第102回国会 本会議 第15号
昭和六十年五月十日(金曜日)
   午前十時一分開議
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○議事日程 第十六号
  昭和六十年五月十日
   午前十時開議
 第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第二 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案(第百一回国会内閣提出衆議院送付)
 第三 職業訓練法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大臣の帰国報告)
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○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
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○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 日程第一 国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教委員長真鍋賢二君。
   〔真鍋賢二君登壇、拍手〕
○真鍋賢二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、鹿児島大学に医療技術短期大学部を設置するとともに、総定員法の枠外とされております新設医科大学等の職員の定員を改めようとするものであります。
 なお、衆議院において施行期日についての修正が行われております。
 委員会におきましては、医療技術者養成のあり方、政令事項となった大学院等の設置に関する資料提出の必要性、国立大学附属研究施設の整備その他教育研究予算の充実、十八歳人口急増に伴う大学の整備策、有利子奨学制度の実施状況、国際会議開催への援助等国際交流の推進などの諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終わり、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。
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○議長(木村睦男君) 日程第二 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案(第百一回国会内閣提出衆議院送付)
 日程第三 職業訓練法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長遠藤政夫君。
   〔遠藤政夫君登壇、拍手〕
○遠藤政夫君 ただいま議題となりました二法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 まず、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案について申し上げます。
 本法律案の主な内容は、第一に、勤労婦人福祉法の名称を、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律に改めるとともに、その内容を男女の均等な機会及び待遇の確保の促進を図るという観点から抜本的に改正することであります。すなわち、募集、採用、配置、昇進について女子と男子を均等に取り扱うよう努めなければならないこと、定年、解雇について女子であることを理由として差別的取り扱いをしてはならないこと等事業主の責務を新たに規定するほか、男女の均等な取り扱いに関する紛争解決のための措置、妊娠、出産、育児のため一たん退職し再就職をしようとする女子の就業の援助の措置等を定めております。
 第二に、労働基準法を改正し、妊娠、出産にかかわる母性保護措置を拡充する一方、それ以外の女子保護措置について廃止または緩和することであります。すなわち、産前産後休業の延長等を行う一方、女子の時間外・休日労働の規制、深夜業の規制、危険有害業務の就業制限等について、現行規制を廃止または緩和することとしております。
 委員会におきましては、公述人からの意見聴取を行うとともに、女子の労働権、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約と本法案との関係、募集、採用等に関する事業主の努力義務規定、機会均等調停委員会の調停の問題、深夜業禁止の一部解除、育児休業の普及等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。
 質疑を終了し、自由民主党・自由国民会議を代表し佐々木理事より、目的、基本的理念、見直し規定に関する修正案が、また、日本共産党を代表し安武委員より、本法律案の全部を修正する修正案が、それぞれ提出されました。
 次いで、討論に入りましたところ、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘より、それぞれ原案並びに自由民主党・自由国民会議及び日本共産党提出の両修正案に反対、自由民主党・自由国民会議より、原案並びに自由民主党・自由国民会議提出の修正案に賛成、日本共産党提出の修正案に反対、日本共産党より、原案並びに自由民主党・自由国民会議提出の修正案に反対、日本共産党提出の修正案に賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、日本共産党提出の修正案は賛成少数をもって否決され、自由民主党・自由国民会議提出の修正案並びに修正部分を除く原案は多数をもって可決され、本法律案は修正議決すべきものと決しました。
 次に、職業訓練法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 本法律案の主な内容は、法律の名称を、職業能力開発促進法に改めるとともに、職業能力開発促進の基本理念について、職業生活の全期間を通じ、段階的、体系的に行われるものとして明確にすること、職業能力開発推進者の制度を新たに設け、事業内における開発促進体制を整備すること、公共職業訓練施設について、委託訓練の積極的活用及び訓練基準の弾力化を図るよう改めること、都道府県立職業訓練施設の運営費の補助方式を負担金方式から交付金方式に改めること等であります。
 委員会におきましては、技術革新、高齢化社会の進展に対応する職業訓練の拡充、公共職業訓練のあり方、職業能力開発推進者の選任、都道府県立職業訓練施設の運営費補助方式の改正等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党より原案に反対する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 なお、本法律案に対し、附帯決議が全会一致をもって付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
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○議長(木村睦男君) ただいま委員長報告がありました議案のうち、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案に対し、討論の通告がございます。順次発言を許します。糸久八重子君。
   〔糸久八重子君登壇、拍手〕
○糸久八重子君 ただいま議題となりました雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案に対し、私は、日本社会党を代表いたしまして、反対の立場で討論を行います。
 国際的世論の中で、少なくとも経済的には先進国と評価されている我が国は、経済のみならず、政治的にも文化的にも、そして世界平和に対しても、その影響力は非常に大きなものになっていることは御承知のとおりであります。こうした我が国の目覚ましい発展については、額に汗して働いている勤労大衆の存在は無視することはできません。とりわけ一九六〇年代のいわゆる高度経済成長期とそれに伴う産業構造の変化の中で目覚ましい職場進出を果たしてきた女子労働者は、今日では千五百十三万人、全雇用労働者の三五%を占めるに至っています。今や女子労働者なくして我が国の経済発展があり得ないことは、だれの目にも明らかになっております。
 そもそも男女の平等は、基本的人権としての人間の尊厳に由来し、一九四八年の世界人権宣言にもうたわれ、また我が国が一九八〇年に批准した国際人権規約にも掲げられた人類普遍の原理であります。その原理にのっとり、一九七九年の国連
総会で採択されたのが女性差別撤廃条約であり、我が国政府もこれに署名し、ことし七月にケニアで開催が予定されている国連婦人の十年最終年世界会議までに批准することを公約しているわけであります。
 この条約の批准加入国は既に六十六カ国にも達し、多くの国々で男女平等実現のための国内法が制定されております。先進国の中でいまだに条約を批准せず、国内法が制定されていないのは我が国だけと言っても過言ではありません。したがって、我が国において女性差別撤廃条約の批准と男女雇用平等法の制定が急がれているわけでありますが、政府提出の法律案は、条約の精神に反し、女子労働者の置かれている厳しい現状に対する配慮に欠けるものであり、数々の問題点を表明せざるを得ないのであります。
 問題の第一は、その立法形式、立法方法についてであります。
 今、求められている法律は、基本的人権としての平等権が雇用の分野においても確立されるべきであり、労働権は女性にも保障されることを明らかにした新たな権利保障法でなければなりません。ところが、政府案は、現行の勤労婦人福祉法の改正という形をとり、男女の均等な機会及び待遇の確保を女子労働者の福祉の概念で包み込んでいる点は、極めて人権感覚に欠け、後退した内容であると断定せざるを得ません。
 そもそも勤労婦人福祉法は、一九六五年に採択されたILOの家庭責任をもつ婦人の雇用に関する勧告に対応する形で立法されたものであります。雇用における男女平等を実現するための法律は本来単独立法とすべきであるのにもかかわらず、働く婦人の福祉増進を目的とする勤労婦人福祉法の枠組みの中へ立法目的の異なる雇用における男女平等を持ち込むことは極めて不当であります。このような政府の態度は、条約の趣旨を歪曲し、雇用における男女平等に対し真剣に取り組む姿勢が全く見られないのであります。
 問題の第二は、男女の雇用差別撤廃の規制措置に実効性がないことであります。
 政府案は、雇用のすべての段階で女子差別を禁止するというものになっておらず、募集、採用、配置、昇進については企業の努力責任にとどめ、教育訓練や福利厚生も限定的な禁止でしかありません。これでは女子労働者は肝心の雇用の入り口で差別され、狭き門をくぐってやっと雇用されたとしても、昇進昇格などすべての差別につながってしまうのは確実であります。真の男女雇用平等を実現するためには、募集、採用から定年、退職、解雇に至る雇用のあらゆるステージを禁止規定とすることこそが、女子差別撤廃条約の趣旨に合致するものではないのでしょうか。
 問題の第三は、女子労働者が不当な差別を受けた場合の救済措置が貧弱なことであります。
 政府案では、苦情処理については労使の自主的解決にゆだねてしまい、紛争解決の援助について都道府県婦人少年室長には是正命令権が与えられておらず、機会均等調停委員会にいたしましても、その調停には使用者側の同意が必要とされ、使用者が応じなければ全く機能しないものであります。自主的な解決を基調とする行政指導と形だけの調停制度だけでは、弱い立場に立たされている女子労働者を救済することができず、差別を放置するものでしかありません。差別からの救済を迅速に図るため、是正命令の出せる行政機関を設置すべきことを強く主張するものであります。
 問題の最後は、労働基準法の改悪がセットされているということであります。
 特に、女子労働者の時間外労働について、いわゆる工業的職種については、現行の一日二時間、週六時間という規制を外し、深夜業についても、食料品製造加工などに従事する短時間労働者は規制から外すなど、女子労働者保護規定を大幅に改悪していることは大きな問題であります。
 このような労基法の改悪は、母性と健康を破壊するばかりでなく、家庭崩壊をもつくり出し、現実に家庭責任を背負わされている女子労働者は、常用労働者として働き続けることは一層困難となり、不安定なパートタイム労働者が急増することは火を見るよりも明らかであります。労働基準法の抜本改正は既に日程に上っていることであり、女子保護規定については、その際改めて男子労働者の労働条件の改善とあわせて検討すべきものであります。
 しかも、労働基準法改正に当たって要請されていることは、中小零細下請企業への配慮措置を講じつつ、男女ともに健康で文化的な生活が営めるよう、また男女ともに家庭責任が果たせるように、労働時間を短縮し、時間外労働を規制し、有給休暇を欧米並みにふやし、深夜業についてはどうしても社会的に必要なもの以外は原則として認めないという措置であります。これによって、急増しているパートタイム労働者にも常用労働者となる道が開かれるのであります。とりわけ、現在、日本の長時間労働が国際的に非難され、貿易摩擦の要因ともなっており、その観点からもこの改善が求められているにもかかわらず、むしろこれに逆行する措置を講ずるとは、まさに言語道断と言わなければなりません。
 この際申し添えておきたいことは、自民党による若干の修正についてであります。これは修正とはいうものの、政府案の基本的内容を何ら変更するものではなく、むしろ国民の目をごまかそうとするものと言わざるを得ません。
 以上指摘したような重大な問題点を抱えたまま立法化が強行されるならば、恒久平和と基本的人権の尊重を高く掲げた、世界に誇る憲法を持つ我が国の歴史に重大な汚点を残すことになると言っても過言ではなく、自民党政府はその責めを負うことになることをここに強く指摘しておきたいと思います。
 女性の地位は、その国の民主主義発展のバロメーターと言われています。かつての婦人参政権にも並び称せられるべき男女雇用平等法は、形ばかりで実のない法律であってはなりません。経済大国と言われる我が国が権利後進国であってよいでしょうか。
 我が党は、七年前に独自に男女雇用平等法を作成し、繰り返し雇用の分野における男女平等を実現するための法律の制定が必要であることを訴えてまいりました。そして、百一国会に政府案が提出されるに至って、労働四団体及び全民労協や婦人四十八団体を初め、広範な女性たちの統一した要請にこたえ、他の野党との共同歩調のために努力してまいりました。
 すなわち、衆議院においては他の三党とともに共同対案を提出し、参議院においてもこれを基本として政府の姿勢及び政府案の問題点を追及いたしました。この共同対案こそ広範な女性たちの切実な願いにこたえるものであり、その成立こそが統一した要求であることを訴えるものであります。
○議長(木村睦男君) 糸久君、時間が経過しております。
○糸久八重子君 (続)我が党は、今後とも女性差別撤廃条約の完全批准と、実効ある男女雇用平等法の制定を強く求める女性たちの切実な声にこたえ、他の野党と手を携えつつ、雇用の分野における男女平等実現のために奮闘する決意であることをここにあえて申し添え、改めて政府案に反対であることを表明して、討論を終わります。(拍手)
○議長(木村睦男君) 山東昭子君。
   〔山東昭子君登壇、拍手〕
○山東昭子君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となりました雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案に賛成の意を表するものであります。
 御承知のとおり、近年の我が国における女子の職場進出は目覚ましく、その数は一千五百十八万人、雇用労働者の三人に一人は女子であり、我が国の経済社会の発展を支える重要な役割を担って
おります。このような女子労働者の増加の背景には、我が国経済の情報化、サービス化などの構造変化の進展により、女子労働力に対する需要が堅調に伸びていることと、女子の社会参加意欲、特に働きたいという意欲が高まっていることがあります。女子の就業意欲が高まっているのはライフサイクルの大きな変化によるものと考えられます。
 すなわち、かつて多くの女子は子供を五、六人産み育て、生涯の大半は子育てにかかわっていた時代もありました。ところが、今や人生八十年時代に入っており、一方、一人の女子が産み育てる子供の数は二人程度となっております。したがって、末の子が小学校に入学して育児が一段落する三十代半ばから八十歳まで、これをいかに生きるかは女子にとって、また社会全体にとっても大変大きな問題であります。
 このような社会情勢の変化により、結婚、出産までしか働かない者が減っている一方、生涯働き続ける者、結婚、出産により職業生活を一時中断した後再び就業する者がふえております。ドイツの哲学者リップスは、「人はでたらめに婦人の能力を否定せずに、確実なる経験にこれを決定させる必要がある。そのためには、女性にその力を試し、その力を発展すべき機会と権利とを与えなければならない。」と言っております。こうした考え方は、昭和生まれの年代が八割を占めてきた日本でも徐々に定着しつつあります。
 一方、国際的には本年は国連婦人の十年の最終年に当たります。この間、各国とも婦人の地位の向上のための努力を積み重ねてきており、西側先進主要国のほとんどの国において雇用の分野における男女の機会均等を確保するための法制が整備されています。このような世界的な潮流の中で、経済先進国でもあり、かつ国際協調を基本とする我が国といたしましても、この問題に積極的に取り組むことが必要であると存じます。
 特に、昭和五十四年に国連で採択され、翌五十五年には我が国も署名いたしました女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約につきましては、政府は本年七月にナイロビで開催される世界婦人会議には本条約の批准を済ませて臨みたいとしております。条約批准のための条件整備が一日も早く急がれるところであります。
 今回の政府案の主要な柱である雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の促進のための措置については、募集、採用、配置及び昇進に関しては、男女の均等取り扱いについて事業主の努力義務として規定し、業務の遂行に必要な基礎的な教育訓練、福利厚生及び定年、退職、解雇に関しては差別的取り扱いを禁止しております。
 これは、この法制整備のため六年余の長期にわたり審議を行った公労使の三者構成による婦人少年問題審議会の基本的考え方、すなわち、法的整備の検討に当たっては、現状固定的な見地ではなく、長期的な展望の上に立って行うことが必要であるが、法律の制定、改廃を行う場合には、その内容は将来を見通しつつも現状から遊離したものであってはならず、女子労働者の就業実態、職業意識、我が国の雇用慣行、女子の就業に関する社会的意識等の我が国の社会、経済の現状を踏まえたものとすることが必要であるとの考え方に沿ったものであります。
 また、職場において男女の均等取り扱いをめぐる紛争が生じた場合の解決方法としては、事業主による自主的解決の努力、婦人少年室長の助言、指導または勧告による紛争の解決の援助、機会均等調停委員会による調停について規定しており、これらの規定により紛争の迅速、簡便な解決が図られるものと考えます。
 次に、政府案では、妊娠、出産、育児を理由として退職した女子で再就職を希望する者の円滑な再就業を図るため、再雇用特別措置の普及等の再就職の援助のための規定を設けるとともに、乳幼児を抱えた女子が就業を継続することができるよう、育児休業の一層の普及促進のための援助措置の規定を新設することとしています。
 次に、女子保護規定についてでありますが、今回の政府案では、妊娠及び出産に係る母性保護措置を拡充する一方、それ以外の女子保護規定は緩和することとしております。女子保護規定については、これが制定された時代と比べますと、女子の体位や社会的地位も向上したことを考え、母性保護措置を除き、見直すべき時期に来ていると考えます。しかも、このような保護は、女子の職業選択や能力発揮の機会を妨げる結果をもたらす場合があり、男女の均等取り扱いとは相入れないものでございます。
 今回の政府案においては、婦人少年問題審議会の建議において、労働時間を初めとした労働条件等労働環境、女子が家事、育児等のいわゆる家庭責任を負っている状況、女子の就業と家庭生活との両立を可能にするための条件整備の現状等を考慮することが必要であるとされたことを十分踏まえた上で改正を行うもので、意義あるものだと考えます。
 以上の理由により、私は内閣提出法案に賛成するものであります。
 最後に、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保は、法制上の整備だけで実現するものではないと思います。女子自身の職業能力の開発と職業意識の向上が不可欠であることは言うまでもありませんが、これにあわせて男女の固定的な役割分担についての意識の解消が必要であることを述べたいと思います。
 「男は仕事、女は家庭」という考え方については、昨年実施された世論調査で初めて、「同感しない」が「同感する」を上回ったところでありますが、家庭責任は男女共通の問題であるという認識が社会全体のコンセンサスにならない限り、真に男女が同一基盤に立って働くことは難しいと思います。男女雇用機会均等法案の制定を契機として、理由なく女性をべっ視する男性と、都合のよい権利だけを強調する女子労働者の意識とを目覚めさせ、職場における男女の機会均等が進むことは大きな前進であると考えます。
 と同時に、男女平等を叫ぶ人たちに申し上げたい。そんな理想の低いことではなく、国家の中で、また、あらゆる職場において、あの人がいなければこの問題は解決できないと言われるような、真のキャリアウーマンを目指して我々女性は粘り強く行動していかなければならないと思います。その道は険しく、鬼も蛇も出るかもしれません。しかし、その道程を乗り越えるために女子が団結して情熱の火を絶やさぬことを期待いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
○議長(木村睦男君) 中西珠子君。
  〔中西珠子君登壇、拍手〕
○中西珠子君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案について、政府原案並びに修正案に反対の立場から討論をいたします。
 自由民主党提出の修正案によりまして、勤労婦人福祉法改正部分の第一条、目的、第二条、基本理念、第四条、関係者の責務等が多少修正されましたことは一応評価いたします。しかしながら、私どもが指摘してまいりました多くの問題点が原案にそのまま残されている状況では、反対を表明せざるを得ないのであります。多くの働く婦人たちは、この政府原案並びに修正案では、雇用上の平等を確保できないばかりか、労働条件は現状よりも悪くなると失望、落胆いたしております。
 以下、私どもの反対の理由を簡単に申し述べます。
 第一に、原案は、募集、採用、配置、昇進における女性差別が大変深刻であるにもかかわらず、差別を禁止せずに使用者の単なる努力義務にとどめていることであります。
 これは、差別は人間としての尊厳と基本的人権を侵すものであるとして、女性に対するあらゆる
形態の差別を禁止するよう求めている女子差別撤廃条約第二条(b)の要請を満たすものではありません。また、欧米先進資本主義国は一九七〇年代から相次いで男女雇用平等法を制定し、雇用のあらゆる段階において性別を理由とする差別を禁止しているのに比べて、政府原案は日本の後進性を世界にさらけ出すものであります。私どものたび重なる要求にもかかわらず、女性の勤続年数が短いということを理由にして、募集、採用、配置、昇進における差別を禁止しようとしない政府原案は、使用者側の女子労働者に対する差別的な雇用管理を温存するものにほかなりません。
 第二に、差別を受けた女性を救済するための原案の措置は、全く実効性に欠けるものであります。
 条約の第二条の(c)は、差別となるいかなる行為からも女子を効果的に保護することを確保するよう要請しているにもかかわらず、原案では是正命令権のある効果的な救済機関が設けられておりません。原案にあるような、調査権もない上、使用者側の同意がなければ調停を始めることもできない機会均等調停委員会では、全く心もとない限りであります。この委員会は、たとえ調停案を作成して受諾を勧告できましても、受諾期間の定めもなく、迅速、効果的に婦人を差別から保護するのに役立つものとは思えません。
 第三に、原案には不利益取扱禁止規定が欠如していることであります。
 差別を受けた婦人が差別を訴え出たことにより解雇その他の不利益な取り扱いを受けないという保障がなければ、婦人は不当な差別を受けても首になるのを恐れて訴えて出ることもできないではありませんか。
 第四に、労働基準法の女子保護規定の改正が抱き合わせになっていることであります。
 私どもは、この部分の切り離しを再三要求いたしましたが、入れられませんでした。政府は、女子差別撤廃条約の批准には現行の労働基準法の女子保護規定を改正する必要があると主張していますが、一週四十時間労働が既に定着しているヨーロッパにおいてさえ、女子保護法規はそのまま残して条約を批准している国もあれば、留保して批准している国もあるのです。ところが、日本では国際的に非難されている男性の長時間労働を政府は改善しようともせず、今回、女子差別撤廃条約の批准に便乗して、女子の時間外労働規制や深夜業の禁止を大幅に緩和し、さらに危険有害業務就業制限の廃止や坑内労働禁止の緩和などを図っています。これでは働く婦人の健康や安全は脅かされ、特に家庭責任を持つ婦人はパートや派遣労働者にならざるを得ない状況に追い込まれることは必至であります。
 女子保護規定の改正は、十分な調査を行った後に労働基準法全体の見直しの中で行われるべきであり、現在、貿易摩擦の一因ともなっている男性の長時間労働や女性の低賃金の是正がまず先決問題であります。男女ともに労働時間を短縮し、健康と安全が確保できるように労働条件の改善を行い、真に人たるに値する生活をすべての労働者に保障することこそ政府の責任ではないでしょうか。
 最後に、原案では省令への委任条項が二十近くあり、内容的に重要な箇所や微妙な点のほとんどが省令への委任という形で先送りになっております。政府は婦人少年問題審議会に諮って省令を定めると答弁しておりますが、足かけ七年にわたる審議の末、三論併記の建議しか出し得なかった審議会の力関係を見ても、省令の内容が果たして働く婦人の福祉につながるかどうか大変憂慮されるところであります。
 以上、反対の主な理由を簡単に申し述べましたが、公明党・国民会議は、基本的人権としての雇用上の平等並びに男女ともにゆとりのある人間らしい生活の確保のため一層努力することを決意している旨申し上げまして、私の反対討論を終えます。(拍手)
○議長(木村睦男君) 小笠原貞子君。
   〔小笠原貞子君登壇、拍手〕
○小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、政府提出のいわゆる男女雇用機会均等法案に対して反対討論を行います。
 一九八〇年の世界婦人会議に向けての国連の報告は次のように述べています。「婦人は世界人口の二分の一を占め、世界総労働時間の三分の二を働いている。その反面、婦人は全世界の総収入のわずか十分の一、世界の富の百分の一も所有していない」と。私はこの指摘をまことに重大なものとして受けとめました。なぜなら、このことは我が国の働く婦人にも当てはまるものであり、ここにすべての働く婦人の置かれている差別の現状がリアルに表現されているからです。
 思えば、日本経済発展の陰では、紡績の女工哀史に見るように、娘たちには命を削る労働が強いられていたのです。そして今、資本主義国第二位の経済大国と言われる日本において、男女賃金差別も拡大するなど働く婦人は依然として低い地位に置かれています。人間として生きる権利に男女の差別はないはずです。また、その能力においても、生まれながらの男女の差別はないのです。婦人たちはみずからの能力を生かして社会に貢献したいと願っています。そのために、真の男女雇用平等法の制定を求めているのです。
 それは、母性の保護を当然の前提として、雇用機会、賃金、昇進昇格等、職業生活のすべての面で男性と同等の機会、権利を保障するものでなければなりません。そのことは婦人労働者の人格的尊厳の確立、女性の能力の全面的な開花、発揮を保障し、民主主義の発展と社会進歩に貢献することになるのです。だからこそ世界人権宣言は、「すべての人間は、生まれながら自由で、尊厳と権利について平等である」と宣言し、性別による差別を禁止することを高らかにうたい上げたのです。
 また、国連の、女子に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約も、「女子に対する差別は、権利の平等の原則及び人間の尊厳の尊重の原則に反するもの」であり、「社会及び家族の繁栄の増進を阻害するもの」と明記し、国際的にも確認されているのです。それにもかかわらず、政府が提出した本法案は、こうした差別撤廃の目的や理念から全くかけ離れ、婦人の願いにこたえないばかりか、財界の労働政策に追随し、時代に逆行する不当きわまりないものであります。
 特に指摘しなければならないのは、平等の名のもとに労働基準法の改悪を強行するという極めて悪質な法案であり、同時に男女平等の実効性のないものであるからです。我が党が反対する基本的な理由もここにあります。
 すなわち、本法案の不当性の第一は、条約の第四条二項、「母性保護を目的とする特別措置を締約国がとることは、差別とみなしてはならない」と明記されているにもかかわらず、現行労働基準法の女性の時間外・休日労働の制限、深夜業の原則的禁止、生理休暇などの母性保護規定を大幅に後退させるものとなっていることであります。最近発表した政府の婦人白書でさえ、妊産婦死亡率は欧米諸国と比較するといまだに数倍の高率にあると指摘し、長時間労働や深夜業が健康によくないこと、特に母性破壊につながることは、政府自身が意見を求めた専門家会議の報告でも医学的に証明されているではありませんか。
 既に周知のように、西欧諸国では週四十時間労働制、週休二日制が実施され、イタリア、フランスでは三十五時間制が現実的課題となっているのであります。ところが我が国では、いまだに四十八時間制、ヨーロッパ諸国に比べ年間三百時間も多い長時間労働を強いられ、週休二日制もヨーロッパやアメリカでは既に一〇〇%普及している状況の中で、我が国はわずか二五%にしかすぎません。この上、女性の保護規定を緩和し、労基法の改悪を許すならば、婦人労働者に一層の長時間労働が押しつけられることになるのは明白であります。
 それはとりもなおさず、婦人の働く権利を脅かすばかりか、母性の健康を損ない、両親の長時間労働により健全な家庭生活は脅かされ、子供の非行、家庭崩壊の危機を増幅させることになり、しかもこのような婦人労働者への攻撃は、単に女性だけの問題にとどまらず、男性を含めたすべての労働者が戦後の民主主義と労働運動の中で着実に築き上げてきた基本的権利を侵すものであり、我が党は断じて容認できないのであります。
 反対理由の第二は、男女雇用の平等を具体的に実現するための実効ある保障が欠如しているという重大な欠陥を持っていることであります。
 すなわち、本法案は、禁止する差別の対象を非常に狭い範囲に限定しているばかりか、募集、採用や雇用された後の配置や昇進など雇用の全過程において必要な制裁や罰則を欠いているなど、不当な差別を具体的に一切なくすという保障はなく、単に企業の努力義務規定にとどめているため、事実上は男女差別が温存されることになりかねないのであります。だから、我が党は、労働基準法改悪部分を全面削除し、さらに実効性ある男女雇用の平等を実現するための抜本的な修正案を提出いたしました。この修正案こそは真に婦人の願いにこたえるものでありました。しかし、各党の賛同を得られなかったことはまことに遺憾と言わざるを得ません。
 この法案が提出されて以来、雨の日も風の日も、日本全国から厳しい職場での時間をやりくりして国会に駆けつけてきた数百人、いや千数百人の姿を私は思い出さずにはいられません。これほど多くの婦人たちがみずから行動に立ち上がったのは国会史上初めてのことであり、それは進歩と革新の伝統を受け継ぐ輝かしいものとして歴史に残るものとなるでしょう。その婦人たちの「労働基準法改悪反対、実効ある雇用平等法制定を」という主張は、婦人自身の問題にとどまるものではありません。それは未来を担う子供たちのために、そして人類社会発展に貢献することの喜びと誇りを持つ者としての叫びなのであります。今回の闘いの経験を通して、婦人たちは一層の力を蓄え、やがて真の男女雇用平等を確立させるであろうことを私は確信するものであります。
 私は、こうしたすべての婦人たちの熱い願いを込めて、本法案に対する反対討論を終わります。(拍手)
○議長(木村睦男君) 抜山映子君。
   〔抜山映子君登壇、拍手〕
○抜山映子君 私は、民社党・国民連合を代表して、政府提出の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案に反対の立場から討論を行うものであります。
 憲法第十四条は、すべて国民は性別により差別されないと明記しておりますが、就労、勤労の分野では依然として男女間の差別が存するのは残念ながら衆目の認めるところであります。政府は、昭和五十五年に女子差別撤廃条約に署名し、国内準備体制を整えて、本年までに批准することを決定いたしておりましたが、この五年間、政府の活動にはまことに遅々たるものがあり、このたび批准のタイムリミットを目前にして急遽提出したのが本案であります。この法案は、我々の期待したいわゆる雇用平等法とはほど遠く、従来、有名無実のそしりがあった勤労婦人福祉法に接ぎ木した形のものにすぎず、内容的には男女雇用の現状を追認する色彩が濃いものであります。
 以下、政府案に反対の理由を申し述べます。
 まず、雇用の分野における男女の機会及び待遇の均等を実現し確保するための立法は、憲法第十四条に規定する基本的人権の保障措置の一つであります。したがって、この立法は政府案のように、募集、採用、昇進、配置について努力義務規定にするのでなく、雇用の全ステージにつき差別的取り扱いを禁止すべきであると考えるものであります。欧米主要国の雇用平等法が、募集、採用から定年、解雇に至る雇用の全ステージについて禁止規定としているのに比し、我が国だけが男女の雇用における平等の分野で劣後し、世界にその後進性を露呈することはまことに恥ずかしい限りであります。
 第二に、差別的取り扱いの是正、救済は、基本的人権の侵害に対する措置である以上、公権力による権利侵害の是正、権利の救済、回復の措置を命ずることができるものでなければなりません。
 この法案は、差別の救済として、企業内の自主的解決、都道府県婦人少年室長の助言、指導、勧告及び機会均等委員会による調停を規定しているにとどまります。しかし中小企業が九一%を占め、しかも女性の就業する職場は中小企業の中でも零細企業が圧倒的に多く、過半数の女性が組合もないような零細企業で働いている実情からすれば、企業内の自主的解決は望むべくもありません。
 また、調停については、募集、採用をことさらに調停の対象から除外していること、また調停の開始には相手方の同意を要するとして、実際には事業者が調停に同意しないことにより調停を封ずることができることなど、あってなきに等しい調停制度になっているのであります。これでは有効な救済機関たり得ず、規制の実効の担保がないといって過言でないのであります。
 さらに、本案には、調停等を申し立てたことによる不利益取り扱いの禁止条項がありません。これなくしては女子労働者は安んじて申し立てをすることができないことは申すまでもありません。
 第三に、労働基準法の改正については、本来、労働時間の短縮等、昭和二十二年以来本格的な改正が行われてこなかった同法の抜本改正をまず行うべきであるにもかかわらず、女子保護規定のみを抜き出し、平等とセットにして改正を企図してきたのは納得のいかないものがあります。
 本来、労基法の基準を緩めることは、労基法に定める最低の基準を引き下げるものですから、特に慎重に検討すべきであるにもかかわらず、この改正部分について国民、特に女子勤労者の理解が得られないままに改正を強行することはまことに遺憾であります。女子保護規定を留保したままの条約批准は法的に可能であり、現に諸外国の中には留保をつけて条約を批准しているものもあり、我が国が急いで保護規制を緩和する必要はどこにもないのであります。
 我が国では、保育所の数は公私立合わせて二万二千八百五十四、うち夕方七時までの延長保育所がわずかに二百九十七カ所、夜間保育所が何と十七カ所です。その結果、劣悪なべビーホテルが蔓延し、ベビーホテル四百四十八カ所中三百カ所が改善指導の対象とされているありさまです。また、特別養護老人ホームも極度に不足しており、増設が急務とされています。このような社会環境の不整備の中で保護の規制を外すことは暴挙であります。まず欧米並みにこれらを整備し、育児休業制度も確立して、しかる後、保護を緩和するのが順序であります。
 本案の中には省令委任の箇所が多数あり、しかもその範囲が極めてあいまいであります。省令委任は本来例外でなければならず、手続的事項に限るのが普通です。ところが本案は、懸念の焦点となっている労基法の保護を緩和する範囲を省令に委任しており、国会審議軽視のそしりを免れないものであります。
 第四に、育児休業制度については、当面行政指導で普及促進を図ることとしておりますが、育児休業制度の確立は、働く婦人の職業生活と育児との調和を図り、勤労者の雇用の安定と乳幼児の健全な発達を図るために不可欠であり、これを行政指導で行うのは適切でなく、スウェーデン、西ドイツ、オーストリア、イギリス、イタリアなどにおけるように、法律上これを制度化すべきだと考えるものであります。
 なお、参議院社労委員会において、自由民主党・自由国民会議が提出した修正案により政府原案に一部修正が加えられましたが、この部分はま
ことに微々たるものにすぎず、我々が指摘した基本的な点について何らの修正も加えられておらず、残念に思うものです。
 日本の社会は、欧米諸国に比し、労働時間、労働条件、産業構造、社会環境など、すべてにおいて格段に劣悪であります。そのためILO条約で未批准のものが多数あるという情けないありさまです。かかる中において本法案が成立すればいかなる結果をもたらすか、不安を感じざるを得ません。本法案審議の現段階において、本年は女性を門前払いにしたという逆効果が既に企業の一部に出ており、また労基法のいわゆる改悪部分は、家庭崩壊、母性破壊、女性をパート市場に駆逐する等の結果を招くこと必定であり、憂慮にたえません。
 我が党としては、本法案が国際的レベルにはるか及ばず、女子差別撤廃条約の精神を体現する国内法としてまことに不十分なものであることを強く指摘し、ここに反対の態度を表明して討論を終わるものです。(拍手)
○議長(木村睦男君) これにて討論は終局いたしました。
    ─────────────
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 まず、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省関係法律の整備等に関する法律案の採決をいたします。
 本案の委員長報告は修正議決報告でございます。
 本案を委員長報告のとおり修正議決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は委員長報告のとおり修正議決されました。
 次に、職業訓練法の一部を改正する法律案の採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ─────・─────
○議長(木村睦男君) 日程第四 国務大臣の報告に関する件(内閣総理大臣の帰国報告)
 内閣総理大臣から発言を求められております。発言を許します。中曽根内閣総理大臣。
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、今般、国会のお許しを得て、五月二日から四日までボンにおいて開催された第十一回主要国首脳会議(サミット)に、安倍外務大臣、竹下大蔵大臣、村田通産大臣とともに出席し、その際あわせてドイツ連邦共和国コール首相の招待にこたえて同国を訪問し、五月七日に帰国いたしました。ここに、その概要を御報告申し上げます。
 今次ボン・サミットは、世界経済が回復の道をたどりながらも、財政、雇用及び対外収支等の分野で先進各国がそれぞれの問題を抱えるとともに、それを背景として保護主義圧力が高まりつつあり、また、一部開発途上国は依然深刻な累積債務問題等を抱え、特にアフリカ諸国では飢餓の苦しみから脱し得ないでいるという厳しい情勢のもとで開催をされました。
 また、国際政治の面においても、第二次世界大戦終戦四十周年という節目を迎え、参加国が第二次大戦の勝敗を超えて、過去四十年間に築き上げてきた協力と連帯関係を世界の永続的平和の達成のためにいかに強化し、拡充していくか、とりわけソ連における新政権の誕生等の新たな局面を迎え、米ソ軍備管理・軍縮交渉の推進等に西側諸国がいかに対応していくのかといった点が注目されていたところであります。
 私は、今次サミットに臨むに当たり、各党党首の方々の御見解を承りました。こうした御見解も踏まえつつ、サミットの場において私は、経済及び政治の分野において我が国の考え方を説明し、その立場を的確に主張してまいりました。私は、こうした対応によって、我が国の考え方、政策等について各国首脳の十分な理解と協調を得ることができたと確信いたします。今次サミットの具体的成果は、ボン経済宣言、及び第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言という形で明らかとなっております。かかる成果を通じ、西側主要国の協力関係は世界情勢の変化に適合するようにさらに一歩前進し、持続的成長に向けての改善が再確認されました。
 まず、ボン経済宣言についての所見を申し述べます。
 第一に、経済政策全般の分野について申し上げます。この分野では、先進諸国を中心として景気の拡大基調が継続する中で、米国等の財政赤字とドル高及び高金利、欧州等における高失業と構造的硬直性、日本における対外収支不均衡及び市場開放の不徹底といった世界経済の成長の制約要因となる諸問題にサミット参加国がいかに取り組んでいくかが討議の中心となりました。この関連で私は、サミット参加国がかかる問題に対応するに当たって、相互に相手を非難するのではなく、サミット国間の協調による努力の結集が最も重要であるとの姿勢で臨みました。かかる姿勢のもとに、我が国としては、行財政改革の努力、市場開放や輸入拡大の奨励、規制緩和による内需拡大努力等を積極的に推進していくとの考え方を説明いたしました。このように我が国が進んで積極的取り組みの姿勢を示したことは、他のサミット参加国がそれぞれの問題につき同様の姿勢をとることを促す結果となったと考えられますが、同時に、今後の我が国の対外経済問題への取り組みに対する各首脳の期待には極めて大なるものがあり、責任の重さを痛感した次第であります。政府としては、今後かかる期待にこたえるためにも、本分野において全力を挙げて努力する所存であり、国民各位の御協力もあわせてお願いする次第であります。
 我が国以外の各国もそれぞれ解決すべき課題に対する政策目標を明らかにしました。すべての国がそれを実行することにより、国内問題の解決のみならず、世界経済の持続的発展とともに対外均衡の回復に貢献することが要請されております。
 第二は貿易の分野であります。この分野では、近年ますます高まりつつある保護主義の圧力をいかに封じ込め、世界の自由貿易体制を守り抜いていくかという点が議論の焦点となり、新ラウンドの早期開始について首脳間で極めて熾烈な意見交換が行われました。その結果、新ラウンドをできる限り早期に開始すべきであるとのOECD閣僚理事会での合意が強く支持された上、サミット参加国のほとんどが、新ラウンドを明年中に開始すべきとの点について合意し、本件交渉の開始に向けて一歩を踏み出したと考える次第であります。また、国際通貨制度の改善についても討議が行われ、今後の作業日程について意見の交換が行われました。
 第三に、開発途上国との関係につきましては、開発途上国の経済発展、さらにはその社会的、政治的安定を促進するためにいかなる措置が肝要であるかとの問題につき活発な討議が行われました。その関連で、開発途上国の経済的、財政的困難を克服し、健全な発展を促進するため、先進諸国としては途上国への資金の流れ、なかんずくODAの拡充が重要であるとの点で意見の一致を見ました。さらに、直接投資の促進、国際通貨基金及び世界銀行の役割の強化、対アフリカ支援等の問題についても意見の交換がなされました。我が国よりは、これに関し、開発途上国の発展のために一層の協力強化が必要との基本認識に立って、特に、ODAに関しては、一九八六年以降も新たな計画を策定して拡充に努力する旨説明し、各国より高い評価を受けました。これに加えて私としては、技術移転、特恵改善等の重要性をも強調し
た次第であります。なお、本分野での私の発言は、アジア、太平洋諸国の要請にもできる限り留意して行った次第であります。
 経済問題では、以上の諸点が今次サミットで討議の中心となったと考えておりますが、このほか、環境問題、科学技術、生命科学と人間の問題等についても意見交換が行われたことを付言いたします。
 次に、政治問題についての成果を御報告申し上げます。
 冒頭でも触れましたとおり、今次サミットは第二次世界大戦終戦四十周年という節目の年に開催されたため、第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言を採択し、サミット七カ国が過去における不幸な対立を完全に超克して、自由と民主主義という共通の価値によって強く結ばれ、世界平和の維持と、技術と産業の変化が我々の社会にもたらす新しい機会と挑戦に一層有効に対処するため相互の連携をさらに強化することの必要性を改めて再確認いたしました。
 また、特に今次サミットは、ジュネーブ軍備管理・軍縮交渉の開始という東西関係緊張緩和への微光が差し始めた極めて重要な時期に開催されましたので、私は、ウィリアムズバーグ・サミット、ロンドン・サミットの延長線上に立って、西側諸国の連帯の重要性を強調するとともに、とりわけ米ソ首脳会談の早期実現を初め、東西対話促進の重要性を強く訴えかけた次第であります。我が国のこのような主張は本政治宣言の中に盛り込まれることとなりました。また、アジアからの唯一の参加国として、アジア情勢につき説明し、政治宣言の発出に際しては、欧州の分断への言及に加え、朝鮮半島の分割の平和的解決を可能とするような環境醸成にも言及すべきことを主張した結果、この点も宣言に盛り込まれることになりました。
 現下の国際情勢は、既に申し述べたとおり、東西関係の面で行き詰まりを打開しようとする新たな動きがある一方、カンボジアやアフガニスタンにおける情勢には変化はなく、また、アジア、中東、中米、アフリカ等至るところで依然として紛争が続いております。かかる状況のもとで、紛争の平和的処理、軍備管理・軍縮の促進に向かって決然と取り組むことを初めとして、世界の平和と安定を維持発展させるためには、サミット諸国の協力、団結が不可欠であり、今次サミットではこのような点につき参加首脳の間にあまねく意見の一致が見られたことは大きな成果であったと考えられます。
 SDIにつきましては、サミットの場では主として米国の考え方の説明を聴取いたしました。なお、私はレーガン大統領との会談において、SDI研究を非核、防御、核兵器廃絶のための研究であるとの説明に対しこれを理解するとの我が国の従来の立場を再確認するとともに、ソ連に対し一方的優位を追求するものではない等々の五つの原則をともに確認いたしました。
 以上御報告申し上げました第十一回主要国首脳会議出席に先立ち、私は、コール・ドイツ連邦共和国首相の招待により、四月三十日から五月一日まで同国を訪問いたしました。また、右会議に出席した後、五月五日より六日まで、ベルリン日独センター設立記念レセプション出席のため、ベルリンを訪問し、また日独間経済交流の中心地であるデュッセルドルフを訪問いたしました。その間に私は二度にわたりコール首相と会談したほか、同首相と半日ライン下りをともにし、個人的な信頼関係を深めるとともに、伝統的に友好関係にある両国の関係の一層の強化に努めました。
 私とコール首相は、会談後、世界の平和と繁栄のための日独ステートメントを発表いたしました。この中で日独両国は、ベルリン日独センターの設立を東西文化の交流融合、日独協力関係の拡大発展のための礎として高く評価するとともに、専門家、学生、若い学者、実習生、芸術家等の交流の強化に関する作業部会の設立につき意見の一致を見たほか、科学技術、開発援助等の分野での協力強化につき合意いたしました。日独両国の国際的地位が高まっている今日、両国首脳がこのように世界の平和と繁栄のための方途につき大局的見地から話し合い、認識の一致を得たことは大変意義深いものであり、今次ドイツ連邦共和国訪問は大きな成果をおさめることができたと考えております。
 私は、各政党を初め全国民の皆様方の温かい御鞭達と御支援に接しましたことに対し、心から感謝をいたします。また、各位の御支援に対し、必ずしも十分御期待に沿い得ぬ点もあったかと存じますが、御理解をいただきたく、さらに、今後とも御協力、御鞭達を賜りますようお願いして、私の報告を終わります。(拍手)
○議長(木村睦男君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。初村滝一郎君。
   〔初村滝一郎君登壇、拍手〕
○初村滝一郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、総理のボン・サミット報告に対し、若干の質問を行います。
 このたび、中曽根総理は三度目のサミットへ出席されました。その円熟した外交的手腕を世界のひのき舞台で十分に発揮せられ、主導的役割を果たされましたことに深甚なる敬意を表しますとともに、外務、大蔵、通産の各大臣並びに我が党派遣の高平公友、名尾良孝両君を初め、関係者の御労苦を多とするものであります。
 今日、世界情勢は、年初頭における米ソ軍縮交渉があったとは申せ、その後の推移を見れば、先行き予断を許さぬものであることは確実であります。また、世界経済も、保護貿易主義の台頭を初めとして、開発途上国における累積債務問題など、政治、経済の両面にわたって困難な問題を抱えております。このときに当たり、先進国首脳が一堂に会し、複雑化した国際関係について各国首脳が忌憚のない意見交換を行われましたことは、極めて意義深いものがあると存じます。総理は、今回のサミットの成果をどう受けとめておられますか、まず承りたいと思います。
 次いで、世界の政治情勢の認識の問題でありますが、御案内のように、今日の世界情勢は、米ソの軍備管理・軍縮交渉の開始、ソ連の新政権の誕生等新しい局面を迎えております。かかる背景の中で、各国首脳との間で国際政治情勢について論議が交わされましたが、国際政治、軍事情勢をどのように分析し、共通の認識を持たれたのか、御説明を賜りたいと思います。
 特に、SDIについては、レーガン大統領は、研究がソ連への優越性を目指すものでなく、友好国の団結によって平和維持を図るものである、核兵器、中距離核戦力に関し、攻撃、防衛両面の均衡をとり、平和をもたらすものと説明されております。SDIについては、正規の首脳同士による会議では議論されなかったようでありますが、総理は、ソ連への一方的優位を求めないなど五原則についてレーガン大統領に示し、完全に意見の一致を見ているようであります。SDIについての総理の見解と今後の対応を伺っておきます。私は、世界で唯一の被爆県民としてあらゆる核の廃絶を願うものであり、その意味から、SDIが究極的に世界の核軍縮、平和につながるものであることを信じたいのであります。
 さらに、今回の政治宣言において、朝鮮半島の統一問題が初めて取り上げられまして、南北当事者の朝鮮半島の分割を克服することを可能とするような政治環境が創設されることに対し、先進主要国が共通の希望を表明したことは歓迎するものであります。韓国はこれを受けて、日本の役割を評価しておりますが、総理の所見はいかがでありましょうか。また、このために我が国としていかなる外交的努力を払われるのか、その方針を承りたいと思います。
 次は、経済宣言の問題であります。
 現在の世界経済情勢を眺めてみますと、世界の
景気は着実に回復に向かっておりますものの、未解決の課題もまた多く抱えております。すなわち、アメリカを初めとする各国の大幅な財政赤字の問題、高金利の問題、欧州を中心とする高い失業率の問題、さらには我が国の経常収支不均衡の問題など、いずれも根の深い、中長期的に時間を要し、しかも構造的性格を有しているだけになかなか厄介であります。今回の経済宣言は、こうした背景を踏まえて、「持続的経済成長及び雇用の拡大を目指して」との副題のもとに、成長及び雇用、開発途上国との関係、多角的貿易体制及び通貨体制、環境政策、科学技術における協力の五項目が決定を見ておりますが、以下主要な問題点についてお伺いをいたします。
 その第一点は、これまで中曽根内閣の行ってきたインフレなき財政経済政策が、ボン・サミットという国際的な場で再確認されたということであります。すなわち、経済宣言では、財政に頼ることなく、民間経済を活性化して民間主導の経済政策を進めることで合意いたしましたことが大きな特色でありますが、我が国は、中曽根内閣の従来の積極的な主張により、規制の緩和及び民間活力を発揮させる方向でこれまで経済政策を運営してきました。これは今回のサミットの精神に沿うものであり、国際的にも従来政府が採用してきた政策の正しさが改めて認められ、評価されるものであります。政府は、このサミットの合意を受け、市場重視の基本的な経済政策を進めることになると思うが、その民間主導の具体的な政策を今後どうとるのか、その内容を示していただきたい。
 これに関連して、我が国と同様に民間主導の成長を実現してきたアメリカ、イギリスは、減税により民間活力の導入を高めてきました。総理は従来から税制改革を述べられてきましたが、サミットの全体会議でも、内需拡大に関連し、税制の抜本的な見直しに着手する考え方を表明されました。所得税減税、投資減税など積極的な減税政策を採用して民間活力の培養を図るべきと考えますが、総理の所見を賜りたい。
 また、サミットでは、米国経済の成長が減速する中で、世界経済のために各国がどのような役目を分担すべきかが討議されております。我が国には、金融の国際化とともに市場アクセスの改善や輸入増加の奨励など、三百五十億ドルを超える巨額な経常収支の黒字圧縮対策が求められております。我が国としては、四月の経済対策による市場開放への取り組みを打ち出したことで各国より評価されておりますが、それ以上に今後この黒字圧縮のために、六月までに東南アジアなど発展途上国向けの関税引き下げ、及び七月中にまとめる予定の市場開放のためのアクションプログラムを決めることになっておりますが、その具体的内容及び方針はどうなっておるのか、お伺いをいたします。
 また、ガットの新ラウンドの開始が一九八六年中に決められることになっておりますが、この点について日本としてどういう基本的方針を持っているのか、お伺いをいたします。
 さらに、国際通貨制度の機能改善については、六月の十カ国蔵相会議で相談し、十月のIMF暫定会議で協議し、まとめられるそうでありますが、現在何といっても一番重大なことはドル高であります。それについては見直しの具体策が今回の宣言でまとまらなかったことはまことに残念であります。今後どのような方針を考えておられるのか、お伺いをいたします。
 以上いろいろお伺いいたしましたが、要すれば、我が国が自由世界第二位の国力を有する地位、立場を十分に受けとめて、我が国の存立そのものが自由貿易体制の中にのみあることを念頭に置くべきであると考えます。このためには、我が国はみずからの黒字解消に努めるとともに、その要因となっているドル高や米国の財政赤字等についても強い姿勢で臨み、自由なる国際経済システムの中で主導的役割を果たすことが責務であると考えますが、総理の決意のほどをお伺いします。
 最後に、西ドイツ問題についてお伺いをいたします。
 コール首相の招聘によって、ボン・サミットの機会に総理は西ドイツを訪問されました。五月一日には、父なるラインの大河下りの船上において、雨降りしきる中、コール、中曽根の両御夫妻が肩を抱き合ってローレライを合唱する姿は、まさに両首脳にとっては、ともに戦いに敗れて四十年、同じ境遇から立ち上がり、今や世界の主要国の代表者として去来する感慨ひとしきりのものがあったと想像をいたします。
 そこで、両国間では、世界の平和と繁栄のための日独ステートメントが発表されておりますが、今後どのような方針で両国の友好親善を推進する考えでありますか。
 また、総理は、現職総理として初めてベルリンを訪れ、在ベルリン旧日本国大使館建物の再利用のための日独センターの発足に出席されました。今後、同センターは、日独両国だけでなく、日欧、ひいては東洋と西洋を結ぶ拠点となって人類の平和のために貢献されることを期待するものでありますが、総理はどういう考え方をお持ちでありますか。
 さらには、旧帝国議会議事堂のバルコニーに立たれ、東西を分割するベルリンの壁を展望されましたが、どのような感想をお持ちであるかお伺いしたいと思います。
 以上で質問を終わりますが、どうか我が国はあくまでもアジア・太平洋の代表者であることを十分踏まえ、開発途上国問題を中心として世界の諸情勢に十分対処しつつ、西側の結束を図って世界の平和と繁栄に貢献すべきであると考えます。来年はいよいよサミット主催国として総理が議長を務めるわけでありますが、どうか国際国家日本のリーダーとしてますます御精進されることを切に祈って、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 初村議員にお答えをいたします。
 まず、ボン・サミットの成果でございますが、一生懸命やったつもりではありますが、必ずしも十分御期待に沿い得なかったことを残念に存じます。
 ただ、今回のボン・サミットは、非常に難しい経済、政治の局面に開かれまして、各国ともかなり勉強して集まったという感じがいたしました。一部には相互非難の可能性を心配する向きもありましたが、それぞれの問題に責任を持って取り組む積極的姿勢をお互いが示し合いました結果、参加国の協調と団結が強く打ち出されたと思います。
 第一は、経済宣言に取りまとめられております。これは、世界経済のインフレなき持続的成長発展のためにとるべき諸施策について各国の合意をまとめた次第でございます。特に、自由貿易主義の推進、保護主義に対する闘い等につきましては完全に一致しております。この点は大きな成果であったと思っております。
 また、政治宣言におきましては、終戦後四十周年という歴史的な節目に当たりまして、戦いに勝った者、敗れた者、相ともに自由と平和と民主主義という価値に向かって強く提携をして、世界の平和と自由と民主主義のために立ち上がろうという決意を再確認いたしました。そのほか、米ソ首脳会談等の微妙な時期を控えまして、平和と軍縮に向かって強く前進をするという意思を明らかにした、こういう点が私は極めて意義あるものと考えておる次第でございます。
 次に、サミットにおける国際政治、軍事情勢の分析と共通の認識という御質問でございますが、現下の国際情勢は、新しい米ソ軍備管理交渉の開始、あるいは米ソ首脳会談の開催の可能性が見え始めました。こういうように一面では東西関係では明るい面がございますが、また一面におきましては、カンボジア、アフガニスタン等の情勢、中近東の情勢というものは大きな変化はない、地域
紛争が続いているという厳しい環境にもございます。このような国際情勢のもとで世界の平和と安定を維持発展させるためには、サミット構成国が協力、団結することが不可欠であります。また、このような団結のもとに、世界平和、軍備管理、核軍縮に決然と取り組むということが重要であると考えた次第であります。今回の会議におきましては、これらの点につきまして広く意見の一致を見たということは極めて意義深いものがあると考えている次第です。
 次に、SDIについての見解でございますが、今次日米首脳会談では、さきにレーガン大統領から、SDIは防衛的なものであり、かつまた非核兵器であり、それは核兵器廃絶を目的としているという先般の説明に対して、私は、その道徳的価値と申しますか、正当性と申しますか、それを自分たちは理解をする、そういう意味において先般発言をいたしました。それを確認したということであります。
 そのほかに、今後のSDIに対する研究参加の問題が出てまいりましたが、これについては今後慎重に検討していくという態度で一貫してまいったつもりであります。
 また、米国に対して、ソ連に対して一方的優位を追求するものではない等のいわゆる五原則を提示したわけであります。すなわち、ソ連に対する一方的優位を追求するものでないということ。西側全体の抑止力の一部としてその維持強化に資する。この意味は、アジアを犠牲にするものでないということが含まれておるわけであります。第三が、攻撃核兵器の大幅削減を目指しているということ。第四が、ABM条約には違反しないものであるべきこと。第五が、開発、配備については同盟国等との協議、ソ連との交渉が先行すべきである。この五原則を示しまして、レーガン大統領と意見一致を見た次第なのでございます。
 次に、朝鮮半島に対する政策でございますが、政治宣言におきまして、欧州の分割と並んで、我が国の働きかけにより朝鮮半島についても言及され、南北両当事者による平和的解決のための環境醸成の重要性がうたわれたのであります。朝鮮半島の問題は、あくまで南北両当事者の直接対話が基本であります。我が国は、引き続き韓国の対話努力を支援しつつ、米国、中国、ソ連等とも緊密な協力を図って環境醸成に努めてまいるつもりであります。
 次に、民間主導の経済政策についての御質問でございますが、サミットの経済宣言におきましては、各国が節度ある財政金融政策等を実施して、インフレなき持続的成長及び雇用の拡大を図っていくということについて合意をいたしました。我が国といたしましては、この線に沿いまして、先般決定した四月九日の政策を、今後とも内需中心の経済成長の達成を図ることを頭に置きつつ努力してまいるつもりでおります。
 次に、民間活力の培養のための減税問題でございます。
 所得税減税等につきましては、赤字公債の増発によってこれを賄うことは適当ではございません。減税問題については、政府としては内容については白紙であります。投資減税につきましては、国内民間需要を中心に着実に景気は拡大しつつあります。一部分まだらなところもございますが、全体的にはそういう状況に今上がりつつあると思います。六十年度におきましては、試験研究促進のための基盤技術研究開発促進税制及び中小企業技術基盤強化税制を創設いたしました。いずれにしても、持続的な内需中心の経済成長は、我が国にとっても重要な課題であると心得ております。今後、民間活力が最大限発揮されるような環境の整備、規制の解除等を行ってまいる所存でございます。
 減税につきましては、サミットにおきましても私は、戦後、日本としてはいろいろ税制改革を行ってきたが、今回は大規模な税制改革を目指して取り組んでいくつもりである、将来取り組むつもりであると、そういうことも言明をしてきたのでございます。なお、減税問題に関する今国会における与野党の書記長・幹事長会談等の結果につきましては、これを尊重してまいるということは申すまでもないことでございます。
 次に、東南アジアなど発展途上国向けの政策の問題であります。
 我が国は、東南アジア諸国を初め開発途上国の経済発展には、従来からこれを重要視してきておるものなのでありまして、サミットの席上におきましても特に私は発言を求めまして、これらの発展途上国に対する特別の配慮の必要性を具体的に申し述べまして、これを宣言にも盛っていただいた次第なのでございます。我が国といたしましては、市場アクセスの一層の改善あるいは開発途上国への諸般の対応等、中期的政策あるいは関税政策、当面の政策等、十分検討した上で充実した政策を実行してまいるつもりであります。 本年六月には、日本・ASEAN経済閣僚会議も開催予定をありまして、個別品目の関税引き下げに係る決定は本年上半期中に行いたいと考えております。
 次に、アクションプログラムの具体的な内容、方針の御質問でございます。
 アクションプログラムにつきましては、四月十九日に設置されました政府・与党対外経済対策推進本部においてその策定要領を決定しております。現在、各省庁はアクションプログラム策定要領に即して、原則自由、例外制限という基本的視点に立ち、自主性・積極性、国際性、実効性・透明性を持った内容のものを策定すべく鋭意検討中であります。
 このアクションプログラムの対象期間は原則として三年以内ということでありますが、できるだけ早期にやるべきものはやっていきたいと考えており、その内容は関税、輸入制限、基準認証・輸入プロセスの問題、政府調達、金融資本市場、サービスの六項目を包含しておるものなのでございます。
 次に、新ラウンドに対する基本方針でございますが、今次サミットの合意により、我が国が提唱してきた新ラウンドに向けて路線がたくましく設置されたものと考えております。フランス及び途上国への働きかけを今後一層強化し、明年春の交渉開始に向けて一層の努力を行いたいと思っております。フランスも、この直前に行われましたOECDの閣僚理事会において決定した自由貿易の推進、そして来年……、来年という言葉はございませんが、できるだけ速やかに新ラウンド交渉を行うという文章には賛成をしておるのでございまして、いつ、どういう内容でやるかということが問題であったので、新ラウンドを行うということについては反対はしていないのであります。
 また、途上国の関心に対しましても十分な配慮を行うとともに、貿易障壁の軽減、撤廃を通ずる市場の拡大等、新ラウンドのメリットを十分途上国に理解してもらう必要もあり、このような努力をしてまいりたいと思います。
 国際通貨制度の機能改善の問題でございますが、ボン経済宣言にありますとおり、十カ国蔵相会議を六月に東京で開催をいたします。そして、現行の検討作業の取りまとめを行い、さらに十月のソウルにおけるIMF暫定委員会で本問題が討議される予定であります。我が国としては、現行の変動相場制を前提に、その現実的かつ漸進的改革を推進する考え方でおります。
 自由貿易体制堅持のための我が国の役割でございますが、我が国にとって、世界経済に占める我が国の地位にかんがみ、自由貿易体制の維持強化等を図るために積極的に今後とも努力してまいりたいと思っております。
 かかる観点から、対外経済問題諮問委員会の諸提言を十分尊重して政策運営に当たるとの四月九日の決定を踏まえ、今後とも内需中心の経済成長の達成を図るとともに、我が国市場へのアクセスの一層の改善、輸入の促進等に努めてまいりたいと思います。また、今後とも機会あるごとに米国
に対しましては、財政赤字、高金利、ドル高の是正が必要であると指摘していく考え方でおります。
 今後の日独友好親善推進の方針の問題でございますが、有力な先進民主主義国家である日独両国の関係緊密化は、単に両国の問題にとどまらず、世界の平和と繁栄に貢献するものとして極めて重要であります。かかる基本的認識に基づき、日独間の伝統的友好関係を基礎に、より多面的で広がりのある関係の構築を目指したいと思っております。具体的には、一層の人物交流の促進、学術文化及び科学技術、開発援助を初めとする幅広い分野における協力の促進に努めるつもりであります。
 ベルリン日独センターの果たすべき役割につきましては、これは日独両国の発展のためのみならず、日欧、ひいては東洋と西洋の知性の出会いの場として、両者がそれぞれ何千年に及ぶ時を費やして蓄積されてきた知恵を持ち寄り、学び合うのを助け、もって東西間及び南北間を含む国際間の相互理解と相互信頼の構築に資するように努力してまいるつもりでおります。
 ベルリンの壁を視察した感想いかんということでございますが、国際政治に携わる者の一人として、世界平和の重要性、緊張緩和の必要性を改めて認識をいたしました。チャーチルは鉄のカーテンと言いましたけれども、一見、見たところは一つの土の壁にすぎないものでありますが、それが鉄のカーテンのように重々しく受け取られているというところに現代世界の悲劇があるように思われております。東西間の相互理解と相互信頼をますます構築して、この壁が取り払われるように、今後とも努力していきたいと考えた次第でございます。(拍手)
    ─────────────
○議長(木村睦男君) 野田哲君。
   〔野田哲君登壇、拍手〕
○野田哲君 私は、日本社会党を代表して、先日、ボンで行われた第十一回主要国首脳会議について、総理並びに外務大臣、大蔵大臣に質問を行います。
 今回のボン・サミットは、第二次世界大戦の終結から四十年、そしてアメリカにとってはベトナム戦争終結から十年という節目に開かれたものであります。またこの日は、我が国にとっては平和と民主主義、基本的人権の尊重を基調とした日本国憲法の三十八回目の記念の日でありました。それだけに、今回のサミットが核兵器の廃絶、全面軍縮、緊張緩和の方向に向かうのか、それとも核軍拡、緊張激化の方向に向かうのか、また経済の面では、先進資本主義諸国間の矛盾の拡大に対して、国民の暮らしを守ることを基本にしてどのような処方せんがつくられるのか、国民は大きな関心を持ってその成り行きを見詰めていたところであります。
 中曽根総理は、ボン・サミットの終了に当たって、現地での記者会見で、非常に成果の上がったサミットであったと評価されておられるようでありますが、果たしてそうであったのでしょうか。アメリカの対ソ戦略を一方的に支援する中曽根総理が常にレーガン大統領に寄り添うような姿がひときわ目立ち、アメリカの意図するSDIについても実質支持を与え、当面する経済摩擦の解消策や財政対策についても、出発前に野党各党が主張した内需拡大のための政策は何ら考慮されておらず、国民にとっては期待外れのサミットだったのではないでしょうか。
 フランスのミッテラン大統領は、次の東京サミットには不参加の意向すら表明し、アメリカ主導のサミットそのもののあり方が問われて、サミット崩壊論の見方さえ出ているときに、総理は何をもって非常に成果の上がったサミットと評価されているのか、まずその総括的な評価について総理の見解を伺います。
 次に、その政治宣言を見ると、「第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言」となっており、その前段では、第二次世界大戦の反省と世界の平和への高い理想を掲げながら、後段では依然として、日本を含めた西側諸国の軍事力の強化、アメリカの危険な宇宙への軍拡を評価するという矛盾に満ちたものとなっています。国民が強く求めている核兵器の廃絶、全面軍縮、緊張緩和という期待にこたえるものにはなっていないし、また経済宣言についても、国民が一番強く望んでいる国民生活の安定向上、内需の拡大を基調とした経済摩擦の解消策について何ら具体策が示されず、逆に税制改革を約束させられるなど、国民の期待に反する内容になっていると言わざるを得ません。
 中曽根総理は、日本国の代表として、どのような立場でこのサミットに臨み、国際的に何を約束してこられたのか、以下、具体的に伺います。
 今度のサミットでの最大の関心事は、アメリカの提起するSDI、戦略防衛構想に対して参加各国がどのように対応するのかということでありました。結果的には、アメリカのSDIへの参加要請は、フランスのミッテラン大統領の強い反対によって各国の合意を得るには至らなかったものの、この会議の一連の経過を通じて、私は中曽根総理のこの問題に対する姿勢に大きな危惧を持つものであります。もともと我が国は、憲法の理念によっても、非核三原則や宇宙の平和利用の国会決議の趣旨からしても、この構想への参加はあり得ないはずであります。ところが中曽根総理は、参加各国首脳の中でも最も積極的にレーガン大統領の要請にこたえようとしたのではないか、こういう印象を持たれています。
 そこで、SDI問題についての質問の第一点は、中曽根総理は、今回のサミットとそれに前後して行われた各国首脳との個別会談において、この問題についてどのような基本的立場をとられたのか、アメリカの参加要請に対してなぜノーと明確に言えなかったのか、まずこの点を明らかにしていただきたい。
 SDI問題についての質問の第二点は、総理はサミットに先立って西ドイツのコール首相と会談し、SDIの研究は正当であることで見解が一致し、アメリカのレーガン大統領の参加要請に対しては、中曽根総理から五点の条件を提示して、これをSDIに言及する議長総括の基調にして合意形成を図ることで西ドイツと日本が歩調をそろえることについて合意したと伝えられています。SDIの研究は正当であるとは一体どういうことであるのか。これは従来の、研究は理解するからさらに一歩踏み出したものではないのか、具体的に説明していただきたい。また、中曽根総理が示した五条件とは一体どのような内容のものであるのか、さらにそれはどのような発想によるものであるのか、具体的に御説明いただきたい。
 SDI問題についての質問の第三点は、中曽根総理がレーガン大統領に提示したこの五条件については、レーガン大統領も同意したと伝えられています。だとするならば、サミットにおいてはフランスのミッテラン大統領の強い反対によって全体の合意には至らなかったが、日本とアメリカとの間ではこの五条件によって事実上SDIの研究参加について合意されたことに通じるのではないか、この点についての総理の見解を承りたい。
 SDI問題についての質問の第四点は、政治宣言の内容についてであります。第五項で「我々は、ジュネーブにおける」「アメリカ合衆国の積極的な提案を評価する。」とありますが、この「アメリカ合衆国の積極的な提案」とはSDIを指すものであるのかどうか。もしそうであるとするならば、西側諸国がこのような形でSDI構想を後押しすることが、米ソのジュネーブ交渉を合意に向けて前進させると認識されているのかどうか、総理の御見解を伺います。
 SDI問題について、さらにもう一点伺います。
 総理は、ボンに出発するに先立って、各党党首の意見を聞かれました。我が党の石橋委員長も他党の党首も共通して、SDIには慎重に対処する
よう求めました。そして、これに対して総理も、国会審議の経過を踏まえ、慎重に対処することを約束されたはずであります。ところが、ボンでは、コール首相との会談やレーガン大統領との会談でSDIについての五条件が総理から提起され、これを基調にして合意に持ち込むべく動いたと報道されています。そして、この五条件については、総理は記者会見で、事前に外務省や自民党首脳とよく相談して決めたと語っておられます。
 このような腹案があったのであれば、なぜ野党党首にも説明をされなかったのでしょうか。野党党首との会談では、抽象的に、慎重な対応と答えながら、自民党首脳や外務省とは五条件の提示という極めて具体的な対応を協議しているということであれば、一体野党との党首会談は何のために行われたのでしょうか。単なる儀礼的なセレモニーとして行われたのか、総理の認識を承りたい。
 次の問題に移ります。
 政治宣言の第四項で、ドイツ民族の統一とあわせて朝鮮半島の問題に触れて、「当事者が朝鮮半島の分割を自由のうちに克服することを可能とするような政治環境がつくられることを切望する。」と述べています。この朝鮮半島の問題は、日本からの強い意向によって政治宣言に盛り込まれたと言われていますが、サミット参加国の中で朝鮮半島に一番近く、アジアから唯一の参加国である日本として、分割を自由のうちに克服することを可能とするような政治環境がつくられるためには、具体的にどのような役割を果たそうとしているのか、総理及び外務大臣の所信を伺います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 ボン・サミットに参加した西側先進国首脳が、その政治宣言に示したように、終戦四十年の歴史の教訓に学び、平和と自由、正義を堅持する責務を有することを認識するのであれば、アメリカの中南米政策こそ厳しく反省を求められなければならないはずであります。とりわけサミット直前に発表されたアメリカのニカラグアに対する経済封鎖に対しては、サミットの場でもかなり非難の発言があったと伝えられていますが、この問題についてサミットではどのような討議が行われたのか、また、このことについて日本はどのような立場をとったのか、総理及び外務大臣にお伺いします。
 財政経済政策については、各国の抱える問題点が抽象的に羅列され、新ラウンドの開始や日本に課せられている市場開放推進策など具体的な課題は今後に持ち越されています。しかし、今日の世界経済摩擦の主な原因の一つは、アメリカの巨額な財政赤字、ドル高によるものであり、その背景には膨大な軍事支出があることは明らかであります。このことを抜きにして我が国に対して一方通行的な市場開放政策が要求されるべきではなく、当然アメリカ自身がまずこの問題を解決すべき課題として考えなければならないはずであります。経済宣言で各国別の政策分野の中のアメリカの項に触れられてはおりますが、具体的にこの問題がどのように論議され、日本はアメリカに対してどのように主張し、アメリカがどのように対応しようとしているのか、総理と大蔵大臣の御説明をいただきたいと思います。
 次に、我が党は、今日の世界経済摩擦解消のために日本においてとるべき緊急かつ重要な政策課題は、市場開放政策の限界を認め、内需の活性化の政策をとることの必要性を強調してまいりました。この主張は、野党各党の共通の認識であるばかりでなく、政府・与党の中にも有力な意見となっているのであります。この主張をサミットに臨む総理はどう受けとめておられたのか、御見解を伺います。
 中曽根総理は、財政による内需拡大にかわる措置として税制改革を考えておられるようで、財政による内需拡大は困難だが、規制緩和や税制改革などの方策をとりたい、税制改革については公平、公正の原則に基づいて三十二年ぶりに行うと述べたと伝えられています。一体、中曽根総理や竹下大蔵大臣は、ボンで外国の首脳に対してどのような税制改革を約束して帰られたのか、内需拡大につながる三十二年ぶりの税制改革とは一体どのような構想なのか、その構想、手順について明らかにしていただきたい。
 今度のボン・サミットは、日本の貿易黒字に対する非難の集中、ジャパン・プロブレムになるのではないかと言われていました。結果は、フランス・プロブレムのサミットであったと評価されています。しかし、日本に対する非難の集中を避けることができたのは、問題が解決したことによるのではなくて、これから日本としてなすべきことを約束して先送りしたことによるものだと言われています。また、アメリカとの関係については、軍事面での協力を深めることによって貿易面での風当たりを防いでいるのではないかとも言われています。これらのツケが来年五月の日本におけるサミットに集中することのないよう希望して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 野田議員にお答えをいたします。
 第一問は、ボン・サミットの課題と評価でございます。
 先ほどお答え申し上げましたように、経済宣言及び政治宣言等におきまして、今日の歴史の流れにおきましてこれらの先進諸国がとるべき課題についてこたえ合い、協力し合ったと、そういう点において私は成果はあったと思っております。
 ミッテラン大統領に関する御質問がございましたが、ミッテラン大統領も貿易につきましては、自由貿易の推進、保護貿易に対する闘いという点については一致しておったのであります。ただ、ミッテラン大統領が言いましたことは、二国間、二者会談の席でも言っておりましたが、ランブイエ時代から比べてみてサミットはどうも官僚主義的になってきた、ペーパーも多過ぎると、そういう話があり、かつまた、ECの共通農業政策が重大な影響を受けることを恐れているやに私は伺いました。私は、したがいまして、サミットはサミットであるのだから、シェルパは登山隊長になるわけにはいかない、我々は登山隊長として我々で決めようじゃないか、そういうふうに申しましたら、ミッテラン大統領は微笑しておったわけであります。
 そして、やはりフランスの言うことについても十分耳を傾けて、ニューラウンドを推進するに当たってはできるだけ発展途上国の意見も聞き、かつまた、項目の設定、協議の推進の内容、手続等についても十分話し合いをやる必要がある、農業問題だけを突出させるということは私自体も反対である、農業問題というものは各国ともみんなそういう固有の事情を持っておる、そういうことも私はミッテラン大統領にも申し上げてきたのでございます。結論的に見まして、ミッテラン大統領は、またサミットの我々の公開の共同討議の場でもそういうような発言もなさいましたけれども、私は重ねて私の所見を申し上げたのであります。
 特に、政治的において今度は戦後四十周年であって、勝敗を超えてここに一堂に集まって、そして自由と平和と民主主義の価値において結束して世界の平和と繁栄のために尽くそうという、この決意を世界に示すというところに非常に意味があるのだと。あなた方はヨーロッパの国で、NATOの会議だとかECの会議で年じゅうお会いだろうけれども、我々アジアの者は隔絶して、ここで初めて諸君に会うだけである。そういう場において、自由と平和と民主主義のために我々がここで結合するということを聞けば、アジアの皆さんは日本に対しても安心してくれるであろうと思うし、世界についても影響力は大きいと思う。そういう意味において、今回の政治宣言というものはあなた方にわからないぐらいの大きな影響があると自分は思っておると。
 また、経済宣言にいたしましても、自由貿易推
進についてはミッテランさんも御同意であると。ただ、方法とか時期とかについていろいろ御議論もあるようであるけれども、それらはまた十分みんなで考えていこう、そして各国が問題点を自分たちで摘出して、そしてこれを直そうと、そしてこういう方向に持っていこうと合意をしたということは、世界経済の将来の運営、各国がおのおの対応策をこれを見てとっていくという意味においても非常に大きな意味を持ってきておる。
 特に、東西関係問題について、米ソ首脳会談あるいはジュネーブ会議というものを控えまして、我々がここで平和への意思あるいは軍縮への確固たる意思というものを表示するということは意味がある。現に私は、サミットの首脳だけの会議におきまして、レーガンさんに、できるだけ早くゴルバチョフ氏とお会いしなさい、我々はこれを支持いたしますと。そして、仮に意見が対立する場合があったとしても、しかし直接肉声で相手の声を聞き、また自分の考えを相手にお伝えするということは今や非常に意味がある、両者が会う時期は熟成しつつある、そういう意味においてできるだけ早くお会いした方がいいと私は切に申し上げ、各国の首脳も同感の意を表明しておった。積極的には言わなかったけれども、顔ではみんなそういうことを言っておったと思います。そういう意味におきまして、私は今回のサミットは意義があったと思うのであります。
 次に、SDIに関する問題でございますが、これは理解するという態度で一貫しておることは間違いございません。私は、ロサンゼルス会談におきまして、非核、防御、核兵器の廃絶を目的とする、そして研究である、そういうレーガン大統領の直接の説明に対して、その道義的正当性を理解し、研究を理解する、そういうことを申し上げてきました。
 今回もレーガン大統領との二者会談におきまして五つのことを申し上げました。一つは、ソ連に対する一方的優位を追求するものではない。第二は、西側全体の抑止力の一部として、その維持強化に資する。これは先ほど申し上げましたようにアジアを犠牲にしてはならぬ、アメリカの防衛のみを考えてやるべきものではない、そういう意味でくぎを打っているつもりであるのであります。第三は、攻撃核兵器の大幅削減を目指す。第四は、ABM条約には違反しない。これはあくまで研究の範囲内であるという意味であります。第五は、開発、配備については同盟国との協議、ソ連との交渉が先行すべきである。こういうことを言いました。これらの点は、米国自身が従来から種々の機会に、SDI構想の政治的、戦略的側面についての原則的考え方として断片的に言ってきているものであります。
 私は、かかる背景を踏まえまして、今次日米首脳会談において、これらの原則的考え方が今後とも米国により維持されていくことが重要であるとの認識を強調する立場から、これを整理して確認したものであります。SDI研究を理解するとの我が国の従来の立場に何ら変更はないのでございます。
 また、西ドイツ首相との二者会談の際に、この五原則をサミットの基礎に提出する、そういう合意をしたというようなことは全くございません。
 次に、米国の積極的提案評価とSDIの問題でございますが、米国はジュネーブ交渉において、戦略核等の攻撃核兵器の大幅な削減を通ずる米ソ間の長期的な戦略バランスの安定、中距離核についてのグローバルベースでの解決を目指して提案しておるのであります。また米国は、かつては核廃絶のためのゼロオプションもINFにおいては提議しておるところであります。そういう意味において、政治宣言の当該部分は、交渉に臨む米国のかかる立場を一般的な形で積極的に評価する、こういう意味でやったのでありまして、SDIに対する評価は含まれてはおりません。これはサミット直後、米国の高官が新聞記者に対する談話の中でもSDIは含まれないと明言しているとおりであります。
 次に、党首会談におきましてこの五原則をなぜ言わなかったかという点でございますが、SDIに対する理解をするという態度で一貫してまいりますと。そのことは申したつもりであり、先ほど申し上げましたように、五原則というものはアメリカの従来の立場を確認した、そういう意味であるのであえて党首会談のときには申し上げなかったのでございます。これは一貫した理解の範囲内にあると考えておるからであります。
 次に、朝鮮問題に対する役割でございますが、実はサミットの場におきましてもいろいろ議論がありまして、ある国は中近東を入れろとか、あるいはイラン・イラク戦争もある、あるいはカンボジア問題もあると、いろいろな議論もありました。しかし、四十周年を迎えての政治宣言ということから見れば、四十年前に戦争の結果、分割された国のみに限定することが焦点を明確にする意味においてそれは適当である、ほかの問題はほかの場所でとらうべきである。そういう考えを私は持ちまして、ドイツと朝鮮半島二つに絞るように提議してそのようにしていただいたというのが実相でございます。
 朝鮮半島の問題につきましては、これは南北両当事者があくまで自主的に解決すべきものでありまして、我々は側面的に中国あるいはソ連あるいはアメリカ等とも協力してそのような環境醸成に積極的に努力する、こういうことでいきたいと思っておるのでございます。
 次に、政治宣言の理念とニカラグアの問題でございます。
 サミットにおきましては、主として外相会談等においてニカラグア問題等も論ぜられました。我々の立場は、一貫してコンタドーラ・グループの積極的努力を支持する、そして民主主義の前進それから社会的安定、これを重要視する、そういう考えで一貫してきておるものなのであります。
 次に、経済摩擦に関する問題でございます。
 我が国は、従来より米国に対して高金利ドル高の是正が必要であると指摘してまいりました。今回のサミットの経済宣言においても、高金利問題というものは二カ所において触れられておるのであります。米国の財政赤字あるいはドル高及び高金利については、今後とも我々は取り上げてまいりたいと思います。また日本は、日本としてやるべきことはもちろんみずからやらなければならぬということも当然のことであります。
 内需拡大問題につきましては、サミットでは、各国が節度ある財政金融政策を実施して、インフレなき持続的成長及び雇用の拡大を図っていくということについて合意した。今回のサミットにおける大きな特色は、景気を拡大するために財政的発動という言及がなかったことなのであります。これは、各国とも赤字削減ということを中心課題に持っておる国々でございますから、その点は注意深かったのであります。そのかわり、いわゆる民活等を中心にしてやはり景気拡大を図ろうというような方向であると自分は考えました。これは日本の方向とまさに合致する方向でございます。我が国の経済は、なおばらつきがありますが、全体としてはまだ拡大しつつあると思っております。先般の四月九日の決定を踏まえまして、民活中心に内需をさらに拡大していく努力をしてまいりたいと思っております。
 税制改革の問題につきましては、この国会におきましてもかねて申し上げたとおり、公平、公正、簡素、選択、活力というような基本原則で将来税制改革に取り組みたいと申してきたとおりであり、サミットの場におきましても、我が国におきましても将来の課題として取り組んでまいりたいと、そのように言明したものでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 朝鮮半島の問題につきまして政治宣言にこれを挿入した点につきましては、先ほど総理からも御説明がございました
が、総理を初めとする日本側が強く主張をいたしまして、東西両ドイツ問題とともに朝鮮半島問題を主張、挿入をいたした次第でございます。
 日本といたしましては、この朝鮮半島問題、特にこの緊張緩和、そして南北対話が進むことを強く期待をいたしておるわけでございまして、今、韓中間の交流も非政治面で行われておりますが、そうした点についても側面的に協力をする、あるいはまた、ソウルのオリンピックの成功を期待するのも環境づくりのための政府の努力の一環でもあろうと思うわけでございます。さらに今後とも朝鮮半島問題につきましては、南北対話の促進を進めていく、そして緊張緩和を図って、米国や中国等と密接に協力をして、朝鮮における民族統一が進むことを念願して努力をしてまいりたいと考えております。
 ニカラグア問題につきましては、今お話がございましたが、これは主として外務大臣の会合において議論がなされました。三日の午前中に開催された外相会議におきまして、まずシュルツ米国務長官から米国の対ニカラグア措置につきましての詳細な説明があったわけでございまして、これに関しまして種々意見が出されましたわけでございますが、その結果、外相会談としては、コンタドーラ・グループの努力を支持すること、中米地域諸国の民主化を促進するということ等で各国とも意見の一致を見た次第であります。
 なお、我が国としましては、中米問題の平和的解決が図られることが重要である、こういう観点から、コンタドーラ・グループの努力を通じての平和的解決を支持していくとの我が国の立場を述べてまいった次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹下登君) 私どもが特に協議いたしましたのは、各国の経済状況、抱える問題点あるいは通貨、税制等で、それぞれの国の置かれておる現状を自己認識しながら意見交換を行い、それがこのコミュニケ等にあらわれておるわけであります。
 まず、御指摘のアメリカの財政赤字、ドル高の問題であります。
 これにつきましては、まさにドルの独歩高という海外要因によって今日の我が国の経常収支、貿易収支の大幅黒字はあるわけであります。したがって、どうしてもドルの独歩高の是正の問題、これは御指摘のように米国の財政赤字縮減を通じての米国自身の努力が必要であると、申されたとおりでございます。したがって、この問題は私どもは機会あるごとに米国に対して指摘をいたしております。今回のサミットにおきましても同様の主張を我が国として行いまして、その結果、アメリカ自身が財政赤字の大幅な削減を達成することが重要であるという、みずから抱える問題の自己認識という形をこの宣言において表明をした、こういう経過になっておるわけであります。
 この問題につきましては、通貨問題も絡んでまいりますが、これは通貨等につきましては一挙に解決する問題ではございません。がしかし、みずから抱える問題をいわゆる自己責任において宣言として発表したわけでありますから、引き続き相互理解の上に立って、それが是正されることを強く主張していく立場にあらなければならないというふうに私どもとしては考えております。
 それから次に税制の問題でございますが、この税制というのは公平、公正、簡素、選択並びに活力と、こういうことで三十五年ぶりに税制改正を国会の論議等を中心にして、まずはこれから政府税調で議論をしていただこう、こういうことになっておるわけであります。したがって、各国とも税制の問題についてそれぞれの考え方をお互い述べ合ったわけであります。したがって、この問題につきましては、現在はいわゆる白紙の立場にあるわけでありますが、今後とも国会の論議等を正確に政府税調に伝えながら、この税制のあるべき姿を幅広く検討すべきであるという考え方でございます。(拍手)
    ─────────────
○副議長(阿具根登君) 服部信吾君。
   〔服部信吾君登壇、拍手〕
○服部信吾君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました第十一回主要先進国首脳会議の内容につきまして、総理並びに関係各大臣に若干の質問を行います。
 総理は、今回のサミットに臨むに当たり、各国が力強く結束し、平和と軍縮のため出発するサミットにしたい、また、自由、民主主義、平和を守り抜く線を出し、サミットを意義あらしめるものにしたいとの決意を明らかにされていたのであります。しかしながら、今、サミットを終え、今回のサミットの成果というものを冷静に見てみるならば、総理自身の評価とは全く裏腹に、当初の総理の決意が達成されたとは到底思えないのであります。サミットが終わって、果たして何が残ったのであろうかと言わざるを得ません。今回のサミットの結果を率直にどのように評価しているのか、まずお伺いをしておきます。
 私は、こうした視点から、今回のサミットで焦点になった幾つかの問題について、以下、具体的にお伺いいたします。
 今回のサミットにおいては、歴史への反省と世界の平和と自由を目指す決意をうたった第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言が採択されたわけであります。歴史の教訓を踏まえ、西側諸国が一致して平和、自由、民主主義を追求する意義は極めて大きいと考えるのでありますが、重要な点は、我が国がどのようにこの目標の達成に向かって主体的な役割を果たすかというところであります。世界唯一の原爆被爆国として戦争の惨禍を体験した我が国が果たすべき役割は大きいものがあるはずであります。まず、総理はこの政治宣言をどのように受けとめ、我が国としてどのように努力されようとしているのか、総理の決意をお伺いしたいのであります。
 次に、SDI問題に対する我が国の基本的対応について、総理並びに外務大臣にお伺いをいたします。
 首脳会談においてSDI問題がどのように扱われるか、これが極めて注目されていたのであります。結局、最終日に議長総括により、レーガン大統領からSDIの報告があったにとどまったわけであります。このような事実は、フランスを初め、SDIに対する各国の評価が一致していない実情を端的に物語っているといっても過言ではないと思います。
 ところが総理は、これまでSDIについては、その研究を理解するという立場をとっていたにもかかわらず、サミット前の日米首脳会談においてSDIについての五条件を明示したことは、これは事実上、理解から一歩踏み出し、支持することを前提にしていると考えられても言いわけの余地はないと思うのであります。総理は、SDIについて、理解から一歩踏み込んだのではない、このように答えておりますけれども、この点についてどのようにお考えか。また、結果的に一歩踏み込んだ姿勢を見せたことは、これは欧米間の調整的な役割を果たそうとする意図があったのではないか、このようにとられてもしようがないと思いますけれども、その点についての御答弁を求めるものであります。
 我が国が欧米間の調整を図り、またSDI問題にこれまで以上に前向きな態度を示すならば、もし我が国が米国からSDIについての各種の協力を要請されたときに、これを拒否することは国際的にいってもできなくなるのではないか。また、我が国の憲法並びに非核三原則あるいは平和政策から見て疑惑が生ずることは必至であります。SDIに対する米国の協力要請に我が国としては今後具体的にどのような方針で臨むのか。また、ワインバーガー長官の要請にいつごろまでに回答するのか、総理並びに外務大臣の見解をお伺いしておきます。
 次に、政治宣言で触れられている朝鮮半島の問
題についてであります。
 政治宣言では、南北朝鮮の統一が可能となる政治環境がつくられることを切望するとうたわれておりますが、このためにはアジアの一員として我が国が積極的に役割を果たすべきであると思います。総理は、宣言にうたわれた政治環境をつくるために、どのような決意で具体的にどのような取り組みをしようとしているのか。また、今回いかなる意図で朝鮮半島問題を取り上げられたのか、あわせて総理の考えをお伺いしておきます。
 さて、今回のサミットの焦点の一つは、保護貿易主義の芽を摘み、自由貿易体制を維持する新ラウンドの交渉開始期日を明確に決定することにあったわけであります。しかしながら、フランスなどの強烈な反対によって所期の目的を達することができなかったのであります。総理は、フランスの反対したその背景、理由をどのように認識されておられるのか。また、新ラウンドの体制が整ったと胸を張っておりますが、その交渉開始時期はいつになるのか。また、早期開始にASEAN諸国の同意を得るために我が国としてどのような努力をされるのか、あわせてお伺いをしておきます。
 次に、経済宣言に関連してお伺いしておきます。
 経済宣言では、インフレなき持続的成長と雇用の拡大を維持するために各国の役割分担を明示されたのであります。当初懸念されていた我が国への名指しの批判がなかったものの、参加国はもとより世界の諸外国は、我が国のさきに決定した対外経済対策に基づく行動計画の具体的内容はもとより、経済宣言に盛り込まれた役割分担による内需拡大策の成否を注目しているのが実情であります。仮にこれらの施策の実効が上がらない場合、各国からの非難が集中し、それこそ我が国の国際的地位が失墜することは明らかであります。総理の御見解、御決意を伺うものであります。
 この際、政府の今後の具体策についてお伺いしておきます。
 経済宣言では、我が国は、財政面での規律及び特に投資を促進していくための市場機能強化の政策を堅持することが必須と考えるとされております。この財政面での規律とは何か。内需拡大のため財政の出動は一切ないという意味なのかどうか、明確にしていただきたいのであります。
 また、日本政府は金融市場の規制緩和云々、輸入の奨励において一層の進展を図る考えであるの文言についても、具体的に何を指しているのか、総理並びに大蔵大臣にお伺いをしておきます。
 次に、総理は、我が国の内需拡大の方途として税制改革を行ってこれを推進すると言明しております。この効果的な施策は所得税減税あるいは投資減税であると思いますが、総理のお考えをお伺いしておきます。
 関連して伺っておきたいことは、所得税減税と政策減税、投資減税に関する政府の取り組みであります。
 我が党は、今こそ経済財政政策を自主的に、かつ積極的に内需主導に転換すべきときであり、所得税減税はその必要条件と考えるものであります。したがって、与野党合意に基づいて所得税減税及び政策減税を年内の早期に実施することを強く要求しているのであります。総理の積極的な見解を伺いたいと思います。
 さて、いよいよ来年は東京・サミットを迎えるわけでありますが、新聞報道によりますと、フランスのミッテラン大統領は、来年の東京・サミットには出席する気はないと、サミットのあり方について首脳会談の席上、不満を述べたと、このようにも言われております。総理が七月に渡仏する際に出席するように説得をする、このようなことであるようでありますけれども、この件についての総理の見解をお伺いしておきます。
 また、総理は、来年の東京・サミットにおいてはオーストラリアを参加させるように呼びかけている、このように言われておりますけれども、オーストラリアを参加させることにどのような意味があるのか、お伺いしておきます。
 我が国が新規の加盟国を参加させるなど、積極的な行動をとることに対する他の諸国の反応を総理はどのようにお考えになっておられるのか、お伺いしておきます。
 最後に、来年の東京・サミットに臨む総理の取り組み方、御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 服部議員にお答えをいたします。
 まず、ボン・サミットの評価の問題でございますが、先ほど経済的意味、政治的意味について申し上げたとおりでございますが、特に私は、ミッテラン・フランス大統領に対しまして、経済的意義について強調した点もあるのでございます。それは今、米国において課徴金法案が提出されつつある。もしこのような状態で課徴金法案が成立するというようなことになれば、世界経済に大きな混乱が出てくるし、報復主義が蔓延して、その結果は今のような自由経済というものは全く前途暗くなってしまう。こういうことを考えてみると、自由貿易を推進するという力がこのサミットからさらに強く出ることが必要な時期に来ている。自由貿易というようなものはガラスの人形のように壊れやすいものであって、これはみんなの努力でこれを守っていかなければ守り切れるものではない。そういう意味においても、ミッテラン大統領の積極的な御協力を期待してやまないのだ、そういうことを私は申し上げたのでございます。
 この点につきましては、自由貿易を推進するという考えについてはミッテラン大統領も賛成の様子であります。そういう意味におきまして、政治宣言あるいは経済宣言等についても大統領は賛成をされたのでありますから、要はそのやり方等について研究改善すべきものがあれば研究改善すべきである。特に今までのやり方を見ると、いわゆる補佐者の発言が強まって、そしてある数カ国とかグループによって既成事実が強制されるような感なきにしもあらずの傾向であるというようなお考えのようであります。そういう意味において、サミットを本当のサミットらしく、頂上の者だけで自由に論議するという場が強くなければならないというお考えのようであります。そういう点も踏まえまして、私は国会が終わりましたらフランスを訪問したいと思っておりますが、その機会にミッテラン大統領のお考えもよく承りまして、次の東京・サミットをよくしていくための重大な参考としていきたい、そう考えておるものなのでございます。
 次に、政治宣言の意味につきましては、先ほど申し上げましたとおり、四十周年を迎えまして、勝敗を超えてここで自由と平和と民主主義のために手を握ったということ。それからジュネーブ会議に向かって核兵器の大幅削減あるいは平和、あるいはさらにひいては米ソ首脳会談という方向に向けてたくましく前進するようにはずみをつけた、そういう伏線が私は考えられていいと思っております。
 SDIにつきましては、非核、防御、核の廃絶を目指すというレーガン大統領の説明をロサンゼルスで受けまして、その道義的正当性を認めてSDI研究を理解すると、そういうことを表明したので、今度のサミットにおきましても、一貫してこの態度を堅持してきておるのでございます。
 研究参加の問題については、我が国の基本的立場を踏まえまして、情報の提供等を今後とも十分受けて、自主的に検討してまいりたいと思っております。
 朝鮮半島の問題につきましては、あくまで南北両当事者による自主的な解決が中心でなければならず、我々、米国、中国、ソ連等がこの南北両当事者による平和的解決促進のための環境醸成に役立つように努力してまいりたいと思います。
 新ラウンドに対するフランスの反対について御
質問がございましたが、フランスの一つの大きな考え方の中心には、EOの共通農業政策があるわけであります。アメリカ側におきましては、議会において、アメリカの農業の不況からして、やはりECの保護政策というものは非常に目についてきておる。そういう意味からも、アメリカ議会の議員の言動等がフランス大統領を刺激していたのではないかと私は想像しておるのであります。しかし、農業問題というものは、各国とも特殊の重要性を持った問題でありまして、取扱注意を要する問題なのであります。そういう点につきましては、私はフランスの方ともよく話をいたしまして、来年の成功に向かって努力してまいりたい、そう考えておるのであります。
 これからの段取りといたしましては、夏の終わりまでにガットのハイレベルの公務員の会議を行いまして、どういう相手のどういう手続によって進めていくか等の事務的な推進にいよいよ入り、秋のガットの総会等においてそれらを関係各国とも話し合ってまとめていきたい、そういうような考えで段取りを考えております。
 ASEAN諸国への配慮でございますが、十分配慮してまいってきておるところであり、今、藤尾政調会長がASEAN諸国を回っておりますが、ボンで発言した私や外務大臣や大蔵大臣の発言は至急に政調会長にも電報で連絡をいたしまして、その考え方を首脳部にお伝えしているというところでございます。
 なお、四月九日の決定を誠実に実行していくということも重大であると考えます。
 実効ある内需拡大策でございますが、今回のサミットにおきましては、先ほど申し上げましたように、各国が節度ある財政金融政策を実施してインフレなき持続的成長を図り、雇用の拡大を図るということであって、財政が出動して景気を拡大するという考え方は余りなかったのであります。大体、イギリスでもあるいはフランスでもその他でもみんな財政の赤字を抱えております。したがいまして、いわゆる民活方式というものが皆さん頭にあってデレギュレーションの必要性というものも論ぜられたのでございます。そういうことも踏まえまして、我々は民活を中心とする内需の拡大という問題について積極的に努力してまいるつもりであります。
 次に、我が国の優先的政策分野の内容でございますが、我が国が四月九日、対外経済対策を決定いたしました。この中で、市場アクセス改善のためのアクションプログラムの策定のほかに、製品輸入等の促進、金融資本市場の自由化、円の国際化の促進等につき当面の措置と政策プログラムを推進する、そういうふうに申してきておるのでございます。誠実に実行してまいりたいと思っております。
 減税の問題でございますが、サミットにおきましては、先ほど申し上げましたように将来の課題として我々も取り組むという考えを明らかにいたしました。しかし、目下のところは内容については白紙であります。いずれにせよ、与野党書記長・幹事長会談の合意等はもちろん尊重してまいるつもりであり、五月九日の幹事長・書記長会談の結果をも踏まえまして与野党政調会長・政審会長会談がありますが、今後の推移を見守りつつ適切に対処してまいるつもりです。
 オーストラリアの参加問題につきましては、今回はフランスのそのような微妙な立場も配慮して、自由貿易推進という側が余り多くふえるということは、フランスに対する配慮等も考えて発言は差し控えたのであります。今後の問題につきましては検討してまいりたいと考えております。
 東京・サミットに臨む決意でございますが、ぜひとも各国の御協力をいただき、また国民の皆様、各党各派の御協力もいただきまして、今度のサミットを成功裏に導きたいと全力を奮って努力するつもりでありますので、よろしくお願い申し上げる次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 服部議員の御質問はSDIについてでございます。既に総理からも詳細に答弁をされておるわけでございますが、私からも申し上げさしていただきます。
 一月の日米首脳会談におきまして、レーガン大統領より、SDIは、より安定的で信頼性が高い抑止力を確保する方策を探求する必要があるとの認識に立って、非核の防御的手段により弾道ミサイルを無力化し、ひいては核兵器廃絶を目指すものであるとの説明を受けました。我が方はそうした考え方に共感を覚え、かかるものとして米国が研究を進めることにつき理解を表明いたしたものであります。
 なお、研究に参加するかどうかという点につきましては、サミットの外相会議におきましても、私から日本の考え方を述べたわけでございます。日本としては、まだ、参加するあるいは参加しない、そういう点については態度を決めてない、白紙であることを申し述べた次第でございまして、この点につきましては、我が国の基本的な立場を踏まえまして、慎重に自主的に検討してまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対するお尋ねの一つは、総理からもお答えがございました経済宣言の中での内需拡大策についての財政面の出動についての問題でございます。
 経済宣言の中で財政面での規律を堅持することとしておりますが、これはインフレなき持続的成長を達成するために節度ある財政政策を実施するという各国の合意に基づきまして、我が国がこれまで進めてまいっております財政改革を今後とも強力に推進して、いやしくも現在の厳しい財政事情をさらに悪化させるような政策はとらない、こういう意味のことを書いてあるわけであります。したがって、財政が積極的に出動して内需拡大を図るということは、今回の合意に反するというふうに理解をすべきであると思っております。いずれにいたしましても、蔵相会議ということになりますと、各人がいわゆるかつての機関車論に対する反省の上に立った議論が多く行われますので、そういう環境の中で行われる議論というものは今申しましたような方向に集約されるというふうに考えます。
 それから次の問題は、金融市場の規制緩和とは具体的に何かという御指摘でございます。
 この問題は、基本的な考えは、「現状と展望」というものを発表しております。それと同時に、日米間で行いましたいわゆる円・ドル委員会報告、こういうものがあります。これを着実に今日まで実行してきておりまして、このことは諸外国からも評価されておるところであるというふうに思っております。サミットが終わりました翌日から、またロンドンにおきまして、英国との間でもこの問題の総合評価ということを引き続き行っておるという状態でございます。
 そこで、具体的なものを例示しますと、ことしに入りましてから四月初頭までにMMC、いわゆる市場金利連動型預金でありますが、これの導入、その次はCD、すなわち譲渡性預金発行条件の緩和、これを行いました。今、当面の問題としましては、いわゆる円建てBA市場の創設とそれから債券先物市場の開設、これらの具体化を進めよう、こういうことになっておるわけであります。これからもいわゆる環境整備を図りながら、金融市場の規制緩和、自由化というものは着実に推進していかなければならぬ課題であるというふうに考えております。(拍手)
    ─────────────
○副議長(阿具根登君) 上田耕一郎君。
   〔上田耕一郎君登壇、拍手〕
○上田耕一郎君 私は、日本共産党を代表して、ボン・サミットをめぐる諸問題について総理に質問いたします。
 ことし一九八五年は、五千万人の死者を出した
第二次大戦終了の四十周年に当たり、ボン・サミットも四十周年に際しての政治宣言を採択しました。しかし、この宣言は、歴史の痛切な教訓から学ぶどころか逆行するものとなっています。というのは、二つの大戦が残した最大の教訓は、軍事同盟の対抗とそれによる軍拡競争が恐るべき大量殺りくに行き着くということであったにもかかわらず、政治宣言は、平和と軍縮の飾り文句の陰で、軍事力の均衡の維持及び強化への努力、すなわち西側軍事同盟の強化と核軍拡の悪循環への志向を確認したからであります。総理、あなたは第二次大戦の元凶となった日独伊軍事同盟の歴史からどういう教訓を今日引き出しているのか、まずお答えいただきたい。
 日本の中国侵略、イタリアのエチオピア侵略、ナチス・ドイツのチェコスロバキア侵入など、枢軸三カ国による他民族抑圧と侵略が第二次大戦の序曲となりました。我が党は、いかなる国によるものであれ、民族自決権の侵害に反対であり、この点でアメリカの中南米抑圧をソ連のアフガニスタン侵略とともに極めて重視しています。安倍外相は、シュルツ米国務長官との会談で、ニカラグア経済制裁に理解を表明しました。この理解が、政治宣言がうたってみせた平和、自由及び民主主義という理念の堅持と一体どのようにして合致するのか、ぜひ安倍外相に解説していただきたい。
 ことしはまた、被爆四十周年の年であります。第二次大戦終了直前、アメリカの原爆投下により広島、長崎で二十万人が虐殺され、今日なお三十七万人の被爆者が史上最初の核戦争の後遺症で苦しみ続けております。しかし、核兵器は四十年間に広島型の百万倍にふえました。広島、長崎を繰り返すなと、核戦争阻止、核兵器廃絶を求める叫びが世界を覆っている今日、世界で唯一の被爆国の首相として、四十年前の広島、長崎と国際法について、被爆者の切実な国家補償要求について、そして人類の死活にかかわる核戦争阻止と核兵器廃絶の課題について総理はどう考えているのか、ぜひ真剣な答えをお聞きしたい。
 四月二十二日、総理との会談で我が党の不破委員長は、核兵器全面禁止を今日の世界政治の第一義的課題として提起すること、SDIへの支持、協力の態度をとらないこと、軍拡ではなく軍縮への転換を主張することを総理に要望しました。極めて残念なことに、総理はこの三つの要望をことごとく裏切ったと言わざるを得ません。
 第一に、ジュネーブでの米ソ交渉が核兵器の廃絶を目標に掲げて開始されているにもかかわらず、総理は、どの個別会談でも全体会議でも、核兵器廃絶についてついに一言も発しなかったようです。被爆国の首相が被爆四十周年にも、核兵器廃絶にも全く触れないのでは、宣言の主題の一つになるわけはありません。米ソ両首脳の最近の書簡も核兵器廃絶を強調しているのに、総理はなぜサミットで述べなかったのか。昨日の衆議院での工藤質問にあなたはまともに答えませんでしたが、はっきり答えていただきたい。
 第二に、SDIについても、総理は、コール西ドイツ首相との会談で正当と認め、フランスの説得など合意取りまとめに積極的に動きました。あなたがレーガン大統領に提示した五条件もSDI参加の環境づくりにすぎません。先月来日した米専門家チームは、私が予算委員会で取り上げたエックス線レーザー兵器について、核爆発を応用した方法を研究中であることを公式に認めたとのことです。SDIが、核廃絶ではなく、核軍拡競争を宇宙空間に拡大するものであるのみならず、核兵器利用のシステムということになれば、宇宙条約、非核三原則、宇宙活動の非軍事、非核を求めた国会決議から見て、研究協力は当然拒否すべきであり、まして外国首脳の説得など、被爆国の首相としてあるまじき行為であります。米専門家チームの説明内容とともに、サミットでの言動の責任について総理の明確な答弁を求めるものであります。
 第三に、一昨年のウイリアムズバーグ・サミットでヨーロッパへの中距離核ミサイル配備の旗振り役を務めた総理は、今回のボン・サミットでも、政治問題はやるべきでないとしたミッテラン・フランス大統領に反論して西側の結束なるものを弁じ立て、シュルツ米国務長官から絶賛されています。軍縮を要望する圧倒的な国民世論に背いて、なぜ国際的タカ派として危険な役割を演じ続けるのか、責任ある見解をお伺いしたい。
 ボン・サミットの経済宣言も、国民の期待に真っ向から挑戦したものであります。経済問題で不破委員長は、自主的姿勢を厳しく要望し、特に世界経済の危機、貿易摩擦の激化、発展途上国の累積債務深刻化の根本要因として、アメリカの軍拡と財政赤字に起因する高金利ドル高を指摘し、その是正を主張するよう求めました。ところが経済宣言は、アメリカの財政赤字削減は一応要請しながらも、肝心かなめの大軍拡政策には沈黙したままです。これはサミットが経済危機打開にも無力であることをまたしても実証したものであります。
 二千億ドルを超えるアメリカの財政赤字が軍事予算の史上未曾有の増大によるものであることは既に証明を要しません。いわゆる双子の赤字による六十六年ぶりのアメリカの債務国転落が進行し、その対外債務残高は本年末で一千億ドル、一九九〇年には一兆ドルという天文学的数字に達すると予測されています。この危険な事態をどう見ておられるのか、総理にお伺いしたいと思います。
 アメリカは、大軍拡、財政赤字という根源を是正する努力を放棄し、逆に開き直って日本やヨーロッパに役割分担と負担増を押しつけています。総理は、貿易黒字批判に対して、国民は豊かだが政府は貧乏だなどと口走り、行政改革や税制改革を表明し、一層の市場開放を約束してきました。重税と不況、人事院勧告凍結や削減、低過ぎる賃上げに苦しむ働く国民や中小企業が、あなたには豊かに見えるのですか。税制改革とは大型間接税導入を含むのですか。総理の答弁を求めたい。
 政府が進めようとしている市場開放とは、いわゆる四分野の現状に明らかなように、アメリカの巨大企業に日本の市場を明け渡すことにほかなりません。国民の生活と営業を守り、日本の経済主権を真に確立するためには、何よりもこうした屈辱的姿勢の根本的是正こそ必要なのであります。七月に骨子を出そうとしている行動計画について言えば、日米貿易摩擦の日本側の要因としての労働者の長時間、超過密労働、低賃金、下請収奪にメスを入れる新しいアクションプログラムを作成すべきだと考えますが、総理にその決意の有無をお聞きしたい。この方向こそ、対米依存の輸出主導型から国民の購買力を高める内需主導型への経済政策の転換を真に保障するものであると私どもは確信しています。
 以上、二つの宣言の根本的欠陥について述べましたが、これらの根本問題にメスを入れない限り、来年五月の東京・サミットはボン・サミット以上に国民にとって否定的な会議とならざるを得ないことを強く警告して、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 上田議員にお答えをいたします。
 まず、日独伊軍事同盟の反省の問題であります。
 戦後、我が国は、第二次世界大戦に対する深い反省に立ちまして、平和に徹する自由民主主義国家としての道を歩むことを選択したのであります。軍国主義あるいは超国家主義というものを廃絶して、真の平和的な民主主義国家として前進することを約束しておるのでありまして、今後もこのような考えに立って誠実に努力していくつもりでおります。
 次に、原爆投下の問題でありますが、いわゆる広島、長崎に対する原爆の投下は、国際法の思想的基盤である人道主義の精神には合致しないもの
であると考えております。
 次に、被爆国の首相として核兵器廃絶をなぜ言わないかという御質問でございますが、言っております。これはアメリカも、SDIというものが核兵器の廃絶を目指す、あるいはさらにINFにおきましてもゼロオプションということも言っております。ソ連もゴルバチョフ氏は、核兵器の廃絶を目指すと共産党にもお話をしたそうであります。そういうような面から見ても、両者が核兵器廃絶を目指しておるということは当然考えておるので、そういう意味からもこのお二人が直接会談をして、そして真の核兵器の廃絶、軍縮に向かって話をしてもらいたい、そういう趣旨のことを私は申しておるのであります。このことは念のために重ねて申し上げておく次第であります。
 次に、被爆者の国家補償の問題でありますが、政府としては広い意味における国家補償の見地に立って種々の対策を講じてきており、今後とも原爆二法により被爆者対策を進めてまいりたいと思います。
 次に、SDI米専門家チームの我が国に対する説明の問題でありますが、米側からSDI計画にかかわる政治的、戦略的側面、技術的側面及び予算関係並びにソ連の戦略防衛計画について包括的に説明があり、我が方からはSDIに関する基本的立場を説明したという次第であります。なおまた、レーガン大統領に対しましては、先ほど申し上げましたように、非核、防御、核廃絶という説明を受けて、その道義的正当性を認めてSDI研究を理解する立場を表明いたしましたが、今回も一貫してこの立場を貫いたというのであります。ドイツのコール首相との間で、いわゆる五原則を提示して根回しをしようと約束したようなことは絶対ございません。
 次に、アメリカの債務国化の問題であります。
 アメリカが年内に純債務国に転じる可能性は強いと思われております。しかし、アメリカ経済は引き続き拡大しており、アメリカが政治的にも経済的にも大国である状況には変わりはないと思います。したがって、アメリカの純債務国化が直ちに国際金融資本市場に混乱を来す可能性は少ないと考えております。
 中小企業問題につきましては、景気はばらついておりますが、全体としては拡大しておりますが、今後とも中小企業の発展のためには努力してまいりたいと思います。私は、我が国におきましては国民の貯蓄率は非常に高い、しかし政府の公債累積、政府の借金は非常に大きい。そういう意味から政府は貧乏であり国民の方が豊かである、そういうふうに申し上げたのであります。
 大型間接税の問題については、前から申し上げたとおり、脱体系の内容の問題については白紙である、こう申し上げているとおりであります。
 減税問題につきましては、与野党の幹事長・書記長会談の合意を尊重すると申し上げているとおりであります。
 労働条件の改善等につきましては、週休二日制の一層の普及、労働時間の短縮等については、対外経済問題諮問委員会等の提言も踏まえまして今後も努力をしてまいり、また労使の自主的努力も大いに払っていただくように努力いたしたいと考えております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 上田議員の中米問題に関する御質問にお答えをいたします。
 今回、米国のとった経済措置につきましては、かかる措置をとるに至った経緯あるいはその事情は理解する旨米側に申しましたが、これは米国の具体的な政策に対し支持を表明したものではありません。日本の立場はあくまでもコンタドーラ・グループのイニシアチブを支持し、ニカラグアの平和解決を図ることでありまして、この点についてはっきりと申した次第でございます。
 また、米国は中米問題に関しまして、域内の平和努力であるコンタドーラ・グループの活動を支持する旨明らかにしてきておるところであります。また同時に、ニカラグアにおける国内対話を通じての国内融和と民主化の進展を求めているものと承知をしております。したがって、米国が自由民主主義及び平和の価値を強調したサミットのいわゆる政治宣言の理念に合致しない対応をとっているものではない、こういうふうに理解をいたしております。(拍手)
    ─────────────
○副議長(阿具根登君) 柳澤錬造君。
   〔柳澤錬造君登壇、拍手〕
○柳澤錬造君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりましたボン・サミットの報告に関連して、中曽根内閣総理大臣を初め関係各大臣に御質問をいたします。
 まず第一に、貿易摩擦についてであります。
 今回のサミットでは、この問題で貿易黒字国日本に批判が集中されるものと予想されていましたので、サミットを前にして総理は、外国商品を一人百ドル買ってくれと国民に訴えられましたし、通産大臣は、輸入業者を集めるならまだしも、輸出企業の代表者を集めて輸入促進を要請されました。これは、国産品は売れなくてもよろしい、自動車メーカーは牛肉を輸入して売れということでしょうか。国民の立場から考えてどうしても理解ができません。納得のいく御説明を求めます。
 このようなことをしていて、何年か先に貿易収支が大幅赤字になったら今度は国産品愛用を訴え、石油業者に輸出をして外貨を稼げと行政指導をするのでしょうか。むしろこのような貿易黒字となった要因は我が国の国民が勤勉であったからであり、そのおかげで優秀な製品を安く売ることができたので、世界の国々から歓迎された結果でありましょう。とすれば総理は、一人百ドルの外国商品をと言う前に、勤勉な国民の皆さんにありがとうと感謝の言葉を述べられてしかるべきでありましょう。
 なお、我が国は、戦後の昭和二十年代に食糧危機で困っていたとき、アメリカからの食糧援助によって一人の餓死者も出さずに済んだことを想起して、今アメリカが経済的に困っているのであれば、これに援助の手を差し伸べるべきで、恩義を忘れた民族は決して繁栄しないと国民に率直に訴えるべきであると思うのですが、総理の御見解をお聞きしたいです。
 第二には、軍縮と平和についてであります。
 このテーマは、今回のサミットでも、恩讐を超えて、終戦四十周年に際しての政治宣言として採択しています。特に、中曽根総理の提唱によって米ソ首脳会談が持たれるようになったことは、米ソの緊張緩和のためにも意義あるものとして高く評価をします。また、ジュネーブ軍縮会議についても合意されておりますが、米ソ首脳会談からジュネーブ軍縮会議への一連の流れは、これからの世界平和にとって極めて重要な意義を持つものであり、それだけに、これらの討議経過と、我が国としてこれらの会議に何を期待し、これからどのような努力をなさろうとしているのか、御説明を求めます。
 さらに重要なことは、政治宣言にもありますように、飢餓と病疫に対して闘っている開発途上国を支援することであります。第二次大戦以来、戦争で死んだ人が一千万人であり、餓死した人が六千万人と言われています。社会主義インターのブラント議長は、「飢餓が支配的である間は平和は来ない。戦争の禁止を欲するのであれば大衆の貧困も禁じなければならない。道義的には、戦争で殺されることと周囲の人々の無関心のために餓死させられる運命に遭うのと何の違いもない」と言っています。真の平和とは、世界平和を達成することによって可能であり、それは軍縮とともに、この南北問題を解決することであります。この点、サミットではどのような論議がなされたのか、あわせて総理の軍縮と平和への御決意のほどを承りたいです。
 第三には、国際社会における日本の役割につい
てであります。
 今回のサミットで、総理は、新ラウンド、多角的貿易交渉について積極的に発言され、経済宣言でも、開放された多角的貿易は世界の繁栄のために不可欠であるとうたい、一部の反対を押し切って明年から交渉を開始すると決めたようですが、その論議の経過はどのようなものであったのでしょうか。総理は、日本の主張が実って大きな前進であったと言っておりましたが、その総理の努力は評価しますが、外国ももう口先だけでは信用せず、実績で示せと言うでしょう。政府として今後どう対処されるのでしょうか。
 また、新ラウンドについては決定しましたが、国際通貨制度の改革についてはまとまらなかったようですが、この論議の背景はどのようなものであったのか、また日本政府の立場はどうされたのか、お尋ねをいたします。
 さて、我が国のGNPは昭和三十年には世界の二・二%であり、アメリカのわずか六%でしかありませんでした。それが昭和五十五年には世界の約一割を占め、アメリカの四割を超える経済力を持つまでになりました。しかるに、日本政府はそれにふさわしい国際協力体制をとっておりません。
 例えば、政府開発援助、ODAにしても、昭和五十八年度までの三年間の実績は九十九億五千万ドルであり、これで本年度までの五年間に二百十三億六千万ドルにするという国際公約が達成できるのでしょうか。日本は開発援助委員会加盟十七カ国の中で十二番目であります。
 また、ILO条約にしても、現在百五十七ある条約の中で、フランスが百七、イタリアが九十七、イギリスが七十七批准しているのに対し、日本の批准数は三十七であり、世界で三十五番目なのであります。
 また、インドシナ難民の受け入れにしても、昨年末の実績は、アメリカの五十七万名余を初め、フランス、カナダ、オーストラリアもそれぞれ九万名以上であるのに対し、同じアジアの日本がわずか三千八百二十九名であり、これは世界の十三番目であり、アメリカのたった〇・七%にしかすぎません。これで国際社会における日本の役割を果たしていると言えるのでしょうか。これが対日不信を生み、経済摩擦に発展するのであり、これらの政府の対策をお尋ねいたします。
 最後に、政府は七月に市場開放の行動計画を発表することになっていますが、どのような計画をお考えなのでしょうか。これを実施すれば輸入はふえましょう。しかし、それによって国内は不景気となり、失業者はふえるはずですが、それを覚悟の上でおやりになるのでしょうか。
 今実行すべきことは、国内的には、企業減税、所得税減税を大幅に実施して内需を拡大し、民間の活力を活性化して日本経済の長期的安定成長体制を整えることであり、政府もこの道を歩むしかないはずです。さらに国際的には、与野党が相協力して、超党派で世界平和達成への平和戦略を生み出すことであり、南北問題にも積極的に取り組み、日本は世界に向かってリーダーシップを発揮していくときであります。そのような勇気ある決断こそが、日本が世界の国々から信頼され、尊敬されるのであると確信するものでありますが、総理の御見解を求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
○国務大臣(中曽根康弘君) 柳澤議員にお答えをいたします。
 まず、外国製品購入の問題でございます。
 貿易摩擦を解消していくという面から見ましても、国際国家日本へ前進するという面からいたしましても、自由貿易を推進するという面からいたしましても、現在我々はやはり政策を断行しなければならぬ国際環境に来ておるのであります。日本がこれだけ発展しましたのは世界のおかげであります。特に世界平和のおかげであり、自由貿易のおかげでございます。それだけの恩恵を受けている日本といたしましては、おっしゃいますように、恩を受けたら返さなければならぬ、そういう立場にもあるのでありまして、外国製品購入ということも、こういう考えに立ちまして、フェアな愛情のある日本国民の態度というものを世界に示す場合でもあると、そう考えて御協力をお願いいたしておるのでございます。
 この貿易黒字の原因は、日本人の勤勉性、あるいは科学技術力の優秀性、工業生産力の優秀性等にあるということはもちろん当然のことでございます。これらを維持することは国家を発展させるためにもまた重要であると思っております。これを否定しようというのではありません。しかし、外国から指摘されておるのは、アンフェアである、日本が不公正である、そういうようないわれなき、あるいは誤解に基づく批判なのでありまして、それにこたえる公正性というものを行動的にも見せる必要がある。国家として日本国民が不公正であると言われるぐらい恥辱はないと私は前から申し上げているとおりでありまして、我々は世界に向かって堂々たる態度をとる国民であるということを見せるためにも、やはり公正なることを実行していかなければならない、そう思っておるのであります。
 恩義を忘れてはならないということは私たちもよく知っておるところであり、戦後アメリカから受けた恩義についても忘れるものではございません。しかし、我が国の国情、我が国の基本的政策、それらに沿って我々は適当なる方法をもってこれらはお返ししていかなければならない、そう考えておるのであります。
 米ソ首脳会談の背景につきましては、アメリカもソ連も、両方とも前向きな姿勢を示していることはまことに慶賀にたえません。その背景には、アメリカ側としては、力の均衡を維持しつつ、より安定した米ソ関係の構築を重視する姿勢を持っている、ソ連側も、新しい政権ができまして、対米関係の再構築を重視してきている、両方とも核兵器の累積に疲れてきているという点も否定し得ない現実であるだろうと思います。そういう意味において、両者がここで直接接触をして隔意なき話し合いを行う。先ほど申し上げましたように、ある程度機は熟していると私は見ておるのでありまして、お互いが直接手を握り、お互いの肉声を聞き合うということぐらい今日重大な意味を持つものはない、そういう考えに立って推進してきておるのでございます。
 ジュネーブ交渉への我々の期待と努力でございますが、ともかくジュネーブ交渉が開始されたということは、世界の平和のために薄日が差してきたような感じを与えて、我々はともに喜びにたえないところであり、これがぜひとも成功に導かれるように我々も積極的に環境醸成等に努力してまいりたいと思います。米ソ間の直接接触につきましては、秋の国連総会もございます。また、十月には国連成立四十周年の記念の総会もあるやに伺っており、これらはいずれも米ソ直接接触の一つのチャンスになり得るとも思います。そういう点につきまして我々も深甚なる関心を持って見守り、かつ環境醸成に努力してまいりたいと考えておるところであります。
 次に、南北問題は、我が国としてはかねてから重要視してきた問題でございまして、今回のサミットにおきましても、それらについて発言もし、また、宣言の中にこれを入れるために外務大臣等とともに特に努力したところでございます。今後も努力してまいる決心でございます。
 新ラウンド開始の決定の問題でございますが、明年春に交渉開始を行わない場合には八〇年代に新ラウンドを行うことは極めて困難な危険性があります。東京ラウンドが終わるのは八七年でございます。今回はハイテクの問題であるとか、サービスの問題であるとか、難しい農業問題であるとか、あるいはセーフガードの問題であるとかいろいろな新しい問題がございますから、交渉にかなり時間がかかると考えざるを得ません。そういう意味において、来年の早期にこれを開始するとい
うことを我々は考えて努力しておるところなのであります。幸い、関係閣僚の努力によりまして、OECD閣僚理事会におきましては、できるだけ早期に開始するという点においては、フランス等も含め、発展途上国等の一部の国も含めて合意しているわけでございますから、これを根拠にいたしましてさらに努力してまいりたいと思っております。
 市場開放の行動計画につきましては、四月十九日に設置されました政府・与党対外経済対策推進本部においてその要綱を決定しております。現在、各省庁はアクションプログラム策定要領に即して、原則自由、例外制限という基本的視点に立ちまして、自主性・積極性、国際性、実効性・透明性を持った内容のものな策定すべく鋭意検討中であり、このアクションプログラムの対象期間は原則として三年以内、しかもできるだけ早期に実行するということであり、その内容は、関税、輸入制限、基準認証・輸入プロセス、政府調達、金融資本市場、サービスの六項目を包含しておるものなのでございます。
 内需拡大の問題につきましては、既にいろいろ御説明申し上げておりますように、我々といたしましては、民活等を中心にして内需中心の安定成長を持続していく考えでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣村田敬次郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(村田敬次郎君) 柳澤議員にお答え申し上げますが、今回のサミットを通じ、御指摘のように日本の大幅黒字に対する非難というものが集中をするのではないかという懸念が三月、四月の時点ではあったのでございますが、現実に私どもが出席をいたしまして、そういった非難はありませんでした。聞かれませんでした。また、各国の政治家たちが中曽根総理のされた四月九日の対外経済政策の決定、その後の一連の対応についてこれを高く評価をしていただいた、こういう認識を持っておるわけでございます。
 さてそこで、景気は全体として拡大を続けておりまして、輸出増加を見込む企業がその部品、資材等の輸入拡大を図っても、一般的に国内産業への悪影響はないものと思われるわけでございまして、したがって輸入拡大を実効あらしめるためにも内需の拡大に努力することが必要である、こういうふうに考えております。
 したがって、御指摘のような自動車メーカーが牛肉を輸入するというような事態ではなく、また、輸出企業への輸入努力要請の趣旨は、各企業において知恵をしっかり出していただいて最大限の輸入拡大努力を行っていただくことにありまして、資材、部品など具体的に何を輸入するかについては個別企業の創意工夫に期待をしておるということでありまして、私どもが六十社の代表を招いてお願いをいたしましたことについての回答は着々と前向きに集まっておるところだと認識をいたしております。
 なお、貿易赤字の場合には石油会社に輸出努力をさせるのかという御指摘がありましたが、我が国の貿易収支は大幅黒字基調で推移をしておりまして、当面赤字になるといったことは考えにくい情勢であるということをお答え申し上げておきます。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 柳澤議員の御質問にお答えをいたします。
 まず、国際国家としての我が国の国際協力体制の問題でございますが、我が国はその国力と地位の高まりにふさわしい役割を果たしていくことが必要であります。これがまた我が国が国際社会の信頼をかち得るゆえんであることは当然のことであります。
 まず、ODAについてでございますが、これは我が国の重要な国際的な責任の一つであると認識をいたしております。これまでもODA予算につきましては三年倍増、そして六年倍増を達成してまいりましたが、しかし御指摘のように実質の面では問題はあります。また、国際的にもまだまだ不十分であることは我々も認識をいたしております。したがって、明年以降も新たな中期目標を設定をいたしましてODAを着実に拡充していくことが必要である、こういうふうに考えております。
 次に、ILO条約につきましては、国内法制との整合性を確保した上で批准すべきものであると考えておりまして、今後ともこの方針にのっとりまして検討を進めていきたいと考えております。
 また、インドシナ難民の我が国への受け入れにつきましては、人道上及び東南アジアの平和と安定にかかわる問題であるとの認識のもとに、難民の一時庇護あるいは定住引き取り及び資金援助の分野で積極的に協力をしてきておるわけでございます。いずれにいたしましても、我が国は各国と協力をし、世界の平和と繁栄のためにこれらの分野においても問題解決のために力を尽くしていく決意でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問、二つでございます。一つは、いわゆる経済問題の中の国際通貨問題でございます。
 この問題につきましては、ウィリアムズバーグ・サミット以来、大蔵大臣会議で引き続き検討をしてきております。が、今日、いわゆる変動相場制に変わるべきこの施策はないかという共通認識はございますものの、いろいろな問題点に対する討議というのは今日もなお続いておるという段階でございます。したがいまして、六月、東京において行います十カ国大蔵大臣会議におきまして今日までの検討の取りまとめを行います。そうしてこの問題は、ソウルにおきまして行われます秋のIMF暫定委員会、これに私が恐らく報告をする、そういう段階になろうと思うわけであります。したがって、ボン・サミットにおきましては、主として今後の段取り、これを話し合ったということが総括して言えることではなかろうかというふうに思います。
 それから投資減税、所得減税、この問題でございますが、引き続き、節度ある財政金融政策の維持強化、規制緩和等を通ずる民間活力の発揮という中期的経済戦略、これをお互いが確認し合っておるわけであります。税の問題というのが我が国に対してサミットにおいて指摘されないということは、一つは、いわゆる設備投資の割合がサミット参加国の中では非常に高い水準に今日あるといういろいろな数字をあらかじめ配っておきますので、そういうことも一つはあろうかと思うのでございます。
 それから所得税減税の問題につきましては、これはサミット参加国の中で租税負担率あるいは国民負担率ともに日本が一番低いということが、やはり議論のとかく対象外に置かれるという環境になりやすい問題ではないかというふうに考えます。しかし、いずれにせよ、この税制問題はシャウプ以来の大改革というので、今後とも国会の議論等を承りながら、政府税制調査会で審議されていくべき課題だという認識は変わりません。(拍手)
○副議長(阿具根登君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十四分散会