第096回国会 大蔵委員会 第14号
昭和五十七年八月五日(木曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 五月十三日
    辞任         補欠選任
     和田 静夫君     小谷  守君
     立木  洋君     近藤 忠孝君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     藤井 孝男君     中山 太郎君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     中山 太郎君     藤井 孝男君
 七月二十九日
    辞任         補欠選任
     塩出 啓典君     和泉 照雄君
 八月三日
    辞任         補欠選任
     藤井 孝男君     竹内  潔君
     穐山  篤君     広田 幸一君
     和泉 照雄君     塩出 啓典君
 八月四日
    辞任         補欠選任
     竹内  潔君     藤井 孝男君
     広田 幸一君     穐山  篤君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         河本嘉久蔵君
    理 事
                衛藤征士郎君
                中村 太郎君
                藤井 裕久君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
    委 員
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                嶋崎  均君
                鈴木 省吾君
                土屋 義彦君
                藤井 孝男君
                赤桐  操君
                小谷  守君
                鈴木 和美君
                丸谷 金保君
                多田 省吾君
                矢追 秀彦君
                近藤 忠孝君
                三治 重信君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君
   政府委員
       大蔵政務次官   増岡 康治君
       大蔵大臣官房審
       議官       岩崎  隆君
       大蔵省主計局次
       長        窪田  弘君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理財局長  加藤 隆司君
       大蔵省証券局長  水野  繁君
       大蔵省銀行局長  宮本 保孝君
       大蔵省国際金融
       局長       大場 智満君
       国税庁次長    酒井 健三君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  保君
   説明員
       防衛庁経理局施
       設課長      南雲  彬君
       防衛施設庁施設
       部施設管理課長  折田 成男君
       大蔵省銀行局保
       険部長      猪瀬 節雄君
   参考人
       日本銀行総裁   前川 春雄君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○参考人の出席要求に関する件
○租税及び金融等に関する調査
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○委員長(河本嘉久蔵君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が二名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に穐山篤君、塩出啓典君を指名いたします。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 速記を起こして。
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○委員長(河本嘉久蔵君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税及び金融等に関する調査のため、本日、日本銀行総裁前川春雄君の出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本嘉久蔵君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(河本嘉久蔵君) 租税及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 国有財産の所管替えの問題について御質問いたします。
 去る六月十七日付の北海道の国有財産の地方審議会で帯広航空大学校の跡地利用について防衛施設庁の方に所管替えが決定いたしまして、会長さんからその旨を札幌財務局長の方にお伝えをいたしますときに、特に付近住民との関係に留意して騒音対策には十分注意するように、こういう意見が出されております。このことにつきまして、大蔵省としては地方審議会の意見をどのように受けとめ、どのような対応をしたかについて御説明願います。
○政府委員(加藤隆司君) ただいまの件につきましては、お話にございましたように、六月十七日に開催されました国有財産北海道地方審議会におきまして答申を得ましたところでございますが、その際、同会長から北海道財務局長に対しまして、航空大学校跡地を含めて、十勝飛行場の運営については、特に騒音関係について住民への影響を考慮に入れて運用してもらいたい旨の要請がございました。
 これを受けまして、財務局長からその旨を札幌防衛施設局長へ伝えたところでございまして、また七月二十六日の所管替えの際にも改めて十分配慮するよう申し入れたところでございます。
○丸谷金保君 それで、防衛施設庁にお伺いいたしますが、大蔵当局からそうした申し入れを受けまして、施設庁としてはどのように処置いたしましたか。
○説明員(折田成男君) ただいま大蔵省の方から御答弁ございましたけれども、札幌防衛施設局長に対して、さきに北海道財務局長から国有財産北海道地方審議会会長の意見として、航空大学校跡地を含め、十勝飛行場の運用については、特に騒音関係について住民への影響を考慮に入れ運用されたいというような伝達を受けております。
 防衛施設庁といたしましては、同審議会の審議経過並びに先ほど申しました財務局長の意を体しまして、札幌防衛施設局長に対して、環境の保全に留意し飛行場の運用を図る旨を徹底せしめるよう指示しているところでございます。それに基づきまして、札幌防衛施設局長は、七月二日付文書をもって、陸上自衛隊北部方面総監に対し、十勝飛行場の運用に当たっては周辺住民への騒音の影響について十分配慮するよう通知しているところでございます。
 以上でございます。
○丸谷金保君 それで、実は施設庁にお伺いするんですが、帯広のその航空大学校跡地問題が住民サイドで非常に問題になりました一番もとになったのは、五十四年十一月八日付文書によって航大跡地の利用計画がないという返事を帯広市に回答した。これで市の方でも、防衛施設庁側にその利用計画がないなら市として利用計画を立てよう、こういうことになり、また住民団体も跡地利用ということに重点を置いて実は運動が進んできたという経緯があるわけです。その後こう変更されたわけなんですが、どうもそこら辺で所管替えになって、まだすっきりしないところが残っておりますので、どうして要らないと返事をして後から必要になったのかという点について、もう一度御説明いただきたいんです。
○説明員(南雲彬君) この計画の問題につきましては防衛庁の本庁の方で扱っておりますので、私から御説明いたします。
 御指摘の五十四年十一月八日付札幌防衛施設局帯広支局長から帯広市長あての文書を出してございますが、当時、新空港の開港後に普通財産となることが確定しておりました滑走路地帯――着陸帯でございますが、この区域を陸上自衛隊の飛行場として管理運営したいとの希望は当時確定しておりまして、その旨申し述べたものでございます。それから、その際、空港ターミナル地区、これについては防衛庁として使用計画がございませんでしたので、その点については計画ないとお答え申し上げております。
 ただ、当時におきましてまだ航空大学校の分校の移転が決まっていないという状態での航空大学校分校の区域でございますが、これにつきましては、現に航空大学校の方で使用しておるという状況のもとでございましたので、防衛庁としてはその区域について、やはり利用計画なしということでお答え申し上げたわけでございます。その後、同分校の移転が明らかになったということになりました時点で、防衛庁としては改めて同飛行場の全体についての利用計画を検討した結果、分校の跡地についても利用いたしたいということで計画の変更を行ったものでございます。
○丸谷金保君 それで、地元で心配しているのはそこのところなんです。というのは、防衛庁というのはあれですか、たとえばこの場合でも航大がいずれ移転するであろうということは新聞紙上その他でもいろいろ取りざたされておって、全く知らなかったわけではないわけなんです。しかし、どんな場合でもそういう計画というのは更地になるまでは防衛庁というのは計画立てないんですか。そんなことないんじゃないかということが心配で、航大で使っていたから計画を立てなかったんだというふうなことだけではちょっと納得できないわけなんです。それじゃみんなそうなのか。更地になるまで防衛庁はそういう施設計画を持たないのか。そんなはずないじゃないかというところから疑心暗鬼が出てきたんです。その点どうなんですか。実際に更地になるまでは計画立てないんですか、防衛庁というのは、いつでも。
○説明員(南雲彬君) 基本的には、更地になる、そしてそこが普通財産になるという状況がはっきりしておりますれば、内部的にそこの利用計画ということを当庁の計画として作成するということはあり得るところでございますが、この航大の分校につきましては新帯広空港への移転ということが、その地域におきます一つの社会的な問題になっておったということを承知しておりますので、その時点で防衛庁がそこについて先取り的にある合図をするということにつきましてはきわめてはばかられるのではないかという考慮が一つでございます。
 また、一般的に、この財産につきまして、それが普通財産になり防衛庁が使用し得るかどうかという点につきましては、いまの財産の処理の理論的な方途としましては、跡地を別途処分するというようなことも理論的にはあり得るわけでございますので、その点からも防衛庁としてはそこについて庁としての決定を及ぼすということはいたさなかったということでございます。
○丸谷金保君 それで、結局、それならということで四万二千名からの、帯広市とすればもう半数以上の、特にあの区域の人たちの要望からいいますと、署名の中には極端に言うと、空港の周辺住民などはまず自衛隊員と警察官以外はみんな判こをついたろうというくらい、ここはまた利用してもらったら困るという空気が醸成されたと。したがって、それが今度は騒音問題についての強い希望になってあらわれ、特に地方審議会に対して地域の住民が陳情するということにまで発展していったわけなんです。
 それで、実は騒音問題なんですが、防衛本庁としては、施設庁からのそういう連絡を受けて、現地に対してはどういう対応をいたしておりますか。
○説明員(南雲彬君) 自衛隊サイドといたしましては、先ほど大蔵省それから防衛施設庁の方からの御答弁のとおり、その内容で北部方面総監がその内容を承っております。次いで、同総監部から直ちに第五師団長の方にその内容を付して運用に十分な配慮を行うことという指示をいたしてございます。
 防衛庁といたしましては、本騒音問題にかかります周辺市民の方々のお気持ちを十分念頭に置きまして、航空機の運用に当たって今後とも配慮を重ねていくという所存でございます。
○丸谷金保君 この問題について帯広市は、大体今度の新空港の方は、いわゆるうるささ指数というのですか、騒音、これを六十五に抑えているのです。ですから、市民にしてみれば当然十勝空港も北海道の静かなところなんだから、そういう点で十分市の条例で新空港を規制していると同じように、自衛隊側としても十分配意をしてくれと、こういうことであり、市長も、これは公開の席上で現在よりも騒音を拡大させるようなことはさせない、こういうことを市民に約束しているのです。それから、同じように、これは私の八一年三月の三十日の決算委員会の質問で、大村長官も運用面では周辺住民が不安を抱かないように話し合いを行って調整したいという答弁をしております。これらは今後においてもそのような姿勢で臨むということのお約束ができますね。
○説明員(南雲彬君) 防衛庁としてはそのように運用するという考えでございます。
○丸谷金保君 そこで、もう一つ住民が心配している問題があるのです、騒音のほかに。それは騒音の問題で聞き取り調査を市民団体が行ったときに、墜落の心配も始めているのです。これはどうでしょうかね、大丈夫でしょうね。もう本当に人家が密集している地帯にある自衛隊の飛行場ですからね。この点についてはその心配はないと、ひとつ胸をたたいていただくと、大変住民が安心するのですが、どうです。
○説明員(南雲彬君) 自衛隊におきまして、安全管理につきましては、これは一つの重要な基本でございまして、これまでも部隊の方の重要課題として鋭意安全の確保について留意しておるということはもとよりのことでございます。
 特に、十勝飛行場につきましては、皆様の地元の方々の御理解によりまして航空大学校分校の跡地施設を利用できることになりました。その結果、管制施設の整備ということに十分な手だてができることになりましたし、また、いま駐屯地の中に分散しております飛行運用のための支援部隊、これが一カ所に集められることになります。この結果、気象なり整備なりという航空運用支援の体制が整うことになりますので、この点についてはますます十分な安全管理ということを全うするようにしなければならないということが防衛庁の当然の任務と考えております。
○丸谷金保君 それで、実は整備がだんだんできてきたことによって、たとえばいまセスナが一機とそれからヘリコプターが十一機かですね、これ以上の利用は余りしないというふうな意味に実は市民はとっていたわけなんです。たくさんふえればやっぱりうるささ指数は上がることになりますしね。
 ところが、どうも最近心配の一つはC1輸送機、これの基地として相当程度使うようになるんでないかという心配をしているわけです。というのは、いまはあそこは十勝博をやっておりまして、そういう関係でたくさんの人が近所に寄ってますから遠慮しているんだろうけれども、博覧会終わったらえらいことになりはせぬかという心配はあるんですが、そんなことはございませんか。どうなんです。
○説明員(南雲彬君) 十勝飛行場につきましては、陸上自衛隊の北部方面隷下のヘリコプターの部隊の基地とするということがいまの状況でございます。
 将来のC1の基地にするのではないかという点につきましては、防衛庁においてそういう計画はございません。ただ、輸送機でございますので、部隊の運用上の必要により、人員なり機材の輸送のためということでこの十勝飛行場にC1が入りますことはこれまでも数回ございましたし、今後ともそういう状態での運用ということになると考えております。
○丸谷金保君 いずれにいたしましても、四万人からの帯広としてはかってない署名で反対運動が行われてきたと、そういう経緯を十分留意して、大蔵省の方で所管替えをするとき特に留意をするといった騒音問題については、市民団体としても今後も厳重に監視体制をとっていくということでございますけれども、トラブルが起こらないためには防衛庁側でも十分留意をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(南雲彬君) 十分に心して受けとめますし、またその旨を帰りまして関係のところに御報告いたします。
○穐山篤君 最初に、グリーンカードの実施に関連をしてお伺いをします。
 仄聞するところによりますと、このグリーンカードに関します自民党の税制調査会、よく山中委員会という委員会があるわけですが、先月の三十日の日に党の税調でグリーンカード問題について一定の見解を決めたと、こういうふうに報道をされています。もちろんこれは、各党各会派がいろいろ議論することは当然でありますが、なおその山中調査会の結論というのが自民党の党執行部に報告がされて、了承をされたというふうにも報道をされています。加えて、山中会長は大蔵省に伝えたと、こういうふうに言われているわけです。
 私ども新聞以上の報道はわからないわけでありますが、議員立法として所得税法と租税特別措置法の一部を改正する法律というものを準備をして国会に提出をする。簡単に言いますと、グリーンカード制の昭和五十九年一月からの実施を五年間延期をする、こういうふうに報道されているわけです。
 さて、きょうお伺いをしますのは、山中税調会長から公式に大蔵省がグリーンカードの問題についてどういう説明を受けたのか、あるいはその説明に当たりまして特別な解釈を下したり、あるいは大蔵省に要望を述べたかというふうなことが関心のあるところでありますが、その点についていかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) たまたま私が外国出張不在中でございまして、私はじかに決定の通知を受けたわけではございません。ございませんが、間接的には、ともかくグリーンカードの実施ということは非常にいろいろな問題があって、それらの点についてなかなか国民の理解とまた慣熟は得られていない、これが実情だ。アメリカの高金利問題を背景としていろんな情勢は加わっておるので、この段階で直ちに移行をするということは非常にむずかしい状態だと。カード制度はほとんどすべての国民に関連する制度であるから、関係者の理解と協力があってこそ円滑に運営されるものでなければならない。そういうような点で、この段階で、しかしながらこのカードを廃止、凍結することは、また利子配当所得の適正、公平な課税の実現を願っている国民の期待に対しても問題だ。この二つの問題があって、とりあえずカードの実施を五年間延長し、その間にいままでいろんな問題が提起されておるわけだが、そういうさまざまな問題点や意見を虚心坦懐に検討して、適切、公平な利子配当の課税を実現できる方策をさらに検討を続けていきたいんだと、こういうふうに私は報告を受けておるわけであります。
 委細につきましては、主税局長がじかに会っておりますので、主税局長から答弁をさせます。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま大蔵大臣から答弁があったわけでございますが、七月三十日の日に、自民党の税制調査会の正副会長会議が行われまして、ただいま委細につきましては大臣が述べられました決定をされたわけでございますが、私ども大蔵省当局としては、決定をされました税制調査会の正副会長会議には出席いたしておりませんで、決定がありました後、山中貞則会長は別室で待機しておりました私を呼ばれまして、ただいまの趣旨で決定の通知を受けたわけでございます。
 私はそのとき、大蔵省といたしましては、当初の法律どおり実施することを念願いたしておるわけでございまして、その方針に変わりがないわけでございますので、党の御決定、非常に遺憾なことではありますけれども、御決定として承ってまいりますと、ただ大臣が外遊中でございますので、直ちに大臣に報告をいたしますということで引き取ってまいりまして、大臣に御連絡するかたがた、やはり与党の決定でございますので、それなりの重みがあるということでございますので、まず準備をいたしております国税庁当局に即刻連絡いたしますとともに、事柄はやはり民間の金融機関等にも影響を及ぼす問題でございますので、同時に並行いたしまして銀行局、証券局に連絡をいたしたわけでございます。
 事実の経緯はそういうことでございまして、五年間延期の決定の考え方なり、理由と申しますか背景と申しますか、その事情説明については、先ほど大臣が答弁されましたとおりのことを私、通知を受けたわけでございます。
○穐山篤君 その与党の税調会長からの話であるから非常に話としては重みがある、そういう理解で話を受けとめた、こういうふうに聞いたわけですが、その際に例の政令二百五十号ですか、グリーンカード問題に関してすでに政令が発せられて、事務的には発せられておりますし、またいろんな設備その他について準備がされているわけですが、それらの五十九年一月一日を目指してやっている作業について山中会長からはどういうふうなお話があったんですか。その点いかがです。
○政府委員(梅澤節男君) 私どもが受けました通知は、先ほど申しましたとおり五年延長するという決定を与党としてお決めになったということの御連絡を受けたわけでございますが、ただいま委員御指摘になりましたとおり、すでに政令も二回出しておりますし、現時点での客観的な状況と申しますか、法律はすでにできておりますし、政令も一部もう施行になっている部分もあるわけでございます。
 したがいまして、今後私どもといたしましては、これが実際に立法化されまして制度化されるという事態になってどういうふうに対応するかということでございますので、いずれにいたしましても与党の決定は決定といたしまして、それだけの重みを持って受けとめておるということは先ほど申し述べたとおりでございますが、今後制度化の状況という事態の推移を見ながら、私どもとしてはどういうふうに対応していくかということがこれからの課題でありますが、当面その辺の政府側の対応についての具体的な言及と申しますか、具体的な問題について党の方から格別の指示なり考え方が示されているわけではございません。
○穐山篤君 グリーンカードに関します予算は、今年度も昨年度も計上されておったわけですが、総額としてお幾らですか。
○政府委員(酒井健三君) グリーンカード関係の予算でございますが、大蔵省に計上しておりますのと、建設省の方の官庁営繕費として計上しているのと二種類ございます。大蔵省の方で計上いたしておりますのは、五十六年度では予算として一億八千八百万円、五十七年度では百九億六千六百万円でございます。なお、建設省の方で計上しております官庁営繕費は、予算で申しますと五十六年度二十億二千三百万円、五十七年度三十五億九百万円という状況でございます。
○穐山篤君 先ほど主税局長の話では、関係者と十分連絡はしているということですが、これだけの予算を持って進めておりますいろんな作業、なかんずく非常に予算的に多いと見られております朝霞のコンピューターのセンターですか、その作業については、この山中会長の申し出を受けてこれからどういうふうにされるのか。あるいはカードの用紙の問題とか、あるいは管理のためのレンタルの問題だとか、あるいはアルバイトに対します人件費だとか、いろんなことがずっと進められているわけですが、その現実の作業についてはストップをするんですか、それとも延期をするんですか。その点はどういうふうに省内で検討をしているのか、その点はっきりしてもらいたいと思う。
○政府委員(酒井健三君) 私どもも、自民党の税制調査会で五年延期の決定がされたということをお伺いしましてまだ日がたっておりませんので、率直に申し上げますと、いろいろの準備をこれからどういうような措置をするのか、まだ正式に検討を進めておらない状況でございます。
 ただ、先生御指摘がございましたように、かなりの金をかけてつくっております朝霞のセンター、これはもう外装がほとんど完成しておりまして、現在内装中の状況であるとか、あるいはソフトウエアと申しますか、そういうようなプログラムの方につきましては、昨年度来金をかけて完成するように努めてきております。そういうものをどういうような時点でどういう措置をするのか、まだ正直申しましてはっきり申し上げられるような状況になっておりません。
 それから、お話のございましたアルバイトであるとかあるいはカードの用紙とか申請書であるとか、こういうものはまだ何ら発注等を行っておりませんで、そういうものにつきまして今後どういうふうに措置するのか、中で十分慎重に検討をし、大臣とも相談してまいりたいというふうに考えている状況でございます。
○穐山篤君 まあ、政府自身が法案をつくる場合もありますし、各党各会派の議員が立法をする場合もありますが、その立法の段階で事務的な検討というものは当然過去にもあるし、これからもあると思うんですが、法律がまだ出されていない段階で予算の執行をとめる、あるいは建設中のものをとめるというふうなものは過去どんな例があったか覚えていますか。あるいはないならばない、そういうことは違法であるなら違法である、こういうふうにおっしゃってもらえば結構です。
○政府委員(酒井健三君) 御質問の件につきましては、ちょっと私どもも調べておりませんので、お答え申し上げかねます。
○穐山篤君 主税局長にまたお伺いしますが、いろんな動きがありましたけれども、結果的に、五年延期だ、こういうお話があった。これは、廃止でもないし無期承期でもない、こういう前提がついて五年延期というふうに先ほど大臣は述べられたわけですが、これも仄聞するところでありますが、五年間延期というのは、以心伝心、廃止だ、こういうふうに世上では受けとめられているわけですが、山中会長から大蔵省が説明を受けたときのお話、印象あるいは皆さん方の質問、そういうものの結果どういうことが推定をされただろうかという点が明確でないんですが、その点いかがですか。
○政府委員(梅澤節男君) 私どもが連絡を受けました自由民主党の税制調査会の御決定と申しますのは、先ほど大臣答弁にもございましたように、国民の側の心理的な不安の問題、特にそれからもう一つ、最近における国際的な金融、経済情勢の動向等から、原案どおり現時点においてこれを実施する機が熟していないという意味で五年間延期であると、その意味で廃止とかあるいはいわゆる無期延期と申しますか、凍結という趣旨ではないというふうに私どもは御決定があった旨連絡を受けておりますし、もちろんただいま委員が御指摘になりましたように、それでは五年後一体どうなるのかといういわゆる揣摩憶測と申しますか、いろんな見方が世の中に伝えられておることは御指摘のとおりでございますけれども、大蔵省あるいは政府といたしましては文字どおり五年間延期であるという以上のものでもないし以下のものでもないというふうに考えております。
○穐山篤君 その説明、五年間延期と、それは廃止でもないし無期延期でもない、そういう理解の上で五年間延期というお話は承ったと。
 さてそこで、先ほども明らかにされましたように、すでにこの作業は進みっつあるわけですけれども、大蔵省当局としては、グリーンカード制というのは言ってみれば名寄せでありますが、不公正税制の一環として利子及び配当所得の総合課税移行に伴う措置である、そういうことが常に頭の.中に入っているわけですから、延期という話があったときにすぐ不公正税制の部分はどうなるだろうか、どういうふうに山中さんは考えているかというのを質問をするのは当然だし、またその懸念を晴らすことも大蔵省としては当然だと思うんですけれども、その点についての山中会長と大蔵省側の意見交換というものはどうであったか。
 あるいはその際、当然延期ということになれば不公正税制はどういうふうにこれから処理をしなければならぬのか、措置をしなければならぬのかと直ちに想定がつくわけですが、そのことについてどういうお考えをお持ちになったんですか。
○政府委員(梅澤節男君) ただいま委員が御指摘のとおり、この問題の発端は利子配当所得の総合課税をきちっとやる必要がある、そのためにはいわゆる本人確認と名寄せという技術的な条件と申しますかシステムが完備していないと、実質上のかえって不公平を招くという観点からいろんな方法が考えられたわけでございますけれども、政府の税制調査会でかなりの時間をかけて検討をしていただきました結果、現在法律となっておりますいわゆるグリーンカードのシステムが一番いいだろうということで実施方を政府としてはお願いをしてきたわけでございますが、先ほども言ったような事情で、とにかく機が熟さないという観点からとりあえず五年間延期するということでございますが、問題は、それではその間の問題をどう考えるのかというふうな点の御指摘であろうかと思います。
 率直に申しまして、この点につきましては、私どもの立場と申しますか考え方は、あくまで現在法律になっておりますとおりの方向で実施をさせていただきたいという気持ちは現在も変わっていないわけでございまして、その場合、一体どういうふうになるのかという議論を党の税制調査会と具体的に行う場面も現在のところないわけでございます。
 したがいまして、仮に御決定のような趣旨で制度が制度として、あるいはもっと端的に言えばそういった法律が実際国会で成立いたしました場合に、それでは五十八年度以降、いわゆる利子配当の適正課税という観点からどういうふうなアプローチがあるのかという点につきまし七は、五十八年度の税制改正というふうな問題も含めまして、私どもはそういった事態になった時点で、もう一度党なりあるいは関係各方面との意見もよく聞きながら具体的な対処を考えなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、現実に、仮にそうなった場合にどういうふうにするのだというふうな具体的な検討なり腹案を現時点で持っているわけではございません。
○穐山篤君 このグリーンカードに関しまして、ことしの四月二十一日に公債の発行の特例に関する法律案の審議の際、金融、証券あるいは大学の教授、こういう参考人の人たちからもわれわれ意見をお伺いしたわけですが、そのときに異口同音に言っておりましたのは、グリーンカードを実施をする場合に、法律で決まっているんだから実施するにしてみてもプライバシーの侵害にならないように十分配慮してほしい、これもまあなるほどというふうに思います。それから、グリーンカードを実施することによって新たな不公正が生じないようにこれも配慮してほしいと、そういう意見があったことを記憶しておりますが、これも当然だと思われます。それから、前々から議論もあったわけですが、このグリーンカードの実施をめぐりまして金融資産の移動というものが、率直に言って金であるとかゼロクーポン債であるとか郵貯であるとか、いろんなことがあって、総体的に言いますと異常な金融資産の移動というものはないようにしてほしい、こういう指摘があったことも記憶をしているわけです。
 そこで、お伺いをしますが、この五年間延期ということになりますと、一つはいま私が指摘をしましたような利子配当所得という問題についての取り扱いはすぐわれわれとしては考えなければなりませんが、もう一面として、延期ということは名寄せをしないということになるわけです。その結果、従来から議論されておった金融資産の移動の問題についても、これは政治的に研究をしなければならぬ問題が出てくるというふうに考えたわけですが、そういうことにつきましても省内では何らかの検討なり、あるいは何らかの協議なりというものがあってしかるべきだなと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 先ほど来御説明を申し上げておりますように、本件につきましては、大蔵省の基本的な立場は従前の方針どおりこれを実施させていただきたいという立場は毛頭変わりないわけでございますし、また論争にわたる点にもなりますので、詳細本日御遠慮させていただきますけれども、たとえばグリーンカード制度を契機として各種金融資産に非常に好ましからざるシフトが起こって、それが日本の経済なり金融情勢を撹乱しているというような指摘が一部あるわけでございますけれども、私どもはそういう考え方もとらないわけでございます。
 そういう基本的な立場を明らかにさせていただいた上で、さて自民党の御決定どおりの仮に制度が国会で御承認になった場合に、一体どう対応するのかということでございますが、これも先ほどから繰り返して申し上げておりまして大変恐縮でございますけれども、私どもは今後の事態を――事態をと申しますのは、この御決定に従いまして制度化がどういう時点でどういうふうに進行をするかという事態でございますが、推移を見ながら問題を検討していくという立場をとっておりまして、いま御指摘になりましたような点につきまして、現時点におきまして具体的な検討なり対処策というものについて突っ込んだ物の考え方をここで申し上げる段階でもございませんし、またそういう具体的な検討に入っておるという状況でもないわけでございます。
○穐山篤君 過去総理大臣も大蔵大臣も異口同音に、グリーンカードの実施の問題についてはすでに国会で法律が制定をされているのであるから、行政当局としてはこれを推進をする考え方、決意にいささかも変更がない、こういうように胸を張って数回となく御答弁いただいたわけですが、言ってみますと異常な問題提起がされたわけですが、せっかくですから、大蔵大臣としてこの山中会長のお申し出についてどういう御感想をお持ちか、できれば自民党、与党の重みのある発言ではあるけれども、この際断固として遠慮してもらう、予定どおり執行するというふうな強い気持ちでおろうとは思いますけれども、異常なお申し出でありますので心境の変化もあったのではないかと思いますが、御感想をお伺いをしておきます。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御承知のとおり、私はかねてからグリーンカードそのものは大変結構なことであると、しかしながら、環境整備という問題を一緒にやらないと、総合課税にして最高税率九三%と、地方税、国税両方で。そういうことは幾ら高額所得者といえども、これはどうも穏当を欠くんじゃないか。したがって税率調整というふうなものと、これの実際の執行、五十九年からの執行までにはそういうようなものも含めて環境の整備というものは必要であるということは、かねて私の持論として申し上げてきたとおりでございます。
 できることならば、そういうことが早くに煮詰まっていただければいいと思っておったところでございますが、なかなか高額所得者だけの減税というわけにはいかぬじゃないか、財源の問題もあると、まして一般の減税を、課税最低限を引き上げてないというような状況もあって、そういうようなものも上げるべきじゃないかというような御議論があり、私どももそのことの御要求の声の大きいことはかねて認識をしておったわけであります。しかし、いずれにしても財源問題とぶつかる。衆議院の大蔵委員会の小委員会等でもそういう話を煮詰めておるというようなこともこれあり、それらとの関係が一体どうなるのかというふうなことで実は非常に関心を持って見ておったところでございます。
 ところが、いずれにしても早くにこれをどっちかに決めないというと、われわれはもう決まっているんだから、どんどんどんどん作業は進めてきておるわけですから、しかしこれがどんどん進んでカードの印刷とか何かというような問題もすぐしなければ間に合わないのです、来年から交付というようなことでございますから。そういうようなときに当たりまして、与党である自民党の中で、主税局長からお話があったかと思いますが、いろいろな議論が沸騰をしておって、直ちに現在のままでのスタートというようなものについてはこれはどうも問題があるというようなことで、これを凍結するとか廃止するとかというのでなくして、利子配当所得の適正な公平な課税の実現を願うというのは国民の希望だということはよくわかっておるわけで、それは一応党決定の理由書の中にも書いてあるわけでございます。
 そこで、五年間延長だという話を承りまして、五年もかかるのかなという私は実は気もしておるわけでございますが、いずれにしても廃止というのでないと、凍結というのでもないと。言うならば来年交付をするというのは多少延ばしても、それは党でそういうようなことでまだ準備が足らないというような段階でお決めになるとすれば、これはまた仕方のないことかと。私個人は一日も早くスタートをさせたい、そしてできればもう続いて実施までには――実施まで二年あるわけですから、実施までには税法の改正というようなものもできることならやりたいと思っておったのであります。
 しかし、これは五年の延長ということは、何も五年ぎりぎり待たなきゃならぬというようなことでもないんだろうと思いますし、最大限の期限をつけてあるわけであって、いずれにしても、この問題は所得税法の抜本見直しというものが、五年も六年も一切所得税法いじらぬでこのままでいけると私も思ってないんです、実は。相続税についても同様なことを前に申し上げたことがございます、時代がもう変わっちゃっているわけですから。ですから、いずれにしても抜本見直しというようなものと合わせてやっぱり適正、公正な課税のあり方というものは決めていかなきゃならぬ。
 一方、ともかく去年の暮れで百八十五兆にも及ぶ非課税貯蓄が現に存在すると、三百三十八兆のうち百八十五兆、いまごろだともう二百兆になっているかどうかわかりませんが、そんな膨大な非課税貯蓄が果たして庶民大衆だけの金なのかどうなのか、私も非常に疑問な点もございますし、そういうようなものも含めまして一体どうすれば現実的なともかく課税の公平というものもある程度期せるという方法があるのか、さらにこれを機会に検討させてもらいたいと思っております。
 正式に法案として成ったわけでもありませんから、それ以上のことは差し控えたい、かなり言い過ぎたかもしれませんが、それ以上のことは差し控えたいと思います。
○穐山篤君 与党の皆さん衆参両院とも多数をお持ちですから、どんなことでも議員立法出せば通ってしまうと、こう考えているわけではないとは思いますけれども、朝令暮改の感がしてならないわけです。
 総理並びに大蔵大臣の過去の所信あるいは決意から考えてみて、今回の自民党さんの税調が決めたことは、まことに遺憾なことだというふうに大蔵大臣も腹の中にはお持ちだろうと思うんです。まだ議員立法になったわけではありませんけれども、前々から私どももあるいは大蔵大臣も言っておりますように、スタートをするにしてみても環境整備をして混乱が起きないようにする、国民の十分な理解を得るということがあくまでも前提であったことはそのとおりであります。
 五年間延期というのは、先ほど私が申し上げましたが、五年間延期というのは以心伝心で廃止だと、こういう話がもうすでに通っているわけですね。これはわれわれ審議してきた者から言いますと全くあほうみたいなことではないかと、環境整備を急いで五十九年一月に間に合うように、その方を積極的に推進をするということには大蔵大臣、ならないんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 実は、私も具体的に税調会長と今後の問題等について協議したことはないんです、まだ。ただ、党の方でそういうふうな方針だというようなことを主税局長を通じてお考えは聞きました。聞きましたが、いずれにせよこれはもう所得税全体の体系上の問題ではないかと実は思っておりますので、これも所得税だけ減税をするといっても、財源の問題で、まさか赤字国債を発行していて、所得税を大減税といったってとてもできるものではないし、もっと実務的な可能性のある現実的な話で与野党間でもっと話し合いを詰めていただけないものかなと。われわれもそれについては積極的に見解を申し上げ、また資料の提出その他応じていきたい、そう思っておるわけであります。
 したがって、これは五年後に消えてなくなるんだというようなことは私は全然聞いておりませんし、党の理由書の中にもそういうことはどこにも書いておらないのであって、廃止とか凍結ということはそれはもう国民の期待に対しても大きな問題だということは党の理由書の中自体に書いてあるわけですから。ですから、雑音としてそれはいろんなことを言ってる人が部分的にはあるかもしれませんけれども、党の決定としてはそういうふうには私は理解はしておりません。
○穐山篤君 グリーンカードは以上で終わります。
 さてその次に、五十六年度一般会計の決算が七月三十一日で締め切られまして、御案内のように発表されております。そこでこの数字の中で、細かいことで恐縮ですが、税収の不足が二兆八千七百九十四億円、こうあるわけですが、大宗的に見て法人税と所得税その他物品税だとかいろんなものがあるわけですが、この三つに大別をしてこの税収不足の中身をひとつ明らかにしていただきたい。
 それからもう一つ、歳出の不用額が二千六百四十一億出ているわけですが、これは費目別に見て、人件費で不用額が出たのかあるいはその他の点で出ているのか、その点について、細かい話で恐縮でありますが、説明をいただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) まず五十六年度の税収の確定計数でございますが、ただいま御質問の税目別に一体どういう状況かということでございます。
 補正後の税収見積もり額に対しまして、結局二兆八千七百九十五億円、約二兆八千八百億円の減収を生じたわけでございますが、主要な税目別に申し上げますと、一番大きな減収を生じましたのは法人税でございます。法人税で一兆五千二百九十六億円、約一兆五千三百億円でございます。それから申告所得税五千二百七十四億円。それから源泉所得税四千三百三十八億円。
 したがいまして、およそ二兆八千億円の減収のうち、二兆五千億は法人税並びに所得税の減収によって生じたものでございまして、残余の部分については、当初の見積もり額よりも増収になった税目もございますし、減収になった税目もございますが、差し引きいたしまして残余の分はその他の税目によって生じた減収額であるというふうに御理解を賜りたいと存じます。
○政府委員(窪田弘君) 不用額二千六百四十一億の内訳でございますが、百億円以上は五項目でございます。
 一番大きいのは社会保険国庫負担金五百二十九億円、これは厚生保険特別会計の健康勘定の一人当たり給付費が少なかったというものでございます。二番目が国民年金国庫負担金三百八十八億円、三番目が交付税特別会計の利子が金利が下がりましたために不用になりましたもの二百六十億、予備費の不用が二百二十二億、児童保護費の不用が百二十六億円ということでございまして、人件費以外のものが大宗を占めております。
○穐山篤君 膨大な歳入欠陥といいますか、税収不足があったわけですね。二兆八千八百億のうち、法人税それから申告・源泉を含めて二兆五千億円ですから、大部分のものがこの三つの税に集中をしているわけです。
 そこで、過去の話になりますが、五十六年度の補正予算は一月二十五日に提出をして二月十七日に成立をした、こういういきさつがあります。総額四千五百二十四億円の予算の補正を行ったわけですね。このときにそれぞれから指摘をされておりましたが、もっと税収不足になるんじゃないか、当時、丸くした数字で言いますと一兆円を超えるぞと、そのうちに二兆円余という話さえも出ていたわけです。それは何もこの補正予算を審議している段階で一兆円とか二兆円という話があったわけでなくして、昨年末の状況でそれだけの問題意識を持っていたわけですが、しかし政府がお出しになりました補正予算というのは四千五百二十四億。一番私ども気にしておりました税収の部分でいきますと、所得税は金額は少ないけれども計上してありましたが、法人税の税収の修正減は全然上げなかった。これは財政当局としては那辺に気持ちがあったかよくわかりませんけれども、この予算の補正という点で大きな過ちを犯したのではないかなと、こういうふうに思うわけです。
 少なくともその当時、総理も経企庁長官も大蔵大臣もいずれもそうでありましたが、公共事業の前倒しをする、それによって刺激が出てくるだろう、アメリカの高金利もそうむちゃくちゃに続くものとは思わない、こういうふうな願望、期待感というものが前面に出まして、政治の分野では具体的な数字が隠されておった、その指摘はどうしても大蔵省当局としてはまじめに受けてもらわなければならぬというふうに思うわけです。
 そこで、過ぎ去ったことではありますけれども、この五十六年度の補正予算を終わり、五十六年度の決算が終わった時点で、この一年間の財政当局、財政運営についての考え方、感想というものは大蔵大臣としてお持ちだろうと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 御指摘のとおり、結果的には見積もり違いがあったということは紛れもない事実でございます。
 問題は、それを事前に何で気がつかなかったのだというおとがめだと思います。どうしてもわれわれ財政運営を預かる者としては、いま御指摘があったように、アメリカの高金利もそんなにいつまでも続かぬだろうというふうに思ったことは事実なんです。これはもう世界のサミットの会議に行きましても、たとえばカナダのトルドー首相が、秋になったら下がるだろう、春になったら下がるだろうと、そしていまだに下がらぬ。選挙が終わるまで下がらぬのかというふうな質問が出るくらいでございますから、隣の国でもわからない。われわれも実はもう少し楽観的に見ておったということも事実でございます。
 それからもう一つは、やはり税収が、九月までの、たとえば一番見込み違いがあったのは法人税なんでございまして、その他のものについても全く心配がなかったわけじゃございません。心配があったからこそ、幾つかの品目についてそれぞれ補正減というものをはっきりした数字に基づいて立てたわけでございますが、法人税については、これはかねてから何回もお話ししたように、年二回決算が一回決算になっちゃったと、たまたま九月の決算が十一月に申告出てまいりますが、その状況は非常によくて、前年対比二〇%増というような数字が出ておった。しかし、これは大手法人の限られたものだけであったのであって、ほとんど大部分が九月決算じゃなくて年一回決算になったものですから、いいところだけが九月決算等に残っちゃったと。結果的に見れば、運が悪いと言えば運が悪い話でございますが、見積もり違いになった大きなこれも原因の一つでございます。
 鉱工業生産につきましても、秋のころは、九月は初めてプラスに転じて、いい方向に回復してきたというようなこともございました。その結果、所定外労働時間も九月からプラスに転じておるというような点もあって、後半期は、日銀の短観――短期観測ですか、これなども十二月の四日に発表しておりますが、下期の全産業の経常利益の伸び率というものは、まあ前半は悪いけれども後半は二五%ぐらい伸びるんじゃないかというようなことも発表されたり、いろいろあるものですから、どうしても財政当局としては、まあ欲も多少手伝う点もあって、やはり希望的に、そういうものがあるとどうしても悲観的な見方よりもそうあれかしと思う見方の方がやや強くなるということも紛れもないこれは事実でございます。
 ところが、十二月過ぎになって、二月のあたりから、輸出のがた落ちというような点あるいは法人の非常に収益減というふうなことも重なりまして、えらい食い違いが出て、法人税と事業所得税、大体もう二兆円以上のそれだけで食い違いがあった。そこへ伴って源泉所得税で四千数百億ということになりますから、大部分がその三つで食い違いがあったと。その中で一番大きいものが、全然直さなかった法人税の一兆五千億であるということも事実でございます。
 したがいまして、これからは、非常に大変いいこれは勉強になったことでもございますし、作為的にわれわれやったものではございませんので、やはり世界経済全体の波というものは、これは日本だけが特別な状態でいられるということは非常にむずかしいんだなということもしみじみ身をもって感じさせられたという状況であります。
 したがって、今後の見通し等については、世界全体の経済の流れの中から、客観的なものを、希望的でなくてきちっと、都合の悪いことがあっても仕方のないことですから、それは収入がなければないように歳出の切り詰めもやらなきゃならないわけですから、そういう点も加味して十分に反省をしてまいりたいと考えております。
○穐山篤君 今後のこともありますから、もう少し詰めておきたいんですが、この五十六年度の補正というものは、去年の十二月二十一日に政府・与党連絡会議で大筋が決まったわけですね。なかんずく六千三百億円という公債発行というものは、当時の状況で言いますと、一晩で出てきた怪物ではないかと思う。その十二月の段階、一月に入りまして、税収は実績で、四月から十一月を見ますと九・八、四月から十二月を見ますと一〇・三と、こういうふうに当初予算の見積もりから言いますと、半分ですね、二〇・二%と当初予算では税収の伸び率を対比をしたわけですから、その面から言いますと半分しか入らない。そういうことを、まあ大蔵大臣いま勉強になったと言っているわけですが、十分御承知の上であったと思う。
 特に考えてもらわなきゃなりませんのは、個人消費が落ち込んでいる、総体的に国民全体のふところが非常に悪いということは、一般論として言われている。しかしそのほかに法人の伸びがよくない、相当法人税の税収は落ち込むぞということがいずれの委員会でも警告をされていたわけですね。ところが、補正予算の中に法人税の問題について一銭一厘も見積もりをしなかったというのは、これは財政当局としては全く私は無責任だと思う。金額の想定がつかないことはよくわかりますけれども、税収がどうも半分しかなさそうだというときに、一番大きな関心を持っていた法人税に全く手を触れないで実情と乖離をした予算の補正を組んだ、ここが決定的に問題であったというふうに思うんです。
 私は、ここで大蔵大臣けしからぬからやめろなんということは言うつもりはありませんけれども、いま国の財政がどういう状況にあるかということを正しくあまねく国民の前にさらけ出す、国民全体が国の財政というものを考えるということがなければ、財政再建なんという話はこれはうまくいかないと思うんです。そのためには、都合の悪い問題や計算違いの問題やあるいは不安材料というものを全部国民の前に明らかにする。そのことを補正予算の段階では決定的に無視をした。私は研究不足ではないと思うんですね。全く大蔵省当局としては無視をしてかかったというところに大きな問題があるというふうに思うんです。
 なぜそのときに、それぞれの委員会でも議論されておりましたが、法人税の問題について警告を発しましたけれども、具体的な数字に当時はならなかった。逆に言うと、それをいいことにしたとは言いませんけれども、法人税の大減収について大蔵省が触れなかった、この責任は私は非常に大きいと、こういうふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 先ほど大蔵大臣が答弁申し上げましたとおりでございますが、もう一度私どももこの際、結果的に非常に大きな見積もり違いを生じたわけでございますので、その辺をきちんと、過去の問題ではございますけれども、整理しておかなければならないという御指摘は私どももまさにそのとおり考えておるわけでございますが、まず四千五百億円の税収減を補正計上させていただきました時点、これはちょうど五十七年度の本予算を編成しております時点でございますけれども、この時点では実は税収の実績ベースでは十月末の税収までが判明しておったわけでございます。これは前に申し上げているとおりでございます。
 その後、事態が進展いたしまして、ちょうど参議院で五十七年度本予算が御審議になっておりました三月後半の時点、これは税収の実績ベースで一月までの税収が判明しておった時点でございます。この時点までに税収の足取りを見ますと、実は私ども瞬間風速と言っておるわけでございますが、毎月毎月の単月間の税収の伸び率を前年度の同月と比較いたします。その瞬間スピードで見ますと、実は十月以降、大勢といたしましてはしり上がりの状況にあったわけでございます。これはもう計数がはっきりしておるわけでございまして、したがいまして、税収の見積もりをいたします事務当局といたしまして、三月参議院で本予算がちょうど審議になっております時点におきまして、補正後の予算額が何とかして達成できるんだろうということを期待しておったこと、何とかして達成できるであろうと考えておったことは事実でございます。それが四月の時点に入りまして、つまり二月の税収が判明いたしました時点で急激な、先ほど申しました瞬間スピードが急に落ちたわけでございまして、その後二月、三月、四月、五月とこの情勢が回復を見なかった。
 そこの大きな原因といたしましては、これは先ほども御指摘がございましたように、まさに法人税に典型的にあらわれているわけでございます。一月までの実績ベースで、瞬間風速はむしろしり上がりであったということを申し上げたわけでございますが、これは端的に申しまして、たとえばこれは先ほど大臣も御指摘になったところでございますけれども、十一月税収、これは法人税で言いますと九月決算でございます。九月決算の大法人の税収額は前年の同期に比較いたしまして二三%の増。それから十二月の税収、これは法人の決算期で申しますと十月。これは二九・七でございますから、およそ三割近い伸び。それから一月、これは十一月決算でございますが、これも二割の伸びということでございますが、二月税収が判明いたしました時点で、法人の決算期で言いますと、これは十二月決算でございますが、八七・五という激減を生じたわけでございます。
 この情勢が実はずっと続いてまいりまして、結局最終的に五月で帳簿を締めましたわけでございますけれども、三月決算に至りましては前年度ほぼ横ばい。もちろん業種によりましては、たとえば電気機械とか、それから輸送、それから銀行の中でも都市銀行等、非常によい決算を示したものもございますけれども、反面、円安等の影響で電力、石油関係が激減したということで、非常に伸びが悪かったわけでございます。結果として、そういうふうに非常に大きな狂いを生じたわけでございますが、しかもその場合に法人税が非常に大きく下へぶれた。これはちょうど最近時点では五十年度、つまり第一次オイルショック後と同じような事態になったわけでございます。
 そこで、まあ私どもの反省といたしましては、税収というのは基本的には実体経済の動きを直に反映するわけでございますけれども、問題は、税収見積もりというのはある期間内、ある年度内に国庫にどれだけ現実の税収額として入ってくるか。つまり、実体経済と税収の収納期とのタイムラグの問題があるわけでございます。特にこのタイムラグはそのときの経済の、その年々の経済の動きによりまして必ずしも一律ではございません。急激に反映してまいります場合もございますし、かなりの期間を置いて出てくる場合もあるわけでございます。
 そこで、法人につきましては現在約百四十万の法人がございます。活動法人だけでございますが、その百四十万の法人のうち、考えてみますと、数にいたしまして九九%以上は実は中小法人でございます。先ほど大臣の御答弁にもございましたように、私ども大法人の動向につきましては、比較的従来からもヒヤリング等を通じまして、かなりの確度でもって早い時期に情報をとるいろいろな工夫をしておるわけでございますけれども、問題は、中小法人の動向の把握について若干問題があるのではないか。
 特に、経済の激動期におきましては、たとえばサンプリングのような手法を通じまして税収の動向を早目にキャッチする、あるいはこれは全国の税務署等を通じまして国税庁の協力も得ながらやらなければならない面もあるかと思いますが、こういった工夫を今後重ねまして、何とか今回の経験を、苦い経験を生かしまして、税収見積もりの精度を上げてまいる。一にかかって、そこはやはり私は、御指摘のとおり、法人税収を今後どう見るかという点が私ども税収見積もりをする場合の技術的な工夫を要すべき点ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○穐山篤君 その後、その問題の指摘はまた五十七年度、今年度予算執行上の問題点にも後ほど触れます。あるいは五十八年度の予算編成にも関係するわけですから、後ほど触れたいと思います。
 さて、この二兆四千九百四十八億円の不足額の後始末、処理につきましては、すでに発表されておりますように、決算調整資金からの繰り入れ、これが二千四百二十三億円です。それから国債整理基金から決算調整資金に繰り入れ、それから一般会計への繰り入れ、これが二兆二千五百二十四億ということになっています。決算調整資金からの繰り入れば、それはもう、それで処理済みになります。
 残る問題は、国債整理基金を決算調整資金に繰り入れて、また一般会計に持ち込んだわけですから、これの取り扱いをはっきり国民の前に明示をしなければならぬと思うのです。年度内にこういう形で返済をします、あるいは来年度こういう形で返済をしたいので国民に協力を求めたい、そういう筋がありませんと、先ほど私が申し上げましたように、財政の実態を国民の前に明らかにして、それはいいこと悪いこと全部含めて明らかにして、国民の合意を得て財政の健全化を図る、こういうことになろうと思うんです。
 そこで、国債整理基金、これについてどういうふうな事後措置をされようとしているのか、その点明確にしてもらいたい。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはもう穐山先生御承知のとおりでありまして、国債整理基金からの一時的な借り入れというものはどこまでも国債の償還と基金の運営に支障を生じない範囲で基金の余裕資金の一時的な融通というのが法のたてまえでございます。
 したがって、この法律によりますと、五十六年度で充当をするためにお借りをした金は、五十七年度ないし五十八年度においてもとへ戻すという取り決めになっております。それは法律上の問題は、そのとおりでございます。
 問題は、二兆円からの金を来年度返済をする、あるいはことし返済をするということになりますと、当然に財源の問題と絡んでまいります。どこにその財源を求めるかと。一方は、財政の要するに秩序のある、節度のある運営維持というような観点から、将来の返還に支障のないように全体の百分の一・六ずつを積んでおきましょうということで、これは健全思想でやります。言うならば、銀行から金を借りるときにいわゆる歩積み両建てというのがございますが、返済のために一部分は積んでいきましょうという考え方と半ば似ておるところもあるんじゃないか。そのこと自体は非常にいい私は考え方であると。
 しかしながら、一方において非常な異常事態に遭遇をして、五十六年度も世界経済の停滞、五十七年度も前半期はどこもマイナス成長であるということが言われております。そういう中にあって、われわれは歳出削減という点から極力歳出の抑制を図ってまいりましたが、なかなか急激に歳出を一瞬に切り落とすと言っても、現実の問題としてはそう帳簿の上の数字を切るというだけにはいかない。ということになれば、かなりの歳出が見込まれておって、一方、五十六年度の赤字というものが当然五十七年度の税収にも影響を及ぼす。
 したがって、五十七年度どれぐらいの実は税収の見込み不足が起きるのかということになるとまだ期間が通過してないからわからないと言ってしまえばそれまでのことでございますが、これはやはり私も常識的に考えていいんじゃないか。やはり何がしかの不足が起きる。その場合、年度の途中で不足の分だけ歳出を切り落とすと言っても、極力私は抑えるようにして留保とか何かさしておりますよ。おりますけれども、何兆という数字をここから出せなんていうことは言うべくして不可能に近い。ということになればある程度国債の追加発行ということも考えられる。その中で、五十七年度でさらにこの国債整理基金に返還のための国債の追加発行ということはできない、非常にむずかしい。
 五十八年度ならできるかと言っても、五十八年度もこれも経済の見通しというものがなければ何とも申し上げられませんが、来年になったら世界じゅうが大好景気になると言っている人はだれもほとんどいません、これは。世界全体としてプラス成長に転じようということであって、大好況時代来るという見通しはなかなか世界の機関にないということになれば、それがこの税収とのにらみ合わせ、一方、臨調答申を受けた歳出削減の切り方、これはやっぱり収入と支出と裏と表ですから、もう歳入がそれだけないんなら人件費も削減、何も削減、全部ストップということも一つの方法でしょう。しかし、なかなかそう言ってもこれはそうばかりもいかぬという話もありまして、国民生活に過激な影響を与えるということは困るという話も必ず出てくるに決まっています。われわれは極力削減には努力をいたしますが、そうすると、それらの見合いの中でどうするかという問題は、私は予算編成までの今後の問題だと思っております。
 したがって、国債を増発すると言っても、そしてだれが引き受けるのか、金利はどうなるのか、景気にはどういう影響があるのか、やはり規則一点張りということよりも実体経済というようなものを基盤にして皆さんの御意見も十分拝聴して、その中で非常に狭い範囲でしか選択の幅はありませんけれども、その狭い幅の中でも経済の実体というものに着目をした運営の仕方を考えていくほかないんじゃないかと。どうするこうするということはまだ結論は出しておりませんが、基本的にはそういう考えを持っております。
○穐山篤君 そこで、もう時間がありませんから簡単にお伺いしますが、ことしの予算で国債の発行は十兆四千四百億円、こういうふうに予算としては掲示されているわけですが、この七月までにどれだけの長期割引債その他を含めてすでに発行されているのか、借換債も含めてその数字をお願いしたいと思います。
○政府委員(加藤隆司君) 六月末の段階で新発債と借換債で残っておりましたのが約五兆でございます。それで七月末もほとんど数字が変わりませんが、八月、実はきょう長期債につきましてシ団の方へ正式提示をいたしたわけでございますが、それから中期債を六年以降三回ほど出しております。こういうような数字を入れますと約四兆ばかりがこれから市中で消化しなければならない金額でございます。
○穐山篤君 もう時間ありませんので最後になって恐縮ですが、大蔵大臣、先ほど私は幾つか痛い話を申し上げました。
 そこで片方、臨調の答申でいきますと、三つほどの臨調の理念がありますが、財政的に見ますと増税なき財政再建、こういう一本の柱が通っています。それから現実的な生臭い財政状況から言いますと、すでに五十七年度予算の執行は始まりましたが、景気、税収の面から言いますと相当厳しく事態を考えなきゃならぬと。そこで仮に、これはあくまでも仮の話でありますが、節約をするにいたしましても、庁費だとか超勤だとか、そういうことになればせいぜい一千億円台の節約にしかならない。大きななたをふるうとするならば政策的なものを切ってしまわなきゃならぬ。しかし、それも年度の途中ではなかなかむずかしいと、こういう隘路があるわけですね。それからもう一つは、ことしも去年と同じような経済状況あるいは経済の成長率を眺めてみますと、概算でも昭和五十七年度は五兆円前後の歳入欠陥があるとすでに世間では指摘をしているわけですね。
 そうなりますと、次の課題は、そういう厳しい状況を受けまして、いつになるかわかりませんが、次の臨時国会ではすべてさらけ出した考え方を明示をしなきゃなりませんし、財政の面、言いかえてみますと補正の予算のあり方についても物を正確に言わなきゃならぬ、こういうふうに思うわけです。またそうなければ抽象的な事柄ではとてももはや済まないと、こう思うわけです。
 大蔵大臣、けさお帰りになったばかりでありますので十分な御相談がないとは思いますけれども、一面では五十七年度どうしたらよかろうかという大変心配な問題、それからもうすでに始まっております五十八年度の予算編成におきましても、去年と同じような成長率で計算をすれば八兆円を超える歳入欠陥が起きるであろう、これも世間では指摘をされているわけですね。ですから、去年の暮れあるいはことしの初めのように、十分勉強が不足であったというふうなことではとても済まされないと思うんです。
 さて、そこでまとめとして、これらの厳しい財政状況を考えて基本的にどういうふうに対処をされるのか、その点をお伺いをして質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほども申し上げましたように世界的な経済の問題はつながっておる問題でございます。したがって、私は非常に厳しく受けとめておりまして、去年の例もございますから、仮に臨時国会で補正を組むというようなことになれば、その時点においてわかっただけのものはさらけ出して、ありのままの姿で議論に付したい、そう思っております。
○塩出啓典君 それでは最初に、円安の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 本日は日銀総裁にもお越しをいただいたわけでございますが、まず最初に、日銀のお考えをお尋ねをしたいのでございます。
 アメリカで公定歩合が最近引き下げられたわけでありますが、また内外の金利差も縮小の方向にあると、そう言われながらも円安はどんどん進行をし、昨日はロンドン、ニューヨーク市場等では二年四カ月ぶりに二百六十円を割っておる。こういう状況に対して、日本経済のファンダメンタルズから見ると過剰な円安ではないか、こういうような見方が多いように思うわけでありますが、この現在の円安は妥当な相場であるのか、あるいは過剰な円安と見るのか、またその原因はどこにあるのか、これをお尋ねしたいと思います。
○参考人(前川春雄君) アメリカの金利が七月、二回にわたって引き下げられたわけでございまするが、アメリカの引き下げの背景といたしましては、短期金利が下がってきたこと、あるいはマネーサプライが目標値の中に入ってきたということを背景にして引き下げられたわけでございます。
 そういう意味で、内外金利差がそれだけ縮小したことになりまするので、円に対しては円高の方向に作用するであろうというふうに私ども想像をしておりました。ところが、いまお話にもございましたように、一昨日ぐらいからむしろ円安の方に動きまして、きのうは二百六十円をロンドンで超えたということになったわけでございます。いまこの円安は、円だけではございませんで、ドイツマルクあるいはスイスフラン等の欧州通貨も同様に安くなっておりまするので、むしろドル高の反映だというふうに見るべきであろうというふうに思います。円について、ここ一両日の間に円がこういうふうに安くなるような日本側の経済にそういう事情があったとは思われません。
 ドルがなぜそういうふうに高くなったのかということについてはいろいろのことが言われておりますが、どうも余りはっきりした理由は言われておりません。ただ、アメリカの金利が下げどまるのではないかという見方が市場の一部に出てまいりまして、ドルを買うドル買い、安心買いというのでございますか、むしろ他通貨を売ってドルを買うという動きがこのところ強くなってきたということが言われております。またベイルート、中近東問題が異常に進展を見せておるわけでございまして、そういうことから一般的な通貨不安の動きが出てきたということも一つの原因にされておるようでございまするけれども、しかし、いずれにいたしましてもそれほど大きな材料であったというふうには思っておりません。
 この円安に対する評価の御質問ございましたが、円安はもちろん日本の物価を全体として持ち上げます輸入物価がそれだけ高くなりまするので、非常にぐあいが悪いことは当然でございまするが、この円の相場水準自体、私どもは明らかに行き過ぎであるというふうに思っております。いま申し上げましたように、日本の経済の面で、ここへ来て特に円が安くなるような事情というものは一つもなかったわけでございまして、そういう環境の中で円がこういうふうに安くなるということは明らかに市場の動きが行き過ぎた動きを示しているというふうに思います。どの程度の円高の水準が適当であるかということは、この変動相場制のもとではなかなか申し上げにくいことでございまするけれども、水準自体として明らかに行き過ぎであるということだけは申し上げられると思います。
○塩出啓典君 われわれは、初歩的な質問かもしれませんが、円安というのはメリットとデメリットがあるんじゃないか、輸入する物は高くなるわけですが、輸出は安くなると。そういう意味でメリットとデメリットがあると思うのでありますが、しかし、現在のわが国の経済情勢の中でやはり円安を是正しなければならない、こういうような意見が強いように思うんですけれども、その円安を是正しなければならない理由というのはどういうことなのでございますか。
○参考人(前川春雄君) 輸入物価が、日本のように原材料あるいはエネルギーをすべて海外に依存しなければならないような国は、円安になりまするとそれだけ輸入物価が上がりまするので、それが全体の物価水準を押し上げるということがまずあるわけでございます。
 それから、いまお話がございましたように、円安になると輸入する物は損かもしれないが、輸出する物は得ではないかというお話がございました。そのとおりでございまするけれども、いまのように貿易摩擦が世界じゅうで日本の輸出に対して大きな問題になっておりまするときに、円安なりまするととかく物を海外に売りやすい環境になる。そういうことが貿易摩擦をさらに激化するということも懸念されるところでございます。
 もう一つ、私どもが円安が全体の景況観、企業の景況観に対して悪い影響があるのではないかというふうに思っておりますることは、産業の中で素材産業、主として素材産業でございまするが、たとえば鉄鋼業あるいは石油精製、非鉄産業、紙パルプ、化学工業、すべてそうでございまするけれども、原材料の価格がそれだけ円安の結果上がるわけでございます。コストが上がりました分を製品価格に、なかなかいまのような景気が悪いときには製品価格に転稼できない、それだけ収益を圧迫することになるわけでございます。素材産業の収益が圧迫されますると、素材産業の設備投資その他がとかく行われがたくなる、計画が修正されるということが起こり得るわけでございます。
 最近、鉄鋼価格の値上げ問題がユーザーとの間で交渉されておりまするが、なかなかこれが難航しておるわけでございまして、鉄鋼会社の思うようには製品価格、鋼材価格の値上げができない。それだけ鉄鋼会社の収益が圧迫されるということになるわけでございまして、いまのような状況では製鉄会社の設備計画に対しても見直しの動きが出ているということは御承知のとおりでございまして、それは一例でございまするけれども、そういうことから全体の企業の景況観というものが先行きの不透明、収益の見通し難ということから景況観、ビジネスマインドがそれだけ悪くなるという心配があるわけでございます。
 そういう点から申しましても、円安は物価あるいは貿易摩擦その他、ビジネスマインドという点から言って、やはり円高の方に安定させるということが必要ではないかというふうに思っております。
○塩出啓典君 そこで、これは大蔵省にお尋ねをしたいわけですが、やはり円安を是正をするために現在大蔵省としてはどういうことをやっているのか、これをお尋ねします。
○政府委員(大場智満君) いま日銀総裁からお話がございましたように、私どもは現在の状況はドル高の反映であると見ておるわけでございます。まあしかし、為替相場が、円相場が乱高下するような場合には、これに対しましては適切に適宜介入していくという対応をしているわけでございます。これは先般のサミット、ベルサイユにおけるサミットの際に各国通貨当局間で、市場の状況が混乱しているような場合には介入するということを合意したわけでございますが、私どももこのような状況が起きます場合には適切に介入していくということで対応しております。
○塩出啓典君 まあいろいろこの円安対策として外国為替管理法による有事規制の発動をしろとか、あるいは利子平衡税を導入しろとか、こういうこともいろいろ言われているようでありますが、大蔵省としてはこういうことは考えておるのか、あるいはまあそういうことは全く考えてないのかですね。あるいはもしそういうものを考えているとすれば、どういう場合にはこれをやらなければならないとお考えなのか、それを承っておきたいと思います。
○政府委員(大場智満君) まず有事規制の問題でございますが、先生御指摘のように、法律上有事規制を発動できる事態というのが決められております。三つございまして、一つは国際収支の不均衡、二つは為替相場の急激な変動、それから第三には大量の資本移動によります国内金融資本市場への悪影響という三つの事態のいずれかがある場合には有事規制が発動できるということになっているわけでございますが、私どもの判断といたしまして、現在の事態はそのような有事規制を発動するような事態には当たらないというふうに考えております。
 それから、いま御指摘の利子平衡税の問題でございますが、利子平衡税は主として東京資本市場における資金調達あるいは居住者の海外証券投資という観点からの御意見かと思うわけでございますが、まずその実態面でございますが、最近わが国の長期資本の流出はかなり減ってきております。たとえば居住者の外国証券投資でございますが、これは居住者が外国で債券とか株式を買うそのサイズでございますけれども、二月には十一億ドルというかなり大きな規模でございました。それが逐月減少してまいりまして、この六月には約三億ドルぐらいというふうに減ってきております。したがいまして、むしろその利子平衡税の対象になる資本流出自体が減ってきているんじゃないかと。そういう意味で実効性がないのではないかというふうに考えるわけです。
 まあそのほか、現在東京資本市場は先進諸国あるいは海外の、外国の先進諸国及び開発途上国から非常に頼りにされている市場でございまして、われわれもできるだけ国際開発金融機関とかあるいは開発途上国ひいては先進諸国の資金調達のお役に立ちたいと思っているわけでございます。そういう意味におきまして、このような税を課すということになりますと、むしろ資本の自由化に逆行する、あるいは東京で資金を調達したいという諸外国の反発を招くおそれがあると、このように考えておりまして、そのような対策をとるつもりはないわけでございます。
○塩出啓典君 それから、これも大蔵省にお尋ねしたいわけですが、いわゆるこのグリーンカード制の廃止論の論拠の一つとして、グリーンカード制が一つの円安の因であると、こういうことが言われているわけですが、こういう点は理論的にまた実体の数字的にどういうようにお考えでございますか。
○政府委員(大場智満君) 私は、居住者が海外で証券投資する場合には、その誘因と申しますか、動機は二つあると思います、債券投資の場合には二つあると思います。一つは金利、もう一つは為替の差益あるいは差損。
 ですから、居住者が海外で債券を買う場合には必ず金利と為替の動向を見ながら投資するわけでございまして、その両方を眺めながら利潤が生じる可能性がある場合には投資しているというのが実態だと思います。それから株式につきましては、居住者の株式投資という場合には価格、株価が第一の要素になっているというふうに見ております。
 したがいまして、いずれも海外における状況もしくは円の対ドルレートというのが判断の基準になっているわけでございまして、いま御指摘の問題がこういった投資の主たる要因になっているとは考えておりません。
○塩出啓典君 それから、大蔵省は特に円安対策として先ほど乱高下には介入するというお話でございましたが、生命保険会社の外債投資についてこれが近年急激に伸びておる。そういう点から非公式な要請により自粛をするように指導しておると、いろいろ報告を求めたりですね、とのことでありますが、これはやはり円安対策としてやっておるのか、どういう行政指導をしておるのか、またその効果はどうなのかお尋ねをいたします。
○説明員(猪瀬節雄君) お答え申し上げます。
 生命保険会社の外債投資につきましては、資産運用の効率化ということによりまして、資産運用の多様化とさらに国際的な危険分散というような観点から従来から前向きに行われてきておるところでございます。
 ただし、こういった外債投資に集中いたしますことはそれなりに危険性がございますので、投資額を総資産の一〇%以内にとどめるように従来から指導をしてまいっております。現在は総資産に占める割合はいまだ五%程度でございますが、御承知のように、外債投資にはカントリーリスクあるいは為替リスクといったような国内投資とはまた違った問題もございますので、特に円安のもとにおきましては慎重な対応が必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
 本年一月から三月、外債投資の増加テンポが非常に急激な点が見受けられたわけでございます。しかも円安の局面にあったわけでございますので、これは契約者保護の観点からほうっておくのもいかがかと思いまして、主要各社につきましてヒヤリングをいたしたところでございます。その結果は、円安の状況を踏まえまして各社ともきわめて慎重な投資姿勢がうかがわれたところでございます。その後、四月から六月の実績を見てみますと、一月から三月にかけましてのいわゆる外貨建て債券に対する投資額が二千五百八十億円あったわけでございますが、四月から六月につきましてはこれが八百六十三億円、一−三月に対しまして三分の一程度といったような落ちついた動きになっておるところでございますので、いまのところ特に問題はないと思っております。
 私ども、資産運用と申しますのは、生保会社につきましては契約者の保護という観点から安全かつ有利にというのが基本でございますから、今後ともそういった観点から問題がないように常に注意してまいりたいとは思っておるところでございます。
○塩出啓典君 これはやはり日米の金利差がある、そういう場合にはより条件のいいところへ投資をするのが、これが私は本当の意味の契約者保護ではないか、そういうものに対して余り大蔵省が行政指導をするということは好ましくない、そういう意見、これは私がそう言っておるんじゃないんです、そういう意見があるわけですが。私もその意見がやはり金融摩擦、そういう点から考えても好ましいのではないか、このように思うわけでありますが、この点はどうですか。
○説明員(猪瀬節雄君) 私ども先ほど御説明申し上げましたように、円安対策のためにそういったいろいろ指導をいたしておるつもりはないわけでございまして、生命保険の資産というものが契約者に対していずれ還元されるべきものである。しかもこれは、したがって、安全でありかつ有利でなければいけない。外国債投資につきましては、特に円安になりますればなりますほど為替差損が発生する危険が大きいわけでございますので、そういった点につきまして注意を喚起しておる次第でございまして、これをどのような数字にしろとかあるいはこのような水準にしろというような指導はいたしておらないところでございます。
○塩出啓典君 これは大蔵大臣にも要望しておきますが、やっぱり契約者のそういう利益を責任を持って守るのが僕は保険会社じゃないかと思うんですね、大蔵省がすべての責任を持つわけではないわけですから。そういう点でいろいろ注意なり、大蔵省としての広い視野に立った情報をもとに情報を提供することはいいと思うのでありますが、余り過度に行政指導、法律に基づかないそういう指導をするということは好ましくないのではないか。これは銀行局長なりでも結構ですが……。
○政府委員(宮本保孝君) 私どもといたしましても、特に最近の銀行・保険行政におきまして、できるだけ経営者の自主性を尊重いたしまして行政をしていくということで、行政の自由化、弾力化をここのところ進めてきているわけでございます。
 したがいまして、基本的には先生御指摘のとおり、行政が過度に介入するようなことがあってはならないし、できるだけ自由にしていくということだろうと思いますが、ただ金融秩序の維持であるとかあるいは契約者の保護であるとか、そういう観点から必要最小限度のルールづくりないしは交通整理をいたすというふうな方針で臨んでいるわけでございます。
○塩出啓典君 そこで次に、これは日銀総裁にお尋ねをいたしますが、米国が七月に二回公定歩合を下げた、この引き下げの背景については先ほどお話もあったわけでありますが、今回の引き下げの背景を踏まえて今後はどういう方向にいくと分析をしておられますか。
○参考人(前川春雄君) アメリカ側の公定歩合の七月の引き下げにつきましては、先ほど申し上げましたような市場金利が下がってきたこと、マネーサプライが目標値の中に入ってきたということ、こういうことを背景に下げたようでございますが、これからどういうふうになるのかという点につきまして、人の国のことでございますから、私の口から断言もできないわけでございまするが、アメリカのインフレ率と申しますか消費者物価の上昇率が、一時去年のいまごろはまだ二けたであったと思いますが、最近は七%か七%を割るぐらいのところまで下がってきておりまするので、そういう背景を考えますれば、アメリカの金利水準がまだこの先も下がるということは当然期待できるところであろうというふうに思います。
 ただ、一方でアメリカの財政の赤字が非常に大きいということから、長期金利の先高感というのが根強くまた起きてまいりまして、長期金利につきましてはなかなか下がらない。昨日募集されましたアメリカの国債十年物、日本と同じように十年物でございまするけれども、入札の平均価格が一三・六九ということだそうでございまして、余り下がっておらないわけでございます。そういう点から申しますると、短期金利が下がる範囲もそれほど大きいものではないということが懸念されるわけでございます。
 その辺のところは、アメリカの財政の赤字につきましては、この財政の赤字の圧縮削減についていろいろ関係者の間で議論がされておるわけでございますけれども、そういうこととの兼ね合いになりまするので、なかなか判断のむずかしいところでございまするけれども、インフレ率、消費者物価の点から言えば下がる余地がある。しかし、財政の赤字の点から言えばなかなか下がりにくい、その辺の兼ね合いであろうというふうに考えております。
○塩出啓典君 私たちの日本におる感じから言いますと、こんなに高い金利のお金を借りて企業も大変じゃないか、だから、このような高金利がアメリカ経済にもいい影響をもたらすことはないんじゃないか。最近企業倒産も大変増加しておる。雑誌では、今年上半期のアメリカの企業倒産は一万一千九百四十八件で昨年同期の四五%増で、過去五十年来最高である、そういう点からアメリカはいつまでも高金利に居座れないんだ、そういうような見通しを述べている人もいるわけでありますが、そういうアメリカの経済に対して高金利というものはそういう影響を及ぼさないのかどうか、こういうことが長続きできるのかどうか、そのあたりはどうなんでしょうか。
○参考人(前川春雄君) アメリカの経済ばかりではなくて、世界的にアメリカの高金利が世界経済の回復にとって悪い影響があることは、それは疑いを入れない事実でございます。
 御承知のように、アメリカもヨーロッパも非常に多量の失業を抱えておるわけでございまして、そういう点から景気の回復ということ、あるいは雇用の吸収ということのために経済に対する刺激策をとりたいということをどこの国でも考えておるわけでございまするけれども、アメリカの金利が高いためになかなか金融政策をそういう方向でとりにくいという環境にあるわけでございまして、そういう点から申しますると、アメリカの金利が一刻も早く水準が下がってくれることが望ましいというふうに私は考えております。
 アメリカの経済自身がなかなかもたないではないだろうか、アメリカもそういう点から言えば金利は当然下がるべきではないかという点につきましては、私どももそういうふうに思います。思いまするけれども、一方、いま申し上げましたような財政の赤字が非常に大きい。一応十月から始まりまする年度の赤字が議会筋では千億ドルということで妥協ができておりますけれども、実際は千四、五百億ドルになるのではないかというふうに一般に言われておる。しかもそれが、来年、再来年度はさらにふえるんではないかということが一応言われておるようなときには、なかなか財政面からの資金需要というのは大きいわけでございまするので、そういう点から申しますると、金利水準そのものは下がりにくい環境にあるということもまた当然でございまして、それを防ごうと思うならばやはり財政の赤字削減に対してさらに根本的なもっと強い施策がとられる必要があるのではないかと思います。
 そういう点の認識は、アメリカ側の当局あるいは財界でも十分にあるというふうに私は思っておりまするので、そういう点について何らかの施策がとられることを希望しておる次第でございます。
○塩出啓典君 ベルサイユ・サミットではいろいろ為替の安定に対して協調介入を努力すると、こういう声明が出されたわけでありますが、私たち見ておりますと、アメリカは貿易収支、非常に日本からの貿易に対しては大変にやかましく言って自主規制を求めたり、また現実には輸入制限に近いようなそういう説得をどんどんする。しかし、通貨の面では日本や欧州各国の意見を余り聞こうとしない。だから何か国内のインフレを抑え、一方では強いアメリカをつくるために意識的に金利を高くしておるんじゃないか。そういう点で、アメリカというのは世界の国際協調という点から見て非常に身勝手ではないか。われわれ日本の国の輸出に対してはやかましく言うけれども、金融面の問題については余り努力をしないという、そういう感じがするわけでありますが、その点アメリカとしてはやはり下げたくても下げれないのか、あるいは実際に下げないのか、そのあたりはどうなんでございますか。
○参考人(前川春雄君) 意識的に高金利政策をとっておるかどうかという点については、これはアメリカの言い分によれば、アメリカはいま長年にわたって根づいてしまったインフレ感というんですか、インフレ期待感というんですか、そういうものをこの際、根こそぎにしないと、アメリカの経済というのはインフレ体質ということから抜けることはできないという事実がございます。
 たとえば、労働協約につきましても、御承知のようにインデクセーションと申しますか、物価が上がることを前提にして労賃を今後三年間こういうふうにするとかいうように、物価の上昇が賃金の上昇と結びついておる。賃金の上昇が行われるためにコストが上がって、また物価が上がるというイタチごっこをある程度しておったというふうに思います。そういう点に対する認識もありまして、ことしの初めぐらいからインフレが少しずつおさまってきましたのを機会に、労働協約につきましても物価との連関を断ち切るという動きも出てきておるわけでございます。そういう意味で、長年根づいてしまったインフレ期待感というものを少しずつ除去することに成功しつつあることも事実でございます。
 金利につきましては、ある程度は市場で決まるという面もございまするので、いまのような財政問題、財政の赤字が大きいというようなときには、アメリカの国債の利回りはどうしても上がらざるを得ないということもございます。その水準がいまのインフレ率からいってちょっと高過ぎるじゃないかという点は私もそう思います。思いまするけれども、実際にはアメリカの国債の利回りが、いま申し上げたように、入札してみれば一三・六九ということになるということは、市場の金利感というのがまだおさまっておらないということを示すものでございまして、そういう点から申しますると、財政の赤字縮減ということも同時に行われませんと、なかなか金利が下がるという環境にはならないのではないかというふうに思っています。
○塩出啓典君 大蔵大臣にお尋ねをしますが、河本経企庁長官は、いろいろ小細工してもだめだ、だからアメリカに圧力をかけて高金利を解消するようもっと工夫すべきことを強く言った方がいいと、こういうようにある雑誌に書いておったわけですが、アメリカに圧力をかけて高金利を解消するように強く言って、何か見通しがあるのかどうか、その点どうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これはサミットでも、各国からアメリカに対するそういう非難めいたことが、もうある意味ではこぼし、あるいは非難といいますか、えらい迷惑しているということを口をそろえて言っておったんですが、レーガン大統領は、私も迷惑しているんだと、自分自身も。金利が高くなっちゃって、自動車は買えないわ、家は建たないわ。それで不景気になって、失業が起きて私も困る。アメリカ政府は何とかしたい。自由にならない。ただ一つできることは、財政赤字をどうして少なくするか。歳出カットをいっぱいやって財政赤字を少なくしない限り金利は下がらない。政府が優先的に高いお金を出してがばっと金を借り上げちゃうんだから、政府に高く貸せるのに何で民間に安く貸すか。だから問題は政府に責任がある。だから歳出カット以外にはないというのが彼の意見でございまして、これはかなり頑固なようでございますから、私はやはりうまくいかないんじゃないか。
 ことに、今回の例を見ましても公定歩合は下がって、〇・五、〇・五と続けて二回最近下がりました。円もちょっと強くなったと思ったところが、またそれと同時に、一千億ダラーからの赤字が出るだろうということが言われるとまたぽんと上に張りつくというのは、私は、やはりこのアメリカの財政悪化というもので政府が金の高金利先取りという思惑――思惑といいますかね、そういうことが最大の原因じゃないかなと。
 もう一つは世界の動乱、イスラエルが攻め込んだとかなんとかということになると、必ず動乱になるとドルが強くなる。これはもう理由はわかりません、私は。やっぱりドルを持って逃げれば安全だと思うのかどうか知りませんがね、どこでも使えるから、そういう心理が働くんでしょう。必ず何か動乱が起きればドルは高くなる。これは事実であります。なかなかうまい手はございません。
○塩出啓典君 そうしますと、結局やはり国際的には日本はなぜ金利をもっと上げないのかという、上げないということは、結局逆に日本は円安を意識的にやっておるんじゃないかと、こういうような批判もあるやに聞いておるわけでありますが、そういう点、日銀は短期金利を高めにくいような誘導策をとっていらっしゃるようでありますが、これがどういう効果をもたらしておるのか。
 一方では、そういうことをするために長期金利も上がり、国債相場が暴落をする拍車をかけておるんじゃないかと、こういうような意見もあるわけですが、日銀総裁としてはどのようにお考えでしょうか。
○参考人(前川春雄君) 円安と申しますかドル高と申しますか、そういうものの背景にはいろいろあるわけでございまするけれども、基本的にはやはり金利差というのが大きな要素であろうというふうに思います。
 先ほど来申し上げておりますように、長期金利につきましては、国債をとれば一三%と、日本は八%というわけでございますから、五%の金利差があるということでございます。もちろん先ほど来お話のありましたように、アメリカの国債は利回りがいいわけですけれども、同時に為替リスクもあり、また値段が上がるということもあり得るわけですから、そういう価格の変動のリスクであるとか、為替のリスクとかいうふうなものがございまして、必ずしも十年先に五%の利ざやが得られるかどうかということはわからないわけです。しかし、現実にそれだけの利ざやがあるということは、とかく資本の流出が大きくなる背景であるわけでございまして、そういう点から申しますと、少なくとも私どもがしなければならないことは、内外の金利差をこれ以上拡大しないということが最小限度必要ではないかというふうに思います。
 金利を上げたらいいじゃないかという面もございますけれども、日本のインフレ率と申しますか、物価の上昇率は世界で一番いいわけでございますので、そういう点から申しますると、金利を上げればそれだけ実質金利が上がるわけです。経済政策の原則から言えば、物価がおさまってくれば金利が下がるということが当然であろうというふうに思いまするので、金利を上げるのがいいのかどうか。円安を防ぐためだけに金利を上げるのがいいのかどうかということは、国内の景気の動向あるいは経済活動あるいは企業の収益等もあわせて総合的に判断をされるべきことではないかというふうに思います。
 私ども短期金利の高目誘導というのを三月以来しておるわけでございますが、これは金融的には財政資金の散布超過というのが四月、五月、六月の上旬にかけて非常に多額のものがございますのに対して、六月下旬以降はむしろ資金が不足期に入るという大きな資金需給の波がございまするので、それを平準化するということが金融政策の見地からは必要であろうというふうに判断をされたことと、いま申し上げましたような内外金利差をこれ以上広げないということが円相場対策上も必要であろうということからそういうことをやったわけでございます。
 これが円安の抑制にどれだけ作用しておるかということは、なかなか、これは経済現象でございまするから、はっきりわからないわけでございます。現実には、円安がその後も進行しておりまするので、余り円安防止には役に立ってないんではないかという議論があることも承知しております。ただ、私どもの姿勢として、内外金利差はこれ以上広げないんだという当局の姿勢を示すことは、市場に対して円相場に対するわれわれの決意というものを示したものであろうというふうに思っております。
 また、いまお話がございましたように、高目誘導の結果、長期債の相場に悪い影響があるのではないか、長期金利がそれだけ上がるのではないかということにつきましては、全然無関係だとは思いません。短期金利を高目に誘導すれば、それだけ長期金利も何ほどか影響するだろうというふうに思います。ただ、それでは、いまの国債の価格が下がっておるあるいは国債の利回りが上がっておるということが、この高目誘導ということをやめればもとへ戻るかといいますと、そうはならないのではないか。
 やはり、財政の赤字、日本の財政の赤字国債がかなり出るのではないかということがいろいろ市場で報道されましたときから国債の価格の低落が始まっておるわけでございまして、そういう意味から申しますると、短期金利の高目誘導というのは無関係だとは思いません。そうは申しておりませんけれども、それよりも国債の価格の問題につきましては財政の赤字による国債増発見込みというのか、期待というのか、予想というのですか、そういうことの方が大きく影響しているのではないかというふうに思っております。
○塩出啓典君 大蔵大臣にお尋ねしますが、やはり実勢に従って長期金利も引き上げろ、こういう意見もあるわけでありまして、それで確かに、不況対策とすれば、金利は安いにこしたことはない。しかし、金利が、内外金利差でアメリカの金利が安くならないのであれば、金利が下がれば結局それだけ円安になって、それが一方ではいろいろ輸入物価の上昇という、そういう悪影響があるわけでありまして、そういう意味で日本の企業のパフォーマンスは非常にいいわけだから、少々金利を上げて、そして金利差をなくし、やっぱり円高に誘導することがむしろ全体的に見ればいいんじゃないかという、そういう意見の人もあるわけで、そのあたり私はよくわかりませんが、ただ、金利の安いということにこだわって間違いを起こしてはいけないんじゃないかなという、そういう点でやはり慎重に対処――専門家の皆さん方がいらっしゃるわけだから、慎重に、間違いなく運営してもらいたい、こういうような気持ちでございますが、その点の御意見はどうでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私もさように考えておりますので、慎重にやらなければなりません。これは、つながっておりますからね、金利のようなものは。どこかで無理をしても、別なところへ必ず副作用が出てくる。プラス・マイナスも考えなきゃならぬ。したがって、無理のないように、適切に対応することが必要だと考えております。
○塩出啓典君 日銀総裁は結構でございます。どうもありがとうございました。
 それから、証券市場の問題についてお尋ねをいたしますが、先般の大蔵委員会におきまして、時価発行――商法改正を前にして非常に時価発行がふえ、それが価格が暴落をする、そういうような事例が非常に多い。そういう意味で投資家保護の立場から中間時価発行増資を推進すべきである、こういうことを主張したわけでありますが、行政当局の御努力の結果でもあると思うのでありますが、最近いわゆる時価発行がかなり件数がふえているように思います。その状況がいまどうなのか。今後さらにこの方向を助長すべきであると思うのでありますが、証券局のお考えを承りたいと思います。
○政府委員(水野繁君) お答え申し上げます。
 時価発行が相当ふえておるのに対して、いわゆる中間発行どうなのかということでございますが、先生ただいま御指摘のとおり、若干ずつ最近ふえつつございます。五十三年度、五十四年度には中間時価発行というのはゼロだったわけでございますが、五十五年度に四件、五十六年度に七件、五十七年度でございますが、これは四月から七月までの三カ月だけでもって五件ということで、この後もまだ出される予定のものがあると聞いております。
 ところで、先生御指摘のとおり、中間発行につきましては、時価と額面の間の価格で発行するわけでございますから、その意味で株主に株の魅力を与える、他方、発行者には調達手段の多様化ということで、その面でいい面があろうかと思います。他面、時価によらないというところから、価格機能が必ずしも透徹しない、このために、株主割り当てになるわけでございますが、そこから出てくる問題もございますので、証券界とはかりまして、いいかっこうでの定着を進めたい、こういうふうなことではかっております。その結果、現在のような数字が、わずかではございますけれども、増加傾向にあるということでございますが、発行会社につきましても、資金調達の一手段として定着することは好ましいと思っておるわけでございます。
 当方といたしましても、現在証取審――証券取引審議会におきまして、この問題についてもさらに御議論を願いたいということでお願いいたしているところでございます。
○塩出啓典君 もう一つは、時価発行増資の引受会社の問題でございますが、今年三月二十三日の本委員会において、禿河証券局長も、現在引受会社が証券四社に九割偏っておる、そういう点で社債の発行のときのようにシンジケート団を導入すべきではないか、四社寡占は好ましくないと、こういうことを提案をいたしまして、その方向で努力をすると。これはもちろん、大蔵省が命令すべきものではなしに業界が自主的にやることでありますが、私の提案に対して非常に好ましい方向であると。そういう意味で、いまお話がありましたように、証券取引審議会で審議をいただいているようであります。
 特に、近くたとえば関西電力等の五千万株の公募増資というのが二、三日前の新聞にも載っておったわけでありますが、特に電力会社等は、これはもう本当に国民全体の支持の上に立つ企業ですから、そういうような時価発行増資の引受会社としては、ぜひシンジケート団を組んで、より多くの証券会社が参加できるようにすべきではないか。これは企業の公共性を考えた場合もこれが必要であると、このように思うわけでありますが、こういう点について、大蔵省としてもそういう方向にひとつ努力をしてほしい、努力をすべきであると、このように考えるわけでありますが、その点はどうでしょうか。
○政府委員(水野繁君) 関西電力のことについて申し上げますと、関西電力は近く増資をいたすことを発表いたしております。従来、増資をいたします場合に四社中心、四社がほとんどを占めておったということでございますが、関西電力につきまして聞いておるところによりますと、四社のほかに新たに幹事として二社を加えたいと、こういうことでございます。シ団編成までには至らないけれども、幹事を二社加えたいし、その幹事へのシェアは従来よりも高く持っていきたい、こういうことを言ってきております。
 こういうふうな大きな増資ということになりますと、一つには個人に対してできるだけ持ってもらうということがありますし、なるべく多くの人たちが入ってそれでうまく消化していくということが望ましいわけでございますので、方向としては将来シ団編成の方向などに移したいと思っておりますけれども、現在の市場とかそれから証券会社の引受能力とか――引受能力と申しますのは、審査能力及び財務体質の問題でございますが、そういうものを兼ね合いながら、全体としての方向としてはその方向に持っていきたい、現実的に段階的に処理するように誘導してまいりたい、こういうふうに考えております。本来的には発行会社と証券会社の話で決まるものと思いますが、その環境づくりはいたしていきたい、かように考えております。
○塩出啓典君 四社から六社になるということは一歩前進ではあると思うんですけれどもね。ただ私は、四社独占が六社になっただけであって、いわゆる社債の発行等についてはもう何十社という証券会社が一緒になってそれに協力していく、そういう姿にならなければいけない、業界の指導も自主性も大事なんですけれども、どうしても業界というところは大きいところがやはり主導権を握っちゃって、弱い方の意見がなかなか反映されていかない、そういう点は大蔵省としても、証券の民主化、個人株主がどんどん減っておるこういう状況を改めるためにも、厳重にひとつ話し合いをし指導してもらいたい、この点についての大蔵大臣の御見解を承って、あとは次の機会に譲ります。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 具体的な問題、個別案件は私聞いておりませんからわかりませんが、証券民主化ということは適当な方向でございますから、そういうように留意してまいりたいと思います。
○近藤忠孝君 ことしの二月十六日の本委員会における渡辺大蔵大臣の所信表明読み返してみますと、大変楽観的なことを言っています。一つは「すでに財政再建に向かって軌道の上を着実に歩んでおります。」もう一つは、景気については「次第に改善し、明るさが増してくるものと期待されます。」と。わずか半年足らずでありますが大変狂っております。これは世界及び国内情勢が急変したために変わってくるならそれが原因だということになると思うんですが、決してそうでないし、われわれはそのときに逆のことを指摘しておったわけです。ここで大臣、これらの点について反省がありましょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 財政再建ということは、歳入面の確保という問題と歳出のカットという問題と両方ございます。
 確かに五十六年度予算においては見積もりの違いがあった、歳入面において不足があったということは事実でございます。この辺のここのところは予定どおりの歳入が入らなかったということでこれは当たっていないということが言えるかもしれませんが、一方歳出の抑制という点については、特に一般歳出、公共事業を除いたもの等についてはかなり抑え込んであるし、今後も抑え込んでいくつもりでございます。前年度は四・二%、一般歳出四・二%というものが守られて、二十数年ぶりのことでございますし、五十七年度予算編成に至っては一般歳出一・八%という、これもまたいままでにないような歳出の伸び率を低く抑えてきたということは、やはり財政再建の軌道の上を確実に走っておると。これは私の方の政策である程度できますが、歳入の見通しというものについてはなかなか、これは世界景気全体との絡みということにもなって、大蔵大臣のなかなか手の及ばないところも非常に多い、これも事実でございます。
 明るさを増してきたという点については、これは見方の問題でございますが、私といたしましては、要するに一年ぐらい前の、去年の国会のころはどうであったかと申しますと、勤労者の側からはともかく減税をやれ、手取りが減ったと、実質可処分所得がマイナスだということで大きな要求があったことは皆さんも御承知のとおりでございます。しかし、今回は物価の鎮静というような観点から、この消費者の実質収入が統計によると、二月において三%、三月において四・八%、四月において一・一%、五月において五・何%だと、実質収入というものがふえて、それと同時にいまの数字の実質消費が伸びてきていると。
 このことは、この状態が長く半年、八カ月、一年と続けば、日本経済の規模二百七十兆の中で占める個人消費支出割合が百六十兆、五六%、公共事業の五倍以上の影響力を持っているわけですから、個人消費支出が着実に伸びるということは私は経済がマイナスになったというように思っておりません。これは、本当に定着をすれば緩やかではあるが景気のてこ入れは確実に行われてきておると、そういうように私は見ておるわけであります。
○近藤忠孝君 これほど財政破綻が明らかになってもなおかつ財政再建に向かって軌道の上をちゃんと歩いていると言うんでは、これは私は楽観性をはるかに通り越してちょっと言葉が見当たらない状況であると、こう思います。
 そこで、まず一つ増税なき財政再建ですが、私は、国民にとってはすでに昨年の空前の増税、それから所得減税なし等々、公共料金も含めるとやっぱり実質的な負担増となっておりますし、それが今日の消費不況の原因になっているということを指摘をしたいと思うんです。
 そこで問題は、その点の議論はちょっときょう時間がないんでやめまして、臨調基本答申の問題であります。
 臨調基本答申の言っていることに大蔵大臣も露骨に反発という面も、これはきょうの新聞に出ていますが、まだごらんになっていないかもしれませんが、問題は、そこの後に臨調答申の中で言われている増税なき財政再建を再確認いたしまして、その意味について、全体として租税負担率の上昇を来するような税制上の措置はとらない、このように増税なき財政再建ということを規定しているわけであります。
 としますと、これは二つ意味があるんじゃないかと思うんですね。一つは、大型新税の導入も全体として租税負担率の上昇をもたらさない範囲でなら、たとえば所得減税とセットでなら導入も可とするというぐあいに考えられます。また逆に、既存税制による増税ならば租税負担率アップも可能ということになるんではないかと。といたしますと、この二つのいずれにしましても増税なき財政再建ということについて抜け道がいっぱいあって、結局増税が可能であるということになるんではないかと思います。そのことはもうすでに新聞でも指摘されておるんですね。
 この臨調の指摘について、渡辺さんはどのようにこれをとらえ、そしてこの答申に沿ってどうやっていくのか、そしてさらにそれは五十八年度、五十九年度以降はどうなるのかについて簡単にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) お答えをいたします。
 私は、増税なき財政再建というものに対する基本的理解といたしましては、増税なき財政再建を進めるに当たっては、何よりもまず歳出の節減、合理化を行うべきで、安易に増税に頼ってはならないと、こういう意味での基本的態度であると理解をいたしております。また全体としての租税負担率、つまり国民所得対比、これの上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらないとの理解については、当面の財政再建に当たっては何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであって、これをなおざりにして全体としての租税負担の上昇をもたらすような税制上の新たな措置をとらないという趣旨と私は理解をしておるわけであります。
○近藤忠孝君 そうしますと、大型新税、たとえば大型間接税ですね。これは租税負担率の上昇をもたらさないならば可能性があると、こういうぐあいに聞いてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、具体的な問題は私はまだ考えておりませんから、それを何とも申すことはできませんが、行政サービスの水準と負担との関係とは国民の選択により決定されるべき問題だと。最終的にどのような措置をとるかはこれは国民の判断によるところであって、財政再建もちろんやっておくわけですけれども、早い話が、たとえばこれから高齢化社会にどんどん突入していく、そのときに年金もふえていくと。現在の年金の水準を守って、現在の六十歳支給というようなものを守っていくとすれば、それはとうてい不可能ですから、それはもうやめて、もっと支給をうんと減らすのか、支給をうんとおくらすのか、あるいはもう少し負担をしてでも支給をおくらすようなことで現在の年金水準を守るのかという問題になると私は思います。
 諸外国どこを見ましても、日本と同じような支給ベースをするとすればこんなに安く、高齢化社会が進んで軽い掛金でこれだけの給付は不可能です、これは。したがって、そこまでもいままでの給付を続けるんだ、高齢化社会になって老人がふえても負担はもう一切やらないのだと、これは不可能でございます。したがって、どっちに重点を置くかということは、これは国民の選択によるところであると私はそう思っております。
○近藤忠孝君 歳出カットの問題ももちろんありますが、ただ、いまその問題はさておいても、今日の税収欠陥、それから今後の見通しなどを見ましても、やっぱり歳入の問題について先ほど指摘したような、いわゆる増税なき財政再建ということを独自にやっぱり見なきゃいけないんじゃないかと思うんですね。
 そこで、先ほど指摘された臨調の基本答申の中でのこの二つの可能性、それについて私は一つ指摘したのは大型新税の導入の問題、これは歳出カットの問題とは別にしてでも、それ自身としてもさっき言った二つの選択の問題、可能性の問題として考えられるんじゃないか。すでにそういう指摘がされておるわけですね。それについてもお答えいただきたいんです。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、いま頭の中に大型新税ということを考えておりませんから、だから大型新税どうだこうだと聞かれましても答弁のしょうがないんです、これは。
 だから、私は、いつも言っているように、直間比率の見直しという問題については、所得税減税をやれと言って、現に財政収入の四〇%を所得税が持っておると、法人税が三〇%持っておるという中で七〇を持っているわけですから、両方どんとまけるなんということをしたら一体、財政何年も続かないという話になるのであって、日本はこの間接税のシェアは二八%とかそこらまで落ち込んじゃっていると。高度経済成長時代には四〇%から四五あったわけですから、ドイツやイギリスでも大体その程度の数字は持っているわけですね、フランスは間接税六〇もあるわけですから。そういう中で、高齢化社会を迎えていくとかいろんな問題の中で所得税を減税をしろという声が多いというときに、間接税はともかく現在以上にはふやさない、直接税は減らす、借金はするな、給付は守れと、これはだれが言ったってできない話だと私は思うんです。
 したがって、これは最終的には国民の選択の問題である。したがって、間接税のシェアをふやさないというようなことを私はここで約束はできません。だけれども、大型新税をいまやるということを決めたわけじゃないから、そのことにはストレートにお答えもまたできません。
○近藤忠孝君 じゃ、間接税の問題はその程度にお聞きしておきたいと思うんです。
 そこで今度は、いま直間比率の話がありましたが、私はその前に直接税の中での負担率の問題、これについても検討すべきではないかと、こう思うんですね。私どもの方でこれは昭和三十五年以来のをずっと調べてみたんです。そうしますと、税収に占める所得税は大体二〇%台から現在約四〇%台になっています。年々ずっとこれはふえていますね。それから、税収に占める法人税の割合は大体三五%ぐらいから三〇%程度に、これは逆にずっと傾向的には減ってきている。これが一つの資料です。
 それからもう一つ、国民所得に占める所得税、これは大体二%台から六二年ないし六九年に三%台、それから七〇年から七八年代には四%台、そして最近は五%台。さらにそれが八〇年−八一年には六%台の可能性がある。それに対して、国民所得に占める法人税は四%台から三%台に落ちて、最近で四%、ほぼ同じという、こういう状況なんですね、この事実はお認めになると思いますが。
 となりますと、直間比率の問題よりもまず直接税の中身である所得税、法人税の比率の見直し、これが必要ではないか。これは財源問題ともあわせ、さらに所得減税の問題ともあわせて、この問題について見直すおつもりはないか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本だけで申し上げますといま言ったような数字が出てくるのかもしれません、私、数字調べておりませんけれども、あなたの方でお調べになったんですから。
 しかし、国民所得に対する所得税の割合というのは、税収は日本は五・六、国際比較でアメリカは一一・八、イギリスは一一・六、西ドイツは一一・三、フランスは六・六というようなことでございまして、過去から比べるとふえてきておるが国際比較とすればふえてはおりません。法人税も日本は三〇%シェアを持っておると、しかしながらヨーロッパ、ドイツあたりでも一〇%ぐらいしかないんですね。イギリスとかなんかだともっと小さな数字だと、一けたの数字だと思いました。結局これは、法人の国際競争力がなくなって弱まってしまうといやおうなしに、法人税はもうけがなければ出さないわけですから、法人税のシェアというものはだんだん落ち込んでいく。
 ことに、法人に対する負担をうんとかけていくということになりますと、それは引き算しますから、だから仮に給与ベースなんかでいっぱい取れば法人税は少なくなるし、取りが足りなければ法人税は多いしということでございまして、やっぱり法人税のシェアが小っちゃくなりつつあるというような世界的な傾向であることは間違いない。しかし、その中でも日本の法人というのは、国際的な競争力を持ち企業活動が強いという点では、いまだに三〇%を持っておることは国際的に見ればかなり健全な国家財政に寄与しているということも言えるわけで、これをさらに法人税の負担を、じゃ三〇%で足らぬと、四〇%にするんだというようなことは、私は恐らく言うべくしてできない相談ではないだろうかと、そう思っております。
○近藤忠孝君 その論争をもう少ししたいんですが、もうあと持ち時間二分ちょっとですので、これは次回に譲りたいと思います。
 そこで、これは先ほど穐山委員も触れたグリーンカード問題の五年延長問題であります。
 わが党は、本来、捕捉すべき高額所得者の課税貯蓄などがしり抜けになって、逆にマル優の非課税貯蓄のみを大蔵省が管理する、それは国民総背番号制につながるものではないか、グリーンカードにしなくても架空名義の禁止その他で総合課税の移行は可能であるということを主張してきたことは御承知のとおりです。いまこの延長問題が起きまして、共産党だけが反対したんで先見性があったんじゃないかというようなことを妙に評価をされている面もあるんですけれども、ただ、いまの見直しはちょっと違うんですね。やはりいまの見直しの本音は、裏金対策とそれから利子配当の分離課税存続をねらっているんじゃないかと、それが本音じゃないか。わが党の言う本当の意味のプライバシーと、それから国民総背番号制による国民管理反対というのとはちょっと違うということは指摘せざるを得ませんけれども。
 問題は、われわれが考える最悪の事態というのは、分離課税はそのままにして、要するに総合課税への移行を延期をすると、逆に非課税貯金についてのみグリーンカードが適用されるという、そんなことに結局落ちついていくんじゃないか。そんなことがあっちゃいかぬと思うんですけれども、そんなことに今回のこれが道を開く可能性はないのか。というのは、総理もこれもこの間の大蔵委員会で、私が総裁であるのにそんなことはないと思うと大みえを切られたのですけれども、その後にこういう自民党内の決定が出ているとなりますと、先ほど大臣が言われた自民党の決定についての評価がどうもこれは大蔵当局から見て甘いんじゃないか。その辺についての大臣のお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、本来なぜ非課税にするのかということの方が問題であって、百八十五兆、いまではもう二百兆近いでしょう。そういう莫大なものが非課税であるということ自体が私は異常だと思っているんです、実際は。むしろ非課税こそグリーンカードを適用すべきものであると、そう考えております。
○近藤忠孝君 総合課税の問題は……。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 総合課税の問題については、私は総合課税にする場合は税率構造の見直しというものを行うべきであるというように考えております。
○近藤忠孝君 終わります。
○三治重信君 きょうは金融関係と国債の消化について若干御質問をさせていただくわけですが、五十六年の決算でいままでとは変わった補正予算といいますか、歳入欠陥を予算で整理しなかったために国債整理基金を使って歳入不足を埋めたと、こういうふうに報ぜられているわけなんです。
 国債整理基金は、現金で貯蓄しているわけではなくて国債なり債券なりを買っていると承知しているわけなんですが、先日たしか大蔵省にお聞きしたときには、三兆余の国債整理基金の積み立てに対して大体半々――半分は国債というのですか有価証券、それから半分は現金で持っているというようなことであったと思うんですが、国債整理基金をどういうふうに運用しているかという問題と、その持っていた国債を今度の五十六年度決算で使った場合にはこれは現金化しなくちゃならぬので国債を相当売ったんじゃないかと思われるのですが、それをどれぐらいどこへ売ったのかということをまずお聞きしたいと思うのです。
○政府委員(加藤隆司君) 五月末に長期が一兆八千ございまして、短期が一兆八千あって、三兆六千あったわけでございます。それで、六月末に長期が一兆四千で短期が二兆二千で、トータルは、端数は違いがございますが、三兆六千と。それで七月末に長期が一兆になりまして短期が六千億で、トータルで一兆六千億と、この三段階の変遷がございます。
 それで、まず五月の末の数字をお示ししたので、半々で一兆八千、一兆八千で三兆六千ということであったわけでございますが、このうち四千をまず運用部の方へ持っていきまして、流動性、短期の方が二兆二千にふえたわけでございます。これが六月末の姿でございます。さらにその後、日銀との買いオペ、売りオペの約束のあった分を日銀に売り飛ばしまして、さらに短期をふやしたわけなのでございますが、七月末に二兆二千六百一般会計の方へ持っていきましたので、結局残高が一兆六千で内訳が一兆と六千と、そういう変遷をたどっておるわけでございます。
○三治重信君 そういうふうなことで、結局二兆二千六百億を歳入不足の方へ現金を提出したと、こういうことで国債を四千億円日銀に売ったと。そうすると、この四千億買った日銀は、結局これは現金で買う、日銀の現金通貨の発行になると理解していいのですか。
○政府委員(加藤隆司君) 最初まず一般会計から国債整理基金に現金が入ってきたわけでございますね。その現金で将来現金が欲しくなったときには買い戻してくれよという約束で日銀の持っていた国債を買ったわけです。その金は日銀に行ったわけですが、その金は外には出てないわけです、日銀から外には、まず。それで今度決算で、本当はその四千億は歳出で出てしまっていますが、四千億を、持っていた国債を日銀に持っていって現金を四千億もらったのですが、その四千億は実はもう先に歳出で出てしまっておりますから、その辺をマネーフローの増と見るかどうかという問題でございますが、実質的にはプラスで出ておると思いますけれども、形式論としては中立的な効果だったと思うわけです。自分の持っていた現金を長期債にかえたわけでございますね、その長期債を持っていって、また現金をもらったわけですから。
○三治重信君 そうすると、こういうふうに、結局大蔵省だね、国債整理基金というのは。大蔵省が持っているやつを日銀に売れば日銀の現金供給の増加かというふうに思ったのですけれども、いままでのやりとりの関係からいくというと中立的なと、こういうことであるわけなのですが、この国債整理基金を、本来からいくと補正を組んで国債を発行して歳入にすべきところのやつを一時こういうぐあいにする。これが加わると、ことしのもしも赤字国債なら国債でやるとこれは史上最高の国債発行量になると思うのですが、こういうふうなやつをやっていくと、これはだんだん国債整理基金をつくった法律というものを無視した使い方、いま一時的に借用があるのですが、これをもしも今後このまま来年また長期に政府の歳入不足に使うような改正でやっていくというようなことになってくると、非常に国債整理基金つくった趣旨そのものが変なことになるんじゃないかということを思うわけです。
 国債整理基金をせっかくつくったこれは、やはり繰り入れするときには繰り入れして、そしてきちんと、どんどん国債がふえていくわけだから、この制度は崩さぬでもっていくと。したがって、これはいまの現行法で決めている年度内、五十八年度にはこの国債整理基金で歳入欠陥補ったやつは必ず回復すると、こういうことでいかないと国債整理基金そのものの法制というものがだめになっちゃうじゃないかと思う。その点を非常にいろいろのうわさされておりますけれども、ひとつぜひ、まだ最終結論は得てないかもわかりませんが、基本的な態度はこの国債整理基金制度の、いまの現行法というものは維持して、そうして財政再建に取り組むと。ことしの不足の欠陥でこういうぐあいにしたのはやむを得ぬとしても、その点、大蔵大臣いかがでございますか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) もともとそういう考えでつくったわけです。しかし最初からあった議論は、何で借金をして貯金をしなければならぬのだという議論も一つあるわけです、もともと。苦しいときなら借金だけ十借りるものを、わかりやすく言えば一だけ貯金する、預金するとすれば、最初から九借りればいいじゃないかと。何で十借りて一貯金するのだという議論は最初からあるわけです。数字はそのまま当てはまりませんが、わかりやすく私が言っているだけですから。
 したがって、じゃ来年返せと、増税をして返すならこれも一つの方法、それはなかなかできない。じゃその返す分だけ結局上乗せをして返すということになれば、借金を、国債をそれだけ増発しなければならない。さなきだに数兆円の国債を出さなければならぬじゃないかと言われているときに、そこに今度はもう来年の積み金も一兆数千億積む分も借りると。それからいまお借りしたお金の今度は積立金の方二兆何千億円借りると、普通でいっても仮に借りるとすれば三兆何千億円というものを、実際借りなければ借りなくてそれで済むわけですね。その分だけ余分に借りて余分に利息を払ってということが本当に必要なのかどうか。
 原則論から言えばもう三治先生のおっしゃるとおり、こういう差し迫った事態の中ではその分やれば国民の負債がふえて金利がふえるだけじゃないのかと。そのことが国民経済にどういう影響を及ぼすか。通常よりも数兆円余分に国債を発行して、そして積むだけだということの方のメリット・デメリット両方を考えなければなりませんので、いまここで私は結論を出すわけではありませんが、こういう差し迫った危機的な財政事情の中では、当面の問題としてどちらが国民経済上いいか、被害が少なくて済むか、むしろ被害が少なくて済むと言った方がいいのかもしれません、ということも慎重に検討してまいりたいと思っております。
○三治重信君 当面の起債の困難性からいくとそういう議論も成り立つわけですが、ただそうすると、今度はせっかくつくった国債整理基金制度というものが国債を発行している間機能を停止しちゃっていいじゃないかと、こういう議論になると、これはさらに輪をかけた国債増発につながるんではないかと、こういう弾力性がだんだんなくなってしまうというふうな気持ちがあるわけなんですが、そこは損得でやられるのと、やはり財政の基本をどこに置いていくかという問題になって、ひとつ十分議論を、基本的な態度を決めていただきたいと思うのですが、それをやるからには相当やはり当面とか、一、二年だけの処理でなくして、少し最小限中期的な五年ぐらいのところでの態度をきちんと決めた上で対処してもらいたいと思います。
 それから、五十六年度の資金の循環、それから国債の消化状況。国債が何と申しますか、国民の純貯蓄の中でどれぐらい占めているか、貯蓄の使用先ですね。これは日銀の「昭和56年の資金循環」、日本銀行の調査統計局の機関誌かなんかの別刷りなんですが、これは非常にわかりやすくできておって、これ読めば、みんなしっかり勉強すればわかるわけで、読めば読むほどわかるようになっているんですが、しかしこれも自分一人だけのわかりではまずいわけなんで、ひとつ大蔵省の実際の担当者がどういうふうな考え方でおられるかということのための質問をさしていただきます。
 日銀の資金の調査報告によると、純貯蓄をするのは個人部門、これが去年は最近になく異常な二十八兆円余の貯蓄になっている。あとの法人企業、公共部門は政府と地方団体、それから金融部門、海外部門ともども五十六年はマイナスになっておるわけなんですが、これから言って非常に史上最高と言われる中央、地方の公共部門の借り入れにもかかわらず、資金の中央から民間部門、ことに法人企業部門が少なくなっておるというためにインフレ的な要因がなくてやられているんですが、この状況はいま五十七年の前期においてもほとんど五十六年の年間の状況からと余り変わりないんですか。もしも変わるところが若干あらわれるとすればどういうところにあるか。
○政府委員(加藤隆司君) これは五十六年の数字でございますが、五十七年の状況というのは、率直に申しまして、数字がなかなかこのベースで把握が困難でございます。感触で申すので大変恐縮なんでございますが、大体変わらないというような感じを持っております。
○三治重信君 そうすると、きょうのこれたしか日経だと思うんですが、今年度の、五十七年度の国債消化も非常に順調であるように書いてあるわけなんですが、もう大体新規発行債の四一%、借換債で三六%の消化が六月までに、今年度で行われているというふうに書いてあるんですが、それは大体間違いないですか。
○政府委員(加藤隆司君) そのとおりでございます。
○三治重信君 そうすると、これで大体公債の消化、中央、地方の公共部門の公債が順調に消化されているならば、大臣、その点でせっかくつくった先ほどの国債整理基金を使って、これはちょっと棚上げをしておくんだということも考えているということからいくと、金融市場が何とか個人貯蓄が五十六年度のようにさらに純増になり、民間部門がそれほどなかったならば、これはやはり努めて借金は借金として出していく、歳入欠陥を国債で少しでも消化をしていくという方がやはりオーソドックスじゃないか、こう思うわけなんですが、その点でいわゆる国債の消化状況並びにまだ歳入欠陥を補う国債追加発行が努力すればできるんじゃないかとこういうふうに思わざるを得ないんですが、そういうことについての対策というものについて検討はされているかどうか。
○政府委員(加藤隆司君) その点は大変むずかしい問題でございますが、いま御指摘のようなことと逆のような情勢が出てくると思います。資金循環表の方で、いまの中央政府の公債の比率を見ますと、最高であったのが五十四年で四二%ぐらいだったわけです。本年の数字は分母がわかりませんけれども、五十六年で見ますと三六%、五十七年は三六%より若干減ったかっこうで始まったわけです。ところが、いま順調でありますのは前倒しをやってかなり条件その他の苦労をしておるわけですが、前倒しをやっておりますのは後で乗っかってくるということがありますので苦労してやっておるわけです。もし仮に、幾ら乗っかるかがわからないんですが、恐らく国民貯蓄に対して相当の、最高の率になるのじゃないかと推測されます。さらにその先になりますと、借換債が御承知のようにどんどん出てまいります、マーケットで消化しなきゃならない分が。
 ですから、今後の国債消化というのは非常に不確定要因が多いのでございますので、はっきり断言的なことを言うのはむしろ不適当であるし不可能なんですが、そういう情勢をマーケットが見ていて公債の価格が低落しておるというような問題が起こってきておるわけです。
○三治重信君 国債の暴落といっても長期債でしょう。長期債ということは、結局国民の貯蓄の流動性確保にあるので、それと長短期で余り金利の差がないために、いわゆる金利選好性で、長期は若干高いけれども十年寝かされているよりは五年なり三年なり、いつでも資金を必要なとき現金化できるときに、高い利子をもらえる中期債の方を好むという選好性の問題であろうかと思うのですが、この点はまたいわゆる金利体系の問題になるから、まあそこまで入ると変なことになるからやめますけれども。
 何といいますか、長期の国債の消化、これだけ国民貯蓄が非常にふえているわけだから、何かもう少し長期の国債の消化をできる態勢というものをやはり考えていかぬと、売れるものやなんか手当たり次第の消化をやっていくと、だんだん中期債や短期のものにやっていく、こういうことになる。それのいい例がこの中で一番指摘されてあるのは、いわゆる政府の短期証券が去年で五・六倍にふえて、これが資金の増発につながるということで、政府短期証券については特に警戒を要するように書いてあるわけなんですが、政府の短期証券は年内に償還しなければならない。中期証券も一年から数年の間とこういうことになってくると、これが非常に何と申すか、国債の消化市場を混乱させやせぬかと思うのですが、そういうことについて再検討をする考えがあるかどうか、その点だけ一つ。
○政府委員(加藤隆司君) 前段の方の問題は、国債の立場だけで考えますと、いまの消化力の拡充策というような観点でいろいろな多様化なり何なりをどんどんやっていかなければ、とても消化できなくなると思うんですよ。ただ、それを余りやりますと設備投資に回る分がなくなってしまうわけです、減っていってしまうわけですね。そうすると、国民貯蓄が大体いま三百五十兆ありますが、一〇%ぐらいずつ伸びて三十五兆ぐらいずつふえていくんですが、それがふえなくなるんです。ですから、景気循環の問題もありますが、景気がよくなればクラウディングアウトが起こる、あるいは構造的に政府の方がうんと食ってしまうと成長率も落ちるし、なかなか貯蓄そのものも伸びなくなるというような問題がありますので、緊急事態なので多様化を図るということは非常に重要なことで、そういう勉強をいろいろしております。
 それから二番目の、短期証券の問題なんですが、短期証券は食糧証券と為券と蔵券とあるわけですが、御指摘は蔵券の問題だと思うんですが、蔵券は結局当年度の歳入で返還になるわけですから、季節的な毎月々の金融の繁閑、租税収入の入りぐあいと歳出の出方の差額をつないでいるだけですから、そういう意味で、必ず本源的な歳入で返すわけですから、いろいろ言われているような問題はないというふうに思うわけです。
○野末陳平君 先ほど来からグリーンカード問題いろいろ出ていまして、政府のお答えも出尽くしたかのごとく見えますけれども、どうも私も強力に推進してきた立場として、ああいう決定を自民党にされてしまうと困ったもので、ばかなことをしたような後味の悪い現在なんです。
 大臣に聞きますけれども、これは、税調に対してもやはり大蔵省としては何らかの説得ないし報告というような形でなさるんではないかと思うのですが、いまのままじゃ税調も立場がないんじゃないか、そんな気がするんですが、どうなんでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 何らかの形でもしそういうふうに決まれば、まだ、自民党で決まったといってもどういうふうに、具体的に進んでいるわけじゃないのでございまして、法案提出というような段階になれば私は何らかの形で説明をしなきゃならぬじゃないかと、そう思っております。
○野末陳平君 まだ自民党が決めたというだけで、正式には国会では何ら変更があるわけじゃないんですけれども、どうも先ほど大蔵省の答えも与党の決定は非常に重大に受けとめるというようなことですから、どうやらそのようになる、こういう前提でお聞きしているわけなんですが、しかし、仮に僕などが税調の委員だとすれば、やはりここで一波乱というか、何か権威をつぶされたような感じもするので、税調委員の辞任とかいろいろ何か対応があるかもしれないので、ひょっとしてこういうことが税調の権威を失わせ、ひいては、否定とまでは言いませんけれども、何となく税調の存在が影が薄くなってしまってよくないんじゃないかと、これから。そんな気もするんですが、これはどうなんでしょうかね、大臣。
○国務大臣(渡辺美智雄君) ともかく、党の決定をこれはなくしてしまうとか、凍結してしまうというのではなくて、先ほども私がお答えしたようにいろいろ問題点があって、その問題点を短時間の間で皆さんの合意を得るということは非常にむずかしいと。したがって、この間を五年間延長したいという決定で、これは最終的には国会にかかる問題ですから、国会で議員提案で他党が反対してそう簡単に通らない場合がいっぱい多いことであって、自民党が決定したからといって国会で全部必ずしもそのとおりすらっと通るかどうか、それは私も保証の限りではありません。国会の問題でございます。
○野末陳平君 しかし、なかなかたてまえ、そういうふうにおっしゃっても必ずしもそうではないのもよくわかるんですが。
 それで、大臣、これはひとついろいろ知恵を貸していただきたいと思いまして、というのは、私もこれを誤解を解くべくいろいろ努力をしてきてこういうふうになりますと、なぜ五年延期をするんだというその理由ですね、延期の必然性、いろいろやることがあるといってもそんなもので国民を納得させるわけにいきませんので、大臣としてはどういうふうにこの五年延期の必然性を説明なさるのか、国民をどうやって納得させるのか、そういう案というか、そういうお考えを聞かしていただくと、私もそれにならっていろいろとやってみたいと、こう思うわけなんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私は、このグリーンカード適用ということは、現在のままでは余り感心しないということはかねて言っているところであります。少なくとも総合課税ということにするためには現在の税率構造というものを直さなければ、世界に前例のない話ですから、そういうことは非常に別な問題を起こす。したがって、税率構造というものをなだらかに改正した上でグリーンカードへ総額を乗せるというなら一つの方法であるということは、私の持論としてこれは大蔵大臣になる前からの主張ですから、なってからも変わるわけではありません。したがって、そういうことを言ってまいりました。
 ところが、そういう問題もあるし、源泉分離、みんなに一律に全部非課税措置をなくしてしまったらいいじゃないかというような議論もないわけではありません。一切非課税というものをなくする。
○野末陳平君 マル優をなくするということ。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 一切なくするという論者もおります。そして全部を課税対象にする。そのかわり薄いものをかけたらいいじゃないかという議論も有力な意見があります。
 しかしその中でも、じゃ身体障害者とか老齢者とかそういうような特殊な人に限って免税制を施すならば、それについてはグリーンカードといいますか、その人だけに、全部別に出したからといって、すべての人が納税義務があるときに自分だけは納税しなくてもいいという恩典なんですから、そういう人に限っては何か別な方法を考えたらいいじゃないかとかいろいろな議論が実はあるんです。あって、それらの中でそういうものをそのいずれにするかということについても結論を出しがたい。一方においては租税全体の見直し、特に所得税の見直しというものを、直間比率の見直しというものをやるべきだという議論もございます。これはみんな一緒になってだんごになっているわけです。
 したがって、それは来年の一月からカードを交付するということになると直ちにこれは印刷を始めなければならぬというような状態で、そう早急に決まりそうもないというようなことで、党としてはとりあえずカードの実施を五年間延長し、それまでの間に、いままでいろいろな議論が提起されておるけれども、その提起されたさまざまな問題点や意見などを虚心坦懐に研究して、適正な公平な利子配当課税を実現できる方策をさらに検討していきましょうということで党としては決めたということを御案内いただいたわけであります。
 私どもは、それはそれとして一方にそういうものを進めてもらいたい。大蔵省としては途中でそれを延ばすのは困りますということは言っているんですよ。言っているんだけれども、党としてはそういうようなことでそれは間に合わない、そんなことを言われても。急には間に合わないからそれを延ばすということで、さらにそういうことを検討しましょうと理由書の中に書いてあるわけです。
 ということになれば、われわれはともかく党にはお世話になりませんよ、法案はわれわれだけでいついつ通しますからというわけにはいきませんものでして、方向としてそれはわれわれも提示している問題。大蔵大臣自身が言っている問題もあるわけですから、そういう問題も含めて、時間が足りないからもう少し延ばそう。それは五年がよかったのか、三年がよかったのかというような議論がありますが、それはもっと詰めて、延ばしてはあるがもっと早い時間の間にそういうものをざっくばらんに各党とも出し合って詰めてもらうということの方がいいんじゃないか、私はそう思っております。
○野末陳平君 それは、だから大いにいろいろ検討していい形になるのは望ましいんですが、それにしたって、いま大臣もおっしゃったけれども、先ほどのお答えもありましたが、五年なんて、いまこういう目まぐるしくいろいろ変わる時代に、五年というのはどう考えても長いので、これはやる気がないと、本気だったら一年だって二年だってできるじゃないかというのが僕は普通の考え方だと思うんですね。
 いまの税率構造にしろ、いろいろありましたが、何で五年でなくちゃいけないんだと、こういうことを重ねて聞かれたら、長過ぎるんで、これを大臣としてはやっぱり少なくも二年とか、大体わかるわけですよ、いままでのこの委員会の議論でもって。だから、値切るというか、短くしてやらせろと、こういうのが当然だと思うんでね。これは長いですよ。幾ら妥協してもせいぜい一年延期ならわかりますがね、五年というのはやる気がないんだと、こういうふうに言われたときに答えに窮するんで、どうでしょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) それは私が決めたんじゃありませんから、政府が決めたんじゃないんですからね。政府の方は五年なんか延長してもらいたくはないんだ、本当は私は。だけれども、党の方でそう決まったというので、重大に受けとめておりますと。いずれにしても議員立法ですから、これは議員の立法は国会で、議員間で話し合いをする、それでみんなやっておるわけですから、きょうも、二、三年かかって議員立法の貸金業法の改正案というのが衆議院を通過いたしましたが、これも各党間で話し合って、一部のどこかの政党が一つ反対したけれども、あとみんな賛成で通っているわけですからね。
 だから、議員立法ですからそこは話し合いを、私を責めることよりも、それは党と党の話とかなんかでしてもらった方がもっと効果的ではないか。私も議員ならもっと言いたいこともありますよ。私は大蔵大臣の立場でもございますからそれ以上のことは申し上げませんが、いずれにしても何かもっといい方法をやっていただきたい、そう思っておるわけです。大蔵省だけで自由になるんでしたら法律の問題も非常にありがたい話でございますが、何といっても国会にかかる、国会の決議がなければ、大蔵大臣は執行者ですから、これは国会の方で良識に従って話し合いをつけてもらうことが一番いいと私は思っております。
○野末陳平君 別に大蔵大臣を、五年決めたからといって責めているわけじゃないんで、説明をどういうふうにしたら、いままで不公平税制直すのにこうしたらいいんだと言ってきて突然ひっくり返る、この説明に困っているからお知恵を拝借したいと、こういうことでお願いしているんで……
○国務大臣(渡辺美智雄君) 私も困っている。
○野末陳平君 いや、私も困っていると言われてもそれは困るんですがね。
 そこで、じゃいろいろ理屈を言っても始まりませんが、もしこれが、大臣は国会にげたを預けるような形ですが、国会の現状を見ればそのげたはどこへ落ちつくかわかるんです。そうすると、結果的に分離課税も来年で切れるのがまた延長されるわけでしょうね。それから同時に、先ほどから出ているマル優問題ですがね、まともに利用している人も当然ですが、これを悪用というか、非常に管理が不徹底になるがゆえに別の変な不公平もあるわけですね。この分離課税とそれからマル優の管理不徹底、これが五年は少なくも続いていくわけだ。これをやらなきゃいけないとわかっていて、やるぞやるぞと言っていて、いやちょっと待ってと、ほかの環境整備いろいろ問題があるから、こっちはもうそのままにしておくんですよと言って、これで説明つくかというと、ここが困っちゃうんですね。
 こだわるようですけれども、大臣、やはりいろいろ問題があるから延ばしますよというだけでは解決できない部分があるんで、このグリーンカード延期というのはやはり相当な大蔵省の信用問題とかいろいろ出ますが、これは大臣も含めてまじめな納税者たちにとって、あるいは不公平を是正してくれと願っていた人たちにとって非常に失礼なことになっているんでね、かなりいいかげんな政治をしていると、こういう印象が強いんですよ。そのあたりが心配なんですがね、それは何とも思いませんか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) これは私を責められましてもどうしようもないことなんですよ。司法、立法、行政、これは三権分立なんですから、党が議員立法で出すというのを政府はどこまでもだめだと言っても、幾ら政権与党といっても、やっぱりおのずから党の言うことを全部政府は聞かないことだっていっぱいあるわけですから。もう米価の交渉にしてもいろんな問題にしても、党と政府がぶつかっちゃって動かない、三日も四日も動かぬということで半分値切ったり何かすることもあるわけですよ。しかし、最終的にはやはりそれは、法律の問題というものは国会優先の話であって、これはもうそこまで徹底的に詰めるということについては、提案者が参りまして、どういう趣旨によって提案したんで質問にお答えしますと当然やるわけですから、私が提案したものじゃないんでございますから、提案もされてないと。したがって、提案者が来たときに納得のいくまでひとつそれは御質疑をいただくということが当然じゃないかと私は思います。
 したがって、まだ提案もされないうちに中身について、私の見解は一通り申し上げましたが、それ以上のことをどうこうということはちょっと差し控えさしていただきます。
○野末陳平君 まあ別に大臣をいじめているんじゃないんだけれども、そうとられるというのがどうも残念ですがね。
 じゃ、ひとつ大臣、全然別の角度から聞きますがね。とりあえずいろいろな問題があるから延期すると、まあここまではやむを得ないとしても、じゃその間に、一番いまやるべきであったと、グリーンカードの動機となったいろいろな意味の不公平ですね、この不公平も、税法上の不公平もあるかもしれないし、徴税上の問題いろいろあるでしょうが、ここのグリーンカードを延期して実現を待つ間にどういう不公平を大蔵省としては是正するというのか、そのメニューを一覧表でちょっと、思いつきでなくこれとこれとこれだけはしなきゃいけないんだと、これを確認さしてほしいんですね。一番大事な利子配当の分離課税というのが少なくともなくなったとすれば、あとどういうことをなさるおつもりなのか、それをひとつ説明して……、よろしくお願いします。
○国務大臣(渡辺美智雄君) まだ法案も提出されないのに、皆様が認めるか認めないかもわからぬわけでしょう、国会で。自民党が決まったらもう成立しちゃったというふうにストレートに考えていいんですか。
○野末陳平君 いや、大蔵省がそういうふうにもう受け取っているから言っている……
○国務大臣(渡辺美智雄君) だから、私の方としてはそんな受け取ってないんですよ、非常に残念であると。
○野末陳平君 いや、重大な決定だと受け取っているとさっき言っていたじゃないですか。
○国務大臣(渡辺美智雄君) いやいや、だからそれは党が決めたことは軽々な決定だとは言えないから、重大な決定だと言っているだけですよ。私は非常に残念なことであるということを言っておるんです。したがって、今後どういうふうにして出すのか私は聞いてないんです、まだ具体的な話は。
 ですから、これは法案を出すということまでには、それは政府・与党の間ですから、何らかの話は当然に具体的にもっとこれからあるだろう、そう思っております。
○野末陳平君 じゃ、もうこれ切りがないからその時点までまたお預けということにして。
 一つ、この間うちの予算委員会でも言い足りなかったことがあるんですが、いろいろな意味の不公平などがありますから、もうこれも幅広くなったし、納税者によってはみんな不公平の中身の指摘が違いますからあれなんですが、ひとつ大臣、この間大臣も同席されていたんですけれども、中曽根長官が、結局行革だから税務職員をふやせない、大蔵省の枠内で何とかやりくりしてくれということだったんですよ。行革が至上命題とすれば確かにそれも一理あるんですが、しかし、いまやいろいろな点で不公平を直さなければいけないというところに追いつめられているのに、やはり人が足りないがゆえに、税務職員が足りないがゆえに数々の不公平がまかり通っているんだということになったら、これはゆゆしき問題ですね。
 ですから、行革とはいえどもやはり税務は別だから、ひとつ税務職員ふやすというぐらいの積極的な前向きな態度を大臣が打ち出してもいいんじゃないかと思うんですよ。僕もそれは嫌われると思いますよ、税務職員どんどんふやしてやれなんと言ったら。それはいろいろ文句言う人も出るでしょうけれども、しかし、そういうことも言わなきゃならない時期があるわけですからね。私は大蔵大臣に、グリーンカードでそれだけあれしたなら、とにかく今度は別の意味で、税務職員が足りないのはこれは事実ですよ。それなるがゆえに不公平もいっぱいありますね。だから、記帳義務とかそういうようなことも何か議論に出ているようですが、人員をふやすということにそんな消極的というのはおかしいと思うんですね。
 だから、行革ではあってもこれは別じゃないかという、こういう前提で理解を求めるような方向で大蔵省は一歩踏み出すべきだと思うんですが、ひとつそのお答えを聞いて終わりにしましょう。
○国務大臣(渡辺美智雄君) 税務職員が非常に不足をしているということは事実です。事実ですが、全体的に行政改革をやっていく中で大蔵省だけ人間ふやせというようなことも現実には言えない。したがって、大蔵省の中でやりくりをして優秀な税務職員をふやすようにことしもやってまいりましたし、来年もやりたいと、そう思っております。
○委員長(河本嘉久蔵君) 本日の調査はこの程度にとどめます。本日はこれにて散会いたします。
  午後四時四十分散会
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