思いますし、国と地方のこの教育行政の中における問題はさまざまありますが、その中で教育長廃止問題だけを取り上げているこの第一次臨調、地方制度調査会、その趣旨というものはもっともっとぼくは大切にこれは現在の鈴木内閣が進める行政の中にも組み入れていただかなければならぬと、こう思うんです。
 これは単に、いま日本の国内におけるさまざまな教育問題に関する争いあるいは意見の衝突、そういうことが問題ではなくて、これは総理も絶えずおっしゃっているように、いま非常に日本の国は多様化している、それで国際化している、その状況に日本の国が対応していかなければならないんだ、そのためにこの行政改革をやるんだとおっしゃる。私もそれはそのとおりだと思うんですよ。そういう考え方に立っていくときに、文部省というのはこれは日本の国の教育を預かる最高の国家組織なんですね。それがいつまでもいつまでも国と地方の細々したところに精力を使ってやっていくということ、そういうところからは決して私は日本の教育の国際化というふうなものは発展していかない。また、多様化というものに対応できない。多様化というのは、国が一つにまとめ得ない状態を多様化と、ぼくはこう言うんだと思うんです、さまざまな状態がこう起こってくるとね。
 そういう問題についてやはりもっと認識というものを新しく持っていただいて、本当の意味において、日本の教育の問題もそういう多様化に対応し国際化というものに対して大きく踏み出していける、そういう力を持つためにもやはり分権というものは非常に大事だ。そんな市町村の細々した問題までに文部省が一々かかわらずに、もっと世界の問題にかかわっていくという、その力をそちらへ向けていくという、こういうことがあってこそ、私は、本当の二十一世紀を目指す行政改革、文部省の行政改革であろうと、このように思うんですよ。そういう意味で、教育長の承認廃止問題というのは、そういう大局的な立場でこれを私は見るべきであろうという意見を持ちます。
 最後に、総理の御意見を伺って、きょうは一応終わりたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 本岡さんの御意見を集約をいたしますと、地方分権あるいは国と地方団体との行政事務の配分、こういう点に着目をして、こういう教育長の問題などはすべて府県なり町村に任したらどうか、こういうお説のように先ほど来拝聴しておるわけでございます。
 私は、それもよくわかりますが、教育の日本全体の整合性と申しますか、そういう文部省が教育に対して責任を持つ、こういう観点からこの教育長の問題はまた見ておる。だから、私としては総合的に判断をして、三十一年当時に決めたこの制度というものはいまでも私は間違っていない、こういう判断を下しておるわけでございます。
○委員長(玉置和郎君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後七時三十二分散会