第102回国会 大蔵委員会 第5号
昭和六十年三月十四日(木曜日)
   午後四時十四分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
    委 員
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       大蔵政務次官   江島  淳君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵省主計局次
       長        平澤 貞昭君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理財局長  宮本 保孝君
       大蔵省証券局長  岸田 俊輔君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       国税庁直税部長
       兼国税庁次長心
       得        冨尾 一郎君
       国税庁調査査察
       部長       村本 久夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
    ─────────────
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。
 去る二月二十六日の委員会におきまして、財政及び金融等の基本施策について竹下大蔵大臣から所信を聴取しておりますので、これより大臣の所信に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○竹田四郎君 大臣の所信を繰り返して読ませていただきましたけれども、数字合わせは大変大蔵大臣お上手のようでありましてその点はよく書かれているわけでありますけれども、私ずっといろいろ調べてみましたのですけれども、大変ここ数年にわたって財政が厳しい苦しいやりくりをやっている。先付をやったりあるいはツケ回しをやったりということで、数字合わせもなかなかマジックみたいで大変だろうと思うんですが、それに従って、今日の財政法によるところの財政制度の枠組み、こうしたものが私は非常に崩れてきてしまっているというふうに思うわけです。
 恐らく中曽根内閣の目玉も、この間予算委員会では戦後政治の見直しだ、こういうふうに言っているわけでありますが、財政は恐らくそうした政治の物質的な裏づけだというふうに見てよかろうと思いますけれども、そういう意味では、赤字国債をなくするということについては大変力を入れているわけでありますけれども、戦後財政制度の枠組みをどうしていくかという点についてはほとんど触れられていない。この点私は非常に重要ではないだろうかと内心思っているわけであります。私も、そういう点で財政原則がどのくらいゆがんできているか、ひずんできているかといってちょっと調べてみたら、この一枚紙に私の頭で書けるぐらい財政のひずみというのはもう出ているわけです。
 こういう点では、大蔵大臣、これからその戦後政治の見直しをやるという一環の中で、財政制度というものを見直しをするというおつもりはございますか。
○国務大臣(竹下登君) この問題につきましては、いずれ課題であるという事実認識は持っております。確かにやっぱり一番大きな問題は、今御指摘のありました特例債発行、あのときからいわば大変な変化をもたらしてきておるんじゃないか、だからそこまでさかのぼって議論すべき課題であるという事実認識は私も持っておりますが、いついかなる手法をもってこれを行うかということについてはまだ準備がございません。それは、今竹田さんからオーソドックスな御指摘をいただいたことと、それからいま一つは、これはかねて言われておりますいわば予算提出時期と国会法との関係とかいうようなところから、問題意識だけは持ってきておることは事実であります。
○竹田四郎君 私は、戦後、財政法というものは制度そのものが財政民主主義に基づいてできているわけでありまして、国民が財政の仕組みというものがやっぱりよくわからなければいけないということだろうと思います。そういう意味では、最近はもう財政法のとおりいっているものの方が少ない、極端なことを言えばそういう状態だと思うんです。だから今の財政法そのものを私は昔に返しなさい、もとのままに返しなさいとは申し上げませんけれども、何らかの形で見直して、今の財政事情というものに合って国民によくわかるようなことには、私は準備をすべきだと思うんです。あるいは、変える変えないにしてもとにかく、このくらいここにもひずみがあるんだよということはやるべきだと思うんです。
 税制についても、税制調査会は、戦後の税制についてひずみがあるからこれから検討するんだということを、はっきりこの前の答申でも言っているわけです。そうすれば、財政制度審議会もあるわけでありますから、当然そういうところに私は諮るべき時期に来ている。その枠なしでまた先付、ツケ回し、足りないのはあっちからすっと持ってきて置くというようなことにしたら、これはもう枠も何もなくなっちゃうと思うんです。そういう意味では私は、早速そういうものの、私も私の頭だけでもこれだけのことはしたんですから、大蔵省の財政担当がそのぐらいの研究はもうすべき時期に来ている、こう思います。それが私はむしろ財政再建だと思うんです。今までは財政再建の中で増税なきが中心だったように思いますけれども、私はここへ来てやっぱり、本当の意味の財政制度を再建する、こういうことだと思うんです。
 どうですか、竹下大蔵大臣、税制でもいろいろいじられた方でありますから、財政制度ももうこの辺でひとつ見直しの準備に入られたらどうですか。
○国務大臣(竹下登君) おっしゃいますように、総理の諮問機関か大蔵大臣の諮問機関かという問題は別としましても、財政審がございます。だから、財政審等でその御検討をいただく課題、今お話を聞きながらそんな印象を受けなかったわけではございませんが、ことしの答申の中には、今の税調の答申と重さがやや似ているかなという感じがしますのは、「我が国は、諸外国に比して良好な経済状態を維持しており、国民生活も安定したものとなっている。しかしながら、財政は、既に巨額の公債残高を抱えていることに加え、連年多額の公債を発行せざるを得ないという危機的状況にある。公債残高の累増に伴う利払費の急増は、政策的な経費の増加に充てうる財源を極度に制約し、財政本来の機能の発揮を著しく妨げている。」、こういう前提でいろんな議論を行われておりますので、それがいわゆる制度、財政法、恐らく竹田さんはいわゆるいろんな事例を念頭に置いての御質問だろうと思いますが、そういう財政審がいいかどうかという議論は別といたしまして、財政法の趣旨そのものの根源にさかのぼっての、どこの場所でやるかということはとりあえず別として、部内検討ということは、今の御指摘を受けながら、あるいは時期なのかな、こういう感じを受けないものではございません。
 したがって、その点について明確に準備にかかりますという答えをするだけの私に心の準備はございませんが、勉強課題として本日のところは御指摘の趣旨をちょうだいしておくべきではなかろうかな、こんな感じを持った次第であります。
○竹田四郎君 私が特にそれを言う点は、大体いろんなツケ回し、あっちから金を借りてくる、こっちからこうするというのは、一番大きくそういうことが問題になるのは予算編成の最後の大臣折衝付近あたりですね。このあたりでいろいろな取引をされて、これはこっちがいついつまでに払う、払わないというような形で曲げられてくる。まさに密室政治なんです。それでいつの間にか、我々が知ったときにはもう法律が変わっている。こういう密室政治がやられては、国民には本当にますますわからなくなる。だから私はぜひひとつ、私どもも国会の場でこの財政制度、財政のあり方というものをもう一回見直す必要もあると思いますし、そのために大蔵省としてもその点は私はやっていただかなくちゃならぬ、こう思うんですよ。
 そこで私、今度の予算で一番わからないのは、揮発油税の中から千百十億円というのを国税収納整理資金の勘定からいきなり道路整備特別会計、これへ移していますね。これは国税整理資金の法律の第六条の二項、しかも建設省関係の予算の中ですっとこの法案、改正してしまっている。
 しかし今まで私どもは、なるべくこれは、大蔵省の方針もそうだし、私ども大蔵委員会の考え方も、特定な目的税はなるべく置かない、なるべく一般財源の中にやっていくのが財政のあり方としてむしろ望ましいあり方だ、こういうようなお話を今までは聞いていたわけですね。ところが今度は、新しいバイパスをますますもう一つつけてしまう。今まさに直間比率がどうのこうのと言われているときに、私はますますわからなくなると思うんです。なるほど直間比率は一般会計のあれから出てこないことは私も知っているし、数字もそうではないことは知っておりますけれども、一般の人の見方はその辺で見てきます。一体税金が正しくどれだけ入ってきたかというようなことが非常に関心の大きいときに、こういうバイパスでわからなくしてしまう。今まででも、揮発油税の大半というのは一般会計へ入れてそれから道路整備特会へ入れていたわけですね。それを今度は直接パイプで流してしまうというのは、私は何なのかよくわからぬですよ。
 もちろん私は、その一千百十億というものを道路関係の費用に充てるのはけしからぬ、それを取り消せというそのことを言っているんじゃないんです。なぜそういうバイパスを通さなければいけないのか、そのことを私は問題にしたいんです。
 しかもこれは、どちらかといえば、大蔵省はそういうバイパスをつくるということは今までも余り喜んでいなかったわけですね。一般会計から道路整備特会へ通して入れて、そして道路整備特会の中でこの金額はどこどこに充てる、この金額はどこどこに充てるというのをそこで決めてなぜ悪いんだ、その辺が私は全然わからない。これも私は、物すごい今度の予算のどこかのひずみからこういうわかりにくいものが出てきているんじゃないか。こういうものをそのままにしていけば、もう道路整備特会へ入れるやつは一般会計を通さないでいきなり収納資金勘定からそっちへ入れちゃえ、かえってこっちを通すのは面倒だ、そういうことに道を開くことにも私はなるだろう。だからこの点をひとつよくわかるように説明してください。
 私も主計局のある人に説明を受けたけれども、全然わかりません、何を言っているのか。 よくわかるように説明してください。
○政府委員(平澤貞昭君) 御存じのように、六十年度予算を編成いたします場合に、全体の財政事情が非常に限られているわけでございます。そういう中でいろいろの工夫を行ってぎりぎりの予算を組んでまいったわけでございますけれども、公共事業関係につきましても、こういう方針の中で例外とすることなく厳しい抑制を図ってまいったわけでございます。
 ところが他方、道路につきましては、これも御高承のように非常に整備がおくれておりまして、特に交通混雑等の問題がここのところ生じてきているわけでございます。特に六十二年度までの第九次道路整備五カ年計画達成に当たりまして、地方道について道路整備がおくれてきております。そのようなことから、地方道に特に重点を置きましてその整備を図るというためには、財源をある程度くくってそこに充てていく必要があるということでございます。
 そのような観点から、先ほどお話のございましたような交付金、いわゆる地方道路整備臨時交付金というものを設けたわけでございます。そしてその財源といたしましては、一般会計の財政事情は先ほど申し上げましたように大変苦しい状況にございます、その財政事情に左右されることなく安定した金額がそこに充当されるという仕組みはどういうものがいいかという観点が一つあるわけでございます。
 それとともに、今回先ほど申し上げましたように交付金という制度をつくりましたので、その交付金に見合った財源というものを明確にするという観点もあわせございまして、そういうことから今回、この道路財源として最も重要な地位を占める、かつ安定性のあるこの揮発油税の一部を道路の特別会計に直入するということでお願い申し上げているということでございます。
○竹田四郎君 なぜ、それじゃ一般会計を通じちゃいけないんですか。直接なぜ国税収納資金から入れなくちゃならないんですか。あるいは、道路を直すのには、もう一つは地方道路税もあるわけですね。地方道路譲与税で入れるということもあり得るわけでしょう。そこのところがわからないんですよ。あとの、道路、地方道をよくしようとか、交付金で渡そうとか、そういうことはよくわかるんですよ。なぜ会計の仕方をこういうふうなパイプを一つつけてやらなければそれができないのかという、できない方の理由を言ってください。
 そうするとこういう間違いが起きるとか、こういう法律違反が起きるとか、そういうことを言ってくれなけりゃ――いや、パイプは幾つもつけた方があんたたちは勝手なことができるわけですよ。国民はパイプをたくさんつけるほどわからなくなってくるじゃないですか。つけなければこっちの建設、道路をつくる方にどういう法律違反があり、どういうぐあいが悪い点があるかということを説明してくれなくちゃだめですよ、それは。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほども御説明申し上げましたように、この交付金というものと見合いで財源を入れる。しかもそれを、一般会計の財政事情に左右されることなく、必要なところに安定的に入れようという趣旨でこれを設けたわけでございます。そういう積極的な面に着目いたしましてこの制度をつくった。
 過去にこれに似たものといたしまして、原重油関税を同じように特会に入れて制度を仕組んでやったというのも、考え方としては同様の観点に立っておるということであります。
○竹田四郎君 さっぱりわからぬですね。安定的に入れようというなら、なぜ三年間に期間を区切ったんですか。はっきりした制度としてこれ、やればいいじゃないですか。時限立法でなくたっていいじゃないですか。
 それから、重油の関税を入れるというのは、あれは、それのほかにはやり方がなかったからああいうふうな、その当時できたことですよ。今ルートが三つも四つもできているじゃないですか。それをまたつけょうというのは、その辺がよくわからないんです。
 まあ、いろいろこれには話がありまして、揮発油税の道路財源分を一般会計が取っちゃったから、その分を三年に分けて入れるんだという議論もあります。それから、一般歳出をゼロに抑えなければほかの方が言うことを聞かないから、だからその分を、千百十億を積み上げるとプラスになってしまうから、それじゃぐあいが悪いから、このルートで操作をしたんだという話も私は聞きます。そういう話の方がむしろよくわかるんです。あなたの話は全然わからぬ。ほかの人だってこれはわかっている人は少ないと思いますよ。交付金で渡すというんですが、ほかだって交付金で渡せる方法はあるじゃないですか。法律違反にはならないじゃないですか。ちっともわからぬ、あなたの言うことは。
 これは大臣、どうですか。よくわかりましたか、今の説明で。私はわからぬです。
○国務大臣(竹下登君) これはあくまでも基本的には一般会計の財政事情、今竹田さんのおっしゃったのも一つの財政事情です。我々は、わかりやすい話の例示としてなさいましたが、一般会計を前年同額以下に抑えようという一つの予算編成方針があったことも事実であります。したがってそこには、財政事情に左右されることなく安定した金額が確保される必要がある。財源があくまでも交付金見合いのものであるということを明確にした方がいいという議論と、もう一つ、現実的な問題といたしまして、譲与税が従来もございますですね、あの譲与税の場合は、言ってみればこれが、地方団体、なかんずく小さい地方団体等へ参りました場合に、いわば使途の区分ができない。これは各地の収入役さんなんかが来てそういう話をしておりまして、そうして、あくまでも地方道の整備に充てるということになると、そのチェックをするためにも、限定した交付金見合いのものを出した方がまさに道路そのものに使われるであろうという議論も、部内で私どももいたした議論の一つでございます。
○竹田四郎君 しかし、こんなことで財政制度は大きく食い違ってくるわけです。
 こういうことをそういうことでやるということになると、ますます継ぎはぎができちゃう。ますますわからなくなる。我々でもわからないくらいですから、国民はなおわからぬと思うんです。
 こういうことはほかにもたくさんあります、これと似たようなことが、今度の予算の中にも。だからそういうツケ回しが財政制度そのものをゆがめている。その一例として私はこれを挙げたわけです。ですから、そういう意味でも、財政制度の見直しというのをきちっとやらないとますますわからなくなる。
 どうですか、大臣、これを一つの契機にして、まあ財政審にもお諮りする必要があるんだろうと私は思いますけれども、そういう面でもやっぱり財政制度というのはきちんと整えておく。それでなければ、税金の方もやっているんですから財政制度の方もきちんとひとつやってもらわなくちゃ私は困ると思うんですが、もう一回その辺について大蔵大臣の決意をお聞きしたいんです。
○国務大臣(竹下登君) おっしゃる意味は私もよくわかります。その他、厚生年金からいろいろございますが、要するに特別会計と一般会計との間におけるいわば資金の調整と申しましょうか、いい言葉を使えば。そうした措置もとらせていただいておることも事実であります。それらの問題についていろいろな御議論がございましょうし、なかんずく、大体特別会計というものをつくること自身も、昭和五十八年でございましたか、臨調の第三次答申、少なくともスクラップ・アンド・ビルドがないといかぬぞよというようなこと、いろいろな議論からそれを進めてみますと、竹田さんの論理は私は成り立ち得る論理だと思います。
 したがって、財政審というのもちょっと頭へ入りましたが、どういう手法をとるかは別として、まずは部内検討からさせていただくべき課題であろう、こういうような、今私自身が竹田さんの話を聞きながらそういう理解の上に立ったというふうに御判断いただきたいと思います。
○竹田四郎君 それでは、その点について御努力をいただきたいし、私どもも機会あるごとにそういう議論をこれからさせてもらいたいと思いますので、ひとつその点はよろしくお願いをしたいと思います。
 それから、この所信の中の三ページに「経常収支黒字の反面、我が国の長期資本収支は大幅な赤字を継続しており」云々という言葉がありますけれども、確かに日本は今、特にアメリカとの関係では経常収支の黒字が資本収支をカバーして余りあるという形になっていることは、この所信の中でお示しになっているとおりだと思うんですけれども、この所信で見ますと、これは何か資本の不足国に必要な資金を我々は供給しているんだ、我々はいよいよ金持ちの国になったんだ、こういう印象を与えるんですが、私は、こういうことでいいのかなという気がするんです。
 確かに、向こうへ資本を輸出する。しかし日本の国内におけるところの、今も道路の問題が出ましたけれども、社会資本はもちろんのこと、民間の設備投資にしても、今決して設備投資の更新が若くないわけです。もうかなり年をとってきているわけですね。しかも世界的には競争の激しいハイテクの時代だというのに、こういう対応でいいのかなという気がするんです。アメリカさんはこれでいいのかもしれませんけれども、日本の十年、二十年という先を見たら、日本は投資、資本設備が非常に劣悪、非常にとは言えないでしょうけれども、競争上弱い立場になってしまう。いわゆるアメリカやあるいはイギリスみたいなところへ落ち込んでいってしまう。そういうことにも私はなりかねないんじゃないかと思うんです。ですから私は、均衡をとれるんならまあまあその辺はわかりますけれども、余りオーバーに、いくことを可とするという議論はちょっとおかしいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今の竹田さんの御心配ですが、私も今のような表現に踏み切るまでには暫時考えたことがございまして、昨年の貿易白書の中に初めてこういう言葉が使われました。これは日本の貿易白書でございますが。それを国際会議で私なりの意見として発表してみましたら、そのとき私も遠慮しながら、結果として資本提供国になっておる、そしてアメリカの金利の、よりもっと上がるののその抑制作用を、結果としてそういう作用を起こしておるんだという表現で、結果としてという表現を使ってみたわけでございます。
 そのときに余り抵抗がなくて、それでその後少し自分としても、資本提供国としての役割を果たしているんだということを、肩を怒らせて言っているんじゃないかという、事実反省をしながら今日に至っておりますが、何だか、だからいいじゃないか、こういうように聞こえることはよくない。なかんずく国会議員さんレベル、アメリカの中でもいろんな選挙区を持っていらっしゃいますから、中には、貿易黒字で稼いでそして今度は利
子でまた稼いでいるんじゃないかという、こういうとり方をされる方も現実にいらっしゃいます。そこで、もうそんな資本は要らぬから、それよりももっと現実問題として経常収支の黒字が減るような施策を行ったらどうかというような議論も向こうから出ておりますが、現実の姿としてそういう機能を果たしておることは事実でございますので、それに対する大きな反論はいわば財政当局者の中では必ずしも今日まだ出ていない。
 ただ、注意して使わなきゃいかぬ言葉であるということは私も承知しておりますから、その場合も、結果としてそういう効用を果たしているという表現にとどめるように努めておるというのが現状でございます。
○竹田四郎君 その表現は余り私はそう問題にしようとは思わぬのですが、現実として長期的に見て――短期的にはそういうこともあるでしょう、長期的に見て日本が資本輸出国という立場でいいのかどうなのか。人口だって日本は相当まだあるわけでありますから、そういう中で資本輸出国として、国内のそうした生産あるいは流通、そういうような資本でなしに、対外投資によっての利益を得るような、そういうような国になっていいのかなと私は思うんですが、どうなんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これはいわゆる資本流出に二つあって、株式等の投資とそれから直接投資とございますよね。直接投資は一割強でございます、全体からいえば。しかし直接投資がふえていくというのは、その投資相手国の雇用の問題にいい影響を及ぼすとか、そういう意味において歓迎されるという傾向にあります。
 だが、もう一つ基本的にさかのぼって見なきゃならぬのはいわゆる貯蓄率でございますけれども、それが他の先進国のおおむね三倍ぐらい日本はある。それは一つの伝統でもあるのかな。勤倹貯蓄の思想が強いとか、あるいはサウンドバンキングが徹底しておってしたがって国民の方に信頼感があるということ、あるいは逆にそれは、老後の保障とかそういう制度がきちんとしていないから、不安だから貯蓄率が高いんだという議論ももちろんございますけれども、ある意味においては貯蓄率の高さというのは、構造的なそういう傾向になる一因ではあるなというふうに私は思っております。
 それで、将来にわたってそれがいいかどうか、こういうことになりますとまた、大きな議論をする人は、かつてのポンドがそうでありドルがそうであり、今度は円がその番だとか言う人もおりますので、その辺を的確に見定めることはなかなか難しいわけでございますので、したがって最初おっしゃった設備投資というのも、比率でアメリカの一・五倍ぐらいになっております、対GNP比も高くなっております、今日時点は。だが、そういうところへ振り向けるいろんな意味における内需振興と申しましょうか、そういうものは絶えず必要な政策として考えていなきゃならぬ課題だと思いますが、ある程度の構造的な問題はあるんじゃなかろうか。きょうはフリーな気持ちで言わせていただくと、そういう感情を持っておることも事実でございます。
○竹田四郎君 ここまで言っていいかちょっとわかりませんけれども、アメリカあたりでも輸出課徴金という話が実は出ているわけですから、こちらもある意味ではそうした長期資本の流出というものについてはある程度私は、特にお金を投資して金利だけを求めるというような考え方は少し抑制したらいいんじゃないか、利子平衡税などというようなものも考えてみたらどうだろうかと思うんです。時期的にまだ若干早いという感じもしないわけじゃないんですが、そろそろそんなものも考えてみたらどうだろうかと思うんですが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 一つは竹田さん、私も考えますのは、金融の自由化、国際化が、すばらしいスピードとは申しませんが、確かに進展しております。そうしますと、特に貯蓄過剰といいますか、いい意味における貯蓄過剰の日本としては、構造的な問題が出てくる。それで、利子平衡税とかあるいは輸出税とかいうような問題は、そもそも私は、金融の自由化とか国際化ということからいたしますと、また新しい摩擦問題等を惹起する危険性もある。そしてまた、利子平衡税とかあるいは課徴金とかいうような問題は今日まで、あるいは資本の流出規制とでも申しますか、の実績からいいますと、他の先進国もその経験を持っておりますが、アメリカもイギリスも、ことごとくいい結果は結論としては出ていない。
 だからやっぱり、金融の国際化、自由化の今日は、ある種のそういう構造的なものを理解しながら、それがより国内において活用され、そしてむしろ投資の場合は、先ほど申しました直接投資のウエートが高まっていくような政策はやっていかなきゃならぬのかな、こんな感じでございます。
○竹田四郎君 時間がないから、もう少しこれは討議をする必要があろうと思いますが、また次の機会に討議をさせていただきたいと思います。
 所信の二ページに「また、歳入面におきましては、税制調査会の昭和六十年度答申において、「税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ている」との極めて異例の御指摘をいただいているところであります。」、このように述べておられ、さらに「税制調査会の答申の趣旨等を踏まえ、税制全般にわたる広範な角度からの論議と検討が行われるべき問題であると考えております。」、こういうふうに書かれているわけでありますし、何か予算が通ったらすぐに来年度の税制改正の検討に入るとのうわさ話もあったり消えたりしておりますし、それから梅澤局長さんの、新聞の発表ですから正しいかどうかわかりませんけれども、非課税貯蓄の分離課税制度ですか、あるいは源泉分離制度、こうしたものを含めて検討に入りたい、こういうような、これは新聞報道でありますから正否のほどはわかりませんけれども、所信には「全般にわたる広範な角度からの論議と検討が行われるべき問題であると考えております。」、こう書いてある。
 そうすると、いつから入る準備をなさっていらっしゃるんですか。いずれ政府税調に全般的な税制問題、税制改革に対して、これは総理が依頼をされると思うんですけれども、実際は大蔵省がおやりになるわけですが、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに所信には問題意識の形で述べさせていただいておりますが、異例のことながらという前提のもとにあの答申をいただきましたので、私ども折々総理と相談しておりますのは、やっぱり今度の場合今までと違いますのは、今までは国税、地方税のあり方についてという三年ごとに諮問をして、そしてあとはあうんの呼吸で、問題があれば特別部会等をつくってもらって答申をいただく。だが、今度の場合はやっぱり整理して諮問した方がいいんじゃなかろうかという、言葉も改めまして、そういう今考え方になりつつあります。
 それをいつやるかということになりますと、できるだけ早くという気持ちはございますけれども、その答申の中にも、国民の幅広い意見を聞いてという趣旨もあります。それはやっぱりその幅広い議論というのが出る一番のところは国会だな。それで、予算が通過したならばというようなことまで考えなくて、いま少し国会の議論を詰めて、それでそれを正確に報告した段階で正式な文言を書いて諮問を申し上げようかな、こんな感じに大体今固まりつつあるというところでございます。
○竹田四郎君 何か大変我々の議論を大蔵大臣は求めているように思います。衆参両方の予算委員会で、税制をどうするかという問題は随分議論されていると思うんですね。これほど議論された国会というのは私の短い経験としてもそう多くないと思うんです。しかし、これを全体的に見てみますと、どうも政府の答弁というのが決まってないんですね。あっちへ行ったかと思うとこっちへ行ったり、こう言ったかと思うとそれを取り消してみたり、全然ふらふらしているという感じしか与えないんで、この点では私はむしろ、政府がはっ
きりしなけりゃ我々の議論というのも議論できないと思うんです。
 今やっぱり一番問題の中心は、大型間接税というのをどうするのか。しかも、大型間接税の内容というのは一体どうなのか、出されている間接税の内容を見ましても、これは大体決まっているんですね。そんなに特別なものがあるというわけじゃないですよね。課税ベースの広い間接税でしかも公正を期すということになれば、大体一つに決まってきますわな。
 大蔵大臣はやっぱり、そういうものをお考えになっているなら、どうですか、堂々と出されたら。その方が議論が、もっといろいろな議論が聞けるんじゃないですか。そして日本型の大型間接税というものができてくるんじゃないですか。この前の一般消費税(仮称)というのも、余り細かいところまでの話はいかなかったですよね。それで引っ込めちゃったから、何が何だかわけがわからないということになってしまったんだと思うんですけれども、どうですか、その辺はもう少し、例えばEC型の付加価値税、それを中心に検討しますというようなことを言われた方がいいんじゃないですか。どうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) そこのところが一番ポイントの一つでございます。
 要するに、「今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視野に立って、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ている」というのが、いただいた答申でございます。したがって私どもは、総理の言葉をかりればシャウプ税制以来の大改革という表現になりましょうが、初めに間接税ありきという形で御議論をしてもらうべきものではないじゃないか。やっぱり税全般の、シャウプ勧告、昭和二十五年に実施に移されて以来の経過でひずみ、ゆがみと言われるものがいろいろあるというのも絶えず御指摘いただいておるわけですから、そういう不公正の是正問題はまた、人一人一人によって若干の議論の違いはありましても、国会でも出していただける。そういうものを全体を付していく。
 初めに特定の税ありきという形の諮問はこれは避けるべきじゃないかという考え方の上に今立っておるところでございます。
○竹田四郎君 間接税の場合は国民にある程度、いろいろよく理解してもらわないとなかなか私はこれ、実施してもスムーズにいかないと思うんですね。だから、少なくともこの法案が通って、政令なり規則なりが決まって半年や一年というものはやっぱりよくわかるように、まあ少なくとも一年ぐらい私はかかると思うんですね。そうなってきますと、六十一年度、来年度は私は新しい間接税をやるというのはちょっと無理だと思いますね、幾ら簡単なのでも。そうなってきますと、やっぱり六十二年からぐらいということに考えなければ、そう、きょうあすにつくってその次から、あさっては実施するというそういうもんじゃないと思うんです。ですから、その辺はもう少し、どうなんですかこれは、明示をなさったら、大蔵省として。それでなければ、また、わかりませんよということになってしまうんじゃないですか。
○国務大臣(竹下登君) そこのところも議論のあるところでございまして、可及的速やかに議論を尽くしてもらって、総理の申しておりますのは公平、公正、簡素、選択、――活力というのがついてきたわけですが、そういう角度からできるだけ早く議論してもらって結論を出すべきだという議論も、国会の論議の中にもあるわけでございます。
 いま一つは、今竹田さんがおっしゃったような、第一、一般消費税を念頭に置いておるという意味ではありませんが、あの決議文書そのものにも、国民の理解が得られていないじゃないかという趣旨の御決議をいただいたわけでありますから、あらゆる政策は国民の理解と協力を得られなければできるものではない。まして税制においてはその理解を得られなければ実行に移すことはできないという角度から、時間をかけなければできぬぞよという今の竹田委員のおっしゃる議論もあるわけでございますので、それらも私は正確に伝えるべきだ。もう少し議論をしてみますと、そういう議論を税調の中で消化していただくわけでございますから、もうしばらくはそういう議論を正確にお伝えするというのが今お答えの限界ではないかな。
 おっしゃいましたとおり、六十一年度税制という形、恐らく諮問はそういう形じゃなかろうと思います、抜本策みたいなものでございますから。したがってそれもこれから議論して決めることでございますが、例えばいつまでとかいうところを今まだ部内でも詰めておりません。それらも、本当におっしゃいましたように、税金の議論がこれぐらい行われた国会は恐らく私も今までなかろうと思います。シャウプさんの勧告のときはまだ占領下でございますから、したがってGHQの間接統治下にありますから割にスピードが、国民の理解、協力のもう一つのオールマイティーがあったと思うんですが、今はそういうものもございませんし、できるだけ早くという気持ちはありますが、税というものは国民の理解と協力がなかったら実行に移されるものではないぞよという理解も十分しておりますので、それらをどういうふうな形で御諮問申し上げるかということはもうしばらく議論の推移の中で見詰めさせていただきたい課題だな、こういうふうに考えております。
○多田省吾君 私は、最初に財政再建についてお伺いしたいと思います。
 昭和六十五年度に赤字公債の新規発行をゼロにするという目標を達成するためには、昭和六十年度の発行額が五兆七千三百億円ですから、これから毎年一兆千五百億円ずつ減額していかなければならないことになります。昭和五十九年度においては、昭和六十年度以降の予算においては一兆八百億円ずつ減額すればよろしかったのでございますが、昭和六十年度予算でわずか七千二百五十億円しか削減しなかったためにまたこういう困難な事態になったのだと思います。本当に財政再建、赤字国債発行ゼロを昭和六十五年度に達成するという目標からすれば、昭和六十一年度の減額予定額も当然一兆千五百億円以上にしなければならないと思いますが、どうも昭和五十年度からのどんどん先送りされた姿に今回も倣ってきたのではないか、このように思われてなりません。
 もう御存じのように、昭和五十一年二月には、ケースIの場合は五十五年度、ケースIIの場合は五十四年度特例公債脱却目標というものがあったわけです。ところが、五十二年三月には五十五年度、それから五十三年二月にはケースC、D、Eで五十七年度、それから五十四年二月から五十九年度、同じく五十五年一月も五十九年度、五十六年一月五十九年度、五十七年一月五十九年度、五十八年一月からは七五三なんていう論議もありまして、ケースAは六十一年度、ケースBは六十三年度、ケースCは六十五年度、それから五十九年二月には六十五年度、これはケースA、Bですが、それから六十年一月には六十五年度と、このようにだんだん先送りされている現状です。
 もう既に総理は増税なき財政再建というものを放てきいたしまして、ただ増税なき財政再建の精神だけは守りたいというようなことに後退したわけですが、その精神すら今後は放棄するのではないか、このように思われてなりません。
 財政再建と特例公債脱却目標年次の達成は、大臣として同じに考えているのか。そしてまた、その達成年次六十五年度というものを今もどうして守る、このようにお考えなのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず、今お話のございましたように、どんどん延びてきました。それで私は、五十五年度予算に一兆円減額、五十六年が二兆円減額でございましたか、自然増収のあるときでございまして、その目標で進むならば五十九年もあながち不可能ではない。ところが五十六と五十七の大変な歳入欠陥、いわゆる世界同時不況に基づいて、ついに五十九年脱却はギブアップしなければならぬようになった。そこで新たなる設定
が六十五年、こういうことになったわけでございますから、容易ならざることではあるが、この努力目標というものはやはり我々としては今一心に追求していかなきゃならぬ目標年次であるというふうに、私どもは考えております。
○多田省吾君 ですから今現在、五十九年度、六十年度と予算を組んでみて、到底六十五年度脱却は無理だと思われる方向に進んでいるわけですよ。その現在においてすらまだ、六十五年度脱却は可能である、このように確信を持ってお答えできるのか。それとも、何か大増税やらを考えて、やれるかもしらぬ、こう思われているのか、どちらですか。
○国務大臣(竹下登君) これは確かに、一兆八百億が一兆一千五百億になりましたのは、機械的に均等にあらわした数字でございます。しかし年々積み上げてきておりますから、私はやはりこの旗は、努力目標は今おろすわけにはいかぬ。ただ、その間をいろいろ御審議の手がかりとしてもらうための要調整額方式というのでお示ししておるわけでございますから、それはどういう組み合わせでやっていくかというのは、これからの国会の議論等を通じながら国民のコンセンサスがどこで得られるかということを模索していかなきゃならぬ課題であるというふうに考えております。
○多田省吾君 まだまだ納得できませんが、次に国債の消化の面についてお伺いします。
 今後、過去に発行された国債の借換債も含めますと大変莫大な国債発行になるわけですが、現在の金融市場にはその消化能力があるのか、クラウディングアウトは生じないのか。国内経済や金融政策との関連を含めて、大臣としてのお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これはやはり財政改革を推進しまして、――もう既発債は既発債です、残高として存在しておるわけでございますから、新規財源債の発行額を縮減するように引き続いて最大限の努力をしなきゃならぬと思いますが、私は今日、満期到来するものの借りかえ、六十一年度からなかんずく相当規模になっていくわけでございますけれども、いわゆる新規財源債と借換債との組み合わせ、金融資本市場への影響等を十分配慮して円滑に発行していかなきゃいかぬというのが、国債管理政策における最も重要な課題であると思っております。
 そのためには国債の種類の多様化、いずれ本委員会において御審議いただかなきゃなりませんが、年度をさかのぼっての発行とか、そういう議論もいずれしていただかなきゃならぬ問題である。ただ、現在の資金需要の動向から見て、国債の発行によりまして量的な面で民間部門の資金調達に支障を来すということはなかろうと思いますが、いずれ国債費にはね返ってくる金利等の問題がございますので、その辺はよく見定めてやりませんと、日本人の貯蓄率が高いから、とにかく外国へ流出しておると同じ金利で皆抱えようなどというイージーな考え方にはならぬように配慮していかなきゃならぬと思っております。
○多田省吾君 私は、増税論議の前にどうしても今やるべきなのは、やはり不公平税制の是正とそれから脱税防止、これが大事だと思います。総理も公平、公正、二つも並べているわけですから。しかし不公平税制の是正あるいは脱税防止というものがなかなか思うようにいかない現状です。
 脱税問題を含めましても、あるいは不公平問題を論じましても、例えば給与所得者の場合は納税者の割合は八六%近いものに達しておりまして、他の所得者の納税割合を大きく上回っているわけです。また法人税関係では、企業の海外取引の増大に伴いまして、二重課税調整としての外国税額控除の過大申告が、国税庁当局の外税調査で明らかにされているわけでございます。また昨年、総務庁が特殊法人に関する調査結果報告書を発表しましたけれども、その中で、発生してない費用や、収益の計上など考えられないような会計処理があったようですが、この改善も思うようになっておりません。また、昨年の調査で明らかになった東京国税局の行った資本金一億円以上の会社の税務調査でも、調査対象の九九・七%が所得隠しを行っていたことが明らかにされた。さらに、予算委員会等でも論ぜられたタックスヘーブンに関しましても、課税対象留保金額の申告漏れがあったり、海外取引に絡む隠し所得が急増したり、調査実績でもその実態がかなり明らかになっております。
 こういった問題が生じている以上、私は不公平税制の是正、それから脱税防止にもっと当局は力を入れてやるべきだ、このように思いますが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 総理が公平、公正、簡素、選択、活力ということを申しております。したがって、今度の税制調査会で御議論をいただくのも、まずはこういう観点に立って御議論をいただけるわけでございますから、いわば初めに増税ありきという形でもって諮問をお願いするという考え方はございません。したがって、公平、公正ということがまず議論されるでございましょう。
 給与所得者八六%に今達していることは事実でございますが、所得が課税最低限以下の場合には納税者に該当しないこともございますので、業種別所得者の納税者割合は差があるということは、これはやむを得ないことであろう。ただ、それが現実問題として脱税とかそういうことになっておる問題は、これは厳正に対処すべき問題であると思います。
 今御指摘なさいましたとおり、いわゆる二重課税を防止するという意味において国際的にも外国税額控除制度は確立されておりますけれども、整備すべき点があるか否かについては、やっぱり引き続き検討していかなきゃ国民感情にはそぐわない、私も同感であります。
 それから総務庁の問題につきましても、特殊法人を関係各省におかれて具体的な検討に入っておられるというふうに承っております。
 それから、東京国税局の資本金一億円以上の調査の問題でございますが、我々もいろんな情報を収集いたしまして、ただ電話帳で抽出するような調査ではございませんので、その率がすべてのものではない、大部分は善良なる納税者の方であるというふうに理解をいたしておるところであります。
 タックスヘーブン関係の問題につきましても、おっしゃるとおり今後なおその充実に努めていきたい。それこそ、本当に海外へ派遣をするようになったわけでありますから。さらに、いつも申されております、応援をいただいております、いつもまず隗より始めよと言われますので大変対応には苦心をいたしますが、徴税関係、すなわち税務職員の方々のいわゆる増員問題とか質的確保の問題については、これからも努力を払っていくべきであると考えております。
○多田省吾君 それから大型間接税の問題でありますけれども、昭和五十四年の総選挙において、例の一般消費税(仮称)を国民は大型間接税ととらえて、それだけを拒否したのではなくて、いわゆる大衆課税の強化を拒否したのであって、はっきり言えば、一般消費税(仮称)と大変似たような関係にあるEC型付加価値税というようなものもともに国民は拒否した、常識的に考えれば私はそう考えざるを得ません。ですから、あのときの固有名詞であった一般消費税(仮称)のみを否定したのではなくて、そういったたぐいの大型間接税を国民は否定した、このように私は考えざるを得ないと思います。
 ところが、政府のこれまでの国会答弁を見ますと、国会決議で否定された一般消費税(仮称)は否定するけれども、EC型付加価値税は検討してもよろしいのだ、こういう答弁に終始しているように思われます。日本型の一般消費税(仮称)もEC型の付加価値税も、あらゆる商品やサービスに課税するという点、あるいは一つの段階ではなくて流通のすべての段階で課税するという多段階課税であるという点、また、税の累積を排除する仕組みになっている、こういった点では全く同様でございます。大きな違いは、税の累積を排除する仕方がEC型付加価値税ではインボイス方式、
いわゆる仕送り状方式であるのに対して、日本型は仕入れ控除方式である、この点が違うだけでございます。ですから、やはりEC型付加価値税というものも大型間接税の一つとして、また一般消費税(仮称)と大変よく似た仕組みといたしまして否定されるべきものであり、これを検討の対象にすべきではない、このように私は思うのですが、大臣いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これは、おっしゃいます議論は確かにございますが、国会決議をつぶさに読んでみますと、いわゆる一般消費税(仮称)は、その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった。したがって財政再建は、一般消費税(仮称)によらず、他の手法でやるべきである、こういうことになっております。あのとき、この決議案をおつくりいただくときに私も大蔵大臣でございまして、たびたび意見を述べさせていただく機会を得ましたが、とはいえ、消費一般にかかる税制全部を否定するということは、税というものは所得の段階と資産の段階と消費の段階、この三つしか担税力を求める場所がないとすれば、それを全部否定するわけにはいかぬというので、そのような御議論があったことを私もそばで聞かされておりました。
 したがって、確かにEC型付加価値税もいわゆる一般消費税(仮称)も多段階であるというようなこと、これは事実でありますが、一般論として消費税というものもいわばその仕組み等についていろんな形態も考えられますので、それまで税調の議論の対象の外に置くということにはやはり問題があるのではなかろうか。ただ、中曽根総理が申し上げておりますのは、財政再建の手法として国会決議のあるあれを取り上げるという考え方はない、こう申しておるわけでありますので、税調の御議論の中に、特にこれは議論の外に置いてくださいという性格では必ずしもないのではなかろうか、こんな感じでございます。
○多田省吾君 それは国会決議の言葉じりだけをとらえた解釈であって、国会決議の精神から見れば私はそういうことにはならないと思います。大変不満な御答弁だと感じます。
 次に私は、非課税貯蓄制度の改正につきましてお伺いしたいと思います。
 不公正税制の代表例の一つとされてきたのが利子配当所得の税制改革でございまして、そのためのグリーンカード制度の導入であったはずでございます。そして、やはり分離課税方式をやめて総合課税方式にすべきだというのがその根幹でございました。我が党もその実現を強く主張してきたものでありますけれども、凍結されたまま、しかも今回の改正で廃止されようとしております。そして、このグリーンカード制にかわるマル優あるいは郵便貯金等の非課税貯蓄制度の改革がこの六十年度改正の焦点となっているのでありますけれども、その結果は現状と大差ない、全くしり抜けの内容になっていると言わざるを得ません。果たしてこの制度で限度管理とそれから本人確認というものが厳正に行われると大臣はお考えなのかどうか、その所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かにグリーンカード制というものは、多田さんがおっしゃいましたような環境の中ででき上がってきたものでありました。
 その後御案内のような経過を経まして、六十年度答申におきましては、利子配当所得も包括的な総合累進課税の対象とすることが望ましいという考え方は基本的には今後とも維持されてよいとの意見が多く述べられたこと。そして一方、税制の簡素化、効率化や今後の金利自由の展望等を踏まえれば、すべての利子に対して中立的である一律分離課税方式も中長期的な選択肢として検討に値するという考え方が、今度はこれは少なからぬ委員からあった、こういう答申の文章になっておるわけであります。結局、今度それらの諸論議を踏まえまして、源泉分離選択課税制度を併置することは、利子配当所得の特異性等を考慮すれば実質的な公平を確保する見地から十分評価されてよい、あるいはやむを得ないとされたというところから、存置することにしたわけであります。
 したがって、今度いわゆる限度管理問題につきましては、これからこれがまさに実効の上がるように今後とも議論を重ねながら実施に移していくという基本的な考え方を持っておるわけであります。
○多田省吾君 私は、しり抜けということを非常に心配しているのであります。
 もう一つの問題は、源泉分離選択制度の恒久化ということでございます。
 利子配当課税の改正問題についてもう一つの問題があるわけです。今回の改正で、課税貯蓄についての源泉分離選択制度は今までは時限立法でございました。これを本年度の改正で恒久税制にしようとしているわけでございます。先ほど私申しましたように、そもそもグリーンカード制というものは、非課税貯蓄の限度管理や本人確認を厳正にしていこうというだけではございません。また、個々の課税貯蓄を総合課税にするため、そして源泉分離選択課税制度というものを廃止するために、グリーンカード制というものがとられたわけでございます。このグリーンカード制は残念ながら日の目を見ないで、そしてついえ去ろうとしておりますが、政府はこのグリーンカード導入の精神、グリーンカード導入の趣旨さえも否定してしまいまして、そして源泉分離選択制度というものを恒久税制化しようとしている、これは私は許せないことだと思います。
 これは、大臣はどう考えてこういうものを出されたのですか。
○国務大臣(竹下登君) これは先ほども申しましたが、税制調査会で特別部会等いろんなものを設けていただきまして議論された結果、今多田さんのおっしゃいましたような包括的な総合累進課税の対象とすることが望ましいとの考え方は、基本的には今後とも維持されてよいという意見が多く述べられたが、一方いわゆる国際化、自由化していくというときに、すべての利子に対して中立的である一律分離課税方式も中長期的な選択肢としては検討に値するということで、政府としてそれらの答申に基づきまして私どもといたしましてはそのような措置を講じたところであります。
 なお、利子配当課税全体のあり方につきましては、利子配当所得の持つ特異性とか、金融の国際化、自由化の進展といった新たな状況を踏まえながら、所得税制全体の中での見直しとの関連で、今後ともさらに検討されていくべき課題であるというような問題意識を持っておるところでございます。
○多田省吾君 利子配当課税につきましては、今申し上げた源泉分離選択課税制度の問題のほかに、そのほか普通預金等の確定申告不要制度とか、あるいは一銘柄十万円以下の配当の確定申告不要制度とか、あるいは割引債の償還差益の源泉分離課税制度の恒久化というものが行われようとしておりまして、今後ますます高資産家とかあるいは高所得層が優遇されようとする、そういう措置であると言わざるを得ません。それを法的に認知しようとする傾向があらわれておるわけでございますが、この問題は大きな問題でもあり、税制改正案審議の際にまたお伺いしようと思います。
 最後に私は、豪雪による雪おろし費用の雑損控除の問題について御質問したいと思います。
 この冬の豪雪というものは大変なものでございまして、新潟県の上越市におきましても、戦後最大の豪雪である、あるいは実際降った雪の累計はもう二十数メートル、三十メートルに近い、このように言われております。雪おろしのためにお亡くなりになった方も新潟県下においても四十数名、全国では六十数名に及ぶと思いますが、そういった大変な事態にもなりまして、大変残念でございます。特に私も豪雪被害の実情を見てまいりまして、雪おろし等も実際やってみまして、これは大変な問題だ、このように思います。
 豪雪による雪おろし費用等の雑損控除制度がつくられまして、それを活用しているわけでございますが、いろいろな問題があります。その第一は、控除額計算の算式の中で五万円の足切り額が
ありますけれども、これをもっと引き下げるかあるいはこれを撤廃して支出額全額を控除の対象とできないものかどうか、この辺が第一でございます。やはりそのほかにも、今回の雪害では煙突とか軒とかあるいはいろいろな附属物が相当壊されている。大きな被害を受けておるわけでございます。また、雪おろしも十回ほどやった。その費用はまた昨年以上の莫大なものになっております。そのほかの損害も大変なものです。そういったことを考えれば当然このぐらいは必要ではないか、このように思います。
 それから、控除対象となる中に、雪おろし費用の中で他人を雇った場合の費用も対象となるわけでございますけれども、その辺が大変手続上問題がございまして、確定申告の際に支払った際の領収書などの証明書の提出、提示が必要となっておりますし、この領収書がなかなかもらえないのが実態です。領収書がない場合は家計簿等で証明があればよろしいということでございますが、税務署によってもその辺の裁量がいろいろまちまちでございまして、家計簿自体これをつけてないという家庭も多いわけでございます。これらにかわるべきもっと簡便な方法もとれないものかどうか、こういった問題についてひとつ前向きに対応していただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) 雪おろしの、除去に伴います雑損控除の問題でございますけれども、ただいま委員がおっしゃいましたように、五十六年の税制改正でこれを拡充させていただきました。したがいまして、いわゆる雪おろしの費用だけではございませんで、うちの周りの雪を除去する、それからその雪を雪捨て場まで運んでいく費用までを雑損控除の対象とさせていただく。 同時に、いわゆる足切り限度額について、医療費控除とのバランスを考えまして、五万円という額を設定させていただきました。
 元来この雑損控除は、医療費控除なんかもそうでございますけれども、税制の考え方と申しますのは、こういう不時の損失あるいは不時の出費というものに対しまして、ある程度の範囲内は人的控除で考慮されておるわけでございますので、一定額を超えた場合にやはりそれは担税力の減殺要因であろうということで、このいわゆる足切り限度額というのは設けられておるわけでございます。諸外国の税制を見ましても、雑損控除、医療費控除に類したものをおおむねどこの国でも持っておりますけれども、どこの国におきましてもいわゆる足切り限度は全部設定されておるというのは、そういう所得税に対する基本的な考え方に基づくものでございますので、足切り限度を撤廃するというのは本来所得税制になじまない。
 それから五万円の額でございますけれども、これは医療費控除とのバランスで五万円を設定したと申し上げましたけれども、この医療費の五万円自体が昭和五十年に設定されたものでございまして、現在この水準が果たしていいのか、もっと引き上がるべきではないかという議論すらあるわけでございます。したがいまして、御指摘の点については十分承りますけれども、私ども税制当局としてはこの足切り限度を撤廃したり引き下げるということについては問題ありという認識を持っております。
 後段の問題は国税庁からお答えいたします。
○政府委員(冨尾一郎君) 先生御指摘の、例えば他人に雪おろしを頼んでその費用を払った、それを雑損控除の対象とする場合に領収書がなかなかとれないではないかというような御指摘でございますが、基本的には所得税法施行令によりまして、雑損控除の適用を受ける場合には、領収を証する書類を確定申告書に添付する、もしくは確定申告を提出する際にこれを提示するということになっております。
 しかし私どもとしては、いろいろ領収書の交付を受けることにつきまして困難な事情もあるということも考えまして、領収書にかえまして、家計簿等によりまして支払った年月日、支払い先、支払い金額ということが確認できます場合には無理のない取り扱いをし、雑損控除の適用を認めるということにしておりまして、この点につきましては昭和五十六年の一月に国税庁長官の方から各税務署の方に通達をし、取り扱いの統一、徹底を図ってございます。
○近藤忠孝君 先ほど来、公正、公平ということが盛んに言われておりますが、問題は中身だと思うのです。
 そこで、最初に大蔵大臣にお伺いしますが、公平な租税とは何かということについての大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 公平、公正という言葉が使われておりますが、公平というのは、この間勉強してみますと二つの公平があるそうでございまして、一つい垂直的公平、一つは水平的公平。水平的公平というのは同じ所得の者が同じだけのものを納める、それから垂直的公平というのは、いわば所得の高い者がそれに応ずる応能的な公平、こういう意味のようでございます。
○近藤忠孝君 大体教科書的な答弁でありました。問題はさらにその実質的な中身なんですが、これはきょうは一遍に議論ができないのでおいおい聞いていきますが、きょうはひとつ問題を絞ってお聞きをしたいと思うんです。
 この臨調行革が進んできた四年間で、所得再配分機能というのはむしろこれは逆になりつつあるんじゃないか、こう思うのです。
 まずそこでお伺いしますが、社会保障費の一般会計予算の構成比に占める割合、これは一九八〇年には一八・九%であったのが八五年には一八・二%に減っていると思うんですが、実際はどうでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) 保障関係費の一般会計予算に占める割合は、今委員の御指摘のとおり若干減ってきております。しかし、一般会計予算から国債費及び地方交付税を除きました一番予算らしい予算である一般歳出、それに占める割合はかなりの程度上がってきているということでございます。
○近藤忠孝君 しかし以下はよろしいんであって、今の一般会計に占める割合が問題だと思うんです。その点で私は、一八・二%というのはこれはそんなに高い額じゃないし、むしろ国際的に見ますと大変低いんじゃないか、こう思うんです。
 そこで、同じ基準で、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、大体八五年前後のそれぞれの資料があると思うんですが、それぞれ各国の社会保障関係費の占める割合を御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 主要各国の予算において社会保障関係費がどれだけの割合を占めているかということにつきましては、いろいろ比較上の難しさがあるわけでございます。
 第一に、各国によって社会保障制度自体の内容にいろいろ差がございます。
 それから二番目に、国によって中央と地方との間でどちらが分担しているかという差がこれまたいろいろございますし、特に、会計制度の違いというのは大変大きな差を生む原因になっております。
 それから三番目に、各国とも主要経費の分類が非常に細かいところもあればラフにやっているところもある。それからその中身も違っているということで、予算に占めるいわゆる社会保障関係費がどうなのかというのはなかなかこれ、比較できないのが実情であるということでございます。
○近藤忠孝君 本当に正確に比較できなくても、おおよそのところでの比較はできると思うんですね。
 これは大蔵省にも確認した数字で、おおよそのところでありますが、アメリカの場合には、八六年予算で社会保障関係の占める割合が四三%。国債費が一四・六%ですから大変な額だと思うんですね。それから、イギリスが八四年予算で二七・四%、これは国債費は六・六%であります。それから、ドイツが八五年予算で三一・二%、国債費は、これはもう数字に示すほどのものでない。フランスは八四年予算で二〇・八%、と見てみます
と、さっき言われたような問題はあるとしても、日本の一八・二%というのはかなり低いんじゃないかと思うんです。
 今私が申し上げた数字は、これは間違いないでしょう。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員がおっしゃいました数字は、おおよそそういう感じになるかと思いますが、先ほども申し上げましたように、くどいようでございますけれども、幾つか検討しなければならない問題があるのではないか。
 例えばアメリカの場合ですと、日本の特別会計でやっているのも全部合算しておりますので、日本の場合は一般会計から特会への繰り入れだけが社会保障関係費に出てきますけれども、その先の給付費とかが一切加算されますので、非常に率が高くなるわけでございます。
 それから、アメリカの場合はいわゆる地方へ交付税等で出すもの、こういう仕組みはございませんから、数字的にはそれをないものとしてやっているわけでございますけれども、日本の場合はそれが予算の総額の中へ入ってきますので、これを除きますと日本の率はかなり高くなってくる。
 いろいろ制度の違いその他によって、実情をよく見てまいりますとそれほど大きな差はないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
○近藤忠孝君 大ざっぱな議論で私はいいと思うんですが、しかし、外国に比べて日本が高いということではないと思うんですね。まずそれが第一点。
 それから、その上この五年間に、日本の国内で見てみれば、社会保障費の割合がやっぱり減っているということ。
 さらに加えて、今後の問題としますと、国債金利、利払いですね、これが逆所得再配分機能であることは何度も議論されてきたことであります。しかも、これはもう間もなく十兆円規模であります。わずか一兆足らずの減税をするのに大騒ぎしている中でこれはけた違いのものが逆に流れるとなりますと、問題は所得再配分機能に逆流、現在既に逆の方向に進んでおるし今後ますますそれは逆行していくんではないかと思うんですね。となれば、それに対する別の手当てが必要だと思うんです。
 そこで大臣にお伺いしますけれども、この別の手当てを、支出の面では今言ったところなんですから、今度は税制でやる以外にないんじゃないか、こう思うんですが、その点についての基本的なお考えをお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる税制上どう対応するつもりかと。税制全体として、税制に要求されております各般の要請にこたえるように、現実問題として租税というものはそういうふうに仕組まれておるわけです。したがって、さらに社会保障支出等の歳出面を含めた財政全体として考える必要があるではないかな。だから、単に特定の税目についてそれが累進的か逆進的かということを論ずるよりも、やっぱり税体系全体の中で考えていくべきものではないかな。だからいろいろな分野についてのいわゆる見直しというのは、御意見を伺いながら絶えず必要なことであるということであります。
○近藤忠孝君 具体的な答弁でないんですが、ただ方向としては今私が指摘したような方向に進まざるを得ないんですよね、歳出の面では。となると、今後の問題としてその点一体どうなっていくのか。ますますそれは格差が広がっていくじゃないか、こういうことを指摘せざるを得ないんです。
 そこで、時間の関係で一つだけお伺いしますが、今後の要調整額、これは国債残高がずっと物すごい勢いでふえていきながらもどんどん要調整額もふえていって、結局これは昭和六十五年には七兆七千億円になるというこういう仮定計算が出ておりますし、それは十分可能性があると思うんです。問題は、これが大衆負担で埋められるとなりますと、今私が指摘したことが余計広がっていくんじゃないか。そういうことはしないということ、ここでそういう発言ができるかどうか。それがないと、これはますますそういう方向へ行ってしまうんじゃないかということを指摘せざるを得ないんですが、いかがですか。そしてその場合に、大型間接税は言うまでもなくこれを拡大する方向であろうという点についてはいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 大型間接税といわず、間接税というのはある意味においては逆進性がございます。したがって、歴史的に嗜好品とかそういうものにかけられる。だが、この逆進性をも考慮しながら、なお所得税というものの捕捉の難しさからして、そこに調和をして、いろんな形で税の組み合わせというものが各国とも行われておるということであろうと思いますので、要調整額は逆進性のないものでやりますとかあるいはどういう形でやりますとかいう答えは今後の議論の過程の問題であって、今日は、まずはいわゆる六十五年赤字公債脱却のために歳出、歳入両面から制度、施策の根本にまでさかのぼって議論を詰めていくというのがお答えの限界ではなかろうかというふうに考えます。
○栗林卓司君 大臣の所信表明から一点だけお尋ねをしたいと思います。
 財政再建の強力な推進という項目の中で、二ページ目になるんですが、「歳出面におきましては、政府と民間の役割分担並びに国と地方の機能分担及び費用負担のあり方を見直すなど、連年の努力を踏まえ、その節減合理化にさらに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。」、こうなっているわけですね。「政府と民間の役割分担」、これはどうやっておやりになるかは別として、今まで政府がやっていたことを民間に渡して、やらなくなるわけですから、歳出削減に結びつくというのはおぼろげながらわかるのです。その次の「国と地方の機能分担及び費用負担のあり方」、これがちょっと理解しかねるものですから、そこでお尋ねをしますということであります。
 文脈を見ておりますと、これは六十年度だけではなくてその先にわたってまで努力をしていくということに読めるわけですが、というのは、補助金の一括引き下げ法案を御提出になっているわけですから、賛否は別として、そう御努力をなさっているんですが、あれだけではなくて今後とも努力をしてまいりますという意味だろうと思うんです。
 恐らくお書きになったのはこうではないかなと思いますのは、十二月の二十九日に閣議決定をされた「行政改革の推進に関する当面の実施方針について」、これは地方行革を含めてお決めになったわけですが、それを受けて一月二十二日、自治省としますと、「地方公共団体における行政改革推進の方針(地方行革大綱)について」、内容は御存じだと思いますが、第二臨調に準じた組織を地方にもつくってもらいたい、どういったものをつくるのか八月までに御報告を願いたい、三年というめどで進めてもらいたい、これが内容でありまして、あわせて、同じ題名なんですが、地方行革大綱についてということでいわば自治省の方で見本をつくって各自治体に提示をしてあります。
 こういった動きを踏まえながら、先ほど私が申し上げた大臣所信表明の中の「国と地方の機能分担及び費用負担のあり方を見直すなど」ということが特記されているんではないか、こう思うんですが、以上についてお尋ねをします。
○国務大臣(竹下登君) やはり地方公共団体と国とはいわば公経済を支える車の両輪である。したがって国と地方の財政は、税源配分から交付税交付金から、あるいは補助金等によって密接な関係を有しておる。そこで今日の国と地方の財政状況等を見て、いわゆる役割分担と費用負担のあり方というのを議論していかなきゃならぬ。補助金の場合は、地方自治体を通ずるのが約八割ありますから、最初はいわば法律補助が八割、公共事業、社会保障、教育が八割、それから地方を通ずるものが八割、そうしますとそこへ薄い残りがある。それを金額で一割カットということから進めてまいりましたが、今度は率でいわゆる費用負担のあり方を議論しましょうという新しい答申に基づい
ていろいろ議論しましたが、暫定措置として今国会へ出して、今後御議論をいただこうか、こういうことになっておるわけでありますが、いずれにしてもしかしその場合、いわば国も一生懸命でやりますが地方も行財政改革には協力をしてくださいというのが大前提にあるわけでございますから、今御指摘なすったような点にあったわけです。
 ただ私は、地方のこれからの、国が出しているのと同じような形で試算をつくってみろとかいう議論をしますと、地方にはまず交付税の支出というのがないわけです、政府はございますけれども。したがって、全体の中からいいますと、それらの伸びを仮定の上に立ってやりますと確かに要調整額というのは少なくなっていきます。だが、それだから地方の方が豊かだとは必ずしも言えないと思います、余りにも自治体によってアンバランスでございますから。が、総体的な地方財政計画と国との問題から見れば、公債残高から公債依存度から何から考えてもそれはよろしゅうございますが、それらも下敷きに置きながらこれから役割分担と費用負担のあり方も議論していこう、しかし大前提には、国も地方も一体となった行財政改革をやろうじゃございませんか、こういう精神で対応しているということでございます。
○栗林卓司君 歳出の削減という角度で考えてまいりますと、おっしゃったように、国の目で見てまいりますと、地方交付税、それから地方譲与税、あとは国庫支出金、この三つですね、大きく分ければ。したがって、歳出の削減で見ていくということは、交付税を下げるか、あるいは譲与税を下げるか、あるいは国庫支出金を下げるか、この三つに一つか全部かという議論になるわけですね。
 ここでその全部を詰めたことをお尋ねしようと思うのではないんで、おぼろげな方向さえつかめればよろしいんですが、そこで行政改革、地方行革大綱の中で自治省が何をやれというモデルを示したかといいますと、結局歳出の削減という目で見ますと、地方単独の補助金は整理をしていただきたい。もちろん国の補助金の方も安易に引き受けちゃいかぬよと書いてありますけれども、それとあとは結局給与と定員なんですね。これを進めてまいりますと、地方単独の補助金は整理をします、給与、定員も厳密に管理をします、それを受ける歳出面の受け皿というのは、結局地方交付税の率を下げていくということに自然になっていくんだろう。今三二%でありますけれども、最初から三二%でなかったんで、逐次上がってきて三二になっているだけなんです。そうすると、地方交付税を下げるという議論だって一つの議論対象にしていいのかもしれない、あくまでも歳出の削減というベースで考えるわけですから。あるいは国庫支出金、それについても施策、制度の抜本にまでさかのぼって見直しをするということになりますと、地方財政法十条について中身を変えていく、言い方を変えればこういったことなんですね。そこまでやっていく。どうやっていくかは非常に議論が多いところですからこれからだとしても、地方交付税の率あるいは地方財政法十条、そこまでひっくるめた――私、私見を申し上げますと、議論をしていかないと六十五年脱出は不可能だと思うので、むしろ積極的に言っているんですがね。
 そこまでひっくるめた決意をお持ちになったものとして、「国と地方の機能分担及び費用負担のあり方を見直すなど」ということを特記されて所信表明にお書きになったのか、その点だけ確認をしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) ことし議論をいたしまして、いわゆる費用負担のあり方で、恒久的なものも義務教育費国庫負担とか三つばかりございますが、大体暫定的な措置として諮らせていただいた。そのときの申し合わせが、これを一年かかって本当の議論をもう一遍してみようじゃないか、こういう申し合わせがあるわけです。そこまでが今のところ限界になっているわけですね。
 今栗林さんがおっしゃったのは、もう一歩出てみろ、それも意見として私どもわかりますが、このいわば両者の調整をとった議論の合意を得なきゃならぬもんですから、今のような御意見を踏まえながらこれからも対応をしていきたい、まずはいわゆる費用負担のあり方からいっていくようになるんじゃないかな、そんな感じでございます。
○青木茂君 大臣の所信表明を、字面を追うのではなしに、行間のいわゆる竹下財政というのは一体何なのかなという角度で読ませていただいたわけなんです。
 正直言って、普通のことがどうも書いてある、普通に過ぎるという感じがして仕方がないんです。我々と違って竹下さんは未来のある方だし、というより、未来を持ってほしいと我々心から思っておるわけなんですよ。そうでしょう。高橋是清の財政といえばはっきり具体的に浮き上がってきますよ。井上準之助の財政といったらはっきり浮き上がってきます。だから、竹下さんの財政というものが僕はやっぱりもうこの際はっきり浮き上がらなければいけないんじゃないか、こう思うわけなんですよ。
 そういう角度から一つだけ御質問申し上げますけれども、竹下さんはシャウプ勧告をどう評価なさいますか。つまり、今までの戦後三十年の日本の税制というものが、正しかったシャウプ勧告をゆがめてしまったというふうに評価なさいますか。あるいは、シャウプ勧告にも欠点があったからそれを正してきた、こういうふうに評価なさいますか。ここの一点を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 私は、シャウプ勧告は占領下でございますから、ある意味においては荒っぽく執行に移せたかもしらぬ。しかし、いわば租税民主主義とそれから所得税が基幹税になっておるという根幹は今日までやっぱり続いてきておるんじゃないかなというふうに考えますので、それは私は誤っていないと思います。
 ただ、その間に、最初財産税がやめになって今度累進税率の方へそれが転嫁された、その辺までは私は当時の経済社会環境からいえば余りゆがみとは感じなかったんじゃないかな、現在はそれがゆがみになっておる。その後、結局いろんな特別措置やそのときの経済情勢の推移の中でいろんなひずみ、ゆがみというのが出たものが、所得税においては中堅層をどうするかとか、いろんな議論が出てきておるというふうに、これはまず認識してかかるべきだ。私は、今になってみればあの時代だったらそれはそれしかやれなかったんだろうなという、問題点もないわけじゃございません、結果として酒税、たばこ等が三分の一のシェアを占めるような経済情勢でございますから、そういうことしかなかったのかなと思いますが、所得税を基幹税とするという考え方は私は正しかったんじゃないかなと思っております。
○青木茂君 シャウプ税制というやつは、アメリカの占領政策の中では一番良心的と申しますか、いいものだったと思うんです。そして、実は日本人の民意を非常な努力で聞いてつくった、僕は非常に評価できるものだと思っているんですよ。
 シャウプさんが今生きていて日本の税制を見たら、僕は泣き出すんじゃないかという気がして仕方がないんです。例えば税率の区分だって、あのときはたしかシャウプさんは八段階でしたよね。それがぐんぐん延びてしまった。それから、富裕税と申しますか、財産税と申しますか、そういうものもあったし、何よりもキャピタルゲインの課税を認めておったし、それから特別措置というものに非常に拒絶反応を持っていた。それから、申告納税制度の罰則強化だとか、家族に給料を払っていわゆる所得分散させること、大体あれだって非常にいけないことだと言っているわけなんですよね。逆に言うと、私は、シャウプ税制をゆがめてしまったんじゃないか。それが現在の不公平であり、不公正であり、いわゆる煩雑な税制のもとになっているんじゃないか。
 だから、私が竹下財政にお願いを申し上げたいことは、シャウプの原点に一回返って現在の税制というものを考え直していただきたい。これはお願いなんですよ。
 これで、お答えを聞いて、終わります。
○国務大臣(竹下登君) 一つは、竹下財政あるいは竹下税制というほどのものができると私は思っておりません。国民の方が賢いから、むしろ国民の意見を聞いてコンセンサスがどこに求められるかというのを判断するのが、そういう調整もまたリーダーシップの一つかな、こんな考え方にとかく立ちがちでございます、万事控え目でございますから。
 いま一つは、今の御議論のシャウプの原点に返れと。確かにあのときちょっと無理だなというのもございますが、私は、大筋としてはあの原点というものはこれは心棒に置くべき問題だというふうに考えております。
 それからもう一つは、さはさりながら、アメリカの税制も少し複雑化し過ぎて、できるかできぬかわかりませんけれども、今度はフラット税制みたいな感じが出てきた。その限りにおいては、最近の国会の議論を聞いていると日本の方が進んでおった点もあるんじゃないかなという感じがしますが、申すまでもなくシャウプさんの勧告というものからでき上がったものはやはり心棒に置いて結構だと思っております。
○野末陳平君 大臣の方針として税制の抜本改革を税調に諮問するのはいいと思うんですが、そうなりますと、先日の与野党合意の政策減税なんというのは非常に邪魔になるというか、矛盾してまずくなるんじゃないかという気がするんですね。
 というのは、それぞれ単身赴任あるいは寝たきり老人、それから高校の入学金でしたか、あれは喜ぶ人もそれはいるとは思うんですが、しかしあのばらばらの整合性のない三つの減税をここで本当にやる気なのかどうか、あるいはやっていいのかどうかということも考えなきゃいけないんですが、大臣はどう思いますか。
○国務大臣(竹下登君) 私どもが今日まで国会等で御答弁申し上げておりますことは、やはり基本的に申し述べなきゃいかぬ課題だと思うわけであります。いわゆるさまざまの生活様態の中から特定のものを抽出してそれに対する税制上の措置を行うことは、その基準をつくることといいなかなか困難な問題であるという、大筋そういう範疇に入る三つの課題だというふうにも受けとめられると私は思っております。したがって、その種の質問も衆議院の大蔵委員会等でもございますので、その際は今日までの税調の答申等は正確に申し上げておるところであります。
 ただ、この与野党合意の政策減税というものにつきましては、言ってみれば議会制民主主義、そしてその根幹をなす政党政治というところにおきまして、まさにその政調・政審の専門家会議でこれを議論しよう、こういうことになっておりますので、目下のところはこれに対しての推移を見守ると同時に、出た結論に対してはこれはもとより最大限尊重しなきゃならぬ。そしてこれから御議論なさる過程においては、我々としては可能な限りの資料提出とか、いわゆる文献とかいろいろ出てくるでありましょう、それらに対しては協力を申し上げなきゃいかぬ、こういうスタンスで臨んでおります。
○野末陳平君 出た結果がどうなるかそれはわかりませんが、それを尊重するということは、恐らく結果的に、税体系を簡素化しようなんという今の動きに逆行することになるのは目に見えているわけでしょう。
 こういう個別事情が達うのはだめだというのは再三大蔵当局が今まで主張してきたわけですから、そうするとそれをまた認めると、際限なくその種の要求が出てきた場合にどうするんですかね。かえってそれが次々と不公平を生んでいくんだ、こういう批判を浴びてくると思うんですよ。それで片方において、税が複雑だから抜本改革を諮問してと、こういう矛盾したことをやっていたら、税に対してますます不信感を持たれるようになると思うんです。そういう心配がすごく大きいと思うんですがね。
 だから、尊重するというのは必ずしもいいことだとは思えないんですが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり政党内閣、そうして国権の最高機関ということを考えれば、私は最大限尊重すべきものであろう。ただ、何分政調・政審会談で御検討いただくわけでございますから、そこの結論というものがいわば政治全体の社会からゆがんだ結論が出るということを予測して対応すべきではなかろう、立派な結論が出てくるであろうということでコメントを差し控え、これを静かに見守っておるというのが政府サイドのあるべき姿であろうなというふうに思っております。
○野末陳平君 結果的には恐らく現場もそれから納税者も混乱するだろうと思うんですね、ああいう余り基準がはっきりしないような減税が実現されると。それでもやはり喜ぶ人がいるんだからいいというような国会尊重が、果たして正しいかどうか疑問があるんです。それにしても、まだ結果が出てないわけですから心配をしているということだけ言いたいんですが、むしろああいう個別事情のをやめて、総理もおっしゃっているように、所得税を中心とした減税をという方針を打ち出しているんですから、一般的な減税の中であれもこなしちゃうということが一番いいんじゃないか、そう思いますが。
○国務大臣(竹下登君) 今もいわゆる所得税体系の中でなじむ形で結果としてそれらの問題が吸収されるというのが一番理想的ではないか、そういう議論もあの会談の後、衆議院の大蔵委員会でございましたか出ておりました。したがって、やはりそれらの議論もあることも承知の上で、各党にそういういろんな議論があるわけでございますから、御議論がなされていくであろうというふうに私どもは見守っておるということであります。
○野末陳平君 それから、先ごろ予算委員会で総理が、直接税を大減税するような、累進税率の緩和とか最高税率を引き下げるとかいうことも具体的にかなり含めた上で直接税減税とおっしゃるようでしたが、その場合には当然財源のことはもう間接税ということが頭になければ言えないわけだと思うんですが、大蔵大臣としてはどうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) これは私も考えてみました。
 総理は、諮問機関に対して諮問をされるわけですね。そうすると、やっぱり一つの見識もあっていいんじゃないか。大蔵大臣と自治大臣というのは、地方税の事務当局であり国税の事務当局という立場も持っておるわけですね。そうでございます。税制調査会の事務担当という立場を持っておるわけでございます。したがって総理が、確かに私も所得税の減税もやりたい、しかし赤字公債でもって財源に充てることはできないという一つの願望、自分の考え方を述べられたというのはそれなりに私は結構ではなかろうか。
 大蔵大臣としてどうかということになると、それはやっぱり二つの側面がございますから、一つは政府税制調査会の事務当局を担当しておるということになると、余り予見を与えるような議論は差し控えるべきではないかな、こういうことを自問自答しながらこの間から今日に至っておるということでございます。
○野末陳平君 もう一つ。
 いずれ予算委員会がまたあしたからありますからあれですが、大蔵大臣の個人的な感触を聞きたいんですが、最近いろいろ税金に対する不平不満とか町の声とかあるいはいろいろなテレホンサービスのようなものがあって、そういうものなども参考にして私の感じるところ、ここまで直間比率が直接税に偏重してきますと、むしろ一般サラリーマンの中にも間接税を、直接税は減税してもらってそのかわりに間接税ができてもむしろその方が公平でいいんじゃないかというような声も出てきているんですね。だからといってすぐ間接税がいいというわけにもいきませんし、それから直間比率の見直しというのは結果的で、全体の租税負担率がどうなるかというのはあくまで結果ですから、それは大臣もよく答弁なさっていますが、ただ世論の中で、余りにも直接税の負担感がきついがゆえに間接税の方が公平じゃないかという声が出てきている、そういうような感じがあるんです
が、そういうことに対して大臣は個人的にどういうふうに受けとめられているか、それを最後にします。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる何がゆがみか何がひずみかというのを税調でいろいろおっしゃったのを整理してみて、簡単に申し上げますが、所得再配分機能の問題で中堅所得者層の負担の緩和にも配慮しなきゃいかぬじゃないかとか、あるいは執行面で実質的公平を欠いているんじゃないか、これは捕捉の問題です。それから課税ベースの浸食という問題で、租税特別措置はいろんな意味でやっぱり原則を曲げているんじゃないかとか、そしてまた非課税貯蓄の問題等、そしてもう一つが、いわゆる我が国の間接税はいわば嗜好品に限っておるが、近年サービス等その消費が急増しているが国税としてはほとんど課税対象になっていない、そういう問題をどうするか。そして今おっしゃった、結果としての問題ですが、消費態様の変化や物価の上昇に伴って課税ベースの相対的縮小が税負担水準の低下を生じやすい、いわゆる間接税は、という問題。それから酒税は大衆化した問題。それに加えまして、今まさにおっしゃいました、税体系が結果的ではあるが近年直接税に偏り過ぎているのではないかという指摘もたくさんあるわけでございます。
 それらを素直に税調で御議論をしてもらおうという考え方でございます。
○委員長(藤井裕久君) 以上で大臣の所信に対する質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時九分散会