第101回国会 大蔵委員会 第28号
昭和五十九年八月二日(木曜日)
   午前十時七分開会
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   委員の異動
 七月三十一日
    辞任         補欠選任
     木本平八郎君     青木  茂君
 八月一日
    辞任         補欠選任
     八百板 正君     赤桐  操君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         伊江 朝雄君
    理 事
                岩崎 純三君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                塩出 啓典君
    委 員
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                倉田 寛之君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤井 裕久君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                鈴木 和美君
                丸谷 金保君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       総務庁長官官房
       審議官      佐々木晴夫君
       防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       大蔵政務次官   井上  裕君
       大蔵大臣官房長  西垣  昭君
       大蔵大臣官房日
       本専売公社監理
       官        小野 博義君
       大蔵大臣官房審
       議官       角谷 正彦君
       大蔵省主計局次
       長        平澤 貞昭君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省関税局長  矢澤富太郎君
       国税庁徴収部長  緒賀 康宏君
       自治省行政局選
       挙部長      小笠原臣也君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       日本専売公社総
       裁        長岡  實君
       日本専売公社総
       務理事      岡島 和男君
       日本専売公社総
       務理事      西村 忠弘君
       日本専売公社理
       事        生平 幸立君
       日本専売公社理
       事        丹生 守夫君
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  本日の会議に付した案件
○たばこ事業法案(内閣提出、衆議院送付)
○日本たばこ産業株式会社法案(内閣提出、衆議
 院送付)
○塩専売法案(内閣提出、衆議院送付)
○たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等
 に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○たばこ消費税法案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る七月三十一日、木本平八郎君が委員を辞任され、その補欠として青木茂君が選任されました。
 また、昨日、八百板正君が委員を辞任され、その補欠として赤桐操君が選任されました。
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○委員長(伊江朝雄君) 前回に引き続き、たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ毒薬法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○赤桐操君 私は、まず、新会社の発足に当たりまして、いろいろとこれからそれへの準備が行われていくであろうと思いますので、それに関する若干の御質問を申し上げたいと思います。
 新会社が発足に至るまでいろいろの順序があると思うんでありますが、スケジュール的なものができ上がってきていると思いますので、その点ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。
 日本たばこ産業株式会社法につきましては、公布の日から施行されることになっておるわけでございますが、成立後速やかに設立行為が開始されることになるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、設立委員の人選並びに任命、それから設立委員会の開催、それから設立委員会によります定款の作成とこれの大蔵大臣の認可。この定款の作成、認可によりまして出資財産が確定され、あるいは資本金が決定されるわけでございます。その後、創立総会が開催されまして、ここで新会社の役員が選ばれることになるわけでございます。以上の手続を経まして、昭和六十年四月一日に新会社が成立するということが予定されるわけでございます。
 なお、新会社の設立に際しましては、過去の特殊会社の例あるいは新会社の企業規模等から見まして、およそ半年以上の期間が必要であろうと考えているところでございます。
○赤桐操君 そうすると、設立委員会の発足の時期はいつごろになる見込みですか。
○政府委員(小野博義君) 法案を成立させていただきますれば、それから人選にかかるわけでございますが、現時点でまだ確たる何月何日というところまで詰まってはおらないところでございます。
○赤桐操君 やがて設立委員が任命されることになるわけでありますが、これは大臣の任命によることになっておりますね。その人選については、もちろんこれは民主的に選ばなければな力ませんが、どのような範囲から人選をされようといたしておるか、この点を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは従来特殊会社ができますときの設立委員、これの任命につきましては、一般的に所管省は当然入るではなかろうかな、それから関係各省庁、これらの代表の方、また経済界等の有識者の代表の方が入ることが多いわけでございますが、本会社につきましても、そうした過去の特殊会社をつくるに当たっての設立委員の任命等を参考にしながら人選を進めていくことになろうかな、こういうふうに考えております。もちろん、今おっしゃいましたように、各方面の意見を聞きながら公正妥当な人選と言われるようなものにしなければならないというふうに考えております。
○赤桐操君 設立委員会がやがてそういうことでつくられると思います。設立委員会ができ上がりまするというと、商法に基づいて各種の作業が行われてくるようになると思います。
 そこで、伺いたいと思いまするのは、資本金の関係でありますが、衆議院大蔵委員会で大臣が明らかにされたところでは、千五百億円を上限にして決めたいと、こういうことのようでございましたが、これに対しまして社会党は、この新会社のこれからの運営等大変厳しい状況等を考えまして、こうしたものを考えるというと一千億程度にすべきではないかということを主張いたしてきたはずでございます。同時に、これを設立委員会に申し入れるよう要望もいたしてまいったところでありますが、大蔵大臣のこの際もう一度御所見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは確かにおっしゃいますように種々議論がございました。いろんな資産内容等から見て低いほどいいじゃないか、極端に言えばそういう議論もあったわけでございますが、専売公社が塩専売関係の財産を除いてその財産の全部を出資すると、こういうわけになっております。具体的な出資額につきましては、会社設立時すなわち来年の四月一日の財産の見込みで申し上げますと、五十九年度末の公社貸借対照表上の純資産の見込みから塩専売事業にかかる財産及び未払い地方たばこ消費税等の負債勘定に計上されるものを除きますと、七千百二十億円になるんではないかと考えているところでございます。
 日本たばこ産業株式会社の資本金は会社の設立過程において定款を定める段階で決定されるものでございますが、現段階における基本的考え方を申し述べますと、おおむね千五百億円が上限ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。新会社の資本金についての考え方の中には、いわゆる葉たばこの過剰在庫を抱えているという点がございます。この特殊性を資本金決定にどのように反映させるかという問題につきましては、これこそ目下検討中のところでございまして、本委員会において行われた議論等を正確に設立委員会の場にお伝えをして、十分譲諭していただかなきゃならぬ課題だというふうに理解をいたしておるところでございます。
○赤桐操君 これはぜひひとつそういうことで設立委員会に要望として反映していただくようにお願いしておきたいと思います。
 次に、設立委員会は役員等の問題にも入るわけであります。大蔵大臣は、天下りの定義についてはいろいろある、しかし新会社に負担にならないような役員の選出を行いたいということも述べられておるわけでございます。これは衆議院大蔵委員会で同じく答弁されておるわけでございますが、これはたばこ事業に精通した者というように解してよろしいかどうか、この点ひとつ。
○国務大臣(竹下登君) 公社改革というものが、そもそもが経営の自主責任体制の確立ということ、それから民間活力の導入、こういうことが基本にあって、このたびの改革が行われるわけでございますから、新会社の役員の選定に当たっても、こうした制度改正の趣旨に沿って行われるべきものであるというふうに考えておるところでございます。たばこの事情に精通してない者ばかりじゃ困るだろう、大いに精通しておる方が、常識的に考えますならば、当然のこととして役員等に選ばれる方向ではなかろうかというふうに考えております。
○赤桐操君 新会社に負担になるような役員では困るわけでございまして、これはひとつぜひ新会社が厳しい荒波の中で戦っていくわけでありますから、まさに事業運営全体に大きな役割を果たせるたばこ事業に精通した者を願いたいと思います。
 次に、これまた衆議院大蔵委員会において同じように出ておるわけでありますが、再度ひとつ確認をしておきたいと思います。株の放出の時期でありますが、これについては経営の健全性が担保された時期、そのときに放出を考えたいということを大臣が御答弁なさっておられます。つまり、たばこというものは大量生産、大量販売、これによってスケールメリットが出てくるわけでありまして、その意味からすれば、厳しいたばこ市場の競争に耐え得る、そのためにはまさに安定した経営基盤が必要になってくるわけでございまして、そういう意味合いから、株の放出の時期については相当慎重に考えていかなければならないであろうと思うわけでありますが、この点もう一度明確な御答弁を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まさに今御指摘なさいましたように、慎重の上にも慎重を重ねなきゃいかぬ問題であろうと私も思っております。したがって、この法案を御審議いただいておるこの段階で、事柄の性質上、売却時期について明示するということは容易なことではないというふうに考えます。が、基本的には、今おっしゃいましたように、新会社の株式は当分の間三分の二以上の保有を政府に義務づけておりますが、その裏側にあります三分の一以内の部分については、これをもちろんすぐ売らなきゃならぬという性格のものでは必ずしもございません。民間活力の導入という見地からすれば、できるだけ早くこの新会社の株を放出すべきだという考え方も、確かにそれは原則論としては存在いたします。他方、しかし何としても、長い間の専売制度、公社制度のもとで行われまいりましたたばこ事業が、政府関係特殊法人であるとは申しながら、株式会社組織で運営されていくことになるという大変革でございますので、当該新会社の株式の放出につきましては、仰せのとおり、たばこ事業関係者にとって全く不安がないような会社経営――この法律案をつくるに際しましても、各方面の意見を聞きますと、それの不安というようなものについての意見も確かにございました。
 したがって、そういう不安がないような会社経営、言いかえますならば、新会社が新会社法またたばこ事業法に掲げられております公共目的を念頭に置きながら、なお合理的企業経営ができるかどうかということを見きわめた上で、それこそ逐次行っていかなければならないことであると考えております。したがいまして、まさに新会社の経営の実態、それからたばこ事業の実態等を見ながら、慎重な上にも慎重を重ねて、この時期を見定めるべきものであるというふうに理解をいたしておるところでございます。
○赤桐操君 公社から民営ということになるのでありますから、これは大変な大きな転換でございまして、新しい制度に伴ういろんな仕事が、たくさん処理すべき事項が出てくるであろうと思われますが、政省令制定の数が、通達まで含めると質量ともに大変膨大で、二百四十項目にも上っておると聞いております。衆参両院の大蔵委員会での議論経過、これを私もいろいろと検討してまいりましたけれども、この政省令というのがいろんな形で出てくるんでしょうが、私どもが一番注目しなきゃならぬと思うことは、行政の介入というのは新会社に対してなるべく避けなきゃならぬ、そして必要最小限にとどめるべきである、こういうように考えるわけでありますが、この点、政府答弁も同じような答弁がなされておりますが、そういう考え方でこれからやるということについて再確認したいと思いますが、よろしゅうございますか、それで。
○国務大臣(竹下登君) 公的関与は最小限にとどめるべきである、そういう答弁をここで再確認をしろ、こういうことでございます。まさにそうしなければならないと思っております。何しろ公社経営というのは、その合理的経営が最大限可能な特殊会社に改めるという今次改革の趣旨を合ういたしますために、今まで公社に課せられておりました投資及び借入金の大臣認可、それから給与総額制度等を廃止して、新会社が経営の自主性を最大限発揮することができるようにしておるところでございます。したがって、新会社法に規定します事業計画、役員選任等の認可及び監督事項は、新会社が担う政策目的を達成するための必要最小限のものであって、またこれらの政府規制は既存の他の特殊会社の中で最も規制が緩やかなものというふうに私どもは理解しております。したがって、経営の自主性が妨げられないようその限りにおいても措置されておるという考え方に立っておるわけであります。
 今おっしゃいますように、たくさんの政令、省令というようなものができてまいりますが、本院における議論等各方面の意見を外しながら、基本的に必要最小限のという考え方を念頭に置きまして、とにかく経営の自主性をそれによって損なうというようなことがあってはならないという考え方を基本に持って対応していきたいというふうに考えております。
○赤桐操君 以上で大体設立委員会関係についてのお尋ねを終わりたいと思いますが、最後に株の配当の問題であります。
 これは本委員会において我が党の竹田委員から発言がなされておりまして、経営基盤が強化されるしばらくの間は、経営の実態を見てしばらく考えるべきじゃないかという意味の発言がなされたと思いますが、この点はこういうように私も解すべきだと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 原則的にまず申しますと、政府は、公社が特殊会社に改組されることによって期待できるものは法人税、そしてそのほかは株主としての出資に対する配当、この二つがとにかく形の上で期待できるという立場に立つわけでございます。
 そこで、配当するかどうかという問題は、それは今後の問題でございますが、政府として、会社の設立目的に照らしまして、将来にわたって安定的かつ健全な会社の経営が維持できるよう会社の財務基盤の健全性を損なわない妥当な水準での配当というものを私どもとしては期待して、その期待を前提に置いておかなければならない、原則的には。しかしその問題は、具体的に配当をどうするかというのはまさに今後の問題でございますけれども、ある種の期待できる配当というものも、経営努力の目標の外に初めからそれを置くというのには私どもちゅうちょせざるを得ない。大改革をした、特殊会社に改組したわけでございますから、法律上期待できるものに対する今度は経営の責任者としての努力目標の中にそれが入っていないと、それを初めから外に出していくという考え方で対応すべきではないではなかろうか。しかし、この配当そのものの問題は今後の問題であるということは私も理解いたしておるところでございます。
○赤桐操君 これは大臣、大体昔から日本で言われてきているんですが、「桃栗三年柿八年柚子は九年でなりかかる」というあれがありますけれども、私はそういうものだと思うんですよ。でき上がったものから早速ひとつ果実をいただくなんという考えを持っちゃ、とてもじゃないが、この新会社の運営はおぼつかないだろうと思いますので、こういう点は今の大臣の御答弁を私ども前向きに受けとめておきたいと考えます。
 次に、労使関係の問題を中心とした経営問題に入っていきたいと思います。
 去る四月二十四日付の読売新聞が掲載いたしておりますが、「専売が一万人削減へ」と、大変大きな見出しで報道されておりました。この問題は当然根も葉もないところから報道されたものではないと思いますので、それなりに公社自体としてもいろいろの考えがあってのことだろうと思います。新会社が発足するまでの合理化計画、あるいは発足して新しい会社ができてからの合理化の対策等いろいろ考えられておると思うんでありますが、ここでひとつ全貌について詳しくお話を願いたいと思うんです。
○説明員(長岡實君) 輸入自由化後の厳しい環境の中で我が国たばこ産業の長期的な維持発展を図りますためには、コスト競争力の強化を図るなど、事業全般にわたる合理化施策の積極的かつ計画的な推進が不可欠であるという考えを持っております。
 ただ、御質問の中にもございました、一万人合理化といったような新聞報道記事につきましては、私どもとしては関知するところではございません。合理化の必要性ということについては話したことがあるかもしれませんけれども、具体的な数字を挙げて合理化の内容を説明した覚えはございません。
 ただいま申し上げましたような観点から、現在、私どもとしては、経営諸施策の検討を鋭意行っているという段階でございます。この一環として、今後の競争市場下で、とりわけ対応が急がれております第一線の事業所につきまして業務の改善を図るとともに、配置の適正化を図る観点から公社としての再編成案を固めた段階でございまして、現在、労働組合を初め関係集団の理解と協力を得るべく話し合いを開始した段階でございます。
 さらに、製造部門、それからその他の部門につきましても、一層の生産性向上、コスト競争力の強化に向けて、製造工程の自動化、高速化、組織機構の簡素化、効率化等について現在鋭意検討を進めている段階でございます。
 こういったようなことについての検討を一生懸命進めている段階でございますが、具体案ができまして合理化を実施するに当たりましては、巨大外国たばこ企業に対抗し、我が国たばこ産業集団の発展を目指すという大目標のもとで、労働組合等関係集団の理解と協力を得て進めていくという基本姿勢で臨みたいと考えております。
○赤桐操君 今公社側の総裁からお話がございましたけれども、合理化計画については既に労働組合とも話し合っておると言われておるわけでありますが、組合側とよく話し合って進めるということについては、これは大原則だと思います。そして、今まで大蔵大臣も本委員会の答弁の中で言っておられましたが、労使関係が非常にうまく行われている、こう言われておるわけでありますが、私はここで大事なことは、これから労使関係をどう安定さしていくかということにかかっていると思います。
 そこで、今までうまくいってきたというあり方――日本一であるか世界一か知らないが、大蔵大臣は大変よく評価されておったようでありますが、こうした良好な労使関係をつくり上げた基本的な基盤となるものは何であったのかということをもう一遍ここでひとつ考えておく必要があるのではないか。ということは、私は、労使関係というものは、労使関係がうまくいくにはうまくいくだけの双方の努力と、それをつつむ情勢があったと思うんですね。ところが、これからはがらっとその基盤が変わるわけですね。そうした中でこれからもこれを続けていくことについてはどうなるのかということを考えなければならないので、そこで一体今までうまくやってきたお互いの間の関係というものは何が一番大きな基本的なものであったのかということについて、これはひとつ総裁のお考えを承っておきたいと思うのであります。
○説明員(長岡實君) 今日に至るまで私どもの先輩が現在のような労使関係を築いてこられたわけでありますけれども、その基本にございますのは、事業の維持発展を支えていくものは全職員、なかんずく労働組合の理解と協力が不可欠であるという基本認識に立ってやってこられたんだろうと考えております。
 で、労使関係の基本としましては、労使対等の原則に立ちまして、主体性の確立、共通認識の形成、合意事項の誠実な履行、労使問題の合理的な解決に努めまして、労使間の信頼関係を維持発展させ、近代的労使関係の確立を図ることにあるというふうに理解いたしております。
○赤桐操君 今までは公労法下におけるところの全専売労働組合でありましたね。これからは労働三法、労働組合法によるところの労働組合、こういう形に移行していく。今までの公労法下におけるところの労使関係では極めて近代的な労使関係として事前に何でも話し合う。それからまた話し合って決まったことは、これは必ずお互いが責任を持って実施していく。あるいは労使対等の原則を今も言われたとおりに貫いてきた。こういう三つの大原則の上に立って信頼関係が結ばれてきたと思っていると、こういう御答弁だったと思うんですけれども、まさにそうだったと思いますね。私も大体そういうふうに労使関係、専売公社と専売労組との労使関係はさようなものであるというふうに認識いたしてまいりました。
 そこで、新会社に移行されますと、これはいろいろまた立場がお互いに変わってくると思うんです。従来、公社は公社の立場でそれぞれ長い歴史、八〇年の歴史の中でもって、一定の力というものを持ちながら、監督官庁その他に対してもそれなりの主体的な立場を慣行化しながら、その中におけるところの労使関係をつくることができたと思うんですね。今度、立場が変わってくるわけです。組合の方も、公労法下の組合であったけれども、これからはそうではなくて、労働三法を適用される組合に変わってくるとすれば、まさにこれは一般の民間労働組合と同じ立場になってくる。社会的にもまたそれだけの大きな責任を負うことになる。組合員数にしてもかなり大きな組合員数になる。こうなってまいりますと、この社会的影響というか社会的地位というものは、これまた今までと違った立場になる。こうした中でも今の労使関係が維持されていかなければ、私はこれからの本当に厳しいたばこの競争の中で戦っていくことはできないだろうと思うので、そこで総裁に伺いたいと思うんです。
 今の述べられた考え方ですね、従来つくり上げてきたその考え方はこれからも間違いなく続けていく自信があるのかどうなのか、またそういう基本的な展望をお持ちかどうか、この点しかと承っておきたいと思うんです。
○説明員(長岡實君) 新会社に移行いたしましても、ただいま申し上げましたような労使関係の基本認識は、私どもといたしましては、いささかも変わりがないものと考えておりますし、労働組合もそのような基本認識を持っていただけるのではないかと思っております。労使双方が自主性を持つということは、いわば自主責任体制ということでございますから、お互いがお互いの立場を理解し合いながら責任を持って企業の将来のあり方を考えていくということが基本にあろうかと存じますが、その基本を支えていくものは従来と同様な労使関係の基本認識を持ち続けるということであろうかと存じます。
○赤桐操君 わかりました。
 そうすると、その基本認識の上に立ってつくり上げられました現行労使協約、各種協約がたくさんございますね。私も実は拝見をいたしておりますが、この「労働協約類集」にたくさん今までの労使の御努力で積み上げられてきた各種協約が載っております。これもよく拝見いたしておりますが、そうすると、この労使関係の各種協約については原則として踏襲されるというように理解してよろしいですか。
○説明員(長岡實君) 新会社移行に際しての労働協約の取り扱いにつきましては、赤桐委員も御承知のように、法律の適用関係が変わるといったようなものもございますし、今後の労使間の取り決めによるものもございます。そういったものを除きまして、原則として、現行の労働条件を維持するという考えのもとに円滑な移行に向けて労使間で合意が成立いたしますよう鋭意話し合っていくつもりでございます。
○赤桐操君 そういたしまするというと、特にこの中で一つ私が確認しておきたいと思いますことは、これから合理化が非常に強く進められていくことは間違いなさそうでありますが、この協約の中で合理化に関する三協定ができ上がっておりますね。それから勤務時間、休日、休暇に関する協定ができ上がっている。こうしたものについてはまず踏襲するというように、具体的に私は伺っておきたいのですが、理解していいかどうか、これが一つ。
 それから二つ目には、事前協議制が確立されていると聞いておりますけれども、そのためによい話し合いが事前にすべて行われてきたというようになったと思うのでありますが、このよき体制についても踏襲し、今後いろいろの計画やあらゆる問題が発生いたしますが、これらの諸問題について組合側と前広にお互いに話し合っていく、そういう姿勢でいくんだとこのように理解してよろしいかどうか。この二点伺っておきたいと思います。
○説明員(長岡實君) 第一点の合理化三協定あるいは勤務時間、休日、休暇に関する協定、これをどうするかという点でございますけれども、労働協約の具体的な取り扱いにつきましては今後労使間で話し合っていくことになりますけれども、ただいま御指摘になりました合理化三協定、勤務時間、休日、休暇に関する協定につきましては、新会社において承継していくという考えでございます。
 それから公社は従来から合理化等の実施に当たりましては、職員の雇用及び労働条件に影響を及ぼす場合もあり、摩擦を未然に防止するために事前に計画を労働組合に提示し、相互尊重の精神にのっとりまして誠意を持って協議を行い解決を図ってきたところでございますけれども、このような関係につきましては、新会社移行後もいささかも変わりがないというふうに考えております。
○赤桐操君 各支部・局別の職員表というのを最近公社の方にお願いして資料として御提出をいただきました。この内容で見ますると、全国にたくさんいろいろ支部や局があるわけでありますが、私が一番注目をいたしたのは、職員数が全体でトータルいたしまして三万六千八百八十九人、これは五十八年十月一日現在の人員でありますから、現在は多少異動しておると思いますが、これを基準にしてみまするというと、このうちの男子が二万六千八百、女子が一万人を超えておるという状態なんですね。したがって、この三万六千の中の約三〇%近いものが女子職員になっている、こういうことでございます。しかも、これは全国の各県にわたって大変いろいろ職場が散らばっているわけであります。これが専売の職場の実態というようになっているわけでありますね。
 そうすると、これから合理化がいろいろ進んでいく場合において、私どもまず考えなきゃならぬことは、女子労働者がたくさんいるということですね、この中に。三割が女子労働者だというのは多いですよ、この職場は、率直に申し上げて。女子労働者が非常によく働いている職場であります。それだけにまた、この女子労働者にいろいろのしわ寄せがかかっていく可能性が出てくるんじゃないかということを危惧するわけであります。
 そこで、伺いたいと思うことは二つございますが、一つは、今総裁は、一万人というのは私どもの関知しないことだ、読売の報道することは存じませんと言っておられるわけでありますが、私をそう総裁が言い切られている以上は信じますけれども、したがって、よもや本人の意に反して生首がはねられるということはないだろうと、こういうようにまず第一点は考えるんですよ。この点はどうなのか。
 それから二つ目は、これからいろいろ事業に取り組んでいくに当たって、これは民間の会社になるわけでありますから、しかもこれだけのいろいろ新しい変革を遂げていくということにする以上は、基本的には事業の縮小という形をとるということよりは、むしろ本来ならば拡大再生産の方向へ大きく進まなければ、これからのビッグスリーの、上陸してくるであろう諸会社と対決することは不可能だろうというふうに私は考えるんです。そういう意味においては、事業範囲が拡大されるという方向がとれるならば、これは雇用の確保についてもそこで解消されていくだろうと思うんです。もちろん、女子職員が多いんですから、相当いろいろ配置その他については考えなければならないかもしれないけれども、とにもかくにも事業が縮小されないで拡大されていくという方向がとれるならば、私はこれは解決していくであろうと思います。こうした面についてのこの二点について、これは最後の段階に来ていますので、はっきり総裁の腹を伺っておきたいと思うんですが、いかがですか、これは。
○説明員(長岡實君) まず第一点の、要員の削減の場合に、生首を切らないという点でございますが、先ほどお答え申し上げましたように、合理化三協定は新会社移行後もこれを維持するつもりであるというお答えを申し上げましたけれども、その中にも入っている事項でございまして、これは私どもとしても合理化を進めていく場合に生首は切らないという基本方針は貫くつもりでございます。
 それから第二点でございますが、まさに御指摘のように、企業経営においてその企業の経営が縮小の一途をたどるということでは、職員の労働意欲と申しますかモラルと申しますか、そういったようなものに大変な悪影響があるんではないか、自分の働く企業が将来に向かって一つの希望が持てるというようなことが職員の労働意欲を支える非常に大きな要素になろうかと存じます。
 一方、たばこ事業につきましては、客観情勢等からいたしまして、たばこそのものの事業の発展、拡大というのにはおのずから限界があろうと存じますので、そういったような意味も含めまして、私は事業領域の拡大に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○赤桐操君 そこで、いよいよ新会社に移行していくと、労働組合の方は労働三法が適用されることになる。そこで労使のいろいろの交渉が行われていくことになりますが、いろいろ労使関係については従来の基本的なあり方を踏襲していく、これを原則とするということを伺ってきたわけでありますが、そういうような意欲で公社側が取り組まれるといたしましても、問題は新会社に当事者能力がなければどうにもならぬのですね。どうもいろいろこのたばこ産業株式会社法案の内容をずっと見ていきますと、その点いろいろ危惧される点があるんでありますが、せっかくお互いがそういう意欲に燃えて新しい場面をつくり出し取り組もうとしておりましても、新会社に当事者能力が与えられないということに事実上なってくると、これはまさに絵にかいたもちになってしまうと思うんですね。
 そういう意味で、公社はこれから本当にこの当事者能力を持って対応するということについて自信をお持ちであるかどうか。それからまた本当にそういう対応ができるのかどうなのか。あちらの顔色、こちらの顔色ばかり見ておって、本当の労使関係ができないんじゃないかというように、附則その他を見ていると危惧の念が出てくるんですが、その点はいかがなんですか。
○説明員(長岡實君) 厳しい国際競争下で事業の維持、発展を図っていくためには、経営全般にわたる合理化、効率化が必要でございまして、そのためには労使双方の当事者能力に裏打ちされた自主交渉、自主解決を通じての安定した労使関係の確立が不可欠であるという、こういう基本認識のもとに今次改革が立案されたというふうに私どもは理解いたしております。したがいまして、労使双方が自主交渉、自主解決ができるようにするということは、今度の制度改正の一つの大きな柱であろうと存じます。
 そういったような意味におきまして、私は今回の制度改正により、今御指摘になりましたような本当に自主解決、自主交渉をしていくという条件は制度的には確保されたものと考えておりますし、またその衝に当たる者といたしましては、当然その制度の趣旨に沿った労使関係の確立に努めてまいらなければならないというふうに考えております。
○赤桐操君 これは大蔵大臣に伺いたいと思うんでありますが、両者とも新しい関係に対して、そういうようなお互いの責任体制を持ちながら当事者能力を持ってやろうという意欲に燃えているわけでありますが、公社答弁について大蔵大臣のお考えを伺っておきたいと思うんであります。特にこの予算や給与統制等の問題が、制度上は撤廃されていますけれども、事実上は、事業計画は大蔵大臣の認可を得なきゃならないし、これを変更する場合も認可を得なきゃならぬ、こういうことで大変厳しい裏づけがなされているように私は思うんでありますけれども、もちろん大蔵大臣のそうした了承を得ながらやらなきゃならぬかもしれませんが、問題はその運用上の問題であります。政府の監督等についても、これはもう前段で大蔵大臣の御答弁もいただいておりますが、本当に必要最小限のものにして両者の当事者能力を大きく成長さしていくということでないと本当の力が出てこないと思うんでありますが、この点ひとつ、特に公社側の当事者能力を大きく育てていくんだという意欲をお持ちであるかどうか。この点大臣のしかとした御答弁を伺っておきたいと思うんであります。
○国務大臣(竹下登君) 基本的に今おっしゃいますとおりで、私も当事者能力がいささかも損なわれるような関与はしてはならぬというふうに基本的な認識を持っております。
 考えてみると、二つの立場がありまして、一つは、当面発足いたしますならば、全額保有の株主権とでも申しましょうか、そういう立場があろうかと思っております。これは出資、財産の保全を図るという考え方で、一方、最大限に尊重して所有と経営の分離を旨とする商法の規定の中にまず自分を位置づけていくというのが株主権いわゆる株主としての立場ではなかろうかというふうに思います。もう一つは、これは事業計画等々の認可及び監督事項、こういうことが一方存在するわけでございます。
 これに関しては、そもそも今度製造独占というものを与えつつも、その中で合理化し、国際競争力に勝ち抜いていくというために改組した今度の新会社でございますだけに、その政策目的を達成するためには、できるだけ片や商法の立場、片や労働三法、そういう当事者能力というのを最大限発揮されて自主的な活力のあるそういう立場でおやりになるということが最も好ましいことでございますだけに、まさに必要最小限というものにとどめるべきであるという考え方を、私が今の席を去りましょうとも、引き継いでいくべき一番の今度のポイントじゃないかなと、こういうふうに考えております。
○赤桐操君 これは大変大事なところでありますから、もう一遍私は申し上げたいと思うんです。
 国は確かに株主としての立場が一つありますね。しかし、双方の当事者に対しては責任も負荷しているわけですよ、率直に申し上げて。国がそれに直接関与する立場ではないんです。責任の主体は両者なんです。これは公社にあるわけだし、また一方、社会的には労働組合にも課せられているものである。だから労働三法の適用を受けている。ここまで大きな責任を両者にかぶせている以上は、国は株主であるかもしれぬが、経営、運営については責任を持たせにゃならないだろうというように私は考えるんです。そういう意味合いから、結果的にそれは確かにいろいろ責任を負う立場になると思いますから、定められた手続その他に基づいて監督の立場を遂げていかなきゃならぬかもしれませんが、原則はそういう立場でお互いを交通整理しておくべきだと思いますが、この点よろしいですか。
○国務大臣(竹下登君) これは私は全く同感と申し上げて差し支えないと思っております。
○赤桐操君 そこで、この会社が大きく成功し発展していくためには、目的達成のための事業をいろいろしていかなきゃならないという立場に置かれているようでありますね。この場合の認可をめぐる問題でありますが、こういう面にも実は自主的な立場、自主性と言われますか、存在の意義といいますか、そうしたものが問われてくると思うんであります。この目的達成事業の問題について、会社の設定とか運営とかについてはこれまた新会社にやらせるべきだと思いますが、この点、大蔵大臣のお考えいかがですか。
○政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。
 先生御案内のように、外国の巨大たばこ企業におきましては、たばこと関係のないような海運であるとか、石油であるとか、あるいはビールであるとか、いろいろな多角経営をやってその経営基盤の強化を図っておるわけでございます。そういう巨大な国際たばこ企業と競争していくという意味におきまして、新会社の保有している技術等の有効活用を通じて経営の効率化を図るということは、必要欠くべからざるものであるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そのためにも事業範囲を合理的な範囲内で可能な限り拡大する、それと同時に新会社の経営の自主性を最大限尊重することが重要と考えておるところでございます。
 他方、さわさりながら、このように目的達成事業の実施を完全に自由に認めた場合には民業圧迫等のおそれもないわけではございませんので、そのような事態が生じないように、目的達成事業認可に際しましては、あくまでも会社の自主性を尊重しながら適切に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) 現実問題といたしまして、事業の拡大等あるいは新規事業への参入とかという問題につきましては、恐らく現実問題といたしましては、相当前広に私どもとの協議が行われる性格のものであろうというふうに思っております。
 今日の技術利用あるいは大変な巨大なビッグスリーというような強敵を持ちつつも、全体から言えば、日本の今度できます新会社も相当なノーハウも蓄積した会社であるわけであります。むしろ私どもは、今監理官からも広範に申しておりましたが、それが著しくたばこ産業と関係の遠いような、それがしかも民業圧迫とかというようなものにまで至っていくということになると、当然これは事前チェックとか、そういうこともないでございましょうけれども、そういうことも、法律というものが最低限を規制するという考え方の上に立って認可であらしめておかなければならぬかもしれません。しかし、現実私は、この会社自身の商法の合理化案に対する意欲の中で生じてくるものというのが、民業圧迫とかというようなところのものに出てくるというふうなことは余り考えなくてもいいんじゃないか。したがって、基本的にはその自主性を尊重していくということではなかろうかというふうに考えております。
○赤桐操君 総裁にちょっと伺いたいと思うんです。
 ビッグスリーという会社の運営ですけれども、最近の近代経営は大体皆こういうようになってきていると思うんですが、レイノルズとか、フィリップ・モリスなんという会社というのは、今大臣からもお話がありましたけれども、これは実際相当のいろいろな仕事をしているんですね。私もこういう会社のことは余りよく専門的な立場に立った認識はございませんから、ひとつ伺いたいと思うんでありますが、ちょっと代表的なものとしてレイノルズ、フィリップ・モリスのこの二社について、これが一番日本に上陸してきて大きな影響を持つ会社じゃないかと思いますから、こういう会社はどんな経営で、どのくらいの規模で、どういうふうにやっているのか、少し説明してくださいませんか。
○説明員(長岡實君) レイノルズとフィリップ・モリスについての現状を申し上げますと、レイノルズは総売り上げが百三十億七千五百万ドル、まあ三兆を超えるぐらいの企業だろうと思いますけれども、そのうちたばこ部門が五一%でございます。それから食料品が二四%、海運一二%、石油一〇%、その他が三%でございます。
 それからフィリップ・モリスにつきましては、売り上げが百十七億一千六百万ドル、たばこの国内が三七%、それからフィリップ・モリスは海外の進出が非常に多いわけでございますけれども、たばこの海外進出が三〇%、それ以外にビールが二五%、清涼飲料五%、機械二%、不動産一%といったような事業内容になっております。
 私の聞いておりますところでは、レイノルズは最近、先ほど申し上げました海運をたしか手放すという方針を決めたようでございます。その趣旨がよくわかりませんけれども、どうもレイノルズとしてのいわゆるコングロマリットの最高責任者の考え方としては、多角経営をやるのは、その方針は貫くけれども、その多角経営の対象とする業種をある程度消費サービス部門に純化していくと申しますか、そういった範囲の中で多角経営をやっていくという方向を志向しておるように聞いております。
○赤桐操君 重ねて伺いたいと思うんですが、三つの会社、特にレイノルズとフィリップ・モリスの二社が日本では脅威だと言われておるんですけれども、この中でたばこの国外進出の強いのはフィリップ・モリスですか。そうすると、日本に上陸してくるのもこれが一番先頭を切る、またシェアの面から見て一番警戒しなけりゃならぬのもこの辺だということになるのかどうなのかですね。
○説明員(長岡實君) フィリップ・モリスとレイノルズがアメリカの二大たばこ企業でございまして、歴史的な経緯を見ますと、フィリップ・モリスが海外進出重点、レイノルズが国内市場重点でやってまいりまして、海外では圧倒的にフィリップ・モリスが強い。しかしアメリカの国内ではレイノルズがナンバーワンの位置を占めておりましたけれども、最近はどうもその点についてもレイノルズがフィリップ・モリスに追い抜かれたというふうに聞いております。
 海外部門につきましては、御指摘のようにフィリップ・モリスが断然強うございまして、例えば現時点において我が国に入ってきております輸入品、この中でのシェアを見ますと、フィリップ・モリスが七四・八%、それからレイノルズが一四・四%、それからブラウン・アンド・ウィリアムソン、いわゆるBAT系といわれておる企業でございますけれども、六%。現在の輸入品の会社別のシェアは、この三社だけで我が国で九五・二%を占めておるという現状でございます。
○赤桐操君 そうしますと、これはなかなか恐ろしい会社で、確かに総合的ないろんな各種経営をやっておりますね。だから、場合によっては、この面である程度損してもこちらで抜くと、このくらいの戦略的なことをやる会社ですね、こういうのは。だから、今まで諸外国では、もうどうにもならないようなつぶれかかった会社を買収してはたばこ販売の拠点にしているということもやってきたんだろうと思いますが、これはそういった多角経営の総合力を利用した会社なんですね。そういうような、いざとなればある程度手段も選ばず戦ってくる、そういう戦略的なものを展望しながらやってくる会社でありますから、日本の専売公社から民間会社へ移行したこの体制の中で皆さん方がこれからこういうものと戦うわけですけれども、これは大変だと思うんですね、率直に申し上げて。今までこの委員会で私が耳にした外国たばこのシェアは全体の中で大体五%くらいだ、私の聞き間違いかどうか知りませんが。そのくらいの程度に見ておられるというふうに聞いていましたけれども、そうなのかどうなのか。私はそんな程度で済まないんじゃないだろうかと思う。ヨーロッパの各国へ上陸した状況なんかを聞きますと、なかなか短期間に大変な離れわざをやっているということも聞いていますので、果たしてどうなのか。ちょっとその点、総裁から伺っておきたいと思います。
○説明員(長岡實君) おっしゃるとおり、アメリカの巨大たばこ資本は輸入自由化後の私どもの大変強力な競争相手になるわけでございまして、その点について、我々といたしましても、十分に相手方企業の競争力等を念頭に置いて仕事をやっていかなければならないというふうに考えております。
 来年四月以降に輸入の自由化が行われまして一体輸入品のシェアがどのくらいふえるかという点につきましては、率直に申しまして、どういう販売戦略を持ってくるかというようなこと等あわせ考えますと、まだ現時点においては、私どももはっきりとした数字を把握し得ない現状でございますけれども、私が御答弁申し上げましたのは、過去の経緯あるいは輸入自由化が行われたときのウイスキーの実例その他から総合勘案いたしますと、数年のうちには現在二%程度のシェアが五%ぐらいになることは当然覚悟しておかなきゃいけないんじゃないかという意味で申し上げましたわけでございます。
 しからば、その五%がその後どういうふうな推移をたどるのかという点でございますけれども、私どもは、その数年間というのは余り定かではございませんけれども、四、五%にまでシェアが高まっていく動きを見詰めながら、それがそのままどんどん拡大していくということがないような戦略をこちらも考えていかなきゃならないというふうに思っておる次第でございます。
○赤桐操君 目的達成事業というのは一体どんなふうなものを考えておられるんですか。
○説明員(長岡實君) 目的達成業務につきましては、公社といたしましては社内に事業開発委員会というものを設けまして――もう一つ前段階から申しますと、かねてから技術開発の委員会というのは私ども持っておったわけでございますが、それは技術開発の段階にとどまっておりましたのを、新制度の移行に備えまして事業開発委員会というものを設けて、事業開発に結びつくようなものを今一生懸命に求めている段階でございます。
 したがいまして、現在ではまだ具体的にどういう事業ということが固まっておるわけではございませんけれども、基本的な考え方といたしましては、公社が持っております技術とか資産といったような諸資源の中からどういうものが事業化されるかということを求めているわけでございまして、たばこの機械の輸出であるとか、技術の輸出であるとか、あるいは喫煙具類の製造、それから中央研究所における研究の成果に根差す育種育苗技術の活用、それからたばこという植物の持っております有用成分が一体どういうふうに利用できるか――葉たばこの中に心臓病に効く薬品をつくる要素が入っておるということはつかめておるわけでございますが、コストの関係でまだなかなか事業化できない。しかし、そういったようなものも検討材料にいたしておるところでございまして、そういったものの中から事業化の可能性のあるものをできるだけ早くつかみまして、事業化に向けて準備を進めてまいりたいというふうに考えております。
○赤桐操君 私、千葉県の出身でございますから、千葉県の京葉工業地帯や内陸工業地帯はよく承知しているつもりなんですが、進出企業の中で、ガラス会社だというからガラスをつくるのかと思ったら、これは肥料をつくっておるんですね。いろいろそういう突拍子もない仕事をみんなやっておるんですよ。だから、外国企業がこういうことをやったからといっておかしいことはないんですよ。日本で現実に行われているんです、これは。今これが日本の資本主義社会の現実の競争場裏じゃないかと思うんですね。だから、総裁の今のお話を伺っていますと、大変まじめに、本当に真剣にたばこを中心にした事業をいろいろ考えておられるわけでありますが、その辺は民業との関係があるかどうか知りませんけれども、この会社がやっていけなきゃしようがないわけですから、これは弾力性を持って思い切った発想の中で取り組んでいただくべきだろう、これが目的達成事業の任務だと私は思うんですよ。そういうように新会社の立場に立って御判断をいただくべきだと思いますので、これは最後に申し上げておきたいと思います。
 それから次に年金の問題です。これは大変難しい問題で、一番頭の痛い問題なんですが、さきに国鉄の職員の年金の問題でデッドロックに乗り上げまして、昨年いろいろこの問題を中心とした対策をいたしたわけであります。
 そこで、私はそういう経験等も踏まえて今御孤間してまいらなけりゃならぬと思いますが、この専売共済組合の状況をお伺いいたしまするというと、年金の受給者がただいま現在で二万三千人に及んでおる。それで共済組合の組合員数、これは現在ただいまで三万五千人だというわけですね。数字がちょっと違うかどうか知りませんが、私が伺った少し古い資料であるかもしれませんが、だと伺っております。これを年金というものの性格、仕事の上から考えて成熟度を考えてみまするというと、これは実に七〇%に近いんでありますね。六七%だと、こう言われているわけであります。したがって、これは実は国鉄の共済に次ぐ大変な段階に置かれているということが言えると思いますね。電電の場合にはまだ大分将来があるようでありますね、成熟度に関しては。恐らくまだ十七、八年か二十年ぐらい先があるようでありますが、専売の場合にはもうそういう余裕はなさそうであります。そういう意味で、六十年という年度に入ってくると、早々に専売の共済組合も大変な事態に直面してくるだろう、こういうように実は私も伺っておるわけであります。
 そういう現状認識の上に立って伺うのでありますけれども、この年金財政というものについて総裁はどのようにこれからお考えになっていらっしゃいますか、まずこの点を伺っておきたいと思います。
○説明員(岡島和男君) ただいま御指摘ございましたように、専売共済組合は現在大変成熟度が高い集団になっております。規模といたしましても最小の年金保険集団ということでございまして、その上に成熟度が高いということで、しかもその成熟度も上昇傾向は避けられない、こういう状況にあるわけでございます。
 今後の対応でございますけれども、これは一般的なことでございまして、共済年金を初めとする我が国の公的年金共済制度の改革というものが国民的課題となっているということがあるわけでございます。基本的には、昭和七十年度を目途とする政府の改革の施策に沿って対処していくべきものというふうに思っているのが基本でございます。
 具体的な対応でございますけれども、本年十月に財源率の見直しを行って収支改善を図るということが一つ考えられております。それからもう一つございますが、今回の関連整備法の中で、国家公務員等共済組合法を改正いたしておりますけれども、その関連整備法の中におきます共済組合法の改正によりまして、新会社が設立いたします子会社にも共済制度を適用して現行規模を維持していく、こういうことも実は考えている、こんなことが当面やらなければならないことだというふうに思っております。
○赤桐操君 年金制度の問題は専売の立場だけではとても解決できないですよね。これは本来的にそういう立場なんです。これはよくわかるんですよ。
 そこで、私もいろいろ考えなきゃならないと思って御質問しているんですけれども、問題は結局、早く国共済の方に一緒になることなんだろうと思うんですね、結論的に言うと。昨年の段階でいろいろ統合の問題がやられて、ことしの四月からですか、一応形は整ったんですけれども、財布はみんな別々なんですよね、率直に申し上げれば。一本化されているわけじゃない。形の上は何か統合の形をとろうとしているわけだけれども、財布は別々だ、こういう状態に置かれている。それでは根本的な解決にならないので、早く国共済と合体することを考えるべきだというように思うんです。こうした面について本格的な促進策をとるべきだと思うんですけれども、この点総裁はどのようにお考えになっていますか。
○説明員(長岡實君) 私どもの共済は年金保険集団としては非常に小さいものでございまして、共済の制度の仕組みから申しますと、その集団が大きい方がよろしいんだろうという基本的な考え方を持っております。
 で、国家公務員等共済組合連合会への加入につきましては、共済統合法の策定のとき、いわゆる公共企業体の共済を統合していくという共済統合法の策定のときから、年金保険集団の拡大という公的年金制度改革の趣旨にも沿うものとしてその実現を強く要望してきたところでございまして、今後ともそういう方向につきまして私どもは早期実現に向けて努力してまいりたいというふうな考えを持っております。
○赤桐操君 そういうことでひとつ御努力をいただきたいと思います。そして、ここに働く皆さん方の本当の安定を図るべきだと、私はこのことを主張しておきたいと思います。
 それからもう一つ、関連産業がいろいろ現在あるようでありますけれども、私は出身が違っておりますので余り関連産業の内容を知らないんで、ここで幾つかの関連産業について御説明をいただきたいと思います。
○説明員(丹生守夫君) お答え申し上げます。
 たばこ事業の現在法律上の附帯事業ということで公社から出資をしている会社がございます。たばこの配送に関する事業、それからフィルターの製造の事業、それからたばこの包装材料に関する事業、香料の製造に関する事業、それから最近設立いたしました輸出会社、こういったものが全体で十六社ございます。
○赤桐操君 この十六社で職員はどのくらいおりますか。
○説明員(丹生守夫君) 約五千人になります。従業員約五千人でございます。
○赤桐操君 総裁、こういう人たちはこの年金の中には入らないんですか。
○説明員(岡島和男君) この方たちは現在、厚生年金制度の適用を受けておるというふうに理解しております。
○赤桐操君 わかりました。
 いずれにいたしましても十六に及ぶ関連会社、またこれからはいろいろ政策遂行のための会社ができてくると思いますけれども、関連産業については従来大変大きく専売事業の発展のために貢献してきた会社であると思います。新会社ができた場合に、今度はこの関連会社との関係はどんなふうになるのか、この点位置づけをひとつ伺っておきたいと思います。
○説明員(長岡實君) 新会社ができましたときには、現在、公社の関連企業になっておりますけれども、その公社対関連企業との関係がそのまま引き継がれるというふうに理解をいたしております。
○赤桐操君 そうすると、これも同じような形で移行していくということですね。
 それで同時に、私がひとつ念を押して伺っておきたいと思うのは、いろんな合理化が行われていくことになると思いますけれども、こうしたところへのしわ寄せはないでしょうね。これはえてして大体そういう形のものが出てくるもんですが、これもひとつ重ねて伺っておきたいと思います。
○説明員(長岡實君) 関連会社につきましても合理化の余地がないとは言えないと思います。たばこ産業集団全体が厳しい環境の中で生き抜いていくためには合理化努力を惜しんではならないと考えますけれども、本体である公社あるいは新会社の方のいわば考え方を重視してしわ寄せをその関連企業に及ぼすといったような考えは持っておりませんし、またそういうことはすべきではないというふうに考えております。
○赤桐操君 これは最後に伺っておきたいと思うんでありますが、大体基本的なものはお伺いいたしたつもりであります。私は、専売公社も戦後の歩みの中で非常に年齢構成に、ある年代においてはかなり集中している時期がある、ある年代においてはかなり採用が縮小されて、そしてその年次についてはかなり人員的に少なくなっている、そういう若干繰り返しがあったと思うんですね。そういう中で、今これからいろんな合理化をしていかなきゃならなくなってくる。当然そこには、たばこ事業全体の中でというお話でありますから、お互いに苦労しなければならぬということになるだろうと思うんですけれども、原則的には今のような大変な上陸してくるビッグスリーを相手にしてやるわけでありますから、人を減らしていく中に生産の増大はないと思うんです。
 例えば我々が素人の立場で考えてみても、専売公社の売り上げのシェアというのはどういうところに日本全国全体の中で分布されているのかということは考えなきゃならぬはずですね、経営の原則として。当然相手方はそういうところをねらってくるだろう。売れないところを幾らねらったって、これは購売力のないところには、人のいないところには、恐らく私は努力してもむだだろうと思います。まして外国の会社がやる以上は、集中度の高いところをねらってくることは当然だろうと思うんです。そうなれば当然そこで激烈な戦いが始まる。これはもう素人でもわかることです。
 したがって、私は、今までは確かに四面海で囲まれた大変安定した中での経営であったと思いますけれども、これからはもうそうじゃない、垣根が取り払われた、こうなるわけですから、これは私は率直に言って大変な日常の努力が求められると思いますね。したがって、今までは全国で二十数万の販売店があるようでありますけれども、そういうところに対しての対策も専売公社対販売店の長い間の関係できたと思うんですけれども、これからは私は場合によっちゃ変わってくると思いますね。したがって、人間が余るどころではなくて、もっと本格的に拡大販売をやるところの人員対策まで考えなきゃならぬような状態にくるんじゃないかと思うんです。そういうようになってくるということにもしなるならば、これはそういう意味における本当の意味の、もちろん合理性は伴わなきゃならぬかもしれぬが、たくましい拡大再生産への職員の配置が行われていかなきゃならない、人の増大が求められていかなきゃならない。これがこれからの時代でなければ、私は専売公社新会社のこれからの将来というものはあり得ないと思うんです。経営に当たっての大変基本的な問題になると思いますけれども、ひとつこの辺をめぐって総裁の御決意を伺っておきたいと思うのであります。
○説明員(長岡實君) 私どもといたしましても、厳しい競争に打ちかっていくために合理化は避けられないということは重ねて申し上げておるところでございますけれども、そういった場合に企業としてむだな人間を抱えるという余地はなくなろうと思います。
 しかし一方におきまして、何と申しましても、企業が最大限に力を発揮する場合の戦力は何かといえば、私は人であろうと思います。長年の歴史を持ち、また一致団結して今日まで鋭意たばこ事業に取り組んでまいりました私どもの職員は、新会社になりましてもやはり最大の戦力になり、最大の武器になれるべきものであろうということを基本認識に置きまして、将来に向かって進んでまいりたいと考えます。
○赤桐操君 終わります。
○多田省吾君 私は、前回に続きまして、確認の意味も含めまして二、三お尋ねしたいと思います。
 今度の五つのたばこ関係法案を見ますと、臨調答申の趣旨からかけ離れているのではないかという批判もありますけれども、九万三千に及ぶ葉たばこ生産農家の葉たばこ全量買い上げによる保護育成とか、あるいは二十六万に上る小売店の保護等盛り込まれておりまして、これらは一応評価できるわけでございます。
 しかしながら、また一方におきましては、政府の全額出資の株式の問題あるいは大蔵大臣の監督権限の強いこと等と相まって、単に看板のかけかえにすぎないのではないか、余り変わるところはないのではないかという批判もあります。
 八十年も続いた専売制度の大改革でございますので、これを何のためにやるのか、また具体的にどう変わるのか、こういった点を私は大蔵大臣として国民の皆さんの前にはっきりと示すべきではないか。専売公社から日本たばこ産業株式会社に移行するのはこういう意味があり、具体的にこう変わるんだと、こういった疑問に対しまして大蔵大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今お話がございましたように、専売公社がこれまでたばこ専売制度の実施主体として財政収入の確保に大きな役割を果たしてこられた、これはまず評価すべきことであろうと思っております。しかしながら、今日国際情勢を客観的に見ますと、まさに貿易立国ということを旗印といたしております我が国にとっては、開放経済体制を志向するということは、これは好むと好まざるとにかかわらず選択すべき道である。そういうことを考えてみますと、たばこ事業をいつまでも閉鎖的な状況下に置いておくことは、これは適当ではない。この際専売制度を廃止して、製造たばこについては輸入自由化に踏み切ろうと、これが第一点であろうと思います。
 そうなると、当然のこととして専売制度がなくなって輸入の自由化と、こういうことになりますと、我が国市場の中で国産のたばこと輸入たばことが対等の立場で競争を展開するということになる。そうなれば当然のこととして、まず日本のたばこ産業に国際競争力を確保して、その上で発展していかなければならぬということになるわけであります。そうなれば、専売公社というものにまず製造独占というものは置きましょう、その上で経営形態の上では合理的な企業経営が最大限可能な形にするにはどうしたらいいか。それは商法の規定に基づき、そして労働三法というものによるところの特殊会社にしなければならぬ、それによって国際競争力に対応していくための環境を整えていかなきゃならぬということがまず基本であるというふうに考えるわけであります。
 したがって、今度の新会社に対しては、政府としては公的規制というものを可能な限り緩和していく、そして自主責任体制というものを確立していくという立場をとるべきであるということが、恐らく多田さん、この場を通じて国民の前に明らかに確認するという意味でございましょうが、基本姿勢であるというふうに考えるわけであります。
○多田省吾君 自主的な、そして積極的な、あるいは活力のある経営によって国際競争力を高めなければならないというのが新会社のあり方だと思います。それにしましては、政府全額出資の株式保有の問題とか、あるいは大蔵大臣の監督権限であるところの人事権におきましても、取締役やあるいは監査役の選任及び解任の決議、あるいは定款の変更あるいは利益の配分、また事業計画等、これ一切大蔵大臣の認可になっているわけでございまして、こういったものは新会社の自主性あるいは積極性、そして国際競争力を高める経営方針に対しまして相当の束縛になるのではないか、こういう懸念があるのでございますが、大蔵大臣はいかが考えられますか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに今、国際競争力に対応していくための自主性が十全に発揮できるようにということを主眼としてこういう環境を整えるための新会社を設立することにしたというふうに申しましたが、法律をお読みいただきましても、許可申請、そうしてそれに対する認可、あるいは人事権等数々のことが記載されておることは事実でございます。まず一つは製造独占ということ。日本たばこ産業株式会社以外には日本国内においては製品たばこを製造することはできないわけであります。そういう特殊法人として設立されたものであります。
 一方、経営の自主性を最大限発揮するという趣旨にかんがみまして、私どもといたしましては、今までの各種特殊会社の中でそういう自主性というものがどれが一番最小限の範囲の規制になっておるかというようなことを種々検討をいたしながら、経営の自主性が妨げられることがないように必要最小限のものとしての政府規制ということを行っておるところであります。
 いま一つは全額出資。とにもかくにも当面そのとおりであることは事実であります。これに対しては、民間活力というものを導入するためには可能な限り早く民間に放出するということによって活力を生み出すべきであるという意見ももとよりございます。しかし、今日まで日本のたばこ産業を支えてまいりました長い歴史の中にこれが新しい体系になって国際競争力をつけていくという立場に立ちます場合、関係方面のこれに対する物の考え方というものには幾ばくかの不安がぬぐい去ることもできないことも事実でございます。したがって、それらがこの事業遂行上差し支えない、いやそれよりももっとその方が好ましいという段階を見きわめながらそれに対応していこうと、こういう考え方でございますので、とりあえず株主権というものを持ち、そして一方、許認可、監督の権限を持ちながらも、その範囲の中で最小限の規制にとどめるような措置と心構えと両方持って対応していくべきものであるというふうに考えておるところであります。
○多田省吾君 私は前回もお伺いし、先ほども質疑があったのでございますけれども、日本たばこ株式会社に移行する場合に、当然事業面の拡大を行うことによって国際競争力を高めるということは必要であろうかと思います。で、会社法の第五条には「附帯する事業」と、それから「目的を達成するために必要な事業」と、この二つ別々にうたわれているわけでございますが、その二つの定義はどう理解すればよろしいんですか。
○政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。
 目的達成事業と申しますものは、本来事業、この日本たばこ産業株式会社の場合は製造たばこの製造、販売及び輸入の事業でございますけれども、この本来事業とその本来事業に附帯する事業に関連または派生する毒薬であって会社の目的を達成するために必要な事業というような定義ができようかと思っております。例えば製品及び原材料品の品質あるいは技術の向上に貢献し、本業であるたばこ事業のコスト節減等に資する事業またはたばこの需要の創出に資する事業、例えばたばこの製造用機器の輸出でございますとか、あるいはたばこのデザイン等を利用した販売促進商品の開発であるとか、そういったようなものが入ろうかと思っております。
 それからもう一つは、本来事業または附帯事業に係る技術等を活用する事業でございまして、先ほど総裁の方からも御説明ございましたように、例えばバイオテクノロジー技術の利用の事業などが考えられるわけでございます。
 これに対しまして附帯事業とは、本来事業に面接関連し、あるいはその周辺に位置する事業でございまして、本来事業に対しいわば従属的な地位に立つという事業を言うものであるというふうに考えております。例えば、先ほどのたばこ製造用機器の例で申し上げますと、たばこをつくるには当然のことながら製造用機械が興るわけでございますが、製造用機器の製造の事業などはいわば附帯事業に当たるであろう、それを独立して輸出販売するというようなことになれば、これは目的達成事業であろうと、例示的に申しますとこういうことであろうかと存じます。
○多田省吾君 附帯する事業というものは、現在の専売法節二十七条でも認められておりますのである程度理解もできるわけでございます。目的達成事業となりますと、大臣認可となっておりますが、かなり広範囲にまた多岐にわたる、このように思われます。
 総裁にお伺いしますけれども、現在行われている附帯業務はどのようなものか、それから新会社に移行された場合に新たにどのようなものを検討していくか、これがまず第一点です。それから別に今度は目的達成事業として考えているもの、これは先ほども御答弁ありましたが、系統的にもう一度お話しいただきたい。
○説明員(長岡實君) 現在、附帯業務として事業化しているものは、たばこの配送であるとか、あるいはフィルターの製造、香料の製造、包装材料の製造、工場関連作業の業務などがございまして、それぞれ出資会社にその事業運営を行わせておるところでございます。新会社移行後の附帯業務につきましてはまだ具体案を得ておりません。現在、先ほど目的達成業務のところで申し上げました事業開発委員会の中で附帯業務につきましても検討を行っている段階でございますけれども、ただいま例示的に申し上げましたような事業をさらに展開させる余地があるのかどうかといったようなことを考えます一方、また、たばこの種子の生産、販売、あるいはたばこ販売に非常にかかわりのあります市場調査の事業等の展開が考えられるのかなというふうに思っております。
 それから目的達成業務につきましては、公社が持っております技術や資産等の中から事業開発に結びつくものを現在事業開発委員会を設けて検討しておる段階でございますけれども、たばこの製造用の機器の輸出あるいはたばこの製造にかかわる技術の輸出、それから喫煙具類の製造、それから私ども中央研究所でバイオテクノロジー関係等につきまして相当な技術の開発を持っておりますので、そういったようなものを基礎に置きました育種育苗技術の活用、それから葉たばこという特殊な農作物の持っております有用成分の総合利用、小さなものといたしましては、私どもの資産であります土地や建物の高度利用、これは不動産業を営むということを主たる目的とするものではございませんけれども、土地現物の高度利用といったようなものが目的達成業務として考えられるのではないかと思います。
○多田省吾君 その中で、企業イメージを高めるために文化事業なんかも検討していると聞いております。あるいは化学工学の分野で香料等の面をもっと拡大利用しようというような御意見もあるようでございますが、そのようなことは考えておりますか。
○説明員(長岡實君) 香料等につきましては、先ほどの附帯業務の万でも現在も香料の製造等があるわけでございますけれども、これはまだまだ発展させる余地があろうかと考えております。それから文化的事業につきましては、これは公社あるいは新会社の附帯事業、附帯業務あるいは目的達成業務として考えておるという性質のものではございませんで、一種の企業イメージというものを広く国民一般あるいは社会に植えつけるためにどのような文化的な貢献ができるか、そういったような角度から現在検討しているところでございまして、専売公社は公共企業体であり、新会式は株式会社になりましても政府関係特殊法人でございますから、そういったような性格から見て、それにふさわしいような一種の文化的な貢献がある程度できないだろうかということで現在検討している段階でございます。
○多田省吾君 大蔵大臣にお伺いいたしますが、新会社が国際競争力を高める等のためにいろいろな創意工夫でこういう目的を達成するための業務というものを拡大しようとされているわけでございますけれども、大蔵大臣としては基本的にどういう態度で臨まれるのかお伺いしたい。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる輸入自由化後の国際競争力に適切に対応していく、これには、新会社の保有しております大変な技術がございます、またノーハウもございます、そういうものの有効活用を通じて経営の効率化を図ることが必要でございますので、事業範囲を合理的な範囲内で可能な限り拡大していく、そして新会社の経営の自主性を最大限に尊重するということが最も重要であるというふうにまず基本的に考えております。
 一方、そうした目的達成事業の実施を自由に認めた場合には、あるいは民業圧迫というようなものが全くないとは、私は全くないとは断言はできないではないか。だから、そういうような事態が生じないように、目的達成事業の認可に際しては適切に対処しなければなりません。しかし、およそ常識的に考えてみますと、恐らく従来とも行われておりますところの附帯事業でございますとか等から考えてみますと、当然のこととしてかなり前広にそれらは協議が行われるものであろう。したがって、いよいよ出てきたものに対して、これは民業圧迫だとか言ってそれを許可しないというような実態にはならないであろう、その事前の濃密な連絡というものが十分そういうことを排除するために役立つんではないかというふうに考えますだけに、基本的にはとにかく国際競争力に立ち向かっていかなきゃならぬわけでございますから、経営の自主性を最大限尊重するという立場に立って対応すべきものであるというふうに認識をいたしておるところであります。
○多田省吾君 次に、これも会社の当事者能力それから自主性の問題と関連するわけでありますが、この日本たばこ産業株式会社法案の第七条から十三条にかけまして監督の部分がありますが、その中に事業計画等も大蔵大臣の認可になっているわけでございます。当事者能力、自主性というのであれば、人とか物とか金、これはある程度自主性を持たせなければ新会社移行への意味がなくなると思います。そういう意味で大蔵大臣として事業計画とはどういう内容のものを望んでおられるのか。現在不明でありますけれども、電電関係法案の衆議院の附帯決議を見ますと、「政府は、事業計画に対する郵政大臣の認可を行うに当たっては、収支計画及び資金計画は、その添付資料とすること。」等の決議もあるわけでございます。これは一つの参考にすぎませんけれども、日本たばこ産業株式会社からどのような事業計画を求めるのか伺っておきたいと思います。
○政府委員(小野博義君) お答え申し上げます。
 認可の対象となります事業計画の内容につきましては、現在大蔵省と専売公社との間で協議中でございますけれども、いずれにいたしましても、新会社の弾力的な経営を阻害しないようにすることが必要であると考えているところでございます。
 なお、収支予算、資金計画についでのお尋ねがあったわけでございますが、この取り扱いにつきましては、現在これにつきましても、大蔵省と専売公社の間で協議中なわけでございますが、現在のところ他の特殊会社の例、例えば日本航空などがそうなわけでございますけれども、これに倣いまして事業計画の添付資料といたしたいというふうに考えておるところでございます。
○多田省吾君 次に総裁にお伺いいたします。
 今回の法案には大蔵大臣の認可事項が非常に多いわけでございます。公社としまして来年に備えまして認可申請を検討しておられると思いますけれども、現時点でどのようなものを考えておられるのかお答えいただきたい。
○説明員(長岡實君) 現時点で会社化後の事業運営上必要となるものとして認可申請を検討すべき事項といたしましては、会社の事業運営の基本方針でございます事業計画、それから社内における作業の進捗状況にもよりますけれども、事業範囲の拡大に伴ういわゆる目的達成事業といったようなものがあると思います。
○多田省吾君 大蔵大臣としては、もっとあると思いますが、それらの申請が出された場合はどのように対処されるお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) これはまさに新会社の自主性を最大限に尊重して対応すべきものであるというふうに考えております。とにかく政府規制を最小限にしようという物の考え方で出発したわけでございますから、その種の問題につきましても、私どもとしては、新会社の自主性というのを最大限に尊重するという立場から対応すべきものであるというふうに理解をいたしております。
○多田省吾君 次に、総裁に今度は二、三具体的な問題でお伺いしたいと思うんです。
 製造たばこについてでございますけれども、工場で生産されたたばこはどのようなルートで消費者の手に届くのかまずお伺いしたいと思います。
 それから第二点目は、昭和五十五年から五十七年までの三年間、輸送費はどのくらいかかったか。また、輸送について現在日本通運が独占的に取り扱っているわけでございますが、その理由はいかがなのか。
 最後に、今後は新会社も参入して合弁輸送会社を設立すると聞いておりますけれども、現況はどうなっているのか。
 この三点お尋ねいたします。
○説明員(長岡實君) まず、製造たばこの消費者に届く経路でございますけれども、現在全国三十五のたばこ工場がございまして、それからそこで製造されましたたばこが一定地域ごとに配置してございます七十二カ所の流通倉庫へ輸送されます。そこでいろいろの銘柄の品ぞろえが行われまして、それから各地のデポと言っておりますが、配送の拠点がございます。ここへ輸送が行われ、そのデポから約二十六万店の販売店への配送が行われるというルートでございます。
 で、五十五年度から五十七年度、過去三年間の輸送費は、昭和五十五年度が約百三十七億円、五十六年度が百四十六億円、五十七毎度百五十二億円でございます。
 現在日通が独占的に取り扱っているようだけれどもその理由はどうかということでございますが、たばこの輸送は全国的に広範囲な長距離輸送でございまして、その多くを鉄道に依存していることから、これを円滑に遂行するためには運送業者として次のような条件を有している必要があろうかと思います。まず隔地間の輸送を完遂するために発地及び着地を通じて一貫した責任体制を持っていること。それから全国的な組織網を持っておりまして、かつ迅速的確な情報綱を具備していること。それから危険負担能力が十分であること。またたばこの取り扱いに関して専門的な知識と技能を持っていること。それから流通革新の進展に即応しまして公社輸送機能の合理化に応じ得る能力を持つこと。こういったような条件を満たすものとして、従来から日本通運を選定しているところでございます。
 今後の問題でございますが、国鉄の貨物輸送合理化等物流環境の変化に対応していかなければならないわけでございまして、そういったような観点から、たばこ関係の輸送を安定的に確保しますとともに、関連事業領域の拡大を図る観点から、現在運送会社の設立に向けて諸準備を進めている段階でございます。
○多田省吾君 新会社発足に当たりまして、今お伺いいたしましたように、輸送流通部門の問題、それから輸出入のたばこインターナショナル、それからたばこ関係の合併会社の設立がなされているのもあるし、これから計画され検討されているものもあるわけでございますけれども、これは現行法の二十七条の附帯事業ででき得る範囲のものが大部分だろうと思います。もし目的達成のための事業となりますと、大蔵大臣が先ほど民営圧迫も全然なしとしないという懸念を示されましたけれども、既存業者との間の競合関係というものも生ずるわけでございますが、この点について総裁としてどういう配慮を行っておられますか。
○説明員(長岡實君) これから目的達成事業を具体化いたしまして、大蔵大臣に認可申請を行っていくという手続を踏むわけでございますけれども、先ほど大臣からもお話がございましたが、新会社として目的達成事業の認可を申請する場合に、まず民業圧迫にならないような慎重な配慮が必要であろう。申請を行った上で民業圧迫になるからということで大臣の認可がおりないというような事態を惹起する前に、まず新会社自体としてその目的達成事業の具体化を考える場合にはそのような慎重な配慮がまず必要であろうかというふうに考えております。
○多田省吾君 次に、現在専売公社が所有している特許及び実用新案の件数はどのくらいあるのか、これが第一点。それから、その中に日本独自の刮目すべき内容の特許、実用新案等が果たしてあるのかどうか。それから第三点は、海外に輸出したプラントの実績はどうなっているのか。この三点をお伺いしたいと思います。
○説明員(丹生守夫君) お答え申し上げます。
 本年の一月現在の有効の登録件数は、特許三百八十件でございます。そのうち外国特許が三十一件でございまして、そのほかに実用新案というのがございまして、これが八十一件ございまして、合計いたしますと四百六十一件というのが私どもの所有しております特許及び実用新案の件数でございます。
 これは内容は大変多岐にわたるわけでございますけれども、内容的に大きいものは香料の関係と機械に関する特許でございます。中にはかなりすぐれたものがございまして、今後これを活用いたしまして技術輸出というようなことで将来の可能性を考えていきたいということでございます。
○説明員(西村忠弘君) 御質問の後段の方についてお答え申し上げます。
 プラント輸出についてどうなっているかという御質問でございますが、数年前から公社の製造技術、特にエンジニアリングの面につきまして次第に高い評価を受けるようになりました関係で、たばこ工場の建設のコンサルタント、機械運転技術に対する援助協力、それから原料加工設備の据えつけ指導、輸出といったようなものの要請を受けるようになりまして、これにこたえてきております。現状では御質問のプラント輸出というような大げさなものはまだ行っておりませんで、今のところ主として中古の二千五百回転巻き上げ機、それから原料加工設備、そういったものをフィリピン、パキスタン、中国等アジア諸国にノーハウ移転を含めて輸出をしております。最近はこのほかにインド、タイ、中国等から新作の包装機械、それからシートたばこプラント、たばこ膨化処理プラント等の導入引き合いの申し込みを受けておりまして、現在交渉の過程にあります。
○多田省吾君 総裁といたしまして、こういう特許とか実用新案のこれからの新会社としての有効利用の問題、それから海外に技術輸出をするとおっしゃっていますけれども、本当に力を入れて腰を据えてやるのはこれからだと思いますが、それに対しての決意と申しますか、方向性と申しますか、可能性と申しますか、こういったものはどのように考えておられますか。
○説明員(長岡實君) 担当理事からお答え申しましたように、私どもの現在までの研究成果の中には将来事業化し得る種も相当あると考えております。目的達成業務等考えてまいります場合には、私どもが持っております特許その他を最大限に活用して事業化を図っていきたいと思っておりますし、また技術輸出その他の面につきましても、担当の理事からお答え申しましたように、主として東南アジア地域を中心として海外からの引き合いも相当出ておりますし、それから既に輸出をしております我が国の中古のたばこ製造機械についての評価も大変高いようでございますから、そういったようなことも将来の事業化の中では重要な位置づけが行われるべきものであると考えておりますし、またそういったような面ではまだまだ私どもは伸びる余地を十分に持っておるというふうに理解いたしております。
○多田省吾君 次に、葉たばこ耕作の問題でございますが、これは私は前回もお尋ねしましたけれども、国産の葉たばこは現在十三カ月間のストックを抱えている。また外国に比べて残念ながら当然割高となっているわけでございますが、この葉たばこ問題を今後どのように解決するか。新会社と耕作者の間で良質葉の生産のための品質改良とかあるいは生産性の向上等当然図っていくと思いますが、それだけで解決できるのかどうか。その他に衆議院の附帯決議にもありましたけれども、農政費用負担のあり方等も含めて考えていく必要があるのか。それから現在の葉たばこ生産水準を本当に維持していかれるおつもりがあるのかどうか。この葉たばこ問題の現在と将来についての基本的見解を総裁にお伺いしておきたいと思います。
○説明員(長岡實君) 国産の葉たばこが外葉に比べて割高である、そしてそれが製造コストを高める要因になっていることは事実でございます。これを合理化して全く外葉の水準にまで近づけるということは、率直に言って、相当無理があろうと存じますけれども、ただ合理化の余地は十分にある。これは私どもだけではなくて、耕作団体、いわゆる耕作者の方々も基本的にはそのような認識を持っていただいておりまして、現在公社と耕作団体との間で葉たばこ生産の将来に向けての合理化策について鋭意協議をしながら諦めているといった現状でございます。これは既にお答えを申し上げた点ではございますけれども、生産性向上の問題につきましては、昭和六十五年を目途に労働時間で四割、生産費で二割程度の低減を目標といたしまして、なかなか実現には困難も伴うかと存じますけれども、その目標に向けて公社と耕作団体とが一致協力して生産性の向上に向けての努力を積み重ねていくということであろうかと存じます。
 それから、なかなか葉たばこのコストが下がらない、負担も相当のときに農政負担ができるのかという点でございますが、農政負担の考え方には二つございまして、たばこ農業だけというよりは、もう少し農業の基本にかかわりますような土地基盤の整備であるとか、あるいは地域的な集団化の問題等につきましては、これは農水省にお願いを申し上げざるを得ないわけでございますけれども、葉たばこの生産コストの低下に直接結びつくような意味での例えば生産対策の補助金であるとか、そういったような農政負担は、厳密に申しますと、単に農政負担というだけではなくて、それがまためぐりめぐって公社あるいは新会社の経営に相当深い影響を持つ要素でございますから、そういったようなことにつきましては、今後とも新会社が当然負担していくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。
 葉たばこ耕作の現状の問題でございますけれども、現在の耕作面積が一体維持できるのかどうかという点に集約されると存じます。私どもはできればそうありたいという気持ちは持っておりますけれども、正直に申しまして、現在の一年分の過剰在庫を解消していく場合に、考えられるあらゆる努力を傾けましても、なかなかその努力だけで過剰在庫の解消が図れないということ。それから現状が、たばこの消費というのが世界的な傾向でございますけれども停滞の状況にあるということ。さらに最近の好みとして軽いたばこを嗜好するということから、たばこをつくりますときに使います原料の葉たばこの原単位がやや低下傾向にあるといったようなことをあわせ考えますと、将来に向かって面積調整と申しますか、減反につきまして農業団体に、耕作者の方々に応分の御協力をお願いせざるを得ないのではないかというふうに考えております。ただ、これは再三申し上げておりますが、耕作農家にだけしわ寄せをして将来の合理化を考えるという態度はとらないつもりでございまして、産業集団を挙げて各分野分野が自分のところでできる合理化はすべて惜しまないといったようなものの一環として面積調整についても御協力をお願いすべきではないかというふうに考えております。
○多田省吾君 先ほども質疑がございましたが、輸入たばこの自由化につきまして、総裁は衆参両委員会を通じまして、この数年間で五%程度になろうかと思われる、現在は二%だと、こういう御答弁をいつもなさっておられるわけでございますが、来年の四月一日からこの法案が通れば新会社に移行いたしまして、その後輸入たばこの情勢がどうなるか、これはだれもまだわからない問題でございます。ただ推測する以外にないわけでございますけれども、私も前回質問いたしましたように、今までは日本の大手商社が専売公社の委託で外国たばこを輸入していたわけでございますけれども、今度は本格的な輸入業務をなさると思われるわけでございます。当然外国たばこ企業が小売マージン率を思い切って引き上げたり、あるいは我が国の国内小売店の外国たばこ販売意欲を大いに高めるいろいろなやり方をとってくること、販売攻勢をかけてくることは当然予想される問題でございます。私は、この流通自由化による我が国たばこ産業への影響については過小評価すべきではありませんし、相当の心配があろうかと、このように思います。公社あるいはこれからの新会社が、安くて、うまくて、また安心して吸えるたばこの生産を目指しておられることは当然でありますけれども、この外国たばこの攻勢に対しまして本当に迎え撃って、国際競争力に耐え得るだけの決意とまた自信がおありなのかどうか、もう一度ひとつお尋ねしておきたいと思います。
○説明員(長岡實君) 輸入自由化が行われました後に外国のたばこ企業がどういった販売戦略を展開するかという点につきましては、私どもも最大の関心を持って対応していかなければならないと考えております。その場合に、諸外国なかんずくヨーロッパの諸国等にアメリカのたばこ資本が進出していった場合にどういった戦略をとったか、こういうことの分析等も十分に行いまして考えていかなければならないと思っているわけでございますが、現在私どもが認識している範囲内で申しますと、定価制をとっている国における輸入品の販売の対応を見ますと、定価制という一つの枠があるからでもございましょうけれども、マージンが、何というか、泥沼のように引き上げの競争に入っていくといったような事態はないように理解をいたしております。
 我が国におきまして今後どういったようなことが考えられるかと申しますと、多田委員も御承知のように、国産のたばこの小売店におけるマージンは一割でございますけれども、輸入品は現在のところ八・五%でございます。輸入品を取り扱う立場からすれば、八・五%のマージンを一割に上げた方が小売店が販売に努力してくれるであろうということを考えるのは当然でございますけれども、またそれを上げれば価格にどう響くかといったような要素も入ってくるわけでございますが、まず考えられることは、その八・五%を一割に引き上げるかどうかといったようなことから始まるのではないかと考えております。
 いずれにいたしましても、相当厳しい競争が行われてまいりますことは事実だと思いますけれども、先ほどから申し上げておりますように、我々あらゆる事態を想定しながらそれに対応する姿勢を整えていかなければならないと思いますし、基本的には消費者に好まれるいい商品を市場に投入し、その販売の努力を積み重ねていくという、いわば地道な販売活動によって国産品のシェアの維持に最大限の努力を傾けたいというふうに考えております。
○多田省吾君 その点でもう一点だけお尋ねしておきたいのでございますが、フランスの二の舞をするなということでいろいろお考えだと聞いておりますけれども、フランスがなぜあのように輸入率が高まったのか、どこに欠陥があったのか。また我が国の対応について。
○説明員(長岡實君) これも他国のことでございますので、正確に把握しておるかどうかはいささか問題もあろうかと思いますけれども、私どもが把握しておりますフランスのたばこ市場が、輸入品、なかんずくアメリカの商品に非常に大きなシェアを奪われるようになった最大の要因というものは、これはフランス専売が開発し市場に投入しておりましたたばこが、黒たばこと称しまして、やや特殊なつくり方をする製品でございます。銘柄としてはシタンとかゴロワーズとか、フランスに古くからあるたばこでございますけれども、私どもが吸いますと相当、何といいますか、辛い味と申しましょうか、特殊な味があるわけでございます。フランスではフランスの国民の嗜好に最もマッチした商品であるということで、そういう商品を中心に製造並びに販売活動を続けておって、アメリカ型の非常に軽いたばこについての製品の開発についてやや欠けるところがあったのではなかろうか。これが輸入自由化の状態になりますと、非常にフランス専売当局の意に反して消費者の方々がアメリカ式の軽いたばこの嗜好の方に走ったというのが、一つの大きな要因ではなかろうかと思っております。
 そういった点につきましては、我が国におきましてマイルドセブン等を中心にいわばアメリカ型のたばこと申しましょうか、そういった製品を開発し市場投入をいたしておりますし、それが現在における我が国のマーケットに占めるシェアも相当高くなっておりますので、フランスの前車のわだちを踏むようなことはないのではないかと考えております。
○多田省吾君 最後に大臣にお伺いいたしますが、今回の法改正による影響は非常に大きいと思います。関係各部門の名前を書きかえるだけでも相当な金額を要する、小さなことでもこういう問題もあります。私は最後に大臣にお伺いしたいのは、九万三千のたばこ耕作者の方々、あるいは二十六万の小売店の方々、その他たばこ関係の従事者の方々が、今回の改正において十分納得のいくものにならなければならない、そういう施策を講ずるよう強い要望もあると思います。それに対して大臣はどういう決意を持っておられるのか。
 それからもう一つは、国民にとって安くてうまくて安心して吸えるたばこ、これを新会社でつくってくれるだろうという期待感もあるわけでございますが、それにどうこたえるのか、大臣としての御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) このたびの改革に当たりまして関係者の方々等に大きな影響が及ぶということについての基本的な考え方と、そしてそれぞれに対する期待どお願いを込めてお答えをしてみたいと思っております。
 いずれにいたしましても、今次の改革というものは、その柱の一つであるのは製造たばこの輸入自由化、これでございます。したがって、国産品と輸入品が対等な立場で日本国内において競争を展開するということになります。したがって、そうなれば従来から考えますと、当然何がしかの影響が及ぶということは避けて通ることのできないことであろうというふうに考えます。
 それに対して対応策を準備することが必要であります。その基本は、たばこ産業の中でまず中心的役割を担っていらっしゃる専売公社を当事者能力が付与された株式会社形態に改組して、輸入品との自由な競争に耐え得るような経営形態とすることであります。これによって労使が一体となって、率先して経営の合理化に取り組んで、輸入自由化の影響をみずからの合理化努力によって可能な限り吸収していくということを心から期待いたします。
 それから次には、たびたび申し上げましたたばこ産業集団の一つでありますたばこ耕作者の方々に対する問題であります。我が国の現状にかんがみまして、これにはまず一つには全量買い取り制の維持をする。そして二番目には葉たばこ審議会の設置をする。三番目には葉たばこ審議会の審議基準の明定、そういう措置を講じます。
 それからいま一つの集団であります小売人の方々につきましては、一つには当分の間小売販売業許可制の採用をいたします。それから小売定価制の採用をいたします。
 これらの措置によりまして、耕作者、小売人という二つのたばこ産業集団に対しまして急激な変化が及ばないように合理的範囲内において必要な配慮を行ってまいります。
 そこで、このような今次改革法案におきましては、我が国たばこ産業の健全な発展等のための基本的枠組みはそれによって整備されるところでありますので、今後はその枠組みのもとで新会社はもとより耕作者の方、そして小売人の方、これを含めたばこ産業全体としての一属の経営の効率化に努められ、みずからの努力により将来の展望を必ずや切り開かれるであろうことを私は期待し、そして確信をもいたしておるところであります。
 公社はまた自由化に基づいて競争場裏に立たされると同時に、今おっしゃいました国民に対して安価にして良質な製造たばこの供給というものにも努めていかなければならないことは当然のことであろうと考えておるところであります。
○委員長(伊江朝雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時四十分まで休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時四十分開会
○委員長(伊江朝雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○近藤忠孝君 きょうは大臣に対して、たばこ市場開放の問題について質問通告しておきましたが、その前に、先ほど赤桐委員の質問の中で、とりわけ対策の急がれる第一線事業所の問題について総裁から答弁がありました。既に配置案を固めたところ、そして話し合いを関係者と開始したところということであります。ですから、その具体的な内容は既に固まっており、関係者、これは今までの質疑の中でも明らかなとおり、耕作組合、販売組合、労働組合、そして国会の先生方ということで、そこへ中身は示されておるということであります。この問題は、「第一線事業所の業務遂行体制整備等の概要」、これ自身が本法案と一体のものである、こういう答弁が第一回目にありました。そして、今申し上げた問題は、その具体化でありますから、もちろん本法案と一体のものだと思います。ところが、いまだに、何度も中身の説明を求めても説明いたしません。既にかなりの部分に示されておりながら、一番大事な国権の最高機関である国会になぜ示されないのか、その中身を示すとどういう差しさわりがあるのか、これについてお答えいただきたいと思います。
○説明員(岡島和男君) 第一線事業所の整備問題でございますが、この第一線事業所の整備は、私ども既に四十七年に実施したことがございます。その後の事業量の変動あるいはまた社会経済情勢の変化、交通通信の手段の発達等、事業環境の変化がございまして、それからさらに制度が変わりまして輸入自由化がある。そういうことを展望して国際競争力の確保ということのために計画をしたものでございます。その意味におきましては、法案と非常に密接に関連する部分が確かにあるわけでございますが、一方、現在の公社制度のもとにおきましても、既に御存じのように輸入品との競争というのは事実上行われておるわけでございます。そういう意味におきましても、事業環境の変化の対応というものは、制度の改正の問題とかかわりなく、実施していかねばならないという側面があるわけでございます。必ずしも、今近藤先生おっしゃいましたように、法案と一体不可分のものであってというふうにおっしゃいましたけれども、私どもとしては密接に関連をする部分もあるけれども、制度改正とかかわりなく実施していかなければならない部分もあるというふうに理解しておるということをまず申し上げさしていただきたいと思います。
 それからもう一点、資料の提出の問題についてまた御指摘があったわけでございます。これにつきましては、前回も申し上げたわけでございますけれども、私ども公社としての案を固めたところでございまして、本件につきましては、影響の一番大きい労働組合等事業関係集団の理解と協力なくしては円滑な実施が期し得ないというところから、これらの団体の意見を聞くという立場から公社としての素案の説明を最近行っている、こういう状況にあるわけでございます。それで、私どもといたしましては、特に労組との協議が非常に重要であるというふうに考えておりまして、いろんな公社としての種々の資料を提示したということでございますけれども、これも前回議論がありましたが、要員計画等の説明はまだ行っていないということでございまして、実質的協議はこれから、こんな段階でございます。
 販売組合、耕作組合等の関係団体に対しましても、理解を得るべく説明を行っておるわけでございまして、現在中央の団体への説明も進めておりますけれども、地方における個々の団体との話し合いも一方において進めている、こういうことでございます。一方、国会の先生に対しましては、説明を求められた方、この前も申しましたけれども、専売に関する特別委員会というような組織をお持ちのところに対しまして概要を説明した資料で御説明申し上げた、こういう状況でございます。
 それで、なおそのほかの国会の先生にも御説明をしたではないかという御指摘があったわけでございますけれども、これは関係集団と密接な関係を有しておられる先生方から説明を求められたということがございまして、この場合において、全体計画ではなく、その部分に限りまして非公式の説明を行ったということでございます。
 公社といたしましては、この問題については関係当事者間、とりわけ労働組合との話し合いが第一義というふうに考えておりまして、こういう考え方を御理解いただいて、支所の統廃合等の合理化問題については専売労使間の協議進展に合わせて適当な時期に報告を求めるという先般の理事会の御決定もあったものではないか、このように考えておるわけでございます。したがいまして、当面、関係者間の協議、話し合いを進めさしていただくことを第一義といたしまして、そのようにお願いいたしまして、今後の労使協議の進展に合わせまして、しかるべき時期に委員会の委員長にも御相談申し上げて理事会の決定に従って御報告を申し上げたい、こんなふうに現在考えておる、そういう状況でございます。
○近藤忠孝君 密接不可分なら当然出さなければいかぬことですね。今の答弁のとおり、これは密接な関係があるということであり、しかも本法案の一番の問題は、これから合理化をあらゆる分野でやっていくのは本当に大変なことだと、それは具体的にどうなのかということが最大の問題だと思うんです。ですから私は、もう既に一部に提示してあるんですから、これを国会に出さぬということは国会軽視も甚だしい、こう思うんです。私は理事会の決定があったから出さぬということではないんだと思うんですよね。それはどうなんですか、理事会の決定があったから出さぬのですか。
○説明員(岡島和男君) 私どもといたしましては、ただいま申し上げましたように、本件に関する進め方は、最も関係の深い労働組合初め販売組合、耕作組合等の関係団体というところとの話し合いを進めることが第一義ではないか、このように考えておりまして、そういう考え方について御理解をいただいて先般の理事会の決定もなされているというふうに私どもとしては理解をいたしておるわけでございます。
○近藤忠孝君 ですから、関係団体、一番影響を受ける人々と話を進める、これは当然のことですね。しかし、違うものを国会に出すわけじゃないんだから、それが同じものを出してどう悪いのか。現に現場では既に、労働組合に示された中身は、大体五月末ごろには労働組合のオルグが、それぞれの関係の特に廃止される方などへ行って、ここは廃止されるという説明をして、もう現場は全部知っているんですよ。ですから、一回目だか二回目だかに答弁された、その中身がわかるといろんな関係者に非常に動揺を与えるということだが、動揺を与える余地はもうないわけなんです。これをなかなか示さない理由というのは、これが公然と出た場合にはそれぞれの――大都会の廃止はほとんどないので、これは主に地方ですからね。そうでしょう。そうなりますと、地方に地盤を持つ先生方に大変な影響があるんだというようなことでまず余り出さない。むしろこれは野党対策よりはその辺を考えているのではないか。しかし、かといって、いきなり出ては廃止される営業所を持っている先生方の立場がないので、それで廃止される地域の先生にはこれを非公式にお知らせしたと。大体そういう関係なんでしょう。
○説明員(岡島和男君) 支所再編成の具体的な内容につきまして、私どもとしては、内部的にいろいろ議論を重ねまして成案を得まして、その成案を得た素案と申しますか、成案と申しますか、案を得た段階でその内容につきまして関係団体にお話しを始めたということでございまして、全体として、私どもとしては、その第一線の支所の再編成というものはぜひともやらなければならないということでございます。これは私どもといたしましては、関係の団体に対しましてできるだけの配慮をするつもりでございますけれども、何がしかのまた影響も危惧する面もございますものですから、関係団体に対して十分な理解を求めるべく話し合いをし始めたということでございまして、関係するところがなかなか多いものですから、これは微妙な段階にあるということからその運び方について慎重を期したい、こういうふうに考えておるわけでございます。現在話し合いを開始したばかりの微妙な段階であるのでというのはそういう意味でございます。
○近藤忠孝君 微妙かどうかはいろんな見方があるわけで、しかし少なくとも各府県ごとにいろんな営業所について、ここは残す、ここは廃止するということは、それぞれの工場では、営業所ではもう既にその場所で働いている従業員には知らされておるんです。そういうことで、公社が一覧表を示さぬから、私の方でそういう角度から調べてみたんです。そうしますと、例えば公社からもらった関西支社管内第一線事業所一覧表、これによって順番に見てみますと、滋賀県では六カ所ありますが、残すところは大津と彦根、そして長浜、近江八幡、水口、今津、この四つの営業所は廃止するわけでしょう。そうでしょう。
○説明員(岡島和男君) ただいま申し上げましたように、繰り返しになって恐縮でございますけれども、私どもはこの話を進めます際に、第一義的には関係団体との話をまず進めたいということを考えておりまして、これは国会の場におきましてまず云々するよりは、そういうところで進めていきたいということでございます。したがいまして、今先生から具体的な名前が御提示ございましたけれども、私どもからこれは正式にお示ししたものではないものでございますから、今この場でそこについてのコメントというのは差し控えさしていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 私は具体的事実を申し上げているんで、現にこれらの営業所の労働組合に示したことは間違いないんだから、それから販売組合にも示したことも間違いがないんだからね。そうすると、それぞれのところで関係者に伝わっている。私はその方から調べて確認しているんですよ。それに対してどうして答えられないんですか。それとも私の言ったことは間違っているんですか。
○説明員(岡島和男君) 間違っているとか間違ってないとかという前に、私どもとしてはこれを公式の場で御説明することを差し控えさしていただきたいという立場に立っておりますものですから、先生の御指摘に対しまして、今ここで何かそれがどうであるかということを申し上げる立場にない、こういうふうに申し上げておるわけでございます。
○近藤忠孝君 そうであれば、どう微妙で、そしてこれが公式に示されたのではぐあい悪いということを具体的に言ってください、今までのは微妙だというだけの話である。
 しかも恐らく問題は、現場で働く営業所の労働者の問題ですよ、基本的には。廃止されたらほかに行かなきゃならない。それからもう一つはその関係の販売者ですね。しかしその販売者の関係などは大体販売組合通じてわかっているんだから、一体どこに差しさわりがあるのか。差しさわりのないもの、具体的に実証されないものを公式には明らかにできない、これは国会軽視も甚だしいじゃないですか。
○説明員(岡島和男君) 私どもが話をしておりますのは、労働組合初め耕作者の団体、あるいは販売組合団体等でございます。耕作者の団体につきましては、原料関係の支所が統廃合されますということにつきましては、集荷、原料を集める場合の収納するときの地域が遠くなるというような問題がございますものですから、これにつきましていろんな反響があるわけでございます。また営業所につきましては、今までと違いまして、物の流通と申しますか、輸送がどのくらいちゃんと行われるだろうかということにつきまして、これまた懸念があるわけでございます。それからまた、ただいま申されましたように、そこに働く職場の者にとりましては、自分たちの職場が別の場所へ移らなければならないということになるものでございますから、これまた非情に不安があるというのもまた事実でございます。
 そういう微妙な段階でございますものですから、私どもといたしましては、これをできるだけ慎重に選ばねばならぬということで、細心な注意を持って運ばなければならないということから、これを微妙な段階というふうに申し上げておるわけでございます。
○近藤忠孝君 そういう微妙なものを特に一部の国会の先生に、耳打ちであっても、話すこと自身私は大変問題だと思うんです。じゃ具体的にお聞きしましょう。
 今滋賀の例を出していますが、具体的な場所は言わぬようですが、しかし滋賀県で見てみますと、国会議員は我が党の瀬崎議員がいるけれども、ここには知らされていない。自民党は宇野、山下両議員、ここには知らしたんですよね。どうですか。
○説明員(岡島和男君) これは非常に非公式な話でございますから、どの先生とどの先生にどうしたということをちょっと私どもこの場で申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 それじゃやむを得ません。もう時間がないから、私の方で調べた問題をちょっとひとつ申し上げたいと思うのです。それについてのお答えをいただきたい。
 京都では七つ営業所がありますが、残すのは京都、伏見、福知山、廃止するのが舞鶴、宮津、園部、峰山。大阪は大都会だからつぶさずに逆に、営業所、これは中営業所というのですか、一つ新設する。それから兵庫の場合には十五ありますが、大きいところはつぶさないで、廃止されるのが九つ、明石の明石葉たばこ生産事務所、それから洲本、竜野、赤穂、三田、加西、社、和田山、榛原。奈良県では六つのうち奈良、大和高田が残り、それからもう一つ残りますが、なくなるのが桜井、五条、下市。そして和歌山の場合は七つのうち四つ廃止される、橋本、新宮、粉河、湯浅。関西工場では大体そんなところだと思うんですが、私の今言ったことは間違っておりますか。
○説明員(岡島和男君) たびたび同じお答えをさしていただいて恐縮でございますけれども、先ほど滋賀県の例についてもお話がございましたときにお答えしましたのと同じように、私どもはまだ公式の場でこれについて御説明する段階にないというふうに考えておりますものですから、今先生が挙げました具体的な場所の名前につきまして何か申し上げることはあくまで差し控えさしていただきたい、こういうことでお許しをいただきたいと思います。
○近藤忠孝君 大臣、ずっと毎回この問題を聞いてまいりましたね。いつか大臣の見解を聞こうと思っていたわけですが、私はこれは三つの問題で大変大事な問題だと思うんですよ。今のように大変な秘密主義ですよね。しかも合理化の大変影響を受ける人々の問題、第一線営業所ですが、工場の統廃合で十くらいに絞っていて、それもこういう秘密裏に進められていることは大変問題ではないか、これが第一点です。
 それから第二は、こういう秘密主義、しかも中身を関係ある一部の先生にお知らせするとなりますと、今後株の放出の時期にこういう体質ということから同じょうなことがありはしないか。何度聞いたってこういう答弁なんですから、私はそのことを大変心配せざるを得ないんです。
 それからもう一つは、竹下さんも大変長い国会議員の生活をされておるので、国会議員としてお伺いするのですが、国会審議のあり方としてどうか。既に一部中身が示されている。当然そこでの協議が必要ですよ。しかし国会としても、今後合理化がどう進んでいくのか、大変関心を持ってそこまで突っ込んで議論すべきだという意見と、そうでないという意見があるかもしれません。しかし私はそこまでいって、そして今度のたばこの耕作者も含めると大変な犠牲をやって公社をつぶしていいのかという議論がある場合に、具体的な中身について一切知らせないということでは、国権の最高機関としての国会の十分な議論ができない、国会軽視も甚だしいんじゃないか、こう思うんですが、これらの点について大臣の意見をまとめてお伺いしたいと思います。
 それから時間がないので、最後に言うだけ言ってしまいます。
 この後、私の質問時間がなくなってから総理質問を行って、残念ながら、採決へと行くんですが、まだこういうぐあいに問題が全然明らかになっていない。私が質問通告をしておった、アメリカの圧力によって市場を開放したのじゃないかという大事な問題が残ってしまって、そういう意味では、重要な問題が全然解明されていないまま本日の採決まで行くことには絶対反対であるということを表明して質問を終わります。
○国務大臣(竹下登君) 問題は二つあると思うんですが、一つは国政調査権といわゆる行政執行上の秘密とか、そういう問題であります。国政調査権に対しては、行政当局としては最大限これに協力をしなければならぬ、これが鉄則です。しかし法律による守秘義務の履行、あるいは人事等の関係、あるいは業務上公の場で出されることを差し控えた方が適切であると判断したこと、そういうものは国政調査権とそれに対する協力義務との調和をどこにとるか、こういうことであろうと思います。
 私も聞かされておるわけじゃございません。問題は、自主的にやれ、自主的にやれという御主張の中で、そういう労使でいろいろな検討をされている、私もそう思いますが、それをあえて出せ出せと言うのもいかがなものかな、こういう感じが今率直にいたしております。
 それからもう一つの問題は、これで採決するかどうか、これは国会自身の問題でございまして、私どもの論評すべき課題ではない。
 以上で終わります。
○青木茂君 この前の質問の続きから入りたいと思います。
 私がこの法律案が提示されまして以来くどくも辛くも申し上げてきたことは、葉たばこ耕作農家に対して全量買い取り制、あるいは葉たばこ審議会に耕作者代表をたくさん入れるというような手厚い保護が法律の内容で担保されている。これに対しまして、たばこ産業に働く多くのサラリーマンたちの身分保証というものは、一片の生首は取らぬとかいう口約束で終始している。サラリーマンに対しては農家というものに比べて扱い方が極めて不公平ではないかということ。しかもこれはたばこ産業に従事するサラリーマンだけでなしに、一般のサラリーマンを中心とした国民層から見るならば、いわゆるクロヨンの名で象徴されるように税金は絞り取られている。他方においてえらく高い葉っぱを使った高いたばこを買わされている。これは一種の隠れた間接税ですから、だから二重、三重の農村過保護、都市に対する保護の手薄さ、こういうような状態が果たして許されていいかどうか。つまりそれほど農村は都市に比べて貧しいのかということが一番の問題になると思います。
 そこで、ちょっと公社に伺いたいんですけれども、まず、たばこ作農家と一般の農家とを比べてみまして、専業農家、一兼農家というのがたばこ作農家には非常に多いというのは数字的に証明されるわけですね。いかがでしょうか。
○説明員(生平幸立君) 今お尋ねのありました専業農家でございますが、たばこの方は一般の農家に比べて確かに専業農家の比率が大変高うございます。専業農家が割合で言いますと三〇%、第一種兼業が五五%、第一種と専業農家合わせまして八五%というような状況でございます。
○青木茂君 専業農家、一兼農家が非常に多いということは、これは裏を返しますと、たばこ作農家というのは反当収量も多いし、農家全体の中においてはかなり富農が多いんじゃないかということが一つ言える。
 もう一つ伺いますけれども、収入面において、例えば販売金額に対する農家の割合を考えてみまして、例えば上の方、五百万円から七百万円層は、たばこ作農家で何%ぐらいあって、一般全農家平均ではどれぐらいあるか、この数字についてはいかがでございましょうか。
○説明員(生平幸立君) 今資料を調べまして後で御返事させていただきたいと思います。
○青木茂君 そうですか、お願いを既に申し上げていると思いますけれども。
 私の方の資料で見ますと、五百万円から七百万円層は、たばこ作農家で一二・一%あるのに対して、全農家平均ではわずかに二・五%だ。七百万円から一千万円を比べてみますと、たばこ作農家では四・八%だけれども全農家平均では一・四%だ、大体こんなような数字が私どものところにあります。間違っておったら後から訂正してください。こういう数字を見まして、たばこ作農家というのは一般農家平均に比べて非常に富裕である、豊かであるということが言えるんではないかと思います。
 それともう一つ、今度は一戸当たりの平均農地面積ですね。平均農地面積は、たばこ作農家と全農家平均を比べてどうでしょうか。平均農地面積はございますか。
○説明員(生平幸立君) 最初に、先ほど先生のおっしゃいました数字、そのとおりでございます。
 それから一戸当たりの平均耕地面積は現在六十アールでございます。昨年度は五十八アールでございました。
○青木茂君 全農家はどうですか。全農家と比較してみてください。――それはちょっと難しいですか。それじゃ結構です。
 数字は後からお調べいただくとして、大体の傾向といたしましては、間違っているかな、私の調べたところによりますと、一戸当たり平均農地面積は、たばこ作農家で大体百六十アールぐらい、それから全農家で八十二アールぐらいだと。大分運うんですけれども、これは後からお教えいただきたいと思います。
 いずれにしましても、こういう数字から見まして、農家全体の中においてたばこ作農家というのは、どちらかと言えば、富裕層が多いということが言えるんではないかと思います。
 その次には、今度は都市に比べて農村が一体豊かなのか貧しいのかということでございますけれども、そういう数字がなかなか難しいという御返事でございましたから申し上げますけれども、例えば経済企画庁の消費動向調査によりますと、全自動型電気洗濯機の普及率、これは全自動型ですから最新型ですね。あるいは音声多重のカラーテレビの普及率、これも最新型です。最新型の方は農家の方が普及率が高い。それから新築住宅戸数においても農家の方が多い。住宅の広さは言わずもがな農家の方が広い、こういう数字が一応出ております。それから貯蓄状況、これは日本銀行の貯蓄増強中央委員会の調査におきましても、農家の貯蓄平均の方が都市のサラリーマンの貯蓄平均をはるかに上回っている、こういう事実もございます。それから一人当たり家計費ですね、一人当たり家計費を比べてみますと、農家の場合は八十九万一千六百円、これは都市を一〇〇とした場合に一一〇・六の値になっています。一割ほど農家の方が高いわけですね。
 こういう数字をずらっと並べていきますと、ずっと明治以来の政策の基本であったところの豊かな都市・貧しい農村、これは崩れているんだ、特にその中でも、たばこ作農家というものは実は豊かなんだということを我々としては言わざるを得ない。そうすると、豊かな都市・貧しい農村というものが既に崩れておるにもかかわらず、依然として都市は豊かに農村は貧しくということでもって政治の基本が行われている。今度の専売五法案は余りにも手厚い農家保護だと我々としては考えざるを得ない。つまり農政過保護であるというふうに言わざるを得ない。もっと言うならば、圧力団体に土下座しちゃっているんじゃないかということだって言えないとも限らない。ここら辺のところは私どものサラリーマン側のひがみというふうに片づけられてしまっていいものでしょうか。これはちょっと大臣にお伺いしたいんです。
○国務大臣(竹下登君) これは青木委員の御指摘もそれなりの数字があろうと思っておりますが、私が昨年、永年勤続二十五年のときに全部調べた県民一人当たり所得、農村、都市とは必ずしもいきませんでしたが、県民一人当たり所得を見ますと、昭和五年は東京の一〇〇に対してちょうど福島県が九分の一ですよ。それから意外と関東の周辺が貧しい、一人当たり所得でございますが。それから昭和五十五年で見ますと、それが一〇〇対六五とか七〇とかに近づいておりますが、総合して一人当たりで見ればやっぱり都市の方が依然として高い。こういう状態に私はあると思っております。
 それからもう一つは、私も出身は農村というより山村でございますが、青年団長をしておりましたときに、たばこ耕作の実態、私も一、二度経験しておりますが、乾燥場に入ってみて、これは大変な重労働、労働集約型とでも申しますか、そういうものであるということは私も数少ない体験の中で感じました。とてもここで長らく座っておるというような楽なものではないという感じをいたしましたので、本当にそういう労働に対する対価というものはあり得るなあと。地域的にごらんになりますと、いわゆる日本のウクライナ地方みたいなところにはないわけでございます。これしかないという形のところに苦心して先輩たちが農政の面で定着さしてくれたものだなという感じはそのとき受けました。
 最後にもう一つ、いわば農工並進とかいろんな議論が出ましたが、あくまでも政治というのは全国民を対象にして対応すべきものであって、別にプレッシャーグループに土下座したという感じは持っておりません。あの団体の方とお話しなすってみますと、なかなかいろんなことをお考えになっておりますし、むしろ先生、サラリーマン党というのをおつくりになったんですから、これもまたある意味においてはプレッシャーグループとか、こういう感じを受けたわけで一あります。
○青木茂君 農村の方のそれが非常な重労働ということは、これは私どもわかりますよ。しかし、都市のサラリーマンも別に机の前に座っているだけの仕事をしているわけではないので、物すごく満員電車に揺られましてえらい遠いところから、農村みたいに職住接近というわけにはいきませんものですから、遠いところから通わなければならない、それは同じこと。それから国民の立場、これも当然でございます。当然でございますけれども、今や国民と申しますけれども、有業人口の七割以上は給与生活者なんですよ。そうすると、我々が国民という概念で物をとらえますときは、有業人口の七割以上を占める給与生活者というものを中心に考えるのが数の原則、民主主義の原則だと思うのです。
 もちろん農業の場合ということだって、私はこれをむげには否定いたしません。いたしませんけれども、言葉が過ぎたらちょっとお許しをいただきたいのですが、米とはわけが違うということですよ。たかがという言葉を使って、この前大分しかられたのですが、たかが嗜好品産業なんです。たかがたばこ産業なんですよ。別にこれがなくなったって人間は死なない。私みたいなヘビースモーカーがそういうことを言うと大変どうもじくじたるものがございますけれども、そういう嗜好品産業にこれだけの手厚い国家保護というものを加える必要が果たしてあるだろうか。むしろ私は米を守るためにたばこはある程度ダメージ受けたって仕方がないんじゃないか、開放体制へ入っていくんだから。そういう感じがこの法案の審議というものをずっと拝聴しておりましてどうも抜け切っていないということです。私のサラリーマンなるものを背景とした者のひがみでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 私、別にひがみとも何とも感じておりません。しかしながら、いわゆる開放体制に即応する、それ以前の体制というのは、まさに製造独占であり、流通独占であって財政物資であるという歴史の流れに、今の葉たばこ栽培というものが存在しておるわけでございます。それも日本の、考えようによれば、そうしたウクライナみたいなことでないところに地域農業として育ったという歴史から見れば、開放体制に即応していくときに、激変というようなものは避けてあげるべきではないか。
 ただ、嗜好品という問題でございます。きのうも連合審査でお答えいたしまして私もじくじたるものがありましたが、必ずしも安全保障物資だとは言えないかもしらぬと思いましたけれども、後から振り返ってみて、昔の軍歌に一本のたばこも二人で分けてのむと書いてありますと、幾らか安全保障物資かなという感じも受けたわけでございます。
○青木茂君 それがあるから私も恐らく採決のときにはある程度前向きな意思表示になると思うのですよ。それがなければ、つまりたばこ事業八十年の歴史がなくて、それなりに皆さんが仕事で生活をなさっているという事実がもしないとするならば、私は外国たばこをどんどん入れまして、それにごまんと消費税かければ財政の負担へのメリットはそんなに下がらないと思います。全く自由化してしまって外国たばこと対等な競争をさせればですね。しかし過去八十年というものを考えたら、そこまで言うのは暴論である、暴論であるからそこまでは申し上げない。しかしながら嗜好品産業なんだから、とにかく余り我々の納めた税金がどんどんそっちへつぎ込まれるということについては余り愉快とは言えないわけなんです。
 もう時間が来てしまいましたから余りくどくどしいことは申し上げませんけれども、とにかくサラリーマン世界におきましては、最近においてもヤタガイがつぶれましたし、リッカーがつぶれましたし、ちょっと前には大沢商会がつぶれて、古くは安宅産業がつぶれた。非常に多くのサラリーマンが路頭に迷ったわけですよ。それに対して別に国の方は保護したということはなかった。なぜ農村のみ、葉たばこ農家のみに、絶対に収入の減る心配のない手厚い保護を法文の中に明記するようなところまでの過保護を加えなければならないのか、私は依然として疑問が残るというのが率直な印象でございます。むしろ、もう豊かな農村・貧しい都市ということで政策の基調を百八十度転換させるのが二十一世紀じゃないかというふうに考えておるということでございます。
 意見を最後に申し上げまして質問を終わります。
○委員長(伊江朝雄君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(伊江朝雄君) 速記を起こして。
○鈴木和美君 いよいよ総理の御出席をいただきまして、たばこ関係五法案の審議も大詰めに来たような感じがいたします。私はこの瞬間、十万人のたばこ耕作者、並びに二十六万店のたばこ小売店、そして約四万人のたばこ労働者、並びに関係の産業の労働者、塩に携っておる方々約百万人と言われる人々、並びに三千五百万人の消費者が総理の答弁に大変関心を持っていると思うのであります。なぜかと申し上げますと、戦費調達という不幸な目的で発足した専売事業ではあったかもしれませんけれども、幾多の変遷を経て国の財政や地方財政や国民生活に大いな貢献をしてきたことだと思うんです。この関係団体は、どちらかというと、今回のたばこの自由化というものに対して、緒論から申し上げますと時期尚早である、そういう感じを持っていることを私は承知しています。それだけに、きょうの総理の答弁に関心を持っていることだと思います。
 もう一つ問題を申し上げたいことは、私も竹下大蔵大臣に申し上げたんですが、専売公社に三十年御厄介になりまして、専売の中で働いてきた一人であります。それだけに、自分たちが働いてきた八十年、また公社制度三十五年が幕を閉じるのかなあと思いますと、万感の思いで質問しているつもりであります。
 同時に、私は同僚の議員の皆さんにも大変ありがたいと思っておりますのは、数々のたばこに関しての御提言や御批判や激励などをいただいて、大変うれしく思っています。また竹下大蔵大臣を初めとする専売当局の答弁につきましても、腹を割った真摯な答弁に対して私はうれしく思っています。
 同時にもう一つ私がうれしいと思うことは、この委員会を通じまして、たばこというものに関して大変な理解を得る国民的な宣伝ができたことも大変うれしく思っているところであります。いいにつけ悪いにつけ、喫煙者と嫌煙者が同居しているというこの現実を見詰めてどうするかという対策、協議が行われたことを大変うれしく思います。私もかつてスモコロジー運動ということを提唱しまして、たばこを吸うことに対して嫌がる人たちのいろんな意見を聞いてみましたら、大体のところはマナーやモラルで解決するようなことでございました。そういう意味から申し上げまして、皆さんから大変な御批判、また御意見、御提言をちょうだいしたことをうれしく存じている次第でございます。
 さて、そこで総理にお尋ねしますが、後ほど自由化の問題は触れますが、包括的に今日まで続いてきた八十年の歴史と、三十五年の公社制度に対しての評価の問題について、総理としてもう一度この席でお伺いをしておきたいと存じます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 我が国におきまするたばこ専売制度は、百十数年にわたる長い歴史を持っていると思います。この間におきまして、関係者が一方におきましては、国民のニーズにこたえまして国民を一面においては喜ばせ、また一面におきましては財政専売の収入を国家のために働いて出していただきまして、国のためにまた社会のためにも大変お働きくださってきました。このことに対しましては深く感謝いたしたいと思います。
 しかし、最近の内外の経済情勢の変化、あるいは国民のニーズの変化、あるいは国際関係におけるさまざまな情勢変化等を踏まえまして、この際はこの伝統のある公社制度がら、さらに一歩企業の経営責任体制を重んじ、かつまた労使間の新しい世界へ一歩踏み出して、さらにたばこ産業というものの基礎を強化して永続的にしていきたい、そういう考えに立ちまして今回の改革を考えて法案を提出した次第でございます。
○鈴木和美君 もう一つ感想をお尋ねしておきたいのでありますが、先ほども申し上げましたように、たばこというものが何か死の商人みたいな一時宣伝をされたことがあるのでありますが、私はこの席でも宮城参考人からいろいろ意見などをお尋ねしたり、私自身もたばこの効用について生理的な効用や薬理的な効用や精神的な効用また社交的な効用、趣味の問題などなど取り上げまして、決しておっかないものではないよということを申し上げ、私は最後に、喫煙は大地の生み出したものを味わうために人間が工夫した新しい創造の傑作であり、人間の最も古くからある暇つぶしの偉大さである、そういうふうに規定づけまして、どうぞ愛用してもらいたいというふうに思ったのでございますが、総理のたばこに対する感想はいかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、小説家とか弁護士さんとか大学の先生とか知的産業に従事する皆さん方はたばことでないと共存できないという環境にあるように思います。いろいろ知的労働をしていく場合に、まず一服という関係で新しい発想が生まれる、あるいは心の余裕が生まれる、そういう面は今まで非常にあったのではないかと思います。それから一般庶民にいたしましても、割合に低廉に手軽で、そしてそういう心の憩いあるいは味わいを得られるという手軽なものはたばこであったのではないか。一面におきましては。これが健康に非常に差し支えるという議論もありまして、確かにそういう面はまたそういう面で考えなきゃならぬ面もあると思いますが、そういう目に見えない大きな効用というものが社会の中で果たしてきたということも否定できない事実である、そう私は思っております。
○鈴木和美君 これは答弁が要りませんけれども、先般国鉄の皆さんにおいでいただきまして、私は禁煙区間というのはどうも納得できないということを提唱しておきました。禁煙時間とか禁煙帯とか、そういうものは人の嫌がることなんですからそれは避けたらいいと思う。しかし、昼間のときにがらがらの列車で、東京から平塚までは禁煙区間ですからおやめくださいと、そこまではちょっと行き過ぎかなと思って、国鉄の皆さんにもよく検討してほしいということを申し上げておきましたので、頭の隅に入れておいてほしいと思います。
 さて、今回の臨調の答申と本法案の内容でございますが、私はこういうふうに理解をするのでございますが、間違いがございましょうか。
 第一次臨調のときに問題になった公共企業体のあり方については比較的官業非能率論というところから問題が提起されていろいろな検討があったように思うんです。専売の生産性についても同じ枠組みで議論されてきたと思うんです。しかし、いつの間にかたばこの自由化というか開放体制というか、そちらの方が前面に出てしまって、臨調が言っているものとは全然違った角度から今回問題にされているんじゃないかと思うんです。例えば時期的に言いますと、一昨々年あたりからが大きな問題じゃないでしょうか。もっとはっきり言うんであれば、経済摩擦の問題で取り上げられておって、江崎さんが団長として出かけられたときに、アメリカ側との間にたばこの自由化の問題が比較的鮮明に議論された。こういう経過を私はたどっていると思うんです。
 ですから、問題を取り上げるときに、私は、ある意味では今回適切な政府の措置だと思うんです。つまり民営は善であり官は悪であるというような感じから言うと、大蔵大臣からも御賛同を得たんですが、たばこ事業についてはそれほどではないよと。どういう意味がわかりませんけれども、世界に類を見ない労使関係だとまで言われたんでございますが、しかしそういう製造産業であり販売産業でありますから、先取りして対応することは当然であります、我々も。ですから、そういう意味で対応してまいりましたので、自由化という問題とは切り離して、一体どういうような形態であった方がいいのかという角度から議論すべきでありまして、そういう意味では、民営ということになれば、ビッグスリーと言われるフィリップ・モリスもレイノルズもBATも、これは次は資本の導入ということを明らかに考えているわけですから、資本の導入ということは何かと言えば、民営・分割にしなければとても入ってこれないです。そういう意味で、フランスのSEITAがとった一社で対応するということにおいて、民族産業を守るという立場から、私は製造独占という形をとられたことは適切だと思うんです。
 そういう意味で、臨調が考えていたものと今回政府が提案したこととは明らかに違う、こういう性格において違うんだということを、私は総理からはっきり答弁していただきたいと思うんです。そうでない限り、また不安が残るということになると思いますので、基本的な部分についてお答えいただきたいと存じます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 公社制度の問題の中では、私の記憶では、公共企業体労働関係という問題が最初から取り上げられて、スト権奪還という問題で政治的に取り上げられてきたと、こう思っております。それから臨時行政調査会が始まりましてからは、行政改革的観点から公社制度というものが点検されまして、これは単に専売公社のみならず、電電公社等も一緒に取り上げられて、公社制度一般としてこれが取り上げられてきたと思います。その後、自由化の話がおっしゃるように連れ添うように出てきたということも否定できません。
 しかし、自由化の話というのは臨時行政調査会が検討していたその方面と一致しておったことでございます。臨時行政調査会の方向は、国家的な規制をできるだけ排除して、そして労使間の経営並びに労働関係の責任体制、自主体制をつくらせようと、そういうのが主眼であったと思います。そういう方向に持っていくという面から見ますと、自由化という問題は当然出てくるので、そういう意味においては、市場開放あるいは自由化という線と同方向、同行する方向であったと思うんです。そういうようないみんなさまざまなものが複合的に結びまして、今回のこういう法案として提出されてきたと、私の意識においてはそう考えております。
○鈴木和美君 過般、臨調の岩村参考人においでいただいて、臨調の考えておった専売事業、たばこ事業についての御意見を伺いました。私は大変奇異に感じたんですが、お話を承っている中で、特殊会社の方向から安定したならば民営に切りかえるというのが臨調の方針であった。それならば、特殊会社はいつのころ力がついてそして民営に切りかえるというようなタイムスケジュールみたいなものを考えておるのかという質問に対してお答えになったのは、いや、実はそう深くは考えていないんだ、民営というような競争原理を常に掲げておって、つまり精神訓話というか、ある意味ではむちたたきというか、そういうものを掲げておれば競争原理が導入されてしっかりやるであろう、そういう意味で臨調は述べておったんだというお話を承りまして、はあ、そうですかと思ったんです。
 そういう面では、臨調はどうあるにしても、政府がとった今回の措置は、製造独占という形で民営に持っていけば独禁法の問題もございましょう。それから分割・民営にすれば、待ってましたとばかり外国資本の投入ということが行われて、民族産業が全滅するというようなことになると存じますので、この民営・分割はしない、そして製造独占は恒久的に守るということについて、いささかも変更はないということについての見解をもう一度総理からお聞きしたいと存じます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の法案におきましては、専売公社からたばこ産業株式会社に移行するに当たりまして、関係者にできるだけ不安を与えないように、そういう意味もあり、そういう意味からも製造独占あるいは葉たばこの全量買いつけ、こういうことは暫定措置としてではなくして法案で明記しておるところでございます。それ以外の価格の問題とか、あるいはその他の小売店の問題でございましたか、そういうものは認可というような形でやらしておりますが、ともかくそういう関係者に不安を与えないで円満に推移していくという配慮から、法案におきましては、そういう暫定措置としてではなくしてこれを取り扱うというふうに考えておりますので、それで御了解願いたいと、そう思っておる次第でございます。
○鈴木和美君 大変重要なことでございますので、もう一度お尋ねしますが、今回の民営・分割は考えない、また製造独占、全量買い上げ制度などなどについては、恒久的に考えるということであるということに理解してよろしゅうございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) こういう法案を提出いたしましたその法案の考え方というものは、申し上げたとおりでございます。
○鈴木和美君 次に、恐らく現在のこういう議席の数でございますから、私がどう述べようと、我が党がどう述べようと、たばこ事業は自由化の中に突入することになるんだと思うんです。そのときに私は大変心配していることは、専売公社の皆さんが、役員と職員とは違うという問題はあったにせよ、暫定的なお仕事をこれからまたなさるんだと思うんです。そのときに、大変心配を持っていることは、公社の皆さんはそれなりに優秀な方々でございますが、実際上、国内において本気になって競争したときの状態を知っているのは沖縄のたばこだけなんですね。沖縄は三社ございまして、沖縄煙草、琉球煙草、そしてオリエンタル、この三つがあの島の中で大変激戦しておった。そういう経験を生に見ておるんですが、あの巨大な外国資本がコングロマリットで稼いだものをどんと持ってくるということに立ち向かうということは、私は時期尚早の感がありまして、大変不安があるんです。
 ましてや、私は大蔵大臣にも申し上げたんですが、フィリップ・モリスがかつて小田原工場でマールボロというものをクロスライセンスでつくることになっておった。そのときに、最初の一年は二%国内原料を入れる、最初向こうから持ってきたいというわけだったですが、それを国内の生産農家のこともあるから、二年、三年後に五〇%国内産葉たばこを使ってマールボロの味を出す、そのくらい技術を持っていると述べられた。それでクロスライセンスの約款は成立した。どうでしょう。今日小田原でつくっているマールボロの味とジュネーブで吸うマールボロの味とニューヨークで吸うマールボロの味とは同じでしょうか。私は一つの例を挙げて述べているんです。だから、彼ら外国資本の手口、やり方というのはそんななまぬるいものじゃないと思うんです。
 ここで一つは、関税の問題が九〇%から三五、そして二〇に落ちてきました。彼らはそのときに自由化の反対は余りしてないです。関税だけを下げてくれというのが当面の主張じゃなかったですか。関税だけを下げてくれ、そして関税の二〇%になったところをもって自由化の今度は申し入れをする。そういうことを考えたときに、販売の促進政策についても、マージンの問題は定価制が維持されたり、いろいろな並びがあってなかなか難しいでしょう。しかし、彼らがシェアを拡大するというときには大変な販売政策をとってくることを予期しておかなきゃならぬと思うんです。専売公社の予測を聞くと、五年後に五%ぐらいは決意をしなきゃならぬというふうに述べています。決意をしなきゃならないということと現実に入ってくるのとは違います。公式の場ですからそれ以上の数字は述べられないとは思うんだけれども、おさおさ怠りのない対策はとっていることと信じます。
 しかし私はそんな簡単な問題じゃないと思うんです。だからこそ私は、今自由競争に立ち向かうためには大幅な経営に対しての権限とそして当事者能九というものを与えておかないと、政府が縛るようなことがあっては自由な競争力がつかないと思うんです。そういう意味で、許認可事項それから監督、いろいろな問題がありますし、政令、省令で二百何項目でございますが、どうぞそういう意味では自由な競争体制がとれるように当事者能力を最大限与えていただきたいと存じますが、その基本的な考え方を総理にお尋ね申し上げたいと存じます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の公社制度の改革というものは、民間的手法を導入して効率化させよう、その中では競争原理の導入、それから経営における当事者責任能力の付与、同じく労使関係における自主責任体制の確立、そういう方向をもって効率化の基礎をつくるものである、そういう考えに立ってこのような法案の基礎がつくられていると私は理解しております。そういう考えからいたしましても、できるだけ当事者の自主責任体制を尊重していくことは望ましいと考えております。
○鈴木和美君 四回の委員会の審議を通じて、竹下大臣からもある程度の見解が述べられているのでありますが、ここで竹下大臣からももう一度この経営の自主制、つまり当事者能力を拡大する意味での、監督権とか認可権とかまた株主権というようなものを行使していたずらに統制をとるというようなことはないんだぞ、ましてや事業計画については日航並みでいいぞということについての御答弁をさらにここでもう一度お伺いいたしたいと存じます。
○国務大臣(竹下登君) 基本的には、ただいま総理からお答えがございましたように、いずれにしても経営の自主性というものを最大限発揮されるように、政府としては必要最小限にとどめていくという考え方でございます。この考え方に沿いまして、認可権等の運用につきましても主体性、自主性がいささかも妨げられることがないようにという配慮をまず最高限度に行うべきものであるというふうに私は理解をいたしております。
 それから国でする計画の中の問題でございますが、認可対象であります事業計画の範囲につきましては、今後大蔵省と専売公社の間で話を詰められるべきものではございますが、新会社の弾力的な企業運営が阻害されることのないように考えていくというのは当然のことでございます。今日、最小限と言われておる日本航空のあり方等、私どもの頭の中には十分入っておるつもりであります。
○鈴木和美君 この機会に大蔵大臣にもう一つお尋ねしておきますが、今度新しい制度になりますと、たばこ小売店の指定というものが許可の制度にかわりまして、その事務取り扱いは新会社が行うことになっていると聞いておりますが、仮に小売人指定の不服審査というような問題が出てまいりますと、これは大蔵省が取り扱うことになるわけですね。そこで、大蔵省のどこが取り扱うことになるのか、そこを明らかにしてください。
○政府委員(小野博義君) 技術的なことでございますので、私どもの方からお答えさしていただきたいと思いますが、小売店許可につきましては、事業法によりまして、許可権者は財務局長に委任されることになるというふうに考えておりますけれども、この許可に対する不服申し立て、正確に申しますと審査請求ということになろうかと思いますが、これは上級官庁である大蔵本省の方に上がってくることになろうかと思います。
○鈴木和美君 今本件につきましては検討されているようでありますが、私の聞いている範囲では、財務局が取り扱うというようなことを聞いておりますので、これは大蔵大臣にお願い申し上げますが、これからの仕事の関係もございますので、大蔵関係の労働組合で結成している大蔵労連との間に入って話を十分聞いていただきたいことを要望申し上げておきたいと存じます。
 さて、時間もありませんので、次に入らさしていただきますが、葉たばこの問題について総理の見解をお尋ねしておきたいと存じます。
 私は、葉たばこの問題を論ずるに当たりまして、次のような見解を持っているのでありますが、間違いでございましょうか。確かに葉たばこというものは食糧というような枠組みの中から考えればおかしいと思うんです。これはおかしいかもしれません。しかし、農業とか農政という立場から考えれば、葉たばこといえども、日本農業の構造の中から出てきている縮図だと思うんです。例えば葉たばこが割高だということがよく言われますけれども、東南アジアみたいな開発途上国との間の割高論を言うんであれば、それは日本の近代的な生産性や経済の膨らみとの関係です。アメリカとの関係を比較するんであれば、あっちは広大な土地で生産性向上になり得る構造的な条件にあるわけです。我が国はそれに対してどういうふうにしたらいいでしょうか。つまりこれは葉たばこに限らず全体的な農業の持っている問題点だと私はまず考えます。
 その次は、たばこ耕作というものは、私は何回も言うんですが、いい悪いはともかくとして、現実に耕種作物では米に次ぐ第二位の作物です。農作物では第六位か第七位です。それだけ地域経済や地域の雇用マーケットに対して寄与している現実の事実というものが私はあると思うんです。
 それからもう一つは、全国にまんべんなく、東京、大阪を除けば、ありますよ。私も総理がせっかくおいでになるというから群馬県も調べてきました。群馬県にも二百六十七人の耕作者がおります。竹下さんのところには千三百人も現実にはおるわけです。非常に広範囲にわたっているということが一つ。広範囲にわたっているということは、大型農場に適しているところもあるけれども、また逆に言えば、たばこの作物しかできないというところもあるんだと思うんです。それが全国に散らばっているという実態です。
 もう一つ述べたいことは、先ほど青木先生からもお話がございました、私は逆な意味でたばこ耕作者というのは農家らしい農家であると言っているんです。農家らしい農家である。つまり、その一つは専業農家の率が多いということ、二つ目は農業収入依存度が高いということ、三つ目は共同組織への参加率が高いということ、四つ目には雇い入れている雇用率が高いということ、五つ目は一月当たりの耕地が広いということ、それから六つ目には十アール当たりに対する固定資本額が他の農業よりも高いということ、そういうような状況を見てまいりますと、農家らしい農家である。裏を返せば、たばこ作と逆なことがなかなかできにくいということを意味していると私は思うんです。そういう状態にある現実を私は見逃してはならないとまず思います。
 さて、二つ目は、先ほどアメリカと東南アジアの問題を申し上げましたが、私は日本の農業の葉たばこを考えるときに、時期尚早論を私が言うのは、一つは過剰在庫というものを解消していってほしい、二つ目には職員の年齢構成というものを十分に考えた上で無理なく転換できることを見詰めるよう、三つ目は喫煙と健康の国民的なコンセンサスを得る必要がある、本来であればこの三つが解消されているときに自由化に踏み切ることが一番いい。その意味で私は三年早いと言っているんです。しかし、そのこともできず、六十年の四月一日から突入することになります、過剰在庫を抱えたままで新会社への突入です。
 私は、新会社になった状態の中で――先ほどの御議論じゃないですけれども、米が余ればしょうちゅうにでもアルコールにでも変えることができます。しかし、葉たばこは肥やしにもならぬです。それを国民の税金で支えろといったって理屈が立たぬです、これは。そういう意味で、農家も新会社も自助努力は積極的に続けなきゃならぬと思うんです、当然のことだと思うんです。しかし、総理、どうでしょう、過剰在庫の問題、これからシェアが食われる部分、ソフト化に入った原料の低下の部分、それを全部新会社に持たせるということはどうでしょう。今、従価率に直して四六・何%かの率で合意したでしょう。それは葉たばこ価格も含まっているからその率でしょう。しかし、葉たばこ耕作の問題を考えるときに、面積が大きくて過剰にできるという問題と、この対策の問題と農家の生活をどうするかという問題とをごちゃまぜにしては私はいかぬと思う。それは農家の生活は生活なりに保障しなきゃならぬと思うんですね。それから大きな面積であって過剰に入るという問題は、これはこれなりに対策を考えなきゃいかぬと思う。いずれにしても、新会社が原料の上がり部分は全部ひっかぶるということになりますね。それは大変過酷じゃないかと思うんです。
 そこで私は総理にお尋ねしたいんですが、農政負担部分とか社会的政策の部分は政府が補うべきじゃないですかということを述べてきたんです。本会議のときにも総理に述べました。そうしたら答弁のときに、それは新会社でやっていったらいいじゃないかというお答えだったんですが、私の今述べてきた日本農業の今日の現状や葉たばこ農業の現状や激変緩和の問題を考えたり、新会社に対して競争の激しい荒波に突っ込ませるときにそのまま全部新会社に持たせるのかという意味を考えて、農政負担部分についてどういう見解をお持ちでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) たばこ産業の問題になりますと、たばこ耕作者の問題というものは今切り離せない重大な問題であります。たばこ耕作者の問題というものは一種の農業問題であり、また社会問題でもあると思います。おっしゃったような特質は我々にも十分考えられると思っております。しかし、でありますからこそ、全量買い入れということを法的にも書いている、保障しておるわけでございまして、その点は前と変わらないわけであります。
 そのほか、公社からこの会社に移行することによって、企業経営あるいは工場管理万般にわたった合理化、能率化を行っていただいて、そして競争力、対抗力を持たせ、生産性を向上さしていただくようにしていきたい、それが競争原理の導入という形で進んでいくであろう、そう考え、これで新風を吹き込んだわけでありまして、その点は競争という形にもなるんでございますから、ですから今度、会社にお入りになる方々もその点は覚悟していただいて、そして十分闘うだけの気持ちを持って一生懸命おやり願いたいと私らは思うのであります。
 でありますから、いわゆる農業問題というものについて国家的保護や助成を行うという考えはございません。これは全量買い上げという形におきましてある程度そういう点は維持しておるわけでございますから、今後とも会社との話し合い、あるいはそのほかによりまして御努力を願っていきたい、お願いをいたしたい、そう考えておるわけでございます。
○鈴木和美君 私の聞き方が悪いのかもしれません。もう一度尋ねたいと思うんですが、農政負担部分というようなという言葉を使うときに、農政負担部分とは何かという定義がはっきりしないとなかなか共通の土俵で議論できないと思うんですね。私は、農政負担というときに、一つは、先ほど総理は全量買い上げ制度だから担保している、保障しているというお話ですが、私はそう思わないんです。全量買い上げ制度というものは、裏を返せば、これは集団的調整なんですよ。なぜかというと契約なんですから。余るものを買うわけないでしょう、余るものを。全量買い上げ制度だ、こう言うと何かえらい保護をされたみたいな感じになっているんですけれども、私はそう思わないんですよ。ただ、必要なものをつくってもらうときに使用にならない部分は外して買いますよ、それは当たり前だと思うんです、製造独占ですから売るところがないんですから。そのときに農政負担部分という言葉を使うときには、つまり減反とか減産とかをやるときに、そのときの補償金とか奨励金なんかも農政負担部分でしょう。今度は品質改良のために土壌とか構造を変えなきゃならぬというような改善事業というのもありましょう。そういうようなものの農政負担部分というのが一つありますね。もう一つは、米と同じように、俗称いわゆる政治価格ですわ。そんなことでやられたら大変だ、新会社はもたぬぜというようなことがあるわけであります。
 したがって、その二つの意味から、先般、連合委の中でも議論がありましたが、農水大臣は前段の方は従来と同じようにやりましょうというお答えでございますので、そこのところを区分けして総理からもお答えをいただければ大変ありがたいです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は一般論として申し上げておりますが、ともかく公社からこのような株式会社形態に移行するというについては、民間的手法を取り入れでできるだけ効率化させよう、そして経営にむしろ責任体制を持たせよう、そういうような考えに立ちましてやっていく。したがって労使関係においても、あるいは耕作者組合との関係においても、新会社が責任を持ってこれを処理していく、それが望ましい形であると思って、余り国家的統制やら関与はしないという建前に立ってやっておるわけでございます。いろいろ助成や何かというものが出てくると必ず国家的統制とか関与というものが生まれやすいものですから、そういう面からもこれは一本立ちのそういうものとして合理的経常を促進していただきたい、そういう念願に燃えておる次第なのでございます。
 私は農水大臣がどういう答弁をしたかよく知りませんが、その辺の分界点というようなものは非常に専門的、技術的なところにもなりますから、これは政府委員から御答弁さしていただきたいと思っております。
○鈴木和美君 本件についてなお付言しておきます。答弁は要りませんので、どうぞ頭の中に入れておいてほしいと思うんです。
 本委員会において私もこの問題を取り上げて、竹下大臣の答弁もいただきました。大変難しい問題であるけれども、いろんな意見を踏まえて勉強してみようということで、今直ちにどうだということはありません。なぜならば、新会社はあの税率で決めてスタートするんですから、今直ちにどうかということを私は述べているわけじゃないんです。これからの推移を見ながら、新会社に一挙に負担がかからないような方向においてどういう方策がいいのか、ぜひ検討していただくように要請を申し上げておきたいと存じます。
 さて、次の問題は労働問題でございます。
 この労働問題につきましては、先刻、赤桐同僚委員からすべて質問がございまして、竹下大臣からもお答えをいただいたのでありますが、私流に言いましてこういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
 現在、日本専売公社に勤めている職員が新会社に移行するときには、現在締結してある労働協約はすべて原則的にこれは移行する、それから二つ目は、新会社移行後の新しい合理化問題などなどにつきましての協議は、合理化協定の精神にのっとって、近代的労使関係ですべて話をしていくというように考えているというお答えであったということに理解をしているのでありますが、竹下大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) このたびの改革において専売公社を株式会社形態に改組して、労働関係につきましては労働三法を完全適用する、こういうことでございます。すべて労働条件の決定等は労使双方の交渉にゆだねられるべきものでありまして、労働協約の内容についても労使の協議によってこれは決定さるべきもの、このように理解しております。
○鈴木和美君 我が党としての最後の締めくくりを竹田理事にお願い申し上げてあります。
 私はここで自分の最後の感想でございますが、何といっても、甘いと言われれば甘いかもしれません。しかし、私の経験によれば、長い八十年間の歴史の中で荒波に突入するわけでございますから、私は専売公社総裁以下、全く腹を固められて、新しい職員と国民の期待にこたえられるように積極的に努力してほしいと思うんです。
 そういう意味で、総理並びに大臣におかれましてもあらゆる面で、原則は原則としながらも、新会社が健全に発展するようにあらゆる御配慮をいただくようにお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと存じます。
○竹田四郎君 私は、あと残された時間、数問、総理にお聞きしたいと思います。
 私は、今度のこのたばこの審議を通じまして、この新しい会社の置かれている実態というのはどうももっとひどいんじゃないのか、こういうふうに思います。
 その一つは、外国のたばこの葉に比べまして日本のたばこの葉がコストが三倍もするというのが実態のようであります。しかもそういう葉が一年分も余分に在庫がある。しかもこういう中で流通専売がなくなって自由に輸入ができるということになった場合に、果たして今まで専売公社という温室の中でたばこを売っていたような、そんなのんびりした競争が一体あるだろうか。例えばマージン一つとってみても、私はかなり厳しいマージン競争、シェアの競争というのは恐らく行われるだろうということをこの前も述べてまいったわけであります。
 先ほども鈴木委員から小田原工場の話が出たと同じようでありまして、特に都市的な地域におけるマージン競争というのは極めて厳しいだろう、こういうふうに思います。そういう中で、公社はこの席において、シェアは五%ぐらいだということをずっと言っておられたわけでありますけれども、私はいろいろ他の方面から聞いてみますと、そんなことじゃとてもおさまらない、恐らく一〇%は突破するだろう、こういうのがその筋の皆さんのお話であります。
 この前、一本のコストについて鈴木委員が質問いたしました。一本の平均コストが三円だというお話であります。この中には、恐らく販売促進費から何からいろいろ入っていると思うんです。ところが、販売促進費を外国と日本と比べますと、日本は温室の中だから要らない、向こうは販売促進費をはるかに何十倍とかけている。たばこというのは、竹下大蔵大臣に聞くと、竹下大蔵大臣は一つの銘柄のたばこをいつまでも吸っているというわけでありますけれども、ある意味ではたばこなんて、これほど共通的な、味も似ている、においも似ているという商品はないと思うんですね。他面から言えば、私はイメージ商品だと思っております。三浦友和の「俺の赤」というポスターになるとたばこはばっと売れる。あるいはかつてのピースのデザインであれば世界的にピースは輸出できるようなことになる。そういうことを考えてみますと、最近の日本の公社のそうした意味でのイメージアップというのは、何といいますか、世界的な競争に勝てるような状態では私はないと思うんです。町を歩いて見てみればわかる。若者が持っているたばこのバッグというのは大体ラークですよ。マイルドセブンとかあるいは新しいたばこのバッグなんてのは余り見ないです。これ一つ見ても、いかに外国のたばこ資本の力というのは大きいのか、こういうことを私は痛感せざるを得ないわけです。
 そういうことを考えてみますと、どうも私は、今の公社の理事の方々が全部次の会社の役員になられるかどうか、それはわかりませんが、もう少ししっかりしてもらわなくちゃいかぬ。それでないと、たばこは、私は今は吸いませんけれども、財政物質なんですよ。国の収入に大きく影響する部面というのは多いわけですね。今日でも中央、地方を合わせますれば一兆有余の金が入ってくるわけです。こう考えてみますと、私は新会社が新しく発足するに当たって、これが本当に育っていくのかいかないのか、このことによって金の卵を産む鶏になるのか産まない鶏になるのか。恐らく三年ないし五年の勝負であろう、こういうふうに私は思います。
 そういう意味で、大蔵大臣はこれから新発足する会社がどんな状態だろうかというイメージをお持ちだろうと思うんですが、その辺はどんなふうでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 私は、まず端的に感じますのは、恐らく一つの法律案で衆参両院を通じてこれだけ長い時間各方面から御議論を賜った法律案は余り例がないじゃないかと思います。
 で、その間の論議を聞きながらさまざまの私なりにイメージの変化がございました。しかし、各方面の熱心な意見を外しながら、そしてまさに新会社の持ちます自主性尊重の立場から、労使双方並びにたばこ産業の大きな集団である耕作者団体あるいは小売人、それらが相互理解の上に立ってお互いの経営の合理化、効率化というものを目指していったならば、印象というと非常に表現が難しいんでありますが、まあほのぼのとした明るさというものが期待できると、こういう今日時点の認識を持っております。
○竹田四郎君 総理はどうですか。総理はこの次も、二年ぐらいは恐らく総理の座にいらっしゃるでしょうし、新会社がその間相当な基礎を固めると思いますね。まあ大蔵大臣はもう二期おやりになったからどうなるか、この次はわかりませんけれども、総理は恐らく二年おやりになる。ですから、竹下さんがおかわりになっても、中曽根さんは新会社については恐らく大きな責任を持たざるを得ないような定めになりそうだと思うんですが、特に総理大臣の御印象を聞いておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 竹田さんは簡単に物を言われますが、私にかわって竹下さんがなるかもわかりません。一寸先はやみでありますから何とも、何が起こるかわからぬと思うのであります。
 しかし、おっしゃるように商売の道は非常に厳しいと私は思います。特に外国資本が入ってくるたばこの流通過程、流通面というものを見ますと、これは本当にふんどしを締めて熾烈な戦いに勝ち抜く決意を新会社の幹部も従業員の皆さんもしていただかなきゃならぬし、政府といたしましても、それ相応の消費税をいただかなければならぬわけでございますから、このたばこ産業株式会社をつぶしてはならぬし、収益が上がるように我々は側面からまた見守っていかなけりゃならぬ。国の大事な財産を実は運営していただいておるわけでありますから、人ごとではないと私は思っております。それだけにこの役員になった方も、あるいは従業員になられた方も、ひとつ労使協調のもとにふんどしを締めて、自主的な立場を堅持しつつ、しっかりやっていただきたい。しかし、そういうふうに新しい風が入ってきますれば、新しいアイデアなり商法も生まれてくるはずであって、ちょっと批判がましいことになりますが、いわゆるお役所仕事で続けていったら、これはいかぬ。そのために株式会社という名前になるわけであります。そのために予算統制をできるだけ排除して、労使の責任体制を持っていただくという体制に切りかえるわけでありますから、それにふさわしいような経営をやっていただきたいと考えておるわけであります。
○竹田四郎君 総理がそういうつもりで新しい会社の幹部に激励していただくということは、新会社にとっても私は非常にいいことだと思うんですけれども、しかしそういっても純粋な民間会社じゃないんですね、特殊会社でありますから、政府の監督というものがいろいろな形でかかっているわけです。例えばさっきの小売のマージンなどにいたしましても、一律にくるのか、部分的にくるか、私はわからぬと思うんです。あるいは後で若干述べますけれども、新しい事業範囲の拡大にいたしましても、どんな仕事が出てくるかということはこれからの勝負だと思うんです。そのときには、例えばマージンのときに、あそこは少しマージンをつけ過ぎるじゃないか、こっちはマージンが少な過ぎるじゃないか、同じ小売人に対して新しい会社はマージンのつけ方が違うじゃないか、こういうような批判というのは役所の方から出る可能性が私はあると思うんですね。
 それから中央研究所なりあるいは平塚の試験場が持っているところの新しい技術、これは今まで私は少しおろそかにされていたと思いますね。もっとこうしたいろんな技術が、たばこだけでなくて、たばこ以外のところにもそうした技術が応用されるものはあると思うんですね。またそういう場合に、例えば新しい仕事をやれば、それは民業圧迫だ、特殊会社が民業を圧迫するのはけしからぬじゃないか、こういう議論というのも私は出やすいと思うんですね。
 それからたばこの種です。種というのは、今までたばこというのは専売公社の許可でしかつくっておりませんから、専売公社で与えられた種しかつくれなかったわけですね。しかし、これからはつくることは自由でありますから、あっちこっちから種が入ってきますね。しかし、専売公社はある措置によって自分たちの特殊な種は出さない、こういうことになるかもしれません。そういう可能性が私はあると思う。そのときには、おまえは種を独占しているじゃないか、特殊会社のくせにけしからぬじゃないか、こういうものが出やすい。そのときに役所が言うことは、大体今までそういうことを言ってきた。そういうことも私は、今後の会社を考える意味で、最後になればわかりませんけれども、最初のうちはそういうことを言ってもらうということは事業範囲の拡大にならないんじゃないか、こういうふうに思います。
 それからもう時間が来ましたから言ってしまって、あと御回答があればいただきたいと思いますが、なければ結構でございます。例えば新しい会社にしましても、今までに比べますと法人税は払わなくちゃならぬだろうし、資本金が幾らになるかわかりませんけれども、これも一割配当として一千五百億の資本金だとすれば、百五十億は払わにゃならぬ。これは全部政府に入る。そういうことを考えてみますと、私は新しい会社の利益というものはそうたくさん出ないんじゃないかと思う。
 でありますから、今ここで特に総理にお願いをしておかなくちゃならないのは、金の卵を産む鶏を今つくるわけでありますから、私は当分の間はいろんな形でこの新しい会社に、もう少し消費税を上げろとか、もう少し臨時特例金、特別な納付金を納めろだとか、こういうことはちょっとやめてもらいたい。もう現に今特別納付金ですか、一本当たり三十四銭、財政危機だからということで取っておりますけれども、これだって一千億です、お金は。こういうものも五十九年度で終わるわけでありますから、新会社の発足については、私はそういうこともひとつここしばらく我慢してもらって、金の卵を産む鶏を本当に育てていただく、こういう立場に総理が立っていただきたい。こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 趣旨には全く同感でありまして、この新会社がたくましく育つように我々も側面的に協力すべきであると思っております。しかし、一面においては消費税をいただく、そういう形にもなり、また法人税もいただくという形にもなると思いますが、いわゆる専売納付金の今までいただいた範囲内、その範囲内において消費税、要するに負担率というものも考えていきたいと、そのように原則的に考えておる次第であります。
○竹田四郎君 終わります。
○塩出啓典君 それでは総理にお尋ねをいたします。
 中曽根総理は臨調スタートのときにはたしか行政管理庁長官として、以来行政改革には一番関係もあり、大変力を入れてこられたと私は理解しておるわけでありますが、そういう点で今回の法案が臨調答申の内容とは変わってきておる、何点があるわけでありますが、そういう点について総理はどのように今度の法案を評価しておるのか、これをお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調答申の趣旨は、一つは労使双方の自主責任体制の確立、そういう意味においてできるだけ経営側については経営について自主性を持たせる、瑣末な予算統制を排除するということ、それから労働関係においては労働権を回復する、そして両者が張り切った経営、運営をやっていただく、それが一つの眼目であったと思います。
 それからもう一つは、競争原理を導入して、そして自由濶達な経営あるいは刷新、合理化というものもやっていただく、そういう二つの面があったと思うのであります。つまり効率化、合理化、競争原理の導入というような面と、それから自主責任体制の確立という面と二つが臨調答申の趣旨で、これは実行していると思うのであります。
 しかし、実行してない点はどこにあるかと言われますれば、葉たばこの全量買い付けの問題とか、あるいはそのほか幾つかの問題があると思います。これは日本のたばこ産業の現状にかんがみまして、大きな激変緩和措置と申しますか、そういう配慮をしなければならぬ情勢のもとに、現実認識に立ってそういうことをやったのでありまして、この点は臨調の皆様方にもよく御認識願いたい。あるいは小売店の問題、指定の問題も同じであります。みんな為政者当局としてはそういう配慮をしつつ行うのが穏当である、こう考えて今のような措置をとっておるわけであります。
○塩出啓典君 私もそういう点では総理のお考えを理解いたしまして、今回の法案に私たち公明党も賛成をするわけでありますが、ただ、先ほどお話がありましたように、今後の自由化に伴って外国たばこ産業がどういう状況で日本に来るか、そういう点を非常に憂慮しておるわけであります。先般当委員会の参考人、臨調第四部会長代理であった岩村さんという、現在読売新聞社の客員研究員の方でありますが、その方の御意見は、特殊会社であれば附帯事業あるいは目的達成事業、こういうものにもおのずから限界がある。また先般の連合審査においても、新しくできた日本たばこ産業株式会社がいろんな面で民業を圧迫しないかというような論議がありました。それに対して大蔵大臣あるいは専売公社の総裁も、そういう民業圧迫にならないように配慮していくという、こういうようなお答えがあり、政府が出資しておる特殊会社であれば、私はそういう配慮も当然じゃないかと思うわけでありますが、そういうことが競争力をつける上で足かせになるのではないか。そういう意味でさっきの岩村さんは、将来は民営化を目指すべきである、こういう御意見だったわけでありますが、そういう競争力をつける上で足かせになる心配はないのかどうか。そういう点は総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) たばこ産業というこの産業は、耕作者あるいは小売店という日本独特の社会構造上の問題も抱えておりまして、完全に民間商法を取り入れてやるということは現実的にそれは妥当ではない、そういう情勢にあると思っております。しかし、でき得る限り、外国商品も入ってくるわけでありますから、競争原理のもとに打ちかつような経営の合理化、刷新あるいは新しい商品の開拓とか販売流通方式の改革とか、そういうこともやってもらいたいという考えを持ってやろうとしておるわけでございます。
 日本の現状から見ると、たばこ産業株式会社にあっては、一年の葉たばこを既に持っておるというようなハンディキャップを持っておるのであって、そういう点は今の専売公社も同じことではありますけれども、我々は認識しておかなきゃならない。何も好んでそれをやっているわけじゃありません。日本の農業の現実から見てそういうことでありますから、そういう点はよく我々も理解していかなければ穏当な政治とは言えないと我々は思っております。
 ではありますけれども、会社の役員や従業員の皆様は、今度は会社になるわけでございますから今までのような公社とは違う、新しい意識を持っていろいろな創意工夫を思い切ってやってもらって、そして自分たちの進路を開いていっていただきたい。政府もそれを期待しておるということを申し上げる次第なのでございます。
○塩出啓典君 総理及び大蔵大臣は、今回の特殊会社の形態は恒久的な形態であると、こういう御答弁と理解しておるわけでありますが、私も願わくばこの形態を続けてもらいたい。そのことを願っておるわけでありますが、しかしビッグスリーと言われるたばこ産業等がかなりたばこ以外の兼業をして、そういうようないろんな強い基盤をバックに来る。そういうものに対抗していくためには新しくできたたばこ産業株式会社も対抗上もっといろんなことをやっていかなくちゃいかぬ。そういう場合には、現在の特殊会社ではなかなか難しいという場合もあるんじゃないかと思うんです。経済は常に変動するわけです。そういうような意味での見直しというか、こういうものを常にやっていく可能性はあるのかどうか。これは大蔵大臣と総理と両方にお尋ねした方がいいんじゃないかと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かに塩出さんは、今の割高な国産葉を抱えておる我が国のたばこ産業の実態からすれば、とにもかくにも製造独占、これは民営・分割の前提として考えるべきでなく、恒久的措置として位置づけることはそれなりに結構であろう。しかしながら、言ってみれば、いろいろな手かせ足かせになって、競争力というものを十全につけ得ないようなことがあってはいかぬ、こういう御心配から関連事業等々に対する問題についての御言及もありましたが、関連事業等々につきましては、可能な限り自主性の上に立って私どもが認可するにいたしましても、当然のこととして事前に民業圧迫とか、そういうことについての配慮を新会社自体もなされながら協議していくことでございますので、私はその点は大きく心配することはないであろうというふうに考えておるところであります。
 しかし、いずれにしても、いかにビッグフォーとは申しながら、ビッグスリーは強敵でございます。これらがいろんな石油業務から海運業から、スーパーマーケットから、そういうことをやっておるという実態はよく認識しながら、国内においてはまず、そして国際的にも、競争力をつけていくための目的毒薬あるいは附帯事業等については、今後も新会社で十分考えられ、私どももそれに対して大きな関心を持ちながら自主性を尊重して競争力というものの足かせになるようなことをしてはならぬというふうに考えておるところであります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の改革は、この法案で示してありますように、製造独占、それから葉たばこの全量買い上げ、こういうことは暫定措置ではない、そういう考えに立ちまして法案を提出しておるということでございます。
 たばこ産業株式会社という名前にも示されておりますように、民間的手法を取り入れた効率的経営、そういうようなことを非常に基本的に念願しております。そういう面から附帯事業等につきましても、民業を圧迫するような不当なことがない限りは、できるだけ新会社が健全に育つように配慮してやるべきものである。政府としてはそのように考えておる次第でございます。
○塩出啓典君 日本はたばこの原価の六割を占める葉たばこのコストが非常に高いわけでありますが、これは今後努力するにいたしましても、ある程度限界がある。そういう意味で関税率二〇%の維持というのは私は非常に大事じゃないかと思うんですが、大蔵大臣の今日までの答弁では、今回の法案の改正で諸外国も納得をし、さらに二〇%も妥当な値であり、これをさらに下げるような心配はないと、こういう御答弁であったわけでありますが、総理としてこの二〇%は恒久的に守れるという自信はありますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 関税率の問題は、国際的水準の問題として関連性を持っておる問題であると思います。我々は外国との比較におきまして、日本だけが著しく不当に関税率を下げるというようなことはやるべきではない、それではたばこ産業関係に大きな打撃を与えるであろう、よく知っております。二〇%という数字はアメリカと同率でございますから、そういう国際水準をよく見きわめつつ国際的な非難が起きないように我々は配慮しつつ今後も研究していく、検討していくということであると思って、これが永久不動であるというようなことは言い過ぎであると思いますけれども、国際的均衡ということを考え、そして外国から非難を受けないように我々は配慮しつつ、日本のたばこ産業を守っていく、そういう考えに立って実行してまいりたいと思っておる次第です。
○塩出啓典君 この法案が成立いたしますと、設立委員でございますか、そういう人が選ばれて、そうして新しい会社の定款づくりとか始まるわけでありますが、この新しい会社の役員はスタートの時点ではまあほぼ専売公社の皆さんが横滑りというか、そのように理解していいのか。それと今後の三大ビッグメーカー等とのそういう競争の中において民間的な競争の考え方を導入する上において、民間人を役員の中に加えるとか、そういうことも場合によっては当然考えるべきである。これは当分の間は株主が国でございますから、その程度のことはやはり考えてもいいんじゃないかなと思うんですが、その点は総理のお考えはどうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 新会社が設立されるときには当然設立準備委員会というものがつくられまして、その準備委員会においていろいろお考え願うという形になると思いますので、政府としては目下全く白紙の状態で臨むべきであると考えております。しかし、公社からこのようなたばこ産業株式会社という方向へ移行するという意味は、民間的手法を取り入れて労使自主責任体制のもとに活発な経営をやってもらいたい、そういう考えで、いわゆるお役所仕事を排除するという意味も大きくあるのであります。したがって、そういうことに適した人はなるのが好ましいと、そう思っております。しかし、一面において、この仕事の継続性というものもありますし、安定性というものもあります。ですから、そういう諸般の問題は設立準備委員会においていろいろお考え願えることである、そう考えております。
○塩出啓典君 私は、この新しい会社が臨調の精神の方向に向かって、合理的、また活力を持って前進されることを特に希望するとともに、政府としても、余り関与せず、できるだけ自由にしてやっていただきたい、このことを強く要望しておきます。
 新会社の政府保有株式の公開、この放出の時期については、どういう状況になったときに放出をするのか、これを大蔵大臣にお尋ねいたします。
○国務大臣(竹下登君) これは三分の二と仮にいたしましても、三分の一は直ちに売らなければならぬというものではもとよりございません。政府保有株式の放出につきましては、新会社の経営の実態、あるいはたばこ事業の実態等を総合的に勘案して行われるべきものであろうというふうに考えております。輸入自由化後の新会社の事業規模、それから葉たばこ農業の規模など、現段階でははっきりとした見通しをつけがたいものがありますので、公開時期について明示することはなかなか難しい。国会においていろいろ御議論が行われましたようなもろもろの点を勘案しながら、これはまさに慎重に対応すべき課題であるというふうに理解いたしております。
○塩出啓典君 これは総理にお伺いをいたしますが、現在逓信委員会で審議しております電電法案にも関連するわけですが、将来この株の売却収入をどうするかという問題と、またそれをめぐっていろいろ利権争いがあるような、こういうような話も聞くわけでありますが、こういう電電公社あるいは専売公社の長年の努力によってできた国民の財産とも言うべきものでありますが、この株の放出についてはどういう姿勢で総理としては臨まれるのか、この点をお伺いしたいと思います。
 それともう一つは、この使途については、いろいろきょうの新聞にも、郵政省の方が、これを全部財政再建に使うんではなしに、別な基金をつくって、もちろん財政再建にも使うわけでありますが、これからの通信技術の振興のために使うという、こういうような案も出ております。私も、そういうことも大事ではないかと思うんでありますが、この将来の売却収入の使途については現段階においてはどのようなお考えであるのか、承っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 新会社の資産は、国民の共同の財産、長い間国民の皆さんが蓄積してきた遺産でもありますし、現有財産でもございます。そういう意味におきましては、国民の皆さんが納得できるような処理をすべきである、一部に偏在するようなへんぱなことをやってはならない、公平、公正を旨とした処理がなさるべきである、そう思います。株式の処理につきましては、いずれそういう時期が来ました場合には、公正な手続を経て、国民監視の中で、だれが見ても納得するというやり方でそれはやらなければならない、今申し上げたような方針に従ってやるべきである、そう考えております。
 それからその益金をどうするかということでございますが、売却益金というようなものは、これまた国民の財産でありますから、これは国庫に収納さるべきものであり、それは国民がまた納得する、国益に沿った方向でこれは使わるべきものである、そう思います。今、何に使うか、何に使うということは言うべきでもないし、またその時点に立って、そのときの財政や経済やそのときの国策上の必要性というものを考えて、国民が納得いくやり方で処理さるべきであると、こう考えております。
○塩出啓典君 先ほど申しましたように、総理は、行政管理庁長官の時代から、臨調あるいは行政改革に関与し、そしてその指揮をとってきたわけでありますが、今日振り返って、我が国の行財政改革についてはどのように評価をされておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨時行政調査会がつくられまして、土光さん以下の委員が非常に精力的に御努力を願いまして、また国民の圧倒的な御支持をいただいて、五次にわたる答申をいただきました。政府といたしましては、その答申のたびに、これを最大限に尊重してこれが実現に努める、そういう声明を発し、おのおのの時々に従ってその手続を決め、また実行すべき目標を決めて一つ一つ実行してきたつもりでございます。しかし、国民の皆様方から見ますれば、まだやり足りないしまだまだやるべきことは山積している、そういう御批判が厳しくあることもよく承知しておりまして、私たちの力のあらざるところを恥じ入るのみでございます。
 しかし、今回の処置は、昨年の秋の国会に七つの重要法案を提出いたしまして全部成立さしていただきました。そして国家行政組織法以下の改正も行い、総務庁の設置も終わりまして、一歩ずつ前進させていただいているわけです。年金の統合の問題もまた同じように、公的年金において一歩ずつ前進しておるわけでございます。今回は三十に及ぶ重大法案を提出いたしまして、健保以下この専売あるいは電電等々いろいろな法案を提出して御審議を願っておるところでございますが、これらの仕事を着実に実行いたしまして、そしてかねての手順に従って行革大綱に従った方向で一つ一つ今後も片づけてまいりたい。次の大きな問題は国鉄という問題があると思います。あるいは、さらにその前に補助金の問題であるとか定員の問題であるとか、まだ幾つかの問題もあると思っております。あるいは特殊法人の合理化の問題もあるだろうと思っております。それらの問題につきましても、順を追って一つ一つ片づけていくように努力してまいりたいと思っておる次第でございます。
○塩出啓典君 私も中曽根内閣のいろいろな努力を認めないわけではないわけでありますが、しかしいろいろな努力にもかかわらず、現実問題として、財政再建は余り進んでいない。と申しますのは、例えば特例公債依存体質脱却の年限も六十年からさらに六十五年に延びた。しかも、先般の財確法においてはついに赤字国債の借りかえも認めなければならない。こういうようにつじつま合わせ。最後の結論から見ていくと財政再建というものはだんだんおくれておる。しかし、これ以上の後退はもう許されないんじゃないか。赤字国債の借りかえを認めるという条件のもとで六十五年赤字国債脱却ということはどうしてもやらなければいけないと思うんですが、総理として、六十五年赤字国債脱却の見通しと申しますか、自信と申しますか、そういうものはあるんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 六十五年赤字公債依存体質からの脱却はぜひ実現したい、全力を振るって努力してまいりたいと思っております。予算編成のたびごとに赤字体質を減らさせようと思って大いに努力しているところでございますが、最近は公債の発行、単年度における発行というものはできるだけ抑制いたしてきておりまして、一兆とかあるいは六千億円ぐらいずつ赤字公債発行の額を減らしてきております。その結果、単年度予算における公債依存率というものは二五%程度まで落ちてきている。この勢いでさらに進めてまいるように努力をしてまいりたいと思っております。
 しかし、GNPにおける公債の累積率というものを見ますと、過去の公債発行というものがいかにも大きく、重症の状態でのしかかってきておりまして、これはたしか四五%以上になっているんではないかと思います。これは世界でも相当重症な部類に入ります。そういう面から国債費の項目寺見ますと、これもふえてきておるわけであります。こういう中で、せっかく単年度の国債発行率を減らしていく努力はしておりますけれども、過去の重圧がのしかかってまいりまして、四苦八苦しながら今財政処理をやっておるわけでありますが、この構えを崩してはいけない、あくまで公債依存率を減らし、そしてある一定年限以後になったらこの重圧から解放されるように今我々は汗を流しておかなければならぬ、さもなければこういう業がいつまでも続いていく。そういう責任感を持ちまして必死に財政処理をしていかなければならない。そういう努力をしてこれからいろいろな経済政策あるいは歳出歳入の合理化等々懸命な努力をしてまいりますれば、六十五年赤字公債依存体質からの脱却ということは必ずしも不可能ではないと思っておるのであります。それは、今のように二五%に減ってきたということによってもある程度努力をして成果が上がっているということが見られるのでございまして、今後ともこの努力を継続してまいりたいと思っておる次第でございます。
○塩出啓典君 これは大蔵大臣にお尋ねをいたしますが、先般、昭和五十九年度の財源確保法案が本委員会で成立したときの附帯決議に、「昭和六十五年度を目標とする特例公債依存体質からの脱却は、現下の財政における最優先課題である。したがって、政府は、この目標達成にいたる手順と方策を具体的に明らかにすべきである。」。先般、政府は来年度の予算の概算要求基準を発表したわけでありますが、国民の協力を求め、また政府の努力を示す意味においても六十五年に至る手順と方策を明らかにすべきだと思いますが、そういうものを明らかにする考えがあるのかどうか。それと、今大体六兆余の赤字国債は五十九年度で発行しておるわけでありますが、来年度においては一兆円以上、毎年一兆円以上減らしていけば六十五年にはゼロになるわけでありますが、そういうような考えであるのかどうか。この点はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) まず最初は、六十五年脱却に至る手法をいま少し明確に示せ、こういう御意見であると思っております。今日までお示しいたしましたものは、一つの仮定的な前提を置いて、その中で要調整額というものを国会を通じ国民の皆様方にお示ししながら、その中でいかほどが財政削減によってこれが実現可能であるか、言ってみれば、最終的には国民の皆様方の選択をお願いする一つの資料として提供をしてきたわけであります。
 現実問題として、大変厳格な財政再建計画というようなものは経済全体が流動的であります中で、その一部である財政に対してきちんとしたものをつくるのは困難な点がございます。しかし、たびたびの本院等における要請がございますので、私どもとしても従来御提出申し上げておりますところの後年度負担推計によるその要調整額というものを、例えば先ほど総理からのお話がありましたが、五十八年度決算におきましては、公債依存度は当初よりも確かに下がってまいりました。そういう努力の経過等をも踏まえてできる限り、最終的には国民の皆さん方の選択でございますが、その選択の資料としていただくようなものを出せるだけ努力をしてみなきゃならぬというふうに考えておるところであります。
 あるいは百二十二兆と仮にいたしましても、それは残高で百二十二兆であり、これに一応、平均の七%金利を掛ければ、後世代に対する負担は三百九十兆であります。仮に今、塩出さんもおっしゃいましたように一兆八百億円ずつ減額いたしまして、昭和六十五年にこの赤字公債体質からの脱却をいたしましたらちょうど百六十五兆になります。六十五兆が特例公債で百兆が建設国債という大ざっぱな計算になりますが、それを金利計算してみますと、五百十兆を六十年間にわたって後世代に負担を残すこと、そういうようなものもあるいは検討資料の中に御提示すべきものではないかな、こういう考え方に立っておるわけであります。
 いずれにいたしましても、厳しい道のりではございますけれども、理解と協力をいただきながら、後戻りできないわけでございますから、この道を進めていかなければならぬ。
 それから一兆八百億円という、平均で刻んでまいりますとそういうことになりますが、それの問題自身につきましては、十二月予算編成の段階で経済、財政事情等、あるいは成長率の見通し等いろいろな問題がございますので、今から初めにウン兆ウン億円の減額ありきという形で今日時点で御提示するのは難しい問題であろうかと思います。十二月の時点になろうかと思っております。
○塩出啓典君 国債整理基金への定率繰り入れについてはゼロにするのか、あるいは全部入れるのか、あるいは新聞報道では五千億とか、そのあたりはもう決まっているんですか。これはどうされるんですか。
○国務大臣(竹下登君) その問題も予算編成の時点において諸般の事情を勘案しつつ総合的に検討すべきものであろうと思っておりますが、ああして財政審等でも指摘があっておりますように、減債制度の方針はこれを堅持するということと、六十年仮に全額入れないにいたしましても、とりあえずその基金はそれなりの機能を果たし得るといたしましても、六十一年度以降のことを考えればイージーな道を必ずしも選んではならぬというふうに考えておるところであります。
 なお、五十八年度の剰余金についての措置ということになりますと、これは今出たばかりでございますが、原則としては、当然のこと半分は入れて、なお大平大蔵大臣時代からの答弁で全額を入れる、こういうことに方針として、現時点で申し述べるならば、そのようなことであろうかと思います。
○塩出啓典君 最後に、もう時間がございませんので総理にお尋ねをいたしますが、今の大蔵大臣のお話のように、先般概算要求の基準を閣議了解しておるわけですが、来年度の国債発行をどうするのか、定率繰り入れをどうするのか、そういうことによって要調整額も変わってくるわけであります。そういう意味で、しかしごらんのように、内外からもっと公共事業をふやせとか、建設国債はいいではないか、こういうような声もあるわけでありまして、私は六十五年脱却ということであるならば、そのあたり確固とした、余り細かいものではないにしても、国債の発行額はこうしていくんだ、定率繰り入れはこうするんだと、少なくともその程度の方針はある程度中長期的に立てて、もちろん経済の情勢の変化があればいろいろ変更することはいいと思うんですけれども、今のようなその場任せと言えば言い過ぎになるかもしれませんが、何となくそういう感じのするようなことはいけないんじゃないか、もっと財政の姿を国民に知ってもらうことがまた協力を求めやすいことにもなっていくんじゃないかと思うんですけれども、そういう意味で来年度の予算についてはもちろんのこと、六十五年に至る手順と方策等についてはもう少し国民の前に明らかにするように努力してもらいたい。私はそうすべきだと思うんですが、この点についての総理の御見解を承って質問を終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) 塩出委員のおっしゃいますように、ある程度の見通しをつくることは我々も行わなければならぬものであると思っております。ただ、現在の経済情勢、特に世界経済情勢というものは余りにも変動要因が多い点もございまして、そういう点も考えますと、そういう確かなものをつくる条件がなかなか生まれてこないのでございます。為替相場一つ見ましても、今のような状態で動いておるわけでありまして、そういう意味においてはその範囲内におきましてのできるだけの努力はしてまいりたいと思っております。
 また、十二月の予算編成を行うに当たりましては、六十五年赤字公債依存体質からの脱却という大目標、あるいは増税なき財政再建というこの理念を護持しつつ予算編成を行って、毎年毎年がその六十五年の目標に近づく踏み石になるような予算編成を毎年毎年実行していく、こういう考えに立ってめり張りの立ったやり方でやっていきたいと考えております。
○近藤忠孝君 総理に最初に来年度予算の概算基準について質問いたします。
 最後まで大蔵、防衛の折衝の対象となったのが軍事費でありますが、七%の突出が決まったわけであります。この際粟原防衛庁長官は、アメリカに対して努力の姿勢を示さなきゃならない、こう言っておりますが、総理も同じような立場ではないかと思うんです。
 今回のこの概算要求基準の決定に当たっての政府と自民党の基本的な態度を私はこう見るんです。アメリカ大統領選挙を控えて日米間に防衛問題で波風を立ててはならない、そのために最もわかりやすい方法は防衛費の伸び率を前年度よりも伸ばすことだということだ。そう思うんですが、どうですか。
 それからもう一つ、今回の概算基準について優先順位の厳しい選択を行ったということでありますが、結果的には軍事予算最優先、そして国民生活予算は二の次三の次ということではないかと見ざるを得ません。世論調査を見ますと、民生の安定向上、それを求める声が大変強いんですが、この国民世論に逆行するんではないかと思うんです。いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の七%の防衛費の概算基準というものは、一つには防衛計画大綱の水準にできるだけ早く到達したいと、かねがねこれは国会でも言明し約束もしておることを行わんとする一環として考えたものであります。アメリカを顧慮してやったものではありません。
 しかし、といっても、財政の状況があり、苦しい厳しい財政状況でございますから、それとの調和点も考えなければならぬ。そういう意味において、防衛計画大綱水準への達成という面と、それから財政的なこの厳しさというものの調和点を七%という数字で示した。これはそれでもうすべて決定したというわけではないのであって、要するに概算要求の基準であって、最終的には十二月の予算編成のときにそれは確定され決めらるべきものである、そういうことで御理解願いたいと思います。
○近藤忠孝君 しかし、国民生活の方は、今後の問題があるとしながらも、しかし大筋がこれで出まして、一方、今切実に民生安定を求める国民の声がある、今の段階ではそれにこたえていないじゃないかと、こういう批判に対してはどう答えられますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 社会保障費の関係を見ますと、
   〔委員長退席、理事岩崎純三君着席〕
昨年に比べましてことしはかなり大蔵当局も配慮いたしまして、厚生省に対して自助努力は要請しつつも、大蔵省としてはまたかなりの面倒を見た概算要求基準になっておるのであります。防衛費だけを見たというところではないのであります。そういうように、ある程度社会福祉関係の費用、それからODA、外国に対する経済協力の伸び率等々も考えて今のような数字が決められておるのでございまして、ちゃんとそういうようなバランスの感覚も持ちつつやっておるということを御認識願いたいと思います。
○近藤忠孝君 防衛費、それから対外協力費、エネルギー対策費、例年のやつですね。それから福祉予算については当然増をむしろこれは削っておるわけなんですね。しかしその議論は時間がないんでやめます。
 もう一つは、増税なき財政再建は、これは総務会長の金丸さんの発言ですが、義務教育を受けた日本人ならできっこないと思うのが常識だと、こう言っておりますし、またもう一人、政調会長の藤尾さんは、百二十兆の国債累積残高の原因については、これは第一次、第二次石油危機を政府が国民や経済界に責任転嫁することなく乗り切ってきたためだ、六十五年度赤字国債依存体質からの脱却のために国民や経済界が責任がないと言うのは横着過ぎると。これは積極予算と増税を主張していることになるんで、結局、臨調の増税なき財政再建への自民党の政調会長あるいは総務会長からの大変痛烈なる批判だと思うんです。先ほどから増税なき財政再建は断固維持しますと、こう言っておるんですが、総裁選絡みもありますけれども、果たして維持できるんだろうか、そういう点が一つ。
 それからもう一つ、本法案の関係で申しますと、これはこの間の財源確保法案でも議論になったとおり、六十五年度赤字国債脱却について、総理はやりますと言うけれども、自信があるかと言えば、自信があるととうとうお答えにならなかったんで、これはなかなか難しいということは大体金丸さんの言うとおりだろうと思うんですね。となりますと、電電やたばこ産業株式会社の株を放出することによって、相当ある部分を考えているんじゃないか、今のうちからですね。その辺はどうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 増税なき財政再建は不可能ではないと、私はそう思っております。臨調答申で言われている増税なき財政再建というものは何であるか、その定義を本院におきましても瀬島さんがたしか申し述べたと思いますが、そういうような定義に従ってよく検討してみますれば、努力しがいのあるターゲットをつくっていただいておると、そう私は考えております。
 党人というのは弾力性のある発言をよくするもので、私もよくやったことでありますが、しかし政府の責任当局としては、言ったことは実行していくと、そういうことで努力しておるところなのであります。
 六十五年赤字公債依存体質からの脱却ということも同じように、これからの経済政策やらあるいは歳出歳入の見直しとか、さまざまな組み合わせ等によりましてこれも実行していきたいと、そう考えておる次第でございます。
○近藤忠孝君 たばこ産業株式会社の株の放出や電電の株の放出、それも当然その一つになると思うんですね。そういう点から見ました場合に、
   〔理事岩崎純三君退席、委員長着席〕
おおよその資本が大体今決まってくるんですが、そういう面から見ると、少しこれは低いんではないんだろうか、仮にプレミアムがつくとしましてもね。そういう点では、大切な国民の財産を安く、大体買うのは大企業ということになるわけで、そこにこれは譲り渡すことになるんではないか。こういう点についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは先ほども御答弁申し上げましたように、専売公社あるいは公社の財産というものは国民の皆様方の大事な共同の財産でございまして、これを処理するという場合には、国民の皆様方が納得のいく、一方に偏しない公平な公正な処理が行われなければならないし、我々としてはそういう万般の措置を講じて御納得のいく処理の仕方をやりたいと考えております。
○近藤忠孝君 私の本会議の質問で、今回の市場開放はアメリカなどの、要するに民間たばこ産業を背景とするアメリカなどの要求に屈したんではないか、それに対して総理はいとも簡単に、そういったことはありませんということなんですが、事実経過を見ると果たしてそうなんだろうかということで、これは一九七八年以来の長い日米たばこ戦争とも言うべき経過があるわけですね。
 例えば牛場・ストラウス会談で日米たばこ問題の討議が開始され、その後アメリカのガット提訴、ずっと来まして関税の大幅な引き下げ、これは八〇年の三月に三五五%が九〇%に、八一年四月、九〇%が三五%にと、これが大体日米たばこ戦争の第一ラウンド、一応の決着がついたはずなんです。しかし実際一箱百円程度のこの価格差は解消されていないですね。
 そうすると、今度は恐らく自民党あるいは政府も含めて、大体この関税引き下げで済むんだろうと、こう思っておったんですが、どうもそうでない。結局、関税を思い切って引き下げても目に見える市場拡大は見られないというので、アメリカの方は、一たん決着した日米たばこ問題の八〇年の合意の見直しを八一年十二月の日米貿易小委員会で持ち出してきて、再びたばこ戦争に火がついた。これが私は第二ラウンドだと思うんです。
 そういう中で、いろいろアメリカ側からいろんな人が来たり、例えば自民党政調内の専売に関する特別委員会、これは当初は専売制度は守るという立場を堅持しておったんですが、その辺に対する働きかけも随分あったようです。そういう経過を経て変わってきたんではないか。となりますと、まさにアメリカ側の要求に一つ一つ道を崩されてこういう段階、八十年続いた専売制度をやめるという事態になったんではないか。こう経過を見ると見ざるを得ないんですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほど来申し上げておりますように、今回のたばこの措置というものは、臨時行政調査会ができまして公社公団の見直しをやったわけで、これはアメリカとの関係を顧慮してやったんではない。行政改革の理想から見て、いろんな特殊法人や中央官庁に手をつけたと同じように、その一環として公社公団の見直しをやった。そういう意味において電電公社も、あるいは国鉄も、あるいは専売公社も同じように見直しの対象になる。そして民間的手法の導入、あるいは効率化、競争原理の導入、あるいは市場開放、そういうような諸原理に基づいて今回の改革は行われたのであります。
 たまたまその後アメリカ側からたばこあるいは自由貿易というような面で要請があったことも事実でありますけれども、それは臨調がそういうふうな諸原理を決めて改革を始めたところへ複合して出てきている問題で、それがまた臨調がやろうとしている方向と同じ方向に合致していることでもあるわけです。競争原理とかあるいは開放とかということは合致していることでありまして、それで今回の措置になったのでありまして、アメリカ側から要請されたからそれでやったというものではないのであります。
 我々の考えにおきましては、関税率を二〇%に下げたという点については、これはおっしゃるようなアメリカとの関係がありまして、私もそれを意識してやったことは間違いありません。これは自由貿易を推進するという意味から我々はやらなきゃいけない。日本は自由貿易によって一番恩恵を受けている国でもありますからそれはやった方がいい。そういうことではやりましたが、今度の公社の再編成という問題はアメリカ側との関係とは関係はないのであります。
○近藤忠孝君 臨調を持ち出してくるんですが、私は経過から見ますと、臨調自身も、具体的には申しませんけど、アメリカ側のずっとたび重なるいろんなある意味では強引な市場開放要求、これに押し切られたんではないか、こう思わざるを得ません。しかし時間が来ましたので終わりますけれども、そういう面で、総理の来る前にいろいろ合理化の問題その他も論じてきましたけども、あらゆる分野に大変な過酷な競争が持ち込まれ、労働条件あるいはたばこ耕作者の状況の大変な変化というようなものをもたらすわけで、私はこれに対しては反対であるということを申し上げて、時間が参りましたので質問を終わります。
○栗林卓司君 たばこについて質問いたします。
 専売公社の再編成、新会社の発足ということは、総理は競争原理の導入あるいは自主責任体制、こうおっしゃるんですが、競争原理の導入というのは、実はその中身は海外との自由競争なんですね。国内で国際競争が行われるという事態だと思うんです。私は、専売公社の規模並びに日本のマーケットの広さからいって、いつまでも輸入自由化を禁止しておくべきじゃないし、むしろ積極的に開放していくべきだと思っておりますが、そのことには賛成なんです。ただ問題は、総理が言われる自主責任体制ですが、競争原理というのは、実は自由な海外との競争なんだ、こうなってまいりますと、自主責任体制というのは、なるべく手足を縛らない、できるだけ自由濶達にやってもらうということが一番いいと思いますし、加えて、そういう荒波に乗り出すわけですから、なるべく重荷はしょわしたくないというのも当然な配慮だと思うんです。ところが、従来の公社の育ってきたいきさつ等踏まえまして純粋の民間会社というわけにはいくまい。普通でしたら企業の社会的責任の範囲内で社会性を担えばよろしいんでありますが、それ以上に新たばこ産業株式会社はある程度は担ってもらわなきゃいかぬという面が特殊法人になってきたんだろうと思うんです。
 そこで、その重みなんですが、重みというのは負わせていることは間違いがないんで、それはたばこ産業株式会社が今後の国際自由競争という荒波の中で渡っていくのに渡っていける重荷なんだと、そうお考えなんでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) なかなかこれは厳しい情勢にあると率直に申して考えております。一つは葉たばこ耕作者十万に及ぶこれらの方々の生活も考えなきゃなりません。生きがいも考えなきゃなりません。また二十五万に及ぶ小売店の問題も考えなきゃなりません。そういう社会的性格を持った問題を内包しているのがこの改革の中に入っておるわけでございますから、でありますから、政治といたしましては、まずまず皆さんがこれなら無理もない、そういう穏当だと思われる線をいかざるを得ないので、そういう点から見れば、効率化という面から見れば不十分だと指摘される点があると思いますが、しかしそれが政治の穏健なやり方ではないか、私たちはそう考えてやってきておるわけです。しかし、それがまたある意味においては、たばこ産業株式会社の面から見れば重荷になるという点も考えざるを得ません。その点は我々としても十分考えていくべき問題であると思っております。
○栗林卓司君 そこで、若干数字を申し上げて具体的にお尋ねをしたいんですが、新たばこ産業株式会社の予想利益、税引き後利益というのは三百億円だと伺っているんです。そこで、三百億円というのは多いのか少ないのかなんですが、レイノルズ、フィリップ・モリス、当面の競争相手ですが、これが一体年間に広告宣伝費を幾ら使っているかということを見てまいりますと、押しなべて両社とも四百億から五百億円。ということは、新会社の税引き後利益というのは広告宣伝費にも当たらない。これからはそういった広告宣伝費を含めた競争場裏に入っていくんですけれども、負けてはなるかといってやってまいりますと、利益がなくなってしまうとなるんですね。
 ところが、片方では一年分の葉たばこの在庫があるんです。当然それは倉庫に保管しておかなければいけません。保管料は幾らか。年間四十億であります。ではこの葉たばこ、当然資金が寝ているわけですから、金利相当分は損失として見なければいかぬ。年間で二百億円であります。一年間の葉たばこ在庫のために二百四十億。この数字とさっきの三百億を比べますと、これ足すのはちょっと乱暴なんですが、この際大ざっぱに足してまいりますと、三百億に二百四十億足すと五百四十億。やっとどうにかこうにかレイノルズとフィリップ・モリスと競争ができる、せめて広告宣伝費の財源と見合う分ぐらい。今までは公社になかったわけですから、その分ぐらいの利益は確保できるかもしらぬ。
 しかもそれだけではないんです。企業になりますと収益力でしょう、市場支配力、技術力がありますね。ではこの技術力にレイノルズにしてもフィリップ・モリスにしても一体幾らかけているか。当然のこととして、負けるわけにいきませんから新会社も一生懸命かけていくとなりますと、いかにも収益性が低過ぎるということはだれの目にも明らかなんです。
 そこでお尋ねしたいのは、仮に新会社がこうなったら一年分の在庫を何とかして始末しなきゃいかぬ。大蔵大臣は計画的にやっていただくしかないと思いますということなんですが、これは長く抱えていちゃしようがないものですから、仮に五年で整理をするとしますと、年間二割減反をしなければならぬ、大ざっぱに言って。こうしなければ一年分の在庫というのは消えてまいりません。輸出をするといいましても、総裁がえらい努力をされても年間三千トンぐらい、今十三万トンぐらいあるんですからとても焼け石に水。そこで自主責任体制ということで減反をします、あれは契約ですから。契約は全量買い上げですが、契約段階で大幅に減反をしますということをもうのっぴきならない事情として会社が決めた場合、政府としてはそれはやむを得ないとお考えなんですか。そういったことは激変緩和からいってまかりならぬと、こういう立場で臨まれるんですか。
○国務大臣(竹下登君) これはその審議会でそういう問題に対しては新会社が中心になられ、事前からかなり濃密な議論を重ね、激変緩和の面も配慮しつつも、しかし一歩でも二歩でも、その在庫をなくすための措置としてだけでなく、全体の合理化措置の中でもとより減反をお願いされるでありましょうし、そういうことの結果に対しては我々は尊重して対応すべきだと。栗林さんの御議論というのは非常に端的なわかりやすい御議論でございます。その御議論どおりに端的にできないところに重い荷物を背負っておるということに対しても御理解をいただきたいというふうに考えるわけであります。
○栗林卓司君 先ほどの鈴木委員の御質問と私似たことをお伺いしているんですが、その重荷というのは新会社がしょうんでしょうか、それとも政府なんでしょうか。今両方ともひっくるめて新会社に何となく気分的に負わせているわけですね。したがって、これは恒久処置だとおっしゃっている。でも詰めてまいりますと、どうしたってこれはえらい減反になっちゃう。といってもそれじゃ国も困る。といって今そんなこと言ったらこの法律案そのものが吹っ飛んじゃう。とりあえずは恒久処置でまいりますと言っていかないと、壊れかけた茶わんみたいなものを抱えて、とりあえずは自重しなきゃいかぬとなるんですが、新会社としますとそこまでの責任は負えるんだろうか。私は政府の責任だと思うんです。
 同じことを申し上げますと、これは総理にお尋ねをします。二〇%の関税がございました。アメリカを意識して二〇%にしたんですとお答えになりました。ということは、もう少し言いますと、二〇%で日本の葉たばこの値段の高いのがカバーされるかされないかは検討してなかったんですよ。当時の関係から見て私はやむを得ないと思う。今、大ざっぱに言って、日本の葉たばこというのはアメリカに比べて倍と見た方が妥当だと思います。ということは、葉たばこの原価としますと四割増しなんですよ。四割増しというのは、これは大ざっぱに話を続けてまいりますが、二〇%では半分しか救えない。そこで新会社としますとどうなるか。国産葉たばこを使う割合を今三分の二使っているんですが、三分の一にしたい。輸入国産葉たばこは三分の二、そうすると二〇%で何とか、どうにかこうにか日本の葉っぱを使っても間に合うことになる。したがって、新会社としては急速に国産葉たばこの使用比率割合を下げてまいりますということをするとすると、それもだめだということになるんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは原則的に言えば、国産葉たばこの原料費を倍として、そしておおよそそれが四〇プロになり、二〇プロが関税でもってそれが償却され、あとの二〇プロを葉たばこそのもので計算しますと、これは栗林委員のおっしゃるとおりになると思います。しかしながら、今私どもが考えておりますのは、そこにだけ合理化、効率化の焦点を置くんじゃなく、たばこ産業全体の中でこれを措置していこうと、こういう考え方になってこれから新発足するわけでございます。したがって、それはすべて新会社の責任だ責任だという印象をお与えしたようなお答えもあるいはしたかもしらぬ。しかし私どもは、そのようなものを仮に財政的措置においてそれをガードしますと言った場合に、私は自主努力というものの精神がその途端から、親方日の丸とは申しませんが、依存体質に変わっていくということをそれ以上にまた私どもは厳しく考えていかなきゃならぬではないかと、こういう考え方であります。
○栗林卓司君 なかなかお答えづらい面での質問を私はしているんですけれども、くどくお伺いしなければいけないのは、確かに一年分の割高な国産葉たばこの在庫を余分に抱えておりますと、しかも国内で国際競争があるんですから、そのときに、二〇%の関税では守り切れない割高のたばこと向こうのたばこで競争する、収益力は落ちる、しかも相当の金をかけて新技術は開発していかなきゃいかぬ、市場支配力という意味では向こうの宣伝に負けてはならぬ、しかも決着はマーケットで決まるんです。新会社がどんなに頑張ろうと、政府がどんなに期待しようと、それはマーケットの消費者が勝敗を決めるんです。そのときに担える荷物というのは私はおのずから限られていると思うんです。そこでいろんな状況があって、これは恒久処置というお答えなんでしょうが、またそれをここで撤回することは到底困難でありましょうが、大蔵省のかかわり方、自主責任体制の本当の自由な姿等をひっくるめて、ときどきの迅速な見直しをぜひお願いをしておきたいと思います。これは総理にぜひお願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 結論だけを見ますというと非常に悲観論が見えますけれども、私は必ずしもそう悲観してはおらぬのです。日本人の嗜好とか、あるいは販売技術とかなんとかというものは日本の流通過程を通ってくるので、その日本独特の流通過程というものはなかなか外国は入りにくいもので、ですから年じゅう文句を言っているわけです、向こうは。こういう日本人の直接ポケットに入るような消費物資というものは、日本人の好みや嗜好に合ったものでなければそう売れるものではないと思うんです。バタ臭いやり方でそれほど入るとは私は思わないんです。だから、今度出てくるたばこ産業株式会社が、余り大蔵省の制肘なんか受けないで、思い切っていろいろばんばんやっていけば、私はかなり伸びてもくるし、おもしろみのあるものが出てくるであろう、それを見守っていきたい。また、そういうふうに勇気づけていきたい。そういうふうに私は思っております。
 でありまするから、必ずしもそう悲観的なものでなくして、みんなで協力してやっていけるように政府の方もまた好意、善意を持って協力すべきところは協力していきたいと思うわけであります。
○青木茂君 臨調見解と専売五法案の関係について御質問申し上げます。
 総理は内閣が発足以来、増税なき財政再建、行政改革に政治生命をかけるとおっしゃったわけですね。これは本音の部分も建前の部分もいまだに変わらないという前提で御質問申し上げるんですけれども、先般この委員会で専売五法案に対する参考人の意見聴取をいたしましたときに、旧臨調の岩村さんですか、第四部会の会長代理、その方に私は御質問を申し上げたわけなんです。この専売五法案を臨調で衝に当たった方として、大いに満足していらっしゃるのか、かなり満足していらっしゃるのか、かなり怒っていらっしゃるのか、大いに怒っていらっしゃるのか、この四つのうち、どちらですかという御質問をしたら、かなり怒っているんだというお答えだったわけですね。この点について、どこの点を臨調の人は怒っていたのか、総理はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) それは必ずしも満足ではないと私らも想像できます。それは葉たばこの全量買い上げとか、あるいはたばこ指定店の問題であるとか、そういうような点について民間的手法というからっとしたものがない。そういう点について御不満を持っているんではないか。しかし、ここは政治の政治たるゆえんであると私たちは思っております。
○青木茂君 必ずしも満足しておるんではなしに、かなり怒っているというので、ちょっと強いんですよね。
 おっしゃるように全量買い取りというところに問題の焦点があると思うんですけれども、過剰在庫を一年分抱え、しかも外国に比べて割高である。これを全量買い取りして果たして新会社が株式会社、営利追求機関としてやっていけるかどうかということについては私どもも大変疑問で、新会社がかわいそうだなという感じがしないでもない。
 で、どうでしょう。全量買い取りは法文に明記してあるんですけれども、これからは契約全量買い取りなんだから、葉たばこ審議会なんかしっかりつくられまして、その中に利益代表ですか、利益代表というものを入れてしまったら審議会自体の機能が動かないんじゃないかという気がして仕方がないわけなんですよ。そういう意味で、これからできる審議会に利益代表的な人たちはできるだけ排除して、いわゆる学識経験者を中心に構成していくという方向というものはおとりになれないものでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはどの審議会も同じでありますが、関係者の意見もよく聞き、また国民の代表的な普遍性を持った意見が述べられる、客観的な結論を得られる、そういうような考えの構成にすべきである。しかし、その中には葉たばこ耕作者の関係の方々も入ることを必ずしも排除するものではないと私は思います。
○青木茂君 ちょっと専売公社に伺いたいんですけれども、葉たばこ審議会なるものの構成ですね、構成はどういうふうになっていましょうか。
○説明員(長岡實君) 現在のたばこ耕作審議会の委員が構成十一名でございまして、学識経験者六名、それから葉たばこの耕作を代表する者五名ということで構成されております。
 新しい法律の葉たばこ審議会も、審議会の委員は十一人であり、学識経験者と耕作の代表者で構成するということになっておりますので、大体その人数の点におきましても現在と同じような姿になるのではないかと考えております。
○青木茂君 各方面の意見を聞くことは結構だと思いますけれども、今公社の方から伺った構成ですと、どうしても耕作者代表のウエートが少し高過ぎて、もしこれらの人々が自分の視野の狭い利益で審議会を振り回すと仮定するならば、審議会自体が全くもって動きがとれなくて、困るのは新会社ではないかという気がして仕方がないわけですよ。少し耕作者代表の数が多過ぎるということは、どうでしょうね、ぞうお思いになりませんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは製造独占を新会社は許されるわけでございますから、今までは製造専売ですね、そうなりますと実質的にまさに買い手独占と、こういうことになります。買い手独占ということになるならば、葉たばこ耕作者の皆さん方は労働三権の問題もございませんし、この審議会での発言の場というのは一番大事に考えてあげなきゃいかぬ問題ではなかろうかというふうに考えております。
○青木茂君 そこに私は臨調の皆さんの心配があるんじゃないかと思いますね。買い手独占とはいうものの民営なんだから、いかにしてコストを安く利潤を上げるかというのが民営ですね。したがって、極端なことを言ってしまえば、どういうふうにつくろうと実は民営会社の自由なんですよね。そこにプレッシャーグループとは言いませんけれども、利益代表の人たちがこんなに多く入ってきたら、どうしても新会社の運営というものは首が回らないというのか、やれないんじゃないか。そこまで新会社に重荷を負わして果たして運営できるんであろうかという心配は依然として尽きないんですけれども、少し耕作者側に押されたんじゃないんですか、この構成は。
○説明員(長岡實君) 現在の構成が葉たばこ審議会に移行いたしましても恐らく維持されるであろうというお答えを申し上げましたけれども、新会社に移行いたしましてからのことではございますが、私は新しい制度が公社から株式会社組織になったということを考えますと、耕作者も株式会社が成り立たないような主張はできなくなるんじゃないか。また株式会社の方は株式会社の方といたしまして、これは政府関係特殊法人でございますから、利潤追求だけを第一義的な目的にすべきではございません。当然、葉たばこ農業の実態を十分に把握しながら事業を営んでいかなければならないわけでございますけれども、その両者の立場が議論される器は株式会社組織の中であるということによって、新会社の経営に当たる方は耕作者の方に対しても会社の経営内容その他についても、将来の見通しについても十分に御説明を申し上げて、理解を得ながら日本のたばこ産業集団全体が維持できるように運営していかなければならないというふうに私は考えておる次第でございます。
○青木茂君 恐らくや新会社の幹部におなりになると思われる方の御発言ですから、これはやむを得ないですね。しっかりやっていただきたいというふうにお願いするしかないんですけれども、どうも私は学生の及落会議に学生代表を入れるというようなことには大変疑問を持つわけなんです。
 それと、ちょっと横道に二つばかりそれて申しわけございませんけれども、時間がないから二つまとめて申し上げます。
 今の全量買い入れの中に利益代表を入れるということは、常識的に考えればそれに振り回されるということにならざるを得ないと思います。
 それと関連をいたしまして、今問題になっております国会の行革である定数問題にも、利益関係者を余り入れると、これは動きがとれないということになるんじゃないかと思いますから、この定数問題におきましても、ちょうど臨教審のように全く国会議員を外しました権威のある第三者機関をおつくりになって、それの答申を最大限に尊重されるというお考えを総理自身お持ちなのかどうかということを一つ伺いたい。
 それからもう一つ、先ほど政治の政治たるゆえんというお言葉がございましたけれども、それと絡みまして、政府の衝に当たられる方がおっしゃったこと、政府というのか与党というのか、おっしゃったことが国民に不安を与えてはいけないと思うわけでございます。そういう意味において、この前の軽井沢の藤尾政調会長の国債利子棚上げとか半分にしろとかいうのは非常に国民に不安を与えております。もちろん私もよく放言しますからそれをとがめるものではございませんけれども、まあ夏の夜の、あれは夏の朝か、夏の朝のざれごとということで、この席上で総理からそういうことは絶対にないという明快な御答弁をお願いしたい。この二つを伺いまして終わります。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、定数の問題でありますが、これは第三者機関をつくってその判定に服してやれ、法律をつくってやれと。そういう御議論は前からある議論なんです。これも一理のある議論で、それがすんなりそのとおり行われるならば、それも一案だなと実は思うんです。ところが、この定数問題というものは各政党の消長に関する問題であり、また議員の生存権に関する重大な問題であって、そういうような致命的な問題をそんな人の手にゆだねられるかという、そういう本能的要求も実はあるんです。今までいろんな経験をしてまいりましたが、それはできないんです。結局、そういうグラウンドルールに関することは出場者が決めて、そしてルールを決めたらそのまま服する。だから、出る選手が自分たちで決め合ってやるのが一番確実な方法だ。選手が言ったことはもうしようがない。いろいろ議論があって、食い違ったりまとまらなかったりする危険性が非常にあるんですけれども、それでも議会主義という面から見たらグラウンドルールは自分たちで決めるべきだと、そういう原理に基づいてやるというのも一つの考えで、むしろ後者の考えの方に私は近い。現実を見ますとそういうことにならざるを得ない、そう思っております。
 それから国債利子等の問題は――政治家というものは自分の個人的意見をばんばん言うくせを持っておりまして、私なんかもそういうくせが非常にあって、しばしば怒られたりなんかするんですけれども、そういうことで御理解をお願いいたしたいと思っております。
○青木茂君 実は大いに意見があるんですけれども、時間が参りましたからいたしませんけれども、一つだけ、国債の利子棚上げとか半減とかいう問題は、政府として絶対そんなことはないということは言っていただきませんと国民が非常に不安を持ちますから、それだけ一つ。
○国務大臣(中曽根康弘君) 金融秩序とか経済というものはちゃんとしたルールにのっとってそのルールを守っていくという、そこで信用関係で成り立っているものでありますから、その信用を崩すようなことはやってはいけない、やる意思はありません。
○青木茂君 終わります。
○野末陳平君 今回の法案は臨調の答申から見ればかなり後退であるかもしれませんが、現状からしてまずまずだと、そういう気がしまして、私はこの新会社の将来に期待したいと思うんですね。ただ、総理の頭の中に、この新会社をいずれ完全な民営化するのかどうか、その辺ですね。つまり、いずれ経営形態の見直しをするというような含みが今度の法案の中にあるのかどうか、その辺、総理のお考えを聞いておきたいんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) この点につきましては、前にもしばしばお答えいたしましたように、今回の法案、今回の改革におきましては新会社に製造独占を与える、それから葉たばこの全量買い上げ制を実施する、こういう点は暫定措置としては規定しておらない、そういうことで御理解を願いたいと思っておる次第です。
○野末陳平君 次に、たばこ消費税なんですが、消費者の方はたばこを買う段階でもって納税済みなんですね。しかし、集める側では三本立てになりまして、かなり複雑なんです。
 税全体についてですが、臨調答申は、もう言うまでもなく、国税と地方税の徴収事務を総合化、効率化、こういうことをうたっております。現在でも国と地方自治体で税務の実務面では交流とか協力があるのは承知しているんですが、非常に不十分ですね。これからさらにどういう点に留意して、どこを改めていって一層の効率化を図っていこうと政府はなさっているのか、その辺、総理のお考えあるいは大蔵大臣のお考え、聞いておきたいんです。
○国務大臣(竹下登君) これは正確には答弁をいたしませんでしたが、五十七年の十二月一日の国と地方団体の税務行政運営上の協力についての了解事項というのが国税庁長官と自治事務次官の間にあるわけでございます。したがいまして、これはまさに市町村にまで徹底を図ってもらいたいということでございます。それに基づいて、確かに国税庁と自治省の了解事項、そうしてまた自治省と国税庁の間のそれに基づく賦課徴収に関する資料、情報の交換と申しましょうか、そういうことにつきましては、相互協力が大変濃密という言葉は少し過ぎるかもしれませんが、綿密に日を追ってなっておるというふうに私どもは理解いたしております。
 したがって、野末委員もそうでございますが、よく言われます、もう思い切って地方税の中には徴収を国に委託して、場合によってはそれが譲与税のような形になってもいいじゃないか、こういう議論もございますが、地方自治の本質ということになりますと、自分たちで苦労して自分たちの自治体の特定財源は集めようというところにまた地方自治の原点としての意義という議論もあるわけでございますので、全般におきましては、今度のたばこ消費税のみでなく、国税、地方税の事務の総合、効率化という問題についてあの線に沿ってこれからも一層綿密な情報交換、資料提供等々を行って十全を期したいというふうに考えております。
○野末陳平君 その原点の議論はわかるんですが、しかし、総理にこれはお伺いしたいんですが、この地方自治体の立場を重んずる余り、一方においてむだが出てきては何にもならないわけでして、どうもその辺が、いずれは一本化していくというシステム化をしなければいけないと思うんですね。行革を今後遂行するために、徴税については国と地方を通じた新しいシステムを研究していかなきゃならぬのじゃないでしょうか。今でも税制は複雑ですから、これを簡素化しなければならないし、それからその結果行政コストが減ってくるということも当然必要で、この際いずれは一本化するという、臨調で言うと総合化といいますか効率化といいますか、それを目標に機械化による新しいシステムというものを検討していかなきゃならない。それをやっていかないと五年も六年もたってもいまだにこのままだと非常にむだが多くなって行革の命取りになる。こういうような気もするんですが、その検討についてはどうでしょう、総理。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は野末さんの言われることは妥当であると思います。
○野末陳平君 いずれそういう研究もしてほしいと思いますね。大蔵大臣の主張なさる自治体の原点というのもいいんですけれども、しかし徴税という事務的な問題に関しては、そんなにそれを行政のむだまで犠牲にして重んじていいかどうか、その辺は疑問なので、ひとつ検討をお願いしておきたい。
 それから最近たばこについては嫌煙権とかあるいは健康問題とか、いろいろ議論になっておりますけれども、先進国の実情と比較しますと、総理、日本では禁煙のエリアというものがちょっと少な過ぎるような気がして、これをもっと拡張していくというか拡大していくことが時代の流れじゃないかという気がするんですね。
 これは私個人の提案なんですけれども、例えば禁煙車だって、国鉄私鉄を問わず、もっとふやす方向にあるんだろうと思うし、それから公共の施設なども病院とかお役所を中心にしてもっと禁煙の場所をふやす。極言すれば、本来こういう公共の施設は禁煙であるべきで、たばこを吸う場所を別に設けるという方向ではないかと思うんです、これから。そんなことを含めまして、どうでしょうか、公共の場所を中心に禁煙のエリアを拡大していくということを今後検討課題にしたらどうかと思いますが、総理のお考えをお聞きしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 結構だと思います。衛生的で、かつ人の迷惑にならないような、気分のいい環境をつくるということは政治の一つの目標でございますから、そういう意味において、たばこの嫌な人もおりますし、また好きな人もいる、しかし人の迷惑にかからぬということは大事な点で、清潔を維持するということは大事であると思います。
 最近、アメリカでは公の会議の席上で、こういうアシュトレイ、たばこの灰皿を置かないそうですね。日本だけ置いている。あるいはアメリカあたりではそういう点で、こういうのを置いておくとみんな吸う、その場合、会議が紫煙で空気がよくなくなるとか、いろんな面で考えているのかもしれません。そういう点では、我々の方もエチケットとかあるいは環境の浄化とか、そういうことで考える必要があると思います。
 また一面において、のみたい人がそれでまたエンジョイして堪能しているわけですから、それを妨害するというのもまた悪いことで、十分堪能してのめるような場所を設定するということも一面においてエチケットである、そうも思います。
○野末陳平君 当然それは喫煙権もあれば嫌煙権もあるわけですが、日本の場合はどうやらたばこを好きな人中心に何となくできているようですから、あえて……。たまたまアメリカの話ですが、事実アメリカでは非常にそういう禁煙という面にうるさくなっているようです。
 で、私ひとつここで、またちょっと嫌われるかもしれませんけれども、お役所でたばこを吸っているという、これはそろそろ考え直さなければならぬと思うんです。区役所でも市役所でもいいんですけれども、吸いながら仕事をしている。これは喫煙所がないからかもしれませんが、お客に対してもたばこ吸いながらいろいろ執務している。これは余り感じのいいものじゃないんじゃないか。時代の流れとして、こういうことも改める方向にあるような気がするので、仕事場では――民間の会社ではそういうところはありますよ。もうやっているところがあります。ですけれども、公務員とあえて限定するわけではないんですけれども、お役所で余り市民に向かって応対するときにたばこなど吸っている、あれはよくない、そういう気もするんです。こういうところから改めていくべきだと思っているので、最後にそれについても総理に聞いて終わりにしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) まあ役所で一日じゅう吸っていかぬというのも、ちょっとかわいそうな気がしますね。だから、人の迷惑にかからぬような時間に吸って、お客さんが来たら消すとか、あるいは勘所を変えるとか、ともかくたばこをくわえたまま人に応対するとか、たばこを持ったまま人に応対するというのは、ちょっとこれは失礼じゃないかと思いますが、四六時中一切吸っちゃいかぬというのもかわいそうな気がします。そういうのは要するにエチケットの問題で、常識の線に沿った応対をまずやる、そして来庁した人々に不愉快な気持ちを与えないようにやるということがエチケットではないか、こう思います。
○委員長(伊江朝雄君) 他に御発言もないようですから、五案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより五案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○鈴木和美君 私は、日本社会党を代表して、ただいま質疑を終了いたしましたたばこ事業法案等専売改革五法案に対し、反対の立場から討論を行うものであります。
 まず、私は、本委員会の審議におきまして政府並びに専売公社が前向きの答弁をされたことは、それなりに評価いたします。しかし、私は次の理由から残念ながら反対せざるを得ないのであります。
 その第一は、今回の専売改革法案は、去る五十七年七月の臨調基本答申を受けた内容のものであり、我が党は常に、臨調及びその答申の基本的性格は財界擁護に編し、福祉の後退を行わせる国民不在の答申であると認識しているところであり、したがって、臨調に即した本改正案に対しては反対せざるを得ないのであります。
 第二は、たばこという商品が基本的に国際的商品という性格を持っているということは否定しませんが、これを完全自由化に踏み切るには、国内たばこ産業の体質が名実ともに強化されていなければなりません。
 その観点に立てば、健康喫煙問題についての国民的コンセンサスの定着、葉たばこ原料の過剰在庫の解消万策の確立及び公社職員の年齢構成を配慮した適正な転換条件の整備などが事前に整っていなければならないと考えます。これらのことから、本改革案によるたばこの自由化は時期尚早と言わざるを得ません。
 また、今日までの専売制度における実績を検討しても、五十八年度を例に見れば、専売納付金は一兆六十六億円、地方たばこ消費税は七千七百八十一億円と国及び地方財政に大きく貢献し、財政専売としての地位を確定していることは見逃すことができません。
 他方、約十万戸のたばこ耕作者、二十六万店のたばこ小売人、三万七千人の公社職員、さらに数多くの塩事業関係者すべてがこぞって現行制度で十分に国民の期待にこたえ得るとしていることから見れば、本改革案を提示する必然性は見当たらないのであります。
 第三には、経営の自主性、当事者能力の拡大が現代の公的企業には欠かせないにもかかわらず、依然として官僚的、行政的介入、干渉の余地が多く見られることに不満を感じるものであります。
 すなわち、役員の選任解任、事業計画などについて大蔵大臣の認可にかからしめるなど、依然として新会社の当事者能力を束縛する規定が盛られ、監督官庁が株主としての権限に基づき、積極的に介入する余地が残されていることは遺憾のきわみであります。この立場からも新会社の自主性尊重は完全に確立しているとは言えません。
 第四は、本委員会の審議を通じてさらに不安が色濃くなったことであります。
 葉たばこ耕作の全量買い取り制度は、維持されたとはいえ、将来の国内葉たばこ産業の安定化及び日本農業の構造的体質からくる葉たばこ耕作者の生活については依然として不安が解消されていません。加えて、公社職員についても将来の年次別合理化計画が提示されなかったことにかんがみ新会社への移行条件並びに移行後の労働条件を初めとする雇用安定という重要課題についても不安を持たざるを得ません。
 最後に、今次改革案では、現行の専売納付金制度を消費税制度に改めることとしておりますが、その税率は従価換算で五六・四%と他に類を見ない税負担の限界を示すものであり、今後においてもこの水準を維持されることを強く求めるところであります。
 また、新会社に対しては、利益が生ずれば法人税などの納税義務を生じることとなり、このほか固定資産税などの負担も増加し、さらに株主配当もしなければならないことになります。
 このように、公社制度と比べて格段の負担が加わることとなります。本来、激化する国際競争のもとで内部留保の充実など経営基盤の強化に努めるべきときにもかかわらず、それが極めで困難となることが予想され、強く不安の念を抱くところであります。
 政府は、かかる事情を考慮して、今後の経営基盤強化に向けて適切な配慮をなされんことを切に要望して、私の反対討論を終わります。
○岩崎純三君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております、たばこ事業法案以下五法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 提案されております専売改革は、明治三十七年以来八十年に及ぶ日本専売制度の歴史に一大転換をもたらすものであり、その基本的な柱は、開放経済に即応するなどのため輸入たばこの自由化に踏み切るとともに、国際競争力確保の観点から、専売公社を合理的企業経営が最大限可能となる特殊会社に改組する点にあります。
 確かに、本改革の前提となっている臨調答申の内容と若干の食い違いがあることは否定できないところであるかもしれませんが、臨調答申のポイントが、市場開放要請に適切に対応するとともに、競争原理の導入による効率化の促進を図るため、輸入の自由化を行うこと、さらに経営の自主責任体制の確立などのために公社制度を抜本的に改革するという二点にあったことから見ても、その基本的趣旨に沿った改革案内容であると言えるのであります。
 特に割高な国産葉たばこを抱えた現状のもとで、たばこ輸入自由化を行いながら、なお我が国たばこ産業が国際競争力を確保して健全な発展を遂げるためには、専売公社を政府出資の特殊会社に改組しつつ、製造独占権を付与する以外にないと判断されたことはまさに当を得たものと言えます。
 そこで、具体的内容を見でまいりますると、まず日本たばこ産業株式会社の株式は、常時二分の一以上、当分の間三分の二以上政府が保有することとしておりますが、今日までたばこ産業を支えてこられた関係者の不安を除去するとともに、新会社の設立の目的に沿った事業運営を担保するため、常時二分の一以上、たばこ産業の健全な発展の目途が明らかになるまでの経過的措置として当分の間三分の二以上の株式を政府が保有することは適当な措置と言えましょう。
 次に、改革による激変緩和措置が各所に講じられているということであります。すなわち、葉たばこの買い入れにつきましては、契約によるとはいえ、全量買い取り制が維持されるとともに、新会社の中に葉たばこ審議会を設置し、公正さが担保されるよう配慮されておりますし、定価制とたばこ小売人の指定制を堅持することにより流通秩序の維持も図られるよう措置されておるところであります。
 また、輸入たばこの自由化のもとで、我が国たばこ産業の健全な発展を図るという新会社の目的に沿った運営が行われるためには、新会社の経営はその自主性にゆだねられるべきものでなければなりません。その点では既存の他の特殊会社に比べ政府による関与は最も少ないものであり、一部に政府が株主権の行使により積極的に事業運営に関与するのではないかとの心配もありましたけれども、本委員会の論議を通じ、新会社の経営の自主性が守られることが明らかにされているところであります。
 さらに、適正な労使関係維持と労使一体となった経営の効率化に取り組めるよう労働三法の適用も図られております。
 次は、たばこ消費税制度であります。
 専売公社が特殊会社に改組されることに伴い、現行専売納付金制度にかえてたばこ消費税制度を設けることになっておりますが、たばこの税負担率水準や国と地方への財源配分などは基本的に現行水準を維持することとしており、また税率を定めるに当たりましては、従価税と従量税を併用、その比率を八対二としていることは、たばこが重要な財政物資であること、さらには諸外国の税制とのバランスから見ましても妥当な措置と考えるものであります。
 最後に、塩事業についてでありますが、塩は国民生活における必需物資であるところから、公益専売制度が維持され、加えて営利目的の新会社に塩事業を独占させることの弊害を除くため、事業経理の区分、塩専売事業運営委員会の設置などの諸措置が講じられていることは適正なものと言えます。今後、国内の塩産業の自立化に向けて関係者の努力が期待されておるところであります。
 以上、数点にわたりまして賛成の立場からの意見を述べてまいりましたが、今回の改正案が実りある改革となり、外国たばこ資本との競争に打ちかっことにより、たばこ産業の健全な発展が図られ、それに携わる人々の生活基盤が守られますることを切望して、私の賛成討論といたします。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、たばこ事業法案等専売五法案に対し、反対の討論を行います。
 第一に、アメリカの我が国に対する不当な市場開放要求に屈した結果、専売制度が廃止に至ったという点であります。
 アメリカ政府の我が国に対するたばこ市場開放の要求は、いわゆるビッグスリーと言われる巨大たばこ会社による世界第二の市場である我が国に対する市場争奪戦の一環をなしているのであります。これらアメリカたばこ会社は、相次ぐ関税の引き下げで先進国中最低の関税水準になったにもかかわらず、我が国に対する輸出がふえないのは我が国が専売制度をとっているためであるとして、一端決着済みの日米合意を覆し、一気に専売制度の廃止を迫ったのであります。これは明らかに不当な要求であり、内政干渉にわたるものであります。
 第二に、本法案は臨調行革による民間活力論に基づく国鉄、電電などと並ぶ三公社の民営化の一環であります。
 三公社はそれぞれ今日ますますその公共性の発揮が求められており、公社制度を維持しつつ、その国民本位の改革が求められています。いわゆる公社の民営化論は公的規制を取り払い、これを民間資本の利潤追求の対象にしようとするものであり、断じて許されません。
 専売公社に関して言えば、喫煙と健康問題に対する関心が世界的に高まっている今日、その製造、流通、消費について公的な規制が強められる必要こそあれ、もうけ本位の販売競争を必然化する民営化や輸入自由化は、まさに逆行であります。
 第三に、本法案によって我が国のたばこ産業がビッグスリーの支配する国際たばこ資本の激烈な競争と市場争奪戦に巻き込まれる結果、資本主義的合理性と効率化が最優先され、公社で働く労働者はもとより、葉たばこ生産農民、たばこ販売店に至るまで徹底した合理化が待っているのであります。
 既に大蔵省と公社は、一分間八千回転の高速機の導入と工場の統廃合計画を策定する一方、営業所を三分の一削減するなどの第一線事業所の統廃合を既に着々と進めており、これによって一層の労働強化と一万人以上の余剰人員が生み出されることは必至であり、職員、労働者の不安は高まっております。
 ところが、本法案と一体不可分の関係にあるこの合理化計画の内容について、一部の団体、一部の政治家には説明しておきながら、本委員会における我が党のたび重なる要求に対していまだに提出されないことは極めて遺憾であります。
 また、葉たばこの過剰在庫とコスト高を理由とした葉たばこ耕作者への合理化攻勢も一段と強まることは必至であります。本法案で、形の上では全量買い取り制度が維持されるとはいえ、契約そのものが企業主義的判断でなされる結果、契約面積、買い入れ価格ともに切り詰められ、葉たばこ農家の経営を一層窮状に追いやることは明らかであります。
 特に零細な経営が大半を占めている小売店も、先行き不安が募っています。当面、小売許可制が維持されるとはいえ、輸入自由化で外国たばこ会社が商社などの販売ルートを使って直接販売する動きも出ており、既にその販売攻勢は激化しているのであります。
 以上のような数々の重要な問題点のある本法案に対し、私は断固として反対するとともに、未解明の問題を多く残したまま採決を強行することに遺憾の意を表し、私の反対の討論といたします。
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました専売五法案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 たばこ専売制度は明治三十七年に、日本専売公社制度は昭和二十四年に制度が設けられて以来、財政収入の確保に寄与してまいりましたが、行財政改革に対する国民の強い要求や貿易摩擦による海外からの市場開放要請など、時代の変遷、環境の変化等を背景としてその見直しの必要性がとみに高まってまいりました。このような状況を踏まえ、一昨年七月に臨時行政調査会により提出された「行政改革に関する第三次答申」において、専売制度、公社制度の抜本的改革の提言がなされました。本法律案はこの臨調答申の趣旨に沿ったものであり、中曽根内閣が最重要課題として掲げる行財政改革の一翼を担うものであります。
 我々は、たばこ専売の改革について、長年専売公社制度を支えてきた葉たばこ生産農家、たばこ小売店、公社職員など関係者の生計維持に配慮することを前提にして臨調答申の示す方向を支持する立場を貫いてまいりました。
 今回の改革法案は、特殊会社という経営形態については現在の専売公社より経営効率の向上が期待できる上、たばこ輸入の自由化は現在の国際情勢からやむを得ない措置であり、貿易摩擦の緩和にも貢献するものと評価し、賛成をいたしますが、全く問題なしとは言えないのであります。
 問題の第一は、臨調答申が示した民営の方向が変わり、特殊会社を恒久的制度とする点であります。しかも、新会社になっても取締役の選任と解任、事業計画の決定、重要財産の譲渡などについて大蔵大臣の認可を必要とするため、政府の関与が続き、新会社の自主性が確保できるのか疑問であります。また強大な外国たばこ産業の侵攻に十分耐え得る国際競争力の面においても危惧を抱かざるを得ないということであります。
 問題の第二は、葉たばこの問題の展望が明らかでない点であります。外国産葉たばこの二倍から四倍の価格の国産葉たばこを抱え、その上一年分以上の過剰在庫は新会社の経営基盤を弱体化させるのではないかとの懸念があります。たばこのコストに占める葉たばこ原料の割合は約六割であり、葉たばこのコスト低下は国際競争力をつけるため避けて通れない問題であります。
 我々も、約九万三千戸もある全国葉たばこ生産農家にとって全量買い取り制度を存続させることは必要と考えております。しかし、今後は広く国民の声を聞くため、葉たばこ審議会の民主的な構成と運営の確保に配慮し、葉たばこ生産農家の協力を得ながら、コストの低下、適正在庫の実現に努めるべきであります。
 以上、このような問題点が存在するものの、行財政改革推進の立場及び市場開放の波に乗った国際化時代を迎えた今日、本法律案は一歩前進するものと評価して賛成をするものであります。
 最後に、八十年に及ぶ専売制度を支えてこられた関係者各位に深く敬意を表するとともに、内外の厳しい環境の中で船出する新会社が、今日までのよき伝統を受け継ぎ、重要な使命を達成されんことを心から願うものであります。関係者のますますの御努力を期待し、賛成討論とします。
○栗林卓司君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりましたたばこ事業法案外四法案に対し、賛成の討論を行います。
 この賛成ということは、改革の方向それ自体には賛成であるという意味であって、改革案そのものに全く問題がないという意味ではありません。
 今回の改革が関係者に多大な不安と動揺を与えたことは確かだと思います。しかし、その結果、不安を静めるために専売公社からたばこ産業株式会社に衣がえをしたとしても、中身は極力従来の形を残す、言いかえれば実体としては前と変わらずという法案をつくったとしたら問題であります。
 たばこ及び塩の双方について言えることでありますが、本当の問題は国際競争に耐え得る企業体質をどうつくるかということであります。
 たばこは明年四月一日以降輸入自由化となり、塩については輸入塩との間で既に競争関係にあります。この実状に対処するためには経営力、市場支配力、技術力、資金力のすべてにわたって企業力を蓄積し、活力を養っていかなければなりません。それが可能となる環境は、あくまでも自由で濶達な民間企業においてのみ期待し得るところであります。
 補助金は産業から自立心と活力を奪い、やがて守ろうとする産業そのものもだめにすると言われますが、同じ意味で日本の葉たばこ農業を真に育成しようというのであれば、外の冷たい風にさらさなければなりません。全量買い上げなどの長続きするはずがない保護政策に寄りかからせることはやがて葉たばこ農業そのものを失うことになる道であります。
 私はこうした点で提案された法律案には迫り来る新時代への緊張感も活力も感じられません。過度に激変緩和に目を奪われた法案の内容であり、早急な見直しを強く要請して賛成の討論を終わります。
○委員長(伊江朝雄君) 他に御発言もないようですから、五案に対する討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより順次五案の採決に入ります。
 まず、たばこ事業法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、日本たばこ産業株式会社法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、塩専売法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、たばこ消費税法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、竹田四郎君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田四郎君。
○竹田四郎君 私は、ただいま可決されましたたばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会、新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    たばこ事業法案、日本たばこ産業株式会社法案、塩専売法案、たばこ事業法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及びたばこ消費税法案に対する附帯決議(案)
 今次改革は、外国との競争激化、社会的環境の変化等、たばこをめぐる厳しい内外情勢のもとで、永年にわたり培われてきた専売制度及び公社制度を抜本的に変革するものであるが、専売公社制度が今日まで果たしてきた社会的・公共的役割を継承しつつ、新会社は民営・分割することなく、消費者に対するたばこの安定的供給と地域経済の発展に寄与するものでなければならない。
 したがって、新制度への移行に当たって、政府及び新会社は、たばこ及び塩事業関係者の不安を解消するため、次の事項について十分配意すべきである。
 一、政府は、新会社に対する各種の監督規定等については公的関与を極力排除し、役員の選解任・事業計画策定等に係る認可に当たっては新会社の経営の自主性を発揮できるよう十分に配慮すべきである。
 また、新会社は、我が国たばこ産業の健全な発展を図るため、事業範囲の拡大、研究開発の推進等に努め、経営基盤の強化を図るとともに、職員の雇用の安定、労働条件の維持・向上、労働三法に基づく公正な労使慣行の樹立等、近代的・民主的な労使関係を確立し、もって一層の経営の効率化・合理化が図られるよう努めるべきである。
 二、政府は、新会社への移行に伴う資金問題及び新たな納税義務等の負担が増加することにかんがみ、必要に応じ適切に配慮すべきである。
 また、政府は、国内産葉たばこの実情及び租税負担等をかかえて発足する新会社の経営実態等にかんがみ、輸入製造たばこの現行関税率水準を維持するよう努めるとともに、たばこ消費税については、今後とも、現行の納付金率の水準、国・地方の安定的な財政収入の確保、たばこの消費動向等に配意して決定するよう努めるべきである。
 三、政府は、国内葉たばこ生産の安定と国内製品の競争力確保とを両立させるため、災害補償制度を存続し、民主的な標本決定を維持することとし、農政費用負担のあり方等について多角的に検討を加えるとともに、たばこ小売店についての許可制度の適切な運用等により流通秩序を維持し、その経営と生活の安定に十分配慮すべきである。
 四、塩が国民生活の必需品であることにかんがみ、公益専売制度を維持するとともに食料用塩の自給率の向上に努め、あわせて塩の生産・流通業界の実態に即しつつ、生産・流通両面の一層の合理化を推進し、さらに、販売特例塩の積極的拡大を図り、もって国内塩産業の自立体制を確立すべきである。
 五、各種審議会の構成と運営については、たばこ事業及び塩事業関係者の意見が十分反映されるよう配意するとともに、公正かつ民主的な構成と運営が期せられるよう十分配慮すべきである。
 六、塩専売事業運営委員会の構成については、産業界からも塩の生産流通に関しすぐれた識見を有する人材を広く求めることとし、運営に当たっては、塩事業の実情をも踏まえ、塩事業関係者の意見が十分反映されるよう配意すべきである。
 また、日本専売公社総裁の諮問機関としての塩業審議会及び塩収納価格審議会については、従来の経緯にかんがみ、本法施行後においても引き続き塩事業責任者の諮問機関として存置すべきである。
 七、最近における喫煙と健康に関する国民的関心の高まりにかんがみ、新会社は喫煙と健康に関する科学的研究をより一層充実し、国民が安心して吸えるたばこの供給が図られるよう努めるとともに、非喫煙者の健康を守りたいとする立場にも配意すべきである。
 また、広告・宣伝が過度にわたらないよう留意し、未成年者の喫煙を誘発するおそれのある広告・宣伝は厳に自粛するよう努めるべきである。
 右、決議する。
 何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
○委員長(伊江朝雄君) ただいま竹田四郎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(伊江朝雄君) 多数と認めます。よって、竹田四郎君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。ありがとうございました。
○委員長(伊江朝雄君) なお、五案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(伊江朝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時三十分散会