第098回国会 決算委員会 第1号
昭和五十八年一月十九日(水曜日)
   午前十時十二分開会
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  委員氏名
    委員長         竹田 四郎君
    理 事         井上  裕君
    理 事         杉山 令肇君
    理 事         内藤  健君
    理 事         降矢 敬雄君
    理 事         和田 静夫君
    理 事         峯山 昭範君
               大河原太一郎君
                岡部 三郎君
                河本嘉久蔵君
                北  修二君
                高橋 圭三君
                竹内  潔君
                塚田十一郎君
                仲川 幸男君
                福岡日出麿君
                福田 宏一君
                三浦 八水君
                森山 眞弓君
                鈴木 和美君
                瀬谷 英行君
                藤田  進君
                本岡 昭次君
                黒柳  明君
                鶴岡  洋君
                安武 洋子君
                小西 博行君
                三治 重信君
                山田  勇君
                森田 重郎君
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   委員の異動
 一月十八日
    辞任         補欠選任
    瀬谷 英行君     茜ケ久保重光君
     山田  勇君     中山 千夏君
 一月十九日
    辞任         補欠選任
    茜ケ久保重光君     瀬谷 英行君
     黒柳  明君     渋谷 邦彦君
     三治 重信君     柄谷 道一君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         竹田 四郎君
    理 事
                井上  裕君
                杉山 令肇君
                内藤  健君
                降矢 敬雄君
                和田 静夫君
                峯山 昭範君
    委 員
                岡部 三郎君
                高橋 圭三君
                竹内  潔君
                塚田十一郎君
                仲川 幸男君
                福岡日出麿君
                森山 眞弓君
                鈴木 和美君
                瀬谷 英行君
                藤田  進君
                本岡 昭次君
                鶴岡  洋君
                安武 洋子君
                三治 重信君
                中山 千夏君
                森田 重郎君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  林  義郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  梶木 又三君
   政府委員
       警察庁刑事局長  金澤 昭雄君
       環境庁長官官房
       長        加藤 陸美君
       環境庁長官官房
       会計課長     森   孝君
       環境庁企画調整
       局長       正田 泰央君
       環境庁大気保全
       局長       吉崎 正義君
       法務省刑事局長  前田  宏君
       大蔵政務次官   塚原 俊平君
       国税庁次長    酒井 健三君
       国税庁直税部長  角 晨一郎君
       厚生大臣官房会
       計課長      坂本 龍彦君
       厚生省公衆衛生
       局長       三浦 大助君
       厚生省医務局長  大谷 藤郎君
       厚生省社会局長  金田 一郎君
       厚生省児童家庭
       局長       正木  馨君
       厚生省保険局長  吉村  仁君
       厚生省年金局長  山口新一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        丸山 利雄君
   説明員
       法務省刑事局刑
       事課長      飛田 清弘君
       大蔵省主税局税
       制第三課長    真鍋 光広君
       厚生省環境衛生
       局水道環境部長  山村 勝美君
       社会保険庁長官
       官房審議官    入江  慧君
       運輸省自動車局
       業務部貨物課長  浅見 喜紀君
       労働省婦人少年
       局婦人労働課長  佐藤ギン子君
       建設省住宅局住
       宅政策課長    北島 照仁君
       自治省行政局行
       政課長      中島 忠能君
       会計検査院事務
       総局第四局長   磯田  晋君
   参考人
       医療金融公庫総
       裁        北川 力夫君
       環境衛生金融公
       庫理事長     加藤 威二君
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  本日の会議に付した案件
○調査承認要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十四年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十四年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十四年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十四年度政府関係機関決算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十四年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十四年度国有財産無償貸付状況総計算書(第九十四回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十五年度一般会計歳入歳出決算、昭和五十五年度特別会計歳入歳出決算、昭和五十五年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和五十五年度政府関係機関決算書(第九十六回国会内閣
提出)(継続案件)
○昭和五十五年度国有財産増減及び現在額総計算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和五十五年度国有財産無償貸付状況総計算書(第九十六回国会内閣提出)(継続案件)
○委員派遣承認要求に関する件
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○委員長(竹田四郎君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 まず委員の異動について御報告いたします。
 昨一月十八日、瀬谷英行君及び山田勇君が委員を辞任され、その補欠として茜ケ久保重光君及び中山千夏君が選任されました。
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○委員長(竹田四郎君) 次に、調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は今期国会におきましても国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査を行うこととし、この旨の調査承認要求を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(竹田四郎君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、必要に応じ政府関係機関等の役職員を参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(竹田四郎君) 次に、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題といたします。
 本日は厚生省、環境庁、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。
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○委員長(竹田四郎君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(竹田四郎君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 まず厚生省の関係で、昨年の十二月に報道されました大分県の歯科医師会の振替請求をめぐる諸問題について質問をするのでありますが、実は委員長、いま私がここへ座りましたら、国税庁の国会の担当の方が見えまして、要求をしてありました国税庁長官が出席をできないと、こういうことであります。
 きょうとあしたは参議院の決算委員会を開くということはもう十二月から決めていることです。大蔵大臣も実はきょうは、これは外国でありますが、しかもまあ私たちが知らぬうちに出かけられた。国税庁長官は国内のどこかにいる。出てこれない。冒頭の質問は実は国税庁長官なのであります。決算委員会を予算委員会並みに重視をするということは、これは両院を通じてずっと確認をしてきたことであるにもかかわらず、大蔵関係の主要なトップクラスが全部決算をボイコットする。じゃ総理に出てきてもらうという以外になくなるわけですが、ともあれ国税庁長官出てこないので質問に入るわけにいかぬわけです。委員長にこの取り扱いを御協議願いたいと思いますがね。
○委員長(竹田四郎君) これは大蔵省どうなっておりますか。
○政府委員(塚原俊平君) 大蔵省の政務次官でございます。
 まず大臣につきまして、外交日程で外遊をいたしておりまして、大変に先生からおしかりを受けたわけでございますけれども、かねてより総理の方からも御答弁申し上げておりますとおり、大蔵省十分に決算委員会の最重要性というものを認識して今日まで行動をいたしてまいったわけでございますが、国税庁長官につきましても、どうしても本日前々からの日程でございまして出張ということと重なってしまいまして、和田先生からのおしかり、まことにもう私ども申しわけない限りでございますけれども、どうか、政務次官それから直税部長出席をいたしております、何とぞよろしく御配慮のほどお願いを申し上げます。
○和田静夫君 これはちょっと私、了承できないんです。特に国税庁の守秘義務問題で論議をしようというときでありまして、しかもいま大蔵政務次官の御答弁がありましたから、大蔵政務次官に別に反論しようと思わないですが、いままでの国会対策のことから考えてみますと、大蔵省の政府委員室というのは直接的には国税庁問題には関与しない、国税庁は国税庁のいわゆる国会対策の係がいろいろの協議に応じていくんですというのがこれは公式のあり方でした。そういう立場でずっと接触をしてきました。いまここに質問者が座ったら初めて国税庁の国会担当者が来て、国税庁長官は出ることはできません、こういう言い方というのは不見識もはなはだしいと私は思いますよ。これぐらい決算委員会が愚弄されて、そして了承して事を運ぶと、そんなわけに私はいかぬ。
○委員長(竹田四郎君) ちょっと速記をとめてください。
   〔午前十時十八分速記中止〕
   〔午前十時三十四分速記開始〕
○委員長(竹田四郎君) 速記を起こして。
○和田静夫君 国税庁の次長にまず質問いたしますが、昨年年末にこの大分県を初めとする日本の歯科医師の不正請求事件について幾つかの報道がありました。
 大分県の歯科医師の振替請求といいますか、不正請求といいますか、内容的には、ニッケルクロム合金を治療に用いながら、金銀パラジウムを用いたとして不正請求が行われたというのが税務調査でおわかりになったということになりますね、これは。
○政府委員(酒井健三君) 私ども国税当局、昭和五十五年分の事後調査の一環といたしまして、一昨年の八月以来医師及び歯科医師の社会保険診療報酬に係る必要経費の特例計算に関する調査を行っておりましたが、その後、大分県におきまして二、三の歯科医師を調査いたしました関連から、県内の各所の歯科医師から自主的に修正申告が出されたというふうに聞いております。
○和田静夫君 ニッケルクロム合金が金銀パラジウムに比べて著しく安い、加工がしやすくなった、にもかかわらず、保険対象にすることが放置をされてきたわけですね。今回の事件の発生というのはここにあるわけでしょうけれども、いわば技術的なそういう一因、そういうこの技術改良に対する行政の立ちおくれというのは、これは厚生大臣、問題としてありませんか。
○国務大臣(林義郎君) ニッケルクロム合金に変えるという話は前からいろいろと議論をされておりましたし、懸案になっておったところの問題で
ございますし、今回の事件があったからということではなくて、前から議論のありました問題でありましたから、今回の診療報酬の改正で解決をしたところでございます。
○和田静夫君 それだから私は、二月からそうやられることを知らぬわけじゃありませんが、行政上のやっぱりおくれというのが技術革新等の関係ではあったんじゃないだろうかということを考えるんですが、その辺はいかがなんですかね。
○国務大臣(林義郎君) 技術的な問題でございますから、担当の局長からお答えさせます。
○政府委員(吉村仁君) お答えを申し上げます。
 ニッケルクロムの鋳造は約十年前ぐらいから一応可能ということで、私どもといたしましては、鉤だとかあるいは冠用には製品化されたものを保険に取り入れておりました。しかしながら鋳造歯冠修復のために使うニッケルクロムにつきましては、材質のかたさだとかあるいは鋳造技術のむずかしさ等がいろいろ問題でございましたので、この改良が行われるのを待っておったわけでございますが、一応そういう改良というものが可能になったのが、私どもとしては二、三年前ぐらいからだと、こういうように聞いております。したがってそういうものが可能になったとすれば、一応学会の意見も聞きまして、保険の中に取り入れるべきかどうかということを検討してまいったわけでございます。そして今回の診療報酬の改定におきまして、学会の方からもよかろうと、こういう一応の御意見をいただきましたんで、それに基づきまして今回の改定で取り上げたと、こういうことでございます。
 確かに学問の進歩あるいはそういう技術の進歩に伴いまして、それを保険診療の中に遅滞なく取り入れていくと、こういうことは、これは非常に重要なことでございまして、私どももそういう方向でいろいろやってまいってきたつもりでございますが、若干中医協の審議だとかそういう学会の御答申をいただくとか、そういうようなことで若干のおくれが出てくるということも、これは先生御指摘のとおりではないかと、こういうように思います。
○和田静夫君 昨年の六月にこの診療報酬を改定したわけですが、その後診療報酬は横ばいないし微増程度でふえていない。これは一体どういうことだろう。これは何も歯科医師に限りませんがね、医師、歯科医師含んで。こういう事実というのは、やっぱり不正請求が存在をしている客観的なバロメーターの一つじゃないだろうか。これは大臣どうです。
○国務大臣(林義郎君) 不正請求の一つのバロメーターかどうかと、こういうお話でございますが、私はいま局長から御答弁申し上げましたように、医療技術、いろんな新しい技術が出てくるし、それを取り入れていくということはもちろんやっていかなければなりませんが、やはり医療でございますから相当確実な技術、確定、安定された技術ということにならなければやはりいかぬのだろうと、こう思うのです。だから、そこが単に取り上げるのがおくれたからそれが不正請求の、というところにはすぐには私は結びつかないんではないだろうかというふうに考えております。
○和田静夫君 いまの同じ質問、どうです、保険局長。
○政府委員(吉村仁君) 確かに先生御指摘のように、医療費の伸びが若干鈍化をしていることは、これは事実でございます。私ども医療費が一つ世間の非常に大きな問題になっておりますし、臨調におきましても非常に大きな問題として取り上げられておるのが現状でありますが、したがって医療費の適正化については厚生省といたしまして、あるいは保険局といたしましても十分力を注いできておるつもりでございます。それから、診療報酬の改定におきましても、やはり乱用が起こらないような形で診療報酬の改定を行ってきておるつもりでございます。あれやこれやでやはり医療費の伸びが少し鈍化をしておると、こういうことだと私どもは思っておりますが、そういう鈍化をしたがゆえに片一方で不正請求が行われているというようには私どもは解しておりません。
○和田静夫君 大分県の今度の問題で、歯科医師のうちに大体何割ぐらい不正請求をしたというふうに判断されていますか。実は私、非常に短時間の持ち時間ですから、簡単に答弁してください。
○政府委員(吉村仁君) 何割ということはわかりかねます。
○和田静夫君 私は、実はこの問題というのは、組織ぐるみで行われたというふうに見ています。たとえば別府市あるいは大分市の歯科医師の非常に多くの部分が、同一のような形でもって振替請求を行っているわけですね。俗な言葉で言えば不正請求を行っている。それが結果的にはさっき冒頭国税庁次長が答弁をしたように、自発的な修正申告と言われますが、修正申告が指導されるという状態でもって修正申告が行われるという状態になったんですが、これらの調査は当然厚生省として今後お進めになりますまね。これが一つ。
 それからもう一つは、大分だけではなくてね、全国的に広がっている可能性がこれはあります。もうきょうは時間がありませんからたくさんのことを申しませんが、たとえば毛利大分県歯科医師会長のインタビューの記事をずうっと読んでみますと、「東京や大阪でもやっているだろう。むしろ大分あたりは東京より三、四年遅れている」というような談話があってみたり、「こうした請求の仕方は大分に限っているわけではない。」という率直な述べ方があってみたり、いろいろしていること、これは報道の関係でありますから、御本人がどう言われたか別として、そういうことがある。そうすると、少なくとも特定をされている東京、大阪というような地域についても、これは当然調査がされてしかるべきだと、そう思いますが、そういう対処をされますか。二つ目ですね。
 それから三つ目は、「不正受給で得た収入は保険者が支払ったもので、本来は保険者に返還されるべきではないか。」という設問に対して、「ニッケルクロムは金銀パラジウムに劣らず、あるいはより優れた性質を持った材料。そのニッケルクロムで治療した以上、医療の質は保たれていると考えている」。これは新聞記事で明らかにしている。読売の十二月二十日の記事ですね。こういうふうに答えられているとすれば、この辺はやはり非常に問題なんですよね、三つ目は。
 これらについてどういうふうに厚生省お考えになるんですか。
○政府委員(吉村仁君) 第一の大分県に関する調査につきましては、現在大分県に指示をいたしまして調査をやっております。したがって、今後も継続して調査を行います。
 それから、第二点のその他の地域におきましてもそういう同じ事例があるんではないか、こういう点に関しましては、私ども大分県以外の都道府県に対しましても同様な指示をいたしまして、不正の根絶とそれから要すれば調査をするように指示をしております。
 それから、第三番目の返還の問題でございますが、私は不正が行われておるならば当然返還を要求すべきものだと、こういうように思っております。
○和田静夫君 そこで、国税庁ね、診療報酬の不正請求に関して税務調査をされたということになるわけですが――いや、まず厚生省に聞きますがね、厚生省はこの国税庁の調査の内容を正確におつかみになっていますか。
○政府委員(吉村仁君) 個々の歯医者さんがどういうことをされたかということについてはつかんでおりませんが、先ほど先生御指摘のようなニッケルクロムを使いながら金銀パラジウム合金の値段で請求をした、それが修正申告のもとになっておる、この事実は知っております。
○和田静夫君 そうするとね、この振替請求をした場合に、その保険医に対する処分というのは大体一般的にはどんなものですか。
○政府委員(吉村仁君) 不正の態様それから量と申しますか、何人に対してやったかというようなことと関連をいたしますが、一般的に申し上げますならば、不正請求をした場合には取り消しと、
そして若干軽い場合には戒告処分と、こういうのが通例でございます。
○和田静夫君 国税庁ね、国税犯則取締法二十二条の一項、扇動犯があるわけですがね、今回の場合の不正請求が仮に組織ぐるみである、だれかが指導していた場合はこの容疑が出てくると思いますが、そうでしょうか。
○政府委員(酒井健三君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、国税犯則取締法第二十二条に扇動犯の規定がございまして、若干省略して申し上げますと、国税の虚偽の申告をなすことを扇動した者には罰則を科すというふうに規定してございますが、国税犯則取締法第一条に言う「国税ニ関スル犯則事件」という前提がございまして、国税の犯則を扇動したという話になるのかどうか。不正の申告というか、請求をなさるという事実はあったのかもしれませんけれども、国税の犯則というところになるのか。その辺がこの国犯法で言う国税犯則には含まれなくて国犯法の調査及び処分の対象となっていない。したがいまして、具体的な事実関係が国犯法二十二条の構成要件に該当するかどうかちょっといまの段階では申し上げかねる状況でございます。
○和田静夫君 国税庁、これは報道でありますからあれですが、大分税務署が県歯科医師会との交渉の中で、まず第一に修正は五十五、五十六年の二年間限りとする、それから二つ目は、厚生省には不正の事実は知らせないと約束をしたと。これは事実であるとすれば大変な問題であるわけですが、この事実関係は確認されますか。
○政府委員(酒井健三君) 私ども新聞報道でそういうことを耳にいたしておりまして、早速国税局を通じまして大分県の税務署に照会をいたしましたが、今回の大分県の歯科医師の社会保険診療報酬の不正請求に関しまして、大分県下の税務署が御指摘のような条件つきで修正申告を行った事実はないというふうに聞いておりまして、先ほど申し上げましたように歯科医師から自主的に修正申告が提出されたという報告を受けておる次第でございます。
○和田静夫君 そうすると、その五十五年、五十六年の修正申告だけというのはどういうわけですか、これは。
○政府委員(酒井健三君) 私どもまず最初に大分県で事後調査の一環といたしまして二、三の歯科医師に対して調査を行ったわけですが、もちろんその調査を受けた五十五年分の調査を主体としておりまして、それの関係で五十五年の修正申告が出てきたということを聞いております。それから五十六年につきましては、一度申告書が出されて、その後に修正申告が出てきたということではないと、最初から不正請求にかかるものについては特例を適用しない形で出てきているというふうに聞いております。
○和田静夫君 大分県の歯科医師会としていわゆる修正申告に応ずべきだという形でもって一つの指令とまではいきませんが、統一した見解が流されると、その前提には熊本国税局あるいは大分税務署との協議があってそういう形になってくるということになったわけですがね、これはやっぱり組織的ですよね、そうなれば。いや、あなたの方が組織的と言うんじゃないですよ、相手方がさ。
○政府委員(酒井健三君) 私どもが報告を受けておるところでは、その五十五年分の所得について二、三の歯科医師の方を調査をしたと、そうしたらその歯科医師の方々が歯科医師会の方には御相談をなさったと、どういうふうにしたらいいかと。そういうことがあったやに聞いておりますが、歯科医師会の方が歯科医師の皆さんに対してどういうような御指導をなさったのか私どもは承知いたしておりません。
○和田静夫君 これはおいおい厚生省の調査が進めば組織的であるかどうかわかってきましょうから、その時点でもう一遍問題にするということにするとしまして、大蔵政務次官、非常に恐縮なんですが、実は五十六年の予算委員会の論議で私と渡辺大蔵大臣、園田厚生大臣との論議がございまして、東洋信販問題というのがございましたね。これもまあ医師の脱税に関する問題であったわけです。この医師の脱税の問題に関して論議をしていく過程で、言ってみれば守秘義務問題との関係で幾つかの論議がありました。この種問題については大蔵大臣と厚生大臣で協議をしながら不正申告には今後対処をいたしますという答弁になってきているわけです。したがって、それは当然今日の両大臣にも引き継がれていると思うのでありますが、大分歯科医師の今度の問題に端を発する不正申告問題については、当然予算委員会におけるところの私に対する答弁の趣旨が守られて大蔵、厚生両大臣のもとにおける不正申告問題についての協議が行われてしかるべきである、こういうふうに考えていますが、大蔵省の側はその態度は変わりませんでしょうね。
○政府委員(塚原俊平君) 今回の税務調査を行うに当たりましても、国税当局が厚生省当局からもいろいろな示唆をいただいておるわけでございますし、一方、国税当局といたしましても今回の調査で国税当局が把握をした不正請求の手口やその調査のやり方等についても厚生当局に示す等の協力をしてまいっております。ですから今後とも厚生省に対しましてもできるだけ協力させたいというふうに考えております。
○和田静夫君 検察庁、今度の事件というのは刑法の詐欺罪には当たりませんか。
○政府委員(前田宏君) 具体的な事案につきましてどういう犯罪が成立するかということになりますと、その事実関係を明確に把握しませんと確定的なことは申し上げられないわけでございますけれども、いわゆる不正請求といいますか、それが水増しであるとかあるいは架空であるとか、いろいろな問題があろうかと思いますが、そういう場合には一応詐欺罪ということが問題になろうかと思います。
○和田静夫君 今度のこの報道を中心とする事件について、検察庁は重大な関心をお持ちでしょうか。
○政府委員(前田宏君) 先ほど厚生御当局からも御答弁がございましたように、現在厚生省の方でいろいろと調査を進められているようでございますから、捜査当局といたしましてもその結果等を十分見守っていきたいというふうに考えております。
○和田静夫君 警察庁ですが、この事件に対してどういうふうな対処をされていますか。
○政府委員(金澤昭雄君) お答えをいたします。
 警察といたしましては、現在大分県警察におきまして関係機関、関係者、いろいろと事情聴取を行うなどいたしまして、現在実態把握に努めておるところでございます。
○和田静夫君 警察庁もう一問ですが、たとえば今度の問題で告発が、被害者であるところの――被害者って、税負担者としての患者ですね、あるいは保険者、保険組合ですね、こういうところから告発が行われたという場合には即日捜査に入られるということになりますか。
○政府委員(金澤昭雄君) 刑事訴訟法に基づきます告発が行われました場合には、警察といたしましては当然捜査をいたしまして検察官の方に送致をする、こういうつもりでございます。
○和田静夫君 もう時間がありませんから何ですが、国税庁ね、守秘義務との問題で少し論議をしたかったんですが、時間がなくなりましたから大蔵委員会その他に譲ってもいいと思っていますが、健保法違反容疑者ですね、今度の場合、健康保険法の違反容疑者を結果としてかくまうというような役割りを演ぜられることはないでしょうね。
○政府委員(酒井健三君) 私どもの方はもちろん税法に基づきまして適正な税務を執行するということが基本でございまして、いかなる事案につきましてもその基本に基づいて行って、ほかの何らかの意図を持って行動することはございません。
○和田静夫君 国税庁ね、これちょっと発展をしていくとある意味じゃ刑事事件になる。いま検察、警察両方がお答えになった推移を見なければなりませんが、私もそれを静かに見ていますけれ
ども、つまり犯人を隠すおそれのある行為といいますか、守秘義務を盾にとってそういうことになりかねないことも実は考えられるんですね。いま思えば、大平大蔵大臣とここで守秘義務問題でいろいろ、私、論議をしたことを思い出しますけれども、守秘義務について、あらゆる場合に秘密を漏らしていけないのかどうかということですね。国家公務員法百条その他の問題との関係では、いまはどういうふうに国税庁お考えになっていますか。
○政府委員(酒井健三君) 私ども、守秘義務につきましては納税者の利益という問題、あるいは私どもの税務行政の円滑な執行という問題を抱えておりまして、大変慎重に行っているところでございまして、しかし、いかなる場合にも守秘義務が免除されないのかどうか、この辺につきましては、関係御当局の御見解もお伺いしながら、限定的に、非常に憲法のもとでの権利という問題を意識しながら、慎重に対応していきたいというふうに考えております。
○和田静夫君 厚生省の側はこれから、調査をいま進めてますけれども、結局、国税庁が知り得たことにはなかなか手が伸びない、厚生行政のいわゆる限界などというようなものがずっと考えられますよね。だからといって、一方ではもちろんプライバシーの問題等を含んで人権などというようなことを考えると守秘義務がしっかり守られなきゃならぬということになりますが、国家公務員がその職務上のことを通じて知り得た秘密、それを守秘する。しかしながら、その上司はそれを知っていく。国税庁長官お見えになりませんが、次長はこのことについて内容的には個々の歯科医の名前も含んで御存じになっている、国税庁長官も知っている。そうすると当然竹下大蔵大臣は知っている。政府の主要な大臣がお知りになっているから、それとの関係において厚生大臣がお知りになる、中曽根内閣総理大臣は御存じになる、こういうような関連にいまなっていますか、どこまでいっていますか。
○政府委員(角晨一郎君) 先生御承知のように、税法上の守秘義務は、国家公務員の法の守秘義務をさらに加重したものでございまして、「調査に従事する者は」と、こういう守秘義務があるという規定をしておるわけでございまして、私どもこの税法の執行をやっておる者といたしましてはこの守秘義務を非常に重要なものとして受けとめて仕事をしなければいけないと、こう思っておるわけでございます。
○和田静夫君 もう直税部長の答弁要りません。あなたの答弁というのはもうわかっていますから、こっちは。わかるけれども、それ以上のことは言えるわけないんで。したがって、国税庁長官、大臣ときょう論戦したかったわけでありますが、不幸にして二人ともいらっしゃらないので。
 これは厚生大臣、次官、いま私の質問どうです。厚生大臣、ここの問題は、いまの問題はいまの一連の関連においてどこまでお知りなんです。
○国務大臣(林義郎君) いま私の方では、大分県その他のところにいろいろと調べるようにということで頼んでございますので、その辺の調べが済んだ上でまたいろいろと大蔵省の方にも御相談をしなければならない点もあるだろうと、こう思っております。
○和田静夫君 もうこれ以上はやめますが、私は、どうも、ここのところは基本的な問題として一つありますから、厚生大臣と、大蔵政務次官を通じて竹下大蔵大臣に、ぜひその辺の見解をまとめておいていただきたい。後刻もう一遍、これは、きょう厚生省の決算これで終わりということにならぬような気がしますけれども、やりますからね、これ。すなわち、私は、内閣がいわゆる個人の国家公務員が持っている守秘義務との関係において、国税庁長官までこれを知り得る。それは当然国税庁長官を管轄しているところの大蔵大臣は知り得る。そこでとまってしまっているのか。その関係において、今度の問題は、厚生行政との関係で健保法違反の問題、あるいは検察・警察との関係におけるところの刑法詐欺犯の問題と広範になっていくわけですから、内閣全体としてこのことを知り得る、内閣総理大臣は当然御存じになる、こういう状態になるのかならないのかというところが、さっき直税部長が言ったような厳しい意味での守秘義務との関係においてどうなるのかというのは、これは学説も分かれるところですし、いろいろ分かれるところでありますが、一遍どこかで決着をつけなければならぬ問題だと思うんです。ロッキードの問題のときでもやっぱりそこのところが非常に問題になった、守秘義務との関係では問題になったことでもありますから、そういう意味で、これは後刻の答弁にゆだねることにいたしますけれども、問題として私は提起をしておきたいと思うのであります。
 この問題の最後でありますが、とにかく厚生省、不正請求が、実は厚生大臣になられてあれでありますが、しかしあなただって官僚の経険を豊富にお持ちでありますからあれですが、後を絶たない理由といたしまして、制度的に私は問題点がありはしないかということを実は思うんです、今度のことを考えてみても。
 この二月から不正請求返還金加算制度を発足されることになりました。それは知っています。私は一つの制度的対策である、しかしなお不十分であろうと思うんです。やっぱり行政がもっとチェックをする機能というのが私は必要だろうと思うんですね。ところが、歯医者さんの資格をお持ちの方で厚生省の技官にそうたくさんおなりになるんだろうか、なる希望者があるだろうかといったら、賃金の問題を考えてみたりしてみたって、現実の問題、地方では厚生省技官というのは欠員のままですね。したがって、中央の段階でもって予算要求で定数を伸ばしてくれといったところで、大蔵省はそっぽを向いて、なかなか今日の状態の中ではならぬ。そうすると、行政的なチェックの仕組みというのはなかなか充実をしないということになってくることも一つ考えられますね。そうすると何かを発想しなければならぬと、こういうふうに思うんです。
 たとえば、今回の金銀パラジウムとニッケルクロムというのは外見上ほとんど区別がつかないと言われています。そうすると、調査するといっても、かなり手間暇をかけないと事実が判明しない、事実認定がむずかしい。そこで、たとえば、私は、患者に使用材料の明細を渡すことを義務づける、歯医者の側に。これもまた論争がありまして、お医者さんの場合は、それはがんを知らせたくないとか、お薬の内容を知らせればあれだといって、いまのように保険組合、健康保険組合がやっている告知のあれをもらってみたところで、何月何日あなたはどこの医者にかかって総額これだけかかりましたよという告知、あれだけでもずいぶん効き目があるわけですが、歯の周辺にもがんがあるからというようなことになると話は別ですが、使われたところの材料などというものは、これは、私は歯科医師が書いたって、患者に渡したっていいんだろうと思う。そうすると、それを持ったところの保険者は被保険者である患者に対して点検をすることができるというようなことも素人なりに考えるのでありますが、そういうような形でのチェック機能の充実とでも申しますか、そういうものについて、何か、どうです、私はひとつ提言をしておきますが、この機会に厚生大臣の御見解を承ります。
○国務大臣(林義郎君) いま和田委員からの御指摘、一つの御提言として承りたいと思いますが、私も、国民全体の医療費というものがだんだん上がっていく、いろいろな点で問題があるということはございますので、やはり適正な医療を需要の面及び供給の面からいろいろな形でチェックするということは総合的にやっていかなければならないと考えておりますし、厚生省内にも推進本部というものをつくりましてこれが対策をやっていくということにしておりますので、御提言を参考にしながらこれから行政を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○和田静夫君 医療ミスの問題、その他臨調第四分科会の報告問題など通告してありますが、持ち
時間が切れましたから終わります。
○本岡昭次君 厚生省に幾つかの点をただしたいと思いますが、まず大臣に四点ばかり基本的な問題、またいままでの論議を継続させる意味で確認をいただきたいと思います。
 まだ厚生大臣には厚生行政に関する所信は承っておりませんが、医療保障、とりわけ医療費の適正化、中でも医療機関経営の改善と医療監視体制の強化についてどのように考えておられますか、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 本岡委員御指摘のとおり、医療費の適正化を図っていくということは私たち厚生省に与えられたところの非常に大きな課題でもあろうかと思います。厚生省内に国民医療費適正化総合対策推進本部を設けまして、医療の需要、供給の両面にわたる洗い直しを行っていこうと、こういうふうに考えていま施策を推進中でございます。御指摘のありましたように、医療機関経営の合理化問題もその中で取り上げていきたいし、医療機関の経営指導の強化、医療法人制度の整備等も重要課題としてこれを取り上げてまいりたいと考えております。と同時に、地域医療計画の策定、医療法人に対する監督権の整備等も内容といたしまして、実は国会にぜひ医療法の改正についてもお願いをしようと、こういうことでいま現在鋭意検討中でございます。
○本岡昭次君 具体的な問題は後ほど順次質問をいたしていきます。
 そこで、いまも医療法の改正問題にも言及されましたが、昨年の十二月二十四日、社会党の社会労働部会で大臣あてに「五八年度予算編成に関する申し入れ」をいたしました。大臣もごらんいただいていることと思いますが、その中で特に強調いたしましたのが、いま言及された医療法の改正についてであります。これはもう速やかに行っていただきたいということを繰り返しその場で申し上げておりますが、ひとつ改めてこの医療法改正を国会に提出すると、そして論議し、新しい医療法に従って医療の適正化を図っていくという問題についての決意のほどをひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 五十七年十二月二十四日付、五十八年度予算編成に関する厚生省への申し入れという文書は私も読ましていただいております。この中にも「医療法改正をすみやかに行い」と、こういうふうな文言で書いていることも十分承知をいたしておりますが、かねてより懸案の事項でもございますし、現在、これまでの経緯を踏まえて、先ほど申し上げましたように改正内容を検討中でございまして、今国会につきましては改正法案を提出いたしたいと、こういうふうに考えております。
○本岡昭次君 では具体的な問題に入ります。
 それは、東京都東村山市にあります医療法人社団・浩徳会都病院の件であります。これは御承知のとおり、わが党が昨年三月に二回、本院の予算委員会で片山甚市委員が、同じく三月の衆議院社会労働委員会で栂野泰二委員が、さらに五月には本院の社会労働委員会で高杉廸忠委員がそれぞれ取り上げられた問題であります。この経過、内容について大臣も十分御承知いただいておると思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(林義郎君) この病院の経緯につきましてはよく聞いておりまして、いままでの国会での御議論も速記録等で拝見をしております。できるだけ早く解決するように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○本岡昭次君 森下前厚生大臣には、本件について特に配慮をいただきました。それはいま議事録をごらんになっていただいておるので、林大臣の方も御存じいただいていると思いますが、精神病院としての経営の円滑な継続、そして、職員の賃金、一時金の遅配、欠配が行われているんですが、そうした状況に耐えて医療を支えている職員の身分の件についても理解をいただいています。また、現在行われている病院の競売についても、一般競売から民事執行規則第五十一条によるものにするための働きかけもしていただきました。そうしたことによって病院存続への道が開けたと私たちは評価をさせていただいておるところでありますが、新大臣にはより以上のひとつ御理解をいただいて、先ほど答弁いただきましたように、この問題の解決のためにより大きなお力添えをいただきたいと思いますがいかがでございましょうか。
 なお、東京都の衛生局の方においてもこの問題を取り上げてもらって、患者の医療あるいは職員の身分継続、こうした問題についても格別の御理解をいただいておるということも申し添えておきたいと思います。
 ひとつ大臣お願いします。
○政府委員(大谷藤郎君) 私からちょっと事務的なことを申し上げまして、あと大臣から御答弁いただきたいと思います。
 都病院の競売の問題につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたように、今後とも病院経営の円滑な継続が確保されるように東京都と緊密な連携をとって努力をしてまいりたいと存じております。特に競売に対しましては、入札者の対象を医療を継続できるものに限るという条件が今後とも付せられるように東京地裁の方に働きかけていきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
○国務大臣(林義郎君) いま医務局長から申しましたように、いろいろと私の方も努力を重ねているところでありますし、いろんな問題がありますが、一生懸命努力して御期待にこたえるようにやりたい、こういうふうに思っております。
○本岡昭次君 それでは具体的な問題についてお伺いをしてまいります。
 まず、生活保護法に基づく日用品費の不正使用、流用の問題でございます。
 ここで幾つか細かい点をお伺いしますが、全国の入院患者、生活保護を受けて入院している患者が受けている日用品費の支給総額、五十六年度で幾らありますか。
○政府委員(金田一郎君) 概算約三十億円でございます。
○本岡昭次君 三十億とおっしゃいましたが、間違いありませんか。
○政府委員(金田一郎君) 失礼いたしました。約三百二十三億でございます。
○本岡昭次君 それで、都病院では一年間にどの程度の金額が支給されておりますか。
○政府委員(金田一郎君) 都病院におきましては三千五十四万円でございます。
○本岡昭次君 それで、都病院が五十六年度では三千万円余り支給された生活保護法に基づく日用品費を、他に流用したと、東京都が調べた段階で使途不明額ということで問題になりたわけですが、東京都は三回にわたって調査を行っております。その三回のそれぞれの時点で判明した使途不明額、いわゆる流用した額は幾らでありましたか、ここではっきりさしておいていただきたいと思います。
○政府委員(金田一郎君) 最初に、昭和五十六年七月に東京都が発見いたしましたものは二千七百万円でございます。これは、その後返還されております。それから次に、昭和五十六年十二月になりまして東京都が調査いたしました結果、再び患者の日用品費二千四百五十万円が流用されていることが発見されたわけでございます。
 私どもにわかっております数字は、その二つでございます。
○本岡昭次君 私の方では、さらに五十七年の四月二日に千八百七十九万円の不正使用すなわち流用があって、その回復を四月二十三日に求め、それが回復されたということを聞いておりますが、これは事実ではないんですか。
○政府委員(金田一郎君) 私どもが東京都の方から聞いておりますのは、ただいま御説明申し上げましたこの二件でございます。
 なお、ただいま先生のこのお話につきましては、私どもの方で早速調査いたしてみたいと思います。
○本岡昭次君 私はいまここに東京都と都病院と
の関係で、調査の指示、それに対して回答、始末書、どれだけ返したと、三回にわたって行われているこの証拠書類をここに持っております。五十六年六月から五十七年の四月、わずか一年の間に三回も日用品費を不正使用しておるという事実が絶えず発見されるということは、これはどういうことなんですかね。返してはまた使い、返してはまた使い、決算のときに返しておけば事が済むという事柄ではないかと推察をされます。
 そこで、この件につきましては、私がここで改めて取り上げるまでもなく、昨年の三月十八日及び三月二十五日の国会、予算委員会において、厚生大臣及び厚生省当局はこの告発の指示をするということを明確におっしゃっているわけなんですね。それで、私たちもこれはもう明らかに業務上横領である、こう思います。また、厚生省も、業務上横領であるということの確認をした上で、東京都に対して告発の指示をするということを国会で答弁をされているのですが、一体それはその後どのようになっているのか。一体告発がされたのかどうか。そうしたことを含めて答弁をいただきたい。
○政府委員(金田一郎君) 最初に、先生先ほどおっしゃいました三回に分けてということでございますが、ただいま調べてみましたところ、第二回目の日用品費二千四百五十万円、この流用のうち、最初に一部を返しまして、なお五十七年四月の段階で千八百七十九万が残っておりまして、これが最終的に返されたということでございまして、流用は二回のようでございます。
 それから、ただいまの告発の問題でございますが、それ以後も東京都といろいろ連絡をいたしているわけでございますが、東京都の方からは、次の理由から今後の推移を見守っているということでございます。その第一点といたしましては、流用された日用品費が返済されたこと、一応全額返済になっております。第二番目に、日用品費の管理につきましては、患者個人ごとの通帳を作成し、流用できないようにいたしております。以上の二点は、いずれも厚生省もこのような指導を行ったところでございます。
 第三点といたしまして、告発が病院閉鎖のきっかけとなることが危惧されること、これが第三点でございまして、以上の三つの理由に基づきまして、なお今後の推移を見守っているということでございます。
 今後の対応につきましては、事態の推移に応じ、東京都に適切に指導してまいりたいと思っておるところでございます。
○本岡昭次君 流用された日用品費が返還された、二度とそういうことが起こらないように預金として患者個人ごとに通帳で管理する、それはあたりまえのことであって、当然そうあるべきことをやらなかった、そして生活保護法に基づく日用品費、そしてそれは個々人に渡った場合は、それぞれ生活保護を受け、生活扶助という形で、それを、個人が使うべき金を勝手に他に使った、その事実自体が業務上横領であるのかどうかということの問題がひとつ大切だと思うんですがね。返済されたと、原状復帰されたと、今後二度と起こらないようになったということは、それはそれでいいですが、行われた事実そのものが業務上横領であるとするならば、これはどうなんですか。そのような問題はすべて原状に回復すれば行った行為そのものはすべて免罪されるんですか。
○政府委員(金田一郎君) 私どもといたしましては、東京都の報告に基づきまして適切な指導を行ってきたところでございますが、ただいま申し上げましたとおり、病院の運営の実態を実地に調査いたしております東京都の判断では、告発をいたしますことが病院閉鎖のきっかけとなることが危惧されるということでございますので、目下のところこの意見を尊重いたしまして、事態の推移を見守っているところでございます。
○本岡昭次君 その分はいいんですよ。三月十八日、当時の森下大臣は、衆議院の社会労働委員会の中で、栂野委員の質問に対してはっきりと「公金横領的なそういう内容も持っていることも承知しております」と、こう言い切っておられるのですよ。このことの事実はいまも変わりないですね。
○政府委員(金田一郎君) この「公金横領的な」というように大臣もたしかおっしゃったと思いますが、この生活保護の日用品費につきましては確かに生活保護費は公金ではございますが、一たん本人の手元に渡りまして、それ以後の預かり金ということでございますので、厳密な意味におきまして公金というところまでは当たらないのではないかと私どもは思っておるところでございます。
○本岡昭次君 それでは、患者個人に渡った私的な金ですね、それをそれでは病院が預かって何に使ってもそれはいいという今度は理屈になるんですか。それも業務上横領ということになるんじゃないんですか。
○政府委員(金田一郎君) 一般的に精神病院におきましては、患者が入院いたします際にあらかじめ患者の小遣いや身の回り品を買うための費用を病院側が預かる場合が多いわけでございます。費用も入院患者の場合におきましても福祉事務所から支給されました入院患者日用品費を病院が預かっているのが今回の都病院のように通例でございます。
 ただ、これは病院と患者との私的な関係によるものでございますので、病院における日用品費の管理そのものは行政の監督下には置かれておりません。
 しかしながら、ただいま先生もおっしゃいましたように、入院患者の日用品費は被保護患者の最低生活を保障するために支給されるものであることにかんがみまして、病院側が預かっております日用品費が適正に管理されているか否かにつきましては、都道府県知事が指定医療機関に対し個別指導を実施する際に調査するよう指導しているところでございます。今後も不適正な事例が生ずるようなことであれば、県に対する指導を強化するなどいたしまして、適正な管理が確保されるように進めてまいりたいと思っているところでございます。
○本岡昭次君 再度尋ねますがね、それでは厚生省、何に流用されたというふうに、その使途不明の中身を確認されているんですか。もとに返ったということは確認できても、もとに返るまでは、一体それでは、その最低生活を維持するために国が支給した金が何に使われていたのかという確認はできているんですか。
○政府委員(金田一郎君) 今回流用いたしましたものにつきましては、東京都からの報告によりますと、手形の支払いとか、あるいは業者に対する支払い等に充てられたというふうに伺っておりますが、それ以上の詳細はわかっておりません。
○本岡昭次君 厚生省のいまの答弁なり状況説明は全く納得がこれはできません。
 それで、いまのやりとりを聞いていて警察庁の方どうですか。明らかにこれはもう業務上横領であるというふうに私は先ほどから言っているんですが、警察の方のひとつ見解を伺いたい。
○政府委員(金澤昭雄君) お答えいたします。
 いまお尋ねの件につきましては、警視庁が昨年来いろいろと捜査をしておりまして、これまでに理事長を初めといたします病院関係者、それから入院患者、その家族等につきまして必要な取り調べを行うなどいたしまして、ほぼ所要の捜査を現在終了しておるところでございます。現在この事件の送致につきまして最終的な検討を行っておる、こういう状況でございます。
○本岡昭次君 そういう状況だから、私がいまこれは業務上横領ではないかということについての警察としての明確な答えはここでできないと、こういうことなんですか。
○政府委員(金澤昭雄君) 大体お話のような方向で現在検討しておると、こういうところでございます。
○本岡昭次君 厚生省の方に最後にこの問題について申し上げておきますが、いまも警察庁の方のお話のように、この問題について捜査は相当進み、私がいま議論しているような観点というもの
がその捜査の中心になっているというふうなお話もいま伺ったわけで、昨年の三月、五月というこの段階で、厚生省が非常に積極的にこの問題に一歩を踏み込んで、東京都に対して告発の方向でやるということを政府委員も大臣も、それぞれがおっしゃっておられるんですがね。どうですか、いまの段階で、大臣この問題、もう東京都はこう言っているから、それを見守るんだということでいいのかどうかという問題なんですが、再度厚生省として、前回明確に答弁されているように告発という問題、その方向で東京都に対してさらに強い指導を願いたいというふうに思うんですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(林義郎君) いま本岡さんのいろいろなお話を聞いておりまして、改めて問題点がはっきりわかってきたような感じもいたします。
 この問題につきましては、現在東京都でいろいろとやっているところでありますし、検討中でもありますので、今後とも厚生省としては東京都に対しまして適切な指導を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
○本岡昭次君 適切な指導というのは中身がありませんがね、少なくとも三月、五月、昨年の段階で厚生省がとった態度、それをさらに一歩を進めた形で適切な対応をしていくというふうに理解をさしていただいてよろしいか。
○国務大臣(林義郎君) まさにおっしゃるようなことが適切な対応ではないだろうかというふうに考えております。
○本岡昭次君 まだほかにもたくさんありますので、最終的にまたまとめてお答えをいただくことにして、次の問題に入っていきます。
 次の問題は、浩徳会都病院理事会長で宗教法人東善光寺代表委員であります牧山一昌氏が、双方の代表権を悪用して、宗教法人東善光寺の負担に本来帰するべき五億円を医療法人浩徳会に肩がわりさせたということが、これも昨年の三月段階における本院の予算委員会あるいはまた社会労働委員会の中で論議され、その使途について解明するように努力しますという答弁が再々なされておりますが、この使途の解明につきましてその後どういう状況になりましたか。
○政府委員(大谷藤郎君) 使途の解明につきましては、都を通じまして努力をいたしておりますが、もうひとつむずかしい点がございまして、私どもといたしましては、前回御答弁申し上げましたようなそういった事実につきまして、正確にはなかなか確認できないと、こういうところでございます。
○本岡昭次君 もうひとつむずかしいというその障害は何ですか。
○政府委員(大谷藤郎君) これは毎々国会でも御指摘いただいておりますように、立入検査でございますとか、そういった問題がなかなかできにくい。これは東京都で結果を呼んで聞くと、こういうふうな形になっておりますような観点もあるかと存じます。
○本岡昭次君 それは引き続きその使途の解明についてこれからも努力をしていかれるおつもりですか。
○政府委員(大谷藤郎君) この問題につきましてはできる限り解明に努力をいたしたいと、かように存じております。
○本岡昭次君 そこで、浩徳会の五十四年度仮払い金四億二千八百四十七万円が宗教法人東善光寺の事業に回され、これが都病院の業務に重大な支障をもたらした、これは昨年の五月十一日の国会で政府側の答弁として確認済みのことでありますが、この点についてひとつ確認をいただきたいと思います。
○政府委員(大谷藤郎君) 私どももおおむねそのようであると理解いたしております。
○本岡昭次君 そこで伺いますが、仮払い金四億二千八百四十七万円、これは五十四年度の仮払い金です。これは五十二年度からずっと五十六年度まで東善光寺に対する仮払いというものが決算の中に記載をされておりますが、いまは、この五十四年度確認されている仮払い金四億二千八百四十七万円についてお伺いしますが、私は素人でこうしたことについてはよくわからないんです。それは、仮払いという場合に、通常どこかに出張するときに、十万円なら十万円なり、つかみ金を持っていって、いろいろの金に使って、そして領収証を仕分けして、最後、精算する。それまでの間、その十万円は仮払金ということで帳簿に載るということはわれわれでも通常やるわけでございまして、そういう場合は、非常に短期間ですし、金額も少ないから、別に大した支障はないと思います。しかし、三億も四億もというふうな金が一つの宗教法人に仮払いをされて、そして、それは一体仮払いを受けた側は正式な領収証を出すのかどうかとか、あるいはまた、それだけの仮払いを受けて、担保というふうなものの存在というふうなものは仮払いというふうにすれば何ら必要ないものなのか、あるいはまた、その四億という金をもし都病院が管理しておれば、それはそれなりに莫大な利息を生むわけでございます。しかし、これを仮払いすることによって何ら生まない、逆にそれに相当する金を民間の町の金融業者から借りたとすれば、これはまた大変な金利を支払わなければならぬという二重の損害をこの病院にもたらすということになるんではないかということを素人の私でも感じるのですが、一体、仮払いを三億も四億もした場合に、こうした事柄はどういうふうに理解をすればいいのか。私が言うように、そういうふうなことは非常に不当であると、非常に都病院に損害を与えた、それも五十二年度からずっと現在も引き続いて行われているということになれば、このことも背任横領ということにもなっていくんではないかと、私は素人ですという前提の上で申し上げているんですが、こうしたことはどういうふうに理解していったらいいのでしょうか。
○政府委員(大谷藤郎君) 確かに先生御指摘のように、仮払金というものは暫定的に処理する、こういうふうなことでございまして、私どもとしては、これはそういう形ではなしに速やかに処理する、こういうことが望ましいというふうに考えているわけでございます。ただ現実に、先ほど先生おっしゃっておりますように、五十四年には三億六千二百万円、五十五年には約四億二千八百万円、五十六年には約五億六千万円という仮払いになっているわけでございます。確かに金額は大きいわけでございますが、五十七年には約一億五千万円と、こういうふうになっているわけでございます。私どもといたしましては、先生の御指摘の点は確かに私どもとしてもそのように適切でないというふうに考えますので、できる限り、こういった問題については疑惑を招かないような処理をさせる、こういうふうなことで指導をしてまいりたい、かように存じます。
○本岡昭次君 疑惑を招かないじゃなくて、背任横領ということにも、仮払いをいまのような形で続けることはなりませんかということについてはいかがですか。
○政府委員(大谷藤郎君) まあ、仮払いというものが、先ほど申し上げましたように暫定的に処理するというふうな、一般的にはそういうことでございますが、こういった病院の場合、長年にわたってこういった形が行われているのは好ましいことではございませんので、そういった問題については適切な指導をいたしたい、かように存じます。
○本岡昭次君 それではもう少し話を進めますが、いまも五十六年度の決算では非常にそれが減少しているという指摘がありました。確かに仮払金は五億五千九百万円から一億四千九百万円と、約四億一千万円も大幅にこの年度で減少したんですね。それで、この減少した四億一千万というのはどこに行ったんですか、これは。
○政府委員(大谷藤郎君) この点につきましては、私どもつまびらかにいたしておらないわけでございます。
○本岡昭次君 いたしておらないじゃなくて、できないのですか。
○政府委員(大谷藤郎君) 東京都におきまして
も、これにつきまして御努力をいただいているわけでございますが、きょうの時点で、まだはっきりいたさないわけでございます。
○本岡昭次君 いまの時点でできないけれども、近い将来、それははっきりできるんですか。
○政府委員(大谷藤郎君) できる限り努力いたしたいと存じます。
○本岡昭次君 そこで、私の手元には同じ五十六年度決算で五十七年三月三十一日付の貸借対照表があるんです。この貸借対照表には違った記述がしてあります。すなわち仮払金総額は五億五千三十一万七千五百一円となっているんです。あなた方が東京都からもらっている決算は、ここは一億五千万のはずです。ちょうど四億円がこの仮払いということで私の持っているこの貸借対照表との差があるわけで、これは原稿だと言われればそれかもしれませんが、しかし正確にすべてずっとタイプで記述してあって、そこの部分だけが金額が違うんです。だから私は、都病院の方としては恐らく二重帳簿というものがあって、そして本当は私の持っているこちらが内部の経理であり、都に渡したのは、国会でいまこの東善光寺に対する貸付金が問題になっているから、それを作為をもって減額した、こういうふうに理解を私はしています。まあ、私の言っているのが事実かどうか、これはわからないわけで、あなた方もわからないわけです。
 しかも、さらに私は疑義を深めますのは、私もここに決算書を五十二年度から持っています。五十五年度の決算と五十六年度の決算が、どういうわけか、同じ昭和五十七年六月十四日に提出をされているんです。大体二年度にわたる決算を同時に提出するというこのこと、それでまた、その五十五年度の決算がこの時点まで提出されなくっても何も問題にされないということ、しかもこの浩徳会都病院というのは、いま国会でも経理の問題が論議されているんですから、特に都の方としても、また厚生省の方としてもいろいろ注意を払わなければならぬ問題だと思うんですが、そうしたことが行われても何もできない。私はここにも一つの作為がある、こういうふうに思います。偽装工作がここで行われたんではないか。どうですか。私のいま言っていることに何か一つ見解があるなら申してください。
○政府委員(大谷藤郎君) 私どもが聞いておりますのは、五十四年までは決算はきちきちとなされておった、こういうことでございますが、
   〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕
その後、決算がおくれておるので、都としてはこれにつきまして注意をされまして、そういうふうになったというふうに伺っているわけでございます。
○本岡昭次君 この問題についての背任という事柄について、もう事実は明らかだと思うんです、客観的にこう見て。しかし、厚生省なり都の方に、立入検査をして明確にその確証をつかむことができないから努力する努力するということで逃げられているわけなんですが、しかし、もう結果として医療法並びに医療法人の定款にも反して背任横領というものを構成している、こういうふうに思います。だからこそ、あなた方が何もしないから都病院の当該の労働組合がこうした事実を中心にして牧山氏の背任の告発を行うという事態にいまなっているのですがね。法務省、そこらの関係をひとつここで説明をしていただきたいと思います。
○説明員(飛田清弘君) 現在、東京地検ではお尋ねの浩徳会都病院にかかる背任事件の告発を受けて、その事件を捜査しているところでございます。告発人は五名の方で、肩書きはわかりませんけれども、五名の方です。それから被告発人は、ただいま御指摘の同病院の牧山理事長と下内事務長、この二人が被告発人になっておりまして、告発事実の内容と申しますのは、この二人の病院の理事が同医療法人の定款に違反しまして自己の利益を図る目的で五十五年七月中旬ごろから九月ごろまでの間に数回にわたって北海道開発公社に対して合計約六千六百万円の貸し付けを行って同病院に財産上の損害を加えたというような事実で告発になっております。この事実について現在東京地検ではこの告発を受けて捜査中と、こういうことでございます。
○本岡昭次君 厚生省としては、三月二十五日に片山甚市委員の予算委員会の質問に対して、政府委員の大谷さんが、「御指摘のとおり医療法四十二条に違反する疑いがあると考えます。しかし、これを裏づける事実関係につきましては、極力その解明に努めまして、厳正に対処していきたいと考える次第でございます。」、こういう答弁をその時点でされておりますが、いまもこの答弁の上に立って医療法四十二条に違反するその裏づけとなるその事実関係、そういうようなものを解明に全力を挙げているところだと、こういうふうに理解していいんですか。
○政府委員(大谷藤郎君) 御指摘のとおり医療法四十二条に違反する疑いがあると考えておりますが、これを裏づける事実関係につきましては極力努力をいたしたいと、かようなことでまいってきているわけでございますが、先ほども申し上げましたように、まだその点につきましては確証を得るに至っていないということでございます。
○本岡昭次君 いまの議論、厚生大臣もお聞きいただいてよくわかっていただいたと思うんですね。私が言っていることが真実なのか、一体厚生省が把握しておられる事実が真実なのか、もっとほかに真実があるのかというふうなことが一向に解明ができない。結局、現在の医療法というものはこういうことを好きほうだいにやるこの医療法人に対しては全く無力だと言うほかはないわけなんです。皆保険になって、いま医療は自由診療のような単なる商行為じゃないわけでしょう。もうこれは。国民の税金、そしてそれぞれの保険金がその医療機関の医療というものを推進しているんです。全く私は公的な立場で考えなければならぬ時点になっていると思います。
   〔理事和田静夫君退席、委員長着席〕
 そこで厚生大臣にお伺いするんですが、この問題については十全会病院問題、三郷病院問題等ここ何年か繰り返し繰り返し起こっています。園田元厚生大臣のときには、いまの医療法の持っておる欠陥を補うために三者協議会というものを設けて、そこで権限を強化して対応していきますということを申され、そして十全会の問題の解決に当たられて、最終的には都とそれから国が行政勧告という形で問題の解決をするというふうなことも行われているわけですが、いまとなってはそうしたことじゃなくて、一歩踏み込んでこの医療法改正というものに踏み切らなければどうにもならぬ時点が来ているんではないかということを、冒頭に大臣は努力しますということをおっしゃった、その時点ではそれで結構だと思いますが、いま都病院はこれは氷山の一角だと思うんですよ。それで具体的にいかに医療法がこうした医療法人の行為に対して無力であるかということを厚生大臣もよく理解できたと思うので、この医療法改正に踏み切っていく、そして医療費の適正化あるいは医療機関運営の改善、こうしたものについての積極的なひとつ御意見をここでいま一度伺っておきたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 本岡議員のお話、聞いておりまして私も御趣旨は非常によくわかるところであります。いろいろな問題がありますし、なかなかかゆいところに手が届かないというような感じもあるわけでございますし、医療法人につきましての監督規定が整備されてないということも率直に私は認めるべきことだろうと思いますし、そういったものを含めまして先ほど申しましたように医療法の改正につきまして検討をいま進めておるところでございます。あの……。
○本岡昭次君 いや、あのと言ってお座りになりましたが、その後をもう少し具体的に聞きたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) それではその後を続けさしてもらいますが、いろんな調整をいたさなければなりませんので、できるだけ検討を急いで今国会に改正法案を提出いたしたい、こういうふうに
考えております。
○本岡昭次君 期待をいたしております。内容についても私たちもいろいろ注文がありますので、また別の機会にそれは論議をさしていただきます。
 それでは次の問題に移ります。
 先ほど言ったような状態に置かれている都病院を現在支えている職員の給与や患者さんへの給食がとまろうとしている事態があるのです。これは厚生大臣が御存じないかもしれません。なぜそれではその職員の給与や患者さんの給食がとまるのか、これはとまれば病院は機能しなくなります。これは経営側が公租公課金、つまり厚生年金の掛金とか医療健保の掛金とか源泉で差し引かれる所得税、あるいは労働者の社会保険、住民税、こうしたものを五十七年八月三十一日現在でも一億七千七十五万七千円、これを滞納をしているんです。信じられないことをこの経営者はやっています。このために二月十日に支払われる生保診療報酬等約四千数百万が差し押さえに遭って、その支給が停止するという事態になっています。いま病院が倒産という事態にあってもなお継続しているのは、診療報酬が継続して入ってくるから機能しているんですが、これを差し押さえるという行為に出ているんです、厚生省関係の年金関係とかあるいは健康保険関係とかというようなところがね。それで組合の方は何とかしてくれということで厚生省の関係庁のところへ頼みに行くと、厚生省の側はまことにすげなくけんもほろろの対応であったということなんですよ。大体この種のものを労働組合が来るのはおかしいではないか、筋違いではないかと。それは筋違いだと思います。事業主が出てこいと、こういうことなんです。しかしこの事業主たる牧山氏はいまの私の知っている限りでは一遍もこの問題についての解決に乗り出していないわけで、滞納をこのままずっと続ける気持ちのようなんですね。そこで公租公課金、これを滞納するという行為、しかしそれが故意にわかっておって滞納しておるという状態の場合はこれどうなんですか、法律問題として。いかがですか、これ。職員から徴収しておりながらそれを故意に滞納して納めない、その結果として差し押さえが来るというふうな、こういうことね。しかも事業主は何ら事態の説明にも行かない。これはどういうふうに理解すればいいんですか。法的な措置とれるんですか。
○説明員(入江慧君) いまお話しのありました公租公課金の中の私どもの管轄しております厚生年金保険料と児童手当の拠出金、昨年の一月から十一月まで二千三百万ほどの滞納がございますわけですが、この納付義務は事業主になっておりますので、結局その滞納があった場合には、私どもは財源確保という観点からそれぞれの法律に基づいて滞納処分を行うということになるわけでございます。
○本岡昭次君 どういう処分をするんですか。
○説明員(入江慧君) その滞納処分の仕方はいろいろございますが、この都病院につきましては他に適当な財産がございませんので、これまで、いまお話しのありました診療報酬債権の差し押さえを行ってきております。ただ、その差し押さえた診療報酬債権の大部分が、理事長さんから従業員代表の方に債権譲渡されておりまして、これまで取り立てがごく一部しかできなかったわけでございます。それで二月分については債権譲渡が行われておらないので二月分から取り立てを行うということで現在進めておるわけでございます。
 もちろんおっしゃいましたように病院の健全なといいますか円滑な運営というのは好ましいわけでございますから、病院経営者の側から分納計画等をお示しいただいて、私どもの方として債権確保の見通しがつきますれば、それはそれに応じて対処していくということを考えていきたいというふうに考えております。
○本岡昭次君 それはそれでいいんですよね。だけど、その徴収した事業主が滞納している行為そのものは、これは何ら罰する規定はないんですか。源泉徴収あるいは厚生年金、いろんな掛金、公租公課金を職員から徴収して、それを支払わずに自分が故意に滞納をしているという、その行為は。これはいかがなんですか。
○説明員(入江慧君) 私どもの保険料徴収という立場から申し上げますと、要するに滞納しているという事実に着目して、国税徴収法の例によって滞納処分をするということになるわけでございます、私どもの保険料徴収という立場からいきますとですね。
○本岡昭次君 そういう滞納したらこれこれの処罰を行うというふうな、そういう罰則規定というものはないんですか、滞納した場合の。ただ、差し押さえるとか物件を押さえるとかいうこと以外何もできない、ないんですか。
 関係する方の答弁願います。
○説明員(入江慧君) その、刑事上の処分の観点からどうなるかというのをちょっと承知しておりませんので。
○本岡昭次君 それでは、警察庁の方おられましたら、ひとついまの私の疑問にお答えいただけますか。
○政府委員(金澤昭雄君) お答えをいたします。
 突然の話でございますが、税金の種類がちょっとはっきりいたしませんが、税金の滞納につきましては国税庁の方でしかるべき措置があるんじゃないかと思います。そういった、そちらの方の措置をまって私どもの方も、警察としてはその後で考えていきたいと、こういうことだろうと思います。
○本岡昭次君 まあ、また私たちの方も調べてみます、いまはそのことが直接の問題ではありませんので。
 そこで、厚生大臣にこれはひとつお願いをしたいし、関係各省庁の調整をとっていただいて、何かひとつよい知恵を出していただきたいと、こう思うんです。厚生省も、ずっとこの問題かかわっては、病院の継続という問題を最大の念頭に置いてやってこられたんで、その途中において不測の事態で病院がぶっつぶれるというふうな事柄を決して期待をしておられないわけで、そういう意味からしますと、いまこの起こっている事態というのは、これ、それぞれが差し押さえに出てきた場合は、全くそうした病院そのものの機能がとまってしまいますので、まあしゃくし定規にいけば、筋どおりいけば、それに見合う対価をどこかで押さえるということは当然の措置でありましょうがね。これはひとつ、これだけ国会でも取り上げられている問題という観点から、厚生大臣のひとつ十分な配慮を、解決の方途というものについてのお力をかしていただきたいというふうに思うんですが、いかがでございましょう。
○国務大臣(林義郎君) 本岡議員のいろいろなお話を聞いておりまして、なかなかむずかしい問題だなあという感じを非常に私も持ったんです。やっぱりせっかくの病院でもありますし、一般で働いておられる方は非常にまじめにやっておられるんだろうと思うんですね。ところが、とんでもないことをしておって、債権が非常にたまっちゃったり、それから診療報酬なども、滞納処分だというような話になりますと、診療報酬その他の方は。やっぱりこれはたてまえ上取らなければならないと、こういうたてまえになっておりますから、ここをどうしてやっていくかということでありましょうが、やっぱり病院側にしっかりした納入計画を立てて、債権の回収の見込まれるような申し出があるということがやっぱり必要なことだろうと思うんです。
 そういった意味で、そういったときにどうするかということですが、やっぱり病院の経営の健全化というのが私は基本問題だろうと思いますので、そういった見地に立ちまして対応を考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
○本岡昭次君 大臣、いまも保険庁の方の方からの答弁がありましたように、生保診療報酬、約四千数百万というものが差し押さえられている。それは、いま言いましたように公租公課金を滞納したという理由でもってね。しかも、それは労働債権として確保されている部分がその差し押さえの
対象になっていこうと。
 だから、私は、これから言うことは推測ですがね、事業主である牧山氏らが故意にこれも滞納をやって、そこの部分について差し押さえを振り向けさせ、そして、どう言うんですか、経営そのものについての攪乱を起こし、そこに新しい主導権を確立しようという画策をしておられるんではないかということで、非常に危惧をしているんですよ。
 だから、労働債権として確保され、それが軸になって、新しい良心的な経営者ができるまで、競売という行為を繰り返しながら病院の存続を図ろうとして懸命にがんばっている職員にとったら、もうたまらぬ問題でありますね。
 だから、やはり厚生大臣として法から照らしたら、当然厳正な措置ということになります。しかし、いま起こっている事態というものの中での血も涙もあるひとつ解決策というものを、まあ当然払わにゃいけませんからね。払う方法の問題として、ぜひそういう配慮をひとついただけないかということを再度お伺いしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) なかなかむずかしい、それぞれの法律の立場もありましてむずかしい立場でもありますし、また御指摘のようなこともありますので、その点を踏まえてどうするか。実際には東京都の方がやっているわけでございますから、東京都の方にもよく話をいたしまして対策を立ててまいりたい、こういうふうに考えております。
○本岡昭次君 そこで、同じような立場の問題を厚生大臣にせっかくの機会ですからお願いをしておくんですが、ここ十年にわたる経緯をずっと見てみますと、今日のこの牧山さん一族による乱脈を許した原因の一つに、前回倒産時における処理のまずさがあると私は見ています。つまり、買い手であればだれでもよいというこの安直な対応が今日の状況をつくり出したと、こう見ています。この十年間にたとえば栄晴会晴望園というところから浩徳会晴望園に変わり、また今度は浩徳会都病院と、こういうふうにずっと経営者がかわっていくわけなんです。そして、今日の都病院の不幸は、その間本当に医療に良心的な経営者に恵まれなかったというところに私は帰するんではないかと、こう思います。そこで、今日のこの問題の処理に当たっては、その都病院の買い手を十分吟味していただいて、良心的な医療を志す者に対象をしぼって、こういうことは余り言いたくはありませんが、この今日の事態を招いた牧山一昌氏のダミーやそれに関係する人たちに都病院をゆだねることのないよう十分開設許可の審査、こういうようなものを厳重に行っていただきたいと思います。
 また、その医療の適正化の問題としてベッドオーバーの問題、あるいは職員給与の切り下げ、人員削減などによって営利だけを求めようとするような者もこれは排除をしていただかなければならぬ、このようなことをいろいろ思っております。
 そしてさらに、最終的には病院継続がされて、そして現在都病院で働いている職員の身分が継続されるということにならなければならないと思います。
 どうかこの点について、東京都が直接行政指導をやっていただくことになりますが、厚生省としても十分なひとつ努力をお願いをこの際しておきたいと、こう思いますが、ひとつ厚生大臣お願いいたします。
○政府委員(大谷藤郎君) 先ほども申し上げましたように、東京地裁と連絡を十分密にいたしまして応札者というものを把握いたしまして、落札者となりますにつきましては、病院の開設者になると、病院の開設許可が必要だというふうなことが条件になるわけでございますから、そういった点、応札者につきまして十分指導をするというふうなことで、経営者というものにつきまして先生御指摘のような方向で努力をさせていただきたいと、かように存じます。
○国務大臣(林義郎君) 私も、本岡さんの大変な御心配をいろいろとしていただいていることよくわかりますし、本当にりっぱな病院に再生できるようにこれぜひやらなければならないと、こう思っておりますし、いま局長が答弁しましたように、いろいろな手段を通じまして、いろいろな方法を通じましてこれからも努力をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○本岡昭次君 まだいろいろあるんですが、もう時間がなくなりましたので、最後の問題ちょっとはしょります。実は、浩徳会の乱脈ぶりはこれはもう枚挙にいとまがないんです。幾らでもあるんですが、もう時間が限られておりますからあとははしょります。
 実は牧山一昌氏が松寿園という老人ホームを理事長として経営をしておられるんです。ところが、この松寿園という老人ホームにおられる老人処遇の問題につきましていろんな好ましくない問題、人権上の問題、こうしたことが実態として私の手元に出てきております。
 たとえば八十二歳になられるあるおじいさんは、老人性痴呆のため歩き回るということで、さらしでつくった胴巻きに自転車のチェーンロックを通し、さらにさらしをひも状にしたものを四六時中、寝ているときもつけてベッドに巻きつけ歩き回れないようにしている。また、二人のお年寄りが数珠つなぎにされているようなこともあったというふうなことがいろいろあったようです。東京都も中に入って実態を見て、これはよくないということですでにいろんな行政指導が行われたという事実もここにあるんです。
 しかも都病院で働く職員についても、五十七年三月二日、午前零時から三時半ごろにかけて都病院一病棟看護室において牧山一昌理事会長と牧山和夫専務理事のこの二人がしめし合わせて、専務が職員のA氏に飛びかかって髪の毛をつかみ引きずり回したり、首をわしづかみにして引き倒して約一時間半にわたり暴行を加えて、頸部捻挫、左頸部擦過傷に至らしめる。これはここに診断書を私は持っております。また、理事長は職員のB子さんに対して、胸ぐらをつかんで、週刊誌程度の厚さに紙を丸めたもので顔面や頭部を激しく突いて一時間半にわたり暴行を加えた。これによってB子さんの白衣のボタンが飛び、ネックレスが引きちぎられるということになって、夜中のこういう時間帯ですから、深夜の病院内にそういう状況が響き渡って、多数の患者が恐怖感におびえたと。こういうことがあり、さかのぼったら五十一年にゴルフのクラブでN氏の頭や全身をめった打ちにして三針も縫うようなけがをさせたというふうな、こういう事柄もここに起こっているんです。そして、ここにその当時の傷なり、引きちぎられたネックレスの様子、倒れているA子さんの姿というふうなものがここに証拠としてもあるんですが、こういうふうなことをやる経営者、医療法人、社会福祉法人の経営者として、責任者としても適格であるかどうかという私は問題になると思うんです。
 そこで、厚生省の設置法第十条等に基づいて行政の権限を行使して行政勧告を行って、関係法人からのこうした役員に断固たる措置をとってもらうということを、これは法の整備以前に早急にやっていただかなければならぬ、こう思います。この牧山氏は労働組合に対して、私はいつでもやめますというふうな回答書を本人も出しておるという、ここに事実もありますし、昨年の三月二十五日に厚生省の方は役員の責任について、その事実が明らかになりました段階で役員の交代、法人への行政勧告等で厳正に対応したいというふうにまでここで言っておられるわけで、この法の整備とともに行政勧告による問題の解決、こうしたものについて強いひとつ厚生大臣の姿勢をここでお示し願いたい。私はこのまま放置することはできないと、こう思うんですよ。よろしくお願いします。
○国務大臣(林義郎君) 本岡議員のお話のように、なかなか大変な人であるということも聞いておりますが、そういったいろいろなお話、私の方も確認まではしておらないところであります。ただ、それをいまのお話で、厚生省設置法でやると
いう話でございますが、厚生省設置法に書いてありますのは、「医療機関の経営管理に関する調査及び指導に関すること。」と、こう書いてあるんです。これに基づいて、さあ退任を求めるとかというような直接的なことまでできるかどうかということになると、私はこれは非常なむずかしい問題が法律論としてもあるんだろう、こう思います。
 先ほど申しましたように、医療法人につきましては監督の規定が不十分であるというようなこともございますし、そうした医療法の改正については先ほど申しましたように今国会には提出をいたしたい、こう考えているところでございますが、当面いろいろな事実関係の把握に努めまして、東京都を通じまして役員の交代など必要な指導を行うということではないか、こういうふうに考えているところでございます。
○本岡昭次君 ひとついまの大臣の答弁ね、三月二十五日の政府委員大谷さんの答弁より後退させないでほしいと思うんですよ。ここでは、「事実が明らかになりました段階で、不当な行為のありました責任ある役員の交代につきましては、それも含めまして本法人に対しては行政勧告という形で厳正な対応をしてまいる所存でございます。」ということで、ここで明確に「本法人に対しては行政勧告という形で」と、こう言っておられるんですからね、それより後退させてもらっては困りますがね。
○国務大臣(林義郎君) 若干ニュアンスとして法律論を申し上げましたので、そういうふうなお感じで受け取られたかもしれませんが、私はそうじゃないんです。やっぱり事実関係の把握に努めることが先決でありますし、その結果によって東京都を通じて役員の交代等必要な指導は厳正に行ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○本岡昭次君 それでは都病院関係の質問をこれで終わりますが、ひとつ大分時間の関係で質問できなかった部分ありますが、それにつきましては社会労働委員会の方でまた改めて詰めさしていただきたいと思いますが、きょう大臣いろいろ答弁いただきましたことを、いわゆる大臣答弁にならないようにしっかりと今後の措置を推進していただきたいということを特にお願いを申し上げまして、残りました時間わずかでございますが、環境庁の質問に移らしていただきたい、このように思います。
 それで、環境庁の方の質問、本当に申しわけございません、時間がなくなってしまいましたので、一括してずっと御質問をいたしますので、一括でそれぞれの立場から御答弁をいただいて、具体的な内容につきましては公害交通安全特別委員会の方でまた詳しく質疑をさしていただきますということで、きょうはさらっと流しますが、その点はお許しを賜りたい、このように思います。
 まず大臣にお伺いしておきたいんですが、環境庁の仕事というのは、余りお金も持っていなくて、いろいろ考え方だけ出して、後は運輸省や建設省や大蔵省にお願いするということになりまして、私もその方の委員会の理事をしておるんですが、本当にいつも残念に思う点が多いんですが、きょうは五十四年、五十五年度の決算でございますから、五十四年、五十五年のことについていまの大臣が責任を持たれる必要は直接的にはないと思いますが、その当時の環境庁の仕事等をいまの立場でひとつ振り返っていただいて、どういうふうに長官としてとらえ、これからやろうと考えておられるかという点と、それから昨年の年末に中公審の方が土地利用と物流の両専門委員会が報告書を出しております。私は非常にこれは関心を持っていますし、評価をする面が多くあるんですが、これについて感想を一言申していただければありがたい、このように思います。
○国務大臣(梶木又三君) 環境庁はお金は少ないですけど、大変な仕事をやっておりますから、私はむしろ少ない金だけども、各省にお願いして各省の金を環境庁のもとに使っていただく気持ちでおるわけでございます。それはそれといたしまして、五十四、五十五年度、これにつきましてはいままでも公害防止あるいは良好な自然環境の保全、これは私どもの一番大事な使命でございますから、それに基づきましていつの時代におきましてもそのときどきの行政需要に応じまして仕事をやっておるつもりでございます。
 特に、五十四、五十五のお尋ねがございますが、御案内のとおり、いまアセスを出しまして継続審議になっておるわけでございますが、これはどうしてもこの国会にひとつ成立をさしていただきたい、御審議を進めていただきたい、かように考えておるわけでございます。
 それから中公審にいまお願いをいたしておるわけでございますが、特に大気関係では窒素酸化物の総量規制の導入を調査いたしておりますし、これを踏まえて東京、大阪あるいは神奈川県、これはやっておりますが、引き続き神戸やらあるいは名古屋、これなんかも考えていきたい、このように考えております。
 それから水質関係につきましてもこれは湖沼法、残念ながらまだ政府で合意を見ておりませんけれども、これも何とか今国会に提出をしたいと、提出するように政府間の合意を得て何とか提案したい、このように努力しておるわけでございますが、しかし、この湖沼法関係でも一番大事な富栄養化対策、これは昨年基準を設けたわけでございますが、さらにいま中公審に排水基準なんかの御審議をいただいておる、こういう段階でございます。
 それから大気関係につきましても中公審に御審議をいただいてできるだけ早く答申をいただきまして、交通関係も同じでございます、何とか本年度中くらいには御答申いただいて、各省庁の御協力をいただいていい方向に持っていきたい、かように考えております。
 またあと細部につきましてはそれぞれの局長から答弁させていただきたい、かように考えます。
○本岡昭次君 それでは具体的に五点簡潔に尋ねます。だから時間もございませんので、ひとつ要点的に答弁をいただいて終わりたいと思います。
 それで中公審交通部会の土地利用専門委員会報告の主要なポイントが、道路沿道についての土地利用規制の実施ということで、具体的には公害の影響を受けやすい住宅等の新設を事前に制限する土地の利用規制というようなことを主張しておりますが、しかしこうした私権の制限というのはなかなか困難と思われます。そこで建設省として少なくともこれから新しくつくる道路については、現在ある特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法といったような特別立法の準備も必要ではないかというふうにも思うのですが、いかがでしょうか。
 それから第二に、この報告書では、交通施設と周辺土地利用の整合性を図るため、交通施設と住宅、病院等の静穏を要する施設との間に沿道緩衝地帯としての役割りを果たす土地利用を実現することとして、公害防止事業団をしてその整備を受け持たせるよう提案していますが、公害防止事業団法を改正してこれに取り組まなければ、言っていることはなかなかうまくいかないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
 第三に、物流専門委員会の報告では、都市間のトラック輸送、一般道路を走らせずに高速道路のみを使うよう誘導することとしていますが、このためには有料道路料金を軽減するなどの措置を講じる、これらの措置に要する費用は自動車重量税や軽油引取税などの大型トラックの負担に係る財源の拡充等によって賄うべきことを提唱していますが、環境庁なり、また、建設省、大蔵省、運輸省、この提言についてどういうふうに考えておられますか。
 それから四番目に、情報システムの整備、共同輸送等を推進すること、都市周辺部にトラックターミナルを整備すること等によってトラックの効率的な輸送を図り、走行量を削減する旨を述べていますが、環境庁や運輸省、この問題はどういうふうに対応されますか。
 また、第五に、長期的な総合的施策を示したものとしてこの報告は評価できますが、一方、現に
大気汚染、騒音などの激しい交通公害に見舞われている地域への対策としては、早急に車の流入の総量規制を導入するということが必要である、こう私は思います。
 以上、一通り中公審の報告に基づいて概要の質問をいたしましたが、簡潔に一言ずつでよろしいからひとつ述べていただいて終わりたいと思います。
○国務大臣(梶木又三君) 細部は政府委員から答弁させますが、今回の報告、いままで発生源対策中心にやっておったわけでございますが、御案内のとおり、物流、土地利用のあり方をも検討の対象に、本岡委員おっしゃったように、やっておるわけでございまして、環境庁としましては、今回のこの報告書、これは画期的なものだと、かように考えております。
○政府委員(吉崎正義君) たくさんおっしゃいましたので、どれからどうお答えしていいのかちょっと迷うのでございますけれども、簡単にということでございますので、まず、物流の方の、高速道路のことを仰せになりましたが、考え方といたしましては、トラックがどこでも通って公害をまき散らすというのではなくて、一方、物流も非常に大事でございますから、なるたけ住宅地と離して、そして、走っても公害のないような道路をつくるべきである、こういうことでございまして、私どもといたしましては非常に大切なことだと思っておるわけでございます。
 総量規制でありますが、これはなかなかむずかしい問題でございますけれども、一方、交通公害を減らしますためには物流需要も減らさなければいかぬわけでございまして、そのためには、これも御指摘があったと思いますけれども、効率的なトラックの輸送というふうなことも挙げておるわけでございます。
 そのためには、具体的には情報システムの整備、あるいは共同輸送、トラックターミナルの整備等を指摘しておるわけでございます。
 一方、報告書に盛られておりますことはかなり長期を要するというものが多いのでございますけれども、一方、御指摘にもございましたように、現に深刻な場所が多いわけでございまして、物流の方の専門委員会では緊急に現に著しい場所につきましては「低公害なバイパスの整備の促進」「交通管理」「トラック事業者に対する指導等」及び「有料バイパスの利用の促進」の四つを掲げておるのでございます。
 これ、お金がかかりますので、御指摘のように原因者の負担によりまして適切なる施策を講ずるべきである、こう言っておるのでございますけれども、私どもといたしましては適切なる提案ではなかろうかと思っておるのでございます。
 住宅の立地規制につきましてもお話があったかと存じますが、これは大量の通過交通を担う特定の幹線道路の沿道で、いまは市街化されておりませんけれども、今後市街化の進展する可能性のある地域につきましては、交通公害の防止としては単体規制あるいは交通施設の構造対策が基本ではありますが、国土を有効かつ適切に利用いたしますためには、沿道の土地利用規制の導入というのを今後検討すべきであると指摘をされておるところでございます。
 なお、その場合には所有者への適正な補償措置も必要であると指摘されておるところでございます。
 私の方は大体こんなことでございます。
○政府委員(正田泰央君) 交通施設に関連いたしますところの緩衝地帯の問題でございますが、かねてから公害防止事業団につきましては、昨今の公害及び環境の状況の変化に対応しまして、いわゆる国家的な事業に参画するという基本的な考え方を持って進めようと思っているわけでございますが、たまたま御指摘の中公審において緩衝地帯についての参加を呼びかけてまいりました。
 御指摘の点でございますが、これは私ども飛行場それから鉄道、そういったような交通施設につきましては、現在の公害防止事業団の法律でもって当然賄える。さらに道路につきましては、先般もちょうどわが大臣が視察されましたが、道路、住宅それから工場地帯、そういったことに関連いたしまして、非常に幅広く運用して緩衝地帯の造成を行っているわけでございまして、まあ現行法で将来応じがたいという事例が発生いたしました場合には、それに対応したようないろんな方途を研究してまいりたい、こういうふうに思っております。
○説明員(浅見喜紀君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御質問のうちの高速道路等へのトラック輸送の誘導につきましては、運輸省といたしましても公害問題の深刻な道路に並行して高速道路等がある場合には、できる限り高速道路を利用するように従来から関係の業界を指導してきたところでございます。
 先般の中公審の物流専門委員会の報告におきまして、高速道路等の低公害走行ルートへのトラック輸送の誘導に関しまして、その促進策が盛り込まれておりますので、この報告が正式に中公審の答申となりました段階で、環境庁あるいは建設省等の関係機関とも協議して、この点について検討していきたいというふうに考えております。
 それから、トラック輸送の効率化の問題でございますが、貨物輸送需要に対しまして総体的に自動車交通量の減少を図るということは、自動車公害の防止という観点からも重要でございます。このため、運輸省といたしましては、自家用トラックから営業トラックへの転換あるいは中小トラック運送事業の構造改善事業の推進、特に輸送効率向上のための帰り荷あっせんシステムの研究開発あるいはトラックターミナルの整備といったような施策の推進を図っているところでございます。今後とも各般の施策を通じまして、トラック輸送の効率の向上にさらに努力してまいりたいと考えております。
○委員長(竹田四郎君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十八分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十四分開会
○委員長(竹田四郎君) ただいまから決算委員会を再会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、茜ケ久保重光君が委員を辞任され、その補欠として瀬谷英行君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(竹田四郎君) 休憩前に引き続き、昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件を議題とし、厚生省、環境庁、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○森山眞弓君 私は、まず保育行政のことについてお伺いしたいと思います。
 最近婦人の職場進出が大変著しく見られるわけでございますが、中でも有配偶婦人、つまり結婚している婦人で就労される方が大変ふえております。昭和五十六年では、約千四百万人の雇用婦人労働者の中で八百万人が既婚婦人ということでございますので、半分以上は既婚者でございます。したがいまして、婦人労働の対策の中で保育の行政は非常に重要であると考えますが、最近の保育所の整備状況はいかがでしょうか。ざっとお答えいただきたいと存じます。
○政府委員(正木馨君) 保育所の整備状況についてのお尋ねでございますが、昭和五十七年の四月一日現在で保育所施設数は二万二千六百八十四カ所、定員は二百十七万人でございます。これを十年前の昭和四十七年の四月一日現在と比較してみますと、四十七年の四日一日現在施設数一万五千二百八十九カ所、定員は百三十四万人でございます。したがって、この十年間に施設数で七千三百
九十五カ所、定員で八十三万人ばかりの増が見られております。この結果、現在の保育所の整備につきましては、人口急増地域等の一部地域を除きましてはほぼ需要に対応できるような整備水準に到達しているのではないかと、かように考えております。
○森山眞弓君 数の上ではどうにか水準が満足すべきものであるというお答えのようでございますが、確かに十年間で非常に大幅な増加を見ているところからも、数の上では大変向上したというふうに私も考えます。しかし、保育所の数が一応整ったというだけでは、実は目的を十分達するわけではございませんで、ただいま局長のお話にも地域別に多少のアンバランスがあるというお話がございましたが、そのほかにも内容をよく見てみますと必ずしも十分でない面が目につくのでございます。
 たとえば乳児、ゼロ歳児と申しますか乳児について大変需要が多いにもかかわらず、必ずしもその受け入れ体制は十分でないということを聞くわけでございますが、年齢別にはどのようになっておりますでしょうか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(正木馨君) 先ほど五十七年四月一日現在で、定員二百十七万人ということで、定員で申し上げましたが、実際に措置されている人数で申し上げますと、これは措置児の全体は同じく五十七年四月一日で百八十九万一千人ばかりでございます。これは就学前児童すべて含まれておるわけでございますが、先生お尋ねの、特に年齢の低い階層、乳児、一、二歳児等について申しますと、ゼロ歳児――乳児は三万二千五百三人、それから一、二歳児は三十三万六千四百七十人でございます。これもちなみに十年前と比較してみますと、ゼロ歳児の場合は四十七年四月一日現在で一万一千二百人ばかり、約三倍にふえております。それから一、二歳児は十七万三千人でございますから、これは約倍近くにふえておるというような状況でございます。
○森山眞弓君 大変乳児についても努力していただいているということは数字の上から言えるかと思います。しかし、まだまださらにきめ細かく見ていきますと不十分な点がたくさんあるように思われるわけでございます。保育の需要というものが多様化してまいっておりますのに、保育の内容といいますか、体制が大変硬直的であるというのが一番の問題点ではなかろうかと思うわけです。その一つの大きな結果が、しばらく前に国会でも取り上げられましたベビーホテルの問題として吹き出てきたのではないかと思うわけでございますが、ベビーホテルの利用者の調査、昨年の九月労働省が行われました調査を見てみますと、なぜベビーホテルを使うかという質問に対して、近くにあるからというのが五一・七%、そのほかに保育時間が長いからというのが四八・三%、夜間も預かってくれるからというのが四一・五%、低年齢児も預かってくれる四〇・八%、年度途中でも入所可能である三二・九%と、かなりの割合でこのような答えが出ているわけでございます。
 ということは、逆に言えば公立の、あるいは認可されている保育所ではこのような需要に対応し切れていないということになるのではないでしょうか。このベビーホテルの問題が大きく取り上げられまして、児童福祉法の改正が行われたわけでございますけれども、その結果、ベビーホテル対策としてどのようなことが行われておりますか、指導、監督の状況を御説明いただきたいと存じます。
○政府委員(正木馨君) ベビーホテル問題につきましては非常な社会問題になり、国会におきましても御論議がございまして、おかげさまで児童福祉法の一部改正が五十六年に行われたわけでございます。
 それで、このベビーホテル対策といたしましては、児童福祉法の一部改正によりまして、指導、監督等の規制の強化を図るということで、問題のあります施設に実際に立入検査をいたしまして、いろいろ改善措置を講ずる、場合によっては事業の停止を命ずるといったような規制措置がとられました。
 それからもう一点、このベビーホテル問題が起きました背景には、先生御指摘のように、どうしてもベビーホテルに預けざるを得ない、やはり保育行政で反省しなければならぬ面も確かにあったわけでございます。そういうことで、ベビーホテル対策としては、一方において指導、監督の規制を強化すると同時に、こちらの方の受け皿対策を進めるということで、これは当院の社会労働委員会におきましても、児童福祉法改正の際に附帯決議が出されまして、幾つかの事項が指摘されております。それらを私ども踏まえまして、厚生行政の中でそれを反映していきたいということで措置をとったわけでございます。
 若干詳しく申し上げさしていただきますと、受け皿対策といたしまして、保育所における延長保育、大体は保育所は五時から六時までということでございましたが、お勤めの関係もあってもうちょっと長くということで、七時ぐらいまで延長保育をする、あるいは場合によっては夜間ということもありますので、大体これは十時ぐらいまででございますけれども、夜間保育所というものも試験的にやっていこうというようなこと。それから、乳児院あるいは養護施設等の受け入れ体制というものもとっていこう。乳児院の場合には、月単位で、長期の場合にお預かりするということでしたが、短期の場合にも受け皿を広げよう。それから年度中途であっても受け皿を広げようといったような施策を考えたわけでございます。これらの施策、措置によりまして、なかなか思うようには進んでおりませんけれども、私ども大いに督励をいたしまして、これらの施策の前進を図り、この結果と申しますか、ベビーホテル問題につきましても、かなりの改善が図られつつあるのではないかというふうに私ども考えております。
○森山眞弓君 いろいろ御努力いただいておりますことはわかりました。しかし、ベビーホテル問題についてはかなりの改善を見たというふうに最後におっしゃいましたけれども、ベビーホテルそのものはどのように改善されたんでしょうか。それをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(正木馨君) ベビーホテルにつきまして、五十六年の一月に調査をいたしたわけでございますが、これは急遽調査をいたしまして、五十六年一月現在で五百六十八カ所というベビーホテルが発見された。しかし、この調査をさらに精度を加えてまいりますと、その後百六十四カ所ばかり出てきておるということで、七百三十二カ所が当初のベビーホテルであったわけでございます。その後、指導、監督を徹底をいたしまして、立入検査等も行いまして百二十四カ所が廃止をされております。非常に問題のあるところは廃止になりました。しかし、一方におきまして、その後新設が若干五十ほどありますので、現在時点で把握しております数は六百五十台でございます。
○森山眞弓君 五十五年十一月時点では五百六十八、まあその後出入りがあって六百五十九とおっしゃいましたが、そうしますと以前よりはふえているわけですね。要するにいろいろと公立保育所、認可保育所で努力してはおられますけれども、その実効が十分上がってはいないということになるんではないかと思います。
 いろいろ細かい点を言えばあるようでございますけれども、たとえば保育時間の延長、六時までしかやらなかったのを七時までに延ばしたというふうにおっしゃいましたけれども、七時というのは働く母親の立場からいえばなお中途半端のような気がするわけです。それでも一時間、以前よりは努力して延ばしたんだという点を認めるといたしましても、その延長保育、時間延長の対象になる子供たち、その子供たちについてこれこれの条件を満たした者というふうに厚生省から地方の方へ通達していただいているようでございますが、特に局長の通達を拝見しますと、「市町村長が止むを得ない事情のため」「午後七時頃までの保育を必要とすると認めた児童」というふうにおっしゃっておりますのを、それがだんだんと県から市
町村へいきます間に少しずつかた苦しくなるといいますか、曲がるといいますか、かえって最初の趣旨とは反するような結果になっているものもあるわけです。ある市では、おおむね午後七時までの保育を常時必要とする者という文章を下部に流しておりますが、そうなりますとこの常時というのはどういう状態を常時と言うのかというのが問題になりまして、それはお母さんの勤めている事業所の毎日の勤務時間がどうしても六時半とか七時直前とかいうことで、毎日七時までどうしても迎えに来られないという状態を言うのだという解釈をしておりまして、そうなりますと毎日ということではないけれども、一日置きにとか、あるいは週のある曜日には必ず七時になるとかいうような人は該当しなくなってしまうわけです。そういう定期的な必ず見込まれる残業あるいは遅くなるお母さんの場合には、せっかくのこの延長保育、時間延長の恩恵に浴さないということになるわけでございまして、どうも厚生省の御趣旨が徹底し切れてないという面があるように思われるんですが、いかがでしょうか。どのように指導しておられますか、お聞かせください。
○政府委員(正木馨君) 延長保育の問題につきましては、「延長保育特別対策実施要綱」というのを定めまして、いま先生のおっしゃいましたような基本的なことを定めて地方に流しておるわけでございます。ところが、先生いま御指摘ございましたが、それが地方に参りますと非常に厳しいといいますか、かたい基準を設けるために実際になかなか利用できない面があるんじゃないか。いまお話をお伺いしますと、毎日延長保育を必要とする状態ではないけれども、週のうちに三日か四日はどうしても残業があってといった場合には、常時というようなことにしますと、延長保育の対象にならないことになってしまいます。しかし現実にはそういう子供さんでも保育に欠ける状態にあることは間違いないわけで、やはり保育の問題というのは、一つの基準を定めましてもそれを硬直的と言うとあれですけれども、かたくなな運用をすれば実が上がらないということで、やはりそれぞれの保育ニーズに応じた対応というものをやっていってもらわなければならない。地方で実施をいたす場合には一応の基準といいますか、内規的なものをつくると思いますけれども、そういうものをつくる場合にも保育の実を上げるようにということを私どもは十分指導していかなければならない。先生せっかくの御指摘をいただきましたが、そういったこともよく踏まえまして、これからも県なり市町村の指導に徹底を図ってまいりたいというふうに思います。
○森山眞弓君 ほんとうの趣旨が実際に生かされますように一層御努力を願いたいと思います。
 ところで、このような夜間とか時間延長のための予算はどのぐらい入っておりますですか。
○政府委員(正木馨君) 約八億円程度でございます。
○森山眞弓君 対象保育所の数、そして実行の数をおっしゃっていただきたいと思います。
○政府委員(正木馨君) 延長保育につきましては五十七年度におきまして約一千カ所、それから夜間保育につきましては試験的に三十カ所を目標に整備をしていこうということでございましたが、これがなかなか残念でございますが実効が率直に申しまして上がっておりません。現在延長保育の方は百四十三程度だったと思います。それから夜間保育所につきましては八カ所が実施されておるといったようなのが実態でございます。
○森山眞弓君 せっかく財政が厳しいときにさめの細かな保育をしていただきたいということで貴重な予算がついておりますのに、それを十分こなし切れていらっしゃらないというのはどういう理由でございましょうか。
○政府委員(正木馨君) この問題につきましては、まあいろいろ原因はあろうかと思いますけれども、延長保育なり夜間保育対策というのは子供さんあるいは子供さんの親御さん方には大変喜ばれるわけでございますが、反面、職員にとりましてはそれ相応の勤務体制というものをとらなければならない、これは当然なことでございます。したがって、これらの施策を実施する場合にはやはり職員の方々の協力、理解というものがどうしても必要でございます。幸い福祉の関係に従事する職員の方々ですから、いわゆる福祉の心を持って臨んでいただいておるわけでございますが、なかなかやりたてのことでもございますので思うように進んでおらない。しかし、逐次職員方の理解も得ながら前進を図っていけるのではないかというふうに思っております。
○森山眞弓君 それにしても十分の一前後しか消化されていないというのは、非常に残念なことだと思います。時間の延長や夜間の保育を求めている需要はたくさんあると思いますのに、それを十分吸い上げ切れない、それはまことに残念な結果だと思いますので、いまおっしゃいますように一層の努力をしていただきたいと思います。
 ただ私が一つ疑問に思いますのは、職員の方にしわが寄るのは、もちろんそれだけではいけませんけれども、その職員のところにしわが寄ることを心配してというよりは、その実施主体である市町村が保育というものについてできればめんどうなことはやりたくないという気持ちが心の中にある結果ではないのか。これはもしかしたらひがんだ見方かもしれませんけれども、保育という物の考え方が保育に欠ける子供、つまり本来ならば家庭で育てているべき子供をいろんな事情でしようがないからめんどうを見ているという感じで、積極的にこれに取り組んでよりよい保育をできるだけしようという姿勢に欠けるんじゃないか。そのためにせっかくの新しい試みも、市町村でそんなめんどうくさいことはなるべくやりたくないという気持ちが働いて、いずれ私たちは後でやりますということで受け手がないんじゃないかというような感じが私はするんですけれども、そういう心配はございませんか。
○政府委員(正木馨君) この保育の問題はなかなかむずかしい問題だと思います。子供さんを育てるやはり親御さんにも責任があるわけでございますが、同時に、婦人の職場進出というものが著しい、そういった社会情勢の変化の中で新しい保育需要というものが出てきている、これを社会がどう受けとめて対応していくのか、こういった問題だと思います。
 その保育行政に携わる者が、先生おっしゃいますように、本来親御さんが育てるものをわれわれがしているんだから、まあ少し後ずさりしようかといったような気持ちは万々持っておらないと思いますが、やはり保育行政というものを進めていく上におきましては、親御さん方もその施設の職員の苦労というものを十分理解していただく、職員も親御さんの気持ちになって子供を育てていく、そういうものがかみ合ってこの行政が進められていくんではないか、私ども行政の立場でそういった方向へどう持っていくのかというものを常々知恵をしぼっていかなければならないと、こういうふうに思っております。
○森山眞弓君 いまのようなちょっとひがみめいたことを申し上げましたのは、措置費の出方、出し方といいますか、を拝見しててちょっとそんな感じがしたわけなんです。といいますのは、政府の方から措置費が保育所に出されますけれども、その積算の対象となります人件費の計算の仕方ですね、親の収入によって子供が、これは何種類ですか、A、B、C、Dのランクに分かれて、またその中に幾つか細かくなってますから、全部で十八段階ぐらいに分かれていると思うんですけれども、非常に低収入の親の子供が六人いた場合には、乳児の場合です、保母の数え方は三人に一人とすると、仮に親の収入がある限度よりも高い場合には六人に一人とするという計算でやられていると聞いております。
 それを私なりに解釈いたしますと、要するに保育所の仕事というのは救貧対策であると、それがメーンの目的であって、本来の保育を必要としている子供たちを全部同じように受けとめて必要な保育を行うものであるという考え方とは、ちょっとずれているんじゃないかという気がするんで
す。仮に親御さんの収入が高くてもそうでなくても乳児にかかる手数、人手は同じだと思いますので、そういう措置費の計算の仕方はおかしいんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
○政府委員(正木馨君) 先生の御指摘の点は乳児保育特別対策についての措置費の算定の仕方についての御質問だと思います。現在保育所の措置費の算定に当たりましては、一般の処遇費とそれから人件費と両方で成り立っておるわけですが、保母さんの配置基準というのは年齢によって違いがあってしかるべきだろう。平均的には、年齢の高い階層は三十人に一人の保母さんということですが、三歳未満児については六人に一人ということで基準が設けられております。
 ところで乳児につきましては、これを三人に一人の配置基準でいわば加算の措置費を出しましょうと、こういうことになっておるわけでございます。現在この加算の対象になっておりますのがD4階層ということで、所得税を納めている階層で年収で申しますと大体夫婦子供二人で三百三十万ぐらいの階層の方ですが、その階層以下の方々を対象としている場合には三人に一人の加算にしましょうということにしておるわけでございます。
 先生のお話は、これは乳児は何もお金のあるなしにかかわりないんだから、同じ措置をしてそして負担の問題は別に考えていいんじゃないかということだろうと思いますが、これを一般に全体に広げていくということになりますと、乳児の場合の措置費といいますか、保育単価といいますか、処遇費というのが大体現在八万五千円ぐらいになっております。これが三歳未満児ですと五万円ぐらいでございます。かなり高い。したがってこれを一般に広げていった場合には、その保護者の負担をどうするかといったような問題にもかかわってまいります。
 そこで、保育に欠けるという状況は、親御さんの所得いかんにはかかわりないわけですが、そうは言っても所得の比較的低い階層の方々というのはより緊要度が高いのではないかということで、現在D4――五十六年まではD2階層まででしたが、D4階層までということで広げたわけでございます。
 これにつきましては、先生のようなお考えももちろんあるわけでございますが、私どもとしては、乳児保育の対象拡大ということが一つの念願でもあるわけでございまして、来年度の予算におきましてはD4階層をD5階層と、年収で申しますと約三百七十万ぐらいの階層までこれを広げようということで予算案をつくりまして、国会で御審議を願っておるというような状況でございます。
○森山眞弓君 やっぱり子供は親の収入によって違った待遇――待遇ということはないですが、違った目で計算されるというのは、何とも私、納得がいきませんので、さらに御努力をいただきましてそういう違いがなくなりますようにしていただきたいと思います。
 また、いま局長のお話にちょっと出ましたけれども、保育料の面でも矛盾の見られる点があるかと思うんです。三歳未満と三歳以上という二種類に分けまして、三歳未満は一括されているようでございますが、おっしゃるように乳児については特別の手当てというか、人手がよけいかかることでもあり、コストが非常に高いわけでございますので、保育料についてもそこを考慮してもよろしいんではないかという気がするんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(正木馨君) 保育料につきましては保育所の徴収基準というのを設けておりまして、これは、三歳以上児の場合と三歳未満児と、二つのランクに分けまして、所得の一番低い階層、生活保護世帯をA階層とし、市町村民税の非課税世帯をB階層とし、市町村民税の均等割を納めている世帯それから若干の所得割を納めている世帯をC階層とし、その上をD階層といたしまして、基準を設けまして徴収をしておるわけでございます。
○森山眞弓君 こういうふうに分けてやっていらっしゃるのにはそれなりの理屈があると思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、保育というものについての基本的な考え方というものを、社会の情勢の変化に伴って根本的に考え直す必要があるんじゃないか。それによって保育の運営の仕方、保育料とか措置費とかあるいは職員の体制とかその他全部を含めて、総合的に根本的な検討が必要な時期にきているのではないかと私は思う次第です。私の意見を参考にして検討していただければありがたいと思います。
 それでは、大臣に最後にお聞きしたいんですけれども、保育所というのは、まあ先ほどから申しているように保育に欠ける子供のためのやむを得ない措置ということでスタートしたと思いますが、今日では学校へ入る前の子供の約二割が保育所に行っているということでもございまして、次代を担う国民の健全な育成ということにも大きな役割りを果たしているという感じがするわけでございます。幼稚園というのが別にありまして、幼稚園との関係でいわゆる幼保一元化というような問題も出ているようでございますが、このような問題もよく踏まえた上で、保育対策というものは従来とは違った観点から、新しい時代に即応した新しい需要にきめ細かく対応できるものでなければならないと私は思うのですが、保育行政について、大臣の基本的なお考え方をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 森山議員御指摘のとおり、いろいろな問題があると思います。
 率直に申しまして、量的な保育所の整備というものは、量的な問題、まあ数だけではありませんけれども、いろんな内容の問題につきましても、一応水準としては私はいいところまできているんだろうと、こう思うんです。ただ、御指摘のように、社会情勢の変化に対応していろいろ考えをしていかなければならない、改めていかなければならない。特に近年の婦人の職場進出の状況は、最初に御指摘のありましたように新しい問題が出ておりますから、やはりそれで乳児保育の問題であるとか延長保育、夜間保育というような問題も出てきておるわけでありますし、やはり保育需要というものをどう考えていくかというのを基本的に私は考えながらこの対応を図っていかなければならないところだろうと、こう思います。
 五十八年度予算でも、先ほど局長から御説明申し上げましたように、所得三百三十万円のところを三百七十万円まで上げましたり、障害児保育の問題につきましても推進を図っていくというようなことをやってきたわけでありますし、私も着実にそうした事態に合うように進めたいと思います。森山議員はかつて労働省のその方の御関係も大変しておられたわけですから、私も専門家として非常に尊敬をしておりますし、ひとつわが省に対します積極的な御指導を賜るようにお願いを申し上げます。
○森山眞弓君 延長が必要だから延長しよう、夜間が必要だから夜間をやろうというような個別の臨床的な問題じゃなくて、保育というものを根本的に考え直す時期ではないかということを言いたかったわけで、ぜひその点を大臣にも御理解いただきたいと思います。
 次に、育児休業について少しお聞きしたいと思います。
 働く母親の子供に対する対策の一つといたしまして、保育所に続いてといいますか、並んでといいますか、非常に大事だと私が思いますのは、育児休業でございます。かねて労働省では大変努力をしてこの普及に推進方やってまいったわけでございますが、今日どの程度の普及状況でありますか、お聞かせいただきたいと思います。
○説明員(佐藤ギン子君) 労働省で行いました調査結果によりますと、従業員を三十人以上雇用しております企業の約一四%におきまして現在育児休業が実施されているところでございます。
○森山眞弓君 何年か前の数字に比べますと非常に大幅な増加のように思われますが、どのような対策をしておられるのでしょうか。
○説明員(佐藤ギン子君) 労働省では、育児休業
の普及を図りますために、昭和五十年からは、一定の条件を備えた育児休業制度を実施します事業場に対しましては奨励金の支給を行っております。このほかに、看護婦さん等の特定の職種の方たちに育児休業がとりやすいような制度をとっております事業主に対しましては、別途また利用助成給付金を出しているところでございます。それから、五十五年度からは、育児休業につきまして、民間の事業主ですとかそれから勤労婦人の方方の相談に応じる、あるいは指導をできるようにということで、育児休業制度普及指導員というものを婦人少年室は配置をいたしておりまして、こういう方たちに活躍をしていただいているところでございます。このほかに、五十七年度からは、育児休業制度普及促進旬間というものを六月の上旬に設けまして、マスコミ等も十分活用させていただいてこの普及、あるいは民間の方々の御理解をさらに促進するということをやってきているわけでございますが、さらに五十八年度からは、この奨励金等の支給の増額を図る、それから先ほど申し上げました指導員も増員したいということで要求をいたしているところでございますので、こういうものをさらに活用していきたいと思いますし、あらゆる手段を通じてこの普及をさらに進めていきたいと思っております。
 それからまた、育児休業制度につきまして法制化を図るという問題につきましても今後さらに検討を進めていきたいというふうに考えております。
○森山眞弓君 法制化についてさらに検討を進めていきたいというお話でございましたけれども、大体その見通しはいかがでしょうか。
○説明員(佐藤ギン子君) 現在労働省では、雇用における男女平等を確保するための対策というものを検討いたしているわけでございまして、特に現在、労・使・公益の三者構成でできております婦人少年問題審議会におきましてこの婦人労働対策を総合的に御検討いただいているわけでございますが、この中で育児休業制度の法制化問題というのは一つの大きな課題になっているわけでございます。
 先生御案内のように、国連の婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准の問題というのが日本政府に課された大きな課題になっておりまして、これは、六十年までに批准をするために条件整備を図ることになっておりますので、それとの兼ね合いで、私どもといたしましては、遅くとも婦人少年問題審議会におきましてはことしじゅうに御返事をいただきたいということでお願いをいたしておりますので、その御返事を待って、できる限り早く対策をとってまいりたいというふうに考えております。
○森山眞弓君 いまのお話ですと、雇用機会の均等を確保する法律とあわせてというか、それと一緒に考えて結論も出し、それを含めたものでいくということなんでしょうか。
○説明員(佐藤ギン子君) 先生おっしゃったとおりでございます。
○森山眞弓君 育児休業というのは、子供の福祉、もちろん働く婦人自身の問題でもありますが、子供の福祉の面から言いまして、むしろ保育所よりもさらに望ましい姿であるとさえ言えると思いますので、婦人労働の法制化の一部であることは私もわかりますけれども、これにつきましては特に十分な関心を払っていただきまして、育児休業の体制の整備ということは緊急の課題だと思いますので、早急に結論が出ますように努力していただきたいというふうに思います。
 先ほど一四%と言われましたのにちょっと戻りますが、業種別にはどのような産業で伸びておりますか、ちょっとそれだけ聞かせていただきたいと思います。
○説明員(佐藤ギン子君) やはり女性が多く就業いたしておりますところでかなり多くなっておりまして、たとえば繊維産業ですとか、それから卸売、小売業、サービス業、そういうところで多くなっております。
○森山眞弓君 それは、法律によって育児休業が認められております教職とか、保母さんとか、看護婦さんも含まれているわけですね、その数字には。
○説明員(佐藤ギン子君) この調査は労働基準法が適用になる対象でございますので、先生御指摘のとおり、公立学校の先生等も含まれている数字でございます。
○森山眞弓君 わかりました。それでは、一層の御努力を特にお願いいたしまして、育児休業については以上で終わりたいと思います。
 次に、優生保護法の改正問題がいま取りざたされておりますので、そのことについてお聞きしたいと思います。
 聞くところによりますと、今度の国会に改正案が出るのではないかというようなお話もあるんですが、事務当局の検討の状況はどういうふうになっておりますか、お聞かせください。
○政府委員(三浦大助君) 優生保護法の改正の問題につきましては、公衆衛生審議会の中に優生保護部会というのがございまして、昨年の三月から人工妊娠中絶制度のあり方についてということで、これは主として医学的な観点から検討を行ってまいっておりまして、現在も引き続き検討中でございます。
○森山眞弓君 検討の結論が出る見通しはいかがですか。
○政府委員(三浦大助君) 今国会に提出予定ということで検討を進めておりますので、そろそろおまとめいただきたいかと思っておりますが、これは母体の保護という医学的観点を中心にして検討をしてまいりましたけれども、さらにもう少し広い観点からの検討も必要でございますので、なるべく早くこの検討を得たいというふうに考えております。
○森山眞弓君 もう少し広い観点からの検討と言いますと、どういうことでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 実はきのう私帰りましたら、私のところへ手紙が来ておりまして、見なれない人から来ていたんですが、あけて読みましたら、若い高等学校か、大学かの女性の方だと思いますけれども、来ておったんです。読みますと、私の周りでは、非常に中絶というのがもうあたりまえのようなことになっておる。しかも、そのあたりまえのようなことを平気で口に出してみんなしゃべるというのは、何ともやりきれない気持ちがするというので、ぜひやってもらいたい、何かを考えてもらわなければいけません、政治家としてこれをぜひ何らかの形で解決するようにしてもらわなければなりません、というようなお手紙が来ておりました。
 私も非常に胸を打たれたわけでありますが、優生保護法というのは、現在の法律ではどちらかというと医学的な観点で、母体の健康であるとか優生手術であるとかというような形の法律になっておるわけであります。
 私は、やはり問題になりますのは、その中で経済的理由に基づいて中絶をすることができるということになっているが、それがやっぱり時代に合わなくなってきているという意見がありますし、私はその意見は確かにそのとおりだろうと思うんです。
 ただ、それではどうするかということになりますと、いろいろな問題がありますので、医学的な、また母体健康というような問題で議論はもちろんしていただかなければなりません。と同時に、これは出産というのは、やっぱり人間の一つの崇高な、私は高大な使命でもあろうか、こう思うんです。そうした高い観点に立つならば、倫理的な問題というものもやっぱり考えていかなければなりませんし、また倫理を超えて宗教的な考え方もやっぱりいろいろと考えていかないと、私は国の将来を誤ることになるんだろう、こう思うんです。
 そういった意味で、その辺の議論は正直言って、それでは完全に何かまとまったものがいまあるかと言えば、私は若い人、お年寄りの人、先生と私と同じぐらいですから、私たちの年輩とほかの年輩の方となかなか合わない点もあるだろうと
思います。しかし、何らかのやはりコンセンサスをつくっていかなければ、現在の政治家としてはやっぱり困る話ではないだろうか、こう思うんです。そういった意味で、実は倫理学者であるとか宗教学者の意見も聞くような形で、その話をいま事務当局にさせておるところでございます。
○森山眞弓君 公衆衛生審議会には倫理学者や宗教家もいらっしゃるんですか。
○国務大臣(林義郎君) 実は優生保護部会の中にはそういった方は入っておられませんから、お願いをしまして、そういった方々の意見を聞くような場所をひとつやってもらいたい。公衆衛生局長も、また優生保護部会長その他の方々も、話をやっぱり聞いてもらった方がいいだろうと思うんですね。いや、それはおまえのところは医者の話だから、もういいよという話ではないと思うんです。やっぱりそういった点で合意がどこにとられるかということは、そういった意味で意見を聞かなければならないところだろうと思いますし、先生この前、実は暮れにお越しになりましたから、党の中にもいろいろと女性の方々もおられますし、問題はやっぱり非常に女性に、男性より女性のこれはすぐれた問題、男性も関係ないとは申しませんけど、女性の方の問題が非常に大きいわけでありますから、女性の御意見も私は十分に拝聴していかなければならないだろう。男性の意見を聞かないとか、そんなことじゃありませんけども、これは子供をつくるというのは、女だけではできる話じゃない、男性だけでできる話じゃありませんから、相まってやっていかなければならない話だろうと思いますし、私はそういった方々の御意見も聞いてみたいとこう思っているところでございます。
○森山眞弓君 大変御懇篤な御説明をいただきまして恐縮でございますが、もう少し続けてみたいと思います。
 大臣のお話の中にもございました経済的理由というのが、余り昔に比べてそれほど存在理由がないんではないかというふうにいまおっしゃいましたけれども、現に経済的困難のある人が全然いないというわけではありません。ですから、この言葉を削るという案があるようですけれども、それを削ることによって救われる人もあるでしょうが、またそれで大変困る人も新たに出てくると思うのです。ですから、軽々しくやっていただいては困るわけなんですが、仮に、経済的な理由というのが、この法律ができた昭和二十三年当時よりはいまは存在理由が薄いということを認めるといたしましても、生命の尊重、胎児の命というものは大切であるというのは私も全く賛成なんですけれども、もしそれが非常に大事だというのであれば、この経済的理由を削るというだけでは目的を達しないのではないか、むしろそんなことよりはほかにもっと大事なことがあるんじゃないか。大臣もすでに幾つかに触れられましたけれど、そっちの方がむしろ大事ではないかと思うのです。仮に中絶をしにくくすれば本当に中絶が減るのかということを考えてみますと、よその国の例などを聞きますと、かえってやみの中絶がふえて、それこそお母さんの命も危ないようなケースが多くなってくるという話をよく聞きます。こういう問題が考えられるわけですので、これについてはどのように対処されるおつもりなんでしょうか。
○国務大臣(林義郎君) 私も経済的理由が全然ないとはひとつも考えてないのです。やはり経済的に非常に困ると、子供が生まれたならば大変だという方もおられるだろうと思います。そこはそうだと思いますし、私も、先ほど申し上げたのがもしも誤解を招いているといけませんから、そこはもしもそうでありましたら訂正しておきますが、少なくとも戦後の時代の経済的事由という言葉と、いまの時代におけるところの経済的事由というのはやっぱり違っているのであろうと思いますし、もう一つ申し上げますならば、経済的事由という言葉は非常に広く解釈される可能性もあるわけでありますから、そこでいいのかなあと、こういうふうなことを考えておるわけです。
 それからもう一つは、先ほど来国民のコンセンサスと、こう申し上げましたが、最初に私が若い女性からの手紙の中で申しましたけれども、やっぱり学校教育なり一般の社会教育なり、あるいは社会の持っておられる考え方というものが、やっぱりそういったものに対して生命尊重ということをやっていただかなければならないことだと、私はこう思うのです。そういったようなことを幅広く考えていくことが必要だろうと思いますし、また同時に、中絶ということになりますと、御指摘のように母体に対する危険性というものも私は絶無でない。その辺をどう取り上げていくかということもありますし、その辺をみんな総合的に考えていかないと、この問題の答えはなかなか出てこないんだろうと思うのです。だから、これ何かぎゅうっと進んでやれるような話でないと思いますし、いろんな点を深く考えながら、法律をつくって悪人をたくさんつくるのが私は法律をつくる能でないと思うんです。本当に日本の将来のために、私はどういうふうな法律をつくったらいいかということを真剣に考えながらやらなければならない問題のように思っているところでございます。
○森山眞弓君 最近、諸外国の法制がこの問題について変わりつつあるように聞いておりますけれども、諸外国での規制の動向はどんなふうになっておりますでしょうか。
○政府委員(三浦大助君) 私ども優生保護部会の審議の過程におきまして、やはり外国でどうなっているかということがいろいろ議論になっておりましたので、いろいろ調べてみました。調べてみましたといいましても、欧米先進国二十数カ国でございますけれども、なかなか各国人工妊娠中絶のいろんな適用理由を持っておりまして、国によって本当にばらばらでございます。中には非常に緩やかな方向にいく国もございますし、中には厳しく改めている国もある。その国の、いろんな宗教観と申しますか価値観にもよるだろうと思いますが、非常にまちまちでございます。
○森山眞弓君 まちまちとおっしゃったんではよくわからないので、主なところの例を挙げていただきたいと思います。
○政府委員(三浦大助君) 私どもが調べました範囲では、若干緩やかな方向にいく国が多いんではなかろうかというふうに思います。これにつきましては、この人工妊娠中絶の適用事由の中に医学的適用とか、あるいは優生保護的適用あるいは人道的適用あるいは医学的社会的適用とか、あるいは純粋に社会的適用とか、本当に国によってかなりまちまちでございます。たとえば、二、三例いま挙げますが、アメリカはいま本人の希望だけでも中絶ができるわけでございますが、これはレーガン大統領が厳しい方向に改めようとしておるわけでございます。それから、ソ連も、これは一九五五年以降人工妊娠中絶が処罰されないということになった。この辺が代表的な例でございます。ただ、今度逆に、フランスあたりは、これは希望による人工妊娠中絶ができたんですが、これは逆にこれが廃止されたというように、各国かなりばらばらでございます。
○森山眞弓君 やはり国の事情によって、また国民の考え方、社会的な風潮その他さまざまなことを考慮して規制が行われているんだろう、あるいは規制が緩められているんだろうと考えますが、日本の場合は、先ほど最初に大臣が例に挙げられましたような、若い女子高校生あたりの間であたりまえのように話題になっているというような社会風潮を考えますと、単にこの法律を書き直したというだけで足りるものではないと思います。私もいまの、現在の状態が全く問題がないと言っているわけではないので、もっと生命を尊重するという基本的な考え方、それからこれは、その結果私生児がふえるにせよ、やみの中絶がふえるにせよ、女性の方により大きな負担と犠牲がかかるわけですので、女性の人権を尊重する、女性蔑視の思想をなくしていくというような、非常に基本的重要な問題を含んでいると思いますので、この問題は最初言われましたように、いろいろな人の意見をさらに総合的に聞いて慎重に対処していた
だきたいというふうに思います。そして、特に女性の意見を徹底的に聞いていただきまして、そして慎重な対処、賢明な対処をしていただきたいということを特につけ加えたいと存じます。
 大臣のお考えを最後にまとめてお伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(林義郎君) 先ほど来るる申し上げましたが、いま局長から諸外国の例もありました。私も海外にちょっと昔行っておりまして、聞いたんですが、やっぱり法律でもって規制をするというのは、社会の中の一つの側面だろうと思うのですね。やっぱり非常に宗教的な形での社会規範というものがありますし、また倫理規範といいますか、個人の道徳規範というものもあるし、私は法律でやるのと同時に、そういったいろんな形の規範というものが社会にはあると思うのです。だから、そういったものをどうしていくかということも考えなければなりませんし、宗教規範も倫理規範も何もかも皆法律で書くというのは果たしてどうだろうかなという、実は感じもあるわけです。そういったことでありますが、先ほど申しましたように、国の将来に関する大問題でもありますし、私も特にこれは女性の方々には非常に関心のある問題であるということも百も承知しておりますし、また当然の話でございますから、いろんなことを御趣旨を体しましてぜひやっていかなければならない、こういうふうに思っているところであります。
○森山眞弓君 終わります。
○鶴岡洋君 きょうは五十八年度予算、それから社会保障に対する厚生省の基本姿勢、それから五十六年度の決算が昨年の暮れに国会に提出されましたが、それと同時に会計検査院の検査報告が出ておりますので、その中の厚生省関係の不当事項、それから川崎病、できればツツガムシ病ということで盛りだくさんで御質問をしたいと思います。
 最初に五十八年度予算及び社会保障に対する厚生省の基本姿勢でございますが、もちろん五十八年度予算は衆参の予算委員会でこれから審議されることになるわけですけれども、この基本姿勢について何点かお伺いします。
 御存じのように、五十八年度の予算編成は厳しい経済情勢、財政条件のもとで超緊縮予算、こういうことで編成されたわけでございます。しかし、その結果どうかというと、防衛費は対前年比六・五%と大きく突出したわけです。一方、社会保障関係費は昭和二十八年の〇・六%、それよりももっと低い〇・五%といういわゆる戦後で最低の伸びにとどまっておるわけです。特に財政当局による国民健康保険への臨時財政調整交付金の削減、それから社会保障事務費の国庫負担一部の打ち切り、これは市町村やいわゆる国民、被保険者に負担を強いるというきわめて危険な私は方策ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。
 そこで、この五十八年度予算に対する厚生大臣の基本姿勢と社会保障を今後どういうふうに推進していくのか、まず大臣の所信をお伺いいたします。
○国務大臣(林義郎君) 五十八年度の厚生省予算の編成に当たりましては、真に必要な福祉、保健衛生等の社会保障施策については、厳しい財政状況のもとにありましても所要の改善措置を講じてきたところであります。他方、すべての歳出内容につきまして見直しを行いまして、その合理化、適正化を図るというのが基本的な考え方でございます。
 今後社会保障をどういうふうに進めていくかという御質問でございますが、高齢化社会の到来を控えまして、社会保障が将来にわたって長期的に安定し、有効に機能するように年金、保険医療、社会福祉等の各般の施策についてその効率化、重点化を図りつつ、それぞれの整合性を保ちながら総合的に推進してまいりたい、こういうふうに考えております。
○鶴岡洋君 大臣としては福祉水準を五十八年度予算も守ったと、そういうふうにおっしゃりたいと思います。しかし、さきに述べた臨時財政調整交付金、社会保障事務費の打ち切り、これは新しい事態であることは事実であります。社会保険事務費のうち保健サービス、いわゆる保健相談、この費用百三十八億円、これが打ち切られております。将来この社会保険事務費全体が打ち切られるということになると、それにかかわる被保険者へのいわゆる保険料の引き上げ、これに連動してこないとは思いますけれども、連動してこないという保証はどこにもないわけです。この点について厚生省当局としてどんな見解をお持ちでおられるか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(入江慧君) 社会保険事務費の国庫負担の問題につきましては、まあ厳しい状況の中で事務費全体を見直しまして、従来の社会保険の事務費を国庫負担するという原則は堅持しながら、いまお話のありましたような被保険者等の保健、福祉の向上につながるような事業に入るような経費について保険料で負担するということにしたわけでございまして、五十八年度につきましてはその総枠は百八十三億円でございまして、現行の保険料の枠内で賄えるというふうに考えております。そういう意味で直ちに保険料の引き上げにつながるというような事態は生じないというふうに考えておりますし、将来とも福祉施設費全体の見直し等を通じまして被保険者の負担になるべくつながらないように努力したいというふうに考えております。
○鶴岡洋君 そうすると、被保険者の方に対しては迷惑は将来もかけない、そういうふうに理解してよろしいですね。
○説明員(入江慧君) 将来ともこの場で約束せよとおっしゃられましてもちょっとそれはあれでございますが、当面は引き上げにつながるような事態は生じないというふうに考えております。
○鶴岡洋君 厳しい経済情勢のもと、社会保障の長期計画が示されないままに福祉の切り捨て、切り込みが行われる、先ほど大臣からお話がありましたように、これから高齢化社会がどんどん進むわけでございますけれども、高齢化社会の本格的到来に向けて、現在の状況から判断しますとますます福祉後退になる危険性が私はいっぱいではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。社会保障の長期計画が示されないまま削減だけをやっていくことに対して、国民としては非常に不安でいるわけです。金があるときは出す、極端に言えばなければそれをすぐ切る、言うならば場当たりといいますか、その場その場ということで、しかも弱いところにしわ寄せをしていく。まあ福祉というのは、私が考えるのには国民生活を安定させるものであり、また政治の原点ではなかろうか、こういうふうにも私は思うわけです。したがって、この長期計画というのをやはり立ててやっていかなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、厚生大臣はこの社会保障の長期計画策定についてどんな所見を持っておられますか。たとえば道路の面についても、交通網の面についても、それからエネルギーの問題についても、それぞれ三カ年計画、五カ年計画というものがつくられて政治はやっているわけですけれども、この社会保障の長期計画というのはいまないようですが、その策定についてはどういう所見を持っておられますか。
○国務大臣(林義郎君) 鶴岡委員御指摘のとおり、社会保障をこれから高齢化社会の到来を控えて安定して進めていくということは私は非常に大切なことのように思います。政治の原点というのはやっぱり豊かな福祉社会をつくる、こういうことにあるだろう、こう思いますし、これはやはり国民の幅広いコンセンサスを得てやっていかなければならないし、そのために中長期展望を明らかにしていくことは必要だろうと思います。社会保障の将来展望につきましては、社会保障長期展望懇談会というのが有沢広巳先生を座長にいたしまして、昨年の七月に提言をいただいております。また各種審議会におきましても年金制度など各般の施策について長期的展望に立ったあり方を現在検討中でございまして、こうした意見を踏まえて今後とも将来展望に立った社会保障の推進という
のは当然にやっていかなければならない、こういうふうに思っております。
○鶴岡洋君 児童扶養手当それから母子福祉年金、この所得制限は据え置きとなりまして実質的な切り捨てということになったわけですが、この結果、児童扶養手当の場合は全国で約三千八百人の人が来年度は受給ができなくなる、このように福祉凍結は社会的弱者に対してきわめて厳しい処置と、こういうふうになるわけです。財政難であれば当然財政難のことを踏まえて省くものは省く、むだはもちろん当然省く、こういうことになりますけれども、特にいま申しました児童扶養手当、母子福祉年金、それを含めまして五十八年度予算の中では厚生年金も据え置き、国民年金も据え置き、それから福祉年金も据え置き、障害者福祉年金も据え置き、それから児童扶養手当いま言った、それから児童手当もと、こういうふうになってきているわけです。金がないからできない、こういうことで済まされるということになると、あなたのようなりっぱな大臣が大臣にならなくても、だれでも金がなきゃできないということならばこれはできるわけです。そこで先ほど申しましたように社会保障というのは国民生活の安定のために、またこれは政治の原点である、こういう立場からやはり充実していかなきゃいけないんじゃないか。財政のこともございますけれども、それに関係なくやはり充実していくのが私は政治の姿勢ではなかろうか、こういうふうに思うわけですけれども、五十八年度予算ではどのようなところに大臣として社会保障の充実ということに努められたのか、努力されたのか、その辺はいかがでございますか。
○国務大臣(林義郎君) 児童手当は、先生大変御熱心にやっていただいていることもよく存じておりますが、今後とも出生数の減少が見込まれる中で、やっぱり高齢化を迎えた社会の中では、児童の健全な育成、資質の向上は重要な課題であると考えております。児童手当制度につきましては行革関連特例法によりまして昭和六十年度を目途にして必要な措置を講ずるということが先般の国会で決まっておりますし、現在中央児童福祉審議会におきまして長期的視野に立ちました問題を検討中でございます。六十年にこの法律が切れると申しますか、新しいことをやらなければならないとその法律の中にも書いてございますから、そういった方向で現在検討をしているところでございます。
○鶴岡洋君 児童手当のことはいまその後に聞こうと思ったんですけれども、私が先ほど聞いたのは五十八年度予算について全般的に社会保障というのは先ほど言ったようにやはり政治の原点である、こういうふうに私は思うんですけれども、先ほども大臣がそういうことだというお話でございました。どれを見てもこれを見ても据え置きであるとかそれから減額であるとかいうことになっているわけですけれども、それでは原点を踏まえて充実するところはやっぱり充実しなきゃいけない、こういうふうに私は思うんですけれども、その点はいかがかということで質問したわけです。
○国務大臣(林義郎君) 御質問の趣旨を取り間違えまして恐縮に存じますが、五十八年度の予算におきましては地域社会の中で老人や障害者を支えるための在宅福祉施設の拡充、老人保健事業を初めとするところの国民の積極的な健康づくりの対策の推進、さらには現下の社会情勢から緊急に改善を必要とするところの中国孤児対策、乳児保育対策、母子福祉対策等に重点を置いてまいったところでございます。
○鶴岡洋君 児童手当のことはさっき答弁ございましたけれども、改めてもう一回この点については、わが党がもう従来からその拡充を何回も要求をし主張し続けている問題でございます。
 そこで、いまお話があったように、五十九年に見直しが行われる、こういうことになっておりますけれども、中身はわかりませんが、恐らく前進ではなく後退だと、こういうふうに想像するんですけれども、児童手当というのは、小さく産んで大きく育てる、こういう公約にもかかわらず、いまや低所得世帯に限定され、他の年金、諸手当に比較して大きく立ちおくれていると言ってももう過言ではございません。五十五年の中央児童審や五十七年の社会保障長期懇談会の提言でも指摘されているとおり、次代を担う児童の健全育成に配慮すべきである、こういうふうに考えますけれども、この児童手当に対する厚生大臣のお考え、決意のほどはいかがでございますか。
○国務大臣(林義郎君) 先ほどお答え申し上げましたから重複になりますが、やはり今後とも出生数の減少が見込まれる中で、来るべき高齢化社会に対して健全な児童を育成をすること、その資質の向上を図るということは、一つの大きな私も課題だと思いますし、かねがね鶴岡先生の属している政党で大変にこの問題について熱心にやっていられるということもよく承知をしているところでございます。
 先ほど、その審議会で何かどうせ縮減云々の方向になるんではないかというようなお話がありましたが、私はそうも考えておりません。やはりこの制度が、いま申しました基本的な考え方に立って将来を見渡した観点でいい結論が出てくるものだというふうに期待をしておるところでございます。
○鶴岡洋君 それでは次に移ります。
 昨年末の十二月二十八日に五十六年度決算が国会に提出されました。それと同時に会計検査院の検査報告も提出されたわけでございますけれども、この検査報告、大臣お読みになりましたか。
○国務大臣(林義郎君) 昨年の暮れ二十八日だったと思いますが、早速に事務当局の方から報告を受けて読んでおります。
○鶴岡洋君 それを見ますと、五十六年度に会計検査院が不当事項として指摘したものが百八十四件ございます。金額にして四十二億五千九十三万円、その中で厚生省関係の指摘は五十九件、金額にして約一割の四億三千百六十七万円余り。省庁別に見ると、金額では厚生省関係は三番目ですけれども、指摘件数では一番多くなっているわけです。また、五十五年度は、厚生省関係の指摘は四十九件でしたから、前年度よりも十件も多く、金額では一億三千万円ばかり多くなっておるわけです。こうした状況について厚生大臣はどんな御所感をお持ちでおられますか。
○国務大臣(林義郎君) 実は、昨年暮れに報告を受けましたときに、ずいぶん数多いことになっているんだなあというのが第一印象でございました。金額は、いま御指摘のように、他の省庁に比較しましたならば多いということもなかなか言えないし、一件当たりのものもそうだと思いますが、私は、やっぱりこうした御指摘をいただいたことは非常に遺憾なことだと思いますし、こうしたことがないように、特にその前年度五十五年度に比較しまして件数がふえているというようなことは、やっぱり余り褒められた話でもございませんから、こうしたことのないように事業の執行につきましては、なお一層適正を期してまいらなければならない、そういうふうな形で事務当局にも言ってございます。
○鶴岡洋君 会計検査院の厚生関係の指摘はここ三年来急激に、いま言ったようにふえておるわけです。過去数年度のこの指摘件数を見てみると、数字でいきますと、五十一年度が二件、五十二年度が六件、五十三年度が十件、五十四年度がうんとふえて四十件、五十五年度が四十九件、五十六年度五十九件と、こういうふうになっているわけです。そのうち各年度とも二件ほどは、これは保険料の徴収不足であると、あとは、ほとんどこれは補助金に関係するものであると、こういうことになっているわけです。厚生省は補助金が多くて、五十六年度では補助金の額は五兆円を超えておりますから、五兆円というのは一般会計の十四兆五千億の約三分の一に当たるわけでございます。しかも細かいものが多くて、件数も非常に多いということもあって指摘件数が多くなったということもあるかと思いますけれども、補助金関係の指摘は五十二年が四件、五十三年が五件、それから五十四年が三十八件、五十五年が四十七件、
五十六年も五十六件、五十四年度以降急激にふえております。内容を見ると、保育所の措置費の過大交付、これが五十四年度が十七件、五十五年が三十三件、五十六年度は三十件。もう一つ、老人ホームへの補助金のいわゆる過大交付、これが五十四年十四件、五十五年同じく十四件、五十六年十六件と、大体同じような指摘がこういうふうにあるわけです。
 そこでお聞きしたいのは、このように毎年ほとんど同様のケースの指摘を受けているにもかかわらず過大交付をしている、しかも件数はどんどんふえている、こういうことについて、林大臣は今度初めてでございますけれども、前の大臣もこういうことがないようにということで言っておられたわけですけれども、反省があるのかないのか、この点について明確に答弁をお願いしたいんですが。
○国務大臣(林義郎君) 先ほど来申し上げておりますが、こういうふうな案件が非常に多い、しかも年々ふえている、各項目ごとにふえているというのは、やっぱりこれは反省を十分していかなければならないし、そういった意味で私も厳重に注意をして、こういったことがいやしくも起こらないようにこれからもやっていきたいという考え方でございます。
○鶴岡洋君 会計検査院にお聞きしますが、いま申しましたように、五十四年度から厚生省関係のいわゆる不当事項、この件数が非常にふえて多くなっているわけです。会計検査院側として、こういうふうに多くなったというのは何か検査方法が変わったのか、それとも検査方針が変わったのか、これがどうなったのか、これが一点。
 それから、五十四年度から保育所や、先ほど言った老人ホームの措置費に関する指摘が急に多くなったのは、それまでは福祉関係は余り検査されなかったのかどうなのか。これが第二点目。
 三点目は、最近財政事情が非常に厳しくなっておるわけです。そういうことで、公共事業関係だけではなく、福祉関係にも切り込んでいったというか、重点を置いて検査されるようになって、その結果として件数がふえてきたのか。この辺の事情はいかがなものですか。
○説明員(磯田晋君) 本院といたしましては、御承知のとおり非常に国家財政が厳しいという認識に立ちまして、従来以上、これは厚生省に限りませず、検査を徹底させるという意気込みでやっております。厚生省関係ももちろんその一環でございますが、少しくまず第一点の御質問に関しまして具体的に答弁させていただきたいと思います。
 まず、従来の検査報告に見られない新しい事例が幾つか出てきておるということでございますが、われわれ必ずしも十分な人員を擁しておるわけではございませんが、なるたけ全般的に検査を徹底させようというようなことで、非常に複雑多岐にわたっておりますのでなかなかすべてというわけにはいきませんが、なるたけ新しい項目にひとつ取り組んでいこうというような結果が、こういうような増加を生んだのではないかというふうに考えます。たとえば、医療費の支払いに関してでございますが、昨年暮れの検査報告には基準看護料の支払いに関する指摘をしてございます。これなども、医療費の支払いに関しましていろいろ世上御指摘の点があるというような点を考えまして行ったものであります。
 もう一つ、同じ項目でありながら量的に拡大している指摘項目の問題、質問の第二点にかかわる問題かと思いますが、たとえば老人福祉施設保護費補助金、これは五十四年度の検査報告から出ております。それから児童保護措置費補助金、これは五十三年度からでございますが、これらにつきましては毎年一つ一つ検査を重ねながら、新しい検査の着眼点というものを付加しながら検査の徹底を期しております。たとえば児童保護措置費補助金の経理の問題でございますが、五十六年、昨年暮れの検査報告で、相当大きく不当金額がふえたのは、税法上の税額控除の取り扱いに関して、実際に補助金の精算、実績報告する段階で間違った扱いが相当あったと。これらのところに昨年特に注意して見た関係上、金額が相当ふえたものだというふうに考えております。
 それから、厚生省の社会福祉関係の補助金が相当多いわけでございますが、ややもしますと、社会福祉関係の補助金は非常に多岐にわたっている、それで必ずしもまとまっていないというような関係で、われわれの方からしますとなかなか検査がしにくい点もあるのでございますが、最近はその点に、社会福祉の補助金の執行というような点についても十分注意すべきであるというような認識を持って、検査をそちらの方に施行しているということがございます。これが第三点のお答えでございます。
 以上でございます。
○鶴岡洋君 それでは厚生省にお聞きしますけれども、ところで、五十六年度の指摘の中で、環境衛生施設関係六件のうち、契約処置不適切という指摘が五件あります。御承知だと思いますけれども、これは市町村が補助金を受けて行ったいわゆる簡易水道の設置、それから廃棄物の積出施設の設置工事の契約に関するものでありますけれども、この契約処置不適切という指摘はこれまで比較的少なかったように思いますけれども、どういうことで、また何で不当と指摘をされたのか、厚生省側としてどういうふうに思われるのか、御説明いただきたいと思います。
○説明員(山村勝美君) 御指摘は最低制限価格の関連かと存じますが、それを不当は高率に定めた結果、適正を欠く結果になったということの御指摘を受けたわけでございます。従来も、二、三年さかのぼってみますと、毎年一件ばかり同様な指摘を受けてきておりまして、とりわけ、先ほど検査院の方からございましたような財政事情から、補助金の効率的利用という観点から特にこの点を新しい着眼点とされまして指摘がふえたというふうに考えておるところでございます。
 今後どうしていくか、あるいは従来どうしてきたかということについて若干申し上げますと、従来二、三年前からも指摘がございましたので、全国の衛生主管課長会議等でこういう事例があったということを紹介しまして、都道府県を通して市町村に注意を喚起してまいったところでございますが、重ねてこういうことを受けたものでございまして、さらに強力に部長会議あるいは課長会議、その他通知等を含めて周知徹底を図るよう検討いたしたいというふうに考えておるところでございます。
○鶴岡洋君 これを見ますと、五件同じケースの指摘なわけですけれども、大体、この五件指摘されたその背景というのは、契約処置が不適切だという指摘になったわけですけれども、大体どのぐらい検査した結果この五件が出てきたのか、これが一つと、それから五十六年度はこうした点を特に重点的に検査されたためにこういう不適切な契約が明らかになったのかどうなのか、この点と、またこうしたケースはいままでの検査で不当と指摘するほどではなくても、これに類似したケースがあったのではないかと、こういうふうに疑義を持つわけですけれども、この点はいかがですか。
○説明員(磯田晋君) まず五件が出た基礎になる数字でございますが、都道府県の二府七県管内の百二十九事業所について検査した結果でございます。
 それから、不当事項としてこのような最低制限価格関係の指摘を取り上げましたのは昨年暮れに提出いたしました検査報告が初めてでございます。この五件以外に農林省関係で一件ございます。
 従来からこういうような観点はそれではなかったのかということでございますが、従来検査報告にまで煮詰めるには至りませんでしたが、照会をもって注意をしたというような経緯はございます。それから、不当事項ではございませんが、農林省関係の農業協同組合等でやはり同じような不適切な処置がなされているので、この点について是正の措置をせよというような一種の勧告を出したいきさつは過去にございます。
 以上でございます。
○鶴岡洋君 いま二府七県と言いましたから、そうすると全国は四十七都道府県あるわけですから、出てきたのは五件ですけれども、その五倍ぐらい単純計算でいくとあると、こういうふうにもなるわけですけれども、いずれにしても、この点についてはこれからちょっと詳しく聞きますけれども、反省をしてもらわなきゃならないと、こういうふうに厚生省の方へお願いを申し上げる次第でございます。
 厚生省にお伺いしますけれども、つまり一般には国や地方公共団体の契約はいわゆる競争入札で一番低い価格の入札者に契約するのが、これが原則でありますけれども、この五件はそれぞれの市や町が入札に当たっていわゆる最低制限価格を設けておりまして、そのために最低制限価格以下で入札したものは失格と、失格ということは排除と、こういうことになるわけです。したがってこの予定価格と最低制限価格の範囲内のうちで一番低く入札したものと契約しているのが、これが実情であります。ところが、これらの事態は比較的高目に最低制限価格が設けられている。いわゆる最低制限価格と予定価格とこれがくっついていると、こういうことですね。したがって、入札による競争の利益が大きく阻害され、その結果もっと安く工事ができたんではないかと。みすみす高い価格で工事を行い、五件で計算をしていきますと、補助対象事業費で約五千万円、補助金でいきますとその三分の一の一千七百九十一万円、これがむだになったということであります。
 たとえば、この五件のうちの一件ですけれども、大阪府太子町の簡易水道の新設の場合、最低制限価格が予定価格の九八・四%、九八・四%ということは予定価格といわゆる最低制限価格が大体ひっついていると、同じだと、こういうふうにもなるわけです。こういう高いところに設定されているために、先ほど言ったように入札に参加した八業者のうち低い価格で入札した、いわゆる最低制限価格よりも低い価格で入札した業者が半分、四社、それが全部失格になっている。それで五番目と契約しているわけです。しかも、この場合予定価格に占めるいわゆる直接工事費の割合は八二・五%。これはもう新聞に出ておりますけれども、一番低く入札したのは予定価格の八六・一%だと。これでも十分工事はできるわけで、決して無理な価格ではなかったわけです。なぜこうしたことが見抜けなかったのか。検査院の指摘があるまでこうしたむだについて気がついて市町村に注意したのかどうなのか。厚生省どうなんですか。
○説明員(山村勝美君) 個々の市町村が行います事業について、入札等の行為はすべて市町村中心で行っておるところでございまして、従来から基本的にその最低制限価格等について抽象的な注意喚起を継続してきたわけでございますが、確かに私どもの具体的な指導が不足であったというふうに現在のところ反省をいたしておりまして、先生の御指摘のような、今回会計検査院で指摘のございました五例は、最低制限価格を九〇%以上に設定したものについて指摘を受けたわけでございまして、先生の御指摘の大阪府の例は非常に著しく不適当な措置であったというふうに思いまして、今後かかることのないよう指導したいというふうに考えておるところでございます。
○鶴岡洋君 いわゆる最低制限価格と予定価格がひっついていた場合は、最低制限価格を設ける必要もないんじゃないかと、こういうふうにも理屈はなってくるわけです。ここで、最低制限価格制度というのは入札のときに不当に低い価格で、過去もあったようですけれども、落札されて、その結果工事は手抜きにされる、契約の内容に適合しない工事がされると、こういうふうに予想されるために最低制限価格制度というのは設けられたと、こういうふうになっているわけでございますけれども、したがって発注側としては不測の損害を受けることがないように地方公共団体がとっている制度でございますけれども、しかしこの場合はどれも指名競争入札であり、その指定業者を決めるためには市町村が主体になってその業者の能力といいますか、それから資力、いろいろ検査した上でここならば大丈夫だろうと、こういうことで指名業者に選定しているはずでありますから、どの業者でも十分契約の内容に合った仕事ができるわけではないかと、こういうふうに私は思うわけです。しかも簡易水道とか、それから先ほど言ったいわゆる廃棄物の施設、そういう施設は、大きなビルをつくるとか、それから大きな工事をやるとかということではございませんので、そんなに困難な工事ではないんではないかと。したがって、いま言ったように、市町村が見て選定した指定業者ならば十分それに耐え得る良質な工事ができると、こういうふうに思われるわけでございますけれども、そこで失格した一番安い価格で入札した業者と契約しても、十分な私は完全な工事ができることになるんではないかと、こういうふうに思うわけでございますけれども、特に極端に低いというのは、これはまた別ですけれども、これは常識の範囲内でできるんではないかと、こういうふうに思います。必要以上に高額の制限価格は競争入札の本来の意味を失わせ、結論としては税金のむだ遣いと、こういうことになると思われますけれども、この点について検査をした、調査をした検査院側、それから厚生省側両方から御答弁をいただきたいと思います。
○説明員(磯田晋君) 私から改めて申し上げることがないほど的確に御指摘いただきまして、そのとおりだと思います。私どもこういうようなことが結果的には補助金のむだ遣いということにつながらないように、今後とも十分に検査をしてまいりたいと、そういうふうに考えております。
○説明員(山村勝美君) 先生御指摘のとおり、不適当に最低制限価格を設けることは税金のむだ遣いであるというのは全く御指摘のとおりと考えます。ただ、先生のお話の中で、水道、廃棄物処理施設は大きなビルと違って底なしでもいいんではないかという点についてでございますが、水道施設の場合あるいは廃棄物処理施設の場合大体六〇%ぐらいが資材費でございます。いたずらに最低制限価格が下がる場合には資材費まで食い込んでくる。つまり劣悪なものができるという可能性が考えられるわけでございまして、したがって工事も手抜きされると。その結果水道でありますと漏水の問題が出てくると、漏水の穴から汚水を吸引して衛生問題に発展する、その他材料が悪い場合には耐用年数が短くなって長期的には経済的なロスであるとか、いろいろ心配されるわけでございまして、何か適当なところに線引きができるのではないかという気がいたしますので、今後それを十分実態を調査いたしまして、できれば数字で示すことがどこまでできるかわかりませんが、先ほど先生が大阪の例でおっしゃられました直接工事費が八二・五%、これが最低価格でこれでも仕事ができるんではないかとおっしゃいましたが、全くそんな感じもいたしますので、そういったことを物差しにしながら厚生省として何らかの具体的な指示をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
○鶴岡洋君 それに関連して最低制限価格を設けちゃいけないと、こういうことを私は言っているんではなくて、またこの自治法にもこれはこういう制度としてあるということは十分私は承知しておるわけです。この自治法の第百六十七条の十ですか、この中にいま産業廃棄物の建物の問題でお話しになりましたけれども、この百六十七条の十の中に「普通地方公共団体の長は、一般競争入札により工事又は」云々と書いてあって、その次に「特に必要があると認めるときは、あらかじめ最低制限価格を設けて」と、こういうことになっておりますけれども、それでは簡易水道というのはこれは特に必要があると認めてやらなきゃならない工事なのかどうなのか、これは特に必要と認める筋合いのものなのかどうなのか、その辺の見解はいかがですか、厚生省としては。
○説明員(山村勝美君) 先ほども若干御説明いたしましたが、資材費が六〇%を占める施設でございます。著しく廉価、たとえば五〇%で落札された場合には資材費まで食い込んでくると。したが
いまして劣悪な資材でそのような工事が行われると。その結果、飲料水の衛生問題にまで支障が出るあるいは漏水による水不足という問題にまで発展する。ひいては水道の目的であります給水サービスに支障が生じますし、漏水というむだな施設をつくることにより住民負担もふえてくるということで影響は少なくないと考えておりまして、適当なところで最低価格を設けてつくっていくのが水道の機能保持あるいは技術性の保持上必要であろうというふうに考えておるところでございます。
○鶴岡洋君 そういう理屈でいくと、工事で後、変なことが起こっても困るということになれば、どれもこれもそういうことになってくるわけですから、いずれにしても水が漏れるだけが困るんではなくて、事故が起きたりなんかする可能性があるという場合には全部こういうふうに適用しなければならないと、こういうことになるわけなんで、その辺はそれでいいとして、それではいま言ったように地方自治法には最低制限価格を設けることができると、こういう規定がありますけれども、事業主体である自治体が最低制限価格を設け、しかもこの制度に対する認識が不十分でこのような契約をしてしまったのであるとか、それから補助金の数が多くてなかなか目が届かないとか、また慣例的にそういうふうにやってしまったとか理由はいろいろあるでしょうけれども、ところで、この五つの例が出たのは、これは間違いない事実でございますので、補助金を出すのは厚生省ですから、安易に補助金を出してしまったと、その責任は私は大きいのではないかと、こういうふうに思うわけです。検査院の指摘に対してそれでは厚生省はどういう対策をとったのか、この点についてできるだけ具体的にお伺いしたい、これが一つ。
 それからもう一つは、地方自治体が独自に行う事業については別としても、国の補助金を受けて行う事業で安易に契約したために国民の税金をむだに使った場合には返還させることはこれはできないと、こういうことかもしれませんけれども、それでは何らかのペナルティーを科すべきではないか。検査の実施率が数%といういまのやり方ではイタチごっこに終わってしまって、この種の不当事項を根絶することは私はできないと思いますけれども、こういったむだにもっと強い態度で臨むべきではないか、こういうふうに思うわけですけれども、この二点について――ペナルティーの件とそれから今回指摘されたこの点について厚生省側としては具体的にどういう対策をとったのか、この二点お伺いいたします。
○説明員(山村勝美君) 指摘を受けたのが正確には十二月でございまして、これからとるという段階でございますが、一月の下旬に全国の衛生主管部長会議を開くことといたしておりまして、その中で直接例示をいたしまして最低制限価格の設定についてその趣旨をよく理解していただくこと、それからそういった指摘、問題を起こすことのないよう十分に都道府県を通して指導をされたいというような指示をいたしたいというふうに考えております。また、二月中旬には全国の衛生主管課長会議を開催することといたしておりまして、同様の趣旨についてより詳しく指示をいたしたいというふうに考えております。
 なお、具体的に数字を出してやることが適当と考えるわけでありますが、どういう数字が出せるか、他の省庁の直轄事業について若干事例もあるようでございますので、そういうものを参考にしながら、またよく実態を見きわめまして都道府県に対して具体的な通知もいたしたいというふうに考えておるところでございます。
○鶴岡洋君 もっと詳しく聞きたいんですけれども、いずれにしてもこういう不当な事項は根絶しなければならないと、こういうふうに国民の側に立っても私もそういうふうに思うわけです。計画するのは自治体で計画する。補助金を出すのは厚生省。じゃ、それがいわゆる最低制限価格がどうかという、そこまで今後調べるのは厚生省としてはこれまた手が足りないと、また全国広範囲にわたると、こういうことで、言うなればキャッチボールみたいになっちゃって、私は根絶というのは非常にむずかしいんじゃないかと、こういうふうにいまの制度でいけばなるんじゃないか、こういうふうに思うわけですけれども、いま部長さんの方から、そういうことで会議を開いて周知徹底すると、こういうことでございますので、いずれにしても厚生省で起きた問題ですから、その会議にはこういう重要だということをよく話をして周知徹底をやっていただきたいと、こういうふうに要望いたします。よろしいでしょうか。
 それから最後に大臣に御決意をお願いしたいんですが、五十七年の四月に、昨年ですけれども、五十三年度決算を議決するに当たって当決算委員会で委員会警告事項の中で、三番目ですけれども、「決算検査報告の指摘については、単に当該機関における是正をもって終ることなく、全体の問題として受けとめ、各省庁等においてその周知を図り、同種事例の存否の点検を促すなど、予算執行の厳正を期すべき」ことを警告したことは御承知のことと思いますけれども、この指摘も単に厚生省の問題として終わらせることのないように厚生大臣は、厚生省関係でこんな事例があったと、こういうことで閣議において政府全体で十分注意するように発言なさることを大臣にお約束していただけますか、どうですか。
○国務大臣(林義郎君) 決算委員会で指摘事項、いま詳細にわたりまして御指摘を、御質問を受けたところでございます。私も省のいろんな金の使い方につきましては厳正の上にも厳正を期していかなければならない、こういうふうに考えておるところでございますが、昨年の当決算委員会での問題、さらには本会議でも決算委員会の委員長が報告をしておられまして、その中でも内閣に対する御警告がありました。わが省といたしましてもこれは省内に御趣旨を体して厳正にやるように周知徹底を努めてまいりたい、こう思っておりますが、閣議でやるというのはこれは主管は大蔵省でございますから、大蔵大臣とも御相談いたしましてどういうふうな取り扱いにするか、取り扱いの手続の話でありますが、閣議におきましても当然にこれは守らるべきものだろうと、こういうふうに考えております。
○鶴岡洋君 時間がなくなってしまいましたので、川崎病についてちょっとお伺いします。
 川崎病患者は当初全国でも百人にも満たない状況であったわけですけれども、これが毎年、年々増加して五十四年には六千八百人、それから五十六年冬以降かつてないほど流行して、昨年の一月から六月までに一万八千人患者が出ているわけです。全国の小児科ベッドの半分は川崎病だと、こう言われるほど全国的な大流行となったわけです。小さい子供を持つ親の心配というものは大変なものでございます。もちろんその原因はいまはまだ究明されてないと、こういう状況でございますので、最初に現在どのような発生状況になっているか、大流行に去年なった原因はどういうことなのか、簡単にお願いいたします。
○政府委員(正木馨君) 先生御質問の川崎病は、御案内のように昭和四十二年に日赤医療センターの川崎富作博士によりまして報告された難病でございますが、昭和四十五年以降厚生省の研究班が全国調査を行いいろいろ研究をしておりますが、これまでの発生状況を見ますと、五十七年までに大体患者数で四万一千人ほど発生をしております。それから死亡数が、死亡例が二百七十八件というふうになっております。それから最近の傾向で見ますと、昭和五十四年の前半とそれから昨年の昭和五十七年の前半に全国的に多発をしております。五十七年後半になりますと急減、減っておりますが、五十七年の前半に全国的な多発が出ております。この多発の原因につきましても研究班でいろいろ調査をしておりますが、この流行の理由についても現在のところ残念ながら全く不明でございます。研究班におきましては、原因の究明、それから治療方法の指針の作成といったことに全力を挙げておるという状況でございます。
○鶴岡洋君 まあ原因の究明はできてないわけな
んで、ですけれども、原因説としてダニだとか溶連菌、ウイルス、いろいろあるわけですけれども、結論としては決め手がないと、こういうのが現状だと思うんです。子供たちをこの病気から守るためには川崎病の原因確定がまずその緊急課題ではなかろうか。他の難病と異なるところは何点かございますけれども、いままでに存在しなかったと考えられる病気であるとか、それから患者数が年々増加し、しかも日本で飛び抜けて多いとか、それからまあいろいろありますけれども、日本で発見され日本に多発しているためにアメリカの一部で研究されているだけで、いわゆる他の難病のように世界で研究されその研究成果にも期待することはこれはほとんどできないわけです。原因解明はわが国で行われなければならないと私はこの川崎病についてはそう思うのですけれども、この研究費は一体どのくらいかというと、御承知のように五十三年、五十四年、五十五年、五十六年とまだ厚生省が各四百万円ですか、それから昨年になって厚生省が一千万、文部省が一千三百万、こういうふうになっておりますけれども、ここで研究体制はどうなっているのか等もお聞きしたいわけですけれども時間がないので、この研究費ですけれども、毎年四百万ということでずっとなってきてはいるんですが、四百万、一施設当たりに割り振ってみると、十万円というところもあるし二十万円というところもあるし、とてもこれでは私は十分な研究費ではないんではなかろうか、こういうように思うわけです。アメリカの川崎病研究者の一人には四千万円、個人で使用して研究しているという話も私は聞いております。厳しい財政事情下ではございますけれども、今後も五十七年度いわゆる一千万、文部省で一千三百万、これ以上の研究費を出して、あなたも子を持つ親として、この川崎病の原因も究明されていないと、原因究明されればそれに対する対策も適切に行えるわけですからこれが私は一番の課題ではなかろうか、それにはお金がかかる、こういうことで不安を除くために五十七年度以上の研究費を確保することを約束していただけますか。
○政府委員(正木馨君) 川崎病の研究につきましては、先生御案内のように厚生省の研究班、――厚生省の研究班は東京女子医大の草川教授をキャップにしております。それから文部省の研究班、これは東大の小林教授をキャップにしております。それから心臓財団、これは重松先生という方をキャップにいたしまして、そこで約三千数百万円の研究費が出されておりますが、三者で連携をとりながら研究をしておるわけでございますが、厚生省に関して申しますと、先生お話しのように、昨年まで心身障害研究費の中で五十六年度四百万でございましたが、五十七年度一千万円の研究費を配付しております。五十八年度につきましてはこれは心身障害研究費全体の総枠が約五億三千万でございますが、それの配分の問題になると思いますが、川崎病についての社会的要請というものも十分考慮いたしまして検討をしてまいりたいというふうに思っております。
○鶴岡洋君 最後ですが、川崎病の子供をもつ親の会というのが昨年の暮れに発足したようでございます。これを私読ましていただきましたけれども、小さい子供を持つ親の不安というのですか、これからどうするのかといういわゆる心配、これがここに切々と書かれております。川崎病にかかった子供を持つ親の心配というのは、突然の発作で子供があすにでも死ぬのじゃないかという不安もございますし、この中に書いてありますけれども、いまは後遺症が出ていないがいつ出るかもしれないというおそれ、それから三つ目には後遺症が出た場合いま飲んでいる薬で治療は安全なのか、大丈夫なのかどうなのか、それから病気は長期にわたるので飲んでいる薬の副作用はないのだろうかどうなのかと、こういう不安もあります。そのほかに今後の学校生活を含めて将来どうなるのかという心配があるわけです。さらに、後遺症のない人でもいつまた再発するかもわからない。親の心配、不安というのは大変深刻なようでございます。こういった不安を解消するために、中にはあなたは川崎病にかかったんだから運動をしちゃいけない、こういうふうに体育の時間に言われたということになると、それがかえって今度は子供をひがませることにもなるし、それがよけいな不安をつのらせる、こういうことにもなりますし、いろいろな複合した不安があるわけですけれども、こうした不安を解消するためには親への適切な啓蒙も必要でありますが、何か具体的な厚生省、政府側として、これだけたくさんふえているわけですから、考えておられるのかどうなのか、これを最後にお聞きして質問を終わります。
○政府委員(正木馨君) 川崎病の患者さんの子供を持つ親御さんのお気持ち、不安な気持ちはお察しするに余りがあるわけでございます。親御さん方の不安を解消する方策、それはまず第一に何といっても大事なことは原因の速やかな究明だと思います。それから治療方法を確立をするということが第二だと思います。それから第三に、医療費負担の軽減を図るということだと思います。最後の医療費負担の軽減につきましては、小児慢性特定疾患治療研究事業の中で公費で負担をするという措置をとっております。それから、子供さん方の生活管理等を含めまして、これも厚生省の研究班でもいろいろ研究をし、指針等の作成に努めております。
 いずれにしても、川崎病の原因究明、治療方法の確立、それから親御さん方の不安をなくすためのPRというものについては、今後とも徹底をしていかなければならないというふうに考えております。
○鶴岡洋君 終わります。
○三治重信君 本日、まず日本型福祉の問題についてお伺いしたいと思います。ちょっとえらいかぜ引いて、いま薬飲んだら、何かぽっぽぽっぽ汗が出て、どうもまずいんで、お聞き取りにくいかと思うんですけれども、よろしくお願いします。
 日本型福祉の社会というのは、これは厚生省が前の大平総理、それから今度の中曽根総理なんかに吹き込んだのか、あるいはこの御両人が独自の考えで厚生省にそういうことを考えろということでああいう文章になったのかわかりませんけれども、日本で急速に高齢化社会になっていくとやはり欧米型の、夫婦と年寄りの世帯が全然別々の生活で、老人は子供の世話にならぬで別の生活をする。したがって、それで生活能力がなければ国がやる。また、それによっていわゆる年金とかその他全部個人的に保障する制度が発達してきたわけなんですが、日本もいまそういうあんばいで進んでいるわけなんです。進んでいるんだけれども、急速にそういうふうになっていくと、とてもじゃないがこれは財政上もたぬじゃないかと、こういうふうに言われているわけなんですが、そこで日本型福祉の問題が出てきたんだと思うんですが、この日本型福祉、ことに非常に今度の中曽根さんははっきり、何というんですか親子三世代の生活、こういうことを言っておられるわけですが、これは厚生省の発想なんですか、厚生省もこういうことで日本型福祉の発想として今後進めていこうとして……。考え方ですね。
○国務大臣(林義郎君) いま三治委員御指摘のように、ヨーロッパとやっぱり日本と違う社会構造です。特にこれから高齢化社会になっていく、それがまた急速に進んでいくという段階においてどうしていかなければならないかということは、ヨーロッパ型でなくて日本的なものを考えていかなければならないということは厚生省も前々から考えておったようでもありますし、国民のすべてが充実した家庭を基盤として、連帯と相互扶助の精神のもとに健康で生きがいのある生活を送れるようにすることが、われわれに与えられたところの課題だろうと、こう思うところであります。
 まあそこで、中曽根総理がいろいろのところで言っておられますが、中曽根総理もやっぱりいまのような考え方とほとんど違わない考え方を前々から発表をしておられたようでございまして、「たくましい文化と福祉の国日本」、こういうことでさきの臨時国会での施政方針演説でもうたわれ
たわけでございます。行管庁長官をやっておられましたり、その他いろいろと政府の要職にあられましたが、期せずして一致したというのが私は実態ではないかと、こういうふうに思っております。
○三治重信君 確かに高齢化社会という人間が長生きできる社会構造は、これは日本も生活程度が高くなって医療保障でも――長生きすれば、これは欧米でも日本でも同じな高齢化社会なわけなんだが、その高齢化社会の中でどういうふうに相互扶助、相互連帯、それからできるだけ高福祉高負担と、こういうことだけれども、まあ非常にそれに対する反省ですね、高福祉高負担。たとえばスウェーデンなんかは六〇%も税金に取られる、それで高福祉で本当にそういう社会がいいんだろうかと、やはり働く者が働く意欲を失った社会で本当に未来があるんだろうかと、こういうことの疑問が出てきたわけですよね。日本も、これは厚生省が出している数字からいくというと、もうすぐわれわれの目の前に欧米の高齢化社会のいまの社会保障をやっていくとすれば非常な高福祉高負担、まあ高福祉はどうか知らぬが高負担にならざるを得ないじゃないかと。それを、高負担を厚生省がどんどん推していけるのかどうかと、こういう問題があろうかと思うんですが、そうすると、いまみたいにそれを推していかぬとなると、結局みんな公債でごまかすと言っちゃ語弊があるけれども、公債で歳入を補ってやっていく、こういうことになっているわけなんですが、そこでそういう問題について、形としては日本のいろいろの調査を見ても、子が親を扶養するのはあたりまえだと、できるだけ親が年をとったら一緒に住んでやりたいとか、こういうのは外国人自身には、調査の結果そういう意欲が全然ないわけですよね。日本人は非常に、いまでも五、六〇%あると、こういうふうになっているんですが、これがしかしだんだんいま調査やるたびに、何と申しますか、むしろそういう考え方よりか実際のわれわれの生活がいわゆる核家族化になり、老人夫婦世帯になり単独世帯になり、これはヨーロッパと同じようなかっこうにどんどんいまなりつつあると思うんですが、急速にむしろ。考え方としてはそういうぐあいになっていて、意識調査するとそういうことに非常に欧米人と変わった考え方が意識調査として出てくるけれども、現実の日本の生活実態は、もうことに大都会は欧米と変わらぬ生活実態になりつつあるんじゃないかと思うんですが、これについてどうお考えですか。
○国務大臣(林義郎君) 三治先生、私はかつてヨーロッパに三年ほど二十年ぐらい前におったんです。そのころに言っていましたのは、公園がありますと、パブリックなものであります。その公園で老人がひなたぼっこしていて、年金もらっていて非常にいいではないかというようなことが言われておりました。言われておりましたが、果たしてその方々が本当に幸福であるかどうかというのは、私は一つ問題だろうと、こう思いますし、日本はやっぱりそういったような家族、いまお話しになりましたように世論調査を見ましても、親と一緒に住みたい、また子供と一緒に住みたいという気持ちも相当あるわけですから、やはりそこをやっぱりひとつうまく生かしていかなければならない、日本人の気持ちをうまく生かしていくということが私は必要だと思うんです。
 御指摘のようにだんだん核家族化が進んでいることも、工業社会になってきますとこれは一つの事実だろうと、こう思うんです。そういった点をうまくやっていかなければならないのと、それから高福祉高負担と、こういうふうなお話がございましたが、私は余り高負担にするのはどうだろうかなと、こう思うんです。
 古い言葉ですけれども、四公六民という言葉がある。公で取るのは四であると。六が民であると、こういうふうな言葉が中国なんかでも言われたことがあります。私は、四〇%、六〇%などということは言いませんが、やっぱりわれわれが持っているところの政治の大きなプリンシプルの中にはそういった考え方がやっぱりあっていいんだろうと、こう思うんです。だから、そういったことを考えながらやっていかなければならない。ヨーロッパに参りましてもやっぱりヨーロッパの中でもいま御指摘のあったような国々については、少し行き過ぎをしているんではないかと、識者の方々はそういう声もありますから、私はやはり日本はこれから世界の冠たる国としてひとつ新しい方向づけをしていくことが必要ではないか。そういった方向で鋭意努力をしてみたい、こう思っておるところでございます。
○三治重信君 そういう考え方から出たのか、あるいはそういうことでなくて、そういうことよりむしろ老人福祉の合理化と申しますか、老人がよりそれを好むということから出たのかお答えを願いたいわけなんですが、非常に在宅福祉対策というものが厚生白書――今度の厚生白書は非常によくわかりやすく出ていていいんだが、在宅福祉対策、非常にわかりやすく出ているんですけれども、こういうのと、それからいままでむしろわれわれがやった老人はみんな老人ホームへ入れと、こういうふうなのと、いまどちらの方の傾向になっているんですか。老人が好まれるのは。老人ホームへ入りたい、養護老人ホームへ入りたいというのの方が需要が強いのか。いや在宅福祉対策をやってほしいというようなニーズ、需要が多いのか、各都道府県や地方のやつで。それはどうなんですか。
○政府委員(金田一郎君) むしろ最近の一般的な傾向といたしましては、老人の場合にいたしましても、身体障害者の場合にいたしましても、自宅においてむしろ地域社会において生活をするというのが本来のあり方ではないかというのが最近の、むしろこれは日本だけではございませんで、ヨーロッパ等もそうでございますが、そういう考え方でございます。
 特に、先生御承知のように一昨年は国際障害者年でございました。障害者についても非常にそういう強い声が世界的に起こりましたし、老人についてもそういうことでございます。戦後は特に施設等が不足いたしておりまして、施設をさえつくればよろしいんではないかということでございましたが、むしろ施設に隔離されるというようなことに対するある意味の抵抗感等もございました。また、それではなくして、むしろ最初に申し上げたような一般的な地域社会で暮らすことこそ本当に幸福であるというのが、本来のあり方であろうかと思います。そういう意味におきまして、最近ここ何年か身体障害者にいたしましても、いま先生おっしゃいました老人にいたしましても、在宅福祉対策ということを積極的に進めていきたい。そのためにはいろいろ地域社会の基盤作成といいますか、環境の整価をする必要があるということが最近言われておりますし、また国民もそれを望んでいるのであると考えております。
○三治重信君 そうすると、在宅福祉対策は必ずしも日本型福祉対策をやるアイデアとしてやったわけじゃなくて、これは世界の趨勢でやっていると、こういうことですね。
 それからひとつ家庭奉仕員派遣事業で、この中で今年から――決算委員会で今年のことをやっちゃいかぬかもしれぬけれども、全世帯に家庭奉仕員派遣事業をやると。この中で「所得税課税世帯については、派遣費用について応分の費用負担」、こういうことが書いてあるわけなんだが、この所得税課税負担というか、所得税課税によっていろいろの負担をやるのは、厚生省みんなやっておられるけれども、これはいまの所得税が非常に不公平なんだ。こんな不公平な所得税で、みんなこれによって料金を取ったり何かをしたら、これはますます不公平を助長するということになってくる。田舎や八百屋さんなんかでりっぱな車を持ったり、家は自分で持ったり、所得税はそんなに納めてない。安サラリーマンはアパートに住んでいて所得税はやっている。そうすると、そういうところはよけいな費用が取られる。りっぱな店を構え、そうして車もりっぱなのを持ってやっているけれども、所得税が低いから、いまじゃ青色申告とか何とかいってみんな所得分配しちゃうもの
だから低いと。そうすると、これは家庭奉仕員派遣事業でもサラリーマンがみんな、安サラリーマンがこれがみんな料金取られるわけ。それはある程度――ただというのはいかぬということで、ある程度の負担はいいんだけれども、やはり公平な負担ということを政府は考えてもらわにゃいかぬと思うわけ。
 それから、これはここに書いてないけれども、われわれは前から言っているけれども、いわゆる保育所の保育料、これもみんな所得税で料金を決めているわけ、段階で。これは本当に厚生省は大蔵省を余り信用してそのままで料金をやるというと、これはどうもやはりもう一遍きめの細かい料金の決め方や何かをしてもらわぬといかぬと思うし――これは非常に簡単ですよね、所得税ということだけでやるということは。それはどうなんですか。
○政府委員(金田一郎君) まず老人家庭奉仕員についてお話がございましたが、老人家庭奉仕員につきましては五十六年度までは所得税を課されない世帯だけにつきまして無料で家庭奉仕員を派遣していたわけでございます。確かに先生おっしゃいますような税による若干の問題はあろうかと思いますけれども、今回の場合はそれ以外の世帯についてある程度有料化したということでございます。
 また、保育所の御指摘もございましたが、保育所につきましてはある程度固定資産等を加味して、実態をできるだけ考慮するような徴収方法もとっております。本来は、個々の世帯の課税額を調べるいわばミーンズテストが全部できればいいわけでございますけれども、各世帯の所得状況を全部把握いたそうといたしますと、どれだけ役人がおっても足りないくらいのところでございますので、私どもはやむを得ず所得税あるいは地方税等に乗っかって徴収等を決めているという次第でございます。まあ税の方にも問題があるようでございますので、できるだけ改善していただくように私どもは希望しているわけでございます。
○三治重信君 これはやはり農家ならある程度家や土地をどれだけ持っておるとか、自営業をやっているなら自分の家でどれぐらいの売り上げがあるとかいうのは、地方の世話人が厚生省はずいぶんいるでしょう。もう税務署の職員よりかもっとたくさんいると思うんだが、こんな所得税であらゆるものを、厚生省の福祉対策をみんな――有料化はある程度、一部負担というのは僕は賛成だけれども、実際の田舎や中小都市や何かの自営業者や何かというのは、いろいろ福祉のめんどうを見る何とかいう人がいるんでしょう、そういう人に基準で判断させりゃいいか、余りこういうものを機械的にやるということは不公平感を、これはもうわれわれ働く労働者あたりが非常に不公平感、不満を持つ、そういうことで。非常に不公平感を、ちょっとした負担の金額ばかりじゃなくて不公平感を持つ。あんなりっぱな生活しているやつがおれ達よりか――おれ達がよけい金出さんならぬとは何事だとこういう不公平感を持つ。もう少しそこは余りほかのところの基準におんぶしないで、独自の基準をつくってやってもらいたいと思います。
 大蔵省お見えになっていますね。
 われわれは前から承継税制というようなことで、いわゆる資産がべらぼうにインフレで上がったためにいまちょうど、戦後一生懸命艱難苦労して事業をやって、何億というほどのやつは相当な成功者だけれども、一億とか二億資産をつくる。それは自分はいまじきに死ぬんじゃないか、これで死ぬと子供が事業をやっていけない、税金を取られちゃうと。そこで、こういうふうな事業をやるのに承継税制を農家と同じように、農家の土地は非常にそのものが農業をやればその税金を取らぬで置いておく。だから、事業の承継税制もそういうことでやって、今度は若干改良になったらしいんですが、これなんか僕は戦前の民法の戸主制度ほど封建的な制度はいかぬけれども、やはり中小零細企業でおやじの跡を継ぐやつ、継ぐ事業というのか、自営業をやるとか何とかいうやつはある程度営業を保証する相続税制というものをやっていかぬと、これは口では日本型福祉とか何とか言うけれども、日本型福祉といったって福祉で金ばかりやるんじゃなくて、自分で、みずから自助でやっていける体制をどうして社会制度としてつくるか。それに対して不公平はあるわね、子供が二人おって、跡を継ぐやつには営業用財産はすっかりやる、そのほかのやつは個人財産を二つに分けるという、そういうようなことについて税制上、やはりこれはあらゆる面で日本型福祉をやっていくためには、それを給付をやらぬかわりに、そういうものが自分たちが独自で営業なり仕事をやっていける税制度をつくってやっていく、相続税制についてはやる必要があると思うんですが、これは大蔵大臣に言わにゃいかぬのかと思うんだけれども、ちょっと済みません。
○説明員(真鍋光広君) 先生からただいま御指摘のございましたように、中小事業者の事業承継という問題につきましては、ここ数年来、ちょうど中小企業の事業主が世代交代を一般的に迎えるというふうな情勢にもなっておりますところから、非常に高まりを見せておりまして、私どももこれにどうこたえていくべきであるかということにつきましていろいろ検討し考えておったわけでございます。
 何分相続税いま払っておりますのは、亡くなられた方百人のうち四人程度ということでございまして、全体で見る限りはなお一部の富裕者と言うと言い過ぎかもわかりませんが、一部の方であるということにとどまっておりますので、果たして中小事業者がどういうふうな税負担になっておるか、ほかの方々と比べてどうなっておるかというようなこともよくよく調べた上で、これはひとつ慎重に検討しなきゃいかぬということで、昨年から政府の税制調査会でもこの問題を取り上げまして検討してまいったわけでございます。そうしてみましたところ、相続税のうち課税実態等から見ますと、中小企業者に特にしわが寄っておるというようなことは見受けられなかったということでございました。しかしながら、一方でたとえば中小企業の場合には取引相場のない株式ということになりますから、これの評価に当たっては何か改善合理化する道があるんじゃないか。われわれはかねてから実態に即した評価ということが大事だというふうにかねがね思っていますものですから、そういった面からも御検討いただき、また個人事業者につきましてもその営業の基盤であるあるいは住居の基盤でございます土地、不動産といったものにつきまして、土地につきましては、なかなか処分に当たって制約があるだろうというようなことも勘案しまして、そのあたりの評価が改善合理化できないかというようなことでございまして、税制調査会の方でもそのあたりはやはり改善合理化の余地があるという御判断でございまして、私どもは五十八年度税制改正の中でそれを改善合理化するという方針で考えておるわけでございます。
○三治重信君 じゃ、最後に建設省の方に。
 ことに田舎や農村はうちが大きいから親子三世代で住んでいたっていいわけだ。ところが、大都会や建設省が進めてきた住宅対策から言っても、とてもじゃないが中曽根さんが三世代住むようにやると、非常にうちへ帰っても楽しい家庭ができていいんだと言うけれども、建設省はそういう三世代住めるような住宅対策というものはどういうふうな政策をとっておられるのか。
   〔委員長退席、理事和田静夫君着席〕
○説明員(北島照仁君) 建設省におきましては、国民の居住水準の向上を図るという観点から住宅政策を進めておるわけでございますが、特にお年寄りの居住の安定、向上を図るということが非常に重要だというふうに考えております。こういった観点から老人の方々に対する種々な住宅政策を講じてきておりますが、特に親子三代が一緒に住みたいという国民のニーズはきわめて強いものがございまして、これ三世代同居住宅の建設につきましては従来から促進を図っているところでございます。
 若干具体的に申し上げたいと思いますが、まず公営住宅、低所得者に対する住宅でございますが、この点につきましてはまず第一に老人同居世帯向け公営住宅という制度をつくっておりまして、六十歳以上の方と同居する世帯といいますか、六十歳以上の方がおられる世帯につきましては、住宅の困窮度が非常に高いということとして入居の優遇を図るということが第一。それからさらに、そういった特に老人同居世帯向け公営住宅としてつくる、地方公共団体かつくるわけでございますが、つくる場合には工事費につきまして特例の加算を行う。要するに特別な設備を設けなきゃならぬとかあるいは規模を若干大きくしなきゃいかぬというような場合には特例加算をする。五十七年度時点におきましては、一戸当たり百九十万円でございますか程度の、戸当たりの加算を行うということが一つ。それからさらに、公営住宅が低所得者ということで、世帯の収入をいろいろ算定するわけでございますが、その際に老人の方方につきましては一般の方々よりもその面での特別な配慮をするというようなことを行っております。
 それからその次に、いわゆる公団住宅がございますが、これについてでございますが、賃貸住宅、分譲住宅に入居される場合の選考のあり方でございますが、六十歳以上の老人を含む世帯につきましては、当選率を一般の方々よりも十倍入りやすくするという措置をとると同時に、一階とかエレベーターがとまる階に優先的に入居していただく、こういうことをやっております。また、入った後におきまして六十歳以上になったという方方もおられると思います、賃貸住宅の場合。その方々につきましては住宅変更制度というものを設けております。さらに、公団住宅、三十年代、四十年代につくったものはきわめて小さい住宅が多かったわけでございますが、
   〔理事和田静夫君退席、委員長着席〕
五十年代に入りましてから三LDKという大型住宅の比率を多くいたしまして、できるだけ三世代同居したいという方々でも要望にかなえるというような住宅を供給を図っているところでございます。
 それからもう一つ、住宅金融公庫の貸し付けの制度がございます。これにつきましては、一つは、六十歳以上の老人と同居する世帯につきましては貸付対象の規模上限を百六十五平米とする。通常の場合百五十平米でございます。なお、この点につきましては五十八年度からは通常の場合も百六十五平米となりますが、決算委員会でございますから現状だけで言うと、規模の面では優遇しているということが一つございます。それから、一般の場合ですと百二十平米を超えますと政令金利になってしまうわけでございますが、老人同居の場合には現在のところでは百六十五平米までいわゆる五・五%でいっております。五十七年度の途中から若干その規模別の考え方を改めましたけれども、いずれにいたしましても老人と同居する世帯につきましては貸付利率におきましても優遇を行っておるところでございます。
 さらに、六十五歳以上の老人と同居する世帯に対しましては、割り増し貸し付けと申しまして六十万円割り増し貸し付けをする。さらに、人数が多ければさらに六十万円の割り増し貸し付けをする。さらに、世帯を一応別にして台所を別にする、老人同居だけれども台所は別というような住宅があろうかと思いますが、それをわれわれ二世帯住宅と言っておりますが、そういった住宅をつくる場合にはさらに六十万円の割り増し貸し付けをするということをやっておりまして、かなりきめ細かな制度を実施してきているつもりでございますし、年々その点につきましての改善も図っているところでございます。今後もそういった方向で三世代同居の促進につきまして、その制度につきましての充実を図ってまいりたいと思います。
○安武洋子君 昨年の十二月に発表されました昭和五十六年度決算検査報告で、公共事業の入札の際の最低制限価格設定に関しまして不当事項は指摘されている問題についてお伺いをいたします。
 報告によりますと、いずれも公共事業の入札に当たりまして指名競争入札であるにもかかわらず九〇%を超える高額な最低制限価格を設定したために、安い価格で入札した業者が失格して割り高な工事費で契約するケースが六件出ております。契約処置が不適切と指摘をされております。
 昨年の四月に当委員会で私も、厚生省の補助を受けました山梨県の河口湖町の一般廃棄物処理のごみ焼却炉の建設に当たりまして、九七%という高額な最低制限価格を設定したために二千三百万円も割り高な契約になった、こういう事例につきまして質問をいたしました。そのときは、まだ事例が一般的でなかったということと、工事の内容の特殊性とか国立公園内という設置場所の特殊性、こういうこともありまして不当事項には至りませんでしたが、今回の検査結果によりまして高額な最低制限価格によるロスがかなりあることが明らかになっております。
 自治省の資料によりますと、最低制限価格の設定状況といいますのは、都道府県分の工事請負契約だけを見ましても、昭和五十五年二十九万件の中で十四万件、四八・三%も設定をされております。それだけに、今回の検査院の指摘が国と地方での今後の予算執行に反映をされるというふうになりますと相当な工事費が節減できることになりますので、私は大変時宜にかなった指摘であると思うわけです。
 検査院にお伺いをいたしますけれども、個々の不当事項の内容につきましては報告で承知をいたしております。しかし、検査内容並びに検査結果の概要につきましてお伺いいたしとうございますので、お答えいただきます。
○説明員(磯田晋君) 最低制限価格は地方自治法で契約に適合した履行ということを確保するために、特に必要があるときは設定することができるということになっているわけでございます。しかし、不適切な制度運用がなされた場合には競争契約の利益が阻害されることも十分考えられ、制度の運用には慎重な配慮が望ましいというのが私どもの考え方でございます。
 先生先ほど言われたように、このような御指摘は前々からあったところで、私ども十分この点に留意しなければならないというふうに考えて検査を行った結果、先ほどの申されたような指摘を生んだわけでございます。
 そういうようなことでございまして、われわれといたしましては、常識を超えた最低制限価格の適用ということで、最終的には国損を招かないような予算執行を補助事業においても十分留意してやっていただきたいということで検査を行ってきた次第でございます。
○安武洋子君 厚生省にお伺いいたします。
 今回の指摘はこれは検査対象の関係もございまして、六件中五件までが厚生省関係の補助事業で指摘をされているわけです。厚生省が自治体に対しましてこの問題で指導する立場でないことは承知をいたしておりますけれども、補助事業者として事業が競争の利益が損なわれない形で公正に執行できるように図る、こういう責任はあると思います。この点、今後指摘されたようなことを再発させないためにどのような対策をお講じになるでしょうか、お伺いいたします。
○説明員(山村勝美君) 御指摘のように、高率な最低制限価格を設けることは明らかに国費のむだ遣いを伴うことがあるということでございますので、具体的には、この二十七日に予定いたしております全国衛生部長会議におきまして、最低制限価格の意味というものを十分理解し適正な運用を図るよう指示をいたしたいと思っております。さらに二月に入りましての全国の主管課長会議におきましても、できればより具体的な指示をいたしたいと思っております。
 従来直轄事業等で具体的な、直接工事費から仮設工事費を引いたものであるとかというような、ある程度の各省での物差しがあるようでございますので、できるだけ具体的に指示できないかどうか、水道、廃棄物処理施設について若干実態を調べまして、当面注意を喚起いたしますとともに、
具体的な指導通知をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
○安武洋子君 具体的な指示という中身をもう少しおっしゃっていただけませんでしょうか。
○説明員(山村勝美君) これから、具体的な数字が出せるのかどうか、出していいものかどうか、そういったことを含めて早急に検討いたしたいと思っております。その際、たとえば自治省の方で、あるいは建設省の方でも出されておりますが、直接工事費から仮設工事費を引いた額でありますとか、契約額の五〇%から八〇%の範囲内であるとかというような若干の事例があるようでございますので、そういったことも参考にしながら何らかの指示をいたしたいというふうに考えておるところでございます。
○安武洋子君 自治省に伺います。
 昨年の四月に私が事例を挙げて質問を申し上げましたけれども、最低制限価格の運用につきまして私は基準の明確化、適正化を図るようにやはり考慮を求めました。ところが、自治省は余りふだん見なれないケースというものを一般化するということは余り適正でないというふうなことで、契約担当者の研修の際の事例の一つとして指導しようと、こういう御答弁でございました。ところが今回の検査院の調査によりますと、見なれないケースということではなくて、かなり行われているということが明らかになってきたわけでございます。そこで、改めてお伺いをいたしますけれども、最低制限価格の運用の基準の明確化、適正化、こういう指導が必要だと思いますけれども、その指導についてはどのようにお考えでございましょうか。自治省お答えくださいませ。
○説明員(中島忠能君) 昨年先生から御指摘をいただきまして、私たちも機会を見てはそういう指導を地方団体の方にいたしてまいりました。五十七年度をそういうことで努めてきたわけですけれども、いずれにいたしましても会計検査院の指摘というのを見てみますと、やはりこれはどうもというようなことでございます。私たちもこういうことがあってはならないというふうに思いますし、そういう観点から今後も指導していかなきゃならないというふうに思いますが、さらにどういうような指導をすると実効が上がるだろうかということでございますが、いま厚生省の部長から少し立ち入って検討してみようということでございますし、それぞれの事業官庁の方でそういう事業内容について詳しゅうございますので、私たちもそういうそれぞれの事業官庁の検討結果というのもいただきながら、制度を所管しておる自治省としても適正な指導というものにさらに努めていくつもりでございます。
○安武洋子君 これは今回の最低制限価格についての指摘というのは補助事業者としての性格上、これは厚生省とか農林省とかというふうになっております。そこが一生懸命にやはり考えてなさるということは大変私はその労を多とするわけですけれども、実態としてこれは自治省が所管する地方自治法と施行令の運用の問題そのものが指摘されているというふうに、自治省としては私は深刻に受けとめていただかなければならないのではなかろうかと思うわけです。当委員会でもこの決算の審査というのが予算に執行内容が反映されると、そういうふうに努力してきているわけですけれども、談合問題などを通じまして十四兆円にも上る公共事業のむだ遣い、これが国民の大変な関心を集めている中で、レアケースであったとは言いながら当委員会で問題を指摘もいたしております。さらに会計検査院の検査によってそれが一般化しているということが明確になっているわけです。ですから私はやはり決算の審査とかあるいは検査の内容、それを行政側が本当に真摯に受けとめていただかなければならない。自治省のやはり地方自治法と施行令の問題だというふうに受けとめていただいて、その事業官庁の検討結果をただ見守るというんではなくって、自治省としてどうするんだということをもっと真剣に私は検討していただくべきだと思いますが、いかがでございますか。
○説明員(中島忠能君) 真剣に検討して対応していかなきゃならないというふうに思いますが、どういう最低制限価格が妥当かというのは、それぞれの事業の内容というか、事業の種類によって異なってくるというのが一般的だと私は思います。したがいまして、それぞれの事業官庁、たとえて言いますと、今回指摘されております水道工事等については厚生省の方が直接工事費というものはこういうものだとか間接工事費はこういうものだとか、あるいは現場監督費とか現場管理費というものはこういうふうに見るんだというようなことについての資料は、それぞれの事業官庁が一番よくお持ちでございます。私たちがすべての工事の種類についてそういうものを持っているわけじゃございません。ただ、だからといって自治省としてそういうことについて対応が消極的だということは決してございません。私はこの委員会でこういう議論がされまして、その議論というものが当然尊重されなければならないというふうに考えておりますし、そういうせっかくの御指摘でございますので、私もそれぞれの事業官庁の方の検討というものをよく聞かせていただいて、制度を所管する官庁としてどういうふうに真剣に対応していくかを考えさせていただきたいというふうに申し上げたわけでございます。
○安武洋子君 じゃ、その検討結果を私は早急に出るようにお待ちをいたしております。
 時間の関係上、環境庁の問題に移らせていただきます。
 十日に発表されました臨調の第三部会の補助金等の整理合理化に関する部会報告の中で、大気汚染による公害被害者への補償金である公害健康被害補償協会交付金、これが整理合理化の対象の一つにされ、制度の根幹にかかわる地域指定解除の要件の明確化、こういうことが具体的に取り上げられております。しかし、部会報告はあくまでもどこをどう読んでみましても補助金等の整理、保護助成策の見直し、これを対象として検討をされております。ところが、この公害健康被害補償協会交付金というのは、あくまでも民事責任を踏まえた公害健康被害補償制度に基づく公害被害者に対する補償でございます。第三部会が対象としている約二千八百件ある保護助成策、これには全く当たらない異質なものであることは明白だと思います。環境庁の御見解を伺います。
○国務大臣(梶木又三君) いまお話しの公害健康被害補償協会の交付金、これは形式上はやはり補助金等として整理されておるわけなんですが、この制度はいま安武委員おっしゃったとおり、民事責任を踏まえた損害補償制度であることは間違いございません。そこで、原因者である自動車の負担分として重量税の一部を引き当てておるものでございます。こういう意味で、この協会の交付金はほかの一般の財政援助的な補助金とは異なる性格だと、これは言えると思います。ただ、いまお話の第三部会で……
○安武洋子君 そこで長官結構です。次、私質問いたしますので。
○国務大臣(梶木又三君) それではゆっくりやりましょう。
○安武洋子君 それで、長官せっかくお答えくださったのでお願いをし おきますが、明らかに異なる性格であると、いま長官が明らかにお答えくださったとおりです。こういう異なる性格を持つ交付金を一般的な保護助成の中に含めて整理合理化、これな行おうとする臨調の方向というのは私はきわめて重大であろうと思うんです。環境庁というのは私から申すまでもなく、公害から国民を守って被害者救済の立場に立つということでございますから、直ちに臨調に対しまして交付金が公害被害補償者へのこれは補償であることを十分に説明をしていただきたい、そして答申段階でこういうものが間違って含まれるということのないように削除を求めていただきたい、長官よろしゅうございますね。
○国務大臣(梶木又三君) ただいま大変、この第三部会の報告は臨調の判断によってやられておるんで、われわれ環境庁としちゃタッチしていない
というか、臨調のお考えなものですから、いまここでどうのこうのコメントすべき問題じゃないと思うんですよ。しかし、説明はいままで十分しております。
○安武洋子君 それでは長官のひとつ絶大なる政治力をもって間違っているよと、そんなものを入れるべきでないということをさらに十分に説明していただいて、こういうことのないようにしていただきたいということをお願いいたしておきます。
 今回の部会報告というのが交付金の見直しを提言しておりますけれども、これは私はあくまでも表向きの口実で、この補償費が国の交付金が二、それから企業の負担が八の割合で成り立っております。すなわち一対四ということで成り立っておりますから、公害の元凶であります企業が交付金の削減を通じてその一対四の四であるその四の負担を大きく軽減しようとするものにほかならないというふうに思うわけです。本当に臨調が財政上の立場から交付金支出の軽減を考えているというのなら、こういう制度の改悪、公害被害者切り捨ての方法でなくて、現在自動車ユーザーが支払っている自動車重量税からの支出している交付金、自動車排ガスによる大気汚染の真の原因者である自動車メーカーに負担させる方策ね、これは私は真剣に検討して提言すべきが当然ではなかろうかというふうに思います。この点でも臨調の企業擁護の姿勢というのは一貫していると言わざるを得ないわけです。環境庁でもこのような財界や臨調と軌を一にして制度見直し作業を進めているというふうにも報道されるわけですけれども、そういう方向でなくて、直ちに公害被害者を守るという立場から、懸案になっておりますNOxやばいじんを地域指定要件に加える、こういう検討作業こそ私は急いでいただくべきではなかろうかと、こういうふうに思うわけです。ですから、NOxとかばいじんを地域指定要件に加える、こういう検討作業、長官、お進め願えますでしょうか。
○国務大臣(梶木又三君) いま安武さん御承知のとおり、この制度が発足しましてもう八年たっておるわけなんですね。その間にいまお話しのNOxはほぼ横ばいなんですが、SOxのですね、これはかなりの程度まで低下しておると。そして大気の汚染の状態、これは大分変化しておることもこれ事実なんですね。そこで、いまおっしゃるようにNOxを入れるとかいう御意見もございますが、反面地域指定を解除しろとか暴露要件を見直しをやれとか、こういう意見もあるわけなんですよ。しかし、どちらにしましても、こういう問題、医学も含めまして科学的な領域に大変かかわる問題でございますので、十分な科学的知見とでも申し上げますか、それをもとにしまして冷静な議論を尽くしていかにゃならぬ、このように考えておるわけなんですよ。
 そこで私ども環境庁は、いま必要な調査研究をやりまして、そのただいま申し上げました科学的知見の収集、解析、これに努めておるわけでございます。ただ制度は、いまおっしゃったように健康被害者の迅速かつ公正な保護を図ると、これはもう法の趣旨でございますから、これを踏まえて今後とも適正な運営はやっていきたいと、かように考えております。
○安武洋子君 じゃ最後に一言だけ。もう時間がありませんので一言だけ申し上げますが、長官も兵庫の御出身でございます。ですからよく御存じだと思いますのでもう説明全部省きまして、長官、ひとつね、先ほどのにも異論があるんですが、もう反論もできませんので、兵庫をひとつNOxの総量規制、こういうことで指定をしていただきたいということを申し上げまして私の質問を終わりますので、それに御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(梶木又三君) この総量規制の制度ですね、これを前にやりまして、けさほどもお答えしたんですが、東京、大阪、神奈川、これでやっておるわけでございますけれども、いまお話しの神戸市を含めて兵庫県ですね、これについては〇・〇六ppmを超えておる測定局もございます。ただ、近年の大気汚染の状況の推移とか判断しましたら、昭和六十年までに環境基準を確保し得るかどうか、これは予断を許さない状況だと考えておるわけでございます。
 そこで、いま兵庫県において進められております窒素酸化物の対策、これに関します検討の結果、これを踏まえまして関係する自治体とよく調整しながらNOxの対策をやっていきたいと、かように考えております。
○中山千夏君 初めに優生保護法について少しお伺いいたします。
 さっき森山眞弓さんの方からも意見がありましたけれども、私も同様の意見を持っておるものですから非常に同感しながら聞いていました。森山さんと私とは大分立場も違いますし、所属している会派を超えて、世代を超えて、それから教育程度も超えて同じような意見を持っていると、そのあたりにも大臣にはぜひ注目していただきたいと思うところなんですが、森山さんのお話の中でもやはり女性の意見をよく聞いてほしいということがありました。
 それで、ちょっと審議会の構成についてお伺いしたいわけなんですけれども、公衆衛生審議会、委員の方が九十九名いらっしゃいますね、そのうち五人女性がいらっしゃる。それから優生保護部会の方は十二名ですね、たしか。そしてその中に一人しか女性がいらっしゃらないのですよ。それで女性の意見をよく聞いてほしいという者の気持ちとしましては、問題が問題ですし、やはり希望としては半分、せめて三分の一は女性にいてほしいという気が大変するわけなんです。この審議会の優生保護部会に女性をもっとたくさん入れていただけないものだろうか。これが一つです。
 それから、先ほど大臣が優生保護部会だけでは倫理学、宗教学などの分野まてはちょっとカバーし切れないかもしれないというようなことで、そういう方たちの意見を聞く機会も設けたいというふうにおっしゃいまして、私は大変大切なことだろうと思いました。ほかにも生化学ですとか、それから社会学的な分野ですとか、いろいろ意見を聞くべき方面はあると思います。中でもやはり女性の意見を審議会が特にこういう形であれば聞く機会をぜひ一つのシステムとして設けていただきたいと。それが果たして可能なのかどうか。
 審議会の中に女性が入れるかどうかということと、それからそれと別に女性の意見を聞く場をつくれるものかどうか。この二つについてお伺いしたいのですが。
○政府委員(三浦大助君) 優生保護部会の委員のまず構成でございますが、いま十三人でやっておりますが、これは優生保護法という法律のたてまえから医学的な見地に立った検討が中心になっております。しかし、それぞれの分野において優生保護の問題に関しまして識見の豊かな方々にこれは委員をお願いしておるわけでございまして、その中に民生委員を経験しておられる女性の方が一名入っておるということでございます。
 部会の構成を申し上げますと、公衆衛生の専門家が一人、それから医療従事者が三人、それから社会福祉の従事者が二名、司法関係の方が二名、それから関係行政機関の職員が二名と学識経験者三名と、こういうことで構成になっておるわけでございます。
 なお、いままで母性の保護ということから医学的問題を中心に討議をしておったわけでございますが、大臣の御指示によりまして、なお広く宗教学者あるいは倫理学の先生あるいは御婦人の代表の方、こういう方の御意見も聞くようにということですので、いまそちらの方の人選その他検討をしておるわけでございます。
○国務大臣(林義郎君) 中山さん、この前の予算委員会でいろいろと御議論いただきましたし、私も非常によくわかるのですよ、御議論は。そのときにもお答えいたしましたし、総理からも御答弁いただきましたのですが、やっぱり倫理的な問題にもなるし、それから宗教観というものもやっぱりある。そういったこともありますから、いまの言うように公衆衛生審議会の優生保護部会という
のは法律に基づいて、先ほど局長が説明しましたように母体の健全とか、優生保護をどうするかと、こういうふうな話になっちゃうんですね。私は、どう考えてもそれだけでこの法案を出したんじゃ非常に申しわけない。むしろ幅広い観点から考えなくちゃいかぬ。言うならこれからの日本の若い人がどういうふうな形になってくるか、それは現在の若い人たちの話にもあるし、それから先ほどもちょっと森山さんにもお答えしましたけれども、やっぱり年の違うところもある、それから物の考え方が違うところもある、政党の違いもあるでしょう。そういったことを離れて国民的コンセンサスを持っていかなければ、この問題を出して国会で騒動やってどうだこうだという話よりもっと高いところで私はこの問題はぜひ考えてみたい、こう思っているんです。だから、別に封鎖するとかなんとかという話じゃないんで、むしろそういった広い観点から私の方ももう少し考えてみたい。その中ではいまのところでは、優生保護部会では医学の方の御婦人の意見をと、こういうことになってますが、その医学だけの御婦人の御意見だとどうもいかぬのじゃないかと、もう少し何か別の形の御意見も少し聞いてみようと。いずれ案をつくりましたらどうせ国会にも出てくる話でしょうし、またいろんな方の御意見もありますから、そういったところにも幅広く話をしてやっていくというようなことをやってみたらどうか。余りこうぎすぎす何を呼ぶとかどうだという話になると、またやったとかやらぬとかという話になっても私も困るんじゃないかと思いますし、そういったことで私も十分に意を体してやってみたい、こういうふうに思っています。
○中山千夏君 またこれも森山さんと同じ言葉になりますけれども、ぜひ慎重に事をお進めいただきたいとお願いをしておきます。
 それから、やはり法律で中絶をしにくくするというだけでは母性保護に効果的ではないんではないか。これは予算委員会のときにも申し上げましたけれども、そういう考えを持っておりまして、そういうところから、いま現在やはり中絶をしないで済むためには、中絶しなきゃならないような妊娠をなくしていかなくちゃならないんじゃないか。そうすると、避妊教育、避妊対策ということになるんですが、その辺のところは行政で、法律じゃなくても、つまり行政の事業の中でいろいろできることがあるんじゃないかと思うんですね。いま現在どういうふうに進めていらっしゃるのかちょっとお答えください。
○政府委員(正木馨君) 厚生省におきましては、母子の健康という観点にも立ちまして家族計画に関する施策を実施しておりますが、その中で避妊ないし受胎調節に関する正しい知識と技術を普及するという事業を実施しております。
 以下具体的に述べさせていただきますと、家族計画に関する主な施策といたしましては三つほどございますが、一つは保健所、それから市町村における婚前学級あるいは新婚学級等の一般的な教育、これが一つ。それからもう一つは、受胎調節実地指導員による低所得世帯に対します訪問指導。それから三つ目は、遺伝問題を中心としまして相談に応ずるための家族計画特別相談事業、こういったことを保健所なり市町村を通じまして、国も助成をいたしまして実施をしておる、こういった現状でございます。
○中山千夏君 お金の面だけで見てしまうことはできないとは思うんですけれども、それぞれの場で一生懸命やっていらっしゃるんだろうと思うんですが、五十四年度の決算、それからずっとその後の予算の推移を見ていきますと、予算の面でもやはり実質的にはそうふえているとは言いがたい、むしろ減っている、実質的には減ってきているということが見えますし、どこかやっぱり避妊をきちんと普及して中絶をなくしていくんだということにつなげるには、ちょっと力が弱いような感じが私はするんですね。
 それと、厚生省厚生統計協会ですかが出していらっしゃる「国民衛生の動向」などというのを拝見しますと、家族計画というものの中に恐らく避妊というようなものも含まれるのだろうと読み取れるような個所は確かに出てくるんですけれども、その中にはっきり、中絶しなければならないような妊娠は防いでいくんだと、その意味で避妊を普及していくんだというくらいのことをうたっていくぐらいの前向きの姿勢がなかったら、やっぱりいまの現状というのはなかなか直らないんじゃないかと思うんです。
 それからもう一つ世の中の文明といいますか、社会といいますか、そういうものの進展とすごくこれ関係のあることだと思うんですね、避妊とか、中絶とかいうことは。ごく簡単な例を挙げると、子供たちの先ほど手紙が来たというお話をしていらっしゃいましたけれども、子供たちの体は成熟がどんどん早くなるわけですよね。ところが、文明が進むと、成熟は早くなるかわりに就学年齢が、どんどん就学期間が延びまして、なかなか一人前の男、女としては生きられない。子供のままで体は非常に早く成熟するというような事態に子供たちは追い込まれてしまう。じゃ、その中でどう彼らを導いたらいいのかみたいな、いわば性教育にもつながってくる問題だと思うんです。だけど、いま見てると、どうも純潔教育というんですか、文部省が行っている教育なんかは、その実態にどうも子供たちを幸福に導くにしてはついていってないようなところがあるように思える。後手後手に回っているみたいだと。そういう面で文部省とかほかの省庁とも話し合いをしながら、本当に効果のある、中絶が多いということは非常に女にとって悲しいことですから、効果のある方法を法制化とは別の面で積極的に考えてみていただきたい。根本的に考え方を少し転換してみていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(林義郎君) 中山さんの御意見は私も全く賛成で、実は厚生省で、倫理の問題とか宗教の問題というのは役所の行政になじむかねと、こういう話だったんですよ。むしろ役所でなじむならば文部省の方かなあと、こういうふうな話だったんですが、むしろ文部省という行政ベースの話じゃなくて、これはまさに政治家同志が考えていかなければならない私は基本問題だろうと思うんですね。憲法で信教の自由というのもうたわれておりますし、いろいろと物の考え方があるわけですから、私はそういったところに立ってお互いコンセンサスづくりをしていく。それならば、やっぱり若い人に単に避妊の教育だとか純潔教育というようなことでは何なんで、恐らくこれから学生なんかでも結婚する――外国はわりと多いですよ、学生で結婚していますのがね。寄宿舎なんかでも夫婦者の寄宿舎とか、一人者の寄宿舎とかありますよね。そういったようなことも考えながら、私はこれはやらなくちゃいかぬ話だろうと。繰り返して申しますけれども、単にこの優生保護法の一条をどういじったからどうだという話でなくて、もっと深いところから、また高いところから私は考えていくべき問題のように思っているのであります。
○中山千夏君 では、次にちょっと社会保険庁の広報についてお伺いをしたいと思うんですが、この一カ月ほど「年金を考える」という広報を、これシリーズになっていますけれども、雑誌なんかで拝見します。これはねらいといいますか、テーマといいますと、どういうことなんでしょうか、時間がありませんので簡単にお答えいただきたい。
○説明員(入江慧君) いま御指摘になりましたように、昨年の十二月からことしの二月にかけまして「年金を考える」ということで広報しているわけですが、そのねらいは、高齢化社会を迎えまして、これからは年金制度の役割りが非常に重要になってくる。それで、その仕組みや将来の見通しを御説明すると同時に、要するに年金制度というのは世代間の助け合いといいますか、そういうことで若い人も将来の遠いことじゃなくて、要するに自分の問題なんだということで国民の合意を得たいということがねらいでございます。
○中山千夏君 その中でちょっとほかの人から
も、これは一般の方ですけれども、これはどういうわけだと言われた広報がありまして、それは「社会の動きをとらえる年金。スライドします。」と、こう大きく書いてあるわけですね。そのわきに表が載っていまして、「消費者物価と賃金の推移」というのが載っているわけです。ところが、二つ問題がありまして、ことしはスライドしないと聞いていると、それなのに「スライドします。」というのはどういうわけですかと私も聞かれて、ちょっと詳しくなかったものですからあわてていろいろ調べてみて、お書きになったことはわかるんです、うそじゃないと、全体的にはスライドする仕組みなわけですから。だけど、やはり一般にはちょっとわかりにくいと思いました。それと、「消費者物価と賃金の推移」という表が載ってても、これと年金のスライドとの関係が全然わからないんですね。何のためにこんな表が載っているのかわからない。これをきょう御質問しようと思ってちょっと厚生省の係の方からお話を伺いまして、御説明あったんですけれども、これを訂正するというか謝るというようなことはそのとき全然お話に出なかったんですね、おとといお話を伺ったときには。ところが、きのう出た雑誌を見ましたら、「一月十四日号で「スライド」の説明が不十分であったことをお詑びします。」とシリーズの次のやつに出ているんですね。レイアウトから見ると、かなりあわててここへ二行突っ込んだなという感じなんですけれども、やっぱりたくさんこういう批判があったんでしょうか。こういうものを次に入れられた。これみっともないだけじゃなくて、やっぱり税金で出す広報ですからね、こういう出し方は非常にまずいと思うんですよね。そういう苦言も含めて経緯をちょっと御説明していただきたいと思います。
○説明員(入江慧君) 公的年金と民間の個人年金との本質的な違いといいますか、要するに年金の実質価値を物価なり賃金の変動に合わせて維持していくというのが公的年金の特色なわけです。そういう意味で、スライドしますというのが公的年金の特色だということで、そこを広報するつもりであったわけですが、お話しのように五十八年度は人事院勧告の凍結というような事情もありましてスライドの予算が盛り込まれていないと、そういう意味では非常に、仮に年金受給者の立場から見れば何だ、だまされたというような感じを受けると思うんです。ただ、いまお話にありましたように、全体を読んでいただければ説明は間違っていないというふうに私は考えておりますが、そういうふうにちょっと年金受給者といいますか、お年寄りに対する思いやりもなかったというような反省で、次週号に、とにかく不十分だった、もう少し説明を詳しくすれば誤解を招かなかったのにということで、そういうおわびの言葉を入れたということでございます。
○中山千夏君 広報費は、かなりおたくの庁でもがくがくとふえてきていますし、これ税金でやることですので、やっぱり国民が見て国民が本当に納得できる、ああ役に立ったなと思えるものをやっていただきたいし、後からやっぱりちょっと説明不十分でしたなんてこと入れるというような出し方はまずいと思うんですよね。今後ともその辺よくお考えになってやっていただきたいと思います。
 以上で質問終わります。
○委員長(竹田四郎君) 他に御発言もないようですから、厚生省、環境庁、医療金融公庫及び環境衛生金融公庫の決算についての審査はこの程度といたします。
    ─────────────
○委員長(竹田四郎君) この際、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十四年度決算外二件及び昭和五十五年度決算外二件の審査に資するため、開会中に委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(竹田四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 次回の委員会は明二十日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十三分散会