第102回国会 外務委員会 第15号
昭和六十年六月四日(火曜日)
   午後一時三十分開会
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   委員の異動
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     岡部 三郎君     嶋崎  均君
 六月三日
    辞任         補欠選任
     園田 清充君     河本嘉久蔵君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     嶋崎  均君     水谷  力君
     中山 太郎君     吉村 真事君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                鳩山威一郎君
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                抜山 映子君
    委 員
                大鷹 淑子君
                後藤 正夫君
                中西 一郎君
                夏目 忠雄君
                原 文兵衛君
                水谷  力君
                吉村 真事君
                秋山 長造君
                八百板 正君
                黒柳  明君
                和田 教美君
                立木  洋君
                関  嘉彦君
   国務大臣
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
       内閣総理大臣官
       房参事官     松本 康子君
       外務政務次官   森山 眞弓君
       外務大臣官房長  北村  汎君
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       外務省欧亜局長  西山 健彦君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省国際連合
       局長       山田 中正君
       労働省婦人局長  赤松 良子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       法務省民事局参
       事官       永井 紀昭君
       外務省儀典長   石井  亨君
       外務省中近東ア
       フリカ局外務参
       事官       久米 邦貞君
       文部省初等中等
       教育局職業教育
       課長       菊川  治君
       文部省体育局体
       育課長      岡  行輔君
       自治省行政局振
       興課長      小川善次郎君
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  本日の会議に付した案件
○米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
○女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月二十九日、岡部三郎君が委員を辞任され、その補欠として嶋崎均君が選任されました。
 また、昨日、園田清充君が委員を辞任され、その補欠として河本嘉久蔵君が選任されました。
 また、本日、嶋崎均君及び中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として水谷力君及び吉村真事君が選任されました。
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○委員長(平井卓志君) 米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件の質疑は去る五月二十八日終局しておりますので、これより本件の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○久保田真苗君 私は、本協定の締結につき、反対の立場から討論を行います。
 その理由の第一は、予想される一三%もしくはそれ以上になることが可能な高金利であります。
 本公社の仕組みは、公社の原資を民間融資を呼び水としてこれにリンクさせ、ラ米の中小企業に投融資するものであります。現在、ラテンアメリカ諸国の経済は、高金利を主因とする巨額の累積債務の圧迫を受けております。現に、五月初旬のボン・サミット開催直前、ラ米十一カ国はサミット主要国に対して金利低減と国際金融システム改善についての先進国の責任を追及しているのであります。ラ米諸国のみか、米国の高金利による世界経済への悪影響は、我が国を含む先進諸国の警告するところでもあります。しかるに、今何ゆえにあえて高金利の金を、しかもドル建てでラ米の中小企業に回そうとするのでありますか。我が国が優先すべきはもっと低金利の経済協力を別の方法で行うことであります。
 反対の理由の第二は、最大出資国の特権が余りにも目立つことであります。
 まず、二五・五%という出資率を持つ米国は四分の三または五分の四の多数の賛成を要する重要事項、すなわち授権資本の増額、株式の譲渡、担保、社長の任命、加盟国の資格停止、協定の改正を含む重要事項のすべてについて拒否権を持つこととなります。また、わずか四名より成る執行委員会は、すべての貸し付け及び投資の審査、すなわち投融資、技術援助の承認及び却下を決定する重大な権限を独占し、その却下した業務については、上位にある理事会も総務会もこれを変更することができないという他の国際金融機関に例を見ない機関となっております。最大出資国は、協定上当然に常時この執行委員会の席ほか各段階の機関に席を持つ定めであり、その他の先進国の合計出資率一九・五%は五分の四の多数決事項さえ影響力を持たず、その出資については金額、比率ともに全く任意性を欠くものとなっています。国際的協定として極めて変則的、非民主的な性格を持つ本協定の成立過程における政府の態度に大きな疑念を表明するものであります。このような協定は、他の先進諸国の協力を招く姿勢に全く欠けるものと言わざるを得ません。
 反対理由の第三は、本協定にうたわれている政治的中立性を維持することの困難であります。
 協定上、あまたの特権を保有する最大出資国の対ラ米政策は政治的中立とは全く無縁のものであります。さきのグレナダへの武力侵攻、ニカラグアへの機雷封鎖、さらに最近の経済制裁や反政府ゲリラへの軍事援助はすべてこれらの国の政治体制を理由とするものであり、西欧先進国すらからも鋭い批判を浴びているところであります。その特権的影響下に行われる投融資が戦略援助に傾く危険は当然懸念すべきものであります。
 さらに、投融資は執行委員会の意思決定をもってラ米諸国の中小企業に対して直接行われるものであり、当事国政府は反対する権利を有するものの、その経済政策が尊重される保障はなく、逆に内政干渉の危険が懸念されるのであります。
 反対理由の第四は、武器製造への投融資の歯どめが不十分なことであります。
 本協定適用地域は、武器の製造輸出が活発に行われており、多数企業が直接・間接それにかかわっております。
 我が国の国民的合意である武器禁輸原則からしても、政府は協定作成に当たって武器製造取扱業への投融資を厳に禁止する条項を協定に盛り込むよう主張、実現すべきでした。政府が取り寄せた米州開発銀行副総裁のメモランダムはあるものの、これだけでは関係者のすべてにその趣旨が徹底できるものでなく、歯どめとして甚だ弱いものと言わざるを得ません。せめて今後策定される規則の中に武器製造企業に対する投融資禁止を規定すべきことを重ねて主張するものであります。
 以上述べたごとく、本協定には構成上の問題点が余りにも多く、本公社の設置目的が那辺にあるか大いに疑問を抱かざるを得ず、ここに現状においては我が国の加盟に反対の意を表明するものであります。
○立木洋君 私は米州投資公社を設立する協定に反対の討論を行うものであります。
 本協定は中南米地域の民間企業への投融資の道を開き、経済開発を促進することを目的とするとされています。今日、中南米地域には膨大な累積債務が存在し、インフレ、失業、貿易の停滞など経済的困難な状態にあり、確かに当地域の間に資本の導入を求める声があることは事実ですが、米国の高金利のもと中南米諸国の対外利子・利潤支払いのネットが資本流入の三倍半にも達している中で、公社の設立は多国籍企業などにとってその還流資金の新たに有利な資本投下先となることは言うまでもありません。
 現に、本協定は具体的に中南米諸国の経済的利益や権利を保障するものになっておらず、他方、投融資を行う側の権益を保障し、多国籍企業などに対する規制についても確立していないものであります。このため、結果として中南米地域を新たな有利な投資対象として開発し、域内民間企業に対する外国資本の支配を強めて、多国籍企業、銀行資本に新たな利潤機会を与えるものとなり、同地域の経済困難を増大させ、経済的自立に資するものとはなり得ません。これが反対の第一の理由であります。
 反対の第二の理由は、公社の運営にかかわる問題です。
 同公社の組織機構の構成や具体的運用の決定についてアメリカが特定の地位を占め、アメリカの意向によらざるを得ない状態になっています。今日アメリカの対外援助政策は安全保障の見地に立っていわゆる友好国への援助という戦略的性格を一層強めてきており、こうしたアメリカの戦略的援助政策が公社の運営に色濃く投影することは明らかであります。現に、米州開銀でもその協定に政治活動の禁止が定められているにもかかわらず、アメリカはニカラグアの農業開発のための貸し付け決定を妨害し続け、圧力を加えていることに示されているのであります。
 以上の理由によって本協定が平等互恵の経済原則に基づく開発途上国の自主的経済発展に資するものでないことは明らかであり、米州投資公社を設立する協定に反対するものであります。
○委員長(平井卓志君) 他に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(平井卓志君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(平井卓志君) 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。
 安倍外務大臣。
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま議題となりました女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、男女平等に関する基本的かつ包括的な条約として、昭和五十四年十二月十八日に第三十四回国連総会において採択されたものであり、我が国は、昭和五十五年七月十七日にこの条約に署名いたしました。
 政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野における女子に対する差別を撤廃し男女平等を実現するというこの条約の目的とするところは、我が国の憲法の精神にかなうものであり、この条約を締結することは、男女平等の実現に関する我が国の積極的姿勢を改めて内外に示すこととなるのみならず、男女平等の実現のための国際協力に積極的に貢献するとの見地からも有意義であると考えられます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(平井卓志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保田真苗君 きょうは時間が少ないので、私特に御出席をお願いした森山政務次官のゴルフ場の件についてまず伺ってしまいたいと思うんです。それで、森山次官が今回ナイロビ世界会議の首席代表だったので非常に注目を浴びていろいろなコメントが巷間行われているようですけれども、次官の当該カントリークラブにおいて入場を断られたということについて、抗議といいますか、主張なさるポイントをひとつお聞かせいただけますでしょうか。
○政府委員(森山眞弓君) 御指摘の小金井カントリー倶楽部における私のぶつかりました経験は、五月二十五日に予定されておりました外交団と外務省幹部との親善のためのゴルフコンペのことでございまして、そのコンペに私も外務省の一員といたしまして参加する予定でおりましたところ、たまたま五月二十五日は土曜日でありまして、土曜日には小金井カントリー倶楽部では女性はプレーをさせないという規則であるということを前日に知りまして、大変驚いたわけでございます。私は結局出席できなかったわけでございますが、この件につきまして私が問題点だと思いまして最も注目しております点は、私が自分の好みあるいは楽しみのために小金井カントリー倶楽部でゴルフをしたいと思ったのとはちょっと違いまして、私が今いただいておりますお役目柄その仕事をできるだけ精いっぱい勤めたいという気持ちから、外務省における大事な行事でありますこのコンペにも参加したいと考えまして希望していたわけでございますところ、これを女子であるという理由で断られたということでございますので、私といたしましては職務上の半ば自分の仕事と考えられるようなことについてお断りを受けたという印象を得まして、このことについて特に遺憾だと考えている次第でございます。民間におきましても、最近は女性の職場進出が非常に盛んでございまして、中には相当の責任あるポストについておられる方もたくさんおられるわけでございまして、そのような方々にとっても同じようなことが起こり得ると考えますと、私一人の問題ではなく、特にナイロビにおける世界会議に代表を仰せつかるという予定にもなっておりますので、この点については遺憾であるということをはっきり申し上げておくべきだと考えた次第でございます。
○久保田真苗君 外務大臣はこのコンペにおいでにならなかったと伺いましたが、お出にならなかったのは大変な見識だと思うんですけれども、今次官から述べられたようなこのポイントについて、大臣のコメントを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 外交団ゴルフは過去二十年以上にわたって行われておりますが、その間小金井カントリー倶楽部は非常に好意的に配意をしてくれたわけです。いわゆる名門ゴルフクラブというのは、土曜、日曜日というのはメンバー以外やらせないというのが大体慣例になっておるわけでありますし、そういう中でメンバー以外の多くの、外交団とか外務省の幹部を参加さしてくれてプレーをやらしていただくということは、これは小金井カントリーの大変な私は好意によるものだと。なかなかほかのクラブではそういうことをしてくれません。そういうことで非常に感謝をしております。これは小金井カントリーの外交というものに対する一つの理解だろう、こういうふうに思っておるわけでございますが、しかし、今回のことについては実は私も知りませんでした。特に婦人が参加できないというふうな慣例があるということは知りませんで、その前の日にこれを聞きまして、これはどうも遺憾である、そういう際に私も参加することはできない、こういうふうに思って実は断ったわけでございます。私も、森山政務次官が女性であることを理由に参加できなかったことは極めて遺憾であると考えております。こういう点から、まあこうしたゴルフクラブはほかにもあるようでございまして、長い習慣のようでございますが、もう既に女性のゴルフは非常に一般的になっておりますから、昔の古い習慣というものにこだわらないで、そうしたカントリークラブも今後ともその際には善処してもらいたい、こういうふうに思っておるわけであります。
○久保田真苗君 善処してほしいという大臣のお気持ちはわかりましたんですけれども、私この際一言申し上げておきたいのは、スポーツとかレクリエーションというのが実は意外に差別を温存している分野だということなんです。それは外務省当局はよく御存じのことだと思います。つまり、例えば昨年の国連総会で行われました決議の中に、これはアパルトヘイトについての決議なんですが、決議のタイトルは南ア政府のアパルトヘイト政策についてというタイトルでございまして、決議番号は三十九の七十二というものでございます。ここにはワンセクションを設けまして、スポーツにおけるアパルトヘイト、そういうセクションがあるわけです。これはスポーツに差別が多いので、わざわざワンセクションをつくっているんだと思います。差別が問題だからこそ南アとの関係でスポーツ等の行事をボイコットするというような決議もまた別にあるわけでございます。
 外務省に伺いたいのは、このスポーツにおけるアパルトヘイト、つまり人種差別でございますけれども、その問題点をどのようにつかんでいらっしゃいますか。
○説明員(久米邦貞君) 最近、このアパルトヘイトの国でございます南アにおきましても、従来のアパルトヘイトの政策を若干改革していこうという動きが見られるわけでございますけれども、しかしながら、この政策の基本的な枠組みというのはまだ現在のところは変わっておりませんで、確かに御指摘のとおりスポーツの分野でも幾つかの差別的な措置がとられていることは事実でございます。御指摘の国連の決議もそういうところを指摘したものでございます。政府といたしましては、この南アの国内改革の動きがさらに進展いたしまして、こうしたスポーツの分野における人種差別の動きも一日も早く改革、撤廃されることを強く希望している次第でございます。
○久保田真苗君 この決議の中には新しいスポーツにおけるアパルトヘイトという国際条約が提案されているところです。この草案に対する意見を各国政府に求め、日本政府も恐らくもう既に回答されたと思うんですが、日本政府としてはどのような対処をなさったかをお聞かせいただけますか。
○政府委員(山田中正君) 先生御指摘ございましたように、現在国連におきましてアドホックコミッティーが設置されておりまして、スポーツにおけるアパルトヘイトを廃止するための国際条約、それの草案づくりが行われております。先ほど先生御引用ございました昨年の国連総会におきましては、この草案づくりの一環といたしまして現在のアドホックコミッティーが持っております草案を各国政府に送付して、本年三月末までにコメントを求めるという趣旨のものでございます。これに対するコメントは、実は私どもまだ国連に回答いたしておりません。と申しますのは、この条約の草案、スポーツにおけるアパルトヘイトを抑圧する目的からスポーツ交流についてのいろんな幅広い法的制限を考えておるわけでございまして、我が国の憲法体制、国内法体制それぞれの面からの検討を要しますので、各省庁との協議をいまだ続けておる状況でございます。国連事務局の方に対しましてはコメント提出がおくれるということを連絡してございます。なお、私ども承知いたしておりますところで、現在国連加盟国でコメントを提出いたしましたのはオランダとアイルランドの二カ国でございます。
○久保田真苗君 この問題に長く時間を使うわけにはいかないんですけれども、今度首席代表がナイロビへ行かれますと当然のことながら、アフリカであるという理由も手伝いましてアパルトヘイトの問題は大きくクローズアップされると存じます。したがいまして、このような新条約に対する対処なども問われるところではないかと思うわけでございます。
 そこでこの際、この問題に限って政務次官の御意見並びに大臣の御意見も伺っておきたいのですが、このスポーツあるいはレクリエーション、文化活動における人種差別というようなものについてどういうお考えをお持ちでしょうか。
○政府委員(森山眞弓君) 御指摘のような問題が特に南アにはあるということは承知いたしておりますし、今それが問題となってただいまおっしゃったような条約も審議されているということでございますが、スポーツ、レクリエーションにつきましても人種差別というものは全く排除されるべきことでありまして、この条約の趣旨が一日も早く実現されるようにみんなで努力していかなければいけないと考えます。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今の森山政務次官の御答弁のとおりです。
○久保田真苗君 ぜひそういう姿勢でナイロビの会議に対処願いたいと思います。私もこの問題を女性差別の問題と同様重視してまいりたいと思うわけでございます。
 ところで、付随的に伺うのですけれども、このゴルフ場は土、日、祝日は会員に限っている、しかし外務省にはいろいろと好意的な計らいをしていらっしゃる、その中で例外は女性だけだ、こういうことになるわけなんですけれども、外務省が各国大使を招待なさったり、それから省の幹部が出場なさるために外務省はこのクラブの会員になっておいでになるんですか、それともどのような資格でお出になっていらっしゃるのか、それをお聞かせいただけますか。
○説明員(石井亨君) 外務省がもしくは外務省の参加者が小金井カントリー倶楽部の正式メンバーであるということはございません。ただ、小金井カントリー倶楽部は伝統的に国際関係については大変理解を示されるクラブでございますし、二十数年前からこの外交団ゴルフ大会の趣旨に賛同していただきまして、決して容易ではないんでございますが、土曜日のよい時間に数組の予約をとってくれるという大変好意的な措置をとってくれておりまして、そういう純粋に小金井カントリー倶楽部の好意によって実現してきたものでございます。
○久保田真苗君 好意で、大分未練がおありのようなんですけれども、そうしますと随分柔軟なクラブではあるわけですね、結局会員でもないのに大勢の方を土曜日、日曜日に受け入れてくれる、そういうことなんですね。例外は女だけだ、こういうことになるわけです。
 それで私は、この辺についていろいろ、クラブの側というよりは役所の側について問いただしたいこともたくさんございます、これに関連して。しかし、きょうはそれが主題ではありませんから、今後必要ならばまた質問させていただくこととしまして、きょうは今大臣が言われました善処してほしいと思うというそのことに絞って伺うんですけれども、外務省がこういう行事をゴルフ場でなさるのは、もちろんただ遊ぶだけのためだとは私は思わない、多分外交上の親睦を深めたいという御意図だろうと思いますが、その辺はどうですか。
○説明員(石井亨君) 先生のおっしゃいますとおり、外交団と外務省の親睦を本義としておりますけれども、それにとどまりませず、外務省の幹部としましては原則として大臣より局部長まで、それから外交団は大使という参加者でこの行事を行っております。したがいまして、平素余りお会いできない人にもお会いできる、それから大変インフォーマルな雰囲気でいろんな話し合いもできますし、相互に有益な情報も得られるということで、我々としましては親善はもちろんでございますけれども、それを超える非常に重要な外交的意味を持つ行事だというふうに考えてやってきておるわけでございます。
○久保田真苗君 そういたしますと大臣、それが省の大変重要な幹部であるところの女性がこれに参加できない、あるいは駐日大使の中にも女性がいらしてちっとも不思議のない時代なんですけれども、そういうことを考えますと、少なくとも外務省がお使いになる施設としては不適切だと私は思いますけれども、この辺はいかがでございますか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私も、小金井カントリーが女性を土曜、日曜、特別な場合でも入れないということは前の日になって初めて知ったんです。外務省も初めて知ったわけですね。そういうクラブがまだほかにもあるんですね、私はそういうのはないかと思っていましたけれども。それで森山さんもやめるし、私もやめたわけなんですが、これは先ほど儀典長が言いますように、小金井カントリー倶楽部としては最大の善意でもって外交団と外務省のコンペをずっと長年にわたって認めてくれておるわけですし、ほかのクラブはなかなかメンバーがやかましくてそういうことはできないわけです。ですから、特別な好意だというふうに受けとめて外務省もずっと感謝してきたわけなんですが、こういう事態になって私も非常に残念だと思っておりますが、最近はしかしそういうクラブも、小金井カントリーも含めて、女性のゴルファーが非常にたくさん出るようになったものですから、平日にやってもらうとか、あるいは平日の一日を女性だけに限ってやらせる、男性はシャットアウトして女性だけに限ってやらせるというようなクラブもあるようでありまして、ですからそういう一つの時代の流れというものに沿ってぼつぼつ改善は行われておると私は思っておるわけなんですが、しかしこれはやっぱり全体的に見ると、今後将来のことを考えるとこうした制限というのは私は外した方がいいんじゃないかと基本的には思っておるわけで、しかし私的なクラブですからクラブのメンバーあるいは理事会がそういう方向を決めなきゃなかなか方向はそういうふうにならぬと思いますし、小金井カントリーのとっておる措置も決して女性との間の差別だとかべっ視だとかそういうことじゃないと思っておるわけなんで、しかしこういうことはだんだんと改めてもらいたいなと私も思っております。
 しかし、外務省と小金井カントリーの長い間続いてきたこうした非常にいい、外務省にとっても非常にありがたい、土曜、日曜にやれるというのはほかのところにないわけですから、これはこれとして我々としても考えていかなきゃならぬと思いますが、今これですぐどうだこうだというのでなく、こういうやっぱり小金井カントリーのような、そういうやり方をこれから改めてもらいたい。女性も入ってやれるような、規則を見ると原則としてというようなことになっているようですから、話し合っていけばその可能性は私はないわけではないと、こういうふうに思っています。
○久保田真苗君 余り歯切れのいいお答えじゃないんですけれども、差別撤廃条約の中にも、ともかくスポーツ、レクリエーション、そして文化活動についての女子の差別を撤廃するために締約国はすべての適切な措置をとると、こういうことになっているわけでございますね。私は大臣が今言われたように、私的なプライベートな分野であるかどうかということにはいささか疑問を持つものです。それは確かに昔お始めになったときはそうだったかもしれませんね。でも今はどうですか。平日は男女のビジターを受け入れる、つまり営業をしていらっしゃるわけです。もちろん税金も納めていらっしゃいますでしょう。それからこの会員権というのは、うそか本当か知りませんが、聞くところによりますと八千万から一億というような途方もない財産権なんですね、これは。しかも財産運用、投資の対象である、市場性を持ったそういう資産なんですね。それでこのゴルフ場自体が都心に近いところで五十万平米からの土地を排他的に利用している、そのことを認められているというそういう特権を有しているわけですから、私はやはりそのことに対して、外務省が非常に御便宜を受けておられるのはわかりますけれども、この種のゴルフ場は、やはり向こうが少なくとも条約の趣旨に合わないようなそのような状態であるときは、外務省はこれは率先してお使いになるべきじゃないと私は思うんです。
 それで、大臣のその善処とおっしゃるのは何であるか、あちらに対して大臣の御希望を述べられる、要望を述べられると、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは、ですから私が遺憾である、善処を求めたいというのは、先ほどから申し上げましたようにやっぱりこういうクラブの運営を、できれば改めてもらいたいということでありまして、小金井カントリーも、外務省とは別にやっぱり外交団にしてもビジターですからなかなか土曜、日曜はやれないわけですが、そういう小金井カントリーみたいなところでぜひやりたいという希望が非常に強いことは事実ですし、そういうことも外交的にも配慮しなきゃならぬ面もあるわけなんです。それでまた土曜、日曜でそういうコンペを受け入れてくれるようなほかに立派なクラブというのはなかなかないわけですから、その辺のところも、我々相手の立場も、外交団の立場も考えなきゃならぬと思うんです。
 しかし全体としては、私はこうしたクラブの運営というのは少しもう時代おくれといいますか、そういうことになっているのじゃないか。この男女差別撤廃の条約が批准されようというときですから、やはり私的なクラブであるとはいえその辺は時代の流れに沿った運営に改めてもらいたいものだと、こういうふうに率直に思うわけです。
 しかし、これはもうクラブの会員全員、あるいは理事会が決めることでして、まあ今のやり方自体が条約に反するとか反しないとかいう条約の解釈の問題は別にしまして、これはクラブとしての決定の問題でございますからクラブの決定にゆだねなきゃならぬわけですけれども、しかしこうして国会でも問題になりましたし、森山さんも政務次官という立場でやろうというのができなかったということも社会的にもいろいろと問題があると思いますので、この辺のところはやはり踏まえてひとつクラブの方で善処してもらいたいものだというのが私の率直な気持ちであります。
○久保田真苗君 それでは今大公使の話が出ましたのでついでにちょっとお伺いしますが、国連婦人の十年が発足しました初期に大使一人、公使一人いましたのですが、今この最終年に当たりまして状態はよく大臣の御存じのとおりなんですね。私はやはりこの十年間の進歩ということを考えれば、外務省が条約並びに国連婦人の十年の責任官庁であるわけですから、それを率先垂範していただくという意味において、この最終年に複数の大使、複数の公使というその目標で御努力願いたい、あと何月もないのですけれども御努力願いたい、こう思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私も全く同じ気持ちを持っているんです。ちょうど高橋展子さんがやめられましてから今婦人の大使というのはいないわけですね。ですから私も何とかひとつ婦人大使を早くつくりたいということで、実は個人的にも二、三交渉しました。なかなかしかし候補者の方もいろいろな事情でまだ受け入れられるという状況にないわけでありますが、何とかつくりたい、こういうふうに思っております。
 森山政務次官もお見えになりまして、森山政務次官からも、せっかく外務省で外務政務次官としてやってきたのでぜひともひとつ女性大使をという強い御要請もありますし、それだけじゃなくて、ちょうど国連婦人の十年だし、婦人の大使をつくりたいものだと。これはやっぱりその人個人の問題ですから、そういう気持ちは大いにありますけれども、なかなか今いい候補者がない。ただ外務省で今ずっと育っておりまして、大体そういう大使になれる立場になった人もぼつぼつ出てきていますから、もうこれは非常に近いうちに実現できる、こういうふうに思っております。そしてこれは外務省のキャリアだけじゃなくて、場合によっては私は外からも積極的に婦人大使を求めたい、こういうふうに思っておりますし、これはもう非常な大きな課題として努力していきます。
○久保田真苗君 ひとつその辺どうぞよろしくお願いいたします。
 きょうは時間の関係で、私、条約の十条に絞って伺いたいと思うんです。というのは、幾つも残った問題があるんですけれども、この残った問題のうちこれが最も確認を必要とする事項だからなんです。
 それでまず文部省に伺いますが、検討会議というのが昨年の十二月に報告のごときものをお出しになっているのですが、このときに中学校の学習指導要領の問題が書かれていますけれども、実際に中学の問題はこの検討会議で話し合われたのでしょうか。
○説明員(菊川治君) お答え申し上げます。
 文部省におきましては高等学校の「家庭一般」及び中学校の「技術・家庭」の取り扱いが、女子差別撤廃条約の批准に支障があってはならないと考えまして、昨年六月に家庭科教育に関する検討会議を発足いたしましたところでございます。そこで幅広い関係の委員の方々から御検討いただきまして、昨年十二月に御報告をいただいたところでございます。その報告では、高等学校の「家庭一般」につきましては男女とも選択必修にする。それから中学校の「技術・家庭」につきまして、先生が先ほど議論があったかという御質問でございますが、それももちろん含めまして御検討いただきまして、現在では中学校の「技術・家庭」は技術領域、家庭領域という二つの領域がございまして、男子につきましては技術領域を中心に家庭領域の一部を履修する、女子につきましては家庭領域を中心に技術領域の一部を履修するということになっておるわけでございますが、それにつきまして今後男女が共通に履修する部分、それからそれを踏まえて本人の適性、関心等に応じて履修する領域を設けることを検討すべきであるというふうな報告をいただいております。
○久保田真苗君 今さらくどく申し上げるまでもなく、この条約は男女に同一の教育課程を求めております。そして私がこの条約を見ますところ、やはり問題があるのが(a)項、(b)項、(c)項、(g)項と、四つにわたって問題が残っているように思うんです。で、今言われました男女が共通にやるもの、そして適性能力に応じてやるものというふうにお分けになる場合に、当然のことながら、男女にかかわらず同一の条件でこれを開く、こういうふうに理解してよろしいわけですね。
○説明員(菊川治君) 検討会議ではその条約に支障がないような方向で御検討いただいておりまして、先ほど申し上げましたような報告の内容になっておるわけでございますが、それを今後教育課程審議会等で議論して具体化していくわけでございますが、その際には当然条約との関係で支障がないように男女同一の教育課程となるようにしていくというふうに考えております。
○久保田真苗君 支障がないようにというのもばかに非常におもしろいおっしゃり方で、もう少し積極的にこのことを考えていただけないものだろうかと私は思うんです。しかし最低限度、少なくとも男女に同一の教育課程について同じアクセスにする、このことは確認されているわけですね。
○説明員(菊川治君) そのような観点から御検討いただきたいというふうにお願いしておりまして、そういう趣旨で報告をいただいております。
○久保田真苗君 今大臣が立たれているので、私は後で大臣の確認を求めたいと思いますので、先に進みます。
 私はこの(a)(b)(c)(g)と四つの項について問題があると言いますのは、実は検討会議のこのおつくりになった報告を拝見いたしますと、家庭科に非常に重点が置かれていて、家庭料がばかにクローズアップされているんですね。それはもちろん前文にもありますように、男女の定型的な、固定的な役割の概念を修正するというような、そういう非常にはっきりした命題がここにあるからで、それはもちろん当然なんですけれども、私この際もう一つ裏側の問題を伺っておきたいんですね。
 これによりますと、まず十条の(a)項のうち「技術教育」あるいは「高等技術教育」というようなところがあるんですけれども、私は今の学習指導要領にこれを対照してみますときに、家庭科についての男女のアクセスを等しくするということは一つの命題であり、もう一つの命題は、当然のことながらこの「技術教育」の問題だと思うんです。
 これについて念のために繰り返しますと、この内容には大項目としまして木材加工、金属加工、機械、電気、栽培と、これが技術系の五つの大領域になっております。そして被服、食物、住居、保育と、この四つの大領域が家庭系の領域になっているんです。この下に細分類がありまして、合計小さい十七の領域があるわけですね。このうち男子は前者の技術系から五つ、後者の家庭系から一つ、女子は後者の家庭系から五つ、技術系から一つと、この一つの領域を相互乗り入れと文部省はおっしゃってこれを実施していただいているわけなんです。しかし、私はこの家庭系についての男子のアクセスが等しくないということと同じく重要な問題として技術に対する女子のアクセスが極めて悪い。残っている問題の方が乗り入れた領域よりも何倍か問題があるわけなんですね。このことは十分御認識いただいていますね、文部省。
○説明員(菊川治君) 御指摘のように、現行の「技術・家庭」の取り扱いにつきましては、相互乗り入れという形で男子は技術系列を中心に家庭系列の一部、女子は家庭系列を中心に技術系列の一部ということを履修することになっておりまして、現在でも女子の場合一領域につきまして履修さしておりますのが学校のパーセントで言いますと八二・六%ございます。それから二領域以上履修さしております中学校が一六・五%ございます。で、その技術系列で女子に履修さしている内容としましては、「木材加工1」が五一%、「電気1」が三四%というふうな現状でございます。
 今後の問題でございますが、御指摘のように、その「技術・家庭」の内容につきましても、社会生活、家庭生活の変化を踏まえて新しい知識、技術を取り入れていかなければならないというふうに思っておりますし、先ほども申しましたように、報告の中におきまして今後中学校の技術・家庭科につきましては共通に履修させる領域を設けることを検討し、それを踏まえてさらに本人の適性等に応じた領域を設けようということでございますので、女子につきましても、共通に履修させるという分野におきまして、今後従来以上に技術系列の教育が行われていくというふうな方向で検討が進められるのではないかというふうに考えております。
○久保田真苗君 検討が行われるのではないかでは、今条約を批准するに当たってお答えとして大変不足なんですよ。
 それで、外務大臣お話し中のようですけれども、私はぜひともこのことを確認していただかなければならない。それは中学における女子の技術教育が男子と全く同じ条件のもとに開放されるというこの御確認を文部省からもちろん得ていらっしゃると思いますけれども、それをここで確認していただきたいんです。
   〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今お話しの中学校の「技術・家庭」についても、本条約第十条(b)の同一の教育課程上問題があるわけであります。文部省は高等学校「家庭一般」とあわせ、本件についても検討会議の報告を受け、次期教育課程審議会における学習指導要領の見直しを通じ、男女同一の扱いにしていくものと承知をいたしております。
○久保田真苗君 つまりそういうお約束でこの条約の批准をここへお出しになっておりますね、大臣、そういうお約束ですね、よろしいですね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 先ほど私が申し上げたとおりであります。
○久保田真苗君 同じ問題が高校にもあるんですね、このコインの裏側が。それは「家庭一般」を男子に対しても履修させるということについて検討会議は案を出しておられる。しかし、その裏側にある「体育」の問題については何も触れられていないんですよ。ところが、「家庭一般」が女子のみ必修ということになっている、四単位が必修になっている。この四単位を「体育」の面で、現行の学習指導要領は、一般的には七単位から九単位までの単位を課していますけれども、普通高校についてはこの家庭科の裏側として十一単位を男子のみに課しているわけですね。そういたしますと、ほぼ四単位の体育の時間を女子よりも男子が多く持つということになる、つまり、女子は体育の時間がそれだけ少なくていいと、こういうことになっているわけで、私は、これはゆゆしい問題だと思うんです。このことについて、もちろんはっきりした確認をいただかなきゃならないんです。
 まず文部省からお願いします。
○説明員(岡行輔君) ただいま先生御指摘のとおり、現在の高等学校の学習指導要領では、体育の標準単位数というのは男女とも七ないし九単位ということで定めております。ただ、その女子が家庭科四単位を必修としていることとの関連において、男子の普通科の全日制の課程につきましては十一単位としているわけでございます。この点につきましては、今申し上げましたように女子の家庭科四単位が必修となっていることとの関連でこのように扱っておりますので、今後、家庭科教育のあり方というものとの関連で検討してまいりたい、このように考えております。
○久保田真苗君 もちろん検討の具体的な問題は別として、原則として検討はなさる。その原則は、もちろん家庭科も体育も男女に同一の教育課程、この点は確認できますね。
○説明員(岡行輔君) 体育課長としての立場で申し上げれば、ただいま先生御指摘のとおりでございます。そのような視点で検討してまいりたいというように思っております。
○久保田真苗君 外務大臣、今の条件についてでもともかく、「家庭」それから「技術」、「体育」この三者にまたがっている教育課程の取り扱いの差別の問題なんです。言うまでもなく、外務大臣はこの三つについて、技術についても体育についても男女に同一の教育課程ということを文部省からとるというその確約はございますね。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは今文部省当局から答弁したとおりです。
○久保田真苗君 では、外務大臣がそれを私どもに、条約批准に当たって確約していただいたものといたします。
 それから次に、今は科学技術時代でございますから、どこの国でも女子の科学技術教育に非常に力を入れてきております。そして、科学技術分野への女性の進出ということで各国は非常に積極的な対策をとっているところもあるわけでございます。例えば、職業訓練におきまして、あるいは技術訓練におきまして、イギリスなりドイツなりというところは非常に力を入れてきております。そういう状態でございますので、私は、この際、科学技術分野における女子の進出状況というものについて、婦人局長にこの実態を眺めた上のコメントをしてみていただきたいんですが。
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 技術的な分野での女子の就業者という点につきましては、これは残念ながら我が国では大変低いように考えております。科学的、技術的分野の中で女子の科学研究者というのは四千人余りでございまして、全体に占める割合は六・一%、技術者は二・六%となっておりまして、国勢調査の中でもこれは女子の割合が最も低い職業分野の一つと言うことができるように存じます。さらにもう少し細かく申しますと、特に低いのが金属製錬技術者が〇・二%、土木技術者が〇・四%、鉱山技術者が〇・五%、機械技術者が〇・五%、電気技術者が〇・五%、いずれも一%にも満たないというような割合でございます。
 どうしてこのように女子の割合が低いのかということを考えますと、やはり、こういう技術者になるには専門的な教育を受ける必要がございますが、大学で女子が勉強いたしております専攻分野の選択に当たりまして、女性は人文科学や教育などを専攻する者は多いわけでございますが、理学、工学等を専攻する者は非常に少ないということが影響があるように思うわけでございます。それは直接的なことでございますが、その背景には、やはり、男子向きの分野あるいは女子向きの分野というような伝統的な意識が反映をしているのではないかというように考えております。
 なおつけ加えますならば、具体的な我が方の所管でございます労働基準法の中にも、直接危険有害業務等で業務を禁止している分野がございます。これは、女子が就業したくとも就業できないというような条件の一つにもなろうかと存じます。これにつきましては、この条約あるいは機会均等法の制定等を契機といたしまして、この伝統的な意識、分担意識の見直しということは進められるわけでございますし、また、労働基準法の中での就業分野の制限というものは取り払われていくというふうに考えております。
○久保田真苗君 私も今さらながら科学技術分野の女性の率の余りにも低いことに本当に驚いたし、実際問題としてざんきの念にたえないんですね、本当に今の子供たちに対して申しわけないことだと思うんです。それは結局、公教育の中で、義務教育の中で、このような中学の段階から女子には技術教育を与えないという方針が何年も行われて、そして今婦人年に入ってやっと、やっと一単位だけ相互乗り入れ、その上に、十年経過した今、まだその学習指導要領を改訂するのがいつになるかわからないというような気の長いお話なんでございます。
 私は、今ぜひお願いしなければならないのは、この女子の技術系への参加を阻んでいる要因を一日も早く、即刻取り除いていただきたい、こういうことを思いますのですが、文部省、この点について、これが改訂される時期を明示していただきたいんですが。
○説明員(菊川治君) 先ほど申しましたように、検討会議の報告では、今後、中学校の「技術・家庭」におきましては男女共通に履修する分野、それからまた、本人の興味、関心等に応じて履修する分野を設けるという方向で改訂をすべきであると御指摘をいただいておるわけでございます。それを具体的に今後教育課程の改訂へ持っていきますためには、教育課程審議会の審議を経まして、その後学習指導要領を改訂しまして教育課程の改訂を行うという手続が進んでいくわけでございます。教育課程審議会の発足につきましては、現在臨時教育審議会で教育改革の基本的な方策が検討されておりますので、その検討の推移を見ながら教育課程審議会が発足することになるのであろうというふうに現在のところは考えておるところでございます。
○久保田真苗君 手続はわかっているんです。問題は時期なんですね。その時期なんですが、総理は衆議院の方で、三年も五年もかけたくないと言っておられるんですね。それで、私どもはそれを本当に急いでいただかなきゃならないし、ともかく一年一年、中学は三年間しかないんですから、これで二回も三回もの卒業生を今の状態で出していくなんていうことは到底私は耐えられないことだと思うんですね。一日も早く各国並みにあらゆる技術について女子が何らの制約を受けないで参加できる、こういうことを、特に子供のためには私ども大人が実現しなきゃいけないんですよ。そのことを何とか早急にやっていく方策を講じていただけませんか、文部省。
○説明員(菊川治君) 教育課程の改訂を考えるに当たりましては、幼稚園から小学校、中学校、高等学校、大学までのその役割分担をどう考えるかという基本的な考え方を考えまして、その中で中学校なりあるいは高等学校なりが受け持つ分野をどう考えていくか。そして、その中学校、高等学校の教育内容をどうするか、その際に教科科目をどういうふうに位置づけていくか。さらには、その中で必修科目と選択科目をどういうふうに位置づけるかという教育課程全体を見ながら進める必要がございますので、先ほども申しましたように教育課程審議会にかけ、学習指導要領の改訂を行い、それに従って教科書が作製され、教科書の検定が行われ、教科書が採択されて、教育課程の施行にいくということで時間がかかるわけでございまして、過去の高等学校について見ますと教育課程審議会が……
○久保田真苗君 いいです。もういいです。言いわけは結構なんですよ。じゃあ総理がおっしゃった三年も五年もかけたくないと、これは一体どうやって事務局として実行なさるんですか。
○説明員(菊川治君) 教育課程審議会の発足につきましては、文部大臣も先般の五月三十日でございましたか、外務・文教合同連合審査の際に、臨教審の第一次答申がまもなく出る予定でございますので、その答申の中に教育課程に関連する分野も出ると思われますので、その答申が出た後できるだけ早く発足させたいというふうに答弁しておりますので、教育課程審議会の発足は臨教審の答申後余り時間をかけずに発足が行われるのではないかと考えておるところでございます。
○久保田真苗君 どうぞお早くお願いします。
 大臣、それで条約の二条でもって、政府は遅滞なくこの平等のための政策を追求すると。確かに漸進性は認めておりますでしょう。しかし、政策は遅滞なく追求するということなんです。そんなに何年も何年もかかって何回も卒業生が出ていってしまうような状態では、私はこれは被害甚大だと思うんですね。ぜひ大臣のこの条約履行当局としての御責任上、これを促進するというお約束をお願いしたいんですが。
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはさきの衆議院の文教・外務の連合審査の委員会で中曽根総理もできるだけ早くというのはもう三年も五年も待てないというふうな趣旨のことを言っておられましたし、条約が批准されればこれは速やかにこういう是正等が行われなきゃならぬ。ですから、今文部省も言っておるように教育課程審議会を早く開いてもらって審議を進めて、そして条約の趣旨に従った改正が行われる。こういうふうに我々は理解をいたしております。
○久保田真苗君 まあ金額も時期も入っていない先付小切手なんで非常にこれは困ったことなんてすね。ぜひこの条約の承認が行われるまでの間にもう少し具体的な御協議をお願いしたいし、可能性を探っていただくわけにまいりませんか。
   〔理事鳩山威一郎君退席、委員長着席〕これはちょっと総理の三年も五年も待てないとおっしゃったそれをどのように具体化するかということを、その条件をひとつ宿題としてこの条約が批准になるまでの間にやっていただきたい。このことをお願いしておきます。
 それからたくさん質問をお出ししちゃってとても全部できませんけれども、ILO条約につきましてはけさほど国連局長があちらの委員会で幾つか問題点あるいは日本の方針等を述べておられますので、それは今省略いたしまして、その内容について次の機会にもう少し質問したいと思います。
 今、この際伺っておきたいのは、婦人局長に伺いたいのですけれども、百五十六号条約には外務省は割合早期に関心を持っていらっしゃる、検討をしていきたいと、こういう御意見のようなんですけれども、婦人局長の立場からごらんになりまして、この条約を批准することと今の制度、法制との関係はどういうふうにごらんになりますか。そして、いつごろどういうふうになりそうかというめどないし方向性をお示しいただきたいのですが。
○政府委員(赤松良子君) 基本的には、百五十六号条約とただいま御審議中の女子差別撤廃条約の目指しているところに大きな相違はないというふうに考えるわけでございます。ただ、百五十六号条約はILO条約のほかの条約とも共通しておるわけでございますが、やや具体的な条文があるわけでございまして、それについては特に百六十五号勧告というものも同時に出ております。これを両方よく研究をいたしませんと国内法制との関係で、女子差別撤廃条約との間では法制が整備されているという問題についても、百五十六号条約を批准する場合にはなお検討すべき問題が残されているかもしれませんので、これはやはり直ちに今の時点で批准ができる状態だというふうにはお答えしかねるように思います。
 これはやはりもう少し何分新しい条約でもございますので、大きな方向としては大変目指すべき方向として肯定的に考えておりますが、ただいま申し上げたようなこともございますので、なお検討の余地が残されているというふうに考えております。
○久保田真苗君 ただ、割合に比較的早く検討、批准のできそうな条約として外務省が百五十六号条約を持っておいでらしいということは私は大変うれしいことだったのであえてお伺いしたんですけれども、今現行の法制では難しいけれども、これを女子差別撤廃条約の方向性に沿ってもちろんすぐにでも次のステップに歩み出していく、そしてできる限り早い時期にこれの批准を考えると、そういう予定はもちろんおありなんでしょうね。
○政府委員(赤松良子君) そのような姿勢でおります。
○久保田真苗君 総理府いらしていただいていますね。総理府に伺いたいことがありますので、残りの時間をこれに充てたいと思います。
 一つは、昭和五十二年に発足させた婦人問題企画推進本部の、婦人の政策決定参加に関する特別活動というのがございますね。これにつきましては、あちらこちらでぼつぼつとその実績なども伺ってはおりますけれども、これを総合的に一遍はっきりさしていただきたいと思うんです。と申しますのは、この運動は国の責任のみならず、地方公共団体それから民間の団体機関、このようなものについても呼びかけているところでして、それの総合アセスメントといいますか、そういう時期、まさにことしそれをやって次のステップを考える、そこへ持っていかなければならないわけです。
 それで、婦人対策室長とされましては、まず、国、地方、民間と分けましてそのアセスメントをちょっとやってみていただけますか。
○政府委員(松本康子君) まず、審議会等における婦人の委員の関係で申しますと、国の場合、国連婦人の十年後半期に一〇%という目標を掲げておりまして、これは五十年当時は二・四%でございましたが、昨年の六月現在で五・二%でございます。五十年に比べますと倍ほどの率になっておりますけれども、目標に比べますとまあ半ばということで、成果はあったけれども、まだ課題が残っているということでございます。なお、国の関係では公務員の受験制限職種の解除ということも進めてまいりまして、これについて申しますと、五十年当時、一般職で申しますと十二の職種につきまして女子の受験が制限されておりましたが、今日では一つ残っているのみでございます。これは法令上の制約もございますので、まあこの面ではできる限りの努力ができているんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 それから、地方公共団体にも、先生おっしゃいますとおり、御協力を願っているところでございまして、審議会委員につきまして、やはり法律に基づいて設置されている都道府県の各種審議会委員総数に占める婦人委員の割合を見ますと、これは六・九%でございます。また、指定都市では八・一%でございます。これは前年に比べますといずれも上昇しております。この数字につきましては古い数字がなかなかないんでございますが、五十二年と五十九年の婦人委員の割合を比較できる審議会について見ますと、婦人委員の割合は着実に上昇しているという状況でございます。
 なお、民間の関係では、政策決定への婦人の参加につきまして、一つ、農業協同組合をとってみますと、女子の状況、最新のわかっております数字、昭和五十七年度末現在で正組合員数五十三万二千人のうち女性が九・五%を占めておりまして、また役員では、女性は三十二人で役員総数の〇・〇四%でございます。また、漁業協同組合につきましては、五十七年度末現在で女子の正組合員数は二万一千人で正組合員総数に占める割合は五・一%、それから役員は、女子二十三人で役員全体の〇・一%となっております。また、労働組合につきまして、これは労働省の方の労働組合実態調査というものによりまして見ますと、役員のうち女子の執行委員の割合が五十八年現在一二・四%という状況でございまして、これら挙げましたような分野では女子の政策決定への参加はまだ大きな課題が残っているというふうに考えるわけでございます。
○久保田真苗君 これだけが期末一〇%と目標を立てた唯一のものなんですね、政府としては。唯一のものなんだけれども、この一〇%という数字がそもそも非常につましいものであって、しかもその約半数にしか達していない。まあ、森山首席代表もおいでになってこういうことを御報告になるというのは随分大変なことだと私、御同情を申し上げるんですけれども、総理府の方は、閣議でもいろいろ上げていただいて、一層の努力をということになっているんですけど、あとわずか数カ月のことでございますから、これの一〇%、達したいけれども、まあどこまでやれるか、ともかくラストスパートをぜひかけていただきたい。それで、期末までに一体何をどういうふうにやっていただけるのか、そこのところを、今後の数カ月のラストスパートのスケジュールというのをひとつ聞かせてください。
○政府委員(松本康子君) 先生おっしゃいましたとおり、この二年間のうちに、閣議で総理それから官房長官から各大臣に、所管審議会の婦人の登用につきまして格段の御努力をお願いいたしましたところでございますが、そのほかに、これまで婦人問題企画推進本部の幹事から、関係団体の代表でございますとか審議会の会長へ事情を説明して御理解と御協力を要請するなどの努力を行ってまいりました。また、委員の任命がえの時期には個別に関係省庁に連絡するなど、鋭意努力しているところでございまして、私どもとしてはできる限りの手を打っているつもりでございまして、今後も、短い期間しか残されておりませんけれども、このような手法を粘り強く繰り返して各省庁と連絡をとってまいりたいというふうに考えております。
○久保田真苗君 例えば公務員のことも言われましたけれども、私が先ほどから言っています科学技術の問題に関しまして、国立機関の研究者というふうな立場ですね、これが私の見ている資料によりますと、部分的ですが、どうもひところよりは最近の女子の採用・登用率が悪いというふうに考えるんです。それで私は担当室にお願いしたいのは、ぜひこういうことの一斉調査を国の機関を含んで、しかもいろいろな部局ないしはそういった研究機関等も含んで、一遍、総合調査をやって、その結果を公表していただけないでしょうか。これをお願いできませんか。
○政府委員(松本康子君) 科学技術分野における女子公務員の登用状況につきましては、一応人事院の方で、研究職の女子の状況というのが把握されているわけでございまして、そういう数字で見ますと、研究職の在職者数は、昭和五十年度の七百十六人から五十八年度には七百二人とわずかながら減少しておりますものの、等級別に見ますと、部長相当職である一等級の在職者数が、五十年度の二十一人に比べますと五十八年度には八十七名へ増加しているというようなことがございます。また、研究室長相当の職でございます二等級在職者につきましても、五十年度の二百三人から五十八年度には二百二十人へと増加しているという状況でございまして、ある程度の総合的な状況は人事院等でも把握されているという状況でございます。
○久保田真苗君 地方公共団体とか民間とかを含んで、この特別活動の一つの総合評価というんですか、そういうものをもう少し具体的にわかるように公表していただけないでしょうかね。なかなか、具体的な数字を具体的な機関について挙げるということについて総理府は渋いんですよね。私、そういうことを言っていただいているんじゃ、ここへ来て、十年の総合成果のアセスメントをとてもできないし、私どももそれをぜひわからしていただきたい、そして、その上で御一緒に考えたいと思いますんで、どうでしょうかね、こういうものを少し詳細に発表していただけませんか。
○政府委員(松本康子君) 把握しておりますものにつきまして、もう少し取りまとめるということについてはさらに検討してみたいと存じます。
○久保田真苗君 どうぞひとつ、どこがどうかというのがわかるような、そういうものをつくっていただきたいんですね。そうじゃないと、私ども手探りで言ってなきゃならない。それは十年の成果、毎年やれとは言いませんよ、だけれども、十年のここへきてやっぱりそういうことがこの運動の結末がどうなったかというのを政府全体としての評価以外に、もう一つ分野別、機関別、そういうことがわかってしかるべきじゃないかと思うんです。どうぞ、もう一つドライにやっていただきたい、このことをお願いして、私の質問はきょうは終わります。
○和田教美君 まず最初に、女子差別撤廃条約、この国会承認を求めるに当たっての政府の基本姿勢について外務大臣の考えを聞きたいと思います。
 この条約の国会承認、批准は、私は全くほんの第一歩にすぎないというふうに考えるわけで、これで事足れりというふうなことではなくて、今後いかにして条約の実効性ある実施に努めるかということが一番ポイントになってくると思うんです。ところが、この条約の批准に先立ちまして、このほど成立しました男女雇用機会均等法については、審議の過程で野党からその内容が条約の基本理念から大きくかけ離れているという、そして不十分でなまぬるいものだというふうな厳しい批判がございました。例えば、募集、採用、配置、昇進について事業主の単なる努力義務規定にとどめているというふうなこと、それから労働基準法の時間外、休日労働、深夜勤務などの女子保護規定が大幅に緩和されているわけですけれども、これは家庭責任の多くを負う女性にとっては明らかに改悪であるというふうな批判もございました。それだけに、なおさら今後の実効性の確保というのが私は重大だと思うんです。
 ところが、ある新聞の報道ですけれども、外務省の幹部が雇用機会均等法の成立に当たって、西欧諸国の中には安い女子労働に支えられた日本の集中豪雨的な輸出が貿易摩擦を生んでいると非難する向きがあり、こうした誤解を解くためにも条約加入は意義がある、こういう見解を述べておったということが報道されておりました。いわば、貿易摩擦を回避するための方便としてこの条約の批准が必要だというふうにも受けとれる、非常に低い次元の発言のようにも思うわけなんですけれども、今後政府としてこの条約の実効性のある実施ということについてどういう決意で臨まれるか、その点をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) この条約を批准する以上は、これを誠実に遵守をしていくのがこれはもう当然のことと考えております。条約締結後におきましても、条約の要請を誠実に履行するために適当な措置を遅滞なく講じていくのが政府の責任であろう、こういうふうに思います。
○和田教美君 条約第十一条ですけれども、この十一条には「締約国は、男女の平等を基礎として同一の権利、特に次の権利を確保することを目的として、雇用の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。」というふうに決めております。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、この条約の実効性を確保するという観点から、雇用機会均等法で果たして条約の要請、最低限の要請に合致していると言えるのかどうか。また、雇用の分野でのこの条約批准の最低条件とは一体外務省はどういうふうなものを考えておられるのか。私の聞いたところによりますと、十一条二項の(a)をクリアすればそれでいいんだというふうな意見の人もあるというふうなお話でございましたけれども、その辺についての見解をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(斉藤邦彦君) 外務省といたしましては、この第十一条の労働の規定の関係におきましては、今回の雇用機会均等法の成立によりまして、条約批准のための要件が満たされたというふうに考えております。その際、ただいま委員御指摘のように、この第十一条の一部が満たされているからいいというふうに考えているのではございませんで、この第十一条に規定してありますそれぞれの項目につき今度の雇用機会均等法の成立によりまして条約の要請が満たされたというふうに考えております。
 具体的なこの措置といたしましては、それぞれの締約国がそれぞれの国情に応じまして条約の相当の実効性を持って実施できるような内容の法体制をつくればいいというふうに考えておりまして、その観点から、我が国におきまして今度の雇用機会均等法が成立したということは、我が国としてこの条約を批准するに足る要件が成立したというふうに考えております。
○和田教美君 森山政務次官がいらっしゃってますから、森山政務次官にお聞きしたいと思うんですが、先ほども話が出ておりましたように、七月のナイロビの「国連婦人の十年」世界会議に政府代表として出られるわけでございますけれども、この会議は国連婦人の十年の成果を検討して評価する会議だというふうに聞いております。ところが、その募集とか採用とかいろいろな問題についての国会でも相当批判があったというふうなことは政務次官もちろんよく御存じだし、婦人団体などからの批判もある。そういうことでこの会議でもかなりの意見なり批判が出る可能性もあるんじゃないかというふうに思うわけなんですが、一体今の条約の精神に合っているのかどうかというふうな問題も含めて、どういう考え方でこの会議にお臨みになるつもりか、お聞かせ願いたい。
○政府委員(森山眞弓君) ただいま斉藤審議官からも御説明申し上げましたように、この条約を批准する条件を雇用機会均等法の成立によりまして満たすことができたというふうに考えます。確かにこの法律につきましては成立に至るまでの間にいろいろな議論がございまして、中には大変厳しい御批判もあったわけでございますが、日本の職場、婦人労働者の現実を踏まえ、その中で実際に実行していくことができるという内容ということになりますと、先般成立いたしました雇用機会均等法の内容が最も適当ではないかというふうに考えますし、これによって働く女性の地位の一歩前進というふうに考えられると私は考えております。したがいまして、ナイロビ会議におきましても、この点について疑問が出されました場合には、今のような考え方を申しまして、日本における努力の跡を報告したいというふうに思っております。
○和田教美君 森山政務次官、先ほど話が出ておりましたように、名門ゴルフ場の小金井カントリー倶楽部の女性客締め出しという問題について抗議をされた。これは条約批准ということと関連していえば非常にタイミングのいい、非常に強烈なパンチだったと私は思うんですけれども、しかしどうも総理大臣は、これは遊びのことじゃないかというふうなことでのんびり構えておられるし、外務省の人の話を聞きますと、条約違反云々というような問題とは全く関係がない、こういうことで、先ほどからの答弁を見ても、かなり小金井カントリー倶楽部との今までの関係から歯切れの悪い答弁が続いておるわけなんですが、しかし森山さんはその条約の少なくとも精神に反するということを新聞のインタビューかなんかでおっしゃっておるわけなんですが、どういうところを根拠に条約の精神に反する、あるいは条約に違反しているというふうにお考えになるのか、お聞かせ願いたい。
○政府委員(森山眞弓君) 条約の法律的、あるいは厳密な純粋な法律的な解釈ということになりますと、必ずしも第何条のどこそこにこの先般の小金井カントリー倶楽部における私の経験が違反しているということを断定することは難しいかと思います。しかしこの条約は、女性の地位の向上、男女平等の実現ということを目標にいたしているわけでございまして、そのような理想を実現していくという、そのような考え方から申しますと先般のようなケースは甚だ遺憾であるということが言えるかと思うのでございます。
 なお、趣味あるいは遊びの問題であるからそれほど気にすることもないではないかという御意見も、一般的に趣味や遊びについてであれば言えるかと思いますが、先般のケースはただそれだけではなくて、むしろ私自身の認識といたしましては、私が今承っております仕事をよりよく遂行しようという気持ちからのことでございましたので、仕事絡みの、また職務上の参加ということでありましたから、先ほど来申しましたようにそういう立場の者が女性なるがゆえにお断りを受けるというのは大変遺憾であると今も考えております。
○和田教美君 条約第十三条の「レクリエーション、スポーツ及びあらゆる側面における文化的活動に参加する権利」この条約の趣旨に反するということではないのでしょうか。
○政府委員(森山眞弓君) 条約の法律的な解釈を厳しくいたしますと、この差別の内容というのが第一条に示されておりまして、このような第一条に示したような差別が以下各条文に示されているようなケースで行われた場合は困るということを示しているのでございます。
 したがいまして、問題は第一条の内容になるかと思いますが、これを法律的に詳しく解説する専門的な人の意見を聞きますと、これがいわゆる基本的人権に係るものであるという解釈から、必ずしもゴルフの会に参加するということが基本的人権と一致するかどうかという点については疑義があるのではないかというふうに聞いたのでございます。
○和田教美君 森山政務次官の行動は非常に勇気ある行動だというふうな評価が高いけれども、また一方でこの小金井カントリー倶楽部の問題というのはいわばハイソサエティーの問題であって、実際にもっと大衆のレベルでは実質的なもっとひどい差別があるんじゃないか。森山さん自身が日本の男女平等の実情は世界的に見て中の上のクラスだというふうなことをおっしゃっているわけなんですが、特に森山政務次官としての立場から見てどういう差別が我慢がならぬとお考えになるのか、大衆レベルの話をしていただけませんか。
○政府委員(森山眞弓君) 小金井カントリー倶楽部は確かにハイソサエティーの方が多く利用しておられるところだと思いますし、またゴルフをするという人もすべての女性がするわけではございません。しかし私がこの問題について感じましたのは、最近役所はもちろんでございますが、民間におきましても多数の女性がしかるべき責任ある地位につくということが多く見られておりまして、その人たちがいろいろな面でその職責を立派に果たしていくということが婦人の地位向上につながることであるとかねて思っておりますし、そのように私自身も努力しているつもりでございます。したがいまして、これが小金井のカントリー倶楽部であったから、あるいはゴルフであったから申しているのではございませんで、仕事の面でその仕事をよりよく遂行しようとする働く女性の一人といたしまして、そのようなことが女性なるがゆえに妨げられたということを気にしているというのが実態でございまして、これはハイソサエティーであるとかゴルフであるとかいうこととは、必ずしもそれだからではございません。むしろ働く女性一般の問題であるというふうに私は思っております。
○和田教美君 条約第四条第一項ですけれども、男女平等促進のための暫定的な特別措置が認められております。例えば先ほど話が出ておりました政府の五十二年の婦人問題企画推進本部の決定で審議会における婦人委員の割合を政府全体で一〇%にするという方針などがこれに該当すると私は思います。しかしこれはあくまで暫定的な特別措置であって、いつまでもこのままの状態ということだとこれは不平等が固定化するということにもなるわけでございます。私は、我が国の現状から見るとこの暫定措置というものは必要性を認める一人でございます。しかし、今お話が出ておりました審議会等における婦人委員の割合一〇%という目標が非常に低いわけですが、それにもまだまだ達していないというふうな状況、これでは非常にスローモーではないかという感じがするわけなんですけれども、今後もっと具体的にこれを推進しなければならないと思うんですが、いかがでございますか、総理府の方。
○政府委員(松本康子君) 当面何といっても目標一〇%を達成するために関係省庁へ強力に連絡をとってまいりたいと存じます。特に改選時期に当たる委員を持っている審議会などについて、ぜひ女性の登用について考慮していただくように連絡をとってまいりたいと存じます。
○和田教美君 大体いつごろ一〇%の目標は達せられますか。
○政府委員(松本康子君) 今年度いっぱいというのが目標でございますので、当面はとにかくその目標に向かいまして鋭意努力してまいりたいと存じます。
○和田教美君 条約第七条(b)の公職につく権利についてもう一つお伺いしたいんですけれども、国家公務員の採用について女子が受験できない職種が現在一般職では郵政事務Bですか、それから特別職で防衛大学校の学生、この二職種があるわけなんですが、このような扱いは条約に抵触しないのかどうかという問題でございます。郵政職の問題については郵袋を担ぐのが重過ぎるというふうなことがあるのかもしれませんけれども、防衛大学校の学生の問題については、既に婦人自衛官もあるし、女性の海上保安官もあるし、防衛医大も今度は女性に開放しているわけで、必然的なその締め出している理由がないというふうに思うわけなんですが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 先生二点お話ございましたが、まず防衛大学校の方について申し上げますと、自衛隊におきましては順次女子隊員の拡大が図られておるわけでございます。先生も御指摘になりましたように、防衛医科大学につきましては既に女子の受験が認められておるわけでございます。防衛大学校につきましては、本来防衛大学校が戦闘部隊の指揮者となる者を養成するところでございますので、現在の我が国の社会事情から見ましてまだそこまで行っておらないと思いますが、防衛庁におきましてはこの防衛大学校につきましても、例えば防衛医大におきます女子の活躍ぶりや婦人自衛官の職域拡大の動きを踏まえまして、さらに我が国の社会状況、国民意識の変化等をも配慮しながら前向きに検討していく方針というふうになっております。
 郵政Bにつきましては、この業種が交代制で深夜に及ぶ点がございますので、現行の労働基準法で残されております女子保護規定との関連で現在いまだ女子に開放するに至っておりませんが、これは今後この女子保護規定の見直しが行われましてそれがなくなりました際には女子にも開放されることになるというふうに承知いたしております。
○和田教美君 先ほど話がございましたけれども、現在婦人の大使はいないわけです。また公使も非常にわずかだということで、私は、早期にとにかく女性大使の任命をして、そしてこれを常置化というか、常設化というか、常に二、三人の女性大使がおるというふうな状態に早急に持っていくべきだというふうに思うわけなんですが、それともう一つ、国際会議への婦人の代表を、これも例えば森山政務次官が今度ナイロビに行かれるというふうに、婦人問題の会議に政府代表として行かれるのはもちろんこれは必要ですけれども、それ以外に一般的な国際会議にもっと婦人が政府代表として行くように持っていくべきだと私は考えるんですが、外国の状況から見て。その辺のところ外務省どうお考えなんでしょうか。
○政府委員(北村汎君) まず女性大使につきましては、ただいま高橋前デンマーク大使の退官後今一人もおられないわけでございますが、外務大臣も何度も御答弁されておられますように、部内からもあるいは部外からも適材な人材が出ればこれを大いに女性大使に任用していくという方向で検討をいたしております。
 それから、国際会議の代表についてでございますけれども、これはもう国際会議で、特に代表として日本の国益を代表して行くにはいろいろその国際会議の性格に適した人を出さなければなりませんので、そういう意味では男女の区別というものは全然設けておりません。適材適所で考えております。現在までも従来も婦人の問題以外の国際会議に婦人が代表として出られたケースは何度かございます。例えば五十五年の国連多国籍企業委員会には有賀美智子代表が出ておられますし、その他ユネスコあるいは国連児童基金執行理事会とか、人権委員会とかというものにも婦人が代表として出ておられることはございます。しかし今後ともできるだけそういう適材適所で女性の方に代表になっていただくように考えております。
○和田教美君 民間の話ですけれども、女子の大学進学が日本では家政科だとか教育、文学、これが八〇%ぐらいになっているんですね。ところがアメリカは経済、法科、ビジネスというのが六〇%なんです。これは要するに大卒の女子の職場がそういう意味でのビジネスだとかそういうところに開かれていないという何よりの証拠じゃないかというふうに思うわけなんです。そこで、アメリカのような選択ができないということじゃないかというふうに思うんですが、さらに流通サービス業なんかを見ても、女性の数は多いんだけれども管理職は非常に少ない。私はマスコミ出身なんで、私がおったときはマスコミなんというのはほとんど女性記者の数は数えるほどしかなかったんですが、どうも最近調べてみますとかなりふえてきております。三大紙で大体多いところで女性記者が百名ぐらい、少ないところでも四十名ぐらいで、ここ数年の間に随分改善されたと思うんですけれども、しかしそれでもまだまだ少ないと思います。要するに男性の経営者の意識革命というか、あるいはまた高級管理職の意識革命が同時に伴わなければなかなかこの条約の完全実施ということが難しいというふうに私は考えるわけなんですが、その点について外務大臣の御見解はいかがですか。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 結局やはり女性と男性との職場における関係というのは、これからもそう区別ということはあってはならないことであろうと思うし、やはり人材主義でこれを適材適所に登用するということが必要じゃないかと思います。そういう中にあって確かにいろいろと慣例と慣習というのがありますから、基本的にはやはり国民の意識の改革というのが必要じゃないかと。これは条約が批准されても、あるいはまたいろいろな法律が改正されたとしても、それだけでは本当の男女平等というのはあり得ないんじゃないか。基本的には国民の意識の改革というのが大前提としてなければならぬ、こういうふうに私も思います。
○和田教美君 次に十条、教育分野の問題ですけども、これは先ほど久保田委員から詳しく質問がございましたので、私は一問だけ御質問したいと思いますが、高校の「家庭一般」については昭和五十七年から実施された学習指導要領においても女子のみ必修とされておりますが、これについて去年の十二月、文部省の家庭科教育に関する検討会議で男女とも「家庭一般」を含めた特定の科目の中からいずれかの科目を必ず履修させる選択必修というんですか、これが適当だというような報告がなされておりますが、文部省としては今後これをどういうふうに進めていくのか、大体そういう方向でいかれるのか、またそれで条約に適合しているとお考えなのか、その点はいかがですか。
○説明員(菊川治君) 先生御指摘のように、昨年十二月、文部省で設けました家庭科教育に関する検討会議から報告をいただきまして、その中で高等学校の「家庭一般」につきましては男女とも選択必修にする必要がある、その選択必修の方法としましては、一つの方法としましては、現行の「家庭一般」とそのほか家庭に関する科目としまして新しいタイプの家庭に関する科目を設けまして、その中から一科目を選択する方法と、それからもう一つは現行の「家庭一般」とその他の教科科目、想定されるものとしましては体育とか職業科目等が考えられるわけでございますけれども、その中から一科目選択するという方法が提言されておるわけでございます。文部省としましては、その方向で次期教育課程審議会に諮りまして、その趣旨にのっとりまして教育課程の改訂を進めていきたいというふうに思っております。したがいまして、それによりまして男女とも同一の教育課程を実施していくというふうに考えておるところでございます。
○和田教美君 また、その実施時期の問題ですね。先ほどウナギ問答が続いておったわけですけれども、今までの学習指導要領の改訂というのは五十七年に行われましたね。それで大体十年置きぐらいにやっておるわけでしょう。そうするとそのテンポでいきますとまだまだ先ということになっちゃうわけなんですけれども、先ほどの外務大臣の答弁もありましたように、そんなことじゃとても条約に適合できないということになりますが、この点はどうですか。二、三年でもうとにかく間違いなくできるというふうに確言はできないんでしょうか。
○説明員(菊川治君) 教育課程の改訂につきましては、先ほど久保田議員の御質問に対してもお答えしたんでございますが、教育課程審議会で全体の教育のあり方を検討する中で高等学校の教育、その中でまた高等学校の家庭科をどういうふうに位置づけていくかという検討も必要でございますし、その検討を経まして学習指導要領を告示いたしまして、その学習指導要領に従いました教科書が作製され、検定が行われ、採択が行われて施行される。それからまたそのためには、そういった新しく教育課程を改訂するに当たりましては、教員とかあるいは施設設備の準備もございますので時間がかかるわけでございまして、過去の例を見ますと、教育課程審議会が発足して五年という例もございますし、八年五カ月施行までにかかったという例もございますわけでございますが、先ほども申し上げましたように、まずとにかく教育課程審議会の発足をしなければならないわけでございますが、それにつきましては、先般五月三十日の衆議院外務・文教委員会連合審査の際に大臣もお答え申し上げておりますように、臨教審の第一次答申が出ました後余り時間を置かずに発足させたいというふうに言っておりますので、教育課程審議会は余り時間がかからずに発足するというふうに考えておるところでございます。
○和田教美君 次に条約十一条第一項ですけれども、「締約国は、男女の平等を基礎として同一の権利、特に次の権利を確保することを目的として、雇用の分野における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。」ことを決めております。ところが雇用機会均等法では、これは既に最大の論点になった問題ですけれども、募集、採用、昇進、配置、第七条、第八条については男子と均等に扱うように努めなければならないという努力規定にとどめておる。労働省は特にこれを努力義務規定と盛んにおっしゃるんですけれども、男女差別が禁止されたわけではなくて、努力目標に格下げされておる。そしてまた差別された場合の救済方法も十分ではないというふうな批判があったわけでございます。私も、我が国の現状から見ると、この程度の規定では差別の撤廃はなかなか実現しない、条約の要請を満たしているとは言えないというふうに思うんですけれども、その点は婦人局長さんいらっしゃいますがいかがですか。
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 先生のただいまの御指摘の点は、衆議院、参議院を通じまして社会労働委員会でたびたび御指摘のあった点でございます。その際にもお答え申し上げてきたことでございますが、この努力義務規定というのは、御指摘のように強行性のない規定ではございますが、しかしこれは社会規範でございまして、これまで従来の企業の中では女性を、全く女性であるからという理由だけで排除をするという慣行が、何の疑いもなく行われてきたということがたくさんあるわけでございます。このたびの法律によりまして、そういうことはもはやこの社会では通用しない考え方であって、均等な機会を男女に与えるように努めなければならないということがはっきり明言されたわけでございます。そこで、これについては行政指導の根拠にはっきりなるわけでございますから、それに違反をしている企業に対しては婦人少年室は行政指導を、これまでと違ってはっきりした根拠をもってすることができるという点でも非常に大きな違いがあるわけでございます。また、調停委員会等につきまして、個別の紛争については救済の機関がこれまでなかったものができたわけでございますし、また従来からの、裁判所による救済というものも、もちろん従来同様に厳然としてあるわけでございまして、これらの諸施策が総合的に進められることによりまして、男女の雇用における機会均等というものは大きな一歩が進められたものというふうに感じておる次第でございます。
○和田教美君 もう一つ労働省にお聞きしたいんですけれども、言葉じりをとらえるわけではないですけれども、努力義務規定というのは、大体努力と義務というのは概念上なじまないんじゃないかと思うんですね。努力というのには強制力がないわけで、義務というのには強制力が伴っていると思うんですが、努力義務規定というのと、単なる努力というのと、単なる義務規定というのと、どう違うんですか。
○政府委員(赤松良子君) 法律の規定の仕方がいろいろあるようでございまして、場合によっては努力するものとするというような規定が、ほかの例でございますがあるというふうに承知いたしております。努力するものとするというような規定は努力規定と呼んでおりまして、努力するように努めなければならないというふうに規定されております場合は、努力すること自体は義務づけられているというふうに解せられますので、努力義務規定というふうに呼んでいるというふうに承知いたしております。
○和田教美君 次に、条約十一条第二項(a)ですけれども、これも非常に問題の条文ですけれども、「妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているかいないかに基づく差別的解雇を制裁を課して禁止すること。」を締約国に要求をしております。この制裁、サンクションについて、政府は条約作成の過程に照らして罰則という狭い意味ではなくて民事上の損害賠償請求権の付与も含むんだと、こういうふうなことをおっしゃっておるわけですけれども、一般的に日本人のイメージでは制裁というと罰則じゃないかというふうなことも考えられるわけです。
 それともう一つ、こういうふうに、日本のように罰則なしの禁止規定というふうなものが欧米先進国と比べてみて一般的であるかどうか、日本のような罰則なしの禁止規定をとっておる国と罰則つきの禁止規定をとっている主な国を挙げていただけませんか。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。
 第十一条二項(a)のサンクション、制裁でございますが、これは条約作成の過程でこのサンクションと申しますのは非常に広義のものである、罰則のみならず民事上の損害賠償請求権の付与も含む非常に広義なものであるということがはっきりいたしておりまして、そういう理解で作成されたものでございます。
 各国の例について申し上げますと、十一条二項(a)の関連でございますが、それで損害賠償請求権の付与をいたしておりますのがスウェーデン、オランダ、ポルトガル、それから既に条約の国会承認を得ております西独、それからまだ条約に入っておりませんが、現在検討しております英国、これらがいずれも損害賠償請求権の付与をいたしております。なお、フランスにつきましては罰則となっております。
○和田教美君 そうするとフランスだけということになりますか、罰則つきというのは。
○政府委員(山田中正君) 締約国全体についてつまびらかにしておるわけではございませんが、割合こういう分野での先進国でございます主要国について見ますと、先ほど申し上げましたとおりでございます。
○和田教美君 女子差別撤廃条約の関連条約の問題ですけれども、例えば国連が中心となってつくった人権関係条約、人権規約とか難民条約、それに今度の条約など、資料によりますと二十二あるわけなんですが、その中で、現在までに批准または加入したのが六つ、今度の条約が批准されれば七つになるわけです。また婦人関係のILO条約、十四あるわけですが、そのうち我が国が批准しているのが三つということで、先ほども久保田委員の話でこの問題が出ておりましたけれども、どうも日本は外圧がなければなかなか政府は条約批准に立ち上がらないという、非常に慎重だという定評があるわけなんですが、これで今の状況では大体十分と見られるのか、もっと批准促進に積極的に取り組む必要があるとお考えなのか、外務省の見解をお尋ねしたい。
○政府委員(山田中正君) 先生御指摘ございましたように、国連が中心となって作成いたしました人権関係条約、それからまたILOで作成しました婦人関係の条約、それからまた国連等で作成しました婦人関係の条約、これらにつきまして我が国がいまだ締約国となっておらないのが先生御指摘のようにあるわけでございます。
 人権関係の条約、これはやはり日本の社会の非常に広い分野にかかわります事柄でありますために、その批准のための国内体制を整えるのに相当の時間がかかるのが実情でございます。
 ただ、外務大臣からも御答弁ございましたように、人権関係、これは今回の条約を御承認いただきました後におきましても、やはりその内容、我が国における人権の内容というものをより豊かに積極的に進めていかなくてはならないものでございますので、現在の批准状況で外務省といたしまして満足しておるわけではございません。今後につきましても、我が国の社会状況というものを十分勘案しつつできるものから順次鋭意検討させていただきたいと考えております。
○和田教美君 さきに成立しましたこの男女雇用機会均等法の今後の取り扱いという問題について主として労働省にお尋ねしたいと思います。
 この法律は来年の四月施行ということで、遅くともそこまでには政省令だとか指針を告示しなければならないわけでございますね。企業の努力義務となった募集、採用、配置、昇進についてどのような取り扱いが差別となり改善の対象になるかというのが指針の中で示されるというふうに聞いておりますが、また、省令では労働基準法の女子保護規定の廃止、緩和をどういうふうに具体化するかというふうな問題があるというふうに聞いております。
 ところが、日経連などでは社会全体の意識や現実の実態とかけ離れて雇用管理だけが特別の変革を迫られるのであってはならないというふうに早くも注文をつけているという報道がございます。そして、従来からの労働慣行に十分配慮した政省令、指針の作成を求めていると書いてございます。労働省はこういう経営者側の考え方に対して一体どういう考え方で対応していかれるのかお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(赤松良子君) お答え申し上げます。
 雇用機会均等法並びに労働基準法の改正の内容は、審議会からも御答申にございますように、将来を見通しつつも現状から遊離したものであってはならないということを根本にして策定したものでございます。そのため法律は我が国の経済や社会の現状を踏まえた内容のものになっていると考えているわけでございます。この法律の規定に基づいて早急に作成することになっております省令や指針も、やはり実情から大きく離れたということではやはり機能はしないということについては同じことが言えると存じますが、既に法律の枠組みがあるわけでございますから、その枠組みの中でこの現状を機会の均等と待遇の平等という方向に向けて漸進的に進めていくという観点から策定することが必要であろうというふうに存じている次第でございます。
○和田教美君 この指針とか省令ですね、これは内容は非常に重要だと私は思うんです、その具体的な方向づけがこれによってできるということになるわけですから。大体いつごろまでにつくられるおつもりなのか。というのは、来年の学卒者の就職に関しても男女平等を確保するということであれば、少なくともことしの十月ごろあるいはことしいっぱいぐらいにはそれをつくらなければ混乱が起こると思うんですね。その辺はどういうふうにお考えなんでございますか。
○政府委員(赤松良子君) 御指摘のように、この法律の施行は来年の四月でございます。しかし、四月にすぐにあしたから施行というふうな日に公布いたしましたのではいろいろと混乱も予想されますので、ある程度の猶予期間を置いて公布をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
 しかし、採用というものはかなり早い時期にもはや内定をするということが日本の企業の実際にはよく行われている慣行でございますので、その時期に間に合わせるように指針、省令がつくれるかということになりますと、かなり早くに内定をするというような場合にはそれは無理があるのではないかというふうには思っております。
 しかし、これはいずれにしても、もはやそのような法律ができたということは今日の時点では明らかでございますので、できるだけ早い機会に企業には内容の周知に努めたいと、これは施行にならなくてもできるわけでございますのでそのように考えている次第でございます。
○和田教美君 まだまだこの法律についてはお聞きしたいことがあるんですが、時間も来てしまいましたのでまた別の機会にお尋ねすることにいたしまして、最後に一つだけ外務大臣にお尋ねしたいんですけれども、外務大臣は七日からスウェーデン、ポーランド、東ドイツに行かれるわけでございますが、特に我々はポーランド、東ドイツ訪問というものを注目しているわけです。
 いろいろ新聞報道もございますけれども、大体どういう目的で、どういうねらいでお出かけになるか、ひとつお話を願いたいと、こう思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) スウェーデン訪問の目的は、国際情勢及び二国間関係等に関する外相会談を通じた両国関係の促進が一つであります。同時にまた、国際貿易問題に関するガットの閣僚会議、これは十八カ国が出席するわけでございますが、この閣僚会議に出席して、そして日本が主張しております、主唱しておりますニューラウンドについて関係各国の理解を得たい、特に開発途上国でまだ前向きでない国もありますから、そういう国々とも接触をして、ぜひとも支援を、支持を要請したい、こういうふうに思っています。
 それから、ポーランド、東独につきましては、ヨーロッパの東西関係においてそれぞれが重要な地位を占めておるわけで、さきのボン・サミットでも採択された政治宣言におきまして、参加国は、「東西を分断している深刻な相違に対処するために高いレベルにおける対話を探求する用意がある。」という旨の表明をした次第でございます。今回の訪問によりまして、こうした東西会話の一環としてこれら二カ国との相互理解を深め、東西関係改善に寄与したいと考えております。また、ポーランドにつきましては十八年ぶり、東独につきましては初めての我が国外務大臣としての訪問でありまして、これら両国と我が国との関係促進の一助になることも期待をいたしております。
 以上を通じまして、我が国のいわゆる外交の幅が一層拡大をされるということに期待をいたしておる次第であります。
○和田教美君 終わります。
○抜山映子君 女子差別撤廃条約の第二条の(f)でございますが、ここで「女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置(立法を含む。)をとること。」こういうように規定してございますが、外務省として今回幾つかの法律をつくったわけでございますけれども、あるいは修正したわけでございますけれども、まだし残しておるというような法律の規定がお考えにあるということはございませんか。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。
 第二条の(f)、先生御指摘のような規定がございますが、これはこの条約の総則でございまして、この条約の二部以降に書かれております各具体的な分野について必要な措置をとるということでございます。それの関連で法律の立法上の措置をとりましたのは、国籍法の改正でございますとか雇用機会均等法でございますとか、また船員法の改正等々がございます。現在の時点で新たに特別の立法を考えておるわけではございません。ただ、この条約を実施いたしますためには、条約の漸進性もございますために、今後まだ手当てをしていかなければならないものがございます。それらは私ども現在の感じでは立法措置を伴うものとは考えておりませんが、いろいろな措置を今後とも充実していく必要があろうかと考えております。
○抜山映子君 民法七百三十三条に再婚の禁止期間がございます。「前婚の解消又は取消の日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」と、こういう規定があるわけでございます。この規定の、非常に時代おくれになっている規定なんですが、この修正あるいは廃止、そういうものについてお考えになったことはありませんか。
○説明員(永井紀昭君) 女性差別撤廃条約との関係で早急に改正するという作業は進めておりません。ただ、法務省に設置されております法制審議会民法部会身分法小委員会におきましては過去にも検討されたことがございますし、今現在、親子のうちの養子法についていろいろ検討しておりますので、そういうことが済みますと、将来、婚姻でありますとか離婚あるいは親子関係についてもう一度見直しするという中であるいは検討する機会があるのではないか、こういうふうに思っているわけでございます。
○抜山映子君 ぜひ検討していただきたいわけです。この六カ月という期間でございますけれども、立法の当時は父性推定の衝突を避けるため、すなわち、すぐ結婚しますと、Aの男の子かBの男の子かわからなくなる、これが理由であったわけでございますが、この衝突、父性推定の衝突を避けるためでありますと別に六カ月は必要ないわけでございます。百一日で十分足りる。そういうわけで、米国の多くの州はこの再婚禁止の期間を全く設けないところあるいは設けた州であっても男女ともに三カ月というようにしておるわけでございます。そういうわけで、少なくとも三カ月にすることについてはほとんど抵抗感はないんではないかと思いますけれども、法務省の御見解はいかがですか。
○説明員(永井紀昭君) ただいま委員御指摘の意見があることは私どもも十分承知しております。ただ、この議論をいたしますときに非常に難しゅうございますのは、百日とか百一日ということを計算どおりいたしますと、実は未熟児、過熟児につきまして誤った推定を受けまして、そのときにはまず一たんは、本当は違う、前の例えば夫のところに籍を入れまして嫡出否認を起こしまして、それから本当の親が今度は認知をするという、こういう非常に複雑な手続をとらなきゃならない法制になっておりますので、簡単に計算どおりやっていいものかどうかということについても我々現実には相当慎重に検討しております。これは明治年間にも同じような議論があったことでございまして、やはり当時におきましても裁判所関係者から、これは余りに計算どおりやったんでは実際に困るんではないかという意見が出ておりましたわけでございます。
○抜山映子君 父性推定の衝突を避けるためでございますと、懐胎のないことが医師により証明された場合には再婚は受理されて当然だと思うんですけれども、恐らくただいまの扱いでは法務省の方で受理しておらないと思いますが、この点いかがでしよう。
○説明員(永井紀昭君) そうでございます。御指摘のとおり受理いたしておりません。
 それで、一般的に申しますと、嫡出推定が重複するおそれがないことが明白で、しかもこれを市区町村の窓口で類型的形式的に判断できるような事由につきましては、これは実務の取り扱いとして相当許しているわけでございます。例えば高齢の女性が再婚する場合は、これは許しております。待婚期間内でも結構でございます。それから判決などで、例えば夫が生死三年以上行方不明であるということが認定されている場合には、これは許しております。さらに悪意の遺棄で音信不通が相当長期間あるということが判決なんかで認定されておりますと、これも市区町村の役場で形式的に判断することができますので、こういう事例につきましては許しているわけでございます。
 ところで、問題に今なっておりますお医者さんの証明ということでございます。これは実はほかの国にも同様な立法例がございまして、我々も少し検討は始めたことはあるわけでございますが、何分市区町村の窓口では実質的判断ができません。そのためにその手続をどういうふうにするかということがもう少し慎重に考えてみなければいけないんじゃないかと考えているわけです。と申しますのは、お医者さんの証明でよろしいといいましても、届け出の日の何日前ぐらいまでの証明書ならよろしいのかとか、あるいはどういう資格のお医者さんならこれはよろしいのかとか、あるいは検査方法はどういう検査方法ならよろしいのかとか、あるいはたまたま誤っていた場合、嫡出推定が重複するような子供が産まれた場合にはそれはどういうふうに取り扱うのか、そういう場合には後婚の夫と推定するというような規定を置くのかどうかとか、やはりそういう幾つかの問題点がありましてなお検討はしてみなければならないと、こういうふうに考えているわけでございます。
○抜山映子君 ただいま例でお挙げになりました高齢の女性については妊娠の可能性がないから受け付けている例があると言われましたけれども、これは昭和三十九年五月二十七日民甲一九五一の回答で示された六十七歳で受け付けた例をおっしゃっているんではありませんか。
○説明員(永井紀昭君) はい、さようでございます。
○抜山映子君 六十七歳以下ならばだめだ、六十七歳以下の場合だと受け付けられないということでありますと少し不合理ではないかと思うのでございます。世界の統計によりますと一番最高年齢で出産したのが五十八歳とかいうのがあるそうでございますけれども、そういう点からもちょっと不合理ではないか。
 それからまた、悪意の遺棄の場合には受け付けられているとただいまおっしゃいましたけれども、私が実際にやった例で、判決で悪意の遺棄、これは夫がアメリカ人でアメリカへ行ってしまってもう十年ぐらいも音信不通で悪意の遺棄が判決で認められたんではございますけれども、やはり地方の役所では六カ月たたないと受け付けることはできないということで拒否されたわけでございます。この事案はたまたますぐ再婚したい父親がおりまして、母親の子供が私立大学に入学することから一刻も早く籍を入れて入学に支障なきを来したい、そのときまでに父のいる戸籍謄本を提出するようにしたいということであったのですが、これは拒否されました。そういうことから理論的にも父性推定の衝突を避けるためということだけではこれは理由にならないわけでございます。さらに実質上同棲してしまうことまで禁止するわけにいきませんから、実際にやはりどちらの子供かわからない子供が産まれることは幾らでもあるわけでございます。また、医学的に見まして最近は血液型も二百種類を超えるほど判定方法が種類があるそうですので、別にこのような規定を設けなくてもどちらの子かは医学的に判定され、あるいはまた裁判上決定することができるということで大変に時代おくれの規定になっておると思いますので、ぜひ近いうちに検討の課題にしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○説明員(永井紀昭君) 委員御指摘のとおり、私どももこれが完全な規定であるとは思っておりません。ただ、規定を改正いたします場合に、嫡出推定の七百七十二条でございますとか、嫡出否認の規定であるとか、そういうことも総合的に検討してみなければならないかと思っております。ただ、先ほど委員がおっしゃられました例えばアメリカなんかの例でございますと、日本のように協議離婚を認めておりません。したがいまして、裁判手続で、しかもニューヨーク州等を初めといたしまして、一年以上の別居を前提とする離婚ということが大体欧米諸国で多いわけでございまして、我が国のような協議離婚制度をとった場合に果たしてそれがうまく機能するかどうかということについても考えてみなければなりませんので、これは単に待婚期間だけではございません、親子の規定であるとか、離婚制度そのものについても制限を加えるかどうか、こういったことを含めて検討しなければならないんではないか、こう思っております。
○抜山映子君 同じくこの七百四十四条の方では、七百三十三条違反の再婚を取り消し得るものにしておるわけでございますが、一度再婚が成立した場合は、取り消してもやはり父性推定の衝突を排除できないわけでございますので、ひとつこの七百四十四条の規定をも含めましてあらゆる角度から合理的な修正をお願いしたいと思います。
 次いで労働省の方にお伺いしたいと思います。扶養手当、扶養控除の問題なんでございますけれども、夫の方が子の扶養手当、扶養控除を受けるべく会社なり官庁の方に申告する場合はおよそ問題なく受けつけてもらえるんですけれども、妻の方がこれらを受けるべく申告しますと、いろいろ文句をつけて受け入れられない場合が大変に多いわけなのでございます。これは条約の第二条の(e)でございますか、「団体又は企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。」こういうようにあるわけなのでございまして、従来この点について労働省として何か指導みたいなことを行っておりますでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) 先生御承知のように、労働基準法の四条は、「労働者が女子であることを理由として、賃金について、男子と差別的取扱をしてはならない。」という規定を設けております。それから、このたび成立いたしました雇用機会均等法でも、第十条に福利厚生の規定といたしまして、「事業主は、住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であって労働省令で定めるものについて、労働者が女子であることを理由として、男子と差別的取扱いをしてはならない。」というふうに規定を設けているところでございます。そこで、扶養手当でございますと、多分これは労働基準法上の賃金というふうになるかと思いますが、それ以外、扶養控除でございますとかいろいろ貸し付けというようなものでございますと、新しい法律の福利厚生の中身になるかと存じます。そこで、従来からも女子であることを理由に賃金上の差別をすることは法違反を形成するというような指導をしてまいりましたが、今後新たに福利厚生についても同様なことが言えるわけでございます。もちろんその法律上の効果は、基準法が罰則つきの規定であるのに対しまして均等法の方は罰則はついていないという違いはございますが、いずれも法違反を形成することになりますので、そのようなことがないようにいたしてまいりたいというふうに考えております。
○抜山映子君 これは節税の意味からいきますと、扶養手当をもらう、扶養控除を受けるのは、妻か夫か収入の多い者が扶養控除を受けた方が得であるというようなことが一般的には言えると思うのです。あるいはまた、夫と妻が同じ収入でありましたならば、二人の子供がおれば一人ずつ扶養手当を受け扶養控除を受けるのが一番得だ、こういうことになると思うのです。ところが、実際に妻が子供を扶養していると言いましても、なかなか会社の方では認めてくれません。一体どうなっているのかということを子細に根掘り葉掘り聞いてなかなか認めてくれないわけでございます。また、特に夫婦の間が別居というような事態になりますと、たとえ妻と子供が一緒に暮らしておりまして夫の方が生活費をくれない、こういう場合に妻の方が扶養手当をもらい扶養控除を受けようと思って申告しても、夫からそれじゃ扶養していないことの証明書をもらってこい、こういうように大方の企業なり官庁なりが言うわけでございます。
   〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕こういう場合につきましては、少なくとも住民票には妻と子供は一緒のところに住んでいる、夫は全然離れているところに住んでいる、そういうところに例えば民生委員が証明書をつけるとか、あるいは弁護士が証明書をつけるとかいうようなことで、当然扶養手当や扶養控除が受けられるように手当てしてもらいたいものと念願しておるわけですけれども、ひとつこういうところの指導についても今後意を尽くしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(赤松良子君) 世帯主であるかどうかということについて、いろいろ女子であることを理由に特別に難しい条件を、男子にはない条件を設けるということは差別に当たるというふうに考えるわけでございます。ただ、世帯主について一定の手当を与えるということについてまでは、これは差別とは言えないかと存じますので、そのようなことについて差別に当たるような事例にならないように十分注意をして指導いたしたいというふうに考えております。
○抜山映子君 私は今、世帯主ということとは関係なく、妻でも夫でも両方の選択によって扶養手当、扶養控除をもらえるようにするのがいいんじゃないか、それが穏当じゃないかと思うのですけれども、そういう場合に企業が拒否した場合について労働省に指導していただきたい、こういうようにお願いしたわけなのでございますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(赤松良子君) 世帯主であるかないかということばかりではなくて、女子であることのために、男子ならば受けられるべき手当が受けられない、あるいは貸し付けが受けられないということであれば、私どもの方で十分指導ができるものと考えております。
○抜山映子君 婦人少年室長というのが例の均等法によって助言、指導、勧告する、こういうことになっておりますけれども、非常に人数が少ないんじゃないかと思うんです。東京で何名、大阪で何名か、ちょっとお答えいただけますでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) 御指摘のように婦人少年室は大変小さな組織でございまして、一般的には四名程度の職員しかいないわけでございます。その中で東京、大阪は大きい方でございますが、それでも東京が今までは五名、今度の増員で雇用機会均等官という、名称はちょっと今手元にございませんのであるいは多少不正確かもしれませんが、そのような名称の増員が認められましたので、東京で六名になっております。
○抜山映子君 それにいたしましても、東京に大小合わせて一体幾つ企業があるか想像を絶する数だと思いますが、そういう企業に対する助言、勧告、指導してくださる方がわずか六名ではなかなか効力がないのではないかと案じられますので、ひとつ局長さんのお力でもってもう少しスタッフをふやしていただけるように御配慮いただきたいと用いますが、この点はお約束いただけますでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) 今回の法律の成立によりまして婦人少年室の任務というのは大変大きくなったわけでございますし、そのためこれを施行するべく増員を含めましてその充実につきましては最大の課題というふうに私どもは認識しておりまして、このことは社会労働委員会等におきましても労働大臣からもお答えをいたしておりますし、私も十分そのような方向で努力をいたしたいというふうに考えている次第でございます。
○抜山映子君 先ほど局長さんの口から出ました世帯主のことでございますけれども、住民基本台帳法に「住民票の記載事項」として「世帯主」という言葉が出てきておるわけでございます。これについては法務省の方で通達が出ておりまして、「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当とみとめられる者」、こうあるんです。この「社会通念上」という言葉が大変あいまいなんでございますけれども、この解釈は一体どのように理解すればよろしいんでしょうか。
○説明員(小川善次郎君) 私どもも社会通念につきましては、一般的に社会一般に行き渡っている常識または見解、あるいは良識という非常に幅広い概念で考えておるわけでございます。住民基本台帳法の「世帯主」につきましてはしたがいまして、住民から通常世帯主として届け出があった者、それを世帯主ということで記載しているわけでございます。
○抜山映子君 地方の窓口では、そのような夫婦の選択によって例えば妻が世帯主であると届けても実際にはなかなか受け付けてもらえないというように私は漏れ聞いておるのでございます。
 これは昭和四十三年三月二十六日の、自治省からの各都道府県あての通達でございますね。これによりますと、父親が所得がなくて長男が主として生計を維持していると長男が世帯主、こういうようにいろいろ基準を述べておりまして、原則は長男、その次に男と女であれば男が世帯主、女が世帯主になる場合については、「夫が不具廃疾等のため無収入で、妻が主として世帯の生計を維持している場合は、妻が世帯主。」こういうように基準が載っておるわけですが、この基準は今生きておるんでしょうか、どうでしょうか。
○説明員(小川善次郎君) 御質問のものにつきましては、住民基本台帳法に関する質疑応答集というものを私どもの方で出しておりまして、現在も出しておるわけでございますが、今御質問の質疑応答の部分につきましては私どもの方で実はこの部分を数年前から削除いたしております。五つほどの事例が削除された質疑応答に載っておりまして、その個々のものについては私ども現在でも社会通念上これが世帯主だという答えに変わりはないと思っておりますけれども、しかし五つの事例を挙げましてたまたまそのうちの一つだけがこういう場合は妻が世帯主であるということになっておりまして、妻が世帯主になる場合はこういう場合しかないのかという誤解を招きかねないということもございまして、この質疑応答をカットいたしたわけでございます。
 先ほども申し上げましたように世帯主という概念、先生が先ほどお読みになられましたように、「主として世帯の生計を維持する者であって、その世帯を代表する者として社会通念上妥当とみとめられる者」ということでございますので、これにつきましては、もちろん男女の区別はないということで私ども指導もしておりますし、市町村の窓口でそういうことがないように今後も指導してまいりたいと考えております。
○抜山映子君 ただいまのお答え聞きますと、先ほどの質疑応答集の世帯主の認定基準、ここに五つあるのは誤解を招くから六法全書からは除いた、しかし社会通念ではやっぱりこの五つというのは大体該当するだろう、こういうような御趣旨で御回答いただき、さらにこれには限らない、こういうことであったと思うんです。そうだといたしますと、先ほどの民事甲第二六七一号ですか、ここにございます「社会通念上妥当とみとめられる者」という言葉は非常に誤解を招きやすい、「社会通念上」というと男、子供と親がおれば親、こういうようにどうしても頭に浮かぶわけでございまして、先ほど言われましたように夫婦の選択で世帯主を決めることができるということであるならば、むしろこの通達を改めて、主として世帯の生計を維持する者であってその世帯を代表する者として世帯家族が選択した者、こういうようにすれば非常にすっきりとすると思うんですが、いかがでしょうか。
○説明員(小川善次郎君) 私どもは、届け出でどういう方を世帯主として届け出ているかということは、もちろんその世帯の中でのいろいろな話し合い、話し合いがあるかどうか存じませんが、社会通念上の概念で要するにこの人をということで届け出がされているということに考えておりますので、やはり社会通念も時代によって変わるかとも思いますけれども、世帯主という概念につきましては行政でいろいろ判断するというようなものでなくて、やはり社会通念上、十のケースを掲げれば十人までがこの人が世帯主であろうというようなものが社会通念ではないかというふうに考えております。したがいまして、社会通念上妥当と認められるものという考え方は従来続いておりますし、私どもとしてはこういうような概念規定の中で男女差別というようなことが今後起こらないように指導していきたい、こういうふうに考えております。
○抜山映子君 ただいま社会通念上というのを残す中においてというような表現があったと思いますけれども、この社会通念上というのが残っておるために、先ほど御説明では夫婦の選択で世帯主を届け出ることができることになっておりますと言われましたけれども、現場の窓口では妻を世帯主として届けようとすると受け付けてもらえなかったり、あるいは窓口でもめたりするわけでございまして、本当に夫婦の選択で届け出することができるんであればこの社会通念上というのはむしろ邪魔な概念になってくるんではないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
○説明員(小川善次郎君) 私ども社会通念上というふうに言っておりますが、要するに世帯主という概念というのは各世帯においてこの人が世帯主だということで、そういうことで届け出がされてくるわけでございますが、市町村の役場では要するに届けられたものが世帯主だということでほとんどの場合そのまま受け付けられるというふうに私ども認識しております。しかし中には、こういうケースは余り考えられないわけでございますが、要するにそうお年でない夫婦と子供の世帯で子供が世帯主というような届け出があったときはこれは社会通念に反するということで窓口において若干いろいろ確認もいたしますし、御指摘も申し上げることもあろうかと思うんですが、事夫婦に関しましては、どちらが世帯主だということで届け出がされますれば要するにそれが社会通念上の世帯主であるということで受け付けをするというふうに考えております。
○抜山映子君 そういうことであるならばあまねく地方の出張所に徹底していただきたいと思います。
 先ほど赤松局長さんの方からも話が出ましたけれども、社宅に対する入居とか、それから扶養手当も含めて諸手当、それが世帯主につく、こういう場合が非常に多いわけです。実際に夫が自由業であって大して収入がない、妻の方は会社に勤めている、そういう場合にどうしても妻が世帯主になる方が社宅に入居する上でも、あるいは諸手当がいただける上でも非常に有利であるという場合があるわけでございますけれども、地方の窓口で受け付けてもらえない、こういうようなことが実際に間々あるわけでございまして、先ほどの社会通念の概念が全く邪魔にならないということであればひとつその趣旨で徹底していただきたいと思います。
 そこで、労働省に伺いますけれども、この社宅諸手当について世帯主概念を入れているような労働協約とか就業規則とかいろいろあると思うんですが、そういう場合にはどのように今後御指導いただけますでしょうか。
○政府委員(赤松良子君) 先ほども申し上げたかと存じますが、世帯主に対して手当を出すということ自体は違法ではないように存じますので、世帯主の決め方が男女別の基準を設けるとか、特に女子に不利な基準を設けるというようなことのないように、問題が起こった場合には指導をいたしていくつもりでございます。
○抜山映子君 自治省の方に申し上げたいと思いますが、労働省の方では世帯主という概念自体ではこれを差別というようには認識しない、世帯主の選択はあくまでも個々の家族の中での選択の問題だと、こういうように言われましたので、世帯主はだれでもが家族の選択でなれるのだということをひとつこの際新しく通達を出していただければ大変結構と思いますが、そのようなことはお約束いただけませんか。
○説明員(小川善次郎君) 実は住民基本台帳法につきましては今回改正をするということで、全然別の箇所でございますが、先週衆議院を通過いたしまして参議院にかかるという段階にございます。法律が幸い成立いたしますと説明会等ございますので、そういう場におきまして周知徹底を図っていきたいと考えております。
○抜山映子君 切りがいいので、ここで終わります。
○立木洋君 最初に大臣のこの条約についての基本的なお考えをお聞きしたいんですが、戦後、国際的に人権問題というのが非常にクローズアップされてくる中で女性の人権という問題が非常に積極的に取り上げられるようになってきた。もちろん、戦前も女性の保護の問題や人権問題について問題にならなかったわけじゃありませんけれども、戦後の歩みというのはやはり画期的なものがあるだろうと思います。
 特に一九四六年国連で設置された婦人の地位委員会のもとに検討が加えられて女性の政治の権利の問題あるいは国籍の問題や、婚姻の問題や、さらには雇用、職業の差別の問題、教育の差別の問題等々について前進が遂げられてきたと思うんです。そして昭和四十二年に御承知の差別撤廃宣言が出された。六年前にこの条約の制定ということになったと思うんですね。内容的に言うならば今回のこの条約が女子に対する差別を撤廃するという点で極めて包括的な一般的な規定がなされている。これは人類の進歩という見地から見るならば、やはり極めて重要な歴史的のものだというふうにみなさなければならないというふうに思うんですが、この条約についての大臣の基本的な考え方、評価というのはどのようなものなのか、まず最初にお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 御承知のように、日本でも新憲法で男女平等を明示しておりますし、お話のように、国連憲章におきましても男女平等というのははっきり世界的な課題だということでうたわれておるわけでございます。そういう中で日本が民主国家として発展をしてまいりまして、こうした憲法に基づいた男女の区別をなくしていくというそのための努力がさまざまな分野において重ねられてきた。法律についての改善措置もありましたし、あるいは慣習を改めるという形での改善も行われてきたと思うわけでございますが、そういう状況の中で女子差別撤廃条約というものが掲げられて、これに日本も積極的に署名をしたわけであります。日本としてもさまざまな努力は重ねられておりますけれども、まだ十分な国内体制が整ってないということで条約を国会にかけるというための努力もいたしてまいりました。国籍法の改正とか、あるいはまた男女雇用平等法の国会提出とかいろいろな努力が重ねられまして、大体条約を締結する一応の準備ができたということで今回承認をお願いしたわけで、多少時間はかかりましたけれども、やはり条約に加入する以上はそれだけの体制を整えなきゃなりませんから、一応の体制が整ったということで今回国会承認を求めておるわけでございますが、この条約はやはり今お話しのように、それだけに非常に画期的なものだと私は思いますし、宣言と比較いたしましてもこの条約については男女についてまさに母性保護以外はすべて平等であるという立場をとっておりますし、これはこれまでにない極めて画期的な考え方じゃないかというふうに思っております。いわゆる基本的人権といいますか、人間の尊重といいますか、尊厳といいますか、そういうものをはっきりとうたった包括的な条約であって、日本もこれに加入することによってこの条約の趣旨を生かして、さらに今後まだ日本に残っておるいろんな問題を解決して、条約の趣旨が完全に履行されるように努力をしていかなきゃならない、こういうふうに思っておるわけであります。
○立木洋君 積極的な評価をされたわけで、それが現実に実行されるように希望しておきたいと思うんですが、先ほど同僚委員も指摘されましたように、日本の政府の、つまり国際的な舞台、国連などで採択される、あるいはILO等で検討される人権問題等々についての批准というのは非常におくれるんですね。そして、戦後の問題の中でこの性に関する差別の撤廃条約の問題と同時に並び称せられて重視されてきた問題の一つとしては、やっぱり人種の差別撤廃だと思うんです。これは国連では一九六五年ですからもう二十年前ですね。だけど、まだ日本政府としてはこの人種差別撤廃条約が批准していない。先ほど言われました二十二件の人権に関する問題のうちでわずか六件だと言われるような状態等々考えてみますと、やはり日本政府の姿勢としてはもっと人権問題に積極的に取り組むべきじゃないかという指摘、批判が出てくるのは当然だと思うんですが、この人種差別撤廃条約の問題、それから、これから当然批准されなければならない各種の人権問題についての考え方を大臣からこれも伺っておきたいと用います。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 人種差別撤廃条約については、これは我が国としてもてきるだけ早く批准するという方向で検討作業を行っておるわけですが、ただ、この条約に規定されている中にいろいろとまだ解決しなければならない問題も残っておるわけです。条約を締結する以上はやっぱり国内体制、条約の基準が満たされなければならぬわけですから、それには多少の時間もかかるんじゃないかと思っておりますし、いずれにしても、この人種差別ということについては、日本としてもこれを行うべきでないという日本の政府、我々の立場というのははっきりしておるわけですから、そういう趣旨を踏まえてこれから検討を進めていきたい、こういうふうに思っております。
   〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕
 その他まだ、一応の条約に加入する条件は整っておりますけれども、まだまだ残された問題もあるわけですね。この点につきましても、今後の検討課題として、条約に入った以上はこれを整備していくということはこれからのまた政府の責任だ、こういうふうに思っておりますので、これからひとつ関係各省とも連絡しながら、調整をとりながら努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思います。
○立木洋君 それでは、きょうは限られた時間ですから、この条約草案が審議される過程で日本政府はどういうふうな態度をとったのかということに限定してお尋ねしたいと思うんですが、最初にこの第十条の(b)項、教育に関する問題のところで、「同一の教育課程、同一の試験、同一の水準の資格を有する教育職員並びに同一の質の学校施設及び設備を享受する機会」というこの(b)項について、日本政府はこの項目にどういうふうな修正意見を出されたんでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 第十条(b)項の先生の今御指摘ございました条項につきまして、この条約は非常に長い期間いろんな経過を経て審議をされておりますが、国連総会に移りました段階で申し上げますと、同一の教育課程、これは原語ではザ・セイム・カリキュラでございますが、それからちょっと非常に技術的なことになりますが、表現上は次の試験もひっかかった形でのテキストの作成が行われておったわけでございますが、そこにつきまして、我が国はこの教育課程につきましては基本的には男女同じであるべきである。ただし、男女の特性を尊重した教育も必要であるとの立場から、先ほど申しました同一のというところに対応するものといたしまして、構文的には後に持ってくるわけでございますが、ザ・セイム・オア・イクイバレント、同一のもしくは同等のという趣旨でございましょうか、というふうな修正案を提示した経緯がございます。ただ、これは議論の過程でこの修正案が受け入れられるところとならず、現在のこのテキストの同一の教育課程、そういうことで我が方代表団も支持をいたしたものでございます。
○立木洋君 今言われた同一もしくは同等のという、あるいは同一または均等のといいますか、こういう表現を挿入したいという意図、そういうふうに修正を出した考え方というのはどういう考え方だったんでしょうか。
○政府委員(山田中正君) お答えいたします。
 先ほど申しましたように基本的には教育課程というものは男女同一、同じであるべきであるけれども、それぞれの特性を尊重した教育も必要である。当時のこの条約交渉を行っておりました当時、それからまだ現在もそうでございますが、我が国の教育、特に家庭科についての考え方が我が方が修正提案を行いましたような考え方でずっと運用されてきておりまして、したがいましてそのような主張をしたものと了解いたしております。
○立木洋君 結局、家庭教育についてのいわゆる男女の役割分担というふうなそういう考え方が背景にあったということで、やはり同一の教育課程というふうに定められているのはこれは当然のことでありますけれども、そういう考え方でなされたというふうに見られます。
 もう一つは、十一条の先ほど来問題になってきました第二項の(a)ですが、ここは「妊娠又は母性休暇を理由とする解雇及び婚姻をしているかいないかに基づく差別的解雇を制裁を課して禁止すること」というこの条項にはどういう修正意見を出したんでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 第十一条二項の(a)につきましては、当初の案と申しますのは、婚姻または出産の際の解雇を防止するという趣旨の案文でございました。ただし、出産休暇の後の解雇の問題も取り上げるべきであるという意見、これは主として英仏でございますが、それが入れられまして、婚姻、妊娠、出産休暇を理由とする解雇を罰則を科して禁止するという案が一時ございました。その後、この刑罰を科す以外にも実効的な確保が可能であるという議論がございまして、これは主としてオーストリアの意見でございますが、そして現在のような規定になったわけでございます。
 我が国はこの議論の過程におきまして、今申し述べましたオーストリアと同じ立場をとっておりました。
○立木洋君 ちょっと英文の文献で見ますと、「制裁を科して禁止する」というところに、適切な場合にというふうなことを日本政府が主張したんではないかというふうに見られるわけですが、これはどういう理由でそういう主張をされたんですか。
○政府委員(山田中正君) 先生御指摘ございましたように、この案文の過程でいろいろ案文が動いておりますが、日本の代表団がここの制裁との関連でアプロプリエイトという言葉を入れるべきだといった主張をしたことはございます。ただ、これは全体といたしまして、十一条の二項の柱書きのところに「適当な措置をとる。」ということになっております。それとの全体の関係でそこに入れる必要がなくなったということでそれを撤回しておるというふうに私理解しております。
○立木洋君 この主張というのも内容的に制裁を科するということを緩和する意味の主張だというふうにみなされます。
 次に、同じく(b)ですが、「給料又はこれに準ずる社会的給付を伴い、かつ、従前の雇用関係、先任及び社会保障上の利益の喪失を伴わない母性休暇を導入すること。」というのは当初どのような条項になっていたのでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 最初からの経緯を申し上げますと、当初は従前の雇用関係を保障する有給の母性休暇を促進するという趣旨の内容でございました。これにつきまして、有給の母性休暇の導入は国々の状況、特に開発途上国の場合が頭にあったと思いますが、したがって、一律に強制することが難しい、また有給化の方途として女子に対して差別効果が生じないよう企業自体に負担をかけずに、社会保障制度、公的基金等の形態に限定するべきかどうか、こういう点についての議論がございました。
 そこで、婦人の地位委員会で採択されました案文では、母性休暇の有給化の方途といたしまして企業自体に負担させる方法が排除されておったわけでございますが、最終案ではこれが採用されておりまして、そして婦人の地位委員会で初めて出てまいりました母性休暇中を実際に働いたものとみなすという規定がございましたが、これは英国、日本等の意見により削除されております。
 我が方が主張いたしましたのは、まず母性休暇の有給化の方途として企業自体が負担することになりますと、女子に対して差別効果を生むような慣行が生ずるおそれがある、少なくとも社会保障等によって有給化の方途を認めるべきとの立場から修正案を出しまして、また母性休暇中を実際に働いたものとみなすという規定は、英国もそうでございますが、我が方もその削除を提案いたしまして、これらが受け入れられて現行のテキストになっておるものでございます。
○立木洋君 つまり、原案では妊娠または母性のための有給休暇、この有給休暇の削除を日本政府が求めた。これは今述べられたような理由ですね。しかし、この原案では直ちに有給休暇というふうにしているんではなくて、漸進的に導入しという形で問題にされていたということだと思うんですよ。
 それからもちろんその次の部分ですが、休暇期間は実際に労働した期間と同等に取り扱うということの削除を求めたという意味合いがどうも解せないんですが、どういう理由からでしょうか。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。
 我が国の国内法にそのような制度がございませんので、そのような形のものになった場合には我が国の本件条約批准が非常に難しくなるだろうという観点からそのような主張をいたしたものと了解いたしております。
○立木洋君 この条約、今山田局長さん言われましたけれども、この条約自身というのは開発途上国自身も参加することが可能な条件でやっている、そういう意味では広範な国際的な諸国が参加可能な条件という意味で言えば、いわゆる極めて高い水準というものではやはりないと思うんですね。そういうことをやっぱり念頭に置いておく必要があるんじゃないかと思うんです。
 次の問題としては、十二条第二項、ここでは「締約国は、女子に対し、妊娠、分べん及び産後の期間中の適当なサービス(必要な場合には無料にする。)並びに妊娠及び授乳の期間中の適当な栄養を確保する。」これは最初の案文ではどういうふうになっていたんでしょうか。
○政府委員(山田中正君) 先生御指摘の十二条というのは主として、基本的には開発途上国の立場を頭に置きましてつくられたものでございますが、十二条の二項、婦人の地位委員会の場ではこれが第十一条の二項の(c)にギニアの追加案といたしまして、妊娠、分娩及び産後期間中無料の医療を与えるという形の文言が入って存在しておったものでございますが、これが国連総会での審議の場合に、保健についての独立の条文を十二条として置くということになりましてここに移ってきたものでございますが、デンマークやオランダ、米国等がここの無料のサービスと申しますのは必要とする婦人に対するものに限るべきとの意見を踏まえまして、現在の十二条二項の形で提案した案文がそのまま採択されたものでございます。
 なお、その際に、バングラデシュが提案いたしまして、「妊娠及び授乳の期間中の適当な栄養を確保する。」との文言が追加されております。
○立木洋君 先ほど言われた十一条二項の(c)というところに、妊娠、分娩及び産後期間中無料の医療を与えるというふうになっていたのに対して、日本側の主張としては妊娠及び産後期間における女性の保健措置を充実し、分娩費用について財政援助を含む救済措置をとるという主張をされたというふうに記録上見ております。これらの問題は私は幾つかの点だけしかもう時間がないので挙げることができませんけれども、これはやはり女性に対する差別を撤廃していくという見地から見るならば、やはりそれらの問題を緩和していくというそういう修正意見の内容としか受け取れない問題だと思うんです。その問題についての批判的な問題というのは別として、この国会で審議する上で私は必要だと思うのは、こういう条文が審議される過程で日本政府がどういう条項にどういう意見を述べたのかというふうな問題というのは、やはり審議するのは、これは国会という場しかないわけですから、少なくともそういう会議録を提示してほしい。もちろん、これは膨大な審議の過程の会議録ですから、それ自体はなかなか難しい点があるかと思いますが、少なくとも、日本政府が修正を求めたり意見を提起した条文にかかわる部分だけでもその内容をやはり提出していただかないと、責任を持って国会でこの条文について審議をするということになり得ないと思うんですが、その点大臣いかがでしょうか。
○政府委員(山田中正君) お答え申し上げます。
 先ほどもちょっと触れましたように、この条約の審議期間は、婦人の地位委員会、国連総会等を含めまして実質的審議が始まりました期間でも約五年になっておりまして、その間の、何と申しますか、案文の移動が相当ございます。先生もおっしゃっていただきましたように審議録は膨大なものになりまして、我が国が述べた意見につきましても、審議の過程で埋没してしまったものとかいろんなのがございますので作業をするのが大変だと思いますが、ただ、特に先生の御関心の条項がございましたら、できる限りの説明を先生のもとにさせていただきたいと思います。
○立木洋君 もう終わりますけれども。
 最後に一言、これはこれ以上は質問はいたしません、次の機会にまたお尋ねをすることにしますけれども、少なくとも、日本政府がどういう意見を述べたのか、字句上、表現上の問題は別としても、基本的な性格にかかわる点で意見を述べたということは国会で審議する者にとっては重要な問題ですから、それはぜひ提出していただきたい。膨大なものではありますけれども、これは例えば、一般の方々でもその経過を知ろうとすれば見ることが可能な条件を提供するぐらいの少なくとも努力はやはりしていく必要があるだろうと思います。膨大なものですからそれは大変だということはわかりますけれども、しかし、人権問題というのは国際的にも重要な問題ですし、先ほど大臣自身が言われたように極めて画期的な重要なものであるという評価もあるわけですから、今後、それが現実に実行されていくかどうかということは、国民の目によって見ていかなければならない問題ですから、そういうことも踏まえて、今後資料については出す方向で努力してほしいと思うんですが、一言だけ大臣から。
○国務大臣(安倍晋太郎君) 御関心のある資料につきましては、できるだけ努力して審議の便宜を図るようにいたしたいと思います。
○委員長(平井卓志君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時四十四分散会