第096回国会 決算委員会 第6号
昭和五十七年四月二十一日(水曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     岡部 三郎君     梶木 又三君
     市川 正一君     安武 洋子君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     梶木 又三君     岡部 三郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         和田 静夫君
    理 事
                井上  孝君
                亀井 久興君
                高橋 圭三君
                内藤  健君
               目黒今朝次郎君
                峯山 昭範君
    委 員
               大河原太一郎君
                岡部 三郎君
                河本嘉久蔵君
                北  修二君
                塚田十一郎君
                仲川 幸男君
                福田 宏一君
                降矢 敬雄君
                円山 雅也君
                森山 眞弓君
                粕谷 照美君
                本岡 昭次君
                鶴岡  洋君
                安武 洋子君
                柄谷 道一君
                森田 重郎君
                中山 千夏君
   国務大臣
       農林水産大臣   田澤 吉郎君
   政府委員
       人事院事務総局
       職員局長     金井 八郎君
       総理府人事局長  山地  進君
       農林水産大臣官
       房長       角道 謙一君
       農林水産大臣官
       房経理課長    宇賀神治夫君
       農林水産省経済
       局長       佐野 宏哉君
       農林水産省構造
       改善局長     森実 孝郎君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     小島 和義君
       農林水産省畜産
       局長       石川  弘君
       農林水産技術会
       議事務局長    岸  國平君
       食糧庁長官    渡邊 五郎君
       食糧庁次長    中山  昇君
       林野庁長官    秋山 智英君
       水産庁次長    山内 静夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        丸山 利雄君
   説明員
       行政管理庁行政
       監察局監察官   橋元 徹志君
       経済企画庁調整
       局経済協力第二
       課長       西谷 浩明君
       環境庁長官官房
       審議官     日下部甲太郎君
   参考人
       大蔵省主計局主
       計官       公文  宏君
       大蔵省国際金融
       局投資第一課長  石川 光和君
       資源エネルギー
       庁石油部石油企
       画官       塚本  弘君
       会計検査院事務
       総局第四局長   高橋  良君
       日本専売公社原
       料本部長     後藤  正君
   参考人
       農林漁業金融公
       庫総裁      中野 和仁君
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  本日の会議に付した案件
○昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算、昭和五
 十三年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十三年
 度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十三
 年度政府関係機関決算書(第九十一回国会内閣
 提出)(継続案件)
○昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算
 書(第九十一回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十三年度国有財産無償貸付状況総計算書
 (第九十一回国会内閣提出)(継続案件)
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○委員長(和田静夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 昭和五十三年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算について審査を行います。
 この際お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 質疑通告のない中野農林漁業金融公庫総裁は退席していただいて結構です。
 それではこれより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○目黒今朝次郎君 時間が少のうございますから、会計検査院や行管の指摘事項について、もしも私の質問の中身が間違っておったら、会計検査院並びに行管の方から御指摘願いたいと思うんでありますが、私の手元にある資料を中心に質問しますので、会計検査院と行管の政府委員の方については御了解願いたいと存じます。
 まず、会計検査院の五十三年度の不当事項について農水大臣にお伺いいたします。
 手元に資料をもらいまして、各省庁別の五十三年度決算の不当事項を眺めますと、農林水産省の指摘事項が一番多い、百六十四件あるうち三十七件が農水省、全体の約二四%近くが件数においてあるわけでございます。私は、ちなみに五十二年度がどうだったのかなと見ますと、五十二年度も全省庁で農林水産省が一番多い、二年連続多いんですが、農林水産省が会計検査院の不当事項がこのように非常に効率が高い。逆に見れば成績が悪いと、こういうことについて、一体担当大臣として、会計検査院の報告を受けて、省内に対してどういう態度でこの会計検査院の指摘を受けとめ、それを農林行政の面に生かそうとしておるのか。まず基本的な大臣の見解をお伺いしたいと、こう思うんです。
○国務大臣(田澤吉郎君) 御指摘のように、農林水産省の会計検査院からの指摘事項は確かに多いのでございますが、これは御承知のように、農林水産行政は多岐にわたるものでございますので、それだけに指摘事項が多いのじゃないかと思います。しかし、御指摘の面は十分私たちとしても反省してまいらなければいけない。また、時代の動きが非常に大きく変化してまいりますので、それに農林水産事業というものはなかなか伴わない面が非常に出てまいります関係もございまして、そういう現象が出てまいると思います。しかし、私たちとしては、今後も十分この点を通達をもって、今後とも注意をして、このようなことのないように厳重なる通達での警告を発しておるのでございますので、その点御理解をいただきたいと思うのでございます。
○目黒今朝次郎君 会計検査院にお伺いしますが、いま言ったとおり、五十二年も、五十三年も他の省庁に比べて高いんですが、いま大臣の答弁したことが五十五年の会計検査、この際にも件数としては減っているのか、横ばいか、上がっているのか。五十四年、五十五年度二カ年の件数の状況について、把握していればお知らせ願いたいと、こう思うんです。
○説明員(高橋良君) いま大臣から御答弁がありましたが、農林水産省の対象が非常に多いということから、全省庁の中では指摘が非常に多くなっております。それで、いま先生のお話しの五十五年度の指摘の問題でございますが、五十三年度に補助金関係で三十五件の指摘をしておりますが、五十五年度は二十件になっております。ただし、この二十件というのはそう低い数字ではございません。内容を見ますと、工事の施工不良といったものは減ってきておりますが、補助目的の不達成といったものがふえておりますので、こういった点につきましては、なおわれわれとしても十分検査してまいらなければならないと、かように考えております。
○目黒今朝次郎君 大臣、御指摘のとおりなんで、いまの大臣答弁が決算委員会における単なる答弁でないように、さらに低姿勢な行政についての御留意をお願いしたいと、こう要請しておきます。
 それで、私この中身を見まして、農林水産省の補助金、特に公共事業の中でどういうところにミスがあるんだろうかなと見てみますと、設計が適切でないというのが十件、工事費の積算が適当でないのが二件、工事の施工が不適当だというのが八件。こう見ますと、設計段階の誤りといいますか、設計段階の誤りというのは、きょうび私も技術屋の端くれだけれども、ちょっとぴんとこないですがね。悪名高い国鉄も、設計がちょっと誤れば脱線転覆してしまう。鉄橋でも少し設計段階で誤ってしまえば大変な社会的な事故を起こす。したがって、設計というのはずいぶんわれわれが図面を引く際には、土木も機械も電気も、相当慎重に慎重に設計の線を引くわけでありますが、設計段階で誤りがあるというのは、やはり別な面から見れば問題じゃないか。設計をきちんとして、施工段階で談合とか、何とか絡んでこの問題が出てくるというならば、それなりに他動的な問題もありますが、設計段階で誤りを犯すというのは、もうあくまでも自動的だとこう思うんですがね。この辺の関係について大臣が無理であるならば、政府委員の段階でどういうことなのか、この件について、かかわり合いについてお答え願いたい。そして、どういう方向でそれを直そうとするのか、御答弁願いたいと思うのであります。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のございました設計のミス、多少例示的に申し上げます方がわかりいいと思いますので、例示的に申し上げますと、一つは通過交通量を非常に過大評価して、頑丈過ぎる欄干をつくったというふうな設計ミス。それから透過水量の水量の把握なり、想定が少し過大であって、必要がない透水管をつくったというふうな設計ミス。それからもう一つは、自動車の荷重を非常に安全性を過度に見て、パイプラインの設計に当たって管の厚さを少し厚過ぎる管を使ったという指摘とか、こういったふうに、主として安全性の過大評価による設計ミスという点についての指摘が中心だろうと思っております。
 土地改良事業の設計につきましては、経済性、安全性と施工の可能性という三点を頭に置いて設計が行われなければなりませんし、そのためには基準を設けておりますが、やはり個々の技術者の判断で、一つのアローアンスもあるわけでございまして、まあ現場の技術者が構造物の安全性を重視する余り、必要以上の設計を行ったということは否めないところでございます。
 御指摘の例につきましては、所要の改善措置を講じましたが、今後も安全性も重要でございますが、経済性の問題というのはやはり国の税金の執行に当たっての問題でございますから、非常に大事な問題でございますので、過大な設計にわたりませんよう、具体的にそれぞれの出先機関、また補助事業については、各県土地改良区等に対する指導を徹底さしてまいりたいと思っております。
○目黒今朝次郎君 素人ならそれで通るけれども、私も前段で申し上げたように技術者の端くれですから、安全性、安全性と、それは私も安全大事だからいいですよ。しかし、少なくても設計基準というのがあるんでしょう。設計基準があるんですから、やはり設計基準に適合する設計をするというのが、私はやっぱり基本でなければならんと、こう思うんですよ。ですから、この資料見ますと、岡山県の小田郡の矢掛町、それから美星町に至る広域営農団地の基幹農道、この設計などは安全と言えないね。亀裂が生じて使いものにならん。だから必ずしもあんたが言ったとおり、安全だけじゃないでしょう、こういう不安全もあるんですから。ですから、これ以上追及しませんが、少なくとも設計の段階では、設計基準がなければ設計基準をきちんとつくって、その設計基準に見合うように設計をする。しかし、他動的な問題もありますから、どうにもならん場合はそれにプラスアルファして、さらに安全を期すと、そういう点は私は会計検査院が指摘する事項ではないと思うんですがね。これ会計検査院どうですかな。設計の段階で、設計基準ありますな。設計基準より若干まあいろんな条件から考えて、プラスアルファをした方が安全だという場合でも、これは設計のミスになるんですか、おたくの会計検査院の指摘事項の。私は、そこまでは常識的にある程度会計検査の段階で説明すれば、わかったということになって、指摘事項までは載らないと、こう思うんですが、この点は会計検査院どうですか。
○説明員(高橋良君) 御指摘のとおりでございまして、私ども形式的に設計基準を当てはめて云々するというようなことはやっておりません。現実に指摘します場合には、ある程度現象的なものが出ているかどうかといった点についても十分見ることにいたしております。
○目黒今朝次郎君 これ以上追及しませんが、そういうことですからよろしくお願いしたいと思います。
 それから、物件関係で、このえさ用の外国産の麦の政府備蓄について、この問題について指摘があるわけでありますが、中身は言いません、きのうレクチュアの際に言いましたから、時間が痛ましいから。この件について、一体農水省はどういう受けとめ方をしておるんでしょうか。御答弁願いたいと、こう思うんです。
○政府委員(石川弘君) 五十四年の八月に飼料用外国産大麦の政府備蓄につきまして、ちょうど過剰米が発生をいたしてきておりましたので、これが存在いたします間は、食管特別会計で保有しております備蓄大麦にかえたらどうかという御指摘がございました。私どもといたしまして検討を重ねました結果、過剰米が相当在庫いたしておりますし、それが結果的にはえさに処分をせざるを得ないという状況でございましたので、五十四年の十一月に、当面備蓄大麦の新規積み増しは中止をするという方針を立てまして、さらに、品質が低下いたしました場合の更新に際しましても、かわるべき過剰米があるわけでございますので、その更新をしないという方針を立てまして、会計検査院にその旨回答いたしております。それを実行いたしておりまして、五十三年では三十七万トン程度の備蓄大麦を持っておりましたが、積み増しをしないことと、それから更新を取りやめましたことによりまして、五十六年度末にはそれは十六万トン程度のものとなっております。
○目黒今朝次郎君 この会計検査院の指摘に従って、五十四年の十一月以降買い入れ中止の措置をとったと、これは間違いありませんか。
○政府委員(石川弘君) 買い入れではございませんで、積み増しをすることをやめております。積み増しと、それから更新をやめております。
○目黒今朝次郎君 そうすると、会計検査院が指摘する買入金が六十一億、保管料五億、六十六億ですね。これはあなたの説明では、五十四年の前からこういう古々米をえさに振りかえるという措置はやっておったんですか。そして、五十四年の十一月はその積み増しとか、更新といいますか、それだけを中止したと、こういう受け取り方でいいんですか。
○政府委員(石川弘君) 積み増しは、御承知のように四十九年の穀物ショックのありましたときに、民間の穀物につきましては、民間が持ちますことにつきまして金利、倉敷料を補給すると、それから政府が持っております大麦につきましては、政府自身の責任において積み増すという方式をとったわけでございますが、御承知のように、この時点、指摘がありました時点にすでに過剰米の発生が起こっておったわけでございます。その時点では直ちにえさに処分をするという状況ではございませんでしたが、御指摘がありました時点には、もうこれは古々米、あるいは三年古米というような形でえさに処分をせざるを得ないということでございますので、新規の積み増しを中止すると同時に、現在持っておりましたものが、更新期に入りまして、更新することも取りやめたということでございます。
○目黒今朝次郎君 それと、あと会計検査院にお伺いしますがね、この検査報告書を読む限りにおいては、いま農水省から答弁したことがちっともかみ合わないんですがね。簡単に言えば、いわゆる古々米をえさに振りかえるということは、会計検査を受けた時点ではもうやっておったと、そういうことですか。
○政府委員(石川弘君) 古々米を処分するという方針を固めておりました、すでに。これは食糧庁の方針としてそういう方針は固めておったわけでございます。
○目黒今朝次郎君 固めておったけれども、まだやらなかったんですな。ずばり聞くと、この会計検査院の指摘があって、初めて積み増しを中止したと、こういうふうに受け取っていいか。方針は方針ですから。いつから実施したかという実施は、この会計検査院の指摘に従って実施をしたと、こういうふうに受け取っていいのかどうかですよ。
○政府委員(石川弘君) 積み増し計画を中止したということは、御指摘があってからでございます。
○目黒今朝次郎君 そうすると、私は農林水産委員会なり、いろんな段階で、この古米とか古々米のえさ用への転換、そういうことについては何回か私は指摘されておったと思うんですね。私も指摘したことを振り返ってみれば覚えています。あれは四十九年にお世話になりましたが、何といっても私も東北ですから、古米、古々米の本場ですから。だけれども、なかなか問題がある、問題があると言って、えさ米に振りかえてもらえなかった。会計検査院に言われると簡単に振りかえる。悪い言葉で言えばね。農林水産委員会の議論の際には、なかなか言を左右にして古米とか、古々米のえさ用については云々と、そういう受け取り方をしたものですから、私はずばり言えば、会計検査院に指摘される前に、大体古米と古々米のえさ用への転換、成分というのは農林省が当然行政として一番わかっているはずだと、会計検査院よりも。だから、会計検査院の指摘があって初めてやるということは行政の後追いじゃないかと、もう少し積極性があっていいじゃないかということを私は問題として提起したかったのです。その辺の関係はどうですか。
○政府委員(石川弘君) 古米処理につきましては、御承知のように、一番価格の高い工業用から、それから輸出用とか、要するに国損を少なくするという意味で、極力有利な処理をしたいというのが食糧管理特別会計の考え方として一つございます。それと、これは振りかえたと申しましても、えさ用の大麦をやめて、そのかわりにえさ用の米に振りかえたということではございませんで、中身は、これはあくまで備蓄でございますので、いざというときに放出しなきゃいかん大麦を実は持っていた。しかし、いざというときに放出すべきものに代替すべき、いわゆるえさに払い下げるような古々米があるということでございますので、わざわざ管理費まで持ってこれを持ちか見る必要はないということで、置きかえをしている、要するに備蓄の置きかえをしていることでございまして、えさ用大麦は、御承知のようにどちらかと申しますと、肉用牛の最後の仕上げの段階のえさでございます。それから、えさ用のいま払い下げております米は、どちらかというと配合飼料用、中小家畜に与えられるものでございまして、これは置きかえたと申しますよりも、御指摘を受けて直しておりますのは、わざわざ備蓄用に持つときに大麦についてそういう万が一の場合、万が一起こった場合にかわり得べきものが片っ方にあるから、管理経費等よけいかかる大麦の備蓄はこの期間一時縮小したらという御指摘でございます。したがいまして、私どもはその線に沿ってやっているわけでございます。
○目黒今朝次郎君 会計検査院はいまの答弁で食い違いないんですか。
○説明員(高橋良君) 当分中止するという点については私ども一致しております。
○目黒今朝次郎君 そうすると、古々米がある間は、大麦の輸入は一時といいますか、輸入を停止する、停止というか輸入を見合わせると、そういうふうに理解していいんですか。
○政府委員(石川弘君) ちょっと誤解がありますといけませんので、輸入を中止してるんではございませんで、年間に大麦がある程度のえさとして売られていることは事実でございますが、その売られるものの外枠に、当時の計画としますと最高約四十万トンでございますか、それくらいのえさを持っていて、万が一外国から大麦の輸入がとだえたときに備えるというのが備蓄でございます。しかし、現に万が一のときならば、置きかえ可能な何と申しますか飼料に、えさに回せる古々米があるというそういう事態のときに、さらに積み増ししておく必要はなかろうという御指摘でございまして、そういう面では確かに万が一を考えてのことでございますので、そういう備蓄を外側に積む、多額に積み上げておく必要はなかろうということで、当分積み増しなり、あるいはそういう計画に従った備蓄をするということをやめているわけでございます。したがいまして、大麦を何と申しますか、売らなくして、米をその分に充てるということではないわけでございます。
○目黒今朝次郎君 だから、大麦三十七万二千トンが品質低下した場合の補充分について買い入れをやめ、前に述べた過剰の古米が備蓄大麦に代替し得る間はこれを活用し、大麦の備蓄に伴う財政負担の軽減を図るべきだと、こういうことはいわゆる補充の振りかえの際、この古々米がある間は古々米を振りかえて、大麦の輸入を当分見合わせた方がいいじゃないか。その金が五十四年度で買入金が六十一億、保管金が五億円節減できると、こう書いているんですから、節減できるということは買わないということでしょう、違うんですか、これはどこからか金出すんですか。古々米を保管しておって、補充分を買わないというんでしょう、買入金が六十一億節約というから買わないということでしょう、違うんですか、会計検査院、ちょっとあんた会計検査院の文章ですからね、会計検査院答弁してください。六十一億円と保管料五億円程度が節減できると、こう書いてあるんですから。節減できるということは買わないということでしょう。
○政府委員(石川弘君) 誤解ありますといけません、もう一度はっきりお答えいたしますが、要するに通常の売買操作がございますが、買って売る、買って売るということをやっておるわけでございますが、その外側に備蓄用に積み増しをしていったと、それはやめるということでございます。したがいまして、その分は御指摘のとおり買う量も減りますし、減ってきたわけでございますし、それから更新もしませんし、保管経費が下がってくるといういまのお読みになりました文章のとおりの効果があらわれるわけでございます。
○目黒今朝次郎君 わかったようなわからないような、ごまかされちゃったみたいだが。じゃもう一つ、この徳用上米原料米穀の売り渡し価格というのが指定されているんですが、これはどういうことですか。
○政府委員(渡邊五郎君) 徳用上米の原料米の御指摘がございました。これは米価算定の基礎になります搗精歩どまりにつきまして、通常米価水準の連続性なり、あるいは安定性という観点から著しい変化がないと認められる場合におきましては、あえて変更を行わないということになっておりまして、四十七年九月に見直しをいたしました結果でも、それまでのとれました八六・三%という歩どまりをそのまま適用してまいったわけでございます。ただ、その後搗精技術の進歩などによりまして三等玄米の歩どまりが私どもの施設の研究、検証では若干歩どまりに変更を来しているという事実はございましたが、従来の方針もございますし、長年にわたって適用してきた基準歩どまりを改めるにはなお試験研究なり、検証が必要だろうということでございました。会計検査院から指摘がございまして、私ども試験研究を進めてまいりましたが、そのために改定がおくれたということは私ども非常に遺憾に存じております。そこで、御指摘どおり、今回この歩どまりを改定したわけでございます。
○目黒今朝次郎君 これも私は、この会計検査院の指摘ということもさることながら、やる気がないと私は思うんですよ、食糧庁。これはおたくの方はいまあんたが答弁したとおり、歩どまり八六・三、これは日本穀物検定協会の依頼でやったと、これはちょっと若干やっぱりあんたのいうとおり、時代の進展に従って手直しする必要があるということで、四十五年に食糧庁に米穀加工技術センターを設けているんですね。四十五年に設けて会計検査院が指摘したのが五十三年でしょう。あれこれ七、八年だね、歩どまりの検定に七、八年もかかるんですか、農林省の現在の技術から見て、私は二、三年でできると思うんですよ。この歩どまりの修正が必要だとおたくが受けとめたのはいつごろですか。四十五年にこう技術センター設けましたね。技術センターで歩どまりの改定が必要だと、そういう技術的な認定を持ったのはいつごろですか。
○政府委員(渡邊五郎君) 米穀加工技術センターにおきまして、私ども研究した結果におきまして、四十七年の時点におきまして研究を始めましたが、私どもその試験研究結果が直ちに基準改定に及ぼすべきかどうかという点について若干慎重を期したことは事実でございます。そうした点で改定がずれたということは私どもとしては遺憾に存じております。
○目黒今朝次郎君 私も農業やった経験あるんですが、いまの機械農業は知りませんが、もう子供のときから米と一緒に育って、東北の農家の息子ですからね。その歩どまりの改定に二年も三年もかかる、これは田澤大臣だって青森、私も仙台ですよ。東北の米だって、二年か三年たてば、それは歩どまりぐらいの結論出るんじゃないですか。農林大臣、あんたは東北の人間だから、この徳用米の歩どまりの改定に、そんなに三年も四年もかかりますかね。私ら子供のとき、子供と言うと語弊ありますが、農業委員というのがおりましたが、私ら子供のとき、農業委員だってやったって、そんなにも三年も四年もかかるこの歩どまりじゃないと。現在のように技術が進展すれば、一、二年で一定のめどが出るんじゃないかと、こう私は経験的に思うんですがね。農林大臣も経験的に歩どまりの改定にそんなにかかりますかな。大体めどでどのぐらいだと思うんですか、大臣あんたも専門屋だから。
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに技術的な面でその歩どまりの研究は終わるとしましても、それを政策に取り入れるにどうしたらよろしいかという問題で、食糧庁が苦慮した時間が少しあったということだと思いますので、歩どまりそのものの研究はそんなにむずかしいものじゃないだろうと、こう思います。
○目黒今朝次郎君 私も大臣の方が正直だと思うんです。だから、四十七年にこれは八六・三の歩どまりの修正の必要が認められたけれども、いろんな政策の調整があってついついおくれてしまったと。だから、会計検査院に指摘されて。五十四年の十月にやりましたと素直に答えた方がむしろ素直じゃないですか。ですから、私はやっぱりその点は食糧行政のあり方についてひとつ苦言を呈しておきます。何のためにといったって、あなたの首がかかっているから、前任者がやったことですからね、どうこう言いません。しかし、これだけでも年間十三億の節約になると、こういう御指摘ですから、ですから私はやっぱりこういう問題については、一定の研究が出れば早い機会に踏み切るという政策とをかみ合わせる努力をしてもらいたいなと、こう要望しますが、いかがですか。
○政府委員(渡邊五郎君) 先ほどの説明で若干私の説明の訂正がございますが、四十七年時点ではこれを改定する結果は出なかったわけでございますが、その後技術の検査等の結果、改定の必要性が出てきたことは事実でございます。ただ、基準の適用につきまして、私どもの手順がおくれたという点については遺憾に存じますし、今後こうした研究につきましても、さらに引き続き努力をいたしまして、適正な基準適用を図ってまいりたい、このように考えております。
○目黒今朝次郎君 時間がないから、それは要望しておきます。
 次は、林業構造改善事業で二つ三つお伺いいたします。
 まず、行管にお伺いしますが、この報告書を読ませてもらいました。ただ読んで感じたことは、いわゆる将来の林業の担い手という問題にほとんど触れていない、こういうふうに私は受け取ったんですが、行管は林業構造改善事業で、いわゆる担い手である労働力に関心がないのか、あるのか、その辺のことの認識の仕方について行管の方にお伺いいたします。
○説明員(橋元徹志君) 行政管理庁としましては、林業の担い手につきましても、非常に大事な問題であるというふうに理解はしておりますけれども、この林業構造改善対策に関する行政監察は、林業構造改善事業と、林分改良開発事業を対象として実施しておりまして、林業労働力対策につきましては調査をいたしませんでした。そのために、林業労働力の養成及び確保についての勧告には至らなかったということでございます。
○目黒今朝次郎君 いや、林業構造改善をやるのに、基盤整備とか、森林組合の共同化とか、あるいは機械の導入とかという点はそれなりに私は否定しません。しかし、その機械を導入し、山で伐採し、苗を植える、山の手入れをする、これは国有林、民有林を問わず。そこで働く人がいなければ何が林業構造改善ですか。その点はわかりませんかな、物と人があって、初めて林業は成り立つんでしょう。機械の方だけどんどんどんどん、そっちだけやっておって、肝心かなめのそれを担う労働力、あるいは担い手ということにメスを入れないで何が成り立つんですか。機械を入れたってだれがそれを運転するんですか、操縦できるんですか。それは片手落ちな林業構造改善事業であると思うんですが、いかがですか。
○説明員(橋元徹志君) 御指摘のとおり、労働力の確保については、林業行政上非常に問題があることは承知しておりますけれども、ただいまも申し上げましたとおり、林構の監察におきましては、林業労働力対策の行政につきまして対象としませんでしたので、大事だとは思いますけれども、その点指摘できなかったということでございます。
○目黒今朝次郎君 じゃ、いつやるんですか。
○説明員(橋元徹志君) 今後検討してみたいと思っております。
○目黒今朝次郎君 そうすると、この構造改善事業の勧告は片手落ちということですな。こっちの基盤整備とか、林業組合とか、機械の方は監察したけれども、それを受け持つこちらの万があって初めて車の両輪で、片車だけではこれは当を得ない御指摘だと、こういうふうにこの決算委員会としては理解せざるを得ないんですが、その点はどうですか。
○説明員(橋元徹志君) 労働力面の調査に至らなかった点については御指摘どおりだと思いますけれども、この監察で指摘しておりますいろいろな改善策については、農水省におきましても十分対応していただいておりますので、この監察自体の効果はあるというふうに理解はしております。
○目黒今朝次郎君 じゃ大臣、伺いますが、いま監察官から森林組合とか、機械の導入とかという話があったんですが、森林組合とか、機械を動かす担い手に全然触れていないんですが、私これを何回読んでも出てこないんですよ。これでは私は山つくりは片手落ちだと、自然を守るということは片手落ちだと、こう思うんですが、やはり早急にその労働の担い手、林業の担い手といいますか、国有林民有林を問わず、そういうものは早急にやっぱり監査なり、検討なりして、初めて山つくりというのが成り立つと、こう思うんですが、大臣の見解いかがでしょうか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 森林、林業の現状は、御承知のように、最近の景気の動向により決して、住宅の着工率が非常に下がっているという関係から、やはり国内林業活動というのは非常に停滞しております。ですから、伐採だとか、間伐だとか、造林等の作業が非常におくれているわけでございまして、それを補うために、林業構造改善事業を着々と進めているわけでございますけれども、しかし、いま御指摘のように、やはり担い手がなければ、働く人がなければ、真の意味での森林、林業の振興になりません。したがいまして、最近の動向は、五十年以降やはりこの林業就労者がだんだん減ってきております。また、老齢化もしているわけでございますので、私たちとしては、グリーンマイスター等の育成によって、いわゆる労働者の就労対策を考えております。また、私は林産集落振興対策というものをこの予算で特に設けまして、やはり森林を中心とした定住構想というものを考えて、森林、林業を中心として、その他のいわゆる輪作によりまして、そこに人が住めるような形をつくることが、これからの大きい森林、林業の振興になるだろうということを考えまして、いまこれを今年度から進めようとしているわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、御指摘のように、林業の担い手の必要性というものを十分感じておりますし、今後もその対策に積極的に取り組まなければならない、かように考えております。
○目黒今朝次郎君 林野庁長官にお伺いしますが、この勧告は、この森林組合の共同化というやつを大きく打ち出しているわけでありますが、私も北海道から沖繩まで年に二、三回山を歩いてきますが、やっぱりこの森林組合ということはいいんですけれども、なかなかその正体がわからないといいますか、零細企業という点が非常に多い。したがって、森林組合の育成強化ということが、労働基準法に示す正しい労働条件を守るし、あるいは働いている民有林の皆さんについても、健康保険なり、年金なり、退職時などの社会保障的な裏づけもしてやるという点では、この森林組合の肉づけ、共同化という点は、目標としては大事だと思うんでありますが、そのてこ入れの仕方が、やっぱり働く担い手を大事にするということも忘れないで、森林組合の育成ということをやる必要があると、このように私は基本的に思うわけでありますが、いまの林業の担い手との関連で、森林組合に対する林野庁の指導方針、この勧告を受けた指導方針などについてお聞かせ願いたいなと、こう思うんですが、いかがですか。
○政府委員(秋山智英君) 先生御指摘のとおり、これからのわが国の林業を振興するに当たりましては、担い手がきわめて重要でございます。そこで、私どもこれまでも森林組合の作業班等を拡充強化いたしまして、協業で仕事を進める、造林事業、あるいは伐木事業を進めてまいるということで、鋭意努力をしてまいっておるところでありまして、ただいま造林事業等につきましては、森林組合が大体五〇%を超えるぐらいの仕事をしておりますし、素材生産の方も逐次拡大してまいっておりますが、今後は零細の森林組合を合併いたしまして、大きな規模に持っていきながら、その活動をより一層高めてまいりたいと、かように考えて進めておるところであります。
○目黒今朝次郎君 長官、大臣が言ったとおり、担い手も車の両輪ですから、これをやったことについては、私は悪かったとは言いません。したがって、将来の担い手の展望がどうあるべきか、国有林、民有林の状況がどうあるべきかということについても、重大な関心を持って所要の措置をしてもらうようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○説明員(橋元徹志君) 今後とも重大な関心を持って対処したいと思っております。
○目黒今朝次郎君 では、それを要請いたしまして、質問残りましたけれども、きょう時間が四十分に減らされたので、きょう質問できなかった通告した件は、総括質問で続行いたします。
 終わります。
○本岡昭次君 昭和四十二年着工、昭和五十五年完成予定で取り組まれた加古川西部農業水利事業というのがございます。この水利事業がいまだに完成せず、今後の見通しもはっきりしない状態で、大変地元の方では不安に感じているんですが、この工事の大幅遅延の原因、あるいは責任、そして今後の対応について質問をしたいと考えています。
 そこで、まず事業計画についてでありますが、この兵庫県の加古川中流部右岸に位置する加西市、小野市、西脇市、滝野町及び八千代町の田畑四千八百五十ヘクタールに農業用水を配水し、また西脇市周辺に工業用水を供給するため計画されたこの糀屋ダム建設、それに伴う加古川西部農業水利事業のこの計画の工事の現在の進捗状況、そして、それがいつ完成をするのか。その点について説明をいただきたいと思います。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のございました加古川西部の水利事業でございますが、当初の予定は、これは正式の計画ではございませんが、一応の見積もりでございますが、四十八年完成ということでございました。諸般の理由が累積いたしまして、いまの時点では五十九年完成という見込みをつくっております。
 こういった工期が非常に延びました理由というのは、率直に申しますと、水源地の権利関係調整に非常に長期間を要したわけでございます。具体的には、水源地の用地交渉、それから下流の既得水利権者の同意取得ということが一つの大きな問題だったと思います。それから、さらに全体といたしましては、全体の公共事業の予算の伸び悩みの中で、工事単価は年々全事業を通じて上昇してきておりまして、そういった点でなかなか事業の進捗が図れなかったということは事実でございます。
 計画の内容につきましては、今後計画変更の手続が要るわけでございますが、受益面積は、当初の計画では四千八百五十ヘクタール、用水改良四千百二十ヘクタール、畑灌四百五十ヘクタール、それから農地造成が二百八十ヘクタールということになっております。
 事業費は、出発時点では約五十五億の事業費を予定したわけでございますが、現在はその後の物価改定等を媒介といたしまして、大体主要な理由は七五%が物価改定、二五%が設計変更でございますが、約二百四十六億ということを五十六年ベースでは織り込んでおります。
○本岡昭次君 私の質問したことに端的に答えていただきたいんです。完成予定は五十九年見込みとおっしゃいましたが、五十九年に完成するんですか。
○政府委員(森実孝郎君) 先ほどちょっと私触れましたが、現時点では五十九年を目標にしているが、なかなかむずかしいので、若干のおくれが生ずるのではないだろうかというふうに見ておりますが、確定的にはまだ申し上げられる段階ではございません。
○本岡昭次君 四十二年に始まったこの計画が、四十八年に何とかできるんではないかということでやったけれども、見込みが立たん。いまでは五十九年、しかしそれも望み薄、まだはっきりわからんと、こういうことでは困るんじゃないですか。少なくとも五十六年の今日の時点だって、五十九年の見込みということが、可能性があるのかないのか。なければ、それでは一体何年たてば完成するのかということでなければ、一体地元の関係者はどのように対応したらいいんですか。そんなでたらめな話ってないでしょう。
○政府委員(森実孝郎君) 先ほど申し上げました水源地にかかわる用地補償交渉、それから下流水利権者との調整、一連の問題は、大半は五十六年度の時点で解決し、残された幾つかの問題も五十七年中には解決するであろうと見ているわけでございます。
 そこで、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、五十九年を目標として進めたいと思っておりますが、率直に申しまして、今後どういったふうな公共事業の予算の確保ができるか、土地改良の予算の確保、配分ができるかという問題にもかかわるわけでございまして、公式にまだ申し上げているわけではございませんが、五十九年目標が二、三年ずれ込むことは、私はいまの予算の状況ではあり得るのではなかろうかというふうに見ております。
○本岡昭次君 時間のむだですよね。初めからそう言えばいいじゃないですか。五十九年を見込んでおるけれども、いろんな状況があって二、三年はずれ込むんではないかと、こう言えば済むことを、二度三度質問しなければ答えない。大臣、これはどういうことですか。私がこれ質問しなければ、あとのことはわからないまま進むんですか。ちょっと大臣ね、答弁の仕方をもう少しきちっと指導してもらいたいですね。いまの私の質疑を聞いてどない思われます。官僚答弁ですか、それが。
○国務大臣(田澤吉郎君) いまの答弁も、率直に、五十九年を目標にして、しかし、最近の財政状況からいって、二、三年はおくれるだろうという結論を先に申し上げるのが答弁だと思いますので、今後各局長、そういう点は心得て答弁させるようにいたしますから、御了承いただきます。
○本岡昭次君 そうでなければいたずらに質問が延びるばかりで、核心に迫れないんですよ。
 そこで、四十二年に着工して、五十九年に何とかやりたいと思うけれども、諸般の事情があってなかなかできない。二、三年ずれ込むかもしれない。二年ずれ込めば昭和六十一年、三年ずれ込めば昭和六十二年と、こういうことになります。
 もし昭和六十二年ということになれば、昭和四十二年に着工して、二十年もの長きにわたってある一つの事業が行われているというんです。二十年といいますと、世代が一つかわりますよね。ぼくはこれは大変な工事の遅延だと思うんです。その責任問題はまた後で大臣にもお答えいただきますが、この工事遅延によって、当初計画五十五億円が現在二百四十六億円になっていると言いますが、それは昭和五十六年現在であります。そこで、五十五年を見ますと、二百三十億、そして五十六年が二百四十六億、ちょうど一年間で十六億円そこで増加しております。この十六億円というのは約七%に相当しますから、このままずっと昭和六十二年まで工事が遅延をしていくとすれば、完成時にはどのぐらいの費用がかかることになるんですか。七%ずつずっとふえていくとすれば、四百億を超すというふうなことになると思うんですが、いかがですか。
○政府委員(森実孝郎君) 公共事業の残事業の改定というのは、年々行っているわけでございます。オイルショックの直後のように、非常に賃金、物価が急上昇したときは、年率で三割ないし四割事業費が増高した年度もございます。
 最近は、ようやく賃金、物価の鎮静化もございまして、本年度は五、六%程度というふうにアップ率は下がってきております。しかし、大体事実として最近の動向を見ておりますと、全公共事業、これは共通で改定をやっておるわけでございますが、五、六%の増加は残事業について行われることは通常の場合避けられないだろうと思います。これは結局物価の問題ということになるわけでございます。
○本岡昭次君 そうすると、六十二年完成ということを想定して考えていけば、四百億近くの費用がかかるであろうと考えていいわけですか。
○政府委員(森実孝郎君) 根っこからの事業費ではございませんで、残っております残事業費に毎年賃金、物価の改定がかかっていくわけでございますから、そういう意味では、いまのようなベースであれば、つまり五、六%程度の賃金、物価の改定によるアップであるならば、四百億には六十一、二年ならならないと思います。これは、われわれはPWと申しておりますが、賃金、物価の改定の動向ということいかんにかかっておりますので、断定はできませんが、いまの進度率から見て、そういうふうにはまずならないだろうと思います。
○本岡昭次君 とすれば、どのぐらいになると想定されているんですか。私は、四百億ぐらいかかるんじゃないかと言ったんですから、それではあなたはどのぐらいかかるというふうにいまお思いになるんですか。
○政府委員(森実孝郎君) 残事業が現在のベースで九十七億あるわけでございます。五十七年度の予算は二十一億円をつけておりますので、五十七年度程度の予算を確保できれば、賃金、物価の改定がない限りは、あるいは予算の規模が一定であれば、約四・五年残年期間がかかるということになるわけでございます。予算の規模がふえればその残年数は短縮されるし、逆に賃金、物価の改定が行われればふえるというわけでございます。
 したがって、いま御指摘の点は、御質問があれば具体的に一定の条件を設けて設定いたしますが、先ほど申し上げましたように、五、六%の残事業についての賃金、物価の改定であれば、四百億になるというふうなことはないだろうということでございます。
 ちょっと計算は、いま急な御指摘でございますので、改めて御指摘があればさしていただきます。
○本岡昭次君 それでは、質問の時間がもうしばらくありますから、概算でよろしいですから、どのぐらい完成時には経費が必要となるかということについて、説明をお願いをしておきます。というのは、やはり完成時に対して農民、地元負担がどうなるかということとかかわるから私はこれを質問しておりますので、その点についてはお願いをいたします。
 そこで、もう一つの問題は、初め説明の中にもありましたけれども、昭和四十二年当時、ダムをつくって水を引いてくる、その水を利用して農業を振興させる、あるいは水がなくて農地にならなかったところを農地にするというふうなことでもって、その受益農地というのが、あるいはまた開拓用地、そうしたものが四千八百工十ヘクタールであったわけなんですが、やはり十数年たった今日、その受益農地というもの、あるいはまた受益農家、こうしたものもどんどんと減少しているんですが、農水省としては現在時点どのようにその状況を把握しておられますか。あるいはまた、完成時そうしたものの傾向がどのようになるというふうにお考えですか。
○政府委員(森実孝郎君) 御案内のように、この地区はいわゆる中国縦貫道路の建設が行われまして、四十五−四十七年をピークとして、毎年数十ヘクタールの農地転用が行われました。その後はこの転用ベースはかなり落ちてきておりまして、五十五年度現在の累計の転用面積は三百四十ヘクタール、正確に申しますと三百三十六ヘクタールという数字になっております。主力は宅地とか道路用地に振り向けられているわけでございます。その限りで、いわば受益面積の減少が起こってきているわけでございます。
 関係農家戸数につきましては、農家戸数自体としても若干の減少になると思いますが、農地の減少と違いまして、これは一部転用があるわけで、経営面積全部を手放すというケースは少ないので、したがって、農家の離脱数はそれよりははるかに少ないと見ております。
○本岡昭次君 いまの答弁にありましたように、この資料によります転用農地面積というのは三百三十六ヘクタール、そのとおりですが、私どもが調べました結果によりますと、まず水を引いて開拓できるであろうというふうに当初計画の中に盛り込まれておりました地点約百ヘクタールが、水がきてポンプアップしても水を引くことができないという、その当初の計画見込み違いが百ヘクタールほどあるということを該当の土地改良組合の人たちが申しておりますし、また、そのほかに権利移動等がありまして、百二十ヘクタールがその受益農地から減少している、こういうことで、三百三十六ヘクタールのいま公式的に認められている農地転用と、いま言いました百二十ヘクタール、あるいは百ヘクタール、合わせますと合計五百五十六ヘクタール、一割以上の減少というものが現在時点で起こっております。
 そこで、問題はその受益農地が減ることによって、十アール当たりの地元負担が減れば減るほど負担が増大するという簡単なこの算術的結果というものが起こってきます。着工当時十アール当たりの農家負担というのは、元金一万七千九百十四円、利子を合わせても二万五千九百五十五円ということでスタートしたものが、昭和五十六年の現在元金十万二千円、そして地元の方の計算では利息六万七百円、元利合計合わせて十六万二千七百円というものが十アール当たり必要となる。しかも、それで終わるんじゃなくて、今後まだ六年も七年も先に延びるかもしれない、一体十アール当たり幾ら負担すればいいのかという問題が非常に不安材料になってきておるのですが、この点について、やはり農水省としてある程度想定した数値を示して、地元の農家がそれに対応できる状況をやはり考えていくべきではないか、こう思うんですが、いまの私の申しました数字、金額、そうしたものと、そして完成時一体十アール当たりどのぐらいの負担をすればいいのかという問題について、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(森実孝郎君) まず、それじゃ最初に端的に数字で申し上げますと、実はいま先生御指摘の数字は、過日別の委員会でも御指摘があった数字なんです。私ども当たってみましたんですが、どうもその数字はちょっと計算の仕方や何かに間違いがあるのではないだろうか、私どもが現時点で十アール当たりの負担額を正確にはじきますと、十二万七千円になります。しかし、それが当初の計画に比べて五倍近い増加になっているということは事実でございます。
 そこで、問題は負担額のとらえ方の問題と、それに対する地元へのPRの問題でございますが、負担額のとらえ方でございますが、これはやはり事業費の改定がベースにあるわけでございますが、土地改良事業につきましては、一般に賃金、物価の改定に伴う事業費の改定、それに伴う負担の改定については、改めて同意をとらないということで事業をすべて発足させております。この地区では約四分の一が設計変更にかかわる分でございますから、これについては同意をとらなければならないと思っております。基本的には、私どもは土地改良区が毎年のそういった事業費のつき方とか、執行状況、それに伴う負担の変化というものを絶えず地元の農民の皆さんと連絡をとって説明することが大事だと思っておりますので、土地改良区を通じてそういった浸透が図られるよう、これからも、私どもからも直接また県を通してでも指導をしてまいりたいと思っております。
○本岡昭次君 大臣にお伺いしますが、概略御理解をいただいたと思います、起こっている状況について。工事のおくれはいろんな原因があると思います。しかし、いま起こっている状況は、工事が二十年近くもかかるであろう。そして、当初計画から大幅に遅延をし、その結果、工事費も五倍以上になり、またそれぞれの各農家の負担も増大し、工事が遅延したことによってその受益農家も減り、また、その農業用水を供給されるべき加西市とか、滝野町とかいったようなところも、今日の時点になれば、政府の農業政策の問題とかかわって、やはり新たな都市計画というふうなものも進める等々相まって、この工事の遅延がいろんな波紋を引き起こしておるわけでございます。
 そこで私は、もういろいろ理由はあったとしても、工事をここまで遅延させた責任というのはやはり農水省にある、この点をやっぱりはっきりとお認めになって、その上でこの工事の一層の進捗と、その遅延によって起こったさまざまの問題の解決を、国が責任を持って指導に当たり、あるいはまた、国が直接その責任の問題の解決に当たる、こういう態度をやはりはっきり示して、地元の関係自治体あるいは農家、そうしたところが国のこの事業に対して従来の不信感あるいは不誠意、そうした問題について安心ができるように、明確なひとつ答弁をいただければありがたいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(田澤吉郎君) ただいま局長から答弁さしたとおり、国営灌排事業は事業規模が非常に大きいということ、さらに各種の権利の調整というのは非常に時間がかかるということで、確かに遅延をした、また、昭和四十八年というのは、第一次オイルショック、それ以来の日本経済の動きというものは非常に変化を来したために、それが財政に与える影響、あるいは公共事業投資が非常に変化してきたということは事実なんでございますが、しかし、今後私といたしましては、極力これに対応するには新規を抑制して、それで継続に思い切って重点を置いて今後進めていかなければいけない。特に財政再建の今日でございますので、有効にこれら公共事業を活用するとすれば、そういう行き方が一番であろう、こう考えているわけでございます。
 また、農家の負担等につきましても、やはり償還期限の延長だとか、据え置き期間の設定等、償還条件の緩和等に努めてまいりますし、今後さらに地元の負担の軽減等については、地元と十分話し合いをしていきたい、かように考えているわけでございまして、基本としては私たちは、この国営灌排については、農林水産省は責任を持ってこれは進めてまいらなければならない仕事だということをはっきり申し上げて、今後もこの事業の完成のために努力をしたい、かように考えております。
○本岡昭次君 いま大臣がおっしゃった中に、工事の遅延の責任を農水省としても認められて、今後の努力というものについて考え方を述べていただいた、私はこのように理解をいたしますが、そこで、そのおくれた原因の問題でございますが、これは挙げて農水省の不誠意な水源地対策であった、このように考えているんです。というのは、水没する徳畑地区という一つの農村、それからこのダム自身は一割ないし二割というまことに少ない自己水流しか持っていない。他の水域から水をもらわなければならん、こういうダムでございますから、その糀屋ダムに水を供給する水源地となる八千代町というところについての補償問題というものに、非常に農水省の対応が不誠実であったということが、一言で言えば今日の工事遅延の原因である、私はこのように考えておるわけでございます。
 そこで、その理由を幾つか申し挙げてみたいと思うんですが、まず農水省の工事に当たっての取り組みの姿勢であります。いま言いましたように、水源地対策というのは、これは水利事業の根幹でありまして、水源地がなければ水を供給することができないわけですから、何をさておいても水源地問題の一〇〇%解決、それをまずやるべきであった。ところが、水源地対策というのは、補償問題も絡んで非常に困難なことでありますから、どうしても後へ後へと残っていくということになりがちですが、この水利事業は、水源地問題がいまだに解決をしていないという状況で、困難な水源地問題の補償解決というのを後へ後へと回していったという農水省の対応に、私は最大の問題があった。まず、そこをなぜ最初に解決してから、この水利事業をスタートしなかったかという問題について、農水省の責任をただしたい、このように思うんです。いかがでしょう。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように、水源地問題が工事に着手する場合優先の課題であることは事実でございます。
 御指摘のございました糀屋ダムの水没補償でございますが、昭和四十二年の十二月から交渉を開始いたしまして、四十五年一月に補償交渉の妥結調印が行われた経過がございますが、その後の他の公共事業との買収価格との開きということが問題になりまして、いわば契約済みの補償に対して追加要求が打ち出されたという経過がございます。これにつきましては、四十七年の十月、県のあっせんで、未契約であった共有林について、時点修正を行う単価で買収するということで解決を見たわけでございます。
 それから、もう一つはいわゆる徳畑地区の問題なんでございますが、いわゆる五戸の残留農家があったわけでございます。この五戸の残留農家に対して、当初私どもは移住者の残存農地をあっせんするという方向で話していたわけでございますが、期成同盟との関係で、実はこの五戸の農家だけと話し合いをすることが、地元の情勢が許さなくなったというむずかしい屈折した事情がございまして、難航を重ねたわけでございます。その結果、五戸の方は国のあっせんがないということで訴えを起こされた。ようやく五十六年の十一月に入りまして、四千万円の追加ということで、いわゆる訴えが取り下げられ、和解が終了したわけでございます。
 そこで、水源地問題としましては、残っておりますのは、未買収地四・七ヘクタールの問題でございます。これにつきましては、関連して問題になりました、いわゆる徳畑地区の天神社の補償問題についてのめどもつきましたので、最後の四・七ヘクタールについて本年度の前半に解決したいということで、いま交渉を進めているところでございます。まことにおくれたことは私どもも遺憾に思っておりますが、実はこれほど屈折した交渉の経過をたどった地区もほかにもございませんので、私どもも非常に問題のむずかしさを痛感しております。
○本岡昭次君 いまおっしゃったように、まだ水没する地域の用地買収というものが残っている。私もこの間行ってその農家の人々と話ししたんですが、あなたもいま大変屈折したということでしたけれども、大変農水省に対して、国に対して用地買収の問題については不信感を持っているし、その不誠意をなじるわけです、地元へ行けば。そして、いまあなたは前半に解決するであろうというふうにおっしゃっておりますが、ダムに他の水域から水を引くその水路となるべき用地、その買収について、地元の人たちは過去の不信、そして農水省の不誠意、そうしたものをそこに集中して吹き上げようと、こういう状況にあるわけです。したがって、これに対しての農水省の取り組みというものは、相当誠意を持ってやらなければ、私は解決しない中身であろう、このように申し上げておきたいと思うんです。
 それからもう一点、従来四十五戸あった一つの集落が四十戸が移転して五戸だけがそこへ残った。そして自分たちの家の前へダムができて、ダムの後背地のような形で五戸の農家と農地があると、この状態で四千万円で訴訟が和解したという話でございますが、しかし、その残った農家が従来一つの部落としての生活を維持してきた機能ですね、それを一体どうするのかという問題、あるいはまた中町という一つの町の中において、その地区を農業を営む一つの地帯として、どのようにこれから維持していくのかという問題等々について、国がこれは物質的にも精神的にも従来の生活環境が大きく破壊されたんですから、それに対する指導、今後の助成、こうしたものを相当綿密にやっていかなければ、国の行う施策というものについて、地元に今後大きな不信感を残したまま、この工事が強行されるというふうに僕はなると思うんですが、そこの問題について、農水省の対応についてお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように、部落自体の置かれている環境と、それから部落の構成自体がすっかり変わってきてまいっている。従来のような一本の連帯があるわけでもございません。なかなかむずかしい問題だと思います。しかし、これは補償問題自体ではございませんが、やはり地域の集落なり、農業をどうするかという問題は私も大事な課題だと思います。実は、これも先般別の委員会でお答えしたわけでございますが、そういった問題も含めまして、私ども現場の事業者に任せるだけではなくて、京都の農政局から直接責任者を派遣いたしまして、全体のこれからの持って行き方について調査し、協議を進めたいと思いますし、何と申しましても県の指導が大きな問題でございまして、また県の指導の方針によって、われわれの対応も決まってくる面もございますので、そういった形をとりながら、御指摘の点を頭に置いて、誠意を持って努力をいたしたいと思います。
○本岡昭次君 それではあと一点、用地買収の問題についてお伺いをしておきたいんですが、徳畑地区の山林、原野、畑あるいはたんぼ、宅地、こうしたものの買収を昭和四十五年から四十七年にかけて行われている面積、あるいは単価の資料を私持っているんですが、その中の価格の問題について一点だけお尋ねをしておきたいんです。というのは、昭和四十五年から四十六年度にかけて、個人の所有地の田畑、山林、宅地等を買収しておられます。そこで、四十七年度には今度は共有地の買収がされております。個人の土地と共有の土地を同じレベルにおいて比較するということはできないかと思いますが、例を畑に引いて質問いたしますと、四十五年から四十六年度にかけて個人の所有していたのでありましょう、畑が十アール当たり六万七千六百円となっております。ところが四十七年、一年ないし二年たった、今度は共有地の畑になりますと、十一万四千六百円というふうになっております。わずか一、二年の間に六九・五%、買収価格が上がっている。宅地なんかも同じような価格、山林、原野も同じような傾向になっているんですが、地元の人たちが買収というつまり補償にかかわって不信感を持つその一つに、個人の宅地、田畑を買い上げたときと、共有地の土地を買い上げたときの値段の違い、こうしたものもあるんではないかと、私はこう思うんですが、私の全く的外れな質問かもしれませんが、疑問に思いましたので、この点につきましてひとつ説明をいただければありがたいと思います。
○政府委員(森実孝郎君) まきに御指摘のような事実はあるわけでございます。これはなぜかということを申しますと、土地を売って代金を取得したい方と、予算を執行する立場の違いとでも申しますか、この地域が中国自動車道路の建設が急速に進んで、その用地買収がわれわれの事業の後に進んだために、これが非常に高い値段で、全体としても地価が上がってきたという背景があったわけでございます。そこで、一回補償取り決めが決まったにもかかわらず、追加要求というのが地元から出てきた。しかし、予算を執行する立場から申しまして、それから特に土地改良事業の場合は補償金が事業費に組み込まれますから、それが当然地元負担金にもはね返ってくるわけでございます。そういう関係もございますので、私どもとしてはそうそう一回決めたものを追加要求できない。ところが、共有林につきましては、実は共有地につきましては未契約の部分があったわけでございます。そこで、未契約の部分については時点修正を行って買収したと、その結果、後から契約した土地の方が単価が高くて、つまり地価のその地域の値上がりを反映して高くて、先やったところは安かったという事情が先生の方にそういう形で反映しているんだろうと思います。これはいろいろありますが、私はそれは避けられなかった事情だろうと思います。
○本岡昭次君 そうしたものの感情が残って、今後ダムの水没地域として残っておるその用地買収に非常に困難な問題が起こってくると思いますが、当時非常に土地の価格が変動したという状況の中に、同じ地域の農家の人々が違った価格で買収をされたということで、大きな不満を持っておりますから、新しく起こる用地買収の問題について、そうした当初のこの買収時点における問題を勘案しながら、誠実にひとつ対応していただきたいということをお願いを申し上げておきます。
 それから次に、もう一つの水源地問題の八千代町の補償問題でありますが、この八千代町の補償問題はもう解決したのか、まだ問題が残っているのか、これはどうですか。
○政府委員(森実孝郎君) 八千代町からの取水問題は、杉原川の取水と野間川の取水と二つございます。杉原川の取水は、五十二年度に解決しております。そこで、瞬間川の取水につきましては、御案内のように、反対同盟が結成されまして紛糾した経過があるわけでございます。特に、今後この取水が行われると、現在は使っていないが、将来の地元の追加水資源がなくなるというところに重要な反発があったわけでございます。ことしの三月、県、町の協力を得まして、取水に伴う減水補償を行うということで、同意がようやくできたわけでございます。なお、ダムの下流の仕出原部落も関連がございましたが、これは五十一年六月、ダム築造による減水汚濁補償ということで解決済みでございます。したがって、八千代町の問題は私ども現時点では解決ができた、工事の進捗を図る一つのめどがついたというふうに思っております。
○本岡昭次君 そうすると、糀屋ダムから加西市へ水を導水していく非常に大きなトンネルを掘る必要が地元ではあると私は見ているんですが、計画の中にありますが、トンネルを掘ることも地元は了承したんですか。
○政府委員(森実孝郎君) 基本的には話し合いがついております。ただ、先ほど申し上げましたように、この三月やっとついたというところでございます。
○本岡昭次君 地元が長年もめにもめていた問題について、最終的に同意したということですが、いま局長も言われたように、それは基本的に同意をしたのであって、今後農水省が誠実に合意に至る経過、あるいはまたその合意に際しての地元八千代町の条件、こうしたものを誠実に履行していく、あるいはまたそれを実行に移していく、こういうことでなければ、またその八千代町の問題は紛糾するという私は事態になる、こう見ているわけなんです。何せ非常に水の少ない地域で、十分その上水道もままにならぬという地域から水を取って他の地域に流すんですから、それは地元の感情としては大変な複雑なものがあるわけで、それをあえて公共的な事業ということで踏み切った地元に対する今後の農水省の対応いかん、これがさらに工事を遅延させるか、計画よりも、見込みよりも早くそれが完成するかのかぎを私は握っている、このように見ています。改めてもう一度八千代町に対する、長年交渉を、補償、補償でもめ続けていたその問題を、今後の工事進捗のために一層誠意を持って解決をするんだという、ひとつ農水省の決意を聞かせていただきたい、このように思います。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のとおりだと私も思います。その意味で事業所に任せるだけではなくて、京都の農政局、県の協力も得まして、できるだけ幅広く関係者の合意が得られるように、誠意を持った努力逆続けさしたいと思います。
○本岡昭次君 そこで最後に、そのようにしていろいろの問題を解決をしてダムが完成し、そして水路も完成して、水が供給されるという状況になった場合の問題でございますが、ダムの管理、あるいは用水路の管理あるいは維持、そうしたものに要する経費、これはトン当たりに計算して幾らに一体なるのか、つまりその地域の農民負担、農家負担の問題です。その水でもって米や麦あるいはそのほかの野菜等をつくっていくわけですが、米に換算してみて、通常トン当たりどのぐらいの値段の水であれば、いまある米価という問題にかかわって妥当な値段であるというふうに農水省はお考えでありますか。
○政府委員(森実孝郎君) 管理費の負担につきましては、基本的な管理方法につきましては、事業計画の当初に関係農奴に公告して、予定管理方法についての理解を得ることをしたわけでございますが、具体的な金額につきましては、まだちょっと断定的に申し上げられる状況ではないわけでございますが、いまの時点で計算いたしますと、年間大体五、六千万の管理経費を要するのではないかと思います。しかし、若干物価修正の時点がこの数字は甘いようでございますので、ここでは五千三百万という数字が出ておりますが、もうちょっとふえるのではないかと思います。これはもう少し正確に管理の仕方等も詰めた上で、数字を固めて農民の皆さんに理解を得るための努力をしなければならないと思いますが、仮にいまの数字を前提にいたしますと、一反歩当たり約千円程度ということになりますが、恐らくこれはもうちょっとふえることになるだろうと思います。これは実は先ほどもちょっと御質問にあった点なんでございますが、離脱農家があるわけでございます。離脱農家からは当然制度に従って転用決済金を取っているわけでございます。ただ、この地区の土地改良区の運営は若干特殊でございまして、普通は管理分と、それから事業費負担分について、両方について取るわけでございますが、この地区の土地改良区については、公共目的で買収した土地についての事業費負担分は取らない、それから管理費の分についても取らない慣例を、違法ではございませんが、やっていた。その結果残った農家の管理費の負担、事業費の負担が通常の転用決済を取っているケースよりも若干ふえてくるという状況があるわけです。ただ、もちろんベースは取っておりますから、先生先ほどおっしゃったように、離脱した分だけまるまるふえるというわけじゃございません。そこで、そこら辺の問題も含めまして私は考えていかなきゃならんだろう。これははっきり申し上げますと、いま断定はできませんが、県及び地元市町村にどういう形で協力していただくかということが、私は重要な課題になるだろうと思います。そういう点を含めまして、自治体との総合的な調整協議を私は進める必要がある、こう思っております。
○本岡昭次君 ぜひその点を強力に進めていただきたいと思うんです。私たちの計算では、ダムの管理、あるいは水路の維持管理等々を計算すると、地元の人たちも言っているのですが、トン当たり十二円程度になるんではないか。しかし、稲をつくるということからすれば、水はトン当たり四、五円が限度ではないかというふうに言っております。このことは数字的にここで論議する気はないんですが、普通に考えて相当高い水を引くことになるということは私は間違いない、こう思うんです。だから、高い水を引くということは、それだけ農家の非常に大きな負担になるということから、そこで、糀屋ダムは農業水利用のダムとして建設されたものでありますが、建設された当時の社会情勢、経済情勢、あるいは農業の進め方等から見まして、相当大きな変化をしております。果たしてこれだけのダムを農業だけの水として使うということが、これからの地域の発展のために妥当なことなのかどうかということを私は疑問を持つわけです。もっと水資源を総合的に、他の部面にも活用していく、つまり、上水道問題というのもこの地域ではいろいろむずかしい問題を持っておりますので、工業用水、あるいは上水道、下水道、さま、ざまなそうした水資源の総合的利用というものを図っていくというふうなことも検討しながら、ダムの維持管理すべてが農家の負担になる、あるいはまた建設費もすべて農家がひっかぶる、すべてじゃありませんが、二一・六%というのですか、一定の割合をひっかぶるということでない、そういう総合的な水資源利用というものを検討されて、将来における農家負担の軽減というものを考えていく、こうしたことはできないのですか、私はやるべきであると、余りにも縦割り行政をやり過ぎて、農業用水につくったダムだから、それ以外は使わせないんだというふうな形であっては、その地域の発展のためにも非常に大きな障害になると、こういうことも考えるんですが、いかがですか、その点は。
○政府委員(森実孝郎君) 私ども全く農業用水のダムであって、ほかのものには使わせないなどという気持ちはさらさらございません。むしろこの地域の実態を考えると、多目的利用を図るべきだろうと思っております。
 参考までに申しますと、この地域のダムは、もう当初から農業用水と工業用水のダムとして建設されておりまして、現在農業が八六・三%、工業用水が一三・七%の負担で出発しているわけでございます。これは超過便益でその負担比率を決めております。そこで問題は、これから上水道がどうかという話なんです。私どもも実は他使用水、特に上水道からの要望ということは仄聞しておりますが、どうも県等に聞いてみますと、まだ本決まりのものとなっていないようでございます。私はこの水資源の一層の効率的な利用という視点からも、先生御指摘の農家負担の合理化という意味からも大事なことだろうと思います。
 そこで、本事業への新規参加の可能性を含めて、高度な水利用計画の検討ということについては、この場所で私はっきり申し上げますが、農林水産省としても非常に前向きに考えておりまして、ひとつぜひ県、地元と十分協議をしていきたいと思っておりますので、地元のそういった一つの合意ができるだけ早くできることを期待していることを申し上げたいと思います。
○本岡昭次君 そこで、大臣にお伺いをいたしますが、約一時間にわたってダム建設の問題、あるいは農業水利事業の問題について質疑をし、論議をしていただきました。大臣も聞いていただいたわけですが、そこでやはり問題は、地元負担をどのように最終的に軽減していくかという問題であろうと思うんです。もちろん当初から二一・六%は地元負担ということでスタートしたわけですから、当然それは地元がやるべきだということになろうかと思います。しかし、工事がここまで遅延をしてきたということの責任が、最終的にどこにあるのかという問題を詰めてみたときに、補償問題のやり方一つ含めて、何か特別にこの地区だけがむずかしい地区でやりにくかったというふうなニュアンスのお話もございましたが、しかしそれは農水省の地元補償問題に対する取り組みが誠実に行われたか、誠意を持ってそれが行われたかということであろうと思うんです。そこの水源地問題が解決しない限り、他の工事は進められないというふうな状況の中でやればいいんですが、その水源地対策を後回しにして、やれるところからどんどんと事業を進めていった、そういうことが非常に地元の反感を買ったことも事実であります。したがって、農水省の責任というものが、この工事遅延の中で明確にこれは認識してもらわなければなりません。大臣もそういう立場の御発言をされましたが、そこで、しからばその農地の減少していくということ、あるいは工事遅延によって費用が増大をしていくということ等々に対して、国の責任の問題とともに、それをどのように具体的に農家負担を減少していくという問題、あるいはいま局長から答えていただきましたけれども、将来の水資源の総合的利用、こうした問題について大臣としてひとつ責任のある御答弁を賜って私の質問を終わりたいと、このように思うんです。
○国務大臣(田澤吉郎君) まず、財政事情の非常に厳しい現状でございますけれども、極力予算の面で重点的にやはり配分をいたしまして、工期を短縮するということに努力をしたいと考えております。
 さらに、地元の負担の問題でございますけれども、これについては県とも十分話し合いをしながら、今後御指摘のような点を配慮しながら進めてまいりたいと考えます。
 また、水の管理等については、今後非常にむずかしい問題でございましょうけれども、こういう点についても、十分注意をしながら、知恵をしぼってこれに対応してまいりたいと考えておりますので、どうかひとつ御理解をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 いまの答弁で終わりたいんですが、しかし、先ほどからも答弁の中に出てきておりますように、この問題は社会党が現地に視察団を派遣して、衆参の議員がそこに参画しました、私も参りました。衆議院から参画した者が衆議院の農水の委員会で質問をいたしておるわけでございます。私は参議院の立場で、いま決算という立場からこの工事のおくれの責任の所在の問題と今後の対応を質問したんですが、その衆議院の質問に対するいろんな答弁というのも新聞に出ています。そこでは大臣は出ておられません。農水政務次官が主として答弁されたと思うんですが、その新聞報道の中に、具体的にその調整費を回すなど、予算上特段の配慮をするというふうな工事促進のためのてこ入れを約束したとか、あるいはまた、はっきりと工事遅延はまことに遺憾であると、そして工期短縮に努めて、農家負担も軽減の方向で兵庫県と協議すると、そのために実態調査を行うことも約束したというふうな事柄が新聞に報道をされているわけです。一週間前のこれが答弁ですから、昨日も私は相当詳細に農水省の方に私の思っていることも申し上げて、ここでの大臣のもう少し具体的な答弁を期待をしていたんですが、これでは政務次官がいた農水省での答弁と、大臣自身がここにお越しになって、決算委員会としての答弁としては若干私はこれは問題があると、次官以下の答弁しかこれは大臣はできないのかなあと、私はこのように思うんですがね、もう少し農水省で最低はっきりやられた程度のものを、大臣がここで言うべきじゃないですかね。後退したんですか、姿勢が。いかがですか。
○政府委員(森実孝郎君) 私が答弁しましたことの一部が必ずしも正確でなくて新聞に出ているようでございます。私が申し上げましたのは、予算の問題につきましては、予算の公共事業が抑制の中で、国営灌排事業はことしはそれでも二%ふやしました、これからもそういう傾斜の配慮が要ると思います、と同時に、調整的な支出等を予算の執行の過程においては考えていく余地もあると思います、そこら辺はいろいろ具体的問題地区については前向きに取り組みたいと思いますという趣旨のことを申し上げたわけでございます。したがって、必ずしも国土調整費をいわゆる国土庁の調整費に限定して、またそれに特定した形で申し上げたわけではございません。
 それから地元負担の軽減の問題につきましては、実はほかの県で国営事業の地元負担分について、県が一部肩がわりしている事例の御指摘があり、その御指摘を受けて、兵庫県についてもやらすべきではないかという趣旨の御質問があり、それについて私ども、当時玉沢政務次官と私から、そういった点も含めまして、県とも十分相談し、指導してまいりたいということを申し上げたわけでございます。したがって、後退しているというような事情は全くございません。全く同趣旨のことを申し上げているわけでございます。一週間の時日しかまだ経過しておりませんが、直ちに、私どもお約束した点でございますので京都の農政局からしかるべき者を派遣いたしまして、地元の先生方の御指摘の立場を頭に置いた地元状況の把握ということをいまやらせているところでございます。
○国務大臣(田澤吉郎君) いま局長から答弁さしたとおりでございまして、政務次官の答弁も大体そういう方向だと思うんですが、問題は国土調整費等も含めて、やはり考えるということだと思いますが、私はやはり農林水産省が国営灌排については責任を持ってやるんだと、そして工期をできるだけ早めて、財政再建で非常に厳しい予算状況でございますが、重点的にやりましょうということで、やはり御理解いただいて、その後の対策等については兵庫県といろいろ連絡をとりながら進めるということで、御理解いただきたいと思うのでございます。
○森山眞弓君 日米間の貿易不均衡の原因が、日本の市場の閉鎖性にあるということをアメリカが盛んに言っているようでございます。特に農産物の市場の閉鎖性ということが言い立てられておりますが、日本の農産物の市場はそれほど閉鎖的であるのか、私はそうでもないんじゃないかと思うんですが、農産物の輸入状況、特にアメリカとの輸出入の状況を教えていただきたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 一九八一年のアメリカからの農産物の輸入金額は、七十七億八千九百万ドルでございまして、前年の一九八〇年に比べまして約一〇%の伸びを示しております。それで、一九八〇年の段階におきまして、すでに日本は単独では対世界でも、対米でも最大の農産物の輸入国であったわけでございまして、それがさらに一〇%の伸びを示しておりますので、対米の農産物輸入に関します限りは、わが国の市場が閉鎖されているなどというのはとんでもない言いがかりであるというふうに考えております。
○森山眞弓君 アメリカがよく申しますのは、わが国の残存輸入制限品目が二十二もあるということを言うようでございます。確かに数えてみますと二十二あるようでございますけれども、この二十二品目を制限している理由はどういうことでございましょうか、簡単に教えていただきたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 現在の残っております二十二と申しますのは、ブラッセルの関税分類四けたで数えまして二十二ということでございまして、しさいに点検いたしますと、その中でも自由化されているものが相当あるわけでございまして、二十二という数字から連想されるほど輸入制限の範囲は広いものではございません。しかしながら、残っていることは残っているわけでございますが、現在残っております輸入制限品目は、大別いたしますと、わが国の農業にとって基幹的重要性を持っておる農産物、牛肉とか、柑橘のようなものを念頭に置いていただければよろしいわけでございます。
 それから、もう一つのグループといたしましては、地域特産的性格を持っている農産物、コンニャクでございますとか、あるいは沖繩のパイナップル缶詰めというようなものでございます。
 それからもう一つは、水産関係で沿岸漁業振興上重要性を持っている水産物、そういうおおよそ三つのグルーピングができると思います。
 それぞれいま申し上げましたような事情によって輸入制限を継続せざるを得ないという事態になっているものばかりでございます。
○森山眞弓君 いま伺いますと、挙げられました理由はまことにごもっともでございますし、漁業あるいは農業、そういう性格の産業というものは、製造業、工業などと違いまして、地理的な、あるいは気象的な条件に制約されるわけですから、貿易自由化という時代でも、ある程度はやむを得ないというのが国際的な常識ではないかと私も思うわけでございますが、日本の輸入制限ということを言い立てますアメリカ、あるいはECには、輸入制限はないんでしょうか。アメリカやECでの状況を聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) アメリカ、ECそれぞれ輸入制限品目を抱えております。アメリカの場合には輸入制限の主たる部分はウエーバーを取得しておりまして、ガット上一応合法的ということになっておりますが、乳製品を中心にして、広範な輸入制限品目を持っております。ECの場合には、EC全体としての輸入数量制限というものはございませんが、EC加盟各国がそれぞれ輸入数量制限の制度を持っておりまして、一番多いフランスの場合には十九品目になっております。
○森山眞弓君 伺いますと、アメリカもECも、それぞれの立場から輸入制限を設けているということでございますので、日本だけがこういう態度をとっているということで責められているのではないというふうに言わざるを得ないと思います。結局、そうすると日米の間の貿易のアンバランス、不均衡というものが非常にいま著しいということから、農産物についても目を向けられているんではないかと考えるわけでございますが、もし、いま問題になっております農産物を完全自由化したとしますと、仮に完全自由化してどっと日本にオレンジや牛肉が入ってきましても、そんなにいまの三倍も五倍も急に食べられるものではないと思いますけれども、もし万一完全自由化したとしますと、輸入額はどのぐらいになるだろうかと、いろいろな試算があるようですが、農水省ではどんなふうに考えておられますか。お聞きしたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) 現在の輸入制限が撤廃されました場合の影響というのは、それによって国内の流通機構を通じて末端の消費者価格の段階にどの程度の影響が出るか、あるいはそれによって国内生産がどの程度影響を受けるかということは、計量的に試算することは至難のわざでございまして、率直に申し上げまして、現在の時点で計量的議論にたえ得る用意は私どもございません。ただ、常識的に考えまして、国内の農業及び水産業に対する影響が壊滅的なものであるに反して、アメリカとの関係で、アメリカ側から見ての輸出拡大効果というのは、現在の貿易インバランスの額に比べますと、取るに足らない金額ではあるまいかというふうに考えております。
○森山眞弓君 もしそうだとしますと、どういうわけで日本の農産物がそんなに目のかたきにされるのか、全く理解に苦しむわけですけれども、いままでたびたびこういう話は何回か出てきておりまして、何年かいろいろな交渉してこられたと思うんですけれども、どういうわけでいまこういう事態に立ち至っているのか。交渉してこられました農水省当局としてはどういうふうに御判断しておられますか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(佐野宏哉君) まず、何と申しましても一番大きな原因は、アメリカの経済自体が大変な苦境にあって、一〇%になんなんとする失業率を抱えておる。しかも、その失業の原因が、真偽のほどはともかくといたしまして、一般的に日本からの商品の輸入のインパクトによって、失業の相当部分が発生しているというふうに、現にアメリカ人が考えているという事実が、アメリカの日本に対する態度を非常に厳しいものにしておるように存じます。
 その中で、アメリカ側から見ますと、農産物というのは、現在のアメリカ経済の中で数少ない競争力のある分野であって、日米関係を彼らの目から見ますと、日本は日本が競争上優位に立っておる自動車であるとか、半導体であるとかという、そういう商品を自由にアメリカに輸出できるにもかかわらず、逆にアメリカが競争上優位に立っておる農産物は日本に自由に輸出できない。あたかも将棋にたとえますと、日本側は飛車、角使っているけれども、アメリカは飛車、角を自由に使えないという、そういうルールのもとで競争をしておるというふうに受け取られておりまして、そういうことが農産物の輸入制限をめぐる議論がやかましくなっておる原因ではあるまいかというふうに考えております。
○森山眞弓君 いまのお話でですと、もっぱらアメリカの国内事情であり、それと日本との関係というのももっぱらアメリカが誤解をしているのではないかと私は思うわけですけれども、そういう誤解を解くように、理解をさらに進めるように、一層努力をしていかなければならないと思います。
 最近、特にアメリカ側の態度というのが非常に目まぐるしく変わっているようでございまして、この最近の一カ月ぐらいを顧みましても、そのときによって大変言うことが違っているように思うんですけれども、三月には東京で、特に農産物については改めて作業部会をやろうと決めまして、それを受けて四月のつい十日ほど前に、ワシントンで作業部会をなさいましたのに、その日直ちに話がつかないから、じゃガットに持ち込もうということになって、そうなったかと思いましたら、またきのうあたりの情報では、違う話が持ち込まれているということでございまして、アメリカは一体何を考えているのか、全く理屈が合わないし、考え方によっては、言い方が悪いかもしれませんが、ヒステリックな感じがしないでもございません。
 こういう状況から判断いたしますと、いま追い詰められているのはアメリカの側なんではなかろうかというような気もするわけでございます。日本はアメリカのいたけだかなやり方につり込まれないように、この際冷静に、落ちついて国益をよく判断していかなければならないんじゃないかと思います。
 アメリカは、消費者は安い方がいいんじゃないかということをよく申しますけれども、確かに消費者は肉もオレンジも安い方がいいに決まっております。私も家庭の主婦の一人ですから、食料品がもっと安ければと思うことが始終ございますけれども、それでも食料というものはただ安ければ外国から買えばいいという単純なものではないんじゃないかという気もするのでございます。日本の農村がつぶれても安い方がいいという消費者はそうたくさんはいないんじゃないか。私自身も、また日本人の大抵の人がつい一代か二代前はみんな農村の出身であったということを考えますと、農村は非常に日本人にとって重要なふるさとでございますし、農村をつぶさないようにぜひ農林水産省がここ一番大いにがんばっていただきたいと思います。
 今回の騒ぎの本当の原因が、実はアメリカ自身の事情にあり、特にアメリカの農産物は豊作で、経済は不況である、したがって、大量の農産物が売れなくて困っている、農民が高金利とインフレに悩んでいるというような事情から、日本の方へはけ口が来ているというふうな話もよく聞くわけでございますけれども、戦後ちょうど学校給食がパンになりましたのは、アメリカの余った小麦粉とミルクを使うためであったというような話をよく聞くわけでございますけれども、いまの日本とアメリカの関係はあのときとは全然違うわけですし、アメリカの事情で日本が窮地に陥るということがないように、くれぐれもお願いしたいと思います。
 日本は、むしろ自分の食べるものを自分でもっと賄えるように、自給率を高めるということが必要なんじゃないでしょうか。その見地から一九八〇年にたしか「食糧自給力強化に関する決議」が両院で行われたんだと思います。
 もしアメリカがそんなに食糧が余って困っているんでしたら、世界のほかのところには四億五千万人も飢えている人が現にいるわけですから、何とかそちらの方へ回す方法はないものなんでしょうか。そういう事業に日本が協力するというのであれば、非常に私は有意義だと思うんですけれども、そういうアイデアはございませんですか。
○政府委員(佐野宏哉君) 先生の御指摘、まことにごもっともでございまして、現在アメリカが農産物の輸出問題で大変やかましくいろんなことを言い立てております一つの事情といたしましては、一九六〇年代ぐらいまででございますと、アメリカはPL四八〇のプログラムとか、そういうものにふんだんに金を使っておりまして、ちょっとやそっとの豊作でも、開発途上国向けの援助、あるいは備蓄という形で、こなしていく能力を持っていたわけでございますが、御高承のとおりの財政事情で、先様もなかなかそういうことが思うようにいかないという事情があることは事実だと思います。
 したがいまして、日本が食糧援助の面でアメリカ産の穀物を使ってやるということができれば、これは日米間の緊張状態を緩和する上に有益であると思っておりまして、現に昨年も食糧援助規約に基づきますわが国の食糧援助の中で、米国産の小麦を三万トンほど使ったわけでございますが、今後ともこういうことはできるだけ拡充してまいりたいというふうに思っております。
○森山眞弓君 私ももちろん日本が国際協調という中でなければ生きていけないというのはよくわかっております。ですから、アメリカとも基本的には仲よくしていかなければいけないと思いますが、ただ、アメリカの事情だけで日本の農民、農家が困る、そちらにしわが寄るだけで何にもプラスにならないというようなやり方は納得がいかないというのでございます。
 アメリカの議員の中には、日本には強く言っておどかせば、言うことを聞くんだから、そうするに限るというような人がいるそうですし、また日本をたたけば票になるというような議員もいるそうでございますが、そういうのは全くけしからんことだと思います。日本としてぜひ言うべきことをはっきり言って、筋を通した解決をしてくださるように、一層の努力をお願いしたいと思います。
 大臣の御見解を一言お伺いしたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 対外経済摩擦解消は、わが国の重要な課題でございまして、したがいまして、昨年の暮れ経済対策閣僚会議を開きまして、五項目にわたる対外経済対策を決定いたしまして、その後、その決定に従って、随時対外経済対策を進めてまいっているわけでございますが、第一弾として、昨年の暮れ関税率の前倒しをやりました。また、非関税障壁の緩和を、六十七品目いたしたわけでございます。しこうして、その結果をアメリカあるいはECにできるだけ説明をし、理解を求めるために、江崎ミッションを初め、政府はもちろんでございますが、議員の方々にもアメリカあるいはECに出向いていただいて、御説明も申し上げ、御理解をいただいたわけでございます。しかし、その後櫻内外務大臣、あるいは江崎ミッションがアメリカあるいはECを訪問した際に、そのことは評価するけれども、もっと市場開放をしてくださいという要求が強いものでございますので、政府としては第二弾の対外経済対策を考えなきゃならないだろうということが経済対策閣僚会議でも話題になっておるのでございます。
 そういう折に、ちょうど三月九日に、いま先生御指摘のように、日米貿易小委員会が開かれまして、そこで東京ラウンドで合意されました、いわゆる一九八三年まで牛肉、オレンジはこういう形にしますよという合意があるわけでございますが、一九八四年以降の問題について話し合いをする時期が、アメリカ側からは一九八二年、今年の十月一日前にやってくれないかという要請があったんです。それに対して、私たちは東京ラウンドのいわゆる合意事項に反するから、それは十月以降にしようじゃありませんかということで合意されまして、十月の適当な時期に日米双方で牛肉、オレンジの一九八四年以降の問題を話し合いましょう、さらに、残存輸入制限品目については、作業部会を開いて、そして双方で思い切った話をしようじゃありませんか、日本も、アメリカのあなた方に非常にいい状況のことだけは申し上げませんよ。しかし、感情的にならんでくださいということで作業部会を開いたのでございます。作業部会は十二、十三開いたのでございますが、いま質疑の中で出てきたような状況でございまして、最終的にアメリカとしては完全自由化でなければいけないということを主張し、わが方は、完全自由化はそれはできません、いまの日本の農林水産業の現状から言ってできませんということを主張いたしましたところ、アメリカは、それではもう作業部会はやめましょう、それで、ガットの二十二条協議に持ち込むより道はございません、しかし、アメリカとしては、二十二条協議は二国間の一般的協議でございますから、対決ではございませんよ、引き続き話し合いはしていこうということであったわけなんでございます。ちょうど十二、十三終わった後、何か電話か電報かで、今度は何かやわらかい緩和策がある程度アメリカから出てきている。そこで、しからば完全自由化というのはそれじゃ撤回するのですかと言いましたら、いや、それはそのままにして、緩和だけはやりなさい、それも第二弾に入れた方がよろしいのじゃないだろうかという、むしろおかしな形で私たちに要請してまいりますので、私たちとしては、それはやはり完全自由化をという態度で臨むのであれば、もしそれを進めるのでしたら、受けて立たざるを得ないという態度で今日に至っているわけでございます。したがいまして、私たちとしては、これから第二弾のいろんな問題がございますけれども、その緩和策等については、農林水産物については、これはいま考えるべき段階ではございませんので、私たちは農林水産省の立場をこれからやはり貫いてまいりたい、かように考えているのでございます。
 私たちは、残存輸入制限品目二十二品目を単に固執しているわけじゃないのです。いまの農林水産業に携わっている方は、先生御承知のように、お米が非常に過剰でございますので、それで国民の需要の動向というのは、農林水産省に非常に厳しく反映してきておりますんで、国民の需要の動向に対応する新しい農業をつくろうとしていま努力をしているわけでございまして、その例が水田再編利用対策なんでございますが、これを私は定着させ、集団化さして、新しい農業の芽をつくるための基本にしたい、こう考えているわけでございますが、そのために、最近農家の方、団体の方が非常に努力をしております。汗をかいております。その団体、あるいは農家の方が一番心配しているのが対外経済摩擦なんですね。これを支えてやらなければ、私は本当の意味での日本の農業の新しい芽が出てまいらない、かように考えますので、いま先生御指摘のような線に沿うて、今後も農産物残存輸入制限品目について努力をしてまいりたいと考えますので、御理解をいただきたいと思います。
○森山眞弓君 それじゃ、念を押させていただきますが、市場開放第二弾には農産物は入らないんですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 入らないというよりも、なじまないということでございます。
○森山眞弓君 それではもう一つ念を押させていただきます。
 農村とか、農業とか言う場合に、実はこれを事実上しょっておりますのは婦人なんです。婦人は農業就労人口の六三形、基幹労働力に限っても五四%と過半数でございます。兼業農家がだんだんふえてきておりますけれども、兼業農家がふえるというのは、つまり婦人の負担がふえるということなんでございます。男の人がいろんな理由で外に出ました後、黙々として一日じゅう汗を流して働いているのは婦人でございます。畜産なんかではもう一日も休みがないのでございます。たとえば、近く自由化反対の農民大会というのが持たれるそうでございますけれども、そういうところへ出てこられるのは大抵男の方ばかりですが、実はそういうところに出てくる男の方の後ろには、その男性よりもずっと数の多い女性がいるわけでございまして、留守になった家で、婦人たちはどこへも行かないけれども、また大きい声も出さないけれども、じっとこの成り行きを見つめております。息を殺してどうなるかと心配しているわけでございますので、このことを特に大臣に念を押しておきたいと思います。よろしゅうございますね。
 そこで、次に農村婦人に関係の深いことを二つお聞きしたいと思います。
 その第一は、生活改善事業でございます。
 生活改善事業は、昭和二十三年以来、農業改良助長法に基づきまして、農家生活の改善に大変貢献してこられました。私も何度かその現場に立ち会ったことがございまして、大いに敬意を表しております。
 ところが、このところ一般に農家の生活もかなり向上してきたし、マスコミその他も発達しているのだから、もう農家や農村に限って生活改善事業をしなければならないという理由は薄くなってきたんではないかという意見を聞くんでございますが、この点についていかがでございましょうか。
○政府委員(小島和義君) 確かに農家の生活は、以前に比べまして外形的ないしは統計的に見ますとよくなってきておるわけでございます。ただ、多くの方は農村の方がよりりっぱな家に住んでおるとか、あるいは自動車二台も持っているとかというふうなことに着目をして、農家の生活が非常によくなったとおっしゃいますし、また一部都市近郊に行きますと、地価の上昇によりまして大変な金を持っている農家もいる、こういうふうなことが生活改善に対する一つの御批判の種になっているような感じもいたします。
 ただ、しさいに農家生活を眺めてまいりますと、都会の生活にはない幾つかの大変な問題を抱えておるわけでございます。
 第一には、何といっても自然を相手にして仕事をしておるわけでございますから、人間が調節し切れない労働というものが、季節的に相当重くのしかかってくるということがございます。
 それから第二に、収入の点でございますが、都会の勤労者のように毎月決まった月給が入るということではございませんで、季節季節によりましても収入が変動いたしますし、年によりましても豊凶変動というのは避けられないわけでございます。農産物についてのさまざまな価格支持制度、ないしは農業保険制度というものございますけれども、大きな作柄の変動があれば収入は下がりますし、逆にまた豊作のために値下がりをするということもあるわけでございます。
 第三には、農家の人の構成と申しますのが、都会地に比べまして非常に多世代が同居をしている家庭が多いわけでございまして、おじいさん、おばあさんを抱えて生活をしておりますし、一般的に農家人口全体が老齢化しているという現象もございます。
 それから、農村地域の人間関係が以前に比べますれば大分変わってはまいりましたけれども、農村特有の閉鎖的な関係というのが、地域によりましてはまだ色濃く残っておるというふうな状況もあるわけでございます。
 そういったことが積もり積もりまして、農家の主婦の労働というのが生産面と生活面と両方担うというふうなことから、大変過剰な状態になっているという事例が多いわけでございます。また、農村地域一般に言えることといたしまして、環境条件、その他生活上の利便が非常に低位の状態にあるというふうな状態もあるわけでございまして、そういった傾向は農村らしい農村、あるいは農家らしい農家ほど際立ったものがあるわけでありまして、端的に申しまして、農家としてりっぱな農家ほどなかなか配偶者が得られない、非常に兼業度の高い農家であれば、必ずしもそうでないというふうなことからうかがい知ることができるわけでございます。今日の農業上の課題といたしましては、先ほど大臣から申し上げましたように、農産物の自給上のさまざまな問題が起こっておりますので、需要の動向に即応いたしました総合的な食糧自給力の強化と、内外からの御要請にこたえて生産性の高い農業をつくっていく、こういう課題を抱えておるわけでありますが、その場合に、農業の担い手でありますところの農家の生活問題というものにつきまして、これを解決の方向に向けて努力をするということが、不可欠の仕事であると私どもは考えておるわけでございます。
○森山眞弓君 農家の生活がほかの家庭の生活とは非常に違っている、特殊な性格がある、そして農村の婦人の負担が格別に重いということは私にもよく納得がいくわけでございますが、その重い荷物をしょって、さまざまな仕事をしなければならない農家の主婦たち、その主婦たちの相談相手として、非常にいままで努力してこられました生活改善普及員のお仕事も非常に大変であると思いますが、現在普及員は全国で二千人ぐらいいるというふうに聞いておりますが、現状、そして今後の見通しはいかがでございましょうか。
○政府委員(小島和義君) 生活改善普及の仕事に携わっております職員には二種類ございまして、直接農家に接触をいたしまして普及、指導に当たります改良普及員が全国で千九百七十七名、そういう改良普及員をいわば指導する専門技術員が百九十六名、合計で二千百七十三名というのが五十七年度の予算上の定数でございます。
○森山眞弓君 今後はどういうふうにしていらっしゃるおつもりですか。
○政府委員(小島和義君) これは、私ども国家公務員もそうでございますが、国の補助職員につきましても、ただいま全体的な定員削減計画を持っておりまして、改良普及職員につきましても、国家公務員に準じまして、ほぼ同様の率による削減を毎年受けておるわけでございます。過去の、定員削減が始まりました四十三年、それ以前の数字と対比いたしますと、大体二割ぐらいに近い職員が削減によって減少してただいまの数字になっているわけでございます。ただいま実施中の第五次の定員管理計画によりますれば、これがまた引き続き行われるわけで、五十九年まで四%前後の数字で削減をしなければなりませんので、五十九年度まで引き続き全体の数は減らざるを得ないというのが実情でございます。
○森山眞弓君 このお仕事は、人が人に対して直接接触してする仕事ですから、人数が減るというのは非常につらいとは思いますけれども、一方、こういう財政状況の厳しいときですから、私も、どうしても人数をもっとふやせとか、あるいはいまの人数を一人でも減らすなというようなことを申すつもりはございません。新しい機動力とか、新しい技術を十分駆使されて、また婦人自身の、あるいは男性も含む地域の皆さんの自主的な活動というものをもっと促すということによりまして、さらに効果を上げてくださるように工夫をしていただきたいと思います。
 生活改善事業は農家生活を明るくする、農村全体を活性化するという意味で、農林省にとって非常に重要な根本的な仕事ではないかと私は思っております。農業の技術の向上もそれは重要ですけれども、それが片方の車だとすれば、農村を活性化する、気持ちをより高めていく、そうして生活そのものをよくしていくという、そういう仕事はもう一方の車ですから、この両輪が十分回っていかなければ、農村の豊かな生活、よい農村の建設ということはできないんじゃないかというふうに思います。むしろ、農村を取り巻く条件が厳しい時代であればあるほど、この事業を新しい時代に即応して、大いに力を入れていっていただきたい、積極的に進めていただきたいと思います。
 そのための体制として、私見ですけれども、一生懸命局長さんやってくださっているのに悪いですが、生活改善事業は農業の生産性の向上とはそう直接ぴったり合わないんじゃないかなという気もするものですから、農蚕園芸局よりも、官房とか、あるいは構造改善局の農政部あたりがいいんじゃないかなと思ったりはしているんですけれども、これは私の個人的な感想ですので、それはともかく、大臣としてはこの生活改善事業を今後どのように進めていただけるか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように、農林水産業は、農山漁民にとっては生産の場であると同時に、生活の場でございますから、したがいまして、農家の一日というものは、生活であると同時に生産でございます。その中で御婦人が生産もしながら、生活をするということでございますから、大変な役割りなんですね。そこで、私も農業を若いとき幾らかやりまして、いま先生御指摘のように畜産もやったんです。リンゴもやり、水田もやり、畜産もやりましたが、とうとう家内を病気にさせてしまいました。とういのは、やはり、春になってまいりますというと、田畑は、自然は待っておりませんよね、芽が出てくるものですから。自分は少し病気だ、血圧が高いと思っても、やはり作業、体に出ざるを得ないわけです。そういうことがやはり病気のもとになって、健康を害するというような状況でございますから、私は、やはり御婦人の役割りというものは非常に大きい。そういう関係で、いまのテレビのコマーシャルでも「母さんがいないかね。じゃあ、あなた、捜しなさい」というコマーシャルがありますが、私たち男の者は、奥さんというものに非常に大きな期待を抱いておるものですから、家庭の中心、柱でございます。したがいまして、私は、こういう農村はやはり健康・保健・体育、あるいは教養、さらに文化だとか、趣味、ある意味ではゆとりというものを御婦人に与えてやらなきゃいかん。そのためには、生活普及員の必要性というものは十分私は理解できるわけです。最近、どうも第二臨調等の方々は、直線的に農村を見ておるものですから、そういう複雑なある農村の生活内容を知らないものでございますから、改良普及員というものは、生活普及員というものは必要ないという主張もございますけれども、私は、時あるごとに、この状況をお話を申し上げて御理解をいただいているわけでございます。今後、私は農村をやはり明るいものにしていって、嫁さんが来ない農村にはしたくない、こう考えまして、これからも努力してまいりたいと思いますので、森山先生どうかひとつ一層御協力をお願いしたいと、かように思います。
○森山眞弓君 大変心強い御答弁をいただきましてありがとうございました。ぜひそのお言葉のとおりお力を入れてくださいますように、よろしくお願い申し上げます。
 それから最後に、農村婦人に関係しまして二つ目の質問を申し上げたいと思います。それは、葉たばこの収納価格の決定についてでございます。例年、葉たばこの収納価格につきましては、そのときの物価や賃金を考慮に入れまして、一定の算定方式によって決められているというふうに承知いたしております。特にその中の家族労働の評価の仕方として、男女別に分けまして、それぞれ雇用労働者の男子の平均賃金、女子の平均賃金を掛けて算出されているというふうに聞いておりますが、それはなぜでございましょうか。
○説明員(後藤正君) お答え申し上げます。
 葉たばこ収納価格御定の際の家族労働費の評価がえは、実はいろんな沿革がございまして、昭和四十八年作までは農村臨時雇い賃金を使いまして、評価がえはしておりませんでした。しかしながら、四十三年ごろからでございますが、先生御案内のように、高度成長のもとで、国内作が大変減少傾向にありましたことと、一方では、当時はたばこの消費量が年五、六%伸びていくというような諸情勢がございまして、私ども国内産葉たばこの将来の不安というようなものもございましたのと、同時に、御案内のような四十八年暮れのオイルショックによりまして、大変物価、労賃等も上がりました。そういうことの配慮から、実は四十九年の葉たばこ収納価格の算定の際に、十アール当たりたばこ作は全種類平均で当時約四百時間かかっておりましたけれども、その四四%を従業員規模五百人未満の製造業賃金に評価がえするというような制度を四十九年当時に採用したわけでございます。その後いろんな経緯がございまして、五十六年産の収納価格の決定で申し上げますと、十アール当たり約三百八十時間強の労働時間がかかっておりますが、その六・九%は農村臨時雇い賃金で評価がえをしまして、あとの九三・一%を先ほど申し上げました従業員規模五百人未満の製造業賃金に評価がえをしておるということが現状でございます。
 なお、評価がえに当たりましては、たばこ作の農家の方々が、たばこ作に従事しないで、製造業に雇用された場合の機会費用を採用するという考え方をとっておりますので、男子の労働につきましては陽子の賃金、女子の労働については女子の賃金に置きかえて策定を行っている次第でございます。
○森山眞弓君 いろいろな経緯があることよくわかります。そして、便宜上こういう方法をとっていらっしゃるという都合もわからないではございませんけれども、製造業の賃金を当てはめるというのがそもそも無理なのかもしれませんが、農作業と製造業は非常に違うわけですよね。そして、特に製造業の賃金で男性の賃金と女性の賃金を別々にとって、そしてそれぞれに掛け合わせて決めるというのは、農作業の実態ということを考えた場合には非常におかしいんじゃないかと私は思います。つまり、製造業の男女賃金の格差があることは私もよく承知しておりますが、それはいろいろな製造業の業態から来る理由によるのでございまして、製造業の賃金は、たとえば日本の場合は学歴とか、勤続年数とか、扶養家族とか、そして職種が非常に違うということから、平均すると非常に違ってくるわけですね。ですから、実態は違うのはよくわかっておりますけれども、製造業のそういう理由で出てきた平均賃金、非常に差のある平均賃金を、農作業という男性も女性も一緒になって同じ仕事を同じようにやっている農作業の労働の評価に当てはめるというのは非常に無理があるんじゃないでしょうか。理屈が合わないと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
○説明員(後藤正君) 確かに、農産物につきましても、パリティ指数をとったり、あるいは評価がえに当たりましても規模のとり方とか、いま先生のおっしゃっているような男子は男子、女子は女子とか、あるいは男子込み平均賃金とか、いろんな採用の仕方、考え方はあるんだと思います。ただたばこ作の場合には、大変一般農家と性質が異なっておりますことは、これは先生御案内のとおりだと思います。大変専業農家がやはりいまでも三〇、一種兼業を含めますとたばこ作は八五%が一種兼業以上の農家でございまして、確かに私どもの生産費調査の中でも、男子、女子、それぞれ従事時間は大体半々と把握しておりますが、それをどういうふうに置きかえていくかということにつきましては、やはり需給事情とか生産費、物価その他の経済事情を参酌をしてという法五条にありますように、政府のいろんな関与物資なり――実は大変私ども見通しを誤りまして、現在国内産葉は、通常の標準在庫というと二十六万トンあればいいところを、実はいま三十九万トン持っております。一年の過剰在庫を抱えておりまして、先生御案内のように、昨年の第二次臨調の七月十日の中間答申、それから昨年暮れの行政管理庁の勧告におきましても、この過剰在庫の解消と、こういう過剰在庫を背景にした場合の収納価格の合理的な価格形成への見直しというような大変厳しい状況に置かれておりますということを申し添えまして、御答弁にかえきせていただきたいと思います。
○森山眞弓君 いまの本部長のお話を伺っておりますと、合理的な価格をつくるためにいろいろ苦労しておられるというお話で、それを私なりにひがんだ見方かもしれませんが、考えますと、だから安い女性の賃金は女性の賃金のままで、製造業の格差があってちょうどよろしいから、それを使っているんだというふうに聞こえないこともないわけですね。どうもその農作業の実態を知っている方の側から言いますと、これは大変女性の労働を軽視しているというふうに言わざるを得ないわけでございまして、私も葉たばこを耕作している農家の作業状況を見たことございますけれども、決して女性の方が軽い仕事ばかりしているということは言えない。男の人と力を合わせて同じような重い仕事を同じようにやっているというふうに思いますので、女性の労働の評価について、この際考え直していただきたいというふうに希望を申し上げておきます。
 国連婦人の十年というのは、いまさら申し上げるまでもなく、日本には憲法もあるし、労働基準法もありまして、公の機関としては、その精神を体して実際の作業をしていただくべきではなかろうかと思います。そろそろ五十七年度産の葉たばこの価格決定の準備作業に入られるかと思いますので、ぜひこの点に御留意をいただきまして、特に葉たばこ耕作者はやはり女性の方がやや多いのではないかと思いますから、全国で少なくとも十数万人の葉たばこ耕作に従事している女性の切実な声であるということを申し上げまして、要望いたしておきます。以上でございます。
○委員長(和田静夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
○委員長(和田静夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和五十三年度決算外二件を議題とし、農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算について審査を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○鶴岡洋君 本日は、林野庁関係と、構造改善局関係の質問をしたいと思います。
 この質問に入る前に、大臣に一点だけお伺いしたいんですが、日ソサケ・マス漁業交渉が四月十三日から始まっているわけでございます。私は、新聞紙上で承知している範囲なんですけれども、例年この交渉が行われるわけですが、今回の交渉は一週間ほど交渉の日にちが延びたということも最初ございますし、また内容から申しますと、日本側の要望といいますか、希望よりも、ソ連側の提案の内容が非常に格差があると、このように承知しているわけです。特に、四万五千トン、ソ連側は三万七千トン、それから操業期間が、いわゆる三角水域というんですか、そこについては六月五日までということで十日間も短縮されていると、そのほかに日本監視船による共同取り締まりの実施とか、何点かあるわけでございます。普通ならば五月一日出港する予定に毎年なっているわけでございますが、そういう点から言って、漁業者にとっては非常に心配であるわけです。海洋漁業部長も行っておられますし、長官も行っておられるんで、この点について大臣としてどのような決意で指示されて長官が向こうに行かれたのか、また、どういう所信を持っておられるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 日ソサケ・マス漁業交渉でございますが、十三日からモスコーにおいて開始されまして、十四日に日ソ双方の提案が行われまして、わが方といたしましては、いま御指摘のように漁獲割り当てを四万五千トンの提案いたしているわけでございまして、それに対してソ連は、漁獲割り当て量を三万七千トン、前年比五千五百トン減を主張していると、また一部水域における操業期間の短縮だとか、新たな取り締まり措置の実施をしようということでございまして、さらに日本側の漁獲シェアに応じた漁業協力費を要求いたしているわけでございます。したがいまして、松浦水産庁長官が十七日に訪ソいたしまして、向こうの漁業第一次官との間で鋭意協議をいたしているわけでございますが、これに対しては私たちも積極的な態度で、しかも粘り強く対応して、私たちの主張を実現するように努力をいたしたいと、かように考えております。
○鶴岡洋君 それでは最初に、大規模林道についてお伺いいたします。
 大臣も御承知のとおり、四十年代の高度経済成長に伴い、政府は数多くの大型プロジェクトを実施してきたわけでございます。しかし、昭和四十八年ですか、それから五十二年と、二回のオイルショックによって、国家財政は赤字公債に依存せざるを得ないという状況になってまいりました。そして、現在その上に行財政改革ということで国を挙げて取り組んでいるわけです。したがって、当然これからも予算増は多くは望めないと思いますし、当分は予算のゼロシーリングが続くものと予想されるわけでございますけれども、そこで、こうした今日のような財政危機の折、農林関係公共事業、公共投資、これに対して多くの補助金が使われておりますけれども、この低成長下にあって、それに見合った補助金行政のあり方、これについては、大臣、どのような見解を持っておられるか、最初にお願いします。
○国務大臣(田澤吉郎君) 確かに、経済の情勢が非常に変化してまいりました関係からして、この種の公共事業の作業が非常に遅滞している現状にあるわけでございます。ことに、会計検査院等からも大きな指摘も受けておるわけでございますが、私たちとしては、やはり硬直化したこの状況に対しては、できるだけ反省をしながら、今後これに対応してまいらなければいけないし、またその内容等についてもいろいろこの時代に合うような形でも進めてまいらなければなりません。問題は、私は、この種の問題はやはり新規はできるだけ抑えて、継続のものにできるだけ力を入れて、そしてこの結論を早う出すように努力をするということに今後も努めてまいりたいと、かように考えます。
○鶴岡洋君 それでは具体的にお尋ねしますが、森林開発公団が行っている事業に、大規模林道事業があります。これは昭和四十四年の新全総の中で、大規模開発プロジェクトの一環として策定されたものであります。大規模林業圏開発基本計画に基づいて行われている事業ですけれども、この大規模林業圏開発林道事業の概要をまず説明してください。
○政府委員(秋山智英君) この大規模林業圏の対象になっております地域は、昭和三十年代までエネルギーの供給源でございました薪炭の供給基地でございましたが、その後エネルギー革命によりまして、その薪炭は使えなくなりまして、そのままの状態で放置されておる、非常に低位利用のままの広葉樹林が大面積に存在する地域でございまして、これを今後高度利用しますと、相当潜在的には生産力がある地域でございますので、私どもはやはりこれにつきましては、まずは林道等の基盤整備を積極的に進めてまいりまして、山村振興に寄与し、また国土の均衡ある発展に寄与したいという考え方のもとにおきまして、昭和四十八年度から、これは北海道と十六県にまたがる地域、全国七つの圏域でございますが、面積的には約七百六十万ヘクタールになりますが、その地域に林業を中心といたしまして、この大規模林業圏の開発を進めようということで、その中軸になりますところの林道開発をし、さらに将来総合的な開発を進めてまいろうということで実施しているわけでございまして、先生御指摘の大規模林業圏の開発林道事業につきましては、全体計画二十九路線でございまして、総延長二千三百五十キロメートルを予定しまして、四十八年度から実施しておるところでございます。
○鶴岡洋君 この事業は、いま長官のおっしゃったように、燃料革命によって薪炭の需要が激減したため、広大な面積の広葉樹林が取り残されて山地産況が衰退し、人口がどんどん都市に流出していく。こういう結果によって、薪炭原木が多かった地域は典型的に過疎地帯になってきた。こういう地域に、林業を中心とした、いわゆる地域開発を進めるための事業として行われたと、こういうふうに理解をしているわけです。
 そこで、いまおっしゃった四十八年から六十五年までの十八年間に二十九路線、これを開設しようと、こういうことでありますけれども、そのうち現在二十路線が着工しているわけです。この事業の進捗状況、全部ではなくて結構ですから、簡単に延長距離どのぐらい、それから実績はどのぐらいということで御説明願います。
○政府委員(秋山智英君) 現在、先生御指摘のとおり、二十路線につきまして事業を行っておるわけでございますが、これまでに実施いたしました二十路線のトータルでは百八十一キロメートルでございまして、当初計画の一一%でございます。
○鶴岡洋君 検査院にお伺いしますが、百八十一・二キロ、五十六年度末施工実績が、こういうことにいま答弁がございました。延長計画は、この数字からいくと二十路線で千六百六十五・六キロ、したがって一一%、こういうことになるわけですが、五十四年度の決算検査報告で、この大規模林業圏開発林道事業の施行について特記事項として検査院は指摘しておりますけれども、この特記事項について、これも簡単に御説明いただきたいと思います。
○説明員(高橋良君) ただいまは二十路線実行しているわけでございますが、私ども特記に掲記した時点では十八路線でございまして、この当時の計画でいきますと、公団施行の計画延長が千五百四十八キロメートルについて実施したわけでございますが、このうち十一路線につきましては、六十三年度までに完成することとしておりまして、四十八、四十九年度に着工したわけでございますが、この十一路線の計画されている公団施工延長千十五キロメートルについて見ますと、平均十二年間に完成させるという工事の予定期間があるわけですが、その約二分の一を経過しておりますのにかかわらず、五十四年度才での施工延長は十一路線で百キロメートルと、こういった状況でございまして、非常におくれていると、こういうことになっております。
 そして、これらの実施状況について見ますと、この林道は、過疎地域というふうなこともありまして、非常に各地域の住民の要望が強いわけでございまして、多数の個所にわたってちょこちょこと部分的に着工するということが行われるというふうなことでございまして、車両などの通行に当面支障のない既設林道の改良工事なども先にやってしまう。こういったことで、道路でございますから、道路と道路の間をつなぐといった新しい道路をつくれば、それはそれで意味があるわけでございますが、そういう形ではなく、既設の林道の改良工事を先行するといったようなことも行われております。
 また、この林業に関連する林道でございますので、この大規模林道に引き続き実施することとしている中核的な林道が必要なわけでございますが、こういった点はまだ着工されていないというようなことになっておりまして、先ほど申しましたように、林業の振興等に貢献する効果の大きい点から言いますと、すでにある国道、あるいは県道などとの間を連絡する区間の開設工事、これが非常に効果が大きいと思われるわけですが、こういった点を先行して施工するというようなことはやっておりません。したがいまして、一部生活道として利用されてはおりますが、林業の振興等の発展に寄与しているというような状況ではなかったわけでございまして、この事業につきましては、先ほども申しましたように、地域の非常に要望が強いというような点はわかりますし、また、地域間の均衡というような点から、多数の部分に着工するというような衷情もあることはわかるのでございますが、それにしましても、乙のような形で進みますと、やはり林業の振興等というような点では効果の発現が非常におくれると、認められないというようなことになりますから、総合的に見直しを行う必要がありますし、またその工事のやり方などにつきましても、先ほど申しましたように、事業効果の発現の高い区間の開設工事というようなのを先行するというようなことを再検討していく必要があるのではないかと、こういったことで特に掲記いたしまして、問題の提起をいたしたわけでございます。
 以上でございます。
○鶴岡洋君 いま説明のあったように、この表からいきますと、二十路線のうち、四十八年に始まったのが四カ所四路線、四十九年に着工したのが七路線。十一路線はすでに着工してから、ことしは五十七年ですから、八年から九年かかっているわけです。
 そこで、その工事がどの程度できたかというと、五十六年度末、この表からいきますと、十一路線の平均が一四・一先。具体的に申しますと、一番いいので東津野−城川間、これが三四・五%、それから八戸−川内間、これが三〇・六%、それから粟倉−木屋原間、これが二一・一%。悪いのは、宇目−須木、これが七・二%、七年間で七・二%。それからもう一つ悪いのは若桜−江府、これが七年かかって九%、一割にも達していない状況にあるわけです。
 これでは、今後多少予算がふえても、完成はするでしょうけれども、この完成はこの状態でいくと、私は単純計算でいって三十年から五十年かかると。こんな気の遠いことをやってたんでは、ましてや三十年も五十年もかかってできた場合に、それじゃいまつくっているところは三十年後はどうなんだと、こういうことになると、恐らく使えない状態になるんじゃないか。いま検査院が言っていたように、中身を見ると非常に虫食い状態である。幹線と幹線を結ぶのはこれは結構ですけれども、そうしなければならないんですけれども、その上に改良工事をやっている。車が通るんだからその程度でいいと思うんですけれども、それにもかかわらず改良工事をやっている。いずれにしても、この実績から見ると非常におくれている。この実態をどのように林野庁では認識しているのか、この点いかがですか。
○政府委員(秋山智英君) この大規模林業圏の開発林道につきましては、先生も御指摘がございましたが、大変地域の要請が高うございまして、また地域の振興の面からも、多くの地域につきまして同時に実施せざるを得ないという実情にあったわけでございます。したがいまして、先生御指摘のとおり、四十八年度の実施分につきましては、平均して現在二五%、それから四十九年着工の分につきましては、一一%という低位の状態になっているわけでございます。
 そこで私どもといたしましては、今後進めるに当たりましては、そういう実態を踏まえまして、事業効果の発現の度合いがどういうふうになるかというふうな程度を勘案しながら、緊急に整備をした方がより一層効果があるというふうな面につきまして、まず実施し、逐次圏域に拡大していくというような方法で進めていかなければならない。そういうことをします一方におきまして、この開発林道の予算の拡充につきましても努力してまいりまして、促進してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
○鶴岡洋君 さらに伺いますが、路線名で、いま申しました実績が一番よいのは東津野−城川間、五十六年度までの事業費は六十一億一千二百万円で、計画事業費は百十九億円、予算の執行は五一・三%、工事実績はいま言ったように三四・五%、八戸−川内間もここに数字が出ておりますけれども、いずれにしてもこの上の方から五路線、東津野−城川、八戸−川内、それから粟倉−木屋原、高山−大山、日野−金城、この路線を調べても、いずれも予算の執行率から比べて工事実績が非常におくれている、こういう結果になっているわけですけれども、なぜこのようにおくれてきたのか、その理由は何なんですか。
○政府委員(秋山智英君) 特に計画路線の延長に対しまして、低い地域につきまして分析してまいりますと、やはり一つは計画延長が非常に長いということがございますと同時に、一方におきましてこの工事単価の比較的高い部分がございます。特に先生御指摘の宇目−須木線と申しますのは、全体の延長が百六十キロメートルございまして、一番進んでいる東津野−城川線に比べますと三・四倍というふうな距離数でございますし、またちょうどこれは九州の脊梁山脈地帯のそばを通る関係もございまして、単価が非常に高いことがございまして、進捗の差が出てまいっておると思います。したがいまして、私ども今後におきましては、これらのことを十分踏まえまして、ひとつ検討して計画を進めてまいりたい、かように考えておるところであります。
○鶴岡洋君 いろいろな理由はいいんですけれども、簡単に言ってどうしてこんなにおくれたか、理由は何ですか。
○政府委員(秋山智英君) やはり財政事情もございますし、地域の要請に見合うだけの事業費の配分ができなかった面もございます。
○鶴岡洋君 確かに四十八年当時は高度経済成長期で、列島改造華やかなりし時代でありました。そこで、この大規模開発プロジェクトが組まれて、みんなから大いに期待された時代かもしれませんでしたけれども、時代は変わっておりまして、五十年度から五十四年度までに、この計画された中で七路線新たに着工しているわけです。さっき一番先大臣が言われたように、こういう財政事情なんで、新規は極力抑える、こういうお話もございましたけれども、五十四年度までにさらに七路線着工している。五十年以降にさらに財政事情は厳しくなっている。五十六年からもう二路線を着工している。四十八年からの十一路線の工事が一向に進まない状態でありながら、こういう経済背景を考えずに、新規のところに次々と着工する理由は、これはどんな事情があったのか。その辺も私はよく納得のいかないところなんですけれども、納得のいく説明をしていただきたいんですが、いかがですか。
○政府委員(秋山智英君) 大規模林道を開設するに当たりましては、できるだけ市町村道その他の公道と連携しながら、それを有効に活用しようということで、事業を進めておるわけでございます。また、一方におきまして、七圏域それぞれ最近山村の過疎化等もございまして、非常に林業生産も低位にございます。したがいまして、地域のこの林道に対する開設要望というのはきわめて高いわけでございまして、それらのことを勘案しながら、従来やってまいっておる面もございますし、また一方におきまして、この改良工事も大体二割ないし二五%、全体の事業に対しましてそのぐらいの割合で実施しておりますが、これも、やはり大規模林道を有効に利用するためには、従来の林道が規格が低いために、その構造から車両通行上やはり改良した方がいいというようなところ、あるいは地元の沿線の住民の方々の生活道として、既設の林道を改良した方がよりよいというふうな要請、さらには他の公共事業との関連におきまして、早期に改良した方がよろしいというふうなことがあったものにつきましては、この開設とあわせまして改良工事を進めてきたわけでございますけれども、やはり私ども今後は効果がより早く発現し得る分野に、より重点を志向しながら進めてまいることが必要であるというふうに考えております。
○鶴岡洋君 先ほど会計検査院の方から御説明がありましたけれども、もう一度お聞きしたいんですが、この大規模林道事業について、現行のままではいわゆる投下した多額の事業費が長期間にわたり休眠し、事業効果の発現が著しくおくれる、このようにおっしゃっておりますけれども、この点について検査院の御意見としてはいかがなものですか。
○説明員(高橋良君) この点につきましては、林野庁あるいは公団の方におきまして、全路線を見直しをするというようなことで、予算もそれなりについておるようでございます。まだ終わってはおらないようでございますが、こういった点をわれわれ見守る必要があるとは思いますが、このまま推移すれば、いずれにしろやり方なり何なり検討していただかないといけないと思いますので、私ども今後も本事業につきましては、調査を続けていかざるを得ないんじゃないか、かように考えております。
○鶴岡洋君 いま御報告のとおり、会計検査院も、この事業の施行状況は、路線の多数の個所にわたって部分的に施工したり、先ほど話ありましたように、車両等の通行に当面支障のない既設林道の改良工事を優先したり、当該地域の林業の振興等に貢献する効果の大きい国・県道等に連絡する区間の開設工事を優先して施工していない、こういうふうに指摘をしているわけでございます。私は、当面車の通行に支障がなければ、改良工事よりも国道、県道に連絡する、そのために始まった事業でもございますし、そういう区間を優先してやるべきだ、このように考えますけれども、この点はいかがですか、具体的に。
○政府委員(秋山智英君) 今後の林道開設に当たりましては、特に改良工事につきましては、特に必要な場合を除きましては、原則として順位を後回しにいたしまして、効果の発現の度合いが高いものに優先的に充当して進めてまいりたい、かように考えながら目下検討しておるところでございます。
○鶴岡洋君 しつこいのでありますけれども、これからはそうするということでしょうから、それはそれでいいとして、五十六年度の大規模林道事業の施行状況を見ると、十八路線のうち着工個所が六十三カ所、このうち改良個所が十六カ所、約二五%となっているわけです。検査院が指摘した後も改良区間が二五%も出ているわけです。いま長官の言われたとおり開設区間を優先してやる、これからはもちろんそうしてもらいたいし、しかし検査院が指摘した後でもこれだけのものがあるわけです。その辺も含めて、いまそういうふうに御答弁なさったんですから、しっかりと胸におさめて、開設部分を優先してやっていく、もう一回答えていただけますか。
○政府委員(秋山智英君) 原則としまして、開設部分を優先的にこれを進めてまいるつもりでございます。
○鶴岡洋君 道路は、何も全部完成しなくとも、できた個所から暫定的に供用すれば、投下した事業費というものはこれはむだにはならない、休眠すると、こういうわけではないと私は理解をしております。それだけの生活道路として役立っていると、こういうふうにも思います。しかし、検査院の調べでは、五十年度末で暫定的にいわゆる過疎地域の生活道路として利用されているのはたった二十二キロ。これは数字に出ております。十カ所となっているわけです。二年たった現在でも、そんなに多くなっているとは私は思えません。大規模林道の本来の目的は、先ほどから言っているように、林業振興のためにつくられたものであり、そのまま林業振興にはほとんど寄与していないと、こういうふうになるわけです。この指摘を今後どのように反省し、林道の有効利用に結びつけていくか、この点はいかがですか。
○政府委員(秋山智英君) 現在、これは五十六年度末になりますが、暫定的と申しますか、利用しております延長は、十路線十六カ所、延長で四十一キロメートルまで現在達しまして、開設の効果を徐々に発揮してまいっております。
 今後におきましては、やはり公道と公道を結ぶ個所、部分供用がより早くなされ、林道としての効果が早く発現できる部分をより積極的に進めてまいりたいと、過去のいろいろの経験考えまして、そういう方向に重点を置いて進めてまいりたいと、かように考えております。
○鶴岡洋君 それでは、もう一度念を押しますけれども、たとえば早く着工したものをまず完成さしてから次の路線に移るとか、それからまた、各路線の中で林業の振興等に対する事業効果の度合いの大きい区間、つまり効果の高いところから優先的にやると、そういうことはわかりましたけれども、そのほかに何らかの工夫、いわゆる補助金を出して、それでここでつくっているわけですから、計画の変更、こういうことを考えて、さらに遅々として進まないいまの状況を考えて、計画全体を再検討するか、また見直しをすべきだと思いますけれども、この再検討、見直しの点については林野庁長官どうですか。
○政府委員(秋山智英君) 大規模林道の整備を行っている地域におきましては、先ほど来御説明申し上げましたとおり、従来、薪炭生産を主体として事業をしてきたわけでございまして、基盤整備という面では非常に立ちおくれておるわけでございます。しかも、低質と申しますか、低利用の広葉樹林が多く分布し、現在過疎化に悩んでいる地域でございます。したがいまして、私どもはこれらの地域の今後の振興、山村振興の定住条件を整備するという、そういう面からきわめて基幹的な事業でございまして、緊急性も高うございます。また、地域の方々のこの林道に対しましての要請は、できるだけ早く完工をしてほしいというような要請もございまして、この林道事業の開設につきましては、その意義はきわめて現在でも高いものであるというふうに考えております。しかしながら、いま御指摘もございましたが、財政事情の逼迫化、その他本事業を取り巻く情勢にも変化がまいってきております。そういうことを踏まえまして、現在未着工の路線につきましては、当面、施工条件が整いまして、交通便益を著しく向上させることのできるような区間等、非常に緊急的に整備する必要があると認められるようなところにつきましては、実施の時期、方法等につきまして、十分検討の上着工するように検討してまいりたいと思っております。また、すでに着工しております路線につきましても、現在まだ未着工の部分があるわけでございますので、これらにつきましては、事業効果を早期に発現されることにまず重点を置きまして、ある程度その類型化を行いながら、緊急に整備を要する区間から逐次着工するというふうな、そういう意味での見直しを行ってまいりたいと、かように考えております。
○鶴岡洋君 見直しを行ってまいりたいと、こういうことですね、検討するんじゃなくて。見直しを行いたいと、こういうことで理解してよろしいですか。
○政府委員(秋山智英君) 五十七年の予算におきましても、調査予算等もついておりますので、見直しをしてまいりたいと、かように考えております。
○鶴岡洋君 じゃ、大臣に最後にお願いしたいんですが、いま長官から前向きの御答弁がありましたけれども、林道事業というのは、これは私も大切な事業だと、このように思っております。どうか大臣が積極的に動いて、予算化の問題もございますが、林道事業の早期達成を実現するように努力していただきたいと、こういう要望でございますので、大臣の決意を最後にお伺いいたします。
○国務大臣(田澤吉郎君) 御指摘のように、大規模林道は公道から公道を連絡するということによって、林業の振興、ことに林産物の安定供給、あるいは林業に従事している人に意欲を与えるということが最も必要だと思いますので、そういう意味では非常に必要な事業なんでございますが、御指摘のような非常に計画延長が長いというような
 こと、あるいは工事の単価等が高い地域等のこともありまして、かなりおくれているという面は御指摘のとおりでございます。したがいまして、私は、大型プロジェクトは、かつての時代と、やはり今日の安定経済の時代とはかなり異なった環境にあるわけでございますので、それなりにやはり総合的に見直しをする時代であろうと思うのでございますから、私たちもそういう点を配慮しながら、しかも林業振興上効果のあるような形で今後進めてまいりたいと、かように考えております。
○鶴岡洋君 それでは次に、自然休養村について
 お伺いします。
  まず、自然休養村の目的ですけれども、この目的を御説明してください。
○政府委員(森実孝郎君) 自然休養村の整備事業は、四十七年から五十三年までに実施した事業でございますが、これは中山間地帯とか、あるいは農山漁村等の農林漁業者の就業機会の増大ということを一つの目的とし、同時に都市住民に対して、−農山漁村の自然と農林漁業等の生産活動の実態を理解していただく機会を提供するということを目的とした事業でございます。
○鶴岡洋君 それでは、四十七年から五十三年の間に何カ所、補助金は幾らかかったか。
○政府委員(森実孝郎君) 採択いたしました地区は二百カ所でございます。事業は、採択は五十三年でございますが、予算自体は継続事業として何年か続くわけでございまして、全事業は五十六年までに完了しております。予算といたしましては三百八十二億円が補助されております。
○鶴岡洋君 それでは検査院にお伺いいたしますが、五十五年度の検査報告で指摘しているこの自然休養村整備事業の実地検査について御報告いただけますか。
○説明員(高橋良君) 自然休養村の整備事業の目的なり、趣旨なりは、ただいま御説明がありましたが、要はこの事業は、観光とか、あるいはレクリエーション資源を生かしまして、これと一体的な有機的観念のもとに、農業構造の改善を推進するというようなことでございまして、生産基盤整備とか、あるいは近代化施設の整備、管理運営施設の整備等の事業を総合的に組み合わせてやっている事業でございます。
 私どもがこれを検査いたしましたところ、その事業効果が十分発現されていないと認められるものが多数ございまして、たとえば土地基盤整備事業やトラクターの導入などの近代化施設だけを部分的に実施しているというようなことで、自然休養村としての実体由なしていないというようなことでございまして、観光またはレクリエーション資源を生かして、農業構造の改善を行うという先ほどの目的からほど遠いというような実態のものが五事業ございました。また、この事業で実施いたしました果樹園とか、あるいは養魚場とか、あるいは事業の中心になっておりますセンター施設などが非常に低い利用になっておりまして、中には無断で処分してしまっているというようなことから、農林漁家経済に役立っていないというようなものが三十一事業ございました。そして、この自然休養村整備事業につきましては、第二次構造改善事業に続く、現在やっております新農業構造改善事業の中でも、これと同様な自然活用型の構造改善事業というのが行われておりますので、こういった事例にかんがみまして、観光あるいはレクリエーション資源の状況とか、あるいは設置する施設などの地理的な条件、それから道路の条件などにつきまして、調査あるいは計画等を十分に行いまして、今後このようなことのないようにしていただきたいというようなことで、是正改善の措置を要求したものでございます。
○鶴岡洋君 きょうは午前中に目黒委員から指摘ありましたように、農水省関係は、他の省に比べてこの検査院の指摘の不当事項が多いと、こういう話でございましたけれども、私が調べた結果、この自然休養村というのは特に私は程度が悪いと思うんです。いま報告のあったように、調査したのは二百カ所のうち百六カ所、百六カ所のうち実体のなしていないのが五カ所、それから利用者がさっぱりないというのが三十一カ所、悪いにも私はちょっとほどがあるんじゃないかなと、こういうふうにいま思っているわけです。
 そこで、このような実態について、農水省は施設の状況等について、いわゆる検査院が調査をして報告したのは五十六年の十一月ですけれども、調査したのは五十五年です。これが始まったのは四十九年、たとえば福島県の場合には、これは五十二年に完成しているわけです、完成することになっているわけです。それから栃木県の場合は五十四年に完成、それから岐阜県の場合は五十二年に完成と。そうすると、検査院が報告した五十六年まで、少なくとも三、四年あるわけです。この間、事業の主体者は農水省でしょう、本家は。もちろん地方の農政局に指示をして、そして事業主体者は地方の公共団体、あるいは観光組合等でやりますけれども、主体者の本家はおたくの方なんだ、構造改善局なんだ。金を出しているのもおたくの方で出しているわけです。だから、当然お金を出した以上どういう実態になっているのか、これは私は調べるべきだと思うんですけれども、全くその間に、検査院から指摘されるまで把握してなかったのかどうなのか、この辺はどうなんですか。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘の点は私も厳しく受けとめております。自然休養村整備事業につきましても、事業完了年度の各地区ごとに、翌年度から三年間事業の実績を市町村長から県知事を通じて農政局に報告を受けております。全体としては、ただいま先生御指摘のように、あるいはまた検査院からもお話がございましたように、主力をなしております基盤整備とか、農業経営の近代化施設の方については、かなりの効果なり、活用があったことは事実でございますが、特にレクリエーション関係の固有の事業については、利・活用の状況がはなはだ好ましい状況でなかったということは承知しておりました。ただ、率直に申し上げますと、これもおわびしなければならない点でございますが、非常に抽象的な報告が多く、この利・活用の実態の問題についてのこの抽象的な報告を、率直に申し上げますとかなりうのみにした形で受けとめておりまして、非常に具象的、具体的な指導に欠けていたということは、私は事実だろうと思います。御質問もございますので、過去の記録を調べてみますと、農政局を通じて毎年この利・活用状況等について、特に利用提携の問題とか、それから優良地区事例の紹介の問題とか、専門家による診断のあっせん等を指導しておったことは事実のようでございますが、有効に作動していなかったことは私は否定いたしません。そういう意味でははなはだ遺憾に思っております。
○鶴岡洋君 いま遺憾に思っていると言うけど、確かに遺憾ですわな、これは。福島県の場合、ただ計画がこういう計画で、自然休養村に見合った計画だから補助金を出せばいいと、こういうものでは私はないと思うんです。だから、福島県の例をとってみても、大体一カ所三億平均と、こういうことになっているわけです。国で半分補助金を出しているわけですね。いま言った福島県の沼沢湖周辺地区ですか、この場合を例をとってみても、一億三千五百七十二万、このうちそこで実施したのが六千四百五十四万円と。それから栃木県の那珂川沿岸地区、これも四億二百十二万、こういう予定で始まったのが一億四千二百七十五万、これでストップしちゃっている。これはいま地方農政局を通じて、いろいろ調査というか、報告を聞いていると言いますけれども、もう始まってすぐこういう状況になっている。こういうことを見られないということは、非常に私は怠慢じゃないかなと、こういうふうに思うわけでございます。いずれにしてもそういうことで、極端に言えば、こういうところは早くに調査をして、これは見込みがないということならば補助金をやめるとか、また計画変更するとか、そういうことをやるのが私は農政局の立場であり、また構造改善局の立場ではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございますけれども、いかがですか。
○政府委員(森実孝郎君) 私も率直に御指摘の点は受けとめなければならないと思っております。これはまあ間接補助事業ということで、県を通して助成を行っておりまして、私どもと県が一緒になって、県費負担もつけているわけでございますから、やはりこういう問題についてはできるだけ早期の対応をしなければいけなかったと思います。全体を通じて、問題に特になりました五地区の場合で申し上げますと、実はちょうど第一次、ないしは第二次オイルショックの直後でございまして、一つは観光需要に激変があったということが、事業計画の取りやめあるいは転換をせざるを得なかった事情として共通事項にあると思いますが、やはり当初の計画段階での調整、それからもう一つはやはり状況の変化に応じた機動的な対応が欠けていたことは否めないと思います。
○鶴岡洋君 それじゃ一つだけ、この舟山地区というのが特に悪いと、こういうことで新聞、雑誌にも載っておりますけれども、この舟山地区の場合は、クマ牧場など大々的につくったのに、完成後の維持費などから、経営が行き詰まって、補助金でつくった施設を無断で売ってしまった、検査院に注意されて、これは大変だというので買い戻したと、こういうことになっているわけです。この件はその後どうなっちゃっているんですか。補助対象であった施設は戻っても、これで経営が改善されるとこういうのではなくて、どんな対策をとったのか。その後の利用状況はどういうふうになってますか。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように、この久々野町の事例が私どももやっぱり一番大きな問題だったろうと思います。経過を申し上げますと、事業実施主体の一部でございます橋場農業観光組合が、補助事業でつくりました観光牧場の管理所や、野営場等補助対象施設の一部を、昭和五十五年二月に宗教法人に無断で売却したという事実があります。それから、また同時に、この施設の売却にあわせて、施設用に提供されました区有地でございますが、これもやはりこの宗教法人に売却していた経過が明らかになっているわけでございます。この事実は、遺憾ながら実は国も、農水省も、県も把握しておりませんでした。その後検査院の検査を通じて明らかになったわけでございます。
 この施設につきましては、昭和五十六年七月にこの宗教法人から買い戻しを行っております。また、土地についても久々野町が昭和五十六年の九月に買い戻しを行っております。
 こういった状況に立ち至りました理由というのは、実は観光客の見込みが大幅に狂いまして、多額の累積赤字を発生したことと、経営努力に非常に不備な点があった、責任者等も明確でなかったという点があると思います。
 そこで、事業主体を中心に、町の協力と県の指導のもとに再建計画を立てて、いま進めつつございますが、内容は、一つは、組合の組織体制をつくり、責任者を明確にする。二番目は、新しい投資はもう避けて、既存施設の利用転換を含めた有効利用を図っていく。それから三番目は、地域特産物、これは高冷地の野菜とか、果物、みそ等があるわけでございまして、こういった特産物の販売をこれに結びつけていく。それから、野営場と緑地の広場等の整備を、町とこの地元の事業主体が中心になって進めていく。それから、さらにこういったことを前提にいたしまして、積極的な啓蒙、宣伝を行うということで、現在再建計画を発足さしたばかりでございます。私どもも御指摘を頭に置きまして、この将来については十分有効なアドバイスをしてまいりたいと思っております。
○鶴岡洋君 補助金を、十万円、二十万円のものじゃないんですから、出しておけばそれでいいというものでは私はないと思うんです。したがって、事業効果の事後点検ですね、これは本体としてきちっとやる。それにもかかわらず、それをやっていなかったから出たわけですけれども、いま言った福島、栃木、岐阜、和歌山、そのほかにもたくさんあると思うんです。百六カ所で三十六カ所も出たんですから、恐らく全部調べれば、五十カ所も六十カ所も出るかもわからない。これはわかりませんけれども、そういうことで現実には失敗した例がここに出てきているわけです。この今後の方策、どう対処するかと、こういう点について、一々どうするかということをお聞きしたいんですけれども、時間がございませんので、それはまた後で、この福島地区についてはどうする、また栃木地区についてはどうする、岐阜についてはどうするということについて、委員会ではなくても結構ですから、御説明いただけますか。
○政府委員(森実孝郎君) 具体的な問題につきましては、いま計画を詰めておりますので、資料として提出させていただきます。
○鶴岡洋君 ちょっと横道にそれて申しわけないんですけれども、この検査院の指摘に対して、農水省なり、各省は意見を表示され、または処置を要求された事項に対する各省庁の説明というのがございます。これについて、余りにこれが多いんで、この自然休養村整備事業等について、農林水産省としてはどういう答弁書をつくったのか。私お聞きしましたら、農林水産省の方からこれが一枚来たんです、これが一枚。先ほど言ったように、三十何カ所もあるわけです。みんな一億、二億と、こういう、いわゆる欠損ではございませんけれども、事業が完成していないと、こういうところが出ているわけです。これを見ると、農水省から出たものはこれ一枚であって、私が思うには非常に不親切ではないかと思うんです。いわゆる自然休養村整備事業等について、本件については、指導の趣旨に沿い、施設の管理、運営の体制整備を図らせるほか云々といって、三行しか書いてないわけです。補助金を出したのは、お金を出したのは大蔵省かもわかりませんけれども、検査院に最初お聞きしたいんですけれども、これだけの答弁書でよしとするのか。そちらの方で、会計検査院として、これだけ報告あれば指摘したことについてまあいいやと、こういうことになるんですか。この点はどうですか。
○説明員(高橋良君) 私ども、意見を表示したり、あるいは措置を要求した事項につきましては、必ず翌年度トレースをいたしまして、そしてこの結果につきまして、翌年度の決算検査報告においててんまつを検査報告に載せることになっておりますので、十分われわれその後の様子につきましては追跡調査をいたします。
○鶴岡洋君 じゃ、農水省にお聞きしますけれども、私はこれを先ほどいただいたんですけれども、非常に不親切だと思うし、この点について、うんと細かく、この事項については指摘されたからこういうふうにするとか、またこれから何年の間にこういうふうにするとかという、そういう細かいことまで私は言うつもりはないんです。ですけれども、これではあんまり不親切過ぎるんじゃないかと、国民の金を使ってこれやっているわけですから。だから、この地区についてはこういうふうに失敗をしたと、こういう指摘があったんで、この点はこういうふうに改善いたしますと、またこういう方向に持っていきますと、こういうことで、全部私やれと言うんじゃないし、また細かくやれと言うんじゃないけれども、もう少し親切に、この点についてはこういうふうに改善をして、指導強化していきますと、こういうふうにすべきではないかと思うんですけれども、この点についていかがですか。
○政府委員(森実孝郎君) ただいま先生から御指摘を受けました文書は、役所の公文書として検査院に対して農林水産省から出したものでございます。しかし、私どもこの文書だけで実態は、行政の運営の改善が終わると思っておりません。
 そこで、この内容はすでに検査院にも事実として御説明しておりますが、本年の三月二日付で通達を出しまして、具体的な改善策を各県に指示しております。
 その内容は、一つは、全地区について今後三年間利用状況の実態調査を実施して報告してほしい。それから二番目は、会計検査院に具体的に指摘を受けました地区については、施設利用目標の達成のための年次計画をつくって、達成状況について報告を求める。それから三番目は、何といっても啓蒙宣伝の強化と並んで、都市生活者の各種組織、まあ学校等も含めて、そういったものの利用提携の強化が中心なので、このための地元の推進体制の整備と、利用度向上の目安について詰めてほしい。それから四番目は、施設の管理、運営について、先般も委員から御指摘ございましたように、自治体の財政負担と申しますか、一般会計負担もかなりあるようでございますので、まあ全部独立採算でやれる施設ではないと思いますが、そういう意味で責任者を明らかにし、研修会の開催や、現地指導等を強化してほしいという、かなり詳細の通達を出しまして、現在この通達に基づいての具体的な実施の仕方について、県農政局の意見も聞いて、進め方について打ち合わせ中のところでございます。
○鶴岡洋君 それでは時間が来ましたので、大臣に最後に御答弁いただきたいんですが、私がいま指摘したこの自然休養村の一部には、先ほどから言っていますように、途中で施設の設置を中止したり、それから補助金でつくった施設を無断で売ってしまったり、指摘されて買い戻したり、まことにけしからん例が多々あるわけです。まあ行政改革を国家行事と掲げている五十七年度予算を見ると、その中でも農林補助金は国の補助金全体の一四%、さらに農林予算の六二・二%、二兆七百三十億、こうなっているわけです。補助金が国民の血税であるということは、これは当然ですけれども、そういう点に自覚が足りないんじゃないかと、こういうふうにも思われるわけです。補助金の投資効果について十分配慮して使われるべきでありますし、またもっとシビアに検討して、対応すべきではないか。こうした事例から、大臣も反省されると思いますけれども、どういうふうに反省して、今後対処していくか、最後に御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 補助金の問題につきましては、御承知のように財政再建の現状において一番問題になっておる事項でございます。したがいまして、五十七年度予算におきましても、できるだけ、これまでのような各部局からばらばらに補助を要求するのでなくして、一つのメニュー化形式をとりまして、意欲的な農業をつくる、あるいはまた、新しい農業をつくるための活力になるような補助金にしたいということで進めてまいっているわけでございます。
 しかしながら、きょう、いま御指摘のありました補助金については、全く申しわけございません、こういう形で補助金が使われることによって、農林水産省の補助金が問題になるわけでございますから、私たちとしては、この種の補助金こそ私は反省しなきゃならないと思います。このことによって、農林水産省の補助金が単にむだに使われているとか、単に有効じゃなかったというような指摘を受けるわけでございますので、私は、補助金はやはり農業に意欲を与える、あるいはまた農業に活力を与えるものでなければならないと思いますので、今後ともこの自然休養村の整備事業については、徹底して、私はこれの使用、あるいは御指摘いただいた点を反省してまいりたいと考えています。
○柄谷道一君 大臣にお伺いしますが、「紙の消える日」、これは森山剛、この方は通産省紙業課長であったと思いますけれども、失礼でございますが、この本お読みになりましたですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 残念ながら、まだ読んでいなかったんでございます。
○柄谷道一君 私は、この小説の序文に、森林問題は資源と経済の問題であり、環境や文化の問題でもあり、すべての道がローマに通ずるように、現代のすべての問題は緑の危機につながっていく。もちろん危ういのは森林だけではないが、ともかく地球上で森林ほど文化のしわ寄せの及びやすい部分はあるまい。樹木の生きざまは人類の運命の象徴である。さらに、その結びの中で、造林は驚くほど長い年月と先行投資を必要とする。その成果は、われわれの時代はもちろん、子供の時代にもあらわれない。孫の時代になって初めてあらわれる。ゆとりと思いやりを最も必要とする分野なのである。こういう大体思想に基づきまして、国家百年のグランド・デザインを欠く近視眼的視野では、森林の荒廃を招き、悔いを千年に残すのではないか。こういう思想に貫かれた小説であろうと思うのでございます。私は、今後の林業政策を考える上で、政治家として一読に値する本ではないかと、こう思いますので、お忙しゅうございましょうけれども、ぜひ御一読をお勧めをしたい。
 そこで、具体的政策の問題でございますが、日本林業労働組合が「地球は砂漠化する」という副題のもとに「新・緑の再生」という本をつくっております。これは読まれましたか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 読ませていただきました。
○柄谷道一君 私はこの日林労が、労働組合が古い概念や非創造的行動をとっていたのでは、新しい時代に対応できないと、きわめて大胆に日本林業の現状と問題点をえぐり出しまして、緑の再生のための総合的林業政策を打ち出したものとして、非常に高くその価値を評価するものでございます。ぜひ、お読みになりましたならば、その考えを今後の林業政策に生かしていただくように、冒頭お願いをしておきたい。
 そこで、林野庁長官に引き続きお伺いしますが、わが国の森林は、これはもう言うまでもないんですが、日本経済にとっては重要な木材を提供するというばかりではなくて、水を蓄え、洪水、山崩れ、落石、なだれ等の災害を防ぎ、気温、湿度、風等の気象条件を緩和し、大気の浄化、野生鳥獣の保護、レクリエーションの場の提供、騒音の遮断など、国民生活に欠かせない公益的機能を持っていると思うのでございます。一説によりますと、この機能を計量化いたしますと、一年間で約二十三兆円に達するのではないかという説もございます。これはかつて林野庁はこういう公益的機能の計量化を発表してこられたのでございますけれども、最近どういうわけか、この発表がないようにも思われるのでございますけれども、長官として、森林の公益的機能について、また、特に国有林の果たしておる公益的機能について、どのようにお考えでございますか。
○政府委員(秋山智英君) 森林の持っております機能につきましては、先生が御指摘のとおり、木材生産機能のほかに、各種の公益的機能を持っているわけでございます。私どもといたしましては、これらの各種機能を総合的に、かつ高度に発揮し得るような、そういうふうな森林機能により高めるために、森林の取り扱い、私ども森林施業と呼んでおりますが、森林の取り扱いを計画的に実施してまいりまして、国民の皆さんの要望にこたえるべく努力していかなきゃならんということで、日夜努力しているわけでございます。特に、国有林につきましては、わが国の脊梁山脈地帯を中心といたしまして、これが分布しておる関係もございまして、特に公益的な機能の側面がより高うございますので、十分そういう点に配慮いたしまして、特に昭和四十八年以降は新しい施業方法を導入いたしまして、適確な林業経営、あるいは森林施業をしておるところでございます。
○柄谷道一君 計量化は、金額は別としてきわめて大きいということは私も同じ認識でございます。同時にもう一つの側面があるんですね。国土の保全、再生可能な森林資源の培養にとって重要なことは、山村を何としても振興しなければならんという問題であろうと思います。
 そこで、山村地域を山村振興法に基づく振興山村の区域で見ますと、その面積は国土面積の約五割、林野面積では約六割を占めております。しかも、これらが、果たしている機能に比べて、人口は全以の五%を占めるにとどまっております。最近、昭和三十年以降、若年層を中心とした人口の流出がはなはだしくなってきた。したがって、これらの地域は過疎と人・の高齢化、さらに生活環境の立ちおくれが顕著になってきておるということは、林業白書でも指摘しておるところでございます。したがって、地域によっては国有林が地域の雇用、産業にとってきわめて重要な機能を果たしておる、そういうところが多い。とすれば、国有林事業の赤字ということのみを理由として、施策を進めていくということになりますと、一層疲弊した山村に追い打ちをかけるという結果にもなる、こう思うのでございます。山村振興に果たす国有林の役割り、評価についてどうお考えですか。
○政府委員(秋山智英君) 私どもこれからの森林、林業を守り、わが国の自然を保護していく上におきまして、山村の存在はきわめて重要であるという認識に立っております。したがいまして、私ども国有林野事業を推進するに当たりましても、国有林と地域の方々とはきわめて密接な関係にあるわけでございますので、これまでにおきましても、共用林や部分林、あるいは国有林の活用というふうな面、さらには国有林野事業の造林事業あるいは伐採事業、あるいは木材販売というふうな各種の諸活動を通じまして、雇用の確保、あるいは地域の産業の振興という面に寄与をしてきたつもりでありますし、今後もさらにこれは一層積極的に寄与してまいらなきゃならない、そういう認識に立っております。
○柄谷道一君 林野庁長官にさらに具体的にお伺いいたしますが、いまお答えになりましたような高度の公益的機能、これを維持、増進する。そのためには、法律で保安林、自然公園、さらには砂防指定地というものが行われているわけですね。また、林野庁独自では休養村、レクリエーションの森等の問題にも取り組んでおられるわけでございます。
 そこで、このような公益的機能のためにいわゆる制限されている地域、区域、その森林面積というものが、国有林の中でどれだけの割合を占めておるのか、概数で結構でございます。
○政府委員(秋山智英君) 私ども、いま先生御指摘の保安林、あるいは自然公園というふうな法令によりまして、国土保全その他の各種公益機能を重視したためのこういう施業方法をとっているところにつきましては、特に法令に基づきまして、各種の制限を課しているわけでございますが、その面積は全体で四百八万ヘクタールございまして、国有林総面積の五三%に当たっています。具体的に申し上げますと、若干保安林と自然公園との重複等がございますが、保安林面積につきましては、三百六十四万ヘクタールでございまして、国有林面積の四八%に当たります。それから、自然公園の面積二百六万四千ヘクタールで、二七%に相当してます。それから、鳥獣保護区が九十四万八千ヘクタールで一一%、それからレクリエーションの森といたしましては五十三万七千ヘクタールで七%、それから砂防指定地は七万ヘクタールで一%、さようになっております。
○柄谷道一君 ここで大臣にお伺いいたしますが、いま林野庁長官も、公益的機能というものはきわめて大きい、今後増進していかねばならない、また山村振興に果たすべき機能はきわめて大きい、しかも、このために国有林の半分以上がそうした公益的機能のために、いわゆる事業としての活動が制限されているということが明らかになったわけでございます。
 ところが最近、政府、特に私は大蔵省筋、まあ大蔵省もおられて失礼でございますが、動きを見ておりますと、国有林野事業の財政赤字というもののみが抽出されて取り上げられまして、わが国の国有林が果たしておる機能、またこれから果たしていかねばならぬ機能というものが、どこかネグレクトされているんではないだろうか、こういう率直な感じを受けるのでございます。大臣としての林業政策、特に国有林事業に対する基本的な認識をこの際明らかにしていただきたい。
○国務大臣(田澤吉郎君) まず、森林、林業に対する考え方でございますが、私たちは、この資源のない日本でございます、その中で、いわゆる文化の積み上げというのは一体何なんだろう、こう考えますというと、やはり教育の積み上げによって人材をつくる、たとえば、明治以来の教育を積み上げてくることによって、私たちは今日の世界第二の経済大国をつくったとも言われておりますので、そういう意味では、教育の積み上げというのは非常に大きい。もう一つは、われわれの先輩が二千数百年来木を植えることによって、私たちはいま森林資源を得て、今日このような生活をいたしている。また水資源、あるいは国土保全等を私たちは森林によって支えられてきているわけでございますから、木を植えるということは、それなりに森林資源の確保であると同時に、国土保全という大きな役割り聖果たしているわけでございますので、私はそういう意味において、これから文化を積み上げるということは、単に消費文化よりも、こういう積み上げによる文化を私は汗を流して積み上げていかなければならないのじゃないか、こう思いますので、森林の尊さというものを痛切に感ずるわけでございます。
 特に国有林野についての考え方でございますが、どうもいままで独立採算的な考え方。ですから、赤字というものを特に大蔵省、財政当局は御指摘になりますけれども、私はこれは意識を変えていっていただかなきゃならない問題だ、こう思います。私は、公益性というものは、やはり一般会計から本当はこれは賄うべきものでございますから、そういう傾向に持っていくべきものじゃないだろうか、こう考えておるのでございます。
 私の地域は、青森県はもう国有林でできているんです。したがいまして、私は県会議員時代に白糠というところに参りまして、下北半島の一部でございます。そこへ参りますというと、営林署長さんという人は一番偉い人なんです。知事さんよりも、警察署長さんよりも、県会議員さんよりも、一番偉いのは営林署長さんだという認識でございます。それはなぜかと言えば、村ぐるみで国有林にお世話になっているということなんですね。そういう点が、最近はどうも営林署長さんというのはその株がずいぶん下がったようでございますけれども、それもこれも国有林のいわゆる一つの公益性というものが生かされていないというところに私はあろうと思いますので、往年のいわゆる営林署長さんになるように心がけるためには、やはり国有林の育成というものに積極的な努力を払わなければならない、かように考えております。
○柄谷道一君 大臣の林業をきわめて重要視されておるその姿勢、これは評価しますし、本来公益的機能というものに対しては、一般会計をもって措置することが筋である、私も全く同感でございます。
 ところが、これ農林省関係の国有林野の関連法を見たんですけれども、どの法律にも公益的機能だとか、地域振興に果たすべき役割りというのは法律にはないんですね。どこにあるのかなといろいろ調べてみましたら、農林省訓令による国有林野経営規程、そして国有林野事業の改善に関する計画、この中に初めて出てくるんですね。私はこれを見まして、いまの大臣の答弁ではございますけれども、立法上、その機能が明定されていないということは、わが国の行政の林業に対する姿勢が十分でないという左証ではないか、こう思うのでございます。
 いま直ちに答弁はむずかしゅうございましょうけれども、そういう林野関係法をこの際、いまの大臣のお言葉に従って見直しをしていただくお考えはございませんか。
○政府委員(秋山智英君) まず、事務的な面でお答え申し上げます。
 まず第一に、林業全体に関する基本方針を定めました林業基本法の第四条におきまして、先生御指摘の、公益的機能を有する国有林につきましては、その機能を確保できるように努力しなさいということと、さらには地域の産業に寄与すべきであるということが明確に規定されております。また、国有林、民有林を通じましての森林計画をつくる基本法でございます森林法につきましても、第四条におきまして、この策定に当たりましては、この公益的機能が確保できるようにひとつ配慮せよという規定も定めております。
 したがいまして、私どもはこれらの法律に基づきまして、訓令の経営規程等に基づいて、計画を定めて実行しているわけでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
○柄谷道一君 言葉を返すようですけれども、基本法というのは訓示法ですよ。いわば方向を定めているんですね。そして、森林法というのは、わが国森林全般の法律ですよね。私は、それを受けて、国有林野関連法の中にもその基本法の精神を受けた事業の大きな果たさなければならん機能というものが明定されてしかるべきであると、私はそう思うのでございます。しかし、これをやりとりしておりましても、これだけで時間がかかりますから、ひとつ大臣、国有林関連法を一遍目を通していただいて、必要な見直し、検討というものはぜひ進めていただきたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) まだ農林水産大臣になって五カ月でございますので、そういう法律に目を通すまでの余裕はございませんので、これからその関連法律を勉強いたしまして、できるだけ私で可能なものは努力をしてみたいと考えております。
○柄谷道一君 環境庁にお伺いいたしますが、最近森林への期待というものも非常に多様化いたしてまいりまして、自然保護の必要性が強調されております。国有林はかなりの部分が自然公園に指定されております。そしてそれは事業に制限を受けておるわけでございます。そこで、私は自然を保護するという立場と、産業としての林業、これをどう調和させるか。ここに大きな問題があるわけです。
 私は、そこで、環境庁に端的にお伺いしますが、環境行政と事業体としての林業、この位置づけをどうお考えなのか。当然、環境は守らなければならない。とすれば、そのコストは、いわゆるその分だけ制限されるわけですから、そのコストは私は国で負担するのが筋であろうと、こう思うのですが、そのコストに対するお考えお伺いします。
○説明員(日下部甲太郎君) 私ども環境庁といたしましては、自然公園法等に基づきまして、わが国のすぐれた自然の風景等を保護し、これを国民に利用させるということで指定をしておりますけれども、その中で森林というものがこれら自然環境におきますところのきわめて重要な要素であるということは間違いないところでございます。したがって、現在国立公園等の自然公園に含まれておりますところの国有林野は、約その四割を占めるに至っております。先生御指摘のような、自然保護のためにいろいろ規制を受ける、あるいはそれはコストというお考え方があるわけでございますけれども、環境庁といたしましては、自然公園等を指定するにつきましては、自然保護と森林の施業というものをどのように調和を図っていくかということにつきまして、林野当局と綿密なる協議をいたしまして、その調整を図っているところでございます。したがって、基本的には現在線引きをされ、あるいはまた保護の計画を受けておりますところの国有林野につきましては、基本的には林野庁と調整をされたものというふうに理解をしているわけでございます。
 自然保護のために森林施業のコストの問題ということにつきましては、これは国土の保全、あるいはまた水源の涵養等々、多くの多目的な、公益的機能を有している森林の一環として考えられてしかるべきだというふうに考えております。
○柄谷道一君 これ大蔵省にちょっとお伺いしますが、いままで私は国有林、森林の機能というものをいろいろな観点から御質問いたしまして、果たしておる役割りはきわめて大きいという御指摘を受けたわけですが、ところが、現在の経理の仕組み、これを見ますと、果たしてこれでいいんだろうかという多くの疑問にぶつかるわけでございます。
 これ大臣もよくお聞き願いたいんだけれども、たとえば、国有林事業が材価が低迷をして歳入欠陥を生じそうになる。そうなりますと、いわゆる延納の繰り上げを林野庁は行うわけです。そこで延納繰り上げによって帳じりを合わさなきゃならない。それは経理的に見ればそこで帳じりが合うかもしれませんけれども、そういうことをやるということは、木材加工業に対して、政府は一方、予算で補助措置をやっているわけですね。それほど苦しいわけです。その苦しい中小の木材加工業者に、延納の督促をやるわけですから、いわゆる中小企業対策という視点からするならば、そこに帳じりを合わせるという措置と、林業、山村の振興という機能とはここで相反する面が出てくると、こう思うのです。一方、材価が下がりますね。そうしたら伐採量を多くするしかないんですよ。これは私も民間の出身でございますけれども、民間産業ならば、価格が低落すればむしろ生産調整を行うことによって価格の安定を期すというのがたてまえですね。ところが国有林は企業採算という、これは官庁式の経理規定でございますから、伐採量を多くしなければならん。そこで伐採量を多くすれば材価はさらに低迷する。生産調整に逆行する立場をとらざるを得ない。一方材価が上がりますね。大体予定の歳入が確保されたということになると、伐採量落としていくわけですね。それは帳じりは合うかもしれないけれども、騰貴した木材価格というものを鎮静化するという役割りは国有林は全く果たし得ない。逆に騰貴に拍車をかけるという、結果的にはそういう手法をとらざるを得ないというのが実態ではないだろうか。また借入金でございます。私の調べたところによりますと、五十六年度末で六千八十億円、五十七年度予算が千七百億円を計上しておりますが、そのうち償還が百二十七億円でございますから、差し引きいたしますと五十七年度末では、実に七千六百五十四億円という借入金を抱える結果になる。いま林野特別会計は赤字になれば金を貸してやるよと、これはいいんですよ。ところが、結果このように膨大な借金を背負うようになった。そこで、返済額を見ましても、五十三年度百三十九億、五十四年度二百三億、五十五年度二百八十一億、五十六年度四百五十一億、そして五十七年度は実に六百二十五億円の借入返済をしなければならない。これはサラリーローンと同じなんですね。どんどんどんどん金利というものがかさ上げをされてきて、林野事業に対する金利及び償還金の比率というのが年々累増しておるというのが実態です。そこで、これは林業白書を見てみますと、こんなことが大臣書いてあるのですね。杉一ヘクタール当たりの造林費ですね、これは四十六年には立木価格が造林費の一二・一倍。これは樹齢五十年としての計算でございますが、したがって、五十年間の利回りは五%台が維持されておったのですよ。ところが、五十六年には四・六倍、利回りは三%台に落ち込んでいるわけです。これは林業白書に書いてあるのですから政府の見解ですね。したがって、いまでは五十年間木を育てて、造林経費の利回り三%台しか確保できないわけでしょう。それを七彩を超える財投資金で賄えと言ってみたって、賄えるはずは絶対にないわけです。私はこうした現在の国有林野事業そのものに対する経理の仕組みというものを、この際大臣もお答えになった、林野庁長官もお答えになった、そういう国有林の果たすべき機能という視点に立って、私は必要な一般会計からの支出を行う。もしくは金利についても、その林業の価値というものに適応する融資、いわゆる金利、貸付条件を設定をして、足らざるは別途の方法でこれを補う、そういう経営基盤を確立しないで、林業の財政を立て直せ、こういうことは、私もいささか経理を勉強した者として、大きな問題を含んでいるんではないだろうかと、こう思うんです。
 そこで、大蔵省、技術的なことは私余り時間がありませんので、あれでございますが、そういう見直しを必要とお考えになりませんか。
○説明員(公文宏君) いま先生からいろいろ御指摘がございましたように、国有林の果たす役割り、特に公益的機能について強い要請があり、またそのために十分な措置がとられるべきであるというようなことにつきましては、私どもも十分理解はしておるつもりでございます。また、やはり帳じりを合わせるようなそういうやり方じゃなくて、長い目で見、また十分な措置がとられるべきであるということについても、理解はしているつもりでございます。ただ、いまの予算の措置のあり方、基本的な考え方というのは、昭和五十三年の国有林野事業改善特別措置法に基づく考え方に従って、私どもの予算措置がなされているというふうなことであろうかと思います。ここから先は御承知のとおりでございますけれども、特別措置法によりますと、国有林野事業の経営改善計画が立てられ、またそれとあわせまして一般会計からも繰り入れをしていくという形になっているわけでございますが、いずれもやはりその公益的機能が十分果たせるようにということを踏まえた形になっているように思います。たとえば、企業改善計画につきましても、ともかく木を切ったらいいということではなくて、計画的に木を切っていかざるを得ない。そうなりますと、しばらくの間は伐採量がどうしても小さくなるということを前提とした企業改善計画が立てられているように思います。そういう関係もありますので、そのつなぎの資金として借り入れが必要だというようなことも生じてまいるわけでございますが、いずれにいたしましても、いまの予算の立て方、あるいは予算編成の考え方の底には、やはり公益的機能についての理解を前提として進められているように私どもとしては考えているわけでございます。ただ、実際の予算措置を見ますと、これで十分かどうかという点については、いろいろ御意見はあろうかと思いますけれども、一方ではもう一つ財政上のいろいろな制約もございます。その辺は今後もよく林野庁とお話をしながら、お互いに納得のいくような形で進めていくというのが基本ではないかというふうに考えているわけでございます。
○柄谷道一君 大臣、これは大蔵主計官の答弁としてはそれから一歩も出ないと思うんですね。ただ、大臣も政治家としてお考えいただきたいと思うんでございますが、現在林野庁が人を事業量に合わせるように要員の削減を行っている。そういう努力というものは私は大変なものだとこれは評価するのでございます。しかし、財政的な裏づけもないために、事業間の振替をして生産調整を行うということもままならない。また、企業性の発揮や、経済的効率というものも大きく期待できない仕組みになっておる。一方、公益的機能を一層拡充すべきだという社会的要請は日を追って高まっておる。それが高まれば、その面において採算性を度外視しなければならんという事象が生まれてくる。足りなければ金を貸してやる、こう言うんでございますが、その貸付条件は物理的な国有林の生産力、長期的展望に立つ生産力をはるかに超える金利であって、とうていこれには追いつけない、こういう実態なんですね。私はこういう問題を考えますと、この際やはり林業政策というもののシステム化、総合林政の確立、そしてそれと整合性を持つ財政のあり方、こういうものをやはり真剣に検討し、その答えを出し、この土俵の上で努力せよというものがないと、これはやる気も何も起きてこないと思うんですね。働けど働けど財政は赤字になる、借金はふえていく、これは放置できない問題ではないかと思うんです。これはもう大臣のひとつ英断による抜本検討を必要とする時期だと、私はそう思うんですが、御所見いかがですか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 先ほど来、私森林、林業に対する考え方を申し上げたのでございまして、そういう考え方からまいりますというと、やはり公益的機能というものをもっと考えていかなきゃいかん。もちろんいま大蔵当局からも御説明がありましたように、いまの財政の仕組みも公益的な機能というものを十分考えながら、いま進めているということでございますけれども、実際の問題として、かなり大きな考えのずれがあるような気もいたします。しかし、私が在職中にどのぐらいやれるものでございますか、また、私の力としてどのぐらいやれますか、いまここで申し上げることはできません。できるだけ私としては山が裸にならんように、伐採だけはぐんぐんぐんぐん伸びるような林野庁であってはいかんと思いますので、むしろ造林、間伐が中心のやはり林野で、それである程度産業の面にも協力するというような形でなければいかんと思いますので、そういう点をこれから十分念頭に置きながら、財政の面についても検討してまいりたいと、かように考えます。
○柄谷道一君 これはぜひ強く要望しておきますけれども、いま大臣も造林が必要だと、これは長い投資を必要とするんですね。それをやればやるほど、やはり物理的な生産力、そして公益的機能というものを配慮した金利負担を課していくということが必要になってくると思うんです。その点は、私もこれ質問するために勉強すればするほど、現在のシステムには何か根幹的な欠陥といいますか、問題点がある、そういう状態を放置したまま、林野財政が赤字ではないか赤字ではないかという指摘というものは、果たして適切なのかどうか、大きな疑問を感ぜざるを得ませんので、大臣、これ解決するまで大臣続けてやってくださいよ、われわれ応援しますから。何代でもやられて、ぜひわが国の千年の将来を考えた林業の政策の確立、全力を上げて取り組んでいただくように、これは要望いたしておきます。
 そこで、林野庁に、時間もなくなりましたので簡潔にお伺いし、総理府にも来ていただいておりますので、最後に質問いたしますが、私はこうした抜本見直しと並行して、進めなければならないのは、どうしても職務意欲の向上の問題だろうと思うんです。そこで、答えだけ言ってください。昨年の林野関係公務員の違法ストライキによる労働損失時間、延べ時間は一体どれぐらいか。その処置は完全に行われているのか。そして、特に森林法で、森林司法警察員としての権限が与えられている者があるわけですが、これがストライキに入るということは、いわゆる無法の地帯と時間をつくるということになるわけです。森林司法警察員のストライキに対してどうお考えか。これは林野庁にお伺いいたしますと同時に、総理府に対しましては、これは私内閣委員会で再三にわたりまして、まじめに働く者としからざる者の信賞必罰、モラルの向上、その具体化を求め、特に林野関係では、一般会計に所属する職員と、特別会計に所属する職員との間に賃金格差が大きい、そのことが退職手当にも影響する、したがって、生涯賃金という視点で見るならば、同じ場所に机を並べながら、そのシステムの違いにおいて生涯賃金に大きな断層を生ずるということは問題ではないかという指摘をしましたところ、林野庁長官も、また総理府も、労働組合と十分協議をこれからやっていきたいということを答えられ、これは附帯決議にも入っておるわけです。意欲向上のためのその後の進捗状況と、今後の予定は何か、この二点をお伺いいたしまして、はなはだ残念ですが、時間が参りましたので質問を終わります。
○政府委員(秋山智英君) 五十六年度の違法ストライキによる労働の損失時間は、延べ一万三千六百二時間でございます。これは前年度に比較いたしますと、約十分の一と大幅に減少させております。この違法ストライキに対しましては、停職百十五名を含む厳しい処分を行ったところであります。
 なお、森林司法警察権を持っております職員が違法ストライキに参加するのは、まことにこれは遺憾なことでございまして、これらの職員に対しましても厳正な処分を行ったところであります。今後かかることのないように、さらに一層厳正な指導をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
 それから、第二点といたしまして、一般会計の職員と特別会計職員の賃金格差の問題でございますが、私どもこれまでもこの問題については鋭意努力してまいったわけでございますが、特に昨年の十月二十九日の御質問以降の関係につきまして申し上げますと、昨年十一月の末に実施いたしました五十六年度の仲裁の配分におきましては、昇給率の改善、それから中高年層の職員への重点配分など、格差の問題を十分念頭に置きまして措置をしてまいったところであります。
 なお、今後におきましても、国有林野事業が置かれておりますところの厳しい経営の状況、さらには近く予想されますところの第二臨調の答申等を踏まえまして、今後の国有林野事業について、長期的な改善方策について検討していく必要があると考えておりますが、その過程におきまして、国有林野事業を担う職員の給与のあり方につきましても、それにふさわしいものになるように検討を進めてまいりたい、かように考えております。
○政府委員(山地進君) 退職手当の見直しに関連いたしまして、先国会で附帯決議をいただいて、「退職手当制度の見直しに当たっては、関係職員団体の意向を十分に聴取する」ということをいただいているわけでございまして、私どもといたしましては、今後見直しを進める際に、十分職員団体の意向は聞いていきたい、かように考えております。と申しますのは、現在、私どもで見直しに着手したばかりでございまして、内部でいろいろ知識の集積といいますか、検討を始めたばかりでございます。また、各組合の方も、いろいろとこの問題については六十年度までの見直しでございますから、焦点をしぼって御検討いただいているものだろうと思うんで、この職員団体の御意見の拝聴についてもしかるべき時期が必要であろうか、かように考えております。もちろん日々いろいろと交渉のある方々でございますから、随時それめいた御意見は聞くわけでございますけれども、組合の方の御意見といたしましても、やっぱりかためておっしゃっていただく、それから、私どもとしても問題点を整理してお受けする体制を整えるということが必要だろうと思います。
 賃金の格差――官官格差の問題については、いま林野庁の方のお答えがあったとおりでございます。
○安武洋子君 私、農水省の職員の天下り問題でお伺い、をいたします。
 農水省の場合でございますが、東北農政局の職員が手みやげ工事つきで三井建設に天下っておりまして、しかも就職の際に農水大臣の承認を得ていないと、こういうことで、民間企業への天下りにつきまして、大臣の承認がきわめて形式的ではないかというふうなことで、国民の批判が高まっております。
 農水省につきましては、このほかにもきわめて違法な天下りが行われていることが私の調査で判明をいたしております。公務員の再就職に当たりましては、私企業から隔離のために、国家公務員法百三条並びに人事院規則によりまして、在職中に密接な関係のあった企業に離職後二年以内に就職する場合は、人事院または所属大臣の承認が要る、また就職後も離職から二年以内に地位が変更する場合は、同様の承認を得なければならないと、こういうふうになっております。ところが、人事院が昭和五十一年三月十六日付で承認をされております当時の北陸農政局長の坂本正氏の場合でございますが、この方は日本工営株式会社という、これは農業、水利、灌漑、こういうコンサルタント事業を行っている農水省ときわめて密接な企業でございますが、ここに顧問として就職をなさっていらっしゃいます。人事院はこの承認の理由といたしまして、この日本工営株式会社というのは「北陸農政局と契約関係があった」と、こういうことを認めながら、「当該工事額の同社の完成工事高に占める比率が極めて低かった」と、こういうことと、「企業につく地位が技術点事項担当の非役員である」、こういうことで天下りを承認いたしております。坂本氏は五十一年三月十六日に顧問で就職をされておりますけれども、私が調べましたところ、離職後一年三カ月日でございますが、翌年の五十二年六月に同社の取締役、しかもコンサルタント第二事業部の農業担当、この農業関係の営業の最高責任者に就任をされております。これは人事興信録にも出てまいりますし、日本経済新聞あるいは会社年鑑、それから有価証券報告書と、こういうふうなものに公表されておりますから、公表された資料でこういうことがはっきりとわかるわけなんです。そして現在は常務になられております。そして、この五十二年六月の取締役就職につきましては、人事院の承認を受けておられません。人事院の年次報告に出ておりません。
 日本工営のこの当時のコンサルティング業務の完成工事高というのは、官公需が八十億でございます。そして民需は三十一億でございます。もし人事院に地位の変更を求められる、取締役就任の承認を求められるというふうなことになっておれば、当然これは私は承認されないはずだというふうに思います。
 さらに、もう一件ございますが、これは昭和五十一年の四月一日に離職をされました近畿農政局の久原秀士氏の場合でございます。この方も日本グラウト工業の技術顧問、こういうことで就職の承認を受けておられます。この場合もつく地位が非役員である、こういうことで承認をされております。にもかかわらず、一年半後の五十二年十一月二十九日常務に昇格しておられます。地位の変更承認が行われた形跡というのは全くございません。これは人事院の年次報告に出ておりません。私は、これら二つの件でございますけれども、離職後二年以内に地位の変更というふうなことがありました場合には、人事院の承認を受けなければいけない、こういうことになっておりますけれども、この両件というのは、明らかに人事院の承認を受けないで役職についておられるというふうなことで、明らかに国家公務員法に違反する行為が行われていたというふうに思うわけです。
 そこで、農水省にお伺いをいたしますけれども、私は先日、これは人事院に対しまして、この両氏の件につきまして国公法違反を犯していたのではないかということで調査をお願いいたしております。当該官庁であります農水省の方にも連絡があって、農水省としても当然御調査をなさったのではなかろうかというふうに思いますが、御調査をなさっているようでしたら、その調査、そしてその結果をお知らせ願いとうございますし、もしいま私の申し上げたことが事実で間違いなければ、このお二人に対してどのような処置をとられたかをお伺いさせていただきます。
○政府委員(角道謙一君) お答えを申し上げます。
 先生いま御指摘の事実につきましては、調査の結果もそのとおりでございます。人事院からの連絡もございまして、私どもこの両名につきまして調査をいたしたわけでございますが、北陸農政局長の坂本正さんは、先ほどお話しございましたように、日本工営株式会社コンサルタント第二事業部付顧問になる場合においては、人事院の承認を受けたわけでございますが、その後一年三カ月たちました五十二年六月二十九日付で取締役になりました段階におきましては、本人の申告もございませんで、事実就任に際しましては人事院の承認は得なかったということでございます。
 それから、同じく久原秀士きんにつきましても、同様日本グラウト工業株式会社技術顧問に就任する段階におきましては、人事院の承認を得たわけでございますが、その後の約一年半ぐらいたっておりましょうか、五十二年十一月二十九日付で、日本グラウト工業株式会社取締役に就任したわけでございますが、その就任の段階におきましては、農水省にも何ら申し出もございませんし、したがって、私ども知らないままで、人事院の承認を受けないままこの方は職についたということで、御指摘のとおり、離職後二年以内に承認を得ないで密接な関係にある営利企業の地位に就任し、または地位を変更した場合、当然してはならないということがございますが、国家公務員法第百三条の規定に違反していることは事実でございます。
 そこで、私どもお二人に事実を照会をし、その理由をただしたわけでございますが、いずれもその方々は、就職の段階におきましてすでに人事院の承認をとったというようなことから、地位の変更については必ずしも要らないというように、非常に法律の知識が暗かったといいますか、不注意といいますか、その手続を怠ったわけでございます。したがいまして、私ども本人に深く反省を求め、また注意をいたしましたが、いずれも離職後もう現時点におきましては二年を経過しているということもございますし、本人も十分反省をし、人事院にも始末書を提出したという状況でございますので、私ども現段階におきましては、これ以上処置ができないかというように考えているわけでございます。
○安武洋子君 人事院にお伺いをいたしますけれども、いま農水省の方から人事院あてに始末書を提出したんだということでございますが、本人から人事院あてに始末書というふうなものが提出をされたのでしょうか、お伺いをいたします。
○政府委員(金井八郎君) 提出されました。
○安武洋子君 どのような内容なのかということをお知らせいただきたいのと、それから、このお二人の場合、国公法に照らしてみましてどのような規定に該当するのでしょうか。
○政府委員(金井八郎君) 内容は公務員法の規定に違反して、営利企業の変更された地位についたということにつきまして深く反省をするという、自分の責任を認めるという反省の文書でございます。
 御指摘の二名につきましては、前回御指摘がございましたので、私どもの方、早速農水省の方にお話ししまして、調査を求めたところでありますが、いま答弁ございましたように、違反している事実を私どもの方でも報告を受け、確認いたしました。こういうことはたてまえ上あってはならないことでございますが、法的に見ますと、国家公務員法の百三条並びに人事院規則に違反しております。
 一般にこういう違反がございました場合の処置といたしましては、離職後二年以内にそういう事実がはっきりいたしますれば、少なくともその企業の中のポストから外す。御本人が企業を退職するなり、あるいは企業内の他の地位に、問題のない地位に移るか、いずれにしてもその企業のポストから外すと、外してもらうということをまずしていただくことにしておりますし、少なくとも、そういう責任を自分で認め、反省するという意味の始末書を提出してもらいます。それから、申請官庁でございます当該省庁からもそれのてんまつについての調書というものを私どもの方に提出してもらうことにしております。
 これが二年を過ぎた後でございますと、地位を外すということまで私どもの方で強制的に物を言うという言い方がなかなかむずかしゅうございますので、その場合でも始末書は取りますし、一件のてんまつを記した調書というものも、当該省庁から取るということは同様でございます。
○安武洋子君 言葉じりにひっかかるわけではございませんが、こういうことはたてまえ上あってはならぬとおっしゃいましたけれども、実際にこういうことはあってはならないわけでございましょう、公務員法違反でございますし。
 それで、人事院にお伺いいたしますけれども、こういうふうな天下り先で地位の変更があったと、その承認要件に反するような行為が行われていたと、こういう件について、指摘とか、処分とかというふうな事例が過去にございますか。
○政府委員(金井八郎君) 最近農林水産省の東北農政局の事案でそういうものがございましたけれども、それ以前については承知しておりません。
○安武洋子君 大臣、私がいまこの御質問申し上げておりますことは、国公法の百三条で、「(私企業からの隔離)」と、公務員には非常に厳しく離職後もそういうことが課せられております。
 元農政局長という重要な地位にあられた方が、この方も含めてこういう違法な天下りを許していたということになるわけですが、そういう政治的な責任を大臣としてはどうお考えになるのか。その点を私はお伺いいたしとうございます。
 それから、農水省の場合でございますけれども、退職者の名簿などを見てみましても、関係の営利企業への天下りというのが非常に多うございます。その一方で、先ほどの問題にいたしました、承認も得ずに三井建設に工事のみやげつきで天下りをしていたと、この東北農政局の職員に次いで、今度もこういう事件があったわけなんですが、北陸農政局長をしていたというのは、これは大変重要な地位におられた方、こういう方の天下りの際の承認要件に反するような行為、これがあるわけです。そしてやはりこういうことが次々に起きますと、私どもは農水省というのはずいぶん退職者の管理がずさんではなかろうかというふうに思うわけなんですね。ですから、今後退職者の管理をやっぱり厳正に行って、いやしくも私企業との隔離を求めているこの法の規定、これに違反する事例が今後ないようにやはり厳しく対処をしていただかなければならないというふうに思いますが、この二点について大臣の御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(田澤吉郎君) 農林水産業行政を営む職員の、特に企業側から、民間側から要望の多いのは、たとえば基盤整備等で水利事業だとか、特殊な一つの技術者が多いわけでございますので、そういう関係からむしろ民間から非常な希望が多いということも一つの要素なのでございますが、そういう点で、今後は天下り人事というものに対しては、私たちは十分注意をして進めてまいりたいと、こう考えております。
 また、今回の法律違反については、これはまことに遺憾なことでございまして、私たちとしては深くおわびを申し上げなければいかん。今回の二人はすでに離職後二年でございますので、始末書等によってけじめはつけてございます。この前衆議院の予算委員会でも、東北農政局の楠という人がやはり同じような行為をいたしまして、私は即刻処分をいたしました。こういう点のけじめはやはりはっきりしなきゃいかんと私は考えておりますので、今後ともこういう点については厳しく処置してまいりたい、また今後ともこういう点を指導もしてまいりたい、かように考えております。
○安武洋子君 そこで私は、いまのはなるほど二年を経過いたしておりまして時効でございます。しかし、現在まだ二年と経過中のものがございます。この人たちが、人事院あるいは当該の農水省から許可を得た、そういう承認を得て役職に果たしてついているのか、あるいはこういうふうに私がいま指摘いたしましたような変更を承認もなくやっているのかということは、これは調べてみないとわからないわけでございます。やはりこういうことが次々出てまいりますと、そういう事例があるのではなかろうかという危惧を持ちます。もしそんなことがあれば、私は、単に承認を得なかったとか、その手続がおくれていたとかというふうな問題だけではなくて、私企業の隔離というふうな国公法に違反するという重大な問題になるわけでございます。私企業の癒着をまかり通すというふうなことも、これは私はやってはならないと思いますので、こういう事態が野放しにされないためにも、この二年間という期限がございますが、こういう人たちについて、退職者について私企業との隔離、この国公法の百三条が厳正に守られているかどうかという調査をしていただきたい。いかがでございましょうか、大臣。
○国務大臣(田澤吉郎君) 調査をいたします。
○安武洋子君 では、調査をしてその結果をまたお知らせいただきたいということで、その調査の結果を大いに期待をさせていただいて、私の質問ちょうど時間が参りましたので、終わらせていただきます。
○森田重郎君 農林大臣に何点か御質問をさせていただきます。
 実は、けさの各紙を見ておりますと、米側が新しい意味でまた関税の引き下げ問題とか、あるいは輸入枠の割り当て拡大、そういったような要求を突きつけてきたというような記事がございますが、このとおりでございましょうか、改めてお伺い申し上げたいと思います。簡単で結構でございます。
○政府委員(佐野宏哉君) ただいま先生御指摘の事項は、アメリカ側は、あくまでも要求であるというふうには申しておりませんで、要求ではないが、日本政府が準備中であるというふうに承知しておる第二段階対策に対するアメリカ側の示唆であるという言い方をいたしております。
○森田重郎君 私も実際、アメリカの態度、姿勢というものがよくわからないんですよ、正直申し上げましてね。先般の農産物作業部会におきまして、二十二条提訴というようなことが言われた。その場で日本の姿勢というものを厳しく打ち出したいというような農林大臣の御意向のように私ども承知しておる。あるいは大臣の腹の中は、によったら二十二条から二十三条に持ち込まれてもやるだけやろうというぐらいのお気持ちではないかと私は思うんですが、ここへ来まして、また二十二条提訴は、いまの御答弁にもございますように、必ずしも本旨ではないというような意味で、枠の問題とか、幾つかの新しい提案をしてきたという、その辺の真意が実はわからない。ただわかるとすれば、とにかく秋の中間選挙を控えて、これだけ劇的な措置を求めるというような意味、姿勢において、アメリカ側が言い出してきているこの貿易摩擦の問題を、何らかの形で多少なりとも成果が上がるような方向づけをしたい、それが言うなればレーガン政権の延命策につながると、そういう意味での政治的な配慮があるんではなかろうかというようなことが一つ理解できるということと、あとは農林省の非常に強い姿勢、この二つぐらいしか理解できないんですが、今後もこういうような問題が流通の問題、あるいはサービスの問題等々について、どんどん何か打ち出されてくるような感じがしないではないんですが、その辺を大臣どう理解をされておりますか、何かお考えがございましたら御答弁を賜りたい、かように思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 農産物の残存輸入制限品目に対しては、御承知のように三月九日、十日、東京で日米貿易小委員会を開きまして、その折に、牛肉、柑橘については、これは東京ラウンドで合意した以後の協議を、ことしの十月以降、双方の適当な時期に話し合いをしましょうと、さらに残りの品目については、作業部会でいろいろ話し合おうじゃないですかと、その作業部会もできるだけお互い言いたいことをもう率直に話し合おうじゃありませんか、日本もアメリカのことも率直に言いますよと、ヨーロッパの状態もお話ししますよというようなことで、しかし、感情的にならんようにしてくださいよということで、作業部会を設置したわけなんでございまして、そこで四月十二日、十三日、ここにいる佐野局長がワシントンで作業部会を進めたわけでございますが、アメリカはやはり完全自由化でないといけませんと、もう頑として聞かないと言うんですね。
 そこで、それでは私の方は、これは二十二品目というものは、農畜産物にとっては基幹をなす品目であり、あるいはまたその地域の重要品目であると、農林水産業振興のまた重要な品目でございますから、これ以上これは緩和するわけにまいりません。ことに完全自由化となりますというと、わが方としてはとてもいまの農林水産業の現状から言って、これはとても歩み寄るわけにまいらないということを主張いたしたわけでございます。
 そこで、それでは作業部会はやめましょう、そこで、ガット二十二条協議に持ち込むより道はございませんね、それでアメリカは、しかし二十二条の協議というのは二国間の一般的な協議であるから、対決という形ではございませんよというようなことで作業部会は終わったわけなんですね。
 その後、何か電報か電話か知りませんけれども、新しい情報が、緩和のための情報が流れてきているわけでございますが、しかしその情報をよう聞いてみましても、完全自由化は取り下げませんということでございますから、それでは個々のいわゆる緩和策というのは何ら意味はございませんので、私たちとしてはアメリカが完全自由化で、しかも二十二条協議を進めるというならば、やはりそれに対応せざるを得ないという考えでいまおるわけでございます。
○森田重郎君 大臣のおっしゃられることはよくわかります。何か、貿易摩擦の問題、その焦点がたまたま現在農林省にその矛先が向いているような感じで、そういう意味では大変御苦労いただいておるわけでございますけれども、私はこういう問題は、戦術的な問題と戦略的な問題に分けて取り組む必要があるような感じがしてならないと思うんです。いま、定かな数字はございませんしまた若干資料ございますけれども、数字的な説明を申し上げる時間もございませんので、抽象的な表現になるかと思いますが、仮にもし牛肉の問題にしても、あるいはオレンジジュースの問題にしても、仮にもし――これは仮定の話になりますが、完全自由化というようなところに踏み切ってみても、恐らく何十億ドルというような問題にはならんと思うんですね。せいぜい何億ドルというような程度の問題ではないかと思うんです。
 そこで、もちろんこれらはお互いに話し合いの場、納得のいく形の中で一つ一つ解決していかなくてはならん問題ではありましょうけれども、仮にもしこういう問題を一つの戦術的な問題とするならば、これは農林省所管だけの問題でなしに、たとえばの話でございますけれども、アラスカ原油の結局輸入問題、これはもちろんアメリカの法律も変えなくちゃならんことでしょうから、なかなか短期間にどうこうというようなことは、幾らお願いしてもできることでないかもしらん、あるいはまた、今後の政治努力によって可能であるかもしらん。そういうふうな問題、あるいは、これニュースソースがちょっとはっきりしないようでございますが、第二世銀の米国に対する日欧の肩がわり出資というような問題が、これは新聞に報道されておりましたが、この真偽のほどはよくわかりません。わかりませんが、考え方としては、そういうような形で十億ドル、あるいは二十億ドルというような意味での肩がわり出資をするとか、あるいは現在河本長官等が非常に御熱心におっしゃっております、米国穀物の途上国への援助の問題であるとか、こういうふうな問題が一つの大きな政治的テーマとして取り上げられてくるということであるならば、まさにこれは、私先ほど申し上げたような意味での戦略志向の問題であると、こういうような感じがしてならないんです。ですから、そういう問題を総合的にどこかでおまとめになって、なるほど経済大国ナンバーツーの日本が、これだけやはり国際社会のために、国際政治の舞台で協力、努力をしているんだというような意味のものと、前段申し上げましたその一つ一つの問題を個々に積み上げながら努力をしていく、こういうようなものが同時並行的に行われ得るような形の外交姿勢というようなものをお考えになる必要があるんではなかろうかと、かようなことを考えておるわけでございますが、大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 農産物の完全自由化によって、貿易のインバランスが解消になるわけでございませんが、インバランスの解消は、やはりアメリカ、あるいはまたEC、世界全体の経済の再活性化がやはり基本でございますよね。さらに日本としてやらなきゃならないことは、やはり内需の拡大によって輸出ドライブのかからない経済運営をするということでございましょう。そういう点は十分これからしてまいらなければならないし、また私たちとしては、やはりできるだけ自由貿易主義というものを基本としている日本でございますから、そういう点に対する努力をできるだけアメリカにもやはり理解していただく。また、日本の農林水産業の現状というものをできるだけ認識してもらわなきゃならんと思うんですね。確かにアメリカでも、ECでも、日本の農林水産業に対する認識というのは非常に私は薄いと思うんですね。そういう点をもうちょっと話し合う機会が必要じゃないだろうかと、さらに、いま御指摘のようないろんな点もございます。したがいまして、私たちとしてはできるだけアメリカの方々と話し合いをし、そして私たちの農林水産業の実態というものをお話を申し上げて、御理解をいただくということにいたしたいと思うのです。ただ、いまのところは、何といいますか、方程式のように、貿易の摩擦は農林水産物にある、農林水産物の自由化である、それが牛肉、オレンジと、こういうような一つの方程式がアメリカからすっと出てくるんですね。こういう形では、私は本当の意味での日本の農林水産業というものを理解していないことに大きな原因があろうと思いますので、今後そういう点をアメリカの方、あるいはECの方に理解をしていただくという努力はいたすと同時に、いま御指摘のような点については、十分配慮しながら今後進めてまいりたいと、かように考えます。
○森田重郎君 先ほど質問いたしましたことに関連いたしまして、アラスカ原油の現状ですね、簡単で結構でございます、時間の関係ございますので。たとえば東海岸にどのぐらい持っていっているとか、あるいは西海岸にどうであるとか、その辺、簡単な説明で結構でございますので。
○説明員(塚本弘君) アラスカ原油の現状でございますが、現在の生産量は日産約百七十万バーレルでございます。そのうち約六割がアメリカの西海岸の方に持っていっております。それから約三割、これがパナマ運河を経由いたしまして、いわゆるガルフコーストのあたりに持っていっております。残り一〇%、これがハワイとか、バージン島、こういったところに持っていっております。
 それで、先ほど先生が御指摘のとおり、このアラスカ原油の問題につきましては、わが方といたしましても、貿易インバランスを改善するという観点から、これまで再三にわたってアメリカ側と話題にしております。しかしながら、現在のところ、アメリカの輸出管理法、これに基づきまして原油の輸出については規制が行われていまして、それで、アメリカの国内でもいろいろ議論があるようですけれども、全体的な安全保障の点から原油を輸出することが妥当かどうか、あるいは海運業者の利害の関係というふうな点から、現在のところアメリカ側ではまだ輸出規制を解除しておらないという状況でございまして、基本的には、アメリカ側が今後どういうふうに考えていくのか、これが問題でございますが、わが方といたしましては、引き続き貿易インバランスを改善するというふうな観点から、これからアメリカといろいろ機会をとらえて話し合ってまいりたいというふうに考えております。
○森田重郎君 三分の一ぐらい、仮にメキシコ、中東原油あたりと、仮の話ですが、入れかえさしていただくと、これだけでもう四、五十億ぐらいになるわけでございましょうか、そんなふうに聞いておりますが、いかがです。
○説明員(塚本弘君) 一応原油の価格をバーレル当たり三十ドルというふうに計算しますと、一万バーレルを輸入した場合には約一億ドルというふうな計算になりまして、全体の生産が先ほど申し上げましたとおり百七十万バーレルほどございますので、仮に二十万バーレルというふうな単位で輸入されるとすれば二十二、三億ドルというふうな形で数字は出てくるわけでございますが、ただ、現在のところ、先生も御承知のとおり、日本の石油輸入量は年々減っております。それで、いま日本の需給状況も非常に緩んでおりまして、アラスカ原油というのは非常に重質油でございまして、果たして日本の現状でどこまで輸入が可能かどうかと、余り現在の需給状況から考えますと、そう大きな数字は考えられないというふうなこともございます。
○森田重郎君 先ほどちょっと触れたんでございますが、経企庁でいろいろお考えになっておられます、米国穀物による途上国援助、これらにつきまして若干詰めをなさっておられるのかどうか、その辺ひとつ、おわかりの範囲で結構でございますので。
○説明員(西谷浩明君) 御説明申し上げます。
 先生御案内のように、河本大臣の構想でございますが、現在、発展途上国が直面しておりますいろいろの困難のうちの一つが食糧不足の問題でございまして、いろいろな統計数値がございますけれども、世界食糧農業機構の推計等によりますと、大体四億一千四百万人、あるいは四億九千万人くらいの人間が最低栄養水準を下回っておるというようなことになっております。これを一応最低栄養水準まで引き上げるのにどれくらいの穀物が必要かということでございますが、やはり同じ世界食糧農業機構の推計によりますと、大体小麦換算で三千五百万トン程度であろうというふうに言われております。現在、世界的な食糧援助機構といたしまして、九百万トン強程度の援助が行われておりますので、差し引き二千五百万トン程度の食糧援助を行えば、一応最低栄養水準まで引き上げることができるのではないか。その場合必要とされます資金、非常に粗い計算で目安をつけますと、大体六十億ドルぐらいではなかろうかということでございます。
 そこで、一つ問題がございまして、国際的な合意が成り立ちました場合に、仮にお金が六十億ドル集まっても、実際に穀物生産ができるのかということでございますが、これにつきましては、アメリカ、カナダ、オーストラリア等につきましては、相当まだ生産余力がありますので、実際問題としては増産が可能ではないか、これが河本大臣の構想であろうかと思います。現在どの程度の段階かということでございますが、この構想自体非常に大きな構想でございますし、何よりもやはり国際間の合意がなければできないというようなことでございますので、いろいろと内部的には勉強はいたしておりますが、現在の姿としては構想の段階であるというふうな状況でございます。
○森田重郎君 もう一問だけ、ちょっと触れさしていただきます。
 先ほど来、ニュースソースがどうなんだろうかというようなことを実はお伺いしたんですけれども、大蔵省でも、外務省でもちょっとわからぬというようなお話で、そのこと自体は結構でございますが、この第二世銀の第六次の増資計画と言ったらよろしいんでございましょうか、その辺につきまして、このニュースの問題とは別にお伺いしたいと、かように思います。
○説明員(石川光和君) お答え申し上げます。
 第二世銀――IDAと言われておりますけれども、第六次の増資は一九八〇年三月に総務会の決議が成立したわけでございますが、米国の引受通告がおくれましたために、実際に発効いたしましたのは昨年の八月でございます。そうして、なおかつアメリカの引き受けは、通告をしまして発効したんでございますけれども、その払い込みの仕方が、当初のスケジュールよりおくれておりまして、そのために第二世銀といたしまして、当初予定しておりました融資額を下回るという状況にございます。第二世銀は、先生御承知のように、低所得国の開発に関しましてきわめて重要な役割りを果たしておりますので、相当程度の融資水準を確保する必要があるわけでございますが、他方国際開発金融機関におきましては、その増資を行う場合、各拠出国間のいわゆるバードンシェアリング、拠出国間の負担の公平の原則というものが維持される必要があるというふうに考えております。したがいまして、米国が拠出の不足が生じた場合に、わが国がそれを負担するというようなことは避ける必要がある。また、事実米国は、これはカーター政権のころに増資決議が決まったわけでございますが、レーガン政権になりましてからも前政権が約束したものは全部実行する。したがいまして、第六次増資で分担を約束しております三十二億四千万ドルについては必ず実行するということを言っております。
 それで問題は、その支払いのおくれている分をどうするかということでございますが、この点につきましてわが国といたしましては、他の主要国と共同歩調をとりながら、米国政府に対しても第二世銀の重要性にかんがみまして、できるだけ払い込みがおくれないように、当初のスケジュールに沿って払い込みを行うように働きかけをしているということでございまして、結局、米国も第六次増資そのものは実行するということでございますので、払い込みのおくれている分、それとその分をどのようにつないでいくかということを拠出国間で相談しながら進めているというのが現状でございます。
○森田重郎君 ただいま通産、経企、そしてまた大蔵御当局から、いろいろ詳細な御答弁がございましたが、こういうような問題がやはり何らかの形で解決する、また、いい方向へ発展していくというような形の中で、多少日本はこういう努力もしているんだというようなことが、大きな意味で貿易摩擦の解消につながるような、そういう政治の姿勢、政治のあり方というものを、特に実はお願いを申し上げまして、その意味でもひとつ農林大臣にも格段の御努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○中山千夏君 まず最初に、大臣に基本的なお考えを少しお伺いしたいと思います。
 食管法の改正がさきに行われましたけれども、ちょっと抜本的な改善になっていないんじゃないかというような声も多く聞きますので、食管法というものについてどういうお考えを大臣が持っていらっしゃるのか。今後まだ見直しや改正をしていく予定があるとか、気持ちがあるとか、そのようなことも含めてお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(田澤吉郎君) 食管制度については、この前の国会で法改正がなされまして、いまこの一月から大体実施しておるのでございますが、御承知のように、いままでの通帳だとか、あるいは登録だとか、あるいは輸送制限等を全く廃止しまして、もちろん食管制度の根幹というのは守りますけれども、新たに基本計画というものと、配給計画を立てまして、それで基本計画ではどういう質の米をどの量とったらよろしいだろうかと、いわゆる生産計画を立てる。そして、できたお米を供給計画でもって好みの、消費者の好むような需要に応じて配給しよう。ですから、中山先生がこういうお米なら好きだと、たとえば青森県の米が一番いいと言ったら青森県の米を差し上げますし、また青森県と鹿児島県とブレンドしたものが欲しいと言えば、そういうお米を差し上げる。しかも量は、大きいうちの方ならばたくさん抱えることができるでしょうし、狭いアパート住まいの方ならば、少しでも購入できるような仕組みで、できるだけそういう形を整えた食管制度でございますので、いまできたばかりでございますから、私はこれを定着さして、何としてもお米の管理制度を国民が理解していただくようにしていきたい。私は米の管理制度がなければ非常に困ると思うんですよ。それは昭和四十八年、いわゆる第一次オイルショック当時、洗剤がなくなった、トイレットペーパーがないとか言って、奥様方がお店屋さんに行列をしましたよね。あのときに、お米に対する心配というのはだれもなかったわけですね。これは食管制度のおかげなんですよ。いまも恐らく中山先生は、お米が足りなくなるだろうという心配はこの辺に何もないんじゃないかと思うのですね。そのことが食管制度の一番のよさでございますので、私たちはこういう食管制度を堅持することによって、また国民に理解していただいて、国民に食糧の安定供給を図るというための基本にしたい、かように考えておりますので御理解をいただきたいと思います。
○中山千夏君 なくなるんじゃないかという心配は本当にないみたいでして、むしろ余り過ぎて困るというような傾向があって、そちらの方も会計検査院などの進言なども検討なすって、なかなか近年いろいろ御努力なすっているようですけれども、いわゆる赤字減らしといいますか、食糧管理費を減少させるということについてお考えをお聞かせ願いたいんです。これやっぱり努力してきたといっても、いまだに財政再建というものの中で、かなり大きな荷物になっている部分があると思うものですから、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊五郎君) 食糧管理に要する経費の問題でございますので、私の方からお答えさしていただきます。
 ただいま大臣から申し上げましたとおり、食管制度自体は、主食たる米麦を管理いたしまして、生産農家の再生産を確保すると同時に、消費者家計の安定にも資するという重要な役割りを果たしております。そのために必要な財政的措置は私どもとしては講じていく必要があると考えておりますけれども、ただ、そのあり方につきましては、これまでもいろいろ改善に努めてまいってきております。従来から売買逆ざやの縮小ということもございます。たとえば、五十六年の当初におきましては、この売買逆ざや八・三%でございましたが、この五十七年度予算におきましては四・二形に縮小いたしておりまして、これらの努力で食管財政の改善に努めまして、その結果、食管繰り入れ等の一般会計に占める割合も、五十年当時は三・八%、総額で八千百億ぐらいに上ったわけでございますが、五十七年度の予算におきましては、一般会計に占める割合は一・三%、過剰米処理の損失等を含めましても六千四百億程度にいま縮減しておるわけでございます。今後とも、やはり財政の状況等を見ますと、損失の発生原因に即して、私ども改善に努めていかなくてはならない。おおよそ四つの点について私ども考えております。
 第一は、何と申しましても、三たび過剰を生じないように、米の需給均衡を早急に回復したい。現在なお相当の潜在生産力がございますが、やはり需給を均衡させていくことが第一だろうと考えております。
 第二には、いわゆる生産者米価、消費者米価と言われます両米価の適正な決定によりまして、合理化を図ってまいりたい。
 第三番目には、過剰米が現時点では約三百万トン程度ございますが、これらの計画的な処理を推進いたしまして、金利、保管料等の経費面での節減をしなければならない。また、この流通上の集荷なり、保管、運送等の各般にわたります業務自体を合理化いたしまして、経費の切り詰めを図ってまいりたい。
 第四点としまして、すでに御存じかと思いますが、食糧検査につきましても、この定員を半減するということで、現在計画的にこれを進めておりますが、これらの機構、定員につきましても、引き続き社会情勢の変化等に沿いまして、簡素、合理化を図る。
 こういうような方向で私ども目下進めてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
○中山千夏君 時間が大変限られてますので、それだけの質問でいまの問題を終わりまして、次の問題に移りたいと思います。
 中央競馬会について少しお尋ねいたします。
 競馬の馬券を買いますと、私はやらないので余り詳しくないんですけれども、最初に二五多控除率というんですか、控除されてしまう。その二五%というのがほかの国のデータと比べますと、少し高いという気がするんですけれども、これなぜ二五%なんでしょうか。
○政府委員(石川弘君) 実は競馬の控除につきましては、日本の国におきましても長い変遷がございましたし、いま御指摘のように、世界の諸外国でもいろいろな例がございます。日本で申しますと、戦前やっておりましたころは、この控除率も実は一五%とか、一八%の時代がございましたが、戦争末期から戦争直後には、実はこれは大変上がってきまして、三二%とか三六%という時代がございました。実は昭和二十五年に他の公営競技、自転車でございますが、これが二五%という控除率を定めましたときに、自転車――競輪でございますと七五%が返るのに、競馬では六十数多しか返らないということで、ファンが全部競輪の方へ移ったというような事態もありまして、その昭和二十五年を時点にしまして、わが国の国内で行われますいわゆる公営の競技につきましては、一律ほぼ二五%で現在来ているわけでございます。
 いま御指摘のように、諸外国の例をとってみますと、これを上回っておりますのは、大きな国ではフランスがこれを上回りまして二七%という高い数字がございますが、他の国等につきましては、ぐんと低いものですと一四%ないし一五%というのもございます。これは私どもいろんな国情を調べてまいりますと、その国々のこの種の何と申しますか、制度に由来することが多うございまして、単なる控除率だけでは一律に決められませんけれども、ファンの立場からすると、なるべく戻してもらいたいという御要望があることは事実でございます。
 一方、こういう大変財政的に厳しい中で、国あるいは地方公共団体が、この種の公営競技によってある程度の財源を調達しているということも事実でございますので、特に現段階で――実は過去におきましては不況の際でもこういう売り上げが伸びると言われておったわけでございますが、五十六年度に入りまして、中央競馬が辛うじてほぼ前年程度の売り上げを確保し、他の地方興行はいずれも売り上げが減ったという事態でございますので、いま先生御指摘のように、なぜかとこう言われますと、きちっとこれでなければいかんということを申し上げるほどの根拠はございませんが、現在ある程度の控除率の中で、財源も確保し、かつファンの方にも満足していただける、そういう運営が必要ではなかろうかと思っております。
○中山千夏君 きっとその二五%という数字の問題それ自体の問題ではなくて、やはりそれがどのくらい国民にとって役立つ使われ方をしているかどうかということが問題なんだろうと思うんですね。
 それで、二五%のうち、第一次納付金として一〇%国庫に納められる。その余ったもので使った残りを、またその二分の一を第二次納付金として国庫に納める。その余り、それは特別積立金と言うんだそうですけれども、それの額は現在どのくらいになっているんでしょうか。その使途、使い方ですね、特別積立金の現在額と使途についてちょっと説明してください。
○政府委員(石川弘君) いまお話がございましたように、一〇%はまず第一義的に国庫に納付いたしますが、残りましたお金をもちまして、競争の賞金だとか、あるいは競馬の施行のための経費に使いまして、さらにそこで損益を締めまして残りましたものの半分は第二国庫納付金という形で国庫に納め、その残り半分を競馬会が積み立てばして運用するわけでございます。
 競馬会につきましては、御承知のように戦後実はクラブ営と申しますか、そういう従来国営でやっておりましたものを引き継ぎました際の資本金は現在でも実はわずか四十九億円でございまして、これでこの膨大な競馬をやるわけでございますが、結果的には、その後営々として積み立てました特別積立金そのものが、現在の競馬をいたしますための土地とか、スタンドとか、あるいは厩舎といったような固定資産、それから、あるいはこれをいたしますための事業運営のための経費というものに回っているわけでございます。総額で申しますと、五十六年度決算剰余金処理後の姿で申しますと、特別積立金の総額は現在二千九百七十七億でございます。これに見合っております、いま申しましたどちらかというと固定資産、土地とか、スタンドとか、厩舎といったようなもの、これが約二千億、それに類似します繰り延べ資産、これが約二十数億ございまして、そのほかに流動的な資産はございますが、その中で次年度のための設備投資として予定されますものが、これは五十六年度の決算剰余金処分後で申しますと、約二百五十億ぐらいございますので、約七百億ばかりのものが流動的な資産として競馬運営の経費に使われているという現状でございます。
○中山千夏君 流動的なものは簡単にわれわれがわかりやすく考えると、それだけ貯金があるという話だろうと思うんですけれども、大体約そのくらいありますと、年間利息だけでずいぶんなお金になるなというふうに思います。一方で競馬の世界の中で、いわゆる厩務員の低賃金の問題、たびたびストなどが起こりまして、これは中央競馬会の方から直接一時金を出したりというようなことをしているそうですけれども、そういう問題が一つある。それからまた別には、馬を生産する方たちの経営が大変苦しいというような問題があると、そのバランスを考えると大変何か矛盾しているという気がいたしまして、むしろお金が余っているのであれば、控除率を引き下げて本当のファンサービス――ファンサービスということを大変心がけておられるようですけれども、控除率引き下げてファンサービスをするとか、それから国庫が大変いま苦しいということですから、もう少し、一二%ぐらいは最初に取っても大丈夫なんじゃないか、そういうことをいろいろ考えられると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(石川弘君) いろいろといま御指摘のありました、たとえば厩務員の処遇問題、これは調教師が雇用をいたしておりますので、調教師のいろんな経営上の問題と申しますか、これは賞金とか、そういうものに絡むわけでございますが、そういうものの中で、かなり改善の努力はされてきたと思っております。賃金が問題であるという御指摘もあると同時に、そろそろそういう処遇ということではかなりいい水準になっているのではないかという別の御指摘も実はいただいたりしておるわけでございます。
 それから御指摘のありました生産者に対する対策等につきましても、これは御承知でございましょうが、優良な種牡馬を入れて生産を助けるとか、あるいはこれは現在検討中でございますが、真に生産者としていろいろ御苦労なさっていても、経営上問題点のあるものに対して、どういう対策をするかというようなことも、競馬会で現在検討をいたしております。
 いま御指摘の控除率の問題にかかわることでございますが、先ほど申しましたとおり、四十年代の後半から非常に急速に売り上げが伸びましたので、いま申しましたような積立金の額が急速に累増しましたけれども、実は私大変心配しておりますのは、昨年来中央競馬以外の売り上げがすべて下がってきている。これはひどいところは一〇%ぐらい下がっておりますが、そういうことで、いまはむしろそういう控除率を下げるという時期としては大変むずかしいんではないか。むしろせっかくいままでやってきました積立金等をも含めて有効に利用して、ファンに喜んで競馬に参画していただきながら、長い目で国庫の納付についても協力ができる体制にすべきではないかということで、私ども直ちにいま控除率の問題を論議できない立場でございます。特に控除率の問題は他の地方公営競技に及ぼすものでございますから、地方公営競技は売り上げも下がっていていま控除率を直すというようなことができる環境にないんではないかと、そういう気持ちでございます。
○中山千夏君 日本発馬機の事件というのがございましたね。いろいろとむだ遣い経営をしているとか、それからずさんな経営をしているとかというようなことが、マスコミや国会などでも取り上げられますけれども、そういうことがあると、やっぱりお金が余っていることだとか、それから控除率をもう少し下げたらいいんじゃないかという考えがどうしても出てくると思うんですね。そのずさんな経営の原因は何なのだろうかというふうに考えていくときに、かなり天下りという問題がかかわっているように私は思うんです。それでちょっと時間がないので、私がそちらからいただいた資料をもとに先に説明さしていただきますけれども、日本中央競馬会の関係団体の役職員について、その経歴を見てみますと、その天下りというのが農林水産省から中央競馬会への天下りというそれだけにとどまりませんで、今度中央競馬会からその下の関係団体十社ですか、十団体、それから、さらにその下にも孫会社、子会社というふうにあるわけなんですけれども、そこへこの天下りが複合的に横へ行ったり、ああいうの天すべりというのかどうかわかりませんけれども、横の会社へ行ったり、それからあるいは孫会社から親会社に上がってきたりというふうに、役職員の人事を見ると、非常に一つのファミリーでやっているという感じがするんですね。一番新しい役職員の名簿をいただいて、その経歴を調べてみますと、農林水産省からの天下り、これが七名、それから他省からの天下りが三名、それから中央競馬会からの天下りが十六名、それから同じ子会社同士のその並びから来た方が十二名、それから留任が七名、それから明らかな関連会社から来た人が三名、それからその会社よりもさらに孫、子というところから来た方が二名というふうになっていて、ここに書いてある中では、普通の企業から来た方は一人しか見当たらないのですね。全部がそういう人々で占められてしまっているのです。
 それから、その人たちの経歴を見てみますと、ちょっと典型的な経歴を少し挙げてみたいと思うのですけれども、たとえば金丸さんという方などの場合は、昭和三十九年七月に退官をなすって、そしてすぐこれは農林漁業金融公庫の職員になられて、これが四十一年九月までです。それからすぐに中央競馬会の理事になっておられます。これ四十六年七月まで理事をなさいまして、それから今度は中央競馬会の常務理事になっておられる。その常務理事をおやめになって、日本トータリゼーター株式会社の社長に就任していらっしゃいます。このトータリゼーター株式会社というのも子会社の一つですよね。そのときに、中央競馬会の常務理事をやめるときに、退職金を約三千五百万もらっておられるようです。
 それから、もう一つの例、沢慎吉さんという方の例を見ますと、二十九年の九月に退官なすって、すぐに中央競馬会、これは競馬場の場長という役職だったようですが、これにおつきになる。五十年二月におやめになるときに、退職金を約千七百万お取りになって、それから中央競馬会の理事におつきになる。これを五十三年九月におやめになるときに約千三百五十万の退職金をお受け取りになって、そしてまた馬主相互会専務、これもまた関係のある会社というか、団体だと思いますが、ここにお入りになる。それから約四百万の退職金をお取りになって、保安協会の理事という任におつきになる。この保安協会というのも関連会社十社子会社の中に入っております。
 それからもう一人岡崎文士さんという方の場合は、二十九年に退官をなすって中央競馬会の理事になる。それから三十年の三月に今度は中央競馬会の嘱託につく。それから三十二年の六月にやめて今度は監事になる。そして三十八年の九月に中央競馬会をやめて、日本馬匹輸送株式会社の会長になる。これも子会社ですね。それから三十九年の六月からは競馬飼糧株式会社監査役。この競馬飼糧株式会社というのは、個人が資金を出しているところですけれども、共栄商事という、日本中央競馬会広済会、中央競馬会の子会社である広済会が九八%資本を出している共栄商事と一緒に新和サービスという会社をつくっている会社なんですね。その競馬飼糧という会社の監査役になる。それから新和サービス、その競馬飼糧がお金を共栄商事と一緒に資金を出している新和サービスという会社の社長になって、五十四年十一月に退職をなすったそうです。いまは新和サービスの社長は桧垣さんという方だそうですけれども、この方も農林水産省の御出身で、日本中央競馬会役員を皮切りに、日本トータリゼーター社長、そしてさっき申しました競馬飼糧社長などを経て、新和サービスの社長になっていらっしゃるんですね。
 いま短い時間ですから、もっともっとお聞かせしたいぐらいいろいろあるんですけれども、そういうさまを見ていますと、何か、もちろん次の職につくたびに退職金を必ず取っているということではなくて、お取りになってない場合もあるみたいですけれども、何かお金が潤沢に余ったところに、農水省からの天下り、それから中央競馬会の天下りがざあっと下の方まで包んでしまって、そしていいように余ったお金を回しているんじゃないかという様子がすごくうかがわれるんですね、どうしても。法的にはちょっとどういうことになるかわからないんですけれども、こういう状態というのは、やはり競馬会を監督なさる立場の大臣としては、どうにかこれしないとまずいんじゃないかと私は思うんですけれども、どんなふうにお考えになりますか。
○国務大臣(田澤吉郎君) 御承知のように、日本競馬会は、競馬を行うことによって、大衆に健全娯楽を提供して、その益金を国庫納付を行って国家財政に貢献しているわけでございまして、いま御指摘のようなやっぱり人事の問題、あるいは財政上の、あるいはまた経営上の不信等がありますというと、やはり競馬全体に国民が不信を感ずるということですというと、やっぱり競馬の振興になりませんわね。ですから私たちとしては、できるだけそういうことのないように、今後も指導してまいりたいと、こう思います。具体的にはいま畜産局長から答弁さしたいと思います。
○政府委員(石川弘君) いま御指摘の例がいろいろございましたが、私どもは基本的には、競馬会と、それから競馬会が出資、出指しておりますような団体、これにつきましては、例の発馬機以来、これを厳重に管理監督する必要があると考えておりまして、単に競馬会だけではなくて、競馬会が出資、出捐をしております団体につきましても、これは競馬会を通じまして、そういう経理の内容、あるいは業務の仕方につきまして、厳重に管理監査を行い、そういう誤解を受けるようなことがないようにということをやってきております。それから、その他のいろいろと御指摘のあるような問題がございますので、私どもまず予算統制の立場から年に一これは年度ではございませんで、暦年でやっておりますが、予算を見ます際にも、経費の問題、あるいはそういう特に御指摘のあったような予算枠と実行上の問題、そういうことも厳しい目で見ておりまして、ここ数年乗取り上げられておりましたいろんな問題点につきまして、項目ごとに改善をするようにということをやっておりますが、これは今後もそういう態度で続けていくつもりでございます。
○中山千夏君 こういう状態を見ますと、天下り天国というふうに言われても仕方がないという感じがするんですね、とても。ですから、いま何かいろいろ方策をおとりのようですので、ぜひとも厳しく対処していただきたいと思います。どうもありがとうございました。
○委員長(和田静夫君) 他に御発言もないようですから、農林水産省及び農林漁業金融公庫の決算についての審査は一応この程度といたします。
 次回の委員会は四月二十三日午後一時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十四分散会
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