第101回国会 大蔵委員会 第13号
昭和五十九年四月十二日(木曜日)
   午前十時三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     赤桐  操君     穐山  篤君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         伊江 朝雄君
    理 事
                岩崎 純三君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                塩出 啓典君
    委 員
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤井 裕久君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                穐山  篤君
                丸谷 金保君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       大蔵政務次官   井上  裕君
       大蔵大臣官房審
       議官       橋本 貞夫君
       大蔵大臣官房審  行天 豊雄君
       大蔵省主計局次
       長        的場 順三君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理材局長  西垣  昭君
       大蔵省証券局長  佐藤  徹君
       大蔵省銀行局長  宮本 保孝君
       国税庁次長    岸田 俊輔君
       国税庁直税部長  渡辺 幸則君
       特許庁長官    若杉 和夫君
       特許庁特許技監  齋田 信明君
       特許庁総務部長  小野 真魚君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       稲葉 威雄君
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  本日の会議に付した案件
○株券等の保管及び振替に関する法律案(内閣提
 出)
○各種手数料等の額の改定及び規定の合理化に関
 する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特許特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 株券等の保管及び振替に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました株券等の保管及び振替に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。
 我が国の証券市場は、投資家の資産運用の場として、また企業の資金調達の場として、国民経済上その役割が高まってきており、近年、売買取引の機械化が進められるなど、市場機能の強化が図られております。しかしながら、株券等の保管や受け渡し面では合理化がおくれているため、発行量や流通量の増大に伴い事務量が極めて膨大なものとなってきております。このため、株券等の保管及び受け渡しを抜本的に合理化し、株券等の流通の円滑化を図ることが緊要な課題となっております。
 このような状況を踏まえ、証券取引審議会において、株券等の保管を合理化するとともに、その帳簿上の振替が受け渡しと同一の効果を持つような新たな制度の導入が一昨年十二月に提言され、また法制審議会の商法部会においても、新制度導入のための法律案要綱が昨年十二月に取りまとめられました。これらの提言を受け、その後、政府部内において検討を進めてまいりました結果、今般ここに、株券等の保管及び受け渡しの合理化を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、保管振替機関についてであります。
 本制度の対象となる株券等の保管及び振替を行う保管振替機関について、所要の規定を設けることとしております。この保管振替機関は、その事業を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人の中から主務大臣が指定することとしております。
 第二に、株券等の交付にかわる振替についてであります。
 投資家は証券会社、銀行等へ株券等を預託し、証券会社、銀行等はこれらを保管振替機関に再預託することにより、その後の売買取引や担保取引は、保管振替機関や証券会社、銀行等に備えられる帳簿上の振替によって行うことができる旨の規定を設けることとしております。
 第三に、預託された株券に関する株主の権利行使についてであります。
 預託された株券は形式上すべて保管振替機関の名義に書きかえられますので、これを預託した株主は、発行会社が作成する実質株主名簿に基づいてその株主権を直接行使する旨の規定を設けることとしております。
 なお、本制度の対象となる株券等は、証券取引所に上場されている株券等、または流通状況がこれに準ずる株券等で、主務大臣が指定することになっており、個々の投資家が本制度を利用するかどうかは任意となっております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(伊江朝雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○丸谷金保君 この法案の中で一番問題となるのは、現在のコンピューターのシステムに連動させて効率化を図っていくというところにあるんじゃないかというふうに思うんです。そこが目玉のような気がするんですが、それで、この前大蔵から
いただいたあれによりますと、ちょっとどうもよく中がわからないことが多いんです。
 海外の保管振替システムの中で、西ドイツが百二年、フランスが四十二年と。アメリカの十六年というのはある程度そういうコンピューターシステムを入れてからの話かと思うんですが、その前に、今御提案になっているような膨大な株を預託するような制度が百年前に行われているはずがないような気もするので、ちょっとここに出す例としてはこれどうかな。今でも日本でも国債の登録債というのは銀行でもって引き受けてやっていますね、元帳によって。西ドイツやフランスでやっていたというのはこの程度のものじゃなかったんでしょうかね。ここに書かれると、コンピューターもない時代に一体どこまでやっていたのかなと思って、むしろ書かれていることによってわからなくなって考え込んじゃったんですが、どうなんでしょう。
○政府委員(佐藤徹君) 確かにこの保管振替機関、これからやります場合にコンピューターを使うことになると思います。思いますが、制度の仕組みそのものはコンピューターがなければできないという話ではないわけでございまして、西ドイツとかその他の国でかなり前から、コンピューターなんというものが存在しない時代からこういう類似した機構はあるわけでございますが、当時は株券の量も少ない。しかし一々現物を動かすのは当時でも大変だったわけでございまして、そういう意味で、今回私どもが考えました仕組みと似たような仕組みが、一番早いものでは百年ぐらい前から外国では行われている。その場合は、今であればコンピューターの中にインプットして処理するような作業を人手がやっていたわけでございますが、それにしても株券の移動を実際に伴わないということで、それなりのメリットはあったわけであります。
 ですから、御質問の点について言えば、コンピューターというのは、こういう今のように膨大な量が存在するようになった現在では、コンピューターを使うことは必然的なことでございますけれども、コンピューターがなければこういう制度はできないというわけではない、そういうことではないかと思っております。
○丸谷金保君 これは各国でやっているというんですが、例えば、今想像しているのは、磁気ディスクパックというんですか、そういう最新のもので処理していこうとしているわけでしょう。そういう形でやっている国は、例えば百年も前からやっていた西ドイツなんか、今どんな処理をやっているんですか。
○政府委員(佐藤徹君) 株券自体の移動を伴わないで、帳簿上の振替によって事を処理するという事柄自体は、各国いずれも同じなわけでございますが、そのやり方につきましては、各国のいろんな歴史的な沿革や何かがあって、多少ずつ異なっております。日本の場合は、株式そのものの形が記名株式でございますし、それから発行会社と株主の結びつきが諸外国に比べてかなり強い状況にあるわけです。西ドイツの場合は、株券そのものが無記名でございますし、それからアメリカの場合は記名式ではありますが、無額面株式、株主自体は配当のついた有価証券というような感覚に、ドイツの場合もそうですし、アメリカの場合もあるわけであります。したがって、我が国の場合のように、議決権をどう考えるかとか、そういった問題が全くないわけじゃございませんけれども、余り強く問題にならない。そういうこともあって、国によってやり方はさまざまでございます。
 したがって、どの部分をコンピューターに入れるか、これは技術的な側面でございますから、それは国によって異なっているんだろうと思います。この点については、実際の業務のやり方まで実際に行って見てくるというようなことをしておりませんので、詳細なことはわかりませんが、いずれにしても、現代ではかなりの部分をコンピューターで処理をしている。しかし、我が国のこの制度も、別にコンピューターですべてを処理するというわけではなくて、実際の記帳なり何なりである部分は手作業の部分もあるわけでありまして、手作業の部分とコンピューターに入れる部分とをどう分けてかかるかというのは、これは非常に技術的な問題であると思います。
○丸谷金保君 少しわかってきたような気がするんですが、かえって外国の例なんか出されてあれすると、じゃ一体今の進んだシステムを使ってのあれをどこの国がやっているのかなという逆に疑問を持つんです。
 しかし日本の場合には、あれでしょう、保管とかそういうのを合理化していくということがこの提案理由に書かれておるところを見れば、大幅なコンピューターシステムを採用する、諸外国でもまだやっていない分野に踏み込む構想があるんでないかと、大臣の御決意を承って、そういう気がするんですが、どうなんでしょうか。
○政府委員(佐藤徹君) 実は、この構想自体は、別にコンピューターがなければできないということでは基本的にはないと思います。現在の状態は、売買なりあるいは担保に供するとか、そういう場合に実際に株券が動くわけですね。その動くことを避ける、つまり手作業で帳面に書くということによってもかなりの合理化はされるわけでございます。したがって、基本的にはその部分が法律の中身でございまして、法律そのものがコンピューターを前提にしているということではないわけです。
 コンピューターとの絡み合いで言えば、そういった基本的な構想ができる、その中でどの部分をコンピューターに入れればより迅速に、あるいはより安く処理できるか、こういう絡み合いだと思うんです。ですから、どの程度までコンピューターで処理をしていくかということは、それに要する費用と、それから結果として出てくる時間の短縮、大量処理の可能性、そういったことを考えながらこれからシステムを設計しながら考えていくことだと思うわけでありまして、コンピューターがなければこの構想自体が全く不可能だということでは本質的にはないと考えております。
○国務大臣(竹下登君) この法律を最初私自身がレクチャー受けましたときに、大体国会の質問というのはえてして、丸谷さんがある一つのことの専門的な知識を持っておって、それで十分知った者が知らない者に聞くということが間々ございますが、この部分だけはどうもそうでなくして、本当の質問になるんじゃないかと、事ほどさように私もわかりませんでした。
 それで、ただ私なりにも東京証券取引所なんかへ行ってみますと、確かに大変なコンピューター化といいますか機械化が進んできておる。しかし、私どもこれは政治家同士の話として、これだけコンピューター化したならば市場が一体どうなるだろうかという感じすらしますですよね。したがって、大阪へ特別なことを考えてみたり、あるいは私どもの管轄区域である広島でございますとかというようなことになると、証券取引所というのがある意味において一つの名物として残って、実態はみんなオンライン化されておって、証券会社の窓口が東証へ皆つながっていくような感じになりはしないかと、こういうような感じすらするほど大変な進歩がなされておると思うわけであります。
 その中で、今度はより利便を与えるために現物を持って持ち歩きすることを帳簿上の移しかえによってやるとかということは、なるほど合理的なことでありますが、それならばむしろ、私素人で考えましたのは、それこそ自由にそういうことをやって、別に法律つくらぬでもいいじゃないかということまで本当は疑問を持ってみました。しかし、これは商法上の問題として法律でよりきちんとしませんと、それはまた間違いが起こることでございますので、やはり法律が必要なものだなという理解に私自身も立ったわけでございます。
 本当にちょっと非礼な言い方をしましたけれども、本当に技術的にわからないものを一生懸命勉強して、きょうお答えするのにもこれは容易じゃないなと、だが先生方の方も、これになりますと、かなり本当の質問といいますか疑問をお持ちにな
る性格の法律じゃないか、まあ素直にそういう感じがしましたので、あらかじめ申し上げておきます。
○丸谷金保君 それで、例えば証券取引審議会ですか、そこで論議が行われたような資料も私たちいただいてないんですよね。それで、この法案を審議していくというのには、提案者の方としてはまことに不親切でないか。皆さんの方はいろいろそういう昭和四十六年だとか、それからやっていたものを踏まえて出してきたと。じゃそこでどういう論議がされたかというようなことは、私たちの方はちっともわからないんです。ですから、これはひとつぜひそういう資料を御提出を願いたいというふうに思うんですがね。
○政府委員(佐藤徹君) 両審議会の答申そのものは後でお出しもしますし、必要があれば説明もさしていただきますが、ざっと申し上げますと、日本の場合、先ほど申し上げましたように、株式についての発行会社と株主の結びつきが非常に強いわけなんですけれども、そのことが議決権の行使と配当の受領という形で出ているわけであります。もちろん諸外国のどの株式をとってみても議決権ももちろんありますし、配当も受けるわけですけれども、そのことに対する株主自体の非常に重要なことだという受けとめ方が株主の議決権についてやや国によって差があるように思います。
 したがって、こういう仕組みを考えます場合に、大量に保管して一カ所に置いてその機関の名義で登録を形としてするわけでございますけれども、一体その株主権の行使なり配当の受領というのは、これは実際の株主に行かなきゃならぬ。そうしますと、今の商法の立て方から言いますと、それは不可能なわけでございます、現在の商法のもとでは。そこで、その必要性はあるんだけれども、一体どうやってそこを解決していくかという議論が中心でございまして、証券取引審議会におきましても、法制審におきましても、主として検討に時間を要したのはそこの問題でございます。実際にどういう仕組みでやっていくかということは、これはある意味では技術的な問題でございますから、これはそんなに時間がかかる話ではない。
 それからもう一つは、このことがスタートすることによって、業務のやり方とか、いろんな点で従来のやり方を変えていく必要が出てくる関係者ですね、これは非常に数が多いわけでございます。大きなものを取り上げてみましても、取引所がそういう意味では変わってまいります、仕事のやり方が。証券会社自体も仕事のやり方が変わってまいります。それから銀行は自分自身でも大量に株式を持っておりますし、それから貸し付けの担保として株式が提供されることもあるという意味で、仕事の流れに非常に影響を受けやすい立場にあります。それからさらにはその株式を発行している発行会社自体も、発行事務とか名簿のつくり方という点で影響が出てまいります。
 そういったことで非常に多くの方が関係してまいりますのと、それから事柄が非常に技術的なものですから、そういう多くの人たちに事柄がこういうことなんですということを御説明して御納得をいただくのにかなりの時間がかかるというようなことがございまして、その辺の議論を二つの審議会でいろいろやっていたということが概括的な中身でございます。
 詳細には後ほど答申をお届けいたします。
○丸谷金保君 保管振替機関というのは保振り機関というんですか簡単に言うと。そういう詰め方をするんですか。これ一回一回質問するときにはどういうふうに詰めたらいいか。保振り機関ということになりますか、どうなんです。
○政府委員(佐藤徹君) 現在の段階はまだ法律案でございまして、具体的にその機関の名称をどうするかということまでは考えておりませんけれども、保管振替機関というのは法律上の用語でございますが、ちょっと長くて舌かみそうなあれですから、私どもは振替機関と言っておりますけれども、実際の名称は多分もうちょっとわかりやすい、例えば何とかセンターとか、そういう名称をあるいは考えるのではなかろうかというふうに考えております。
○丸谷金保君 銀行の今の振替システムと違うのは、保管業務というのが一つあることなんで、振替機関というのじゃちょっと紛らわしく思うので、保管というところにも大きなウエートかかるのじゃないかというふうに思っておるんです。
 それで一つは、例えばことしの秋くらいまでに郵貯は大体二千万件までいかないが千九百万件くらいがオンライン化しますでしょう。それから今の全銀協の振替システムの中に、労金から、ほとんど民間のあらゆる何から、信用組合の中のごく一部、例えば警視庁の職員の信用組合というようなのを抜いたもののほとんどがこれに参加する。そうすると、こういうものと、今度できる保振り機関と言っておきましょう、との間は一体ドッキングさせるおつもりなのかどうか。とにかくこの機関の構想そのものが、私たちこの条文だけからではどうも読み取れないんですよ。それによって論議の方向もうんと変わってくると思うのですが、どうなんでしょう、構想としては。
○政府委員(佐藤徹君) この法案の中身で予定しております仕組みが、事前に御説明した資料の中に図で簡単に書いてございますけれども、二つの段階といいますか、お客さんを入れますと三つでございますけれども、発行会社と保管振替機関が存在いたします。その保管振替機関には直接には証券会社とか銀行とか、そういったいわゆる参加者と法律上言っておりますが、参加者が関係を持ってくるわけでございます。お客さんは証券会社なり銀行なりとの関係であって、機関そのものと個々のお客さんが直接接触を持つことはない、そういう形でございますね。
 そうすると、今の御質問のコンピューターとの関係で言いますと、この機関自体についてのコンピューターの問題というのは、保管振替機関の行う業務をどうコンピューターに乗せていくかということになるわけでございます。証券会社なり銀行なりの業務そのものは変わるわけではございませんで、したがって、そこの証券会社なりあるいは銀行なりの中の事務をどのようにコンピューターに乗せていくかというのは、これは従来と変わることはない、別な話として存在するわけでございます。
 ただ、どうせコンピューター化するのなら、非常に頻繁に保管振替機関との接触が出てくるであろう例えば取引所でありますとか証券会社については、両方ともコンピューターを別のシステムとして使うわけですから、それをじゃあドッキングといいますか、つないだらもっと早く処理できるのじゃないかということは当然あり得る。その辺をどうつないでいくかというのは、機種をどう使っているかとか、いろんな問題も関連してまいりますが、今後当事者の間で検討されていくことだと思いますが、観念的には一応別の話というふうに考えております。
○丸谷金保君 だんだんわからなくなってきたですね。今の趣旨説明のあれから言いますと、できるだけ株券の保管や受け渡し合理化がおくれている、これらをスムーズにいくようにしていくということになれば、当然いろんなことを考えなきゃならないはずですし、説明のあれによりましても、システム導入のメリットの中にはそういう面についても進めていくということが出ているんですね。例えば預かった株券の配当だとか、例えば国債なんか預かった場合には、利払いだとか、こういうのは証券会社を通してお客さんのところに行くから、証券会社に行きますね。この間はコンピューターでつなぐわね。でないんですか、どうなんです。そこがつながないんじゃちょっと……。
○政府委員(佐藤徹君) この法案で予定しておりますところは、今の配当で申しますと、配当は証券会社を通じていくのではなくて、直接従来と同じようにお客さんのところへ行くという形を想定しておるわけでございます。
 そこで、今の御疑問の点ですが、もうちょっと補足させていただきますと、若干失礼かもしれませんが、例で申し上げますと、銀行なり証券会社が、今それぞれの会社で、自分の業務の内容をコ
ンピューター化しております。当初はそれぞれの会社が別々にコンピューター化をしていったわけでございますね。ただ、だんだんコンピューター化が進んでまいりますと、同じコンピューターを使っていろんならそれを横につないだ方がもっと効率的じゃないかということで、今では全銀協にいたしましても、証券会社会にいたしましても、ある程度横にドッキングをして、そこをコンピューター化しているわけでございます。
 今度の話もそれと同じで、基本的にはこの部分だけでコンピューターの問題は考えるんですが、考えた答えとしてあるシステムができる。それは例えば証券会社の実際にやっております業務のコンピューターとつないだらもっと効率的になるという可能性があれば、そこは事実の問題としてつないでいくと、そういうことだと思います。
 ですから、初めから全体を全部まとめたコンピューター化というのは、これはなかなか難しいわけでございまして、そこは機械の進歩の程度とか、いろいろ考えて、これから考えなきゃならぬことだと考えております。
○丸谷金保君 配当なんかの場合は会社から払うし、そのときは株主名簿が配当を想定してできているということになるわけだけれども、しかしそこへは、保管機関で持っている、何といいますか、株の原簿というか、そういうものから流れて、そして会社が配当する。例えばそれらを京都信用金庫と大和證券がつなぎましたわね。この京都信用金庫は全銀システムの中で今度は全部とつながるんです。それから大和證券は証券会社のが全部つながるでしょう。これらが今度保振り機関に預ける窓口になりますわね。そうすると、簡単に例えばこのこと一つとってみても、これどっちみち、京都信用金庫と大和證券でこういう方法あれすれば、もう自動的に行くでしょう。この場合には、何といいますか、貯金の一定限度額以上は証券になって振り替えていくんですからね、自動振替の契約ですから。そうすると、その部分はどんどんそのまままた保振り機関の方へ行くことになるんじゃないんですか、預かったら、すっと。
○政府委員(佐藤徹君) あるいは私、御質問の趣旨を誤解しているかもしれませんが、配当についてだけ申し上げますと、今でも、まあ私なら私がある株式を持っているとしますと、多くの方はそれを証券会社に保護預けという形で預けているわけですね。ですが、配当そのものは証券会社を通じてもらうんではなくて、銀行の口座を指定して、そこへ振り込んでもらうとか、あるいは実際に配当をもらえる紙がございますですね、あれを会社から送ってくるとか、そういう形で受け取っておるわけでございます。今度のこのシステムになった場合、そこが変わるかというと、そこは全く変わらない。
○丸谷金保君 はい、わかりました、そこは。
○政府委員(佐藤徹君) ですから、御質問の趣旨は、例えば銀行と証券会社が既につながっているから瞬時にそういうことはすべてつながっちゃうんじゃないかと、こういうことだと思うんですけれども、コンピューターはプログラムを組んで、どの部分をコンピューターに乗せるかというのはそのプログラム次第なんでございますね。ですから、例えば京都信金と大和證券の場合でも、その部分のプログラムをコンピューターに組み込んでおるわけですから、組み込んだプログラム以外のことは、可能性はあるけれども、現在の状態ではつながらない。そういうことではないかと思いますが、あるいはお答えになってなかったらお許しいただきたいと思いますが。
○丸谷金保君 もうちょっとお聞きしたいんですがね。例えばその京都信用金庫に預金しているお客さんが、大和證券との間の取り決めで残高管理している中から一定の残高になったらどんどん証券にかえていく。この場合は、今は中国ファンドですか、それは預かるようになるんでしょう、おたくの方で、多分。どうなんですか、そこら辺もよくわからないんですがね。
○政府委員(佐藤徹君) 京都信金と大和證券のケースといいますと……
○丸谷金保君 いや、というより、先に中国ファンドは預かるのかどうかということ。
○政府委員(佐藤徹君) 現物をですか。
○丸谷金保君 はい。
○政府委員(佐藤徹君) それはお客さんの選択の問題でございまして、券を証券会社で預かってくださいという方は証券会社で預かりますし……
○丸谷金保君 ちょっと、そこまででいい、一つ。
 それで、預かって、残高管理の中から今度また大和證券――この場合は大和證券ですわね。大和證券なら大和證券にすっと行くでしょう。そうすると、それを預かってくださいということになっていれば、そのまま今度の保管機関がずっと預かることになるんじゃないですか。どうなんですか。
○政府委員(佐藤徹君) 今回の保管振替機関が現実に対象として今考えておりますのは株券でございますので、今お尋ねの中国ファンドについては、これはこの機構に乗るということは考えておりません。
○丸谷金保君 そうするとこの「株券等」という「等」は何なんだかね。転換社債なんかがありますから、そういうものを意識しているのか。この「等」で有価証券のそういったものの取り扱いをやるつもりで「等」としたんじゃないかと思ったんだけれども、違うんですか。
○政府委員(佐藤徹君) ここで「等」と言っておりますのは、法律的には、例えば株券と非常に類似しております、まあ転換社債でありますとか債券でありますとか、そういうものが将来の問題としては可能性として考えられるわけであります。ただ、予定しておりますのは、売買が非常に頻繁に行われる有価証券でございます。中国ファンドは投資信託でございますから、受益証券そのものがお客さんの間で売買されるということはないわけです。要するに、証券会社との間に購入、それから引き出しというのか、満期になって返ってくるという関係でございますから、これは現物が移動するということは、お客さんの間同士で移動するということはないわけでございますし、それから例えば一つの中国ファンドが銀行と証券会社の間で売買されるということもないわけでございます。
 ですから、今ここで「等」と言っておりますのは、観念的には債券、転換社債、そういったものでございますが、同時にまた上場されている株式が一番問題なわけでございまして、そういった意味で、上場されている株式ないしはそれに近いような転々流通が行われている有価証券というふうにお受け取りいただけたらいいんじゃないかなと思います。
○丸谷金保君 少しわかってきたような気もするんですが、そうするとあれですか、これは今さしあたっては上場千百社くらいですか、というふうなものが中心で、あとは転換社債のような形の売買されるようなものと。国債は保管してくれないんですか。そのつもりなんですか。
○政府委員(佐藤徹君) 当面私どもが考えておりますのは、今先生の方から御指摘のありました、上場されている株式、大体千百近くあると思うんですが、そのほかに店頭市場というのがございまして、これは上場の場合と同じ程度の売買があるわけですが、まあその辺まではさしあたってすぐにでも対象にする必要があるんじゃないかという気がいたしております。
 で、問題は、その国債を初めとする債券でございますが、これは御指摘のように、国債については既にブックエントリーという同じような仕組みができ上がっております。ただ、そのブックエントリーの場合は、その対象者がある程度限られてきておる。これは日銀がやっているということとの関連もございますけれども、限られております。ですから、現在の時点ですぐ国債を一緒にするということは考えておりませんけれども、そういったこの新しくできる機関の事業の状況とか、それから国債の方の転々流通する状況とか、そういったものを考えまして、将来の時点として、将来の問題としては可能性は残しておいた方がいい。そういう必要が出てくればいつでもできるという意
味で可能性は残しておいた方がいいということで、法律上はそこまで可能なように書かれております。ですから、「等」と書いてありますのは、そういった意味合いも含めて「等」と書いてあるわけでございます。
○丸谷金保君 それで、この「等」というのはどういうふうにでもこれから解釈できるような要素を非常に持っているんですよね。だから僕は国債までやるのかなと。そうしたら、今は国債は考えていないと。
 そうすると、それはあれですか、例えば日銀は今また第二次の機械化が発足して、ブックエントリーですか、要するに国債の預かりを基本的にあそこが中心でやっていますわね。そういうものとの分野調整はきちっと行われているんですか、どうなんですか。
○政府委員(佐藤徹君) 法律上の規定では「有価証券」でございますから、「等」と書いてありましても有価証券に限定されるわけでありますし、そういった意味で国債は将来の可能性としてはあるわけでございますけれども、現在は日銀がブックエントリーシステムというのを既に何年か前から始めておって、特にここに乗せるという必要が今のところはまだないわけでございます。ただ、将来の問題としては、別々のところでやっているより一カ所でやった方がいいじゃないかというような状況が来る可能性はあるわけでございまして、そういった意味でそういった可能性を法律上は残しておく。
 しかし当面、現実に私どもが考えておりますのは、先ほども申し上げましたように、主として株式でございまして、しかもそれはこの法律が通れば株式が全部この中へ入っちゃうということではなくて、株式のうち「主務大臣が指定したもの」ということでございますし、そういったことで当面は考えているわけであります。
○丸谷金保君 一応これが発足するに当たっての構想として――七問出しているうちの第一問だけでもう時間が来てしまいそうな論議になってしまうんですがね。今、一応株式だけと。じゃ構想としてはどうなんですか、大臣、これはひとつ。
○政府委員(佐藤徹君) 一応と申しましたのは、株式のほかに、新株引受権というのはほとんど株式と同じような条件なので、まあその二つ、あるいは場合によっては若干おくれて株式的な性質を持っております転換社債、その辺まではそう遠くない将来にこれに乗せていきたいというふうに考えております。
○丸谷金保君 そうすると、例えば親会社が小会社の新株引き受けのあれを持っていますね。そういうふうなところまでは想定していると。
○政府委員(佐藤徹君) もちろん上場されている会社という限定はつきますが、一応そこぐらいまでは、具体的にはこれからの検討になるわけでございますけれども、当面入れた方がいいんではないかなというふうに思っております。
○丸谷金保君 例えばCDなんかの場合は、これらは今はあれですけど、そういうふうなものは想定の中には入ってないと理解してよろしゅうございますね。あれは有価証券でないと言えばないんですが。
○政府委員(佐藤徹君) CDにつきましては、現在の法律的な性格は有価証券ではございません、日本の場合は。したがって、そういう意味でも当面、対象にはならないと思います。
 仮に有価証券になったらどうだという、ちょっと先回りしたお答えになるかもしれませんが、考えますと、CDの場合は非常に短期のものでございますから、それと無記名でございますから、名義書きかえとか、配当を受け取るとか、利子を受け取るとか、そういうことが余り問題になりませんので、こういうところに乗せて保管をしておくという必要は余り出てこないんではないかなあというふうに思います。
○丸谷金保君 それから例えばアメリカではCP、何というんですか、コマーシャルペーパーですか、こういうものは有価証券というような扱い。将来、日本にもこういうものがいずれ入ってくる可能性が強い。もともと日本の今の証券取引法自体がアメリカのあれですわね。戦後変わって、そういうことになっているのから見れば、大体アメリカで流行してくると押し寄せできますでしょう。だからそういう点で、例えばCDだとかCPというようなものも将来こういう構想の中に入っているのかどうか。
○政府委員(佐藤徹君) CPにしてもCDにしても非常に短期に、例えば六カ月とか、そういう短期間でそのもの自体が消滅してしまうわけですね、返済されることによって。株式の場合は、一たん発行されますと非常に長期間にわたって存在している。したがって、その間に転々流通をしている過程で配当をだれに払うかとかいう問題が出てくる。
 そういうことだと思いまするし、それからCD、CPの場合は短期間に消滅してしまいますし、それからその売買をとってみましても、CD、CPを非常に大量の個人が、大勢の個人が売り買いをするということは外国でも余りないわけですから、大口の機関投資家の間の取引でございますので、そういった意味で、この機関にCDやCPといった短期の金融商品が入ってきた方がいいという状況というのは余り考えられないわけでございます。
○丸谷金保君 そうしますと、例えば国債というふうなものを余り考えてない。それから将来的な構想としても、これから出てくるであろう、流通してくるであろうそういうふうな将来的な予測のものも構想としてはまず考えない。主として上場株の大蔵大臣指定のものというようなもの、もう極めて限定された考えのもとに発足するというふうな感じがするんですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(佐藤徹君) 大筋としてそうだと思います。というのは、国債とかその他の債券ですね、長期のもの、十年とか、そういうものについては将来そういう必要は起こってくる可能性は十分ございます。ですから、その時点ではあるいは考えるかもしれない。
 ただ、今現在非常にもう困っておりますというのは株券でありまして、私も証券会社なんかへ行ってみますと、株式が、現物が山積みされているわけです。それから今の状態では、売買が行われますと、同じ証券会社の中のお客さん同士の場合は現物を持ち運ぶ必要はないわけでございますけれども、証券会社を越えた売買が行われますと、現物をとにかく持っていかなきゃならないわけでして、そうなりますと今どういうことをやっているかというと、金属製のトランクがございますですね、あれに株券を詰めて人間がぶら下げていくとか、あるいは自動車で持っていくとか、そういうことが行われているわけです。俗にペーパークライシスと言っているんですが、一種の紙の洪水みたいな状況がありまして、とにかく今何とかしなきゃならぬという状況にあるのは株式なんです。ですから、さしあたっては株式を主体にこの機構を発足させておいて、将来また国債なりほかの有価証券なりでそういう必要が出てきたものがあり、かつ乗せた方が経済的効率的だというものが出てくれば、それは将来の問題として考えると、こういうことを考えております。
○丸谷金保君 もう時間がなくなりましたので――構想そのものがどうも法案から読み取れない。何か出発点から考えるというふうな感じが今のお話を聞いていても強いんです。コンピューターシステムだってどれくらいの構想でやるのか。それによって扱い方が違っできますでしょう。株を中心にしてやると。果たして大株主が一カ所にまとめられて、どこが何ぼ、どこが何ぼというのは、どこかきちっとというふうなことに対して非常に危惧する。こういう人たちだとか、そういう大きな人たちが入ってこなかったら、ある程度の構想でこの仕事を始めても、果たしてお客さんがつくんだろうかというふうな問題点があります。
 それから危険防止の点では、きのうなんかも、夕刊みますとあれですわね、何時間もとまった、
データ通信が不通になった。この場合に電電公社の現在のデータを使うのかというふうなこと。今の全銀システムは電電公社のを使っていますね。そういうのとつないでやるつもりなのか、機種をどうするつもりなのか。目玉としてはコンピューターシステムに持っていくことが目玉なはずだ。
 さらにまた、民法上の財産権の問題、物とは何だというふうなことについても従来の判例なり国会の論議なりを踏まえてみてもいろいろ残っている。そういう点についてのそういう面での法律事項がないというふうなこと、これは政令にするつもりなのか。
 とてもじゃないけれども、構想だけでも大変な実は法律だなという感じです。最初はそうも思わなかったのですが、だんだん調べてみると、非常に大事な法律だし大変が法律だし、この「等」一つがどこまでの歯どめになるのかというようなことをきちっとしておきませんと、それぞれ日銀は日銀、全銀協は全銀協、あるいは郵政は郵政、いろんな形でやっている分野調整がどこまでやっていけるのかとか、非常にたくさん問題が残っている。とりあえずそういう点では、その審議会の論議、その資料くらい出していただいて、さらに論議を深めたいと思いますので、その点で、きょうはそこまでにし、私の時間が来ましたので一応終わりにいたします。
○政府委員(佐藤徹君) 御指摘の点なんですけれども、その具体的な構想を立てるためには法律的にそういう構想を立てられる状況が必要なわけでございますね。先ほども申し上げましたように、今のように議決権の行使あるいは配当の受領そのものが現物と密接に結びついているという現在のわが国商法の体系のもとでは、何か考えようにも考えようがないというのが実情でございます。
 そこで、この法律の中心は、そういう配当を受け取るというような株主権、これは株主の本来の権利でございますから、それと、形としての名義書きかえをします名義、これと従来の一〇〇%結びついているという状態に対する商法上の手当てがあって初めていろんなことが考えられるわけですが、そういったことで商法の特例を設けるという部分が中心でございます、この法律の。
 同時に、いずれにしても、何かの機関が扱うわけでございますから、その機関の行う仕事はある程度公益性を持っておる、御指摘のとおりだと思います。ですから、そういう機関が将来できる場合に、それに対して国が必要最小限の監督なり、あるいは規制ができるようなことは当然必要になってくるわけでございまして、そこの部分を法律として御審議をいただく。この二つの部分が法律になっているわけでございます。
 で、具体的にどうやっていくかということは、それはもちろん大事なことでございますけれども、そういった前提が満たされませんと、具体的な構想というのは頭の中でぼんやりとは考えられても、御指摘のようなどういうコンピューターを入れるかとか、そういう話にまでなかなか今行き得ない状態なものですから、法律で手当てを必要とする部分を法律に書いて御審議をいただいているということでございます。
 もちろん、審議会での議論の状況とか、それからどういう答えが出たのかとか、どういうことが問題になったのかというようなことは十分御説明もさせていただきます。
○丸谷金保君 今の御答弁では、大臣、法案通してから考えるというような話で、それでは我々が審議するのにちょっと困るのですよね、通した後はひとり歩きだというふうなことでは。
 そこでもう少し、何といいますか、突っ込んで御答弁いただけるようなことにしていただかないと、例えば公益法人一体何社くらいにするんだ、いや、それも法案通してもらってからだとか、だから例えば今局長さんの答弁されるように主として株券だと。法律はそうなってないのですよ、これね。そうなっているのなら、これは全部それぞれの分野調整をやって、そこのところだけをまず受け持つのだというならいいですが、これがどういうふうにでも広げていける態勢の法律にし、コンピューターの機種まで今決めると言ったって、それは無理でしょうけれども、しかしコンピューターを使ってこういうふうなところまでやるんだとか、そこら辺の構想がなかったら、それはとてもじゃないけれども――何か商法に特例を設けるというところはわかりますよ。それから有価証券に限度を設ける。しかし、そうは言っても、どんどん一応ということを盛んに言われるがね、こう広げる、どこまででも広がっていける要素を持った法案で、その構想については法律通してもらってからでなければ考えられないという、大臣、そんな程度のあれですか。大臣はそんなことないと思うのですが、御提案する以上は。一応の構想を持ってなかったらできないと思うのですが、どうなんでしょう。
○政府委員(佐藤徹君) 重ねて恐縮でございますけれども、こういう事柄をやっていく、事柄自体は国が直接やるようなことではないのだと思うのです。ですから、これは関係者の間でどういうやり方が一番いいかということを考えてやっていく、外国でも全部そうでございますけれども、そういう事柄だと思います。そういうことを考えていくに当たって法律関係がどうなるかということは一つの要素でございますから、その法律関係をすっきりと可能なようにつくり上げておくということが非常に大事な基本要件でございます。
 したがって、現在はそういうことで法律関係を中心にして私どもいろいろ検討を重ねてきたわけでございますが、実際に具体的にどうなっていくかというのは、これは民間の公益法人の話になるわけでございまして、ある程度関係者の間でもう事前の調整はもちろんやっております。やっておりまして、当面は株式でスタートした方がいいんじゃないかとか、そういった程度の構想はあるわけでございますけれども、何といいましても、重ねて恐縮なんですけれども、商法上の関係が一つの前提として備わりませんと、それ以上先に進めないものですから、そういったことで今回法律の御審議をお願いしているわけでございますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
○丸谷金保君 もう穐山委員の時間に食い込んじゃっているんで、一応委員長、先ほどの資料要求と、それから質問の続行を保留して質問を終わります。
○委員長(伊江朝雄君) 大蔵省。
○政府委員(佐藤徹君) 両審議会の答申を即刻取り寄せまして御提出申し上げます。
○穐山篤君 「等」についての将来的な問題、位置づけはわかりましたが、今回の法律の対象になります上場されたもの、それから先ほどお話しのありました主務大臣が指定をした店頭物というものは、ごく最近の数字でどういう状況になっているでしょうか。
○政府委員(佐藤徹君) 株券の、上場株式が中心でございますが、流通の状況を申し上げますと、今、全国の証券取引所で一年間に売買される株式の量は、五十八年の数字でございますが、千二百二十三億株ございます。 一日平均で四億二千八百万株、まあ四億強と考えていただいていいと思いますが、このうち同じ証券会社の中のお客さん同士で相殺されてしまう部分がございまして、その部分が大体五五%程度ございます。したがって、実際に現物が移動する量というのは一年間で五百五十三億株ぐらいございます。一日平均で言いますと、一億九千万株、約二億弱あります。この決済を必要とする五百五十億株のうちに、現在、東京証券取引所の子会社でございます日本証券決済株式会社というのがございまして、部分的に今、審議をお願いしているようなことをやっているわけですが、そこで処理されるものが約百億株ございます。したがって、現在、現物が行ったり来たりしているものは、差し引きしますと一年間で四百五十万株程度ございます。一日平均にしますと一億五千万株程度でございます。こういったもののうち、主務大臣が指定をするものがこの法律の対象になるわけであります。
○穐山篤君 今、お話しのあったものをもう少し
分解してもらいたいんですが、最近の株式の構成ですね、株の数、それから株主の数を大ざっぱでいいですよ、機関投資家と個人、その他というふうに分けて、どういう状況にあるか、あるいはどういう傾向にあるかというところをちょっと説明してください。
○政府委員(佐藤徹君) 今、非常に大ざっぱな数字で申し上げますと、株主の構成というのは二八%程度が個人でございます。それから一番ウエートの高いのは金融機関でございまして、これが三七%程度になっております。それから事業法人、普通の企業でございますが、そういったところが持っている株式が二六%程度ございます。その他割とウエートの高いところで言いますと、最近外国人が持っているウエートがかなり上がってきておりまして、個人、法人合わせて、そうでございますね、五%程度が外人のものという姿になっております。主な保有者はそんなところでございます。
○穐山篤君 今の説明でいきますと、金融機関ですね、銀行その他三七、事業法人二六、個人が二八、外国人が五%というお話でした。
 さてそこで、二十年も前のことを言うわけにはいきませんけれども、調べてみますと、個人投資家が傾向的には横並びないしは減少の傾向にあるわけですね。
 そこでお伺いをするわけですが、個人の投資家が入りづらい。今、株式の本なんか非常に売れて、なかなかもてているわけですけれども、実際に個人の投資家が減っているということを逆に見れば、参入しづらいという条件にあるのではないかという面も一つには考えられるわけですがね。あるいはもう一つ別な面から言いますと、金融機関なり事業法人のこういった機関投資家がリードしてしまうために個人の投資家の余地がない、こういうふうにも反面考えられるわけですね。しかし、株式投資というのは、言ってみれば、個人の投資を慫慂してきたいきさつから考えてみまして、こういう事態をどういうふうに認識をされるのか、その点お伺いします。
○政府委員(佐藤徹君) 先生御指摘のように、個人株主のウエートが年々下がってきておるという実態はそのとおりでございます。このことの原因としては、幾つかのことが考えられるわけですが、一つは、金融機関でありますとか事業法人が保有する場合に、安定株主ということで企業サイドからもそういう動きがあるということで、金融機関とか法人の持ち分がかなりふえておるわけでございますが、他方、利回りが年々低下してきておる。これは日本の企業の将来性を買って株価というものは上がっていくわけでございますが、毎年受け取る果実の量を示す利回りという点では年々低下をしてきておる。したがって、投資としての魅力、それから安定株主というようなことで法人に保有されるウエートが高まってきているというような、二つの要因で現在のような状況になっておると思うんでございます。
 ただ、外国人が先ほど申し上げましたように非常にふえてきておる。これは外人も法人とか個人とかいろいろあるわけでございますけれども、これはいわゆる国内の株式のもち合いでありますとか、そういったこととは無関係な部分でございますから、これを含めた二八%に五%を足した三三%程度、三分の一でございますか、これがいわゆる浮動株というふうに考えていいんじゃないのかなというふうに思っております。
 しかし、それにしても年々減ってきておるじゃないかということは確かにあると思いますので、それは将来の株式市場の発展を考えます場合に、一つの大きな問題であるという認識は私どもも持っておりますし、関係者も持っておりまして、一昨年になりますけれども、どうしたら個人株主がもっと株式市場に魅力を感ずることができるだろうかという課題につきまして、私どもの役所に証券取引審議会というのがございますが、証券取引審議会でいろいろ御議論をいただいて、個人が株主に目を向けてくるような施策を少し考えた方がいいんじゃないかということで、具体的には二つほどの御提言をいただいたわけでございます。
 一つは、公募増資、増資ですね、増資のやり方の問題がございます。この増資というのは二つの側面を持っておりまして、会社の資金調達という側面と、それから投資物件を新たに提供するという側面があるわけでございますが、会社の立場からいたしますと、できるだけ会社に有利なような増資の仕方、言ってみれば、時価発行増資を選ぶわけでございますが、他方、既存の株主にとってみますと、時価発行増資で株数がふえるということはそれなりの影響があるわけです。ですから時価発行増資をした場合に、入ってきたお金をどうやって既存の株主に還元していくかということが一つの重要なポイントでございまして、そういった点についての御検討をいただいて、若干幾つか改善をした方がいいんじゃないかという御答申をいただいております。
 それからもう一つは、戦後日本の株式市場というのは、個人投資家の保護という証券取引法の基本理念に立ちまして、できるだけ投機性を薄めてくるというようなことでやってまいりました。そのこと自体は今も変わっていません。ただ、世の中が変わってまいりまして、いわゆるベンチャーキャピタルというような企業とか、そういったものも出てきている。従来は、投資家にとって安全で有利な投資物件というのは、大きな会社の株式という感じが中心になっていたわけでございますが、今の我が国社会の現状を見ますると、必ずしも大きいからいい投資物件だ、有利な投資物件だ、安全だというふうには、なかなか割り切れない部分が出てきておりますので、そういった意味で上場の基準を若干見直しするとか、それから上場に至らないけれども店頭で商いをされているものをもうちょっとふやしていくとか、そういったことを考えたらどうだろうかという趣旨の御提言もいただいたわけでございます。
 そういった提言に沿いまして、昨年いろんな制度を改善をいたしまして、例えば大阪で俗に新二部市場と言われているものが去年からスタートしておるわけでございますが、そういったさまざまな試みはいましているところでございます。
○穐山篤君 お話がありますように、外国人を含めて三三%になる、三分の一ですが、これは極端なことを言うつもりはありませんけれども、機関投資家が豊富な資金量でどんどん入ってきますと、今お話のありますように、個人の投資家の入る余地がなくなっちゃう。その結果は、価格の形成だとか流通に非常な問題を起こすというのはもう当然のお話だろうというふうに思います。時間の都合がありますからはしょります。
 そこで、保管並びに振替についてお伺いしますが、先ほどお話がありましたように、商法の特例をつくるんだということになりますと、資料にもありますが、商法二百五条、六条で、「株券ヲ交付スルコトヲ要ス」、株主名簿に記載をしなければ対抗はできませんよと、こういうふうに商法では規定をしてあるわけですが、それが最終的に振り替えられて実質株主名簿に記載がされますとできると、株主としての権利並びに配当を受ける権利を有するということで、二百五条と六条の商法の特例という考え方になったと思うんです。
 そこで一つお伺いしますが、コンピューターでこれからいろんな御苦労をされるんでしょうが、一つの卑近な例として、売買をした、本人は実質株主名簿に記載がされたと思っていた、言いかえてみればそのときに権利が発生しておったと、こういうふうに理解をしておったのだけれども、実はコンピューターに入力してなかったという場合は、現行で言う商法の喪失という部分に該当するのか、あるいはその他の解釈になるのか、その点いかがですか。
○説明員(稲葉威雄君) 御質問のような事例でございますと、いわば帳簿上とそれから実体的な権利関係とが一致していないという事態だと思うんです。ですから、非常に簡単に処理しようと思えば、その実体に合うように帳簿を直せばそれで片はついてしまうということになるわけでございます。例えば預金で払い込んだ、あるいは預金を預
けた、にもかかわらず預金口座には入っていないという場合であっても、それ相応の権利は持っているわけでございますから、そして株券を交付してくれという権利は持っているわけでございますから、そういうことで直せばそれで済むということであろうと思います。第一次的にはそういうことで処理をするということでございまして、システムとしてはそういうようなコンピューターミスが起こらないような仕組みにしておくし、そしてまたコンピューターミスが起こったらそれが直ちに復元できるような処理にする、復元すれば問題は解決すると、こういうことになるのではないかというふうに考えております。
○穐山篤君 現在、商法の二百二十四条で名義書きかえの停止という問題が片方ではあるわけですね。その期間中あるいは前後に私が提起したような問題が発生をした場合、法的に権利義務はどういうことになるんでしょうか。
○説明員(稲葉威雄君) 確かにその場合には、先生御指摘のように、実質株主名簿に記載がされないという事態が起こるわけでございまして、その結果として株主権が行使できない、議決権が行使できないとか、あるいは配当がもらえないということが起こるわけでございます。そういたしますと、その場合にはどこに責任があってそういうミスが起こったかということが問題になるわけでございますが、証券会社に例えばミスがあったというふうに仮定いたしますと、証券会社がその損害を賠償する、配当であればそれは配当分を損害としててん補すると、こういうことになろうかと思います。
 これは実は現在でもある問題でございまして、名義書きかえを依頼したところが、証券会社がミスをして名義書きかえ請求をついやらなかったというような場合にどうなるかということと全く同じ問題でございます。その場合には、少なくとも配当はてん補するわけでございましょうし、議決権の行使の部分が非常に問題でございまして、議決権が行使できなかったということになって、それによって損害が生ずるかどうかという問題があるわけでございます。精神的な損害というものがあり得るということと、それから議決権の行使できなかった量が非常に多くて、そして決議の成否にも影響するというような事態が起こりますと、これは決議取り消しの訴えの対象になり得るというふうに私どもとしては考えております。
○穐山篤君 そのことはわかりました。
 大臣、この前の当委員会で私は金融市場の自由化、開放問題でお話を伺いました。
 アメリカ側からは、四つの重要な要求があるがそのうち当面は二つである。一つはユーロ円債の開放、国際化という問題、それからもう一つは我が国金融界に参入をする、こういうことの二つが重点目標のようであったわけですが、仄聞するところによりますと、アメリカ側からもこの証券業界への参入というものを非常に熱望をしているようです。そこで、我が日本政府としてはこの証券業界への参入の問題についてどういう心組みで対応しようとしているのか、その点ちょっとお伺いします。
○国務大臣(竹下登君) 我が国金融資本市場への参入という問題でございますが、特にリーガン財務長官の記者会見等でシンボリックに言われておったのは、日本の銀行はまずアメリカで何ぼでも銀行を買収するではないか、アメリカの銀行は日本の買収をしていないと、こういうことが一つであります。その問題は、制度的には幾らでもできる建前になっております。それらは専門家の間では十分理解がいっておるところでありますが、簡単に言えば、日本の銀行、証券、保険に限らず預金者保護、投資家保護あるいは被保険者保護というような点が貫かれて今日まで歴史的に来ておりますので、したがって数も少ないし、そしてそれぞれが健全な経営をしておられるから、身売り希望者がないというとちょっと表現はおかしいんでございますが、そういう点が事実そういう状態にあると思います。
 それから証券界の問題ということになりますと、いわゆる東証の会員に――日本の証券業界はニューヨークでちゃんと会員になっておるのにアメリカは会員になかなかなれぬと、こういうことであります。これも法律上はできることになっておるわけでございますけれども、一口に言えば、これは大蔵省の問題というよりも証券業界自身の問題、あるいは東京証券取引所自身の問題、すなわち幾らでもできる、法律的な障害はないがあきがない、簡単に言うと。そういうことでありましょう。
 元来、この国際化の段階で、そういうことは私は検討すべき課題であるという事実認識に立っておりますが、大蔵省そのものの仕事でないというところで、これからも関係方面といろいろ意見の交換をしてみたい。事実上の問題は、私どものような素人でなく、証券局長等実情に詳しいそのつかさつかさの者でいろいろな情報なり意見交換なりしておりますが、そういう方向はある意味において一つの流れではないかという事実認識に立って、具体的には本当に相手さんのあることと申しましょうか、大蔵省そのものの制度、仕組みの中で解決できる問題でないだけに、これからも主体的に、そして積極的に検討を続けていく課題だという事実認識をいたしております。
○穐山篤君 まだ決まったわけでもありませんけれども、アメリカの意気込みというのは具体的ですね。東京証券取引所の会員の権利をもらいたいと、ざっくばらんに言えば。それから幹事役にもなりたい、いずれこの手数料の問題についても手を突っ込みたいと。いろいろな問題が発生することは事実だろうと思うんです。いずれこれは円・ドル小委員会で議論されるわけですから、十分ひとつ対応だけは考えていただきたいと、こんなふうに思います。
 さてそこで、これは法務省と大蔵省になりますか、五十六年に商法の改正が行われました。時間がありませんから具体的なことは申し上げませんが、それに基づいて昨年株主総会が行われたわけですね。去年の株主総会は五十六年度の改正以前の株主総会に比べてどういう特徴的な変化があったんだろうか。それから商法改正では所要の事前の手続を経て提案権というものを認めたわけです。提案権の行使ができるわけですが、この提案権を行使した具体的な中身というものがおわかりになれば明らかにしてもらいたいと思います。
○説明員(稲葉威雄君) 昭和五十六年の商法改正が昭和五十七年の十月から施行されまして、その後の株主総会というのは、いわゆる総会屋に対する利益供与が禁止されたということと相まって、総会屋主導型の株主総会というのではなくして、もう少し会社が自主的に会社だけで運営するというような形になって、会社としてはできるだけ前向きに取り組みたいという意欲を持っていたようでございます。
 そこで、概して申しますと、今までかなり短い時間で行われていた総会が二倍ないし三倍の時間――これまでが短かったのでそれほどほめた数字でないかもしれませんが、そういう時間に延びたという傾向、一般的にそういうふうに言われております。
 ただ、その中にいわゆる総会屋が変身いたしました一株株主と言われておるものでございますけれども、そういう人たちがその中で復権を図るということであろうと思いますけれども、長時間総会というのを演出して非常に長い総会というのが話題になったわけでございまして、いすゞ自動車というのが皮切りでございまして、その後最近になりましてソニーの十三時間半というような非常に長い総会がある。しかし、それは非常に例外的なケースでございまして、概して言えば平穏に終わっていて、会社側としてもできるだけ株主との対話を深めたいという感じを持ってはいるわけでございますけれども、一方で、そういう一部のプロ株主があらわれるということに対して非常な警戒心も持っている、こういう状況であろうかと考えております。
 この状況については過渡期でございますので、いろいろ会社側としても心配、神経質になってい
る面があろうかと思いますけれども、議長の采配等によろしきを得る、そしてその総会屋に対する利益供与というのが根絶されるというようなことが現実化いたしますと、だんだん落ちついてくるのではないかと私どもとしては期待しております。
 それからもう一つのお尋ねの提案権の問題でございますが、私どもの知っている限りでは二件ございまして、一つはよみうりランドという東京の会社でございますが、これについては、一部大株主から経営方針についての問題提起がなされて提案権が行使されて、かなり長時間の総会になったということでございます。それからもう一つは、西宮酒造という灘の方のお酒屋さんの会社でございますが、これは経営権の争奪をめぐって前社長から提案権が、取締役の選解任をめぐって提案権が行使されたということでございます。このいずれの事件とも提案権は成立はいたしません、株主提案は可決はされなかったということのようでございます。
○穐山篤君 ちょっと過去の話で恐縮ですが、五十六年の商法改正では、先ほども申し上げましたように、提案権というものが正規に認められて、事前の手続がなければこれはうまくないんですけれども、そういう意味で、かつて片倉工業の問題で、大蔵省、厚生省、農水省、通産、この四省を相手取って訴訟に持ち込まれている事件の問題なんですが、株主が単に損益計算書であるとか、あるいは会計の帳簿を確認するのみならず、経営内容がうまくない、あるいは株主の主張を取り入れなかったために株主に損害を与えたと、こういうことで訴訟になっている事件ですが、この裁判というのは今どういう状況になっているんでしょうか。
○政府委員(佐藤徹君) 先生の御質問の裁判というのは、あるいは例の香港の方が株を買ってそれが途中でうまくいかなくなったというその裁判のことと考えてよろしゅうございますか。
○穐山篤君 そうです。
○政府委員(佐藤徹君) あの裁判につきましては、いろんな主張が法廷にそれぞれ別々に持ち込まれておりまして、私どもの所管する問題としては、現地で香港の方たちの商売が実際に行われていた山一の香港現地法人との間のトラブルがかつて訴訟として提起されたわけでございますが、これはその後問題解決いたしまして、現在はもう済んでおります。
○穐山篤君 ああ、そうですか。わかりました。
 時間が余りないので弱ったなと思っているんですが、そこで、商法改正に伴う権利義務の問題について、総会とかあるいは取締役会、監査役、監査法人というものについて今度厳格なものに改正をされたわけでありますが、次に申し上げるような問題ではどういう法的な関係になるかお伺いをしたいと思います。
 あるAの会社の監査役が、実は当会社の会計を調べていった結果、使途不明金がたくさんございます、あるいは某政治家に政治献金をしました、しかしそれはそれぞれの費用を費用として処理をしたところもありますけれども、費用を費用として処理しなかったものもあります。お手やわらかにということで監査法人あるいは公認会計士にひそかに依頼をする。こういう事件が最近幾つかあったわけですが、こういう場合の法的な取り扱いですね、この点を少し明らかにしてもらいたいと思います。
○説明員(稲葉威雄君) 事案がかなり抽象的な御指摘でございますので、抽象的に答えさしていただきますと、その場合に、監査役あるいは監査法人、商法上で申し上げますと会計監査人ということになるわけでございますが、そういう者がそういう依頼を受けて故意にその職務を懈怠した、尽くすべき義務を尽くさなかったということでございますと、当然職務執行に懈怠があるということでございますので、解任事由にもなりますし、それから民事上の損害賠償請求を受けるということになりますし、あるいは監査報告書に記載すべき事項を記載しなかったということでございますと、不実記載の責任、これは過料の制裁ということも含んでおりますけれども、そういう責任を負うと、こういうことになろうかと思います。
○穐山篤君 時間が余りないので具体的に申し上げることができないんで、きょうのところは福島交通の問題について、刑事上の問題は別にいたしまして、商法の適用上どこに瑕疵があったか、あるいはどこに権利義務の行使が不適であったか、そういう問題について法務省としては十分調べられ、それは大蔵省はまた別の角度からお調べになっていると思うんですが、この商法上の問題について簡単にひとつ解明をしてもらいたいと思います。
○説明員(稲葉威雄君) 御案内のように、法務省という役所、特に私どもが所属しております民事局というところは抽象的に法律の立法をつかさどるわけでございまして、具体的にその法律がどのように適用されているかということについては、裁判所等で事件になって初めて処理が、紛争が起こり、そしてそれが裁判所で解決されるということでございまして、私どもとしては抽象的に法律上こうなっておりますということは申し上げられても、具体的に福島交通の事件について、新聞紙上等いろいろ取りざたされていることはよく存じておりますけれども、どういう事態にあるのかという確実な事実認定をする立場にございませんので、それを前提にしてお答えをするということは差し控えさしていただきたいというふうに思っております。
○国務大臣(竹下登君) この福島交通事件といいますか、要するに新聞紙上等で出ております、あるいは委員会等で議論されておることを申し上げますならば、運輸省関係は別といたしまして、税制上の問題、それから恐らく今度は銀行の金融の問題、それといま一つは有価証券取引上の問題、この三つじゃないかと思います。
 で、証券取引法に基づく有価証券報告書、これは商法ではございませんけど、大体、何といいますか、二重になっておるような感じのものでございますが、これは昭和五十八年九月期の有価証券報告書において公認会計士が意見差し控えの監査意見を表明しておる。これは有価証券報告書でございますから、大蔵省の裏の方へ毎日持ってきて、幾らでもコピーももらえる性格のものでございますが、公認会計士が不適正意見なり意見差し控えの意見を付した場合には、通常の手続として、公認会計士及び会社から事情を聴取することとしておるところでありまして、本件についてもこのような一般的手続に従って事情聴取をしておるところでございます。で、その結果を踏まえて適正な措置を講ずる。
 要するに、本来は私ども、常識的に上場会社の内容を調べるために有価証券報告書を取り寄せる。上場会社じゃございませんので、要するに報告書の提出というのは、言ってみれば、投資家保護という立場からできたものであると思います。しかし、それはたとえオーナー会社であっても出すことは出すわけでございますから、その中に意見差し控えの監査意見がある、これは事情聴取をするということに相なるわけであります。ただ、財務局を通じてと、こういう感じになりますので、福島でございますから若干の時間はおかしいただきたい。一月、二月かかるという問題じゃございませんけれども、そういうことでございます。
 今、正確に申し上げますと、商法の監査は一定規模以上の全法人、それから証取法の監査は上場または公募増資をした会社という意味で、趣旨は違いますけれども似ておりますので、商法ではございませんが、証券取引法上の取り扱いでそのようなことがございます。
○穐山篤君 時間の関係がありますから、これはまた別のところで法的に少し詰めたいと思っております。
 昭和五十六年の商法の一部を改正する際にいろいろ私どもも参加して議論をしたわけですが、その結果十の附帯決議がつきました。
 そこで、きょうは二つだけのことについてお伺いをしておきます。
 第一は、この前の改正のときに、資本金五億円、負債二百億円、これが一つの基準でありましたが、大中小の会社の構成の問題について議論がそのまま残って附帯決議に付されているわけです。その後どういうふうな検討が進められているか。
 それからもう一つ、大会社に対します監査業務の問題で、会計監査人あるいは監査法人というものの独立性、あるいは権威を高める、あるいは国際性というこの問題についても注文をしておいたわけですが、きょうはこの二つについてその後の研究の結果を明らかにしてもらいたいと思います。
○説明員(稲葉威雄君) 初めの大小の会社の問題でございますが、この問題は日本の会社法の上で非常に大きな問題でございますので、昭和五十六年の改正が成立いたしまして、その後法務省令の制定等に若干の時間を要しましたけれども、昭和五十七年の暮れから法制審議会は鋭意この問題に取り組んで検討をしております。で、その結果といたしまして、近くこの大小会社の取り扱い、特に現在大会社として、先生御指摘のように、五億円あるいは負債総額二百億円という基準があるわけでございますが、それ以下の小会社、あるいは中小会社と申し上げてもいいのかもしれませんが、そういう会社についての法規制をどういうふうにしたらいいのかという問題について問題点を拾い上げまして、それを公表して、各界の意見を承った上でさらに審議を進めるというような取り運びにしたいというふうに考えております。
 それから大会社に対する監査業務の問題、会計監査人の独立性あるいは監査の的確性の問題につきましては、私どもとしては、商法改正の中でできるだけのことをいたしたつもりでございまして、その改正の後を受けて、大蔵省でもあるいは日本公認会計士協会においても鋭意その方向に努力されているように伺っております。
○穐山篤君 大蔵大臣、この法律が成立をしますと、「六月を超えない範囲内」でという附則がついている。丸谷委員からも指摘がされておりますように、準備上の問題がかなり残っていると思うんであります。
 それから新規に個人投資家が参入しようとする。これから出てくるだろうと思うんですが、こういう保管、振替というふうなあり方の問題について十分広報を徹底しませんと、準備不足の上に混乱が起きる可能性というのは十分予知できると思うんです。私はこの点を十分注意されるように、そのことだけ意見として申し上げておきます。
 さて、最後に合算課税の問題についてお伺いをいたします。
 先日、オレンジ、牛肉の話が一段落つきまして、その次に起きる問題は、例の農産品に対します関税の引き下げの問題が別に起きることは予測しなければならぬと思うんですけれども、公平に見まして、アメリカの各州でやっております合算課税の問題につきましては、我々としてかなり腹に据えかねている問題ですが、問題を明確にする意味で合算課税というものはどういうものであるのか、あるいはどういう計算をするものであるのか、その点まず冒頭にお伺いします。
○政府委員(梅澤節男君) 合算課税、ユニタリータックスと申しておるわけでございますけれども、これはただいま御指摘になりましたように、アメリカの一部の州。もう十数州に上っておるかと思いますけれども、州税で企業に課税する方式として採用している方式でございます。これは関連企業グループ全体を、いわばユニタリー概念と申しますか、一つの概念でとらえまして、それをそれぞれ各企業の支払い賃金、それから売上高、それから資産の額でそれぞれ案分するという課税方式でございます。
○穐山篤君 通産省に行って全部調べてみたんですが、一々何社あるということをもう時間ありませんからお伺いしませんが、日本の企業がアメリカにこれだけの資料があるくらい企業活動をやっていて、その影響も非常に甚大であります。
 そこで二つのことをお伺いするわけですが、たしか昨年の六月だと思いますが、連邦裁判所がこの合算課税は合憲であるという判定を下したわけですね。それからもう一つは、日米の租税協定というものが現実に相互主義であるわけです。その両方から考えてみまして、この合算課税というのは非常に不当ではないか。こういうふうに思いますが、その二つの面から考え方をひとつ明らかにしてもらいたい。
○政府委員(梅澤節男君) まず前段でございますが、御指摘のとおり、昨年六月に連邦最高裁が米国の、これは国内企業でございますが、の違憲訴訟に対しまして、ユニタリータックスは合衆国の憲法上合憲であるという判決を下しておるわけでございます。
 それとの関連もございますけれども、私どもといたしましては、従来からこのユニタリータックスが、アメリカへ進出する我が方の投資活動を非常に阻害するという懸念を持っておりまして、この判決が出ます何年か前から、いろんな外交チャンネルとか、各レベルのアメリカ側との接触の機会にそういう懸念を表明し、少なくともアメリカにとっての外国系企業にこのような課税方式が適用されるということは好ましくない、これは廃止すべきであるという意向を伝えてきたわけでございます。
 その幾つかの蓄積があるわけでございますが、その点の御報告は省略をさせていただくことにいたしまして、後段の日米租税条約との関連でございますが、御案内のとおり、アメリカでは州税の問題につきましては連邦政府は関与できないということで、現在の日米租税条約でも州税は条約の対象税目になっていないわけでございます。ただ、租税条約の七条に無差別条項というのがございまして、本件のような場合にアメリカの国内企業と我が方の子会社、これはアメリカの法人であってもいいわけでございますが、課税上の差別的な取り扱いを受けた場合には、これは租税条約上議論ができるということになっております、州税といえども。ただし本件の場合は、ユニタリータックスの場合は、アメリカの固有の企業であろうとアメリカにとっての外資系の企業であろうと、同じような課税方式をとっておりますから無差別条項の問題は起こらないということでございますので、この問題に関する日米間のやりとりというのは、租税条約に基づくやりとりではございませんで、一般的な外交チャンネルなり一般的な両国政府間の話し合いというレベルで行われておるということでございます。
○穐山篤君 そうしますと、この日米租税条約に精神的には相反するものだと、我々はこういうふうに理解しているわけですが、これは、じゃ争いの対象にはならない、そういうお話です。
 そこでもう一つの原則があるわけですが、OECDが出しておりますものの中に独立企業課税制度というのがあるわけですね。その意味から言いますと、ECの諸君と日本の立場というのはほとんど同一条件にあろうと思うんですが、このOECDの中ではこういう問題はどういうふうに議論がされて、展開をされて、今どういうふうな立場に立っているんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) OECD等におきましても、このユニタリータックス、アメリカのユニタリータックスというのはいろんな機会に話題になっておりますし、日本政府と同じように、特にEC諸国でございますけれども、投資活動に対する懸念を表明し、この課税方式は、少なくとも内国企業の場合、アメリカの内国企業の場合は別でございますけれども、子会社を含む多国籍企業に対する取り扱いについてはこういう課税方式は廃止されるべきであるという点については、大方の考え方はそろっておるという現状でございます。
○穐山篤君 今もお話がありますように、ECとのかかわりでは共通の考え方ができた。しかし、この合算課税の計算方式からいってみても、例えばオレゴンでも、去年、おととしですか、参入したフロリダにおきましても、その州で利益ができなくても、他の州あるいは他国で収入がある場合には、当該州で赤字であったにしてみても莫大な税金を取られてしまう。これが法律的に争いがどう
もできないということになると、政治的な解決以外に手がなくなる。こういうふうに理解をせざるを得ないんですが、そういうことなんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは結論から言うと、今の御意見、私も否定するものじゃございません。五十八年の六月の二十七日に米連邦最高裁の判決が出まして、そこで日本政府の立場を述べます口上書をまず出した。そこから始まるわけでございますが、それで五十八年の九月の十七日にユニタリータックスに関する米政府の方針検討に際して善処を求める、これはこちらからまた総理から大統領に。
 そこで、それが一つの効果として出ましたのは、九月の二十三日にレーガン大統領の命によってユニタリー課税問題検討のための作業部会というものができたわけですね。で、一番顕著なのは、我が方の内海公使でございますが、この人はここで世話になっておりました、主税局におりましたが、ユニタリータックスの問題点、これを正確に聴聞会で彼が述べまして、いわゆる租税条約に定められている独立企業原則に従ってやるべきだ、それから場合によっては租税条約を改正して州税も対象に含めるべきである。これは私見という形で述べたりして、そういう作業が続いておることは事実でございます。それはワシントンでの問題。
 したがいまして今度は、一方は州政府に対して、特に我が国の企業の余計出ておりますカリフォルニア、あそこの関係者はこの問題、地中海ミバエとか、そういう問題は別といたしまして、この問題も大きな問題だというので根回し、まあ根回しというと表現おかしゅうございますが、州の議会やらへいろいろ働きかけをします。そうすると州の議会の個々も、なるほどなと。むしろ日本の企業もだんだんこれは出てこなくなる。日本企業進出ウェルカムという地方も多いわけでございますから、そういう考え方になる。やっぱりいずこも同じでございますが、今度はいよいよ予算を組むことになると、財政上の問題でこれをちょっと外すわけにはまいらぬというので、何となくまたそれが続いてきた。こういうような感じでございまして、それに政治的な面からのアプローチとしてレーガン大統領のもとでそういうことが行われる。
 だから、我々はこの問題に対しては不断の努力をしていかなきゃならぬし、アドホックグループの会合でもこれは一番目玉として我々が絶えず主張しておることでございますが、要するに州税というところに問題がストレートにいかない。したがって、今おっしゃった政治的な、総合的な対応の仕方で、これは押しまくるというと表現はおかしいんですが、折衝をさらに続けていかなきゃならぬ課題だという事実認識をいたしております。
○穐山篤君 終わります。
○委員長(伊江朝雄君) 先ほどの穐山委員の質疑に対し、補足答弁の申し出があります。これを許します。佐藤証券局長。
○政府委員(佐藤徹君) 先ほどの片倉工業の裁判についての御説明がやや舌足らずだったものですから若干補足させていただきます。
 東京地裁に提起されておりました取締役違法行為差し止めの請求、これは先ほど申し上げましたように、昨年の六月に取り下げが行われまして済んでおります。ただ、このほかに、この件に関連いたしまして、外為法上の指定会社に指定されていたと思いますが、その指定会社に指定したことが不当であるという訴訟が別途提起されておりまして、これは現在でもまだ係属中でございます。
 そのほか、これは国内ではございませんが、香港の裁判所に山一の行為が不当であるという裁判が提起されておるようでございまして、これはまだ取り下げられておりませんので係属中という状態ではないかと思います。
 以上でございます。
○鈴木一弘君 初めに本法関係で聞きたいんですが、証券取引審議会と法制審の商法部会、その両方で審議、検討されたようでございますが、どういう連携のもとにこの作業を行ってきたのか、また法案をまとめるに当たっては法制審の決定等を経たのかどうか、これを最初に伺いたいと思います。
○政府委員(佐藤徹君) この株券の保管振替システムにつきましては、最初こういう仕組みが必要ではないかという発想から日本国内で検討が始まりましたのが、実に今から二十五年前の昭和三十三年なんです。いろんなところで議論が行われて、事柄の必要性というのはほとんど異論がないんですけれども、実際にその仕組みを考えていきますとどうしても商法の問題にぶち当たってしまう。しかし試みに、現行の商法の中で一体何ができるだろうかということで、東京証券取引所が子会社としまして決済会社をつくってそこでやってみたんですけれども、しかしやっぱり期末になって配当を受け取る時期になりますと、どうしても名義書きかえに出さざるを得ない。そのときにはその会社から現物をお客さんのところへ戻すということがあって、どうしてもこれは商法の手当てが必要ではないのかなという議論がだんだん強くなってきたわけであります。
 そこで、証取法といいますか、証券取引のサイドで一体どういう問題が実際考えられるのか、やるとすればどういう仕組みがいいのかというような観点から証券取引審議会が検討に着手をいたしましたのが、昭和五十四年の十二月でございますから、今から五年ほど前でございます。そこで二、三年議論いたしまして、証取審議会の立場からの問題点の検討を終えたのが昭和五十七年の終わりでございまして、これは御提言をいただいております。今取り寄せましたので現物をお渡しいたします。
 そこで、そういった証取審の検討の中で、日本の場合は商法の特例を設けないとなかなかうまく機能しないなということもございまして、この問題につきましては、証取審の段階でも商法学者の方が何人か入っておられまして、商法上の検討をひとつしようじゃないかということ。ただ、商法は本来大蔵省の所管ではございませんので、法務省にお願いをいたしまして、法制審議会でいろいろ御検討いただいた、これの答えが出ましたのが昨年の十二月。これは主として商法の特例をいかに法律的に構成していくかという観点からなされたわけでありまして、その結論は、提言ということではなくて、やる場合の法律案はこういうことになるんじゃないだろうかという法律案要綱案みたいなものとして公表されたわけでございます。
○鈴木一弘君 法務省にひとつ伺いたいんですが、現在、商法の上で、株券不所持制度というのが二百二十六条ノ二にございます。今回、新たに株券の振替決済制度、これを導入した理由と、この不所持制度との関係はどうなっているか、これを伺いたいんです。
○説明員(稲葉威雄君) 株券の不所持制度と申します制度は、これは株券を保持していることによって、保持している者がそれの盗難に遭うということがありますと、善意取得されて株主権を失うという事態、そういう事態を防ぐために創立された制度でございます。
 ところが、この新しい株券の振替の制度と申しますのは、専ら流通とそれから保護と保管と両方うまくやろうということで考えられた制度でございまして、株券不所持の場合には専ら株主の静的な状態でそのまま株主権を保護するということでございまして、これを動かす、株主権を他に譲渡するという場合には、必ず株券を発行してもらって譲渡しなければいけない、こういう仕組みになっているわけでございます。しかし、それでございますと、売り買いというような場合に役に立ちませんので、この新しい制度のもとでは、株券を一カ所に集中保管いたしまして、その集中保管しているところが帳簿に記載するということによって譲渡と同じ効果を、譲渡の効果を生み出す、こういうことにしているわけでございまして、株主の保管の利益、株券の保管からの危険というものを防止するという意味では同じ意味合いを持っているわけではございますけれども、流通の面で不所持の場合には対応できないのに対して、これは流通の面も考えているという点において差があ
るというふうに考えております。
○鈴木一弘君 先ほど丸谷委員から適用有価証券の範囲等については追及がございました、転換社債等も将来は考えられると。もちろん新株引受権等も考えるということになると思うんですけれども、この場合、適用有価証券の範囲が現在の有価証券取引法に規定をされているそういうもの全体にまで広がっていく可能性があるのか、それともさらにそれを飛び越えてしまって商法等に規定されている方までいってしまうのか、その辺のところですが、これはどういう可能性があるのか。これが無限に拡大されるということについて先ほどから大分質疑がありましたけれども、その辺はどうでしょうか。
○政府委員(佐藤徹君) 法律上の構成といたしましては、今御指摘のようなことで、有価証券――これは証取法の規定しております有価証券でありますが、全体に及び得るという構成になっておりますけれども、実際に対象にいたしますのは、その中から流通の状況等を見て大蔵大臣が指定をする有価証券ということが法律上規定されております。したがいまして、当面その指定を考えておりますのは、非常に頻繁に流通が行われております上場株券もしくは店頭証券、店頭市場のもの、そういったところを当面は考えております。しかし、法律的な可能性としてはおっしゃるとおり広がり得るという規定になっております。
○鈴木一弘君 そうなると、国債証券とか地方債の証券とか、その辺にまで拡大が、証券取引法に規定されているところにまでいくというふうに考えていいのかということですね。
○政府委員(佐藤徹君) 現実の問題としてそういう必要が起こってくるかどうかということは、流通の状況を勘案いたしまして主務大臣が指定するわけでございます。そういうことだと思いますが、法律上の可能性という点について言いますと、御指摘のとおりだと思います。
○鈴木一弘君 法律の可能性は、法律に示されているとおりだから、流通によってということになれば今のようになっていくんでしょうし、現実はそこまでいかないかもしれぬという。何かはっきりしない、生きているんだか死んでいるんだかわからない、灰色ゾーンがあるような感じがあるんで、問題はその「等」のところですわね。
○政府委員(佐藤徹君) 私の表現力が足りませんで御理解いただけないんだと思うんですけれども、法律の規定上は、「有価証券で、主務大臣が指定したもの」という書き方になっております。したがって、要件としては、まず証取法上の有価証券であることというのが一つございます。と同時に、主務大臣の指定というのがもう一つの要件でございますから、その主務大臣の指定は、法律上、流通の状況を勘案して必要と思われるもの、必要というのはこういうシステムに乗せて処理する必要性があるものということだと思いますが、そういった書き方になっておりますので、何というんですかね、ちょっと適当な用語が見つからないんですけれども、純粋の法律上の論議としては排除はされていないと、今おっしゃるような地方債とかそういったものは。しかし指定ということからとらえますと、今の流通状況からすると、そういった債券とか国債まで指定をすぐ考えるというような実態がない状況でございますから、それらを全体として言えば、株券だけあるいは株券に準ずるようなものだけ、つまり先ほど申し上げましたが、新株引受権だけというふうに、こういうふうにお受け取りいただいたらいいんじゃないかと思うんですけれども。
○鈴木一弘君 実際の問題として動いていくわけで、理論的な問題として動いていくわけじゃありませんから、その辺で今のところは見守っていく以外ないだろう、こう思います。
 その次、保管振替機関を公益法人にした理由ですね。株券等の保管及び振替は、商法の五百二条でしたか、寄託の引き受け等も商行為ということでございますので、商行為とも考えられるということですが、これを民法上の公益法人にしていった、こういうことについてのどういう関係になるんでしょうか。これは法務省に先聞いて、次大蔵省に。
○説明員(稲葉威雄君) 公益法人にするかどうかという点については、これはまた大蔵省との政策判断もあるわけでございますが、五百二条で、御指摘のように寄託の引き受けというのは営業的商行為になっております。営業としてこれをなすときはこれを商行為とするということでございまして、営利目的がそれに伴うわけでございます。
 この保管振替機関の場合には、もちろん諸外国でも株式会社でやっている例がございますので、営利性を持たせるということができないということではないと思いますけれども、政策的な判断といたしましては、むしろ公的なもの、あるいは公共の利益と申しますか、有価証券の流通の円滑化という一種の公共目的、公益に奉仕するものとしてとらえるということで、営利と結びつけない方がよいのではないかという判断がございまして、そしてその結果として、株式会社方式をやめて公益法人にした。こういうことで、したがいまして、五百二条は、もちろんこれは株式会社が行いますれば営業的商行為になると思いますけれども、営利性がない限りにおいては、五百二条との抵触の問題は起こらないのではないかというふうに思っております。
○政府委員(佐藤徹君) このシステムをどういう主体にやっていくのが一番いいかという点は、この問題の一つの大きな要素でございます。いろんな観点から議論もし、それから外国の制度も調べてみたわけでございますが、今法務省の参事官からお答えがあったように、外国では株式会社でやっている例はあるわけでございます。しかし、株式会社でやっておりましても、営利目的を持たない株式会社というような形もありますし、それからどこの国でも共通しておりますのは、何らかの形で国の監督なり規制を受けている、ある意味の特殊な株式会社というような形をとっているわけでございます。
 我が国の場合にどういう形をとるのが適当なのかということは、一番国の関与の度合いを強めようとすれば、特殊法人とか認可法人とかいうことも観念的にはあり得るわけでございますけれども、事柄が民間の流通なり保管なりをスムーズにやるということでございますから、それほど強烈に国の関与などというものを必要とするわけでもない。それからもう一つは、事柄の性格上、利益を上げなければならぬということではない。もちろん収支の採算が合うということは必要でございますが、配当をしたりというような利益を上げるということでもない。そういったふうないろんな要素を考えますと、株式会社ではなくて、いわゆる公益法人という形が民法上あり得るわけでございますが、そういう種類の法人で、若干の最小限必要な規制、監督を加えていくというのが一番妥当なのではないかということで、今御審議をいただいているような指定を受けた公益法人ということを考えたわけでございます。
○鈴木一弘君 何か株式会社にすると大変な信用が置きがたいということから公益法人というふうに持っていったと。だから、証券業全体に対しての信頼がないような感じをちっと私は感じるんですけれどもね。その辺はいかがでございますか。
○政府委員(佐藤徹君) 決してそういうことではございませんで、例えば非常に特殊な法人の形態として、日銀のように、株式会社ではある、しかし営利を目的としないという、そういう法人もあるわけであります。しかし、一般的に株式会社の場合は営利目的の組織というとらえ方が普通でございますし、日銀のような非常に特殊な形の法人を考えます場合には、やはり日本銀行法というような法律が一つ必要になってまいります。
 それからもう一つは、この事業は一つの主体がといいますと、地域的に分かれるということは効率の点から考えられませんけれども、例えば一部上場のものと二部上場のもの、あるいは店頭のものとは別の法人ということも、これはこれからどっちが効率的かということを考えた上で決めることでございますけれども、可能性としてはある
わけでございます。そういったこと。
 それに先ほど申し上げましたように公的な監督を加えていく必要がある。たまたま民法上公益法人という仕組みがあって、いろんな観点から、どういう組織が一番ぴったりくるのかなというふうに関係の方とも議論をし、役所の内部でも議論をして、やっぱりどうも公益法人という形が一番この事業をやる主体としてはぴったりくるんじゃないかなと、既存の形態で見ますとですね。そういうことから、御提案申し上げた法律の中にありますような公益法人で主務大臣が指定したもの、こういう形が最もふさわしいんじゃないだろうかということで御提案をしたわけであります。
○鈴木一弘君 今の話からすると、一部上場、二部上場、店頭、三つのそういう機関をということになると、ある程度競争原理が働いてくる。そうすると、どうしても何か営利の問題が出てこないかなという気がするんですけれどもね、どうなんですか。
○政府委員(佐藤徹君) 今申し上げましたのは、そういう可能性もあるということで、現実にそういうことを考えているというほどの話ではないんですが、そこで仮に、では一部上場と二部上場と別々の組織ということを考えたとしますと、競争原理が働くかどうかということでございますが、対象にするものが違いますんでそういう意味の競争は起こらない。
 ただ、どっちがコストが安くて済むかという意味の、何というんですか、比較からくる競争というのはあると思います。これはむしろ好ましいことであると思うんですが、いずれにしても、どういうやり方がよりコストが安く、したがって投資家にとって一番負担が少ない方法がという競争がなされることは、これは別に営利の目的ではなくて、いずれにしても、収支が見合うような費用負担をお願いするわけでございますから、競争した結果たまたまある面での利益が出たということであっても、これを別に配当とか、そういうことを考えているわけではなくて、それはコストの負担を軽減していくということで実現していくわけでございますから、いわゆる営利とはちょっと違うんじゃないかなという気がいたしますけれども。
○鈴木一弘君 まあ、でき上がってしまうと、当初の目的、意図していた性格とは違ってひとり歩きするというのがどの機関にもあったことでありますから、そういう点考えると何かちょっと心配な感じがするんです。できないうちにそんなこと議論されたって困ると言われるかもしれませんけれども、ひとり歩きしてから今度はどうするんだということに議論がなってくるのも余り感心しない。これはちょっとこの程度で、私は今後また見守るしかないだろうと思っております。
 次は「混蔵保管」ということが出てきますが、その意義と民法の六百六十六条に言っている「消費寄託」との差ですね、どう違うのか。どういう点から混蔵保管ということにしたのか。混蔵保管としたのはメリットがあるのかどうか。これは法務省にひとつ。
○説明員(稲葉威雄君) 混蔵保管と消費寄託との差でございますが、消費寄託の場合には、預かった者がそれを費消することができる、使えるという点が大きく違うわけでございまして、費消できるということは所有権も同時に移転するということになるわけでございます。ところが、混蔵保管の場合ですと所有権は依然として預けた者に帰属して、混蔵でございますから一緒になって保管されているということで、共有の状態になる。これが法律的な関係でございます。
 この場合に、なぜ混蔵保管ということにしたかということでございますが、まず消費寄託という形になりますと、物が、所有権と申しますか、株券の所有権が保管振替機関に帰属してしまうと、仮に万が一ということがございまして、仮に保管振替機関が破産したような場合に取り戻せないという可能性もあるわけでございます。ところが、混蔵保管という形でございますと、これはそのままの状態で保管しておけということでございますから、これはその点の物権的な保護、預けた人の方の物権的な保護が完全になるということでございます。
 それから普通の証券会社に対して保護預かりをいたしますと、これは名義書きかえがされた後の状態ですと、特定物保管という形になりまして、必ず株主と結びついた形で保管しなければならないということになります。預けたものと必ず同じものを返さなければならないということでございます。
 ところが、混蔵保管でございますと、その点が一緒にできるという点が非常に大きな魅力でございまして、今証券会社で非常に保護預かりで苦労しているというのは、お客さんごとに株券を保管しなければならないという点でございます。ところが、混蔵保管にしてこれを共有の形にして、そのための手当てといたしまして、名義を全部保管振替機関名義にするとか、あるいは実質株主名簿をつくるとか、そういう手当てをしているわけでございますが、そういうことにいたしますと、保管のときに、まあ銘柄は別にすることは当然でございますが、それをお客さん、預けた人と無関係な状態で保管できる。これが大きな魅力であるわけでございまして、そういう合理化の趣旨、それから株主の保護という見地からこういう混蔵保管という法律、保管形態をとったわけでございます。
○鈴木一弘君 消費寄託の場合だって、それは預かった者がそれを消費しても返すときは同一のものを返さなければならぬわけですからね。どうもなぜこんなふうになったのかという意味がよくわからない、その点になると。
○説明員(稲葉威雄君) この場合には、銀行の預金などはこれは御指摘のように消費寄託でございます。しかし、これは銀行が所有権を取得してこれを利用するという意味があるわけでございまして、それを貸し付けて利ざやを稼ぐということでございます。
 しかし、この制度の場合には、およそ預かった株券を利用する、使用するというようなことは考えられないわけでございまして、普通の倉庫業と同じように、普通の寄託というのは原則として消費寄託ではなくて、倉庫の場合にも倉庫業者はそれを預かっただけでございまして、何もそれを使用するわけではないわけでございます。それと同じ法律状況にしておくというので差し支えないし、それ以上のことにすると、先ほど申し上げたように、かえっていろいろの面でお客さんの権利関係に影響を及ぼすということでそういう形にしているわけでございます。
○鈴木一弘君 それから欠損したときのやつで補てん義務がございますが、その補てん義務の立法趣旨、法案の二十五条でしたかね。これは無過失責任なのかどうかということが一つ。それからもしそうだとすればその理由は、どういう理由でそうしたのか。また補てんが不可能になるということはないかということです。当該株式を市場から調達できないなんということになったとき、そういう場合もありますし、不可抗力による場合もあるでしょうし、こういうときはないかどうかということですねし
○説明員(稲葉威雄君) これは御指摘のように無過失責任というふうに考えております。でございますから、不可抗力で滅失した場合も補てん義務を負うということでございます。
 この趣旨は、あくまで預けた人、いわば株主の保護ということでございまして、こういうシステムを構築します場合には、預ける人が安心して預けていただかないと困るわけでございまして、その安心というものをこれで確保しようということでございます。
 で、現に東京証券取引所において、先ほど証券局長からお話がございましたように、簡易振替決裁という制度が行われておるわけでございますけれども、これでも実際問題として事故はほとんどない、皆無だというお話でございまして、その法律上の手当てとして、こうしておいて安心していただけ、そしてまた、もしこれが穴があいた場合にどういう法律関係が生ずるかというような面倒なことを回避する趣旨からいってもこうしておく
ことが望ましい、適当であるというふうに考えたわけでございます。
 で、その補てん義務が現実に履行できない場合があるかということでございますが、このケースとして考えられるのは、例えば途中で盗まれたとか、あるいは横領をされたとか、そういうようなケース、あるいは先ほど穐山委員から御指摘がございましたように、コンピューターミス等で振替ミスをしたところが、それを奇貨として預金の引き出しと同じように株券を引き出してしまったとか、そういうような事態が考えられるわけでございますけれども、いずれにしても、それほど大量になることはないというふうに考えておりまして、保管振替機関あるいは十五条一項の「参加者」というのは株券を預ける参加者、お客さんの株券を預ける参加者でございますが、これは証券会社であれば全部入るわけでございますし、それから保護預かり中の株券を預ける銀行もこれに入るわけでございまして、日本の有数の証券会社、銀行がすべてこういう連帯責任を負うわけでございますので、これがてん補できないというようなことは考えられないというふうに思っております。
 なお、これはまだ構想の段階でございますが、今のところは保険を利用して、保険をかけて賄うということも考えられているようでございまして、そうなりますとほぼ完全に近いのではないかというふうに思っております。
○政府委員(橋本貞夫君) 今法務省の説明したとおりでございますが、補てんの問題につきまして、実際にそういう有価証券が入手可能かどうかという点につきましては、上場またはこれに準ずる有価証券でございますので入手可能ではないかと考えております。
○鈴木一弘君 今回の改正は、いわゆる商法で定めている株式の譲渡方法、それから株券の資格授与的効力、こういうものの大きな例外になるということでありますが、その関係と影響はどういうふうになるだろうというふうにお考えでしょうか。これは商法二百五条ですかな。
○説明員(稲葉威雄君) 有価証券の交付をもって株式の権利の移転方法にする、そして有価証券たる株券の占有に今おっしゃったような資格授与的効力を与えるということを改めまして、帳簿上の記載によって株券の交付があったのと同じ効力を認めようということでございますので、非常に大きな変革であることは間違いないわけでございますけれども、制度的には、おっしゃったような株券による移転というものをそのまま帳簿の記載の変更による移転というものと置きかえるというような仕組みでこれができております。
 したがいまして、株券の占有にかわるものとして帳簿の記載というものを基準にするということになっておりますので、その点で特に流通上今までと違った支障が生ずるというようなことにはならないというふうに思っております。
○鈴木一弘君 今度の改正は株主の権利行使に対して自益権、共益権ともに妨げられる面はないかどうか。特に名簿記載のときと株主の権利行使の時間的ずれがもし生ずれば、議決権から質問権、招集の請求権というような共益権が妨げられることになってくるわけですけれども、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
○説明員(稲葉威雄君) この制度の場合には、基本的にこの制度に参加しようとする者の任意意思で入れるということになっておりまして、今までと同じ、つまり株券による権利の移転及び株主名簿による株主権の行使という道も選ぶことができるわけでございまして、そのほかにもう一つバイパスをつけたということになるわけでございます。したがいまして、今までと同じルートでやろうとすれば妨げられないということが一つございます。
 それからもう一つ、現実にこのルート、新しいバイパスをとった人の自益権あるいは共益権について差しさわりがあるかということにつきましては、基本的には集団的権利行使という、つまり配当をもらうとかあるいは議決権を行使する、あるいは無償交付を受ける、こういうような時期には、必ず株主に通知するという仕組みになっておりますので、この集団的権利行使の際の権利行使については問題はなかろうというふうに思うわけでございます。
 あと個別の権利行使の場合に問題が若干起こる余地はあるわけでございますけれども、それは先ほど申し上げましたように、もとからの名義書きかえの道というものは認められているわけでございますから、期中において、つまりそういう集団的権利行使ではない形で権利行使をしたいという人は、いつでも株券を引き出して名義書きかえをして、その上で権利行使をすることができる、その道で今までより別に不便をかけることはないということで御説明申し上げられるのではないかというふうに考えております。
○委員長(伊江朝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時まで休憩いたします。
   午後零時三十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後三時四分開会
○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、株券等の保管及び振替に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木一弘君 先ほどの共益権の問題で、先ほどの御答弁では、期末においては妨げられることはないけれども、期中においてのときには個別な案件においてはあり得るという権利行使についての話がありました。その際に、一般株主になっていればいいではないかというお話だったんですが、一般株主にならない場合だったら一体どうなっちゃうんだろうということになるわけですね。実際、株主の固有権というものがあるんで、これは定款によっても株主総会の議決、決議、そういうことによって奪うことのできないものが私は共益権だと思うのです。それが奪われるという事態はちょっと余り感心できないんで、この点を伺いたいんです。
○説明員(稲葉威雄君) 現行の制度のもとにおきましても、会社に対する関係で共益権を行使するためには株主名簿の名義の書きかえということが要るわけでございます。それと同じように、ほうっておいて権利が行使できるというものではないわけでございますから、先ほど申し上げましたように、名義書きかえさえすれば共益権は行使できる、特に普通の場合においては、株主というのは配当をもらってせいぜい議決権を行使するくらいで満足するのが普通でございますので、あえてそこまで要求する株主には株主名簿へのその時点での書きかえというものを求めても別に、自分でやりさえすればできるわけでございますから、共益権を奪ったことにはならないというふうに考えております。
○鈴木一弘君 ただ奪ったことにはならないけれども、奪ったというんじゃなくて、自然に奪われた格好になるんじゃないかという感じがありますね。
○説明員(稲葉威雄君) 繰り返しで恐縮でございますが、その場合には自分の意思に基づいて名義書きかえをしていただくというだけの努力、つまり権利行使をするということにつきましてはそれだけの意思があるわけでございますから、その前提として名義書きかえさえしていただければそれで済むわけでございますので、それで処理さしていただきたい。いろいろのその関係について考えようとすれば、もう株主になった都度通知してやるというやり方をすれば、それは可能なわけでございますけれども、しかしそれをやりますと非常にコストがかかって収拾がつかないことになりますので、権利行使をしたい人はできるという建前だけは維持しておりますので、それでも現行法よりも、先ほども申し上げましたけれども、現行法よりも悪くなるわけではないということでございます。
○鈴木一弘君 期中における実質株主の変動を発行会社に知らせる、これを一カ月ごとにするとか
二カ月ごとにするとかという議論やいろんなものがあったろうと思うのですけれども、この法律のようになってきたというのはどういう理由でですか。
○説明員(稲葉威雄君) この点については、先ほども申し上げましたように、先生御指摘のようにいろいろ議論があったわけでございます。まず、それをやりますと非常にコストがかかるということがあるわけでございます。一々コンピューターから引っ張り出してそれを通知をするということをやらなければいけないということでコストがかかる。それとともに、かなりむだをするということがあるわけでございまして、今も申し上げましたように、個別の権利行使をする株主と、例えば株主名簿の閲覧でございますとか、あるいは貸借対照表の閲覧でございますとか、そういう個別の権利行使をする株主というのは極めて限られているわけでございます。大体の株主は期末に議決権が行使でき、そして配当がもらえればそれで満足しているわけでございまして、ところがそれを一年の一カ月とか二カ月ごとにやりますと、年に十二回なり年に六回なり通知をしなければならないわけですが、その間の変動というものが何回も何回も通知されるということになって、それと対応して記載をするという手間も、これも大変なことでございます。
 そういう配慮、それから今の実務の取り扱いとかなり違った取り扱いになるわけでございまして、こういう実務と取り扱いが変わらない、なるべく現行の体制に合わせるというのが本来の、本来といいますか、この制度についての大蔵省から示されたフレームワークでございまして、そういうことを考えてこういうような決着に落ちついたわけでございます。
○鈴木一弘君 そうすると、振替決済制度のもとでは従来より期中における株主の変動がわからなくなるということ、そういうことが起きてくる。これはどんなふうな影響があるのかわかりませんけれども、その影響等どういうふうにお考えでしょうか。
○説明員(稲葉威雄君) 現行法のもとでも、現実に名義書きかえをするかどうかというのは取得した株主の自由でございまして、現在でも期末に集中して名義書きかえが起こるという現象があるわけでございます。そういうことで、必ずしも現在よりも株主の状況が把握しにくくなるということではないというふうにも考えるわけでございますが、ただ、おっしゃるように、任意に名義書きかえを今までならしていた株主の分が、それがブラックボックスの中に入る、少なくともその期間内はわからないということはあるわけでございます。ただ、株主でなくなった者については発行会社から請求があれば、どの株主が株主でなくなったかということはわかるような仕組みになっておりますので、少なくとも反面的な関係では把握することができる、かような形になっているわけでございます。
○鈴木一弘君 やめていく方のことはわかるとしても、新規に入ってくる方が期中において場合によると実質株主名簿に載らないで、個別の権利行使が困るということが起きるんじゃないかという心配はまだ残っているような感じがします。これはこのままにして次に行きます。
 非顕名株式を認めなかった理由。これは現在認められている非顕名の自由に反さないかどうか、三十一条の三項ですか、あるやつですね。
○説明員(稲葉威雄君) 現行法のもとでは、確かに名義書きかえをするかどうかは自由でございまして、そういう意味では非顕名の自由があるとも言えるわけでございますけれども、これは全く実質的な、あるいは事実上の問題でございまして、制度として、株主というのは本当の株主が株主名簿の上に出てくるということが望ましい状況であることは間違いないわけでございまして、この制度の趣旨から考えまして、それは今、事実上問題として非顕名があるというのは、忘れてしまった場合にも、それを強制する手段がないというのと対応しているわけでございます。今度のシステムの場合には、名義書きかえを忘れるということはないような形になっておりますので、この制度に乗っております限りは、必ず株主がその背後にある株主というのを把握できるということになるわけで、そういう状況であるならば、真実の株主を常に通知するという形にするのが適当だ、株主がわからないような状況にするというのが制度の本来のあるべき姿ではない。かような見地からこのように非顕名は認めないということにしたわけでございます。
○鈴木一弘君 何かこういう非顕名を認めないということになると、仮装の名義のものがふえてくるということにならないか。ねらいは恐らく、国税関係の把握の問題も裏に絡んでいたからこういうことになったんだと思うんですね。しかし一方で、仮装名義がふえるということになったんじゃ何にもならないわけですけれども、こういう点は大蔵省、どんなふうに検討したんですか。
○政府委員(橋本貞夫君) 仮装名義の問題はそれ自体の問題としていろいろあると思いますが、本制度はあくまでも株式の流通ということに主眼を置いておりますので、本制度の導入によって、今仮装名義が仮にあったといたしまして、それがこれによって促進されるというふうには私ども考えてまいりませんで、できればこういう証券取引に携わる取引所、証券会社の協力のもとにそういう仮装名義ができるだけ少なくなるように、あるいはなくなるようにというふうな希望を持っておりますけれども、これらは現在、証券取引所余買間の自主ルールでこういう現物取引、あるいはこのような制度を使うような取引を含めまして、こういう顧客名義についてはある程度調査する義務を負う、そういうような形で、少なくとも仮装名義がこの制度によってはびこるということのないように全体の仕組みでチェックするように考えております。
○鈴木一弘君 これは防ぎようがございますか、仮装というか、架空というか、そういうような名義ができたときに。
○政府委員(橋本貞夫君) 株式を取得された方が、こういう者が取得したという形で申告されますと、株式自体占有して一応第三者に対応するものでございますので、これが本当に持っておられる方かどうかというのは、第三者が確信を持って断定するということは大変難しいことでございます。しかし、それをある程度知りながらそういう状態に残しておくということのないように、できるだけ顧客が、名義が正確であるように調査するというふうなルールに基づいて取引が行われておるわけでございます。
○鈴木一弘君 信頼の上に立ってやるということになるんですけれども、議論の中で、非顕名株式を残しておくとアングラマネーを容認するんではないか、認めてしまうんではないかという声があったというんですが、一体どのぐらい規模があるだろう、どういうふうにお考えになっておられたんでしょうかね。また、現実そういったものがあると認定しているんでしょうか。
○政府委員(佐藤徹君) いわゆるアングラマネーの問題については、いろんな議論があることは承知をしております。しかし、事が事柄だけに、正確にどのくらいあるだろうというような計算はなかなか難しいわけでありまして、何年か前に、一定の前提を置いて非常なラフな計算をすればというようなことで、たしかうちの省内のどこか、多分主税局だったんじゃないかという気がしますけれども、計算を試みたことがあるやに伺っておりますが、今ちょっとその数字を思い起こせませんので、数字を申し上げることはできませんが、まさにアングラマネー、隠れたお金なものですから、その量をどの程度というのはなかなか難しい問題だと思います。
 ただ、先ほど審議官が御答弁しました点を若干補足いたしますれば、この制度によって特に新たに仮装名義のものがふえやすくなる、あるいはやりやすくなるという、そういう関係にはございません。もともと存在する架空名義の問題について、それは業界でいろいろ考えていただくということ
で対処しておりますという趣旨で申し上げたのだと思いますので、ちょっと補足させていただきます。
○鈴木一弘君 三十三条の二項ですか、株式名簿の株式の数と実質株主名簿の株式の数を合わせるという、名寄せをやるわけでありますけれども、これに対してどういうシステムでやるのか、会社の管理の負担が大きくならないかどうか、この点を伺いたいのです。
○政府委員(佐藤徹君) これは午前中の議論とも一部関連するわけでございますが、発行会社の内部におきます必要な事務手続をどういう手段でどういう方法でやっていくかというのは、その会社の基本的な事務のあり方によってかなり変わってくるだろうと思います。ですから、コンピューターがその部門に既に入っておれば、コンピューターを使うこともありましょうし、入ってなければ、それはまあ昔からやっております、俗に名寄せと言われる行為でやることもありましょうし、その辺は一概にこういうことでというふうに今割り切るわけにはいかない種類の問題ではないかなという気がいたします。
○鈴木一弘君 これは法務省ですね、株式の担保の問題、これはさしあたりどういうふうに行うかということと、従来認められていた略式質、登録質、譲渡担保の効力とは、どういうふうに今度変わってくるのか伺いたいんです。
○説明員(稲葉威雄君) このシステムの中での担保の取得というのは、専ら略式質を念頭に置いて規定をしております。二十六条の第二項という規定がございまして、参加者あるいは顧客が預けた株券に関する株式を質権の目的とするという場合には、振替請求をすることによって質権設定ができるということになっているわけでございまして、この振替によりまして、株券の占有と同じ効力を持つ、質権者が株券を占有しているのと同じ効力を持つということになりまして、先生の御指摘のいわゆる略式質という状況がこれによって生ずるわけでございます。
 そのほかに、御指摘のように、登録質という制度が現行法上あるわけでございますが、この登録質というのは利用される頻度が非常に少のうございます。現在でもほとんどといっていいくらい、あるいは皆無といっていいくらい少ないわけでございまして、この制度へわざわざ乗せる、つまりそれを実質株主名簿の上に反映させるというほどの手間をかける価値のある利用状況にはなっていないという判断から、登録質で処理したいという方は今までと同じ仕組み、つまり株主名簿の上に記載をしてもらって、それで処理をするというやり方をやってもらいたいということに割り切ったわけでございます。これは先ほどの個別の権利行使の場合と同じ割り切り方でございまして、今までよりも不便になるわけではないので、これでそこまで取り込むことは、制度の趣旨から考えて少しオーバーな要求になると、こういうふうな判断でございます。もちろんこれは全く政策的なものでございまして、理論的なものではありませんが、一応そういうふうに割り切っているわけでございます。
 それからあと譲渡担保という制度があることは御指摘のとおりでございますが、これはこの制度に乗るわけでございまして、譲渡担保の場合には担保権者が担保であるということを明らかにしない、普通の株主の顔をしてあらわれてくるということでございますので、普通の振替の形で株式を取得するということになるわけでございます。ただ、その場合に、その株式の名義を担保設定者の名義のままにしておくというのが今まで譲渡担保として多く行われておりましたので、そういうこともできるような仕組みになっております。
○鈴木一弘君 次は取引所の活発化の問題で伺いたいのですが、現在の証券取引所、これは全国で八カ所ということですけれども、株式売買高は東京が八五・三%と昭和五十八年になっております。大阪を含めれば二つの取引所でもう既に九六・三%ということで、年を追うごとにその他の証券取引所のウエートというものはどんどん下がってくるばかりであります。機械化が進み情報網が発達しということになれば、全国どこにいても売買が可能になります。そういうことになったことが大きな原因だと思うんですけれども、八カ所に取引所を設けておく方がいいのか、ある地点に統合をするというか、ある程度何カ所かにまとめるというふうにした方がいいのか、これは議論の分かれるところだと思います。いままで各地域の証券取引所がその地域の経済とか地場の企業の発展に寄与しているということもこれは否定できません。そういうことで、一体こういう証券取引所の現在のあり方についてどういうふうに認識して対応していくつもりか、伺いたいと思います。
○政府委員(佐藤徹君) 全国に八つございます取引所の現状については、鈴木先生のおっしゃったような状況であると思います、現在。ただ、取引所の存在についての評価といいますか、とらえ方は、いろんなとらえ方があると思うんであります。純粋に経済的な機能だけをとらえて考えますと、例えば十年前あるいは二十年前に比べて地方の取引所がどうしても存在しなきゃならないという価値評価というのは徐々に薄らいできているという実態であろうかと思います。
 ただ、証券取引所の場合には、一例を挙げますと、それがその都市の経済的な意味でのシンボルあるいはその地位をあらわす、そういうとらえ方もございまするし、それから機能的に言いましても、全く存在しなくても大丈夫かなということになりますと、例えば、まず名古屋なら名古屋の取引所に上場して、しばらくそこでの商いの状況を見て、それから東京にも上場する、重複上場という形になりますが、そういう形をとって会社が発展していくというケースも現実にあるわけでございます。そういったことを考えますと、今直ちに地方取引所はもう要らないという判断にはなかなかならないと思います。
 しかし、これから通信手段とか交通手段はどんどん発達していくと思います。アメリカのように一つの国の中で時差があるような国と違いますし、特に日本の場合は東京にすべての機能が集中するということが非常に顕著な国でございますから、将来の問題としては、どういう形で地方の取引所が機能すれば一番その土地に合った状態になるかということは常に考えていかなきゃならぬ問題だとは思いますが、今の時点では、いろんな形で地方独自の特徴を発揮しながら、しかし、それでも年々東京に集まっておりますので、だんだん収入が少なくなってきて、大変収支を合わせるのに苦労はしておるわけでございますけれども、お聞き及びかと思いますが、去年大阪では上場の基準を少し東京と変えたり、そういったやり方によって取引所自体の収支も改善する、それからその土地で芽生えてきた新しいいわゆるベンチャーキャピタルのような会社の発展の道もより広く広げるというようなことで、いろんな方途を探っているという状況でございます。いましばらくそういう状況を見ながら時宜に応じていろいろ考えてみたい、こういうふうに考えております。
○鈴木一弘君 何か妙薬は全然ゼロみたいな感じで、だから今お話のあった大阪証券取引所が市場第二部特別指定銘柄制度ですか、これをやったということですね。それを今おっしゃっておりましたけれども、どういうふうにこれからバックアップしていくかということなんだと思いますね。行政サイドでできるものもあるでしょうし、いろいろあると思いますが、行政サイドとしてどうこれを後ろから支えていくかということを考えていかないとならないんじゃないかというふうに思いますね。東京が巨大なものになってしまって最後には東京だけになっちゃうと、何かあったときにはこれは大変なことになるわけでございますから、その辺、今のところは見守っていくようなお話だったんですけれども、どういうバックアップを考えられるか伺いたい。
○政府委員(佐藤徹君) ただ見守っているだけではないわけでございます。実は大阪の取引所が、今そういう意味では東京に次ぐ第二の地位、しかし東京と比べれば十分の一とかもっと小さな規模
になっておるわけですが、そこで、いろいろな手は打ってきて、取引所自体の問題ですから実際に手を打つのは取引所でございますけれども、いろんな基準とかなんとかいう点で大蔵省の認可を必要とするということもあって、私どもはかなり密接なかかわり合いは持っているわけでございます。
 今御質問の中で挙げられたいわゆる指定銘柄制度、これは現実にはことしの三月から始まったわけでございますけれども、そういった方法も証取法が理念といたします投資者保護に欠けることのない範囲で少し取引所の特徴を出していくというようなことで、私どもも半年以上かけて議論をして大阪とも詰めをやって、まあこの姿ならばいいのではないかということで始めた。そういうこと自体が直ちに効果を出というわけではございませんが、そんなこともあって、ひところ東京との対比で見ますと大体十分の一程度の出来高に落ち込んでいたわけですが、昨今はまだ二割までいっておりませんが、一七、八%というような力もあるというような状況で、やや活気を取り戻しておるというようなことでございます。
 私どもそこで考えましたのは、日本は狭い国でありますし、すべてが東京に集中すると言えば確かにあるんですけれども、地方の特徴というものもまだ依然としてかなり残っておって、特に近畿地区というのは、固有名詞を出しますとちょっと当たりさわりがありますので、古い例で申しますと、例えば京セラという会社がございますが、ああいう非常に独特の技術を持った会社が幾つか出てきたということがある地域でございますから、そういうものも大阪の取引所がバックアップして育てていくというようなこともあながちできないことではないんじゃないかというような、やや夢物語に近いようなことも考えながら、大阪の取引所の方としょっちゅう会って議論をし、その中から少しでも何か足しになるものはないかということで考えておるということで、もう打つ手がなくてどうにも困っているということでは必ずしもないと思います。
○鈴木一弘君 これは大臣はどんなお考えをお持ちでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは今、問答の中でお互いが皆感じておることでございますが、その地方のシンボルみたいな存在であるということ、それから、これは冗談でございますけれども、みんな文化財みたいになりはせぬかと私、言ったことがございます、これは部内の冗談話でございますけれども。
 そういう話がしておったときに、今局長から申し上げました我々の俗称、新二部上場というような感じで大阪が新しく、これはいいことだなあと。そうすると、取引所のみならず、あの関西財界がみんなでバックアップしていくという、そういう傾向はこれはいいことだと思うのであります。そうなると、私は島根県ですから、広島なんということになりますと、ますますこの規模はまさに小さいものになっております。結局は今の場合、地元のコンセンサスというものを見定めながら、そのコンセンサスというものに乗っていくというような私は受けとめ方をしております。歴史的にも伝統的にも文化財という表現は、いかにもそれは冗談ぽい表現をしましたけれども、一つのシンボリックな存在として事実存在しておる。そうすると、古い方はもちろんですが、ある種の郷愁みたいなものもあって、若い方のベンチャービジネスとかいう活力、そういうようなものが、そこの産業界全体のコンセンサスみたいな形ができていけば、それをその地域産業としてみんなが応援するような立場で、また取引所そのものがその地域に寄与するという方向があれば一番いい問題ではないか。
 だから、今おっしゃいましたように妙薬があると、こういうことではなしに、何だか私自身後追いと言えば後追いでありますが、大阪が苦労されて一つの方途を今かかられたばかりでございますけれども、去年からでございますが、各地域のコンセンサスがどういうふうな形になって醸成されていくべきものか、地域の方のお集まりに私的にも公的にも行っても、あんなものもう要らぬという議論は行われない議論でございますだけに、とはいえ、いわゆるノスタルジアみたいなものだけで追っても、これは採算性自身から問題がございますし、だから地域のコンセンサスが醸成されることを見守りながら、お手伝いをしていくということではないかな、そんなような感じで私は受けとめております。
○鈴木一弘君 それから次は証券業界の姿勢のことですけれども、機械化がどんどん進み、また今回提案されたこの株券振替決済制度も一つの進展のあらわれだと思うのです。中期国債ファンドが人気商品となった。その大もとは、毎月の利息計算がコンピューター導入でどんどんできる、こういうことがあるわけですが、しかし一方で、証券会社にとっては本来の業務である株式売買について、売買一任勘定というのは規制をされて禁止同然になっている。だから、それは逆に裏から見れば、それほど信頼をまだされていないということになってしまうわけでございますけれども、まだ完全に信頼をとり得ていないというふうに見えます。確かに投資している方から見れば、巨額の金を運用することになるわけですから、一任勘定を認められてないことも、そういうことから認められていないんじゃないかと思いますけれども、しかし本質的に証券会社の姿勢としては、それでいいだろうかということを感じないわけにはいかないわけですよ。
 一方、アメリカの銀行と日本の国の証券会社が信託に進出したい、こういう申請が出ている。結果的には認められなかったんですけれども、信託業務ということ自体、その前提には信用とか信頼というものがあるわけですから、これから先、証券と金融というものの垣根はだんだん低くなるでしょう。低くなればなるほど証券会社の方が社会的にも経済的にも十分信用があるというふうにならなければこれはできない。それが大前提になる。何か信用されないような状況にあるということよりも、信用される状況にあるということが非常に大事なんですけれども、そういう点で監督官庁として大蔵当局の責任は大変重いのではないかと思う。その辺についての業界みずからの姿勢の問題もありますけれども、ひとつ見解を承りたいと思います。
○政府委員(佐藤徹君) 非常にたくさんの点に言及されたように思いますが、まず証券会社の社会的信頼の点から申し上げますと、実は個人のことで恐縮ですが、私は今から六年前から二年間、証券局の総務課長をやっておりました。当時と今との業界の状況、あるいは役所の行政の中身を比べてみますると、証券会社に対して、こういうことはやっちゃいかぬとか、ああいうことはやっちゃいかぬとかいういわゆる規制の部分の割合が非常に減ってきているように思います。それは証券会社自体が努力をし、役所もそういう方向で行政をした結果、それなりにある程度社会的な地位も自覚し、立場も認識をして、だんだん投資家に信頼をされるようになってきたということの一つのあらわれではないのかなというふうに思っております。
 他方、今その証券業界でもう一つの非常に大きな問題として認識されておりますのは、銀行とか信託業務とか、そういったいわゆる他の業務分野との垣根の問題があると思います、確かに。
 これは、一つには国内の要因として非常に国債がたくさん出てきた。国債については、もともと銀行が扱ってもおかしくないということで、証取法六十五条でも除外規定が置かれているようなものでございますから、議論はいろいろありましたけれども、これだけの量の国債を国内で円滑にさばき、流通を円滑にやっていくためには、銀行も入ってきた方がいいんではないかということで、そこは両業界が一緒になってやりましょうやと、こういうことになったんですが、関連いたしまして、本来の銀行業務、それから本来の証券業務の中間にあるいろんな業務についてだんだん競合する度合いが強くなってきている。お触れになった
中国ファンドなんかも、そういう意味では投資信託ですから本来の証券業務の中の問題ですけれども、実際の投資家の目から見た認識としては、やや銀行の預金に近い性格もあわせ持っているというような認識のされ方をしているんだと思いますが、そういったことが一つございます。
 それからもう一つは、インターナショナルという意味の国際化が、これはいや応なしにどんどん進んでいるわけでございますけれども、外国の銀行と証券の区分というのは日本と全く同じという国は一つもありません。どこの国でも独特の長い歴史の積み上げてその仕切りはいろんな形をとっておりまして、一番日本に近いのはアメリカなんですけれども、アメリカでも銀行と証券会社の位置づけは日本とはかなり違っております。それからヨーロッパ大陸ではもともと銀行、証券という区分がないわけで、銀行ライセンスを持っておれば、証券業務のうちマネージャー業務まではできるということになっております。いわゆる株式のブローカーは別でございますけれども。そういったふうに国によって非常に違いますが、全般として言えることは、外国の銀行は日本の銀行よりも、日本では証券業務と認識されている部分にかなり実際問題として参加していると、こういうことは言えるんだろうと思います。
 国際化をしていきますと、そういう世界の資本市場の中でいろいろ商売をやっておるわけでありますから、日本の制度はこうだからそういう話はちょっと契約はできませんねと言ってみれば、それは商売から抜けるよりほかはないわけですから、そういった意味で、日本でも銀行と証券の垣根を少しずつ低くしていくということが、国際場裏で日本の経済が一層発展するためにはやはり必要になってくる。そういったことから俗に言う垣根問題というのが出てくるわけであります。
 したがって、全体としてはそういった国際化、あるいは規制を緩和していくという方向をにらみながら、しかし、午前中も大臣もおっしゃいましたように、国内でいろんな混乱や摩擦が過度に起こっては困るわけでありますから、そういった点を考えながら、徐々にそういった方向に近づけていく努力を個別問題ごとに毎日毎日やっていく。そういうことしか国のとるべき態度としてはあり得ないんじゃないだろうかというふうに考えておりまして、そういった意味で、新聞なんかですとやや両業界の争いみたいなとらえ方もあるわけでございますが、私は別に争いということじゃなくて、世界の中の経済の実態、それから日本の市場の実態にどうやったら沿った方向で摩擦が少なく変化していけるか、そういう問題というふうに認識をして物事を処理してみたいなと思っております。
○国務大臣(竹下登君) 今局長が、ある意味において、本当に何か証券局というセクトからだけでなく総合的にお話、お答えを述べてくれまして、私も非常に後追いの答弁が楽になっております。
 私なりの感想を申し述べてみますと、確かに垣根は低くなっている。そこへ外国からの希望が出てきます。そうすると、外国の希望を全部聞こうと思うと、世界共通銀行法、世界共通証券法にしないと、とてもじゃないが聞けない問題がある。しかし、自由化、国際化の現状の中で、個別的にそれが我が国の仕組みの中にどのように自然に入っていけるかということは、まさに今いみじくも言いましたが、毎日やっているような感じがするんです。
 そこで、大蔵省に大臣の私的な相談をする機関として三人委員会というもの、これなんかは何条委員会とかいうようなものでなくて、私はそれなりに機能した一つの一番いい例じゃないかと思います。森永さんと佐々木直さんと河野さんの三人といいますと、どの業界から見ましても、なるほどこのおっさんならという、表現がちょっとおかしいんですが、重鎮という印象を受けますよね。そうすると、あの方々が大所高所論に立って、欲も――欲がないと言っちゃ失礼でございますが、枯れておるというのも失礼ですが、円熟した方々。それが垣根論争の中でも、窓販とかディーリングとか、あるいは外銀の窓販というような問題も当然出てくるでございましょう。そういうものの中で両業界の中にも、あのおじさんたちが言うならというような感じで浸透していったような気がするんです。大体どこの世界でも、ああいう一つの世界に権威者というか泰斗というか、ああいう人がおるといいなと、こう思って、政界なんかではとてもなかなかあんな人は見つからぬなという感じを受けながら、まさに政治家の答弁でございますから、垣根問題というようなのはああいうオーソリティー、まあ法律ではないが、だれが見てもオーソリティーみたいな問題がありながら、個別問題は国際と国内と絶えず調和しながら、今いみじくも言った毎日毎日対応していくというような姿になったなと、こういう感じを、私も素朴にそういう感じを抱いておりますまさに昨今でございます。
○鈴木一弘君 かなりまだ質問があるんですけれども、東証の会員への外国の証券会社の参入の件で一つだけ伺っておきたいんです。東証取引所の定款の第七条で会員証券会社八十三社と限定をされております。外国証券会社が東証の会員になるには、既存の会員証券会社を買収する以外にない、十億以上だなんていう話がございます。それで会員権を譲り受けるんじゃないわけでございます。
 そこで、そういう会員の証券会社数を限定しているのはどういうのか。また米国側の加入の要望に特別枠を設けてという話がございましたけれども、政府はどういうように対応をしていくかということ。それから一昨年四月に、外国の証券会社も一生懸命会員になれるように定款を変更してきているんですけれども、これは不可能な状況にあるわけですが、これは今後どうするお考えか。
○政府委員(佐藤徹君) 基本的な点は大臣からお答えいただくべきことだと思いますが、定数の数の問題とか、やや数字の点を先にお答えさせていただきます。
 東京証券取引所は実は非常に長い歴史を持っておりまして、鈴木先生御高承のとおり、昭和三十九年に現在の証取法が施行されて、その時点から免許制に移った。その前は免許ではなくて届け出だったわけでございます。当時は非常にたくさんの証券会社がございまして、東京証券取引所の会員も今よりはるかに多い数いたわけでございますが、戦後ある期間を経て自然に廃業したり合併をしたりして、免許制移行時以後あんまり数は変わっていないわけでございますが、その間にやめていく証券会社に、まあ見舞い金というんですか、脱退交付金というんですか、そういうものを払って、何というんですか、スムーズに廃業ができるような手当てとか、あるいは合併の場合も同様でございますけれども、そういうことの積み重ねの結果今の数になったわけでございますね。そういったことから、定数というもののとらえ方か、まず定数があって会員がいるというんじゃなくて、会員がいろんな経緯をたどって八十三になったと、それを定款上定数として決めているというのが今の姿で実はございます。
 そういった過程の中で、東証も、いろいろ建物でありますとか機械でありますとか、そういう財産を持つようになっておりまして、その会員権というのは本質的には取引所の中で商いをする権利でございますけれども、同時にその財産権の財産の持ち分権みたいなものも含まれておるわけでございます。したがって、その持ち分権とか、またそのもとには証券会社として営業している権利まで観念的には入っているわけでございますね。ですから、一口に会員権といいますけれども、我が国の東京証券取引所の場合にはそういったいろんな意味の営業権の値段というふうな感じで取引がされているわけでございます。
 ところが、ニューヨークの場合は加盟が個人単位なものですから、そういう財産権というのはあるかもしれませんが、営業権みたいなものはくっついてないわけでございますね。一つの会社で十何人もメンバーになっているというようなことがございまして、そういった違いもあって実際に取引される値段が違ったりとか、そういう問題があ
るわけですが、いずれにいたしましても、それらは業界といいますか、取引所自体の問題として今考えられているわけでございます。事実関係だけ申し上げるとそういうことになります。
○国務大臣(竹下登君) 大体の話に尽きておりますが、いわば資本市場の自由化の中で一つの要求として、要求と申しましょうか、希望として出てくる当然の話であります。私と例えばリーガンさんと話ししたときには、余りにも個別問題だから出ない、正式な会合の議題としては大きく、資本市場の自由化と、こう出て、その問題についてはそのときには触れないにいたしましても、これは常識的に考えてそういう問題がインクルードされているのはこれは当然のことだと思っております。
 そういう感じの中で、今鈴木さんもおっしゃいましたように、ちゃんと定款上はどうぞということになっている。行ってみましても、実際欠員がないわけでございますから、はいれないじゃないか、こういう議論になりますよね。
 で、そうなると取引所自身の問題でございますから、私どもがこうしなさい、ああしなさいと言う筋のものではない。しかし、取引所自身の八十三社という会員様の中とて、もちろん国際化とか自由化とかいうことは経済人として当然御認識なすっておるわけでございますから、私ども、我が国の主体性を維持しながらこれに対していろいろな接触をして解決へのための努力をしなきゃならぬ課題だという事実認識はいたしております。
 したがいまして、これらもまさにニューヨークと東京の取引所が同じ仕組みになっていりゃ全く一番いいわけでございますが、まさに歴史的、伝統的な所産からして大変相違がございますし、時には例えば日本の大手の証券会社もニューヨークへまでたどり着くまでには、地方の取引所に入ってそれから上がってきたというような歴史もございましょう。が、また、先ほどの話にもありましたように、国内で大変な時差のあるような国ですから、日本のようにニューヨークが大変集中するという状態よりも、むしろほかへ分散されていく状態であった時代もあろうかと思うんです。そのときにはむしろウェルカムの方向でニューヨークを拡充するという考え方も相手方さんにもあったと思います、その国柄の違いで。したがって、双方がいろいろな話し合いをして、その両者の立場を理解しながら、その中で素朴に考えると、日本の証券会社はニューヨークへ皆やってきているのにおれたちは何で東京取引所へはいれないんだという。素朴にはそういうところから議論が出がちなものでございますだけに、主体性を確保しながらも、私どもはこの問題にはそれこそ毎日毎日の継続の課題ぐらいに思って対応していかなきゃならぬではないかと言って折々部内でも議論をしておるところであります。
○近藤忠孝君 この法案が試案であった昭和五十七年十一月段階で日弁連がこの試案に関する意見書を出しております。そこで法務省にお伺いしますが、この意見書の主な中身と、これがどのようにこの法案の中に取り入れられたか、お答えいただきたいと思います。
○説明員(稲葉威雄君) この試案は中間的な段階でございまして、今の姿からは若干外れていたわけでございますが、ほぼ日弁連から指摘された点については取り入れられているわけでございます。例えば趣旨について賛成はしているけれども、この制度については、譲渡、質入れだけではなくて、強制執行、質権実行についての特例も定めるべきであるというような指摘がされておりまして、これは今度の法案の中では最高裁判所規則で定めるという形で処理をするということにしているわけでございます。また、先ほど鈴木委員からもお話がございました非顕名の株式を認めるかどうかというようなものについては、非顕名の株式を認めるべきでないというのが日弁連の意見でございまして、それを取り入れて規定をしているわけであります。さらに、顧客がそれぞれの口座についての閲覧及び写しの交付を請求できるものとすべきであると、こういうことが指摘されておりますけれども、閲覧を求めるということになりますと、これはコンピューター処理でございますので、閲覧といってもうまくいくかどうかわかりませんし、あるいはブックシステムになっている場合に、閲覧ということになると、ほかの口座についても問題が起こるという可能性もございますので、写しの交付で処理をするというようなことになっておりまして、ほぼ日弁連の指摘は取り入れたと言ってもいいと思います。
○近藤忠孝君 三点にわたってほぼ取り入れたわけですが、そこでちょっと問題は違いますが、大臣、この間の国税通則法百十六条、あれはやっぱり日弁連の意見を聞いておくべきだったですね。この法案については日弁連が建設的な意見を述べましてちゃんと入っているんですよね。法曹の重要な一部ですから、ひとつ今後はああいうことがないようにということをこの機会に、これは法案が通っちゃってちょっと遅いんですけれども、こういう例がありますのでちょっと申し上げておきたいと思うんです。
 そこで、今のこの閲覧の問題ですが、これは参加者あるいは顧客が株券を預託した以上は、その正確性を確保するためにこの閲覧ないしは写しということが必要だと思うんです。写しの方は認められたんですが、閲覧が認められぬ。これは一つ技術的な問題もあるかと思いますが、法的に閲覧を認めないというのは、その監視権を確保するという点でこれはちょっと問題がありはしないかという点が第一。
 それからもう一つは、利害関係人の利害の範囲ですね。どの程度を考えておられるのか。どうでしょうか。
○説明員(稲葉威雄君) 三十六条に関する御指摘だと思いますけれども、今申し上げたように、原本の閲覧を認めるということについては技術的な困難性があるわけでございまして、それの監視権という面では、この参加者あるいは保管振替機関というものについては監督も及ぶわけでございますし、あるいは四十五条という罰則の規定がございまして、虚偽の写しを交付したときには百万円以下の過料に処するということにもなっておりま丁。そしてまた、そういうような口座簿について虚偽の記載をしたような参加者については、この仕組み自体から排除するというようなことも考えなければいけないだろうと思います。そういうことで確保されるので、それほどこの点については、閲覧がなければどうしてもうまく動かないんだということはないのではないかというふうに思っております。
○近藤忠孝君 今度の制度、ちょっとわかりづらい面があったんで、確認的にお聞きしますが、一つは参加者と振替機関との関係、これは現在のちょうど証券取引所での各証券会社の取引がそのまま反映するような形だと思うんですね。
 それからあとは、今度は参加者と顧客との関係、これはまさにその実態なんですが、ただそこでちょっと正確にする意味でお聞きしたいのは、振替機関の中に、参加者の株券とそれからもう一つは顧客から預託された株券、それを別々に表示しろということなんです。そうすると、その法律関係はどうなっていくのかということでちょっと疑念が幾つかあるんですが、これは口座上は参加者の名前で出るんですかね。その点どうですか。
○説明員(稲葉威雄君) これは規定にもございますように、一応は参加者の名義になって、その中を参加者自己分とそれから顧客預託分とに分けて記載しなさい、その別を明らかにしなさい、こういうふうになっております。
○近藤忠孝君 そして一つは証券会社同士の取引、いわば参加者同士の取引がこの機関の口座に反映しますね。それはわかるんですが、今度は預託されて、そしてこの機関に持っていった株券が、参加者と顧客の関係ではこれはどうなるんですか。
○説明員(稲葉威雄君) 参加者と顧客との関係においては、顧客分のその内訳が顧客口座簿という帳簿の中に記載されていると、こういう関係になるわけでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと権利変動の関係ですが、これは二段階になるということなんでしょうかね。例えば今言った顧客の分で、この機関に預託された株券については権利変動は二段階になる、こういうことでしょうか。
○説明員(稲葉威雄君) 結局、その二つの口座簿、保管振替機関の手元にあります参加者口座簿とそれから参加者の手元にあります顧客口座簿と二つの帳簿があるわけでございますけれども、その参加者の顧客同士で取引が行われたような場合には、その参加者の顧客口座簿の記載だけで権利変動が起こるということになりますが、それが参加者を越えて権利変動が起こったという場合には、両方の帳簿に記載がされて初めて権利変動が起こる、かような関係になるわけでございます。
○近藤忠孝君 そうすると順序から申しますと、まず参加者名簿の方の移動が先でしょうね。そしてそれが顧客名簿、証券会社の顧客名簿にまた記載される。そうすると実際どちらが本当の権利変動の時期なのか。両方そろわなければだめなのか、片方だけでいいのか。それはどちらですか。
○説明員(稲葉威雄君) 両方そろった時期に権利変動が完成するというふうに考えております。
○近藤忠孝君 そうしますと、参加者口座で移っただけじゃまだ――これは法的にはどういう状況なんですか。
○説明員(稲葉威雄君) 法的には要するに株券の交付と同じ効力があると言っているわけでございますから、株券は証券会社の手元には入ってきているけれども、まだお客さんの手元には渡していない、これと同じ状況になるというふうに考えております。ですから、お客さんのものになるというのが終局の目的でございますから、その状況はまだ完成していないということでございます。
○近藤忠孝君 そうしますと、しかし参加者名簿には一応、口座には移っているわけですからね。要するにもう別の、今まで持っておった者の権利じゃないわけですね。しかし新たな顧客のものでないというと、その間の権利状況というのはこれはどういうものなんですか。
○説明員(稲葉威雄君) その間については遅滞なくやれという規定がございまして、この関係で、それは時間的なタイムラグはないようにしようというふうに今考えているわけであります。現実の現在の株券の交付の時期でございますと、結局その占有移転というものがだれを代理人、例えば受け取った証券会社がだれのために占有しているのかということによって、その間の権利関係が変わってくるわけでございまして、それと同じ状況が出てくるようにも考えております。
○近藤忠孝君 それから先ほどの写しの関係ですね。証券会社に株券があればいいけれども、それが今言った機関に行ってしまった場合、その場合にこの写しはどういう関係なんですか。
○説明員(稲葉威雄君) 株券、証券は保管振替機関に預託された場合におきましても、その顧客の預けた株券の内容というものは、これは顧客口座簿上、記載があるわけでございますので、その口座の写しの交付請求ができるということになるわけでございます。
○近藤忠孝君 そして法律では振替機関に対してもこの写しの請求できますね。そうすると、その場合はどんな与しなんですか。そこには顧客の個別的名前は出ていないので、それはどんなものなんでしょうか。
○説明員(稲葉威雄君) これは「利害関係を有する部分に限り」ということの解釈問題になるわけでございますが、原則としては自分の口座、つまり顧客でございますと、参加者の手元にある顧客口座簿の写しの交付の請求だけで足りるというのが原則だろうと思います。
 ただ、参加者がその顧客の預託分を自分のものとして預けているというような事態があると仮定しますと、それをチェックするという趣旨で、参加者の顧客分として預けている株数が幾らであるかということを知るということで自分の株数がその範囲内におさまっているということを確認できる。こういうような意味で利害関係があると解する余地があるのではないか。そういう意味で、保管振替機関に写しの交付の請求をすることができる余地があると、こういうように考えております。
○近藤忠孝君 次に、三十一条の「実質株主の通知」の問題です、発行会社に対する通知です。
 この場合には、振替機関を通じて磁気テープで発行会社へこれを通知すると、こういうことになるんですが、そうするとこの段階で相当名寄せができるということになるんでしょうね。
○説明員(稲葉威雄君) この点については、現在、実務会で非常に詰めておりまして、どの程度の名寄せをしたものを発行会社に送るかという点については、まだ確固たる方針は決まっておらないようでございますけれども、なるべく名寄せをしたものを送るということで処理するという方向で話し合いが行われているように聞いております。
○近藤忠孝君 なるべくというといろいろあるんですけれども、これは大蔵省、どの程度話が詰まっているんですか。
○政府委員(橋本貞夫君) ある顧客がおりますと、いろいろな証券会社または銀行に取引しておりまして、それらが名寄せしておいた方が実質株主名簿をつくりやすいという事情はあろうかと思います。しかし、逆に発行会社の立場からしますと、そういうのが名寄せされた状態になることがだれかにいち早くわかる、自分より先にわかるということではやや感覚的に抵抗感を覚える会社の人もいるというようなことで、名寄せすること自体、コストの問題、手間の問題でございますが、それ以外にもそういう業務をするのが適当かどうか、これはあくまでも事実上の問題でございます。これは今後、実務的な詰めを行う段階で、発行会社の意見もいろいろございますので、それらをあわせて実務会において詰めていかれる問題だと思います。
○近藤忠孝君 この点に関して国税庁にお伺いしますが、
   〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕
配当課税はこの制度によって、今の特に名寄せによってやりやすくなったんでしょうか。
○政府委員(渡辺幸則君) お答えいたします。
 配当課税につきましては、私ども従来やっておりますのは、一定の少額のものを除きましては、支払い調書をいただいておるわけでございます。この支払い調書の名寄せというものを税務署でやっておりまして、これに基づいて課税をいたしておるわけでございます。この支払い調書の提出のあり方というものは、この制度のもとでも全く変わらないわけでございます。
 それから従来も配当につきましては、支払い調書の名寄せは私どもはかなりの程度十分にやっておるわけでございます。したがいまして、配当課税につきまして、この制度が導入されたこと自体によって何らかの変更を来すというものではないというふうに考えておるわけでございます。しかし、このことは、配当課税の適正を期するということについていささかも私どもが変更をしている、ないし後退をしているということではございません。
○近藤忠孝君 それから有価証券譲渡益の問題ですが、この点については昭和五十六年のときに渡辺大蔵大臣がこう言っています。売買によって巨額の利益が得られるのを野放しにすることはいいことか悪いことか、非常に問題がある、ただし、極めて技術的な問題で、所得の捕促が非常に難しいこと、それからもうかるばかりとは限らない、こう言っているわけですね。いろいろ議論した後で、一定限度の免税は認めてもいいがそれ以上のものは課税するのが本筋だと。そして、当時の主税局長も、いろいろと勉強します――技術的問題ですからね。ということで、その後の勉強の成果はどうでしょうか。
○政府委員(渡辺幸則君) 制度論の方は私ども直接の任でございませんが、執行の面に関します限りにおきましては、有価証券の譲渡課税につきましては、配当の支払い調書、その他探聞情報と申しますか、マスコミの情報と申しますか、いろんな情報をできるだけ集めまして、これによりまし
て課税の適正を期しておるわけでございます。
 今、御指摘になりました困難というのはまさにそのとおりでございまして、一面におきまして、私ども資料をどう集めるかという問題があるわけでございます。他面におきまして、株式の譲渡益課税と申しますのは――譲渡損が出ますと、これは必ず申告をなさる。しかし譲渡益の方は必ずしも十分申告がなされない場合があるということでございまして、そういう非対称性と申しますか、そういうことを考えながら資料の収集その他を行っておるわけでございます。
 名寄せの問題につきましては、これは有価証券の売買につきましては、必ずしも全部が実名で行われるわけでもない。そういった点で、私ども非常に解明に苦労する場合が多々あるわけでございますが、とにかく持てるだけの人員をもちまして現在できるだけのことはやっておるわけでございますが、委員御承知のとおり、課税の状況が、非常に大量に課税をしているかというと、そこまではいっておらないというのが現状でございます。
○近藤忠孝君 その課税の実情、五十回あるいは二十万株以上という幾つか要件がありますが、その課税の状況を五十六年と五十七年を比較して述べていただきたいんです。
○政府委員(渡辺幸則君) 私ども、税法の方で有価証券の譲渡益と申しておりますのは、株式のほかに実はゴルフの会員権なども入っておりますので、ゴルフの会員権というのはただいまの場合に適切でございませんのでこれを抜いた数字で申し上げますが、五十六年におきまして全体の課税件数が四百十六件でございます。うち、いわゆる継続的取引――ただいまお話のありました五十回、二十万株以上でございますが、これが七十七件でございます。それから買い占めにかかるものがゼロでございます。それから租税特別措置法におきまして同一銘柄二十万株の売買につきまして課税をいたしておりますが、これが二十一件でございます。それからいわゆる特別報告銘柄、これはゼロでございます。あと、いわゆる事業譲渡類似というものがございまして、これが三百十八件でございます。
 五十七年につきましては、合計が三百八十件。継続的取引が四十九件、買い占めがゼロ、同一銘柄二十万株以上が三十二件、特別報告銘柄がゼロ、それから事業譲渡類似が二百九十八件ということになっております。
○近藤忠孝君 株式の取引がどんどん拡大化し、そして膨大になっているからこの制度、この法案ということになったんですが、実際の課税状況は逆に減っているんですね。私は、実際はこれの要件に当たる、要するに課税すべきものはもっともっと多いんだと思うんですが、ところが実際は減っているということ。
 そこで、把握困難だというんですが、コンピュータ化していますから把握はますます十分にいくようになったし、私は、今回のこの制度によって把握という面でも一歩進むんではないか、またそれが進むという方向で国税庁はどういう努力をしているのか、この点をひとつお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(渡辺幸則君) この制度が導入されました後におきまして、コンピューターその他の利用によりまして、どのように仰せのような措置と申しますか、実務が進んでいくかということについて私どもまだ具体的に承知いたしておりませんので、そういう点について何ら確定的なことを申し上げる段階にないわけでございますが、しかしながら、今お示しいただきましたように、いろいろ困難な点があるわけでございます。
 この困難には二つの点がございます。第一は、資料の収集自体の範囲を拡大する、ないしはその的確を期すということが一つでございますが、同時に、それと同様に、またあるいはそれ以上に、収集いたしました資料の質をどう考えるかといった問題があるわけでございます。なるほどコンピューターによりましていろいろな資料が迅速、的確に入手されるということはあるわけでございますが、その場合に、得られました資料の中で、例えば借名でありますとか架名でありますとか、そういうものがかなりまじっておりますと、私どもの方で名寄せをどうしたらいいのかという問題に突き当たるわけでございます。借名は借名、架名は架名で名寄せは一応でき上がりましても、それを追求いたしまして、果たしてどういう人に帰属する所得であるのかということを解明いたしますのに非常に手間かかかるということでございます。これはいわば取引の段階あるいはそれを記録いたします段階で本人確認といったものがございません。そもそも有価証券譲渡益は、原則非課税でございますので、そういう点につきましての本人確認というようなことを証券会社その他にお願いするのもいろいろ問題があるわけでございますし、また私ども資料の収集に当たっても、そこまでなかなか協力を全体の資料につきましてお願いするというのもどうかという問題もあるわけでございます。
 そういう点を考えまして、一面におきまして資料の収集、他面におきまして資料の質ということを考えますと、そこにまだ相当の困難があるというのが私ども今日の段階における考え方でございます。
○近藤忠孝君 有価証券の譲渡益が原則非課税になっているということは、不公平税制の重要な一つであるということは指摘されておるんですね。ところが、いまだになかなか手つかず、こういう状況であります。
 私は、五十六年のときに、例えば年五十回かつ二十万株以上というけれども、なかなかそれが出てこないとすれば、一回一万株というやつについて、顧客資料の提出をさせたらどうかとか、幾つか提案をしたんです。その当時の答弁は、どのような基準でどのような課税資料をいただく方がいいのか、あるいは国税庁の執行がどこまでやっていけるのか、広い範囲で検討、広い範囲というのは総合課税その他の問題も含めてですが、検討をしていくという、こういう答弁をいただいているんですが、この辺についてはどうですか。具体的にもう少し踏み込んでいく。私は具体的に提案しているんですね。年五十回二十万株については、一回一万以上については資料を出さすとか、そんなことはやればできるんじゃないでしょうか。
○政府委員(渡辺幸則君) 制度の問題でございますので、私がここでお答え申し上げることが適当かどうかという問題はあるわけでございますが、先ほど申し上げましたとおり、資料の提出範囲を拡大する、それによって得られる資料が果たして本当の真実が十分わかるような資料が出てくるかどうかといった問題が確かにあるわけでございます。そういった問題についての検討もしなければいけないのではないかと実務の方からは考えられるわけでございます。この点につきましては、本人確認とか、それをどういうふうにするのかというような問題があり得るんではないかと思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、ただ資料の範囲を拡大するというだけで問題が片づくのかどうか、若干私どもその点につきましてまだまだ考えなければいけない問題点が残っておるのではないかと思っておるわけでございます。
○近藤忠孝君 こういう問題を放置しておいて、なかなかこれに熱心に取り組もうとしないで、片やこの間の記帳義務に大変問題がある、しかも国税通則法にさらに大変重要な問題があるというものを進めていくという点では、私は逆に不公平税制を進めるものだということを申し上げて、時間が来ましたので、質問を終わります。
   〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕
○栗林卓司君 今回御提案の法律案というのは、改めてでありますけれども、商法二百五条の例外規定をつくるというところに中心的な意味があったと思います。例外というのは、「株式ヲ譲渡スニハ株券ヲ交付スルコトヲ要ス」「株券ノ占有者ハ之ヲ適法ノ所持人ト推定ス」といったところを、今回の法律案の二十七条で「参加者口座簿又は顧客口座簿に記載された者は、その口座の株式の数に応じた株券の占有者とみなす。」、またその振替は「株券の交付があったのと同一の効力を有す
る。」、これが中心部分なんですね。そのために保管振替機関を今回つくったわけですね。この中身は何かといいますと、その事業を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人の中から主務大臣が指定する、こうなっております。で、欠格事由が出た場合には指定を取り消す。
 こう見てまいりますと、事業を適正かつ確実に行うことができると認められる公益法人というのは、暗に複数を想定して法律ができていると思うんです。そこでお尋ねをするんですが、指定は主務大臣が指定するんですが、果たしてこれは複数に指定を与えるんですか、それとも一つに絞るんですか。その辺のお考えはどうでしょう。
○政府委員(佐藤徹君) この点は午前中にも御議論があったわけでございますけれども、まずその数の問題の前に、どういうタイプの法人が一番適当かという議論がございます。それはいろんな要素を勘案いたしまして、民法上の公益法人という形が一番ふさわしいんではなかろうか。そうしますと、民法上の公益法人というのは設立者が自発的な意思に基づいて設立するわけでありますから、その段階では一つとかそういう問題は出てこないわけでございます。
 そこにさらに、この仕事を行うためには、それを適当と認めるという主務大臣の指定が出てまいります。この指定を一つの機関にするか複数の機関にするか、こういう点で数の問題が出てくるわけでございますが、最前も御議論いただきましたように、私どもは当面、株式、それも今の流通の状況からいたしますと、一つの機関で全体を賄い得るのではないかというふうに考えてはおりますが、いずれにいたしましても、どういうふうな分け方をしていくのが一番効率的でコストが安くなるかということと、それから、どういう数のもので処理をしていくのが一番法の目的を達せられるかという二つの要素が重要なポイントだと思います。場合によりましては、地域ごとということは、これはちょっと考えられないと思いますけれども、例えば上場株式と店頭の株式とは別に処理した方が効率的であるというような要素が出てこないとも限らない。そこで、法律の段階では、一つと限定してしまわないで、可能性としては複数の可能性を残しておくということの方が、法律の構成としては妥当ではないのだろうかということで、指定の数ということは法律上は限定をしてないというのがおおむねの考え方でございます。
○栗林卓司君 合理性で考えますと、株券の授受はなるべくやめようではないかということがこの改正に至った大きな動機ですよね。そうすると、この保管振替機関が三つになると、振替機関相互の取引では株券の授受は当然起こるわけです。したがって、株券の授受、それを最も合理的に処理をしようとなったら、理論的に一つしか数はできない。もともとそういったものだと思うんです。法律を書く場合にはあるいはこうなるのかもしれませんけれどもね、実際問題とすると、望ましいのは一つなんです。
 別な角度からお尋ねしますと、欠格事由があった場合には指定の取り消しになりますね。そのときに、どういう問題が仮に取り消されたら起きるとお考えになりましたか。
○政府委員(佐藤徹君) まず、前段の御議論でございますが、私どもが二つの可能性も否定し切れないと申し上げましたのは、上場株式と店頭株式、そういった分け方で機関が二つになることは可能性としてはあるのではないかということを申し上げたわけでありまして、同じ株式を二つの機関が扱うことはあり得ないわけでございます。したがって、そういう形の複数の機関が存在する場合にも、機関同士で株券が移動するという状況は起こり得ないわけです、銘柄が違いますから。ですから、そういう意味では複数はあり得ないのではないか、問題は生じてこないのではないかなというふうに考えております。
 それからその指定の取り消してございますが、まあこれは恐らく当初一つの機関が指定されることになると思います。それにつきましては、役員の任命の認可でありますとか、それから事業計画の届け出でありますとか認可でありますとか、いろんな形で必要最小限の監督規制をやっていくわけでありますから、会社自体が存在することはぐあいが悪いというような事態は実態的には余り起こり得ないと思うんでございますけれども、役員にしても一定の資格要件等がいろいろございますので、万一の場合を想定して取り消しの要件を決めておく。そうでないと、非常に盗意的にその取り消しが行われるようなことも起きてまいりますので、これはどんな法律の場合でもこういった公的規制をいたします場合には取り消しの要件という規定を置くのが通例でございます。卑近な例では、証券会社の免許にいたしましても、こういう事情が生じたときには取り消すことができるという規定がございます。それと同じ種類の趣旨の規定でございます。
○栗林卓司君 証券会社の場合といささか違うと思うのは、まず保管振替機関というのは商法の例外をつくるために創設した機関ですよね。従来は株券の交付、占有、これは基本的条件だった。今度はそれはどうでもいいから名簿でいきますよ、商法の例外を名簿でいくよといったときの信用を担保するものですよね。
 そこで、法律の書き方としてはそうなるのでしょう。だけれど、実際問題として指定の取り消しが起こったら、これは大混乱ですよね、言うまでもないことで。だって保管振替機関の方は損得ぶっくるみで株持っているわけですから。発行会社の方は発行する株券をだんだん大券にかえていく、細かい株の方は端数ぐらいにして、あとは発行しないなんて言っているうちに、それが欠格事由に出てつぶれることになったら、さあ株券は全部再発行、全部もとに戻さないと戻らないんですよ。ということは、これは一遍指定したら取り消せないんです。それは法律ではそう書いてなくたって、物事の実態から見てそうですよ。
 私が一つと言ったのは――それはいろんな株券等があります。相互に流通がないものは別において、流通があるものについて一つ。それは有価証券で一つとか、店頭が一つとかあるかもしれませんが、どっちにしても流通マーケットがあるものは一つなんです。指定をしたら取り消しはできない。これが果たして民法上の公益法人という概念に合うんだろうか。
 そして、この法律に書いてあるように、「適正かつ確実に行うことができると認められる」公益法人の中からと。こういう書き方になじむんだろうか。もともとこれは特殊法人をつくるか、あるいは一つに限って認可という格好にするか。一つということをはっきり明示しなかったらかえって誤解の種になるんではないかという気がするんです。それができなかった理由はどういったことだったんですか。
○政府委員(佐藤徹君) 私が引きました例がちょっと適切でなかったと思いますのでおわびをいたします。
 私が申し上げておりますのは、現実問題として指定を取り消すというような事態はまず起こり得ないと思いますし、起こしてはならないわけでございます。おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、実態的な問題といたしましては、むしろこういうことはしちゃいけませんよという事柄として常に頭に置きながら、その法人が事業をやっていくということとして受けとめた方があるいはいいのかもしれないなというふうに、今先生のお話を伺いながらそう思ったんでありますが、そういった最後の担保として取り消しということが法律上決められている。
 それならば大体一つだろうし、そういった指定の取り消しもないということであれば、認可法人なり特殊法人の方がいっそさっぱりするじゃないかというのが後段の御指摘だと思うんでございますけれども、法人の性格は今、国の関与の度合いが今まさに申し上げましたように特殊法人が一番強くて、認可法人がその次で、あといろんな公益法人、公益法人の中にも指定を受けて事業をやるもの、それから指定は要らないものとか、いろんなタイプがございます。
 この法案の審議を検討いたします段階で認可法人という考え方も確かにございました。ございましたが、認可法人の場合は設立行為の段階から国がある程度関与している。それから例えば許認可につきましても、役員は国が任命をするというのが通常でございます、それに限定されるわけではございませんが。そういったことを考えますと、この事業の性格から言って、役員なんかは自主的に選ぶ。それだけですべてが終わるということではなくて、それを主務大臣が認可するという形でチェックしていく程度の公益性が一番望ましいのではないか。あるいはお金の問題がございましたけれども、この事業は公益性はございますけれども、お金の面で国が援助するというような性格の事業ではございませんから、補助金でありますとか、出資金でありますとか、そういったものは一切考えておらない。そうしますと、認可法人がすべてお金の援助を受けているというわけではございませんが、そういうものの方が多い。それらの実態をいろいろ考えますと、認可法人よりは、やっぱり今御提案申し上げているような形の方が、どちらかというと、ふさわしいのではなかろうかという結論に達したというのが実態でございます。
○栗林卓司君 お話ですけれども、これを新しくつくるとして、国が設立に関与しないで済むんでしょうか。一体だれが集まってこの公益法人をつくるのか、今のところは何も書いてないからわからないのだけれども、何となくこう動くのだよという説明を伺っている。参加者、これも入ります。発行会社、これも入る。資金を分担しながら今もらっている保管料の枠の中、手数料の中で、どうやってあれこれしていこうか。これをあれだけの広い関係者の中で煮詰めていくわけですね。そして片一方では新しい初期資本投下も要るでしょう。それは一体だれがどうやってファイナンスをして負担をするのか。この辺のややこしいことは、少なくも証券局とすると乗り込んでいかなきゃ交通整理できないでしょう。ということは、国が設立に関与せざるを得ない。もともとそういう性格のこれは機関なんですよ。
 だから、この機関がそういった機関だから、商法の例外としてあの機関の名簿に書いてあったら占有もしくは交付にかえるのだと。それで初めてみんな納得するんで、国の方は補助金出しません、出資もしませんとおっしゃるけれども、本当に出さなくていいのかどうかはむしろ今後の検討課題だと思った方が正しいのかもしれませんよ。
 しかし、この法案通ってしまったら出せませんけどね。この法人の実態はどうかといったら、「業務規程」、「主務大臣の認可」、「事業計画」「収支予算」、「主務大臣の認可」、「役員の選任及び解任」これも「主務大臣の認可」。それで役員と職員には守秘義務が課せられている。罰則に関して国家公務員と同じであります。これだけ厳しい縛りをかけておいて、格好だけは民法上の公益法人ですと。これがこの法案何遍読んでもみんなわからなくなっちゃう理由なんですよ。
 この法案のねらいというのは、商法二百五条に対して例外規定をつくるということにあったのだと思います。その限りで今の状況からして、やってみていい試みだと思いますから反対はしませんけれども、その二百五条の例外をつくるために枝葉を生やしていったあたりが、将来もう一遍見直しをしなければいけないのかなという気がするものですから、あえてお尋ねをしているんです。いざこれが通ったとして、しかも一つですよ、これは。そのときに一体だれが中心になって、おおむねどういう収支見通しでこれは転がっていくんですか。
○政府委員(佐藤徹君) 役所の関与あるいは国の関与の問題でございますが、実質的な意味では先生御指摘のとおりの部分があると思います。法案を出すまでの過程におきましても、外国の例を見ますと、またちょっと話が長くなるんですが、西ドイツで百年かかって現在の姿になっておるわけですが、初めはごく小部分で、やりたい銀行だけが集まって始めたわけなんですが、それがだんだんだんだんやってみると、これは非常に便利じゃないかということで広がっていく。その過程でいろいろなことが起こる。それについては国がこの部分は監督した方がいいじゃないかというようなことで、そういうことの積み重ねで現在の姿になってきておるわけです。
 ところが、日本の場合は検討に二十数年かかったわけでございますけれども、何年もかけて少しずつ広げていくというようなことを考えていられないほど、今状況がかなり切迫しておるものですから、短時間の間に法律的な手当でもし、実際の執行も考えていかなきゃならぬと、こういう事情にあるわけでありまして、その過程で長い時間をかければ当事者同士が話し合ってやっていけばいいようなことを国が間に立つといいますか、中に入って、いろいろこうしたらどうですかとか、そういう、何というんでしょうか、指導とかあるいは助言とかいう意味で実質的にかなり関与してこれまでも来ておりますし、これからもそういう局面はあるだろうという点は御指摘のとおりだと思います。
 で、そういった過程の中で、じゃ一体、まあ理事長というんですか、責任者にだれを置くかというようなことをいずれは決めなきゃならぬ問題としてあるわけでございますけれども、今の段階では非常に抽象的に、それはどこの業界から見ても中立的な人だなと思える人でなければいけないなというような認識は持っております。しかし、そういった人が現実に存在するかどうか、一個の人間として。それはこれからの問題でございますが、そういったことも含めて、また役所に考えを聞かれたり、あるいは折衝が非常に難航したときに一つの助け船といいますか、こういう考えで検討してみたらどうですかというようなことで国が関与することはあると思います。しかし、法律的な意味で設立行為自体を国がやるとか、あるいは補助金を出すとか、そういうことは一切考える必要もありませんし、考えてはいかぬ種類の業務であろうというふうに考えておるわけです。
○栗林卓司君 収支見通しを立てる場合、顧客がどの程度利用するかにかかっているわけですね。で、顧客がたんすにしまってある株券を、じゃこの際だから保管振替機関に預けようではないかという気持ちになるかどうかで収支見通しは大きく違ってまいりますね。したがって、立ててはみたけれども、それを大臣認可はしてみたけれども、果たしてそう転がるか。赤字になる可能性だってあるわけでしょう。片方では「株券等」とあるわけですから、もっと範囲を広げて大きなセンターに育てていきたい夢もありますわね。だから、補助金出せと言っているんじゃないんですよ。むしろ特殊法人という格好で行政機関の外にはあるけれども、公の性格の非常に強い機関であるという形にしていった方がこれは間違いなく育つんじゃないか。それを民法上の公益法人になぞらえて法律をつくってあるものですから非常にわかりづらいのと、いざ転がしていくとやっぱり不都合な点が出るんじゃないか。どっちにしても、今急がなければいかぬことの一つでしょうからおやりになるのは結構だけれども、こういった格好でいいのかどうか、できたら後で結構ですから、慎重に再検討お願いしたいと思います。
 以上です。
○青木茂君 伺います。
 この法律、正直言ってよくわからないんですけれども、証券業界に便はありますよね。ただ、一般の国民にどれだけの益があるかということがさっぱりよくわからないんですけれども、投資家即一般の国民じゃございませんから、そこら辺のところはどうなんですか。つまり証券業界からの要望で来ているわけですか。
○政府委員(佐藤徹君) この機関あるいは仕組みの直接の関係者自体が非常に多うございます。で、証券会社だけではなくて、むしろ一番関連が深いのは取引所だと思いますが、現に今の法律の中でやれるシステムとして東証の子会社が部分的にやっている仕組みがあるわけでございます。それほど取引所自体とは関係が深いわけでございます
が、その次に非常に関係が多いのが証券会社だと思います。そのほか今度は、業務として持っているわけじゃございませんが、投資物件として株券を非常にたくさん持っている銀行――銀行は貸し付けを行います担保として株券も提供を受けるという立場もございまして、これは非常に関係が深いわけです。他方で発行会社そのものも非常に関連が深い。そういったふうに直接の関係者自体非常に多いわけです。
 当然のことながら投資家は最大の関係者でありまして、投資家自体がどういう便益を受けるかといいますと、まあいろいろあると思いますが、一つは、直接的には今株券を自分でたんすの中に入れているという方は非常に少のうございまして、証券会社に保護預かりという形で出しているわけでございますが、保護預かりについては一人当たり年間たしか三千円だったと思いますが、料金をいただいているわけでございます。これが要らなくなるということです。それから名義書きかえの手数料というのは、これもそう大きな額ではございませんが、一定の株数で決められておりますが、一万株以下の場合は五百円ということでございます。これは要らなくなるわけでございます。
 その保護預かり料は要らなくなるんですが、そのかわり今度は保管料が必要になる。しかし、それは今の保護預かり料に比べれば低いはずでございますから、プラスマイナスで便益がある。そのほか経済的な計算はできませんけれども、流通が非常に速くなる。今まで何日もかかっていたものが一日で処理できるとかいろんな形のメリットは投資家にはあると思います。
 先生御指摘のように、国民というのは投資家ばかりじゃないよということでございますが、その辺になりますと、あるいはそこまで私が議論をするのは適切かどうかという点はやや疑問に感じますが、お尋ねでございますので率直に二、三申し上げさしていただきますと、株式市場というのは、投資の場であると同時に、企業にとっては資金調達の場でございますから、企業にとってはその資金調達の場が非常に円滑に回っていくことは、直接的に資金調達がやりやすくなるとか、そういったメリットがあるわけでございまして、それは企業の収益に好影響を与える、それがまあ配当に……
○青木茂君 済みません、時間が少ないものですから。
○政府委員(佐藤徹君) そういうことはあるわけでございますが、まあ一例でございます、これぐらいにさしていただきますが。
○青木茂君 とにかく現在、仮に投資家に限って考えてみても、現在の制度が極めて不便であるということが投資家からほうはいと巻き起こっているという実情にはない。そうすると、どうしてもこれは業界の便益というのか利便というのか、そういうものですね。そうすると、業界の方からこういうものが欲しいという要望は非常に強くあるわけですね。
○政府委員(佐藤徹君) もちろん、それはございまして、二十五年も前から検討が始まっているわけですが、そこで言います業界というのは、取引所のような若干公的な機関も含めて関係者全体というふうな意味で申し上げているわけでございます。
○青木茂君 であるとするならば、もう少し業界の方ではっきりした青写真というのかマスタープランというのか、こういうものをこういう内容、こういう役員構成で一つにするのか複数にするのか、今まで出た諸般の問題ですね、諸般の問題について、こういうものがないと、本当に不便なんだけれども、そのためには法律の改正が要る、ひとつ国の方に何とかしてくださいよと、もう少し具体的なプランを業界が持ってきてから、我々としては審議すべきなにじゃないか。少し国の方が、政府の方が先走り過ぎているんじゃないかという感じが非常に強いということなんですけれども、これはどうでしょうか。
○政府委員(佐藤徹君) この法案の業務を行います機関の部分に限って言いますと、御指摘のような側面はあろうかと思います。ただ、現在の状態を申し上げますと、先ほども申し上げましたように、非常に事は切迫しておりますものですから、なるべく早く事業が実施に移されることが望まれているというような状況にございます。したがって、法案を御審議いただきながら、同時にあるイメージを描きながら、実際の機関とか事業の内容とかを徐々に詰めつつあるという状況でございます。ですから、御指摘の点はごもっともではございますが、一方この法律のもう一つの非常に重要な要素であります商法の特例の部分、これが実はある程度固まりませんと、そっちの現実の事業の方の構想がこれ以上前に行かないというような問題がいっぱいあるわけでございます。ですから、一つの法案で御審議いただいておりますけれども、その商法の特例の部分はどうしても前提として先に御検討いただきたいなあというのが私どもの偽らざる心情でございます。
○青木茂君 事が切迫しているからこそ、これができることによって一番便益を受ける業界が、仮にケースA、ケースB、ケースCというつくり方をしても、もう少し具体策を出してくれないと、この法案をぽんと出されても、何となく雲をつかむような論議に私はなってしまうんじゃないかということを大変心配するというのか、私自身がそういう感じを持ったということなんですね。少し国の方が、元来証券は民間のものなんだから、少し過剰介入ではないか、あるいは早期介入に過ぎるんではないかという感じがいたします。それはあくまでいたしますということで、それで先に質問を進めます。
 この保管振替機関ですね、振替機関は今までも議論が出ているんですけれども、どちらにしても公益法人だと。これは仮に公益法人だとした場合に、公益法人を新設するんですか。あるいは何かほかにありまして、それに業務委託をやるのか。そこら辺のところなんですがね。
○政府委員(佐藤徹君) 新しい事業を始めるわけでございますから、常識的に考えまして新しく設立をすることになると思います。今その類似の業務をやっておりますものとして先ほども申し上げましたように東証の子会社であります日本証券決済会社ですかというのがございますけれども、これは東証の子会社ということでございまして、そこに例えば銀行の方やなんかが入っていくについてはいろいろ問題も生じてまいりますので、一番問題が少ないのは新しい機関を設立するということではないかと思います。
○青木茂君 新しいものを新設をする、しかも業界からこういうふうな具体的な青写真でつくりたいという要望はまだ出ていない、それを国の方が先に法律つくっちゃってこういうふうになるということになってきますと、どうも公益法人とはいうものの、一種の特殊法人的に国がつくってしまうという感じが非常に強いんですよ。
 そこでちょっと伺いたいんですけど、先ほど外国の株式会社の例もあるというふうにお聞きいたしましたけれども、株式会社はどこなんですか。
○政府委員(佐藤徹君) 株式会社制度そのものが国によって若干違いますが、例えばドイツの場合は、名前は株式会社ということになっております。ただ、株式会社でありますけれども、公的な監督や規制は受けております。だからそういう意味では、例えば日本で申しますと、また例ですからぴったりとはこないんですが、日本銀行、これは株式会社でございますが規制、監督を受けておる。そういった形の主体ではないかというふうに思っております。
 フランスも名称を見ますと株式会社ということになっているんですけど、フランスでは政令に基づいて設立されておりまして、フランスの政令というのは日本で言うと法律に当たるものがかなりございますので、法律に基づいて設立されている事業主体と言った方がいいかと思いますが、これも名前はどうも会社みたいな名前を使っている。横文字ですから翻訳です。
 そんな感じでございまして、イギリスの場合は商取そのものがやっておりますから、これは会社
ではないというようなことで、国によって若干の差はありますが、いずれも共通しておりますのは、何らかの形の公的な規制なり監督を受けているそついう法人ということは共通しております。
○青木茂君 そういう場合、各国でそれぞれの機関のボスというのか、トップというのか、そういつ人の過去の経歴ですね、それはどういう人がトップになっていますか。
○政府委員(佐藤徹君) 質問の御通告をいただいてちょっと慌てて調べましたものですから、正確かどうかちょっと自信がないんでございますが、わかった限りで申し上げますと、西ドイツのフランクフルト・カッセンフェラインというのがこの機関でございますが、ここは代表取締役というのが二人おります。二人のうち一人は前職がこの企業自体の役員ですから平取締役だったと思いますが、恐らく生え抜きの方じゃないかと思います。それからもう一人は、メンバーである銀行の部長さんから転職をされてきた。いずれも民間人でございます。それからフランスは、シコバンというのがこれに当たる事業主体でございますが、ここの取締役会の議長は現在貯蓄銀行の副頭取を兼務しておりまして、これは銀行の業界の方でございますが、その前には証券取引所の事務局長をしておられた方でございます。それからアメリカは、デポジタリー・トラスト・カンパニーという、これも会社でございますが、取締役会ではなくて理事会というのが議決機関になっております。理事会の議長の前職はニューヨーク州の銀行局長、したがいまして役人の前歴がある方のようでございます。とりあえずある程度正確にわかりましたのはその三カ国でございます。
○青木茂君 ありがとうございました。
 私が少し猜疑心が強過ぎるのかどうかわかりませんけれども、何となく、一番最初から言っておりますように、業界がまだマスタープランを出してない。何カ国の方がこういうものが必要だろう、必要だろうと非常に急いでお考えになる。その中に何があるだろうか。どうも私は天下り先の拡大じゃないかという気がして仕方がない。これはちょっと言葉が過ぎたらお許しをいただきたいんですけれども、何か徳川の十一代の将軍がたくさん子供やあれをつくっちゃって各藩に子を押しつけて各藩非常に迷惑をしたという話もありますから、そういうようなもので、業界としてつくりたいことはつくりたい、つくりたいことはつくりたいけれども、また上から銀行局長あたりが天下ってきたんではかえって迷惑である。そこら辺の表裏の微妙なところですね、微妙なところが私はどうもひっかかってひっかかって仕方がないということなんです。
 今とにかく行政改革の時代なんだから余りそういうような特殊法人だ、公益法人だ、民間法人だといろんなものを行政改革の総本山である大蔵省みずからが積極的にお考えになるということは、時代に即応しないという考え方が私の胸の中にはあるということ、これに対してひとつお答えといったって難しいだろうけれども、御感想をいただきたいと思うんです。
○政府委員(佐藤徹君) 御懸念は非常によく理解できます。先ほど三カ国だけ申し上げましたが、あと二国だけ正確かどうかわかりませんが情報が若干ございますので申し上げますと、オランダの方は中央銀行、日本で言えば日銀でございますが、この役員だった方でございます。それからイギリスの場合、証券取引所自体がやっておりますが、その理事長が代表者になるわけでございますが、この方は証券会社の社長さんであります。
 したがって、さまざまではありますけれども、私どもは今イメージとして持っておりますのは、関係する分野が非常に多いだけに、どこの分野の人から見ても中立公正な人ということが必要なんだろうと思っておるわけでございます。じゃ証券会社の社長さんだったら中立公正でないかというと、そんなことはないんで、そこはやっぱりその方の個人の人柄なり性格なり、あるいは経歴なりもちろんありますけれども、そういう問題なんだろうと思います。ですから中立公正な人だから初めから日銀じゃなきゃいかぬとか、あるいは極端なことを言えば、やっぱり役人がなるつもりなんだろうとかそういう発想があること自体は、それはごもっともだと思うんですけれども、頭からそういうことで物を考えているわけではもちろんございません。役人もいろんな人がおりまして、私なんかはふだんいろんな方と会うと、おまえ、役人みたいな顔してないななんてからかわれておりますけれども、性格がどうかわかりませんけれども、ですから天下りとかそういうことではなくて、本当に純粋に中立公正な方ということでこれから人を探さなきゃならないというのは、変な言い方ですが、選んでいかなければならない、そういう問題だろうと思っております。
○青木茂君 まあ、とにかく天下りの問題というのは非常に国民も注視していることだ、それをチェックするのが私は大蔵省の仕事だろうと思いますから、そこら辺のところは、これから行革をやらなきゃならない時期なんだから、特に李下の冠、瓜田のくつということもございますから、もう二重三重にひとつ御留意をいただきたいと思うわけでございます。これに対して大臣いかがでしょうかね。
○国務大臣(竹下登君) そういう意見がこの法律案の議論をしていただくときに出る意見の一つじゃないかと私も思っておりました。というのは、私も役所におったことございませんので、いろんな場合、証券、金融、考えられます中で、中立的でだれもがと思うと、じゃ大蔵省からひとつお願いしたいと言ってくる可能性を全く否定するわけにもいかぬなというような、素朴にそんな気持ちを持って、本当はこの法律の説明を聞くときからそんな感じを持っておりました。が、一般論として、その天下り問題というのは、私も官房長官時代からいろんな基準をつくらされたりしてきておりますが、それはそれとして十分意を体してやらなきゃならぬ問題だ。が、このポストは役人経験者は断じていけないというのもやや言い過ぎになるというような印象で本当は勉強しておったところであります。
○青木茂君 まあ雲をつかむような状態の中から人事を言っても、これは仕方がないことですけれども、しかし、できた、ああ、やっぱりそうだったかということのないように、ひとつくれぐれもお考えおきいただきたいと思います。
 最後に、これができることによってどうなんでしょうかね、さっきも少し問題出ましたけれども、いわゆるアングラマネーの吸い上げという国民に対する財政上のメリットというものは何かないでしょうかね。最後です。
○政府委員(佐藤徹君) なかなか難しい問題だと思いますが、非常に率直に言いまして、私どもは大ざっぱに今回の仕組みの国民経済に与える影響ということを考えますと、今の手作業を一つにまとめて機械処理を入れて処理のやり方を変えるだけだというふうに認識をいたしております。ですから、この仕組みが実体経済に非常に大きな影響を与える、あるいはお金の流れを極端に変えていくというような影響はないと思いますし、むしろそれはあってはいけない仕組みじゃないか、そういう影響が出てはいけない仕組みなんじゃないかというふうに頭の中ではイメージを持っております。ですからこのことによってアングラマネーが非常にふえるとか、逆にそれが減らせるとか、そういう要素を念頭に置いて条文を考えたとか、そういうことではございません。実際に影響が全くないかどうかという点は、ちょっと今の状態で申し上げるのは適当ではないと思いますけれども、なるべくそういう影響は排除はしていきたいというふうに考えております。
○青木茂君 それではメリットとしては証券流通の合理性だけであると、デメリットとしては事によったら天下りになるかもしれないという疑いもあるということが結論ですね。
 質問を終わります。
○委員長(伊江朝雄君) 答弁要りますか。
○青木茂君 要りません。
○野末陳平君 これまでの質疑などで理解した範
囲で言いますと、このシステムによって証券取引所、証券会社あるいは発行会社には相当なメリットがあるのはわかりますね。この委員会で数年前証券取引所を見学したときも、この問題ちらっと聞いて、束になった株券などたくさん見たりしたので、いずれこういうことは必要かもしれないという気がしました。それは予測できるのですが、投資家のメリットですね、今の答弁の中にありましたけれども、投資家については名義書きかえと、それから保護預かりのコストが軽減される。これはまさにその投資家は喜ぶはずです。ただ、保護預かりは、今のところ、一年間で答えられましたように一銘柄で三千円でしょう。これが不要になるのはいいんですが、かわって保管料というのがあると言うけれども、保護預かりがなくなって、このシステムで今度は保管料というのはどういう点で料金を取られることになるのですかね。
○政府委員(佐藤徹君) 現在保護預かりをした株券というのは、当該証券会社の倉庫なり何なり、もちろん倉庫といいましても大事なものですから、かぎのかかる金庫と言った方がいいのかもしれませんが、そういうところに保管をしているわけであります。そういったことに要する経費として、これは一銘柄当たりではなくて、一人の口座当たり年間三千円いただいておるわけですが、今度この仕組みが出発をいたしますと、現物は保管機関の倉庫なり金庫に保管をされるわけですから、今度証券会社がそのための負担を機関に対してするわけでございます。
 ただ、その場合に、結局、同じじゃないかと、こういう御疑問があろうかと思いますけれども、一つの名義で一括して保管をするわけでありますし、全然流通しませんから、今まで例えば千株券を十枚つくっておったものが、今度は一万株券一枚で足りるようになるわけであります。今株券の一番大きなものとしてはかなり大きな単位のものがございますので、総体としての株券の量が減少してくるわけでございますから、物理的にも保管をする場所は狭くて済むわけであります。それは一つの例でございますけれども、いろんな意味でかかるコストが減少してくるわけでございます。
 それから先ほど申し上げましたけれども、流通のたびにトランクへ詰めて運ぶ輸送費も非常に軽減をされるわけでございます。
 そういったことで、新たに名前が保護預かりの料金から保管の料金ということに変わりますけれども、いただかなければならない額は一口座当たりで見れば、少なくとも従来のものより多くなることは絶対あり得ない。どの程度軽減されるかというのは、ちょっとこれはこれからコスト計算をやらないと出てまいりませんけれども、そういうことでございます。
○野末陳平君 ですから気になったのは、投資家にとってメリットだと言われながら、実はやってみたら保護預かりは不要だけれども保管料がほぼ同じということになったら何の意味もないだろうと思ってそれを確かめた。そこはある程度国が関与してこの辺までというようなこともできるのですか。それとも保管料は結果的にはこのぐらいかかるから、やっぱり似たようなものだ、少なくも上しゃない、下だった、ほんのちょっと下だった、そんなこともあっちゃ困るけれども、どうなんですか。
○政府委員(佐藤徹君) この保管振替機関の収支予算、これは主務大臣の認可事項になっておりますから、その中で保管料の額が適正かどうかということはチェックを当然いたします。いたします場合に、証券会社から直接にはもらうわけですが、その先のお客さんからもらう額、これが適正かどうかということも当然見ながら収支予算の認可をしていくわけであります。少なくとも三千円より多くなるということはございませんということを申し上げましたが、野末先生御承知のように、役人というのは非常に慎重に物を言う癖がございまして、例えば私がここで半分ぐらいになるんじゃないでしょうかと言いますと、もし半分にならないで五五%ぐらいだったらどうしようかというような心配が先に立ちまして、余り明快に非常に安くなりますということを言いにくいんですけれども、まあほんのちょっと下がるだけというようなことでは絶対にない。もっとかなり下がるというふうに御認識いただいていいと思います。それは事柄、さっき申しましたように、非常に保管の場所が減りますし、それから輸送はもう全然要らなくなるわけですから、減らなきゃおかしいんで、減らなければ事業の面のどこかがおかしいんで、そういう点は認可する行為を通じてチェックしてまいりたいというふうに考えております。多分後であんな思い切ったことを言って局長ちょっと困るんじゃないかと言われると思いますが、そんな感じがしております。
○野末陳平君 しかし、いずれにしても保護預かり不要だという言い方とは大分違っちゃうからね、そうすると。でもかわりに保管料が要るんだって言われれば、メリットなんてほとんど変わらないということになっては困りますからね。少なくもメリットがあるようにしていただかないと、これは何だって一般の人に余り関係のない部分ですからね。
 それで、名義書きかえは今、代行会社があって、そっちの方からその部分がなくなるんで、これは多分そうなるだろうと思うんですが、関連して、問題は最近の株式市場は非常に活況なんですが、株式の委託手数料というものが果たしてどうかというようなことも考えるんですね、このシステムと直接関係ないけれども。この株式の委託手数料がこれは約定代金によって違っているとは言いながら、今後これを、こういういろいろなシステムがコンピューター化されたりして出てくるわけですから、この委託手数料も今後機械化によってかなり軽減されていくんではないかと素人考えで思うわけですね。そういう点でどうでしょうか、今でも委託手数料は僕は高いような気がするんですが、今後安くしていくべきだというふうに当局はお考えですか。
○政府委員(佐藤徹君) 御質問は売買委託手数料だと思いますが、国によっていろんなその決め方がございますんで、国ごとの比較というのはなかなか簡単ではないんですけれども、アメリカの現在の手数料の水準と日本のものを比べてみますと、全体としてはそう変わらないんじゃないか。ただ、アメリカも御承知のように相対で決めるようになっておりますから、今度個別に売買の量ごとの階層の手数料の水準を比べてみますると、非常に大口の取引の場合にはアメリカの方が安くなっております。しかし、逆に小口の売買の場合にはアメリカの方がどちらかというと水準が高い状況でございます。
 御質問は、これから機械を入れたりして経費の節減ができてくれば見直すべきではないかという御指摘だと思いますけれども、機械が入りますと確かに手数が省ける面はございます。したがいまして、もしそういうコストが軽減されるような状態が出てまいりますれば、それは当然そういう面からの見直しは必要だと思いますし、過去におきましても既に何回か見直しはやっております。必要であれば細かくお答え申しますが、時間の関係もございますんで、そういうことをやっておりますということだけ申し上げておきますが、そういった状況でございまして、手数料が今すぐ機械化が始まったら、あしたからでも下げられる状況というふうなことではございませんが、随時見直しはやっております。
○野末陳平君 こういうものは何を基準に高いと言うかでもって全然違う正反対の考え方もできちゃうんですが、たまたま最近のように出来高もすごくなって、数年前と比べたら大変なものですが、そうすると、この手数料の収入だけでも証券会社は非常にもうかっているわけだから、もうかっているからいかぬというんじゃないんですが、たまたまこの売買手数料の率と、それから有価証券の取引税と、こういうのを何となく比較してみると、本来比較すべきものじゃないけれども、比較してみると、この手数料の方がぐっとうまみがあるわけですよね。そうすると、むしろこれを下げるか、あるいは有価証券取引税を上げるか、
これは一緒に議論するのはおかしいんですけれども、非常にその辺が気になるから、手数料については今後安くできるものなら安くしても当然じゃなかろうかと思うんです。
 それで、参考までに、今の場合は、約定代金の一億円を超えるとちょうど一万分の五十五になりますか。これが有価証券の取引税と大体並びますね。そうすると、考え方によってはむしろ税金の方を上げてもらってもいいわけですね。
 そこで、株式の譲渡益の課税というものもいつも問題になりますが、なかなかいい方法がないという、消極的なんですが、取引税の方はときどき上げていますけれども、どうも手数料と仮に比べてみると非常に安過ぎるから、証券会社は潤っているんだから、国も少し潤っていなきゃおかしいと、そう考えれば、単純に、さて問題は、この取引税は安過ぎるんじゃないかと、そういう気がするんですよね。証券局でしょう、これは。主税局ですか。そこで、有価証券の取引税というのは今〇・五五、一万分の五十五になっているんですが、これはもう少し上げても当然だという気がして、この税率のままでいいとは思えないんですが、どうですか。
○政府委員(梅澤節男君) 有価証券取引税の税率でございますが、現行の税率は、五十六年に改正をお願いいたしまして、ただいま御指摘になりましたように、株式の場合、これは第二種譲渡の場合でございますが、〇・五五という水準になっておるわけでございます。ただ、有価証券取引税は、四十八年、それから五十二年、それから先ほど申し上げました五十六年と、最近十年間に三回税率の引き上げを行っておりまして、しかも有価証券取引税の税収の大宗を占めますものは株式の譲渡にかかるものでございますが、この間に実は三倍ぐらい税率を引き上げておるわけでございます。現在の税率水準だけを各国比較いたしますと、日本の現在の水準というのは必ずしも低くないわけでございまして、唯一イギリスが日本よりやや上回っておりますけれども、かなり高い水準にまで引き上げさせていただいておるということは、これは事実だろうと思うわけでございます。
 たびたび引用させていただいて恐縮でございますけれども、昨年秋の税制調査会の中期答申でも、現在の有価証券の税率を引き下げることは適当でないと、現在の財政事情から見て。ただし現行の水準というのはかなり高いこともこれは事実でございまして、その意味では、今後資本市場との関連を見ながら慎重に検討すべきだろうというふうな見解が示されており、五十九年度の税制改正に当たりましても、財政が非常に不如意のときでもございましたので、有価証券取引税の税率の引き上げについても再度検討はいたしましたけれども、今申し上げましたような事情もこれあり、引き上げるという結論に至らなかったものでございまして、今後とも、かなりの水準にあるということを念頭に置きながら、しかも資本市場との関連でどう対応するかということで、この税率の問題、将来、対処していきたいと考えておるわけでございます。
○野末陳平君 これは主税局長の説明だと、結構なレベルなんだというんだけれども、かなり証券市場の様子も変わっていて、二けたの株なんか今なくて、もう三けたが当たり前で、四けた、五けたがあってと、こういうようなときに、この譲渡価格の一万分の五十五、ここを引き上げればかなりそこで――どれぐらいになるか知りませんよ。しかし、なぜこれを引き上げた方がいいかといいますと、譲渡益の課税が一番の問題で、これにいい方法があればいいんですが、なかなかないといって、ないない、難しいでずるずるしていて、一向にこちらの方が手つかずだというなら、せめてこの辺の取引税をというふうに考えるんで、これは乱暴なんですけれども、そんなわけで大臣、どうでしょうか。主税局長は非常に消極的。税調でもその必要を認めてないようですが、これは譲渡課税、不公平と言われるこの部分が解決しないんだから、せめてこっちで見返りというんじゃないけれども、これはもうちょっとぐらい上げても大丈夫だ、上げたからといってマイナスが起きるとは到底思えないんで、その辺の大臣のお答えをお聞きしまして、この辺でやめておきます。
○国務大臣(竹下登君) 今主税局長申しましたように、「引き下げることは適当でないと考える。今後における負担水準については、主要諸外国における税率水準、資本市場の動向、財政の状況等を勘案しつつ慎重に検討すべきである。」という御答申ございましたですね。それで、一応メニューとしては、私どもことし、これも、俎上にのっけたと言うと表現が少しオーバーになるかもしれませんが、議論の対象に供したことは事実であります。
 ただ、考えてみますと、今毎月ごとの税収報告を受けます。この税金だけは予定より全部プラス、プラス、プラスできておる。だから、事ほどさように、今の場合は好況でございますかね。しかし、株式市況というのは、五十七年ですか、五十七年の九月期なんというのは大変不況の状態もございました。だから財源として我々が見込んだよりもプラスでずっと出てきておるから、さらにこれに目をつけるというのは一つの私は観点だとは思いますけれども、ことしの場合は諸外国との問題等々、割合にたびたび上げてきておりますから、そういうことから結局ことし手をつけるという結論にはならなかった。ただいまの議論で、いわゆる譲渡益の問題との対比で議論をしたというわけではございません、事の性格上ですね。感覚的にはわかる問題でございますけれども。
○委員長(伊江朝雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 事後の審査は後日に譲ります。
    ―――――――――――――
○委員長(伊江朝雄君) 次に、各種手数料等の額の改定及び規定の合理化に関する法律案及び特許特別会計法案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました各種手数料等の額の改定及び規定の合理化に関する法律案及び特許特別会計法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、各種手数料等の額の改定及び規定の合理化に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 各種行政事務に係る手数料等、すなわち、特許手数料、登録料、試験手数料、書類の交付手数料等につきましては、これまで三年ごとに見直しを行い、これらの手数料等の改定を行ってきております。
 昭和五十九年度は、ちょうどこの見直しの時期に当たり、また同年度の厳しい財政事情にもかんがみまして、各種手数料等の金額について全般的な見直しを行い、これらの事務に係る所要の経費に見合った改定を行うことにより費用負担の適正化を図ることとするとともに、昭和五十六年度における各種手数料等の改定に関する法律に係る国会の附帯決議等の御趣旨を踏まえまして、経済情勢等の変化に対応し、費用負担の適切な調整に資する等のための規定の合理化を図るため、この法律案を提出することといたした次第であります。
 以下この法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、特許法等工業所有権に関する四法律に規定されております特許料等の金額または限度額につきましては、これらの所要経費の増加等を勘案して、それぞれ必要な額の引き上げを行うこととしております。
 第二に、これらの特許法等工業所有権に関する四法律及び不動産の鑑定評価に関する法律等三十九法律の規定に基づく各種の手数料等で、所要の経費に係る実費により算出できるものにつきましては、その額をこれらの実費を勘案して政令で定めることができることとする等の規定の合理化を行うこととしております。
 次に、特許特別会計法案につきまして御説明申し上げます。
 近年における特許等工業所有権の出願件数の著しい増大、その内容の高度化・複雑化等に対処す
るため、コンピューター化を中心とする総合的施策を講ずることにより、特許等工業所有権に関する事務の遂行に資するとともに、その経理を明確にするため、特別会計を設置し、これを一般会計と区分して経理することが適当と認め、この法律案を提案することといたした次第であります。
 以下、この法律案の内容について御説明申し上げます。
 第一に、この特別会計は、特許等工業所有権に関する事務に係る経理を行うことを目的とし、通商産業大臣が管理することとしております。
 第二に、この特別会計は、郵政事業特別会計からの特許印紙に係る受入金その他の収入をもってその歳入とし、事務取扱費、施設費その他の諸費をもってその歳出とすることとしております。
 その他、この特別会計の予算及び決算の作成及び提出に関し必要な事項を初め、一般会計からの繰り入れ、剰余金の繰り入れ、借入金の借り入れ等必要な事項を定めることとするとともに、この特別会計の設置に伴い必要な経過規定を設け、関係法律の諸規定の整備を行うこととしております。
 以上が、各種手数料等の額の改定及び規定の合理化に関する法律案及び特許特別会計法案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○委員長(伊江朝雄君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十六分散会
     ―――――・―――――