第102回国会 外務委員会 第6号
昭和六十年四月九日(火曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 四月五日
    辞任         補欠選任
     水谷  力君     中山 太郎君
     吉川 芳男君     嶋崎  均君
     吉村 真事君     中西 一郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                鳩山威一郎君
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                抜山 映子君
    委 員
                大鷹 淑子君
                後藤 正夫君
                夏目 忠雄君
                秦野  章君
                原 文兵衛君
                秋山 長造君
                八百板 正君
                黒柳  明君
                和田 教美君
                立木  洋君
                関  嘉彦君
                秦   豊君
   国務大臣
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省北米局長  栗山 尚一君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    三宅 和助君
       外務省経済局長  国広 道彦君
       外務省経済局次
       長        恩田  宗君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       山田 中正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       防衛庁装備局管
       理課長      沼倉 吉彦君
       経済企画庁調整
       局調整課長    西藤  冲君
       外務省国際連合
       局外務参事官   瀬崎 克己君
       大蔵大臣官房参
       事官       松川 隆志君
       大蔵省主税局税
       制第一課長    濱本 英輔君
       大蔵大臣官房企
       画官       溝口善兵衛君
       郵政省郵務局国
       際業務課長    梶谷 陽一君
       郵政省貯金局経
       営企画課国際室
       長        舘野 忠男君
       郵政省通信政策
       局国際企画課長  長谷川憲正君
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  本日の会議に付した案件
○万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
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○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五日、吉村真事君、吉川芳男君及び水谷力君が委員を辞任され、その補欠として中西一郎君、嶋崎均君及び中山太郎君が選任されました。
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○委員長(平井卓志君) 万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件、以上五件を便宜一括して議題といたします。
 五件については既に趣旨説明を聴収しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○秋山長造君 若干時間をいただいて、安倍外務大臣に御所見をお伺いしたいと思います。
 実を言いますと、きょうは何か夕方、対外経済政策並びに中曽根首相の特別声明が予定されておるようですから、それを拝見してからの方がよかったのですけれども、順序がこういうようになりましたから、ごく大筋のことについて若干お尋ねします。まあ外務大臣もひとつ総理大臣になったつもりでお答えいただきたいと思います。
 私はごく素朴な質問をまず申し上げますが、大体中曽根内閣になって対米関係はかつてないほどよくなったという、総理大臣自身もそういう宣伝を随分やられて、そのためにある面では長老連中を怒らせたりされた面もある。それから、まあいわゆるロン・ヤスとかいうようなことで、何かとにかくよくなったんだ、よくなったんだと、もう対米関係は本当にぴったりいっているんだというようなことを宣伝もされるし、国民も大多数の国民はそう思い込んでおったわけですね。この正月、総理大臣がロスへ行かれて、外務大臣も同行されたわけですけれども、首脳会談をやられて、その結果さらに親密の度を加えて、そして初めよければみんなよしというような感じになっておったことは、これは否定できぬと思うのです。そこへ、先般来にわかに降ってわいたように、ああいうどうも、ハチの巣を突ついたような騒ぎになってきまして、アメリカの議会で超党派、満場一致で日本に対する報復決議をするというようなことは、余り聞いたことのない、例のない、少なくとも日米関係については前例がなかったんじゃないかというような気がするんで、そこに相当誤解もあったり、いろいろ利害関係もあるんでしょうけれども、しかしそれにしても超党派で満場一致で上院がああいう決議をするというようなことは、よくよくのことだと思うんです。だから、決してこれはもう軽くは考えることのできぬことだ。
 そこで、まず国民一般としては、これは私だけじゃないと思う、大多数の国民がそうだと思うけれども、全く思いがけない、やぶから棒といいますか降ってわいたようなというのか、これにはちょっと国民がみんな面食らっているという感じじゃないかと思うので、そこらのいきさつについて、ただ一部の関係者だけでなしに、消息に疎い一般の大多数の国民によくわかるように、問題がどうなっているのか、日米関係はどうなんだ、実態はどうなんだ、この貿易摩擦の問題は一体どうしてこういうことになったのか、それほど日本は後ろ暗いことを、インチキなことを、エゴなことをやってきているのか、国際常識に照らして実態はどうなのか、アメリカの言っていることが一体どこまでが本当でどこまでが誤解か、感情的になっているかということをよく国民にわかるように私はやはり政府として説明をされる責任があるんじゃないかと思うのですが、それらの点についてひとつ率直な御見解を伺いたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいまの御指摘はもっともなことであろうと思います。
 私自身も長い間対米関係で貿易交渉とか経済摩擦の問題にタッチしてきましたけれども、アメリカ、特にアメリカの議会がここまで感情的になったという例は初めてでありますし、これはまさに予想を超える状況でございます。
 アメリカの政府や、あるいはまたアメリカのマスコミ等は、日本との関係につきましても比較的冷静に判断をしているというふうに私は見ておりますが、議会がもう大変な勢いで噴き上げて、御承知のような上院で九十二対ゼロという形で対日制裁決議を可決したわけです。今までも議会内では随分保護主義の動きがありましたし、あるいはまた対日制裁法案の提出もされたわけですけれども、しかしほとんど大方の合意といいますか支持を得られないということでこれまでは切り抜けてきたわけですが、今回は九十二対ゼロということですから、今それに引き続いて決議案を法案に盛り込んだ形で法案が提出されておりますが、そうした法案等がもしその勢いで可決されるというようなことになりましたら、これは大統領が拒否権を使ったとしても、また三分の二以上があれば拒否権が覆されますし、事態はそこまでいきますと全くもう後戻りができない。日米間も相当大きな亀裂が出てきますし、そうして日米間だけでなくて、保護主義というものがアメリカにそうした形で生まれますと、日本もこれに対しては黙っておれない、あるいはECとの関係で、ECもまた何かやるかもしれない。
 そういうことで、全世界的にやはり保護主義が充満をする。せっかくニューラウンドをやって自由貿易体制を守ろうという世界の空気がある中で、そういう逆の方向に今度走り始めたら、これはもう世界の経済秩序、戦後のいわゆる自由貿易体制を中心とした経済秩序が根底から覆されて、そして経済の不安だけではなくて社会不安、あるいはまた政治的な対立、不安というところにつながっていくんじゃないか。これは世界の歴史がこれを示しておりますが、大変心配をしているわけで、そういう意味では今回のアメリカの動き、特にアメリカの議会の動きというものは、世界経済あるいはまた世界の安定にとりまして、よほど注意して取り組んでいかないと取り返しのつかぬことになるんじゃないかというふうに心配しております。
 こうした議会が一挙に噴き上げたという原因について、我々も議員それぞれに在米の大使館員等を会わせまして、どういうことを議員が言っているか、一人一人のその話を今聞いておるわけですが、まあそれぞれ見解は違います。がしかし、全体的に言えることは、やはり日本とアメリカとの関係において、日本が最近非常な勢いで対米輸出が伸びて、そしてそれが日本の貿易黒字につながっていき、現在では三百四十億ドル、アメリカは三百七十億ドルと言っておりますが、そういう状況で、このままいけば四百億ドルになるかもしれない。これはまさにOPECの最盛期のころのサウジアラビア等のああした黒字と同じような額で、ほかの国はほとんど赤字に苦しんでいるときに日本に全部そうした貿易の黒字が集まっておる。これはやはり基本的に日本の要するに市場アクセスに問題があるんだ。貿易の黒字もふえ、そしてまたアメリカからの日本に対する輸出は決してふえない、ですから、結局日本が市場を閉鎖しているんだ、日本が非常に不公平な貿易をしているんだ、こういうところに彼らは一つの焦点を合わしているように見えるわけで、まあ日本から言わせますとそれはおかしい話で、今日の貿易の黒字がこれまで出たというのは、結局アメリカの経済が最近急激に伸びて、同時にまたアメリカのドル高というものがその根底にあって、アメリカの輸出力というものを非常に削減をしている。競争力が、ドル高によって日本とアメリカとの競争力から見てもアメリカが落ち込んでしまっている。この姿はただ日本との関係だけじゃなくて、例えばカナダとの間にも言えることで、カナダはアメリカに対して二百億ドルも出超でありますし、あるいは台湾もアメリカに対して百億ドルも出超でありますから、そういう点を見れば、日本ひとりだけが不公正な貿易をやっているとかあるいはまた市場を閉鎖しているとか、そういうことにすべてをかけられるというのは我々としては到底納得ができないんで、そこに相当アメリカの議員の大半の人たちの考え方と現実、実際の客観的な姿との間の認識の差があるんじゃないかと私は思うわけでありまして、これはアメリカの政府なんかが我々と会うときは、こうした日本の黒字というのはアメリカのドル高、高金利あるいはまた財政赤字、そういうところに原因があるというのは自分たちもよく知っておるけれど、しかしそれだけではないんだ。やはり輸出が伸びないということについて日本も責任を持ってもらわなければならぬ。そこは、日本の貿易障害あるいは日本がこれまで累次やってきました市場開放努力というのが功を奏していないんだ、日本はやってやったと言うけれど、結局それだけの効果があらわれてないんだということもまた政府として指摘しております。
 我々は、議員の一般的に言っておるような、そうしたすべてを日本にかける、すべて日本の市場が閉鎖されておるという点については我々としては到底納得ができないわけでございまして、これはやはりアメリカ側にも十分説明をしなきゃならぬ。しかし同時にまた、日本がそれじゃこれでいいのか、堂々と胸を張って、いやそれはおかしい、すべてアメリカの責任にあるよと、我々は何も責任を負う必要はないんだということを果たして言えるかといいますと、またこれ率直に言いまして日本にも問題が私はあるんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。それはやはり日本の今度経済対策でいろいろと基本方針を打ち出してきますが、日本の中にあるところのいろいろの障害が結局ある程度輸出を妨げておる、そういうことも言えるんじゃないだろうかと思うわけで、アメリカの要人と私は会っていろいろと聞いた話では、あなた方も、ECはもっと日本以上に障害を設けているじゃないか、なぜECに対しても日本と同じように言わないのかということを言いますと、それは言うけれど、自分たちはECの貿易障害というのははっきり目に見えている。だからそれは論争もはっきりしているし、我々も言うべきことは言っている、目に見えているんだと。しかし日本の場合は、どうも貿易障害というのは目に見えない貿易障害がある。日本は開いたと言うけれど、確かに基準認証制度の改善もやったしあるいは関税も一部下げるというような努力はしたけれど、しかし日本全体の仕組み、流通の仕組みとかその他見ると、どうもアメリカにわからない、目に見えない障害でもってどっかで抑えられてしまっている。だからだんだんとそういうのがうっせきして、そしてそれが日本に対する全体的な不信感につながっているんだということを率直に言った人もあります。これはまあ振り返ってみますれば、日本の伝統とか歴史とか、長い間の商習慣とか文化とか、そういうものは案外行き当たっていくかもしれませんけれど、しかしアメリカからいいますと、やはりそういう点が指摘されてもやむを得ない面が日本の経済の仕組みの中にある点も私たちは反省をしていかなきゃならぬ。これからやはり日本が国際的な国家として信頼を世界の中で集めていくためには、日本自体もそうしたこれまでの長いしきたりというのはあるでしょうが、やはり世界に対して門戸を開かないと、私はなかなかこれから世界の中で日本はやっていけないんじゃないかと思っておりますし、したがって相手に対しても言うべきことは言わなきゃなりませんが、日本もまだまだなすべきことがあるというのが日本政府、私の考え方でありまして、ですから今大急ぎではありますが、経済対策をここに、きょう打ち出すわけであります。同時に、総理声明という形で国民に協力を呼びかけるということにいたしておるわけでございまして、おっしゃるように、どうもお互いにまだ理解の足らない、あるいは誤解等もありまして、そういう点はこれからやはりよほど日本も日本の実態を知らせるし、また理解を深めさせるということで大いに努力をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。その点は痛切に感じておるような次第であります。
 案外、日本とアメリカは近いような関係にありますけれども、以外に意思が疎通してないということもまた痛感をする次第であります。
○秋山長造君 例えば、大臣はもう担当大臣だから百も御承知だと思うんですが、私の記憶では二月の初め、二月の五日だったですかね、レーガン大統領が議会に対して経済報告を出しましたね。あの中に、特に貿易赤字の問題を取り上げまして、全部で総額一千百億ドルでしたかの貿易赤字の主たる原因は対日貿易の赤字だとか対EC関係の赤字だとかいうようなものにあるのでなくて、アメリカ自身のドル高に主たる原因があるんだということを極めて明確に書いておられましたね。これは今日も別に急に変わったわけじゃないと思うんで、今大臣のおっしゃるように、少なくとも政府の責任ある当局者の発言はやはりその線の発言が割合多いように思います。ただ、しかし政府と議会と全然別じゃありませんからね。これは同じ根から立法府へ、行政府へと、こうなっているんで、だから政府自身がそれだけの責任ある経済報告を議会に出しているぐらいな背景があれば、当然議会の中にもいわゆる知日派も相当数おられるわけだし、それからまたレーガン政権と密接につながっている人たちも大勢おられるわけですからね。そういうことであるにもかかわらず、そういう人たちがこぞって日本に対する報復決議に全部手を挙げるという事態というのは、いかに感情的になっておるか、時の勢いとかいいましても、ちょっとこれは常識で考えられないと思うんですよ。だけれども、それは常識で考えられぬことが現にその後出てきておるんですからね。しかも、それがますます燃え広がろうとしているわけでしょう。だから、これに対してはよほど、単なる誤解にすぎぬとかなんとかいうようなことでも片づけられない。
 それと、もう一つは、あなたはいろんな機会に発言しておられる。この間も細川隆元氏とやっておられたのを拝聴しました。それから、いろんな本も拝見しましたし、文章も拝見しておりますから、大体安倍外務大臣のいわゆる創造的外交とおっしゃっておるその意味合いというのは、私は私なりに前向きで理解しているつもりなんです。だから、それはそれで結構で、大いにやっていただきたいと思うが、ただ、あなたも中曽根内閣の重要な閣僚ですからね。中曽根さんがいないから、かわりにあなたに申し上げておる点もあるんだけれども、ロンだ、ヤスだとそんなくだらぬことばっかり宣伝するのもいいかげんにして、もう少しアメリカの議会に、肝心なときにただの三人でも五人でも、いや、それはだめだ、それは反対だと、反対の方へ手を挙げてくれるぐらいな、その根回しぐらいなことはされておるべきじゃないかと思うんです。そういう点は実に私は無責任だと思うのですよ、日本の国民に対して。だからぬか喜びをさせて、そうして中曽根さんは非常に日米関係をうまくやっておる、その前には開戦前夜のような状態だった、ところが中曽根さんになって日米関係は非常にうまくやっているんだ、だから中曽根さん支持だというような世論操作をやっておいて、ふたを開けてみたらこういうとんでもない事態になっておるんでしょう。たった一人も日本を擁護してくれる者がおらぬというような状態なんですね。知日派の議員たちも皆一斉に日本非難の方に手を挙げざるを得ぬというような状態、これはやはり一国を担う責任者としては私は大きな失態だと思うのですよ。だからきょう国民の協力を求めるために特別声明を発表されるとかいうことですけれども、内容を拝見しなきゃわからぬけれども、私はただ国民にやみくもに協力せい協力せいと言ってもどういう経過で、どういう事情でこういう事態になったかということが理解できておらぬ国民に対して、いきなりやぶから棒に非常時だ非常時だと、だから協力しろ、こう言ってもぴんとこないんじゃないかと思うのです。
 だから事のよってくる由来がかくかくしかじかという、今おっしゃったようなことを、事を分けてわかりよく国民に説明されるということが一つと、それから我々自身も率直に反省せにゃいかぬと思う、後半大臣言われたように。だから、アメリカだけでなしにECにしてもASEANにしても、OECDの閣僚理事会にも行かれるようですが、そういう関係国でもみんな大なり小なりアメリカの日本に対する非難というものに対して陰では手を大きくたたくか小さくたたくか知らぬけれども、いいところやってくれておる、大いにやってくれというのでむしろアメリカへ同調的な空気がずっとあるんじゃないですか。なければ幸いだけれども、僕はあるんではないかと思う。これは貿易をもって立たなきゃならぬ我が国としてはゆゆしい問題だと思うのですよ。もうこれは釈迦に説法で私が言うまでもないことですけれども、私はただきょうあすだけ日本がしっかり荒稼ぎをして金をもうければいいんだ、しっかりため込めばいいんだというわけのものじゃないと思う。それで償い切れぬような大きな目に見えぬ損失というものが返ってきたのでは、これは何にもなりませんから、きょうあすそれほどもうけにならなくても、気長に将来行く末長く安定した貿易立国、貿易政策というものを立てていかなきゃ日本の生きる道はないわけです。これはもうわかり切ったことです。だからどうしても、日本自身がそのためにはつらくても国民に甘いことばかり言わずに、この点はこうしなきゃいかぬ、この点は我慢しなきゃいかぬということを、日本の貿易障壁は外国と比べてどこがどういう欠陥があるんだと、それから、日本の関税はこういう点が不当に高いのだとか安いのだとか、そういうことを実態をプラスマイナス、いい点悪い点、国際常識に比べてこれなら非難する方が悪いんだと、それは相手が悪いんだ、これは我々の方が率直に言って悪いんだ、改めなきゃいかぬということをはっきりして、そしてその悪い点、いい点できれば大まかにでも大臣に教えていただきたいと思うんです。
 国際常識から比べて余りにも非常識な悪い点、日本のエゴだと非難を受けるような点、アンフェアだと言われるような点、インチキだと言われるような点、そういう点はやはりこの点とこの点とこの点はつらくてもこれが実態なんだから、これを改めない限り日本は生きていく道はないんだということを国民にはっきりわかるように説明をされる政府に責任があると思うのですよ。ただ、そうしなきゃ今まで調子のいいことばかり言っておいて、そしてこうなったらにわかに非常事態だ、大変だ、だから協力してくれ、これだけでは本当に国民が納得して協力する気になれぬのじゃないかと思うのですね。どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) その点は全くそのとおりだと思います。ですから、きょう政府が経済対策を確定しまして、これはこれから一挙にできない問題もありますし、各国の指摘しておる点等も踏まえた諮問委員会の答申も出ておりますから、とにかく貿易についてはもう原則自由だ、それから例外制限だ、こういうことで国民の皆さんに率直に総理大臣の声明で訴えるわけでありまして、これは私は今お話を聞いておりまして、日米間には確かに議会の中では一言で言えば不信感ですね、知日派の人たちまでが結局日本に対して不信感を持つようになったというところに、やはり我々としてもまだ十分日本の説明が足らなかったんじゃないか、こういう感じを率直に持っております。
 日本だけが標的にされるというのは、到底我々も納得ができないわけでありまして、今度、あしたから私OECDの閣僚会議と日米外相会談に出席するわけですが、火の粉の中に入っていくような気持ちでありまして、私の説明がどの程度理解されるかどうか、何としても我々の真意、我々の立場というものを説明して、お互いに対立して激論して帰ってくるということは簡単ですけれども、そんなことで日本の将来というのはあるわけじゃございませんから、やはり日本の説明を理解をさせなければなりませんし、また問題の所在をはっきりさして議論しなきゃならぬ。
 例えば日本の黒字だけが、OECDでも相当標的にされるというふうな、今空気も出ておりますが、私は日本の黒字を言われれば、確かに日本にも一部市場アクセスの問題があることは、我々も率直に認めて、そのための市場開放努力をしているわけですけれども、今日の日本の黒字というものは、結局そうしたものだけで果たしてできたかどうかというのは、客観的にそれぞれの有識者が集まるのですからわかるはずですから、やはりこれは今日の為替の問題に大きな原因もありましょうし、日本だけじゃなくて、アメリカとか、あるいはECの輸出努力というものにも問題はあるんじゃないか、こういうふうにも思いますし、そういう点等を率直に指摘をしまして、そして全体でこの問題を考えて、とにかく全体的に自由貿易体制というのがここで崩壊してしまえば、これは元も子もなくなってくるわけですから、日本だけ攻撃してそれで済むんならそれは結構な話ですけれども、日本を攻撃して、それに対してまた制限措置等がずっと生まれてくれば、そこでもって自由貿易体制というのは崩壊していくわけですから、私はそういう意味では今の日本の努力、そして今日の厳しい状況の中で自由貿易体制というのをいかに堅持していくことが大事であるかということ。さらにまた、こうした世界の経済の状況の背景には、やはり通貨の問題とか、あるいはまた為替の問題とか、そういうところに大きな要因というものがあるんじゃないか、そういう点をマクロ的に皆で考える必要があるんじゃないかということ等もあえて私は述べたい、こういうふうにも思っておるわけであります。
 日米会談におきましても、日本のこれまでの、アメリカが具体的に指摘しておる四分野については大体きょう結論を出すわけですが、この四分野については、例えば通信機器の分野については、これはほとんどアメリカの要請を受け入れたといっても過言じゃない。EC等の通信機器分野について、ほとんどECは開放してない。日本はもうほとんどアメリカ並みになったわけですから、ですからアメリカにとっては恐らくこれはもうこれ以上日本に求めてもできないというぐらいに日本はやったと思いますし、あるいはまた四分野のうちのエレクトロニクスの分野においても、あるいはまた薬品、医療機器の分野におきましても、これは委員会で非常に順調に審議が進んでおりまして、日本の提案というものが相当前向きであるということはアメリカも承知しております。
 ただ、問題の木材製品については、これはなかなかそう簡単に今ここで思い切ってドラスチックな措置をとれと言われても、これはやはり日本の農業の問題があって、そう簡単にいけるものじゃない。いけるんなら今までやってきているわけですし、できるだけのことはやってきているわけですから、ここで一挙にやれといってもそう簡単にできないので、これは日本の林業対策等もこれからやりながら同時並行的にやっていく以外に道はないんじゃないか。農産物全体については、やはりアメリカは日本に農産物の自由化を強く求めております。これはアメリカからいえば、アメリカは自動車その他で日本が一番強いものに対して市場を開いているじゃないか、だからアメリカの強い製品に対しても市場を開くのが当然だというのがアメリカの考えですけれども、しかし事農産物についてはガットでもなかなか難航しておりますし、それぞれの国がやはり保護主義というものをとっている、これはアメリカだってとっておるわけですし、ECはもっとひどい市場閉鎖対策をとっておるわけですから、この問題でもってただ日本が一方的に不公平だということを言われるのは、どうも私は納得できない感じがいたします。
 しかし、それでも日本はやはり自由貿易体制を守るためにやらなきゃならぬということで、大変今政府あるいは与党あるいは関係業界努力しまして、できるだけのことはやろうということで、きょうアクションプログラムの中で一項目入れる予定にしておるわけですが、そういう点等も私は率直にアメリカと話しをしなきゃならぬ。そうして、やはりただその一点だけで何か非常に象徴的に攻撃されるというようなことは、これはアメリカの良識においても避けてもらわなきゃならない、こういうふうに考えておるわけです。
 今の議会の空気は、もう日本には何を言っても無駄だ、制裁措置をとる以外にないという、何か私、アメリカ議会というのはやはり超大国として世界全体を考え、それから世界の自由貿易体制というものを考えて、全体的に行動してくれるのがアメリカの議会の超大国としてのあり方じゃないかと思うんですけれども、今アメリカの議会も、むしろ私から言わせると中間選挙というのを控えて、もう大統領選挙は終わった、来年に迫っている中間選挙でいかに自分たちの立場を有利にするかということだけが中心になって走っているような、ですから選挙区といいますか、どこの国会議員も選挙区のことを考えない国会議員はいませんけれども、その利害の方が全く優先して、世界全体のことを考えるというよりはそちらの方で感情が先に走るというようなことで、これは我々が考えてみましても余り何か筋道の通った話でなくて、どうも感情だけが先に立っている。
 ですから、そうした感情を経済対策でどれだけいやすかわかりませんけれども、しかし日本の努力というものが彼らにとっても一つの感情を和らげることになっていけば、そしてまた冷静に物を見る目というのが、ちょうどイースターで休暇になって議員はほとんどワシントンを離れております。イースターで休暇になって、いろいろと全体的に物を判断するという空気がまたよみがえってくれば、私は十五日以後のアメリカの議会も今までとは変わった空気になっていくんじゃないか。レーガン大統領初め政府も、もう日本には何を言ってもだめだ、だからやる以外にないという考えじゃありませんで、アメリカの政府もやはり日本に対しては言うべきことは言うし、やらせることはやらせなきゃならぬけれども、しかし日米関係は非常に大事であるし、それから自由貿易体制はもっと大事であるということを非常に政府全体としては理解した動きをしておられるように思います。
 また、マスコミの方もこの状況の中で議会のいきり立っている姿を背景にしておりますが、今日のこういう事態というのはやはり日本だけにすべての責任を負わせるのはおかしいじゃないか。アメリカのとっておる経済政策、特に高金利、ドル高政策に大きな問題があるんじゃないかということをアメリカのマスコミ等も率直に指摘をしておるわけでありまして、アメリカ全体が何か一挙に反日的な空気に変わったように言われておりますけれども、ワシントンではそういう空気が大変盛り上がっておりますが、アメリカ全体としては必ずしもそういう状況にはないように思うわけでございますから、最終的にどのように収束していくかまた予断を許さないところでありますが、とにかく日本としては日本の努力を行うとともに、冷静に問題を見詰めて問題の所在を明らかにして、お互いに協力し合ってこの困難を乗り切っていこう。こういう努力を重ねまして、説明を行って、何とか冷静にこの問題を解決していくような道筋をつけていきたい。私は、そういうふうに念願をしてこれから頑張っていきたい、こういうふうに思っておるわけです。
○秋山長造君 もう時間が来ましたからいろんなことをお尋ねするのはやめますが、今聞きますと、一ころ非常に日本人をばかにした言い方でジャップだとか何かそういうような言葉も議会なんかの公式の席で出かねまじき非常にエキサイトした空気のようですね。だから、私は随分けしからぬとも思うし、それから選挙前で、日本なんかの場合よりもっとプレッシャーグループの活動とかロビイストの活躍とかいうようなのがひどい一面があるようですから、だからそういうことに引っ張られてということもこれはあるでしょう。議員同士ですから、我々もそういうこともあるだろうということは想像つきますが、それにしても一人残らず対日制裁決議に賛成の手を挙げるというのはちょっとどうも異常ですわね。だから、それにはもちろん、それは今大臣のおっしゃるようにパートナーシップというのは何も向こうの言うとおりにするのがパートナーシップじゃありはしませんから、やはり言うべきことは強固に言ってもらわなければ困る、突っぱねるところは突っぱねてもらわなければ困る。ですが、それを今こうなったから、今にわかに思いついてやるんでなしに、済んだことだからしようがないやという、しようがないけれども、もうこうなるということは我々と違って情報をたくさん持っておられる政府の当局者がいろいろわかっておったことだろうと思うんですよ。
 それをわかっておりながら思い切った対策を立てずに、まあどうにかなるだろう、ロン・ヤスでつないでいけば何とかなるだろうというようなことでやってこられた面があるんじゃないかと私思うんですよ。だから、そういう点で対米外交に一番力を入れて、スタッフもそれだけ充実したスタッフでやっておられるにもかかわらず、一人の反対もなしに全員手を挙げさすというような結果にしてしまうということは、それは相手も悪いけれども、日本側も大きな失敗だと思うんですよ、もうこれ以上言いませんけれども。それは外務省ばかり責めるつもりはありませんがね、日本の政府としてもそれは重大な失敗だということは、これは免れぬということはよく腹に持って、きっと、浮いた態度でなしに、じっくり腰を据えて日米関係百年の大計ということでやっていただきたいということを、釈迦に説法で失礼ですけれども、外務大臣に督励お願いします。それからワシントンへ御苦労される、OECDへ御苦労される、まことに足の重い旅だと思いますけれども、しかし、だれかやってもらわなければいかぬ。それはやはり窓口として外務大臣に頑張ってもらわなければいかぬ。だから、もうあなたはひとつ大いに国のために頑張っていただきたいということを思います。
 それから、もう一度最後に申し上げておきますが、私しつこく国民へ知らせいということを言うのは、もう一遍申し上げておきますが、それでなかったら本当の国民外交できませんよ。それはあなたのおっしゃる創造外交だって国民の中にしっかり根を張った、足を踏んまえた外交じゃなかったら私は長続きはせぬと思うのです。国民は何も知らぬです。ただ合板の問題が出れば合板だけが大騒ぎをしておるだけで、電電機器が出ればそれで大騒ぎをする、医薬医療品が出ればそれで大騒ぎをする、エレクトロニクスが出ればそれで大騒ぎするだけのことで、これはただたまたまいろんな問題の一つにすぎぬ。それが済んだらもうそれで片づくかというと、そうじゃないでしょう。後また、次から次へ出てくるに決まっておる。化学薬品が出てくる、アルミニウムが出てくる、しまいにはインキまで出てくるかもしれぬ。だから、そういうことがわかっておるんなら、一つ一つ小出しにしてやかましく言われて、ぶったたかれそうになってやっと立ち上がるというんじゃなしに、問題の所在というものを先取りをして、もう少しきちっときっぱりしたことをやってもらえぬか。そうしないと、こういう形で事が少しずつ処理していかれるということになると第一日本の国民がコンプレックスを持ってしまうと思うんです。日本というものはそんな経済大国だ何だと言っても、実際のところは余り表に出せぬいんちきなことをやってそれで金もうけしておるんじゃないか、いわゆるやみでもうけておるんじゃないかというような、自分自身がそういう自信を失ってしまったらこれは大変だと思うんです、卑屈になってしまって。
 だからそのためにはこの点はアメリカが悪いんだ、だから我々はとことんまでアメリカ突っぱねていくんだ、盾突いていくんだ、しかしこの点は率直に我々自身が反省しなきゃいかぬ、改めなきゃいかぬのだ、それは国民もつらくても日本が長く生き延びるためには了解してついてきてくれ、こういうことをはっきり使い分けをしてやっていただくのが私は本当の政治家の態度じゃないかと思うんです。ただちょっとロンだヤスだというようなことで浮いた話ばっかりでじゃらじゃら言って、国民がまたそれに引っ張り込まれて、ああうまいことやっておるやっておるで手をたたくような、そんな浮わついたことをやっておったら長続きはしませんよ。やはりこれこそ日本はもう貿易立国以外に生きる道はないわけですからね。だからそのためには、日本ももうけさせてもらうが相手にももうけさせる。どこまではいけるがどこから上は遠慮しなきゃいかぬという限界を、それは政府としても国民としてもよく自覚してやっていくということが大事なんじゃないでしょうか。
 私はそう思いますので、まことに素朴な質問で失礼ですけれども、気持ちだけは理解していただけると思います。どうかひとつそのおつもりで頑張っていただきたい。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 大変貴重な御意見をいただきまして本当にありがとうございました。
 御意見の中に私どもも大変傾聴する点がございましたし、おっしゃるように日本は、いろんな原因はありますが、とにかく今非常な大事な時期に来ておることは間違いないわけでありますし、この危機的な状況をいかに乗り切っていくかということがまさに政府に課せられた最大の課題だろう、こういうふうに思っております。日本としての立場もはっきり言わなければなりませんですし、また相手に対しても言うべきことは言わなければなりませんが、日本自身もまた努力しなければならぬ点も多々あるわけでございますから、こういう点も率直に日本の努力のこれからの道筋を訴えて相手側に理解を求めていきたいと思いますし、また国民の皆様に対しても、何でこんなことになったのかという、確かに国民の皆さんの一部にもそうした不安といいますか、不可解な気持ちがあると思いますので、きょうの総理声明を初めといたしまして、政府としましても国民の皆様にもこうした事態の深刻さ、そして今日本のやっておる姿、これから日本がやらなければならない姿、道筋、そういうものもはっきり示して国民の皆さんの御協力を得る努力をひとつ傾けてまいりたい、こういうふうに思います。
○久保田真苗君 私関連いたしまして、大臣がちょうどOECDにお出かけになる前でございまして、まことに御苦労様でございますが、OECDでは大体経済、貿易、南北問題などの議題が取り上げられる予定と伺っておりますけれども、日本の黒字批判についても議題が出ますでしょうし、また懸案の途上国の累積債務の問題なども出ると思いますが、今度のOECDの会議で特に問題として取り上げられる事柄、またそれに対する外務大臣の対処の方針などについてこの際伺っておきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) OECDの閣僚理事会では今回は今の世界の経済状況を踏まえていろいろの角度から活発な意見が出てくると思います。大体想像する限りにおいては、例えばマクロ経済としては米国の経済、大変な成長を遂げておりますが、そういう中での財政赤字の問題とかあるいは高金利、ドル高、そういう問題をめぐっての各国の意見が出されるということも当然のことでありますし、またヨーロッパについては、ヨーロッパで依然として失業が深刻になっております。またヨーロッパ自体の産業の構造調整の問題が長い間の懸案になっております。このヨーロッパ自体の構造調整の問題、そういう面をめぐってそれぞれの国からの意見あるいはまた日本の経常収支の黒字、この問題がやはり恐らくクローズアップされる一つの議論になると思います。
 これは先ほどから申し上げましたように、米国のマクロ経済要因の反映等我が国のコントロールをし得ない要因が大であるわけでありまして、そういう点について日本の黒字問題が脚光を浴びたときは私としても日本の立場というもの、そして日本だけが責任を負う問題ではないということを説明しなきゃならぬと思います。同時に日本としても一層の市場開放の努力をこれまでもしてきたし、今後もしていくということも強調したい、こういうふうに思っております。
 また貿易の問題については、今こうした状況を背景にして保護主義的な勢いが非常に強くなっておりますから、これをいかに抑えるかということがOECDの最も大きな課題、そして保護主義を巻き返していくためにはどうしてもニューラウンドを、これを設定していかなければならぬ。これも今度のOECDの閣僚会議でこのニューラウンドについての一つの道筋を何とか決めたい、ことしじゅうに準備をして来年から交渉に入るというふうな道筋を何とか明らかにしたいものだ、こういうふうに思っております。
 それから途上国の援助につきましては、我が国の方針をはっきり決めましたが、これから新しい中期計画をつくってこのODAの拡充に努めていくという日本の方針はOECDの私の演説ではっきり申したいと思います。今世界経済が非常に悪いものですから、ODAについての非常な伸びが落ち込んでしまっていますが、日本はそういう中でやはり国際責任を果たすということで、財政が非常に厳しい中にあってもODAに対しては特に力点を置いてやるんだ、これが日本の国際責任を果たすゆえんであるということを強調すると同時に、また各国の努力を要請したい。
 私も、そういう中で、特にアフリカ問題等も取り上げてみたいと思っております。これは各国とも非常に関心を持っておりますが、日本は国民的な運動も成功しておりますし、そういう中でアフリカ、特にサハラ以南のアフリカ諸国のこの実態というものに触れてこの問題も強調しなければならぬ課題じゃないか、こういうふうに思います。
○久保田真苗君 ぜひひとつ、御苦労な旅でございますけれども、よろしくお願いしまして、お帰りになりましたとき、とかく首脳の方がおいでになりますとやったやったというところにどうも強調点がいくんでございますけれども、こういう世界の状況ですから、ひとつ客観的にありのままを包み隠さず私どもに伝えて私どもの理解も深めさせていただくようにお願いしたいと思います。
 今大臣、アフリカのことに触れられましたので、ついででございますけれども、先にちょっとスーダンのことについてお伺いしたいんでございますけれども、四月六日にクーデターが起こりまして臨時軍事政権ができているということです。幸い流血の事態にはならずに済んでおるようでございますけれども、この政変につきまして大分大きく報道されておりますし、私ども新聞を見ました限りではこれがどのようになっていくかということはなかなか把握しがたいんでございますが、大臣それから外務省としてはこの実態をどのように把握し、または受けとめておられますか、お聞かせいただけますでしょうか。
○政府委員(三宅和助君) スーダンにつきましては今回のいわゆる無血クーデターが起きます前の状況では経済的には非常に大きな困難に直面したわけでございます。百万からの難民が入ってくる、それから本来食糧の輸出国であったスーダンが最近の干ばつで非常に食糧も足りなくなってくる、そこにもってきましてイスラム教徒とキリスト教徒の南部と北部の対立の問題、それに対して政府としてはイスラム化政策を進めていたということに対する南部の反発というようないろんな問題があったわけでございますが、直接の契機は物価の値上げ、すなわちパンの値上げとか石油の値上げ、そういうことによる緊縮財政への政策をとった。それがたまたまヌメイリ大統領が訪米いたしまして、アメリカに援助の要請に行って不在中の四月六日にダハブ、スーダンの軍指令官が、この方はもともとヌメイリ大統領の腹心の部下と言われていたわけでございますが、その指令官が国民の要請に応じて軍が全権を掌握した。それでヌメイリ大統領の解任、それから戒厳令の執行というような形でいわゆる無血クーデターというものが行われたわけでございます。ただ、その日の夜には、このクーデターをやった軍の方といたしまして、民主主義の保障とか既存の条約など国際約束の遵守、それからやがては時間をかけながら民政に移管するというような発表もしております。またエジプトとの友好関係、これはエジプトと非常に友好関係がありまして、いわば従来親米的な政権であると言われておりましたが、そういうエジプトとの関係の強化というようなことも言っております。今回、無血クーデターでございまして、ハルツームの市内も比較的平静でございまして、特に大きな変化は現在のところ見られていない。官庁もそれから商店も現在既に業務を再開しているというような状況でございます。
 それでは今後の方向としてはどうなるであろうかということでございますが、基本的には軍、もともとヌメイリ大統領が軍というものを背景にしておりまして、その軍の最高指令官がいわば今回クーデターを起こしたという意味におきまして政策面におきましては大きな変化がないであろう。現に西欧諸国との友好関係、それからエジプトとの友好関係をうたっております。したがいまして、政策面においては大きな変更はないと思いますが、ただ従来と若干今後違うと思いますのは、隣国であるリビアとの友好関係とかあるいはエチオピアとの友好関係ということを言っておりますので、そういう意味におきましては従来よりも非同盟的な方向に向かっていくのではないか、親米、親西欧ということでありましても非同盟の方向の色彩が若干強くなるであろう。ただ依然として事態は、流血はございませんし平静ではございますが、軍の内部の問題、それからイスラムとキリスト教との違和の問題、その他物価の値上げを抑え、かたがた経済再建をどうやっていくかというような非常に難しい問題を抱えておりますので、若干流動的な面を残しているという状況でございます。
○久保田真苗君 経済協力の実績で見ますと、日本とスーダンの関係ですけれども、貿易は八一年ごろをピークに最近輸出輸入ともどうも下り坂になっているようだと、特に輸出が半減しているという状況が見られまして、これに対して経済協力の方は、アメリカは大変ヌメイリ政権を援助して、相当額の援助もしてきた。
   〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕
日本の場合も貿易は減少しているんだけれど、無償資金援助は八一年から八三年ごろまでは急激にふえております。これは、日本はアメリカと呼応してこのヌメイリ政権にてこ入れしてきた、こういうふうに見てよろしいんでしょうか。
○政府委員(三宅和助君) スーダンにつきましては、別にアメリカとの関係でてこ入れということではございませんものですから、そういう関係よりむしろ民生安定という観点からスーダン側の経済情勢というものが非常に悪くなって、それを日本としては経済の民生安定のためにどうやって協力するかということで、特に債務累積なんかは現在スーダンは八十億ドルありまして、経済的には非常に難しい。片やスーダンのいろんなプロジェクトも出てまいりまして、そういうものを無償の形で民生安定のために協力して日本側としてはやってきている、その意味におきましてはスーダンは経済援助の無償の重点地区の一つになっております。
○久保田真苗君 そういった民生が非常に危機に瀕していて、民衆の生活にてこ入れをしていくということでございますと、この政変にかかわらず、どちらかというと民生向け、人道援助的なものは続けていくんだろうと思いますが、その辺い
かがですか。
○政府委員(三宅和助君) スーダンに対しましては先ほど御説明いたしましたように食糧が本来輸出国であったのが非常に減ってきたと、現に輸入国に転換している。それから同時に、難民が百万近く、実はエチオピア、近隣国から入っております。ですから、この難民と同時に干ばつの被災民の影響が出てきておるわけでございまして、したがいまして、今後食糧援助とか食糧増産援助という農業関連援助という形で援助を続けていきたいと考えておりまして、この政権がもちろんある程度政治的に安定してこないといろんな形で援助をやりにくいという問題がございますけれども、今後とも民生安定のために、また食糧不足なり農業の発展のために援助を続けていくという日本政府の基本的な政策には変更は全くありません。
○久保田真苗君 それでは、私、きょう本題の郵便の条約について少し伺わせていただきます。きょうは外務省のほかに郵政省お願いしております。
 まず、郵便に関する条約が五つございますんですが、私、大変苦手な分野でございまして一生懸命勉強はしたんですが、あるいは初歩的な質問になるかもしれませんが、よろしくお願いします。
 まず、この五つの条約の批准に当たりまして、差しあたり日本にとって特に何か変化の起きるところというのはあるんでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) 郵便関係の条約あるいは約定につきまして御審議願っておるわけでございますが、この条約を批准することによって法律を改正するというような状況にはございません。
 ただ、技術的な点がございますので、郵政省の省令は改正する必要があろうか、かように考える次第でございます。
○久保田真苗君 それでは、第三追加議定書のことについてですが、今回の改正の中に郵便研究諮問委員会というものを機関としてこれは残しているわけです。残しているけれども、名称を郵便研究諮問理事会という名前に変更しておるわけです。そういたしますと、常識的に考えました場合、理事会というものはその一つ前にあります執行理事会という、理事会が二つこの憲章の中にできるわけでして、つまり権限上の上下が横並びになったのか、あるいは何かこの理事会の権限がふえたのか、こういう点についてちょっと御説明いただけますでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) この連合の組織におきましては三つの大きな組織がございまして、一つはいわゆる総会に当たります大会議でございます。これは五年ごとに行われておるわけでございますが、その大会議の五年間ごとの間に執行理事会、それから郵便研究諮問理事会が開催されるわけでございます。この執行理事会の方は四十カ国から構成されておりまして、この所掌する事務は予算の決定、それから財政規則の制定、事務局の監督、郵便業務に関する立法、行政、司法上の問題の研究、事務局が作成いたします年次報告書の承認等でございます。それから郵便研究諮問理事会の方でございますが、これは三十五カ国で構成されておりまして、大会議の間に同じく郵便業務に関する技術上、業務上、経済上、技術協力上の問題につき研究、勧告するということでございまして、執行理事会の方がどちらかというとこの連合の基本的な行財政に関する問題を取り扱うわけでございますが、郵便研究諮問理事会の方は技術的な問題を扱う、技術協力にむしろ主眼を置いたような問題を扱うことになっておりまして、上下関係はございませんが、おのずからその所掌する分野が異なっているということでございます。
 それから先生御指摘になりました郵便研究諮問委員会の方でございますが、これは一九五七年のオタワの大会談で設置されました。ところがこの委員会の方は全加盟国で構成されておりまして、実際に発足はしたんでございますけれども事実上機能いたしませんで、この研究諮問委員会の中につくられました運営理事会、二十六カ国で行ったわけでございますが、この運営理事会の方が一応機能してきたということでございまして、その後一九六九年に東京にこの大会議を招致いたしました際に、そういった運営上の実態を反映いたしまして、この運営理事会というのを廃止いたしまして、名称を改正いたしまして郵便研究諮問理事会にしたわけでございます。したがいまして、むしろ権限上の問題がどう変わったかということよりかも歴史的な実態を踏まえまして名称改正いたしまして、かつこの諮問委員会を廃止したということでございまして、実際に行っております仕事の内容は研究諮問委員会とそれから研究諮問理事会では大差はないと、かように理解しております。
○久保田真苗君 内容的に大差がないと、こういうわけですね。
 それからもう一つ、私初めて今度わかったんですけれども、スイスという国が国際機関の事務局のような仕事を随分多方面にわたって肩がわりしているということなんですけれども、今回はスイス政府が従来国際事務局を監督していたのにかわってこの機関の執行理事会みずからが監督すると、こういうふうに変わりましたですね。
   〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕
このほかにもスイス政府が国際機関の事務局の肩がわりをしているというケースはたくさんあるんでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) この郵便連合というのは非常に歴史が長うございまして、もう百年ぐらい前に設置された組織でございます。したがいまして、当初は国際機関も余り発達してなかったということでこの機関の維持、運営等につきましてはスイス政府がかなり全面的に支援をしてきたということでございますが、その後だんだん加盟国もふえまして、一九七四年の大会ではスイス政府が従来予算を承認していたわけでございますけれども、この予算の承認権を執行理事会に移したということがございます。
 それから一九七九年の第十八回の大会議におきましては、従来予算をスイス政府が立てかえ払いしていたわけでございますけれども、これはスイス政府の要望によりまして加盟国が分担金を払うということになったわけでございます。したがいまして、徐々にスイス政府の監督権限というものが後退いたしまして、執行理事会に監督権限が移ったわけでございますが、今回ハンブルクにおきます一九八四年の第十九回大会でこのことが明確に規定されまして、この第三追加議定書の第四条で、執行理事会の監督権限を明確にしたわけでございます。このようなことでスイス政府の監督権限は後退したわけでございますけれども、この機関というのは大変小さな組織でございまして、全体の職員が百三十八名でございます。したがいまして、事務処理能力におきましても非常に限りがあるということでございまして、例えば批准書の寄託であるとか、加盟申請あるいは脱退通告等の受理、通告、これをスイス政府が代行することになっておりますが、このような機関、ほかに調べましたところ余り事例があるということではございませんけれども、ひとつスイスにやはり本部がございます例のワシントン条約、これは動植物の保存に関する条約でございますが、この事務局の事務をスイス政府がかなり代行しておりまして、同じような例えば加盟申請、受理、通告等をスイス政府が代行しているということでございます。
○久保田真苗君 なるほど現在の状況ではつまり監督権限というよりはこの登録といいますか、加盟等についての手続を依然としてこれからもやってくれる、こういうことになって、また皆それで了承しているわけですね。
○説明員(瀬崎克己君) 現在残されておりますスイス政府が行います主要な事項といたしましては、加盟申請の受理、それから申請の加盟国への諮問、分担金等の等級についての加盟国への通告、脱退の受理、加盟国への通告、それから連合に一時的に資金が足りなくなったときに短期的に融資をするということと、それから会計監査につきましてはスイス政府が無料で行う、このような非常に手続的な事項に限らして、今後もスイス政府が権限を継続していくということが了解されております。
○久保田真苗君 次に一般規則についてですが、ここに年次経費を一九九〇年まで五年分あらかじめ大会議で決めているわけなんですが、これに関しては物価の上昇とかいろいろな変化があり得ると思うんですが、こういう機関では例えば補正予算なんというのはどういうふうになっていますんでしょうか。これについての、五年分こういうふうに金額まではちっと決めてあるんですが、今後こういうことは問題になってこないんでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) ハンブルク大会議におきましては向こう五年間の予算の最高限を決めてきております。それで、この各年度の予算の枠というのはそれぞれの年度につきまして必要な経費を積み上げて総枠を決めております。そういうことでございますので、実際に理事会が予算を立てるときにはそのときのインフレ率、それから職員の人件費等の上昇分というものをさらに上積みしまして予算を立てるということにいたしております。
○久保田真苗君 そうしますと、そういうことはあらかじめの了解事項になっていて、そしてこれは年次の執行理事会においてこの範囲内で承認される、こういう手順ですか。
○説明員(梶谷陽一君) この一般規則に出ております各年度の予算の枠、これに人件費の増加分、それから物件費につきましてはそのときのインフレ率、これを掛けまして、この年度別の予算に追加いたしまして、その年度の総枠の予算額ということにいたしております。
○久保田真苗君 次に万国郵便条約についてですが、今回のこの条約でございますと、通常郵便物について基本料金を一律五〇%上げている、こういうものになっていますね、内容は。ところで、この五〇%上げる前の現行の料率はいつ決まりましたか。
○説明員(梶谷陽一君) 一九七四年の七月一日発効の条約で現行の料率は決まっております。
○久保田真苗君 そうしますと、これは大体十年に一回ぐらい改定されるということですか。
○説明員(梶谷陽一君) さきのリオデジャネイロ大会議で決定されました料率が現行の料率ということになっておりますが、その条約が採択されましたのは一九八一年の七月一日ということになっております。採択と申しますか、効力を発効したのが一九八一年の七月一日でございます。したがいまして、五年に一遍原則として総会が開かれる、その場で料金等の見直しあるいは業務の改善等の提案がなされ条約に盛り込まれるということになっております。
○久保田真苗君 五年に一遍料率の改定があるということですが、今回の大会議ではこの決まった案以外にも別の案があったと伺います。三つほど案があって、そしてそれを投票の結果決まったということでございますけれども、それぞれの案について相違点を簡単に御説明いただき、なおかつどれが何票で主要国はどこだったかということをお話しいただけますか。
○説明員(梶谷陽一君) 通常郵便物の基本料金につきましては、従来から万国郵便連合の執行理事会におきまして検討されているところでございますが、この理事会が加盟国の郵政庁に対しまして各国が適用しております外国郵便料金と基本料金との関係、それからハンブルク大会議に提出すべき基本料金の引き上げ率等につきまして諮問をいたしました。その結果、相当数の国が取り扱い経費の上昇とか、あるいは内国料金との均衡等を勘案いたしまして基本料金の引き上げに賛成いたしております。それから、引き上げの率につきましては、全種別につきまして一律五〇%を引き上げるという国が多かったわけでございます。これよりも高い引き上げ率あるいは低い引き上げ率を希望する国もあるということを考慮いたしまして、この執行理事会は最終的に昨年の六月から七月にかけましてハンブルクで開かれました総会に三案を提出しております。
 第一案は、通常郵便物全体につきまして現行の基本料金率を一律五割上げるという案でございます。それからその次は、書状及びはがきにつきましては現行の基本料金率を五割上げます。それから印刷物及び小型包装物につきましては六二%上げる、これが第二案でございます。それから第三案といたしまして、通常郵便物全体につきまして現行の基本料金率を一律二〇%上げるという案がございました。以上三案が提出されたわけでございます。これらの改正案は昨年の総会において審議されましたけれども、各国における経済事情、それから料金水準等の違いを反映しまして意見が分かれました。そういうことで、最終的に現行の基本料金から最も離れた案から順次投票に付されたわけでございます。
 まず、第二案の書状、はがきについて五割引き上げる、それから印刷物、小型包装物については六二%引き上げる案、これが投票に付されたわけでございますが、これは賛成が二十一、反対が九十七、棄権が五で否決されております。それからその次には、通常郵便物全体につきまして一律五割引き上げるという第一案が投票に付されまして、これは賛成六十二、反対五十九、棄権四で採択されております。その結果、通常郵便物につきまして一律二〇%引き上げるという第三案は棄却されております。
 以上でございます。
○久保田真苗君 第三案は値上げ率が非常に低いのですが、それはなぜ、どういう国がどういう理由で提案したのでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) 通常郵便物の全種別につきまして一律二〇%引き上げる案というのはフランス郵政庁が提案したものでございます。この一律二〇%案というのは、理事会の最終段階に急遽フランスから提案されまして、特に時間もなかったということでほとんど審議されないまま総会に提案されております。総会では、フランスのほか若干の途上国が賛成意見を述べております。例えばユーゴとかキューバ、中央アフリカ等若干の国が賛成をいたしましたけれども、そのほかの国は余りはっきりした意見は述べておりませんでした。
○久保田真苗君 私多少気になりますのは、国際郵便の料金が先進国、途上国いろいろな国民所得を持っているのですが、例えば要するに一人頭GNP一万ドルという国と一人頭GNP二、三百ドルの国となぜ足並みをそろえた料金がそんなに可能なのかいつも不思議に思っていたところですけれども、そういう意味で今回の五〇%アップというのはほとんどすれすれの際どい線で採択されているのですが、途上国にとってこのような料金のアップがかなり負担になるというようなそういうおそれはなかったのでしょうか。つまり貿易なり文化交流なりをしていく上において、一方的に途上国の方が非常にやりにくい立場になるというふうな、そういうことはなかったのでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) UPUでは、船便の基本料率というものをまず決めます。それからこの基本料率からさらに一〇〇%までアップしてもよろしい。それから下限につきましては七割引いてもよろしいという規定がございます。したがいまして、基準料金が例えば百円といたしますと、最高は二百円まで引き上げてもよろしい。それから最低につきましては七割引きの三十円まで料金を引き下げてもよろしいという規定がございます。各国はこの三十円と二百円の間で各国の経済事情等考慮して、その国の外国郵便料金を決めるということになっております。したがいまして、途上国でそれほど料金は高目に設定する必要がないという国につきましては、この下限七割まで引いてもよろしいという規定を援用いたすことができるわけでございますので、特に途上国で今回の引き上げで大変困ったというようなところはなかったと記憶しております。
○久保田真苗君 ところで、五〇%の郵便料値上げが決められることに関連して、要するに波及効果というのがまずぴんとくるんですがね。これに触発されて郵便代の値上げということが日本でも起こるんじゃなかろうかと、この点一番心配されるんですが、郵政省としてはどうなんでしょう
か。こういうものに、これはストレートではない、これは国際郵便ですがね。要するに、波及効果というもので基本料金が五〇%上がったんだと、そういうことで値上げムードというのが起こってくるんじゃないかということを心配しますが、郵政省としての御計画はいかがなものですか。
○説明員(梶谷陽一君) 外国郵便料金につきましては先般の総会におきまして各種の料金が改定されております。したがいまして、各国郵政庁に支払う経費の増加、それから国内取扱経費の増加、こういうものも今後は出てくるわけでございます。しかしながら、郵便事業財政の今後の状況を見ていきました上で、外国郵便が現在は各種メディアとの競争下にもあります。その辺を考慮いたしますと、郵便料金の改定、外国郵便料金の改定でございますが、これにつきましては慎重に対処をすべきではないかというふうに考えております。
○久保田真苗君 外国郵便のみならず、国内郵便への波及ということもあり得るんじゃなかろうかと思いますけれども、その辺はどうなんですか。そういうことは考えてないわけですか。
○説明員(梶谷陽一君) 外国郵便物の占めるシェアというのは全体の郵便物数に比べますとかなり低うございます。全体の郵便物数に占める割合というのは一%にも満たないというような物数でございますので、それほど大きなインパクトを与えるということはないのではないかというふうに考えております。
○久保田真苗君 ちょっと御答弁ずれていますけれども、まあいいです。また伺います。
 それで、国際郵便について言いますと、日本の国際郵便料というのは先進国の中ではかなり高い方だと思いますが、その点どう見ておられますか。
○説明員(梶谷陽一君) 外国郵便の料金は各国が条約に決めた範囲内で自国の取扱経費等を勘案しまして決めておるわけでございますが、国によりまして、また郵使の種別によりまして差異がございます。
 例えば二十グラムの航空書状というものをとってみますと、アメリカから日本あては料金が八十八セントでございます。これは円価にしますと二百三十円ぐらいです。それから日本からアメリカあては二百四十円でございます。したがいまして、米国の料金の方が若干安くなっております。
 航空印刷物について見てみますと、米国から日本あてというのは二ドル四十一セントでございます。円価では六百三十円になります。逆に日本から米国あては三百四十円でございます。したがいまして、我が国の方が安い料金となっているというわけでございます。さらに書留料とか速達料の特殊料金、これも我が国の方が安い場合がございます。
 それからヨーロッパ諸国と比較してみますと、航空郵便物の場合は我が国の方が全体的に高いということになっております。それから船便郵便物につきましては、これは重量段階によっては我が国の方が安いという場合もございます。したがいまして、日本の外国郵便料金がすべて欧米先進国に比べると高いということにはなっておりません。
○久保田真苗君 私は、一般的な印象なんですけれども、特に問題があるのが印刷物じゃなかろうかと思うのですね。例えば、アメリカ、イギリスなどで書籍を外国に送るというようなときの料率は航空便でもかなり安いと思います。しかし、日本は国際国家だとか文化国家だとかと言うけれども、大体こういった印刷物を在外邦人なりあるいは学術研究団体なり、そういうところへ送るのに非常に郵送料が高いということはやはり今後は改めなきゃいけない一番のポイントじゃなかろうかと思いますが、どういうふうにお考えですか。
○説明員(梶谷陽一君) 外国郵便物の料金は、先ほども申し上げましたように、各国が条約に決めた範囲内で国内経費等を勘案して決めております。そういうことから国によって料金に差異はございます。それで、今先生御指摘の印刷物につきましては、船便では西ドイツ、英国の場合には日本の方が高いということになっております。スイスの場合は重量の重いものは日本の方が若干安い、アメリカの場合と比較しますと日本の方が全般的に安いというふうになっておるわけでございます。こういう状況にあるわけでございますが、郵便財政というのは独立採算で運営されなければならないということになっております。その辺を考えますと、なかなか料金につきましても上げないというわけにはいかない状況になっております。
○久保田真苗君 国際郵便物の受けるのと送るのとに関述していろいろな主要国を並べてみた場合、日本が向こうよりもたくさん送り出している場合と、向こうから受ける方が送り出すのより多い場合と、それを主要国について見るとどういう関係になっていますか。
○説明員(梶谷陽一君) 郵便を差し出す場合、それから受け取る場合、これは各国それぞれ物数、差がございます。日本と特に先進国の間、アメリカそれからヨーロッパ主要国、これとの間では日本から差し出す物数の方が少なくて、先方から入ってくる郵便物の方が多くなっております。一方、主として日本と途上国との間の郵便の交換を見てみますと、日本から差し出す方、これが多くなっておりまして、途上国から入ってくる方、これが少ないという状況でございます。
○久保田真苗君 それで、その間にどういう方法で決済がなされていますか。
○説明員(梶谷陽一君) 郵便料金は原則としてその差し出し郵政庁が収得すると。したがいまして、日本から例えばアメリカに郵便を出す場合にはお客さんがお張りになりました切手の収入、これは全部日本の郵政省が収得してよろしいということになっております。しかしながら、最近は先進国から途上国に向けて流れる郵便の方が途上国から先進国に入ってくる郵便よりも多いということから、主としてそういう途上国の方から配達の手数料的なものを補償してもらいたいという話が出てきておりまして、一九六九年の総会でまず船便郵便物につきまして輸出と輸入の交換差がある場合に、その交換差、重量一キロについて幾ら補償するという制度に変わりました。それから五年後のローザンヌで開かれました総会で、航空郵便物につきましても交換差がある場合には重量について一キロ幾らという形で補償するというふうに変わってきております。
○久保田真苗君 それじゃ最後に、新しく為替交換方式をおとりになりましたけれども、これは私たちにとってどういうメリットがあるのか、ちょっと説明していただけますか。
○説明員(舘野忠男君) 日本の場合には、為替の交換方式といたしまして目録式という方式とカード式という方式がございまして、この両者を併用して行っております。今回のこの新たな交換方式ですが、これはその目録式とカード式を、両者を折衷しました方式でございまして、日本にとりましては既にこの目録式、カード式、両方行っておりますので、日本には特段関係ございません。
○久保田真苗君 日本には関係なし。わかりました。それから今後もなさる気はない。こういうものについて余り実生活の面であれはないと、こういうふうにお考えなわけですね。
○説明員(舘野忠男君) 日本にとりましては、既に目録式でもカード式でも行っておりまして、既にできますので、特段交換方式を採用する今のところ理由はございません。
○久保田真苗君 それではちょっと時間がありますので、この際、最近ュネスコ関係のその後の打ち合わせが行われて、日本からも代表がいらしたと伺っていますので、最近の進展状況等をお聞かせいただけますとありがたいんですが。
○説明員(瀬崎克己君) 三月の二十日、二十一、二十二日と、ジュネーブで、いわゆる国連の専門機関に一%以上拠出しております十二カ国が会合したわけでございます。これは一九六四年以降続いている会議でございまして、非常に長い歴史のある集まりでございますが、日ごろ国際機関の所在地では各関が密接な協力をしておりますが、年に一度ジュネーブに各国の国連局長レベルの方々が集まって、本国政府同士の意見交換をしようということで非公式に集まりまして、国際機関の予算、定員問題等につきまして突っ込んだ意見交換をしてきているわけでございます。今回も三月に行われたわけでございますが、その際たまたまユネスコ問題が非常に深刻な状況を迎えているということがございましたので、従来はこの専門機関の一環といたしましてュネスコもその他大勢の中の一つということで扱っているわけでございますが、今回主催国と出しますか、その会議の行われましたスイス政府から申し出がございまして、この際本国政府の局長レベルでユネスコ問題についての共通認識、どういう状況になっているかということについて意見交換しようじゃないかという提案がございまして、三月の二十日にジュネーブに集まったわけでございます。
 その際、三時間ぐらい議論したわけでございますが、まず第一に二月に行われました臨時執行委員会、この評価をどう見るか、要するに改革への方向は打ち出されたのかどうか、この成果に満足するということが言えるのかどうかということが議論されたわけでございます。これにつきましては若干の進展はあったけれども、出席いたしました十二カ国共通の認識といたしまして満足すべき成果はなかったということが確認されたわけでございます。
 若干の成果と申しますのは、一つにはアメリカが脱退した後に米国政府は今後ユネスコが正常な状態に戻った際には復帰したいという強い意向を持っているわけでございまして、このユネスコの進展状況を実際に見るためにオブザーバーミッションを設置したいという希望を持っていたわけでございますが、これについては事務局の一部、それから加盟国の一部が脱退した米国がオブザーバーミッションを置くことについては反対であるというような意見を持っておりまして、そこで議論があったわけでございますが、これについては最終的に米国のオブザーバーミッションを置くことについて合意をした。これなどは一つの成果として我々として歓迎すべきことでございますけれども、肝心な予算、それから事業計画、これにつきましては見るべき成果はなかったということで、西側諸国が強く主張しております事業の精選、それから事務局の管理運営面での公正、透明さ、こういった問題につきましては今後に課題が残されたわけです。
 そこで今後の問題でございますけれども、四月の下旬から六月にかけまして執行委員会が行われるわけでございます。この際西側諸国といたしましては共通の認識を持って加盟国に当たろうということと、それからユネスコをやはり存続させるということは世界全体の利益であると同時に、特に受益者となっております第三世界と申しますか、開発途上国にとりまして非常に利益があるわけでございまして、こういったユネスコが揺れに揺れているということは好ましいことではないし、それから事態をこのまま放置いたしますと、既に英国は脱退の通告をしておりますし、本年の末には出ていってしまうというようなことでございますので、やはりユネスコの改革について開発途上国の理解を得る必要がある。日本側といたしましては、加川代表が二月の執行委員会で発言した後、日本の真意を説明するために開発途上国、主要国三十一カ国に対しまして説明しているわけでございますが、日本側といたしましてもこういった外交努力を活用いたしまして、各国もやはり第三世界に対してユネスコ問題を訴えて改革に協力をしてもらおう、こういうようなことが意見交換の中で出てまいりまして、今後パリにおきましてこの問題をさらに突っ込んでフォローしていこうというような問題、それから予算の面でございますが、アメリカ政府が脱退したことによりまして既にユネスコの予算というのは今年度二五%なくなってしまうわけでございます。
 その結果、予算が削減されるわけでございますが、この予算の削減を加盟国が肩がわりするというようなことではなくてやはり厳しい行政改革、それから事業の選択等を事務局に申し入れようというようなことが意見交換の中で出されたわけでございまして、各国国連局長の共通の認識といたしまして、ユネスコは今後やはり大いに行政改革ののるしを上げて、西側諸国が結束していくこと、それから第三世界の支持、理解を得てその行政改革を進めていこう、このようなことが議論のポイントになったわけでございます。
○久保田真苗君 今おっしゃったその会は拠出金一%以上の会で十二カ国ですか。十二カ国で、この中には途上国は入っているんでしょうか、入っていないんでしょろか。
○説明員(瀬崎克己君) 十二カ国の中には途上国は一カ国も入っておりません。
○久保田真苗君 それでは、途上国に働きかけていらっしゃるという、これからの課題がここに残っているわけですね。わかりました。ひとつどうか途上国の理解が得られるような方法を考えながらやっていただきたいと思います。
 最後にムボウ事務局長が訪日されて大臣に会われるというのは、大臣がお帰りになってからでございましたね。
○説明員(瀬崎克己君) ムボウ事務局長は四月十四日に来日いたしまして十八日まで滞在する予定でございます。したがいまして、大臣にはお帰りになった後でお会いいただくということで日程を詰めているところでございます。
○久保田真苗君 ひとつ率直なお話し合いをお願いしまして、私の質問を終わります。
○黒柳明君 外務大臣、総理が夕方ですか、特別声明、記者会見をする。これはもう当然異例なことでありまして、年頭の訪米から総理、そして対外折衝の窓口の外務大臣が一手に苦労しながらこの問題を扱ってきたわけでありますけれども、どうなんでしょうか、大臣が十三、十四日アメリカへ行きまして、対外経済政策がまとまるわけだ。まとまるといっても内容的には非常に私はフメリ力筋から見ると期待できないものにならざるを得ない、こう思うんですが、外務大臣、これをひっさげて最後の切り札として訪米しまして、それでアメリカの全く異例な対日攻勢に対して説得できる自信があるかどうか。いかがでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本もこれだけの努力をしまして、特に四分野については相当進捗しておりますし、木材製品についてはなかなかアメリカの思うようにいかないわけですが、その他についてはほとんどアメリカとの関係ではアメリカも理解する、あるいは評価するというところまで来ておりますから、その他、日本のこれからの中長期的なアクシッンプログラムをつくっていく。
 また、関税の引き下げ等につきましては大体七月をめどに作業を進めていくということですから、私は日本としてはでき得る限りの最大のことをしておるし、この日本の熱意、決意というものを総理大臣みずからが国民にも明らかにしようとするわけでありますし、ぜひともこれはアメリカ側にも評価をしてもらわなきゃならぬ、こういうふうに思っておりますし、そのためにひとつ力を尽くしていきたい、こういうふうに思います。
○黒柳明君 アメリカ側の要望を相当のんだ、これは間違いありません。そういう面では、ある面では日本側からあるいは特定の業界から見るとマイナスだという批判も当然起こるでしょうけれども、ただ、電気通信機器については相当両者の合意や発展もありますけれども、大臣おっしゃった合板については何か六十二年ごろから関税の引き下げという合意らしい、あるいは衛星にしましても民間がということであって具体的には出てないというようなことで、私は冒頭に、まとまるにはまとまるけれどもこれは総括的なことで、ヨーロッパも踏まえてのことで、決してアメリカの四項目だけを、重点ではありましょうけれども、徹底的に掘り下げた市場開放に向けての結論ではない。こういう政府の方針の中での取りまとめですから、大臣の努力、これは私も努力してないということじゃない、もう努力せざるを得ないし、努力したことはこれは一〇〇%評価はしますが、ただ問題は、アメリカ、なかんずくアメリカの議会筋から見た場合に、大臣がおっしゃるように努力したんだから三年後で関税引き下げでいいだろう、あるいは衛星だって買うんだから、ひとつあとは時期を待て、こういうようなことで果たしていいのか。
 何か松永駐米大使もシュルツさんと会談して、果たしてきょうまとまる案ではアメリカ議会筋を説得できないんではなかろうかというようなコメントを国務大臣にしたとか、駐米大使は弱気であるんですけれども、ただ、外務大臣が努力したと強気で行くのは結構ですけれども、かえって具体性が何にもないと一昨々日の手島審議官みたいに、結果的には向こうのマスコミから袋だたきに遭っている、批判の的になっている、どういう過程でどういうふうになったかこれはわかりません、都合があったんだと思いますけれども。
 ですから、そんなことがありますともう外務大臣にとってかわる人はいないわけでありまして、それこそサミット前に火を噴く可能性は十二分にある。これは外務大臣が冒頭おっしゃったわけでありまして、大統領の拒否権だってもう三分の二で覆される。これは外務大臣がそういう心配も含めてあるいはおっしゃったんだと思うんですけれども、努力だけで、具体性が今の段階で本当に説得できるかどうかということは私は非常に疑問なんですけれども、これは松永駐米大使も非常にダウトフルだ、こういうことをシュルツさんに言ったというんですけれども、ここらあたりのコメント今流れてきておりますけれども、夕刊には出るんじゃないかと思うんですが、外務大臣、強気で行くよりほかないとは思うんですけれども、そうすると、外務大臣としてはただ単に努力したんだから理解せい、これだけのことなのか、あるいは努力の中において三年後に合板がこうなるじゃないか、あるいは衛星だって買うという将来性を決定づけたんだからと、こういう努力目標だけで説得してくるのか。あるいは今もおっしゃったように、高金利あるいは財政赤字なんていうのはアメリカに責任があるんじゃないか、カナダだって台湾だってアメリカは入超じゃないか、こういうこともつけて日本の立場を説明してくるのか、そこらあたり具体的に外務大臣、もう数日後に敵陣に乗り込んでいって、それこそ日本の経済の命運をかけて日米のギャップというものをどう埋めるか、相当御苦労もし、失礼ですが勉強もし、腹構えも構えて具体的な説得ある工作、何というんですか、説明をお持ち合わせだと思うんですけれども、前提として、これを努力し、まとめているものがある、国民に対して訴える総理大臣の異例な声明がある、これはもう当然前提だと思います。それを前提とした上にやはり面と向かって外務大臣が行かれるということに対しては、向こうは手島さんのマスコミを含めての反発もありますから、相当構えていると同時に、期待もしている。そのためにはこういう説得、こういう言いわけ、というふうなことは相当今現在外務大臣の頭の中にあるのではないかと思うのですが、外務大臣はどういう具体的な説明の仕方、説得の仕方、お持ち合わせなんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはあんまりごちゃごちゃ考えましても面倒なことになりますから、とにかく今度の、きょうの経済対策と総理声明以上何も私持っていくわけじゃありませんし、この中に全部尽きているわけですし、それは事前に向こうへいっているわけですから。問題は、しかしやはり文章でアメリカが見ただけではなかなか文章の限りにおいては理解しにくい点もあると思います。したがってこれはやはり直接会って私の口から日本はこういう努力をしてこういう結果になったのだ、それから見通しはどうで、これに対しては政府の、私も総理大臣とともに責任を持つのだというふうなことについて私の口から率直にやはり背景とか、今後の見通し、それから今の日本の置かれておる立場でぎりぎりやったのだということを説明してベストを尽くしてくる以外には私はないと思うのです。
 アメリカの議会がどう出るか、これは十五日以後問題だろうと思いますが、アメリカ政府もアメリカの議会をコントロールする力はないのだということも言っております。これは政府と議会は別でしょうけれども、しかし、やはり議会と政府というのはこれまでは何か相当裏では話し合ってやってきたと思われますが、今回はどうも、最初は政府が火をつけたのかもしれませんけれども、議会の方が走り過ぎちゃって手綱の締めようがないというふうなところまで来ておりますから、この辺の状況はこれまで私も何回か交渉しましたけれども、一体その後アメリカで実際にどうなのか、そういう点も聞いてきたいと思いますが、いずれにしてもとにかく我々としてはここで政府全体として総理大臣を中心にベストを尽くしたのですから、これを率直に伝えて日本もここまでやったのだ、同時にまたアメリカにもこれを踏まえて努力していただかなければならぬ問題があるのだということで、そして日米関係全体というものをとらえて、シュルツさんとの間には話をして、貿易経済ではここでもってここまでやって、ここで火を噴いてさらに日米間全体に大きな亀裂を起こさせることは決して日本のためだけじゃなくて、アメリカのためにもよくないんじゃないか、そうなってくればサミットは一体どうなっていくのだというようなことまでも詰めていろいろと話をして総合的なアメリカに判断を求めなければならない、こういうふうに思っておりますが、結果については今全く今日のこういう状況ですから、見通しはつかない、見通しを持っていく状況ではないとしか申し上げることはできないわけです。
○黒柳明君 お忙しい日程ですから議会筋やマスコミの幹部との話し合いというのは予定はできないわけですね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ちょうどイースターの真っ最中でとにかく土曜、日曜というのは完全休みですから、その中をシュルツさんも時間を割いて、国務省は私のためだけにあげて待っておってくれるわけですし、議会の人はもうほとんどワシントンにいないようです。ですからその他の閣僚に少し会えるかもしれませんが、大統領もおられないというような話ですから議員とかにはあんまり会う時間はないと思いますし、また、向こうがいないと思います。マスコミの方は向こうの方で求められればいつでもこちらとしては会う気持ちを持っております。
○黒柳明君 これは幸か不幸か土、日になっちゃってイースターに重なっちゃって、それで十五日の月曜日にはお帰りになると、またあの手島さんと同じように言われませんか、土、日に来てだれにも会わないで帰っちゃったなんというようなことを。それだけがワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズの一片を飾っちゃって、外務大臣の、日本の誠意が通じないなんという可能性もなきにしもあらずのような、何となくいやな予感がしまして、これはもう私のいやな予感だけにとどめておきたいというようなことで、ひとつ頑張ってくださいよ。私なんかはもう頑張ってくださいと言うより言いようがないわけでしてね。本当ならばワシントン・ポストの社説だって、四日前はあながち日本批判だけのものじゃなかったですね、アメリカに対してやはり不備な点も指摘していました。それからダンフォース議員あたりだって、我々やマスコミには会わないけれども、外務大臣が会いたいと言ったら、これはもう外交儀礼上会わないわけにいかない、議会筋だって。ところが幸か不幸か、そういう土、日あるいはイースターにかかっちゃって、月曜に議会へ議員が来るときには外務大臣は東京でというようなことになっちゃうんで、そこらあたりが幸と出るか不幸と出るか。これはもう外務大臣のお言葉をかりると、やってみなきゃわからない。こういう、言うならば何か日本外交が一つの綱渡りをしているような、何となく心細いなと、私はおとなしいからこういうことでおとなしく言うんですけれども、ほかの党の先生だったらこれは厳しく追及しなきゃならないところじゃなかろうかとも思うんですけれども、まあこれ以上はもう外務大臣に頑張れと
言うよりほかないと思いますが。
 それから昨日、衆議院でSDIとそれから日米の共同作戦研究ですか、それを踏まえてかどうか、有事法制化の研究をというような話、条約局長と北米局長ですけれどもね。どうなんでしょうか。私もまだ議事録が出てないんで関係がちょっとわからない。SDIの件につきましてはいわゆる武器輸出供与のことで日米間の取り決め、第三国に流れることはうまくないということですが、SDIの研究なんというのもまだ研究に緒についたばかりだということで、総理も外務大臣も何回も繰り返している。研究に入るかどうかもわからないわけですね。にもかかわらずワインバーガーが研究に参加しろということは、何となくぴんとこないわけですけれども。そうすると、今現在の研究というところでも、既に日米欧の中では参加はできないというきのうの見解だったんですか。それとも、武器輸出技術が流れる、第三国にという段階において、これはアメリカとはできるけれどヨーロッパとはできない、こういう見解だったんでしょうか。
○政府委員(栗山尚一君) 昨日大臣が御答弁されましたときも、私から御答弁申し上げましたときも、まあ研究といってもまだ今の段階では率直に申し上げて、どういうことになるのかということについては私ども全くわかりません。今後アメリカの考え方を聞いてみないと、私どももアメリカがどういうふうなことを具体的に考えておるかということについては把握できませんので、全く非常に仮定の議論になりやすいものですから、具体的にどうこうということはなるべく、むしろ申し上げない方がいいだろうという趣旨でまず御答弁申し上げたわけですが、いずれにいたしましても、今委員御指摘のように、我が国の場合は武器輸出三原則、技術も含めまして三原則がございますので、第三国、NATO諸国も含めまして第三国に我が国の技術が渡るというような結果になる、あるいはそういうことを前提としたような形での三者一緒になった研究というものは、これはまあ武器輸出三原則の趣旨に照らしましてできないであろうと、こういう考え方を申し上げたわけでございます。
○黒柳明君 そうすると、今現在参加を求められている時点においてはそういう感触を強くしているということも局長の答弁の中に入っているわけですか。
○政府委員(栗山尚一君) 現在の段階では、どういうことになるかというのはあくまでもわかりませんので、一般論でしかお答えできないわけでございます。したがいまして、さっき申し上げたようなことで、現在の日本の政策、武器輸出三原則を踏まえての日本の立場からいたしますと、第三国に日本の技術が渡るというような形での研究ということは、これはあり得ないということを一般論として申し上げたわけでございます。
○黒柳明君 アメリカからの説明を求める、これはもう言ったわけですね。これはいつごろ来る予定なんですか。
○政府委員(栗山尚一君) アメリカ側に対しましては、できるだけ早く専門家をよこして、SDIについての技術的な側面、それからより広い戦略的と申しますか、全般的なアメリカの考え方、両方の側面について話を聞きたいということで申し入れておりますが、まだ具体的にいつどういう人が来れるかということについては、私どもの方の都合もございますし先方の都合もありますので、具体的に決まっておりません。
○黒柳明君 その説明員が来た時点において、その説明を聞いて今言ったような判断ができないような場合には、この参加不参加というのはどうなるんですか。
○政府委員(栗山尚一君) 現段階で必ずしも一回説明を聞いただけですべて物事が解明されて、具体的に我が国の対応ぶりとしてこうだというような結論を出すための十分な情報なり判断材料なりというものが一回の説明で得られるかどうかということになりますと、これはわかりません。まあ一般的に今回来てもらうのは、ある意味ではロスの首脳会談で総理から今後節目節目で随時情報の提供をしてほしいということを言われて、レーガン大統領がそれはそうしましょうということを言われた、その第一歩と申しますか一環であるというふうに理解をしておりまして、一回の説明で判断材料が全部出そろうということは、それは必ずしもないかもしれないというふうに考えております。
○黒柳明君 そうすると、外務大臣、今までは説明員を呼んでそれでその後参加不参加を決めたいと、まあこれ断定的みたいにおっしゃる。ただ、六十日という幅については、これはちょっと突然でわからないというようなこともおっしゃってたんですけれども、このきのうの問題なんか当然皆さん方は検討の中に入って、私たちがそういう点に気づかなかった、こういうことだったと思うんですけれども、説明を聞きまして、それで非常に漠然とした中で、今言った日本なりの武器技術の流出ということについて、やはり歯どめがあるわけですから、そうなりますと必ずしも一回の説明で、今おっしゃったように、結論は出せない。そうなりますと、十八カ国のワインバーガーさんの参加に対するしかも六十日というある意味においてのリミットを設定したこの研究の呼びかけというのは、非常に何だか他国はいざ知らず、日本としましては特別にそれを目安に参加しなきゃならないとかすべきであるとかという判断の材料をそこに求めるのは、非常に無理なような私は気が何かさらにしてきたような感じがするんですけど、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは前々から言っておりますが、六十日という期限は別にこちらがつけたわけじゃありませんし、アメリカ側が一方的に手紙で言ってきているわけです。また、こうした重要な問題は、何十日と限られてもなかなかこれは日本として態度を決めかねる場合もあり得ると思います。やはり日本の国の非常に重要な決定ですから、これは日本は日本なりに十分時間をもらって決めなければならぬ場合もあると思うんですが、これはやはり今局長も言いましたように、第一回目の専門家の意見を聞いて、それでまた理解が得られないという、また十分わからないというときは、それは二回や三回にもなるんじゃないか、それは十分日本として国民に対しても説明しなきゃなりませんから、そういう意味では時間をかけてでもお話を聞いて全貌をつかんで、そういう中でやはり日本の基本方針、基本的な立場というものを踏まえて自主的に決めたい、こういうふうに思っておりますから、まあ六十日というものにとらわれたんじゃなかなかこういうことはいかないと思います。また、それでもいいんじゃないかと思います。
○黒柳明君 今までは、ある程度短期的な時期を限って参加あるいは不参加の決を出さなきゃならないのかなという感じがしてきましたが、何か中長期的な次元で考えればいい、こんなような感じもまたしてきたんですが、今、国民の皆さんにもとおっしゃったが、ひとつ野党にもこういう問題は、これだけの国会の雰囲気ですから、反対反対と言うのは、わからないことを認識しないで評価という面はこれは避けなきゃなりません。認識した上において、そして賛否、イエス、ノー、おのおのの立場を踏まえてこれはいたし方ないと思うんですが、何もわからないでいいだ悪いだという論議、今もしかするとそういうような論議が行き交っているのかわかりませんが、説明員、これは行政府のここは守備範囲でありますけれども、ある時期がたちましたらぜひひとつ、今大臣がおっしゃった国民という中に当然野党も話を聞かしていただいて、それで私たちも十二分に認識した上で、それで独自のこれに対してどうするかという評価もさせていただきたい、こう思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) やはりできるだけ二国間、日米の政府間のベースの問題ですから、相手のあることですし、出せない面もありますけれども、しかし出せる面については、これはやはり野党や国民の皆さんに説明するということもあり
得ると思いますし、それから判断をする際に当たっては、これまでの背景とか経過とか、あるいはまた判断に当たっての問題点だとか、そういうものははっきりと説明しなきゃならぬのじゃないか、そういうふうに私は思うわけです。
○黒柳明君 それから北米局長、きのう日米の有事を想定しての法制研究みたいなものをしなきゃならないとおっしゃいましたですね。それも詳しく――そうすると今度、防衛庁が中心に数年前からやっている有事法制の研究、防衛庁関係、それから他省庁の関係、あるいはそれにまたがらないようなもの、調整をしなきゃならぬ、こんな三つに分けてずっとやってきている。国会でもいろいろ質疑をやってきましたけれども、その国内法制、これは研究じゃなくて取りまとめの段階ですね。それとの関係というのはどうなりましょう。いわゆる日米で昨年の制服同士がやった共同作戦の研究、ないしはきのうは有事の法制も考える必要があるだろうと。それよりも国内有事のときの法制というものがすべて優先しませんと、日米間で何を研究したって何をやっても国内法が整備されていないというと、これは大前提ですから、だからこの国内の有事法制の研究といいますか、この取りまとめと、それと日米の有事の法制の取りまとめなり研究なり、これとの関連というのはどういうふうになりますか。
○政府委員(栗山尚一君) 昨日衆議院の方で御質問がありまして、防衛庁長官及び私の方から御答弁申し上げましたが、従来のいわゆる有事法制の研究というのは、御承知のように自衛隊との関連でのいわゆる有事法制の研究でございましたが、安保条約の五条事態のもとで自衛隊と共同対処ということが想定される米軍に対して、我が国の国内法制がどのようなことになるか、あるいはその共同対処を行うに当たって我が国の法制上、何か問題点がありや否やという、そういう側両からの研究というのは従来行われておりませんので、そういう面についても一般的に防衛庁長官及び私の方から、今後一つの研究課題であろう、防衛庁長官の方からは、これは防衛庁と外務省と十分連絡を密にして研究を考えてみたい、こういう趣旨の御答弁があって、私からも、外務省といたしましてもそういう面が必要であろうというふうに考えておりますということを申し上げた次第でございます。
○黒柳明君 だから、それはきのうのあれで、それと今度は今防衛庁を中心に国内の有事法制、これの整備をやっているわけでしょう。ですから、日米の有事の共同研究はやりましたが、国内の法整備がまだできていないわけですよ。それとの関連をどういうふうに考えているのか、考えざるを得ないのか、こういうことなんですよ。
○政府委員(栗山尚一君) いわゆる共同作戦研究と直接私どもは関連を持たして考えようということではございません。あくまでも、共同作戦研究の有無は別としまして、五条事態のもとにおいて自衛隊と米軍が共同対処をするわけですから、自衛隊に適用がある法制と米軍に適用がある法制とが、例えば何か非常に矛盾する。自衛隊には例えば適用があるけれども米軍には適用がないとか、逆に自衛隊には適用がないけれども米軍には適用があって、その結果、米軍の行動が自衛隊以上に制約されるとか、そういうことがあってはならないんで、やはり自衛隊と米軍との間に、法制の適用においても基本的には整合性がある必要があるだろう。そういう観点から、やはり米軍との関連でのいわゆる有事法制の研究ということを行う必要があるであろうということを防衛庁それから私ども外務省の方から申し上げた、こういうことでございます。
○黒柳明君 例えば、具体的にこの前の共同研究の中でも、有事のときには日米が小規模以上の攻撃に対して対処する、こういうことが出ている。こういうようになっていましたけれども、具体的に有事が起こって、アメリカの出動を頼むというようなときに、指揮はどこがとるんですか。そんなことも明示されている、あるいはこれから研究する対象になるんですか。
 例えば、もっと極端に言いますと、核攻撃があった場合に、日本は手も足も出ない。その場合の最高指揮官というのはアメリカが、太平洋司令官なり在日米軍司令官なりが最高指揮官になるわけですか。
○政府委員(栗山尚一君) これは委員も御承知だろうと思いますが、昭和五十三年の十一月にできました日米防衛協力のためのいわゆるガイドラインの中に非常にはっきり書いてございまして、「自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下に、それぞれの指揮系統に従って行動する。」こういうことになっておりますので、あくまでもこのガイドラインに基づいて日米それぞれが独立の指摘系統に基づいて行動をする、こういうのが大前提でございます。
○黒柳明君 大前提はわかるんですけれども、この前の十二月十六日の日米の制服の、あれが、研究じゃなくて、いざ実際に計画になったときにどういう法的な手続が行われるんですか。あれは研究だから、署名があって、条約局長ですかな、安保第五条に基づいて外交的な法手続がとられるわけですか、計画になるとき。
○政府委員(小和田恒君) その点につきましては、基本的には主管官庁は防衛庁でございますけれども、防衛庁長官の御答弁によりますれば、これをどういう形にするかということについては今後の検討課題であるというふうに承知しておりますので、現在の段階においてはこの計画についての研究がある。研究の内容がまとまって、日米の軍当局の間においてその内容の確認が行われた。これを今後どうするかということについては、まだ確たる方針が決定していないというふうに、私は防衛庁長官の御答弁を理解しております。
○黒柳明君 時間がありませんから、またいろいろわからない点がありますので、次回に。
 きょうのこの五つの条約ですけれども、これは今までの条約の更新で、今までに何か不都合な点があったでしょうか。あるいは今後何か起こり得るような、考えられる問題点というものが内在しているものなのでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) この条約は五年ごとに改定されているものでございます。今回が初めでございませんで、何回も繰り返し国会で御審議願っておるわけでございますが、特に過去において、この一連の条約、約定の改定に際して不都合があったということは承知しておりませんし、それから昨年のハンブルクの大会議におきます審議の際に何らかの障害が予想されるというようなことはございませんでした。
○黒柳明君 昨年のハンブルクにおいて各国からの何かクレームなり批判なりというものはあったんでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) 先ほど御審議いただきましたように、郵便料金の改定につきましてはいろいろ案がございましたけれども、最終的には多数決で現在この協定の中に盛り込まれております引き上げ率が合意されたということでございます。
○黒柳明君 結構です。
○委員長(平井卓志君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分再会することとし、休憩いたします。
   午後零時十分休憩
     ─────・─────
   午後一時十二分開会
○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件、以上五件を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○和田教美君 まず、万国郵便連合憲章についてお聞きします。
 万国郵便連合には我が国は明治十年以来参加して、もう大変な古顔でございますけれども、どうもこの国際機関では最近、例えばユネスコなどに見られるように先進国と開発途上国との運営の問題とかあるいは経費負担なんかの問題をめぐって対立が見られるようなことがあるわけですけれども、UPUについてはそういうことは全くないのかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○説明員(瀬崎克己君) 近年、岡際機関の予算の膨張、定員の増加等につきまして西側諸国の厳しい財政事情を反映いたしましていろいろ議論があるところでございます。その端的な事例はュネスコでございまして、ユネスコにつきましては事業内容、予算の増加率、定員増、それから運営管理の不透明というようないろいろな指摘がなされているわけでございますが、この万国郵便連合につきましては、私どもとしては非常に健全な機関であるというふうに位置づけておるわけでございます。
 まずその第一点は定員の面でございますが、定員の面は、一九七五年、この際にいわゆる専門職の職員が五十七名いたわけでございます。これが一九八四年、昨年におきましても七十五名ということで、そのほかタイピストであるとか運転手、電話交換手等を入れまして全体の規模が百三十八名ということでございまして、定員増につきましては、事務量がふえているにもかかわらず極めて効率的に運営しておりまして、人の増加ということはほとんどないわけでございます。
 それから第二は予算でございますが、ここ三年来の伸びを見ておりますと、一九八五年の予算は七・四%と若干大幅に伸びておりますが、その前の三年につきましては、八三年の伸び率が〇・四%、八四年が〇・二%ということでございまして、この三年間の平均をいたしますと二・五%でございます。したがいまして、インフレ等を勘案いたしますと実質的にはほとんどゼロ成長に近いということでございまして、予算の面でも非常に健全であるというふうに考えられるかと思います。
 それから事業の内容でございますが、このUPUを通じましていろいろな技術協力が行われております。ただ、この技術協力の内容も非常に郵政業務の技術指導、人材の訓練あるいは機材の供与等が中心でございますので、政治性は全くないということで、事業の内容については特に議論が行われているということはございません。ただ、国際機関一般の傾向といたしまして若干の政治的な問題が扱われているということは事実でございます。例えば昨年のハンブルクにおきます会議におきまして、南アの代表椎の問題であるとかあるいはイスラエルの代表椎の問題とか、こういうようなことは議論はされたわけでございますが、いずれにせよ過度の政治性ということはこの機関については言えないということでございますので、財政面、定員の面、それから事業の内容、事業活動等々を総合的に勘案いたしまして健全な国際機関であるというふうに位置づけることができると思います。
 なお、先般ジュネーブにおきまして西側諸国が集まりまして専門機関のいろんな問題点について議論したわけでございますが、このUPUにつきましては最も健全な機関の一つであるというのが、日本のみならず西側各岡の共通の認識でございました。
 以上でございます。
○和田教美君 UPU日体あるいはUPUの地域ごとの限定連合だと思うんですけれども、アジア太平洋郵便連合というのがございますけれども、そこでの日本の開発途上国、東南アジアなどの開発途上国に対する技術協力ですね、大体どういうものをやっているのか簡明にひとつお願いいたします。
○説明員(瀬崎克己君) UPUの技術協力といたしましては、大きく分けまして二つのやり方があるわけでございます。一つは国際機関を通じての協力でございまして、これは中心となっておりますのが国連の開発計画、UNDPの資金によるものでございます。これがUPUが行っております技術協力の大体七〇%でございまして、そのほかUPU日体が行っておるものがございます。UNDPが行っております技術協力の内容は、研修講座への講師の派遣、郵便関係の職員の招聘等でございます。
 それから先生御質問ございましたAPPUすなわちアジア太平洋郵便研修センターでございますが、これにつきましても郵政職員の養成、郵便業務の改善等にいろいろ協力をしているわけでございます。なお、日本といたしましては、このアジア・太平洋地域の開発途上国のためのアジア太平洋郵便研修センターにつきましては重点的に協力をいたしておりまして、特に二国間ベースでは国際技術協力事業団の専門家の派遣、研修員の受け入れ等を行っておりまして、専門家の派遣で申しますと、五十七年度が二名、五十八年度が五名、五十九年度が一名、それから研修貝の受け入れは、五十七年度が二十三名、五十八年度が十七名、五十九年度が十五名ということでございまして、年々この郵政業務につきましても日本が技術協力を行っておるということでございます。
○和田教美君 それでは、SDIの研究とそれから一昨年の十一月に対米武器技術供与に関する交換公文を取り交わしましたけれども、それとの関連性について御質問をしたいと思います。
 先ほどの北米局長の答弁ですと、ワインバーガー書簡に基づいてアメリカから専門家を派遣してもらうという申し入れに対して、まだ具体的にどういう日程でやるかということは決まってないというお話でございましたけれども、三日発のロスアラモス発の読売新聞だったと思うんですけれども、戦略防衛構想局、これは国防総省の中のSDI関係の何といいますか、その専門に担当している部局だと思うんですけれども、ここが明らかにしたところによると、大体四月末から五月ぐらいに米専門家チームが日本に来るというふうなことが書いてございましたけれども、恐らく来るとすればこのSDIOが中心になるんだろうと思うんで、大体そのくらいの見当か、お答え願いたいと思います。
○政府委員(栗山尚一君) 政府としましてはできるだけ早くアメリカ側からしかるべき者が来て説明をしてほしいということを言っております。具体的な日程等が詰まっていないということについてはけさほども御答弁申し上げたとおりで、私どもは一般的にはできるだけ早くと申しておる場合に、例えば四月中とか、厳密な意味ではございませんが今月中とか、そういう感じで物を考えておるわけでございますが、先方の都合もありましょうし、こちら側の都合もございますので、具体的な日程はまだ詰まっていない、こういうことでございます。
 それから来る人につきましては、委員御指摘のように国防総省のSDIオフィスというものがございますので、当然そこの者が来るということになろうかというふうに予想はしておりますが、けさほども御答弁申し上げましたように、私どもはSDIの単なる技術的側面ばかりでなくて、より広い戦略的側面と申しますか、そういうものについても十分アメリカ側から説明を受けたいということで申し入れておりますので、そっちの方の説明をする人はあるいはそういうSDIオフィスの中にいる人では必ずしもないという可能性はあろうかと思っております。
○和田教美君 防衛庁の方来てますか――アメリカの国防総省の武器関連技術調査団、マッカラム博士を中心とする調査団が三日から来ておりましたが、SDI研究でアメリカが非常に関心を示しておると言われておりますオプトエレクトロニクス、光電子工学とかミリ波の二分野なんかについて特に関心があったというふうに報道をされております。工場の視察なんかもやっているようですし、大体防衛庁とどういう話し合いだったのか、内容を答えていただきたいと思います。
○説明員(沼倉吉彦君) 今先生御質問のマッカラム博士でございますが、これは国防省の研究・技術担当の国防次官のところにおります専門家でございまして、向こうではスタッフスペシャリストと呼んでおるようでございます。昨年の七月でございますけれども、日本にやってまいりまして、それで今先生御指摘になりました光電子工学、それからミリ波、この二つの部門におきまして日本の企業の研究開発の動向とか技術水準とか、そういうような一般的な動向がどうであるかということを調査をしております。
 ことしは先般来、四月の三日から五日まで来日したわけでございますが、この目的はこの二つの分野につきまして補足的な事項を私どもの方と意見交換したいと。補足的な事項と申しますと、例えば日本においてこういうような技術は民間と官側ではどのような体制で開発をしているかとか、そういうようなことになるわけでございますが、それを私どもと意見交換をいたしまして、五日には確かに関係企業、三菱電機とそれから日本航空電子株式会社、これら二つ見学をいたしまして帰っております。この見学も映画などで会社紹介を受けるとかそんなような状況でございましたが、このマッカラム博士の一行の来日というのはSDIとは全く関係ございませんでした。私どもとの話の中でも特にそういうような問題提起、その他一切ございませんでした。
○和田教美君 今のお話ございましたように、このマッカラム博士なんかのグループも今挙げたミリ波だとかオプトエレクトロニクスなんというものに非常に関心があるということで、さっきのロスアラモスの読売電によりましても、どうもアメリカ側はとりわけオプトエレクトロニクスやミリ波に関する日本の進んだ技術に関心を抱いておる、こういうことが書いてあるわけでございます。
 そこで、外務大臣にお尋ねしたいんですけれども、外務大臣はきのうの衆議院安全保障特別委員会で、武器技術協力は日米間だけで行うものであってその他の国が入った協力はやらないんだということをお答えになりましたけれども、これはいわゆる武器技術協力のことに限定されるのか、汎用技術と言われるようなものも含めてそういうお考えなのか、その辺を明確にしていただきたいと思います。
○政府委員(栗山尚一君) 昨日大臣、それから政府委員から御答弁いたしましたことは、武器技術供与になるものということを前提として御答弁申し上げたものでございます。
○和田教美君 そうすると、汎用は含まれないわけですね。
○政府委員(栗山尚一君) 汎用技術につきましては従来から累次政府として御説明申し上げてきておりますが、原則として汎用技術についての規制はしない、設けておらないということでございますので、汎用技術につきましてはいわば原則自由、こういうことでございますので、そういうものとして日本の現行制度としてはそういう取り扱いになるというふうに御理解いただければよろしいかと思います。
○和田教美君 私はワインバーガー書簡というのを読んでみますとこういうことか書いてございます。「SDI研究計画に貢献し得るような技術の分野において同盟国と共同研究を進めたい」というふうなことを言っておるわけです。
 どうもこの文面から見ると、アメリカ側が今日本に対して当面期待しているものはSDIの武器技術というものではなくて、むしろ共同研究の対象は主にSDIの周辺技術、汎用品な中心とする、そういうものに対して関心があるんではないかというふうに思うわけなんですが、そこで仮に、これは仮定の問題でございますけれども、ミリ波だとか、あるいはオプトエレクトロニクスというふうな、こういう汎用技術について将来アメリカが、日本が研究に参加するというふうになった後、これについて関心を示して、ひとつよこしてくれというふうなことを言ってきた場合に、それは五十八年十一月の対米武器技術供与に関する交換公文、取り決めですね、これに基づいて設置されております日米武器技術共同委員会、JMTC、これにかけられるというふうに理解していいんですか、もうかけられないで全く原則自由になるわけですか。
○政府委員(栗山尚一君) まず前提として申し上げなければいけないと思いますのは、委員の方も全く仮定の問題としての御質問というふうにおっしゃいましたので、私の方もそういうものとして御答弁申し上げますが、基本的前提としては、現段階でアメリカがどういう技術を欲して関心があるのか、これは日本ばかりじゃございません、ほかのヨーロッパ等、書簡が出ております種々の国の技術、どういうものにアメリカとして関心があるか、それをまた、その技術を我が国のいわゆる武器技術、汎用技術という区分けから申しましてどっちの分野にそういう関心があるのかということについては今後アメリカ側からよく聞いてみないとわかりません。したがいまして、そういう前堤で武器技術供与取り決めの仕組みとしての一般論として申し上げれば、武器技術供与取り決めはあくまでも御承知のように武器輸出三原則というものがございまして、武器技術につきましても武器輸出三原則に準じて取り扱うという日本政府の方針がございまして、その中でアメリカだけについては日米安保条約の効果的運用の見地からその道を開く、こういうことにいたしました趣旨から言いまして、あくまでも武器技術の対米供与についてJMTCで議論をする、こういうのがJMTCの役割でございます。もちろんアメリカ側は日本の武器技術、汎用技術の区分けというものを必ずしも詳細に承知しているわけではございませんから、アメリカがこういう技術について関心があるんだけれども、これはどうであろうかと言ってJMTCの場に持ち出してくるということはそれはあり得るかと思います。その場合に我が方においてこれを検討いたしまして、これは日本の定義であれば武器技術であるということになれば、武器技術の供与の基準に照らしてケース・バイ・ケースでアメリカに供与をするかしないかということを決定する、こういうことになろうかと思います。武器技術でなければ、すなわち汎用技術であればこれについては全くのコマーシャルベースの話である、こういうことでございます。
○和田教美君 今私の質問、半ばはぐらかされちゃったんだけれども、仮定の問題だけれども、仮にミリ波だとかオプトエレクトロニクスと今言われているようなもの、そういうものは今は少なくとも商業用を目的として開発されたものですよね。そしてそれを少なくともこれから将来そういう軍事用にも使われるという意味において、汎用技術ということは言えるかもしれないけれども、今の段階では大体民生用というふうに考えられるわけであって、アメリカもそれを委員会にわざわざかけてくるかどうか、僕はかけてこないんじゃないかと。その場合にはこれはもう汎用技術だから原則自由ということになってしまうのかどうかということです。
○政府委員(栗山尚一君) 確かに汎用技術であるということであれば、現在の政府の政策及びそれに基づきます法令によりますると汎用技術についてはこれは規制をしないということでございますから、あくまでもアメリカと日本のそういう技術を保有しておる企業との話し合い、さっき申し上げましたように商業ベースの話し合い、こういうことであろうかと思います。
○和田教美君 これに関連してSDIの技術協力と非核三原則という問題についてちょっとお尋ねしたいんですけれども、これまで栗山さんいろいろ答弁されておりますけれども、核技術供与についての政府の見解は、まず核技術そのものはこれは供与できない、それから核関連技術はケース・バイ・ケースで委員会を通じて供与できるかもしれぬ、それから核兵器に利用されるかもしれない技術は直接非核三原則で律せられる問題ではない、こういうふうなことを答弁されているように僕は理解しているんですが、そうなりますと、結局核技術はだめだけれども、それ以外の技術は、要するにSDIに仮に核関連技術が使われてもそれは非核三原則その他国会決議にも必ずしも触れ
ないんだ、こういうふうに私は理解するわけなんですが、そこでお尋ねしたいんですけれども、核技術あるいはまた核関連技術あるいはまた核兵器に利用されるかもしれない技術、具体的にはどういうものでございますか。その定義をちょっとお聞かせください。
○政府委員(栗山尚一君) 核兵器そのものをつくる技術、これは我が国としては非核三原則を持っておりますし、それから国際条約としての核兵器不拡散条約というものの当事国でもありますので、核兵器をつくることはやらないし、できない。したがって、そういう核兵器をつくるための技術は日本は持っていないんでありますから、外国から要請がありましてもこれを供与することはできない、これははっきりしておると思います。
 核兵器関連技術というのは、私そういう言葉を使って御答弁を申し上げたかどうか記憶が定かでございませんが、一般論として申し上げれば、そういうもの以外の武器技術についてはこれは対米武器技術供与取り決めがありまして、その枠内で処理をするということになろうかと思いますので、これは要請があったらすべて全部オーケーをするということではもちろんございませんのです。従来から申し上げていますように、そういうことで要請があれば、それはケース・バイ・ケースで日本政府が自主的な判断に基づいて対米供与を認めるか認めないかを判断する、こういうことでございますので、さっき申し上げました核兵器そのもののための技術以外の武器技術につきましては今私が申し上げたような形で処理をされることになるだろう、こういうことでございます。
○和田教美君 それから今のSDI関係の対米武器技術協力という問題の観点から見てみますと、どうも私の感じとしては政府が参加するとか参加しないとかということを非常に我々重視して論議をしているんですけれども、私の知る限りは科学者レベルだとか、あるいはまた原則自由ということであれば、いろんな技術について既に日米間で日本の技術がどんどんアメリカに行っているという現実があるわけですね。ですからSDI計画についても将来そういう方向にだんだん進んでいって、この委員会は年に一回やるということになっているんだそうですが、第一回は何にも議題がなかったというお話ですが、結局事前協議条項と同じでほとんどこれにかかるものはないというふうな、要するに形骸化したものになる危険性がないかどうか、その辺のところはどうお考えでしょうか。
○政府委員(栗山尚一君) 委員御指摘のJMTC、すなわち委員会は、これは交換公文にも書いてございますが、日米いずれの要請によっても開ける、それから少なくとも年一回ということでございますが、必要があれば何回開いてもよろしいわけでございますから、そういう意味で委員御懸念のような形骸化というようなことは必ずしもないんではないかというふうに思っております。
○和田教美君 私の言いたいのは、要するにこれからSDIの問題がだんだん進展をしていくということになった場合に、そういう見えない形でどんどん協力が行われていく、そしてあるいは汎用技術だということで日本の先端技術が研究計画の中に組み込まれていくということによってその技術そのものが、この計画には当然アメリカだけではなくてNATO諸国なんかも参加してくる可能性が強いわけですから、そういう技術の秘密というようなものも漏れていくというふうな危険性もあり得るわけでございます。武器技術についてはきのうの御答弁のとおりそういうことは起こらないということでございますけれども、汎用技術についてはそういう歯どめはないわけですから、そういう問題について何らかの歯どめというふうなものをこれから考えていかなきゃいかぬのじゃないかというふうに思うんですが、その点は外務大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは先ほどから局長が言いましたようにまだSDIというものが私たちも理念といいますか、そういうことだけしか知りませんで、これからどういうものになっていくのか、アメリカのやはり説明を一度専門家の説明を聞いてみないとわからない、それも一回聞いただけでわかるかどうか、二、三回聞く必要があるかどうか、そういうものをゆっくり聞いてみないとわかりませんから、SDIというものに限って議論するというのはちょっと適当でないんじゃないかと思いますが、今まで局長たちが言っているのは、要するに一般論としての説明をしているんじゃないかと思いますね。一般論として言えば、これは武器技術については、武器技術に関する日米協定を結んだときにはっきりしておりますし、その基本姿勢というものを貫いていかなけりゃならぬわけで、その際の汎用技術というものについては、汎用技術というものは原則自由というのが一般論としては基本的な立場ですから、そうしたやはり日本としての立場というものを十分踏まえてこれを進めていけばいいわけであって、そうした議論以外このSDIというものに限って言う段階でない。SDIそのものがどうしたものになっていくかわかりませんから、それ以上のことはちょっと私としても断定的には言いにくい。ただ、一般論的には汎用技術は原則自由である。軍事技術は日米協定によって、そのときの状況において日本政府が自主的にアメリカの意見を判断して決めるということになっているわけですね。
○和田教美君 もう時間も大分たってきましたから、経済摩擦の問題について二、三お伺いしたいと思います。
 マンスフィールド大使が、通信機器関係の開放については九〇%やった、ほとんどアメリカの要求をのんでくれたということをおっしゃっているし、さっきも安倍外務大臣は通信機器についてほとんど向こうの要求をのんだというふうなことをおっしゃっているわけですけれども、その中で、さっきもちょっと話題に出ましたけれども、新しく出てきた問題で衛星の購入ですね。これは今度の、きょうの対外経済対策の中に入るわけでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは前回の会議でこの対策に入れようということを決めまして、今調整が行われておるわけでありますが、通信衛星の購入ということで一項設けて述べるということになっております。
○和田教美君 民間で買うということなんですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) もちろん通信衛星の購入は、これはあくまでも民間である。民間の自主性によって決めるわけであります。ただ、民間が買いやすいような、そういう状況に持っていこう、そのための今回の努力になったわけです。
○和田教美君 一セット七百億から八百億円、三億ドルぐらいの目に見えた大きな買い物ですから、摩擦の解消の一つの目玉としてこれは意味があると思うんですけれども、しかし問題がないわけではないんで、この通信衛星を買うために周波数の割り当てで新しくKuバンドを通信衛星に割り当てるというふうなことだということが報道されております。このKuバンドを割り当てるということを言っておられますが、このKuバンドというのはアメリカのヒューズ・エアクラフト社がKuバンドを使う衛星に非常に得意だということなので、その強力な要求ということに応じたということになるんでしょうけれども、一つの会社のそういう要求に従ってそういう周波数の割り当てまで変えていくというふうなことは、少し行き過ぎているんではないかという印象を持つ人も多いわけですけれども、その点はいかがですか。
○政府委員(国広道彦君) 実はアメリカの会社で今三社申請を出しておりますが、いずれもKuバンドであれば三社みんな平等なわけであります。Kaバンドだけになりますと、その会社によってそれの手当てができる会社とできない会社とありまして、したがってKaだけを指定するとそこに差別が生じるというのが、アメリカ側の目から見ればあるわけでございます。日本の方は、郵政省の方来ておられますが、従来Kaで衛星通信をやっておりますんで、Kaという考えを本来は持っていたようでございますが、アメリカ側からしま
すとKuで三社平等に競争できるようにしてほしいということでございますので、むしろ平等の概念から言いますと逆になるんではないかと思います。
○和田教美君 この宇宙開発政策の基本は国産化政策というのを基本にしているように我々了解しておったんですけれども、今度は完成品の通信衛星を買うということになるわけですが、これは要するに貿易摩擦の解消のための方法として臨時緊急措置としてやるのか、これからも大体そういう線で動いていくのか、その辺はいかがですか。
○政府委員(国広道彦君) 昨年四月二十七日の経済閣僚会議の決定事項で、衛星につきましては既に政府として採用しております宇宙開発大綱は守る。これは政府の仕事でございます。ただ、民間につきましては、民間が買うような場合が生じたときは、それはその外として民間に任せるという決定でございまして、その範囲におきまして私どもは、今回民間が衛星を買うことになりましても、宇宙開発大綱が変えられたというふうには、それに例外が設けられたという意味でもないと思っております。
○和田教美君 民間は自由だということでございますね。
○政府委員(国広道彦君) はい、そうです。
○和田教美君 気象衛星を買う話はどうなっているんですか。
○政府委員(恩田宗君) 気象衛星は、先生御存じのとおり、民間についての需要というのが、まずない。民間がこれを買うという可能性はございませんが、政府機関がそれでは買う可能性についてはと、こういうことでございますが、これは昨年の四月二十七日の経済対策の決定によりまして、自主開発、「自主技術開発を必要としないものについて、内外を問わず購入の途を開くこと」ということですから、理論的には購入の道が開かれておりますが、現在のところ既に間に合っている、こういう状況でございますので、近い将来購入の可能性はないというのが現状でございます。
○和田教美君 どうも今度の動き、さっきから大分いろんな議論が出ておりますけれども、アメリカの政府だとか議会筋の意見などによく出てくることですけれども、日本のお役人がいろいろおぜん立てをして、そして制度的にはこれこれ非関税障壁を撤廃しました、さあいらっしゃいという態度はとっているけれども、しかし実際にはさっぱりアメリカの品物はふえないじゃないかということですね。とにかく、今度は余り信用できないぞ、実際に輸出がふえてからその実績によって判断しようと、そういう感じ方が非常にあるように思うんですよね。例えば一例を挙げると、電電の例ですけれども、電電が去年の輸入額、アメリカからですね。政府調達額ですが、これが一億三千万ドルですね。ところが、おととしは一億四千万ドル。おととしよりも減っておるわけですね。開放策は進んでいる、建前上は。それにもかかわらず実際の輸入額は減っておるというふうなことでは、やはりアメリカも不信感を抱くのは無理もないと思うんですよね。もちろん日本側には言い分があるでしょう。電話機一つ見ても、アメリカの電話機は故障が多い。それから高い。東南アジアからは安いのが入ってくるからそれの方がいいというふうなこともあるかもしれませんけれども、こういうことでいきますと、またまた、だまされたなんといって向こうがとにかく文句を言うというふうな事態の繰り返しにならないかどうか、その辺はどうでございますか。
○政府委員(恩田宗君) まず、電電の外国企業からの購入実績の問題でございますが、五十八年度におきましては三百十二億円、これは米国からの輸入でございます。それで、五十九年度におきましては余りふえませんが、これを下回らない額になろうかと思います。先生のおっしゃった減るのではないかというのは、多分減らないだろうと……
○和田教美君 減らないようにするわけですね、これから。
○政府委員(恩田宗君) いや、それは見込みでございますが、私どももそのように承知しております。
 問題は、なぜこれ以上ふえないかという問題でございますが、過去の実績を見てみますと、五十五年、五十六年、五十七年、五十八年と急速な伸びでございまして、五十八年から五十九年は若干伸びが横ばいになったという現状でございます。いろいろな要素が考えられると思います。先生のおっしゃったような製品の規格の問題であるとかもございますと思いますが、私どもとしては少なくとも電電は公平はアメリカからも日本からも買う。システムとして公平性はどうしても確保する。これは、アメリカ側も電電の調達の機構自体について不満はない。ただ、現実に買ってほしいという要求は依然として残っている、かように考えております。
○和田教美君 時間がなくなりましたので、最後に外務大臣にひとつお伺いしたいんですが、これからOECDの閣僚会議、それからシュルツさんとの会談ということで、いよいよ大変御苦労なことになるわけなんですけれども、今私もょっと指摘しましたように、アメリカの不信感というのは要するにいろいろ日本側は対策、対策といってとにかく何回も対策を繰り返しているけれども、実際に黒字はどんどんふえていくじゃないか、日本に対するアメリカの輸出はふえないじゃないか、どうもアンフェアじゃないかという不信感が僕はやはり議会筋に非常に頂点に達しているんだろうというふうに思うんですよね。ですから、今度の対策をとって大体どのくらいとにかく確実にふえますよというふうなことが言えるのかどうか、その辺のところでなければなかなか説得は難しいだろうと思うんですが、その辺のところの見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはやはり基本的な問題もあると思うんですね。やはりドル高という問題もありますし、またアメリカの輸出努力というものもありますし、アメリカの製品の品質という問題もあるんですから、ただ日本だけが市場アクセスを改善したからといって急速に伸びるということにはつながらないんじゃないか。今までの例がこれを示しているわけですが、この点についてはやはりアメリカ側は確かにおっしゃるような不信感がある、特に議会の中ではですね。日本は六回にわたって改善措置をやったけれども、ちっとも輸出はふえないじゃないか。
 私から言わせるならば、こうした六回やった改善措置は目に見えぬようなことをやっておりますから、それがなかなか効果を上げないというのは、アメリカの経済が急速に伸びて、そういう中でドル高が進行している、そういうこともあって日本のせっかくの努力というものがそうしたドル高等のために消されてしまったという面も私は率直に言ってあるんじゃないか。
 しかし、これは日本の言い分で、なかなかアメリカがそれを率直に認めるわけではありませんが、しかし全体的に見て日本がこういう措置をとったからといって、それではどれだけふえるかというそういう数字でもってそれを向こうへ示されればいいんですけれども、自由貿易という情況の中でそうした数量でもって貿易額を将来にわたって示すということは、これはもう不可能に近いわけで、しかしとにかくこれだけのことをやりましたから、アメリカの努力ということによって私は相当な成果は上がるんじゃないか。
 しかし、その背景としてのドル高等が依然として続いていけば、なかなか容易な状態ではありません。また、アメリカの経済がこれは今の状況でどうなりますか、その辺のところにも非常にポイントがあるのではないか、こういうふうに思います。
○関嘉彦君 提案になっております郵便事業関係の国際条約及び約定については別に異議ございませんですけれども、若干それに関して一、二ただしておきたいことがあります。
 万国郵便連合一般規則によりまして、日本の分担金は五〇単位ということで最高の単位を分担しているわけですけれども、これは日本としては当然そうすべきであるというふうは考えますが、国際事務局に日本人の職員はどのくらい入っておりますでしょうか。
○説明員(瀬崎克己君) UPUの国際事務局には昨年まで二名おったわけでございますが、昨年高級事務職員の方が定年で退職されまして、現在はこのUPUには邦人職員は一名でございます。
○関嘉彦君 分担金の割には少ないように思うんですけれども、これは希望者が余りいないわけでございますか。
○説明員(瀬崎克己君) UPUの事務局というのは非常に小さな機構でございまして、全体の職員が百三十八名でございます。この百三十八名のうちいわゆる専門職というのは五十七名でございまして、この五十七名が国際公務員として公募の対象になる職種でございます。そのほかの八十余名は電話の交換手であるとか、タイピストであるとか、自動車の運転手とかという職種でございまして、おおむね事務局の所在地でございますスイスの方々を雇用しているわけでございます。
 そこで、五十七名の出身国でございますが、私どもで調査いたしましたところ、例えばフランス人が三名、西ドイツの方が一名、アメリカはゼロでございます。それから、イギリスが二名、ソ連が二名ということで非常に機構が小さいものでございますから、各国とも職員の派遣というのはほかの機関に比べますと著しく小さいということで、日本が昨年までは二名おりまして今年は一名ということでございますが、他の国と比較いたしまして著しく日本の職員の数が少ないということではないわけでございますが、他方やはり日本の郵政業務を国際的に大いに協力の分野で活用していただくという見地からいたしますと、郵政業務の経験のある方がこの事務局にお入りいただいて御活躍願うということは非常に重要なことでございますので、昨年この高級幹部の方が退職された際に、日本として今後とも引き続き職員を派遣したいのでよろしく採用してくれということは既に申し入れてある次第でございます。
○関嘉彦君 今度、通常郵便物の基本料金が五〇%上げられることになったわけですが、それについてはけさほど久保田委員からも質問がありましたけれども、それに関連しまして郵便事業は特別会計になっているんですけれども、その中で外国郵便物の収入のパーセンテージはどの程度になっておりますか。
○説明員(梶谷陽一君) 全体の郵便収入に占めます外国郵便収入は五%前後でございます。
○関嘉彦君 郵便事業特別会計としては大体とんとん、黒字ですか。
○説明員(梶谷陽一君) 五十八年度までは黒字で来ております。昨年度につきましてはまだ決算が出ておりまぜん。
○関嘉彦君 けさの久保田委員に対する答弁では、基本料金が五〇%上がったからといって直ちに国内の料金をそれに比例して上げるということはないというふうに承ったんですけれども、それは間違いないですね。
○説明員(梶谷陽一君) 外国郵便料金につきましては、先般開かれました総会で基準料金が五割アップになっております。しかしながら、郵便の現在置かれております状況等を加味いたしますと、五割上がったからといいましても直ちに引き上げるということにはならないのではないか、改定については慎重に対処しなければいけないというふうに考えております。
○関嘉彦君 郵政省からいただいた資料によりますと、印刷物の郵便料金は必ずしも日本が非常に高いということは言えないように思います。これはヨーロッパに比べて、ヨーロッパの通貨の方が日本の通貨よりも下落率が多いからそうなっているんだと思うので、為替の変動がありますから比較というのは難しいと思いますけれども、その意味で現状において特にひどいということは言えないと思いますけれども、印刷物の場合は、これは特に国際交流にとって非常に重要な役目を果たすと思うんであります。西ドイツがほかの国に比べると非常に低いですね。これは西ドイツはどういう理由でそんなに特別に低くしているんですか。
○説明員(梶谷陽一君) 西ドイツから本邦にあてます印刷物の料金、これは我が方から西ドイツにあてる場合に比べますとかなり安くなっております。これは西ドイツにおきましては郵便と電気通信、両方の会計が一体となっておりまして、郵便は大幅な赤字でございますけれども、その赤字を電気通信の方の黒字で補っているという状況がございます。その辺からかなり安い印刷物、そのほかの郵便物の料金も設定が可能なわけでございます。
○関嘉彦君 先ほど言いましたように、この印刷物というのは国際交流上非常に重要な働きをするわけですから、しかも特別会計の中では五%ぐらいしか占めていないとしますならば、これはむしろこの分だけは、印刷物に関する分だけは下げてでももっと国際交流の方に役立つ、そういう考え方でやっていっていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。殊に今後は日本の商品なんかのダイレクトメールとかいろいろなそういった印刷物がふえていくだろうと思うんですけれども、そういうのを考えて、値段を上げて増収を図るんではなしに、むしろ数量をふやして増収を図るという考え方で料金をできるだけ上げないようにしてもらいたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) 印刷物が文化交流に果たしておる役割というものは先生のお話のとおりでございまして、その辺は問題はないわけでございますが、海外へ印刷物を船便で送る場合には、一般の印刷物料金が適用される場合と、それから日本におきまして第三種郵便物あるいは学術刊行物という認可を受けた場合には、これは一般の印刷物の半額の料金が適用になります。この半額の料金が適用にならない印刷物につきましても安くということになりますと、これは郵便財政に少なからぬ影響を与えるということで大変難しいんではないかというふうに考えております。
○関嘉彦君 その特別に安くした、学術雑誌であるとか月刊雑誌、そういうのが特別に安い料金になるわけでございますね。それはクォータリーの雑誌なんか入っていますでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) 一般の広報誌はこれは低料の印刷物ということで送れるわけではございません。三種という郵便物の認可を受けた場合あるいは学術刊行物という部類に入ればこれは低減された料金でお引き受けできるということになっております。
○関嘉彦君 必ずしも純然たる学術雑誌と言えない中間ぐらいの雑誌なんかもあると思うんですけれども、そういうのも、あるいはそれでしかも月刊ではない、そういう雑誌につきましてもできるだけ安い料金を提供していただくように希望いたしておきます。議案につきましての質問はそれで終わります。
 次に、同じく郵政省電気通信関係の方にちょっとお伺いをしたいと思いますけれども、電気通信機器の貿易摩擦の問題につきましては今いろいろな新聞で報道されているんですけれども、これは郵政次官がオルマー商務長官にあてた手紙というふうなものも新聞に掲載されておりますけれども、大体において日本はアメリカ側の要求に応じた。先ほどもマンスフィールド大使は九〇%応じたというふうなことでありますけれども、その譲歩した主な点は、新聞にはいろいろ報道されておりますけれども、一体どういう点でございますか。
○説明員(長谷川憲正君) 電気通信に関します今回の日米間の話し合いにおきましては、この四月一日から電気通信事業法が施行されまして新しい制度に移行したわけでございますけれども、この四月一日の法律の実施を目前にいたしまして、その法律の具体的な運用の仕方についての政令あるいは省令の書き方、この具体的な中身についての米側の関心が強かったわけでございます。これ以外にも電電公社の資材調達でありますとか、あるいは衛星の調達の問題ですとかいうものもございますけれども、当面問題になりましたのはこの四月一日までの間の制度的な問題ということでございました。
 私ども、昨年の十二月にいわゆる電電三法を成立させていただきまして、それ以降具体的な政令、省令の中身の検討に入ったわけでございまして、まとまりますまでにかなりの時間を要したわけでございます。その間に、私どもの作業の内容が外から見てわからないということで米国側が随分と懸念を抱いたというのが実態でございます。そういう意味では、私どもの考えていることと米国側との間に大きな開きがあったというよりも、私どもの作業の過程で米国側が先回りしていろいろと懸念を持ったというのが実態でございまして、私どもがだんだんと政令、省令に盛り込むべき事項の内容を確定していくに従いまして米国側の理解が深まり、最終的には小山郵政次官が三月の末に訪米をいたしまして、それまで専門家レベルあるいはいろいろな機会に公式、非公式に話し合いをしてまいりました内容を確認する意味で書簡の形にして米側に渡したわけでございまして、これによって問題がほぼ了解に達したということでございます。
○関嘉彦君 その内容は今話せませんですか、ごく大要の点で結構ですけれども。
○説明員(長谷川憲正君) 内容につきましては大きく分けますと、第二種事業の、第二種事業は特別第二種事業と一般第二種事業と二つに分けておりますが、この特別第二種事業につきましては登録を要するということに法律上なっております。この登録の要件を明確にし、簡素なものにするということが一つの内容でございます。
 それからもう一つは端末機器の基準認証に関する問題でございまして、基準自体は米国の基準と日本の基準との間にかなりの考え方の差がございまして、米国ではネットワークに対する損傷だけに端末機器の基準は限るべきだという考え方で行っております。日本の場合には伝統的にそれ以外に利用者の保護でありますとかいうようなことがその技術基準の考え方の中に入っておりまして、今回新しい制度に移行するに際しまして従来五十三項目ありました技術基準の項目を三十項目に減らしておりますけれども、なおこの点について米国側はもっと少なくていいのではないかということを主張しておりまして、この点については専門家同士が検討いたしませんと政治的に物事の解決する話ではございませんので、私どもの準備した省令は四月一日から既に施行されておりますけれども、今後二カ月間の中でできるだけ早くこの内容をさらに日米間でもう一度検討し合おうということになっている次第でございます。
○関嘉彦君 今のお話では、大体妥結した案、妥協点というのは郵政省が初めからその点でまとまることを期待しておられたのですか。それとも郵政省はやむを得ずアメリカの圧力といいますか、意に反して譲歩して妥協されたのですか。
○説明員(長谷川憲正君) その点に関しましては先ほども申し上げましたように、私どもの作業の進捗を先回りする形でアメリカが懸念を表明したというのが事実でございまして、とりたてて私どもの方で大幅な考え方の変更をしアメリカの要求に対して屈したというような形のものではございません。今回の法律の改正の趣旨そのものが自由で競争的な市場をつくる、そのことによって電気通信の発展と消費者の利益をもたらすということを基本的なねらいにしているわけでございまして、この法律の運用に当たりましては内外無差別、簡素透明、市場開放というものを原則にして対応しているところでございます。
○関嘉彦君 それにしては、この問題が起こったのは一月ぐらいから起こっているんですけれども、郵政省の決定にアメリカは先回りしていろいろなことを要求してきたと言われたのですけれども、郵政省の決定の手続が非常に時間がかかったように思うんですけれども、いかがですか。これは当たり前のことですか。
○説明員(長谷川憲正君) 確かに政令、省令の内容が固まりますまでに相当な時間を要したことは事実でございます。これは法律の制定そのものが十二月の国会で成立を見たわけでございまして、それから具体的な政令、省令の詰めに入ったわけでございますので、時間的にも相当短い中での作業をしなければならなかったという事情もございます。またその間に関係者の意見を聞くということで一月の初めから二月の初めにかけましてほぼ一月かけまして技術基準の問題あるいは認証制度について内外からの意見聴取なども行っているところでございまして、そういったことのために時間を要したということでございます。
○関嘉彦君 新聞の報道によりますと、今度のデレギュレーション、日本の通信業界なんかでもむしろ歓迎しているというふうに新聞報道しているんですけれども、お役所の事務が非常に時間がかかることはわかるんですが、この問題がおくれたために異常なまでにアメリカの日本に対する通商摩擦をエキサイトさせてしまった。ほかの問題もありますけれども、通信機器の問題が非常にクローズアップされまして、これによってアメリカの対日世論を必要以上にエキサイトさせたように思うんですが、今後こういう問題はいろいろ起こってくると思うんですけれども、郵政省としましてもやはり単に日本の狭い業界あるいは官界の利益を守るというだけではなしに、これだけ大国になったのですから、日本として世界の繁栄のために何を寄与できるか、そういったふうに頭を切りかえて対応していただきたいということを希望しておきます。
 郵政省関係はそれで結構です。
 それに関連しましてアメリカとの経済摩擦の問題、けさからたくさんの人たちが取り上げられました。できるだけ重複するのを避けて残りの時間で質問したいと思いますけれども、アメリカとの経済摩擦以外にECでありますとかあるいはASEAN諸国、その間にもいろいろな問題があるように思うんですけれども、EC及びASEAN諸国は日本に対する不満、どういう点に大きな不満を持っているんでしょうか。
○政府委員(恩田宗君) ECからの日本に対する経済貿易関係の希望というか要望でございますが、それはかなりアメリカの希望あるいは要望と共通したところがございます。一般的にもうちょっと輸入を高めてほしい、あるいはいろいろな基準認証について外国の製品が売りやすいような制度にしてほしい等々でございますが、またECに特有な問題も先方から要望として出されております。例えば商品のラベルであるとかあるいはにせの商品のような不正商品をもうちょっと規制を強化してほしい、あるいは流通機構について大型店舗出店規制を緩和してほしい、あるいは関税の引き下げの問題につきましてもアメリカとは違ってEC産品、ワインであるとかスキー靴とか毛皮であるとか、そういうECとして日本に輸出したい物の関税を下げてほしいというような要望をたくさん出してきておりまして、またASEANも同様でございまして、要は日本により多く物を買ってほしい、日本に売るためには日本の関税あるいは輸入枠を緩和してほしいということでございまして、新聞等でも報じられておりますが、ASEANについてはタイの骨なしチキンであるとかあるいは広葉樹の合板であるとか、バナナその他の熱帯産品の関税を下げてほしい等々の要望がかねてから数多く出されているというのが状況でございます。
○関嘉彦君 けさ安倍外務大臣がいみじくも言われたと思うんですけれども、アメリカの日本に対する不満、ECなんかも、アメリカとECとの間にも障壁はあるんだけれども、ECの障壁は目に見える障壁たけれども、日本の場合は目に見えない、インビジブルな障壁がある。それがアメリカが非常にいら立っている理由だということを言われましたけれども、そういった認証の手続とかそういったふうなものが私はまさに目に見えない障壁だろうと思うんです。これも今までの過去四、五年を見ますとかなり私は軽減されてきたと思いますけれども、今度の通信機器の問題なんか我々も見て、こんなことまで一々細かく規定する必要はないんじゃないかと、日本人でさえ思うし、日本の通信業界でさえそれを歓迎しているというふうな事例を見て私も驚いているんですけれども、今後とも外務省あたりが主導をとりまして、そういった認証の問題なんかについて目に見えない障壁を除去するように努力していただきたいということをまず希望しておきます。
 それで、この摩擦の問題はいわゆる手続なんかの透明性の問題が一つあると思いますが、この問題を解決いたしたにいたしましても日本の貿易黒字、これは簡単になくなるものではないと思いますし、アメリカとの関係においても三百七十億ドルの赤字が、日本にとっての黒字がそう簡単に、この四項目について解決いたしましても大して激減するものではない。せいぜいよくいって二、三十億ぐらいじゃないかという人もあるぐらいで、したがってやはり恒久的なというよりもむしろ中長期的な対策をとって、そして日本だけが黒字をため込む、そういう経済の体質を直していく、そういった中長期的な対策が必要だというふうに考えるんですけれども、どういう対策を主として考えておられるのか、これはどららですか、外務省ですか、経済企画庁ですか。
○政府委員(恩田宗君) 先生おっしゃるとおり、対外経済問題に対処するためには、個々の問題に取り組むことももちろん必要でございますけれども、やはり中長期的かつ総合的に取り組む必要があることは当然でございまして、このような問題意識から昨年十二月設立されました対外経済問題諮問委員会、これは民間の有識者からなる委員会でございますが、これに対して、我が国の国際化、自由化を進めるに当たっての中長期的な政策についての意見を求めているところでございまして、これは本日発表されることになっております。
 したがいまして、政府としてはこれを踏まえて政策を立てるという順序になるんだろうと思いますが、一般的に申し上げまして、やはりマクロの対策としては、もちろん日本の貯蓄率が高いということによって起こる輸入の低さの問題であるというふうな大きな問題から始まりまして、先ほど先生御指摘になりましたような基準認証の問題であるとかあるいはその他いろいろな制度を幅広くレビューする必要があるのではないかと思います。これはかなり広範にわたる、また中長期にわたる努力が必要ではないかと思います。
○関嘉彦君 日本国内の問題も私は大いに取り上げてまいりたい。
 その問題は後回しにしまして、アメリカに対してもやはり改善を要求すべき点があるように思うんですけれども、やはり何といいましてもドル高の問題だろうと思うんです。ところが、そのドル高がなぜ起こってくるかということをはっきりつかんでおかないと、日本側としてもアメリカに対して対応する場合困るんじゃないかと思います。我々も個人的にいろいろ外国人なんかと話すんですけれども、一体何がドル高なのか、どういう理由でドル高なのか。貿易収支だけをとれば当然アメリカはあれだけの貿易赤字ですから為替は下がらなくちゃいけないはずです、ドルは下がらなくちゃいけないはずです。少なくとも私が習った昔の経済理論ではドルは下がるべきはずなんですけれども、ドルが一向に下がらないということは、やはり現代の為替というのは単なる貿易収支だけで動くんではないように私は思うんですけれども、このドル高の原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
○説明員(西藤冲君) ドル高の要因というのはなかなかたくさんあって、一つだけというわけにいかないと思うんですが、貿易収支の黒字あるいは経常収支の黒字が、日本の場合に黒字の場合は円高というふうに、黒字国の通貨が高くなるということは依然としてあると思うんですけれども、しかし、その寄与度は最近はやや低下しているというのが一般的な見方だろうと思います。それにかわって、金利の差が資本の移動を促しまして、それによってドル高や日安が起こるということが非常に大きな影響力を持ってきていると思います。日本に比べましてアメリカの金利が非常に高いということがドル高の非常に大きな原因である。その背景には財政赤字が非常に大きいということがあるというのが一般的な見方になっていると思います。
 しかし、さらにそれに加えて経済が非常に強いと、将来経済が好調に発展していくという将来に対する信認の強さといったようなものも通貨の強さにあらわれてくるという見方もあります。さらに、最近ではドル高が起こるであろうという期待がますます膨れ上がっていくというような現象をバブル現象と言っておりまして、そういったようなこともドル高の一つの原因ではないかというふうに見られておると思います。
○関嘉彦君 ドル高の原因としての高金利の問題ですけれども、本当だったら金利が高くなれば景気が悪くなるように思えるんですけれども、去年あたりはアメリカは金利が高いにかかわらず景気がよくなっているわけで、どうもいろんな人の、経済学者の理論を読みましても余り信用できないで、経済学者が二人集まると経済理論が三つ生まれるという悪口まであるんですけれども、余り経済学者の言うことは信用できないんですが、金利だけ、もし仮にアメリカの金利を下げたらドル高が直るでしょうか。
○説明員(西藤冲君) やはりドル高を説明する要因というのは幾つもありまして、金利を少し下げたからといってそれによって非常にドル高が是正されるということは必ずしも期待できない面もあると思います。ただ、非常に大きく差が縮まる場合にはやはり資本の流出に非常に大きなブレーキがかかりますので効果は大きいと思います。しかし、また一方で金利が高くても、先ほど先生がおっしゃいましたように投資の収益率が非常に高い、現在のアメリカはそういう状態になっておると思いますけれども、そういう場合には多少金利が高くてもアメリカに投資した方が有利であるという状況でありますので、そうした面も考慮する必要があるであろうというふうに考えております。
○関嘉彦君 アメリカに対してもやはりドル高を訂正するように日本としても要求すべきであると思います。そのために、やはりこちらで理論構成を十分に打ち合わせしてやらないと向こうを説得することはできないと思いますが、その点十分研究してやっていただきたい、各省の間で連絡してやっていただきたいということを希望しておきます。
 今度は国内の問題、国内に対する対策なんですけれども、ちょうど経済企画庁の方が見えておりますからお伺いしますけれども、新聞の報道によりますと為替調整金の構想、つまり一ドル二百四十円なり五十円なりのゾーンを決めておいて、それから円が下がった場合に輸出に課徴金をかけるというふうな案を経済企画庁で検討中であるというふうな新聞の報道ございましたけれども、それが事実かどうか、まずそのことをお伺いいたしたいと思います。
○説明員(西藤冲君) 大幅な黒字を是正するための一つの方法として議論をしたことは事実でございます。
○関嘉彦君 議論したことは事実と言うけれども、実際にやられるということはまず考えられないと見てよろしいですね。
○説明員(西藤冲君) これは先生御指摘のように、為替がある範囲、例えば二百二十円から二百四十円が適正だとしますと、そこを突き抜けて非常に円安になったときに一時的に輸出に課徴金をかけて、そのかわりに輸入に奨励金を与える、こういう構想なんですけれども、実際問題として御指摘のように非常に問題がありまして、やはり貿易を拡大均衡する方向に反する対策であるということであるとか、あるいは負担金をかける前の駆け込み輸出が非常に大きくなるだろうとかいったような問題点を種々含んでおりますので、こうした対策、非常にドラスチックではあるんですけれども実現は極めて困難であろうというふうに考えております。
○関嘉彦君 私それを質問しましたのは、最近農業団体などから輸出課徴金をかけたらどうかというふうな声が上がっております。それは、つまりそれによって門戸開放の矢をそらす、そういう一種の保護主義的な考え方の上に立った考えじゃないかと思うんですけれども、単に農業団体だけじゃなしに、一部の評論家あたりの中にも輸出課徴金をかけたらどうかというふうな意見が出ておりますけれども、これは場合によってはむしろ事志と違って逆に円高ではなしに円安になるということすら考えられるんじゃないかと思いますので、恐らくこういうことを採用されることはないと思いますけれども、十分慎重にやっていただきたいというふうに希望しておきます。
 それから先ほどどなたですか、ちょっと言われました日本の過剰貯蓄、アメリカは非常に過少貯蓄であるのに対して日本は非常に過剰貯蓄である。これが資本収支なんかの働きにも影響しているし、いろんな摩擦をつくり出している原因であると、日本の貯蓄率はアメリカあたりに比べて三倍ぐらい高いですね。それで人為的な貯蓄奨励税制、例えばマル優、こういうのはむしろやめた方がいいんじゃないかというふうな意見もあるんですけれども、どういうふうに考えておられるでしょうか。
○説明員(濱本英輔君) お答え申し上げます。
 利子率が上がりますと貯蓄がふえるであろうという所論がございます一方で、例えば将来の生活費のためでございますとか、あるいは将来耐久消費財を購入するという目的で貯蓄をしている人にとりましては、利子率が上がりますとそれだけ貯蓄は減らし得る、少ない貯蓄でカバーし得るという考え方も成り立ち得るわけでございまして、学者の先生方の間でもこの点につきましては実証的に決めつけがたいという論議がございます。
 この点につきまして、昭和五十八年でございましたですか、経済企画庁で分析が行われまして、利子課税の税引き後の利回りと全体的な貯蓄水準との間にはなかなか実証的に明確な関係を見出しがたいという結論を明確にしておられます。こういった所論の中で、政府税制調査会におきましても、昨年利子配当課税の特別部会でこの点がいろいろ論議されましたけれども、そのときの中間報告に盛られております考え方は、全体的な貯蓄水準というのはいろいろな要因で決定される、それから過去の経緯から見ましても利子課税の方式とマクロ的な貯蓄水準との間に明確な相関関係を見出すことは困難であるというのが大方の意見でございました。こういった考え方を踏まえまして今回の税制改正が行われた次第でございます。
○関嘉彦君 確かに貯蓄性向の問題は経済理論だけでは解きがたい点があると思いますし、現在でこそ過剰貯蓄ですけれども、また将来高齢化社会になったときにどうなるかというふうな問題もあるので、私もこれは軽々に判断することはできない問題だと思っております。
 この問題は一応横におきまして、国内需要の拡大ということが今度の経済対策の一つの柱になるんじゃないかと思います。その場合に、消費奨励のための所得減税であるとかあるいは投資減税、あるいは第二に大型プロジェクトなんかの公共投資、建設国債なんかを発行しての公共投資あるいは民間の資力を利用するための民間投資に対する利子補給、いろんな案が出ているようでありますが、いずれも大蔵省としては一番嫌なことじゃないかと思うんですけれども、それ以外にどのような国内需要喚起の政策を考えておられますか。もしその三つのうち、とらなければならないとすれば、どれをとられますか。
○説明員(西藤冲君) 国内需要を拡大して輸入をふやすということが必要なことは御指摘のとおりだと思いますが、そのための具体的な方法としましては、先ほど外務省の方からちょっと御説明がありましたように、対外経済問題諮問委員会の報告でも幾つか指摘をしております。これはきょう報告されるわけでありますので詳しいことは公表されないとわかりませんけれども、伝え聞くところによりますと、一つは、デレギュレーションをさらに進めまして民間の活動を活発化する。それから公共的な分野への民間活力の導入ということで都市開発や建設の分野へ民間活力を導入する。それから三番目には、週休二日制の普及あるいは労働時間の短縮ということで消費を刺激する。最後に、先生がおっしゃったことに関連があると思いますが、投資、消費、貯蓄といったような間のバランスにいいバランスをつくるために寄与するような税制の改正というようなことを提案しております。
○関嘉彦君 その問題については、いずれきょう夕方発表されるでしょうから、それを見た上でまた改めて議論したいと思います。
 最後に、もう時間がなくなりましたから、私の注文としてお聞きおき願いたいと思いますけれども、SDIの問題です。これは先般の予算委員会の集中審議のときにも申し上げました。つまりアメリカのSDIの研究だけが問題になるけれども、ソ連の方でもその研究をやっているのではないか。ソ連についての情報の提供をお願いしまして、北米局長からございました。その後アメリカの方から「ソ連の軍事力」という本も発表されましたし、それを全部信用するわけではございませんけれども、かなりいろいろな研究なんかが行われているように推察されるわけであります。したがって、日本としましてもソ連に対してジネーブ軍縮会議なんかの席で、研究状態は一体どうなっているのか、どういうふうな研究をしているのかということを公表するようにソ連に対して要求すべきではないかというふうに私は思うんですけれども、これはぜひやっていただきたい。このことが一つ。
 それから仮にアメリカの研究に参加する場合におきましても、研究、開発、配備、まあ配備はかなりはっきりしていると思うんですけれども、そのデフィニションをはっきりしておかないと、研究と開発との間というのは非常に微妙なものがあるんじゃないかと思います。その点をはっきり確認しておいていただきたい。
 それから第三に、これはアメリカに対する注文ですけれども、今度のワインバーガーの、研究に参加するんだったら六十日以内に返事しろというふうな、これは国防長官だからああいう言い方をするのかもしれませんけれども、非常に外交になれてないといいますか、非常に未熟な点があるように思う。不必要に、それこそインビジブルな面でフリクションを起こすのではないかと思う。こういう点はやはりアメリカに対して忠告する必要があるんじゃないかと思います。その三つの点を、もう時間がございませんので、時間超過しましたので御回答は要りませんけれども、心にとめておいていただきたい。
 これで質問を終わります。
○抜山映子君 最初に、貿易摩擦の問題についてちょっとお伺いいたします。
 このたび四分野市場開放策がとられるわけで、米国なんかはこれに期待を含めて予測大体百億ドルぐらい対日輸出が拡大するだろうなんという見方もあるわけですが、一方、先ほど関議員が申しましたように二、三十億だろうという悲観的な見通しもございます。この点について、恐らく今回大臣が行かれますOECDの閣僚会議でも問題にされると思いますので、大臣としてこの四分野の開放の結果どれぐらいの対日赤字が減るだろうと予測しておられますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは先ほどからもいろいろ議論のあるところでしてね、アメリカは百億ドルぐらい四分野開放であるんじゃないかという期待を持って発言もあったわけですが、しかし自由貿易の中での貿易量ですから計算どおりにはいかないかもしれない。まあ二、三十億になるかもしれませんし、あるいはもっとふえるかもしれませんが、これは日本がそれだけ市場開放して、アメリカがそれに応じた輸出努力をしないと、私は、今日いろいろとアメリカの製品輸出がふえないという原因の一つは、やはりアメリカの輸出努力にあると思うんですね。日本の商社なんかが中心にやっております輸出努力なんというものは目覚ましい、涙ぐましいものがあって今日の日本の貿易立国をなし遂げたんですけれども、ど
うもアメリカはそういう点で買うのが当然だというふうな解釈等もありますし、ですからもっと輸出努力をしてもらわなきゃならぬ。日本がそれに対応して市場開放をしたということですから、これから見通しとしては伸びていく可能性は十分あると思いますね。ただその背景には輸出努力もありますし、あるいは日本の経済の成長の問題もありますし、あるいはまたアメリカの為替問題、ドル高という問題もありますし、そんなことがいろいろといい方向へ動けば相当伸びてくる、悪い方向へ行けばいろいろと改善しても思うようにいかない、こういうことであろうと思います。見通しがはっきりつけられるという状況じゃありません。
○抜山映子君 今大臣が言われましたように、アメリカの圧力がある、そして日本の譲歩がある、そして一時鎮静する、そして次のステップとしてまた圧力がかかってくるというような、日本という国は圧力さえかければ次々と譲歩していくんだということになりますと、まあそういう日本に対する一定の概念がアメリカの間に生まれるだろうということを大変に憂慮するわけでございます。
 非常に今回ヒステリックになっておるわけでございますけれども、選挙を一年後に控えているというような事情、それからふだんは上院ではあまり騒がない、下院のように非常に選挙区が狭いというようなことでなくて、上院の方はもっと大局的な見地から対処していたのが、今回非常にヒステリックになっているけれども、それをリードしているのはドールで、やはりこれは農産物をつくっている州出身の議員である。そういうことをひとつ考慮に入れていただいて、日本というものはアンフェアな国であるというような印象を与えない毅然たる態度で臨んでいただきたいと切望するものでございます。
 先ほど関議員から中期的な展望あるいは長期的な展望を立てるべきではないかというように言われたんですけれども、例えば日本も金利を上げてそしてもう一方において内需を拡大する、関議員が言われたような減税のほかに、まあ日本の法人税は外国に比べて高いと思いますが、それも軽減する、こういうような方策をお考えになるようなことはないでしょうか。
○説明員(溝口善兵衛君) 最初に金利の関係を申し上げます。税の関係は主税局の担当者が後から申し上げます。
 御指摘のように、金利を上げたらどうかという御意見もあるわけでございますけれども、この点につきましては幾つか慎重に検討しなきゃいかぬ問題があるんではないかと考えております。すなわち、円の相場が非常にドルに対して弱いということが言われておるわけでございますけれども、これは単に日本の円かドルに対して弱いだけではございませんで、欧州通貨もドルに対して弱くなっているという実態があるわけでございます。したがいまして、日本だけでなかなか対応するということは困難な面が一つございます。
 さらに金利の関係で申し上げますと、例えばアメリカの公定歩合、去年九%から最近は八%ということで一%ぐらい下がっているわけでございますし、それからアメリカの短期金利なんかも下がってきておりまして、日米間の金利差というのは昨年に比べれば縮小した状況にあると思います。しかしながら、円はなかなかドルに対して強くならないということがございますように、必ずしも為替相場は金利だけに左右されない。先ほど経企庁の方からも御説明がございましたけれども、米国景気に対する見方でありますとかあるいは国際情勢等々、いろいろな影響が絡むわけでございまして、なかなか金利だけで説明することは難しいという面もございます。
 さらに、そういうことで為替相場に影響を与えるような金利政策をとるということになりますと、これは相当大幅な金利を上げなきゃならぬということになります。こうなりますと、国内の企業の金利負担が高くなるとか、景気に悪影響が及ぶとかいう問題も出てまいりますし、さらに日本が金利を上げるということになりますと、欧州も上げるというようなことになってくるかもしれません。そうなりますと国際的に高金利がまた再現するわけでございまして、債務累積に悩む国等の利払いがまたかさむというような問題が出てまいりますので、金利政策を変更するという点については、私どもとしては現段階では慎重に考えなきゃいかぬというふうに考えております。
○抜山映子君 今お話しの中に多角的に考えなくちゃいけないというような趣旨の御発言がございましたが、確かにお説のとおりで、貿易収支のバランス自体も多角的に考えなくちゃいけないだろうと思うんですね。
 そこで、アメリカの貿易収支についてですが、例えば対西欧、対ラテンアメリカ、対東南アジアではどういう数字になっておるでしょうか。ちょっと教えてください。
○政府委員(恩田宗君) 一九八四年の通関の統計でございますが、東南アジアにつきましては、東南アジア全部で輸出が四百七十九億ドル、輸入が千九十億ドルでございまして、貿易収支としては六百十億ドルのマイナスと、かようになっております。それから、申しわけございません、中南米諸国全体の数字、今持ち合わせておりませんので。計算すれば出てくると思いますから……
○説明員(濱本英輔君) 抜山先生のお尋ねで、法人税負担を軽減しまして、具体的には設備投資のことであろうと存じますけれども、内需の拡大を図る必要があるのではないかというお尋ねがございましたけれども、この点につきましては、GNPに占めます設備投資の割合、これは日本の水準と申しますものはアメリカや西ドイツの五割増しあるいはそれ以上の大きなウエートを占めておるものでございます。それから、過去六・四半期にわたりまして年率一〇%という勢いで拡大を続けておるという状況にございます。
 一方、財政は、御承知のとおり、六十年度予算におきましても十一兆六千八百億円という公債の発行を余儀なくされている状況にございます。そういったところから考えまして、また五十九年の四月でございますけれども、経済企画庁が上場企業を対象にアンケート調査をされた結果を見ますと、税制上の優遇措置がとられた場合に設備投資増加の可能性があるであろうかという問いに対しまして、かなり可能性があると答えられた方が百人のうち二人、可能性がないと答えられた方が半分近くに達しておるというような状況から見まして、現局面におきまして仰せのような一般的な法人税負担の軽課措置を考えることは非常に考えにくい状況にあるというふうに考えます。
○抜山映子君 まだ私の先ほどの質問についての御回答が漏れておるように思いますが、対西欧ではどういうことになっているか。対ラテンアメリカではどういうことになっておるか。
○政府委員(恩田宗君) 対西欧というのは非常にヨーロッパかどうかという問題で、私のたまたま持っておりますのが先進国との数字でございますが。
○抜山映子君 それで結構です。
○政府委員(恩田宗君) 輸出が千二十百九十六億ドル、輸入が二千七億ドルで、七百十億ドルのマイナスでございます。
 それからラテンアメリカにつきましては、輸出が二百八十六億ドル、輸入が四百七十八億ドル、百九十二億ドルのマイナスでございます。
○抜山映子君 それからアメリカの貿易収支なんですが、八二年度、八三年度、八四年度で大体倍倍で入超になっていると思いますが、その数字を明らかにしてください。
○政府委員(恩田宗君) 一九八一年から申し上げますと、貿易収支のマイナスが八一年が三百九十七億ドル、それから八二年が四百二十七億ドル、それから八三年が六百九十四億ドル、それから一九八四年が千二百三十三億ドルのマイナスになっております。
○抜山映子君 そうしますと、まずアメリカの貿易収支は年を追ってほとんど倍々で悪くなっておる、しかも、日本だけじゃなくて全地域に対して貿易収支が悪化しているという非常に異常な事態
になっておるわけですね。この真の原因はどういうところにあるのでしょうか。
○政府委員(恩田宗君) まず第一に、米国の経済成長が近年諸外国に比較して相対的に非常に高かったことが挙げられます。昨年の米国の経済成長は西欧諸国の中で一番高いような状況でございます。そのような状況で米国における需要が非常に高かったことが第一ではないかと思われます。
 第二は、よく言われますドル高でございまして、米国の商品が外国に高く、また外国の商品が米国へ行って安くなった、こういう事情があるかと思います。
 第三番目は、先ほど開発途上国あるいはラテンアメリカ諸国からの輸入が非常にふえているということを申し上げましたのは、債務累積国がラテンアメリカ諸国あるいはその他開発途上国に多いわけでございますが、これらの諸国は政策としてできるだけ輸入を抑え、輸出を極めて強く推進したという輸出政策、それがアメリカに集中したというようなことが主な理由ではないかと考えられます。
○抜山映子君 米国は開発途上国から非常にたくさん製品を買っておる、輸入している。ところが日本は非常に少ないんだということなんですけれども、その日本が締め出している分がダンピングされて米国や西欧に来ているんだというようにアメリカの新聞なんかで書き立てている向きがあるんですが、その点はいかがですか。
○政府委員(恩田宗君) 確かに米国における開発途上国の輸入がふえております。それからまた、日本における開発途上国の輸入のふえ方が米国におけるよりは大きくない、こういう状況がございます。これを米国側は、日本が開発途上国からの輸入に対して開放的でない、したがってそれが転流されてアメリカへ流れ込んでくる。したがって、日本は開発途上国からの製品に対してもっと戸を開くべきであるという議論をしているのは事実でございます。
 ただ、実態的に開発途上国が米国に輸出しているものが何かということを個々に調べてまいりますと、必ずしも日本に行くべきものがアメリカに流れているという議論は当たらないのではないか、もちろん、米国の言うように、我が国のように大きなサイズとなった経済としては世界全体の経済の活性化あるいは発展のためにそれ相応の責任を果たすべきである、つまり輸入をすることによって開発途上国の経済の発展にも貢献すべきであるという一般論は正しいと思われます。
 したがいまして、今後とも日本としては開発途上国からの製品の輸入を促進しなきゃならぬというのは事実でございますが、ただ先生のおっしゃった日本に行くべきものが流れてアメリカへ行ってアメリカが困っているというのはこれは若干検討をしてみる必要がある議論かと、かように考えております。
○抜山映子君 アメリカの高金利、ドル高が非常にアメリカの輸入を促進して、そしてある意味では日本の経済なんかもそれで潤っており、世界景気もそれによってアメリカのリードで潤っておる、こういう面があると思うんですけれども、日本のアメリカの金利に対する要望というのはどのあたりにあるんでしょうか。
○政府委員(恩田宗君) 最近の米国の金融政策の基本目標は、何といってもインフレを抑制し、持続的な経済成長を維持していく、そのための環境をつくることにある、これが基本目標ではないかと思われますが、それがレーガン政権の経済政策に安定的な通貨供給という形でイメージ的に組み込まれているというふうに考えられるわけでございます。
 それで、米国の通貨市場における需給関係を考えた場合は、米国の伝統的な貯蓄が先ほどお話しになりましたような低貯蓄であるとか、それから最近の財政の大幅な赤字等を考えなきゃいけないわけでございまして、一般的に非常に需給が逼迫しているという状況になっている。これが高金利という形になってあらわれてくるわけでございまして、今後、当分の間景気が堅調に推移すると予想されておるわけでございますので、高金利傾向というのはある程度続くのではないかというふうに一般に見られておる。日本としては、OECDあるいはいろいろの国際会議の場において米国の金利自体の直接の問題よりは、むしろ財政の大幅な赤字というものからよって起こってくるさまざまなひずみが国際的な経済に悪い影響を与えている、あるいはドルの問題であるとか、そういう問題については米国側でぜひ十分考えてほしいという要望はかねてから主張してきておりますし、今後ともその点は米国側に対して主張していくべきことである、かように考えております。
○抜山映子君 先ほど関議員も申しましたが、日本は貯蓄過剰国であり、米国は貯蓄の過少国である。大体、家計貯蓄率は、日本、米国を比較するとそれぞれ何%ですか。
○説明員(松川隆志君) 日本の家計貯蓄率は一九八〇年、昭和五十五年に一九・二%でございまして、それから逐次下がっていきまして、五十八年、一九八三年でございますが一七・三%になっております。他方、米国につきましてはこれはいろいろベースがございますが、日本の計算ベースと合わせますと昭和五十五年、一九八〇年に六・二%、それから若干でこぼこございますが最近では八四年、六・三%というふうになっております。
○抜山映子君 そうしますと、やはり貿易摩擦の抜本的な解決ということになるとそういう日米間の財政調整とでもいいますか、そういうことについての話し合いが必要なんじゃないのですか。
○説明員(松川隆志君) 経常黒字と貯蓄超過の関係につきましていろいろ議論があるわけでございますが、これは基本的には事後的に成り立ちます恒等式の関係でございまして、これをむしろ貯蓄が過剰なんでそれで経常収支の黒字が大きくなっているというふうに解釈するのはおかしいんじゃないかというふうに考えております。むしろ最近の貿易の実態を見ますと、例えば非常に日本で売れている商品が米国でも非常に好まれているというような要素がございまして、むしろ一時ありましたような日本の内需不足で輸出が出ていくという状況ではないというふうに考えております。
 したがいまして、財政面での政策につきましては、他方、現在我が国は非常に厳しい財政状況にあるわけでございまして、そうした観点から財政改革を行っているわけでございますので、これをにわかに例えば日米のマクロベースの財政政策の調整を行うということは、日本独自の環境もありますほかに効果についても疑わしいというふうな観点で、我々としては基本的には消極的な立場にいるわけでございます。この数字はちょっといろいろ試算がありますから一概に申し上げられませんが、例えば公共投資の追加を仮に数兆円のオーダーで行ったとしてもそれによって黒字が減るというオーダーはせいぜい十億ドル程度ということでございますので、現在の非常に大幅な黒字を実質的にある程度解決するということにはならないんじゃないかというふうに考えております。
○抜山映子君 自民党の中にも内需を拡大せよと言う方、説を持っていらっしゃる方も多数おられます。ひとつ国益を考えてこの問題を上手に処理していただきたいと切望いたします。
 終わります。
○立木洋君 大臣、あした出発されるので出発される前に私の考えていることも聞いていただきたいので、若干の問題についてお尋ねしておきたいと思います。
 先般行かれた手島外務審議官、お帰りになったでしょうか、まだですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) また帰っていません。
○立木洋君 そうすると向こうにまだ引き続いて滞在しておられるわけですが、手島さんから入ってきた報告の中でとりわけ重視される報告というようなものがあるのかどうなのか、どういう報告が寄せられているのか。
○政府委員(恩田宗君) 手島外務審議官は四日、五日ワシントンに滞在いたしまして、次の出張地であるメキシコに今行っております。したがいまして、審議官の滞在は一日半でございましたが、その間に非常に多数の議会関係者あるいは政府当局者と会談されまして、したがいまして、それから得られたところの情報なり報告というのは非常に多様であるわけでございますが、非常に大ざっぱに申し上げますと、政府関係者は日本の努力というものは一応理解する、やっていることはわかるけれども、ただ議会の日本に対する空気は極めて厳しい、もう少し日本が目に立つはっきりした開放措置をとってくれないと政府としても議会を説得するのに非常に苦しい、したがってもうちょっとやってほしいという希望の表明が、要約すればそういうことではなかったかと思います。
 議会関係者は極めて厳しい御意見を出される方あるいは日本に若干同情的な方というのがおられると思いますが、全体として日本のやろうとしているということを説明いたしまして、先方から日本のやっていることは一応情報としてはわかっていただいたと思うわけでございますが、ただ情勢が非常に厳しいという要約で御勘弁いただきたいと思いますが。
○立木洋君 総理の声明を発表してそして対策を決めてそれを持って大臣おいでになる、その効果がどれだけあるかというのは、今までも質問がいろいろ出されておりまして、今の時点ではなかなか評価は難しい、どの程度の効果があるのか難しいということですが、私は考えてみますと、この問題というのは、今回の対策が出されても、一定程度の鎮静化させる意味合いがあったとしても、やはり根本的には解決しないだろう、事態は長期化するんではないかというふうな、まだ見ないうちから言うのはあれですけれども、大体新聞報道等で感ずるところではそういう感触なんですが、長期化するんじゃないでしょうかね、どうでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはアメリカは自由世界第一のGNPの国ですし、日本は第二位の国ですし、日米貿易は八百六十億ドル以上でして日本の貿易額の四分の一を占めておる、そうした大変な経済の膨大な交流ですから、これは摩擦が全然なくなるなんていうことは長期的に見ても考えられない、どこかで摩擦が出てくるんじゃないかと思うんですね。完全に市場がフェアになったとしても。ですから、一挙に解決するというようなことはできないだろうと思います。
 だけれど、お互いに多少ちぐはぐなところが、経済成長とか為替とかそういうところが出ておりますから、そういう点を直せばある程度正常化していくんじゃないだろうか、今度の経済対策の措置がアメリカにどれだけ評価されるか、これが発表されて反応を見て、私が行って説明して、そういう後に出てくることだろうと思いますが、何とかやはり今回は鎮静化、特に議会が鎮静化して、サミットで自由貿易体制というものをさらに再確認をされて、いよいよことしじゅうに準備して、来年からはニューラウンドの交渉に入れるというようなことになれば、私は、これから長期にわたっての貿易体制、世界の貿易秩序の一つの筋道ができるんじゃないかと思っています。
 そういう意味では今一番大事なときじゃないか、これでだめになってしまったらニューラウンドもだめになるし、今の自由貿易体制そのものが大きな亀裂ができてくる、ですから一番難しい、一番また大事なときだ、こういうふうに思っています。
○立木洋君 午前中からの討論を聞いておりまして、大臣の答弁も聞いたわけですけれども、アメリカ側にもいろいろ問題がある、これは言うまでもないことで、言うなればアメリカの貿易収支が悪化している原因というのがやはりドル高から来て、そのドル高の原因がすべてこれに集約されるわけじゃないけれども、アメリカの財政赤字に起因した高金利から起こっているということの問題点というのはこれはいろいろ指摘されている点だろうと思うんですね。だから、本来ならばこういう経済的な問題で正しく解決していくというのは経済的な法則に基づいて双方で解決されていけばいいわけで、経済外の圧力を加えることによって、もちろん政治が介入するというのはある意味では必要な場合がありますけれども、そういう点から考えてみますと、アメリカというのはこういう問題点を解決するために、この数年間着実に努力をしてきたという跡が見られるんでしょうか。少なくともアメリカが貿易収支を悪化する要因を取り除く努力というものをアメリカ側が行ってきたというふうに日本側として評価できる、そういう足跡を見ることができるでしょうか。
○政府委員(恩田宗君) まずアメリカ側の要望というか、希望というか、要求の問題でございますが、確かに貿易のインバランスがあるのは困るというのはまず第一でございます。
 ただ、インバランスの原因は非常に大きな原因が先生のおっしゃったドルの問題等であるということは事実でございますが、ただ、現在の経済摩擦の原因はただ単にインバランスがあるということだけでなくて、それを背景として日本の市場が閉鎖されているという点に対する不満あるいは日本が国際的な責任を果たしていないという不満も加わっているわけでございます。昨年十一月に外交委員会でパーシー委員長が公表されましたあれでも、米国は、米国の製品、サービス及び投資が、アメリカにおいてやっていると同じような自由さがほしいと、こういうことでございまして……
○立木洋君 アメリカの努力の跡を言っていただきたいんです、向こう側が言っているのはわかりますから。
○政府委員(恩田宗君) したがいまして、そういう方針に従って、米国側としては諸外国に対して、EC、日本に対する交渉を一生懸命やっておる、それを議会がまだ十分交渉の成果が上がっていないということで不満を持っている、こういうのが今の図式ではないかと思います。
○立木洋君 やはり大臣ね、いろいろアメリカが主張しているということは新聞で詳しく報道されるから我々見ればわかるんですよ、一体何を要求しているか、どこに問題点があるのか。アメリカ自身が自分の国におけるそういう要因を取り除いていく努力ですね、一方ではそういう努力をアメリカ自身が行わなければならないと我々考えるわけで、そういう問題点、先ほど大臣も言われたように、そういう問題もアメリカ側にもあるという指摘があるわけですから、そういう努力をしてきているというふうに大臣評価できるような形跡を見ることができるんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはそう断定的に言える問題じゃないと思いますね。アメリカはアメリカなりのそれはやはり努力をしたということが言えるでしょう。例えばニューラウンドなんかは、アメリカとしては日本と一緒に強く主張しているというのは、やはりアメリカも自由貿易体制を何とか推進していきたい、議会はいろいろと保護主義的な動きが出ていますけれども、少なくとも政府は自由貿易体制というものを何とか堅持していきたい、こういう努力の跡は見えるわけですね。
 ただ、今のアメリカの経済それから財政、そういう状況の中でドル高、高金利、そういう問題についてアメリカ自身としては何とか高金利を抑えたいということで多少の努力の跡も見えますけれども、しかし、客観的に見れば依然としてその状況はそう大きな基調において変化がないということは言えるわけですね。
○立木洋君 数年前、これはアメリカの議会もそうだったしアメリカの政府あるいは両方の賢人会等々の議論でもやはりこの日米貿易の不均衡について言えば、日本市場の閉鎖性が最大の問題ではないということが結論づけられていたわけですね。それでとりわけ、特に貿易の不均衡是正のためにはアメリカ側でより基本的な改善策がとられなければならない、これは双方の会議の中でも合意してきた問題なんですよ。
 そして、日本側の足跡を見てみますと、一九八一年から、この資料なんかもいろいろいただいて見てみますと、結局、アメリカの貿易収支赤字に占める日本のシェアというのはこの数年の間だんだん少なくなってきていますよね。去年から比べると絶対額がふえたといっても、絶対額の赤字がふえているんだから実際にはそういう論理にはならないわけですけれども、しかし、シェアは少なくなってきています。あるいは、アメリカの貿易収支悪化額について見れば、地域別の寄与額というのは日本の場合はあるいはEC等から比べるならば下がっているわけです。そういう努力の跡が見られるわけだけれども、しかし今回、この問題は午前中も問題になりましたけれども、急激に出てきたという背景というのはどうもわかりにくい。大臣、その点どういうふうにお考えになっているのか。つまり、債務国に転落したということが大きな影響なのか、あるいは昨年から見れば百九十億ドルが三百七十億ドルですか、そういう赤字の額が大幅にふえたということが原因なのか、あるいはほかの要因があってこういう急激にいわゆる議会が硬直化するような事態になったのか、来年の選挙のことを考慮に入れてなのか。大臣そのあたり、お考えどうでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは先ほどから何回も答えていますが、いろいろの原因があると思うんですね、一つだけの原因じゃなくて。
 確かに、日本のアメリカの赤字に占める比率は少なくなっていますけれども、しかし、量としてはふえているわけですね。アメリカの輸出は思うように進まない、そういう状況の中で、結局、日本がこれまで努力した努力したと言っているけれどもその成果はどこに一体出てきているんだ、だから日本という国はどうも信用できないというような不信感がじわじわ広がって一挙に噴き出したということも言えると思いますし、また、アメリカの議会は来年選挙を控えているというふうなことで、やはり今の日本との関係について、日本に一つの大きな改善策を求めないと自分たちの立場というものが確立しないというふうなこともあるでしょうし、あるいはまあ、いろいろの面があると思いますね。政府から話を聞いて、どうも日本がうまくいっていないと聞いてだんだんとその気持ちが大きくなった。
 これはサミット前にはいつも政府と議会で、いわば我々から見ていると、政府が火をつけて議会が燃え上がって、そしてそれをバックにして日本とか諸外国に圧力というかそういうものをかけて改善を迫る、改革を迫る。そういう手法でずっときておったんですが、何かそういうことが今や行き過ぎちゃって、もう感情の高まりになっているというのは余りにも黒字が多くなってきている、アメリカの経済は非常にいいんですけれども、財政赤字はますますきつくなってきている、高金利の方はなかなか是正されない。財政赤字について、政府も財政赤字縮小、ここに大きな根源があるということで努力をしていますし、議会もこの財政赤字の縮小をいろいろやっておりますけれども、どうもその辺のところで根本的な解決策というものが生まれてこないでいらいらして、債務超過国に転じようという、アメリカの史上初めてのことじゃないかと思いますけれども、そういうこともあわせて影響もあるでしょうし、アメリカの競争力というものが日本の競争力と比べるとどうもだんだんと落ちているといった点にもやはり一つのいらいらがあるんじゃないか。例えば、自動車なんかはアメリカで生まれてアメリカで育った産業が完全に日本にほっておいたらしてやられるというふうな、そうしたいら立ちというのもあるように私は率直に言って思うんですね。
○立木洋君 先ほど大臣が言われておったように、日本側としても説明不足があったんではないかということをちょっと言われましたけれども、私は日本の外交姿勢の問題で、これは大臣にということではとりわけありませんけれども、いろいろ問題になってきているのを見てみますと、新聞等でも報道されている、例えばことしの一月の、総理が会われてやった話の内容等なんですけれども、みずからが責任を持ってやる、自分でチェックをする、去年も牛肉、オレンジ問題があり、さらには金融資本の市場開放などの問題等々であったわけですけれども、総理みずからがこうして自分でチェックをして、責任を持ってやるということを言われたときに、果たして総理はレーガン大統領に対して、やはりアメリカ側も改善の努力をすべきではないかということを言われたのかどうか。あるいは日本側としてはこれまでこれほど努力をしてきたんだということを具体的に述べたのかどうか、あるいはこういう問題というのは一挙に解決することができないんだ、よりよく話し合って協力しないとだめなんだという日本側の主張をきちっと具体的にいわゆるトップ会談で述べたのかどうかというのは大変疑問なんですけれども、そこらあたりはどういうふうな事実関係になっているんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは日本の立場は総理も述べましたし、私も述べましたし、できることとできないことがありますよということも言いましたし、やはり日本だけに問題があるんじゃない、アメリカの高金利、財政赤字、ドル高にも問題があります。しかし、日本にも確かに市場アクセスの問題については今出されたような問題もあるんですから、これはひとつ日本は日本なりに努力しましょう。しかし、こういう問題というのはお互いに努力しなきゃできませんということを言っておるわけですから、何もかも全部やりますよ、もう全部日本が引き受けますからと、こういう言い方じゃないんですね。
○立木洋君 外務大臣がどう言われたかは、それは問題は別としておきましょう。
 総理の述べている報道の状況から見ると、今、大臣が言われたようなあれとは全く違うんですね。つまり、そういうことが述べられているならば、例えばレーガンからいろいろ来た報道の中でも、我々も努力するけれども、ひとつ中曽根さんよろしく頼むという話ではなくて、一方的な要請だけが後から追加されてくるというふうな感じを、どうも報道の上から見ればそういう懸念をぬぐい去ることができないんですけれどもね。だから私は、トップの交渉、話し合いというのはこれは決定的な意味を持つと思うんですよ。後からいかに下のレベルの人が行ってそれを変えようなんて幾ら言ってみても、それはもう通らぬのですよ。あなたのところの親分が言っているんだ、あなた方の最高責任者が言っているんだということになるとね。だから、そういう意味での首脳外交で行き過ぎたことをやる弊害というのは後々響くんですよ。これは自民党内部でもいろいろ御議論があるようですからこれ以上私言いません。しかし、そういう意味合いがあるということを十分に踏まえてやっていただかないと、私は大変首脳外交ということでは後々困ることが、いわゆる我々が余分な重荷を負わなければならなくなるということな十分踏まえてやっていただかなければならないということを非常に痛感するので、午前中来のこの問題の最後にそのことだけを要望しておきたいと思いますが、何かそれについての御感想があれば、大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) いや、これは私が先ほどから説明したとおりですね。ですから、いろいろと後でこういう状況になったものですから、そのときのことが脚色されて言われておりますけれど、あのときの会談のポイントはプレスリマークスではっきり出ておりますけれども、このプレスリマークスによりましても、両国が、それぞれ適切な経済政策の実施と市場の開放性の維持や拡大を図ることが重要である、あるいはまた、大統領と私は、日米貿易経済関係のより均衡のとれた発展のため、真剣な努力を行っていく決意を分かち合いましたというふうなことで、とにかくお互いに努力してやりましょうということをお互いに言っておるわけですから、今おっしゃるような全く一方的なというのは、それは一方的だと思いますね。
○立木洋君 この外交上の力点の置き方あるいは相手が嫌がることを言うというのはなかなか難しいときもあると思うんですよ。それはそういう場合でもやはり言うべきことは言うということが非常に重要だし、一言言うというのと力点を置いてきちっと述べるというのとまた違うんですね。まあこれは釈迦に説法でしょうからこれ以上言いませんけれども、ひとつ今回行かれたら、そういう意味ではきちっと述べるべきことは述べていただきたいということを最後に要望して、郵便条約に移りたいと思います。
 午前中から問題になっておりましたけれども、今回基本料金が一律五〇%アップということになったわけですが、ここでは賛成六十二、反対五十九、棄権四ですか、こういうきわどい状況で可決されたということでしたが、これに対して日本としては賛成の態度をとったわけですね。この五〇%アップに日本として賛成の態度をとった基本的な理由は一体何なんでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) 今回の基本料率の改定につきましては、執行理事会で検討を続けておりました。その結果が三案出まして、それを総会にかけたわけでございますけれども、理事会の審議の中で一番支持の多かった、これが一律五割アップという案でございました。
 それから、私どもとしましては、この郵便条約は五年間有効でございます。したがいまして、五年先の諸経費アップ等を考慮しますと、やはり五割ぐらいの引き上げ、これは適当ではないかということでこれを支持したわけでございます。
○立木洋君 もう一点、到着した郵便物に払われる到着料ですね、これが一キロ当たり五・五フランから八フランに引き上げられたということですが、これについては日本側は反対されたんですか、賛成されたんですか。
○説明員(梶谷陽一君) 到着料というのは、これは郵便の輸出、輸入に差があるという場合に重量一キロについて五・五フラン払うとか、あるいは今度の改正では八フラン払うという種類のものでございまして、言ってみれば国内の配達経費ということになります。それで、この到着料につきましては私どもは終始この率は引き上げるべきではないと、極力下げるべきだ、まあ下げるということではないんですが、引き上げの幅というのは極力縮めるべきだという主張を繰り返してきております。それで先般、総会で討議されましたときは、まず日本のこういう態度を鮮明にいたしまして、それから総会の提案に臨んだわけでございますが、これは大きく分けて二つございます。
 一つは、通常郵便を三つに分類いたしまして、それぞれについて到着料を課す。それぞれ別の到着料を課すというのが一つでございます。
 それからもう一つは、二本立てでいくという案でございます。三本立ての案の方がトータルといたしましては安上がりということになります。しかしながら、この三本立てでいきますと大変手続が煩雑になるんでございます。それで結局は取り扱い経費の増ということになって、必ずしも日本のためにはよくないということから、この三本立ての案は私どもは支持いたしませんでした。
 なお、もう一方の二本立ての案につきましては、これは料率が私どもが考えていたよりも高かったということから、これについても支持はいたしませんでした。
 私どもがこの到着料につきましてできるだけ低く抑えるべきだと考えておりますのは、到着料を引き上げますと、これが郵便コストにはね返ってくるということから、世界の郵便が縮小均衡になっては困るということからでございます。
○立木洋君 述べられているのはある程度理があるような感じもするんですけれども、一方疑問が出てくるのは、基本料金については、つまり五年前のときには七五%引き上げるということに当初日本政府は賛成したけれども、なかなか多数の賛成が得られないということでおろしたわけですよね。今回もぎりぎりで、二〇%ではなくて五〇%の方に日本政府は賛成した。この基本料金というのは、例えば到着料だとか、何ですか、継越料、そういうものもこれから払っていかんといかぬわけですね、その中から。しかし、到着料の場合は丸々こちらに入るわけですよね。数年間の経緯を聞いてみますと、やはり発送するより到着をする量の方が日本としては多い。そしたら日本としてはいわゆる収益から見ればプラスになる。それから、もう一方途上国の状態から見れば、途上国としてはこの到着料をできるだけ高くしてくれないかという要望というのが比較的強い。そうすると、基本料金で高い方を要求して、しかし到着料では高くする方を望まないというのは、どうもそういう非同盟諸国の要望だとか、あるいは日本の収入の状態から見てどうなんだろうかなという感じがちょっと残るものですからね。そこらあたりはどうなんでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) 到着料につきましては、これは日本の場合は、先生おっしゃるとおり輸入の方が多いということから、到着料にかかわる収入がございます。ただ、日本の場合は輸出と輸入の差、これが年々縮まってきております。したがいまして、将来の話になりますけれども、いずれは逆転する日が来るのではないかというふうに思っております。
 それから、この到着料が余り過大に引き上がりますと、やはり世界の郵便に与える影響、これは非常に大きいものがあるというふうに私どもは考えまして、できるだけ低い水準にとどめるという体制で臨んだわけでございます。
○立木洋君 それから、午前中も問題になっておりましたけれども、そのことでちょっとお尋ねしたいのは、トータルで外国郵便の収支の状況ですね。この数年間、五十九年度はまだ出ていないようでありますけれども、五年前に行われてから後の三年間の状況というのはどういうふうな状態になっているんでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) 五十五年の収入は四百七十八億、支出が三百六十五億でございます。したがいまして、収入、支出の差は百十三億でございます。五十六年につきましては、収支の差が百九十四億円、五十七年は二百十二億円、それから五十八年では七十億円ということになっております。
○立木洋君 万国郵便条約の改正に関するあれで十年前も議論したわけですけれども、あのときには結局国内の基本料金を引き上げる、改正された直後にですね、これはちょうど二年前にあったオイルショックの影響でいろいろとそれを賄うために必要だという状況での説明があったと思うんです。五年前のときも結局五年間続いてずっと外国郵便の収支は全部黒字だったわけですね。ところがそれにもかかわらず、いわゆる将来の五年間を見通すとやはり料金の値上げをしておかないとというので見直しをさせていただきたいというのが五年前の答弁だった。
 今回も見てみますとこれは明確な黒字ですね。五十九年度もこれは赤字になるという理由は私はないだろう。来年度からになるけれども、六十年度についても私は急激にそんなに赤字に転落するというふうなことが考えられる状況ではないだろう。そうすると、先ほど午前中来の問題で、日本ではそれならばこういう基本料金の五〇%引き上げということになったけれどもどうするのかという点では直ちに引き上げることにはならないのではないか、慎重に対処したい、こういう答弁なんですけれども、これは来年のことですよね。黒字になっているんだし、やはり五年前のような状況を繰り返すんではなくて、いろいろな意味でもちろん外国郵便が全体の郵便に占める比重というのはそれほど極めて大きいというものではありませんけれども、しかし今の状況のもとでやはり少なくともそういう料金の値上げ等々で影響を与えるようなことはできるだけ避けていくという建前からいえば、この料金の問題についても本当に値上げをしないように努力をしていただきたいということを重ねて要望しておきたいんですが、いかがでしょうか。
○説明員(梶谷陽一君) 先生御指摘のとおり、ここ二、三年の外国郵便の収支は黒字でございます。それから五十八年も黒だったわけでございますけれども、この黒字の幅がだんだん狭まっております。五十九年度はどうなっているか、これはまだわかりませんけれども、恐らく五十八年度を下回っておることは間違いないんじゃないかと思っております。こういう状況を私どもは一つ頭に置いておるわけでございます。
 それから、昨年開かれました第十九回万国郵便大会議、これで各種の料金が改定されております。そういうことから各国郵政庁に支払う経費の増加がございます。それから、国内の取り扱い経費の増加も見込まれると思うわけでございます。しかしながら、この郵便事業財政の今後の状況というのは、そういう諸要素を考えますと、値上げなしということではなかなか難しい面があるのではないかというふうに考えております。
 一方、外国郵便が各種のメディアとの競争、代替関係にあるわけでございます。そういう状態からしますと、この料金改定というのは、慎重に対処していかなきゃいかぬというふうに考えておるわけでございます。
○立木洋君 確かに五十九年度黒字の幅が少なくなるということは、私はあり得るかもしれないと思うんですよ。前回五年前に上げましてから、結局五十四年度が八十七億円、五十五年度が百十三億円、そして五十六年度が百九十四億円、五十七年度が二百十二億円というふうに黒字の幅がずっと上昇してきたわけですね。結局これはいわゆる五〇%の値上げにあやかって、いわゆる基本料金の値上げをしたからだと思うんですよ。だから、そういうことも十分に計算に入れて、可能な限り値上げをしないで済ませるように、慎重に対処すると言われましたけれども、努力をしていただくようによく御検討をいただきたいということを重ねて最後に要望して私の質問を終わります。
○秦豊君 きょうの先議五案件については、私はことごとく賛意を表しておりますので、あえて質問はいたしません。
 外務大臣、あすから大変に厳しい御日程ですけれども、御健闘をまず祈りたいと思います。
 外務省は、今夕のいわゆる大来委員会、対外経済問題諮問委員会の内容に対しましては、内需拡大の必要性をぜひ盛り込むべきであるという主張を堅持していましたね。結局大方向としては、摩擦解消はやはりブーメランのように日本国内にまた帰ってくる。どう帰るかというと、内需の拡大を中枢ないし中軸とした総合的な対応、例えば経済とか金融政策全般の見直しにまで結びつく、あるいはつながっていく、こういうふうに私は考えているんですが、大臣どうですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはただ対外政策を考える、対外経済問題を考えるだけの内需ということではなくて、やはり日本全体経済全体のバランスの上に立ってのことでなきゃならぬと思うんです。私は今の日本の経済のパフォーマンスというのは非常広いいんじゃないか、安定しているんじゃないか。設備投資も順調に進んでおりますし、全体的には景気は漸次よくなってきておるということであります。
 したがって、今のパフォーマンスを変えるという余地は余りないように私は思うんですね。ただしかし、今の黒字がこれだけ増大している。今の日本の経済のパフォーマンスのいい中で異常なのは、外需依存という面が非常に出ておりますから、これは外需から全体的に見て、やはり内需の方へ少し動かしていかないと、貿易摩擦をますます激化さしていくわけですから、そういう面についての諮問委員会の指摘もありますから、それを踏まえて、今の具体的に民間の活力だとか、あるいは労働時間の短縮の問題だとか、あるいは税制の改正とか、そういうものを中心にした、財政で今内需というわけにすぐいかないですから、そういうことをひとつこれから長期的なアクションプログラムの中で考えていかなきゃならぬのじゃないか、こういうふうに思います。
○秦豊君 河本特命相などは所得減税を軸にして内需拡大策プラス為替対策、トリプルでやれという主張、日銀とか大蔵はそれにやや異論ありと。ややでもない強い異論ですかね。だからこれはなかなか調整が難しいと思うんですが、私も、大方向は今外務大臣がぴたっと示された方向以外にないんじゃないかと思いますね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) そういうことだろうと思いますけれども。
○秦豊君 外務省、あなた方にとってはワインバーガー書簡から六十日目というと何月何日ですか。
○政府委員(栗山尚一君) 五月の二十六日ということかと思っております。
○秦豊君 これはもうさっきから外務大臣がるる述べられましたので、時期にはこだわらない。また、私見から言ってもあんな非礼な、さっきも話が出ましたが、粗野な西部劇的な突きつけ方にはそんなにまともな回答をする必要はないと思いますが、そうすると、ボン・サミットが終わって、かなりじっくり検討した末に回答をする、それは例えば更にまたがることも多分にあり得るということですね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私が聞いたのは非常に長期的な構想で、二十一世紀にまで及ぶというふうなことですから、日本としてもそう六十日だとか何とかというふうに思っておりませんし、日本として重大な国家の意思、国家の判断につながっていくわけですから、やはり時間にとらわれないで、研究の方もそう簡単に進むわけじゃないでしょうから、十分SDIの全貌を見て、それをつかんだ上でないと決められないと思うんですね。ですから、余り時期なんかもちろんこだわる必要は全くない。それでもって日本が取り残されてもこれはやむを得ないと思っています。
○秦豊君 秋の国連総会はかなりにぎやかな外交場裏になると当然思われます。そのころまでには大体各国の動向も出そろい、僕はボン・サミットではそろわないと思うんですよ。秋の安倍外務大臣とシュルツ氏の会談あたりでようやくそれまでに、それと前後して回答がホワイトハウスに届くというふうなタイミングじゃないでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 全くこれは予測がつきませんですね。まず、第一回、専門家から事情を聞いて、それから各国の出方、見方そういうものについても十分我々としても研究しなきゃなりませんし、また、アメリカ国内におきましてもいろいろと議論があるところですから、やはりそういう全体的な情勢を掌握するということが日本自身が勉強するとともに大事だと思います。そういうところを見てからでないと判断がつかないですから、今時期を限定してということはちょっと難しいと思います。
○秦豊君 それから、きのうからの外務省側の答弁を突き詰めてみますと、SDIの共同研究という場合に、五十八年十一月の日米間の包括的取り決めというフレームがあるわけだから、それの方向に沿うならば何らの妨げがないというふうになりませんか。
○政府委員(栗山尚一君) 具体的に、仮定の問題でございますけれども、アメリカが要求する技術、あるいは要請する日本からほしいという技術があの取り決めの枠の中に入ってくるものであれば、それはその中でケース・バイ・ケースに判断をする、そういう意味において、委員のおっしゃるとおりです。
○秦豊君 外務省は、私の持っている資料ぐらいはお持ちでしょうね。SDI関係のアメリカ政府の公文書から写したんだけれども。経費の明細が全部出ているんだが、外務大臣、これちょっとお聞き取り願いたいんですが、読んでいると時間がたつからやめますが、これが焦点なんですよ、ワインバーガー書簡の裏側は。八五年度は十八億ドル要求した研究開発、削られて削られて十三億九千万ドルなんですよ。それで、アメリカ議会のいろんな軍事専門家の論文、コメントによりますと、この傾向は数年間ずっと横ばいで続く、つまり毎年削る、削る、削ると。そのツケを、足らないところを何とかつじつまを合わさなきゃいけないので、それで同盟国への経費分担という路線が急速に濃厚になっているんです。そこで、今栗山局長が申されたような包括的取り決めのフレームならば妨げないとなると、今度は仮にアメリカ側からSDIの研究開発費の分担を求められてきた場合でも、これは多国間じゃないんだ、日米間の特殊なまた個別な極めて友好的な問題としてで
あるから、つまり極めて前向きに対応するということも論理的に可能じゃありませんか、あるいは政策的に。どうでしょう。
○政府委員(栗山尚一君) アメリカがこの構想との関連で同盟国等に経費を分担してもらうという意図があるかどうかということにつきましては現段階では全くわかりません。
   〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕
むしろ今のところではそういう話は全くないわけであります。したがいまして、余りにも仮定の議論でございますので、そういう話が出てきたときにどう対応するかというのはその時点で日本の国益というものを考えて判断するということだろうと思います。
○秦豊君 こういう場合、ケーススタディーじゃないが、ケース、仮定、これを国会でうんと練っておく必要があるの、これは。我々立法府はあなた方をチェックする意味合いでね。あなた方は全部吉田答弁をまねびに逃げ込むけれども、これは非常に強い方向なんですよ。じゃ栗山さん、言葉を変えますがね、では今後とも、仮定の問題とは言い条、SDI絡みで経費分担を求められてきても恒久的に拒み通す、これが日本政府のスタンスですか。
○政府委員(栗山尚一君) そういう意味で確定した政府の立場なり方針というものは現段階ではないと思います。
○秦豊君 いや、だから聞いているんですよ。今はありませんよ、だって茫漠としているんだから。ケースとしてだんだん求めてくる、しかも一番日本が頼られているわけですよ。後でデータ出しますけれども、技術部門の。経費分担も技術協力もドイツ、イギリスじゃないんですよ、標的は日本なんですよ。だから、必ずこれは押しつけられてくる避けがたい方向なんだが、大臣ね、シュルツさんとの会談ではともかくとして、じわじわと出てくるんですね、これが。そういう場合大臣としてはどういう対応を考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 仮定の問題もいいですけれども、仮定の問題でいろいろと議論しますとこれがひとり歩きするおそれがあって、全く仮定の問題ですから、そういう状況になるかどうかわからぬわけですから、やはり我々としては、SDIというものが、レーガン大統領の説明を聞いただけですから、それ以上どういう形のものかというのを見きわめなきゃ日本としての態度は決められないわけです。決める場合も日本の柱というのは、総理も言っておりますように憲法だとか基本的な原則だとか非核三原則とかいろいろありますから、そういうものを踏まえての日本の自主的な判断ですから、そのときにならないと、そしてSDIの全貌を見きわめないと、これは日本としてはっきりしたことは申し上げられない。仮定といっても、SDIというものはどういうものであるかということはわからないで仮定的に答えるということはちょっと難しいんですね、これは。
○秦豊君 あなた方にはそれしか逃げ方が僕はないと思うんですよ。お気の毒にたえない。たえないけれども、やはり私はじゃこういう問題をやりましょう。
 これは条約局長が非常にお得意なようなテーマだから、法制的な見地から見て、現在既に提供されている、機能している在日米軍基地の施設内にSDIに関連した新たな通信施設あるいは基地機能を設置することを要請された場合には、これはもちろん仮定ですよ、イフイフですよ。しかし、法制上、条約上、これはあなたの主管事項だ、問題はありませんね。拒否する論理は成立しませんね。それを聞いておきたい。
○政府委員(小和田恒君) 先ほど来外務大臣、北米局長の答弁と同じようなことで恐縮でございますけれども、今委員の御質問になっていらっしゃる仮定の状況というのがSDIとの関係で一体どういう形で具体的に出てくるのかということがわかりませんと明確な答弁はなかなかしにくいだろうと思います。要は、日米安保条約の規定とその精神から見て日米の安保体制の向上に資するというものであれば許されるだろうと思いますが、具体的にどういう態様でそういうものが、どういう内容のものが設置されるのかということがわかりませんとなかなか一般的だお答えすることは難しいだろうと思います。
○秦豊君 あなた方は口を開けばSDIシステムにモラリティ、道義性を感ずるというふうに公言する総理のもとにある局長ですよ。僕はそれは異論を持っているけれども、しかし少なくとも私は日米安保体制、条約、その規矩準縄、解釈、この一々に照らしてみても、つまりそういう防御的な、道義的な兵器だから拒まなくてもよろしいんじゃありませんか、条約局長。拒む論理は非常に難しいんじゃないですか。それを聞いている。
○政府委員(小和田恒君) 繰り返して恐縮でございますが、要するに日米安保条約の基本的な目的、その規定、そういうものに合致するものであるかどうかということは具体的なものが出てこないとなかなか判断ができないと思います。
○秦豊君 ならば、こういうケースに置きかえたらどうかな。
 今、アメリカは大陸間弾道弾ばかりじゃなくて、中射程のINF的な防御システムにもしようとして、例えば極東地域のSS20にも有効性を発揮するSDIシステム、この場合にはシステムの一環をなすASAT兵器の配備という問題になってくるんだが、既にこれについてはアメリカ国防総省の見解として、ワシントン・ポストが昨年十月二十三日に、宇宙兵器ないしASAT兵器が同盟国に配備される方針を国防総省が明らかにし、日本あるいはNATO各国がそのあり得る対象国であるという報道をワシントン・ポストがいたしておりますが、仮にSS20に有効なASAT兵器的なものあるいはポップアップ方式、打ち上げ方式的な対空ミサイルの日本への配備を要請された場合には、これは安保体制上何ら妨げはないんじゃありませんか。この点はどうですか。
   〔理事鳩山威一郎君退席、委員長着席〕
○政府委員(小和田恒君) 理論的な御質問としてお尋ねになっているんだろうと思いますが、御承知のとおり、ASATとSDIでアメリカが構想しているものとは必ずしも同じではないというふうに私ども承知しておりますが、またASAT兵器というものが具体的に核兵器であるのか非核兵器であるのか、そういう問題もございますので、さっきからお答えしていることを繰り返すより仕方がないと思います。
○秦豊君 あなたと横に並んでいる二人は最近の外務省始まって以来わきがかたいそうだから、当分そういう姿勢もいいだろうが、しかしそれにしても、これから具体的に聞くけれども、じゃ条約局長、あなたきのうこう言ったはずだな。特定の武器技術に着目すれば日米間での技術供与は可能である、こういう答弁をあなたしなかったかな、これ議事録もまだできていませんのでコンファームはちょっと難しいんだが、その答弁がもし仮にあったとすれば、どんな分野をあなたはイメージしているのか、これも答えにくいかな。
○政府委員(小和田恒君) 昨日私がお答えいたしましたことは、正確な記録はまだ印刷されておりませんので、とりあえず私どもが持っておりますところに準拠して申し上げますが、私が申し上げました趣旨はこういうふうに御理解いただきたいと思います。
 昨日の討議におきまして外務大臣あるいは栗山北米局長から御答弁しておりましたのは、武器技術供与、日本からSDIに関連して武器技術というものが出ていくということを前提にいたしまして、そういうケースを想定いたしましたときに、一体そういう協力というものは可能なのかどうか、こういうのが質問でございます。
 それに対しましてアメリカとの間におきましては御承知の対米武器技術供与の取り決めがございますので、その規定に従って日本政府としては判断をすることになるであろう、理論的に言えばそういうものに乗っかる形で協力ということはあり得るであろう、他方それ以外の国との関係はおきましてはそういう取り決めがございません。取り
決めがございませんので、我が国の武器輸出三原則等の原則に従って処理をされることになるわけでございますから、したがって、そういう形での共同の開発というようなことは考えられないであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
 ただ、あくまでもこの場合にSDIというものは先ほど来繰り返しておりますように、具体的にどういう内容のものであり、どういう技術が使用されてどういう形でこれが研究開発されるのかということがはっきりしておりません。アメリカ側の説明によりますと、SDIというものはいろいろな段階において弾道弾ミサイルというものをとらえるという構想でございますので、いろいろな技術がいろいろな形で使用されるであろう、こういうことが想定されるわけでございますけれども、これは中身をとにかく聞いてみないことには私どもよくわからないわけでございまして、そういう中におきまして私が昨日申し上げましたのは、日本とアメリカとの対米武器技術供与取り決めの規定に従えば、それによって我が国から供与される技術というものはアメリカに対して供与されるものであって、ほかの国に対して供与されるものではない、ほかの国に供与することは、アメリカが第三国にそういうものを転達することは取り決め上は我が国の同意がなければできない、こういうことになっておりますので、そういう限りにおいて日米間でそういう可能性というものが、つまり可能性と申しますのは、我が国がアメリカとの間でこの取り決めに従っての武器技術供与、それに伴っての共同の研究ということが理論的にはあり得るであろうということを申し上げたわけでございまして、それがSDIの全貌の中でどういう位置を占めるかというのは別な問題としてあるであろう。つまりそれは全貌がどういうものであるかということがはつきりわからないと何とも言えない問題であるけれども、少なくとも日米間の問題としては日本がアメリカに対してそういうものを提供するということは、この取り決めに従って可能であろうということを申し上げたわけでございます。
○秦豊君 それはそのとおりでしょうね、あなた方の認識の中では。
 じゃ、SDIではアメリカは日本のどんな技術分野の協力を特に期待しているとお考えかな。
○政府委員(栗山尚一君) これは話を聞いてみないとわかりません。
○秦豊君 アメリカが既に強い関心を示している十六分野があるでしょう、これはあなた方も知っているでしょう。それは知らぬとは言えないわな。現にペンタゴンの調査団も来ているし、これは非常に焦点がはっきりしているわけ。あなた方はじゃ、独立機関であるSDIピューローが出しているアメリカのSDI関係経費と今後の予算見積もりの資料は持っているかな、お持ちでないかな。それにはちゃんと研究六部門も明記して、項目別の予算も明記してあるの。それもないかな。一議員が持っているデータが北米局長の所有するところにないかな。これを見れば全部部門がわかる、システムがわかる、研究の対象がわかる。ならば、日本に求めている技術分野がわかる。こういうデータをお持ちだろうね。
○政府委員(栗山尚一君) 私が持っております国防省のSDI関連予算の資料と秦委員がお持ちになっておられる資料と同じものかどうかわかりませんが……
○秦豊君 後で突き合わせましょう。
○政府委員(栗山尚一君) 一応国防省の公表された予算関連の資料は私どもも見ております。
○秦豊君 ならば、ああいう答弁は成立しないの。これはこの六部門を読んでいると時間がたつからあえて避けるけれども、一つ、二つだけやると、大出力レーザーなどの指向性エネルギー兵器、DEW、これが一番ポイントなの。それを支える技術が例えばミリ波でありあるいは新しく発足をしたNTTの通研が持っている光通信工学の多大のノーハウであり、あるいは住友電気工業のガリウム・砒素結晶であり、あるいは最もねらっているのが富士通、沖電気のHEMT素子、つまり高電子移動度トランジスタ、アルミニウム・ガリウム・砒素、それからミリ波レーダーはNECと東芝と三菱電機、向こうは全部リストアップして、だから国防総省が何回も何回もやってくるたびにピンポイントで調査がだんだんシャープになってくるの。しかも、日本の業界も非常に微妙になって、さっき私が言ったのもぐさり焦点なんだ。軍事武器輸出じゃありませんよ、汎用なんだからどうぞ御随意に――御随意には始まっているんだ。しかも、何にも進んでいないなんてことは、強弁はやめてもらいたい。既にマンハッタンプロジェクトを上回る一万人の専門家が動員されているじゃないか。しかもそれがSDIプロジェクトに結集をして、そして猛烈なテンポで既に部分的な体系はできているわけだ、部分、部分の技術は。問題はそれをどうユニットにするかだ。だから、挙げれば時間がたつから挙げないが、この十数社の経営陣は、通産が主宰をしているあのスーパーコンピューター開発方式、財団法人何々開発機構というふうなものをつくって、ひとつ連合で対応しようじゃないか、まともに嫌だ、嫌だじゃなくて、じゃ日本の汎用技術の何と何と何を、いつごろまでに、どういうふうなジョイントで向こうへということを連合でひとつ事に当たろう。日本の業界としてもやはり余り乗りおくれるのは不都合であるという観点に立って、今やスーパーコンピューター開発方式とSDI関連新技術の連携を研究しています。こういうふうなことは大臣、方向としては汎用だからチェックはできませんね、外務省、通産省、総理大臣。これは自由に民間ベースでやる分においては何の妨げもないわけでしょう。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今、秦さんのおっしゃることがそんなに進んでいるかどうか、私もさっぱり見当つかないですね。見当つきませんが、政府としてのこれを支特するか支持しないかという、あるいは協力するかしないかという、これは政府対政府の問題です。これから具体的に説明を間かなきゃできないわけです、これは国としての協力の問題ですから。ただ、汎用についての技術協力、これは今、日米の武器技術協定の枠外にあるものですから、これはSDIかどうかは知りませんが、一般的にはとにかく原則自由ということになっておるわけです。それ以上のことはないと思うんですね。
○秦豊君 ここで再現をしておきますけれども、大臣、これは大事なところなんですが、武器技術としてペンタゴン並びにアメリカ業界が関心を持っている領域とSDIで並んでいる企業名が、技術の名前が、研究標的が全部一致するんですよ。これがSDI論議の一つのポイントなんです。しかもそれが汎用だからフリーパスだ、政府はどこにもチェックポイントを設けられませんよ。そうすると民間としては、これも再現しますけれども、やはりスーパーコンピューターの開発機構なるものをつくってくれなきゃ不安でしょうがない、それを政府が直接乗り出せないけれども、民間の問題だからまあダイレクトコントロールはできないけれども、やはりわかっていてくださいよ、補助金なんかも時々はというふうな会合は今業界単位でどんどん行われています。したがって、汎用ならば妨げようがないという今の外務大臣や局長の答弁は確認しておいていいですね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) それは一般的にはまさにそのとおり、そのための、武器技術に限っての相互交流という協定をつくったわけですから。
○秦豊君 それではちょっとテーマを変えますが、日米間協議、これは栗山さんですかな、きょうは防衛庁があちらの集中審議に行っていますのであなたに聞きますが、日米共同作戦研究の中に海峡封鎖は当然含まれているわけですね。
○政府委員(栗山尚一君) 共同作戦研究の内容につきましては、政府としてはこれは公表しない、公表できないということでございますので、ただいまの委員の御質問にお答えするわけにはまいりません。
○秦豊君 じゃ、こう聞きましょうか。あなたも
絶えず出席していたこれまでの日米共同作戦研究等を通じて、我が国の北海道の対ソ戦略的重要性については日米間の認識は一致していますか。
○政府委員(栗山尚一君) 北海道の戦略的重要性というような具体的な問題について日米間で話し合われた、そういう機会に私がそこに出席をしておったというようなことはございません。
○秦豊君 こういう点はどうですか。これはケース、ケースじゃなくて、日米が仮に共同をし、あるいはそれぞれの国が個別に戦略的な隘路、チョークポイントを封鎖したような場合に、例えばそれは宗谷海峡などを一つの設想とした場合に、一般論として対象国はどんな対抗措置をとるでしょうかね。黙って見過ごしますか。
○政府委員(栗山尚一君) ちょっと秦委員の御質問の御趣旨がわかりませんが……
○秦豊君 この程度の日本語はあなたはわかるだろう。架空ではなく相手のある防衛論議の答弁を求めているんだ。
○政府委員(栗山尚一君) 私の申し上げたいことは、いずれにしましても安保条約の第五条に基づく日米共同対処というものは、これはもう秦委員百も御承知のように、まず相手側の攻撃があってそれに対する自衛としての日米共同対処でございますので、さらにそれに対して相手方がどういう軍事的な行動に出てくるかというようなことを論議するということはできない、適当ではないんだろうというふうに考えます。
○秦豊君 日本の国会の防衛論議はジェーンの海軍年鑑やアメリカの国防省報告をすら捨象した架空の一方的な防衛論議が多過ぎるんだ。あなた方は答えれば都合が悪いからそういうような言い方をするんだ。ジェーンの海軍年鑑でも暇をつくってお読みあらんことを希望するが。
 それでは仮に、アメリカ側から既にヨーロッパでは行っている兵器の事前集積、いわゆる略称ポンカス、これなどをやはり日本側にそろそろ要請せねばならぬというふうな場合にはどういう対応が考えられますか。
○政府委員(栗山尚一君) ポンカスといいますか、アメリカがNATOとの間でやっておりますいわゆる装備の事前集積、このような構想がこれまでのところ日米間で話し合われたことがある、あるいは防衛当局間で話し合われたことがあるということはまずございません。その点が第一点。
 それから第二点。将来の問題といたしましてもし仮に日米間でそういうような問題が話し合われるという場合に、それへどういうふうに対応するかということは、その時点での国際情勢でありますとか、我が方のそういう事前集積を行うための国内的な施設区域の受け入れ態勢、そういうようなものを総合的に勘案して判断しないといけないと思いますので、今はこの時点で私としてそのような場合に積極的にそれを認めるとか認めないとかということはやはり申し上げられないと思います。
○秦豊君 しかし、北米局長の一般的認識の中では到底許容できない構想だという認識はおありですか。
○政府委員(栗山尚一君) 余り仮定の議論に深入りするのはよろしくないと思いますけれども、国際情勢いかんによってはそのような場合、米陸軍の来援というものを想定した装備の事前集積というものを、我が国として全く排除するということではなかろうかというふうに存じます。
○秦豊君 最後に委員長、資料を配付させていただいてよろしゅうございますか。
○委員長(平井卓志君) はい。
   〔資料配付〕
○秦豊君 これは予算委員会の締めくくり総括で行った、沖縄国会、第六十七国会、昭和四十六年の沖縄返還協定特別委員会の、国会図書館で借りた会議録集です。普通は議事録と議事録の間にはクリーンの色でこういう仕切りをしてある。ところが、なぜかここだけが赤で仕切りをしてある。見ると会議録が丸々一つ分欠落をしています。そこで、外務省にもありません。防衛庁にもありません。国会図書館にもありません。僕は不思議に思ってとうとうそれを探し出した。幻の議事録です。これは沖縄返還協定の中はおけるいわゆる核戦略体系、核兵器システムについて激しい論議を展開した与野党議員の応酬のうち、佐藤総理と社会党議員との質疑を集録したものですけれども、それは予算委員会で栗山さんにさんざん読んでもらったから、きょうは時間が切れるからあえて言わないが、後で資料を熟読していただきたいと思います。
 要は沖縄国会における佐藤総理の社会党議員に対する答弁は、核戦略は体系でありシステムである、部分ではない、ハード、ソフトの総合だというとらえ方をして、少なくともとらえようとする部分的な正直さ、率直さ、国民への誠意、そういうまじめさがあった。ところが、ことしの二月八日の衆議院の予算委員会における中曽根総理の答弁、これは明らかにそのことを、核戦略体系というものをハードに、あえて意図的に限局化することによって、この露骨な現状を追認しようとする姿勢があらわになっていた。私は、その矛盾をついたんだけれども、やはり中曽根さんによれば、それはダイメンションが違うと。これはイギリス式の発音かどうか知りませんがね、僕はオーストラリア式の発音だと思うんだが。ディメンション、次元が違うといって逃げたけれども、この二つの議事録を対比し、日本語をまじめに、まともに解釈しようとする限りにおいては、私は佐藤さんのこの総理時代の答弁が最も誠意にあふれており、中曽根現総理の答弁は全く牽強付会、詭弁にすぎない。明らかに核戦略システム、通信施設、ハード、ソフトのとらえ方における重大な私は方針転換であるという見解を現在も強く持っているが、きょうは時間の通告がもう来ているから、とてもこの場では話が煮詰まらない。しかし、栗山さんは、あくまで、今の段階に至っても、ダイメンションないしディメンションの違うケースとして、私の立論を退けられるか。
○政府委員(栗山尚一君) 先般、秦委員の御質問がありましたときに、私からもお答えいたしましたが、念のためは秦委員御指摘の議事録以外にも、当時の関連議事録全部読ませていただきました。私から申し上げることは、先般申し上げたことと全く同様でございまして、当時佐藤総理を含めまして日本政府としてアメリカ側に求めたものは、事前協議の対象となるような核ミサイルの発射基地、それを全部撤去してほしいということをアメリカに要望をして、結果としてそういうことが達成されて、沖縄の核抜き本土並み返還というものが実現した、こういうことであろうと思います。
 念のため、もう一言補足させていただきますと、先般秦委員の御指示で読み上げました議事録以外におきましても、例えば福田外務大臣が再度にわたりまして撤去を求めているのは事前協議の対象になる施設である、こういうふうにおっしゃっておられます。したがいまして、これはあくまでも沖縄における核兵器の存在というものを前提といたしまして、委員御記憶のように、当時沖縄にはメースBという中距離核ミサイルというものがあるというふうに一般的に言われておりまして、そういう弾頭ミサイルのみならず、そのミサイルを発射するためのランチャー、それからそれ以外のミサイル基地というものを構成するような諸施設、これを全部撤去してくれということが日本政府の立場であった、こういうことを佐藤総理、福田外務大臣等が種々の機会に御答弁になった、そういうふうに理解をしております。
○秦豊君 やむを得ず、終わります。
○委員長(平井卓志君) 他に御発言もなければ、五件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認めます。
 五件に対する討論及び採決は、これを後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時十四分散会