第095回国会 行財政改革に関する特別委員会 第9号
昭和五十六年十一月十八日(水曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月十六日
    辞任         補欠選任
     市川 正一君     佐藤 昭夫君
 十一月十七日
    辞任         補欠選任
     山田  譲君     鈴木 和美君
     佐藤 昭夫君     上田耕一郎君
     伊藤 郁男君     小西 博行君
十一月十八日
    辞任         補欠選任
     楠  正俊君     福田 宏一君
     中野 鉄造君     和泉 照雄君
     上田耕一郎君     市川 正一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         玉置 和郎君
    理 事
                坂野 重信君
                嶋崎  均君
                平井 卓志君
                降矢 敬義君
                小柳  勇君
                野田  哲君
                峯山 昭範君
    委 員
                江島  淳君
                大木  浩君
                梶原  清君
                後藤 正夫君
                下条進一郎君
                関口 恵造君
                田沢 智治君
                田代由紀男君
                高木 正明君
                谷川 寛三君
                成相 善十君
                福田 宏一君
                藤井 孝男君
                三浦 八水君
                穐山  篤君
                志苫  裕君
                鈴木 和美君
                本岡 昭次君
                安恒 良一君
                和泉 照雄君
                塩出 啓典君
                中野  明君
                上田耕一郎君
                市川 正一君
                山中 郁子君
                小西 博行君
                柳澤 錬造君
                森田 重郎君
   国務大臣
       内閣総理大臣   鈴木 善幸君
       法 務 大 臣  奥野 誠亮君
       外 務 大 臣  園田  直君
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
       文 部 大 臣  田中 龍夫君
       厚 生 大 臣  村山 達雄君
       農林水産大臣   亀岡 高夫君
       通商産業大臣   田中 六助君
       運 輸 大 臣  塩川正十郎君
       郵 政 大 臣  山内 一郎君
       労 働 大 臣  藤尾 正行君
       建 設 大 臣  斉藤滋与史君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    安孫子藤吉君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       中曽根康弘君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  大村 襄治君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  原 健三郎君
   政府委員
       内閣法制局長官  角田禮次郎君
       内閣法制局第三
       部長       前田 正道君
       臨時行政調査会
       事務局次長    佐々木晴夫君
       臨時行政調査会
       事務局首席調査
       員        山本 貞雄君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  伊従  寛君
       警察庁刑事局長  中平 和水君
       警察庁刑事局保
       安部長      谷口 守正君
       行政管理庁行政
       管理局長     佐倉  尚君
       行政管理庁行政
       監察局長     中  庄二君
       防衛庁参事官   新井 弘一君
       防衛庁防衛局長  塩田  章君
       防衛庁経理局長  矢崎 新二君
       経済企画庁調整
       局審議官     大竹 宏繁君
       経済企画庁総合
       計画局長     谷村 昭一君
       国土庁長官官房
       長        福島 量一君
       国土庁長官官房
       審議官      川俣 芳郎君
       国土庁土地局長  小笠原正男君
       外務大臣官房調
       査企画部長    秋山 光路君
       外務省北米局長  淺尾新一郎君
       外務省経済局長  深田  宏君
       外務省条約局長  栗山 尚一君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        高倉  建君
       大蔵大臣官房審
       議官       水野  繁君
       大蔵大臣官房審
       議官       矢澤富太郎君
       大蔵省主計局次
       長        窪田  弘君
       大蔵省主計局次
       長        宍倉 宗夫君
       大蔵省関税局長  垣水 孝一君
       大蔵省銀行局長  宮本 保孝君
       国税庁直税部長  吉田 哲朗君
       文部大臣官房長  鈴木  勲君
       文部省初等中等
       教育局長     三角 哲生君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       文部省社会教育
       局長       別府  哲君
       文部省体育局長  高石 邦男君
       文部省管理局長  柳川 覺治君
       厚生省環境衛生
       局長       榊  孝悌君
       厚生省医務局長  田中 明夫君
       厚生省薬務局長  持永 和見君
       厚生省児童家庭
       局長       幸田 正孝君
       農林水産大臣官
       房長       角道 謙一君
       農林水産省経済
       局長       佐野 宏哉君
       農林水産省構造
       改善局長     森実 孝郎君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     小島 和義君
       農林水産省畜産
       局長       石川  弘君
       食糧庁長官    渡邊 五郎君
       林野庁長官    秋山 智英君
       通商産業大臣官
       房審議官     斉藤 成雄君
       通商産業省貿易
       局長       中澤 忠義君
       通商産業省立地
       公害局長     神谷 和男君
       通商産業省生活
       産業局長     志賀  学君
       中小企業庁長官  勝谷  保君
       郵政省貯金局長  鴨 光一郎君
       労働省労働基準
       局長       石井 甲二君
       労働省職業安定
       局長       関  英夫君
       建設大臣官房長  丸山 良仁君
       建設省計画局長  吉田 公二君
       建設省道路局長  渡辺 修自君
       建設省住宅局長  豊蔵  一君
       自治大臣官房審
       議官       小林 悦夫君
       自治省行政局長  砂子田 隆君
       自治省財政局長  土屋 佳照君
       自治省税務局長  関根 則之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       農林水産省経済
       局統計情報部長  関  英二君
       会計検査院事務
       総局第四局長   高橋  良君
       日本専売公社総
       裁        泉 美之松君
   参考人
       本州四国連絡橋
       公団総裁    尾之内由紀夫君
       地域振興整備公
       団副総裁     中橋敬次郎君
       住宅・都市整備
       公団総裁     志村 清一君
       日本銀行総裁   前川 春雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○行政改革を推進するため当面講すべき措置の一
 環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の
 特例措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○派遣委員の報告
    ―――――――――――――
○委員長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 一昨十六日、市川正一君が委員を辞任され、その補欠として佐藤昭夫君が選任されました。
 また、昨十七日、山田譲君、伊藤郁男君、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として鈴木和美君、小西博行君、上田耕一郎君が選任されました。
 また、本日、補正俊君が委員を辞任され、その補欠として福田宏一君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(玉置和郎君) 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。本岡昭次君。
○本岡昭次君 まず初めに、昨日発足しました第十三期中教審について若干お尋ねいたします。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
 中教審の委員の構成を新聞で拝見しました。社会党が従来から主張していますように、この中教審が真に勤労国民大衆、父母・学校関係者の意見がより反映されるということでなく、自民党や財界の意向が強く反映されていくというふうな委員の構成になっていることを私は大変残念であると思いますが、その問題をここでいろいろ論議している時間がございませんので、文部大臣に、諮問の内容が三点挙げてありますけれども、簡単にその内容を聞かしていただきたいと、このように思います。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えをいたします。
 ただいま先生の御質問の、新聞等に出ておりまする三点の内容でありますが、この具体的な内容につきましては検討すべき問題として目下さらに話を進め、また、どの程度の具体的な問題についてするかということにつきましても検討一中である、かようにお答えを申す段階でございます。
○本岡昭次君 新聞には相当中身に触れて文部省としては説明をしておられるので、いまの答弁は非常に不満なんですが、それは後ほど文教委員会でもまたいろいろお尋ねすることにします。
 そこで、答申は三つのこの問題点を一括求められるのか、あるいはまた各項目ごとにその答申を中教審に対して求められるのか、また、それぞれのその答申を求める時期はどのように考えておられるのか、お尋ねします。
○国務大臣(田中龍夫君) 私どもは一括いたしまして諮問をいたしてある次第でございますが、具体的な問題点ごとの答申も実は期待をいたしておるのでございます。というのは、最後の全部がまとまるまで何ら答申を出さないというのではございません。いままでの答申の慣例からいたしましても、逐次答申をいただいておるということも先生御承知のとおりでございます。
 なおまた、時期の問題につきましても、先生の御質問は多分、委員の任期が二年でございますから、私どももそんなに諮問をしたからといって日を延ばされてはいけない、鋭意やはり速やかに答申をいただきたいと、こう考えるものもございます。そういう点で、一応先生の御質問どおり、二年間というのが常識でございます。
○本岡昭次君 これも新聞の報道を各社がやっておりますけれども、諮問すべき問題点のうち、教科書のあり方という項目だけは来年六月までに答申を文部省として得たいというふうなことが述べられてありますが、なぜその教科書の問題だけ答申を急ぐのか、あるいはまた、この教科書の問題だけ抜き出して新聞が報じているように答申を文部省が特に求めているのか、その点いかがですか。
○国務大臣(田中龍夫君) その点につきましては、新聞等に書かれておりますことは新聞社の類推でございますが、しかし同時にまた、いままでの経過に徴しましても、できるだけ速やかな結論を得たいというわれわれの気持ちは当然持っておる次第でございます。
○本岡昭次君 そうすると、教科書の問題だけについて特に抜き出して答申を求めたい、またその時期も来年六月までというふうなことは、これは新聞社のいわゆる推測であるということでございますね。私も、教科書問題を特に抜き出して来年六月までに答申を得たいというふうなことは、非常に問題を政治的にして国民の教科書問題に対する不信感を招く、こう考えます。だから、文部大臣にここで要請をしておきたいのですが、二年間の任期いっぱい、この重要な教育の内容の問題、方法の問題、教科書のあり方、こうしたことを十分時間をかけて、慎重の上にも慎重に中教審で考えてほしいし、その間多くの国民各階層の意見を中教審が吸収をして結論を出すようにしなければならないと私は考えます。
 仮に、新聞が報じているように、文部省が来年の六月答申というふうなことを急がせるということになるならば、それは自民党がいま内部で教科書制度のさまざまな改革の案を持っているわけですが、それを中教審という審議会を隠れみのにして答申をさせた、自民党案が中教審の中に持ち込まれて、それが政治的に出されたということ、そのお先棒を文部省が担いだということになると私は考えます。そしてこの五十七年六月という意味は、五十八年から小学校の教科書採択が行われる、五十九年、中学校、六十年高校と。だからその採択期に合わせて出さなければならないという、こういう政治的な日程を中教審に持ち込むべきでないという強い意見をここに文部大臣に申し上げておきたい、このように思います。それについて何かありましたら。
○国務大臣(田中龍夫君) 私どもも来年六月というふうなことを申しておるわけではございません。とは申しますものの、できるだけ早い方がいいと思っておりますことも事実でございます。
 それから本岡先生の御要望なり御意見、確かにここで拝聴いたしております。
○本岡昭次君 それでは四十人学級について若干お尋ねいたします。
 第五次学級編制及び教職員定数改善計画は、衆議院のいままでの審議、そして本委員会で確認されたことは、縮減はするけれども、当初計画どおり十二年計画で、一九九一年、昭和六十六年度に完了させるということでありました。
 そこで、その十二年計画を実施する方法として、小学校は昭和五十五年度から始めて昭和六十三年度に四十人学級を完了させる、中学校は昭和六十一年度から始めて昭和六十六年度に完了させる、これが従来からの十二年計画の実施の方法でありましたが、この中身の問題について、十二年計画を変えないということであるならば、この小学校、中学校それぞれの完成年度もこのとおり実施していくんだというふうに考えてよいのかどうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(田中龍夫君) 六十六年までに完成するということは、ただいま先生のおっしゃったように明確になっております。
 なおまた、四十人学級の小学校その他の分は、学年進行方式によることといたしております。
○本岡昭次君 私が尋ねたのは、小学校の四十人学級が完了する年度を昭和六十三年度という、その事柄に変更があるのかないのかということをお聞きしています。
○国務大臣(田中龍夫君) それはそのとおりでございます。いまの、六十六年までに完成する、それでこの六十年から本格的な四十人学級のあれが滑ってまいります。特例期間中の間ということは、すでに再々申し上げたとおりでございます。
 ただいまの件につきまして、もう少し詳細に政府委員から答えさせていただきます。
○政府委員(三角哲生君) 第五次の改善計画におきましては、四十人学級の実施については学年進行方式によることとしていたものでございまして、これは本岡委員御承知のとおりでございまして、先ほど大臣から申し上げたわけでございます。
 それで、いま御質問の、一般市町村の四十人学級の実施を財政再建期間後の仮に昭和六十年度からすんなりと実施するものとした場合には、これを学年進行方式で実施いたしますと、その完成は昭和六十五年度になりますので、昭和六十三年度ということではございません。
 それからなお、この財政再建期間後の改善措置の具体的な内容につきましては、その時点におきます予算編成の中で決められるものでございますので、現段階で実施の具体的な方法を明確にするということはむずかしいという、そういうことでございます。
○本岡昭次君 いま私たちが審議しているこの法案は、昭和五十七年、五十八、五十九、この間を財政再建期間として、その間における特例措置というものを審議しているわけですね。だから、四十人学級のこの問題については、その三年間の教職員の増を縮減するということがその目的であって、六十年以降どのようにして四十人学級を達成するかということは、財政再建期間が終了したその時点で改めてこれは考えていくべき筋合いのもの、そこに三年後見直しという問題のこれから論議をしていく意味が私はあると、このように考えています。
 だから、この問題について大蔵大臣に少しお尋ねをしたいのですが、財政再建期間が過ぎた後、十二年計画の達成の問題については、昭和六十年から大蔵省と文部省が財政的経済的な問題を検討して、どのように実施するかということはその時点で考えたらいいことであって、いま五十七年から三年間の問題を論じるときに、六十三年に小学校の四十人学級を達成するという計画そのものまでも二年間延ばして六十五年にしなければならないというふうに、この法案自身が計画そのものを制約するという筋合いのものでない。要するに、その三年間教職員の増を抑えればいいということがこの法案の持つ意味である、私はこのように考えるのですが、その点はいかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) われわれは、この十二年間で四十人学級を達成するということは動かさないわけですから、ただ当面、財政再建期間中の三年間を厳しく抑制する。その後どういうふうにするかについては、財政事情を見ながら、いずれにせよ十二年間に達成するわけですから、一番やりよい方法で達成をしたい。その具体的な問題は主管庁である文部省とよく相談をして決めていきたい、そう思っております。
○本岡昭次君 若干文部省と大蔵省の考え方は違いますが、私は、いまの渡辺大蔵大臣の立場をとって論議することがこの特例法の審議の立場からは正しい、このように思います。したがって文部省が、縮減に伴って四十人学級がこれからどのようにして実現されていくか、それに必要な教職員の増はどうなるかという資料を提出されておりますが、その資料自身は今後の四十人学級実現について何ら拘束するものでないという立場に立たなければならない、このように考えるんですね。六十年には何人、六十一年には何人、六十二年には何人と、六十六年までの間の教員増を推定をしているわけです。それは、いま大蔵大臣のおっしゃったような立場で、財政再建期間が終われば、六十六年までにどう達成するかという問題の論議をやるということの方が私は正しい、いまもう直ちに学年進行方式でもって六十五年までかかるんだというふうな立場をとることの方が間違いだ、こう思いますから、いまの大蔵大臣の立場をとって私たちも検討さしていただきたい、このように思います。
 そこで、これは総理に少しお考えをお聞きしたいと思うんですが、文教予算の支出の削減の問題についてであります。
 第二臨調の第一次答申、それを受けての今回の行政改革の特例法が取り上げた文教関係の予算の縮減という問題は、いま質疑をいたしました四十人学級問題、あるいは教科書無償、私学助成、奨学金制度、文教施設、国立大学問題、学校給食など、児童生徒、学生などいま勉学にいそしんでいる人たちに直接あるいは間接負担増を強いていく、あるいはまた教育活動に直接影響を受けるというふうな施策に集中している、私はこのように受けとめています。
 一方では教職員の多くが、現在不必要である、要らないと言っている主任手当というものもあります。また教職員自身の、あるいはまた教職員が組織をしている教育研究団体といったところへもいろいろな補助金が出されております。あるいはまた社会教育関係にも補助金が出ております。なぜ私はこのような教職員自身の教育にかかわるさまざまな事柄についての支出を縮減するという問題にもっと文部省が意を払わなかったのかということについて、大変不満なのであります。国民に行政改革の痛みを分かち合ってもらうということを総理がしばしばおっしゃっておられますけれども、私は、文教関係においてこの痛みを分から合うというならば、教職員自身がその痛みを分から合うということの中心になるべきであって、先ほど申し上げました各種補助金、主任手当等々についてこの財政再建期間その支出を削減する、あるいはカットするという事柄をもって対応すべきが妥当ではないかと思います。
 四十人学級の問題なり、あるいは奨学資金の問題なり、私学助成の問題、教科書の問題などに手をつけていかない、そのこと自身が総理がよく言われる思いやりのある政治、これから育ちゆく子供たちに対する温かい愛情、配慮ではないか、私はこう思います。具体的なその内容は別として、どうも福祉、教育に対してしわ寄せをするとか犠牲を強いるとかいう一般的な事柄と違って、私は文教予算そのものの支出の削減の方法が間違っている、このように考えられて仕方がないのです。総理の日ごろの思いやりというふうな立場からした場合に、いかがお考えになりますか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 文教の振興は国政の最も重要な基本課題である、このように認識をいたしております。しかも国民の教育の問題は、長期にわたって政府と国民が一体になって努力を積み上げていかなければならない問題である、こう思います。当面、このような財政の厳しい中におきまして、各方面の見直しをお願いをいたしておるわけでございますけれども、文教予算の中でどういう点を重視し、どういう点はこの際抑制をしていただく、がまんしていただく、こういう問題は五十七年度予算の編成の段階におきまして政府全体土して十分検討していきたい。いま本岡さんがおっしゃったような、文教の中でもこういう点はもっと重視すべきだ、こういう点については行財政改革の中で効率化を図っていくべきだ、こういう考えに立ってやってまいりたい、こう思っております。
○本岡昭次君 私は、いま総理が答弁になりましたそういう抽象的な問題でなく、痛みを分から合う対象として教育に関係するものと言えば、学校で教える教職員、教育を受ける児童生徒、学生、そして教育に対する負担の責任を持っている父母、親、社会教育になればもっと周辺の社会教育に携わっている人々、国民全体というふうに広がっていくんですがね、そのときに、私が言っているのは、余りにも児童生徒、学生、直接いま教育を受けているその人々たちに対してそのしわ寄せが多く来過ぎているではないか、そのことを申し上げている。だから総理のおっしゃる思いやり、愛情という面になれば、できるだけそこはさわらないで、もっと別なところで削ろうじゃないか、削るべきだというふうな発想になることが正しいのじゃないか。そうすれば、補助金の問題だっていっぱいあって、たった三年間教職員がしんぼうすれば四十人学級に手をつけなくてもいいという部分があるときに、私はこのやり方というのは余り好ましくない、総理のおっしゃっているそうした思いやりとか愛情とかいった事柄から見ればどうも筋違いではないかということを申し上げ、それについての総理のお考えをお聞きをしているわけです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 今回、文部省関係の特例法案の御審議をいただいておるわけでありますが、この点はひとつ、行財政改革の中でこのような措置を適用期間中とらざるを得ないということは、御理解を賜りたいと思うわけでございます。その他の補助金等のむしろそういう面に抑制措置を講ずべきである、児童生徒、学生等の面についてはもっと大事に考えるべきであるというような本岡さんのお考え、これは基本的には私も同感でございます。そういう点は、先ほど申し上げましたように、五十七年度予算の査定の中で十分配慮しながら進めてまいりたい、こう思っております。
○本岡昭次君 そこで、先ほど申し上げました主任手当の四十五億、教育研修費の十九億三千二百万、社会教育関係三十七億五千百万円、まだそのほかにもいろいろあるんですが、いま社会党として文部省の補助金等に関係する問題として縮減あるいはその縮減を検討してもいいのじゃないかということで取り上げているこの三つの項目がありますが、この中で教育研修費の問題について、残された時間触れてみたいと思います。
 そこで文部省にお尋ねしますが、教育研究団体補助という項目があって、中央団体として九十三団体に一億四千四百五十三万円補助をしております。一番大きなのは三千万円の補助、一番少ないのは十五万円の補助というふうな形になっています。また都道府県教育研究団体として四百六十三団体に一億一千六百八十五万円、平均しますと一団体に二十五万円、各県市にこれも直すと一番大きいところで七百万、小さなところで七十万というふうなことであり、ずっとそのほかの補助を見ても、一つの団体に、グループに五万円というふうな補助をわざわざ文部省から下におろしている。十万円、十五万円、二十万円という単位の補助をわざわざ文部省が一々全国くまなく団体を集めて補助をやっている。私はこれはナンセンスだと思うんですね。大の日本国の文部省がそんなところまで一々構う必要はない。これはもう一括して下へおろして、都道府県・市町がやるのならそれについての配分なり研修費の補助をしたらいいというふうな性格上の、配分上の問題の疑念も非常に強いわけなんです。
 しかし、その中で私が特に取り上げたいのは、教育研究団体という中に、日本教師会というのがあるわけなんですが、この日本教師会という組織が、果たして年間二百万円も文部省から研究補助というふうなものがもらえる資格があるのかどうかということについて非常に疑義を持ちます。日本教師会というところにいかなる内容でもって補助金が出ているのか、ひとつお尋ねいたします。
○政府委員(三角哲生君) 日本教師会は、会員数約一万一千人余りで構成されております研究団体の一つでございまして、教師の人格と識見を高め、その福祉を増進し、もって日本の中正なる教育の振興に寄与することを目的とする、こういうことで、事業といたしまして教育制度、教育内容、指導方法等に関する調査研究あるいは意見発表、それから教育施設設備及び教育環境に関する調査研究、それから研究大会、研修会、講演会等の開催ということを行っておりまして、そしてこの団体の年間総事業費は一千四百万余りでございますが、私どもはこの団体のただいま申し上げましたような事業に対する補助として二百万円というものを計上しておるわけでございます。
○本岡昭次君 日本教師会というのはいま、教育基本法改正運動というのを全国的に繰り広げている団体であるわけなんです。私は総理にもお伺いしました、教育基本法というのはいま日本の教育を進めていく上において基本としていかなければならない、尊重していかなければならない、大事にしていかなければならないものだということをこの質問の当初お伺いしております。ところが、文部省の補助金が二百万円出ているこの日本教師会は、教育基本法改正運動というものを全面的に繰り広げている。
 この一つの新聞の文章を見ますと、こういうことが書いてある。「日本教師会は、教育基本法制定三十周年にあたる昭和五十二年八月の伊勢市における全国教育研究大会で、当時の田中卓会長の教育基本法改正提案の発言にもとづいて、昭和五十四年から改正運動の具体的活動に入っている。そして昭和五十五年を基本法改正運動元年として、基本法改正の請願を地方議会に対して行ない、地方議会から基本法改正の要望書を政府に提出することにより世論をたかめ、政府当局に決断を迫ることになった。」そして一貫して、その「教師会の運動目標は、今後は戦後教育の根本を大変革する教育基本法の改正運動に全力を注ぐべきときに来た。昭和五十五年度を新しい出発点として」云々と書いてあるんですよ。このような団体に二百万円補助金を出すということは、これはどうなるんですか。自民党は賛成でいいですよ。しかし、教育研究団体というところが、その中心に、基本にしなければならない基本法を改正する運動をやっている運動体なんですよ、これは。はっきりさせてください。
○政府委員(三角哲生君) 私どもは、日本教師会に対しまして、先ほども申し上げましたが、その教師会が行います研究大会、研修会、それからそれらの研究成果の刊行について、これを補助対象事業ということで補助金を出しているわけでございます。ただいま御指摘のような内容面につきましては、これは自主独立の団体でございますので、私どもはこれについて別にどうこうする、こういうことではないのでございます。
○本岡昭次君 文部大臣にお聞きします。教育研究団体に対する補助なんですよ。よろしいですか。そうすると、憲法を改正しよう、教育基本法を改正しようという運動がある。一方には憲法を守ろう、教育基本法を守ろうという、非常に政治的なそういうものが教育の分野にあるわけで、そうすると、一方の側にはそういう運動をしているからといって一切そういう補助金の対象にもしなければ、文部省は一切それはかかわらないで、時にはその組織に対して話し合うことすら拒否するということが、いま日教組の段階には起こり得ているわけなんです。これは大臣、答弁してください。
○国務大臣(田中龍夫君) 原則的にお答えをいたします。
 民主政治のよさというものはそういうところにございます。いろんな意見を持った各方面、各層の意見に対しましても耳を開いていくというのが、これが民主政治の本来であろうと思います。
 同時に、ただいまの御指摘の問題でございますが、教育研修団体の補助は、教職員の自発的な研究あるいは研修活動を奨励いたしましたり、あるいは研究を充実させるための問題でございまして、こういうふうな研修団体に対しましての補助を出すことは何ら妨げないと、かように考えておりますが、また社会教育関係の団体の補助は……
○本岡昭次君 それは聞いてない、それは。
○国務大臣(田中龍夫君) それ以外の問題でありますが、しかし研修団体に対しましての補助は当然出しております。いろんな意見に対しましても耳を開いていくことは当然のことであろうと、かように考えております。
○本岡昭次君 ちょっと再度、文部大臣。研修団体に対して補助金を出すということと――教育研究団体が自主的にどんな研究をしてもいい、それは当然ですよ、民主主義の国なんですから。文部省が補助金を教育研究団体に対して出しているという意味ですね、当然そこの研究団体が、教育研修そのものについて内容的にそれが適当であるかどうかということを判断した上で出しておられるわけで、通常、こうした教育基本法を改正しようという全国連動の先端を切っているようなところに対して、それが研修団体であるというふうな認定すること自身がおかしいのじゃないんですか、それは。おかしいですよ、それ。
○国務大臣(田中龍夫君) それは御意見でございますが、それは先生の御意見であって、また、違いました立場に立っての意見主張もこれは……
○本岡昭次君 ちょっと待てよ。おかしいじゃないか、あんた、そんなもの。
○国務大臣(田中龍夫君) 当然あってしかるべきじゃないか。こういう問題につきましては、われわれは研修団体として補助を出すことは当然でございまするし、また、そういうふうな意見に対しましても公平に耳を開いていくということも、当然の、文教政策の上から言って結構なことだと存じております。
○理事(嶋崎均君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○理事(嶋崎均君) 速記を起こして。
○政府委員(三角哲生君) 先ほど御説明申し上げましたとおりの団体だというふうに私どもは考えておりまして、これは、ですから教育研究団体と考えております。この団体の研修事業あるいは研究事業に対して補助をしておるわけでございます。そうしてその研究の中身が教育に関する研究でございますから、教育基本法についていろいろと御検討なさることも、これは団体のそれぞれの独自のお考えでおやりになることでございます。そういうことでございまして、私どもはこの団体の事業費に対して補助をしておるわけでございます。政治運動をしておるかのごとき御指摘がございましたが、私どもは、もしそういうことがあるかないかというようなことにつきましては、今後私どもとして当該団体に当たるなりして、いろいろそれは調べるということはあり得るかと存じますが、この団体に対する補助は、あくまでも教育研究団体に対する事業に対する補助と、こういうことで実施しておるものでございます。
○本岡昭次君 総理にお伺いします。
 私は、自分の質問の冒頭、総理に教育基本法という事柄について二、三度やりとりしました。総理は教育基本法というのは大切にしなければならないと。それは、問題があるかないかということと教育基本法を大切にしていこうということと、これは全然別の問題なんですよ。それはどんなものだって時がたてば問題が生じる。しかし、現に教育研究団体と言っているこの日本教師会が、全国の先頭を切って、現在の教育基本法は間違っている、これを直さなければならないんだと言って全面的に運動を繰り広げている。総理の大事にしなければならない、大切にしなければならないということとこれは真っ向から反対し、総理に対して、これを変えるという要請を文部大臣にもしているわけなんですよ。そういうところに対して補助金を出していくということ、これは総理のお考えと全く相反することになるのじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 日本教師会に対する補助金の問題について、先ほど来政府との間にやりとりがあったわけでありますが、私は、この日本教師会は教育の研究、研修等を目的としてやっておる団体である、それに対して国が、政府が適当と考えて助成をしておるものでありますが、御指摘のように、仮に、政治運動をもっぱらやっておる、こういうことになりますと、これは私は政府が助成をしておる趣旨から逸脱をするという心配が出てくるわけであります。そういう点は今後十分調査をいたしまして取り扱いを決めたい、こう思います。
○本岡昭次君 いまの総理の答弁どおり、ここに資料があります。それはずっと続けられているわけで、いまの総理の懸念は私たちの立場からはっきりさせます。そして、この補助金を出していることの間違い、そしてその他数多くの団体に補助金を出しているわけですけれども、そうした問題についても一度全面的に洗い直しをする、整理をするという必要があるというふうに私は思います。
 そこで、もう時間がほとんどありませんので、最後に中曾根行管庁長官にお尋ねをしますが、補助金の整理ということでございます。
 特に、教育関係の補助金の整理ということは、私は非常に重要であると思うんです。先ほども申し上げましたように、文部省がわずか五万円とか十万円とかいった補助金を、わざわざ細々と全国四百何団体に対してそれを出していくとかいう問題、そして教育研究というのは、本来教職員の自発的な、自主的な意欲に基づいてなされていかなければならないのですが、最近はこの補助金行政の最も悪弊として、地方の方で教育研究を行うのに、これをやると補助金がつくからしよう、いやこれはしたって補助金がつかないぞ、また逆に、これは補助金がついているからやりましょうというふうに、その教育研究があるから補助金が出るということじゃなくて、補助金がある教育研究をやろうじゃないかというふうな形に残念ながら変質をしてしまっている。非常に困った状態だと私は思うんです。
 そしてまた、文部省と教育委員会の関係というのは、私は最初のときに論議いたしましたけれども、これは法律的にも指導助言の関係にあるわけで、文部省が教育委員会なり学校を直接、管理監督する立場にないわけなんです。だから、この教育研修という問題が、補助金を通して文部省のいわゆる教育に対する中央集権化が貫徹しているという図式がここに起こっております。中曾根長官は参議院の本会議において、中央集権化というものの悪い面は直していかなければいかぬということもおっしゃって、私はさすがだなというふうにそのとき感心をいたしました。したがって、文教関係の行政改革の問題にメスを入れる大事な視点として、こうした細かい市町村の学校に直接いくような補助金制度というふうなものに大胆にメスを入れ、整理をしていくことが文教行政の中の大事な行政改革ではないか。また、そのことによって中央、地方の任務分担、役割り分担といったことも進んでいき、教育現場に活気と、そして教育研究への意欲というものが逆にわいてくるのではないかと私はこう考えるのですが、その補助金整理というものが行政改革にとって非常に重要な問題であるという私の認識に対して、長官のひとつお考えをお聞かせ願いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 原則的にあなたの御意見に賛成であります。これは補助金一般について言えることでございますけれども、マンネリズム化してきまして、補助金が出るからこの仕事をやれやと、そういうような風潮は、農林水産やあるいは通産関係においてもなきにしもあらずで、文部行政においてもなきにしもあらずではないかと思います。その中にはむだなものもあります。しかしまた一面、こういうことが望ましいという政策について、補助金でそれを誘導するという面もこれはあるのでありまして、それまで否定することはできません。問題は、その補助されている仕事が本当に実のある有効なものであるかどうか、それが実ってきつつあるかという点にあると思います。
 特に、いまおっしゃったような文部関係あるいは社会教育関係等の中身については、非常に零細なスズメの涙みたいなものがいって、果たしてそれが有効であるかどうかという問題点もあるのではないかと想像いたします。したがいまして、これはもう文部関係だけでなく、補助金全般の問題として、これは大いに検討していきたいと思います。
○本岡昭次君 これで終わります。
○理事(嶋崎均君) 鈴木和美君。
○鈴木和美君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております行革法案のうち、農業部門を中心にして質問をいたしてまいりたいと思っています。
 ただいまのお話を聞いておりまして、なおかつ私は不安を強くしたのでありますが、質問に先立つに当たりまして、この委員会でいろんな問題を討議されている中で、私は二つどうしても心配があります。
 特に農業部門の方から問題をながめてみますと、その心配の一つは、中曾根長官も政府側委員の皆さんも、今回の臨調の第一次答申は次に来る多くの問題の突破口である、こういう位置づけをなさっておりますし、総理は政治生命をかけるとおっしゃっています。そう考えてきたときに、私は今回、農業の問題というのは単に技術的なものを単純に議論すればいいというものではないと思うんですね。日本の基礎産業ですから、ある意味では突破口という位置づけかもしらぬけれども、農業問題に関していま提示されている臨調の方は、むしろ根本的な問題を私はひそめて提示されていると思うんです。ですから、突破口も結構ですが、突破口であればあるほど、私は最初のボタンのかけ違えが狂っちゃったら大変なことになるなということを一つ心配として感じます。
 それからもう一つは、いま中曾根長官のお話を聞いておって、文部の補助金の問題についてのお答えの中で、農林、通産についてもなしとはしないというお答えがありました。もちろん、一つ一つ洗っていかなければならないでしょう。しかし私は、むだを排除するという行革の任務について私も賛成です。けれども、むだとは何ぞやというときの、つまり概念や物差しがそれぞれ違ってくるとお互いの議論の展開が違うんじゃないでしょうか。
 私はそう考えてくると、農業問題というのは、かつて亀岡大臣がどこかでお話になったそうですが、謝られたというから余り大きく問題にはしませんけれども、自民党の農業に対する補助金が切られちゃったら、社会党のミッテラン内閣ができるぞというようなことをどこかでお話しなさったそうですが、私はそういう論理はおかしいと思うんですね。しかし私は、ある意味では自民党も、共産党まで含めて、日本農業を含めて一体どうしなければならぬかということは深刻な問題として受けとめなければならぬと思うんです。いま、このことに関するお答えは要りません。私は質問するに当たって、大変、農業問題というものを取り上げる立場としてそういう不安を感じながら質問をしたいという、自分の質問の立場を総理、明らかにしておきたいと思うのです。
 さてそこで、私に与えられた時間が、私は六時間か七時間必要だと言うたのですが、三時間なものですから、政府側の答弁もどうぞ縮めてお願いしたいと思うんです。
 まず、どなたも御承知だと思いますが、現在の日本の農業の状態というものについてある程度コンセンサスを得るために、幾つかの特徴的なものをお尋ね申し上げたいと思うのです。
 まず第一に、農林省にお尋ねします。現在の農業就業人口の動向と、新規学卒者の農業従事という就業率は一体どうなっているのか、お尋ねします。もう一つ、農民の米づくりに従事する労働時間というのはどのぐらいになっておって、一時間当たりの所得はどのぐらいになっているのか。三つ目は、農業戸数の動向について、専業と兼業の割合について農林省が掌握していることを簡単でいいですから御紹介いただきたいと思います。
○説明員(関英二君) お答えします。
 農業就業人口の動向と新規学卒者の動向でございますけれども、農林業センサスの結果によりますと、昭和五十五年度の農業就業人口は六百九十七万人でございまして、昭和四十五年、十年前に比べて三三%減少しております。なお、これを五年ごとに見ますと、四十五年から五十年にかけましては二四%減少し、五十年から五十五年度の五年間では一二%減少しております。
 また、農家就業動向調査によりますと、農家子弟の新規学卒就業者は、昭和四十五年で七・四%、それから五十年で三・二%、五十五年度で二・七%ということになっております。
 二番目の、米の年間労働時間と一時間当たりの所得でございますが、昭和五十五年度の米の生産費統計調査の結果によりますと、十アール当たり年間労働時間は六十四・四時間でございまして、家族労働一時間当たりの所得は千百七十八円となっております。
 それから、専兼別農家戸数の動向でございますが、昭和五十五年二月一日現在の専業農家は六十二万三千戸でございまして、四十五年度に比べますと二六%減少いたしております。なお、総農家数に占める割合は、専業農家の割合は一三%でございます。第一種兼業農家は百万二千戸でございまして、四十五年度に比べますと四五%減少しております。なお、総農家戸数に占める割合は二二%でございます。第二種兼業農家につきましては、三百三万六千戸でございまして、四十五年度に比べますと一一%増加しておりまして、総農家数に占める割合は六五%ということになっております。
○鈴木和美君 文部省にお尋ねしますが、文部省が見ております新規学卒者の農業従事者を、中学、高校、大学別に見てどんな就業卒になっているか、お願いします。
 時間がありませんからまとめてお聞きしますが、もう一つ文部省に尋ねたいことは、学校教育の中で、小学校の一年生と三年生と五年生の社会科の教科書の中で農業に関する部分のページ数はどのくらいになっていますか。
○国務大臣(田中龍夫君) お答えいたします。
 昭和五十六年の中学校の卒業者のうちで、第一次産業に従事いたしております数は千三百四十九人でございますが、就業者数の二%でございます。同じく高等学校の卒業者のうちで農業に従事した者は七千三百三十七名、就業者数の一・二%でございます。また大学につきましては、昭和五十六年三月に卒業いたしました者について見ますと、農業従事者数は千二百四十七人でございまして、全就業者数の二十九万四千七百八人の〇・四%であります。ただし、この文部省の方の統計は、中学校卒業者につきましては、文部省の学校基本調査では、第一次産業、二次産業、三次産業という分類で調査がなされております。
 なお、小学校学習指導の中で第四学年、第五学年、あるいは各年の分につきましては担当の局長からお答えをいたします。
○政府委員(三角哲生君) 小学校の学習指導要領では、第五学年用の内容といたしまして「我が国の農業や水産業の現状にふれさせ、それらの産業に従事している人々が自然環境との関係の上に生産を高める工夫をしていることを理解させるとともに、国民生活を支える食料生産の意味について考えさせる。」、こう定めておりまして、でございますので、五学年ではかなりの分量を割いて、この学年で最も詳細に農業に関する記述を行っておりまして、そして教科書はいろいろでございますけれども、平均で五学年の教科書の総ページ二百二十ページのうちの約五十ページ、そういう状況でございます。それから三学年用の教科書では、これは地域の重要な生産活動を理解させる、こういう学習指導要領の内容を受けて、これにつきましてもかなり農業に関して記述されておりまして、総ページ約百八十ページのうちの平均で約二十ページ、こういう分量でございます。なお、一年生では、これはごく身近な社会についての観察が中心になるために、社会についての教科書は作製されておらないのでございます。
 以上でございます。
○鈴木和美君 その次に、もう一つ今度は大蔵省に、大臣にお尋ねしますが、農業に従事している者の、専業、兼業も含めまして、税金を納めている、つまり課税されていると言った方がいいでしょうか、確定申告で課税したという者は何%ぐらいになりますか。
○政府委員(吉田哲朗君) 最近の計数で、昭和五十四年度の国税庁の統計年報書によりますと、申告納税額がある者のうち、農業所得を有する方は八十万六千人となっております。その中で、いろんな各種所得の中で農業所得が最も大きい納税者が十九万八千人でございます。
 なお、お尋ねの専業農家と兼業農家に区分した税務統計はつくってございません。
○鈴木和美君 もっとたくさん聞きたいのですけれども、時間がありませんから、まとめていまのお話を私なりにお話ししますと、文部省の学校教育の中で農業を教えているページ数は、私のはじいたものとちょっと違います。恐らくはじいてないのじゃないかと思うんです。もちろん教育委員会やその他の要領で各県とも違いますが、私は千葉県の松戸市のを全部調べたのですが、いまお答えによりますと大体二五%ですか、そのぐらいのことを言っていますが、私の全部調べた限りにおいては二一勇です。一三%から一四%が大体農業に関する部分です。
 そこで、私は労働大臣にも全産業の労働者の製造業の一時間当たりの賃金を聞きたいと思ったのですが、時間がありません。いずれにしてもいまの動向見ていますと、農業に関する全体の国民の認識などを見ると、昔は士農工商と言ったですな、私はそう教わってきたのですが。だけど、あれは士農工商の説そのものについてはいろんな意見があるでしょう、しかし、二番目にランクしている。いまは士商工農ですな。二番目にあるのは、あきんどの方が大商社で重くなっているのですよ。そんな感じなどを見ると、私は最近の農業に関する全体の認識、位置づけというのがどうもおかしくなっているのじゃないのかなというように思うのですが、行管庁長官と農林大臣の感想をお伺いします。感想です。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は前から、農は国のものだ、農林水産と申しますか、第一次産業の中で特に自然を相手にしているそれは国のもとだ、そういう大国策を確立しなければいけないと年来言ってきている人間でございますが、最近の農業者、水産業者の心理状況を考えてみますと、政治がしっかりしなければいかぬということを本当に痛感しております。非常にいまこういう過渡期的な情勢で精神的に不安を持っておる。行革につきましても不安を持っていらっしゃる点が多々あると思います。やっぱりそれは、むだはなくさなければなりませんし、生産性も工業と同じくらいに高めていかなければ国際競争に勝てませんから、そういう大目標にひたむきに前進しなければならぬと思いますが、それをどういうふうにして不安を与えないで実行していくか。やっぱり希望を持たなければ生きているかいかないと思いまして、そういう点はよく注意してまいらなければならぬと思っております。
○国務大臣(亀岡高夫君) 率直に申し上げますと、昨年の四月、当院において食糧自給力強化に関する決議というのをちょうだいしたわけでございます。国権の最高機関があのような御決議をされるという気持ち、やはり将来の農業に対する御心配、その心配を排除するために政府が努力しなければならない農業の大事な点を御指摘ちょうだいしたというふうに私は理解いたしておりまして、御指摘されました質問に当たっての前提条件としての御心配、私もそのような感じを実は抱いておるわけでございます。
 教科書を御引用になっての、農業の重要さの低下することを防止しなければならないという鈴木先生の考えには、私全く同感。特に林業関係等におきましては、もう教科書に、指導要領の中に、日本の林業、日本の山、そういうものは大事なものであるということを教育しなさいということすらもオミットされちゃっておる。こういう点は私は非常に農業、林業、水産業を通じてみんなでこの辺で考え直すという時代に来ておるのではないかと、そんな感じを持っております。
○鈴木和美君 総理、いま両大臣から見解が述べられましたが、私は昔から言い伝えられてきた、農業というものが実りの秋という言葉で代表されているのは、五穀豊穣という言葉が一番やっぱり代表的なことではないかと思うのです。つまり米と麦とアワ、キビ、豆ですね、この五穀の実りが多いときには農民の生活も楽になって天下太平だったと思うのです。つまり、この五つというものは非常に数多い作物の中でとりわけ大事にされてきたと思うのです。
 ところが、どうでしょう、最近。食糧の自給の動向を見てみると、偏り、変則、まことに危い、そういうような状態になっておって、自給率が三〇%台に落ち込んだということは、農業全体で、農業では食べていけないということが根本的にあるんじゃないでしょうか。農業だけでは食べていけない。中曾根大臣がおっしゃるみたいに、希望も夢も何にもない。もう鶴田浩二の歌と同じ、「真っ暗やみよ」っていうようなものです。私はそう思うんですね。それがいまの農業の置かれている条件だと思うのです。そういうことから見て、私は、大変恐縮ですが、総理の農業に関する基本的な見解をここで伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(鈴木善幸君) 農業は、私は国民に対して食糧を安定的に供給するという大きな使命を持っておる、こう思います。しかし、わが国の国土資源の制約からいたしまして、いま御指摘になりましたように自給力を十分満たしていくということは非常に困難でございます。しかし私は、安全保障の一つとして、この食糧の生産、食糧の国民に対する供給という使命を担っておる農業というのは非常に重要なものである、このように認識をいたしております。また、日本の社会の中におきましても、農村社会というのは、日本の社会が健全に安定した方向へ進むかどうかという大きな基盤になっておる、私はこのように認識をいたしておるものでございます。したがいまして、やはり農業は日本の政治の中では非常に重要な課題でありますし、昔から言われる農は国の基本であるという言葉は、私は政治を志す者として十分意を用いていかなければいけない、このように考えます。
○鈴木和美君 まことに力強い御答弁をいただいたので、そこで本論の方に入らせていただきますが、今回の臨時行政調査会の第一次答申を見てみますと、いま大臣各位がおっしゃっていることとは逆方向に今回の臨調答申があるのじゃないでしょうか。私はそんなふうに受け取っているんです。
 つまり、食糧の管理については、売買逆ざやの解消、自主流通米の助成の縮小、国内産麦価格算出の見直し、過剰米処理の再検討、検査官の縮小がうたわれております。水田利用再編対策については、現体系の枠組みの中で経費の節減合理化に努めること、第三期対策以降は転作の奨励金依存から脱却を図るとうたいとげて、農民の強い反対を押し切って、米並み所得は保障するからと約束した転作についても奨励金を削減しろと言っていますね。また、農業基盤整備事業に至っては、当初の計画に比較して、山間地や僻地内の整備は政府の手ぬるい政策のために全く進行していませんでしょう。それを、新規事業は極力抑制しろ、助成についても融資制度に切りかえて、すべてを農家自身に負担させようとしているではありませんか。その他、助成、補助金についても統合・メニュー化を大幅に進めるとか、構造改善事業についても重点化し、改良普及事業についても国庫負担を抑制する、各種農産物価格支持は国際価格を考慮し需給事情や生産性向上の状況などを反映した価格水準にするというように、とにかく手当たり次第に削減、縮小、廃止さえすればいいというそろばん勘定ではじかれているのじゃないでしょうか。私はそんなふうに受け取ります。
 政府は、第一次臨調答申はすべての突破口と位置づけて、全面的に尊重すると皆さん方が態度を表明されています。ここで、一番最初私が申し上げたように大変疑問が出てくる。突破口である、尊重する、しかし農業は国の基本政策であるとお答えになりました。さて、臨調の第一次答申に対して、政府はどのように受けとめ、これからそれをどういうふうに把握して具体的な政策に転化していくのか。これについて行管庁長官と農林大臣、もう一度今度は第一次答申に対しての考え方をお受けしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調答申は、政府は最大限に尊重してこれを推進してまいる考えでおります。その臨調答申の中に御指摘のようなことが書いてあることも事実でございます。しかし、臨調答申の基本の中におきましては、農業を軽視するとかあるいは農業を後退させようという考えはありません。より効率化した生産性の上がった農家形態、農業形態に逐次前進、改革していこう、そういう考えでおるのでありまして、掲げられましたようなアイテムは、それを改革すべきアイテムとして一つの目標として掲げられていると思います。しかしそれらを具体的にどういうふうにしていくかということは、農林省及び政府がこれを具体的に研究をして実施していくという形になると思います。それにつきましては、われわれが考えているような基本方針を土台に持ちながら漸進的に改革を進めていく、こういう考えに立っておりまして、農家に激甚な、あるいは何と申しますか、急激な変動やらあるいは衝撃を与えないように、しかもいまのような農家所得というものも考えつつ、逐次より国際水準に近い効率性を持った農家経営に変えていく、そういう課題に取り組んでいると考えております。
○国務大臣(亀岡高夫君) 御承知のように、農業も一般産業と同じ、物を生産する仕事であります以上、できるだけ生産性の向上ということに努力をしなければなりませんけれども、しかしこれには相当期間もかかる、国家投資もしていかなければならない。したがって、農業側といたしましても、やはりそういう税金を使わしてもらうという立場から言いますと、進んで生産性の向上を図るための努力をするという心構えと立場というものをきちんとみずから確立するということも必要である、そういうふうに私は考えておるわけであります。
 しかも、食糧の安定供給と国土の自然の保護あるいは環境の保全とか、いろいろな役割りを持っておるわけでありますから、経済合理性だけで農業政策を割り切ってしまうということであったのでは、もう農業、林業をやる人はなくなってしまう。その辺にやはり納税者、一般国民、消費者の理解をちょうだいして、そして農業というものが、先ほど総理からお話のありました食糧の安定供給と健全なる社会の構成、そういうものに大きな役割りを果たす農業を、積極的に果たしていく意欲を持つ、誇りを持つ農家諸君が生まれてくるようにしていかなければならぬ、そんなふうに考えて、臨調の第一次答申をそういうふうに受けとめて、ゼロシーリングの中でもそういう方向で減らすべきものは減らし、しかし、ふやすべきものはちゃんとふやしていくという形で進めておるところでございます。
○鈴木和美君 正直申し上げまして、わかりません。どっちにでも解釈のできるようなお答えで、私は不満足です。それだけ農業が大変な時期に置かされているということを承知しています。それだけに、政府はもう少しきちっとしなければならぬとあえて申し上げたいと思います。
 そこで、臨調の答申の背景になっているものは何かということをやっぱりつかまえておかないと、政策展開に当たって大変誤解が生ずるのじゃないかと私は思うのです。いま両大臣から効率性、国際競争、生産性、そういう言葉も使われた。税金を使わさせてもらっているというまことに謙虚な言葉もありました。しかし、一つの事例を申し上げますと、中曾根長官はいやがる言葉ですが、臨調は財界主導型じゃないかと何回か私たちは言ってきたのです。そのたびにそうじゃない、そうじゃないと言っているのですが、私は、財界主導型の農業政策が基礎にあって臨調の答申が行われていると解釈せざるを得ません。
 なぜならば、六月の十九日に経済同友会が発表した「日本農業の活力のために――米づくりを中心として――」という論文があります。この中に書いてあることは何かというと、一つは、十ヘクタールの経営規模を持てばコスト面では大幅に平均規模を下回る実績が上げられて国際競争に勝てる、こう言っているのです。もう一つは、現在の農業就業人口の動向を推察すると、このままの流れでも、このままほうっておいても二十年後には日本の農家は現在の五百万戸弱から四百万戸弱に減少する。つまり、基幹的農家はほぼ百万戸と見られるが、これが二十年後、土地利用型農業であれば約九ヘクタールの集約的経営規模を持つ五十万戸程度の農家となり、その周辺に平均約十アールの、地域と融和した自家農園的土地持ち農家三百五十万戸程度が形成されれば将来十分だと言っていますね。同時に、その経営革新についても、経営の改善と経営資源の効率化を図るため、補助金を整理し、自由競争、自己責任原則、市場メカニズムを導入すればいいじゃないかと述べています。
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
もう一つは、従来の制度についても、現行の食管制度の根本改善に向けて米価算出方式の変更を行え、つまり所得補償方式をやめて中核農家の生産費を基準にした米価決定を行えとか、要するに農政の過保護じゃないか、ほうっておけばほうっておくほど農業は自立する形になるし、農業基本法時代のあの百万自立農家構想というものが絶対に財界にはあるんですね。これは私に言わせれば全く農民切り捨てであり、中核農家を主体にした、そして周りを包むというような大規模化、そんなことが財界の中にある。
 長官、その背景が臨調の中に全部出てきているのじゃないでしょうか。確かに、いま私が申し上げたように臨調のこの考え方も、断続的にこう書いてありますから解釈のしようによってはいろいろできますけれども、背景になっているのは財界のつまり経済合理性というものを中心にした経営規模改善と生産性の向上が底流にあってああいう提言が行われたと私は見ているのですが、長官いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) いまの所論は私も拝見をいたしました。これはしかし財界というよりも、財界の中の一部の経済人の考え方であると思います。
 それから、大体臨調自体が簡素にして効率的な政府をつくろう、当面緊急の対策として、増税を伴わない、しかも約一兆八千三百億円の公債を減らしていこう、そういう大目標のもとにいま邁進しているときでございますから、これは農業だけでなくて国民生活各般にわたってそういう縮減ということをやらざるを得ないということで進んでおります。そういうような面から見ると、どうしても効率性、生産性というものはメスとして出てくると思うのであります。その限りにおいては臨調の立場というものは私たちも理解しなければならぬと思いますし、われわれがお願いしていること自体も簡素にして効率的な政府という形でもお願いしておるわけであります。したがいまして、いろいろな議論の中にそういう性格が出てきますが、これは財界という考えで出てくるよりも、むしろ能率性、生産性という面から見たこれは行政学といいますか、行政体系の改革論という面から一つの性格として出てくるもので、これはあながち財界だけではなしに、文化界でもあるいは教育界でも効率性とか簡素化というものから考えればそういう考えが出てくるだろうと思うのです。
 そこで、いまのようなお考えが出てきておりますが、農業について先ほどおっしゃいましたような数点のターゲットが出てきておりますが、これをどういうふうに処理していくかということはわれわれ政治の面にある者の責任でございまして、その点につきましては、農林大臣や私が申し上げましたような配慮を持って具体的に改革を進めていく。しかし、臨調の基本的な姿勢の中で、いままで日本がやってきました政治や行政の中で相当膨大な経費を使って保護助成をやってきてここまでたどり着いたわけでございますが、財政に余裕のあったときならばそれをそのまま続けられるけれども、財政に余裕がなくなった今日においては、各方面に多少みんながまんをし合っていただかなければならぬ。そういう面からしますと、農業の方におきましてもいままでの惰性は許されない、農業の方におきましても効率的な金の使い方ということを工夫していただかなければならないのでありまして、これは農業のみならず全般的に言えることでございますが、そういう新しい、清新的な心組みというもので改革に取り組まなければならぬと、そう思っておる次第であります。
○鈴木和美君 話としてはそういうことに答弁せざるを得ないでしょうね。だけれども、私はやっぱり長官、違うと思うんですよ。どういうふうに違うか後ほど午後の部で私は述べますけれども、基本的な認識の中に、財政に余裕のあるときとないときというのは一般論としてはそのとおりです。しかし、減量経営をしてそれで成り立つところもあるかもしれませんけれども、御案内のとおり、食糧という問題はそんなに簡単にあしたでき上がるというものじゃないでしょう。農政審が出した八〇年代の基本方向というものを見せてもらっても、自給率は相変わらず三三%から三〇%に落ちるみたいな計画になってましょう。だから、財政の余裕があるかないかということは一つの、つまり国の政策の選択ですね、これはいろいろありましょう、政治ですから。あるけれども、食糧というものはもっと基本のところに植えつけておいて、そこのところで国民の胃袋を賄うからっとしたものがないと取り返しがつかないのじゃないでしょうか。
 そして、いま財界がいろいろ申し上げているというけれども、財界の指摘されているものは全部との文献を見ても、今度の臨調はその背景になっていることは私はほぼ確信します。財界の中でそうでない提言をしている人は、それほどわれわれと見解を異にしていないんですよ。そう見てくると、やっぱり財界主導型だなと私は言わざるを得ないのです。だから、そういう見解に対して私は反対です。なぜ反対かと言えば、何としても一つは、先ほど申し上げましたように、国内自給率が低下するばかりでしょう。総理に後ほど見解をお尋ねしますが、あの国会で決議した食糧自給力の全党挙げての決議というものと、これから農業政策の基本に位置づける考え方と、長官がおっしゃったいま求められているものをどういうふうにやっていくかということをお尋ねしたいのですが、待ってください。
 私はその答弁をいただく前に、なぜそういう考え方に反対かということは、価格政策の面から見ると、何といっても農民の所得保障というか、農業再編成というか、所得が保障されてない限りは、どんなことを言ってもやっぱり農家というか、農業をやりたいというふうにならないのじゃないかと思うんです。そこの原点というものをしっかり持っておくべきじゃないか。国際競争力とか、市場メカニズムを導入すると言うけれども、財界の方は初めから費用価格の中に利潤をもう入れておくのですから。農家の方は安い労働力で家内工業的にやっておって、そういうものを含めた費用価格が、要求する場合の一番価格の要求の基礎に置かれているわけでしょう。だから国際競争とか、ないしは国内で自由に競争しろというのであれば、もともと太刀打ちができないと思うんですよ。
 そういう価格構造にあるし、土地を見てください。後ほどこれは農業基本法の反省についてお尋ねしますけれども、土地一つ見たって、いままで列島改造論だとか、国際分業論だとか、農業基本法だとかがあって、あの考え方を見ると、みんな何とかなるであろうという予測の中で計画されてくる。土地のあれだけ上がったものに対してだれも予測できなかった。そういうものが農業にまつわるものだと思うんですよ。だから私は、もちろん財政の余裕があるとかないとかいうことは根本的な問題かもしれません。けれども、さっき私が申し上げましたように、ボタンのかけ違いがあったら大変なことになるということから考えてみると、中曾根長官の答弁では私はどうも不満足なんですよ。そういう意味で総理に見解を尋ねておきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、日本の国民経済の中で日本農業がどういう位置づけをされておるのか、そういう中で農業の振興なり農民生活の安定なりをどう考えていくべきか、こういう立場で日本の農政というものを私どもは考える必要がある。財界はこう見ておる、財界主導である、いろいろ御批判もあったわけでありますが、私は、農村と都市を対立的に見たり、都市勤労者と農民を対比して物事を考えたり、あるいは農業団体と経済団体を対立的に見たり、そういうようなことはいずれも私は適当でない、こう考えるものでございます。
 われわれは、戦後日本の経済が高度経済成長期にありました際におきましては、労働力が足らない、農村の青少年が相当金の卵として都市の工場等に職場を求めていた、こういう時代がございました。そこで都市の勤労者と農村の青年あるいは農民との間の所得におきましては、大きな格差が出てまいりました。そこで私ども農業、農村を考える場合におきまして、やはり都市勤労者と農民の所得、生活ということを考えまして、そこで、国際競争力を確かに失う、だんだん農産物の価格が国際的に日本の方が高くなる、こういうことを承知でありましたけれども、都市の勤労者と農民の生活の所得のアンバランスを解消しなければならないというような考え方で、お米の値段を初め農産物の価格も引き上げてまいりました。そして都市の勤労者と農民の所得の均衡をできるだけ守っていこう、こういう政策をとってきたわけでございます。それが今日になりまして、外国の農産物と日本の農産物との間に大きな価格差が生じてきておる。外国農業の輸入攻勢といいますか、輸出攻勢といいますか、その前にさらされておる、こういう状況でございます。
 しかし、先ほど行管庁長官や亀岡大臣からも申し上げましたように、いま日本はあらゆる分野にわたって見直しをすべき時期に来ておる。農業に対する投資につきましても、できるだけこれを効率的に効果の上がるように使っていきたい、こういう立場にあるわけでございます。そういうようなことから私は、財界といっても、日本の財界人は資本家ではない。ほとんど金融機関から金を借りて、雇われ重役みたいなものでございまして、みんな同じでございます。私は日本の産業、工業、こういうものとそれから農業を考えます場合に、そのようなぐあいに私は対立的に考えない、国民経済の中でそれぞれの分野において責任を持っておる、こういう考え方に立っておりますので、そういう国民的視野で日本の農政も今後見ていく必要がある、こう思っています。
○鈴木和美君 せっかくお答えいただきましたが、総理も農林大臣経験者ですから、農業の問題についても水産問題についても、それこそ私などの及びのつかない知識がおありだと思うんですよ。でもしかし、私はやっぱり総理と若干具体的論争に入ると見解が異ってくると思うんです。一般論で答えられている限りにおいてはそれほど違いはないと思うんです。ただ都市、農業と、それから青年のつまり工業部門に入ったというようなことなどは、国の政策の重要な、つまり何年かを展望した政策上の問題が大きな欠陥として私あったように思うんですね。そこでいま何とか解消しなければならぬということはわかります。しかし、反省点がないとどう改善していいかわからないということも、これも事実だと思うんです、手法としては。
 そこで私は、農林大臣にお尋ねしますが、農業基本法制定のときに、昭和三十六年だったと記憶していますが、この農業基本法について、現在から見てどういう問題点を感じ、どういう反省点を感じ、どんな総括を農林省としてなさっているのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
○国務大臣(亀岡高夫君) ただいま総理からお話いたしました、都市勤労者の生活水準とできれば農村の生活水準を大体均衡のとれるように農家の所得をもっていけないかというようなところから、基本法が制定されたわけでございます。そして自然的、社会的、経済的な不利な条件を持つ農業に対しては、特別の施策を講ずべきであるということでスタートをいたしました。そして基盤の整備、構造改善、品種の改良、技術の向上等々の目標を定めまして、そして生産と需要の長期見通しをつくろうということで、十年間の長期見通しを立てたわけであります。
 この立てる際の、いわゆる一人当たりの国民のとるカロリーが、当時はヨーロッパ水準というふうなことで三千キロカロリーというようなことに置いたという点なんかは、いま厳しく反省をいたしまして、昨年やりますときの日本型食生活には、そういう高カロリーをやって長期見通しをつくっておったのでは、これはまた大きなそういったものを生んでくる、米の過剰になった一つの原因でもあるまいかというような反省をいたしていることは事実でございます。
 そういう反省の上に立ち、また米の需要というものがこんなに急速に減ってくるものであろうかという、いわゆる予測が非常に狂ったという反省、これも十分いたしておるところでございます。と同時に、やはり食管制度の上に、まあ安住したと言っちゃ悪いのかもしれませんけれども、米というものに対するあらゆる研究、食品としての米に対する加工の研究でありますとか、食べ方の研究でありますとか、そういう面の努力が十分であったかどうかという反省等もいたしながら、八〇年代の農業の基本構想というものが示され、また十年間の長期見通し、その基礎が二千五百キロカロリーという日本人の体位に合った食生活というものを基礎にしてやっていこうということ、米の消費の努力をあらゆる面からやっていこうということと、やはり日本民族は米を主食にして今後も長く生き続けていくということが最も望ましいという基本的態度、これは今回われわれの進めております農政の中での特色と、こういうふうに考えていただきたい、こう思う次第でございます。
○鈴木和美君 私が農業基本法の反省の問題としてとらえているのは若干違うのですが、なお見解を聞かせてほしいと思うんです。
 農業基本法というものは、私の理解によれば三つの柱があったと思うんです。一つは、農業と他産業間の生産性、所得格差を是正するという問題があった。二つ目には、国民所得の増大に伴い、農業生産の拡大を図るという問題があったと思う。三つ目は、生産性のよい農家の育成など農業構造の改善を図る。これが私は農業基本法の三つの課題だったと思っています。別な言葉で言えば、選択拡大とか、土地の流動化とか、規模拡大とかという言葉にもあらわれていますが、厳密な意味で言うと、あなた方の資料から取った言葉ですから間違いないと思うんです。
 その結果、確かに昭和三十六年から果実や畜産などの振興は促されたと思うんです。しかし畜産でも、最近おもしろい言葉で総理、こんな言葉がいまはやっているんですよ。牛を飼ってもモーからないと言うんです。豚を飼ったらトントンでと言うんです。ニワトリ飼ったら元もケイランと言うんです。これがいま畜産農家の実態を表現していると思うんです。しかし、規模は確かに拡大したと思うんです。米は完全自給を目指してがんばりましたから、今日確かに御案内のとおりです。しかし、米以外の畑作物であった大豆、小麦などはどうなったでしょう。全く輸入に依存せざるを得ない現状でしょう。何がこうさせたかということに対してどう考えているのか、はっきりしなければ次の政策は出てこないですね。
 農業を語るときに、米とか麦とかということを語るけれども、一番問題なのは構造政策でしょう。土地の問題がはっきりしない限り、何を語ってみたって、そんな規模拡大とか生産性向上なんて言ったってナンセンスです。ところが、そう見てきたときに農地構造、専業農家だけ規模拡大の当時の構想は、事実、百万戸育成というあの考え方はとうとう見果てぬ夢でしょう、いま。先ほど兼業農家と分けて実態を説明していただきましたが、つまり見果てぬ夢となった結果、貧農は切り捨てられちゃったですからどうにもならなくて、総理の言葉をかりれば、労働力が流動した、農村の青年は流動したと言うけれども、政策が工業中心にいったから、農作物の方、農業で食べていけないから打っちゃっただけのことにすぎませんのであって、ふるさとを離れて、あの盆、正月の込みようを見てください、縦貫道路。何で帰るんですか。やはり土地の文化、農耕文化に日本人の気質が合うから帰っていくのであって、その農業を切り捨てちゃって工業的なものを中心にしてしまったから、どんどんどんどん労働力は私は移っていったんだと思うのです。
 その結果、私はここで一番問題にしなければならぬ構造は、百万戸構想というものは単なる夢だった、机上プランだった。そのところに資金計画も何にもついてなかったでしょう。先ほど申し上げましたように、土地の高騰に対する手当ても何にもやらなかったでしょう。もっと大切なことは、農家は土地を手放すであろうというような予測に立っていたことが大きな間違いなんじゃないですか。現在、土地の高騰が続いているからだれだって手放さないですよ。手放さないときに、大型農家とか生産性を向上させるとか、大規模農家にするとか中核農家にするとか言ってみたって、まことに農業基本法当時の反省に立っていないんじゃないですか。だから、私はこれからの農政を考える場合に、農業基本法の反省というものをよくやらないとだめだぞということをいま言っているのです。
 そういう意味で、もう一度農林大臣と、ちょうどお暇でしょうから元農林大臣の渡辺大蔵大臣にも見解があれば、この辺で登場していただいて結構じゃないですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 基本法農政の中身については、いま御指摘のあったとおりの線で政策展開を図ったわけでございます。ところで構造政策としては、私どもの先輩もやはりその点は非常に大事なものとして取り上げ、農地管理事業団法という立法措置をして、そうしていまから十数年前でございますが、そういう努力をされたわけでございましたが、残念ながらその立法措置が実現できなかった。自来ずっと要求されながら、なかなか立法措置ができない。行政措置で土地の問題の推進を図ってまいりましたけれども、思うように進展しない。こういうことで、昨年国会決議をちょうだいいたしますときに、同じ時期においてやはり国会でもこの構造政策を立法化しないうちはもうなかなかむずかしいという御理解のもとに、農地三法を制定していただいた。私は、これによって日本の基本法農政と申しますか、の上に立った反省が実現されたものと、こう非常に高く評価をし、また農林水産大臣といたしましてもこの点に全力を尽くして、窮屈な中ではありましても、来年度の予算編成等についてはそのような概算要求をさせていただいておる、こういうことでございまして、確かに、いろいろな反省の上に立ってこそ新しい進歩が見られるという御指摘でございます。そのような気持ちでやっておるところでございます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 答弁の機会を与えてもらいまして、ありがとうございました。
 鈴木先生のような見方もあろうかと思います。しかしながら別な見方もございまして、農家の所得がいまや、何のかのと言われるけれども、総合して勤労者よりも上になった、これも事実でございます。なぜならば、これは農業だけの所得をふやせといっても、畑やたんぼを拡大することは労働をふやす以外には方法がございません、これはできません。しかし、この中で生産性を上げるといっても、年に米を二回つくることもできませんということになれば、値段だけの引き上げということになります。これは限界がございます。高く上げて安く売れば赤字になるわけですから、その赤字は税金で払えということになれば、米を食わない人も米代を払わせられるということになります。したがって、これにも限界があります。
 そういう中で農家の所得を上げるということになれば、一つはいろいろハウス園芸等をやって、それで四けた農業を五反歩か六反歩でやっている地域も愛知県などにはございます。そういうやり方もあります。みんながまねはできません。したがって、どうしても単作地帯では機械化ということになります。そうすれば、機械を入れるのですから、四人で働くところが一人で済むことになりますから、遊んではいられませんので娘が農協へ勤めたり、息子が郵便局へ行ったり、あるいは出かせぎに行く場合もございましょう。そういうようなことで総合的に農家所得を上げる以外に道がない。したがってその結果は成功したわけであります。
 しかしながら規模拡大はできないじゃないかと。農業はだめだと言われましても、土地を売ることはいたしません。確かにあなたのおっしゃったとおり、土地の値段が高くなったわけですから、財産になったわけです。したがって、農業就労人口は二十年前の三六%からいま一〇%下がりました。しかし農家戸数は減りません。なぜ減らないか。それはやはり農業というものについて、土地があり、土地を持った上でみんながいろんな所得を集めれば楽な暮らしができるし、財産が維持されるから農家はやめない。兼業農家が先ほどの話のように約七割、これも事実でございます。したがって、私は農政の問題はやり方の問題であって、規模拡大をするとすれば、土地の流動化、貸し借りをもっと自由にして、小作人の権限を弱めて地主の権限を強めなければ、現在までの農地法ではだれも土地を貸す人はありません。貸したら最後返ってきません。財産が失われます。だから土地の流動化法をつくって、要するに一人の小作人が何人かの土地を集めた上で仕事をして生産性を上げる、片方は小作料を現物または現金でもらえるという制度を仕組んだばかりでございますから、これはまだ動き出しておりません。したがって、そういうものが総合的に動いていけばもう少しましになる。何といっても私は、日本という世界最大の最良の、みんなが希望する市場があるわけであって、そこには豊かな消費者がいっぱいおって、たとえば米が世界の三倍高いと言われながら、コーヒー一杯飲めば二百円、お米一食分は四十四円、だけれども実際は三十三円だ、非常に安い安いと、砂糖よりも高い米を安いと言ってくれているわけですから、だからやり方だ。やり方をみんなで研究すればもう少し私はましになるのじゃないか。
 まことに失礼いたしました。
○鈴木和美君 いま大蔵大臣が述べられた見解は、私は午後からあなたと見解が違うということを述べます。ただ、ちょうど昼で切られるものですから、ダブるかもしれませんけれども、いま大蔵大臣が述べられた中でも二、三について、私はちょっと違うということを言っておきましょう。
 たとえば米が余っちゃって、つまり農業というものに対して税金がかかり過ぎる。よく三Kという言葉が出ますね、国鉄、健保、食管だと、こう言うのですけれども、私は同じ赤字論争でもちょっと質が違うと思うのですよ、これは。それがどうも同列視されて考えられることは私は反対なんです。そこで、大蔵大臣は御存じだと思うのですけれども、国民は税金がかかってもいいと答えているのですよ。
 総理府の五十六年三月に調査した「二十一世紀の展望に関する世論調査」、二十年後のわが国の食糧事情についての意見の中で、食糧事情が悪くなると答えた人は五五・六%なんですよ。現状と変わらないと答えた人が二七・一%だ。よくなると答えた人は八・六%、全然わからないと答えた人が八・八%だと。いいですか、食糧事情についてですよ。もちろんそれは輸入の安定、国内需給いろいろ考えた上ででしょう。
 その次、供給のあり方についても、同じく総理府が調査した、政府の機関が調査したやつですよ、「食生活・食糧問題に関する世論調査」。五十三年八月の段階では、できるだけ自給自足をしろと答えた人が六七%なんですよ、いいですか。安ければ輸入しろと言った人が二〇%なんです。わからないと答えた人が一三%、これは五十三年のときですよ。ところが、去年、五十五年の九月に調査した結果はもっと変わっているんです。できるだけ自給自足をしろと答えた人は七五%なんですよ、いいですか。五十三年から五十五年、たった二年の間に、食糧自給率について金がかかってもいいから国内で自給自足をしろと答えたのが七五%、それから安ければ輸入しろというのは、五十二年には二〇%だったのが一六%に落ち込んでいますね。わからないと答えた人は九%。食糧に関して大変な意識を持ち出したということを意味しますね。
 そうすると、その国民的な感情がそういうところにあるのに、あなたは、財政を預かっている立場からそろばんばかりはじいて、ここで口を開くと米を食べている人も食べない人も税金は同じようにと、こう言うんですよ。そうでしょう。しかしこの世論調査は、米を食っている人ばかりにやったわけじゃないんです。米を食べてない人にもやっているんですよ。つまり総合自給力でしょう。だから土地の問題だって私は言いたいですよ。ちょっと最近の農水省とあなたの考えとはドッキングしているところもあるけれども、やっぱり渡辺農政がまだあるのかなと思ってみたり、あなたはもっとえらくなるのだから今度は別のことを考えたらいいと思うんですよ。現在の農水省で考えていることとちょっと違う点もある。
 私が言いたいことは、同じ三K赤字論であっても、やっぱり米というのは日本の食糧の基礎をなすものなんだから、これに関しては国民全体が――食管が九千九戸億くらい、三千三百億と六千六百億ですか赤字になっている、水田利用再編成の補助も含めてですね。それに対する国民的な認識というのはちょっと違うんですよ、単なる赤字というのと。そういうことを政府・自民党もしっかり考えてやってもらわないと、食糧というものが重大であるのに、単なる農業の経済合理性だけが前面に出てくるやり方は私は違うと思うんですよ。大臣いかがですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) そういうような御意向にも十分に私どもは配慮しているんです。国内で自給をさせる、それは理想的なことであって、このように動乱とかなんかが多少あったりすると、みんながそういう希望を持つことは当然だと私は思います。しかし、同じくそのときに世論調査をやって、それじゃ税金はふえてもいいですかといったら、税金の方はふえていいという人は恐らく少ないです、同じ回答をした人が。もう一つは、やはりお米は必要にして十分なだけはどうしても必要ですよ、それは。しかし、余ってトン三十万円のものを一万円でえさに売れという世論調査を一緒にやれば、そういう答えは出てこない。やはり必要にして十分なだけだというように私は思います。
 したがってわれわれは、農業というものはどうしても、できるだけ国内の限りある面積の中で生産性を高めて、足らない物は十分つくる、余るほどはつくらない、こういうための政策が必要であるからそのようなことをいまやっておるわけで、国民が認めてくれているから、九千億円ぐらいのお金を出してもごうごうたる非難にならないというのも事実であります。しかし、幾ら経費をかけてもいいんだということまではまだ許容されていない、これも事実であります。
○鈴木和美君  あのね、こういう調査をすればこういう答えが出てくるであろうというのであれば、私だって言えますよ、それならば。いま私が言っているのは、米の食管にかかっているのが九千九百億円で、米を食べない人も食べている人もそれを賄うのはおかしいじゃないかという税金論争をやるから、あなたは、今度は税金をじゃ取り立てるぞという世論調査をやったら、そんな数字は出てこないだろうと言うのでしょう。あたりまえですよ、そんなことは。
 ここのところ所得税減税を二年間もやらないから、みんな勤労者は大変な生活ですよ。勤労者の大変な生活の中で、せめて米ぐらいは安くしてくれというのはあるんですよ。だから所得税減税をやらないのなら、本当にそれこそ食管の方のそれは置いてもいいというくらいの意見だってあるんですよ。私が言いたいのは、つまり国の税金の使い道の中で、どういう政策の選択でどこに配分するかということが国民的な合意なんでしょうと言うんです。そのときに食管は、せめてもそのぐらいあったっていいんじゃないかということを述べている意見もあるんだということ。だから、頭から何でもだめだなどというような、それでは総理大臣になれないですよ、あなた。
 また、構造問題についても私はあります。構造問題についてもありますけれども、ちょうど時間がこんなものですから、委員長、大変申しわけありませんけれども、与えられた時間が十二時で切れますけれども、これで一応午前の質問は終わって、午後にその時間を移らせていただきたいと思います。
○委員長(玉置和郎君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。鈴木君。
○鈴木和美君 午前に引き続きまして、午後は多少具体的な問題について御質問申し上げたいと思うのです。
 これからの農業、農政を考える場合に、基本的な国の考え方として、私の理解によれば、昭和五十五年十月三十一日に政府に農政審が提出された今後の基本方向ということでこれからの農政が進められると思うんですが、その中で、いろんな言い方はありますが、たくさんの課題もありますが、日本型食生活と食糧安保論、中核農家の構成、こういうものが骨格になっていると私は受けとめているんですが、農林大臣いかがですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 私どもも基本方向に沿って行政を進めてまいりたいと考えております。
○鈴木和美君 そこで、日本型食生活という問題について若干の御質問をしたいと思うのです。
 従来まで食糧という問題を考える立場が、農業生産の面からだけ取り上げられていた傾向の中で、今回は初めてというか、もうすでに検討はされておったんでしょうけれども、つまり消費の面からどうとらえるかというような見直しの発想が出されたことは、それなりに私は評価します。
 そこで、新聞でも報道はされておりますが、日本型食生活というものは一体何を言わんとしているのか、また、その日本型の食生活を維持するためには、輸入の観点とか消費の動向はどういうふうに進むのか、そういうことについて農林省が分析している中身についてお聞きをしたいと思います。
○政府委員(角道謙一君) お答えを申し上げます。
 現在、わが国の食生活は、米、野菜、魚を中心にいたしました伝統的なパターンに、肉、牛乳、乳製品、油脂、それから果実といったものが多様にまさり合いました、きわめて多様化した日本独特の食生活のパターンになってきております。このような食生活はいわば日本独特のものでございまして、俗に私ども日本型食生活と言っております。これは欧米等と比べますと、欧米では一人一日当たりの供給カロリーが大体三千キロカロリーを超えておりますが、日本人の場合には大体一人一日当たりの供給カロリーが約二千五百キロカロリー、熱量水準が非常に低い。これはまた、日本人の体位から見ましても適合したものと考えております。
 第二点といたしまして、熱量の中でいわゆる栄養の三要素――脂質、たん白、それから炭水化物、こういうものを見ますと、この配分のぐあいが非常に栄養的にもバランスがとれているということに特徴がございます。
 また第三点に、たん白質の中で動物性のたん白が大体半分ぐらい、また植物性たん白が半分というように、大体二つが均衡しておりまして、また動物性たん白の中でも魚類たん白というのが大体その半分を占めている、こういう栄養のとり方というのは栄養的にも非常に望ましいものと言われているわけでございます。
 ただ、今後の食生活を見てまいります場合、いま申し上げました約二千五百キロカロリー、こういう熱量水準は今後余り伸びないだろう、おおむね横ばいになるものと見通しておりますが、ただ、その中での配分を見ますと、やはり米の消費等は減っていく、逆に畜産物や油脂の消費が増大していく、そういう一種のトレードオフというような現象が今後見られると考えております。
 ただ、このような傾向を放置しておきます場合にはいわゆる成人病、虚血性の疾患であるとかあるいは心臓障害等成人病の増加がやはり見られるのではないかという懸念もございまして、私どもといたしましては、現在の栄養バランスから見ましてもいまの食生活の態様というのは望ましいのじゃないかと。また、これを供給の方から見ますと、米、野菜等が中心になっております日本の食生活から見ますと、生産構造から見ましても、こういう供給構造が望ましいというふうに考えております。
 本来なら食生活というのは個人の基本的な選択に任すものでございますけれども、いま申し上げました栄養の観点あるいは食糧の供給の観点というものから見まして、私ども、いまの日本型食生活というものにつきまして国民の理解を求め、これを定着させていくということが必要かと考えております。
○鈴木和美君 私が聞きたいポイントですが、日本型の食生活を再評価して定着させるための努力を行うというその手だてのところでこういうことが書いてあるんですが、ちょっとこの意味がよくわからないんです。「食生活は基本的には個人の自由な選択の領域ではあるが、今後は、栄養的観点からも、総合的な食料自給力維持の観点からも、米等わが国の風土に適した基本食料を中心にした日本型食生活の良さを再評価し、これを定着させる努力が必要である。」と、いま述べられましたね。そこで、その次のところを見ると、あれっと思うのは、価格政策の面でも、食生活を望ましい方向へ誘導するため、食品間の価格のバランスに配慮することも重要であると述べられていますね。これはどういう意味ですか。
○政府委員(角道謙一君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘ございましたように、本来的に食生活というのは個人の自由、個人が選択するものであるということは御指摘のとおりでございまして、ただ、実際に人が物を買う場合、やはり価格に相当影響されるということもございますので、食品相互間の価格関係というものについても、この日本型の食生活を誘導できるような方向に考えていったらどうかという農政審からの答申でございます。
 私ども、基本的にはその方向が望ましいと考えておりますけれども、食品相互間の相対価格関係というものと、実際の食品の消費量あるいは購入量というものについての数量的な相対関係はまだ現状では必ずしも十分明らかでないという問題もございますので、当面私どもはむしろ食生活の内容と、先ほど申し上げましたような栄養面あるいは供給面からのよさというものをまず理解をしていただく、これと並行しながら価格関係につきましても今後十分検討を進めていくということが必要かと考えております。
○鈴木和美君 私がこれを読ませてもらって、栄養の観点とか供給の観点から見て、日本型の食生活で望ましい食生活を誘導しようというのであれば、価格の面でも食べさせたい物は安くする、食べさせたくない物は高くするという端的なことだと思うんです。しかし、これは一面、一般論としてはわかるけれども、流通の機構や生産構造や、そういうものを見たときに、そう簡単に私はいくものじゃないと思うんです。これは、これだけにかかわっているわけにいきませんので、慎重な対応をぜひお願いをしておきたいと思うんです。
 さて、その次は食糧安保論というのが出ているんですが、この食糧の安保論というものに対して、実は私はよく読めば読むほどその基本的な腰が定まっていないように思うんです。たとえば食品の安全保障の必要については、輸入されている作物が港湾ストとか輸出国の不作とか、日本の輸入量が世界で上位にあるためにその量も大変なつまり心配があると、そして国際紛争でも起きたら大変だと述べながら、それであるから国内自給率を高めようということなのか、日本人の食糧の輸入がいま大変多いから、輸入の安定的な供給だけをとろうとするのか、ここを読めば読むほどどっちともつかないような書き方になっていますね。この基本的な発想それから展望、そこを聞かしていただけませんか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 食糧の重要なことはもう申し上げるまでもないわけでありますけれども、やはりそれを安定供給していくということは、これはもう国政の基本であります。したがいまして、さきに閣議決定いたしました六十五年度を目標年次とする農産物の需給の長期見通しに即応しながら、国内で生産可能なものは生産性を少しでも高めながら極力これを国内生産で賄っていこうというふうに取り組んでおるわけであります。そして、どうしても輸入に依存せざるを得ないトウモロコシでありますとかマイロでありますとか、あるいはえさ関係につきましては、諸外国との友好関係を維持しながら安定的な輸入を確保することができるように国際関係の安定化を図ってまいる努力をしておるということでございます。と同時に、総理がたびたび申し上げておりますとおり、アジアあるいは中近東等の開発途上国の農業問題につきましては全面的な協力体制をとっていこう、こういうことを申し上げておるわけであります。
 また、不測の事態に対処する方策として、平素、農業生産の担い手の育成というのがこれはもう大変大事でありますし、優良農地や水資源の確保等、総合的な食糧自給力の維持強化を図るといったてまえをとって政策を進めておるところでございます。これからもやはりその方向でやってまいるということでございます。
○鈴木和美君 一般的な食糧の世界的な生産の状態、見通しについては時間がありませんから述べませんが、それぞれ持っていると思うんです。
 ただ私は、ここで問題にしなければならぬのは、不測の事態の紛争の状態、国際的な紛争が起きた場合には大変だぞということで、先般農水省は、輸入がこのくらいとまったときにはカロリーはこのくらいである、五〇%とまったときにはこのくらいのカロリーになっちゃう、こういう場合にはこういうカロリーになるということの分析が行われていますね。あの分析を行った根っこになっている国際紛争という問題は、どういう状態を想定しているんですか。つまり、どういう形態、期間、どんな紛争が起きるということを根っこになさって発表されたのか、明らかにしていただけませんか。
○政府委員(角道謙一君) お答えを申し上げます。
 先般、新聞に報道されました、不測の事態における食糧の供給の問題といいますのは、実は農政審議会の専門委員会におきまして、前の農政審議会の答申におきまして食糧の安全保障についてさらに検討を深めるという課題がございましたので、その専門委員会で検討するということになったわけでございますが、そのための討議のたたき台という形で、農水省の官房企画室におきまして試算という形で出したものでございまして、私どもこれを基礎にいたしまして、これから農政審議会で議論を深めていただくというための資料でございますので、私どもで積極的に公表とか、あるいはこれで農水省としての考えを固めたというものではございません。
 あの中で私ども申し上げましたのは、不測の事態というのはいろいろ問題がございます。食糧供給あるいは食糧の安全保障という観点から具体的に何を不測の事態として想定するかということは非常にむずかしい問題でございますので、当面、たたき台でございますので、一般的あるいは概念的な形で、短期的にはどういう事態が考えられるか、長期的にはどういう問題があるかということの一つの例といたしまして国際紛争というものを掲げたわけでございまして、具体的に不測の事態の中に国際紛争はどういうものである、またどういう内容、期間のものであるということを考えているものではございません。むしろ今後いろいろな事態を想定しながら専門委員会におきまして討議をしたいというように考えております。
○鈴木和美君 私は、不測の事態が起きる、国際紛争が起きるであろう、そういう心配の上に立ってどういうふうに国民の食糧を考えるかと、この発想は賛成ですよ。何回も言うように、農業というものはそんな簡単に量の拡大ができるものではないんですから、いろんな場面を想定しながらやることは賛成です。しかし、問題なのは、どういう国際紛争が起きるのかということの前提認識がはっきりしないと、次にくる施策のとり方について大変違うんですね。単なる学説的な分析であるならばそれはそれで結構でしょう。しかし、国民の食糧ですから、こういう国際紛争が起きるという前提に立つならば、早く手を打っておかなければならぬというようなことで、お金のかかる面でも全体の国民のコンセンサスを早く得なければならぬわけでしょう。だから、そういう意味で私は不測の事態というものを問題にしているわけですよ。
 これは農水省が農政審に出したわけでしょう。農政審が発表したんです。その国際紛争の状態について、総理、これは農水省からその不測の事態などについての総理に対する報告とか、こういう分析が行われたというような話は総理は聞いているんですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど官房長から御説明申し上げましたように、現在、農政審議会で食糧の安保の具体的問題について検討をいただいておる最中でございます。そして、その検討をするに当たって何も討議資料がなくては意見の前進ができないと、こういう審議会の要請がございまして、先ほど来御説明申し上げておるような、また先生が指摘されましたような資料を実は農政審議会に提出をして、いま御論議をいただいておる最中でございます。
 その中の国際紛争という一つの想定を事務当局でやったわけでありまして、具体的にどのような、国際紛争といってもいろいろございますわけですし、予測ができない面もあるわけでございます。そういう問題についてどういうふうに取り組んだら最もいい体制が出てくるのかというようなものも含めて御検討を賜っておる、こういうことでございますので御理解いただきたいと思います。
○鈴木和美君 わからないから予測というそういう理解の仕方もありましょう。しかし、私はそう思いません。
 防衛庁に尋ねたい。今度の五十七年度の予算の中でP3C、F15、潜水艦、どうしても正面装備をしなけりゃならぬということで、われわれはそれだけ聖域化しているんじゃないかという話を何回かしています。しかし、緊急に必要だからそれはそれだけ用意をしなきゃならぬというお答えでしょう。これは何らかの国際紛争の想定や、国際紛争の予測や、そういうものが根っこになければ、何で金を要求するんですか。だから私は、そういう国際紛争の予測状態の分析というものは、防衛庁は防衛庁、農水省は農水省でやられているのだと思うんですよ。それが内閣全体のものになっているかどうかはまた別に議論しますよ。
 防衛庁がこの前出した、「国民生活に基づく所要輸入量に関する研究」というものが先般出ましたね。防衛庁は防衛庁なりに持っているわけですよ。だから、いまP3Cを初めとする五十七年度の予算に関するあの要求額の根っこになっている国際紛争の分析について防衛庁から聞かしてください。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 農政審議会において、食糧の安全保障に関し、わが国の食糧供給に支障を及ぼす事態への対応についても検討することとなり、その一例として、国際紛争による食糧輸入削減の対応等についても検討されることとなったという件については、農林水産省から防衛庁としましてもそのことは聞いておりますが、その内容については現在までのところ具体的な相談を受けておりません。
 そこで、P3C、F15等の調達に関連して、国際紛争の予測の点についてどう考えるかというお尋ねがございましたのでお答えいたしますが、確かに防衛庁といたしましては、五十七年度概算要求においてP3C十七機、F15四十三機調達を要求していることは事実でございます。
 国際情勢の認識でございますが、これはしばしば申し上げておりますが、東西間の核戦争及びそれに至るような大規模な衝突は、西側の抑止力強化への努力もあり抑止されていると考えておりますが、ソ連の長期にわたる一貫した軍事力の増強と、これを背景とする第三世界への進出等もあり、厳しさを増していることは事実であります。また、極東ソ連軍の顕著な増強と活発な行動はわが国にとり潜在的脅威の増大であると考えております。しかしながら、わが国に対する差し迫った侵略の脅威が現在あるとは考えておりません。
 右に述べたような最近の厳しい国際情勢にかんがみ、防衛力大綱水準の早期達成の観点から、対潜及び防空能力の維持向上を図るため対潜哨戒機及び要撃戦闘機を整備することは重要なことであると考えており、したがって、対潜哨戒機の現有勢力及び要撃戦闘機の現勢力を維持し、またはその減勢を最小限にとどめるため、五十七年度概算要求においてはP3Cを十七機及びF15を四十二機調達することとしているわけであります。
 なお、国際情勢は不安定かつ流動的であり、予測される国際紛争の形態及び時期について申し上げることは困難であります。
○鈴木和美君 私は、その問題でいま防衛論争をここでやろうという気はないんですよ。ただ、潜在的脅威論とか、それから第三世界の問題であるとかいろいろありますよ。ありましょうけれども、聞きたいことは、いま日本が軍事的に大変だという、私はそう思っていないんだけど、そういう認識に立って防衛庁はP3C、それからF15のあの概算要求に及んだのじゃないんですかと言うのですよ。つまり緊急性にかんがみているのでしょう。そこのところをはっきりしてくださいよ。そうでないんであれば要らないでしょう、あれは。防衛庁長官、どうですか。
○国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。
 国際紛争の分析はどうかというお尋ねでございますので、全般的な点にも触れましてお答え申し上げた次第でございます。差し迫った危険は現在ございませんが、全般的に厳しさを増している。そういった点を踏まえて、わが国みずからの手による防衛力の整備を図ろうとしているその一環として、対潜哨戒機、要撃戦闘機の充実を図ろうとしている、そういうことでございますので御理解を願いたいと思います。
○鈴木和美君 差し迫っているような危険はないんですね。差し迫っているような危険がないのであれば、われわれはやっぱり防衛費の問題については別途議論しますよ。しかし、防衛庁が昭和五十年と五十三年に出した食糧安保論というのがあるでしょう、これ。このときの研究は、取り巻く環境が大変切迫している、そういう分析の上に立って食糧の輸入がとまったら大変だと、こういうことを発表しているんじゃないですか、現に。だから私は、そのこと自身はいまきょうの論争のことじゃないんですからおきますよ。おきますけれども、そのことが内閣全体の認識であるというのであれば、食糧の安保ということで、輸入がとまったら大変だから国内の自給というものを早急にこれは立て直すことが必要なのじゃないんですか。そこのところに腰が定まっていないということを言うんですよ。もう一回答弁してください。
○国務大臣(大村襄治君) 差し迫った侵略の脅威が現在あるとは考えておりませんが、防衛力の整備には相当時間がかかるわけでございます。一年や二年では間に合わないわけでございます。そこで、必要最小限の整備はこれを取り進める必要があるという観点から、いま申し上げた点に取り組んでいるわけでございます。
 また、防衛庁といたしまして、万一の場合の食糧その他緊急物資の輸入の点につきまして数年前に研究はしたことはございます。その事実はございますけれども、その当時の認識においても、いま申し上げたと同じように、差し迫った侵略の脅威がないとしましても、将来に備えるためには研究を行っておく必要があるという観点から行ったものと承知しております。
○鈴木和美君 防衛庁長官、大変恐縮ですが、もう一つ聞かしてくれませんか。
 現在の自衛隊の食糧は何日分備蓄されていますか。
○政府委員(塩田章君) 特別に備蓄ということで食糧を備蓄してはございませんが、緊急の食糧は各部隊、所要量を持っておりますけれども、いま具体的に何日分というのは承知しておりません。
○鈴木和美君 私がいま持っている資料の中では三日とか四日とかしか持っていないんですが、私が言いたいことは、やっぱりどんなことを言ってみたって、食糧の自給率というものを国内で高めなきゃならぬという認識ははっきりしているんじゃないですか。防衛庁もそのために、紛争が起きたら、早急に起きたら石油と食糧が大変だ、だからこの対策を急ぐべきだと、こういう研究発表をなさっているわけなんですよ。それはそれでいいんじゃないですか。何も私は防衛論争やっているわけじゃないんだけれども、ただ、総理に静かに聞いてほしいということは、そういうことが片方で論じられているんだけれども、食糧の自給率になると、金がかかるとか農民に余り過保護じゃないかとかいうような、午前中に述べたようなそういう国内的ないろいろな見方があるものですから、自給率の向上についてみんなで決議したものだって一つも進んでいないじゃないですか。
 国会決議というのが、全党で上げて、あれだけ進まないのは私は初めて見たですよ。それをある人に言うた。そしたら、あそこは自給力の強化だから、潜在的なそういう力を蓄えておけばいいのだという意味だと言うんですよ。私みたいな素人であれば、自給力も自給率も、総理がいつも自給度という言葉を使われますけれども、私は国民的立場に立ったらそれほど変わりがないと見ているんですよ、国民的な立場に立ったときに。そういうときに何か食糧という問題が置き忘れられちゃっていることはよくない。防衛庁の調査と農林省の調査では、一たん緩急あったときの調査の中身が違うんですよ。一人当たりの熱カロリーにおいても、防衛庁の方は約千五百カロリーですか、それから農林省が千三百カロリーですよ。カロリー計算だって違う。
 だから、私はもう少し総理にお願いしておきたいんですが、食糧というものはやっぱり総合安全保障という立場に立って組み込んでもらわないと、ばらばらにやっておったのでは大変だと思うんですよ。これを言いたいんですが、いかがですか、総理。
○国務大臣(鈴木善幸君) 全く同感でございます。そういうような考え方からいたしまして、私の内閣になりまして御承知のように総合安全保障閣僚会議というものを設置いたしまして、そして食糧の問題、エネルギーの問題、そういう単なる防衛という側面だけでなしに総合的な観点から日本の安全保障を考えようと、こういうことで取り上げておるわけでございます。そういうような一環として、農政審議会に対して不測の事態等があった場合にどういうぐあいに対応するかということも御研究を願っておる。まだその結論が出ておりませんから私のところへは参っておりませんが、そういう方向で努力をしておるということを御理解を賜りたい。
○鈴木和美君 くどいようですが、農業問題の、食糧問題の基盤形成というものはお金がかかるわけですから、もう経済合理性だけで物を考えるという立場に立ってほしくないということだけはぜひお願い申し上げたいと思うのです。
 そこで今度は、総自給率を強化すると言いながら、私はもう一つ心配があるんですよ。総理大臣は鈴木という名前ですが、ニューヨークに行ってもパリに行っても大変有名なんですよ、総理大臣の名前が。私も鈴木ですが。ところが、友達の名前も有名なんですよ、本田君とか豊田君とか松田君といって。それだけ国際的な面から見ると、自動車、カラーテレビ、べータマックス、いろいろなものがありますね。
 ところが、私は、片方から見ると、その見返りは何だということになると、農作物が全部アメリカから来る、ECから来るわけですね。個々の国際分業論ということには立ちたくないけれども、ある程度均衡された貿易は認めざるを得ないでしょう、自由経済体制なんですから、現に。しかし、余りにも偏った輸入、輸出の形態に私はあるのじゃないかと思うんですよ。
 私は通産省にも尋ねたいと思ったんですが、大臣がこれはいないのですけれども、この前アメリカの農務長官が来られて、きのうの新聞でも大変な食糧に関する圧力ですね。今度ミッテランが来ることによって、稲山会長がヨーロッパに出かけていってお菓子の関税の問題についてどういうお話をなさったかわかりませんけれども、来日するときまでに解決をするということでいま大変な検討が行われているということを聞いているんですが、こういう国際分業、貿易の不均衡などについて、これからやっぱり輸入というものに頼らざるを得ないのか、そういう政策を鈴木内閣としてはとるのか。比較的むずかしいけれども国内自給にやっぱり重点的に力を入れていくのかということについて、総理からもう一回ここのところはお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、農業というものを念頭に置いた国際分業論というものにくみするものではございません。これは明確に申し上げておきたいと思います。これは、国民に食糧を安定的に供給を確保するということは、何といっても安全保障の中でも私は一番大事な問題である、こう考えております。したがいまして、国内におきまして生産をふやし得る余地のあるもの、そういうものにつきましてはこれはあらゆる努力を傾倒していかなければならない、自給力を高めていかなければいけないと、このように考えるものでございます。
 しかし、国土資源の関係からいたしまして、たとえば家畜の飼料、これは一千万トン以上の、一千数百万トンの輸入をしておるのでありますが、直接人間が食べるものではございませんけれども、家畜のえさとして重要なものでございます。これが年々ふえていっている。そういうようなことから、相対的に直接食べますところの主要食糧の自給度というものが率としては低下をいたしておりますが、こういうえさの問題は私は今後もふえる傾向がある、食生活が変わっていくというような観点からふえる傾向があると思います。しかし、これもただ輸入をしておればいい、安定的に輸入されればいいというものではない。したがって、えさ米その他の研究等につきましても十分やって、国内で自給をふやしていくという面の努力が必要であると、こう考えております。
○鈴木和美君 先回りをされて、えさ米のお話が出たから私述べませんけれども、まことに総理の見解に敬意を表します。
 ただ、えさ米のときに本当に考えてほしいことは、片っ方でえさの問題を論ずるとき、片っ方で米が余る、水田利用再編を考えなきゃならぬ、転作を考えなきゃならぬ。しかし、転作を考えるにしても転作奨励金の問題があったりいろいろなことがあって、結局農家は米づくりというのが一番自分の風土に合ったものだと思うのですね。それで、農林省その他の方から大変な御努力もいただいて、ようやく転作の面積にえさ米が入るようなことで、試験研究という言葉がありますけれども、ようやく認められてきた。もう一歩進めて、これを転作の作物にするぐらいの意気込みでどうぞ取り扱っていただきたいと思います。
 さて、その次の問題は、食管の問題について午前中大蔵大臣と議論いたしましたが、私はいま時間がありませんので午前中の議論を受けて自分の見解だけ述べておきますが、食管という問題は、一番問題なのはやっぱり売買逆さやだと思うんです。この売買逆さやについては、先ほど申し上げましたようにこれは国の基本の問題でありますから、どうしても、これは赤字論争の中に混同しないで取り扱っていただきたいと思うのです。そして、農政審やその他の答申を見てみまして、臨調は食管というものについてもともと放せというような見解が背景にあったように思うんですが、今回農林省が発表した食管の基本的な制度については守っていくというようなお話があの中にあるわけですね。もちろん食管のあり方の問題はいろいろ検討がありますけれども、私はやっぱり食管制度というのは、米のつまり需給に関して、安定的に供給し、安定的にまた確保するという意味からもぜひこの制度は守ってもらいたいと思っているのです。
 そこで、今度はちょっとこれに関連して、細かい話になりますが、自主流通米についてお尋ねしたいのです。臨調の考え方の自主流通米の助成を切れということは、中曾根長官、これはどういうことを意味しているのでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 助成を切れと端的に強くは言っていないと思います。自主流通米制度について改革をしろと、縮減していけと、そういう方向を示していると思うのであります。
 これは、さっき申し上げましたように、食管制度の根幹を維持する、その枠内における改革論であると私たちは考えております。その中で、自主流通米というものはやはりある程度財政的負担を伴っていることは事実でございますから、これをどういうふうに改革するか、われわれが農林省とともに研究していくことであると思います。
○鈴木和美君 この第一次答申を見ますと、「自主流通米の流通実態、政府米の売買逆ざやの状況等を踏まえ、自主流通助成の一層の縮減合理化を図る。」と、そうですね。縮減ということは、全部切れという意味じゃないけれども、縮めろということでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 順次縮めていきなさいということです。
○鈴木和美君 いや、順次とは書いてないですよ、これは。そこをしっかり答弁してください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、われわれの心得といたしましては、急進的なショック療法はできない、やはりみんな受け入れ体制ができつつ順次漸進的に改革を進めていく、こういう考えでおりますから、縮減という表現がとられたのは、廃止とかそういう強い表現が出されないので、順次それを進めていきなさいというニュアンスだと私は思っておるのです。
○鈴木和美君 くどいようですが、それは削れという意味じゃないというふうに理解していいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは、削れということを前提にしながら、急激にやるなと、受け入れ体制ができつつ順次やれと、そういう意味だと思うのです。
○鈴木和美君 言っていることははっきりしました。
 そこで、自主流通米の助成を切るということは、自主流通米が設定された趣旨との関係においては矛盾するんじゃないですか。私はそう思うんですよ。たとえば、自主流通米の助成を切るということは、これは両方管理米ですけれども、政府米の方に匹敵して損じないように、また国民が求めるおいしい米ということから幾らか高いわけですね。助成を切るということになったら、全部これは政府米の方にそんならやめたとくるんじゃないですか。三〇%いま自主流通米があるものが、ぐんとこっちにきたら、道さやはまたこんなに伸びちゃうんじゃないですか。言っていることに対して大変私は矛盾を感ずるのですが、これは農林大臣、どうですか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 行管長官から答弁申し上げましたような範疇の中で、団体とよく相談をいたしまして、いま鈴木先生から御指摘のありましたような、この制度が本当に国民のために、また生産者のためにもなっていくような立場で今日まで伸びてきておるわけでございますので、しかしそうかといって、先ほど来申し上げておりますとおり、むだな経費をなるべく省くというような立場でこの制度を堅持していきたい、こういうことでございます。
○鈴木和美君 臨調もいろいろなことを考えては出しているのでしょうけれども、やっぱり抽象的じゃなくて、国民の食糧の問題ですから、また農民の生活の問題ですから、どうぞしっかり考えてほしいと思うんです。
 さて、その自主流通米に絡んで消費者の側からよくこういうことを聞かれるのですが、品質の表示にうそがあるのじゃないかとか、それからどうも政府米はブレンドが多過ぎちゃって何の米だかわからないというような意見があったり、それからむしろ裏の方から入ってくるお米の方がおいしいとかいう問題をよく聞くんですよ。
 それで、このやみ業者対策という問題と、米屋さんと米を扱う業者、こういう流通とやみとの関係をこれからどういうふうに考えていくのか、これは国民の前にはっきりしてくれませんか。
○国務大臣(亀岡高夫君) これは先般の国会で食管法の改正を図りまして、明年のお正月からこれを施行していくことにいたしております。それにつきまして、消費者の皆さん方からより信頼を受ける食糧行政体制を確立しなければいかぬ。この機にひとつ十分な指導、教育をやろうということで具体的にやっております。
 その件については食糧庁長官から説明を申し上げます。
○政府委員(渡邊五郎君) 御指摘のように、現在不正規流通米が存在いだすことは事実でございます。農林水産省といたしましては、今回の食管法の改正に先駆けましてこの不正規流通防止ということで通達を十月十二日に出しました。都道府県なり食糧事務所が協力し合って精力的に現在対策をいたしております。
 具体的に申しますと販売段階、卸、小売の段階でございますが、これにつきましては県、食糧事務所が協力いたしまして、また集荷段階、これは農村部、生産地でございますが、集荷段階につきましては食糧事務所が中心になりまして、無登録なり無指定のいわゆるやみ屋と称されます非正規業者、これのリストアップをいたしまして直ちに中止の指導をいたすということをいたしております。
 それからなお、現在正規業者でもこれに関与している部分がございます。まことに残念でございますが、そういう事実も実態を把握するように必要な監査等の実施をいたしまして、こうした事実を指摘し、強力な指導をいたしたい。関係団体もこれに協力をする申し合わせをいたしております。そうしたことを通じまして私ども不正規流通の防止に当たりますが、特に悪質な者につきましては、これを公表あるいは警察の方へ私どもが必要あれば告発するということで、警察関係の方々と協議して進めておるところでございます。
○鈴木和美君 いま消費者の方の側から見ると、お米屋さんの配達とか、それから買いに行く購入の仕方について大変な国民的ないろんな要望、ニーズがあると思うんです。そういう面から見たときに、必ずしもいま許可制になっているこのものが適合するかどうかという問題は、この前の食管法改正のときに大変な議論になったと思うんです。それはそれなりに早く進めてほしいと思うんですよ。そして、悪らつな者に対しては本当にもうやめさせるくらいのことをやらないと、消費者はえらい迷惑だと思うんですよ。そういうことはぜひこの自主流通米に絡んでの問題として、農林省で対策を即立ててほしいと思うんです。
 その次は、価格問題やいろんな問題がありますけれども、時間がありませんので構造問題に移らしていただきたいと思うんです。
 構造問題は、何といっても農業の発展と安定した農業を考える場合は、何よりも構造問題ということが私は重要だと思っています。つまり、規模拡大という土地の流動化は、常に私有地をどのように利用、活用するかという、個人と個人の問題及び個人と団体の問題がずっと絡んでいるわけですね。ですから、そうデスクプランどおりにこれはいかないと思うんですよ。しかし、デスクプランではいかないというのは何でカバーするかといったら、それはもう農村の本当に働いている人たちとの間に土地の流動化が行われるような民主的な、上からこうしろというんじゃなくて、下からの民主的な討論によって流動化が行われるようなことを考えなければいかぬと思うんですね。
 そのときに、午前中にも申し上げましたが、基本政策としてはやっぱり中核農家育成というか、中心的な中核農家とか、中核農家を中心としてという言葉が至るところに出てくるんですよ。あれを読んでいると、兼業農家はもう締め出されるのか、零細農家はもうやめろというのかというような大変私は疑念を持っているんですが、その基本的な考え方をまずお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(亀岡高夫君) 先ほど来からの議論によりまして、構造政策まことに重要である、しかもその規模拡大が円滑にできるような体制をしっかりととれ、それについては言葉遣いまで十分注意をしろ、こういう御指摘でございます。なかなかその辺のところ行政的にきちんと農家との間に信頼関係を持つような立場での指導というのが非常にむずかしいということは、私ども身にしみているところでございます。しかし、これはもう通っていかなければならないやっぱり道でありますので、やはり団体、市町村、道府県、農業者自身の協力を受けるという体制をつくるにはどうしたらいいかというと、やはり第一種兼業、第二種兼業の農家の方々の協力なしてはこのことはできないわけでありますから、その第二種兼業農家等の協力を受けるためには、やはり農村の地域社会の信頼関係の確立というのが非常に大事じゃないか。これは農業協同組合というものがそのために生まれてきているわけでありまするし、そういう協同組合精神の上に立ったやはり農村の農業者間の信頼関係、これがあるところは私は非常に農地の対策も進んでおるように見受けることができるわけであります。
 たとえば、石川県の九谷焼の産地の周辺に参りますと、非常にこの関係が進んでおります。それはやはり絵をかくのが農家の非常な収入になっておるらしいのでありますが、それらはそれに専心をして収入を上げる、そのかわり三反歩、五反歩の農地は専門家にやってもらった方がいい、そうして小作をもらった方が収入の道もいい、こういうことで非常に農地の流動化が進んでおる。これはやっぱり雇用の場がありませんと、そういうことができません。したがいまして、農村の地域社会にも雇用の場をやはり確立をしていくという、これからの農政の私は一つの大きな柱ではないかというふうなことで、行政的にも農林省の職員に対しまして、その点をよく検討をし、指導をするように進めておるところでございます。
○鈴木和美君 いまお答えがありましたように、この構造問題というのはどうしても土地が絡む問題ですから、慎重にやっていただきたいと思うんです。
 そこで、慎重にやるやり方として二つだけ要望しておきます。これは国土庁長官にぜひ要望しておきたいんですが、農業基本法の反省の中で私は申し上げたのですが、土地が、専業農家とか兼業農家というものだけを――大規模生産性農業をやろうということを考えると、むしろ土地を放してくれるんじゃないか、放してもらった方がいいというような、そういう発想で農業基本法のときは出発したんです。ところが、土地がぐんと上がっちゃったでしょう、だれも放しやせぬですよ。これから中核農家育成と兼業農家とあわせながら村づくり、町づくりをやって流動化をさせましょう、つまり賃借でしょう。そういう賃借制度にこれから入ろうというんだけれども、やっぱり土地の問題というのは大変なことなんだから、国土庁としても土地政策に関して、答弁は要りませんけれども、慎重に扱っていただきたいと思うんです。
 同時に、もう一つは、やっぱり流動化が行われるということは離農者が出るということですから、離農者がどこへ行って働くのかという高齢化社会との問題が私は出てくると思うんですね。そういう意味においても雇用問題に関して対策をきちっと私はしておいてほしいと思います。これは要望しておきたいと思うんです。
 さて、私、持ち時間との関係があるものですから、総理に最後にお願いしたいんですが、衆議院では同僚議員からこの臨調にかけられているいろんな法律案に関してもうすでに議論済みですから、あえて私がここで申し上げなくとも御理解いただけると思うんです。私はいろんな角度から農業の基本的な角度をずっと論議させていただきました。しかし、私は単に農業問題を行革の委員会で取り上げたとか取り上げないとか、そんなみみっちいものじゃないと思うんです。要するに、国民自身が大変ないま不安と動揺にあるわけです、食糧という問題に対しては。だから私は、むしろ行革の委員会の任務というものは、国民民生の安定というものを考えて、そして国づくりを考えるんだという発想に立つならば、何回も言うようですが、経済合理性だけで農業というものをはかるんじゃなくて、国の基本政策であるという立場から、これは政府も、臨調の問題を何が何でも全部受け継ぐというわけじゃないというお話ですから、しっかりした、私は政府の態度をとっていただきたいと思うんです。そういう意味で、まず行管庁から、臨調に対する考え方と政府の考え方をお尋ねして、最後に総理にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 農業やあるいは水産業あるいは林業というような自然を相手にする一次産業というようなものは、工業とは全く性格が違っておると思います。特に農業のような場合は、林業もそうですが、いわば生命産業とも言われるべきもので、植物にせよ、あるいは動物にせよ、今のあるものを相手にしておるもので、したがって、極端に言えば人間の心がナスの花にもあるいはキュウリの花にも感応する、そういうような性格のもので、家族同様にかわいがるから畜産業も進む。社会主義経済圏の農業が失敗しておるのはみんなそういう生命産業としての心構えがないからだろうと、工業と同じように十把一からげで経済的にやったならば、これはもう豚だって牛だって育つはずはありません。そういうことで日本農業というものは独特の分野を開拓し、また国民経済の中における位置も占め、また日本民族の精神基盤としての要素を持ってきたと思うのです。この日本的な特色というものを捨てたらいけない。その経済的合理性と、そういう社会的ないままでの日本の特異性というものをどう調和させるか、これが臨調が当面している大問題であると私は政治家として考えておりまして、その点はよく篤と考えながらやっていきたいと思います。
○鈴木和美君 総理、お願いします。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、鈴木さんとの三時間近い意見の交換の中で、私も私の考えを率直に申し述べました。
 食糧問題の重要性、そして国民経済の中における農林漁業、農村の地位というものは非常に日本にとりまして重要な問題でございます。そして、農業はいろいろの悪条件の中に置かれておるというようなこともよく承知をいたしております。したがいまして、単に経済合理性だけでこれを割り切れるものではないということも十分承知をいたしておるところでございます。農業、食糧問題の重要性、そういうことを考えながらこれに取り組んでいきたい、こう思っておりますが、農業に振り向ける資源につきましても、こういう際でございますから、効率的に合理的にやってまいるということにつきましては、私はこれは国民的立場からそのように対処しなければならない、こう思っています。
○鈴木和美君 それでは別な問題に移りますが、専売公社の総裁においでいただいておりますので、専売の民営化の問題に絡む新聞の記事について、私ははっきりさせていただきたいと思うんです。
 十七日、読売、日経、大々的に取り上げられておりますが、中曾根長官にお尋ねします。最近私が感ずるのに、臨調というところは何か二つあるんじゃないかと思うんですよ、表臨調と裏臨調と。なぜそういうことを感ずるかというと、極端な話をすれば、やりたいがゆえに、悪らつなこういう情報機関を使って、国民的な意見の誘導であるとか、そして先に固めちゃうとか、そういうような発想、構想が何だかひそんでいるみたいな気がしてならないんですよ。そして、新聞社もスクープですからいろんなことがありましょう、ありましょうけれども、あるときは行管のある委員の人の食事のところに行って、ほろっと資料を忘れておったら、新聞記者がそれを見て発表したというような笑い語ごとき問題もあるわけですね。
 そういうことを考えてみると、非常に新聞業界に対する扱い方、また対応の仕方に慎重を期して私はほしいなと思うんですよ、まず一番最初に思うことはいかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 十分慎重にしなければいかぬと思います。
○鈴木和美君  大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、日経の「輸入たばこを民営化」というこの記事ですが、その一番トップに「大蔵省と日本専売公社は同公社の輸入たばこ部門を切り離して民営化する方向で検討を始めた。」とこの記事は述べているんですが、そういう事実はありますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 聞いておりません。
○鈴木和美君 専売公社の総裁にお尋ねいたしますが、いま大蔵大臣に尋ねたと同じように、こういうことを検討を始めたということがありますか。
○説明員(泉美之松君) 輸入たばこを専売公社から別会社形態にしたらどうかという御意見は、昭和五十三年の公共企業体等基本問題会議の意見書に出ておるわけでございまして、御承知のように、その輸入会社の問題以外、専売公社の民営――塩事業、たばこ事業、それらについても意見書が出されておるわけでございまして、現在それは大蔵省に設けられておりまする専売事業審議会においていろいろな角度から検討されていることと存じますし、また、第二次臨調におかれましても公共企業体問題の一環として検討されておることとは存じますけれども、いまお話しのように別会社制について具体的な検討に入ったというほどのものではございません。
○鈴木和美君 いまお聞きのように、もちろん新聞社は自由な報道があるかもしれませんけれども、余り間違った報道を平然とやるようなことに対しては、新聞社に対しても、先ほど行管庁長官からお答えがありましたから、慎重に扱うように再度お願い申し上げたいと思うんです。
 もう一つ専売公社の総裁にお尋ねしますが、この日経の記事の中に、経営形態を見直す問題で、「臨調側は国内葉たばこの過剰在庫問題を解消し、国産たばこの国際競争力を高めるためには、現在の公社制度よりむしろ民営化の方向が望ましいと指摘した。これに対し泉総裁も出先機関の統合など組織改革に前向きに取り組む考えを示した。」と、こう書いてあるんですが、民営化という経営形態の問題と、出先機関をどうするかという問題と、私は違うと思って見ていたんですが、どういうふうにお答えになったのか明らかにしてくれませんか。
○説明員(泉美之松君) 十六日に第二臨調の第四部会が開催されまして、大蔵省及び専売公社からヒヤリングをしたいということで私ども参りましたが、その席上におきましては、臨調の第四部会の委員の方から、公社の民営化ということについてのお話は具体的には何もなかったわけでございます。ただ臨調としては、去る七月十日に出されました第一次答申におきまして、専売事業を民営化するとの基本方針のもとに今後検討するということを出しておられますので、基本的な意識には民営化ということをお考えになっておられるのかと思いますけれども、十六日の段階で民営化という言葉が出たことはないのでございます。
 したがって、鈴木委員が不思議に思われるように、私がお答えしたのは、ある委員の方から公社の組織が複雑多岐にわたり過ぎてはいないかというお話がございまして、私どもとしては、公社の能率を向上させていくために、本社及び地方支分部局の組織の簡素化については努力しておりますし、今後ともそういった面に努力したい。具体的には、たとえば営業所であるとか葉たばこの生産事務所、こういったものについてはいろいろ事態も変わってきているのでそれらの整理統合も図りたいと、こういうことを申したのでありますが、新聞記事では何かそこのところがごちゃまぜに書かれておりまして不思議に思われるのはごもっともでございまして、諭旨一貫した記事になってはいないと思います。
○鈴木和美君 いまお答えのとおりでありますので、新聞社も大変大ぜいおいでになっているようですから私は横を見ながら言っていますけれども、新聞社も十分注意してほしいと思うんです。
 さて、中曾根長官にもう一度お尋ね申し上げますが、臨調が三公社五現業を取り上げて、三公社を民営にした方がよろしいんじゃないかとか、そういう意見のある根拠は、理由は何になっているんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 専売公社に関する第二臨調の第一次答申の所見は、たしか民営化の方向で検討すると、そういう方向を示しているものであると思います。その一つのこれからの仕事としては、非能率工場の統廃合とかいろいろなことも書いてあります。その際にやはり葉たばこ問題というものを非常に重要視しなければならないというように念のためにも書いていると、私記憶しております。
 そこで、専売公社を含めまして特殊法人の民営化というものがなぜ論ぜられているかとヒヤリングやそのほかの資料から推察いたしますと、やはり一つは自主性を尊重して労使そのほかがもっと自主的に活力を回復した方向でやったらどうか、あるいは予算や経営の運用についていろいろ大蔵省や監督官庁の規制を外してもっと自由活発に伸び伸びとやらしたらいいんじゃないか、あるいは経営の効率を出したものについてはそれ相応のほう賞を与えて、そういう刺激政策をやったらどうかとか、そういうような面を見てそういう思想も出てきておるのであると思います。
○鈴木和美君 非能率性という問題について後ほど触れますけれども、何か民営にすると活力ある社会になるとか、活力ある企業になるとか、非常に学校の一年生が教科書で読んだみたいなそういう論理の立て方みたいに私はなっていると思うんですよ。そのこと自身は私は否定しません。それはいろんな発想で物を言うんですから結構だと思うんですよ。しかし、余りにも何でもかんでも横並びにさせておいて、そして同じように取り扱うというようなやり方は私は適当でないと思うんです。
 そこで、大蔵大臣に尋ねますが、いま専売公社の民営化というものを論じられるときの一番大きな論点に、嗜好品である、だから商品自体が公共性を持っていないからまあ民営でいいじゃないかと、こういう発想と、それから税の問題から取り上げたいろんな取り上げ方があると思うんですよ。大蔵大臣に尋ねたいことは、ついこの前ですね、その自主性回復やそして活気ある企業体にするために、また同時に税が納付金の総体になっておる、どんぶり勘定でどっちがどっちだかわからないから、もう少し説とそれから企業努力部分をはっきりしろということで納付金率法定化という制度を決めたと思うんです。そう決めたのはついこの前なんですよ、そうでしょう。そのついこの前決めたときにあれほどの深い議論をしてやっているのに、なぜいままた問題を取り上げなきゃならぬのかというその観点がわからないですよ。そういう意味で私は大蔵大臣に、専売公社というものを直属大臣としてどういうふうに見ているのか、感想でもいいから聞かしてください。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どもの方では別に民営にするということを言っているわけじゃないんです。そういうことが議論をされておるということであって、ただ私は、専売公社というのは成長産業じゃないと思いますね。大体もうたばこは量が、どんどん宣伝すれば国民がいっぱい吸ってくれる、二箱吸った人は三箱、三箱の人は四箱という時代でなくて、むしろたばこというのは私は量的には余りふえないんじゃないかという気がいたします。そこで、値上げをするといっても、これもおのずから限界がある、まだ少し上げられるでしょうがね。納付金は平均五五%というその程度の納付金が決まっておるわけです。
 そこで、毎年賃金はある程度上がるでしょう、多少のインフレがあるから全然上がらないということは考えられない。そうすると、納付金五五%を守るというのはなかなかむずかしいかもわからぬ。しかしながら、やり方でもっと合理化、効率化というものを進めることは考えられる。そのときに官営といいますか、公営がいいのか、民営がいいのか、二つの方法が考えられる。いま中曾根長官が言ったように、お役所仕事、いろんな制約、労働問題あるいは賃金の問題がどうしたってこれはつきますから、なかなか月給に差をつけるといったって実際むずかしい、賞与に差をつけるといったってむずかしい。しかし、民間の会社の方はうんとメリットがあればよけい出すということもできる、そういうようなメリットをもっと取り入れる余地がないかどうか。そこらについてのあるいは流通経路――製造はいいけれども、流通の方だけとかね、そういうようなこと等についていろいろと検討されるものだろうと思います。したがって、私どもは目下白紙であります。
○鈴木和美君 専売公社の総裁にお尋ねいたしますが、日本の専売公社というたばこ産業は、世界のたばこ会社と生産性の問題やコスト問題や、いろいろと含めて相対的に見て劣っているのか、まさっているのか、同列にあるのか、ここを聞かしてください。
○説明員(泉美之松君) 諸外国のたばこ会社との比較の点につきましては、御存じのように専売公社は即行為までやっておりますが、諸外国の民営会社は卸は別形態になっている場合が多うございまして、製造会社同士の比較といってもその業務範囲が違っておりますのでなかなか容易ではござ
いませんけれども、正確な比較では言えないかもしれませんけれども、製造たばこ一億本をつくるのにお互いにどれくらいの人数を要しているかという点について比較いたしますと、昭和五十四年度について見ますと、日本専売公社が五人ないし六人であるのに対しまして、アメリカの有力メーカーは七人ないし八人を要しておりまして、その点では私どもは決してアメリカの有力メーカーに劣っているとは思っておりません。
 また、巻き上げ機の新鋭機械を各国とも使っているわけでございますが、公社の効率は九〇%あるいはそれ以上というふうに大変いい効率で動いておりますが、アメリカのメーカーはおおむね八五%程度と聞いておりまして、その機械の効率におきましても公社の方がまさっておるというふうに思っております。しかしながら、こういった点だけで全般を申し上げるわけにはまいりませんので、公社の経営につきましてももっともっと効率を上げていく必要があるということは申し上げるまでもございません。
○鈴木和美君 いま国際的な比較の問題を聞いたんですが、国内的に見て、ほかの製造業と比べて専売公社の生産性というものはまさっているんですか、劣っていますか、同列ですか。
○説明員(泉美之松君) 臨調の第四部会のある委員の御指摘は、昭和五十年をベースにして専売公社の労働生産性と他産業の労働生産性とを比較してみると、五十年をベースにした数字では他産業の労働生産性の方の伸び率がよくて専売公社の伸び率が低いという御指摘をいただいております。ただ、これは他産業の労働生産性が五十年度は大変落ちておったところでございまして、その五十年度をベースにして比較いたしますと、そのような数字が出てまいりますけれども、昭和四十五年度とかあるいは昭和四十八年度をベースにいたしますと、そのような大きな労働生産性の差はないわけであります。ベースをどこにとるかによってその点は違ってまいると、このように私どもは思っております。
○鈴木和美君 中曾根長官にお尋ねしますが、多少手前みそになるかもしれませんが、たまたま日本専売公社は国鉄と違って労働組合が一つなんです。そして、国際的な比較を常に行われている土壌にあるものですから、労使の関係では経営の問題に絡んでまで早い時期から事前協議と称して話をしちゃっているわけですね、どうあるべきかということを。もちろん労使の考え方が違うこともあります。違うものは団体交渉に移してもう一回議論し合う。そのときにいろんな交渉の変遷の中で、たとえば一つの例を申し上げますが、八時から五時まで働いておった工場が機械の減価償却を早めなきゃならぬというようなことなどもあり、人も減量させなきゃならぬという問題もあり、高速化しなきゃならぬという問題などもあり、そういうものがあって二交代の工場にしよう、八時から五時まで働いていた婦人労働者の生活環境が、今度は朝の早いときから二時までで、二時から十時までの二交代に切りかえられるということは大変なことですね、これはもう生活のパターン、サイクルが変わっちゃうんですから。子供もいますね。
 専売公社の二交代の工場に切りかわったときに、一番けがが多かったのが朝の八時と四時なんです、女性のけがが多かったのは。それは自分の生活パターンの中で、あ、学校に何を持っていったかとか、あれは忘れやせぬかとか、あ、帰ってきたかなとか、あの冷蔵庫に何を入れたかというようなことが、おかしいと言われるかもしらぬけれども、お母さんですから、頭にありますよ。けがが多かったのはそういう時期にある。そういうことが問題になって、精神的にも非常につらかろう、肉体的にもつらかろう、片っ方では生産性が上がっていく工場になる、そこで労使はいろんな苦労を重ねながら、そのときには多少の休息時間を求めて、いまの勤務時間をちょっと縮めてもその苦労に報いてくれれば合理化はよろしいといって努力して積み上げてきたものがたくさんあるはずですよ。それが今日になって、ただ平板的に労働条件がどうであるから、こうであるからということを論じられると、労使の協議なんというのはどこにいっちゃうか、信頼関係はどこにいっちゃうか、私はそういうことが大変問題だと思うんですよ、平板的に取り上げるということは。そう考えてくると、私は、皆さんそんなことは百も承知のはずなんだけれども、ぜひ何かをしなきゃならぬというと、そういうことがえてして議論になるわけですね。
 もう一つ、電電公社さんがべータマックスにおいて民間と競争させる、それは移してもいいというような新聞報道もされておる。しかし、日本専売公社はもうすでにそういう切る部分を早く切って、民間と同じ経営に回しているわけですね。もうすでに配達する部分も回し、すべて民間に回している。残ったのは本体だけです。だから、同列視して考えることは私はおかしいんじゃないかなと、自分で思っているんですよ。
 そこで行管庁にお聞きしたいことは、私のように現在の労働生産性や労働条件という問題について平板的に考えてほしくないということに関して、もちろん行管庁、それから臨調の人たちもいろいろ話を聞いてくれるんだと思いますが、そういう手続とか、慎重にその問題を見詰め合うというようなことの対応に対してやっていただけるかどうか、長官の考えを聞かしてください。
○国務大臣(中曽根康弘君) 専門家の意見をいろいろ聞いてみますと、専売公社あるいは電電は国鉄よりは評判がいいようであります。やはり、そういうおっしゃるような労使が緊密によく協調し合ってやっている面もあるのではないか、電電もそうではないか、そういうふうに専門家は評価しておるようです。これらはみんなおのおのの伝統もあり、内部の微妙な労使関係もあり、あるいは対外関係等もあるのでしょうから、恐らく臨調の委員の皆さんもそういうおのおのの特殊法人の由来やら因縁やら、内部情勢をよく勘案して判断をしてくださるものと考えております。
○鈴木和美君 たまたま三公社の中で国鉄の問題が出ましたから、私は国鉄についても触れておきたいと思うのです。
 ずっとこの委員会でいろんな国鉄問題を聞いておって私は非常に残念でならぬことが一つあるんです。国鉄の赤字問題というものを労使にだけ負わせるということは間違いじゃないでしょうか。本当に総合交通政策の問題として取り扱わないと、これは大変なことになると思うんですよ。応援団が最近声が大きくなったからといって、塩川大臣みたいに口を滑らすようじゃ私はいかぬと思うんですよ、直属の大臣なんですから。大蔵大臣を見てください、ちゃんと言うことだけはきちっとしていますよ。そういうところに行政と働く者の信頼関係が生まれるんですよ。それが頭から、おまえけしからぬというようなやり方は――文部大臣に聞いてください、人を怒るときには相互尊重だと必ず言うんですよ。おれも悪いけれど、おまえも悪いと、これが人の道じゃないですか。私は奥野さんに聞かしてやりたいですよ、本当に。それが、何かおまえらが悪いというようなやり方は私は賛成でありません、基本的に。これが一つです。
 もう一つ、それはいろんな政党もありますよ。それからいろんな言い方もあります。しかし、現場に働いている国鉄労働者、国労の労働者は、まじめに国鉄の再建に対して考えていますよ。そんな巷間伝えられるようなばかげた話になっていませんよ。自分の働く職場ですよ。人に言われなくても、自分がそこを追い出されたときには飯の食い上げなんですから、口に出すか出さないかは別にしても、まじめに考えていますよ。そのまじめに考えている土壌のあるときに、私は政府もしっかりと話し合いの場を持ってほしいと思うんです。それを何かおまえらが悪いのだとかなんとかといって、一番悪いのは国鉄の管理者が悪いのだ、おれに言わせると。管理がしっかりしていないからそういうことになるんですよ。柳澤さんに言わせると、管理もおかしいと言うかもしらぬけれども、私は本当にまじめに考えればそこは幾らでも話し合いの基調はあると思う。労働条件の問題だって、いま私が申し上げたと同じような労使の協議の体制があってでき上がったものなんだから、そのことを頭からただ画一的に、国会が火をつけさえすればいいとか、切ればいいというような考え方はよくないと思うんです。私は何も国鉄の問題について答弁は要りませんけれども、そういう国鉄労働者、国労労働者もおるということをまじめに政府は受け取ってほしいと思いますね。
 さて、専売公社総裁にもう一回お尋ねしますけれども、専売公社総裁にお尋ねすることは、あなた、総裁として答えてください。つまり、総裁としてというのは、たばこづくりの親分であるという意味なんですよ。その総裁にお尋ねしますが、あなたが日本のたばこ産業のこれからの経営形態を考えるときに、日本国民だれもから支持されるであろうとか、これならば国民の期待にこたえられると思うような経営形態はどういう経営形態ですか。
○説明員(泉美之松君) 日本専売公社の経営形態の問題につきましては多くの議論がございまして、大変お答えにむずかしい問題でございますが、私どもは基本的には専売制度、公社制度を維持しながら、しかし時代の要請に適合しなくなってきている点について改善をしていく、これが最も国民に好まれる、また合理的なやり方ではなかろうかと思っておるわけでございまして、先年、専売納付金制度の改正をお願いいたしましたのも、その一環としてお願い申し上げたわけでございまして、そのほかの問題につきましてもなお検討すべき点がございますので、それらの点につきましては私どもいまどのような改善を行ったらいいかということを中心に検討いたしておるところでございます。
 しかし、臨調の方では何か民営化を前提としたようなお話が進んでおるようでございまして、私どもといたしましても、そういった意見に対応する意見も固めなければならないと思っておるわけでございますけれども、基本的には先ほど申し上げたとおりに考えております。
○鈴木和美君 専売民営化問題の最後ですが、中曾根長官にもう一度、大変恐縮ですが。専売公社総裁が責任を持っていま答えられているわけですが、相変わらず民営問題が出ているわけですね。私は、専売の民営という問題は議論としては成り立ちますけれども、一括全部民営にするということは果たして可能なんだろうかということに対して大変疑問です。
 そう考えてくると、巷間伝えられる分括民営ということなんじゃないかと思うんですね。その分括民営ということは、ビール会社の例をとって言ってもはっきりすると思うんですが、何か寡占化になっちゃっておかしくなってもいかぬですね。私は大蔵委員会でもこれは大蔵大臣に申し上げたんですが、そういう問題や税の収入の安定性とかいろんなことを考えてきたり、自由な競争に勝てるかというようなことから見ても、大変私は問題を感ずるんですよ。
 それからいま大蔵大臣は先細りだというお話があったですね。だけれども、先細りなのに対して何で財界が分括民営分括民営というようにあおり立てるんですか。たばこはもうかるものなんですよ、これは。薬九層倍と同じで、もうかるものなんですよ、世界的にこれは。だから、もうかるから分括してそれでやっていこうということで、社長の名前までおもしろおかしく書かれるような世の中なんですよ。私はこれは間違いだと思うんですよ。だから、そういう意味ではこれから臨調の答申、そしていろんな議論が進みましょうけれども、本当によく見てもらって、そして日本の専売公社のためにとうするかということを考えてほしいと思うんです。
 外国たばこの輸入の問題、ちょうど通産大臣もおいでですが、後から聞きたいと思いますけれども、非常にアメリカ側が強くたばこの自由化を望んでいるということは何かと、こう考えてきたときに、やっぱり日本専売公社のたばこ事業というのは十五万人からの耕作農民が控えているわけでしょう。全部を関連させますと百万からおるんですから、百万のその関係者の問題なんだから慎重に私は扱ってほしいということを申し上げて、行管庁の見解を聞いて終わりに、したいと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御意見はよく頭に置きまして、慎重に処理していきたいと思います。
○鈴木和美君 それでは次の問題は、通産大臣おいでになりましたので、ハウス55の問題について取り上げたいんですが、先ほど通産大臣おいでになりませんので質問をちょっと保留しておきました。一つだけ聞かしていただけませんか。
 稲山会長がヨーロッパに行かれて、お菓子の問題に対していろんな話がされて、ミッテランが来るまでの間に何かお菓子の関税の率を引き下げるということについて日本側が答えなきゃならぬというような場面になっているのだということを聞くんですが、そういう状況にあるのですか、また、あるとすればどういうお答えをなさるのか、聞かせていただけませんか。
○国務大臣(田中六助君) この問題は非常にむずかしい問題でございます。と申しますのは、すでに公式の東京ラウンドというところで私どもは定まった関税率は一応もう決めて、しかもそれを前倒しにして国際的に決まったことはやってのけているわけで、筋合いとしては文句を言われる筋合いはないわけでございます。しかし、関税率そのものが高こうございまして、それをいろいろ比較されて云々されるわけで、あたかも日本が関税障壁を設けて、チョコレートとかあるいはクッキー、菓子、そういうものを不当に関税障壁を設けておるというように宣伝されておりまして、本当は私どものPRの足らないところもございますけれども、日本の立場といたしましては、昔だったらまあそういうことを言ってお互いに文句の言い合いをしても成り立つわけでございますけれども、御承知のように世界のGNPの一〇%、つまり一割を背負うリーディングカントリー、つまり世界のエンジンカントリーになっておりますので、もう文句を言われることばかりが多うございます。したがって、まあ横綱相撲と申しますか、そういう意味ですることはしておりますけれども、そういうことを一々言っておる段階ではなく、象徴的にされておるならば、その部分でもまあカットして実現することはしてあげてもいいなあというふうな気持ちで現在おります。
○鈴木和美君 いまの答弁はそのままにさせておいてもらいまして、時間がないものですから、いずれ別の場でまた議論させていただきます。
 建設省並びに通産省の所管であるハウス55という問題があるんですが、これは後から細かく聞きますが、早い話が、住宅政策の中でなるべく国民のニーズに合った一戸建てのハウス、これを供給する、つまり与えるというような発想でハウス55というものが政府の助成の対象にされて、十五億円の金をかけてすでにもう実用化に入っているところがありますが、大変評判が悪いんです。それで、ハウス55というものを設けて援助助成しようということを考えたときの政府のいわゆる目的、どういうものであったか、これは両大臣から聞かせていただけませんか。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 ハウス55計画は、先生御存じだと思いますが、御指摘のように五十年以後十五億の助成をもって、低廉、快適、間取り、デザイン等のニーズに対応して住宅をつくる。完成の暁には、五十五年以降、計画としては一応年一万戸くらい供給というようなことの計画でスタートしたはずでございます。三つのプロジェクト――コンクリート系金属系、本質系の三つのプロジェクトに分かれて、それぞれの企業が担当して取り組んで、先生のお話がありましたように、すでにコンクリート系のみは具体化して、企業化を承認されてつくりつつございます。すでに約九百戸できておるわけで、評判が悪いということでございますが、いまつくりつつあることについては、私の知る限りは大変評判がいいように聞いておるのでございますが、また後ほどきっと先生から御指摘があろうかと思います。そのような計画で進められて、次の金属系が間もなく企業化の承認を取りつけられるというような経過になっておるわけでございまして、要は国民のニーズにこたえて、環境のいい快適な住宅を供給するというようなことでスタートしたわけでございます。
○国務大臣(田中六助君) いま建設大臣がお答えいたしましたように、安くていい住宅を国民のニーズに沿ってやるということで、四年間かけてつくりまして、五十年の価格で百平米五百万円ということだったのですが、現実には八百八十七万円ぐらいに現在なっております。悪いということを言われておるのは、私ども心外でございまして、私どもは、非常にいいものをつくって、これはだんだん普及されていくというふうに確信を持っています。
○鈴木和美君 いま国が助成し援助をした三つのプロジェクトというのは、竹中案とミサワ案と清水案というように理解していいですか。
○政府委員(豊蔵一君) お答えいたします。
 ただいま先生御指摘の三つのプロジェクトといいますのは、コンクリート系、金属系、本質系のプロジェクトでございまして、研究組合をつくりまして行っておりますので、いまのお名前が出ました会社はそれらのグループの一員であるというふうな意味で、先生の御指摘のとおりでございます。
○鈴木和美君 基本的なことですが、技術開発の主体に関して通産省がいつも述べていることは、その助成をする場合の官民の区分に関して、政府は、国が行うべき分野は国民的ニーズがあるもので、民間ではどうしても手に負えないものに限る、一方、民間が手がけるものは政府の介入がなくとも実施できるものを任せるという方針を明らかにしておったんですが、この業界に対して国が助成をし援助しなければ企業が成り立たないとか、国民のニーズに合わないというように当時お考えだったんですか。
○政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。
 確かに、工業生産住宅、これは民間でもいろいろ実施してまいっておりますが、ただ、私どもがハウス55を計画いたしましたときに考えましたのは、先ほど大臣からもちょっと申し上げましたように、五十五年価格で百平米五百万円台という、当時としてかなり思い切った目標を立てたわけでございます。かつ、新しい技術を利用して良質ないま申し上げたような安価な住宅を供給する、そういうプロジェクトとして考えたわけでございまして、当時の民間だけに任しておきますとこういうプロジェクトというのはなかなか進みがたいだろう、こういう判断からいたしたわけでございます。
○鈴木和美君 そうおっしゃいますけれども、わが国の二月連での住宅の建設戸数は約百万戸を上回っておったのが、非常に最近は景気が冷えちゃって家を直すという人が少なくなったから、必ずしもそういうペースには入っていないと思うんですが、いずれにしても大工さんを中心にした在来工法に基づく旧タイプがやっぱり八〇%、九〇%を占めているんですよ、現実の中でもね。そして、国民の住宅をどうするかということで、そういう在来工法の人たちは質的向上を図るためにいろいろな協議会や何かをやって、だんだん質の向上が図られてきていると私は思っているんです。
 ところが、そういう状況にあるのに、この三つを中心とする、つまり大企業に十五億円もの金をかけながら、そしていま評判がいいと通産大臣はおっしゃいましたけれども、評判がいいのは当時五百万円ということを言うたものとは違うんですよ、評判のいいものは。私はここが問題だと思うんですよ。だから結果として、大企業に十五億円やって企業利潤を上げるために手をかしただけにしかすぎないじゃないですか、結果から見れば。私はそう思いますが、いかがですか。
○政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。
 先ほど建設省の方からお答えがございましたけれども、この研究組合の技術開発に際しまして三つのグループがございました。その三つのグループに属しますのは、先ほど先生からもお話がございましたように、比較的大きな企業がメンバーに入っているわけでございます。私どもがこの研究開発を進めるに際しまして、これは広く一般からアイデアを募集したわけでございまして、その出てまいりましたアイデアについて大学の先生を中心とした公正な審査会において採択してプロジェトを進めてまいった、こういう経過がございます。
 そこで、五十四年度に一応開発段階を終えたわけでございますけれども、その過程でいろいろ新しい技術開発ができてまいっておりますが、この開発成果につきましては、これは一般に公表されておりまして、これは中小企業を含めてこれの活用ができる、こういうシステムになっているわけでございます。なお、工業所有権は国に帰属する、こういう形になっているわけでございます。
○鈴木和美君 先ほど通産大臣、金額のことについて、五百万という表示で八百何万ぐらいになっているんじゃないかというお話がありましたね。それはつまり物価が上がっているという意味を指して言うんだと思いますが、いまこれはミサワホームのものを持っていますけれども、当時五百万で売り出そうというような計画であったものの、今日の販売価格は八百万にはなっていませんね。これは標準でですよ、標準で九百五十五万円ですよ。いいですか、九百五十五万円。八百万とは違うんですよ。それからカスタム仕様とかといってこれは千百四十万なんだ。それからベスト仕様になると千三百万。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
 だから、私か言っていることは、この価格についても、国民のニーズに合った窓とか何かをつくって、そして一万戸、戸建てでつくって、五百万で売ろうということで金をつぎ込んだものの、そのとおりになっていますか、なっていないじゃないですか。どうですか。
○政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。
 このミサワの価格でございますけれども、ミサワのタイプ、現在はツータイプでございまして、百八平米のものとそれから百二十平米のものと二種類ございます。この百八平米、百二十平米、これを百平米に換算いたしまして、かつ五十年当時と最近時点までの工事資材の値上がり、そういったものを勘案いたしますと、現在のこのミサワの価格というのは五十年価格で百平米当たり五百万円台というふうになっていると私どもは承知しております。
○鈴木和美君 いま現実に販売されている中で二つの問題があるんです。一つは、戸建てで需要供給をやるというように述べたが、実際は戸建てじゃなくて全部分譲地に持っていっていますね。みんな分譲地でしょう。土地の空間がないものですから、みんな運ぶのには運びやすいものですから分譲地でこういうものができ上がっているんですよ。全くこれはうそを言っていることになりますね。もう一つは、その販売のときに各社が勧めている中には、仕様書と違って、たとえば販売価格に入っていないもの、小窓一、二、三、四とか、それから和室一、二とか、窓の置き方とか、ピアノとか、外部防水コンセント追加とか、二階に電話を置けとか、つまりそういうものが国民的に非常に要求があるわけです。むしろそういうものを最初の仕様のときには抜いておいて、そして住宅を勧めるときには、これがいいんじゃないですかというように現実に勧めているんじゃないですか。だから、当時お金を突っ込んでそして国民的な要求にこたえようというものと、現在業界がやっているものとはまるっきり違うんじゃないかということをはっきりさせていただきたいんですよ。いかがですか。
○政府委員(志賀学君) お答え申し上げます。
 確かに、このミサワの場合、ほかの場合もそうだと思いますけれども、標準タイプとそれからその他の特別な仕様のものといろいろあると思います。私どもがハウス55で一応五百万円台というふうにあれしておりますのは、標準タイプ、標準的ないろいろの基準に合致するもの、これについて五百万円台と、こういうことでやってまいっているわけでございます。ただ、実際に消費者の立場から申しますと、いろいろなニーズがございます。それにつきましては特別の仕様をもって対応していく、そうしますとこの標準タイプのものよりも若干高くなる、こういうことではなかろうかというふうに思っております。
○鈴木和美君 前段で私時間をずっと取っちゃったものですから、この問題だけをやっているわけにいきませんが、いずれ時間があれば別のところでもまた明らかにしますが、ここではっきり申し上げておきたいことは、大企業が自分のこれからの経営とかこれからの企業の発展ということで研究を自分たちでやれるのに、そこに金を突っ込んで助成して、結果としてそのことが、結局金を取られちゃったにすぎない、大企業の育成にしかその用を品さなかったという私は結論なんですよ。片方、日本の国の風土に適した住宅の建設というのは、在来工法を主体にしたいわゆる中小の企業がたくさんあるわけですよ。これに助成をしたのは二億八千万でしょう。片方は大企業に十五億ですよ。中小企業の大工さん、左官さん、数にしたら大変でしょう、これは。そういうところには助成がおくれておって、そして大企業だけにそういうような助成をして、結果として何もためにならぬ、そういうようなやり方に対して私は反対であるし、ここのところは十分注意して監督をしていただきたいと思います。
 さて、一番最後ですが、私が災害対策特別委員会で問題にしましたマツクイムシの問題について最後にお尋ねしておきたいと思うんです。
 私は、これは総理にも聞いてほしいんですが、幸いなことに総理大臣のお国には余りマツクイムシはいないようですね。われわれ福島県ががんばっているからかもしれないんですよ、白河の関と勿来の関で食いとめているものですから。そのほかは全部やられているわけですよ。それで、このやられている数が、何と木造建ての十四万戸に相当する松がやられているわけです。
 私は、この松がやられているということに対して二つの問題を御質問申し上げたいんですが、一つは、昔からずっと松は、災害予防とかそういうところに松林というのは大変な力を持ってきたと思うんです。それがいつの間にかマツクイムシにやられちゃったものですから、つまりマダラカミキリとかマツノザイセンチュウ――専門的なことは別にしまして、そういうものにやられたものですから大変災害予防のためにも心配である、これが一つです。
 もう一つの心配なところは、外材との関係なんです。松というものは、松竹梅から始まって、松が一番大切にされた世の中では、いろんな建築の中でも松というものが本当に大切にされてきたと思うんです。ところが、最近は建築の業界の中でも、あの炭坑の坑木一つとっても全部セメントにかわってきたものですから、松の価値感というのが少なくなってきたと思うんですね。それから輸入の材木が入ってくるというようなことになって松が余り大切にされないというようなことから、国有林、民有林を通じて大変な被害をこうむっていると思うんです。
 そういうことを考えると、災害予防の点からも大変だから、私は国土庁長官に、どうぞ関係どころとしっかり議論をして、これの対策を立ててもらいたいということをお願いしたんです。そこで、国土庁長官、その後あなたは、この問題に関してどういうような関係大臣との折衝を行われたのか、聞かしていただけませんか。
○国務大臣(原健三郎君) その後、マツクイムシの被害の甚大なことを調査の結果いよいよ深刻に感じ、まことに同感の至りであります。それで、災害防除等についてもこれは何とかしなければならぬといろいろやりまして、林野庁とも連絡して、現在、総合的な防除方策の検討を進めておるところでございます。これは主管がやはり林野庁でございますので、私の方は林野庁とも連絡を密にして、早期に効果的なマツクイムシ対策を講ぜられるよう要望し、林野庁とともに国土庁ともに携えて、その方策を進めでいっている最中でございます。大問題でもあり、私の方の淡路島なんかでも松の木が一本もなくなってきた、深くこれを痛感いたしておりまして、何とかいたしたいとやっておる最中でございます。よろしくどうぞ。
○鈴木和美君 私は、後ほど農林大臣と林野庁に最後にお尋ねしますけれども、総理、実は五十二年から五ヵ年という時限立法であったものが今度切れるわけですね。だから、いまもうしっかり対策を立てておかないと大変だという意味で急遽取り上げているんですが、それで社会党としては、この時限立法ができ上がるときに、あのやり方に対して反対だったんですよ。つまり、マツクイムシを退治するのに、飛行機からばあっと空中散布すればあのカミキリが死んじゃうだろうということで始まったんです。そのときにわれわれは、空中散布では他作目に影響するぞ、たばこ、トマト、いろんなのがあります、お蚕様も含めて。それから人体に影響することも考えられるぞと。それからあのマダラカミキリとマツノザイセンチュウを全減させるのには、伐倒して焼却するきりないんじゃないか、そのことも強く要求しておったんです。
 それから松の木を大切にしなければ、だれも大切にしませんですね、業界だって。だから国家予算の中で、輸入材木に対してしっかり検討してくれよということを言った。しかし、結局は空中散布に踏み切った。その結果、あれよあれよという間に今日の結果になっている。だから、私はこの時限立法が切れるときに抜本的に、松の木対策をやってほしい、同時に、やり方についても慎重に考慮してほしいということを何回か述べておったんです。
 そこで、最後ですが、時間がもう来たようですから、林野庁と農林大臣にお答えをいただいて、総理、そのことだけを聞いていただいて、ぜひお願いしたいと思うんです。
○政府委員(秋山智英君) お答えします。
 マツクイムシの防除対策につきましては一生懸命やっているところでございますが、なお異常発生の現状にかんがみまして、現在やっておりますところの特別措置法が来年の三月で失効いたしますので、五十七年度以降におきましては総合的なマツクイムシ防除対策を推進したいということで、現在、法令措置並びに予算措置を講ずる方向で検討しています。
 その内容といたしましては、予防効果を持っておりますところの特別防除、すなわち薬剤の空中散布はもちろんいたしますが、これは周辺の自然環境の保全等の関係から実施にいろいろと制約もございますので、今後に、おきましては、これらの方法のほかに新たに特別伐倒駆除ということで焼却――チップ化ですね、そういうふうなことをやると同時に、被害の実態、それから保安林とか普通の森林とかいうのがありますから、そういう機能に応じまして計画的、総合的にやってまいりたいと考えています。さらには被害地の樹種転換、特にエロージョンの問題がございますので、復旧治山というものも並行的にやってまいりまして、総合的な対策をやってまいりたいということでやっております。
 以上です。
○国務大臣(亀岡高夫君) マツクイムシの蔓延につきましてはもう御指摘のとおりでありまして、農林水産省としても全力を挙げておるわけでありますが、なかなか終息せしめるまでに至っておりません。これは法律を再延長いたしまして総合的に思い切った施策をとらなければいかぬと同時に、もうマツクイムシにやられた後には松を植える、こういう意識をみんなで持つということが大事だろうと思うのです。私も先般嵐山に行ってまいりました。あそこは松の名所です。ところが松の木は三本しかありません。もう松はいま御指摘のとおり山の災害を防ぐ、岩石をがっちりと根でもって支えてくれておるという特徴があるのですが、松の木がなくなった嵐山は落石が多くて、もうあの下の道は通れないというような話もしておりました。そういう意味におきまして、やはり松の木は材木にも余り用途がないからというのであれを植えなければ、永遠に日本から松が消えていくんじゃないかという事態さえ出てくるのじゃないかと、そんな感じがいたしますので、積極的に指導して松の植林をもやっていきたい、こう考えております。
○鈴木和美君 それでは総理、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 終わります。
○理事(嶋崎均君) 塩出啓典君。
○塩出啓典君 それでは最初に、これは総理と行管庁長官にお尋ねしたいと思います。
 御存じのように、第一次臨調が行われたわけでありますが、その第一次臨調のいろいろな答申の結果が必ずしも完全には実施されていない。たとえば地方事務官制度の問題にしても長年いろいろ言われながらも進まない。また、米の検査員制度も最近ようやく改革の兆しがあるわけでありますが、それにしても余りにも期間が長過ぎると思うんですが、そのように第一次臨調の答申が答申どおりなかなか実現できなかった、そういう原因がどういうところにあると考えているのか。そしてまた、今回の第二次臨調の答申の実施に当たってはどのような決意で臨まれるのか、行管庁長官、それから続いて総理から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 第一次臨調の答申が完全に行われなかったということはまことに遺憾でございます。理由は、一つには、第一次臨調ができましたのがちょうど高度経済成長の入り口でございまして、そのころはややもすれば膨張するという方向に物の考え方がございました。そういう面で、行政機構の問題につきましてもそういう要素もございました。補佐官制度であるとかあるいは内閣府であるとか、そういう点はそういう要素もあったのではないかと思います。しかし、その後は非常に大きな変化がありまして、いまはむしろ縮減するという形になってきまして、そういう時代の差もあると思います。
 それから何といってもやはり地方事務官制度の例に見られますように、官庁間のなわ張り争い、中央、地方との権限争い、そういうような要素もなきにしもあらずであると思います。これはやはり率直に認めざるを得ないと思います。これはわれわれの力不足でございまして、これらの問題は勇断をふるって解決しなければならぬと思っております。そのほかのものにつきましては大体七割方は時間を追って一つ一つ実行しておりまして、まず七割ぐらいはやっておるのではないかと思っております。
○国務大臣(鈴木善幸君) いま行管長官から申し上げたとおりでございますが、私は、さらに何としてもこういう行財政の改革を進める、これは非常に困難が伴う問題でございます。また、国民各層に何がしかのそれぞれの痛みを感ずる問題でございます。したがいまして、国民の皆さんの真の理解と御協力をいただかなければそれを達成することができない。第一次臨調の際におきましても、そういう観点で政府は取り組んだのでございますけれども、いま行管長官からお話がございましたように、高度経済成長で比較的諸情勢が緩やかであった、税収の面等におきましても、年々相当税収もふえてきておるというような状況下であったと思うのであります。
 しかし、今回の場合は、私がもう申し上げるまでもなしに、日本の財政はまさに危機的状況にあるわけでございます。行財政の改革、私どもは一般消費税のような増税によってこの財政の再建を図るのでなしに、行財政の思い切った縮減合理化でこれを実現しようと、こういうことで国民の皆さんの御理解もここに集まっておるわけでございます。また、国際情勢も、日本だけでございません、西独におきましても、あるいはイギリス等におきましても、あるいはアメリカにおいても、この行財政改革ということにつきましては各国とも真剣に立ち上がっておると、こういう客観情勢でございます。私は、この国民の皆さんの御理解、御協力のもとに、困難な事業ではございますけれども、各党各会派の御支援も得ながらこれを達成してまいりたい、こう思っております。
○塩出啓典君 やはり、いま中曾根長官も言われましたように、各省のなわ張りとかそれから地方と中央との権限争いとか、そういう点から総論賛成、各論反対、そういう中で、どうしても総理の強いリーダーシップというか、そういうものがなければなかなか実現はしないのじゃないか。総理の行政改革に政治生命をかけるという御決意はよくわかるわけでありますが、ただ決意だけではなかなかうまくいかない面もあるのじゃないか。そういう点で何かそういう機構的に、首相あるいは政府としての、たとえ各省が反対してもそれをもうやれるというようなそういう権限というか、そういうものが必要ではないかなというそういう気がするのですが、その点はどうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 塩出さんの、行革を実行するについての何かそういう組織なり機構というものをひとつ考えて、それに大きな権限を与えてやらしてみたらどうか、これも一つのお考えであろうかと思うのでありますが、これは内閣全体、それから地方団体等を含めまして、全体がそういう決意でこれに取り組まなければならないものだと思います。そういう意味で、その最高の立場、責任にありますところの総理大臣のリーダーシップというのは御指摘のとおり非常に私は大事だと、こう思いますので、私も全力を尽くしてこの国民的な課題に取り組んでまいりたい、こう思っています。
○塩出啓典君 そういう点では、ひとつ総理の強いリーダーシップを、国民の皆さんから見て本当に納得のいけるリーダーシップを示してもらいたい、このことを強く要望いたします。
 それからこの新経済社会七カ年計画が経済の実態から大きくずれているということは、今日までの衆参両院の行財政改革委員会でわが党の委員からも指摘をされたわけであります。この新経済社会七ヵ年計画を基準として中期財政展望が生まれ、その中期財政展望による昭和五十七年度の二兆七千七百億のいわゆる不足類、調整額、そういうものを一つの焦点として、その財源をつくるために今度の国会の法案、あるいは来年度の予算編成が行われようとしておるわけでありますが、その根本となる新経済社会七カ年計画が大きく崩れてきておるわけです。したがって中期財政展望も大きく狂ってきている。その中で二兆七千七百億という調整額だけがひとり歩きをしておるようなそういう気がするわけであります。
 私は、当然この国会に、現時点での七カ年計画あるいは中期財政展望、そういうものもちゃんと添えてやはり論議の対象にすべきではなかったかと思います。この点、経企庁長官と大蔵大臣にお尋ねします。
○国務大臣(河本敏夫君) 七ヵ年計画が正式に決定をされましたのは昭和五十四年八月であります。その時点から現在まで客観情勢として大きく変わりました点は、一つは第二次石油危機が起こったということでございます。石油価格がざっと三倍に急上昇したということ、これは日本経済に非常に大きな影響を与えております。経済の足を大きく引っ張っておる、こういうことも言えようかと思います。それから第二点は、財政の力が弱くなりまして、公共事業等の計画が当初の予定よりも相当伸びが圧縮されたということ、これもやはり経済全体に対しまして消極的な影響を与えております。
 しかし、一方におきまして、わが国の国際競争力が非常に強化されまして輸出貿易が予想外に伸びておるということ、こういうプラスの面もございます。さらにまた、最近の科学技術の進歩を産業界に取り入れるということで技術革新投資、これも予想外に伸びております。それからまた、現在のような高い石油を使えないということで、省エネルギー投資が非常に大きく伸びております。だから、こういう民間の設備投資、輸出貿易、これは当初の計画以上に伸びた部分だと思うのです。でありますから、当初よりも減少した部分もあれば、あるいはまた伸びた部分もあると、こういうことでございまして、経済全体といたしましては、政府の当初七ヵ年計画をつくりました時点で期待をいたしております五・五%成長というその成長路線はおおむねずっと、多少の前後はありますけれども進んできたと、このように思っております。
 そこで、この七ヵ年計画を毎年、経済の実情が若干変わるものですから、フォローアップをすることになっておりまして、その都度若干の調整をいたしております。すでに昭和五十四年、五十五年と二回の調整をいたしました。現在は昭和五十六年度の調整作業にいま入っておりまして、来年の一月ごろには答申が出ようかと、こう思っております。したがいまして、いまの時点におきましては七ヵ年計画を根本的にやりかえる、こういう考えはございませんで、フォローアップをしながら調整をすると、こういう考え方でございます。
 ただ、ことしの春ごろから経済審議会に二十一世紀を展望いたしました長期展望委員会というものをつくっていただきまして、これからの二十年間の経済、社会、国際情勢、エネルギー、こういうものはどのように変化するであろうかということをいまいろいろ展望をしていただいております。その答申が多分来年の中ごろに出るであろうと、こう思っておるのです。それから一方におきまして臨調の第二次答申も来年の中ごろに出るように聞いております。しかもこれが行政改革の中心の課題になるであろうと、こういうことも聞いておりますので、この二つの答申を見ながら、これまでのようなフォローアップでいいのか、それとも抜本的な改正が必要なのか、その時点で判断をしたいと、このように考えておるところでございます。
○塩出啓典君 大蔵省、簡単でいいから。
○政府委員(窪田弘君) 財政の中期展望につきましては、片や経済七ヵ年計画を一つの手がかりとし、他方、五十六年度予算をそのまま投影した場合はどうなるかということで試算をいたしておりますが、経済計画につきましては、いま長官からお話のありましたとおり、現在のものを前提としておりますので、中期展望もいまのところはこれを変える考えはないわけでございます。五十七年度予算ができました段階でさらにこれを投影してみるということでございまして、現在は、いまの段階の中期展望をもとにして財政再建に取り組んでいるところでございます。
○塩出啓典君 非常に不満な答弁でございますが、次へ進みたいと思います。
 そこで、多少質問の順序を変更さしていただきたいと思いますが、大蔵省にお尋ねしますが、五十六年度の予算の財源の見通しはどうなのか。私たちが理解をしているところでは、十月八日の発表によりますと、追加財政需要が四千七百億、現在の財源手当てが三千五百億、そうして千二百億不足しておる、公務員ベアを加えれば二千七百八十億。さらに今年度の税収減があるとまた大きくなるわけでありますが、税収減の問題は別といたしまして、このような財源不足対策はどういうことを考えておるのか、それをお尋ねします。
○政府委員(窪田弘君) 税収につきましては、まだ見きわめがつきませんで何とも申し上げかねる状況でございますが、追加財政需要の方は、御指摘のような災害でございますとかあるいは人事院勧告をどうするか、この取り扱いが決まればそれに伴って出てまいりますとか、いまおっしゃったような数字を一応私どもとしては給与関係閣僚会議で御説明申し上げたわけでございますが、これもなおいま鋭意詰めておるところでございまして、非常な財源難であるということは間違いないことでございますが、いま確定的な計数を申し上げる段階ではないわけでございます。
○塩出啓典君 それで私は、特に申し上げたいことは、今回のこの大蔵省の財源手当ての中に、毎年既定経費の節減ということで今回は五百億円が見込まれておるわけであります。この既定経費の節減というのは不用額とか節減額、そういうものが対象になっておる。その節減額は物件費とか旅費総額、そういうものを節減するように私は理解をしているわけでありますが、特にこの物件費の節減額が総予算の中で私の計算では大体五十四年度一・二%、五十五年度一・七%と、こういうように、いま補助金は一割削減という中で、この物件費の節減の割合が非常に少ないのではないか、こういう点はどうですか。
○政府委員(窪田弘君) 行政経費のうち、特に旅費、物件費につきましては非常に厳しい査定をいたしております。官庁の一般の経常事務費、これは五十三年度からずっと四年間にわたりまして、前年度と同額に据え置いております。そのため、物価で調整をしてみますと、約二割目減りをいたしておるところでございまして、官庁の経常事務費は非常に苦しいという声が上がっております。たとえば、ことし東京都で下水道とか水道の料金を上げられましたが、その支払いについても各省から非常に大変だという声が上がっているところでございます。
 庁費の物件費のお話がございましたが、一・七%というのが、私どもどういう数字かちょっとはっきりいたしませんが、物件費につきましては、そういった一般的な庁費につきまして、光熱水料の引き上げはありますが、その中でほとんど前年並みに抑えるという非常に厳しい態度で臨んでおるところでございます。
○塩出啓典君 経費節減の一つとして、物品管理ということが法律で定められておるわけであります。普通、企業の場合等は、経費節減というと、そういう物品というものに非常に焦点が向くのじゃないかと思うんです。そういう点で年度の物品購入額は、一般会計、特別会計で八千五百億円、この中には一個五十万円以下の物品とか、あるいは防衛庁の場合は三百万円以下の物品は含まれていないわけでありますが、そういうものでも八千五百億ある。したがって、たとえば寿命三年の物を一年でも長く使えば非常に大きな節減になるのではないか。そういう意味で、私は内閣においても各次官会議等をするなりして、このような面についてもやっぱり努力をすべきではないか。この点については行政管理庁が、かつて官需に関する実態調査というものもやって削減はしてきているようなんですけれども、そういう点についての行政管理庁の御意見はどうでしょうか。
○政府委員(佐倉尚君) ただいまの先生のお話でございます。補助金等につきましては、いろいろ特殊法人等に出ておりますものもございます。また、こういうものにつきまして行政監察局の方で折に触れ見ておりますけれども、ただいま先生の御指摘のような効果につきましても当然あることと思います。また、補助金事務につきましては、その手続の簡素合理化等に関しましても行政監察というものをやっておりますので、各省庁十分に点検結果等を精査して、今後とも注意してやっていくということになると思います。
○塩出啓典君 非常に抽象的な答弁でありますが、総理にも、そういう点にもひとつ気を配って努力していただきたいと思います。
 それから次に、貿易不均衡是正の問題についてお尋ねしたいと思いますが、五十六年度上期の経常収支は四十八億四千万ドル、とりわけ貿易収支は百二十二億二百万ドルの黒字を記録し、このままでは五十六年度全体では百億ドル近い経常収支の黒字になるのではないか、このように言われております。こういう中で米国やECから貿易不均衡是正の声が高まり、政府としてもこの黒字減らし策に頭を悩ましているやに聞いておるわけでありますが、特に輸出課徴金構想が大蔵省サイドから出されているようであります。このねらいは、輸出品に課税をして貿易黒字を減らし、そしてまた不均衡を解消し、その徴収した財源を国内の需要喚起の財源に充てる、こういうような話に聞いております。わが国は貿易立国であり、いたずらに対外摩擦を引き起こすことはよくないことで、そういう点では不均衡是正策はとられてしかるべきであると思いますけれども、輸出課徴金のような輸出規制策をとることは自分で自分の首を絞める危険があるのじゃないかと、そういう点で反対論が非常に強いわけであります。今後貿易不均衡是正に当たってどのような検討がなされるのか、特に輸出規制の方向をとるつもりであるのか、これは総理の見解を伺っておきます。
○国務大臣(河本敏夫君) わが国は貿易立国でありますし、資源のない国でありますから、外国から資源エネルギーを輸入いたしまして、それを加工して輸出をしてわが国の経済が成り立っておる、一億一千万の国民がそれによって生活をしておる、こういうことでございますから、やはり自由貿易体制というものが世界で維持されること、貿易の拡大均衡という形でいろいろな問題が処理されるということ、これがやはり前提条件として必要だと、このように考えておりますし、ガットの精神もそこにあると考えております。アメリカやヨーロッパも基本的にはそういう考え方でございますが、ただ余りにも貿易の不均衡が二国間で発生をいたしますと、やはりこれはトラブルになりますので、その面は積極的に考慮していかなければならぬ、こう思っております。
 先ほど出ました課徴金問題のお話でありますけれども、いまは変動相場制でありまして、特に石油危機がたびたび起こっておりますので、為替相場が非常に激しく動いております。ことしの初めから現在までを見ましても、高い場合は百九十九円、下がった場合には二百四十七円ということで、五十円幅で動いておる、こういうことであります。過去三年の動きを見ましても、一番高くなりましたのは昭和五十三年、百七十円台に上がっております。一番下がりましたのは昨年の春でありますが、二百六十円台と、こういうことで百円幅で動いておりまして、こういう変動相場制のもとでは、課徴金というようなことはこれは技術的にもむずかしい、こう思います。また、そういうことを始めますと、相手国がそれじゃ自分の方でも取ろうということになりまして、これが保護貿易を助長する導火線にもなりかねない、こういう心配もございます。そこで、当初に申し上げましたような基本的な貿易に対する考え方から見まして、これはよほど慎重に考えなければならぬ問題だと、このように私どもは理解をいたしまして、貿易は拡大均衡の形でいろいろな諸問題を片づけていきたいといま考えまして、いろいろ作業をしておるところでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘がございました対外経済対策、貿易通商政策の見直しの問題につきましては、河本経企庁長官を中心といたしまして政府で経済対策閣僚会議を開きまして、いま鋭意検討を進めておるところでございます。方向といたしましては、対ヨーロッパ関係、対アメリカ関係の貿易収支の状況から見て、事態は非常に緊迫しておるという認識を私ども持っておるところでございます。これを放置いたしますと、保護貿易主義というものが台頭してくる心配が非常に大きいわけでございます。わが国は、何といっても貿易で立っておる。自由貿易体制を維持強化することによって日本の経済を持続的に発展をさせて国民生活を守っていかなければいけない、こういう基本的立場からいたしますと、どうしても縮小均衡の方向でなしに、拡大均衡の方向でこの問題に対応しなければいけない。
 そのためには、諸外国からもいろいろ指摘がございますけれども、日本の市場を思い切った開放をする。それだけの実力があるわけでございますから、いろいろの非自由化の指摘もございますし、いろんな問題もございますから、そういう点を私どももみずからの問題として検討を加えて、そして製品輸入等も積極的にやる、また海外への産業協力、こういう面につきましても積極的にやりまして、拡大均衡の方向でこの事態を改善していきたい、こういう方向で取り組んでおるところでございます。
○塩出啓典君 米国政府が、報道によりますと、二十九品目の関税撤廃と輸入手続の簡素化などのいわゆる非関税障壁改善を正式に要求していることが伝えられております。
 御存じのように、関税の引き下げについては東京ラウンドの結果により、一九八七年末までに一定率までに引き下げることが合意されており、外務省サイドにおいて、対外摩擦解消策として、特に対米、対EC関心品目の関税率引き下げの方向で動いていると聞いておるわけでありますが、これは大蔵省サイドから見れば関税収入の減少にもつながるわけでありますが、先ほど経企庁長官、総理も言われたように、拡大均衡という方向で輸出規制はしない方向であるとすれば、市場開放という点から、これらの関税引き下げあるいは撤廃の方向も前向きに検討せざるを得ないと思うんですが、その点はどういうお考えでしょうか。
○政府委員(垣水孝一君) ただいまお尋ねの、アメリカからの関税撤廃及び非関税障壁の改善要求に対してでございますが、まず非関税障壁の問題につきましては、米国からの要請は規格検査手続等の改善あるいは税関手続等の改善ということでございますが、この点は、昨日の経済関係閣僚協議会でも御決定いただきましたように、政府部内で鋭意検討中でございまして、遠からずしてその成果が上がると私どもも考えており、努力をいたしております。
 それから関税引き下げにつきましては、アメリカが挙げております二十九品目というのは、実は先生も御言及になりましたように、東京ラウンドの交渉の結果パッケージで合意に達したものでございまして、しかもその際、非常にセンシティブなものとして大議論の末現在のような妥協がなされておるわけでございまして、まだ国内的には若干の不満もあるものをある程度説得いたしまして、国会で御承認いただいた法律に基づいてただいま誠実に実施中でございます。
 したがって、私どもといたしましては、東京ラウンド実施間もない現在、非常にセンシティブな二十九品目というものを挙げて、問題を蒸し返す形で一方的に関税引き下げを求めるという要求につきましては、東京ラウンドの枠組みを崩すおそれもあって、若干アメリカのこのような要求の仕方に対しては理解に苦しむ面もあるわけでございますが、もとより、五月に総理がいらっしゃったときに始まりまして行いました半導体の引き下げ、アメリカとわが方が両方東京ラウンドで合意したものを前倒しでやるというようなことはことしの九月末に合意に達して、今度の通常国会に法律をお願いしようと思っておりますが、そういう個別的なものについて、諸情勢の変化に基づいて交渉を進めるということにつきましてはオープンでなければならぬと思いますけれども、基本的にはこの二十九品目の問題については非常にセンシティブな問題がある、こう考えております。
○塩出啓典君 いま関税局長の言われましたように、東京ラウンドという公式の場で長年の討議を行って合意がなされているものを、米国から要求があったからといって敏感に反応するのも、わが国の主体性という観点からすればどうかなという、そういう感じもするわけでありますが、しかし、先ほど総理を言われましたような内外の厳しい情勢の中でのこういう要求でありますので、総理としては今回の米国の要求についてはどのように認識をされておるのか。
 また、黒字減らし対策をやはり現内閣がやるべきだ、こういういま緊急の問題を内閣改造等でおろそかにするわけにはいかない、そういう意見もあるし、われわれもそのように思うわけでありますが、その点についての御見解はどうですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御承知のように、対米貿易は日本の大幅な出超に相なっております。このままのような状態で推移してまいりますと百五十億ドルに達するのではないか。大変大きな不均衡といいますか、日本の出超に相なっておるわけでございます。これにはアメリカの高金利の影響もございまして、日本の円安がしばらく続いてきた、こういう面もございます。しかし、アメリカでも最近、公定歩合を初めとしまして金利が徐々に下げられつつございます。それに伴いまして円相場も円高の方向にいくのではないか、こういう要素もございますけれども、いずれにしても流動的でございます。しかし、大変日米の貿易のアンバランスというものは大きいということから、日本政府が今度対外経済政策を再検討しよう、見直しをしようという際に米側からああいう要請がなされた、こういう経過に相なっておるわけでございます。
 私は、関税等の問題につきましては、関税局長から申し上げたように、東京ラウンドにおいて多角的に各国との間で話し合いをしまして、ああいう非常にむずかしい経過を経て結論になっておりますから、日米の二国間だけでいろいろの関税について手直しをこの際やるということは非常にむずかしい、他の国々にもそれなりの大きな影響があるわけでございます。そういう中で、できるものとできないものがございますから、私どもは十分慎重に検討してまいりたい、こう思っております。
 それからもう一つ、いい品物を安く買える、日本の商品を買えるということは、これはアメリカだけでなしに、世界各国の消費者が希望をして、望んで買っておるところでございますから、私はそれが日本のせいとか日本の輸出を罪悪視するようなことはおかしいと、こう思っておりますが、特定品目を特定地域に集中豪雨的に輸出がなされるということは、その国の経済産業秩序を混乱させるということに相なるわけでございます。そういうことが導火線になりまして保護貿易主義が台頭してくるということでは、これはどうしても日本としてはそういうことは避けなければいけない、こういう点につきましては十分な配慮をしながら、今後対米あるいは対欧あるいは第三世界に対する貿易秩序というものを健全に発展をさせていきたい、このように考えています。改造のこと余り考えておりませんものですから、つい御答弁を失念いたしましたが、これは鈴木内閣としては、どのような状況になりましょうとも、こういう緊急の重要な課題は引き続きやっていく、できるだけ早く対策を進めたい、このように考えています。
○塩出啓典君 こういう大幅黒字になったというのは、普通であれば輸出が拡大すれば円高と、そういうことで自律的に輸出が抑制される、こういうのが経済の原則だと思うのですけれども、しかし、いままでごらんのようにアメリカが異常な金利であった。その結果、円安になったために輸出も拡大をした。そういう点で必ずしもこれは日本だけでなくアメリカにも大きな責任があるわけでございますので、そういう点は、単に受け身の姿勢をとるのではなしに、米国に主張すべきことは主張する、こういう態度で臨んでもらいたい。この点はどうでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 全く同感でございます。
○塩出啓典君 次に、やや個別的な問題になりますが、医療金融公庫、それから環境衛生金融公庫の問題であります。
 これは第二臨調でも問題になり、当委員会でも同僚委員が問題にしておるわけでありますが、私は、この医療金融公庫も昭和三十五年にできた、確かにそういう医療設備の充実は国民の健康を守るために必要ではあると思うのでありますが、国民の素朴な感情から見て、最近特にお医者さん等は所得を隠すのに一生懸命努力している、これは一部かもしれませんけれども、そういうことか言われておる。また環衛公庫の問題にしても、それでは魚屋さんはどうなのか、こうなってくると、こういうものはいまの時点においては国民の素朴な感情からは理解しがたいのではないか。少なくとも私は、国民金融公庫なり中小企業金融公庫等に合併をしていくのも行政改革の一つの方向ではないかと思うのでありますが、厚生大臣はどのように一お考えでしょうか。
○国務大臣(村山達雄君) まず医療公庫でございますが、塩出委員御承知のように、これは昭和三十五年に中小企業金融公庫から分離したものでございます。やはり当時といたしましては、何と申しましても医療機関の地域的アンバランス、それが一つの大きな問題でございましたし、同時にまた病床等について木造がありまして、いろいろな事故が起こりまして、そういった病床の不足地域、こういったものをどんどん均衡のあるものにしなくちゃならぬ、これが大きな要素であったと思うわけでございます。その点は確かに現在までのところ、おかげさまで大体ある程度の水準にいったのでございますが、今後予想をされるものといたしましては、やはり僻地の病院をどうするか、あるいは専門的ながん、循環器系統の病院をいかに充実するか、さらにはリハビリをどのようにやっていくかというような多くの問題を抱えております。また、いろんなマンパワーをいかにして養成していくか、この問題もこれから大きな問題でございます。看護婦はもとよりでございますが、保健婦、OT、PTその他、これからマンパワーを多く必要としているのでございます。そういう意味で言いますと、これは確かに一面金融ではございますけれども、同時に専門的な知識を持っていないと、この金融がうまくいかないということも私は当然だろうと思うのでございます。
 そういったことから申しますと、金融機関一つでもいいじゃないかという考え方と、いややはりそれは進めていかにゃならぬのだと、こういう二つの考え方があると思いますが、私はやはりこれから医療というものがいよいよ医療資源を節約し、本当に有効に作用していくためには、専門的な知識が要るのだという考え方に立っているわけでございます。医療公庫は御承知のように、人数で申しますと役員六人で百七十七人でございます。それの行政改革ということによってどれだけの効果が生み出せるか、それを廃止することによってどんなことになるであろうかというメリット、デメリットを比較いたしますと、私はまだ残すべきではないであろうかと、そう考えているのでございます。
 それから第二の環境衛生公庫でございますが、これは四十二年に国民金融公庫から分離したわけでございます。
 御案内のように、環境衛生業種というのは衛生水準をどうしても上げるということのために、現在都道府県知事の許可営業になっているわけでございます。したがいまして、この環境衛生金融公庫の融資というのは都道府県知事の推薦があって初めてやれるわけでございまして、実は許可営業と密接不可分に結びついているものでございます。御案内のように環境衛生の関係は、件数にしますと約二百万件、それから従業員、家族含めますと約一千万人と言われています。非常に零細なものでございまして、使用人二人以下というので大体八五%を占めておるわけでございます。非常に零細なものでございます。おかげさまで衛生水準はずいぶん上がってまいりまして、最近食中毒を見ておりますと、発足当時から見ましていま十分の一ぐらいに減っておりまして、最近では年間三十二人くらいという数字になっております。
 それからもう一つの問題は、中小企業でございますので、その経営は絶えず不安定であるわけでございます。一種の水商売と申しますか、いろんなのがございますけれども。そういったことから申しますと、消費者との相互関係、消費者の利益を図りながら、同時にまた適正経営をやっていくということ、これはいま適正化法でもって実施いたしているわけでございまして、全国の組合がそれぞれ適正な料金なりあるいは取り扱いを決めているわけでございまして、もちろんこれは独占禁止法の除外例になっているわけでございます。今後考えていきますと、もう一つ考えられますのは、第三次部門に雇用吸収力がかなり多いという点を着目しなければならないのではないであろうか。それからもう一つ考えられますことは、医療、公衆衛生の水準というのは日進月歩でございます。絶えずその時代の医療なり公衆衛生の水準の上昇に合わせてこれを改定していかなければならぬことは当然でございます。そういうことから申しますと、果たして専門的な知識を欠くと言っては申しわけありませんけれども、必ずしも国民金融公庫がそれに適しているというふうには考えられないわけでございまして、この辺が私たちは大きな検討課題ではなかろうか、かように考えているところでございます。
○塩出啓典君 これは行管庁長官にお尋ねしますが、先ほど厚生大臣からるる御説明があり、それはそれなりに厚生大臣の立場もわかるわけでありますが、ただ、たとえば医療金融公庫の問題にいたしましても、各都道府県の設置状況を見ましても必ずしも効果が本当に発揮されていないのじゃないか。たとえば僻地とかなかなか採算の合わない地域で、みんなの要望によって病院をつくる、そういうような場合には当然いろんな便宜を図っても国民の理解が得られると思うのですけれどもね。そういう点で、私はこういう制度のあり方についてもこの際検討すべきじゃないか。第二臨調の結果待ちというのではなしに、行管庁としても独自でこの問題についての意見を持つべきである。その点はどうなんでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 両公庫とも設立に際しては意味もあり、機能も果たしてきたと思いますが、今日の段階におきまして、そういうものを置いて、果たしていままでどおり存続していいかどうか、これは再検討を要する段階ではないかと思います。いずれにせよ、特殊法人全般について臨調で洗っておりますから、臨調がどういう答申を出してくるか見守ってまいりたいと思います。
○塩出啓典君 じゃ、まあ臨調の結果を待って、それまでは行政管理庁としては静観をしておる、そういうことですね。そういう点は私としては非常に不満足な答弁でありますが、次に進みたいと思います。
 それから次に、雇用促進事業団の雇用促進住宅の問題でございます。これが、本来は移転就職者用の勤労者のための住宅として建設されながら、いろいろ時代の推移によって最近の利用状況は本来の目的からかなり外れているように聞いております。参議院の決算委員会等でもそれが問題になったわけでありますが、こういう現状がどうなのか、また、そのようになった社会的な背景というのはどういうところにあるのか、労働省の方から御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(関英夫君) お答え申し上げます。
 雇用促進事業団が建設をいたしております移転就職者用の宿舎は、先生の御指摘のように当初は炭鉱離職者の移転就職のための宿舎から出発いたしまして、やがて広く移転就職者のための宿舎として建設してまいったわけでございますが、だんだんと広域的に移転就職する方の数が減ってまいりました。そういうこともございまして、移転就職者の入居する率が全体の中で占める割合というのが少しずつ少なくなってきております。そのために建設戸数も当初は年間一万戸でございましたが五千戸にする、ことしから三千戸にするということで、移転就職者の数の減に応じて建設計画を見直してきておるわけでございますが、最近におきましても企業立地等がございますので、要望がございまして住宅を建設いたしますが、いろいろな経済情勢等で企業立地が思うように進まないというような中で必ずしも移転就職者が多数入居できない。したがって、そのあいている部分につきましては移転就職者ではなくても職業の安定のために必要な方にお貸しするというようなことをいたしているところでございます。
○塩出啓典君 現在、移転就職者以外の勤労者の利用が六三・七%で、三分の一ぐらいしか本来の目的に使われていない。そこで、こういう雇用促進住宅を建設するためには事業者が厳しい経営状態の中で拠出をし、そうしてまあ広義に解釈すればそれが目的にかなっているかもしれませんが、一般の公営住宅のようになっている。そういう点が私は非常に理解に苦しむわけでありまして、そういう点、行政管理庁としてこういう問題について実態を調査し、あるいはまた、どうあるべきかということを検討する用意はないのかどうか、その点どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 雇用促進事業団につきましてはいろいろ調査もしております。それで、あれは初めは石炭関係の始末という意味で、住宅建設、炭鉱労務者の再配置というような問題が契機でできたように聞いておりますが、その後一般的な雇用問題に入ったり、あるいは勤労者への貸し付けとか、あるいは勤労者のレクリエーション施設とか、非常に膨大な仕事にいまなってきておるようであります。大体見ているとかなり機能はしているように思いますけれども、しかし少し膨張し過ぎたのではないか、あるいは仕事をもう少ししぼったらどうかとか、そういう議論もございます。そういう面から見て人間やあるいは役員をもっと節減できるのではないかという議論もございます。等々もございまして、これも先ほど申し上げましたように臨調で全部の特殊法人をいま洗っておる最中でございますから、これも一括してその答申を待ちたいと思っております。
○塩出啓典君 実際に炭鉱離職者は減ったかもしれませんが、県外への移転就職者というのは年間でございますか十万人も超えるわけで、しかしそういう人が、では必ずしも雇用促進住宅に入れるかというと、そういうある場所は限られておるわけですね。だから私は、先ほど申しましたように、事業者の人たちが出したお金で建てる建物であるならば、本当にそれがより広く本来の目的にかなうようにまとまってたくさんのものを建てるのも一つの方法でもありましょうが、たとえばどこのところへ移転就職していっても、そこでちゃんとその住宅に入れるようにするとか、やっぱり時代の変化に伴って行政も検討すべきではないか。そうしないと、やっぱり国民の理解を得られないのじゃないか、このように思うわけでありますが、労働大臣、こういう問題を検討するお気持ちはございますか。
○国務大臣(藤尾正行君) お答えを申し上げます。
 先ほど安定局長から申し上げましたとおり、これの発足は炭鉱離職者というものを中心にいたしまして、大量の離職者に対する住宅をどのように供給するかということでこれは始まったわけでございますが、御案内のとおりこういった大きな集団的な離職者の対策といいまするものは最近少し減ってまいりました。
 そこで、問題は、最近御案内のとおりの各地区に対しまする団地が造成されております。そういうところにそれぞれかなりまとまった方々の雇用といいまするものが需要されまして、そういった方々のために雇用促進住宅といいまするものが役立っておることは事実でございます。私どもの本来の趣旨から申し上げましたならば、この雇用促進住宅といいまするものを利用しておられる方々も、あんまり長いことこの雇用促進住宅に居つかれますと、これの運用がなかなか目的に沿わなくなる。でございますから、これはそれぞれ会社の住宅なりあるいは公営住宅なり、そういったものに移りかわっていただく、そういうことのために絶えず私どもは新たな転職者の住宅需要といいまするものにこたえるために、空室をかなり準備しておかなければならぬわけでございます。
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
 ところが、御趣旨のとおり、一たんお入りになられますと、なかなか便利でございますので、次に移っていかれるまでに時間がかかり過ぎておるというようなことがございまして、いま御指摘のような目的と少し違ったようなことになっておるじゃないかというそのおしかりをちょうだいいたしたわけでございますけれども、私どもといたしましては、それが野方図に役に立たぬというようなことではございませんし、また、公的な金を使いましてそのために財政に御迷惑をかけておるということでもないわけでございますので、これはいましばし私どもにその運営もお任せをいただきまして、私どもといたしましてできるだけ御趣旨に沿うような運営を期してまいりたい、かように考えます。
○塩出啓典君 次に、農林大臣にお尋ねしますが、農林大臣は、農業の補助金を大幅にカットすると、農村は、保守信ずるに足らず、革新に走るであろうと、フランスみたいになったらどうしますかね、こういうような発言をされたように、拝見をしたわけです。このことは事実でございますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 経団連の会合の際に講演をしましたときに、直接そういう言葉を使ったわけじゃありませんが、そういう意味のことは申し上げた記憶を持っております。
○塩出啓典君 私は、補助金が保守政権の延命のために必要であると、逆に言えばそういうことになるわけでありまして、そういうような発言を農林大臣としてするのは、しかも公の場でやるのは、やや軽率ではないか、そのように思うのですが、その点は農林大臣はどう考えておりますか。
○国務大臣(亀岡高夫君) 後で考えてみると軽率だったなということで、それ以来慎重に発言をいたしております。
○塩出啓典君 総理は行革に政治生命をかけると。政治生命をかけるということは、行革ができないようであれば鈴木総理の存在はないと、そういう御決意と私はその言葉どおり信じておるわけでありまして、そういう点から見て、鈴木内閣の閣僚としてもよくない発言であると、ただいま反省をされたわけでありますが、総理の御見解もこの際承っておきます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、言葉の誤解はあったかもしれませんが、現内閣の閣僚諸君は、この行財政改革のために真剣に取り組んでいただいておる、このように考えております。
○塩出啓典君 それでは農林大臣に、農業補助金のあり方について。やはり補助金というものは、自立農家の育成ではなしに補助金依存の農家をつくっては、これではいけないのではないか。しかし、今日までの経過を振り返ってみますと、農業の自給率も下がっておる、また国際競争力も落ちておる、総体的に強くなっていない。そういう点から補助金のあり方というものがいろいろ論議をされておるわけでありますが、一つは全国一律である。先般、当委員会でも、補助金を受けるために豚小屋にまで火災報知機をつけなければならないという、そのために結局補助金をもらってやる方が結果では高くなる。中には補助金をもらわないでも融資でどんどんやっておる、こういう人もいるわけでありまして、そういう点が一つ。
 それからもう一つは、補助金が余りにも細分化されておる。これは兵庫県から出されたガイドブックに――もうすでに農林大臣も御存じだと思いますが、五十六年度の補助金のいろいろ内容が書いてあるわけでありまして、結局農家の人としてはいかにコストを下げるかというよりも、どういう補助金をもらった方が得かと、その補助金の研究の方にエネルギーを費やして、本当にコストダウンにエネルギーが費やされていない。そういう意味で補助金のあり方を抜本的に検討する用意があるかどうか。今回の予算要求の中ではかなりメニュー化をし、補助金の数は減らしたようでありますけれども、もうちょっと抜本的な改革をやる必要があるのじゃないか。そうでないと、いまのような一律補助を切っていくというやり方では農業の体質をますます弱くしていくわけでありまして、そういう補助金のあり方について、これは来年度予算にすぐというわけにいかぬでしょうけれども、農林省として抜本的に検討する気持ちがあるのかどうか、この点だけ承っておきます。
○国務大臣(亀岡高夫君) 補助金が農家の依頼心やら、あるいは補助金をもらう行政に流れてはいかぬという御指摘でございますが、私もそのように認識をいたしまして、やはりその補助金は創意工夫の旺盛な農家に効率あるように使ってもらえるような仕組みをつくらなければいかぬというふうに指導をいたしております。
 したがいまして、今回も、行政改革に当たりまして、そういう趣旨を生かしますために、メニュー化とかあるいは総合的な助成方式でありますとか、そういう方向にまとめたわけでございます。千二百ほど補助金があったわけでありますが、前年度は千百二十六、それを一応とにかく六百にまとめたわけであります。六十七の補助金を廃止いたしまして、新規をそのかわり二十起こしまして、さらに四百七十九件を統合するということで、一例を申し上げますと、畜産振興対策事業を畜産総合対策事業というものに統合をいたしまして、そうしてその地域地域の特色を生かして各種の補助金をその地域が活用する、そしてその中で農家がそれを自分たちの家業に活用してまいるという形にいたしましたり、あるいは耕種作物の生産対策関連事業、これもまとめまして新地域農業生産総合振興対策事業ということで、これもやはり生産調整なりその地方地方の農業の特色を生かすための積極的な事業に補助金が集中的にいくという方向を実は今年からやることにいたしたわけであります。これをやるにつきましても、相当これは思い切ったことでございまして、これを中心にしてさらに検討を進め、本当の生きた効率的な補助金の体制にしていきたいと、こう考えておるわけであります。
○塩出啓典君 それでは、次に今年度予算の税収の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 毎年いまごろになりますと、当年度の租税収入の見込み及び実績が問題になるわけであります。今年も同様に税収の伸びが低いということで、一部には歳入欠陥になるおそれまで言われております。先般の発表では四月から九月、前半の実績で当初見込みより九千億円ほど税収額が低いということでありますが、これは当局の見解は、原因はどこにあると考えているのか、これを承ります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、税金というのは名目所得に、あるいは物品税のようなものだと名目の値段にかかる。ところが、御承知のとおり、ことしは物価が政府の当初考えよりも大変安定してしまって上がらない、このことは国民生活にとっては非常にいいことだ。しかしながら、税収の方は法人税でもあるいはその他のものでも、冬日所得が、名目の値段が上がらぬものですから、そういう点で物価は安定したけれども税収も減ったということも言えると、そう思います。それから雇用所得等についても残業などが思ったより出なかったというようなことも原因の一つではないかと、そう思っております。
○塩出啓典君 いま大蔵大臣言われましたように、その年度の税収を決定する大きな要因はいわゆる名目成長率でありますが、政府は当初九・一%、それが十月二日に八%に下げたわけでありますが、いまの実態からしてさらに七%ではないかと、こういう声もあるわけであります。名目成長率が二%低下したならばこれは当然税収にも響くわけでありますが、この点はどうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どものいま手に入っている数字は、七月末、八月、九月末と、十月まではまだ手に入っておらぬわけですが、しかし、半年が過ぎませんと本当のことはわからない。九月決算の法人税関係のものが出てまいりませんとよくわからない。中には証券会社のように大変よかったというものもございますから、私はいま断定的なことは申し上げることはできません。しかし、何とか予定の税収が入るような方に期待をし、また努力もしていかなければならないと、かように考えております。
○塩出啓典君 いままでは、高度成長期には物価と賃金が上昇して名目成長率がかなり伸びたわけで、そういう意味で自然増収が発生しておったわけです。今回それが逆になっちゃったわけでありますが、そういう意味で、いままでに比べて税収構造の変化があると考えるのかどうかですね、その点が一点であります。
 それから、当然政府は、この成長率のみならず、卸売物価の上昇率も四・一から三%、消費者物価も五・五から五・〇と、このように下げておるわけで、家計調査等で見ると賃金の上昇も非常に低いわけであります。このように政府の経済のいろんな諸指標を変えだということは当然税収にも影響があるはずで、やはり政府として私はその時点で税収見込みも当然変えるべきではないかと、このように思うわけですけれども、その点はどうなんですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは先ほどお話し申し上げたように、まだ半年の結果もわからぬという状況ですから、いまの段階で変えるという考えはございません。ございませんが、世界じゅうインフレに悩んでおるという中で、日本だけが失業もインフレも本当にまれに見る優等生というようなことで、これがいつまで続くのか。物価の安定ということは、これはもう大変ありがたいことなんですが、もしこういうような状況が本当に続くとすればどうするか、今後の課題として、これは詳細に情勢を分析して検討をしなければならぬと。もう少し時間をかしていただかないと、どうだという方向を出すわけにはいきません。
○塩出啓典君 いつもこういうように税収の予測についてはいまのような答弁が返ってくるわけですが、これは本当にわからないのか、あるいは大蔵省の政治的なそういうカムフラージュではないかと、こういう意見もあるわけですが、今回はかなり厳しいように私たちも思います。多くの情報を持つ政府が、あるいは大蔵省が、五十六年度もかなり後半に迫っておるわけで、年末近くになってもはっきりしたそういう確信のある税収予測ができないという点について私たちも非常に理解に苦しむわけですけれども、本当に予測ができないのかどうか。
 それから大蔵省として毎年予算編成に税収の見積もりを出すわけですが、そういう基礎データというものを全然公開をしていないわけで、正確な論議を進めていくためにもそういう基礎データ等もどんどん公表してはどうかと、その二点はどうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 基礎データについては大体出しているんですよ。そんなに詳しい積み上げをやってるわけじゃないですから、税収は、見積もりはどこまでも予算の場合見積もりですから、科学的なしっかりした土台に基づいて動かないものが出るはずもない。したがって、それはどこまでも見積もりということなので、その程度のデータは国会にも大体出ていると、私はそう思っております。
 それから政治的に少し隠しているんじゃないかと。今回は、隠すどころじゃない、本当にみんな出して実態を知ってもらうということでないと困るわけです。われわれは、ことしの税収の見積もりの点でも少し強気がなと言ったのですが、与野党を通しましてかなりまだ自然増収がある、もっとあるんじゃないかと、こんな弾性値は低いとか予算委員会でさんざん怒られたばかりで、今度半年たったら見積もり狂ったといってまたしかられなきゃならぬわけでございますが、本当にこれからは、経済の流れもかなり変わっておりますから、いままでのような考え方でどんどん自然増収で伸びるということにはなかなかならぬだろうと。ことしの税収については、私は少なくとも言えることは、とんとんぐらいにはいくのじゃないかと、いかしたいという願望を持っているが、年度内自然増収、つまり現在の予算見積もりよりもふえることはまずまずないだろうと、こう思っております。
○塩出啓典君 今年度の税収がもし非常に厳しいようであれば当然来年度の予算の税収予測にも響くわけでありますが、大蔵省はこの本年度の税収の厳しい実態を見てたと思うのでありますが、来年度の税制改正ではいままでいろいろ言われながら行われなかったいろいろな新しい税を考えているようであります。先般も当委員会で交際費課税の問題等を税調にかけると、こういうような御発言があったわけでありますが、その他広告税等も論議の対象にはなっておるわけでありますが、近く税調も始まるようでありますが、政府としてはどういう内容の諮問をする予定であるのか、これを承りたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私どもは別に増税するという考えはないんです。極力歳出カットでゼロシーリングの中に抑え込んでいくということで作業を継続しているということでございますが、来年度の問題について税収その他がいままでの中期展望の考え方とおりにはいけないということになって、層一層極端に切り込むことができるかどうか、これはやってみないことにはわかりません。まずそれをやってみると。
 しかしながら、国会を通じて皆さん方からいろんな御意見があるわけです。要するに、ギャンブル税というものはもうやるべきじゃないかとか、交際費課税はもっと強化しろとか、措置法のもっと見直しをやって不公正を直すべきだとか、広告費も課税しろとかいろんな御意見がございますから、したがって来年は増税なしですよと、主税局は暇で遊んでいてもいいよと言うわけにいきませんでしてね、戦争のない自衛隊だって演習しているんだから。だから、主税局も常にそういうことは、いざ鎌倉というときには何でもできるように勉強をしろということで勉強をさしておる。したがって、どれを出すかということまでまだいっておりませんが、いずれ国会でも終わって、結局経済の見通し、歳出カットの状況、それから歳入の腹固めをしなければ予算編成作業は進まぬわけですから、そのときにどういうふうにやっていくかということは、すべての行政というものの出費は財源がなくてはできないわけでございますので、その財源を何に求めるか。そのまま置いてもちゃんとできるということが一番望ましいわけですが、そういうことはあり得ない。極力歳出カットでやるけれども、研究だけは怠らないと、そういうだけの話でございます。
○塩出啓典君 増税なき財政再建ということを鈴木内閣は公約をしておるわけであります。私たちも不公平税制の是正はしろと。じゃ、不公平税制の是正をするということは、たとえばいま不公平税制ということで、あるところから取る。一方、勤労者の所得税というものは、これは御存じのように累進構造になっておりますからどんどんふえている。そういう点では勤労者が非常に増税になっておるわけですね。やっぱりいままだ税調にどれを出すかわからない。もし出すとするならば、当然これは一方所得税の方は減税である、両方平均して税はふやさないと、そういうように理解をしていいわけですね。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 減税ができるだけの余裕があればこれは一番いいことでございまして、歳出と歳入というのは裏と表でございますから、問題は歳出をどこまで切れるかにすべてがかかっておるということであります。しかしながら、税の中で財源を別に設けて、そうしてその中で何か所得税の方を減税しろという話ですと、これはまた全然大きな話になりまして、目下私の考える時期が来ていないと。われわれは、でこぼこ是正という国会であれだけ厳しく言われておるわけですから、それについてのともかく歳入が足りないから国債を発行しているわけですから、歳入が税収で賄われれば借金する必要ないのです。だけれども、借金もしているという状態なので、それで皆さんから御批判を受けるような財源については逐一点検をしておるというのが実情であります。
○塩出啓典君 そうすると、でこぼこじゃない、でこでこ是正になるわけですね。取る方は取って、全然まける方はまけないと。不公平是正というのは、大体不公平のところを削ってこちらへ回して公平にする。そういう意味で、いま大蔵大臣が言われたのは、減税は全然やらない、やるとすれば、ふえる方だけ不公平なのを取る、そういう大蔵大臣の趣旨であれば、これはわれわれの言う不公平是正ではなくて、これは増税と言わざるを得ない。これはもう御答弁はいいです。
 それで、特にいま日本の経済は、いわゆる業種間あるいは規模間、地域間の跛行性というか格差が非常に多いわけで、そういう意味でこの財政再建の特例期間として、かつて法人税の累進的な意味で会社臨時特別税というのがあったわけでありますが、ああいうものを考える考えはないかどうか、その点どうですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) この前は狂乱物価ということもあって、会社によっては思いがけない所得が発生したというようなこともあり、臨時の措置としてやったことがございますが、現在はそういうことは考えておりません。
 それから増税のお話でございますが、これは歳出カットというのは、十万円もらった人が七万円になれば、これは税金で取られたと同じ見方もあるわけです。十万円もらった人が七万円しかもらわぬということになればですよ。何かの補助金なり何なりにしても、もらっている人から見れば三万円取られたと同じことでございますから。だから、そこをともかく七万円にするのか、そのかわり別なところで多少の埋め合わせ――七万円にするのは一遍にむずかしいから八万円にするのかということになれば、それは歳入と歳出ででこぼこ是正になるんです、それは。同じことなんです。
○塩出啓典君 経企庁長官にお尋ねしますが、長官は当委員会でも、財政再建の大前提は、ある程度の経済成長があり、そうして四、五兆の自然増収が毎年確保される、そういうことが大前提であると言明をされておるわけで、私たちもそのように思います。その点からわが国の現在の経済情勢について長官はどのように認識されておるのか。
○国務大臣(河本敏夫君) わが国経済は大体五%成長路線を進んでおると思います。ただ、内需が弱くて外需が強い、こういう問題はございます。
 それからいま跛行性について御指摘がございましたが、そういう問題もございますが、政府の目標どおりおおむねその線は進んでおると思うのですが、やはり跛行性があるということは回復力が弱い、こういうことだと思います。いま御指摘がございましたが、大蔵省の財政試算を見ますと、財政再建の三年間、五十七年度から五十九年度までの間、毎年約五兆から六兆前後の税の自然増収があるものと期待されておるわけでありますが、それだけのやはり税収を生み出すということは相当な経済の活力が必要だと思います。これだけの税収が入ってくるような経済運営ができませんと財政再建はできないということでありますから、いま御指摘がございましたように、この点は非常に大事な点だと思います。
○塩出啓典君 日銀総裁にお尋ねしたいと思いますが、政府の月例経済報告を読みましても、景気は総じて緩やかに改善の方向に向かっていると、毎月そういう言葉が出ておるわけでありますが、最近の金融経済の動きについて総裁としてはどのように見ておられるのか、承りたいと思います。
○参考人(前川春雄君) 私どもも、景気の動向につきましては、力強さが欠けている、盛り上がりに欠けているということはございまするけれども、総体として見ますると、非常に緩慢ではございまするけれども、悪い方には向かっていない、いい方に向かっておるというふうに思っております。確かに私どもも、個人消費等は消費者物価の落ちつきに伴いましてもう少しよくなるのではないかという期待も持っておりました。しかし、先ほど大蔵大臣からもお話がございましたように、名目所得がとかく伸び悩んでおるわけでございます。給与所得につきましても、たとえば所定外の労働時間というものがふえないということもございます。臨時給与もふえないということがございまして、とかく名目所得が伸び悩んでおる、消費者物価が落ちついておりまするわりには消費が盛り上がっておらないという環境にございます。
 また、重要項目の中では、たとえば企業の設備投資――大企業でございますが、設備投資、あるいは輸出等につきましては底がたい動きを示しておるわけでございまするけれども、一方、いま申し上げました消費、住宅、中小企業の設備投資等はいまひとつまだ力強さがない、むしろ横ばいというような環境でございます。昨年から在庫がかなり積み上がりまして在庫の圧迫ということで在庫調整ということが進んだわけでございますが、在庫調整は大体一部の業種を除きましては完了したと思います。しかし、新しい重要項目がまだ余り強くないということで、いまひとつ景気全体に力強さが欠けておるということでございます。
 ただ、これから先につきましては、いまのような状態が続いておりますが、また企業マインド自身も、企業の減量経営に対する自信というものも出てきておりまするので、企業マインドそのものはそう悪くはない状態であろうというふうに、これは総体的な問題で、もちろん業種間の跛行性がございまするから、必ずしも企業種に一律にそうだというわけではございませんけれども、そういうことがございまするので、いまのような状態は、非常に緩慢ではございまするけれども、底割れするということはないのではないかというふうに思っております。
○塩出啓典君 企画庁長官にお尋ねしますが、先ほど長官は、五%の経済はいまいっておる、しかし五・五%ぐらいの成長が必要である、そういうお話であったわけでありますが、たとえばことしは五%といっても、その内容が、当初はかなり内需の影響を考えておったわけですけれども、実際は輸出によって五%の成長が保たれておる。こういう点は、当然、同じ五%の成長であっても、かなり税収構造にはいろいろ影響が出てくるのじゃないか。しかも、同じ五%でも、いわゆる名目成長率によってかなり税収にも影響が出てくるわけで、そういう点で、財政再建を今後やっていくに必要な成長率、いわゆる実質成長率、名目成長率というのはどのように考えているのか、これを承りたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 税収の計算は、いま大蔵大臣が説明をされましたように、名目成長率が基礎になるわけでございますが、現在は名目成長率が物価の安定のために当初の予想よりは若干落ち込んでおります。ただしかし、それだけではございませんで、ほかにも幾つかの要素がございますから、なお私は、現時点では税収の年度間全体の見通しをつけるということはまだ時期尚早であろう、早いであろう、こう思っております。
 そこで、来年度以降の経済運営はどうかということでございますが、来年度以降の経済運営につきましてはこの年末に決めることにいまなっておりまして、目下関係各省の間で意見を交換をいたしておりますが、七年計画の目標といたしましては、七年間平均五・五%の実質成長をする、そういうことになっておりますので、条件が整えば五・五%またはそれ以上の成長が望ましい、財政再建の上から考えても望ましい、このように思いますが、やはり幾つかの条件がございますので、そういう幾つかの条件につきまして各省の間でいま掘り下げた議論をしておるところでございます。
○塩出啓典君 長官は、五日の経団連会館での演説で、五十七年度は五・五%を上回る経済成長にしたい、やはりそれが減税などの国民の要求を入れた財政運営をするには不可欠である、こういう御意見だと思うのでありますが、五・五%以上の成長率というものは、相当思い切った施策を行わないと、行革のデフレという効果も、少ないとはいえ、これはかなりあるわけでありまして、したがって長官は、来年度の大きな課題として、公共事業を拡大する、あるいは民間資金を導入して活用するとか、こういうことを言われているわけでありますが、これは具体的にはどういうことなのかですね。
○国務大臣(河本敏夫君) 公共事業のうち、いわゆる一般会計で行うものはこれはゼロシーリングという原則がいま決まっておりますから、これは現時点では私は変更はないと、こう思っております。ただしかし、それ以外にも財投で行う公共事業もございますし、それから地方で行う単独事業のような地方債、縁故債を中心に行うものもございます。来年の経済見通しを立てる段階におきまして民間の力というものが相当強くなっておるということであれば特別の配慮も必要ないかと思いますが、しかし民間の力がなお弱い、こういう場合には一般会計以外の公共事業の分野では民間資金をある程度活用する方法がないか、こういうこともその時点において考慮してみる必要があるのではないかと、こう思います。そういう点を言ったのでございます。
○塩出啓典君 長官は、同じく五十八年度以降、大型所得税減税を行う、その財源として、三K問題にメスを入れてその財源で減税をすると、こういうように言われておるわけでありますが、確かに三K問題は財政の最重要課題であることはもう承知をしておるわけですが、なかなか長年解決のできなかった問題で、そう簡単には財源も出せないんじゃないかと、そのように思うわけですが、企画庁長官としては何か特別な具体的な考えがあるのかどうか、その点はどうでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 三K問題につきましては、新経済社会七ヵ年計画、これで一つの基本路線が示されております。しかし、この基本路線が決められましたのは一昨年の八月のことでございますから、それからもうある程度の事情は変わっておると思うのです。しかし、この七カ年計画で示されました基本路線というのは、いわゆる三K問題は大幅な赤字を抱え、あるいは多額の財政負担を要しておる。そこで、これらの問題を解決するためには、各分野においてこういうことをすることが望ましいという趣旨のことが示されておるわけでございます。現在は臨調におきまして、この問題につきましては一体どうしたらよいかということについて御審議をしていただいておるようでございますから、その御審議の結果を踏まえて政府としての判断が示されようかと思いますが、しかしいずれにいたしましても、わが国財政を大きく圧迫しておりますのはこの問題でございますから、これが抜本的に解決されることが望ましい。そして、これが抜本的に解決されるということになりますと財政的に余裕も生じますので、次のいろいろな政策がやりやすくなると、このように考えております。
○塩出啓典君 また、この景気対策には金融政策も非常に重大な課題であると思います。公共投資のようなそういう金のかかる景気対策はなかなかできないわけで、そうでない景気対策も考えていかなくちゃいけない。そういう意味で企画庁長官は低金利政策、金利を下げるべきであると、このような発言をされておるわけでありますが、これは具体的にいかなる金利水準のものを言っておるのか、これを伺いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) いまの経済の状態から判断をいたしますと、やはり低金利政策、金利の引き下げを行いまして、そして経済に活力を与えていくということが望ましいと思います。財政にいま力がございませんから、金融政策を進めることによりまして大きく経済を刺激することが可能だと、こう思います。ただ、国内の低金利政策を進めるいろいろな条件は大体私は整っておると、このように思うのですが、何分にもアメリカの金利がああいう状態でございますので、やはり日本の経済は世界経済と密接な関係があり、アメリカ経済と特に密接な関係がございますので、これまでのような水準では残念ながら低金利政策は進められない、このように思っておりましたが、幸いにいまアメリカの金利もだんだんと下がる方向に行っております。どの見当アメリカの金利が下がれば日本としての低金利政策をやれる判断ができるか、そこは大蔵省なり日本銀行当局で御判断されることだと思いますが、いずれにいたしましても、現在の経済の動きから考えますと、低金利政策を進めるということが一つの私はキーポイントではなかろうかと、このように判断をいたします。
○塩出啓典君 日銀総裁にお尋ねしますが、報道によりますと、十六日、アメリカ連邦準備制度理事会は、大手銀行向けに実施していた公定歩合の高率適用金利二%を十七日から撤廃すると発表しております。さらに米国の金利低下が進むのではないかと、こういうような意見もあるわけでありますが、米国の金利は本格緩和と判断していいのか、また為替相場に対する影響もかなり――きょうも影響が出ているようでありますが、そういう点に対するお考えはどうか。さらに、いま企画庁長官は、この米国の金利低下でわが国における低金利政策のとれる条件が整ったという御意見でありますが、それについての日銀総裁の御見解を承りたいと思います。
○参考人(前川春雄君) アメリカの金融政策、なかんずく公定歩合あるいは高率適用については、いまお話がございましたように、この九月ぐらいから逐次引き下げられつつあるわけでございます。これは端的に申しますると、もうすでに二年以来続いておりました金融引き締め政策がようやくその効果をあらわしてまいりまして、インフレ抑制の効果が少しずつ出始めておるということであろうと思います。消費者物価であるとかあるいはマネーサプライの動きを見ておりましても、その効果が少しずつ出ておるというふうに思います。
 これが本格的な緩和と考えられるかどうかという点につきましては、何分まだ非常に不安定な情勢でございまするが、アメリカの景気そのものはことしの第二・四半期以降マイナス成長が続いて、四−六、七−九とマイナス成長が続いておるわけでございます。恐らく現在の十−十二、第四・四半期につきましてもかなり大幅なマイナス成長になるのではないかというふうな見方のようでございます。そういう実体経済が少し落ち込んでまいっておりまするので、勢い資金需要も弱まるわけでございまして、そういうことから金利が低下に向かう可能性はあると思います。ただ、それがどの程度になりまするか、それは物価の状況あるいはマネーサプライの状況というような点も勘案して決められていくのではないかと思います。
 また、短期金利についてはいま申し上げたようなことでございまするけれども、長期金利につきましては、アメリカの財政も非常に大きな赤字を抱えておりまするために国債の発行が累増するということから、長期金利につきましては、短期金利ほどには――低下のスピードが鈍いということではないかというふうに思います。
 為替等に対する影響はどうであろうかということでございまするが、このアメリカの高金利が頂点となりまして、世界じゅう先進国の金利が一斉に高められて、引き上げられて世界じゅう高金利に悩んでおることは御承知のとおりでございます。そういう状態の中で、アメリカの金利が少しずつ下がってまいりますることは、世界の高金利がこれにつれて低下してまいるということが期待できまするので、そういう点では世界経済全体に対しても好影響があるものというふうに思います。
 また、日本の為替につきましては、何分、金利差――内外金利差と申しますか、日本の金利の水準と海外の金利水準が非常に大きく開いておりまするために、とかく国際収支の中で長期資本勘定が流出超過になりがちでございます。それだけではございませんけれども、そういうことが大きな要素となりまして、円相場はとかくいままで弱含みであったわけです。今週ぐらいから円相場は若干強くなってきておりまするけれども、一つには、いま申し上げました海外の金利低下ということがやっぱりそういう好影響をもたらしておるというふうに思います。ただ、為替市場は現在世界的に見ましても非常に不安定でございまして、必ずしも安定してこのまま円高の状態に進みますかどうですか、この辺はまだ内外金利差そのものもかなり大きいわけでございまするので、注意して見てまいる必要があろうかというふうに思います。
 また、日本銀行の金融政策、金利政策についてどうかという御質問がございました。私ども、こういうふうな世界的な高金利の状況にもかかわりませず、昨年の夏以来金融緩和政策をとってきております。金利につきましても、昨年夏以来三回にわたって引き下げておりますし、また量的な面におきましても、明確に量的な緩和も図ってきておるわけでございます。アメリカの金利が下がってはまいりましたけれども、アメリカの金利水準、まあ何で比べるかはひとつ問題はございまするけれども、公定歩合につきましても、アメリカの公定歩合はまだ一三%という高さでございまして、日本の公定歩合六・二五に比べますると、まだその倍以上の高さにあるわけでございます。そういうことから、内外金利差もまだかなり高いわけでございまするので、これが長期資本あるいは、ひいては為替相場等に及ぼす影響がどういうふうになりますか、その辺十分に見てまいらなければいけないところであろうと思います。そういう意味におきまして、私どもは現在の状況におきましては、いま私どもがとっておりまする現在の緩和基調、緩和政策というものをそのまま続けることが適当であろうというふうに思っております。
○塩出啓典君 目録総裁への質問は終了いたします。ありがとうございました。
 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、経企庁長官は景気対策の上で金利を下げる条件は整っておるという御意見でございますが、大蔵大臣としてはどういうお考えであるのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もいま聞いておったのですが、私とはもう少しも変わっていないと思います。物価の状況という点からだけ見れば、そういうようなことの可能性もあるだろうと。しかしながら、御承知のとおり、経済は世界がつながっておる、金利もつながっておるという御発言もあったわけです。アメリカの公定歩合は一三%ですから日本の倍になっておりまして、これが欠きく下がる、そのために二百円よりももっと円高になるというような情勢になれば、またそのときの情勢次第ということもございましょうけれども、ここで日本が金利をさらに下げるということは、当然預金金利も下げることになるわけですから、いままでの円安というのは、金利差による資本の逃避というものも大きな原因の一つでございます。したがって、われわれは円高になることは賛成なんです。これが円安になると、たとえば輸入物資の物価安定を損ねることになるし、逆に、輸出にさらにこれはドライブがかかることになるという状態でございますので、いろいろな総合判断をして公定歩合の問題は考えなければなりません。したがって、現段階において公定歩合を下げるという考えは全然ございません。
○塩出啓典君 経企庁長官にお尋ねいたします。
 長官は、先ほども言いました五日の演説の中で、景気対策として、年間百万戸ちょっとに落ちている住宅需要を、来年度から二年計画ぐらいで年間百五十万戸の水準に戻していく具体策を実行すると述べております。私たちも、国民の住宅不足あるいはまた非常に景気への波及効果の多い住宅建設を進めることは、景気対策、福祉対策両方の面からこれは非常に望ましいと思うわけでありますが、どのような具体策を考えているのか。特に、いま住宅対策のネックと言われておるものは土地対策でありますが、土地対策についての長官のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) ことし三月下旬に、政府は第四期住宅建設五ヵ年計画を閣議で正式に決定をいたしました。それは、ことしを初年度といたしまして、これから五ヵ年の間に七百七十万戸の家を建設する。もっとも、ざっと半分が建てかえになっておりますが、そういう計画であります。
 この計画を実行するためには、やはりいま御指摘のように、土地問題を第一といたしまして幾つかの条件が整備されることが必要でございまして、それじゃどういう条件が整えばこの四期計画を軌道に乗せられるかということにつきまして、内閣に住宅・宅地関係閣僚連絡会議というものをつくりまして、約四ヵ月にわたりまして作業をいたしました。そして、十項目ばかりの対策を決めたわけでございますが、まあ中には予算を伴うものもございますし、それから税の改正を必要とするものもございます。そういうことで、来月の予算編成の段階で、七月に決めたことを織り込んでこれを実行に移す、こういうスケジュールになっておりますが、その中にはいろいろな対策がございまして、その具体的な内容につきましては政府委員から答弁をさせます。
○政府委員(大竹宏繁君) 大きく分けまして二つに分かれておるわけでございます。第一点が住宅建設の促進でございまして、第二点が宅地供給の円滑化でございます。
 住宅建設につきましては、住宅金融の充実、二番目が低質の木造賃貸住宅の建てかえの促進、三番目が既成市街地における中高層住宅の供給の促進。
 宅地供給の円滑化といたしましては、まず一番目が市街化区域農地等の宅地化の促進等、二番日が市街化区域農地に係る固定資産税等の課税の適正化等、三番目といたしまして、都市計画区域における区域区分の見直し、いわゆる線引きの見直し等の推進でございます。四番目が住宅宅地関連公共公益施設の整備の促進等、五番目が未利用地等の利用の促進、六番目が国土利用計画法の的確な運用等、以上十項目でございます。
○塩出啓典君 いわゆるいま言われましたC農地を含め農地の宅地並み課税の問題でありますが、これは政府として最終的な案はもう決定したのかどうか、その点どうですか。
○国務大臣(原健三郎君) 政府の意向としては、昭和五十五年度の政府の税制調査会の答申、この線に沿って意見が一致いたしております。その線に沿って昭和五十七年度以降の市街化区域のいわゆる宅地並み課税をどうするかということをやります。それはもう言うまでもなく、第一は、三大都市圏の一定の区域内の市街化区域の農地については、A、B、Cの区分にかかわらずいわゆる宅地並み課税を実施したい。いままでは完全に実施に至っていなかったのでありますが、今度はC農地も含めて完全に実施するという考えであります。その実施に当たって今度は、もう一つは、長期にわたって営農を継続する意思のある者については、いわゆる農業課税はやるけれども宅地並み課税は付さない、農業をやる人には宅地並み課税をやらない。これはもう何回も国会においても答弁し、それは政府の意向として連絡の上決まっておるところでございます。
   〔委員長退席、理事嶋崎均君着席〕
○塩出啓典君 これも建設省、あるいは国土庁かもしれませんが、いわゆる個人の長期保有土地の譲渡所得税の件でありますが、最近、毎年予算編成期になりますと、これを緩和する、こういうことがいつも問題になるわけでありますが、この問題についてはどういうお考えであるのか、承っておきます。
○国務大臣(原健三郎君) 御説のとおり、土地の税制をなるべく長期にわたって安定さすという方向で今度は決定していきたいと思っております。毎年これを変更したりいじったりすることは一般の方々に非常に御迷惑を及ぼしている。それで、土地譲渡所得税の取り扱いについては、長期と短期の区分を、昭和四十四年一月という特定の時期ではなくて、これで長期や短期を決めておるのははなはだ不合理であるということで、一定の保有期間、たとえば十年に改めるなどという長期安定的な制度とするためにいまこれは検討を進めております。大体その方向にいたしたいという意向ですが、まだ確定の時期に至っておりませんが、御指摘のように長期安定的なものにこの際予算編成時ぐらいまでの間に決めていきたいと、こう思っております。
○塩出啓典君 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、毎年予算編成期のときに、建設省、国土庁、それと大蔵省といろいろ意見の対立があって、大体大蔵省の言うようにきているわけですが、先ほどの国土庁長官の税制の改正についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、その各省の御提案を聞かないと何にも申し上げられませんが、ただ、譲渡所得の税金を安くする、緩和するというだけで宅地供給にならない。やはり緩和するという以上は、供給しない人は、当然宅地にすべきものであるとみんなが客観的に見ておる土地がそう使われないという場合は、宅地並み課税を強化すると。両方が一緒になるのならいいけれども、それでなくて個人の恣意によってどう使うかは決めるというようなことでは、土地の譲渡所得税を安くしても社会的不公正を広げるだけで社会に貢献しない。私は貢献するのならば目をつぶってやってもいいんです。しかし、貢献しないようなことではだめだということを言っておるわけでございます。
○塩出啓典君 その点、私はこれは非常にむずかしい問題で、一概にどちらがいいということはかなり検討すべき問題だと思いますが、いずれにしても毎年そういうように論議がある、税制が変わるかもしれない、そういうようなことになりますと、土地を売りたい人も、じゃ一年待とうと、そういうことになりまして、そういう土地税制をめぐって政府の中に二つの意見があるということは非常に好ましくないんではないか。そういう点で、これはもう十分やはり話し合って、本当にいま国民の住宅不足、宅地の供給、地価の安定に役立つように合意をつくって、その方向にいったならば、十年なら十年、二十年はもうそのままでいくと、こういうように私はすべきではないか。これは総理おりませんので企画庁長官どうでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 私もいまの御意見には賛成でございまして、土地税制が毎年変わる、こういうことになりますとどうしても必要な土地は出にくい。でありますから、やはり思い切った改正をする、こういうことをいたしましてしばらくの間は変えないと、こういう考え方が必要だと思います。
 それから基本的な考え方は、緩めるべき点は緩める、しかしきつくすべき点はきつくする、こういう両方の政策を併用することが必要だと、こう思います。
○塩出啓典君 これは大蔵大臣と国土庁長官にお願いしたいわけですけれども、いずれにしてもことしじゅうにけりをつけると、今年の予算編成に。それをまた痛み分けにして一年後にまた繰り返す、こういうことのないように十分ひとつ検討をして結論をつける、そういうことをひとつ約束してもらいたいのですけれども、その点どうですか、両大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 各省庁――建設省、国土庁などの要求を見た上で決着をつけたいと思います。
○国務大臣(原健三郎君) 御説のように、長期にわたって安定した税制を確立したい、これはもう各省庁一致いたしておるところでございます。いまのところは、それは大蔵省でも国土庁でもそれほど変わっているわけではございませんので、せっかくの御要望もあるし、多年の願いでもありますので、この機会に、来年度予算編成時にはぜひ少なくとも各省庁の間に意見の一致を見て御期待に沿いたい、こう思っております。
○塩出啓典君 今回の法案には住宅金融公庫等の金利の弾力化の内容があるわけでありますが、景気対策の上から、住宅金融公庫の貸出金利を三年間だけ引き上げるというようなことはこれは論外である。三年間だけ上げるのであれば、皆三年間過ぎて下がってから家を建てようということになるわけですから、これは私の私見ですけれども、上げるなら三年間じゃなしに長期的に、上げるべき――上げろということではないわけですけれども、三年間だけ上げるというようなことはこれは全く経済政策に反する。これはどうでしょうか。これは総理大臣、三年間ひとつ上げないということを……。
○国務大臣(鈴木善幸君) 金利法定化を弾力化するというところに経済金融政策として重要な意味を持つものだと、このように考えております。
 ただ、御指摘の住宅金融についての金利の問題につきましては、私は、住宅の問題がいま非常に国民の中にも強い期待がございますし、また、経済運営の上からも住宅の建設をこの際推進するということは非常に大事な時期だ、こう考えております。そういうようなことを総合的に勘案いたしまして、具体的な金利を設定いたします場合には国民の皆さんも納得できるようなことを考えていきたい、こう思っています。
○塩出啓典君 大蔵大臣にお尋ねしますが、景気対策として、やっぱり庶民が借りやすいそういう制度をつくることもぼくは必要でないかと思うんです。いろいろなそういう業種にはそれによってお金を借りられるところがあるわけですけれども、いま消費者ローンあるいは信販業界等を見て、かなり国民の要望も、月賦ででも物を買う、こういう信用残高というのが物すごくふえているわけですね。ところが、そういう消費者に対する金融については、コストの問題等から大銀行は余りやっていなかったわけですね。いろいろ聞いてみると、都市銀行にもそういうようなローンはあるわけですが、もう全然伸びていないわけですね。もっとそういう庶民が借りやすいようにする、銀行あるいは郵便局にしても。だから、銀行と郵便局がいろいろ争うのもいいんですけれども、もっと庶民の立場に立って、借りやすいように、そういうのをひとつ研究すべきじゃないか。
 また、たとえばいま恩給証書で国民金融公庫ではお金を借りることができるわけですが、最近旅行会社あたりが、お年寄りの老齢年金を当てにして、前払いというか、先に旅行に行って、後からそれて払う、そういうことで非常に旅行を募っているという話もありましたが、私は景気対策の一つとして、恩給とか年金とかそういうものを担保にして融資もできるとか、そういうような点をもっと考えるべきではないか。この点を大蔵大臣とそれから郵政大臣に御答弁願いたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、民間の銀行あるいは信用組合、相互銀行、信用金庫等に対しましては、二十万とか十万とかいう小口の現金貸し付けをもっと安直にやれるようにサービスをしなさいと。これは必ず需要があるんですから、いわゆる高利貸しというんですか、庶民金融、そういうようなところが、大きいところは五百億円ぐらいの資金で動かしているそうです。幾つもあるそうです、これが。それは需要があるから生きていられるわけですから、そういうところにまとめて金を貸すというのでなくて、多少金利も上げていいから、ともかくそういうふうな庶民金融をやってくれということを要請しているんです。相互銀行などではそれをひとつ今度やろうということで一つの商品を開発しておる。だんだんにそういうようなことに持っていきたいと、私はそう思っております。しかしながら、民間がやっておるのですから、郵便局まで結局そういうような庶民金融を広げていくということは、これは民業の分野に進出するということであって、現在の行革の精神にも反するので、まず民間でやらせるということが優先ではないかと、そう思っております。
○国務大臣(山内一郎君) 郵便貯金の貸付制度でございますけれども、四十八年一月から実施をいたしております。毎年毎年増加をいたしておりまして、五十五年度末の貸付残高は約三千億円の額に上がっているわけでございます。いまの制度は最高七十万円、それから預け入れしている預金高の九〇%、こういう制限がございまして、七十万をもう少し上げてもらいたいという、世論調査をやりますと希望が多うございます。せめて百万円までにしてもらいたい、こういうことで来年度の予算要求をいたしております。
○塩出啓典君 それから次に大蔵大臣にお尋ねしますが、今回の法律の改正によりまして、いわゆる児童手当の給付に対する所得制限というものが、自営業者の場合と給与所得者に差をつけておるわけですね。これについて大蔵省としては、これはクロヨンを認めたのではないと、このように言っておるわけでありますが、もしそういうことでありますと、自営業者と給与所得者の間に所得制限の差を設けるということは、これは法のもとに平等という憲法の精神にも反するのではないか。これはどうですか。これは厚生大臣の御意見も。
○国務大臣(村山達雄君) 今度、いままでの所得制限が四百六十万でございましたが、来年度の六人世帯の平均給与水準、それが大体三百九十万程度でございますので、その程度まで被用者、自営業者平等に落としたのが第一点でございます。その結果といたしまして、いままで自営業者の方のカバレージが大体対象児童数の九〇%が八〇%になるわけでございます。それから被用者の方は、いままでカバレージが大体七〇%のものが四五ぐらいに下がるわけでございます。
   〔理事嶋崎均君退席、委員長着席〕
 そこで、かねて事業主の方から千分の一、いま被用者の七割は出していただいているわけでございますので、そこでこの期間中特例給付というものを山さしていただきまして被用者の対象児童の人に出していただく、カバレージはそれによりまして四五を八〇までにする、こういうことをいたしたわけでございます。どこまでいくかとなりますと、大体五百六十万ぐらいまでいくわけでございます。
 したがって、以上のことを通じて申し上げますと、所得制限としてはあくまでも一緒で三百九十一万ということでございます。ただ、それによりまして実質的な支給率が変わりますので、特例給付をもっぱら事業主の御負担でこの期間中出していただく。それによりましてカバレージが八〇になるわけでございますので、従来は被用者七〇、それから自営者九〇でございましたが、今度はそろってちょうど八〇ずっと、こういうことになるわけでございます。
 それから特例給付を含めて対象児童数は両方通算いたしますと変わらないということでございます。約二百二十五万人くらい、こういうことでございます。このことはクロヨンとか何かということではございませんので、支給率の関係で、その三百九十一万で切りっ放しにいたしますと支給率が変わりますのでその間の調整を図ろう、こういうものでございまして、特例期間中の措置でございます。ついでに申し上げますと、そういうことでございます。
○塩出啓典君 クロヨンではなしに支給される人の比率を一緒にしたと。そういうことになりますと、業種別に、じゃ魚屋さんはどうか、洋服屋さんはどうかといって全部一緒にしなきゃならぬということで、私はむしろ、そういうものの支給される人の比率を一緒にしなければならないということは児童手当の趣旨から言っても客観的な要素ははなはだないわけで、いまの厚生大臣の御答弁には全く承服しかねるわけであります。
 これはこれにとどめますが、大蔵大臣はクロヨンというものはないということを発言されておるわけですが、これは確かにすべての人がクロヨンというわけではないとは思いますが、一般論としてかなりそういうものは国民が感じておるわけですね。だから、ただ感じとしてないないと言うだけではこれはいかぬわけで、それでいまクロヨンの実態というものを全国三ヵ所で調査しているわけでしょう、実態を。その結果が出て、そのデータに基づいて言うべきことでございまして、その点はどうなんですか。いまのこの調査の状況はどうなのか、また調査の結果によってはそういう認識を改めるかどうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実態調査の具体的内容は事務当局から答弁させますが、私が言っているのは、普通クロヨンというのは九割が給与所得者で六割が事業所得者で四割が農家だと、こう言うから、制度上そういうものはございませんということを言っているわけです。たんぽや畑は隠しようがないし、金庫にもしまえないし、したがってそこからの生産高については隠しようがない、ですからそれは違いますと。しかしながら一般の人は、農家の人は農業の所得の申告を見ると少ないわりに娘も息子も自動車を持っている、でっかい家へ入っている、おれたちよりも楽な暮らしをして納める税金は少ないと、すぐそう言うんですが、それは間違いでございますよと。それは息子の自動車であり娘の自動車で、娘や息子はそれぞれ勤労者で役場へ勤めていたり農協へ行っていたり、ただ同居で一緒に暮らしているから電気代も安くつく、それからいろんな、水道代も安くつくし庭は広い、自動車置き場はあるということで、それは農業の所得の申告状況はおやじさんがやっておるわけで、全体の暮らしとしては確かに豊かではありますが、それをもって四割しか所得を出していないということは言えない。
 ただ、終戦直後のように、たとえば米百俵申告して二十俵を別にやみで売った、百俵分よりも二十俵の方がそれは同じぐらいの値段で税金に関係なくふところへ入ったと、そういう時代がありました、それは。そのころの言葉がいまも残っておって、終戦後のやみ時代の遺物の言葉であるというように私は考えておるわけであります。したがって制度上はありませんと。ただ、脱税者が中小企業その他事業者には絶対ないか、それはそういうことはないでしょうと。それについては、制度上はございませんが、実態論として脱税している人がないということは申し上げられない。したがってこれには一層目を光らして、ともかくそういうことのないようにわれわれ土しては行政上の執行を強めていかなければならぬということを申し上げておるわけでございます。
○塩出啓典君 では、この問題はまた別の機会に譲りたいと思います。
 最後の問題ですが、今回の法案で昭和五十九年までを特例期間としておるわけでありますが、六十年以降の財政についてはどうなのか。この三年間何とかがんばって赤字国債をゼロにすれば六十年以降は展望が開けるのかどうかですね。私が大蔵省からいただいたこの国債の償還計画、いよいよ六十年から赤字国債の償還が年々ふえていく、一方その利払いの会もふえていく、そういう点から見ると六十年以降もかなり厳しいんじゃないかなという、率直な感じとしてどういう見通しを持っているのか。そしてまた、今回の厚生年金の国庫負担削減分も六十年以降に返すというそういうことが可能なのかどうか。また、場合によっては、特例措置は三年間と言うけれども、さらにいままでの経緯から言うともっと続けるような可能性も非常に多いわけでありますが、そういう点は大蔵省としてはどう考えているのか、お伺いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 六十年以降の財政見通しにつきましては、一概には申し上げられませんが、何といっても日本の経済がどうなるかということが一番の問題だと思います。中期展望に示すように、経済の安定成長であってもそれは拡大の方向で、GNPが伸びて、それで税収が順調に入ってくる、その間に私どもが歳出カットや経費の合理化等を進めて出費を抑えていくということになれば私はおのずから展望は開けてくる、そう思っておるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、税負担あるいは社会保障費の負担で負担すべきものを負担しないで、一時借金で立てかえて行政サービスを受けたということは事実でございますから、だれが何と言ってもこれは事実でありますから、したがって、負担をしないで要するに給付の先取りをしたということになるわけでありますので、それを返すまではその負担感といいますか、それを返済するまでは国民の負担があることでありますから、このことはもうやむを得ないことではないか、そう考えております。
○塩出啓典君 今回のこの法案は、これは総理にお尋ねしますが、第二臨調の答申はかなり中長期的な展望もあると思うのですが、しかし今回の政府の法案というものは余りにも中長期展望を欠いておるわけですね。これは、善悪は別としても、答申は、厚生年金の国庫負担にしてもこれは返済しろなんということは書いてないですね、これを見直せということを書いておるわけであって。あるいは公的保険に対する事務費の国庫負担についても同様の観点から逐次改善を図れと。私の知るところではこういう公的保険も十二種類あるわけでありますが、今回は自賠責と地震しか出していない。もちろんわれわれの立場としては、それはそういうものに反対するという立場とは別の意見として、別の問題として、この臨調の答申した内容と今回提案した法律というものは、臨調の趣旨からかなり後退をするとか、あるいはつまみ食いというか、一部分だけしか実施に移していないとか、こういう点が私は目につくわけでありますが、やはり私は行き当たりばったりではなしに、もっと中長期的な展望に立った行財政改革を今後とも進めていくべきである。今回の法案は今回の法案として、また第二臨調の本答申が出ればそれに基づいてまた次のビジョンもつくらなくちゃならないのでありますが、そういう中長期的な視点をもって行財政改革を進めるべきである。これについての御意見を承って終わります。
○国務大臣(鈴木善幸君) 御指摘のとおり、行財政改革は今回の特例法案をもって終わるものではございません。これはまさにその一部でございます。五十七年度予算の編成に当たりましても、行財政改革を進めるという観点に立ちましてこれに取り組む考えでございますし、今後臨調の答申等を踏まえ、また世論の動向を注視しながら行財政の思い切った改革を進めてまいる考えでございます。
○委員長(玉置和郎君) 上田耕一郎君。
○上田耕一郎君 私は、特例法案の問題などに入る前に、臨調路線とも深い関係のある国民的な緊急問題を二つ取り上げたいと思うのです。
 一つは、戦域核の配備問題で、それは十一月六日の本委員会の市川質問でも、レーガン大統領の十一月二日の核戦力の強化計画の中に、一般目的の潜水艦に巡航ミサイルを数百基載せるという計画が発表されて、これを質問しました。そのとき園田外務大臣は、将来の問題で、そのときもし事前協議があればノーと答えるということで明確な態度表明をされませんでした。ところが、その後、十一月十日にレーガン大統領が記者会見で、戦域核の配備あり得ると、限定核戦争あり得るということを改めて言い、同じ日にロストウ軍縮局長、これは軍拡局長の間違いじゃないかと思うんですけれども、ロストウ記者会見で、必要があれば日本、中国を含むアジア地域に戦域核ミサイルを配備するかもしれないということがあったわけですね。それで私、十一月十三日に安保持でこの問題で質問しましたが、園田外相はかなり率直な発言をいつもされるはずなのに、どうもあいまいなんですね。
 改めてお伺いしたい。日本を再び核の戦場としないためにはアメリカの戦域核配備、またそれが口実としているソ連のSS2〇の配備、これは望ましくないと外相は思われるのかどうか、明確にお答えいただきたいと思います。そして、望ましくないと思われるなら、アメリカとの会談あるいはソ連との会談で、そういう態度表明を軍縮を望んでいる日本の国としてするかどうか、その点をお伺いします。
○国務大臣(園田直君) お答えをいたします。
 一般論として、アジアのみならず世界的に米ソ間で核配備競争が行われていくことは望ましくないことは当然のことであります。かつまた、一方、米ソ間でこの軍縮に関して話し合いが促進される機運にあることは歓迎するものであります。
 次に、上田さん御質問の極東配備の問題でありますが、これは、レーガン大統領はその可能性を示唆し、局長は必要があらばという前提で言ったわけでありますが、これは核の洗礼を受けた日本として、極東に核配備等があり、日本が核の洗礼を受けるなどという危険が出てくることを望むはずはありません。私ははっきり歓迎はいたしませんということをお答えしたつもりでございます。しかしながら、いまの極東配備の問題は、いまなお米側では可能性と必要あらばということで、調査研究を行っている段階かどうかわかりませんが、必ずしも明確ではなく、また米側より具体的なアプローチがない現時点でございます。したがいまして、この核軍縮をめぐって米ソが双方に盛んにいろいろやりとりを協議前にやっております。そういう段階に、歓迎すべきものではないけれども、これについての具体的なわが国の対応ぶりをいま現時点で明らかにすることは、時期は適当であるかどうかは別問題でありまして、よく冷静に米ソ両方の動向を見ながら、一番効果のある時点で一番適切な時期に日本の対応ぶりは表明したいと考えております。
○上田耕一郎君 それでは、総理にお伺いします。
 御存じのように、いまヨーロッパではこの戦域核配備問題で数十万のデモが連日行われているという事態ですね。それで十一月三十日からは米ソのヨーロッパの戦域核配備問題での交渉がいよいよ始まるわけです。いま外相は適切な時期にということを言われましたが、ヨーロッパであれだけ大問題になっている戦域核の配備、巡航ミサイルの配備問題が、八四年から日本の横須賀、佐世保にいま入っている攻撃型原潜にも積み込まれ得る可能性が非常に強くなっている。しかも、ロストウ軍縮局長は必要あらばと言われましたけれども、これはソ連のSS2〇の配備、これはいろいろ報道されていますね。それがアジアで進めばアメリカは必要だという判断になるわけで、ヨーロッパでの戦域核の配備問題がもし米ソ間で交渉が進んで、ソ連のSS2〇の縮減というようなことがあると、その縮減された分はアジアにという可能性もあるのではないかという報道もあるわけですね。
 そこで、いま私は、唯一の被爆国であり、非核三原則を国是とする唯一の国なのですから、当然いまの時期に必要がないように、日本政府として、首相として、アメリカ並びにソ連は――このSS2〇の配備をソ連はすべきではない、撤去すべきだ、アメリカもそれに呼応した形の戦域核配備、日本あるいは中国を含むアジア地域に可能性があると言っているわけですから、それは望ましくないという態度を首相として表明すべき最も適切な時期がいま熟しつつあると思うんですね。その点、首相としての政治的判断を率直にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま園田外務大臣から申し上げましたように、戦域核の配備は世界のいずれの地域におきましても、そういうことがなされるということは好ましいことではない、私どもはそういうことがなされないことを強く期待をいたしておるわけでございます。
 このことは、私は去るオタワの先進国首脳会議におきましても、また先般のカンクンにおける南北サミットの際におきましても、一般的に経済サミットと位置づけられておったのでありますけれども、私の演説、主張の中には、いずれも軍備管理、軍縮、特に核軍縮の問題につきましては率直に日本の立場というものを訴えております。
 私は、日本が、上田さん御指摘のように唯一の被爆国として、核の廃絶、核軍縮につきましては、常に機会あるごとにこれを世界に向かって訴えていきたい、このように考えておりますし、アメリカのロストウ局長がどういう立場で、どういう考えで言ったかわかりませんけれども、わが国に対して具体的に米側からそういうアプローチがあったことはございません。そしてまた、そういう際におきましては、日本は常にそういう事前協議がございますればノーと答える、これが非核三原則を堅持しておる日本の不動の立場でございます。
○上田耕一郎君 わが党は十三日に常幹声明を発表して、この問題で明確に、米ソともにアジアに戦域核を配備すべきでないという態度を表明した。
 それで、事前協議でノーと言っても、事前協議しないで、アメリカの方はあるかないか言わない、日本政府はアメリカを信頼して確かめないということで、日本に対する核持ち込みがわからない形で行われ得るという可能性があるんですね。ヨーロッパでは陸上に持ち込まれるのであれだけ大運動が起きていますが、日本は知らないうちに戦域核の基地になっているという危険な事態が起き得るわけで、われわれは、政府にもこの問題でより明確な態度を、アジアが戦域核戦争の戦場にならないために、日本が巻き込まれないための態度をとられることを強く要請し、次の質問に移ります。
 次は、奥野法務大臣のきのうの発言ですが、奥野さん、どうも次々に問題発言を起こされるんだが、読売の夕刊を見ますと、経済対策閣僚会議で奥野法相は、「外国からみて、日本は防衛努力が十分でないという印象がある。」と、そう述べて、その後、「会議後の記者会見で「はっきり言うとだれかを批判することになるので言わないが」と前置きしながらも、「防衛努力について『憲法があるから』と言っているが、憲法はあくまで国内問題であり、外国への説明に憲法を持ち出してもしょうがない」と述べ」、読売のコメントでは、「法相の発言が、首相の一連の対応に向けられたものであることを示唆した」、こう報道されています。
 私は、この奥野発言、まあ新聞報道なので、特に記者会見でのこの発言、どういう真意だったのか、また一般論ということなのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) きのう経済対策閣僚会議がございまして、対米、対欧貿易インバランスの問題が課題でございました。大変重要な段階に来ていると思いますので、私なりに中間で意見を述べさせていただきました。それは、外国人が日本をどう見ているか、そういう立場で対応を考えていく必要もあるんじゃないだろうか、そういうことから考えると、東西問題についても、防衛力を強化できないという言い方よりも、この現状を防衛力強化に努めていくと言う方が理解を得やすいのじゃないか、こういうことを申し上げたわけでございました。終わりまして記者会見でお話をいたしました。
 きのうはたまたま行革の委員会がございませんでしたので、話が大変長う、いろいろ質問も受けたわけでございましたので、その質問の過程で、防衛力が強化できないということ、それはどういう趣旨がということでございますから、それは憲法上の制約があってできないということ。しかし、外国に話をする場合にはなかなかわかってもらいにくい、こういう式のことは言いました。長い話の中でちょっぴり出てきたことだけをとらまえて、暗に総理を批判しているというふうに持っていかれたのが二つの新聞、ございました。私は、できる限り懇談でいろいろお話をしているわけでございますけれども、特定の意図に結びつけて報道を持っていかれる、いやなことだなあという感じを深くしているわけでございまして、私が申し上げましたのはいま申し上げたとおりでございまして、私は総理を批判したいことがございますれば、直接総理にお話を申し上げます。総理のおられないところで暗に批判するというような考え方、私はそれは軽べつすべきものだ、こう思っております。
○上田耕一郎君 新聞報道では、「はっきり言うとだれかを批判することになるので言わないが」と、だからはっきりしない形で一般論で述べられた。
 首相、一般論という形だけれども、どうも首相はやっぱり憲法を持ち出しておられるのでお答えいただきたいのですが、五月の日米首脳会談で、これは外務省のブリーフィングで首相が二日目に述べたところですね。ちゃんと、憲法の枠内で自主的に整備していきたいと防衛問題でレーガン大統領に述べておられる。それから、それを受けてレーガン大統領は、第一に日本の憲法に反することは求めないということをレーガン大統領も言っているのですが、一般論としてはその奥野さんの批判に当たると思われる考えを日米会談でも述べ、この国会でも繰り返し述べておられる首相として、奥野さんの一般論的批判に対して、批判というか、一般論的発言に対してどういう感想をお持ちですか。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、奥野法務大臣とこの問題で話し合っておりません。おりませんが、私のわが国の防衛に対する基本的な方針、私の考えというものは、国会の場を通じまして国民の皆さんにも明確に申し上げております。これは母国会繰り返し訴えておるわけでございます。憲法並びに基本的防衛政策に基づいて日本の防衛政策を進めていく、こういう経済大国ではあるけれども近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、必要最小限度の国を守るための防衛力を整備する、非核三原則を堅持する、こういうことはもう繰り返し申し上げておる。これは国民の大多数の皆さんが私は共感しておることだ、こう思っておりますし、世界の皆さんにも日本のこの立場というものを十分理解をしていただく必要があると、こう考えるからでございます。
○上田耕一郎君 それでは奥野さんに率直にお伺いしますが、あなたは憲法というのは国内問題だから、防衛力増強を外国、特にアメリカから言われたときに憲法を持ち出すべきでないとお考えになっているのですか。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほども申し上げましたように、外国に対応していきます場合には、外国が日本について抱いている感情、それを頭に置きながら対応していくことがいまの場合において大切になってきているのじゃないか。日本の防衛力はゼロから出発して今日まで整備してきたわけでございますから、非常な努力をしてきているはずじゃないか。ならば、努力してきていると言ったらいいじゃないだろうかと、こう私は申し上げたわけでございまして、そのとおりにいまも考えているわけでございます。
○上田耕一郎君 しかし、日本は平和憲法を持っているんですよ。いまの自衛隊でさえ私は憲法第九条の明確な違反だと思っているんですけれども、外国からますます軍備の増強が言われているときに、自民党でさえいまの憲法の枠内でということで、集団自衛権の問題などがありますので、これ以上はできない、制約があるんだということを当然言い、アメリカ側も、レーガン大統領も憲法があることをよく承知しておるということを言っているわけです。諸外国が日本の憲法を尊重するのはあたりまえでしょう。それを持ち出す必要はない、大いにやっておるしこれからもやるというようなことを言えというのは、私はまことに憲法軽視の発言だと思うんですね。
 あなたは昨年も、日本の憲法は占領軍によって押しつけられた憲法だ、自主憲法制定必要だと、自民党はそういうことを言っているということを言ってあれだけ問題になった。今度は人倫発言でこれだけ問題になった。われわれは罷免要求も出している。その舌の根も乾かないうちにまた憲法問題でこういうことを言って、一般論として首相を批判する。私は、これは憲法九十九条の国務大臣の憲法尊重擁護義務にあなたはもう本当に違反しておると思いますね。そういう人物だと思うんですね。まあ国会も延長になって、そろそろ内閣改造なので最後に言いたいことを言おうと思われたのかもしれませんが、そういうことでは、あなた、法務大臣ですよ、法の番人でもあるわけだ。私どもは私どもの要求しているこの辞任要求、罷免要求、これはまことに正しいものだということをあなたは三度目に実証されたと思います。
 それで、さらに言えば閣内不統一という問題でもあるんですけれども、さて内閣改造の問題がそれにつながっているんですが、首相はこの間、NHKのインタビューで内閣改造問題について意見を述べられた。新聞の社説あるいは世論が今度の内閣改造に大きな注目を集めている一つには、法務大臣にだれがつくかという問題もあるわけです。それで、一体法務大臣にだれをつけるかということで世論が最も心配しているのは、また隠れ田中派、こういうような人物を法務大臣につけるのではないかということを心配しているわけです。首相のこの点の政治倫理の姿勢についても、私ども非常に大きな問題を感じています。
 十一月六日に市川質問で、臨調の土光会長が田中角榮に頼みに行った、そのお礼の催しを田中派にしてもらってまたそこへ出て行ったということを市川議員が問題にした。あなたは何と答えた。そういうことは枝葉末節だと。枝葉末節では絶対ないですよ。そこにあなたのモラル感覚の驚くべき喪失が首相自身にある。アメリカはどうですか。あのリチャード・アレン補佐官は、大統領夫人のインタビューを紹介したというので主婦の友社から千ドル、日本の金で二十数万円ですよ、それをもらって辞任問題にまで発展しようとしているんですよ。田中角榮は元総理大臣で、五億円ロッキードから受け取ったとして起訴されているわけですよ。しかも刑事被告人で、もし来年有罪判決、実刑判決があれば、直ちに収監されるという刑事被告人なんだ。その人がかくのごとき、どんどんどんどん今度出しゃばってやっていることも問題なんだが、首相がその人と平気でまたお会いになる。枝葉末節だと。あなたは八月の十九日、軽井沢ゴルフ場で田中角榮氏と懇談されたという写真まで新聞に載っている。それからまた先月は十八日、十月十八日、神奈川大磯町で七賢党のお祭りで田中元首相とまた懇談をされた。首相自身がそういう態度でいては一体どうなるのかと私は思いますね。やはり政治の倫理としてそういうことはしないという態度をあなたはおとりになるべきだ。あなた自身がそういう態度をとって、内閣改造でも、法務大臣でも、国民から一切疑惑を受けるような内閣改造のポストはしないということを、一般論で結構ですからどうお考えになっているか、述べていただきたい。
○国務大臣(奥野誠亮君) 私がきのう申し上げましたのは、自衛力の整備の状況、現状についての説明の仕方でございまして、現状をどう強化しろ、弱化しろということは一切言ってないんです。現状をどう説明するかについては、こういう姿勢をとった方が外国の理解が得やすいのじゃないだろうかという意見を申し上げたわけでございます。
 また、憲法の解釈につきましては、共産党は自衛隊は違憲だとおっしゃっている。私たちは自衛隊は合憲だと考えているわけであります。自衛の範囲にとどまる限りにおいては自衛隊を整備することは何ら憲法の禁止するものではない、こう考えているわけでございます。ここは御理解いただきたいと思いますし、共産党の方々はことさらに何か意図的に持っておられる。いまも隠れ田中派などという私に対する批判がございました。私はずっと無派閥を通している人間でございまして、誤解を与えるような言葉はぜひ避けていただきたい。私は法務大臣といたしましても、国家社会のことを基本に考えて努力しているつもりでございます。
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、行政改革の問題を論議しておった際に、おける御質問でございます。そういう中で、土光臨調会長がどなたに会って協力を求めようと、そういうことを目くじらを立てるようなそういうことではないということを私は申し上げた。また、お互いに。国会議員として、ゴルフ場で会おうが、会えばあいさつをするというのが私は人情の自然だと、こう考えておりまして、あなた方のように、もうこういう人間とは一切つき合わないんだ、こんりんざいもう言葉も交わさないんだというような私は考えを持っておりません。やっぱり同じ国会議員であり、また一緒に衆議院に当選した、二十二年に当選した人間として、会えばあいさつを交わすというぐらいのことは、それをあなたがどうこうと言うことはいかがかと、こう思いますよ。
○上田耕一郎君 その政治姿勢が問題なんですよ。やっぱり一国の首相ですからね、元の首相の刑事被告人に対して厳しい政治的なモラルをあなたが示さないから、日本の政治の最も汚れた部分がここに出ているというので、新聞その他も問題視しているわけです。あなたがそういうお考えだとすると、どうなんですか、自民党総裁として今度は三役人事もあるんだけれども、党の最も重要なポストの幹事長に、灰色高官と目されており、衆議院のロ特委で、法務省報告によっても、丸紅の伊藤宏から五百万円を寄贈されたことが明確にされているある灰色高官、そういう人をつけるようなことは、これも枝葉末節だ、目くじらを立てていると、そう思われるのかどうか。そういう天を恐れないようなことはあなたはまさかしないだろうと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) まだ具体的な大事について考えを持っておりません。また、あなたから自民党の大事についてあれこれ言われる立場にはない。
○上田耕一郎君 単なる与党の人事じゃないんですよ、単なる。自民党の政治、日本の国民が――いま政権は自民党がとっていますからね、日本の政治をどう清潔にするかという問題の一つの中心点なんですから、あなたは逃げて答えられなかったけれども、この点について本当に政治家のモラルをしっかり守った態度で、やっぱり世論に耳を傾けて態度を持されることを希望したいと思います。
 次に、臨調の第一次答申の問題についてお伺いしたいんですけれども、われわれこれまで特例法案についてさまざまな角度から、これが軍拡のための福祉、教育、地方自治の切り捨てであるということを追及してまいりました。政府が言を左右にしている問題が幾つかございますけれども、一つに特例法案の延長問題があります。これは十月六日、衆議院の金子議員が中曾根さんの経団連幹部との懇談問題を取り上げて質問したのに対して、長官は、特例法の期限が過ぎればやめるのが原則であります、将来のことは将来考えるということでありますというように述べられたんですね。どうもはっきり三年たったらやめるということを言われない。長官は幾ら聞いてもそういうことを言われるので、ひとつこの行革に政治生命をかけていると言われる首相にこの点をお伺いしたい。三年後にこの特例法案、時限立法として廃止することを明確に首相として約束できるのかどうか。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは、法律案でも明記しておりますように三年間の特例法案でございます。したがいまして、この適用期間がなくなればこれは消滅をすると、こういうことに、なります。
○上田耕一郎君 消滅するという総理のお言葉を確認しておきたいと思います。
 さて、この特例法案は臨調路線の序の口で基本答申がさらに六、七月ごろ出てくる。来年の予算編成はこの第一次答申の本格的実施になる。再来年には第三次答申まで出てくるわけですね。八〇年代前半の国民的な大問題がこの臨調路線に基づく政府の言う行革になるわけですが、政府はこの第一次答申について最大限に尊重するという態度を表明されておりますが、この答申は国全体の歩みを変えるということをはっきりうたっております。これは国民にとって非常に大きな被害をもたらし得る、もたらすに違いない方向としか私ども思えない。中曾根長官にお伺いしたい。この答申には二つの理念が書いてありますね。一つの理念は活力ある福祉社会の実現ということになっている。長官は十月十四日の委員会での答弁で、この答申の中にある真に。救済を必要とする者、援助を真に必要とする者、これには国家がやらなければならぬということを言われて、真の弱者というのはなかなか見分けがむずかしいと、そう答弁されております。真の弱者といったって見分けがむずかしいんだが、とにかく平均以上の者、あるいは平均の者にはがまんしてもらうということを答弁された。そうしますと、真の弱者は見分けがむずかしいといって、どこまで援助するかわからぬ。しかし、とにかく平均から上は全部がまんしてもらうということになると、福祉水準はどうしても下がるということになると思うのですが、どこが一体活力ある福祉社会ということになるのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 必ずしも福祉水準が下がるとは限らない。たとえば今度の児童手当の場合のように、片方では制限が強まりますけれども、片方では恩典を受ける範囲が広がる。そういうような機宜の処置もしておるのでありまして、同じ枠内でどういうふうにこれを分けるか、そういう場合にやっぱり本当に苦しんでいる人の方へ重点を注ぐ、本当に困っている人にできるだけ一〇〇%、一二〇%やってあげる、そういうのがやはり人間としてのあり方ではないかと思います。
○上田耕一郎君 実際には下がることにならざるを得ないと思うんですね。私ども臨調の専門調査員からいろいろ聞きました。細かくやっていると大変なんですけれども、いま児童手当問題をあなたはおっしゃいましたが、臨調の専門調査員から聴取しますと、第一特別部会でどういう審議をしているかというと、児童手当はばらまき福祉の最たるものだ、だから廃止せよ、第四子からにしたらどうかなんという意見が沸騰したというのですね。しかし、これも市川質問で言いましたが、六十六カ国が児童手当を実施しているうち、先進国はほとんど第一子からなんですね。そういう状況にあるわけで、先進国ほとんどが、五十八カ国が第一子でやっているのに、一体臨調の部会での討論でいいますと、こんなのはばらまき福祉だと。答申には過剰な関与はやめようというふうになっているわけでしょう。こういうものを過剰な関与だというように考えているわけですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 過剰な関与などとは思いません。総理も累次にわたって児童手当は堅持いたしますと、そう言っておるのであります。
○上田耕一郎君 保育所増設も、いまの家庭の主婦が働く必要もないのに小遣いかせぎのアルバイトのために子供を預けておる、保育所増設は一切やめるべきだというような討議を臨調の部会の中ではやっているというんです。私学助成カットというのも、大学進学率がヨーロッパの二〇%強に対して日本は格段に高い三七%、大学はレジャーセンター化して国の将来に役立たない、そのために私学助成を減らすという意見が多数だった、こういう議論を協調はやっているんですよ。一体どうなりますか。私は、こういうのをすべて個人の自助自立を妨げる過剰関与だといってどんどんカットしようというのが臨調の第一の理念で、それで国の関与は少なくして民間の活力、つまり大企業には自由にやらせようというものだとしか受け取れない。
 次に第二の理念。これもまた大変なもので、「国際社会に対する貢献の増大」ということがうたわれている。ここには、抑制すると書いてはあるけれども、「国際的責任を果たすための経費の増加は必至であるが、」と、「経費の増加は必至」だということをこの答申自体がうたってあるわけです。それで何が必至かというと、「経済協力」「防衛」ですよ。これは四十九ページを見ますとこうなっている。「我が国の外交、防衛、対外協力等の在り方、エネルギー政策、科学技術政策」、こういうものを「確保し得る行政体制を確立する」ということになっているんで、つまり臨調答申の第二の理念というのは、多少抑制はしても、こういう国際協力の防衛、外交、エネルギー、対外協力、こういうものがふえるのは必至だということになっているんですな。こういう考え方も政府は最大限に尊重するという態度で臨もうとしているんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 国際協力を促進するということは日本の憲法にも合致するところでありまして、私は正しい考えであり、それを否定する共産党はどうも考えが変じゃないかと思います。特に、いまのような状態のもとに、総合安全保障ということを言っておりまして、そのほかにも日本が世界から孤立しないためにあらゆる面で世界と友誼を図っていく、そのために多少苦労してもお金を出し合ってそういう意味の友誼を深めるということは、孤立を避けるためにも非常に大事な時代に入ってきていると思っておるのです。
○上田耕一郎君 その国際協力も、紛争周辺国なんていうんで中米にまで手を出す、それから中東のオマーンにまで手を出すというように、ますますアメリカのレーガン戦略にのっとるものになろうとしている国際協力と防衛でしょう。こういうものの経費増加は必至だと。そして片方では私学助成から何から、福祉、教育は切り捨てていこうと、こういうものじゃないですか。理念そのものがそういうものだと、そう私は事実に基づいて断ぜざるを得ません。
 それで、防衛問題が具体的な実証テーマになっているわけですね。
 塩田さんにこの防衛問題についてお伺いしたいんだが、塩田さんは七月二十八日の参議院内閣委員会で、ハワイの事務レベル協議の内容について答弁されました。そこでは、アメリカが、日本の領域あるいは周辺海空域及び航路帯にあっては約一千海里、そこの防衛は日本がやってもらいたいと、こういうふうにアメリカが述べたということを答弁をされております。私は、これは日米共同声明の第八項の役割り分担に基づいて、この周辺数百海里、航路帯一千海里、日本はここを守ってくれと、そうアメリカが言っていることだと思いますが、塩田防衛局長、事実を述べてください。
○政府委員(塩田章君) ハワイにおける協議の中で、アメリカ側が日本に対するいろいろな期待表明を述べたわけでございますが、その中で、それ以前によく伝えられておりましたように、シーレーンの防衛について、グアム以西、フィリピン以北でありますとか、いろいろなことが伝えられておりましたが、そういうことではなくて、日本が自分で防衛したいと言っておる日本の周辺海域、あるいは航路帯を設ける場合においては約一千海里程度という防衛についてアメリカは期待するという趣旨の話があったことは事実であります。
○上田耕一郎君 防衛庁はそれに対してどう答えたんですか。
○委員長(玉置和郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(玉置和郎君) 速記を起こして。
○政府委員(塩田章君) この話は一問一答のような形でやったわけではございませんので、一つ一つそういう話にどういうふうに答えたというようなやり方ではございません。
○上田耕一郎君 じゃ、どう考えているんですか。
○政府委員(塩田章君) われわれはかねてから防衛計画の大綱の考え方に基づきまして、日本の周辺数百海里、航路帯を設ける場合にあっては一千海里程度はみずから守れるだけの海上防衛力を整備したいということをかねてから申し上げておりますが、現在でもそのとおりの考え方であります。
○上田耕一郎君 つまり、日米意見一致したわけだ、この問題では。それで首相、アメリカがそういうことを言い出すのはあなたに責任があるわけですね。これは何回もわれわれ問題にしてまいりましたが、衆議院の予算委員会で榊委員がこの問題を取り上げて、あなたはこう述べた。「わが国としては、周辺海域数百海里、航路帯として一千海里、そういうものを防衛していく、防衛の範囲内と考えておる」、こういうことを申されたわけでございます。つまり、周辺海域数百海里、一千海里はわが国の庭先で、ここを守るんだと、こうあなたは考えているわけですね。
○国務大臣(鈴木善幸君) これは私が五月に訪米いたしました際に、ナショナル・プレスクラブでの講演、それに対する聴衆からの質問に対して、政府が国会でしばしば御答弁申し上げておりますようなものでございまして、わが国周辺数百海里、航路帯で考えた場合には一千海里程度と、これは航路帯で考える場合におきましても、わが国の船舶を守るというだけでございます。よその国の船舶を守るというようなものではございません。わが国ははっきり集団自衛権というのは私は憲法上疑義があるとこう考えておりますから、あくまで航路帯、シーレーンにつきましては、わが国の船舶、それは一千海里程度を守っていこう、また海上自衛隊もそれ以上の能力はなかなか持てない、大変な規模のものになろうかと思いますから、そのように考えておるわけでありまして、これは予算委員会でも、安保特別委員会でも、国会の論議の中で常に政府が申し上げておる点でございまして、それをナショナル・プレスクラブの講演で、私が質問に答えて申し上げたと、こういうことでございます。
○上田耕一郎君 これはきわめてやはり重大な問題だと思うんですね。なぜなら、昭和三十三年十月三十日の衆議院予算委員会で、当時の岸首相は、憲法上日本の防衛の義務は日本領土内に限られていると、そう答弁した。グアムを含めた西太平洋は防衛の範囲に入らない、こうはっきり昭和三十三年に岸総理は答弁した。いいですか。あなたは、岸総理が防衛の範囲に入らないと、憲法上、その西太平洋を日本の庭先として守るということをアメリカに約束されてきたわけです。
 いまこのナショナル・プレスクラブでの記者会見のことをあなたは述べられたので、ここに外務省発表の私は文書を持ってきた。あなたはこう述べている。アメリカは「第七艦隊をインド洋、ペルシャ湾方面に移動し、同地域の安全の確保にあたっている。その際、日本の周辺海域が留守になる。これは、やむを得ないが、少なくとも日本の庭先である周辺の海域を自分で守るのは当然のこと」だと。アメリカが留守になるところを周辺海域を守ろうというわけでしょう。これは海域分担じゃありませんか。アメリカが留守になったところを守ると。塩田さん、どうですか、これはやはり海域分担ということになるでしょう。
○政府委員(塩田章君) いま先生がお述べになったところはそのとおりでございますが、その次に、「少なくとも日本の庭先である周辺の海域を自分で守るのは当然のことで、周辺海域数百マイル、及びシーレーンについては約一千マイルにつき、憲法を踏まえつつ自衛の範囲内で、防衛力を強化するとの政策を推進している。」、こういうふうに総理は述べておられるわけでございます。全く私どもがかねてからお答えしていることをそのとおり総理もおっしゃっておるわけでございまして、先生がおっしゃいましたように、アメリカが留守になったから日本が守るといういわゆる海域分担論ではなくて、アメリカが、第七艦隊がインド洋、ペルシャ湾の方面に行けば行っただけ手薄になること、それは行っている聞手薄になることは事実でございますけれども、もともと日本は、日本の周辺数百海里、航路帯を設ける場合には大体一千海里を守ると、守ることを目標に整備しておるということは、かねてから申し上げておるそのことを総理もおっしゃっているだけでございます。
○上田耕一郎君 これは違うんですよ。かねてから言っているのは、防衛範囲は領土、領海、領空だと、それを守るために作戦行動としては公海に出ることもあり得ると。これは政府の統一見解やわれわれに対する答弁書で何回も言っていることです。それを、防衛範囲を西太平洋まで広げちゃったら、今度はそれを守るためにさらにまた外まで作戦行動範囲が広がるということになるじゃありませんか。しかも、同じ鈴木内閣の伊東外務大臣、抗議してやめられたようですけれども、伊東外務大臣は五十六年四月七日の内閣委員会で、海域分担論、これはグアム以西、フィリピン以北というのはアメリカから言われたと、これはこういう海域分担論をやると――こう書いてある、海域分担論ということで考えれば集団自衛権ということになってくるわけでございまして、憲法の認めるところではないと、そう考えて、それはできないのだということをアメリカに言ったと言っているんです。ことしの四月に伊東外務大臣はそういうことを言っているんですよ、海域分担等はやらない、憲法違反だと、集団自衛権になると。それをあなたは日米会談で、共同声明第八項で役割り分担を認め、ナショナル・プレスクラブで周辺海域を庭先として防衛すると、さらに国会でも答弁し、さらにハワイ事務レベル協議では、アメリカがそこを守ってくれと、これは守りましょうということになって、これがいまの日本の軍事力増強のレーガン政権が要求している最も大きな根源になりつつあるわけですよ。
 私は、この問題で首相の責任の追及、これまでの岸首相の答弁と、それから伊東外務大臣の答弁との大きな食い違い、これを問題にしたい。政府としての明確な統一見解を要求します。
○国務大臣(鈴木善幸君) 伊東前外務大臣のいまの海域分担論に対して、これは日本として憲法上客認できない、これは私と打ち合わせをし、私の指示に基づいてそういう発言を伊東君はしておるものでございます。
○上田耕一郎君 あなた自身が、あのときの指示と、日米会談で約束してから変わったんですよ。これは非常に重大な問題なので、今後ともわれわれはもう徹底的に追及する。だからアメリカは、そんなに広いところを守るのならP3C足りないじゃないか、四十五機を百機にしろ。F15も百機じゃ足りないから二百機にしろと数字まで挙げているわけでしょう。
 さて大蔵大臣、市川議員がこの問題で、P3C、F15もちゃんと抜本的に見直すのかということを聞いたら、あなたはあのとき、ずばずば切るということを答弁されましたね。きょうの毎日新聞には、大蔵省は防衛予算のあり方について四%台の伸びにとどめる方針を明らかにしたと。公務員給与の引き上げに伴う人件費増分二・四%を含めた全体の防衛予算も七%未満とする方針だと。具体的にはF15十機、対潜哨戒機P3C五機の五十九年度分繰り上げ発注は巨額の後年度負担をもたらすため一切認めない。二、五十七年度発注分F15三十二機、P3C十二機も一部五十八年度回しとするということを決めたと報道されておりますけれども、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もこれを見て実はびっくりしたわけでございますが、それを決めたことはありません。ありませんけれども、なるほどなあと思うところもあるし、これは当たってないなあと思うところもあります。
○上田耕一郎君 いろいろ検討している中に、こういう一つの方向も検討対象になっているというふうに理解してよろしいですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、防衛費については日米安保の関係もあって当然に別枠扱いをしたわけですから、それはそれとして認めるとしても、しかしながら後年度負担がある時期にうんと集中するというふうなことで、将来財政的にその年の支払いがつかぬ、これは困るわけですから、やはり着実に増強するにしても、やり方についてはこれはいろいろ財政再建との関係もあって創意工夫をこらしていきたいと、そう思っております。
○上田耕一郎君 F15、P3C、これは一機とにかく百五億、百十億円という大変なものなので何度も強調しておりますけれども、本当に福祉、教育の被害がなるべく少ないためにも、後年度負担というのは、今度は五十数億ちょっと手付金が出ておるだけでもう後大変ですからね、きっちりした態度をとっていただきたいということを重ねて要請しておきたいと思います。
 さて、次に特殊法人の問題に移りたいと思います。この第一次答中でも特殊法人問題いろいろ書いてありますね。
 まず、中曾根長官にお伺いをしたいのですが、三十七ページに特殊法人の役員の給与について、国家公務員の給与抑制措置に準ずる、退職手当について、経営形態のあり方などとあわせ検討するとなっておりますけれども、行管庁としてはこの役員の退職金についても公務員に準ずるべきだというふうに考えないのですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 給与という場合には恐らく給与体系という意味でありまして、当然入ると思います。
○上田耕一郎君 退職金も国家公務員に準ずるというのでいいのですね。これはなかなか非常に重大な答弁なんですね。
 これは国の特殊法人じゃないけれども非常に世論を驚かせた例に、東京都の信用保証協会の理事長が六億八千万円の退職金をもらったというのでびっくりしたことがありましたね。あれは、じゃどういう計算をしているのかといいますと、これはどこかで聞こうと思ったら、なかなかこれはどこが管掌しているのか、複雑らしい。本当はどうも大蔵省らしいんですが、こういう計算になっている。勤続の月数に百分の七十五を掛けるんですな。それで勤続月数、この方は理事長を三十二年やったんです。そうしますと、勤続月数にやめるときの月給が百五十五万円だったので、これに月を掛けますと約四億五千万円なんですね。これに功労加算金を半分つけて、何と六億八千万円になったという大変な例なんですね。これは大体国の特殊法人の役員の退職金の計算の仕方にまねて、係数はちょっと多いです、百分の七十五だから。国の場合は百分の六十五から始まって、いろいろ問題になって、いま百分の三十六まで下がっているんだが、百分の七十五で計算したんですな、六億八千万円。これは東京都もその後若干の手直しをしておりますけれども、こういう驚くべき退職金が出るというのは、たてまえは特殊法人の役員をまねておるわけですね。
 それで私は、これはどこにお伺いすればいいんですか、大蔵省か行管庁か――総理府ですね。一体、公務員の退職金の計算の仕方、それから特殊法人の職員の退職金の計算の仕方、それから役員の退職金の計算の仕方、これについて述べていただきたいと思います。
○政府委員(窪田弘君) まず公務員でございますが、これは国家公務員等退職手当法によって決められたところによるわけでございます。職員の場合でございます。たとえば大蔵省所管の日本専売公社の場合でございますと、これは国家公務員と同じ国家公務員等退職手当法を適用しております。次に役員でございますが、たとえば日本専売公社法によりますと、これは退職時の俸給月額に役員の在職月数を掛けまして、それに百分の三十六を掛ける、こういう式によって算出することになっております。
○上田耕一郎君 ちょっと聞いていておわかりにならぬと思うんですけれども、公務員の職員の場合には勤続年数が基準なんですね。勤続年数について、大体勤続一年について一ヵ月であると。いいですか、勤続年数が基準なんです。役員だけは勤続の月数が基準になっている、だから十二倍になるんですよ。さっきのそれに係数がかかるんだが、百分の七十五を掛けても八カ月分になるんですよ。百分の三十六掛けても四ヵ月分になるんですね。八カ月分をもらうなんというと、これはもう月給二倍になるんですな。二倍月給を取っているみたいなもので、しかも公務員の場合には頭打ち六十ヵ月、職員の場合には、特殊法人職員の場合には頭打ち五十五カ月となる。勤続年数を基準にして頭打ちがあるので、そう物すごい額にはならぬのです。ところが、役員の場合には頭打ちがない、青天井なんです。しかも、勤続月数を基準にして計算するからこういう莫大なものになるんですね。今度、日本住宅公団、宅地開発公団が統合されました。両方の役員合わせますと二十四名、この方々が退職金をもらった。これいつもらっても同じですけれども、総額二億八千万円、この役員の方には、そう長い勤続年数の方はいないのに払っているんです。これはこういう計算式をやるからなんですね。
 私は、ですから、これはなぜこういうとんでもないことになったかというと、民間を考慮したんだと言うのだが、今度の答申を見てもこう書いてある。しかも行管庁長官は、退職金についても給与体系ということで公務員に準ずるという御答弁があったので、勤続月数ではなくて勤続年数を基準にしたそういう国家公務員の退職金のそれに合わせるということだと理解しますが、それで長官よろしいですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう方向で検討するという意味です。臨調の答申についてはすべて検討するということになっておるわけです。
○上田耕一郎君 それでは次に、この間衆議院の建設委員会でわが党の中島議員が追及しました本四架橋の談合問題に移りたいと思います。
 まず建設省、斉藤さん、この間調査するとお約束になられましたが、調査結果どうだったでしょうか。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 先生御指摘のように、さきの建設委員会で中島議員さんからの質問がございまして、調査をするということをお答えいたしました。その結果、当該資料につきましては、指摘された業者が作成したものでないとの報告を受けておりますので、疑いのあるような事実はなかったものと確信いたしております。
○上田耕一郎君 これはまあ大変驚くべきことであります。われわれの調査によりますと、中島議員があの日二つの文書を発表しました。翌日、各社の営業部長に全部コピーが渡り、社内では、一体だれから出たんだというので内部告発者の調査が始まっております。本四公団は退職者まで含めて調査を始めまして、あれは七三年のことでちょっと古いので、倉庫を全部ひっくり返して地図を調べているんですな。そういう調査をしたと。その結果、わが党が発表したものも、あのコピー図はちょっと現物そのものじゃなくて、きれいに書きかえてあるということなので、どうやら証拠資料にはならないみたいだというふうに安心しているというのですけれども、建設大臣は、恐らくそういう報告を受けて、事実はないというふうに言われたのだと思うんですね。これはとんでもないことで、これはもう事実あるんですよ。あの文書はわれわれが創作したものじゃないんです。ちゃんとある社の会議の文書であります。七三年九月の営業本部担当部長会議の、そこで作成された文書なんです。しかも、何ら事実はないと言うんだが、朝日によりますと、土工協の方は試験工事の委託があったのでやったんだ、そのときの文書だということを述べているというのですがね。ひとつ本四公団総裁にお聞きしますが、本四公団総裁としては、この問題、調査されましたか、どうでした。
○参考人(尾之内由紀夫君) お答えします。
 建設大臣から調査するようにということを御指示がございまして、当公団としても調査いたしました。あの資料にございました関係十六業者の担当者を呼びまして、この資料についての照会をいたしましたが、各社ともこの資料については心当たりはない、こういうような回答を得ております。
○上田耕一郎君 資料について心当たりがないといっても、あのまだ指名業者も決まっていないときに文書ができて、そのとおり全部署り振られている。談合は明白じゃありませんか。談合の事実があったかないかを調査しましたか。
○参考人(尾之内由紀夫君) 当公団といたしましては、この瀬戸内海の架橋は大変大規模で、かつ技術的にむずかしい問題をたくさん含んでおりますので、昭和四十五年に公団を発足いたしましたけれども、それ以来五カ年にわたりまして、こういった問題について、特に海中における基礎の施工について最も経験のある日本土木工業協会に委託しております。土木工業協会では、それらの工事を実施するに当たって、能力のあります専門的な方々を集めまして、部内でその私どもが委託いたしました調査をしております。これは、調査の内容は特に専門的な、いままで未経験のものを対象としておりますので、工事全体とは直接関係がないと、かように考えております。
○上田耕一郎君 全くもうあきれ果てたものですね、公団も建設省も。このルート図も、まだ本当に業者さえ決まっていないときの七三年の九月というと、三ルートを決めたときなんですよ。そのときに、三ルートをやろうということを国が決めた途端に、早くもこういう文書がつくられて、四つの橋についてだれとだれのどのジョイントベンチャーが受けるかというのが全部決まった。このルート図と、それからある社の文書をわれわれは明らかにしているわけですね。それを証拠資料としてはありませんとか、事実はありませんとか、全くあなた方は調べる気もないんだ。こういう特殊法人の中身こそ、私は臨調は厳密にメスを入れるべきだと思うのです。本当にもう世論も何も恐れない行為だと私は思う。
 さて、もう一つの談合問題を共産党の赤旗日曜版十一月十五月付に、やっぱり本四架橋に関連するものを私どもは本四公団職員、それから会議に出席していた大手建設会社の何名かの複数の証言に基づいて明らかにしてあります。この談合問題は、われわれが暴露した七三年の談合に続く六年後の七九年二月二十八日です。二年ちょっと前の非常に最近のことですね。何についてかというと、これは鳴戸大橋にくっつく門崎高架橋下部工事ですね、これも市川質問で取り上げましたな。三億二千万円か積算ミスがあったと会計検査院が追及したものです。三億二千万円の積算ミス、これは土台掘削工事を何と二倍に、三億円でできるのを六億円という積算だったんですよ。それを全部みごとに入札は当たった。それで、市川さんがすべて入札参加者が全部同じ積算ミスをしたのかというふうに問題にした。会計検査院でさえ問題にしたものです。
 しかも、この談合は本四公団の会議室で行われた。虎ノ門第二十二森ビル内二階の会議室で行われた。木四公団の山本栄造調達補償部長が出ていって、最後に、皆さん方で編成をお願いしたい、あしたまでに至急提出していただきたいと言って引っ込んだ。ちゃんと談合やってジョイントベンチャーを組んでやってくれ、編成してくれと。そうすると、入れかわりあらわれたのは業界最大手鹿島建設の海山信二常務。清山氏が、鹿島の清山です、ジョイントベンチャーを編成していただきたい、本命は国土さん、大豊さん、森長さんですからよろしく、残りの組はくじ引きでというので、最後は名刺のくし引きをやって決めたというんです。こういうことをやっているんだな。
 それで、まさにちゃんとこのジョイントベンチャーがみごとに落札しているんですよ、三億二千万のインチキ積算ミス、間違いを含めた二十七億か何かのあれでね。これももう明白じゃありませんか。建設大臣どうですか。あなたは市川質問に対して、そういうことはないことを信じたい、善良な意図であろうと答えられましたけれども、この新たな私どもの事実に基づく調査に基づいて、この問題も調査していただきたい。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 私は、いまだに信じてはおりますが、新たな問題提起でございますので調査をさせていただきます。
○上田耕一郎君 公正取引委員会にお伺いしたいんですが、私どもの中島さんが暴露したのは七三年ですから、独禁法が五十二年に改正されて三年間遡及適用できるようになって、三年以上たっていますのでこれはなかなかむずかしい問題かもしれぬけれども、今度の新たな門崎高架橋下部工事の談合については二年数ヵ月前です。三年以内。独禁法違反として、公取としてもこの問題を重大な関心を持って調べていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○政府委員(伊従寛君) 公正取引委員会としましては、公共事業の入札談合については強い関心を示し、独占禁止法違反を推認させる具体的な情報に接した場合には厳正な態度で対処する所存でございます。
 ただ、談合入札につきまして独禁法違反が成立するためには、一定の取引分野における競争を実質的に制限することが要件になっておりますので、独占禁止法上問題としている入札談合は、一定の地域的広がりにおいて談合についてのルールを定め、談合を継続して繰り返して行う場合でございまして、御指摘のケースがそれに当たるかどうかにつきましては現在直ちにお答えできる状況にはございません。
○上田耕一郎君 この工事はその一、その二とずっと続いていますから継続していると思うので、ただいま答えられないと言うんだが、本当に本気で国民が大きな関心を持っておるのでやっていただきたい。
 本四公団総裁、この問題調べられましたか。日曜版ですでに出ておりますが。
○参考人(尾之内由紀夫君) 当公団としても、調べられる範囲は調べるつもりで調査しております。
 前段の当公団前部長のことにつきましては、本人を呼びまして確かめました。その結果、これは正規の指名手続をとったものでございまして、別に談合とは全然関係ないことが明らかになりました。
 それから後段の問題につきましては、これは業者の中の問題でございますので、私どもは、ただいま調査しておりまして、まだ本日お答えする段階ではございません。
○上田耕一郎君 山本部長というのは退職しまして、いま浅川組の大阪支店常任顧問だそうですな。山本部長を呼んであなた方は調べたと。そしたら、編成と言わないで結成と言ったとかなんとかいうふうに答えたとかいう話も私ども早くも耳に入っておりますけれども、こういうことで許されませんよ。あなた方の公団の二階の会議室でやっているのですから。それで山本さんが引っ込んで、ぽっと出てくるんですからね。もう全部ツーツーですよ。予定価格も全部教えているんですよ、あなた方は。ほとんど全部そうですよ。
 それで、私はこの問題の明確な調査を公団も建設省もしていただきたいということを重ねて要望して――この談合問題というのは、いま静岡の問題、茨城の問題、本四架橋をめぐる問題など大変大きな問題になっている。これは私は非常に根が深いと思うんですね。
 私は、行管庁にお伺いしたい。行管庁は五十六年八月にこの問題について、入札制度問題で調査結果報告書をまとめておられる。それで指名競争入札、一般競争入札、随意契約、このパーセンテージ、どういう結果が出ていますか。
○政府委員(中庄二君) お答え申し上げます。
 私ども調べましたのは約一万六千件で、金額にしますと一兆円でございますが、これの分類をやりました。これは行政機関の分だけでございます。その結果でございますが、一般競争契約、件数ベースでございますが一・六%、指名競争契約が六〇・七%、随意契約件数が三七・七%、以上となっております。
○上田耕一郎君 法律の原則論から言うと、会計法ではどういうことになっていますか。
○政府委員(窪田弘君) 一般競争入札が原則でございまして、これによることが不要ないし不適切の場合のみ指名競争ないし随意契約によることになっております。ただし、会計法令は普遍的な一般的な原則を決めているものでありまして、具体的な契約制度はその運用によって適切に行うということになろうかと思います。
○上田耕一郎君 事態は、だから業者がただ悪い悪いというわけじゃないんです。監督官庁も先ほどの、何でもございません、信じます信じますという監督官庁の答弁にあるようにぐるなんですよ。特に超大手とぐるになっていると私は思うんですね。大体、会計法上は一般競争入札が原則だというんでしょう。その原則なのがわずか一・六%しかないんですから。指名競争入札が六〇・七%だというんでしょう。それで、この談合が行われるのは指名競争入札だ。一般競争入札は困難なんです。困難なのは一・六%になっちゃっている。それは官庁も地方公共団体も発注側が指名競争入札でやるからですよ。だから談合にこうなってくるというわけでしょう。だから会計法上の一般競争入札が原則なのに、これがもうわずか一・六%に縮小しているこの現実は、政府並びに地方自治体にも、非常に大きな発注者側の責任があるんです、親方日の丸で。また、建設業界にも体質上問題がある。私は、ここを直さないとこの問題、本格的にやっぱり直らぬと、そう思うんですね。私どもは、一般競争入札に、特別な場合を除き、すべきだと、こう言っている。岡崎市ではしたそうですな。新聞の報道によると、一般競争入札にしてみたら入札価格は一〇%から一五%低くなったという実例がすでに出ているんですよ。
 ところが、建設省の官房長は、この問題が取り上げられたら、そんな全部一般競争入札にしたら金がかかっちゃって事務費が膨大にって何もできないというような答弁をされているんですね。私は、ですからこの問題は非常に根が大きいと。この入札制度問題というのは国際的にも非常に大きな問題になっておりますけれども、この事態を抜本的に解決する方向を探求する必要がやっぱりあると思うんですね。
 大体、一般競争入札がわずか一・六%、このような実態。発注者側の姿勢の問題、入札制度の問題、現実からきわめて遠く離れて立ちおくれている。業界の体質の改善の問題等々があると思うのですが、建設省はこの問題について、たとえば提案としては、予定価格から積算基準から全部公表したらどうかというような提案ももうすでに新聞紙上に出ておりますけれども、どうやってこの問題を解決していく、見直しですね、これをやろうとしているのか。たとえば新しい審議会をつくって本当に調査してこの問題を解決していこうとしているのか等々、この点について建設省のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 各地におきまして、このたびの御指摘につきましては大変遺憾に存じておるところでございます。私といたしましては、総理の命を受け、厳しい指導、また関係法令の遵守を厳しく通知しておりましただけに大変遺憾に存ずるところでございます。先ごろもまた重ねて関係者を集めまして傘下企業に徹底するように申し伝えたわけでございますが、先生御提言の、なおこうした問題についての制度等をひとつ考えるべきでないかというようなお話でございます。何とか、従来からこの制度を最もよしとしてきたわけでありますが、こうした問題点が生じたという機会でございますので、ひとつあわせていろいろな問題について研究いたしたいと考えるところでございます。
○上田耕一郎君 私も建設委員でもありますので、この問題大きな関心を持っておりますが、建設業界約五十万の業者がおりまして、特に中小建設業者は非常に倒産が多いんです。そういう中でこういう問題がいま生まれているわけですが、私は、業界の本当の民主化、それから発注者側の親方日の丸的態度でないやり方、国際的な事例にも学んで、これだけ大きな問題となっているこの問題を、国民の税金を使うものでもありますし、本当に解決するために建設省も努力する、われわれも努力するということをやってまいりたいと、そう考えます。
 もうそろそろ時間がなくなってまいりまして、予定していた問題も若干飛ばさざるを得ない問題も出ておりますが、地域振興整備公団の福岡・広川工業団地の問題についてひとつお伺いしたいと思います。
 これは九州では新聞でもどんどん取り上げる、大変な問題になっておりまして、これは地域振興整備公団が福岡県土地開発公社を代理人として八女郡広川町で中核工業団地、この造成をしようということになり、五十三年度に覚書を取り交わして始めているわけですね、それまで県もやっていたわけですが。ところが、とんでもないことが起きた。五十三年度の最後に地権者たちでどうしても売りたくないという方々が残って、そこを無理して買ったわけです。十数億円の金を支出して六十人の地権者から買った。
 ところが、買ったときに裏金と表金をつくったわけですね。土地代金約七億円、それから裏金の構造改善費というものがやっぱり七億数千万円。これは税金がかからないよと、税金は全部県公社側でやっぱり持ちますという念書、それから確約書というのを取り交わした。だから地権者の側は、じゃ土地代金という分だけで税金を払えばいいんだなと、税金の申告も全部県公社側でやってくれるというので安心していたわけです。手取りはこのぐらいだなというので時価評価額よりも坪約一万円ぐらい安いのにみんながまんしたんですよ、公共の事業だというので。それで手取りはこのくらいだと、税金はこのくらいだと、それはちゃんと県で申告してくれる。それで、この念書には「税務対策については、可及び土地開発公社において責任をもって代行いたします。」と書いてある。確約書では「税金相当額は別途上乗せする。」と、こういう確約書まで交わして買収が済んだわけです。ところが、ことしの九月、福岡国税局が申告漏れとして地権者六十名全員に構造改善費、これも土地代金だからというので税金をかけてきた。ある土地の場合には三百万円、土地代金で、構造改善費三千六百万円、十二倍というのがあるんですよ。そのぐらいのあれに税金をかけられて、総額が四億円の税金をかけられた。大問題になった。地権者たちは、これはだまされた。それで修正申告をやった。それで、どんどんどんどん来ますし、もう泣きの涙で、いただいた金は家を新築したり土地を買うのに使ったり、もうない。そこへ一戸平均七百万円の税金がかけられたというので大問題になった。
 広川町では、町長、助役、収入役の三役が全部辞任、町会議長も辞任、それからこの関係で五名が逮捕されております。町の課長さんの奥さんは、六十一歳の方はとうとう首をつって自殺するという本当にとんでもない事件になっていますね。これをやっているのが国土庁所管の特殊法人地域振興整備公団です。公団は、この一連の事態についてどういう調査を行い、どういう責任を感じておりますか。
○参考人(中橋敬次郎君) 地域振興整備公団がいまの御指摘の広川町におきまして中核工業団地を造成するに当たりましては、大体ほかの例と同じように県の土地開発公社を代行者といたしまして土地を取得するわけでございます。そのときには土地開発公社との間で取得すべき土地の面積、総額、あるいは取得の時期等についての協定書を結びまして、その範囲内において県の土地開発公社が土地を取得するわけでございます。
 その際に、どのように、どういう名目で土地の代金が払われだということを私どもはつまびらかに承知をいたしませんけれども、その後に調査をいたしましたところによりますと、いま御指摘のような構造改善費という名目で公社、町を通じまして特に代替地の提供者等に支払われたようでございます。しかし、それは表、裏という金ではございませんで、当然土地の取得のために要する費用でございまするから、税制上支払うべきものの適正な税額は当然払われるべきものと私どもは承知をい、たしております。
○上田耕一郎君 それもまるっきり違いますね。構造改善費というのを公団側は知っていたんですよ。ここに公団の伊藤第一部長が五十六年五月十二日、福団地検久留米支部に提出した文書がある。これに、構造改善費というものがあったこともちゃんと知っている、いいですか、これにそうちゃんと書かれている。
 それから私ども、榊議員、小沢議員が現地に行って詳細な調査をいたしましたけれども、その中でも、たとえば五士三年、五十四年、県公社側は公団に対して、公団の阿部課長にちゃんとこの構造改善費の措置の問題についてきちんと説明しているとか、支払い調書を要求されたので、これが構造改善費だ、これが土地代金だと、これをちゃんと区別して提出したとか、税額はどのくらいだ、どういう措置をしているかということをちゃんと公団に知らせていると、こう証言している。
 あなた方、これも全く事実を隠してまた責任逃れをしようとしているのですね。私はこれは詐欺罪に当たると思うんですね、農民に税金はこのぐらい、手取りはこのぐらいだと念書まで渡して。ところが、その税金は全部農民に、追徴金まで加えて四億円が六十人の地権者にかかっているんですよ。私は、この念書その他を県公社、町が交わしているわけだから、これを指導している公団としてこの問題、農民に負担がかからないようなやり方をきちんとすべきだ、そう考える。
 それからもう一つ。これは公団が工業団地に出資したのは四十七億円だというんですな。ところが、県公社が広川町に支出したのは三十七億円で、その差額の十億円が行方不明です、使途不明金が。これはリベートだとか政治献金に使われたのではないか、飲み食い費に。こう現地では言われているんですね。こういう大変な問題がある。公団どうですか。これはやっぱり私は詐欺罪に当たると思うんですが、公団としても公団自身の責任、県公社と町の責任をしっかりとって、農民に対して、その農民の税金分ですね、公団、公社、町で農民に負担を与えないように、約束したようにすべきだと思いますが。
○参考人(中橋敬次郎君) ただいまお話しの念書の存在につきましては、公社それから可及び地権者の間でただいま議論があるということは承知をいたしておりますけれども、私どもはその念書についての存在は全然知りません。もっとも構造改善費というものにつきましては、土地の取得の費用として承知をいたしております。したがいまして、私どもはその分につきまして補てんをするという考えは持っておりません。
○上田耕一郎君 中曾根さん、こういう方々が公団の役員をやっているんですよ。こういう特殊法人の全くずさんなやり方で詐欺をして農民六十名を塗炭の苦しみに陥れているような、こういうものにこそ行革のメスをふるうべきなんですよ。まだまだ幾らでもこういう例はあります。
 それで、私は会計検査院にこの問題についての調査を要求したいんですが、とにかくどう考えてもとんでもない事態なんだな。五十三年度に公団が乗り出すまでは構造改善費は出ていたけれども、ほんの少額だった。公団が乗り出してからこういうことが始まったんですよ。公団の押しつける価格が余りに安いので、早く工業団地になるべく安く造成して売りたいというんでしょうね。その基準額が安過ぎるので県公社はこういうことをひねり出して考えて、これは大丈夫かいな大丈夫かいなというので恐るべき脱税のからくりをつくり出してやっていって、念書まで交わしてとことんこういうことになっちゃった。しかも公団が払ったのは四十七億円でしょう。それで払ったのは三十七億円で、十億円怪しいんですね。全国で初めてのとんでもない事態だと思うんですが、会計検査院、この問題について調査をぜひしていただきたいと思います。
○説明員(高橋良君) 課税問題についてはちょっと私どもの問題から外れるわけでございますが、ただいま御指摘の購入価格の問題につきましては、御指摘の点を踏まえまして検査したいと、かように考えております。
○上田耕一郎君 御指摘の点を踏まえて調査したいということですね。調査結果をぜひ報告していただきたいと思います。さて、あと一問、一分ありますので。これは今度は住宅公団の問題で大変なことが出ている。行管庁が住宅公団の営業縮小と九州支社、中都支社、これをやめると、朝日新聞九月二十六日号。それでもう首都圏と近畿圏に限定すると。千人以上の余剰人員が出てくるというのを、行管庁が方針を決めだというのが朝日に載っている。行管庁は一応否定をしていますが、そういう報道が出た。ところがその後、これは中曾根さん関係あるんですよ。中曾根さんが九月十八日、日商総会でのあいさつで、国鉄、日本住宅公団の肥大化と浪費に思い切ったメスを入れることになろうと、そうあなたは日商総会であいさつをされた。第二臨調、これが五日の調査会で、江戸英雄不動産協会理事長を呼んで聞いた。江戸英雄氏は、大体住宅建設はもう民間にやらすべきだ、公的機関は社会政策的な賃貸住宅――生活困窮者やなんかですね、それから、あと土地造成だけやれと、造成された宅地の住宅建設は民間に任せるという話をしたと、日経十月六日付です。残念ながら赤旗ではないんですが。この「調査会として討議した結果、基本的に江戸氏の見解を支持する意見が大勢を占めた。」ということになっておる。この朝日の報道で九州なんかはもう大変ですよ。住宅はもう全部撤退するのかと、ごうごうたる非難が起きているんぞすね。
 日住労の――日住労じゃない、今度は住宅・都市整備公団になったので、そこの労働組合も大反対運動を起こしていますが、ここで私は、建設省と住宅公団の総裁に、こういう問題に対して、本当に住宅建設を守るという態度で臨まれるのかどうか、この点を総裁と建設大臣にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○委員長(玉置和郎君) 行管庁長官、簡単にやってください。
○国務大臣(中曽根康弘君) その新聞記事は正確でありません。まだ何にも決めておりません。
○国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。
 国の住宅政策は地域格差をなくするという目的と、それからまだ自力で家を建てられない方々に低廉で良質な住宅を提供するという問題、あるいはまた最低基準にも到達しない住宅環境を見まするのに、やはりそういうお話があるやには聞いておりますけれども、住宅政策はいささかも変えることなくいままでどおりに進めてまいりたいと、このように。考えているものでございます。
○参考人(志村清一君) 大臣がただいまお答えになりましたように、問題になっております地域におきましても、今後とも公団の果たすべき役割りはきわめて重要だと考えております。
○上田耕一郎君 終わります。
○委員長(玉置和郎君) 本日の質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(玉置和郎君) この際、本法律案の審査に資するため、先般大阪及び札幌に委員派遣を行いましたので、派遣委員から報告を聴取いたします。
 まず、大阪班の御報告を願います。平井卓志君。
○平井卓志君 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案についての大阪における地方公聴会のための委員派遣について、簡単に御報告申し上げます。
 派遣委員は、玉置委員長を団長とし、降矢、小柳、峯山の各理事、穐山、柳澤の各委員と私の七名であります。
 現地における公聴会は、公立学校共済組合なにわ会館において十一月十三日午前十時から開かれ、午前中三名、午後三名、合計六名の公述人から一人十五分程度ということで、忌憚のない意見が述べられた後、派遣委員との間で自由な意見の交換が行われました。
 次に、各公述人の意見の概要について申し上げます。
 まず、大阪工業会会長廣慶太郎公述人からは、本法案には賛成であるが、同法案は当面の財政的措置にとどまっており、行革本来の理念を達成するため今後より広い範囲で取り組んでいくべきであること、また、本法案の運用に当たっては日本経済の活力が損なわれることのないよう配慮願いたい旨の要望があり、本法案賛成の理由として、特に、同法案を突破口として、今後の行政改革全体へのはずみをつけねばならないこと、同法案を増税なき財政再建の第二歩として期待しているとの意見が述べられました。
 また、同公述人は、関連意見として、行財政改革という制約の中でも、積極的な政策推進によって民間経済に活力を与え、税収確保を図っていくことが必要であること、増税なき財政再建を図るべきこと、わが国にとって二十四時間使用可能な国際空港の建設は緊急かつ重要な課題であり、関西新空港建設の意義と緊急性を十分に認識されたいこと、地域産業へも十分な配慮を要望する旨が述べられました。
 次に、労働調査研究所所長板東慧公述人からは、今回の政府の推進している行財政改革は、政治理念を欠いたものであって、財政減量に終始しており、行政改革はまず硬直化した機構、官僚システムにメスを入れ、その結果として財政の縮減が図られねばならないところ、現在進められている行政改革は順序が逆であること、また、真に国民のニーズにこたえる行革、システムの合理性の追求こそが必要であること、地方財政への一方的なしわ寄せには反対であり、地方分権と地方自治の確立が必要であり、今回の増税なき財政再建は欺瞞でり、不公平税制の是正こそが必要であること、防衛費は今回の行政改革から最終的には外れていく可能性があるが、軍縮なき行革はあり得ないこと、さらに、行政の簡素効率化とともに情報公開、国民参加、オンブズマン制度の導入が必要である旨の意見が述べられました。
 次に、同志社大学商学部教授杉江雅彦公述人からは、今回の行政改革は、わが国経済の高度成長下に積み重ねられてきた行政機構の膨張、公社等の赤字累積、各種公共サービスの拡大等を整理しない眼力機能が麻痺してしまうことからぜひとも必要であること、行政改革は、まずシステム変更、組みかえから実施すべきであること、また、赤字国債の減額は一般会計の縮小となり、これが補助金の一律カットに連動したこと、赤字国債の減額に当たっては建設国債の減額をも考慮すべきであることを指摘するとともに、本法案に対する具体的注文として、厚生年金の国庫負担金の減額分は確実に返済さるべきこと、住宅金融公庫の融資利子の引き上げは見合わせることを要望、次いで、今日のように行政改革に対する国民の関心の高まった時期に行政システムの変更を中心とした本格的行政改革を早期に実現することを条件に本法案に賛成する旨の意見が述べられました。
 次に、関西学院大学経済学部教授橋本徹公述人からは、本法案は、臨調第一次答申の緊急の外科手術としての性格を受けたものであり、緊急策として不十分との批判もあるが、今後一層の努力を望みつつ、賛成する旨を述べ、その賛成の理由として、行政の合理化、効率化を推進しようとしていること、支出を削減したこと、本法案が昭和五十七年度予算編成には不可欠であること、安定成長下の高齢化社会に対応できるものであることを挙げ、さらに、今回の行政改革に思うこととして、行政改革は、国のみならず、国と地方を通ずるものでなければならないこと、社会福祉には受益と負担のバランスが必要であること、税制改革には付加価値税の導入が必要である旨の意見が述べられました。
 次に、全国障害者解放運動連絡会議副代表幹事楠敏雄公述人からは、国際障害者年も終わろうとしているときにあって、身体障害者の完全参加と平等を実現させるための具体策がほとんど見られず、一方では、行政改革が、その理念に反してどうしても必要なもの、これまで放置されがちだったものまで削るという、全く国民の立場に立っていないものであり、現在の社会福祉、雇用状況、教育面では、身体障害者にとってきわめて不十分であるにもかかわらず、今回の政府の進めている行革は、これらの点をさらに不十分なものとするものであること、真の行革とは、不公平税制を改め、防衛増強ではなく、平和外交を進め、むだを省き、その財源を教育や福祉に充てることであるという意見が述べられました。
 最後に、大阪弁護士会所属弁護士豊蔵廣倫公述人からは、行政改革は国民的要求であり、ぜひ実行されねばならないものであり、行革とは、現代社会の変化に対応した行政需要を問い直し、それを限られた財政収入で効率的に充足するために、行政の組織、運用、機構等を改善することであり、その結果として支出削減等が実施されるべきものであって、財政改革が先行すべきでない旨の意見が述べられました。
 また、同公述人からは、本法案における具体的問題として、厚生年金等の国庫負担減額、四十人学級と教員定数の是正、地域特例の補助率かさ上げの削減、住宅金融公庫の貸付金利に関して意見が述べられました。
 なお、詳細につきましては、別途文書をもって委員長に提出いたしますので、本日の会議録に掲載されますようお取り計らいいただきたいと存じます。
 最後に、現地公聴会の開催に当たり、地元関係者を初め多数の方々の御協力を得ましたことにつき、ここに深く謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
○委員長(玉置和郎君) 次に、札幌班の報告を願います。坂野重信君。
○坂野重信君 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案についての、札幌における地方公聴会のための委員派遣について御報告申し上げます。
 派遣委員は、嶋崎理事を団長とし、野田理事及び高木、安恒、塩出、市川、森田の各委員と私、坂野の八名であります。
 現地における会議は、十三日午前十時から北海道厚生年金会館会議室で開かれ、七名の公述人から一人十五分程度発言がなされた後、派遣委員から公述人に対し質疑が行われ、滞りなく議事を終了いたしました。
 以下、七名の公述人の発言内容について、簡単にその要旨を申し上げます。
 まず、北海道経済連合会常任理事樫原泰明公述人からは、行政改革の推進には基本的に賛成であり、この際万難を排しても行財政の効率化、健全化を行うべきであるが、将来を展望し、基本を見失うことなく、慎重かつ適切に対処してほしいとの基本的考え方が述べられ、引き続き経済界の立場から、北海道の開発可能性を十分認識し、財政再建期間経過後における地域特例の存続、苫小牧東部開発等大型プロジェクトの推進、北海道開発庁と北海道東北開発公庫の存置、食糧基地として位置づけられている北海道農業の振興、北炭夕張新鉱の再建等について、積極的な施策を望みたいとの意見が述べられました。
 次に、北海道高齢者退職者の会連合会会長改発治幸公述人からは、財政再建は必要であるが、今回のような年金、民生にしわ寄せをする行政改革は容認できない。平和、福祉、分権の立場に立った再建が必要である。財政再建のためには、収入をふやし、歳出を削減する以外にないが、収入増は、不公平税制の是正、税の所得捕捉率の格差解消によるべきであり、一般的増税、公共料金の値上げには反対である。また、歳出の削減は、防衛費、原子力関係経費、特殊法人に対する補助金の整理により行うべきである。さらに、老人医療については、無料の範囲を残して、乱診乱療こそ是正すべきである。年金の一元化に当たっては、既得権を保護することなどにより、残された余生を安心して生活ができる社会の実現を期待するとの意見が述べられました。
 次に、全北海道婦人経営者協会会長松尾静江公述人からは、行革関連特例法案は、増税なき財政再建と五十七年度予算編成にとって不可欠な内容のものであり、同時に、今後の改革の突破口になるもので、二十数年ぶりにこうしてまとまった形で歳出削減のための法律案が提出された意義は大きく、賛成である。政府も民間の経営努力を見習って行政改革を断行すべきであるが、北海道の開発や本州との格差解消にはなお時間を要するので、特段の配慮を願いたいとの要望がなされました。
 次に、北海道公団住宅自治会協議会会長土井尚義公述人からは、住宅金融公庫の貸付金利の特例は、金利の自由化に道を開くもので、道民の負担の増大を招くだけでなく、住宅建設戸数の減少により中小建設業等を圧迫するものである。また、予定されている公団住宅の家賃の値上げには合理的根拠がなく、これを安易に行うべきではないとの指摘がなされました。さらに、今回の行政改革は、増税、公共料金の値上げ、福祉切り捨ての一方で防衛費を増大させているが、あすへの活力は住宅から満たされるという観点から、防衛予算を削ってでも、住宅、福祉、教育に振り向けるべきであり、したがって本法案には反対であるとの意見が述べられました。
 次に、北海学園大学理事長森本正夫公述人からは、臨調の第一次答申後、改革の方策や行政のあり方について論議が展開されていることは前進であり、今回の法律案には賛成であるが、行財政改革の将来展望や全体像が不明確なことは問題である。また、財政収支の効率論から学級規模や教員数の充実計画を削減、延期するのは賢明ではないし、さらに、北海道の開発行政機構についても、現状においてその存置や統合を論議することは地域実態を無視するものであるとの意見が述べられました。
 次に、旭川大学助教授山内亮史公述人からは、戦後、北海道開発のために多くの予算が投下されてきたが、国の財政政策に振り回された結果、開発事業が道央圏に集中し、他の広大な地域においてはいまなお激しい過疎化が進行しており、また、道経済全体もむしろ後退しており、開発政策の基本的な見直しが必要である。さらに、開発予算の伸び率をゼロとした上に地域特例を縮減することは、地方の負担増を招き、北海道は深刻な事態に陥ると述べ、行革の理念には賛成であるが、国の財政の破綻を地方に押しつけるという本質には反対であるとの意見が述べられました。
 最後に、駒沢大学教授藤島範孝公述人からは、行政改革の目的は行政事務・機能の簡素化である。小さな政府が望ましいが、今回の改革は、単に財政の安定を目指すものであり、国民が必要とする行政までも切り捨てられる危険がある。特に、特殊事情を抱える北海道において、地域特例の一律カットや開発庁の廃止が行われれば、道経済の発展力を失わせることになるとの意見が述べられました。そしてさらに、具体的な提言として、国鉄は北海道鉄道として分割すること、農業は自給を基盤とし、注文生産体制とすること、林業の管理は北海道に戻すこと、漁業、鉱業等に係る特権を排除し、これを入札制度として北海道の新しい地方財源とすること等によって、北海道経済の自力発展を図る必要があるとの意見が述べられました。
 以上の意見が述べられた後、派遣委員から各公述人に対し熱心な質疑が行われました。
 詳細につきましては、別途文書をもって委員長に提出いたしますので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らいいただきたいと存じます。
 なお、地方公聴会の開催につきましては、地元の関係者を初め多数の方々の御協力を得ました。ここに深く謝意を表し、報告を終わります。(拍手)
○委員長(玉置和郎君) これをもちまして、派遣委員の報告は終了いたしました。
 ただいま御報告がございました両班から別途報告書が提出されますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(玉置和郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四分散会
     ―――――・―――――
   〔参照〕
    派遣委員第一班報告書
 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案の審査に資するため、十一月十二日から二日間の日程をもって、本特別委員会から玉置和郎委員長を団長とし、平井卓志理事、降矢敬義理事、小柳勇理事、峯山昭範理事、穐山篤委員、柳澤錬造委員の計七名の委員が派遣され、大阪において地方公聴会を開催した。
 本公聴会は十一月十三日午前十時より午後三時まで大阪市内の「なにわ会館」において開会され、
       大阪工業会会長  廣 慶太郎君
       労働調査研究所
       所長       板東  慧君
       同志社大学商学
       部教授      杉江 雅彦君
       関西学院大学経
       済学部教授    橋本  徹君
       全国障害者解放
       運動連絡会議副
       代表幹事     楠  敏雄君
       大阪弁護士会所
       属弁護士     豊蔵 廣倫君
 以上六名(午前三名、午後三名)の意見陳述人(以下公述人という。)から順次意見を求めるとともに、これに対して派遣委員から質疑が行われた。
 当日の公聴会の内容は、次のとおりである。
   午前十時開会
○座長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会大阪公聴会を開会いたします。
 私、派遣委員団の団長として会議を主宰いたします行財政改革に関する特別委員長の玉置和郎でございます。よろしくお願いを申し上げます。
 参議院行財政改革に関する特別委員会におきましては、目下行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案について審議を行っておりますが、本日は、本法案に関しまして御当地の方々から貴重な御意見を承るため、ここに大阪公聴会を開会することになった次第でございます。
 なお、本案の重要性にかんがみ、本日は札幌においても同時に地方公聴会が開かれております。
 公述人の方々には、本日は御多忙中、しかもあわただしい御出席の依頼であったにもかかわりませず万障お繰り合わせの上御出席くださいまして、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして厚く厚く御礼を申し上げます。どうかこの機会に忌憚のない御意見をお聞かせくださるようお願い申し上げます。
 また、本日の公聴会開催に当たり会議場の設営等に種々御配慮を賜りました関係各位に対しましても、この際厚く御礼を申し上げます。
 次に、御意見を承ります前に出席委員を御紹介申し上げます。私の右の方から自民党の平井理事でございます。同じく降矢理事でございます。民社党の柳澤委員でございます。左側の方から社会党の小柳理事でございます。公明党の峯山理事でございます。社会党の穐山委員でございます。
 引き続いて御意見をお述べいただく公述人の方方を御紹介申し上げます。大阪工業会会長廣慶太郎君、労働調査研究所所長板東慧君、同志社大学商学部教授杉江雅彦君。
 次に、会議の進め方について申し上げます。本日は六名の公述人の方々から御意見を伺うことになっておりますが、まず午前中は三名の方々から順次御意見を承ることとし、御意見を承りました後、各委員から質問をさせていただきたいと存じます。残りの三名の方々は本日の午後にお越し願うことになっております。御意見を承る問題は、先ほども申し上げましたとおり、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案でございます。時間の関係上、御意見をお述べいただく時間はお一人十五分以内といたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 なお、本日の会議の趣旨は公述人の方々の御意見を拝聴することにありますので、私どもに対する質問は恐縮ながら御遠慮願いたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。また、会議を円滑に進めてまいりたいと存じますので、発言をなさる方は座長の許可を得てからお願いをいたします。
 傍聴の方々におかれましても御静粛にしていただき、会議の進行に御協力くださいますようお願いいたします。
 なお、午前中の会議は正午に終了する予定でございます。
 それでは、これより公述人の方々から順次御意見をお述べ願います。まず最初に廣公述人にお願いいたします。
○公述人(廣慶太郎君) 大阪工業会会長の廣でございます。
 このたび、本公聴会におきまして、参議院で現在御審議中の行政改革関連特例法案につきまして発言の機会を与えられましたので、簡単に私の考えるところを述べさせていただきます。
 まず、結論より申し上げますと、本法案につきまして、私は基本的に賛成でございます。
 ただし、本法案はあくまで行政改革を推進するために講すべき当面の財政的な措置にとどまっております。行政改革は、本来簡素で効率的な政府づくりを目指すものでありまして、将来的には小さな政府で、時代の要請に見合った質の高い行政サービスを実現するという行政改革本来の理念を達成するために、今後より一層広い範囲で取り組む問題であると考えております。また、本法案の運用につきましても景気情勢等に十分留意し、日本経済の活力が損なわれることがないような特段の配慮をお願いしたいと思います。
 全般的な意見は以上のとおりでございますが、それでは、本法案賛成の理由を申し上げたいと存じます。
 まず、第一は、今回の法案は行政改革の第一歩でありまして、今後の行政改革の突破口となるものと期待しているからであります。
 行政改革は、現内閣にとりましての最大課題であると考えております。行政改革のための臨時国会が開かれまして、異例の長期間にわたる法案審議が行なわれていることは、この行政改革に対しまして、政府及び国会が並々ならぬ力を注いでおられるということを示すものと存じます。
 先程も申しましたように、行政改革は、本来、行政機構全体の問題を取り扱うべきものでありますが、そのためには行政改革問題全体の取り組みに「はずみ」をつけるため、まずこの法案を成立させねばならないと思います。
 賛成の理由の第二は、この法案が五十七年度予算編成にとりまして、どうしても実施しなければならないものであり、これが増税なき財政再建の第一歩となると期待しているからであります。赤字国債依存という欧米に例のない借金財政の状態にあるわが国にとりまして、財政再建はきわめて重要な課題であるということは、国民すべての認識であろうかと思います。
 問題は財政再建の方法であります。増税によって財政再建を図ることは、民間経済の活力を低下させることとなって、賛成いたしかねるのでございます。したがって、徹底的な合理化によります歳出削減によって財政再建を図っていただきたいのであります。増税なしに赤字国債依存から脱却いたしますためには相当の努力が必要でありますが、本法案はその一環として増税なき五十七年度予算編成にとりまして不可欠の前提であると考えます。
 本法案による歳出削減額は二千五百億円とのことであります。本年初め大蔵省から発表されました中期財政展望における五十七年度歳出削減必要額二兆七、八千億円と比較いたしました場合、大変少額に過ぎるとは思われますけれども、今回のようにまとまった歳出削減の法案が提出されるのは、昭和二十九年の補助金等臨時特例法案から数えまして二十数年ぶりのことでありまして、この点評価できると存じます。
 近年、日本経済の順調な発展によって行政も飛躍的に拡大いたしましたけれども、このところ経済は世界的にも低迷を続けており、わが国といたしましても従来のような高度成長は望むべくもない状況でございます。行政につきましても、このような新しい時代に早急に対応せねばならず、一歩一歩その基礎を固めていく必要があると思います。
 本法案は、新しい時代に対応して、財政支出を合理化し、削減しようとする最初の試みであり、削減規模は小さくても、これによって広く財政への理解が得られますならば、将来これが大きく実を結ぶ結果になろうかと思います。個々の問題はあろうかと存じますが、大局的見地からこの法案を成立させて、その趣旨をぜひとも国民各層に定着させることが肝要であると考えます。
 以上、本法案に対する賛成理由を述べさせていただきましたが、いずれにいたしましても、行政改革は今や全国民的課題であります。
 参議院の諸先生方におかれましても本法案の成立に御努力をいただきまして、本来の行政改革への第一歩としていただきますよう期待してやみません。一
 まだなお若干時間がございますので、この機会に行政改革の問題に関連いたしまして、二、三和の意見を述べさせていただきます。
 一つは、行財政改革という制約の中で如何にして日本経済の活性化を図っていくかであります。
 先ごろ、河本経済企画庁長官は「民間の活力を生かし、来年度の実質経済成長率を五・五%以上のものにしたい」と発言されております。五十五年度の実質経済成長率は三・八%、五十六年度の見込みは四・七%でありますから、これらを大幅に上回る成長を目指すということでございます。そのための施策として、第一に住宅建設の不振を打開するために思い切った住宅政策の推進、第二に設備投資に不可欠な低金利政策、第三に公共事業の量的確保をあげておられます。こうしたお考え方には、私も同感であります。
 六月末の決算法人の申告所得がこの十一日国税庁から発表されておりますが、これによりますと、申告所得総額では対前年比二二・一%の減、申告税額では二七・三%の減になっております。このように民間経済の低迷は、直ちに税収面への悪影響を及ぼしてまいるわけでございます。したがいまして、行財政改革の制約の中にありましても、縮小均衡することなく、積極的な政策推進によりまして民間経済に活力を与えることによって税収確保を図っていかれることが必要かと存じます。
  住宅建設につきましては、去る三月に発表されました第四期住宅建設五ケ年計画では、昭和五十六年以降五ケ年間に七百七十万戸の住宅建設が見込まれております。これは年間平均にすると百五十四万戸に相当するのであります。しかるに、昭和五十五年度は百二十一万戸とそれまでの百五十万戸ベースから大きく落ち込みました。五十六年度はさらにそれを下回りまして百十万戸台になるとの見通してあります。住宅建設が経済に及ぼす影響は非常に大きいものがあり、五ケ年計画達成のため思い切った政策推進が必要であろうかと思います。
 また、金利につきましても、アメリカの金利が低下する傾向になってまいりました。また国内的にも物価は安定している現状から見て、これを引き下げることによって設備投資の推進、また住宅投資の推進を図っていくべきだと思います。
 公共事業につきましても限られた財源の中で景気への波及効果の大きい事業推進をお願いしたいと存じます。いづれにいたしましても、行革デフレによって日本経済に悪影響が及ぶことのないよう景気動向に十分の御留意をいただきまして、財政運営を図られますようお願い申し上げたいと思います。
 次に、このような行財政改革の推進によって企業の活力が失われることのないよう留意されたいということであります。企業にとりましては、交際費課税の強化あるいは確定債務である退職給与引当金に対する課税強化が実施され、また今年度よりは法人税が増税される等、すでにかなりの増税となっております。
 さらに今回の行革関連特例法案におきましても、「児童手当に係る公費負担の削減」によってサラリーマンに対する所得制限が引き上げられます。その部分は全額事業主負担になるとのことであります。現在までに積立てられた拠出金によって実質上は企業としての負担はふえないとのことでありますが、最終的には企業負担の増額につながってまいることになろうかと存じます。財政再建のため安易に企業への課税を強化することや、従来の国庫負担を企業負担に転嫁することは、企業活力を弱め、ひいては日本経済の活力を弱めることになると思います。ぜひとも増税なき財政再建を図られますようお願い申し上げます。
 次に、関西における新しい国際空港建設問題についてでございます。
 本格的な国際化の時代を迎えました今日、わが国は政治、経済を初めすべての面で、世界の中でも大きな比重を占めるに至っております。さらに、わが国が一段と飛躍、発展するためには、より一層の国際化が必要であることは言うを待ちません。
 現在わが国にあります三つの国際空港はすべて発着時間制限のある空港でありまして、諸外国からの強い乗り入れ要請にこたえるためにも、二十四時間使用可能な国際空港を建設することが、わが国にとりまして緊急かつ重要な課題であると考えます。財政再建の折からではございますが、関西での新しい国際空港建設の意義と、そして緊急性につきまして十分御認識をいただきますようお願い申し上げます。
 関西経済の地盤沈下がいわれて久しくなりますが、この原因は関西での産業構造が素材型産業に偏重し、付加価値の高いリーディング・インダストリーが育たなかったところにあると思っております。現在わが国産業に占める関西の地位は工業出荷額で見ますと全国の約二〇%であり、全国の約四六%を占める関東地区に比べますと二分の一以下の規模となっております。一わが国並びにわが国産業の調和ある発展のためにも、このような関西の地位を向上させることが必要でありまして、関西国際空港建設を契機として先般まとめられました「近畿地域ビジョン」にも示されておりますような既存の地場産業の知識集約化を促進いたしまして、新しい生活文化産業として総合化、また高度化を図るとともに将来成長性の高い先端産業を積極的に導入育成していかなければならないと考えております。
 次に地域産業につきまして御配慮をいただきたいということであります。
 地域経済は、それぞれ特有の事情を持っております。特に地方におきましては需要面における公共支出のウエートが大きく、また金融情勢に左右され影響されるのが多いことをお考えいただき、地域産業の活力を奪うことのないようきめ細かな措置をお願いいたしたいと存じます。
 最後になりましたが、今後の行政改革への取り組みにつきまして希望するところを若干述べたいと思います。
 まず第一は、肥大化した行政を全般にわたって簡素化、効率化していただきたいということであります。民間企業は二次にわたる石油危機を必死の合理化によって乗り切り低成長時代へ対応しうる体質をつくりあげたのであります。これに比べて行政の方は、その対応がまだできていないのではなかろうかと存じます。行政機構や公務員数の徹底した簡素化を図り、また許認可等諸制度の合理化にも積極的に取り組んでいただきたいのであります。
 また、国民生活や産業の各分野が等しく負担を分ち合うという精神からも、一部の行き過ぎた福祉につきましては見直しを必要とするものがあろうかと存じます。それとともに地方公共団体の機構や職員数、給与水準等につきましても改善すべき点が多々あると思います。私どもの税負担の面から見ますと、地方税には大変な重税感があるわけでございます。国会や政府におかれましては、国が率先垂範することによりまして地方公共団体につきましても簡素化、効率化が図られますよう指導されたいと存じます。
 第二は、勇断をもって行政改革の実行を図っていただきたいということであります。
 土光さんを会長とする第二次臨時行政調査会が本年三月に設置されまして、七月には第一次中間答申が提出されましたが、その御努力によりまして行政改革についての国民的な議論が積み重ねられてまいりましたことは、非常に意義のあることと存じます。一部には、今回の行政改革は財界主導であるとの声もあるようでありますが、第一次答申の内容は全国民的な視野に立ったものでありまして、そのような批判は当を得ておらないと思います。
 行政改革の実行は、今や国民的なコンセンサスを得られたものと存じます。第一次中間答申に引続きまして現在臨調におかれましてはさらに検討を進めておられるわけでありますが、要はこれを受けて政府及び国会がどれだけ強い姿勢でこれを実行していくかということであります。国として果たすべき役割を明確にし、信念をもって行政改革の断行を図られますよう期待いたしております。
 これをもちまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○座長(玉置和郎君) どうもありがとうございました。
 次に、板東公述人にお願いいたします。
○公述人(板東慧君) 御紹介いただきました労働調査研究所の板東でございます。
 今回この公聴会に公述人として参加をさせていただくことになりましたが、私は、まず今回の法案の前提となっております行政改革の第一次答申及び行政改革全体の考え方、すなわち予算編成を通じて表現されている行政改革の考え方を最初に問題にしておきたいと思います。
 今回の行政改革の基本的な立場と申しますのは、第一次答申にありますように、変化に対する対応、簡素化、効率化、信頼性の確保という原則に基づいて答申が出されてきているわけでありますが、いま議会で問題とされております法案及びその考え方は、むしろそういった基本的なシステムの合理化や行政の改革ということよりも、財政の抑制という、いわば財政減量のための方策が余りにも先行した結果、そのシステム等についての検討がなおざりにされる危険性があるということについて憂慮するものであります。したがって、今回の、のちほど申しますように、単なる財政ゼロシーリングを貫徹するための、特に従来から蓄積しました福祉行政政策の切り捨て、あるいは地方財政に対するしわ寄せ、さらには勤労者に対する負担増といったものが予測される状態であります。そういった意味で今回の法案につきまして基本的には反対の立場をとる者であります。
 具体的に申しまして二兆円の赤字国債発行の減額、二兆八千億円の財源不足額をどこでカットし、どういうふうにその負担を配分するかということが今回の基本的な問題となっておりまして、国民の基本的なニーズである行政改革に求める行政の簡素化や効率化、合理的システム化ということについては、むしろその財政先行のために原理が貫かれないという危険性があるという点が第一点の理由であります。
 第二点の問題としまして、これは中央政府の政策の基本的な問題ではございますが、往々にしてその政策のあり方が非常にバーズビュー的である、俯瞰的である。基本的に財政をゼロシーリングにするために、いわば上空から地上を見てとの辺に寄せていくかというふうな形で、非常に俯瞰的、鳥瞰図的な形で、下部における営みがどのように行われているかという、いわば国民の生活のすみずみにわたる日常的な人間としての営みというふうなものに対して非常に距離がある、いわば積木、寄せ細工方式で行われている危険性がある。そういう問題について第二の理由としてあげたいと思います。
 そこで行政改革の考え方につきまして総論的に若干私の考え方を述べたいと思いますが、行政改革は進めるべきであるということは当然のことでありまして、往々にして法令や官僚システムによる硬直化や、あるいは俗に言う陳情行政という現在の行政のメカニズムの中から重複した行政や二重投資や、あるいはシステムの複雑化というものは避けられない傾向があるわけでありまして、それをいかに整理していくかという意味で行政改革というのは私は基本的に賛成するものであります。
 その原則というのは、まず先ほどの三つの第一次答申の原則をもっとさらに厳格にしていきますと、まず第一には民主化である。国民の要望を担って具体的な生活を基盤にしてこの行政改革を進めるべきである。第二番目には公正化であります。負担の公正、給付の公正と申しますか、受益的にも応益的にも応能的にも可能な限り公正を貫くということが二番目に必要なことであろう。第三番目に、これはすでに言われております行政の複雑化に対して簡素化する。そうして四番目に、これは言うまでもなく効率化であろうと思います。効率化といいますのは、いわば官僚的な非市場的なメカニズムをできる限り市場メカニズムと対応させながら合理的システムを検討していくということでありますが、ただ単に収益企業的な効率ということではなくて、いわばリサイクリングシステムであるとか、エコロジーシステムであるとか言われておりますように、廃棄物を再利用するとか、エネルギーをどのように更生するかといったような新しい意味での効率化を求めるべきで、じゃま者切り捨て型あるいは負担切り捨て型の効率化ではないという点であります。
 さて、今回提起されております問題で、そういった意味から申しまして、たとえば一つ一つの行政が国民に対して与えている影響なり、給付しているさまざまな内容について国民のニーズに照らして、それをできる限り一元的にスムーズに供給できるようにする、そうして国民が不平感を抱かない、不公平感を抱かないということに十分な配慮をする必要があると考えるわけであります。
 今回の問題でまず第一に私があげたい反対の理由は福祉の切り捨てということであります。
 大きくは今回の場合基本的に補助金の整理、公務員の給与カット、定数削減、地方自治体の事務及び負担の転嫁等の内容が中心で、そのうち行革の一括法案は二、三割を財政面でカットするという考え方でございますが、この結果を想定しますと、国民の負担では約一兆円、地方自治体で四千億円の増加が予想されるということに特徴があります。また、最も問題とされますのが年金、医療といった福祉の問題に対する措置でございます。大阪府下の自治体への影響を概括的に試算してまいりますと、平年度ベースで大阪府で二百四十億円の増、市町村分で五十四億円の増という結果となり、補助金カットでは府が二十二億円、市町村で六十二億円というきわめて巨額な増ないしは住民サービスの低下がもたらされるという可能性を持っているわけであります。
 したがって、そういったことが非常に問題点でございますが、具体的な例ですでに明らかなとおり、国民健康保険で給付費の一部五%を都道府県に肩がわりさせるということであります。さらには、こういった保険料の問題に対する転嫁がありますが、もともと国民健康保険事業というのは単なる機関委任事務でありまして、法律のたてまえからいえば国が保障すべき問題であります。したがって、これを自治体負担に導入、増加させるということは、いわば社会保障の制度としての原則を非常に損なうものであると言わなければならないと思います。さらにまた、高額医療費の自己負担限度の引き上げ、厚生年金の国庫負担の五%繰り延べ、引き下げについても、返済の時期やその方法が不明確なために、いわば国民の中にあります高齢化社会を迎えての不安というものを増大させる可能性が大きいわけであります。国民年金の問題は、やはりこの社会保障制度の根幹であります年金基金の食いつぶしという可能性を持つものであると思います。
 また、さらには住宅金融公庫の利子率の政令による改定の権限についての問題にしましても、これもそういった国民へのいわば負担転嫁という状況を醸し出すものと思われるわけであります。また、今日教育問題についても非常に盛んな議論がこの問題の中で行われているわけでありますが、教育問題というのは、何と申しましても、国際的な、特に公教育の内容から申しましても、学級定員を少なくして、教師一人当たりの管理能力を高めるということが基本であります。そういう問題についてようやく一つのコンセンサスができて進み始めたものを大幅に遅らせるという危険性を持っておるというふうに考えられるわけであります。さらにこの福祉、特に地方自治体との問題でかかわりますと、自治体職員の定数や、そういった人員の削減や給与カットというのは、いわばいままでやられてまいりました一つの制度的慣行というものについて制度の方から検討するのではなくて財政の視点からのみ検討するという立場に立っているわけでありまして、この点につきましても先に総論で申しましたように、行政の原理というものから非常に問題のあるものだというふうに考えられるわけであります。
 第二番目に、こういったいまいろいろ具体的に述べましたことにつきまして、今日の行政は、ある意味では小さな政府ということが強調されておりますが、このこと一般は追及すべき重要な課題であります。しかし同時に、その大きな政府になっている原因の中に、住民と直結した地方自治体がそれぞれの独自の領域において自治権を持ってそれに対応した行政を行うという権限が損なわれて、中央におけるコントロールによっていわばバランスが保たれ、あるいは中央における二重三重の濾過装置を通じたコントロールによって中央政府が地方をコントロールする上でのさまざまな業務が増大している。補助金の問題がそうでありますし、あるいは本来の事務の地方への委任ということについてもそうであります。そういった意味で大幅に検討すべき問題は、事務の権限というよりも、自主権を大幅に自治体に持たせることによって、そうして中央政府自身の軽減を図る、こういうこと。そうして自治体自身はむしろ住民の判断に基づいて行政のプライオリティ、行政の選択を図っていく、こういったことが重要な問題であろうかと思います。それによって国民の行政への参加意識も高まりますし、そうして国民の責任の分担意識も高まってくる。二段階、三段階の行政のシステムがあるからこそ国民の参加意識や責任意識も薄らいでくるという要素があることを忘れてはならないと思います。
 反対の第三の理由としまして増税なき財政再建ということが言われておりますけれども、事実上物価調整減税等が行われていない税システムのもとで名目所得が増大していきますと必ず税額は上昇していくわけでありますから、増税なきという言葉にはいささかの疑問がある。事実上は増税が行われている。そうして今回のさまざまな措置によりましても、先ほど廣公述人も言われましたように、いわば負担増、増税という危険性があることは言うまでもありません。そうしてその税制の中における不公平感というものも非常な大きな問題としてあろうかと思います。
 第四の問題点は、これはすでにさまざまな議論が行われておりますが、軍備、いわゆる防衛費について、聖域としないと言われながら最終的には防衛問題については行政改革の対象からは外されていくという可能性を持っている。そうして国民生活のむしろ抑制に対して、防衛費に対してはむしろフリーハンドという傾向を持っているという問題点でございます。
 以上述べましたように、今回の法案に含まれている問題点と、それにかかわる行政及び政策の考え方につきまして私は指摘をしたいわけでありますが、最後にこれからの行政改革の問題として考えられることでございますが、基本的には行政システムの簡素化と効率化を合理的システムの形成ということで、むしろ国民に情報を大きく公開する情報公開制度を確立し、国民のニーズを取り入れるオンブズマン制度などを併用しつつ、参加と国民の責任感、責任分担意識を高めて、そのことによって行政のより進んだ方向を探るということが重要であろうかと思います。そうして同時に、先ほど言いましたように、今日の経済情勢から申しますと、むしろ消費が抑制されることによって景気の浮揚が困難であるという問題が出ているときにゼロシーリング優先という形で国民にも全体的に負担増を強いるという可能性がある政策というのは、その不安感と消費抑制という国民の意識をむしろ高めることによって景気浮揚策を損なう可能性があるということから十分に検討していただく必要があろうかと思います。
 最後に、この種の公聴会についてでありますが、こういう機会を得たついでに申し上げておきますと、できる限り各層の意見をむしろ広範に最終的に聞くために繰り返しもう少し規模の大きなものを設定して、できる限り行政改革の内容について国民的討論が進むようにしていただきたい、かように考えるわけでございます。
 以上で終わります。
○座長(玉置和郎君) どうもありがとうございました。
 次に、杉江公述人にお願いいたします。
○公述人(杉江雅彦君) 同志壮大学の杉江でございます。
 ただいまお二人の公述人からお話がございました。三番目にお話をする羽目となりましたけれども、余り重複すると時間のむだでもございますので、できるだけ重複は避けたいと思いますけれども、一応行財政改革に関して私が日ごろ感じておりますことをこの際述べさせていただくことをお許しいただきたいと思います。
  まず第一に行政改革という問題につきましては、ぜひともこれは必要であって推進しなけらばならないこの立場は私も常々感じておりまして、その点では全く反対はございません。
 それはなぜかと申しますと、わが国の二十数年にわたる高度成長の過程で積み重ねられてきました行政機構の膨張、あるいはまた公社公団などの膨大な赤字の累積、あるいは公共サービス等につきましても、無差別とは申しませんけれども、順次拡大している。そういう状況の中で今や中あるいは低成長の時代に入っておるわけでございます。したがいまして、この間に膨張あるいは拡大し切った各種の問題点を整理する、あるいは見直すということはぜひ必要だというふうに考えるからでございます。その点についての疑問は全くございません。
 しかしながら、この行政改革あるいは財政再建といった問題に関しまして基本的な考え方は、すでにいまから十数年前、昭和三十九年九月に出されました第一次臨時行政調査会の答申の中にはっきりと方向がうたわれているわけでございますし、また行政機構の合理化あるいはまた公団公社等の改革、さらに許認可事務の簡素化、こういったいわば現在問題にしなければならない行政改革の主眼点というものは、まず第一次臨調の答申で出尽くしていると言っていいと思うわけでございます。もちろん、その問――これが三十九年でございますから、それから十数年間にさらに経済規模が拡大し続けたとか、あるいはまた、昭和五十年度からは公債の発行が巨額に達したとか、いろいろな大きな問題が出てまいりました。行政改革のみならず、そこに財政再建という問題が加わってきたという、より複雑化した事情がございますけれども、しかし、その行政改革の骨子といいますか、基本線については、すでに十数年前に出されているわけでございます。これを今日までそのままほとんど手をつけずに放置してきたというところに一つの大きな政府の責任があるのではなかろうかというふうに思います。また、こういった行政改革という問題は何も行政調査会といったような審議会の手を煩わすまでもなく、政府みずからの手で常に改革を進めていくべき性格の問題であろうというふうに思いますので、この点につきましても、これまでの歴代政府の責任というものは問われなければならないだろうというふうに思います。
 さて、行政改革という問題は、先ほど申しましたように、肥大化し切った行政機構あるいはまた非効率的、非合理的な経営の結果赤字が累積しております公団公社といったものに対する徹底的なメス入れということが必要でございますし、また公共サービスを徹底的に見直すということもまた必要なことでございますが、こういった行政改革を根本的に行いますためには、まず、先ほども板東公述人から少しお話がございましたけれども、何といいましても第一にシステムに手をつけなければならないだろう、こう考えております。つまりシステムを変更させる、あるいは組み替える、こういうことによってより根本的な行政改革が進んでいくのではなかろうか、かように思っておるわけでございます。
 ところが、今回の第二次臨時行政調査会がお出しになりました第一次答申ではその点が全く欠如しております。これは政府が初めから昭和五十七年度から五十九年度までの三年間の財政再建という問題にしぼって答申を依頼したために、こういう形のものが出たんだろうと思いますけれども、本来ならば、これが出ます前に、まずシステムの変更といった本論の部分が先にあって、そのあと各論ともいうべきこうした財政再建の問題が後に続く、こういうふうになっているのがまあ妥当な姿ではなかろうかというふうに思っております。もちろん私とても、ここ数年間の間に出てまいりました財政破綻とでも言うべき大問題を軽視するわけではございませんし、その意味では大変緊急避難的な意味で今回の法案が出されたことも十分承知しておりますけれども、しかし、やはりまさに本末転倒という感をぬぐい切れないわけでございます。どうしてこれまでに本論の部分をやってこなかったかということをやはり私は国民の一人として率直に感ずるわけでございます。
 次に、今度の提案は、昭和五十九年度に赤字国債の発行をやめるということを前提とした、先ほど申しましたように、緊急避難的な色彩が濃厚な性格のものでございますが、この赤字国債をなくするということを前提にいたします限り一般会計に手をつけなければなりません。したがって、法案のように補助金等の一律カットというような措置に訴えざるを得なくなった、これは当然のことだろうと思っております。したがって、私はここで考えたいわけでございますけれども、赤字国債の発行を停止するということだけを考えるから一般会計への波及ということになるのであって、むしろ国債にはもう一種類建設国債というのがございます。建設国債と赤字国債とをともにあわせて見直すということができないものであろうかというふうに思うわけでございます。
 もちろん、今回の行政改革関連法案と申しますか、余り法案の名前が長いものですから、少しカットさせていただきますけれども、この法案の中で削減できる金額が、先ほどもお話ございましたように、二千五百億円弱でございます。これは来年度の予算不足分に比べますと一〇%弱という小さなものでございます。もちろん、この夏に行われました各省庁の概算要求の段階でゼロシーリングという指導のもとに大幅に要求をカットしたということでひねり出す金額と、さらに公共事業等の縮減という問題、合わせでこれだけを出そうということでございますけれども、まさに、いま申しましたように、公共事業等の削減等も含めて考えるならば、むしろ五十七ないし五十九年度の三年間の緊急避難的な特例法案というものの中でも、当然赤字国債以外に建設国債も含めて見直しを考えるべきではないだろうかというふうに思うわけでございます。それを初めから赤字国債をなくすということだけを考えるものですから、こうした形の福祉カットといったようなものにつながるわけでございまして、その点私は国債の発行と予算執行との間の矛盾というものをもう少し考え直すべきではなかろうかというふうに思っております。
 次に、もう少し具体的な法案の内容について一、二私の考えを述べさせていただきたいと思います。ほぼ七つの項目から成り立っておりますけれども、これを一々コメントいたしますことは私の陳述の能力を越えますし、また時間的な問題もございますので、とりあえず次の二点だけを強調さしていただきたいと思います。
 その一つは、厚生年金に対する国庫補助というものを四分の三にカットするという件でございます。この厚生年金というものの加入者というものはわが国では非常に多うございます。そういう意味におきまして、厚生年金が抱えております問題も大変複雑なものがあるということも承知しております。特に現在のような人口の老齢化が進んでまいりますと、現在のような形での厚生年金の維持というものは、これから十年、二十年先になりますと大変困難になるだろうということが予想されるわけでございます。したがいまして、そのような厚生年金自身が抱えております構造的な問題、これは別個に慎重に審議していかなければならない問題だろうと思います。そういうことがいま大きな課題としてあります時期に、三年間の特例法案の中で厚生年金に対する国庫補助をカットしていくということはやはりいかがなものであろうか。三年という短かい期間であるからこそ、むしろそこに手をつけずに全体的な構造的な問題の中で厚生年金全体の問題を処理するというところにゆだねた方がよかったのではないか。
 また、参議院あるいは衆議院での御議論を通してうかがわれますように、一時政府が借り入れるごとになるのだから、それを後に返却する、返済するということを言っているわけでございますけれども、そうなればむしろ必ずその返済を明確にしなければならない、あるいはこれに対して運用の金利もつけて返却すべきだという議論もございます。そこまで入れるかどうか知りませんが、少なくともこの二〇%という国庫負担というものがこれからの厚生年金の運営において大変重要なウエートを占めていると存じますので、その点がむしろカットされていくということに厚生年金の運営という面から非常な危惧を感ずるわけでございます。そういう意味で少なくともその返済を明確にするということだけは必要じゃなかろうかというふうに思います。
 それからもう一つは、住宅金融に関する問題でございます。先ほど廣公述人のお話もございましたけれども、わが国の住宅状況というものは、むしろ現在では世帯数よりも住宅戸数の方が多いというぐらいでございますから、いわゆる住宅が不足しているという状態はむしろ通り過ぎたといっていいと思います。しかしながら、その住宅の内容を見ますと、これはっとにECあたりから兎小屋に住むというふうに指摘されましたように、きわめて薄っぺらである、あるいは汚い、あるいは狭い、そういう住宅が大部分でございます。したがいまして、より快適な、より広い住宅を持とうという欲求は、国民の各層にあるわけでございます。そういう意味では住宅金融公庫からの借入金というものに依存する度合いというのは非常に高うございます。この点につきましても考えるわけでございますけれども、これは五・五%という現在の規定を超えてそれを自由に引き上げることができるようにという法案の趣旨でございますけれども、それはむしろ向こう三年間という期間の限定がございますだけに、むしろそれはしない方がいいのではないか、そういう変更をしない方がむしろいいのではないか。それは一つは、いま申しましたように、国民各層の、特に低所得者層の住宅取得ということの必要性ということが一つございますが、もう一つは、やはり向こう三年間にわたってこれからさらに金利が上昇するという傾向は余りないのではないか。これは特にアメリカの金利傾向の動きから見ましても、将来はわかりませんけれども、少なくともここしばらくは金利が下がる傾向にあると思います。そういう見通しがありますときに、わざわざ上げるということをきめる必要はないのではないか、こんなふうに考えたりもいたします。
 まだ幾つか問題点はございますけれども、時間も来たようでございます。もし御質問がございましたら多少私の考えているところを申し述べたいと思いますが、いずれにいたしましても、今日ほど行政改革に対する国民の関心というものが高くなった時期はかつてなかったといっていいわけでございます。私自身は、先ほど申しましたように、まず総論、行政改革のシステムの変更ということを先にやり、その後に各論あるいは財政再建の問題をも詰めていくべきだという順序を申し示したわけでございますけれども、残念ながらそれが反対のかっこうで今回提案されておりますけれども、そうは申せ、このせっかくの盛り上がりをさらに持続させて、この次に第二臨調は本格的な基本答申を提出するということになっておりますが、そこのところでぜひ本格的な行政改革を早期に実現することをお願いいたしまして、これがいわば条件でございますが、この法案に賛成したいと思います。
 以上で陳述を終わります。
○座長(玉置和郎君) どうもありがとうございました。
 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 これより委員から公述人に対する質疑を行いますが、この際お断り申し上げておきます。廣公述人は御都合で十一時二十分ごろには御退席になりますので、廣公述人に対する質問を先に各委員にお願いいたしたいと存じます。
 さらに板東公述人から、この地方公聴会の規模を広げて各層各界の意見をもっと聴取するという御発言がありました。もっともだと思いますので、各党とも相談し、議長とさらに相談しまして考えてみたい、こう思います。
 また、この際申し上げておきますが、地方公聴会は、先ほどもわれわれの方で御相談申し上げておったんですが、これはなるべく、出てくる機会がないものですから、公述人の皆さん方の御意見を拝聴して、質問の方はしぼり込んでそれぞれお願いするということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは質疑のある方は順次御発言を願います。
○降矢敬義君 自民党の降矢でございます。廣公述人が先に御退席のようでございますので、最初に御質問申し上げたいと思います。
 先ほどのお話で、行革推進すべしというお立場にお立ちになり、しかし、来年の予算編成は、われわれは増税なき予算編成ということで、したがって、それは歳出カットして予算を編成したい、それから答申もそういう趣旨で出ているわけでございますが、その結果、先ほどお話がありましたように、この法案の施行あるいは予算の編成がそういう形になりました場合にも日本経済の活力を損なわないようにやれと、つまり行政改革によるデフレを心配されているような御発言でありますが、その点についてもう一回御陳述をいただきたいと思います。
○公述人(廣慶太郎君) 行革デフレという言葉がよく使われますが、確かに公共投資そのものが全く横這い、量的には減というような形になってまいります。その問企業として努力はいたしますけれども、収益減というのは、先ほど申しましたように、六月期決算法人で二十数%の減という結果にあらわれているわけです。そうすると、政府の期待する税収が果たして確保できるのかどうか。やはり税収を確保しないことには収支のバランスがとれないわけですから、税収確保ということを頭においてもらって、いたずらにデフレ傾向を高めることによって企業収益に大幅な減少を来すということになりますと、結局、角をためて牛を殺すというような結果になりかねませんので、したがって、経済界に活力を与えるという観点を行革の中でも忘れないようにやっていただきたい、こういう趣旨でございます。
 具体的にはいろいろ問題がございますが、先ほどお話がありましたような住宅投資の問題、これは一番景気に対する波及効果の大きな問題でございます。経企庁は五年間で七百七十万戸というような大幅な五カ年計画を立てていらっしゃいますが、現実にはそれよりはるかに低いという状況でございます。本年度おそらく百十万戸程度じゃなかろうか。そうすると一昨年百五十万戸から考えますと三割近い減ということになっているわけですから、住宅投資を今後進めるためにどうしたらいいかということ、都市政策の問題もございましょうから、問題は根深い問題がございますが、都市政策の問題は一挙に解決できるものじゃありませんが、この問題についても土地価格の上昇の抑制ですね。これについても配慮を願わなくちゃならぬし、金利の問題、これも先ほどお願いしましたように、やはり特別な配慮を必要とする。長期金利が最近上がる傾向にございます。したがって、住宅金融についても、金利の値上げの問題も起こっていますが、こういうことは、これは社会政策上歓迎すべきことじゃないんでして、特別な配慮をお願いする、こういうことでございます。
○穐山篤君 私は社会党の穐山です。
 御三人とも本格的に行革、行政システムの変更ということを言われました。これは当然だと思うんですが、先ほど廣公述人は、思い切った歳出のカット、こういうお話がありました。どういう分野、どういう部分でこの際カットした方がよろしいかという、ある程度具体論ですね。たとえば先ほどは一部給与について、福祉について出過ぎているというお話があったんですが、そのほか含めて、こういう部分で歳出カットをやればいいのではないかという、そういう具体的なものについてお示しいただきたい。
○公述人(廣慶太郎君) 具体的な問題となりますと、いろいろそこに問題があるわけですが、この問題はすでに大蔵当局でもいろいろ問題を抱えていらっしゃると思うんですが、やはりそういう問題をきめ細かく一々取り上げて、そうして総論賛成、各論反対というのじゃなしに、やはり財政再建のために国会議員の先生方も各論の反対じゃなしに、ひとつ総論賛成、各論も賛成の方向へ持っていっていただくことが大事じゃなかろうか。いまの財政再建のための支出のカットとなりますと、これはいろいろな項目があろうと思います。単に給料据え置き、あるいはカットというような問題だけじゃなしに、国民年金の問題あるいは失業保険その他の問題、これは大事な問題に違いないし、また、将来の国民福祉上重要な問題には違いはないけれども、しかし、これが物価スライド型ということをしばらく皆にしんぼうしてもらって、そうしてやはり乏しきを分から合うという国民のコンセンサスが何としても必要ではなかろうかというふうに考えております。
○峯山昭範君 公明党の峯山でございます。
 非常に短かい時間でございますので、簡単にお伺いいたします。実は先ほどから行革デフレの問題が出てまいりましたけれども、いまのままでいくと本当に行革デフレというのがやってくるのじゃないかと、そう思いますが、そういうふうな意味で思い切った減税ですね。増税なき財政再建ということを言っているわけでありますが、それとは別に、いわゆる思い切った減税というのは、廣公述人はどういうふうにお考えかというのが第一点。
 それからもう一つ、先ほど関西空港の問題についてお話がございました。これは私は廣さんおっしゃった御意見と空港そのものについての認識も賛成でございますが、将来の関西あるいは大阪というものを考えた場合に、私は、いまから何年か前に、大阪に国際空港を関西の財界の皆さん一致団結してつくって国に寄附したということがあるわけですけれども、要するに関西の財界の皆さんが今度の新しい空港を、大変いま大阪の財界の皆さんも何かとお忙しいようでございますが、これはやはり本気で一致団結して新しい空港をつくるのだという気概と言おうか、それは国と相談しなければならない点もたくさんあると私は思いますけれども、それとは別に関西の財界として本気でやるのだ、多少の泥をかぶっても本気でやるのだという気概があるのかどうか。この点は大阪の財界で御活躍中の廣公述人にぜひお伺いしておきたいと思うんです。
○公述人(廣慶太郎君) いまの行革デフレの問題ですが、いま峯山先生のお話しのように、確かにこの心配は私どもも深刻にしているわけでございます。しかし、といって、こういったいま一つの非常時体制でございますから、その行革デフレをどういうふうにわれわれが受けとめてこれを乗り切っていかなくちゃならぬかということなんでございますが、それが減税によって危機を突破するということは、これはちょっと問題でございまして、いまアメリカのレーガンがやっているような、ああいうサプライエコノミー的な経済政策が果して成功するのかどうか、あれが成功すれば非常にわれわれには非常にいい見本を与えてくれると思うんですが、これ自身アメリカでも経済学者の間でいろいろ反論もあるようでございます。これはしばらく傾向といいますか、成り行きを二、三年待ってみないと、その成果は評価できないと思うんです。少なくとも現段階においては、そういったサプライエコノミー的な経済政策に踏み切るだけのまだおそらく決断はつかないわけでして、やはり増税なき再建を図っていくしか方法がないと思うんです。したがって、いま減税によってそういったデフレの危機を防ぐということは、これはいま国民のコンセンサスの面からいいましてもむずかしい問題だと思うんです。また、実際上財政運営の面からいきましても現状においては不可能な問題だと思うんですが、そこでいま言うデフレ傾向は避けられないにしても、その間ひとつきめ細かい対策と申しますと、たとえば現在、業界、経済界が悪いといいましても、先端産業に類するものは非常にいいわけですね。電子工業初め、あるいは精密機械、あるいは最近のロボット産業、そういったものはいいわけですが、素材産業が非常に悪い。ですから、一律にここで対策というのではなしに、そういう不況産業、素材産業に対する対策、現在、たとえばアルミ関係の事業、あるいはまた非鉄金属も非常に悪うございます。あるいは簡単な素材産業機械のものが一般に非常に景況が悪くなっておりますが、そういったものに対する特別の配慮をここでしていく必要があるのじゃなかろうか、こういうように考えるわけでございます。しかも、中小企業が昨今だいぶ不況の影響を受けてまいりました。したがって、中小企業、これはやはり金融面もしかりでありますし、そういった中小企業に対する対策をここらで少しきめ細かくやっていくことによってデフレに対する国民の不安感というものも若干削減できるのじゃなかろうかというようなことを考えます。それから、それにつきまして投資問題ですね。投資につきましては、金融の問題じゃなしに、ことに中小企業の合理化投資につきましては、これは一つの減税ということは悪いんですが、特別な税対策が償却あるいは必要なものができるのじゃなかろうか、こういうように考えます。
 それから、空港問題につきましては、いまだいぶ峯山さんからお吃りを受けたのですが、関西財界が一致団結してやれということで、どうも最近ぶざまなかっこうじゃないかというようなお吃りを受けたのでございます。それはそれといたしまして、財界としては一致団結しているつもりなんですけれども、いろいろ財政的な面もあり、また全部が全部中央の方へ依存するという考え方がいいのかどうか、今日財政再建の重要な時期でございますから、したがって、地元負担といいますか、あるいは第三セクター的なことも考えざるを得ないのじゃないかというような議論もあるわけでございまして、いずれにしても、決して財界は一致団結しないのじゃなしに、懸命にいま努力をしている段階でございますが、いまお吃りを受けましたので、さらに意見をまとめて強力にまたお願いを申し上げたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
○柳澤錬造君 民社党の柳澤でございます。
 廣公述人にお聞きしたい点は、先ほどの御見解の中で最後の方に、肥大化した行政を全般にわたって簡素化、効率化していただきたいということ、そうして勇断をもって行政改革を断行せいというふうに結ばれたわけなんです。私が一番お聞きしたいのは、先ほども公述人は行政改革は国民的コンセンサスが得られていると、果してそこまでいっているかどうかというところが私は心配のところなんです。国会の中で私どももいろいろ審議をしてまいりまして、政府は第二臨調に対しては、実現可能なものを答申してくれという条件をつけているのです。そういうことは、国民に向かって今回のあの法案に示しておりますように、第二臨調からこういう答申をいただいたから、これをやるのだといって第二臨調のせいにして国民に向かって物を言っているわけなんです。廣公述人がごらんになりまして、簡素化せい何かせいと、いっぱい答申にあがっているのだけれども、廣公述人がごらんになっておってどの点が簡素化といいますか、そういうふうなポイントがこういう点にあるのだという点を具体的に一つでも二つでもけっこうだから取り上げて言っていただきたいことと、それから勇断をもってやれというその勇断を求めるところはどこに一番お求めになるのか。
○公述人(廣慶太郎君) いまの実現可能なもの、今度臨調の方でいろいろ土光さん初め御努力なさって具体的な問題もあがっていると思います。その一つの点は、許認可制度をとらえましても非常に複雑でございまして、これをもっと簡素化することによって相当行政負担も軽くなると思うのでございます。あるいはいろいろ過去の惰性でそのまま行なわれているような行政が相当あるわけですね。そういったものをいまここで私から具体的に申しますと、またいろいろ私の方へ反論が出てまいりまして、電話がかかってきたりするとやっかいで困りますのでお許しを得たいと思います。
 勇断の方は、結局、総論賛成、各論反対をこの際もう一ぺん考え直してもらいたいというところなんですね。総論としてはなるほどそうだ、各論になるとまたいろいろそこに利害関係その他があって、なかなかそれに結論が得られないというような問題が多いと思うんです。先生方もおそらくそういう場面をたくさん御経験なさっていると思うんですが、そこはひとつ、いろいろ御事情がございましょうけれども、政治の場で御努力を願っている立場からすれば、ひとつこの際は、各論は何だが総論に向かって皆を誘導し引っ張っていっていただく必要があろうかと思うんです。その程度です。
○座長(玉置和郎君) この際、委員長もちょっと廣さんにお聞きしますが、私は直接聞いたわけじゃございませんが、関西空港について、経営の神様である松下幸之助さんが、こんなものは国がやらんでおれたちに任せというような発言をされたというようなことを聞きました。関西の経済人は経営がうまいですからね、ただ環境がちょっと悪いだけで、それだけに、もし関西財界に新空港を全部お任せします、建設からやってくださいと。さっき第三セクター的という話が出ましたが、そういうことなら非常に効率的な新空港ができるのじゃないかという考えを私は前から持っていました。それだけに思い切って国の方も任したらどうかなと、経営は十分採算がとれるのじゃないかということを言っておりました。成田みたいなあんなぶざまなことは絶対にしないというようなことを言っておりましたが、海ですしね。暴れる連中が入ってくるのをとめるには簡単だと思いますし、それだけにその辺の意見を廣公述人としては、関西財界の雄ですから、財界全体をまとめて、おれたちが引き受けてもいいぞというようなことにならぬのですかね。そうすると、これはずいぶん助かるんですがね。
○公述人(廣慶太郎君) 私から発言しますとおこがましくなりますので、御趣旨のほどはひとつ日向さん、佐伯さんにもよくお伝えしておきます。
○座長(玉置和郎君) これは大体われわれもそういう考え方でどうだというようなことはまとまっておりませんが、われわれも相談しまして、さらにまたあらためてお願いにあがるかもしれません。
 廣公述人はお時間でございますので、御退席していただいてけっこうでございます。
○公述人(廣慶太郎君) よろしくお願い申し上げます。
○降矢敬義君 板東公述人、杉江公述人に一問だけ質問を申し上げたいと思います。増税なき財政再建あるいは増税なき予算編成というものを標榜しているわけですが、私は所得税の減税の問題は別にいたしまして、先ほど板東さんからお話がありましたが、その問題はそっちに置いて、いわゆる不公平税制といわれるものを是正すれば、でこぼこ調整ですから、あるものには増税になる、大体増税の方向が多いと思うんですが、そういうことは増税なき財政再建の中でも積極的に進めるべきだという御意見ですか、その辺はどうでしょうか、両公述人にその一点だけお伺いしたいと思います。
○公述人(板東慧君) ちょっと質問の趣旨でございますが、一部に増税になっても進めるべきかということで――これはすでに多くのところで言われておりますように、すでに大蔵省当局でもお考えが出ていると思いますが、たとえば非常に脚光を浴びています医師優遇税制の問題とか、それから、やはりこれだけ経済がいまの状況として困難はありますけれども、蓄積ということからしますと、日本の経済力というのは相当なものでございます。したがって、租税特別措置をもう少し制限的に選択していく、率直に申しまして電力料金も昨年上がりました。非常に鳴り物入りで、このままでいくと赤字になるということでありましたが、聞いてみると非常な増収であります。それは長期計画ないし中期計画がおかしかったのか、急に電力だけが景気がよくなったのか、非常に原因不明であります。また、電々公社の料金値上げにしましても非常に赤字になるということで料金値上げをやりました。結果としては非常に増収で、世界トップレベルの増収益になり、そうして遠隔地の深夜料金等あるいは遠隔地料金等を還元するという形をとった。そういう形で経営というもの自身にはいろいろ不安定要素はありますけれども、相当な蓄積力の持っている選択的な課税、それから、さらにはやはり最低の住宅用土地というふうなものの標準をきめましたら、それ以外の複合世帯が持っている土地にしましても、もう少し土地の値上がり分に対する課税というふうなものをもっとやっていくという、これも大体国民的コンセンサスは得られるのではないかと思います。あるいはまた有価証券の問題とか、そういったところで、それだけとは申しませんが、幾つかもう少し仔細に検討しますと、これはそれぞれの利害の立場から要望は出ると思いますけれども、大体公平に見て国民的コンセンサスが得られる部分がかなりあるのではないかというふうに思います。
○公述人(杉江雅彦君) いまのお話でございますが、基本的にはやはり税の負担というのは公正でなければならない、あるいは公平でなければならないと思います。しかしながら、先ほど私も少しお話をいたしましたように、この長年の経済成長の中で、ある意味では不公平な面が助長されてきているという点は率直に認めなければならぬと思います。したがって、その点を公平とか公正の立場からどのように是正するかということが具体的には大変大きな問題になるわけでありますけれども、しかしながら、さらに考えてみますと、余りにも悪平等というのはいかがであろうか。したがって、ここは負担能力のある人からは負担をしてもらう、しかしながら、負担能力の乏しい人たちにはできるだけ公正の立場、公平の立場を貫いていく、いわば選択的税制というものの見直しが必要ではないかというふうに思っております。
 先ほど廣公述人も少しおっしゃっておりましたけれども、いわゆるアメリカのレーガン政権でいまやろうとしている減税の意味でございますけれども、これは余り税金を高くとると活力をもぎ取ってしまうことになるという問題が一つございます。いわゆるラッファー理論というものがございますけれども、私は、日本の所得税の累進課税率といったものが非常に高い。ですから、たとえば松下幸之助さんのようなお方では八〇%といったような累進課税によって収入がカットされてしまう。これはまああのようなお方ですから、残った部分でもずいぶんあるわけですから、私たちとは比較になりませんけれども、しかし、一般的に言いまして、私ぐらいの年収でもこれはかなり累進課税率が高い感じでございまして、いつも税金に追われているような感じがいたします。したがって、累進課税率というのはやはり少し下げるようなかっこうにするべきで、したがって、それでなければ経済力に対する活力というものが生まれてこないという問題、これはあると思います。ただ、もう一つ直接税でなく、間接税に関する点から申しますと、これはやはりある意味では、ぜいたくな物品を所有する、購入するということによって払わなければならないとか、あるいは、いわゆる金持ち税制といわれるような有価証券の取得といったものについての配当の課税であるとか、利子課税であるとかいったような点は、これは負担可能な、能力のある者からとるという点は、私はこれからの税制を考えていく場合の基本的なポイントにすべきではないか。したがって、負担能力のあるところには負担をさせる、しかしながら、余りにもそれが活力を失わせるようなとり方はいけない。具体的な個々の税制について私よく存じませんけれども、そういう考え方が貫かれるべきだと思っております。
○穐山篤君 板東公述人にお伺いしますが、今度の国会でも地方公務員の給与問題というのはだいふ議論になりました。地方公務員の話が出るときには必ず大阪ないしは関西の例がたびたび出るわけですね。それについて大阪の皆さん、関西の関係者としてどういうふうに地方公務員の労働条件といいますか、賃金といいますか、そういうものについて考えられておるかどうか。
 それから、あっちこっちの地方自治体を歩いておりますと、中央官庁が縦割りのシステムになっているために、受ける方は、地方は一つ、あるいは受ける人は個人が一人受けるわけだけれども、七つも八つも判こをもらわないとできない。こういうものに対する注文が非常に強いわけですね。そのことについてお考えがあればひとつお伺いをしたいと思う。
 それから杉江さんにお伺いしますが、先ほど厚生年金四分の三を基準にして繰り入れをする、言いかえてみれば四分の一はカットします。政府が借りになるわけですね。今度の国会の中の答弁は、必ず適切な措置でお返しをいたします、ただし財政状況を踏まえて、こうなっているために不安に思うわけですから、先ほどは返済を明確にしろ、こういうお話でした。私は、この間総理にそういう不安を解消するためにも、財政再建期間終了後、言いかえてみれば六十年に厚生年金についてはこういう返還計画を持ちます、あるいは船員にしろ教員につきましても、こういう償還計画がありますというのを明示しろというふうに総理にお尋ねしたわけですが、総理は余りいい返事をしなかったのですが、その返済を明確にしろという意味で何か手続的なことを含めて知恵がありましたならばひとつお伺いをしておきたいと思うんです。以上です。
○公述人(板東慧君) まず地方公務員の給与のことでございますが、三点にしぼってお話し申し上げたいと思います。
 まず第一点は、いま申しましたように、地方公務員ないしは政府関連企業等の賃金決定が問題になっておりますが、いま現実に存在する賃金決定は、地方公務員の場合ですと、人事院というものが設置された法律のもとで、しかも地方には人事委員会がございまして、それぞれが勧告をして団体交渉の結果きめられたという現行制度のもとででき上がったものですね。したがって、その結果が問題があれば、制度から変えないと現行制度というもの自身は国会でも承認されていることでありまして、したがって、その制度を根本的に変えないとそれは直らないという性格のものだと思うんです。その制度の問題と申しますと、一つは公務員の賃金というのは、もともと地方公務員は地方で団体交渉できめられることになっておりますが、事実上は人事院規則等に基づいて地方公務員に準ずるということなんです。準ずるという解釈はいかようにもできまして、初任給が準ずる場合も準ずるでありますし、給与体系が準ずる場合も準ずるでありますし、金額が準ずる場合も準ずるでありますし、準じないといってもいいわけであります。そういう非常にあいまいな規定でコントロールがされているという点です。同時に実際上は、国家がきまらないと地方がきまらないという慣行をつくり上げた。これは現行法律制度があって、一つの慣行ではありますが、事実上の法律制度に近い形に運用されてきているという厳然たる実態があるわけでありまして、それを変えることなしにきまったものだけを変えようとしても、これは悪循環の再生産になるだろう。したがって、私は、先ほど申し上げましたように、まず基本的な団体交渉制度をフリーにやらせればそれはもっと住民にも関心が出てきて、批判すべきものはし、あるいは上げるべきものは上げるという、もっと関心が高まると思いますが、いま住民がいろいろ言いましても、中央がきまったものに準じてきまってくるのだという大体システムが定着しているということであります。それからもう一点は、その内部の問題としましては、かりに準ずるとしましても、もう少し明確なレベリングの、たとえば一定の標準者の賃金を幾らにするというようなレベリングをある程度流動的にやるとかしないと、給与体系だけを示してそれで準ずるわけですから、今度はそれの計算方式で国と地方との関係で、いろいろ地方の弱みや強みもありますから、当然そこに面従腹背が出てくるわけで、そこに例の短縮とか渡りとかいう問題が出てきて、結果としてそれが出てくるということが一つあります。
 それから二番目に、関西の賃金が高いといいますのは、これは民間もそうでありまして、西高東低というのは毎年の春闘でも必ず西の方が高い相場が出てくるわけです。昨日も電機労連の一時金が発表されましたが、御承知のとおり、東芝、日立、三菱よりも松下、早川、シャープ産業が百万円を突破して東芝、日立が九十万円台、一時金の平均額が。西高東低というのは、これはいわば労働問題ではもう常識上の事実であります。先ほど関西財界の問題も出ましたが、やはり京阪神という三つのところが非常にばらばらしていて弱いわけであります。東京のように集中しておりませんが、これが競合してそれぞれの役割分担をしながら労働市場が競合しているということ。それからもう一つは、大阪府で言いますと、大阪府というのは、本来東京都的ないわば行政体系をとるべきである。ところが、にもかかわらず大阪府と大阪市という政令都市とちょうど東京都内にあるさまざまな武蔵野とか小平とかいう市と同じように東大阪とか八尾があるわけであります。ですから、行政そのものが東京都という一つの体系の中でさまざまやられて、その東京都の非常に強力なもとに衛星都市があるのに対して、大阪府は大阪府と市と衛星都市という形でまさに競合関係があるわけです。したがって、行政上の競争があるわけであります。東京都ほど大阪府は各都市に対していわば拘束力を持ったような行政はできないわけであります。こういった事情があるわけで、したがって関西は高いというのは、ある意味では実態をあらわしているというふうに言っていいわけでございます。
 それから三つ目の問題は、比較の基準に問題があるということでございます。その比較の基準というのは、これは常に公労委でも地労委でも、あるいは人事院でも問題になりますように、何を何で比較するかということについて、いつも論争があるわけで、ラスパイレスと申しましても、どの時期にどの時点でとるかということについて少し理論的な問題もまた未解決でありまして、そういう点を十分に考慮されて検討されることが必要ではないか。したがって、結果だけを押えるというのは私はやはり欲求不満だけを募らせて、行政のむしろ非常に停滞を招く可能性もあるというふうに思います。
 二番目の縦割りシステムの問題でありますが、先ほど住宅問題がございましたが、私は神戸に住んでおりますが、四十万の世帯のうち四万戸が空き家であります。そのうちおそらく二万戸程度は老朽住宅ないしは非常に古い住宅、あとの一万戸の住宅はいわば流通市場に流れているもので、あとの一万戸に近いものが特に公団等の開発によってニュータウンで穴埋めができない住宅である。これは一時福岡県でも出ましたが、公団住宅が建築されるということでもって、大体そこに人口がどれくらい入るかということで規模はきまる、そうすると、都市は全部学校を用意し、さまざまなものを用意しなければならぬ。ふたをあけてみたら人間だけ詰まらないで、学校は二年も先につくられたけれども、全く過疎地の学校と同じである。こういうふうな問題でいま一番問題になっておりますのは、先ほども杉江公述人からもお話がございましたが、地域の実情に見合った、ある程度地域のスキンシップのある政策を展開しないと非常にむだが多いという気がいたします。もう一つ道路公団の例を申しますと、この大阪には阪神高速道路と名神高遠が走っております。神戸からたとえば大阪へ行く場合に、新しい阪神高速道路が大阪まで直結しましたが、神戸から西宮まで阪神高速道路公団、西宮から豊中までが名神高速でございます。豊中から今度は空港までが阪神高速である。同じ一つの車に乗って三つの公団、二つは一つの公団ですが、それに全部ゲートがありまして、そこでお金を支払う。大阪で一番問題は、阪神高速道路公団の神戸から大阪が直通したにもかかわらず、名神のところで二つが入り込むんですから大変な渋滞が起こっている、こういうふうなことであります。こんなものは取っ払えばいいわけであります。極端に申しますと。そうしてもう少し合理的なシステムで運営すれば、要員の問題も停滞の問題も、あるいは料金システムも、結局同じ公団に二回払わないと到着地点まで行けない、極端にいえば二重取りされているという可能性もあるわけでありまして、そういった縦割りによる公団公社等の乱立というものが非常に迷惑を及ぼす。
 時間がありませんから、もう一点だけ申しますと、雇用問題に関しまして、不況対策等で雇用に対するさまざまな調整金が出ておりますが、これも緊急避難的なものはたくさんありますが、同時にたくさんの雇用関係の給付金があります。これももう少し整理しないと、だれがどこにもらいに行っていいかわからないというほどに、行政の立場にいる人も課が違えばそのことについてわからない。このことは同じように住宅融資についても言えまして、商工関係あるいは同和地域問題、それから勤労者住宅、住宅金融公庫、住宅公団、さまざまなものが全部受ける側は一つでありまして、それに手続から全部違うわけであります。そこがそれぞれに給付しているのですが、供給した住宅がアンバランスで空き家ができている。こういう非常にむだがあるわけで、そういうふうなことをもっと組織を、完全に一元化できないにしても、一元的にコントロールして、コンピューター時代でありますから、もっとコンピューターを駆使すれば私は経費の節減も図れるのではないかというふうに考えるわけであります。そういった例がたびたび出てくるわけでして、そのあたりにつきまして言うと、やはり私はもう少し決定権なり計画権をもう少し地方におろしてこないと無理ではないかと思うわけであります。以上であります。
○公述人(杉江雅彦君) お答えいたします。先ほどの御質問の中で、直接総理にお尋ねになったというお話がございましたが、やはりこの返済先ほど申しましたように、厚生年金というものの国庫負担というものは大変重要な問題でございますので、これはぜひ返済するということが前提に当然なっているわけでございますけれども、そこのところがもう一つ明確でないというのは、やはりこれはいけないと思います。もちろん国が、つまり政府が自分が出しているものを一時そこから借りるという形をとるわけでございますから、いわゆる純粋な意味での借金ではないわけでございましょうけれども、これまでの慣例で厚生年金がその政府の国庫補助というものを含めて運用されてきたということでありますから、それを一時でも取り出していくということは、これはやはり借金というふうに考えざるを得ません。それがこの法案にございますように、特例適用期間経過後において国の財政状況を勘案しつつというところが一つ非常に大きなあいまいな点だろうと思うのでございますが、これが民間の貸借という関係でありましたら、とてもこういうようなあいまいな表現では借りられないだろうというふうに思うわけでございます。これが民間の商取引の常識だろうと思います。したがって、先ほどお尋ねのポイントは、つまりそういういい手続がないか、あればかせということでございますが、手続というよりは、これはぜひ明確な形で法文に明記するか、あるいは確たる約束をやはり総理から示すかということしかないだろうと思うわけでございます。この経過期間が終了するということは六十年度以降になるわけでございますが、実は六十年度から国債の大量償還が始まるわけでございまして、この国債費が急憎いたしまして、その段階でこういう返済の計画が果してどうなっていくかということになると、これは大変疑問視しておかなければならない。したがいまして、手続云々よりは、むしろ確実にそれを返済するということを、言質と申しますか、これをとっておくことが肝要かと存じます。以上であります。
○峯山昭範君 それではもう時間がございませんので、簡単に一言ずつでけっこうですが、お伺いします。
 まず杉江先生に、先ほどの国債の減額の問題についてお話がございました。特に国債の減額の中でも赤字国債に限定をしないで建設国債も含めて見直しをしたらどうか、こういうような御意見でありましたが、この点についてもう一ぺん少しお伺いしておきたいと思います。
 それから板東先生に、これは端的にお伺いしておきたいと思いますが、いろいろと行政改革の問題はありました。先ほども行政改革の理念の問題で三点述べておられるわけでございますが、それに加えまして四点お述べになりました。それはそのとおりだと私も思います。時間的の問題もありますので、端的に、行革でこれだけはやれ、これは取り組むべきだという点を二、三あとでおっしゃっていただければ幸いだと思います。
○公述人(杉江雅彦君) お答えいたします。ただいまの峯山さんの御質問でございますが、先ほど私は国債の減額と申しますか、という点に関して赤字国債が昭和五十九年度においてゼロにされるということが前提であるということは、必ずしもそれにこだわる必要はないのではないかという意味の陳述を申し上げたつもりでございます。つまりもう一度重複するようでございますけれども、赤字国債を減額ないしゼロにするということは、その分だけ一般会計の何らかの経費が削減されねばならないということになるわけでございまして、先ほど廣公述人がむしろ税収の増加こそ考えるべきだと、こう申されましたけれども、税収という問題は、これは景気との関係もございまして、これを正確に見積もることは非常に不可能でございますから、どうしても歳出の面で考えていかなければならない、これが保守的なようでありますけれども一番大事なことだろうと思います。そうとするならば、いろいろな議論は一般会計の減額というところから福祉の切り捨てたとか、弱者へのしわ寄せとかいうことが言われてくるわけでございます。ところで、国債には、もうよく御存じのような二種類のものがあるわけでございまして、建設国債は、これは国のいわば投資だから物として残っていく、しかし、赤字国債の場合は一般会計のいわば消費の一部分に使われてしまうのだから消えてなくなる、だから、つまり投資として残る分の国債はいいけれども、消えてなくなる赤字国債はだめだと、こういう思想が初めからあるように思われるわけでございますけれども、そういう考え方についてもう一度見直しをしてはどうかということが私の陳述の趣旨でございます。つまり公共投資を中心に行っていく、その公共事業によって政府の財政支出を増大させるということは、戦後いわゆるケインズ政策の考え方のもとに各国で続けられてきた、推進されてきた考え方でございますけれども、これが最終的には大きな政府につながっていく、これがいままでとられているわけでございます。ですから、必ずしも小さな政府というものにしなければならないとは限りませんけれども、それはもちろん行政機構の簡素化その他を通してぜい肉が取れるものは取らなければなりませんけれども、少なくともいま大きな政府、つまり財政支出を通して景気に積極的に政府が介入していくという考え方をいまやはり基本的に生かすべき必要があるのではないか、そういう観点から申し上げているわけでございまして、それならば三年という特例期間中においても赤字国債を目のかたきにするのではなくて、いずれにしろ行革関連法案だけでその歳出カットを考えているわけじゃなくて、先ほども申しましたように、公共事業の削減も含まれているわけでありますし、その金額の方がはるかに大きいわけでありますから、それならばその特例期間中に赤字国債だけを考える必要はないんではないか、その辺は考え方として矛盾してはおらぬかということを申し上げたかったわけであります。
○公述人(板東慧君) 基本的な問題は、私は、福祉なり行政がいま起こっていることについての役割り分担を再編成をする、再編成の基本は、国はぜい肉を減らせと、したがって、国からばらまいているような形になっているものを可能な限り地方の自己完結的な形に持っていって、特に日常的な福祉行政については、むしろ地方自治体に全面的に税源も含めて移管すること。そうしてナショナルミニマムの最低限だけを国は責任を持って運営すること。そうしますと、私は、率直にいって通俗的な言い分ですけれども、陳情行政というのが、これが相当な行政改革されるべき内容でありまして、皆さん方委員の方もいろいろ御経験をされていると思うんです。要するに市役所の市長以下一ヵ月ぐらい東京に、部長以下、皆こもって何かやっている、その間は地方行政の幹部がいないというふうな、それを全国の何百何千という自治体がやっているというのは、これは実に不思議な現象でありまして、そういうことを、たとえば国が責任を持ってやれる分については少々それは陳情やコミュニケーションはいいでしょうが、とにかく予算期が来ると上の下へのというふうな、こういうむだを徹底してなくすということが基本だと思います。
○柳澤錬造君 時間が余りございませんから、私も簡単に聞いてまいりますから簡潔にお答えいただきたいと思います。
 板東公述人に最初にお聞きをしたいのは、先ほど穐山先生から出された問題に関連をいたしましてお聞きしたい。先ほど御見解を述べられたときに、大きな政府になった原因を、中央が地方をコントロールばかりして、そういう仕事をしておったから増大したのじゃないか、そこを直せ、御指摘のとおりだと思うんです。ただ、大阪の周辺都市の賃金が、ラスパイレス指数がいいかどうかは別問題にして、現実にはだれもあれを使っているわけですが、あれで国家公務員に比較をして大阪周辺というのは二〇%から二九%も高い、ざっと年間九十万から百万ぐらい国家公務員よりも高い賃金をもらっている。そういうことが、自治省でも、それぞれの地方自治体が権限を持っているものだから、端的に言えばどうにもならないと言っているわけなんです。ですから、その辺が、住民からそんなことじゃといって出てくるかといえば、なかなかいまの日本の現状で出てこないので、そういう現実に高い賃金になっているのをどういうふうにやっていったら直るものかということをお聞きしたい。
 それから、杉江公述人にお聞きをしたいことは、国債の考え方、私はお聞きいたしておりましても全く同感です。ですから、そこはやめまして、先ほど第一臨調が昭和三十九年に一度答申が出された、基本的なことはかなりあの中で盛られているのだけれども、それがほとんどやられなかったのじゃないか、よろしくない、こういうことです。その点について政府の方は七〇%ぐらいやりましたと言っているんですよ。ですから、私たちも実際問題として、それはどのくらいならというその尺度がむずかしいんですが、そんなにやっていないという見方をしているのですけれども、これは感じとして杉江公述人は先ほどああいう御発言をした関係から見て、私としては何パーセントぐらいやられたというふうに見ているというふうに判断なさるか、そこのところをお伺いしたい。
○公述人(板東慧君) 大変むずかしい問題でございますが、柳澤委員は元労働組合の委員長でございますから。賃金の一たん獲得したものを組合に向かって、職員に向かって下げるというのは大変なことでありまして、ですから、私は大義名分が要る。大義名分というのが率直に申しまして、非常に国債がふえて問題だというけれども、これについても、ある意味でいうと、国民の側からいえば、どれくらい自分たちに責任があるかという問題があるわけだし、自治体職員や勤労者の中にも、この赤字国債をふやしてきたことで自分たちも恩恵はこうむっているかもしれない、不況対策等で。一体、責任があるのかということについて大義名分が明らかでないわけですね。したがって、財政上からいこうとすれば自分たちの責任のないもので、しかも制度化で慣行上でき上がったものを押しつぶすということになると、これはやはり権利侵害という意識になるわけで、したがって、私は、それはオープンになるようなシステムにつくらなければならない。もっと団体交渉権を大幅に認めて、そうして公共企業体等労働委員会のような形ででも第三者機関をもっとつくって団体交渉権の中でやりますと、これは率直にストライキにするかどうか、住民に訴えるかどうかという問題が出てくる。そのときに初めて住民の判断が出てくる。それを非常にブラックボックスの中でやる形になっているから住民の判断ができない状態に追い込んでいるというのが実態だと思う。これは少し荒療治になるかもしれないけれども、行政改革というのはそういう荒療治なんだというふうに思わないとできないのじゃないか。私は、そういう意味で非常に面従腹背的ないまの賃金決定システムですね。マヌーバーと申しますか、たてまえと本音と、こういがみながら何となくやっているというのは、これは労働意欲からしても住民感情からしてもいいことじゃない。お答えにならないかもしれませんが、私は、やはりやや時間をかけて制度的に徐々に修正していく以外に方法がないんじゃないかと思います。
○公述人(杉江雅彦君) 先ほどの御質問は大変むずかしいわけでございますが、ともかく第一臨調のあの三十九年の答申で基本的なことは出されているにもかかわらずほとんどやっていないのだという私なりの判断は、それは確かに幾つかの勧告が出ておりまして、その答申の勧告を整理しても数十項目になると思うんです。そのうち、その一つ一つを拾っていって、これはやったんだから七〇%といえばそうなるかもしれません。ただ、私が行政改革の最も基本的な問題は、やはり行政機構の整理統合なり簡素化なり、これが第一点である。第二点は赤字公団公社の経営合理化、これが第二点。この二つは行財政改革の二本柱だと思います。その点がほとんど手をつけられていない限り、これは一つ一つの項目で幾らやったと具体的に言われても、これを評価するわけにいきませんので、私は、数字で出せとおっしゃいましたので、あえてお答えをさしていただきますと一〇%、こうなります。
○座長(玉置和郎君) 他に御発言もないようでございますから、以上で午前中の質疑を終了いたします。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 公述人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は当委員会の今後の本案審査に役立つものと確信しております。委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 以上をもちまして午前中の公聴会を終わり、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○座長(玉置和郎君) ただいまから行財政改革に関する特別委員会大阪公聴会を再開いたします。
 午前に引き続き、公述人の方々から御意見を伺うことといたします。
 公述人の皆さん方におかれましては、はなはだ突然の御出席の御依頼にもかかわらず、早速御快諾くださり、また本日は御多忙中にもかかわりませず、万障お繰り合わせの上御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。委員一同にかわりまして厚く御礼を申し上げます。どうかこの機会に忌憚のない御意見をお聞かせくださるようお願いいたします。
 次に、御意見を承ります前に、出席委員を御紹介申し上げます。私の右から自民党の平井理事でございます。同じく自民党の降矢理事でございます。民社党の柳澤委員でございます。こちらの方の左からでございますが、社会党の小柳理事でございます。公明党の峯山理事でございます。社会党の穐山委員でございます。
 引き続いて御意見をお述べいただく公述人の方方を御紹介申し上げます。関西学院大学経済学部教授橋本徹君、全国障害者解放運動連絡会議副代表幹事柄敏雄君、弁護士をなさっておられます豊蔵廣倫君。
  次に、会議の進め方について申し上げます。時間の関係上、まず三名の公述人の方から、お一人十五分程度の御意見を順次拝聴し、その後委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 御意見を承る問題は、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案についてでございます。
 なお、本日の会議の趣旨は皆様方の御意見を承ることでありますので、私どもに対する御質問は、恐縮ながら御遠慮願いたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。また、会議の円滑なる運営を図るため、発言なさる方々は座長の許可を得てからお願いいたします。傍聴の方々にもこの際お願いしますが、御静粛にしていただき、会議の進行に御協力くださいますようお願いいたします。
 なお、会議の終了は午後三時を予定しております。
 それでは、これより公述人の方々から御意見をお述べ願います。まず最初に、橋本公述人にお願いいたします。
○公述人(橋本徹君) 関西学院大学経済学部教授の橋本でございます。公聴会において公述することを大変光栄に存じております。
 今般の行政改革関連特例法案に対しましては賛成をしております。ただし、臨調の第一次答申自体が、緊急の外科手術としての性格のもとに、増税なき財政再建を推進するということで、答申では、各省各庁はもとより、国民生活の各分野も、一時的であれ痛みを受けることは不可避であるという考えのもとに、緊急に取り組むべき支出削減を提示したにもかかわりませず、答申後の各方面の失望や反対に八万考慮したためでございましょうか、緊急策としただけで不十分であり、もっと突っ込むべき分野があったのではないかと思いますが、今後一層の努力を期待したいものでありますが、行財政改革の推進を支持する立場から賛成をいたすものでございます。賛成の理由を簡単にまず申し上げたいと存じます。
 第一には、政府の法案趣旨説明にもございましたが、行政の合理化、効率化の推進のもとに、私は財政再建というのは政府、国民、挙げて取り組むべき緊急な課題であるというふうに考えております。その点について、後でいま一度触れたいと存じますが、五十六年度末には八十二兆円、国民一人当たりにして七十万円にも上る国債残高と、約二百六十五兆円の見込みのGNPに対する三六%にも上る長期債務残高を挙げておくだけで十分だと思います。財政再建の手段は、決して支出削減のみではないと思いますが、政府と国民が、いま増税を選択しないとすれば、まず支出に切り込まなければならないわけであります。第二には、この法案は、昭和五十七年度の予算編成に際しまして不可欠のものであると考えます。大蔵省からかねて発表されました財政の中期展望によりますと、五十七年度予算では、経常部門で一兆九千八百億円、投資部門で七千九百億円、合計二兆七千七百億円の要調整額が試算されています。国会での議論を新聞報道等から伺いますと、臨調答申による削減が、公共事業を除いて約九千億円、公共事業の削減が八千五百億円、ゼロシーリングによるものが概算要求で六千億円ということでありますから、この臨調答申分にカットとして含まれる行政改革関連特例法案分の約二千五百億円は不可欠のものであると考えます。
 第三には、今回の法案が、行政の合理化、効率化という行政改革の第一歩であるということでございます。すでに多くの反対意見や批判がございますが、高度成長期の膨大な果実に依存した肥大化した行政機構、行政制度、そして行政運営に根本的に改革のメスを入れなければ、恐らく次の時代に確実に到来する、それも安定成長下の高齢化社会に対応できないと考えるからであります。その意味では、まず手をつけることが大切であると思います。
 行政改革の必要性あるいは改革の課題のすべてについて申し上げる余裕はございませんので、この法案のもとで、率直に申しまして不満が残りますことを申し上げたいと思います。
 たとえば、社会保険や公的保険にかかわる国庫負担金の繰り入れ及び事務費の繰り入れについてでありますが、私見では、臨調答申にありますように、各制度間のバランスに配慮しつつ、当面負担率を引き下げ給付の内容と水準を見直し、保険料を段階的に引き上げる抜本的改正にかからなければならないというふうに思います。ところが、今般の法案によりますと、特例適用期間経過後に減額分に相当する額の繰り入れをすると書かれてあります。もちろん、国の財政状況を勘案しつつとありますが、これでは私は、何か、先にバラ色のような感じがして、ともかく三年間しんぼうすればといったような、安易な気持ちになりかねないのであります。
 児童手当の所得制限につきましても、私は所得制限そのものは賛成でございます。後ほど理由を申し上げますが、財源を求めると、財源を別に求めてはおりますが、特例給付を認めるというのではいかがなものであろうかと思うわけであります。
 なお、法案そのものから少し離れまして、この機会に行政改革に当たって平素考えておりますことを一、二申し上げてみたいと思います。
 第一は、行政改革、そして財政再建というのは、ひとり国のみならず、国と地方を通ずるものでなければなりません。ところが、ややもすれば、国のみに目が集中しているきらいがあるわけでございます。たとえば、一般会計の歳出の中で、補助金等が大きな比重を占めているため、これを整理合理化すれば国の財政再建に寄与することが大きいことは当然でございます。が、臨調第一次答申において、国民健康保険あるいは児童扶養手当の国庫負担を都道府県へ肩がわりするといいますか、あるいはまた、この法案でも公共事業の地域かさ上げが取り上げられております。国税といい、地方税といい、すべて国民の税負担であります。都道府県の負担であれば監督が行き届いて経費が節減できると考えているわけではないとは思いますが、また都道府県に財政的余裕があるからということで主張するとすれば、また問題が残ると考えられますが、地域かさ上げ補助率が引き下げられても、公共事業そのものの廃止がなければ、恐らく地方団体に負担を転嫁することに終わるものと思われます。
 行政改革は、国、地方を通ずる行政の簡素効率化と、地方分権の推進を軸とすべきものと考えております。そのためには、国の地方出先機関の廃止、縮小、あるいは、私どもは最近出先機関の総合化、統合化等についても研究中でございますが、さらには、国の地方団体に対する事務の大幅な移譲や、権限の大幅な移譲によって、行政を住民の身近なところで、そして住民の監視の上で遂行するというところに、真の意味の効率化、簡素化が生まれるというふうに私は考えております。その意味では補助金等の整理合理化等も今後一層進めていただきたいと考えているものでございます。
 第二には、受益と負担のバランスの問題であります。ややもすれば、国民は受益の切り下げを福祉の切り下げとして抵抗いたします。現在標準家庭で、四人世帯で約二百万円の所得を超える人が所得税を負担しておりますにもかかわらず、各種給付の所得制限を、それよりもかなり上の金額で置かれた際にさえも、その所得制限の実施を不公平と言うとするならば、われわれは何をもって公平と言えばよいのでしょうか。高所得者の負担によって再分配――トランスファーが行われるならば社会的に認められると思いますが、所得の相対的に低い層の所得税でもって各種の現金給付等を行うと、もちろん別の目的はあるとは思いますが、少なくとも現金の移転ということに関しては所得の逆再分配になりかねないのであります。もっとも今日では、実はその所得税で言う所得というものの定義あるいは意義をめぐりまして議論があることは大方の了知するところではございますが、その意味では実質的公平を確保するのは容易なことではないと存じます。
 その意味で最後に申し上げたいのは税制改革の必要性であります。行政改革を論じているときに、今日税負担の引き上げを主張するのは不謹慎であるといった議論があるかと思いますが、本年度の経済企画庁の経済白書を拝見いたしますと、経済の現状からこの七、八年間財政は完全雇用赤字でございます。すなわち、景気が回復しても、完全雇用になっても、なおかつ現行の財政構造では赤字が構造的に残るということが指摘されております。そして、高齢化社会の到来を初めとする山積する財政需要を考えますと、税負担率の引き上げを近い将来大いに議論せざるを得ないと思います。あわせてその際、税体系の改革、とりわけ直接税と間接税との関係、俗に直間比率と言われておりますが、この問題につきまして真正面から取り組む必要があると考えております。私見でございますが、EC諸国の付加価値税は、総合的に見て大いに利点を持つ税制であると考えております。中期的な課題であると思いますが、抽象的に税負担の公平を主張するのみでは抜本的な改革は困難であると考えておるものでございます。
 今後の議論を期待いたしまして、私の陳述を終わりたいと存じます。ありがとうございました。
○座長(玉置和郎君) どうもありがとうございました。
 次に、楠公述人にお願いいたします。
○公述人(楠敏雄君) 全国障害者解放運動連絡会議の副代表をしております楠と申します。
 私は、両眼の視力がゼロの全盲であります。満二歳のときに医師の治療のミスがもとで両眼の視力を完全に失ってしまいました。以後三十数年間全く光のない世界で生きてまいりました。
 私の属しております全障連――全国障害者解放運動連絡会議は、一九七六年に結成されまして、六年目を迎えています。私たちは障害者自身が主人公となって、障害者に対する差別や偏見に対して、みずからが立ち上がってこれをなくしていく、そして私たちも地域社会の一員として生活をし、働き、教育を受け、そして人間らしい生き方をしていくということを目指して運動を続けてまいりました。
 私自身は、現在大阪府立の天王寺高等学校という目の見える生徒たちの一般の高等学校の定時制で英語の非常勤講師として教壇に立っております。やがて十年目になりますが、いま中学、高校を合わせまして、日本で、全盲で普通の学校の教壇に立っているのは、私ともう一人、合わせて二人しかいない、非常におくれた状態です。すでに欧米では数百名を超える視力障害者が教壇に立っていると聞いています。
 本日は、政府が進めようとしております行政改革ということに関しまして、とりわけ私たち社会的弱者といわれる立場から、この私たちに対しても非常に厳しい政策が実施される。すなわち福祉部門の予算が非常に結果として切り下げられているという点に的を当てまして、大きな疑問を抱いているということを主眼にしてお話をしてみたいというふうに考えております。
 さて、ことしは国際障害者年ということで、障害者に関する行事や、あるいはマスコミ等の報道がさまざま展開されてまいりましたが、私たち障害者の側から見ますと、何ら具体的な前進がないままもうこの年も終わろうとしているという感を強くしております。
 政府の具体的な施策を盛り込んだ国内行動計画というものが、いまだ発表されていないというふうに聞いております。もともと国際障害者年がつくられた背景としましては、障害者や児童、婦人、老人といった、いわば社会的弱者といわれる人たちが、非常に長い間不利益をこうむっていた。したがって、これを一月も早く是正する必要があるという見地から決定されたというふうに聞いております。したがって、いま確かに財政難が言われておりますけれども、施策が非常におくれていて不利益をこうむっていた私たちまでもが、まともにその対象にされるということについてはどうしても納得ができないわけであります。
 すでに御承知と思いますけれども、ここで、一九七九年に発表されました国連の国際障害者年行動計画の中で、特に私たちが強調しておきたい点、御理解をいただきたい点をあえて紹介させていただきたいと思うんです。
 まず最初、この行動計画の前文に匹敵します概念、行動計画の基本的な原則という部分について重要な点を少し紹介してみたいと思います。たとえばこの冒頭で次のようなことが言われております。国際障害者年の目的は、障害者がそれぞれの住んでいる社会において、社会生活と社会の発展における完全参加並びに彼らの社会のほかの市民と同じ生活条件及び社会的経済的発展によって生み出された生活条件の改善における平等な配分を意味する平等という目標の実現を推進することにある。こうした考え方は、すべての国においてその発展の水準のいかんにかかわらず同様に等しい緊急性を持って取り入れるべきである、というふうに冒頭に書かれています。さらに後半の部分で、社会は一般的な物理的環境、社会保険事業、教育、労働の機会、さらにスポーツを含む文化的、社会的生活全体が、障害者にとって利用しやすいように整える義務を負っているのである。それは障害者のみならず社会全体にとっても利益になるものである。ある社会が、その構成員の幾らかの人々を締め出すような場合、それは弱くもろい社会なのである。障害者はその社会のほかの者と異なったニーズを持つ特別な集団と考えられるべきではなく、通常の人間的ニーズを満たすのに特別な困難を持つ普通の市民と考えるべきである。障害者のための条件を改善する行動は、社会のすべての部門の一般的な政策及び計画の不可欠な部分を形成すべきである云々、というふうに、この国連の行動計画では、障害者に対する施策のおくれというのを、社会や国の義務として一日も早く克服すべきであるということを主張しているわけであります。
 さらに、各国がとるべき措置の指針として出されました国内活動、その中で二、三重要な点を紹介したいと思いますが、たとえばこういうのがあります。障害者の教育及び雇用に関し、起こり得る差別的慣習を除去するために現存する法律を見直すこと、あるいは障害者が社会から孤立したり隔離されたりする事態を生み出すことなく、その生活する社会の必要な地位にとどまったり、任じたりするよう援助し励ますために、諸事業や給付金について再評価すること、さらには障害者のための住宅に関しては、施設生活に類似した環境をもたらす隔離された住宅計画を廃棄すること、また在宅の障害者及びその家族に対する適切な援助を保障すること。このように、ざっと見ましただけでも、この国際障害者年の中では、障害者に対する政策を早急に充実させるよう強く求めているわけであります。
 しかし、残念ながら、現在政府が打ち出しております障害者関係の施策、福祉関係予算を見るときに、こうした国連の指摘に残念ながら沿った形で進んでいるというふうには思えないわけであります。具体的な点を二、三指摘させていただきますと、たえとば、障害者が地域社会で生活していくためには、当然のことながら日常生活の介助というものが必要であります。トイレや食事等、生きるためにどうしても必要な介助であります。これを政府は家庭、家族やボランティアなどに頼る、主としてこれを利用するということを打ち出しております。しかしながら、家族は仕事をしなければならない、あるいは高齢になってきた場合に、とうていこの障害者の介護を家族だけでは見切れないという現実があります。ボランティアにつきましても、私たちは人の善意だけを頼って生きていくことはできません。したがって最低限の基本的な生活に関しては、やはり公的な責任で保障していただかなければならないというふうに考えております。
 現在、ヘルパー制度というものがつくられていますが、これはいま大体一週間に二回、一回につき二時間、これでは買い物と若干の洗たくをしただけでおしまい、それも週二回しか来てもらえないという状態では、非常に私たち障害者にとっては不安で不安でたまらないということになります。したがって、私たちとしては、介護をぜひとも公的な責任として、国と地方あわせて、より積極的に充実をさせてもらわなければ、私たちは生きていけないということを痛切に感じております。
 さらに、住宅問題も私たちにとっては非常に大きな課題です。民間の住宅では私たちにはなかなか貸してくれません。また家賃も非常に高過ぎます。ところが公営住宅は、私たち障害者が入れるような仕組みにはなかなかつくられていない。車いす用の住宅も、接近ようやくあちこちでつくられかけていますけれども、まだまだ圧倒的に数が少なくて、障害者同士が競争し合う、しかもそれは命がけの競争をしなければならないという事態に置かれているわけであります。この意味で、この住宅の問題も非常に大きい。あるいは所得の問題も、御承知のように現行の年金制度では、福祉年金は、いま月三万八千円程度ということですから非常に少ない。最低、当面私たちは、せめて拠出制の年金の水準程度まで保障していただかなければ生活ができないということになります。もちろん私たちは、できることなら働いて、そうして自分たちの具体的な力を発揮して所得を得、生きていきたいと考えている。しかしながら障害者に対する雇用の機会というものも非常に厳しい現実にあることは御承知かと思います。
 身体障害者雇用促進法という法律がありますが、これがなかなか実効が上がっていない。とりわけ民間の企業、特に大企業になるほど障害者の雇用率が非常に低いということを聞いております。一・五%の法定雇用率に対して、民間のとりわけ大企業は、いまだに〇・九%足らずという非常に低い状態にあります。大企業の方々はもっと社会的な責任というものを認識し、自覚していただかなければならないし、政府の方もぜひともこのことに対する積極的な指導を求めたいというふうに考えております。
 教育の面ですが、文部省のいわゆる特殊教育というものに対する姿勢は、世界的な流れに非常に逆行した、きわめて硬直したものであるように思えてなりません。いわゆる統合教育といわれまして、障害を持った子供も、一般の子供たちと一緒に教育をして、そのための機械、設備、条件を整えていこうというのが世界的な流れとしていま進んでいるにもかかわらず、文部省はきわめて画一的に、障害を持っている子供を養護学校へ、盲学校へというふうに振り分けてしまうという姿勢が目立っています。東京の金井康治君という子供は、もう五年間、地域の学校へ行きたい、自分の文字盤を指さしながら必死で訴えているにもかかわらず、いまだに行けない。宙ぶらりんのまま放置されているというふうな状態が続いているわけです。私たちは、地域社会で生きていく、そのためにも小さいときから健常児とともに学び合う教育というものが必要ですが、一方では受験競争がどんどん進行し、そして教育の荒廃というものが極に達しているわけであります。文部省も、そうして各方面の方々も、みんなこの教育の荒廃を何とかしなければならないとおっしゃいますけれども、実際には具体的な進展は見られないように思います。しかし、障害を持った子供が一般の子供たち、健常児と学ぶことの中で障害児に対する健常児の理解が深まるだけでなくて、健常児一人一人の思いやりの気持ちといいますか、助け合いの教育、ともに育ち合う教育というものが少しずつつくられつつある、この点にぜひ着目をしていただきたい。また本当の意味で一人一人の個性や能力を大切にする教育というものを、もっともっと充実させていただきたいと思います。そのためにも、一人の先生が四十五人の子供たちを見るということは、まさに非常な矛盾だと思います。四十人学級制というものが計画されていながら、これまた行政改革のあおりの中で実施が見送られると聞いておりますけれども、これは早急に実現さしていただきたいし、もっともっと小人数で、もっときめ細かい教育というものが保障されない限り、ますます子供たちは落ちこぼされ疎外されていくのではないか、そしてその中に私たち障害者はとうてい入り切れないということになるように思えてなりません。
 まだまだ申し上げたい点はたくさんありますけれども、いずれにせよ私たち障害者は、いま毎日必死で生きょうとしています。寝たきりの障害者であっても、たとえ社会に対して具体的に役に立つということはできなくても、とにかく毎日必死になって生き続けています。この必死の生命、必死の生き方を、ぜひとも一人の人間として認めていただきたいというのが私たちの切実な願いであります。
 先日、どこかの講演の場で渡辺大蔵大臣がおっしゃった言葉の中に、大蔵大臣は奨学金制度を例にしながら、能力のない者に金を使うのはむだであるというふうな内容のことをおっしゃったように伺って、非常に私は怒りを感じました。もしそうした趣旨をそのまま発展させるならば、社会の役に立たないような障害者に金を使っても仕方がないということになるのではないでしょうか。
 昨年私の友人がポーランドへ行ってきまして、いわゆるアウシュビッツといわれる、あの第二次大戦中の収容所を視察をしてきましたところ、そこにたくさんの松葉づえや義足が展示してあったということを聞いて非常にショックを受けました。第二次大戦中にヒットラーはユダヤ人と一緒にたくさんの障害者をガス室へ送り込んだということを聞いたことがあります。したがって私たちは、理屈ではなくて戦争というものに非常な恐怖を感じます。その足音、雰囲気を聞くだけで、何か私たちは本当に直接的にも間接的にも切り捨てられ抹殺されてしまうのではないかという危惧を非常に強く感じるわけであります。
 したがって私たちは、軍事力を強化して、そして防衛力の競争をして、そして直接戦争する意図はなかったにせよ、まかり間違えば本当に戦争の危機にいってしまうような、そういう政策ではなくて、本当に平和を実現するための努力というものをしていただきたいし、不公平な税制というものを改めていただいて、そしてこれまで不利益をこうむってきた私たち、いわば社会的弱者、差別を受けてきた者たちに対する福祉や教育というものを、一日も早く、むしろ充実の方向で進めていただきたいというふうに考えております。
 以上で、私の公述を終わらせていただきます。
○座長(玉置和郎君) ありがとうございました。
 次に、豊蔵公述人にお願いをいたします。
○公述人(豊蔵廣倫君) 私は大阪で弁護士をしておりますので、いささか自分なりには、法律は少しはわかっていると思いますけれども、国の財政等についてはそれほど詳しい知識は持っておりません。したがって、これから私が述べます行政改革、特に行革法案に対する意見としましては、若干理念的にすぎるんじゃないかと思われますかもしれませんが、その点は私個人の意見として率直にお聞きを願いたいと思います。
 まず、わが国の現在における社会及び経済の情勢を見た場合、一方では人口構成の高齢化とか、価値観の多様化、複雑化があり、そういった価値観の調整等につき、行政に対する期待が増大しております。一方ではまた経済が高度成長から安定成長へと移行して財政収入が伸び悩み赤字が累積しております。こういった財政難の状況において、いま以上により充実した行政が望まれているのであります。こういった困難な状況を打開するためには、もはや行政改革以外にはなく、国民も真に行政改革が実現されることを望んでいるものと思います。したがって、行政改革は国の施策として避けて通ることのできない重要な問題であり、ぜひとも、いかなる困難も克服してこれを推進していただきたいと思います。
 この行政改革に対する政府の取り組み等につきましては、本年の七月十日に、第二次臨調の第一次答申を受けて後、直ちに八月二十五日に、この答申を尊重して行革法案を作成し国会に提出しておりますが、この第二次臨調の答申内容を五十七年度の予算編成に盛り込もうとするなど、その前向きな姿勢につきましては、私は個人から見ましても前進ある姿勢として一応評価できるのではないかと思います。しかし、その第二次臨調の答申内容及びこれまでの政府の行政改革に対する取り組み方を見た場合、財政再建のみが強調され、行政改革について、行政改革はいかにあるべきかという本質論、理念論、そういったものがなおざりにされている傾向にあるんじゃないか、このままでは行政の組織、運用等が改善されることなく、これまでの行政の仕組み、すなわち行政におけるむだとか、運用におけるむだ、組織上のむだ、そういったものが残されたまま、ただ歳出の削減のみが行われ、実際上、結果的には行政サービスの低下につながるのではないかという懸念がぬぐい切れないのであります。ただ、第二次臨調といいましても、財政再建を当面の緊急課題とするという政府の要請を受けて設置され、かつ限られた時間内における答申であり、また答申内におきましても、一般論として行政改革の理念を述べ、今後の検討課題とされていることから、臨調の第二次答申と今後の活躍に期待すべきものであるとは思いますけれども、しかし、増税なき財政再建をスローガンとし、これを行政改革の突破口にするという方針につきましては、あくまでも財政を優先させるということで、やはり疑問が残ると思います。
 行政改革というものは、現在における経済、社会の変化に対応して、これから行政がどうあるべきか、いかなる役割りが行政に問われているのかを見直し、この新たな行政の役割りを限られた財源の中で効率的に実施するために、行政の組織、運用、機構等を改善することであります。そして、その結果として歳出の削減等が実施されるべきものであって、財政再建がとにかく優先されるんではない、財政再建は先行されるべきものではないと思います。したがって、財政再建のためにとりあえず歳出削減を図るというこのたびの行革法案については、基本的には私個人としましても賛成いたしかねると思います心ただ、今日の緊迫した財政難におきまして、その行革法案によってとりあえず歳出削減を図るという施策がやむを得ないものであるとしましても、そこにおきましていかなる歳出を削減するかについては、あくまでも国民の納得するような客観的な基準に基づき、公正かつ慎重な検討を加えた上で行われるべきものであって、利益集団等の抵抗が比較的少ないものから削減するといった安易な方法は絶対に避けなければならないものと思います。
 今度の行革法案を全体的に見た場合、この法案で取り上げられた補助金等につきましては、何ゆえそれが削減されなければならないのか、また他に、改革されるべき補助金等数多く存在するのに、何ゆえそれを差しおいて縮減されなければならないのか、国民にとってその理由が明らかでなく、結局は安易に削減しやすいものから削減し、弱者にしわ寄せをしたのじゃないかという感じが見受けられるのであります。
 そこで、このような補助金等の削減に当たりましては、これまでの臨調における討議内容、または法案作成過程における討議内容、こういったものを国民に対し公開し、削減を必要とする理由を積極的に国民に開示する必要があるのではないかと思います。単に国の財政再建という一事のみをもって説明しましても、国民は決してこれは納得しないものだと思います。
 次に、今度の行革法案における個別的な項目についての簡単な意見を述べさせてもらいますが、まず第一に、厚生年金等の国庫負担の減額でありますが、厚生年金等につきましては、現在他の年金制度との統合、他の年金給付とのバランスを図るなど制度の抜本的な改正が検討されている段階であると思います。こういった制度の改革が行われている現時点において、国庫負担の減額等というものはこの制度の改革と並行して行われるべきものでありまして、この改革と無関係に国庫負担を減額させるというのは非常に疑問であると思います。この国庫負担の減額につきましては、減額分についてはいずれ特例期間経過後にてん補されるのだからそれは構わないという議論もありますけれども、もし減額分をてん補するのであるならば、その全額をてん補するということを明確にし、かつそのてん補時期についてもある程度明確にすべき必要があるのじゃないかと思います。
 次に、教育行政につきまして、四十人学級と教員定数の是正の問題でありますが、教育行政というものは、精神面、文化面における国民の豊かな生活を実現するものであります。したがって、その施策の策定におきましては、長期的な展望に基づき、その施策の実施につきましては長期的な安定に基づいて実施しなければなりません。決して一時的な政治的経済情勢によって左右されるべきものではなく、こういうことによって左右されていてはとても実現できないものであります。また、この教育行政に関する特例措置を実施した場合における財政効果は、大体五十六億円ぐらいだと考えられております。その額は非常にわずかなものであります。確かに、政府の主張されております増税なき財政再建を実現するというのであるならば、このようなわずかの金額の削減を積み重ねる必要があると言えましょうが、最近ではその増税なき再建の実施も危ぶまれ、数千億程度の増税も考えられているということでございます。これでは、何のための削減かというのが全くわからなくなり、国民にはとうてい納得のいかないものであります。
 次に、児童手当でありますが、児童手当における財政効果につきましても大体六十億円ぐらいだということで、先ほど述べたことと同様なことが言えるんじゃないかと思います。また、児童手当につきましては、制度として、まだまだ不十分な点があり、これから拡充を図られるべき問題でありますから、安易に所得制限ということで引き下げを図るべきではないと思います。
 次に、地域特例の補助率かさ上げの削減でありますが、政府は削減部分を地方債で穴埋めし、その元利償還費の半分を国庫で手当てをするという措置をとられておりますが、残る半分については結局地方にしわ寄せが来ることになり、結局国のツケを地方に回すということになってしまいます。また、特例地域における補助率のかさ上げ措置というものは、単に地方自治体への財源措置というものではなく、これら特定地域の振興という政策に裏づけられたものでありますから、たとえ特例期間中に限定するにしろい各地域における状況を認識した上での各政策の見直しなくして、一律に引き下げるというのは非常におかしいものだと思います。
 最後に、住宅金融公庫の貸付金利でありますが、現在、土地、住宅価格が上昇し続け、住宅環境は厳しい条件にあります。このような状況において金利の引上げを行うことは、政府がこれまで行っている公共住宅の建設戸数を減らし、持ち家政策を重視するという政策に対して逆行するものであります。こういった政策の矛盾は避けるべきものであり、あくまでも貸付金利は特例期間中につきましても据え置くべきものであると思います。
 以上、大体このたびの行革法案に対する私の意見であります。
○座長(玉置和郎君) ありがとうございました。
 以上で、公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより委員から公述人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○平井卓志君 自由民主党の平井でございます。後ほど質問される他の委員の先生方と重複を避けるために、お三方に共通した問題を一つだけお尋ねいたしたいと思うんです。時間の関係もございますので各論に入りません。
 御承知のように、この行政改革の目的と申しましょうか、理念と申しましょうか、御案内のようにこの行政改革自体が目的でございません。財政の再建も目的ではございません。一つの手段でありまして、この理念で言われておりますように、一口に申したら、活力のある福祉社会をつくるんだ、なおかつ国際社会に貢献しなければいかぬ、そのような国家をつくるんだと、そして三つ目は、それを健全財政で賄うような財政の再建をやらなければいかぬと、一口に言ってしまうとそういうことなんですが、私はこれはもう理念として全く中し分がないと思うんです。しかしながら、一つ一つをながめましてもなかなか容易でない。ですから、これを含めて、まさにこれが国家目標だと、ちょっと私、問題が遠大にすぎるんじゃないかと思うわけなんです。したがって、私がお尋ねいたしたいのは、いま言ったような理念というのが簡単に実現できるものかどうかということではなくて、もっとわかりやすい、行政改革を踏まえて財政再建をやっていく中でもうちょっとわかりやすい、国民の理解と共感と協力を得るような一つの国家目標といいますか、そういうものを設定する必要があるかどうか。御承知のように、これは私見で恐縮でございますが、もう今日ではソ連型社会主義国というのもかつてのような魅力もない、英国も沈滞の域から抜けていない。自由経済のリーダーでございますアメリカも、それほどの魅力はなくなってきた。そこまで日本が成長したと言えばそれまででございますが、やっぱり今後、国民の共感を呼んで、時代の要請にこたえるような、そういう国家目標の設立というのが、現在の国情からして、激動する国際環境の中で設けたらいいのかと、そんなものは必要ないのかと、必要あるとすればどういうふうな国家目標がよかろうかと、非常に雑駁な質問で恐縮でございますが、質問というよりも、御感想があれば順次お漏らし願いたいと思うわけであります。
○公述人(橋本徹君) いま御質問といいますか、お話をお伺いしながら、実は昨日の新聞報道である記事を拝見しましてそれを思い出しました。それは、ニューヨークか何かにある国際機関で、世界の快適度を調べた。そうしますと、何と日本は世界で第二位の快適度である、スエーデンが第一位であるという記事でございます。実は私の家にも息子が、経済学を専攻している学生でおりますので、ゆうべはそれをめぐって約一時間討論をいたしました。
 いま先生が御指摘のように、活力ある福祉社会あるいは国際社会に貢献といったようなことを考えました場合に、目標がどうも、追いつき追い越せの目標が国際機関が調べたもので世界で二位までなりますと、どうもどこかの国を持ってきて、北欧型だとかあるいは英国型だとかいうことは少しわからない。もっとも新聞の投書など拝見しますと、たとえば大蔵大臣が税負担率がまだ低いというような話をしますと、すぐ投書で、そんなことはない、日本は物価が高くて生活が苦しいじゃないかという投書がイの一番に出てまいります。としますと、なかなかこういった国際比較とかといったことは、情報網が限られておりますので、十分に納得とか、理解、共感というところまでいかないと思います。
 したがいまして、いまの御質問の、おまえはどういう目標を掲げるかと言われましても、すぐさまには何とも申し上げられませんが、私はいままで、研究という面で経済学なり財政学を勉強してまいりましたが、そしてまた若干の経験も、海外でも見ましたけれども、確かにその快適度は余り間違ってないということをゆうべ感じました。いい国になったといいますか、これはやはり三十年間の日本人のすべての国民の努力の成果である。しかし人間ですから、やはり多ければ多いほど、よければよいほど他を顧みますし、また先ほど楠さんが御指摘になられましたように、それでもなおかついろいろな、社会的にお困りの方々がたくさんいらっしゃるのも厳然たる事実でございます。
 そういたしますと、言葉はともかくとして、目標としては、日本型福祉社会の建設といいますか、そして国内のみならず世界的にも南北格差とか、東西問題とか、依然として、とりわけ南北問題ということがある限り、やはりそれ相応のというよりも、もっと、今までずいぶんお世話になったわが国であるとしますならば、国際社会の一員として貢献しなければならないということは事実である。ただどうも、言葉、スローガンとしますと、みんな思うことが違うものですが、私はまだまだ日本型福祉社会は必要であると思いますし、その意味で先ほど私が、現行のGNPから見て税負担率なり社会保険負担率がまだ低いのではないか、もっと高めないと、ねらいとする国際社会への貢献なり、あるいは、とりわけ福祉社会の実現という公的部門の責任は果たせないのではないだろうかと、率直に考えております。お答えになりませんが……。
○公述人(楠敏雄君) 私は具体的なお話を二、三したいと思うんですが、たとえば私はよくいろいろな会議などでどうしてもやむを得ず一人であっちこっち行かなければならないわけですが、率直に言いまして都会に行くほど私たち障害者が住みにくいという実感を非常に強くするわけです。それはもちろん公的な施策のおくれ、設備の不備、こういったものももちろんなんですが、同時に、たとえば私たちが道を尋ねても、都会へ行くほど知らぬ顔して過ぎ去っていく人たちが多いし、若い層ほど知らぬ顔して過ぎ去っていく、こういうことによく出会うわけです。こういうときにやはり、いまの人間と人間の関係が非常に空虚になってきているといいますか、ばらばらになってしまっているということを痛感させられるわけです。
 私はよく中学生にお話をする機会などあるんですが、障害者に親切にしましょうというのはよくあるけれども、障害者に親切にするけれども、自分の身の回りの友達や仲間が困っていても知らぬ顔していたり、意地悪をしたり、勉強は自分だけわかっていて、ほかの人がわからないのに教えようともしなかったり、こういう関係をほうっておいて障害者にだけ親切にするとしたら、それは本物の親切なんじゃないというふうに訴えているわけです。つまり、本当に一人一人がお互いに支え合える、親身になって相手のことを相談し助け合える、こういう関係ですね、競争よりもともに生きていくということが大事にされるような社会を、まさに日本が積極的につくる、そういうことをもっともっと中心に置くべきではないかということを痛感しているわけです。
 やはり私たち障害者は、ややもすると、先ほど言いましたように、生きていても仕方がない人間だとか、価値の低い人間だというふうにみなされがちです。しかし逆に言いますと、この私たちの存在をしっかりと認めるということを通して、逆にこのすさんだ人間と人間の関係とか、人間の価値、生命に対する価値観みたいなことを、本当に根本から転換させ得るんじゃないか、このことが一番私は必要なんじゃないかと思うんです。単に私たち障害者自身のエゴで申し上げているのではなくて、みんな結局、やっぱりこんなばらばらの社会では、いつかお年寄りになったり病気にかかったら、必ず見捨てられたり切り捨てられたりする、こういう社会であってはならないし、日本はこういう間違った傾向を、むしろ最先頭に立って是正をして世界の模範になるということがいま一番必要なんじゃないか。殺したり殺し合ったりというような社会の中では、当然私たち障害者は生きていけないということを感じているわけです。
○公述人(豊蔵廣倫君) むずかしい御質問をいただきまして、何とお答えしていいかわからないんですけれども、目標を定めるべきかどうかといったら、これは理念としてはやっぱり目標を定めるべきだと、その目標はどういうものかといったら、やはり国内的には福祉国家ということしか、とりあえずは言えないと思います。どういう福祉を実現するかといえば、もうこれは国際的にどこの国をまねるとか、そういう状況にはないと思います。それについては、すべて国民とともに考え模索していくしかないと思います。だから、実際現状ではどういう目標を掲げるかといえば、白紙といえば白紙じゃないかと思いますけれども、その中でやはり国民に、これまで以上により強い参加を求めてそれは考えていくしかないと思います。
 それから、国際関係における日本の立場ということでありますけれども、これまでは日本はアメリカ、ソ連といった大国に従属的な外交といったものが強いと、それで国際的な発言力は非常に弱かった。これはなぜかといえば、そのときの長期的な国際関係における展望がなかった、外交政策がなかったからだというふうにいままで痛感しているわけなんです。その点、日本の現状、識見がなく、ただ技術国である、これを売り物にして国際関係で貿易取引をして成り立っている、そういう点を踏まえてこれからの日本のなすべき役割りを考え、長期的な政策を考えるべきじゃないかと思います。
○穐山篤君 社会党の穐山篤ですが、橋本公述人にまずお伺いしますが、肥大化した行政をできるだけ効率化を図るという意味の一つでありましょうが、先ほど出先機関の総合化の問題についても少し研究をしているというお話がありましたが、どんなふうにお考えになっているのか、総合化ということでその点が一つ。
 それから、税制改革についてEC型のお話があったわけです。直問の比率のお話もあったんですが、どういうふうに――感じのお話で結構ですが、税制改正について不公正税制を正せというふうな話、あるいは執行面から言いますと、滞納型、まあ四千億から五千億ぐらいあるし、脱税も多い、そういう問題が山積をしておるわけですね。そういう問題は、当然解決をした上で税制改正ということになろうと思うんですが、税制改正についてもう少しお詳しい話があれはお伺いしたいと思うんです。
 それから、時間を節約するという意味で、続けて楠公述人にお伺いします。
 雇用だとか所得だとか、住居、教育、交通問題、いろいろな分野で大変な御苦労だと思うんですが、雇用が少しずつ上向きになっているのは数字の上では明らかですが、やや反射的に私ども感じておりますのは、雇用はするけれども賃金の方は少し削るというふうな傾向があるんですが、この大阪ないしは関西地方ではどういう状況になっていて、それはどういうふうに克服をされているのか。
 それからもう一つ、この際五十七年度予算編成を前にして、これだけはぜひやってほしいというふうな緊急性の高いものが当然あると思うんですが、そのことについて触れていただきたい。
 それからもう一つは、たまたま豊蔵公述人が弁護士でもありますので、楠さんとお二人に聞くわけですが、最近心身障害者の問題について、保安処分の話が政治のプログラムに上ってきました。賛成、反対、批判の意見が強いんですが、この問題についてのお二人の御見解をいただきたい。以上です。
○公述人(橋本徹君) まず、先ほど私、国の地方出先機関の総合化について一言触れました。すでに行管の方で数年前から出先機関の整理、廃止、統合、縮小その他御意見が出ておりますし、また臨調でもとりわけ県単位の出先機関の廃止といった話が出ておりますが、もちろん事業がなくなって廃止すべきものは当然廃止しなくてはなりませんが、国の出先機関の役割りの中で、国の地方行政といいますか、国の地域における行政の役割りを持ったものがあると思います。一例を申し上げますと、建設省の地方建設局とか、農政局とか、こういったものがございます。建設局の地建では、たとえば直轄国道あるいは直轄河川の管理といった、いわゆる社会資本の整備、私は土地についた仕事と、こういうふうに呼びたいと思いますが、あるいは水の管理と。ところがそれぞれの地域には、明治以来の四十七都道府県が一つの区画を切っております。
 そこで、この近畿圏を例にとりますと、大阪を中心とする四十キロ圏ぐらいが、大阪市当局などは、大阪の二次都市圏だと呼んでおりますが、大阪市内に日々百数十万の昼間流入人口を持って、そして夜間人口は最近減少いたしまして二百七十万を切りつつありますけれども、大阪市を中心とした大阪都市圏がございます。また、神戸を中心とした都市圏、あるいは京都を中心とした都市圏、京阪神の重層的な都市圏が約五十キロ圏につながっております。ところがその間に、各地方団体の責任でありますところの道路建設あるいは河川の管理等々で、まあ河川で申しますと、琵琶湖から淀川という、近畿の水がめど申しますか、これは滋賀県、京都府、兵庫県、大阪府、そしてその水系で言えば当然奈良県も、あるいは少し離れますけれども、和歌山県もひとしく関係しておるわけでございますが、そういったことを考えますと、国の出先機関として社会資本を形成しておる建設局の話と、それと今度水ということになりますと農林省の水利という話、あるいはもちろん水資源公団のダムの建設等々と、それぞれの出先機関がそれぞれの計画によって実行しています。もちろんその計画は相互の調整が行われているというふうに考えたいのでございますけれども、こういった社会資本に関するブロック単位の出先機関を総合化できないものだろうかというふうに考えるわけであります。
 もちろん、国の出先機関の中では、国の行政そのものを行っているものがございます。たとえば、国税局とかいったものは、国税を徴収するために地方に置いている機関でございますが、これは地方行政とは言えないと思う。もちろん税の徴収についても、最近臨調では国税、地方税の徴収について議論のあるところは承知しておりますが、あるいは裁判所とか等々は全く地方行政ではございません。国の行政でございます。
 そこで、国の地域行政に関する地方出先機関といったようなものは、総合化をすることによって調整機能を発揮し、そしてしかも、そこに現在の都道府県知事や、あるいは指定市市長等を諮問機関として参加していただいて、そしてその地域の実態を十分に反映しながら、調整しながら、国の地方行政といいますか、そういったものを行うべきではないだろうか。ただ、全国一律に考えますと、実は最近私鹿児島にも行ってみたんですが、やはり九州と東北と近畿とでは事情が違いますので、私はどうしても、近畿に住んでおるものですから大都市圏から発想いたします。その点は自己批判をしておりますが、ですから一律にはいかないと思いますけれども、とりわけ首都圏、中部圏、近畿圏といったような大都市圏においては、国の地方出先機関の総合化の必要性があるんじゃないかということで、いま研究会のメンバーとして研究をしているところでございます。しかし、それでもって果たして現在の縦割り行政が完全に解除できるかどうかということについてはきわめて自信がございませんが、勉強したいと思っております。
 次に、税制でございますが、先生御指摘のように、現行税制の中でありますところの、執行面からくる、たとえば滞納といったようなものを正すことは当然でございます。ただ、先ほどちょっと申しましたように、不公平税制というふうに抽象的に言われますが、私ども財政学会のメンバーの中でも、その不公平税制の概念についてはずいぶんと意見が違っております。で、私も、たとえば現在の租税特別措置等を見ましても、所得税制における個人所得税に関する利子・配当の優遇部分がその租税特別措置の大半でございます。もちろん租税特別措置に、たとえば法人税制、政策税制によって設けられているものを不公平税制だというふうな主張があることは存じておりますが、所得という段階で現行税制は成り立っておりますので、それを個人レベルと法人レベルとを同じ物差しの上に乗っけて、はかりの上に乗っけて公平か不公平かと言うことは、理論的にはきわめてむずかしゅうございます。
 まあシャープ税制をずいぶん勉強してみましたが、シャープ税制の法人擬制説が今日どこまで生きるかということは別にいたしまして、現在ヨーロッパ諸国では、法人税と個人税の統合問題につきまして、すでにEC型では一種の統合をやっているわけですね。ですから、ドイツのああいった法人税、個人税の調整問題が、そのままわが国で取り込まれるかどうかということについては、もっと議論しなければならぬと思いますけれども、個人と法人とを比べて不公平だという議論は私はとらないところでございます。
 ところで、住民が一番関心を持つのは、どうも個人所得税のようでございますが、最近学生を使いまして研究室で実態調査をして、まだ発表しておりませんが、面接調査で無差別で八百人ほどの納税者の意識調査をしてみました。大変大事なことに気づきました。それはあるいは報道の影響かもしれませんけれども、現在国民が考えている税金の意識というのは、義務だから納めるという意識ではなくて、実は国家や地方団体を支えるための会費であると、そういう意識の方が過半数、六十数%を占めてきております。そうしますと、捨てたものではないのでありまして、国民はすでに自分の税金がどういう形で使われているかということに関心を持っておる。あわせて質問いたしましたら、ずいぶん行政改革に関心を持っておるという答えが出ました。
 ところがその後で、ではどうするんですかということになりますと、不公平な所得税を直しなさい、何が不公平かというと、これは報道の影響でしょうが、お医者さんが得をしているとか、それから、大企業は得をしているとか、それから大変言いにくいのですが、政治家の先生方が得をしているとか、それから商売人が得をしているとか、農業者が得をしているとかいう、新聞がよく言うようなことをずらっと高い点数をつけてくるわけであります。ですから、これはもっといろいろなことを正確に知らせなきゃいけないと思いますけれども、やはり現金収入で所得を確定する申告所得税と、給与所得者の所得税とは、数字ほどではないにいたしましても、クロヨンとかトウゴウザンといったような捕捉率、把握率において差があることは否定できないと思うのでございます。これはいかに徴税技術を発達さしても、よほど徴税マンが張り切らなければ、徴税費ばかり上がって、どうにもならないと、昭和二十七、八年ごろの日曜娯楽版みたいに、一番恐いのは税務署だという話になりかねないわけであります。
 そうしますと、私がEC型の付加価値税は捨てたものではないと申し上げましたのは、一つのメリットは、まあ比例税でございますから、その比例税はともかくといたしまして、一つのメリットは、インボイス方式で行いますから、これはもう所得がガラス張りになるわけであります。ですから、最近財政学会でも、かなり若い所得税必要論者であった学者諸君も、だんだんとやはりEC型のインボイス方式の付加価値税を入れて所得を正確につかむべきであるといったような議論をしております。
 同時に、先ほど申しました利益説といいますか、国家社会をみんなで同じように支えようという部分が税制の中で含まれていいのではないだろうか。もちろん所得税の重要なことは否定できませんで、所得税は、たとえば高額所得者から累進税によって徴収し、しかもそれを移転して低額所得者に給付するといったような、所得再分配の機能を持っておりますので、税金を所得税一本で構成することは不可能でございます。恐らく所得税と間接税との最適な組み合わせ、あるいは個人課税と企業課税とのある一つの組み合わせ、それを追求することが必要であると考えまして、先ほど付加価値税は捨てたものではないと、こういうふうに申し上げたのでございます。
○公述人(楠敏雄君) 三点について御質問があったと思いますのでお答えさせて、いただきます。
 まず、一点目の雇用問題ですが、御承知かと思いますが、現在は、労働者の最低賃金を決めた最低賃金法というものがありますが、この第八条の一項、ここで、障害者で心身に著るしい障害のある者はこの法律の適用の除外をするという適用除外規定があるわけです。これによって、なおさら障害者は非常に低賃金で働かされているケースがあります。とりわけ、民間ではどうしても能率優先、そして利潤優先の社会の中では、障害者というのはやっぱり能率も低いから賃金も安いのはあたりまえだということで、特に、たとえば知恵おくれを伴ったような障害者の場合、一ヵ月三千円とか一万円というふうな、非常な考えられない低賃金で雇用されているというケースもあるわけです。これに関しては、私たちは職業安定所などに強く働きかけまして、こういう実態を調査して指導すべきだということを申し入れていまして、少しずついま調査が進みつつあるようです。しかし、やはり民間を相手にしている限り、本質的にはなかなか解決はむずかしいだろうと思うわけです。したがって、とりわけ地方公務員や国家公務員の中で、障害者をもっと積極的に雇用する、とりわけ重度障害者を雇用して、そしてその中でも賃金の平等化を図っていくということから、この大幅な公務員の雇用拡大ということをいま働きかけております。
 御承知かもしれませんが、神奈川県では三%の雇用達成を目標に十年間で取り組むという政策を打ち出していますし、大阪府下でも、障害者の特別採用というものを実施して、一般試験とは別に、積極的に障害者を採用する方法を講ずることについて取り組み始めている。こういう施策を、もっともっと、国も含めて積極的に取り組みをしていただくことが本質的な解決の道ではないかというふうに考えております。
 二つ目の点ですが、特に来年度予算にしぼって重点的に強化してほしい点としましては、大きく二点あります。一つは、やはり先ほど言いました、障害者が地域の中で生活していけるために、公的介護補償の充実ということであります。具体的にはヘルパー制度というものを大幅に拡充していただきたいということが一点、それからもう一点は、現在、他人介護料というものが三万一千円、さらに家族介護というのが六千三百円ほど出ているわけですが、これでは非常に低過ぎます。国が、あるいは自治体が人的な介護補償ができないならば、とりあえず私たちがもっと介護料というものを補償されて、それによって介護者に私たち自身お金を払って来てもらうという方法しかないわけですね、そのためには三万一千円では安過ぎるし、仕事に出られない家族に対する補償として六千三百円というのは余りにも低過ぎるということで、これはぜひとも増額していただきたいし、特別な方法として厚生省は特に重度障害者に。限って介護料特別基準というのを定めているわけです。これがいま一ヵ月大体七万近く出ることになっております。ところが、これはまだ全国でいま受けられている障害者は六名ほどしかいないんです、私たちの調査でも。ですから、この特別基準というものの制度を、もう少し現実に即して充実さして、少なくとも重度障害者で本当に多くの介護を必要とする人に対しては、少なくともこの特別基準をぜひとも認めていただきたいというふうに考えているわけです。
 それから、もう一点は交通問題であります。私たちは、道路を歩いたり駅を利用したりするのに、毎日本当に命がけでやっています。この白いつえですね、これ一本を頼りにして、いまの厳しい交通事情を歩くというのは、本当に皆さん、とうてい御想像いただけないんじゃないかと思うんです。私自身も、たとえば信号で何度もダンプカーにはねられそうになったり、駅のプラットホームからでも三度ほど転落して、幸い電車にひかれなかったからここにこうしておられますけれども、本当に毎日が戦いだ、命がけの毎日だという状態なんです。しかし、たとえば国鉄、いま赤字で問題になっていますけれども、国鉄でいま全国に五千駅ほどある。この駅のうち、いぼいぼの黄色い点字ブロックというやってすね、これは私たちの白線がわりなんです。安全確保にはきわめて重要なものです。これが敷設されている駅が四百足らずなんですね、つまり一割にも満たない。ですから本当に私たち駅を歩くときには、死との向かい合わせで移動しなければならないという状態にあります。
 いま私たちは、実は国鉄に安全対策の充実を求めているわけですが、国鉄はこういう言い方をしています。一般の乗客に対する安全を確保する義務は認めるけれども、障害者のような特定の人たちに対する安全確保義務はない、あくまでこれはサービスでやっているにすぎないんだ、こういう言い方を公然とされるわけですね、私たちは非常にこれは心外なんです。もしどうしても国鉄が財政難でできないなら、国がこれに援助を与えて、ぜひとも早急に私たち障害者の移動の自由と安全というものを確保するために予算を充実していただきたいというふうに思います。
 最後に、三点目の保安処分といわれる制度の問題であります。これは特に昨年の新宿西口のバス放火事件とか、あるいはいわゆる通り慶事件といわれることの中で急速に高まってきた、奥野法務大臣などが積極的に言われていることですけれども、私はこの保安処分という問題を、精神障害者といわれる人たちに対する偏見の意識、こういうもの、それから精神医療のあり方の問題、この二つの観点から、本当に根本的な原因をしっかりと見つめ直す必要があるんじゃないかという気がするんです。で、私思うんですが、決して世の中に特定の精神異常者がいるのではなくて、みんな多かれ少なかれ精神的な弱さというものは人間だれしも持っているんじゃないか。それがやっぱり孤立を強いられたり非常なショックを受けたりして、あるいは本当に妥協できずに真剣に生きようとした人が精神的な混乱に陥る、あるいは疎外感に陥る。そのときに気軽に相談し合えたり、あるいはお医者さんに気軽に飛び込んで相談に乗ってもらったり、あるいはちょっとした安定剤をもらったり、そういうことができればいいわけですが、現状はそうじゃないと思う。ある人が、たまたまもし神経科でも行こうものなら、それはとたんに、あの人はもう危険だ、どこかへやってくれというような偏見が渦巻いてしまう。そんな中でますます孤立を強いられ混乱を強いられてしまうのではないかと思うんです。
 したがって、そういう精神障害を持った人たちに対する差別や偏見というものをなくするということと、精神医療というものをもっと本当に開かれたものにして、だれでも、かぜを引いたと同じように精神医療を利用できるというものでなければならないと思う。時には、悪質な精神病院が、相談に来た患者を、いきなり電気ショックを与えたり、ロボトミーについて脳の一部を切除する手術をしたり、とにかく精神医療によって膨大な金もうけをする医者が多いというのをよく聞きます。もしそれが事実であれば本当に問題だ、そこら辺を根本的に解決することが必要である。ついでですが、たまたま非常に悲惨な事件が起きたわけですね、それが精神障害者であったということでクローズアップされますけれども、実際には、とりわけ精神障害者が一般の人よりも犯罪を起こす確率が高いというのは、決してデータでは証明されていないというふうなことも、これは精神医療の専門家からも聞かされています。そういう意味で、保安処分というような形で、あらかじめもうそういう人を全部監禁してしまうというような乱暴な政策を実施されるのではなくて、本当に偏見の意識や精神医療の充実を図ることの方がより重要なんではないかというふうに考えています。
○公述人(豊蔵廣倫君) 保安処分の件につきましてですけれども、最近こういう精神障害者による犯罪等が起きたことが、いま堺の方で、そういう精神障害者に対する危険性の認識、こういうものを持っている。確かに楠公述人がおっしゃいましたように、そういう偏見に基づくものだと思うわけです。これに対して、社会に対して危害を与える、そういう存在は直ちに隔離されるべきだという考え方は、これはあくまでも安易というか、短絡的過ぎる。社会における危険というものは種々いっぱいあるわけです。精神障害者による犯罪というものは、他の危険から比べたら微々たるものだと思うんです。たとえば交通状況等考えれば、これはもっと問題の多い問題だと思うんです。これに対して、危険であるから直ちに隔離せい、社会の安全を守るんだということは、身体障害者に対する人権等から考えて決して許されないものだと思います。
○峯山昭範君 公明党の峯山でございます。大変お忙しいところ、きょうはありがとうございました。特に楠公述人からは大変貴重な御意見をいただきまして本当にありがとうございました。
 きょうは、質問は穐山先生にやっていただきましたので、特別重ねてはいたしませんが、橋本先生に一つ、二つちょっとお伺いしておきたいと思います。
 それは、今度の法案を私たち賛成なんです、実は。賛成なんですけれども、先生おっしゃるように全面的に賛成というような意味では全くありませんで、やっぱり中身についてはいろいろな問題がありまして、その点は、いわば条件つき賛成みたいな感じなんであります。
 そこで、ちょっと先生専門では多少ないかもしれませんが、考え方につきましてちょっとお教えをいただきたいと思っております。一つは先生もおっしゃっておりますように、今度の行政改革、いわゆる外科的手術あるいは突破口として今度の法案が出されているわけでありますけれども、国民に、痛みを分かてということが出ているわけです。これはこの間からずいぶん議論しているんですけれども、なかなかはっきりしないんですけれども、痛みを分かつという問題ですね、痛みを分かつ場合は当然平等に分かつということがあるわけです。その平等ということは一体どういうことかと、要するに私たち、真の平等というものはどういうことなのか。やっぱり弱い人と強い人のその痛みの受け方というのは、いわゆる量的に言えば大変なことになってしまうわけでありまして、そこら辺の痛みを分かつという中身についてはわれわれどういうふうに考えたらいいかというのが一つです。
 それからもう一つ、これは先生御意見の中に、児童手当の問題ですけれども、これは所得制限が今度また新たに加わるわけでありますが、この所得制限、先生賛成しておられるわけでありますが、われわれはこの所得制限は撤廃して、やっぱり全部の児童に同じように児童手当というものを支給した方がいいという考え方に昔から立っているわけです。現在経過的に第三子からということになっているわけです。
 先生も御存じのとおり、東京の公述人の御意見の中にもありましたけれども、要するに、戦前と違いまして最近は子供さんがほとんどいなくなってきたんですね、いなくなったというよりも、戦前は平均五人、六人いたわけですけれども、最近は二人というのを切りまして一・何人なんですよ。この児童手当というのは第三子からなんですよ。そうしますと、実質的に児童手当もらう人はいなくなる勘定になるわけですね。それでは私はやっぱり意味がなくなるということもありまして、これはやはり実は今度の答申の中でも、私たちちょっと納得のいかないところというのがちょっとあるわけです。それは要するに、真に救済を必要とする者への福祉というところなんですけれども、要するに、真に救済を必要とする者という考え方は、非常に福祉という問題の中では古い考え方なんですね。そういうふうな意味で、やっぱりそうじゃなくて、福祉というのはそういうような意味で、答申の中に書いてある考え方というのは昭和二十五、六年ごろ、いわゆる社会保障制度審議会の中で言われたことが書いてあるわけです。そういうふうな意味では、日本の将来という意味から言えば、特に児童手当なんというものはそういう差別は全くしないで、国が総力を挙げて日本の将来に対して取り組むべき問題ではないのかと、そういう考えを持っているわけですが、この二つについて御意見を承りたいと思います。
○公述人(橋本徹君) まず最初の御質問でございますが、それは私としては二番目の御質問と関連していくと思います。
 ところで、その痛みを分かつ、あるいは平等に犠牲を受けるということはどういうことか。まあそれは、ちょっと言葉をかえますと、公平にという言葉にかえたいと思います。と申しますのは、英語で言いますと、平等というとイコール、公平というとイクイティと言っています。平等と言ったら同じだと、同量ということになります。公平と言うとそれはバランスだという話。実はたまたまきのうも研究室で院生が報告する中に、財政学の理念の中で公平というものをどう扱うかということで、もうジャンジャック・ルソーからずっと取り上げましてやるわけですが、学者ですからすぐいろいろな整理をしますけれども、公平といっても、いま世界で思想家がいろいろな形で取り上げておりますけれども、その公平は、先生の御指摘のように保どうも一つじゃないんです。ですから、どうも論者によってみんな公平の基準が違うんです。たとえば天賦、生まれつきによって稼得能力がなかったからそこで所得が得られないというのはおかしいんでそれはちゃんと所得を保障すべきであるといったような議論が当然ございますですね。で、その生まれつきどうのこうのという話とか、それから今度はスタートラインを一緒にしておけば、あとは用意ドンで走って、その結果差ができたものは、これは仕方がないんだよとか、極端に言えばそういう二つの議論があるわけです。
 ですから、ここで私、いろいろな哲学から出ておる公平論を全部整理しろと言われましても、整理してもいいんですが、私はどう考えるかということですが、いまのわが国の現状から考えました場合には、給付を公平にする、それから負担を公平にすると、そうするとその給付と公平のネットが出てまいります。その給付と公平のネット、善額は、政府のサービスについての差額は、当然所得を基準にして、所得の低い人は差額で負担が大きくなる。それから、所得の低い人は差額で負担が大きくなる、その場合に、政府サービスを所得以外の基準で公平かどうかということを持ち込みましても、なかなか税との関係ではできませんので、そういった負担と給付を所得を基準にしてネット、プラスかマイナスかということを見て、そうしてそのネットが、いわば逆進的と言えばいいんでしょうか、所得の低いところにネットの給付があって、所得の高いところにはネットの負担があるという形であれば、支出と税負担とで総合的に公平になってくる。
 そこで、その痛みを分かってということをそういう形で言うならば、現在それが逆進的に下がってなくて、本来所得の高いところへ給付が飛び出ているとか、あるいは今度は所得の低いところで負担が多いとか、そういうことがあると、それをならさないといけないとか、まずだからならすことがあると思う。特に給付を受けておる、特に負担をしているところはならさなければいけない。その上で、もし、いや現行はちゃんとこうなっているよというならば、三万一両損じゃございませんが、並行シフトで下げるしかない。
 ところで、私実は五十三年度予算を利用いたしまして、国と地方の全支出及び給付を計測をしましたところ、財政学会で昨年うちの研究室が発表しておりますが、四、五百万を境にしてちゃんと逆進的になっておるわけです。ですから、現行の支出制度と税制度を別にしますと、職業とか産業という議論を入れますとややこしくなりますが、所得だけで見ますと、仮に何%か増税をすれば並行に上がる、何%か支出を落とせば並行して落ちるだろう、こういうふうに思うわけです。しかしそれが、落とし方が、たとえば特定のところだけねらえばその特定のところにいくと。しかし、完全にこうなってなくてやっぱりばらばらがあると思います。ですから、痛みを分かってという場合は、政府あるいは国会でいろいろお調べいただいて、やっぱり特別に利益を受けていたり、特別な負担があるとしたら、それをまずならすことが痛みを分かつことが先だと思います。しかしこれは、いわゆるプレッシャーグループとの関連もございまして、大変むずかしい仕事であると思います。
 それから、所得制限につきましては、先生はいわば、たとえば児童政策とか、人口政策とか、あるいは児童憲章に基づいて児童をと、こういうお考えで御指摘になられたと思う。それはそれとして敬意を表しますが、私申し上げましたのは、私も第三子にやるよりか第一子にやるべきだと思います、もしやるならば。その意味では、これはフリードマン、例の選択の自由でずいぶん評判になりましたフリードマンが、ずいぶん前に主張いたしましたが、それからイギリスでも問題になっておりますけれども、イギリスではプロポーザルが出ました。緑書が出ましたが、ネガティブ・インカム・タックスといいますか、所得税と児童手当を一本化して、そしてある境界線を境にして、現在児童扶養控除は二十九万円でございますが、そういった二十九万円といったのは所得控除で、税率によって、たとえば税率一〇%なら二万九千円、税率が三〇%ならどうという形の児童手当、収入があるんじゃなくて、タックスクレジットで、児童に対して税金を何万円というふうにタックスクレジットを組み合わせて、そうして所得税と児童手当を一本化してやりますと、所得制限の議論は私は飛ぶんじゃないかと、そういう形で、実質的に児童が一人なら一人いれば何万円、二人いれば何万円というのが税額控除の形で戻ってくる。そうすると課税最低限以下の人は当然それが入ってくる。課税最低限より上の人は、それは線は上に上がっていくと思いますけれども、上のところは税金を取られていくという形で、所得税と児童手当とを統一してしまうというタックスクレジット、ネガティブ・インカム・タックスの方法が、最も効率的な、そしてかつ本当の意味の公平を確保する政策であると考えております。
 ただそれは、先生御指摘のように、たとえば人口をふやすためにとか、人口がこんなに減っていったら日本はもたないよという話の場合には、これは全く別の判断基準が入ってまいりますので、そういう意味で、もし国民が、児童はそういう形で養育しなければいけないということでございますと、それは当然でございます。なおこれは、いま申し上げましたのは、特別児童扶養手当等についてはまだ別の観点がございますので、それとは関係ございませんが、そのように考えております。
○柳澤錬造君 民社党の柳澤でございます。
 最初、橋本公述人にお聞きをしてまいりますが、二点ほどお願いいたします。
 高度成長期に肥大化した行政機構に改革のメスを入れないと、安定成長下の高齢化社会に対応できなくなると御意見を述べられまして、私もそのとおりだと思っております。お聞きしたいことは、第一次臨調から答申が出されたのは昭和三十九年で、まあ相当りっぱなのが出ましたけれども、実質的には余りそれが実施されないで来てしまった。それから次のチャンスというのが、昭和四十八年末の第一次石油ショック、国の方向が大幅に軌道修正させられたときなんですが、あれがその次のチャンスであったけれども、そのときは特段政府は何もしないで今日までどうやらこうやら生き延びてきて、今度はもうそうはいかないよというので第二臨調ができて第一次答申を受け、来年本格的な答申が出てくる。そこで、前はそういうことで答申もいただいても、余りそれを採用しないで過ぎたけれども、今度の第二臨調の答申、特に来年本格的なのが出てくるんですから、これはいままでのようなわけにはいかないわけなんです。そこでお聞きしたいのが、その行革の取り組みについて最も重要な、こういう点を気をつけてやらなければいかぬよという、そういう点をお教えいただけたら幸せだと思います。
 それから二つ目は、近いうちに増税の問題が議論されるようになるんだろうと思います、このままいけば。それで私としては、付加価値税を採用するのが、わりあいに利点があっていいと思うと、外国のことも触れて御発言があったんですが、そこで私がお聞きしたいのは、確かに、政府もよく言うんですが、日本の税金を納めている割合が外国と比べると決して高くない。だけれども、お役人といっては何ですけれども、税金のむだ遣いという点でも、外国と比べてこれはもう大変な、格段の違いがあるほどに、ちょっと度が過ぎるほどむだ遣いをしておりますので、だから、その世界的に見て税金の負担率が高いか安いかというよりかも、国民の皆さん方が、自分たちが納めている税金がそういう使い方をされていることに不満があり、そういうところへ持っていっていろいろ話をして、どうしても増税をしなければと言っても国民がなかなか納得しないと私は思うんですけれども、その辺が付加価値税をというときに、どういうふうに言ったら国民は納得されるのか。
 それから、まとめて申し上げてしまいますが、楠公述人には、先ほど峯山先生からありましたけれども、大変いろいろの御意見をお聞かせをいただきました。むしろ私たちがもっともっと障害者の問題について、おくれていることに取り組まなければいけないという点でお教えをいただきまして、そういう点で特別付加して御質問するのではございません。
 豊蔵公述人の方は、先ほどおっしゃられたように、第二臨調の方も政府の方も、財政再建ばかり重点を置いて、行政改革のあれがなおざりになっていやせぬかというので、これはまあ私どもも一番気をつけていることで、私たちも絶えず言っているんですが、財政再建のために行政改革をやるんじゃないんだ、本当にまじめに働いている人たちが報われるような、そういう福祉社会をめざす新しい国づくりが、この行政改革だといって一生懸命言っているんですから、全くそのとおりなんで、そこで公述人は弁護士という御職業にあるので、一つお聞きをしておきたいことは、住民の、国なり地方自治体に対して裁判とか何か、そういうふうな訴えを起こすという、そういうものがふえる傾向にあるんですか、それともむしろ減る傾向にあるんですか、傾向的に見てどちらでしょうかということをお聞きをいたします。
○公述人(橋本徹君) また大変むずかしい質問をいただきまして、御指摘のように三十九年の臨調が、実は私も若いときで少し何かの調査のお手伝いをさせていただきました。三十九年の臨調答申が実現しなかった―−ちょうど四十年に不況が来ました。そして四十八年の石油ショックが、すぐ続いて五十年の不況、そしてトンネルを抜けたかなというと、また第二次石油ショックという形で、雇用の拡大ということに重点がいったために、その石油ショック以後すぐ手をつけるべきであったことが手をつけられなかったというふうに、やむを得ない面もあるのではないか。その意味では、先ほど経済白書を引用いたしましたが、完全雇用赤字が出てまいりましたのは、四十九年は別にしまして、四十七年あたりから、いわばニクソンショックからでございます。で、私もずっと考えてみますと、やはり四十七年、八年に、先ほど峯山先生のお考えもありましたけれども、政府管掌健康保険に対する定額補てんから定率補てんに変えた時期がございます。それから児童手当が創設され、それから老齢医療費の公費負担が創設されました。ちょうど四十七、八年に、制度をつくるときに、恐らく四十二、三年ごろから議論をしてずっと積み上げていくわけですが、たまたまそれが制度化されたときに、日本経済の構造が変わっていたはずなんですね、変わっていたにもかかわらず、制度だけは前のところで議論しますから、その段階で、たとえば私、実は福祉財政論という本をまとめたんですけれども、どなたも負担のことを一切抜きにして支出計画をおつくりになる。それから負担計画のない、財源計画のない支出計画が四十七年、八年にできたので、ある意味では不幸であったというふうに思います。だからといってほうっておけないわけですけれども、今日まで来てしまったわけです。
 そうしますと、行政改革、何から取り組むかというふうに御質問でございますけれども、私は何から取り組むかというよりも、ずいぶん政府は広報を出されますけれども、まだまだ本当のところ国民はわからないんじゃないだろうか。議論はかなり高いレベルで、先ほど平井先生が御指摘になったように、むずかしい言葉で経済七カ年計画なんか出てまいったりしますけれども、私はもっともっといろいろな形で国民に現実を直視するということ、たとえば私、さっき完全雇用赤字と申しましたが、一方では、景気がよくなればすぐ税収が上がりますよとかいう話が出てきたりします、そうじゃないんですけれども。どうも現実に対する認識が甘いという気がしないでもありません。ですから私は、何から取り組むかの前に、国民の意識というか、行政改革を必要としているという、現在の日本の行財政の仕組みそのものが、ずいぶんと肥大化してしまっているということをはっきりしたいということと、それから、いままでずっと議論が、たえとば都市と農村を比べて農村地域がおくれていますよとか、それから何の産業と何の産業を比べましてこの産業はおくれていますよ、だからこうしなきゃいけません、といったように、相対論で議論をしておりますが、これをもう一遍きちっと調べてみる必要があるんじゃないか。都市がおくれているか、農村がおくれているかということは、私はあえて指摘いたしませんが、いま、あそこに比べてここが悪いからここをよくしなければいけませんよという議論をいたしました。
 私は、学者じゃなくて教員でございますが、私立大学で国費をずいぶんとたくさんいただいていまして、臨調でもやり玉に挙げられておりまして恐縮しておりますが、私自身国立大学に勤めておったこともありますが、私自体も現在勤めておりまして国立の先生にいつも言うんですけれども、あなたたちはまだいいんですがなと、こういう話をいたします。で、私どもは、教授一人当たり、私はゼミナール、三年生を三十人、四年生を三十人、研究演習をやるときに、いつも二時間余分にやります。そうして合宿をしてやります。そうしないと教員が少ないですから定められた時間以外にオーバーワークをしてやらなければ学生とは接触できません。おかげさまでことしの十一月の試験も、ずいぶんみんなきちっと目的どおりに合格をしてきましたけれども、そうしますと、そういった行政改革の取り組みという場合に、私は民社党さんもたしかおっしゃったと思うんですけれども、あるいは公明党さんでしたか、点検と言いますけれども、もっと点検が足りないんじゃないか、行政の実態について。あるいはすみずみまで、マクロの話も大事ですけれども、点検が大事だと思うんです。
 それから次に、増税論、私は出しました。私はそう思っておりますが、福祉社会をつくっていくために。この前パリのOECDの事務局へ行きましたら、ぱっと向こうから数値を示されまして、北欧グループが第一グループ、それからヨーロッパ大陸グループが第二グループ、そして日本が、トルコとギリシャと並んで最低グループの税負担率を租税課長から見せられて、おまえプロフェッサーとしてどう思うんだ、こういうわけです。私OECDにけんかしに来たんじゃなくて、OECDの意見を聞きに来たんだと言って逃げられましたけれども、ヨーロッパで日本とあつれきが出てくるのも、やはりそんなところにも原因があると思うんですね、それは税制が違いますけれども。この五、六年間、とりわけさっき言ったいろいろなサービスを拡大するのも国債で負担しておりますから、国民は直接には、身近には感じないままサービスを拡大して、もし国債分が完全に税金であったら、優に五%ぐらい税負担が上がるわけですけれども、それを国債でやっておるものですから、それに気がつかずにサービスだけ受けているということになります。
 そこで、では増税を持ち込んだとしても、いまのように政府がむだ遣いをしている場合には受け入れないんじゃないかとおっしゃるのはそのとおりだと思いますが、政府の資料によりますと、公務員の数などは諸外国に比べまして決して大きくはないと。しかし少ない方がいいんだろうと思いますけれども、私は、大きい政府か小さい政府がと、供給の経済学で最近流行しておりますけれども、大きい政府か小さい政府がという議論をいま日本でするのは、やや早過ぎるんじゃないか。しかしながら、効率的な政府か非効率の政府がということは議論しなきゃいけない。その意味で、たとえば補助金のむだなど、役人がむだ遣いをしているというよりも、補助金のむだなどというのは最たるものがあると思います。これはあっちこっちから指摘されております。もう新聞、週刊誌、雑誌にありますので、私があえて言うことはありませんが、私、臨調の一日委員長で一度申し上げたんですけれども、委託金でございますけれども、大阪府に一つの件数当たり四千円というお金が国から来ておる事実。四千円というお金を、送金したり書類をつくったら一体どれだけかかるだろうか。しかし、それは法律にあるから委託するんだからというわけで、これは種畜の検査料ですけれども、四千円来ておる。それが要らぬとか要るという話じゃなくて、四千円というお金を送金するのにずいぶん手間がかかるだろうと思うわけです。そういう意味から言いますと、補助金の調査もしていましたが、やはり点検すれば同じお金をもっともっと効果的に使う方法はたくさんあると思う。ですから先生の御指摘のように、まずそこを点検することが第一だと思います。しかし、それでもなおかつ私は、いまの大きさぐらいの政府では福祉社会はできなくて、若干増税をしないとどうも福祉社会はできないと。そういう意味では、マクロ的には増税を本気で議論しないといかぬだろうと、こういうように思います。
○公述人(豊蔵廣倫君) 国または地方公共団体に対する訴訟が、今後どういう傾向にあるかということですけれども、結論的に言いますと、このままではますます増大する傾向にあるだろうということは言えると思います。ただ、国または地方公共団体に対する訴訟といいましても、これはやはり性質の違うものがありまして、大きく粗っぽく分けた場合二つあると。一つはごく普通の訴訟でありまして、たとえば学校で子供さんがけがをして、地方自治体に対して損害を請求するとか、または国立の医大等での医療ミスと、そういった単純な損害賠償でありますけれども、これはまあ今後増大するとか、そういう問題は特にないと思うわけですけれども、もう一つの訴訟といいますのは、行政の怠慢、それに対する国民の不満を訴える手段として裁判所を利用する。たとえば新幹線訴訟とか、空港訴訟とか、環境整備における行政の働きを求めかけてくる、そういう形の訴訟は今後ふえてくるんじゃないかと思います。
 ただ、後者の訴訟につきましては、本来裁判所では十分対応できない面があります。裁判というのは、大体御存じと思いますけれども、訴えを提起してから、最高裁まで争いますと十年もかかります。これではとても国民の権利というものは保護できないものがあります。しかし、国民または住民としましては、こういう裁判を利用せざるを得ないという状況にあることを一つ認識してほしいと思うわけです。といいますのは、本来行政に対するコントロールというのは、国民は国会を通じてコントロールすべきであるというのが憲法上の理念になっておりますけれども、現状では国会が必ずしもコントロールできていない。したがって国民としては、行政と対決するためには裁判制度というものを利用せざるを得ない。したがって、本来そういう目的のために設立されていない裁判所が利用されているということで、国民本来の権利保護が十分できない。そこでこういった国民の不満、そういったものを取り上げるものとして、臨調の答申においても取り上げられておると思いますが、オンブズマン制度、まあ行政不服についての審査機構ですね、こういうものをぜひ整備さしていただきたいと思うわけです。
○座長(玉置和郎君) 他に御発言もないようですから、以上で質疑は終了いたします。
 会議を閉じるに当たり一言ごあいさつ申し上げます。公述人の皆様方には、長時間にわたり、終始御熱心に貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、当委員会の今後の本案審査に役立つものと確信しております。委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。また、本日の会議開催に当たり、諸事御配慮を賜りました関係者各位並びに会議の進行に御協力くださいました皆さんに対し、委員を代表して心から御礼を申し上げます。
 以上をもちまして、参議院行財政改革に関する特別委員会大阪公聴会を終了いたします。ありがとうございました。
   午後二時五十七分散会
    ―――――――――――――
    派遣委員第二班報告書
 行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案の審査に資するため、十一月十二日から二日間の日程をもって、本特別委員会から嶋崎均理事を団長とし、坂野重信理事、野田哲理事、高木正明委員、安恒良一委員、塩出啓典委員、市川正一委員、森田重郎委員の計八名の委員が派遣され、札幌において地方公聴会を開催した。
 本公聴会は十一月十三日午前十時より午後三時十五分まで「北海道厚生年金会館」において開会され、
       北海道経済連合
       会常任理事    樫原 泰明君
       北海道高齢者退
       職者の会連合会
       会長       改発 治幸君
       全北海道婦人経
       常者協会会長   松尾 静江君
       北海道公団住宅
       自治会協議会会
       長        土井 尚義君
       北海学園大学理
       事長       森本 正夫君
       旭川大学助教授  山内 亮史君
       駒沢大学教授   藤島 範孝君
以上七名(午前四名、午後三名)の意見陳述人(以下公述人という。)から順次意見を求めるとともに、これに対して派遣委員から質疑が行われた。
 当日の公聴会の内容は、次のとおりである。
   午前十時開会
○座長(嶋崎均君) 開会に先立ちまして、一言ごあいさつ申し上げます。
 北海道におきましては、七月から八月にかけての豪雨、台風十二号、十五号によって大きな災害を受け、また十月には北炭夕張新鉱におけるガス突出のため多くの犠牲者を出すという事故が発生いたしました。私どもは、まず道民の皆様に心から御見舞を申し上げる次第であります。
 ただいまから行財政改革に関する特別委員会札幌地方公聴会を開会いたします。
 私は本日の会議を主宰いたします参議院行財政改革に関する特別委員会理事の嶋崎均でございます。
 まず、私ども一行のメンバーを御紹介申し上げます。自由民主党・自由国民会議所属で、行財政改革に関する特別委員会理事の坂野重信君でございます。日本社会党所属で同じく理事の野田哲君でございます。自由民主党・自由国民会議所属で委員の高木正明君でございます。日本社会党所属で同じく委員の安恒良一君でございます。公明党・国民会議所属で同じく委員の塩出啓典君でございます。日本共産党所属で同じく委員の市川正一君でございます。新政クラブ所属で同じく委員の森田重郎君でございます。
 この際一言ごあいさつを申し上げます。樫原公述人、改発公述人、松尾公述人、土井公述人には、御多用中のところ貴重な時間をお割きいただきまして当公聴会に御出席を賜りまことにありがとうございます。派遣委員を代表して衷心より御礼申し上げる次第でございます。
 さて、参議院行財政改革に関する特別委員会におきましては、目下「行財政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案」につきまして審査中でございます。本案は、国民的関心を有するきわめて重要な法律案でありますので、慎重に審査を進めてまいっております。本日は、当札幌のほか大阪におきましても地方公聴会を開会して国民の皆さんから忌憚のない御意見を承り、今後の審査に反映してまいりたいと存じ、当地に参上いたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願い申し上げます。
 次に、会議の進め方について申し上げます。まずお一人十五分程度で順次公述人の方に御意見をお述べいただき、その後委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 つきましては傍聴される方々も会議の進行に御協力くださいますようお願い申し上げます。
 それではこれより順次御発言を賜ります。まず樫原公述人にお願いいたします。
○公述人(樫原泰明君) 私は本日、行財政改革について基本的に賛成の立場から意見を申し上げさしていただきたいと存じます。
 戦後三十六年、激動する国際情勢の中でわが国は国民の英知と努力によりまして国の再建に努めた結果、いまや世界の有数な先進国に成長してまいりました。しかしながらその一方で、本年末には約八十二兆円にも達する膨大な国債発行残高を有して、それが年々増加の傾向にあることは、まことに容易ならざる事態と申さなければならないと思います。もしこのままの状態で推移するならば、ともかくわが国は国内的にはもちろん国際的にも当然果たすべき役割りを果たし得ない状態になることが懸念されます。したがってこの際万難を排し、行政の効率化をはかり、財政のむだを省き、できるだけ早い機会にわが国の行財政を健全な状態に戻さなければなりません。また同時に国民生活の安定向上を図りながら、税の自然増収を得るためには経済活力の拡大を図り、ある水準以上の経済成長を遂げていかなければならないと思います。さらに北海道の立場から言わしていただきますと、今日の行財政改革はこれを積極的に進めることが必要であることはもちろんでありますが、国内的には地方の時代を実現し、国土の均衡ある発展を期することを目標にして、これが単に財政のつじつま合わせに終わることなく、将来を展望し基本を見失うことなく慎重かつ適切に対処していただきたいと考えるわけでございます。
 以上のような基本認識に立って私は経済界の立場から本日意見を求められました行革関連特例法案に対し賛成の立場を申し上げるとともにせっかくの機会でありますので、国政に関し私どもが常日ごろ期待しておりますことについて率直に述べさしていただきたいと存じます。
 さて、政府を初め経済界の方々の北海道観と申しましょうか、日本の中における北海道の位置づけというものにつきましては、きわめて開発の可能性に富んだ地域であって、わが国が抱えている長期的な発展課題を解決する上で大きな役割りを果たし得る有望な地域であるという認識をいただいております。私ども道人もこのことを確信してこれまで積極的に本道をめぐる問題点に取り組んでまいっております。このように北海道は将来への期待に大きなものがありますが、現状においては開発の歴史が浅いため先進地域に比べますと、特に社会資本や基盤整備の面で立ちおくれております。このため国はもとより地方自治体におきましても懸命に各種基盤整備の充実に努めておりますが、この事業の遂行には北海道における公共事業に係わる国の負担、補助等の特例措置に負うところがきわめて大きかったと思います。ところが今回この特例措置が他の地域特例と同様に六分の一がカットされることになりましたことは、はなはだ遺憾に存じます。しかしながら行財政改革の推進に基本的に賛成の立場にある私どもとしては、国民等しく痛みを分から合うという見地からやむを得ないものと考えております。ただ北海道は、法律に基づくものばかりでなく、政令その他によるかさ上げ分もあり、その大半が今回同じように六分の一のカットがされますため、それに伴う地方の負担増は約百四十億円にも達しますので、どうぞこの点を十分に御認識いただいて財政再建期間が過ぎた暁には、従来どおりの特例措置を存続するにとどまらず、地方の時代が単なる掛け声に終わることのないよう、国としての政策的意図をさらに鮮明にして中長期的観点から北海道の開発をより積極的に推進していただきたいと考えるのであります。
 次に、行革の推進に伴い北海道として大きな影響が懸念される若干の問題について具体的に申し述べさしていただきます。その第一は、現在進めている大型プロジェクト推進についてであります。御承知のとおり苫小牧東部地域の開発は北海道経済の自立的発展力を高めるとともに、わが国産業経済の秩序ある発展に寄与する目的として十四年前から着々と事業が進められております。その過程においてオイルショック等の影響により開発のテンポはスローダウンした時期がありましたが、最近は石炭火力発電所や備蓄施設の建設あるいは大型プロジェクトの建設などエネルギー基地としての活用を活発化し、さらについ最近自動車産業も基地設定を見るなど新しい発展の効果が芽生えつつあります。したがいましてこの芽を育てるためにも港湾の整備等、より積極的に推進していただきたいのであります。また石狩湾新港地域の開発に関連しての港湾の整備や、交通体系を充実するための新千歳空港の建設など北海道経済の自立的発展を促すためのプロジェクトの推進に十分な配慮をお願いしたいと思います。
 二番目に申し上げたいことは、北海道開発庁並びに北海道東北開発公庫の存続についてでございます。わが国の行政機構は国、地方を問わず高度成長期において非常に膨大化し複雑化してまいりました。低成長期に入った現在この見直しを行うことがぜひとも必要であると思います。特殊法人についても全く同様であります。したがいまして見直しの結果すでにその役割りを終えたと思われるものや、あるいは不急と思われるものを積極的に整理統合し、より一層行政の簡素化を図る必要があると存じます。こうした情勢ではありますが、開発行政を専掌する独立機関として重要な役割りを果たしている北海道開発庁や開発局の存在は、縦割り行政の弊害を廃し、建設、運輸、農林水産といった幅広い分野にまたがる開発行政を実現し、かつ効率的に進めてまいりまして、現在までこうした成果をおさめているわけでございます。今後ともぜひ存続が必要であると思われます。
 また北海道東北開発公庫につきましては、これは昭和三十一年地元の要望にこたえて設立されて以来今日まで一貫して北海道東北地域の開発行政と表裏一体となり民間の活動を側面から支援する政府金融機関として、その独自の機能を遺憾なく発揮し多大の成果をおさめております。さらに今後も地域開発を積極的に推進する上から地域の実情に即した適切な機能を持つ必要不可欠なものと確信しておりますことを改めて申し述べさしていただきたいと思います。
 三番目に中小企業の振興対策について申し上げます。申し上げるまでもなく中小企業の振興を図ることは経済社会発展のため欠かせないものであることは申し上げるまでもありません。したがいまして中小企業を取り巻く環境が一段と厳しさを増している昨今、小規模事業対策や組織化対策さらには中小小売商業対策等について一層の充実を図っていただきたいと存じます。また中小企業関係の補助金は中小企業が自助努力を通じて発展していくための指導助言など必要な最小限度のものだと考えます。しかも国の中小企業対策の根幹は一般会計の予算の中でわずか一%にも満たないものでありますから、これも他の補助金と同様な比率で一律に削減することはぜひ避けるべきだと考えます。
 四番目に、北海道の産業構造上他地域に比べ非常にウエートの高い一次産業、とりわけ農業に関し申し上げます。私は農業の専門家でもありませんが、昨今農業に関していろんな批判が行われていることは承知しております。しかしながら食糧の確保は国の施策の基本であることは申すまでもありません。食糧需給の危機について真剣に論議がなされていることは当然のことと考えます。北海道は国の長期計画でも食糧基地として位置づけられて農業に携わる農民も強い認識を持って努力していると信じております。その農業を取り巻く内外の情勢は最近一段と厳しさを増してきております。中でも北海道では近年冷害や水害などたび重なる災害と稲作転換等により畑作、酪農などにも重大な影響が生じ、北海道農業はまさに窮地に追い込まれ、農業者は将来の見通しが不明確な状態にあると言っても過言ではありません。したがいまして農業振興の基本指針を明確にし、農業者が将来自立経営の確立に向けて努力できるようにしていただきたいと思います。なお今回の法案関係で政府関係金融機関の法定貸付金利の弾力化につきましては、借入者の負担増にならないように一段と御配慮を賜りたいと存じます。
 最後に、先ほど委員長さんからも御丁寧なごあいさつがございましたが、北海道にとって重大な関心事であります北炭夕張新鉱の再建問題についてこの機会にぜひ深い御理解と御支援をお願い申し上げたいと思います。御承知のとおり先月十六日突如夕張新鉱でガス突出事故が発生し、不幸にも九十三名の多数の方々が犠牲になられたのでありまして、まことに哀悼の念を禁じ得ないのであります。当面の急がなければならないことは、再発防止のための事故原因の究明と速やかな遺体収容、さらには被災者や遺族の方々への生活対策や補償措置であろうかと思います。こうした問題のほかに基本的な問題としてこの際申し上げたいことは、この事故により万が一にも北山灰の再建が危ぶまれるような事態になりますと、国のエネルギー政策に重大なそごを来すばかりでなく、地域社会の崩壊という社会問題を招きかねないと思います。まことに深刻重大な事態を迎えております。どうかこの再建が図られるよう特段の御配慮、御支援をお願いいたします。
 以上をもちまして私の意見陳述を終わらしていただきますが、どうか先生方におかれましては、私どもの考え方について御理解をいただき、御支援を賜り、法案審議の際に御参考にしていただければ幸いでございます。
○座長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 次に改発公述人にお願いいたします。
○公述人(改発治幸君) このたびの行政改革に国の財政再建が必要である、この点につきましては、私どもといたしましては十分理解をいたしておるところでございます。ぜひこの財政再建というものを早く行い、少しでも私どもの生活に不安のないような状態が実現することを期待いたします。しかしながら今回提示されております臨調第一次答申あるいは今回提案されております行革法案または五十七年度予算編成方針を拝見いたします限りにおいて、これは行政改革、財政再建ということばの上では非常にだれもが理解しなければならないということを示しながらもきわめて部分的にアンバランスがある財政再建である。特に年金、民生、こういう点にしわ寄せをする、私どもの、私は御承知のとおり老人を代表しているわけでありますが、そういう立場から見ますならば、非常に将来の生活に不安をもたらす。こういう立場からも行政改革が行われようとしている、こういうふうに考えざるを得ません。したがって行政改革を財政再建を必要としながらも、このような考え方に立っての行政改革というものは私どもとしては受け入れることができない。こういう立場で公述をさしていただくことに相なりまして、少なくとも行政改革を行うにあたっては、今日までのわが国の政治経済の背景の中で一体何が原因になって財政の赤字が行われてきたか、そういうことをやはり政治に携わる者みずからが反省をし、反省の上に立って正しい財政再建を図っていかなければならないのではないかと思うのです。私どもが言っております平和、福祉、分権、こういうものを柱にして民生の安定を図る、こういう立場からの行政改革が必要であろうかと考えるのであります。しかしながら端的に言いまして財政再建の方法ということになりますと、一つには収入をふやす、一つには支出を減らす、あるいはその両方をやる、こういうこと以外にはないのではないか、しかし収入をふやすためにはどうするか、私といたしましては一般的な増税については反対であります。そして支出面では徹底してむだを省いていく、このための行政改革を英断をもって講ずべきであろうと考えております。増税なき財政再建と言われておりますけれども、昔から「入るを量りて出づるを制す」と言われております。増収を考えない財政再建というものはあり得ないと思います。私は先ほど一般的な増税は反対であると言いましたけれども、これは直接国民生活に影響を及ぼすような一般消費税の導入でありますとか、所得税の引き上げでありますとか、あるいは公共料金の値上げでありますとか、こういうようなことによって増収を図るということは反対であります。しかしながら従来から主張いたしておりますように不公平税制の是正について強く私どもは主張しておるのであります。今日租税特別措置法に一兆円、法人税法に一兆円、地方税法に七千億、合わせて約二兆七千億円を下らない企業優遇措置があると聞いております。かりにこの半分を回収するとしましても一兆三千億を超える収入をふやすことになります。もし一度にできないことならば、何カ年計画がで回収するという方法も当然検討しなければならない問題であると思います。増税なき財政再建などという耳ざわりのよいことばの陰にかくれてこの問題を伏せるということは絶対にあってはならない、このように考えるのであります。
 次にクロヨンということばが使われておりますが、私たちのような年金生活者はこの九の部類に入ります。勤労所得や年金所得については着実に課税をされる仕組みになっておりますが、申告所得やいろいろ問題があると思いますが、これは優遇措置の場合とは違いますので、他人様のことは言いたくありませんが、せめてクロヨンではなくて、クワナ(九八七)くらいの程度にまで改善をされるならばそういうものが増収になるだろうと、こういうふうに考えます。
 税金の話を申し上げましたが、ついでに私どものほうから申し上げておきたいことがありますが、特に私どもの多くは年金生活の老後の再就職をして安い賃金で働いているわけです。年金などの引上げというのは毎年物価の値上がりに追いついておりません。そういう中で今度物価調整減税が最近とられていないですから、税金はそういうことで結局実質収入が低下していく、そういう中でしかも税金は着実にとられていく、そういう仕組みになっておりますから、納める身は納める身でけっこうだけれども、物価減税などを行って生活に支障のないように御配慮をいただきたい、このように思います。
 次に歳出の面についてですが、私は徹底してむだを省くと言いましたが、私の立場からむだなものは何かということを申し上げたいと思います。まず第一に防衛費であります。次に原子力関係、特殊法人、その他の団体に対する補助金の相当部分をなくす。これは大きなむだではないかと考えております。今日中国や北朝鮮が日本に侵攻してくるということをまじめに考えている人はあまりないわけです。近年ソ連の脅威論を盛んに宣伝されているようでありますが、北海道に住んでいる私たちはソ連の脅威についてはあまり感じたり考えたりしていないのであります。東京あたりに比べますと逆に衰えているというのが実態であります。かりにソ連が日本を手中におきめようとするならば、必ずそれは米ソ核戦争に、日米安保条約の有無にかかわらず発展していく危険をおかすものだということはソ連軍も十分に知っているところであります。もし米ソ核戦争に発展したということになれば、日本は核戦争の中で消滅してしまう。したがって百機や二百機の戦闘機あるいは少数のわずかな軍艦をもってしたからといって何の効果もない、そういうものだと私は考えております。だからそういうむだなものに税金を使う、これが最高のむだだろうと、こう思います。
 次に、原子力関係の経費についてでありますが、これは廃棄物の処理等の安全に関する調査研究は一応進めていくでありましょうが、それ以外のものはこの際凍結をしたらどうか、原子力船「むつ」などは廃船にしたほうがいい、近い将来に世界の海を原子力船が軍事面に使われる場合を除いて自由に航行できるということは安全性の問題その他から考えてとうてい望めない問題だと、こういうふうに思います。
 また特殊法人等の経費、団体等の補助金については一割削減とか何%削減ということではなくて、徹底的に審査をして整理をやるべきだ、こういうふうに考えております。ともかく増収を図るという立場から、節約をするという面から、最も私たちが一番手をつけるべきだと思うのはこれであります。
 次に、この行革に関係をして特に私どもが関心を持っている二、三の点について申し上げてみたいと思いますが、私どもが最も深い関心を持っておりますのは老人保健と老人医療についてであります。高齢化社会に移行しつつあります今日七十歳を超えてなお経済界で活躍をしている方々はたくさんおります。こういう方々にとってはたいへんな医療費の負担ということはないでありましょう。しかしながら全く収入がない、あるいはわずかな老齢福祉年金等に頼って子供や孫の扶養をする、あるいは百六十万から二百万程度の年金で辛うじて生活を維持している、こういう立場の者にとって、わずかな医療費の支出というものはたいへんなものです。これも孫に出してもらう、非常に気がねしなければならない、自分自身が出す、それはこんな重い負担はない。私は行政改革、財政再建の名のもとにこれまでも切り捨てて、おまえたちが負担せよ、こういう非情なやり方はないと思うのです。少なくとも所得制限があるわけですから、最小限度無料の範囲というものは絶対に残しておくべきではないか、こういうふうに考えております。乱診乱療のもとになっているとか、不正請求があると、こういうふうに言われておりますけれども、これは現行の制度そのものに問題があるのであって、病気にかかる老人や病人に責任があるのではないですから、そういう面についての根本的な対策を講ずべきであって、だからといってそれを一人でも少なくなれば、老人などの病院にかかる者が減って負担が少なくなるであろうという考え方は私は的を得ていない。まあ答中でも多少この面について触れておるようですけれども、逆に公立、国立病院等公的医療機関を縮小するについての提案もあわせて行われておりますから、これではかえってこういう乱診乱療等の土壌を育成する結果になるのではないかと思います。むしろ医療というものは公的医療機関を整備して拡充をする、そういうことにまず切りかえるように先に考えるべきではないか、こういうふうに私は考えるのです。
 この際ですから、医療の関係と、わけて年金問題について申し上げておきたいと思いますが、特に今回の提案の中では年金が矢表に立たされておりますので、将来年金の一元化という方向に向かっていく必然性は持っておりましょうし、私は年金の一元化について反対よりむしろそれをやるべきだと考えておりますが、しかし年金の一元化を進めていくにあたって、どこに基準を置くかということが最大の焦点であります。いまより悪くなる、あるいはそういう方向に向ける過程の中で少しでも個人の負担を多くする、こういう形をとっていかれるならば、特に私どもにとっては重大な問題であります。生活を左右する問題でありますから、年金一元化の方向に進むにあたっても、これは当然のことながら過去の既得権、こういうものを維持しながら負担をかけないような年全体制を進めていく、こういう点についての十分な検討を講じていただきたいと思います。特に北海道におきましては、大体いまのところ共済年金の平均ということは百六十から百七十万円くらいだろうと思います。この中で年金生活をしていくわけでありますが、温暖地の生活と違いまして北海道の場合は寒冷地域手当、一般の給与生活者にはありますが、年金にはありません。私どもは長い間積極的にこの問題について運動を進めているのですが、大体少なくて三万、多いところで七万、それぞれ家庭の環境その他によって違いますが、そういう燃料費を必要とするのであります。北海道の現状では一日ものを食わなくても死なないけれども、一日火をたかないで生活することはできない。したがってこれは生活の必需品の最高のものです。ですから年金生活者に対する燃料手当というものを、ちょっとおかしいかもしれませんが、寒冷地の生活をしていくのに十分に耐えるような付加給付といいますか、そういう制度について私どもは長い間運動をしておりますし、先ほど話の中に触れましたが、そういう点についてもこの際申し上げておきたいと思います。
 次に、公務員は一律削減ということをいろいろ言われておりますが、単に何割削減ということではなく、そういう無定見な考え方ではなくて、もっときちっとした、中央省庁の大きな機構などの整理統合、統廃合させるについてももっと明確な姿勢を示していくべきだと思います。たとえばレーガン大統領が努力目標を達成したという話もありますが、このたびの勧告のような整理をする、積極的な姿勢を、ただ私が申し上げたいのは、だからといって生首を切ってしまえばいいというのではないのです。やはり十分あとの対策を考えながら整理を進めていく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
 いろいろ申し上げましたが私は今回の、最初申し上げましたとおり国家財政の再建を急務としているわけでありますから、防衛費を聖域扱いをして除外する、あるいは増税なき財政再建という名のもとに不公平税制をほおかぶりしておる、あるいは民間の活力を強調しながら民間の受益を不利にするような、こういう行政改革はお断りをしたい、ほんとうの意味の行政改革を進めていただきたいと思います。
 時間が参りましたから、そろそろ終わりにいたしたいと存じますが、私は北海道高齢者退職者の会という会を代表しておりますが、これは私どもの仲間の多くは、大体大正の終わりから昭和にかけて不況の時代です。大正にはまず失業の時代です。その次には満州事変、支那事変、太平洋戦争という末曽有の大戦争の中に巻き込まれて、ある者は戦野で弾の下をくぐって苦労をなめておる、ある者は国内で総動員のもとに昼夜を分かたず働いておる、そして敗戦になって今度は祖国再建のために、ちょうどそのころは中心的な立場ですから、一生懸命に祖国再建のために働いておる。そしていまようやく年金生活で余生を送ろうとしている段階です。常に非常に苦しい状態の戦争の中を歩いてきて、しかも今度は高齢化社会移行という中で、新しい社会構造の中に身を落として非常に不安ととまどいを感じております。こういう中でそういう私たちのようなものを犠牲にされるような行政改革というものは絶対に避けていただきたい。私たちの念願の一端でございます。せめて残された余生くらいは安心をして暮らしたい、そういうことであります。そういう点を十分にお含みいただきながら行政改革をやっていただきたいと思いますし、先生方のお力によりまして、ぜひそういう状態が実現いたしますことを心から念願いたしまして、私の公述を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。
○座長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 次に松尾公述人にお願いいたします。
○公述人(松尾静江君) 今回の行革関連特例法案につきまして、賛成の立場で意見を申し述べさせていただきます。
 賛成の理由を簡単に申し上げますと、第一には、この法律案が増税なき財政再建の第一歩であるということであります。欧米に例のない借金財政の状態にあるわが国としては、財政の再建が当面の急務であることは国民の多くが認めているところではありますが、問題はそのための手段であります。
 一般消費税に類する増税によって財政の再建を図ろうとすることは、どうあっても賛成することはできません。民間の経済の活力を殺してしまいますし、国民こぞって反対の声の大きかったことは、まだ記憶に新しいものと思われます。
 まず歳出の徹底的な合理化、言われるところの簡素にして効率のよい行政の確立によって財政の再建を図っていただきたいのであります。かつて高度成長の波に乗って肥大化した企業も、二度の石油ショックで大きな痛手を受けながらも、経営合理化の徹底努力、英知の結集によってみごと乗り切り、依然経済大国日本を誇っているわけで、民間がなし得る努力は、政府もまた毅然として断行していただきたいと思っております。
 第二に、この法律案が昭和五十七年度予算編成に不可欠な内容のものだということであります。今年初めに大蔵省から発表された中期財政展望では、昭和五十七年度予算では、従来に比較して二兆七千億から二兆八千億円程度の歳出のカットが必要だということでありますが、増税なしに赤字国債依存から昭和五十九年までには脱却したい。そしてそのためには、昭和五十七年度予算では相当の努力をしなければならないのはあたりまえで、この法律案が、そのための歳出カットの一環であり、増税なき昭和五十七年度予算編成に欠くことができない前提であると考えるのであります。しかしこの法律案による歳出削減額は、二千五百億円の由でありまして、これを少ない額だという批判もあるかもしれませんが、昭和二十九年の補助金等臨時特例法案に引き続き、実に二十数年ぶりに、こうしてまとまった形で歳出削減のための法律案が提出されたことに大きな意義を私は感じます。
 本来私どもには、大蔵省とか日常生活の中では、無縁の数字の羅列にはなじみづらいものですが、渡辺大蔵大臣が親しみやすい言葉で、主婦の頭でも。容易に理解できるように、雑誌にテレビに、財政の仕組みを話しておられることは、政府がこの難局を、国挙げての協力体制で乗り切りたいと考えておられることがよくわかります。
 端的に一家の家計を預かる主婦の立場で、このことを考えてみました。たとえて申すなら、年収を四百万円と設定し、それが子供の成長に伴って教育費がかさみ、家屋や車のローンの支出や病人が出たりで思いがけない出費もあって、年支出が五百万円にもなって、預金が底をついてきたとなれば、これは大事と家族に協力を求めて、毎日だいていたお風呂も三日に一度になり、夕食のおかずの品数も減り、ご主人のたばこ銭も厳しくなるわけですが、それでも家族全員が同じ気持ち、等しい行動でがまんをすれば、やがて正常な家計に戻って明るいわが家になるわけですが、それが安直にサラリーローンに手を出したばかりに雪だるま式に利息がふえ一家離散に追い込まれる危険もあるわけです。要は、それが家庭か国かの違いだけで、精神は同じだと思います。政府も国民も平等に痛み分けの思いやりこそが大切なのではないかと思います。
 第三に、今回の法律案は、行革の第一歩であると同時に、今後の改革の突破口になるのだということであります。鈴木総理が、このことに政治生命を賭けるとまで声明なさることも、また本道選出の高木正明先生を初め各党の先生方が特別委員会で、異例の長時間にわたっての法案審議がなされたことも、財政の再建だけが成れば事足れりではなく、新しい時代が求める新しい政策を実現できる政府に生まれ変わる苦しい努力と私たちは受けとめたいと思っております。とは申しながら、この法律案の中身に入って検討させていただくならば、それぞれの立場での異論が百出するものと思います。総論賛成各論反対のゆえんもここにあるわけで、一般的に申して声の弱い福祉や教育が大きく後退するのではないか、あるいは友人達の中で、事あるごとに危機に立つ労働省の婦人少年局の存続も、国際婦人年の制定で前途に明るさが見えたかに思ったが、どうであろうか等々不安の声が走ってきております。
 私見を申し上げるならば、一つ福祉をとってみましても一律ばらまきではなしに、日を当てるべきところにはきちっと当て、手を差し伸べなければならない人々といたずらに制度に甘える怠惰な人や、無気力な環境をいまこそ政府は真剣に洗い直し見直すことによって、むしろそのことが真摯に生きる人間づくりになるのではないか、また日本もやがて高年齢化社会が訪れることになります。スエーデンやイギリスの例のように高福祉は、そのまま重税になって生活を圧迫することは必至の現状をよく認識し、この機会に「与えられる」「世話される」ことより、「貢献する」「役立っている」ことに、喜びや生き甲斐を感ずる意識の転換を図ること、甘えの構造から自立への巣立ちこそが今日的な大きな課題ではなかろうかと考えております。
 最後に、私の脳裡に強烈な印象を残したまま、もう三十年も経ていますのに忘れられないことがあります。それは、私が福岡国体に本道代表として出場すべく汽車に乗ったときのことでした。もちろん当時は飛行機便はありませんでした。小学校から札幌の町で育った私は、北海道の中でも恵まれた環境と言えると思いますが、窓の外の景色はまさに原野でありました。東北地方を走る時は、秋景色の中にも若干の差異は感じましたが、東京を過ぎ中部地方、関西地方、中国地方へと汽車が進むにつれて車窓を流れる景色は、山でも谷でも畑でもそれはまさに箱庭でした。人間の手が幾代も幾代も限りなく行き届いた一本の樹木、一草にいたるまで野生の気配さえしないのに目をみはる思いをしたものでした。そして北海道がこんなになるまでには、一体どれくらいの人間の手とそして年数がかかるのだろうかと娘心に漠然と考えたものでした。
 いま北海道開発庁の存否が問われていると聞きますが、先人達が開拓精神とロマンを求めてこの地にくわを入れてわずか百十数年、真っすぐ延びる道路、果てしなく広がる草原、そして大型プロジェクトの苫小牧東部や石狩湾新港等、北海道に寄せられる期待の中でずいぶん発展はしてきているとは思いますが、私の中で覚えた本州との格差はとても短い時間に埋められるものではないし、また北海道が日本のどこにもない可能性を十分に発揮、活用できるまでは、まだ幾ばくかの歴史が必要だと思いますので、特段の配慮がいただきたいと思っております。道産子二世、三世は、一世の苦闘物語を聞かせられ見せられ、それをまた次の代へ語部のように伝え、二十一世紀には必ず日本の中で大きな存在感のある北海道として成長しているものと確信して終わらせていただきます。
○座長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 最後に、土井公述人に、お願いいたします。
○公述人(土井尚義君) 土井でございます。
 第七章「政府関係金融機関の貸付金利の特例」について、十七条についてですけれども、住宅金融公庫法について述べておりますが、住宅はやはり人間生活の基本になりますし、あすの活力を生み出すところでございますので、その観点からちょっと申し上げてみたいと思います。貸付金の金利になりますところの利率、これが特例期間については、政府から借りるその借入金の利率が年六・五%を超える場合には政令で変更できるというふうになっております。私はここで金利引上げの自由化、このことに道を開いていくということに理解をします。
 さて、御承知のとおり法律第百五十六号住宅金融公庫法では、第一条には国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設同時にそれが住宅の用に供する土地の取得及び造成を含むとなっておりまして、これの必要な資金で銀行その他一般の金融機関が融通することを困難とする場合に融通することを目的とするというふうになっております。この三十一年間、この法が基礎に現実にはなっておるわけですけれども、今度国の財政負担等の調和が図られるように考慮すべきである。こういう理由づけのもとに公庫法に定められたところの本来の理念を根本的に否定しようとしているというふうに私は考えざるを得なかったのであります。
 いま全国で住宅建設戸数はだんだん減ってきております。その原因は地価の高騰と建設費の高騰同時に金利負担、その増大も原因の一つに入っていると思います。昭和五十三年は四十六万六千四十二戸で、五十四年になりますとそれが下回ってまいる、そして五十五年も下回って四十万戸、こういうふうになってまいります。いま五百万を借り受けますと、住宅のことですから二十兆円くらいになるのですけれども、これが変更されて一%を引き上げることになりますと、大体大ざっぱな計算で単年度二千億円が国民大衆の負担になるという計算になってまいります。したがって政府が今日まで住宅については国民一人々々がみずからの努力で建てなさい、こう言ってきたわけですが、これはこの辺で消え去ってしまうのではないかというふうに心配するところであります。北海道も住宅建設が減ってきているのは全国と同じことでございまして、昭和五十三年度に比べて五十四年度は一%減っている、さらに五十五年度になりますとなお減ってくるということで、五十四年で五万五千二百二十戸だったわけですけれども、五十五年には四万八千百三十二戸、こういうふうに減っているわけです。
 実態を申し上げますと、狭くて小さい過密な住宅、つまり平均居住水準、これは政府でも言っておりますけれども、四人家族で三LDK、これに満たないところが八十五万七千世帯、これは全国世帯に占める割合の五三%になっておりますし、最低居住水準、これは四人家族で三DKと言っておりますけれども、狭いものです。五十九平米ですから、せいぜい四畳半と六畳と八畳くらい、あとせいぜい台所がちょっとついている、こういったようなところが二十二万世帯もあるのでございます。したがって持家のローンの拡大あるいは増改築に対するローンの拡大、こういった住宅政策に力を入れてほしいと、こういうふうに強く望まれているわけでございます。
 先ほどからだんだんの話もありましたけれども、北海道は雪が積もってきょうあたりは少ししばれて、みぞれも降るのではないかというふうに言われているわけですけれども、そういうところから積雪の設計というものがどうしても必要なわけです。それから暖熱の灯油、だんだん上ってきます。しかし生活がたいへんですから、結局は買い控えなどもあって、ちょっとばかり買うという傾向があるようですけれども、そういう暖熱の設備が必要になってくるわけです。当然広い部屋、居間が必要になるわけですけれども、こういうのは費用としては特別にかかるわけです。
 北海道の第四期の住宅建設五カ年計画の答申によりますと、住宅金融公庫の融資を受ける建築、こういう計画が二十万戸のうち十四万四千戸、つまり七四%がそういう計画になっているわけです。それから改良住宅も二万戸のうち一万七千五百戸、これは八七%、こういう数字が出ているわけであります。したがって今回の法律によって、あるいは政令にするということで金利を引き上げるということになりますと、ここに五百三十万借りて控え目に計算しても、大体八十五億五千万円がふえて道民にかかってくると、こういうことになってくるわけであります。今度の住宅金融公庫の宅地造成資金は、五十四年度は前年度に比して五〇%、つまり半分というふうになっているわけです。ですから住宅対策というものをますます困難にしている。それが一方では中小企業の建設業界の受注減というふうにも響いてくるわけです。したがっていま北海道の、大体戦後最高の倒産、営業不振になるのではないか、ことしは。そういうことが北海道新聞とか北海タイムスにきのうきょうあたり出ているわけです。そういうことになってきますと、すぐこれが勤めている人の賃金不払いにもつながってくるというふうにもなりますし、これがまた北海道の農業にどうしても響いていくわけです。先ほど樫原さんが話をされましたけれども、二度にわたる台風であの当時、御承知の方々もあると思いますが、たんぽや畑全部水びたしですけれども、牛を飼って国道まで牧草をやって、道路で飼っているわけです。遠慮しながらダンプとかバスは通っているからいいわけですけれども、そういう状態の中で政府関係の金利の特例でまた上げられるようになると、酪農中心に、大体北海道の場合は、大多数の金というのが政府関係の貸付金、これに依存して投資されているわけです。最も厳しい状態の中で努力しながら、それでも一方平均中堅の農家が大体三百万くらいの借金を抱えている、大多数がその前後です。そして単年度の収入であっても、百五十万から四百万くらいの赤字になってきている。ですから七割から八割、このくらい公庫から借りておるわけですから、一%これ上げられただけでも相当の高額な金額になって、中では多い人、だんだん多くなってくるわけですが、借金三億円となっているわけです。そうするとこういう人はどうするのだろうかという心配が私にはあります。見捨てるわけにはいきませんし。
 さらに次に申し上げたいのは、公団の家賃の再値上げですが、その引き当てに臨調で新旧家賃の不均衡是正の目的で家賃を値上げするというくだりがあるわけです。私ども公団の住宅に入りましてもうそろそろ十年になるのですけれども、こういうことについてはすぐ上げるというふうになるのです。建設省は十一月からもう不均衡是正ということで家賃を上げるということにきのう東京から電話があったのです。これはどうしても私は納得できないのです。家賃のことですから幾らか上げなければならぬと思うのですけれども、理由がすぐ見当たらないわけです。
 特に、二つ目には、物価高や低賃金、きょうあたりバスの中でも、あるいは車の中でも運転手さんが言っているのは、こういうふうになってくると一体どうなるんでしょうか、物価はだんだん上ってくる、われわれが一生懸命徹夜で車を運転して、事故になれば路頭に迷うということになるわけだけれども、そしていいことは出てない、新聞に。こういう状態で一体こういう中で家賃を簡単に上げるべきでないと、しかも市営住宅は減免措置というのがあるのです。ところがそれがない公団の住宅には。それもおかしいのではないかというふうに思います。
 それから三つ目には、公団の住宅というのは大きいですから、大体六十一万戸以上あるわけです。世界でも有数なものですけれども、ここが定期的に上げるというふうになってきますと、民間の家賃はすぐ上ってきます。こういう点がちょっと私は不安です。
 それからその次に最低居住水準、つまり親子四人で三DK、そんなところが圧倒的に多くて、公団の三分の二くらいがそこに住まっているわけですけれども、狭いところで家賃を上げられますと、とてもじゃないけれどもいまもう東札幌団地あたりで五万、六万ですから、傾斜家賃で。そうすると三十万から以上の給料をもらわないとそこに入れぬという仕組みになったわけです。そういうことができできますと、とてもじゃないけれども、政府が言うところのみんな四人家族で三DKに移らせようというふうに、それが六十年までにはやろうと言っているのですけれども、とてもじゃないけれども引っ越しはできない、こういう心配もまたあります。
 それから、大体公団家賃、市でもどこでも同じですけれども、当初では採算基準というものがはっきりして独立採算あるいは利息だとか経費だとか全部計算されて家賃というものは積算されるわけですから、共益費くらいは上って、掃除するおばさんの給料が上がった、材料が上ったというくらいは仕方ないにしても、上げる理由がないわけです。そういうことで私はやはり今度の十一月から上げるということについては、とてもじゃないけれどもできないというふうに思っております。
 最後に、第二次臨時行政調査会のほんとうのところはどうなんだという心配があります。で、私は、住宅予算なんというものは風前の灯じゃないか、今年度の予算について新聞の見出しでも、朝日新聞を見ますと「重税時代くっきり」というふうに出ております。それから東京新聞は「防衛上位の予算」というふうに書かれていたのです。毎日新聞は「国民無視に再建元年」こういうふうに出ているわけですけれども、増税と公共料金の値上げ、あるいは福祉を切り捨てて、そして一方では防衛費だけは一般会計予算の中で七・六一%伸び率をふやすというふうになっているわけですから、いやそれは違うよ、住宅予算と防衛予算というものはことの性質が違うじゃないか、しかし国の全体の予算ということから見れば私はそれは違うと思うのです。したがって国会で論議されている飛行機の値段、たとえばF15戦闘機というのは一機百五億円と言いますから、これで公団の中層建築を建てるとしますと、八一年度で建設費が千六百四十万円ですから、大体六百四十一戸できることになります。それからこれが公営二種の中層建築ですと、八一年度の積算で千八十六万円ですから九百六十七戸も建設ができるということになるわけです。政府はこれを百機買う。それから百十億のP3C四十五機買うということを言っております。ことしの分で防衛分の増額だけ千六百九十八億円というふうに書かれておりますけれども、これを住宅に回すとすれば、公団の中層住宅で一万三百五十三戸ができる。それから公営二種の住宅にしますと一万五千六百三十五戸、大体の計算ででき上るという勘定になるわけです。私はやはり政府がその気になってもらいたい、たくさん住宅もつくってほしい。そのことはわれわれ勤労大衆の実際に少しでも人間生活の基礎をつくることになる、生産も上るでしょう、あすの活力はここから生み出すのです。狭いところに四人も五人もいたって、体をくっつけ合うだけで結局は家に帰っても疲れるということになってしまう。したがってぜひ政府がやる気になってもらいたい。福祉、教育、生活の関係の充実をぜひともやってほしい。したがってこの案については反対でございます。以上でございます。
○座長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 以上で御意見の陳述は終わりました。
 これより質疑を行います。順次御発言願います。
○坂野重信君 坂野重信でございます。
 公述人の皆さん、きょうはほんとうに御苦労さんでございます。時間の関係もございますので、私は樫原公述人に対しまして一問だけお伺いいたしまして、あとは高木先生に譲りたいと思います。
 このたびの法案の作成にあたりましては、北海道の特殊性につきまして、私ども自由民主党におきましても政府との折衝の中で極力北海道の特殊性というものにつきましては配慮いたしたつもりでございます。特に地域特例のお話が出ましたが、座長がおっしゃいましたように北海道にはほんとうにことしは厳しい災害が連続して発生いたしまして、そういうことに思いをいたしまして、災害関係につきましては、地域特例に関しては聖域として除外するということにいたしたことは御案内のとおりかと思います。
 そこで、簡潔にお答えいただきたいと思うわけでございますが、本格的な行革というものはこれから始まるわけでございまして、まだほんとうの序の口でございまして、富士山の一合目か二合目くらいのところでございまして、これから富士山の頂上に向けて出発しなければならぬわけでございますが、特に北海道の開発推進、私どもも非常にこの点については深い関心を持っておるわけでございますが、その推進の立場上特に一つ何をこの行革に望まれるのかということを端的に重点的にお答えいただきたいと思うわけでございます。
 先ほど松尾公述人からのお話にもございましたが、たとえば北海道開発庁と国土庁と合併するとかいうふうな議論も出ております。そういうものも踏まえて重点的に何を望まれるのかということを簡明に一つ、一、二分くらいでけっこうでございますのでお答えいただきたいと思います。
○公述人(樫原泰明君) 坂野先生から御質問がありまして、その前にいまお話のありました災害関係につきまして特段の配慮を講じていただいたことを私から御礼申し上げます。
 ただいま私に申し上げたことに関連をいたしまして、何を北海道で一番重点に考えるかということでございますが、先ほどの公述人もお話しいたしましたですが、北海道というのはやはりこれからのところだと、こう思っておるわけでございまして、やはりこれからの国からすると財政的には非常にたいへん御迷惑をかける地域でありますが、しかし将来は必ず北海道は日本の中で大きく寄与できる地域であるということでございまして、この点はもう行革の間は私どもも、先ほど申しましたように、がまんしてやっていかなければならぬと思いますが、やはり行革が終わりまして、いざこれから日本をどうやっていくかというときに、やはり北海道というものを重点に考えて計画的にやっていただきたい。われわれ北海道も甘えることなく、北海道の地元として、またこれにこたえていくという形にしていただきたいということを総括的なお話でございますが。いま開発庁存置の問題についてお話がございました。私は三十年以上北海道におりましたので当時の状態も存じ上げております。戦後日本が四つの島にとじ込められまして、そしてどうやって日本をという中で非常に面積も広い北海道を、国の機関としての政策を柱に、中央に協力をして開発をしなければならぬというために、特に林業、産業に重点を置いて開発庁が設置をされたというふうに私どもは考えております。それだけに日本のそういう機関としては、ただ沖縄開発庁ができるときは北海道開発庁の勉強をしてそれに基づいてできたのであります。いわゆる予算の一括計上、また北海道開発庁という現地機関を設けて、そこで調整をしながら公共事業関係については一元的にやるというような仕組みになっているわけです。私ども設置された当時の経緯も存じております。考えてみますと、やはりそういう組織というのはたいへんすばらしい組織ではないか、私もほかの県の例もいろいろ見たことがありますけれども、北海道におきましては開発庁と開発局との間に道なり市町村との間でよく連絡をとりながら、ほんとうに各都府県でも、いわゆる地方の都市局、港湾局というところと比べても、ほんとうに十分な連絡体制の中でスムーズに行政が行われているのではないかと考えているのであります。そういう意味からもぜひ開発庁は残さなければならぬと思います。
 もう一つ私が申し上げたいのは、いま開発庁を国土庁と合併というようなことになりますと、少なくとも北海道民の感情としては、政府がいままで北海道開発にいろいろ情熱を持ってこられたのに、もう政府は見放したかなどいう感じを受けると思います。そのことはたいへんなことなんではないかと思いますし、また国土庁に合併するようなことになりますと、開発庁というものの立場はどうなるのか、ほんとうに一括計上して事業を調整して一元的にやっていく、ほんとうは行革の先取りをやっていると言ってもいいのではないか、広域行政などとよく言われておりますが、そのことはそういう仕組みの中で、開発庁は開発庁という中で将来に向かってむしろそういう行革をやってもらったほうがいいのではないかというふうに思いますので、ぜひこれからの審議の中で北海道開発庁の問題が出ましたときはぜひ配慮していただきたいと思います。
○座長(嶋崎均君) 勝手でございますが、限られた時間がございますので、質疑には簡単にお答え願いたいと思います。
○高木正明君 私は自由民主党の高木正明でございます。
 きょうは私どもの自由民主党に与えられた時間は非常に短いわけでございまして、したがって私が自分の意見を述べながら公述人の皆さん方にいろいろとお尋ねをしたいということは時間の制約がございますので、私の考え方はひとまず述べることをやめまして、きょうはほんとうに皆さん方お忙しいところ道民を代表する各界の皆さん方がたいへん貴重な御意見をちょうだいいたしましたことは、私どもいま行革を進める国会の論議のさなかでこれからの非常に大きな参考になることでございまして、しかもそれぞれの公述人にはみずからの体験に基づいて貴重な御意見を伺わしていただきましてはんとうに心から厚く御礼を申し上げたいと思います。
  率直に申し上げまして、どうして行財政改革を、抜本的な改革が必要なのかという論議は、それぞれ衆議院、参議院の論議を通して、テレビや新聞やマスコミなどで国民の皆様方は大略おわかりになったことと思います。いわゆるわが国経済は行きつくところに行きつくしてしまった、このままの状態ですごせば、われわれの時代は豊かでぜいたくな暮らしができるけれども、われわれの子供や孫の時代にこのままの状態を続けていきますと、膨大な借金を残してしまって、みじめな生活を送らなければならぬ、そういう世の中にしてしまう。それはわれわれの果たすべき任務ではないと考えまして、苦しい中の国民等しく痛みを分から合いながら、いまの行革を進めているわけでございます。そういう見地から私は樫原公述人に二、三質問をさしていただきたいと思います。
 まず第一点は、北海道東北開発公庫の存続についてでありますが、開発銀行と北東公庫の合併を図るべきであるという意見もございますが、先ほど来からお話がありましたように、開発途上にある北海道地域経済界として、この問題をどのように認識をしているのか。第一点としてお伺いをいたしたいと思います。
 第二点は、行政改革と道内の経済でありますが、行革が行われると、国地方を通じて歳出の抑制が行われるとありますが、北海道経済は公共事業など公共投資の動向に大きく影響を受けていると思いますので、道内経済はどのようになると考えておられるのかお伺いしたいと思います。
 第三点目は、お話がありましたように、北海道は一次産業がきわめて大きな基幹産業でございます。とりわけ農業は北海道にとっては大事な基幹産業の一つでありますが、国の三全総の中でも、あるいは北海道の三次開発計画の中でも、北海道は日本の食糧基地であるということを明確に位置づけをされて今日までまいりましたけれども、その明確に位置づけがいまや北海道農業にとっては基盤から揺らいでしまうような、そういう状況に追い込まれておるわけでありますが、この北海道の一次産業の、とりわけ農業の問題においても行革論議の中で補助金のカットの対象にもずいぶんなっておるわけでありますが、これら日本の食糧基地であるという北海道における認識がいまでもどのように考えられておるのか、この点を三点目にお伺いいたしたいと思います。
 最後に四点目でありますが、総合交通体系の中でもまだ十分完備されていない北海道でありますが、その中で国鉄再建問題の一環として地方ローカル線の、いわゆる廃止が論議をされておりまして、すでにその方針はきめられておるわけであります。いま申し上げましたように、北海道のこの広い道内の中で、総合交通体系が全く完備されていない中で、地方ローカル線が廃止をされるということは、北海道全体の開発並びに経済がアンバランスになってしまう。いわゆる過密と過疎の現象が激しくなってしまう。これらの問題について行革を進める中で非常にむずかしい問題点はありますが、この地方ローカル線の廃止について北海道経済に与える影響はどのようなものであるか、まずこれをお伺いいたしたいと思います。
 それから改発公述人に一点だけお伺いいたします。先ほどのお話の中で歳出のむだとして防衛費と原子力の問題と団体の補助金の問題が挙げられておりました。時間がありませんから端的に一つだけ申し上げますと、日本のエネルギー政策の中でやはり原子力開発は避けて通られない問題だと思いますが、この原子力発電を端的にどのように考えられておるのか、この一点だけお伺いをいたしたいと思います。
○公述人(樫原泰明君) 時間もございませんので簡単にということでございますので、第一番目の北東公庫の問題でありますが、これは先ほども開発庁の設置のときと同じことが連動する問題だと思います。もう一つは経済界から特に考えますのは、これは昔は、こういう種類のものは開発銀行で取り扱っておりましたが、開発公庫ができてからは、特に出資ができるということで、それが長期の運転資金を貸せるという程度、これは開発銀行にもございませんで、おくれている北海道経済をてこ入れするためにはたいへんに有効な成果を上げているということでございますし、先ほどもお話があったように、地方の時代といいますか、地方の身になってほんとうに考えるような金融機関であるという立場から、ぜひこれは北東公庫は存続さしていただきたい。予算が若干苦しいとあれば、予算を減らすことは私どもはやむを得ないと思いますが、この組織を廃止したりすることについては反対であります。
 それから経済の問題でございますが、北海道はまだ行革が始まっていない状態でございますが、公共事業がこの二年ほど横ばいということだけでも北海道の経済は、これは農業関係のこともございますけれども、日本全体から見ますとたいへんに冷えております。これを求人倍率ということ自体も低い状態でございます。倒産件数も全国に比べて高水準でございます。そういうところにいまの行革の財政投資が削減されている、これは私ども北海道経済はどこにいくのかなと感じているわけでございますが、これはみながんばっていくしかないと考えております。
 それから、一次産業の、特に食糧の問題でございますが、北海道というのは食糧基地であるという強い認識を持って、やはり国としてもその政策に取り組んでいただきたい、北海道としてもがんばらなければならぬと考えております。
 それから四番目の国鉄ローカル線の廃止の問題でございますが、これは北海道の開発の歴史からしてたいへんローカル線の廃止につきましては、北海道は日本で一番抵抗している地域だと思います。私どもは北海道で生まれ育ち、そして北海道におる者として、道民の気持ちというものはほんとうにわかるような気がいたすわけでございます。また一方では国鉄の赤字、これは何とかしなければならぬということで、そういうことになったわけでございますが、いま道内で問題なのは、やはり国鉄がこういう措置をするのであれば、そのような形で国鉄なり住民なりとが話し合いをする、理解をし合うということがいままで欠けておるのではないかということでございまして、お互いの立場がありますので、私はそういうことで国鉄と道内の皆さんとがよく相談をしながら、あるいは理解をしながらよい方向に向けていくことがいいのではないかと考えております。
○公述人(改発治幸君) 簡単に申し上げます。原子力発電所の開発などはあまり急ぐ必要はない、こう考えております。危険性と隣り合わせでいるようなものだ、もっと安全性が確立されるまでは、ほかのエネルギーの開発、あまり大規模なものをつくってコストを下げる、そういうことにだけ重点を置くのは間違いであって、わが国の場合でも、たえとば小規模発電、それから風力発電、小規模水力発電、地熱発電、太陽熱発電などいろいろのエネルギー獲得の道があるわけですから、創意と工夫をこらして小さいものでいいからたくさんそういうものをつくり上げていく、そういうことに努力していく、こう考えております。
○座長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
○安恒良一君 各公述人の方にはお忙しいところ本日はほんとうに御苦労さんでございます。私ども社会党に与えられている質問の時間は多くて三十分でありますから、四人の公述人の方にごく簡単にお聞きしますので、お答えをお願いしたいと思います。
 まず私は樫原公述人にお聞きしたいのですが、どうも総論賛成各論反対のように聞こえてなりません。それはなぜかと言いますと、行政改革でこの特殊法人はこの際整理をしなければならぬとおっしゃいましたが、私ども全くその点は賛成なんです。高度経済成長の間に雨後のタケノコのようにふえまして、いま百八もある、それがいま高級官僚の天下りに利用されておりましたり、諸官庁の外郭団体の人事や行政のためにやられている。こういうことで思い切って整理統合が必要だと思っているのですが、たとえばあなた方は、ここまでは言われたんですが、北海道開発庁も残してもらいたい。北東公庫も残してもらいたい、こういうことになりますと、それならば、ここにあなたのメモをいただいておりますが、整理統合すべきだと思われている特殊法人はどういう点があるのか、御参考のためにひとつお聞かせ願いたいと思います。私は開発庁が果たしている役割りは非常に高く評価しておりますが、これはあなたと同じですが、その場合に北海道庁との事務機構の整理というものがまだ必要ではないか、うまくいっていると言われておりますが、こういう点が一つ。
 それから、北東公庫になりますと、あなたもおっしゃいましたように、開発銀行があり政府三機関、商工中金から国民金融公庫からたくさんありますが、それなのになぜ北東公庫だけを主張されるのか、どうもそういう点を見ますと、あなたは総論賛成、いざ北海道の問題になると各論の問題、そういうことになりますと、行政官庁はどこもできなくなる。それぞれ地域がそういうことを申し上げると。そのようになると思いますが、その点をちょっと説明を樫原さんにお願いいたしたいと思います。
 それから、改発さんには、私も非常に感銘を受けながら聞いたんですが、こんなに苦労したんだから、せめて老後は安心をして送れるようにしてほしい、こういう言葉で結ばれて感銘を受けたわけでありますが、私は老人医療問題について触れられましたから、そのことについてやはり医療制度自体の改革が必要だということを、私は老人医療についてちょっと申し上げたいと思っているのですが、お年寄りのかかられる病気というのは慢性病でなかなか治らない、だから薬や注射を大量投与するだけではかえって逆効果の場合がある。そうするとどんな方法があるのだろうかということになると、日常生活の中で食事、運動、休養のバランスを改善することによって、そして疾病をコントロールする。私たちは生活療法と呼んでおりますが、そういうことが必要じゃないのだろうか、そうしますと、どうしても私はかかりつけのお医者さんの制度ということを考えなければならないのではないか、またそれにふさわしい現在の支払い方式を変えていかないと、老人は若い人の三倍、四倍も病気にかかりますから、そういうものに金がかかることは必要なことなんですが、そういう点についてお考えをひとつ改発さんにお聞きをしておきたいと思います。
 それから松尾公述人に二点お伺いをしたいのでありますが、まず第一点は、石油ショック以降民間の経営者が非常な努力をしてきた、だから国もやれ、私も一面はそのとおりだと思います。私も民間におりまして、よくわかるのですが、しかし民間の経営者の皆さんが第一、第二の石油ショックを乗り切るためにも何をされたかというと、高度経済成長から低成長に入りましたから、経済の活力を維持するために公共投資を求め、これが赤字公債の大きな原因であります。また、金融政策、こういうことに助けられて民間の皆さん方がみごとに乗り切られた、そういたしますと、国家財政が赤字の折に、国民がみんなが痛みを感じるというと、経営者の皆さん方は何を痛みとして受けようとしているのか、その点一つもないわけです。たとえばお年寄りには年金がこうだとか、子供には少なくともいろいろ痛みが出だしているのです。どうも私は政府の行財政改革の中には皆さん方の痛みというものが一つも出てないと、松尾さんがあえて強調されましたからひとつその点を。
 それから、家庭の主婦らしく家族の例をとられてわかりやすく、こういうふうに再建をしなければならぬということがありました。ところがいまあなたがおっしゃったように、この数字で、主人の収入より家族の支出が多くなったら節約をせざるを得ないのではないか、私もそのとおり。そのときに節約できることとできないことがある。たとえば御主人が外で一はい飲むのを家に帰って飲みなさい、奥さんが着物を二枚つくるなら一枚にします。こういうことはできる、ところが伸び盛りの子供に食糧を節約することはできない、それから教育費も節約できない、伸び盛りの子供には運動靴でもすぐ買いかえなければならぬ。こういう点があると思うのですが、どうもあなたの御主張を聞いておりますと、家族全員が同じ気持ちで等しくということを強調されておりますから、ちょっと私は理解がしがたい。同じ家庭の中でも切り詰められるものと切り詰められないものがある。今度の行政改革もそこが重要だと思うのでありますが、そういう点についてお聞かせを願いたいと思います。
 それから、土井さんに簡単にお聞きしますが、住宅政策をいろいろ言われましたが、私は日本の住宅政策の一つの大きな誤りは土地政策を野方図に今日までやってきたことではないか、それについてお考えがあれば。以上です。
○公述人(樫原泰明君) ただいまお触れになりました総論賛成で各論反対というように受けとられたことは残念に思います。私ども北海道のことしか知りませんので、北海道以外については返答を差し控えたいと思いますが、各論反対ではないので御理解願いたいと思います。
 三点御質問がございました。一つは整理統合すべき特殊法人があるのかという質問でございます。私ほかの地域にある特殊法人についてはよく存じあげておりません。新聞でちらほらいろんなものが統合されるのでないかということがでておりますが、詳しく存じませんので意見は差し控えさしていただきたい。
 それから、開発庁と北海道庁の間がうまくいっているように言ったけれどもいろいろ問題があるのではないかというお話しですが、私ども三十年間道庁に勤めましたけれども、すでに道庁をやめておるのでございまして、あまり深く説明する立場にございませんが、私は大きないろいろな問題はあると思いますけれども、大枠としてはたいへんうまくいっているのではないか。私も役人時代に各県の問題とかいろんな問題を耳にしておりますけれども、北海道と開発庁との間というのはいろいろ議論はありますけれども、総体的には北海道の開発をうまくやろうということで、ほんとうにうまくいっているのではないかと、こう思います。
 それから、北東公庫の問題ですが、これはお話ありましたけれども、北海道は御承知のように国が北海道総合開発計画を立てまして、われわれと一緒になって推進しておるのでありますが、その計画を推進するために特に北海道の民間関係が遅れているということもありますけれども、活力を与えるために北東公庫というものは設置されたように私は記憶しておりまして、それがゆえに民間の銀行にはない機能をもっておりますし、開発庁も残してほしい、また北東公庫も残してほしいと思っておるわけでございまして、特に経済力の弱い地域なものですから、そして北海道東北に専属にやっておるわけですから、日本全体を考えてやっておるわけと違いまして、非常に経済界からは大きく期待されておるところでございます。北海道で日本経済連合会と北海道経済連合会の定期総会がありましたときに両方とも残してもらおうということで共同決議をいたしまして国会の皆さんにもお願いをしようということでございますので、よろしくお願いをしたいと思います。
○公述人(改発治幸君) 老人の罹病率が高くて、また治療に長い時間を費やす、しかもそれが治るのではなくて、そのまま寝たきりになってしまう、こういうのが多いわけです。生活の指導も大切なのは当然でありまして、これは地域的な問題でありますから、遠くまで通うということは。したがって国というよりもむしろ地方自治体を中心にして生活指導というものを地域ごとにできるような体制にしてほしい。当面指定はむずかしいかもしれないけれども、できれば公的な機関でできると、同時にそういう寝たきりというものが、これはいま問題になっているのは看護制度、これがまたばかにならない、経費が要るのです、完全看護になると、病院に行きまして、私どものやっているのは何の価値もないのです。看護制度についてある程度国の助成というか、補助の点もあるようですけれども、なかなか徹底している医者も数少ないのです。ですから生活指導、同時に看護制度などについても検討していただきたいと思います。
○公述人(松尾静江君) 安恒先生の御指摘のとおりに民間企業は乗り切れたのではないかということを申し上げました。確かに赤字公債の中で国の支えの中で乗り切れたということはそのとおりでございますけれども、いま、これからの企業はどう対応するかということでございますけれども、むしろ私の立場で企業はこうあるべきではないかということは口はばったいことでございまして申し上げられませんが、ただ一般的にこれは国の支えによってできたということと同時に、猛烈社員という言葉がありますように、企業が非常に努力をしていままで参ったということを、その経過の中から申し上げさしていただきましたので、お許しいただきたいと思います。それからまた個人の家庭生活の中で非常に家庭が甘ったれた場合に家族全員が痛み分けの精神が要るのではないか、私その中で子供に関しても同じような節約のことをしつけて、これは問題ではないか、そのとおりでございまして、精神的なものを、等しくということを申し上げたわけでございまして、節約できるものは節約し、それからかけるものはかけていかなければ、これはもう将来を担う子供達のことですからそれを犠牲にすることは、これはとても主婦として絶対に考えられない、できることでございませんので、それはもう私自身の言葉が表現がまずくてこのような御指摘を受けたんではないかと思っておりますが、いわば精神的なことでございまして、具体的には支出を削らなければならないということでございませんので、どうぞ御理解いただきたいと思います。
○公述人(土井尚義君) 家賃が高くなる原因として、第一として原価主義を挙げなければならないと思います。第二番目は、先生の言われるように、地価の高騰、建設費の暴騰、これが挙げられます。三番目には、金利の負担というのをどうしても挙げなければなりません。四番目には、関連公共公益施設の負担金の増大であります。
 さて用地費について申し上げますと、つまり土地政策、いわゆる日本列島改造論、この時代に地価の狂乱を経て今日地価暴騰が再燃していると言っていいのではないかと思います。この六、七年間ウナギ登りに地価が上ってきている、これが家賃のやはり高くなる原因になっております。団地建設のうちで用地費の占める比率は、もとは大体一割くらいだったのです。ところが最近では大体五割くらいになっているという実情にございます。また鉄鋼だとかセメント、建設資材の上昇、こういったものによって家賃を高くせざるを得ない、高くなる原因、これが大体建設費が一・五倍かかる、こういう試算が挙げられているというふうに思っております。以上です。
○塩出啓典君 公述人の方にはきょうはお忙しい中をたいへん有益な御意見をお聞かせいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 樫原さんにお伺いしますが、樫原さんの御発言の中にあったように、ある程度の経済成長というものが行政改革に必要でありますが、非常に北海道経済については。しかしだからといって公共事業をふやすとか、そういう予算の要る景気対策というものは現実にはむずかしいわけです。金のかからない方法、もちろん金利を下げるといった問題もありますが、こういった点で何か御意見がありましたら。
○公述人(樫原泰明君) ただいまのお話のように、北海道の経済は冷えておりますし、来年に向かってもどういうふうになるかということについて見通しはございません。ただいま先生おっしゃいましたように、公共事業をふやしてくれということは、これは私どもとして言えないし、また期待はできないと思います。そのほかに設備投資の問題とかあるいは個人消費の問題がどうなっているかということで、いろいろ変わっていくだろうと思いますが、私どもから北海道の経済というものは、先ほどからお話がありましたように、一次産業が相当なウエートを占めておりまして、一次産業がいいということは経済の基調としては北海道としてはぜひ必要なことでございます。去年、ことしと連続ということは、それに拍車をかけているということでございまして、来年に向かっては、そんなことはまああってはならないと思っておりますけれども。
 それからまた、私ども団体と北海道庁の知事さん方と懇談をしたのですが、公共事業を国からとれるということは期待できませんけれども、やはりそういう点に配慮をして自治体がそれぞれ、投資的な経費というものが少ない中でも、できるだけふやしていただくというようなことも、全体として考えると、わずかな数字でございましょうけれども、経済のためになるのではないか、そんなことも考えて申し上げたわけでございますが、いずれにしても私からそう決め手はございません。ただ皆が申しましたように、こういう状態を何とか切り抜けていくように協力をしながらやっていかなければならぬのではないかと、こう思っておるわけでございます。
○塩出啓典君 北炭の再建の問題について御意見がありましたが、先般北炭であのような痛ましい事故がありました。現在一万八千人くらいの炭鉱労働者でありますが、事故の少ない年でも二十数名の方が亡くなっておる。先ほど原子力発電には反対であるという御意見がありましたが、私たちもほんとうにこれだけの人命を亡くする産業を続けるということは非常に心苦しい。しかし日本の数少ない国内のエネルギー産業、かつては日本のエネルギーの四分の三も石炭が背負っておったのであります。現在は数は少ないわけでありますけれども、輸入石炭がふえるわけでありますし、そういう意味からもエネルギーを確保する上からも石炭産業は続けていかなければならない。そういう人命尊重という立場と、国内資源の尊重という立場で、われわれも非常にむずかしい問題だと思うのでありますが、特にそういう点から北海道としてこれからの石炭産業のあり方についてどう考えるのか、国民の税金を無限大に注ぎ込むということはできないわけです。ある程度国民の理解を得られる範囲になってくると思うのです。その点どうでしょうか。
○公述人(樫原泰明君) 石炭の問題で、先ほど北炭の問題をお願いいたしたわけでございますが、まあ北炭の生産量というのは、北海道の一割近くにまでいっておるけれども、相当なウエートを占めており、また夕張市のあそこの経済というのは、もし万が一閉山が行われればたいへんな大きな影響を持つわけです。どうか再建に至りますようにと申し上げましたが、私どもはそれだけに北炭の再建をお願いしたいわけでございますが、石炭の問題については、いまお話し申し上げましたように、今度の再建についても保安をどう確保していくか、人命尊重の問題に関連して保安をどう完全に確保していくかという見通しがつかなければ、私ども幾らお願いをし、また経営者側がやろうとしてもやるべきでもないしやれない問題だと思います。したがって石炭についてはそういうことを前提にして、これから考えていかなければならない。北海道経済としてはやはり日本の国内エネルギーということに重点を置いてやってまいりたい。
 これは私ごとで恐縮ですが、私も八月の末に西欧のエネルギー事情を見て参りまして、イギリスもドイツもフランスもやはりこういうエネルギー体制の中で自国の石炭というものをぜひもう少し増産をして強化をしていこうということを西欧はやっております。日本も財政資金を、国家予算の関連もありますけれども、やはり外炭を輸入することも必要でございますけれども、やはり国内炭をできるだけひとつ使っていくという考え方で、ぜひ北海道民のためにやっていただきたいと私どもは考えております。
○塩出啓典君 それから改発さんにお尋ねしますが、公務員、官民較差ということを、国民の意見を聞いているわけですが、国家公務員に比べて地方公務員のほうが数は多いわけですが、またそれなりの理由があってのことですが、一律削減については反対の御意見が述べられたわけですが、特に地方自治体の公務員は国家公務員よりはるかに給料は高い、そういうことがあるわけで、そういう点非常に民間と公務員、国家公務員の、しかも地方公務員、そういうような高過ぎる面があるのではないか、こういう点についてはどのようにお考えですか。
○公述人(改発治幸君) 官民較差があるという、私は官民較差と言っても、官の中でもまた民の中でも非常に較差があるのです。中小企業、零細企業で働いている者と大企業、成長企業で働いている者と非常に較差がある。わが国の賃金政策の中では公務員の給与というものが、大体一つの水準として維持される、こういう立場で人事院勧告がなされて、それが基準になって上下がある。ですから下のほうで比較して官民較差で、官がいいというのは間違い。上のほうで比較した場合は官が悪い。ですから一概に官民較差ということで官がよ過ぎるという印象を与えられることについては私は納得ができない。ただ国家公務員と地方公務員との関係、同じ地方自治体の中でも、その地方自治体の官庁によって違うのです。いい自治体もあれば悪い自治体もある。特に大企業があって、景気がいいような大企業なんというと、特に賃金水準のいい企業がいる地域、そういうところでは地方自治体の地方公務員の給与もいいのです。そういうところがない地域では地方公務員の給与もよくない。ですからその地域の経済状態ということと、何といいますか、関連性を持っている。だから地域の公務員と国家公務員という考え方も私は納得できないし、そういう点を十分に配慮しながらこれは検討を加えていくということ。
 それから地方公務員が多過ぎるというお話もございますけれども、それは……。これで終わります。
○塩出啓典君 松尾さんにお尋ねします。国体は何年の国体……。
○公述人(松尾静江君) 第四回。
○塩出啓典君 昭和二十三年……。実は私もあの国体に昔を思い出して……。この中でたいへんここに至る、汽車の窓から景色を眺めて感じられたという非常に絵画的な、その当時から今日まで二十数年でございますか、たっておるわけですが、北海道のこういう他の地域との格差という問題についてはだんだんと縮まってきているのか、あるいは開いてきているのか、その点率直にどうお感じになりますか。
○公述人(松尾静江君) 詰まってきておるとは思うのですけれども、まだまだ北海道は広うございますし、先ほどの私の公述の中に申し上げましたとおりに、本州と北海道とが同じようになるにはまだまだ時間がかかるように思っております。
○塩出啓典君 最後に土井さんにお尋ねします。
 住宅公団の家賃の値上げには反対である。値上げの理由が見当たらない。確かに各団地ごとに独立採算制という立場から見ると古い団地の値段を上げるというのは理由がない、しかし最近団地が非常に地価の高騰で家賃がものすごく上っている。日本住宅公団の目指している団地も非常に高級住宅化している。そういう点からも臨調は新旧家賃を平準化しろということで言っているのでしょうが、これは新しい団地に入る人は平準化しろと言うでしょうし、古い団地に入っている人は独立採算制でいけというお考え、いろいろあると思うのですが、その点もっと大局的見地から考えた場合、土井さんも個人的な御意見でいいわけでありますが、そういう独立採算でいけ、あるいは新旧の是正をすべきである、その点はどうなんでしょうか。
○公述人(土井尚義君) 十一月から上げるというのは不均衡是正ということで上げる、こういうふうに言われております。不均衡の是正というふうに言われるのでしたら、やはり札幌でもありますけれども高いのです。先ほども申し上げましたように、そういうところをやはり住宅の場合も、それから金融の場合も、大体公庫というところを政府が保証するというあり方で今日までやってきたわけです。ですから実際には勤労大衆が入れるのです。その辺を踏みはずしてもらったら困るのです。最近は、だんだん補助もしない、利子のあれも打ち切る。こういうような状態が、先ほど話もありましたけれども、公団のてっぺんの幹部のところで給与が非常に高い、東大の学長よりもっと高い人が何人もおるのです。こういった状態で、そして合併して住宅・都市整備公団ということに今回なったのですけれども、従来は公団ということだったのです。そういうことでやはりまず不均衡是正をするということだったら、高いところをまず是正して、それからやらないと、われわれみたいにいつまでたっても引っ越しできないのではないか、特に狭いところにいるとどういうことになるかというと、生存権を脅かすということで、東京都の都市住宅で情報を出しているのですけれども、広いところにおいでになる人は、記憶力の減退は二六・三%、われわれみたいに二DK、三DKに住んでいる人は記憶力の減退は三二・五%になっているのです。推理力から気力から倦怠から腰痛から全部出ているのですけれども、私は合っていると思うのです。狭いところにもう二年生、三年生になりましたら、私の家なんか子供が大人四人いると同じです。そういうものをやはり改めていただきたいと思うのです。
○市川正一君 私、日本共産党の市川です。時間の関係でとりまとめて三点お伺いいたしましてぜひお答えいただければ幸いと思います。
 第一点は改発さん、松尾さん、土井さんの御三方にお伺いいたしたいのですけれども、私は北海道の産業構造は公共投資に依存するところが非常に大きいと、こう承知しておりますけれども、それだけに今回の地域特例のかさ上げが削減によって北海道の投資が百四十億削減された。これは道の経済に非常に重大な影響を与えるものである。こう考えております。この点について樫原公述人は、今回はやむを得ないものと受けとめていると、こうおっしゃいました。しかし同じ北海道経済団体、けさお受けしたばかりでありますが、北海道商工会議所連合会会頭今井道雄さんの要望書をちょうだいいたしました。この要望書の中に、本土における公共事業に対する国庫事業負担率の地域特例措置については引き続き存続すること。こういう非常に明確な御意見、要望を述べてきました。
 そこで私、改発さん、松尾さん、土井さんは、この問題についてどうお考えなのか、またこれが今後道の経済にどういう影響を及ぼすと考えるか。これをまず第一点にお伺いをします。
 第二点は、先ほど改発公述人は、最高のむだとして軍用機あるいは軍艦などを挙げられました。また土井公述人はF15、P3Cなどと住宅予算との関係をお触れになりました。さらに松尾公述人はこの五ページにございますけれども、一般的に申しまして声の弱い福祉や教育が大きく後退するのではないか、こういうふうに述べてらっしゃいますが、歳出カットを非常に強調されました。問題は何をカットするか、何を削減するかという選択の問題にもかかわってくると思います。
 そこで四人の方にお伺いいたしたいのでありますけれども、最近読売新聞の世論調査が発表されました。その中で第一に削るべきものは防衛予算であるというのが五二%を超えております。いわば防衛予算、軍事費を第一に削るべきだというのが圧倒的多数なんです。そして他方削ってならないものの第一は福祉であり教育である。こういうふうに世論調査は述べております。そこでこの世論調査の結果というものを、そういう国民の意見、国民の世論として正当なものとしていわば受けとめてらっしゃるか、いやそんなことはないというふうなお考えなんだろうか、四人の方に御意見を聞かしていただきたいと思います。
 最後でありますが、これは土井公述人にお伺いをいたしたいのですが、第七章の今度の法案の金利特例問題、特に住宅金融公庫法と関連させながら、今度の臨調答申の本質に迫るというか、きわめてユニークな御意見として私興味深く拝聴いたしました。一点伺いたいのですが、最近公団住宅は家賃が高くそして遠方にあり、さらに狭いということで、住宅に困っている人もなかなか入れない、北海道の特に札幌その他そのように伺っておりますが、そのために非常に空き部屋が多い、これが実態のように私理解をいたします。ところが臨調答申ではこういうことの根本的な原因とか対策には触れずに、未入居保守管理住宅の解消ということをうたっております。私はこれはやはり事の本質を触れてない。そこでこういう公団住宅が高遠狭、高く遠く狭くという北海道における実態並びにそういうものを解消していく上で適切な御提案があればこの際お聞かせ願えれば幸いでございます。以上三点でございます。
○公述人(樫原泰明君) 私に御質問になりましたのは防衛の問題について御質問になりましたが、防衛の世論調査では防衛予算を削るべきだということでございますが、私は詳しくは防衛予算はどの程度かということはわかりませんが、いまの国際社会の中で日本が果たすべき役割りというものの中には、日本を守る、日本の防衛という問題があると思います。これはやはり国際社会との連帯協調の中で、やはりこれは水準はございますが、その中でやはり防衛費というものは考えていかなければならぬということでございまして、世論調査にはいまの段階で削るべきものの筆頭は防衛だと、こう言われておりますけれども、私は直ちにそういうことにはならないと思っております。
 それから福祉と教育に力を入れろ、これは私は賛成でございますがあくまでもいまの行革の、きょうの公聴会でもありますように、行革関連の法案ということで福祉や教育の問題にしましても、今度のこの関連法案のあり方、最終的には厚生年金につきましても、政府では健保で補てんするとか四十人学級にしましても六十六年度までに四十人学級にすると、その基本を守りながら、この苦しい立場を乗り切っていくということであるならば、私はそういう趣旨は十分ではないかと考えております。
 それから、私に対する質問ではなかったですが、先ほど北海道特例について私の答えたことに関連してお話がございましたので、一応誤解を招くといけませんのでちょっと申し上げさしていただきたいと思いますが、私どもも当然商工会議所の会頭の陳情にもありますように、北海道の特例を引き続き存続してもらいたいということは、これは一貫しておりまして、いまでも申し上げておりますし、先ほども私の公述の中でも申し上げました。ただ今回の六分の一のカット、それについてもやむを得ないといった背景は、いま大蔵、自治の間で交付税を起こさないでめんどうを見ようじゃないか、地方にめいわくをかけることはよそうじゃないかということの背景があるわけですから、そういうことを踏まえながら、私はこの際やむを得ないのではないかと申し上げたわけでございまして、誤解があれば……。
○公述人(改発治幸君) 北海道の産業経済が公共投資に大きく依存しているということは御承知のとおりでございます。したがいましてこれが削減されるということは特にここ一、二年の農業災害、それから水害地の影響、不況、こういう状態の中では北海道経済に甚大な影響を受けるものと私は判断をいたします。かりに直接的には影響をこうむらないように融資の措置を講ずると伝えられておりますけれども、あくまでも借金でありますから、当然金利も含めて負担を軽くする。したがってたとえ三年間といえどもこれはたいへんなことであります。こういうふうに考えます。
 次に二番目の問題でありますけれども、これは私が主張しているのと同じような姿があるだろうと思います。私は読売新聞の世論調査の結果は見ておりませんけれども、お話しのとおりであるとすると国民の大多数は正しく問題を見詰めている、こういうふうになろうかと思います。
○公述人(松尾静江君) 一番目の御質問に関しましては、先ほど樫原公述人が申し上げましたとおり同意見でございます。
 それから教育あるいは福祉について大きく後退する心配はないかと申し上げましたけれども、私も公述の中でも申し上げましたとおりに一律バラマキの福祉ではなしに、受ける側にも努力の姿勢があってよいのではないかと。
 それから教育問題につきましても、同じように四十人学級にいたしましても地域によりましてはいろいろな差がございましてどんどんどんどん生徒数の増えてくる可能性のある地域と、あるいはまた札幌中心部のように生徒数の減少するのが目に見えているというようなところにとりましては、やはり融通、操作につきましても考慮していかなければならない。あるいは教科書の無償配布にしましても十分でないわけです。受け入れるほうにもいろいろ反省考慮するところがあるのではなかろうかと、それぞれの差の中に真の意味の公平、平等を生かしていくようにしたいという私は考え方をしております。
○公述人(土井尚義君) それでは最初に公共投資についてと、それから二番目には地域特例について、三番目には読売新聞を中心にされた世論について、その次に私の入っているところの住宅公団について、高くて狭くて遠い、この三点について申し上げたいと思います。
 公共投資のあり方については、北海道の場合は産業だとか、あるいは生活基盤、こういったことがやはりおくれている、本州に比べてどうしても。しかし重要であるということについては、先ほどからおっしゃっていることでもあります。日本経済の発展でどうしても必要であるというふうに考えているわけです。北海道の場合産業基盤が五五%に対して生活環境整備が二六%投資されていて、生活基盤が大きく、数字で申し上げますと本州よりおくれている、こういうことをまず申し上げておきたいと思います。ですからこれにどうしても力を入れていただきたい。日本の経済に大きく寄与するところがあるわけですから。
 それから、道路について言いますと、北海道の場合市町村の舗装率は一四・九%くらいかなってない、これは全国平均の半分です。その辺も申し上げておきます。
 それから、どうしてもわれわれの跡継ぎの問題ですから、子供の保育所、幼稚園、こういったような状態も非常に全国で一番率が悪い。それから同時に危険校舎あるいは学校のプール、こういったものについてもやはり同じような全国水準から見ると半分くらい。
 それから、公営住宅の入居率、これはもう道営住宅、町営住宅、こういったものから見てもやはり実際には半分。産業基盤関係では千六百二十一億円の投資をしているわけですけれども、計画が十年たっても達成見通しが全く立たない、特に苫小牧東部、これについてはやはり最近では、もうこれは失敗だと言われておるのですが、この辺を大きく見直す必要があるのではないかというふうに申し上げておきたいと思います。したがって開発計画の根本的な転換をする必要があろうというふうに思います。
 二番目の地域の問題ですけれども、これはやはり北海道は深刻であります。この関係の法律というのは二十三法あるのでして、道内全体で百四十六億円の負担増というふうに言われているわけですけれども、臨調でやられるとすればもっともっと上回ってくるだろう、一%の関係でやられると非常に金額が大幅に上ってくるだろうというふうに心配があります。最終の消費あるいは資本形成、こういったものも、総支出、これも大体三%くらい占めているわけです。これは全国の平均大体一〇%、こういうことでやはり七%の差があるというふうに言っていいくらいです。したがって公共投資、融資、これが減ると金利は上げられるというふうになってくると、大体二百四十四億円、大まかな試算でそういうふうな金額が北海道の負担増になってくる。こういうことも申し上げておいたほうがいいだろうと思います。
 特に労働者の場合ですけれども、他府県には見られないのです。ことしはひどいです。千葉県とか岐阜県、名古屋あたり、こういったものに出稼ぎにいく、土木、建築、左官、配管、溶接、板金、塗装、鉄工所、配線、こういうところ、向こうにいったら足元を見られて、頭から一〇%、二〇%切られるのです。そういう季節労働者がだんだん多くなってくる、しかも倒産が多いわけですから、先ほど申し上げましたように、ことしは土木、建築の関係で戦後最高の倒産だろうというふうに言われているわけですから、倒産した、首切られたら賃金はもらえない、必ず家の中で離婚問題、破綻を来しているのです。したがって、おそらく今回の法であるいは政令で地域特例が打ち切られると、こういうことになると大きい被害が北海道に押し寄せると憂えざるを得ないのです。
 三番目の防衛予算について。やはり札幌でもおそらくそうだろうと思います。私なんか軍人出身ですから、兄貴が戦死、戦病死、二人とも帰ってこない、そのときに母親が何と言ったか、農家ですから、三番目なんというのはネコのしっぽなんです。最後は私のほうにかかってくるわけです。私は公団の住宅にいるわけです。六畳間と四畳半、八畳、そこへどうしてお袋が寝られますか、こういった状態で当然軍隊、自衛隊の予算というのは、ばあさんが来たらつかみ出せばいいんだと、兄貴は戻ってこんじゃないか、おまえがめんどう見なければどうするの。こういう実情があるのです。これは健全な世論だと私は思っております。
 最後に、これは先ほどから話しましたように、住宅・都市整備公団、合併したら幹部そのままです。何の行革になってない、給与が東大の学長さんより高い人が何人もいる。そういうことでいいのか、そういうことで、もっともっと北海道の場合、家賃が五万、六万、七万と、三十万もらわなかったら入れないです。それだけです。
○森田重郎君 きょうは公述人の皆さんたいへん御苦労さんでございます。私新政クラブの森田重郎でございます。時間の関係もございますので、若干質問をさせていただきますが、どうぞ御答弁は、私一括に質問をさせていただきますので、よろしくひとつ御意見を伺わせていただければけっこうでございます。
 まず第一点でございますけれども、これは樫原さんにお伺いしたいと思います。先ほど市川先生から同様な質問がなされたと思うのですが、ちょうどこちらに参りましたら、商工会議所会頭さんから行革に対する要望書というものがありまして、その行財政改革について、最後のほうを見まして、既存の大型プロジェクトは、これは国費の効率的な執行面から早急に促進をする必要があるからぜひ引き続いて促進をしてほしい。こういう要望書がありました。それで北海道新幹線の建設、青函トンネル、千歳新空港、それから国土開発幹線自動車道、それに次いで苫小牧、石狩湾新港、六項目ほどの大型プロジェクトが載っておるのでございますけれども、現在進めておりますこういった大型プロジェクトの中で樫原さんがお気づきになったような点、言うならば計画が先行してしまって実態がなかなかそれに伴わないとか、何かお気づきに.なった点がございましたら何点か、それをお聞かせいただきたい、こう思います。
 それから、改発さんには、九項目ほどにわたりまして一般的な増税には反対である。それから不公平税制の是正。それから同じく行革を進めるについても、これは要するに中央省庁の統廃合の問題であるとか、そういう大どころにまず焦点を当てよとか、大変いい御意見を伺わしていただいたのですが、かりにもしこういうような点で、改発さんのお考えの一部でも取り入れられるというようなことであるならば、今回の特例法案には賛成なのか、あるいは反対の立場をおとりになるのか、その点をお聞かせいただきたいと、こう思うのです。
 それから、松尾さんには、私実はきのうの委員会でも経団連の石田さんにあえて御質問をしたわけですけれども、端的に申し上げますならば、財界、経済会にも行革の嵐が吹きまくってもいいのではないか、こういうような意味合いのことを申し上げたのです。経団連あり、日経連あり、同友会あり、商工会議所あり、日本貿易会あり、これらのメンバーの方々がみんな入りこんでいる、非常に錯綜している。だから財界の中でもそういう意味合いでの行革があってもいいのではないか、こういうような意味合いのことを申し上げたのですが、たまたま松尾さんは北海道の婦人経営者協会の会長さんをなさっている。そういう意味で経営者各位そしてまた企業間、その辺をずっと見渡された中で何かお気づきの点がございましたらそれをお聞かせいただきたい、こう思います。
 それから、土井さんにお伺いしたいことは、これも土井さん九項目にわたりまして北海道としてのローカルカラーというものを踏まえながら個々具体的に住宅問題を中心にたいへんけっこうな御意見を拝聴したわけでございますが、土井さんは明快に本法案は反対であると、こう締めくくられたわけですが、住宅問題等が土井さんの考えのような形の中でかりにもし取り上げられる、また実行に移されるというようなことであるならば、本法案に対して賛成であるか反対であるか、つまり住宅問題を中心にして、多少表現がまずいかもしれませんが、住宅問題に限ってこの法案に反対であるとか、その点を順次ひとつ御意見を開陳していただければと思います。よろしくどうぞ。
○公述人(樫原泰明君) 商工会議所連合会の文書を知りませんが、その中で、行革に関連する要望、大型プロジェクトの推進ということについて、新幹線、青函トンネル、千歳新空港、幹線自動車道等このいずれもが私ども北海道としては何としても北海道の経済的発展を願うためにはぜひやってもらいたい、進めたいということでございまして、ただ何としてもお金がかかるものですから、なかなか思うようにはいってないということでございます。先ほどの公述の中でも苫小牧、石狩湾新港あるいは千歳新空港について触れたわけですが、苫小牧もいまもう失敗ではないかと、私どもいろんな経済事情でおくれていることは確かです。しかしこれからの日本経済が昔のような成長をすることはありませんけれども、三%、五%と実質成長率を果たしていくということになり、あるいはまた全国的に発展を図っていくというときに、こういう工業地帯というものは、残された工業地帯というものは苫小牧以外にないのではないかと考えております。テンポは若干おくれておりますけれども、国の力も借りまして整備もし、費用ももらいつけて、北海道の経済の発展の基礎にしていきたい。最近いすず自動車の進出がきまりまして明るい見通しが出ておりますが、青函トンネルもおかげさまで再来年には開通をすることになっております。そうしますと、これは新幹線をどうかということでありますが、私どもはまだ盛岡から青森までということで時間がかかるかもしれませんけれども、これは北海道としてぜひ実現に努力したい。ほかのプロジェクトにつきましてもやりたいと思っておりますので、皆さん方の御支援をお願いいたしたいと存じております。
○公述人(改発治幸君) 行政官庁の統廃合についてでありますが、お尋ねのように行政改革に対する基本的な考え方、先ほどお話もありましたように、どこを一体むだなものとして、どこをすることによって入ってくるものをふやすかという、そういう方向というものを明確にして、もしそれができたらというような仮定のことを、それだけをはずしてこれはどうだと言われることについては私は……。先ほどの総論賛成各論反対と同じように矛盾していると言われることになりかねませんですから、全体の体制というものはどうかと、その基本を示して、その上に立ってでなければならないと考えております。ですからそうなった場合に本法案はと、個々の問題についてこちらはこういうふうにして、こういうことについてと言うのが当然の姿だと考えておりますから、いまの状態では本法案については反対であります。
○公述人(松尾静江君) 北海道婦人経営者協会といったいへん名前は大きな協会のようになっておりますけれども、婦人が経営にタッチしているということで小企業あるいは零細企業の方々が集ってのグループの私が長をさしていただいておるのですが、九時になったら始まって五時になったら窓口を締めるというようなことではなしに、非常に現在不況の中で、どうやって抱えこんでいる使用人と、その家族を養っていくかということで、もう皆さんは二十四時間そのことで頭いっぱいという形でいまがんばっていらっしゃる、そしてお互いに情報を交換しながらやっていこうという努力をやっておるのでございまして、もうちょっと気をゆるめたらすぐ倒産というようなたいへん厳しい状態ということで、考えられないほどいまなりふりかまわずがんばっているという状態でございます。私の周りの者たちはそういう状況でありますことを報告さしていただきます。
○公述人(土井尚義君) 私は時間が十五分ということでしたので、実際に人間生活に大きな影響を持つ居住環境、中でも今日は生存権を脅かされるという現状を、私が住んでおる日本住宅公団、住まいのことについて、それだけを申し上げたわけでございます。時間があれば特例の問題をもう少し、あるいは公共投資の問題もありますし、総合して北海道開発の問題にもなっていくわけでございますけれども、時間がありませんし、しかも賛成できるような内容が一つも見当らない。したがって私は最後に反対を申し上げます。
○座長(嶋崎均君) それでは、以上をもちまして午前の会議を終了いたします。
 一言御礼を申し上げます。公述人の方々にはそれぞれのお立場から貴重な御意見をお聞かせいただきましてまことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は今後の審査におきまして役立つものと思っております。皆さんにおかれましては御自愛の上今後一層の御活躍をお祈り申し上げる次第でございます。委員一同を代表して厚く御礼を申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
   午後零時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○座長(嶋崎均君) ただいまから参議院行財政改革に関する特別委員会札幌地方公聴会を再開いたします。
 私は、本日の会議を主宰いたします参議院行財政改革に関する特別委員会理事の嶋崎均でございます。
 まず、私ども一行のメンバーを御紹介申し上げます。自由民主党・自由国民会議所属で行財政改革に関する特別委員会理事の坂野重信君でございます。日本社会党所属で同じく理事の野田哲君でございます。自由民主党・自由国民会議所属で委員の高木正明君でございます。日本社会党所属で同じく委員の安恒良一君でございます。公明党・国民会議所属で同じく委員の塩出啓典君でございます。日本共産党所属で同じく委員の市川正一君でございます。新政クラブ所属で同じく委員の森田重郎君でございます。
 一言御あいさつを申し上げます。
 森本公述人、山内公述人、藤島公述人には、御多用中のところ、貴重な時間をお割きいただき当公聴会に御出席を賜り、まことにありがとうございます。派遣委員一同を代表して、衷心より御礼申し上げます。
 さて、参議院行財政改革に関する特別委員会におきましては、目下、行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案につきまして審査中でございます。本案は国民的関心を有するきわめて重要な法律案でありますので、慎重に審査を進めてまいっております。
 本日は、当札幌のほか、大阪におきましても地方公聴会を開会して、国民の皆様から忌憚のない御意見を承り、今後の審査に反映してまいりたいと存じ、当地に参上いたした次第でございます。何とぞ特段の御協力をお願いいたします。
 次に、会議の進め方につきまして申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で順次御意見をお述べいただき、その後委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、これより順次御意見を承ります。
 まず、森本公述人にお願いいたします。
○公述人(森本正夫君) ただいま御紹介いただきました北海学園大学の理事長をしております森本でございます。
 このたび札幌で公聴会を開く機会を設けてくだされ、先生方が多数おいでいただきましたことを心から感謝申し上げます。また意見を述べる機会を与えていただきましたことを国民の一人として厚くお礼申し上げる次第でございます。
 私は、今回の行政改革を推進するため提案されました法律案について意見を求められたわけでございますが、正直のところ申し上げまして、私ども限られた時間で、しかも限られた情報で的確な意見を言えということでございましょうが、あるいはお聞き苦しい点があったらお許しいただきたいと思います。時間の制約もございますので、一応私はこの法案につきまして三つの問題点に限定さしていただきまして、また、そういうことが今後においても十分論議されることを期待いたしまして賛成の立場から若干批判的な意見を申し述べさしていただきたいと思います。
 その第一点は、今回与えられました資料から見ますと、七つの項目と、その行政改革全体の長期的展望、全体像、そういった点が全く私ども地区住民の立場から見てわからないわけでございます。これはいま司会の嶋崎先生から国民的関心を有する重要法案とおっしゃった、私もそうだと思いますが、しかし、困ったなと思いますのは、第一次臨調の答申を見ますと、二十一世紀の日本を楽観論でいいのかどうか、何となく楽観論的な立場に立って考えており、役人に委しておいてだいじょうぶかというような、そういう政治的判断があるとしたら、これは重大な問題を含んでいると思うわけでございます。ですから、この点についてぜひ日本の将来のために慎重な検討を政治の場で国民に明確にしていただきたいという気持ちでいっぱいでございます。
 もう少し具体的に申し述べさしていただきたいと思いますが、総論的なことはさておきまして、今回の臨時行政調査会の行政改革に関する第一次答申後、これを読んでみますと、きびしく指摘された改革方策につきましては、私ども知る限りでは新聞報道あるいはそれぞれの立場から、大別して中央政府のレベルの問題と地方の段階でのいろいろな論議がなされた。確かに行政のあり方について論議されたことは非常に重要なことでございますし、非常にいいと思います。そうして、今回の法案を見ますと、実施問題が政治論争になった。その批判を通してはいろいろな立場がある、いろいろな考え方がある、民主主義の社会であれば、それは当然のことでございます。それが一応当っているか当っていないかは別としましても、私は一つの日本的な視野から論議の対象になったということは一つの進歩と見ていい、そういう評価をしているわけでございます。ただ非常に残念に思うことは、肥大した行政機構、行政機能を日本的視野で取り上げるのも大変けっこうだと思いますが、それも財政再建が切実だという命題があったからでありますが、その中でやはり臨調はそれにしばられて、本当に国民の立場で論議したかどうか。あの答申書からは私は読みとれません。ですから、さっき申し上げた先に明示すべき将来にわたる全体像あるいは計画性、あるいは日本という国家を全体としてどう国際社会に持っていくか、そういった大計画の基本的な姿勢がそっくりそのまま行政問題の改革と機構いじり、そのことに結びついてなされたきらいなきにしもあらず。これであれば、会長の土光さんが総論賛成、各論反対的な日本的政治的風土あるいは日本人的な国民に協力を求める、それでは困るということを言っておりますけれども、どうもその辺になりますと、余りにも模範答案的な談話しか発表されていない。これは私どもから見てどうもよくわからない。しかも、そういった中で、その後限られた情報しか与えられない国民の立場から見ますと、展望が不明確で、現状をどう改革するかという答えが逆に実はない。これが一つの大きな問題であろうというふうに思うわけでございます。
 また、今回の答申は、財政赤字の政府の対応のおくれを取り戻すために、中央と地方の行政機構と機能を財政収支の単なるつじつま合わせに短絡的に連結する視点が答申の中に流れているとしか読みとれない。そうでないということであればよろしいわけでございますが、何か赤字解消という財政収支の論理のみで、本来国民のためにある行政効果あるいは公共性ある事業までも効率性のみで、しかも画一的な基準で将来の展望を示さず評価を加え判断するということは、私は、政治問題あるいは政策問題として考える場合に適切であるのかどうかという大きな問題が出てくると思います。ですから、ぜひ今後においても十分な行政効果を上げる政策的な視点を確立していただき、検討を加えまして、早急な改革案を全体計画と見通しも含めてぜひ国会なりを通じて国民に発表していただきたいというのが第一点の意見です。
 それから第二の問題は、私は教育の現場におりますので、教育費の問題について長期展望の中で再検討していただきたいというお願いでございます。一つは、これは私の考えでございますが、日本の近代化という点があったとしますと、その中で教育によって達成されてきたという見方は当っていると思います。家庭は、家庭というよりも――私は明治生まれの父親でございますが、明治生まれの方もいま現に父親でございます。しかし、家庭はその生計を切り詰めまして血のにじむような努力をして子弟の教育に当ってきたというのが現状じゃないでしょうか。国の発展にとりましても教育の役割りというのは重要だと思います。日本の将来展望で国際社会への貢献問題、こういった展望の問題を今後どう持っていくかということを示すことなく、財政収支の効率論から教育の質的向上のための、たとえば論議されております学級規模の問題、教員数の充実計画を政治的に削減しようとしたり、あるいは延期したりするということは日本の現状から見て将来をもう考えれば考えるほど私は賢明な政策判断とは思いません。物や資源は金で買える。しかし、人づくりというのは一朝一夕でなせるものとは決して考えておりません。これは公私立の別なく言えることだと思います。実施形態はどうあれ大事な問題と思います。私学助成についても私は同様に考えるべきだと思っております。国の発展と私学教育の独自の理想に基づく個性的な教育や、大きな役割りと意義を持っている中で政策的な価値観の確立なしに改革を基本に据えていることは問題ではないかというふうに考えているわけでございます。どうかこの点も長期展望の中で御検討くだされ明示してやっていただければ幸いだと思います。
 最後に、三つ目の問題を述べさしていただきます。私は北海道開発政策を経済政策の面から研究している学者の一人でございます。それで北海道開発行政機構の問題が論議されているというふうに聞いておりますので、若干触れさしていただきたいと思います。御承知のとおり、北海道開発庁は、昭和二十五年にいろいろ政治的動きの中から生み出されたものであります。その存置が今日行政改革の一環として論議されているというふうに聞いておりますが、私の立場から見ますと、また始まったかと。日本で何か問題が起こると必ず北海道の機構問題が取り上げられる。これは時間がございませんので、その過程は省略いたしますが、行政のあり方や効率性について改革することは当然でございますし、私は、それはそれなりに大いに進めていただきたいと思う。しかし、北海道という地域は日本の一部でございまして、日本の国民にとっても大切だと思う。そういう高い次元から開発の期待、可能性が求められて設置され、その意義や役割りは今日何も変っていない。また、それによって北海道でそれぞれわれわれの生活がなされているわけでございますので、今後において期待、可能性が高いというふうに私は北海道を認識しております。それの存置、統合を論議することは、やはり私は今日の事態から見ていろいろ問題があろうかと思いますので、どうか高い次元からこの問題については御判断いただきたいというふうに思うわけでございます。
 以上でございます。
○公述人(山内亮史君) 私は、若い人が大学へ行きますと、自分の地域を捨てる、村を捨てる大学という言い方があると思いますが、それに対して北海道の旭川で「村と共に考え村を育てる大学」という理念的なことを目指す一私大教員の立場及び一道民の立場から今回の行革に関して公述をしたいと思います。
 最初に結論的に申し上げますと、総論賛成、各論反対という言い方ではなくして、こういう言い方をしたい。理念賛成、本質反対。理念と申しますのは、いわゆる八〇年代以降の日本を巨視的に見た場合、もう生産を追っかける時代ではないのだという一つの、スモッグの下でビフテキを食べるよりも青空の下で梅ぼしをなめていた方がいいのではないかという一つの大きな価値の変換まで含んだ日本の巨視的な道路のあり方というふうなことを進めるのが今回の行革であるというような理念であれば、これは理念賛成ということが申し上げられると思います。しかし、その本質が、こういうふうに言うとしても、率直に申し上げて、もう国の財政は破綻しているのだ、あとは地方でかってにやってくれというような本質を持っているとすれば、これは反対である。少なくとも私は一道民の立場から今回の行革を考えます場合に、そのように申し上げて差しつかえないのではないかというふうに考えるわけであります。
 以下、今回の行革が私たちの北海道というものをどのように認識しているかという点から幾つか北海道の現況について簡単に御説明申し上げたい。
 まず北海道は東北六県足す新潟県の大きさを持つわけですが、全国土の二二・一%、しかし総人口は四・八%というきわめて可能性のある地域であるわけですが、ここ数年来全国一の過疎、北海道全体では過疎率は六八・九%、つまり七割ももう市町村がいわゆる過疎地域特別措置法による過疎の地域に入っているということです。これは全国平均が三五・四%ですから全国一の過疎率であるということであります。しかも、この過疎地が日本海沿岸、空知産炭地、道東畑作及び酪農地帯に集中しておりまして、ここらは大変な過疎であります。しかも全国的に過疎率が鈍化しているのに対して、三十五年から五年きざみで、いわゆる国調によりますと、いわゆる一二・一%、一七・五%、一五・〇%と、むしろ過疎がこの二十年間激変したというふうに申し上げたいと思います。その端的な例としてゼロ歳から十四歳の人口構成比によりますところの年少分布なんですが、このゼロ歳から十四歳までの階層年齢人口が過疎地では二四・七%、三十五年から四十年。四十年から四十五年が二八・九%、四十五年から五十年まで二三・一%。北海道全体ではだんだんふえていって、四十五年から五十年までは〇・二%、ゼロ歳から十四歳まで。つまり二十一世紀の北海道を担う人口がふえているにかかわらず、これらのところではマイナスである。実数で七十一万二千人あった人口が二十九万三千、実に五八・八%に減ってきている。つまり過疎地にはもう若者は絶対に育たない、過疎地には年寄りしかいないということもあろうかと思いますが、私の陳述のデータにありますとおり、そういう状況になっているのでございます。こういう状況のまま、しかも、これまでと同じような形の開発計画と、そうしてこれまでと同じような行財政構造及び権力構造と申しましょうか、あるいは租税制度とか、そういったことをこのままにした今回の行革が行われますと、北海道はからからになる。苫小牧を含む道央圏のみが栄えて、あとは北海道の一般の地帯は人が住まない土地になってしまう、こういうことを申し上げたいと思うわけであります。これは北海道開発がこの期間開発されたという中で、実際は三千億から今日一兆円という事業費を投下してリストアップしているにかかわらず、この開発開発ということの中で実態は四%経済をとうてい脱していないわけであります。単純に指数で申し上げますと、この十年間を見ても、全国比に占める北海道の経済力は、事業所総数で四・三から四・四、変っていない。工場数では二・二から二・〇に減っている。出荷額は二・四から二・五、何も変っていない。及び生産所得、第二次産業では三・三から三・二%。それじゃ第一次産業の方はしっかりこれを大きくしてきたかといいますと、漁業経営体数は一二・一から一一・九、漁獲量が二〇・二から一八・一%、農家数は三・一から二・六%、専業農家数は九・七から八・八。反面、生活保護世帯数は全国に占める割合からいきましても七・〇から、この十年間、七・七とふえているわけであります。ちょっとスイーピングに過ぎますけれども、基本的に北海道はこういう形になっている。そうすると、事は二重に問題になるわけであります。これまでの開発政策の基本的な見直しなり、あり方なり、そういったことの判定の総括を抜きにして、さらにもう一つ今回の行革が一律に北海道に適用されますと、北海道はもっとひどい状態になるということが申し上げられると思います。
 以下時間がございませんので、北海道開発について申し上げたいと思いますが、事業費一兆九十三億八千百万円のうち国庫負担は六千九百八十七億五千四百万、地方負担は三千百六億二千七百万円、このうち、地方負担の三千百六億のうち六百五十四億五千五百万というのは、例の直轄事業の地元負担制度によって、いやおうなくとられるわけですから、この直轄事業と補助事業の割合はどれくらいになるのかという本質論は抜きにいたしましても、この直轄事業のうち三分の一は地元負担でやるわけですね。これを既存の制度を前提にしてやりますと、結局地元負担でやる上に、さらに直轄事業の地元負担制度によりまして六百五十四億はまた負担する。そうしますと、かかる中で行政改革が進行しますと、一二・七%、いわゆる六分の一の削減、これは道と札幌市ですから、あと市町村と各種自治体で残りをやるわけですから、ゼロシーリングから出発しますと、事業量の上では変らない、しかしコスト上昇分と、それから残りの六分の一カット分というのは地方負担になってまいりますから、地方自治体でみるとは言いながら、それは言ってみると三年後から国民の負担になってくる。こういう形で進んでまいりますと、せっかく事業が来ても北海道の各市町村ではもうこれはやれない。それを受けても地元負担でダウンしてしまう。少なくとも六八・九%、つまり七割近い過疎ですから、その財政力というのは、北海道全体が〇・四二に対して財政力指数では〇・二一しかない、本当に貧乏な市町村、この貧乏な市町村がこれだけのせっかくの事業があったとしても、コスト上昇分等も本当に地元負担でやれない、こういうことになろうかと思います。しかも、おまけに補助事業はひも付きですから、北海道の地域特性に合った地域住民にとっての独自な政策選択の幅というのはきわめて限られておりますし、そういうふうに考えますと、このような構造のもとで公共事業費の削減が一律に適用されるということについては強い懸念を持っているというふうに申し上げたいと思います。
 北海道の場合、北海道関係予算を見ますと、五十六年度の六百五十六億というのは、北海道開発事業の現業部門の人件費、国の人件費をそっくりそのまま地元の私たち道民が、地元の役人の生活費を補うのか、それの人件費を一生懸命払っている。あと道路の補修とか何とかしかできない、こういうふうなことが率直な実態になっておるんではないかというふうに思われます。それから、こういった傾向が三年以後きちっと財政再建できるという保証があるのか、三年以降だいじょうぶだ、財政再建させて北海道の地域はちゃんと発展させるという保証がどこにあるかということを考えますときに、北海道の姿はどういう形になるのかという点に強い懸念を表明せざるを得ないわけです。さらに私どもの立場から申し上げますと、北海道は、いわゆる開発法の理念というものが日本の経済に貢献することを期すということで、国の経済政策のいままで函数として動いてきたということが率直なところです。それは産炭地やその他食糧基地というふうなカテゴリーの中で開発されてきたということを考えますと、北炭の労働者の冥福を祈るわけじゃありませんけれども、本当にそれは大北海道というものについての環境をきわめて破壊してきたのではないか。たとえばこれまでの開発予算、これを道南、道東、道北、道央について見ますと、開発事業費、これらの恩典は、実際のところ開発事業予算のうち四二%というのが道央、道東の苫小牧を含むラインにのみ投下されている。あと五八%で道北、道南、道東というところを全部見なければならないわけですから、これはとうてい北海道のバランスある発展ということにはならないということになろうかと思います。
 昨日、小中学校の先生方と研究会を開きまして、そこで私も聞いた話なんですが、子供たちがせっかく野山が自由で広い国土の中で地域の教育力をもってたくましい子供が育つかというと、実は学校の統廃合でスクールバスの時間が迫っているから、バスに乗る時間が多くて、せっかく生もうとしたゆとりの時間がなくて、バスの合い間にただ広い野原でゲームウォッチを動かして遊んでいる。これが北海道の子供の実態だというわけですね。あるいは北海道のせっかくの二十一世紀に至る子供たちがスクールバスの中で、あるいは自分の地域の中での教育力というものに期待できないまま、札幌、苫小牧にあるいは道外に流れていくということであれば、いわゆる二十一世紀に私どもがどういう姿をこの子供たちに残していくのかという点から考えて今回の行革が、北海道は特例だ特例だということを申し上げるとエゴのようになるかもしれませんが、しかしながら、実際は地方という形から今回の行革を見ますと、それはむしろ私は率直に申し上げて、野党推薦の公述人とか、あるいはそうでないとか、そういう立場ではなくて、普遍的な立場で地方のあり方というものを行革で再考せられるようにお願いして公述を終りたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○座長(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 最後に藤島公述人にお願いいたします。
○公述人(藤島範孝君) 御紹介をいただきました藤島でございます。最後の公述人になりましたので、いままでのお話と重複するところがあるかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 行政改革の本来の企図というものは、国民の一人一人が手の届くところに幸せがあるようにというふうに始めるべきであります。そのために国民の一人一人が過不足のない最小の行政単位が望ましく、国民の負担過重にならぬ小さな政府が望ましいと私は常に思っております。ただ、このたびの行政改革のように、増税によらぬ財政再建、これを指標といたしますと、国民が必要とする行政までも、経済性がないということで切り捨てられる危険があるのではないかと懸念しているわけであります。
 特に先ほどから御指摘がありました、北海道につきましては特殊な事情を抱えております。他の地域と同じように財政再建期間にがさ上げ率一律六分の一カットという状態でありますと、北海道の実情が少しわかっていないのではないか、こういう気がするわけであります。
 北海道特例によりますと、北海道開発事業費のかさ上げ額は、昭和五十六年ベースで試算しますと、一千四十一億になると言われております。したがって、このたびの引下げでおおむね百二十億ほどの減少になる見込みであります。ところが、北海道特例につきましては昭和五十五年から五十七年まで三カ年で引下げが実施中であります。そして五十七年度分の引上げをこのたびの引下げの持ち数に数えると言われております。社会経済事情の変化に対応した新たな施策を講ずる余裕が北海道には全くなくなって、道民生活の安定を図る上では非常に大きな障害が出るのではないか。これはもうすでに地方の切り捨てに入ったのではないかという気がするわけであります。もしこうした行政改革が行われるのでありますと、北海道は地域経済の不毛はまことに大きいものがありますし、これから長い暗い困難な時代が続くのではないかと、こう考えるわけであります。
 御承知のごとく、北海道は、その開拓時代、中央政府の保護政策のもとにありました。なぜ北海道だけが保護政策のもとにあったか。まず第一に考えられることは、全国の二二%の面積のある広大な地域、かつ、北方に位置して未開な土地が広がっていたということでもあります。第二には、人口も希薄であります。自治体そのものが運営でき得るかというふうな危惧さえあったわけであります。第三番目には、開拓の歴史が浅く、社会資本はもちろん、民間資本の蓄積が少なかったということも言えると思います。もっとうがった見方をいたしますと、北海道というのはある意味で本州の棄民から成り立っておりました。同時に、日本最初の植民地でもあったわけであります。それに対する中央政府の思いやりというのが、私は長い間あったのではないかという気がいたしております。このまま行政改革が続きますと、それらの意思は全く無にされるわけであります。
 戦後、全国公共事業費の一一%を北海道は占めてきたことも事実であります。こうした中央と地方との仲介の役割りをしてきましたのが北海道開発庁でもあったわけであります。その北海道開発庁の仲介役につきましては、廃止を含めてその特例を抜本的に検討するということが中央で言われ始めるようになりました。確かに北海道は他の地方と比べると、生活水準も引き上げられましたし、それから未開の土地もなくなりました。あるいは南北格差もなくなったのかもしれません。しかし別な言い方をすれば、北海道開拓百年、いまやっと生活の基盤が整いつつある、環境がいま整いつつある、そして他の地方と肩を並べるところまで来たのだ、こういうようにも考えることができるわけであります。
 そういう意味では、こうした仲介役の開発庁及び北海道に対する思いやりというものがなくなるということは、二階に人を上げておいてはしごをとるのと全く同じであります。革袋はおまえたちでつくりなさい、酒はどうするのか、これに返答がいまないという状態だと思っております。基盤整備の時代は確かに終わったのかもしれません。しかし、これからが北海道として大事なときであります。三全総にある人口再配置はもとより、北海道の地理的な位置からして、流通機構から取り残されることは明白であります。したがって、経済永遠の発展はもとより、それを維持し培養する力さえ失ってしまうのではないか、こう思うわけであります。
 ただ私は、現行のごとき北海道開発庁というものでいいとは思っておりません。基盤整備、環境整備ということにつきましては必ずしも成果を収めたというふうには考えておりません。しかし、これからは地域の経済、北海道の経済が発展するような機構に衣がえをしていくのであれば、大体賛成をいたしていいのではないかと思っているわけであります。
 そのために、私は幾つかの提言を考えております。機構的はこれはこれから検討するというふうなこともありましょうし、いろいろ考えられることがありますけれども、第一次産業から第三次産業まで全部に対応する機構を設けていきますと、自治体に自主性を置いた地域経済の確立のために努力する機構に衣がえをする産業政策の環境づくりをまず考えております。
 たとえば、いまよく五大赤字に挙げられている国鉄問題がございます。国鉄を北海道鉄道として分割をしていただきたい。その総括をするところが北海道開発庁で、北海道というところは本州と異なって、集落ができ道路ができて、そのあとで鉄道ができたところではありません。鉄道ができて集落ができたところが多い。したがって、このままですと鉄道が壊れると周囲から町や村が消えていきます。開拓の事情が全く違うわけであります。こういう意味で、是非、国鉄に関して地方へ戻すということをやっていただきたい。
 それから、エネルギー政策、これも全国ネットワーク方式では大変困るのです。石炭が中央で必要とするならば、北海道開発庁を通して採炭量を決める、北海道がその許容量を超えて採炭する必要は私はないだろうと思っているわけでございます。たてまえとして、エネルギーについては地方の選択時代であり、できれば地方で自給する時代であります。
 食糧も全く同じだと思っております。食糧も北海道で確保する。品質がよくない、米の質が非常によくないと言われているわけでありますけれども、加工米としてはすぐれていると言われております。そのために私は農業については注文生産を――かっての農業政策というのはある意味ではプランテーション農業、モノカルチュア農業を北海道に強いております。これを中央の計画にかわって自給を基盤とした農業政策を行うのです。
 このほか、林業についていいますと、国有林の管理はこれも北海道へ戻していただきたい。国有林というのは国民の財産であります。これを従来持っているような木材業者が持っ特権などを廃止いたしまして、できるだけ入札制度をとりながら国民の側へ戻して、そして北海道がこの国有林を預かるという形にいたしたい。しかし現状では、いろいろ相手がありましたけれども、地方長官の権限が細分されておりまして、地域経済などというのはおこがましい話であります。これを排除し、北海道に自治を戻していただきたいというふうに考えるわけであります。
 こういうことは漁業についても言えると思うのであります。海は国民の財産であると私は思っております。ところが、定置網やあるいは地先漁業などというような特権で海を支配されているということは大変問題があることだというふうに考えております。これなどは一たん買い上げて、入札制度、二年なり三年のサイクルをもって分け与えるという形を出していただきたい。
 同じく権利で申しますと、鉱業権、温泉権、水利権などというものがあるわけであります。これも開放する方向で考えて、入札制度をとって、そしてそれを北海道の新しい地方財源として分割するように考えていく、こういうのも一つの方向だというふうに思っております。
 ことに、先ほど申し上げました鉱業権については、大変北海道では複雑であります。これが災害の遠因になっていることもすでに知られております。この機会にこうしたものの整理ということも大事だというふうに思うわけであります。これらがすべて私は北海道開発庁が中央とのバランスをとりながら、経済成長に責任を負いながら、北海道を育成するような方向に向いていかなければいけないのだというふうに思っております。
 北海道づくりは北海道の自治体が行うわけでありますけれども、その総括としての考え方を私は申し上げたいと思っております。これによる弊害もたくさん考えられます。そうでなくても北海道は開拓時代より官尊民卑の風潮の激しいところであります。そのためにはオンブズマンの制度あるいは情報公開とか、これに対応する国民の監視制度をもうけながら、北海道の経済確立のための形を早くつくり上げていただきたいというふうに考えております。
 北海道に関する種々の見方があると思います。しかし、私は本州とは非常に異なっていて、これから日本の実験場だというふうに思っております。北海道の開拓の際は本州各地より開拓民が集まりました。それはいままでの日本になかった一つの試みであり、一種の共和体がここにできて、そこにいる日本人は私は新しい日本人だというふうに考えているわけであります。この新しい日本人に対しまして、百年間本州では見守ってくれております。ある意味では、北海道人は日本人によって実験させられているのだというふうにも思っております。北海道は日本でありながら日本でないという意気地が常にあります。日本人のふるさとが、竹のさやぐ音でありますとか、赤い柿の実のなる里などというふうなことをよく言うわけでありますけれども、われわれ北海道民にはそうしたふるさとはありません。北海道人は北海道で集結するような状態でいかなければならない。本州とは異なっているわけであります。
 今回の行財政改革、これも地域に合った経済をこの機会につくり上げるということ、これが私は北海道人に与えられた使命のように考えております。そうした意味では北海道ではいまルネッサンスを迎えているのだという気はいたしております。しかし、それは、もう一度北海道という特殊性を考えていただいて、この地域に経済基盤ができますならば、特例あるいは開発庁そのものの廃止などという方向へ向いていただきたくないということをお願いして終わりたいと思います。
○理事(嶋崎均君) どうもありがとうございました。
 これより委員の質疑に入りますが、限られた時間ですので、お答えは簡明にお願いいたします。
 順次発言を願います。高木君。
○高木正明君 私は自由民主党の高木正明でございます。
 私に与えられた時間は往復でほぼ十五分ということですから、私もそれぞれの先生方に一点づつお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず最初に、きょうは本当にお忙しいところをどうもありがとうございました。非常にただいま格調の高い、行革を進める中で北海道の果たす役割りと持つ意義を大変細かく承りまして、私は非常に感じとるなり、それをこれからの行革の中でどう反映させていくかということを真剣に考えてまいりたいと思っております。
 ただいま森本先生からお話がありました。今度の行財政改革の長期的展望等、全体像が余りにもわかりにくいというお話がございました。私は無理もないことだと思いますが、とりあえず第一次答申の中で、行政改革を進めるについては当面昭和五十七年度の予算編成を増税のない予算編成でいくという方針でゼロシーリングを政府は打ち出して、関係法律の改正を一括法案としてまとめて国会で審議するということでまず進んでまいりましたものですから、どうしても行政改革の全体のビジョンが示されないために、何となく実はわかりにくいのではないかというように考えられます。
 問題は、第一次答申が出ていまこういう形で法律案をまとめて審議を続けている最中でありますから、これから第二次答申で終わるのか、あるいは第三次答申も出るのか、これからの問題だろうとは思いますけれども、いずれにしても二年間でわれわれは継続してこれをなし遂げなければならないという使命があるわけであります。そこで今後の制度や施策について思い切った見直しをしていく必要があるという声もありますので、その点につきまして今度は第二次答申を目指して動いていく、これからの行政改革の中で行政改革を進めるべきであるとお考えになっておりますが、どういう形でこれからの行政改革を進めることが具体的によろしいと考えられるのか。御提案なり御提言があれば少しく今度の法案から離れて、大局的な立場に立って先生の御意見を伺わせていただきたいと思うのであります。これが森本先生に対する私の問題であります。
 それから山内先生に一点御質問申し上げますが、行革の作業を進めてまいります中で、一つは当然行財政の見直しでありますから、官と民との役割りをどういうふうに求めていくかということがあると思いますが、もう一つの視点は、具体的には中央と地方の関係、言ってみれば政府と地方自治体との役割りをどのように分担をし、どのように国民に向かって責任を果たすかという視点があると思います。そういう意味で、今後国と地方の役割りを考えていく上について、特にどの点に配慮をしていったらいいのか、御意見を伺わせていただきたいと思います。
 藤島先生にお伺いいたしますが、実はせんだって九日の参議院の行革委員会で、参考人にお招きをした土光会長あるいは圓城寺会長代理からこういう話がありました。圓城寺会長代理から、今後の福祉政策の進め方について、制度としてりっぱなものをつくっても財政的な負担がふえればためにならない、国民に自立精神を持ってもらわないと活力を失うことになる、こう述べて、適正な負担、適正な給付、こういう言葉を使いまして臨調審議の基本に据えたいという意向を示しておりましたが、この点についてどのようにお考えになるのか、御意見を伺わせていただきたいと思います。
 以上であります。
○公述人(森本正夫君) 高木先生の御質問につきまして意見を述べさせていただきたいと思います。
 今後、第二次あるいは第三次答申が出るかどうかわからないけれども、その中で制度あるいは施策を見ますと、どういうふうにこの間の施策が受け入れられるかということでございますが、私は端的に時間をかけて申し上げますと、あの答申書を逆に書いていただければ非常にわかりやすかったのではないかという感じでおります。
 それから全体像、将来展望の点でございます。やはり私の個人的私見でございますが、二十一世紀のわれわれ日本人としての期待すべき社会像というものを是非描いておかなくちゃならないと思います。それにつきましては、一つはいま私の頭にありますのは、福祉切り捨て論でなくて、現状で進んでいきます場合には、やはり税制と負担の問題、特に負担の問題、これにつきまして十分御審議いただきたいと思います。その場合に、十分経済問題というのは完全雇用政策、活力のある社会との関係を十分御留意いただきたいと思います。
 御承知のとおり、先進国といわれる福祉国家に行った場合、いかに年金制度のなかで哀れな老人が多いか、それからややもすればアメリカの追従型となるのでございますが、今日の社会の犯罪その他いろいろな問題を考えてみますと、失業者があふれる社会には絶対にしていただきたくないということであります。これがいまの経済性一方で続く場合低い福祉水準、そういう社会が生れた場合、それは最大の原因はやはり不完全雇用に問題があると思いますので、この点は絶対に避ける形で是非お願いしたいと思います。これが第一点でございます。
 第二点は、やはり日本人というものの人づくりあるいは日本人の心という問題につきまして、やはり総論賛成各論反対のような日本人像で果たしていいのか。臨調の答申では、土光さんは自立性を少なくとも日本人に求めていらっしゃるようですが、この辺十分な論議をひとついただきたいと思っております。
 それからもう一つは安全の問題でございます。これは国防、外交も含めて何ら展望がふれられていない。これは自衛力の問題からすべての問題にかかわってくると思いますが、こういった中での国際問題についても一切ふれられておりません。特に外交については情報問題も含めて、いかにわれわれが世界の中で情報音痴の中にいるか、この問題についても一切ふれられていませんので、これらも十分な論議をお願いしたいと思います。
○公述人(山内亮史君) 簡単に申し上げますと、中央と地方の役割り分担関係いかんということでございますが、三点ほど申し上げたいと思います。
 一つは現在のやはり税制というものを地方に有利なように是非変えていっていただきたい。たとえば一千億生産所得が上がって十万人人がふえたとしますね。そうしますと、現在一千億生産所得のあるところが二百億の税金になる。これは現在の税制度のもとでは百四十億国に打っちゃうわけで、四十億が道、地元の市町村では二十億しかない。そうしますと、十万人人がふえると財政需要が、学校を建てたり何かで、一人五万円負担としますと五十億の金が要るわけで、全部の金を見込んでも三十億。地方交付税であらかじめ減額されていますから、それはもう起債、起債でとにかく借金でやっていくよりしようがない、こういう制約のもとで地方はいま負担にあえいでいる。したがいまして、端的に申し上げまして、税制度をせめて五〇、五〇ぐらいに配分をお願いしたいのであります。
 それから第二点目は産業政策であります。やはり地方に有利な産業政策の確立、たとえば北海道の場合、ジャガイモがたくさんとれる。ジャガイモをだまって現在の地方に任せておきますと、ポテトチップは全部本州に行ってつくられてきて、北海道の道民は本州からのポテトチップを食べている。こういう関係ですので、産業政策の中で、国立の食品研究所なり何なりというもので道民にそういったことも企画担当させる。それからワカメだとかコンブだとか、いろいろな食品を含めたアグリビジネスみたいなことも企業政策というものを地方に対して考える。
 第三点目は福祉ですが、施設は国、中小施設は道、そして相談業務は市町村というふうな福祉の体制というものをきちっと体系づけていくことが福祉の負担の上からも大事なことではなかろうかと思います。
 簡単に三点だけしか申し上げられませんがお答えといたします。
○公述人(藤島範孝君) 公述から漏れました福祉の問題、これにふれたいと思います。
 私は経済を地方に戻す、非生産的な分野は国がこれを担当していくべきだという考え方を持っております。活力ある社会をつくり上げる。活力ある社会をつくり上げるということは、ある意味では経済であります。たとえば福祉制度というものは言葉を変えて言いますと、私は働く場所、働く位置、そういうものが確立をすることだと考えているのであります。幸せということはいろいろな見方がありますので、一概に申し上げることはできませんけれども、生産性のあるものにつられていく地方の責任だというふうに考えております。その意味では、安全の問題も含めまして、生産性のないものはここからカットし、それから生産を地元に返してもらう、こういう形で考えたいというふうに思っております。
○安恒良一君 私は日本社会党の安恒ですが、私に与えられた時間は往復で三十分でございますので、その範囲で御返事を聞かしていただきたいのであります。
 きょうは三人の公述人の先生方、大変に御苦労さまでございます。一人一人にお伺いしていきますが、私は森本先生の御意見を聞きますと、私たちが国会であなたと同じことを指摘をして、自民党案の批判をしているわけなんです。ところがあなたは、にもかかわらず、次の議論が十分なされることを前提にして賛成とおっしゃったものですから、そこのところがどうもふしぎでならない。全くもうあなたの御意見とそのままの、それは少し具体的実例を挙げて最終的な御意見を聞きたいと思うのです。
 たとえば行政機構が肥大化して非能率になる、だからこれを直さなきゃならぬということは当然なんですが、国の今日の問題は行財政改革だけでできない。財政再建が非常に必要なんですね。そうしますと、今日この肥大化した財政の赤字というのは、率直なことを申し上げまして、過去の自民党政府の財政政策、金融政策に反省するところがなければならないのではないか。たとえば四十八年のオイルショック以降、経済を成長させたり、もしくは国民の景気上昇期待感がありましたから、その政策ということで赤字公債発行があったわけですが、確固たる赤字公債発行に対する方針を持たないまま野放図に国債を発行したところに問題がありますから、まず私はそこから財政論というものはどうするかということの議論がないのじゃないのかということを議論しておりますし、また、今日の赤字の原因が教育と福祉にあったようにも言われていますけれども、しかし、福祉元年と言われました昭和四十八年にわれわれが福祉政策をとったのは、それまでの高度経済成長政策の反省の上に立って、経済成長の成果を、資本蓄積ばかりでなく、国民の福祉に応分に配分していくということであったので、私は決して間違っておったとは思わないのです。
 そこで、そういうことになりますとどういうことになるかというと、いま租税と社会保障の負担率が、日本が三四・三、アメリカが三七、ドイツが五〇%、イギリスが四六。だから、これが低いから日本も高齢社会を迎えるのには四〇ないし四五が必要だと、こう政府が言います。問題は、四〇ないし四五が必要というならば、それはあなたが今度お書きになったように、はっきりとした財政再建と社会保障像というものが国民に明示されて、だからこれだけ必要だと言うと私は国民は理解をすると思う。ところが、一つの例を挙げますと、厚生年金の三ヵ年借りて六十年から返すということを、本当に返せるのだろうかと。六十年になりますと公債の元本返済が迫ってまいります。そうすると、六十年の財政の姿を見せると、こう言っても、それはよくわかりませんということになって、そこに私たちの非常に不安というのがあったわけですから、大体、先生も時間がなかったからそういう中身のことは指摘されなかったと思いますが、この物を見せていただく限りにおいては全く同じなんですよね。にもかかわらず、あなたが、論議が十分なされることを前提として賛成する立場でというので、そこのところをちょっとお聞かせ願えればと、こう思います。これが一つです。
 それから山内先生にお聞きをしたいことは、北海道の地域の特殊性が、特に開発問題についていろいろ議論がありましたから、おそらく時間が足りなかったのでそこのところは割愛されておると思いますが、開発問題についていま少し私たちが北海道の特異性を十分理解ができるように御説明を願えればと、こう思います。
 それから藤島先生にお聞きをしたいのですが、どうも先生の御意見を聞いておりますと、地域の特殊性を強調されることはわかりますし、それから北海道はこうあるべきだということのいろいろな御提言、かなりユニークな御提言だとして拝見をいたしましたが、北海道の独立帝国的な思想がややそこに出ておりはしないかという印象を実は受けました。あなたは北海道を新しい共和体と申されましたが、どうもこれは北海道の独立帝国的なお感じがあるのじゃないかなと思いますから、私の誤解なら解いていただきたいのです。
 たとえば一つの例を挙げますと、私は交通の専門屋ですから、交通の立場でちょっと申し上げますと、なるほど、北海道の鉄道が部落、集落立地でできたことは私もそのとおりに考えるのです。それから赤字ローカル線なんかを廃止すると、北海道には大変な地域経済のマイナスになりますから、私は存続しなきゃならぬということは全くあなたと同じであります。ところが、国鉄分割経営で北海道鉄道ということになりますね。そうすると、今日の鉄道の行き詰まったものの中には二つあるわけです。一つは交通政策の貧弱ですね。いわゆるモータリゼーションということでマイカーがやたらにふえちゃった。そういうのを野放しに比較されている。いま一つは、もともと国有鉄道というのは、建設をすることは赤字を覚悟してやっているのです。中には政治家が自分のところの選挙地盤のために敷いてくるのもありますけれども、もともと公共性がある。
 そういうぐあいに、北海道の国鉄分割経営でも、北海道鉄道とした場合に、道民に対する負担がどんどんかかってくるのじゃないか。やはりこういうものは国有鉄道は国有一本で、本来的な赤字の原因があるわけですから、そういう中でしていかないと、ここに書いてありますような、余りにも北海道を強調される余りに、北海道鉄道という新しい構想について非常に私は心配するのですが、そういうところの問題点について、以上の点について関係の公述人からお願いいたします。
○公述人(森本正夫君) 私は、一国民の立場で意見を申し上げましたので御了承いただきたいと思います。
 私はやはり考えたわけですが、まあ率直に申し上げまして、いま先生からも財政論的な形でどう見るかということですが、私、今回のは財政論だと思っていないのです。だから、収支のつじつま合せ論で、行政の広域性あるいは相対的に公共性があるとか、行政の効果という政策的な目的について価値観があるのか、もう本当に絶えず、やはりわれわれ税金を基礎にするということから成り立っている以上、この姿勢を絶えず推進していってもらう、その程度のことは当然のことだと思っているのです。ですから、もともとその収支のつじつまが合わないなんて議論をするのはすでに財政論じゃないという見解を私は持っていますのでさっきああいったことを申し上げたわけでございます。収支つじつま合わしたら結局二兆七千何百億だかが浮いてきた、まだそんな余裕があったのかというのが率直な、今回の限られた資料を見たところの感想でございます。あるいは言い方が間違っているかもしれませんが、私の聞いた数字はそうだったということで、そういうことになると、もうどこへ行って調べてもまだ日本は財政的にもまだまだ検討すれば十分将来も期待されるのだという感じを受けました。
 それからもう一つは、これは私ども補助金をいただくようになってから痛切に感ずるわけなんですが不正支出と権力、この運用というのはあれは法的な裏づけがあるのが本当はふしぎだと思うのですが、数年前に教えたのが役所にどっかりすわっておりまして、こちらは平身低頭してもらう立場にはなりたくないものだとつくづくそう思います。そんな感じからふだんの体験を含めて、批判的に申し上げたわけでございます。ただそれにしかすぎません。先生の御質問に十分答えられたかどうかはわかりませんが、私はこまかいことは本来的にやっていくべきだ、そういう立場から申し上げたわけであります。
○公述人(山内亮史君) もう少し開発問題についての掘り下げをという御指摘でございますので、端的に申し上げます。
 第一点は、北海道の場合の知事と長官という構造ですね。この知事と長官という構造を私どもは常に、なぜその知事の上に開発庁長官があったのかという政治的あるいは経済的というふうないろいろな背景等につきましてはいろいろ解釈が下されるかと思いますけれども、私の理解するところではやはり道内のある有力な新聞が、現在戦後道政史の中の連載をやっていまして、北海道の戦後史をやっているのでありますが、その中で、御指摘にもありますように、やはり最初民選知事をやってしまったら革新ができちゃったと。それで、北海道開発を全国的な国レベルから見たらどうなんだということがやはり一つの大きなきっかけになったのではないか。したがって、北海道というのは基本的に地方自治というのは中途半端な形でしか存在していない。これらがたとえば大規模開発、コンビナート開発等に見られるところのさまざまな入札なりこれに伴う企業あるいは金融業を含めた北海道の構造というものを果たしてきた。したがいまして、北海道の地方自治というものを確立する、これは内容的には、先ほど申し上げましたような税制度等を含めた問題が伴わなければ、先ほど藤島公述人が申しましたように、せっかく育ててあとは知らぬという形になってしまいますので、そのような立場からまず一つは知事と長官という自治の基本的な行政機椎について考えなおす必要がある。
 それから第二点は、これまでの開発を見ていますと、どう考えてもやはり予算が土木中心です。たとえば五十六年度の開発予算を見ますと、治山、治水、道路整備、港湾、漁港、空港とありますけれども、たとえば予算額のうち、直轄予算では住宅対策というのはゼロですね。補助では二百六十六億八千三百万。補助事業ではこれだけついているけれども、直轄事業では住宅対策はゼロ。下水道、環境衛生等については直轄事業はたった七億五百万という形になっておるわけです。そうしますと、結局相もかわらず経済波及効果が強いという住宅産業等の住宅対策等についての直轄費というのはゼロのまま、あとは補助でやっていくという形です。せっかくつくり上げたこれまでの土木がどういうふうに生かされるのかが欠けていると思います。そういった観点でたとえば特定開発地方推進費なんというのは直轄で二億五千百万が補助事業はゼロ、というふうな形でちょっと読み過ぎかもしれませんけれども、相変わらず国が北海道をリードしようとしている、国が北海道をという視点がどうしてもある。道民がわれわれがこういうように考えるということが表に出ない。
 それから第三点目でございますけれども、たとえば過疎なんてのも過疎振興法、山村振興法をつくったり、離島振興法等の中で北海道は非常にそれの対象地域というのが多いわけです。多い中で、今回のようなかさ上げ分の六分の一の引下げという形できますと、これが一つは多いということのほかに本当に過疎の振興ということを考えているのか、たとえば私にくっつけて申し上げますと、北海道に大学をつくっていくというのは、何としても私どもは東京に行って偉くなってくれ、あるいは札幌にきて偉くなってくれという形で人材をつくり上げたいと思ってないわけです。やはりくには旭川であればここに来て役にたってくれということを期待して教育事業をしたいと思うわけです。ところが、私大補助というものは、今回たとえば過疎ということになると、どうも道民の所得水準からしまして私大も何もつくれない。結局のところそうしますと、補助のあり方も、やはり配分を明らかに地方に傾斜させた形での補助のあり方とか、あるいは大学にそのまま補助金を出すのではなくて、個人個人の育英金に出すのだというふうな場合、その個人という措置を、全国一律な形での育英にしないで、やはりこういった過疎地における自治体予算、自治体建設、地域の教育もよくしたいし、個々の地域の主体形成を教育という形で存続させたいというふうな開発のあり方ということを考える。つまるところ、開発というのはこの地域の教育力と主体形成であろうというふうに私は考えるものであります。
○公述人(藤島範孝君) 御指摘がございましたが、かなり北海道は独立的な意識を持っているのじゃないかということでございましたが、事実、実はそういう気持ちを持っております。それはなぜかということは先ほど少し申し上げましたのですけれども、たとえば農業にしましても、今度の石炭の問題にいたしましても、実は全国ネットワークという方式をとってまいりました。やはり北方であるという位置、このために稲作の減反がより激しかったり、あるいはここは酪農にしなければいけない、草地改良が十分でないのに酪農政策が追いつかない。これはある意味では私は北の果てだとは申しませんけれども、末端に属する地域、こういうふうにしか理解できないことがままあるわけであります。石炭でも、実は二千万トン体制というふうなことを言うわけであります。大方半分以上、もう六〇何%はこれは北海道に課せられているわけです。ところが、それが本当に効率のいい石炭の掘り方かどうかなどということは、北海道自身がよくわかっていない、こういう実例を挙げると切りがないのでありますけれども、そういう施策の末端にいる北海道は、ある意味では、日本全域のことを考えると、北海道の中で経済を確立してあげなければ、日本全体が、これが問題が大きくなると、こういう意味を込めて私は申し上げました。北海道特例という言葉があります。沖縄も私は同じように考えております。したがって中央でも、北海道と沖縄に対してはやはりある意味で特定の地域だというふうに思っていると、こう考えておりまして、経済性の地域経済での確立のことで申し上げましたが、決して聖域、あるいは先ほど申し上げました地域的なことで中央から全く別の存在であるというふうなことは申しておりません。
 それからもう一つ、交通政策でありますが、御指摘のように、交通政策につきましては確かに日本全域の交通政策に対する考え方、こういうものが基本であったことは事実だと思います。あるいは社会経済の時の動きに即応した開放的な交通政策がなかったということも言われると思います。国鉄というのは赤字を覚悟でつけたというふうなことを申しておられましたが、確かに私もそういう意味では国鉄の役割りは決して変わっていないのだというふうに思っております。
 ただ、先ほどから申し上げましたように、北海道だけの苦労を考えて申し上げますと、やはり鉄道というものの重み、これが本州で考えられるような鉄道の域をすでに超えようとしており、生活と全く密着をしている、ある意味では私は生活交通路というふうに呼んでいいのだろう。それだけに深刻なものが北海道にはあるということを申し上げて、お答えになったかどうかわかりませんけれども、実情ということでお話を申し上げました。
○安恒良一君 ちょっといまの国鉄のところですがね。分割経営というふうにあなたのメモがなっていますからね。それだけ必要な鉄道を分割経営すると、物すごい道民に対する負担増になりはしませんか。ここをお聞かせいただきたい。
○公述人(藤島範孝君) 北海道だけで国有鉄道の分割的支配をしますと、これは大変道民にかぶる、こういうふうには私は覚悟をいたしております。そのかわりに、先ほどいろいろな産業で申し上げましたが、いわゆる北海道方式というような方式を実験させていただきたい。確かにかぶるのでありますけれども、そのほかの産業から出てくるところの余剰を使いながらやってまいりたいということであります。
○安恒良一君 いや、けっこうです。
○塩出啓典君 公明党・国民会議の塩出啓典でございます。
 本日は、御多忙の中を大変示唆に富んだ御意見をお聞かせいただきまして、心から御礼を申し上げます。
 最初に、森本さんにお尋ねをしたいと思いますが、すでに森本さんは北海学園の理事長として教育の現場につとに寄与されておる、こういう立場で教育への体験と、やはり教育は非常に大事である、しかもこれは一朝一夕にできたものではない、そういう御意見は私も賛成であります。しかし、いわゆるそういうハードウェアというか、建物とかあるいはまた教室、一学級の人数とか、そういうものだけですべてが解決するわけではなく、やはりいまの日本の教育についていろいろな問題があるんではないかと思うのですが、そういう点で特に理事長としてどういうお考えを持っておるか、これをお尋ねしたいと思います。
 それから次に山内さんには、恐れ入りますが、山内さん御自身が、「村を捨てる大学」に対して、「村とともに考え村を育てる大学」、こういうことで旭川大学において身を挺して頑張っておられる、こういう姿勢に私は非常に深く共鳴、敬意を表するものでありますが、しかし、現実は、あなたがお述べになったように、北海道というものはいろいろなデータから見ても、まあ前進はしていない、いままで過疎対策をやってきたけれども、逆に過疎は進行している、こういう現状であります。で、私はあなたの御趣旨は、そういう状況であるのにさらに過疎切り捨てとは何事か、こういう御意見だと思うのですけれども、じゃ一体いままでの続きをやればいいかというとそれでもいけないわけじゃないでしょうか。それではいけないという御意見もあると思うのですけれどもね。そういう意味で、非常に抽象的かもしれませんけれども、今後の北海道対策として、新しい、こういうことをすべきだという御意見――まあ先ほどの大学に対する助成にしても、全国一律の基盤でなく、もうちょっと濃淡をつけるべきである、これも確かに私は非常にいい御意見だったと思いますが、そういう点も含めて何か御提案があればお聞きしておきたいと思います。
 それから藤島さんにお尋ねいたしますが、先ほど安恒委員からもお話がありましたように、北海道は独立というか、そういう地方自治という、中央集権ではなしに、やはり北海道には本州とは違ういろいろな経済情勢、いろいろな情勢があるわけで、その意味では私たちは今後の方向としては何もかも中央で一律の尺度で見るのではなしに、中央の尺度に地方を合わせるのではなく、北海道の尺度に中央がむしろ合わせていく、こういう方向でいくべきではないか。そういう意味で私は先生のいろいろな御提案には非常に共鳴する点が多いわけでありますが、そういう点で、先ほどから非生産部門は国でやる、生産部門をやはり地方に移すという、そういう生産部門、非生産部門というのをそれじゃどのようにお考えになっているのか、それをお尋ねしたい。
 それともう一つは、いまは財源は国の方に七割、地方に三割、仕事は地方が七割、国が三割と、こう言われているわけでありますが、そういう地方行政を推進し、さらに地方分権を進めていく場合の財源の問題についてはどのようにお考えになっているのか、それをお伺いしたいと思います。
○公述人(森本正夫君) 塩出先生に、時間の制約がございますので、要点のみお答えさせていただきたい、お答えできることでお許しいただきたいと思います。
 いわゆる今日の日本の教育問題がどういうふうに行われているかという、非常に大きな問題の御指摘がございました。私はいまの置かれている日本の位置づけから見ると、量的な拡張の時代は終わり、画期的な質的な充実が公私の別なく問われるという受けとめ方をしております。特に今日日本は経済的な評価については確かに一定の評価を国際社会で受けていると思います。しかし、教育的評価となりますと、特に質ということになりますと、私は特に国際交流の活発化する中でいろいろ考えてみますと、まだまだこれから先われわれが努力を続けていかなければならないというふうに考えます。
 それから、国内的な問題としまして、これは量的な問題につきましては、やはり世界有数の、たとえば進学率の向上、たとえ義務教育ではありませんが高校はほぼ一〇〇%に近い形で、施設さえあれば入れ得るキャパシティーを持つ。先生御指摘のハードな面はもうでき上がっている。高等教育につきましても、世界有数のところまで、水準まで来ている、そういうふうに認識しているのでありますが、やはり質ということ、あるいは教育の現場の問題として考えてみますと、やはり経済よりも優先すべき問題として、まあ企業は人なりと言いますが、事業もそうだと思いますが、社会経済にしても、政治にしても何にしても同じだと思いますが、やはりすぐれた人材の養成が必要だというふうに私は考えております。
 それじゃそういう視点から教育現場を見てみますと、いろいろな形での価値観の多様化が出ているのがひとつ残念だと思っております。
 第二次世界大戦後のアメリカ、それが正しかったかどうかの評価は別といたしますが、ともかくおしつけのような形であったことは確かだと思いますが、アメリカがいわゆる日本の民主化と自由社会にするぞという形で、制度を、彼らが実際にはやっていない制度をわれわれのところへいろいろ持ち込んできたわけでありますが、しかし、それはそれなりに私はいいと。いまその当否をめぐって議論はございますけれども、長年の間にそういう中で自由競争原理を生みまして、社会づくりをやろうという形で今日まで進んできたわけでありますが、しかし、余りにも急成長したために、残念ながらその過程の中で多くの問題を抱えたわけであります。つまり、教育を大きく分けまして、智育、徳育、体育というようなことの総合バランスというようなことをよく言われますが、まさに私はそれに芸育というような言葉を掲げておりますがそういったことの総合バランスが崩れて、しかもやはりそこには金のある者ほど塾に通わせ、そして競争に勝っていく、それが果たして本人にとって幸福かどうかの判断もなく、あるいは家庭教育の破壊も伴いながら、いろいろな形で問題が出てきておる、派生していると私は思います。そうした問題も含めて、今後私どもは真の本来の教育をどう実現していくかというのが課題になっているというふうに私は認識しているわけでございます。
 以上、お答えになっているかどうかわかりませんが、申し上げました。
○公述人(山内亮史君) 塩出先生の御指摘にお答え申し上げます。
 いままでの開発計画というものを、それでなくても過疎になってきたときにそれじゃそれをやめればいいかどうかというふうな御指摘かと思いますが、たとえば私は、北海道というところはどういう形で考えていくのかという点について何点か説明するとしますと、まず第一点は、先ほど指摘しましたように、産業基盤の整備というものがやはり生活関連環境整備なり、地域振興対策なりとリンクするような形での産業政策の転換というものを考えないといかぬのではないか。それはやはり国の経済状況に北海道というものは関数として動き過ぎた。それはたとえばいま米の減反政策は、食糧基地だということで、去年から道北地方では九%の減反を強いられている。こんな例一つとってみても、たとえば日本の産業政策は、非常に荒っぽい言い方をしますと、畑をつぶして全部道路にして、そこに自動車を走らせて高度成長を遂げてきた。こういうような基調になる高度成長の仕方みたいなことを北海道に当てはめるということは、この際やめていただきたいのです。つまり、結局産業政策を北海道の地域性なり、産業の特色を生かした形での政策転換というものをひとつやることが必要ではないか。
 それは、たとえば先ほど言いましたようなアグリビジネスというか、おすの牛が生まれたらそのおすの牛の革はどうするのだ、これを塩づけにして関西の皮革会社に持っていくのじゃなくて、その地域の中でどういうふうに皮革加工ができるのかというふうなことの、たとえば試験場をここに設置せいとか、あるいはそこの村の青年たちにそういった意味の工場なりあるいは養成機関なり、研究所なりを青年たちがそこにいてやれるというふうなことの産業政策の転換というものが第一かと思います。
 それから、どうしても北海道の場合は、補助金を含めてのことで、上からお金が来るものですから、道民の意思の中に、自立するというよりはむしろ受益者に転化する、もっとくれとなる。このもっとくれというふうな形で道民が受益者化していくということを、何としても主体形成の面で、これはもう教育になると思うのです。そうしますと、たとえば北海道の二月の子供たちは、どうしても学習指導要領が全国画一化していますので、これを法的に画一的にこの職員室で見せようということになると、北海道の二月の子供に菜の花の指導をしなきゃならぬ。雪の降る中で菜の花の指導をしなきゃならぬというような教育のあり方、これもやはり地域の特性を生かした形で、教育の地方分権みたいなことがなければ、真の道民なり地域の主体性というものにはならないだろう。この意味で、教育の中央集権というのは大きな再検討期にあり、地方振興の立場から考えなければならないと思うのです。
 それから、これをさらに具体的に今回の行革について申し上げますと、たとえば道の、札幌市の六分の一カット分、これはもちろんいわゆる山村振興法なり、離島振興法なりにも適用される六分の一カット分、これは地方の起債で見るというわけでありますが、こういったカット分については、これまでにもすでに過疎になっているわけですから、それは利子補給も含めて、そのカット分というのは国の、ないしは国が肩がわりというふうな形でいかないと、バランスのとれた国土の形成というものは、中央の立場ではできないのではないかというふうなことですね。これはどうしても今回の行革の中で考える必要があるのではないか。
 それからもう一つは福祉で、ちょうど施設は国、中小施設については道、あるいは相談業務については市町村というような形で申し上げましたけれども、たとえば北海道の医療システムなんかを考えてみますと、隣り合わせの過疎の町村も必死になって町民対策のために町立病院をつくる。しかし、町立病院が競ってつくられても医者がいないというふうな問題ですね。こういった面での福祉のネットワークなり、医療なりというものの中に、どうかひもつきにしないで、地域がこのあたりでもう少し自主的、実質的に医療ネットワークや福祉ネットワークを考えられるような、許認可権を地方におろす問題、こういった点の再検討、こんなことがとりわけ北海道の場合には要求されるのではないかというふうなことが考えられるのじゃないかと思います。
○公述人(藤島範孝君) 御指摘いただきました、非生産部門とは何をさすのかというふうなことでございます。
 あるべき国家像とあるべき社会像、こういう未来像が決まっていない、あるいは形をとっていないというふうなことでありますと、この未来像に関連をするということで十分な形で答えなければならないものというふうに思っております。私は教育に関する分野あるいは福祉に関するもの、安全に関する分野というのは、これはある意味では生産的でない、こういうふうに思っております。これはもちろん国家が一つの未来像に向かって地方に譲渡できるものは譲渡するわけでありますが、しかし、一般的に国家の像として決められるべきものでありますから、これを早く決めていただく、そういう意味の非生産というふうなことを申し上げました。
 それから地方――まあ北海道だけでいろいろなことを考えているけれども、地方分割ということで一体財源はどうするのだということがございます。たしかに、そういうものはこれから考えていかなければならないことでありますが、逆に私に言わせますと、北海道というところは、いまに形を変えてわからなくなるに違いない、流通機構の中で。ところが、本を一冊買うときでも、地方売価として売られております。上乗せがあるわけであります。これは諸物価についていままでも同じようにして上乗せがある状態であります。つまり、ある意味で私は中央から収奪されているのだというふうな厳しい表現をいたしております。
 こういう形ではなかなか北海道は独立できません。あるいは北海道というものが経済的な独立を考えてもできない。そこで私は、先ほどと重複しますけれども、経済性を確立し、地域性の経済を確立するための独立という意味ではありますけれども、注文制度をとってくださいというようなことを申し上げているのです。つまり、北海道でできるものを、本州で、内地で必要であればその注文に応じてつくっていく。それからさらにそれが内需につなげる、北海道だて内需につなげていく方向、これがある意味では注文生産制度だというふうに思っております。本当に必要なのかどうかわからないでいままでやっていたというのが実情ではないかと思うのです。
 それと同時に、先ほど申し上げました各省庁間におりておりますいわゆる特殊な権利は、林業のことも漁業のことも申し上げました。こういう特殊な権利については、実際北海道内では一部の業者との関係でしかない状態であります。これも私どもは北海道が預って、それで言うならばこれに対して入札権を持ちながら財源を見出していく方法はないのかどうか、そういう形で自治権を移譲してくれないのか。ある意味では政治的なことを含めてでありますけれども、そういう考え方を搾っております。
○市川正一君 私は日本共産党の市川でございます。
 きょうの公述、御苦労さまでございます。私は時間の関係もありますので、個別に問題をという形で、また、個々にどなたにという形でなしに、総括的に私の見解も含めながら申し上げますので、そのすべてにお答えをあえていただけなくてもけっこうですから、私はこういう機会に諸先生の御見解もぜひ承りたいと思うのです。
 まず第一は、理念ということからの問題であります。いみじくも山内先生は最初に、理念に賛成であり本質に反対であると、まことにうがった評価をお聞かせ願ったのですが、なかなか私は含蓄があると思います。藤島先生も、メモを拝見いたしますと、「行政改革の本来の目的は、行政事務・機能簡素化、国民が公正な福利を享受することにある」、こういうふうに指摘がありました。私どもの共産党も、むだや不正のない、そして簡素で効率的な、また公正な行政の確立というのが、これが国民の願いたし、私どもの立場でもあります。
 ところが、実際に今度出てまいりました臨調答申、それに伴うところの今度の行革法案が果たしてそういうものなのか。いうならば、言葉の上ではそうであっても、たとえば臨調答申には、御承知のように二つの基本理念と申しまして、国内的には活力ある福祉社会の実現、対外的には国際社会に対する貢献の増大というふうにうたっています。しかしその場合、中身は一体どういうことなのかということがいまや問題になっていると私は思うのです。私はそういうものの背景には、やはり率直に言って財界の大きな理念、これがやはり貫徹されている。
 御承知だと思いますが、財界の長老である櫻田武氏が会長をやっておられる産計懇、これが二月に行政改革に対する提言を発表しておりますが、その中に、まず政府が何をなすべきかということの政府の理念について明確にする必要があると。そして三つ挙げておりまして、簡単に言いますと、政府としてなすべきことがある、それは外交だとか防衛だとかあるいは法的秩序の維持だと、こう言っています。それから二番目に、政府としてはなしてはならないことがある、それは何かと言えば、たとえば強いて物価を抑制しようとすることだと、こういうのです。三つ月に、条件つきでやっていいことがある、その条件というのは、国民的合意と財政的余猶があれば、たとえば老人福祉などはやっていい。こういう三つのいわば理念を提起して、そしてそれらの結論として、財政事情を踏まえて第一の順位を与うべきものは防衛費だ、これが結論なんですね。そうしますと、私はこれらは決して日本の財界のいわば発見した理論じゃなしに、すでにレーガンがやり、それでイギリスでサッチャーがこれを言っているわけですね。そしてルーズヴェルト以来アメリカがとってきたニューディール政策は、もう御承知のように放棄して、そしてレーガンの「小さな政府、大きなアメリカ」という路線を展開をしている。そうしますと、経済については国が介入するな、財界に任せると、いわばそういう理念が全体として貫徹していると私は思うのですが、先生方の御見解はいかがであろうかという問題なんです。
 それから、私はこれと関連して、選択といいますか、価値観の問題が二番目に出てくると思うのです。いわば、じゃそういう立場で財政再建をするという場合に何を削るのか、何を選ぶのか、この中に聖域があっていいのか、こういう問題が問われてくると思うのであります。私はそういう点では、等しく痛みを分かっと言いながら、痛みを分かたない部分、たとえば私は防衛費、たとえば財界というものがあっていいのかどうか。先ほど森本先生も防衛費の問題について全然論及していないじゃないかという御指摘がございましたけれども、私は読売の最近の世論調査、たとえば削るべきものの第一は防衛予算であるという論が五二・三%ある、その反対に削ってならぬものは福祉であり、教育であると。一方で国民のこういう価値判断、こういう理念があり、他方で臨調答申の理念があるという場合に、私はあえて、たとえば社会保障の問題で憲法の第二十五条――もう私は読み上げませんが、そういう福祉だとか社会保障というのはこれは救貧対策、貧乏人対策ではなしに、やはり国民の権利だ、そういうものを、そしてたとえば児童手当もある、たとえばそういうものとしていろいろな社会保障制度があるのだという立場に立って選択を行うべきなのかどうか。
 教育の問題もそうであります。私は賛成論の立場で公述なさった森本先生も、私学行政の問題を含めて教育の問題を論じられている。私は決して論争する意味ではありませんが、塩出先生は、一学級の生徒数だけで教育は決まるものでないと、こうおっしゃったけれども、しかし、非行の問題、落ちこぼれの問題が非常に深刻なときに、だからこそたとえば一学級の四十人定員の問題などもややこしい問題になっていると思うのですが、第一特別部会、これは最近議事録がいろいろ出ております。ここだけ読みますと、「私立大学助成費については大学学部等の新増設の抑制、補助対象の限定、増額配分の禁止等により、総額を前年度と同額以下に抑制する」、こういうふうになっておりますけれども、私はこういう議論の中で、日本の大学の進学率が高過ぎる、だから抑えろ、だからカットせよという議論が行われてくると、最近の毎日、朝日、読売などの議事録で散見するのでありますが、こういう問題というのは理念に関連して選択の問題はどう考えるか。
 最後に私は、同時にこれはまたすぐれてローカル的な問題でもあるというふうに思います。私は藤島先生ほど強烈にではございませんけれども、北海道をどうするのだ、道民の生活に対する影響は今後どうなるのかという問題をやはり切り離しては考えられない。私はそういう点で山内先生が、戦後の北海道開発は一体何だったのだという問題を提起されておりますが、私はそういう点で、北海道における公共投資のあり方、これはやはりこの際に検討すべき時期にあるのじゃないか。
 たとえば五十七年度の概算要求を見ますと、苫東の開発関係の予算は、前年度比三〇%も伸びているのです。ところが、苫東の開発は、進んでいるのは港湾だけなんです。当初予定した企業の進出は全然ない。けさほどいすずがどうのこうのというようなお話がございましたけれども、いままで公式にはございません。第三セクターも赤字を出している。そういうところへどんどん注ぎ込むのではなしに、全国的に見ても非常におくれている北海道の市町村道、そういうものの整備だとか、あるいは住宅だとか、下水道の整備。先ほど山内先生も、経済効果の面から申されましたが、こういう道民生活に密着した分野にもっと投資をして、中小企業や地場産業にそういう形で活力を持つような、いわば生活密着型の公共投資がいま求められているのではないか、こういうふうに私は所存をいたすのでありますが、以上私は総論的に申し上げましたので、何かお答えを、全部でなくてけっこうでございますが、いただければ幸いであり、十分でございます。
○公述人(森本正夫君) いま市川先生から四点御質問がありましたが、時間がありませんので基本的な考え方だけ申し上げたいと思います。
 財政と国防との関係は、これはもう資本主義社会ではあたりまえの話でございまして、いまさら問題にする方がおかしいのじゃないかと私は思います。それはもう御指摘のとおりでよろしいのじゃないですか。そうでないというのはかえっておかしい。
 財源という表現はちょっと漠然としておりますが、先生の言葉を使わしていただければ、経済発展の中で御指摘の点はあたりまえで、問題のないことであります。そのいい悪いはまた別のことでございます。
 それから第二点の価値観の問題であります。先生のおっしゃる私学助成の問題でありますが、私が言いたいのは、基本的には日本の第二次世界大戦後の大きな国際社会の経済発展の原動力は教育を大事にしてきた、特に高等教育についてみますと私立大学が八〇%を占めております。大蔵省のデータの中で今回の行革関連の資料で見ましたら、私大助成にこれだけ出しているとかいいますが、それも一つの見方です。しかし、彼らの言うのは、もしこの八〇%を占める私立大学が存在しなかったらすなわち今日の日本があったかどうか、これはどなたも御承知でいらっしゃいまして、私は一定の貢献をしたという考え方に立って現場で歯をくいしばってやっているつもりです。こういう趣旨に立っておりますので、単なる財政のつじつま合わせだけでは考えていただきたくないのだという気持ちを申し上げたわけであります。
 それから大蔵省の資料ではわざわざ確認しまして、まあ役所からいただいたのでありますが、私学の子弟は金持ちだということがありましたが、これも一部の証拠でちょっと国民をまどわすようなデータを税金を使って印刷してわれわれにまで配らなくてもいい。これは一目瞭然なことで、前段にも申し上げますとおり、親たちは決して金持ちはごくごくそれは一部の人のことで、親たちの大半は生計費を切りつめて教育に当たっているのです。その重い責任を私らは担っているのであります。
 それから国防問題でありますが、北海道開発によって北海道の人口を一千万人に持っていけば歴史的に見て一千万人の国民を侵略してきた例は長期的にはございません。という考え方を持っておりまして、あまりいまの国防、自衛隊がどうのこうのという論議もしたくない。しっかりした日本人であれば侵略されないという確信を持っております。また私もそういうことを考えておりますから、侵略にはいつでも対応しようという気持ちを、そういう心を持っているということだけ申し上げまして終わりたいと思います。
○公述人(山内亮史君) 何点か申し上げます。
 まず一つは防衛でございますけれども、これは地域の構造が日本の場合防衛に適していないようにつくり上げてしまった。東京やその他の都市にばかり人口が集中するという産業形態をつくって、あとからそれを最終的には兵器を持たないと守れないというところまで防衛を考えていくという事態がおかしいわけで、まさに防衛をきちっと考えるとすれば、バランスある地域の確立をする。東京に一発落ちたら全部おかしくなるような、日本の中枢がだめになるような国土のつくり方をしてきたところにこそ、防衛をおかしくさせてきた原因があるのではないか。これは防衛の立場から考えても、バランスある北海道の人口、開発ができるような安全ということはその面からも言えると思うのです。
 それから、どうも財界の中でも、ケインズ型の財界人とフリードマン型の財界人に分別できるように思うのです。古い型、櫻田さんのような七〇以上のお年寄りはまだフリードマン型の国家の抑制のもとでこれはやってくれるな、国家はこれだけやれというようなものの言い方をするのはおかしいので、ぼくはこれはケインズ型の基本的な定着こそあの戦後の繁栄だったわけですから、これとインフレをどうするかという形で新たな課題にあることは確かですけれども、どうかこの財界なり政府・自民党が、これからまた古いフリードマン型の経済政策をとりだして、いわゆるレッセフェールみたいなことを十九世紀的な自由主義の経済があたかも日本にあるようなことを言っていくこと自体が非常に危険なことではないか。その意味で、ある面での経済合理性というものを何とか大蔵省なり政府・自民党はとっていかないといけないのじゃないか。
 といいますのは、やはり産業構造の中に軍需産業というものを一旦とり込みますと、これはまさにアイゼンハワーが最後のお別れの演説で言ったように、まさに産軍複合体制というのは動かすことができないのだ、こういうそれはもう日本の産業構造の中に入れちゃうとそれはもう手直しがきかなくなるのだということを非常に危機として言いますね。ここのところをやはり考えないといかぬ。つまり、別な言い方をすれば、レーガンというのはやはりカリフォルニアの軍需産業をバックにして出てきたものですから、結局はそこのところを動けなかったということだと思うのです。もう武器をとにかく使っていかないことには国の産業も成り立たない、そういう形にぜひならないように、日本はここまで来た戦後の一つの理念なり憲法のもとにおける経済政策というものも確信を持って進めることが当面必要になるのじゃないか。
 それからもう一つは、福祉というのはいわゆる救貧法的な、プアロー的な形で何とか助けてやるのだ、こういういわゆる叙位民を対象とするような福祉じゃなくて、これは生産力政策なんだ、基本的には社会化するのは必然なんだと。どうしてかというと、国民生活が皆畑から切れて皆いわゆる労働者になっていくわけですから、そうである以上、これらに伴う労働者問題なり福祉政策というのは社会化していかなければだめなんだというのがやはり基本的な視点です。
 そうしますと、いわゆる社会福祉なり社会政策というものをやはり総資本の立場に立って国家が労働力をどう保全し、培養していくのかという生産政策があるがゆえに、それはむだなことではなくて、それ自身が国家の基本的な労働力の培養になり保全になるのだ。これはやはり基本的に資本主義が、日本国家が今後いくべき道の一つの前提的条件になっていくということは、もはやわれわれの立場からすれば常識になっていくわけで、その意味では福祉を切り捨てるというのはかえって日本を危うくするのだということを申し上げたい。以上であります。
○公述人(藤島範孝君) 幾つかの御質問があったようでありますが、ことに安全の問題について私なりの考え方を申し上げたいと思います。
 北海道は知らないうちに北海道脅威論などということが出てまいっております。北海道自身が特に安全性が必要ではないかとか、あるいは防衛体制を考えるべきではないかというふうな議論が最近盛んに行われたことがございます。しかし、山内公述人も私と同じような考えを持っていたと思われます。そして防衛というのも聖域ではないといった考え方を持っております。聖域にするのであれば北海道を聖域にしてほしい。
 そういう意味では防衛が本当に必要なのかどうかという基礎的な議論がない。つまり、先ほど申し上げた、国家像というものがもっと出ていないということで、われわれは安全性をどこに求めていいのか、これにとまどうばかりで、それからかつて行ってきた重工業政策がいま水ぶくれになっているのだというような言い方をするわけであります。これについても、一体どの点がどういうふうな形で必要があるのか、必要でないのか、こういう必要性の問題が議論されていない、こういうふうに考えていくべきかと思います。それで、ある意味ではその時代錯誤がいまも生きておるのではないかという気がするわけであります。その意味で、安全につきましても私はほかのことと同一に扱うようなことを考えていただきたいと思います。
○市川正一君 ありがとうございました。
○森田重郎君 新政クラブの森田でございます。
 きょうは森本先生、山内先生、藤島先生、御多忙な中をお越しいただいて大変ありがとうございました。私も時間は十五分でございますので、なるべく簡単に三点ほどお伺いいたします。
 まず、森本先生にお伺いいたしたいのでございますけれども、実は森本先生の御公述要旨をずっと拝見しておりました。先ほど来お話を伺っておりまして、私もまさに先生と同感なんでございます。全く同感というような気がするのでございますが、私かつて行革委員会におきまして何回か政府答弁を求めたのですけれども、今回の行革が、先生のおっしゃるように、全体像を全く欠いておるので、よってもって立つところの映像というものがわれわれ国民に決めかねる点があります。ところが、財政改革と申し上げるか、五十七年度、来年度予算の編成にあたっては目的があるのですね。というのは今回のこの法案の実態を見ましても、行政改革を推進するため当面講ずべき措置と、だから、言うなれば本来の行革法案というのは、行政改革推進委員会の法案であるということで、行革が目的になって、そしてこの法案自体は言うなれば手段になっている、そんな感じがするわけですね。
 そこで先生にちょっとお伺いしたいことは、先生の描いておられる行革の全体像、そういうようなものについて多少具体的に何かお示しいただける点があったならばそれをお伺いしたい、かように思います。
 それから山内先生には、現在の北海道開発庁の役割り、機能、もちろんこれは法律にはっきりしていることではございますが、われわれが現在言っております、また行革、行革とさわいでおりますが、その行政改革という考え方の中でどうしようと、同時にまた開発庁との役割り、機能、そういったような点につきまして何か具体的にお考えがございましたら、それをちょっとお聞かせいただきたい、かように思います。
 それから藤島先生には、私これはもう安恒委員がまさに鉄道関係の専門家でございまして、私たちの遠く及ばぬところでございますが、私自身はやはり国鉄が昨年度一兆八十四億円の赤字を抱えており、五十五年度までの累積赤字が六兆五千億、十四兆もの債務を負っている、それにまた東北新幹線、上越新幹線が来年度相ともに開通する、これが単年度で完全開業をした場合には、おそらく四千億から四千五百億ぐらいな赤字、来年度でも、これは不確かな数字ですが、おそらく二兆四、五千億ぐらいの赤字が予想されているのじゃないか。まあある意味では、そういう意味からしますれば、結局行革の一つの目玉というようなことにもなるのじゃないか、そんな感じがしてならないわけであります。したがいまして、私は先ほど北海道鉄道の話が出ましたが、やはり好むと好まざるとにかかわらず分割運営であるとかあるいはまた第三セクター方式であるとか、こういう問題がとり上げられてこなくてはならない、何かそんな感じがしてならないのです。だから、中央の役割り、機能、それからまた地方行政とのかかわり合いの中で、結局こういう問題が起こるべくして起こってきたというような感じがしてならないわけですが、北海道鉄道の問題に関しましてもう少し普遍的に御説明いただける点があれば、その点をあわせてお伺いしたいと思います。
 以上でございます。
○公述人(森本正夫君) 森田先生の御質問に対しまして柱だけの意見を申し述べることをお許しいただきたいと思いますが、まず、今度の行革の中の問題として私は三点ほど申し上げました。さらにお尋ねがあれば申し上げようと思っておりましたけれども、一つは中央政府が画一的にものをやった場合に、産業政策、経済開発の問題が非常に不明確です。これは地方の論理からいっても産業政策の上から見ましても中央中心でやられましては、それでなくても開発途上にある北海道とかあるいは他の未開発の地域からみますと開発の主導性が不明確だということであります。経済効率の面から言っても、地域政策をもっと明確にし、あるいは産業、企業の立地条件といったものの展望を確立する必要があるということが一つ。
 それからもう一つは、絶えず問題になるのは自給の構造でいくのか、つまり国内市場の活用でいくのか、貿易に依存して海外市場でいくのか、こう言ったことの政策的な調整が必要だというふうに思います。今日のように中央に全権限が集中しまして、そこで全くコントロールされますと、地域経済に与える影響が非常に大きいわけでございます。その辺の見通しというものを確立していただきたいというのが一点でございます。まあいまのところは市場政策も含めての検討をしていただきたい。
 第二点はやはり私は教育の問題のように考えております。さっきも答えましたのですが、これは人づくりの効果、この点を重要視していただきたい。説明はちょっと省略させていただきます。
 それから第三点は、日本のあるべき社会像あるいは国家像を確定した上で、福祉あるいは次の世代あるいは二十一世紀におけるまでの将来的な展望に立ってこういう中にも福祉政策をきちんと確立するといった問題を持っているということであります。
 それから第四点は安全の問題でございます。これについては防衛、外交、こういったものについても確たる哲学が必要じゃないかと思います。先ほど公述人のどなたかからも出ていましたが、北海道の防衛論、これはもともとメガロの視点から考えていただきたいのでございますけれども、ここだけ危い危いと言っていたのでは、これは国防にならない。平和でいきましょう、いきましょうという外交姿勢というものが必要なんです。そのためには私は一介の民間人ですが、海外に行った場合、大使館に行きますと、いかに日本のそういった政策判断、情報網が遅れているか、先生方は公的な方ですから、あるいはそういうことはないだろうと思います。その情報網の充実がなくして平和でやっていこうというようなことはあり得ないことです。むしろ国内問題より国際上の観点から、ひとつ情報網の充実を図っていただきたい。
○公述人(山内亮史君) 開発庁と道との役割分担につきましては、いまのような形での開発計画が進められて以来、生活関連の立ちおくれとか、社会資本のストックの足りなさとか、そういったことをやはり大幅な国の資金を導入する上では開発庁は必要であるかと思います。その際でも大幅なやはり事業計画の企画立案等については道に負担していただいて、国の産業政策との企画の調整機能は開発庁が国との関係でやっていくという形にだんだん機能分化して、やがては開発審議室というふうな形で発展的解消を図っていきたいというのが私の考えてあります。
 といいますのは、一体本当に本気になって北海道開発庁というものを政府は考えているのかということを、私は一道民の立場で申し上げますと、長官、つまり大臣の任期期間というのは本当に一年数ヵ月ごとにもうかわっていく。しかも、これは国家公安委員長なり自治大臣の兼任というものが非常に多くて、これはあれかもしれませんが一道民の立場から申しますと、ここ数年の開発政務次官というものは、安西愛子さん、山口淑子さん、一竜斎貞鳳さん、これらの方々の見識というものを私は毫も疑いはしませんけれども、一道民として客観的にこれを見たときに、一体北海道開発政務次官というものは、大事な北海道開発庁を、北海道のことをわかっていらっしゃるのかなと思うのです。そんなところを考えますと、本当に真剣になって考えているのかということを、一道民としては率直なところこういう感想を持つわけなんです。
 そんなわけで、発展的解消という立場から役割分担ということを考えていきたいというのが私の正直なところであります。
○公述人(藤島範孝君) 御質問にありました国鉄の問題でありますが、これは私の考えだけでございまして、具体的にどういうようなところまでいっているというふうなことでもございませんので、こういう考え方もあるというふうに聞いておいていただきたいと思うわけであります。
 私は、北海道における国鉄は、一つはいわゆる第三セクターの導入を図るということ、それからさらには北海道開発庁が音頭をとり、北海道庁が――北海道長官がもともと北海道の開発にかかわってきたところでありますから、したがって、この二者が中心になりまして鉄道を運営する方向に持っていっていただきたいというふうに考えております。たとえば青森から函館までのところは第三セクターなり、公団なりが運営をしていく。さらに採算のとれる貨車、やはり貨物を運ぶ場合はやはり地方の第三セクターなりにまかせる。客車は北海道開発庁なりあるいは北海道庁が合体をした形で運営をしていく、こういうふうに細かく分けながら全体的に運営していく方法はどうかなと。殊に実現は、いまから考えても大変むずかしいというふうに思うわけでありますが、それもこれもある意味では北海道民の自主的な活力、それをまたなければいけないのだというふうに思っております。
○森田重郎君 ありがとうございました。
○主宰者(嶋崎均君) それでは、以上をもちまして質疑を終わります。
 一言御あいさつを申し上げます。
 公述人の方々には、それぞれのお立場から貴重な御意見をお聞かせいただき、まことにありがとうございました。
 皆様には、御自愛の上今後一層の御活躍を心からお祈り申し上げる次第でございます。本当にありがとうございました。
 おかげをもちまして会議は滞りなく終了いたしました。これもひとえに本日御出席くださいました公述人各位の御協力のたまものと感謝申し上げる次第でございます。また、本地方公聴会開催のため、種々御高配、御尽力を賜りました北海道管区行政監察局を初め、関係者各位の絶大なる御協力のたまものと存じております。ここに派遣委員を代表いたしまして、厚く心から御礼申し上げます。
 傍聴人の方々にも長時間にわたり御協力まことにありがとうございました。
 これにて札幌地方公聴会を終わります。
   午後三時十五分散会
     ―――――・―――――