第096回国会 大蔵委員会 第2号
昭和五十七年二月十六日(火曜日)
   午前九時四十四分開会
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   委員の異動
 十二月二十三日
    辞任         補欠選任
     山中 郁子君     近藤 忠孝君
 一月二十二日
    辞任         補欠選任
     福間 知之君     赤桐  操君
     大木 正吾君     丸谷 金保君
 二月九日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     小笠原貞子君
 二月十日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     近藤 忠孝君
 二月十六日
    辞任         補欠選任
    大河原太一郎君     福田 宏一君
     初村滝一郎君     関口 恵造君
     多田 省吾君     中野 鉄造君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         河本嘉久蔵君
    理 事
                衛藤征士郎君
                中村 太郎君
                藤井 裕久君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                嶋崎  均君
                鈴木 省吾君
                関口 恵造君
                塚田十一郎君
                土屋 義彦君
                福田 宏一君
                藤井 孝男君
                藤田 正明君
                赤桐  操君
                鈴木 和美君
                丸谷 金保君
                和田 静夫君
                多田 省吾君
                中野 鉄造君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
                野末 陳平君
   衆議院議員
       大蔵委員長代理  粕谷  茂君
       大蔵委員長代理  伊藤  茂君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       大蔵政務次官   増岡 康治君
       大蔵大臣官房審
       議官       矢澤富太郎君
       大蔵省主計局次
       長        西垣  昭君
       国税庁直税部長  吉田 哲朗君
       農林水産省経済
       局長       佐野 宏哉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       農林水産省経済
       局統計情報部作
       物統計課長    藤井  薫君
       農林水産省農蚕
       園芸局農蚕企画
       室長       近長 武治君
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  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
○農業共済再保険特別会計における農作物共済、
 畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払
 財源の不足に充てるための一般会計からする繰
 入金に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○昭和五十六年度の水田利用再編奨励補助金につ
 いての所得税及び法人税の臨時特例に関する法
 律案(衆議院提出)
○派遣委員の報告に関する件
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○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る一月二十二日、福間知之君及び大木正吾君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君及び丸谷金保君が選任されました。
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○委員長(河本嘉久蔵君) 租税及び金融等に関する調査を議題とし、財政及び金融等の基本施策について渡辺大蔵大臣から所信の聴取をいたします。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 今後における財政金融政策につきましては、先般の財政演説において申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。
 現在、欧米先進国の多くは、依然として二けたのインフレとそれに近い大量の失業に苦しむ等経済面できわめて困難な事態に直面しております。特に、失業の増大は治安の悪化を招き、国民生活を不安に陥れています。
 一方、わが国の経済は、良好な実績を示しております。
 すなわち、物価上昇率は四%程度と先進諸国の中で最も鎮静化し、失業率も二%台と最低となっております。
 景気については、内需の回復の足取りは緩慢でありますが、今後は、次第に改善し、明るさが増してくるものと期待されます。
 国際収支については、経常収支は昨年四月以降黒字傾向にあります。これを背景として、欧米諸国から貿易不均衡の是正を求める声も高まってきております。
 このような内外経済情勢のもとにおいて、私は、特に次の点を基本的課題として今後の財政金融政策の運営に当たってまいりたいと考えております。
 まず第一は、引き続き物価の安定を基本とし、国内民間需要を中心とした景気の着実な回復を促進することであります。
 物価の安定は、国民生活安定の基本であり、今後とも、財政金融政策を通じ、物価の安定に努力してまいる所存であります。
 景気については、その着実な回復を図るとの見地から、昭和五十七年度予算においては、厳しい財政事情のもとではありますが、住宅建設の促進を図るため、住宅金融公庫の融資枠の拡大、税制上の措置等の施策を講じております。公共投資につきましても、財源の効率的配分、地方単独事業の拡充、民間資金の活用等により事業量の確保に努めております。
 また、金融政策においては、一昨年八月以降一連の金融緩和措置を講じてまいりました。昨年十二月には、第四次の公定歩合引き下げ措置がとられ、これを受けて預貯金金利を含む金利水準全般の引き下げを図ったところであります。
 今後の金融政策の運営に当たりましては、物価、景気、海外経済情勢等経済の動向を総合的に判断して、引き続き適切かつ機動的に対処してまいりたいと存じます。
 第二は、調和ある対外経済関係を促進し、世界経済の発展に貢献していくことであります。
 世界経済の活力の源泉は、自由貿易にあり、わが国としても積極的にこれを推進することにより、世界経済の調和ある発展に貢献していかねばなりません。
 かかる観点から、政府は、先般、対外経済対策を決定したところでありますが、特に関税につきましては、わが国市場の開放に資するとの見地からいち早く対応し、その引き下げを図ることを決定いたしました。すなわち、東京ラウンドの合意にのっとった関税の段階的引き下げ措置を来年度に予定した分に加え、さらに、一律に例外なく二年分繰り上げて実施する等の前向きの改正措置を講ずることといたしております。
 また、原油代金の産油国への偏在が、世界経済をゆがめていることにかんがみ、世界貿易を円滑ならしめるため、オイルマネーの還流について、わが国は引き続き積極的にその役割りを果たしていくことが必要であります。
 さらに、開発途上国の経済発展のための自助努力を支援することは、これらの国々の国民福祉の向上と民生の安定に寄与するのみならず、世界経済全体の均衡のとれた成長と安定を確保するためにも重要であります。このような観点から、経済協力については、着実に拡充を図ることとし、あわせて、その効率的実施に十分配意し、政府開発援助の中期目標の達成に引き続き努めることといたします。
 世界経済の円滑な発展のためには、国際通貨の安定は欠くことのできないものであります。円相場は、わが国経済の良好な基礎的諸条件を反映して、基調としては、円高方向に動くことが期待されております。今後、関係諸国とも密接な連絡を保ちつつ、円相場の安定に努めていきたいと考えております。
 次に、最も緊急かつ最大の課題であります財政再建について申し述べます。
 わが国の公債発行残高は、昭和五十六年度末で八十三兆円、五十七年度末で九十三兆円程度の巨額に上り、その利払い等に要する経費も五十七年度予算においては、一般会計歳出の一六%程度を占めるに至りました。これは公共事業関係費をも上回り、防衛関係費の三倍程度にも相当いたします。
 将来を展望いたしますと、わが国が世界有数の長寿国となったため、年金や医療の経費は、ますます増加が見込まれる一方、天災や、エネルギー問題等今後の経済情勢の変化にも財政は対応していかねばなりません。しかし、遺憾ながら現状のままでは、財政にはこのような課題を解決するために新たな施策を講ずる余力はありません。
 また、公債発行残高の累増は、金利水準の引き下げの阻害要因になる等、金融政策の円滑な運営に大きな影響を及ぼすに至っております。さらに、大量の公債発行を続けることは、民間資金を圧迫し、経済にインフレ要因をもたらすことにもなりかねません。ことに、インフレは現に世界にその例を見るがごとく、景気を後退させ、失業の増大を招き、国民生活の安定そのものを損なうものであります。
 したがって、できるだけ早く公債依存の体質から脱却する必要があります。
 政府は、このような考え方に基づき、鋭意、公債発行の減額に努力しているところであります。昭和五十七年度予算に関しては、何よりも行財政の徹底した合理化、効率化によって財政再建を進めるべきであるとの世論がつとに高まっていることにかんがみ、行財政改革による歳出削減を中心として、予算編成を行うこととし、公債発行額を前年度当初予算より一兆八千三百億円減額いたしました。
 財政再建の道のりは、険しく、また困難なものでありますが、すでに財政再建に向かって軌道の上を着実に歩んでおります。私は、昭和五十九年度特例公債脱却を目指し、引き続き財政の再建に全力を傾注する決意であります。
 大蔵委員各位の御理解と御協力を切にお願いする次第であります。
 昭和五十七年度予算につきましては、ただいま申し述べました考え方に立ち、経費の徹底した節減合理化によりその規模を厳しく抑制したところであります。特に、国債費及び地方交付税交付金以外の一般歳出を極力圧縮いたしました。
 また、補助金等については、昨年八月に決定された「行財政改革に関する当面の基本方針」に定めるところにより、整理合理化を行いました。
 さらに、国家公務員の定員については、新たに策定された第六次定員削減計画に基づいて、削減を着実に実施する一方、増員は、極力抑制いたしました。この結果、行政機関等職員については、一千四百三十四人に上る大幅な縮減を図ったのであります。
 これらの結果、一般会計予算の規模は、前年度当初予算に比べて六・二%増の四十九兆六千八百八億円となっております。また、このうち、一般歳出の規模は、前年度当初予算に対し一・八%増の三十二兆六千二百億円であります。一般会計予算及び一般歳出の伸び率が、このように低い水準にとどまったのは、それぞれ昭和三十一年度及び昭和三十年度以来実に二十数年ぶりのことであります。
 歳入面におきましては、経済情勢の変化等により、昭和五十七年度の自然増収が、ゼロシーリング決定の際参考とした「財政の中期展望」における自然増収より約七千億円不足することが見込まれましたので、経済の実態に即し、この不足分を補うため次の措置を講じました。
 まず、税外収入において極力増収を図ることとしました。
 次に、なお残る不足分を税制面の見直しにより措置することといたしました。すなわち、税負担の公平確保の重要性等に顧み、租税特別措置については、期限の到来するものを中心に整理合理化を図るとともに、交際費課税を強化することとしております。また、法人税については、貸し倒れ引当金の法定繰入率の引き下げ及び延納制度における延納割合の縮減等を図ることとしております。
 なお、税の執行につきましては、国民の信頼と協力を得て、今後とも一層適正・公平な税務行政を実現するよう努力してまいる所存であります。
 公債につきましては、さきに申し述べましたように、その発行予定額を前年度当初予算より一兆八千三百億円減額し、十兆四千四百億円といたしました。この減額の内訳は、特例公債一兆五千六百十億円、建設公債二千六百九十億円となっております。これにより、特例公債の発行予定額は三兆九千二百四十億円となり、建設公債の発行予定額は六兆五千百六十億円となります。
 財政投融資計画につきましては、厳しい原資事情に顧み、民間資金の活用に努めるとともに、対象機関の事業内容、融資対象等を見直すことにより、規模の抑制を図り、政策的な必要性に即した重点的、効率的な資金配分となるよう努めたところであります。
 この結果、昭和五十七年度の財政投融資計画の規模は、二十兆二千八百八十八億円となり、前年度当初計画に比べて四・一%の増加となっております。
 以上、財政金融政策に関する私の所信の一端を申し述べました。
 本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、昭和五十六年度補正予算に関連するもの一件、昭和五十七年度予算に関連するもの七件、合計八件でありますが、このうち七件につきましては、本委員会において御審議をお願いすることになると存じます。それぞれの内容につきましては、逐次、御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまの大臣の所信に対する質疑は後日に譲ることといたします。
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○委員長(河本嘉久蔵君) 次に、農業共済再保険特別会計における農作物共済、畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案及び昭和五十六年度の水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案を便宜一括して議題とし、順次趣旨説明を聴取いたします。渡辺大蔵大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま議題となりました農業共済再保険特別会計における農作物共済、畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 昭和五十六年度におきましては、東北、北海道地方を中心として低温、暴風雨等による水稲、バレイショ、リンゴ等の被害が異常に発生したことに伴い、農業共済再保険特別会計の農業勘定及び果樹勘定の再保険金の支払いが著しく増大するため、これらの勘定の再保険金の支払い財源に不足が生ずる見込みであります。この法律案は、これらの勘定の再保険金の支払い財源の不足に充てるため、昭和五十六年度において、一般会計から、農業共済再保険特別会計の農業勘定に四百九十二億二千七百十万二千円、果樹勘定に百十六億七万千円を限り、それぞれ繰り入れることができることとしようとするものであります。
 なお、これらの一般会計からの繰入金につきましては、後日、農業共済再保険特別会計の農業勘定または果樹勘定におままして、決算上の剰余が生じ、この剰余から再保険金支払基金勘定へ繰り入れるべき金額を控除して、なお残余がある場合には、それぞれこれらの繰入金に相当する金額に達するまでの金額を一般会計に繰り戻さなければならないことといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○委員長(河本嘉久蔵君) 次に、衆議院大蔵委員長代理粕谷茂君。
○衆議院議員(粕谷茂君) ただいま議題となりました昭和五十六年度の水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案につきまして、提案の趣旨及びその概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、二月十日、衆議院大蔵委員会におきまして全会一致をもって起草、提出いたしましたものであります。
 御承知のとおり、政府は、昭和五十六年度におきまして米の生産抑制の徹底と水田利用の再編成を図るため稲作の転換を行う者等に対し、奨励補助金を交付することといたしておりますが、本案は、この補助金に係る所得税及び法人税について、その負担の軽減を図るため、おおむね次のような特例措置を講じようとするものであります。
 すなわち、同補助金のうち個人が交付を受けるものについては、これを一時所得とみなすとともに、農業生産法人が交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に固定資産の取得または改良に充てた場合には、圧縮記帳の特例を認めることといたしております。
 省お、本案による国税の減税額は、昭和五十六年度において約十二億円と見積もられるものでありまして、衆議院大蔵委員会におきましては、本案の提出を決定するに際しまして、内閣の意見を求めましたところ、稲作転換の必要性に顧み、あえて反対しない旨の意見が開陳されました。
 以上が、この法律案の提案の趣旨とその概要であります。
 何とぞ速やかに御賛成あらんことを御願い申し上げます。
○委員長(河本嘉久蔵君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
○委員長(河本嘉久蔵君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま大河原太一郎君及び初村滝一郎君が委員を辞任され、その補欠として福田宏一石及び関口恵造君が委員に選任されました。
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○委員長(河本嘉久蔵君) それでは、これより両案の質疑に入ります。
 質疑のある方は逐次御発言願います。
○鈴木和美君 まず最初に、私は農業共済の一般会計からの繰り入れ問題について、基本的な問題についてお伺いしたいと思います。
 私は、先般の行革委員会で、日本の農業の現状に対して農業は国の基本政策でなければならない。つまり、食糧は国民生活の中で最も中心的な課題でありますし、ましてや今日、農業基本法施行後根本的な政策実施の誤りによって構造問題が高度成長のあおりで土地の高騰を呼び、農業人口は工業人口に移動し年々減少の傾向にあります。食糧の国内自給率は低下するばかりであります。食糧の国内自給率が低下するという現状を見たときに、二十一世紀を展望し、いまや食糧は総合安全保障に組み入れて抜本的な対策をとることの必要性を感ずるということを私は述べまして、総理や農水大臣と意見の一致を見たところであります。もちろん具体的な政策の面では若干の相違はありますが、問題は農業経費について、食管制度も含めて経済合理性だけから追求して単純な赤字論争にだけ終わってはならないことを述べました。むしろ基盤整備拡充のために農業経費は国の必要経費と見ることが妥当であることを述べてまいりました。いたずらな農業過保護論にくみしてはならないことを述べ、そのためにこそ先般の国会で全党挙げて食糧自給力の向上決議が行われたことを確認しました。
 さてそこで、そのような観点から農業共済制度を見ると、それなりに評価すべきところはありますが、根本的な思想は国が農業の不慮の事態に対して救済するということよりも農民自身で相互に助け合うという、つまり自衛手段を強調しているように思えてなりません。そういう観点から、農業共済制度の目的と運用の概要について基本的な考え方をこの際伺っておきたいと思います
 同時に、農水省にそれは伺うのでありますが、二番目の問題は、この農業共済について財政当局からの見解を、この際基本的な問題をまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 農業共済制度の基本的な考え方についてのお尋ねでございますが、法律の第一条にもございますように、国の災害対策の重要な一環といたしまして、農業者が不慮の事故によって受けることのある経済上の損失を、保険の仕組みを採用して合理的に補てんし農業経営の安定を図り、農業生産力の発展に資するということを目的といたしておりまして、この見地から国は必要な範囲内で掛金、事務費の国庫負担を行っておるわけであります。
 保険の仕組みを採用して気象災害を対象とする制度でございます以上、その収支を短期的に均衡させるということはむずかしいのでございますが、長期的には掛金の国庫負担も含めて安定的に推移させていくといったてまえになっておるものでございます。
○鈴木和美君 私は、農業共済制度というものはそれなりに効果を上げていますし、それはそれなりに評価ができると思っておるんです。ただ基本的な考え方として、先ほども申し上げましたように、農家の人たちが相互に助け合うということだけが強調されちゃって、むしろ農業に対して国がめんどうを見てやるというような基本的なその態度がどうもないみたいに思うんです。
 その点から尋ねますと、たとえば、国が掛金に対していま幾らかの補助というか、見ていますね。その率も七割でしょうか、いま。もう少しそれを率を上げて、農民の掛金に対する補助をもっと高くしたらいいんじゃないかというように私は思うんですが、そういう点から見て、国の基本政策としてむしろ農業保護という立場に立つべきじゃないかと思いますが、その点はどんなふうにお考えですか。
○政府委員(佐野宏哉君) 現在掛金の国庫負担割合を数字についてちょっと申し上げますと、農作物共済で六〇・一%、蚕繭で五五・七、果樹共済で五〇、畑作物共済で六〇%というような負担をいたしております。
 それで、このような高い国庫負担割合になっておりますのは、ただいま先生御指摘のように、農業に対する災害補償として国が応分の負担をすべきものであるという考え方によって負担をしておるわけでございますが、ことに最近におきましては、五十四年度から本格実施に移されました畑作物共済に対して六割の負担にする、あるいは畜産関係の家畜共済につきまして近年何回にもわたって国庫負担割合の引き上げを行ってまいっておりまして、そういう意味ではそれぞれの時点における農政上の重要性に応じてアクセントを置きながら国庫負担割合の向上に努めてまいったわけでございます。
 しかしながら、そういう努力を積み重ねて現在、先ほど申しましたようにすでに相当高い国庫負担割合に到達いたしておりますので、現下の財政事情にもかんがみ、これ以上さらに国庫負担割合を引き上げるということは残念ながら至難のわざではあるまいかというふうに考えております。
○鈴木和美君 いまのお話はいろんな御説明がありましたが、要は、現状の財政事情の観点から見て現在の掛金に対する国庫補助がもう限界であると、こういうお答えであると伺ってよろしゅうございますか。
○政府委員(佐野宏哉君) 財政事情は確かに一つの事情でございます。それからもう一つは、それぞれ従来国庫負担割合を引き上げてまいりましたのも、それぞれの時点における農政上の考慮を踏まえて引き上げてきたわけでございまして、現下の財政事情との兼ね合いで農政上の見地から見ても、財政上の相当の負担を覚悟してまで国庫負担割合の引き上げをしなければならない必然性が、現状においてあるというふうには考えられないという点もございます。
○鈴木和美君 財政事情の方は、それなりにまた財政が豊かになったときにどうするかということで議論は後日に譲りたいと思うんです。
 よくわからないのは、農政上の観点からも現行の掛金率の国庫補助はこれで適当であるという御説明ですね。もう少し説明していただけませんか。農政上の観点、現実はどういう意味なのか、よくわかりません。
○政府委員(佐野宏哉君) 現在臨時行政調査会等でいろいろ御議論を賜っておるわけでございますが、そういう中で、農政上の金の使い方の優先劣後の関係が現在厳しく吟味されざるを得ない事態になっておるわけであります。
 それで、先ほど申し上げましたように、現在の掛金の国庫負担割合は畑作物共済とか、繭、麦とか、もう高いものはすでに相当高くなっておるわけでございまして、農政上の見地から見ても、これ以上さらに国庫負担割合を引き上げるということを主張すべき必然性というのは、先ほど申し上げましたような農政としての財政支出の優先度から見て、そういう高い優先性を主張し得るものであるというふうには考えにくいというふうに思っております。
○鈴木和美君 農水省か大蔵省がわかりませんが、出どころは。私、先般説明をしていただいた中に、この国庫負担のことにつきまして政府の説明では、農業災害補償制度の特色として五つ挙げているわけですね。一つは、農作物及び繭、家畜共済は事業の実施が強制されていることということが一つある。二つ目には、農作物、繭共済は一定規模以上の農家の加入が強制されていること。三つ目は、農家の支払う共済掛金のうち多くの部分を国が負担していること。四つ目は、事務費の大半を国が負担していること。五つ目は、災害対策として農作物、繭、家畜、果樹、畑作物、園芸共済について再保険を行っていることが五つの特色であると、こう述べているわけですね。
 私はこれを見たときに、先ほど述べたように、共済制度ですから、ある意味では保険も伴って農家自身がお互いに相互扶助をやっていく、基本的な精神はそういうところにあることはよくわかるんです。しかし、災害補償ですから、大変な、米やその他愛、繭にしても災害をこうむったときに、これはむしろ食糧安保というような立場から、もっと国が助成とかめんどう見るというようなことがあってもいいんじゃないかと思うんです。ここで五つの特色を述べている中でも、三番目に農家の支払う共済掛金について多くの部分国が負担しているというけれども、本当に多くの部分というように規定していいんだろうかということで、私は答弁要りませんけれども、これからもそういう面では掛金を上げるようなこともぜひ再検討してもらいたいというように思っています。
 さてその次は、この掛金に対して率をはじいたり、それから収支の均衡を見るのに二十年という期間が設定されてますね。これは何で二十年になっているんですか、お教えいただきたいと思うんです。
○政府委員(佐野宏哉君) 農作物は年によりまして、農作物の被害が年によってきわめて激しい変動を示すものでございますので、単年度で収支を償うということは、まずこれはあり得ないわけでございます。したがいまして、農作物の保険設計におきましては、なるべく大きな変化のない掛金率を設定をして、ある期間内に全体として収支の均衡を図るという、そういう考え方をとらざるを得ないわけでございます。
 それで、安定的な料率を算定するという観点から見ますと、できる限り期間は長い方がよろしいわけでございますが、一方あんまり長い期間を設定し過ぎるということは、その間における環境条件の変化、耕種技術の進歩等のために被害態様の異なるものまで算定の基礎に入ってしまうという事態になりまして、これもまた不都合であると、そういうことで年次別の被害率の変動状況と大災害の発生の周期等を考慮して期間を二十年ということにいたしておるわけでございます。
○鈴木和美君 つまり、気象とか農作物の何というんでしょうか、凶、不凶というか、そういうものが主体になって二十年間というように設定されていると理解していいんですか。
○政府委員(佐野宏哉君) はい。
○鈴木和美君 わかりました。
 それから、もう一つ私は疑問に思うのは、掛金の改正については三年ごとに行われていますね。で、最近は去年、ことし冷害、災害等があって法律がここに出るように、非常に不足額が生じるわけですね。そういう面から見ると、農家にもっと掛金を高くして収支均衡を図るという意味で聞くんじゃないんですけれども、その三年で見直すということは特別また理由があるんですか。
○政府委員(佐野宏哉君) これは理論的に申しますれば、二十年間の期間一年たつごとに新しい一年を加えて、最も古い一年を削って、直近の二十年ごとで毎年改定をするというやり方もあるわけでございますけれども、ただ、そういうやり方をやりますと、そのために料率算定の実務を担当いたします共済団体の事務量も激憎いたしまして、そういう面から事業運営に支障を来すという心配もございますし、また新たに追加される年次の特定の一年ごとに足していきますと、その一年ごとの被害率の高低によりまして料率が毎年毎年変わるということも、保険者、被保険者双方にとって一般的に好ましいことではないというふうに思いまして三年というタームにいたしておるわけでございます。
○鈴木和美君 事務の繁雑という面ではわかります。そんなら五年ではだめなんですか。
○政府委員(佐野宏哉君) まあ、これはどっちかと申しますと便宜論でございますから、絶対に何年ではいけないかということについてそれほど断定的な根拠があるわけではございませんが、従来三年でやってまいりまして、私どもといたしましては特段の不都合は感じておりませんので、まあよくよくのことがなければ従来どおり三年でやっていきたいというふうに思っておるわけでございます。
○鈴木和美君 いままでの経験や長い歴史の中で三年で支障がないというようにお考えであると、そう承っていいですね。――
 さて、いまの答弁の中で、事務量が仮に一年ごとに見直すというと大変繁雑になって、量もふえるというお話があったんですが、現在のこの三年見直しの中での事務量というものについて農水省は、非常に激増しているのか適当であるのか、その判断をどういうふうにお持ちでしょう。
 私は、農業共済制度を支えているというのは、共済連絡員とか損害評価員とか、損害評価会委員とかそれから役職員とか、そういう人たちが農業共済の普及に対して大変な努力をしていると思うんですね。で、いろんな話を聞くと最近非常に事務量が多いというんですね。後ほど果樹共済についてもちょっとお尋ねしますけれども、そういう果樹共済に対する普及であるとか新しい事業に対しての、つまり浸透させる大変な努力が行われているわけですね。事務量がそういう意味では増大していると私は見ているんですが、ところが、御案内のように、法律十四条に言う事務費国庫負担をゼロシーリングで抑えちゃって、臨調ではむしろ事務経費を削減しろみたいな話があるわけですね。
 そうしますと、先ほど申し上げましたこれから共済制度の重要性にかんがみて普及徹底をしなければならない、その努力を担当している共済連絡員や損害評価員や損害評価会委員や役職員の人たちの意欲というものがなくなってくると思うんですよ。そういうことに対して農水省としてどのような対応をこれからしようとしているのか。私はむしろ事務経費が非常に膨大になっているからもっと国庫負担をふやすべきじゃないかという見解を持っているんですが、どういう現状に見ているのか、またその対策をどうしようとしているのかお聞かせいただきたいと思うんです。
○政府委員(佐野宏哉君) 共済団体の事務量につきましては、ただいま先生御指摘のように、最近二年ほどはこういう法律案を御審議を賜っておるということ自体に示されておりますように、大規模の災害が続きました。それから、御指摘のように、先年の果樹共済の制度改正などもございましたから、そういう意味で事務量についてかなりの負担をかけておるということは、私どもも認識をいたしておるところでございます。
 もちろんそういうことにつきましては電算機の導入とか、そういう形で事務の合理化によってできるだけ対応してもらいたいというふうに思っておりますが、同時に、まあ私どもとしては事務費の国庫負担額について、要るものは要るということで、ゼロシーリングのもとでも適切な事務費の国庫負担には心がけておるつもりでございます。
 それで、今国会で御審議をいただいております五十六年度の補正予算におきましても、五十六年四月一日にさかのぼりまして、国家公務員に準じた給与改善を実施するよう所要の経費を計上いたしておりますし、五十七年度の予算におきましてもこれまた国家公務員と同様に給与改善経費を計上しております。また、五十七年度予算案におきましては農林年金の掛金の負担につきまして、従来千分の四十九でございましたものを千分の五十四・五に引き上げる、あるいはただいま先生が言及なさいました共済連絡員、損害評価員等の手当につきましてもそれぞれ増額をして予算案に計上いたしておりますが、私どもとしてはゼロシーリングの中で大変窮屈ではございましたが、それぞれ必要な手当ては講じておるというつもりでおります。
○鈴木和美君 議事録の入った答弁ですから恐らくそう答えなければならぬでしょう。しかし、私はそう思いません。数字を挙げて述べる時間がございませんけれども、現状の農業共済の重要性、また国の国庫負担率を上げなければならぬ、上げてほしいという私の希望はありますけれども、財政事情等の関係でなかなか上げられないというような中であればあみほど、この共済の重要性にかんがみて、私はその担当役職員がフルに活躍できるような、そういう事務費の、つまり経費というものを潤沢に入れるようにさらに私は努力してほしいと思うんです。一々は数字は挙げません、要望しておきます。
 それから次に、この特別会計法の第八条に借入金制度がありますね。それから、一般会計から繰り入れるという二つの制度があるんですが、この第八条を適用した借入金制度というものを適用した事実はあるんですか。
○政府委員(佐野宏哉君) ございます。
○鈴木和美君 私の調べでは、適用したのは回数が少なくて金額が非常に少ないときですね、金額がね。それで金額が多いときにはどうしても一般会計から繰り入れるということの措置をとっているように思うんです。私は諭旨として一貫して、国がもう少し助成をとるべきでないか、とるべきであるという見解なものですから、むしろ借入金制度なんというものをなくしちゃって、すべて一般会計から繰り入れるというような制度にはできないものなんですか、これは。不都合がございますか。
○政府委員(佐野宏哉君) 実は、いま先生二つの制度があるというふうにおっしゃいましたが、実は今回御審議を賜っておりますような一般会計からの繰り入れというのは制度として存在するものではございませんので、したがいまして、その都度個別に法律案を提出して御審議を賜るということになっておるわけでございまして、現在制度として存在するというのは借入金の制度と、それからもう一つは、再保険特別会計の中で支払い基金の勘定から農業勘定なりそれぞれの勘定に繰り入れるという形で余裕をつくっておくという、その仕組みがあるわけでございます。
 それで、私どもといたしましては、今回のような大規模な災害でございますので、そういう意味では償還がいつになればどこまで返せるということがきちんとめどが立ちがたいということと、償還までの利子負担がかさむということがございまして、今回このような法律案の御審議を賜っておるわけでございますが、元来制度といたしましては、この共済制度は再保険特別会計までも含めた全体の仕組みといたしましては長期的に収支の均衡が、もちろん農業者の負担だけではなくて掛金の国庫負担も含めてでございますが、全体として長期的には収支の均衡が立つべきものであるという、そういう理念の上に立っておる制度でございますから、そういう制度が経過的にごくささいな金額の不足が生じたときに、借り入れという手段でその金繰りを一時補充する道を放棄してしまうということは、制度の根本に照らしていかがなものであろうかというふうに存じております。
○鈴木和美君 たまたま会計制度の問題に触れましたから、大蔵省にちょっとお尋ねしますが、私が当選して去年大蔵委員会に出て、ちょうど同じような議論を去年うちの穐山委員からしたように思うんです。五十五年だったと思いますね。五十五年、五十六年一般会計から繰り入れなければならないような金額であるなら、何で毎年毎年同じような審議をしなきゃならぬのですか。できれば何か特別なものを設けて、一々やらなくても制度的にそれを繰り入れるというようなことにはできないものなんですか。もちろん、私は審議することは審議するだけの価値はあると思いますが、手続上何か複雑な、よけいなことをやっているような気がするんですが、それに対する大蔵当局の見解を聞かしていただけませんか。
○政府委員(西垣昭君) いま御指摘がございましたのは、去年もそうでございますが、最近におきましては借入規定がありながら借り入れということではなくて今回と同様の繰り入れ措置を行ってきていると、今後もそのような措置を必要とする事態が発生することが予想されないわけではないんじゃないか。したがって、この際このような場合の繰り入れ規定を特別会計法に規定してしまって恒久化した方がいいのではないかということでございますけれども、一般会計からの繰り入れ措置、今回お願いしております繰り入れ措置はあくまでも異常事態に対処するための特殊、異例なものということでございますので、このような措置を特別会計における制度として組み込んでしまって恒久化してしまうというのは必ずしも適当ではない。つまり、そういう特殊、異例な措置でございますので、その都度法律改正をお願いするということの方が財政節度という観点からも適当ではないか、このように考えているところでございます。
○鈴木和美君 私はそうは思わないのですが、理屈を言えばそういうことになるんでしょうけれども、もう少し、同じ人たちが議論して同じことやっているわけですから、もっと合理性が図られていいんじゃないのかなという感じを持ってます。どうぞ検討してみてください。
 農水省にお尋ねしますが、農業共済制度が農民のそういう災害、被害を救済するという立場からつくられているわけですが、昨年の稲作の災害を見ると、風害とか冷害によって非常に品質そのものが低下しちゃっていますね。たとえば、宮城県などにおいては乳白米が大量に出ちゃって、一等米が例年よりかなり低いわけですね。ですから、そういう品質低下そのものに対して共済制度が働くというか、つまり適用に入るかというようなことについてこれから十分検討をしてみる必要があると私は思うんですが、これに対する見解を聞かせていただけませんか。
○政府委員(佐野宏哉君) 昨年、先生御指摘のございました乳白米が発生をして、その分をどうしてくれるかという問題があったわけでございますが、これにつきましては、そういう事態によりまして、政府の見い入れの対象外になるというような低品位米が発生したという事態に対処し。まして、五十五年にもやったことでございますが、損害評価に関する特例措置を講じまして、品質低下に見合う分を減収とみなすということによって対処をしたわけでございます。
 それで、ただいま先生のお尋ねは、そういう特例措置ということではなくて、制度本体に品質低下分を織り込むような共済制度をつくれないかという御下問であろうかと思いますが、この点につきましては、実は水稲の共済の場合はほとんどの地域で損害評価を立ちもの段階で行わざるを得ないという事態がございますので、それが品質低下分を共済に制度上織り込むということの障害になっているというのが実情でございまして、ですからそういう意味では、卑俗な言葉で申せば貫目ではかった減収を損害として捕捉する制度ということにならざるを得ない。品質低下の分を織り込んだ共済制度はつくりにくいという事態は、実はそこに原因があるわけでございまして、その点はちょっと私どもも、せっかくのお尋ねでございますが、そう急には名案が思いつかないということでございます。
○鈴木和美君 私のいまの質問は、つまり品質低下の分について共済そのもので見れないかということをいま私は質問したんですが、逆に制度上そのことを見ることが非常にむずかしいというのであれば、それにかわるみたいな代替措置というようなものは何か考えられぬですか。
○政府委員(佐野宏哉君) 一昨年、昨年実施いたしました損害評価の特例措置、これはまさにただいま先生御指摘の代替措置であるというふうに考えております。
○鈴木和美君 どうぞ冷害についても非常に農民の立場に立って、品質低下問題についても救済できるような適用をぜひ考えて、また充実してほしいと思うんです。
 さて、もう一つの問題は、現在の農業災害補償制度は収穫物を対象にするものですから一定の被害割合、俗称足切りと言っておりますね、この足切りという率を農民の方の側に立ってもう少し充実する、補償効果を上げるというようなことは現行の中では考えられませんか。
○政府委員(佐野宏哉君) 先生御高承のとおり、現在足切り率は引受方式の違いによりまして格差の体系ができておるわけであります。一筆であれば三割とか、半相殺であれば幾らというふうにやっおるわけでございまして、ですから、どこかを部分的にいじるということになりますと全体の体系の問題になってしまうわけでございます。それで、現在の足切りが水稲の場合で申しますと、一番低い全相殺の場合はすでに一割になっておりますので、それ以上低い足切り線を設ける、足切り線を引き下げるということは、実際問題としてはちょっと考えにくいというふうに思っております。
○鈴木和美君 現状の中では精いっぱいであるということですか。
○政府委員(佐野宏哉君) さように思っております。
○鈴木和美君 いずれ私はもう少し研究、分析して、また別の機会に意見を述べたいと思うんです。
 さてその次には、いつも問題になる果樹共済ですが、四十八年から実施されて、四十九年産から五十六年産まで過去八年にわたって相当の額が共済で支払われているわけですね。一般会計からの繰り入れ状況を見ても、八年間で四回ですね。五十一年度は五十八億、五十四年度で七十八億、五十五年度で四十一億、ことしは百十六億、果樹共済だけで二百九十億円ですね。なぜこのような赤字が出るのか。いつも問題になっている果樹共済は、非常に入りにくいとか、それから普及が徹底しないとか、それから大型善良の果樹農家と零細農家との関係があるとかというお話はいつも聞くんですが、なぜそういうことにおっているんだろうかという原因と、それに対して今日までどういう対策がとられてきたのか、御説明をいただきたいと思うんです。
○政府委員(佐野宏哉君) 果樹共済の赤字の原因でございますが、これはまず私どもは、何と申しましても、制度発足以来、四十九年から毎年異常災害に見舞われるという不幸な事態がございまして、それがまずその赤字が累積をしておる根本的な原因であろうというふうに考えております。
 しかしながら、私どもといたしましては、こういう異常災害だけではなくて、制度面から見ても果樹共済の赤字の原因になっているのではないかという気がかりな点が幾つかございます。これは現象的にも加入率の低さというような形で数字にもあらわれております。したがいまして、先般御審議を煩わしまして、これに対する思いつく一思いつくというと変ですが、現在考えられ得る限りでの手当てを五十五年度に行っていただいたわけであります。
 それで、まず先生御指摘のございました専業的な優良農家がとかく加入をためらいがちであるという問題でございますが、その点につきましては、そういう専業的な果樹栽培農家の加入を確保するために収穫共済の共済金額の設定方法とか損害補てん方式の改善を行いまして、専業的な果樹農家から見ても十分魅力を感じてもらえるような仕組みにしたつもりでございます。
 それからもう一つは、基準収穫量の設定の仕方が、これは共済責任期間の開始との関係でどうしても適正に行われがたいという事情があるのではないかという点がもう一つの心配な点としてございましたので、これは基準収穫量にかわる標準収穫量という概念を導入いたしまして、それで共済引き受けをする、基準収穫量の設定はその後基準収穫量を十分自信を持って定め得るような材料の出そろった段階で基準収穫量を慎重に決めることができるような仕組みを導入する。
 それから、いま一つの問題点としては、損害評価が適正に行われているかどうかという点について果樹共済の技術的な側面からの問題が懸念されるわけでございますが、損害評価の適正化を図るために半相殺方式を導入することによりまして、損害評価の何といいますか、従来よりはより周到な損害評価ができるように工夫をしたつもりでございます。そういう点を五十五年度に制度の改正をやらさしていただきましたので、一応私どもとしては制度面から考えられるあり得べき欠陥については一応の手当てを行い得たというふうに思っておりますが、何しろこの新制度を実施されましたのは本会計年度からでございますので、まだ十分その効果を検証するに至っておりませんが、私どもとしては一応考えられ得る問題点についてはそれぞれの対応をしたというふうに考えております。
○鈴木和美君 財政当局は、この果樹共済についての現状についてどういう見解をお持ちですか。
○政府委員(西垣昭君) 農作物共済につきましては、異常な事態に対しまして一般会計から従来も繰り入れを行ったことはございますけれども、大体繰り戻しができているという意味で二十年間で均衡するという共済の設計がうまくできているんではないかと、こういうふうに考えておりますが、果樹共済につきましては確かに御指摘のように繰り入れる一方で繰り戻しかないと。共済の設計上もこれで十分だろうかという点については問題を感じております。
 ただ、五十五年改正の効果がことしから初めて契約に入るわけでございまして、どういう結果をもたらすか、これはまだ普及もPRも十分ではないというような面もございますでしょうし、もう少し様子を見なくちゃならない。様子を見た上で必要に応じて農水省ともよく相談をしていきたい、いましばらくはウォッチしていきたい、こういうふうに考えております。
○鈴木和美君 まことに柔軟な答弁ですが、財政当局から見れば農水省何やっているんだというようなお気持ちではないんですか。もう少し様子を見るという、非常ににやっとしたような態度なんでしょうか。もう少しそこはっきりしていただけませんでしょうか。
○政府委員(西垣昭君) 果樹共済につきましても、収支が相償うような状況に持っていくということは絶対必要でございます。ただ四十八年度に創設された制度でございます。そういった意味でまだ熟していないという点もございますので、私ども非常に心配ではございますけれども、農水省の御努力をもう少し見守りたいと、気持ちとしては先生御指摘のような気持ちで心配しております。
○鈴木和美君 当然農水省においても果樹共済について均衡が合うようにいろんな方法をいま検討されておるということを聞いておりますし、これからもぜひ均衡の合うようにさらに努力されることを期待します。
 もう一つ共済のことでお尋ねしておきたいことは、後ほど水田利用の問題でもお尋ねしますが、畑作物の振興の重要性から畑作物共済制度ができたわけですね。そういう中で水田利用再編成対策における重要な転作作物になるべき飼料作物がありますね。このえさの作物について畑作物共済の対象になるための調査がずっと行われていると思うんですが、それが現状いまどういうふうになっているか、最後にお答えいただきたいと思うんです。
○政府委員(佐野宏哉君) 飼料作物につきましては五十三年度以降農家の意向調査、それから生産、出荷等の状況調査を実施をいたしておるところでございます。
 それで、これを主産県について実施をしておるわけでございますが、現在の段階では損害評価等の保険技術的な問題、あるいは持続的な保険需要があるかどうかという問題、そういう点についてまだ問題が残されております。資料の整備にもまだかなり時間がかかると思いますので、共済の制度化につきましては検討はいたしておりますが、若干の御猶予をいただかなければなるまいという状況でございます。
○鈴木和美君 どうぞ早急な検討をお願い申し上げます。
 さて次は、水田利用再編の問題についてお尋ねいたします。
 今回の法案は五十六年度分についてのものだと思います。そこで、五十六年度の転作実施状況は一体どういうようになっているのか、お聞きしたいと思うんです。聞くところによれば、二、三の府県で未達成なところがあるというように聞いているんですが、どこの県がなぜ未達成なのか、同時に、五十六年の転作実施面積と目標達成状況についてまず明らかにしていただきたいと思います。
○説明員(近長武治君) 五十六年度の水田利用再編対策の実施状況について御説明申し上げます。
 五十六年度の水田利用再編対策、まだ年度の途中でございますから最終的な数字ではございませんが、昨年秋に取りまとめた状況に基づきまして簡単に御説明申し上げたいと思います。
 五十六年度は水田利用再編対策の第二期の初年度でございます。第二期の転作等目標面積は六十七万七千ヘクタールでございますが、五十六年度は前年の稲の冷害というような状況等も配慮いたしまして、転作目標面積は六十三万一千ヘクタールになっております。現実に農家の方が転作を実施いたします見込み面積は六十六万七千ヘクタールでございますので、目標に対しまして一〇六%という状況でございます。その六十六万七千ヘクタール一〇六%は全国的な状況でございますが、地域ブロック別に見ますと、北海道では一〇二%、それから北陸地域では一〇四%、関東が一〇五%、東海、近畿、九州が一〇七%、中国、四国ブロックが一〇八%、東北が一〇九%となっております。
 現在、その中で都道府県別に見ますとほとんどの県は目標を達成しておりますが、千葉県とそれから大板府と和歌山県とこの三県が未達成になっております。未達成と申しましても、そうはなはだしく大きい未達成ではございませんが、一〇〇%を若干切るというような状況でございます。千葉県、大阪府、和歌山県ともそれぞれいかなる状況にあるかということにつきまして都道府県の方からいろんな角度から聞いておりますが、これらの未達成の府県に共通しておりますのは、一つは飯米農家、つまりお米を生産はいたしますが、ほとんど自家用であって食糧管理制度と余り直接には関係していないと、あるいは第二種兼業農家――農業よりもむしろ他産業の仕事の方が多いというような農家、こういう飯米農家あるいは第二種兼業農家の割合が非常に高い地域でございまして、どちらかというと水田利用再編対策、お米の需給の均衡を図っていくということの必要についてなかなか農家の方の納得も得にくいし、自家飯米の確保というような点から稲作の志向が強い。それから、特に千葉県等では排水不良田がかなりある、やはり利根川の下流でございますのでかなり土地条件が悪い。これまで水稲を中心にして実施してきた農業でございますが、そういう条件の中でどういう作物を転作作物として選んだらいいのかというような状況でございまして、残念ながら、千葉県と大阪府、和歌山県の三府県が未達成となっているという状況でございます。
 ただ、水田利用再編対策は、御案内のように、全国の稲作農家が現在の米の需給事情の非常に深刻な状況を認識しながら一致協力して進めていくという対策でございますので、これら関係府県についても、五十七年度以降目標が達成できるように、目下関係の府県との連携を密にしながら適切な指導をしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○鈴木和美君 いまの御説明でちょっとわからないんですが、農水省が府県別、市町村別につまり転作に関しての目標を設定するわけでしょう。その目標を設定するというときに、いまお話しのような千葉県とか大阪とか和歌山の状況というのはそれなりに、つまり飯米農家ですね、そういうふうなつかんでやられているんだと私は思うんです。何もことし突如としてそういうものがあらわれたとは思わないんです。そう考えているのと、もう一つは、こういう話を聞くんですけれどもね、実施の状況がうまくいかないと別な補助事業とか、ほかのつまり補助事業についておろさないと、やらないと。実施計画ができなきゃだめだというような一種のペナルティーですね、そういうものを片方に掲げながら強圧的に実施させようというような意向もあるんだということも聞いているんです。
 そうすると、いまのお話では、そういうことを片方でやりながら、目標を設定するのにいま改めて出たようなことを言われると、本当は皆さん反対なんですから、この転作に対しては。稲作が一番やっぱり何と言っても農家の収入から見れば高いんですから、そういうものを転作することにはもともと反対なんです。反対だけれども、ほかの県で実施が済んだときに片方の県で済まない、未達成であるということになると、これはえらい混乱が私は起きると思うんです。そういうことに対してどういう見解をお持ちですか。
○説明員(近長武治君) 二点に分けてお答え申し上げたいと思います。
 一つは目標面積の都道府県別の配分についての考え方でございます。
 これは先生御指摘のように、水田利用再編対策を進めていく一つのかなめになるところでございます。やはり日本農業は御案内のようにこれまで稲作を中心にして進めてきましたので、各地域とも従来どおりやはり稲作を続けたいという気持ちは非常に強うございます。米どころの地域もそうでございますし、また比較的米どころとは客観的には思われていないようなところでも、やはり自分のところは稲作が適地だと思っているように見受けられるわけでございます。
 そこで、水田利用再編対策におきます各都道府県別の面積の配分に当たりましては、五十三年度から始まっておりますが、五十三年度にスタートいたしましたときには、全国についてどういうような目標面積を配分するかということで、農林水産省といたしましては七つの指標をつくったわけでございます。それは地域ごとにどういうような農業の姿になるかというような見地から、言うなれば一つの地域指標というような要素あるいはお米についての自主流通米、比較的消費者から評判のいいお米でございますが、そういうお米の比率だとか、あるいは排水条件の要素だとか、圃場の要素だとか、それを七つほどつくりまして、七つの組み合わせで配分をしたわけでございます。
 その後五十五年度に一度面積をふやしまして、それから現在の五十六年度から五十八年度までの第二期対策のときに面積がふえておりますが、その際には各都道府県ともいろいろなお考えがございますので、今度は積み増しの面積につきましては全体のうち四分の一ぐらいを五十三年度の当初のような考え方で積み増しの配分をして、残りの四分の三は端的に言えば一律的な要素で配分をした、こういうような形になっております。そういうような形で配分したというのは、水田利用再編対策について全国の農家の方から、やはり理解と協力を得ながらお互いにつらい中でも努力していこうというところについて、われわれの方でいろいろな角度から検討して得た結論でございます。
 もう一点は、具体的に転作を実施した結果、未達成の場合に補助金などで何か不利な扱いが行われるのではないかというような御指摘でございます。
 水田利用再編対策というのは、現下におきます農政の重要な課題の中の一つでございます。私ども最重要な課題だというふうに思っております。水田において他作物に転換していくというのはなかなか困難な問題でございますが、地方公共団体、農業団体等の積極的な努力も得ながら現在進めております。その中で、やはり稲から他作物へ転換していくというのは、各地域ともなかなか困難な状況にございますので、農林水産省として農林水産省が所管しております各種の補助事業がございます。そのほかにも融資事業がございますが、こういう事業につきましてはそれぞれの性質に応じまして、これをできるだけ水田利用再編の推進とか、その確実な達成に役立つように積極的に活用したいというふうに考えております。
 したがいまして、水田利用再編に関連するようないろんな事業につきましては、新しい地区の採択だとか、あるいはこれまでから継続している地区についての予算配分につきましては、基本的な考え方としては転作などの目標を達成している市町村あるいはそういう事業を実施することによって水田利用再編対策の目標の達成が確実と認められるような市町村、こういうところの希望を優先的に配慮するように、こういうような指導をしております。したがいまして、限られた予算の中で実施していく際には、どうしても水田利用再編対策の達成に努力しているというようなところが結果として優先的に取り扱われる、こういう状況になっているのではないかというふうに考えております。
○鈴木和美君 時間がありませんので、また時間があれば別のときに述べますが、この時間帯で一番最後に意見だけ述べておきますが、水田利用の、つまり奨励補助金ですね、五万、一方、一万というような種類がありますが、先ほど述べましたように、つまり余り好んで転作はしたくないんですよね。しかしやむを得ぬということで協力しているわけでしょう。ところが、今度の臨調の早期脱却を図るというみたいなことで奨励補助金を打ち切るというように読めるような指導をなさっているわけですね。これは農家にとっては大変不安ですよね。
 私は、この件に関しては、やはり国挙げていろんな事情があったにせよ、これはやっぱり農家の立場に立って貫いてほしいと思うのですね。これに対する農水省の見解も伺いたいとは思いますけれども、約束の時間ですから、ぜひ国を挙げてこの問題に納得ずくで取り組めるような対策を十分とってほしいというような意見を述べて、とりあえず私の質疑をここで終わっておきます。
○塩出啓典君 それでは、農業共済再保険特別会計における農作物共済、畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について質問をいたします。
 この法案の内容は、農業共済再保険特別会計の農業勘定、果樹勘定に生ずる再保険金の支払い財源の不足に充てるため、五十六年度において一概会計からこれらの勘定に資金を繰り入れる必要がある、こういうことで一般会計から農業勘定へ四百九十三億円余、果樹勘定へ百十六億円を繰り入れることができるようにするとか、こういう法案の内容でありますが、まず最初にお尋ねをいたしますが、去年のこの時期に出された法案と比べまして、いわゆる積立金の取り崩し規定がないわけでありますが、これはどういうわけでないのかお尋ねします。
○政府委員(佐野宏哉君) 昨年の法律案と対比いたしますと、今回御審議を賜っております法律案には農業勘定の積立金取り崩しの規定がないというのは、昨年と異なっておる点であるという点は先生御指摘のとおりでありますが、実は昨年の繰り入れによりまして目下のところ農業勘定には積立金がなくなっておりますので、取り崩すべき積立金がないという事態のために今回御審議を賜っておる法律案にはその条項がないわけでございます。
○塩出啓典君 昭和五十六年度の水陸稲の共済金は、私の理解するところでは史上三位であると。史上第一位が五十五年であり、五十一年が第二位で、その次が五十六年の第三位。最近は非常に災害がふえておるわけで、先ほど大蔵省の方から一般会計からの繰り入れというのはまさに臨時異例の処置である。臨時異例の処置がしょっちゅうあったんでは臨時異例にならぬわけですけれども、農業勘定ではすでに二年続いておりますし、果樹勘定では三年間も臨時異例が続いておるわけで、そういう点が単なる偶然であるのか、あるいは長期的な気象の変化によるものなのか、この水陸稲の場合ですよ、あるいはまた品種の変化等によるものであるのか、そのあたりどのように分析をされておるのか、これを伺っておきます。
○政府委員(佐野宏哉君) 昭和五十五年、五十六年と、先生御指摘のとおりの異例の大災害が連結をいたしましたので、確かに先生御懸念のようだ点は気になるわけでございますが、何と申しましても、稲作というのは非常に歴史の長いあれでございまして、先ほど来申し上げておりますように、保険設計上も二十年間収支均衡ということ右前提にして設計をしておりますので、二年続いたからといって、それだけで直ちに先生御指摘のような根本的な状況の変化が起こったというふうに考えて対処すべきものであるかどうかということについては、私どもはいささか控え目に考えておりまして、少なくとも現状におきましては全く不幸な偶然が二年続いて起こったという、そういう前提で対処すべきものであるというふうに考えております。
○塩出啓典君 五十五年、五十六年と二年続いたわけでありますが、災害の特徴と申しますか、新聞等では五十五年の冷害は障害型冷害で、五十六年度の冷害は遅延型冷害であるとか、そういうようなことも書いておるわけでありますが、五十五年、五十六年度の農作物の被害に対する共済金の支払い状況がどのようなところに特徴があるのか、これを五十五年、五十六年度について御説明願いたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) まず、農作物共済、畑作物共済について申し上げますと、五十五年の場合には麦が比較的被害が軽かったわけでございますが、水稲と大豆等につきまして、七月以降の異常低温と日照不足によりまして沖縄を除く全国に冷害が発生し、それに台風十三号、十九号によりまして中国、四国及び九州に風水害が発生する、そのほか天候不順によりましていもち病が全国的に発生すると、そういう形で全国にわたって多額の再保険金が支払われたわけでございます。
 五十六年度は、これに反しまして、北海道において寒冷前線の停滞及び台風十二号に伴う水害による収穫期の麦が大きな被害を受けましたのに続いて、主として北日本の水稲及びバレイショ等につきまして、九月中旬以降の持続的な低温、多雨の異常気象によって稔実障害、豊熟障害が発生したほか、寒冷前線の停滞及び台風十二号及び十五号により風水害が発生し、それに加えていもちが発生するということによりまして、北日本に集中して多額の再保険金が支払われだということが五十五年と五十六年を対比した主なる特徴でございます。
○塩出啓典君 特に冷害のひどかった東北、北海道地方において共済保険がその救済を十分に果たしていると考えられるのかどうか。特に共済保険の種類では全相殺が冷害に非常に有効であると、このように言われておるわけですけれども、私のいただいた資料では非常に全相殺の加入の率が低い。なぜ低いのかと。そうしますと、やっぱり全相殺に加入できる条件というものがありまして、農家としてはこの条件をもうちょっと緩和をしてもらいたいと、こういうことを要求をしておるようでありますが、農水省としてはこの全相殺の加入者をふやすためにそういう処置を含めてどう考えておるのか、これをお伺いをしておきます。
○政府委員(佐野宏哉君) 御指摘のとおり、全相殺方式の場合には足切りが一割でございますから、そういう意味では冷害のように広範に減収をもたらす災害に対しては一筆方式とか半相殺方式に比べて長所と申しますか、有利な制度であることは御指摘のとおりでございます。
 ただ、全相殺方式というのは、逆に圃場ごとに被害額が特定されるわけではございませんので、農家単位で収穫量が適正に確認できるという見込みのあるものとして農林水産大臣が都道府県知事の意見を聞いて指定する地域についてのみ行うことになっているわけです。これは全相殺方式という制度に、言うなれば内在的な制約でございまして、農家単位に収穫量が適正に確認できるということは、これは不可欠の要件であると存じております。
 それで、私どもが現在課しております制約条件というのは、この農家単位収穫量が適正に確認できるということを担保するために必要最小限度の制約を課しておるつもりでございまして、どうもその全相殺農単方式という前提に立脚する以上は、現行の制約条件を緩和する余地というのはほとんど見出しがたいというふうに残念ながら思っております。
○塩出啓典君 それでは次に、政府は水田の減反政策の一環として表への転作を奨励をしてきておるわけでありますが、この麦作農家の保険加入率が非常に低い。低いと申しましてもそれは果樹共済等よりははるかに高いわけですけれども、五十五年の作付で六七・一%。特に、いただいた資料によりますと、岐阜県は九五・丑とか福井県は九四・八と、こういうふうに高いわけですが、秋田は四・五、島根一八・一と、こういうように非常に差がある。今回の被害の多い北海道、これは非常に面積も広いわけでありますが、ここはやはり五七・五%と、こういうように非常に低いわけでありますが、この低い原因、あるいはまた格差のある原因はどのように考えておりますか。
○政府委員(佐野宏哉君) 麦の共済加入率は、全国平均で五十六年産の実績で見ますと六六・七%ということになっておりまして、先生御指摘のとおり、確かに米に比べて遜色がございます。
 それで、稲の場合に比べて遜色がございます中で、いろんな事情がございますが、一般的に申せますことは、一つは、麦は主産地を除いて水稲の場合よりも栽培規模が小さい場合が多いわけでございまして、その結果、当然加入基準以下の農家が相当あるのがこれが一つの事情でございます。
 それからもう一つは、これはことに地域的な偏り、特に北海道の場合麦の加入率が低くなっておるということの理由として考えられるわけでございますが、北海道を中心にする一部の地域で四十年前後麦の作付が減少いたしました結果、共済団体が麦の共済事業を廃止してしまったところが相当ございます。それで、内地につきましては、これはその後逐次復活をしてきておりますが、復活のテンポにかなり地域間の差がございまして、ことに北海道の場合に、一たん麦の共済事業を廃止してしまった組合等が麦の共済を復活するテンポがおくれておったということが、これが非常に大きな事情であろうと思います。
 それから、やや技術的な事情でございますが、水田転作によりまして最近になって麦が生き返ってきたというような地帯では、基準収穫量を設定することは非常にむずかしいので、そういう事情で加入から除外されているというような事情もございます。
 農林水産省といたしましては、水田転作の定着化という見地からも麦の加入促進が必要であるというふうに考えておりまして、水田転作麦の適確な共済引き受けができるように指導通達を出したりいたして、農業共済組合等に対して督励をいたしておるわけでございますが、その効果もございまして、近年着実に麦の共済事業の再開が進んできておる状況でございます。
○塩出啓典君 北海道の場合は、五十六年夏の時点で麦の共済を受け付けていたのは百五組合のうち五十組合であると。表への転作を奨励しながら共済組合への加入または組合の麦共済への受け付け開始ができなかったわけでありまして、政府は、被害が発生した後に同地あて「農作物共済における麦共済の再開について」と、こういう通達を出されたようでありますが、もちろんいま話がありましたように、新たに作付をした農家が多かったので基準収量がつかめないと、そういう点もあったと思うんですけれども、しかし私は、この共済の災害補償制度というものはやはり農家の自主的な相互依存を基本としておるわけでありまして、それに国がいろいろな助成をしておるわけで、やはり農業団体、農家の人たちが自主的にまず真剣にやってもらわなければ、私は非常によろしくないんじゃないかと。そういう意味で、今後この麦共済につきましても農水省としてもひとつ十分指導をして加入率が高まっていくように努力をしてもらいたい、このことを強く要望をいたしておきます。
 それから、余り時間もございませんので次へいきますが、特に果樹共済、いわゆる果樹勘定は一般会計からの繰り入れ残高がこの五年間増加の一途であり、三年間連続して一般会計から繰り入れておるということは先ほど申したと括りでありますが、二十年間でバランスがとれると、まあこのように言われておるわけですが、ちょっと統計学的に考えても、五年間全然一般会計への残高が減らないで二十年間たてばと言われても、ちょっと心配だなと、こういう気がするわけでありますが、この問題については農水省としてはどういうお考えでおりますか、お伺いします。
○政府委員(佐野宏哉君) 先生御指摘のとおり、果樹共済につきましては、私どもは制度発足以来不幸にして連年大災害に見舞われたのが、赤字が累積しておる基本的な原因であるというふうに考えておりますが、先生ただいま問題提起をなさいましたように、私ども安易に二十年たてば収支が均衡するのであるからということで手をこまねいておるわけではございませんので、私どもとして制度上の欠陥に起因するのではないかと思われる点について、私どもとしてもいろいろ点検をいたしました。その結果、五十五年に取りまとめて制度改正をお願いをいたしたわけでございます。
 それで、制度改正をお願いをいたしました主要な点は、一つは加入促進という見地から見まして、専業的果樹栽培農家にとって魅力のふえるようなやり方、すなわち無事故割引の導入でございますとか、あるいは災害収入共済方式の導入というようなことを行いました。たとえば、災害収入共済方式というのは愛媛県あたりでは大変御好評を得まして、これでかなり顕著な加入の促進が見られたというふうに伝えられております。それから一方、基準収穫量の設定が適正を欠いて不必要に事故が発生する、そういう事態を防止いたしますために標準収穫量という概念を導入して、標準収穫量に基づいて共済引き受けを行い、基準収穫量の設定は、その後十分なデータのそろう時期に慎重にこれを行うことができるような仕組みに改めます。また、損害評価の適正を確保するために半相殺方式を導入するというような措置を五十五年度に制度改正をお願いをいたしましたところでございます。
 私どもとしては、この制度改正の効果――何しろ本会計年度初めて実施に移されたものでございますので、まだ制度改正の効果を評価することは時期尚早でございますが、私どもとしては制度面で考え得る、欠陥たり得る事項についてはそれなりの手当てをそれぞれ講じたつもりでおりますので、私どもとしてはこの新制度の普及徹底を図りまして、その着実な実施を通じて果樹共済制度の健全化に努力してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○塩出啓典君 いまのようなお話は、実ば昨年の当委員会でもそういうお話があったわけで、昨年の、ちょうど一年前の時期に当時の松浦局長が、国会の答弁では果樹共済の加入率は二六・七%、それから樹体共済の方は大体七%と、こういうようなお話で、優良農家が逆選択をして加入しないようなことのないようにするために五十五年度の法改正をしたと、その結果は昨年の委員会よりちょうど一年たっているわけでありますが、現在は大体統計的には何%ぐらいの加入率に上がっておるんでございますか。
○政府委員(佐野宏哉君) 収穫共済の方は二八%でございます。それから樹体の方は六・三%でございます。
○塩出啓典君 そうすると、この樹体共済の方は一年前よりも後退をしたと、それから収穫共済の方は一・四%ぐらいの前進をしたと、昨年の数字から言いますとそのようになっちゃうわけですけれどもね。この点は、今後の見通しとして大体どの程度まで目標にしているのか、これは余り無理なことを言ってもいけないわけでありますが、やはり将来の見通しとして保険設計における料率の算定等も当然そういう加入率というものも基礎にして行われると思うんでありますが、農水省としては大体どの程度まで、いつごろまでに、どの程度まで持っていこうとされておるのか、そのあたりのお答えを聞いておきたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 目標年次と言われるとなかなかちょっとむずかしいんでございますが、私どもとしてはせめて五〇%の加入率にはごく近い時期に持っていきたいというふうに思っております。
○塩出啓典君 やはり私も先ほど申しましたように、この農業災害補償制度というものが農家の自主的相互依存を基本としておる、しかもこの共済制度には事務費にあるいは掛金とかまた今回のような繰り入れ等いろいろな面で一般会計から支出をされておるわけでありまして、こういう財政状況の中で、そういう方面に支出をしていくということは私はそれなりのやはり客観的な理由というか、社会的必然性というものが当然なければいけないと思います。そういう意味で、余り七%とか、いつまでたっても二六、七%とか、そういう状況であるならば、私はやっぱりこれは国民の皆さんの理解はなかなか得られないんじゃないか、こういう事態が来ることを私は非常に心配しているわけなんですけれどもね。
 そういう意味で、私は昨年の当委員会においては、いわゆる優良農家が保険に入らない、それは入らないのはそれはいい。それならばじゃほかの融資制度も適用しない。やっぱりわが国の農業政策というものは農業関係のいろいろな農林漁業金融公庫等の融資制度あるいはこういう共済制度あるいはいろんな補助金制度、そういうものが一つのセットになっておるわけでありまして、そのうちでいわゆる共済制度は入らないけれども、自分の都合のいいところだけつまみ食いをすると、こういうことではちょっとまずいんじゃないかなと、だから本当に共済制度の加入率が非常に低いという場合には、私はもちろんその原因はよくわかりませんけれども、よく調査をして、場合によっては共済制度に入らない方はどうぞ御結構ですから、そのかわりひとつ自分でがんばってくださ。いと、これくらいの姿勢をとることも検討してはどうかなと、私は、農水省としてもやっぱりそのぐらい本気でやらなきゃならない、そういういろんな情勢にあるんじゃないかなと、そういう気がするんですが、その点どのようにお考えですか。
○政府委員(佐野宏哉君) 私どもといたしましては、果樹共済というのは任意共済でございまして、果樹共済の加入率をできるだけ高くしなければならないというふうに考えておりますが、同時に、その果樹共済の加入率を高めるために余り押しつけがましい手段をとることについてはいささからゅうちょを感じておるわけでございます。現に、当然加入制をとっております水稲とか麦とかにつきましても、むしろ当然加入基準を逐次引き上げてきておるような情勢でございまして、制度本来の仕組みに農業者が十分魅力を感じていただくということをやはり基本にいたしませんと、それ以外の人為的手段によって加入の促進を図るということは、とかくいろいろな面でひずみが生じがちになるのではないかというふうに考えております。
 ただいまの先生の御指摘は、加入率促進のために一層努力せよという激励を賜ったものと受け取らせていただいて、さらにそういう果樹共済制度の制度の仕組み自体の魅力をPRして加入を高めていくという方向で努力させていただきたいと思っております。
○塩出啓典君 一年前の当委員会でも同僚委員からも質問があったと思いますが、かなり現在の制度でも非常に県によって加入率に差があるわけでありまして、私はそういう点はやはり制度だけではない、その関係者の熱意というか、やっぱり共済制度の精神というものをどこまで理解したかという、こういうことにもなっていくんじゃないかと思うんですね。そういう意味で、また一年後にこの法案が当委員会にかかることは困るわけでありますが、もしそういう場合、ほかの委員会においてもさらに前進したひとつ報告をいただけるように、農水省のひとつ今後の御健闘を期待をいたします。
 それから最後に、五十六年度産米の作況指数の件でございますが、私のおります広島県は作況指数が一〇三、「やや良」と発表されているわけでありますが、実際の収穫量は昭和五十六年度末の段階で検査数量が十一万九千トン、政府買い入れ米の予約限度数量が十二万七千五百トンで買い入れ米の予約限度量にも達成をしない。そういうことで、結局、農協の皆さんの感じとしては、この作況指数は一〇三だけれども実際の感じとしてはそんなにできていないと、そういうちょっと食い違いがあるわけでありますが、こういう点について農水省としてはどのようにお考えであるか、こういう例は他の県でもあるのかどうか、この点をお伺いをいたします。時間がありませんので簡単で結構なんですけれども。
○説明員(藤井薫君) お答えさせていただきます。
 私どもがいたしております統計調査におきましては、標本理論に基づきまして実収、実測調査を行っておるということでございまして、その結果につきましては信頼性が高いというふうに思っておりますが、先生いま御指摘のように、地域によりましては実感と差があるではないかという御指摘でございますが、実際に発表いたしますのは県平均というようなことでございまして、作期だとか地帯によりまして若干異和感が出ておるんではないかというふうに存じておりますが、そのような御意見のところも若干ございまして、そういう地域につきましては、それぞれに作柄状況を御説明いたしまして納得をいただいておるというところでございます。
 もう一点、先生御指摘がございました買い入れ限度数量との関係につきましては、これは昨年は出荷がかなりおくれたという点もございますし、それかう一昨年がかなりの冷害でございまして、そういう翌年には農家の保有量がふえるというような傾向が過去の冷害年、四十六年、五十一年という年におきましても出てまいっておりまして、同じような傾向かというふうに存じておるところでございます。
○塩出啓典君 どうしても抜き取り検査ですから必ずしも合わない場合もあるのはやむを得ないと思うんですけれども、その点はさらに農水省としても評価方法等の、実測方法等め検討調査もやる方針のようでございますので、今後に期待をしたいと思います。
 それから、大蔵省に要望しておきたいんですが、一〇三という作況指数でありますと、そういうものが農家の課税にも影響していくんじゃないか、そういうことを非常に農家は心配しておるわけであります。そういう点で、私は一〇三という数字にとらわれずに、実態を見て、非常に不当な課税にならないように、そういう点は税務当局としても農協等の意見もよく聞いてひとつ慎重にやってもらいたい。このことを要望したいのでございますが、その点はどうでございましょうか。
○政府委員(吉田哲朗君) ただいまお尋ねの農業所得課税のお話でございますが、御案内のように、農業所得の課税につきましては、記帳のない農家の実情に照らしまして、所得計算の目安としまして各国税局あるいは税務署で農業所得標準を作成しているわけでございます。
 そこで、その農業所得標準の作成の考え方でございますけれども、私どもの方針としましては、極力各種の資料、情報を収集し、検討して、地域の実情に即したものにするようにしておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、いまお尋ねの統計情報事務所の作況指数等はもちろん重要な資料でございますけれども、それに限りませず、たとえば収穫量等につきましては実地調査、坪刈りとかあるいは収穫済みの在庫米の調査であるとか、そういったこともやっておりますし、また共済その他各種の資料も活用させていただいているところでございます。そういったものを総合分析いたしまして、さらにまた農業協同組合等精通者の御意見も聴取しまして多面的な検討をやっているところであります。非常に作況指数等は重要な資料でありますけれども、それのみに頼っておるということではございません。今後とも実態に即した標準の作成に努力してまいりたい、かように考えております。
    ―――――――――――――
○委員長(河本嘉久蔵君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま多田省吾君が委員を辞任されて、その補欠として中野鉄造君が選任されました。
    ―――――――――――――
○近藤忠孝君 農業共済制度全体の問題についてはもう質疑がありましたので省略いたしまして、個別の問題について質問いたします。
 まず果樹共済ですが、これは昨年も質問しましたが、果樹の支持物について適用がないわけであります。この点についてはすでに昭和四十九年度から調査をしていると、こういう状況でありまして、それから一年たちまして、特にこれは雪害の影響が大きいところでありますので、特に昨年は雪も多く、私はいろんな調査があったんじゃないかと、こう思います。そういう点で、その後の調査の状況はどうでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) 御指摘のとおり、昭和四十九年度から主産県に委託をいたしまして果樹の支持物について被害率等の基礎調査を行ってまいりましたが、これまでの調査結果によりますと、被害の頻度はきわめて少なくて、目下のところ被害率を推定するに足る資料を得るに至っておらないのであります。したがいまして、現在調査対象地域を変更するなど調査方法に工夫を加えた上で、さらに今後調査を継続して果樹共済の対象にできるかどうか検討いたしたい、そういう段階でございます。
○近藤忠孝君 頻度が小さいと言うんですが、これは北陸など、たとえば富山一県だけでも樹体で二百八十ヘクタール、棚で百二十ヘクタール、二億円、合わせて十億円。となりますと、相当やっぱり頻度は多いんじゃないかと思うんです。というのは、いままでの調査対象が雪のないところを調査対象にしておったんじゃないかと思うんで、そういう点で、調査対象地域を変更するというのはそういう点だと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(佐野宏哉君) 御指摘のとおりでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、やはり棚と樹木というのは一体のものでありますので、ひとつ積極的にその検討を進めてほしいと、こう思います。
 それから、野菜共済では露地野菜が適用になっていないわけであります。これも、これは災害特別委員会で昨年質問したんですが、評価が大変困難であるというようなことが理由のようでなかなか対象にならぬと言うんですが、必ずしもそうでないんじゃないかと思うんですね。たとえば、これは災害特別委員会で指摘した点ですが、新潟などでは、水田の予定で開墾したところが国の政策の変更によって水田としてできない、そこで野菜をつくっておるんですね。そこが昨年大変な水害を受けたけれども、水田をやっておれば共済の対象になるものが野菜に変えたためにだめだとなりますと、これは大変気の毒だと思うわけです。そういう点で、私は露地野菜についてもこれはやっぱり前向きに進めるべきだと、こう思いますが、どこに困難があってどういう問題があるのか、これをちょっと答弁してほしいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 露地野菜につきましては、先生御指摘のとおり調査は実施しておるわけでございますが、現在私どもが感じておりますむずかしさの中で特に主なものを申し上げますと、たとえば露地野菜の場合、価格の年次変動が非常に大きくて、広範囲な災害によって収穫量がかなり減少したような場合には、価格が高騰して災害による減少を償って余りあるような収入を得られる。逆に豊作の場合にはいわゆる豊作貧乏で、災害を受けない場合よりも災害を受けて――仮にその共済制度をつくるといたしますと、共済金の支払いを受けた方が有利になってしまう、そういう事態がございます。
 それで、これは理屈だけの問題ではなくて、こういう現実があるときに無理をして制度化を急ぎますと、たとえば非常に加入率が低くなってしまうとかそういう形の問題が出てくるわけでございまして、どうも私ども行政の衝にある者が勇断をふるいさえすれば済むという性質のものではないところがございます。それで、こういう点を無視して拙速で制度をつくりまして、またいま果樹共済についておしかりを受けておりますようなおしかりを何年か後に受けるということになるのも困りますので、そういう点が踏み切りにくい点の一番大きなところでございます。
○近藤忠孝君 いまの価格の問題については、たとえば価格が上がった場合はこれを収量増と見るとか、いろいろ対処の仕方もあると思うわけですね。やっぱり特に野菜などは天候に左右されやすい点では私は他の作物よりも多いと思いますし、実際統計上も果樹よりも被害面積も被害量も多いわけですね。となれば、これはやっぱりもっと積極的に対処すべきだと思います。現にこれは日本農業新聞などでは、「露地野菜にも農業共済」と、もういまにも実現しそうなこんな記事も出ている。それだけ私は期待が大きいと思うんですね。そういう制度上の問題は確かにあるとは思いますけれども、それはやっぱり積極的に進めて農民の期待にこたえるということが私は必要じゃないかと思いますが、どうでしょう。
○政府委員(佐野宏哉君) 先生のただいまの御指摘は私どももさよう考えておりまして、したがって、であればこそ、私どもも試験調査を続けておるところでございます。
 ですから、そういう意味で、先ほど申し上げましたようないろいろな難点も、そういう難点があるから断念をしたということでは決してございませんので、調査は続けておりますが、もっと勇気を出してさっさと踏み切ったらいいではないかということに対しては、なかなかそう元気を出せない事情もございますということを申し上げたわけでございます。
○近藤忠孝君 ひとつ前向きの検討を要望したいと思います。次に、水田の関係では、最近水田預託が大変ふえていると聞いておりますが、ただ問題は、これが転作に結びつかないという点が問題のようですね。この点についての実情と、これを転作に結びつける対策、これについても聞きたいと思います。
○説明員(近長武治君) 現在水田預託につきましては、五十六年度の実績見込みで全国で六万一千ヘクタール程度というふうに見ております。これは転作等の実施面積全体に対しまして九%に相当いたします。水田預託が比較的多い地域は、東海、関東、近畿などの都市近郊地域に比較的多いようでございます。
 御案内のように、この水田預託制度は水田利用再編対策が始まりました五十三年度からこういう制度を導入したわけでございますが、端的に申し上げますと、米の需給事情が当時非常に深刻になりまして大幅に転作面積をふやさなければいけない。その際に、第二種兼業農家などを含めましてすべての稲作農家の協力を得たいということでございますが、そういう二種兼業農家などは労働力などの制約がございまして、稲作から転作に移行したときになかなか労働力面で転作がむずかしい。そこで水田を農協等に預けまして、農協等が積極的に、中核農家などの転作と結びつけて、農地利用の集積あるいは農地の高度利用というところにも役に立てていこうというような状況でございます。
 現在水田預託の実態は、面積的には先ほど申し上げましたとおりですが、具体的には、この水田預託の形態は二つございまして、一つは、保全管理ということで農協が農家から転作を目的として農地を預かりますが、作付が行われていない。それからもう一つは、転作に移行しているものというふうにございますが、現在のところ、残念ながら大部分が保全管理にとどまっております。
 その理由はいろいろあろうかと思いますが、一つは、農地を中核的農家の方に移動さしていくといういわゆる農地の流動化は、その性格上なかなか時間がかかるという問題、それからやはり預託水田の整備状況が客観的に見て必ずしもよくないとか、あるいはやはり都市近郊でございますところは安定した農業労働力が得られないというようななかなかむつかしい状況がございます。ただ私どもとしては、やはりこれが転作に結びつくということが制度の趣旨からしましてもねらいでございますから、これからそういう事情なども十分に調べながら、それからこういう制度の趣旨ということも農家あるいは農業団体の方に徹底をさせるということで、なるべく転作の方に移行していきたいというふうに考えておりますが、実態が先ほど申し上げましたような状況でございますので、相当な努力を必要とするのではないかというふうに思っております。
○近藤忠孝君 この点については、やはり転作に結びつける対策として、転作しやすい、条件のいい水田への預託がえとか、預託水田の転作集団等への集積を進めるというようなことが論じられておりますので、ひとつそういう方向を進めてほしいと思います。
 時間もわずかですので、あと最後に大蔵省とそれから農水省、両方に見解を求めたいんですが、最近経団連で「わが国農業・農政の今後のあり方」と題する提言を発表いたしました。これは第二次臨調の答申、本答申を意識しての財界の一つの見解であり、そこに、答申の中に織り込もうという、こういう意図があると思います。その中身は大変重要な問題点を含んでおりまして、端的に言いますと、要するに補助金による過保護農政からの脱却を求めている。で、かつての国際分業論とはやや違うようですが、これを、農業を産業として位置づけるという点を強調しております。
 問題は、具体的な問題として補助金から低利融資への切りかえを求めておるという、かなり具体的な提言なんですね。となりますと、これは当然臨調答申にもはね返ってくると思うんです。きょう審議している法案は、まさに補助金が大変大きな場を占めていますし、先ほどもその議論があったんですが、こういう提言に対して大蔵省それから農水省、それぞれどうお考えか答弁いただきたいと思います。
○政府委員(西垣昭君) 経団連の提言について詳しくということではなくて、基本的な考え方を申し上げますと、農業の特殊性というものがあると思います。農業につきましては、その他の産業と違いまして、自然条件に左右されるというような問題もございまして、経済合理性だけでは割り切れないといった面がございます。しかし他方、農業も産業であるということでありますので、方向といたしましては、生産性の向上を図りながら自主的に農業の発展を図っていくという努力が重要ではないかというふうに考えております。
 国の助成のあり方でございますけれども、生産性の向上を助けるような方向で、つまり生産性を向上しないでも何とかやっていけるということではなくて、生産性の向上を助けるような方向で助成をしていくということではないか、こういうふうに思っております。助成の仕方につきまして、たとえば補助金ではなくて融資ではどうかというふうな御議論もいろいろあると思いますが、その辺は、そのねらいとか効果とか、そういったものを見ながら、やっぱり一つ一つ判断していくべき問題ではないかというふうに考えております。
○政府委員(佐野宏哉君) 一般論でございますが、私ども農林水産省といたしましても、納税者が大変御苦労をなさって納めていただいている税金を使わしていただくわけでございますから、できるだけ経済的に政策を運営していくべきことは当然でございますが、ただ、農業共済事業は国の農業者に対する災害対策の主要な柱でございますので、そういう貴重な税金を使わしていただくべき正当性を持った仕事であるというふうに思っておりますから、もちろん倹約には心がけますが、その中でやはり適切な予算は予算案に計上するように努力をしていきたいというふうに思っております。
○三治重信君 農業共済の関係でちょっと御質問いたしますが、農業勘定というのですか、稲作やあちらの方の農業勘定だと、この資料から見ると再保険で一般会計から出したやつをまた戻していますね。そして、黒字になったり赤字になったりして、赤字になると一般会計から繰り入れている。ところが、果樹勘定はこの資料を見る限り、五十二年からは一度も一銭も返していない、借りるばっかしだ。こういうことなんですが、これは何か果樹に偶然的に、たとえば五十二、五十三年のように繰り入れないときでも一般会計への繰り戻し額はない、まあとんとんということだろうと思うんですが、そういう点について果樹勘定はまだ成熟していないかもしれないけれども、これはいまのままでいくというとだんだん一般会計から繰り入れっぱなしになるということになると、再保険の機能がなくなるんじゃないかと思うんですが、その点をどういうふうに考えるか。
○政府委員(佐野宏哉君) 果樹勘定について、私どもが一般会計に何回にもわたって御迷惑をおかけしておるのは大変心苦しく存じておりますが、主たる原因は先ほど来申し上げておりますように、制度発足以来何回――ほとんど連年大災害に見舞われたという不幸な偶然によるものであるというふうに考えておりますが、同時に、私どもとして制度面からこのような累積赤字の発生原因になりかねまじき事態として思い当たる事項につきましては、五十五年の改正でそれぞれ手当てをしたつもりでいます。
 それで、ただいま先生御指摘のように、果樹勘定といえどもやはり保険設計に基づいて成り立っておるものでございますから、この一般会計の繰り入れは必ず一般会計に繰り戻さなければならないものであるという点につきましては私どもも肝に銘じておるつもりでございまして、現に果樹勘定の財務諸表におきましても一般会計からの繰り入れは負債として扱っておるわけでございます。ただ、一般会計への弁済の時期を特定しがたいためにこういう形になっておるわけでございますが、私どもとしては必ず一般会計に繰り戻すという決意のもとに当たっておるつもりでございまして、五十五年度の制度改正の効果が十分浸透することによって、必ず果樹勘定の財政も健全化し得るものというふうに考えておるところで、しばらく御猶予をいただきたいというふうに思っております。
○三治重信君 ひとつ、制度をつくったらそれが機能をしていかない場合には、ひとつ早く再検討をしてその制度が機能するようなことをやっていただきたいと思う。そうしないと、こういうふうな保険制度という、共済という名にしても、結局これはもらえばもらえるほどいいと、こういうような考えで制度を運営していくというのは、やはりこの名が、この共済制度という、またしかも共済の再保険という制度になじまぬと思うんですが、この点ひとつ検討をしてやっていただきたいと思います。
 私は、この共済制度、こういうようなのはやはり農業を近代化していく上においても、やはりまた自立農家をつくっていく過程において、災害に対してこういうふうな一定の基準に基づいて補償される制度をしっかり運用していけば、自立農家を育成する上においても非常に役に立つと思うので、特にそういうふうに思いますとともに、こういう共済制度というのは逆選択が行われぬように、できれば重要なところは、また重要な産地というのは、やはり強制保険に準ずるような、全部加入して共済が機能するような農家を包含できるようにひとつ制度の運用を考えていただきたいと思います。
 これは大蔵省に、子供みたいな質問になりますが、一般会計の繰入額というのは、これは大蔵省の方としてはどういうふうな処理、何と言うんですか雑収入かになるんですか。この一般会計の繰り入れというのは、農水省で所管しているわけではないわけでしょう。どういうふうな取り扱い、繰り入れした金額。
○政府委員(西垣昭君) 再保険金の支払い義務が発生しておりますので、その財源措置をできるだけ早く講じたいということで一般会計から特別会計に繰り入れを行うものでございまして、その繰り入れが行われた特別会計におきまして再保険金の支払い財源として使用される、こういう性質のものでございます。
○三治重信君 ちょっと済みません、いまほかのこと考えていてもう一遍ちょっとわかりやすく……。
 いまここに、これは予算でこうやって、補正で計上するでしょう。ところが、資料を見ると稲作のなんかを含む農業勘定だと、五十二年で差し引き四百五十三億累計として繰り入れてある。ところが、五十三年だとそれが百七十七億一般会計へ繰り戻ししてある。去年の五十五年度だと二十六億繰り戻しちゃって、いままでの一般会計から再保険特別会計に繰り入れた残額が二十六億払ってもまだ千三百八十三億残っている、こういうふうになっているんだね。だから、この二十六億というのは予算書のどこに載るんだということ、五十四年の二百五十億と、一般会計の繰入額というのは。
○政府委員(佐野宏哉君) お答えいたします。
 繰り入れ累計額は、農業勘定なり果樹勘定なりの貸借対照表上、負債欄にその金額が繰入金として記載されます。残高ですよ、繰入金累計額は。
○三治重信君 だから、戻したやつは、一般会計へ戻した金額はどこになる、どういうふうになる。
○政府委員(西垣昭君) 一般会計の歳入の中の特別会計受入金という勘定名で整理されておるはずでございます。
○三治重信君 どうも済みません、幼稚な質問なんだけれども。
 もう一つは、これは災害だから、毎年この繰入額が出るたびにこういうふうに審議にかかるわけなんですけれども、何と申しますか、こういうふうなのは一種の災害対策費といえば災害対策費なんだけれども、再保険だから保険制度になっているわけなんだから、何かそういうふうな赤字が出て、すぐいまもうあれでしょう、翌年度の予算を組むときには大体前年度の五十六年度の赤字がどれぐらい出るのかというのはもう五十七年度の予算を組むときにわかるわけだから、五十七年度の予算で組んでおけば、五十六年度の赤字は、これはそういう法律になっていないかもしれないけれども、この再保険会計で大蔵省が財投なり何なりで貸しておいてやっていけば、翌年で精算できる制度が考えられると思うんだけれども、そういうことは災害だからその年度ごとでやらにゃいかぬという考えのようなんだけれども、これからだんだんこの一般会計が窮屈になってきた場合に、この補正の金額というんですか、補正の出方によってどんどん公債を出せばそれでいいかもしれないけれども、ことに財政再建というようなときには補正予算というのはできるだけ組まぬでいくという考え方、どうもそういう暫定的な考え方というのは一つ考えられるのじゃないかと思うんですが、その点についての御意見を伺ってやめておきます。
○政府委員(西垣昭君) 共済の仕組みは長期的には相償うという、一般会計の助けをかりなくてもやっていけるという前提でやっているわけでございまして、一般会計から不足金を繰り入れるということは、これは制度としては予定してない。で、異常に大きな災害がありまして再保険金支払いの財源がなくなるというような場合に、特別の措置として今回のような繰り入れを行ったらということでございます。で、借入金でいいじゃないかというような議論も先ほどもございましたけれども、それは結局特別会計の負担を通じまして農民の負担になる問題でもございますので、今後そういったことが起きたときにはどうするかというふうな問題も提起されましたけれども、今後の問題は今後の問題といたしまして、そのときにまた検討しなくちゃなりませんけれども、今回は一般会計の繰入金で財源の手当てをしたと、そういうことでございます。
○委員長(河本嘉久蔵君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案の討論に入ります。
 別に御意見もないようですから、これより両案の採決に入ります。
 まず、農業共済再保険特別会計における農作物共済、畑作物共済及び果樹共済に係る再保険金の支払財源の不足に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、昭和五十六年度の水田利用再編奨励補助金についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方は挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(河本嘉久蔵君) 次に、派遣委員の報告に関する件につきましてお諮りいたします。
 先般、当委員会が行いました租税及び金融等に関する実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員からの報告書が提出されておりますので、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十一分散会
     ―――――・―――――