第096回国会 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号
昭和五十七年八月十九日(木曜日)
   午後三時四十分開会
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   委員の異動
 八月十二日
    辞任         補欠選任
     中村 啓一君     高木 正明君
 八月十九日
    辞任         補欠選任
     志村 愛子君     関口 恵造君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大鷹 淑子君
    理 事
                伊江 朝雄君
                高木 正明君
                丸谷 金保君
                宮崎 正義君
    委 員
                板垣  正君
                稲嶺 一郎君
                岩崎 純三君
                岡田  広君
                関口 恵造君
                仲川 幸男君
                堀江 正夫君
               目黒今朝次郎君
                山崎  昇君
                二宮 文造君
                立木  洋君
                三治 重信君
   衆議院議員
       発  議  者  近藤 元次君
       発  議  者  高橋 辰夫君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)       田邉 國男君
   政府委員
       北方対策本部審
       議官       橋本  豊君
       北海道開発庁計
       画監理官     富士野昭典君
       外務大臣官房審
       議官       田中 義具君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木 源三君
   説明員
       北海道開発庁計
       画官       大江 郁夫君
       法務省民事局第
       二課長      田中 康久君
       水産庁振興部振
       興課長      小川 洋二君
       自治省財政局財
       政課長      持永 堯民君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○北方領土問題等の解決の促進のための特別措置
 に関する法律案(衆議院提出)
○北方領土返還実現に関する請願(第八九号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) ただいまから沖繩及び北方問題に関する特別委員会を開会いたします。
 委員長として一言ごあいさつ申し上げます。
 会期末の段階でこのような案件を短時間で処理することは好ましくないと存じます。慎重に審議すべきものでありますが、今回に限っては審議をし、議了してもらいたいと思います。今後このようなことのないような運営に努力をいたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十二日、中村啓一君が委員を辞任され、その補欠として高木正明君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に高木正明君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律案を議題といたします。
 発議者衆議院議員高橋辰夫君から趣旨説明を聴取いたします。高橋君。
○衆議院議員(高橋辰夫君) ただいま議題となりました北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律案につきまして、提案の趣旨とその概要を御説明申し上げます。
 わが国固有の領土である北方領土が、昭和二十年八月以来、ソ連により不法に占拠されたままの状態に置かれておりますことは御承知のとおりであります。
 このため、北方地域の元居住者は、北方地域に帰島することはもとより、その周辺の漁場において操業を行うこともできないという困難な状況にあります。最近の元居住者の実態調査では、その八〇%の方々は北海道に居住しており、そのうちの半数が北方領土隣接地域に居住しております。
 これらの元居住者は、戦後から今日まで北方領土返還運動の先頭に立ってこの運動を推進しておりますが、戦後三十七年を経過した今日におきまして、そのうち三分の一の方々が亡くなられ、返還運動は一つの曲がり角に来ていると言われております。
 次に、北方領土隣接地域と北方地域とは戦前は行政的にも経済的にも根室市を中心に一体の社会経済圏を形成しておりましたが、北方領土問題が未解決であることにより地域経済はその発展を著しく阻害されております。
 このように、北方地域元居住者及び北方領土隣接地域が置かれている特殊な事情にかんがみ、北方領土隣接地域の振興及び住民生活の安定に関する計画の策定及びその実施の推進を図る等のために必要な特別措置を定めることにより、北方領土問題及びこれに関連する諸問題の解決の促進を図り、北方領土の早期返還を実現し、平和条約を締結して日ソ両国の平和友好関係を真に安定した基礎の上に発展させたいというのが本法律案の趣旨であります。
 次に、この法律案の主な内容を御説明申し上げます。
 第一に、この法律により特別措置の対象となる北方領土隣接地域とは、根室市、別海町、中標津町、標津町及び羅臼町の区域であります。
 第二に、内閣総理大臣が定める北方領土問題等の解決の促進を図るための基本方針に基づき、国は北方領土問題その他北方地域に関する諸問題についての国民世論の啓発を推進するとともに、北方地域元居住者に対する援護等の措置の一層の充実強化を図るために必要な措置を講ずるものとしております。
 第三に、北海道知事は、内閣総理大臣が定める基本方針に基づき北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定に関する計画を作成し、内閣総理大臣の承認を受け、これを推進することとしております。
 第四に、この振興計画に基づき北方領土隣接地域の市町が行う特定の国庫補助事業等については、新産業都市建設及び工業整備特別地域整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の規定の例により、国の負担割合の特例を定めております。ただしこの規定は、財政再建期間中は適用しないこととしております。
 第五に、国は北海道又は北方領土隣接地域の市町が振興計画に基づいて行う事業について、地方債及び財政上等の特別の配慮を行うこととしております。
 第六に、北海道が北方領土隣接地域の市町及び公共的団体等が行う国庫補助の対象とされていない地域振興等のための事業、世論の啓発に関する事業及び元居住者の援護等に関する事業に対し、助成するため北方領土隣接地域振興等基金を設ける場合には、国は、これに充てるための資金の一部を来年度から五カ年度以内を目途として交付するものとするとともに、基金の額は、国から交付を受けた補助金の額の四分の五に相当する額を下らないこととしております。
 なお、この基金の総額についてでありますが、その運用収入から補助すべき対象として見込んでおります事業量等にかんがみ、百億円程度を想定しており、したがって基金にかかる国の補助に用する経費としては約八十億円を見込んだ次第であります。
 第七に、北方地域に本籍を有する者についての戸籍事務及び北方地域の村の長の権限に属する事務のうち政令で定めるものを北方領土隣接地域の市町の長に行わせるため必要な特例を設けてあります。
 なお、この法律は昭和五十八年四月一日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いいたします。
○委員長(大鷹淑子君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 ただいまの提案理由の説明を伺っておりますと「ソ連により不法に占拠されたままの状態」と、こういうことが冒頭に出てまいります。で、この不法に占拠されているということは侵略されているということなんですかどうなんですか。
 不法占拠というと、たとえば民法上の用語とか、そういうことでは使うのですが、普通国際法的に言えば不法に占拠されているというと侵略じゃないのですか。なぜ不法占拠という何か民法上のような用語を使わなければならなかったのか、説明してください。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 見方はいろいろあろうかと思いますけれども、わが国固有の領土にソ連軍の施設等がありますので、われわれは不法に占拠されておるという考えを持っております。
○丸谷金保君 そうすると、侵略はされてないのですか、固有の領土であるのに外国の軍隊が不法に占拠しているということは。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 武力をもって抑え込まれたとかというのじゃなくして、終戦の後にソ連軍がいわゆる駐留したということの事実をもって占拠されたという考えを持っております。
○丸谷金保君 武力によって侵入されたのじゃないのですか、あの地域は。たとえば宣戦布告をされて占領されたのでしょう。戦後新たに条約なり何なりができて入ってきたわけじゃないのです。そうでしょう。ちょっと認識の違い、おかしいと思うのですが、武力によって占領されたのでなくてどうなんですか、あの状態というのはどうだったのですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 国際問題の用語だと思いますから政府関係者からひとつ答弁させていただきます。
○政府委員(田中義具君) 北方四島の地位につきましては法的な根拠がなくしてソ連がそのまま存在しているということで不法占拠というふうに呼んでおります。
○丸谷金保君 ちょっとよく聞こえなかったのですが、もうちょっと大きく自信持って言っていただきたいと思うのですが。
○政府委員(田中義具君) ソ連の北方四島占拠につきましては、これが全く法的な根拠がなくして行われているためにこれを不法占拠と呼んでおります。
○丸谷金保君 法的な根拠なくして占拠された、しかも武力によってですね、武装軍が入ってきたのですから。それはどうなんですか。
○政府委員(田中義具君) わが国は戦争で一時占領軍によって全域が全部占領されていたわけですが、その後独立を回復してわが国の領土からは外国の軍隊は全部撤退したわけでございます。わが国が合意しているものを除いて全部撤退したわけですが、この北方四島についてはわが国が独立したにもかかわらず引き続きソ連が占領を続けているということで、その占領の法的な根拠がないという意味でこれが不法占拠というふうに呼んでいるわけです。
○丸谷金保君 ちょっとその認識おかしいと思うのですが、連合軍でもたとえばマッカーサーが厚木に進駐してきたとき、これはあらかじめマニラに飛んで一応わが国政府もそのことの受け入れ体制をつくって入ってきたでしょう。それとは違うのですよ。同じなんですか。そうでないでしょう。
○政府委員(田中義具君) わが国が占領されるときには、これは連合軍の方針によって北方四島についてはソ連軍が占領するということで連合軍の間で合意ができていて、その合意に基づいて占領されたわけです。それですからわが国が独立するまでの間はあの地域をソ連が占領していたということは別に不法占拠ということではないわけですが、サンフランシスコ条約の締結によってわが国は独立したにもかかわらずその後わが国の領土と認められている地域からソ連が引き続き撤退しないという意味で、これが不法占拠になっているということでございます。
○丸谷金保君 いまの説明聞いていますと、そうするとサンフランシスコ条約の前は不法占拠でなかったということになりますね。そういうことですか、どうなんです。
○政府委員(田中義具君) サンフランシスコ条約の前はわが国は連合軍によって占領されていたわけですから、いかなる占領もこれは不法占拠というわけではございません。
○丸谷金保君 実は私の質問に対して五十五年四月ですが、不法な占拠が行われているという事実はということで、同じ言葉を韓国に占領されている竹島で使っているのですよ。いいですか。竹島の場合は帰属の問題がいろいろあるのでこれは侵略とは言えない、こういうふうに当時外務大臣は強弁しているのです。そうすると、いまの状態は竹島と北方四島とは同じ態様だというふうに理解してよろしゅうございますね、同じ文言を使っているのですから。
○政府委員(田中義具君) 不法占拠されているという意味では同じような状況にあると考えてよろしいと思います。
○丸谷金保君 それで、提案者にお伺いしたいのですが、不法占拠というのは韓国が竹島に対して行っているのも同じ態様であるといういまの外務省の答弁です。だから同じ態様として提案者も考えて提案されているというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) これは別個の問題ですから、そのことにつきましては私は北方領土のみについてだけお答えをしておきたいと思います。不法占拠ですから。
○丸谷金保君 実は同じ文言が使われているのです。そして同じように韓国によって不法に占拠されているのです。この事実は認めますね。関連があるのです。
○衆議院議員(高橋辰夫君) それは認めます。
○丸谷金保君 そうしますと、なぜ日本の政府、これが一方の北方四島については非常に大きなキャンペーンを張っている、一方韓国に対しては外務省はときどき思い出したように抗議しております。おりますけれども、なぜ国民世論に訴えるようなキャンペーンを行わないと思いますか、提案者として。どういうわけでしょう。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 竹島の問題については、私たちは政府側でございませんので答弁は差し控えたいと思います。
○政府委員(田中義具君) 韓国との間にはすでに国交を回復して基本的な条約が締結されておりますので、その条約との関係で竹島の問題というのも処理されているわけでございます。
 それに対してソ連との間ではまだ平和条約も締結されていないということで、領土問題そのものについての条約上の処理というのがまだ行われてないという意味で、竹島と北方領土の場合に若干の相違があるということはございます。
○丸谷金保君 いまの答弁でいいですか。いいですね。
 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約というのが条約集の中で外務省から出ておりますね。この条約集の中で戦後の日本と韓国との関係について詳しく述べられています。この中では竹島はないのですよ。条約のどこにありますか、竹島に関してそういう韓国との間にできた条約。
○政府委員(田中義具君) ちょっと手元に韓国関係の書類がないのですが、その基本条約と一体をなす交換公文において竹島の問題は処理が行われているというふうに承知しております。
○丸谷金保君 条約じゃないですね。あなたいまさっき条約と言いましたでしょう。
○政府委員(田中義具君) 交換公文も、その条約を締結するときに結ばれる交換公文は全部を一体として一つの総合的な文書として扱われるのが通常でございます。
○丸谷金保君 それじゃ、その交換公文で竹島の位置はどうなっていますか。日本領なんですか韓国領なんですか。
○政府委員(田中義具君) 竹島はもちろんわが国から見て固有の領土でございますが、この基本条約において締結された交換公文の中で、この問題をめぐる日韓双方の間の紛争をどのようにやって処理していくかという、その道筋についての取り決めが行われているわけでございます。
○丸谷金保君 どういうふうにやって解決するというのですか。
○政府委員(田中義具君) 韓国の状況については必ずしも私詳しくないのですけれども、要するに両国の間で話し合いをしながら紛争を処理していくということについての基本的な合意がこの交換公文で合意されているので、そういう精神にのっとって竹島については処理が行われているというふうに理解しております。
○丸谷金保君 余り詳しくないのでという前提ではどうもちょっと後の質問がしにくいのですが、これは非常に関連があるのです。同じ文言を使って同じような不法占拠と言っている。一方はソ連、一方は韓国。いいですか。韓国とは国交が正常化しているからこの問題はその段階で外交ルートを通じて交渉している、これはこちら側からときどき抗議をしているということはわかりますよ。
 ただ問題は、私がここで言っているのはこの北方問題の不法占拠ということなんです。いいですか。不法占拠というのであれば外務省はどっちも同じように不法占拠と言っている。だから、そうすればなぜこの間に差をつけるのだということに対する最初の答えにはなってないのですよ。交換公文でと。じゃ交換公文でどうなっているのか、余り詳しくないと。その交換公文のどこでどういうふうな文言になっているか、ちょっと朗読してくださいよ。これは北方と非常に関係がある、一番関係がある問題なんだから。
○政府委員(田中義具君) いま手元に竹島関係の書類を持ち合わせておりませんので至急取り寄せた上で関係部分を読み上げさしていただきます。
○丸谷金保君 大体北方の領土問題、地域振興なら別ですが、領土問題で僕が質問するときに関連して竹島の問題が出ることはあなたたちいつも知っているじゃないですか。それを準備もしてきてないというのはどういうことなの、一体。片一方提案者に聞けばそれは政府の問題だと。ちょっともう少しわかる人が出てきてくれなければこれ進まないな。提案者の方でどうですか、補足して。
 実はこの問題は後で自治省に聞く交付税の問題に結局関連してくるのです。ですから関連あるのですよ。それで私はここのところを明確にしなければ先へ進めないわけです。文書を早く取り寄せて朗読しなさいよ。この問題は僕はいつもやっている。大体外務省が来ていて、この準備をしないで出てきているというのはちょっとあなた不見識だ。わかっているのですよ、いつでも。特に交付税の問題がこれ非常に関係がある法案なんだから。――ちょっと休憩してください。
○委員長(大鷹淑子君) 外務省はどうですか、答弁できませんか。
○政府委員(田中義具君) いま取り寄せ中ですので到着次第御答弁いたします。
○丸谷金保君 それでは提案者にお伺いしますが、隣接地域を根室市、別海町、中標津町、標津町及び羅臼町に限定したのはどういう根拠でございますか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 過去の根室市庁管内という関連から、そういうことで特別に隣接地域は経済的にも大変交流があったということからそういうふうに隣接地域は一市四町というふうに申し上げた次第でございます。
○丸谷金保君 経済的な意味で非常に関係が深いと言えば、たとえば斜里町、浜中町、これらもある意味では中標津なんかよりも距離から言って北方四島に近いのですね。どうしてこれが隣接地域に、しかも沿岸漁業の関係で一番経済的にも大きな打撃を受けている地域なんです。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 北方四島の六カ村は行政的にも過去の根室市庁に入っておったというところに、行政的にもまた経済的にもそういう関連性が深いということで一市四町ということで決めた次第でございます。
○丸谷金保君 根室市庁の行政区域に千島列島が入っていたからということになれば北の方も根室支庁に入っていたのですね。どうしてこっちが抜けるのですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) ウルップ島以北のことにつきましてはサンフランシスコ条約第二条(C)項によりましてすべての権利、権原を放棄したということで四島に限った次第でございます。
○丸谷金保君 実はそのサンフランシスコ条約の放棄の問題出てきますと、また外務省もしかるべき人が出てきて答弁してくれないと、これいろいろ論議の分かれるところでございますよね。そういう御答弁でございますからこれどうしても踏み込まなければならない問題なんですが、竹島の問題のあれが来てからの後にいたします、これは。
 そして知床の岬がございますね。灯台があるのです。あれは斜里町に属しているのですか羅臼町に属しているのですか。一体岬はどこでもって境にしていますか。
 私はどうも腑に落ちないのは、行政区域といっても行政区域と隣接地域というのとは違うのですよね。たとえば旧根室支庁管内をもって隣接地域とするとかなんとかというならいいけれども「隣接地域」といきなりうたっていれば、近い方が隣接でなくて遠い方が隣接というのは、まあ遠い方でもいいですよ、いいけれどもどうして近い方入れないのか、ちょっと不公平過ぎないかという気がするのですけれども。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 丸谷先生も御承知のように北海道は十四支庁に分かれておりまして、もちろん知床、斜里、あの辺からも近いわけでございますけれども、過去の行政区域が根室支庁管内に入っておったということで、行政的にもまた先ほども申し上げましたように経済的にも大変交流があったということから一市四町というふうにこの法律案の中で規定をしておるわけでございます。その点御了承いただきたいと思います。
○丸谷金保君 そのことはわかるのですよ。ただそれでは隣接地域として不公平じゃないですかと聞いているのです。特に国後、択捉なんかから引き揚げた人の中には具体的に名前を挙げますと中標津にもおります。しかしより多くの人が同じ漁業という関係で斜里あるいは浜中というふうな隣接地域においでになることは御承知だと思うのです。それなのになぜそこらが入らないのか。それで不公平でないというのはどういうわけなんだろうかと思うのですが。
○衆議院議員(高橋辰夫君) そういう問題があろうかと思いますけれども、特に過去の戦後三十七年間の経緯を見ましても北方領土返還運動の主たる地域は一市四町が大変この問題に一生懸命やっていただいておったことは御承知だと思いますし、また大変むずかしい質問ですけれども、審議はいたしませんでしたけれども社会党案のあの法律案にも隣接地域というのは一市四町というふうに規定されておったわけですから、その点も御了承願いたいというふうに思います。
○丸谷金保君 社会党案の方にはそれなりの実は根拠があったのです。後で交付税のところでも社会党案に根拠があるお話ししますけれども、だけれどもそれはいま社会党案はもうないのですから、向こうに移っちゃっていてね。
 いいですか。これは答弁の根拠にはならないと思うのですよ。社会党案もそうなんだからいいじゃないかというこんなすりかえたような答弁はないので、私の聞いているのは、それで不公平だと思いませんかと。
 それと非常にいま重大な発言があったのですが、一市四町が返還運動についても大変熱心だ、こんなことが理由になるのならほかの町村の一生懸命やっているところはどうなるのだ、こういうことにもなりかねないのじゃないか。ちょっとそれは御答弁としてはまずかったのじゃないかなと思うので、そこのところはお取り消しになった方がいいのじゃないかと思いますが、いかがですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 説明不足だったかと思いますけれども、最近の元居住者の実態調査でも八〇%があの一市四町周辺に居住しておるわけでございまして、そういった千島連盟の方々ともわれわれも接触をしておりますし、そういった方々のいろいろな陳情等も聞いておるわけでございまして、そういう意味で、居住者があの一市四町に八〇%住んでおるということからそういう意味で申し上げたような次第でございます。
○丸谷金保君 ちょっといまここで数字がすぐ探して見つからないのですが、八〇%も一市四町に住んでいますか。それはちょっと私がいまこう見てもたしか衆議院で岡田さんの質問に対しても四〇%か何か、ここに記録どこかにあったと思うのですが。
○衆議院議員(高橋辰夫君) ちょっと失礼いたしました。
 八〇%が北海道に住んでおり、その四〇%が一市四町に住んでおるということです。
○丸谷金保君 こちら素人だと思って余りいい加減な数字でごまかさないようにしてもらわないと、ちょっと困る。
 その四〇%のそれじゃ各一市四町の割合はどういう割合ですか。パーセントで出してください。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 細かい数字は政府委員の方から答弁させます。
○政府委員(橋本豊君) 手元に五十五年七月に調査した数字がございますが、北海道内に八千七百九十八人おりまして、そのうち四千三百十七人が根室地域に住んでおります。その四千三百十七人の内訳でございますが、根室市が三千二百三十一人、それから別海町三百三十五人、中標津町百九十人、標津町二百三十四人、羅臼町三百二十七人となっております。根室地域以外の北海道内が四千四百八十一であります。
○丸谷金保君 ちなみに斜里町はどうですか。
○政府委員(橋本豊君) 申しわけありませんが、斜里町の人数ここに出しておりません。
○委員長(大鷹淑子君) もう一度おっしゃってください。聞こえませんでした。
○政府委員(橋本豊君) 斜里町の人数をここに出したものは持っておりません。――斜里町ではございませんが、北海道の網走支庁の人数が出ておりますけれども、これは二百五十三人でございます。
○丸谷金保君 問題は斜里町なんですよね、一番問題なのは。あそこ斜里町からでも北方四島見えるのですよね。本当に近いのです。どうもちょっと納得のいかない点です。
 ましてや先ほどお話があったように返還運動に熱心だからという提案者の理由は全くいただけないので、もう一度その点についてひとつ、そういうことになったら大変だと思いますので。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 地元の要望もございましてそういったように一市四町というふうにこの法案の中で定めた次第でございまして、いろいろ樺太の関係等のお話もございました。特に根室市周辺のあの二百海里問題等から漁業の漁獲量というものも大変な状態になりまして、根室市においても固定負債も大変市の財政を脅かしておるような状態も、いろいろなことを勘案いたしまして、確かにあの一市四町の隣の斜里町、先生の言われておることもあろうかと思いますけれども、いろいろわれわれの方でもそういったことがありましたけれども一市四町ということで隣接地域を設定したような次第でございます。
○丸谷金保君 どうも説明聞いていても明確な一市四町に規定した理由というものが私のみ込めないのです。
 まあ熱心だとか漁業で一番関係あるとか、漁業で全く関係のない町もこの中にありますわね、中標津なんという。中標津なんというのは海を持っていないのですよ。だから中標津を入れていけないというのではないのですよ。しかしいまおっしゃった二百海里の影響を受けているということになったら、斜里だとか浜中の方が受けているのです。それから地元から陳情があったからと、じゃ陳情があったらふやすのですか。この根拠が全く明確でないのですよ。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 根拠は、先ほど申し上げましたようにかつての根室支庁区域内に入っておったという行政的なことから勘案をいたしまして、そして一市四町が隣接地域ということで決めたような次第でございます。
○丸谷金保君 憲法によれば法のもとに国民は平等でなければならない。いいですか。かつての根室支庁に属していた、かつてのですよ。ということだけでそれが特別の扱いを受ける、そして同じような状態で、現在やはりいま提案者が説明したような意味で二百海里の影響を受けておる漁業の町が目の前に国後も見えるところにあっても入らないわけですね。これはどうもそれだけでは納得できないのですけれども。
 もうとにかく、そうすると理由はいろいろ言われましたけれども、二百海里がどうだとか返還運動に一生懸命どうだとか、そういうふうなことは全部さらで、かつての根室支庁管内をやったのだ、こういうことだけですね。
○衆議院議員(高橋辰夫君) あわせまして北方領土返還運動の拠点というものが一市四町という考えでございます。
○衆議院議員(近藤元次君) この種の地域設定線引きをするときには、とかく線引きをされる隣接というのは、いろいろめんどうな線引きというものがあろうかと思います。そこで私ども作業的には一つは町村でございますので、道庁と御相談を申し上げて、北海道知事の方からもこれこれが適当ではないかということの具申をいただいて地域設定をいたしたものでございますので、御了承をいただきたいと思います。
○丸谷金保君 実はそういう御答弁が出てくるのでないかということが私がこれを継続審査にしなければだめだと言った大きな理由なんです。
 大事なところになると、それは道庁と相談した道庁と相談した、道庁を参考人として呼んでないと答弁できないのですよ、皆さんの方で。まことに提案者として無責任なんです。道庁はこの法律の果実の受け皿であって提案者でないのです。その道庁と相談して決めたと、それなら北海道の道庁からだれかを呼んでくるまで待ちましょうか、何年でも。
○衆議院議員(近藤元次君) あくまでも決定したのは先ほど高橋さんからお話のございましたようなことではございますけれども、当然のことながら道庁の意見をお聞きをし意見をまた尊重して決めたということでございましたので、決定はあくまでも私どもが決定をさしていただいたわけでございますけれども、道とも御相談を申し上げて決定をさしていただいたということでございます。
○丸谷金保君 実はこの法律には道に委任する事項、これがきわめて多いのです。それだけに提案者がのっけから道庁と相談して決めたというようなことになると、それじゃ道庁はどういう基準で、道庁としては北海道を公平に扱わなければならない中でどういう基準で斜里を抜いて根室支庁管内にしぼったかということはどういうことか聞かなければならないのです。
 それじゃ、だから私が申し上げているのは、いろいろなそういうことのさらで、行政区域としての根室支庁管内を選んだのだということ一つであればそれはわかるのです。それにいろいろつくものだからわからなくなっちゃうのですよ。返還運動熱心だ、そんなところほかにだってありますよね。それから二百海里の影響だ、海のない町もあるのですよ。人口が多いなんていうのは釧路の方がもっと引揚者多いですよ。たしか二千人くらいじゃないかと思いましたけれども、定かな数字は見ないとわかりませんけれども多いはずです。
 ですから、それ以外の理由は考えられないのですが、そういうふうにいろいろ積み重なってくるのですか。根室支庁管内という行政区域にしたのだ、理由はそれだけでしょう。どうなんですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 冒頭に申し上げましたように、行政区域であるという観点から、それと……
○丸谷金保君 それと。
○衆議院議員(高橋辰夫君) じゃ、それで言わないです。
○丸谷金保君 話を先へ進めようと思って一生懸命答え申し上げているのだけれども、いろいろ出てくるものですからちょっと言わなければならないことになってしまうのです。
 もうこれ提案理由に対する質疑だけで終わっちゃって、いま聞かせていただいていますぐする質疑だけでこんなに時間かかっちゃうのじゃちょっと困っちゃうのだけれども。
 「地方債及び財政上等の特別の配慮を行う」と、こうなっていますが、地方債の配慮、これはわかりますけれども「財政上等の特別の配慮」というのはどういうことを想定しているのですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 財政上の問題につきましては国が優先的にひとつこれを配慮するということです。
○丸谷金保君 自治省来ていますか。これは自治省に聞いた方が提案者よりも明確な答えが出るかと思うのですが、私たち優先的に配慮するという抽象的な言葉だけではこの提案理由の説明として「特別の配慮」、これが読み切れないのですが、きちっとなければ。いかがなんでしょうね。
○説明員(持永堯民君) 地方債に関しましての問題御指摘かと思いますが……
○丸谷金保君 いや、地方債はわかるというのです。ちょっとよく聞いてなさいよ、もう一回言うから。
 私が聞いたのは「地方債及び財政上等の特別の配慮」で地方債はわかる、財政上「特別の配慮」というのは何だと聞いているのですよ。ちょっと質問の方をよく聞いておいてください。
○説明員(持永堯民君) 財政上の配慮といたしましては、自治省の所管について申し上げますと、結局地方債を除きますと交付税上の問題になろうかと思いますが、そういった点について財政需要を的確にとらえて対応していく必要がある、こういうことだろうと思うております。
○丸谷金保君 ちょっとこれでは答えにならないのだが、それでいいのですか。そうでしょう。地方の交付税その他でしょう。しかしこの法案ではどこを読んでみたって地方交付税等で配慮するなんということは法律の案文の中にないのですよ。だから私は変だと思って聞いているのです。
 いいですか。現在論議されているこの法案で、交付税で出せないからこの法案が出てきているのですよ。そうでしょう。ちょっと提案者どうなんですか。そうなんでしょう。交付税でも特別の配慮をするのですか、この法律で。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 特別交付税で配慮していただいておるものですから、交付税では配慮するような方向にはなかったことは事実でございます。
○説明員(持永堯民君) 私が申し上げましたのは、この法律に基づきまして、あるいは法律に基づかない市町村独自で行う事業もあろうかと思いますけれども、そういった事業を行います場合におきましては当然その財政需要に対応する財源措置をしていかなければならない、こういう意味で申し上げたわけでございます。
○丸谷金保君 そんなものは特別な配慮にならないのだよ。どこもそれは全国全部同じことでしょう。そういうふうに全部対応しているでしょう。ここの提案理由で言う「特別の配慮」になりますか、それが。
○説明員(持永堯民君) この北方領土問題に関連しての財政需要というのは全国的にあるという問題じゃございませんので、特にそういう問題について財政上の配慮、具体的には特別交付税になろうかと思いますけれども、そういった面で配慮をする必要があるというふうに理解いたしております。
○丸谷金保君 特別交付税で配慮するのですか。これはたとえば交付税の態様が決まりまして特別交付税を出す場合でも、病院の赤字に幾らとかなんとか、こう出てきますと、たとえばこの地域と同じような運動をやっていて同じような財政事情のあるところに差をつけることできますか、特交で。
○説明員(持永堯民君) 一般的普遍的な行政経費につきましては差をつけることはできにくいかと思いますけれども、この北方領土に関連いたしまして、それに起因しまして特別の財政需要があるという点については配慮をしなければならないと思っております。
○丸谷金保君 だから、そういう特別な事情なり財政事情があるという場合は、このいまの根室支庁管内でなくても斜里でも浜中でも同じように配慮しなければならないのでしょう。特交でも差をつけるのですか。
 特別交付税というのは税金ですよ。鉛筆なめなめここだけちょっとよけいなんということできる仕掛けになっていないでしょう、あなた、特交は。あなたたちはすぐ特別交付税に逃げるけれども、それじゃ特別交付税をやりましょう。特別交付税の問題いまやりますけれども、そういうことになりますか。
○説明員(持永堯民君) この北方領土問題にいろいろ関連いたしまして、法律で決められております地域以外の御指摘ございました斜里とかそういったところにおきましてやはり同じような財政需要というものがありますれば、これは対応していかなければならないと思っておりますけれども、従来は特別交付税につきましても一応この根室支庁管内と申しますかの市町について措置をしておるということでございます。
○丸谷金保君 結局この地域だけでなくても同じような財政需要があれば同じように対応しなければならないのでしょう。この地域だけ特交で提案理由に言うように特別な配慮ができますか。あなたいまできるようなことを言ったけれども。いまの答弁ではみんな同じように配慮しなければならない。特別ということにならないでしょう。
○説明員(持永堯民君) いま申し上げましたわけでございますけれども、この北方領土問題ということに関連してといいますか、そういうことに起因いたしました財政需要、これについては仮に斜里町にもそういうものがあるといたしますればこれはやはりわれわれとしては対応すべきだろうと思っております。
○丸谷金保君 そうでしょう。そうすると、ここに言う「特別の配慮」にはならないでしょう。なりませんわね、特交で。
 だから私ここがわからないのです、起債の方はわかるけれども。起債の場合であれば辺地債とかいろいろありますよ。しかし「その他財政上等の特別の配慮」というのは一体何があるのか。特交と言いましたが、しかし特交は特別な配慮にはならないでしょう。斜里町だろうが浜中だろうが、あればあったで全部同じようにやっぱり基準算定しなければなりませんね。そうでないですか。
○説明員(持永堯民君) 私が申し上げておりますのは、法律案の九条にもございますけれども「北方領土隣接地域の振興及び住民の生活の安定を図るために必要な財政上、金融上」の措置について配慮をするということでございますから、それはまず当然われわれとしては配慮しなければならない、こう思っておりますが、あわせまして、たとえば斜里町というようなところにつきましてそういう意味で同じような財政需要があれば、これは法律上に基づく配慮ではございませんけれども、われわれとしては対応をしていく必要があろうか、こういうことでございます。
○丸谷金保君 提案者に質問しますが、いまお聞きしておりましたように、最初は特別交付税で見ると言ったのです、これは特別交付税だと中身がわからないから。しかし特別交付税というのも交付税法にある基準によって出さなければならない法律による支出なんです。一銭一厘といえども鉛筆なめるわけにいかないのです。全国同じような態様があれば同じように、特別な配慮はできないのです、特別な配慮は。じゃ、何を特別な配慮をするのか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 補助の申請に対しまして、特別交付税の問題もありますけれども、それらの問題については優先ひとつ採択するようにしていきたいというのが考えでございます。
○丸谷金保君 特別交付税は法的にここのところだけ優先配分するという、そういうことにはなっていないのですよ。
 たとえば特交の中身で言うと、いわゆる通常の同じ特交でも計算されるのと、その他というのがありますわね、その他が。しかしその他であっても一つ一つきちんと出ているものなんです、きちっと。むしろ明らかに言えば開示しなければならない性質も持っているのです。しかしいろいろなことがあるからわれわれもそういうこと言いませんけれども、提案者は依然特別交付税、特別交付税で特別な配慮ができないということを、あなた、はっきり言いなさいよ。
○説明員(持永堯民君) 私が先ほどから申し上げておりますように、根室支庁管内の市町と先生がおっしゃいましたたとえば斜里等について区別をするということはなかなかむずかしいと思いますけれども、この北方領土隣接地域の振興なり住民の生活安定、そういうものに対する財政需要についてこれは特別に配慮をしていく、これはですから一市四町はもちろんでございますが、一市四町の場合は当然法律の九条に基づいて配慮すべきことになりますけれども、それ以外の町についてもそういう財政需要がありますれば私どもとしては配慮をやはりしていかなければならない、これは法律とは別の問題として事実上やる必要があるだろうというふうに考えております。
○丸谷金保君 特別交付税で見る場合、たとえば外務省の方でやっている竹島、これは五箇村という大きな島の行政区域です。そうすると五箇村で同じような財政需要が起きた場合には根室市と同じように特別交付税の算定基準の中に入れなければならないでしょう。金額はそれいろいろ違っても、それは基準によって財政支出によって金額が違うのであって、それは片方には出すけれども片方には出さないのだということは特別交付税ではならないのじゃないか、ならなければ特別じゃないのだということを私言っているのです。
 提案者もそこをよく聞いていてください。特交で特別なんということはできないのですから、そんなことしたら大変です。
○衆議院議員(高橋辰夫君) この法案を策定した趣旨の中に、特別交付税で不十分だという点でそういうものを優先的に採択せしむるべきだというのがこの法案をつくった趣旨の中にもあるわけでございますので、その点を御了解いただきたいと思います。
○丸谷金保君 これは特別交付税では特別に見れないからこの法案が出てきたのですよ。それを答弁はみんな特交でも見るのだ、財政上特別配慮といっているから僕はそんなことはできないと言うのです。できないから出てきたのですよ。特別交付税で特別な配慮はできないのだということをひとつ提案者理解してくださいよ。そういう答弁されるととっても困っちゃうのだから。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 特別交付税でも実は出していただいておるものでありますから、それではもう不十分であるという観念からこういったことを優先採択せしむるべきだという、先ほども申し上げましたようにそういうことでございますので、その点ひとつ御了解いただきたいと思います。
○丸谷金保君 意識してぼかした答弁、名答弁なさっているのかもしれませんが、ここのところは非常に大事なところなので、しつこいようですが。
 というのは、往々にして地方へ行くと内容を開示してないから、あれも特交で見てやったこれも特交で見てやったというふうなことで特別な配慮をしたような話があるのです。しかしさすがに根室の一市四町の首長はそういうごまかしには乗らなかったのですよ。それは特交というのはそういうものでない、だからわれわれの苦労しているのはそれで見てもらえてないというところから出てきたのですよ。それを特交でも見るような話を先ほどから御答弁されるので、それは私は違うということなんです。
 といいますのは、もともとこの話のきっかけは昭和五十四年か、私が道にだけ交付税が出て固有の領土といいながら村の分は出てないじゃないかということで是正を呼びかけ、そしてそれを受けて根室管内の市町村長が初めは交付税をくれといったものなんです。特別交付税というのも交付税の中に入っているのです。特別交付税で見れるのならこんな法律要らないのですよ。見れないから必要になったのです。そしていまの交付税の方では特別に見てやる方法がない、こういうことから出てきたわけでしょう。それを交付税にまた戻った話をされると私としては最初の口火を切った本人としてこれはとんでもない話と言わざるを得ないのです。そうじゃないのですから。何か私の方が説明者みたいにこれちょっとなっちゃうけれども。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 丸谷先生と意見は一致しておると思います。
 われわれも実はこの法案策定については、竹島は五箇村に入っており尖閣諸島は石垣市に入っておりましていずれも交付税が行っておりまして、北方四島につきましては北海道には行っておりますけれども、あの四島の中の村というものは人もおらないし、そういったことで実は交付税が行っておりませんでした。
 そんなことからしてそういったことが非常に不合理じゃないかということはわれわれも実は自治省ともいろいろ連絡を取り合ったわけでございますが、そういった中において特別交付税で見ていただいておる点もあるわけでございますけれども、それは不十分であるということからして、今日そういったことで基金制度をつくったりして、あるいはその優先採択というものをもってひとつこれを十分に行政の面でもめんどうを見るべきであるというような観点に立ってこういった法案を策定いたしたような次第でございまして、丸谷先生の言う意見とは私らも実は変わっておりません。
○丸谷金保君 それでまたもとへ戻る、ようやく先ほどの話へ。
 それじゃ「財政上等の特別の配慮」というのは何なんだ、交付税や特交じゃないはずなんです。何なんだということなんです。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 第十条に基金とかあるいは補助金のかさ上げとか、そのほかに優先的な採択をしていくということであって、われわれは実はこういったことの法案策定に関しまして、こういう優先採択あるいは基金制度を設けた事業に対する助成をすることにおいて特別交付税に影響があってはならぬ、むしろまだ出していただきたいというのがわれわれの偽らざる実は気持ちでございます。そういうことで特別な配慮というのは優先採択等がそういった考えでございます。
○丸谷金保君 それでようやく問題に近づいてきたのですが、自治省にお伺いしますが、これでいわゆる特別な基金から出て補助事業その他に優遇措置がとられますでしょう。これは基準財政収入額の方にはそういう特別な歳入というふうなものにはならないのですか。たとえば競馬の益金だとか、こういうのはやっぱり要するに基準財政収入額の中へ組み込まれますわね。特別な収入があるといま言った制度的なものでなくて別な形で出てくるわけですからね。そうするとこれは交付税法で言うところの基準財政収入額がふえることになりますでしょう。このときのそれはなるのですか、ならないのですか。
○説明員(持永堯民君) いまの御指摘は補助率のかさ上げの問題なりあるいは基金の関係の問題かと思いますが、交付税で基準財政収入額を算定いたします場合はこれはあくまで標準的な収入というものを前提にして計算いたしますので、いまのこの法律に基づきます何らかの財政上の優遇措置があったといたしましてもこれがいわゆる基準財政収入額には直ちにカウントされるということにはならないものでございます。
○丸谷金保君 その基準財政収入額に算入されるものではない、いいですか、それで。特定財源にはなりませんか。
○説明員(持永堯民君) 市町村財政の上では特定財源という形になろうかと思います。これは補助率が上がればその分は特定財源ということになろうかと思いますが、それをもって基準財政収入額をその分だけ差し引くという性格のものじゃないと思っております。
○丸谷金保君 それで交付税法上差し支えございませんか、特定の財源が見込まれるという場合に。
○説明員(持永堯民君) 普通交付税の上では特段変化はないと思っておりますが、あえて御説明申し上げますと、たとえば基金ができまして基金で新しくいろいろな事業をやりますその場合に、仮に従来市町村がやっておりました事業が基金に肩がわりをいたしまして市町村の仕事が減るというようなことになりますと、これは特別交付税の算定上の問題には出てまいるかと思います。ただこれもあくまで市町村の仕事が依然としてふえるといいますか、財政需要があるということであれば、そういうことはないということでございます。
○丸谷金保君 戸籍事務その他市町村の事業がふえて基準財政需要額がふえる分はいいですよ、当然のことですから。
 しかしそうでなくて、同じ行政支出に対して上置きされるわけでしょう。そうすると交付税の要因、これは交付税という場合には普通交付税と特別交付税とあるのであわせて私聞いていますから、普通交付税のときには普通交付税と言いますし特交は特交と言いますから、交付税に影響はないのかと聞いているのですから特交にはという言い方というのはちょっとおかしいのですよ。特別交付税だってこれは交付税なんですから。そうでしょう。それをお伺いしているのです。
○説明員(持永堯民君) 確かに御指摘のとおり交付税は二つあるわけでございますが、先ほど来申し上げておりますように、普通交付税の方で申しますとこれが御指摘ございましたような基準財政収入額にカウントされるということにはなりませんので、普通交付税の算定上は影響がない。それから特別交付税につきましては、先ほど申し上げましたとおり現実に市町村の財政需要がこの基金ができますことによって減るようなことになればこれは当然影響が出てまいりますけれども、そうじゃなしに基金ができましても市町村は依然としてやはり従来のような行政活動をやるあるいは従来以上の仕事をやるということであれば、これは財政需要はあるわけでございますから当然特交の措置も変わらない、こういうことでございます。
○衆議院議員(高橋辰夫君) この点につきましては、十分われわれも丸谷先生が言われるように特別交付税等に影響があったら困るということで、われわれは実はこれも基本的に減らされては困るということで、その点は自治省にも十分ひとつ申し入れしてありまして、特交とかそういったものには減らさないように、ひとつ上乗せ基準ということからしてまだまだやらなければならぬ仕事があの地域にたくさんあるわけですから、その点も十分配慮して自治省にも実は申し入れしてある次第でございます。
○丸谷金保君 それはどんなふうに言っても交付税法という法ですから、具体的にそういう事象が起きたらやっぱり減らさざるを得ないことになるのじゃないか、私はその点を心配しているのです。
 これが申し入れをして減らさないことができるような鉛筆なめる方法が交付税法のどこにありますか。ありますか、そんなこと。
○説明員(持永堯民君) 交付税法の中で、これは普通交付税でございますが、普通交付税につきまして基準財政収入額あるいは基準財政需要額を算定いたします場合は、これはあくまで標準的な税収というものを基礎にしてあるいは標準的な行政経費を基礎にして算定をするわけでございまして、現実には各地方団体においてたとえばこの今回の法律に基づきますような特別の財源が出てまいる場合もございます。あるいは先ほどちょっと御指摘ございましたけれども、ギャンブル収入というものがある団体もございます。しかしそういった標準的でない普遍性のない収入については普通交付税の算定上は基準財政収入額にカウントいたしておりませんので、したがいましてそういった意味で今回の法律に基づきまして市町村の財源がふえるといいますか市町村に対する財源手当てが厚くなる分について、これを収入としてカウントしていくということにはならないということでございます。
○丸谷金保君 ちょっと普通交付税普通交付税言わないで、それじゃ特交にしぼりましょうか。
 特別な財政配慮をするというので、だから特別な金がいくわけでしょう。そうすると、それで事業をやったら特交の方はいままでもしもそれを出していたとしても減るのでしょう。
 具体的に言いましょうか。根室の市立病院、赤字です。いま三十億と言っているのです。いいですか。これまた中身の中に入りますけれども、特交にだけ関係する、これも私が先年質問して、おかしいじゃないかということで特交のルール計算に入れることになったのですが、いわゆる年間の財政支出の病院の赤字に対する分の二分の一、これは特交のルール計算に入れるということになりましたね。いいですか。それが特別な今度は法律の中で病院や何か見ると言っているのですから、そちらで見たら特交の要因は減るのでないですか。
 具体的に言いましょう。三十億の赤字、それに対して根室市は年間三億なら三億一般会計から赤字分として繰り出しをする、そうすればその二分の一は特別交付税のルール計算によって特交要因として見ますわね。そうでしょう。その三億出すやつを今度はこちらの方で特別な財政というかこの基金の方で病院の方に援助するというのだから、見たら特交の方は減るのでしょう。どうですか。こういう具体的な問題ならお答えしやすいでしょう。
○説明員(持永堯民君) 病院の赤字の問題を御指摘でございますが、この基金のところの条文によりますと施設の整備につきましては基金の資金を充当できるようになっておるようでございますけれども、赤字補てんまではこの基金から出し得るのかどうか、私も的確には承知しておりませんけれども、多分そういったものには出し得ないのじゃなかろうかと思っております。
○丸谷金保君 そういうのに出るのだという話が根室で伝わっているのですよ。いいですか。だから私が現地にも行って調べなければだめだと言うの、委員長わかるでしょう、私が現地も調べなければだめだと言うのが。
 三十億の赤字、こういうのができると国からどんどん金が来て楽になるのだ、聞いていますでしょう、高橋さん、そういう話。どうなんですか。おたくも巷間そういう話聞きませんか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) われわれもいろいろ事業計画等も出していただきまして、大体百五十億というようなことからして基金も百億にしたわけでございますけれども、病院にはわれわれは出すというような考えは持っておりません。それは特交の方で見ていただくという考えでございます。
○丸谷金保君 それじゃ、それは一例ですが、たとえばそういう場合には特交は減るでしょう、もしもそれから出るとすれば。これは一つの例として挙げたのですが、ほかにもそういうもので出るものがあった場合には同じことで特交は減るのでしょう。どうですか。
○説明員(持永堯民君) 理論的に申し上げますと従来財政需要があるということで算定をしておりました特別交付税があるわけでございます。その財政需要があるということで算定をしておりましたが、仮にいままで市町がやっておった仕事を基金の方でやります、市町は仕事はやめましたということになればその財政需要はなくなるわけでございますので、そうすれば特交は当然減るということでございますが、現実にはなかなかそういうことにはならないだろう、市町がやはり依然としていろいろな仕事をなさるのじゃなかろうかと思っておりますので、そうであれば特別交付税の額には影響はないのじゃなかろうかということでございます。
○丸谷金保君 もう一回しつこいようですが、たとえばいまの場合に病院の例をとりましたが、そういうふうにしてもしも出たら減るのでしょうと聞いているのです。
○説明員(持永堯民君) 市町の財政需要が減れば減るわけでございます。
○丸谷金保君 ですから、具体的に病院の赤字債の補てんに一般会計から繰り出していた場合に、ルール計算で出る二分の一は、もしそれがこうした特別の財政配慮をしてこういう基金の方から出たとすれば減るのでしょう。どうなんですか。
○説明員(持永堯民君) 先ほど申し上げましたように病院の赤字の補てんまでこの金がいくのかどうかよく存じませんが、仮にこちらの方で病院の赤字を補てんするということになりますれば当該市の財政需要はそれだけ減るわけでございますから、一般会計の財政需要は減るわけでございますから特別交付税は減るということになろうと思います。
○丸谷金保君 それから、この第六の基金の問題ですが、「運用収入から補助すべき対象として見込んでおります事業量等にかんがみ、百億円程度を想定しており、」と、何かまことにつまみ銭ののような感じを受けるのですが、これはこの程度見込む事業量等を考えたというのですから積算の基礎はあるでしょう。それをひとつ知らせてください。
○衆議院議員(近藤元次君) 大分時間をかけて、大体現行制度上で補助対象等の国の援助のないような事業で関係町村のやる事業の聴取をいろいろやってみました。総額で大体百五十億程度の関係町村からの要望が出てまいりました。若干精査をいたしまして、二分の一程度の補助の計算で七・三%の果実で百億積めば大体出てきておるものの要望が十年程度でおこたえができるのではないかなと、こういう判断をして算定をしたものでございます。
○丸谷金保君 この審議の必要上、本当はそういう出てきた要望、積算をした基礎になった事業及び数字、これを資料としてちょうだいいたしたい。本当はそういうものを見てからでなければ審議できないのですよ。そういうのがあるはずなんだから。やみくもに百億あればというつまみ銭のようなことで国の金で百億という数字が出てきたとは私は思わないのです。それひとつどういうふうな要望が出てどういう数字になったかというのをちょっと御説明いただけませんか。それが一番大事なところなんです。
○衆議院議員(近藤元次君) 大体概要は北方領土啓発関連事業で十一億程度の要望がございました。基幹産業振興事業で百億、残り教育文化、生活関連施設で大体四十億程度の金額が関係町村から出てまいりました。
 それの主なものは、基幹産業の場合には主として魚礁とか漁港の整備とか種苗とか、水産関係が主たる事業でございましたし、それから啓発関係につきましては資料館であるとか展望塔であるとか、その種のものが関係町村から出てまいりました。それらの運営等に対する一部補助をしてほしいという関係町村の要望でございました。
 それから、教育や医療関係の方では診療施設等の医療機器等の関係が二カ町村から出てまいりましたし、その他文化財の保存であるとか北方の水族館であるとか博物館等の設置についての要望が特に関係町村から出てまいりましたし、特異的には地域暖房というようなものも実は出てまいりましたが、まだ現地で詳細に私どもが要望を取りまとめをした段階でございましたので、国の補助対象になるものはできるだけ優先的にというようなことで、漁港等の整備については従来から国の補助対象年次計画で整備をしてありますので、要望が出てまいりましてもこれは従来の制度の上で整備をしていただくというようなことで実は除外をしておるわけでございます。
○丸谷金保君 実はちょっと各省庁でだれを出席させたらよいか困っておるので、名前を知らせてくれ、まあ名前というか、こういう件名というか、いま出席する方たちの方からそういうことが出ているので、ちょっと休憩していただいて相談をさせていただくわけにはまいりませんでしょうか。
○委員長(大鷹淑子君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(大鷹淑子君) 速記を起こして。
○丸谷金保君 提案理由の一番最後に戸籍の取り扱いの問題がございます。これは大変な従来の日本の戸籍法の制度から言うと大きな振りかえになります。それで従来法務省は旧島民のそういう要望があったのをずっと抑え込んできましたね。ここに来てこれを認めるということになった、そういう法務省の制度に対する見直しの大きな理由、それから根拠、これをひとつ、提案者でも結構です。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 元居住者の方々の大変な希望でその地に転籍したいという希望があったわけでございまして、これは国としてもこの希望にこたえるべきではないかということで、あえてこの法案の中に入れたということでございます。あと詳しいことは、また法務省の見解は、呼んでおりますので後で答弁させたいと思います。
○丸谷金保君 地域の振興をうたっておるのですが、この中でコンブ漁が再開しました。約六億円くらいの生産がこれによって上がるようになった。この点については衆議院で岡田利春議員も指摘しておるところでございますが、これが当初岡田利春議員あるいは飛鳥田社会党委員長等も骨を折ってソ連との間に大きな煮詰めをし、参議院でも川村清一議員が非常に骨を折った。いまにもできそうな段階に来ておったものが四年間もストップしたのです。しかもそのストップした理由というのは主として日本の側にあったわけです。
 こんなに喜ばれるものを四年間もストップして年間六億もある収入を抑え込んだ莫大な損害、こういうものはこの基金の中では救われますか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) コンブ漁のことについては私も人よりよく知っておりますけれども、この損害についてこの中で考えるということは考えておりません。
○丸谷金保君 どうもだんだん話を聞いていきますと、あれもだめこれもだめということで非常にさびしくなってくるのですが、この法案の第一条の「目的」の中で「北方地域元居住者に対する援護」、これはどういう援護をするのですか。お金を配るのですか。どうなんですか。
○政府委員(橋本豊君) 現在の制度で行っているものをまず申し上げますと、北方領土問題対策協会を通じまして元居住者に対して事業資金、生活資金の融資を低利で行っております。これが現在までの制度として行われている中心的なものでございます。そのほかに生業研修あるいは就職のための講習会などというものも従来から行っております。
 今度新しく提案されております法律ではそのほかにいろいろとお考えのようでございますけれども、そこら辺の細かなことはこれからさらに詰めがなされるのではないかと思います。
○丸谷金保君 これ「臨接地域」の「住民の生活の安定」と「目的」では大変大上段にうたっているのですけれども、これちょっとオーバーじゃないでしょうか。百億の基金で「生活の安定」、どうなんですか、これ。
 いまお聞きしますと年間七億くらいの金が一市四町でしょう。どういうふうに分けてみても、しかも先ほどからのいろいろなものは、近藤提案者からのお話によりますと町村から出てきているのが大体決まっていますね。生活の安定というのは要するにそういう町村の希望する公共施設をよけいつくるということにこれは理解してよろしいのですか、ここでいう生活の安定というのは。
○衆議院議員(高橋辰夫君) これ法案が通って即生活が安定するということではございませんが、少なくともあの地域からいろいろな要望が出ておるわけでございまして、それらの問題に対しまして何とかひとつこういうかさ上げ等によって要望等を満たしていくことが生活安定に寄与でき得るものだというふうに考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 そうすると、これは要するに抽象的なものであって、これとこれとこれというのはないわけですね。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 丸谷先生の言われる抽象的ではなくして、第六条の二項に定める計画に対してこれを行っていくことが寄与でき得るものだというふうに考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 この第六条がきわめて抽象的なんで、これだけではちっともわからないのですよ。
 それで、この第一条「目的」のうちの「住民の生活の安定」ということで、たとえば「交通施設及び通信施設の整備に関する事項」、これは衆議院でも岡田利春先生がこういうふうにうたったっていま国鉄線外そうとしているじゃないか、どうなっているのだ、これに対してはきわめて抽象的な答弁よりないのですよ。時間もないからということで先へ進まざるを得なかったので重ねて聞くのですが、ここでこういうふうにうたっていながら一体国鉄の線路は外すのですか外さないのですか。地元から出てきている計画書では外れた計画で出てきていますか、それとも外れない計画で出てきていますか、地元の要望は。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 国鉄は外れて出てきていることは事実でございまして、そういった問題についてもこれは今後北海道の場合は知事がこれを国鉄等の問題をまとめていく上においても、またわれわれもひとつこういった地域の特殊事情にかんがみまして十分ひとつ配慮してもらいたい、今後行動はしていきたいというふうに考えております。
○丸谷金保君 「住民の生活の安定」ということでしょう。そしていま提案者はそれは抽象的でなく具体的だ、具体的に六条にある、こう言いましたね。六条にあると言うから私その六条でいま質問したのですよ。そうしましたらお答えはきわめて抽象的なんですよね、この六条について。六条で具体的だと言ったって一体ここで言う「交通施設の整備に関する事項」というのは何を言うのですか、これ。
 まず第一に動脈である国鉄標津線、その他みんなあれ外れることに計画なっているのですよ。それは地元からは外されることで計画は出てきているのですか。地元の要望で積算して大体百億くらいあればいいということになったという先ほどの答弁なものですから、どっちで出てきていますか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 地元の計画については国鉄は入っておりません。実はこの法案策定以前に国鉄の第一次計画が発表されておるものですから、われわれはそういった特殊な地域も考慮してもらうように今後努力していくということであって、丸谷先生が言われる国鉄の問題は第一次案についてはこの策定以前に実は発表になっておるわけでございますし、そういった標津線等々の問題についてはわれわれも十分知っておりますし、そういった地域の実情を十分今後ひとつ考えてもらうようにわれわれはこれをやっていかなければならないと思っておるわけでございます。
○丸谷金保君 地元からは外さないでくれという要望が出ているのですよね。出てますわね。地元の要望を入れて計画をこれから策定していくのでしょう、こういうものについて。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 事業計画の中については、国鉄問題は実は沖繩北方の委員会またわが党の委員会等にはこれは入っておりません、陳情の中に入っておりませんから。
○丸谷金保君 そうすると、ここで言う「交通施設」というのは何ですか。
○説明員(大江郁夫君) この第六条の振興計画に定めます「交通施設及び通信施設の整備に関する事項」とありますが、これにつきましては政府側としましては国鉄線の関連につきましてはすでに政府の方針が出ておりますので、その方針にのっとって考えていく、こういうことでございます。
○丸谷金保君 これはちょっと政府の方針に従ってやるということでいいのですか、提案者。
 それはしかし大動脈ですからね。鉄道の問題を外して交通施設の全体的な体系の計画なりこれからの方針というのは立たないはずですよ。それを外すというのです。そうしたらあとは今度はパスから除雪から通学から全部いろいろな問題が出てこないと生活安定に結びつかないのです。それを外すということは、これはちょっと開発庁、それだけでやめないで、問題になると困りますからもうちょっと何とか言いようしないと。(「質問者がそんなこと言ったらだめだよ」と呼ぶ者あり)だからこっちが本当に説明者みたいなものだが、それはちょっと開発庁もう一回答弁し直しなさいよ。
○政府委員(富士野昭典君) 交通施設のことでございますが、特に国鉄のローカル線のお話でございますけれども、標津線は御存じのようにローカル線の第二段階目の廃止対象路線に決まっているわけでございます。そういう意味から申しますと政府の一員である私どもとしてはその方針に沿って物事を進めていかざるを得ないというのが現状でございますが、ただ廃止をしてそれで終わりということではいけないし、またあの法案の中でも、そのために代替措置を講ずる、それがバスであるかあるいは第三セクターによる鉄道の運営であるかということはこれから地元の方々の沿線市町村の意見を聞きながら協議会を設けて決めていく、こういうことでございまして、その協議の内容も見ながらこの地域の交通施設についての計画も定めていく必要があるのではないか、こういうふうに考えております。
○丸谷金保君 提案者にお願いしますが、これだけ大上段に生活安定掲げておるので、交通問題だけとると動脈である国鉄残す、このことに全力を挙げてこの飢饉下の財政を回す、これくらいな提案者として考え方ないのですか。いや大問題、一番の問題なんですよ。いまのようなことでは困るのです。
○衆議院議員(高橋辰夫君) これはこの法案は御承知のように国の総合体系の中でのことでなくして、むしろそれから漏れておるものをひとつ何とか救ってあげたいという気持ちでございますし、提案者としても赤字路線を廃止することには反対であり、また私個人としては反対でありますけれども、その計画に入っておることは事実でございますけれども、その趣旨も踏まえながら十分ひとつ今後やっていきたいと思います。
○丸谷金保君 いまの御答弁によりますと、結局アウトサイドのいわゆる制度に乗らないようなものをできるだけ拾い上げていく、こういうふうにようやくこの法案の一つの全貌というか、そういうものが何か出てきたような気がするのです。
 だから、そういう点から言いますと、今度三番目の「国土保全及び水資源開発に関する事項」、これはどういうことをやるのですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) これは治山治水事業等を指しております。
○丸谷金保君 この治山事業、これは事業計画を立てればいま全額国庫ですよね。これどこへこれに助成するのですか。助成したり手当てするのですか。
○説明員(大江郁夫君) いま先生から御質問のありましたこの法案の第六条二項三号の「国土保全及び水資源開発に関する事項」、これは先ほど先生が述べられましたとおり治山治水事業でございます。治山治水事業というふうに私どもは理解をしております。
 それで、この振興計画に盛られる事業はこれは先ほど言いました基金の対象になる事業だけじゃなくて、現行制度に基づいて国が直轄事業でやる事業あるいは補助として地方公共団体がやる事業、こういうようなものを一切含んでございます。もちろん基金に基づいて各市町村が単独でやる事業も入っている、こういうものでございます。
○丸谷金保君 だんだんわかってきたのですが、結局大半の仕事はそういう公共事業のたとえば国土保全事業、公共事業の計画に基づいてやる仕事をやるということでしょう。
 たとえば治山事業をとりましょう。必要のないところにダムをつくるわけないのですから全部計画にあるでしょう。計画に基づいてやっていくわけですね、治山計画に基づいて。そうすると、これはいまの制度では全額地元負担じゃないでしょう。治山事業について地元負担はないのですよね。これにこの計画の中でどういうふうなこの基金から財政援助して生活の安定のためにやっていくのか。こんなことをうたわなくたって治山計画に基づいてやるのですよ。それ以外にどこで治山やるのですか、治山計画以外の治山というのは。
○説明員(大江郁夫君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、この第六条の振興計画に基づく事業というのは、既存の制度に基づく事業とそれからこの法律に基づいて特別措置によってやる事業と両方含んでいるわけでございます。それで先生のお尋ねの既存制度に基づく事業が大半になるのだろうという……
○丸谷金保君 そうじゃないのです。
 いま治山治水事業というふうに提案者が言うから、治山事業について言えば治山計画に基づいて施行されるのです。治山治水の事業に基づいて施行されるわけです。その計画にないものが施行されるということはあり得ないわけですよね。やぶから棒にどこかここへダムをつくれということにはならないのですから、流量計算をして。そうでしょう。そうすると、それは既存の計画の中で補助金は、事業主体は市町村でないのですよ、治山事業は。道がやって、それは全部上乗せ農水省治山課でやっていく。国営と道営いろいろありますが、そういう全額国が見てくれる町村の治山事業を何でここでうたってやらなければならないのかということなんです。
○説明員(大江郁夫君) これはこの法律の趣旨目的にもありますとおり、この地域の振興と住民生活の安定のための事業を積極的に進めるという視点で施策が組まれているもの、こういうふうに私どもは理解しておるものですから、そういう観点から既存の制度に基づく事業も積極的にやっていくのだ、この計画に盛り込んで積極的に推進をしていくのだ、こういうふうにこの法律の趣旨を理解しているところでございます。
○丸谷金保君 要すれば、既存の治山計画なら治山事業計画で、ある事業もここの計画の中に載せてこの計画の中でやりましたという形をつくる、こういうことですか。
○説明員(大江郁夫君) そういう治山事業の五カ年計画とか、そういう既存の事業計画に基づく事業をこの計画の中に入れて積極的に推進していく、そういう趣旨でございます。
○丸谷金保君 提案者にお聞きしますが、いまのようなのを何と言うか知っていますか。「羊頭を懸げて狗肉を売る」と言うのですよ。何のことない、ここに載せなくてもいいやつを載せて、こんなにこの計画でやったということにするということでしょう、簡単に言うと。そうですわね、別にあるのだから。
○説明員(大江郁夫君) 実は治山五カ年計画を定めるに当たりまして、この計画に基づきましてこの地域の治山事業を積極的にやってもらうように推進をしていく、こういうことでございます。
○丸谷金保君 積極的にやってもらうというのは、そうするとこれは国に運動するということですか、やってもらうのに。
○説明員(大江郁夫君) 失礼いたしました。
 北海道開発庁の立場から言ったものですから、同じ政府の中のことでお願いするという言い方は不適当かもわかりませんが、北海道開発庁としましてはこの事業の所管省庁であります林野庁にこの地域の治山事業を積極的にやるよう協力依頼して進めてまいる、こういうことでございます。
○衆議院議員(高橋辰夫君) これはいろいろ言われておりますけれども、北海道知事がこの地域の基本計画を立てて総理大臣に承認を得まして、その上に立ってかさ上げあるいは助成、起債あるいはまた基金制度の中からそれを助成していくということでございます。
○丸谷金保君 要するに北海道知事に全部計画は任せる、そしてそれがよかったら総理大臣は承認してうまくやってくれと、こういうことですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) そういうことでございます。ただし知事は地元の要望、地元の実態というものを踏まえた上での基本計画を立てていただけるわけでございます。
○丸谷金保君 そうすると、ここでこれ論議しても、結局知事にうまくやってくれという法律だとすれば、参考人か何かで知事の意向も聞かなければちょっと何というか質問しても答えが出てこない。何ぼここで一生懸命に聞いてもそれで出てこないわけがわかりましたよ。
 そうして結局はこういうことでしょう。たとえば北海道開発計画と同じようにこの地域の振興計画のたとえば道路をどうするとか河川の修理をどうする、漁港をどうするというものも全部既存の計画もこれにぶち込んで地域振興計画というものをつくる、こういうことなんですな。
○衆議院議員(高橋辰夫君) そのとおりでございます。あわせて地域振興ということを十分勘案の上にそれを立てて基本計画をつくるということです。
○丸谷金保君 それでようやく御趣旨は何かよくわかりました。
 しかし、ところがそれだけならまだいいのですが、たとえば北方元居住者の「子及び孫を含む」ということになっているのですね。ところがこの法律は北方四島が復帰の日まで継続するのですが、そうすると大体三代くらいの間に北方領土が戻ってくるという想定のもとに提案されているのですね、孫までですから。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 現在も孫おりますから、そういうことで三代ということではございません。
 これは御承知のように啓発、援護、地域振興ということで、北方領土返していただくということ、返還ということは国民の総意であり悲願でありますので、それを啓発しながら援護、地域振興というものを図っていこうという三つの柱でございます。
○丸谷金保君 これ北方地域元居住者と言って、これには融資その他特別な援護をするでしょう。
 この中の衆議院での記録を見ますと一〇%とか何とかそっちの方へ回すのだと。そうすると七千万くらいですわね。ところが奨学資金だとかいろいろなことあるでしょう。しかしこれ読んでいくと、北方領土が返ってこないともう孫までいるのですから末広がりにものすごく広がるのです。これはどこにも歯どめはないのですね。どれくらいの人間になることを想定しているのですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) いまのところは直孫ですから無制限には広がらないと思います。
○丸谷金保君 そうすると直孫までということですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) そういう考えでございます。
○丸谷金保君 大体これに対する融資枠が幾らくらいで、それからこれらの全国の実態調査は。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 融資枠はこの中には入っておりません。
○丸谷金保君 そうすると、これは別な法律がございますね。たとえば北方地域漁業権者等に対する特別交付金だとか、それから融資の制度とかいうのがございますね。そうすると、これらの居住者に対する援護というのはどういうことをやるのですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 基金による援護の具体的内容は、法律の趣旨に沿いつつ元居住者の意向を十分に聞き今後定められる条例等で決められることになると思いますが、たとえば元居住者の団体である千島歯舞居住者連盟がみずからの事業として行う元居住者としての活力を維持し持続せしめるための研修会や集会またはその他の施設の設置、あるいは故郷を見ることなく亡くなられた方々の慰霊行事などを考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 「水資源開発」というのがここにございますね。これは植林事業その他を指すのですか、どうなんですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) この水資源開発は水道とかあるいは農業用水等も含んでおるわけでございます。
○丸谷金保君 そうすると、これはたとえば水産ふ化事業等の水量を確保するための水資源開発というふうなものはここには入らないのですか。これはそうすると七号の方の農林水産業振興という方に入ることになるのですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) これは水資源とそれから七号の方にも両方含まれると思います。
○丸谷金保君 それで、いまあそこの地域で一番問題、まあ問題というよりも大きな水産資源の活用ということではサケのふ化事業、これらについてはどういう対応になっているのでしょうか、この計画の中で。
○衆議院議員(高橋辰夫君) ふ化事業等に関しましては重点的に考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 実はこの採卵、放流については根室地域が非常に有望だと言われながら水資源不足で一つの壁にぶつかっているのです。膨大な計画がありますけれどもこれ全然何か進まない。こういうことこそもっとしっかりやってもらわなければならない振興計画の問題だと思うのですが、一体根室地域におけるふ化事業の今後の振興については農林水産省どのような考えを持っていますか。
○説明員(小川洋二君) お答えいたします。
 北海道におきますサケ・マスの放流事業につきましては二百海里以降特に力を入れまして推進しているわけでございます。全体的に申しますとサケ・マスの増大計画というようなものを持っておりまして、その計画に即しまして、むろん根室地域も入っているわけでございますが、それに即しましてふ化場の施設の整備あるいは放流尾数の増大等を計画的に実施しているところでございます。
○丸谷金保君 年次的な計画によりますと昭和五十五年ではサケの集卵個数というのは約十億ですか、こういう計画は達成されておりますか。
○説明員(小川洋二君) 根室地域ということではちょっと数字をただいま持ってきておりませんが、北海道全般で見れば十分達成しているはずでございます。最近におきましては回帰率の向上もございますし、それから定置漁業との調整もございまして目標どおりに進んでいるはずでございます。
○丸谷金保君 このうちこういう法律に基づいて根室地方はそういう計画やっぱりほかの計画と一緒に入ってくるのでしょう。どうなんですか。
   〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕
○衆議院議員(近藤元次君) 根室地域からは先生がおっしゃるとおりこの基幹産業の振興事業の中にはホタテガイの移殖からウニの移殖、アサリ、ホッケ等のあらゆる業種についての御要望もございますし、昆布からまた雑草の駆除やハナサキガニの資源調査等の要望がきわめて先生の御意見のとおり出ておりますので、年次的に最重点の事業としてこの振興基金ができたら施行していきたい、こう考えております。
○丸谷金保君 それで、住民生活安定の上からも非常にいま二百海里以降沿岸漁業ということで大事だと、これ大変なことが一つ落ちているのです。
 というのは、そこで働く水産庁のふ化支場の職員、これが大体のアメリカあたりと比べましても五分の一か六分の一なんです。非常な過酷な労働で夜も寝る暇のないくらいながんばりをやっているのです。これも住民なんで、こういう制度の中でそうした振興をしていくといったって人がいなければできないのですから、農林省、これらの増員配置というふうなことは計画の中にありますか。
○説明員(小川洋二君) 御指摘のように北海道ですと国のふ化場で採卵、ふ化、飼育をやっているわけでございますが、確かに年々放流数がふえるに従いまして一人当たりの取り扱い尾数というものが増大しております。その点に関しましては施設の整備を行って労働の合理化をやったりあるいは年々人を増員して対処しておる次第でございます。
○丸谷金保君 それで、これは国営だけではとてもやっていけないというので組合が根室地域でふ化計画を持っておる、これ御存じですか。
○説明員(小川洋二君) はい。
○丸谷金保君 その計画の概要についてひとつ知っていたら教えてください。
○説明員(小川洋二君) 北海道のふ化放流のシステムは、民間の組合が、まあ民間の組合ばかりではないですが、団体が川に上ってくる親魚を採捕して、その種卵を国のふ化場に提供をする、それでふ化場ではそれをふ化させ稚魚を育てて放流する、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 そこで、親魚の採捕、採卵まで行います民間の事業につきましてもやはりサケの回帰量がふえるに従いまして相当な労働になっているかと思いますが、この点につきましても計画的に施設の整備等を行いまして労働の軽減を図ったりあるいは効率的な採捕ができるような、そういったような措置をとっておるわけでございます。
○丸谷金保君 海もこれ無限でないので、北太平洋における大体放養能力、これはどれくらいに押さえて計画を立てておりますか。
○説明員(小川洋二君) 世界各国で放流事業が盛んになってきますと、回遊して北洋で育って帰ってくるわけですが、北洋のえさの面からある一定のキャパシティーがあるのではないか、こういうことが最近指摘されているわけでございます。ただし目下のところの研究者の検討結果ではいまのレベルではまだまだ十分キャパシティーに余裕があるという見解である、こう伺っているわけでございます。
○丸谷金保君 それで要するに海の牧場の方はまだ収容能力がある、そうするとやはり何といっても水産資源の涵養ということについて言えば、北海道内の根室で言えばあの地域におけるふ化事業ですね。これ実際には大体十億粒の卵をとるために百万尾くらいの親が要るでしょう。それらを考えた場合、根室地域で一体いまの水量でどれくらいなものが養えるか。
 私はなぜそれ聞くかというと、こういう計画がだっと出ていくと非常に実質的な計算以上の計画がだだだっと出る可能性がある。これは共倒れになる心配もあるのです。そういう点でどれくらい可能だと見ているのですか。これによって回帰してくるサケの数、これの二百海里に対応する根室地域の漁業振興というふうなものの中におけるサケ定置が決まってきますからね。大体どんなふうに押さえていますか。
○説明員(小川洋二君) 根室地域におきます今度は水資源の面からのサケ増殖の限度はどのくらいか、こういう御指摘だろうと思いますけれども、こういうことを含めましてただいま水産庁と建設省と共同して調査を継続実施中でございます。無論各種の開発行為を行うに当たりまして北海道のサケの事業の発展というのは水産の立場から言えば非常に重要な問題でございまして、それの総合調整を図りかつ効率的に水資源を利用していくための方式はどういうものがあろうか、こういうことを目的とした調査でございますが、いま調査を継続中でございます。ただいま何尾収容可能かということについては承知しておりません。
○丸谷金保君 それがきちんとしませんと、ふ化事業の目標、特にこの計画の中におけるところの水産振興とか水資源の問題は、あの地域というのはどんどん開発して水資源が非常に枯渇してきているのです。これをどうするのだということがいま非常に緊急の問題になってきているわけです。だからこういう計画の中では目玉にして、それこそいまおっしゃった総合調整していかなければならない問題です。開発と水資源、それからふ化の定置、ところがそれがいま全然ばらばらなんですね。整合性を持った施策になっていない。
 これらは何かそういう横の調整の話というのは農林省の中ではあるのですか。
○説明員(小川洋二君) 北海道のサケ・マス増殖事業の推進に当たりましては
   〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
まず基幹となりますふ化場の建設が不可欠なわけでございますが、このふ化場の建設に当たりましては、やはり養魚ということでございますので水の確保ができるかどうかというのが一番問題になる点でございまして、これまではふ化場の建設に当たりまして十分な水資源が確保できるかどうかということを重点とした個々の調査を踏まえまして建設なり増設に当たってきているわけでございます。また途中で水が不足のようなところがございましたような場合には、あるいは地下水を利用したり湧水を利用したりして水の供給能力の向上を図る、こういったこともやっておるわけでございます。
○丸谷金保君 つまりはやってないということですね、いまの説明聞いておりますと。
 水資源の涵養というふうな立場から総合的に林業、漁業、農業、農林省内におけるこれらがやはりあの地域振興を考えるならあそこの中できちっとした計画を組み立てて、それぞれの何といいますかエリアを決めていかなければならない、そういうふうなことについてはまだ手はついてない、いまの答弁ではそういうふうにしか受け取れないのですが、それでよろしゅうございますね。
○説明員(小川洋二君) ふ化場の建設等に当たりましてやはり周辺の水需要に関しまして競合するような何か工事等がございますと、私どもは個別的なケースといたしまして河川の管理者サイドと協議しつつそういったようなふ化場の建設等を進めているわけでございます。
○丸谷金保君 どうもこの法律を読んでいくと余りにも漠然としていて、地域振興の特例法であるものが何か基本法のような、詰めていくとなってしまうのですよね。
 特別措置に関する法律ですから、たとえばいま融資はしないと言っているでしょう。ところがこの九条によりますと「住民の生活の安定を図るために必要な財政上、金融上」の措置も図ると書いてあるのですよね。これ融資をしなければ金融上の措置というのはどういうことなんでしょう。だんだんわからなくなってくるのですね。
○衆議院議員(近藤元次君) 融資でなくて、先ほど先生から御案内のように、地域の経済的な事情は領土の返還はもとよりでありますけれども、それによってきて二百海里の線引き等が行われて漁家の負債が大変膨大なものであるということは実は先生から御指摘をいただいたとおりでございます。その利率もおおむね九%台以上の高金利の中で負債に苦しんでおる漁家に対しての一部利子補給等も考えられておりますので、それらが一つの金融措置ということでこの法律に書かれたわけでございます。
○丸谷金保君 それでは、これ要するにどうもいまの説明聞いていてもはっきりしないのですが、これたとえば十条で「北方領土隣接地域振興等基金」となっているのですが、ここの「等」というのは振興基金でなくて一体何ですか。非常にあいまいな、何で「等」としなければならないのか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 「等」は元居住者の啓発とそれから援護ということを指しておるわけでございます。
○丸谷金保君 すると、これでこの「振興等基金」という「等」はわかりました。やはり旧島民の援護その他のこともこの基金の中でやるのでしょう。さっきの答弁だとどうもぴんとこないのですが、はっきり言って特別の一体何をやってくれるのですか。融資はしない、融資よりもただでくれるのですか、それ。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 基金のことにつきましては先ほどの研修会あるいは施設の設置等、あるいは慰霊行事等を指しておるわけでございます。あるいは就学資金もそうでございます。
○丸谷金保君 そうすると、ウタリ協会に出している資金のように、就学資金というのはこの中で計画しているというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(富士野昭典君) 北海道に現在居住されているウタリの方々については、北海道がつくりました北海道のウタリ対策というものに基づきまして、私ども北海道開発庁が、関係省庁がたくさんあるものですから、その事務当局といいますか窓口といたしまして取りまとめながら北海道のウタリ対策を進めているわけでございますので、そのウタリ対策の中で奨学金というものを取り上げておりますので、もし先生のおっしゃるようにこちらとダブることになれば従来から進めております北海道ウタリ対策の中で措置をすることになるのではないか、こう思っておりますが、法案が成立した時点であるいはもう少し調整を要するかと、こう思っております。
 以上でございます。
○丸谷金保君 非常にこの法律というのはダブルゾーンが多いのですね。だから結局あとは政令その他によって細かくやっていかないと、この法だけ見て短時間に審議してもなかなか、この法そのものをきのうから読んでみているのですが、どうもつかまえどころがないということと、それから審議を進めると、地元の期待しているようなそれぞれの市町村の創意工夫によっていわゆる従来の補助事業とかそういうものの枠外のものにどんどん使えるのだという金額がきわめて少ない、こういう意見。
 みんな結局従来の公共事業なり何なり計画してあるもの、たとえば公民館だとか既存のそういうものにちょっと少し上乗せをするのだ、そういう点で自治体が多少ずつでも潤うし施設が進むというようなことが中心のような気がするのですが、提案者いかがですか。大体そういうふうに理解していいのですか、この法律というのは。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 基金の利息は七億ちょっとでございますから、丸谷先生の言われる広範囲にわたるかどうかということはこれはもう十分心配されておるとおりだと思いますけれども、補助金のかさ上げ等々もやりながら何とかそれにひとつこたえていきたいという考えでございます。
○丸谷金保君 実はこれはもう百億というつかみ銭で、計画は後から、積算で築いてきたのでなくてまあこれくらいでやろうというような法律のような気がするのです。
 われわれはたとえば社会党案先ほども出ましたけれども、百二十五億というのは大体利回りでもって九億ぐらい、これは道にきている地方交付税、それに見合うものを自治体は当然四島分のものをあの地域が一番いろいろな点で苦労しているのだから出してくれという最初の町村の要望、こういう要望を踏まえて交付税のかわりに出すとすれば、やはりきちんと根拠があるのですから、そういうことで積算すると大体百二十五億要るのだ、こういうことになる。ところがいまのこの法律ですと、そういうけじめになる基礎がどうもこの論議を通じてもつかまらないのです。そこはどうなんでしょうね。
 これは大体でももらった方がもらわないよりいいという論議もありますよ。しかしこれはやっぱり地方自治体というのはただ物ねだりして物をもらえばいいというものではないので、それなりにやはり地方自治体としてのプライドを持って当然道がもらっている交付税なら国も四島分としては何らかの措置をすべきだ、こういう要求してもらう金であるべきものがこの積算の百億という中からそういうにおいが感じられないのですよ。われわれが百二十五億と言っているのとは、金額は幾らも違わないけれども精神においてはこんなにも違うような、全く段をつけるような気がしてならないのですが、どうなんでしょうね。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 金額上で見れば百億と百二十五億ということになれば百二十五億の方がこれはいいことはもう自明の理でございますけれども、実はわれわれはこの法案の作成に当たりまして、まあ与党でございますから政府当局とも何度も何度も交渉いたしまして、提示、内々の話というものはこの百億ではございませんでして、実はこの半分に等しいような金額でございました。
 ここにおられます近藤代議士ともどももう毎日のように実は政府に折衝いたしまして、この百億ということも大変厳しい状態でありましたけれども、ここまで持ってきたという努力の跡をひとつお認めいただければというふうに考えておりますし、これが一つの法案でございまして五年後の経済情勢あるいは十年後の経済情勢が変わるかもしれません。そういったときも、ひとつそれは今後そういったことも含みがあろうかと思いますけれども、何はともあれ政府当局は、この法案そのものについても大変問題があるという指摘でございましたけれども、そういったことで百億まで努力をいたした次第でございますので、ひとつその点を十分御理解をいただき、決してつかみ金じゃなくして、そういったことの地元の要望にこたえる線で実は努力をいたした次第でございます。
 もちろん丸谷先生の言われる九億ないし十億というような金をわれわれは目標にしておったのでありますけれども、そこまで至らなかったことはわれわれの不徳のいたすところかと思いますけれども、努力の跡だけはひとつ認めていただきたいものだと考えております。
○丸谷金保君 その点についてはいろいろ御努力なさったことは北海道のために多とするところではあります。ただ地方自治の精神から言いますと、何でもねだってもらえればいいというふうなことになったら地方自治の精神的な崩壊につながるのです。
 ですから、百二十五億というのは根拠があって、これだけは道に出しているじゃないか、われわれの方にもよこせ、こういうことになるわけなんですよ。それが五十億が八十億になって百億、だんだんだんだん何といいますか積み重なってきた、そういう性格で一市四町がいただく金じゃないのだということ、これだけは権利要求の中で、たとえばいまここに出ておる戸籍事務、これだって下手すると大変な財政支出になるのですよ。こんなものじゃ間に合わないかもしらぬです。
 日本の戸籍法では富士山の上に本籍持っていてもいいですからね。北方四島いいと言えば何千万でも移動したっていいのですよ。これをこの四カ町村で戸籍事務をやれ、知事に権限やって、おまえのところでやれなんて、これ法務省に聞きますが、もしも知事がそういう命令を出して地方自治体が拒否したらどうなりますか。いろいろなこれ問題含んでいるのですよ、解明しなければならぬ問題。
○説明員(田中康久君) お答え申し上げます。
 戸籍の関係につきましてはいままでこの北方地域に戸籍を認めておりませんでしたのは所管する市町村がないということでございまして、このたびの案では一応これを法務大臣の指定するところが扱うということになりますので、一応戸籍法のたてまえ上は問題はないことになります。
 おっしゃるように費用の問題は確かにございますので、果たしてどれだけの事件が今度の法案の関係でこの地域に転籍がされるかということを積算しないとわからないことでございますけれども、一応のいま積算をしておりますけれども、いまのところ資料が不十分でございまして何ともまだ推計ができない状況にございますが、ある程度そういう動きを見た上で費用の面では考えることになるのではないかと思っております。
○丸谷金保君 私の質問しているのはそういうことでなくて、市町村長がうちのところでそういうことをやるのは迷惑だとなった場合にはどうなるのですかと、こう言っているのです。
○説明員(田中康久君) これは当然指定するにつきまして協議をさしていただくつもりでおります。
○丸谷金保君 協議は当然のことなんで、協議の結果拒否されたらどうするのだということを聞いているのです。
○説明員(田中康久君) 一応私どもの方ではこういう法案になるということがわかった段階で内々の相談をしておりまして、大体の内諾を得ております。
○丸谷金保君 それはあなた、私の質問とは違うのですよ。市長や町長もかわるのですよ。あなたそれこそいま笑っているように来年統一地方選挙あるのです。内諾を得てあるなんということは何にも私の質問していることに答弁ならないですよ。そうでしょう。そんなもの何の法的な効果ありますか。どうなんですか。内諾得ていると言うけれども、法的な効果あるのですか。
○説明員(田中康久君) この法律で一応委任を受けておりまして、それに基づきまして法務大臣が指名することになるわけでございますが、一応指名をすればそれによってその市町村長が権限を持ちまた義務を持つことになるわけでございます。ですから私どもとしては義務が課されることになりますので、あらかじめ内諾を得なければいけないということで事実上の内諾を得るべくいろいろ相談をあらかじめしていたわけでございます。
 法律的には今度この法律が通りさらに法務省で指名をすればその市町村長が義務を負うことになることは間違いございません。
○丸谷金保君 私は拒絶した場合にこの法律でどうなると聞いているのです。たとえば九州でもって問題が昔あったこともあるでしょう。そういうような法律効果を生むのか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) いろいろ丸谷先生から質問ありますけれども、われわれはこの法案策定に当たっては拒絶することはあり得ないものだという、これはもう法律はまた別でありますから考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 そういうばかなことはないですよ、そんな拒絶することは考えていないと。大変なことになりかねないのです、もしもこれが発効しますと。それじゃおれたち全部行こうなんといって、そうすると本籍地人口というのがまたひとつこれ自治省の方でも問題があるのですが、本籍地人口と現在地人口うんと違ってきますでしょう。それから取り扱い、とてもかなわないということで、拒絶しないということでなく拒絶した場合にどうなるということをやっぱり法案の審議の中でははっきりしておく必要があるのですよ。
○説明員(田中康久君) 先ほどから申しましたように、一応義務を負うことになりますので拒絶した場合には市町村長は過料に処せられることになります。法律的にはそうなりますけれども、そういう意味ではそういうことがないように私どもとしてはあらかじめ内諾を得るべく努力をしておりますし、多分大丈夫だろうという感触を受けております。
 ただ、先生御指摘のようにたくさんの人が転籍をされるという事態になった場合には小さな市町村でそれに対応するのは大変だという事態になりますので、そういう事態が果たして生ずるのかどうか私どもも心配している点でございまして、もちろんそういう事態は多分そういう大きな数にはならないのではないかという私どもの感じではございますけれども、これもやってみなければわからないことでございますので、もしそういうことになったということになればその段階でまた法改正ということを考えてもよろしいのではないかと考えております。
○丸谷金保君 ちょっと私の質問の仕方が悪いのかもしれませんが、私はそういういろいろな状態を踏まえて、この法律によって市町村が大変な義務を負うことになりますでしょう。かなわないと言って拒絶すれば過料だ、それを聞きたかったのですよ。
 そうすると、市町村長は拒絶できないわけですね。拒絶すれば過料だと。過料で、じゃ過料を払えばいいのですか。それで拒絶できますか。どうなんですか。これは自治省が答弁してやってください。自治省の方ができるでしょう、そのときどうなるかということを。
○説明員(田中康久君) そういう事態はないだろうという私どもの観測でございますけれども、参考までにちょっと件数を申し上げさしてもらいますと……
○丸谷金保君 そんなことを聞いていないよ。
○説明員(田中康久君) 大きな数になるかどうかという推測の一つの資料として私ども考えておりますのは、当時北方地域にございました本籍の数は約二千でございました。これは古い時代の戸籍の数でございますので、現在の戸籍に引き直すと多分三倍ぐらい、六千くらいの数でございます。
 これが全部そういうことでもとに戻ることになるか、もっとふえるかということが問題になるわけでございますけれども、これはちょっといまのところ推計の資料が十分ございません。そこでどのくらいになるかというのも私どもちょっと自治省とも相談をしておるのですが、必ずしも十分資料がないわけでございますので、現在のところそんなに大きな数ではないのではないかと思っているわけでございます。
 ただ、数が確かに先生御指摘のようにたくさんの数になるということになれば予想しない事態でございますので、そういう予想しない事態の場合にはさらに考慮をすべき事情が出てきたということで改めて考え直す必要があるかとは思っております。
○丸谷金保君 これはそうすると北方領土にもと居住していた人の分だけを扱うのですか。そうじゃないでしょう。
○衆議院議員(高橋辰夫君) それはそうではありません。
○丸谷金保君 北方領土にいた人の分だけ扱うなら話わかるのです。しかしこの法文を読むと日本人ならだれでも転籍できるのですよ。そうすると、あらゆる場合を想定してそれに対するわれわれは考え方として質問しなければならぬわけです。多分大丈夫だろうというふうなことでは納得できないのですよ。そのときには拒絶できないのだ、たとえば九州でもって訴訟が起きたようなことにもなりかねない、知事は行政命令を出せるのだ、市町村長の解任もできるのだ、そういうことになるのかならないのかということを聞いているのですよ。
 それで、受ける方の市長や町長もそこまで腹決めをして内諾しているかどうかということも、私たちはだから現地に入って聞きたいのです。この法案を上げる前には現地でそういう話何にも私は聞いてないのです。だから冒頭言ったように本来きょうは無理なんですよ。そこまでの詰めやっていますか。どうなんです。そのときどうなるのですか。解任もされるのですか。
○説明員(持永堯民君) 私財政の方を担当しておりますのでなんでございますが、直接お答え申し上げるのが適当かどうかでございますけれども、戸籍事務につきましては自治法のたてまえからいきますと機関委任事務ということになろうかと思います。したがいまして法律上のぎりぎりの問題としてはいま先生の御指摘のようなこともあり得るということでございます。
○丸谷金保君 そうすると、それは知事が行政命令を出して、それでも拒絶した場合には市町村長は解任されることもあり得る、こういうふうに理解してよろしゅうございますね、この法が発効すると。
○説明員(持永堯民君) 機関委任事務一般の問題としてそういうことでございます。ただ先ほど来法務省からもお答えいたしておりますように、そういうことがないようにするのがやっぱり行政側の責任だろうと思っております。
○丸谷金保君 そういうことないようにと言ったって現に外国人登録の問題が起きているでしょう。ないようにということは絶対ではないのです。それから市町村長はかわるのですからね。法律の審議としてはそこら辺を明らかにしておかなければ、ないように努力していますなんということは法律論議じゃないのですよね。それは行政努力の問題であって、法案としてはどうなんだということを聞いているのだから、要するに拒否した場合に知事が解任するというふうなこともあり得る、一般の機関委任事務と同様の扱いのものにこの法律はなるのですよということでしょう。どうなんですか。
○説明員(持永堯民君) 法律論としてはそういうことでございます。
○丸谷金保君 法律の法案を審議しているのですよ。法律論に決まっているじゃないですか、そんなものは。こんなことに何十分もかけさして非常に不親切な答弁だと思うのだけれども、ものの二分か三分でもって出る答えでしょう。法律論としてはそうなるのですよね。
 で、提案者、そういうことは十分踏まえて御提案されておるのでしょうね。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 私らは法律案策定についてはそういうことはないという想定のもとにつくりましたし、また戸籍事務に関してはそれを拒否した例がないというふうに、そういう法律案に沿ってやったということもないということを聞いております。
○丸谷金保君 提案者に質問しますけれども、通常の場合でないということと、こういう特別立法、戸籍事務をこういう形で、これは北方四島にいた人はいいですよ。じゃ北方四島に戸籍移したいという人だったら何百万でも法律的には処理しなければならない。そうすると、そういうことがない希望はわかります。それから、できるだけそういうことないようにする、しかしこの法律はそういうときには市町村長の解任も時によって知事ができるそういう権限を持った法律だということだけは提案者として明確に、そういうことないように希望しますなんと言ったって法律は生まれれば歩いていくのですから、そういうことができるのだということだけは、そういうこともあり得るということはひとつ提案者しっかりもう一遍答弁してください。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 先ほども申し上げましたように、丸谷先生言われておりますけれども、実は北方領土のうちの歯舞が根室市に編入されておるわけでございます。ですから、そうするとするならば元居住者等はあるいはまたその希望のある人が根室市に相当戸籍を移動しておったかと思いますけれども、先生の言われるように居住者外でも北方三島のうち戸籍事務を何とかこちらにして登録したいという声も聞いておりますけれども、それは多数ではないというわれわれの考えのもとであるわけでございまして、これは法律ですから、そういう拒絶した場合はそういった法律に基づいた行為がなされるものであるというふうに考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 これは旧島民であればわかるのです。それからそれほど大きくもならないしね。しかしわざわざだれでも国後、択捉島の旧村の本籍地に移せるということについては、私はちょっとこの法律はその点は行き過ぎじゃないかと思います。そのことはここで指摘しておきたい。
 それから、結局時間がなくなるということになるのですよね。まだ私は書いてきた原稿に何も入っていないのです。その前段だけで、これはもうこっちの原稿に何も入らないで終わっちゃうのです。
 それで、北方領土という問題ですが、一体北方領土という言葉はいつごろできたのでしょう。いつごろから北方領土と言うのか。もとは北千島、南千島、それからサンフランシスコの問題、先ほど冒頭に答弁出ましたようにサンフランシスコの条約調印のときには北方領土というふうな言葉はないのですよ。いつごろできてこういうふうに北方領土となったか。しかも前は「等」が入っていた。「等」を抜いて明確な形で、「等」が入っていればまだ漠然とした北方領土という一つのあれがありますけれども、明らかな形で北方領土というのは一体どこからそういうふうに変わっていったのか。
○政府委員(田中義具君) はっきりいつからという具体的な年月日を申し上げることはできませんけれども、日ソの国交正常化交渉が行われて領土問題が未解決のまま残された時点以降、この未解決のまま残された四島のことを北方領土という形で呼んでその解決のために努力してきているということでございます。
○丸谷金保君 そうすると、この北方領土という語源がいつころから使われたかということは承知していない、提案者の方もそうですか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) さようでございます。
○丸谷金保君 一体この南千島、これはわが国、特に北海道にとって北でしょうか。東じゃないですか。どうです。北方と言えば稚内だとかあっちの先にあるなら北ですけれども、私はこの北方領土という使い方にも大変疑問があるのです。
 だから法案審議の中で提案者にお聞きしたいのですが、どういうふうに地図を見ても東なんです。気象庁なんかもあっちの方の南千島を通っていきますと東方海上にと言うのです。これは提案者はどう思いますか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 実は私も北海道議会時代に北方領土の地域と言うのはこれはちょっとおかしいのじゃないかという質問をしたことがございまして、南千島等というようなことでどうかというふうな話もいたしたわけでございます。確かに北海道の位置から見れば道北は稚内地方であり道東は根室釧路地方を指しておるわけでございますけれども、領土的な観念からいって北方領土という言葉を使ったのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○丸谷金保君 もう最後になってきましたのであれですが、私どもはこの法案にどうしても賛成できない、これを明確にしておきたいと思います。
 それはいわゆるこの中ではこの法律が領土問題等の解決の促進のためになる、地域振興であればそのまま素直に受けとめられる法律をなぜ竹に木を接ぐように北方領土問題等の解決の促進のための法律案としなければならなかったか。私たちはやっぱり地域振興については先ほど中標津の話もしましたけれども、中標津は大変だから結構なんですよ。これは鉄道の問題もありますし、決してそれがだめだということで言っているわけじゃないので結構なんです。
 ただ、中身から言うと大体北方領土促進の問題は外務省なり総理府がやっているのです。屋上屋の感がある。しかもいまお聞きしますと地域振興にほとんど九〇%の財政措置があって、あとは、あとといっても促進運動というより旧島民または千島連盟に対して多少何とかするという程度のことで、どうしてこういう法案にしなければならなかったのか。このことだけは最後にしかとやはり提案者にお伺いしておかなければならない。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 先ほど提案理由でも御説明申し上げたような次第でございますけれども、北方領土の返還というものはこれはもう国民の悲願であり、この問題の解決というものは何としてもなし遂げなければならない国民的課題でありますし、政府としても閣議了解の中に北方領土の日も設け、政府国民一体となってこの北方領土返還というものに今後とも粘り強く邁進していかなければならないという点でございまして、われわれはそういう点から北方領土問題を何としても解決する、その啓発運動、そこにまた援護あるいは地域振興というこの三つの柱を持って今度のこの法案を策定いたしたような次第でございます。
○丸谷金保君 これは早期返還を実現してわが国とソビエト社会主義共和国連邦との平和条約を締結するということのためにこの法律がどうプラスになるのですか。
 私は、北方あるいは千島、当然それらを武力でもって侵略したのですから、不法占拠なんというものじゃないのです。ですから当然われわれは要求する権利はあるし、もともとサンフランシスコ条約で千島列島を放棄すると言った当時の吉田総理のあの点はやはり私たちは大きなミスだったと思う。そのミス、それがあるものだから四島しかその系列を酌むあなたたちは主張できない、それに縛られているから。
 しかし本来は全千島であるべきものを、そしてこういうことで本当に促進になるのだろうかということについては、促進に反対するのでなくてこの法案が何でこんなことに結びつくのか、しかも地域も明確に、たとえば参議院では何度も北方四島等ということで国会決議がなされているものをそれを無視して、過去の決議を無視した形でこういう法案にしなければならなかったのか、ここのところの真意がいまのようなお話だけでは何としても腹に入らないのですよ。本当にそういうことになるのだろうか。
 地域振興ということについては百二十五億と百億の違いです。法案の中身いろいろな不備なところはあってもその努力は多とします。それで私たちも言い出した立場としてこれが素直に賛成できない。そうすれば、もっとこれ素直にひざ突き合わせて、そしてこの法案を上げていくこと、これは対外的にも本来必要なんですよ。私はそのために時間が欲しい、話し合う時間を持って、そして最終的にやっぱり歩み寄った形の中で満場で決めていくということが対外的に考えても大事なことだと思って努力したけれども、ついにきょう一日で上げろということでまことに残念なんですが、どうしてもここのところだけは納得できないのですが、本当にこれで促進できると思いますか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) われわれはこの法案を通すことによって促進の一助にもなるものだ、またこれは先ほども申し上げましたように国民的な悲願であり、領土問題は息長くでもこれは何としてもこれに対処していかなければならぬということで考えておるわけでございまして、促進のやっぱり一助にはなるという信念を持っておる次第でございます。
○丸谷金保君 まあ提案者ですからたてまえとしてはそういう御答弁になると思います。しかしもっとやはり私はこういう外交的な問題を踏まえた法律であるなら、これはもう地域振興の方が重点で、本当に何か取ってつけたような北方問題解決の条文ですわね。こういうことはもっと何というか国民全体のコンセンサスが得られるような、これは政権政党としての私は責任でないかと思う。そしてそういうコンセンサスをきちっと得ていかないと、こういうことでわれわれがこういう論議をしなければならない。このことは決して促進にならぬ。
 そういう点で私たちはこの法案に賛成できない。むしろ地域振興にしぼった代案を衆議院の段階でも出さざるを得ない、こういう状況であった、そしてまたそういうことだという点をひとつしかと御記憶いただいておいて、以上私の質問を終わります。
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、志村愛子君が委員を辞任され、その補欠として関口恵造君が選任されました。
    ―――――――――――――
○立木洋君 先ほど提案者の提案理由説明をお聞きしまして、一つはこの法案が未解決の北方領土問題の解決促進を図りたいというそういう問題点と、それからもう一つは、まだ北方領土の問題が未解決であるために生じている元居住者あるいはその関係地域、隣接地域の方々がいろいろな困難があるからそれの救済措置を講じたい、その二点が主に説明されたと思うのですね。
 それで、私がまずお尋ねしたいのは、つまり提案者御自身がこの北方領土問題の解決促進をどういうふうな見地で、つまり領土問題の解決をどういうふうな形で解決する、その立たれておる見地ですね、それをまずお聞きしておきたいと思うのです。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 大変むずかしい質問でございますけれども、実は昨年の夏に国会派遣でもって衆議院から北方領土問題の調査、あるいはまた北方領土問題の解決のためにソ連、西ドイツ、フィンランド、イギリス、それからニューヨークの国連ということで計画を立てましてソ連にアポイントをしたわけでございますけれども、この領土問題はもう解決済みであって存在しておらない問題で参られても会うあれもないという、実はそういうことをいただいたような次第でございまして、御承知のようにソ連側は領土は解決済みであるという立場に立っておるわけでございますけれども、われわれはあくまでもこの北方四島はわが国固有の領土であるということで、これらの返還運動を政府ともども一体となってやっておるわけでございまして、これは先ほども申し上げましたように、国民の悲願であり根強く取り組んでいかなければならない。何せ相手のあることでございますから大変厳しい立場に立たされておりますけれども、われわれはこれにへこたれることなくこの返還運動を続けていきたいという気持ちでございます。
○立木洋君 これらの千島問題の解決ということは私たちも劣らず一刻も早く解決したいという念願をもっているわけですが、しかし問題は、この領土問題の解決というのはすぐれて外交的な問題であって、それで情熱を傾けてやってもなおかつ正しい方途がなければやはり解決できないという問題点も私あるのではないかと思うのですね。
 それで、外務省の田中さんにお尋ねしたいのですが、いまのソ連との交渉の関係状態ですね。この領土問題に関する交渉がどういう局面に来ているというふうに外務省は見ているのか。いわゆるきわめてむずかしい状態にあるとあるのか、あるいは展望が開けるという段階にあるとあるのか、今後の展望も含めて現在の局面を領土問題という観点から見てどういうふうに認識されておるのか。その点ちょっとお伺いしたい。
○政府委員(田中義具君) われわれとしましてはこの領土問題解決のためにあらゆる機会を通じてソ連側と話し合いを行っておりますし、具体的には、たとえば先般の軍縮国連総会がございましたときにも、わが方からの申し入れで外務大臣にグロムイコ外務大臣と会っていただきまして、この問題について改めて先方の翻意を促したということで、あらゆる機会を通じて努力しているわけですが、御承知のようにこれまでのところソ連側は領土問題は解決済みであるということで、この立場を変えておりません。したがってすぐ早急に何か解決のめどが立つということにはなっておりませんけれども、それだけに非常に長い期間をかけてこれを交渉していかなければいけないということで、国内的にもそういう長い交渉にたえ得るような態勢をしっかり整備していくということが非常に重要であるというふうに考えております。
○立木洋君 すでにもう三十七年間たったわけですね。だから非常にいままでそれだけ努力してきたけれども、いまだに解決しないという点ではやはりよりよくなぜそういうふうに解決ができないのかという点も、これは外交交渉の当局である外務省としてもやっぱり考えることが大切だというふうに思うのですね。
 それで、先ほど来問題になっておりますこの法案が提案者はこれが領土問題返還についてその促進の一助になり得るという見解を述べられましたが、外務省としてはこれがいまのそういう事態にある北方領土の返還にとって一助になるというふうにお考えになるかどうか。あるいはソ連との交渉の上でこれが有力な助けになるというふうにお考えになるのか、余り交渉にとってはかかわりがないというふうにお考えになるのか、あるいはマイナスになるとお考えになるのか、その根拠はどういうことか、そのそれぞれについて外務省がどういう根拠でそういうふうに述べられるのか、それをひとつ。
○政府委員(田中義具君) この法律は対ソ交渉上非常に役立つ措置であると考えております。
 その理由と申しますのは、ソ連との交渉においては国論を統一して当たるということが非常に重要でありまして、ソ連側は絶えずこの北方領土の問題についてそれはほんの一部の人の言っていることだというような主張をしておるわけです。この国論を統一していくに当たっては北方領土の関係で返ってこないことのためにいろいろ困難を生じておられるような方については十分国として手当てをして、それでみんなが一心同体になって返還のために対応できるというような体制をつくっておくことが非常に重要なんで、この法律はまさにそういうような観点から国内的な施策を講ぜられるということと理解しておりますので、そういう意味で非常に対ソ交渉上役に立つ措置であるというように考えます。
○立木洋君 それは政府のよって立っておる立場ですね。この領土問題をどうするかという立場に提案者は一致されているからそういうふうにお考えになるかと思いますけれども、しかしやはりこれは重要な問題が私はあるだろうと思うのです。
 それで、提案者の方にそういういままでの質疑を踏まえてお尋ねしたいのですが、ここの第二条の「定義」のところに「「北方地域」とは」ということで歯舞群島、色丹島、国後島及び択捉島という四つの島に限定した根拠は何でしょうか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) サンフランシスコ条約第二条(C)項によりまして権原、権利を一切放棄したわけでございまして、この四島はわが国古来の領土であるというそういう観点に立って四島ということにいたしたような次第でございます。
○立木洋君 サンフランシスコ条約の二条(C)項というのはいわゆる北千島を放棄したということではなくて、いわゆる千島を放棄したわけですね。千島に関する「権利、権原及び請求権を放棄する」、日本でいえばいままで教育されてきた内容からいっても北千島も南千島もこれは千島である、確かに北千島というのはこれはロシアとの交換条約で日本の領土になったという経緯はあります。南千島がかつて一度も外国の領土になったことがないという違いが確かに北千島と南千島の間にありますけれども、しかしサンフランシスコ条約で放棄した千島というのはやはりその全千島を含んでいる。
 これはその違いは確かに吉田茂さんが当時サンフランシスコで北千島と南千島の違いは触れましたけれども、しかしそれは放棄した千島については北千島は放棄したのであって南千島を放棄したのではないという言い方はしていないわけですね。その後国会での審議の中でも条約局長が明確にこの放棄した千島というのは南千島が入るということも当時の条約局長も明確に述べているところなわけですね。
 それから、これは当時の草葉政務次官でしたか、これも結局北千島だけに限定するということだけでは、これは国後、択捉だけを切り離すと無理なこじつけになるのではないか、だからクリルアイランズというのは千島全体を表示するものだと考えざるを得ないというふうな答弁があったと思うのです。
 問題になってくるのは、南千島と北千島とを分けて返還の要求を進めていくことが国際法的に見てもあるいは諸外国からの日本に対する主張を理解してもらうという上からも本当に正当な理由づけになり得るのかどうなのか、その点いかがでしょうか。
○衆議院議員(高橋辰夫君) われわれは先ほども申し上げましたようにサンフランシスコ条約第二条(C)項によりまして千島列島を放棄したということでございまして、北方四島は歴史的にもあるいは法的にもわが国固有の領土であるという、そういう立場に立って、これらの四島は歴史上一度も他国の領土となったことがないという歴史的事実に照らし合わせまして四島返還という、四島ということに限定いたしておるような次第でございます。
○立木洋君 これは先ほどの同僚議員も主張されましたけれども、北方領土という場合、これは高橋さん字引をお引きになったら北方領土なんて書いた字引はないのですよ。それで千島列島というのは書いてある。これは千島列島ということについては国後、択捉を初めとする三十諸島になっている。これはわれわれみんな小学校時代からそういって教科書で習ってきたのですよ。だから千島列島というのは北千島だけであって南千島は北方領土で千島列島とは関係はございませんなんていう教育を受けた人はこの中に一人もいないだろうと思うのですよ。これは世の常識であったし、また国際法的にもいろいろな観点から言いますとそういうふうに見られてきた。
 だから私の言うのは、つまり私はあの当時でも、かつて政府がサンフランシスコ条約で千島列島を放棄する二条(C)項に署名をしたというのはやっぱり私たちは間違いだった、あれはすべきではなかった、もちろん政府当局にしてみればあのときは敗戦したのだからやむを得なかったのだ、こういう答弁もあったですね。だからやむを得なかったのならば、それをやむを得なかった現在の時点に立ってそういう間違いを直していくという努力が日本の民族としてはあってしかるべきではないかということも主張した経緯があるわけなんです。
 そこでお尋ねしますけれども、ここにも書いてありますが、これはつまりソ連が現在不法に占拠しているというわけですね。そうすると南千島を占拠しているのは不法だけれども北千島を占拠しているのは不法でないというふうにお考えになるのかどうなのか。第二次世界大戦の戦後処理という基本精神に基づいてお答えいただきたい。
○衆議院議員(近藤元次君) 先ほど北方領土の地域の問題については実は高橋先生から御答弁をしたとおりでございます。
 いまお尋ねの北方地域以外の千島についてソ連がいるのは不法でないかというお尋ねでございますけれども、従来わが国は権原、権利を放棄しておるところに言及をしない政府の態度をいまとってきておることは御案内のとおりでございます。ただ所属は連合国によって定める、こうなりながら連合国はいまもって所属を決めてない現実の段階でございますのでそういう御質問があったことであろうと思いますが、そのことにつきましては一切の権原を放棄しておるわが国からいまこの場で私どもがお答えをするのは差し控えさせていただきたいと思います。
○立木洋君 提案者がそういうふうにお述べになるのはわからぬわけではございませんけれども、しかし私は外交的に問題を解決する場合に、正しいことは正しいとして根拠はやっぱりはっきりさしておく必要があるだろうと思うのですね。
 ですから、第二次世界大戦の領土問題に関する戦後処理の基本的な精神はどういう精神でやらなければならなかったのでしょうか。
○政府委員(田中義具君) 第二次大戦の戦後処理については、日本についてはポツダム宣言がすべての処理の基本になっておりまして、これはわが国が武力によりあるいはその他の手段によって他国から強奪したような領土についてはこれはそのそれぞれのところに返さなければいけないという大方針で、要するに日本の領土は昔から日本の固有の領土であった地域に原則として限定されるという基本的な連合軍の考え方に基づいて処理が行われてきた次第でございます。
○立木洋君 最後の部分は正確じゃないですよ。外務省の審議官ともあろう方が、そこのところやっぱり正確にしておかぬといかぬね。
 これは確かにわれわれ日本はポツダム宣言を受諾した、それに基づいてわれわれはこういう形になったわけですね。ポツダム宣言の中の第八条には「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルヘク」と書いてあるわけですね。カイロ宣言には何と書いてあるか。ここでは三大同盟国つまりこれに署名した国々の三大同盟国は日本の侵略を制止し罰するため今次の戦争を行っているというふうに述べた後、同盟国は自国のためには利得も求めずまた領土拡大の念も有しない、こうなっているわけですね。ですから同盟国の目的は一九一四年の第一次世界大戦の開始以後に日本国が奪取しあるいは占領した太平洋におけるすべての島を日本国から剥奪すること、明確なんですよ。
 そうしますと、これはそれならば北千島というのはどうなんだ。これは一八七五年なんですよ。樺太千島交換条約、この交換条約に対して賛成されない方がいるかもしれませんけれども、しかし一八五五年にあの下田条約で、御承知のように南千島というのが一度も外国の領土になったことがないということで択捉島とウルップ島ですか、あそこの間に国境を引いた。その後北千島は一八七五年に千島いわゆる北千島と樺太交換条約で交換したわけです。
 これは奪い取ったのじゃないのですよ。これは平和にして日本の領土になったのですよ。領土になり方には南千島と確かに違いがありますけれども、しかし日本の領土であり平和的に日本の領土になったものであって決して奪取したものではない。この第二次世界大戦のわれわれが受諾したポツダム宣言、その基礎になっておる領土問題に関するこのカイロ宣言の内容から見ても、これをわれわれが手放さなければならない根拠は一つもないのですよ、国際法的にこの領土問題に関する戦後処理のたてまえからいったって。
 だから、私は北千島を放棄したということが日本政府にとってはやはり正しくなかったことなんだ、だが日本政府も当時はやむを得なかったと言われるならば、それを何らかの形で直すという努力を日本の民族はやるべきではないだろうか。それを認めて、われわれが外国から武力で奪い取ったものでもない島を仕方がないからと言って認めてしまうということは第二次世界大戦の戦後処理が正当に行われなかったことをわれわれ日本民族自身が認めてしまうことになる。これは日本民族の将来、私たちの孫から代々に対して、あの当時日本の政府あるいは日本の人々がなぜもっと正しいことを主張しなかったのかと言ってわれわれの子孫から言われたときに、いまの時代を生き抜いているわれわれは一体何と弁明しますか。まさに一つも正当じゃないのですよ、この北千島を放棄するということは。
 私はこれは共産党だから言うのじゃない。自民党だって社会党だって日本の領土を愛するという気持ちはみんな同じだと思うのですよ。それであるならば、愛するという気持ちが同じであるならば、少なくとも北千島を放棄するということを正当化するような形でこれになるということは私はきわめて遺憾なんですよ。
 この点どうですか。高橋さん、近藤さん、提案者のお気持ちとして率直なところをお聞かせいただきたい。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 先ほど来言われておりますように、サンフランシスコ条約がよかったか悪かったかというような問題よりも、われわれといたしますればすべての権原等を放棄した事実に基づきまして千島列島については言及はしないという態度には変わりありません。
○立木洋君 私が無理なことを言っているのかどうかということは、それはこういう公式の場ではなかなか言いにくいだろうと思うのですよ。
 私は園田さんにこの質問をしたのです。そして、あなた本当の気持ちはどうなんだと、そうしたらその点についてはもう一遍よく勉強し直してみますというのが公式の答弁だった。その後園田外務大臣に、当時の外務大臣に会って、どうです勉強してくれましたかと言ったら、いやあ立木君、これは一番むずかしい問題だ、あなたの言わんとすることはよくわかる、しかし日本の政府がとってきた道筋があるからなかなかこれは大変なんだ、君の言わんとすることは正しいよと、こういう話なんです。外務大臣という立場を離れるとこうなっちゃうのです。
 ところが、私はこれはむずかしいからやってはならないということではなくて、この打開の道を求めないと領土問題が解決できないということがあるからなんです。
 なぜかといえば、これは先ほど同僚議員も言われたように、サンフランシスコ条約二条(C)項で千島を放棄しているわけですね。権利、権原も請求権も放棄したということになっているわけです。それが結局ソ連との交渉が開始されたとき、あの松本さんが書いていますよ。あれをよく読んでみるとわかるように大変な苦労があった、あの経緯があった、あの経緯の中でどういうことになったか。結局日本としてはいわゆる四島一括返還という立場をとることになったために、あのときなかなか領土問題が解決するに至らなかった。
 たとえば仮にあの歯舞それから色丹、これはもう千島でも何でもないのですから、これは北海道に所属している島なんですから、日本政府は放棄したことじゃないのだから、直ちにあの歯舞、色丹でも返せということはこれはできるのですよね。千島問題は千島問題としてきちっとやっぱり平和条約を結んで解決するという方途もとることはできた。しかし四島一括返還という立場をとったがために歯舞も色丹も返還することができなかった。歯舞でも色丹でもそれ一刻でも早く返れば、あとの問題平和条約を結ばないで返してもらうのですよ、何もわれわれ放棄した島じゃないのだから。そうしてあと千島問題は平和条約の問題と結びつけて全千島の解決のために努力をするという立場をとっても私はしかるべきではなかったか。
 ところが、そういう方途はとらなかった。なぜかといえば、つまりその当時から変わってきたのは、放棄したのは北千島であって南千島はそうではないという見解をとり始めたからなんです。
 ところが、これは国際的にこの立場というのは認められないのですよ。フランスなどにしてもそれは無理ではないかという話が来ている。そうすると、南千島は放棄した千島ではないのだから四島一括して返還してくれ返還してくれと言ったって、国際的になるほど日本のおっしゃることは正当だ、吉田茂さんの言ったことから一貫しておる、だからそれなら日本を応援しましょうとならぬのですよ。日本はこじつけている、放棄しておきながら南千島を放棄してないと後で言葉を書いてそれを北方領土だという形でやる、そういうふうな日本政府の主張にはやはり同意いたしかねるという、そういう国際的な世論が一方ではあるわけです。認めている人もいるかもしれない。そうなると国際的にも日本の主張をバックアップして本当にソ連が行っているいま不当な占拠を解決していく、そういう力を私たちがやっぱり持たなければ解決できないと思う。
 外務省当局は先ほど国内の世論を一致さしてこの問題を解決するために一助になるというふうに言われた。確かに問題の解決のためにはそういう側面もあるでしょう。同時に国際的にも日本の主張が正当だというバックアップがあって初めて第二次世界大戦の戦後処理において千島を放棄さしたあの処理の仕方は間違いであった、ましてやソ連がそれを占領しているなんというのはこれは不当なものだ、やはりこの問題は正当な解決をしなければならないという領土不拡大の原則に基づいて解決の道が開けていくのですよ。
 こういうもう一方では国際的な世論に支持される政府の態度をとるということであるならば、いまは大変であるけれどもあの第二条(C)項の立場をとった日本政府が態度を改めるということをやっぱり考え決断すべき状況に来ていると思うのです。これは提案者に対してそういうことを要求しても無理ですから、そういう考えであるということを篤と御理解いただきたい。
 ですから、私たちはこの問題の中で最小限少なくともこの四島については「等」という言葉を入れてもらえないか、そうして決してわれわれは北千島を放棄したのではありませんよということをいかなる場合でも私たちは整合性を保っておきたいと思うのです。そうすることが子々孫々に対して現在の政治家がなし得る最大限の努力すべき点ではないだろうか、少なくともそれだけはしなければならないのではないだろうかというふうに思うのです。
 そういう意味で、私はこの法案がそういう重大な問題点を含んでおるということですから、そのことをちゃんと受けとめていただきたいし、外務省の田中さんもよくこの問題については御検討をいただきたいということを外務省としてもしっかりと受けとめてほしいと思うのです。
 私は、もちろんそういう点で今後のこの問題点の最大の問題の一つは、これがソ連がやっぱり不当に占拠しているという点が一つの最大の問題ですから、これはやはり解決するための努力をしていかなければならない。日本としても正しく解決できる、国際的にも堂々と主張して国際的にも支持されバックアップされるようなそういう立場を一刻も早く確立できるように努力すべきではないかということを重ねて強調しておきたいと思うのです。
 こういう見解について、最後に提案者とそれから外務省の方と御見解を伺って私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(田中義具君) 確かにいま先生の御指摘ありましたように、千島列島はカイロ宣言に言う暴力及びどん欲により略取した地域とは言えないということは過去の経緯からしてもそのとおりではないかと思います。したがいましてサンフランシスコ講和会議の際にも吉田全権はこの千島列島の問題についてはこれが日本が侵略によって略取したものではないという見解を述べておられます。
 しかしながら、このサンフランシスコ講和会議というのは、これは必ずしも交渉をするための会議ではなく戦争の最終的な処理のための会議ということで、この千島列島の放棄ということはわが国としてはやむを得ざる措置であったわけです。この平和条約についてはその後国会でも批准していただいて、戦後のわが国の外交にとっての一番基礎になる条約になっているわけでありまして、われわれとしてはこれをもとにして今後の外交を考えていかなければいけないというふうに考えております。
 したがいまして、領土問題についてはサンフランシスコ平和条約でわが国として放棄していない地域、わが国が依然として発言権を有する地域の問題について引き続きソ連との間で話し合いを進めていくということがわが国の置かれている基本的な枠組みの中でやっていかなければならないことであるというふうに考えて対処している次第でございます。
○衆議院議員(高橋辰夫君) 四島等というお話もございましたが、これは戦後一貫してわれわれは四島返還ということの立場をとってきたものでございまして、いまこれらの問題を千島列島ということからすれば対ソ的にも混乱を生ぜしむるようなことになり得るのではないかというような考えに立っておるものでございます。
 また、千島列島の放棄については、ただいまも申されましたように御意見のあることは十分承知しておるわけでございますけれども、当時の状況からしてはやむを得なかった措置であると考えておりますし、われわれはかかる代償を払ってようやくわが国が完全な主権と国際の一員としての地位を回復することができ今日の繁栄と平和国家としての名誉ある地位を築くことができたことを十分認識するという立場でございます。
○立木洋君 ちょっと一言だけ。
 これは質問じゃありませんけれども、この間やりました条約に関する条約、ウィーン条約ですね。あの中でもかつてその民族にとってきわめて重大な不利益をこうむるような問題については改めること、それが可能であるという道が開かれているし、それからジュネーブで行われた憲章の内容見ましても、これ私たちソ連と交渉したときに使ったのですが、ソ連側の主張は何か、ヨーロッパにおいては現在確定した領域をこれを変えないようにしたいということが述べられている。ところがもう一方では何て述べてあるか。明確に述べられているのは平和的な話し合いによって現在の国境を変更することもあり得ると書いてあります。ヨーロッパにおいてすらそう述べてあるのですよ。
 だから、これは日本の場合平和条約も結んでいないのですから、だとするならばこれは国境確定してないのですよ。どこを国境にするかということは決まってないのです。これはソ連の百科事典の中にだって平和条約の重要な問題は国境を確定するということだと書いてあるのだから、それは平和条約を結ばれていないということは国境確定していないことですから、そういうことであるならば領土問題未解決であるということはこれは明確なんです。
 いろいろな問題よく研究していただいて、いつまでもそうした立場に固執されないでやっていくことが私は賢明だと思うので、これはいまの審議官のお立場では、ここでそれなら検討し直して改めますなんということは言えるはずはございませんけれども、しかしそういうことをよく研究するということが日本の現在の民族、未来の民族のあり方にとってもきわめて重大なことなんだということを最後に重ねて強調しておきたいと思います。
○委員長(大鷹淑子君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大鷹淑子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 丸谷君から発言を求められておりますので、これを許します。丸谷君。
○丸谷金保君 私は、ただいま可決されました北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    北方領土問題等の解決の促進のための特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たつては、北方領土問題に関するこれまでの国会における論議を踏まえ、かつ、北方領土隣接地域及び北方地域元居住者が置かれている特殊な事情にかんがみ、次の諸点に留意すべきである。
 一、基本方針及び振興計画の策定及び実施に当たつては、北方領土隣接地域住民及び北方地域元居住者等(関係団体を含む。)の意向を十分に尊重すること。
 二、元居住者に対する援護等の措置の次代世代の拡大に伴い必要な措置を早急に検討すること。
 三、北方領土隣接地域振興等基金に対する国の補助金については、今後、その総額について検討するとともに、可及的速やかにこれを交付すること。
 四、基金の運用に当たつては、元居住者及び地域住民の意向を十分に反映すること。
  右決議する。
 以上でありますが、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(大鷹淑子君) ただいま丸谷君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大鷹淑子君) 全会一致と認めます。よって、丸谷君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、田邉総理府総務長官から発言を求められておりますので、この際これを許します。田邉総務長官。
○国務大臣(田邉國男君) ただいま御決議になりました事項につきましては、御趣旨を体し十分検討をしてまいる考えであります。
○委員長(大鷹淑子君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) これより請願の審査を行います。
 第八九号、北方領土返還実現に関する請願を議題といたします。
 本請願につきましては、先ほどの理事会で協議の結果、保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) 継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 沖繩及び北方問題に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大鷹淑子君) 委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 閉会中に委員派遣を行うこととし、その取り扱いにつきましては委員長にこれを御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大鷹淑子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時二十七分散会
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