第101回国会 予算委員会 第19号
昭和五十九年四月九日(月曜日)
   午後一時三十分開会
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   委員の異動
 四月五日
    辞任         補欠選任
     小笠原貞子君     上田耕一郎君
     青木  茂君     下村  泰君
 四月六日
    辞任         補欠選任
     佐藤栄佐久君     志村 哲良君
     太田 淳夫君     鈴木 一弘君
     中西 珠子君     桑名 義治君
 四月九日
    辞任         補欠選任
     安孫子藤吉君     藤田  栄君
     上田耕一郎君     近藤 忠孝君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         西村 尚治君
    理 事
                金丸 三郎君
                亀井 久興君
                初村滝一郎君
                藤井 裕久君
                村上 正邦君
                和田 静夫君
                峯山 昭範君
                内藤  功君
                伊藤 郁男君
    委 員
                長田 裕二君
                海江田鶴造君
                梶原  清君
                古賀雷四郎君
                沢田 一精君
                志村 哲良君
                杉山 令肇君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                竹内  潔君
                内藤  健君
                成相 善十君
                鳩山威一郎君
                藤田  栄君
                真鍋 賢二君
                増岡 康治君
                松岡満寿男君
                宮澤  弘君
                宮島  滉君
                糸久八重子君
                久保  亘君
                佐藤 三吾君
                志苫  裕君
                瀬谷 英行君
                高杉 廸忠君
                矢田部 理君
                桑名 義治君
                鈴木 一弘君
                中野 鉄造君
                和田 教美君
                近藤 忠孝君
                柄谷 道一君
                下村  泰君
                野末 陳平君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       法 務 大 臣  住  栄作君
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       文 部 大 臣  森  喜朗君
       厚 生 大 臣  渡部 恒三君
       農林水産大臣臨
       時代理
       国 務 大 臣
       (総理府総務長
       官)
       (沖縄開発庁長
       官)       中西 一郎君
       通商産業大臣  小此木彦三郎君
       運 輸 大 臣  細田 吉藏君
       郵 政 大 臣  奥田 敬和君
       労 働 大 臣  坂本三十次君
       建 設 大 臣  水野  清君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    田川 誠一君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 藤波 孝生君
       国 務 大 臣
       (行政管理庁長
       官)       後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (国土庁長官) 稻村佐近四郎君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  栗原 祐幸君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       河本 敏夫君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       岩動 道行君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  上田  稔君
   政府委員
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       内閣法制局第一
       部長       前田 正道君
       内閣総理大臣官
       房会計課長  
       兼内閣参事官   渡辺  尚君
       警察庁長官官房
       審議官      大高 時男君
       警察庁刑事局長  金澤 昭雄君
       行政管理庁長官
       官房総務審議官  古橋源六郎君
       行政管理庁長官
       官房審議官    佐々木晴夫君
       行政管理庁行政
       監察局長     竹村  晟君
       北海道開発庁総
       務監理官     楢崎 泰昌君
       北海道開発庁予
       算課長      平岡 哲也君
       防衛庁参事官   古川  清君
       防衛庁参事官   冨田  泉君
       防衛庁長官官房
       長        佐々 淳行君
       防衛庁防衛局長  矢崎 新二君
       防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君
       防衛施設庁長官  塩田  章君
       防衛施設庁総務
       部長       梅岡  弘君
       経済企画庁長官
       官房長      窪田  弘君
       経済企画庁長官
       官房会計課長   遠山 仁人君
       経済企画庁調整
       局長       谷村 昭一君
       経済企画庁物価
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁総合
       計画局長     大竹 宏繁君
       経済企画庁調査
       局長       廣江 運弘君
       環境庁長官官房
       長        加藤 陸美君
       環境庁長官官房
       会計課長     廣重 博一君
       沖縄開発庁総務
       局長       関  通彰君
       沖縄開発庁総務
       局会計課長    大岩  武君
       国土庁長官官房
       長        石川  周君
       国土庁長官官房
       会計課長     安達 五郎君
       国土庁土地局長  永田 良雄君
       法務省刑事局長  筧  榮一君
       公安調査庁次長  岡村 泰孝君
       外務大臣官房長  枝村 純郎君
       外務省アジア局
       長        橋本  恕君
       外務省北米局長  北村  汎君
       外務省中南米局
       長        堂ノ脇光朗君
       外務省経済局次
       長        恩田  宗君
       外務省経済協力
       局長       柳  健一君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       山田 中正君
       大蔵大臣官房会
       計課長      渡邊 敬之君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     吉田 正輝君
       大蔵省主計局長  山口 光秀君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理財局次
       長        志賀 正典君
       大蔵省銀行局長  宮本 保孝君
       国税庁次長    岸田 俊輔君
       文部大臣官房会
       計課長      國分 正明君
       文部省初等中等
       教育局長     高石 邦男君
       文部省大学局長  宮地 貫一君
       厚生大臣官房総
       務審議官     小林 功典君
       厚生大臣官房審
       議官     
       兼内閣審議官   古賀 章介君
       厚生大臣官房審
       議官       新田 進治君
       厚生大臣官房会
       計課長      黒木 武弘君
       厚生省公衆衛生
       局長       大地 眞澄君
       厚生省医務局長  吉崎 正義君
       厚生省薬務局長  正木  馨君
       厚生省社会局長  持永 和見君
       厚生省児童家庭
       局長       吉原 健二君
       厚生省保険局長  吉村  仁君
       社会保険庁長官
       官房審議官    小島 弘仲君
       社会保険庁医療
       保険部長     坂本 龍彦君
       農林水産大臣官
       房長       角道 謙一君
       農林水産大臣官
       房総務審議官   塚田  実君
       農林水産大臣官
       房審議官     中野 賢一君
       農林水産省構造
       改善局長     森実 孝郎君
       通商産業大臣官
       房審議官     棚橋 祐治君
       通商産業大臣官
       房審議官     山田 勝久君
       通商産業大臣官
       房会計課長    山本 雅司君
       通商産業省通商
       政策局長     柴田 益男君
       運輸大臣官房長  松井 和治君
       運輸省鉄道監督
       局長       永光 洋一君
       郵政大臣官房経
       理部長      高橋 幸男君
       郵政省電気通信
       政策局長     小山 森也君
       労働大臣官房長  小粥 義朗君
       労働大臣官房会
       計課長      若林 之矩君
       建設大臣官房長  豊蔵  一君
       建設大臣官房会
       計課長      牧野  徹君
       建設省都市局長  松原 青美君
       建設省道路局長  沓掛 哲男君
       建設省住宅局長  松谷蒼一郎君
       自治大臣官房長  矢野浩一郎君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省行政局選
       挙部長      岩田  脩君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   説明員
       日本国有鉄道総
       裁        仁杉  巖君
       日本国有鉄道常
       務理事      岡田  宏君
       日本国有鉄道常
       務理事      須田  寛君
       日本電信電話公
       社総裁      真藤  恒君
   参考人
       日本銀行考査局
       長        土金 琢治君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和五十九年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十九年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和五十九年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
○委嘱審査報告書に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(西村尚治君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和五十九年度一般会計予算、昭和五十九年度特別会計予算、昭和五十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(西村尚治君) まず、締めくくり総括質疑に関する理事会における協議決定事項について御報告をいたします。
 質疑を行う日は本日九日及び明日十日とすること、質疑時間総計は二百分とし、各会派への割り当ては、日本社会党八十分、公明党・国民会議五十分、日本共産党、民社党・国民連合及び参議院の会それぞれ二十分、新政クラブ十分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
 右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(西村尚治君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和五十九年度総予算審査のため、本日の委員会に日本銀行考査局長土金琢治君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認めます。
 なお、出席時刻等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(西村尚治君) それでは、これより和田静夫君の締めくくり総括質疑を行います。和田君。
○和田静夫君 まず、大蔵大臣にいわゆる予算の空白について総括的な政府見解を求めたいと思います。来年度以降、一日たりとも予算の空白を生じさせないと約束できますか。
○国務大臣(竹下登君) これは和田さんと私と再三議論いたしましたので、正確を期するためにきちんと書いてまいりましたので、これを朗読さしていただきます。
 いわゆる予算空白は、現行財政会計制度上は予定されておらず、適切な事態ではないと考えます。いわゆる空白時の支出の中には、国庫金の支出によらず正当な方法でないと思われるものもあるのは事実であります。しかしながら、政府として国会における予算審議の進捗についての期待を持ちつつ円滑な審議に協力申し上げている状況のもとで、これまでにも各般の事情から結果的に予算の空白を生じた事例があることは遺憾ながら御承知のとおりであります。今後とも財政法の趣旨に沿い、できるだけそのような状態を生ずることのないよう、政府の立場においても極力努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○和田静夫君 財政展望について伺いますが、臨調答申に従って歳出削減をすると言われてきているわけでありますが、その展望を実は大蔵省はなかなか具体的には示されたいわけであります。例えば補助金の一割削減を続けることによって幾らとか、あるいは私学助成の削減で幾らとかというような幅を持たせていいわけでありますが、出ませんか。
○政府委員(山口光秀君) 補助金の整理合理化につきましては、臨調がいわば制度改正につきまして提言しているもの、それからその額を抑制あるいは削減することについて提言しているもの、ございます。それは個別に補助金の名前を挙げましてそういう提言をしているわけでございます。そのほか、そういうふうにいわば個別に指名手配されていない小さな補助金につきまして、例えば一割というような削減方式がとれないかとかいう提言をしているわけでございまして、補助金全体について一割ということを申しているわけではございません。したがいまして、全体として一割削減でこうなるという展望は甚だ現実的でたいと思いますので、差し控えさしていただきたいと思います。
 それから例えば私学助成につきましては、これも臨調答申で個別に提言がたされておりますが、定性的な提言でございます。具体的な額につきましては毎年度の予算の際大いに議論して決めていくべき筋合いのものでございまして、あらかじめその翌年とかその先まで決めるというわけには現実問題としてなかなかまいらないと思います。
○和田静夫君 総理、今の答弁のようなんですが、臨調の答申で一体どの程度の歳出削減が可能なものであるかどうかわかりませんと、行政改革で財政再建を行うなどということは言えないのではないかと思うんです。したがって、正確な削減数字でなくてもよいわけでありますが、ある程度の幅があってよいし、将来その訂正があってもよいとは考えますが、財政再建論議の土台とたる基礎的資料、こういうものは当然つくられてしかるべきではないだろうか、そういうふうに思うのですが、総理から指示されて、少なくともシーリング決定までに提出されるというようなことをお計らいになりませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調答申を尊重いたしまして、その線に沿って鋭意財政改革を進めておるところでございます。増税なき財政再建以下、補助金の削減にしてもあるいは歳出歳入機構全般の見直し等々につきましても今まで努力いたしましたが、やはり臨調答申が一番目に見えてきいたというのはシーリングの設定ということではないかと思います。これによりまして三年前からゼロシーリング、それからマイナス五%、マイナス一〇%、そういうようなシーリングの設定が行われまして必然的に経費の削減を各省庁とも余儀なくされたということで、小さな政府を目指すということが現実に行われつつあるところでございます。
 最初に臨調ができましたときに、七月緊急答申をいただきまして、補助金等について例の行革特例法案を提出いたしましていろいろ御審議もお願いいたしましたが、それらの経緯もこれあり、今後もさらに努力を重ねてまいりますが、先般大蔵省から財政の中期展望に関する考え方というものを御提案申し上げまして、幾つかの選択肢の中でどれを選ぶかということは、そのときそのときの財政事情あるいは財政思想等をわきまえながら、国民の御選択、御判断を考えつつ行うべきものであるという趣旨の発想は大蔵省から御説明いただいたところであると思います。そういうような線に沿いまして、今後、毎年毎年、一つ一つ歳出歳入全般を見直しつつ、六十五年に赤字公債依存体質から脱却するということをめどに、これは弾力的に政府の方にお任せいただいて、我々としてはその大きな目標を掲げてあるわけでございますから御鞭撻願いたい、そのように思っておる次第でございます。
○和田静夫君 総理も今シーリングに触れられましたが、昭和六十年度もこのマイナスシーリングということで理解をしていてよろしいでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今日までいろいろな角度からやってまいりましたが、私もなお厳しいシーリングを設定しなければならぬではないかというふうに考えております。今日の段階でどれぐらいということにはまだ及びませんが、そのような考え方で臨まなければならないと思っております。
○和田静夫君 財政の中期展望は向こう三年間しか出ていないわけですね。
 ちょっと角度を変えますが、大蔵省、仮に次のような前提を置くとどうなりましょう。六十五年度までの社会保障移転支出と公共投資でどういうような姿が描けるだろうかということをお尋ねしたいのですが、まず社会保障移転については、現行制度を前提とすると、五十九年―六十五年度の平均伸び率はどの程度と見たらよいのか。それから公共投資については、景気中立的な伸び率として五十九年から六十五年度の平均伸び率はどの程度でしょう。
○政府委員(山口光秀君) 今後の社会保障費や公共事業の伸びを数字的にどの程度見込んだらいいかということは現段階でちょっと申し上げにくいわけでございますが、御質問でございますので、いろんな仮定の置き方があろうと思うのです。仮定の置き方としてこんなのがあるかたという例えばの話を申し上げますと、社会保障移転支出でございますと、五十九年並みの伸び率を考えたらどうかと、今年度予算並みに。これは大体二%でございます。ここ三年ぐらいも大体そんたことでございました。それから消費者物価上昇率ぐらいの伸びを見たらどうかと。これは三%を「展望と指針」では見ておるわけでございます。それからこの中期展望の部門別の分割表をお示しいたしました。ここで六十二年度までの数値の平均伸び率、大体五%でございます。そういう仮定の置き方もあろうかと思います。それからもう少しラフに名目成長率の六・五%でございますが、これを置いたらどうだろうかと。それから公共投資につきましては、一般歳出の全体の伸びに合わせて、五%なら五%、三%なら三%、〇%なら〇%と、例えばそういうふうに置くことも想定としては成り立つんじゃないかと、こう思います。
○和田静夫君 その場合の一般歳出の他の経費の伸び率というのはどの程度でしょう。
○政府委員(山口光秀君) これも全く機械的でございますが、社会保障移転支出と公共投資を除きます。その他の一般歳出の伸び率でございますが、ただいま申し上げましたような前提に立ちますと、社会保障移転支出の伸び率と、それから全体の一般歳出の伸び率のこの二つの組み合わせで決まってくるわけでございますので、そういう角度で申し上げます。
 社会保障移転支出が二%の場合には、全体の一般歳出が五%の場合に七・一%、三%が三・八%、〇%がマイナスの一・八%。それから社会保障移転支出三%の場合は、五%が六・五%、三%が三%、O%がマイナスの二・八%。それから社会保障が五%の場合は、全体が五%の場合は五%、三%の場合は一・三%、O%の場合はマイナス五・一%。それから社会保障が六・五%の場合は、全体が五%の場合は三・七%、三%の場合はマイナス〇・三%、〇%の場合はマイナス七・三%。機械的でございますが御報告申し上げます。
○和田静夫君 そうすると、他の経費の六五年度の額は今の前提でいくと幾らになりますか。
○政府委員(山口光秀君) 全部申し上げますか。それとも一番大きいのと一番小さいのを申し上げましょうか。――その社会保障が二%で全体が五%の場合が二十一兆五千百億でございます。それから一番小さいのが、社会保障が六・五%で、全体は伸びなしの〇%の場合は九兆四百億でございます。その場合に一番大きい方は五十九年度の一般歳出に比べまして五一%増になりますが、一番小さい方の数字はマイナス三六・五%になります。
○和田静夫君 厚生大臣、社会保障移転の平均伸び率五十九年――六十五年を三%と置きますと、どういうような事態が予想されますか。
○国務大臣(渡部恒三君) 今、私の手元でどれだけのことをお答えできるかわかりませんけれども、今度の予算でお願いしておる厚生省の予算はほぼ九兆二千五百億、その中で医療保険に三兆九千億、それから年金その他の手当てでほぼ三兆四千億、合わせて七兆四千億程度のものは、これは当然増何%か伸びていかなければならないわけでございます。ですから、その三%ということになるとどのくらいになるわけですか、私もここでちょっと上がっちゃって計算ができていないんですけれども、三%程度と、こういうことだろうと思います。
○和田静夫君 心臓にもが生えたような人がえらい答弁をされましたけれども、厚生省、どうなんですか。もう一つ、あわせて平均伸び率はどういうふうに考えていますか。
○政府委員(小林功典君) 私の方の厚生省関係の予算、一番大きなものは年金と医療保険制度でございますので、そこら辺が一番今後の社会保障費の中心になるのでございますけれども、ただ、今五十九年度予算案の審議中でございますので、来年度以降どうなるかというのを正確にはじくわけにはまいりませんけれども、ただ一般的に考えます場合には、医療費の関係につきましては今改革をお願いしております医療保険の改革案、これが通れば、成立をさしていただければ大体今国民所得の伸びとパラレルにいく。しかし、年金になりますとやはり人口の高齢化がどんどん進んでまいりますから、どうしても改革案を成立さしていただきましてもさらに伸びるということになりますので、率を何%かという答えがなかなかしにくいのでございますけれども、先ほどの大蔵省のお答えのような形の割合、幾つか方式がありますけれども、それがなかなか厳しい状況になるということが言えるのではなかろうかと思います。
○和田静夫君 大蔵大臣、現行程度の社会保障水準を維持して景気を失速させないための予算を組みますと、その他の経費は一・三%実質マイナス予算を六年間組み続けるということになるわけでありますが、私は常識的に考えられたいんですが、大蔵大臣、どういうふうにお考えでしょう。
○国務大臣(竹下登君) これは実質マイナス予算を六年間連続で組む、これは大変なことだと私も思います。だから、結論から言いますと、やっぱり五十九年度予算というものを成立さしていただいた後、かからなければならないのは、とりあえずは六十年度予算、だからそこから出発するわけでありますが、その年度年度の予算に対応して臨調答申等を参考にしたがら締めていかたければならぬ課題だと。しかし、今六年間実質マイナス成長を組めると思うかと、こう言われれば、それは大変難しい問題であるということを素直にお答えすべきだと思います。
○和田静夫君 そのほかに要調整額があるということです。そうすると、要調整額を一体どうやって吸収するのかというのはやっぱりどうも考えつかないんですがね。
○国務大臣(竹下登君) そこが一番議論になる問題でございまして、結局我々がどこまで歳出削減で切れるのか。結論は、負担するのも国民、また受益者も国民でありますから、結局言い古された言葉に既になったかもしれませんが、ことしの予算を出発点としてのお互いの議論の中にいわゆる負担増をお願いするのか、また歳出削減、それらの組み合わせ、これを模索していかなければならぬ。今、画然どこの程度は増収措置でやります、これは削減しますとかというだけの自信を持って申し上げる段階にはございません。
○和田静夫君 そうすると、やっぱり大蔵大臣、増税ということの道を考えるということになりますか。
○国務大臣(竹下登君) それがいわゆる国民の合意と選択の問題でありますから、国会の議論を通じながら、そこのところで判断すべき課題であると。だから負担増を求めるということを、初めから私は否定して議論をすることは難しいと思っております。
○和田静夫君 防衛庁、文部省、経企庁、通産、外務、各大臣ですが、社会保障移転と公共投資を除くその他の経費を六年間実質マイナスで組むことができますか。
○政府委員(宍倉宗夫君) お答えいたします。
 防衛関係費につきまして、実質マイナスでどうかという御質問でございましたが、実質と名目との間をどういうふうに関係づけるかということでございますけれども、名目的に前年度よりマイナス、マイナス、マイナスというような形では、たかだか現実の問題として難しい面もあろうかと思います。
○国務大臣(森喜朗君) お尋ねの財政改革全体につきましては、政府全体として取り組む課題であるというふうに文部大臣としても承知をいたしておるわけでありますが、来年度以降の予算について政府の基本方針が定まっておりませんので、文部省の予算につきまして具体的にどういうふうにするかということについては、この場で申し上げることは困難としか申し上げようがございません。仮に六十二年までマイナスシーリングが続くということになりますと、いずれにしろ極めて厳しい財政状況にならざるを得ない、こう考えます。ただ、文教予算は最も国政の基本であると、こういう認識を私もいたしておりますので、極力、文教予算獲得に文部省としては努力をしていかなければならぬ、このように申し上げたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今、大蔵大臣といろいろ質疑の応答をされておりました。大蔵大臣自体が大変苦慮し苦悩しておる、そういう現状でございます。したがいまして、各省におきましてもいろいろと苦慮することでございますが、防衛庁におきましても、この点は同様でございます。先ほど政府委員から答弁がありましたけれども、我々はそういう非常に財政事情の苦しい中でどう対応するかということでございますが、それなりの努力はしなければなりませんが、これまた防衛というのは国の大事な基本的な政策の一つでございます。そういう観点からいたしますと、今にわかにここでどうなるということは申し上げられない。我々といたしましては、諸般の事情を勘案したから我々の企図しているところについて前進をしてまいる、その御理解をいただく、それ以外にはないわけでございます。
○政府委員(窪田弘君) 経済企画庁の予算、三百十九億でございますが、海外経済協力基金の交付金を除きますと、その他の給与、庁費等で百十億円でございます。これは極めて弾力性の乏しい内容でございますけれども、全体の予算編成の動向に合わせまして極力節約、合理化を図ってまいりたいと思っております。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 外務省もいわゆる財政再建に対しましては基本的に協力していく姿勢で節減等の努力もいたしておりますが、一面また国際社会の中における日本の立場から外交体制の強化、さらにまた経済協力が、特にODAについてはいわゆる倍増計画を持っております。そういうことで五十九年度は五・四%という伸びでございます。特にODAにつきましては九・七%を伸ばしていただいたわけでございますが、しかし今後こうした状況、これからの予算編成の中でどういうふうにまた日本の役割と整合性を持たしていくかということは、今後の課題として十分勉強してまいりたいと思います。
○国務大臣(小此木彦三郎君) 昭和六十年度以降、確たる政府の予算の編成方針が決まらぬ現在、はっきりしたことを申し上げることは非常に困難でございますけれども、やはり通産省といたしましては、例えば中小企業対策費であるとかエネルギー開発費であるとか、あるいは新技術開発費等の予算を中心として編成していかなければならないものと考えます。
○和田静夫君 先日、大蔵省から臨調答申に基づく五十九年度一般会計歳出削減額試算が提出されました。その中で、改革、見直しによる削減額は六千八百三十四億円となっていました。大蔵省の今後も答申に基づく削減を続けるという趣旨は、五十九年度のこの削減額程度は毎年続ける、そういうことでしょうか。
○政府委員(山口光秀君) 臨調答申は一年ですべて実現できるものではございません。五十九年度予算では、ただいまお話がありましたように、本格的な制度改正に着手するということで予算を編成したわけでございますが、今後におきましても、なおこの臨調答申その他の改革方策を踏まえまして、大臣いつも言っておられますように、聖域を設けることなく改革、節減合理化に最大限の努力をしてまいりたいということでございますが、数字的にそれじゃ六十年は幾らかと申されましても、現段階でこれこれと申し上げるようなめどは立っていないわけでございます。定性的な話として、さらにこれを中心に一段の努力を重ねていくということで御理解いただきたいと思います。
○和田静夫君 この五十九年度の削減額の中には、行革関連特例法による諸経費の節減が三千四百四十億円ある。この特例法は五十九年度で切れるわけですね。六十年度以降はすべてもとに戻る。大蔵省は延長は考えたい、そう理解しておいていいですか。
○政府委員(山口光秀君) これもしばしば申し上げているとおりでございますが、三年間の臨時立法ということで授権をいただきました。当時は、五十九年度特例公債脱却ということを目標に考えておる時点でございましたので、三年間お願いしたわけでございます。その後、御承知のような財政状況で、厳しさをますます増しているわけでございます。ただ、この延長するかしないかという点は、現段階では政府として腹を決めているわけではございませんで、今後六十年度予算編成に当たりまして関係各省ともよく相談して検討を進めてまいりたいと、こういう立場であろうかと思います。
○和田静夫君 ともかく、毎年度歳出削減は五十九年度と同程度ずつ行うと、多く見積もって七千億から一兆円と私は見積もりましたが、ところで当然増加をしていく経費も一方であるわけでしょう。そうしますと、現時点で明らかに今後ふえていく経費、これの項目とその額の試算というのはできないですか。
○政府委員(山口光秀君) 中期展望の方でお示しいたしました後年度負担推計、これの中心をなしますものは当然増経費だと思います。そのほかに計画増でございますとか、当然増に類するようだ経費でありますとか、そういうものも織り込んであろうかと思いますが、したがいまして、当然増経費がどのくらいあるかというのは一概に言えないわけでございますけれども、まず例の中期展望の後年度負担推計の翌年度の分をごらんになりますと、大体そういう感じの中に当然増が入っておるというふうに御理解いただいていいと思うんです。翌年度と申しましたのは、翌々年度、またその次ということになりますと、また新しい情勢に応じて生じる後年度負担というのは現段階では省略されておるわけでございますから、来年度につきましては大体そういう感じてお受け取りいただいていいだろうと思います。
○和田静夫君 財政の中期展望では、六十年度国債費において定率繰り入れを前提に試算しているわけですね。やるかやらないかということは別にいたしまして、財政事情から考えて、理論的に繰り入れを停止できるんでしょうか、大臣。
○政府委員(山口光秀君) 定率繰り入れにつきましては、減債制度の基本でございますから、できる限りこれを維持してまいりたいというのが立場でございますが、ただ、ただいまのような財政状況で、片一方で利子を払って赤字公債を出して、それを原資にいたしまして繰り入れをする、せざるを得ないというのが現実でございますから、そういう状況のもとでこれをどう考えるかということでここ三年停止をお願いしているわけでございます。ただその場合に、この国債整理基金の運用に差し支えがあっては困る。ここは償還でございますとかそのほかの管理をやっておるわけでございますので、国債整理基金の運用に支障のない範囲内で判断してまいったわけでございますが、来年度以降につきましても基本は守るということでございますが、今のような考え方に立っていろいろ検討は続けざるを得たいだろうと思います。
○和田静夫君 そうしますと、六十年度の要調整額、これ、三兆八千七百億円ですね。臨調の答申に従って行う歳出削減を仮に約一兆円として考えますと、定率繰り入れ停止分一兆八千七百億円、合計二兆八千七百億円でしょう。そうすると、この削減が可能であると試算すると、それでも要調整額一兆円ということになりますね。この一兆円はどういうような形で埋め合わせをするということになりましょうか。一般歳出の削減で一兆円を埋め合わせる、そう考えておいていいんですか。
○政府委員(山口光秀君) そこのところがまさに六十年度予算編成の課題であろうかと思います。一般歳出につきましても、恐らく非常に厳しいシーリングのもとで各省にいろいろ御苦労をお願いしなければいかぬのではなかろうかと思いますが、歳入歳出のすべての点につきまして工夫を重ねまして要調整をなくしていく、これが目標であろうかと思います。
○和田静夫君 努力をされるという答弁は、ずっとこの予算委員会を通じて他の委員の質問からも類推をして聞いていましたが、六十年度にどうしてもふやさなくてはならない費目がありますね。まずODA倍増計画があるし、二〇%の増加が必要というあれは答弁にたっていますからね、これが約一千億円。二つ目に防衛費、五六中業を達成しようとすると、年々最低でも七・三%の増加は不可避という、これは昨年三月十八日にそういう答弁にたっていますね。私はもっと大きいとこの分は見るんですが、これで約二千百億円です、私の計算によれば。それから給与改善費を一%と考えても七百億円ということになりますね。三千八百億円、歳出増加不可避と見積もられるのではないでしょうか。
○政府委員(山口光秀君) 毎年度、例えばただいまのような時点で考えますと、ただいま和田委員御指摘のようないろんな難しい要因がございます。六十年度につきましても大変難しい要因がございます。ただ、例えば五十九年度でございますと、それから約八カ月か九カ月、いろんな工夫を凝らしましてただいま御審議いただいているような予算に仕上げたわけでございますので、来年度につきましても投げることなく努力を続けてまいりたい、かように思っております。
○和田静夫君 ただ、今私も触れましたが、ODAだとか防衛費だとか給与改善費というのは、これはふえざるを得ませんね、少なくとも。
○政府委員(山口光秀君) あらゆる点について聖域を設けることなく検討していかたければいかぬと思います。ふえざるを得ない経費もございますが、それをどの程度に考えていくかということもまた検討の課題であろうかと思います。
○和田静夫君 私はちょっと計算してみたんですが、仮に六十年度一般歳出を五十九年度と同じくということで仮定して、国債費は定率繰り入れの削減による十兆二千七百億円、地方交付税もそのままと仮定すると、六十年度の歳国会計というのは五十二兆二千二百五十七億円になります。要調整額は三千五十七億円。しかし、一般歳出には最低限度見積もっても、ODA、防衛費、給与改善費の増加が三千八百億円上積みされる。その結果、実質要調整額は六千八百五十七億円に私の計算ではなります。客観的に判断して、この要調整額約七千億円の発生は避けられないと思うんですね。この埋め合わせ策として理論的にどういうことが大臣、考えられましょうね。
○国務大臣(竹下登君) だから、今おっしゃいましたように、今は和田さんの各種仮定計算を前提に置いて、それも比較的常識的に、これこれこれは削減の対象には現実問題としてならないではないかというものを前提としての御計算によりますと、今のようなことになろうかと私も思います。だが、私どもとしては、今これこれこれは言ってみれば削減の対象にならないという考え方に立たないで、まずはやっぱりいわゆる表現としては聖域を設けず、こういうことを言っておりますが、そういう形で、減せるもの、あるいは当然増、当然やむを得ず認めなければならないものの、そういうコンビネーションをどうしていくかということは、まさにこれからの課題であるというふうに思っております。と同時に、この臨調から答申していただいておるものの中で、いわば継続的にこれからまだ歳出削減したければならぬものもございます。それから、手のついていないものも幾らか例示すればもとよりありますので、その辺をも総合的に考えて対応していかたければならぬ。したがってやっぱり第一段階は、その限りにおいては概算要求時のシーリングということではないかなと。それをどうするかというのも定かに決めておるわけじゃありませんが、やっぱりこの国会等で議論した問題が中心になるであろうという考え方に立っております。
○和田静夫君 同様に、六十一年度の歳出カットという点については、定率繰り入れの超過分が大体四千億円、臨調答申に従って行う歳出削減、これは仮に五十九、六十年度と同額程度としますとやっぱり一兆円ですよ。合計一兆四千億円。五兆四千億円の要調整額に対してカットできるのは一・四兆円。要調整額の残り四兆円ということになるんですが、これすべて歳出削減で賄うということはできるんでしょうか。
○政府委員(山口光秀君) ただいま御指摘のございました定率繰り入れの取り扱いの問題、ここ三年はこれをとめてきた、これをいつか復活せにゃいかぬだろう、かたがた国債整理基金の基金残高もだんだん枯渇してくる、こういう情勢を一、二年のうちに迎えんとしておりますので、ただいま和田委員が御心配になりますような感じは、ここ一、二年というのは一つのその面から山ではないかというお感じは私もそのとおりだと思います。ただ、国債費につきましても、前にこの委員会でも申し上げましたが、決して聖域視してはいけないので、いろいろな面で工夫を凝らしていってもいいじゃないか。そういうようにあらゆる経費につきましても、それから歳入のあらゆる項目につきましてもいろいろな工夫が必要であろうかと思います。ただ六十年度も、今、大臣から御答弁がありましたように、これから努力をやっていくという段階でございまして、めどが立っているわけでもございません。六十一年度について具体的なめどを今立てろといっても、なかなか難しい状況にございます。
○和田静夫君 難しいんでしょうが、私どもは素人なりに六十一年度もODA、防衛費、人件費はふえる、それからその他の歳出を五十九年水準に据え置いたとしても、それらの増額によって六十一年度の一般歳出は三十二兆五千九百億から三十三兆二千七百億円にふえるということに計算はなります。そうすると、要調整額もおおむね二兆円台に乗るわけです。大蔵大臣、一体、一般歳出を五十九年度に据え置くということは、これはできないでしょう。
○国務大臣(竹下登君) これは、五十九年度の一般歳出ゼロで据え置いていくということは、これはかなり難しい問題だと思います。私は、さはさりながら、まだ歳出削減に向けて対象として詰めていかなげればならぬ問題はあるという認識であります。
○和田静夫君 今、主計局長も言われましたし、先ほども大蔵大臣が答えられましたが、その辺のところでやはり大増税ということが一定の路線に乗る、こういうことでしょうかね。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり負担するのも国民、受益者また国民ということになりますと、そこのところが、国民のコンセンサスがどこにあるかということを見定めたければならぬわけでございますけれども、やはり総理から申しておりますように、増税なき財政再建というのを一つのてことして堅持していないことにはイージーに流れやすいということを絶えず自重自戒しておるところであります。
○和田静夫君 同じ質問、局長いかがですか。
○政府委員(山口光秀君) 大変恐縮でございますが、大臣の申し上げたとおりでございます。
○和田静夫君 総理の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 冒頭に申し上げましたように、臨調答申の線を守りつつ六十五年度に赤字公債依存体質から脱却するという目標に向けまして、毎年毎年、歳出歳入構造の見直し等を含めまして努力を続けてまいりたいと思いますし、その都度国会の皆様方の御審議や御批判をいただきたいと思っております。
○和田静夫君 防衛費に入りますが、先日の一般質問で私は、五六中業を達成、実行しようとすれば確実に対GNP比一%を超えてしまうと指摘をいたしました。少なく見積もっても一〇%弱の名目GNP成長率を確保しなければ五六中業を達成するための予算は組めないだろう。防衛庁、一九八五年度防衛関係費を「展望と指針」の六・五%、三百十五兆円、その一%、三兆一千五百億円以内に、五六中業を達成するという前提で抑えることはできましょうか。
○政府委員(宍倉宗夫君) 昭和六十年度の予算のことでございます。まだこれから先、予算編成過程を通じまして私ども一生懸命作業をしてまいるわけでございます。同時に、昭和五十一年度の三木内閣の防衛費に関する閣議決定の方針については、これを守っていくということを基本にいたしまして最大限努力をしてまいるということかと存じます。
○和田静夫君 企画庁長官と大蔵大臣に伺いますが、現在の段階では分母、つまりGNPの方はなお不確定だということは私わかるんですが、しかし現段階で八五年度を見通すことは全くできないわけではないと思うんです。八四年度は若干政府見通しより上向くかもしれないということは言えそうでありますが、実質ベースで一・五%以上の上向き修正などということはこれはちょっと考えられないと思っているんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(河本敏夫君) ことしの成長目標は御案内のとおりでございますが、来年の見通しはいかがか、こういうことでございますけれども、何しろこういう経済の激動期でございますから、なかなか正確な見通しを今立てることは困難でございますが、御案内のように、昨年の八月に「展望と指針」というものを政府から発表いたしましたが、それによりますと、昨年から八カ年平均して実質四%、名目で六ないし七%成長を目標にすると、こういうことを決めております。何回か申し上げましたが、八年間、その目標を達成するためには、悪いときにはそれよりもうんと下回るわけでありますから、条件がよくなりますとそれを上回る必要があると思うんです。平均をいたしまして今申し上げましたような数字になる、こういうことでなかろうかと、こう思います。幸いにいたしまして、第二次石油危機から数年ぶりで経済の条件は整いつつございますし、世界経済も上向いておりますから、我々といたしましては、できれば五十九年度で経済の底固めをいたしまして、そして六十年度は平均よりも高目の成長を達成できるようたそういう基盤をつくりたいと、これが今の考え方でございます。
○国務大臣(竹下登君) やはり、いつも申し上げます七、六、五抜きの四、三、二、一ですか、その六ないし七%、それから四%程度と、程度とい三言葉が使われておりますが、それよりも今、和田委員は、単年度によってはいわゆる一・五%ぐらい実質が上回る可能性と、こういうことになりますと私もにわかにお答えする自信はございませんが、今、企画庁長官からお答えがありましたように四%程度ということであって、それは平均したものであるから、その年によっては上下はあるであろうというふうに私も認識いたしております。
○和田静夫君 企画庁長官、物価の方はどうでしょう。ノーマルな経済状態が続く限り、現在の比較的な低物価が続くと見ておいてよろしいですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 物価の方は、やはり「展望と指針」では、消費者物価を八年間三%程度、卸売物価は一%程度と、こう想定をしておりますが、五十九年度は御承知のように広い意味での公共料金が相当上がりまして一%強物価を押し上げますので、一応二・八%と想定をしておりますが、これは二、三年ぶりに公共料金の値上げが集中したものですからこういうことになりました。来年度以降はこういうことはないと思いますので、先ほど申し上げましたような物価の目標を維持していくということが私は政策目標であると考えております。
○和田静夫君 そうすると、八五年度の大ざっぱな見通しというものは描けるということになりますから、ずばり言って名目一〇%、実質六から七%という姿は描けるでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) これは来年度のことでございますから、今具体的な数字を挙げることは大変難しいのですけれども、例えばアメリカ経済なども五%台の成長、五・三%という成長を目標にいたしまして、現在は実質七%、名目は一〇%成長、一〇・一%成長ということを目標にいたしまして、ほぼそれよりも二%ぐらい高い名目成長が続いておるのだと、こう思います。したがいまして、経済の条件はアメリカよりも日本の方が総合的にいいと思いますので、私は五十九年度に経済の基礎が固まればある程度高目の成長を物価の上昇なしに維持することは可能ではなかろうかと、このように思います。
○和田静夫君 大蔵大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(竹下登君) 名目一〇、こうおっしゃいますと、仮に物価三としても実質七ということになりますし、そういうことは今日の時点からするとかなりの環境の変化がないといけないのじゃないかなというふうに考えますが、現在の状態よりは上方に向かうことはあり得る。ただ、今、和田さんのおっしゃいました仮定数字の一〇とか六とかということになると、私も今にわかにお答えする自信がございません。
○和田静夫君 今、私が仮定をするような形のものが可能なのかどうか。そういうふうな経済成長というのは当然経済政策の後押しが必要になってくると思うんですが、そういう経済政策の後押しというのは、企画庁長官、どういうふうにお考えになりましょう。
○国務大臣(河本敏夫君) ことしの経済も実質四%成長を目標にいたしておりますが、しかし財政のそれに対する貢献度はゼロである、民間の力だけでこれが進められておると、こういうことでございます。しかし、今のところはよくわかりませんが、なお海外余剰あるいは民間の設備投資がよそよりも拡大をいたしますたらば目標より高目の成長も民間の力だけで出てくると、こう思います。そこでさらに財政の力が若干でも加われば非常に私は力強いものにたると、こう思いますし、また金融政策がそれに対してある程度加わってくると、これまた大変力強いものになると思います。それからまた、今一番大きな問題は自由貿易体制が維持できるかどうかという問題でございますが、それが維持できてある程度の拡大均衡が可能になるということになれば、これも大変力強いものになると思いますが、とにかく財政と金融がある程度成長を後押しするとこういう力がつく、そういう背景ができるということが非常に望ましい姿であると、このように思います。
○和田静夫君 そこで大蔵大臣、今、企画庁長官が言われましたように、財政の力、それから金融政策の後押しですね、この辺のところをどういう形でやろうと思われますか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる財政の対応力、今、企画庁長官からもお答えがありましたように、ことしの場合まさに寄与度ゼロという予算ということになるわけであります。したがって、あと民間に対して依存をし、いわばそれに対して足を引っ張らないで下支えするというのが限度だと、こういうことであります。したがって、現在の財政状況からいきますと、私はこれの対応力というものを取り戻すための今財政改革というものを進めておる、だからにわかにこの対応力というものがどのような形で発揮されるかということについては非常に難しい問題だと。しかし、きょうもいろいろ議論をしておりました例えばこの公共事業の執行とかというような問題は、この対応力の一つにはなり得るということでありましょう、これについては。
 それからもう一つの金融の問題ということになりますと、公定歩合の問題そのものは日銀の専管事項としてこれを横へ置くといたしますと、今日、金融の環境自身は緩んでおります。したがって、それがどのような形で金融が出動していくかということについてはまた別の意味において、今はやったばかりでございますが、例えば設備投資を促進するための税制上の措置とかいうようなこともあるいは政策手段としてとり得る一つの課題である、これはもっとも今という意味じゃなく一般論としてでありますが。そういうことで、結論からいいますと、金融と財政が弾力的にこれに対応していく、ところが財政についてはその対応力の幅は非常に狭いものになっておるというふうに認識せざるを得ないではないかというふうに考えております。
○和田静夫君 大蔵大臣、名目GNP成長率一〇%としますと、仮にこの弾性値を一・一でも税収は一一%と見る、一〇%なら弾性値一・二としてよいでしょうから、一二%見込めるわけですね。そうしますと、要調整額などというものにさほど頭を悩ます必要はなくなるのだろうと思うんですよ。八四年度税収見込み三十四兆六千億円の一二%ですから、これは一兆六千億円の追加税収が生まれてくるということになりますね。大変ハッピーな話でありますが、可能でしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは私は非常に難しいことだと思います。確かにそれが、私どもが今度お出しした仮定計算というのが、今の和田さんの一つの仮定計算に基づいて、まあそれは一〇%の名目成長ということになりますと、一・一じゃなく一・二、場合によっては一・三ということもあり得るかもしれません、弾性値が。そういうことでやってみれば、それは要調整額あるいは財政再建の努力目標たる六十五年が縮まるぐらいな話になり得るかもしらぬと思いますけれども、私は現状において名目成長がそれだけになった場合、税収そのものは確かにそのようなことになり得ても、やっぱり今度はインフレの問題等からする別の意味における歳出の自然増とかそういう圧力がかかってくる問題もあるであろう。しかし、一般論として、その限りにおいては好ましいことでありますが、一〇%以上の名目成長ということになると、これはよほど環境がある意味において今までとは逆の方向に好転するということが国際環境等においてもあり得たければ難しいのじゃないかと、こういう感じがいたしております。
○和田静夫君 何か回りくどいことを防衛費のところでやったように思われるかもしれませんが、実は私の試算ではGNP実質六%から七%、名目で一〇%見通すことができなければ、防衛費GNP一%を堅持することは困難だからなのであります。
 そこで企画庁長官、この「展望と指針」の名目六から七、実質四%というのは、これは根拠があるからお出しになっているんでしょうね。
○国務大臣(河本敏夫君) これはその前の年に、二十一世紀を展望いたしまして、一九八〇年代と一九九〇年代の日本の経済成長を十数年にわたって約百八十名の専門家が集まりまして一年がかりで試算をしたことがございます。そのときに、二十一世紀までの十数年間は四%成長が可能であるという、そういう作業が一年がかりで出ておりまして、それを基礎にいたしまして「展望と指針」の私は数字が出てきたのだと、このように思います。
○和田静夫君 私は、この「展望と指針」の実質四%というのは、完全雇用成長率としてはじかれた数字であると理解しているんですが、それはよろしいでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) あわせて、失業率を大体二%見当に抑えていこうと、こういう試算でございます。
○和田静夫君 つまり、言いかえてみますと、それ以上の成長率を実現しようとすれば、先ほど大蔵大臣答弁にございましたが、インフレーションの後追いを招く成長率であるというふうになるだろうと思うんですね。そういう後追い、インフレが高く後を追ってくるというふうな形に在りますと、これはどう理解したらいいんですかね。最近は何かNAIRUとかいうインフレを加速しない失業率という学説が生まれているようでありますけれども、それはさておいても、完全雇用失業率及び完全雇用成長率在今私が言ったような形で理解しておいてよろしいでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 私は、平均よりも高目の成長をした場合の物価がどうなるかということにつきましては、いろんな要素を分析してみなければなりませんし、それから政策要因もあろうと思うんです。例えば今、操業率は幾らか上がってきましたけれども大体八〇%そこそこだと、こう思います。まだまだ余力はあると思いますし、それから円高傾向になってきますと、その分は物価は非常にやりやすくなりますし、それから二%の失業率といいましても科学技術が大変な勢いで進んでおります。だから、二年前に想定したことと二年後に想定することとは労働力の需給関係も非常に違ってくるわけでございます。でありますから、私は少し高目の成長にたったから即インフレであると、こういうことにはならない。また、そういう傾向が出てくれば必要な対策費を使って、物価が上昇しないようなそういうことをやることも可能でありますから、だからそれは一概には言えないのではないか。対策としては十分考えられると、このように思います。
○和田静夫君 そうすると、逆に言いますと、潜在成長率を十分引き出し得る成長率であるということでしょうかね。
○国務大臣(河本敏夫君) 実は政府の方では、日本の潜在成長力が幾らであるかということについてまだその計算の手法というものは確立しておりませんし、現実に数字を出したこともございません。ただ、他の国と比べてわが国の経済の幾つかの基礎的条件がよろしいものですから、他の国より高い潜在成長力は持っておると、そこまでは言えると思いますが、それじゃ具体的にその数字が六%なのか七%なのか、あるいは五%なのかということになりますと、具体的な数字では示しにくいと思います。と申しますのは、世界経済の状況によっても違ってまいりますし、幾つかの要素があろうかと、このように思います。
○和田静夫君 通産大臣、実質四%で潜在成長率を十分に引き出し得るというふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(小此木彦三郎君) 余り僕は専門家じゃございませんので、派閥は違いますけれども、河本経済企画庁長官によく御指導願うことにします。
○和田静夫君 じゃ、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 潜在成長力については今おっしゃいましたように、労働、資本、技術等の条件等で確たるこういう数値の算出の方法が政府部内できちっと決まっていたいということも事実でありますが、河本長官からのお答えがございましたとおり、例えば労働の質、あるいは資本は別といたしましても、いわゆる技術のこれも質等からいえば、ほかの先進国のどこよりもいい条件にあるのじゃないかという認識は等しくいたしております。それから先ほど潜在成長力を超えた成長が続けばインフレ圧力になるというようなことを申しましたが、ちょうど五十四年の下期から五十五年にかげまして若干物価の高騰を招くほどの加熱というようなときがありまして、公共事業の後ろ倒し、あるいは本院でもお願いして五十五年の二月と三月ですか、公定歩合の引き上げを日銀がおやりになった、そういうような操作、いわゆる弾力的な政策運営の中でインフレ圧力を減殺していく政策上の問題は、私も同じようにあるのじゃないかというふうに考えております。
○和田静夫君 実は、私自身はこの潜在成長率というのは今もう少し高いという考え方を持っているんですが、今政府の土俵の上で議論をするわけですからこの程度にしておいて、要するにこの名目ベースで一〇%の成長率は、大蔵大臣答弁にもございましたように大変困難だということ。
   〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕
したがって、ここの議論のベースは「展望と指針」に言うところの六から七%の中央値六・五%をベースにしたけりゃならぬでしょう。これを分母にいたしますと、分子、つまり防衛費は三兆一千五百億円を超えられないということになろうと思うんです。総理、少なくとも「展望と指針」の六・五%をベースにする限り八五年度防衛費は三兆一千五百億円をマキシマムとするということになると思うんですが、いかが御理解でしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 八五年度の経済展望がどういうふうになるかという点は、甚だ現実問題として予測しにくいと思うのでございます。政府としては、衆議院の統一見解でも申し上げ、ここでも申し上げましたように、昭和五十一年の三木内閣の閣議決定の方針を守っていきます、そういう考えでありますということを申し上げましたが、こういう考え方に立ちまして努力を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
○和田静夫君 防衛庁長官、今私が述べた考え方というのは、現段階では極めて素直な考え方だと考えているんですが、お認めになりませんか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私も今、和田さんと大蔵大臣、経企庁長官とのやりとりをずっと聞かしていただきました。今後の経済成長がどうなってくるかということが大きな問題になりますけれども、中期の財政展望ですね、その試算に基づいての御議論でございます。それはそれとして一つの御議論のやり方でございますから、それはそれなりに私承っておきますけれども、ただ、防衛庁という私の立場からいたしますと、実際のところ六十年の防衛費の中で確実に後年度負担分ですね、それだけは歳出化されますから、それと退職手当について若干蓋然的な数字を申し上げられるということでございまして、そのほかは申し上げられたいというのが現状でございます。
 したがいまして、これからのGNPの伸びがどうなっていくか、防衛費をどう組んでいくかというような関係等をいろいろと勘案してまいりますと、今の段階でGNP一%の関係はどうだとかあるいは五六中業はどうだという御議論につきまして、正直言って確たる御返事ができないというのが実情でございます。ただ、総理から申し上げましたとおり、私どもは三木内閣の防衛費に関する一%というこの方針、めどという方針です。この方針は守ってまいります、こういうことでございます。
○和田静夫君 一般質問が終わりましてからずっと防衛庁とすり合わせを私の推計に基づいてやってまいりまして、土曜日からも新しい数字を挙げてけさまでかかってやって、今、大臣答弁にあった部分の答弁以上には出ないということも防衛庁の見解のようであります。
 そこで、ちょっと角度を変えまして大蔵大臣にお聞きをしますが、私は三兆一千五百億円を分解をしてみたわけです。そうすると、八四年度予算額が二兆九千三百五十億円、これに今年度のベアが最低でも四・五%は降りかかってくると、四百二十億円をプラスする。そうすると二兆九千七百七十億円。実際にはもっとふえると思うんですよ。これは歳出化額の九百三十億円、それから人種のうち、いま言われた退手増の四百五十億円、ベア一%分で百二十億円、その他の経費から新規調達初年度歳出化額を除いた後方経費に物価上昇率を三%と見て掛けてみました。そうすると百八十億円。これらのトータルは千六百八十億円になります。これを二兆九千七百七十億円に足せば三兆一千四百五十億円です。新規調達を全く考えないで三兆一千四百五十億円、対前年比七・一六%に達してしまうというわけです。五六中業に基づく正面の新規調達を一切しなくても、さらに後方の修理費、教育訓練用装備など一切考慮に入れなくても七・一六%の伸びになってしまうんですよ。そうすると大蔵大臣、この七・一六%の伸びという数字を、現在の財政事情を考慮に入れたらどういうふうなコメントになりましょうね。
○国務大臣(竹下登君) これは非常に一般論で申し上げますと、ことしも議論いたしましたが、名目成長五・九ということを見込んでおれば、名目成長率と同じに絶えず伸び率を抑えておけば永遠に一%の下に張りつくだろうと、こういう議論もかつて一応したことがございます。したがって今おっしゃいました、ただ人件費をどうする何をどうするというのも、ある種の一つの仮定計算になるわけでございますが、今おっしゃった数値で計算すれば、そういう数字が私も出ると思いますが、いまの段階で大体防衛費はこの辺がめどだとかいう状態を言える状態には今日ございません。
○和田静夫君 これは初日目の総括の討論ならばこの辺で一服、少しすり合わせということになるところですが、きょうは締めくくりでありますから、問題を提起しながら関係委員会に継続をしていきますが、要するに新規調達をしないでGNP一%の枠の目いっぱいにいってしまう、こういう形になります。したがって、五六中業はGNP一%を守るためには凍結をしなければならぬという結論になると思うんですが、この辺は長官いかがですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) なかなか厳しい財政事情でございますので、その辺については御指摘のように非常にえらいぞと、大変だぞと、こういうことはよくわかります。ただ、私どもといたしましては、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、今後どういうふうに経済の成長が出てくるのか、また防衛費を具体的にどうするのかということでいろいろ考えていかなければならぬと思いますが、いずれにいたしましても、難しいことは承知しておりますけれども、五六中業の達成に全力を尽くしていきたい、こう考えております。
○和田静夫君 やっぱり防衛庁長官、削るのならどこをこういう形で削るんだということを明らかにされませんと、どう計算しても、GNP一%を守るという言葉が信用できないということになってきますので、いかがでしょう。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今ここでどこをどう削るということについては、私ども申し上げるというようなところではないと思いますので、その点は御理解を賜りたいと思います。
○和田静夫君 総理、御確認願いたいんですが、八五年度、昭和六十年度も中曽根内閣が続いておれば、GNP一%は守るんだ、これは御確約になるわけでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) とにかく三木内閣が昭和五十一年に決めましたGNP一%という防衛費の枠に関する閣議決定の方針はこれを守っていく考え方でありますと、そう申し上げましたが、それについてひとつ一生懸命努力してまいっていきたいと思っております。
○和田静夫君 大蔵大臣、先ほど主計局長は、国債費あるいは地方交付税交付金などを含んで聖域扱いをしないと、こう言っているわけでしてね。当然防衛費も聖域扱いはしない、それはよろしいでしょうね。
○国務大臣(竹下登君) これは防衛費も例外ではございません。
○和田静夫君 そうなってきますと、私、先ほど示しました七・一六%はマイナスシーリングの予算編成では既に聖域だということ、ましてこの七・一六%の上に新規を上積むということはどうしてもできないというふうに考えるんですよね。この辺はどう理解しておきましょう。
○国務大臣(竹下登君) これがいわば人件費の部分について一つの仮定の前提を置いていらっしゃいますが、すべての問題がやはり私は総合的な判断の中で予算編成をしていかたければならぬ課題であるというふうに考えておりますので、今の時点でこれはかくなり、前方はこうなり、後方はこうなりということを私どもいわば予算の査定、あるいは調整官庁として確たる考え方をお示し申し上げる段階には残念ながらございません。
○和田静夫君 ちょっとくどいようですが、後ほどの論議継続のためにも述べておくんですが、五六中業を達成しようとする方向は、GNP一%枠と完全に矛店することを私は立証してきたつもりですが、私は確信を持ってそう言い切ってよいと思っているんですが。したがって、五六中業は凍結すべきであると私は思いますけれども、そうでないとおっしゃるのなら、このGNP一%と五六中業とが二律背反でないという試算ですね、これぐらいはお示しを願いたいと、こう思うんですが、防衛庁長官、できましょうか。
○政府委員(矢崎新二君) お答え申し上げます。
 これは先般も御説明申し上げたところでございますが、五六中業の基本的な性格というものからいたしまして、これは基本的には防衛庁の部内の参考資料として、概算要求なり業務計画なりを毎年度作成する場合の参考にするという性格のものでございます。
   〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕
したがって、そういう意味合いから、内容といたしましても正面の事業につきましてはこれはある程度詳細に積み上げをしております。しかし、その他の問題については概略の方向を見定めるという程度のことでございまして、詳細を積み上げるという作業自体をしていないわけでございます。したがいまして、事柄の性質といたしまして、この五六中業期間中の防衛関係費の総額がどうなるかということを、これを明確な積み上げたものとしてお示しすることはできない状態にあるわけでございます。
 先般も申し上げましたように、期間中の防衛関係費の総額につきまして、一つの試算として十五兆六千億ないし十六兆四千億円ということを申し上げたことがございます。これは作成したときから申し上げているわけでございますが、この数字そのものがそういう意味で後方なり人種なりにつきましてこれは本当の大まかな試算をしたものにすぎないということで申し上げた次第でございまして、それ以上のものを私どもとしてはここでお示しするということができないという点は事情を御理解を賜りたいと思います。
○和田静夫君 委員長ね、どうも資料はお出しにならないということになってくると、我々の方としても立証の仕方がなくなってくるわけでありまして、こちらはこういうふうに立証しました、それに間違いがあるとか反駁があるのならば当然科学的に対応できるところの資料をお出しになるのが当然だと私は思いますから、その辺は防衛庁長官、本委員会を横に置いても少し詰めていきたいと思うのであります。まじめに考えていく場合にそのことが必要だと思う。きょうの場合はもう一歩ちょっと下がって、これぐらいなら出せますか。向こう三年間の蔵出化額の正面後方別内訳、それから過去五年間の正面後方別当該年度歳出化額と歳出化率、これは今出せとは言いませんが、後ほど出すことができましょうか。
○政府委員(宍倉宗夫君) 向こう三年間のという方と、それから過去五年間のということで、正面、後方の歳出化額の内訳ということでございますが、後者の方の過去五年間のということはお出しできると思いますが、向こう三年間のと申しますのは、非常に今後の話でございましていろいろ変わってまいったりするわけでございます。そういうことがありますことと、それから今後三年間でございますと、今後、例えば昭和六十年度におきます新規契約額がどうなるかということとの兼ね合いがございまして、今後三年間という方はちょっと数字的に御提出しかねると思いますが、過去五年間ということでございますれば後ほど作業をしてみたいと思います。
○和田静夫君 今後三年間の分も、お互い共通の前提を置いてということならば、作業に協力をしてくれますか。
○政府委員(宍倉宗夫君) お答えいたします。
 毎度恐縮でございますが、将来に向かっての前提といいますものが、なかなかこれは実際問題難しいわけでございまして、その前提を置けば、前提はあくまでも前提ではないかということではありましょうけれども、私どもお出しいたします限りにおきまして、その後いろいろ議論がその前提をもとにして発展いたしますといろいろ誤解を招くおそれが非常にあるかと思いますので、その辺のところは御勘弁いただきたいと存じます。
○和田静夫君 これは大臣、役人さんの答弁、あの程度のものだと思うんですよ。しかし、お互い政治家としてあすが見えない論議というのは、こんなのは成り立ちませんし、厚生大臣の言葉をかりれば、いつも二十一世紀を見ているわけですから、二十一世紀を見れないような論議をやらされているんじゃたまりませんからね。これは共通の広場をつくって、それに基づく作業には防衛庁側も協力をさせる、そういう答弁はいかがですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今、政府委員からいろいろお答えをいたしましたが、私も正直言ってこれ全然等閑視しているわけじゃないんです。私も関心を持っているんです。ただ、数字ということになりますといろいろの前提がある。その前提を合わせることが一つの非常に大きな仕事だろうと思うんです。だから、どういう前提をつくるかということについていろいろと研究し合う、そういう意味のことは当然して結構だろうと思います。
○和田静夫君 厚生大臣が出たところで、医療に入りますが、私は本委員会の冒頭で医療保険についての一つの問題提起を行ったわけであります。結局、あなた方の説明は私を納得させるものではありませんでした。厚生省は、昨年までは、国民医療費の伸びは国民所得の伸び率程度というガイドラインを示していたはずですが、大臣、それはいいですね。
○国務大臣(渡部恒三君) そのとおりでございます。
○和田静夫君 吉村保険局長は社会保険旬報の五十八年三月十一日号で、「国民所得の伸び率程度の伸びならば、負担額は上がっても負担率は上がらない。そういう線で叡知を絞った対応を考えざるを得たい」と述べられていますが、これも確認できますね。
○政府委員(吉村仁君) そのとおりでございます。
○和田静夫君 そこで吉村さん、この五十九年度の国民所得の伸び率は六・四%で、一方、医療費の伸び率は制度改革がない場合は七・二%ですね。制度改革をやった場合は二・五%となりますね。これは厚生省の計算で、前にも私に答弁ありました。このうち薬価の引き下げのみを実行した場合は、七・二%から幾ら下がりますか。
○政府委員(吉村仁君) 今回の三月一日からの薬価改定は一六・六%の引き下げをしたわけでございますが、それを医療費のベースに換算いたしますと五・一%のマイナスになります。ただ、今回の改定に当たりましては、同時に医療費の合理化、つまり診療報酬の引き上げを行っておりまして、これが医療費ベースにいたしまして二・八%ということにたっておりますので、差し引きをいたしますと二・三%分が薬価並びに診療報酬関係の医療費引き下げ率と、こういうことに相なります。
○和田静夫君 ちょっと確認しますが、今の薬価の引き下げと、それから医療費の適正化を実施した場合ですね、これは七・二%から何%下がりますか。
○政府委員(吉村仁君) 二・三%のマイナスになります。五・一%薬価の引き下げ、これは医療費に直しますと五・一%の引き下げになるわけでございます。そして、診療報酬の引き上げというものを二・八%しておりますから、その差、つまり二・三というものが医療費の引き下げということになります。したがって、今回の措置だけを取り上げてみますと、七・二のところから二・三を引けば四・九%の医療費の伸びになると、こういう計算に相なります。薬価並びに診療報酬の関係だけで申し上げますならばそういうことに相なります。
○和田静夫君 いや、ちょっともう一遍聞きますよ。先ほど、薬価の引き下げのみを実行した場合に七・二から幾ら下がりますかと言ったら、二・三と答えられましたね。今また今度は、医療費の適正化を加えても二・三ですか。
○政府委員(吉村仁君) 誤解を招くような答弁だったかもわかりませんが、何もしないと七・二%伸びるわけでございます。それで、薬価の改正をすれば五・一%マイナスになるわけでございますから、黙っておれば、七・二から五・一を引きました二・一%の伸び率になるはずなんです。ただし、診療報酬の改定をいたしまして二・八は上がるわけでございますから、二・一に二・八を加えました四・九%が医療費の伸び率ということになる。したがって、薬価関係の引き下げ率、薬価関係による医療費の引き下げ要因というものは、率に直しますと二・三%になると、こういうことでございます。
○和田静夫君 どうも私の言っていること……。その薬価の引き下げだけを実行した場合、七・二%から幾ら下がるんですか、それだけちょっと答えて。
   〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕
○政府委員(吉村仁君) 五・一%のマイナスになるわけでございます。
○和田静夫君 五・一%になりますか。
○政府委員(吉村仁君) 二・一の伸び率になると、こういうことでございます。(「二・一だろう」と呼ぶ者あり)はい、二・一になるわけでございます。薬価だけならばそういうことでございます。
○和田静夫君 薬価だけなら二・一でしょう。
 総括以来ずっとたくさんの方々が触れてまいりました中で、長期的展望云々という形でもって、大臣、いろいろ答弁があったんですね。私も総括のときに審議会長にも来ていただきましていろいろ尋ねましたが、この事前の審議会では長期展望は示されなかった、そして予算委員会の論議を通じてその片りんが明らかにされたにすぎません。それで国民的合意が得られると思っていらっしゃいますか。
○国務大臣(渡部恒三君) 現在の厳しい条件の中で将来を展望して私どもの考え方を御理解いただけるたらば、必ず国民の皆さんすべてに納得をしていただける案であると考えております。
○和田静夫君 大臣、給付率を八%にそろえるというのは、現水準の機械的計算から出てきたものである、医療の内容をどのように改善させていくかという展望とは関係がない。長期的展望と言うからには、私は医療のあり方の再検討をメーンに据えるべきだろう。ここのところは大臣よろしいですか。
○国務大臣(渡部恒三君) 今回の改革案の目標とするところは、国民の皆さん方の健康を安定して守りたいということでありますから、当然に今後の新しい時代に向かって新しい技術やいろいろこれから改善されていかなければならない医療問題のビジョンというものも一緒になければならないということで、今度の国会に私どもは今いろいろ問題になっております地域医療計画なり、あるいは初期医療から三次医療に至るまでの計画であるとか、そういうものを示すところの医療法の改正を出しておりますけれども、また同時に、これから社会労働委員会の審議を通じて、先生方の御意見を十分に参考にしながら我々の考えるところの国民医療の総合的な対策というものの青写真を示したいと考えております。
○和田静夫君 私は先日、薬価について問題提起を行ったんですが、医療保険の全面改定の前にやるべきことはたくさんあるという見解を依然として持っています。ここではさきの議論の繰り返しは避けますが、昭和四十九年の参議院本会議で私と齋藤邦吉厚生大臣との間の約束がありまして、医薬分業はこれからの五年間でやると、明確に齋藤厚生大臣は本会議で答弁されているんですが、一体、医薬分業はどんなふうになっているんですか。
○国務大臣(渡部恒三君) 昭和四十九年参議院本会議での先生の御指摘に対する齋藤大臣の答弁、私も読ませていただきましたが、国民医療の向上の観点から医師、薬剤師それぞれがその職能を生かす医薬分業の推進をやるべきであると。この考え方は、その後何代かの厚生大臣でありますが、私どもも変えておりません。これは引き継いでおります。その後、医薬分葉はかなり進んでおるのでございます。
 これは私も最初厚生大臣に就任したときに、随分医薬分業は大騒ぎをしたけれどもその後の進展は余り見られていないのかなと、私は地方に住んでおるものですから私の生活環境の中での感覚ではそう考えたのでありますが、これは調べてみましたら、昭和四十九年以降昭和五十七年度の処方せんの発行枚数は当時の約十二倍になっております。昭和四十九年の処方せん枚数が七百三十万枚で、今これが八千四百九十四万枚、つまり指数にしますと、昭和四十九年を一〇〇にいたしますと五十七年が一一六四、約十二倍にこれはなっております。それでも私がまだ大臣に就任する前、私の生活環境の雰囲気の中では医薬分業というのは案外進んでいたいのかなとこう思ったぐらいですから、感覚的には進んでいないのじゃないかという御指摘を受けますが、この十年間一生懸命努力して漸次やはり医薬分業の方向に進んでおることは御理解いただきたいと思います。しかし、これで決して十分だというような感覚は私ども持っておりません。これからいろいろの施策を講ずることによって進めていきたいと思いますし、これには何といってもやはり国民の皆さん方の医薬分薬に対する御理解、これが優先いたしますので、これは和田先生の御指導をちょうだいしてなお一層進めてまいりたいと思います。
○和田静夫君 医療保険の一本化構想というのも、これは長期展望の中に入るわけでしょうか。
○政府委員(吉村仁君) 私ども長期展望の一環として検討はしております。ただ、統合をする、こういう形の結論が出るかどうかにつきましては、ただいまのところいろいろ検討している段階で結論はまだ得ておりません。
○和田静夫君 いつごろまでかかるんですか、その結論というのは。
○政府委員(吉村仁君) この間、私どもの大臣が衆議院の本会議で御答弁を申し上げましたとおり、可及的速やかに結論を得まして社会労働委員会の御審議に間に合うように努力をする、こういうことにいたしております。
○和田静夫君 大臣、この前もいろいろ論議がありましたが、高額療養費ですね。この高額療養費は少なくとも大臣の御答弁を胸中非常に痛むものがあるというふうに聞いておりましたが、現行水準におさめるべきだというあなたの腹の中にあるやつをさっと答弁されて、そうされたらどうですか。
○国務大臣(渡部恒三君) 和田先生に大変御指導をちょうだいしているので私もここでさっと答弁したいような気持ちもあるのですけれども、これは非常に重要な問題でございまして、各党、もちろん和田先生の政党の代表の皆さん方もいらっしゃっておって、各党の話し合いで社会労働委員会でこれらの問題を審議する、こういうふうにこれはなっておりますので、社会労働委員会の審議の中で先生方の御意見を十二分に尊重していくということでお許しをいただきたいと思います。
   〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕
○和田静夫君 そこのところを非常に心配したものですから、私はあのときの与野党の偉い人の話し合いに注文をつけまして、参議院予算委員会がやっているのを忘れているんですか、これは関係委員会であって社会労働委員会ではないんだということをちゃんと確認してあるんです。したがって、大臣、ここで答弁されたって決してあなたの責任になりませんから。
○国務大臣(渡部恒三君) もちろんこの予算委員会で各党のそれぞれの先生方の貴重な御意見をちょうだいいたしまして、このとうとい御意見は私の頭に、胸にしっかりと刻み込まれておりますので、これらも社会労働委員会の審議の中で十二分に尊重させていただきたいと思います。
○和田静夫君 大臣、昨日の朝日新聞の紙上で、羽田日医会長と対談をされている模様を読ませていただきました。かなり大臣も率直なことを言われておりまして、その中で、「財政のつじつま合わせとの批判も、ある意味では当然と思う。」とお答えになっていますね。これは再確認できますか。
○国務大臣(渡部恒三君) これは部分的に、話したことを全部ああいう新聞の議論の場合は出ないわけでありますが、私の言ったことは間違いなく出ております。ただ前後が全部出ていると、理解していただけるのでありますが、これは今度の予算書に出ておるとおり、やはり六千二百億という予算が、このことによって節減できることで予算が組めておるわけでありますから、そういう御批判を受けるのも当然でございます。ですから、その前の部分で私は言っておるんですが、本当は、このような大改革というものは、これはこういう財政が厳しくなってきてからやるのでなくて、本来は昭和四十年代から抜本改正をやれということは、医師会の皆さんからも、また野党の皆さんからも、また与党の中からも随分と意見が出ておったのでありますから、厚生省は本当はこの一割負担、いわゆるこれは単に金があるからないからというよりは、今後の二十一世紀に向かっての医療制度の基本的な哲学なのでありますから、本当はもっと早くやっておればこのような苦しい立場には立たなかったであろうという意味を申し上げたわけでございます。
 ところが、やれやれと言われたがら、非常にこれは難しいわけですから、国会で御審議を賜って通していただくのが、おしかりを受けるわけですから、厚生省はずるずるやっぱり、まあ我々も学生時代、早く試験の前に勉強しておいた方がいいんですけれども、試験の前日までぎりぎりいっちゃう経験がありますが、このようなぎりぎりのところに来て出さなければならない、これを通していただかなければもう社会保障の前進がないという、ぎりぎりのところで御審議をいただかなければならないというところまで来たことは反省しているということを申し上げたのでございます。
○和田静夫君 同じ対談の中での、あなたの一割負担についてのニュアンス、たかだか微妙に読みとれるわけでありますが、一貫してかなり厚生大臣の本心が語られているように思うんですが、どうもあれを読んでいますと、将来も一割の線でいくというふうに受けとめる方が素直ですね。
○国務大臣(渡部恒三君) これも誤解を受けると困るので、はっきり申し上げさせていただかなければならないと思いますが、ただ、金があるからないからと、こういうことでなくて、やはり将来の医療保険のあり方という中で、これはいつも私が申し上げておるように、社会保障というものは本来やはりすべての人が平等にその恩恵、給付を受けるべきものである、こういうふうに考えますと、現在の財政力、そういう中で、これはやっぱり国民健康保険加入者の七割の方を八割に将来引き上げていくというためには、被用者保険の皆さん方にも八割程度に御辛抱をいただくしかないというのが、これは現在の状態でございますが、しかし、かといって十割給付だったものが急にきょうからこれは八割というようなことでは生活に激変が起こるので、やはりこれになれていただくために、二年間はその間をとってこれは九割とするとか、また低所得者や御病気にかかっておる方が困らないような高額療養制度の検討とかいうことをやっておるわけでありますけれども、これはいずれにしても私は和田先生なら御理解いただけると思うんですが、今の厳しい状態で、先ほども六十年度以後の予算、大変御心配をいただいておりましたけれども、現在の財政力、また高度成長であればいいわけですけれども、そういうことにならない今の経済状態の中で、これ以上保険制度に国庫から金を入れていくことは大変至難な状態にあるということは御理解いただけると思うんです。
 そのためには、そうすると国庫から入ってこない、これ以上増額できないということになれば、これは保険料率を上げるか、医療費の一部を直接受益者の皆さん方に御負担をいただけるか、これ以外にないわけで、私どもはその中でいろいろ考えた結果、やはり自分の健康保全に一生懸命努力をして、全然お医者さんにかからない人とかかる人と、そういう間の考え方とか、あるいはいろんなことを工夫した結果、やはりこの程度の御負担をということで、基本的な考え方としては二割、しかし激変緩和のために一割ということで今お願いしておるわけで、将来の財政状態が変わってくれば今先生のおっしゃるような理想の方向も求められると思いますが、現在の状態ではこのようなことしか申し上げられないことを御勘弁いただきたいと思います。
○和田静夫君 これはやっぱり関係委員会で、今私も意見を述べましたが、ずっと検討が進んでいけばここの部分については検討の余地がある、将来にわたって云々と言われましたが、そう理解しておいてよろしいわけですか。
○国務大臣(渡部恒三君) 現在の経済情勢とか、現在の我が国の財政情勢とかいうことでは極めて至難な道だろうと思いますけれども、しかしこれはついこの間まで、そう十年もたっていない時代に、やはり金がどんどん入ってきて、どんどん予算がつけられたような時代もあったわけでありますから、将来またそういう時代が来ないということも断定できないわけであって、やはりそういう時代が来ることを私は心から望んでおります。
○和田静夫君 日医の新しい会長は、プライマリーケアだけではなくて、プライマリー・ヘルス・ケアにまで広げてほしいと、こう要望され、全く同感というふうに大臣はおっしゃったというように書かれていますが、予防の方も保険で面倒を見るということについて、大臣としてはこれから手をつけていかれる、そういうふうに考えていいんですか。
○国務大臣(渡部恒三君) ちょっと先生、そうはこれまいらないので、私が羽田さんとの対話で話したのは、そういう考え方は非常に尊重すべきものであって、それを厚生省の受け取り方としては、今回も老人保健事業に、これは何度もここで申し上げましたが、非常に厳しい条件の中で防衛費の伸び率を何倍も上回る予算をつけたわけでございますけれども、これで全国の保健所を通じて四十才から健康診断をやっていただくわけでありますけれども、単に予防を保険に加えるというような狭い意味でなくて、もっと広い意味で、やはり国民の皆さん方がとにかく病気にならないように、健診がどんどん地方自治体や国の負担で受けられるような体制をつくりたいという広い意味で申し上げたはずでございます。
○和田静夫君 広い意味で体制をつくりたいと言われることは、具体的にはどういうことになりましょう。
○国務大臣(渡部恒三君) 今申し上げましたように、老人保健事業とかそういうもので、いろいろ公で国民の皆さん方の健康診断の機会を余計つくっていくということでございます。
○和田静夫君 福島交通に入りたいと思いますが。
○委員長(西村尚治君) 去る四月五日の本委員会における和田君の質疑に対する答弁に関し、国鉄岡田常務理事から訂正の発言を求められておりますので、この際、これを許します。岡田常務理事。
○説明員(岡田宏君) 去る四月五日の参議院予算委員会におきまして、和田先生の御質問に対し私がその内容を十分理解しないままに御答弁を申し上げ、その結果、先生に大変な御迷惑をおかけいたし、まことに申しわけなく存じております。先生の御質問の趣旨に沿って改めて答弁をさせていただきたいと存します。
 東北新幹線の福島駅乗り入れに当たりまして、福島駅周辺において駅前広場の整備、道路の拡幅、市街地再開発事業などを実施する必要があるということから、五十五年十二月、福島市に学識経験者、県、市、国鉄等の関係者から成る福島駅周辺整備計画委員会が設置され、その答申を背景といたしまして、五十七年七月、福島市からこれらの駅前再開発を推進していく上で三カ所の国鉄用地について払い下げの御要請がございました。そのうち国鉄福島駅駅舎の北側の用地約千三百平方メートルにつきましては、駅前地区の再開発事業に関連し、同地区の中にございます福島交通所有地の代替地に充てたいということでございました。
 国鉄におきましてその御要請につきまして検討いたしましたところ、当該地の周辺には現に福島交通飯坂線が乗り入れをいたしておりまして、ホーム、改札口、駅事務室等の駅施設が手狭ながら設けられております。したがいまして、この土地を国鉄が市にお譲りいたしまして市が再開発地域内にある福島交通所有地の代替地としてお使いになるということでございますと、再開発事業の推進並びに福島交通飯坂線の御利用客に対するサービスの向上という二つの事柄がかなえられることになりますので、市の御要請に対し前向きに御協力を申し上げざるを得ないという立場で市と協議を進めているところでございます。
 なお、福島駅周辺の国鉄用地に関する最近の新聞報道等の中で、丸森線の第三セクターに絡んで、本件用地のさらに北側にございます国鉄用地の払い下げあるいは貸し付けが計画されているのではないかという記事がございました。このため、私は先生の御質問の土地はこの土地を指しておられるものと理解し、これにつきましては、そのようなお話をお伺いいたしておりませんし、具体的な検討は何もいたしておりませんので、先日のような御答弁を申し上げた次第でございます。
 いずれにいたしましても、私が先生の御質問の内容を取り違えてお答えを申し上げた次第でございまして、先生に大変御迷惑をおかけしたことをまことに申しわけなく存じております。
 以上、改めて訂正の答弁を申し上げさせていただきました。
○和田静夫君 そこで、この福島駅東口の一千三百平方メートルの土地というのは幾らで払い下げられるんでしょう。
○説明員(岡田宏君) その一千三百平米の土地につきましては現在福島市と協議中のものでございまして、したがいましてまだ土地価格は決定をいたしておりません。土地の価格は払い下げの時点におきます正常な取引価格によるということといたしておりまして、権威ある鑑定機関による評価と内部評価とを比較検討して決定をするということになると考えております。
○和田静夫君 自治省、調査をずっとされているんですが、この国鉄用地の今の一千三百平米と福島交通が所有をしている一千平米とは等価が成り立つとお思いになりましょうか。
○政府委員(大林勝臣君) 先般の御質問に関連をいたしまして、県を通じて照会をしたところでありますけれども、先ほど国鉄の方からお話がありましたような経緯を経て、現在福島市としてあっせんの労をとっておるようであります。福島市の方が国鉄の方に対しまして申請をしておりますのが千三百平米の面積ということでありまして、現在、福島交通が再開発事業の予定地内に持っております土地が九百九十平米ということであります。こういった土地の問題は場所の問題というのがありますので、先ほどのお尋ねの等価で成り立つかどうかということにつきましては、国鉄側ともいろいろ今後協議されるものと存じます。
○和田静夫君 今の時点で、国土庁は何かおわかりになりますか。
○政府委員(永田良雄君) 私どもの方の行政は、土地の地価の問題でございますが、地価に関しては特段の変化はないというふうに考えております。
○和田静夫君 これは自治省、国土庁、少し調査をしていただけませんかね、あそこの地価。
○政府委員(永田良雄君) 概括的には先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、さらに詳しくということでございますれば、調査をいたしたいと思います。
○和田静夫君 日債銀の融資問題ですが、小針さん関係会社への融資総額が依然として不明であります。銀行局長ね、福島交通、福交不動産、美福、それからフクコー等ですね。この小針さん関係会社への融資総額はまず幾らでしょうか。
○政府委員(宮本保孝君) 日本債券信用銀行からの融資額は、有価証券報告書によってお答えさせていただきますが、福島交通に対しまして去年の九月現在で五百二十五億円でございます。
○和田静夫君 美福、フクコー、わかりませんか。
○政府委員(宮本保孝君) 公表された数字がございませんので、御答弁を差し控えさしていただきます。
○和田静夫君 それじゃ、生保あるいは他行の小針さん関係会社への融資に際して日債銀が行った債務保証は幾らでしょう。
○政府委員(宮本保孝君) 支払承諾につきましても公表をされた数字がございませんので、御答弁は差し控えさしていただきたいと思います。
○和田静夫君 債務保証の部分は、この間、銀行局長、債務保証をやっているんだというお話があったんですから、それぐらいの金額は述べてもいいんじゃないですかな。
○政府委員(宮本保孝君) 約二百三十億という数字は概数といたしまして先回お答え申し上げております。
○和田静夫君 これ、実は私は、この貸付限度額のところを非常に巧みに日債銀は逃れているという感じがするんですが、いわゆる限度額いっぱいまでぎりぎりに貸しておいて、その上は他金融機関に貸させて債務保証をする、こういうような手法が用いられているというふうに私は考えますが、いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) 一般的に金融機関が融資をいたします場合に、自分の方の資金繰りないしは余裕資金でございますね、そういうものとの関係で他の金融機関の融資について債務保証をするということは間々あるわけでございまして、一般の融資と同じような担保審査などをいたしまして債務保証をし、資金は他の金融機関から融資するということはございます。
○和田静夫君 長期信用銀行法の十七条により、計算してみますと、日債銀は大体融資限度額七六二でいいですか。
○政府委員(宮本保孝君) 広義自己資本の三〇%でございまして、今、先生御指摘のとおりでございます。
○和田静夫君 そこで、生保の融資をずっと追ってきましたが、今ゼロであることはわかったんですが、日債銀から各生保に実は債務保証をするから貸してやってくれという依頼があった事実関係が浮かんできております。そういうことで貸したという経過があるんですが、こういう手法というのは成り立つんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 本件についてはよく存じませんが、一般論としてはそういうことあり得ると思います。
○和田静夫君 この債務保証、簿外保証ではありませんか。
○政府委員(宮本保孝君) 日債銀についての簿外保証は私ども把握いたしておる限り、ございません。
○和田静夫君 まあここのところは、日債銀の頭取に大蔵委員会か何かに、もう予算委員会といいましてもきょうが締めくくりでありますから、出てきてもらって詳細に検討する以外にわからぬのでしょうが、この日債銀の担保設定がかなりいいかげんなのではないでしょうかね。要するに、担保不足なのではないかと思われるんです。
 国土庁、先ほど御答弁がありましたが、再確認を含めまして、郡山市向河原及び郡山市大槻町の五十三年当時の公示価格及び近傍の取引価格、示してください。
○政府委員(永田良雄君) お答えいたします。
 御指摘の郡山市横塚地区の公示価格は五十四年当時でほぼ平米二万八千円ぐらいでございます。
○和田静夫君 両方ともですね。一緒ですか。
○政府委員(永田良雄君) 大体、ほぼ同じでございます。
○和田静夫君 そこで、これは大蔵省ですか、国税庁ですかね。取引価格と公示価格との閥に乖離があるのが常でありますが、この場合どの程度の乖離でしたか。
○政府委員(永田良雄君) 土地は一個しかないものですから、買い手と売り手の状況によってかなりばらつきは出るものでございますが、当時の取引事例等を見ましてもそれほど大きな変化はない、かように考えております。
○和田静夫君 国土庁ではわからないでしょう。これ、実際調べた人……。
○政府委員(岸田俊輔君) 国税庁といたしましては、調査の関連でいろいろの売買その他は確認はいたしているとは思いますけれども、内容については御容赦いただきたいと思います。
○和田静夫君 この郡山市の二つの土地に抵当権は設定をして、日債銀が五十二年六月二十三日に十億円、これは限度額、これは福交不動産に貸し付けているわけですね。向河原六千九百七十八平米、それから大槻が七千六百平米、公示価格は二万六千円から二万七千円、公示と実勢に乖離が一応、今答弁ありませんから、ないとするならば、この土地は三億九千万円にしかならないわけです。五十四年六月に美福が追加していますが、それを入れても五億円弱なんですよ。そうすると美福が入れた土地というのは十七番とか十九番、中には七十九番などという順位で、担保能力が非常に疑わしい状態ですよ。五十三年六月に差し入れた土地にしてもほとんどが三番から四番抵当でありまして、上位抵当権の金額は二億円を超えるようでありますから、実際の担保能力は三億円以下と見られます、これ。この一例から考えてみたんですが、日債銀融資は甚だしい担保不足のもとで行われた疑いが非常に強いということになります。いかがですか、銀行局長。
○政府委員(宮本保孝君) 金融機閥の融資に当たりましては、いろんな相手方の経営状況であるとかあるいは今御指摘の担保の問題等につきまして慎重なる審査のもとに行われているというふうに我々理解をいたしているわけでございます。
 本件につきましては、検査をいたしておりますけれども、私どもの検査といたしましても、残高、期日、利率、債務者の資産、負債の状態、担保明細等を記入いたしました調査表等を徴求いたしまして、資産としての健全性の把握を十分いたしているつもりでございます。本件につきまして、検査結果のことでございますので、本席で具体的に述べさせていただくことは差し控えさせていただきたいと思います。
○和田静夫君 どうも私は長期信用銀行法七条との関係で考えてみまして、不良融資の部類にこれは入るんじゃたいだろうかと思っているんですが、そういうことはありませんか。
○政府委員(宮本保孝君) 検査によりまして、私どもといたしまして分類資産等について把握いたしておるわけでございますけれども、これも個別の問題でございますので、本席でお答えすることは差し控えさせていただきます。
○和田静夫君 日債銀、五十四年当時から利息棚上げで貸し込んでいる。これは非常に有力な情報で、若干裏も今とれつつありますけれども、これはいかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) 債券信用銀行といたしましても、福島交通の再建といいますか、そういうものにつきましては今懸命な努力をいたしているようでございます。したがいまして、それに役立ついろんな方策といたしまして、資産の処分であるとかいろいろなことを福島交通にも要求しているようでございますが、その一環といたしまして利息の棚上げ措置も講じていることは聞いております。
○和田静夫君 棚上げということは聞いていらっしゃるわけですね。
○政府委員(宮本保孝君) 棚上げ措置を講じていることは聞いております。
○和田静夫君 その多額な部分の棚上げ措置というときには、行政機閥との関係では何か相談が事前にあったということですか、独自の判断ですか。
○政府委員(宮本保孝君) 特別に私どもに相談があるということはございません。
○和田静夫君 検査の結果、それらの取り扱いについては何か勧告されましたか。
○政府委員(宮本保孝君) 銀行の健全性保持につきましては、預金者保護、信用秩序の維持から私どもの最大限の注意を払っているところでございますので、日債銀の福島交通に対する融資が最終的に担保されることが、あるいは回収されることを我々は期待しているわけでございますので、日債銀のそういう再建のための措置につきましては、仮に話がございますれば了承いたすということだと思います。
○和田静夫君 日債銀の福交への融資というのは、やっぱり一部第三分類に入り込んでいるのではありませんか。
○政府委員(宮本保孝君) 検査の結果についてはお答えできませんけれども、十分資産的な保全措置は講ぜられているというふうに聞いております。
○和田静夫君 第三分類に入り込んでいる部分はありますよね。
○政府委員(宮本保孝君) お答えは差し控えさしていただきます。
○和田静夫君 お答えを差し控えなきゃならぬほど入り込んでいるわけでありますが、日銀に伺いますけれども、これは一般論としてで結構でありますが、銀行融資のあり方として、融資規制ぎりぎりまで貸し込む、それから担保評価は過大評価、利息は棚上げしていく、他行融資にまで保証をつけて、その保証は簿外の疑いが強い、そういう融資姿勢というのは考査局、どういうふうに判断されますか。
○参考人(土金琢治君) お答え申し上げます。
 一般論として申し上げますならば、私どもといたしましては、銀行の融資が経営の健全性を保つようにいつも期待しているところでございますが、それと同時に、企業を育成すると申しますか、あるいは業況が不況になったようだ企業を支援するという融資もこれまた意味があるわけでございまして、その辺を総合的に勘案していくということではないかと思うわけでございます。
○和田静夫君 一般論の答弁としてはかなり抽象的でよくわからぬですけれども、少し私はこれとひっかけて答弁を求めている形が感じとれるからそういう答弁になったんでしょうが、今申し上げましたように、過大評価があってみたり、利息の棚上げがあってみたり、しかもそれは過大な棚上げがあってみたりというような貸付方法というのはまともでしょうか。
○参考人(土金琢治君) お答え申し上げます。
 銀行が融資をするに際しまして、それぞれの基準に応じまして担保価額を適切に評価するということは必要でございますし、私どもとしてはそういうことを期待しておるわけでございます。それから、利息を棚上げするというお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、業況が悪くなったようだ企業を支援するという意味合いではあり得ることではないかと考えるわけでございます。
○和田静夫君 もう一歩踏み込んで、利息は棚上げしておいて、元を取るためにさらに貸付額をふやしていくという手法はどうでしょう。
○参考人(土金琢治君) お答え申し上げます。
 銀行が融資を行うに際しまして、今御質問のように、利息を減免すると申しますか、そういう中で元本の返済が行われるということでございますが、今申し上げましたように、一般論として申し上げますと、利息を減免しながら、その企業の例えば業況が好転するとかあるいは一時的な資金が入るというようなことでございますれば、その企業の体力なりあるいは資金繰り等を勘案いたしまして元本の返済もあり得るというぐあいに考えるわけでございます。
○和田静夫君 その企業は決算ごとに赤字を累積している。したがって、その元本返済のための必要資金をさらに貸し付けていく、上積みで貸していく、そういうような手法というのはまともでしょうか。一般論でいいです。
○参考人(土金琢治君) お答え申し上げます。
 元本返済のために新たに資金を貸し付けるということでございますが、これは実際問題として一種の期限延長と申しますが、貸し出しがそのまま継続するということにもたるわけでございますので、特に貸し出しがふえるとか、そういうことでなければこれは企業とその融資金融機関との間の合意ということで、それはそれで一つの取引かと思うわけでございます。
○和田静夫君 貸し出しがふえていた場合には、それは言ってみれば常識的な取引であるとは考えられないと思うが。
○参考人(土金琢治君) お答え申し上げます。
 貸し出しがふえるような場合でございますと、それはやはりその場合の資金需要の中身ということになるのではないかと考えるわけでございます。
○和田静夫君 まあ日銀の答弁はその辺ぐらいのものでしょうが、銀行局長、同じような質問に対してどう答えられますか。
○政府委員(宮本保孝君) 金融機関が融資いたしました後の処置といたしまして、その業況の悪くたったときの救済といいますか、資金回収の方法をどうするかということだろうと思うのでございますが、いろんな手法がございまして、先ほど申し上げておりますように、利息の棚上げというのもあるいは一つの手段かもしれません。あるいは高い貸出金を早く返してもらって、できるだけ安い方に切りかえていくとかいろいろな手法があろうかと思いますけれども、現在いろいろ日債銀と福島交通との間でその再建のための施策が講ぜられているようでございますけれども、特別に今、日債銀と福島交通との間の融資、今いろいろ先生御指摘ありましたけれども、そのこと自体につきまして特に今私ども問題意識を持っているわけではございません。
○和田静夫君 警察、検察にちょっと承っておきますけれども、特別背任あるいは背任の可能性が新聞などで出ています。これは日債銀の側の問題であってみたり、あるいは福交を中心とするところの企業の側の問題であってみたり、かなり広範に推察することができるのですが、それぞれは関心の度合はいかがなものでしょう。
○政府委員(筧榮一君) お答えいたします。
 新聞あるいは同会の御論議の中で、日債銀あるいはその関係会社等をめぐりまして特別背任等の成否についていろいろ御議論があるようでございます。何分いろいろだ形におきましても事実関係がまだ明らかでございませんので、どこにどういう形で特別背任あるいは背任が認められるかという点には現段階でお答えいたしかねるわけでございます。
 一般論として申し上げますればやはり商法四百八十六条に書いてある特別背任の要件、和田委員御承知のとおりかと思いますが、例えば図利加害の目的あるいは任務に違背したか、あるいは損害の発生ももちろん必要でございます。それらの要件が満たされれば特別背任は成立するという以外にお答えのしようがないかと思っております。
○政府委員(金澤昭雄君) ただいま法務省の方からお答えがありましたのと私の方も同じでございます。現在、事実関係につきましては情報をいろいると収集中でございます。その中で、これは当然のことでございますが、証拠上刑事責任を追及し得るような事実、これがありますれば厳正に対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
○和田静夫君 運輸大臣、前にも質問しましたが、福島交通の補助金交付の問題ですが、鉄道の補助には間違いがないとの先日御答弁がございました。どうも私の質問とちょっとあれがありまして、私が問題にしているのは、補助金の交付基準に間違いがあるかどうかということを問うたつもりはないのでありまして、補助金を交付されている会社が使途不明金を出したり、あるいは関連会社に不明朗な転貸融資をしたり、またさまざまな疑惑を招いている点、こういうことについてどうかということなのであります。補助金の交付主体としてきちんと指導をされるべきだろうというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(細田吉藏君) 補助金の交付につきましては、バスの部面、鉄道の部面を厳重に調べました結果、間違いございません。
 今おっしゃった大変な借金をしている、あるいはどうも使途不明金が多いと。これはごく最近いろいろ言われておる問題なわけでございます。この点につきましては、国、監督官庁である運輸省としてどこまでこれに踏み込むことができ、あるいはすることがいいかという問題があると思います。いずれにいたしましても、そういう疑惑を招くということは、補助を受けておる会社としては私はまことに遺憾なことであると、かように存じております。
 どこまで具体的に入れるかという点については研究しなければわからぬと思いますが、なかなか難しい点があると思います。というのは、各私鉄というのはいろいろな副業をやっておりまして、副業の方が大きいような私鉄もたいわけではございませんので、その辺のところがなかなか判断が難しいということだろうと思っております。いずれにしても、大変感心したことであるとは考えておりません。
○和田静夫君 行政をつかさどる側の運輸省とされましては、例えば経営陣の刷新などを含むような形での経営機構について意見を述べるなどというようなことの用意を今日されているわけでしょうか。
○国務大臣(細田吉藏君) ただいまの時点ではそこまでのところに至っておらないと思います。状況いかんの問題だと存じております。
○和田静夫君 農産物交渉については、農水大臣がお帰りになってから明日の主要な課題になろうと思いますが、その前に総理にお聞きをしておきたいのは、日米農産物交渉というのは中曽根総理大臣の強い指示で妥結をされたというふうに言われているわけでありますが、総理がおつかみになっておる交渉の全過程をかいつまんで御報告願いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 農産物交渉につきましては、農水大臣派米の前に党ともよく相談をいたしまして、農水大臣に一切任せる、党からは代表が出ていって、権威者、責任者が出ていって農水大臣を助けてほしい、そして重要問題は農水大臣と党の代表で相談をして自由に決めて結構ですと、そういう趣旨で行っていただきました。その趣旨でいろいろ樽俎折衝をしたようでございましたが、なかなか彼我の数字が合わないで一たんは交渉中断というところまでまいりました。しかるところ、やはり両国の首脳部、と申しますのは農水大臣とブロックさんの間におきまして、何とか話をつたえておきたいという意欲があったようであります。その間を事務当局の者も努力をいたしまして、話をつなぐ努力をして、そうしてもう一回話し合おうというところまでまいりました。
 こういうことになったのは、一つはアメリカ側におきまして、日米関係の一つの摩擦の象徴と今言われる重大問題である農産物について決裂という印象を与えることはお互いにとって利益でない、大局的見地に立って政治的判断をして、これが挫折した場合の影響等も考えて、これを回避することが適当ではないかという判断はアメリカ側にも動いたようでございます。日本側もアメリカ側のそのような判断の動きというものをキャッチして、そうして事務レベルでこれをつないでおこうという努力をしたようでございます。
 結局は、農水大臣の判断及び同行議員団との協議によりまして、アメリカ側がそのような大局的判断をする、そういう気が出てきているならもう一回会っても結構だと、そういうようなことになりまして、そうして最後の詰めの会談をやりまして妥結に立ち至ったというのが真相でございまして、これは全く両者とも一面においては自分たちの農民の利益を守り、農村の健全な発展をこいねがいつつ、他面におきましては、日米間の大きな世界的な平和と安定に寄与している事実等々も考え、その交渉を決裂することによって出てくる今後の経済摩擦に対する影響や、あるいは日米間の世論に対する影響や、あるいはそのほかの諸般の大局的判断に立ちまして、その挫折を回避しようという非常に強い意欲が出てきて、そうして自分だちのぎりぎりの線で両者が妥協して決着を図ったということでございます。
 日本側におきましても、農村に対する影響等も随分心配したようでございますが、農業団体関係におきましては御不満の向きもありますけれども、政府といたしましては、これに伴う結果につきましてはできるだけ心配がないようにできるだけの措置を、努力もまたやっていきたいと、このように考えて了承していただきたいと思っておるところでございます。
○和田静夫君 この間、中曽根さんの側近との二元外交などということが報道されましたね。そういうことはありましたですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 全くございません。
○和田静夫君 今お触れになりました日本の国内の農業関係者からはかなり強い批判あるいは非難が上がっておりますが、国内農家の保護についてどういうような総理としての保護策をお持ちになり、それをいつまでに行われるというふうに考えていらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) きょう七時過ぎに農水大臣は帰ってくる予定でございまして、成田に着いたら即刻官邸に来るということでございますから、よく状況もお聞きしたいと思いますし、また心配のないようないろいろな努力につきましては党あるいは農水省の見解もよく聞きまして努力してまいりたいと思っております。
○和田静夫君 農水相臨時代理は長年農林行政については卓越した御意見をお持ちなんですが、農水大臣が帰ってきて官邸に行く、それまでの間に、今地元にいて日本の国内の事情をよく知っているあなたとしては、どういう意見を具申されるつもりですか。
○国務大臣(中西一郎君) 今、総理大臣からいろいろお話がございました。やはり国内がそれぞれ納得した上で前向きにこの事態に対処していかなければならないと思います。特に四年間のことは決まっていますから、その先のことを踏まえて現段階からどういう対応をしていくかということを政府並びに関係農業団体それぞれ詰めて、合意に達した方がいいのではないかと、かように考えております。
○和田静夫君 私が申し述べたのは、国内農家の保護についてどういうような保護策というものを具申をされるおつもりでしょうか。
○国務大臣(中西一郎君) 現段階ではまだ具体的には考えておりませんが、何か必要がある場合には新しい知恵を出す必要があるのではないか。現状では、あの協定の中身では今すぐどういう対策を講じなければならないということには、すぐにはならないと、私はかように思っております。
○和田静夫君 官房長はお見えですか。官房長、どうですか。今、総理が言われましたように、成田から総理官邸に農水大臣は直行される。その間同乗されるかどうかは知りませんが、非常に苦労をされてきた官房長としては、国内の声を農水大臣にはどういう形で伝え、そして国内農家の保護についてどういう献策をされるつもりですか。
○政府委員(角道謙一君) お答えを申し上げます。合意を見ました内容につきましては、当面農家に対しまして非常な悪影響を与える、またそのために当面直ちに措置を要するというようなことは私どもはないと考えております。ただ問題は、今回、四年間の合意になりますので、その先の問題につきましてはこれからまた考えなければいけないことはあろうかと思いますが、それから同時に、農業団体につきましては、やはり現在牛肉につきましても、あるいはかんきつにつきましても、内外の情勢非常に厳しい折でございますし、特にかんきつ農家につきましては、現在転換等を行っているということもございまして、農業団体側にはいろいろ不満があろうかと思いますが、少なくとも四年間につきまして一定のルールがしかれたということによりまして、国内農家の方々にもやはり御安心のできる状態になったのではないかというように考えております。
○和田静夫君 かんつき類等の保護政策その他をずっと展望してみますと、当然予算的な措置などというものが付随してくるでしょうが、大蔵大臣、補正を用意をされるということは、今まだ上がらないうちからと言われてもあれですが、そういうこともお考えになるわけですかね。
○国務大臣(竹下登君) 今、農林水産大臣臨時代理からもお答えがありましたように、今のところ私どもはこの国内対策が直ちに必要だという理解の仕方には立っておりませんが、まだ何のことも聞いていない段階なものでございますからどのようにお答えしていいか、現状のところ考えていないと言うにとどまると思います。
○和田静夫君 オーストラリアに対して今後はどうなりますか。
○政府委員(角道謙一君) 牛肉の問題につきましては、現在アメリカと合意に達しておりますのは、いわゆる高級牛肉、まあ一定の品質、脂肪の要件に見合ったものについての合意でございますので、これは本来グローバルクォータでございますが、そういうものを含めまして、牛肉全体についての枠の取り決めをこれから豪州とやることになります。今週木曜日ごろと思いますが、豪州から実務者が参りますので、その段階から全体枠につきまして豪州側と話を始めるということになろうと思います。
○和田静夫君 総理、この間、豪州の首相がやってきてお会いにたったときに、この牛肉問題などというのは話題になっていませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 話題になりました。これは牛肉だけでなくして、石炭とかあるいはそのほかの鉱産資源等もありまして、私と話をしました際には、オーストラリアの犠牲において物を解決するというような考えはありませんと、そういうことを申し上げておきました。
○和田静夫君 総理、農産物についてはなお明日論議が続きましょうが、それは妥結したわけですけれども、そのほかの金融あるいはVANなどについて、どういうような展望をお持ちになって対処をされますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) きょうも政府・与党首脳部会議におきまして、党及び内閣の主要な皆様方にお願いしたのでございますが、残りの経済摩擦と言われておる諸問題につきましては、今月以内に成案を得て、しかもこれが妥結できるような前進した案をぜひつくっていただきたい、河本長官を中心にしてできるだけ早くまとめてもらいたい、そういう強い要望を出しまして、了承してもらっておるところでございます。
○和田静夫君 河本長官、先行きの見通しはどうなりますか。
○国務大臣(河本敏夫君) VANと農産物は一応目鼻がつきまして、残る数項目の問題につきまして今月中におよその見通しをつけたいということで、関係各省と今調整をしておるところでございます。
○和田静夫君 国鉄に移りますが、国鉄の運賃改定なんですが、今回初めて地域格差運賃を導入するわけですけれども、これは極めて問題だと思うんです。例えば幹線と大都市交通線の区分の根拠を素人なりに見て判断ができないんですが、なぜ大宮以南が大都市交通線で、上尾は入らないんですか。
○説明員(仁杉巖君) その辺の区分は非常に難しい点でございますが、我々普通国電区間というのを大体今度は据え置きの対象とするということになりましたものですから、そこで大宮で分かれるというような事態が起こっているわけでございます。
○和田静夫君 いや、そこのところがさっぱりわからぬので、上尾といったら通勤圏でしょう。
○説明員(須田寛君) 東京の通勤圏といたしましては、大体高崎線の方向で申し上げますと上尾、桶川附近までというふうに考えております。
○和田静夫君 したがって大宮以南が大都市交通線で、上尾や桶川が入らないというのはどういうことだと言っているんです。
○説明員(須田寛君) 今回の運賃を大都市圏につきまして特別扱いをいたしまして、一部近距離の据え置きを設けたわけでございますが、やはりどこかで区切らしていただかたければいけないわけでございます。その場合、やはり私どもは戦前からの輸送形態の中で、いわゆる狭い意味での国電区間というのが一つの基準になるかと考えまして、大都市交通の一番基本的な区間といたしまして国電区間を前提にさせていただきましたので、大宮で区切らしていただいたような次第でございます。
○和田静夫君 いや、もう時代はずっと変わってしまっていましてね、むしろ上尾だとか桶川だとか、あの辺から通勤している人がいっぱいいるでしょう。この人たちが対象から外されるという、非常に不合理ですよ、これ。
○説明員(須田寛君) 今回、大都市圏の特別運賃というのは、何ほどにも初めての試みでございますので、今申し上げましたように、一定の国電区間で今回は切らしていただきました。今後やはりいろいろ運賃制度というものを総合的に考えてまいります場合には、今、先生御指摘のございましたような通勤のお客様の流動とかいろいろな面から多角的に考えていかなければいけないというふうに考えておりますけれども、今回はとりあえず第一歩ということで、先ほど申し上げましたような、東京では国電区間というものを基準にとらしていただいたような次第でございます。
○和田静夫君 これは了とすることはできないんですが、通勤圏が変わったらどうなるか。そうなれば区分変更は当然あり得るというふうに、じゃ将来は踏んでおくわけですかね。もう今既に変わっているんですけれども。
○説明員(須田寛君) やはり、全体といたしまして国鉄の経営収支ということも考えなければいけないと思っておりますので、運賃レベルがどれぐらいのものになるのか、あるいは幹線系の運賃なり大都市圏の運賃なり、今回お願いいたしております地方交通線の運賃水準というものがどういうふうになるのかというふうなことを総合的に考えまして、今の問題については結論を出してまいりたいと、かように考えております。
○和田静夫君 ところで、私は地域別運賃に賛成して言っているわけじゃないんですが、地域格差迫賃というのは国鉄運賃法の七条の二に違反しませんか。
○説明員(須田寛君) 私どもが今回運賃改定を御申請申し上げております考え方は、七条の二と申しますのは確かに先生御指摘のように、実測キロを原則として運賃の定めをするようにというふうに書かれております。ただし一方、運賃法の十条の二という項目がつくられておりまして、地方交通線のようだ特別な賃率の異なる別の運賃を立てさしていただいた場合につきましてはこの両方の、つまり賃率の異なります線路をまたがって御利用いただきます場合につきましては、大臣の認可を得て特例ができるという定めがございます。今回の私どもの運賃を計算いたします考え方は、この考え方で、またがりの場合は特例をお願いし、地交線の中だけでございますとか、あるいは幹線の中だけでは基本原則の七条の二の原則で計算さしていただいておりますので、私どもは御認可をいただければ適法に実現できるものと考えております。
○和田静夫君 運賃法十条の二の二項なんというのは、我々が大反対をして強行採決その他でもってつくられた法律ですが、これは法制局長官、私はどう見たって運賃法十条の二の二、これと運賃法三条、七条の二、矛盾すると思うんですよ。それは三条か七条の二にただし書きかなんかを入れるのを忘れたんじゃないですか、あの法律つくるときに。
○政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。
 ただいま国鉄の方から御説明がありまして私も伺っておりましたが、確かに十条の二の二項にはいわゆる地方交通線についての賃率が他の鉄道の営業線に係る運賃の賃率と異なるように定められた場合におけるその両名をまたがって乗り継ぎを行う、そのような乗車形態をとった場合には、その旅客地賃の計算方法は運輸大臣の認可を受けて日本国有鉄道が定めるという規定になっておりまして、これがいわば先ほど先生のお話のございました、いわゆる本則で言う、大原則である三条の規定とかあるいは七条の二の規定の特例をなすものであるというふうに読めますので、今お話しのありましたような違法の問題というのは出てまいらないのではないかと、かように考えます。
○和田静夫君 私はどうもこの運賃法十条の二と運賃法第三条との関係においては矛盾があるように思います。これはきょうの問題としては留保をしておきますが、なお詰めますが、どうも運賃法十条の二の二をやるときに急いだ余りに第三条に筆を加えるのを忘れているというふうに私は思いますから、意見だけ述べておきます。どっちみち関係委員会で論議をいたします。
 自治省にはちょっとこれは通告してないんですが、自治大臣、地方行政委員会でいつもやっていらっしゃることですからあれでしょうが、BG財団ありますね。その施設がいろいろの問題を自治体ごとに起こしているんですよ。施設はただでつくってくれるわけですが、その施設のでき上がったものは手抜きであってみたり、後の補修に物すごく金がかかったり、それらはみんな自治体の負担になっているという現状はもう大臣よく御存じだと思うんですが、また運営のために地方財政を圧迫をする、こういう状態が生まれています。時間の関係できょうは実例をたくさん挙げませんけれども、きちんと調査をされて改善をされてしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(田川誠一君) 詳しいことを存じませんけれども、今御指摘のようなことがあるということは聞いております。国鉄に関連して自治体の負担が地域によって随分かかるということはあると思うんですね。そういうことはおいおいと直していかなければならぬ、そういう意味では検討をしていきたいと、このように思っています。
○和田静夫君 自治省、いないですか。ちょっと答弁、誤解があるようだから。
○政府委員(矢野浩一郎君) BG財団についての御質問でございますが、委員御承知のように、BG財団によるところの施設の建設、かなりの地方団体にまたがって行われておりますが、地方団体側の希望もかなりやはり強いものがございます。ただ、運営の問題等について、今後地方財政、地方団体の財政面にいろいろ影響があるのじゃないかと、こういう点は確かにそのとおりだと思いますので、私どもの方も実情はよく調べてみたいと考えておりますので、御了解を賜りたいと存じます。
○和田静夫君 これは自治大臣、官房長から後からお聞きにたって、お約束のところだけは守っていただきたいと思うんですが。
○国務大臣(田川誠一君) ちょっと御質問、勘違いいたしまして失礼いたしました。
○和田静夫君 選挙法の改正ですが、これはこの国会にお出しになりますか。
○国務大臣(田川誠一君) 定数是正のことだと思いますけれども、でき得る限り出したいというのが私どもの考えでございまして、しかしこれは大きな問題でございますから、各党の御意見をよくまとめていただかないとこれはできないものでございまして、各党とも鋭意やってくださっております。できるだけこの国会に出して定数是正を一日も早くこれを解消していかなければならぬ、このように思っております。
○和田静夫君 それとの関連ですが、総理、当然解散権をお持ちでありますし、解散をしたいという御希望もございましょうが、現在その解散権は定数是正、最高裁判決、そして選挙法の改正という一連の関係で行使ができるとお考えになっていますか、できないとお考えになっていますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは非常に難しい問題で、あの最高裁の判決をどういうふうに判断をするかという問題だろうと思います。法制局長官に御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(茂串俊君) 大変に微妙な難しい問題でございまして、私ども実はまだそういう点は十分に検討はいたしておりません。といいますのは、先般の最高裁の判決を受けまして、ただいま公選法の改正が鋭意検討されておるということでございまして、そういった定数是正が早期のうちにできるのではないかというような期待を、大変失礼な言い方でございますが持ちながら、そういった点はまだ十分に検討をしておりませんので、この席で公の意見を申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
○和田静夫君 これ、そうすると、今は定数是正が早急に進んでいく、そしてこの国会に自治大臣はお出しになりたいと言う、法制局長官もその期待を持つと、こういうことの答弁でございますから、そうすると、それの一連の作業過程が終わらなければ総理としても解散権の行使はあり得ない、あなたは行き先を閉じてしまうようなことを言っちゃいかぬでしょうけれども、そういうふうに受けとめておいていいことになりますかね、今のお二人の発言を聞いていますと。
○国務大臣(中曽根康弘君) 必ずしもそういうものとは限らないと私は思います。憲法上の大きな権限で、不信任というような問題が可決されたという場合に、政局をどういうふうに運営するのか、総辞職をするのか、あるいは解散するのかという国家の重大案件を解決する、そういうような場合等々も考えてみますと、定数是正に関する最高裁の判決というのはもちろん我々は尊重して考えておらなければならぬ問題ではございますけれども、その辺の国政との関連というものは非常な微妙なものがあると思います。断定的なことはもとよりできません。最高裁の判決というものももとより我々は尊重しなければならぬという考えから、今懸命に定数是正の努力を開始しておるところでございます。そして、法案提出も今議会に提出すべく今努力もやっておるところでもございます。そういう過程でもありますから、そういうような過程と、つまり意欲を持って努力を開始しておるという状況と、それから、もし万一不信任が可決されて、そしてどうするかというような国家の重大案件を処理するという問題の緊急性あるいは公共性、そういういろいろ諸般の問題からこれは検討さるべきポイントになるのではないであろうかという考えがいたしておりまして、まだ断定した考えは持っておりません。
○和田静夫君 これ、新自由クラブの代表としての田川さんにお聞きをいたしますが、自由民主党の副総裁に二階堂さんが盛んにうわさをされているわけであります。それで、中曽根総裁声明との関連で田中元総理の影響というようなことを考えたから、これを田川さんとしてはどういうようにお考えになっていますか。
○国務大臣(田川誠一君) 自民党の副総裁の問題は他党の問題でありまして、今いろいろと自民党の中で議論になっておるように聞いております。そういう段階でございますから、今私からこの問題についてのコメントはひとつ御勘弁をいただきたいのでございます。
○和田静夫君 外務大臣、ロス・オリンピックに南北統一チームを編成する問題をめぐりましてきょうから板門店で交渉が始まるわけでありますが、外務大臣としてはどういうコメントをされますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この問題は南北のいわゆるオリンピック委員会の問題でありますが、今入った情報によりますと、板門店で両国のオリンピック委員会の代表が会合をいたしたのでありますが、途中で北朝鮮側が中座をいたしまして、交渉はそのまま中断になっておるということでございます。詳細についてはわかりませんが、いずれにいたしましてもオリンピック、スポーツの問題ではありますけれども、現在ちょうど南北間の緊張緩和をめぐっていろいろと動きが出ておるわけでございますから、私どもとしてはこうした体育関係の、オリンピック関係の会合といえども、これが緊張緩和に向けて何か一つの役割を果たすといいますか、雰囲気が出てくることを期待しておるわけでございますが、今の情報では残念ながら中断をしたと、こういうことでございます。
○和田静夫君 在日韓国人の政治犯問題でありますが、これは捜査だとかあるいは裁判の過程、さまざまな問題が指摘をされているわけです。外務省としては、人道上だけでなくて外交上の問題としても私はとらえる必要が今日あるのではないかと考えているんですが、いかがお考えでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 在日韓国人が韓国へ参りまして、そして捕まって裁判にかけられたというケースは多いわけでございます。このことは韓国の法律によりまして行われたわけでございまして、日本政府として、いわば韓国の内政の問題という立場あるいは韓国の主権を重んずるという立場から、これに対して物を言うという状況にはないわけでございますが、しかし捕まった韓国の人の家族は日本におるわけであります。したがって、日本としましても、この家族の立場を思いまして、韓国側に対しまして、昨年も実は外相会議の際に、日本における家族が心配をしておるし、また日本政府としてもそういう立場で関心を持っておるので、韓国側としても十分ひとつ配慮を加えてほしいということを外相会談のときも私から申し入れをいたしたような次第でございます。いろいろと裁判の状況であるとか、あるいは健康の状況であるとか、そういう点については日本も聞いておるわけで、そしてこれは家族にお伝えをいたしておるわけでございますが、裁判そのもの、あるいはまた受けた刑そのものについて日本が言う立場にはないということでございます。
○和田静夫君 最近、判決を下されました在日政治犯の一人に朴博さんという青年がいます。川崎に在住をした二十七歳の人で、東海大学を出て日本ビジネススクールに在職をしている。それから奥さんは日本人女性。その朴さんの公判に佐野一郎さんという人物が出廷をした、そして重要な証言を述べているわけですが、これは外務省、知っている事実を報告してください。
○政府委員(橋本恕君) 私ども直接、つまり外交チャネルを通じまして韓国政府から御指摘のような問題につきまして通報あるいは報告を受けたことはございません。しかし、間接に別のソースから御指摘のようだ事実があったということを聞いておりまして、私どもが承知しているところを全部申し上げますと、昨年の十二月十六日、ソウル地裁の公判に出廷して証言したという話を聞いております。
○和田静夫君 法務省、この佐野一郎氏ですが、元公安調査庁調査官、この方について何か報告できることありますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 佐野一郎という人物が公安調査庁の関東公安調査局に勤務しておったことがございます。
○和田静夫君 現職はわかりますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 昭和三十八年の四月から四十三年の十二月まで勤めておりまして、主として過激派関係の業務を担当いたしておりました。
○和田静夫君 現職は亜細亜民族同盟会長というんだそうですが、法務大臣、この佐野一郎氏が韓国法廷で証言した事案内容というのは確認をされていましょうか。
○政府委員(岡村泰孝君) 具体的には承知いたしておりません。
○和田静夫君 法務大臣、私はこの証言内容というのは守秘義務違反ではないかと考えているのですが、御調査をされますか。
○政府委員(岡村泰孝君) 佐野一郎という人物は公安調査庁に五年余勤務しただけでございます。また、退職後既に十五年余経過いたしております。また、韓国での証言でございますが、これは韓国の国内問題でもございますので、私どもの方といたしましてはこの件につきまして調査するまでの必要はない、かように考えておる次第でございます。
○和田静夫君 退職して十五年たっておると在職中に知り得たその人だけしか知らないようなものをしゃべってもよろしい、こういうふうになるわけですか。
○政府委員(岡村泰孝君) 日本国内におきまして在職中に知り得た公務員としての業務上の秘密、これを漏らすことは公務員法違反にたる、かように考えております。
○和田静夫君 次に、政府開発援助について質問いたしますが、政府開発援助、いわゆるODA予算ですが、防衛費と同じく大幅に突出したわけでありますし、本委員会を通じましても各党からかなりの突っ込んだ御意見が開陳をされていました。私はかなり大きな問題をはらんでいると言わざるを得たいと思っています。
 まず第一に、外務大臣にお聞きをしますが、この突出ベースでいつでも中期援助目標を達成するためには、この八五年度の伸び率を前年度比二一%以上にしなければならないと思うんですね。この中期援助目標はDACなどで対外公約されてきたものだと思われるんですが、達成は可能でしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) おっしゃるように、ODA予算のいわゆる八一年から八五年までに倍増計画を達成するためには、来年度、六十年度予算につきましては二〇%以上の予算を確保しないとこれは困難であるというのは、この二年間の実績から見てそういうことでございまして、五十九年度は九・七%というふうに全体の中では大変突出した予算の確保をいたしたわけでございます。これは政府全体としてODAを推進しなければならないといういわば公約にも等しい対外的な日本の国際的役割を果たそうという熱意がこの数字にあらわれたわけでございますけれども、しかし予算全体から見ると、倍増には来年から相当大きく二〇%以上というものを確保していなたいと難しい、こういう状況であります。また、既に支出ベースでいきますと、八一年、八二年がむしろ円のレートが低くなったとか、あるいはまた多国間の援助が、これは日本の責任じゃないわけでございますが、落ち込んだとか、そういうこともありまして、むしろマイナスが続いておる。支出の状況ではそういう状況でございます。
 なかなか全体的に見ますと容易ではないわけでございますが、しかし私どもはせっかく掲げた公約、公約といいますか、せっかく掲げた公約にも等しい、我々世界に対しても言ってきているわけでございますから、何とかこれをひとつ実現すべくあくまでも目標を持ってそのために努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えて努力をしておるわけであります。
○和田静夫君 総理はこれについてどういうお考えをお持ちでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) ODA予算というものは非常に重要視しておるわけでございます。つまり、日本は発展途上国等に対しては誠心誠意経済援助、経済協力をするという一つの象徴としてこれを確保していきたいと考えておりまして、そういう意味において歴代内閣がこれに努力してきており、私もその一端を担って努力しておる次第なのでございます。
○和田静夫君 総理と外務大臣に重ねて伺いますが、これの達成はやっぱり現在の財政事情からするならば極めて困難であると私は見ます。この中期援助目標が達成されないとき、また新たなる対日批判の材料を与えることになるのではないだろうかということも危惧いたします。達成されない場合の政治的責任とでもいいますか、そういうものは一体どうされるわけでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私は、諸外国の外務大臣とよく経済援助の問題について話をするわけでございます。その中で、諸外国とも大体日本の援助が財政の厳しい中で非常に努力が続けられておるということは全体的に評価しておる。日本の全体のGNPが大きいわけですから援助総額全体としては非常に大きいわけでございます。したがって、今の日本の財政の状況も各国とも大体承知をしておりますし、そういう中での努力としては評価がされておる、こういうふうに思うわけでございますが、しかし先進国が一つの目標を立てておりますGNPの〇・八%というところにはまだまだ到底及ばないわけでございますし、我々といたしましては、そうした世界の中では日本の援助というものは全体的に平均して評価はされておりますが、これから国際的な国家としての役割、責任を果たしていくためにはもっとやはり努力を重ねなければならない、私はそういうふうに考えて努力をしておるわけであります。
○和田静夫君 援助の額もさることたがら、援助の質が私はより一層問題があると思うんですね。一九八三年のOECD・DAC議長報告によりますと、八二年の実績で、援助の質が主要先進国に比べて格段に悪い。例えばODAの中に占める贈与の割合は、DAC諸国の平均値が七六・九%なのに比べて日本は三九・七%にすぎない。借款の条件をあらわすグラントエレメントにしても、DAC諸国の平均九〇・四%に対して日本は七四・二%、DACの勧告は八六%をターゲットにしているわけですから、日本はそれ以下なんですね。外務大臣、これらの数字に早急に改善を加えられるという、改善されることに、これまた対日批判の材料の一つであろうと思われるわけでありまして、どういう御決意をお持ちでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 具体的な数字につきましては事務当局からも答弁させますが、今お話のような日本の経済援助に対する批判ももちろんないわけではありません。しかし私は、日本の援助は全体から見ますと質量とも年を追うにつれてだんだんと整ってきておる、こういうふうにも思っておりますし、また援助の比率からいきましても二国間援助が七割、三割が多国間援助に向けられておる。こうした平均的な形で援助を進めておりますし、また内容の点においても、評価委員会等もつくりながら年々この改善を行っておるわけでございます。もちろん私はこれがベストだと思っておりませんし、改善すべき点は大いにある、そういう点はやっぱり積極的にやっていかなければならない。そうしなければ、やはり開発途上国の本当の信頼を得ることができない、こういうふうに存じておりまして、いろんな評価委員会その他の多くの学識経験者等の意見や、各国のまた率直な意見等も、あるいは批判等も踏まえながら、今後とも本当に役に立つ、本当に開発途上国に信頼をされ、喜ばれるような援助の姿に持っていきたい、そのための努力を重ねていきたいと思います。
○和田静夫君 援助の質ということについてはもっと多くの問題が指摘をされていますが、日本の開発援助は果たしてこの援助を供与された第三世界の国々の草の根の民衆に本当の役に立っているのだろうかということは、これはこの委員会でもかなりの人たちから指摘をされていました。この点は常に問題とされるテーマでありますが、この日本の援助が第三世界の一握りの階級、あるいは腐敗した政府高官の私腹を肥やすものになっているという、あるいは日本の企業進出の先兵役を担っているとか、日本製品を売りさばくパイプとしての役割にしか役に立っていないとか、あるいは民衆の生活の向上には一向に役に立っていたいとか、いろいろの言い方、いろいろのレポートがあるわけであります。これは外務大臣、そういうことは全部耳にされていると思うんですが、端的に御所見を承ります。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに、かつてはそういう批判も日本は受けたことがあるわけでございます。しかし、私は昨年UNCTADの総会に参りまして、南側の代表の諸君から、日本のこのODAに対する姿勢、その努力は大変すばらしいものである、そして年々その実績が高くなっておることに心から評価をする、歓迎をするというふうな、ほとんどの各国から、まあお世辞も半分あるでしょうけれども、称賛を受けたわけでございます。最近におけるやはり日本の援助は私は相当そういう意味では改善をされてきた、公共事業の分にいたしましても、あるいはまた農業、あるいはまた医療だとか、あるいはまた教育だとか、あらゆる面においての相当きめの細かい、相手の国の需要に応じた援助が行われておりますし、またいろいろと御質問等も受けるわけですが、私も注意していろいろと外務省にも言っておるわけですが、援助を最後まで見届ける、これが本当にやはり相手の国自身あるいは国民に還元されるメリットになるものでなければ、それが途中でどこかに行ってしまうというようなことでは、せっかくの日本の援助は血税ですから申しわけない話であります。それがやはり最後を見届けるということが大事でありますが、そういう点につきましても、最近では相手の国との間にしっかりした交換公文なんかを交わして、そしてずっとこれを最後まで見届けるということをやっておりますので、私は日本の援助というものはだんだんと開発途上国で評価をされ、そしてまたこれが増加ということを今も強く求められておる。そういう意味では私はだんだんよくなってきておる、こういうふうに認識をして喜んでおるわけであります。
○和田静夫君 外務大臣、そうおっしゃいましても、日本の開発援助というのは、先進各国のボランティア団体、総括でも申しましたが、NGOから鼻つまみ的存在になっておる、そのほとんどが民衆の役に立っていないという指摘の方が強いわけでありまして、二、三の例をきょうは挙げておきたいんです。
 これは一つは、毎日新聞のバンコク特派員である永井浩さんのレポートを読んでみまして、その中でタイの農業開発プロジェクトの話がずっと出ています。タイ東北部のヤソトーン県で「始った農業開発事業のために多額の農業機械類が購入された。いずれもほとんどが日本製だ。ところが、農村の仕組みも農民をとりまく社会的、経済的状況も、そんな近代的な農法を受容できるようにはなっていない。農民がそれを利用するとすれば、エネルギー代だけでもどうやってねん出するか。このプロジェクトでもうけた者がいるはずだが、少なくとも農民にとっては「冷たい円借款プロジェクト」としか映らない。新品の高価な農業機械類は、農民の生活改善にはほとんど役立つことなく、「宝(?)のもちぐされ」と化している」、こういうふうに書いています。外務省、このプロジェクトについての評価、報告はされていますか。
○政府委員(柳健一君) 私ども、タイにおきましては農村農業開発の経済協力プロジェクト、種々と行っておるわけでございますが、ただいま先生の御指摘のプロジェクトがどれであるかまだちょっと特定することができませんので、ただいま調査をいたしております。ただ、一般的に申しますと、もしそういうようなことがあるとすれば、それは使われないでいたり、そういうようなことであるとすればこれは遺憾なことでございまして、そのためには私どもも、先ほど大臣も答弁で申されましたとおり、事前に十分調査するし、かつ事後にも評価活動その他を通じまして調べまして、適正かつ効果的に使われておるように、事を確保するためにいろいろと努力を払っておるところでございます。
○和田静夫君 バングラデシュのケースですが、人口家族計画プロジェクト、このプロジェクトは合計三億六千万円をつぎ込まれましたね。外務省の経済協力評価報告書、八二年九月を読んでみましたが、それによりますと、来年三月まで協力する方針であると書かれています。このプロジェクトは失敗したわけでしょう。現状はどうなっているんですか。
○政府委員(柳健一君) 御指摘のプロジェクトでございますが、これは昭和五十一年三月から当初五年間の予定で開始したものでございまして、このプロジェクトは失敗したということはございませんで、御案内のとおり、バングラデシュ政府は引き続きます五カ年計画においてこの人口家族計画を最重点事項として推進しているわけでございます。このプロジェクトに対する先方の期待も非常に大きく、感謝されている案件でございますが、五十六年にさらに五年間延長しまして、今御指摘のように六十年三月までということになっていたわけでございます。ところが、その後バングラ政府の方の政変があったりいたしまして、バングラ政府の家族計画プロジェクト自体に大きな変更がございまして、このプロジェクト自体がかかわっております先方の計画が廃止ということになりましたので、ただいまそういう理由で中絶いたしました。
 ただ、先方政府は、一般的には今後も経済開発計画を進めていく上において人口家族計画はぜひ推進したい、かつ日本政府からも協力を得たいということでございますので、これにかわりまして、どういう具体的な内容でさらに協力をやったらいいかということを今向こうと協議中の段階でございます。
○和田静夫君 そうすると、五十八年三月から医師の派遣をやめたというのは、向こうの都合ですか。
○政府委員(柳健一君) そういう事情でございます。
○和田静夫君 私はこのプロジェクトに参加したお医者さんに直接会いましたのですが、その人の証言によりますと、基本的要因というのは、バングラ側の財政負担や関税問題にあるのではなくて、あるいは人口一統計の不備にあるのではなくて、先進国側の思い上がった発想にあると言っているんですよ。バングラデシュの民衆の家計の状況からすれば、生計を維持するのにはどうしても男の子二人が必要だと。つまり、社会経済の構造を変えなければ人口抑制は不可能だというんですね。これが参加したお医者さんたちの結論なのです。外務大臣、何かこれについてコメントがありましょうか。
○政府委員(柳健一君) 先生ただいまおっしゃいましたように、やはり人口問題解決といっても産児制限だけでは問題は片づかないわけでございまして、まずはその国の国民の全体の富の水準の向上とか、あるいは医療協力によって病気で死ななくなるようになるとか、いろいろな点がやっぱり確保されなければいけないと思っております。ですから、私どもはその人口家族計画だけやるのではなくて、あわせて医療協力もやる、それから全体の富の水準も上げていくということを並行して行っていくのが正しいやり方じゃないかと考えておるわけでございます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我が国の援助はやはり相手の国あるいはまた国民が求めるものでなければならぬわけでございまして、今おっしゃるようなこの人口計画についての経済協力も、これはバングラデシュ政府が強く求め、日本がその結果協力した案件であろう、こういうふうに思うわけでございますが、残念ながら今局長の報告のように、バングラデシュの国そのものにおいていろいろ政変等があって計画の廃止とか変更が行われておるということでございますが、しかし全体としては、我々はこの計画もバングラデシュの国の方針として求めたものであるし、今後ともこの計画を実施する上においては十分相協議をして、その上で進めなければならない、こういうふうに思います。
○和田静夫君 日本の技術協力で、全く具体的な話ですが、幾人の避妊手術をされましたか。
○政府委員(柳健一君) お答えいたします。
 ただいま先生が御指摘にたっておられますプロジェクトでございますが、このプロジェクトはあくまでも地域住民に対する啓蒙でございますし、フィールドワーカーに対する母子保健というような分野でのいわば教育訓練活動でございます。したがいまして、私どもも右教育を行う上での指導用の避妊具を供与するということはございますけれども、実際一般の方々の避妊のようなことに直接関与するということはいたしませんで、あくまでもそういう指導者たちの教育というところが中心になっております。ですから、我が国の協力によって何人の方々の避妊が成功したかとかなんとかという問題ではございません。
○和田静夫君 私は、外務省は余り実情をお知りにならずに答弁をされていると思いますが、貧乏人の子たくさんという格言がバングラデシュにも当然当てはまるわけですけれども、経済社会構造を変えたければ人口抑制はできないわけでしょう。避妊具、避妊薬を配ったり、あるいは避妊手術をすることで人口抑制はできないわけです。あるいはそのような人口抑制策というのはより一層社会的な矛盾を拡大すると言わなければならぬと思いましたからこういう問題の取り上げ方を実はしているんです。この話を聞いて非常に私は危惧を持ったのは、家族計画プロジェクトで避妊注射薬の指導をしましたね。
○政府委員(柳健一君) このプロジェクトは、先ほど申し上げましたような趣旨で、いわば指導者の教育訓練、養成ということをやっております。ただいま御指摘のようだ避妊注射薬というものを供与したということは承知しておりません。
○和田静夫君 いやいや、避妊注射薬の指導をされた、いわゆる供与したのではなくて。
○政府委員(柳健一君) そういう事実は私は承知いたしておりません。
○和田静夫君 非常に副作用が大きい、米国ではすでに使用禁止になっている薬の名前まで挙げて実は指導されています。ここのところはちょっと調査してください。
○政府委員(柳健一君) 改めて調査いたしまして、御報告申し上げます。
○和田静夫君 バングラデシュでは、一九七〇年代に入って急速な土地集中化が進み、その傾向は八〇年代にも継続していると思われますが、土地集中化というのは農民層の階層分化であり、土地なし農家、小作農の増加を意味する。一九七七年の統計によりますと、農家総数の約半分が土地なし農家となってしまったわけです。こうした経済社会構造の変化に貧困、飢えの原因があると私は見ているわけであります。経済援助政策はそういうような社会状況を踏まえて行わなければならぬと考えますが、外務省の見解を承っておきます。
○政府委員(柳健一君) 御案内のとおり、バングラデシュはLLDCでございます。いわば後発開発途上国でございまして、途上国の中でも特に貧困に苦しんでいる国でございます。それから食糧問題、飢餓の問題にも非常に苦しんでいる国でございます。そういうことを考慮いたしまして、私どもといたしましてはLLDCにふさわしい援助、まずは第一に食糧援助を中心にいたしながら、さらには農村農業開発、食糧の自給能力をつけていく援助という援助にも力を入れております。そのほか、LLDCでございますので徐々に無償の援助を増加しながら、社会経済インフラ以前の社会基盤的なインフラストラクチュアの充実というものに力を入れて、先生ただいまおっしゃいましたような、まずは極度の貧困から国の経済全体の水準を引き上げていくということに重点を置いて援助するようにいたしたいと思っております。
○和田静夫君 私が言いたかったのは、こういうような形でいわゆる階層分化が援助によって進んでいくということは内政干渉じゃないだろうか、その辺のことまで十分に考えてやらなければならない代物である、そういう注意を喚起したかったのですが、これは外務大臣、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん日本の援助は押しつけではありませんし、内政干渉にわたるような少なくとも感じを与えることは厳に慎んでいかたければならぬ、あくまでも人道的な配慮、そしてまた相互依存という立場、基本理念を貫いた援助でなければならない。そういうことで今後やっていきたいと思いますし、いろいろと御指摘の点についてはまだ相手の国とも相談をしてみたいと、こういうふうに思います。
○和田静夫君 経済援助がどれほど現地の民衆に役に立っているのかという疑問がずっと読めば読むほどつきまとうんですよ。外務省の経済協力評価報告書を毎年お出しになっているんですが、その指摘をされている問題点というのは、ほとんど相手国の方に失点があるというふうに書かれているわけですね。相手国の問題としている。日本はいつもよくやっているんだということになっているんですよ。これはどうもそういう意味じゃ非常に読みづらいのでして、なぜそういう評価になるかといえば、外務省自身あるいは外務省の下請機関自身が評価をやっているからだろうと私は思いますが、経済援助といえども国民の貴重な税金で先ほど外務大臣が言われたとおりやられているわけでありますから、いいかげんな使い方はできないわけであります。行管庁長官、そういう見地から開発援助の評価というものをどういうふうに考えられますか。
○国務大臣(後藤田正晴君) ODAの問題、御指摘のようにいろいろな話を聞くことはございます。やはり貴重な国民の税金を使っておるのですから、国民に対する責任、同時にまた相手国の本当に民生の安定向上、これに役立つような使い方でなければいけないということはこれはもう当然の話でございます。ただ行管庁として、それじゃそういうものをこれから監察するかということになりますと、これはなかなか相手国の内政上の問題もございますからそう簡単に踏み切るわけにもいかぬのではないか。しかし、先ほど言いましたようないろんな点もございますから、外務省とはよく話し合いをしまして本当にODAが役立つような使い方に注意をしていただく、こういうことを考えなければならぬ、かように考えているわけでございます。
○和田静夫君 私は、援助の評価には被援助国のNGOあるいは我が国NGOのコメント、それらを参考意見として当然掲げられるべきだろうと思うんですが、外務大臣、いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) NGOの問題につきましても和田さんがいろいろと御意見持っておられます。私たちもこのいわゆる非政府援助といいますか、非政府団体に対する援助、これは大事な一面があると思います。特にボランティアの活動は大変私は評価されなければならない。タイの難民地帯なんかに行ってみますとボランティアの活動が大変大きな成果を上げておるわけでございますが、しかし政府の方の主力はODAでございますから、そういう中で我々としてもこうしたNGOの活動というものに対しましては、十分に今後本当にこれが生きて南北問題に対しての大きな役割を果たすということになればそれなりの配意をしていかなければならない、そういうことは常に頭に置いて弾力的に考えていく必要がある、こういうふうに思います。
○和田静夫君 最近の日本の援助政策というのは急速にどうも安全保障を意識した、言葉をかえればアメリカの対外政策に従属したものに変化しつつあるのではなかろうかと危惧をいたします。
 外務大臣は、訪米をされたときに中米への援助を提案しておられるわけでありますが、これはどこに、いつ、いかほど出されるのか、明らかにできましょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 我が国とアメリカとの間でいわゆる援助問題につきましてこれまでも何回か話し合ってまいりました。また、私のときになりましても、私とシュルツ長官との間でも話し合ってきたわけでございますが、その中ではっきりしているのは、我が国の援助はあくまでも我が国の援助の政策に従ってやる、すなわち人道的な配慮とそして相互依存関係を重視する、こういう建前を貫いてやるということでありますし、同時にまた、二国間関係と同時に多国間の関係も重視をしてやる、いわゆる七対三、こういう重視をしてやるということが我々の基本的な援助の姿勢であるということは、アメリカに対しても強く我我の主張をはっきり言っておるわけでございますから、その限りにおいては米国のいわゆる世界戦略的な立場からの援助とはおのずから質も考え方も違うことは事実でございます。
 しかし、そういう中でやはり日米間で協力し合ってやれるものはやろうじゃないかということで、タイとかフィリピン等に対しては共通のプロジェクトを持っておるわけですが、そういう話し合いをしておるときに、日本からジャマイカに対する援助の話がありまして、これに対してシュルツ長官から大変ありがたいというふうな感謝の言葉がありました。そして中米に対してどういうふうに思うかと、こういう質問もありましたので、私から、中米につきましても日本のいわゆる援助の基本方針の範囲内においてできるものがあれば援助もいたします、こういうことを答弁をいたしておるわけでございます。中米に援助もいたしておるわけでございますが、それはあくまでも日本のいわゆる援助政策の基本に基づいてやっておるわけでございまして、我々はそれを超えて行おうというふうな考え方は持っておりません。
○和田静夫君 エルサルバドルには行いますか。
○政府委員(柳健一君) 昨年でございましたか、食糧増産援助を出しております。
○和田静夫君 ホンジュラスはどうですか。
○政府委員(柳健一君) ホンジュラスにつきましては、これもたしか昨年度だと思いますが、円借款を出しましてたしか発電所とそれから電気通信だったと思いますが、この二つのプロジェクトについての円借款を出したほか、やはり食糧増産援助みたいたものを出しております。
○和田静夫君 ニカラグアの機雷封鎖がCIAの秘密工作であったと、七日付のワシントン・ポストが報じていますが、外務省、確認できますか。
○政府委員(堂ノ脇光朗君) そのような情報は承知しておりますけれども、外務省としてはまだ確認いたしておりません。
○和田静夫君 調査されますか。
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 我が在ニカラグア大使館を通じまして事情を調べるようにいたしております。
○和田静夫君 イギリス政府は、ニカラグア機雷封鎖は国際海運への妨害であり、機雷敷設停止にアメリカは努力せよという要請を行ったとされていますが、日本も海運国家、平和国家として機雷封鎖に明確な姿勢を示す必要があると考えますが、大臣いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今、局長も答弁いたしましたように、もう少し真相といいますか、実相を調査をいたしまして、そういう中で判断をしてみたいと思います。
○和田静夫君 大臣からいろいろお話がありましたが、私はどうもやっぱり安全保障を意識した援助が結局は安全保障にとってマイナスになるというのがこれまでのアメリカの援助政策の欠陥として指摘されているわけでありますから、お互い十分この辺はわきまえておかなければならぬと思うんです。
 アメリカは、キッシンジャー委員会の指摘、指針にもかかわらず中米を裏庭として膨大な援助を投下してきました。にもかかわらず、中米の貧困は解決せず、逆に貧富の差が拡大するばかりだったわけです。キューバやエルサルバドルは援助をしてこなかったら反政府運動が起きたわけではないと私は思っています。逆に援助をしてきたことによって国内の階級構造を拡大させてしまった、そういう点もありますので、これらの点は十分に考えたから、フィリピンその他独裁政権への肩入れというようなことが起こらないよう注意を喚起したいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) あくまでも日本の援助は、日本の援助の基本方針に基づきまして慎重に進めてまいる考えでございます。
○委員長(西村尚治君) 以上で和田君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(西村尚治君) 次に、桑名善治君の締めくくり総括質疑を行います。桑名君。
○桑名義治君 六月にサミットが行われるわけでございますが、予算委員会もいよいよ大詰めになってまいっておりますし、総理に質問する機会も非常に少ないと思いますので、このサミットに関連して少し総理の御意見を伺っておきたいと思います。
 サミットは大体六月七日から三日間というような議題が予定されているようでございます。そこで、このサミットというものが、今までは世界の経済問題が中心に討議をされたわけでございますけれども、昨年のサミットの討議の内容を見てみますと、非常に政治問題が中心になりながらこの議題を消化をしているというのが現実の姿になっておりますが、総理としては、今回も前回同様に政治声明を出す、そういうふうにお考えかどうか、まずお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) まだ各国間におきましてどういうサミットにするかという話し合いができておる状態ではございません。各代表の個人的な代表者が時折集まりまして相談をしている、そういう状況でございます。しかし、いずれにせよ政治、経済、文化等の問題が論ぜられるであろうと思います。特に政治の問題におきましては、平和と軍縮推進の問題、これは非常に大きな問題で、INFの後、あるいはSTARTの後の問題、つまりINF交渉が米ソの間で、ソ連がテーブルから離れました。ソ連にはソ連の理由がございましょうが。しかし世界の全人類の期待にこたえて、やはり米ソ両方は核兵器を削減し、そして廃絶していくという方向にぜひとも話し合いをやってもらいたいと思っておるのです。
 レーガン大統領は相次いでテーブル復帰への呼びかけをやり、西欧の諸国もやり、日本もそういう考えに立って過般東京声明なるものも出したのでございますけれども、ソ連側にはソ連側の言い分があるいはあるかもしれません。その間をよく調節をして、自由主義陣営一体の結束を行いつつ、やはり平和、軍縮に向かって大きく前進するように協力してまいりたいと思っておる次第でございます。特に、INFとSTARTにつきまして話し合いを始めるように努力してまいりたい、そういう環境をつくるということが非常に大事なポイントでもあるだろうと思います。それから経済の問題につきましては、自由貿易の推進、保護主義に対する我々の反対、これをやっぱりはっきり力強く推進する必要があります。
 そういう面におきまして、我々は東京ラウンド以後の新ラウンドについて各国と話し合いを進めておりますが、それも推進してまいりたいと思いますし、また債務累積国の問題がございます。あるいは発展途上国に対する、今お話もありました経済協力の問題もございます。あるいはさらに自由化の問題に絡みまして、各国通貨の為替相場の問題とかさまざまな問題がございましょうが、そういうような一巡の問題も話し合われるであろうと思います。文化の問題につきましては、過般、箱根会議を行いまして、生命科学と人間の尊厳等についていろいろ話し合いました。そのほかの科学技術の問題等々につきましても話し合いが行われ、あるいは報告が行われるであろうと考えております。
○桑名義治君 総理の大体考え方はわかったわけでございますが、その中で特に確認をしておきたい問題がございます。
 それは、核防条約の実効を上げるためにいわゆる核関連技術、それから製品の輸出をしたいことを検討すると、こういうふうに伝えられてきましたけれども、この問題もサミットの議題として結論的なものが出されることになるかどうか、この点も伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) その辺はまだ未定でございます。ただ、核防条約というものは、参加各国が全部この条約に加入しておるのでございまして、核防条約の精神にかんがみまして、我々の核兵器を持たない側からすれば、核兵器を持っている国々が軍縮を推進し、それと同時に原子力の平和利用についてさらに協力をしていただく、そういう我々及び発展途上国の声を力強く反映させるという大きな仕事が我々にはあるだろうと思います。
○桑名義治君 先ほどの総理の御答弁の中にもございましたけれども、いわゆるINF、それからSTART、こういった問題を米ソ対立の中で、今は世界じゅうの非常に関心を呼んでいるわけでございますが、この問題も話し合っていきたい、こういうような御意見が開陳されたわけでございますが、これはそういう方向でいわゆる同じテーブルに着くようにという、そういう事柄をレーガン大統領に強く要請をするということでございますか、確認の意味を込めてもう一度お願いします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は去年の一月、レーガン大統領と会ったときも、米ソ首脳会談をできるだけ早くやった方がいいと思うと、それからウィリアムズバーグのサミットにおきましてもそういう方向を推進をいたしました。また、レーガン大統領が東京にお見えになりましたときにもそういう方向を推進をしてきたところでございます。先般、中国へ参りましたときにも、やはり核軍縮、核の廃絶というような問題についてもいろいろ話し合ったところでございます。私はこの正月、新年の記者会見をしましたときにも、テレビで全国民の皆さんに、ことしは軍縮と平和の年である、そうなるであろうし、しなければならぬと、そう申し上げたのでございます。
 そういう意味におきまして、ソ連もチェルネンコ政権にかわりましたけれども、そちらの方向にみんなで善意を持って協力し合う、そういう環境もつくるし、また進めていきたいと思うんです。
 ただ、それをやるについては現実的にそれが進むような安心のできる保障体制をつくることが大事でありまして、その基本はやはり前から申し上げるように、我々自由主義陣営の連携の中にそれを進める。それからさらに、みんなが安心できるような、例えば相互査察を伴うような制度、仕組みができ上がるということがやはり安心のできる措置なのでありまして、そういう面について具体的姓努力してまいりたいと思っておるわけであります。
○桑名義治君 そこでもう一点、総理の御答弁にもあったわけでございますが、私が一番心配している一つの問題といたしまして、サミットでいわゆる貿易問題などで日本が孤立するのではなかろうかという心配をしているわけでございます。アメリカと日本との貿易摩擦はまだ完全に片づいたわけではございませんで、今回の農産物の交渉の問題で、これが新しい一つのまた段階を踏んできたのではないかと、こういうような心配もございますし、それと同時にECもこの貿易摩擦の問題については非常に強硬姿勢をとりつつあることは、これは周知の事実でございます。それと同時に開発途上国は、逆に今度はEC、アメリカばかり日本は顔を向けているということから、非常に貿易摩擦の問題が新しい問題としてさらに再燃のおそれがあるわけでございますが、この問題はどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) この問題も我々は大きな関心を持って善処していかなければならぬ問題だと思います。特に、最近の情勢を見ますと、輸出が非常に伸びてまいりまして、輸出超過の額がかなりの額に上るようでございます。昨年に比べてさらにこれが大きくなるという可能性のもとにおいては各国からの関心も非常に寄せられております。しかし、一般的に見ますと、アメリカとの間で農産物に関する話が妥結もいたしましたし、それからこの四月には、今河本長官を中心に経済摩擦解消のための諸般の対策を進めております。昨年はいろいろ関税の引き倒しとかあるいは輸出認証制の思い切った改革とかやりまして関係各国から評価されたのでありますが、ことしは四月のいろんな措置等も含めましてさらに前進した姿勢を示していこう、こういう形で努力してまいりたいと思いますし、また輸出の問題につきましては、内需振興によって国内景気を非常に起こしていこう、こういう方策も考えておりまして、貿易摩擦の問題についてもよく話し合っていきたいと考えております。我々としましては、やはり自由貿易を推進していくということが一番大事な点でありまして、その点につきましては各国の協力と賛同を得るようにさらに努力してまいりたいと思います。
○桑名義治君 今、総理から御答弁がございましたいわゆる市場開放問題、貿易摩擦の解消のために市場開放問題を四月いっぱいにいろいろと検討したい、こういうお話があったわけでございますが、これはやはり六月のロンドン・サミットをにらみながら非常に重要なことだろうと思います。
 そこで、大体どういう問題があるかということを大まかに申し上げますと、いわゆるソフトの保護あるいはVANの問題、VANの外資規制緩和の問題、あるいは通信衛星購入の問題、あるいはまた金融資本市場自由化の問題、関税引き下げの問題、こういうように早急にやらなければならない非常に大きな問題が山積をしているわけでございますが、こういった個々の問題について河本大臣を中心にしたがら今回は検討していくということでございますが、中身の項目についてはもう既に決定をしていると思うんですが、どういう項目について検討をなさっているのか、その点を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 今、検討しております諸問題は、今お述べになりました項目を全部網羅しております。
○桑名義治君 それと同時にここで考えなければならない問題は、先ほど私が申し上げましたように、いわゆる開発途上国に対する不満の解消のためにはどうすべきか、この点についてはどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) この問題は、先般、対外経済関係の閣僚会議を開きまして、単に対米問題だけではなく、グローバルな立場において対外経済摩擦の問題を取り上げていこう、こういう立場に立って今作業を進めております。
○桑名義治君 これは四月いっぱいに大体検討が終わるわけですか。それが一つと、それから、それと同時に米国、それからEC、開発途上国、こういう一つのパッケージにして検討しますとどうしても米国とECに比重がかかり過ぎて、そして開発途上国がやはり影が薄くなってくるというそういう心配があるわけでございますが、その点の御配慮はありますか。この二点をお願いします。
○国務大臣(河本敏夫君) まず後段の問題でございますが、これは先ほども申し上げましたようにパッケージにしてまとめたいと思っておりますけれども、これはグローバルな立場において進めておりますので、どこの国を対象にしてやる、こういうことではございません。それから目標は四月末をめどといたしまして大部分の問題は解決をしたい、一部の問題は外国の方の対応が決まりませんと結論は出しにくい問題もございます。例えばエネルギーの問題だとは外国の立場がはっきりしませんと日本だけで結論を出しにくいと、こういう問題もございますが、しかしそういう問題についてはミッションを出すとか何らかの形で前進を図りたい、このように考えております。
 ただ、先ほども総理からお話がございましたが、アメリカ経済、世界経済が相当回復しておりますので輸出が相当ふえております。そういうことで貿易収支の黒字、経常収支の黒字も相当な巨額に達する、こういう問題も残っておりますので、例えばECなどは数日前に八項目の申し入れを日本にしてきておりますが、その第一に、日本のマクロ政策を一体どうするのだ、積極的に取り上げてもらいたいと、こういう要請も出ております。したがいまして、巨額の貿易の黒字問題を解決するということのためにはやはり内需の拡大、これがどうしても必要だと、このように考えておりまして、政府部内でも予算が通りました段階でその相談をすることにいたしております。
○桑名義治君 次に、日本電信電話株式会社法案について少しお尋ねをしておきたいと思います。
 いよいよこの日本電信電話株式会社法案が国会に提出をされる予定になったわけでございますが、この法案の中身を見てみますと、この法案の中では、新電電は郵政大臣の認可を得ればいわゆる製造部門にも進出ができるようになる、そういう可能性が含まれているわけでございますが、まず電信電話株式会社といたしましては、この製造部門に進出する予定がおありなのかどうか、その点をまず伺っておきたいと思います。
○説明員(真藤恒君) 現状におきましては、具体的に製造部門に進出するという考えは持っておりません。
○桑名義治君 そうすると、大臣にお伺いをしたいんですが、もし仮に認可申請があった場合、郵政省としては認可するおつもりでございますか。その点はどうでしょうか。
○国務大臣(奥田敬和君) 御存じのとおりに、臨調答申では、制度的には新会社は柔軟に弾力的に運営をしなさいという形で、投資活動のある程度自由を認めるということになります。しかし、今、電電総裁からも話がありましたように、これは機器市場に巨大な現在の電電が乗り出すということになりますと非常な業界混乱も予想されます。そしてまた、特殊会社に持っていく一つの経緯としては、一つは活力を生んで、もう民間的な弾力的運営をする会社であってほしいということが一つと、他方、独占の弊がもたらした今日の弊害をあれせいということで、まず民営、次いで分割というくらいの答申の趣旨があるわけでございますから、私たちは現在の段階においてイエス、ノーというような形は別といたしましても、そういった参入は好ましくないという見解を持っておりますし、今も、当局側としてもそういった製造機器の方に出る意思はないといったようなことも言っておりますけれども、私はやっぱり通信主幹線を維持している形の会社がむしろそれを買ってやっているわけですから、効率的じゃないと思います。アメリカでもATTがベルとかウエスタン・エレクトリックとか、いろいろ研究所施設から製造部門を持っておりましたけれども、今日それがむしろ分割の方向に行っておるわけですから、巨大なるがゆえに、それをさらに巨大化していくというような方向は好ましくないと思っております。
○桑名義治君 次に問題になりそうなのは、新電電の株式についてはもう既にいろいろな雑誌で利権をめぐってのいろいろな動きがあるということが報道されているわけでございますが、この点についての予防措置はあるのかどうか、総裁はどのようにお考えになられますか。
○説明員(真藤恒君) 恐れ入りますが、ちょっと今、先生の御質問を聞き漏らしたところがございますが、まことに恐れ入りますが……。
○桑名義治君 新電電の株式ですね、これについての利権をめぐっていろいろな動きが、いろいろな経済雑誌やさまざまな雑誌に載っかっているわけです。これの予防措置ですね。どのようにお考えになっているかということです。
○説明員(真藤恒君) 株式の処置につきましては、私ども当事者といたしましては何らの関与もない問題だというふうに心得ております。株式の所有者は政府でございますし、私どもはその株式のもとに経営を委託される経営の責任者でございますので、株の処置については一切私どもは関係ない問題だというふうに考えております。
○桑名義治君 郵政大臣、この点について。
○国務大臣(奥田敬和君) 御存じのように、電電新会社の株式は、当初発足時は全部政府が保有する。その後、今度の新しい事業法案でも三分の一以上は保有するということが明定されております。その処分に当たっては国会の御承認を得て、さらに市場性というか株式市場の動向、また国民の資産でもございますからその適切な価格の確保、こういった面を勘案して慎重に当たりたい。いささかも利権の生ずる余地はないと思っております。
○桑名義治君 利権が生ずる素地がなければいいんですが、これは慎重の上にも慎重を期してこの問題には対処していただきたいと思います。
 その次に、株式の売却益はどのように使用するのかという問題がここへ出てくるわけでございます。まあ考えられることは、財政赤字の補てんのために使うということも考えられるでしょう。ところが、電気通信の発展ないし、あるいは国民福祉の向上のために一部用いられるという使用方法もあると思うんです。どういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(奥田敬和君) 御存じのように、政府が最初全額出資という形であっても、形成された形は全部これは国民の大切な資産であるという観念に立って当たらなげればならぬと思っております。しかも、今度新会社になれと、新会社をつくるという趣旨は、ともかく独占一元化の弊を抜け出して、そして新しいこのニューメディアの時代に即応した体制をとろうということが趣旨でございますから、この株を処分して、株の利益をどうするかというような形はその後の時代において発生してくる問題ではございます。しかし、あくまでも電電新会社というものと株売却、その利益云云という問題はおのずから別途な形になってくると思います。したがって、私たちは財政再建に資するために新会社をつくるのではないということをはっきりまず念頭に置きながらも、結果的に生ずるそういった売却利益等々については今後関係当局と慎重に対応してまいりたい。はっきり申せば、国の財政再建、これに対して利益をどうするか、あるいは新会社といえども今度は新しいメディアの分野における研究、基礎的な研究開発費というものも保障しなければいかぬ問題でございますから、それらは関係当局とよく相談の上で検討してまいりたいということでございます。
○桑名義治君 次の問題点は通信事業の公共性、この立場から考えますと、今回の事業法案ではどのように、そういう秘密性というもの、公共性というものが担保されたか。特に例を挙げて申し上げますと、通信の秘密の保護、こういったものをどうやって保護するのか、この辺が一番問題になると思うんですが、この点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(奥田敬和君) 逐条的に新しい法案の中で、何条にどういう規定があるかということは、今もし御必要なら政府委員から答弁させます。
 ただ、一種業者であれ二種業者であれ、通信の業務を営む者は通信の秘密を守らなければならないし、ユーザーである、利用者である国民のそういった利益を侵してはならないということははっきりと法的には明定されております。そしてまた、いろいろ問題はありましたけれども、二種業者に関してもそういった形の、秘密を侵し、ユーザーである利用者に迷惑をかけた場合、改善命令等々で措置することも明文化されております。したがって、もう自由とはいえ、営業の自由はある程度担保されたとはいえ、その通信業務に携わる者が秘密を侵したりそういったユーザーの権益を侵した場合には、そういった法的処置がとられる。また、守秘義務等々も全体の網の中で課せられておるということですから、そういった意味におけるユーザーの保全は今回の新法案によっても明定されておるということでございます。
○桑名義治君 次の問題は、いわゆるVAN事業は米国に比べますと十年ぐらいおくれているというふうに言われているわけでございますが、外資規制を完全に撤廃しても大丈夫なのかどうか、ここら辺の心配がある、これが一つ。
 それから、VAN事業について非常に米国からの要求事業が強いようでございます。これはむしろ、考えますと、いわゆる少し内政干渉にわたるのではないかという疑問も多少持つわけでございますが、この点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(奥田敬和君) 大変関心を呼びましたVANの処理に当たっては外国規制、例えば外資の規制とかあるいは外国人とか外国法人等々に関して緩やかな規制を担保しようと思っておったわけでございますけれども、新法案でははっきりと一切の外国規制を排除し、内外無差別の原則でこれに当たることといたしました。したがって、このことが対外的には今までいろいろ話題になっておりましたけれども、一切批判される余地はないと思っております。ましてや日米間のそういった形に発展するはずがありません、外国規制を一切排除して全く無差別の形でやったわけですから。ただし、これは二種業者以降の問題でございます。一種業者の回線を保持するという形に関しては、これに、はまる程度の外国規制を排除する、あるいは規制するという規制は盛られております。
 また、御指摘の十年間くらい未成熟じゃないか、アメリカはもう先行分野で十年間の経験とあれをもう既に持っておるじゃないか、しかしそういう形でやってきて内外無差別という形になったときには、恐らく先生の御指摘されようとしておるのは、大丈夫なのかということであろうと思います。私も技術的には素人ですので、大変心配しておったのもそこにあります。例えばATTにしろ、IBMにしろ、この十年間に蓄積された技術、そして資本、こういった形で日本の市場を独占するのじゃなかろうかという心配が当初あったことは事実です。しかし、今日の状態から考えますと、電電が新公社に移行すればそういったVAN業務の中でも相当な独占の弊をもたらさないだけの競争力も十分持っておるわけでございますし、外国のそういった巨大資本、技術力が独占をしてやっていくということは今のところ考えられたい。また、日本でもそういった機器業者がVAN業務に出て、対抗措置と言ったらおかしいですけれども、市場原理を働かして、競争原理を働かして頑張ってくれるようでもございますから、そういった弊害がございませんから、恐らくお互いに切磋琢磨してこの基盤的な分野に大いにお互いの技術力、そしてユーザーのそういった利点を含めて頑張ってくれるということを期待しておるというのが現状でございます。
 そして最後に、干渉がましいことじゃないかということでございますけれども、確かにブロック通商代表からも私、郵政大臣のもとに書簡もいただきました。しかし、これはあくまでもできるだけ規制を緩やかにしてほしいという要望の手紙でもございます。先生御存じのとおり、通信主権というものは、もう既に国際間において定着した理念でもございますし、そういうことは向こうもよく先刻承知でございます。私は、それらの問題に関しては期待を込めた要望であると受けとめております。したがって、いささかも要求というようには受け取っておりません。私たちが自主的に解決すべき問題ですから、その方向で今回の問題も解決したつもりでございます。
   〔委員長退席、理事初村滝一郎君着席〕
○桑名義治君 この問題について直接担当されております総裁の御意見を伺っておきたいと思います。
○説明員(真藤恒君) 今度の新しい法案では、私どもも自由に二事業に参入できることができるようになっております。ですから、小さい組織の参入もいたしましょうし、大きな組織の参入もいたすつもりでございます。問題は、私どもが、お客の立場で一番利用しやすい、また利用して値打ちのあるようなからくりを私どもの考えた考え方から出たのと、外国から参入してきた事業体がそういうことを考える考え方と、どちらがお客のためにより経済効果が大きいかというそこのところの競争が一つと、それから何といいましても、やはり非常に機密な情報を取り扱うわけでございますから、事業体に対するお客の信頼感というもので競争することになるかと思います。
 そういうふうに考えてまいりますと、VAN業のハードに直結した技術的な能力は私どもは相当強いものを多人数が持っておりますし、それからそういうお客の経済効果が最大に発揮できる、あるいはお客の信頼性というふうなことが、現在コンピューター設備サービスで全国的に広がりのあるいろんな電算機関の情報処理をかなり大きくやっておりますので、そういう面からくる技術力あるいは計画力、信用力というものを財産にいたしましてやりますれば、今大臣がおっしゃいましたように、決して新規参入に席巻されるということはますます起こらないだろうという自信は持っております。
○桑名義治君 総理、日本電信電話株式会社法案に対するそれぞれの大臣の御意見を伺いました。最終的に総理から一言この問題についてのお言葉をいただいておきたいと思うんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) この法案は、臨時行政調査会の答申を受けました行革の目玉の中の一つの重要法案であり、ぜひ成立を念願しておる次第でございます。その願いとするところは、これを経営的に能率化していくということ、そういう意味において民間的手法を思い切って大胆に取り入れる。そういう意味からも大蔵省やそのほかの規制をできるだけ解除したところでもあります。それと同時にまた、労使関係を一体化して改善してやっていってもらう。そういう意味におきまして、労働関係におきましても従来の公社以上の前進を示すように配慮した点があるわけでございます。そういうようなことで、国民の大事な財産を引き受けてやっていただくわけでございますから、慎重を期す上にも慎重を期して、完全に立派に仕事をやっていただきたい。
 ここで大事な点は、やはり公共性とかあるいは通信の秘密を確保するという面がございます。これらの点につきましても、我々は大いに配慮していかたければならぬと思いますし、また腐敗防止という点につきましても、また能率化推進という面におきましても、今後とも格別配慮してまいらなければならぬと思います。今、御指摘になりました、新しい会社への移行の過渡期、あるいは新しい会社ができまして株式を譲渡するというような場合、これらにつきましてはいささかも疑念が起きないように、立派にやってもらうように、慎重に対処してまいりたいと思っております。
○桑名義治君 総裁、どうもありがとうございました。
 次に、日米農産物交渉の問題についてちょっとお伺いをしておきたいと思いますが、五十六年度に発表されておりますいわゆる需給見通してございますが、この農林省の見通しの中では、年間三・四%から四・二%のいわゆる伸びがある、こういうふうに推定をされているわけでございます。今回の妥結が四年間は毎年六千九百トン、そういう増枠が交渉で一応妥結をしたわけでございますが、先ほども論議の中に出ておりましたけれども、四月の十二日から今度は豪州との間で交渉が行われるわけでございますが、そういったいわゆる伸び率から出てくる増枠でございます。それが大体年間八千四百トンぐらいだろう、こういうふうに見込まれるわけでございますが、その枠内で考えますと、六千九百トンというのを差し引いてまいりますとあとわずかしか残ってこないわけでございますが、そういう立場からこの豪州との交渉をどういうふうに乗り切ろうとされておられるのか。それから現在の日本の肉の需給状態を見てみますと、輸入三〇%、国内七〇%の枠が一応はまっているわけでございますが、この枠が崩れる心配がないかどうかという問題。それから六千九百トンの数字は何が基礎になって妥結したのか、このところを御説明願いたいと思うんです。
   〔理事初村滝一郎君退席、委員長着席〕
○政府委員(角道謙一君) お答えを申し上げます。
 ただいま先生お述べになりました伸び率等は、いわゆる今回日米間の話になりました高級牛肉以外に、全体の牛肉の需給枠でございます。したがいまして、これを私どもとしては、現段階におきましては、今の見通しについて特に変わるということは考えておりませんし、これから豪州との間におきましてこれをどうするかというのは今後の話し合いになります。私どもとしましては、本来その牛肉の枠そのものは建前上はグローバルクォータ、特定の国についての割り当て枠というようなものはございませんので、全体枠としましてこれが私どもの今後の需給動向の中におさまるようにというように考えておるわけでございまして、豪州との話し合いも今週末から始まりますが、国内の需給動向等を話し合いをしながら十分先方の理解も得たいと考えているわけでございます。
 また、この六千九百トンの枠につきましては、私ども、現地の代表団の判断でございますので詳細は帰ってからでないとわかりませんけれども、従来の動向等から見まして大体その範囲におさまるものというふうに考えております。
 それから、全体枠といたしまして国産が大体七〇、輸入が大体三割という大きな比率がございますが、最近の需給動向を見ておりましても大体この七、三の比率は多少年によって変動するかもしれませんが、全体として大きく変わるものではないというふうに考えております。
 なお、先ほど六千九百トンというお話ございましたが、これは今回の合意は四年間で二万七千六百トンでございますか、要するに総枠につきまして合意をいたしましたので、毎年六千九百トンというのではございませんので、これから毎年の需給事情を見ながら毎年の枠は実際にはその年その年の需給を見ながら考えていくということになろうかと思います。
○桑名義治君 確かに四年間の総枠で妥結しているわけでございますので、平均すると年間にこれだけのということでございますね。それはもうわかっているわけですよ。
 そこで、この四年間ということになれば六十二年、いわゆる四年後、このときに、では今度はどういうふうな要求事項がくるか、これがまた心配なんですね。さらに輸入枠の枠の拡大になるのか、あるいは自由と、この問題は自由にしなさいと、こういう形になるのか。ここら辺が非常に心配なんですが、そこら辺は感触は何か受けていますか。
○政府委員(角道謙一君) 今回の日米交渉の経過を見ておりましても、アメリカは本来今直ちにでも牛肉については自由化をしろというところから交渉が始まりましてやっと今のようなところまで来たわけでございますが、したがいましてこれから四年先、六十二年になりましてアメリカがどういう要求をするかということについては、やはり今の態度はなかなか崩さぬではないかと思います。反面、この四年先を見ました場合、現在の牛肉の生産事情を見まして完全自由化という方向に踏み切るというのは私ども考えておりませんが、四年から先につきましてはどうするか、これはやはり六十二年の前になりまして日米間で話し合いをするということになろうかと思います。当面申し上げられますのは、やはり四年間、先ほど申し上げました二万七千六百トン、そういうものが最終六十二年度の枠になる。その先につきましては、その間の事情を見たがらまた両国間で話し合いをするということでございます。
○桑名義治君 四年目近くになって、六十二年度に近くなって態度を決めるということは、これは私は間違っていると思うんですよ。もう既に米国の態度というものは自由化ということが大前提になっておるわけですから、したがって交渉は今回は終わりましたけれども、しかしここから始まっているんだというというその意識で取り組んでいかなければならないと、私はこういうふうに思うんですが、その点について伺っておきたいと思います。
○政府委員(角道謙一君) 御指摘のとおりと思いますけれども、ただ、国内の牛肉の生産事情あるいは牛肉につきましての農政における位置づけ等を考えてまいりました場合、私ども四年先におきましても自由化は困難であるというふうには考えております。ただやはり、片方には消費者の問題もございますし、国内の牛肉生産についても合理化を進めていく、できるだけ国際競争力にたえ得るような方向に持っていくという努力も必要かと思いますし、私どもは今、先生御指摘のような意気込みでいろいろ議論はやりますけれども、ただ四年先で自由化ができるというようには現段階では考えておりません。
○桑名義治君 そこで、今回のこの交渉の妥結で、今後畜産農家への影響、これをどういうふうにお考えになりますか。恐らくまだ決めてたいとおっしゃるかもしれません。先ほどの答弁はそうでした。しかし、今回の交渉の段階で、もう既に皆さん方は、ある程度はこれを見込んでおかなければいけないということは、これはもう大前提として交渉に向かわれておるわけですから、ある程度の対策は固まっていると思うんです。その影響と対策について伺っておきたいと思います。
○政府委員(角道謙一君) 今回の日米間の合意につきましては、四年間で二万七千六百トンというようなことでございますので、私ども、この四年間につきまして現段階では特に所要の対策が要るというようには考えておりませんが、牛肉の需給動向はやはり景気動向にも非常に影響されますし、消費が極端にふえる場合もあれば逆に落ちることもあろうかと思います。その辺は不測の事態ということで、その場合におきましては私ども所要の対策を講ずる必要があると思いますが、現段階において、今直ちに日米合意に伴って所要の対策が要るというようには考えておりません。
○桑名義治君 先ほど総理は、この問題に対しましていろいろな施策を進めていきたいという意味合いのお言葉があったわけでございますが、総理の今回のこの交渉の妥結に対する評価と、今後のこういった農政に対するお考え方を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 山村農水大臣を主にする日本側及びブロック氏を主にするアメリカ側が、日米の間にありまして双方の利益を背負いながらぎりぎりの決着で合意を見ましたから、この双方の努力に対しましては、私は敬意を払い、かつ高く評価するものであり、特に山村農水大臣がはるばるワシントンまで行きましていろいろな努力を重ねたこと、また自民党の議員の諸君がこれを助けて協力していただいたことにつきましては、非常にこれを多とし、かつ労をねぎらいたいと思っております。
 今後の問題につきましては、やはり日本の農家の健全な育成ということは政治の眼目でございます。また、仮にも不安や心配を与えないようにするということも大事なことでございますから、そういう点につきましては今後とも大いに努力してまいるつもりでおります。
○桑名義治君 次に、国有地等有効活用推進本部の設置の問題について少し伺っておきたいと思いますが、中曽根総理みずからが本部長となりまして、昨年の十月二十一日にこの推進本部が設置をされたわけでございます。
 そこで、この国有地を民間活力導入促進の一つに利用していくお考えのようでございますが、総理、大蔵大臣に、この国有財産の管理処分について現在どのように認識をされておられるのか、あるいは今どのような動きになっているのかを御説明願いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず、国有農地の方からお答えいたします。
 大蔵省としては、かねてから農林水産省に対しまして、国有農地等の管理の適正化及び処分の促進を図るよう要請してまいって今日に至っております。農林水産省におきましては、国有農地等の現状を的確に把握するために、五十八年度から三カ年で実地検査を行っているところであると承知しております。大蔵省としましては、この農林水産省の検査結果等を踏まえまして、今後とも国有農地等の管理の適正化と一層の効率的利用を図るよう、これは農林水産省の方へ要請をしてまいろうと、こういう考え方でございます。
 国有農地のうち市街化区域内にありますところのものは一般的に小さい規模のものでございます。そうしてその処分方法につきましても、原則として旧所有者に売り払うということになっております。これらの国有農地につきましては、国有地等有効活用推進本部において検討するというのには少しなじまない、余りに小さなものでございます。もし民間活力導入検討対象財産として考えられるものがある場合には、これは当然同推進本部に報告をしてそこで考える、こういうことになろうかと思っております。これは手順についてお話を申し上げたわけであります。
○桑名義治君 それで、総枠についていわゆる国有地等有効活用推進本部が設置をされて今動いているわけですが、それが現段階においてはどういうふうな効果を上げているかということを前提にまず最初にお伺いしたわけでございます。
○政府委員(志賀正典君) 先生御指摘の国有地等有効活用推進本部は、昨年の十月に内閣総理大臣を本部長として設置をされました。以後推進本部の会議が重ねられておりますが、先般二月三日でございますか、第二回推進本部会議におきまして推進本部申し合わせというのが行われました。それによりますと、民間活力導入検討対象財産として選定をされました国有地のうち、特に都市計画の面から利用方法の概要等を定めることが望ましい、こういうふうに認められるものにつきましては、推進本部において有効活用の基本的な方向を立案することになっております。
 また、この第二回の本部の会議におきまして、まず国有地等につきましては、これまで私どもが関係各省の御協力をいただきながら行政財産の使用の状況を調査をしてまいりましたが、その中で民間活力の導入検討対象財産、こういうふうなことで、もちろんこれは地方公共団体との調整をしながら進めなければならないものでございますが、それにつきまして私どもが今まで点検をしたものといたしまして百六十三件、六十五ヘクタール、これを御報告をしたわけでございます。このものにつきまして、先ほど申し上げましたように、都市計画等の面から特別にこういうふうな使い方をしようという概要をあらかじめ定めなければならないものはどれか、こういう作業が、先般発足をいたしました企画小委員会、アドバイザリーグループ、こういうところでこれから検討されていくわけでございます。
 私どもは、そういうことで、ある程度の規模がございまして、これが都市計画的に見てこういう使い方をした方がいいだろうということを特に定めなければならないものにつきましては、あらかじめアドバイザリーグループの御意見を十分にお伺いをしまして進めていきたい。国有地等の百六十三件、六十五ヘクタールの中には割合規模の小さいものもございます。また地方にあるものもございます。そういうもので特別にそういう都市計画的な手法によりましてあらかじめ使い方を決めなくてもどんどん民間に使っていただいたらいい、こういうものもございます。そういうものにつきましては、一般競争入札の方法により民間の方に使っていただくように各省と御相談をしながら進めていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
○桑名義治君 ところで、いわゆる農地改革実施のために、国が自作農の創設を目的として買収したいわゆる国有農地がございます。ところが、戦後四十年近い歳月がたっておりながらこの問題が依然として片づいてない。しかも管理運営が極めてずさんである、こういうふうに私は指摘をしたいわけでございます。私も実際に実地調査をやってまいりましたけれども、この後でその問題についてまたお話を申し上げたいと思うんですが、いわゆる国有農地等のうち、農耕貸付地、転用貸付地、さらには未貸付農地、それぞれの面積、それから農耕貸付地のうち市街化区域内にある面積について明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。
 現在、国有農地の管理面積は千五百二十二ヘクタールということになっております。農耕貸し付けは七百二十二ヘクタール、転用貸し付けは百十六ヘクタールでございまして、残余のものがその他のものでございます。そこで、そのうち市街化区域の面積でございますが、市街化区域の面積につきましては、全体といたしましてはまず二百三十三ヘクタールございまして、このうち農耕貸し付けのものが九十七ヘクタール、それから転用貸し付けのものが六十六ヘクタールでございます。残ったものが残余の管理をしているものでございます。
○桑名義治君 そこで、貸付農地のうちの農耕貸付地は七百二十二万平方メートル、そのうち市街化区域内は約九十七万平方メートル。この農耕貸付地は、法に基づいて、耕作または養畜の事業に供するためのものと、そういうふうに私は理解をしているわけでございますが、どうでしょうか。
○政府委員(森実孝郎君) 御指摘のように、農耕貸付地は農地改革当時、つまり買収当時耕作権を有した者に貸し付けを行っているものでございまして、法の趣旨は御指摘のとおりでございます。
○桑名義治君 では、今局長が言われたように、農耕貸付地の実態を見ますと、農水省はどうも完全に掌握していたい、こういうふうに考えられるわけでございますが、どういうふうな掌握をしていますか。
○政府委員(森実孝郎君) 現在、この国有農地の管理事務は都道府県に委任しております。都道府県の最近時点までの報告を整理してみますと、率直に申し上げまして、農耕貸し付けのうち二・三ヘクタールの分、七十八件、それからそれ以外の分につきまして七・一ヘクタール、約二百六十件について、いわゆる無断使用あるいは不法占拠等があることは事実でございます。
○桑名義治君 五十七年の九月に、国有財産の管理処分に関する行政監察結果が報告されていますが、その内容を報告願いたいと思います。
○政府委員(森実孝郎君) まず、監察内容について、要点を申し上げます。
 貸し付けを行っているもののうち、農耕貸し付けにつきましては、住宅を建てるなど無断転用をしているものや第三者に無断転貸しているものが見られるので、原状回復の措置を講ずるとともに、買収前の所有者等への買い受け勧奨を促進すること。転用貸し付けにつきましては、長期化しているものがあるので、その売り払いの促進を図ること等でございます。なお、未貸付農地につきましては、不法占有が見られるので、原状回復の措置を講じて買収前の所有者への処分を促進する等が指摘を受けております。
○桑名義治君 その勧告を受けて、農水省としてはどういうふうに対処をされましたか。そして、その後適正な管理が行われているという自信はございますか。
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。
 指摘を受けました部分についてはかなりの改善措置が講ぜられたと思っておりますが、しかしなお一部のものについては改善されていないことは事実でございます。
○桑名義治君 委員長、ちょっとお願いがあるんですが、これは管理されている実態なんです。総理にちょっと見せたいと思いますので、よろしくお願いします。
 そこで、今局長の答弁では私はどうも納得できないわけです。総理にも写真をお見せしたわけですが、これが都内の市街化区域の中のいわゆる農地なんです。完全にごみ捨て場です。それと同時に、駐車場に転用しているとかあるいはまた自分の駐車場にしているとか、またあるところはその付近の人がいわく、近日中にここにマンションが建つそうですねと、こういうようなことを言っているわけなんですね。これで完全ないわゆる管理がなされているというふうに私はどうしても認めがたい。この点どうですか。
○政府委員(森実孝郎君) 農耕貸し付けが行われております国有農地、それからもう一つは国が管理しております農耕貸し付けの一部について、先ほど申し上げましたように無断転用とか不法占拠の事実があることは事実でございます。特にそれが東京都の特定の地域にかなりあることも私ども知っております。現在、昨年から三カ年計画で一筆ごとの実地検査を実施中でございます。これを早期に完了したいと思っておりますが、従来これは都道府県の委任事務ということでございますが、この際御指摘もございまして国の担当職員に直接当たらして現地調査を実施したいと思っております。
○桑名義治君 現地調査を実施したいというふうにお考えのようでございますが、いずれにしましても、これは面積がどのくらいあるかといえば、先ほども御答弁がありましたいわゆる市街化区域の中では九十七万平方メートル、特にその三三%に近い三十二万平方メートルは東京にある。東京、神奈川、愛知、大阪、この四大都市にある。その場合、そういうふうに考えてみますと約五〇%を占めるわけですね。こういう状態は早急に総点検をするとおっしゃいましたけれども、その後適切な管理処分を行う約束ができますか。
○政府委員(森実孝郎君) 国有農地の管理処分の問題は、私も御指摘のように最終段階に入っていると思います。そういう意味で、先ほど申し上げましたように現地調査を直接国が実施いたしますと同時に、不用地認定をした土地につきましては、まず旧所有者、一般承継人に売り払いを促進する措置を講ずるほか、実は昨年の十二月に、借り受け人がいない農地については、旧所有者等が買い受けを希望しない場合には一般競争入札にするという道を開いたところでありますが、さらにこの際いわゆる農耕貸付地につきましても、一定の場合については、これも法令上少し法律解釈として詰めなければならぬ点もございますが、農耕借り受け人にも譲り渡すことを検討したいと思っております。
 それから二番目は、問題のある土地につきましては実情に応じましてやはり積極的に訴えの提起その他の法律的措置を講ずべき状況だと思っております。これによって不法占有なり無断転用の解決を具体的に図っていく必要があると思っております。
○桑名義治君 今、国有農地についていろいろとやりとりがあったわけです。それで今お写真もお見せしました。直接的には大蔵大臣には関係ないかもしれません。しかし、大蔵大臣というのは国有財産を管理する最終的な責任があるわけでございますから、大蔵大臣としてはどのようにお考えになられましたか。
○国務大臣(竹下登君) 桑名さんの問答を聞いておりまして大変私も勉強になりました。写真も、今総理のところへお示しいただいたものを見せていただきました。私自身も、実態調査が三年かかって行われるというそれ以上の知識が率直に申しましてございませんでした。だが、いきなり推進本部で取り上げるべきかどうかは別といたしまして、国有財産全体について、それが普通財産であれ行政財産であれ、今のような問答を聞きながら我々として感じとったものがございますので、農林水産省と十分協議をさしていただきます。
○桑名義治君 この問題は、先ほどから局長もお話しになっておりますように、私もいろいろと勉強してみました。非常に難しい問題があるわけですね。いわゆる農地法の第三十六条、八十条の解釈、あるいはまた最高裁の大法廷による判決、こういったいろいろな問題がありまして、それから時間的な経過、旧地主との関連、旧地主と小作人との関連、こういうさまざまな問題が絡みまして右から左に解決ができないことはわかります。しかし、もう戦後四十年近くもたっているわけですから。先ほどもお見せしましたように、町のど真ん中に完全にこれがもうごみ捨て場のようだ状況になっているということは、今後の土地改造の面から見ましてもこれはもう大変に不当な形であろうと、こういうふうに思うわけです。したがって、農水省の中に研究委員会をつくるなり、あるいはまた、先ほどから大臣は今回の国有地等有効活用推進本部の設置はちょっと無理じゃなかろうかというような御返事もございましたけれども、どちらかをつくって早急に進めるべきだと、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 私も今問答を聞きながら勉強さしていただきましたので、確かに推進本部の中で旧所有者、耕作人等々の詳しい問題まで勉強する課題がどうか私もにわかに即断できませんけれども、いずれにしても農林水産大臣が間もなくお帰りになる時間でございますが、その問答を外しまして、いずれかは別として、十分検討さしていただきます。
○桑名義治君 直接の担当の局長としてどういうふうにお考えですか。
○政府委員(森実孝郎君) お答え申し上げます。
 売り払い促進のための所要の法的改善措置並びに争訟の提起等以外に、御指摘もございますので、国有農地の取り扱いにつきましては、この際関係省庁の協力も得まして農水省の中に研究会を設けて早急にひとつ具体的な進め方を検討さしていただきたいと思っております。
○桑名義治君 最後に、この問題について総理の御所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今のお話を承りまして、かたりずさんな点があったように思います。これはしかし、都道府県知事に委託しておったという点もあるのではないかと思うのです。しかし、といって終局的には国家の財産でございますから、都道府県とも緊密な連絡をとりまして、おっしゃるとおり今のような乱雑な無責任な使用に供せられないように努めてまいりたいと思っております。
○桑名義治君 総理、今局長から農水省の中にいろいろと研究会を設けて推進をしていきたい、こういうような局長の意見が出たわけでございますが、この点どういうようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大いに積極的に進めて短時日のうちに解消させるように努力いたします。
○桑名義治君 次の問題でございますが、まず当面の景気対策ですが、最近の経済というものは、鉱工業生産の増加、あるいはまた設備投資の回復、それから住宅建設の下げどまりなどの反面、国民経済の六割を占める個人消費の伸びがどうも停滞ぎみのようにあるわけでございます。今必要なのは、現在の景気を確実なものにするといういま一歩の政策がどうも望まれる、こういうふうに思うわけでございます。この点はどういうふうにお考えになるのか。あるいは、予算成立後、例年経済対策を打ち出しておりますが、五十九年度も総合的な対策を打ち出されるのかどうか。この点を経企庁長官にお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 経済の現状につきましては今分析されたとおりでございます。そこで、差し当たって今政府部内で相談をしなければならぬ問題は、予算成立後の社会資本投資の取り扱いをどうするか、これを早急に相談することにいたしております。それからもう一つ緊急の課題は、先ほど来議論になっております自由貿易体制を守るということのために対外貿易摩擦を早急に解決していくというこの課題でございます。総合的にどうするかということについては、まだ意見の調整はいたしておりません。
○桑名義治君 今回、米国の公定歩合が引き上げられました。そこで、為替レートにどういうふうにはね返るか、せっかく円レートがボックス相場に入った感があったわけでございますが、ところがこういうふうなドルの公定歩合の引き上げがあった。そこで、金融政策のいわゆる機動性が多少・損なわれるのではないかと、こういう心配をしているわけでございますが、その点はどういうふうに大蔵大臣お考えでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 一般論として申しますと、それは米国の公定歩合が上がるということは、いわゆる日本銀行の専権事項であります我が方の公定歩合操作につきましても幾らがこの選択の範囲が縮まったということは一般論として私そのとおりだと思っております。ただ、世上いろいろ言われておりますけれども、このたびのアメリカの公定歩合の問題については、いわゆる為替相場の中ではおおむね織り込み済みではなかったかというふうな評が多いようでございます。
○桑名義治君 そこで、今度財政面では公共事業の契約の前倒しというような問題が例年問題になるわけでございますが、ことしも七割程度の前倒しをしないと、公共事業に多くを依存している地域、ここの立ちおくれが一層激化することになるんではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、自民党の内部においても非常に大きな声と、それからまあ大蔵省としてはちょっと腰を引きぎみであるというような状況にあるわけでございますが、この点については河本経企庁長官はどのようにお考えですか。
○国務大臣(河本敏夫君) この問題につきまして、あす予算が成立をする予定のように聞いておりますが、至急に政府部内でこの問題の取り扱いを相談することにいたしております。
○桑名義治君 まあ私の情報によりますと、十七日をめどに前倒しの水準を決定していきたいというような情報が入っているわけでございますが、大体そこら辺をめどにして行われるわけですか。
○国務大臣(竹下登君) 十七日といえば来週の火曜日でございますので、私どもの方として、公共事業執行に関する閣僚会議の座長を務める立場からすればその辺が適切ではなかろうかと思っておりますが、まだ正確な通知をしたという状態ではございません。
○桑名義治君 そうしますと、ことしもやはり景気をここでもう一歩前進をさせるために公共事業の前倒しは一応考えていると、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。
○国務大臣(竹下登君) 前倒しという言葉をいろいろ議論してみますとなかなか難しい問題でございます。絶えずここで経済企画庁長官からもお答えになっておりますし、また公共事業に限ってあるいは私からもお答えしておりますように、景気の動向、なかんずく地域のばらつき等を考慮しながら機動的な執行をしなければならぬというふうに基本的には認識をいたしております。
○桑名義治君 そこで、五十九年度の経済の見通してございますが、先ほどの委員会で我が同僚の峯山委員の質問に対して河本長官は、大体現在の実質四・一%の成長をさらに五%台にやっぱり置くべきときではなかろうかというニュアンスの御答弁があったようでございますが、その御意見には変わりはございませんか。
○国務大臣(河本敏夫君) まだ新年度が始まったばかりでございまして、その段階で具体的な数字はとても申し上げられませんが、最近の世界経済の動向等から判断をいたしまして、あるいは上方修正、上向きの可能性もないわけではないと、このように思っておりますが、しかしもう少し様子を見たければ何とも言えないと思います。
○桑名義治君 この問題について大蔵大臣はどういう見通しをお持ちでございますか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる四・一%ということに対して民間機関等で多少上方修正という動きがあることは承知しておりますが、今、長官からもお答えがございましたように、まだ九日でございますので、今そういうことを判断するだけの素材はまだ整っていない、こうお答えすべきじゃないかと思います。
○桑名義治君 まだ出発したばかりだと、したがって今判断するのは早計だということを一つの前提に置きながら、今の経済情勢の中から判断すれば五%に乗せるのではなかろうかという予測はあると、河本長官はそういうニュアンスの御答弁でございます。私たちも、少なくとも五%の成長は目指すべきである。これはやっぱり四・一%というふうに政府の計画ではなっているようでございますけれども、しかし実質四・一%を達成をしようと思えば、やはり現在の経済の動向の中から見たならば五%というところに目標を置きながらその施策を進めていくということの方がむしろ安全に四・一%に乗せることができるのではなかろうか、こういうふうにも思うわけでございます。さらに、今年度も三百億ドル以上の経常収支の大幅黒字が予想されているわけでございます。一方、税収の伸び悩みによる財政赤字の累積という、そういう内部には悩みを抱いているわけです。
 そういうふうに考えますと、やはりどうしてもここで内需主導の成長を確保していく必要がある。これは先ほどのたびたびの答弁の中からも出てくるわけでございますが、そういった意味からも、今ここらでやはり公共事業の前倒し等いろいろと考えていかなければならない問題があるのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 基本的認識は今桑名さんとそう大きな差があるとは思いません。ただ、五%という意気込みで四・一になるとかということにつきましては、それは数字ということになりますと、えてしてひとり歩きして、間違えてもなりませんので、その五%というものを肯定するわけにはまいりませんけれども、要するにこのたびの予算が、言ってみればいわゆる実質経済成長の寄与度としてはプラマイゼロの予算である。というと残りますのはやはり金融、そして財政の出動としては今おっしゃった公共事業の問題等が支えになって、弾力的にまさに運用されなければならない課題だという基本認識はひとしくしておると思っております。
○桑名義治君 先ほどから申し上げておりますように、内需の拡大の柱はやっぱり経済の六割を占める個人消費を伸ばすということ以外にはないと、こういうふうに思うわけでございますが、そのためにはやはり家計をゆとりあるものにする必要がある。そこで私たちは、公共料金の値上げで減税の効果が減殺されたわけでございますが、その減税の追加を要求してきたのですが、この点については、やはり政府としてはノーという御返事でございますか。
○国務大臣(竹下登君) これはこの間法律を通していただきまして、それに見合いますところの財源、これを委員会でやっと議了していただいたばかりでございます。やはり考えてみますと、財源をどうするかということでいろいろ工夫したぎりぎりの線であった。とすれば、やはり減税ということの財源を、財政改革に逆行するいわゆる赤字公債というようなもので考えることは今日の時点においてはやはり慎むべきことではないか、こういう基本認識を持っております。
○桑名義治君 それならば、個人消費の拡大にとって減税と並んで重要なものはいわゆる所得自体の増加だと思うんですね。その所得自体の増加ということになれば、現在の企業収益が五十八年度後半から急速に改善をされているわけでございます。しかし財界は春闘の賃上げを低く抑えようとしている。これは一般常識としてそういうふうに考えられるわけでございますが、これらはみずから内需拡大を妨げているものであるというふうに私には見れるわけです。政府が減税に努力すると同様に、企業も最大限の賃金引き上げに努めるべきである、こういうふうに私は考えるわけです。政府は直接労使交渉に介入をせずとも、またすべきではありませんが、賃金引き上げの環境はつくるべきだと、こういうふうに私は思うわけでございます。
 具体的に申し上げますと、五十年、五十一年に福田長官が、いわゆる産労懇の場を通して賃上げを抑制すべくそういう話し合いをしているという現実があるわけでございます。今回の場合は逆に政府が、産労懇の場を通して賃金の抑制をしたように、経営者側に適切な賃金を要請すべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございますが、この点はどういうふうにお考えになられますか。
○国務大臣(河本敏夫君) 五十八年度、この三月で終わった五十八年度の政府の経済見通しで非常に違いました点は、雇用者所得の伸びが年度当初に見込みましたよりも非常に低い水準になった、こういうことであったと思います。それが今お示しの個人消費の動きにもつながっておると、このように思います。ただ最近何回か申し上げますように、景気が多少よくなりつつあると、このように思いますので、残業等もふえておりますし、ことしは雇用者所得の政府の展望がそんなに狂うことはまずないと、このように思っております。ただ、ベースアップをどうするかという問題につきましては、こういう経済の動きを背景にそれぞれの企業が適当に判断されるべき問題であって、つまり労使交渉によって決まるべき問題であって、今の段階で政府がこうしてほしいというようなことを言う立場にはないと、このように理解をしております。
○桑名義治君 先ほど申し上げましたように、緊縮財政のときには、五十年、五十一年の場合には福田長官はそういう産労懇の中でそういう意味合いの要請をしているわけですね。今度は逆の手を使ったらどうかと、こういうように申し上げておるわけでございます。河本長官の判断というものは、今直接的にそういうふうに政府が介入すべきではないという判断のようでございますが、それもひとつ考慮におきながら今後のいわゆる景気向上のための施策を続けていただきたいと、こういうふうに思います。
 そこで、財政危機の打開がますます緊要なことになったわけでございますが、政府も財政改革と称して諸施策を講じてはおります。それと同時に、基本的な財政再建の目標と方向について政府にただしておきたいと思うんですが、財政再建または改革の目標として、一般会計の赤字公債の発行をゼロとすることと確認してまずよろしゅうございますか。確認でございます。
○国務大臣(竹下登君) 第一段階としては、この六十五年度を努力目標として特例公債の発行をゼロにする努力をするということであります。
○桑名義治君 一般会計が国の予算の根幹でございますので、財政の核として、その再建なくして財政再建は結局はない、こう私も理解します。しかし、一般会計の再建の一方で、特別会計や政府関係機関予算、あるいは公団あるいは事業団の赤字が増大するようでは真の財政再建にはならない、こういうふうに私は認識をするわけでございますが、大蔵大臣はどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは一般会計のみでなく、やはり一般会計、特別会計を通しての節減合理化に努めていって実効を上げなければならぬ。御意見のとおりだと思います。
○桑名義治君 ところが、こういった特別会計、特殊法人の赤字が膨らむ傾向にあるということはこれは否定できない事実だろうと思います。例えば、国鉄は言うまでもございませんけれども、食管、国有林野、輸出保険の三特別会計、国民、中小、住宅の三公庫、それに海外協力基金、住宅公団、この合計九機関を合わせて五十九年度が三兆二千億円程度の赤字を生んでいる。そうたりますと、一般会計が改善されましても、いわゆる特別会計や特殊法人が赤字を累積していくようでは真の財政再建にはならないのではないか、こういうふうに思うわけでございますが、大臣どうでしょうか。
○政府委員(山口光秀君) 今お挙げになりました特別会計や政府関係機関の赤字の問題ですが、国鉄は残念だがら赤字がふえてきておる。それから国有林野もふえてきております。ただ食管は、毎年毎年一般会計から繰り入れをいたしまして、赤字が累積するようなことにはいたしておりません。それから海外経済協力基金、これは出資金だけでは経済援助に十分でないということで、借入金の率を上げるような法改正をいたしましたので、その結果といたしまして交付金が生じております。ことし見込みます赤字も将来何らかの格好で補てんされるということでございます。それから輸出保険は、リスケジュールの関係で将来何とかこの欠損は埋められるであろうという見通しに立っております。それから国民公庫とか中小公庫とかは、補給金を出してすべてきれいになっております。あと住宅公庫も原則はそうでございますが、三年間の時限立法をもってお願いしております。金利の高い時期における、その高い部分に対する利子補給を繰り延べる措置をとっておりますので、その部分が将来の負担にたっておると、こういうことになっているわけでございまして、今仰せのように赤字が累増するという傾向がびまんしているというわけではございません。三公社四現業というのは独立採算制を建前にしておりますから、原則として一般会計でなくて自分のところで努力をするという建前に立っておりますし、それから保険会計は長期にわたっていろいろ赤字が出たり黒字が出たりして調整されていく、保険設計の上で調整されていくということでございますので、今御指摘のような感じの結論ではなかろうと思うわけでございます。
 ただ、問題になりますのは、国鉄のように構造的な赤字に悩んでおる企業が存在しておる。国有林についてもそうでございますが、そういうところにつきましては、国鉄監理委員会等々におきまして再建策を検討しておるということでございます。
○桑名義治君 今、局長からるる御説明があったわけでございますが、九機関の損益状況をずっと眺めてみますと、確かに食管会計等についても、これは当期損益はマイナスにたっているわけですね。それから国有林野事業についてもこれもマイナス、特別会計についてもこれはマイナスと、こういうふうに一覧表を調べてみますと、そういう方向になっている。したがって、ここで考えなければならないのは、いわゆる交付金やあるいはまた補給金でもってその穴を埋めていくというそういう姿勢がやっぱり私は一番問題になるのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、本来一般会計が負担すべきものをあるいは財投、特に資金運用部資金にしわ寄せがちではないかということも一つの見方ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点どうでしょうか。
○政府委員(山口光秀君) ただいまも御答弁申し上げましたように、国鉄とか国有林野のようなところ、これは経営問題でございますから、一般会計も公的な一般会計の負担によるべきものは相応の負担をしていくという努力はしておりますが、やはり企業自身の努力の問題でございます。これが実を結びますまでの間かなり時間がかかりますので、例えば国有林につきましては、退職金とかそれから事業資金につきまして財投でお貸しするということをやっているわけでございます。あと、この赤字をつなぎ融資でつないでいるというのは、先ほども申しましたが、保険会計ではそういうことがあるわけです。長い間で保険収支の調整がつくわけでございますから、つなぎ的な話があるわけでございますが、その他ではそういう感じの融資というのはたいのではなかろうかと思います。
 ただ、先ほどもちょっと申しましたように、住宅金融公庫につきましては、これは法律で授権をいただきまして、三年間の時限立法でございますが、非常に高い部分の金利につきまして将来に負担を繰り延べておる。それは結局財投で金融をつけてもらっているという結果になっております。
○桑名義治君 今、輸出保険の問題が一つ出たわけでございますが、五十九年度予算でも返済のめどがつかないのに輸出保険特別会計が資金運用部から一千百四十四億円を借り入れている。それから国有林野事業特別会計も退職金給与分として百四十九億円の借り入れが予定されている。こういうように赤字補てん的資金に資金運用部資金を使うのはいかがだろうかと、こういうふうに思っているわけでございますが、この点、大蔵大臣どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに国有林野へ財投を入れましたですね。だからこれは一時的借入金になって、将来は健全経営の中でまた立ち直っていくであろうことを期待をしておるわけであります。それから住宅金融公庫の問題は別といたしまして、他の機関ということになりますと、どうしても財投の原資以下で、海外経済協力にいたしましてもあるいは国民金融公庫等にいたしましてもお貸ししなければならぬ。そうすると、その利ざやというものは、これはやむを得ず政策的に補給しなければならぬ課題になる。それから、おっしゃいましたように、とりあえず生み出す補給金金利等を財投を借りて埋めておいて、それがまた孫利子を将来生んでくるという制度は私どもも必ずしも好ましいものではない。いつの日かやはり断ち切るべき課題であろうという認識には立っておるわけであります。やっぱり輸出保険というのは、これは長い間で均衡するものでございますが、林野等の問題についてはやはり経営そのものについてさらに御努力いただかなければならぬ面があるということは御指摘のとおりでございます。
○桑名義治君 先ほどから申し上げておりますように、単なる一時しのぎの運用部資金で賄うのは問題解決を後に引き延ばしただけだと、こういうような認識をせざるを得ないわけでございまして、そういった場合には特別会計の収支を金利負担の増加でさらに悪化させてしまうのじゃなかろうか、こういう心配をしているわけであります。
 そこで財政再建は、一般会計ではなく特別会計及び政府関係機関予算を含めたいわゆる特殊法人の財政運営の根本にさかのぼって、制度そのものの仕組みを問い直すべきである。特に私は、資金運用部資金を中心とする財投運用のあり方を改めることを提言をしたいわけであります。それが一般会計の歳出削減あるいは財政再建にも寄与するものである、こういうふうに考えるからでございます。現在の財投運用は、資金運用部資金等の原資をもとに公庫、公団、事業団が政策金融、政策事業を行い、資金が不足したり赤字が出た場合一般会計から出資をする、あるいは補助金、補給金の名目で助成をする仕組みになっているわけであります。一般会計からこれら財投対象機関に助成する資金は膨大な額に膨らんでいると思いますが、五十九年度はどのくらいでございますか。
○政府委員(山口光秀君) 一般会計から補助金とかあるいは出資金をもらっております特殊法人が二十七ございまして、補助金については一兆六千億程度、それから出資金については二千八百億程度、合わせまして一兆九千億弱でございますが、その程度が出ておる。ただ、これは財投を原資にして仕事をしております。そういう法人に対して、利子補給をやっている数字の合計かというとそうでもございませんで、一般的にこの一般会計から補助金なり出資金をもらっている数字をまとめたものでございます。
○桑名義治君 そこで、財投対象機関は現在資金運用部資金から七・一%の金利で借り入れているわけでございますが、この金利と同じか、それともそれに見合わぬいわゆる事業融資を行っていると、こういったところにも赤字が出る原因があるわけでございます。政策金融、政策事業だから、中には経済援助のための海外協力基金のように政策的に金利を抑え、財投金利と同じか逆ざやにたるものもやむを得ないと思います。しかし、政策事業や政策金融を強調する余りに、財投対象機関が一般会計からの補助を前提とし過ぎる現在の財投運用を改めることを私は特に主張をしたいわけであります。政策金融として大きな柱の政府金融機関に、金利の逆ざやを埋めるために五十九年度四千八百五十六億円の補助金と五百十八億円の出資金が計上されているわけでございますが、これを縮小させる努力が必要ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、その点はどのようにお考えでございますか。
○国務大臣(竹下登君) それは元来財投資金、それが少なくともこの出資金を余計出すことによって金利の差がなくても済むようにしたり、あるいは補給金を出して金利をより安くしたり、政策的にやらなければならぬ問題は、今ちょうど御指摘になりました経済協力なんかはそうでございますよね。そうでないものは可能な限り実勢金利の中でやっていく努力はそれはしなければならぬと思っておりますが、政策金融というものは、元来財投金利とそのまま連動してやり得るという性格のものは民間金融の中で消化されるものが多うございますだけに、その努力は続けつつも、現実問題として全くなくすということは、これは政策金融である限りにおいてはできないことであろうと思っております。
○桑名義治君 大蔵大臣の言われることもよくわかるわけです。それと政策金融の場合は、逆に、逆ざやが出てもこれはやむを得ない場合もあり得るんです。これは私は全面的に否定しているわけではありません。
 そこで、公団、事業団の事業でも、いわゆる政策的事業を強調することでコスト意識が欠如し、むだだ事業をやられたのではいげない、ここにやっぱり着目していくべきではないか。さらに一般会計から繰り入れてはいたいけれども、累積欠損金千八十四億円の道路公団や大規模年金保養基地等の失敗で八十億円の累積欠損の年金福祉事業団がその典型だと、こういうふうに思います。財投対象機関は、財投の低利の借入金に見合う事業の中で、いわゆる利益を出す必要はございませんが、収支相償う原則で事業を行う方式を原則とすべきではなかろうかと、こういうふうに思うわけでございますが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) それはやっぱり桑名さんおっしゃるように、コスト意識、まずこれが一番大事なことだと、それは認識をまさにひとしくいたしております。
○桑名義治君 いずれにしましても、今のこの仕組みというものをもう一遍洗い直していく必要があるのではなかろうかと、こういうふうに思う。今のいわゆる仕組みというものが高度経済成長期に乗っかって、そのままの状態で置かれているところに私は一番問題があるんではなかろうかと、こういうふうに思っているわけでございますが、この点をどういうようにお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 第二の予算とも言われる財政投融資、それの対象機関等については、これは例年厳しくこれに対応してまいっておりますが、高度経済成長意識が一つと、いま一つは国際競争力が今ほどになかったときの意識、そういうものもあろうかと思うのであります。したがって、その対象についても絶えず念査をしていかなければならないことであり、そして基本的にはやはりその担当がそれぞれやっぱりコスト意識に徹して対応していかなければならぬ課題だというふうに考えております。
○桑名義治君 次の問題をちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、最近政府・自民党の中で企業献金の制限を緩和するという方向が打ち出されているということがいろいろと新聞にも報道されているわけでございますが、自治大臣、この点についてどういうふうにお考えでございますか。
○国務大臣(田川誠一君) この国会が始まった当座からそういう御質問がありますけれども、私どものところへはそういうような話は来ておりませんです。今の政治資金規正法の昭和五十五年ですか改正がございました。前回の改正のときに個人献金を強化する方向でやるとか、あるいは企業の献金、労働組合の献金などをもう一度検討するというようなことも言われております。そういう趣旨から申しまして、また今の国民感情から見まして、この段階で企業の献金の枠を広げるというのはいかがなものであるかというふうに私は思っております。
 しかし、政治資金規正法というような法律は、各党の非常に利害が伴う問題でありますし、議員個人個人によりましても重大な問題でございますから、この問題につきましては各党会派でひとつ御協議をいただきたいというのが私の考え方でございます。
○桑名義治君 では自治大臣、政治資金規正法の附則の第八条、この精神をどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(田川誠一君) 附則の第八条は、「この法律の施行後五年を経過した場合においては、新法の施行状況を勘案し、政治資金の個人による拠出を一層強化するための方途及び会社、労働組合その他の団体が拠出する政治資金のあり方について、更に検討を加えるものとする」、こういう文言でございまして、その趣旨のとおりと解しております。
○桑名義治君 そうしますと、いろいろここで質疑が行われたわけでございますけれども、三木総理は、目標はそのとおりだが、急には全廃できないので時間をかしてもらいたい、こういうように、答えられているわけですね。というのは、企業献金を大幅に減らして、そしてできるならば個人献金にせよという、そういういろいろな論議が強く出てきた。そこで三木総理はこういう御答弁をなさったわけでございます。それから福田自治大臣は、一歩でも二歩でも、より正しい目的のために、前進させるのだという見地から起案に当たったのであって、我々が五年後検討を加えると書いた以上は、この検討をしないわけにはいかない、こういうふうに答弁をなさっておるわけですが、今までにどのような議論あるいは討議をなさったのか、そのところを御説明願いたいと思います。
○国務大臣(田川誠一君) その前に、個人献金がすべてであるべきだという意味の政治賃金規正法の改正ではないと思います。企業献金がすべて悪だというふうには見ておりませんで、できるだけ個人献金を強めていくべきであるということが改正の趣旨であったと私は聞いております。
 自治省といたしましても、そういう趣旨で勉強をさしていただいておりますけれども、この条項にもありますように、企業献金のあり方、それから労働組合の献金のあり方、こういう問題もあるわけで、労働組合を基盤にする政党の方々にも御検討をいただかなければならない。そして各政党それぞれよって立つ基盤が違うんですから、そういう方々によく検討をしていただかないと、自治省だけでは進まない、自治省は自治省なりに検討をさしていただいている、こういうことでございます。
○桑名義治君 総理、新聞記事の中にもいろいろと発表されているわけです。自民党としては改正の方向に進んでいる、企業献金の一社当たり一億円の上限枠の一・五から二倍に引き上げる、各企業の献金枠の資本金に応じた逓増をする、それから資本金だけではなく、企業の売上高や純利益も基準として、景気の動向要因も加味する、こういうような方向に政治資金規正法を改正していくということは、いわゆる附則の八条の趣旨から見た場合には全く逆行している、こういうふうに思うわけでございますが、その点どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 五年目にいろいろ検討をしようということでいろんな議論が党内でもあったと思います。ある議論は、物価スライドみたいにスライドをさすべきではないか、費用も同じようにかかるんだ、電信電話料も高くなる、そういうような議論もありました。また、公務員の給与も大分上がってきている、ベースアップと同じように、やはり政治も金がかかるんだから、そういう意味からも検討してもらったらどうかとか、あるいはさらに個人献金をもっと強めようと、個人献金強めるという点について、じゃ具体的にどうするかという意味の議論もありました。そういうようなさまざまな議論があり、また一面、自民党になりますと、労働組合の方は一体どうなんだろうか、中にはまた、宗教団体というものはいろいろ言われておるけれども、その辺はどうなんだろうかとか、さまざまだ議論が実は自民党のことでありますから起こったわけであります。しかし、まだまとまったというところにはいかないので現状で推移していると、そういうことであります。
○桑名義治君 いずれにしましても、自民党の改正方針の内容というものが新聞報道でなされているということは、第八条の趣旨から見た場合には逆行しているではないかと、こういうふうに思うんですね。この当時の三木総理のいわゆる御発言、あるいは福田自治大臣のいわゆる御発言、この中からは、企業献金からだんだんとこれを薄めつついわゆる個人献金の方向へ持っていくのがベターではなかろうか、その点についてのいわゆる検討を五年以内にしていくんだと、こういう趣旨にとるべきであるわけですが、しかしいろいろな報道を見てみますと、なぜこういうふうに枠を拡大していくかということは、自民党の中に大きな借金がある、その借金を解決するためにではないかというような意味合いの報道がなされているわけですね。そうすると、これは逆行していると我我は見ざるを得ないわけでございます。そういうことを踏まえてひとつさらに御検討を願いたいと思います。
 以上で終わります。
○委員長(西村尚治君) 以上で桑名君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(西村尚治君) この際、お諮りいたします。
 本委員会は、昭和五十九年度一般会計予算外二案につきまして、内閣委員会外十四委員会にその審査を委嘱いたしておりました。
 各委員長からの審査概要報告書につきましては、これを本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(西村尚治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 なお、このほか、報告書は別途印刷して委員の皆さん方に配付することといたします。
 明日は午前十時に委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後六時五十二分散会
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