第101回国会 科学技術特別委員会 第10号
昭和五十九年六月二十九日(金曜日)
   午後一時六分開会
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   委員の異動
 六月二十九日
    辞任         補欠選任
     福田 宏一君     内藤  健君
     小野  明君     大森  昭君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         高木健太郎君
    理 事
                古賀雷四郎君
                林  寛子君
                本岡 昭次君
                塩出 啓典君
    委 員
                江島  淳君
                長田 裕二君
                亀井 久興君
                後藤 正夫君
                志村 哲良君
                内藤  健君
                成相 善十君
                藤井 孝男君
                安田 隆明君
                大森  昭君
                松前 達郎君
                伏見 康治君
                佐藤 昭夫君
                山田  勇君
                野末 陳平君
       発  議  者  本岡 昭次君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       岩動 道行君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      安田 佳三君
       科学技術庁原子
       力局長      中村 守孝君
       科学技術庁原子
       力安全局長    辻  栄一君
       運輸省船舶局長  神津 信男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        野村 静二君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局高等学校
       教育課長     中島 章夫君
   参考人
       日本原子力船研
       究開発事業団理
       事長       井上啓次郎君
       日本原子力船研
       究開発事業団理
       事        野澤 俊彌君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○日本原子力研究所法の一部を改正する法律案
 (内閣提出、衆議院送付)
○日本原子力船研究開発事業団の解散に関する法
 律案(本岡昭次君外二名発議)
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○委員長(高木健太郎君) ただいまから科学技術特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小野明君が委員を辞任され、その補欠として大森昭君が選任されました。
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○委員長(高木健太郎君) 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案及び日本原子力船研究開発事業団の解散に関する法律案を議題といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(高木健太郎君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 両案審査のため、本日の委員会に日本原子力船研究開発事業団理事長井上啓次郎君及び同理事野澤俊彌君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高木健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(高木健太郎君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○松前達郎君 きょうは主に原子力船の開発に関係する問題についてお伺いをしていきたいと思うんですが、経過等も含めてここで最終的に総ざらえという格好になるかもしれませんが、この確認も含めて質問さしていただきたいと思うわけであります。
 昭和五十三年の六月、その当時の科学技術振興対策特別委員会、この委員会で私が原子力基本法改正という問題での審議の最終の段階で反対討論をやったわけなんですが、そのときにこの原子力船「むつ」に関して触れておいたわけなんです。
 それはどういうことかと言えば、原子力船については、その心臓部である舶用原子炉の開発が完成段階ではないということ、それからさらに、今後近い将来に次々と原子力船の建造が行われるような見通しが立っていないということ、それからさらに、これは直接今回とは関係ないと思いますが、審査、認可等の具体的対象がないままに、これは発電用原子炉が主体だったと思いますが、またそれと同じように舶用炉についても取り扱いを変えようとしているということ――その当時の法案の改正がそういうふうな内容であったと思います。そして、舶用炉の開発については、本来、小型実験炉あるいは小型試験炉としてまず陸上で十分な技術を確立して、その性能あるいは安全性を確認した上で船舶に搭載すべきである、こういうことを主張したわけでございます。
 それから今日までもう六年経過をいたしております。この六年間は、先進技術と言われると思いますが、この技術の対象となる原子力船の開発に関しては非常に難渋をいたしまして、ほとんどそれから進展をしていない、こういうふうに私は思うわけでございます。質問も、大方の質問についてはもう既に他の同僚委員の皆さんが行われたと思いますので、ある意味でいうと繰り返しもあるかもしれませんけれども、歴史とかあるいはその原点から、総まとめという格好でひとつ質問させていただきたい、こう思うわけであります。
 そこで、まず最初でございますが、原子力船の開発の必要性、ニーズ、これについて、六年前の時期と現在の時期で大分状況も変わっているようにも思われますので、この必要性についてお伺いをしていきたいと思うんです。
 一九六三年に原子力船開発事業団が設立されたわけでありますけれども、当初その原子力船の第一船、これは海洋観測船というタイトルで開発を計画をされる、こういうことであったと思うんですが、これがその後特殊貨物船に変更されて、使用目的が変更されたわけでありますが、その目的変更の理由をひとつ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 原子力船の第一船につきましては、先生御指摘のように、当初海洋調査船ということで設計され、建造の準備が進められたわけでございますが、実際の建造についての発注をいたすべく見積もりをとったところ、当初予定しました三十六億円という船価に対してはこれに応ずるところがなかったということがございまして、船価をかなり大幅に変更をしなければならないような事態になったわけでございます。
 その際に、今後の原子力船の活用という点、これは実験の成果が十分上がるという範囲で船価を抑制するという観点からいろいろ検討しました結果、当時既にオット・ハーンという西独においては貨物船の建造が進められておりましたし、船価の点からいいますと、海洋調査船というのは調査船であるがゆえに非常に割高なところがございまして、本来の原子力船を運航しもろもろのデータを取得するという意味からは、別なところでお金がかかっているというようなことも勘案いたしまして、そこら辺を検討しました結果、貨物船に変更し、船価の抑制を図ったということがございます。
○松前達郎君 船価が、予算といいますか、当初の見積もりと非常に食い違っていたということで、今の御説明によりますと、その中の特別な機材その他を全部省いて鉛そのものをつくるということに集中をした、そのために特殊貨物船という形になったというふうに解釈をしてよろしゅうございますね。
 そこで、この辺からまたいろいろと原子力船の開発に関しての目標といいますか、とにかく船をつくるというのが当初から目的であった、船さえできればいいんだ、そういうふうに私はどうもとらざるを得ないような感じもするわけなんですが、こういう見方がどうもずっと尾を引いていまして、何とか船さえ動いてくれればいい、こういうふうなことから、いわゆる積み重ねというものなしにすぐ建造ということに入ってしまう、そういうふうになったんじゃないかと私は考えておるわけなんです。
 それはそれとしまして、それでは次に、原子力船そのものの利点といいますか、開発する一つの大きな基本的な理由になると思いますけれども、このメリットについてどういうふうにお考えになってこの開発計画をやってこられたのか、この点をひとつ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(神津信男君) 原子力船は、在来船に比べまして非常に少量の燃料を消費するだけで高出力が可能でございますし、しかも燃料を補給することなしに長期間運航することができるという点がメリットであると考えております。
○松前達郎君 そうしますと、専ら燃料の補給なしに長期間の運航が可能である。これも同僚議員の質問の中にございましたけれども、それと同時にもう一つは、いわゆる酸素を必要としない、こういうこともあるんじゃないかと思うんですね。これが常に舶用炉というものの艦船に対する応用というものがどこか必ず裏にあるという、そういうこととのつながりがまた出てくるわけですね。これについてはまだ後で、政府としての今後の方針なりのところでお伺いしたいと思うわけです。
 当時、六年前の話なんですが、原子力船の本格的な海運界での活躍、これについて予測をされておったわけですね。私自身もこの委員会で質問いたしました中で、そのときの答弁に、一九八〇年代後半、これが海運界で原子力船が活躍する時期である、こういうふうに議事録にも出ておりますが、答弁をされておるのです。もうそろそろ後半ですが、一隻もないわけです、砕氷船とか特殊な目的は別といたしまして。こういうことで、時代が大分変わってきているのではないか。ですから、今後の原子力船の開発に関して一体どういうメリットがあるのかという問題も、またここで時間的な、あるいは科学技術あるいはその他の国際情勢等も踏まえて考え直してみなきゃいけないんじゃないかと私は思っておるんです。今日、原子力による船が活躍しているというのは海運じゃなくて海軍なんですね。専ら海軍、こういうことになってしまっておるわけです。
 そこで、原子力船の建造費です。これは当時恐らく船の建造費というものがトン当たり大体四十億ぐらいじゃないかと思うのです。今もう既に二百億超えているんじゃないかと思うんですが、この原子力船の建造費について、在来船と現時点でどのくらいの相違があるのか、その点について御説明いただけますか。
○政府委員(神津信男君) 先生ただいま御指摘がございましたが、船の建造費というのは船種とか船型などによって非常に異なってまいるわけでございますが、一定の条件のもとで試算をしてみますと、在来機関を使った同じ性能を有する船に比べまして、砕氷船では約一・八倍、LNG船では約一・五倍という試算をしております。具体的に申し上げますと、十六万立方メートルのLNGを運搬いたしますLNG船の船価がただいま約三百五十億円と考えておりますが、これを原子力船にいたしました場合には、五百億円を少し上回る程度になるかというふうに考えております。
○松前達郎君 そうしますと一・五倍前後ということですかね。その点になると、倍率からいきますと当時と余り変わらないということになるんじゃないかと思いますが、イギリスの場合などは五〇%高くなると、そのときの答弁にあったわけです。
 それからさらに、さっき答弁されました中に、長期間とにかく燃料補給なしに運航できる。しかもその燃料が石油使用ではないわけですね。だから、そういう面からいくと石油消費の削減効果があるんだということも盛んに言われたわけなんですが、石油の事情が大分変わってきました。重油の事情が大分変わりましたけれども、石油消費の削減効果についてはいかがでしょうか。
○政府委員(神津信男君) ちょっと古うございますが、昭和五十六年度船舶の石油消費量は、内航船、外航船合わせまして二千四百万キロリットルでございまして、石油消費量全体が約二億一千万キロリットルでございますので、約二・四%でございます。この傾向はその後大体変わっていないというふうに私ども承知をしております。
 なお、船舶の原子力船化におきまして、これらの船が全部原子力になるわけではございませんで、例えば原子力船の有利さから言いまして大型船から原子力化はしてくると思っておりますが、例えば三万馬力以上の船をとってみますと、石油消費量の全体の約三%でございます。
○松前達郎君 トン数によって全部が全部原子力船にしていいかどうか、これは前にも伺ったわけでありますけれども、石油の事情というのが当時とはまた随分変わったと今申し上げたんですが、その変わったのがバレル当たりの価格が大分変わってきましたね。一遍どんと上がって、またすっと下がって、二十九ドルとかそのぐらいに下がってきたわけですが、下がっただけではなくて、イラ・イラ戦争などがありますから、今度はそういう安全の問題で非常にまた問題も出てきている。非常に複雑な動きをしてきたわけであります。だから原子力船が必要かという問題に直結はしないと思いますけれども、しかしそういった事情で大分様子が変わったということです。
 それからもう一つは、例えばその原子力船ができたといたしますと、これを商船として使う場合ですと当然荷物を運搬したりする、その時点で港に入港しなきゃいけないわけですね。これもまた出入港に関する問題として原子力船という立場から非常に大きな問題を提起するんじゃないか、こういうふうに思うんですが、その点の見通しを一体どういうふうに立てておられたのか。また同時に、国際的な取り決め等もあればその点をひとつ御説明いただきたいと思います。
○政府委員(神津信男君) 原子力船が国際航海を行うためには、その一つは、安全性につきまして寄港国に対して所要の説明及び法手続を行う必要がございます。また、二番目には、万が一の場合に備えまして所要の損害賠償措置が担保されている必要がございます。これらの二点につきまして国際的な体制を整備する必要があるわけでござ
います。
 まず、安全性の問題でございますが、安全性につきましては、日本を含めまして七十八カ国が締約国となっております千九百七十四年の海上における人命の安全のための条約、通常SOLAS条約と私ども言っておりますが、この条約の中で、原子力船の安全性につきましては、十分それが評価できるような安全説明書を原子力船が訪れようとする国の政府に対し十分余裕を持って事前に提供をしなければならないという規定になっております。また、損害賠償につきましては、原子力船の運航者の責任に関する条約、通常ブラッセル条約と言われておりますが、これが未発効でございますので、この点につきましては二国間協定を結ぶ必要があるわけでございます。
 このような状況でございますので、アメリカのサバンナ号及び西独のオット・ハーン号の場合には、各国と協定を結びまして、それぞれサバンナ号は二十六カ国の四十五港、オット・ハーン号の場合には二十二カ国の三十三港へ寄港した実績を有しておるわけでございます。
 したがいまして、現在におきましても原子力船の国際航海は安全性及び損害賠償措置などを含んだ二国間協定の締結を行う必要があると考えております。しかしながら、将来原子力船の実用化の機運が高まってまいりますれば、原子力船の国際航海に関する国際的枠組みもより一層整備が図られることになるものと私どもは考えております。
○松前達郎君 そういうふうなことで、いろいろと入港等についても国際的な取り決めというものについてはある程度行われておると。
 そうしますと、今ずっと復習してきたわけなんですけれども、現時点で原子力船が必要ですか。
○政府委員(神津信男君) 先ほど先生御指摘ございましたように、一九八〇年代の後半には原子力船がもっとできているはずだというお話がございましたが、その後の石油の事情あるいは世界経済の発展の状況などから非常に実用化の時期がおくれておりまして、現在ではまだごく少数の船舶を除きまして一般用の商船は実用化の段階には至っておりません。
 したがいまして、ぜひ今の時点で必要かという点につきましては、経済性あるいはそういう社会的な環境といいますか、そういうものから直ちに必要というわけではございませんが、前々から御説明をしておりますが、将来の石油の事情あるいはこの研究開発が進みまして舶用炉のコストダウンなどができた暁には、将来の、私どもは大体二十一世紀の初頭と申しておりますが、その時期には実用化の時期が来るであろうと考えておりまして、その時期に備えましてやはり海運、造船国でございます日本といたしましては、今世紀中には技術的問題の解明及びその実績に基づきます社会的環境の整備というものをやり遂げまして、来るべき実用化の時代に備える必要があると考えておる次等でございます。
○松前達郎君 予測が大分ずれてきて一九〇〇年代にだんだんずれ込んでいっているわけですね。ですから、いろいろな事情があったにせよ、とにかく原子力船に対する実際のニーズ、実用的な面でのニーズというものが比較的後にずっと延びていっているという状況だと思うんですね。で、計算しますと、今予測された中であと十五年ぐらいの時間がまだあるわけですから、その点も十分配慮しながら今後この原子船に対する問題は考えていかなきゃいけないんじゃないかと思うんですね。ですから、余り急いでやって急がば回れになるよりは、やはり地道な開発計画というものが立てられて、しかもその計画も内容的にはいろいろな問題を含んでいますから、そういう問題がすべて論議をされながら原子力船の開発に向かっていくのが当然じゃないか、私はそういうふうに思っておるわけなんです。
 そこで、今度技術的な問題にちょっと入らしていただきたいんですが、原子力船開発の技術的な目的というのは一体何だったかということになるんですけれども、入手したい技術的な情報、データ、これらについてはいろいろ言われておりますが、その点とういうふうなものを最初挙げられておったのか、それをもう一度お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(野澤俊彌君) ただいま先生からの「むつ」によってどういうデータを期待しているのかというお話かと思いますが、大きく分けますと三つに分類することができると思います。
 まず第一点は、船体運動、つまり動揺、振動あるいは衝撃等によります原子炉系への影響がどういうものかというのを定量的に把握するということ。もうちょっと具体的に申しますと、原子炉系の構造物が動揺、振動、衝撃等によっていかなる荷重を受けるのか、それがどう変化していくのかといったようなことを定量的に把握したい。
 それから二番目は、舶用炉プラントとしての運転上の問題ということが言えるかと思いますが、それの一番大きな課題は、操船の必要性に応じまして原子炉に対して大きな負荷変動を与えることが予想されます。急激な負荷変動というのは、通常の運転状況の中で前後進の切りかえであるとか、あるいは荒天中のプロペラの空転等によります非常に激しい負荷変動が生じます。これらによって原子炉系にどういう影響が及ぶのかといったようなことを定量的に把握するということが二点目に言えるかと思います。
 三点目には、そういうような運航試験によりまして共通的に言えますことは、「むつ」を設計いたしましたときの設計数値の妥当性というのがどうかといったようなことの確認ができる。それからもう一つは、「むつ」の設計をするときの設計手法というものが実験データから見てどうであったのかという解析手法の検証ができる。この三つが大きなポイントかと思います。
○松前達郎君 そうしますと、今の御説明によりますと、大体船としての問題が主体になっておるんですね。動揺、振動、衝撃というふうなこととか、あるいは舶用プラントとしての運転上の問題、さらに設計の手法あるいは操船上の問題、こういうことをおっしゃったわけなんですが、これらについて一遍にやろうとしたんですね、すべてを。船をつくってしまって、一遍にそれをその船で実行していく。これらについて、ある部分は陸上でもできるんじゃないかと私は思うんですね。これはオット・ハーンの例にあるんじゃないかと思うんですが、私、オット・ハーンがどういうふうにして具体的につくられたか、過程については細かく知らないわけですけれども、陸上でできる部分が随分あるんじゃないかというふうに思うんですね。
 ですから、運航によるデータ、これはもうしようがありませんが、しかしその他のデータというのは、やはり陸上でできる分はなるべく陸上でやって、船に載せるときは、それらを確認した部分についてはもう実験しなくてもいいと思います、確認をすればいい。そういう状態にしながら、少しずつファクターを減らしていって実験をしていくというのが本当なんだと思うんですけれども、その辺がどうも一遍に全部やってしまおうというふうな感じに私受け取っておるわけなんで、その点いかがでしょうか。陸上でできる部分というのは一体どのくらいあるのか、その点ひとつ御説明いただけますか。
○参考人(野澤俊彌君) 原子力船「むつ」を設計するに当たりましては、あらかじめ陸上で設計に必要なデータをとることが可能なものについては、その当時の技術的な判断に基づいて積極的に展開してきたわけでございます。例えば、臨界実験もその典型的な一つの例でございますし、それからJRR4による遮へい実験もございましたし、それから実際に原子炉用の計器を普通の船に載せまして、動揺、振動に対してどういう影響があるかというようなことも調べておりますし、あるいは運輸省の船舶技術研究所では、流動伝熱に及ぼす上下方向の加速度の変化というようなことも見ておりますし、さらに船体に関係いたしましては、耐衝突構造その他の点について詳細な実験が行われていたわけでございます。
 それから、今先生のお話しになりましたオッ
ト・ハーンについてはしからばどうだったのかということも御質問の中に入っていたかと思います。オット・ハーンにつきましては、やはり同じように臨界実験なり、あるいは材料の照射試験、あるいは制御棒の動揺試験、そういったような各コンポーネントに対する陸上の実験というのが行われておりまして、それに基づいて原子炉が設計されております。
○松前達郎君 そうしますと、陸上でやるべきことはやったということになるとおっしゃりたいんだと思うんですが、臨界実験とかその他含めて今御説明あったんですが、これは現実に実験したんですか。
○参考人(野澤俊彌君) 実際に実験しております。
○松前達郎君 この「むつ」に載せる舶用炉の形で実験されたんですか、それともシミュレーションみたいなことをやられたんですか。
○参考人(野澤俊彌君) そのものではございませんで、先ほど申しましたように部分的なモデル、モデルといいますか、各コンポーネントをそれぞれ分離して実験をしております。臨界実験は、燃料集合体その他は原子炉と同じものを使って臨界実験が行われております。
○松前達郎君 その辺がまたいろいろと私もまだはっきりわからないことなんですけれども、よく実験、実験と、原子力開発に関する、例えば発電用の原子炉も含めて実験をすると言われるけれども、そのものずばりでやっていることは余りないんですね。ほとんどがシミュレーションもしくはコンピューターで計算をして安全だというものを出してみたり、あるいは一部でもってやってみる、そういうことなんで、すべてある程度でき上がったものについてそういう実験がどうも行われてないような気もするんです、これは私、具体的にはよく知りませんが。しかし、その辺がまたひとつ大きな問題じゃないか。
 例えば「むつ」の放射線漏れなんというのは、どっちかといえば非常に単純な事故といいますか、単純な事柄だろうと思うんですけれども、そんなものもどうも起こるということを予測しながら防止できないというようなことであったわけですから、そういう点が少しこれからの開発に当たって十分検討していかなきゃならないそういう分野じゃないかと私は思っておるわけなんですが、船をつくるということ、これは一つの成果には違いないんですけれども、しかしそれに対しての進め方といいますか、これについてやはり今後十分検討された方がいいんじゃないか。
 と申しますのは、五十三年の委員会でも私申し上げたんですが、船に直接搭載して実験を進めるという判断があったということが政府の答弁として出てきているんですね。「むつ」の舶用炉はいわゆる軽水炉で既にかなりの技術的蓄積があるから、このかなりというのがよくわからないんですが、直接船に搭載して実験を進めるよう判断をしたと、こういうふうな答弁があった。その辺がやはり一つの大きな問題を提起した、これ自身が問題を提起したんじゃなくて、問題が起きて、しかもこれとの関連がついてきてしまった、こういうふうに考えていいんじゃないかというふうに思います。
 それで、現実には四十九年に放射線漏れという基本的なトラブルを起こしてしまう。そして、その対策として遮へいの改修、それと総点検ですか、この二つを行えばよいということになって開発が続行されるようになったわけなんですけれども、それだけで大丈夫でしょうか。これは出力上昇試験等も今後やられると思いますが、自信ございますか。
○参考人(野澤俊彌君) 遮へい改修工事のポイントは、原因がファストニュートロンによるストリーミングということでございますので、上下方向に対する遮へい能力の増強というのが最大のポイントになっております。当時の測定結果に基づきましても横方向の漏れというのはほとんど認められておりませんので、遮へい改修工事のポイントは上下方向に対する遮へい能力の増強ということがポイントでございます。
 次に、安全性総点検でございますけれども、これは既存の施設の性能確認というのはもちろんでございますけれども、もう一つ、二つの大きなポイントがございます。一つは、新しい設計思想に基づいて「むつ」の設計を見直すこと、それから二番目に、陸上炉の運転経験を踏まえて「むつ」の原子炉ブラントを見直すこと、この二点が安全性総点検のポイントでございます。
 それに従いまして作業を進めてきたわけでございますけれども、結果的にはECCSの改良であるとか、あるいは安全保護系の多重化であるとか、計器のモニターの増強であるとか、そういったようなことが行われておりまして、五十七年の六月に完成したわけでございますけれども、その後、大湊におきまして入念な維持管理を実施しておりますので、物としての健全性、機能というのは十二分に保たれているというふうに考えております。
 なお、これから先のことにはなりますけれども、当然のことながらステップ・バイ・ステップに、慎重の上にも慎重を期して順次段階的に仕事を進めていきたいというふうに今考えております。
○松前達郎君 今お話ありました遮へいの改修なんですが、これについては佐世保重工業でしたか、ここで改修をたしか行ったわけですね。これについて、またその当時の委員会なんですが、佐世保重工業という会社は、船舶の建造については、また船舶の修理に関しては十分な経験を持っていると、これは当然そうだと思います。しかし、その「むつ」の修理をやるとなれば佐世保重工業に十分な技術的能力があるとは思われない、ですから経験のある企業の協力が必要である、こういうふうな答弁をされているんですね。
 したがって、やられたことは遮へいの改修だけですね。構造的なごく単純な改修だけ行われたんで、原子炉そのものについて何もタッチしてない。ですから、ある意味で言うと炉の試験というのはまだほとんど行われてない状態だというふうに考えていいんだと思うんですけれども、その点いかがですか、遮へいについてもうこれで絶対にリークはないと。それからさらに、炉の試験はまだほとんど行われてない状態なんだけれども、今後どういうふうな計画でやられるか後でまた御説明いただくとしまして、この舶用炉について大丈夫なんだという自信がおありかどうか、その点をお伺いしたいんです。
○参考人(野澤俊彌君) 遮へい改修工事につきましては、場所はSSKでございますけれども、実際に工事を担当したのは三菱重工でございます。それから安全性総点検に基づきます補修工事につきましても、分担に応じまして、遮へいも一次遮へいは三菱重工、二次遮へいは石川島播磨ということで実施されております。
 で、原子炉の試験というお言葉でございますけれども、これは今後の計画の中に当然含まれるべき問題でございまして、それに至るまでにはいろいろな法的な手続がございますので、それらを順次クリアした上でステップを上げていきたいというふうに考えております。
○松前達郎君 今後の実験の予定ですが、廃船にすればそういうものは一切考える必要ないんですけれども、廃船にしたくないというふうにおっしゃる場合は、今後その「むつ」を使っていろいろ実験を行おうという計画があるはずだと思うんですね。かねがね説明をされている実験の段取りといいますか計画といいますか、こういうものに従って恐らく今後も実験が進められるんじゃないかと思うんですが、この予定されたプログラムについて以前と変わりませんか、それとも多少その辺変更されたのかどうか、内容的に簡単にひとつ御説明いただければと思います。
○政府委員(中村守孝君) 「むつ」による舶用炉の研究開発につきましては、先生御高承のとおり、現在政府内部におきましても各方面からの御議論をもとに検討をし直しておるところでございまして、従来の計画でいきますと、新定係港を建設し、その後で出力上昇試験に入り、その出力上昇試験
で合格になれば、さらに今度はいよいよ実際のいろいろな海上の状態におきます船の動きに伴う原子炉がどのようにそれに応動していくかということについてのデータを初めといたしまして、海上におけるさまざまな経験を積むというための実験航海を行うということを予定しておるわけでございます。この点につきましては、現在の財政事情等を勘案いたしまして、各方面からの御批判も踏まえまして、その計画をどうやったら必要最小限の費用でできるだけ多くの成果が上げられるかということで、現在計画を練り直しているところでございます。
○松前達郎君 そうしますと、大きく分けて出力上昇試験、これも低出力と高出力と分けてやられるというふうに伺ったんですけれども、この出力上昇試験というのは定係港の中で行う部分があるんですね。これらについて非常に以前は問題になったわけですが、こういった問題が解決できるのかどうか、その辺の問題が一つまず最初の大きな山としてあるんじゃないかと私思うんですが、その後は外洋に出ての実験等になっていくと思うんですが、この辺でまた何が起こるかわからないような気がしてならないんです。その点の自信がおありかどうかとさっきからお伺いしているんですが、自信ありというまだ御回答いただいてないんですね。
 とにかくこの炉は初めてつくられた炉ですから、我が国の原子力発電の歴史を見ますと、既に実用段階に入っている原子炉、これらを基本とする技術を導入しながら今まで行ってきたんですね。さっき申し上げたように、既にそういった炉の経験からの蓄積があるというふうにおっしゃったわけですが、どうやらその起きたトラブルが余りにもプリミティブな問題であったものですから、その辺が問題だと私申し上げたんですけれども、はっきり言ってどうなんですか、洋上試験まで含めてもうこれ以上トラブルはない、十分進行できるんだというふうなことをお考えでしょうか。
○政府委員(中村守孝君) 先生からの御指摘で「むつ」に起こりました放射線漏れが非常にプリミティブなことであったという御指摘でございますが、起こりましたこと自体は、いわば漏れた放射線というのは極めて微弱でございまして、まさに取るに足らないものでございます。
 ただ、この起こった原因が設計、建造のときに十分な知識がないいわゆる高速中性子のストリーミング現象ということがもとで起こりました。したがいまして、その高速ストリーミング現象というものが、その後の技術進歩によりまして解析する遮へいコード等も完備いたしましたので、それで今度の改修に当たりましては、最新のそういう計算コード等を用いまして遮へいの完全というものを確認いたしておるわけでございます。そういう意味で私どもとしては完全な遮へいの改修が行われたという理解をいたしております。
 出力の上昇試験を進めるに当たりましては、先生御指摘のように、低出力試験からさらに出力をアップして徐々に上げていくわけでございますが、それに先立ちまして冷態停止状態、現在「むつ」は冷態停止状態といういわゆる温度の低い状態にございますが、その状態での点検はもとより、今度は核反応は使いませんが、原子炉の温度を上げまして、これは核反応じゃなくて、循環ポンプを回すことによって温度が上がるわけでございますが、それによって原子炉の運転状態に近い温度にしたところで、また各部の機器の動き等を十分に点検をいたします。そうした上で出力上昇試験に入っていくわけでございますが、その出力上昇試験を行うに先立ちましては、念のためまた炉内の点検もいたしたいと思います。これは現在大湊の港にある間は地元とのお話によりまして原子炉のふたをあけられないという状態にございますので、そこら辺を今すぐするわけにはまいりません。
 それから、原子炉の中が十分確認されてないではないかということにつきまして、まあ一番問題とされておりますのは燃料棒の健全性ということでございますが、この燃料棒の健全性につきましては、原子炉の水をしょっちゅう循環させ、それから水質管理を行っておりまして、その水質につきまして念入りな測定をしております。したがいまして、燃料に異常がございますれば、そういう水の中に異質なものが出てくるとか、そういうことがあるわけでございますが、そういったことが現在まで検出されていないこと、さらには大宮の三菱原子力工業のところで原子炉の中にあると同じ燃料のさやでございますが、これはステンレスでございますが、それと全く同じさやを実験室に置きまして、水の中につけたままずっと放置してございます、その実物をいろいろ使いまして健全性を確認いたしておりますので、十分安全であると思っておるわけでございますが、なお念のためには、当然出力上昇試験に入る前には、念のために炉のふたをあけて念査をする、そういうような慎重なステップで先へ進めていきたいというぐあいに、「むつ」を動かすということになればそういうことをしたいというぐあいに考えておるわけでございます。
 出力上昇試験はずっとトラブルがないかと、こういうことに関しましては、いわゆる何といいますか、周辺の皆様方に御迷惑をかけるようなトラブル、これはあっては絶対ならないわけでございますが、機器類につきましては、これは現在の原子力発電所でもさようでございますが、建設して、それから実際に試験合格して、正規の運転に入るまでの過程におきましては、いろいろなところで、メーターの動作がちょっとおかしいとか、あるいはバルブのナットの締め方がちょっとおかしいとかというような、いろいろなささいなことも含めましてこれはございますので、そういうことまで一切ないということは申し上げられないことでございますが、周辺の皆さまに御迷惑をかけるようなトラブルはもう一切起こさない。で、そういうことでステップ・バイ・ステップの試験を進めながら、先に行っても大丈夫であるということを確認しつつ実験を進めるということでございます。それが出力上昇試験の意味でございますので、そういうことで進めることを考えております。
○松前達郎君 今、お話を伺いますと、ステップ・バイ・ステップということですけれども、これを一体どこがやるのかということですね。今度の原子力研究所に合流した場合、一体どこが担当するのか、そういう問題もあるわけなんですね。で、どうもステップ・バイ・ステップと言えば非常に表現はいいんだけれども、カット・アンド・トライみたいなやり方で、事故が起こったらそれを修理し、また起こったら修理する、その積み重ねで最終的にはでき上がる、こういうふうなことにとっても差し支えないんじゃないかと、こういうふうに、これは逆の見方、意地悪く見ればそういうことになるわけです。
 ちょっと話を変えまして、我が国の原子力平和利用の中での原子力発電等を見てみましても、やはり開発に関する歴史的過程があるわけですね。軽水炉の技術というのはアメリカの技術であるということでありますけれども、この軽水炉そのものの歴史的な開発過程を見ますと、これは何も発電用原子炉として最初やったんじゃなくて、最初は小型舶用原子炉なんです。ですから、全く軍事用ですね。軍事用に開発された。それをモックアップというか、多少大型化して発電用の原子炉につくり直してきている、設計し直してきている。
 しかも、その段階でもいろいろな問題が起きているわけですね。例えば、小型の炉にしますと、アメリカのアイダホ原子炉実験場ですか、ここにあるS
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という炉の事故、これは人為的事故だと言われているんですが、原子炉のふたが吹っ飛んだという事故があったわけなんですけれども、こういうふうな問題を経験しながら積み重ねてきたというのがこの原子炉に関するテクノロジーだと私は思うんですね。日本の場合は、そういうノーハウがこの小型に関して果たしてあったかどうか。西ドイツは、恐らくオット・ハーンをつくるときには、アメリカから舶用原子炉のノーハウを手に入れているんじゃないか、こういうふうに思うんです。我が国の
場合どうですか。この小型原子炉についての、舶用炉についてのノーハウというのを最初に提供を受けて、そういうものも勘案しながら設計されたのか、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(中村守孝君) 我が国におきましては、御承知のように原子力の開発を三十年代から研究開発が始められたわけでございますが、舶用炉につきましての先行する情報は特になかったわけでございますが、この舶用炉の必要性を見越しまして、各国からいろいろ情報を集め、調査もし、その結果としまして、まずこういう軽水炉についていろいろな情報も知識も得る、経験も得るということでは、日本原子力研究所にいわゆる動力試験炉JPDRという炉の建設をまず行いまして、それでの運転等による経験も積んでいる。これがいわば小型の炉として、軽水炉としては「むつ」の原子炉の設計に先立って我が国で得られた経験としてはそういうものがあるわけでございます。
○松前達郎君 舶用炉、小型原子炉と言っていいかもしれませんが、この場合のやはりデータというものの積み重ねが我が国にない。そのまま船をつくるという最終目的を達成するために、先ほどお伺いしたように、すべての入手したいデータを一遍にとりたいという考えのもとに、とにかく船をつくるということだけが目的であるというふうな感じを私いまだに持っているわけです。これは恐らくそうじゃないとおっしゃると思うんですが、しかし開発途上においていろいろな問題が起きるのは、これは仕方がないことであろうと思いますけれども、考えられるべきことは全部考えて、そして既に起こったことは全部それなりの内容を十分熟知した上で積み重ねていくのが一番安全なやり方ですね。
 例えば、アメリカの原子力委員会がやった実験でも、これもやはりさっき申し上げたアイダホの原子炉実験場のいわゆるECCSの模型実験の場合も、これもやはり炉心の配管の破断があって、そこから炉の中に水が激しく出ているうちは外から水が入らなかったと。これは緊急停止の、緊急冷却といいますか、その問題で非常に大きな問題があったというようなこともあったわけですね。
 「むつ」の原子炉系を見てみますと、一つの防護体の中に入っているわけじゃなくて、原子炉とそれから蒸気発生器ですか、その間が外へ出ているんじゃないですか。パイプでつないであるんじゃないですかね。一つのものの中にコンパクトにおさめられているんではないように私は聞いているんですけれども、材料技術の問題が一番やはり重要な技術なんですが、その辺がちょっと、まだあちこちの原子力発電所でもひび割れとかなんとかあるわけですから、その辺の問題が大分信頼性に大きな影響を及ぼしているんじゃないか。
 そういうふうなことから考えますと、やはりシステムが違う、システムというか設計的に言って違う形の、作動は同じかもしれませんが、そういう舶用炉である。しかも舶用炉となると、防護設備といいますか防護体制そのものも、これは重量の問題その他の問題から比較的除去しながら、なるべくぎりぎりのところまで軽くなるようにとか、あるいは逆に言うと、衝突したときどうなるかという問題もあるかもしれませんが、そういったような問題、多少違った観念が入ってくるんじゃないか。とりわけアメリカの場合ですと、これは開発の最初が軍事用でしたから、軍事用となるとぎりぎりの線まで詰めていくわけですから、また潜水艦の耐用年数なんというのは、「むつ」なんかの皆さん考えていられるよりはるかに短いかもしれませんので、そういうふうな違った発想、思想のもとに設計されているんですね。
 そういう点から考えまして、やはりこの舶用炉というのは、とりわけ平和目的であるという商船に使うような場合であればやはり相当十分な検討が行われないと、これは実際に運転はしたけれども実用化にはほど遠いというものになってしまうような気がしてならないんですね。そういうことから、そういった面も含めてこの舶用炉の開発のときに考えられていたのか。途中で委員会の勧告等も出されているわけですね、そのステップ・バイ・ステップということについてですね。それを一体反省としてどういうふうにとらえられておられるのか、その点ちょっとお伺いしておきたいと思います。
○参考人(野澤俊彌君) 今、先生何点が御指摘があったと思いますけれども、まず第一点の蒸気発生器でございますけれども、これは格納容器の中に一体的に組み込まれております。原子炉容器と蒸気発生器はパイプでつながっておりますけれども、格納容器の中には二つの蒸気発生器が組み込まれておるということを申し上げておきたいと思います。
 それから「むつ」を設計するときの基本的な設計技術というものは、当時三菱原子力工業がアメリカの舶用原子炉の経験の極めて大きなウェスチングハウスと技術提携を結んでおりまして、その設計技術に基づいて「むつ」が設計されているということを申し上げておきたいと思います。
 それから、アイダホのECCSのお話が出ましたけれども、それからECCSの問題が大きくなりましたが、ほとんど同時期に原子力研究所ではかなり大がかりな非常用炉心冷却装置についての実験を行っております。それによって求められました計算コードに基づいて「むつ」の非常用炉心冷却設備の性能を先ほどの安全性総点検の過程においてチェックをいたしまして、所要の補修を行ったものでございます。
 そういうことでございますので、私どもといたしましては、現時点で考えられる要素はすべてつぶしているというふうに考えております。
○松前達郎君 「むつ」の原子炉、それとそれに付随している動力システム、これらについて、今、蒸気発生器が同じ格納容器の中にすべて入っているとおっしゃったですね。船体構造上からいって恐らく後の方にあるんだと思うんですが、実際にすべて入っているんですか、一つの陸上における発電用原子炉みたいに。
○参考人(野澤俊彌君) 一次冷却水系に関するものはすべて格納容器の中に収納されております。その考え方は陸上の原子力発電所と同じでございます。二次系につきましては当然のことながら格納容器の外にいろいろな付加装置がつけられているということでございまして、この点も基本的な考え方は原子力発電所と同じでございます。
○松前達郎君 その炉そのものがそういうふうに格納されているというのは、安全性の問題からいったら一つメリットかもしれませんが、逆に点検のときはやりにくいという問題もあるかもしれませんね、これはもう既に指摘されたことだと思いますが。
 時間が参りましたので、最終的に一つだけ確認しておきたいんですが、同僚議員の方から、今度、税金を使っているわけですからその税金の使い方についての問題から見ても、「むつ」そのものは今のところすぐ慌ててやる必要はない、廃船にしてゆっくり基本研究からやり直しても十分だという、そういう意見が出されておるわけなんですが、今回のこの法案にかかわって考えてみましても、原研の方で舶用原子炉の実験研究を行っていくというふうなことだと思うんですけれども、どうでしょうか。原研の方でそれをやるといっても、どういうふうにしておやりになるのか、どういう内容でどういう計画なのか、その点がもう既にでき上がっておるでしょうか、その点をお伺いしたいんです。
○政府委員(中村守孝君) お答えいたします。
 今度原子力船研究開発事業団と原子力研究所を統合するということでございまして、現在の原子力船研究開発事業団におきまして従事している職員がもちろん新しい改正されました原子力研究所の職員として参画することになるわけでございますが、その職員と原子力研究所の中の職員との間の協力関係を円滑に進めてこの研究を推進していきたいということで、その態勢をどうするかということにつきましてはこれから、現在原子力研究所にも準備室をつくっておりまして、両事業団との間で検討を進めておるところでございます。
 いずれにいたしましても、今後の問題といたし
ましては、現在の原子力委員会の長期計画におきまして、将来に向かいまして信頼性、経済性のすぐれた小型高性能の舶用炉というものを開発していく必要があるわけでございますが、当面はこの設計評価研究を実施しまして、その成果を踏まえた上でその後の研究開発計画を具体化していこうと、こういう段取りにいたしておるわけでございます。その際に「むつ」の海上における実験データというものを生かしていこうということでございまして、現在は、その将来の改良型の炉の研究の進め方につきましては現在概念設計等を事業団において実施しております。こういったものを引き続き原子力研究所に統合された後も進めていくわけでございまして、そういったものの評価を踏まえてその先に具体的な開発計画を立てていこうと。これは当然、その過程におきましては新しく原子力研究所の方々の力というものも十分そこに生かしていかなければなりませんし、原子力委員会といたしましてもその計画の具体化に当たってそういったデータをもとにその先の計画を考えていこうと、こういう段階にございます。
○松前達郎君 最後になるんですが、計画はそういうふうに今おっしゃったとおりで進めていくということになりますと、もう一度やり直しというふうな感じも受けるわけですね。まあステップ・バイ・ステップという意味からいえば、ある意味では手段としてはその手段が当然だと私は思うんですけれども、さてそこで残るのは「むつ」なんですね。これをそれじゃ原研の方が解体するのか、あるいは今関根浜の港というのは廃船のための港なのか。結局最後は廃船するわけですから、この廃船をそれじゃ今すぐやった方がいいとか、あるいはその段階まで待っておった方がいいとか、いろいろな議論もあると思うんですけれども、時間的にそんな慌てることはないんですね。もうどっちみちここまで延びちゃったんですからあとはゆっくりやればいいんで、どうしても必要なら輸入して買ってくればいいんです、貿易摩擦の問題も起きているんですから。そういうことでじっくりやっていくという、こういう態勢をひとつ我々基本にして考えていかなきゃならない、こう思うわけです。
 それで最後に一つだけ。舶用炉というのは、さっき申し上げたようにまず最初が軍事用だったんですね、ノーチラスですか。しかも今の原子力発電用の炉も、舶用炉、軍事用の舶用炉から始まった、そういうことですね。したがって、我が国で舶用炉の研究をやるとなると当然それとの結びつきが考えられる。一番メリットがある使い方というのは軍事用なんでしょうから、そういうところに転用するといいますか、よくそういうことを言いますと、船舶の推進用の原子炉というのは軍事用じゃない、船舶というのが艦船も含むというような、そういう詭弁も言われる人があるんですけれども、例えば原潜等を含む、あるいは巡洋艦も含めて結構です、軍事用の艦船にこの舶用炉を、まあできたとした場合、これを載せるということを考えておられるかどうか。私はそうなるとちょっと問題だと思うので、その点を今はっきりとしておきたいんですが、それを最後にはっきりさしていただいて私の質問を終わります。
○国務大臣(岩動道行君) もともと我が国の原子力の研究、開発、利用は原子力基本法で平和の目的に限ってこれを行うということで今日まで進めてまいりましたし、またこれからもそのとおりでございます。そういう中においての「むつ」による研究開発あるいは舶用炉の研究開発、これらも平和利用を目的としているものでありまして、軍事利用を意図しているものではございません。
○山田勇君 原子力船「むつ」に関連して質問をいたします。若干重複するところがあろうかと思いますが、簡単に御答弁いただいて結構でございます。
 原子力船「むつ」は、自民党科学技術部会で廃船の決定がなされ、それを契機にその存廃が政府と自民党の間で検討をされておりますが、仮にこの実験データ何一つ得ないまま廃船になるとすれば、今後の我が国の原子力開発の推進にとって重大な禍根を残すだけではなく、これまでの六百億円もの経費がむだになるわけですが、この見地から、「むつ」の実験再開についてのまず政府の御見解をただしておきたいと思います。
○政府委員(中村守孝君) 「むつ」によります舶用炉の研究開発につきましては、従来、今後の舶用炉の研究開発の重要な柱という認識で進めてまいったものでございまして、先ほどの御質問にもお答えいたしましたが、この「むつ」の運航によりどういう成果が得られるのかということにつきましては、第一には船舶の動揺、振動、衝撃というような船体運動や操船に伴う負荷変動、こういったものが原子炉系に与えます影響がどうであるかということを経験し、設計のデータ等々をチェックして今後の舶用炉の研究開発に反映していくということが一つございます。第二に、運転、保守の経験と申しますと、実船によらなければ得られないさまざまな知見がございます。これは端的に申しますれば、動揺した船の中で、運転操作員が実際に何か起こったときにどう対応するかというようなことも含めた人間工学的なデータも含めまして、いろいろな実際のプラントとしてのもろもろのデータが得られる、こういったものを今後の舶用炉の研究開発に生かしていきたいというのが趣旨でございます。
 こういうことで、現在「むつ」につきましては、既に遮へい工事は完全に終わりましたし、総点検も終わりまして、十分きちんとした形で維持しておりますので、実験を再開するということであれば、当然その出力上昇試験に先立つもろもろの慎重なテスト等を繰り返す必要がございますが、そういったことを踏まえながら順次出力上昇試験に移っていけるという状態にございます。しかしながら、現在は当然、今政府としても各方面の御意見を踏まえ、「むつ」につきまして今後の扱いをどうするかという検討もいたしておる段階でございます。そういうことで、今後の計画はどうなるのかということにつきまして、現在申し上げ得る状況にないということを御理解いただきたいと思います。
○山田勇君 関根浜新港の建設がこの二月の二十二日に着工されましたが、この新港を多目的に利用することを検討していると聞いておりますが、どのような構想でお考えになっているのか。また、この新港を多目的に利用するのであれば、港湾審議会において港湾整備のあり方を幅広く検討する必要があると考えておるんですが、新港に新たな国費を投じる現時点で、その調整についてはどうなっているんでしょうか。
○政府委員(中村守孝君) まず、関根浜港の他用途利用でございますが、原子力船の「むつ」の取り扱いいかんによってその関根浜の港がいつごろからそのほかの用途に使えるかという問題も出てくるわけでございまして、現在は関根浜をいわば「むつ」の定係港と、いわゆる係留する港として考えておるわけでございまして、まあ廃船というような事態になりましても、まだそのことを行うについてはかなりな年数もかかるわけでもございますし、さらにこれを研究開発継続として実験航海をするということになりますとさらに先の話になるわけでございますが、基本的には、これは青森県ともいろいろ御相談しておりますが、青森県当局では、下北地域の開発基本構想というものにおきまして、長期的には関根浜新定係港について流通港湾として一般的な利用の検討を行うという考え方をとっております。ただ、この定係港の利用につきましては、今後とも幅広く検討をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
○山田勇君 「むつ」廃船論は、開発研究に時間がかかり過ぎるということに起因していると思います。これまでに使った国費をむだにせずに、また今後の開発費を極力抑制して実験データを蓄積するために、大湊を再度母港として洋上実験を実施することを検討してはどうでしょうか。この方策については、五者協定を結ぶ際、政府も地元に交渉したと聞きますが、総理みずから大湊に出向き、大湊の再母港化を地元に協力を要請するというような考えは現時点ではございませんか。
○政府委員(中村守孝君) 大湊港の再母港化についての件でございますが、実は大湊港につきましては、昭和四十九年九月に放射線漏れが起こりまして、その際、政府と地元青森との間に四者協定を締結しまして、大湊港は撤去します、新しい港に移りますということをお約束して全国に新しい港を探したわけでございますが、結果的には新しい港をほかの地点に見出すに至らず、とりあえず「むつ」の遮へい改修工事を実施するために佐世保港に回航したわけでございますが、その佐世保港に回航するにつきましても種々問題がございまして、冷態停止という、温度の低い状態で原子炉のふたはもちろんあけない状態で佐世保港に入らしていただきまして、非常に不自然な形で改修工事が行われたということもあるわけでございます。
 その後、この改修が進むに従いまして、当然のことながらこの佐世保港から次の新しい定係港に移らなければならないということで、新しい定係港探しをいろいろしたわけでございますが、その際に、やはり大湊を再利用するのがよろしいのではないかということで、当時中川科学技術庁長官がみずからいろいろ地元側と接触をされたわけでございます。非常に精力的にお話し合いをしていただいたわけでございますが、青森県の漁業者には陸奥湾のホタテ漁業との関連におきまして非常に根強い反対がございまして、大湊を再母港化するわけには絶対いかない、しかしながら、長官の御熱意にこたえて、青森県内のほかの地点に新しい港をつくるようにしたらどうかと、こういうことで現在の関根浜の港が、ようやくにしてそこに港をつくってそこに開港することに合意をしたということがございまして、現在大湊港には、その関根浜の港に入るまでのあくまでも暫定的な港として受け入れるんであって、しかも、当てもなくずるずるべったりに大湊港にいられたら困るんで、関根浜の港についても早期に建設してそこに移れと、こういうような地元の御要求がありまして、そのお約束のもとに現在関根浜の港を建設している状況にございます。
 最近の状況におきましても、地元の関係者等、漁業関係者だけでもございません、地元の関係者から、五者協定は遵守してくれよと、関根浜を建設しないで大湊に居座るようなことは絶対許さぬぞと、こういう強いお話が何かの折にも出ておることでございまして、現在とても私どもが大湊港の再母港化を申し入れ得るような状況にはない次第でございます。
○山田勇君 この原子力船が日本じゅうの港でも嫌いをされている。またその開発研究にまた莫大な金がかかる。自民党の科学技術部会でも「むつ」の廃船が決定されたというふうに言われておりますが、この原子力船は今や四面楚歌に包まれているという感じです。それでもなおかつ将来に向け、二十一世紀に向け実用化への道を進まなければならないとするならば、この定係港など地元の人々だけに理解を求めるのではなく、広く国民全体に理解と協力を得るような方策が必要ではないかと考えます。本当にこの原子力船が日本にとって将来必要なものであるならば、日本のどこの港でも歓迎されなければならないと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(中村守孝君) 先生の御指摘のとおりでございまして、原子力船が実用化していく過程におきまして、当然のことながら広く一般の方々の御理解を得ていかなければならないと思うわけでございます。いわば原子力船が、「むつ」につきましてはいろいろ悪いイメージがつきまとっているために今日のような状態になっておりますので、私どもといたしましては機会あるごとに原子力船「むつ」の安全性等について御説明もし、御納得いただくようにしておるわけでございます。できるならばこの原子力船「むつ」が、何といいますか、失敗したままでなくて、やはり安全に運転できるということをお示しできれば、これが将来にわたって一番いい方法になるのかなとも考えておるわけでございますが、ここら辺はしかし諸般のいろいろな御意見もございますし、十分に慎重に今後の「むつ」の取り扱いについて検討をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
○山田勇君 それに関連して、原子力教育の問題について若干質問をいたします。
 原子力開発を進める上で重視すべきことは、今、局長がおっしゃったとおり安全性の確立だと思います。その原子力の平和利用に関する国民合意の形成でありますが、その点で今の学校教育は重要な役割を果たしていると思いますが、「現代社会」の教科書に付随している多くの教師向きの指導資料という、いわゆるとらの巻ですが、これは非科学的な、また反原発色で塗りつぶされております。例えば、原子力開発は底知れぬ危険に満ちたファウストの取引にも似ているとか、高速増殖炉はプルトニウムの毒性が強く、パンドラの箱と言われているとか、また、下請労働者被曝を中心に安全性への疑問や差別と犠牲の仕組みに絞って授業を進めるといった記述が見られますが、このような指導資料が学校教育の場に出回っていることは極めて私は遺憾でありますが、科学技術庁長官の御見解をお聞かせください。
○国務大臣(岩動道行君) まず私どもは、原子力の平和利用という基本理念のもとに今日までも原子力行政を進めてまいったわけでございます。この原子力に対する国民の理解、その知識を正確に客観的に持っていただくということは極めて大事な根本的なものであろうと思います。いたずらに私どもは平和利用平和利用と言いましても、そこに基本的な知識、理解がなければ、やはり平和利用ということが空に浮いてしまうおそれもございます。残念なことに、日本は原爆の経験を持っております。そのために、原子力というとややもすれば直ちに原爆につながってしまって、原子力というものはただただもう怖いものである、悪であると、こういうイメージがいまだに消えていないのではないだろうかと思います。一方、原子力はもちろんそのような非常に危険なもろ刃のやいばみたいなものがございますので、この点についての国民への理解、殊に青少年の方々には十分に幼少のころから理解をしてもらうことが大事だろうと思います。
 そういう中におきまして、私ども公の立場で論評することではございませんけれども、教科書あるいはそれの指導要領というものは非常に大きなあらゆる分野で大事な役割を果たしております。そして、ただいま御指摘のように、原子力の平和利用という点につきまして、もしもそこに偏った、そして誤った記述なりがあるとするならばまことに遺憾であると思います。私どもは、原子力の本来の、人類の繁栄と平和のために原子力が十分に利用ができる有益なものである、こういう面についての理解を求めるために、客観的なバランスのとれた記述というもの、そしてまたそのような教え方というものを心から期待をしてやまないところでございます。特にまた、同じ原子力と申しましても、ラジオアイソトープのようなものは、もう日常私どもの生活の中で医療用として、あるいは薬品として、あるいは産業用として、また農業の改良のためにも非常に大きな役を果たしております。そういう点についても教育の場でも十分に理解をしてもらうような方法がこれからも期待をされるところでございます。
○山田勇君 文部省の方、お見えになっておりますか。――今述べました指導資料における原子力関連の記述について政府はチェックをすべきではないかと思いますが、また、エネルギー問題についての国民的合意を得るためにも、原子力委員会、教育審議会など政府の公的な機関で原子力教育のあり方について審議を尽くして方向づけを行う考えはございませんですか。
○説明員(中島章夫君) お答えを申し上げます。
 原子力につきましては、実は今、先生御指摘の教科書に伴いますいわゆるとらの巻と申しますかにつきましては、先生方がこれを使うかどうかということにつきましては、実は先生の自由に任されておるわけでございまして、そういう意味で教師用の指導書そのものをチェックするシステムと
いうものは私どもにはないわけでございます。
 しかし、今御指摘の原子力について正しい認識を得させるということは極めて大事なことでございまして、これにつきましては、学習指導要領、特に中学校、高等学校におきまして、理科及び社会科が中心でございますが、それから学習指導要領の解説書ないしは指導書、小中では指導書と呼んでおりますが、高校では解説書、さらにそれを詳しく敷衍をいたしまして授業の展開例とかいうものを示します指導資料といったようなもので、それの正しい認識を培うようにしているところでございます。
 例えて申しますと、理科につきましては、中学校では、第二分野というのはこれは生物と地学の面でありますが、第二分野の七つの領域のうちの一つにエネルギーというのが入ってございまして、これに際しては新しい資源としての原子力について扱うということにしておりますし、高等学校で新たに必修にいたしました「理科1」というものがございますが、これは五つの領域を持っておりますが、物、化、生、地、それぞれに即応した領域と、それから自然と人間の関係を扱ったものがございます。その中で、原子力の活用について指導する際に、原子力が重要なエネルギー資源となり得ることを理解させると。特に指導資料では、原子力発電が我が国にとって重要なエネルギー源であることを認識させ、原子力の正しい認識を得させるとともに、安全性への配慮が重要であることを理解させると、こういうふうにしておりまして、バランスのよい指導ということを心がけるようにしているところでございます。
 今、先生が最後におっしゃいました委員会を開いてということにつきましては、私どものちょっと範囲でございませんものですから……。
○山田勇君 文部省の方、大変御苦労さんでした。
 この原子力委員会の今後の原船開発のあり方についての報告によりますと、「むつ」が十年近く原子炉を稼働させていないということについて、「試験を再開し、長期的に実験・運航を進めていくにあたっては、慎重な試験計画の下で、十分な点検、整備を図る必要があり」とありますが、十年間動かしていない原子炉を稼働させる場合は、どういう手順でこれを進めていくんですか。
○政府委員(中村守孝君) 「むつ」の実験を再開するということにつきましては、従来こう考えておるわけでございまして、現在「むつ」自身は冷態停止状態ということで、温度が常温のような低い状態にございます。その過程に描きまして、定期的にも各部の機能を点検しておるわけでございますが、出力上昇試験に先立ちまして、この冷態停止状態におきます機能試験をまず行いまして、それで、各部がまずその状態で異常がないということを確認した上で、今度は原子炉の温度を上げてまいります。
 この原子炉の温度を上げるということは、決して核分裂反応を起こさせるということではございませんで、循環ポンプを回しますとそのエネルギーで温度が上がってまいります。そういったことで原子炉の運転状態に近い温度状態に持っていきまして、その温度状態が変わりますと各部の伸び縮みがございますから、そういったことで温度を上げた状態でどうかということをチェックするわけでございますが、その温度が上がった状態での各部の点検を行いまして、動かす部分は動かしてみる、そういうことで支障がないという状況になりましてから出力上昇試験に入るわけでございます。
 これらと並行いたしまして、原子炉の中は「むつ」の放射線漏れ以来点検しておりませんので、原子炉のふたをあけ得るような状態になりましたならば、まずこのふたをあけて、燃料等についても念のためにチェックをして、出力上昇試験に入っていきたい。出力上昇試験につきましては、当然のことながら、いきなり原子炉の核分裂をどんどん進めるということではございませんで、まず臨界状態に達せしめるというところから実験を始めまして、出力をわずかずつ上げて、各部の点検をしながら、順次出力を上げて各部の機能を確認していくと、こういう操作を行うということになろうかと思います。
○山田勇君 けさの新聞でも各ニュースでも報じられていたんですが、自民党さんが「むつ」廃船について八月上旬に結論を出すというようなことがけさ報じられておりましたが、政府としては、この廃船問題の結論についてはどう対処しようとしておられますか。
○政府委員(中村守孝君) 現在、政府の与党でございます自民党の中において検討が進められておるところでございまして、この検討結果がどうなるかということはまだ私どものちょっとうかがい知ることのできないところでございまして、私どもは私どもなりに現在どうあるべきかということを検討しておりまして、それら、党の結果のみならず、国会の御議論も踏まえながら政府としての方針というものを固めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○山田勇君 長官、先ほどの教育の問題、教科書の問題ですが、これは大変私事になりますが、私の子供は国際学校に行っておりました。小学校五年生のときに、突然答案用紙を持ってきて、アトム、いわゆる原子力、広島、長崎の問題について、いわゆるペアレンツ、両親との討論をして、議論をして、それをレポートして出しなさいと。これは小学校五年生です。その中で私なりに子供と討論をし、議論をし、それをちゃんと彼は書いて学校に提出する。それをクラス全体がやるわけです。その結果は、いわゆる原子力というものについては、やはり新しい科学の分野の中には危険性が常についていると、しかし科学者またその当事者たちは、その危険性を最低限に、安全性を方向づけていくんだというふうな結論を出して、そしてまたそのレポートが両親に送られてくるというふうな教育をしている。
 そこで、原子力というものに拒絶反応を起こさないような教育ということを、ぜひ長官、今後とも科学の分野の中で、新しいものにチャレンジをするんですから常に危険性は、前の委員会でも言ったように、科学に「イフ」があるのと一緒で、もしは必ずつくものですから、その点ひとつ、偏った教育、教科書の中でこの原子力というものを取り上げてもらわないように、審議会などはちょっと考えてないということですが、そういう形で正しい教科書、正しい行政のあり方ということを今後ぜひ考えていっていただきたいと思います。
 それと、我々素人ですが、ハイテクノロジーだとかバイオテクノロジー、ME革命、VAN、超LSI、いろんな新しい言葉が次から次へ出てまいります。科学や技術の世界だけではなく、日常の生活の中にもどんどんと入ってきますが、一般の国民にとってはなかなか理解しにくいことがあります。これは横文字のせいもありましょうが、言葉がわかりにくいということ自体がその内容がわかりにくいということです。中身もわかりにくいということになるわけですが、門外漢といいますか、素人にとって余計にわかりにくいわけです。しかし、この先端技術を初めとし、科学技術の世界は日進月歩、行き着くところを知らないというのが現状であります。
 しかしながら、これら科学技術の開発は、道を誤れば長崎、広島の例に見るまでもなく、人類破滅につながることは周知の事実であります。科学技術の開発は、あくまで人間生活の向上、人類の平和に貢献するものでなければならないということは言うまでもないことであります。私は、今人類が最も関心を持っておる一つの原子力の問題についても同じ考えてあります。原子力船の開発研究についても、当然平和目的に沿って進めなければならないと確信をいたしております。これについて長官の御所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(岩動道行君) 大変貴重な御所見をちょうだいいたしました。
 先ほど申しましたように、原子力の平和利用を理解してもらうためには大変な努力とそして年月がかかり、また、いわば、草の根的な啓蒙活動も必要であろうと思っております。そういうことであ
りますと同時に、例えば原子力発電所の実績というもの、これは大変乱はわかりやすい一つの現実の社会教育ではないかと思います。今五軒に一軒は原子力の火を使っている。そして、稼働率は七二%ぐらいになっておる。検査の期間を除きますと施設の能力の一〇〇%をフル活動さしている。しかも、人身事故も全くない非常に安全な運転をしておる。世界に例を見ないそういう実績、このようなことは大変私は国民の皆さん、そして若いお子さんたちにもわかりやすい一つの教育のものではないだろうかと。したがって、これからも私どもはそのようにいろいろな分野から国民の皆さんにわかっていただく努力をしてまいりたい。また、そのような施設、修学旅行のコース等にもこのようなものはぜひ入れていただくように、これからの社会教育でも政府としても努力をしてまいらなければいけないと思っております。
 また、先端科学技術の時代に入りました。それが生命科学、遺伝子の組みかえ等によって人間の生命にかかわる、人間の尊厳にかかわる問題にまで時代が進んでまいりました。私はかねてから申しておりますように、科学技術は人間が考え、人間がつくり、そしてこれは人間が使うものであると。目的は人間のためであり、人類の平和と繁栄のためであって、機械や何かに使われるものであってはいけない。そういう基本的な考え方で、これからも科学技術というものが人間に奉仕するものでなければいけない、それは目的ではなくて手段であり方法であると、こういう考え方でこれからもすばらしい先端科学の時代を人類のため、国民のために活用してまいりたいと考えております。
    ―――――――――――――
○委員長(高木健太郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、福田宏一君が委員を辞任され、その補欠として内藤健君が選任されました。
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○野末陳平君 この法案に関しては、行革という立場から賛成するのが当然だと思っているんですけれども、ただ、ずっと質疑にありました「むつ」の問題の結論がまだ出ていないんで、ちょっとそこがひっかかるということなんで、「むつ」についていろいろ関心を持ったんですけれども、何といったって専門的なことは全然わかりませんので、大体この委員会に勉強しようと思って入ってきたんですけれども、わからないことばっかりで実に自分でも困っているんですが、「むつ」に関してはですから単純なことだけをお聞きしておこうと思うんですね。
  〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕
 まあ「むつ」はもうさんざん悪口を言われておりまして、壮大なむだ遣いだとか金食い虫だとかいう批判はいっぱいあります。事実そういう面もあるんでしょう。ですから、事故さえなければよかったのかなあと思ったりするんですね。ですから、あの事故が非常に不運だったというか不幸だったというか、それしか言いようがないような感じですが、今さらそれを言っても始まらないわけでして、そこで一つ気になるのは、やはり国費の使われ方ですね。これが果たしてよかったかどうか、むだではなかったのかどうか。そういうところの評価は難しいところなんですが、しかしここ十年来のいろいろな名目をつけて出された地元対策費のようなもの、ある程度やむを得ないと思うものの、当局側としては解決を急ぐ余りどうもお金をかけ過ぎたんじゃないか。要するに税金のばらまき過ぎをやったんじゃないかという気がするんですが、大臣、そういう反省というのは少しはあるわけでしょうか。
○国務大臣(岩動道行君) 「むつ」に関しては大変各方面からのいろいろな御議論をちょうだいして、私どもも謙虚に反省はいたしております。ただ、もうたびたび申し上げておりますように、資源のない日本で、そして海運国家、貿易国家、造船国家と、こういったような日本の置かれた立場を考えた場合には、やはり今直ちに原子力船が必要であるという時代ではなく、若干の状況変化がございますけれども、やはり原子力船というものを目標にして舶用炉の研究開発はぜひやらなければいけない。そうして、そういう中で「むつ」による研究開発を今日まで進めてまいりましたが、お話しのように、いろいろな面から私どもはここで再検討しなければいけないということで、国会の御論議あるいは政府・与党の間でのいろいろな検討というものを続けているところでございます。
 いずれにいたしましても、今日までおおむね六百億に近い国費を投入いたしております。またその内容としては、いろいろ地元対策費等で大変な金を使っているではないかという御批判もちょうだいいたしております。あるいは検査院から、これだけの投資をしておきながら研究開発の成果は上がってないではないかという御指摘もいただいております。このようなことについては私どもは謙虚に反省をして、今後そのような批判を受けないように努力をしていかなければならぬわけでございますが、この六百億に近い今日までの投資のうち、地元対策費というものは必ずしも全体の割合から見るとそれほどむだであったというふうにも私どもは考えていないわけでございます。具体的な数字は局長の方からでも御説明申し上げますが、全体のバランスから見まして、やはり何といっても放射線漏れの事故が起こって、そして遮へい工事をやって、そしてどこの港に行くかという、大変途中の過程が長く、したがって人件費、維持管理費というような面の資金がかなり大きな部分を占めている、こういうことも御理解をいただきたいと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても私どもは、国会の御論議、御意見、そしてまた私ども自身もこのようなことを踏まえて謙虚に、そして国民の御理解のいただけるような方法で対処してまいりたいと考えておるところでございます。
○野末陳平君 ですから、やっぱり事故さえなければと思ったりするんですが、まあそれにしでも科学の成果は金もかかるし時間もかかるんですが、「むつ」に関しては何となく開発も足踏みしているし、実用化への展望もいまひとつ開けないでしょう。にもかかわらず、これからもやはりそういう状況の中でいろいろな地元対策費を含めた国費をつぎ込んでいかなきゃならないと。そういういろいろな問題を克服して研究を続けるというお答えがずっとあったんですが、さて、我が国ではそうであっても、よその国ではこの問題についてどういうふうな当てを持っているんですかね。つまり、原子力船の実用化の見通しというものがほかの国では一体どういうような今のところ結論になっているのか、それもちょっと説明してください。
○政府委員(中村守孝君) 原子力船の開発につきましての世界の状況ということかと思いますが、いわゆる一般的な商船としての用途につきましては、現状においてすぐに必要であるというような情勢にないことは先生御指摘のとおりでございますが、特殊な船でございます砕氷船、これは将来北極海等で砕氷タンカー等というような形での利用というものが十分考えられるわけでございますが、そういった砕氷船ということではソビエトにおいて現在も計画され、また建造をされておるという状況にございます。
 さらに、例えばオット・ハーンを建造しました西独におきましても、オット・ハーンで実験の目的、いわゆる海上運航での経験というものを積みましたので、これをもとにその次の改良型の炉の設計というところまでやりまして、今後の経済性、原子力船が経済性が出てくるというような見きわめをしつつ今後に対応していくという待機の状態にあると理解いたしております。
 米国におきましてもサバンナ号の建造、運航をやりまして、これの実験成果をもってその次の商用船の設計、研究等を行った状態で、現在商業船としての開発は停止しておりますが、アメリカはいわば軍事用のノーハウというものがその後も蓄積されておりますので、商船としての実用化の時期が迫ってまいれば直ちに応じ得るという状況に
あるわけでございます。
 フランスにおきましても軍事用の技術を蓄えておりまして、これで例えばカナダあたりで原子力の商船計画などがありますとそういったものに協力をしようというような態勢もとっておりまして、将来実用化が見えてまいりますといつでもそれに取り組めるという態勢にあるわけでございます。
 原子力の研究というものは何分にも期間が長うかかりまして、いざ必要ということが見えてきてから取りかかるということではなかなかに間に合わない点があるわけでございまして、ある程度予測をしながら開発を進めていかなければならないという点がございます。しかも先進諸国におきましては、既に我が国よりも数歩先んじた形で今申し上げましたような待機状態にあるということでございますので、日本におきましても将来に向かって原子力船開発の基盤を高めておく必要がある、そういうぐあいに理解いたしております。
○野末陳平君 これまでの質疑などを聞いておりまして感じたのは、外国と比較して金がかかり過ぎたとか、そういうようなこともあるんでしょうが、これは特殊事情があったからやむを得ないとして、やはり一番世論形成の上で問題だったのが、いわゆる地元対策費の中なんでしょうけれども、いろんな名目におけるダーティーなお金の動きといいますか、そんなようなものがつきまとっていたと。これが結果的には原子力行政の不信感を非常に高めたというか、そういうものにつながっていたというのは、これはもう紛れもない事実だと思うんですね。ですから、当局が金だけで解決を焦ったからいけないとかいろんな言い方ができるにしても、また事実だかりの構造もありますから、だから、これについてあれこれ批判をしても始まらないんですが、少なくも全体の研究開発費から見れば率は低いかもしれないけれども、そういう意味のダーティーな金が動いていた、これがやっぱり一番まずかったんじゃないかという気がするんですよ。
 で、大臣、やっぱりそれに対する科技庁の反省がいま一つ一般の人に通じてないんじゃないかと、そういう気がするわけですよ。つまり、これは必要であるというのもわかりますし、それから今までの経緯も踏まえると非常にもったいないとか、それから今やらなければいけないからとか、いろいろわかりますが、ここまでけちがついたというか、ここまで不信感を持たれちゃったものはむしろこだわりを捨てた方がいいんじゃないかという気がするんですね。それで、僕個人は専門的なこと全くわかりませんけれども、この際やっぱり「むつ」は廃船にした方がよくて、陸上で開発のやり直しをやるという形の方がきっと世論にアピールするだろうと、そういう気がしているんですよね。いずれこの結論が出ますね。その場合に政府としてはこれに無条件に従うのか、その辺がさっきの局長の答弁でもあいまいだったんですが、これはどうなんでしょう、やはり今度出る結論は世論と思ってそれに従うべきだと思うんですが。
○国務大臣(岩動道行君) 最初に、一つだけは反論させていただきたいんです。先生はダーティーな金というふうに断定しておっしゃっていらっしゃるんですけれども、私どもは決してそのような不当な支出、不正な支出をいたしてはおりません。この点については会計検査院の指摘もそのように不当不正な支出としての指摘は全くございません。ただ、これだけの国費を投入して研究開発の成果が上がっていない、だから早く成果が上がるようにやりなさいと、こういう御指摘でございます。したがいまして、私はこの機会に、このような大事な国会の御論議の中でダーティーな金を使ったというふうに言われますと、大変私どもとしては反発を感じざるを得ませんので、この点だけは明らかにさせていただきたいと思います。
 しかし、今日までいろいろなことで大変長い年月の間まさに研究開発の成果を上げてこなかったということに対しては、深く私どもも反省をいたしております。したがいまして、今回国会の御論議あるいは政府・与党でのいろいろな検討とあらゆる部面からの検討をいただいた結果は、私どもはこれを尊重してまいりたいと考えております。と同時に、私どもは原子力委員会という極めて重い委員会の決定もいただいております。したがいまして、これとどのような結論でどのように整合するか、このようなことは今予断を許さないところでございますので、ただ私は、謙虚にまず御議論を十分に伺って適切な対応をして、国民の皆様にもおわかりのいただける対処をいたしてまいりたいと考えております。
○野末陳平君 ダーティーという点についての反論は、具体的なことを僕も知りませんけれども、そういういわば疑惑を呼んだ金の使い方がいろいろ報道されれば、それによって国民は原子力行政に不信感を持つというそういうふうな意味なんですね。ですから、これからも研究を続けるならば、やはりいろいろな地元との問題がある、そのたびに疑惑を呼ぶようなことがあってはいけないと、こういうふうに考えれば、非常にここは大事なところじゃないでしょうかね。やはり世論を味方につけないと原子力行使も進みませんしね。
 そこで、僕は前々から考えているんですけれども、この「むつ」問題をこじらせた背景はいろいろあるにせよ、一つにはやはり日本人は大体科学に弱いし、それから原子力とか原子力発電とかと聞くだけでアレルギーと、そういう体質もなくはないわけですね。そこで、さっき山田委員からも指摘がありましたけれども、やはりこれは我々のようにある年代にまでなっちゃうとなかなか説明聞いてもわかるものじゃないし、それからもう頭から原子力はだめだと思う人を説得するのは難しいですよ。となると、これから金もかかる、時間もかかるというこの問題の研究に関しては、やはり教育が非常に大事な意味を持ってくると思いますね。
  〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕
それで、教科書問題は別として、やはり子供のころから原子力になじませる必要があるんで、そこにこそお金をかけるべきだという気がするんですね。そこで、例えば長官がさっきちょっと言われましたが、原発などを修学旅行のコースにというのは、僕もそれ前から言っているけれども、なかなかやってくれないんですね、それは場所が場所という面もあるでしょうけれども。修学旅行はちょっと無理かもしれませんね。だけれども、やはりそういう見学も勉強の中に入れてもらうとか、これは当然必要なんで、世論でも原子力発電がだめだという人は少ないんですね。それにまつわるいろいろな問題についてが一番気になっているわけです。
 ですから、小学生、中学生などの原発見学、これも必要だし、そのほかにも科学技術庁として原子力の博物館をつくるとか、展示会やるとか、イベントをいろいろ催すとか、そういうことで子供たちに肌で原子力を覚えさせるということを長い時間かかってやらなければ、結果的には何にも意味がないと思うんですね。そういう意味で僕は、こういう積み重ねが一番大事だと、そして科学に強い日本人とは言いませんけれども、やはりこの原子力に対していろいろなアレルギーを持っている、持ち過ぎているから、その辺をもう少しまともな体質にしていった方がいいんじゃないか、そういう気がするんですね。どうですか、大臣、そういう教育上のいろいろな構想について、大臣在任中に何かアイデアをお出しになるとか、そんなようなお考えありますか。
○国務大臣(岩動道行君) 大変大事な点についての御指摘、ありがたく拝聴いたしました。
 先ほどもお答えいたしましたように、言葉でしゃべるよりは、やはり現実の具体的な場で肌で感じながら理解をしていくということは大変大事だろうと思います。そういう意味で、幼少のころから、日本のエネルギーについての基本的な立場、その中での原子力の持つ意義、そしてまた現実に原子力発電というものが、先ほども申しましたように、日本全体として見ればおおむね五軒に一軒は原子力の電気を使っている、あるいは四国なん
かで申しますと、二軒に一軒は原子力の電力でテレビを見たり何かしている、こういう現実、しかもこれが世界にもまれな高い稼働率の中で安全に行われている、こういうようなことをやはり具体的に社会教育として、親もあるいは友達もあるいは先輩も根強くやっていく必要があろうかと思います。
 と同時に私どもは、組織としましては、例えば日本原子力文化振興財団というものを持っておりまして、ここで中高生には作文などでコンクールをやって、そして原子力に対する理解を深めるとか、いろいろやっております。また、発電所等においては展示室も十分に立派なものをつくって、来られる方は自由にこれを見ていただくというようなこともございます。また、東京には科学館というものがございまして、そこにはやはり原子力のそういう施設というものをわかりやすく展示をして、これはかなり修学旅行のコースになっておって、年間六十万人くらいはこれを見に来ている、こういうものもございます。
 私自身も、かねてからいろいろな機会に政府に対して、エネルギー博物館というものをつくったらどうか、これを東京と大阪ぐらいに百億ぐらいずつかけてもいいからおつくりになったらどうかと。ただ、これは政府でつくるとまた政府のあれかということになるから、むしろ第三者といいますか、民間の施設としてでもいいからそういうものをつくり、そしてそれは修学旅行コースになる。そして石を打って火をつくった人類の初めのころから、薪から石炭から石油からそして原子力から、さらに新しい地熱であるとか波力であるとか太陽であるとか、あらゆるエネルギー源というものを並べて、その中で原子力のエネルギーというものはどういう位置づけになるのか、安全性はどうなっているか、こういったようなエネルギー博物館をつくったらどうですかということはたびたび私も申し上げてきたんですが、残念ながら実現を見ておりません。私も非力でございまして、もっと早く大臣になっていれば早くできたかもしれないんですが、ちょっとこれから頑張ってみたいと思っております。こういうような構想も、国民の合意あるいは国会でのいろいろな皆様方の御意見というものをぜひ実らしていくように、これからも努力をして。まいりたいと思っております。
○野末陳平君 大臣のお答えの方向にもっとお金と時間をかけた方がよかったんじゃないか。余りにも地元にばらまいた金の方ばっかりが報道されちゃって、そっちが悪いマイナスの影響を与えたんだというような気がしますが、いずれにせよ僕は、「むつ」は廃船にした方がよくて、陸上でひとつ開発のやり直し、研究のやり直しをすることの方が世論に合うんじゃないか、それだけを意見として聞いてもらって、これで質問を終わります。
○委員長(高木健太郎君) 以上で日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高木健太郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○本岡昭次君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 以下、反対理由を要約して申し述べます。
 まず第一の理由は、「むつ」の存廃の結論がいまだ出ていない段階での法案提出という問題であります。
 「むつ」は当初百億円程度で実験を終了することになっていたにもかかわらず、その計画のずさんさ、ミスとむだの積み重ね、対応措置の不手際等々により、これまでに六百億円もの多額の国費を投入しながら、いまだ何ら実験船の役割を果たしていないのであります。しかも、今後これを継続するにはさらに一千億円も要すると言われていますが、これに見合う成果を得る見通しはいまのところ全くない状態にあります。また、国際的に見ても原子力商船の実用化は遠のいた現在、「むつ」は速やかに廃船すべきであるということであります。
 なお、御承知のように、自民党の科学技術部会も「むつ」廃船の方針を打ち出されており、その存廃についていまだ結論が得られていない状況にあります。このような状況下にあって、今回政府が本法律案を提出したことは、国民に対しまことに無責任であり、また甚しい国会軽視であります。
 第二の理由は、昭和四十九年九月に起きた「むつ」の放射線漏れ事故の責任の所在について明確にされておらず、メーカー、原船事業団の双方ともだれ一人として責任をとった者はなく、何らけじめもつけられていない無責任体制をとっておることであります。
 いわゆる大山委員会の報告書でも、事故の背景として原船事業団の事業団的体質の欠陥を指摘しておりますが、政府は本質的にその体質を改めさせたとは言いがたいのであります。今後もさらに同じ過ちを繰り返すおそれがあると考えられます。
 第三の理由は、原船事業団を日本原子力研究所に統合することにより、本来原子力の基礎研究を業務内容とする同研究所に全くそぐわない事業団的業務が持ち込まれ、原研の事業団化が進められようとしていることであります。
 つまり、港の建設から船員の養成訓練等、原子力船の開発にかかる幅広い異質の業務が押し込まれた上、営利団体の役員が原研の役員を兼職できるように改悪されております。さらに問題なのは、原子力船に関連する業務については原子力安全委員会等の議決を不要とし、その規制の外に置いていることであります。
 本来は、原子力船「むつ」の後始末と船舶原子炉の研究とは切り離し、基本からやり直すべきものでありまして、我が日本社会党としては、「むつ」を直ちに廃船して日本原子力船研究開発事業団を解散し、「むつ」の船内で原子炉が運転されないよう措置を講ずることとし、日本原子力研究所では陸上における舶用原子炉の基礎的研究だけを行うべきであると考えております。
 以上のような立場から本法律案に反対し、政府に本法律案の撤回を促して反対討論を終わります。
○古賀雷四郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に賛成の討論を行うものであります。
 我が国のエネルギー供給構造は、御承知のとおり、石油依存度が依然として高いこと等に示されるように、いまだ不安定であると言わざるを得ません。さらに、国際的な石油情勢は、昨今の中東での動き等を見るまでもなく、多くの不確定要因をはらみ、その見通しには楽観を許さないものがあります。長期的に考えた場合、石油需給の逼迫化することが十分考えられる今日、将来にわたり低廉なエネルギーを安定的に確保するため、安全性の確保を大前提として、原子力の開発利用を積極的に推進していく必要があると存じます。
 こうした観点に加え、四囲を海に囲まれ、資源のほとんどを海外に依存している我が国こそ、欧米先進国にも増して将来の原子力船の実用化時代に備え、原子力船に関する技術、経験の蓄積を図っておく必要があると考えております。
 我々は、原子力開発という広範な技術開発の集積を必要とする領域が一朝一夕にして成果を期待し得るものではないことを十分認識し、その重要な一環である原子力船研究開発についても段階的、着実に進めるべきであると考えております。現在、原子力船「むつ」による研究開発のあり方については種々の見地から検討を加えておられますが、こうした基本的な認識に立脚し、その検討結果いかんにかかわらず、原子力船の開発のために必要な研究を長期的視野に立ち推進することは不可欠であると考えます。
 また、本法律案に盛り込まれた事項は、行政の各般にわたりその簡素化及び効率化を進めるという行政改革の見地から、他の原子力関係機関と統
合するとの日本原子力船研究開発事業団法附則第二条に示された内容を具現するものであり、これを着実に実行に移す必要があります。
 我々は、今回の法律改正が、我が国唯一の原子力の総合的研究開発機関たる日本原子力研究所の高度な技術的蓄積等を活用することによる原子力船研究開発の総合的な推進を可能とするものであり、さらに行政改革の見地からも有効なものであることから、その成立を図るべきであると考えるものであります。
 以上、自由民主党・自由国民会議を代表して、本法律案に対する賛成討論を終わります。
○佐藤昭夫君 私は、日本共産党を代表して、日本原子力研究所法の一部改正案について反対討論を行うに先立ち、一言申し述べます。
 私は、本日をもって本法案の質疑を終局し、採決に入ることに強く反対してまいりました。それはまず、本法案の質疑は延べ約十一時間余で、私に許された時間は八十分であり、私が当初要求をした十時間にはほど遠く、八月八日まで会期を大幅に残していることから考えてみても、本日をもって質疑を終わらなければならない理由は何らありません。さらに私は、本法案の質疑に入るに当たって最初から青森県むつ市長、原子力研究所労働組合の代表、今日の政府の原子力政策に批判を持つ学者代表を含む参考人の意見聴取を強く求めてきました。これは衆議院での審議に照らしても当然のことであるのに、自由民主党を初め他会派の同意を得られず実現しませんでした。私は、「むつ」の存廃問題にもかかわり、他日速やかに参考人の意見聴取を重ねて主張するものであります。
 さて、本法案に反対する第一の理由は、国民と科学者の意見無視、国民の血税の乱費、そしてその場しのぎの無責任行政の連続である我が国の原子力船開発の歴史に深い反省のないまま、そして当面の焦点「むつ」の取り扱いを明確にしないまま、日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所に統合することは本末転倒であるということであります。
 原子力船「むつ」をめぐっての誤りの積み重ねが火を見るよりも明らかなため、今日、政府・自民党においても「むつ」廃船が公然と議論されるに至っています。そして政府としても、八月中に「むつ」存廃の決着をつけることとしているその結論を明らかにした上で、その政治責任を明確にするとともに、原子力船開発のための研究の政策と計画を確立してから日本原子力船研究開発事業団の処置に関する提起をするのが当然の手続ではないでしょうか。
 今回の法案は、こうした当然な手続を無視して、欠陥船「むつ」と、また多くの政治的問題と責任の一切を日本原子力研究所に押しつけるものであり、断じて容認できないのであります。
 第二の理由は、本法案が日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所に統合するという形式になっているにもかかわらず、原研の体制、組織、業務の規定を統合される側の原船事業団の規定に合わせるというものであり、いわば原研の名実ともの事業団化となっている点であります。
 本改正案は、原研の役員の規定、補助金の削除、余裕金の運用などの組織と資金の規定を主客転倒して従来の原船事業団の規定に合わせて改悪しているのであります。
 また、さらに重要なのは、原船事業団の業務と業務運営の基準に関する主務大臣の権限をそのまま原研に持ち込む点であります。この点によって原研は二元的な運営となるおそれがあるということであります。日本原子力研究所が原子力の研究、開発、利用について平和目的に限るとした原子力基本法に特別な位置を占める機関であること、さらには原子力基本法の自主、民主、公開の諸原則を形骸化するものと言わざるを得ないのであります。
 日本原子力研究所は、近年つとに大企業への委託研究やプロジェクト研究が増加し、基礎研究や安全研究の比重が低下しているのではないかとして、その事業団化が多くの関係者に憂えられているところであります。私は、本改正案は、原研の事業団化に拍車をかけるものとして容認できないのであります。
 第三の理由は、本法案が全く行政改革にも値しないものであるということであります。
 日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所に統合するといっても、原研を本来の原研部分と原船部分と二つの系統の指導監督を受ける二本立て組織にするということであり、行政改革の数合わせにすぎません。
 また、原子力船「むつ」以外には用途が考えられないのに、気象、海象上も安全性の不安がある関根浜新定係港の建設に新たに三百億円以上の国民の血税を注ぎ込む計画を続行しようとするなどは、浪費の拡大であります。行政改革を言うならば、原船事業団を解散し、原子力船「むつ」を直ちに廃船とすべきであります。
 日本共産党は、政府が本法案を撤回し、広範な研究者やむつ市を初めとする関係自治体などの意見を反映できる民主的な検討機関を設置して、原子力船「むつ」の廃船を具体的に進めるべきであることを重ねて主張するものであります。
 以上、日本共産党を代表しての本法律案に対する反対討論といたします。
○塩出啓典君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、日本原子力研究所法の一部を改正する法律案について賛成の討論をいたします。
 資源小国である我が国が今後も健全な発展を期するためには、科学技術立国を目指し、これによって資源利用の制約を克服し、社会経済発展の原動力であるエネルギーについては安定供給、多様化を図らなければなりません。
 我が国は、世界有数の海洋国であり、また同時に海運・造船国であります。我が国は世界の造船量の五割を占め、世界の船舶量の一割を保有しており、さらに、我が国の海運は国内の石油消費量の一割を消費しております。したがって、造船の分野における技術水準の向上、海運の分野における将来のエネルギーの安定供給、多様化を目指して研究開発を進めることが必要であり、これらに貢献するものとして期待されてきたのが原子力船であります。
 しかし、世界の状況は、原子力船の実用化の時期は後退し、二十一世紀と言われ、原子力船の実用化は来ないとの意見すらあります。
 原子力船は、在来船にない特徴、例えば酸素を必要としないとか、長期運航にたえるとかの特徴があり、今後の研究開発によっては原子力船の未来は決して暗くないと思います。
 化石燃料の枯渇は将来の必然の方向であり、資源小国、海運国、造船国の我が国として、原子力船の可能性を追求するための研究は続行すべきであります。
 この立場に立って、賛成理由は次の三点であります。
 第一に、原子力船研究開発事業団を廃止し、日本原子力研究所に統合することは、臨調の示す行政改革の方向に沿うからであります。
 第二に、時限立法で設立されている事業団より、恒久的機関である日本原子力研究所の方が、研究者の研究の続行が保障され、研究により専念できるからであります。
 第三に、日本原子力研究所の原子力の分野における今日までの幅広い技術基盤が、原子力船の研究開発に活用されるからであります。
 最後に、政府に要望いたします。
 原子力船「むつ」の問題について、今日までの政府の対応は、全く心ある国民の理解の得られないものであると言わなければなりません。
 政府・自民党は、来る八月末をめどに原子力船「むつ」に関する方針を決定しようとしておりますが、願わくは、衆知を集め、後世の批判にたえる適正な判断を出すことを強く望むものであります。
 その際、もし「むつ」の実験を続行するのであるならば、実験の目的、内容、スケジュール、必要な予算等々、はっきりとした計画を示し、国民のコンセンサスが得られるべきであります。もし、
それが提示されないならば、「むつ」は廃船せざるを得ず、陸上における基礎研究から再出発すべきであることを申し上げ、私の賛成討論を終わります。
○委員長(高木健太郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(高木健太郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 本岡君から発言を求められておりますので、これを許します。本岡君。
○本岡昭次君 私は、ただいま可決されました日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    日本原子力研究所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  日本原子力船研究開発事業団を日本原子力研究所に統合するに当たり、政府は、次の事項に関し、特に留意すべきである。
 一、原子力船の開発のために必要な研究は、原子力基本法第二条に示された平和目的に限り安全の確保を旨として行うものとし、かつ基礎研究を重視すること。
 二、原子力船「むつ」の取り扱いについては、広く関係各方面の意見を聴取するとともに、従来の経緯にも配慮しつつ、国会における審議を踏まえ、国民に論点を明示するよう努め、今後かつてのような事態が生じた場合の責任と影響の重大さを認識の上、早期に公正妥当な結論を得るようにすること。
 三、統合後、日本原子力研究所の研究成果、経験等が原子力船「むつ」に関する業務に有機的、効果的に活用されるとともに、日本原子力研究所本来の基礎研究から開発に至る業務が支障なく進められるように配慮すること。
 四、日本原子力船研究開発事業団のこれまでの業務運営のあり方等について十分検討を加え、統合後、業務運営に万全を期するとともに、あわせて職員の処遇についても配慮すること。
 右決議する。
 以上でございます。
 決議事項の内容、趣旨につきましては、案文及び委員会における審議を通じて十分に御理解いただけることと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(高木健太郎君) ただいま本岡君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
○委員長(高木健太郎君) 多数と認めます。よって、本岡君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、岩動科学技術庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。岩動科学技術庁長官。
○国務大臣(岩動道行君) ただいまの附帯決議に対しましては、その附帯決議に盛られました御趣旨を十分尊重いたしまして、政府といたしまして万遺漏ないよう意を用いてまいりたいと思います。
○委員長(高木健太郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(高木健太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十六分散会