第098回国会 大蔵委員会 第4号
昭和五十八年三月三日(木曜日)
   午前十時四分開会
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   委員の異動
 三月二日
    辞任         補欠選任
     丸谷 金保君     寺田 熊雄君
 三月三日
    辞任         補欠選任
     岩動 道行君     関口 恵造君
     衛藤征士郎君     梶原  清君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         戸塚 進也君
    理 事
               大河原太一郎君
                中村 太郎君
                増岡 康治君
                穐山  篤君
                塩出 啓典君
    委 員
                上田  稔君
                梶原  清君
                河本嘉久蔵君
                嶋崎  均君
                関口 恵造君
                塚田十一郎君
                藤井 孝男君
                藤井 裕久君
                赤桐  操君
                竹田 四郎君
                寺田 熊雄君
                桑名 義治君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                柄谷 道一君
                野末 陳平君
   衆議院議員
       発  議  者  大原 一三君
   国務大臣
       法 務 大 臣  秦野  章君
   政府委員
       法務省民事局長  中島 一郎君
       大蔵政務次官   遠藤 政夫君
       大蔵省銀行局長  宮本 保孝君
       自治大臣官房審
       議官       津田  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部保安課長   仲村 規雄君
   参考人
       関西大学教授   上田 昭三君
       日本弁護士連合
       会事務総長    樋口 俊二君
       日本銀行考査局
       長        宮澤  彬君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○貸金業の規制等に関する法律案(第九十六回国会衆議院提出)(継続案件)
○出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案(第九十六回国会衆議院提出)(継続案件)
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○委員長(戸塚進也君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二日、丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君が選任されました。
 また、本日、岩動道行君が委員を辞任され、その補欠として関口恵造君が選任されました。
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○委員長(戸塚進也君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 貸金業の規制等に関する法律案、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人として、関西大学教授上田昭三君、日本弁護士連合会事務総長樋口俊二君及び日本銀行考査局長宮澤彬君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(戸塚進也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(戸塚進也君) 貸金業の規制等に関する法律案、出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。
 議事の進め方といたしましては、委員からの質疑にお答えしていただく方法でまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○寺田熊雄君 質問に先立ちまして、一言委員長に御要望をいたしたいと思います。
 ただいま御審議いただくことになっておりますサラ金規制関係の両法案は、申すまでもなく議員立法であります。内容の非常に検討を要するものが多うございまして、私どもこれからも、その検討を要する内容につきましては、十分御審議をお願いしたいと思っております。
 かつて、議員立法で薬事法が制定されまして、その際、薬局の開設制限の規定が盛り込まれたことがございます。これが、後に最高裁判所で、憲法の保障する営業の自由に対して必要かつ合理的な制限の範囲を超えるということで違憲判決を受けたことがございます。
 これは昭和五十年でありましたが、そのとき私、最高裁長官の村上朝一氏にお目にかかりましたときに、当時の最高裁長官の村上氏のおっしゃるには、議員立法というのは非常に慎重を要するんだということをおっしゃいました。そして、そのときに、この薬事法の薬局の開設制限の規定は、当時法制局も違憲の疑いがあると言って反対しておったのを、薬剤師会等の業者の大変な運動が発端となって、そして議員立法となった経緯があるという御説明を受けたのであります。
 この件におきましても、やはり私ども、サラ金業者の大変な運動が根底にあるというふうに承っております。しかも、それに伴って非常に芳しからないうわささえもあるのでありまして、その真偽はもちろん私にはわかりませんけれども、そういううわさのあることは事実でありますので、内容が非常に検討を要するというようなこともありますので、どうぞ慎重な審議をお願いいたしたい。したがって、私どももその慎重審議に相当時間を要しますので、その点のお願いをこれからもしてまいりますが、どうぞわれわれのそういう慎重検討を要するという意図を御了解くださいまして、十分な審議の時間をお与えくださいますように特にお願いいたしたいと思います。
 参考人に質問をいたします前に、提案者並びに大蔵当局に一言お尋ねをいたしたいんですが、こ
の両法案が議員立法として提案されるに当たりまして、衆議院の大蔵委員会の会議録などを読んでみますと、ある意味で大蔵省案であるというような主張が委員の間になされております。また、私どもに対しましても、大蔵省の担当の局長などが審議の促進を陳情に参っております。
 そういうことを考えますと、なぜこの法案が政府提案としてなされなかったのか、何ゆえに議員提案としてなされたのか、その点の疑問が当然わくわけであります。この点については、ある程度衆議院の大蔵委員会等でも質疑がなされておりますが、改めてその点について特にわかりやすい御説明をいただければ幸いであります。
○衆議院議員(大原一三君) 前回も、先生、同じ趣旨の御質問がございました。この法案ができるまでの長いいきさつがございまして、昭和五十二年でございましたか、各省庁が、関係五省庁でしたか、お集まりいただいてできるだけ政府提案でやりたいという御議論、長い歴史があったわけでございます。ところが、関係各省庁のいろいろの御意見がなかなかまとまりませんで、中でも特に最高裁の判例の問題、これが一番議論の焦点になったわけでございます。したがって、この判例を行政府として否認するような形での提案は非常にしにくい、したがって国権の最高機関である国会において御提案を願いたいというのが基本的な理由であったと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 政府といたしましても、この問題につきましては、昭和五十二年の十月以来議論をいたしてきたわけでございまして、いま先生おっしゃいましたが、五省庁ではなく、関係六省庁の間で検討を行ってきたわけでございます。
 ただ、一つは、出資法上の上限金利をどこまで下げるべきか、その辺がなかなか結論を見出せなかったという点と、もう一つは、いま大原先生御指摘でございますが、グレーゾーン金利の取り扱いにつきまして、最高裁判例等との関係もございまして、各省庁間の意見がまとまらなかったということもございまして、政府といたしまして、この法案を提出することがなかなかできにくかったということでございます。
○寺田熊雄君 いま提案者のお答えでは、グレーゾーンの問題、最高裁の昭和三十九年並びに昭和四十三年の大法廷判決を覆すということが行政官庁としてしにくかったという事情がある、それが主要な原因であるという御説明がありまして、銀行局長からは、どこまで上限利率を引き下げたらいいか、その点の決断ができなかったことも一つの原因であるという御説明がございました。
 そこで銀行局長に。きよう私どもが参考人においでいただいた一半の理由がそこにあるわけですが、銀行局長は日本における金融面の最高権威でいらっしゃる、調査機関も充実しておられるはずですが、その力をもっていたしましても、なおかつサラ金業者の適正金利を見出し得なかったというのはどういう理由によるものか。また、それに対して私どもは怠慢であるというような非難を浴びせる気持ちは全くありません。しかしそれにしても、なぜ適正金利が見出し得なかったのかという点の釈明はあってしかるべきではないかと私は考えるんですが、どうでしょう。
○政府委員(宮本保孝君) 金を借りる、貸すという金融現象につきまして、どれだけの金利をつけるかというのは、一般的には、貸す側と借りる側との資金の需給といいますか、そういう一つの市場の自主性みたいなものが一つあると思います。それからもう一つは、やはり貸す側のコストの問題がございます。確かに貸す側は一つの経営をしているわけでございます。そういうふうな点がございまして、金利というのは、大体普通ならば自由に貸し借りの当事者が相対でもって決めていく、そういうのが一つの法則でございます。
 そういうことになりまして、現在私どもがいま考えておりますそういう消費者金融につきまして、いま申し上げましたように、いろんな要素がございまして、実際問題いろんな金利がついているわけでございますけれども、その点につきまして私どもは、適正な金利というのはどれがいいのかという点につきまして、私どもとしてはこれだというふうな金利というのがなかなか見出しにくい。それはたとえば――たとえばと言いますよりも、現実問題といたしまして、十七万とか二十万とかというような賃金業者がございまして、借りる側の事情というのはまた千差万別でございます。そういう点につきまして、これが適正だという点につきまして、行政的にはっきりした結論が見出しにくい事情がこの消費者金融においてはあったということでございます。
○寺田熊雄君 この点、提案者におかれては、適正金利といいましても、上限を決めればいいわけですが、適正上限金利というのはどのぐらいかという調査の上での御結論というようなものがあったんでしょうか。
○衆議院議員(大原一三君) いま銀行局長がいろいろ申し上げましたが、われわれとしては――私もサラ金というのは余りよく知らなかったのでありますが、一〇九%という金利を聞いて実は自分自身びっくりしたわけでございます。その後いろいろ実態調査等も銀行局で行われまして、昭和五十五年の調査でございましたか、皆さん方の実効金利が七五%から八二、三%という高い金利になっておるわけでございますね。
 これは一体どうしてそういう形になったのだろうかといろいろ考えてみますと、正しい金融ルートといいますか、を通じて適正に貸し出されたものであるならば、これはそんなに高い金利にならなくていいんではなかろうか。私は、いわゆる延滞金ということで利息制限法の二〇%の倍額ということになりますと、四〇%ラインというのが大体適正水準であろうというふうに考えて、この法案の収拾に取り組んだわけでありますけれども、実効金利がそういうことでございますので、先生のおっしゃるような適正金利というものをなかなか見出せなかったというところが、この法案のそもそもの金利問題に対する認識でございました。
○寺田熊雄君 後でこの法案の審議の最も重要な問題となるのは、貸金業法の第四十三条の規定であることは、ただいまお二方のお答えによっても明らかなんでありますが、ただ、この四十三条の規定を設けないと法案が成立しない、そういうような趣旨の御答弁なり御説明あるいは御質問――つまり衆議院の大蔵委員会における参考人に対する各議員の質問であるとか、そういうものにそれが出ておりますね。なぜ四十三条を貸金業法に入れないと法案が成立しないのか、その辺のところをちょっと提案者の方に御説明いただければ幸であります。
○衆議院議員(大原一三君) 先生おっしゃるとおり、この法案の一番のコントロバーシャルな点はこの四十三条だと私は思います。
 先ほど申しましたように、金利の実態が大変でこぼこでございまして、後から先生の御指摘もあるのかもしれませんが、不動産金融をやっていらっしゃる貸金業者については、不当な高い金利でやっていらっしゃらないわけであります。つまり経営の実態が非常にばらばらであるということですね。その一方、また非常に高い金利でおやりになっておられる方がたくさんいらっしゃるわけでありまして、八〇%以上の金利の方が七割以上という実態調査も参考にいたしました。
 そういう状況の中で、金利をこの法律によって段階的に下げていくわけでございますので、将来できるだけ早い機会に四〇%へ持っていきたいという目標値は置いてあるわけでございます。その中間過程において七三、五四という水準を設定していく。したがって、金利が八割というようなところから切り下げていくわけでございますので、これは数多くの貸金業者にとっては非常に厳しい金利規制の法律であろう。そういう状況の中で行政的にこれを下げていくとすれば、貸金業者の経営の安定という考え方から、この規定を最高裁判所の判決のままにしておくということは非常にむずかしいというような見地から適用除外を導入したわけでございます。
 したがって、将来の目標値の四割にいけば、い
ま言ったグレーゾーンの問題もおのずから解決されるわけでございますので、ここ五年間の間のいわば暫定的な措置としてお認め願いたいということで、本規定を挿入したのが本旨でございます。
○寺田熊雄君 いまの御説明をお伺いいたしますと、結局、わかりやすくつづめて申しますと、いま現実に貸金業者は高い金利で営業をいたしておる、それをこの法律で引き下げることにすると、それは業者にとって大変な苦痛であるので、そのかわり、こういう最高裁の判例を没にしてしまうという、代償といいますか、あめ玉といいますか、それを業者に与えるんだ、そして業者を納得させるんだというように承りますが、そう伺ってよろしいですか。
○衆議院議員(大原一三君) 趣旨は先生のいまおっしゃったとおりでございます。
 貸金業界の実態は、私も十分熟知しておるわけではございませんが、新聞紙上その他で見ますと、非常にいかがわしいものがたくさんある。これをいまの金融秩序の中で放置できないから何とかする。消費者金融という需要があることは、これはもう間違いがない。私もこの前申し上げたんですが、これは日本の金融構造のひずみだ。外国においては消費者金融が銀行の貸し出しの三割も四割も占めておるのに、日本だけ産業金融偏重で、大銀行でも一〇%ぐらいしかいっていない。その取り残された部門が消費者金融部門である。そこにメスを入れて秩序のあるシステムにしていくためには、こういった方法以外には方法はないんじゃなかろうかということで、業界にとってもある意味ではこれはきつい粛正法ではないかという感じがするわけでございます。
 恐らく、十九万件のうち実際やっていらっしゃる方はその七割ぐらいと申しますけれども、この法によって、そういう好ましからざる業者というのはかなりの程度減っていくんではないかというふうに提案者としては考えたわけでございます。
○寺田熊雄君 ただいまのお答えの中に、細かいことになりますと、たとえば四〇%の金利が実現すれば、利息制限法を超過してグレーゾーンの問題等は発生する余地がないという御意見がございましたが、これは事実と非常に違うわけで、この点についてはまた参考人の方々にお尋ねをした後でお尋ねすることにします。
 衆議院のこの法案をおつくりになった皆様方の、何とかしてサラ金禍をなくそうというその動機といいますか、そのお気持ちには、私どもは異議を申し立てるものは全くございません。ただ、そういう規制をするには、業者が苦しいだろうから業者に代償をやるんだ、あめ玉をやらなければならない、業者が不安定だから、業者が困るだろうからこういうふうにするんだという、業者思いといいますか、業者寄りといいますか、その点が大方の批判を生ぜしめる根本の原因なわけですね。つまりサラ金禍を防ぐためには金利を下げなきゃいけない、そして四〇%というのが妥当ではないか、方向としてはそういうお気持ちをお持ちであるならば、特に業者の頭をなでるというような配慮は必要ないんじゃないだろうか。そこにこの法案が業者寄りと称せられるそもそものゆえんがあると私は考えているんです。なぜ業者のことを思って、そして業者にあめ玉をしゃぶらせなければ法案ができないのか。
 これを一番強硬に御主張になりましたのは自民党の方々でいらっしゃるわけですね。私どもから言いますと、われわれが天下国家のことを考えて、社会的な悲惨な問題、弊害、そういうものをなくしていこうと考えるならば、自己の善なりと信ずるものに邁進すればいいんで、業者にあめ玉をしゃぶらせようとか代償を与えようとかいう配慮は必要ないんじゃないかと考えるんですが、この点はいかがでしょうか。
○衆議院議員(大原一三君) 確かにわれわれの議論の過程で先生のおっしゃったような議論がたくさん出てまいりました。提案者である私としては、いまの業界がきわめて無秩序で混乱しておる結果、サラ金禍が新聞紙上でも毎日、例外がないぐらい、サラ金問題が出てくるわけでありますから、それに対して秩序を与え、メスを入れていくために、一遍にはできないから、漸進的にこれをやっていく方法としてどういう方法があるだろうかということを考えました結果――これは業者サイドだけの利益を考えたらこういう問題は出てこないと思うんです。
 確かに業者の中によからざる業者がたくさんいるわけでありまして、それの業務規制、そして登録制度、そしてまた違反者に対する処罰、そういったところが現在野放しになっておりますので、そこへ秩序を与えようという、まあ一〇〇%の法案ではございませんが、六割でも七割でも目標に近づけるためにやっていこうということでありまして、業者サイドだけを考えた法案ではないわけでありますので、その辺をひとつ御了解をいただきたいということでございます。
○寺田熊雄君 私、先ほども申しましたように、この法案をおつくりになられた方々が、何とかしてサラ金禍をなくそう、そのために多少業者にとって厳しいと考えられるもろもろの制度をおつくりになった、それをこの法案に盛られたということは評価しているわけでありますがね。ただ、それはわれわれがそれが正しい姿であると信じればこそそうすべきなのであって、そういう善に向かって過進する際に、業者が最も憎む最高裁の判決を別にして、そして、それをあめ玉をしゃぶらせる代償としてやるということをなぜなさったんだろうか、それは必要なかったんではないだろうかという点をお尋ねしているわけなんです。
○衆議院議員(大原一三君) あめ玉とおっしゃるわけでありますが、実体経済が七割から八割という高い金利水準にあるわけでございまして、そしてまた約二十万件近い業者がそういったもので貸しているということもこれまた事実でございます。
 また、これは寺田先生のお立場に多少突っかかるような議論になるかもしれませんけれども、法曹界の方は、きょう両先生がお見えになっていますが、四十三条を基点にして本法を批判されるわけでございますけれども、実際にサラ金から借りている人はとにかく五百万件ともいい、四百万件ともいい、平林先生もお調べになったんでありますが、結局数字がはっきりわからないわけでありますが、その中の一部の人が実際最高裁の判例の恩典を受けておるというのがどうも実態ではなかろうか。私は、そこへいかない数多くの方々のためにも、この法規制によってサラ金の規制による恩典が及ぶようにするためには、どうしても四十三条による措置が必要であったというふうに考えます。
 そういう意味で法曹界の方々には確かに四十三条――私も法学部の出身でありまして、そこら辺議論すると非常に突っかかってくるわけでありますが、現在の社会的に非常に問題を持っておりますサラ金禍を排除していくためには、ある程度ここで目をつぶるのもやむを得ないかなあという気持ちでこの提案に及んだわけでございます。
○寺田熊雄君 いまのお答えの中で、この四十三条によって救われる大衆というのは数が少ない、もっと広範な大衆がサラ金によって苦しめられているから、その広範な大衆をまず救うことが先決なんだという御趣旨のように承りました。
 ただ私どもは、これも参考人の方にお尋ねする問題が済んだ後で、さらにまたこの討議を深めていく必要があると考えるんでありますが、衆議院の大蔵委員会で挙げられております数字、これは裁判所に現実に持ち込まれた数字なんですね。ところが、裁判所に持っていくのは、実際に相談に来てわれわれ法曹が助けてやる人間の恐らく何十分の一なんですね。大部分はサラ金業者を呼んで、これは計算すると元本がなくなっているぞ、最高裁判例によると元本はなくなっているから、もうこれでがまんしなさい、あるいは百万円が三十万円になっているぞ、三十万円払うから証書を返しなさいというような、弁護士と業者との間の示談の解決によって困った人を救うという数は、裁判所へ持ち込まれる数の何十倍に及ぶわけであります。だから、そういう実態もよくお調べにな
った上で立法してくださった方がよかったんではあるまいかという感じがいたします。
 それに、そういってわれわれが救うのは、たとえいま裁判所に持ち込まれた数だけだとしましても、一家心中であるとか離散であるとか倒産であるとか、そういうような悲惨なものを何万となく救うということの重大さといいますか、意味といいますか、そういうものを軽く見るわけにはいかないんじゃないかという感じがするわけであります。
 余りこの問題で長く論戦をいたしますと、参考人の方々にお尋ねする時間がなくなりますので、きょうはこの程度にいたしますか、あるいは後でまたお尋ねするかいたしまして、参考人の方々にお尋ねをいたしたいと思います。
 まず、上田参考人から先に聞かしていただきますが、いまサラ金禍が大きな社会問題になっておりますし、いま現実にこの規制両法案が審議に上っておるわけでありますが、このサラ金業というものは具体的にどういう範疇に属するものを言うのか、その辺のところを学者としてどういうふうに把握していらっしゃいますか、まずそれをお答えいただきたいと思います。
○参考人(上田昭三君) 関西大学の上田でございます。国会で発言いたしますのは全く初めてでございます。ふなれでございますので、不適当な言葉を使うことがあるかもしれませんが、そのときはどうか御遠慮なく御指摘いただきまして、訂正をさしていただきたいと思います。
 ただいまの寺田先生の御質問でございますが、法律の上からは、たとえば銀行系のクレジットカード会社、これも貸金業でございます。また、いろいろな貸金業の形態があるわけでありますが、その中でなぜ一部特定のものをサラ金業と呼ぶのか。
 その特徴を具体的に申しますと、第一点は、非常に借金意欲を刺激する広告をどしどし行いまして、ばらまき融資、過剰融資を行う。第二点は、たとえば融資額のうち二十万円以内の部分について年三七%以上の金利を取り、また二十万円を超える部分につきましては、年一五%以上の金利を取る。平均して申しますと、たとえば三十万円の融資の場合に、当初三〇%以上の金利を取る、そういう融資。第三点は、元利の返済が滞りますと、非常に強引なあるいは過酷な取り立てを行う、こういう金融業務を行うものを特にサラ金と呼んでおります。
 そのわけは、実はそういった三つの特徴が大変問題になっておりますいわゆるサラ金弊害というものを引き起こしているからであります。決してサラリーマンに金融をするからサラ金と言うわけじゃございません。そういった、極端に申しますれば、非常に悪徳非道な営業行為をしているからサラ金と言うと、私はそのように考えております。
 最近、サラ金の中でもいろいろな規模があるわけでありますが、大手の業者につきましては、一流新聞紙上に非常にりっぱな意見広告を出しましたり、あるいは大なり小なり慈善的な行為をいたしておりますので、中には、サラ金と呼ばれておった業者の中でもそういう大手の業者は、このごろは普通の消費者金融業者になったのではないかと思っておられる方があるかもしれませんが、先ほど申しました三つの特徴、条件を、現時点におきましては、こういった大手業者も完全に満たしておりますので、りっぱなサラ金業者であるということをつけ加えておきたいと思います。
○寺田熊雄君 そのようなサラ金業者によって引き起こされているもろもろの弊害、またその規模、そういうものについて、先生の御研究の成果といいますか、そういうものをちょっと御披瀝願いたいと思うんですが。
○参考人(上田昭三君) お答えいたします。
 お手元に配付していただきました参考資料の一ページをごらんいただきたいのでございます。図の一の「サラ金の弊害とその発生メカニズム」という図でありますが、その流れの一番行き着くところ、(弊害)と書いてございますが、そこに実はいま御質問の弊害の具体的な内容が示されております。
 申し上げますと、借り手のうち返済不能者にいわゆるサラ金地獄の苦しみが与えられている。そしてそれに関与するところの多数の家族に大きな不幸が発生しているということ。
 きのうの読売新聞の夕刊の報道によりますると、兵庫県の尼崎で、サラ金の返済に困った父親がその菱と中学生の子供一人、小学生の子供一人、合計三人をおので惨殺いたしまして、その後自分も自殺をするつもりでおったわけでありますが、自殺し切れずに警察に届け出てそういうことが明るみに出た、そういう記事が出ておりました。こういうまことに悲惨きわまりないことも起こっているわけであります。
 さらに、サラ金弊害の次のものといたしましては、サラ金に絡むところの犯罪の増加でございます。一例を申しますれば、警察庁の調査によりますれば、昨年五十七年一月から十一月までの十一カ月間に、金融機関の強盗がいろいろ起こっているわけでありますが、そのうちサラ金業者を襲ったいわゆるサラ金強盗が六十三件発生したそうであります。これはその前の年に比べますと格段の増加となっております。そのほか一般の家庭に強盗に入るとか、そういった犯罪も増加しているわけであります。
 そして最後に、借り手の勤め先の企業の生産活動に大きな障害を与える。直接的にそういう会社、職場に対して取り立てを行う、あるいはひどい取り立てを家庭で行って勤務を妨げるというような、そういった弊害も最近は非常にふえてきております。
 そういう弊害の具体的な内容それぞれに関しまして、私の推計いたしましたところの規模、大きさを申しますならば、返済不能者で地獄の苦しみを受けた者は、昭和五十六年中の推計では約十三万人に上るものと思われます。それからそれに関係のある家族、また勤務先でのそういった活動の障害、そういうものが連なっているわけであります。
 もう一つ弊害の中で重視せねばなりませんのは、それはサラ金の高利によって暴利を稼がれるという被害でございます。その大きさでありますが、同じく五十六年中の推計で申しますれば、返済者約五百十五万人、五百十万人程度の借り手から適正金利を超えて徴収せられたいわゆる暴利あるいは冗費部分が九千八百億円という大変な金額に上っております。
 要約いたしますれば、サラ金の弊害といいますものは、返済不能者側に発生いたしますところの精神的、肉体的な大きな苦痛、二つ目は、返済する者はサラ金業者から大変な暴利をむさぼられるんだということ、この二点でございます。
○寺田熊雄君 そのようなサラ金弊害というものを防止するという目的で本法案もいまでき上がっておるわけでありますが、果たしてこの法案の内容がその目的に向かって必要かつ合理的なものであるかどうか、また効果的なものであるかどうかというような検討がこれから必要であります。
 その出発点として、そもそも日本的な現象と言われる金融業者がなぜこんなに多くなったのだろうか、また何でそんな無理な取り立てをあえてするのであろうかというような点を考慮いたしますと同時に、その基礎に、そもそもそれらの業者の適正金利なるものは一体どの程度のものなのであろうか、もしその適正金利と余りにもこの法案が乖離するものであるならば、その点はもう一度再考を必要とするし、またサラ金業者の法人としてあるいは個人としての所得が、あるいは経常利益なるものが著しく他の企業に比して大きなものであるならば、それは明らかに適正金利というものから余りにもかけ離れたものであることによるのではなかろうかというようなさまざまな疑問があるわけであります。そういう点、あるいはこの法案の有効性等について御意見がございましたら、おっしゃっていただきたいと思います。
○参考人(上田昭三君) 先生の御質問は、先ほど申しましたようなサラ金弊害を防止するためには
どういった内容の規制法が必要であるのか、そして、それとの関連において現在審議されている規制法案の有効性はどうなのか、そういう御趣旨の御質問であったかと思います。それに対してお答えを申し上げたいと思います。
 サラ金の弊害は、先ほど申しましたように、大きく申しまして二つあるわけであります。まず、この暴利被害の原因は、言うまでもなく、罰せられないのをよいことにしましてサラ金業者が非常に高い金利を取ることであります。本当にそれが非常に高いのかどうかという点はすぐ後で御説明申し上げます。
 次いで、弊害のもう一つの暴力的な取り立てによる被害の原因は、直接的にはこういう取り立て行為そのものと、それから借り主が悲惨な結果になることも承知の上で、ともかくもうかればよいということでなされるいわゆる過剰融資の二つであります。
 消費者をこのように完全に食い物にするような冷酷非情な行為を同じ人間であるサラ金業者がなぜあえて行うのかと申しますれば、それは高利の融資で利益が大いに稼げるからであるものと私は考えております。こういうわけで、サラ金の二大弊害の根本的な原因は、結局のところ、高金利を取っても罰せられないということをよいことにして、サラ金業者がこの高利を飽くことなく取ったりあるいは取ろうとすることにあると見るわけであります。
 さて、そのように見ます上は、現実のサラ金の金利が大変な暴利を含む高利であるということを実証せねばならないと思います。昭和五十六年末、一昨年末における全国サラ金の加重平均金利は約七〇%、年七〇%と推定されます。この七〇%という金利がいかに暴利を含んだ非常に高い金利であるかということをまず具体的に明らかにさしていただきたいと思います。
 いつもよそでお話をしますときに申し上げていることでありますが、金利というものはローンという商品の一つの価格でございます。他のどの種の価格とも同様に、金利という価格も、結局のところ、それはコストとそれから利益の二つの要素から構成されております。そこで、サラ金専業といたしまして最小必要規模でありますところの従業員三人のサラ金店が、ごく普通の努力で行い得るところの金額の融資について、その適正なコストと利益とを推定いたしまして合計いたしますと、どの規模のサラ金業者にとっても低過ぎることのない一つの適正金利が出てくるものと思います。
 こういうやり方で昭和五十三年現在で算出しましたところの融資残高のうち、二十万円以内の部分についての適正金利が、お手元の資料二ページの左側、表一「サラ金の適正金利の試算」のところの(イ)の欄に出ております。すなわち融資残高のうち二十万円以内の部分についての適正金利は、縦の行(B)の貸出利率の右の方に出ております三六・五%と、こういう値が算出されたわけであります。
 ちなみに、昨年五月七日に衆議院の大蔵委員会に参考人として出席されました全金連の会長の丸山さんは、この私の適正金利の試算のコストの点につきまして次のようなことを発言されております。その部分だけをそのとおり申しますと、「大体上田先生の論法は、集金に行くには自転車を使え、洋服は冬と夏一着ずつあればいい、靴だって一足でいいだろうというような計算」をしていると、そういう発言をなされております。
 この私の試算のコストの出し方は、人件費につきましては、信用組合の従業員の方々の平均給与を使っております。その他のコストにつきましては、四県の庶民金融業協会の方々がおつくりになりましたモデル業者のコストを使っております。私はいま丸山さんが言われたような過酷なことを申し上げたわけでは決してございません。そうでないことは、私のその試算をいたしました論文を一目見ていただければよくわかることでありますので、非常に残念ではございますが、丸山さんは非常にいいかげんなことをこのとき言われたものと私は感じたものであります。
 もとに戻りまして、残高のうち二十万円を超える部分につきましての適正金利は、その節に一四%と試算されたのであります。これがこの三六・五%に比べまして大変低いのは、御承知のとおり、大体貸金業という業務は、一口当たりの貸出金額が大きくなりましても、ふえるコストというのは、借入資金の金利と、それから貸し倒れ損失の二つのみでありまして、それらは、全体として言いますれば、わずかなものでございますので、小口に比べて大口の貸し出しをしましても、コストはほとんどふえず、ふえるのは利息収入のみということになります。そういう関係でコストそのものについて言いますれば、大口の融資の場合非常に少なくてよいということで一四%という、そういった低い数字が出てきたわけであります。
 さて、こういう試算金利三六・五%の水準に対しまして、私の試算に対しましてサラ金業界はその後全く反論をしてきておりません。もちろん何やかんやと不平めいたことはあちこちで言われておりますけれども、客観的な資料を添えての反論というものはいまだに一つもございませんでした。
 ところで、実はこの五十三年の推計以来今日までの間にインフレによる営業コストの上昇がございます。また一方では一口座当たりの平均融資残高や生産性が上昇しております。そこで、先ほどの五十三年の推計値の基礎の上にいま申しましたような変化を加味いたしまして、一昨年末現在で試算し直しました結果が、この同じ表の(ロ)の欄に出ております。そこに示されておりますとおり、五十六年末の試算の適正金利は、融資残高のうち二十五万円以下の部分につきましては、
   〔委員長退席、理事増岡康治君着席〕
年三〇・九%、五十三年当時の適正金利より五%余りも低下していることがわかったわけであります。
 なお、この試算値は一口座当たりの平均融資残高や生産性の伸びの最も低い従業員三人という最小規模のサラ金業者についてのものでありますので、融資残高や生産性の伸びの非常に大きい大手業者につきましては、適正金利はさらに一層低下しているものと思われるわけであります。
 ところで、先生方の中には、新しく試算をしたのはよいけれども、年三〇・九%というのは余りにも低過ぎはしまいかと思われる方があるのではないかと思います。そこで、そうでないことの傍証といたしまして示しましたのが、この同じ二ページの右の表二の「サラ金の実際の金利、適正金利その他の金利の比較」というところであります。この比較をわかりやすくしますために、三十万円を借りた場合の当初の金利で比較いたしますと、私の試算金利では、この表の(A)(B)(C)の(C)の「報告者試算適正金利」のこの列の一番右端の括弧の中に書いてございますように、三十万円の場合は二五・三%という金利になります。それに対しまして、そのすぐ下の(D)の欄の米国の上限金利は、括弧内に書いてございますように、二二・七%ということになります。
 その他の外国ではどうかということをついでに見てみますと、同じ表の一番下の(参考)というところに書いてございます西ドイツの上限金利、それは金額によりまして一四%から二五%の範囲内、フランスの上限金利は一五・八%から一九・五%の範囲内ということになっております。いずれも科罰金利でございます。なお、資料の都合でそれぞれ一九七九年六月、または一九七八年十月現在のものであります。
 こういった諸外国の金利と比べてみますと、私の先ほど申しました試算金利は低過ぎるどころか、むしろ高目でさえあることが御理解いただけると思います。
 しかし、こういうことを申しますと、サラ金業者はよくこのように言い返します。基礎条件の異なった外国の金利は比較の対象にならないというわけであります。そこで、私はそういう質問がありますと、では小口ローンに関して一体どういう基礎条件がそういった諸外国と日本と違うのか、
あれば言ってほしいといつも言うわけでありますが、いつも答えは返ってまいりません。
 それはそれといたしまして、もう一つの比較をいたしますと、同じ表の(E)の欄に日本の大手信販会社、これは具体的にはライフという会社でございますが、その金利が示されておりまして、この会社は、サラ金と同じ手軽さの融資、即時融資を、融資額が五万円でも二七・六%という金利で現実に行っているわけであります。こういうことはこのライフだけじゃございませんで、他の大手信販各社とも同じようなことであります。
 また、ここには掲げておりませんが、先生方御承知のとおり、最近、小口金融業界に大型流通業者が続々進出しておりますが、それらが設定しておりますところの金利も年二八%前後という水準でございます。サラ金とほとんど同じ手軽なローンを信販や流通業者はこういう低い金利でやっているのでありますから、それとほぼ同じ高さの私の試算適正金利を低過ぎるとはサラ金業者はよもや言うまいと私は思っております。
 以上によりまして、私が新規に試算いたしました適正金利は、少なくとも低過ぎるものではないということがおわかりいただけたのではないかと思うわけであります。
 そこで、いよいよ、この適正金利と比較することによりまして、サラ金の現実の金利がいかにひどい暴利を含んだ高金利であるかということをこの表二によってまた見てみます。この場合も、融資額三十万円のときの当初金利に比較いたしますと、それの適正金利の二五・三%に比べまして、サラ金の当時の全国平均金利は七〇%でございますので、何と四五%ほども高いということになります。また金利を引き下げたと言われる大手業者の金利は四七・四五%、一部の業者は約四二%であります。大手は四七・四五%でございます。したがいまして、適正金利に比べまして大手の場合でも二二%も高い。大変むちゃな金利を借り主から取っているということになるわけであります。
 適正金利を超える暴利の部分は、その業者の一口当たりの融資額がすべて二十五万円以下で、したがって適正金利が三〇・九%の場合でも、収入金利七〇%のうち三分の一の二三%がそういった不当な金利部分に当たるということになります。そして、この生産性の非常に高い大手業者の場合では、収入金利四七・四五%のうち三分の一強の一七、八%もが不当な金利として稼がれているということが十分に考えられるわけであります。
 具体的にいかに暴利が稼がれておるか、それが明確に資料に出ております。大手の場合についてみますと、資料の五ページ表五をごらんいただきたいのであります。「銀行との対比における大手サラ金四社の収益状況」という表でございます。これに示されておりますように、業界最大手の武富士は、昨年一年間で、経常利益百八十九億九千万円を上げております。プロミスは百六十六億一千万円、アコムは九十六億三千万円、レイクは百三億五千万円という経常利益の総額を上げております。これが大変な暴利を含んだものであるということは、先ほどの御説明から御推察いただけるのではないかと思います。
 別の角度からその点を見てみますと、たとえば上の方に全国銀行のうちの都市銀行の経常利益が幾つか出ております。預金額でナンバーワンの第一勧業銀行の、これは昨年九月までの一年間の経常利益額でありますが、七百二十四億五千万円、あと第十位の大和銀行が百九十六億円、少し飛びまして、十二位の埼玉銀行が百八十一億円、十三位の北海道拓殖銀行が百七十三億二千万円。大手銀行、都市銀行の下位行に対しましては、こういった大手サラ金業者はそれらの経常利益額を上回るものを上げているということであります。
 また、地方銀行のナンバーワンであります横浜銀行の同じ期間における経常利益は百五十三億、ナンバーツーの北陸銀行は百十五億。この辺に比べますと、武富士、プロミスあたりははるかに多い利益を上げているわけであります。
 私は大阪に居住いたしております。その大阪に泉州銀行、それから池田銀行といった地方銀行がございます。私の住んでいるところと同じ銀行を別に取り上げたわけじゃないんですが、ちょうどこの二つの銀行の従業員数がそれぞれ千五百名で、プロミスとかアコムの従業員数とほぼ等しいわけでございまして、そういう観点から、四十三位、四十四位にランクされておりますこの二行を取り上げたわけであります。こういった銀行の同じ期間における従業員一人当たりの経常利益は、泉州銀行九十八万円、それから池田銀行百十二万円というのが、これら二行の従業員一人当たりの経常利益でございます。
 それに対して、大手四社の従業員一人当たりの経常利益がその下に列挙されております。比較しやすくいたしますために、泉州銀行、池田銀行の従業員一人当たりの経常利益額の平均を一といたしまして、サラ金が一体何倍の利益を上げているか、それを示しましたのが一番右の列の数字でございます。武富士の場合九・二倍、プロミスの場合九・九倍、アコムは六・四倍、レイクは六・五倍というまことに途方もない非常に大きな利益が上げられているわけであります。もちろん、正当な理由に基づきまして上げられたものであるならば、いかに高い利益が上げられても、それはもちろんよいわけであります。しかし、そうでないところに実は問題があるわけであります。
 なお、このように申しますと、参考人の言っているのは、それは大手業者だけの特異なケースではないのか、中小規模、零細業者はそんなにもうかっていないのではないかと言われるのではないかと思います。そこで、典型的な零細業者の一つであります、仮名でございますが、一番下に出ておりますコーリンを取り上げます。これは従業員が、下の注のところに出ておりますように、対象期間中平均五・五人で、融資残高は一億六千三百万円という、まあ典型的な零細業者の一つであります。これにしましても、従業員一人当たり四百五十五万円で、どの地方銀行よりもはるかに多い金額の利益を上げているわけであります。
 そして、こういう暴利の結果の被害の規模が、五十六年度で、全体といたしまして、九千億円に達するものと思われます。普通にはとうていできないような過剰融資や非常に強引な取り立てを進んで業者に行わしめておりますのは、私の考えますところでは、サラ金業者独特の大変な強欲さと、それからこのような暴利が現実に稼げるからであると思います。
 そこで、こういうことの結果として発生しておりますところのサラ金被害を防止いたしますためには、かかる暴利の生まれる高利を課すことができないように法律で規制いたしまして、問題の発生の根源を断つことが非常に重要であることがおわかりいただけるのではないかと思います。サラ金諸悪の根源は高金利にあり、サラ金規制の眼目はこの金利規制にあるとよく言われますのは、まさにこういう理由からであろうと思います。
 もちろん、この過剰融資そのものを、また強引な取り立てそのものを法律で厳しく規制いたしまして、被害、弊害の発生の防止に万全を期さねばならないことは申すまでもございませんが、ここではこの金利の点を中心に、では有効な規制をするために必要な金利規制はどういうものかということを申しまして、そしてその後、現在審議中の法案における金利規制はどう評価されるべきかという点のお話にこれから移りたいと思います。
 まず、具体的にどういう内容の金利規制が必要なのか、研究者の立場から、全く中立的に客観的に分析検討いたしまして出てきました結果の要点を示しましたものが、資料五ページの表六、「自民党法案と必要な法規制の内容」でございます。その右側の「必要な内容」のところでございます。
 何にいたしましても、違反した場合には厳しい刑罰の科される規制でなければならぬことは、申すまでもありませんが、それ以外に金利規制をする上に第一に重要なことは、上限金利の規制の方法であります。一般にその方法としてありますのは、現行の出資法におけるような融資総額に対して一律に上限金利を規定する、年一〇九・五%以
上取ったら刑罰に処するという、そういう規定の仕方と、それから次には、現行の利息制限法におきますような、最初の融資元本額の大きさに応じて段階金利を決めるというやり方でございます。もう一つは、米国などで一般に用いられておりますところの残高別上限金利制というものでございまして、たとえば三十万円の総融資残高のうち二十万円を超える部分には年一四%、二十万円以下の部分には年三〇%の上限金利をそれぞれ別個に課すというやり方でございます。こういう三つの規制方法があるわけであります。
 さきにちょっと申しましたように、一件当たりの融資額がふえましても、コストはさほど増加いたしません。そういう特徴が金融業にはございます。そこで業者は、借り主にできるだけ多くの借金をさせて楽に利益をふやそうとするわけでありますが、こういう業者の過剰融資行為に効果的にストップをかけ得る金利規制の方法は、先ほど申しました三つのもののうち最後の残高別上限金利制度だけであると思われます。暴利を稼げないようにし、同時に過剰融資を抑止することが最も重要な目的でありますサラ金の金利規制の場合は、その規制方法といたしましては、当然にこの残高別規制方法がとられるべきではないかと思います。
 そして、この方法の採用は何らむずかしいことはございません。いまから七十年も昔に米国でこういった方法が採用せられて、今日に至っているわけでございまして、わが国においてそれを採用することに何ら困難があるとは思えないのであります。
 そういう規制方法をとりまして、その上で非常に重要なことは、では残高別の上限金利をそれぞれ何%にするかということであります。要するに、それぞれの金利において暴利が発生しないように定めることが必要なわけであります。この点につきましては、まことに手前みそでございますが、たとえば融資残高のうち二十五万円までの部分に対しては年三〇・九%、二十五万円を超える部分に対しましては一四%の高さに上限金利を定めることが必要であると思われるのであります。
 さて、以上のような必要にして実行可能な金利規制の方法及び上限金利の水準が現実にございますのに、自民党法案における金利規制の内容は、これは失礼な言い方かもしれませんが、一研究者の目から見ますれば、大変多くの問題がございまして、効果といたしましては、気休めのような効果しか期待できないのではないかと思うのであります。なぜそういうことを言うのか、そのわけを以下で簡単に申し上げたいと思います。
 まず、自民党法案におきますところの金利規制の方法は、融資総額に対して一律に同じ上限金利を課す方法がとられております。そしてその上限金利は最終的に年四〇・〇〇四%になるように決められております。この規制方法は、そこでの上限金利が、どのような大口の融資をいたしましても、暴利が生まれないような、たとえば一五%というような十分低い水準に決められているのなら、こういう規制方法でもまだよいのでありますが、そうではなしに、ごく小口の融資の採算、たとえば一万円とか二万円とかいった小口の融資の採算が合うようなかなり高い水準に合わせて上限金利が定められている、こういう場合には、この種の金利規制の方法は、業者に過剰融資をどんどんやりなさいと奨励するのと同じような効果を持っております。
 なぜかと申しますと、たとえば五万円という非常に小口の融資が採算に乗るようにということで、法案の作成者が上限金利を四〇%に決められたといたします。このときに、一口四十万円という大口の融資を行いますと、コストはわずかしか増加いたしませんのに、利息収入は八倍に増加するわけであります。それゆえに業者は常に借り主の希望額よりもできるだけ多く貸そうとするようになるからであります。
 次に、自民党案における上限金利の高さは、最終で四〇・〇〇四%となっております。これは先ほどもちょっと申しましたように、総額五万円ぐらいまでの非常に小さな融資に対しましては適正と言えるかもしれません。しかし現在、中小のサラ金業者におきましてさえ、一口当たりの当初融資額は、これは一昨年末現在で平均二十万円に達しております。そこでの適正金利は、前に申しましたように、三〇・九%でございます。それゆえに、上限金利が自民党の四〇%のもとでは過剰融資をしなくてもかなりの暴利が稼げることになります。しかし現在の営業金利の七〇%よりは収入が減少いたします。そこで、サラ金の業者のことでありますから、利益が前よりも少なくならないようにするために、融資額を押し売り的に大口化し、この結果、暴利の稼得が依然続きまして、過剰融資が、この法案が成立いたしまして施行されましても、一層進行するように考えられるのであります。
 以上、自民党法案はサラ金被害をなくすのに余り有効でないとする理由を私なりに申し上げたわけであります。
 いま申しましたことのいい証拠が一つございます。すなわち近年、武富士などの大手のサラ金業者は、金利を従来の七三%あるいは五四・七五%から四七・四五%あるいは四一・九七五%にそれぞれ引き下げております。ところが、一口当たりの平均融資残高が、これらの業者において、五十四年度末に比べまして、三年後の昨年度末にどれだけ大きくなっているかと申しますと、武富士が十六万円から三十四万円と二倍強に、プロミスが十九万円から三十八万円とちょうど二倍にと、大変な大口融資を実行しておりまして、そして相変わらずの巨額の利益を稼いでいるわけであります。したがいまして、自民党法案によりますところの四〇・〇〇四%が実現いたしましても、現にその金利で大変な暴利を稼いでいる業者があるわけでございますから、そして一層大口融資を行っているわけでありますから、決して規制効果が出てこないということが私はそれから言えるのではないかと思うわけであります。
 要するに、申しますと、サラ金被害を防止するための金利規制は、暴利を稼げないようにするもの、そしてまた、それによって過剰融資への要因をなくす効果を持つものでなければならないわけでありますが、こういう効果は、自民党の規制法案のように、一律の上限金利規制方式で、しかもその上限金利が年四〇%という金利規制内容では、その規制効果は出てこないのではないかと考えざるを得ないわけであります。
 ところで、以上の私の自民党法案に対しますところの評価は、四〇%の上限金利が五、六年後に確実に実施されるものとした場合のそれでございます。こういう条件のもとでも効果的にはそういうふうにしか評価できないのであります。
   〔理事増岡康治君退席、委員長着席〕
しかし、この法案はさきに、衆議院に提出される直前になりまして、四〇%の実施の時期を全くあいまいなものにする内容に突然改められまして、さらに附帯決議におきましては、四〇%を実施しないときの後始末の仕方まで書かれているのであります。こういう条件のもとでは、本金利規制案に対する評価は最低をさらに下回らざるを得ないということになるものと思われます。
 その上、もう一つ重大な問題がございます。現在の法案の規制金利水準は、五十五、六年ごろのサラ金営業の実態を基礎にしてお考えになったのではないかと思われるのであります。実は、さきに申しましたように、その後融資額の大口化が一層進行いたしております。その一端は、たとえばこの配付さしていただきました資料の三ページの図の二に棒グラフで示してございます。余り時間をとってはなりませんので、図の説明は省略さしていただきます。
 このように、とにかくその後融資額の大口化が非常に進行しておりますところから、もともと私の考えではございますが、緩やか過ぎた自民党法案の上限金利が、いまや全く意味のないほど緩やか過ぎるものになってしまったということであります。この意味からも、この一年におけるサラ金営業の実態の大きな変化という意味からも、こ
の法案の内容は根本的に再検討されねばならないのではないかと私は考えるわけであります。もしこのまま成立してしまいますと、規制効果はないばかりか、悪質サラ金擁護法、いや悪質サラ金奨励法というようなことになってしまうのではないかと思います。
 ところで、先ほど来、厳しい金利規制の必要なことはわかるんだけれども、一挙にそれをすることは余りにも問題が多過ぎるというような趣旨の御発言がございました。私は決してそうであるとは思いません。もし現在の高金利が正当な理由に基づくものでありますれば、そしてなおかつ、ともかく高過ぎるからそれを低くしなければいけないということで引き下げるという場合には、それはできるだけそういった混乱を避けるために漸進的に引き下げていくということは確かに私は必要であろうかと思いますが、しかしながら、現在のサラ金の非常に高い金利は決してそういった妥当な理由に基づいて高くなっているのではございません。暴利、冗費によって高くなっている。それを一挙に取り去ることがなぜいけないのか、私は非常にその点疑問に感ずるわけであります。
 いまから七十年前、年二〇〇%あるいは一〇〇%というような非常に越高金利が横行いたしておりましたアメリカにおきまして、一九一〇年代にニュージャージー州などを含む十州で一挙に上限金利年三六・五%、金額によってはもっと低いものにするという、そういう小口金融の規制法が制定、実施されているわけであります。それからいまや七十年たっているわけであります。文明国の一つと言われる日本におきまして、せめてその程度の金利規制を含むサラ金規制法がもし制定されないといたしましたら、私は非常に国際的にも恥ずかしいことになるのではないかと思っているわけであります。あらゆる意味から申しまして、法案の内容の根本的な見直しがなされるべきであるということをここでもう一度強調さしていただきたいと思います。
 どうも大変長々と申しまして失礼いたしました。以上でございます。
    ─────────────
○委員長(戸塚進也君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 ただいま、衛藤征士郎君が委員を辞任され、その補欠として梶原清君が選任されました。
    ─────────────
○寺田熊雄君 ただいまの参考人の御説明をお聞きになりまして、銀行局長と提案者におかれてはどのような御所感をお持ちになりましたか。つまり、適正金利というものがなかなか発見しがたかったというお二方の御説明がございましたけれども、ここに一つの具体的な学者の提案があるわけですね。そういうものもやはり参考として立案をすべきではなかったかと考えるわけであります。ことに、そういうさまざまな科学的な検討から、いまのこの法案の金利は高過ぎる、これでは規制効果はない、むしろ害悪を与えるというような結論に対してどういうふうな御意見をお持ちでしょうか。ちょっとこの際伺っておきたい。
○政府委員(宮本保孝君) いま先生のお話、大変貴重な御意見として拝聴させていただきました。
 ただ、実際問題として、先ほど申し上げましたように、金利の適正かどうかというのは、なかなか金融現象としてはつかみにくい問題だと思います。現実問題として、確かに一つの試算としては、あるいは計算ができるかもしれませんけれども、実際問題として、私ども調査いたしましたところ、現実問題として七三%を超えているものが約三割以上にも達しているという現実が実はあるということです。それからまたいろいろな経営状態もございます。平均値的な数値というものもとれるかもしれませんけれども、十数万もあるようなサラ金業者でございまして、その経営形態は千差万別でございます。
 そういう意味におきましては、私どもといたしましては、自民党法案のように、徐々にそういうものを実現していくというような感じが現実的な姿じゃないんだろうか。サラ金業界あるいは消費者金融の社会におきましても、一つの金融でございます。その金融の秩序というものは守らなきゃいけないわけでございまして、現在ある現実というものを踏まえた上で改革をしていく、改正していくという点におきましては、私どもといたしまして、いま御提案になっておりますような法案が現実的な解決策ではないかなという感じがいたすわけでございます。
○衆議院議員(大原一三君) 銀行局長と大体同じ考えなんでありますが、上田先生の御意見、非常に理想的なこれからの庶民金融の姿を描かれたものと思います。これを極端にいまやりましたら、大手だけ残っちゃうという形になりはしないかという不安もあるわけです。いま銀行局長が言いましたように、七三%以上が三割以上あるということでありますから、そういう庶民金融の需要が津々浦々にあるわけでございますから、これを一挙に四〇%以下、三七、八%に持っていくということになりますと、これまた大手だけが生き残っちゃって、実際の需要に応じられないという形も残るだろうと思うんですね。
 そういう意味で、私も上田参考人の御意見を拝聴いたしまして非常に感心いたして、将来はそういった方向に行かなきゃいかぬなという気持ちをなお一層強くいたしたわけでございます。
○寺田熊雄君 大変お忙しい中を法務大臣においでをいただきました。法務大臣のお忙しい日程は大体私どもも了承いたしまして、十二時までおいでいただくというお約束をいたしておりますので、この際特に法務大臣にお尋ねをいたしたいと存じます。大変御苦労さまでございました。
 法務大臣にお尋ねをいたしたいことは、御承知のように、法務省は民事局の所管として、一般的な私法関係に関する法律を所管していらっしゃる。ところが、民法は御承知のように法定利率は年五分と定められております。商法も法定利率は年六分といたしております。これは国民生活を金融面で保護するためにはどの程度の利率を適当とするかという諸般の事情を考えまして、一般に私法関係は原則五分、商事は六分と定めたわけでありまして、この際これは特にいま変更の必要を見ないとされておるわけであります。
 そのほか、法務省はいままで国民生活、とりわけ経済的な弱者を守るためのさまざまな立法をいたしてまいりました。たとえば借地法を制定し、借地人の保護を図るという措置をとってまいったのであります。借家法を制定し、経済的に強い立場にある家主から弱い立場にある借家人を守る。しかもそういう借地法、借家法の規定は、いずれも強行規定として、これに反する取り決めは、たとえ両当事者の取り決めであっても効果を持たない、効力がないという強い定めをいたしておること、これは大臣も御承知のところと存じます。
 こういう社会立法的な法律は、決して借地法、借家法だけではなくして、たとえば過去に罹災都市借地借家臨時処理法もありましたし、また現在身元保証ニ関スル法律があって、現実に一般の市民が子供であるとかあるいは親族の身元保証をいたしました場合に、それが永久に責任を負わされてはかなわないというので、この保証の責任を負う期間を五年以内と定めるなどとし、いろいろそこに市民生活を守る手だてを講じておるわけであります。
 また、失火ノ責任ニ関スル法律は、われわれが過失によって火災を起こしました場合に、被害者からたくさんの損害賠償を要求されましたら、これはもう一家倒産、あるいは自殺するほかないというので、民法七百九条の適用除外を定めておる。
 これは法務省の直接所管ではないかもしれないけれども、たとえば交通事故に関連して、自動車損害賠償保障法の中には、七百九条の立証責任の転換によって被害者を保護しようというような規定を設けておる。
 そういうような一連の国民生活保護の社会的立法をいままで法務省は手がけてきてくれました。これは非常に大きな意味を国民生活の保護の上に持っております。利息制限法もまたそうした社会
立法的な一つの法体系の中の重要な部分を占めておる。そして高利から経済的弱者を守るという理想を貫徹しておるわけであります。ところが、経済的弱者が高い利息の支払いを求められた場合、それを任意に支払った場合にどうかということになりまして、御承知の最高裁判所の判例、これは昭和三十九年と四十三年にありますが、任意に支払った場合には返還を請求し得ないというその条文を、強行規定である利息制限法の最高利率を超えたものというのは許されないのだ、だからそれは利息の支払いではない、したがって当然に元本の支払いに充当されるんだということで、これは経済的弱者を守るという立場を貫かれました。
 私どもから見ますと、いろいろ治安関係等については、最高裁が非常におくれておるのでありますけれども、事、市民生活を守る、弱者を守るというような立場に立ちますと、非常にすぐれた判決をしておるその一つの典型的な例であります。
 また、しかし、それを知らないで払ってしまって、それが元本に充当されるから、充当された後に払ったものというものは意味がないんだ、意味がないからそれの返還を請求するのはあたりまえだということで、不当利得返還請求権を認めるという判決をしたわけであります。
 ところが、御承知のように、今回の法案は、サラ金業者の立場を顧慮する余り、そうした経済的弱者を守ろうという最高裁の判例を没にいたしまして、利息制限法の現実的な運用というものの幅を狭めてしまった。事、金融業者に関する限りは、その利息制限法の規定の適用はないというような結果をもたらす規定をこの法案に盛ったわけであります。そういたしますと、せっかく法務省がいままで営々として一般国民生活を守ろうとしてきた社会立法の一角が崩れてしまう。私はこれを非常に残念に思うのでありますが、法務大臣としてはどういうふうなお考えをお持ちか、まずその点を伺いたい。
○国務大臣(秦野章君) 寺田プロフェッサーのお話を伺っているような感じでございますが、実は、いろいろいま先生おっしゃいましたからあえて申し上げますと、いま例に挙げられた借地・借家法、これは戦前からの立法なんですけれども、こういうものについては私、昔、内務省へ入ったころ担当したことがあるんですよ、最初は警察じゃなかったですからね。確かに弱者の立場からの立法ということは、そういう意味において、法務省がいま、先生おっしゃったようなあらゆる角度から構えてチェックし注意していることは事実でございます。これは非常に大事な立場だと思うんでございます。
 さて、この立法の問題について私も、いまおっしゃった三十九年ですか、それから四十三年の判例ですね、判例の変遷等も実は承知しておるわけであります。先生が御指摘になる三十九年、四十三年あたりの判例に示されたような思想というか、そういう観点から見ると、今度の立法というものの中に確かに先生が指摘されるような点が私もあると思うんです。
 ただ、総合的に見て、この条文を見ますと、たとえばいろいろ社会経済的に――社会的な事件と言ってもいいかもしれませんけれども、貸金業から借りた人たちの社会問題化というものがございますね。そういうものを厳しく規制していくというような点については、たとえば私は「取立て行為の規制」の条文を見て、「威迫」という言葉を持ってきたり、それからまた「私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させ」るといったような言葉を持ってきたりして、なかなか苦心して、こういうものの悪い面をとらえて抑えていこう、こういう社会的な角度ですね。それから書面を整理するとか、誇大広告なんかがありますわな、こういうものを規制しようとか、帳簿を備えつけるとかといったような、そのほかそういう社会的な角度からの、いま現在世の中でひんしゅくを買っている部分について、大分多くのとらえ方をして、政治が何とかそこのところを抑えていこう、罰則もついているということで、その点ではかなり効果があるんではなかろうか。
 結局、問題は四十三条の問題と、それからその他の何カ条かにくっつけられた、構えられたいろいろな規制の問題を総合的に判断せざるを得ないんじゃなかろうか。私は総合的にそれらをとらえて判断したときに、現下の情勢の中では、この立法はやっぱりあった方がいいんじゃないか。決して弱者がこれによっていじめられるということだけではなくて、その部分についてはお説の点はわかるんだけれども、トータルとして見たときに、これはやはり大変時宜を得た立法ではなかろうか、私はこう思うわけでございます。
○寺田熊雄君 法務大臣も自民党に所属していらっしゃいますので、自民党提出の法案をあしざまにおっしゃるということは期待できないし、私もそこまで法務大臣を追い込むというような気持ちじゃありません。
 ただ、いま大臣のおっしゃったさまざまなこの法案の持つ積極面といいますか、プラス面といいますか、それが十分なものか不十分なものかの批判は別として、それは確かに大臣のおっしゃるとおりだと思います。しかし、それを実現するために四十三条をもって最高裁の判例を没にしてしまって、利息制限法の持つ弱者保護の大きな社会的な効用というものまで奪ってしまわなければ、大臣のいう積極面というものは果たして実現し得ざるものなのかどうかという点の問題は、これはやはり厳としてあると私は思うんです。そこを大臣にお伺いしたわけですね。
 それから、この問題は最初に提案者にもお伺いしまして、なぜサラ金業者が最も嫌がっておるものを代償としてサラ金業者にやらなければこの規制というものはできないだろうか、その点はおかしいじゃありませんか、必要ないじゃありませんかということで、大分強くその点をお尋ねしたわけでありますが、そこですよ、大臣。大臣のおっしゃるその効用というものは私は是認してもいいと思いますよ。しかし、その効用を実現するために、どうしてあえて四十三条によって最高裁の判例を没にしなければならないのか。その部分をどうお考えになりますか。
○国務大臣(秦野章君) いまの情勢、私も実態を十分に存じ上げませんけれども、こういう対象になる業界がわりあいと雨後のタケノコのようにたくさん出てきておることも事実でしょう。そういう対象をとらえて立法化して規制するという段階になったときに、雨後のタケノコのように出てくるような貸金業者が、全部要らぬものだというのなら別だけれども、中には庶民の金融機関として要る部分もあるだろう、全体じゃないんですけれども、要る部分もあるだろう。そういう需要というものがある程度あるだろうということを考えたときに、それがある程度成り立っていくということを全然考えないで、規制だけしてつぶしてしまえみたいなことになっても、これまた果たして時宜に適したものになるんであろうかどうだろうか。
 いま先生おっしゃいましたが、私も自民党内閣の閣僚であることは間違いありませんけれども、こういう問題を考えるときに、自民党の法務大臣だからこうだとか、そんな意識は私はありませんよ。やっぱり国家国民の法務大臣としての判断で考えているつもりなんでございますが、結局問題は、利息という部分とトータルで全体を見た判断と、どっちを選択するかという問題になろうかと思うんですよ。つまり借りる者の利益といっても、利息を現にもらうという人だけの問題じゃなくて、金を借りるという需要者全体の問題を考えるという立場があろうかと思うんです。そういう意味において、全体の評価としては先ほど申し上げたようなことに私としてはなるんだろう、こう考えております。
○寺田熊雄君 この問題で法務大臣と丁々発止と論争いたしますと、約束の時間が過ぎてしまいますので、いまの問題はこの程度におさめておきます。
 最後に一つだけ大臣の御所感をお伺いしたいのは、最高裁の判例というのは、経済的弱者を守る
という立場を貫いておりますので、金融業者にとって、サラ金業者にとっては非常に厳しいですね。一般の市中銀行あるいはれっきとした金融機関は、もちろん最高裁の判例というものを厳格に守って、これに対していささかの異議も申し立てておらないわけでありますが、サラ金業者は目の上のこぶとしてこれを憎む、そしてその廃止を強く自民党に働きかける。自民党も終始その金融業者の立場に立って、そして四十三条という規定を置いて、これを本法の目玉であるとまでおっしゃっていらっしゃるわけですね。そこが大変なわれわれの立場との相違なんですね。
 ともあれ、最高裁判所のそういう経済的弱者を守ろうとする苦心の法解釈といいますか、判例法の形成というものがありますね。その最高裁判所の判例を通しての法形成というものはやはり国会といえども守っていかなきゃいかぬ。イギリスの国会は男を女にし女を男にすること以外は何でもできるというほど強力であるということを大臣は御承知でしょう。日本の国会も最高の国家機関で万能であるかもしれませんけれども、事、法解釈に関しては、最高裁の解釈、判例法の形成というものを尊重しなきゃならぬと私、思うんだけれども、どうも金融業者が気に入らない、だからその金融業者の味方をして最高裁の判例を没にする、この態度はよろしくないんじゃないですか。どうお考えですか。
○国務大臣(秦野章君) 先ほど申し上げましたように、その部分だけとらえますと、先生のおっしゃることは意味があるんだけれども、ただ、たとえば一定の利子以上のものは罰則をもって抑えるわけでしょう、今度は。これは借りる方にとっては利益じゃございませんか。いずれにしても、金持ちはこういうところから借りないんですよ。零細な庶民が借りるんだろうと思うんですよ。それがこういうふうに強烈な規制が一方においてあるということを見ないで、その利子の部分だけとらえますと、ちょっと総合的な判断からいくとどうかな。
 それから判例でイギリスのお話がありましたけれども、判例がどう出ようと、立法府が法律をつくればこれが優先する。これは論理ですわな。だから、それはひとつ立法府で御判断を願うということがあっていいので、判例は判例として尊重することは当然ですけれども、しかし世の中がだんだん変われば、判例だけで間に合わせるという――イギリスと日本は違います。判例法中心じゃありませんから、立法府というものは成文法をつくっていくところですから、法律をおつくりになるという段階になれば、その判例の尊重というものもおのずから限度があると、こう私は考えます。
○寺田熊雄君 立法府が不必要な金融機関の味方をして、最高裁判所の正しい判例形成、判例法というものを強引に立法機関の権力でもってつぶそうという、そこの批判なんですよ。だから、権限から言って、それは立法機関だからすべて優先することは大臣のおっしゃるとおりですけれども、私どもは必要がないのに金融機関の味方をして、最高裁の正しい判例を没にしようとする合理性がないやり方、不合理性というものをいまあえて問うているわけです。まあしかし大臣もいろいろお立場があるからこれ以上――時間も参りましたし、お責めするわけにはいかぬでしょうから、一応きようは大臣をこれで解放申し上げる、こういうことにします。
○国務大臣(秦野章君) どうもありがとうございます。
○寺田熊雄君 それでは、ちょっと事務総長にお尋ねする前に銀行局長にお尋ねします。
 銀行局長、このサラ金業界といいますか、サラリーマン金融という庶民金融の分野、これは非常に日本独特のものであって、外国ではいまはすべて合理的な日歩十銭程度、それ以下の金利にアジャストされてしまっている。なぜ日本だけがこんな先進民主主義国家にないような高金利の庶民金融というものをいまだに残しておるんだろうか。しかもそれが現実的にあるんだからしようがないということで、それを前提とした立法をいまするという不合理なことをしているわけだけれども、なぜ日本だけがそういう特殊性を持つのか。この点ちょっと説明していただけますか。
○政府委員(宮本保孝君) 日本の金融全体を顧みますときに、戦後でございますけれども、戦争中に蓄積を全部失い、それから戦後も所得水準がなかなか上がらないという状況のもとで、少なくとも日本の三十年間、三十数年間の間は非常に少ないお金を、金融資産というものを、わが国の経済の復興、再建、成長のために何とかして資金を回しまして、そして経済成長を遂げてきたわけでございまして、金を供給する側も個人の方へ金を回す状態にはなかったというのが第一点でございます。
 それから第二点は、国民の側もまだその蓄積というものが非常に少ない時代でございまして、食うや食わずの時代からようやく先進国入りしてまいってきたわけでございますけれども、国民が借金をしてそして生活していくというふうな状態でなかったわけでございます。それが相まちまして、日本の消費者金融というものがなかなか発展してこなかったというふうな状況だと思います。
 ただ、高度成長期を過ぎまして、だんだん国の蓄積もたまり、そして個人の所得もふえていく、あるいは生活をエンジョイするというふうな過程が出てきたわけでございます。その中で、まず住宅ローンというものを中心にして消費者金融がふえてきたわけでございますが、だんだんそれが時を過ぐるに従いまして、いわゆる住宅ローンだけじゃなくて、生活の資金というような消費者金融の方へだんだん需要がふえてきたわけでございますが、その過程におきまして、一般の金融機関などに対する対応が先ほど申し上げましたようなことでおくれていた、あるいはそういう消費者金融の需要が、余りにも急に世の中が変わりまして出てきたものでございますから、したがいまして、そこのギャップを埋めるために貸金業者というふうなものが埋め合わせていたのではないかなというふうに私は個人的には思います。
○寺田熊雄君 結局、いまお話ししたように、法務省などが余り金融関係なんというふうなものについてのエキスパートではないと思われるのにもかかわらず、必死になって庶民を救おうとして立法をし、あるいは裁判所で判例形成があるというときに、金融の大元締めである大蔵省が、その庶民金融の分野というものを放置して、そして対応がおくれましたということだけで釈明をなさるということはちょっとどうだろうか。企業金融、つまり大きな金融のことばかりに頭を向けずに、もっと庶民生活を守るというそういう一念で金融行政を行っていく、そういう心構えも必要であったし、またこれからもそういう心構えで担当していただかないと困るわけでしょう。だから、その点はまずは質問を留保して、将来大蔵大臣においでいただいて、大蔵大臣にその点をひとつ御答弁いただくということにいたしたいと思うのです。
 大変お持たせいたしましたが、樋口参考人にお尋ねをいたします。
 貸金業法案に対して、いままで全国の弁護士会は反対を決議するなど、大変アクティブな態度をおとりになっていらっしゃいますが、この貸金業法案に対して自弁連としては全体としてどのように評価なさっておられるのか。まずその点についてお答えをいただきたいと思います。
○参考人(樋口俊二君) 日弁連の事務総長の樋口でございます。
 ただいまの御質問につきまして、日弁連としましては、全国のサラ金禍の救済活動かち得ました結論といたしまして、まずこの今回の立法の必要は、小口のサラリーマン金融による弊害をどのように制御するか、そういう目的から生じたものだと思いますが、この目的から申しますと、消費者に対する小口金融について消費者保護の立場から特にきめの細かい規制が必要であるわけでございますが、貸金業法という形でその他の貸金業もひっくるめて、つまり生産的なものあるいは消費的なもの、そういういろんなジャンルの金融を一緒にして規制しようといたしました結果、消費者金融の特質に対応した適切な規制が必ずしも図られ
ていないのではないかということが第一点でございます。
 第二点といたしまして、出資法による規制金利の上限を四〇%とされておることは、これは日弁連の主張に近いところでございますが、残念ながら、この実施の時期が法律そのものでは明確になっていない。結局、五四・七五%という水準で据え置きになる可能性すら強い。サラ金の諸悪の根源が高金利にあるということから見まして、これも不十分ではないかと、このように考えます。
 その反面、利息制限法違反の金利を有効にしてしまう、つまり高金利を容認するということは、サラ金禍にあえぐ多くの市民の被害の救済の道を閉ざしてしまうことになる。そのほか、開業規制とか、業務規制にも不十分な点が多々ございまして、結局、サラ金の被害を将来も増大させる危険が多分にある。
 全体として見まして、これは考え方は同調し得るのでございますけれども、現実の法案は必ずしも私どもの希望に沿ったものではないと、このように評価をいたしております。
○寺田熊雄君 いま樋口参考人から、最初にまず立法の体系として、小口金融と大規模な金融あるいは企業金融ですか、そういうものとは一応分離して立法すべきではないかというような御発言がございました。日弁連は小口金融業法案という具体的な提案をなさっておられるのでありますが、この点提案者や銀行局長は――こういうふうな小口のほか、サラ金の中には武富士のような大きいものもあるし、中には私の知っておるのでも何百万円という融資をするサラ金業者もあるわけですね。そういうサラ金業者と、五万であるとか十万であるとかいうような小口の金融をする業者と、それを全くごちゃまぜにして規制するということについての是非ですね、これはどうお考えになりますか。
 それから上田参考人も、先ほど御説明によりますと、小口ならばある程度高い金利はやむを得ない場合がある、しかし経費というものが融資金額の多いことによってそう多くなるものではないからして、融資金額が大きければそれだけコストは下がるんだ、したがって一律に金利を決めるということは適当でない、残高による段階的金利の制定が必要だというお話がありました。そういう所論にお立ちになりますと、結局小口金融と大口の金融とは、あるいは企業金融というようなものとは、これを分離して別個に立法するというのが適当であるという御意見をお持ちなのか、その点もそれぞれにお伺いいたしたいと思います。
 まず銀行局長から、それからこの法案の提案者の方から、それから参考人と、こういう順序に御意見を伺いたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) いまのお話、一つの御意見かと思います、私どもといたしましては。したがいまして、この法案自体について私ども特に意見、ここがこうだというようなことを申し上げる筋合いのものではございませんけれども、立法府の御判断に従いまして行政的には対応していくということ、私どもとしてはそういうお答えになろうかと思います。
○衆議院議員(大原一三君) いま先生の御指摘のような議論も立法の過程でございました。しかしながら、いままでの金利規制というのは最高金利を規制するという考え方できておりますし、さらにまた、この法案の目的は、金利もそのウエートはございますが、同時にいわゆる暴力的な行為について行為規制を基本的に考えていこうということで、そこまで今回の法案は考えるに至らなかったということでございます。これは将来の問題として考えていかなきゃいけないんでありますが、現在のサラ金禍は、主として行為規制をわれわれがすることによってその弊害の排除が多分にできるのではないかという考え方でこの法案になったわけでございます。
○参考人(上田昭三君) 適正上限金利といいますものは、どの融資額についてもただ一つあるというものじゃございませんで、結局、融資額、といっても余り細かく刻んだ融資額じゃございませんが、十万円あるいは二十万円の融資額、三十万円の融資額というように、それぞれ別個の適正金利が現実に存在するわけであります。にもかかわらず一律に一つの上限金利でそれを規制するということはそもそも実は無理なことである、これは寺田先生の御指摘のとおりであろうかと思います。したがいまして、立法の目的がサラ金禍の防止にあるということははっきりしているわけでありますから、そのために有効な規制の方法というものが理屈の上でなるほどそうだということであれば、それをおとりにならなければ、何のための規制立法かということに私はなるかと思います。
○寺田熊雄君 いまの段階的金利制度というのは、利息制限法もやはり同じような立場ですね。これは十万円以下の利子は年二割、百万円までは一割八分、百万円を超えるものは一割五分と、過去のこの利息制限法ですらそういう細かい配慮をしておるのでありますから、このサラ金について一律七三%であるとか、一律五四%であるとかいうものは、どう考えても配慮が足りないような印象を受けるわけであります。
   〔委員長退席、理事増岡康治君着席〕
 まあ、これはさらにまた後日この検討を深めることにいたしまして、さらに樋口参考人にお尋ねをいたしたいのは、いままで日弁連が公害の問題、それから沖縄の人権の問題等で大変りっぱな御活動をなさっておられますこと、私ども深く敬意を表しているわけでありますが、このサラ金問題に対してはどのように対処してこられたのでありましょうか、まずその点をお伺いしたいと思います。
○参考人(樋口俊二君) 日弁運といたしましては、昭和五十二年の二月に大阪の弁護士会でこの問題の研究会が発足いたしまして、その年の十一月に日弁連でこの問題を正式に取り上げることといたしました。サラ金が特にこういう状況になりましたのは、恐らく昭和四十八年のオイルショックに伴う不景気以降のことだと思いますが、各地でいわば救急医療体制のような状況で被害者の救済活動が発生してまいりました。
 昭和五十三年の八月に日弁連は小口金融業法案を公表いたしました。これは当時の金額で借り主一人当たりの総額を五十万円以下の金銭の貸し付けとしまして、保証人以外の担保を取らない、無担保のそういうジャンルの小口金融、これがサラ金の当時の状況でございましたので、これをいかに抑えるかという意味の法案を公表いたしました。
 それから五十三年の十月に全国の弁護士会にサラ金被害救済活動を一層活発にしてほしいという意味の要請をいたしまして、五十四年、五十六年二回にわたって相当大規模なシンポジウムを催し、サラ金被告の実態を調査研究いたしました。
 それから五十四年九日に、最初に提案された今回のこの法案に対しまして、日弁連は意見書を発表いたしました。さらに現在まで全国の弁護士会で約三十会、五十二の弁護士会の中で三十会が現在の法案に対する反対の声明を出していると、このような状況でございます。
○寺田熊雄君 その日弁連傘下の各単位会が、あるいは日弁連御自身として、被害者救済の実務に取り組んでいらっしゃるわけですが、そういう業務の現状はどんなぐあいであるか、また救済の方策等はどういうものが現実にあるのか、そういうような問題について御説明をいただきたいと存じます。
○参考人(樋口俊二君) 最近のサラ金の相談から見ました状況を申し上げますと、まず弁護士会に来て相談をされる件数が激増しております。大阪弁護士会のデータでございますが、昭和五十六年度が七百五十件、昭和五十七年度は千四百件でございます。東京弁護士会の場合、一カ月で二百件と、そのような大規模な被害件数が発生している。
 それから貸付金額が高額になっております。貸付金額が、数年前は一口五万ないし十万でございましたが、現在は三十万ないし五十万が普通になっております。そして返せなくなって困った債務
の元本額が百万ないし三百万、五百万以上も決してまれではないと、そういうふうに被害の額が大きくなっている。
 金利の動向でございますが、利息が年六〇ないし七〇%、損害金に至りますとこれの五割増しと、そのような状況でございます。
 このサラ金禍に泣く人たちは、職業は会社員が比較的多いのでございますが、年齢は三十歳ないし五十歳代が大部分でございます。年収が日本の平均年収の下の方にありまして、年収二、三百万円の層が多いということです。
 それから不当な取り立て行為は依然として後を絶っておりません。特に最近は家族、親戚など支払い義務のない者への強硬な請求行為がきわめて多くなっている。それから保証人をつける。保証人になってその保証債務のために泣く人が出ている。その保証債務を支払うためにまたサラ金に手を出す。このような形で拡散をしている。
 それからこのサラ金禍に泣く人たちは、サラ金だけでなく、クレジットカードや信販、月賦、住宅ローン、そういうものとの複合債務で立ち上がれない状態になっている。そのようなのが現状でございます。
   〔理事増岡康治君退席、委員長着席〕
 弁護士会といたしましては、各地の弁護士会にサラ金相談センターを設けまして相談、救済に当たっております。しかしながら、このサラ金の事案というのは、弁護士の通常の業務から言いますと、非常にむずかしく、しかも経済的な実入りなどはとうてい考えられない事件でございます。まず、相手方が十軒とか三十軒とかというのが普通でございまして、しかもこれは暴力的な性格を持っております。弁護士がついても弁護士事務所にどなり込んでくる、そういうようなことでございます。依頼者は低所得層ですから、これは大変困難でございまして、いわば救急医療と、そういう業務になっております。
 救済の方法といたしましては、結局、利息制限法違反の金利を元本に充当するという計算をいたしましてサラ金業者に納得してもらう。これが基本的に一番大事なやり方でございます。もしもこの方法がなくなれば後は破産しかない、そういうことでございます。破産を個人債務者の自己破産、これによって処理することもあります。そのほかに、強烈な違法な取り立てに対しましては、仮処分で取り立ての禁止を申請して裁判所の命令を出してもらうとか、あるいはもっと進んだものについては損害賠償、慰謝料の請求をする、そういう手段で対抗していくというわけでございます。
○寺田熊雄君 私も何百というサラ金被害者の相談を受けまして、その都度最高裁の判例を盾に利息制限法超過の利息を元本にどんどん充当して、そしてサラ金業者と交渉をし、そして納得させるという手でいままで何百という被害者を助けてまいりました。
 それで、私の岡山市長選のときなど、サラ金業界が回状を回しまして、寺田に票を入れるな、反対しろというような回状を回すまで、何といいますか、私を邪魔者視したようなことも現実にあったわけであります。それほど最高裁判所の判例というものは困った人間を助ける唯一のものである、したがって業者はこれを憎むという関係にあるわけであります。
 いま破産のお話がありましたけれども、たとえば不動産が担保に入っている場合がありますね。サラ金業者の中でも不動産担保金融一本やりの方もいらっしゃる。衆議院で全金連の会長の丸山慶蔵さんという方が参考人としてお出になった。私は不動産金融を主にしておる、したがって日歩十二、三銭でやれるというような御意見を述べていらっしゃる。しかし、不動産金融専門でなくても、不動産を担保にお取りになる業者はたくさんおります。そういう場合に、要するに破産というわけにいかない。担保があって、支払いに充てる担保資産というものがあるんだけれども、しかしこの判例がなきゃ全部これが暴利によって取られてしまう。したがって、どうしてもやっぱり最高裁の判例に頼ってやらなきゃいかぬという場合がありますね。
 それからもう一つは、公務員の被害者の場合は、あるいは保証人が公務員であるような場合に、そうたやすく破産の処置に出られないという場合もありますね、これは身分に影響するおそれがありますので。そうなりますと、どうしてもやはり最高裁の判例を頼りに守ってやらなきゃいかぬ。
 したがって、この最高裁の判例が没にされるというこの法案によりますと、そういう場合には守る手だてがなくなってしまう。今度法律ができて最高裁の判例を没にされたから、あなた助かりませんよと突き放きなきゃいかぬ。その結果、一家心中も起きるし、一家離散も起きるという悲惨な問題の発生も予想されますね。この点はいかがでございましょうか。
○参考人(樋口俊二君) 破産と任意整理を比べますと、破産は船で申しますならば、一遍沈没をしてしまうわけです。沈没して後で助ける、これが破産。任意整理は沈没しないようにする、こういう違いがあるわけでございます。したがって、破産は、昔と違いまして、現在は懲罰的な色彩はなくなっておりますけれども、しかしながら、社会的にはやはり船が沈没してしまう、もう一遍今度は自力で泳がなきゃいけない、いままであった船に乗っていくことはできない、こういうことになるわけです。
 で、実際問題としましても、破産の申し立てには予納金というものが必要でございます。最低五十万、個人の破産で最低五十万という金を持っていかなければ裁判所は破産の手続をしてくれない。ただし、サラ金被害のような、もう逆さにしても鼻血も出ない、そういう人であれば、これは五万円でやってあげる。こういうことになっておりますが、ただいまおっしゃいましたように、ローンで買ったマンションを持っているとか、あるいは多少の財産があるということになりますと、管財人を選任して五十万の予納金を積まなければならない。こういうことで、しかも手続は相当長期間にわたってしまう。こういうわけで、これは破産があるからいいではないかというわけにいかないわけでございます。
 それから今回の法案は、単にサラ金業だけでなく、一般の貸金業にも適用される。そういたしますと、従来高利貸しの問題で私どもは苦しんできたわけですけれども、これが高金利で大きな財産を担保としてとってしまう、そういうことを公認するというような結果にもなりかねない。利息制限法による最高裁の判例というものは守る、明文化する。できればこの法案に明文化していただくという方法こそ必要でございまして、これをとってしまうという立法理由というものはどうしても納得できない。
 先ほどの論争を伺っておりましても、現実に需要があるからだと、こうおっしゃいますが、私どもは現実に需要があるからということで認めるとすれば、ギャンブルもポルノも、そういうものも認めざるを得ない。高金利というものは一定の水準を超えたものは社会的な悪である、その筋がはっきりしていなければいけない。そうしないと消費者の被害というのは救えない、このように考えております。
○寺田熊雄君 先ほどちょっと私、破産の場合を落としましたが、企業の場合なんかは、破産するということは参考人のおっしゃるように沈没ですね。それから銀行取引なんかも一切だめになってしまうし、本当に振ってみても鼻血も出ないというような人でないとなかなか破産というのはいけないのじゃないかと思います。
 それから法案の具体的な問題点、これは開業規制、業務規制に関するもの、あるいは利息制限法の空文化の問題等いろいろございますので、日弁連として御研究になりましたこの両法案の具体的な問題点ですね、これを特に御説明いただければありがたいと思います。
○参考人(樋口俊二君) サラ金特有の弊害をいかにして規制するかという観点から見ますと、やは
りきめの細かい規制が必要である。
 それから今回の法案は登録制になっております。しかしながら、サラ金がふえるのは、少ないお金で手軽にもうかる、こういう業態だからどんどんとサラ金禍が社会に蔓延するわけでございます。したがって適正な規模を持つ者でなければ営業させないという免許制が必要であろうかと、このように考えます。
 それからサラ金には、われわれの経験によりまして、いろいろな問題があるわけでございます。たとえば家庭の主婦がサラ金に手を出す、そうするとその申込書に生活費とか家事とかいうところに丸をつけさせる。そういたしますと、これは日常家事債務であるということで何も知らない主人に対して請求権がある。そこでいきなり主人の勤め先に行って大きな声でわめき散らす、こういうような問題が現実に非常に多いわけでございます。ですから、たとえばそういう日常家事債務性というものは否定すべきだ、そういうことを明確にしないと現実の弊害は除去できないと思います。
 それから友だちに頼まれて、保証人になってくれ、こういうふうに言われて名前を貸したら、それがえらいことになってしまう。これは普通の貸し金でもそうですが、サラ金の場合は金利が大きいですから、これは大変な被害を受ける。しかも職場も失う。サラ金業者というのは、こじきからでも取り立てる、こういうことを豪語しているわけでございます。そういうのに食らいつかれましたら、これは職も失う、家庭も失う、そういうことになります。ですから、サラ金の担保は、現在のところ保証人が多いわけでございますが、この保証については十分に本人の意思を確かめる。金利は幾らで、幾ら貸すんだ、そういうようなことを現実に要求すべきであると思います。
 たとえばということで一例、二例申し上げましたが、取り立て規制の問題にいたしましても、今回の法案はきわめて抽象的ではないか。もう少し具体的なことを規定していただくべきだ。アメリカの連邦法に連邦消費者信用保護法というのがございまして、取り立て、連絡方法の規制、特にプライバシーの侵害を抑えるというような観点がありまして、長文の具体的な規定があります。今回の法案はたった一カ条で、しかも非常に抽象的になっている。
 日弁連が考えるところによれば、早朝深夜の訪問、こういうものは明確に規制する。それからみだりに反復継続して電話電報――現在深夜電報の九〇%はサラ金の請求だそうでございまして、現実に悪い状況が出ておりますが、こういうものは許さないというふうに明確にする。それからプライバシーの侵害でございますが、この借り主の借り入れに関する事項を第三者に流布するというような行為、大声で歩くとか、わめく、あるいは張り紙を張るということは、現在も行われているわけです。こういう行為は具体的にわかっているわけですから、具体的に規制しなければいけない。それから自分の債権を回収するためにほかから借りてこいという行為、これもいまサラ金禍の原因になっているわけです。こういうこともやってはいけない。さらには法律上の支払いの義務のない者に対する請求あるいはおどし、これが行われておるわけです。たとえば、くにもとの親へ、おたくの息子が金を返さない、非常に迷惑を受けているというような、丁重だけれども脅迫じみた手紙を出す、こういうことが行われているわけです。そういうこともしないように。それからもちろん、刑法で禁止されております暴力、暴行ですね、これが頻々と後を絶たないわけです。そういうことも明確に具体的に取り立て行為の規制をすべきである、このように考えます。
 それからこれが一般の貸金業を規律する法律だといたしますと、今度はその面でまた規制が不十分な点があるわけでございます。一例を申し上げますと、これは担保で、利息制限法違反の金利でもって数倍もするような担保を取り上げてしまう。不動産担保に関するきちっとした取る場合の義務を明らかにしなきゃいけないし、それから担保が一番現実の裁判で問題になるわけですから、その担保が解除された場合の速やかな返還義務、そういったものを明確にすべきであろうかと、そういうふうに考えております。
 それからこの四十三条については、先ほど申し上げましたが、仮にこういう四十三条の規定が必要であるとしましても、それは出資法の上限金利が、日弁連は三六%と主張しておりますけれども、四〇%になった段階でならばやむを得ないかと、こう思われる。これは日弁連の意見でございます。できれば、三六%という現在の利息制限法と、グレーゾーンというものをなくして利息制限法の段階で刑罰というものを持ってくるのが最高の理想ではございますけれども、グレーゾーンというものをどうしても残すというならば、その幅がきわめて少なくなった段階でならばやむを得ないだろうと、このように考えております。この法案のように七三%、五四%、そういう段階で四十三条というものを残しておく必然性というものは私は全くないと思っております。
○寺田熊雄君 いま担保に関する問題がございましたけれども、先ほどもちょっと私申したように、このサラ金業者の中には不動産担保を専門とする業者あるいは電話を担保とすることを専門としてやっている業者なども含まれます。また、それを専門としないまでも、不動産を担保に取る、電話を担保に取るという業者があることは、これはわれわれ現実に体験してよく知っておるのですが、この法案には担保に関する規定というものが全く欠けておるのであります。この担保に取った場合にどういう義務を貸金業者が負うかというような問題についても全く顧慮しておらないわけであります。
 それから違法な担保の取得、たとえば恩給証書を取り上げる、これは現実にあります。それから自動車運転免許証を取り上げる、健康保険証を取り上げる、差し押さえ禁止の物件を取り上げる人もある、あるいは不動産に賃借権を設定して現実に入り込む者もおる、さまざまなものがある。そういうものについてもこの法案は全く配慮するところはない、ノー規制であるという欠陥がありますね。この点はいかがでしょう。
○参考人(樋口俊二君) 先ほど申し上げましたようにいろんな態様の貸し金があって、そしてそれぞれに問題を持っておりまして、これを一括して貸金業法という形で規制しようとすると、特にサラ金被害の消費者保護の観点から見ますと、手ぬるいものになってしまいますし、この四十三条のような問題を一般の業界まで拡大して認めてしまうという非常に重大な結果までもたらすというわけでございます。
 さて、特に担保というものは、昔から裁判実務におきまして、不動産担保が非常に重要な問題になっていたわけです。ところが、サラ金と言われるものは、この不動産担保は余りありませんが、一般貸金業まで規律する法律となれば、やはりこういう担保についての観点も十分検討すべきであろうかと思います。
 それから恩給というのは担保にしてはいけないということになっておりますけれども、実際にそういうことを脱法してしまう者がいる、そういうこともあります。これはサラ金にあるわけでございます。
 それから免許証とか日常生活に必要な、金銭的な価値はございませんけれども、それがないと暮らせないというようなものを取り上げてしまう、そういうようなこともサラ金の場合やはり規制をしなければならない。
 ですから、そういう担保という面を全く問題にしてございませんけれども、規制という面では非常に重要な問題だろうと思います。
○寺田熊雄君 次に利息制限法の規定、この空文化につきましては先ほどもちょっとお話がございましたね。私も質問に付随していろいろとこれについての意見を同時に述べておりますけれども、この四十三条の問題でさらに何かお述べになるようなことはございませんでしょうか。
○参考人(樋口俊二君) 私ども少年時代には、高
利貸しと言えば、社会の正道を歩けない者である、このように考えておったわけでございます。ところが、現在は、この高利貸しがサラリーローンという名前になって社会の正面に登場し、そしてあらゆる広告媒体を使って手軽にいつでも貸せるということで一般消費者の需要を喚起していく。しかしながら、その一番の諸悪の根源が高金利容認にある、高金利を容認することにある。そのことは上田先生おっしゃったとおりであると思います。それをさらに任意に弁済したものはという形で最高裁判例を否定してしまう。こういうことになりますと、これは高利貸しに対する後ろめたさというものを全くなくしてしまう。
 つまり、利息制限法及び最高裁判所の判例は、これは人道的に問題があるんだということを明確にしておるわけです。一定の限界を超えた高金利は社会悪だと、こういうことを鮮明にしておるわけでございます。そういうものを外してしまうということは、一般的な抑制力、抑止力というものをなくしてしまうという意味がこの四十三条にあるんだと、このように考えておりますので、それをつけ加えさしていただきます。
○寺田熊雄君 最後に、日弁連としてはこの法案に対してどのような修正を行うべきであるとお考えになっておられますか。なお、これについては、修正案に対して何か見解をお出しになっていらっしゃるんでしょうか。そろいうことに依拠して御説明をいただきたいと思います。
○参考人(樋口俊二君) 一般的にこの法案の評価については先ほど来るる申し上げておりますが、特に四十三条の問題について昨年の七月に見解を出しております。
 これによりますと、「貸金業の規制等に関する法律案第四十三条の適用は、出資法第五条の上限となる金利が日歩十銭(三六・五%)に引き下げられたときから施行することとし、且つ、その場合においても適用範囲は債務者一人に対する貸付元本総額が五十万円以下の場合に限定すること」。それから現在の案で四十三条の適用除外を定めておりますが、これを貸金業法違反行為のあった場合のすべてにわたって広げること。つまり取り立て規制その他もろもろの規制があります。そのようなすべての規制に違反した場合にはこの四十三条は適用しないと、そのようにしていただきたいというのが四十三条に関する見解でございます。
○寺田熊雄君 残り時間が少のうございますので、質問したいことはまだまだ山のようにありますが、一部だけちょっとさらに提案者ないし銀行局長にお尋ねしたいと思います。
 お二方の参考人に対しましては、私は以上のお尋ねで終わります。どうも大変ありがとうございました。
 過剰融資の問題がサラ金被害の一つの有力な原因になっておるということで、この法案でも、貸金業法の十三条を背景にして過剰融資を戒める、これを禁止するという措置をおとりになっていらっしゃるのですが、これを訓示規定として、これに対してはいささかも罰則その他の制裁を加えていらっしゃらないんですね。サラ金被害を生ぜしめる根本の問題を訓示規定にとどめたこの趣旨というのは、どういうことなんでしょうか。これを提案者にお尋ねいたしたいと思います。
○衆議院議員(大原一三君) 前回も本件について同じような質問がございましたが、個々の融資対象者について何が過剰であるかということが、実際問題として裁判になった場合に、構成要件として非常にむずかしいということが基本的な理由でございます。
○寺田熊雄君 犯罪構成要件たり得ないといたしましても、たとえばこれを業務停止の理由にする。監督官庁ならば情報を集めて認定ができないことはない。したがって、業務停止の理由にするとか、あるいは開業規制の、登録拒否の理由にするという措置もおとりになり得るでありましょうし、さらに民事罰等も考慮し得るのではなかろうかというふうなことも考えるわけであります。
 これは犯罪になりますと、非常に厳しい構成要件の問題が出てまいりますが、行政処分や民事罰の場合はそれほど厳密なものは必要ないんじゃないかと考えますが、これはいかがでございましょうか。
○衆議院議員(大原一三君) お説ごもっともでございますが、基本的には、どうも借りている人の実態を見ますと、ほとんどは過剰融資ではないかと考えられる問題が多分にございます。この辺は、業界が協会として生まれ変わるわけでございますし、その辺の御指導並びに銀行局長の通達や省令もこれから出るわけでございますので、その辺でひとつ考えていったらどうだということに話は落ちついたわけでございまして、先生のおっしゃったような議論も確かにございまして、行政処分の対象にしたらどうだと。やはり同じように何が過剰だという議論になってきますと堂々めぐりをするわけでございまして、申し上げましたような方法で今後業界の指導をしていくということでいかがなものであろうかということで規定をしなかったわけでございます。
○寺田熊雄君 先ほど、この法案が不動産担保の問題などについての配慮がなされておらないという参考人の御意見などございました。われわれの経験では、サラ金業者は完済しても担保を即時返還しないというような問題がありますので、当然のことながら、返還義務を規定する必要がありますよというようなことを私どもはお話をしておるわけであります。
 それからまた、公正証書の白紙委任状を取り上げるということを禁止していらっしゃる。しかし、同じように不動産担保の問題が現実にあるわけでありますから、不動産担保に関しても白紙委任状を持っちゃいかぬ。たとえば物件を所要の物件以上に書いてしまう、あるいは抵当椎というのを所有権の移転に持っていってしまう、こういうようなことはわれわれが裁判の実例で現実に出くわしているケースなのであります。
 したがって、そういうような点についても、公正証書の作成について白紙委任状がいけないなら、不動産を担保に取る場合の白紙委任状についても同様の考慮がなされなければならぬということは、これは当然であります。しかし、それは全く顧慮しておらない。
 この法案を調べてみますと、いろんな問題点に遭遇するわけであります。そのほか大蔵大臣その他に聞きたいことがたくさんございますが、いまの点はいかがでございますか、提案者に伺います。
○衆議院議員(大原一三君) 先ほどから担保のお話が出ているわけでありますけれども、先ほど先生ちょっとお触れになりましたが、丸山会長さんとも――これは不動産担保の金融をやっていらっしゃるわけでありますが、おおむね総じて不動産担保をやっていらっしゃるところは金利が低うございます。ですから、この法律で基本的にねらうところは何かというと、無保証、無担保のいわゆるサラ金、そこに非常にトラブルが大きいので、まずそこに焦点を置いて法律を制定したらどうであろうか、こういうことに焦点をしぼったわけでございます。
 申し上げましたように、不動産担保の方々の金利はかなり低うございますし、それほどトラブルがないんではなかろうか。ただ、先生おっしゃいました点、ごもっともな点がありますし、これは法律ができますと当然政令も出ますし、さらにまた省令も出るわけでございます。必要に応じて通達もこれから出るわけでございますので、十分行政当局にその辺のことも検討してもらいたい、かように考えております。
○寺田熊雄君 本日は時間が参りましたのでこれで終わります。
○委員長(戸塚進也君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
 午後二時から再開することとし、休憩いたします。
   午後一時一分休憩
     ─────・─────
   午後二時一分開会
○委員長(戸塚進也君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○塩出啓典君 両参考人の方には大変お忙しい中を御出席いただきまして、午前中いろいろ有益な参考になる御意見をお聞かせいただきましたことを厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 そこで、午前中のお話を踏まえて質問をしたいと思いますが、サラ金の被害者は非常に増加しておると、こういうようなお話でありました。利用者も上田先生のお話では五百万人を超えておる、あるいはまた樋口参考人のお話では、弁護士のところへ相談に来る件数も倍増していると、こういうようなお話でございます。この点利用者は非常にふえておる。それからまた、いままでは被害に遭っても届け出なかった、それが各地の弁護士会がいろいろPRしておるために、そういう窓口に訪れてくる人もふえてきたという、そういう実態も考えられるわけでありますが、実際にこのような事件に直接携わっておる上田参考人、また弁護士会の樋口参考人の率直な感想として、サラ金の被害者は実質的にふえておると言えるのかどうか、その点どうでしょうか。
○参考人(上田昭三君) 業者数も年々ふえておりますし、その上、既存の業者のばらまき融資と申しますか、これが地方の支店数の増加によって一層ふえております。そういうことで、従来の顧客に加えて、新しい顧客を誘引するという活動が積極的にとられているように思われます。そういうことからいたしますれば、サラ金の利用者数というものはなお増加しつつあると私は考えております。
○参考人(樋口俊二君) 弁護士会の相談担当の弁護士の実感といたしまして、サラ金の被害者が増加している。これは顕在してきたというんじゃなくて、絶対量が増加している。そうして被害の金額も、つまり利息制限法を超過する金利を取られる額も非常に莫大になりつつあるということが実態であるという報告を受けております。
○塩出啓典君 一昨年の大蔵省の貸金業に対する調査によりますと、この調査は郵送で調査し、業者みずからが記入した報告と聞いておるわけでありますが、それによりますと、契約書を交付していない業者が一八・八%、受領書、領収書を交付していないものが九・三%あったと、このように聞いておるわけであります。
 私が思うのは、これはみずから記入したわけでありまして、本当の悪質なのは恐らく返答もよこさないのがそちらの方に多いんじゃないか。そういう点から考えますと、いわゆる契約書を交付していないとか、受領書を交付していないとか、こういう業者の数はいまのパーセントよりもかなり高いんではないか。そのように私は考えるわけでありますが、その点、両先生の実感としてはどうでしょうか。
○参考人(上田昭三君) サラ金業者の方には大変悪いのでございますが、いろいろの経験がございまして、私はサラ金業者の方が言われることは余り信用いたしておりません。そういうことで、実際に強制的な立入検査でもしない限りは正確な数字はつかみがたいのではないかと、そのように感じております。
○参考人(樋口俊二君) 契約書のない、領収書を発行しない業者は中堅以下の業者に多い、そうしてこういう業者は金利が高いというのが実態のようでございます。
 なお、裁判所も、この点については被害者の記憶だけで事実を認定する、そういうようなことをいま行わざるを得ないという状態になっております。
○塩出啓典君 上田先生にお尋ねいたしますが、午前中いただきました資料の中で、サラ金業者の金利について加重平均が約七〇%と推定されると、このようなお話でございましたが、私が直感的に考えることは、最近急速に大手のサラ金業者が全国に支店を出しておる。そういうところは、午前中のお話でも、金利は七〇%よりはかなり低いわけですね。恐らく借りる方もできるだけ安い方がいいわけですから、そうすると、方向としては、加重平均で見た場合には低い方にいっていると言えるのかどうか。その点どうでしょうか。
○参考人(上田昭三君) 融資金額を問わずして、ただ単に表面的に課されている金利を加重平均いたしますれば、それは確かに言われますように若干ながら低下の動きを示しているものと思われます。
 ところが、私、この点につきまして特に強調さしていただきたいと思いますのは、若干の低下傾向が見られながら、一方において、午前中も申し上げましたように、融資金額の大口化がさらに大きなスピードで進んでおります。融資が大口になればなるほどコストは低くなるわけでありまして、したがって金利はさらに下がらなければならないわけであります。それに比べると、現実の金利の低下は非常に遅いといたしますれば、私は逆にそういう融資金額を基礎にして適正金利をそれぞれ考えてそういうものを平均した場合には、低下するどころか、少なくとも低下はしていない、逆に上昇すらしていると言えるのではないかと思っております。
 たとえば、お配りいたしました資料の三ページの図の二に、これは大手A社、ナンバーワンの会社の実例でございます。金利の変化を見てみますと、上の変化度で簡単に申しますれば、五十一年を一といたしますと、五十七年、去年からことしにかけて確かに二・四分の一に低下いたしております。ところが一方、一口座当たりの平均融資残高は、五十一年を一にいたしまして、昨年末で実に五倍になっております。
 こういうことを考えますと、表面的には金利は下がっているように見えますけれども、借り手の実質負担と申しますか、融資金額別の実質金利というものは逆に上昇しているのではないかとさえ私は考えております。
○塩出啓典君 そこで、このサラ金被害の因として高金利、過剰融資、それから過酷な取り立てという、こういう三つがいろいろ言われておるわけでありますが、これらはお互いに関連をする問題だと思うんです。サラ金被害で弁護士会等にいろいろ相談がある、そういうのは、やっぱり過酷な取り立て、こういうような問題が一番多いんでしょうか。
○参考人(樋口俊二君) 過酷な取り立てによって生活が破綻したケース、つまり隣近所に顔向けができない、あるいは会社に行っても冷たい目で見られる、肉親ともうまくいかない、もちろん返すお金はない、そういう過酷な取り立ての結果、平穏な生活を破壊された人たち、このようにお考えいただいていいと思います。
○塩出啓典君 そうすると、いまのお話では、サラ金被害もいろいろ重病になって、まさに瀕死の状態、それに至る人が一人おればその陰にはかなりの人がいる、それは自分の不動産を売って返すとか、あるいはまた友人、親戚から借りて返すとか、そういう者がかなり多い、そういうことがいまお話から類推できるわけであります。
 そこで、先ほど上田参考人から、サラ金の被害が多いのは大手も多いんだ、大手もいわゆる悪質というか、高金利、過剰融資、過酷な取り立てにおいては変わらないというお話ですが、ただ金利は大手の方が安い、表面的な金利は。そうすると、サラ金の被害が非常に多く出て、そのように相談に来る問題あるいは相談に来なくて潜在している問題も含めて、高金利の業者あるいは契約書とか領収書等も発行していない業者の方に、はるかに被害者は多いと見ていいのかどうか。そのあたりはどうなんでしょうか。
○参考人(樋口俊二君) 強いて言えば、そのような中小の資本力の脆弱なサラ金業者の被害が個別的には多いと思います。しかし大手のサラ金業者も、弁護士の前に来ますとおとなしゅうございますけれども、実態は、丁重ではあるけれども脅迫じみた取り立て方法を使っている、そのように感じております。
○塩出啓典君 その点、上田参考人からも。
○参考人(上田昭三君) 悪質さにおきましては大差はないものと存じております。
 一般には、大手の業者はりっぱな意見広告などを出しておりまして、感じとして善良になりつつあるように思っておられる方もあるかと思いますけれども、そういうフィーリングじゃなくして、実際に行っている行動から判断いたしますと、まだまだ悪質な営業行為を行っている。そして、御承知かと思いますが、この大手四社の急激な、まさに狂気じみたとも言える支店の増加、それに伴う新規の顧客の増加というものを考えますれば、いま樋口参考人が申されましたように、量的には大手あるいは準大手、そういう大規模業者の悪質行為による被害者というものは、中小、零細のそれに決して劣るものではない、むしろ逆に多いのではないかとさえ感じております。
○塩出啓典君 上田参考人にお尋ねしますが、午前中のお話で、サラ金の適正金利については、二十五万円までは三〇・九%である、それ以上五十万円までは一四%である、こういうようなお話でございました。それには信用組合程度の給料と、いわゆる貸し倒れ率が三%と見ていらっしゃるわけですね。これはたとえば銀行のように非常に厳しく審査をして、なかなか慎重で貸さない、そうなりますと貸し倒れ率は非常に下がってくるわけであります。それではしかし大半の人は貸してもらえない。すべてが銀行みたいになっては困るわけであります。庶民にとっては困る。けれどもまた、簡単に貸してくれるところは、これまた貸し倒れ率が高くなって金利が上がっていく。
 そういう点考えますと、金利は低いにこしたことはないけれども、一方、余り低くてはいまのサラ金というものがいわゆる需要者の動向にこたえられない。しかし、先ほど樋口参考人もおっしゃったように、需要があるからどこまでも供給せにゃいかぬということになると、ポルノでも何でもやりゃいいじゃないかとなっちゃうし、そこにおのずから限界があると思うんですが、そのあたりの限界をどの程度と考えるべきか。競輪や競艇に金をつぎ込むのにどんどん貸してもらうのは、これは社会的にもよくないと思うんですけれども、しかし家族が病気で、あるいは田舎のおやじが亡くなって帰るのに金がない、そういうときには簡単に貸してくれなきゃいかぬわけでありますけれども、そういう点を考えた場合にどの程度が適正であるのか。
 と申しますのは、私が大蔵省からいただいた資料、昭和五十六年六月における大蔵省銀行局のアンケート調査によりますと、貸し倒れ率が一%未満が一一・二%、一から三%が一九・九%、三から五%が二一・五%、五%から一〇%が一九・八%、一〇%から二〇%が一二・〇%、二〇%以上が八・八、無回答は六・七。現実にはそのように二〇%以上が八・八%もあるというんですね。そうなると、これは一つのギャンブル的なことになっちゃうと思いますし、そういう点、上田参考人の三%とした場合、三%以下はわずか三一・一%しか現実にはサラ金の業者はいないわけで、そういう点からも考えて、大体どの程度のラインが、どの程度までが適正な基準であるのか。当然貸し倒れ率の適正な基準が決まれば適正な金利も自動的に決まってくると思うんですけれども、そのあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(上田昭三君) サラ金業者が、サラ金の貸出金利の高いのは、それは非常にリスクが大きい、要するに貸し倒れ率が高いからである、また資金コストが高いからであるということを常に言うております。しかし私はこれを全く信用いたしておりません。もしそういうことが本当であるならば、その客観的な資料、証拠というものを示しなさいと私はかねがね言うてまいりましたけれども、一向にそれは示されておりません。したがいまして、私はそれを全く信用しないわけであります。
 また、別の角度から申しますと、実は日本人というものは、一般の庶民の方はわりあい気楽に安易に無計画に借金をするのでございますけれども、返済はわりかた律儀であるようでございます。二、三の業者から聞きましたところでは、サラ金荒らしというような常習的な悪質な顧客、ごく少数おるわけでありますけれども、それ以外の者にほとんど無審査で貸しても、無催促、無督促もしくは一、二回の督促で元利を返済する者が九五%存在する。残りの五%は三回以上の督促を要するわけであります。そこでサラ金独特の強引な取り立てが開始せられまして、その五%のうちの大体半分は耐えかねて、あるいは何とかこの工面をして返済する。残り半分が結局のところ貸し倒れになるということを私はサラ金業者から直接に聞いております。
 それからさらにもう一つの証拠を申しますと、私の試算の基礎になっております三%というのは、私の単なる希望的な数字あるいは想像によったものじゃございません。ある庶民金融業協会のモデル業者の計算結果にも依拠いたしております。そういう業者自身からの情報、それからそういった正式の資料に基づいて実は三%というものをはじき出したわけでございまして、それにもし不服があるならば、そうでないと言うのなら、ひとつ証拠を示して反論してほしいということをかねがね申しておりますけれども、一向にございませんので、私はそれが正しいと思っております。
○塩出啓典君 私も上田参考人のように、やっぱり日本人の大半は借りたものは返すというように、少なくとも僕らの世代はそういうような考えが多いんじゃないかと思うのであります。
 ちょうど銀行局長もいらっしゃるので、銀行局からいただいた資料では、実に、いま話しましたように、二〇%以上が八・八もある。この点が銀行局長にお尋ねしたいわけでありますが、この貸し倒れというのは、恐らく経費として、貸し倒れ率が高いということになれば、税金を納めるのが少ない。そういうことで故意に高くしているきらいはないのかどうか。この銀行局からいただいた五十六年六月のアンケート調査の結果というものは、銀行局としてはどの程度の信頼性を置いておるのか。この点はどうでしょうか。
○政府委員(宮本保孝君) 私どもの調査は、先ほど御指摘のように、アンケート調査でございまして、特別に普通の金融機関のように実地に検査いたしまして詳しく調べたわけでもございません、また相対でヒヤリングをしたわけでもございませんので、これについてこれが正確かどうかという点につきましての判断はできかねるのでございますけれども、一般的に私ども検査いたしました結果、たとえば信用金庫等でも、一%の欠損見込み率というのは非常に大きな数字でございまして、これよりもはるかに小さな数字なわけでございます。したがって金融機関を監督している立場から見ますと、この数字は非常に大きな数字のような気がいたすわけでございますが、ただ、それが税金を逃れるために、あるいは損金をたくさん出すために、安易に債権放棄をしているというふうなことであるかどうか、ちょっと私この立場でお答えしにくいのでございます。
○塩出啓典君 この点は非常に問題があるし、私の率直な希望としては、貸し倒れの内容等も、本当に払えない人は払わなくてもいい、過酷な取り立てまでしなくて放棄してもいいと思うんですが、そういう点がきちっとしているかどうかということは、今後この新しい法律との関連においてまた問題にしていかなければならないと思いますが、これはその程度にとどめておきます。次の機会に譲りたいと思います。
 いま大手サラ金あるいは大手信販会社、さらには午前中もお話がありましたように、大手流通業等がかなり金利の安いローンをやっておる。最近はさらに都市銀行等がそういう方向にも動き出しておるわけでありますが、そういうように安い金利で貸してくれるところがありながら、なおかつ高い金利のところへ借りにいくというのは、私としてはちょっと理解に苦しむわけであります。われわれであれば、できるだけ安いところから借りる。それが高いところへも走るというそのあたりの原因はどうお考えになっておるのか。これは両
参考人に御答弁をお願いしたいと思います。
○参考人(上田昭三君) お答えいたします。
 幾つか原因があろうかと思います。一つには、そういった借り入れをする消費者の金利についての無知、無関心というものが大きな原因の一つであろうかと思います。そういう無知、無関心な借り手に乗じて、いかにもひどくない融資を行っている、安心のいく、信頼のできるような融資を私の会社は行っているということを盛んに宣伝いたしまして、一層その判断を鈍らしてしまう、そういう業者の宣伝のやり方というものがまたもう一つの大きな、あるいは最大の原因であろうかと思っております。
 けさも申しましたように、サラ金業者を特徴づけるものは三つの点があると申しました。その一つがいわゆる借金欲を猛烈に過度に刺激する広告であります。これについ不注意な消費者はひっかかってしまうということが私は一番大きな原因であろうかと思っております。
○参考人(樋口俊二君) 一つは、ないしょのお金というようなものが多いわけなんで、だれにも知られないようにすぐに貸してあげますという一つのセールスポイントに飛びつく人たちがいるということです。
 それから、最初は低い金利のサラ金を借りていても、その返済に窮して、返済資金を得るために高いサラ金に手を出さざるを得ない、そういうケースが非常に多いように思います。
○塩出啓典君 ということは、たとえば返済のための返済というような場合は、なかなか大手は貸さない、信用調査等で。そういうように理解してよろしいわけですか。
○参考人(樋口俊二君) 大手は返済の見込みのないところへはまずは貸してくれないわけです。サラ金業者は、何軒からもサラ金を借りてその返済に窮しているということがわかっていても平気で貸す、そしてとことん取り立てると、こういう業態でございます。
○塩出啓典君 今回議題となっております法案が参議院に参りまして、私のところへも全国各県の弁護士会からいろいろな決議が来ております。たくさんの決議を拝見さしていただいたわけでありますが、その一つは高金利の問題。四〇%の時期が明示してないじゃないか。特に広島県弁護士会の場合は、三六・五%にしろという意見でございました。
 それから決議の内容の二番目の点は、今回の貸金業規制法案の四十三条の問題。利息制限法及び同法に関連して確立されてきた超過利息の元本充当及び過払い金の返還を認める最高裁判例を骨抜きにし、サラ金被害者の救済手段を奪うとして、この四十三条の削除の要求であります。
 それから三番目には、これは全部ではありませんが、東京、静岡などの弁護士会からは、サラ金業者の過酷な取り立て行為の規制、貸金業規制法の第二十一条が非常に抽象的である。先ほど樋口参考人からお話もありましたような、そういう深夜の取り立ての禁止とか、張り紙による催告の禁止とか、電話による反復継続的取り立ての禁止とか、そういうものが具体的にない。
 それから四番目には、対象をサラ金業者だけではなしに貸金業者全体に広げるために、中小企業やその他国民諸階層に対する融資にまで金利が適用されて高くなるんじゃないか、重大な影響を及ぼすんではないか。京都、奈良、滋賀等の弁護士会からは大体そういう点が主なる要求であったと思います。
 ただ、この二法が通るとサラ金被害はさらに増大するおそれがあるというそういう決議と、それから増大するという、そういう結論の決議と二種類あるんですね。東京第二、横浜、京都、滋賀、岡山、島根、仙台、徳島、こういうところからの決議には増大させるとあるわけです。
 実を申しますと、わが公明党はこの法案に衆議院の段階において賛成をいたしました。けれども、五十二年にわが党が出したときの最終金利は三六・五%ですね。そして四十三条というものはなかったわけでありまして、そういう点ではこの法案は不十分でありますが、しかしいまのサラ金被害が続出しておる現状から見て、まあこれは一歩前進ではないかと、そういうことで賛成をしているわけなんですがね。
 そういう点から言いますと、私は、サラ金被害を増大するおそれがあるというぐらいはまだ理解できるんですけれども、サラ金被害がさらに増大する、こういう法律は現行法の方がいいんだ、今度の改正は改悪であると、こういうことであると、ちょっと私は理解しがたいと思うんでありますが、そのあたり樋口参考人としてはどのようにお考えであるのか。
○参考人(樋口俊二君) 法案の全体的な評価であって、ない状態よりもこういう法律があった方が一歩でも前進ではないかと、このような御質問かと思います。
 もちろんそういう面もございます。不十分ながら登録、監督制度を設け、罰則をつけたという意味では、そういう意味がございますが、そのために四十三条を設けるということは総合的にマイナスになるじゃないかということです。
 なぜサラ金被害がさらに増大するとわれわれは思っているかといいますと、高金利を公認する。四〇%になった段階で四十三条を適用するということであれば、必ずしもそうは言えませんが、七〇%、五〇%という段階ではなはだ申しわけ程度の除外規定で四十三条を適用させる。取り立て側から言いますと、取ってしまえば勝ちだということになります。そして任意でない取り立てというのは現実にはあまりないわけなんです。みんな任意で、先ほどもおっしゃいましたように、日本人は律儀で、借りたものは返さなきゃいけないと思っていますから、相当強硬な威迫的な言葉を使われてもやむを得ず払う。これを任意でなかったということはなかなか言いにくい。ですから、ほとんど歯どめがない。結局、サラ金業者は取った方が勝ちだということで過酷な取り立てをこれからも続けていくだろう、そういうことでございます。
○塩出啓典君 ちょっといまの件、上田参考人からも、簡単な御意見で結構でございます。
○参考人(上田昭三君) もしこういう内容の規制法案が成立いたしますと、要するにサラ金業者は社会的に認知されることになるわけでございます。そうなりますと、現在すでにそれを見越して一般銀行からの資金の供給が非常に増加しておりますが、それがますます増加いたします。そして、一方において、金利規制が不十分なために暴利がまた稼げるということで、銀行からどんどん供給される資金をもってさらにばらまき、過剰融資を進めるであろうということで、私は、この法案が成立しますれば、現在よりサラ金被害はふえるんではないか、ふえるであろうと考えているわけでございます。
○塩出啓典君 先ほどのお話では、平均金利、加重平均で七〇%である。今回この法案が成立しますと、金利は七三%ですね。
 それで、この法案は、昭和五十二年にわが党が出したその当時から問題になって、いままでもう五年、六年経過しておるわけでありまして、もしこの法案が通れば、ともかく三年後には五四%に下がっていく。そういうことで、もちろん返還請求あるいは元本充当のできるそういう被害者を救済するという手段は、ちょっと狭められるわけですけれども、全国の金利をともかく五四%まで下げられるということで、私は一歩前進ではないか。このあたり、いつも私は広島の地元でもいろいろ弁護士会の皆さんともお話をするわけであります。これは先のことだから、正直に言いまして、ベターかワースか、これはなってみなければわからない。ここで論議をしてもこれはなかなか数字的に証明できない問題で、私の意見としては一歩前進ではないかな、そういう感じがするということを申し上げたいと思うわけであります。
 そこで、先ほど樋口参考人も四十三条に適用除外規定が設けられたと。たとえば書面の交付をしないとか、領収書を発行しないとか、こういうような業者は、これは四十三条は適用しないわけですから、返還請求もできるわけですね。
 さらに、この四十三条は任意に支払うということですね。この法律では、非常に抽象的かもしれませんが、二十一条のそれに違反した取り立て、あるいはまた、先ほどお話がありましたように、一つのサラ金業者に払うためにこちらからより高い金利の金を借りさしてやるなんというのは、これは普通、任意ではない。安い金利を借りて、高い金利に払うならば任意とも言えると思うんです。あるいはまた、任意というのは、反復継続的に支払うのが任意ではないか、このように言っている弁護士さんもいるわけであります。
 そういう点まで厳しくしていくならば、私は四十三条の適用除外で悪質なものは防げるのではないか、そういう感じがするわけでありますが、この点については弁護士会としてはどうお考えなのか。先ほど樋口参考人のお話では、いまの法律ではちょっと具体性が欠けていて、もうちょっとそういう点を充実せにゃいかぬというような御意見と承ったんですが、やっぱり現行ではちょっとその点はまずいんでしょうか。
○参考人(樋口俊二君) 適用除外をもう少し広げるべきである。ある一部のものをとらえることはできますけれども、もう少し広げまして、サラ金の取り立ての非常に苛烈な面、そういうことを犯した者は適用除外だ、少なくともそうしなければならぬだろう。
 それから任意というのは、厳しい歯どめになっているのではないかとおっしゃいますけれども、先ほどから申し上げますように、これは全く歯どめにならない。弁済する人は、強盗以外はほとんど自分の意思で払うわけです。自分の意思で払う場合は、やはり任意ということになってくるわけでございますので、これはそれほど信用の置ける歯どめではない。
 それよりも、なぜ四十三条をここに持ってこなければ段階的な金利の規制さえできないのか、そこらが基本的に私どもは理解がしがたいということでございます。四〇%の金利、つまりグレーゾーン、利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の差が非常に少なくなってきた段階なら、こういうことも考えていいだろう。そこの方がむしろ基本的なことではないかと思います。七〇%段階でこのようなことをする、五〇%から四〇%に引き下げられるという保証のない状態で四十三条というものを適用するということは、やはり問題がある、こういうことでございます。
○塩出啓典君 広島弁護士会の案は、三六・五%以下の金利になって四十三条を適用する。だから、三六・五%以上の金利の場合は四十三条は適用しない、こういうようにでもなれば非常にいいんじゃないかと思うんです。恐らくそうなれば弁護士会も異存はないんではないかと思うわけでありますけれども、なかなかそこまで到達していないことに私たちも非常に矛盾を感ずるわけであります。
 しかし、先ほど申しましたように、この法案が論議されてすでに五、六年を経過いたしまして何ら前進をしていない。ともかく衆議院においていろいろな論議を経て曲がりなりにも合意ができて、そして法案が参議院に送られてきたわけで、これが成立するならば、ともかく三年後には五四%までいく、そういう意味でやはり私としては一歩前進である。しかし、その趣旨においては、いまさっき言われた四〇%または三六・五%以下になったときに四十三条を適用する、このようにできればこれが一番いいんではないか。私の気持ちとしては率直にそのように思うことを述べておきます。
 最後に、これは先ほど出た質問とも少しダブるわけでありますが、サラ金はどの程度必要であるかどうか。サラ金は全然必要ないというわけにもいかないし、だからといって、いまのような非常にいいかげんな暴力的サラ金も許すわけにはいかない。そういう点でどの程度までの金利の――金利だけではない、いろいろな問題があると思うんですけれども、どの程度までのサラ金は必要であるとお考えであるのか。全然そういうものを一掃するわけにもいかないと思うんですけれども、大体どういう程度の業者が現実の問題として必要であるかどうか。これについて両参考人の御意見をお伺いして質問を終わりたいと思います。
○参考人(上田昭三君) サラ金の必要性という点でございますが、もし法律によりまして適正な上限金利が制定されますならば、そのもとで営業をなおやっていこうという業者のおる限り、私はサラ金の存在はあってよいのではないかと思っております。しかし、この不十分な金利規制でまだまだ暴利が稼げるようなそういう状態のもとにおいては、弊害が生まれるばかりでありまして、そういう意味では私はサラ金というものはむしろ存在しない方がよいのではないか。適正な金利のもとにおいては、サラ金といいますか、そのときにはもうサラ金という言葉じゃなくして、普通の消費者金融業者になるわけでありますけれども、そういった存在の必要性はあるかと思いますが、そうでなければ、私は弊害を生むそういったことばかりをやっているサラ金の必要性はないものとすら思っております。むしろ銀行とか一般金融機関がそういった一般庶民の返済能力のある借り手にはどんどん貸していく、そういう対応を進めるべきではないか、このように思っております。
○参考人(樋口俊二君) どの程度のサラ金ならあった方がいいかということは、これは金融、経済の専門家のお答え以上に私はつけ加えることはないんでございますが、私も三十数年前に弁護士になりまして、仕事が全然ない、不時にお金が必要になる。そのときに私はカメラを持って質屋に行ったわけでございます。質屋で必要な金を工面した。これは大した額じゃないのでまた受け戻しましたけれども、仮に返せなくなったとしてもカメラ一台を失えばよろしいわけです。ところがサラ金の場合は生活そのものが破壊される。ですから、これは基本的に庶民金融といっても非常に危険な要素を持っている。その点をひとつ立法では十分お考えいただきたい、このように考えております。
○近藤忠孝君 きょうは参考人の先生方、お忙しいところ、ありがとうございます。
 まず、日弁連の樋口参考人にお伺いしますが、サラ金立法が必要だということは私も異存がないんですが、問題はどこに主眼を置き、どういう目的で立法していくべきか、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○参考人(樋口俊二君) 立法の目的は消費者保護という筋が通っていなければならないと思います。
 そして、サラ金の弊害がこれまでいろんな角度から分析されております。弊害の態様、広がり、それが分析されておりますので、これらのものに十分に対処できるきめの細かい対策を構ずべきであって、貸金業という非常に広い分野へ広げてしまって抽象的なものをつくっても有効な歯どめにはならない、このように思います。ですから、高金利の明確なる抑制、四〇%にするとすれば、そのプログラムを明確にしていただかなければいかぬと思います。
 それから過酷な取り立てを明瞭に禁止する、強硬な取り立てを禁止する。それからそういう被害者を生む無差別貸し付けも禁止する。そういったことを明確にし、そして有効適切な行政上の監督をしなければならない、このように考えます。
○近藤忠孝君 それが日弁連の言う小口金融業法案ということで対象をしぼる論拠になるわけですね。
 そこで、今回の法案が実際業務規制などでも実行されるかどうかという問題で、すでに問題になりましたのは、一つは取り立て規制、二十一条、このような抽象的規定で大丈夫かどうか、この点が一つ。
 それからもう一つは、指導、勧告、苦情処理などは、これは協会に任されるわけです。これは樋口参考人と銀行局長にもお伺いするんですが、この任意団体である協会にいま言ったようなことを任せまして果たして実効性があるのかどうか、これについてお伺いしたいと思います。
 それから銀行局長にさらにお伺いしますが、こ
の法案が成立した場合に、銀行局の仕事はどんなことなのか。さっきのように指導、勧告等々は協会に任せますと、具体的には登録と、違反が起きた場合その取り消し業務というのが中心になりますね。そのほかに何があるんだろうかということなんです。そして、それを実際に執行するための人員及び予算上の措置としてどうことがされておるのか。
 以上についてお答えいただきたいと思います。
○委員長(戸塚進也君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(戸塚進也君) 速記を起こして。
○参考人(樋口俊二君) 二十一条の取り立て行為の規制はきわめて抽象的でありまして、罰則がございますけれども、これを現実のケースに当てはめて罰則を科することさえ非常にむずかしいのではないか。限界が明瞭でないんです。たとえば一例としまして、夜の八時から六時間ぶっ続けで電話を切らせないで催促を続けるというようなのがございますし、先ほどから申し上げるように大声で近所にどなる、つまりプライバシーを侵害する行為、それから職場に行く、職場の業務まで妨害する、そういった実例がたくさんあるわけでございます。どういう手口で過酷な取り立てをしているか、これらの手口を具体的に取り上げて、この二十一条にあるように、その他、人を威迫し、私生活もしくは業務の平穏を害するような行動、あるいは困惑させるような行動でやってはいけないというふうに締めくくっていただく。一番多い事例は具体的にそこに明示していただかないと実効性はない、このように考えます。アメリカの連邦法及び日弁連の小口金融業法案も具体的に列挙すべきであるという見解をとっております。
 それから任意加入の協会に規制を任せるということは、これは任意加入である限り、一体何ほどのものがそこに加入するのか保証もございませんし、指導に従わない者に対して一体どのような有効な措置がとり得るのか、それもわかりませんので、この段階ではこれはまことに心もとないのではないか、こう考えます。
○政府委員(宮本保孝君) 今度の協会が任意加入であるかどうかといいますか、任意加入になっておるわけでございますが、これは多分、民主的な自由主義国家におきまして団体に強制加入させるという制度は、ごく一部の業種に限られているようでございます。そのようなことも配慮された上で任意加入になっているのではないかというふうに私ども理解いたしておるわけでございます。
 したがいまして、その任意加入を前提にいたしまして私ども行政はやっているわけでございますが、できるだけ任意団体としての協会が、法律に定められました目的に従ったように機能するといいますか、ワークしていくように私どもとしても努力してまいりたいと、こう思うわけでございます。
 それから第二番目の、この法案が成立いたしました後、大蔵省はどんな仕事をするのかという点でございますが、まず大きな事務は登録の事務でございまして、新規登録あるいはさらに更新の登録、あるいは登録事項の変更の届け、その他そういう登録関係の事務がございます。
 それから第二番目には立入検査事務がございます。現在は単なる調査権限だけしかございませんけれども、これからは検査ができる。立入検査事務がございます。
 それから、そういう検査事務に基づきます行政処分の事務がございます。業務の停止であるとか、あるいは登録の取り消し等の事務があるわけでございます。
 そして、五十八年度予算におきまして、この法律が通るということを一応前提にいたしまして予算措置を組んでおるわけでございますが、主なものといたしましては立入検査等、これは主として大蔵本省、財務局でなかなか人数等の関係もございまして、手が回りかねるということで、都道府県に対して事務委託をするというふうなお金として二億二千万円、それから大蔵省自身、これは財務局も含むわけでございますけれども、が立入検査をするなどの事務費といたしまして三千三百万円、こういう措置がなされております。
 なお、人員につきましても、新規に本省三人、財務局十七人の増員が認められております。
 以上でございます。
○近藤忠孝君 財務局はむしろ人員全体を減らす方向なんですよね。北陸財務局なんか廃止しちゃおうなんという動きもある中で、私はこれは人員確保も大変だと思いますし、十数名と申しますけれども、財務局当たりにしたらば、大体一つのところ一人ですね。そして、これは実際大変に業者が多い。またふえていくであろうし、支店の登録なんかも、これから答弁求めますけれども、大変多いと思うんです。そうしますと、この人員でやっていけるのか。
 それから検査の費用なども、たとえば県に二億二千万円と申しますけれども、一県当たりにしますと四百万円そこそこですね。これは人件費も含まれているということなんです。となりますと、本当にこれは実効性があるのか。違反者は一件や二件じゃないわけですからね。たくさんあった場合に、果たして本当にいま言った立入検査事務を行っていけるのか。違反を行った業者がたまたま何件か出たんですね。それがきわめて明白になって刑事事件になっているようなそれを検査するのさえ不十分な、そんな人員ではないか。となりますと、余り実効性もないんではないか、こう思うんです。
 ただ、きょうは参考人が来ていますので、その辺の問題はこれから指摘していきたいと思いますけれども、そういう問題があって、実効性がきわめて疑わしいと言わざるを得ないわけです。
 そこで問題は、次の問題に進んでいきますと、金利の問題になっていきます。先ほど上田参考人の御意見がありましたけれども、まずお伺いしたいのは、上田先生の博士論文、これは何でしたか。
○参考人(上田昭三君) 「個人ローンの実態と展望」という書名でございまして、一昨年四月に東洋経済新報社から刊行されたものでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、その問題に関しての最高の権威と、こうお伺いしてこれから御質問をいたします。
 先ほどいろいろな数字を述べられました。その中で私は、それがどういう根拠で推計されておるのかということで二、三お伺いしますが、たとえば融資残高が約三兆円で、前年度に比べて約一五%増になっていると。それから借り入れの人数は五百二十八万人。これも十五万人増になっている。それからさらに、先ほど御説明の資料では、返済不能者十三万人、こういう数字もありますけれども、これらの推計の根拠は何でしょうか。
○参考人(上田昭三君) まず業者数の推計のプロセスを申しますと、昭和五十五年九月末現在で大蔵省が貸金業の実態調査というサンプル調査を行いました。その当時、貸金業届け出業者数が十八万七千七百十七ございまして、そのうち、この調査によって実際に営業中の者と推定される数が四万五千七百ということになります。そして、この四万五千七百のうち、サラ金――この調査は実はいろんな業態ごとにそれのシェアのパーセンテージを計算して出しておられまして、したがって、その四万五千七百という数字に、消費者向け無担保金融業、いわゆるサラ金でございますが、そのパーセンテージを掛けますと、実は二万八千三百十九という専業・兼業のサラ金業者数が推計されるわけであります。
 そして、このサラ金業者について、今度はまた、その調査で従業員の規模別のパーセンテージが出ております。一人から二人が何%、従業員三人から五人が何%と。そういう数値をいまの全サラ金業者数のうち、専業の一万八千三百二十四人、そういった規模別の数値を掛けまして、そして規模別のサラ金業者数をまず出したわけでございます。
 一方、いろんな調査で、従業員一人当たり、こういう規模では平均して幾ら貸しているか、そういう数値が出てくるわけであります。それをまた
掛け合わせまして、いろんな従業員規模別に何件のサラ金業者があるか、そこでそれぞれで幾らの貸し出しがなされているかという方法でサラ金業者数の推計並びにサラ金の融資残高の推計を行ったわけであります。
 次に借り手数の推計でございますが、これは各地に信用情報センターというのがございます。そのうちの一つの大阪のそういった情報センターの資料によりまして、サラ金の借り手一人当たり幾ら借りているかという数字が大体つかめるわけであります。その数字でもって先ほど推計いたしましたサラ金の金融資残高を割ってみますと五百何万人という利用者数が出てくるわけであります。
 そして最後に、非常に厳しい取り立てを受けているという数でございますが、先ほども御質問の際にお答えしましたように、大体九五%は一、二回以内の督促で返済する。したがいまして、残りの五%が非常に厳しい取り立てを受けるわけであります。先ほど出てきました利用者数に五%の数字を掛けますと、三回以上の厳しい取り立てを受けた者の数字がまず出てまいります。そして、これも先ほど申しましたように、結局半数が返済できないわけであります。その返済できない連中という者はまさにサラ金地獄の苦しみを味わうわけでありまして、先ほどの五百万人に五%を掛け、その半分の十二万何千というのが本当に苦しい、まさに死を選ぶかというようなむごい取り立てを受けた者の数として推計したわけでございます。
○近藤忠孝君 次の適正金利の推定については、先ほどの御説明で、特に貸し倒れ損失をどう見るかという、この辺で大体わかりましたし、あとは大体客観的な数字ですので、私は先生の試算が根拠があるものと、このように拝見しました。
 そこで問題は、それに対して、先ほどのお話でも反論が余りないということですね。何か具体的に論文でも業者側の反論として出ておるものがあるのかどうか、これが一つ。
 それから実際直接議論されたことはないのでしょうが、上田先生としまして、公の場所で、そういう場が設定された場合は、そういう場に出て業者側の代表と、あるいはもっと客観的なほかの方でもいいんだけれども、そういう適正金利について議論をされる御意思がおありかどうか。いかがですか。
○参考人(上田昭三君) まず、第一点の私の試算結果に対する業界の正式な反論があったかどうかということでございますが、客観的な証拠を添えての反論は全くございません。何回かそれを慫慂してまいりましたけれども、なされていないということであります。
 第二点につきましては、もしそういう場が設けられるならば、私は喜んで出席さしていただきまして議論をさしていただきたいと思っております。
 その点に関しまして、私は、たとえばこの参議院の大蔵委員会というようなところで、ひとつサラ金業者から、たとえば所得税の確定申告書という、存在する中で一番客観性のあるそういう資料の提出を求めていただきまして、それを材料にいたしまして、そういった問題点をひとつ徹底的に議論するという場が設けられれば、私は非常にいいのではないか。そしてそういうことがなされるまでは、どうかひとつこの現在の法案というものは少しお預けにしていただいて、そういう審議をまず尽くされるべきではないか。
 私は被害者の代表でもございませんし、またどういう特定の政党とも何の関係もない者でございます。単なる一学究であります。全く公正と申しますか、純粋、学術的に実態を十分に踏まえた上でいろんな結論を出しているだけに、このまま法案が通ってしまうということは非常に私は残念な気がいたします。いま御指摘のようなそういう場がたとえばこの大蔵委員会に設けられまして、十分御審議の上、それが済むまでは、ひとつ法案はこのままお預けになるのが一番よいのではないかと、私はこう考えております。
○近藤忠孝君 委員長に申し上げたいと思います。
 せっかくこういうお申し出がありましたので、私はいまこの法案を審議している当委員会が一番いい場所だと思いますので、ひとつ今後そういう場も設けていただくようにこれは要望したいと思います。
 そこで、次の問題は、この適正金利と計算したサラ金業者の暴利の実態の御説明があったんですが、一面、先ほど来議論になっているとおり、いきなり四〇%にしてしまいますと混乱が起きるということで、実際、大原発議者もそう言っておられますので、上田参考人からは、果たしてそういう混乱が起きるのかどうか、それから大原先生には、抽象論じゃなくて、具体的にどんな混乱が起きるのか、この点、具体的にお話をいただきたいと思います。
○衆議院議員(大原一三君) 業界と申しましても千差万別でございまして、大蔵省の調査によりましても、一言でサラ金業界ということで割り切れない実態があります。先ほど社会党の先生からもおっしゃいましたが、大手というのは幾つもないんですね、幾つもありません。こっちの方はちょっともうけ過ぎですね、実態は。一千億ぐらい貸して百六十億もうかる。これはいい商売ですよ。これは銀行と比べると、ちょっともうけ過ぎですよ。そこらをうんとどんどん下げていただきたい。
 ただ問題は、全国大手になっていけば問題ないんでありますけれども、十何万件というのが実際に生きて仕事をやっておるわけですね。お聞きしますと、サラ金業者というのはみんな暴力団で悪いやつだというふうに全部聞こえちゃうんですよ、いままでの議論は。私は必ずしも――僕の田舎は宮崎でありますけれども、暴力団的なサラ金業者も中にはあるでしょう。しかし、そうでない業者もいるわけなんです、これは質屋さんとか、昔からの。それで庶民金融としてなじんでいって、それが社会的な機能をそれなりに果たしている。それを全部切り捨てちゃうという議論になってきますと、これは混乱が起きますよ。
 そういったところも踏まえながら――われわれは七三%がいいと言っているわけじゃないんですよ、五四%がいいと言っているわけでもない。できるだけ早い機会に四〇%へ持っていきたいということです。四〇%業者もいらっしゃるわけですね、実態においては。ですから、なべて、全部切り捨てろという議論ならば、それはもう三六%にいきなりやっちゃって、それ以上は全部なくしちゃうというのが一番いいと思うんでございますけれども、そこを漸進的にひとつやっていこう。
 私も個人的には、四〇%の線をもう少し早く決められれば決めた方がよかったと思うんでありますけれども、なかなか議論の過程においてそこまで割り切れなかった。だから、次善の策として、現在の法律によって、それこそ漸進的に目標に向かって進もうというのがこの法律でありまして、消費者サイド一辺倒でもなければ――業者がなければ消費者はないんですからね。消費者だけのサラ金というのもないわけですから、そこらを両々割り切って、そして現在の実態を踏まえながら、徐々に目標に向かっていこうというのがこの法案の動機でありまして、そこらをひとつ御了解いただきたい、かように考えるわけです。
○参考人(上田昭三君) たの点についてお答え申し上げます。
 これからはまじめにやっていこうという業者でありましても、規模が小さいがゆえにこの金利を一挙に適用するならばやっていけない、そういう非常に低い水準に金利が決められますならば、そういった混乱は起こるかと思います。しかし、私がけさほど御引用いたしましたあの試算金利の基礎というものは、大手を基礎にしたわけでございませんで、最小必要従業員規模であります三人という極小規模の業者を基礎にいたしております。したがって、あの金利で適正な利益、利潤が上げられるわけで、どのような小さな業者でありましても適正な利潤が上げられるわけでありますから、いきなり三六・五%に持っていきましても混乱が起こるということは考えられません。もし
起こるといたしますれば、私は混乱じゃなくして、大きな不平は起こるでありましょうけれども、混乱が起こるはずはないと思います。
 なぜかと言いますれば、それで十分どんな小さな業者でもやっていける金利だからであります。それがやっていけないと言うのなら、私は、何回も申し上げるようでありますが、やっていけないその根拠というものを業界は明確な形で明示すべきである、私はそう思っております。
○近藤忠孝君 大原先生の答弁では、具体的にどこがどうやっていけなくなるのか説明なかったんですが、ただはっきりしたことは、大手はもうけ過ぎだということ、これははっきりしましたので、これは一つの収穫だったと、私はこのように思うわけであります。
 そこで、まだたくさん問題点あるんですけれども、せっかく日銀が見えておりますので、私は、このサラ金問題が金融界全体あるいは日本経済全体に及ぼす影響についてこれから若干の質問をしたいと思います。
 これは日銀の関係者の方から、昨年の十月ですが、「消費者信用市場の動向と金融機関の対応」という論文が出されまして、その中でサラ金問題について指摘されています。その要点は、銀行からサラ金業者に相当の融資がなされており、そしてそれが金融機関の運営上も問題だし、またその他多くの問題があると、こういう指摘がされておりますけれども、こういう指摘をされた根拠と、そして実際のサラ金問題についての御認識はどういうことでしょうか。
○参考人(宮澤彬君) 宮澤でございます。お答えいたします。
 御指摘の論文、私どもの考査局の総務課長の書いたものでございますが、こういった問題意識を持ちましたのは、御説のとおり、銀行がこういった貸金業者に対する融資というものに将来だんだん出てくる。こういったものがどんどん出てくると、その規模が広がっていけば、それはだんだん大きな問題になる。そういった意味で、私ども金融市場全体を見ておる立場から言いまして、そういった方についても勉強していかなければならぬ、こういった認識が最初でございます。
 それで、どういう認識を持っているかということは、これは日本銀行といたしまして、公式な検討を加えたということはないわけでございますが、一般の調査を行った一つの所感ということで言えば、貸金業者のいろいろなやり方、それなりの創意工夫をやっているとか、それは成長するだけのこともある。そういった面が一つ。それから、一方におきまして、資金調達の面で、いまのいろいろ社会的な問題は別にいたしまして、資金調達の面ではなかなか重大な問題も中にはあるような気がする。
 私どもといたしましては、金融機関には、慎重な態度といいますか、貸金業者に対する貸し出しはいけないとか、そういうことではございません。やはり一般の融資の原則というものがございまして、どんな場合でも預金者の金でございますから、健全な融資ということを心がけるべきだと思っておりまして、そういった点から同じようにそういったものについても慎重な検討をする、できればなるべく通常の金融慣行に合ったような融資が望ましいのではないか、そういったような漠然たる注意を喚起する、そういった気持ちでやっております。
○近藤忠孝君 いまの金融上の問題という点は、一つは担保としてとるものが、これは業者のサラリーマンとかに対する債権ですからね、大体担保になり得ないじゃないかという点が一つですね。担保上問題があるという点が一つ。
 それからずっと見てみますと、メーンバンクがないですよね。だから実態をどこもつかんでない。そういったところに大切なお金を貸すことが問題であるという、その辺ではないかと思うんですが、その点いかがですか。
○参考人(宮澤彬君) この点は、まあ御指摘のとおりだと思います。
 銀行が貸し出しを行う場合、通常、預金でございますとか債券でございますとか、そういったしっかりしたものをとることが本来望ましいわけでございまして、御指摘のとおり、貸金業向けのものは多くの場合ローン債権というようなものでございまして、こういったものは金融慣行上特殊なものである。また、実質は、これは考えようでございますけれども、無担保といいますか、あるいは信用貸しに近いと言われればそのとおりでございまして、余り好ましいものとは思っておりません。
 ただ、これはなかなかむずかしい問題でございますが、貸し出しに当たりましてどういった担保をどのぐらいとるか、あるいはとらないか、そういったことは銀行が自分の責任で決めるべき問題であろう。それからまた、その担保いかんにかかわらずと申しますか、あるいは担保を特に余りとらないような場合は一層なんでございますけれども、貸し出しを行うに当たりましては、その貸し出し先の経営内容その他について十分審査を行い、それからまた融資後の管理も慎重にやってもらう必要がある。そういったことで慎重な配慮を要望しておるということでございます。
○近藤忠孝君 サラ金業界は、すでに先ほどもお話しのとおり、三兆円経済になっておりましてね。そして、これから銀行局長への質問の中で明らかになろうと思いますけれども、ますます銀行からの金がふえていく傾向にあって、まさに急成長だと思うんですね。いままでも急成長したもの、たとえばボウリングとかいろいろありましたよね。そんなものがまたばたっと、急成長が早けりゃ早いほどばたっとだめになってくる。そういう場合に、今度はこれだけ規模が大きいと、もしもそうなった場合、まあ外国銀行からの金も出ているようで、国際的問題とか、あるいは国内上もいろんな問題が起きると思うんですけれども、端的に言って、どんな金融上あるいは経済上の問題が、そういう事態が起きた場合に起きるかどうか。その点どうですか。
○参考人(宮澤彬君) これは先生のおっしゃいますとおり、抽象的な仮定の問題といたしましては、私どももそういった問題が長い目で見るとあり得るというふうには認識しております。
 ただ、それは理屈としてそういうことを考えておりますが、実態につきましては、私どもそこまで現在十分把握しておりませんし、また現在、いまの貸金業者の経営が破綻して、それが非常に大きな問題になるかというと、いまそういう状況にあるかどうか、そういうふうにはいまのところまだ聞いておりません。
○近藤忠孝君 そこで銀行局長、お伺いしますが、銀行局からいただいた資料によりますと、サラ金専業者に対する金融機関の貸出実績というととで、昭和五十五年三月末に四百六億円であったものが、五十七年三月末には一千二百三十九億円と大変な急増であります。わけても銀行が、五十五年に三百二十八億円であったものが五十七年三月末には一千百五億円と、大変なことなんですね。これは直接のものでしょうけれども、途中いろんな会社や、ものを置いたりしての貸し出しを含めますと膨大な額になると思うんです。
 そこで、五十七年三月末ですが、その後まだずっと急増しているわけですね。一番最近の資料でこれはどのくらいの数になるんでしょうか。
○政府委員(宮本保孝君) 九月末が出ております。銀行で千八百四十二億でございます。
○近藤忠孝君 これは実際の有価証券報告書に基づいて武富士とアコム二社だけ調べましても、ことしの十一月末で約一千四百億円。だから全体は私はもっともっと大きいんじゃないかと思うんですね。この急増というのは、もう大変なものですよ。
 そこで、この点について上田参考人の御意見をお聞きしたいと思います。
○参考人(上田昭三君) 昨年度、特にこの大手四社の融資残高は激増いたしております。簡単に数字を申しますれば、大手四社の合計で、昨年度中で五千百四十六億円増加いたしております。ちょっと対比上この間に全国の一般金融機関、銀行、
相銀、信金、六百十三行・庫がどれだけ個人ローンをふやしたか参考までに申しますれば、六百五十一億円でございます。それに対してサラ金大手四社は五千百四十六億円もふやしているということであります。
 一体これほどの巨額の融資残高の純増がなぜ可能になったかということは、もう明らかにこれは一般金融機関が融資をしたことに基づいている、それによってまた大きなサラ金禍が発生しているということで、私はこれは非常にゆゆしき問題であろうかと思います。そして銀行は預金者から預金を集めながら、消費者から預金を集めながら、その消費者には余り貸さないでいる。そして大きな社会的問題を引き起こしておりますところのサラ金業者に莫大な金額の融資をするというのは、これは法的にはあるいは問題はないのかもしれませんが、しかし私はないとは申せません。
 なぜかと言いますれば、新しい銀行法の第一条におきまして、銀行というものは公共性を持つべきものと、こういうふうにはっきり規定されております。そして金融、日本の国民経済の健全な発展に貢献しなければいけないということがうたわれているわけであります。サラ金にお金を貸すことが国民経済の健全な発展を促すことになるのか、大いに疑問どころか、その全く逆ではないでしょうか。法的にも問題がございますし、それからまたサラ金業者に対する銀行の融資というものは、担保の面でもう一つ私は大きな問題があろうかと思います。
 それは実は大手といえども、その貸出金利自体は利息制限法に違反した金利でお金を貸しております。そういったものによって生じている元利を担保にした銀行貸し出しというものは、非常に問題が法律的にもあるのではないか、私はこのように感じております。
○近藤忠孝君 じゃ参考人の最後、樋口先生にお伺いしますが、一番大事な四十三条問題が最後になってしまったんですけれども、これを考える上で、先ほどの返済不能者が約十三万人。これは私、最高裁で調べた資料として、調停が約一万六千件、破産も大変激増していますですね。そして裁判は実際サラ金問題が表へ出ないものですから、これははっきりわからぬけれども、相当多いと思うんですね。ですから、返済不能者、問題のある人々十三万人のうち約二割は公的救済を受けるんだと私は思うんです。あと八割ぐらいのうち相当数が弁護士のところに行くと思いますね、弁護士一人年間二、三件扱ったとしましても、これは数万件になるわけです。あるいはそのほか労働組合とか商工団体あるいは地方議員、特にうちの党の地方議員なんかそんな相談をしょっちゅう受けていますのでね。
 そういういわば相談を受ける人々がおりますと、かなりの分が、要するに利息制限法で処理しようという人々によって救済の可能性があるとなりますと、この問題はあくまでも四十三条問題、利息制限法一条の問題というのは、たまたま裁判所へ出せる一万数千人の人々の問題であって、その事後処理にすぎない、こういう意見があるんです。私はいまの数字を見てみますと、そうじゃなくて、この利息制限法と最高裁判決があるからこそむしろ一般的な予防措置になっている。先ほど樋口先生もおっしゃったけれども、後ろめたい金になって、出るところへ出れば要求できない。この後ろめたさがあることが不当な取り立てを心理的にも防いでいるんじゃないか。そういう一般的効果は物すごく大きいと思いますが、それについての御見解と、四十三条がなくなった場合の効果、これについて御見解を賜りたいと思います。
○参考人(樋口俊二君) いま近藤先生おっしゃいましたように、あくまでも利息制限法を超えた不当な金利であるということがなくなってしまいますと、これは高金利を公認するということになろうかと思うんです。利息制限法に関する最高裁の判例は、これによって現実に救済される多くの人々がおりますし、そしてそれ以外にはほとんど手だてがないという意味では、これは伝家の宝刀というべきでございます。この伝家の宝刀を金利が低下する以前に投げ捨ててしまうという理由は全く見当たらない。こんなことをしますと、これは高金利をたとえ任意に払ったとしても、被害は被害でございます。一家離散、職場を失う、そういう極端な被害は別としまして、任意で払ったとしても、必要以上の暴利を払わされるということは、これは重大な被害である。そういうものが消滅する以前に、ほとんど唯一の手段であるところの利息制限法と最高裁の判例、この重要なものを投げ捨ててしまうということになりますと、被害はますます増大するであろう。これは最もわれわれの心配するところでございますので、この点はひとつ特に慎重に御検討いただきたいと思います。
○委員長(戸塚進也君) 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 退席していただいて結構でございます。ありがとうございました。
 質疑を続行いたします。
○穐山篤君 最初に大原先生にお伺いをいたします。
 この貸金業規制に関する法律案は、昨年の八月十九日の日に先生から提案理由が行われました。その日一日質疑が行われました。自来、慎重な取り扱いをしてまいりました。その間八カ月以上経過することになったわけです。その間業界からも、あるいは法曹界からも、さらには被害者からもいろいろな御意見が出ておりました。先生が提案をされました昨年の八月から今日まで状況を調べてみますと、大分事情の変化というものもあるわけです。
 そこで、お伺いをするわけですが、午前中からの参考人の意見その他を含めて、先生が提案されたものがベストではない、ベターだという気持ちはよくわかりますけれども、何らか補わなければ効果的な規制にはならないのではないかというふうに、心境としてはいかがなものでしょうか。まず、そこからお伺いします。
○衆議院議員(大原一三君) お説ごもっともでありますけれども、金利は、これは早く通していただければ早く下がっちゃうんですね。それがだんだん遅くなっちゃったものですから、状況の変化という議論も出てくるんだと思うんであります。
 私は、一〇九%から七三%ということ、初段階はそうでございますけれども、まだ実態金利が七三%以下でないというのがたくさんあるわけです。ですから、いまの段階で特に金利をいじる必要はないんではないか。とにかく早く通していただいて、早く金利を下げていただきますようにということが私の唯一の感想でございます。よろしくお願いいたします。
○穐山篤君 早く成立をさせるということについては原則的に賛成です。しかし、そのためには内容を充実する、豊富なものにする、あるいは行政対応を行うにしてみても、厳格に対応ができるような筋道にしておくことの方を、いま先生が言われております効果を言うならば、その方を重視すべきだというふうに思います。
 昨年の審議でも、またきょうの審議でもそうですが、一つは金利問題が中心になりました。それから二つ目には過剰貸し付けが議論になりました。第三番目には取り立ての問題が議論になりました。それらを含めて具体的な問題の指摘を行ったわけであります。いままでの審議を通してみて、衆議院の審議の段階で十分でなかった点も散見されます。それから行政対応として、この法律だけでは十分な監督指導ができない分野も十分に明らかになったのではないかというふうに私は思うわけです。
 すぐ修正をしろというふうに私はいきなり言うつもりはありませんが、少しずつ変化してきているので、あるいは内容をもう少し豊富なものにすることによって効果的な規制を期待するというふうなことを考えるとするならば、弾力的にこの法案の取り扱いについて考えてもいいのではないか
なと、こう考えますけれども、もう一度先生のお考えをいただきたいと思うんです。
○衆議院議員(大原一三君) 穐山先生の御指摘の弾力的取り扱い、いますぐはどの辺なのか、全貌がわかりませんので、具体的にお答えできませんけれども、先ほどもお答えしましたように、政令、省令、そして銀行局通達というものも、これもこれから出されるわけでございますので、当委員会における議論を踏まえながら、行政当局としてもそれに対応できる処置を考えてくれるものと思います。
 ただ、銀行局に聞きますと、ことしの四月から実際に発動したいという意見でございましたけれども、いまの状況ですと、登録を開始する手続、その他四月に間に合わないんではなかろうか。にもかかわらず、私としては、提案者としては、それらの事務的障害もできるだけ早く克服してもらって、できるだけ早急に実施していただきたいと、かようなことを考えております。
○穐山篤君 たとえば四十三条のみなし条項の問題は、この法律案の中では一つの柱になっていますね。それから金利問題についても一つの柱になっていることも十分承知しております。
 その問題は少しおくとして、大蔵省にお伺いをしますが、たとえば第一条、第二条にかかわります問題なんですが、最近、広範な新規参入がございますね。あるいは新商品の開発という問題もあるわけでして、非常に幅の広い貸金業という範囲になっているわけですね。これも一応列挙制ではありますけれども、第二条の五項目について十分に明確にしませんと、この法律の適用に混乱を生ずるというふうな問題がまず目につきますね。
 それから第三条の登録以下、登録に関する部分でいいますと、一応の資格要件が書類上満たされておりますと、拒否ができないような理屈になっているわけです。この登録の申請を見てみますと、たとえば日本国有鉄道の役員の選任だとか、あるいは電電公社総裁の役員の選任とほぼ似たような資格要件です。ですから申請は、出す人が間違いなく体裁を整えることになりますと、今度登録の申請を拒否するということは全く不可能になる。こういう問題点も出てくるわけですね。そこで、私ども前から申し上げているわけですが、法律的にこういう体裁も必要でありましょうが、いま社会問題になっています問題の規制を行うためには、もっと別な登録基準というものがなければ、大蔵省としても具体的にお困りになるだろう。これは当然だと思うんですね。
 それから第十三条の過剰貸し付けの禁止の問題につきましても、同様のことが言えるわけです。私はどこの会社ということは申し上げるつもりはありませんが、私の郷里でもここ数日支店が物すごく出張ってまいりましてびっくりしているわけです。開店記念でサービスというふうに書いてあるわけですが、具体的に例を聞いてみますと、二十万円借金を申し込んだら二十五万円貸してくれる。こういう事例はたくさんあるわけですよ。
 さらに第十六条の誇大広告の禁止にいたしましても、この原案でいきますと、この文章、文理というものは非常に抽象的でありまして、何か誇大であって、何が誤解を与えるようなものであるかについても非常に不透明です。ましてや、これにつきましては、直罰方式ですから、罰則かついているわけですが、適用に重大な混乱を生ずることももう目に見えているわけです。
 あるいは第二十一条の取り立て行為の規制にいたしましても、これまた同様なことが指摘できるわけでありまして、原案は非常に抽象的でありまして、こういう取り立て行為の規制という場合には、少なくとも具体的にやってはならない行為を列挙するということがなければ、この二十一条の意味というものは効果が発揮できないと思うわけですね。
 そのほかたくさんあります。たとえば協会の加入の問題についても同様であります。この法律案が成立すれば、相当事情は変化するというふうに皆さんはよく言われておりますが、いま協会に加入されている方は七%であります。
 そこで、先ほど私は指摘をしましたが、登録の申請を行う書面が形式的に整っていますと、それは拒否ができない。ですから登録がされる。ところが、協会の加入につきましては、正当な理由がなくして拒否はできないと書いてあるわけですから、申し込みをするならば全部協会に加入するという一面もあります。ところが、この法律の読み方によりますと、入らなくてもよろしいというふうに法律は保証しているわけです。そうしますと、この協会あるいは連合会というものの性格というものはどういうことになるんだろうか、あるいは大蔵省なり地方公共団体の指導監督という問題との兼ね合いでどういうことになるだろうかという面についての実務上の疑義がたくさん生ずるわけでありまして、これは当の大蔵省なり地方時治団体としては、法律は通ったけれども非常に困った法律が通ってしまう。また大蔵省の指導の姿勢と地方公共団体の指導監督の姿勢に違いが出てきますと、またそれぞれに混乱を生ずる、こういう問題も出てくるわけであります。
 そこで大蔵省、これは議員立法ですからおれは知らねえと言わないとは思いますけれども、これから皆さん方の方に所管が移るとするならば、そういう実務上のことも十分に配慮してもらわないと困るぞという主張があってもしかるべきだと思うんですけれども、その点いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) 確かにいま御指摘の点、私ども具体的に、じゃ行政をしていく場合にあるいはこの法律を運用していく場合にどうなのかという点、るる御指摘いただいたわけでございますが、私どもといたしましては、通りました法律につきましては、法律の趣旨が十分に生かされるように、ワークするように行政をしていく必要があるわけでございます。
 たとえば最初御指摘になりました適用除外の貸金業者、これにつきましては、法制局等とこれから打ち合わせするわけでございますけれども、できるだけ限定的に法の規制が無用の混乱を惹起することのないように政令を定めていきたいと思っております。
 また、登録の問題でございますが、これも大変数多い、二十万件というふうな数の多い現実を踏まえ、かつ過去の業務成績等を調査することに伴います困難性といいますか、不可能性というようなことを考えますと、法律の規定といたしましては、こういう規定でやむを得ないのじゃないかというふうな気がいたすわけでございますが、私どもといたしましては、この法律に定められました審査自体は厳正にやると同時に、また今度は、その後の業務実績等で法律違反のような業者の場合には、その登録を取り消すというふうなそういう権限も与えられているわけでございまして、そういう点につきましても、きめ細かに対応してまいるということかと思うわけであります。
 また、過剰貸し付けとか、そのほか誇大広告あるいは取り立て行為の具体的な話、この辺につきましては、私ども省令、通達等をつくります段階でできるだけ具体的に例示等をいたしまして、この法律の趣旨が生かされるように通達等で具体的にそういう好ましくないことなどを列記いたしまして指導していきたいと、こう思っております。
 それから協会の問題も、これは先ほど申し上げましたように、現在のこういう経済社会制度のもとにおきましては、なかなか強制加入の協会をつくるというのは大変むずかしいという趣旨から、任意加入になっているのではないかというふうに私ども理解しておるわけでございますけれども、この行政をしていく上に当たりましては、協会の持つ、何といいますか、機能というものが大変大切になってくるということは、十分私ども理解いたしておるわけでございまして、この協会を通ずる行政指導ということがこの法律の運用の成否にもかかわっているのではないかというような気もあるぐらいでございまして、この協会加入につきましてはできるだけたくさんの業者が加入するように、また加入した後の協会の動きというものにつきましては私ども十分に目を配ってまいりたいと、こういうふうに思っております。
 いろいろと御事情ございましてこういう法案になっておると思うわけでございますので、法律を受けまして、きょうまた、いろいろちょうだいいたしました御審議の点なんかも十分生かされるような行政をしてまいりたいと、こう思っています。
○穐山篤君 政令を出すにしても、省令を出す、通達を出すにいたしましても、その根拠規定というのはあくまでも条文であります。その条文が、私は全部とは言いません、最小限度先ほど指摘したような部分については全く不明瞭でありますね。そうしますと、皆さん方がつくります政令とか省令というのは、多分こういうことではなかろうかなという、そういうものでつくられるわけなんです。本問題というのはもっと厳格に具体的に示すということが重要な因子であるだけに、多分こうであろうというふうなことで政令や省令が書かれることは非常に迷惑だと思うんです。
 そこで、少なくともお互いに、いま銀行局長が、いろいろな都合でこういう法律になったといみじくも言いましたけれども、合意のできる範囲で弾力的に取り扱うということがあってもしかるべきじゃないか。いま私がそれぞれ示したようなものについては、提案者であります与党の皆さん、あるいはその他各会派も、それほど抵抗のある内容ではないと思うんです。そういうところまで全部これは一字一句だめですよというふうに言われているのか、あるいは抽象的な文理、文体なんだけれども、多分こうだろうということで政令、省令を書かれるとするならば、これはかえって混乱を起こすし、法律体系としても十分でない。後代の人からこの法律のつくり方に注文がつかないとも限らぬと思うんです。そういう意味で、少なくともそういう私が申し上げたような分野について、大原先生にもう一度、私いま具体的に申し上げたわけですから、考え方を明らかにしてもらいたいと思います。
○衆議院議員(大原一三君) 穐山先生の御意見ごもっともでございます。私も専門家じゃありませんが、非常に抽象的な表現がたくさんございます。たとえば取り立て行為の制限で「威迫」と書いてございますが、脅迫と一体どう違うんだというようなこととか、いろいろたくさん議論していけば切りのない問題がございます。たとえばこの人は借金を払わない、けしからぬ男だというビラを玄関に大きく張っちゃって帰っちゃったと。これは一体どういうことになるんだとか。しかしそれらのことを考えていきますと、どこからどこまでがよくてどこからどこまでが悪いということを逐一議論する、これも大変でございますが、この条文におきましては、たとえば二十一条の場合は、「私生活若しくは業務の平穏を害するような言動により」と書いてございますので、解釈によっては非常に幅の広い私は規定だと思います。
 業界が、先ほど申しますように、全部が悪ではない、悪い人はかなりいらっしゃるというようなことでございますので、これからの運用で一番問題になっていくのは、私はこういった種類の条文だろうと思いますので、それらは初めての規制でございますから、十分各党から出された、たとえば何時以降はどうだとか、あるいは夜中の何時の繰り返しの電話はどうだとかいうようなことが十分のみ込まれて、これから実行に移されていくものだというふうに、前向きでこれは今後政令、省令あるいは通達の場合に十分検討してもらいたいという気持ちでおります。
○穐山篤君 私の気持ちをかなり取り入れてはもらっていますが、最後のところへ行くとがくっと落ちる感じですね。それは諸般の事情があって衆議院段階でおまとめになったと、そのことも私は十分に認めているわけです。しかしその後の情勢の変化と、それから実際に法律を読んでみまして、適用をする場面で重大なそごを来すのではないかと心配をする部分があるわけです。
 いま先生も言われましたが、たとえば取り立て規制のところになりますけれども、この二十一条の条文に近いものは軽犯罪法が一つにはあるわけです。それからもう一つは、脅迫に関する罰というのが片方にあるわけですね。ここで言う二十一条というのはどの限界かということが全然明示をされていないわけですよ。
 そこで、私は絶対やってはならないことだけでもきちっと列挙をすべきだ。そうしませんと、この二十一条につきましては罰則の適用があるわけですから、現在の法律案でいきますと、ごく抽象的ですから、読みようによっては非常に幅が広いし、読みようによっては幅が非常に狭い。ですから、そこに一つ一つの節目を、垣根をつくって明確にしていく。これはこれから行政当局がやるにいたしましても、あるいは業界がみずからの問題として指導をするあるいは普及をするにいたしましても、一定の役割りを果たす問題です。
 したがって、そこまでも全部だめだというふうな考え方に立ちますと、かえってこの問題の取り扱いというのは少し厄介になってくるというふうに思うんです。もう一度先生のお考え方をいただきたいと思いますが、私はできるならば、お許しを得て、この際参議院が良識ある参議院として多少の努力をさらに払うということがあってもいいと思うんです。その場合に、提案者であります衆議院側として、全部だめだというふうなことを言わないで、内容を豊富にするんだ、参議院の良識が働いたものだ、こういうふうな理解をしてもらうことができないかどうか。もちろんその中身についてはこれから十分に御相談しますよ。一方的にやるつもりはありませんけれども、そういう慎重な態度、配慮というものがあっていいのではないかなと、こう思いますが、どうでしょう。
○衆議院議員(大原一三君) 穐山先生の御意見がいま初めてようやくわかりました。私は政令、省令、そして通達で全部いけるじゃないかというお話を申し上げておったんでありますが、どうもそこらのことは、私は提案者で一人で提案しているわけではございませんので、ここで断定的なことを申し上げる資格も力もありません。それは参議院でよく御検討をいただきまして、御提案いただく問題ではなかろうかというふうに考える次第であります。
○穐山篤君 もう私の時間が来てしまいましたが、私どもとしては、先ほどから申し上げておりますように、できるだけ内容を充実さしたいという気持ちかたくさんあるわけです。もちろん基本的な部分で意見の対立している問題もあります。ありますけれども、できるならば、合意のできる部分についてぐらいは合意したいものだと、こういう気持ちを持っていることを申し上げておきます。
 なお、大原先生言われましたように、参議院で十分に良識を発揮してよろしい、発揮してくれという気持ちは十分にいただいて、これから努力をしていきたいというふうに申し上げて、私の質問は終わります。
○塩出啓典君 まず、提案者の大原先生にお尋ねいたしますが、この四〇%にする時期が、当初衆議院でいろいろ審議の段階では、時期を明示しておった案もあったやに聞いておるわけですが、それが結局いまのように明示にならなかったその理由ですね。ということは、明示することに反対の意見がかなりどこかから出たのじゃないかと思いますが、それは大体どういう理由でそうなったのか。
 と申しますのは、大手はむしろ賛成じゃないかと思うのです。中小でもかなり中堅はこの程度まで将来いくのじゃないかなと思うけれども、もっとそれより下の小さい零細な業者の団体が反対したのか。また、そういう人たちも一個の人間として生きておるわけですから、そういう点を配慮して時期が明示されなかったのかなと、このようにも私は考えているのですが、そのあたり、どうなんでしょうか。
○衆議院議員(大原一三君) まさに塩出先生のおっしゃったとおりでございます。
 十数万件ある業者の中で、平均金利といいましても千差万別でございまして、大蔵省からもらった数字でも、とんでもない平均を出しておるわけでして、大手は、もう御承知のとおり、四〇%に
いって困ることは一つもないわけであります。大手と言いますのはもう数は幾つもないのですね。おっしゃいますとおり、中小零細の方でございますが、その中でも不動産抵当担保金融、手形割引の方は余り問題がない。
 問題はサラ金でございまして、ここを一刀両断に四〇%と切りますと、大分血が出るわけでありますので、徐々に業界の合理化、そしてまた優秀な企業が――優秀と言いましては語弊があるかもしれませんが、りっぱなサラ金業界になってもらうために秩序をつくろうという意味での漸進的な解決方法として、このような手段をとったわけでありまして、最初六年、こう書いてあったわけでございますが、これを附則でもって、五年を経過したできるだけ早い時期に金融情勢、金利の動向、サラ金業者の実態等を勘案しながら決めましょうというふうに変えたわけでございます。まさに先生の御指摘のとおりであります。
○塩出啓典君 これはいますぐ急にやれということになりますと、これはいろいろ問題はあると思うのですね。しかし将来どうあるべきかということは、われわれ政治家がある程度の方向性をもって決めていかなければいかぬと思うのです。
   〔委員長退席、理事増岡康治君着席〕
 きょうの午前中の参考人の御意見をいろいろお聞きしまして、上田教授は、大体貸し倒れ率が三%程度であれば、二十五万円以下の場合でも大体三〇%ぐらいの金利で十分やっていけると。問題は、どんどん容易に貸せば貸し倒れ率は高いし、金利は高くなる、そういうサラ金の存在を許すかどうかということになってくると思うんですね。だから極端に言えば、銀行みたいに厳しくすれば金利は安くていいわけだけれども、それも極端になると思いますし、そうなると、私は三六・五なり四〇%、そのあたりよりも高い金利のものは諸外国の例から見ても存在すべきじゃないか。そうすると、私はいますぐ四〇にしろと言うんじゃないですが、六年後ぐらいには四〇に持っていくよ、だから現在のサラ金業者の人もこの六年間の間にそれに備えてひとつ真剣に対応を考えろと、そういう方向を私は出すべきじゃないか。
 これはここで大原先生個人に申しましても、これはいろいろ議を経てきておるわけだから、ここで変えることはできないでしょうけれども、大原先生個人としては私の意見とそう違わないんじゃないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○衆議院議員(大原一三君) 個人としては全く同感であります。
 先生、これはこれでずっといきますと、正直言って、業界の数は私はだんだん減ってくると思うんです。これは法的規制がなまぬるいという御意見もたくさんございますけれども、いまの届け出制で野放し状態に比べれば大変きつい業界規制になっておると思います。そういう意味で、金利の引き下げと規制、この両面からずっと推移していきますと、先生のおっしゃるとおり、余り劣等生の業者というのはだんだん減っていくんではないかという感じを持っております。
 さらにまた金利の動向も、どちらかと言いますと、宮本銀行局長は専門家でありますけれども、一般の金利の動向もだんだん下がっていくであろう。さらにまた、先ほどこれはいけないという面から指摘がございましたけれども、企業の体質が改善されれば、金融機関から入ってくるお金の流れというものは、結局、いままでのような無理な資金繰りでもってつくらないでいいお金が来れば、金利の引き下げもまた加速されるであろう。銀行が貸すのが全部悪いと言うんじゃなくて、そういった面からいわゆるプラスの効果も私は出てくるんじゃないかというふうに考えております。
○塩出啓典君 私は、まずスタートして、そして七三%また三年後には五四・何%と、その後に私たちも、今度の法案に賛成することが業者寄りとかいろいろな批判もありますが、サラ金被害をなくし、しかしまた一方ではサラ金の果たしてきた使命もあるわけでございますので、そういう点も評価しつつ、この法案で決めておる最終金利に一日も早く到達できるようにわれわれも努力しますし、提案者としてもひとつ早く実現できるように努力をしてもらいたい。このことを要望しておきたいと思います。
 それから四十三条の問題でございますが、これは削除してもいいんじゃないか、そういうように私は思うんですけれども、本当に被害の発生には、ということよりも、被害を受けた人の救済のためには、この四十三条というのはあった方がいいんじゃないか。あった方がいいというか、これは一つの伝家の宝刀ですから、これはいろいろな面でやはり影響はあると思うんですがね。
 しかし、四十三条を削除した場合には、いまはそういうのがないわけですけれども、もしこの新しい法律でこの四十三条がなかった場合にはどういう弊害が起こると予想されますか。その点どうですか。
○衆議院議員(大原一三君) 先ほどから一番問題になっている個所でありますが、実効金利が七〇%以上というのは相当まだあるということですね。そういう状況の中で無理してそれを下げていくわけでございますから、そしてまた一方においては、いままでなかった行為規制、さらには幅の広い業務の取り消し、さらにまた登録の取り消しというところまでいっているわけでございますので、これはグレーゾーンは残るわけでございまして、なくなっちゃうわけではないんですね。たとえば肝心の契約書の書面の写しを交付しなかった場合とか、あるいはまた領収書の交付をしなかった場合とか、現制金利を超えて依然として貸し出しておる場合等は、利息制限法を超える金利につきましては元本充当、そしてそれを超えれば返還請求ができる仕組みに一応はなっておるわけでございます。
 規制の方面と金利の引き下げということとの兼ね合いで、業界をできるだけ無理なくわれわれの志向するいわゆる秩序のあるそしてまた合理的な経営の方向へ誘導していこうという法律でありますので、そこら辺にひとつ配慮したというのがこの四十三条の規定でございます。
 ですから、四〇%になれば、弁護士会の方は排除してもよろしい、要するに最高裁判所の判例のような考え方はなくてもよろしいと踏んでいらっしゃるんですが、それに比べると大分落ちますけれども、そこへ近づけていく過程において、申し上げましたように、血も出るわけでございますので、そこら辺との兼ね合いで、本規定は必要ではなかろうかというのがわれわれの考えでございます。
○塩出啓典君 これはたとえば四十三条にはいろいろ適用除外があるわけですけれども、その場合にこの四〇%以下の金利ですね、大手のサラ金とかあるいは大手流通業者あるいは信販業界はすでにもう四〇%以下の金利で、利息制限法は超えてはいるわけですけど、四〇%以下の金利の場合は、この四十三条は適用しないという適用除外に、そういうものも加えて、そういうようにすればなおよかったんじゃないかな、そういう気がするんですけどね。提案者はその点はどうでしょうか。
○衆議院議員(大原一三君) 先生のお気持ちはよくわかるわけでありますけれども、大手や銀行直結のクレジット会社は非常に恵まれた企業であります。サラ金業者の中で全部が悪いわけじゃありませんで、いいのもあるわけでありますから、庶民金融の実態になじんで今日まで必要な資金需要にこたえてきた部門もあるわけでございますので、そういった方たちのことを考えますと、いきなりグレーゾーンを残しておいたままで規制を加えていくというのは、そういったことを考えると、いかがなものだろうかという配慮がこの規定にはあるわけでございます。
 いずれにしましても、先生おっしゃるとおり、早く四〇%に持っていくことが問題の紛糾をなくするもとでありますので、そこの方面をおっしゃるとおりに努力していくということが必要ではないかというふうに考えます。
○塩出啓典君 四十三条にいわゆる適用除外として、衆議院の段階で、契約書を交付しないとか領
収書を発行しないとか、そういうような非常な悪徳というか、そういう場合は四十三条は適用しないということを設けたのは大きな一歩前進だと思います。
 で、二十一条の取り立て規制に違反した取り立ては、これは任意ではないのか。午前中の参考人の御意見では、強盗以外は全部任意だというお話なんでございますが、その点、立法者の趣旨というものが後々の裁判になったときの判決にも影響を及ぼすんじゃないかと思うんですが、この場合、任意に払うというその任意ということは、二十一条の取り立て規制に違反した取り立ては任意と言えるのかどうか。この二十一条そのものが抽象的という論議ももちろんあるわけですけれども、その点のお考えはどうでしょうか。
○衆議院議員(大原一三君) 任意の支払いという点につきまして、衆議院でも大分議論がありました。これはこの法律そのものにおいて規制された取り立てでありますし、こういった行為によって取り立てたものは四十三条の「任意」に該当しないと考えるのが妥当だと思います。
○塩出啓典君 それから他の業者から借りて返済に充てる。これは実は自主的にやるんではなしに、業者間でお互いに連携をとり合って、そしてこちらからこちらへ払わせるとか、こういうのも本人が任意にやるわけはない。安い金利のを借りて高い金利を払うということであれば、まだ任意性はあると思うんですが、そういう点は提案者としては立法趣旨においてどうお考えであるのか。
○衆議院議員(大原一三君) これは一概には言えないと思いますね、任意性にかかわるか、かかわらないかは。回し貸し付けというんですか、いまおっしゃったのは。そういったことは、これは法律では明示の規定はございませんが、私はある意味では好ましくない貸し付け行為ないしは取り立て行為になろうかと思いますので、その辺は行政府で、先ほども行政府に逃れるようで恐縮でありますが、通達ぐらいまでの段階で、その辺の規制を何らかの形で文章にしてもらいたいという気持ちは持っております。さらにまた、業界指導の要領も細かくこれからできていくと思いますから、そういった面においても指導要領の中へはっきりと明示してもらいたい事項ではないかというふうに考えております。
○塩出啓典君 それでは警察庁にお尋ねをいたします。
 きょう午前中の参考人等の御意見では、サラ金の被害は実質的にふえておると、このような御意見でございました。警察庁としては被害の実態についてはどのように掌握されておるのかお尋ねをいたします。
○説明員(仲村規雄君) 警察といたしましては、こういった貸金業をめぐる事犯につきましては、主としていわゆる高金利の問題を中心に取り締まっております。それにあわせまして、貸し金の取り立てに伴います暴行とか傷害、こういった悪質事犯につきましても取り締まりをやっておると、こういうことでございます。
 いわゆるサラ金に関する被害の実態というものにつきましては、何年年間を通じて調査をしたというものはございません。ただ、私どもとしては、毎年一カ月を限りまして、いわゆる金融事犯の検挙月間というものを設けております。その際に、検挙にあわせましていわゆる高金利事犯等の被害者を何人か抽出いたしまして、被害の実態というものを調査しておるところでございます。
 それによりますと、昨年の十一月そういった取り締まり月間を設けたわけでございますが、その際に、いわゆる高金利事犯の被害者になった借受人千八百人ほどの方からいろいろ調査をいたしました。そのうち、その結果によりますと、約三〇%の方が何らかの形でいわゆる不当な取り立てを受けておる。たとえば早朝深夜における自宅への電話とか訪問を受けたとか、あるいは職場へも何回も電話をかけられたり訪問を受けたとか、あるいは張り紙とか大声によるいやがらせを受けたというような、不当な取り立てを受けたというようなことを約三〇%の方が言っておるということでございます。なお、またそのほかに暴行、傷害を現実に受けたという方も若干名ではございますが、おるということでございまして、年間を通じたものはございませんが、そういった一カ月間の調査によりますと、大体そのような状況にあるということでございます。
○塩出啓典君 被害はどうしても高金利ですね。結局、高金利ということは、その裏には過剰貸し付け、過酷な取り立てということで、三つは関連していると思うんですね。そういう点から考えると、大手の方は比較的金利が安い。ということは、きょうの午前中の参考人のお話にありましたように、なぜそういう安いサラ金があるのに高い方に行くのかというと、大手は貸してくれないんだと。金利を安くすればそれだけ貸し出しに信用調査もしなきゃならないと。そうすると、あなたのようにしょっちゅう前歴のある者はなかなか貸してくれないよと言われれば、貸してくれる中小へ行かざるを得ない。そこは金利が高い。そういう点から考えれば、被害というのはむしろ金利の高いいわゆる中小以下に非常に多いんじゃないか。
 私はそういう考えで午前中の参考人に質問いたしましたところが、大手も多いと。大手も多いというのは、大手の借り主が多いから絶対数が多いという意味なのか、そこはよく私も確認しなかったんでありますが、総体的にはサラ金の被害者というのは高金利の中小の方が多いんではないかな。金利の安い大手はだんだん銀行に近づいてきているわけですから、貸し出しの制限もあるでしょうから、そういうところはだんだん減ってきておるんではないかな、そういう感じがするんですがね。
 警察庁として、現在までの事件の分析の中で、もしそういうような判断かなんかありましたらお聞かせをいただきたいと思います。
○説明員(仲村規雄君) 先ほど申し上げましたように、千八百六十名ばかり調査をいたしました。その方々は大体高金利事犯で検挙したいわゆるサラ金業者の被害者ということで、非常に高金利の被害者だけに限って調査したわけでございます。
 したがいまして、いわゆる大手業者等のそれほど高金利でない、そういったところから借りておる被害者につきましては、十分調査をいたしておりませんので、はっきりとした実態はわかりませんが、ただ先ほど言いました千八百名ほどの高金利のサラ金の被害者から聞いたところによりますと、大体最初はもちろん低利の大手業者から借りておる、ただしそれがもう枠いっぱいになっちゃってこれ以上貸してくれない、あるいはまた返済の期日が切迫いたしまして、すぐ幾らかの何がしかの返済金を用立てしなければいけない、それが期日が切迫してすぐには貸してもらえるところがないので、やむを得ずサラ金、高利ということを承知の上で、そういった高利のサラ金から借りておるというようなこと。そういうようなことで高利ということを承知しながら借りる人が大部分なわけですね。
 そのようなことからいたしまして、はっきりデータがございませんので正確なことは申し上げられませんけれども、高利の中小のサラ金から借りておる方々の方が、被害が多いのではなかろうかということはある程度推定されるのじゃなかろうかと、かように考えられるわけでございます。
○塩出啓典君 いまのあなたが高金利事犯というのは、結局、出資法の上限金利を超えたそういう事犯なんですね。それはもう本当に悪い人ですよ。それ以下でいわゆる過酷な取り立てとか、べたべた張られて非常に困る、そういうことで警察に駆け込むとか、そういうような事例はないんですか。
○説明員(仲村規雄君) 先ほども言いましたように、正確な数字は持ち合わせておりませんけれども、警察は、御承知かもしれませんが、いわゆる困り事相談所というのを設けておりまして、あらゆる困り事の相談を受けて必要な措置をとるということをやっておりますが、それが大体年間全国で二十万件ぐらいの困り事相談がございます。こ
れはあらゆるものが入っておるわけでございますが、その中で大体七、八%が金銭貸借をめぐる困り事、こういうことになっております。大体一万六、七千の数がございます。その大部分が恐らく、内容は詳しくわかりませんが、大体サラ金をめぐる問題ではなかろうかと、かように思います。そういうような相談が実際にあるわけでございますが、それがすべて一〇九%を超える高金利のものでは必ずしもないというふうに承知いたしております。
○塩出啓典君 サラ金の被害が非常に社会問題になっておるわけで、庶民としては、もしそういう被害に遭った場合に警察に言うていくか、弁護士さんに相談するか、そういうのが多いのじゃないかと思うんですけれども、そういう点では、警察としても、いままでのところは、そういう相談があっても、高金利事犯以外はなかなか言うてきても、それは借りたおまえが悪いのだと、そう言わざるを得ないような状況があったんじゃないか。その点はどうなんですかね。
○説明員(仲村規雄君) 確かにおっしゃるとおり、金銭貸借をめぐる単なる民事問題につきましては、なかなか警察としては介入する余地がないわけでございます。ただ、その過程におきまして、いわゆる刑法犯に触れるような行為があったかなかったかというような問題につきましては、十分慎重にお話を承って、必要があればそれなりの措置をするということで対処してまいっておるというふうに申し上げてよかろうかと思います。
○塩出啓典君 今度もしこの法案が通れば、そういう点ではどうなんですか、たとえば二十一条の強引な取り立てはいけないといっても、これはいままでだって、この程度であればやればできるのだと、そういう意見もある。そうなると警察の対応は全然変わらないということになっちゃうと思うんですね。そういう意味で強引な取り立てというものを警察当局が取り締まるにおいて一歩前進なのか、あるいは先ほどお話がありましたように、さらに政令なり、そういうものが必要であるのかどうか。そのあたりは、取り締まりの第一線にいる警察庁としてはどのようにお考えですか。
○説明員(仲村規雄君) 先ほど来お話ございますように、二十一条の構成要件は、確かにやや抽象的であるというようなお話がございましたが、私どももさように考えております。しかし、先ほどちょっと申し上げましたいろんな最近の取り立ての事例、幾つか申し上げましたけれども、そういった事例を今後具体的に実態に即して判断をいたしまして、場合によっては二十一条に該当するものもあるいはあるんじゃないか、かように思うわけでございます。したがいまして、従来刑法犯に触れないものについては取り立てができなかったわけでございますけれども、それよりは多少一歩前進であろう、取り締まりできるものも出てくるんではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 ひとつ、多少一歩前進じゃなしに、大幅に一歩前進するように努力していただかないといけないと思いますので、そういう点は、警察庁としても、二十万件のうち七、八%があるということじゃなしに、サラ金の被害等はいろいろ原因を分析して、コンピューターで集計して、警察庁としての一つの案を出すとか、そういうことがもしできれば、積極的にサラ金被害をなくするために、また実際に困っている人に対して警察が庶民のお巡りさんとして本当に力になってくれるという、こういうひとつ頼りになるお巡りさんになれるように努力をしてもらいたい、このことを要求しておきます。警察の方は結構でございます。
 あと、金融機関のサラ金業者向けの融資状況につきましては、先ほどお話がありまして、かなりふえておる。ふえておる状況というものは、銀行局としてはどうお考えなのか。好ましいと考えているのか、好ましくないと考えているのか、どうなんでしょうか。
○政府委員(宮本保孝君) 確かに先ほどもお話出ましたが、銀行だけで見まして三百億、四百億、千百億、千八百億でございますから、最近のふえ方は大変顕著なものがあるというふうに事実は認識いたしておるのでございますが、それが好ましいか好ましくないかにつきましては、いまのところまだ判断がつきかねる。
 ただ、私どもといたしましては、銀行がサラ金融資をいたします場合には、当該サラ金業者の経営実態あるいは営業姿勢あるいは資産内容等々、すべて勘案いたしまして、銀行の融資としてふさわしい、適正であるというふうに判断したものについて融資が行われているというふうに私どもとしては考えております。非常に需要があって、それでその需要にこたえるという意味において、
   〔理事増岡康治君退席、委員長着席〕
いま申し上げました融資判断、的確な融資判断に立って、そういう資金需要にこたえてきた結果として、最近かなり著増したというふうなことじゃないかというふうに思っておるわけでございます。
○塩出啓典君 銀行局の通達では、貸金業者の社会的批判を受ける行為を助長するような融資は自粛しろ、このように指導しておるわけでしょう。だから貸金業者の社会的批判を受ける行為を助長しないような融資は大いにやってもいいと、私もそう思うんですけれどもね。
 本来は、きょうの午前中の参考人の方も述べておられましたように、時代の流れによりまして、企業に対する金融、そういうものはだんだん減ってきて、そして消費者金融というものの市場がふえて、そういう時代の要求がふえてきたことに対して、都市銀行が、あるいは金融機関がそれに対応してこなかった。それが悪質なサラ金を助長したとも言われておるわけで、そういう中でまじめなサラ金がふえていくことは、私は非常に好ましいと思うんですね。
 そういう意味で、まじめなサラ金であるかどうかということは、一つはサラ金の貸し倒れ率がどの程度あるとか、あるいはまた貸出利率というものがどの程度低いのか。できるだけ金融機関の安い資金が導入されてそれが消費者に反映されるような融資でないと、それは銀行から安い金を借りてサラ金業者はもうかる、そのおこぼれの一部を銀行がもらって喜んでいる、消費者の方はさっぱりよくはならないと。こういうようなことになっては非常によろしくない。そういう銀行の融資によって金利も下がり、そして悪徳な悪い者が競争から脱落していくという、良貨が悪質を駆逐するというか、こういうような方向に進めていかざるを得ないんではないか、そのように考えるわけですけれども、銀行局としてはどういう御見解ですか。
○政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおりでございまして、消費者金融に及ぼしております大変大きな機能といいますか、消費者金融分野で果たしております大きな機能であるわけでございますので、そういう健全なサラ金業者が発展していく、あるいは健全になっていくという点について、銀行側がそれに手をかすということは、大変必要なことではないかと思うわけでございます。
 ただ、往々にして、いろいろと先ほど来も話がございますように、社会的な批判を受けるようなビヘービアというものが多々あったわけでございます。したがいまして、基本的にそういう社会的批判を受けることのないような基本的方針のもとで、健全にまじめに努力しているサラ金業者というものには十分手をかしていくというふうなことが必要ではないかと思います。
 それからもう一つは、一般の銀行の場合には、いろいろな業務上のあり方等もございまして、非常に小口の零細な小売金融ということをどんどんやっていけるかといいますと、なかなか機能的にそういう機能を果たせない面も多々あるわけでございます。したがって、そういう小口の消費者金融につきましては専門家に任せるということで、ある意味では大きな銀行等につきましては、健全な卸金融的な役割りを果たしていくというのも、今後の一つのあり方ではないかと思うわけでございまして、そういう意味におきましては、金融機
関の消費者金融業界への融資、これは慎重であると同時に、ある程度前向きであっていいんじゃないかと、こういうふうな気がいたしております。
○塩出啓典君 いままで銀行は、われわれがわずかのお金を借りる場合でも、担保とか、物というか土地というか、そういうものがなければ金を貸さなかったわけで、サラ金業者への銀行の融資を認めるということは、その担保になるものがいままでの物とか土地とはかわって、一つの信用というか、一つの債権、そういうものが担保になるわけでありまして、これはいままでの銀行行政では認めなかったものであったと思うんですが、そういう点は銀行行政としては方向転換は徐々にしているわけですね。サラ金への融資も大体いいんじゃないか、そういう方向転換というのは、何か通達とか、何月何日から変わったとか、そういうものはないんですか。自然にそうなってきているんですか。
○政府委員(宮本保孝君) この担保を取って融資するかどうかの点につきましては、これは必ずしも全部物的担保を取れというふうなことでもございませんで、担保の中には、物的担保もございますれば、あるいは人的担保であるところの保証というふうなこともあるわけでございます。それ以外に、先ほど申し上げましたように、当該融資先の経営の実態あるいは将来の見通し、いろんなもの、あるいは経営者の経営姿勢等々を踏まえまして、物的担保、人的担保も必要なく、信用でもって貸し出しをする場合も多々あるわけでございまして、これはたとえば都市銀行等におきましては、三割から四割ぐらい信用貸しになっております。
 消費者金融等におきましても、かなりの額が信用貸しをいたしておるわけでございまして、必ずしも全部まるまる人的、物的担保を取るべきだというふうなことでもないわけでございまして、そういう点におきましては、必ずしも銀行行政が担保については徐々に変化してきたということでもないんでございまして、あくまでも銀行自体がサウンドバンキングの精神に徹しまして、これは確実な融資であるというものであれば、それはそれなりに対応してもいいんじゃないかというふうなことでやってまいってきたわけでございます。
○塩出啓典君 それで、銀行もとかく、いままでの企業金融の場合でも、大体大きいところはぱっと貸すけれども中小企業には貸さない。大きいところは安全で小さいところは危険である、そういう点はもちろんあるわけですから、あれば安全なところを優先に貸すのは当然だと思うんです。サラ金業者においても、いまさっき言いましたように、貸し倒れ率の問題とかあるいは貸出利息の問題とか、そういう点で三年五年の実績を見て、本当に信頼の置けるところは、金融機関も余り差別をせずに、小さいところにも僕は貸してもいいんじゃないかと思うんですけれどもね。それをでかいところばかり貸すと、また中小のまじめな業者の経営を非常に圧迫して、大手ばかりになってもこれはいかぬじゃないかと思いますし、その点は僕はぜひ慎重に指導してもらいたい。その点はどうですか。
○政府委員(宮本保孝君) おっしゃられるとおりでございます。何も大きいところだから無担保というわけではございませんで、中小の業者におきましても、健全にまじめに努力をし、また将来性のあるというようなところにつきましては、健全な資金の流れとして前向きに対応すべきじゃないかと、こういうふうに思います。
○塩出啓典君 非常に低成長で景気も悪くて国の税収もなかなか予定どおり入らない、こういう時代に大手サラ金会社の高収益は、これは非常に特徴的なことで、武富士は百九十億、上位の地方銀行よりも超えておる。もちろん利益を上げることは悪いことではない。うんともうけて、うんと国に税金を払ってもらうということは、国にとってもそう悪いことではないと思うんでありますが、またそれなりにサラ金業界においても、銀行に比べれば、もっと効率もよく人件費も少なく、いろんなその努力もしている結果もあると思うんですけれどもね。しかし、それにしても非常にもうけ過ぎる。もうちょっと金利を下げてもいいんじゃないかな。民間の事業だから幾らもうけようが自分の勝手やないかという論理も成り立ちますけれども、サラ金もこれだけ大きくなれば、一つの社会的責任は同じように出てくるんじゃないかと思うんですがね。
 そういう意味で、これはいまは余り大蔵省も指導できる立場にはないと思うんですけれども、もしこの法案が通った場合には、いままでと違って多少指導していくとか、そういうことはできるんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 先生御指摘のとおり、また先ほど大原先生も御指摘ございましたが、確かに大手のサラ金業者の利益は余りにももうけ過ぎではないかというふうな気が私自身もいたします。ただ、これからは相当競争も行われてまいるでございましょうし、それからまたこういう法律が成立いたしますれば、いろいろ社会的な批判もさらに強まるというふうなこともございます。当然のことながら、高金利だけではその企業がやっていけなくなる場合も多々あるわけでございますので、当然金利は下がっていく可能性があると思います。
 それにいたしましても、先生御指摘のように、たとえば金融機関がサラ金に融資をいたしますような場合には、先ほど来おっしゃっておられますように、当該融資先企業の資し倒れの状況を見るとか、あるいは貸出金利等について十分消費者サービスが行われているかどうかというふうな点も含めて判断した上で、融資するような指導をすることは可能でございまして、それも含めまして、きょういろいろ御議論が出ましたことを行政的な指導で少しでも円滑に行われるように努力してまいりたいと、こう思います。
   〔委員長退席、理事増岡康治君着席)
○塩出啓典君 いま競争が、大手同士の競争が激しくて、店舗も物すごい急速な勢いでふえておる。その結果、競争の余り、過剰な金を貸したり、それが結果的には貸し倒れをふやすというようなことになってはいけないと思うのですね。だから競争はいいんですけれども、もっとコストを安くして消費者に利子を安くする、こういう意味の競争なら、これはいいと思うのですけれどもね。ともかくお客さんをかき集めてきて量をふやす、こういう悪い方向の競争にいかないように、こういう点に十分大蔵省としても目を見張っていただきたいと思います。
 特に、銀行のクレジットカード業務への進出について、特に最大手のJCB参加の都市銀行五行が独自のカード会社をつくる。銀行側は、カードを利用してのキャッシングサービスに対する需要が急増していること、あるいはまた一方では企業向け貸し出しの伸び悩み、こういうものを背景として、消費者ローン業務への進出に積極的な動きを示してきておるわけでありますが、われわれとしては前々からこういうことをもっとやれと、こういうことを言ったのが、いまごろになってようやくやり始めたという感じもするわけですけれども、こういう銀行側の動きの中で、消費者金融、いわゆるサラ金の果たす役割りあるいは銀行の役割り、こういうものをどのように考えているのか、これをお伺いします。
○政府委員(宮本保孝君) 消費者の金融に対するニーズが大変高まり、かつ多様化しておりますので、銀行自体がそういうニーズにこたえていくという必要がまず第一であろうかと思います。
 同時に、先ほど申し上げましたように、銀行本体ではなかなかきめ細かなサービスができないというふうな面もございますので、関係会社等をつくりまして、こういうクレジットカード業務等、あるいは消費者金融等に銀行の関係会社が参入していくということも、これまた評価できることではないかと思うわけでございます。また、それによりまして消費者金融業界が逆に健全化していく一つのきっかけにもなるんではないかというふうなこともあるわけでございまして、いろいろな形
態の企業が消費者金融業界で適正な競争を行うことによりまして、消費者金融のサービスが向上していくことを私どもとしては期待いたしておるところであります。
○塩出啓典君 いままで大蔵省は銀行、都市銀行、地方銀行、相互銀行あるいは信用金庫、これらを直接監督してきたわけであります。恐らく貸し倒れ率が非常に高いような場合には厳重に指導して、各金融機関も余り高くならないように一生懸命苦労したんじゃないかと思うんですが、いまのサラ金の場合は、そういう都市銀行等に比べれば、格段に多いであろうと思うんでありますが、きょう午前中質問いたしましたように、アンケート調査によりますと、二〇%以上の貸し倒れ率が八・八もあるという、こういうような状況であります。
 この法律が成立した場合には、大蔵省としてはこういう貸し倒れが二割以上も高いようなサラ金業者、これは結果的には、このままだと高金利になり、過酷な取り立てをしなければならなくなっちゃうと思うんですけれども、
   〔理事増岡康治君退席、委員長着席〕
そういうのに対しては指導できるんですか。その点どうなんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 私ども金融行政をやっていく上におきまして、サラ金行政といままでやっております行政との基本的な違いは、いままで都銀とか地銀とか信金とか、そういう管轄にありました金融機関の場合には、預金者の保護という大変重大な役割りを担っておる金融機関を行政指導しておるということでございます。
 銀行法の精神も、預金を扱うというところに、認可制といいますか、免許制を導入いたしまして、そして行政をやらせておるのがいまの銀行行政でございますが、サラ金の場合には、これは片一方だけの金融でございます。要するに融資だけの方でございまして、預金者の保護という点がサラ金行政にはなくてもいい。もちろん金融機関がサラ金に金を貸して、間接的に金融機関にはね返ることはございますけれども、直接的には預金者保護という見地がないという点が基本的に違う点でございますので、その貸金業者の融資の貸し倒れが大変たくさんあることについて、これを大いに指導して、その業者自体を健全化させていくというふうな見地よりは、むしろどちらかというと、そういう不健全な企業はだんだん淘汰されていくというふうな感じが基本的なスタンスなのではないかなというふうに感じておるところでございます。
○塩出啓典君 それなりにそういう方向でいいんじゃないかと思うんですが、それならば、たとえば最初の登録の場合には、全然そういう要件は入っていないわけですわね。ただ、この第四条の二項に、「大蔵省令で定める書類を添付しなければならない」という、こういう書類の中にそういうものを入れる考えがあるのかどうか。
 この法律を見る限りは、要は未成年者であるとか、禁治産者であるとか、そういう者でなければ、届け出ればちゃんと認可になるわけですね。その点は大蔵省令等で何らかのものを考えるのかどうか。あるいは、最初はいいけれども、三年後の更新のときには、三年間の実績を見て、脱税して、税金を全然納めてないような業者が申請してきても、これは更新するのかどうか。そのあたりはどうなんでしょうかね。
○政府委員(宮本保孝君) 先ほど来申し上げておりますように、銀行の免許の場合、これは先ほど申し上げましたように、預金を扱うという非常に重大な使命がございまして、そのためにかなり実質的な審査をした上で免許制にしておる。ところが、サラ金業者の場合には、いわゆる融資業務だけでございまして、こういう融資経済体制下におきましては、こういうものの設立について、それほど法律によりまして、実質的な審査の上かつ免許にするというふうなことになじまないのではないかというようなことでもって、今度の法案では、いま御指摘のようなかなり形式的な基準であり、かつ登録でとどめておるというふうなことではないかと思うわけでございまして、いま先生御指摘のような実質的な内容審査をした上で登録を受け付けるというようなことは、実は法律に予定されていないものでございますから、私どもの審査の中には入ってこないのではないかと、こう思います。
 ただ、登録した後、営業して、この法律に違反したような行為がありますような場合には、登録の取り消しもできますし、またその再登録のときにこれを断ることはでき得るということではなかろうかと思います。
○塩出啓典君 わかりました。いろいろ質問をしてまいりましたが、もうこの程度でとどめたいと思います。
 いずれにしても、いいサラ金業者を、健全なサラ金業者を育てていただく、貸し倒れ率も低いし、金利も安い、そして余り変なことをやらない、こういうような業者を育てていくことが、結局は悪い業者を淘汰していくことになると思いますね。そういう意味では、ひとつ大蔵省におかれましても、そういう方向に進み、そして一刻も早くこの四〇%の到達できるようにひとつ努力していただきたい。
 また、提案者も、大変長く出席をしていただいたわけでありますが、これは党派を挙げてそういう方向にわれわれも努力をしてまいりたい、そういう点でひとつ今後ともがんばっていただきたいことを要望いたしまして、質問を終わります。
○近藤忠孝君 あと残り時間、五分しかありませんから、銀行局長に端的にお伺いします。発議者はもう結構でございます。
 先ほど私は、銀行からサラ金業者への融資金額について、五十七年十一月末で、二社で一千四百六十三億と申しましたけれども、これはレイクを含めて三社ですので、訂正します。
 しかし、それにいたしましても大変な額になるわけですね。ますますふえていくし、銀行直接でなくて間接的なやつも含めますと、これは兆に達する金がそういう関係で動いている可能性もあるということになりますと、国民経済的にも大変な問題だと思うんです。
 そこで、先ほど来の五十三年三月八日の「金融機関の貸金業者に対する融資について」、これは「特に、貸金業者の高金利による融資、過当な収益の追求その他利用者の利益を不当に害するとして社会的批判を受けている行為」。ですから、高金利といいますと、先ほど問題になった適正金利がどこかということが問題だと思うんですね。
 先ほど局長は、こういう状況を好ましいか好ましくないか判断がつかないと、こう言いましたけれども、これは適正金利はどの程度か、これがまだ判断ついてないということではないかと、こう思います。ですから、大蔵省といたしましても、この適正金利について早急に調査し、そしてそれに基づいての明快な態度を打ち出してほしい。これは要望であります。
 しかし、それにしても、こんな急激な増加というのは大変なことだと思うんですね。緩やかな増加であれば、利益からそれをまた貸付金に回していくというんですが、いまは借りてきて貸してという、こういうことできわめて経済的にも大変なことだと思うんです。その中で好ましくないのがあるとなりますと、私は前に、五十三年三月に示したこの通達を現時点でもう一度十分に検討し、実情に合わせて的確な通達をし直す必要があるんじゃなかろうか、このように思いますが、いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) この点につきましては、これから法律を通していただきますれば、私ども準備に入るわけでございますが、政省令、通達、多分六カ月ぐらいはかかろうかと思いますけれども、その過程の中でサラ金融資のあり方等について再度見直しをいたしまして、この法律の中で、いろいろと先ほど来御指摘の点がございましたけれども、それも含めまして、通達をすることに相なろうかと思っております。
○近藤忠孝君 その場合には、銀行に対する融資の問題、これについても的確な指摘をする予定で
すか。
○政府委員(宮本保孝君) 先生の御指摘を踏まえまして対応してまいりたいと思います。
○近藤忠孝君 この問題はきわめて重大な問題ですので、私は大蔵大臣に直接ただす機会をひとつ持ちたいと、こう思って、その後は留保したいと思います。
 それで、あと若干お答えいただきたいんですが、サラ金業者の実態につきまして、一件当たり平均貸出額が増加しておりますが、五十五年以降どの程度増加しておるのか。
 それからもう一点は、支店が最近増加状況にある。これも急激な増加と聞いておりますけれども、その全国的な状況をどう把握しておるか。
○政府委員(宮本保孝君) 私どもは、一口当たりの金額につきましては、五十三年末の時点と五十五年九月末の時点、二回の調査しか行っておりませんので、それ以降についてはいまのところまだ不明でございますが、五十三年三月末では約七万七千円でございまして、それが五十五年九月末には十二万五千円でございます。
 それから支店数につきましては、貸金業者の開業の届け出は、現在都道府県知事に委任いたしておるわけでございますけれども、都道府県からは四半期ごとに業者数の報告は受けておりますけれども、支店についての報告は受けておらない、ちょっと私ども掌握しておりません。
○近藤忠孝君 この実態はやはり的確な行政をやっていくという上できわめて大事なことですので、早急に調査して御報告していただきたいということを申し上げて終わります。
○柄谷道一君 グレーゾーン金利の取り扱いにつきまして、最高裁判例の趣旨を否定する規定を設けることは、庶民の高金利に対抗する手段を失わせる、このような指摘が本日も参考人との質疑をめぐって強く指摘されました。私もこれは重要な問題であると認識をいたしておりますが、衆議院段階においてわが党はこの法案に賛成したという立場から、その状態も踏まえまして、私として若干の確認のための質問を行いたいと思います。
 まず第一は、貸金業者について登録制を導入し業務規制を行い、刑罰の対象となる金利を相当程度引き下げるという制度的な枠組みの中で、その範囲内で債務者の自由意思に基づいて契約した内容を任意に履行した場合、貸金業者が書面交付義務等を遵守している限り、その取り戻しを認めないとする趣旨であって、全体としてみれば、債務者保護の積極的な面も配慮されており、立法政策としては合法的な方法である。
 もちろん、いま私の申しましたことは、議員立法ではございますけれども、法制定後、施行の責めに当たる大蔵省当局として、いま私の申し述べました理解が間違っているかどうか、端的にお伺いいたします。
○政府委員(宮本保孝君) 大蔵省といたしましても、御指摘のとおりであると理解いたしております。
○柄谷道一君 さらに確認をいたしたいと思います。
 本法によって返還請求が認められなくなるのは、任意に支払ったものでかつ本法の書面交付義務に従ったものに限られ、依然として任意かどうか、書面交付義務を守った貸し出しであったかどうか債務者に争う余地が残されている。また債務者が利息制限法の制限を超える金利の支払いを拒否した場合、強制執行できないことは現行と変わりがない。このように理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(宮本保孝君) 大蔵省としても同様に理解いたしております。
○柄谷道一君 そこで、与党が、衆議院から送られてまいりました本法案に対して、修正に応ずるという場合は、また別の展開が行われると思うんでございますが、本法案が廃案になれば、現在のいわゆるサラ金問題に対する諸悪は依然として放置されたままになるという側面を考えなければならない。同時に、貸金業者が金利を明示した書面の交付義務等を本法によって遵守しても、現在の判例に従って返還請求が認められるということになりますならば、法律による罰則付き業務規制の意義が失われますと同時に、企業の取引の安定性が損なわれて、かえってやみにもぐる業者をふやすおそれがある。こういう点もまた見逃してはならないと、こう思うのでございます。
 ところで、もう一点確認いたしたいわけでございますが、遅延損害金については、本則の四〇%の金利が適用される時期には、グレーゾーンの金利はなくなるわけでございますから、その意味では返還請求の議論は経過的なものである。こう理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(宮本保孝君) そのように理解いたしております。
○柄谷道一君 出資法上の上限金利の引き下げにつきましては、法施行五年経過後の時点で「経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態を勘案して」年利四〇%とする日を法律で定める、こうされております。私は、この五年後のいま申しました諸実態を公正に分析し、法施行の日を速やかに判断するために何らかの検討機関を設置しておく必要があるんではないかと、こう思いますが、当局のお考えをお伺いします。
○政府委員(宮本保孝君) この四〇%とする時期につきましては、御指摘のとおり、法施行五年経過後に検討いたしまして、別に法律で定めることとされておるわけでございますので、私ども行政当局といたしましては、すべて国会の御判断におまちいたしたいと、こう考えております。
○柄谷道一君 本法案は議員立法であるから、国会の判断にまちたいということになりますと、責任を大蔵省みずからがこの国会にゆだねて、何ら公正な判断の基礎になる資料を提示しなくてもいいということにつながるのではないか。万が一そんなことになりますと、この四〇・〇〇四%にする時期が際限なくおくれていくというおそれもあると思うわけでございます。私は議員立法であっても、行政当局として経済情勢、金融情勢、そして貸金業者の業務の実態、これを最も的確に判断し得る立場にあるのは大蔵省当局だと思うわけでございます。したがって、形の上は法律で定めるわけでございますけれども、立法府に対して、これは可及的速やかにというのがその趣旨でございますから、諸情勢を公正に分析して、そのあるべき姿を立法府に対して提示するということは、行政当局としても当然の責務ではないか。こう思うんでございますが、その責任も回避されるという意味でございますか。
○政府委員(宮本保孝君) これから法案が成立いたしまして、徐々に金利が引き下げられるわけでございますが、とりあえずその法律施行後の運営、法律の運用状況、あるいはそれに基づきますサラ金業界の実態あるいはその推移、そういうものをすべて踏まえました上で、私どもといたしまして、私どもなりに立法府に対して御意見を申し上げることはあろうかと思いますが、その検討のための機関をいまここで置く必要があるかどうかという点につきまして、いまこの段階で私がお答えできるような状態ではないということでお答えにさせていただきます。
○柄谷道一君 ということは、くどいようでございますけれども、五年経過したその時点で、立法府から本法案制定の趣旨と、これを踏まえての大蔵省の五年経過した時点における公正な判断を求めるための資料ないしは大蔵省の考え方についてただすという場合は、当然お答えになりますね。
○政府委員(宮本保孝君) それは当然だと思います。
○柄谷道一君 それではもう一点お伺いいたしますが、生保・信託両業界が貸金業界に大量の貸し出しを行っていると私は承知いたしておりますが、大蔵省としてその実態についてどのように把握されていられますか。
○政府委員(宮本保孝君) 去年の三月末でつかんでおりますが、生命保険の場合には十二億、それから信託銀行は五十八億でございます。ただ、生命保険につきましては、九月現在で把握いたしておりまして、九月現在四十四億でございます。
○柄谷道一君 いわゆるサラ金苦に対する社会的な批判が強まりまして、それを受けて、貸金業に対する規制強化のために何らかの立法措置が必要ではないか、それが、ベストでないとしても、ベターの策としていま審議されている法案の内容であろう、こう思うわけでございます。
 そこで、そういう法律の趣旨を体しまして、この生保・信託両業界に対して今後どのような行政的な指導を行っていこうとされているのか。
 もっと端的に言いますと、これは考え方によってもろ刃の剣とも言える側面があると思うんですね。全然貸し出しを認めないというふうに完全に締めつければ、この貸金業はいわゆる裏金を資金の主たる財源としなければならない、そのことが資金コストを押し上げるという結果になるという側面が一方にございます。しかし他面、安易にかつ無制限にこの業界からの融資を許していくということになりますならば、逆にサラ金業というものを非常にイージーに助長するという結果にもなりかねない。いままで同僚議員の多くが指摘されましたように、本来的には、銀行ないしはその銀行の小会社といいますか、そういうところが低利小口融資制度の拡充というものを行って、できるだけ安い金利で庶民の金融需要に応じていくというのがあるべき望ましい姿であろう。そういう望ましい姿と、今回の法案の趣旨と、そして生保・信託両業界に対する行政指導の姿勢というものは非常に微妙にお互いに作用し合う問題ではないか、こう思うのでございます。
 この点、本来大臣にお伺いしたいわけでございますが、次官としてひとつ基本的な姿勢をお示しをいただきたい。
○政府委員(遠藤政夫君) いま柄谷先生御指摘のように、庶民小口金融につきましても、一般金融機関ができるだけこういったものに応じ得るような体制をとることが望ましいかと思います。しかし、そうは言ってもなかなか実態に応じ切れないという面がある。こういうことからいわゆるサラ金業というものが今日のような様相を呈しているわけでございます。
 したがって、その場合に、いま御指摘がございましたように、生命保険会社あるいは信託銀行から原資として融資をされる、それが過大になればいまおっしゃるような弊害が伴うし、さりとてこれを締めればいわゆるやみ資金に流れざるを得なくなってコストを押し上げる、こういう弊害が出てきます。したがって、この行政指導は非常に微妙なむずかしい問題がございますが、御指摘のようなそういった弊害を生じないように、こういった小口の庶民金融に十分行き渡るような指導をいたしますと同時に、その弊害がなくなるように、また将来はサラ金業と同時に一般金融機関でもこういった小口の庶民金融に手が出せるような方向に指導していくのが妥当であろうか、こういうふうに考えております。今後ともこの行政指導については十分御意見を踏まえて指導をしてまいりたい、かように考えております。
○柄谷道一君 ただいまの次官の御答弁に補足して担当局長としての具体的所信があればひとつ述べていただきたい。
○政府委員(宮本保孝君) 私どもの基本的スタンスは、いま次官御指摘のとおりでございます。
 なお、現在は、先ほど近藤先生からも御指摘ございました五十三年三月八日の口頭指導によっているわけでございますが、この口頭指導の趣旨自体、私ども基本的にこれでいいんではないかと思っておりますが、この通達の趣旨は、ややもすれば抑制的な見地から出しておる通達でございます。したがいまして、これから、先ほど近藤先生にもお答えいたしましたが、この法律を施行するに当たりまして政省令、通達を準備いたす段階で、こういう金融機関、生保、信託銀行も含めた全金融機関の貸金業者に対する融資のあり方等につきましても、検討の上、しかるべき内容のものができますれば、その通達の一環としてお出しすればいいのかなという感じがいたしております。
○柄谷道一君 通達になるかどうかは存じませんけれども、本法案がどういう趣旨でつくられたのかという点を十分踏まえた上での適切な行政指導ないしは通達の内容が作成されるように期待いたしておきたい、こう思います。
 次に法案の具体的な内容について若干の質問をいたします。
 本法案は、現行の事後届け出制から登録制に移行しまして、事前登録を義務づけるというところに一つの目玉があると思います。その場合、二つ以上の都道府県にまたがる業者の登録、すなわち大蔵大臣への登録については実際にはどの窓口でこれが行われるわけでございますか。
○政府委員(宮本保孝君) 原則的には財務局に担当させることになろうかと思います。
○柄谷道一君 財務局を窓口にする、こういうことでございますが、われわれは、行政改革のあり方として、現業部門を除く地方出先機関は廃止の方向をとるべきであるというのがもう在来からの主張でございます。そこで、いまや中曽根内閣は行革内閣をそのうたい文句にいたしておるわけでございますが、行革の基本理念と、本窓口を地方財務局とするということとの関連について、理解しがたい点があるわけでございますが、次官いかがお考えですか。
○政府委員(遠藤政夫君) いま局長から御答弁申し上げましたように、都道府県にまたがる場合は財務局、一都道府県の場合は、これは財務部が所管することになるわけでございます。いま行革で財務部の廃止が俎上に上っておりますけれども、いずれにいたしましても、こういった中小金融機関の指導につきましては、先ほど来御指摘のような弊害が起こることのないような十分な行政指導が必要でございますので、行革のいかんにかかわらず、必要なたとえば財務部がもし廃止されるということになれば、それにかわる担当窓口というものが設置されることになるであろうと思います。そういった機関を通じて十分徹底した行政指導を行うようにやってまいりたいと思っております。
○柄谷道一君 二県以上にまたがらないところで県に機関委任するというお考えは全くお持ちではございませんか。
○政府委員(宮本保孝君) ちょっと次官の御答弁の中で訂正させていただきますが、またがらない場合には都道府県に委任ということでございます。
○柄谷道一君 そこらを次官、もうちょっと勉強していただいてお答えいただかないと、混乱をいたします。
 次に立入検査、業務停止命令、登録の取り消し等の監督につきましては、これは大蔵大臣と都道府県知事との連携が当然必要になってくると思います。そのためにどういう連絡調整の場をお考えになっているのか、端的にお伺いします。
○政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおりでございまして、大変数多い対象を行政指導いたすわけでございますので、大蔵省と都道府県とが緊密な連絡のもとにこれをやらなければ実効は期しがたいわけでございます。ただ同時に、それがばらばらになるようなことであってはまた運用がうまくいかないわけでございますので、私どもといたしましては、十分統一した指導を行うように努めるつもりでございます。
 その連絡の場といたしましてどういう場をつくるのかということでございますが、たとえば現在でも信用組合の行政といいますのは、これは都道府県知事に委任いたしております。ただ、その場合におきましても、信用組合に対する行政の場合に、私どもといたしまして、都道府県に対しまして統一的な通達を出しまして、それによって行政してもらっているわけでございますけれども、その場合におきまして絶えず、たとえば年に一回とか年二回とか、全部都道府県の担当課長を集めまして、一緒に討論会をやるとか、研修会をやるとか、そういうふうな場も設けておりますし、特別に常時常設的な何か機関を設けるというようなことではございませんで、私どもと都道府県の担当の部局とが、あらゆる機会をとらえまして、常時密接な連絡をし合うというようなことに相なろう
かと思います。
○柄谷道一君 このために特別の場を設けるということは、またこれ行革との関連も生まれてくるわけでございますけれども、しかし都道府県に機関委任をする場合、よほど統一した意思の形成というものが徹底しませんと、この法案の施行、運用に関して各県まちまちの姿が出てきたのでは、かえって問題を大きくするという結果になろうと思うんです。過去の信金関係と違いまして非常に数も多いし、大手、中小、零細、それぞれが内容が違うというものに対する統一的指導は、従来の事例とは比較にならぬむずかしさと困難さがあると、こう予想されるわけでございます。本日の段階では、これ以上の御答弁はいただけないと思いますけれども、そこらは施行後の運用について、大蔵省当局としても十分の検討とその対応策がとられてしかるべきであろうと、このように私は思います。善処を求めておきます。
 そこで、業法の制定に伴いまして、私は、業界の自主努力といいますか、自助努力、そして強力な行政指導というものが相まって、初めてその近代化と体質の改善というものが促進されると思うわけでございます。そこで、業界への指導、これに対してはどういうルートで行われるお考えなのか。具体的には貸金業協会を通じて行うのか、個別企業に対して行うのか、この点についてお伺いいたします。
○政府委員(宮本保孝君) 対象が非常に多数あるものでございますから、原則として貸金業協会などを通じて対応しなきゃいけない場面がほとんどだと思います。ただ、ケースによりましては、直接の指導も行うことがあり得るかもしれませんが、概して、一般的に申し上げますれば、協会を通ずる行政が主になろうかと、こう思っております。
○柄谷道一君 それでは、その貸金業協会は都道府県ごとに一つに限るというお考えなのか、また全国貸金業協会連合会も一つに限るという考え方に立っておられるのか。あわせまして、その場合、現在の庶民金融業協会を発展的に解消するというお考えをお持ちなのか、具体的にいかがでございましょうか。
○政府委員(宮本保孝君) この法律案の中では、貸金業協会は各都道府県ごとに一個、それから全国の連合会も一個、こういうふうに規定されておりまして、一個ずつであろうかと思います。
 それで、この法案上、現在あります協会あるいは連合会でございますが、これは新しい貸金業協会になるための定款の変更をすることができることになっておりまして、それは各都道府県知事または大蔵大臣が認可するというふうな規定になっておりますので、現協会におきましては、いま御指摘のように発展的に新協会になるケースも多々あるのではないかと、こういうように思っております。
○柄谷道一君 その場合、その定款の内容について、大蔵省としてその指導ないしはモデルを示してチェックをするといいますか、そういうことはお考えになっているのですか。
○政府委員(宮本保孝君) そういうことになろうかと思います。
○柄谷道一君 そこで、そのようになった場合も、サラ金苦に対する社会的批判というものにこれからこたえていくためには、いわゆるアウトサイダー対策というものが重要になってくると思うわけでございます。そこで、貸金業協会に加入しないアウトサイダー業者に対して、どのような指導をどういう形で行っていこうとされるのか。また、それらの業者を協会に加入させるための誘導もしくは促進策についてどういうお考えを持っているのか。私は、せっかくの法案をつくり、大蔵省が積極的な指導をしても、このアウトサイダー対策というものを放置する限り、各委員から指摘された現在の問題点というのはなかなか改善されないという懸念を持つ者の一人でございますが、その点に対するお考えをお伺いします。
○政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおり、アウトサイダーに対して法律がうまく適用されないということになりますと、確かにこの法律の効果にも問題が出てくるわけでございますので、私どもといたしましては、このアウトサイダー対策、どういたしますか、いろいろこれから考えていかなくちゃいけないと思いますが、何といいましても、協会にできるだけたくさん入ってもらいまして、アウトサイダーの数を少なくしていくことがとにかく現実的な手法でございますので、できるだけ協会加入への道を何とか探っていきながら協会へたくさん加入してもらって、それを通ずる指導でもって実効を上げていきたいと思っておりますが、どういう方法でその加入しないアウトサイダーに加入してもらえるようにするかという点については、これまた通達等の段階でいろいろ関係方面とも御相談しながら考えてまいりたい、こう思っております。
○柄谷道一君 通達内容ということでまた逃げられたわけですけれども、これは非常に重要な問題だと思うわけです。そこで、これは言葉による説得だけで実効が上がるものとも考えられない。やはり加入することによるメリット、加入しないことによるデメリット、こういったものをできる限り工夫して、その加入というものが促進されるという行政手法をこれに加えていかないと、このアウトサイダーからまた新たな問題が生じるということを繰り返すのではないかと、こう思うわけです。その点に対しては、通達作成までにひとつ大蔵省の知能を集めて有効な対応策を検討されるべきであろうと、このように指摘いたしておきます。
 次に、業界の自粛以外に特段の規制がない現況に比べまして、法律で業務規制を行うということは、正常化のために一歩前進だと思うんです。貸付条件の店内掲示義務、誇大広告の禁止、契約書、受領書の交付義務、特に取り立て行為の規制について具体的な方針というものがあれば、それをお伺いいたしたい。あわせて、取り締まり当局である警察との連携体制についてどのようにしていくお考えを持っておられるのか。以上お伺いします。
○政府委員(宮本保孝君) この法律の規定がわりと抽象的な文言になっているではないかという御指摘は、前々この席でもあったわけでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけ指導の効果というものを上げていきますためにも、あるいは通達の中で具体的にもう少し法律よりは一歩突っ込んだ具体例なども示しまして、そういう行為規制というものの実効を期してまいりたいと思っておりますし、何といいましても、実効が上がるためには、違反者に対する刑罰の適用ということが非常に大きな効果を及ぼすのではないかと、こう思いますので、警察当局とも緊密な連携を保った上で、この法律の期待する効果が発揮できるように留意してまいりたいと、こう思います。
○柄谷道一君 通達等でその内容がより明確にされる、それは当然そうあらねばならぬと、こう思うわけですが、私は、この初期情報を一番つかみやすい立場にあるのは警察当局であろうと、こう思うわけでございます。
 警察としては、今日までも違法な取り立て行為というものに対しましては、これを取り締まってこられたということは承知するわけでございますけれども、今回の法案成立によって、いわゆる罰則を科した取り立て行為の規制が行われるということになれば、本法案の期待するところを具現するためにも、警察当局の対応というものは一層大きな任務を負うことになるのではないかと、こう思うわけでございます。本問題に対する警察当局の対応の姿勢についてこの際お伺いをしておきたいと思います。
○説明員(仲村規雄君) 警察といたしましては、ただいまお話ございましたように、従来からサラ金業者等の不法な取り立てに関しましては、刑法の脅迫とか恐喝あるいは暴行、傷害、あるいは暴力行為等処罰ニ関スル法律、こういったものを適用いたしまして厳正に取り締まりをやってまいりました。本法制定の暁にはやはり一歩前進、まあ
非常な前進でございますので、サラ金業者の取り立ての実態も十分に把握する努力をいたしまして、本法の趣旨、特に二十一条の条文が十分に生かせるように、厳正な取り締まりをやってまいりたい、かように考えております。
○柄谷道一君 大蔵にさらにお伺いいたしますが、貸金業者に対する登録取り消しの措置が本法案に明らかにされているわけでございます。そこで、業者がその取り消しに対して不服申し立てを行う場合、どういう道があるのか。具体的には行政不服審査法に基づくその不服の処理が行われるのではないかと、こう理解するんですが、そのとおりでございますか。
○政府委員(宮本保孝君) 登録取り消しにつきましての不服申し立て手続が特にこの法案に規定されておりませんので、御指摘のとおり、一般的な行政処分と同様に行政不服審査法に基づいて行われることになるのではないかと、こういうふうに考えております。
○柄谷道一君 次に、貸金業界というものを健全化いたしまして、過剰貸し付けを防止するという立場に立ちますと、消費者信用情報制度というものが当然必要になってくると、こう思われるわけでございます。ところが、現在は大手が民間に委託をするとか、ないしは大手が連合してセンターを設置するという形でいま対応しておるわけでございます。
 そこで、そういう方法を今後続けていくということになりますと、これは全体をカバーしてないわけですね。同時に、これを全体カバーしようと考えますと、今度はプライバシーの保護という視点がまた重要な一つの問題として浮かび上がってくると、こう思うわけでございます。
 そこで、これは党というよりも私の私見でございますけれども、むしろこういう消費者信用情報制度等につきましては、準公的な立場というものを持つこの協会自体の一つの任務としてそういうことを行う。と同時に、プライバシーの保護に関して、また適切な当局の指導がこれに加わるということが一つの方法ではなかろうか、こう思うわけでございます。こういう方法をとりましても、なお依然としてアウトサイダーの問題は残りますけれども、現状に比べれば一つの前進であることは間違いがない。アウトサイダー問題はまた別個に対処することとして、この問題に関する大蔵省のお考えをお伺いいたしたい。
○政府委員(宮本保孝君) これも御指摘のとおり、過剰貸し付け防止のためには個人信用情報機関を確立することが必要であるということは、私ども十分認識いたしております。この法律におきましても、第三十条にございまして、その貸金業協会みずからがそういう情報機関を設立するか、または他の情報機関を指定いたしまして、それを協会に利用させることなどを義務づけておるわけでございまして、御指摘のように協会が中心になりまして、こういう信用情報というものの制度を確立していくというふうに相なろうかと思うわけでございます。
 なお、御指摘のとおり、プライバシーの保護の問題と絡まるわけでございますが、この点につきましては、各方面でいろいろプライバシーの問題が議論されておりまして、そういう議論なども参考にいたしながら、私どもと協会とが緊密な連絡をとりながら十分その点については留意してまいりたい、こう思っております。
○柄谷道一君 われわれは別個プライバシー保護に関する立法の要求をしておるわけでございますけれども、そのプライバシー保護に関する法律が制定されれば、当然その枠内に組み込まれることになると思うんですけれども、この法案が先行する場合に、大蔵当局としてその点に対する十分な配意がないと、片や過剰貸し付け防止という点においてはいい面を発揮できても、これがまた違った意味での問題点を醸し出すということも十分に配意していかねばならぬと思うわけでございます。
 この点につきましては、いま行管庁ですか、中心にこれらの検討も進められておりますので、大蔵当局としても、この制度というものをつくり、かつ運用していく上において、十分なプライバシー保護に対する配意が行われるように、これも求めておきたい、こう思います。
 最後に、私は、本法案は上限金利について、その引き下げについて相当期間の経過措置がとられておること、また四〇%になる時期が明らかでないことや、いわゆるグレーゾーン金利の取り扱いについて必ずしも最善のものとは考えられないなどなど、多くの問題点を蔵しておることは理解いたしておりますが、登録制への移行、業務規制の強化、監督権限の強化という積極的な面、及び、きわめて不満ではあるとはいえ、上限金利の段階的引き下げということが含まれていることなど、全体として見れば、利用者保護が前進するという面において私は次善の策として評価しておるものでございます。
 しかし、貸金業に対する規制が本当に強化、適正化される、そして政省令や通達の内容いかん、ないしは法の運用に対する行政当局の姿勢、これがいわゆるサラ金苦というものに対する社会的批判にこたえ得るかどうか、そこにかかっている。法律もさることながら、この私がいま指摘しましたような点に対する問題認識、それへの的確な対応というものがあって初めて本法案を制定する趣旨が生かされてくるものと、こう考えるわけでございます。
 同時に、上限金利を四〇%とする日ですね、法律で定める日というのは、私は法施行後五年を経過すれば的確かつ公正に諸情勢を分析してその日をできるだけ早くするということがまた本院各党の求めるところではなかろうかと、こう理解するものでございます。
 この問題に関する次官としての法案成立後の基本姿勢というものに対して、明確なる答弁を求めまして私の質問を終わります。
○政府委員(遠藤政夫君) この法律が制定されましても、なおかつ幾つかの大きな問題が残されていることは御指摘のとおりでございます。しかし、いずれにいたしましても、この法律ができるということはサラ金問題について大きな一歩を踏み出したことになろうかと考えております。したがいまして、この法律の施行に当たりまして、この法律が消費者保護という考え方に立っているという、この基本精神にのっとりまして、政省令の制定なりあるいは通達、行政指導に十分な配慮を加えていかなければならないと、かように考えております。
 また、この法律を具体的に執行するに当たりましても、先ほど来御指摘になりましたようなむずかしい問題が幾つかございます。こういった点につきましても、当委員会の審議の経過を踏まえ、また、いま柄谷先生から御指摘のありましたような点を十分配慮しながら、適切な行政指導を行ってまいりたい、かように考えております。
○委員長(戸塚進也君) 両案に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十三分散会