第096回国会 商工委員会 第1号
昭和五十七年八月二十六日(木曜日)
   午後二時二分開会
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   委員の異動
 八月二十一日
    辞任         補欠選任
     高杉 廸忠君     対馬 孝且君
 八月二十五日
    辞任         補欠選任
     瀬谷 英行君     宮之原貞光君
     市川 正一君     小笠原貞子君
 八月二十六日
    辞任         補欠選任
     上田  稔君     斎藤 十朗君
     宮之原貞光君     和田 静夫君
     小笠原貞子君     市川 正一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         降矢 敬雄君
    理 事
                岩本 政光君
                野呂田芳成君
                村田 秀三君
                市川 正一君
    委 員
                楠  正俊君
                斎藤栄三郎君
                斎藤 十朗君
                森山 眞弓君
                阿具根 登君
                対馬 孝且君
                宮之原貞光君
                和田 静夫君
                田代富士男君
                小笠原貞子君
                井上  計君
                森田 重郎君
   国務大臣
       通商産業大臣   安倍晋太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        町田 正利君
   説明員
       警察庁警備局警
       備課長      國松 孝次君
       通商産業省立地
       公害局長     福原 元一君
       通商産業省基礎
       産業局長     植田 守昭君
       消防庁危険物規
       制課長      清野 圭造君
   参考人
       北炭夕張炭鉱株
       式会社管財人   大澤 誠一君
       日本炭鉱労働組
       合中央執行委員
       長        野呂  潔君
       三井観光開発株
       式会社代表取締
       役会長      萩原吉太郎君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (北炭夕張炭鉱株式会社の経営問題に関する
 件)
 (ダイセル化学工業株式会社堺工場における爆
 発事故に関する件)
○理事補欠選任の件
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○委員長(降矢敬雄君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十一日、高杉廸忠君が、昨二十五日、市川正一君及び瀬谷英行君が、また、本日、上田稔君が委員を辞任され、その補欠として対馬孝且君、小笠原貞子君、宮之原貞光君及び斎藤十朗君が選任されました。
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○委員長(降矢敬雄君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査のうち、北炭夕張炭鉱株式会社の経営問題に関する件を議題といたします。
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○委員長(降矢敬雄君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本調査のため、本日、参考人として北炭夕張炭鉱株式会社管財人大澤誠一君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長野呂潔君及び三井観光開発株式会社代表取締役会長萩原吉太郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(降矢敬雄君) 参考人の方々には、本日は御多用かつお疲れのところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、参考人の方々から御意見をそれぞれ十分程度お述べいただいた後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 また、発言の際は、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、あらかじめ御了承ください。
 それでは、まず、大澤参考人にお願いをいたします。
○参考人(大澤誠一君) ただいま御紹介をいただきました更生会社北炭夕張炭鉱株式会社管財人大澤誠一でございます。
 日ごろより先生方には石炭産業に対し種々御高配を賜り、その上、今回の北炭夕張炭鉱株式会社の更生事件につきまして特に御心労を煩わしておりますことを本席をかり厚く御礼を申し上げます。
 また、本日は国会明けにもかかわらず本委員会の開催をいただきまして、閉山提案という異常事態を迎えた本件につきまして、参考人として私の意見を述べさせていただくとともに、実情についていろいろと御審議いただく機会を与えていただきまして感謝にたえない次第であります。
 本年四月三十日管財人として選任されましてから、石炭業界を初め関係各方面の御援助によりさまざまな検討を行ってまいりましたが、その結論につきましては、去る八月二十一日の組合に対する提案の中にるる申し述べておるところであります。
 すなわち、一、現在稼行中の残存十尺層の採炭でありますが、現存の骨格坑道の射程範囲内にあって当面採掘の対象とし得る区域を洗い出して検討いたしましたが、もともと北炭夕張社は事故の起きた北部十尺層が順調にいっていれば捨てる予定の区域が大半であり、保安面、採算面を考慮すれば残炭量は六十万トン程度に限られ、本格的採炭に至るリードタイムを賄うのには不十分であります。
 二、次に平安八尺層でありますが、結論を申しますと、平安八尺層の本格的開発は販売手取りの低い一般炭一層で、しかも確認されている可採炭量三百五十五万トンでは最終的に赤字でありまして、当面の開発計画の対象としては価値がないと判断いたしました。
 三、このように、当初考えられた平安八尺層が本格的開発の価値がないということが明らかになるにつれて、事故を発生した北部十尺層並びにこれに連なる十尺層についての開発の可能性が問題となってまいりました。
 そこで、私はこの新区域十尺層の開発計画の検討を行ったのでありますが、過去に例のない大規模なガス突出を発生したという事実を謙虚に受けとめ、十分な準備と慎重な配慮が必要であります。したがって、現在考えられる限りの理想的な基幹坑道を展開し、事前のあらゆる条件把握を的確にするとともに、これに応じて十分な時間をかけてのガス去勢が必要と考え、そのような考え方に立って新区域十尺層の採掘予定範囲に賦存する千二百万トンを対象に適正規模と考えられる二切り羽、年産七十五万トン体制の開発計画を策定いたしましたが、開発を開始して一切り羽稼働までに四年九カ月、二切り羽稼働までに五年七カ月を要します。したがって、私の策定した計画では、この間の負担を軽減するための残存十尺層の比較的採算性のよい切り羽の採掘と、平安八尺層のうち西部十尺層の既採掘部分の上部に限っての採掘をこの間に組み入れて計画いたしました。その結果は金融債あるいは労務債その他の債務を完全に弁済することは非常にむずかしく相当に厳しい条件を必要とします。
 しかし、会社の更生を進めるにはこの計画しか考えられないと存じますが、ここで問題になりますのは、一、二切り羽、年産七十五万トン体制の完成年度までの設備投資のうちの自己資金六十六億、二、同じく完成年度までの赤字資金百二十四億、三、スタートに際し適正人員にするための合理化退職金約三十億、過去の労務債百十五億、五十七年上期中の不足資金十二億、計三百四十七億ほどどうしても必要であります。しかし、先の資金まで云々しても始まりません。当面絶対必要な資金とこのところ一、二年の所要資金は用意するよう北炭グループに要請したのであります。これらの資金は政府の補助金、制度融資は織り込み後の不足資金であり、これに対する補助金、制度融資は現行法では期待できません。また、市中金融の道を開くことも当面全く不可能であります。したがって、この資金調達は、北炭グループから支援していただく以外に全く方法がないのであります。
 四、これができないとなれば、北炭夕張社の存続は不可能となり、会社は解散しなければなりません。そうなれば、全員解雇となりますので、過去の労務債百十五億と新たに発生する退職金概算五十七億、それに社内預金約八億、合計約百八十億を必要とします。この資金も閉山交付金がいただければ、そのうちの退職金等見合いの資金が出てまいりますが、それ以上の金の調達方法はなく、北炭グループの支援に頼る以外にないのであります。
 以上のように、前進するにしても後退するにしても、莫大な資金調達を必要といたしますので、私は北炭粕谷社長に早くから、また何回となくこの調達を、要請し続けてきたのであります。しかしながら、ついに最後の望みを託していた三井観光開発からも、八月十三日山本社長より文書による拒否回答を受けたのであります。文書の文面は、短絡的な処置による協力はいたしかねるといういかにも余韻を残したような表現になっておりますが、山本社長にただしたところ、現金による支援は一切できないし、土地を売っても手元に現金が残らないし、急場の間に合わない。人員の引き取りには協力する。いまや真幌で手いっぱいであり、新鉱は放棄しましたとも言われましたし、さらにこの趣旨は、萩原会長とも十分打ち合わせ済みであり、当日新聞記者会見まであらかじめ準備されているというありさまでした。ここにおいて私も万策尽き、しかも一方では山元の資金は枯渇し、放置すれば給料、賃金にも事欠く末期的混乱に陥るおそれがあり、涙をのんで閉山の決意をせざるを得なかったのであります。私としては、今般の閉山提案はまさに提案するに忍びない過酷な内容のものでありますが、金がない以上いかんともなしがたかったのであります。いまはただ何とか閉山交付金の適用をしていただき、その上に三井観光開発株式会社を含む北炭グループの支援により労務債が完済されますよう切に切に念願してやまない次第でございます。
 しかしながら、ここになお何とか山を残したいという組合、地元、その他各方面の要望もあり、私としては最後の希望をつなぐ手段として北炭夕張社の露天掘り部門を残して坑内部門を閉山するという事業の縮小という手段を考えたのであります。露天掘りを残すことにより、その収益によって立て坑、斜坑並びに最小限の必要施設の維持を図り、閉山に伴う諸問題の解決を待った後改めて新会社による新区域十尺層の開発の可能性を追求し、実施に移されんことを切に期待してやまない次第であります。
 このことは言うはやすく行うにかたいむずかしい問題であり、この新区域十尺層に価値を認め、資本を投下して、やろうという人がいなければならず、また金融機関の協力なくしては成り立たぬものであり、管財人としては管財人の立場で努力する所存でありますが、関係各方面の御協力、御支援を切にお願い申し上げる次第であります。
 最後に一つお願いでございますが、閉山の影響をもろに受けます下請の組の救済と町方の救済でございます。この方々の中にはもちろん北炭夕張社に債権をお持ちの方がありますが、更生計画の債務の弁済の中でできるだけのことをしてあげたいと思っても、実際には更生法の手続を踏む限り原資は限られておりますし、行き渡らぬこととなると存じます。特に下請の組の方は、昨年事故当時から一生懸命協力されたのに、その請負金が更生申し立てにより凍結され、組の労務者の賃金、期末手当の支払いに困って、倒産防止資金を借りてしのいだのですが、その返済が十二月に迫っていると聞いております。仕事がなくなり借金に追われるというのでは余りにも気の毒であり、何とか救済の道はないかと苦慮している次第であります。この下請及び町方に対する救済についてあわせて先生方の温かい御高配をお願いする次第であります。
 ほかにも申し述べたいことが多々ございますが、先生方の御質問にお答えする中でまた述べさしていただくことといたしまして、私の陳述を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございました。
 次に、野呂参考人にお願いをいたします。
○参考人(野呂潔君) 日本炭鉱労働組合の中央執行委員長をやっております野呂であります。
 本日は、国会が閉会中にもかかわらず商工委員会を開催していただき、参考人として意見を述べさせていただく機会を与えてくださいましたこと、並びに常日ごろの石炭産業に対する御支援、御協力に対しまして、組合員と家族を代表いたしまして厚くお礼を申し上げる次第であります。
 さて、御承知のように、大澤管財人より八月の二十一日に事業縮小に関する提案が行われてきたわけであります。これは、表題こそ事業縮小ということでありますが、実質的には夕張新炭鉱の全面閉山と労働者の全員解雇、さらに労務債の完全踏み倒しを主たる内容とするものであります。
 この提案に対しまして私たちは第一に、この提案は再建のさなか、昨年十月十六日に発生した大災害によって不幸にして犠牲となりました九十三名の仲間の遺志、さらに多くの遺族の願いを真っ向から踏みにじるものであるということ、第二に、労務債の踏み倒しなどという不当なやり方を認めるとするならば、これは夕張一山だけの問題にとどまらず、すべての炭鉱、すべての産業にまで影響いたしまして天下に悪例を残す結果となること、第三に、ここで閉山を容認いたしますと、第七次石炭政策で決められました国内炭の位置づけが崩れるばかりか、ひいては石炭産業そのものの存在意義が問われかねないということ、第四に、この提案を認めれば、夕張市はもちろんのこと、四万人の地域住民の生活に大打撃を与える、こういう結果になるわけであります。したがって、われわれ炭労といたしましては、こういう判断に立つがために、労働組合としてはこれを認めるわけにはいきません。断固として拒否して闘うという方針を決めたわけであります。
 そこで夕張新炭鉱の再建と関連をいたしまして、労務債の問題がいまクローズアップされているわけであります。その総額は百十五億あるいは百二十三億というようにも言われています。大澤管財人は、この労務債問題の解決を更生計画決定の前提条件として位置づけて、北炭社あるいは三井観光開発株式会社を中心として北炭グループにおいてその弁済原資を調達させるという方向で対処してきたことは事実であります。もとよりこの労務債は過去六年以上にわたって企業再建の過程でわれわれが何としてでも山を残すという一点に結集して一路再建に取り組んできた結果蓄積されたものでありまして、直接の当事者であります北炭柱としては、これは何が何でもわれわれに弁済しなければならない金であることは明らかであります。北炭グループ、特に三井観光は今日まで夕張新炭鉱を初め傘下の炭鉱から吸い上げた利潤をつぎ込んで設立されて発展してきた企業であるという実態を考慮すれば、その弁済についての社会的責任が免れることはできないということは明らかであります。したがって、管財人がこの問題の解決を更生計画策定の前提条件としてきたことについてわれわれは異議を差し挟むものではありません。当組合としても、北炭社粕谷社長を初め三井観光の萩原会長やあるいは山本社長に対し再三その弁済の要求をしてきたところであります。しかし状況といたしましては、言葉の上ではわれわれに対して考慮するというようなことが何回となくありました。しかし現実にとった態度は、御承知のようにゼロ回答のままで今後の見通しが全くないままたっているというのが現状であります。このまま推移をいたしますならば、たとえば山の再建の要素ができ上がりましても再建は完全に断念しなければならない事態となります。こういうことで事態はまさに重大なところに立っておりますし、国としても莫大な損失となると考える次第であります。したがって本委員会を初めといたしまして、政府といたしましても第一に北炭グループなかんずく三井観光に対して資産を処分してでも労務債弁済の原資を調達させること、そして八月のうちに一定のめどをつかむようにスピードを上げてやっていただくこと、このことをお願いをいたしたいのであります。同時に、政府といたしましても、これまでの考え方で一切労務債については北炭グループでということを言っております。私たちも基本的にはその考え方でありますけれども、北炭グループで最大限の努力をした、これ以上はどうにもならないということが現実にわかって、そして労務債百二十三億というところにはるかに及ばない金額である場合には、それらのことについて政府といたしましてもこれまでの考え方を改めて、何らかの形で労務債弁済に充てる原資を確保するように御努力を願いたい。本委員会のお力もかりて、そのようにしていただきたいということをこの席上申し上げておきたいと思う次第であります。
 次に、山を存続再建させるという方向について触れますと、大澤提案では、露天掘り並びに立て坑など一部坑道の保坑だけでもって、大部分の区域を閉山するということであります。北部区域の開発は五年先ということになっております。しかも、現在採掘している残存炭量十尺層やあるいは平安八尺層は放棄するという考え方であります。これでは山を残すということにならないことは明白であります。われわれは山を存続させるということは、当面残存の十尺層で一もしくは二切り羽でもって採掘すること、同時に平安八尺層区域について坑道を展開し可及的速やかにそれの採掘に入ること。この間北部開発のための骨格づくりを行い、体制を整えてその採掘に入るという一連の構想を想定いたしておりまして、通産大臣も大澤管財人の考え方を支持すると言われたのは、まさか三十人や五十人の人間を残して露天掘りだけをやるというのを支持したのではないと私は思っているのであります。したがって、五年後くらいに開発するなどというそういうことはもちろん言葉だけで、そんなことを考えているのではないということが明らかになっているのではないかと思いますけれども、それが本当だとするならば、ここではやはりはっきりとそういう道についてわれわれとしては納得ができないということだけを申し上げておきます。もちろんこの場合、保安対策を十二分に行うことは論を待たないわけであります。現在、実用化されている技術をフルに動員し対応すれば、十分安全にして操業を継続していける、このように考えております。この場合にどのような企業体で開発に当たるべきかということが重要な問題であると考えるわけであります。この点について言えば、われわれは現状の北炭社にこれを任せるのは、あらゆる点を検討してみればみるほど適当ではないと思っております。また石炭業界の中で共同出資によって新会社を設立していくという構想もありますが、これは検討に値すると思います。しかし、石炭採掘事業と地域経済の関連その他を考慮すれば、市や道が参加し、国のバックアップによりまして第三セクターで設立していく、そしてこれに当たるということが適切であると炭労としては考えます。ただ、いずれにせよ、どのような場合でも可及的速やかにこれを発足させることが重要であります。
 最後に、九月二十一日は私たちが解雇される日であります。大澤管財人の、受け皿では時間がかかると、こういうふうに言っています。しかし、私たちは当日になりますと首を切られるわけであります。そういう待ったなしの中でもって時間がかかる、労務債も支払わないという、そんなやり方を私は認めるわけにはいきません。したがって、あらゆる対策を早急に進めてもらわない限り、不測の事態に発展することは明らかであります。
 したがって、参議院商工委員会のメンバーの先生の方々の特段の御協力と御指導を期待いたしまして、私の意見を終わりたいと思う次第であります。
 以上であります。ありがとうございました。
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございます。
 次に、萩原参考人にお願いをいたします。
○参考人(萩原吉太郎君) 萩原吉太郎でございます。
 陳述に先立ちまして、先般の事故で尊い命を失われた方々の御冥福を祈り、あわせて御遺族の方々のお悲しみに対し心から御同情申し上げる次第でございます。
 また、事故発生以来、諸先生方を初め各方面の方々に多大の御迷惑と御心労をおかけいたし、従業員の方々には不安な思いをおかけしておりますことを、北炭に関係する者の一人としてまことに申しわけなく、この席をおかりいたしまして改めて深くおわび申し上げる次第でございます。
 夕張閉山の提案が出されました今日では、一番問題となるのは百億円を超える労務債でございます。いまさら申し上げるまでもなく、この労務債の処理は北炭の経営に携わった者の責任であります。北炭夕張にその能力がない現在、北炭グループなどから何とか支援できないかと検討を重ねてまいったわけでございます。これは決して北炭の債務が即グループの債務と申すものではありません。まさにこれは道義的責任があるからでございまして、法的にはそう主張することはできないところでございますが、私はそういう道義的というか、かつて同根であった人とともにこの解決に当たろうと考えておるわけでございます。
 ところが、北炭関連十八社は昨年暮れ、政府、道庁、金融機関などの御支援を受け、辛うじて連鎖倒産を防いできた状態であります。また、三井観光開発も、もしその内容をつぶさに検討してみれば、内容は必ずしも楽観を許さないというのも事実であります。一番大切なときにあってこうした実情にあることは残念でございます。ここに至るまで北炭関連十八社は十五億円の資金援助を行い、三井観光開発は九十億円の資金援助と三百億円の担保提供を行って、できる限りの努力をいたしてきましただけに、かかる状況はまことに残念でございます。もとより簡単に解決できない問題もありますし、また今後各方面の御協力も仰がなければならないのでありますが、北炭グループといたしましては何としても資金を捻出するために全力を傾けてまいっております。ことに九月二十一日が提案になりましたとおりとしますれば、タイムリミットとなっております。それまでに果たしてこれらの正確なる金額を提示し、それが実行可能なものが提示できるかどうか、われわれはこれからがんばっていかなけりゃならないと思っております。おおよその一つの案を出しましても、一人だけでできる問題ではない、他の御理解と御協力を得なければできない問題ばかりでございますので、いたずらにある金額を言い、またはどこの個所をこうするというふうなことをすれば、もしその誠意があってやったにしてもそれが不可能となった場合、また私としては非常な責任を感ずる次第でございます。これからもこの問題を詰めて、すでに交渉したりしているところがありますが、努めて早く、できるなれば今月中というただいま野呂執行委員長のお話がありましたが、これはとてもできません。少なくとも来月半ばごろまでには何とか狂いのないような見込みの話をしたいものだと思っております。これから本当にわれわれとしてはがんばらなくちゃならないところだと考えておるのでございます。
 さて、いろいろ三井観光についての談話で、当日私も三井観光開発株式会社会長として出席しております。そこで、一言同社について説明させていただきたいと存じます。
 三井観光開発は北炭があって生まれたことは事実でございます。しかし、北炭の不動産部門を独立させ成立した会社ではありません。潜在する北海道の観光資源を開発することを目指す新規の事業として設立したものでございます。北炭の財産を分離して、そうしてそれを開発するために起こしたものではございませんで、当初は北炭所有の広大な土地、山林は一切譲渡されておりません。昭和三十年代三井観光開発の創業当初、北炭から短期のつなぎ資金を借り入れたことはございますが、すべて返済しておりますし、また借り入れにたびたび保証してもらいましたが、これもすでに完済して消滅いたしております。しかし、それにしても三井観光の基礎はこの時代、北炭の支援があって固まったものであることは事実でございます。
 北炭の経営状態が悪化してまいりますと、資金を必要としたとき、三井観光開発は創業当初の支援に感謝し、積極的に北炭を援助してまいりました。昭和四十三年平和砿の事故がございました。そのころから北炭は土地、山林を売却しなければならないようになりました。北炭の、その当時昭和四十二年私は社長を退任しておりましたけれども、自分で行って、金融が、資金繰りが苦しいというので、王子製紙へ参りまして、一括王子製紙に山林を買い取ってもらおうと。最後に価格の点で折り合いがつかないでこの話はこわれてしまいました。それから後、三井観光開発が王子製紙の言った価格を上回る価格で買い取ってまいりました。現在三井観光開発が所有する元北炭の土地、山林の大部分はその当時買い取ったものでありまして、それらの土地、山林の大部分は今日北炭の借り入れ金三百億円の担保となって役立っておるわけでございます。
 創立当初北炭の支援を受けて今日三井観光開発が存在するのは事実でありますが、三井観光開発約三千名の人々の長年の努力により三井観光開発の今日が築き上げられたこともまた事実であります。三井観光開発の企業努力は北炭に対する支援を今日まで可能ならしめたのであります。
 こんなことをくどくど申し上げましたのは、世上一般に三井観光開発は北炭から財産を持っていってできた会社である。また、今日余裕があるのに北炭夕張を支援をしないと批判されておりますことからでございまして、まことに残念に思っております。三井観光開発は、過去の債務、債権は別としても、ことしから北炭にかわって利子及び金融機関に払うものが毎年七億円に達してこれはいつまでも続くわけでございます。一応三井観光について世上の誤解を解くために触れたのでございます。それはそれとして、いずれにいたしましても私は北炭夕張の労務債の返済のためにさらに一層全力を傾注いたしたいと思っております。現状を御理解くださいまして格別の御指導とお力添えをお願い申し上げる次第でございます。
 以上で私の陳述を終わります。ありがとうございました。
○委員長(降矢敬雄君) ありがとうございました。
 以上で各参考人の御意見の開陳は終了いたしました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○対馬孝且君 きょうは閉会中でございますが、委員長、各会派の協力をいただきまして、北炭の緊急なまさに人道上の問題である課題につきまして本委員会の取り計らいをお願いしましたことに対して、まず冒頭感謝を申し上げたいと思います。
 また、きょうお三方の参考人が、われわれの要請におこたえをいただきましておいでを願ったことに対しまして冒頭感謝を申し上げたいと思います。
 まず、最初に私は限られた時間でございますので、できるだけ参考人の方々に簡潔にひとつお答えを願いたい、このことを要望しておきます。
 大澤管財人にお伺いしますが、先ほど来まさに人間無視、過酷な閉山提案をせざるを得なかった、こういう過酷な提案だったということが前提でお話がございました。そこで、その前提条件になるのは、いまも炭労委員長からございましたが、旧労務債の解決にどういう努力を管財人として払われたのか。この点いま少し具体的にひとつ説明を願いたい、これが一点でございます。
 それから、二点目の問題は、いわゆる今日の再建の計画が先ほど来説明がございました。端的に申し上げまして、今日的時点の資金ショート、あるいはこれからの設備投資、こういう問題等もございましたが、この点の判断についても政府との間にどういう見解なりあるいはアドバイスがあったのかという点をまず冒頭二つお伺いをしておきたいと思います。
○参考人(大澤誠一君) 労務債の問題についてでございますが、私、管財人になったときに各債権一覧表を見ますと、九十三億という数字が出ておりました。夕張に着任しまして、いずれにしろ三億五千万の金しかない、それで、月々十四、五億の金が要る、こういう事態でございました。それでやはり残炭の処理を極力ふやす方法を考えました。そして資金のショートを減らしてまいったんですが、それと退職金あるいは労災、健康保険あるいは鉱産税、固定資産税等の支払いもとめまして月々二億余り、まことに申しわけないことをいたしましたが、支払いをとめてどうにか今日までやってきておるわけですが、九月末に四億くらいの金しかなくなりまして、十月以降になると炭価アップの収入もあるかもしれませんけれども、いずれにしろ賃金あるいは物品代というものも支払えない状況になるのではないか、かようなことを考えております。
 そういうような資金状況でございまして、九十三億の労務債がある。で、行きましてから調べてみますと、だんだんふえてきまして、いま現在よく言われておる百十五億七千万という数字になってきている。それで、先般この百十五億七千万は債権として認めた次第でございます。
 そこで、この問題について北炭社も、この労務債についてはかねがね皆さん方も御理解願えると思いますように、これはやはり銀行に行ってこの金を貸してくれと言っても筋の通る話ではありません、また通産省の方にお願いをしても、これはまたお願いをする筋合いの金じゃないというふうに私は判断をいたしました。でありますから、やはりこの労務債というものはだれが考えても北炭社、親子関係会社そろってこれに対処していただく以外に解決の道はないというふうに判断をいたしました。で、北炭社の社長の粕谷さんにお願いをしてまいったわけですが、当時まだ粕谷さんは社長になっておられなかったので、それまではしようがないなと、こう思って、六月二十六日の株主総会を終わった以降今日まで何十回となし社長にお願いをいたしてきたつもりでございます。それで、七月二十五日ごろになりまして、とても北炭社ではこの問題は解決できない。三井観光の方の山本社長に会って何か打開の道がなかろうかと。私は北炭、北海道炭礦汽船株式会社というのは本当の親会社であってすべて采配を振っておられるというふうな考え方も持っておりましたが、しかしいずれにしろ山本社長に会ってもらいたい、またそのほかからもいろいろ話がございましたので、お会いをしようと。ところが出張や何かで延び延びになっておりましたのを、八月五日にお会いをいたしまして、支援要請をお願いしたわけでございますが、まあ検討してみようというありがたいお言葉をいただきました。それで何とかなるんじゃないかという期待も持ったわけでございますけれども、十日の日に口頭で新鉱の支援はできない。しかしながら支援ができないということだけでは私は困ると。と申しますのは、萩原さんの、いわゆる二百九億という買い上げ、そのときの名前は管財人代理粕谷直之という名前で二百九億の買い上げ案と申すものがあちこちに飛んでおりました。私も六月十九日の日に知ったわけですけれども、北炭の会社の人ならばいざ知らず、管財人代理粕谷直之の名前で買い上げの書類があっちこっちに飛んでいる。私はこのときにある人からも、大澤、もうおまえ管財人をやめたらいいじゃないか、こういう御意見もあった。私もまさにそのとおりだと。ただ私はこのときに、金も、買い上げもさることながら、閉山というものをぐっと表に出さず、私はその当時まで自分から管財人として閉山ということは死んでも言っちゃいけない、やはり初心に返った更生会社というものであるべきであるというふうに考えておったつもりですが、何かしらその買い上げ案を見ましてから非常に奇異な感じを抱きました。がしかし、それはともかくとしまして、十日の日に支援ということはできないということでございましたけれども、しかしながらやはり、山本社長には申しわけないことでございますが、上におられる萩原会長にも会った方がどうかというような御意見も外部から私は耳にしておりましたので、しかしながら私からお会いをすることも若干筋も違うというふうにも考えまして、しかしながら何しろ北炭社を統率されているお方ですから、もう一度山本社長に、本当に萩原さんと御相談をした最後の最後の御返事をいただきたい、こういうふうにお願いをしました。そしてまた、二百九億の買い上げで動いてもらっては困りますよ、その辺のまたそれはそれなりの動き方をされると、二点についてはっきりと問い詰めて御返事をいただきたい、こういうふうに考えてお願いをしたわけですが、それが十三日の十一時過ぎにおいでになりまして、例の短絡云々というお手紙をいただいた次第でございます。私はその手紙をいただいて二、三分ですっ飛んで帰ったとか、そういううわさがいろいろ飛んでおりますが、私の会社の方においでになったので五十五分、いつも五十分なり一時間半近いお話しはしているつもりでございます。会社の方ですから、私が帰るはずがございません。
 いずれにしろ、そのお手紙は非常に思い切った処置であって、私は何度も大丈夫ですかと。しかしながら、もうすでに新聞記者会見も用意をしてきている、午後四時に。それで、やはり余り延ばすと期待を与える、この際やはり支援はできないのだと、現金の支援はできない、こういうことを明確にしなければいけない、こういう御返事です。金の支援はできないが不動産の譲渡なりあるいはまた不動産の別の使い方がひとつないか。ここのところはちょっと申し上げにくいことでございますけれども、いわゆる不動産対策。それからやはり、閉山になる場合の就職、北炭関連会社における就職のお世話を願いたい。就職のお世話については全面的に協力をする、各社の社長を招集して大いに協力をする、しかしながら金の支援はできませんよと、こういうことでございました。粕谷社長あるいはまたほかの方々から頼まれておったことについての回答はこのような次第でございまして、私はこのことは一つの二十一日の閉山の申し入れについての決定的なものでもございません。
 ただ少なくとも、四月三十日以来、今後も前向きでいく金にしろ一銭の支援もない。それからまた、いま八月十三日のことを申し上げましたが。本当に申し上げますと、やはり閉山というあの書類を作成にかかったのは八月早々でございます。もちろん北炭の方たちの原稿も中に入っております。しかしながら私は、いよいよ申し入れするときに、社内預金だけは何としてでも管財人として持っていないと大変なことになる。幸いにして事件はいま現在起きてないようですけれども、これはやはり一つのきっかけになる心配があるということを非常に危惧して、せめて半額なりの御支援をいただけないか。それからまた、今後閉山した後の福利厚生関係とかあるいは坑内の撤収費、やはりきれいにして、最後の掃除をしてお返しする、こういったようなことの資金について、これは山元で計算すると十数億の金が要る、こういった問題も起きてきまして、これについても全くの支援はできない、全然金の算段がつかない、こういったようなこと、あるいは前向きの話にしてもみんなかみ合わない。しからばやはり、ここで何か事態を変える以外に道がない、こういうことで決心したわけでございます。やはり労務債については何としてでも完済をしていただいて、将来の道を開けていたい、かように考えております。
○対馬孝且君 一応努力をされたと、その結果が結果的にはゼロだったと、こういうお答えですね。
 それでは炭労の委員長にちょっとお伺いしますが、この労務債についての責任主体は一体どう考えているのか、またこの労務債の決め手は一体どうすればいいのか、この点端的にひとつお伺いします。
○参考人(野呂潔君) 労務債の責任は、何といっても北炭がつくったわけでありますから、これは北炭並びに北炭グループの手によって完済をさせるというところに私はこれからの重点を置いて折衝をいたします。したがってそれが、先ほども言いましたように、これ以上出ないというようなことが現実問題としてわかったときには、私は足りない分についてお願いをするということも言いましたけれども、それは本意ではなくて、何といっても北炭から取り上げなければ、六年間だましにだましてためてきたものを、労働組合もある程度協力をしてやってきたものを、正直者がばかをみるようなやり方は許すことはできないということだけ明らかに申し上げておきます。
 さらに、私自身も明治炭鉱の場合の企業ぐるみ閉山をやったときの炭労の責任者として安川社長と一対一で話をして、最後にあの七十年間にわたった明治鉱業をつぶしました。私と二人で手を握り合って泣きながらあの炭鉱をつぶしたわけであります。そのときには安川さんは、私財を一切なげうつということを私に約束をして、なげうちました。そしてまた、専務も常務も一切全部なげうってそういうようなことをやりました。
 北炭の場合に、そういう問題が一つでもあるのかと。言葉では私は萩原さんから何回もいただきました。言葉でもらいましたけれども、手には一銭も渡っていないのであります。百二十三億を踏み倒す、こういうようなことは許されることではない。炭鉱労働者だけではなくて、全産業の労働者のためにも私はこれは絶対に許すことはできない、こう思っています。
 以上でございます。
○対馬孝且君 それでは萩原会長にお伺いしますが、いまお二人から労務債の、一応管財人のお答えと炭労委員長のお答えがございました。いま、決め手は何かということを問うたのは、私は昭和五十一年十月十九日の委員会で幌内炭鉱災害の際に、先輩の阿具根議員とともに萩原参考人に来ていただきまして質問したことがございます。萩原会長も記憶にあると思います。そこで、萩原会長として何とか努力したいという、先ほど労務債の責任はまさに北炭グループの責任であるときわめて謙虚に言われておるわけですから、そうだとするならば、どれだけの労務債についてこれから努力を払おうということで、私も衆議院で聞きましたから重複を避けます。すぱっとこの問題について、どれだけの労務債をこれからいつの時点ということは、八月下旬はむずかしい、こういうお答えですから、金額といつの時点かということをひとつ明らかにしてもらいたい、こう思います。
○参考人(萩原吉太郎君) ただいま、大澤管財人、野呂執行委員長からお話がございました。
 まず、最初にこの問題は私は触れたくないのでございますが、どうも大澤管財人のおっしゃったことも、承っているとそのとおりだと思います。だが、山本社長がなぜそういうことを替ったのか、私自身としては理解に苦しむところです。それは最初にもう何の支援もしないということは言わないように話しておいたんです。あるいは、どうもこの問題は棚上げしてしまった方がいいかと思うのです。一々過去のそういう経過のことにいつまでもこだわりを残さない方がいいと思います。しかし、冒頭私が申し上げたような見解で私はおります。
 次に、いろいろ細かくただいま大澤管財人から承りました。せめて八億ぐらいの社内預金、これは、何といっても労務債のうちでも社内預金は違うんだと、だからこういういろいろな、どうするかとやる前にもすでに八億についてはこれは何としてもお払いしなければならぬ、このことはもう一部には話しておりますし、それで山の整理十億、これは聞いておりません。その他、いろいろどうも必ずしも私には正確に実態がつかめてなかったのかとも思いますが、ここでお願いいたしたいのは、そういうことをいまこれからやらないで、ひとつそれは一切なかったことにしたい。いろいろ言葉のやりとりも、そのときの人間の感情というものもあるし、そうじゃなくて、何かあったと思いますけれども、山本社長としても、おれはもう知らぬというようなことを言ったのがむしろ私は不思議なくらいでございますけれども、これは確かに話の内容を承ってみると、大澤管財人のおっしゃったことが事実かと思います。
 いずれにいたしても、これは私は入るのはいまやめて、もしそうであったら大澤管財人、水に流していただいて、ひとつこれからおおよそ煮詰まっていくと思いますから、直接私をお呼びくださって話をお聞き願いたいと思うのでございます。
 また、粕谷君に再三言ったことは私も聞いております。しかし、なかなかこの問題はすぐどうと出すことはできないけれども、最後の締めくくりにおいては何とかしなければならないかと粕谷君に言って、粕谷君としても自分の力でできるだけのことはやっているようですけれども、大した額には達しなかったようでございます。それで、先日通産大臣に呼ばれましてそのことの要請を受けまして、初めて自分の考え方その他を申し上げた次第でございます。私が今日まで自分で早くやってやるべきことじゃないかと言われれば一言もございませんけれども、それぞれの第一線の責任者のことであります。ことに私は四十二年に社長をやめ、また新鉱のために戻り、四十七年には相談役をやり、そうしてやがて一年の約束で戻り、その次にはまた引っ込んでいます。林社長のときも、また後は引っ込んでいて自殺未遂が起こったので、もうすでに私は昨年の六月にやめておるのでございます、それで引っ込んでいたせいで、出ているときにはどうにもならぬ。要するに、私が一貫してやるならやるし、やめれば早く何を言っても引っ込めばよかったのですが、そうも人間の弱さでいかないで、出たり入ったりしてまいりましたわけでございます。
○対馬孝且君 結論を急いでください。
○参考人(萩原吉太郎君) そういうふうなわけでございますので、今回の場合も非常にはっきり自分でさせなかったのは申しわけないと思っております。
 さて、その次にそれはそれとして、これはむしろ大澤さんの御質問に対するお答えでございますが、次に、野呂執行委員長からお話がありました、責任はどこにあるか。申すまでもなく法的に責任は北炭にあります。しかし、グループは何か。グループと言いますというと、法的に言うと一〇〇%持っていればともかくも、観光は一九%しか持っていない。しかしそういうことを言う問題じゃないのだ、もとは同じ根から生えたんだからという思想を持って、むしろ道義的責任を持って私は三井観光を含めた十八社がこれに支援態勢をとるべきだと、自分ではそう考えを整理いたしております。そういうわけでいまでは北炭というよりは北炭プラス北炭グループの問題になっている、そう私は受けとめておるのでございます。これが責任の主体でございますけれども。
 それからいま一つ、私財を投げうってどうかという御質問です。これはあれだけ長い間北炭に勤めたのでございますから、私は何をするにしても、今後どういうことがあるかもしれませんけれども、私は私の判断で自分で行動しております。だから強制される問題でないと思います。これは、ちょうど先ほどお話のありました五十一年のとき、衆議院の石特でもそういう話がありました。私は同様に答えたのでございます。そうして、いまだから申しますけれども、非常に切迫して金融が危ないときには実は自分の財産で三井銀行から借りて今日までこれを支援して、返してもらおうとは思っておりません、私たちとしては。同様に、これからおまえはおまえの意思でこうしろああしろという他人の指図によって動きたくございません。そういう次第でございます。人それぞれの人間の生き方がございます。少なくとも自分個人に関する行動は自分個人のその処世観というか、律し方でやっていくつもりでございます。
 さて、そこで第三の対馬委員からの御質問で、いつまでに幾ら出すか、この肝心の問題でございます。私はこれは勝手に考えております。自分でやる債務の中を分類しております。これは社内預金は一〇〇%払う、これは当然である。その次に大事なことは旧退職金である。それからその次が保留した賃金の差額、それから、新たに整理する人方の退職金は、これは閉山という事実に照らして閉山交付金やその他で処理していただきたい。社内預金についてはまずそれでいい。それで一番困っているのは旧債務の整理でございます。幾らという金額はいま申し上げられませんが、それは一つの目標は立てております。立てておりますけれども、うかつにそれを申し上げますというと、これは誤り伝えられますとそれだけ出すと言ったということになります。いま努力してそれに到達するように努力しておりますけれども、いずれ遠からず、来月の半ばまでには大体見込みを立てております。仮に私はいまこう考えて、こういうことをやろうと申し上げると、何分にも自分一人の一社一人で処理できる問題ではございません。たとえばある一つの土地を処分するにしてもそれには担保、債権者がいる。ここへお話して整理する、その整理がなければ、売ったはいいけれども金は残らないというような事態も起こるかもしれません。これは……
○対馬孝且君 結論でいいです。結論をひとつ。
○参考人(萩原吉太郎君) しばらくお待ちを願いたいと思うわけであります。
 それから、大体それはどのくらいの見当でおまえは考えているんだというと、すでに私が先ほど御指摘を受けたあれは買い上げ案じゃないのです。買い上げ肩がわり案と言った方が本当なんです。あれは自分としては政府に買い上げてくれと言うのじゃない。新しくこれを引き受ける受け皿の会社ができたら、その会社がそれで一括ただ引き受けていくんじゃないから損しない。しかし代金は早くこちらではそういった債務の処理に充てたいから先にかわってお払いください。お払いを受けた中から政府も民間も同率をもって御返済しますと。その手続の順序があれしますが、そういうふうなことを抜きにすれば一番これが一挙に全部解決するという案だと。そして、それも大澤管財人がただいま、そう時間で流布される、そうとられるのを困っている。私の方はそうじゃない。最初のとき、ある一つの意見書と三つありましてそのうちの一つが外部に漏れた、伝わった。最後にこうしようというときで、ですから最初に漏れたもの、三つのうちの一つ、大澤管財人さんに対して、粕谷君、管財人代理として管財人に提出した書類が本当の決定したものでございまして、幾つもこれ一カ月……。
○対馬孝且君 時間がないのですよ。だから答えだけでいいですから。
○参考人(萩原吉太郎君) ああそうですか。
 そういう次第でございまして、これは御了解願いたいと思うのでございます。いずれ期日は月半ばまでには何とか決着をつけて、そのところで管財人並びに炭労の執行委員長にもお話ししていきたいし、無論その前に通帳省の御了解を得たいとこう脅えております。
○対馬孝且君 時間がありませんから、まことに済みませんが簡潔に、きょうは説明会ではないですから、ひとつその点御理解を願っておきたいと思うのです。
 ずばり言って、私この前も、五十一年も同じことを繰り返しているんです。それは当時の斎藤社長、あなたが会長、この権限をめぐって当委員会で五十一年にやったわけです。
 私がお聞きしたいのは、第一点明確にしてもらいたいのは、山本社長というのは代表権を持った社長ではないのか、この点をひとつはっきり言いまして、代表権持っているなら代表権当事者として話し合うのは当然の会社のルールではないか。これが誤りなら御指摘を願いたい。
 それから二つ目は、先ほど衆議院で私聞いていますから重複を避けますけれども、あなたは七十一億努力すると同僚の議員に回答されましたね。それは私は多とするんですよ。
○参考人(萩原吉太郎君) ちょっといいですか、大変大切な問題ですから。
○対馬孝且君 いやいや、ちょっと待ってください。
 先ほど岡田同僚議員に、社内預金と旧退職金、それから旧保留の賃金を合わせますと大体七十一億、これに努力していきたいと。これは一つの前進ですから、私はそれなりに受けとめています。ただ問題は、百十五億というのは社内預金を除いて出しておるわけですから、社内預金を入れますと、私のこれ間違いであれば管財人でも萩原さんでもあるいは炭労委員長でも御指摘を願っていいのですが、百二十三億七千三百万円、これが債権確定の額になっている、こう私は確認しているんですが、これ間違いであれば御指摘を願って結構です。これを先ほどの七十一億ということだけでは、百二十三億にはほど遠い。この点を私はやっぱり萩原会長に申し上げたいのは、そこまで来たならば、それは五十一年にも申し上げましたけれども、私財をなげうってもと、私は六年前に申し上げました。確かにあなたは人間の生き方がある、こう言った。人間の生き方があると言っても、はっきり申し上げますが、これは二十日の日にNHKを通して私に退職者が持ってきたんです。これをあなたにお見せします。偽りであれば、うそだと言ってもらいたい。これはあなたの謄本です。現在あなたがお住まいになっている謄本が私の手元にありますが、千三百八十二坪。これは炭鉱離職者です、はっきり申し上げて。この方は清水沢炭鉱の五十四年八月三十日の閉山の方で、びた一文もらってない。もしこれがもらえなければ、この家を住宅金融公庫を含めて全部召し上げられる、こう言ってグループが私のところへ持ってきた。これを萩原さんに言ってくれと、正直に申し上げて。これが千三百八十二坪。五十七年四月一日国土庁土地鑑定委員会、ことしですよ、国土庁が鑑定した発表によりますと、地価公示額、公共事業の公示価格が一平米当たりでもって三十三万七千円、坪当たりで百十一万円です、いま会長さんが住んでいる所です。世間は、これ公示価格ですから、常識的には二倍です。こうしますと、トータルでもって公示価格でいっても、公共事業の公示価格ですから、十五億三千四百三万円になります。二倍ですから大体三十億という評価額になっているわけです。確かにこれを私見ました。平和生命株式会社に三億円、三井銀行に七千万、三億七千万の担保に入っています。これを差し引いたとしても、今日の段階で二十数億の余裕があるんじゃないですか。これを皆さんが言っているんですよ。これは間違いであれば間違いと御指摘願って結構です。一月六日に弔慰金であなたが努力してくれた。これは私は多としている。そのときにあなたにも私は申し上げた。かつて雄別炭鉱の岡田社長が雄別閉山のときに、当時閉山交付金を直轄事業員には支払われたけれども、雄別鉄道の組合員には払われなかった、これは私に責任がある、こう言って当時の世田谷の私邸を売った。こういうことをあなたに、一月六日のあの弔慰金を努力されたときに私はお話しした。記憶にあると思います。いま野呂委員長からも明治鉱業の安川社長の話も出ました。このことを考えた場合に、これだけのものがあるとするならば、炭鉱労働者が三十二年、命を的に――私も坑内へ一年半入っていますけれども、命を的に働いた方がたった一千二百二十万あるいは一千四十万、これがパーになってしまう。これと、あなたは今日三十数億の評価査定がついておって、仮に三億七千万引いたとしても二十数億の余裕があるではないですか。これは一体筋が通りますか。この点率直に申し上げてくれという、これは炭鉱離職者の会ですから、私はちょっと参考までに言い分に持っていきます。これ失礼でありますから、この事実がうそであれば御指摘願って結構です。
 こういう意見も含めまして私が申し上げたいのは、先ほど七十一億ということをはっきり言ったんですから、やっぱりこういうことも処分していただく。もちろん、私もはっきり申し上げますが、あなたも言っておりますように、うそであればこれも御指摘願っていいのですが、きょう「日本経済」に、現実に通産大臣との会見で、私もここへ持っておりますが、受持の沼の端の山林、これは三井観光の所有権であります。約二千ヘクタール。一ヘクタールということは三千坪ですから、これを換算していきますと六百万坪です。六百万坪を仮に千円単位で持っていったらどういうことになりますか。六十億です。これはもちろん担保物件があるから、私はあなたに言ったことがある。こういうものも過剰担保が入っておるならばこれを抜いて、それをやっぱり金にかえる。私の記憶にあるのは、当時部分的に買い上げられたのは、間違いであれば御指摘願って結構です。当時の簿価で三十五円が、部分的に国に買わせた分が千三百円のものがあります。この問題も一つありますし、沼田の山林、自衛隊用地の弾薬庫の問題、千ヘクタール、これはもちろんまだ残っています。担保物件に入っております。これも過剰担保の傾向がありますから、これを抜く。これだって千ヘクタールですからね、仮にこれを千円で換算していったって三十億の資産になります。もちろんこれは国の協力なり他の協力を得なければならぬと私も思います。
 たとえばこういう問題を挙げていきますと、私は優に今日百億以上の――おたくの三井観光はもちろん厳しい。三千人の方々も努力されているでしょう。このことは私は否定しようとは思いません。しかし、苦しいとおっしゃるならば、それだけのことについてやっぱり努力を払うべきではないですか。これは素朴な声ですよ、炭鉱労働者の。国民の声だと言っても私は過言ではないと思います。
 このことについてひとつ率直な、長々と要りませんから、私は何もあなたを責めているんじゃないのです。そういうことについて政府もやるべきことがあれば政府にやってもらう。われわれもやります。この段階はそこまで来ているということを私は申し上げたいのです。労務債はいかなることがあってもこれは血の一滴です、命の綱です、炭鉱労働者にとっては。このぐらいのことは私はやっぱり責任を果たしてもらいたい。これは私が言っているんじゃない。多くの方々の血の叫びです。私も山元の大会へ行った。山の大会のあの怒りの声というのはこの声ですよ。このことをやっぱり受けとめていただきたい。萩原さんの考え方を率直に、端的でいいですからお伺いしたいと思います。七十一億を否定されるなら、先ほど衆議院の公的委員会で言っているわけですからね。
○参考人(萩原吉太郎君) 二つの点でお話しします。
 まず七十一億、これは旧債が六十三億、社内預金が八億、これで七十一億です。それで社内預金の八億というものは一〇〇%払わなくちゃならない。旧債についてはどこまで払えるかということを話したのが七十一億、全部一〇〇%払う、まあこれはいろんな、処分していければ結構ですけれども、発言の内容はそういうものです。それで、その点は社内預金は別格のものだから一〇〇%払うべきだと思うし、旧債も全部払えば結構だけれども、それがどこまでいくかということの、私の前の案ではこれの六〇%であった。だれが応援するかどうかわかりませんけれども、そういう目標でやっていると、こういうことでございます、余り上がってしゃべっていたからあるいは間違っていたかもしれませんけれども。
 それから、ただいまこの群類、ここにありますけれども、これはこのうちのまあ妻のものが出ていますけれども、あれは前から妻が持っていたものです、これは一緒にして千三百坪それで私の考えでも何でもないのです。背から持っていたんです。まあこれはプライベートのことになりますけれども、それまではおれがこういうことをやったから、おまえ皆から持っていたものをよこせとかいろいろありますが、これについては、まあ言えば言うほど誤解を招くおそれがありますが、自分では自分の判断に従って行動していきたいと思っております。この考え方は変わりございません。
 それから、こういう土地があると御指摘を受けました。それは全部われわれの方で調べ済みでございます。そうして中には交渉しているものもございます。これは決して、あるからと指摘されないでも、私ははっきり申し上げれば、人間の働いている常業場所のものはうかつには手をつけられない。これは会社の本当に存立にかかわってきますけれども、それ以外の遊休資産というものは、これは全部検討してやっておりまして、その結果担保し、しかもその担保のうち北炭に出したものが大半でございますけれども、担保を引いたり、税金を払ってみて幾ら残るか、そういう計算もやって、当たりつつやっている途中でございまして、もうあそこの担保に入っているものをこういうふうにしているということをいま申し上げたら大変なことになるから、事を進めるために申し上げませんでしたけれども、これは全部洗っております。
○対馬孝且君 会長ね、それはお認めいただけたと思うのでありますが、まああなたのこれからの人生観という問題もありますから、私はこれ以上申し上げません。ただ事実をお認めになっておりますから、それは奥さんの所有物、私も内訳して話しました。そういう細かいことを言うつもりはないのです。むしろその当時の石炭あるいは産業の責任者、やっぱり倒産に至る場合の責任者のあり方というものはこれは人生観としてやむを得ないのです。あなたもそれは生き方があると思うのですけれども、私は先ほど言ったでしょう。ささやかに三十二年間働いた炭鉱労働者がいま家を召し上げられようとしている、そういう者が土地を召し上げられて人生はめちゃくちゃだと、この手紙をあなたに見せます、これは現に江別市から来ているんですよ。めちゃくちゃだと、私の人生はお先真っ暗だと。この声に対してあなたのそれだけりっぱな、奥さんのものであろうと息子さんのことであろうとトータルは一家ですからね、それがやっぱりどう言おうと三十億近いものがあるとするならば、これは全部をどうしろと私は言っているんじゃないのですよ。それにこたえてやるというあなたの、会長としての責任があるんではないのか、そこだと思うのですよ。私は人生観というものはこれはあなたの人生観ですから、世の人が判断をされることですから、これ以上は申し上げませんが。
 それから、いまもこういうものがあってもちろん努力は払われている、これは多としますよ。だから、努力を払われているなら払われているように、七十一億という先ほど一応の目安を出されました。私はなぜこれを言ったかというのは、決してこれからあなた方の作業を邪魔するために言っているんじゃないのですよ。それだったらこういう日本経済新聞に、わざわざ私の挙げた所有物のこの明細は照合していただければ全部一致しています。これはきょうの新聞ですから間違いがあったらこれは指摘願って、大臣とあなたとの会見で、私が挙げたとおり沼の端の問題、沼田山林の問題、平和炭砿跡地の問題、これ挙げれば全部あるんです。何も私がここであえて公表しているんじゃないのです。そんな礼を失したことを私はやりません。これは新聞に出ているからこれを裏打ちする努力が払われているとするならばぜひ努力を払ってもらいたい。そうすれば、私が言いたいのは百二十三億という労務債にはこたえられる。やっぱりベースの標は百二十三億という目標に、ひとつ会長努力をしてもらいたい、このことを私は言っているんであって、あなたの考え方を、善処をしていることについてだめなんて言っているんじゃないのです。私はそれなりに努力をされている、これは多とします。ただもう一歩、百二十三億という目標でこういう一切のことについて努力をすべきものではないか、このことを申し上げているんですが、もう一度いかがですか、答えは簡単でいいです。
○参考人(萩原吉太郎君) よくわかりました。
○対馬孝且君 よろしゅうございますか。
 大臣、そこでいまやりとりを聞いたと思うのですがね。これは、しばしば当委員会でずいぶん私はこのことを申し上げました。だから、政府として、私が申し上げたいのは、大臣として、基本的にこの労務債というものはどこが責任を持つべきものか。これはしばしばこの委員会でも大臣からお聞き願っているのは、やはり北炭グループで自助努力をすべきものであると私はいままで聞いてきたわけです。そうだとするならば、やっぱりこの段階ですから、百二十三億という管財人が発表しているこの労務債に最大限の目標を設定して政府としては努力をする、この姿勢が問われるべきだと思うがいかがでしょうか。
 それから同時に、いま萩原会長からも出されました、私なりにこれ全部資料を持っています。こういうものは政府としてもできることとできないことがあると思います。できるものがあるとするならば、労働者のために地域社会を守る意味においてもこれはやっぱり政府として努力をすべきものだ、こう思いますが、この点の考え方をお伺いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 労務債についてはいまさら私が申し上げるまでもないわけですが、さらに北炭グループの責任においてこれは処理していただかなきゃならない問題であることは言うをまたないわけでございます。ただ、その処理についてはいまもお話がございましたけれども、なかなか困難な問題もあると思います。こうした問題を解決をするために政府としてお手伝いできる点があればこれはもう積極的にお手伝いをして、労務者に対して労務債が払えるということにならなきゃならぬ、そのために政府は努力を惜しまないところでございます。
○対馬孝且君 そういうことで大臣がリーダーシップをとって、この問題に全力を挙げてこれひとつ解決してもらいたい、このことを強く、いま大臣もやるというわけですから、その点確認したいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはいま申し上げたとおり、これからなかなか困難な問題があると思いますけれども、政府としても非常に大事な問題でありますし、本来北炭が努力しなきゃならぬ、またやっていただかなきゃならぬわけですが、これをする場合のいろんな障害があれば政府としてできるだけのお手伝いをする。今日のこうした事態というのはまさに経済的問題以上に社会的問題にもなっているわけですから、十分そういう点は認識しております。
○対馬孝且君 それじゃ、会長ね一つだけはっきりしておきますけれども、あなたは三井観光苦しいとか厳しいとかと言うのだが、それほど厳しい、苦しかったら、これは先月号ですよ、「財界さっぽろ」という夏季特大号の中に、会長と社長さんの写真入りで出ているんですが、第二グランドホテルで六百室別途拡張するというわけでしょう。新たな設備投資をやるというわけでしょう。これじゃ三井観光が厳しいなんて、だれも思いませんよ。これどうなんですか、この感想を、一言でいいですからね。これが手紙に出てくるように、一歩札幌の町へ入って一番そびえ立つのはグランドホテル、一歩深く中島公園へ行ったらパークホテルであると。あのホテルを見たときに煮えくり返る気持ちであると。これは手紙に書いていますから、後であなたに上げますけれども。萩原会長と刺しちがえたい気持ちだと、これは退職者です。これは、一年前の記事なら別にして、先月号です、七月ですよ。しかも、五十九年にはあなたの息子さんの次郎さんが社長になるんです。これは結構なことです。しかし、片や閉山、片や退職金ゼロ、その上片やグランドホテルが六百室拡張する。これは一体世間は通るでしょうか。私は、このことだけでもやっぱり退職者が怒り狂うあるいは山の労働者が怒るというのは、何も針小棒大の発言でもなければ、そういう声になるのは当然じゃないかと思うのですが、いかがですか、その点は。
○参考人(萩原吉太郎君) まず端的に申しますと、土地、建物は当社のものではございません。テナントとしてそれをやると。それは、ビジネスホテルやアーバンホテルと同じように、すべて私の方は関係先で建ててもらって、そこを借りて家賃としてそれを払いながらやっていくという新しい方式をもって拡張している。昔のような拡張は一つもしておりませんので、これはたまたま前からの話で、あそこの土地をある会社が所有している、そこへ建てて、何に使おうかというのなら、おれの方でホテルを今度つくるからそこを別途紹介してこっちを使わぬかという交渉の話がそれへ出たんだと思うのです。しかし私とすれば、まことに話は前からのことではあっても、まずいときになったな。これは第三者からは自分で建てたように思えますし、景気はよさそうに、まずいことになってるなと思っております。相手のあることなんですけれども、今後もそういうことは起こってくると思います。決して自分の投資によって建てるんじゃございません。
○対馬孝且君 結構です。
 自分のあれで建てるとか建てないは別にして、三井観光株式会社がこの建造物の登録責任者であることは間違いないのですからね。それは専門誌では通るかもしらぬけれども、一般の国民には通りませんよ。そうは申してもあなた、目の前にグランドホテル、第二グランドをバックにそびえ立つといったら、これどなたがどう言ったって、まさか対馬孝且のものだとだれも言いやしないでしょう。三井観光株式会社のものである、こういうことだけは間違いないのであって、それなら、そのようにやっぱり労務債を完全に完済していただいて、おやりになることを悪いと言っているんじゃないのですよ。どんどん拡張していただいて、そうおやりになるんであればやっぱり労務債を完全に完済をして労務者に責任を果たす。このことは、長年北炭で歩んできた萩原会長の最後の人生として私は特に申し上げておきたい。答弁は要りません。これはひとつ責任を持って労務債だけはやっていただきたい。このことを申し上げます。
 それから次に、時間がもうなくなってきましたから再建問題について私はお伺いしておきたいのでありますが、まず野呂委員長にお伺いします。
 先ほど不測の事態という最後の言葉をちょっとお聞きをして私は気になっているわけでありますが、不測の事態を覚悟してというのはどういうことを意味しているのか、ちょっとひとつこの機会に端的でいいですからお伺いしたいと思います。
○参考人(野呂潔君) 私たちは、ここにおる萩原参考人並びに大澤参考人もまさに同罪であるという認識をいたしております。したがって、具体的なことを言いますと、余り国会の場ですから問題のあるような発言は差し控えたいのでありますが、九月の二十一日になりますと解雇をわれわれは受け取るわけであります。そのときに、労務債はほとんど百二十三億についてはめどがつかない。それから、新しくやる炭鉱もめどもつかない。三年か五年後だと。それから、新しく発生する退職金は、先ほどの閉山交付金の範囲内ですから半分以下ということになれば、そこで物事を判を押しておさめ切ることができるんですか。私は、責任を持ってできない。ここにおる三浦委員長あるいは北町委員長もそうでしょうし、夕張市長以下、夕張地区労の議長も来ておりますが、それで地域の人たちを納得させることはできません。したがって、そこには当然解雇をいやですと言って投げ飛ばしてとなりますとどうなるか、強行就労になるでしょう。官憲も入るでしょう。そういう問題は必然起こるかもしらぬ。まあいろいろありますが、三池のホッパー決戦みたいなことが起こる可能性はもう十二分にあるし、そのことを覚悟しなけりゃならぬ。そのときには、この三井観光あるいは北炭社には大変な問題が起きている、まあ世上いろいろ言われることが起こるかもしれないけれども、そんなことが起こる。ほうり出されるわけですから、そんなことを多少想定をして不測の事態と言いましたけれども、そういうことが起きないようにひとつ通産大臣も御努力を願いたいということで、私は、八月の末に一定のめどをつかんでやってくれということを言ったのはそういう意味であります。
○対馬孝且君 大臣、当委員会でも申し上げて、四月十日の九十三名の合同葬に大臣が行かれて、四月十四日にエネルギー委員会をやりました。そのときに大臣から力強い、かつて私も一貫してしゃべってきたが、再建の基本方針に変わりないけれども、社葬に出向いたあの遺族の方々を思い出すときに、再建を何が何でもしなきゃいかぬとここで強調されました、私の質問に対して。非常に私は、さすがニューリーダーのトップを将来担う安倍通産大臣だなとひとしお力強くしたわけでありますが、問題は、いまも炭労の野呂委員長から言われたとおりでありまして、再建に変わりがないということであれば、先ほど大澤管財人が言うような火種ではありません。はっきり私の経験から申し上げます。少なくとも私の計算でいっても、私も炭鉱マンですから、安全炭柱、保安炭柱を見越して、安全区域を見越したとしても、私の計算でいきますと約九十万トンがこれはとれます。そうすると、大体一切り羽で月産二万五千トン、露頭を入れて三万トン。これでいくと、大体一切り羽体制で五百前後からのでスタートできる。それと新北部へ着炭する。これでなければ、山の希望を持つ者はだれもいないと思います。これは露頭だけにしたのでは山の希望持てませんよ。やっぱり現有炭鉱を火種というのはそのことを言う。そこで一切り羽体制でも体制を維持して、そして新北部へ展開する、この道以外に私はない。これは、やっぱり再建構想の最低の柱にすべきだ、こう考えておるのでありますが、大臣にお聞きしたいのは、再建の方針に変わりがないかということと、その対応についてどう考えているか。
 それから、大澤管財人にこのことを聞きます。端的でいいですから、お伺いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 山を残すという私の基本的な考え方はもちろん変わっておりません。
 実は管財人が選ばれるに当たりまして非常に難航したことは対馬委員も御承知のとおりでありまして、本来政府がこれに介入すべきじゃないかもしれませんが、みずからお願いをいたしまして、その結果、大澤さんにあえてお引き受けをしていただいたわけであります。その大澤管財人に対しましても、更生計画を進める中にあっても何とかひとつ山を残すように御努力願いたいということも言ったわけでございます。大澤管財人としてもあらゆる努力を続けてこられ、それも何とか山を残すための、こういう結論でなくて、もっといい結論が出ないかということで最大の努力をされたことは先ほど申し上げたとおりでありますが、最終的には今日の結論になった。しかし、その結論の中にあっても、最後にやはり北を将来開発するという、そうした山を残すというぎりぎりの線だけはこの結論の中ではっきり示しておられるわけであります。ここにいくにも現実的に私は大変だと思いますよ。しかし、その結論の中でそこまで示しておられるわけでありまして、私は、今日までの大澤さんの御苦労に対して非常に評価をするとともに、この大澤さんの、管財人の結論を支持をいたしておるわけでございます。この結論は、いま申し上げましたように、私が言っておりましたいろんな問題、経緯、過程というものはあります。行き方はありますけれども、最終的には山を残すという点についてはこの結論もはっきり明示をしておる、私はそういうふうに受け取っております。後は、これをどうしてもやるということはわれわれの大きな責任であろうと、こういうふうに考えております。
○参考人(大澤誠一君) 私もいま大臣から御説明がありました線に沿うて、最大限の努力をしていきたいと、かように考えています。ただ、いま申しますように、更生会社の前途と、この労務債あるいは一般更生債権、担保権の、こういう債権、こういったものをどういうふうにして整理をしていくか、これの事務的な処理というものはかなりかかりますし、またその債権いかんによって受け皿の問題が、新会社の問題が、またここに大きな難関が横たわっている、こういったことを御理解していただきたい、かように考えます。
○対馬孝且君 大臣、私はこの委員会でも申し上げて、大臣は基本的な方針は変わりはないし、そういう再開発のための段階的なあれを経ていきたいという、いまお答えですから、それは了とするんですよ。ただ、いまの大澤管財人が出している露頭というふうなちゃちなことでは、これは火種じゃないと言うんだ、火消しだと言うんだ、逆に言うと。言葉が悪い方ですからずばり言うのですが。そこで、私も大臣に言うのだけれど、第七次政策には変わりないというわけでしょう、二千万トンに。二千万トンをここで決定したときに、私も質問していますよ。そこで政府が一貫してしゃべっていることは、現有炭鉱はつぶさない、現有炭鉱をやっても、千八百万トンいかないのだから、そうでしょう。現有炭鉱プラス新鉱開発をしなければ二千万トンは維持できない。これが田中六助通産大臣時代もあなたの時代も変わっていないのです。そうだとするなら、私は、現有炭鉱をどうやって、いまの夕張新鉱を再建をして残すか、残し方は会社の経営主体は別にしてありますよ。そこがなけりゃ二千万トン維持の七次政策は狂ってくるじゃないか、ここが根本的な問題だということが一つと、それから夕張地域社会が崩壊をする、この政策の基本の視点にやっぱり大臣は立ってもらいたい。しばしば私の質問にはそのとおりだと、こうお答え願っているんだけれども、その方針に立ってもらいたいということをもう一回、私は確認をしたいのです、この点が一点。
 それから二点目は、経営主体。先ほども若干参考人の御意見が出ましたけれども、私はかねがねここで一貫してしゃべっておる。この夕張新鉱の再建は、石炭業界がやっぱり共同出資する以外ない。私は、ことしの三月、この商工委員会で修正案を出した。遺憾ながら、自民党の皆さんを含めてこれは否決をされた。私は、あの修正案を通しておけば、共同出資をできればいまやこの道は開ける、私はいまだに確信を持っています。あの私の修正案がもし通っておったら、新エネ機構において共同出資の道が開けておったら、今日の夕張新鉱の再建の道はついている、ここで私は断言しておきますよ。これは議会ですから、政府側じゃありません、国会の、立法府の問題ですから、遺憾ながら日の目をみなかった。そういう意味で私が申し上げているのは、基本的にそういう姿勢をやっぱり堅持してもらいたい。
 それから、管財人に申し上げたいことは、その露頭というもので、あるいは露頭だけをもって、いわゆる現在の坑道、立て坑――質問の時間がありませんから――私は四年八カ月とか五年という、そういう瞬間はかからないである程度スピードアップはできる。水平坑道、立て坑の問題から組み合わせをして、そこらあたり、現在新たなものを立て坑をおろすとか、新たなものから斜坑を入れるというわけじゃないのですから、現存しているんですから。ただ、坑内骨格坑道のやり方にはまずさがあった、北炭の場合は。これは認めますよ。そこらあたりをある程度合理的に組み立てられれば三年足らずでやっぱり新北部の開発は可能である、私はこう思っています。いますぐ答えを求めようとは思いませんけれども、そこらあたりに向けて、ある程度火種が一定の一切れ羽から出発をして、最終的には三年あるいは三年半前後に新北部の開発に着炭をする、こういうことでいけば千三百なり千百の規模で、夕張炭鉱が本当に明るい希望が差す、このことを私は少なくとも労務債のめどがついた段階で、次の更生計画の段階で、国民の前に、山元の組合員の前に、あるいは夕張市民の前にひとつ明らかにいたしてもらいたい、このことを申し上げておきます。この点、ひとつ大臣と管財人にお伺いします。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この二千万トン体制、しばしばここで論議もしたのですけれども、審議会の答申も出ております。政府としては、これを尊重して、何とか二千万トン体制に向かってこれからも努力をしていきたい。そのためには、現有炭鉱も維持していかなければならない。政府としても、石炭の助成対策については相当思い切ったことをしておるわけです。今後もこれを続けていく決意なんです。ただ、御承知のように、炭鉱は国がやっているわけじゃなくて、私企業が経営しておられるわけでありますし、そういう中で、われわれとしては、政府としてできるだけの助成はいたします。援助はしますが、やはり私企業という範囲内において、非効率、非能率の炭鉱までこれを維持していく、それに対して政府が助成をするということは、これはなかなか困難な面があることも事実であります。そういうことも踏まえながら、しかし、絶対的な枠としては、われわれは非常に大事な国内資源ですから、これを開発するためにこれからも努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
 それから、受け皿の問題でありますし、これからの北部の開発の問題でありますが、これは、これからの案が出まして、そして実行するために努力をしていかなければならぬわけですが、これも石炭業界の協力がなければ私はできないと思っております。その業界の協力を求めるに当たってもなかなか困難な問題もあると思います。これも政府みずからが経営するのではないわけですから。しかし、私は、何とか、ここで北部を開発するという一つの方向が決まれば、政府としてはいろいろな努力をいたしまして、そうしてそういう方向へ何としても持っていきたい。石炭業界の皆さんにもお願いをして、協力を求めたい。あるいは地元にもお願いをしなきゃならぬ。政府としても、その中でできるだけのことはしなきゃならない。そういうことで、これは大変困難な問題が横たわることは間違いありません。間違いありませんけれども、それはやっぱり突破していかなければ、あれだけの人が亡くなられたわけでありますし、そういう方々に対しても、私は、何とか北部だけは、これは時間がかかるということについてはいろいろと野呂委員長も大変そういう点は困ると、こう言われます。確かにそういう面はあると思いますけれども、しかし、これは、やっぱり技術的に、経営的に、こういうものをきちっとしていくには時間がかかることもやむを得ないのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、できるだけそういう時間も短縮できれば一番いいと思いますが、とにかく、私としてもそのためにひとつ今後とも力を尽くしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○委員長(降矢敬雄君) 大澤参考人。時間が来ておりますので、簡単に。
○参考人(大澤誠一君) 二切れ羽、一切れ羽、こう申します。それまでに五年七カ月とか四年九カ月、このときは二切れ羽体制のときは千二百人くらい、非常にその工程はやはりかたく踏んでおります、新しい処女地でございますので。
○対馬孝且君 いま大臣からそういう答えがございましたから、やっぱり労務債の決着と同時に、ある程度そういう方向を、骨格をやっぱり出さないと、これは山がつぶれたということはぬぐい去れません。私はこれだけ申し上げておきます。その点は、ひとつ、管財人も、政府側も、大臣側も、いま答弁がありましたから、その方針でひとつ積極的にスピードアップをして対処をしてもらいたいということで……。
 それから同時に、時間もありませんが真谷地、幌内の問題を連動せしめないように、これからも全力を挙げてもらいたい、このことを申し上げて、阿具根先輩から一問だけ質問申し上げて、私の質問を終わります。
○阿具根登君 一問だけ。
○委員長(降矢敬雄君) 簡単に願います。
○阿具根登君 簡単に質問申し上げますが、いま対馬君の質問の中で一つ答弁が漏れておりますので、私が調査した範囲内で申し上げます。三井観光の代表取締役はだれだれかというお話でありますが、これは返事がございませんから私から申し上げます。三人おられますね。萩原会長、山本社長、それからあなたの子供さんの萩原次郎副社長、この三人が代表取締役です。これは、何も法に触れるわけでもない。一人だったら問題じゃない。三人とも代表取締役。その代表取締役の社長が書類で協力できないということを大澤管財人に今月の十三日に持っていかれた。こういうことになって衆議院でも非常な問題を引き起こしたわけです。そうすると、先ほど対馬君も言いましたように、五十一年のときも会長と社長と来てもらった。どっちが偉いのですか、どっちが会社の代表ですか。
 私きょうずっと衆議院からこっちを聞いておりまして、だれかの一つの線に乗せられた道を進んで今日まで来ている、とにかくこういう線を出さなければ解決できないのだという一つの仕事がされておるような気がしてしようがない。その中でわれわれ踊っているような気がする。そして鉱員は泣いておるような気がするんです。なぜかならば、同じ代表権を持っておる社長が書類を持ってきてこれ以上の協力はできませんと言うならば、当然答えはどういう答えが出てくるかということはわかっておるんです。その答えが出てきたら、それは違うのだと、協力できますよ、できるだけやりますと、特にいま対馬君の質問で聞いてみますと、わかりましたと最後におっしゃいました。対馬君は百二十三億まるまるひとつめんどう見てくださらぬかと、また組合の方ではまるまる見てもらわにゃだめだと言うし、管財人はこの問題だけは政府にお願いは私はできませんと、こう言っておる、それをわかりましたということになると非常な大きな差がある。わかりました、その方がありがたいのだ。その点をひとつお聞きして、私は関連ですしもう時間は過ぎておりますから、あとのものはもう対馬君と一緒ですからやめます。
○参考人(萩原吉太郎君) 労務債の金額について阿具根委員から御質問ですが、この金額として幾らということを、目標としてという意味だったら私はよくわかりましたと、こう申したんです。百二十三億円ということが現実にやれりゃ結構だけれども、それが必ずそういたしますというので目標をもっと高く持てと、こういうふうな御指摘だと思います。それでわかりましたと、こう申し上げたんです。
○田代富士男君 時間がありませんからまとめてお尋ねをしてまいります。
 衆議院あるいは参議院の審議を通じましていろいろ御発言なされておりますが、まず最初に、大澤参考人には管財人に就任以来大変な御苦労をお引き受けいただいたわけでありますが、現在の心境を端的にお聞かせいただきたいと思います。これが第一点でございます。
 次に、大澤参考人は、三井観光を初め北炭グループの資金援助があれば夕張炭鉱は合理化を徹底して立ち直らせることができたはずだとの趣旨の発言を何回か行っていらっしゃいます。また、参考人は、ここに持っております提案の中に書いてありますとおりに、提案においても既往の労務債、ただいま問題になっております百十五億あるいは百二十三億という金額になっておりますが、この労務債についての納得のいく支払いと本格的採炭開始までの不足資金の資金調達のめどをつける必要があると、この報告書の七ページにこのように述べていらっしゃいます。しかも、補助金、制度融資には該当せず、市中金融も不可能であり、ただひとつこれは北炭グループ自身の責任においてなされるべきことであるということであるが、どのような資金調達の道が可能と考えていらっしゃるのか。具体的にはどういう種類の資金について幾らぐらいの援助があれば会社の再建は可能であるか。また、問題になっております労務債の返済は可能と考えていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(大澤誠一君) 現在の心境という問題でございますが、八月二十一日の日の閉山の一部事業縮小の提案、このことかと思いますが、このときにも申し上げておりますように、いわゆる退職金も、あるいはまた過去の賃金にしろ、社内預金にしろ、閉山交付金の範囲内と、まさに私も幾つかの閉山の場を見てまいりましたが、こういう過酷な経験はございません。まさに断腸の思いでございますが、まあしかし、これをきっかけにして今後前向きにして解決を進めていきたいと、こういう気持ちでおります。
 それから今後前向きという場合に、申し上げた資金というのは、制度資金はもうこの開発資金の中に政府の援助をいただける資金は全部入れたものでございまして、一〇〇%入っております。その残りを自己資金と、こういうふうに言ったつもりでございます。ですからこの自己資金はやはり当座といいますか、いま金融筋が北炭の経営についてすぐは信用して金は貸してくれないだろう、ですからやはり一、二年はみずからの努力によって実績を示すならば道が開けるかもしれません。しかしながら、いま前向きの話はもう一切御破算になっているのが現状というふうに考えております。
○田代富士男君 それから大澤管財人のここにあります閉山案では、北部鉱区の鉱業権は残して当面は露頭炭の採炭を続けて、その間に労務債を含む債務処理にめどをつけて北部の再開発を中心にした更生計画をまとめるということでありますが、そして将来考えられます再開発計画の内容としては、現在の夕張炭鉱は清算して、別会社に北部の鉱業権や操業施設を無償で譲り渡し、別の会社が北部の再開発を手がけるということのようでありますが、しかし夕張炭鉱は政府に対しましてこれまで御承知のとおりに三百五十億円もの融資の未返済分を残しながら今日のような事態に追い込まれているわけでありますが、この政府資金の回収のめどさえ立っていないのに今後も政府資金をつぎ込むような再開発を行っていかなければならないとしたならば問題ではないかと思いますが、この点についてどういうお考えであるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(大澤誠一君) いま御指摘されましたように別の会社で開発すれば、また坑道補助金あるいは近代化資金をお借りする、こういった点について新鉱の借金を返さないとするならばやはり二重になるという問題があるかと思いますので、しかしながら今後の開発の個所は全く処女地である、いままでの坑内における坑道のほんの一部利用しますが、立て坑のところは問題ございますが、立て坑の下の坑道だけ一部使います。あとは全部全然別個の骨格坑道で開発するということでございます。確かに若干の問題があることは承知いたしております。
○田代富士男君 それで大澤参考人が最後の切り札とした会社更生法の百八十四条によります一部営業休止という形の閉山と、当面会社を残す方法は、会社の方はほとんど実体のない会社となりまして、大澤参考人みずから法的に疑問が残る邪道と言っておられるようでございますけれども、裁判所に認められるという見通しはあるのか、それにはいかなる努力を払っていかれようとするのか、管財人としての決意をお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(大澤誠一君) この百八十四条の問題について、私は衆議院で邪道と申し上げたのはこれは私の間違いでございまして、更生会社としてのやり方としての正しい、いわゆる平均的な常識的なやり方ではない、こういう意味で申し上げたわけでございまして、要するに五つの工場があって一つの工場が非常にぐあいが悪いと、この一部事業所を閉鎖して更生会社を考える、こういうのは一般的に常識じゃないか。ところが、いま新鉱の場合は二千人の大部隊のところを閉鎖して露頭を残す、こういう一部事業所閉鎖という意味において、しかしながら、何も法律的に間違っているわけじゃなくて、やはり裁判長の許可を得て、いままでの資金の関係、現状から裁判長の御了解を得て実施いたしておるわけでございます。その辺ちょっと午前中舌足らずで御迷惑をかけました。
○田代富士男君 時間がありませんから、野呂参考人にお尋ねいたしますが、労働組合の立場としては何としても山を残していきたいという強い要望がありますけれども、管財人の出されました結論、そしてその結論に対する政府の支持表明という厳しい現状に現在なっておりますけれども、これをどのように受けとめられていらっしゃるのか、きょうは働く人の代表であるし、参考人という立場から、率直な御意見を最初にお聞かせいただきたい。
○参考人(野呂潔君) 九月の二十一日になったときに新しい会社はどういうことでもってできるのかという、そういうことが一つも見えない中でもって全員を解雇して、露頭だけ残して、将来につなぐと。三年か五年後だなんということを言われても、これはどうしようもないのであります。したがって、炭鉱にはどうしたって労働者が必要なわけですから、そういう労働力を確保する意味においても、どのくらいの規模で、いつから、どういう形でやるんだと、事業体についてはどうするんだという受け皿についてやはりいろいろと検討をしていただいて、そしてそれが一定のめどをつかんで管財人の方から提示をされ、政府も裏打ちをするというようなことを早急にやってほしい。それには九月の二十一日はとってもとっても間に合わないよと言うのであれば、何で八月二十一日の日にわれわれに閉山提案をするんです。できないことがわかっていて九月の二十一日になったら何でもかんでも首切って投げてしまいますよ、あなた方は失業のちまたにほうり出しますよというようなことをこれを大澤管財人もやるから、私は同罪だ、こう言っている。そこのところが必要であれば必要なだけの時間をとって、やはり論議をして、そしてそれが同町に解決できるような日数を与えてほしい。それはいまからでも遅くはない、できる。政府の腹構えの問題であってできないわけではない。制度の中の運用も考えてやってほしいということを私はここでも、管財人に、それから政府に対しても強く要請をいたしておきたいと思います。
○田代富士男君 いま本当に代表としての言葉を申されまして、それならそれで、検討する時間というものの問題点を指摘されましたけれども、労働組合としては管財人がこれまで検討してこられました結果としてまとめられた提案がございますが、この一つ一つについてどこがどう認められないというのか、この際具体的にこの場で指摘をしていただきたい。その際、なぜこのように認められないという、そういうような理由も代表で見えていらっしゃいますのですから、明らかにこの場所でしていただきたいと思うのですが。
○参考人(野呂潔君) 提案の中に、個々の問題について検封したということでございますが、われわれとしては、それらの問題についていま少し資料も欲しいし、完全に裏打ちをするようなものが全然ないということもございますので、いまここでもってそれに対してはっきりと明確な御答弁をすることができない実態になっているわけであります。ただ、私たちの方から言いますれば、私も参考人の意見の中でも申し上げましたように、まさか種火方式だなんていって露頭でもって三十人か五十人だけ残して、そして全員解雇だなんという、こういうような案になるなどとは、夕張の市民を含めて炭鉱労働者だれも思っていません。そういう形で検討をしたはずではなかったと私は記憶をいたしております。十分に残すためには一切り羽あるいは二切り羽、先ほど大澤参考人も言いましたように、八百とか、あるいは千二百とかという数字があるわけでありますが、そういうようなことを含めて検討して、金はどうかかるかということもあったというように考えています。炭労としてはそういうものについての再建計画案というものを出してまあ二切り羽でもってやっていけ、それにはできるのではないかということを私どもでは資料をもって大澤管財人の方にも提示をしていますし、政府の方にも提示をしています。したがって、そういう問題も、きょう時間がありませんから、詳しくなぜそういうような根拠に立っているのかというようなことについて、ここで申し述べることはできないのでありますが、私は端的に言いますと、まさか労務債を払えないからすべて終わりでございますというようなことは、これは余りにも短絡的である、こう思っています。
○田代富士男君 そこで、きょうのこの委員会の質疑を通じまして、やりとりをお聞きしておりましたら、三井観光あるいは北炭汽船をも含めて北炭グループ全体としての支援を期待していらっしゃるのでございますけれども、いまのいろいろ大澤参考人、萩原参考人等のお話、あるいは管財人の提案の内容から見まして、これはなかなか可能な線は見出せないのではないか。もう本当に私率直にそう受けとめておるわけなんですが、しかし、これでは許されない。特に労務債の百十五億あるいは百二十三億ということが問題になっておりますけれども、解決というのが一つの大きな問題になっている。これは人道的な立場から当然であると思いますが、北炭グループ挙げての支援があれば、まあ可能と私は思うわけです。もし、これが可能とするならばどういう方法が考えられるのか。現実に働いていらっしゃる野呂参考人、いろいろ発言していらっしゃいますけれども、この際具体的にお話を承りたいと思いますがどうでございましょう。
○参考人(野呂潔君) ただいま言いましたように、資料をもって、やはり説明をしなければ、私たちがどういう考え方でもってそんな主張をしているのかということがおわかりにくいだろうと思うわけであります。したがって、きょうもここに皆さん方にお渡しをして、炭労はこういうふうに考えているというものを用意をしてきませんでしたので、政府の方を通じましても委員の先生方に一つのそういう構想に立ったものを後でお渡しをしたい、こう思っています。ただ、先ほども言いましたように、時間が非常にない。大澤管財人もといいますか、参考人も言いましたように、受け皿ということになりますと時間がかかるということは、もう説明をされるまでもなくわかっているんです。ですから、そこのところは検討に検討を重ねてきたわけであります。四月の三十日からいままでの間何を検討したかというと、そのことを検討してきた。それから金のことを検討してきた。その検討の中身をやはりここで資料でもってちゃんと出していただいて、われわれも十分説明も受けたいと思う、討論もしたいと思っている。そこのところを提案の中身ではまあ検討したけれどもこれはだめだと、五年くらいかかる。五年くらいかかるだなんというのは対馬先生にも申し上げておりましたように少し長過ぎるんではないか、どう考えても私はそれは長過ぎる。いま常識的に言うと新鉱を開発するんでも着炭をするまでには五年だったらどんな炭鉱でもやり切ることはできる。山の中で何もないところでも五年だったらできる。それができないというのはすべて金の問題である。そうすると、そこに政府はどういう援助を管財人に対してするようにしたのか、管財人との間にあらゆる協力をすると、こういうふうにお答えをしておったわけでありますから、これは金を出すものについては協力をしないということを言ったからこういう答えになったのかなということも私は大臣にもお聞きをしたいのであります。そういうようなことはきょうこの場で私は聞くあれでありませんから言いませんけれども、私たちは大臣と会ったらそういう話もよくして、ここらのことについて明らかにしなければならぬだろうと、こう思っています。
○田代富士男君 次に萩原参考人にお尋ねをいたしますが、ただいま萩原参考人は御説明になったときに、北炭の不動産部を切り離して三井観光開発とされたということがわれわれもそのように今日まで承知しておりますけれども、そういうあれではないということをおっしゃったわけなんですが、今日まで恐らくこれは一般的な常識として全部これは掌握していると思いますが、そして管財人もこの三井観光開発は親会社であるということも発言されておりますし、みずからその会長の立場にあるわけなんです。そういう立場から私は、北炭グループをどのように、分離独立させられたわけなんですが、してないとおっしゃるけれども、これは現実にされている。なぜそうしたのか、いまここで伺っておきたいと思います。
 もうちょっとお尋ねします。
 また管財人も指摘していらっしゃるとおりに、提案の報告書の八ページに記載されてありますが、北炭は分離独立の時点から過大な固定資産と負債を継承して全く余裕のない経営を余儀なくされてきたという点は否めない事実であると考えますけれども、このような分離の仕方には、一つには石炭部門には政府の手厚い保護が十分に期待されるという甘えがあったのではないかと、もしそうだとするならば、北炭の今日の現状を招いた責任の大半は萩原参考人にあると見られても仕方がないと思いますけれども、この点についてはどうでございましょうか。
○参考人(萩原吉太郎君) ただいまの御質問は実際をおわかりいただければ一番わかるんです。私から見ると全く見当違いの御見解だと思います。というのは、私が三十年に社長に就任いたしまして、当時の新聞をひもといていただければわかると思う。北炭というものは日本国有鉄道法ができるまで三百八十キロの鉄道を持ち、それから富士鉄、室蘭製鉄所を持ち、さて社長になって残されたのは石炭だけであるから、ひとつもとの歴史にかんがみて創立の北海道開発の精神から生まれた、微力であるけれどもその精神を継承したいというところから二つの事業を発起している。一つは燃料としないで石炭を化学原料として使おう。これはすでに着手いたしまして理研の亀山直人先生を頼み、各大学の応用化学の主任教授、さらには工業技術院長の黒川さん、それから化学エネルギー研究所の馬場有政さんその他集まっていただいてつくったのが石炭化学研究所。それから、それと並んで、北海道はおくれた観光地である、潜在した、観光に適する資源というものは非常に多い、その観光資源を開発しようということで最初北海道不動産株式会社として設立した。決して、石炭にはうまみがないから、だからひとつほかのことをやろうというような、そういう精神は、社長就任の記念事業としようということであったと同時に、私としては、もし石炭にうまみがないというような考えであるなら、とうにむしろやめなくちゃならぬときは幾らでもありました。四十二年に一回やめたんです。ところが新鉱のために戻った。また四十七年にちょうど七十歳に達したのを機会に、かねがね言ってあったんでやめると言ってやめた。それで相談役に引くと言った。実は、あのときも完全にやめるのを一年だけやってくれといって残った。そういうふうにして次々とやめようとしてやめられずに、そのうち事故が起こってまた出てくると、こう来たんで、私としては、石炭は見込みがないからというのでやめるなら、今日までこんなに、晩年にこういうふうなけがするような境遇まで石炭にかじりついておりません。したがいまして、石炭には見込みがないから不動産事業を興したんだろう――違うのでございまして、さらに非常に莫大な資産を持っていったと言うけれども、持っていっておりません。これはお調べいただければわかるんです。そうかといって、それはそれ、これはこれで、もともとあすこへ来た者も北炭から連れてきた者が多いし、自分でもそういうことで興した会社で、いまは年月がたってこういう状態になりましたけれども、だから、法律的に言ったら何にもない。一九%の資本金だからと言っておりません。やはり根は同じところから出たものということから支援をして、この支援もやってまいってきたんです。時には、ある専門家から背任罪を構成するというふうな指摘まで受けてもあえてやってきた。これは、厳密に言ったら、ある意味では背任罪になるかもしれません。しかし、それでもやってきた。そういう意味で私は、同根であって、過去を顧みて援助すべきだと、こういう考えでやった。北炭から財産を持ってきたから、それだからやるというような精神でやっておりません。これは誤解のないようにしていただきたいと思うのでございます。一般には財産を持ってきたから使うのはあたりまえだと言うけれども、私はそうは思っておりません。ただし、持ってこようと、きまいと、これはやらなくちゃならぬ。道義的に考えてそう思っています。
○田代富士男君 じゃ次に、またお尋ねいたしますが、管財人や政府その他の各方面から、北炭グループから夕張に対する資金援助の要請が再三に行われたにもかかわりませず、今日まで夕張に対する支援ができなかったとする理由は何であるのか、まず第一点です。
 それにもかかわらず、一昨日、二十四日でございますか、萩原参考人は安倍通産大臣に会われて、閉山が事実上決まった段階に至って、できる限りの支援を約束されたようでありますけれども、北炭グループの総帥として閉山後にどのような支援を考えられておるのか、また、これまでなぜ支援のことを口にされなかったのか、心境のほどを知りたいと思います。
○参考人(萩原吉太郎君) 昨年十月十六日、爆発事故を起こしました。しなかったんじゃないのです、しているんです。あの十億の弔慰金は、初めから遺族の人たちに、この十億は責任を持ってやるからといってやって、三月三十日までになった。これは北炭が三井銀行から借り受けて、そうして、それをやるにもなかなか各銀行とも困難をきわめまして、やっと月末になって決まりました。これは決して、いままで何も言わず何もしなかったと言うけれども、それはそんなことはございません。それから、その後、管財人の大澤さんがお出になって、やってこられました。それで粕谷君には、この点については、当然債務の問題に
 ついてはそれに当たるようにということでやって、そのときは債務全部ということでやって、その期間内ではしないのじゃない、言わないのじゃなくて、いかにしてこの膨大な八百億になんなんとする債務を処理したらいいか。できっこないのです、どう考えたって。そこで、いわゆるいろいろな非難を受けた肩がわり買い上げ案という、買い上げじゃないのです、肩がわりの買い上げなんです。管財人代理の名前で、これは一カ月半以上かかって練って、第三案ででき上がったものをお出ししたわけです。これは七月一日までに債務整理について粕谷管財人代理に対して出しなさいというので、おくれましたけれどもそれをつくらざるを得なかった。あえて新しい案を立てるためにやったんじゃないのでございます。言うなれば、御質問に対し、債務全般に対する処理の案として私たちは出したわけです。それもあえてこうやるというのじゃなく、われわれがこう考えているのを御参考にしていただければ幸せだということをつけ添えてお出ししたわけです。そういう経過をたどってまいりました。そうしてやがて問題がだんだん切迫して、労務債に問題が集約されてきまして、その辺からわれわれとしてはこの労務債の問題というものに取り組んでまいったわけです。決して何にもしずにいたわけじゃございません。
○田代富士男君 じゃ、次にお尋ねしますが、大澤管財人の提案にもありますけれども、三井観光開発としては短絡的な処置による協力はできない、こういうことでありますけれども、短絡的な処置とはどういうことなのか、これを伺いたい。
 また、短絡的な処置によらざる協力とは一体どういう協力でやるのか、この点はわかりやすいようにお答えいただきたいと思うのです。
○参考人(萩原吉太郎君) 先ほど大澤管財人からゼロ回答だったと、その問題はしばらく脇へ置きます。そしてあの文書です。あの文書のときは、社長のくれたのを原案にして、短絡的な方法と私が手を入れました。と申しますのは、短絡的な方法というのはこういう意味でございます。もし十分な根回しをやらないとどういう問題が起こるかというと、必ず債権者の問題がある。そうしてこれならいいだろうと思ってはいかぬから、余り早急にやらないで、簡単に考えて物をやっちゃいかぬ、そういうふうな意味で短絡的とつけたんです。それなら何だというと、いま十分根回ししながらやろうというので、短絡的でないという結論を得てやっているわけでございます。非常にこの言葉が誤解を招いたようでございますが、私としてもこの説明をはっきり表現するのは困難でございますけれども、十分慎重にいかなくちゃならないのだから、いま幾ら出せと言われても無理だという言葉をその中に含めて、しかし断ってしまうのじゃない。私の聞きましたのは、御期待に沿う云々と、これはありました。その御期待に沿うお答えはできないというのは、大分違いがあるようですけれども、この労務債全額をおまえのところで見ろというような申し入れだったように聞いております。それではそれだけのことはできないというのが御期待に沿えないという回答なんです。それがゼロ回答となってしまったんでございますが、これはそういう意味で、この百二十億ですか、この金を三井観光、どうやるかといったときに、百二十億全部まるまる出せと言われてもそれは無理じゃないかというわけで、いまその申し込まれたとおりの御期待に沿うというのはできませんと、こういうふうになっております。あるいはむしろ簡単に、ありのままの記述をした方がよかったかと思いますけれども、非常に回りくどくなってあのような表現になって誤解を招いたようでございます。そういう次第でございます。
○田代富士男君 じゃ、萩原参考人への最後の質問ですけれども、長年にわたりまして北炭の総帥であり、抜群の政治力によりまして政治資金さえ引き出し、北炭の、別の立場で言えば神様と言われてきたお方でございますけれども、夕張新鉱の開発に踏み切った際も、開発資金の調達には萩原氏の政治力が物を言ったということが言われておりますけれども、今回の夕張鉱の悲劇も、原因は萩原時代の北炭の独特の経営方針と事業運営の集積によって培われた北炭の会社の体質からもたらされた必然の結果である、こういうように論評されている面もありますけれども、萩原参考人はいままで経営をしておいでになった立場でもありますし、永年の経営責任についてどうお考えになっていらっしゃるのかお答えいただきたいと思います。
○参考人(萩原吉太郎君) これは冒頭陳述に申し上げましたとおり、責任を感じているということはまず真っ先に申し上げます。
 それで、夕張新炭鉱を起こしたからこういうことになったと、確かにそのとおりであります。しかし当時の事情を見ますと、四十年の始まりですが、夕張一砿、二砿、平和砿、清水沢鉱、これは四十年代のうちに、冬山に訪れる運命ですが、全部終掘閉山して、もう掘るところがなくなるということが判明した。それを確認するために合理化事業団の近藤さん、それから開銀の兵庫理事、その二人にも調査してもらった。それでこれはしなかったなら山がなくなっちゃう。どこをやるかと考えて、鹿の谷かいまの沼の沢かということになった。鹿の谷の方はどうも炭量が少ない、そこで、一挙にいまの新炭鉱に移行ということで決定して、申請した。言うなれば、失業者が全部なくなってしまう。夕張市は、それで山がなければおしまいです。四つとも全部終掘する。また言ったとおりに終掘してまいりました。そうしてそこに働いていた人をそれに間に合うようにして新鉱に移っていただいた。確かに私はそういう考えからこれをやりました。もし一砿、二砿、平和、清水沢に炭があったら新鉱に着手いたしておりません。なくなってしまう、夕張から一トンの炭もなし、山一つなくなると、そういうことを想像され、当時の石炭局の井上石炭局長というのですが、その人もそれを考えたら再三これはかかるべきだということで、わざわざ私のところへ来て勧告していただいた。そうして政府に出しましてやったんで、これは私の政治力でも何でもない。あすの必要性に迫られた所産でございまして、決定したのは私でございますから、その起こした者の責任といえばまさにそのとおりでございます。
○小笠原貞子君 萩原参考人にお伺いしたいと思います。
 けさ衆議院の質疑も伺いまして、またいま伺ったわけですけれども、労務債百二十三億のうち七十一億を目標にして努力をしたいと、こういうふうに先ほどからおっしゃいましたね。そうしますと、百二十三億マイナスの七十一億となりますと、あとの五十二億についてはもうこれは努力目標でもとてもだめだ、これはもう見限らなきゃならない、支払わないというお考えになるわけですけれども、そのとおりでございますね。時間がございませんから、イエスとかノーとか一言で。
○参考人(萩原吉太郎君) まあわれわれの力では……
○小笠原貞子君 できない……。
○参考人(萩原吉太郎君) そういうわけでございます。
○小笠原貞子君 そういたしますと、その七十一億という中で一〇〇%完済したいというのが社内預金でございますね。その社内預金を除きました分、つまり六十三億の労働債権が、退職者などの一部については先ほど六〇%くらいまで努力して支払いたいというふうにおっしゃいましたね。そうしますと、六十三億の六割といたしますと、三十七億八千万円。そうすると、社内預金の一〇〇%加えて八億、合計いたしますと、いまの萩原参考人の頭の中では四十五、六億ということがいま出したいと、支払うということでの示唆された数字だというふうになるわけでございますね。
○参考人(萩原吉太郎君) 示唆したと、おとりいただければ幸いでございます。
○小笠原貞子君 示唆された数字だといういうふうにお伺いいたしました。
 そういたしますと、四十五、六億といいますと、全体の労務債百二十三億のわずかに三七%にしか当たらないという、大変低い額でございますね。けさほどから責任を感じているといろいろおっしゃいましたけれども、やっぱり百万遍責任を感じている、労働者の皆さん申しわけないとおっしゃるよりも、一つの具体的な事実でもってそれを示していただきたいと、そう思って次に質問を進めていきたいと思うわけなんですけれども、責任は感じていると、しかし資金調達ができないからこれはやれないのだというような論調でございます、伺ってますと。そのとおりだと思うのです。そうすると、資金繰りができれば当然責任を感じているんだからお出しになるということにつながってくると思うのですね。そういう善意で私解釈いたしまして質問をさせていただきたいのですけれども、三百億の担保と九十億の金を出しているよと、こういうふうに先ほどからおっしゃっていました。三百億の担保はわかりました。九十億の内訳をおっしゃっていただきたいと思うのです。特にそのうちの元本は幾らかということを、数字で簡単でございますから、簡単にお知らせいただきたいと思います。
○委員長(降矢敬雄君) 萩原参考人に申し上げます。委員長の許可を得てから答えてください。
○参考人(萩原吉太郎君) いまの元本と利子その他についてですけれども、細かくなってきますので、経理部長からお答えいたします。
○委員長(降矢敬雄君) これは参考人以外できませんので、萩原参考人にお願いいたします。
○参考人(萩原吉太郎君) それじゃ申し上げます。
 元本は六十四億、それからこれに伴って、これはこういうことなんですよ。銀行から借りてきて貸してますから、それで長い間の差し引きで観光の方でかわりに払った立てかえ金といいますか、そういうもの、それが二十四億でございます。約八十八億、それが先ほど約九十億と申し上げました。
○小笠原貞子君 十分具体的に御調査なすっていらっしゃらないと思うのですけれども、実は私、三井観光が誕生いたしましてから今日までの有価証券報告書というものを、これぐらいの高さに二段になります。その数字を全部調べてみました。そうしましたら、元本五十四億なんです。いま六十四億とおっしゃったけれども、これは更生債権届け出書、つまりおたくの方で更生債権これだけあるよと提出なさったその公式の文書の中にも五十四億というお金が出ておりますので、だから私の調べたのと同じで、ちょっといまの数字的に急なことだったからその辺が……
○参考人(萩原吉太郎君) いや、それは違ってるんじゃないのです。六十四億が本当なんです。それが……
○委員長(降矢敬雄君) 委員へのやりとりは禁止をいたします。どうぞ委員長の許可を得てください。
○参考人(萩原吉太郎君) 十億はことしの三月の弔慰金でございます。それで十億でございます。
○小笠原貞子君 そうしますと、五十四億ということに元本なるわけでございますね。その五十四億について、十億の弔慰金抜かしますと約八十億と、こういうことになるわけですけれども、それについて私の方も全部その年度いつに幾らお金をお出しになって、そのときの利息は何ぼかということを全部計算いたしました、その五十四億につきまして。そうしますと、それについてきちっとこれは正確な利子で計算いたしますと二十二億三千万円利子として支払われているわけです。そうしますと、五十四億お貸しになったということになるわけですけれども、その中からすでに二十二億三千万円というのは利子として入っているわけですね。そうしますとね、残っているのは三十一億七千万円ですよ。だから、何十億貸したなんて、はあなんて思うけれども、労働債権の方には利子全然見ないでおいて、自分の方のは利子も加えちゃって何ぼ貸したと、こういうふうな結果になるのではないかということをひとつ指摘しなければならないと思うわけでございます。しかも……
○参考人(萩原吉太郎君) 委員長。
○小笠原貞子君 お待ちください。こっちの許可がなければ……。
 それで、そのときの利子というのがこれも調べまして、政府が無利子で貸していた。そして、ほかの住友グループが三%なんとかいうようなときに最高一二・三%という高利で三井観光が北炭にお貸しになっていらっしゃる。親子きょうだいグループなんてね、きょうだい親子ならもっと安くなるというんだと思ったら、親子きょうだいだから取れるところから取っちまえと、こういう性格もここにあらわれているというふうに思うわけなんです。それについてもうすでに二十二億三千万円利子回収していらっしゃるではないかと。何十億、八十億出したよと、三百億の担保出したよというようなことで恩に着せた発言ということは私ちょっといただけないと思うのです。簡単におっしゃってください。
○参考人(萩原吉太郎君) その利子といいますけれど、北炭からもらわなくて、こちらで立てかえて払った金額の利子でございます。向こうから取った金額じゃなくて、その二十三億というものは当方で、三井観光の方で北炭が払わないからかわって銀行へ払った利子でございます。
 それから、大体表面レートでずっと借りて貸してますから、やってまして、それで調べてみると、長い間に、四十九年と五十年に確かに小笠原議員のようなことがありました。それはどういうわけかというと、それがその二年間だけ表面金利から実質金利に切りかえてございます。そのときだけは確かにそうですが、それはたまたまアラブオイルショックで観光は翌年の決算ずっと下がったとき、そのときに両方の経理部長がまだ続いてことしは大変だからと言うて、それじゃかかっただけの金利はお払いしましょうといったのが、借り入れた金利をそのまま貸せばパアパアでございますけれども、そうでなくして、そのときにはそれの調達利子、コストというか、実質金利によって行われたものでございます。
○小笠原貞子君 大変短い時間で次々と質問していきたいと思いますので、いまの問題についてもまた詳しく後でやります。
 次に、担保の問題に入りたいと思うのです。担保三百億とおっしゃいました。これ私の方も更生債権届け出書というのを全部調べましたら、確かに二百九十二億の担保というのが入っております。全部明細と金額と調べることができました。しかし、その中の約二百七十億というのは山林でございますね。本当に優良な担保という、たとえばホテルだとか、それからゴルフ場だとか、そういう優良な担保というのはほとんどない。確かにパークホテルというのが入っておりますが、このパークホテルで入っているのが十五億でございます。あとほとんど山林でございます。そして、三百億近くということをおっしゃってますけれども、それじゃ夕張に対しての担保は幾らかというのも、これも計算いたしましたら、夕張に対しての債務残高というのも五十二億ちょっとでございますから、だから三百億から比べれば六分の一にしかすぎないのだよということを私はここで言いたい。そして、そういうことから考えれば、担保能力というものはまだないとは言わせない。出す気になったら出せるんだということを私はここで言いたいということなんです。それで、時間もありませんから、ここでひとつ担保は出そうと思えばまだ出せるんですよということも言いたいのです。
 それから、もう一つ問題だなと思いましたのは、この更生債権届け出書というのをずっと調べてみましたら、こういう問題が出ていたんです。たとえば担保をお出しになりますね、三井観光が。担保をお出しになりますと、その担保提供保証料というのがあるんですね。これ私調べてわかったんですけれども、つまり三井観光さんが三百億近くの担保をお出しになった。その担保について保証料という形で利子みたいな性質のものでしょうかね、〇・八%の保証料というものをお取りになれるわけでございます。それで、その中でどういうことが言われているかというと、この更生債権の届け出書の中で担保を三百億お出しになりましたのは、四十七年六月からずっと担保提供なすっていらっしゃるわけなんです。ここの四十七年六月からずっとお出しになっているんだけれども、請求されていますというのは、まだ未払い保証料だよと、いま言いました担保保証料の未払いだよというのが五十六年一月から五十七年三月、ことしの三月までの未払いの担保保証料、未払いだよというのが全体で二億三千八百万円未払いになっているんだ、更生債権でそれだけ未払いになっているから三井観光の債権だよ、こういうふうにここではっきりおっしゃっているわけですね。それじゃ、その二億三千八百万円の担保保証料のうち、北炭の分は幾らかというと四千五百九十五万円、これを請求していらっしゃるわけなんです。そうしますと、この調子でいったら、五十六年一月から五十七年三月までを請求していらっしゃるんだから、その前の分は済んでいるから請求なさらなかったということになりますわね、残っているのが五十六年一月からだから。そうしますと、四十七年六月から五十五年の十二月末まではもうすでに担保保証料というものを済ましていらっしゃる、こういうことになるわけです。そうしますと、済ましているという額をこれも調べてみましたら十三億五千九百万円です。つまり、担保を提供なすった、それについての担保保証料というものを、すでに十三億五千九百万というお金を三井観光はお受け取りになって、そして残っているのが五十六年からだよということで請求をなさっていらっしゃる、二億三千八百万円請求をしていらっしゃる、こういうことなんですね。だから、私はこれを見て、本当に三井観光と北炭とのいままでの由来を考えましたら、こういうことをする――政府は無利子で貸していて、担保を貸したと言いながらもきちっと取るものはがっちり取っているのではないかということを、私はこれを調べさせていただいてびっくりしたわけなんです。
 それからもう一つ問題がございました。それはこの更生債権届け出書をずっと調べていきますと、ここに保証債務並びに借入金に関する誓約書というのがございます。これは三井観光の山本社長あてに北炭が誓約書を出しているわけです。これが五十六年の三月三十一日と五十七年、つまりことしの一月二十六日に三井観光は北炭に対して誓約書を取っていらっしゃるんですね。その中にいろいろございます。いろいろございますけれども、私がここで何を言いたいかというと、たとえば五十四億の借入債務についてというような問題についても、これが四社、つまり北炭だけじゃない、四社の共同の不可分の債務であることを確約いたしますという誓約書を三井観光にお出しになっているんです。逆に言えば、三井観光が誓約書をお取りになっているわけなんですね。これがことしの一月二十六日といいますと、更生計画が出てもう山は本当に大変だという時期ですよね。その時期にやっぱり四社が共同で責任を持つんだということを言われて、そして今後は貴社に対して新たな担保の御提供はお願いいたしませんということを誓約させられているわけなんですね。そうすると、これから見ますと、この誓約書でいけば、四社で共同責任だということになりますと、今度、三井観光は取れなかったら真谷地とか、空知だとか、幌内、あそこにも責任がかかってくるということにならざるを得ないですね。だから私はそういうことであってはならない、こういう誓約書は出すべきではないと思うのですが、いかがお考えですか。
○参考人(萩原吉太郎君) ただいま承りまして、それなればそのとおりやっているかというと、結果は知っているんでございますけれども、その契約書の内容なんか私そういうこともわかりませんでしたけれども、担保はその後そんなことをやっていながら出しております。それで結局そういう契約書というのは、もう金じゃないのだ、ともかくちゃんと法的にもそろってきちんとした一般の書式において誓約をしておこうという気持ちで社長はやったんだ、そんならそのとおりやればいいのだけれども、そのとおりしないで、やっぱり事実出したりなんかしております。
○小笠原貞子君 じゃあ、社長さんとしてはきちんとしたいからそういうふうにお出しになった。そういうことで四つの会社の方に影響して連鎖倒産みたいな形になったら大変だから、きょういまお聞きになっておわかりになったところだと思いますけれども、十分配慮していただきたいということを重ねてお願いをいたします。
○参考人(萩原吉太郎君) わかりました。
○小笠原貞子君 それで、今度、資産があるとかないとかの問題に入りまして、登記簿謄本というのを私は全部調べさしていただいたわけです。たとえばグランドホテルの登記簿謄本を見ますと、建物の評価額が六十八億でございます。この評価額というのは固定資産税の対象の評価額でございますから、これが五十一年の十一月時点で、その後評価額というのは上がってないのです。だから、実際に現在で見れば百億近いだろうという評価が、これも専門家の方に御調査をいただきました。そういうふうに、建物では百億くらいと言われております。それから土地は千九百坪でございます。これは五十七年四月一日の公示価格が百万円でございます。これも公示価格でございますから、実勢にすれば約九十億くらいだろう、こういうふうに言われました。それからあと、備品というのがございますね。備品という償却資産も入れます。そうしますと、これも約十億なり二十億、いろいろと評価がありますけれども、それくらいはあるだろう。そして、ホテルなどというものは、建物と備品だけではなくて、のれん代と申しましょうか、その営業権ですね。もう本当に札幌の一等地ですよ、駅前のところの。北海道の人ならみんなびっくりして、あれを見るたびにみんな苦しくなっちゃうというくらいの、すばらしい東北一のデラックスホテルでございますよね、お泊まりになっていらっしゃると思うのだけれども。そういうふうにしますと、これは、三百億は超える資産だというのは、もう最低なんですね。そうすると、三百億を超える資産がある、いやしかし抵当に入っていますよと必ずおっしゃると思うのです。その抵当が、どれくらい入っているかといいますと、百七十八億五千万円です、調べましたら。そして、根抵当が六十一億ございますね。この抵当に対する返済というのは、大体五年で償却という回転になっているわけです。これは謄本を見れば出てくるわけなんですね。大体五十一年分までは償却をされていることになっていると思うのです。そうしますと抵当権は、約半分くらいしか抵当権というのはついていない。そうすると、ここのところでも、きちっと出すことにすればここのところでお金が出てくる、出せば出せるということを私はここで言いたいわけなんです。
 それからこれは、グランドホテルでなくてパークホテルの問題、山本社長がテレビでおっしゃっていまして、それを私も伺ったんでございますけれども、パークホテルを売れ売れと言うけれども、売っても担保が六十億なんだ、それで売ったら税金で四十億も取られてしまうから、だからこれは何にも、売れ売れなんて言われても出すべきお金はないのですよ、こういうふうにテレビでおっしゃったのを私見ました。聞きました。そう言われるとなるほどなと、抵当で、売っても税金を取られる、なるほどなと思ったんですけれども、これもよく調べてみますと、利益を得ていて売って、そして売ったものに対して税金というのはかかるわけでございます。しかし、三井観光がこの北炭の労務債、債権というものを自分たちの債権として、自分の借金にしてという気持ちがあって、その手続をなされば、利益が上がって売っているわけじゃないのだから、これは税金を取られないで済むということも、調べたらわかったわけなんです。ただ三井観光がそこまで、北炭の労働者の皆さんのためにこれを私の方の労務債に引き受けるという決意があれば税金を取られないで済む、それだけ余裕があるということがはっきりしたわけなんです。知らないと、なるほどねと、萩原さんも本当に紳士でいらっしゃいまして、いろいろおっしゃいますと、ついごまかされてしまいますけれども、私調べさしていただきましたらそういう点がございました。
 それから、炭鉱も決して楽ではなかったとおっしゃるのはそのとおりなんでございますけれども、また、こういうことまだいっぱいあるんですよ。どれくらい北炭が長期貸し付けしていたか。そのたびに三井観光が非常にりっぱなホテルを増改築されたというのはもう皆さん御承知のことだろうと思う。確かにその金は返されたかもしれない。しかし、それを資本にして、大きく強い三井観光という企業に発展してきたということを考えなければならないと思うのです。それで、つらいつらいと言われるその時期に、三井観光に北炭は出資されていた、貸し付けされていたということと、それからまた政治献金ですね、いつも出てくる。四十年の下期から五十年の上期にかけまして、私これは全部官報で調べ挙げてみましたら、四十年から五十年上期までで約一億五千万の政治献金がなされているというふうになるわけなんですね。そうしますと、私いまるる申し上げましたけれども、とてもないそでは振れないのだと、金はないのだとおっしゃるけれども、きちっと具体的に整理して、本当に初めにおっしゃったように責任を感じていますというおっしゃり方が事実実行されるならば、決して出せないことはない。本気になってその言葉を実際に私は態度で示していただきたいということを切にお願いしたいと思うのです。ただ何遍お悔やみ申し上げますなんて言われても、そんなことでこれから秋に向かって灯油は百円灯油だと。私きのう夕張から帰ってきたんですよ。こんな人たちを働いて働いてそのまま出ていけなんて、こんなことが社会的に許されると思ったら大間違いですよ。まだまだ世の中には正義の力というのはあるんですから、やってください。
○委員長(降矢敬雄君) 時間が来ておりますから。
○小笠原貞子君 はい、ごめんなさい。じゃそれをきちっと申し上げておきます。
 それから最後になりましたけれども、大澤管財人に一言お伺いしたいのですけれども、本来閉山すると交付金というのは出るのが当然でございますよね。しかし今度の提案では、閉山交付金がもらえるかどうかちょっと不明だというふうな御心配の点が出ておりましたので、なぜ不明だと、御心配だというようなことをおっしゃったのか、その中身をお聞かせいただきたいということと、それから平安八尺層から今度は真谷地に向かって良質の原料炭があるというようなことをいろいろ話が出ております。これの活用を図るべきではないかと思うのですけれども、その点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。残存や平安八尺層などの有効な資源活用を図るということから考えても、やっぱりそういう意味で本当に再建という道を考えていただきたいということを申し上げて、御返事を伺って終わりたいと思います。
 どうも済いません、長くなりまして。
○参考人(大澤誠一君) いままでの閉山交付金というのは、やはり全部閉山して閉山交付金、今度の場合は露頭というものを残したものですから、最終的な詰めがあの時点でできておりませんので、ああいった表現を使いました。
 それから平安八尺層については、いまの新北部十尺層、まあ採掘した上は先輩の方々はよくない。しかし先の真谷地寄りの方は肥厚して十分いいのじゃないかという先輩の大方の意見でございます。私も技術屋さんからそのように聞いております。
○委員長(降矢敬雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこれにて終了いたします。
 参考人の方々には、御多忙の中を長時間にわたり御出席をいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 参考人の方々はどうぞ退席していただいて結構でございます。
    ―――――――――――――
○委員長(降矢敬雄君) 委員の異動について御報告いたします。
 本日、宮之原貞光君及び小笠原貞子君が委員を辞任され、その補欠として和田静夫君及び市川正一君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(降矢敬雄君) 次に、去る二十一日起きましたダイセル化学工業株式会社堺工場の爆発事故に関する件について調査を行います。
 まず、事故の概要について政府から報告を求めます。植田基礎産業局長。
○説明員(植田守昭君) まず、私から事故の概要を報告さしていただきます。
 私どもが大阪通産局等より聴取したところによりますれば、八月の二十日午前零時二十五分ごろ、AS樹脂それからABS樹脂の製造工室から脱臭設備への廃ガス配管が破裂いたしまして、そのために操業を停止したわけでございます。その後翌二十一日午後五時半ごろ、その操業停止中のAS樹脂製造用の重合缶、これはこの中に未反応のアクリロニトリルモノマーあるいはスチレンモノマーが中に入っているために、そのとき冷却を行っていたわけでございますが、この重合缶から白煙が噴出いたしまして、異常に気づいた社員が現場に駆けつけまして、一部放水を始めたところ爆発し、火災が発生したと、こういう状況でございます。
 火災は二十一日深夜にはほぼおさまったわけでございますが、危険物の残留する反応がまに対しまして放水冷却を続けまして、二十四日の午後から抜き取りを開始したわけでございます。二十五日午前九時ごろ抜き取りを終了いたしまして、同時に放水を中止したというのがいままでの私どもの知り得ている状況でございます。
 なお、被害状況につきましては私どもは消防庁から聞いておりますところでは、死者四名、その他重傷者八名等となっておりますが、一方警察庁調べとの間に重傷者の数に若干の差がございますが、以上のような死者あるいは重軽傷者を出しているわけでございます。
 以上が私どもの方で事情聴取いたしました概要でございます。
○委員長(降矢敬雄君) これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○田代富士男君 ただいまダイセル化学工場の報告がございました。この報告につきまして質疑をいたします。
 先日は、商工委員会で鹿島石油の事故の問題を取り上げました。中身は違いますが、同じ化学工場でありますが、今回のダイセル化学工場と鹿島石油との事故を相対して私考えてみました。今回のダイセル化学工場の事故は大きな違いがあります。第一点は、ここでただいま死者四名、重軽傷者八名ということでございますが、私が地元で調べているのは七十六名おるのです。そういうような、たった八名じゃございませんし、事故が起きて一週間もたとうとしておるのに、局長の報告で八名というような、そういうずさんな掌握の仕方ではどうかと思います。まずこれを指摘しておきます。
  〔委員長退席、理事野呂田芳成君着席〕
今回のダイセルの場合は、付近が御承知のとおりに住宅密集地であった関係もありまして、いま言ったような工場の社員以外の重軽傷者が多く出ているという、これは工場密集地の恐ろしさを示したということが鹿島石油との違いの大きな問題点であります。
 第二点は、これは第一回目の小爆発が起きまして、その後始末をやっているときに第二次の大爆発が起きたという、事故処理の過程で大爆発になったという、これは異常事態に備えての工場側の安全対策に手落ちがあったのではないか、この点は大きな問題点ではないかと思います。鹿島石油との違いでございます。
 第三点は、この第一次の爆発事故を起こした折には、工場が新聞の折り込みで地域住民におわびの文書を配布しているのです、まことに申しわけございませんでした、以後こういう事故を起こすようなことはいたしませんからと。その夕方にこの事故を起こしている。また、第一次の爆発を起こした後に、工場の技術担当責任者、常務、工場長が消防本部へ呼び出しを受けまして、今後はこういう事故がないようにという、にもかかわらず二次災害を出した罪というものは非常に大きいのではないかと思うわけでございます。こういう点を、いま通産省からの報告がありましたが、自治省の消防庁あるいは警察庁はどのように受けとめ、どのように対処されようとされるのかお尋ねをいたします。
○説明員(清野圭造君) 事故の概要につきましては、ただいま通産省の方から御報告があったとおりでございます。
 私どもが現地の堺・高石消防本部から報告を受けているところによりますと、事故後の処理でございますけれども、事故後、当該爆発事故を生じました廃ガスダストに接続する一般取扱所、まあ一般取扱所という扱いを受けておりますけれども、それに対しまして使用の停止を命ずるとともに、事故原因究明のための現地検証を鋭意行っていたというふうに聞いております。事業者側に対しましては、工場長等の幹部に対しまして安全対策について全力を挙げて対処をするとともに、一般事業所であります反応缶の処理についても安全管理上、十分な検討を行った上で実施するよう指示したというふうに聞いております。
   〔理事野呂田芳成君退席、委員長着席〕
○田代富士男君 どういうふうに消防庁としてやられるんですか、一次災害、二次災害の問題ですから。
○説明員(清野圭造君) まあ、報告がまだ詳細に参っておりませんし、現在原因究明中でございますので、それらの原因究明の結果を待って、問題点その他が指摘されればその時点でわれわれとしても対処いたしたいというふうに考えておるところです。
○説明員(國松孝次君) 群集の概要につきましては、通産御当局からのお話のとおりでございますけれども、大阪府警察では事案の認知を一一〇番でいたしまして、直ちに警察官を現地に派遣、手配いたしますとともに、警察本部に警備部長を長とする大阪府警察警備本部というものをつくりまして、また事故現場を管轄いたします堺北警察署に現地指揮所を設置いたしまして、警察官約七百四十名を出動させまして、人命の保護を第一義といたしまして、現場付近住民の避難誘導、現場へ通ずる道路等の交通規制、警戒線設定とやじ馬等の整理、負傷者の救出救護、避難した住民地域の警戒というような措置をとってまいったわけでございますが、本年三月末に鹿島でコンビナートの事故等もございまして、私どもそういういろいろ事件を通じまして教訓を得ながらやっているわけでございますが、何はおきましても、やはりこういう事故が起こりました場合になるべく早く多くの警察官を現場に投入する、そして交通規制を迅速にやって避難路の確保なりあるいは緊急車の通行を確保するということがやはり一番肝要なことでございますので、そういう趣旨で今回につきましても措置をとりまして、交通規制につきましては十七時三十五分には現場付近及び国道二十六号線の戎島交差点から浜口町交差点までの間を通行どめといたしました。その後、十七時四十分に爆発現場を中心に約二平方キロメートルの区域を通行どめとするというような措置をとりまして、交通規制につきましてはかなり迅速に手が打てたというように思っております。
 また、避難誘導につきましては十七時四十五分に堺北警察署長名におきまして、警察官職務執行法第四条の「避難等の措置」ということでございますが、現場周辺二キロの住民に対してパトカー、広報車等を活用して避難勧告の広報を行いまして、これに応じた住民の避難をお願いしたわけでございます。
 なお、今回もこういった事故の教訓をまた得まして、今後さらに不幸にしてこういう事故がありました場合には、さらに迅速な措置がとれるようにと思っております。
○田代富士男君 通産大臣、いま瞬間が限られておりますから、私現場へ行きまして細かいことまで一応調べてきておりますが、時間がありませんから多くは語りませんが、二次災害を出したということは、これは大変なことだと思うのです。鹿島石油のときにも私は、現場からいろいろお聞きしたその問題等を提起したんです。そのときに提起した問題は、そういうこともあわせて総点検をやって指導してくださいと私言いました。ところが今回はその指導がされてない。
 会社の姿勢がどういう姿勢であるかということを具体的な例を申し上げますと、第一次の爆発が二十日の夜起こった。第二次の爆発が二十一日の夕方です。両方ともこの会社から消防に対する、事故が起きましたという報告がされてないのです。これはどういうことですか。私は消防の責任者にも聞きました。地域住民からの一一九番への通告はありましたが、会社からはしておりません。これはとんでもないことです。
 それから、第一次爆発が起きましたときに、堺・高石消防署の消防車が工場の入口に行った。そうすると、工場の入口では、これも工場からの通告はないですよ。地域住民からの通告で大体どの方面だとわかりましたから消防車が行ったけれども、門の前で頑固に、消防車がその災害の現場へ来たにもかかわらず拒んで入れなかった。消防の責任者から私は聞きました、好ましい態度ではありませんでしたと。事故に対するこの感覚といいますか、これは私は許せないと思うのです。私は鹿島石油のときにも、こういう問題を、具体的な例を提示しましたけれども、同じことが繰り返えされている、これはどういうことなんですか。大臣、どうでしょうかこれ。
○説明員(植田守昭君) 委員長……
○田代富士男君 いや、大臣から、大臣に私この前提案しているんだから。
○説明員(植田守昭君) 最初の第一次の事故の際に、消防法上連絡をなすべきであるものについてなされなかったということにつきましては大変遺憾であると思います。私どもとしましては、そういったことは常日ごろ指導しているわけでございまして、今回もこの事故が起こりまして直ちに会社側にも後の対応につきまして指示するとともに、また化学協会の協会長にも各社に徹底するように申し渡したわけでございますが、今後このようなことがないように一層努めていきたいというふうに考えております。
○田代富士男君 入り口はどうなんですか、門で頑強に反対したのはどうなんですか、入れなかったのは。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いまいろいろとお話があったわけでありますが、こうした事故が起こったということは非常に残念に思っております。特に人口の密集地帯ですから、よほどやはり会社の経営者といいますか、工場の責任者等も平生から点検をしなきゃならぬことは当然であると思うし、爆発すればただ工場内の死傷者だけでなくて外部にまでそれが及んでいくわけですから、そういう点も十分踏まえながら対処していかなきゃならぬと、こういうふうに思うわけでございます。そういう中で、まあいま調査中ではありましょうが、いろいろとお話しのような手抜かりというのがあったとするならば、きわめてこれは残念なことだと思っております。こういうことが二度とないように、通産省としましても通産局もあることでありますし、十分連絡をとりながら対処、対応していかなきゃならぬ、こういうふうに考えるわけでございます。
 現在、いろいろとその具体的な状況、原因の調査あるいは捜査等については、それぞれ消防庁あるいは警察庁で行われておるわけでございますから、これが正確に出た上でさらにやはり正すものは正していかなきゃならぬ、こういうふうに考えております。
○田代富士男君 私は、通産大臣、まだ中身に入ってないのです。工場の姿勢がそういう姿勢なんです。私もこれ聞きまして驚きまして、現場へ行きましていろいろなことを工場の次長に聞きましたけれども、何の返事も返ってこないのですよ。もうきょうは時間が制限されておりますから多くを語りませんけれども、いま言ったのはほんの一つ二つですね。具体的な例を鹿島石油のときに言ったのにかかわらず、これが徹底されてないということです。
 たとえばもう一つは、小爆発が起きてから使用禁止命令が出された。ところが、プラント使用停止命令が出たにもかかわらず、保守を除くすべての操業は凍結と言ったにもかかわらず攪拌をされたということに対しましては、堺・高石消防署の幹部もこれは遺憾であるというようなことを発言をしておりました。現場で私も尋ねてまいりました。
 それで、この事故処理の問題でございますけれども、これはいま申すとおりに一次災害が起きた後、二次災害、大きな爆発です。これは私も現場を見てまいりましたが、床がばっと全部上がっているんです、八キロ四方、床が。その周囲の散髪屋さん、商店街などめちゃくちゃです。団地の床が上がるくらいです。これは大変な事故なんです。化学工場の恐ろしさというものを私はまざまざと見たわけでございます。これはまだ調査中であるということでございますけれども、消防のそういう指示というものを受け入れるくらいならば――自分の方から通報してないのに消防車が来たのを断るくらいのこういう姿勢ですから、停止命令が出てもそれを謙虚に受けとめない、私はこの工場の姿勢というものを言っているんです。通産省は日ごろそういうことはどうしているのかということをいま私は言いたかったわけなんです。だから、二次災害に至るまでの間、生産技術担当の與石常務が言っておりますが、二十日夜の爆発があった後、タンクの中の攪拌機を回しながら三十五度ぐらいの水で冷却して反応を抑える作業を続けていた、攪拌反応が逆に進んでしまったのかもしれない、判断の甘さがあったと思う、もう少し早い処置をとるべきであったということを、これは輿石常務が記者会見で明確に述べているわけなんです。私は、判断の甘さがあったとか、これだけの大きな事故を起こして、どうかと思いますよ。だから、このような状態であったならば、攪拌するよりも反応抑止剤を入れて重合反応を防いだ方がよかったのではないかという、こういうような意見等も出されておりますが、私はここで、西沢という工場の次長に尋ねてみたんです。事故が起きた場合にはどういう対処をするようになっているんですかと。第一番目に水で、冷却だけで済むのか、あるいは抑止剤を使用するのか、どうするようになっているんですかということを私は現場で尋ねました。そのときにはわかりませんという返事です。工場の次長です。これには驚きましたね。通産省としてこういう事故に対して、それぞれの化学製品の中身にもよりますけれども、こういう場合はどういう指導をし、それぞれの工場にはそういうような要綱的なものはないのかどうか、そこらあたりはどうですか。工場の次長がわかりませんという答えです。私は、通産省としてこれはどういう指導をしているのか。ないのか、あるのか、あるならばどういうような順番になっているのか、そこらあたりを教えていただきたい。
○説明員(植田守昭君) いまの件につきましては、いわゆる一次事故の後の措置につきましては現在消防当局あるいは警察当局で調査中でございますので、私どももその調査を待って判断すべきであろうというふうに考えております。
 それから、消防法に基づきますいろいろな基準等につきましては、その法によりまして指導がなされているものというふうに理解しているわけでございますが、私どもといたしましては、またたとえば工業会の安全会議等を通じましていろいろと指導していくという立場をとっているわけでございます。
 消防法上の問題につきましては当局からお答えをいただきたいと思います。
○説明員(清野圭造君) 消防法では安全確保のため施設を技術基準に適合するように維持するとともに、保安教育や日常の施設点検あるいは非常の場合のとるべき措置等について予防規程を定めるということになっておりまして、これらの趣旨に従って施設を適正に運用することによって保安を図ろうというふうな規定になっております。したがって、施設の適正な運用というのも非常に重要な要素になるわけでございます。
 今回の事故の原因につきましては、先ほど申しましたとおり、現在地元の消防機関で調査中でございますけれども、その調査の進展あるいはその結果を踏まえまして、こういった運用面にわたる問題点といったものも含めまして、今後危険物施設の安全管理についての指導をしてまいりたいという考えでございます。
○田代富士男君 ちょっと私現場の様子をいろいろ知っておりますから、心もとない感がして仕方がありませんが、これ以上詰めても詰まらないだろうと思うわけなんです。また瞬間も制限されておりますから、私は次回の委員会でまたやりたいと思いますが、時間も余りありませんからまとめて質問いたしますけれども、今後の問題点として言えることはこの工住混在地域の工場の規制の問題でございますが、大阪を例にとりますと、消防法の危険物資製造所は大阪府下で五百三十三カ所ありますけれども、このダイセルのような危険物を使用している、化学製品をつくる一般の取扱所は六千百八十七カ所あります。これ調べますと大体三分の二はコンビナートの区域にあるわけなんですが、それにもかかわらず、コンビナートにない地域で大阪に例をとりますと、コンビナート防災法施行後、枚方市で五十三年の九月にもユシロ化学で住民を巻き込んだ爆発事故が起きております。こういうところから工住混在地域での工場の規制というものが大きな問題点ではないかと思うわけなんです。コンビナートはコンビナート災害法などの法的な措置がありましてそれに対応して防災策を図っておりますけれども、工場移転といいましてもすぐにはむずかしいですから、このコンビナートの災害法に準じた形で防災体制を検討いたしまして、工住混在地域の工場の規制、再発防止というものにこれは力を注ぐべきではないかと思うわけでございます。それから防災設備の指導監督だけでは十分でないものですから、いまはすぐ工場移転はできないと言ったけれども、やはり工場移転などは工住分散を図るなど行政の強力な今後の問題としてこれはやるべきではなかろうか。
 そういう意味で通産省としては、今回のダイセルの事故は全国どこの地域にもこういう事故は起こるのではないかと思うわけなんです。だから、自治省あるいは消防庁で調べていらっしゃいますが、化学工場などの危険物施設は全国で約十二万カ所あることになっておりますけれども、この施設は消防法に基づいて基準に合格したものが許可され設置されておる、そしていろいろな指導をされているにもかかわらず、年間で百五十件、百六十件の事故が起きている。今回の事故を私見ましたときに、これは大変なことであったと思うのです。それと、今回のこのダイセルの工場が消防協定ができてないのです、調べましたら。堺・泉北臨海コンビナート、それのそれぞれの地域というものは消防協定がなされておりますが、これはその地域外であったがために消防協定等が結ばれてない。防災に対する取り組みというものが十分ではなかったんではなかろうか。こういう調べていけば不備な面が多々出ているわけなんですが、こういう点に対してやはりいま一度徹底的に実態を掌握するために総点検するなりそういう指導に本格的に取り組んでいただきたいと思いますけれども、これは関係各省の協力を得なくてはできませんけれども、通産大臣いかがでしょうか。
○説明員(福原元一君) 通産省といたしましては、過密過疎、これを同時に解消するということを目的といたしまして、工業再配置促進法という法律がございますが、これに基づきまして、人口、工業等が過密状況にあります移転促進地域から誘導地域への工場移転というものを促進しておるわけでございますが、今回事故のありました地域も移転促進地域の中に含まれております。したがいまして、もし工場が移転をするというようなことがあれば、このため国といたしましては税制あるいは金融上の措置、あるいは工業再配置促進費補助金あるいは団地造成利子補給金交付、このような施策を準備しておるところでございます。また、工場立地法に基づきまして工場立地の適正化及び環境整備、これらをあわせて進めておるところでございますが、今後とも先生御指摘の点に留意いたしましてこれらの諸施策を活用してまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 田代委員が具体的にいろいろと御調査をされておるわけですが、政府としましても、いま消防庁あるいは警察庁で鋭意調査を進めておりますし、通産省も通産省なりに調査をいたしておるわけでございます。この調査の結果、全貌を踏まえて、こういうことが二度と起こらないように何らか対策について検討しなきゃならぬ、これは通産省だけの問題ではなくて、やはり消防庁その他関係各省とも連絡をしながらそういう点について考えていかなきゃならぬ、こういうふうに存じております。
○委員長(降矢敬雄君) 時間が経過をしております。
○田代富士男君 私の質問時間がもうなくなりましたので最後に一問だけ申し上げますが、現場は非常に周囲を巻き込んだ大きな事故です。そこで、災害に遭われた住民のまず実態調査と、あるいは住居店舗等の速やかな修復あるいは損害補償、こういう面に対しましては誠意をもって当たっていただきたい。いま局長からの報告で重軽傷者が八名という、七十何名と来ているのが八名というそういうような実態の掌握であったならばとんでもないと思うのです。だから、そういう意味から会社が誠意をもってこういう解決に当たるように指導していただくことを約束していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはもちろん当然のことですから、通産省としても会社がこの問題を解決し、また死傷者に対して十分な措置を講ずるように指導してまいりたいと思います。
○市川正一君 ただいま問題にもなりましたが、二十一日には堺市のダイセル化学工場、続いて二十三日には四日市市の樹脂保管倉庫と相次いで化学工場、化学品倉庫が爆発炎上事故を起こしたことは、改めて化学工場の、あるいは石油コンビナートの危険性と安全対策の強化の必要性を提起したものであると考えます。
 私はここに議事録を持ってまいりましたが、三月の鹿島コンビナートの爆発事故の際に、四月一日の本委員会でこの問題を取り上げまして全国の石油コンビナートの安全面について総点検をするよう要求し、安倍通産大臣も総点検を約束なさいました。ところが、私ここに四月七日付の通達を持ってまいりましたけれども、通産省の総点検は、ハード面では鹿島の爆発事故と同じ重油直接脱硫装置についてだけであって、その他の危険設備、たとえばエチレンセンターとかナフサクラッキングなどは総点検の対象になっておりません、通達は四月七日付でありますが。しかし、重油脱硫装置だけではなしに、次にはエチレン関係なりあるいはナフサ関係で事故が起こるかもしれないのです。私は、今回の事故を機会に改めて石油コンビナートの重油脱硫装置以外の設備のハード面での総点検、いわば総点検の一層の充実、やり直しをこの際行うべきであると思いますが、大臣いかがでしょうか。
○説明員(福原元一君) 鹿島石油の事故を契機といたしまして、コンビナート総点検につきましては御指摘のとおり五十七年四月七日付で各都道府県知事あてに立地公害局長名で通達を出したわけでございます。コンビナート及びその他の地域の製油所に対して直ちに保安防災体制を中心として保安点検を実施するようにということで通達を出しまして、さらに今回、鹿島の場合重油直接脱硫装置の事故でございましたので、この装置につきましてはさらに加えて入念な点検をするようにというような指示をいたしたわけでございます。
○市川正一君 大臣、首をかしげていらっしゃるんですけれども、こうなっているんですよ。「とりあえずの緊急措置として今回事故が発生した装置と同種の装置である重油直接脱硫装置について、」云々と。ですから、そのときここにウエートを置くことはそれは理解できます。しかし、同時にナフサやその他いろいろハードの関係系統についてはやっぱりやる必要があると思うので、私は大臣にこの機会にそういう意味での文字どおりの総点検を行うべきであると、そういう理解で大臣いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いま立地公害局長が答弁をいたしましたように、鹿鳥コンビナートのあの事故を踏まえて総点検をしなきゃならぬ、こういうことで、四月七日にいまおっしゃるように「コンビナート事業所の総点検について」ということで通達を各県知事あてに出しておるわけで、総点検をするのは知事の責任においてやるわけですが、この趣旨に基づいて総点検が行われておるものと、こういうふうに考えております。
○市川正一君 時間がないのでやりとりいたしませんけれども、ここでは重油脱硫装置にウエートが置かれているんですよ。だけれども、私が言っているのは今度の堺の事故あるいは四日市の事故は、ほかにやはりこういう化学のナフサだとか、あるいはエチレンだとか、そういう分野について非常に危険が現実に起こっておると、そういう面も含めて重点的な総点検をもう一度強化していく必要があるということを申し上げているんで、そういうふうになさるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この総点検はコンビナートでやっておるわけで、今度の事故は御承知のように独立した事業所ということで、この総点検のいわば対象になっていないということが言えるんじゃないかと思うわけです。
 そこで、今度のダイセルの事故については、いま原因等について究明が行われておって、消防庁、警察庁等でやっております。通産省でもいろいろ調査しておりますが、その全貌をやっぱり明らかにしなければならぬ、明らかになった上でこの対応策というものは考えていかなければならない。いずれにしても二度とこういうことが起こらないように、これは政府としてできるだけのことを考えるのは当然のことであります。通産省だけの所管の問題ではないのですが、ほかの関係各省とも相談をしてこれに対する対応策というものは考えていきたいと、こういうふうに思います。
○市川正一君 次に消防庁に伺いたいのですが、今度の事故の共通した特徴は、両方ともに住宅密集地で発生していることであります。たとえばダイセルの場合には、先ほどお話があったように従業員だけでなしに多数の周辺の住民が重軽傷を負っています。そうして半径約五百メートルの周囲で商店とか民家等の窓ガラスが割れたり看板が飛ぶなどの爆風の物すごさを示している。ところが現行の消防法に基づくコンビナートの危険物の規則に関する政令によりますと、住宅は危険工場から十メーター、学校や病院では三十メーター離れておればいいということになっておりますが、これは実態と著しくかけ離れておる、当然私は危険工場の実態に合わせて工住間の距離をもっととるように必要な法令の改正を行うべきであると考えますが、この点、いかがでしょうか。
○説明員(清野圭造君) 保安距離の問題でございますが、製造所等の危険物施設につきましては、現行の消防法におきまして住宅や学校、病院等に対しまして一定の保安距離、ただいま御説明ありましたような保安距離を保つべきことが定められておりますが、この規定はこれらの製造所等の火災が発生した場合、延焼防止とか避難時間等を考慮して定められておるわけでございます。この距離は本来、要するに個々の危険物が住宅等に対して保つべき距離として定められておるのでありまして、工場それ自体といいますか、工場全体、あるいは工場と住宅との関係において工住分離といいますか、そういった関係において規制がなされておるという、いわば面的な面での規制ということではございませんで、そういったことになりますと、都市づくりでありますとか都市計画あるいは工場立地といったそういったさらに広い観点からの考慮が必要になってくるのではないか。したがって消防法だけによって規制するということになりますと、多少やはりそこには限界があるのではないかというふうに考えておるわけであります。
○市川正一君 私は重ねてやっぱりそういう延焼ですね、そういうものを基準にしたいまの対応、そういう認識それ自身がずれている。だからこの点はぜひ真剣に今度の事故などを土台に検討していただきたい、こう思います。私は、問題の提起だけにきょうはとどめさせていただきます。
 もう一点は、報道によりますと、先ほどもありましたように、ダイセルが四十時間前にもプラントがまが小爆発事故を起こしていたのでありますが、これが消防本部に届け出が出されていない。私は今回の大事故は結局ダイセルのこうした秘密主義あるいは事故処理後の対策の無責任性、これが誘発したと言わざるを得ぬのでありますが、事実関係も含めて消防庁の見解を簡潔に伺いたいと思います。
○説明員(清野圭造君) 消防としてこういった危険物施設に対処する場合、数多くありますプラントの工程内容についてすべて熟知するということは実際問題としてなかなか困難であろうかと思いますが、危険物施設の性質とか内容等について理解を深めておくということは当然必要だろうと思います。
○市川正一君 いや消防庁の責任を追及しているんじゃなしに、私はダイセルがけしからぬじゃないかと言っているんで、あなたはどない思います、といって聞いているんです。
○説明員(清野圭造君) 今回の件につきましては、地元の消防からの報告によりますと、保安上の問題点として定期点検とかそういった義務づけがなされておるわけでございますが、そういった点については規定どおりのことがなされていたようでございます。しかし、先ほどのお答えにもありましたように、一次爆発の事故後に通報がなされなかったというような事情もございますので、こういった点についてはやはり遺憾であるというふうに考えております。
○委員長(降矢敬雄君) 時間です。
○市川正一君 時間が参りましたので、最後に通産大臣にお伺いいたしたいのでありますが、通産省は早速今度の事故に関して石油化学工業協会それから日本化学工業協会に対して安全対策について八月二十四日付で通達を出していらっしゃいます。適切な指導、指示をなすっていらっしゃるわけですが、私それにとどまらずに、通産省としていま申し上げたようなダイセルの今度の責任、その上に立って周辺住民に与えた損害、また労働災害に遭った労働者に対して十分な補償措置をとるよう強く指導なさるべきだと思うのでありますが、大臣の所見を承って質問を終わります。
○国務大臣(安倍晋太郎君) このダイセルの事故が起きまして早速、いまお話しのように基礎産業局長から日本化学工業協会、石油化学工業協会あてに「保安対策の推進について」ということで通達を出しております。これは厳重にひとつ守らせなきゃならぬと思いますし、同時にまたこの事故によって亡くなられた方あるいはまた負傷された方に対する補償措置等について、これはもうダイセル、会社がやることでありますが、通産省としても十分なこれに対する措置が講ぜられるように指導をしてまいりたいと思います。
○市川正一君 がんばってください。
 終わります。
○委員長(降矢敬雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこれにて終了いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(降矢敬雄君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 市川正一君が一時委員を異動されたことに伴い理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(降矢敬雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に市川正一君を指名いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十九分散会