第101回国会 地方行政委員会 第16号
昭和五十九年七月十二日(木曜日)
   午前十時七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 六月二十一日
    辞任         補欠選任
     吉川 芳男君     源田  実君
 六月二十二日
    辞任         補欠選任
     源田  実君     吉川 芳男君
 六月二十七日
    辞任         補欠選任
     中野  明君     服部 信吾君
 七月四日
    辞任         補欠選任
     服部 信吾君     中野  明君
 七月五日
    辞任         補欠選任
     出口 廣光君     斎藤 十朗君
 七月六日
    辞任         補欠選任
     斎藤 十朗君     出口 廣光君
 七月九日
    辞任         補欠選任
     中野  明君     服部 信吾君
 七月十一日
    辞任         補欠選任
     小山 一平君     寺田 熊雄君
     服部 信吾君     中野  明君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長        大河原太一郎君
    理 事
                岩上 二郎君
                真鍋 賢二君
                志苫  裕君
                三治 重信君
    委 員
                井上  孝君
                加藤 武徳君
                上條 勝久君
                古賀雷四郎君
                出口 廣光君
                松浦  功君
                吉川 芳男君
                佐藤 三吾君
                寺田 熊雄君
                中野  明君
                原田  立君
                神谷信之助君
   衆議院議員
       地方行政委員長
       代理       小澤  潔君
       修正案提出者   岡田 正勝君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    田川 誠一君
   政府委員
       警察庁長官    三井  脩君
       警察庁長官官房
       長        太田 壽郎君
       警察庁刑事局長  金澤 昭雄君
       警察庁刑事局保
       安部長      鈴木 良一君
       警察庁交通局長  久本 禮一君
       警察庁警備局長  山田 英雄君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       法務省入国管理
       局登録課長    黒木 忠正君
       厚生省薬務局麻
       薬課長      山本 晴彦君
       自治大臣官房審
       議官       木村  仁君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
 (警察行政に関する件)
○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十一日、小山一平君が委員を辞任され、その補欠として寺田熊雄君が選任されました。
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○委員長(大河原太一郎君) 地方行政の改革に関する調査のうち、警察行政に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐藤三吾君 きょうは警察関係の一般調査ですから、その問題に絞って質問さしていただきたいと思います。
 まず、今問題になっております外国人登録法に基づく指紋押捺の問題で、これは「ひとさし指の自由」ですか、ということで非常に全国的にも問題になっておりますが、同時にまた、これは韓国でもいろいろな団体が大きな動きを示しておるわけですけれども、この問題について、法務省、現状をまず御報告いただきたいと思います。
○説明員(黒木忠正君) 現在、我が国に在留しておる登録外国人、約八十二万人ございますけれども、この外国人の身分関係、居住関係を明らかにするために外国人登録制度が現在施行されております。
 この外国人登録に当たりまして、外国人の身分関係が日本人に比べて不分明であるということ、それからこの外国人登録制度が施行されました昭和二十年代には指紋制度が採用されていなかったために多くの不正事件が起こったということから、現行外国人登録法におきましては、十六歳以上の外国人で滞在期間が一年を超える外国人につきましては登録の際に左千人さし指の指紋を押すという制度になっております。
○佐藤三吾君 これは十六歳未満は除外と、一年未満は除外になっているわけですが、それ以上の方々というのはどのくらいなんですか、八十二万の中で。
○説明員(黒木忠正君) 八十二万人のうち約五十七万人ぐらいが指紋押捺の対象者になろうかと思います。
○佐藤三吾君 これは、外国人の中ではどういう分類になりますか。
○説明員(黒木忠正君) 先ほど申し上げましたように、最近の統計ですと約八十二万人の外国人が登録しておりますが、この中で韓国または朝鮮の表示になります朝鮮半島出身者が約六十七万五千人で全体の約八三%、それから中国が六万四千余りで七・八%、米国が二万七千ぐらいで三・三%などという状況でございます。
○佐藤三吾君 その中で、永住というか、もう日本に一世、二世、三世という格好で永住しておる人と、例えば二つ分けて言いますが、一年以上という、永住じゃないけれども滞在しておるとか、こういった分類になりますとどういうことになりますか。
○説明員(黒木忠正君) 先ほど、登録対象者約五
十七万人ぐらいじゃないかと申し上げましたけれども、その五十七万人のうちの八〇%以上の人が永住ないしは永住に準ずる資格を持っている人たちではなかろうかと思います。
○佐藤三吾君 この指紋押捺というのが、さっき、昭和二十年代に不正があったと、ですから、押捺制度の改正に移ったんだというんですが、不正というのはどういう不正なんですか。
○説明員(黒木忠正君) 当時非常に多かったのは、昭和二十年代の登録数、約五十万から六十万ぐらいあったわけでございますが、約その一割近い人たちの数に不正があったわけでございます。
 その中身と申しますのは、一人で二つ、三つという二重登録、俗に申します二重登録、これは幽霊登録とも言うわけでございますけれども、一人の人が幾つかの登録をするといったようなこと。それから、そういう二重登録、幽霊登録が出回ったということによりまして、その後不法入国してきたような人が、密入国したような人がその登録証明書を譲り受けましてその人に成り済ますというような不正が当時非常に多かったわけでございます。
○佐藤三吾君 これは、密入国、二重登録というのが指紋押捺でぴたりなくなった、そういうふうに見ていいんですか。
○説明員(黒木忠正君) おっしゃるとおりでございまして、指紋制度を導入いたしまして多くのそういう二重登録も発見いたしましたし、その後の推移を見まして、昭和二十年代ほどのそういう不正が非常に、何と申しますか、数が減ってきているということで、私どもといたしましては、指紋制度が非常に効果があるというふうに理解しております。
○佐藤三吾君 これは外国ではどういう実態ですか。
○説明員(黒木忠正君) 私ども世界百数十カ国の国すべて調べたわけじゃございませんが、比較的法律制度の整っておると申しますか、というような国約五十カ国につきまして調査いたしております。調査いたしました四十九カ国でございますが、この中で指紋制度を我が国と同じように――具体的に細かいことを申しますといろいろ違いがございますけれども、大まかに申しまして、我が国と同じように外国人に指紋を押させている国が二十四カ国ございます。それから、我が国ほどではございませんが、やはり、まさかのときと申しますか、問題がある場合に指紋をとるという国が九カ国ございました。
○佐藤三吾君 ヨーロッパの例えばイギリス、フランス、西ドイツ、イタリー、こういうところはどうですか。
○説明員(黒木忠正君) 今お尋ねのヨーロッパの諸国は、先ほど申しました、いろいろ問題のある場合に指紋をとるという方のカテゴリーに入るようでございまして、常時必ず外国人から指紋をとるという制度ではございません。
○佐藤三吾君 自治省、この問題で地方議会が意見書を採択したり、この廃止、改善を求めての要求が今非常に広がっておるんですが、実態はどうですか。――法務省はわかりますか。
○説明員(黒木忠正君) 私どもに参っております地会議会で議決しました意見書は四百六十余りというふうに記憶しております。
○佐藤三吾君 自治省どうですか。
○説明員(木村仁君) お答えいたします。
 指紋押捺につきましての地方議会の議決につきましては、その詳細を承知いたしておりませんが、そういう議決が行われているものと聞いております。
○佐藤三吾君 それでは、もう一遍自治省にお伺いしますが、これは機関委任事務で市町村が所管しておるわけですね、この業務は。この市町村の中で、例えば指紋の原票の取り扱いが非常にずさんになっておる、そうして警察関係との照合で閲覧や複写が提供されておる、こういうように聞くんですが、どうなっていますか。
○説明員(木村仁君) そのような事務の細かな実態につきましては、自治省は承知いたしておりません。
○佐藤三吾君 これは法務省、どういうルールになっているんですか。こういう指紋の押捺に基づく、それを見せてくれということで、警察関係では犯罪捜査の関係ということで照合、複写ということがなっておるというんですが、どういうことですか。
○説明員(黒木忠正君) 外国人登録の原票につきまして、二つ分けて御説明いたしたいと思いますが、一つは、原票に記載されている登録事項、氏名、生年月日、住所とか職業とかというようなものがいろいろ記載されておるわけでございますが、この外国人登録記録につきましては、これは犯罪捜査の場合を含めまして、教育、福祉、いろいろな行政の局面におきましてこの登録記録を利用するということは、制度そのものの趣旨から見て当然のことでございまして、そういった登録記録に関する照会につきましては、法務省は、官庁関係からの照会につきましては、これはお答えするという原則で臨んでおります。
 ただ、分けて申しますもう一つの方は指紋でございます。
 指紋につきましては、外国人登録法にこの指紋制度を導入いたしました際のいきさつ等もございまして、こういったものを一般の犯罪捜査には使わない、こういうことにいたしておりまして、たとえ刑事訴訟法などに基づきます照会がございましても、一般犯罪捜査の場合につきましては、これについてはお答えしないという取り扱いをするように各自治体の方に指導しておる、こういうことでございます。
○佐藤三吾君 ところが、使われておるんですね。これは六月十六日の新聞、こういうような「警察要請に複写渡す」、「外国人登録の押なつ指紋」、こういうのが次々に出ておるわけですね。(資料を手渡す)三十三県ほど調査しておるうち、二十一都道府県でそういう実態が出ておるわけですね。私の出身の大分県も四市がそういうことをやっているということで大変問題になっているんですけれども、これはどういうことですか。
○説明員(黒木忠正君) 先ほど申し上げましたように、指紋につきましては原則としてお答えしないということになっておりまして、各市町村に対します指導におきましても、登録原票の写しを、先ほど申しましたように、関係機関にお渡しする場合がある、それについてはお答えするということになっておるわけですが、その際に、原票に押されております指紋の部分につきましては、これをあらかじめ、電子コピーにとります際に紙で押さえまして、指紋の部分が写らないようにするとか、それから後でマジックインキなどで塗りつぶして指紋が他の機関に渡らないような注意をするような指導をしております。
○佐藤三吾君 その法務省の政令規則は読みました。そうなっております。それは知っています。ところが、現実は今そういうことが行われておる。これは警察庁どうですか。
○政府委員(山田英雄君)  警察といたしましては、捜査活動とかあるいは各般の警察活動を行っていく上におきましても外国人の身分を特定する必要が生ずることが多いわけでございますが、そういう場合には、犯罪捜査上は刑事訴訟法の規定に基づいて所要の公務所に必要な事項を照会する、外国人登録の関係につきましては登録上必要な事項の照会を市町村当局に照会するということをやっておるわけでございます。行政上の目的からは、個別の法令に規定のある場合にはその法令に基づいて必要な照会をするということになるわけでございます。
 ただいまの指紋の点につきましても、過去に密入国者を、指紋照会を行うことによって検挙したということもございますし、そういう密入国事案あるいは外国人登録証明書の不正入手事案、そういうものにつきましては、犯罪捜査上必要な照会として、登録事項のほかに指紋を照会するということは現実にあるわけでございます。
○佐藤三吾君 自治省はどういう指導をやっていますか。
○説明員(木村仁君) この件につきましては、自治省として指導をいたしたことはございません。法務大臣関係の機関委任事務でございますから、法務大臣において適切な指導を行っておられるものと考えております。
○佐藤三吾君 法務省はどういう指導をやっていますか、それなら逆に聞きますが。
○説明員(黒木忠正君) 先ほど申し上げましたように、指紋につきましては一般犯罪捜査の照会にはお答えしない。先ほど警備局長の方からお話しありましたように、外国人登録法違反にかかわる問題ないしは入管法違反にかかわる問題につきましては、指紋というのが照会に応ずる場合がございますけれども、一般犯罪については指紋照会には応じないと、こういう指導をしておるわけでございます。
○佐藤三吾君 しかし、現実に大分の事例を見ると、四市の実態の中では、常時警察が来て、そして複写を見せてくれと、またくれということが日常茶飯時のように行われておる。県警本部長の談話の中では、今登録課長が言ったような「法務省の見解を順守しなくてはならない。調査結果が事実とすれば問題だ。県警としても調査したい。」、こういうことを言っておりますが、しかしこれが自治労の調査では、二十一都道府県で平常ふだんに行われておるという事実は間違いないわけですね。こういうことが、機関委任事務だからこれは法務省の指導で、自治省は一切指導はやってないと、これじゃちょっと自治省も――現実に機関委任事務を受けて委任事務として業務をやっておるのは自治体ですよ、法務省じゃない。これはそんな答弁で済まされるものじゃないですよ。どうなんですか。
○説明員(木村仁君) 機関委任事務につきましては、それぞれの所轄の大臣が指揮監督をいたすことになっております。自治省としては、団体の経理等の事務につきまして指導をいたすことはございますけれども、機関委任事務の執行の仕方につきましては所管大臣の指揮監督に従うべきものである。自治省がそれに対していろんな指導をいたしますとむしろ現場に混乱を起こすということでございますので、法務省の指導に従っていただきたいものと考えております。
○佐藤三吾君 これは警察は調査をしましたか。
○政府委員(山田英雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、必要な場合において警察は捜査照会なり公務所照会をしておるわけでございまして、みだりに照会しておることはないわけでございます。
○佐藤三吾君 これは責任の所在が、大臣、自治省はそういうことだし、機関委任事務については法務省がやるべきだと。法務省は法律上、政令運営事項を見ると、ちゃんとそういうことで来ていますね。指紋事項については、刑事訴訟法の観点から要求されても見せてはならないということ、それは知ってます。しかし、現実の実態は、自治体が扱っておるそこではそれが何ら守られてない、こういう現実であることは間違いないのですが、国家公安委員長でもある自治大臣のこの問題に対する処理ですね、どういうお考えなのか聞きたいと思います。
○国務大臣(田川誠一君) この問題は、委任をしております法務省の指導によりまして行っているものでございますから、法務省の見解が正しく実施をされるようにしていかなければならないと思っております。具体的な御指示については今お聞きしたばかりでございまして、具体的にはよくわかりませんけれども、恐らく新聞に――まだ全部読んでおりませんが、新聞に出ていることは、例外的に密入国事犯とか外国人登録証明の不正入手の問題にかかわることではないかと思います。しかし、いずれにいたしましても委任をしている法務省の見解が正しく行われていかなければならないと、このように思っております。
○佐藤三吾君 そうすれば、この問題について警察庁、法務省、今大臣の意向なんだけれども、きちっと法律に基づいて厳格に管理されるという意味で、さらに指導を徹底をすると、こういうふうに、警察庁の方もそうですが、受けとめてよろしゅうございますか。
○説明員(黒木忠正君) 私どもこれまでの指導をさらに現場に徹底いたしまして、登録制度、指紋制度が正確に維持されるように努めてまいりたいと思います。
○政府委員(山田英雄君) 警察が行います捜査上の公務所への照会、警察目的達成上必要な公務所への照会というのは、法令の根拠に基づいて厳格に今運用さるべきことは申すまでもないと思います。今後ともそういう姿勢でまいりたいと思います。
○佐藤三吾君 ところで、大臣、さっきのあなたの答弁ではやっぱり問題があると思うんですよ。これを実際やっておるのは自治体なんだから、あなたはその所管大臣ですよ。法務省は指導徹底の不十分さもあると思うんですけれども、現実に現場ではそれがルーズにやられていることは間違いない。だからこういう問題が起こっている。これはやっぱりひとつ大臣としても法務大臣とも相談をして、また自治省としてもこれにきちんと対応して、いやしくも人権にかかわる問題ですから、これらがひとつ適正に実行されるようにきちんとするということについてはいかがですか。
○国務大臣(田川誠一君) 行き過ぎがないように指導してまいりたいと思っています。
○佐藤三吾君 そこで、これは合いわゆるその法が守られてないという実態なんですけれども、大臣、あなたの地元の横浜地裁で六月の十四日ですか、押捺を拒否したということで、在日アメリカ人の大学講師キャスリンさんですか、これが有罪判決を受けましたね。また、茅ケ崎の在日朝鮮人の三世の方が、何というんですか、パク・マウイさん、この方がやはり押捺を拒否したということで、ことしの夏に韓国である母国の研修会に旅券がおりないと、こういう事態が今起こっておりますね。そのために、この問題はおたくの神奈川県では大変な問題になって、先般三十七の市町村長が集まって、満場一致でもってこの指紋押捺の義務を廃止するかまたは改善してもらいたい、そして登録証明書の常時携帯義務の廃止または改善を決議をして、自治、法務、内閣ですか、それぞれ要請をしておる、こういうことをお聞きしておるんですが、これは私がさっき法務省から調べた内容をお聞きになったとおりだと思うんですが、圧倒的多数、八十数%というのは永住しておる方ですね。そして、このパク・マウイさんの場合は三世なんですね。御両親はやはり日本で、三重県で生まれておるわけですね。だから、もう日本に七、八十年住まいなさっておる、そういう方だから、もちろん幼稚園から小学校から大学までずっと日本で努められて、友達、同級生が全部近所にあって、所在というのは非常にもう明確なんですね。ところが、十六歳になってさっき言った基準にひっかかって、十六歳まではいいんだけれども、十六歳になると指紋押捺を求められるわけですね、この登録法に基づいて。そこで抵抗をして拒否したというのが今度の事件ですね。
 こういう実態等を考えてみますと、大臣、仮にあなたでもそうでしょう、私もそうですが、もうお父さんも日本で生まれ育って、ずっと日本に住んできて、友達、同級生おる中で、今NHKのドラマじゃないけれども、「山河燃ゆ」というのがございますが、日本に永住してきて、そして初めて押捺せいと言えば、これはだれだっていやな感じを持ちましょうし、そして、やっぱり差別というか、そういうもう感じを持つのは、これは自然だと思うんですよ。
 ヨーロッパなどでは、さっきお話しのように、問題が起こったときにのみするという姿勢に変わってきておる、こういうことから考えますと、少なくともこの永住しておる方々については、私はやっぱりこの際改善を加えるべきときに来ておるんじゃないかと、そう思うんですよ。外務大臣は、韓国の全斗換大統領の来日を控えてでも、うちの外交・総合安保委員会の中では、この制度を変えませんと、こう言っていましたが、しかし、率直に言って、大臣あなた自身、自分の選挙区の
の問題というんじゃなくて、これだけの経緯を見ると、やっぱりこの制度そのものに人権を含めて無理があるんじゃないか、そう私は考えるのが至当じゃないかと思うんですが、あなたの御見解いかがですか。
○国務大臣(田川誠一君) 選挙区じゃないんですから、ちょっとお断りしておきます。
 実際に第一線で事務を執行しておる市町村自治体では、この事務を円滑に執行したいということでございますから、トラブルが起きますと、何とかこういう制度をひとつ再検討したいという気持ちはよくわかると思います。この外国人登録制度のあり方につきましては、実際に所管をしております法務省でひとつ十分検討をしていただかなければならない問題ではないかというふうに私は申し上げる以外にちょっとお答えのしようがございませんが、実際の管轄は法務省でやっておりますので……。
 ただ、何回も申し上げますように、また、今佐藤さん御指摘がありましたように、円滑な事務を執行したいという一念で市町村の方々がおっしゃっていると、このように思っておりますので、そういうことを踏まえながら、法務省にもひとつお考えをいただきたいというのが私の気持ちでございます。
○佐藤三吾君 あなたは非常に庶民派の大臣ということで私は期待しておったんだけれども、がっかりきましたな、正直言って。
 私がなぜさっきから三世とか強調したかといいますと、今、役場や市役所におる受付で事務を日常扱っておる連中の皆同級生が来るわけですよ、小学校とか高校とかの同級生が。そしてその皆さんが訴えるわけでしょう。それは法務省が言うように、二十年前に二重写しやったり密入国に利用されたとか、こう言っていますが、そんなおそれは全然ない人たちですよ、逆に言えば。それを受ける自治体の職員の側、そして今ここで訴えられる、どう思うかと聞かれれば、皆やっぱりこの法はおかしいという疑問を持っておるわけでしょう。約五百近い市長を含めて町村長がこういう意見書を出すというのも、これはやっぱりそれが身近にぴしっとくるからそう思うんでしょう。ところが、残念ながら、これは機関委任事務ということで所管省が法務省になっているものだから、法務省はそれがぴんとこないんだ。なぜかと言うと、そこに現実にそういう対応をしていない。一番切実にこの問題で困っているのは私は自治体だと思うんですよ、正直言って。おまえ指紋を押さなきゃおれと同級生なのわからぬかと言われれば、わかりますよ、みんな。そういう自治体が一番今この問題で悩んでおるわけですよ。しかもどんどん広がっておる。人道上の問題でしょう。こういうことで、所管の大臣としてそんな答弁はないんじゃないですか。もっとやっぱり血の通った、敏感に受けとめる大臣でなきゃならぬのじゃないですか。どうですか。
○国務大臣(田川誠一君) 先ほども申し上げたとおりでございまして、市町村におけるこの事務が円滑な執行ができるように、私としては各地方自治体の意見、要望を十分に踏まえて、所管省である法務省に十分検討をしていただきたい、こういう考えでございます。
○佐藤三吾君 ぜひひとつ、これは法務省の問題というようなことじゃなくて、自治体が命これで率直に言って悩んでおるわけですから、そして大変な問題に発展しそうな情勢ですから、外務大臣とか法務大臣というのは直接はね返っていないですから、ああいう感覚は普通だと思うんですが、そこら辺は自治大臣としてもう少し調査をして、実態をやっぱり国政に反映させていく、矛盾を正していく、こういったひとつ努力をお願いしておきたいと思います。
 次に移ります。法務省結構です。
 まず警察庁にお聞きしたいんですが、今、西のグリコ、東の金塊強盗、これは大臣も何か新聞のコラムによると、ちょこっとそういう問題で大変気になさっておるということが出ておるんですが、これは一体今どういう状況になっているんですか。
○政府委員(金澤昭雄君) まず西のグリコの方から御説明をいたしますが、この事件は御承知のとおりですが、三月十八日に発生をいたしまして、当初グリコの社長が誘拐されまして身の代金を要求される、こういうことから始まりました。その後、会社等に対します一連の放火事件が相次いで発生をしましたし、その後も会社等に対しますいろいろな脅迫、大量の金額といいますか、お金の要求が参りまして、非常に社会を騒がせておる事件でございます。
 警察といたしましては、現在まず物の捜査と人の捜査と、両面の捜査ということで現在も大量の捜査員を投入をいたしまして鋭意捜査中でございます。ただ、時間が非常にかかっておるわけですが、これはタイプライターの捜査というのをやっておりますが、その捜査一つをとってみましても、関西地方で売られております同じ種類のタイプライターだけをとってみましても六千台ということで、これを一つ一つシラミつぶしにつぶしていくというような捜査もやっております。そういうことで、人の面、物の面、いずれも非常に大量の捜査の量があるということで現在時間がかかっておりますが、鋭意捜査をやりまして、できるだけ早く解決をしたいというふうに考えております。
 それから東の方の金塊強奪事件でございますが、これは四月の十九日に白昼の銀座で発生をいたしました金塊強奪事件でございます。これもいろいろと情報その他もありますし、真昼の事件でございますから、目撃者等のいろいろな協力も得まして、これも現在懸命に捜査をやっておるわけですが、現在のところ、またこれはという線にはぶつかっていない。両方ともに捜査中でございます。
○佐藤三吾君 グリコの犯人が、おまえら捜査のプロじゃないか、税金泥棒じゃないかと、こう挑戦しておるわけですね。本来、誘拐事件というのは人質が解放されたときには大体それで終わるものですよね、普通は。ところがグリコの場合には、解放されてから逆にどんどんどんどん問題が発展してくる。そうして、グリコの下請企業などの倒産が出るというふうな社会的な問題まで起こってきておる。金塊事件にしましても、何か長崎の壱岐での一億円強奪事件と関連があるんじゃないかということをちらっと新聞で見ましたが、これは余りにも、ちょっと現在捜査中ということだけでは済まされない問題になってきているのではないか。何か刑事警察体制の中に問題があるのじゃないか、私は今そこまでなっておるのが世論だと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(金澤昭雄君) ただいまお話にありましたように、今回のグリコ事件は人質が解放された後事件が大きく進展をする、こういうことで、従来までの身代金目的誘拐事件、戦後百三十件近くございますが、これまでにない新しいタイプの事件というふうに認識をしております。それと、マスコミを利用しまして、いろいろと、何といいますか、幅広く脅迫の効果を徹底をさせる、こういった方法もとっておりますし、したがいまして今までにない新しい型の犯罪というふうに受けとめて、私どもの方もそれに対応する捜査体制をとりましてやっておるわけでございますが、特に刑事体制に問題があってなかなか検挙ができないということではなしに、先ほども言いましたように、膨大な捜査の量があるということで、それを着実に一つ一つつぶしていくのにはやはりそれ相応に時間がかかる、こういうふうに考えてやっております。その点ひとつ御理解を賜りたいと思います。
○佐藤三吾君 人質が捕まっていれば、なかなか捜査も慎重にやらなきゃならぬし、やりたいこともやれぬでしょう。しかし、人質はもう解放されたわけですから、思う存分にできるはずなんですよ。それができないというのは、私はやっぱりどうも警察機構そのものに問題があるのじゃないかというふうな疑問を持たざるを得ない。
 そこで、ちょっとお聞きしますが、警察職員が今二十五万一二千六百ですか、その中で警察官とい
うのは一体どの程度で、そのうち刑事警察は一体どの程度の比率になっておるのか。
 それから、ついでに警備公安、保安、交通、外勤、こういう分布がわかれば、ちょっとお示し願いたいと思うんです。
○政府委員(太田壽郎君) 全国の都道府県警察の警察官は約二十一万でございます。
 その中で刑事部門は約一五%、それから外勤部門が約四〇%、交通部門約一五%、警備部門約一〇%、保安防犯部門約五%ということになっております。
 ただ、これは一応の基準でございまして、警察署長等の弾力的な定員運用についての考え方ということで一応今の基準はございますけれども、実態的に、例えば大きな事件があるというようなことになりますといろんな係から所要の警察官をかなりの期間引き揚げて特別な体制をとるというのが第一線の実情でございます。
 したがいまして、今申し上げましたことは本当の、何というか、めどというものにすぎないということでございますが、一応そういう状況になっております。
○佐藤三吾君 今、分布を見ますと、確かに交通が一五%というのはわからないではない。一応の基準ですから、一たん事件になれば集中するということのお話ですが、どうも私は、接近の警察の構成を見ると、刑事部門が弱体化して、そして警備公安の方に重きがなされておるんじゃないかという感じがしてならぬのですよ。
 例えば警察庁長官の人事を見ても、ほとんど今、警備公安の出身ですね、歴代。刑事局長から、刑事畑の長官というのは新井さんぐらいでしょう、十五、六年前の。あとはないでしょう。こういった流れというのが、例えば予算やそれから人員や、それから何と言うんですか、装備、そういったものに全部反映しておるんじゃないか。こういうところに今日の刑事警察体制というものが弱体化して犯人から嘲笑されておるという実態が生まれているんじゃないか。そういうような気がしてならぬのですけれども、これはどうですか。いろんなところにもそういうのがちらちら出ておるんですが、刑事局長としてどういうふうに考えていますか。
○政府委員(金澤昭雄君) 現在の刑事警察の状況が弱体化しているんじゃないかというような御質問ですが、まず全般的な刑事警察の状況について一言述べさしていただきたいと思いますが、現在の刑法犯一般の状況からまいりますと、去年、昭和五十八年で百五十三万件という刑法犯の認知の状況でございます。これは戦後三番目の数字ということで、最近、刑法犯の発生が窃盗を中心として非常にふえておるというのが一方の状況にございます。また、内容的にもコンピューター利用の問題であるとか金融機関の強盗の問題であるとか脅迫事件の問題であるとか、いろいろと内容的にも難しい事件が発生をしておりまして、刑事警察を取り巻いております情勢は非常に厳しいというのが一方の情勢でございます。
 それに対して検挙の状況を見てまいりますと、これは単純に検挙率ということだけで見てまいりましても、去年は六〇・三%ということで、これは十八年ぶりに六〇%の大台を超えた、十八年ぶりでございます。したがいまして、非常に犯罪情勢悪いんですけれども、刑事警察としては精いっぱい頑張って、十八年ぶりの六〇%ということにも示されておりますように、精いっぱい頑張っておる。
 グリコ事件は、先ほど申し上げておりますように、なかなか捜査難航しております。難航しておりますけれども、そういったことだけで刑事警察が弱体化しておるというふうには、ひとつ、ぜひその点については御理解をいただきたいと思います。
○佐藤三吾君 それでは、ちょっと官房長お聞きしますが、管区局長や県本部長ですか、この刑事、警備公安との振り分けはどうなってますか。
○政府委員(太田壽郎君) 特に今手元に資料もございませんけれども、警察官の場合いろんな部門を経験するということは一つの特徴になっておりまして、何も警備公安とかあるいは刑事とか、そういうことがはっきり色分けがされるという性格のものではないんでございますが、そういう面も含めまして御理解をいただければと思います。
○佐藤三吾君 いや、その出身はどうなってますか、出身別は。
○政府委員(太田壽郎君) 今申し上げましたように、特に出身別という色分けが実はできないんでございまして、刑事もやれば警備もやるというようなことで、いろんな部門を経験しながら警察本部長なり管区警察局長という総合的な警察運営の責任者としてふさわしい経験を積んでいくという形で人事を運用しておりますので、今先生が御指摘のような形の色分けということはちょっとできにくいわけでございます。
○佐藤三吾君 しかし、国民の側から見ると、例えば映画のドラマでもテレビでもそうですが、やっぱり刑事警察というのが警察という印象を持っておるわけね、逆に言えば。そして、このドラマでは必ず最後は犯人を捕まえますね、一時間ぐらいで。ところが、なかなかグリコも金塊も一時間じゃなくて――まあ人質が捕まっておったときは、率直に言って皆さん警察はやりづらいだろうと、そういう点がありますよ。しかし、人質も解放されて、なおかつ挑戦されながらも――挑戦するということは足跡を残すわけだから、そう考えてみると、どう思っても、やっぱり刑事警察体制というのが非情に弱まってきておるんじゃないかというような気が起こるのは、私はこれは自然だと思うんですよ。あなたはそういうことじゃないと言うけれども、それならひとつ早急にこの問題を決着をつけてほしいんですよ。そういう意味で、大臣どうですか。国家公安委員長としてのあなたの感想を聞いておきたいんですが。
○国務大臣(田川誠一君) 警察としては、警備あるいは刑事、どっちに重点だというようなことはございませんで、それぞれの仕事を同じように重要視していかなければならない。また、そうなっているというふうに思っております。
 特に最近は犯罪の傾向が非常に変わってまいりましたし、機械化もされ、コンピューター犯罪やクレジットカード犯罪などが随分多くなってきましたから、こういうような犯罪に対応するために、刑事警察というのは特別に、何といいますか、考えていかなければならない、こういう高い水準が求められておるわけでございまして、御懸念のような、刑事警察が弱体しているとか軽視されているとかというようなことは毛頭ないと私は信じております。やはり警察の大きな任務として、凶悪犯罪、そういうようなものはもう徹底して早く解決していかなきゃならぬ、このように思っております。
 諸外国に比べますと検挙率もいいんですね。これはもう一番いいと、私は誇りを持っているわけでございます。残念ながら、御指摘のような事件についてはまだまだ未解決でございまして、本当に私どもも針のむしろに座らされたような気持ちでおりますが、ひとつ、もう少し時間をかしていただきたい。着実に捜査を進めておりますし、私もそう遠くない時期にこの問題は解決できるという自信を持っているわけでございます。
○佐藤三吾君 ひとつ着実にして早急な解決を期待しておきます。
 それで、ついでで悪いんですが、もう一つお聞きしておきたいんだが、きょうの新聞に出ておりましたが、「ロス市警が協力要請」というのが出ていますね。これは今、国内ではどの程度までいっておるのか、どういうふうになっておるのか、これもついでにちょっとお聞きしたい。
○政府委員(金澤昭雄君) つい先日、アメリカのICPOの方から、三浦一美さんの事件に関します関係の資料、日本警察が収集をしております関係の資料について送付してほしい、こういう正式の要請が参りました。現在、これはICPOルートで参っておりますが、法務省の方にもいろいろと協議をしまして、警視庁の方でその内容を取りまとめてアメリカの方との連絡をとっていきたい
というふうに考えております。
 このロサンゼルス疑惑と言われますのは、例の三浦一美さんの事件の問題、それから白石千鶴子さんに関しますケースと、いろいろあるわけでございますが、現在までのところ、警視庁を中心といたしまして、国内においてもできる限りの資料の収集をやっております。何といいますか、もうほとんど国内では大体やり尽くしたという程度に現在やっておりますので、その資料を取りまとめてこれからアメリカと連絡をとりたい、こういうふうに考えております。
○佐藤三吾君 これは外国で起こった事件であるし、ロスがかんでいますから、ロス市警の関連でなかなかやりづらい点があると思いますが、連日連日、テレビで出てうんざりする部分もございますわね。一方はロンドン郊外でのんびりしておるし、ここら辺も、ひとつやっぱり早く決着をつけることが大事じゃないかと思います。
 そこで、だんだん本題に入ってくるんですが、今度は警察自体の問題なんです。
 最近の警察官の不祥事が目に余るというのを通り越すというぐらいな状態があるんじゃないかと思うんです。例えば今グリコ事件が起こりましたけれども、グリコ事件でやっぱり近畿警察管区では相当緊張した状態であるというのが常識的に考えられますね。そこへ兵庫の県警の警察官が堂々と大阪で銀行強盗やる、こういうちょっと常識では考えられぬことが起こってくる。私も今度は質問を控えて洗ってみますと、ことしだけでもわずか六カ月の間に十三、四件ぐらい挙がっておるんですが、おたくの方で調べておれば、警察官自身の不祥事というか、この県別、事件別の状況をひとつ報告いただきたいと思います。
○政府委員(太田壽郎君) ちょっと県別、事件別の資料は手元にございませんので恐縮でございますけれども、昭和五十三年の一月に警視庁の警察官が女子大生を殺害するという非常にショッキングな事件があったわけでございますけれども、それ以後の状況について若干申し上げてみたいと思いますが、五十三年の七月に京都府での西陣署の巡査部長、これがサラ金からの借金の返済に窮しまして郵便局に押し入って強盗しようとしたわけでございますが、未遂に終わった。それから、五十五年の九月でございますけれども、神奈川県の鎌倉署の巡査部長でございますが、妻の経営するスナックの中で銃を発射いたしまして従業員を負傷させた。それから、五十六年の四月でございますが、福井県の福井南警察署の巡査でございますが、これは監視勤務中に勾留被借人に懇願されまして逃走をさせた。さらに、五十六年の九月でございますけれども、これは発覚した時点でございますが、下関水上警察署の巡査部長外二名が密輸事件の証拠品として押収いたしました覚せい剤を窃取した。さらに、五十七年の五月でございますが、沖縄県の巡査でございますが、サラ金からの借金の返済に窮しまして銀行に押し入りましたけれども未遂に終わった。それから、五十七年の十一月でございますが、大阪府の曽根崎警察署の巡査長外六名でございますが、これは賭博遊技機の取り締まりに関連いたしまして葉者からわいろを収受した。五十八年の一月でございますが、警視庁の保安一課の巡査、これはサラ金からの借金の返済に窮しましてサラ金に押し入って現金を取った。それから、五十八年の二月でございますが、これは発覚時点でございますが、兵庫県の尼崎中央署の警部補外十名でございますが、賭博遊技機の取り締まりに関連いたしまして業者からわいろを収受した。さらに供述調書に偽署名、押印を不正行使した。五十八年の九月でございますが、大阪府の淀川署の巡査部長、親しい間柄でありましたスナックの従業員を殺した。それから、五十九年の三月でございますが、兵庫県の自動車警ら隊の警部補でございますが、サラ金からの借金の返済に窮しまして、銀行に押し入りまして現金を強奪した。五十九年の四月でございますが、同じく兵庫県の川西署の巡査長、勤務中に、サラ金からの借金の返済に窮しまして、銀行に押し入って現金を強奪した。それから、五十九年の五月でございますが、これは発覚時点でございますけれども、秋田県の警察本部の運転免許課の事務吏員でございますが、警察職員、県庁職員を含みます四十二名に対して不正な運転免許証を取得させたというようなところが主な不祥事案でございます。
○佐藤三吾君 今、五十三年からの主な事件ですが、今年に入ってわずか六カ月の間に十三件ほど起こっていますね、不祥事件が。今あなたが申したのは三つありますが、そのほかに、二月に三重県警の警視が公私混同で、奥さんが経営しておるレンタカーの事務補助を警察職員を使ってやったという事例が出ていますね。それから、三月に静岡県警の外勤巡査が女子中学生の破廉恥事件というか、これは依願退職でやめていますね。それから、今あなたが報告した三つ以外に、五月に今度は千葉県警で、ひき逃げで外勤巡査が相手を殺してしまった。それから、七月には岐阜県鞍が、これは警察の次長ですか、遊技組合から五十万もらったということ、これまたある。それから、兵庫県警の竜野警察署長のかけマージャン事件、警察署長公舎での、これが出ておる。それから、同じ六月には岐阜県鞍の詐欺犯と黒い交際ということで二名警察官が辞職して、三名が訓戒処分を受けている。それから、同じ六月に茨城県警の水戸署長が取手署長時代の豪遊というんですか、この問題が出て、これは処分の状況まだ聞いてないんですよね。そして今度はまた兵庫県警へ戻って、巡査部長が知り合いのスナックの約束手形の問題で諭旨免職になっていますね。そして、一昨日は愛媛県警の巡査部長が上司を包丁で刺したという事件が起こった。
 こう次々に起こってくると、これもやっぱり何か単なる事件ということだけじゃなくて、警察の体質に根差したものがあるんじゃないかと思わざるを得ない。ましていわんや、グリコ事件で非常警戒張っておる中で銀行強盗やるという感覚、これも異常ですね。こういった問題について一体どう認識をしておるのか。そして、この問題についてどういう対応をしようとしておるのか。これいかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) ただいまお話しのように、非常に重大な各種の事件を抱えているさなかにそういう不祥事案を起こすというような者が出てまいっておるということは非常に遺憾に思っておるところでございます。
 警察庁といたしましては、昨年、関西方面での不祥事案の発生後、特命監察等も行いまして、警察職員の規律の振粛ということを改めて通達を発して、各種の会議等でその徹底を図るということで努力をしてきている最中でございます。各府県警察本部におきましてもこれを受けまして、幹部がそれぞれの立場で懸命に努力をいたしているということでございますけれども、ただいま御指摘のような不祥事案がなお発生しているということは、いまだその施策が末端まで必ずしも十分徹底していなかったということで、非常に残念に思っておるところでございます。
 私どもといたしましては、今後とも一層信賞必罰というものを徹底いたしまして、厳正な規律のもとに職務を遂行する。さらに、職員が安心して職務に精励できるように、各種の不安とかあるいは悩みというようなものを持った職員が気軽に相談できるような各種の態勢づくり。さらに、基本でございますけれども、警察の責務、使命というものを一人一人にさらに徹底を図って、国民の警察に対する信頼にこたえてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○佐藤三吾君 特命監察とか通達とか、いろいろやられておると思うんですが、しかし、なおこの事態が起こっておるという現実は、やっぱり私は否定できないと思うんです。
 そこで、これらに関連しまして、懲戒処分の実態はどうなんです。どういうような処置をとっておるのか。これ年別わかれば、あわせて御報告いただきたいと思うんです。
○政府委員(太田壽郎君) 懲戒処分の関係でございますが、昭和五十三年からの警察職員に対します懲戒処分、これ監督責任を含めた数字を申し上
げますと、五十三年が二百七十二人、五十四年が百六十九人、五十五年が百八十人、五十六年が百七十四人、五十七年が百六人、五十八年が百八十人という数字になっております。
○佐藤三吾君 その中で免職者はどうなんですか。
○政府委員(太田壽郎君) 五十三年から通して申し上げますと、二十六人、二十人、十八人、二十人、十七人、十五人ということになっております。
○佐藤三吾君 このほかに、さっき私が言ったように、懲戒処分にはならないけれども、例えば希望退職の形で責任をとってやめさしたり、いろいろな事例もあるようですから、そこら辺はどうなんですか。いわゆる諭旨免職を含めて、どういう実態があるんですか。
○政府委員(太田壽郎君) いわゆる諭旨免職につきましては、私どもの方に報告がございましたものにつきまして見てみますと、毎年おおむね五十人程度ということでございます。
○佐藤三吾君 諭旨免職を含めて、内容は、これは余り表に出てこないからわからないんですが、大体どういうケースが多いんですか、五十名というのは。
○政府委員(太田壽郎君) これはいろいろなケースがあろうと思いますけれども、警察官としてふさわしくない行為、それを引責辞職という形で責任をとってもらうということでございますので、その中ではかなり程度のひどいものということになろうかと思います。
○佐藤三吾君 懲戒免職、諭旨免職をした者の取り扱いの中で、警察の場合には他の職のあっせんもするというふうに聞いておるんですが、そういう実態ですか。
○政府委員(太田壽郎君) 懲戒免職あるいは諭旨免職をした者についての警察をやめてから社会でどうやって生きていくか、これについては、やはり正しい道を進んでもらわなければいけないということでございますので、それにふさわしいような、そういう状況があるということを相手方にも十分話しまして、適当な職があればそれをあっせんをして、それで警察をやめてから後、またそういうような問題を起こすというようなことのないように、できるだけ配慮しているという状況でございます。
○佐藤三吾君 それが主にあっせん先というのは、例えば警察が許認可を持っておる遊技機何とか組合とか警備業界とか、こういうところが中心になっておるわけですか。
○政府委員(太田壽郎君) これはケースによっていろいろあろうかと思いますけれども、今申し上げましたような実情がございますので、警察の監督を受ける対象になっている業種というようなものはできるだけ避けるという方向で配意しているだろうと思いますが、これはケース・バイ・ケースの問題でございまして、必ずしも実態をはっきり掌握はいたしておりません。
○佐藤三吾君 懲戒処分の中で――諭旨免職はなかなか内部いろいろあるということですが、私がこの事件を調べてみると、ほとんどその事件を起こした理由が、例えば兵庫に集中的に多いのは住宅ローン、これが過大、サラ金とかギャンブルとか女性関係、こういうものが圧倒的に多いんですが、これはどういうところに問題点があるのか。おたくの方で相当調べておるんじゃないかと思うんですけれども、対応を含めてやっておられるなら、それもひとつお聞きしておきたいと思うんです。
○政府委員(太田壽郎君) 今御指摘のように、サラ金等が重大な不祥事案を誘発する、引き起こす原因になっているというケースが非常にあるわけでございますけれども、私どもの方といたしましては、サラ金の対応というような問題につきまして、個人のプライバシーの問題はあるわけでございますけれども、非常に重大な不祥事案に面接結びつく可能性が非常に高いということで、ある程度プライバシーに触れるというようなことも含めまして、実態をよく把握をする。それで、サラ金で追い込まれるという前に組織としていろいろ相談をして、そういう悲劇的なことにならないように手を打ってきているところでございます。
 それから、サラ金等に走る原因になっている問題といたしまして、やはり収入に見合ったような生活設計といいますか、持ち家なんかが大分そういう破綻のもとになっているケースも多いわけでございますけれども、やはり収入に見合った長期的な計画的な家を持つというようなことでやっていかないとそういう破綻を招くということにもなりかねないので、その辺についての生活指導というようなことにつきましてもきめ細かくやってまいりたいということで今進めているところでございます。
○佐藤三吾君 京阪神などでは、サラ金の最大の得意はタクシーの運転手と警察官、そういうことが言われておるようですが、大体サラ金にかかわる警察官というのは、実態、もうおやりになったと思うんですが、どの程度に把握しておるんですか。
○政府委員(太田壽郎君) これは、詳細についてはわかりませんけれども、各府県で最近の一連の事案を契機にいたしまして、今申し上げましたような、これは個人のプライバシーに直接触れるような点もかなり出てくるわけでございますけれども、相当突っ込んでいろいろな形で調べをしておりますけれども、世間に思われているほど、非常にサラ金をみんなが利用しているというような実態はございません。ただ、ほんの一部でございますけれども、事件は起こさないけれども、かなりのサラ金からの借財があるというようなケースも、最近におきます各府県でのチェックを通じて散見はされるということで、それらに対しましては、先ほど申し上げましたような部内のいろいろな対策ということで、そういう面についての解消策を図っているという状況でございます。
○佐藤三吾君 あなたの方ではそういう改善策を図っているようですけれども、私の聞いたところでは、兵庫ではああいう一連の事件が起こってから、そういうことで真剣になっておると思うんです。ステッカーを張って、一人で飲むな、二次会には行くなというステッカーも張っておるようですね。ところが、警察官の皆さんは、一次会が済んだら二次会は喫茶店に行って、三次会は禁止されてないと、こういうことでやっておるとか、それからサラ金について兵庫県警で自主申告をやったところが、プライバシーにもかかわりますが、これは申告はゼロ、悩みや相談事もやっているらしいけれども、これに報告はなしと、こういうようなことを聞くんですが、いかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) 先ほど申し上げましたように、私も個人的に知り合いの本部長等にも意見を聞いたこともございますけれども、やはり、何といいますか、サラ金でかなり大変だったという者の申し出を受けるといいますか、それを見つけ出しまして、それの解消策を講じたというような例も聞いておりまして、マスコミ等でやや誇大に報道された向きもあろうかと思いますけれども、実態的には各府県のそれぞれの責任者がその問題について非橘に真剣に対応して、そういう熱意というものを下部の職員も徐々に理解をして相談に来ているというようなふうに聞いております。
○佐藤三吾君 そうですか。そこら辺が徐々にいっていればいいんですけれども、また、どかんと起こるのじゃないですか。
 大阪賭博の事件で被告になっておる元警察官、警部補ですか、あの人は。この人が言っておるのは、マスコミの皆さんに言っておる内容というのがいろいろ報道されておりますが、いわゆる位の上がるやつですね、昇進にもう絶望したというか、キャリア組はすいすいと上がっていく、そして同時にまた、おたくの場合はやっぱりペーパーの試験でしょう、昇進制度は。そうすると、それにできた者はどんどん上がっていきますから、いわゆる後輩が抜いていくという仕組みになるわけですね。こういうような状態、それでもう銭でもためにゃしようがないわと、そっちの方で追いつ
かぬからこっちちの方でひとつ見返してやると、こういうような方向にならざるを得ないというようなこともいろいろ言っておりますね。これは裁判の公判の中で言っておるのじゃないですか。
 そういう意味では、人事のあり方というか、昇進制度のあり方というか、いわゆるキャリア組の警察官の中における取り扱いであるとか、こういったところに多数の警察官の中に不満が充満してきておるのじゃないかというような感じがするのですよ。これはいかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) 警察の昇任制度は実力本位の結果を反映させるような形でいろいろ工夫をされてきておりまして、昔は今お話のように単なるペーパーテストが中心であったというのが多かったわけでございますが、最近ではこれについても各種の改善を加えまして、仕事を一生懸命やっていれば試験に合格できるというようなそういう問題も出すし、それから面接その他の点も普段の勤務状況の点というようなものについてもかなり重く見るというようなことで、単なるペーパーテストに偏っているというような形でなくなってきております。仕事をまじめにやっていればとにかく昇進もかなりのところまでできるというようなことを制度的にも保障するような形での試験制度というものを取り入れているわけでございます。
 ただ、しかし今の制度が絶対にいいということも必ずし至言えないものですから、これはもう常々、いろんな形で改善策というものがあればということで、各府県の段階におきましてもいろいろ工夫はしてきておりますけれども、基本的な考え方は、今申し上げましたように、実務を一生懸命やっている者であれば幹部として昇任をする試験に合格していけると、そういう仕組みが整備されているということを申し上げていいんではないかというふうに思います。
 それから、いわゆるキャリア組の問題でございますけれども、これは警察におきましても各省庁と同じように、国家公務員の採用上級甲種試験というものに合格いたしました者の中から成績が非常に優秀な者というものを選びまして、幹部候補生として採用してきております。これは御案内のように、ますます専門化し複雑化する警察事務というものに有効に対処できるような人材を確保しようということで前からずっと行われておる制度でございますけれども、警察の場合には、いわゆるこのキャリア組以外にも非常に優秀な人材というのが多数いるわけでございます。そういう人たちの中から中央で勤務することを希望する者があれば、そういう人たちもかなりの数、中央の方に来てもらいまして、それでキャリア組と一体となって警察行政を担当していくという仕組みが確定しているわけでございます。現に、そういう形で上がってこられた方の中から警察本部長等も数名は常に出ているという状況でございます。
 各府県におきましては、今申し上げましたような形で後輩がそれぞれの先輩を迫い抜いて幹部になるというようなケースもこれはあるわけでございますけれども、それは何も警察だけではなくて、各種の社会においても見られる状況でございまして、警察の場合には、そういう場合であってもそれぞれの実力を反映し得るようなそういう試験によって公平に昇進の道をたどっているということで、それなりの部内における共通の理解といいますか、そういうものが得られていると確信しているところでございます。
○佐藤三吾君 キャリア組というのは大体どのぐらいおるんですか。
○政府委員(太田壽郎君) 約四百数十名でございます。
○佐藤三吾君 官房長、あなたそうおっしゃいますが、実情に見合った査定というのはどうなんですか。ペーパー以外にどういうことを具体的にやっておるんですか。随分改善されたということで抽象的ですけれども、具体的にはどういうことですか。
○政府委員(太田壽郎君) まずペーパーテストの中身で申し上げたいと思いますけれども、従来ですと、例えば一般教養的なものが非常に多いとか法学が非常に多いとか、そういう形が多かったわけでございますけれども、そういう若手といいますか、そういう試験も現在一部残ってはおりますけれども、さっき申し上げましたように、非常にルートが多様化しているといいますか、刑事なら刑事の仕事をずっとやっていた人が実務を一生懸命やっていれば当然詳しくなっているだろうそういう知識というものをペーパーテストの面でも反映させる、そういう出題をする、いわゆる実務の面の出題というものの比重が非常に大きくなっている、そういう試験がいろんなコースでできてきております。これは相対的にほかの一般教養とか、あるいは憲法その他の法律論といいますか、法学というようなものが相対的に点数としては下がるということになるわけでございますが、実務面のそういうものをまずペーパーテストの面において非常に取り入れておる。
 それから、普段の勤務成績、これは何も上司が恣意的につけるものではございませんで、いろいろ年間なり、そういうものの実績をよく見た上でつける、そういう勤務成績というものも十分に試験の結果に反映できるような仕組み。それから面接というようなものも非常に重視しております。面接をすることによりまして、地道な仕事をやっている人たちが本当に熱心に仕事をやっておるかどうかということは試験する側からはもうすぐわかるということでございますので、面接なんかを非常に重視している、そういうような形でさっき申し上げましたような改善が行われておるわけでございます。
○佐藤三吾君 私が見る県警の姿と大分違うんですね。やっぱり私は、今の警察というのはキャリア組と、それから警部以上と警部補以下と、これは非常に画然としておる。なかなか、あなたがおっしゃるようにそこにパイプがきちっと通っておるというふうには思われない、実際問題として。そこから絶望感が生まれてくるんじゃないですか、逆に言うならば。
 今あなたは、勤務内容を主体とした出題とか勤務評定とか、こういう所要の措置で総合的にと言っておりますけれども、確かに形は総合的ですわね。しかしその中身としては、ここでは労働組合でもあればいいですよ、警察官の労働組合、イギリスや各国にあるようにですね。そうでなければ、やっぱり上でつくられた総合判断であって、なお上意下達という制度の一方通行体制というものは交流にはなっていないんじゃないかと私は思うんですよ。
 そういうような意味で、そこら辺を私はやっぱり改善をしないと、下からのパイプがきちっと通るという体制にしていかないと、私はあなたが言うような期待される警察官像というものにはならぬのじゃないかと思うんですが、これはいかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) 警察の組織は階級制度で、一応一体的な形で運用されておりますけれども、やはりそこにその警察の組織がフルに活動するためには、人間的な交流といいますか、上下が一体となって警察の責務に邁進するということが必要なわけでございまして、そこでは上下の閥のパイプといいますか、そういうものが非常によく通っていなければいけないということは、もうおっしゃるとおりでございます。
 しかし、現在の警察の場合には、今ちょっと組合の話が出ておりましたけれども、警察の責務から見まして組合というものは全くなじまないものだということで、しかし組合がないということであるがゆえに、かえって幹部としては下部とのそういう交流というものと積極的に取り組んで、風通しをよくしていかなければいけないんだと、そういう自覚を持って日々臨んでいるということでございます。
○佐藤三吾君 これは、例えば一昨日起こった愛媛の事件、外勤課長が駐在所に行って、電話をしたけれども出ないじゃないか、家族が移っていないから電話も出れないのじゃないかと、そう言ったら、それについて反論するのは普通ですね、い
やそうじゃないんだと。しかし、出刃包丁持ってきて刺すというのは、これは私は通常感覚では、上下の関係がガスがたまっておって爆発したんだと思いますよ。ですから、私どものところだっていろいろそういう事例はあるけれども、殴ったとか殴らぬというなら別ですよ。出刃包丁持ってきて刺すというのは、非常にメタンガスがたまっておって、あなたが言うふうになっていない。
 いろいろなケースを聞きたいんですが、それは今言ったように、聞けば、あなたの言うことが実際問題としてやっぱり上からの管理、その判断というものに私はなるんじゃないかと思うんですよ。私ども天下り反対闘争とかいろいろやりましたが、それは何かといいますと、二十代の課長がぼんと来るわけですね。その隣の課長補佐が五十ですよ。これは仕組みだからしようがないといっても、率直に言って、感情としては許せませんよ。今四百人からのキャリア組の皆さんが来るのは警務部長でぱっと来るわけでしょう。この警務部長というのが県鞍では本部長代理でしょう、逆に言えば。そういうのが実情もわからないまま飛んできて、そうしてやっぱり県本部長代理という格好でやられたんでは、そしてしかもそこが査定をし、試験をし、面接をしていく、そういう仕組みになっていると、これでは今起こっておるようないろいろな事象の問題のあれにはならぬのじゃないかと私は思うんですね。
 これは国家公安委員長としても、大臣、やっぱり今までのやりとりでお気づきだと思うんですが、ここら辺を改善しないと、私は果てしなくこの警察官の不祥事は起こってくるような気がしてならぬのですけれども、国家公安委員長としてどういうお考えなのか、お聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(田川誠一君) 警察も一つの行政の母体でございますから、日本の国家組織として、また官僚制度として他の諸官庁と同様な組織をとっているわけでございまして、日本の官僚組織のいい面は、幹部候補生、エリートコースと言われるこういう少数の人たちの、何といいますか、大変すばらしい力量がやっぱり日本の官僚組織をつくっているんじゃないかと思うんです。もちろん御指摘のような問題もありますけれども、日本の官僚制度が世界の各国に比べて非常にいいというのは、やっぱりこういう一つの上級試験を通った優秀な人たちによって築き上げられていると思うんです。そして、そのすそ野に一般の実務的な仕事をやられる人たち、こういう支えと頂点に立つ者との一つの調和が今日の日本の官僚組織を形づくっているんじゃないかと思うんです。
 ですから、私ども官僚生活を知らない者から見ると、今、佐藤さんおっしゃったような一面が非常にわかるわけですね。矛盾的なものが出るわけですけれども、しかし冷静に見ますと、中心になっている母体というのはやはり私は大事なものであると思っているわけです。ただ、今御指摘のように、すそ野にいる第一線の人たちがその分野分野に応じて一生懸命やれるかやれないか、その気迫の問題だと思うんです。私は、警察に限らず、その分野分野で公務員が使命感に燃えるということが、佐藤さんが指摘をされたような矛盾を食いとめていく道ではないかと思うんです。
 そういう意味で、今度、警察の内部のことに触れますけれども、内部の問題を見ますと、やはり一番大事なことは、警察官の諸君それぞれが使命感を持って仕事をする、こういうことを徹底させる必要がある。これは教育の面あるいはふだんの上司との対話の面とか、職域でお互いに気軽に話し合える、そういうことから、そういうものを醸成していくことが必要ではないかと思うわけでございます。
 官僚制度の矛盾点がどういうところにあるかということになりますと、今御指摘になったような点もございますけれども、そうした点を矛盾にしないで、第一線の人たちがもっと使命感を持ってやれるように努力をしていかなければならないと思うんです。
 これは労働組合でも、私は長い間新聞社におりましたけれども、新聞記者でも同じだと思うんです。新聞記者は非常に仕事に忠実で、上へ行くよりも、職制につくよりも、やはり終生新聞記者として書くことを誇りとしてやっていこう、こういう新聞記者はざらにいるわけですね。そしてそれは大記者として尊敬される。私は警察官でもそうだと思うんです。第一線の刑事でこつこつ日夜寝食を忘れて捜査に従事している、そして将来署長になろうとかなんとかということじゃなくて、優秀な刑事として生涯を送ろう、こういう気持ちをみんなが持てば、今、佐藤さんが御指摘になったような矛盾というものは出てこないわけでございまして、階級組織でございますので、そういう点をひとつ考えてこれからもやっていかなければならぬ、このように考えております。
○佐藤三吾君 僕は、大臣おっしゃるように、日本の官僚というものの優秀さということは否定しません。しかし逆に言えば、それが逆の部分に働くという点もあると思うんですよ。例えば警察法一条、二条、三条では民主警察ということをきちんとしているわけです。ところが、天皇の赤子としての警察官時代もあったわけなんです。その場合は、官僚が中心になって警察の全国統制をやったでしょう。しかし今は、あなたがおっしゃるように全警察官が使命感に燃えるということは、やはり全警察官が警察に生きがいを感じて、そしてやるぞという気概をつくっていかなきゃならぬ。民主警察の中でそれをやっていくとすれば、やはり人事、昇進その他の制度の中でそれが生かされておらなきゃならぬ。そこら辺に私は欠陥があるんじゃないかと思っておるんですよ。まだ天皇警察時代の残滓が残っておるんじゃないか。その意味で、私はさっき言ったように、キャリアと警部と鞍部補以下というのが余りにも断層があり過ぎる、そこからやっぱりあきらめが出るし、あなたがおっしゃる使命感も生きがいも出てこなくなる、こういう点を私は指摘したかったわけです。そこら辺をひとつ考えていかないと、キャリア、キャリアと言うだけでは私は問題があると思う。
 そこで、キャリアの問題が出ましたから、一つ最後にお聞きしておきたいと思うんですが、松橋さんもこれはキャリアでしょう、この人はどういう人ですか。
○政府委員(太田壽郎君) 今、先生のお話しの松橋さんというのは恐らく松橋忠光氏のことだろうと思いますが、この方は昭和二十二年三月に東京商科大学を一年で中退をされまして、翌年、二十三年四月、当時の国家地方警察本部の方で行っておりました警察幹部見習い生の採用試験に合格をして警察に入られた方であります。その後、警視庁あるいは秋田県警察本部、あるいは防衛庁に出向、あるいは愛知県、警察庁の課長補佐というようなものを経まして、昭和三十七年に福岡県警察本部の警備部長……
○佐藤三吾君 経歴はいいんです。どういう人柄ですか、あなたたちはどう見ているんですか。
○政府委員(太田壽郎君) 人柄でございますか。
 そういうようなことでずっと勤務して、昭和四十二年に警察庁の警備局付になりまして、内閣調査室の方に派遣をされたわけでございます。そして五十年の末に辞職をされたというわけでございますが、今お話しのように、一応キャリアとしてのコースに乗ったという方でございますけれども、今お話し申し上げましたように、昭和四十二年八月までは、第一線の警察等の勤務を含めまして、警察の中で勤務をされてきたわけでありますけれども、そういう各県での勤務等を通じまして、かなり独特の思い込みといいますか、そういうような特異な点もある、部内外の人たちとの人間関係も必ずしもうまくいかないというようなことで、警察本部長なりそういう形での警察の責任者ということではいかがだろうかということで、昭和四十二年以来第一線の警察の勤務を外れまして、専ら、何といいますか、分析等の専門家としての道を歩まれて、昭和五十年の末に退官をされた、そういう方でございます。
○佐藤三吾君 大臣、今お話があったように、キャリア、キャリアといってもいろいろあるわけ
だ、逆に言えば。そういう官房長の言い方もあるでしょう。しかし私は、この人の書いた告発書みたいなものでしょうね、いろいろ読ましていただきましたが、しかしこの中で――あなたも本を出しておりますが、私も本を出しますが、やっぱり活字になるというと世間にさらしますから、余り、何というんですか、書きたくないことがあります。しかし、書いたことは余りうそは書けぬですよね、すぐばれちゃうから、証拠になりますから。ですから、私はそういう感覚で読ましてもらうと、書かなきゃならぬこと、大分書いてない部分もあるし、いろいろありますが、しかしいわゆる警察のせんべつ不正の問題とか、たくさん出されておりますが、私はきょうは二つだけちょっとお聞きしておきたいと思うんです。
 一つは菅生事件のあれがありますね。これは私の大分の問題ですが、これは大変な問題になった。駐在所を爆破した、それが共産党員がやったのか、さもなくばどうなのかということで争われた問題ですが、結果的に現職警察官の戸高というのが裁判の中に出てきて、最高裁の三十五年の判決で、警察がつかまえた犯人が無罪になりまして、そして戸高が爆発物で起訴されるという事態が起こったんですが、それで私は一件落着と、こういうふうに受け取っておったんですが、この戸高さんが有罪判決後に警察官にまたなっておるんですね。復職しておるんですね。これは事実ですか。
○政府委員(太田壽郎君) ちょっと私、手元に資料ないのであれでございますけれども、戸高氏は警察官として仕事をやっております。
○佐藤三吾君 その理由を聞きたいんですよ。最高裁判決で無罪になって、そして本人は今度は爆発物取締法ですか、それでもって起訴されて有罪判決があったのに、どうして警察官に復職できるんですか。
○政府委員(太田壽郎君) ちょっと突然の御質問で、私、手元に資料も持っておりませんのでわかりませんけれども、もちろん正規の手続で警察官としての仕事をやっているということでございます。
○佐藤三吾君 その正規の手続が聞きたいんだよ。
○政府委員(山田英雄君) お尋ねの菅生事件の判決のことを詳細に申し上げないと今お尋ねの点の前提が御理解いただけないと思うんですが、菅生事件といいますのは、菅生村の巡査駐在所爆破事件とその他の窃盗爆発物不法所持事件、この二つがあるわけでございます。駐在所の爆破事件については、今お尋ねのように、被告人等の有罪を肯定するに足る証拠がないということで全員無罪になったわけです。その余の事実で、当時共産党員であった被告人が爆発物取締罰則に違反してダイナマイト等を不法に所持したというような事実につきましては、これは有罪、懲役刑に処せられております。
 そこで、戸高氏との関係でございますけれども、駐在所爆破事件については認定する確証はないということで判決は否定しておりまして、その加担は、判決では否定されております。爆発物不法所持事件について、戸高氏が上司の命を受けて菅生村において日本共産党の軍事方針に基づく活動実態把握の任務に従事中、菅生事件の被告人の一人であった日本共産党員から依頼を受けてダイナマイトを受け取り、保管の上同人に手交した、渡した行為が爆発物取締罰則に違反するということで起訴されて、ただ判決の結果は、昭和三十四年九月十一日に、福岡高裁判決で刑の免除の言い渡しを受けておるわけでございます。そういうことで、彼の刑事責任というのは判決上処理されておるということを申し上げたいと思います。
○佐藤三吾君 それ、刑の免除といいますと、どういうことなんですか。有罪で判決を受けたと私は聞いておったんですけれども、そうじゃなくて、有罪じゃなかったわけですか。
○政府委員(山田英雄君) 刑法上の判決の、刑の免除。判決でございます。
○佐藤三吾君 それはどういう場合にあり得るんですか。
○政府委員(山田英雄君) 今ちょっと条文に則して見ておりますと、爆発物取締罰則で、第十一条で「米タ兵事ヲ行ハサル前ニ於テ官二自首シ困テ危害ヲ為スニ至ラサル時ハ其刑ヲ免除ス」ということでございまして、判決におきましても「本件ダイナマイト等が同人あるいは被告人によって第一条に記載の犯罪に使用せられず、したがってまた、危害を生ぜしめていない時期において、被告人は犯罪行為に該当する客観的事実を自発的に捜査官憲に申告して、その処分にゆだねたものであるから、」ただいま私が申し上げました「爆発物取締罰則第十一条後段の要件を具備する」ということで免除の判決が言い渡されたわけでございます。
○佐藤三吾君 この事件はわかりました。そこらのところはわかりましたが、したがって休職中であったので復職さしたと、こういうことですね。そういうことでしょう。一遍やめさしたんですか、どうしたんですか。
○政府委員(太田壽郎君) ちょっと手元に資料がございませんので、後で先生のところへ御説明に上がらしていただきたいと思います。
○佐藤三吾君 時間がありませんから……。わかりましたが、この関係は随分裁判で問題になったんですが、この事件関係で警察署の例えば県警本部長とか責任者とか、こういうところで処分がございましたか、この事件は。それもあるならあわせてひとつできますか。
○政府委員(太田壽郎君) ただいま手元に資料がございませんので、後であわせて申し上げます。
○佐藤三吾君 時間がございませんから、もう一つだけお聞きしておきたいと思うのですが、いわゆる外国の警察制度の視察、研修ということでやられておるようですが、これは今現状の実態はどういうふうになっていますか。
○政府委員(山田英雄君) 必ずしも私が所管しております警備局だけに限らないことでございまして、まとめて御答弁いたしますが、大変犯罪の国際化傾向もございますし、刑事局、警備局に限らず、保安部所管の問題も多く出ております。そういう意味で、いろいろな機会に関係官を外国に出張させて、諸外国の制度、警察の運営の実態等を勉強のために視察するということは数多く行っております。
○佐藤三吾君 諸外国との国際化時代ですから、私も必要だと思います。しかし、アメリカの場合に日本の警察にかかわるのはFBIじゃないんですか。それがどうしてCIAに研修に行くんですか。そこら辺はどうなんですか。
○政府委員(山田英雄君) その点お答えいたしますと、CIAの研修を受けたことはございません。
 それで私は、松橋氏の本に書いてあるのでそのお尋ねもあろうかと思いますが、大きな誤解があるわけでして、三十年代のことでございます。関係者の言葉を聞いてみますと、当時IACP――インターナショナル・アソシエーション・オブ・チーフズ・オブ・ポリスというこの組織は今でもございますが、そこの招待で若手の幹部警察官をアメリカの警察制度諸般の事情を勉強に出したということでございます。Pの字を除くとCIAと、それぞれのレターが同じなものでございますから、何を誤解したかよくわからないのでございますが、当時は今御指摘のFBIを初め、表敬訪問ということではもちろんCIAも入ります、向こうのアレンジですから。当時の出張した者に聞きますと、ワシントン警察でパトロールを共同にして勉強したということも出ております。いろいろな各般の警察機関の勉強をしたということでございます。
○佐藤三吾君 これはしかし私は、本人が外国へ行って書いておるわけだから、しかもキャリア組でしょう。キャリア組というのは二十五万の中で四百人ぐらいしかおらないという人が自白を兼ねて書いておるんですが、これは率直に言って、どうもやっぱり警備局長の答弁はいただけませんね。証人でもやりますか。
○政府委員(山田英雄君) その点で申し上げれば、いろいろイニシアルで書かれておる関係者から本当に怒りの声が上がっておるわけですが、一つの事実を見る角度は全く違う。そこで、独自の思い込みと妄想としか言いようがないわけですが、例えばこの外国出張の件で申し上げますと、同僚の者が途中で帰ったと、自殺しそうになったから帰ったと、おれは助けたと書いてありますが、その者自体に尋ねますと、とんでもないと、彼はもともと鉄拳制裁の精神の持ち主で、事ごとに人の非を暴き立てて、二人の間でいろいろな議論があったと、最後には鉄拳制裁だと言い出すから、それにはそれでおれにも覚悟があるということで対決したところ、ここは九階だから、そんなもめたらば落ちて死んじゃうということを言ったと、それ以来、自分の気迫に負けて近寄らなくなってきたと。それを九階から飛び降りて自殺するから自分が助けたと、こう記述してあるわけで、そういう事実を挙げていけば切りがないわけでございますが、全く何をどう判断したのかわからない記述が満ち満ちておるわけです。そういう点を申し上げておきたいと思います。
○佐藤三吾君 絶対にCIAではないと言い切れるんですね。
○政府委員(山田英雄君) 当時の、まあ大分古い話でございますが、関係者の話を聞いて、これは私ども、当時の事情をそう理解しております。
○佐藤三吾君 これはまた後であれするでしょうが、わかりました。
 そこで、最後になりますが、捜査費、報償費、これの使い方の問題でいろいろ書かれておりますね。この捜査費、報償費を会計検査院で聞いてみますと、検査院の方は、言うならば正規の領収書というようなのは非常に少ない、ほとんどやっぱり県警本部長の、例えば協力者にしても何にしても記号であって、それが実在する人かどうかというのはわからないと言うわけですね。そこら辺は非常に、何というんですか、疑義はあるけれども、なかなかこれはつかみにくいという点を言っておりますが、これは具体的にどういう領収書といいますか、表に出せるような内容のものになっておるのか。これは警備ですか、刑事ですか、ちょっと説明してくれませんか。
○政府委員(太田壽郎君) 捜査費につきましては、経費の性質上、特に緊急を要する場合等がございまして、正規の支出手続を経ておりましては所要の目的が達せないというような場合もございますので、会計検査院の承認を得まして、特別な取り扱い手続が認められているというわけでございます。しかし、この場合におきましても、使った後は所要の領収書を徴することができれば当然徴し、それが徴せない場合にはそれにかわるべきものをつけまして、それで書類としてきちっと報告をする、それから精算もするということで、これについては会計検査院の検査も受けているという状況でございます。
○佐藤三吾君 この中でいろいろな不正な使用があると私は思いたくありませんけれども、しかし現実にどういう形でやるのかということについて検査院に聞いてみると、なかなかやっぱり実態が把握できぬから、あなたおっしゃったように簡略な方法でやっておるというようなことで、検査院も正確につかんでないような感じがしました。しかし、それだけに、これらの使用について私は、やっぱり警察として慎重、適正というか、こういったものが貫かれていかなきゃならぬと思うので、そこら辺は私の方からもこの際ひとつ申し上げておきたいと思います。
 いろいろ申し上げたいんですが、後ほど同僚議員の志苫委員から質問もあるでしょうし、私の時間終わりますから、最後に大臣に、一連のずっと事例を申し上げました。その中に幾つか大臣にお答えいただきましたが、私はやっぱり今警察は、率直に言って、国民から不安の目で見られている部分がかなりあると思うんです。これやっぱり一日も早く信頼感をから取っていかなきゃならぬだけに、今後の対処の仕方というのは重要だと思うんですが、大臣としての見解を承って終わりたいと思います。
○国務大臣(田川誠一君) 警察の使命を達するには国民の皆さんの御理解が最も必要でございます。御理解、御協力が最も必要でございまして、そういう意味から、最近の不祥事なども私どもは謙虚に反省して、よって来るところを追求して、再びこういうようなことを起こさないように努力をしていかなければならないと思います。
 また、警察が権力中心になるような印象を与えてもいけませんし、警察法の趣旨にのっとり、民主警察の精神を忘れないで、今後とも一生懸命努力をしてまいるつもりでございます。
○委員長(大河原太一郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時六分開会
○委員長(大河原太一郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、地方行政の改革に関する調査のうち、警察行政に関する件を議題といたします。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○志苫裕君 ちょっと公安委員長の所感を伺っておきたいんです。
 きのう、松山事件の判決ございまして、被告に――今度は被告ではないわけですが、まさに斎藤さんにすると半生をこういう問題に費やしたことになったわけですが、私、判決を全部読んだわけじゃありませんけれども、特にちょっと心を打たれますのは、例えば布団の襟当てについた血痕は後からつけたんじゃないかということが推認をできるようなくだり等もございまして、捜査当局にはそれなりに言い分があるのかもしらぬが、しかし判決はそれやこれやで無罪になった。一体、やっぱり捜査に瑕疵があったことになるわけで、まずは、こういう問題についての公安委員長の所見を伺っておきたいわけです。
○国務大臣(田川誠一君) 松山事件について、当時としては、警察は全力を挙げて捜査を行ったものと思われますけれども、判決でいろいろ指摘をされておりますが、このような点につきましては真摯にこれを受けとめて、今後の捜査に生かすように指導していかなければならないと、このように考えております。
○志苫裕君 それで、念のために去年からことしにかけて判決、裁判の結果あるいは裁判のいきさつの中で、自白を任意性なしということなどを理由にして無罪になったのをちょっと拾ってみましたら、例えば去年ですが、三月九日でしたか、警視総監公舎爆破事件、これ無罪ですね。あるいは二十四日でしたか、土田邸爆破事件、爆弾事件ですか、これにはピース缶、日石等も絡むわけです、無罪。六月十六日でしたか、ちょっと日付ははっきりしませんが、例の五十五年の事件で強盗被告五件無罪。これは福団地裁でしたね。自白に任意性なし。六月二十二日は、これは五十二年六月の茨城の事件ですが、偽装殺人の二人も逆転無罪。これは手錠をかけたまま調べたので自白の任意性なし。一部利益誘導もあったようです。九月二十七日でしたかに参りますと、五十四年の例の栃木の事件での強盗殺人に、これも証拠調書信用できぬ。ことしの三月には、五十六年一月、これは判決じゃありませんけれども、いわば検察の調書が裁判所によって、自白の任意性がないからそんな調書は採用できぬ。こう相次いで、いわば自白を重要な証拠として送検したであろう事案が無罪になると、相次ぐわけであります。
 先ほどちょっと佐藤委員の質問で、刑事局長、何といったって百三十万件もあるんですからというお話がありましたが、何もこんなものばかりじゃないんでしょうが、しかしそれにしても人権の重みを考えますと、軽く見ていい問題ではない、こうしみじみと感ずるんです。
 そこで、全送致件数の中で自白を主な証拠として送検をする割合とでも言うんですか、それは普通どれくらいの割合を占めているものですか。
○政府委員(金澤昭雄君) 自白を主な内容として送検という、そういうちょっと統計のあれは手元にないんですけれども、しかし普通、事件を検挙しまして取り調べを行うわけですが、大半の事件につきましては、取り調べて、その結果自供を得るというのが大半のケースでございます。もちろん自供だけで事件を送致するということではなしに、客観的な物的な証拠、そういったものももちろん合わさっておるわけですけれども、今御質問の、自白だけを大半の内容とするということにつきましては、ちょっと手元に資料ございません。
○志苫裕君 それは皆さんの方は自白を唯一の証拠として送るわけはないんで、これは唯一の証拠にしたらだめになるに決まっているわけですから、私も念のために主な証拠と、こう言ったのですが、しかし見込み捜査あるいは自供、そういうものが往々にして先ほど言った判決にあらわれるわけですが、それでは皆さんが送って、裁判になって、判決の結果、自白に任意性なしと、調書信用するに足らずということで無罪を言い渡される件数といいますか、これはどれぐらいの割合を占めていますか。
○政府委員(金澤昭雄君) 各都道府県警察から私の方に報告のありました、自白の任意性、信用性について問題がある、こういうことで無罪になったという事件の数でございますが、五十七年中に報告のありましたのは二十三件でございます。
○志苫裕君 これは二十二件と言えば、少なくともそれだけの人はまさに冤罪に泣いた長い生活の時間を持ったわけでして、その周辺にいる者も随分つらい思いをしたことになるわけですが、そういうことがあると、捜査当局は一連の捜査過程を謙虚に見直せという論評が出て、それなりの音が出るわけです。しかし、余り警察なり検察から、そうでござんすかと言ったことはないですね。まことに済みませんでしたと、大体、警察というのは謝らないところだから、済みませんでしたとは言いはせぬですね。しかし、やっぱり謙虚に見直すものは見直さなきゃならぬという論評が出るんですが、局長、どうしてそういうことが起きるわけですか。
○政府委員(金澤昭雄君) 捜査の一つの手法としまして、取り調べというのは、これは重要な手法でございます。これは法令上も警察に認められた捜査の重要な手法でございます。そこで、やはり犯行を行った被疑者が一番犯行の内容を詳しく知っておるということは当然のことでございますので、やはり被疑者の自供というものは非常に大きな分野を占めるものと思われます。したがって、取り調べにおいては、やはり被疑者の自供を引き出すということに主眼を置いて取り調べが行われる。もちろん、取り調べで一番問題になりますのはその自供を引き出すことでありますけれども、その自供がいわゆる任意性と信用性、この二つが担保されなければ、幾ら自供がありましても、かえってこれは今お話のような問題がございますので、調べに当たる捜査官につきましては、自白、それに伴う信用性、任意性、これを十分担保できるようなことで取り調べを行うように、こういうふうに指導をしておるわけでございます。
 現実には、先ほど私は二十三件というふうに申し上げましたけれども、これに対応いたします警察で検挙しております数、これを御参考までに申し上げますと、五十七年の年間で、いわゆる一般の刑法犯と特別法犯両方合わせまして、検挙しました数が約六十万人、これは件ではなくて六十万人ございます。そういった中で二十三件、これは少ないとは私ども毛頭考えておりません。一件でもこういう無罪事件がなくなるように平素から指導を強めておるところでございます。
○志苫裕君 公安委員長、特に古い事件で再審にかかわりまして、相次いで去年から大きい事件で無罪、これらはいずれも、やっぱり捜査の最初のころの、見込みであったり何かするんでしょうが、ここしばらく続きました。それは検察が裁判所では直接対応するわけですが、その前は警察がやっておるわけでして、それから去年、先ほど言いました一連のこういうことがありまして、特に公安委員会として、そういう一連のどうも最近自白に任意性なしというようなことで裁判所で退けられるケースが多いなと私は思うんですが、そういうことを公安委員会で特に問題にして、公安委員長の指示とか、そんなものを出したことございますか。
○国務大臣(田川誠一君) 私が国家公安委員長になりましてから、こういう問題で特に長官に指示をしたことはございませんが、しかし私は個人的にいろいろな会合で、警察の会合の中で、捜査に間違いがあったりあるいは見込み違いがあるようなときには深くそれは撤回しなければならない、一たんこうだと決めたら変えないというようなことではいけないというようなことは個人的に申していることがございます。私の在任中、特にございませんでした。
○志苫裕君 警察庁長官からは何かありますか。そういう指示が出たことはありますか、警察庁の長官からは。
○政府委員(金澤昭雄君) 今言いましたいろいろ自白の任意性で無罪になったと、それ以外にもいろいろと無罪になるケースございます。そういう捜査上特に問題のあるようなケースにつきましては、公安委員会には私の方から細大漏らさず詳しく報告を申し上げておりますし、また警察庁内部といたしましても、こういったケースがありますと、特に長官からもいろいろと指導、教養の点につきまして指示がございます。その指示に従って、私どもの方も第一線の捜査官の方にそれを詳しく教養という面で徹底させる、こういうふうにやっておるところでございます。
○志苫裕君 公安委員会の管理権にもそれはおのずから性格があって、そう細かい事務の一々までは言わないにしましても、やっぱり公安委員会の置かれた趣旨からしますと、国民の良識を代表をして、特に警察のありようについて管理をするという意味で、やっぱり絶えず公安委員会も注意を払うべきだということは申し上げておきたいと思うんです。
 次に、先ほど佐藤氏からも話がありました兵順の話ですが、去年も兵庫、大阪で例のゲーム機に絡んで大騒ぎになって平謝りしたと思ったら、ことしは相次いで、それも一カ月、しかも一番最初の三月の事件のときにはもう二度とないようなことを言っていたんだけれども。そこで、公安委員長の異例の注意が出る段取りになりまして、特命監察というんですか、ちょっとどういう意味がわかりませんが、そういう段階に進んだようですが、特命監察というのは、これはどういう性格のものですか。
○政府委員(太田壽郎君) 警察庁長官の命を受けまして、この場合は警察庁の警務周の百席監察官が責任者になって現地に参りまして、ただいま御指摘のような事案、それについてのいろいろ原因その他を監察するという性格のものでございます。
○志苫裕君 それで、あちこちにありまして、どうも関西というのはよくないと言っていたら東北にも出たりしまして、これはどうも全国らしいんですが、しかしなぜ兵庫県警かというのは、やはり皆一様に思うところであって、そこで例えば姫路、尼崎でしたか、これ、例えば五十一年の署長と暴力団の黒い癒着関係でひんしゅくを買った。それから相次いで、ゲーム機汚職に、おとり捜査に、にせ調書に、そして、とうとう強盗までですね。ただ、私は強いて言えば、こんなことを言っちゃ恐縮ですが、強盗の方は警察の職務の権限に絡んでないだけ、まあいささか救いがある、逆に言いますと。前の方のは、これは全く権限にかかわっておって、警察組織としてこれは見逃せないという印象も一面で強くするんですがね。
 そこで、背景を厳しく追及するというふうに伺っておったのでありますが、特命監察の結果、皆さんはどういうものをまとめてどこへ報告なり発表なさったんですか。
○政府委員(太田壽郎君) 特命監察の結果、やはり強盗事件を起こしました本件につきましては個人の資質の問題、それが一番重いということは一
つあるわけでございますけれども、さらにその背景的な問題といたしまして、本人たちが無計画な生活設計で自己の収入に照らしまして不相応な借金をして自宅をつくる、あるいはギャンブルや費用のかかる趣味にのめり込む、いわゆるサラ金を利用して、そのあげくの果ての犯行ということが結果として浮き彫りになってきたわけでございます。そういうようなことで、そういう非常に問題のある事案というものを組織として、そういう問題を抱えておる職員について十分な発見なりチェックができなかったというようなところにもやはり問題があるということが浮き彫りになってきたというような状況でございます。
○志苫裕君 せっかく答弁してもらったけれども全然ピントずれているんだな。
 それは、殊に警察官ともあろうものがモデルガン持って出たり、猟銃ぶっ放したり、人の物をかっぱらったりというのはいいことはないんで、個人の資質に関係していることはもちろんなんだ。個人の資質と言ってしまえば、それは後何にも生まれてこないんです。うんあれか、あれはもともと悪かったんだよと、そんなこと言ったって何もならないんであります。
 で、無計画な生活設計、これは個人の資質にかかわるんですが、もちろんこういうことをやったやつですからそうなんでしょうが、先ほども佐藤氏いろいろやっておりましたが、ただ、私は何かもう少し、なぜ兵庫県警か、あるいはなぜ尼崎かと、こう言われるには、何かそこの組織なり警察社会なりというようなものの、やっぱり全体の何かがあるのだろう。少なくともこのいずれも、永田というの四十二でしょう、登佐という人が四十三歳でしょう。今私の子供を見ていても何考えているかわけわからぬですが、率直に言いまして、そういう価値観がばかに多様化してちょっとわかりにくいという世代でないでしょう、これ。しかし、余り位は偉くないようですけれどもね。
 そういういわば自分を抑えられなかったその世代の人たちということになると、やっぱり状況全体に何かがあるのではないかということを探し当てないと、ただ個人の資質を問題にし、警察官個人の生活の隅々まで上司が目を配るだけでは解決にならないのじゃないか。あらかじめ目を配っておいて、品の悪そうなやつは警察社会から放り出してしまうというだけでもこれまた解決にならぬわけであって、そういう意味で、特命監察までおやりになったのですから、一体そういう警察官の価値観というのはどんなものなのか、あるいは警察官として少なくとも四十幾つまでいくといえば二十年もやっておるんでしょう。警察社会で絶えず教養や訓練も受けてきたに違いがない。そういう人たちが警察官の誇りを失うに至るような要因というようなものが、それはやっぱりあるんでしょう。そういうものを探し当てない限り、それはあなた、何遍監察やって、長官が何遍訓示して、指示をしてもだめなんじゃないかな。そういう意味で、特別監察までおやりになったんだから、何かそういう背景というふうなものの把握に何か残ったのかということを聞いているんですが、どうですか。
○政府委員(太田壽郎君) 特命監察の結果は、現場に即しまして、今度の事案に即しまして掘り下げをしていった。それで、警部補の場合につきましては、中級幹部の身上の把握が十分でなかった、それから給与の手取り額の把握についても欠いていた、さらに警察信用組合からの融資につきまして事後の点検が不十分であった、さらには職員相談制度というものが所期の機能を果たしていなかったというようなこと簿によりまして、結果的にサラ金禍の把握がなされていなかったというようなことが指摘をされてきております。さらに、巡査長の場合につきましては、同じようにサラ金利用者の把握が不十分であった、それから住宅所有者のローン等の実態把握が不徹底であった、さらに外勤幹部によります勤務管理が徹底していなかったというようなこと等が挙げられているわけでございます。
 そういうことで、当面は個々面接あるいは自主申告、家庭訪問、警務部長等からの家族にあてた手紙の発送と、いろいろな方法によりまして身上実態の把握に努めて、風通しのよい職場づくりに努力する。それから、長期的な対策といたしましては、職業倫理といいますか、そういうものをさらに徹底していくための方策の検討。それから、先ほどもちょっとお話が出ておりましたけれども、昇任試験制度についてもさらに改善する余地がないかどうか検討する。それから、持ち家のあり方を含めました生活設計というようなことにつきましても、全国的な問題としてやはり十分検討して、所要の対策を講じていく必要があるというような当面の結論が出ているところでございます。
○志苫裕君 子供は親の背中を見て育つと言いますが、上司に問題ないですか。上司が例えば一線の警察官の服務規律を云々することはいいが、おまえは何をやってんだと、例えばそういうことを言われる状況があればどんなに訓示垂れたってだめですよ、これは。例えばそういう問題点がないか。何せ署長が暴力団とつるんで問題になったところですから、親方がやっているのに、子方でそうこれから偉くもなれそうもないような人に言ったって、それはなかなか聞かぬでしょう。そういう意味での、その社会の慣習、そういうふうなものが例えば尼崎なり兵庫県警にあるとすれば、今官房長の話にあった迂遠なことだけでは決まりがつかぬのであって、まずは上から直していかぬと。上の人を見ておれば、おれはとてもそんなよこしまな根性は持てないということにしていかないと一つは決まりがつかぬのじゃないかなという感じを、私はどうもこのところを見て感ずるんですよ。
 さっき、あれは官房長のお話でしたか、いわばキャリア組と推薦組とがある、キャリア組は四百人ぐらい、それなりの資格を取って入ってくる、それだけじゃないんですと、地方でいいやつは抜き上げて、中央でしかるべきことをしてもらって本部長にというお話がありましたが、そうすると、キャリア組のほかにそういう何か推薦組みたいなものがあるみたい。それと、これは地元組というのか土着組というのか、あることになるのか。私も昔役所の飯を食ったんですが、あれの世界は警察のみにかかわらずおもしろいところで、中枢部にいるやつは中枢部の周りぐるぐる回っているし、間違って渦巻きの外へでも出ようもんなら、ずっと外ばつかり回るだけでなかなか戻れない。あの渦巻きというのは真ん中は求心力があるし、外側は遠心力があるものだから、真ん中から外側へ出たならば内へ戻れない。率直に言って、そういういわば構造というようなものは警察社会に限らずあると思うんですが、どうむこう一連のあれを見ますと、この土着組ですよね、渦の外側の遠心力のついた方だね。そうすると、やっぱり警察社会のそういう構造に、さっき佐藤氏も問題にしましたけれども、問題があるんじゃないですか。
 そして、上司はそう長くいるわけじゃない。来て、少し伸そうなことを言って、そしてお帰りのときにはたんまりせんべつなどをいただいてというふうなことがないと言い切れるか。私も田舎の議会にちょっとおりまして、よく警察官のせんべつ問題は議会でも取り上げたことがあります。例えば、私は何か奇妙な本を引用しませんけれども、五十八年の三月の十八日の朝日に載ったのでは、県警幹部へのせんべつ、宮城の教習所協会がまとめて五十年ごろですか、出すことが議論になった。二月四日の新聞によると、例の福岡のレッカー汚職にかかわった警察官の、せんべつもらった、もらわぬというようなことを言って事件になりました。
 そういうことなどを見るだけでも、上司にはうまみがあるが我々はうだつが上がらない、そういう警察の二重構造というものの中で屈折をした警察官の感情を生んでおるのではないか。こういう点はいかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、警察の使命を達成していく
ためには上下が互いに信頼し合って、一体となってその職責を遂行するということは何よりも必要なことであります。そのために上司はやはり風通しのいい職場づくりというようなことについて常々心を砕いているところでありまして、そういうことを熱心に取り組んでいくということが次第次第に部下の方にもわかってもらえる。それから、身をもってまず範を示す。これは警察のような、今申し上げましたような上下の割合とはっきりしている一体的な組織においてはもう何よりも必要でございます。これは警察本部長を初めとして、警察署長その他の各級の幹部というものがそれぞれ身をもって範を示すということが大事だということで、これにつきましては、全国の警察本部長会議を初めいろいろなところでそういう話について、そういう心構えを持って実際に実行するように指導をしてきているということでございます。
 そういうことで組織全体が一体となって活気のあるものになるということになりまして、初めて国民に信頼される警察運営が行い得るというふうに考えているところでございまして、そういうことを目標にして常々努力をしているという状況でございます。
○志苫裕君 公安委員長、今いろいろとお話がありましたが、私、警察社会知らないんですが、察するに軍隊と並んで非常に縦型秩序の垂直秩序的というものに非常に重い価値を置いているんじゃないかと思うんですね。しかし、垂直思考に対して水平思考というものもあるわけでして、その水平思考のいわば管理能力、マネージメントというものも警察は大いに学んだらいいと思うんですよ、これは。私は、いろいろと官房長お話がありましたが、やっぱりエリートと第一線との乖離は大きい。私ら田舎におりますと、しょっちゅう駐在さんと、それこそたまには酒を飲んだり語もしたりしますが、これはなかなか、官房長言うようにそう縦の秩序だけで、そこまでが統括できるものではないという感じを持っているわけです。
 あなたは、あれは三月の二日の記者会見で二つのことを言っているんですね。一つは、警察官がそうなるのは政治の乱れが影響しているんじゃないかと、だれかが聞いたら喜ぶようなことを言っていますね。もう一つは、警察の社会にもう少しリラックスする雰囲気があったらいいんじゃないのかなという、ちょっと二つのことを会見でコメントしておるようですが、若干私も共感を覚えるんで、あなたが反省を促して、長官が特命監察までやって、あなたにはどんな報告があったかわからないけれども、私が今るる述べた、そういう水平思考というのか、というものを警察社会にやっぱり取り込む工夫をなさったらどうかと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(田川誠一君) 警察は規律を最も必要とする一つの組織でございますから、今、志苫さんおっしゃったように、縦割の非常にすっと一直線の組織でございます。そういうことでございますから、とかく我々のような社会とはちょっと違って、言いたいことも言えないというような面があると思うんですね。そういう面、内向的な面がさらに重なって爆発するというところに事故の起こるようなケースも出てくるんではないか、そういうふうに私は思っておりまして、これは一般論でございますけれども、御指摘のような不祥事件が起こるすべての背景じゃありませんけれども、一つの背景としては、むしろ厳しい規律を求められている縦割的な組織では、よその組織よりも余計に上の者と下の者とが何か打ち明けて話しができる、こういう雰囲気をつくっていく必要があるんではないか、こうしたことを私考えておりましたので、記者会見で申し上げたわけでございます。
 そういうことをやっていくには、上に立つ人がもっと現場にどんどんすっ飛んでいって、現場の者と冷や酒でも飲んで冗談も言い、何でもざっくばらんに言うというような空気をいろんなところでつくっていく、こういうことが望まれるんではないかなというふうに思っているわけでございます。現に、そういう幹部を中心にした地域では非常にそういう点がうまく生かされてやっている。これが大事ではないかというふうに思っております。
○志苫裕君 官房長の御答弁にもあったけれども、厳格な職務倫理、これはもちろん警察社会、警察官に我々も強く望むところですが、その厳格な職務倫理というのは、四六時中しゃちほこばったものの中から生まれるとは限らぬわけであって、警察社会、それこそ上も下も人権は同じ、自由に意見は交換をする、だから火の中でも水の中でも飛び込むということになるんでして、年がら年じゅう拘束されて、鋳型にはめ込まれておって、格好だけついておったって、それは魂はこもらぬでしょうという意味でこの間も提言したんですが、それはやっぱり考えてしかるべきだと思う。
 私も労働組合をつくったらいいということまでは言いませんけれども、あの労働組合というのは、皆さんは赤旗振って何か邪魔なものだと思っているような癖があるけれども、そうではないんですよ。それは赤旗も振るけれども、これはやっぱりそこにもたらされるものは、上司とそうではない者はやっぱり対等だというものをそれはそれなりに養って、お互いがそれぞれ身分の上下がないわけですから、そういう中でお互いに共同の責めを負おうとしているわけであって、ある面ではチェック・アンド・バランスにもなりますけれども、せっかく兵庫の県警の問題で特命監察までもやったけれども、どうも皆さんは本質にはさわっていないのではないかという感じがいたしてなりません。ただ、この男がなぜ鉄砲持って飛び出したのか、サラ金からいっぱい金借りておったそうだというだけでは決まりにならないということを申し上げておきたいと思います。
 ところで、さっきもちょっと出ましたが、これはどうなさいますか。水戸の署長さん、ああいうことがあって取手から水戸へ移った。この社会では栄転なんでしょうね、署の大きさは私はわかりませんけれども。今問題になっている、なろうとする風営法に絡んでおるんだけれども、これは新任の本部長さんは就任早々やっぱり問題視されたようです。これはいろいろな報道で見る限りですよ。前の本部長さんはどこぞへ行っておる方ですが、これは問題は終わったというニュアンスにいたようです。この辺がまた警察社会らしいんだな。直接何かのかかわりのあった者はできるだけ、何でもない、何でもないと、こう言うし、全然関係ない者は、これは問題だ、問題だと、こう言うことになるのかもしらぬけれども、結局、あれは六月の二十一日ごろでしたか、新任の本部長さんは遺憾の意思を表明なさいました。それはそれでいいことだと思うんですが、やっぱりここにあったのは、うやむや処理という問題点だったわけで、警察庁でもこのことは重視をなさったように報道は触れておりますが、今どうなっていますか。
○政府委員(太田壽郎君) この問題につきましては、前本部長が、いわゆる公務員法上の懲戒処分、これを行うには当たらないけれども、非常に幹部としていろいろ問題があるといいますか、紛らわしい行為であるということで本部長から厳重に注意をしていたわけでございます。それで、新しい本部長が参りまして、それについてそういう事情を知ったので、これはしかし処理済みである、しかし県民に対しては、これは遺憾な行為であるという表明をしたわけでございます。そういう意味におきまして、同人は取手署長から警察学校長を経まして、本年三月、水戸警察署長に異動して現職にいるわけでございますけれども、本人も前本部長から厳重な訓戒を受けたということで、深く反省して現職に精励をしているということでございますので、私どもといたしましては、一応この件については処分は終わったというふうに承知しておるところでございます。
○志苫裕君 そこが、公安委員長、私はあえて、さっき民主的管理機構である公安委員会の管理のことについてちょっと触れたんですが、警察社会
は警察社会特有の価値観を生んでいくわけですよ。今言うように、取手の署長から警察学校長になって、水戸の方に異動されたようです。これは栄転と言うんですよ。悪いことをして注意された者が偉くなったという話なんです。こういうことはなかなかやっぱり普通の庶民の感覚とはなじまない。おまえ、ちょっと謹慎しておれということが、それはあったっていいわけです。こういうことは、それは個々の人事権に目を配れというわけじゃありませんが、そういう警察社会独特の感覚のようなものをやっぱり大きくはチェックをするという管理機能を持つべきであって、田川さん、あなたの感覚はどうです、この問題について。そういうことがあったけれども栄転をして、今は粉骨砕身、職務に精励しておりますという御答弁なんですが、私はそうかなという感じがするんですが、あなたはどう思いますか。
○国務大臣(田川誠一君) 第一線で活動している警察官、特に署長とか署長以下第一線で活躍をしている人たちは、犯罪の捜査その他の警察の職務を執行する上から、やはり地域に溶け込むということも一つの必要なことではないかと思うんですね。そこが裁判官とか検事だとかというところとはちょっと違う、そういう面を持っている。そういう面の、犯罪捜査に資するために一般社会の人たちと交流をしていく、その中で厳正な態度をとっていかなければならない、ここが非常に難しいところでありまして、その一線を踏み越えると今御指摘のような問題になってくる、ここが問題ではないかと思うんです。
 私はこの事件のことを詳しくは存じませんけれども、とにかく犯罪を取り締まるべき者が一般から疑惑を持たれるというようなことがあってはいけないと思っております。そういう面で疑惑を持たれた者が栄転をするということは必ずしもいいことではない。ただ、そういう疑惑が本当に持たれたのか持たれないのかということが難しい問題でございまして、今の水戸の署長の問題につきましては、私も余りとことんまで聞いておりませんので、どうこうということを今公安委員長として申し上げるわけにはまいりませんが、今くどくど申し上げましたように、少なくとも犯罪を取り締まるべき者が関係者と癒着しているように思われるということはどんなことがあっても許されるべきものではない、このように思っております。
○志苫裕君 あなた知らぬようだけれども、一々こんなことまであなたには報告ないと思うけれども、疑惑を持たれるようなと言ったって、それはそういうことがあったということはみんな言うとるわけなんです、これは。だから、気をつけろということで終わったんでしょうが、これ以上は追及をしませんけれども、私はこのことに関連をしてもし意見を申し上げるとすれば、何か警察社会ではこの程度のことはちょいちょいあるのかも知らぬけれども、しかし上司はむしろ厳しく接しなさいよ、それの方がよろしいのではないかということだけ申し上げておきたいと思います。
 ちょっと済みません。通告しなかったものですから、これは政治家田川さん、公安委員長田川さん、やりとりだけでいいんですが、最近とみに危機管理ということが叫ばれております。で、危機管理というのは一体何なんだろう。あるいは危機管理が叫ばれる背景は何なんだろう。警察がかかわる危機管理の分野というのはいかなるものか。そして、警察庁においてはこの種危機管理の問題について研究などに手をつけているかどうか。田川さん、どうですか。
○政府委員(山田英雄君) 今お尋ねの危機管理という言葉は大分ひとり歩きしておって、何が実態がということは人によってさまざまの定義があろうかと思います。
 お尋ねの点でお答え申し上げれば、私どもは、警察は常に危機管理をすることが常務であろう、こう思っております。それを平たく其外的な例に即して申し上げますれば、例えばハイジャック事案、あるいは予想される大地震でございますね、関東大地震あるいはいろいろございますけれども、そういうための判定技術なども発達しておりますけれども、要するに多数国民に衝撃的な影響を与える、同時に具体的な被害を与える、そういうエマージェンシーといいますか、突然来る大きな出来事、それに十分に対応し得るかどうかというのが私ども警察が常に考えていることでございまして、それが今言われている危機管理というもののほぼ最大公約数的な見方ではないかと思いますが、そうしたエマージェンシー、例をさらに挙げて申し上げれば、原子炉衛星の落下とか飛行機事故とか、挙げていきますれば限りないと思いますけれども、そういうものに対して、私ども常々従来の教訓、経験を生かして、的確に対処するためにはどんな準備をしたらいいか、平素からどんな装備資機材を用意して、現場の警察官にどんな教育訓練を施して、どんな注意事項を徹底したらいいかということは、今申し上げたハイジャックなり地震対策なり大災害あるいは衛星の落下とか、そういうことをすべて含めて平素から十分に考え、徹底しておるところです。
 したがって、今危機管理が重要だということをいろいろなところで言われておりますが、私ども警察にとっては、最初に答弁申し上げましたように、それが常務であって、常日ごろ仕事即危機管理、こう意識しております。
○志苫裕君 おくれてきたので、もうやめますけれども、公安委員長、念のために、警察学論集第三十六巻第八号、昭和五十八年八月号に警察庁警備課長國松孝次さんの論文が載っております。表題は「危機管理のすすめ」というんです。ちょっとこれは気になったんでお聞きしたんですが、警備局長の話では、我々のやっておるのはいつでも危機管理だと、こう言われればそれはまたそうなんですが、確かにあれはひとり歩きを百葉がしているのかもしれませんが、参考のためにこの彼の論文、私はこういう人が大いに意見を述べることは一向構わないという立場で申し上げます。それは一つの見識ですから。ただ、この危機管理の背景について、ちょっと読みますよ。自民党の諸君ちょっと気になるかな。
 「政治面では、自民党の安定多数がありながら、複雑な党内事情もあって、政局の動向は、まったく予断を許さない」、「経済面でも、他国からはその「繁栄」を羨望されながら、」云々と、こうなるんですが、ちょっとこれ気になるでしょう。自民党の政権がどうなるかわからないから危機管理をよく考えましょうやというんじゃ、ちょっと物騒な話だ、これ。しかし、私はごく一部分を出したんで、これ全部がそう言っているというんじゃないですよ。でも、例えばそういう問題意識もあって危機管理ということになってくると少しニュアンスが変わってくるという意味でちょっと取り上げたので、いずれこの問題は、続編はこの次にやりますが、念のためにどうぞお読みになってください。
 終わります。
○中野明君 最初に公安委員長にお尋ねをいたします。
 今、同僚の志苫委員からも語がありましたが、昨日、松山事件が無罪ということになったわけですが、死刑囚が無罪になるというんですから、これはもうそれこそ大変なことなんですが、それがここ一年ほどの間に、御承知のとおり免田事件とそして財田川事件、そして松山事件と、三件ともこれ死刑囚が再審で無罪ということになっております。昨日来新聞、テレビで大変な報道がなされて、国民の関心も大変高くなっておりますが、その中で、やはり私もテレビを見ておって非常に印象に残りましたのは、斎藤さんのお母さんが、一番最初に調べた警察官の人に一首済まなかったと言ってほしいということを言いました。これは非常に私気になります。
 そこで、公安委員長として、この問題について今も議論がありましたが、一様に指摘されていることは、この三件とも要するに初動の捜査で、見込み捜査で別件逮捕だ、そして自白を強要したというようなニュアンスで私たち受け取れるわけなんですが、こういうことがありますと、やはり今それでなくても一連の不祥事件が続発をして、警
察に対する不信といいますか、そういうことがあるというこのさなかに非常に私気になりましたので、公安委員長としてのこういう問題についてのもう一度、所見をちょっと最初にお聞きをしておきたい。この三件ともそのようなことか言われておるわけですので、所見を。
○国務大臣(田川誠一君) 警察は犯罪の取り締まりその他幾つかの責務を持っておりまして、これを遂行していかなければなりません。特に凶悪犯罪、先ほど来言われておりますグリコ事件のように社会の敵である犯罪は、これはもう一刻も早く解決をしていかなければならない。そういう意味で、警察としては当時も凶悪犯罪に対して全力を挙げて捜査を行ったと私は思っております。
 しかし、こうした判決が出たわけでございまして、私どもとしてはこうした判決を、裁判で指摘をされた点につきましては真摯にこれを受けとめて、今後の捜査にこれを生かしていくように指導をしてまいりたいと思っております。犯罪捜査の誤り、あるいは裁判を通じての幾つかの経路を経てこうした結論が出たわけでございまして、この判決には私どもも深刻に受けとめているわけでございます。こうした死刑の判決を受けて長年拘束をされておられた方に対しては、ひとつ私どもも本当に申しわけない、このように思っております。
○中野明君 主に裁判の問題ですが、やはり当初の捜査ということから警察がどうしても出てまいりますので、世界でも余り例がないという死刑囚が三件一年間に無罪になったということですので、大いにこのことを一つの契機にして、今後の捜査のあり方についても十分な措置をお願いしたい、このように思います。
 それで、警察官の一連の不祥事件、けさほどからも聞いておりましたが、随分といろいろあるようですが、特に私、警察官も人の子かというだけでは済まされない。余りにも連続しておるものですから残念に思っておりますが、その中で、やはり警察の上級幹部の立場を利用しての事件といいますか、それは大問題だと思っております。
 こういうことをいろいろ考えますと、まず、上級幹部にどうしてそんなことが起こるんだろうかということで、非常に心配ですし、一つの例を挙げれば、御承知のように、年末警戒で第一線で警官が苦労して警戒をしている最中に署長は業者とどこかで飲んでおったというような事件もあるやに聞いております。こういうことを現場の人はそれを知っているということですから、これは一生懸命にやっている人の士気にも影響するというようなことなんですが、そういう点について、どうしてそういう偉い人がそんなことを平気でするのか。しかも、自分のやっている仕事はそういういろいろの犯罪を捜査したりする仕事ですから、部下の人たちもそういうことについてはよくわきまえている人たちばかりがおるのに平気でそういうことをやる、すぐわかり切ったことをやるということは、やはり独特の、おれのことはだれもよう調べぬのだ、文句を言わぬのだという、そういう思い上がった気持ちがあるんじゃないだろうか、そういう心配が田でならぬのですが、こういう上級幹部の事件について当局としてはどういうふうに思っておられますか。そして、どういう処置をとられましたか。
○政府委員(太田壽郎君) 警察がその責務を遂行していく上には、組織として一体となってこれに当たるということが何より必要でございますが、そのためにはやはり上司が身をもって範を示す、そういうことによって下部の者もその仕事に精を出すということでございます。
 そういうことで、ただいまお話があったようなケースが最近あったかどうか私ちょっと承知しませんけれども、そういう不心得な署長というものは恐らくいないんではないか。最近では、そういうことではやはり署長としての仕事をうまくやっていくことは到底できないような状況でございます。そういうようなことで、幹部がまず身をもって範を示し、先憂後楽という言葉がございますけれども、警察の幹部は身をもってそういう態度で臨まなければいけないということで常々指導もし、教育もしているところでございます。
○中野明君 今申し上げたのは埼玉県の警察の本部の課長さん、前は署長だったらしいんです。その人が署長のときにそういうことを起こして新聞種になって、非常に問題になっているということで、そうなりますと現場の人はたまらぬということですから、それであえて私は一例を挙げて申し上げたわけですが、こういう一連の事件と裏腹に、たまらないような思いになっておりますのは、先日起こりましたパトロール中に亡くなった、本当に何と申し上げていいやら、気の毒な事件が起こったわけですが、本当に現場で命を的にして一生懸命に働いているまじめな警察官がたくさんおる中で、こういう幹部に、先ほどから出ているように、事件が起こるということは、もう我々としてもやり切れない気持ちでおるわけですが、もう一度こういう悲しい出来事が再び起こらぬためにも、そのパトロール中の事件のことについて詳細御報告をお願いしたいと思います。
○政府委員(鈴木良一君) 七月十日発生の警視庁における殉職事案の概要でございますけれども、目白警察署の警ら係の無線自動車勤務員が相勤務者とパトカーで警ら中に、不審者が逃走した、現場に急行せよという無線指令を受けました。そこで、現場に急行する途中で、現場から約五百メートルばかり離れたところで手配人相に似た男がパトカーの姿を見て逃走していくというのを発見いたしましたので、助手席に乗っておりました米良巡査、この巡査が殉職したわけでございますが、この米良巡査がパトカーからおりまして直ちに追跡を開始した。約百七十メートルばかり離れた路地でこの男ともみ合いの末、刃物で大変な至近距離から胸部、腹部、咽喉部を刺されたわけでございます。刺されながらもなお、さらに二十メートルばかり追跡をいたしましたけれども、力尽きて倒れて、病院に収容されましたけれども、出血多量で殉職したという事案でございます。なお、一緒に勤務しておりました者は、この米良巡査が不審者を追跡中である旨を通信司令本部の方に至急報をもって無線で報告した後、直ちに米良巡査の後を追ったわけでございますけれども、残念ながら見失っておるという状況でございます。
○中野明君 長官、こういう人たちの遺族とか、階級は後で昇進ということになっているようですが、亡くなってからではもうどうしようもないかもしれませんけれども、そういう遺族の人とか、そういう人たちの補償とか対策というのはどうなっているんですか。
○政府委員(太田壽郎君) その前に、先ほど先生から御指摘のありました件でございますけれども、この本人は、今後引き続いて警察の責任あるポストで勤務を続けることはできないという考えから、本年の六月二十六日辞表を提出いたしましたので、これを受理して、六月三十日付で退職ということになっておるものでございます。ちょっと補足をさせていただきます。
 それから、ただいまの殉職者に対します各種の手だてでございますけれども、一つは、警察庁の長官あるいは管区局長、都道府県警察本部長等から各種の表彰を行うことにいたしております。これは警察勲功賞あるいは警察功労賞、弔詞等の制度があるわけでございます。
 それから二番目に、公務災害補償法に定めます補償があるわけでございます。これは、遺族補償につきましては、一般論でちょっと申し上げさしていただきますけれども、年金といたしまして給料日額の二百二十九日分から三百六十七日分、一時金の場合には六百日分から千五百日分、それから葬祭補償といたしましてしかるべき金額。
 それから三つ目には、遺族特別支給金あるいは遺族特別援護金というようなものが支給をされる。
 それから四番目といたしまして、内閣総理大臣の特別ほう賞金制度、これは二百万から一千万程度でございます。それから警察庁長官の賞しゅっ金、これも三百万から千五百万、各都道府県の知事が出してくれます賞じゅつ金、これは最高が二千六百万程度でございます、等を支給する形にな
っております。
 それから五番目には、警察協会から弔慰金等が支給され、さらに警察育英会から子弟に対し奨学金等を支給をすることにいたしております。
 それから六番目に、各都道府県警察におきましては、住宅問題あるいは子弟の教育問題、そのほか生活各般にわたりまして遺族の援護に組織として取り組んでいるという状況でございます。
○中野明君 それで、保安部長にお尋ねしますけれども、こういう事件を未然に防ぐといいますか、二度と起こらぬように、今回のこの事件の教訓といいますか、そういうことから、今後の対策といいますか、処置は何か講じられておりますか。
○政府委員(鈴木良一君) 警ら活動につきましては、基本的留意事項といたしまして、職務執行に当たりまして受傷事故の防止に努めることを定めました通達があるわけでございまして、そこで細かく決めておるわけでございますけれども、今回のように非常に急を要した事案で、しかもやらねばならないという使命感に燃えて犯人を追跡するという場合には、なかなか必ずしも受傷事故防止のみに配慮し得ないといううらみがあったということだと思います。そういうことで、急に反撃を受けたというためにまことに残念な事態に立ち至ったものと考えておるわけでございますが、こういう不幸な事態を今後防止するために、基本的事項というものの徹底を図っていかなければならないと思いますけれども、今回の教訓を踏まえまして、やはり相勤務者が、先ほど申しましたように、本署に連絡しているうちにこの米良巡査の方は追跡を開始して、見失ったという形になっておるわけでございます。この相勤務者との連絡方法というものをどうしたらいいかというようなことを一応検討しなければならぬと思います。
 それから、逮捕時に当たって、恐らく制圧にかかった時点で至近距離からやられたという感じがするわけでございますが、この逮捕時に当たっての制圧の方法につきまして研究をしていかなければならないと、かように考えておるところでございます。
○中野明君 この問題につきまして大臣から一言おっしゃってください。
○国務大臣(田川誠一君) 殉職した警官の遺族にも私会ってまいりましたし、お通夜にも行ってまいりました。一人息子を失った両親の前で、私どもは本当に残念な事件であったと思っております。こうした職に殉じた警官が、つい先月ですか、先々月にも三多摩地区にございまして、いずれも責任感の強い仕事熱心な警察官でございまして、私はこうした警察官が大部分だと思うのですね。なのに、先ほど来御指摘のような一部の不心得な者が出ているために警察に対する信頼が失われようとしていることは非常に残念でございまして、こういう事件が起こりましたのを機会に、再びこういう犠牲者を出さないような対策もあわせて考えていかなければならないと思っております。
○中野明君 それでは、これまた余りいい話じゃないんですが、先ほど来出ていますように、愛媛県で、駐在所に単身赴任をしておって、それをなじられて、それを注意されて上司を刺したという事件なんですが、これはこの単身赴任ということに問題が、ある程度あるやに私も思いますが、現在、単身赴任で駐在所の勤務をしている人というのはどれぐらいあるんでしょうか。
○政府委員(鈴木良一君) 単身赴任の状況でございますが、七月十日現在で調べましたところ、全国の駐在所勤務員の独身者、当然単身になるわけですが、及び妻帯者ですが、単身者の赴任状況につきますと、約七%の者が単身赴任である。そのうち、今申しましたように、独身者が三%ぐらい入っております。したがいまして、妻帯で単身というのは四%ぐらいという形になっております。
○中野明君 そうすると、この原則はどうなっているんでしょうか。駐在所というのは家族で行くということが原則になっているのか。今のお話では、独身者が行っているということになると、そういう原則もなさそうなんですが、その辺はどうなんでしょうか。
○政府委員(鈴木良一君) 駐在所は何せ都市部以外の地域に設置されまして、地域に溶け込んだ活動に当たることを任務といたしておりますので、単身赴任よりは家族同伴で勤務することが望ましいというふうに考えております。しかしながら、駐在所の勤務というのはいわゆる職住一体でございまして、なかなか公私の区分がつけにくいという状況にもございます。それからまた、勤務員の勤務ももちろんでございますが、家族の負担も大変過重なものになるというのが実情でございまして、そういうことで各都道府県では、できる限り単身赴任でない形でいきたいということでやっておりますけれども、駐在所勤務員の確保に大変苦慮しているという状況にあるわけでございます。
○中野明君 ちょっとその辺で私気になるんですが、独身者は当然これは単身で行かなきゃしようがないんですが、今回の事件は結局、単身で来ておるから電話をかけても出ぬのだと言ってしかられたことが発端になっているようです。そうすると、この全部がそういう原則で家族を連れていくということになっているのならば、それも一つの理屈があるんでしょうけれども、独身の人でも随分単身で派遣されている人がおるわけですから、そういうことになりますと、何だか今回の事件というのは、特別に単身赴任だから云々じゃなしに、やはり日ごろの上司との感情的な問題があったんじゃないかというような気もするんですが、その辺はどう見ておられるんですか。
○政府委員(鈴木良一君) 現在捜査中でございますので、まだ確たることは申し上げられないわけでございますけれども、単身赴任の関係あるいは上司との関係というものもあったのではないかというふうに推察をいたしております。
○中野明君 私は自分の国元の県警の本部長とこの間ちょっとお話をしておりましたら、県警の本部長は、やはり現場で働いている人が大変だろうというので、赴任してまだ間のない方ですが、休日を利用して駐在所、どう言うんですか、近くは自転車なんかで回るようにして、全部勤務地の駐在所を回ってみたいということで、今計画を立てて回っておられるようですが、非常にそういう立場で動いていかれることによって意思の疎通もでき、現場の様子もわかるんじゃないかと思って、私は非常に共鳴しておるわけですが、今回のこういう事件なんかを見ますと、やはり警察の一連の事件を見ても、警察官であるという責任と、それから立場の重要性というものに対する認識というのが非常に薄いような気がして、この辺の教育というのはどういう方法をとっておられるのか。日ごろの警察官に対する教育のあり方ですね、これをちょっと説明してください。
○政府委員(太田壽郎君) 警察官に対します教育はいろいろな形で行われておりますが、一つは学校教育、学校教養と言っておりますが、そういう方法でございます。
 これにつきましては、最初警察官に採用したときの教育、さらに何年かたったときの現任的な教育あるいは専門的な教育、そういうような警察学校を利用しての教育が基本にございます。ここで基本的な警察の責務といいますか、使命感の問題、そういうようなことも含めまして基本をよくたたき込む、それがまず学校における教養の基本でございます。
 それから、現場におきまして、警察署なり警察本部の実際に仕事をしているその先で、いろいろな機会をとらえて教育を行っております。これも組織的な形で行われておりまして、その際に、そのときどきのいろいろな問題等をとらえまして、具体的な形で、それぞれの職場に適した形で教育を行うということで行っているものでございます。
○中野明君 それで、兵庫県警の問題ですが、これ余りにも事件が全国的にあるようですけれども、特に兵庫県に集中しているということで特命監察を行われたようですが、これはどういうとき
にやられるんですか。もう一度教えてください。
○政府委員(太田壽郎君) 警察職員によります特に重大な不祥事案が発生した場合に、当該事件の背景あるいは原因の究明、今後の対策の方法というようなことを警察庁が直接把握いたしまして、そこで得た教訓等を全国の警察に敷衍をいたしまして、この種の事案の再発を防止するということで、首席監察官等の警察庁の監察担当宮を警察庁長官が特に任命をして派遣をして行わせる、そういう監察でございます。
○中野明君 過去にそういう例は何回かあるんですか。
○政府委員(太田壽郎君) 最近では昭和四十一年に北海道警察に対しまして行っております。さらに、五十一年に兵庫県警察の尼崎中央署におきます不祥事案。それから、昨年でございますが、大阪府警察に対しまして、遊技機賭博の取り締まりに絡む不祥事案について特命監察を行っております。それから、ことし兵庫県警察の連続して発生いたしました強盗事件というものについて特命監察を行ったという状況でございます。
○中野明君 前にも兵庫県やっているんですね。それで、この兵庫県の特命監察の結果、何か警察の組織全体がそういう状態になっているのか、兵庫県独特の理由があってそういうことになったのか、その辺の認識といいますか、監察の結果はどういうふうに認識しておられるんですか。
○政府委員(太田壽郎君) さっきもちょっと申し上げましたけれども、本質的に、問題を起こした個人の問題ということが基本的な問題であるという認識に立っておりますけれども、ただ、そういういろいろ無計画な生活設計あるいは自己の収入に照らしまして非常に不相応な借金、強盗までしなければいけないように追い詰められるようなそういう不相応な借金をしていったというような、そういう点について組織として十分な対応ができるだけの実態把握とかそういう対策というのができていなかったというような点は、これは今度の監察の結果特にわかったことでございますけれども、他の府県が果たして同じような形がどうか、これはちょっと他の府県について調べてみないとわからないところでございますけれども、兵庫県での監察の結果わかったそういう問題点を他の府県に対しましても教訓にするよう、敷衍をして知らしているという状況でございます。
○中野明君 そのときの監察では、いわゆるその後に問題になっております姫路の件、それは一緒に調べられなかったんですか、どうですか。
○政府委員(太田壽郎君) その点については調べておりません。
○中野明君 やはり一連の問題が起こっているわけですから、ただ強盗事件だけじゃなしに、一切そういうことを、特命で監察に行かれた以上は、やはりあらゆる問題といいますか、事件を監察し、解明をしていかれるという、そういう建前になっているんじゃないんでしょうか。
○政府委員(太田壽郎君) わざわざ警察庁から現地に参りましていろいろ調べさしてもらうということでございますので、かなり細かい事項を分けまして調べております。例えば職員の管理、教養というような問題につきましては、これは既に昨年も警察庁の次長通達も発出いたしておりますので、それがどういう形で具体化されて実践をされているだろうか、それをさらにどういう点に着目してそういう点を見るかといえば、例えば人事管理の状況と厳正な規律の保持を図るために具体的などういう措置が現に行われているか、身上監督の徹底方策として具体的にどういうことが行われているだろうか、明るい職場づくりの推進方策というようなことで生涯生活設計のモデルプランの検討はどうなっているだろうかとか、生活相談の体制はどうかとか、レクリエーションあるいは余暇活動の推進状況はどうなっているだろうかとか、細かい点につきまして相当網羅的に調べをしているわけでございます。
○中野明君 これはいつ行かれたんですか。
○政府委員(太田壽郎君) 本年の五月七日でございます。
○中野明君 そのときに、もう既に姫路の署長がかけマージャンをしておったとかいうような事件は県警がかなり調査をしておられたやに私聞いているんですが、その辺のことまで、せっかく行かれてただ強盗事件だけを調べるというようなことじゃなしに、やっぱり全体を調査してこられているんじゃないかと思うんですが、そういう報告はないですか。
○政府委員(太田壽郎君) ただいま先生から御指摘の点は兵庫県の竜野警察署長のかけマージャンの事案ではないかというふうに考えられますけれども、この件につきましては、実はことしの六月に収賄被疑者として逮捕された姫路市の市役所の職員がおりまして、それでいろいろ問題が浮かび上がってきたというような状況もございますので、特命監察をした時点ではその点までなかなかわからなかったという状況でございます。
○中野明君 この事件も非常に私問題だと思うんですが、姫路で副署長をしておったときに副署長の官舎でかけマージャンをしている、それから竜野の署長にかわってからもまだ姫路まで出てきてやっている、こういう状況なんですから、当然こんなことがわからないというのはもう考えられないと思うんですが、何か事件が起こっても少々のことならば伏せておって、もうどうしようもなくなってから発表されるというような傾向が私どうしても見えるんです。
 というのは、例えて言えば、警察官が交通事故を起こした、普通の人ならば、一般の人ならばすぐその日の夕刊にぽかっと出るのが、警察官であるがゆえに、一週間もたってから、回りからやかましゅう言われて発表されているというような事例を私は何回も耳にしたり、目にするわけです。ですから、そういうとこら辺に、やはりお互い内々だからかばおうという気持ちが少しはあるんじゃないかという、こう私のひがみかもしれませんが、そういうことがやはり不信を持たせるもとになりますので、恐らく今回もこんなことがうわさになっておったんじゃないかと思うんですが、兵庫県鞍木部としても、監察に来たらなるたけ重点的にそこをやってもらって、後はしばらくそっとしておこうというような、そういう嫌いがあったんじゃないだろうか。そうしないと、せっかく警察庁長官の命令で監察に行かれて、行った後すぐこういう問題がぼかっと出てくるということになると、何のための監察をなさっているんだろうか、こういうことにもなりかねないですね。その辺の感じはどう思っておられるんですか。
 せっかく監察に行かれて、そして個人の資質、確かにそれは、そんなことをする人が悪いんですから、個人の資質であることは間違いないでしょうけれども、兵庫県警の管轄の中で次々にそういうことが起こっている、こういうことについて何か、せっかく行かれたんですから、どうもこういうことじゃないかという一つの確証というんですか、傾向をつかんでこられているんじゃないか。そのように私は受け取るわけなんですが、その辺どうなんでしょう。
○政府委員(太田壽郎君) 特命監察に参りました担当官の報告によりましても、一応そういう強盗事件を起こした個人の資質の問題、それから、その者がおりました所属の身上把握の不徹底とか、そういうことがやはり組織上の問題として指摘されているところでございまして、ただいま先生がお話になりましたような、兵庫県警に独特の云々というような受けとめ方というものは行われてないわけでございます。
○中野明君 そうすると、一般的に言われているように、なぜ兵庫県警かという、兵庫県警にばかり事件が集中しているということについては、どういうふうにお感じになっているんですか。
○政府委員(太田壽郎君) これについては、非常に集中して重大な不祥事案が起きているということは客観的な事実でございますけれども、それについて、今お話しのような兵庫県警察の体質といいますか、そういうようなことに直ちに結びつけるわけにはまいらないのではないかというのが私どもの認識でございます。
○中野明君 そうすると、兵庫県には個人的に資質のおかしい人がたまたまたくさんおったということになってしまうような感じがするわけですけれども、先ほどの御答弁でも、何か五十一年にも兵庫県に、尼崎ですか、どこかに監察に入っておうれるというんですから、何かそういう点、もう少し慎重に検討される必要があるんじゃないか。このようにも思うんです。そんなに一つの県警本部でここ近々に二回も特命監察が入るということは、これは異例なことでしょうし、しかもせっかく五月に行かれて、六月には早、署長がかけマージャンしているというような事件がすぐまた飛び出てくる、こういうことになりますと、本当に本気で監察をなさったのかなというようなことにもとられかねないわけでして、そういう点の、内々でやられているのじゃないかというような疑問といいますか、そういう不信をやっぱり払拭するようにきちんと−行かれた以上は、個人が悪いんだということだけで片づくような問題じゃないんじゃないかと私は思うんですが、もう一度御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(太田壽郎君) さっきもちょっと申し上げましたけれども、今回の監察につきましては、重点を特に以上指導といいますか、サラ金の問題等を中心にいたしましたそういう問題、それから勤務中に抜け出してそういうことを行ったということに関連いたしまして、外勤警察の管理運営上の問題というような点もかなり詳しく調べてきておるところでございます。
 それから、もちろん銀行強盗事件自体についても、いろいろ阻止できなかった原因ないし問題点とか、そういう問題も含めまして調べをしてきているということでございます。
 今御指摘のような問題が事前にわかっていたとした場合に、それを特命監察に含めるかどうかというのはまた別な判断があろうかと思いますけれども、一応、特命監察というのは、テーマを絞りまして、その点について深く現地に行って調べるということでございます。
 それから、さっきもちょっと申し上げましたけれども、特命監察を行いまして、約一カ月後にたまたまマージャンのグループの一人の市役所の職員が贈収賄事件で検挙されて、それでこの本件というものが浮き彫りになってきたというようなこともございますので、今度の特命監察のテーマにこの問題までは含めなかったということでございますので、御了解を賜りたいと思います。
○中野明君 それから、もう一つお聞きしたいんですが、サラ金が大体事件の裏に、これは警察官の皆さんだけじゃなしに、一般的にもいろいろ問題が起こって事件を起こしている背景にサラ金がありますが、今回の兵庫県もそれを重点にお調べになったということですが、今事件を起こしていない人でもサラ金から借りてどうもこうもならぬような状態であるということがわかったときはどういう手を打たれようとしているんですか。
○政府委員(太田壽郎君) これは、結論的に申し上げますと、ケース・バイ・ケースということになろうかと思いますけれども、本当にどうにもならないという場合には、例えば本人が退職をして、その退職金でサラ金の借金なら借金を返す。そして、新しい別な道で今後の人生というものを送っていくということも極端な場合にはあり得ると思います。
 しかし、そこまでいかない場合でも、例えば警察の内部の信用組合から金を借りて、それでそういうまず高利の償金というものを返済するというような形とか、いろいろな形がそれはあり得ると思いますけれども、やはり組織に相談をしてもらうということで、みんなでいろいろ知恵を出し合うということが大切なことだということで、今指導をしているところでございます。
○中野明君 個人的な問題ですから、なかなかサラ金を借りているということを掌握するのも大変だろうと思いますが、しかし問題がやはり全体的な事件を通じてサラ金に端を発している事件が非常に多いようですから、その点は極力状況を掌握されて、そしてこういう事故が起こらぬように未然の手を打たれる必要があると思いますし、警察官がこういう事件を起こすと、先ほど大臣もお話になっておりますように、まじめにやっている人たちがこれはたまりません。そういうことで警察の信用を回復するということが、これはもう大変な作業でございます。警察行政を進めようとしたら、やはり一般の住民の理解と協力というものがなければ、どんな捜査もそれだけの効果を上げるのが難しい、このように私も思いますので、そういう点につきまして、信用回復にあらゆる努力をしてもらわなきゃならぬのです。
 我々、特命監察のことにしても、一体どういう作業でどういうことをなさるかということは、今お聞きしてわかったわけですけれども、普通の受け取り方としては、せっかく長官の特命を受けて兵庫県警へ行ってお調べになってやった、その後、それこそ一カ月もたたぬうちに早、また偉い人がかけマージャンをしておったというような事件が出てくると、何のための監察、警察は何をしているのだろうかという、そういう不信をさらに積み重ねるような結果にもなりかねないものですから申し上げているわけでして、そういう点について、どうかひとつ万遺漏のないようにお願いをしたいと思います。
 そこで、公安委員長にお尋ねをするんですが、先ほども話が出ておりましたグリコの事件です。
 この江崎グリコの事件というのは、これは大変な関心が集まっておりまして、一応犯人としては終結宣言のような通告をしてきたというのですが、これはどう受け取っておられるのですか、まず。
○政府委員(金澤昭雄君) 犯人から終締宣言とまではいきませんけれども、それに近いような形の文書がマスコミ関係各社の方に送られてきたことは御承知のとおりでございますが、私どもといたしましては、あの声明は、犯人が本当に犯行中止をすると、こういったふうには受けとめておりません。まだまだやはり現金目当ての犯行を計画しておると、こういうふうに受けとめて、現在、一日も早く検挙すべく捜査を実施しておるところでございます。
○中野明君 グリコはかなり大企業でしっかりしているから何とか本体は今のところ持ちこたえているようですが、関連の企業は倒産しているところもあります。こういうやり方で今後もこの種の事件が起こってきたら、中小企業程度だったらつぶすのはわけない。こういうような非常に社会的にも悪例を残すような事件でございますので、ぜひこれは犯人の検挙ということに全力を上げていただきたいと思いますが、大臣はこの事件をどう見ておられるのですか、おっしゃっていただきたいと思います。
○国務大臣(田川誠一君) このグリコ事件の犯人は、その大胆な手口とか被害者が脱臼した後の執拗な脅迫、あるいはマスコミを利用しての警察に対する挑戦とか、最近にない大変な特異な例でございまして、特に毒物を混入する声明などによって社会に少なからぬ影響を及ぼしてきた、こういう事件でございますから、これはもう何としても早く解決をしなければならない。
 今刑事局長から説明されましたように、犯人がどんな声明を出そうとも警察の基本捜査、事件に対応する捜査を徹底的にやっていく以外にありませんで、そういう意味で、私ども公安委員会といたしましても、警察が立てました捜査方針を貫いていく。そうして、あらゆる方法、あらゆる手段を通じて徹底的に捜査をしていく。これはもう多少時間がかかっても基礎調査を進めていく以外に方法はない、こういうふうに考えております。
○中野明君 何か犯人が警察に対して挑戦をしているというのですか、警察を翻訳させているというのですか、そういうふうな見方をする向きもあるような事件でございますので、ぜひこれは早急に解決をしていただかなきゃならぬのですが、その後の動きというのは全然ないんですか。一部報道には、何か会長かどこかのところへ金を出せとかいうようなことが来ておったとかいうようなことを報道されているようなんですが、その後の犯
人の動きというのはどんなことですか。
○政府委員(金澤昭雄君) その後という時期的な問題がいろいろございますけれども、現在のところ余り動きはございません。したがって、こちらも犯人の出方を現在関心を持って注意しておると、こういう状況でございます。
○中野明君 捜査は引き続いて当初と変わりなくなさっているわけですね。海外へ逃亡するとかいうようなことも書いてあったというのですが、その方の状況はどんなことですか。
○政府委員(金澤昭雄君) 捜査は、今までやってきました物と人の関係についての捜査、これを鋭意推し進めておるところでございます。海外というのは、声明文の中にもありましたけれども、この点については、そういった形があらわれてくれば私たちの方にもその情報が入るように現在いろいろと注意をしておるわけでございます。
○中野明君 何か私どもも外から見ておってわからぬことが多い事件のように思いますが、社長が誘拐されて、そして三日後でしたか、一人で逃げてきた。それで、それからが大変で、非常にややこしい事件だと思うんですが、見通しはどうなんでしょう。ぜひ解決をつけてもらわにゃいかぬと思うんですが、なかなか犯人が神出鬼没のような状態ですから大変だろうと思うんですが、どういう見通しを持っておられるんですか。
○政府委員(金澤昭雄君) お話ございましたように、普通の身の代金目的誘拐事件でありますと、被害者が脱出をしてまいると大体その辺で事件の見通しはつくわけでございますが、今回の事件は、その後の方が犯人の行動がいろいろと活発になっておるということで、今までにないような特異なケースだと思います。捜査といたしましては、会社関係のいろいろな人の関係、それから残されました物の関係、タイプライターの関係、こういったいろいろな捜査の対象がございますので、これについて現在大量の捜査員を動員しまして捜査をやっているところでございますが、なかなか犯人像の絞りというのが難しいわけでございまして、それと捜査の対象も非常に量的に多い状態でございます。そういうようなことで、大量の捜査員はかけておりますけれども、なおしばらく時間がかかるであろう。しかし、時間がかかりましても必ず犯人を追い詰めて検挙する、こういうつもりで現在やっておるところでございます。
○中野明君 このままで犯人が全然動きを見せなかったら、これなかなか難しいんじゃないかなというような感じも私、外目で感じるんですので、ぜひ精力的に解決の方向に向かって努力をしていただいて、威信を回復していただきたいものだと思う次第でございます。
 それから、次の問題に移りたいと思いますが、これは行政改革に関連をしまして地方行革推進小委員会が報告を出しました。その中で「地方警察職員については、人事管理の適正化等により、原則として増員を当分の間凍結するよう措置する。」、このような報告をしております。
 それで、これに関連をしてお尋ねをするわけですが、現在、警察の職員は何人おられるんですか。
○政府委員(太田壽郎君) 地方警察官でございますが、二十一万五千三百六名でございます。
○中野明君 これはどうなんでしょう。諸外国、先進国と比べて、我が国の警察官の一人が担当している負担人口といいますか、それはどの程度の状況になっておるんですか、おわかりになったら教えてください。
○政府委員(太田壽郎君) ただいまの二十一万余の警察官で現在の人口を割ってみますと、警察官一人当たりのいわゆる負担人口と申しますか、それは約五百五十三人、人口五百五十三人に警察官一人ということになるわけでございます。他方、欧米諸外国の警察官一人当たりの負担人口は、フランスでは一九八三年の時点でございますが二百七十八人、西ドイツでは一九八二年の段階でございますが約三百十八人、それからイタリアでは、これは一九八〇年の数字でございますが約三百四十人、イギリスでは一九八三年の段階で三百九十八人、アメリカでは一九八一年の数字でございますが約三百九十四人に一人ということで、日本の警察官の一人当たりの負担人口というのは、今申し上げました先進諸国に比べまして相当重いということが言えようかと思います。
○中野明君 それで、定員の推移を見せてもらいますと、毎年増員がされてきておるわけですが、最近でいきますと、五十六年に二千百人ですか、五十七年が千五百、五十八年が千二十、五十九年度は五百五十六と、このように増員ということになっておるようなんですが、そうしますと、現在でも一人当たりの担当している人口というのは日本の方がかなり多いということになります。
 それで、凍結されて、先ほど来お話しになっているように事件が非常に多くなってきているという状況からかんがみて、今回のこの小委員会の報告について当局としてはどのようにお考えを持っておられますか。
○政府委員(太田壽郎君) 行革審の報告によりますと、ただいまお話がございましたように、増員を凍結するということにはなっておりますが、「原則として」「当分の間凍結する」という表現になっているわけでございます。そういうことで、私どもといたしましては、内部的な配置転換その他の合理化を一層徹底するということによりまして、増大いたします警察需要に対しましてできるだけ増員をせずに対処していきたいというふうには考えておりますけれども、やはりどうしても増員によって対処せざるを得ないというふうなものもございますので、必要最小限の増員につきましては関係方面の御理解を得ながら措置してまいりたいというふうに心づもりしておるところでございます。
○中野明君 犯罪がふえている、それから負担人口が多いという中で凍結をして、果たして治安が大丈夫なんだろうかという心配を私はいたします。ましてや、先日も議論をちょっとさしてもらいましたが、関西にも新空港ができてくる。会社ができてこれから工事に入ろうとするわけですから、反対派の人たちもどういう行動を起こすかわからぬ。しかも、でき上がったら、あそこは二十四時間空港ですから、初めての二十四時間空港ということになりますと経費もそれだけまた必要になってきましょうし、こういう、ただ財政的な問題で行革を推し進めるという、一律にそれをやっていこうとする考え方というのは、私は少し行革の本旨から外れるんじゃないかという気がしてならぬのですが、自治大臣、何か御見解がありましたら。
○国務大臣(田川誠一君) 大変御理解のある御質問でありがたく思っておりますが、行革審の報告では、警察といえども原則として人員を凍結していく、こういうことになっておりますが、やはり行政改革は各論になりますといろいろ反対といいますか、反対理由も出てまいりますが、警察や消防といえども原則としてはこの方針を尊重していかなければなりません。しかし、今中野さんおっしゃったように、犯罪の多発あるいは道路の高速化が大変広がってまいりますし、交通の取り締まりも大変な人員の必要を生じてまいりますし、また、都市化によって随分警察官の必要なところも出てまいりますし、関西国際空港も御指摘のようなことでございまして、そういう意味から、内部的には管理の面で節約できるところは節約をしなければなりませんけれども、やはり必要最小限度の増員がどうしても必要になるというような場面も出てまいります。そういうことも考慮をしながら、ひとつ治安に支障のないようにこれから私どもはやってまいらなければならない、このように思っております。
○中野明君 結局、行革で人間を減らしても治安の心配が出てきたら逆効果になってしまいます。先ほどの駐在所にしても、これ単身赴任をさせなきゃいかぬというような、独身者を行かさなきゃならぬというような事態もあることですし、やはりこれはそれ相当にいろいろ、今大臣がおっしゃったように、各論になってくるといろいろありましょうけれども、行政改革というのはむだなとこ
ろはどんどん切っていって、必要なところは思い切ってやると、それが行政改革だと私は思っております。そういう意味で、配置転換で適正な人事配置管理をして、それでうまくいくのならそれにこしたことはありませんけれども、新しい需要が見込まれてくるし、事件はだんだんだんだんふえてくるというような社会的傾向もありますから、ぜひその点は一応、これ大きな議論になってくると思いますが、治安の問題に不安を残さないような処置をお願いをしたいと思っております。
 それでは次の問題に移ります。
 交通事故の問題でございますが、交通事故が本年に入ってから少し減少しているというふうに報じられておりますが、この傾向はまことに結構なことだと思うんですが、これは今後もこういう状態が続くとはだれも予測できぬのですが、現在の交通事故の状況をどう見ておられますか。
   〔委員長退席、理事真鍋賢二君着席〕
○政府委員(久本禮一君) 交通事故の情勢につきましては先生御案内のとおりでございまして、広く見てまいりますと、事故死者につきましては、四十五年をピークにいたしまして九年連続減少しておりましたものが、昭和五十五年に再び反転をして増勢に転じました。昨年丸千人を再び突破したという傾向になったことは御承知のとおりでございます。
 その主な背景といたしましては、いろいろあるわけでございますが、主なものを申し上げますと、若年者の事故が増加をしているというようなこと。それから二輪、原付といったような新しい輸送手段による事故がふえておるということ。それから高齢者社会を反映いたしまして、高齢者の事故が増加をしたといったようなところに大きな最近の情勢の特徴があるわけでございます。その背景といたしましては、交通全体が肥大化し、過密化をしてまいりまして、さらに、そういった膨れ上がった交通がますます複雑に、かつ混合形態を増しているといったようなことで、構造的な側面もございますので、ほうっておきますれば事故増の傾向はとどまるところがないであろうという懸念はいたしているところでございます。
 ただ幸いに、先生御指摘のとおり、昨年の十二月から本年の前半にかけまして、事故死者が久しぶりに若干継続的に減っているという事実はございます。これは人によりましては、ことしは雪が余計降ったので、それで減ったんじゃないかというようにおっしゃる方もおられるわけでございまして、確かにそういう点もないわけではございませんが、これは率直に申し上げまして、最近若干減少しております減少のどの辺に問題があるかということを見てまいりますと、昨年非常に顕著でございました土曜、日曜に非常に事故死者が多いという傾向がことしは若干鎮静化しております。すなわち土曜、日曜に関する限り、昨年に比べてかなり事故死者の減少が多いという点が一つございます。それから、最近数年間ふえ続けでございました二輪、原付といったような事故が、本年の前半は、比べまして若干減少の傾向がございます。また、若年者の事故が確かに一般的にはふえておりますが、本年の前半に関する限りは横ばい含みの若干減少という傾向がございます。
 今申し上げましたように、最近数年間ふえ続けであったいわば要因の大きなものが、比較的はっきりと本年前半には減っているという点がございますので、これが幸いにことしの数字が比較的数の上ではいい結果をもたらしておる背景ではなかろうかと思うわけでございます。
 私ども、昨年のこういった事故増の傾向にかんがみまして、ことしはこういうような点に比較的力を入れたつもりでございますので、そういう点がもし影響があったとすれば、私どもとしては大変幸せだったというふうに思っておるわけでございます。ただ、そういう点では、構造的な問題に大きくメスを入れたというわけにはなかなかまいっておりませんので、こういう傾向が今後継続的に続くかどうかということになりますと、私どもとしては、そうそう甘い考えでいるわけにはいかないだろうというふうに考えておるわけでございまして、今までやっておりますことは、ある意味ではあくまでも対症療法でございまして、こういったような傾向を一つの手がかりにして構造的な事故減少の対策を少しでも進めることができればというのが私どもの現在の仕事の進め方でもあり、また将来に対しての願いでもあるというところでございます。
○中野明君 それで、交通事故は当然事故死ということにもはね返ってくるわけでして、非常にこれは痛ましいことでありますが、最近はマスコミもシートベルトの着用についてかなりキャンペーンも張っておるようですし、衆議院におきましても、交通安全対策特別委員会ですか、あすこでシートベルトの着用推進ということについていろいろ議論があるように聞いておりますが、当局として、シートベルト着用の推進についてどのような処置を考えておられますか。
○政府委員(久本禮一君) シートベルトが車の乗員の保護の面で有効でございまして、したがって事故による被害の増大を抑える効果のありますことは御承知のとおりでございます。したがいまして、わが国におきましても、昭和四十九年の九月に、秋の全国交通安全運動で初めてシートベルト着用推進を掲げまして以来毎年、春、秋の全国交通安全運動の重点として取り組んでおるところでございます。また、昭和五十年以降は、交通対策本部の決定によりまして、毎年八月をシートベルト着用推進運動期間といたしまして推進運動を実施をいたしておるところでございます。
 警察の施策といたしましては、いろいろ各種の講習あるいは教育の機会等を持っておりますので、こういうものを中心にいたしまして、啓蒙指導を行うと同時に、街頭におきまして着用指導等の推進に努めたところでございます。これは、各地方によりましていろいろこの点についての関心の濃い薄いも率直に言ってあるわけでございますが、特に関心の深い県におきましては、県の大きな安全運動の主眼といたしまして、総ぐるみでこの辺の推進に努めるということで、相当シートベルトの着用率の高い府県等も幾つか出ているようなところでございまして、こういったような空気あるいは運動を推し進めることによりまして、シートベルト着用の意識あるいは習慣が増大してくれるということを強く希望もし、期待もしているところでございまして、こういったようなことを中心に今まで進めてまいったというのが実情でございます。
 ただ、先生御指摘のとおり、最近とみにシートベルト着用につきましての各方面の関心と御意見が高まっておるということは私ども認識しておるわけでございまして、そういう点を踏まえまして、本年は例年の着用強化月間に加えまして、警察庁といたしましては、特に独自のシートベルト着用強化月間を七月、八月と両月間設けまして、全国の警察に、この点を重点としての着用率の向上を目指して、指導啓蒙を含めた街頭活動の強化を指示いたしまして、現在これを大いに進めておるところでございます。
○中野明君 結局、シートベルトをつけておったがゆえに命が助かったという例もかなりそれぞれの調査で発表されていることなんですけれども、まだまだシートベルト着用の関心というものは低いようです。これは、私どももときどき外国へ行かしてもらいますが、ほとんど向こうの人は、もう乗ったらさっとつけるようになっていますね。自然に習慣になっているようですが、日本の場合は、国土も狭いというせいもあるんでしょうか、シートベルトをつけて走っている人というのは少ないように私も感じております。
 そういうことで、何かこれを義務づけるというんですか、そういうような方策というものをお考えになっているのかどうか。その辺はどうなんでしょうか。
○政府委員(久本禮一君) 御指摘のとおり、シートベルトの着用につきましてはなかなか煩わしいという点もございまして、着用率を高めるといった目標にもかかわらず実績が上がっていないということは御指摘のとおりでございます。その点私
私どもも大変残念に思っておるわけでございまして、これを進めるということにつきましては平生から関心も持っておりますし、また、おっしゃるようなシートベルトの着用義務を強化するという点につきましてもいろいろ検討はいたしているところでございます。
   〔理事真鍋賢二君退席、委員長着席〕
 ただ、これはいろんな機会に申し上げているところでございますが、シートベルトの着用が事故の際の被害を大きくしないために大変効果があるということは明白な事実でございますが、反面、これは自分自身で関心を持ち、これを締めるということが大切だ、シートベルトを締めないでけがを大きくするのは結局自分自身の問題だ、したがってこれは義務を課してこれをやらせるということよりは、本人の関心を高めて、それでみずからを守るという意識を強く持たせて、その上で着用させることが望ましいという議論が非常に根強いわけでございまして、私どももこういった一般の考え方を踏まえまして、この問題は強制的に制度でやるよりは、そういった長い階間をかけても関心を高めるような方向ですることが望ましいというふうに考えてきたことは事実でございます。
 ただ、最近の我が国の議論の傾向あるいは外国の事例等を見ますと、この辺につきましても多少考え方が徐々に変わっておるというところがございます。なるほど本人がぼやぼやしておって、それで事故に遭うんだから自業自得じゃないかということかもしれないけれども、しかし本人の不注意によって事故が起き、その結果、社会的ないろいろなコストを高めるということでやはり世間に迷惑かけているじゃないか、したがって、それは単に自分自身が被害を負うという以上の社会的に大きな影響を及ぼすんだ、やはりこれは強力に指導してシートベルトをつけるということもやらせるべきではないかという議論が徐々に高まっておることも事実でございます。また、そういったような考え方が国際的にもあるいは広まったのかと思いますが、外国におきましても、シートベルトの着用につきましてこれを義務化するという事例がぼつぽつふえております。特に、こういう点につきまして比較的慎重であったと伝えられておりますような英国であるとかあるいは西ドイツであるとかという国におきましても、その辺の問題についてはかなり見直しの機運あるいはそういった動きが具体的にあるということもございますので、やはりそういう情勢の変化あるいは考え方の進展というものも私どもとしては事実として踏まえていかなければならないかなというふうには思っております。
 したがいまして、この問題は十分慎重に考えていかなければならないとは思いますが、同時にこの辺の情勢も踏まえまして、私どもとしては必ずしも既往の考え方にとらわれることなく、やはりその辺の事情をも踏まえて、前向きにこの点を議論していこうという気持ちは十分に持っております。
 御指摘のとおり、今国会におきましては、衆議院の交通安全対策特別委員会等でも、党派を超えてこの辺についての関心の高い議論ございましたので、その辺も十分に踏まえて、今後のあり方につきまして検討を前向きに加えてまいりたいと思っております。
○中野明君 けさも国会に来る前にちょうどテレビを見ておりましたら、アメリカでは、何か自動車が衝突をしたそのショックがあるとすぐ空気が出てきて膨れる風船のようなものを自動車に備えつけることをメーカーに義務づける法律というのが、何年か後からですね、三年ぐらい後からですか、それが成立したとかせぬとかというようなニュースを出していました。
 要するに、交通事故によって人間の生命が失われるということについては、これはもう本人の確かに自業自得と言えばそこまでかもしれませんが、これはもう被害者が加害者であったり加害者が被害者であったり、交通事故というのは非常に悲惨なものです。
 それで、そこまで諸外国とも真剣になって考えておるときですので、せめてシートベルト着用ということについてもう少し積極的に検討を加えていただいて、何かこう義務化するようなことをして、やはり守っていかなければいかぬのじゃないかなと、私もそのように思っておりますので、せっかくの検討をお願いしておきます。
 それじゃ次の問題に移らしてもらいます。
 最近は日本の暴力団も武装をするというようなことで、けん銃とか、一昨日でしたか、猟銃を持って夜中に暴れて、近所の人も大騒ぎしたというような事件も起こっておりますが、非常に厄介な問題なんですが、密造けん銃というものが時折摘発されているわけですが、これは年間にどれぐらい摘発されているものなんですか。
○政府委員(鈴木良一君) お尋ねの密造けん銃と申しますのは、ことしでございますと、ことしの一月から六月までのデータでございますと、三百四十五丁、密造けん銃が押収されております。
○中野明君 大体見つけて押収したのがそれで、それ以外にもやはり見つからない分でかなり入っているんじゃないかと私は想像するんですが、その辺はどういうふうに思っておられますか。
○政府委員(鈴木良一君) 密造ということで先ほどお答えをいたしましたけれども、これ以外にもいわゆる真正のけん銃というものもあるわけでございまして、こういうものを合わせますと、ことしの上半期に千六十七丁全部で押収をしておるわけでございます。ことし特にフィリピン・ルートによりましてコンテナの中に隠匿されました大量の密輸入のけん銃を押収しておりますけれども、やはりそういうふうな形で水際で検挙したものもあるわけでございますが、実際に暴力団から、先ほど言いましたように、押収した真正けん銃というものも昨年中だけで六百二十五丁もあるということでございまして、相当数のものがやはり取り締まりの網の目をくぐって暴力団に流れておるというふうに見ておるところでございます。
○中野明君 それで、今お話しのフィリピンから密造けん銃、これが挙げられて、コンテナの中に入っておったということなんですけれども、一度調べられたときには、わずかのしか見つからなくて、またほかに同じコンテナの中に隠してあったというようなことが報じられているんですが、これはその状況はちょっとどんなことなんですか。せっかく押さえても、もしそれがそのままで発見されなかったらそれが流れてしまったということになるんですが、一遍の捜索で、同じコンテナの中で隠してあるところがわからなかったというようなことが言われているんですが、その事情はどんなことだったんですか。
○政府委員(鈴木良一君) お話のとおり、最初にかなりの数を押収したわけでございますけれども、やはり犯人の自供とどうも話が合わないという問題もございまして、もう一度再捜索をいたしまして残りの物を押収したということでございますけれども、これが隠し方が大変巧妙でございまして、コンテナの中のドアの上部に取りつけられました補強材、その中の一部をバーナーで焼き切りまして、そしてけん銃を土砂と一緒に隠しまして、さらに再び溶接してコンテナと同色のペンキで巧みに塗装しておる。これが後から出てきた部分であるわけでございます。前の隠している部分と違う形で隠しておるというようなことで、後から発見をしたということでございますけれども、実際にこれはコンテナを全部壊さないと、なかなか本当に全部最初から見つけようということになりますとわからないという状況もあるわけでございまして、やはりそういう情報等に基づきまして、あるいは犯人等の自供等も合わせまして捜査をしていかなければならない問題である、かように考えております。
○中野明君 今後ますます巧妙になってくるでしょうから、せっかく摘発しても、もし自供がなかったらということを考えると何か心配な感じがするんですね。自供がうそであったとしたら、そのままコンテナの中に残されて、それが何かの形で処分されたら、隠しておった半分なら半分は無事に流れてしまったら非常に厄介なことになるわけ
です。もちろんこれ摘発できなくて、自然にやみで流れた部分というものはどうしようもないかもしれませんけれども、非常に暴力団の抗争も起こっておりますし、先日も徳島で、御承知のとおり鳴門市で襲名式が、警察の警告ですとか、住民の不安も無視して行われたというようなことも伝えられております。
 そういうことで、非常にこれから先、暴力団の抗争というのがさらに強くなってくるでしょうし、やはりこれは、そういう密輸を未然に水際で防ぐということは非常に大事なことになってまいりますし、非常に何かこういう常識で考えられないような、けんかの腹いせに猟銃を撃ちまくるとか、そんなことを平気でするようなことになってきておりますので、善良な住民としてはこれ大変な不安でございます。
 そういう点について、何かこう、取り調べる側よりも向こうの方がさらに巧妙になってきているというような傾向がございますので、ぜひこれは完全に捜査をしていただいて、そしてこういう厄介なものが入り込まないように最善の努力をしていただかないとならぬのじゃないか、このように思います。何かせっかく調べられても、また半分ぐらいうまく隠しであったのが後から見つかったと、こういうようなことになりますと、非常に心配をして申し上げているわけでして、どうかひとつよろしくお願いしたいと思います。
○政府委員(鈴木良一君) けん銃の密輸というものは大変な問題でございますので、私どももできる限り水際で捕まえるということで強力な取り締まりを推進しておるところでございます。やはりこういうためには何としても情報で勝負をするという形の一つの捜査の進め方がなければいけませんし、先ほどのように、なかなか相手のやり口も巧妙になっておりますから、そういうものを上回る我々も捜査手法を工夫していかなければならないということで、鋭意努力を続けてまいりたいと思います。
 さらに、こういう問題は関係機関、特に税関等と十分緊密な連絡をとりまして、さらに一層水際検挙のための努力を続けてまいりたい、かように考えております。
○中野明君 密輸でもう一つの問題は、やはり覚せい剤の問題でございます。最近は覚せい剤で非常に犯罪も起こっておりますし、特に伝えられるところによりますと、二十代、三十代の主婦、女性の間に覚せい剤の乱用の実態が顕著になってきているというようなことが伝えられておるんですが、この覚せい剤の現状、これはどう認識されておりますか。
○政府委員(鈴木良一君) 昭和四十五年以来、十年以上にわたって覚せい剤事犯は増加を続けてまいりまして、ここ二、三年増加傾向がやや鈍化いたしましたものの、高原状態が続いておる。五十六年度以降は毎年二万人以上の検挙者がございまして、昨年も二万三千人余りの検挙になっておるわけでございます。
 先ほど言いましたように、ちょっと鈍化したと申しましたけれども、ことしに入って、また昨年を上回る勢いで増加を示しております。五月末までのデータで申しますと、一万五千九百件余り、一万二百人余りを検挙をしておりまして、昨年の同期に比較しまして、件数では約五・九%、人員では七・九%の増加を見ておるという状況でございます。覚せい剤の押収量も激増をいたしておりまして、ことしの六月末現在で既に、昨年全体が九十九キロでございましたけれども、ことしの上半期だけで昨年の全体を上回る百三十キログラムを押収しておるという状況でございます。
 最近の特徴を見ますと、一つは、暴力団の検挙者がまた増加し始めているということでございます。それから、女性の増加が続いておるということでございます。押収の状況から見ますと、従来は韓国からの密輸入が多かったわけでございますが、ことしに入りまして台湾からの大規模な密輸事犯が目立っているという状況でございます。
○中野明君 それで、大変一般の家庭にまで浸透してきているということで、私どもも非常にこの事態を憂慮しているわけなんですが、その中での大麻、これは意外に芸能界の人なんかが安易に乱用しているということが時々報じられるわけなんですが、それで、余り外国では構わぬようになっている国もあるんでしょうか、余り悪いことをしたような感じを持っていないんですが、この大麻に対する事犯について今後どのような措置を講じられるつもりですか。
○政府委員(鈴木良一君) 大麻事犯といいますのは、これはやはり覚せい剤と同じようにずっと増加傾向を示しております。四十年の初めごろから増加傾向を示しておりまして、五十三年以降では毎年千名を超える検挙人員を見ておるわけでございます。この乱用はやはり青少年層に多く見られる、それからまた、今お話しの、いわゆる芸能関係者の乱用事犯も後を絶たないという状況でございます。これは、一種の海外旅行ブームだとか、あるいは海外における大麻を吸煙したという体験、あるいは一部外国の船員等を含む不良外国人などによる密輸、乱用、あるいは一種の大麻の乱用が風俗あるいはファッションの一つであるような風潮がある、そういうことに基づいてやはりふえておるという感じがあるわけでございます。
 これは覚せい剤と同じように大変問題のものでございますので、私どもはやはり水際、空港なり港湾でのチェックを強化して大麻等の国内流入の禁止を図っていく、それから末端乱用者等を徹底して検挙していく、それによって密売組織あるいは密輸グループというものを糾明していくということで、覚せい剤と同じように強力な捜査を推進しているところでございます。
○中野明君 厚生省は来ていますか。この大麻の問題については厚生省、何か実態を把握しておられるんでしょうから、対処の方法。
○説明員(山本晴彦君) ただいま警察庁の方からお話ございましたとおりでございますが、私どもといたしましては、国内で野生いたしております大麻を抜去いたしまして使用する者等ございますので、こういう点を含めて、大麻の生育期間でございます四月中旬から六月中旬こうしたものを除去するというような運動、あるいは啓発活動を通じまして国民に広くその有害性を周知いたしまして、こうしたことの起こらないように努力いたしておるところでございます。
○中野明君 この大変凶悪な事件も麻薬の中毒患者が起こしているということが起こっておりますし、この覚せい剤汚染ということについて今後のPRといいますか、キャンペーンというんですか、これをどういうふうにしていかれるのか。これ国民的に盛り上げていかなきゃならぬと思うんですが、具体的に今後の対策をどう考えておられるか、その辺。
○政府委員(鈴木良一君) 覚せい剤にいたしましても大麻にいたしましても大変危険なものである、有害なものであるという認識が国民の中には、残念ながらまだ浸透してないという感じがするわけでございます。乱用の主な動機をいろいろ聞いておりましても、気持ちがよくなるからちょっとだけやったとか、あるいは好奇心でやったとかというようなものも大変多いわけでございます。そういうことで、やはり非常に危険なものであるということを徹底して広報していかなければならないというふうに考えております。そういう意味で、警察といたしましては覚せい剤の恐ろしさを、パンフレットなりあるいは駐在所等が発行しておりますミニ広報紙なり、そういうものを効果的に活用してまいりたい、あるいはまた駐在所、派出所等でいろいろの座談会だとか等がありますけれども、そういう機会を利用いたしまして積極的に広報をしてまいりたい。
 なお、いろいろこういうふうな問題について気軽に相談できるような態勢というものも大事だと思いますので、既に覚せい剤の相談電話というものを設置してやっている県がございますけれども、そういうふうな形のものをさらに推し進めて、覚せい剤が大変怖いものだということを国民に知らせる努力をさらに続けてまいりたい、かように考えております。
○中野明君 それじゃ、最後に大臣にお尋ねして終わります。
 この覚せい剤の汚染というのは、これは必ず犯罪と結びつき、裏には暴力団も絡んでおります。何か政府の広報というんですか、そういう関係から、テレビのコマーシャルなんかを活用してでも国民にやっぱり周知徹底さしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。専売公社はたばこのPRをやっていますけれども、あれは逆にたばこはまたPRすることに反対の人もおるわけですけれども、この覚せい剤という問題は、これはもうだれが考えても人間をだめにして、そして犯罪を誘発することになるわけですから、当然政府の広報の一環として積極的にPRの対応を考えていただきたい、私このように思いますので、最後に大臣に御答弁をいただいて終わりたいと思います。
○国務大臣(田川誠一君) 大変重要な御提言でありまして、現在でもテレビ、新聞等でPRをしておりますけれども、関係省庁と連絡をとりながら、さらに徹底をしてまいりたいと存じております。
○神谷信之助君 今まで同僚議員の方から警察官の不祥事件についていろいろ質疑がありましたけれども、大臣もこの間の本会議の答弁でおっしゃっているように、命がけで容疑者を追跡をし、殉職をするというような第一線の警官の勇気ある行動、しかも本当に痛ましい結果を生むそういう行動があるだけに、私は不祥事件が起こるというのは大変残念に思いますね。とりわけその不祥事件の中でも、警視とか警視正とか、いわゆる上級幹部が起こしている問題に私は非常に注目しているんです。警官になって十分にまだ教育訓練をされていないとか、あるいは生活に追われてサラ金苦に悩んで事件を起こす、それはそれとして重要な問題だけれども、そういったことが気軽にというか、上司に相談をしたりやれないところの原因の一つに、やっぱり幹部警官の姿勢というものが問われなければならないんじゃないかというように思います。
 先ほどから、長官の特命による特別監察が兵庫県警で行われたその報告をお聞きをしました。これはもう重複しますから改めて聞きませんが、その結果に基づく報告の内容を聞いてみましても、対症療法はあるけれども、具体的にサラ金で困っているんだから、そういうのをちゃんとわかるようにしようとかいうことで幾つか、どれくらい借金をしているか、あるいは警察の信用組合ですか、そういうのをうまく使おうとかいうことなんだけれども、それだけが余り強化されていくと生活まで管理をされているような感じがしてくるんですね。それでなくても警察官とか公務員とか、あるいは政治家もそうだけれども、世間体というか、それなりの、みずから厳しく律しなきゃならぬ状況にあるのに、生活の一々に至るまで管理をされる感も、そういう危険も感じたりするんで、この辺は私は十分考えてもらいたい。その点だけは、この問題でもう再び聞きませんから、聞かないで申し上げておくだけにしておきます。
 そこで、具体的な問題、先ほどもちょっと出ましたけれども、例の兵庫県の姫路市の市役所の下水道管理センター技師の松尾何がしの市街化調整地域における山林の不法造成に関する贈収賄事件、これに絡んで、先ほど話がありました竜野署長がかけマージャンをしていたという問題が起こったわけです。だから、初めの事件の概要はいいですから、このかけマージャンの一件についてはどのように把握されているか、ちょっと報告をしてもらいたい。
○政府委員(太田壽郎君) ただいまお尋ねのございました兵庫県警察の前の竜野警察署長、これが姫路警察署の副署長として勤務しておりました当時、これは五十六年の二月から五十七年の九月までそのポストにおりましたけれども、管内の識者との交際をいろいろ深めていくという過程の中で、それらの人たちとマージャンをするということになったものでございます。同人が参加をいたしました際のマージャンの内容も、親睦を深めるためのいわゆる社交の範囲内で行われて、その場の飲食代等を賄う程度のささやかなものというふうに聞いております。ただ、そうした人たちの中に、今お話がございました、本年六月収賄被疑者として逮捕されました姫路市役所の職員が加わっていたというものでございますが、本人とその市職員との関係は、先ほどちょっと申し上げました、管内の識者とマージャンを行う際に時折そのメンバーに加わっていたという程度のものでございます。ただ、本人は警察の信頼を損なったということで、非常に申しわけないと、六月十六日、辞表を提出いたしましたので、六月十八日付で依願退職を認めたという状況でございます。
○神谷信之助君 今の報告を聞いていますと、交流を深めるためにささやかなマージャンをしたんだという報告ですが、しかし報道では「一晩10数万、公舎で再三」という見出しで報道されているわけですよ。御本人自身、県警でマージャン名人の三人のうちの一人やという日ごろから自慢になさっていたらしいんだけれども、しかも公舎を使って、何回か少なくともマージャンやっていますね、かけマージャンを。これはどういうことなんでしょうかね。それは不問に付していいような問題なんだろうか。
 私、去年当委員会で当時の芦屋署長のかけマージャン問題を取り上げたときに、あのときも、かけ金の金額が比較的少なくて、報道されて社会的批判を受けているからというようなことで、懲戒免じゃなしに諭旨免職になったということでしたということ、私はいろいろ意見を言ったんですけれども、かけマージャンを取り締まるべき警官、しかもその署長が公舎を使ってやった、その金額がささやかだから別にそれは構わぬのだということでまかり通るのか。そこへ集まった人が、実際にやった人が、いやそんなささやかなものじゃありません、一晩に十数万ぐらい金が動いたんですよと言う人はそうないでしょう、言えばその人も賭博の罪に問われるわけだから。だから、みんなささやかなことだ、飲食代をかけたぐらいのことだと、そんなことじゃないと思うのだけれども、これ。この辺はいかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) 公舎でそういう、非常に額は少ないとはいえ、かけマージャンを行ったというようなことは警察幹部としてあるまじき行為であるというようなことでございます。そういう私どもも認識は持っております。
 それで、ただいま申し上げましたようなことで依願退職という処分――処分といいますか、依願退職という形になったものでございますが、ただ、本人が同席をした場合には一応一万円前後といいますか、その程度の金額だったというふうに聞いておるところでございます。
○神谷信之助君 マージャンは、一万円程度のマージャンならかけマージャンと言わぬのですか。
○政府委員(太田壽郎君) 一万円程度であっても、かけマージャンということであろうと思います。
○神谷信之助君 そうすると、かけマージャンをしたことははっきりしている、一万円程度であろうと。よっぽどマージャンの好きな人だし、うまい人であるんでしょう。だから、御本人の談話が出ていますが、「かけマージャンをしていたのは単なる遊びではなく、管内情勢の把握、職務の円滑な推進という意味もあった」のだという弁明もしているというふうになっているんですね。だから、情勢の把握、いろいろの情報をつかみ、結果がよかったら少々途中の手段は悪くてもいいという考え方は、警察はまかり通るんですか。
○政府委員(太田壽郎君) やはり情報をとるにしてもクリーンハンドでなければいけないということは当然のことでございます。
○神谷信之助君 だとすれば、私はやっぱり問題だと思うのですよ。これは県の監察官室が監察官を派遣をして事情聴取を始めるというんですが、いつからですか。
○政府委員(太田壽郎君) さっきも申し上げましたように、本件は六月四日、関係者の一人を宅建法違反で逮捕し、さらに六月の十一日、市の職員
を収賄容疑で逮捕したという状況でございまして、その取り調べの過程から本件が浮かび上がってきたという状況がございますので、詳細な日時はちょっと今はっきりいたしませんが、この収賄事件で逮捕して、取り調べが若干進んだ段階で本件が浮かび上がり、それに関連して監察的な面の調査もしたということでございます。
○神谷信之助君 報道では、十六日の朝から監察官を向けて事情聴取を始めた。だから、監察官から事情を聞かれて、これはもう弁解の余地もないということで辞表を十六日に出したんだというんですね。十八日付で退職と、こうなった。私は去年も言った、芦屋署長の例もあると。芦屋の署長の場合は懲戒免か諭旨免職かということで、懲戒免という意見もあったけれども、そういう諭旨免職ということになった。諭旨免職ということであれば普通退職金は保証されるんですね。懲戒免では退職金ももらえなくなります。この人も、恐らく六月十六日に辞表を出して十八日に退職ですから、これはいろいろと形式ありますね、割り増しがつく退職方法をとっているのか、あるいは一般普通退職、本人の責めによる退職ということで通例の退職金だけなのか、プラスアルファ出ているのか、その辺はちょっとわかりませんが、しかし兵庫県警では署長がかけマージャンやってもちゃんと退職金を保証される、諭旨免職となろうが依願退職になろうが、やめればもうそれは許してもらえると、こういうことになるということになるんでしょう。
 去年聞いたときには、バランスもあるということで諭旨免職ということになったんだと。バランスと言えば、この人も諭旨免職にならなきゃいかぬ。しかし、この人の場合はすぐ辞表を出したからそれでよろしいということになるのか。ちょっとその辺の経過、もう少しはっきりしてもらいたいと思います。
○政府委員(太田壽郎君) 本人の場合には依願退職という形でございまして、退職金の支給は受けておりますけれども、名誉昇任という昇任制度の適用は受けてないということでございます。
 それから、おっしゃるように、かけマージャンであるということは、もう厳密な意味でのかけマージャンであるということは間違いございませんけれども、ただ、その金額がさっき申し上げましたようなささやかなものである、その場での例えば飲食等に費消し得る程度の範囲内のものであるというようなことから、それに、さらに社会的な制裁というものも非常に大きなものを受けたというようなことも勘案いたしまして、刑事事件としては問擬をしないという方針というふうに聞いております。
○神谷信之助君 だから、先ほど同僚議員の質問に対して官房長は、信賞必罰をしっかりやるのだと言うけれども、信賞必罰、これがはっきりしておらぬのだよ。警視でしょう、この人は。警視という、県警で言えば幹部の一人だ。そういう人がかけマージャンをしたということがはっきりしても、本人が認めても、いろいろな自認というか、自供というか、自白とかいうそれは、法律、刑法的にも刑法犯罪という点での追及もしないし処分もしない。これは、やめて当たり前なんで、やめてもらわなきゃ部下はついてきませんよ。そのまま署長がやれと言ったって、だれも相手しませんよ。そんなことは明らか。これはやめざるを得ぬのははっきりしている。それに対して厳しい措置をしないという、そこのところが仲問うちのなれ合い、甘いと思う。
 先ほども同僚議員から出ていましたけれども、うやむやで、悪いことが見つかったらさっさとやめて、別に処分もされぬ。それだったら、おれらもやれる範囲内でやり得じゃないかと、こういうものがやっぱり根底に全体としてあるんじゃないですか。この辺はどうお考えですか。
○政府委員(太田壽郎君) 本人の場合には、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、まだ数年は勤務し得るような年齢でもあるというようなことで、しかし、みずからの不徳というものを深く反省して身を引きたいと、警察署長としてふさわしくない行為であるということも勘案いたしまして依願退職ということになったものでございます。
○神谷信之助君 そこで、そういうことで兵庫県警はそうしたんですよ。一連のそういう不祥事件、特になぜ兵庫県警かと言われるようなそういう批判になっている状況の兵庫県警でそういう措置をされた。それについて警察庁自身はどういう評価をしている、それでよろしいといいますか……。
○政府委員(太田壽郎君) 警察庁といたしましても、現地の警察本部長がいろいろな事情を総合的に勘案して決定したということでございますので、その判断を尊重したいというふうに考えておるところでございます。
○神谷信之助君 どうですか。警察庁として少なくとも、どの辺で線を引くか知りませんが、警視以上とか署長とか、そういう上司と言われる、部下を管理監督する責任を持っている人が、たとえささやかであろうと、刑法違反のそういう行為があった場合には、これはもう厳罰にするというのをちゃんと指導方向としてはっきりする必要があるんじゃないか。綱紀の粛正というのはそういうことじゃないんだろうか。当該の県警本部長が責任を持ってそう決めたんだからそれはそれでやむを得ないという、そういうことではなしに、私はその点、検討してもらう必要があると思うんですね。そうしなかったら、それぞれのところが、本人がもうそれでやめますと。この人は五十五歳ですか、報道によると。だから、まだ数年あるのをおやめになるんだからそれだけでも大変だ、制裁措置だと、そんなことではちょっと世間通らぬと思う。一般の公務員なら、それはもう本当にやられたら逆に警察が入ってきますよ。出てきたら呼ばれますよ。そして送検をされるとこまでぐっぐっぐっと詰められますよ、かけマージャンがわかったら。
 公舎が賭博場にされたんですよ、副署長公舎が。警察の公舎が賭博場、ばくち場にされている。それに対して、県警本部長がそう言っているんだからいいやということで私は世間は通らぬと思うんだけれども、どうですか。
○政府委員(太田壽郎君) 確かに、多数の部下を持って警察の仕事をやっていく、こういう上に立つ者はみずからを正すべきはもう当然のことでございます。特に、警察署長あるいは副署長というような立場にある者は清廉潔白を旨として、決して疑惑を招くことのないように常々心がけて、また行動もそういうふうにしてまいらなければならないと、これはおっしゃるとおりでございます。
 ただ、本件の場合につきましては、繰り返しになりますけれども、兵庫県の警察本部長が任命権者としていろいろな問題を総合的に判断した結果、この署長の場合は今申し上げたような形での依願退職ということで、今後の県警の運営についても支障がないうまくいくという判断を下したものでございますので、私どもといたしましてもその判断を尊重したいという立場をとっているわけでございます。
○神谷信之助君 いや、今から兵庫県警でとった態度を変更せいとか、そんなことを言ってるのじゃない。ただ、これからは、こういう事件に対していわゆる懲罰の基準といいますか、この点を警察庁として検討して――疑惑をかけられるだけでもぐあい悪いという場合もある、この場合は実際にかけマージャンをしたということを認めているんだから、その場合には我々はこうすべきだ、これからはというような指針といいますか、基準というか、そういうものを、今さら県警本部長が決めたやつを変えろとかどうとかということはできないでしょうから、そういうものを僕は考えるべきではないかというふうに思うんですよ。この点いかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) これは昨年の際にも御指摘がございまして、いろいろその種の問題について検討はいたしてわりますけれども、なかなかケース・バイ・ケースの問題でございますので、文章にした形での基準的なものはつくりにくいといいますか、直ちにはなかなかできにくいという
点がございます。ただ、それぞれの県にはやはりそれぞれの県の内部でこの種の事案についてのいろいろな前例といいますか、そういうものがあるのもまた事実でございます。その辺につきまして、警察庁といたしましても余り極端な格好で格差ができないようにいろいろな機会を通じて調整をしていくというようなことは当然やらなければいけないことだろうというふうに考えているところでございます。
○神谷信之助君 そういう言い方をされると私はちょっと気になるんですよ。例えば京都府警は同じようなかけマージャンやった署長に対しては懲戒免をばっとやると、そしたら警察庁は、兵庫県警ではせいぜい諭旨免職だ、依願退職にした例もある、おまえのところはきつ過ぎる、バランスをとれと、こういうことになるんですか、今の話ですと。
○政府委員(太田壽郎君) 具体的なケースについて警察本部長が決定する権限がある、これはもう当然のことでございます。
 ただ、そういう場合に、警察本部長が判断をする際に一つの参考になるようなものという資料の一つとしてそういうものがもし可能であれば、いいものがまとまってくれば、それはそれぞれの参考として供覧に付するというふうなことはあり得るんではないかということでございます。
○神谷信之助君 ちょっと国家公安委員長にこの点をお願いしますがね。
 やっぱりそういう責任ある立場にある人の犯した過ち、あるいはこの場合はかけマージャンですからはっきり賭博の罪に問われる事案ですね。そして否定されていない、事実も認めておられるという場合に、依願退職でやめたらそれで終わりというような考え方というのは、私はどうも世間は納得しないだろう。これは部下でも納得しない問題じゃないかと思いますね。だから、警官と、あるいは署長とマージャンしていたら賭博の罪に問われぬということになるわけですからね、これは。そういう事案ですから、これは前例を幾つか出して、こういう場合はこのくらいの処分は最低しなさいよと言えば今まで処分やったのが間違っているかのような印象を与えますから、官房長はそういう点を苦労して、どういう表現にするか、文章上の問題だとか文章にするのがなかなか難しいという点もあるでしょうが、ある程度の基準なりあるいは口頭の指示なり何なりの方法というのは考えてしかるべきだというように思いますから、これはひとつ。それなら官房長から述べてください。
○政府委員(太田壽郎君) ちょっと大臣のお答えの前に私から一音。
 さっきもちょっと申し上げましたけれども、本件は確かにかけマージャンであるということはそのとおりでございますけれども、直ちに刑事責任を問い得るようなものかどうかということは、さっき申し上げましたように、その場の飲食等に費消してしまう程度のものである、非常にささやかなものであるということから、直ちに刑法の犯罪構成要件を充足するものではないんじゃないかという判断が一つあるわけでございます。念のためにちょっと申し上げさしていただきたいと思います。
○国務大臣(田川誠一君) 先ほど来申し上げておりますように、厳しい規律を要求される警察官、特に指導的な立場にいる警察官は身を正しく処していかなければなりませんし、清廉潔白で、いやしくも疑惑を招くようなことがあってはなりません。そういう意味から、上に立ては立つ人ほど、もしそういういかがわしいことをしたということであれば厳罰に処していかなければならない。今後も、またこれまでも、私、就任以来、やっぱり処罰はできるだけ厳しいなと言われるくらいに警察官は厳しく処断をしていかなければならないと、こういう姿勢で臨んでいるわけでございます。
 この姫路の問題は、詳しいことはわかりませんけれども、現場の本部長がそれ相当にやられた扱いであるというふうに思っておりまして、いろいろかけ金の金額の問題だとかあるいはそれまで果たしたいろいろな役割とかいうようなこともあるんでございましょう。しかし、一般論としては、上に立つ人ほど厳しく処断をしていかなきゃならぬ、こういう考えております。
○神谷信之助君 官房長、先ほど事案にはしにくいようにも言われましたが、去年の芦屋の署長の場合は借金の証文があっても立件できなかった。今度はそんなやつがないんだから、口裏合わせればできませんよ。だから、僕はなかなか立件するのはそれは難しいだろうと思うけれども、だからといって依願退職で済まされる問題ではないという点は、もう一遍重ねて言いますし、公安委員長の方もひとつその点を含んでもらって、おっしゃるように、上に立つ者ほど襟を正さなきゃならぬ、そうしないと示しもつかないしということですね。だから、今後ひとつその点は公安委員会でも十分検討してもらいたいと思うんです。
 次の問題に移りますが、次は、ことしの四月十五日の午前五時半ごろに、岐阜県警の留置管理官の大脇警視が自殺をした事件であります。これは県警の監察課の方も調査をされて、それに基づいて処分がなされました。
 ちょっと処分の内容なんですが、亡くなった大脇さんは減給処分をなされて、あと長官訓戒が一、長官注意が一、本部長訓戒が一、本部長注意が一というんですが、これはどういう地位の人かということですね。
○政府委員(太田壽郎君) 当該警察署長は本年の三月末に退職、もう退職のほんの数日前に本件が明らかになったというようなことから、いわゆる懲戒権を発動する時間的な余裕もないということでございましたので、警視正承認の申請を取り下げるという異例の措置をとりまして、退職時表彰等の栄誉も一切認めないということの処分をいたしたわけでございます。これは非常に名誉というものを重んずる、長年警察に職を奉じた人にとっては非常に厳しい内容ということになっておるわけでございます。
 それから、署長を補佐すべき立場にございました当時の警察署の次長、これはただいまお話しございましたように減給百分の三、一カ月という処分になっております。
 さらに、当時の岐阜県の警察本部長、これが警察庁長官訓戒という処分になったわけでございます。
 その他、県警の警務部長等が注意処分を受けているということでございます。
○神谷信之助君 これは昨年七月の二十五日に当時の関署の署長、次長が遊技場組合から現金五十万円の寄附を受けて、正規の手続を踏まないで物品の購入やその他をやったということになっているんですね。したがって、監察課が入って、結局これらの代金合計五十万円は全額業者に返還をしたというように報道されています。だから、それはそれなりに私は一歩前進をしているというように思うんです。
 ただ、こういう慣行というのはまだまだ相当続いていたし、現在でもまだ残っているんじゃないかというんですね。私が五十年の、今から八年前になりますが、六月に当委員会で質問したときに、例えば警察署で武道場の道場開きやると、そのときに防犯協会やら、あるいは交通安全協会とか、こういうところに招待状を出す。そうしたら、来られる人は手ぶらで来るわけにいかぬから、お酒を持ってきたりお祝い金を包んでくる。それをむげに断るわけにいかぬからそれを受け取って、終わった後慰労する、あるいはお金の方はプールをしてレクリエーションやその他に使うという話が、これは当時の下稲葉さんが答弁なさっているんですよ。だから、五十年当時はそういう状態がまだずっと続いている。
 昨年は、当委員会で同じようようにやったときには、例の宝塚市の清澄寺の問題ですね。これで、会計法に照らして正規に納入をし、そしてちゃんと支出をするという手続をすべきだという答弁が初めて明確に出てきたわけです。そのときに、そういった内容については具体的に指示をす
るという話でしたけれども、その次聞いたときは、官房長は、口頭で言っているけれども、具体的にはまだ文書では出してませんけれども、そういう指示はやりますということでした。しかし、その後やっぱりこれは起こっているわけです、岐阜で。だから、いまだに何といいますか、そういう裏金の存在といいますか、正規に入れないで、それで公金にしないでやるという状況というのは、なお相当残ってきているんじゃないかというふうに思います。だから、今回の処置というのは厳しくなさいましたから、これは全国的にも一つの警告になるでしょうが、そういう点が一つあるんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) 寄附の抑制につきましては、機会あるごとに各都道府県警察を指導しているところでございます。
 ただいま御指摘がございました、昨年当委員会で御指摘もございまして、その後の警察本部長会議等の席におきまして、警察庁の立場として各警察本部長にもその趣旨を徹底をさせたと、今回のこの岐阜の事案で当時の警察本部長に対してまで長官訓戒という処分が行われたということも、今申し上げましたような経緯を踏まえてのことというふうに御理解賜りたいというふうに思います。
○神谷信之助君 そこで私は、もう一歩進めて、そういう寄附は断るということにしたらどうですがというように思うんです。
 寄附される団体というのは警察の取り締まりの対象団体ですね。例えば遊技場組合とか、それから協力団体とは言うけれども、防犯協会とか交通安全協会とかいうのも一面では協力団体であると同時に、一面ではまた取り締まり対象団体ですね。だから、寄附をもらえばちゃんと公金にして、そして明確にガラス張りにするというのも一つの前進ですけれども、それでもやっぱり出した方は、言うたら警察にちゃんとつけ届けしているという気持ちを持ちおるわけですね。だから、そういう外郭団体あるいは協力団体あるいは取り締まり対象団体、こういうのはもう一切寄附はお断りする。で、国民の生命、財産を守る警察の業務に必要なお金というのは、これは国民の税金できちっとやる。必要なものはちゃんと予算でやっていくというところまで、もう一歩進める必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) さっきも申し上げましたように、寄附の抑制ということについては、これまでも厳しく指導してきているところでございます。特に取り締まり対象団体、こういうものからの寄附というものは厳に慎むということで趣旨を徹底させているところでございます。しかし、日夜非常な努力をしておりますいわゆる個々の警察職員といいますか、署というよりもむしろ個々の署員というものに対しましてささやかなねぎらいをしていただくという全くの自発的な寄附、善意に基づくもの、弊害のないものというものについても一律全部だめだというのもいかがかと、取り締まり対象団体からのものは厳禁をするという線をまず徹底さしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
○神谷信之助君 それは、取り締まり対象団体の方は私は結構だと思うんですね。ただ、個人のやつはちょっと難しいんですよね。自分で判断をしなければならぬ。これはどういう、本当の善意なのか、もらっていいものなのか、もらって悪いものなのか、金額は多過ぎるのか少な過ぎるのかというのを自分で判断しなければいけない。だからこの辺は、例えばそれは本人がもらうにしても報告をしてもらうとかいうようにするとか、そうして変な汚職や癒着にならないシステムというのを考えないとまた不祥事件が起こる危険がありますから、この辺はひとつ研究をしてもらいたいと思いますが、よろしいですか。
○政府委員(太田壽郎君) ちょっと言葉が足らなかったかと思いますけれども、署に対するものというよりも、そういう役所で当然予算を組んでいただいて、それで賄うべき筋というものに充ててくれというのではなくて、個々の警察官の御苦労というものに着目して、それでねぎらいの意味で自発的な任意のものをいただくという場合についてまで、弊害がない場合に一律全部いかぬというのもいかがか。ただ、今お話しのように、その限界というような点については十分わきまえて対処しなければいけないということで、その辺についてはさらによく指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○神谷信之助君 そこで、今の団体のは大分はっきりした。
 個人の問題ですが、僕は、現場の警官なんかでねぎらいがあるというのはあり得るだろうと思うんですけれども、偉い人のつき合いですね。この点は、大変厳しくやっぱり我々は考えていかなきゃいかぬのじゃないかというように思うんです。
 その点では、先ほども同僚委員から出てました現の水戸署長さんの問題ですよ。取手署長時代に、キャバレー・ユニバースというところを初め、そういうところで飲食を何回かした。そのした人は酒店主ですか、酒屋さんの御主人で、この取手の署長さんがその前の機動隊長時代に機動隊に酒の販売で出入りをし、機動隊員を激励、ねぎらってくれたとか、そういうことでつき合いをするようになったということですね。だから、そういうことでつき合いをしていたんだけれども、たまたま先ほど言ったキャバレー・ユニバースをそれまでの経営者から買収をした。買収したけれども、すぐ風俗営業の許可申請をしない。前の経営者の名義を借りてやっているんで、許可申請をしなさいという警告を取手署が何回かやっている。そういう中で、よろしく頼みますというようなこともあって、キャバレー・ユニバースでその酒店主と一緒に飲み食いをする、あるいは報道では、本人自身のインタビューの中で言ってますが、署の幹部も一緒に連れていったこともあるというようなことなんですね。ところが、それが後に一昨年六月の千葉県警で摘発された竜ケ崎土木事務所におりる贈収賄事件で、このユニバースの新装拡張工事に当たっての贈収賄事件というのが起こった、こういう事件ですね。しかも、贈賄側の建築業者の親類がさっきの酒店のおやじであった。ちょうどそのころは取手署長時代になりますということで疑惑を持たれているわけですね。
 先ほどの同僚委員の質問に対しての答弁では、当時調査をして、そういう飲食の事実から、やっぱり好ましくない、疑いを持たれることはしちゃいかぬということで厳重注意をなさったということなんですけれども、報道に出ている本人のインタビューでは、警務部長から一昨年の七月ごろ土浦署の署長室に電話があった、そしてAさんのことやユニバースに何回行ったかというふうに聞かれたけれども、公式な調査ではなかった、それが一回だけでという話で、厳重注意を受けたというような話はさっぱり出てこぬ。逆に、わしは不正なことはないんだと、ためにする話で、信じてくれ、こんなことをやられたら署員に訓示をしても、署長は何をぬかすかということで、聞いてもくれぬというインタビューが報道されていますよね。そういうことで、警察庁の方も管理を問題視して調査をしたというわけですし、調査に乗り出したという報道もその後出たんですが、これはどういうように警察庁としてはこういう問題を考えておられるか、ひとつ聞きたいと思うんです。
○政府委員(太田壽郎君) 警察署長がもちろん多数の部下の頂点に立つ者として、身をもって清廉潔白といいますか、そういう警察官としてあるべき姿を示すということが必要なことはそのとおりでございますが、ただ、警察署長が自分の仕事をうまくやっていく上で、管内の有志の方とか、いろいろそういう関係者と接触をするというような必要性というものもまたかなりあるというふうに私どもは考えております。
 ただ、その場合に、もちろん世間一般から疑惑を持たれるような、そういうことのないように十分注意しなければいけないというのは当然でございますが、交際を、何というか、世間一般のつき合いといいますか、そういうことを殊さら狭くしなければいけないということではないんじゃないか
かというような考え方は持っております。
 ただ、本件の場合には、いろいろ調べましたところが、いわゆる職務に関して云々という刑法的な犯罪に触れるというふうなことは認められない。しかし、非常に警察署長としては、結果的だと思いますが、慎重さに欠くという面から疑惑を持たれるというようなこともあるということで、警察本部長から厳重に注意をしたということでございますので、警察庁といたしましては、そういう結果については警察本部長の措置を了承したということでございます。
○神谷信之助君 いろいろな人と交流をするというのが必要なんでとおっしゃるんだけれども、この場合はみんな大体、酒店主Aさんというんですか、仮にAさんとすれば、Aさんのツケになっていますね。キャバレー・ユニバースに酒類も納入している。だから、ツケにしておいて、Aさんは商品の代金と相殺するというようなことなんで、恐らく全部ツケは払うてくれているはずだというようなことも言うていますよね、署長さん自身が。それから、そのAさん自身が風俗営業の話で署長室に来て話をしたことがあるということも、それは防犯だから防犯へ行って言ってこいということですから、おれが知っているやつおるから、お前が行って言ってこいということになるわけなんですよ。直接署長が防犯の仕事をしているわけじゃないんだから、防犯にちょっと電話しておくから、そんなら行って頼んでこいやということになるわけです。
 だから、手続さえちゃんとすれば、書式が整っておれば当然これは許可になるんですから、どうのこうのという問題ではないというんだけれども、そういう関係が生まれてくるということに一般世間では疑惑を持つわけですよ。だから、つき合いをするなら対等のつき合いをすべきだというように思うんですね。相手にたかるようなつき合いの仕方というのは、これはちょっと署長としてはいただけない。はっきり公私のけじめをつける、そういうことをやらなければいかぬのじゃないですか。
 その点が、はっきり本部長から注意をしたといっても、明確に本人自身の骨身にしみるような注意をしてないから、今度の問題でも、新聞記者が取材に行ってもそんなことは一言も言わないし、警視正になって土浦の署長に栄転して、そこへ電話がかかってきて一回聞かれたというだけだ。だから、しかられた、注意を受けたという、そういう認識がない。取手の署長時代はまだ警視ですね。それで警視正になって土浦の署長になったんだから、そういう県警本部では最高幹部の一人になった。それに対して本当にぴしっと厳しい批判をしなければ、警務部長が縄話で言うとか、あるいは警務部長が言うという程度のことで、本人がちょっと、注意はようわかりました程度のことで済まされるんじゃ、私はぐあいが悪いというように思うんですよ。この辺はどうですか。
○政府委員(太田壽郎君) 事実関係につきましては、五十五年の一月の中ごろでございますが、今お話がございましたような酒店の経営者が署長官舎に参りまして、何か取手市内にキャバレーを出すというようなことについての相談があったようでございますが、本人としては、公安委員会の許可については署長はどうこうするしとはできないんだと、許可の見通しも立たないのに開店準備をするなどというのは非常に軽率だと、むしろたしなめたんだというようなことを言っているわけでございます。
 ただ、それに関連したというふうに疑惑を持たれるような形での、何といいますか、会食というようなことがありまして、これについては本部長から厳重に注意をする。次の異動の際には、内容は非常に重要なポストではございますけれども、形式的といいますか、警察部内一般で見ますと警視ポストということで、やや格下げ的な形になっております。そういうポストに配置がえをされたというようなことで、人事上の非常な厳しい措置も受けた。これは部内ではみんなわかっておる。もちろんそのポストがどうこうということじゃございませんけれども、警察部内におきます昇任といいますか、そういう面から申しますと格下げになったような形での、本来警視の人をもって充てるようなポストに配置がえも受けたというようなことで、本人に対する非情な、何というか、実質的な処分というようなことも行われたわけでございます。
○神谷信之助君 私はその点でもやっぱり甘いと思いますね。傷をお互いになめ合うような感じです。
 同じようなやつで、岐阜県警であった事件、これは詐欺容疑で逮捕された西尾某、それと巡査部長二人その他が、鞍部補も含めてですが、深い交際をしていたということで、六月一日付で諭旨免職二人、それから本部長訓戒が二人、署長訓戒が一人ですか、ということになったんですが、この処分の理由はどういう判断でこういう処分になったんですか。
○政府委員(太田壽郎君) これにつきましては、ただいまお話ございましたけれども、ことしの六月の十九日に岐阜県警察で、詐欺事件の被疑者といたしまして会社社長、三十四歳でございますが、それを逮捕したわけでございます。この事件を内偵しておりましたところ、その社長と数名の警察官が交際をしているという事実を把握いたしまして、警察官について調査をいたしました結果、詐欺事件関係者とは知らずに交際をしていた。したがって、もちろんその刑事事件に直接加功するというようなことはなかったわけでございますけれども、五十五年ごろから五十八年の九月ごろまでの間、競輪、競馬等に同行したり、いろいろ飲食をともにするというような非常にふさわしくない交際をしていたという事実がはっきりしてきたわけでございます。そこで、ただいまお話がございましたような処分を六月一日付で行ったということでございます。
○神谷信之助君 これも先ほどのなにとちょっと似たような感じもするんですけれども、つき合った相手がたまたま悪かった。それからつき合いの仕方が好ましくない、競輪や競馬やら、豪遊したり、いろいろやっていますから、そういうことにもなるだろう。このつき合いの始まりというのはどういうことだったんでしょう。
○政府委員(太田壽郎君) ちょっと詳細、正確なところを把握しておりませんけれども、一応聞いているところによりますと、諭旨免になりました二人の巡査部長のうちの一人がこの会社社長に何か相談を受けて、その辺がきっかけになっていたということだというふうに聞いております。
○神谷信之助君 だから、つき合いのきっかけというのは、片一方は警官であり、それに対して相談をし、そういうところから始まり出して、実際親密なつき合いをした巡査部長二人は諭旨免職ですか、それからあと警部補を含めた人たちは誘われて行ったんだからということで、それぞれ訓戒なりということになっておりますけれども、こういう点で見ますと、この人は巡査部長クラスなんだけれども、署長クラスとか幹部なんか、いわゆるつき合いは必要なんだということから、といってつき合いの費用が公式に出るのか出ないのかよく知りませんけれども、機密費があるのか交際費があるのか知りませんが、ちゃんとそれが公然とできるつき合いにしていかにゃいかぬし、つき合いの仕方というものもはっきりさしていかないと、上もそうやっているんだから我々別に憩いことはないと、こうなってくるわけですね。
 だから、いろいろな関係で、業務上で知り合った、警察官としての業務を行う上で知り合ったそういう人たちとのつき合いというのがそれを契機に始まっていくと、えでしていろいろな問題が起こってくる。その辺でのつき合う内容等についても、私はこれははっきりさしていかないといかぬのじゃないかというふうに思うんですが、この辺もひとついかがですか。
○政府委員(太田壽郎君) 今お話がございましたように、部外者とのつき合い、これにつきましては、さっきも申し上げましたように、基本は、やはり警察の職務執行というものに疑惑を持たれる
ようなおそれのあることというのは上の者であれ下の者であれ慎まなければならない。
 ただ、さっき申し上げましたように、例えば警察署長というような仕事をやっていきます場合に、もう一切の外部との交際をお断りして、それで警察署の中だけに閉じこもっているということではなかなかうまくまいらないという面もあるんではないか。やはりそれぞれのポストに応じたつき合いの仕方、けじめというものは当然あるわけでございますが、そういうことで、殊さら世間を狭くしてやっていかなければいけないというのもいかがかということをちょっと申し上げたわけでございます。
○神谷信之助君 世間を狭くする必要はないと思うんですよ。だから、堂々とつき合いをやればいいんです。堂々とつき合いをやるようなシステムというものをちゃんとつくればいい。相手にたかるようなつき合いの仕方をする必要はないということですよ。その辺のけじめというのをはっきりさしていかなければならないというふうに思うんです。だから、警官の職務執行上疑惑を持たれるようなことはいかぬという抽象的なことではなかなか実際問題として判断をしにくい。いろんなやはり例示もしたり、いろんな基準というのをやっていかないと、実際問題としては、どこで一線を画すかというのは、そこへはまり込んでしまうとなかなかわからないようになるのは当たり前です。客観性を持ったものをやはり考えないと、私はよくならぬと思いますよ。
 この辺もひとつ御検討をいただくことをお願いして、公安委員長、今私は幾つか事例を挙げましたが、一つは、最初に問題は、やはり警視とか警視正とかいう上に立つ者の信賞必罰、これはしっかりしなさいよ。それから今、水戸署のようなつき合いも、堂々としたつき合いになれるようなそういうけじめをしっかりしなさいよ、その場合には、部下の方は上に立つ者のそれを見習うわけですから、その辺のけじめが部下の方に徹底できるような幾つかの基準というか、そういうものもはっきりしていかないといかぬだろう。これは研究せぬとなかなか難しいでしょう。
 それからもう一つは、団体からの寄附、個人に対する寄附もそうですが、これもきれいにちゃんとせにゃいかぬよという問題を申し上げたんですけれども、その辺ちょっとお願いして、もう一つ事件は、奈良県御所署の慰安旅行があったでしょう。
 二月の初めでしたか、たまたま交通事故があって観光バスがとまって、そこへ追突されて五人ほどけがをした。御所署定員四十数名のところで、署長以下二十二人が月曜から火曜にかけて山代温泉に出かけた、こうなっているのですね。残りは次席以下二十五人が留守番しているという事件があって、結局けがをした五人と署長とは戻ったけれども、残りはあと行きなさい、こうなっている。聞きましたら、これは旅行の積み立てをしておって、三個班に分かれて行くのが、たまたま、第一班は一月に行ったのだけれども、二班、三班が一緒になったので、一緒に行ける者だけで行ったので、行った者の人数が多くなったとなるのだけれども、ところが京都府警その他で聞いてみると、大体その署の規模にもよるけれども、五十人前後の署でそんなようけ一遍に行くのはちょっとおかしい、非常識だと、大体七、八人ぐらいが限度だと。
 当時事件があって、広域調査の方をやられていたわけでしょう。そういう状況の中でそういう事件が起こっているのですが、これは処置はどういうようにされましたか。
○政府委員(太田壽郎君) 本件につきましては一般的な注意という形にとどめてございます。
○神谷信之助君 私は、署長としてはちょっと不謹慎というか非常識というか、三回に分けて行くのを一回行けなかったから第二班、第三班を一つにしたという事情が仮にあったにしても、と思うのだけれども、ただ一般的には、七分の一か八分の一ぐらいのグループごとでやはりそういうことをやる、研修旅行というか慰安旅行をやる、警察官も人の子ですから、またそういう親睦の機会というのも必要なんだけれども、警察業務がありますから、なかなかやりにくいと思うのだけれども、一般的に、常識的には警察庁としてはどういう指導をやられていますか。
○政府委員(太田壽郎君) 警察庁といたしましては、その辺の細かいことまでは実は指示いたしておりません。これは各都道府県警察の本部長以下、それぞれの見識でそういうことは決めていただくということだろうと思いますが、奈良県の例で申し上げますと、基本的にはレクリエーションの実施というのは日曜、祝祭日あるいはそういうような執務時間外というようなこと。ただし、一般の方が非常にゆっくりされるときは警察が逆に忙しいというようなこともございますので、土日はかえって警察の方は忙しくなって、月曜日や火曜日、これはある意味でちょっと余裕が出てくるということもあるわけでございます。
 それから、一回にやはり所属の職員の三分の一以下、これぐらいが一つ基準じゃないか。今もお話ございましたように、当初の計画は三分の一程度の者が行くという話になっておりましたが、たまたま別な仕事にぶつかりまして、どうしてもこれからのいろいろな行事の日程等もあるので一緒に行こうということでたまたま人数が多くなった。それから、宿泊で一泊で行くのは年一回程度というようなことで、それもすぐ何かあった場合には帰ってこれるような場所を選ぶというようなことで、いろいろ細かく配慮して決定をしているところでございます。
○神谷信之助君 そういう決定をしておりながら、実際には北陸、金沢の近くまで行くんですね。山代温泉。だから、県警の方針からいっても、ちょっと逸脱をした状況になっているということですよね。大体、公安委員長、そういう状況があるんですが、私はそれらを全体として考えてみなければならぬ問題としては、同僚議員も指摘をしていましたけれども、警察の職務というのはやっぱり指揮命令がしっかりしていなきゃいかぬということから、中央集権的なそういう形態というか体系、これはしっかりしているんだけれども、いろいろな意見をやっぱりくみ上げて、そしてみんなで意見を出し合っていくというか、民主主義の側面がなかなか貫徹しない。それがないところにいろいろな根本問題が起こるのではないか。サラ金で生活が困っていてもなかなか相談ができない、自由に物が言えない、そういう雰囲気というのをどうやって克服して、官房長の言葉で言えば、風通しをよくするかということが非常に大きな問題ではないかと思うんですが、公安委員長の御意見を伺っておきたい。
○国務大臣(田川誠一君) おっしゃるとおり、警察は指揮命令系統がきちんとしていなければなかなか職務の執行を十分全うすることができない。私は、そういう組織だから上と下との血が通わないということは言えないと思います。これは運営の次第でありまして、私どもが背軍隊に行っていたときも、これほど上と下との階級制度の厳しいあれはなかった。しかし、やはり指導者によっては、これは上と下との血が肉親以上に通って、上官のためには今もささげるというようなこともある。これは戦争中の話ですから、それを今当てはめようといったってできないことですけれども、そういうように、旧軍隊ですら上と下との血が通うというあれはあったわけです。
 ですから私は、今の警察制度、警察の階級制度あるいはそうした縦割りの非常に厳しい規律の中に上と下との血が通えないということはあり得ないと見ているわけでございまして、そういう意味で、警察官の物を言えないというようなことはあり得ないと思う。問題はそういう雰囲気をどうやって醸成していくかというところにあるわけでございまして、これからも、厳しい規律の中にあるからこそ上と下とが血が通えるような、そうして悩み事も訴えられるような、そういうような雰囲気を醸成していく必要がある、このように思っております。
 私は、バスの旅行の話、今初めて聞きましたけ
れども、余りこういうこと聞いたことがなかったですね。私は、むしろこういうことはやった方がいいんじゃないでしょうかと思っているわけでございまして、運営をうまくやっていけば今の組織の中で十分目的を達することができる、このように思っております。
○神谷信之助君 もう時間ですからこれだけにしますが、私は、旧軍隊の話が出ましたけれども、大臣は余り軍隊での暗い体験はなさらなかったようだけれども、しかし「真空地帯」という小説や映画があったように、軍隊における非人間的な条件というものは我々も経験したわけですが、そういうものが醸し出しやすい条件というのが縦系列の中にどうしても生まれてくるということは、またこれは否めないと思うんですね。
 先ほども同僚議員からちょっと出ましたけれども、大体、警察というところはなかなか非を認めないというか、謝らない。我々が批判をする、抗議をするという場合にはなかなか耳を傾けない、そういう傾向が非常に強いわけですね。だから、そういうような、何というか、国民の批判に、最も厳しい批判であればあるほど、それを聞かないだけではなしに敵視をするような体質があると思うんです。これは国民に対するだけではなしに、それは警察社会の中にもそういうものは醸成されている。
 日本の警察は、先ほどもちょっと言いましたけれども、検挙率やそういう点では一定の成績を上げている、それだけにまた中央集権的なそういう体質というものが現に残っている。もう一つは、先ほど同僚議員の質問で菅生事件が出ましたけれども、あれもまさに潜り込まして謀略を行う、そういう活動まで含めてやっているし、あるいは島根事件もあります。あるいは、古くから言えば下山事件や三鷹、松川事件なども、そういう暴力的な政治警察的傾向というものは、私は、日本の今日の警察というものは非常に強い。
 だから、本当の意味で警察の民主化を図るとすれば、私どもは、今の国家警察体制というのをやめて自治体警察にして、公安委員も公選制にし、それから警官にも団結権を保障していく、国民の生命、財産、そして秩序を守る、暴力を許さない、そういうところに専念をする、そういうところに抜本的に警察制度そのものも変えるべきだというふうに思いますが、しかしそうはなかなかならぬでしょう。しかし、今の体制の中でも、先ほど指摘したように、幾つかは私は改善すべき点があるというように思うので、この点を申し上げて、一応きょうの私の質問は終わりにしたいと思います。
○委員長(大河原太一郎君) 本件に対する本日の調査はこの程度にとどめます。
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○委員長(大河原太一郎君) 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。田川国務大臣。
○国務大臣(田川誠一君) ただいま議題となりました風俗営業等取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 現行風俗営業等取締法は、キャバレー、料理店、ダンスホール、パチンコ屋、マージャン屋等を都道府県公安委員会の許可に係らしめているほか、深夜飲食店、個室付浴場業、ストリップ劇場及びモーテル営業についても一定の事項について規制を行っております。
 しかしながら、最近、同法の対象となっている営業のほかに、あからさまに性を売り物にした産業等善良の風俗及び少年の健全な育成の上から問題の多い営業が増加しており、現行法上このような営業が野放しになっていることが、風俗環境を害しているだけでなく、少年非行が昭和五十五年以来四年連続戦後最悪の記録を更新している大きな要因の一つとなっていると考えられます。
 この法律案は、このような少年非行の増大と風俗環境の変化という実情にかんがみ、題名の変更及び目的規定の新設、風俗営業に関する規定の整備、風俗関連営業に関する規定の整備、深夜における飲食店営業の規制等に関する規定の整備等を行うことをその内容とするものであります。
 次に、この法律案の内容についてその概要を御説明申し上げます。
 第一は、題名の変更及び目的規定の新設であります。
 これは、法律の題名を風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に改め、この法律の目的を「風俗営業及び風俗関連営業等に関し、善良の風俗の保持及び風俗環境の浄化並びに少年の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止のための措置を講ずるとともに、風俗営業の業務の適正化を促進する等の措置を講ずること」と明定したところであります。
 第二は、風俗営業に関する規定の整備であります。
 その一は、許可対象の整備でありますが、これは、ゲーム機賭博や不良少年のたまり場となる等のおそれがあるところからゲームセンター等を新たに許可対象営業とするものであります。
 その二は、許可手続等の整備でありますが、これは、従来都道府県の条例に委任されていた許可の基準を整備し、特に、新たに欠格事由として、暴力団員、覚せい剤中毒者等を加えることとするほか、許可手続の簡素化、相続の承認等の規定の整備を行うことをその内容としております。
 その三は、風俗営業者の遵守事項及び禁止行為の整備でありますが、これは、現在条例に委任されているため、各都道府県によってまちまちであり、また、実情になじまない点も生じていた遵守事項について整理し、法律に規定したものであります。
 その四は、遊技機の認定、検定等に関する規定の新設でありますが、これは、公安委員会は、営業所に設置する遊技機について、著しく射幸心をそそるおそれがない旨の認定をすることができ、また、遊技機を製造し、または輸入する者は、遊技機の型式について、技術上の規格に適合しているか否かについての検定を受けることができることとする等をその内容としております。
 その五は、営業所の管理者についての規定の整備であります。
 これは、風俗営業の営業所ごとに管理者を置くこととし、管理者は、風俗営業者またはその使用人等に対して、これらの者が法令の規定を遵守してその業務を実施するように、助言、指導等を行うものであります。
 その六は、指示及び行政処分に関する規定の整備でありますが、現在、遵守事項の違反には法律及び条例の規定により直接罰則が科せられておりますが、この制度を大幅に整理し、原則として、遵守事項違反については、指示及び行政処分をもって対処することといたしました。
 第三は、風俗関連営業に関する規定の整備であります。
 その一は、個室付浴場業、モーテル営業のほか、いわゆるストリップ劇場、のぞき劇場、ラブホテル、アダルトショップ等に関する定義規定を整備することであります。
 その二は、風俗関連営業者は、営業所ごとに特定の事項を都道府県公安委員会に届け出なければならないこととすることであります。
 その三は、風俗関連営業に関する規制事項の整備でありますが、これは、風俗関連営業については、学校、官公庁その他特定の施設の周辺または条例で定める地域においては営業を禁止することとするほか、十八歳未満の者を営業所に立ち入らせてはならないこととする等年少者をこれらの営業から隔離することをその内容としております。
 その四は、風俗関連営業に対する指示及び行政処分の規定の整備でありますが、これは、都道府県公安委員会は、風俗関連営業者が、この法律に違反する行為等を行った場合には、必要な指示をすることができることとし、また、指示に違反した場合及び一定の犯罪を犯した場合には、八カ月以下の営業停止処分等を科することができることと
するとともに、営業停止処分をした場合には、これを公示するために、当該処分に係る営業所に一定の標章を張りつけることとすることをその内容としております。
 第四は、深夜における飲食店営業の規制等に関する規定の整備であります。
 その一は、深夜飲食店営業者の遵守事項及び禁止行為についての規定の整備でありますが、これは、従来条例に委任されていた遵守事項を整備するとともに、午後十時以降、常態として通常主食と認められる食事を提供する営業を除き、原則として年少者を客として立ち入らせ、または客に接する業務に従事させてはならないこととする等必要最小限の規制を法律により規定すること等をその内容としております。
 その二は、バー、酒場等の酒類提供飲食店営業を深夜において営もうとする者は、特定の事項を都道府県公安委員会に届け出なければならないこととすることであります。
 その三は、深夜飲食店営業者等に係る指示及び行政処分についての規定の整備であります。
 第五は、少年指導委員及び風俗環境浄化協会に関する規定の新設であります。
 その一は、少年指導委員に関する規定の新設でありますが、これは、少年の補導等の活動に民間ボランティアの活力を導入し、これを促進するために設けたものであります。
 その二は、風俗環境浄化協会に関する規定の新設でありますが、これは、公安委員会が善良の風俗の保持及び風俗環境の浄化並びに少年の健全な育成を図ることを目的として設立された法人を風俗環境浄化協会として指定し、そこに、風俗環境に関する苦情の処理や法律違反防止のための啓発活動、講習、調査の委託を行うなどして、広く民間における浄化活動を促進するための制度として規定するものであります。
 以上の措置に伴い、警察職員の立ち入りに関する規定の整備、聴聞の規定の整備、手数料に関する規定の整備、罰則の整備等所要の規定の整備を行うこととしております。
 なお、この法律は、公布の日から六カ月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、施行の際に現に風俗営業者である者は、改正後の規定による許可を受けて風俗営業を営んでいる者とみなすこととする等所要の経過措置を設けております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同賜らんことをお願いいたします。
○委員長(大河原太一郎君) 次に、本案の衆議院における修正部分について、衆議院地方行政委員長代理小澤潔君から説明を聴取いたします。衆議院議員小澤潔君。
○衆議院議員(小澤潔君) ただいま議題となりました風俗営業等取締法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院における修正の理由とその内容について御説明申し上げます。
 その一は、ゲームセンター等への十八歳未満の者の立入禁止の時間についてであります。
 政府原案におきましては、風俗営業の許可対象となりますゲームセンター等に十八歳未満の者は午後十時以降は立ち入らせてはならないこととしておりましたが、少年の健全な育成を図る見地から、本修正案では、十八歳以下の条例で定める年齢に満たない者について、条例で午後十時前の時を定めたときは、その者については、その定めた時以降は立ち入らせてはならないこととしております。
 その二は、風俗営業者等に対する管理者の助言及び指導の遵守義務及び管理者の解任についてであります。
 政府原案におきましては、風俗営業者等は管理者の助言を尊重し、または指導に従わなければならないこととしておりましたが、管理者の助言または指導の遵守義務者を明確にするため、本修正案では、風俗営業者またはその代理人は、管理者の助言を尊重し、その使用人その他の従業者は、管理者の指導に従わなければならないこととしております。
 また、政府原案におきましては、公安委員会は、風俗営業者に対し、管理者の解任を命ずることができることとしておりましたが、営業の自主性を尊重して、本修正案では、公安委員会の命令を勧告とすることといたしております。
 その三は、警察職員の立入検査等についてであります。
 政府原案におきましては、公安委員会は、警察職員に風俗営業者等の営業所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させ、または関係者に質問させることができることとしておりましたが、現行法の立入権に比べてその範囲が拡大するのではないかという疑念があるため、本修正案では、この部分を削除し、これにかえて現行法の規定に即して整備することといたしております。
 このほか、これらの措置に伴い、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が衆議院における修正の概要であります。
○委員長(大河原太一郎君) 本案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五分散会
     ―――――・―――――