第102回国会 大蔵委員会 第6号
昭和六十年三月二十六日(火曜日)
   午前十時開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
    委 員
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                中村 太郎君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       前田 正道君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       大山 綱明君
       大蔵大臣官房審
       議官       角谷 正彦君
       大蔵大臣官房審
       議官       大橋 宗夫君
       大蔵省主計局次
       長        的場 順三君
       大蔵省主計局次
       長        保田  博君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理財局長  宮本 保孝君
       大蔵省証券局長  岸田 俊輔君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       国税庁直税部長
       兼国税庁次長心
       得        冨尾 一郎君
       国税庁調査査察
       部長       村本 久夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       環境庁長官官房
       総務課長     幸前 成隆君
       国土庁防災局防
       災企画官     友兼 郁夫君
       法務省刑事局刑
       事課長      東條伸一郎君
       通商産業省産業
       政策局企業行動
       課長       中川 勝弘君
       通商産業省立地
       公害局公害防止
       企画課長     伊吹 迪人君
       郵政省貯金局第
       一業務課長    神岡 篤司君
       労働省職業安定
       局障害者雇用対
       策室長      藤原 正志君
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  本日の会議に付した案件
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○入場税法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案、入場税法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から三案について順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案並びに入場税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、公益法人等及び協同組合等の法人税の負担水準の現況にかんがみ、これらの法人の法人税率を引き上げることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 すなわち、公益法人等及び協同組合等の各事業年度の所得に対する税率を二%引き上げるとともに、協同組合等の清算所得に対する税率について所要の調整を行うことといたしております。
 次に、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情に顧み、租税特別措置の整理合理化を行うとともに、利子配当等の課税の適正化措置を講ずるほか、基盤技術の研究開発及び中小企業の技術基盤の強化に資する措置その他所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、既存の租税特別措置の整理合理化であります。
 まず、企業関係の租税特別措置につきましては、昭和五十一年度以来連年厳しい見直しを行ってきており、その整理合理化をさらに進める余地はかなり限られている状況にありますが、昭和六十年度におきましても、株式売買損失準備金制度を廃止するなど、特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うことといたしております。また、登録免許税の税率軽減措置等につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。
 第二は、利子配当等の課税の適正化等であります。
 利子配当等の課税につきましては、郵便貯金を含む非課税貯蓄制度の限度額管理の適正化を図るため、住民票の写し等所要の書類の提示による氏名、生年月日及び住所の告知、その確認についての証印制度を導入する等の措置を講ずるとともに、総合課税の対象となる利子配当等につきましても、本人確認制度の整備を図るほか、源泉分離選択課税制度の適用期限の定めを廃止する等の措
置を講ずることといたしております。
 なお、少額貯蓄等利用者カード制度は廃止することといたしております。
 第三は、協同組合等の法人税の配当軽課税率の引き上げ等であります。
 すなわち、公益法人等及び協同組合等の法人税につきましては、これらの法人の法人税の負担水準の現況にかんがみ、別途提案しております法人税法の一部を改正する法律案により、その軽減税率を二%引き上げることとしておりますが、これに対応して協同組合等の配当軽課税率を一%引き上げるとともに、特定の医療法人の軽減税率を二%引き上げることといたしております。
 第四は、試験研究促進のための措置であります。
 まず、技術研究開発を推進するため、試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除額に加えて基盤技術の開発研究用資産について、取得価額の七%相当額の特別税額控除を認める措置を講ずることといたしております。
 また、中小企業者等の試験研究費について、その六%相当額の特別税額控除を認める措置を講じ、試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除との選択適用を認めることといたしております。
 第五は、土地、住宅関連税制であります。
 すなわち、民間活力の活用等の観点にも配慮しつつ、高度利用地区等における特定の優良な再開発建築物について割り増し償却を認める措置を講ずることとするほか、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例等につき、所要の見直しを行った上、存置する等の措置を講ずることといたしております。
 第六は、法人の利子配当等に係る所得税額の控除等の特例措置であります。
 すなわち、法人が支払いを受ける利子配当及び割引債の償還差益につき源泉徴収された所得税額については、五年間の臨時措置として、当該事業年度の法人税額を限度として控除することとし、控除し切れなかった部分の金額については、翌事業年度以降の法人税額から四年間にわたり繰り越して控除し、この期間内に控除し切れなかった部分の金額は、四年目に全額還付する措置を講ずることといたしております。
 その他、中小企業技術開発促進臨時措置法の制定に伴い、技術開発事業に関する計画を実施する組合等の構成員が取得する一定の機械等についての特別償却等の措置を講ずるとともに、特定外国子会社等に係る所得の課税の特例制度について所要の整備を行うほか、老年者年金特別控除、農業協同組合等の留保所得の特別控除、交際費等の損金不算入措置並びに揮発油税及び地方道路税の税率の特例措置等適用期限の到来する租税特別措置について、実情に応じその適用期限を延長する等所要の措置を講ずることといたしております。
 次に、入場税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 政府は、最近における入場税負担の状況に顧み、その軽減を図るため、映画、演劇等の免税点を引き上げることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 すなわち、映画に適用される免税点を現行の千五百円から二千円に、演劇、演芸、音楽、スポーツまたは見せ物に適用される免税点を現行の三千円から五千円に、それぞれ引き上げることといたしております。
 以上が、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案並びに入場税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(藤井裕久君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木和美君 私は、まず素朴な国民の疑問にぜひ率直に答えてほしいという意味で、一般的な問題を御質問したいと思うのであります。
 その第一は、素朴な疑問ということで私が感じていることを申し上げますので、まず大蔵大臣の感想というか、現状認識についてお尋ねしたいと思うのです。
 その一つは、一般国民は、現在の赤字財政というものに対して、何にも手をつけないまま、ただ情勢の推移を待っているというようなことで、政府に任しておけば本当にいいのか、そういう私は疑問を率直に持っていると思うんです。
 それから二つ目は、本会議でも御質問申し上げましたが、赤字国債の依存から脱却する五十九年度がまた六十五年に延びちゃった。それもどうも実際できるのか。五十九年が五千二百五十億、六十年が七千二百五十億、そういうところから見て、六十一年以降一兆一千五百億、こういう償還が可能なんだろうかというような心配もあると思うんです。
 三つ目には、ましてや最近、アメリカ経済の不景気が各新聞で伝えられるような状況になりまして、アメリカ経済と日本経済が輸出依存型をとっている経済状態の中で、直接打撃をこうむりはせぬだろうかというような、そういう心配もあると思うんです。
 それから四つ目には、そういう状況の中で、これも私が指摘を申し上げました不公平税制を拡大する、またデフレ効果を招くというような大型間接税の問題が取り上げられている。その大型間接税そのものに対しても、どうもよくわからないということで大変疑問を持っていると思うんです。ましてや、一般消費税導入でやけどをなさった皆さん方の方は、総理も大蔵大臣もシャウプ税制の見直しとか、税負担の公平化とか、直間比率の見直しとか、そういうふうに言葉を変えていろんなことをおっしゃっているわけでありますが、結局は増税ではないのかというような疑問があると思うんですね。
 もう一つは、一方国民生活の方を見ると、所得税減税が行われないまま実質増税となっているというようなことで、不公平税制に余り手が入れられていない。相変わらず大企業や金持ち優遇の状況になっているのじゃないか、私は、財政に関して率直に国民はこんな疑問を持っていると思うんです。同時にまた、関心も深いと思うんですね。そういうときに、ただ国会の技術的な答弁ということだけで本当に国民に、国債の信用であるとか政治に対する信用であるとかということが保たれるのだろうかということを、私は率直に疑問を持っているんです。
 まず大蔵大臣から、私の御指摘を申し上げましたような一般論で結構ですから、後ほど具体的な問題は具体的に入らせていただきますが、そういう問題についての御見解を伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) まず一つは、今大変赤字財政である、一体このまま政府に任せておいていいだろうか、国民がそういう素朴な気持ちを持っておるではないか。
 大前提として申し上げますのは、今鈴木さんが御指摘なさいましたように、今日ほど財政あるいは税制について少なくとも国民の関心が高いことはなかろうというふうに私は思っております。特にそれは、財政というものが赤字財政、赤字財政という言葉でもって呼ばれますからなおのことそうであろうと思っております。
 よく言われますのは、税金、物価は肌でわかる、ところが、財政赤字は肌でなかなかわからない。確かに、自分が借金しておりますならば、催促が参りますし金利もかさみます。また税金は、自分がいただいておるところからペイヤーとなって支払うわけでございますからよくわかりますが、財政赤字というものは、借り手は一応形の上では国民とはいえ政府そのものが借りておりますから、実感としてなかなかわからない。じわじわとしてわかってくるのは、それによって高金利をもたらしたり、あるいは民間金融を圧迫したり、こういう状態が出ればそれはわかりましょう。しかしそ
れでも、短絡的にこれが財政赤字だというのはわかりにくい点はあろうかと思います。しかしそれにもかかわらず、財政というものに対して、また税制というものに対して、今日ほど国民が総参加で、少なくとも議論とまでいかないでも感想を述べるというような状態になっておることは、私は現状認識としては等しくしておるところであります。
 したがって赤字財政の問題につきましては、私は今度のアメリカのことに対しても、いろんな議論がございますが、言ってみれば、アメリカも財政赤字というものによって金利が上がって一応の限界に達した。ちょうど日本の昭和五十四年の成長というものが、五十二年、五十三年のいわゆる公債増発による爛熟した景況感が、いい方へ出てきたのが五十四年かな、こんな感じがしておりますが、その五十四年、はたと気がつきましたら、それこそ大変な公債残高になり、これは孫子の代にツケを回す、また金利負担の上昇ももたらすということから、五十五年から財政再建という言葉の中でこれに突入しようとしたというような感じで、アメリカ経済があるいは日本の五十四年のような感じであるのかなという見方もまんざらないではなかろうというふうに思います。
 したがって、やはり後世代へのいわばツケ回しということ。私、昨日も質問が穐山さんからございまして答えましたが、確かに借換債、いわゆる赤字公債の残高が仮に昭和六十五年、六十六兆ぐらいになるといたしましても、それを今の建設公債と同じような形ですべてを償還したとすれば、その赤字公債だけの残高がなくなるのが、私が百二十六歳のときで穐山さんが百二十二歳のときこういう計算が出ますから、まさにこれはそういう負担を孫子に残すべきではないというのがまず基本認識でございます。
 そこで二番目の、赤字国債からの脱却が昭和六十五年にできるか。申されるまでもなく五十九年できないということでギブアップをいたしました。それで、そういう財政改革の新たなるスタート台からいえば二年目に当たるわけであります。したがって、平均して申しますならば、一兆八百億円程度のものが減額されなければならなかったものが、結果として今御指摘の七千二百五十億円。そうすると、後年度にまた平均してみますと一兆一千五百億円程度になるわけであります。しかし私どもは、これは大変難しい課題であるけれども、財政改革に対する取り組む基本姿勢というものが財政改革の手順の第一期であるという認識のもとに立っております限り、私はこれはおろすべき旗ではないというふうに考えております。
 それから、米国経済の不況、今日の問題でございます。いわゆる第一・四半期の経済成長率、これは暦年でございますが、いわば前期比率二・一%の増加、言ってみれば大変スローダウンしたではないかということであります。かつてはアメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引くと言われたわけでございますが、米国と日本との経済関係は今日でも私は重要な相手国であるということはこれは今も変わらないことでございます。
 したがいまして、これに対応する物の考え方といたしましては、これはやっぱりいろんな問題が出てくるでありましょうが、私は総体的に申しますと、アメリカの景気が、いわばソフトランディングと申しましょうか、安定成長に軟着陸していくという今の過程ではなかろうか。言ってみれば、前期、前々期等がいわば上方修正が絶えずされましたように、高過ぎたという表現は適切でないかもしれませんが、予想を上回り過ぎておった、こんな感じがいたしますので、我が国は当然アメリカの成長率がスローダウンすれば輸出の伸びは若干の鈍化をいたしますが、しかしながら、今いわば世界的にも超物価安定、あるいは企業収益の堅調等から、他の景気拡大を支えます好条件は続くものと見られますので、今後とも設備投資等、国内民需を中心とした安定成長を持続していく施策に万怠りなく対応していかなければならないと思うわけであります。
 それから四番目の、大型間接税、確かに中曽根さんはシャウプ以来、こうおっしゃっております。シャウプ税制そのものは私は今日も評価さるべきことは数ございますが、その後のいわゆるゆがみとか、ひずみとかいうものがいろいろございますので、ここのところで、言ってみれば、不公平税制というものが存在しておるとはこれは大蔵当局から申し上げるわけにはいきませんが、不公平感があるということは我々も十分承知しておりますので、公平、公正、簡素、選択、そして活力という――中曽根総理は五つの言葉がかなりお好きのようでございます。もう一つは、網羅、包括、普遍、多段階、投網、これも五つでございますから、大体五つの言葉がお好きのようでございますが、そういう角度からこれの抜本見直しをしていこう、その抜本見直しは税制調査会に当然諮問をして答申をいただくことにするわけでありますが、その基礎となるべきものが、国民各層の意見を聞いてというこの税調自身の答申にもございますので、まず国会の議論ありき、今国会でさまざまな角度から議論された問題を正確に整理して、これを税調に持ち込んで議論をしていただくという考え方でございます。
 そうして、先月までの新聞論調を見ますと、確かに税制改正とは、初めに大型間接税ありき、こんな感じでもって新聞論調も進んでおりましたが、近時はまた大変落ちついた議論がなされておるような傾向にもあると思います。大型間接税という定義は別にあるわけではございません。いわば課税ベースの広い間接税というのを一応定義づけておるわけでありますが、その間においても可能な限り国民にわかりやすい議論をしなければならないと思っております。
 それから五番目が、所得税制にいわゆる不公平感が残っておる。これは事実であろうと私も思います。クロヨンとかトーゴーサンとかいろんな言葉がございますが、その事実を肯定するという立場ではなく、そういう印象があるという事実は私も承知いたしておりますので、これらも税制調査会での御審議の重大なるポイントになるんではなかろうかというふうに思います。
 したがって、政治の信用というものを保っていくためには、それこそ広範な国民の議論が今まさに行われておるわけでありますから、その国民との一問一答の中で、最終的には負担する者も国民、受益者もまた国民という原則の中で、知識水準の世界で一等高い国民のコンセンサスがどこにあるかということを見定めていくべきだ。初めに政府はかく思うということよりも、むしろ国民の皆さん方の意見を聞くという立場の中からそのコンセンサスを徐々に徐々に幅を狭めていかなければならないというのが、今の財政の国民に対する手法ではなかろうかというふうに思っております。
 いささか話が長くなりました。
○鈴木和美君 せっかくの御答弁ありがとうございますが、私が端的に聞いていることは、とにかく物理的にも内容的にもこのままでほっておいていいのかということに対して、国民が大変深い関心と心配を持っているよ、この現状認識は私と同じかということをもう一回、端的にでこれはいいてすから。
○国務大臣(竹下登君) それは一緒であります。
○鈴木和美君 そこで、その大きな疑問の中には、今いみじくも大臣がおっしゃられましたが、国民のコンセンサスを得る、大切なことでしょう。しかし、政権を握っている自民党やつまり大蔵省というところに代表される政府が、ある意味で責任を持って、この方向とか、こうあらねばならないとかいうことを示唆するとか指示するとか、提示するとか、このことを抜きにして国民のコンセンサスと言うたって、それは私に言わせれば無責任だと思いますね、ある意味では。そしてすぐ隠れみのの政府税調というように逃げるわけなんですが、その点に対して私は大変疑問に思うんです。
 そこで、私は先般本会議で御質問申し上げました。大型間接税の問題についてはもうたびたび指摘がされていると思うんですが、三月二十日の本会議で私が質問したとき総理は、一般消費税(仮称)、取引高税に加えてEC型付加価値税につい
ても中曽根内閣では導入の意思がない、こういうふうに聞いたわけですが、私の聞いたことと大臣の認識とも同じでございますか、総理の言っていることは。
○国務大臣(竹下登君) これはまさに三月二十日参議院本会議で鈴木議員の質問に対し総理は、速記録をきちんととってみましたら、今後国民各層の御意見を伺いながら必要な見直しは税制調査会において行われるものと思いますが、我々はいわゆる一般消費税(仮称)あるいは取引高税あるいはいわゆるEC型付加価値税にしましても、いわゆる多段階、網羅的あるいは投網をかけるようなていのものは行う考えはないということを申し上げておる次第でございますと答弁されております。
 したがって、この答弁趣旨は、先ほど申しました多段階、包括、網羅、普遍、大規模、投網、そういうやり方はとらないということを従来とも整理して答弁されておりますのを、五つのうち三つが外れておりますけれども、大体整理されたものを今までどおりにお述べになったものではないかというふうに思うわけであります。
 それで、その以前の答弁を聞いてみますと、EC型付加価値税は多段階課税であるが、EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられるので、多段階という理由だけでこのような消費税すべてを否定する趣旨のものではないというふうにも述べておられますので、厳密に言えば、EC型付加価値税で今のような投網をかけるようなものはとりたくない、こういうことをおっしゃっておるのではなかろうか。さらにこれを裏返して言えば、EC型付加価値税だからといってそのすべてを否定しているものではないというふうにも理解できるではなかろうかというふうに思います。
○鈴木和美君 ここで大蔵の事務当局にお尋ねしますが、政治家とそれから役人さんとでは若干の対応の仕方が違うかもしれません。そのことは私自身も認めます。しかし、大蔵省というところは、国の予算をつくるに当たってやはり責任を持つ重要なセクションでありますから、私はやっぱり考え方を聞いておかなければならぬと思うんです。
 つまり、後ほど若干アメリカ経済についても触れさせていただきますが、内需拡大の方向というものを全然積極的にとられないような財政、そして相変わらず輸出依存の経済に支えられている。アメリカの状況が二・一%に落ち込んだ。落ち込んだ原因が何かということの認識もお尋ねしなければいかぬのですが、私が心配することは、そのことによって、つまり輸出依存型に支えられていた経済がある程度落っこちやせぬかという心配を持っています。
 ましてや、現状の自民党のいわゆる予算編成というか政策は、防衛費を切って福祉に回すというようなことをやっているわけではないのであります。いわゆる今までの予算編成の大綱と枠組みにおいて変わらぬ枠組みをつくっているわけですね。
 同時に、マイナスシーリングの問題についても、行革が現在こんな状況ではあるけれども、もう歳出カットにしても限界に来ている。また同時に、国債もそんなに発行できるわけじゃない。あと残るのは歳入で何を見るのかというようなことに、ずっとせっぱ詰まったような状況に私はあるんじゃないかと思うんです。ましてや物品税にしても、つまり一般的な消費税の枠を拡大するといっても、その財源ということについてもう限界に来ているということを率直に私は、今私が述べたような前提に立てば認めざるを得ないんですよ、私自身も。
 そういうようなことから考えてみて、一体財政当局としては、これから本当に自信を持って国民の財政を賄う大蔵省という責任が果たされるのか。それとも、これからどうしていきたいんだということを、私は率直にお尋ねしたいと思うんです。
 同時に、できれば、昨年の十二月の決算から見た税収の見込みというのをある程度発表されておりますが、いよいよ三月も終わりに近づいておるんですが、ことしの税収の見込みというようなことも含めながらぜひ、財政当局というか担当者というか、皆さんの御意見をこの際聞いておきたいと存じます。
○政府委員(保田博君) 先生先ほど来の御質問で御指摘のとおり、我が国の財政状況はまことに厳しい状況にあるわけでございますが、この厳しい財政を立て直していくということが、我々としてはやはり現在の財政金融政策に課せられた最大の、かつまた緊急の課題であるというふうに考えておるわけでございます。その前途はまことに多難であるという御指摘もまたそのとおりだと思いますけれども、いずれにいたしましてもこの課題を避けて通るわけにはまいりません。
 その具体的な方策というのは、当然のことながら、歳出をできるだけカットしていく、同時にまた歳入面におきましても財源を確保するという努力を積み重ねていく以外には方法がないわけでございます。そのいずれに重点を置くべきかということにつきましては、先ほど来大臣からも御答弁をさせていただいておりますように、国民の選択にまつ。その前の段階におきましては当然我々としても、将来の財政の展望といったような資料を御提出いたしまして、それらを素材にして朝野の熱心な御議論をいただいた上で、国民の選択の帰趨を見きわめながらこの難しい課題に対処していかなければならない、基本的にはそういうふうに考えておるわけでございます。
 税収につきましては、主税局長の方からお答えいたします。
○政府委員(梅澤節男君) 現在判明いたしておりますのは一月末の税収でございますけれども、前年の決算と比較いたしまして累計で対前年同期比で六・七%の水準にございます。御案内のとおり、本年度補正予算で二千三百九十億円の増額補正をお願いいたしました。その増額補正後の前年度の決算の伸び率は七・七%でございますので、ただいままでのいわば瞬間風速の観点からいいますと、補正後の見積額に比べましてややテンポが悪いという状況にございますけれども、何と申しましても、まだ結果は判明いたしておりませんけれども、今月半ばに終わりました確定申告の状況がぼつぼつ判明してまいりますのと、もう一つはただいま委員が御指摘になりましたように、年間の法人税額の三分の一以上を占めます三月決算の状況が注目されるわけでございますが、私ども特に三月決算の法人税収につきましては、個別の大企業ヒアリング等から得ている感触等を総合いたしますと、何とか補正後予算額を達成できるのではないかという状況にあろうかと思います。
 それから、一般的なお話は先ほど主計局の方から申し上げましたけれども、いわば財政改革の一環としてこの税制の見直しというのは非常に重要な地位を占めておるわけでございますが、これはたびたび総理なり大蔵大臣からも今国会で答弁されておりますように、単なる増税、増収あるいは財政再建というふうな観点と申しますよりは、大きな財政改革の一環として税体系を一遍総合的に見直す。その場合の観点と申しますのはもちろん公平、公正という観点があるわけでございますけれども、同時に税制が果たします経済に対する影響ということを、今後我々としては従来以上に関心を持って検討しなければならない問題でございます。
 個々の税目についてどうするかという問題があるわけでございますけれども、少なくとも既存税制の部分的手直しでは現在の税体系が非常にゆがむ、あるいは複雑化するという懸念は、昨年のと申しますか六十年度の税制調査会の答申にも述べられておりますので、そういった観点から私どもも真剣にこの税制改革の問題については取り組んでいきたいと考えておるわけでございます。
○鈴木和美君 私は、まあお役人ですからこういう場で自分の見解とか役所の方針を生で出すということはなかなか難しい場なんでしょう、そのことも理解はします。けれども、やはりもう少し、優等生みたいな答弁じゃなくて、もっと積極的な私は姿勢を示してほしいと思うんです。
 そこで、いみじくも今梅澤局長がおっしゃられておりましたが、大臣、財政当局としてはやはり現状の認識の中では、財政が日本の経済に与えるインパクトというか、そのことを重要に考えれば、何とかしなきゃならぬという認識は私は持っていらっしゃると思うんですね。ただ、先ほども指摘したように、それが一般消費税というみたいな形で物を言うと古いやけどがまた出てき得るものですから、別な表現でいろいろな話がされているようにしか受け取らないんですよ。つまり直間比率の問題にしても、それからシャウプ税制なのかもしれません、不公平税制なのかもしれません、クロヨンなのかもしれませんが、いろんな言葉の違いは考慮されて使われているんでしょうが、けつから言うと、もう少し国民の租税負担というものを上げてほしいということを言外におっしゃってるんじゃないですか、そうではないんでしょうか。
 また大蔵大臣は、新しいつまり税目とか増税をみだりに新しいものはやらないとおっしゃいますが、今財政当局がおっしゃっていることと総理や大臣がおっしゃっていることとかみ合わせると、国民は一体どういうふうに理解するのかということが非常に疑問なんですよ。ここのところを私は率直に答えてほしいんですよ。国民のコンセンサスもそれは確かに大切ですよ。皮肉った言い方をすれば、選挙が近いから今言わぬ方が得だというような感じでしか受け取られていない、ここに私は大変問題点を感ずるんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに今、財政というものが出動していわゆる国民経済にインパクトを与える、その力が弱まっておることは事実であります。したがって、財政の対応力の回復という言葉も使われてくるわけでございます。
 確かに、今おっしゃいました、いわば私どもが財政改革を進めるに当たりましての大きな一つのテキストブックとしては、いわゆる臨調答申、その後のそれをフォローアップする財革審の御意見等々が背景にあるわけであります。そこで、まず臨調答申におきまして増税なき財政再建、こういう言葉が出ております。したがってまたその定義とは、国民の租税負担率を新たなる措置によって上げるようなことはしてはならぬぞよ、こういう一つの哲学が背景にあるわけであります。また、それがないことには私は歳出カットというものを国民の皆様方に御理解をいただけないものであろう、だからそれは、理念としてあくまでも堅持すべきことであると思っております。
 しかしその臨調答申でも、いずれは――当面という言葉が使われておりますが、いずれは、いわゆる社会保険負担と租税負担とを足したならば、これからの高齢化社会に対応するためにはそれは上がっていかなきゃならぬ、しかしそのところは、国会なり政府に判断を求めて、その場合でも現行のヨーロッパの水準をかなり下回るところに目標を置かなきゃならぬ、こういうことを仰せられておるわけであります。
 したがって、租税負担というものは、それは確かに経済成長によって、いわば自然増収によって上がる場合もございます。それから不公平の是正と申しますか、俗称でこぼこ調整によって上がる場合もございます。確かに今日までわずかながら上がってきてもおりますが、将来は国民負担率というところに大きく議論の焦点を置かなければならない時期は来ると思っております。それは臨調の先生のお話を聞いてみても、四〇%を念頭に置いた議論をした方もいらっしゃいますし、あるいは四五%を念頭に置いて議論をなすった方がございますが、そこはやっぱり政策判断に最終的にはお任せになっておるわけでありますから、まずは、俗にぜい肉とかいろいろ言われましたが、そうしたものを、歳出を削減していく、それのてことしては増税なき財政再建、すなわち大きく租税負担率を上げるような新たなる措置をとらないでということがこのてこになって、今日進んできておるところではないかというふうに考えるわけであります。
○鈴木和美君 ここでアメリカ経済のことをちょっと先に質問させていただきますが、財政当局というか、大臣が総括されるのかわかりませんが、巷間伝えられているところによりますと、先ほどのお話のように国民生産が二・一%台に落ち込んじゃった、そのためにアメリカの議会筋では大変な議論を呼んでいるわけですね。そして今大臣は、何か現象的なお話のようにお話しされましたが、私はいろんな文献やお話を聞く限りにおいては、もちろんアメリカ政府は決して深刻な問題ではないというような強がりの発表をしていますが、いろんなデータを見てみますと、設備投資にしても個人消費にしても住宅建設などについても、毎期毎期ふえているわけではないんです。輸出は減らさず輸入はふえないというような条件が一番確固たる基盤だと思うんですが、そういう状況にはなってないわけですね。したがって、今期四%を予定していたが二・一%、前期は三・九%、それよりもおっこっちゃっているわけでしょう。
 一体何でこんなふうにおっこっちゃったのかというようなことについての原因、これを日本政府はどういうふうにつかまえているのか、ここをまず聞きたいんです。
 それからもう一つは、対日貿易赤字が三百四十一億ドルあるわけですね。これはアメリカの中で、日本製品の問題に対して、つまり課徴金まで加えようかというような議論もされているわけでしょう。自動車は自主規制ということ、撤廃が行われたけれども、コスト競争で大変なことになるわけでしょう。そういうような状況から見てまいりますと、日本経済は、先ほどから申し上げておりますように、内需を引き上げるような方向というものは、六十年度の政府見通しで四・一%ぐらいに若干修正はされたけれども、依然としてやっぱり外需の依存型経済だと思うんです。同時に、先ほど大臣が申されたように、国民の経済の認識というものは、外需に支えられてきたものですから、直接、税に響いていないというようなことで、余り、関心も少なかったこともこれは事実だと思うんですね。
 それが、一挙にアメリカ経済の状況がいずれこちらにしわ寄せされるということになれば、私は、主計にしても主税にしても、予定していた税収なんというものはそう簡単に上がらないんじゃないのかというような、大変心配を持っているんですよ。そういうものが日本経済に今後どういうふうに影響を与えてくるのかという見通しについて、ある程度の見解を私は明確にしてほしいと思うんです。
○政府委員(北村恭二君) ただいま御指摘のとおり、アメリカの最近の経済動向につきましては、先般、一九八五年の第一・四半期の経済成長率、これは年率でございますけれども、二・一%の増加ということで発表されております。その内容につきましての詳細な発表というのはございませんので、計数的にはその内容はわからないわけでございますけれども、全体の傾向として見ますと、消費支出はかなり増加している、しかし、設備投資とか住宅投資は余り変わっていない、それから、非常に輸入が増加しているということから、経常海外余剰が大幅に悪化したといったようなことが影響して、こういった数字になっているのではないかというふうに伝えられているわけでございます。
 ただ、アメリカの経済の全体の姿というのを眺めてみますと、個人消費等はやはり引き続き増加を続けているということもございますし、また最近発表されております経済指標でも、物価は非常に安定しておりますし、それから景気の先行きを示す景気先行指標といったようなものもプラスになってございますし、また小売売上高等にもよい指標が出ているようでございます。
 いずれにいたしましても、今回発表されましたこの二・一%という数字は、一、二月の一部のデータだけでつくられた暫定速報というものでございまして、今後これがどういうふうに推定の経過で変わっていくかということは注目されるわけでございますが、一部ではこれは上方修正の可能性もあるんじゃないかということが言われているわけでございます。
 それから、御指摘のように大幅な我が国の対米黒字というようなことをめぐりまして、アメリカではいろいろと議論がございます。輸入課徴金制度の導入ということを主張する向きも一部の議員にはあるようでございますが、まだ議論の域を出ていないという段階でございますし、最近アメリカの議会予算局の方で、こういった輸入課徴金制度というのをどういうふうに考えるかということについての中間報告的なものを出しているようでございますけれども、ここでは、やはりアメリカ経済にとって大きな弊害があるんじゃないかという指摘をしているようでございます。言いかえれば、非常に否定的な評価を行っているというようなことでございますし、アメリカ政府といたしましても反対の姿勢をとっているというふうに聞いているわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういったアメリカの経済動向が我が国にどういう影響を与えるかということでございますけれども、先ほど申しましたように、アメリカ経済も消費、設備投資といったようなものの持続的な成長ということに支えられて、ある程度、例えば三、四%程度の成長といったようなところに落ちつくんではないかという見方がかなり有力なようでございますし、もちろん我が国経済といたしましては、そういったことで若干アメリカ経済としてはスローダウンするという形をとるわけでございますので、そういったことの影響というものが輸出等の伸びの鈍化という形であらわれるだろうというふうには見込んでいるわけでございますけれども、しかし、全体の我が国の今後の経済の姿というのは、やはり物価が安定しているとか、企業収益が非常に堅調であるといったような好条件にまだ恵まれているわけでございますし、いわゆる設備投資といったようなものがハイテク関連といったようなものでかなり根強く続いているわけでございますので、やはり国内の民需を中心とした安定成長というものが持続されていくのではないかというふうに見てよろしいのではないかというふうに考えております。
○鈴木和美君 私は短気かもしれませんけれども、今の話を聞いていると、何ですか、大変注目はしているけれども日本経済にはあんまり影響はない、今非常に好調になっているからそれほど心配することはないというような結論ですか。
○政府委員(北村恭二君) ただいま申し上げましたのは、来年度等につきましても、国内の民需中心ということになりますと、やはりその中で大きく設備投資等がこれを何といいますか支えていくということが期待されるわけでございますけれども、現実に設備投資等の今後の動向というのを分析してまいりますと、エレクトロニクス等のハイテク関連投資というウエートが高いとか、あるいは研究開発投資のウエートが高いといったような面がかなりございまして、もちろん輸出に関連する面というのがないわけではございませんけれども、しかし、若干のそういった輸出の鈍化というようなことがございましても、国内のそういった要因によって、政府が期待している程度の成長というものを維持していけるのではないかというふうに見ているということでございます。
○鈴木和美君 私の持ち時間との関係で余り議論できませんけれども、私は、結論から言うと、大変アメリカ経済の動向というものが日本経済に与える影響が大きいというように、結論から申し上げますと見ております。現在の中小企業の状況などは、ようやくこれから日本経済の恩恵というか、受けようとするようなときに、倒産件数を見てもいろんなことを見ても、これから輸出に依存というか、そこに依拠してきたというか、その産業に大きな打撃を与えていくだろうというふうに私は見ております。
 そこで、今度は直間比率の問題に関連してお尋ねします。
 朝日新聞だったと思います、三月十五日だったと思いますが、「大型間接税プラス所得減税」というように新聞の中に書かれてあります。大蔵省はいずれ減税というようなものを考えなきゃならぬ、また内需拡大のためにもそれが必要であろう、政府・与党、与野党の間でもいろんな話があったと。しかし、減税というものを実現するためには財源がない。そして、クロヨンじゃないけれども勤労所得者のつまり税負担が非常に重いというようなことから見ると、ある程度間接税の枠を広げて、そして税の公平感を保った方がいいんじゃないかというような発想に立って、いわば間接税というか、大型とまでは言いませんけれども、そういうものをこれから導入していきたいという意向に立っているというようなことが書かれておるのでございますが、それは間違いございませんか。
○国務大臣(竹下登君) それは朝日新聞でございましたか、一つの観測記事でございますが、国会の論議等々の中でも、言ってみれば所得税減税という要求は非常に強い。そしてまた、そのことが、俗に言うクロヨン等の問題等からして、なおのこと給与所得者の人にその重圧感が大きい。それを少なくしていくためには、財源は赤字公債をもって充ててはならぬ。さればそれに対応するものとして間接税が考えられる。しかも、中には、その間接税はしたがって目的税として位置づければというような考えがまず初めにあって、それで税制改正を論じているんじゃないか。こういう御批判をちょうだいしておりますが、総理の答弁をかりますならば、減税に対する御要請が強いということは十分自分も意識しておる、そしてその重圧感を取り除くことに対してはこたえたいという自分も気持ちを持っておる。が、今回の政府税調で御議論していただこうというのは、まず初めに間接税の増税ありきとか、まずあるいは所得税の減税ありきとかいうことを具体的に諮問するのではなく、いわば戦後今日に至る税制そのもののまず抜本見直しから諮問して御答申をいただく、こういうスタンスであるというふうな答えになるのではなかろうか。
 総理としては所得税の減税を、ありたいということは申しておるわけであります。私はできるだけ申さないようにしておりますのは、確かに国税の面では私も諮問する立場にありますが、もう一つは、大蔵省の主税局が税調の事務局を担当しておる、それの親方でも私ございますので、総理のおっしゃるのは、これは行政府の最高責任者でございますから、それはかくありたいということを申し述べられても私は結構だと思いますが、私の場合はそこのところを、万事控え目でございますので、いわゆる事務当局を担当する立場も踏まえながらできるだけニュートラルなお答えを申し上げておるというところでございます。
○鈴木和美君 総理大臣が自分の施策について、総理大臣ですから選択ということは大切だと思うんです。しかし竹下大臣としては、やはり現状の中では、財政を預かる責任者ですから、もっとやっぱり積極的にお話をされるべきじゃないかと私は思うんです。何も竹下登という個人の性格とか創政会が関係しているわけじゃないんですから、もっと積極的に財政の担当者として国民に諮問するということが私はあってしかるべきだと思うんです。だから、そういう意味で必ず問題にされるのは、竹下大臣と中曽根総理とのどうも意見が違うというようなことが言われているわけですね。私は違ってもいいと思うんですよ、それは、これからの問題なんですから。六十年度予算に絡んでいる問題じゃないんですから。
 そういう意味で私は本当に、もう一度お尋ねしますが、このままの状態ではどうにもならぬので、今の直間比率の見直しというような角度、発想などを入れながら、もう少し間接税というか、そういうものを導入したいという見解に大蔵省は立たれているというように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり税調に御諮問申し上げる際に、税調自身も今こそ戦後税制を洗い直して直接税、間接税を問わず抜本的に検討すべき時期だ、こうおっしゃっているわけでございますから、素直にその議論に従って諮問して議論をお願いすべきだ。しかしそれにはやっぱり、国民各般の意見を聞いてということも書かれてありますので、それは国会で議論された内容等を整理し
てお見せした方が最も私は参考になるのではないかという考え方を基本的に持っておるわけであります。そうして総理の国会での、直接税のいわば重圧感を除きたいとか減税をしたいとかいうような答弁もまた、正確に伝えるべきであろうというふうに私も考えております。
 私自身も、総理が感じておられることは私が感じておることとまあそう相違があるとは思っておりません。
○鈴木和美君 直間比率の見直しという言葉が出るときに、直接税の中には、いわゆる源泉というか、サラリーマンのようなそういう直接税の税負担が重いというその直接税の問題と、法人税の問題とあるわけですね。もちろん直接税の中に相続税とかいろいろありましょうけれども、その法人税と勤労所得税というものを、税調に諮問をするというか聞くというときに、それは両方含めて聞くということになるんですか。
○国務大臣(竹下登君) これは直間比率の見直しという言葉は、実は鈴木先生も御存じのとおり臨調の答申の中ではそれが書いてありますが、どうも税の専門家のお話を聞きますと、いわばそれは結果的に出る指標だから税体系の見直しと言うのが本当だろう、なるほどなと思って私もそういうふうな言葉が適当かなと思っておるわけてあります。
 したがいまして、今度はいわゆるゆがみですが、既存税制の枠内での部分的な手直しにとどまる限り、所得と資産と消費等の間で適切な税負担のバランスを図るという観点からは税体系にゆがみを生じさせ、また税制を一層複雑化させたと。「したがって、既存税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視野に立って、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ている」というのが税調の、異例のことながらとして六十年度答申でいただきました答申の文章そのものでございます。
 だから、私どもはそれに沿って議論をしてもらう。それでゆがみ、ひずみとは何ぞやというので整理をいたしましたが、いわゆる直接税と間接税から来る重税感もまたゆがみの一つの対象として議論をしていただけるものではないかというふうに、大体整理をいたしておるところであります。
○鈴木和美君 例えば直間比率の場合に、直接税と間接税というときに、いわゆる勤労所得の源泉の方から見た場合の租税の負担率ですね、それが非常に勤労者は重いということから、間接税を導入すれば多少下がるんじゃないかというような意味での直間の議論の仕方がありますね。
 それからもう一つの問題は、本来そういうことではなくて、その直間というものが一体どのぐらいがいいのかという純粋な議論というのも、純粋と言ってはおかしいかもしれませんけれども、そういうものもありますね。
 そこで私から言わせれば、税の公平な負担感の問題から言うのであれば、現在の税率構造がああいうふうになっているから、つまり減税の措置をずっととっていけば、また案のつくり方によっては、所得税に対するつまり税の負担感というものは和むわけですね。現在それをやらないままおるから、へんちくりんな議論になってしまうというように私は思っているんですよ。
 それから、後段の方の、直間の比率というものがどのぐらいが適当かということにおいては、諸外国の例などもあるけれども、日本としてはやっぱり、本会議でも私が申し上げましたが、シャウプ税制以来、税の公平感というものには直接税を中心にしたやり方が一番いいんじゃないかということを、これずうっと答申してきたわけでしょう。
 だから私は、論理的にはそれほど大騒ぎするようなことではないんじゃないのかと思っているんですよ。ただ大騒ぎしようとすれば、減税財源をどうするのかとか、それからどうしても財源が不足するとかということで、もちろん租税負担率を高めたい、つまり税金をたくさん取りたいということの根底があるから、その理論、理屈のつけ方がひん曲がってしまっているんじゃないのかというような私は感じがしているんです。
 いかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは確かに、まず鈴木さんと私と意見が一致するのは、シャウプ税制というのは私は所得税を基幹税とした税制のあり方であって、それは我が国の税制の中に定着してきたと思います。だから、その根幹は私は今でも評価すべきものである。だが、その後いろいろなゆがみやひずみができてきた。あるいは特別措置が多かったり、いろいろなものができてきたということでございますが、直接税と間接税の議論の中で、いわばどういう角度から議論をしてもらうかというと、今鈴木さんの言われたすべての面から議論してもらう、結論から言うとそうなろうと思うのです。
 元来、所得税というものは所得が上がれば、税の刻みがございますから、上の段階へ移っていくのがございますし、したがって、経済成長もいたしますから、そのままに据え置けば徐々に徐々に直間の比率は結果としては直接税が高くなる。間の方は、なかんずく我が国は従価税というよりもどちらかというと従量税が多うございますから、したがってこの方はそのままにしておけば下がっていく。だから、その段階にかなりの乖離が生じたら、こっちを下げればまたそれなりのバランスはとれていくんじゃないかという議論も、私は議論の中に当然あり得る議論だというふうに思っております。
 したがって間接税議論の中にも、恐らく税の専門家の先生方の議論でございますから従価税議論なんというのもあるいは出るかもしれません。直間両方において、少なくとも現状の認識の中で最もいわゆるだれしも自己中心に考えた場合、あれとおれとでは不公平だ、こういう議論はだれしも成り立つ議論でございますけれども、総じて今抱いておる重税感、重圧感、そういうものを少しでも是正する立場で手直ししていく議論が私は展開されるであろう。そうしますと、一つの税の体系みたいなものができてまいりますと、そこに今度は租税負担率の問題まで税調であるいは議論されないかもしれません、これは政策判断の問題になろうかと思うのでありますが、社会保険の対象になっているものが税という名目に入ってくればあるいは租税負担率が上がるかもしれませんが、総体的なものは政策判断としてヨーロッパよりかなり下回る。ヨーロッパはもう五〇、実際は五五になっておるようでございますけれども、それは念頭に置いて今後の政策判断でやっていかなきゃならぬ。したがって、何とか租税負担を上げたいということでこれを諮問申し上げるという前提にはないというふうに御理解をいただきたいものだ。
 実際問題、大蔵省という役所は、これは結果としてはとにもかくにも国民が選ぶところのいわゆる公共サービスを賄う財源を見つける、これを安定的に確保するというのが基礎にあるわけでございますから、したがって、その公共サービスを賄う財源としての税収を安定的に確保するという大前提のもとに、やっぱりそれならば税負担に少なくとも公平感があらねばならない。そしてもう一つは、アメリカの場合はよくいっておりますが、日本は原則の中に安定的な確保という問題と経済活動に対して中立的であることというようなことがございますが、それらを調和的に満たしていくということがこれからの議論の中で行われていくのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
○鈴木和美君 そのところはちょっと私も意見があるんです、大臣とちょっとニュアンスが違う意見を持っています。
 そこで、関連してもう一つお尋ねしますが、その直間比率を議論するときのつまり直接税の中で、先ほど質問したのは、法人税というのもその税調の中で議論がされるんですかということを尋ねたんです。
 ということは、シャウプ勧告が非常にいい税制だと私もある面では評価しています。さて、この法人税のところに来ると、現在の法人税の性質というものと、それから税率というか、その点にな
ると、大変議論が各般にわたっているわけですね。ですから、まず端的にお尋ねしたいことは、法人税というものについてもう少し負担を上げてもいい、つまり余裕があるというように税務当局というか財政当局は見ていらっしゃいますかどうか、ここから聞かせてください。
○政府委員(梅澤節男君) 我が国の法人税の負担水準についてはいろいろ議論があるわけでございますけれども、五十九年の改正で普通法人につきまして一・三%ポイントの税率の引き上げをお願いいたしました結果、少なくとも現在の法人税の実効税率の水準が戦後一番高い水準になっておるということは事実でございます。ただ、諸外国との比較におきまして高いか低いか、いろいろ議論があるわけでございますけれども、税制調査会なり大蔵省として一貫して申し上げておりますことは、やはり国際競争力等の観点から余り我が国の法人税率がかけ離れて高いということは好ましくないという基本的認識があるわけでございます。
 ただ、先ほど来委員がいろいろ御指摘になっておりますように、先ほど大臣の御答弁もあったわけでございますけれども、今後税制調査会で税制全般について見直しをお願いすることになるわけでございますが、作業の手順といたしましては、所得税のみならず法人税の問題につきましても基本的な御議論がいただけるのではないかというふうに考えております。
○鈴木和美君 本会議でも大臣から御答弁いただいたんですが、つまり擬制説の問題についてお話しをいただきました。今、実在説、擬制説の中身についてここで議論をしようとは思っていません。
 つまり、そういう二つの議論がある、けれども日本の現在の税制というものを法人税に限って見てみますと、まあどっちも入れ込んだような税体系になっているというふうに私は見ているんですが、ただその擬制説と実在説を私が申し上げたことは、先ほどの直間の比率の問題を議論されるときに、現在の法人というものが擬制説に立ってまいりますと、つまり何ていうんでしょう、法人税が上げられたものが価格に転嫁をする、この状態というものが大変私は憂慮すべきことだと思っているんですよ。もちろんそれは、実在説に立てば立つほど、担税能力というものを議論されるわけですから、もっと高くてもいいじゃないかという議論だって出てくるはずだと思うんです。しかし、けつから見ると、これがすべて価格に転嫁されてしまったのでは何も、直接税とは言ってみても言うならば間接税と同じですわね、そこを経由していくだけのことなんですから。そういうことから見ると、法人税というものを本格的な議論をしないと、私はこれもまた大変なことじゃないかと思うんです。そこで、これから恐らく税調が議論なさるのだと思うんですね。
 税調が、この価格転嫁という状況の認識に対してどういう議論と、どういうこれから結論の方向を導き出そうとしているのか、予測で結構でございますが、その辺の状況についてお話しをいただきたいと思うんです。
○政府委員(梅澤節男君) 法人税の基本的仕組みの問題というのは非常に税制の論議の中では長い歴史をたどった問題でございまして、まだ学説的にも確定的な見解というものが一点に集約されているというような状況にないわけでございますが、税制調査会では昭和五十五年に企業課税問題の小委員会で一応の報告をいただいております。あれはいわば中間報告的な内容のものとして位置づけておりますけれども、現在までの法人税制に関する基本的な考え方というのは、あの小委員会の考え方が税制調査会の考え方の主流になっておるというふうに申し上げて差し支えないと思うわけでございます。
 擬制説あるいは実在説というのは、あの小委員会の御議論の経過を踏まえますと、本来これは委員御案内のとおり法律学の概念でございまして、現在の企業の課税という問題を考える場合に、実在説とか擬制説というふうな角度から物事を切って考えるのは適当ではないのじゃないか。つまり、法人というのはそれ自体が一つの独立の経済活動をやっておるという側面は、これは事実問題として否定できませんが、同時に株主がそこで配当を受ける場所でもあるわけでございます。したがいまして、税制調査会の小委員会の考え方では、擬制説とか実在説というような議論はむしろ不毛であろう、もっと基本的に、企業課税が経済の実態にどういう影響を及ぼすかというような観点からの議論を中心になされるべきであろう。
 その場合に、いろいろな論点があるわけでございますが、一つは今委員がおっしゃいました法人税の転嫁の問題がございます。転嫁の問題につきましても、これは理論的にも実証的にもいろいろな研究がございますけれども、これも一つの結論が出ておるというような状況ではございませんが、一言申し上げたいのは、擬制説に立てば転嫁があるというその論理の結びつきではないわけでございまして、擬制説に立とうが実在説に立とうが、まあこの立場がそもそも問題であるということを申し上げましたけれども、経済学の一般均衡分析、そういう実在とか擬制というような立場に立たずに、そういう経済の理論分析の中でも、転嫁の可能性という理論的な研究もございます。したがいまして、何がしかの転嫁が可能である。それは企業の市場における地位とかによりまして転嫁の可能性というのはいろいろあると思いますけれども、何がしかの転嫁があり得るという前提に立ちまして、五十五年の小委員会の結論では、個人段階、つまり配当段階の所得税と調整する場合に、全部を調整する必要はないという考え方に立っておるわけでございます。
 それからもう一つこの問題で大事なことは、法人税の仕組みというのは各国によって、特に株主の配当との調整のあり方というのは各国で税制がまちまちでございます。アメリカなんかは独立説といいますか、その配当を調整しないという考え方に従来立っておったわけでございますけれども、先般の財務省の改革案で法人税率を下げております、諸控除を廃止いたしまして。そういう案になっておりますが、その場合の一つの説明づけといたしまして、やはり配当に関する所得税との調整を考慮するというふうに考え方も変わってきております。
 法人税の仕組みがこれから一番大事なのは、企業が国際化してまいりますと、余り諸外国と税率それから仕組みも含めましてかけ離れたものになっておりますと、日本から資本が逃げたり取引を阻害するという問題が起こるわけでございます。したがいまして、これからの観点は、要するに国際的なハーモニゼーションというものを見ながら我が国の法人税制をどう持っていくか、五十五年の小委員会の結論は大体最後にそういうところに帰着しておる。
 ただ、具体的にそれではこれからどういうふうな議論の展開が行われるかということは、これからの税制調査会でもう一度今の時点に立って改めて御議論をいただけるのではないかというふうに予測をしておるわけでございます。
○鈴木和美君 局長の今のお話の中で、ちょっと違うニュアンスなんですが、小委員会、その結論を見てみますと、木下専門委員とか吉田専門委員がお話しされて、その結論として、我が国の法人税についても転嫁している可能性があることを認めた。何がしという言葉は入っていませんね、何がしということは。だから、そこのところは正確にとらえておきたいんですが、同時にそのことが大変重要なファクターであるということも認識されているわけですね。しかし非常に難しいと。だから引き続きこれからも検討していこうじゃないかということに結論がなっているように私は見受けたんですが、それで間違いございませんか。
○政府委員(梅澤節男君) 大体そのとおりと思います。先ほど私、何がしかという言葉をあるいは使ったかもわかりませんけれども、言いました意味は、小委員会のにも書いてございますけれども、全部が転嫁されるのではない、しかし、一部転嫁されている事実というものを前提にして議論するのが妥当な議論の基盤ではないかというふうに書いておられるわけでございまして、それを先ほど、
たしか私何がしかと申し上げたとすれば、そういう意味でございます。
○鈴木和美君 そこで、私はこの転嫁の事実というものがやっぱり多いと見ているんです、実際問題として。
   〔委員長退席、理事伊江朝雄君着席〕
もちろん同族会社というようなところは若干違うかもしれませんけれども、所有とつまり経営が分離されているような大企業というところは、上手にやっぱり価格転嫁の作用というものが行われる現状の仕組みになっているように私はとっているんです。
 したがいまして、幾ら擬制説みたいな学説を出しながら、財界などが法人税のあり方に対しては企業活動が圧迫されるというようなことをおっしゃったとしても、納得がいかないんです。
 つまり、株主所有の支配的な形態が法人間の持ち株になっているというような問題だとか、法人から支払われる配当も個人株主は一部にすぎないとか、法人税は株主の負担よりも製品価格に転嫁するとか、法人税率の上限、配当率によって影響を与えないとかというような意見、学説というのは相当出ているわけですね。そういうものから見ると、やはりこの法人税というものについて、税調でも、また政府としてもしっかりした議論をして、その公平の原則、つまり大企業中心であるとか、中小企業は常に圧迫されるというようなことのないような方向に検討を煩わしていただきたいと思うのでありますが、いかがでしょう。
○政府委員(梅澤節男君) これは転嫁の問題はその経済の局面によってもいろいろ違いましょうし、大企業、必ずしもその市場の地位によりまして大企業が全部転嫁可能性がある、中小企業は転嫁可能性がないというふうにも一概には言えないという問題もございまして、ただいま委員がおっしゃいました所論につきましては私どもいろいろ見解を異にする面もございますけれども、冒頭に申し上げましたように、そういったいろんな議論を含めまして税制調査会で基本的な議論を展開していただくということになろうかと思います。
○鈴木和美君 それでは、租税特別措置法の問題についてお伺いをしておきたいと思います。
 かねがね、租税特別措置法につきましては、私どもとしては、優遇税制であるということで、不公平をますます拡大するものである、したがってこういうものは漸次縮減をするというような方向に持っていってもらいたいということを再三述べてまいりました。今でもそういう考え方に変わりはございません。
 そこで、今回提案されている内容を見ますと、今回で廃止するもの、また縮小するもの、単純延長するものというものがございますが、それはそれなりに皆基準とか理由が私はやっぱりあるのだろうと思うんです。単なる財政上の横並びというようなことだけではないのだと思うんですが、廃止するもの、縮小するもの、単純延長するものなどについての基準があったらお示しいただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 特に企業関係の租税特別措置についての御指摘かと思いますけれども、企業関係の租税特別措置は、いわば租税政策という手段を使いましてある程度税の公平を犠牲にしながら租税の政策の誘因効果でもって一つの目的を達成しようという、いわば政策税制であるわけでございます。したがいまして、その政策目的を既に達成したものとか、やってみたけれども余り効果を発揮していないといったものにつきまして、これは五十一年度以降毎年度当委員会でも御審議いただいておるわけでございますけれども、整理、合理化の方向で対処をしてきておるわけでございます。六十年度の税制改正におきましては、株式売買損失準備金ほか四項目の廃止をお願いしておるわけでございますけれども、これらにつきましては、既にもう政策目的を達したという観点から廃止をするというものでございます。
 それから、整理、縮減を図っております項目が企業関係でおよそ二十八項目ほどございますが、これらの項目につきましては、一つは、ただいま申しましたように、個々に政策の中身を洗いまして、これはこれなりに存続は必要と認められますけれども、やはりこういった財政事情でもございますし、先ほど申し上げましたように、税の公平というものをある程度犠牲にしておる制度でございますので、この割合をなるべく縮減するという方向でおのおのバランスをとりながら、例えば準備金の繰り入れ率なり特別償却の割合を縮減するというふうな措置を講じさせていただいておるわけでございます。
 一方、期限が参りましたもので単純延長いたしておりますものは、やはりその政策といいますか制度の中身を見まして、引き続きこの政策を従来どおり存続させることが必要であるということが認められたものでございまして、これは各項目につきまして関係省庁と入念な議論をかなり時間をかけてやりまして取りまとめたものでございます。
   〔理事伊江朝雄君退席、委員長着席〕
○鈴木和美君 省の関係者の皆さんにもおいでいただきましてそれぞれの理由はそれなりに伺っておるのでありますが、どうも釈然としないというか、政策目的を達したもの、まだ達していないのだけれども縮減するというようなもの、また、単純な延長をするものというようにどうも分けられてはいるんですが、その理由というものが、分けるための理由のようにしか受け取れないんです。本当に政策目的を達した、また達していないというような、実効を検証をするようなデータとか理屈というものはどうも私には見当たりませんでした。たまたまこういうふうに分けるために、財政事情だからというようなことで、もう横並びでやってしまうということだけのような印象に受け取ったのであります。
 そこで、とりわけ私は、基本的にはこの租税特別措置というものについては廃止すべきであるという基本的な考え方に立っておりますが、ずっとある意味では、定着という言葉までは使いませんが、慣習というか、なじんできているわけですね。その中で特に私が非常に疑問に思っていることは、国民生活に直接関係をしているような部分について、横並びだからというようなことだけでつまりある程度引き下げるというようなことで本当にいいのかなというようなものが二、三散見されるんです。
 御意見を聞いた上で私は判断をしたいと思うんですが、その中の一つに、これは租税特別措置の縮減合理化などという中に入っている公害防止用設備の特別措置、今度改正案で約三%でございましょうか、これを引き下げるということがございますが、公害防止ということは国民的な要求でございますので、さてさてこれはどういうようなことでこんなになったのかといって多少疑問を持っているんです。したがいまして、本件に関して通産省と環境庁から、この法案のことについての所見をまず伺っておきます。
○説明員(伊吹迪人君) ただいま御指摘のとおり、企業に対しまして、企業が設備投資を行う場合の公害防止設備につきましては特別償却制度が認められております。本来大変重要な制度でございまして、私どもはこの必要性は今後も変わらないというふうに考えております。
 ただし、今般の改正につきましては、諸般の事情がございまして若干のパーセントのダウンがなされておりますけれども、諸般の事情を考慮いたしますと、それでも最善の処置がとられたのではないかというふうに考えております。
 今後また、この制度の重要性が認識されて、存続されることを私どもは期待をいたしております。
○説明員(幸前成隆君) お答えいたします。
 先生御指摘の公害防止用設備の設置につきましては、公害対策にとりまして重要なものでございますが、事業者の収益に資さない点を勘案いたしまして、公害防止用設備の設置の促進を図りますために租税特別措置を講じてきておるところでございます。
 私どもとしても非常に重要な問題であると考え
てございますが、ただいま通産省の方からもお話がございましたように、今回の改正におきまして若干の率の引き下げがなされております。これは、先ほどもお話がございましたように、現在の厳しい財政事情等を勘案いたしまして、私どもといたしましてもやむを得ないところであろうかと受けとめております。
○鈴木和美君 いずれまた御質問しますけれども、その次に、これは国土庁関係でございましょうか、地震防災応急対策用資産の特別償却について、これは国土庁、どういう御見解ですか。
○説明員(友兼郁夫君) お答えいたします。
 地震防災応急対策用資産の特別償却につきましては、地震防災応急計画に基づき、動力消防ポンプや濾水機、携帯用発電機及び照明器具、感震装置及び緊急遮断器といった地震防災応急対策用資産を整備しようとする民間事業者の負担を軽減し、その整備を促進することによりまして、地震防災応急対策の円滑な実施を図ろうとするものでございます。
 この特別措置は昭和五十八年度に創設され、これまで地震防災応急対策用資産の整備の促進が図られてきたところでございますが、いまだその整備が十分進んでいないところから、東海地震対策の緊急性にかんがみまして、本年、期限切れとなるところを、今回さらに二年間延長することとしたものであります。
 先生御指摘の六十年度以降の特別償却率の引き下げにつきましては、厳しい財政事情にあること等からやむを得ず引き下げが行われたものというふうに理解しておりまして、今後、国土庁といたしましては、関係地方公共団体等と連携をとりながら、民間事業者への広報指導を強化して、地震防災応急対策用資産の整備のより一層の推進に努めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○鈴木和美君 もう一つは労働省ですが、障害者を雇用する場合の機械などの割り増し償却について、これ労働省、どういう見解を持っていますか。
○説明員(藤原正志君) お話がございましたように、多数の障害者を雇用する事業主に国税それから地方税の一部につきまして優遇措置が講ぜられているわけでございますけれども、今回の縮減の措置は厳しい財政状況のもとでとられました措置でございますので、私どもやむを得ないものであるというふうに受けとめております。
○鈴木和美君 たくさんこの項目にいろいろ疑問があるのですが、今私は特徴的な国民生活と直接関係のある部分を聞かせていただきました。
 通産省にもう一度お尋ね申し上げますが、財政事情が窮迫しているということはだれもがわかっているわけであります。
 そこで、二つ御質問しますが、こういうような率の引き下げというようなことが行われることに対して、財政事情とは別にですよ、こういうようなことが行われることによって企業活動とか対策などについて手抜きが行われるというようなことがないのかどうか、総括的にどう見ているのか、これが一つです。
 それからもう一つは、今までよりつまり今回税金を余計納めてくれということになるわけですから、金額はどのぐらいになるかわかりませんが、そういうものが結局は価格転嫁というようなこととか、先ほどの公害防止みたいなものはかえって今度は公害防止の対策がおろそかになるというようなことになりはせぬかという私は心配を持っているのですが、それについてどういう見解をお持ちですか。
○説明員(中川勝弘君) お答え申し上げます。
 私ども通産省といたしましては、企業の関係の租税特別措置を講じてきておりまして、これは先生御承知のように、今お話しございました公害防止対策のほか、私どもの関係では省エネルギーとか代替エネルギー関係のエネルギー対策、あるいはそのほか私どもの役所の関係の政策に応じまして、税制を活用しながらできるだけ円滑な企業の活動を行っていきたいということで講じてきておる措置でございます。そういう意味では実はいろんな政策税制の措置がございまして、できるだけ企業が円滑な政策目的に沿った活動を行うように、私どもとしては従来から手当てを講じてきているところでございます。
 ただ、今再々お話しございますように、厳しい財政事情でございまして、なかなか限られた財源の中で政策目的の実現を図っていかなければなりませんので、私どもとしても財政当局と累次のお話し合いをしながら、できるだけ限られた財源の中で最大限の政策目的を上げていきたいということで、個々のいろいろな政策税制の措置を一つ一つ協議をしながら実は整理合理化等に努めてきておる次第でございます。
○鈴木和美君 本件に関して大蔵省にお尋ねするのですが、先ほども申し上げましたように公害の問題などは大変これから対策を充実しなきゃならぬというような状況にあるわけですね。本来公害という問題については、その企業が公害対策についてしっかりした対策というか義務を負うというのが当然でございましょうが、いろんな状況の中からなかなかできないというようなことで、こんな制度が優遇措置としてとられちゃった。
 したがって、それをベースにしていろんな企業活動が私は行われているんだろうと思うんです。そのときに、国民生活に重大な影響を及ぼしはせぬかなという疑問を実は持っています。また東海地震が騒がれているような今日の中で、国土庁関係の地震対策というようなのが本当に大丈夫なのかなというようにも思っていますし、労働省の関係については、各企業に対していろんな障害者の雇用をこれから積極的に進めなきゃならぬというようなときに、財政がこういう事情だからといって単なる横並びでやっていくことに対しては、事務的過ぎやせぬかなという私は感じを持っているのですが、もう一度本件に関しての考え方をお尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 先ほども申し上げましたように、企業関係の租税特別措置と申しますのは、国の政策目標に従って税制上の手段を通じてそれに誘導していくということを目的とするものでございますけれども、本来はこれは税制面からする企業に対する補助金の性格も持っておるわけでございます。したがいまして、現在の財政事情それから税の負担の公平という観点から見れば、事柄といたしましては、これらのフェーバーというのはやはり必要最小限度に縮減していくべきものである。
 ただ、先ほど来申し上げておりますように、公害の問題にいたましても地震の問題にいたしましても、それぞれ期限は到来いたしますけれども、やはりこの制度を存置することが必要であるということで、存置を認めつつ、その誘導効果を損なわない程度で、例えば公害につきましては、初年度の特別償却を今回百分の二十五を百分の二十二に引き下げるということでございまして、これはそのほかの各種の特別償却の制度がございますけれども、その率の水準からいっても、決してこの率の引き下げを行ったからといって企業が公害防止設備の投資を極端にやめてしまうというふうな水準ではない、この点につきましては関係省とも十分話し合いをいたしまして、御協力を願ってこの範囲内での政策効果を期待しておる、こういうことでございます。
○鈴木和美君 各省庁の今の答弁、財政上の事情ということは私も十分わかりますし、それから本件のような特別措置に関するものは基本的に廃止すべきであるという見解に私は立っておるわけですけれども、どうぞこの措置がとられたために国民生活に重大な影響が与えられる、またそれを培養する事態になるというようなことのないように、各省庁で指導していただきたいという意見を申し述べておきます。
 さて、その次は利子配当課税の関係について御質問を申し上げます。
 まず、本件に関しましては、グリーンカード制度が凍結されるというような動きのときの当委員会においても御質問申し上げたところでございますが、今回の改正によって、三年間凍結していた
グリーンカード制を廃止して、それにかわるものとして非課税貯蓄の限度額管理を強化するという提案が実は行われているわけであります。国会で議決されたグリーンカード制をなぜ凍結しなきゃならなかったのかということについて、これは復習になると存じますが、お尋ねしておきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) いわゆるグリーンカード制度につきましては、ただいま御指摘がございましたように、五十五年の所得税法の改正で立法化されました。
 しかし、その後各種の金融資産のシフトの問題、それから我が国の利子配当課税の歴史を見ますると、今日までほとんど分離課税あるいは非課税という状況が続いてまいりました中で、一挙に完全総合課税を行うということについて各方面からの非常な不安感というようなものもございました。そういった状況を踏まえまして、このグリーンカードをめぐっては新聞紙上等でもいろんな世論の動き等もございまして、諸般の事情から延期をされたわけでございますが、たまたまこの凍結を解除いたしますということになりますと、六十一年から本格的にグリーンカード制度が実施されるという状況にあるわけでございます。
 税制調査会の御議論の過程ではさまざまな御議論がございましたけれども、結局答申の中では、諸般の情勢を顧みると、やはりこのグリーンカード制度について大方の御理解あるいは受け入れ体制が必ずしも十分整っているという状況にはない、さればといって、再度これを凍結と申しますか、延期することは、一度も実施されていない制度を二回にわたって延期するということは、税制に対する国民の信頼性あるいは法的安定性からいっても好ましくないという観点から、一たん六十年の税制改正でもってグリーンカード制度は廃止することはやむを得ないという御結論になったわけでございます。
 私どもはその答申を受けまして、ただいまこのクリーンカード制度の廃止の御提案を申し上げると同時に、いわゆる非課税貯蓄につきましては、現在の限度管理の状況をそのまま放置するわけにはいかないということで、本人確認を含めまして厳正化、適正化を図るための観点からの改正をただいま御提案申し上げているわけでございます。
○鈴木和美君 竹下大臣は、本件の取り扱いをめぐって、最初は提案者というか賛成者というか、そういう方でいらっしゃったのが、突如として今度は凍結をするというような立場に回られて、何というんでしょう心境察しますけれども、私はやっぱり本件に関しては、前からグリーンカード制度が持っている本人確認、限度確認というものが中心に据えられなければ、俗に言われる税の執行に関しての不公平というこの不公平感が、どうしても国民から抜けないと思うんですね。
 それが今回こういう本人確認の制度に変わっちゃったわけなんですが、これで本当にグリーンカード制がつまり持っていた目的や性格というものが、今回の措置によって達せられるというように見ているのかどうか、これはまず大臣から心境も含めてお聞かせいただきたいんです。
○国務大臣(竹下登君) 私も心境を申し上げますと、率直に御指摘いただきましたように、五十五年度税制改正においてこの制度は本院において、共産党のみの反対、あと賛成で成立した法律なんであります。当時の提案者でありました大蔵大臣は私でありました。
 その後、いろいろな資金シフトの問題、必ずしも諸準備がそれに応じなかった等々からいたしまして、まず政令でもって延期しそして法律でもって凍結をいたしまして、今度廃止するという形になるわけであります。それらの措置をすべて私がまた大蔵大臣として行ってきたということでございます。
 当初考えておりました私どものいわゆる税の公正確保、執行面も含めての問題でございますが、そうしたことからあれだけ国会で御賛成をいただけたということも、その後の予期せざる推移があったにしろ、その事実はやっぱり私の頭の中には刻み込まれております。したがって、税調答申におきまして、非課税貯蓄残高が個人貯蓄残高の約六割を占めるに至っておること、また郵貯を含みます非課税貯蓄の限度管理の問題はもはや放置し得ない状況にあること等の問題が指摘されまして、その具体的方策に当たって検討をされたのが、いわゆる今度の本人確認制度の厳正化を中心とした諸措置を講ずることにしたということでございます。
 したがって私は、いわば放置できない状態にあるとまで指摘された問題が、より適正なこのたびの諸措置によって、現状に比べて郵貯やマル優の限度管理の適正化が図れることにはなるであろうというふうに考えております。したがって、今後やっぱりこの利子配当課税のあり方につきましては、今回の改正の実効性を見きわめながら、六十年度税制調査会の答申の趣旨をも踏まえて、やはりこれは引き続き検討をする必要があるというふうに事実認識をいたしておるものであります。
○鈴木和美君 先ほど梅澤局長もおっしゃっておりましたが、税調の本件に関する態度を見ますと、「グリーン・カード制度を一旦、昭和六十年度税制改正において廃止するという措置を講ずることは、やむを得ない」と言っていますね。この「一旦」というところがどういう意味をなすのか、これが聞きたい一つなんです。
 それから大臣は、今もおっしゃったんですが、私の本会議の質問のときにも、しばらく新制度を実行して様子を見たいと答えられているわけですね。
 そうすると、「一旦」とか新制度の実行とかということは、つまり限度管理の実態だとか不公平の是正だとか、そういう目的というものがこの新制度において実効が果たされないというようなことの場合には、グリーンカード制度はもう一回採用しますよということを意味しているんですか。それともただ便宜上こういう言葉が使われたんですか。そこの真意を聞かせてください。
○政府委員(梅澤節男君) 六十年の税制調査会の答申がまとめられますまでの間、調査会の中で各種の御議論がございました。ただ、最終的な結論といたしましては、グリーンカード制度は諸般の情勢から廃止することはやむを得ないというところでは各委員の大多数の意見がまとまったということで、あの答申に盛られているわけでございますが、議論の過程では、利子配当課税は完全総合課税であるべきである、そのための理想的な手段としては、やはりグリーンカード制度は今後とも検討に値する一つのやり方であるという御意見の向きもございます。それから、今回の答申にもかなり明示的に書かれておりますように、利子配当課税につきましては、一方、昨今の金融の国際化、自由化等の観点から見ました場合に、むしろ分離課税というあり方が将来の選択肢として望ましいという、少なからぬ委員の意見も表明されておるわけでございます。
 それはあたかも、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、将来の方向性はともかくといたしまして、この利子配当課税につきましては、現在のこの提案申し上げております制度の実行状況を見きわめつつ、かつ先ほど申し上げましたような新しい情勢も踏まえて、基本的にもう一度議論をしていただかなければならない。その場合に、もちろんその選択肢の一つとしてグリーンカード制度というものも含まれるという願意を込めて「一旦」という表現に私どもはされたんだろうと思いますけれども、さればといって、それでは将来グリーンカード制度が実施されるかどうかというのは、これはこれからの税制調査会におきましてもう一度基本的に見直していただく問題であろうというふうに考えております。
○鈴木和美君 そこの点は局長、どうぞこれから開かれる税調にもしっかり言っておいてほしいと思うんですよ。最初は税調も、凍結したことに対して大変不満の意を表しておったでしょう。だからこれ、一たんやめることは仕方ないんじゃないかということを言ったんだと思うんです。だから、それはグリーンカードしかないよということを私
は今でも思っていると思うんですよ。
 それとも今度は本件を、提案されている中身を実施しても限度管理というものが完全に行われるかどうかということは、これは税務当局に聞かなきゃいかぬのですが、名寄せというものが完全に行われるかどうかということがこれポイントなんでしょう、本人確認、限度確認ということは。それで、これだけコンピューター、オンラインシステムがずっとしかれているというような機械化の状況もありますね。ですから、一般金融機関とそれから郵便局を含めて、そういう金融機関等の間に全体のコンセンサスが得られて、将来のそういう名寄せ体制がしかれようとしているのか。それとも、いつもこれは当委員会でお世話になっている税務職員の増員の問題なんですが、これも朝日新聞で、私は非常に不満なんですが、不満というか、こういうことを最後に書いてありますね、これは三月十五日。結論として「しかし、国税庁職員は過去十八年間にわずか二%増えただけ。自営業者らが徴税強化に反対するために、与野党とも増員には気乗り薄だ。」、こう書いてあるんですね、朝日新聞には。だからどういうような、つまり何というんでしょう、本人確認、限度確認を実効あらしめるかという体制をしっかりしかないことには、これざる法でしょう、言うてみれば。格好いいことばかり言うけれども、私は時間がないから余り指摘できませんけれども、私はざる法だというふうにこれ見ているんですよ。
 だから、どういうふうにこれから名寄せの状況が行われるのかということについての展望を聞かせてください。
○政府委員(冨尾一郎君) 今回御提案をしております本人確認の強化によりまして、少額貯蓄非課税につきましては、まず仮名、借名その他のいろんな不正の利用形態が減少するであろうということで私どもとしては期待しているわけでございます。したがいまして、金融機関を通じましてこれらの措置が適正に行われた場合には、次の問題としてこれを的確に名寄せをしてまいるということが非常に大きな課題になるわけでございます。
 ただ、これは先生御承知のとおり、現在毎年出ております非課税貯蓄申告書、これは三千万枚程度のオーダーの数字でございまして、また従来からずっと提出をされております累計の非課税貯蓄申告書は三億枚を超えるという数字でございます。したがいまして、これらをマンパワーといいますか、人手だけに頼って名寄せをしていくというのはなかなか至難のわざでございますので、今後の方向としてはコンピューターの活用その他を考えた効率的な名寄せシステムを早急に検討してまいるということで、私どもとしては本年度予算もいただいておりますので、これを使用させていただきながら早急に結論を得たいというふうに考えております。
 また、この名寄せ制度につきましては、御指摘のように郵便貯金との関係もございますので、郵政省とも十分連絡をとりながら的確に対応してまいりたいというふうに考えております。
○鈴木和美君 午前の時間がございませんので、当局と委員長にお願いしたいんですが、この本件の実施に当たって、政令、省令で検討されておってできた部分もあるわけですね。ですから、これからどういう実行が行われるのかという政令、省令については、本委員会にぜひ提出していただくことをお願いしたいんですが、いかがですか。
○委員長(藤井裕久君) 理事会において協議いたします。
○政府委員(梅澤節男君) 当然できましたら委員長の御指示に従いまして御提出申し上げますが、ちょっと現在の作業手順だけ申し上げたいと思うのでございますけれども、ただいま最終段階の詰めに入っておりまして、具体的な成案が得られますのはやはり四月以降になろうかと思いますので、その時期的な問題だけはひとつ御了承願いたいと思います。
○委員長(藤井裕久君) 午前の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(藤井裕久君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案、入場税法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木和美君 続いて利子配当課税問題について御質問申し上げます。
 実数の確認で恐縮でございますが、昭和五十年現在の非課税貯蓄口数は、少額貯蓄分が二億三千五百万枚、それから少額公債分が六百六十一万口、郵便貯金分が三億七千四百万といわれておりますが、この実数は変わりございませんでしょうか。
○政府委員(冨尾一郎君) そのように私どもも承知しております。
○鈴木和美君 そうしますと、ただいまの数字の中には、非課税貯蓄枠を設定するだけで、預貯金残高がゼロという場合も数多く存在しているということが予想されます。
 そこで、全口座数のうちに、どの程度の口数あるいは金額の不正利用あるいは架空名義、名前をかりた名義などが存在していると推定なさっておりますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 私どもの行っております税務調査の結果から見ますと、限度超過とか、仮名を利用した、不正にマル優を、貯蓄を利用したという件数があることは私どもとしても承知しております。ただ、全体としてどの程度の数になるかということにつきましては、これを直接的に推定する手だてがございませんで、計数を把握しておりません。
 ただ私どもとして、これに関連をして従来から申し上げておりますが、少額貯蓄非課税制度の適用に関するもの、もしくは少額貯蓄非課税制度につきまして、少額公債の非課税につきまして金融機関の調査を行っておりまして、五十八年度の場合には、全金融機関の店舗の約一〇%に相当いたします三千八百件について調査をした結果、加算税を含めまして約二百億円を追徴してございます。したがいまして、これから一定の方式を、例えば期間を二年、預金利率を六%、それから追徴税率を二五%というような一定の仮定を置きまして計算をさせていただきますと、元本が六千七百億円ということには一応なるわけでございます。
 ただこれらの調査は、私どもとしていろんな税務調査の段階で、マル優の不正が見つかったような銀行の店舗とか、それから非課税貯蓄の利子の割合が多いというような店舗などを重点に行っておりますので、これらを単純に引き延ばして云々というわけにはなかなかまいらないということで、これらにつきましての全体としての不正利用の件数もしくはその元本ということを推計することは大変難しいというふうに考えております。
○鈴木和美君 ある意味では私もよくわかります。それは実数じゃないんですからね、どんな実態になるのかということはなかなか推計が難しい
ということは、それなりには理解するんです。
 けれども、今回、私が先ほど指摘しましたように、グリーンカードじゃないもんですから、私はざる法という言葉を使ったんですが、結果として実効率が上がらないということになると大変だと思うんですね。また、そういうねらいがなければ、何でやるのかということになるわけですね。
 したがいまして、本件について私は、貯金の世論調査などを見させていただきまして、大体貯蓄の保有額というのは平均して六百四十六万円ぐらいじゃないかと思うんですが、そうしますと、しっかりした捕捉というか推計というか、立てておかなければ、正しい人という人だけが本人確認の公的書類を出すのに手間ばかりかかるというようなことになっちゃって、本当にねらいとした脱税とか不正行為とかというようなことが取り締まれないというようなことになることを大変心配しているわけでございますが、現在の一人当たりの大体貯金額というか、その実数と、それから推計をしてこれから税収がどのくらい上がるかということをある程度推計ができると思うんですが、ある程度で結構ですからもっと実数をはっきりしていただけませんか。
○政府委員(梅澤節男君) その問題はたびたび御指摘をいただくわけでございますけれども、ただいま国税庁の方からも御答弁申し上げましたように、現在の非課税貯蓄、これは民間のマル優、郵貯も含めてでございますけれども、一体どれくらい不正利用があるのかということの把握がそもそも不可能でございます。したがいまして、ただいま御提案申し上げております限度管理の厳正化を通じまして一体税収がどれだけ上がるかということにつきまして、予算の歳入見積額に計上するような精度をもって経常的にこれを見込むことは非常に困難であるということを申し上げざるを得ないと思うわけでございます。
 ただ、この限度管理がある程度実効を上げてまいりまして少し時間をいただきますれば、その実施の状況を見ながら、どれぐらいの不正利用がさかのぼってあったのかというふうな推計はある時点ではあるいは可能かと考えます。
○鈴木和美君 次の問題は課税対象貯蓄及び非課税限度を超えた部分についてなんですが、民間金融機関は御案内のとおり源泉徴収義務者になっているわけですね。今度郵貯については、今回の措置では必ずしも源泉徴収義務者とは規定していないわけでありますね。そして、ただ支払い利子額などを税務署長に通知するということだけにとどめていると思うんです。
 したがいまして、よく官民格差、イコールフッティングというような御意見を耳にするわけてありますが、今回のこのような措置について民間の金融機関サイドから特別問題はなかったのかどうか、この点についての状況をお知らせいただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 非課税貯蓄につきましては、御指摘がございましたように、民間のマル優の税制上の扱いと郵便貯金の扱いがなるべく権衡がとれるようにというふうにしなければならないということは御指摘のとおりでございます。
 今回郵便貯金につきましては、まず本人確認の段階では、民間のマル優の場合と全く同じ本人確認書類によって本人確認をしていただく、この辺は共通でございます。
 それから、限度を超えました場合の課税の問題でございますけれども、従来でございますと、郵便貯金の三百万なら三百万の限度を超えたことについて、貯蓄者の故意、重過失という主観的要件があって初めて課税になるという制度になっておったわけでございますけれども、今回これを改めまして、郵便貯金につきましても、限度額を超えた分は、そういう主観的要件を抜きにして即課税利子として扱う。
 それからもう一つは、限度額との関連を問わず、先ほど申しました本人確認の証印のない通帳あるいは証書の利子は、即課税処理をするということで、郵便貯金につきましては、民間のマル優との比較におきましてはかなり権衡を図るという意味での提案を申し上げておるわけでございます。
 問題はその出口の問題でございますけれども、仰せのとおり、民間の場合でございますと源泉徴収義務を負っておるわけでございますから、したがって所得税法上の税務監査に服する。この点、政府の税調答申では源泉徴収義務、それから税務監査を郵便貯金についても民間と同じく認めるべきてあるという御答申をいただいたわけでございますけれども、政府部内等でのこの制度の立案の過程におきまして種々御議論がございました。郵便貯金につきましては、これは大正九年以来非課税制度ということで定着しておりまして、いわば税務官署の源泉徴収なり税務監査の実は域外に置かれておった制度でございます。そういった過去の制度の経緯等にかんがみ、また今回御提案申し上げております限度管理の状況を見きわめてそういった税務監査なり源泉徴収の問題を検討するということで、それはいわば将来の課題ということにいたしまして、今回はその出口のところで、従来にはこの制度はなかったわけでございますけれども、先ほど申し上げました課税利子の支払いを行う場合に郵政官署は税務署に対して通知をしなければならない、そういう形での間接的ないわば担保を設けるということでなるべく民間マル優と郵貯との権衡を保つようにということで、ただいま御提案申し上げておるわけでございます。
○鈴木和美君 銀行局長にひとつちょっとお尋ねしたいんですが、今、中期国債ファンドというのがありますね。これも評判がいいのか、大分売れていますよね。そういうような状況から見ますと、これから今、民間サイドについて証券会社の方にもある措置をとらなければ片手落ちみたいな感じになりかねないわけですね。現在やっている中ても、郵貯と民間サイドで大分違うんですよね。それに対して、民間サイドの方に本当にこれしょうがないと納得ができたというように理解していいんですか。
○政府委員(吉田正輝君) 証券とのシフトの問題につきましては、これは個々にそれぞれ自由化商品を導入しておるわけでございますので、例えば中期国債ファンドに対しまして、CDとか最近導入いたしましたMMCのような存在がございます。これは先生直接の御質問ではございませんですが、そのように考えております。
 そこで、この民間とのイコールフッティングでございますけれども、ただいま主税局長が申しましたように、今度は郵貯につきましてはイコールフッティングを確保する見地で、今主税局長が答弁したようなことなどが図られております。そこで私どもは、この措置につきましては、主税局それから民間金融機関の意見も十分に聞き取りまして、それでイコールフッティングの確保に全力を尽くしたわけでございまして、これはイコールフッティングが図られているというふうに評価しておる次第でございます。
○鈴木和美君 大臣にお尋ね申し上げます。
 まだ時間が足りなくて完全に言い尽くせないんですが、十二月の二十日の日本経済新聞にも出ているんですが、課税超過分に限るということで、自民党の五役会議の決定であるとか、それから郵貯への税務調査について六十年度からでないというような金丸幹事長や藤尾政調会長の談話などが出ているのでありますが、私はどうも感じといたしまして、今回の限度管理並びに本人確認というのは、税の公平というか、不公平をなくすという見地から話題が提供されてきたわけでありますね。そのためには、やっぱり郵貯であれ民間であれ同じくなければならぬと思っているんですよ。ところが、非常に極端な話をしますと、例えば郵貯の持っている郵便法という問題がありましょうけれども、税務調査が入れば入るほど逆につまり貯蓄意欲というのが減退しちゃって、財投資金に回る資金運用部資金が少なくなる、多少手を抜いてもしようがないんじゃないかというような達観した意見や、それから、片方は幾らでも預けられるのだからしようがないじゃないかというような区分けの議論などがあって、どうも政治的な配慮の中から不公平税制というか、つまり執行上の、
そういうものが生まれている、そういうふうに私は理解せざるを得ないんですが、大臣、この点はどういうふうに理解したらよろしゅうございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) これはなかなかお答えにくい問題でございますが、確かに六十年度の自由民主党税制改正大綱の決定の過程におきまして五役調停ということが行われたということは聞いております。要するにいわゆる五役調停の段階では、両者の意見を聞いて、可能な限りこの限度管理というものが現実的にも適切な対応ができるようにという考え方でお集まりをいただいた。結局のところが、私どもその経過で感じますことは、限度管理は厳正に行う、そして限度管理システムについては要するに大蔵省と郵政省で引き続き実効の上がる案について検討しなさい、それからその後に生ずる利子課税についてはいわゆる源泉徴収義務者に郵便局も含めてなるということと、それから郵便局に対する税務調査の問題、さらに両者で詰めなさいということが大筋でございますが、税務調査の問題はいわゆる反面調査ということでこれは可能でございます。源泉徴収制度を導入するかどうかという問題は、とにかくそれじゃこれでやってみろ、その上でその実効を見きわめながら検討をしたいということに、両者の話し合いは結局そこまでに終わったということでございます。
 確かに郵便局の方々の考え方の中に、大部分の方はもちろん善良に執行していらっしゃる方々でございますから、いわば税務署が有史以来我が方は入らないところだという一つのプライドのようなものも現実ございます。したがって、両者の議論を詰めてみますと、限度管理を適正にしていこうというところではずっと詰まってまいりますけれども、そこの一点というものが私は、それじゃ実効を見た上でこの問題はもう一遍議論しようやというところまでが限界であった、現実的な落ちつきがそうであったということは素直にやっぱり申し上げなきゃならぬ課題であろうなと思います。
 ただ、私なりに今度の経緯を見ておりまして、いわば金利決定方式ももちろん違うわけでございますが、そういうときに、俗に言う両省の間でいわばけんかがあるというような態勢はなくなって、お互いがそれぞれのよって立つ歴史的基盤も含めて歩み寄りといいますか、そういう環境といいますか雰囲気といいますか、そういうものは私はできつつあるんじゃないかなというふうな事実認識の上に立っておるところであります。
○鈴木和美君 最後ですが、私は両省の所管にかかわる縄張り争いというような言葉は使いたくございませんが、現実にやはり貯蓄の意欲というものが減退しちゃったんじゃこれはどうにもならぬことなんですから、これは局長が言われる資金のシフトだけに限らず、日本のそういう貯蓄意欲が減退するということでは本当に大変だと思います。
 しかし、反面から見ると、やはり税の執行上の不公平というものは依然として、まあ政府はクロヨンというものを認めたくないということの主張はあっても、国民の大衆の中にはやっぱりそれがあることは、もう私は蔓延していると思うんですね。だから、そういうものを放置しておくということはやっぱりよくないことだと思うんです。
 それからもう一つは、もう毎度毎度で恐縮なんですが、どんな法律をつくってみても、罰則規定をつくってみても、その補足補完というのが完全に行われたためしがないんてすよね。そのために結局は実効が上がらない、ざる法になってしまうというようなことが私は現に存在していたと思うんです。だから、先ほども申し上げましたが、大臣は環境で皆さんに応援してもらって大変ありがたいというふうに税務職員の問題を答えられておったんですが、どうぞそういう意味で、私は現在でも郵便局になかなか手が入れられないというような状態、よく話を聞くんですよ、いろんな議論があって。これではやっぱり私は問題があるように思っています。したがってそういうことのないように、実効あらしめるに当たって完全に目的達成のために努力をしていただきたいと思います。
 なお、委員長にもお願い申し上げますが、どうぞ各委員の皆さん、先ほど紹介したように、朝日新聞の中では、決して我々徴税活動が強化になるから税務職員をふやせと言っているわけじゃないんですよね。適正な納税ということを言っているわけですから、ことしぐらいは附帯決議でももっと大蔵大臣がびっくりするような附帯決議でがちっとやってもらわないと、附帯決議というのは一体何か。いろいろ比べてみますと十何人しかふえないというのが附帯決議ですよというようなことのないように、ぜひ委員長にも御努力いただくことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 最後に、何かあったら御見解を聞かせてください。
○国務大臣(竹下登君) 私どもいつの場合でも、行政改革というような立場から言いますと、まず隗より始めよと言われるのは大蔵省であり、あるいは今新しい役所で言えば総務庁であるわけであります。その中にあって、本委員会においていただきますあの附帯決議というものが我々が盾にとって要求できる唯一のよすがであるというような感じすら持っておるところでございますので、これからもその御決議の趣旨を引き続き踏まえながら、なお年々年々これは努力していかなきゃならぬ課題だ。二けたといいましても二けたの一番下の方の二けたでございますので、私もいい顔をしてここへ出るような気持ちになれないというのが実感でございます。ありがとうございます。
○委員長(藤井裕久君) 委員長といたしましても、十分御意見承りました。
○多田省吾君 私は、今回議題となっております法人税法、租税特別措置法、所得税法及び入場税法の一部改正案につきまして質問をいたすわけでございますが、その前に、関連いたしまして、まず株式取引における巨額脱税事件と税務当局の対応策についてお伺いしたいと思います。
 いわゆる誠備事件につきまして、東京地裁は被告人に対しまして、所得税法違反について無罪とした判決を行ったわけでございます。今回の税制改正とのかかわりもございますので、この事件の経緯について最初に、税務当局及び法務当局の御説明を簡明にお願いしたいと思います。
○政府委員(村本久夫君) ただいまお尋ねの誠備事件につきましては、金丞泰の所得税法違反事件と加藤ロの所得税法違反事件の二つがございます。
 まず、金の所得税法違反事件でございますが、これにつきましては、東京国税局が昭和五十六年二月に東京地方検察庁に告発し、同月、起訴をされております。また、加藤の所得税法違反事件につきましては、東京国税局が昭和五十六年の四月に東京地方検察庁に告発をし、同月、起訴をされているものでございます。
 ただいまお話しのように、この件につきまして三月二十二日に第一審の判決がございました。それによりますと、金の所得税法違反事件については、金、加藤両名は共謀の上、金の株式売買につき仮名口座を分散開設し、あるいはこれらの口座を利用して仮名取引を行うなどの方法により所得を秘匿し、金の昭和五十三年分及び五十四年分の所得税合計七億二千万円余を免れたとして、金に対して懲役一年二カ月及び罰金一億円、加藤に対して懲役一年二カ月の判決が行われております。
 さらに、加藤の所得税法違反事件につきましては、自己の所得税を免れようと企て、株式売買を法人名義または他人名義で行う等の方法により所得を秘匿した上、昭和五十三年分及び五十四年分の所得税合計二十四億四千万円余を免れたという公訴事実に対しましては、無罪の判決が行われたというところでございます。
○説明員(東條伸一郎君) 事件の内容につきましてはただいま国税庁の方から御説明のあったとおりでございまして、無罪理由の骨子ということでございますが、何分いまだに判決の全文が入手できないような状況でございますので詳細は承知いたしておりませんが、本件で最大の争点になりま
したのは、検察官が被告人加藤に帰属する株式売買であるという主張に対しまして、弁護人側からそれは第三者の顧客の依頼を受けて売買をしたものであるという主張がなされまして、結局判決は、検察官の主張に沿う証拠も少なくはないけれども、被告人加藤が使用した株式取引口座の株式取引は、少なくともその一部が被告人の顧客のものが相乗りをしたり、あるいは顧客の資金が流入してなされたものでないかという疑いが払拭できないということで、その売買利益のうち実際に被告人加藤に帰属すべきものがどれだけあるのかということが証拠上明らかでないという理由で、無罪となったということでございます。
○多田省吾君 概要はわかりましたけれども、二十四億円余の脱税というのは庶民感覚から見ましても想像をはるかに絶する巨額なものでございます。司法裁判のことでございますから、事実関係につきまして私は云々する立場にございません。しかし、このような事件が税務当局によってメスを入れられたということは極めてまれであるということでございます。これまで他にどんな例があるか、件数と主な内容、わかります範囲で簡明にお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(村本久夫君) 株式取引に関し国税局が国税犯則取締法によりまして強制調査を行いその調査結果に基づいて検察庁に告発いたしました脱税事件の件数は、最近十年間をとってみますと二十二件、また最近三年間をとってみますと、昭和五十六年度が十一件、五十七年度がゼロ、五十八年度が二件、こういうようなことになっております。
 その内容でございますけれども、内容につきましては、自己の所得金額を殊さら過少に記載した内容虚偽の所得税の申告書を提出したもの、あるいは他人名義等で株式売買を行って、そういった方法によりまして所得を秘匿した上、所得税の過少な申告書を提出したもの、そういったものがあるわけでございます。
○多田省吾君 株の売買による所得把握というものは非常に困難でございます。今回の誠備事件につきましても全容が明らかにされないということのようでございますが、現在大蔵省当局で確認している株式市場の投資家という人でしょうか、法人、個人に分けてどのようになっておりますか、最近の推移を含めて御説明いただきたいと思います。
○政府委員(岸田俊輔君) 東証一部の委託売買高で見てまいりますと、一昨年五十八年中で、個人が大体五九・一%でございます。法人が二〇%。昨年の五十九年でございますが、これが個人が五四・五%、法人が大体二三・二%、残りは大体外人とか非会員の証券会社でございます。この傾向は、この四、五年大体この傾向で動いているというふうに考えております。
○多田省吾君 次に、これは一般的には資産性所得と言われると思いますけれども、利子配当課税の中で、株式売買と配当による所得に課した課税収入というものはどのようになっているのか、これも実態をお述べいただきたい。
○政府委員(冨尾一郎君) お答えいたします。
 最初に株式の売買益に対する課税でございます。株式の売買による所得につきましては原則非課税でございますが、株式の継続的取引による所得などに限って課税されることになっております。昭和五十八年分の株式の売買益について五十九年六月三十日現在で課税をいたしております件数は、合計で三百八十件でございます。
 それから次に配当所得でございますが、これにつきましては五十八年分で課税人員が約四十七万八千人、それから配当所得金額が四千七百四十四億円でございます。なお、この配当に係る数値は、今の計数は、申告をしたことによりまして申告納税額がある納税者についての計数でございます。
○多田省吾君 株式市場の機能というものは、言うまでもなく資金調達の場でありますけれども、現状認識とそれから今後の方策について大蔵省の見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(岸田俊輔君) 株式市場の機能でございますが、確かに先生御指摘のように、企業の長期安定資金の調達の場であると同時に、また国民の金融資産の運用の場でもあるわけでございます。また、この株式市場を通じまして、資金調達、運用というような市場原理に基づきまして、国民経済の中で適正な資金配分を達成するというような意味合いにおきまして、国民経済的に見て極めて重要な役割があるというふうに認識をいたしております。
 このような株式市場の機能を十分に発揮させるために、当局といたしましては、適正な株価が形成されるよう過度の投機等に対する規制措置の機動的な実施、不公正な取引に対する厳正な対処などについて常に配慮をいたしてまいっているところでございます。
 このような株式市場の機能の拡充を図る観点から、一昨年の証券取引審議会の「株式市場の機能拡充について」と題する提言を受けて、取引市場及び店頭市場の機能拡充策が実施されてきております。
 また、この株式市場に関連をいたしまして、かねてから業務のあり方について問題のございました投資顧問業務に関してでございますけれども、昨年末より証券取引審議会の投資顧問業務等に関する特別部会におきまして、業法の制定の可否を含めて議論をいたしているところでございます。
○多田省吾君 そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、大蔵大臣として今回の事件について、また判決についてどのような御感想をお持ちであるのか、税務当局の最高責任者のお立場としての御感想をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いつも申し上げることでございますが、判決内容そのものは司法当局の御判断でございますので、直接私がコメントすることは差し控えるべきでありましょう。
 ただ、私として、今御指摘なさいました税務当局の最高責任者としてという角度から申し上げますならば、税務当局は本事件の調査に当たっては最善を尽くしたものであると確信をしております。したがって、これからも悪質な脱税の摘発につきましては、一層の努力を払ってまいらなければならないというふうに考えておるものであります。
○多田省吾君 大臣としまして最善を尽くされたという御感想でございますが、それにしても残念ながら無罪になっております。
 いずれにしましても、このような事件が起きた背景には、現行税制、特に仮名取引に対する措置というものに大きな問題があるのではないかと思われます。また、株の売買という、ある意味では大変複雑な動きに対しまして税務当局が対応し切れないというのが現実ではないかと考えますが、大蔵省当局の率直な御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(村本久夫君) 国税庁といたしましては、従来から仮名取引を含めた株式取引の実態の把握に努め、適正課税の確保に鋭意努力をいたしているところでございます。しかし、御指摘のとおり株式取引には非常に複雑な一面がございまして、その解明にはなかなか困難な点があるということも事実でございます。
 私どもといたしましては、今後とも、関係方面の協力を得ますとともに、調査手法あるいは資料、情報の収集等につきましても一層工夫を加えまして、より適正な課税に今後とも努めてまいりたい、このように考えております。
○多田省吾君 次に、私は今後の税制改革につきまして、特に大型間接税導入問題等につきましてお伺いしたいと思います。
 総理と大蔵大臣の御答弁の中に、本会議でもあるいは予算委員会等でも私は大分食い違いがあるやに見受けられます。先日の参議院本会議でも中曽根総理は、減税というものを表に出されまして、大型間接税の導入問題に関しましては、極力手控えた答弁をしようと意図しているように思えるわけでございます。
 この前も、いわゆる一般消費税、取引高税、EC型付加価値税など多段階で包括的で投網をかける
ようなものはやる考えはないというような答弁をなさっているわけです。しかし大蔵大臣は、前回の私の質問に対しましても、EC型付加価値税は国会決議によっても否定されたとは思わない、このような御見解を述べておられます。こういった総理と大蔵大臣の間には大分食い違いがあって、閣内不統一が見られるのではないか、このように思われますが、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる総理と私の本会議、委員会等々の答弁におきまして、最終的に衆議院の段階で矢野書記長にお答えをしたところでいわば整理がつきまして、それからその線に沿って御答弁を申し上げておるところでございます。総理の申しておりますのは、いわゆる大型間接税というのは、それはなかなか定義づけるのは難しいと。が、課税ベースの広い間接税ということの類型の中に、言ってみれば多段階ということになればかつて企図した一般消費税があり、そしてまたいわゆるEC型付加価値税というものが存在しておる。したがって国会決議も、国民の理解を得ることができなかった、よって財政再建の手法としてはいわゆる一般消費税(仮称)の手法はとらないということは明確に申し上げ、そしてEC型付加価値税であっても、それがいわゆる多段階、包括、普遍、網羅、そして投網をかけるようなものはとる考えはない、こういうことを申し上げておりますので、私と総理との間のニュアンスの差も含めて大体整理されたではなかろうかというふうに思っておるところであります。
 閣内不統一かの印象を与えたとすれば、それは私のいわば答弁技術の拙劣さ等でもなかったかというふうに反省をいたしておるところであります。
○多田省吾君 それから、本会議や委員会等における中曽根総理大臣の御答弁をお聞きしておりますと、最近、特に所得税減税や法人税減税という大変耳当たりのいい言葉が前面に出てきております。私どもは、その裏にはどうも大型間接税導入というものを同時に意図しているのではないか、このように勘ぐりをしているわけでございますが、大蔵当局としてはこういった問題はどうお考えでございますか。
○国務大臣(竹下登君) これは今多田委員のおっしゃいましたような議論が、確かに国会等においても行われましたことは事実であります。総理もまた、国会等の論議を踏まえ、所得税の減税とかあるいは法人税の減税とか、言ってみれば、個々が感じておる税に対する重圧感を少しでも取り除きたいという、自分もそういう気持ちを持っておる、しかしそれを赤字公債によって財源とするわけにもまいらないという趣旨のことも述べておられます。
 したがって、このたび税制調査会に御諮問申し上げようという考え方の基本は、あくまでも、税制調査会から御答申がありましたように、直接税、間接税を問わず税制全般について広範な角度から論議と検討を行う必要があるという考え方を踏まえまして、言ってみれば、初めに増税がありきとか初めに減税がありきとかいうことでなくして、公平、公正、簡素、選択並びに活力という角度から税制調査会にお諮りをいたそう、そういう基本的な考え方に立っておるわけであります。
 したがって、現段階で税体系の具体的なあり方について、この減税の財源として間接税を考えておりますとかいうことを申し上げることは差し控えるべき立場にあるではなかろうかというふうに考えておるところであります。
○多田省吾君 具体的な税制改革問題になりますと、総理も大蔵大臣も一様に政府税調の答申というものを盾にして、明らかにしようとなさらないわけでございます。
 しかしその一方では、三月二十三日の日本経済新聞には、大蔵省の考える所得税改革の内容がトップに出ております。大蔵省は当然いつものようにこの記事の内容については否定されるかもしれませんけれども、大蔵省の考える内容はここに書かれている方向であると理解していいのかどうか、やはりこのようにはっきりマスコミにも書かれる以上は何らかの根拠があって書かれたのに違いありませんし、もしあくまでも否定なさるのならば、大蔵省が考える所得税改革の内容を方向性だけでもやはり提示していただきたい、このように思うわけでございます。
 過去におきましても、最高税率を七五%から七〇%に引き下げた経緯がありますけれども、あのときもいわゆる新聞記事が先行いたしまして、ついに所得税制改革というものがそのとおりになったという経緯もあわせ考えますと、私たちはこれはなおざりにできない、このように思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは五十九年度の本格的な所得減税の実施に当たりましても、「所得水準の平準化の動向等にかんがみ、中堅所得階層の負担の緩和にも配慮しつつ、全体として、若干なだらかな累進構造とする方向で見直しを行うことが適当である。」という税調の答申を受けまして、最低税率を一〇%から一〇・五%、最高税率を七五%から七〇%、したがって十九段階の刻みを十五段階ということでお願いをして、それが今いわゆる動いておる税制でございます。この問題につきましては、そういう基本は今日なお続いておりますので、そういうことは税制全般の見直しの中で、所得水準の状況とか、国民生活の状況とか、幅広い角度から判断されるべき問題であるという事実認識を持っておるところであります。
 したがいまして、特にアメリカでいわゆる財務省が大統領に提示いたしました、これはまだこれからの問題でございますけれども、実現になるかどうかの問題は別といたしまして、いわゆるフラット税制というようなものが言われております。それが一つの趨勢として新聞記事等で取り上げられたことではなかろうか。今日の段階で、大体いわゆる税率の刻みの数をどうしていくかとかいうようなことを、現段階で予見を持っておるわけではもとよりございません。したがって、これはあくまでも、五十八年十一月の中期答申を基本としていろいろ今後幅広い角度から御議論をいただける課題であろうというふうに思っておるところであります。
○多田省吾君 新聞記事では、現行所得税率の最高税率七〇%から六〇%に下げることが示されております。今大蔵大臣がおっしゃったように、アメリカの財務省案というのは現行五〇%から三五%に引き下げる案かと思われますが、大蔵大臣は先進諸外国の最高税率は日本よりも低いとおっしゃって、英国の六〇%、西ドイツの五六%、フランスの六五%等を引き合いにたびたび出されております。
 そういったことから考えると、新聞記事の、七〇%から六〇%に最高税率を下げるという案も、どうも大蔵省の考え方としては的外れでないようなふうに思いますが、これはいかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり私どもがお答えするとなりますならば、今のところ五十八年十一月の中期答申というものが教科書になるわけでございます。その教科書が「全体として、若干なだらかな累進構造とする方向で見直しを行うことが適当である。」とされておりますので、まずはその問題について五十九年度税制改正で措置をさせていただいた。しかし、今後どのような議論がされていくかということは、まさに幅広い国民の御議論の中で、税調等で適切な運営がなされ議論がなされていくものであろうというふうに考えておるところであります。
 ただ、何といいますか、的を射ているかとかそういう、あるいは新聞はそれは言論は自由でございますが、新聞記事というものもたくさんの専門家が寄っておつくりになりますので、当時とにかくかまびすしく、今でもそうでございますが、議論されておるフラット税制などというものからして、いろいろな試算をなさったものが記事として掲載された。大蔵省としてそれを下敷きに今作業を始めておるという内容のものではございません。
○多田省吾君 大蔵大臣の最初の御答弁の中でも
その方向性というものは否定されなかったわけでございますが、私も中堅所得層の累近緩和には反対いたしませんけれども、最高税率の方を下げるということは私は反対でございます。
 なぜならば、最高税率の適用者が納税者の中で占める割合というものが極めて少ないこと、これらの階層の方々は金融資産については源泉分離選択課税を選択しておられることなどから、最高税率の引き下げは、金融資産をも含めた総合課税が実現された上で、与えていっても改めて考えるべき問題であると思います。今の段階で最高税率を引き下げるようなことがありますと、所得税が持つところの所得再配分の機能というものが崩れかねないと私は思うのです。
 そういう意味で大蔵当局の御見解をもう一度お聞きしておきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 所得税の基本的な見直しの問題につきましては先ほど大蔵大臣の御答弁があったとおりでございまして、現在大蔵省として具体的な検討を行っておるという事実はございません。
 ただ、一般論として申し上げますと、ただいま委員が御提起になりました問題、利子配当課税というのは所得税制の中でも重要な一部分を占める問題でございますから、将来所得税のいろいろな議論が行われます場合には当然、午前中からも申し上げておりますように、利子配当課税の問題についてもこれは必然的に相互に関連をもって議論される問題であると考えております。
○多田省吾君 それから、政府税調がございます。一方では自民党税調がございます。今回も自民党のいわゆる村山調査会が税制改革の検討作業に入ったと伝えられておりますが、政府税調で検討するであろう内容とほぼ同じ方向ではないかと推測されます。
 この場合に、今回の利子配当課税のように政府税調と自民党税調が分裂答申を出したような場合に、大蔵当局はどちらの案を採用するのかお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは政府税制調査会は総理の諮問機関でございます。したがって、それに基づいて基本的事項を調査審議することを目的として設置されたものでございますので、従来から税制全般について幅広く審議をいただいてそして答申を取りまとめをいただき、政府はこれを踏まえて税制改正の作業を進める、こういうことであります。
 そこで今度は党の税制調査会というのは、これは今のところ政権与党でありますところの自由民主党、また各党におかれてもそれぞれ政党政治の立場に立って、その政策の観点から各党でそれぞれ税制調査会があるわけでございます。したがって私どもとしては、基本的には政府税調というものの御答申というのを最大限尊重して、それをまとめていく作業を行う。しかし党税調の方は、また一方でより現実的な、両者並行の審議の中でもより現実的な対応の仕方、いわば政策実行者としての現実的な対応の仕方というものが間々あることも事実でございます。それらを総合的に勘案して政策立案を進めていくわけでありますが、基本的には政府税調の御答申の方向に沿ってまず政策執行上の作業を進めていくというのが基本でございます。
○多田省吾君 今大蔵大臣は一般論をお述べになったわけでございますが、利子配当課税の先ほどの問題につきましては、政府税調案ではなしに自民党税調案というものを政府案として決定されたわけでございまして、今後の税制改革もそういう方向に行かないという保証は何もないわけでございます。
 今、大蔵大臣は政府税調の方向を政府としてとりたいとおっしゃいましたけれども、そのような強い決意をお持ちなのかどうか、利子配当課税の問題がそうでなかっただけに大変危惧の念を持たれるわけでございますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これは基本的に私どもは、政府税調がいわば税制のあり方として御議論なされて出された結論というものを最大限に尊重すべきものであると思っております。
 重ねて申し上げるようでございますが、いわばそれの政策を実行する際のより現実的な手法について、間々党税調から御意見があったことは事実でございます。これはやはり、政党政治という立場から、それは各党それぞれの立場でいわば税制に対する御意見が出されていくということについては、私どもも絶えず注目していなければならない課題だというふうに考えております。
 それで利子配当課税の具体的な問題につきましては、今度御審議いただいておりますものは、現在の段階で現実的な施策として限度管理の強化を初めお願いしておるところでありますが、将来の問題としては、これの実施の状況等を勘案しつつ引き続き検討を重ねていかなければならない課題だという認識の上に立っております。
○多田省吾君 次に一点お伺いしておきたいのは、昭和六十年四月一日から長期プライムレートを〇・三%引き上げて七・七%にすることが長期信用銀行等の間で三月二十五日に決定されたわけでございます。
 この点に関しまして、景気の回復の足を引っ張ることがないのかどうか。それから国際市況の悪化というものが円安によるものと判断するのか、あるいは現在の大量の国債発行が構造的な長期金利の高どまりをもたらしていると判断すべきであるのか、その辺のお考えをまずお伺いしておきます。
○政府委員(吉田正輝君) 今回の長期金利が景気に与える影響でございますけれども、最近の我が国の経済を見ますると、物価の安定に加えまして景気は設備投資を大幅に増加するなど、国内民間需要を中心に自律的に拡大局面にあるというのが政府の見方でございます。今後につきましても、物価の安定、企業収益の堅調等の景気拡大を支える要因が続くものと思われますので、引き続き国内民間需要を中心とした息の長い安定的な経済成長が持続していくものというふうに考えておるわけでございます。
 なお、設備投資や住宅投資については金利以外の要因によって左右されるところも大きいということも考えられますので、一連の市場実勢を反映いたしました長期金利の引き上げが景気に与えるような影響は大きなものではないというふうに考えておるわけでございます。
○政府委員(宮本保孝君) 国債の価格といいますか、国債の金利につきましてのお尋ねがございましたので私から御答弁をさせていただきますが、一般的に国債の金利は、国内の資金の需要と供給との関係、いわゆる金融が引き締まっているかあるいは金融が緩和になるかというような状況が一つございます。それから二番目には、国債という金融商品のこれも需要と供給との関係、したがいまして、たくさん出し過ぎますと国債の値段が下がって金利が上がる、少なければ逆でございます。そういう問題がございます。それから最近特に私ども注目いたしておりますのが海外の影響でございまして、一つはアメリカの高金利といいますか、金利に大変影響されるという面がございます。それから第四番目は、円の相場の問題でございます。
 こういうふうなもろもろの要因によって決まってきているわけでございまして、あるときには海外要因が強いし、あるときには国内要因が強い、あるいはミックスしている状況があるというふうな状況でございまして、一概には言い切れないわけでございますけれども、しかしいずれにいたしましても、余り大量に国債を出すということは金利を高くするということでございますので、できるだけ国債の発行につきましては減額に努めるということかと思います。
○多田省吾君 この長期プライムレートの引き上げに伴いまして、都市銀行あるいは生保会社等の固定金利型住宅ローン金利も、四月下旬ころから、新規貸出分につきましては〇・一八%引き上げられて年率七・八%になる見込みでございます。
 しかし、このことが要因となって住宅建設の落ち込み、あるいは四月下旬から住宅購入を計画された人たちの負担増、こういったものにつながる
おそれが十分ございますし、住宅ローン金利というものは長期プライムレートに連動する慣行になっておりますけれども、これを改める等の行政指導があってもいいのではないか、このように思いますけれども、これはいかがでございますか。
○政府委員(吉田正輝君) 住宅ローン金利のお尋ねでございますけれども、住宅ローン金利は、一般論で申し上げますと、個々の金融機関におきまして長期金利の動向等を勘案して決定しておりまして、従来から、長期プライムレートの改定から多少日数を置いて決定されてきておるわけでございます。今回も関係者の間で検討されているというふうに聞いておりますが、一部その動きを伝えるような新聞の報道などに関連しましての先生の御質問だと思います。
 景気停滞につきましては先ほど申し上げたようなことでございますけれども、住宅建設そのものの金利が低いことはこれは望ましいことだと考えられますけれども、住宅建設は金利のみではなくて、やはり土地代とかそのようなもろもろの要因に左右されるような面もございます。
 それから、この長期プライムレートと連動する慣行について、むしろ改めるべきではないかということでございますけれども、そもそもこの住宅ローン金利は都地銀において本来的には自主的に決定されるものでございますけれども、いわゆる長期プライムレートは五ないし七年程度の民間の最優遇金利でございます。それを民間の個人に対しまして、二十年ないし二十五年というようないわば超長期物に適用している点では、かなり政策的にも適合する面があるのではないかとむしろ私どもは評価しておるところでございます。
 なおまた、超長期でございますこともございますけれども、金利が過度に変動することがないように、今までの慣行によりますと、長期プライムレートの変動にそのままくっつくのではなくて、四割ないし六割の連動というような形をとっておるわけでございます。
 一般に住宅金融につきましては、私どもといたしましては、余り採算を圧迫いたしますと住宅資金の安定供給を害する面もございます。が、ただいまのところ住宅資金の安定供給につきましては、民間金融機関においては住宅ローン残高は増加しております。なお、住宅ローンは金利のみでなく量的確保も重要ではございますけれども、私どもといたしましては民間金融機関に対して、住宅ローンの拡充に努めるよう指導しておるところでございます。
○多田省吾君 法案の内容に入ってまいりますが、まず入場税についてお尋ねいたします。
 今回の免税点の引き上げは一応評価できますけれども、私どもは、本来入場税は撤廃すべきものである、特に舞台芸術入場税等は撤廃せよと強く主張してまいりました。
 まずその前に、国の予算における文化関係費について伺います。
 中曽根総理は施政方針演説の中でも「国内的には二十一世紀に向けた「たくましい文化と福祉の国」づくりを目指して、全力を傾けてまいりました。」、こう格調高くおっしゃったのでございますが、それでは、昭和五十五年度から六十年度までの文化関係予算は総額で毎年幾らになっておりますか、まずお伺いしておきます。
○政府委員(的場順三君) 文化関係の予算と申しますと非常に定義が難しゅうございますけれども、御質問の趣旨を文化庁の予算ということで考えますと、次のとおりでございます。昭和五十五年度が四百億二千五百万円、五十六年度が三百九十六億三千万円、五十七年度が三百九十九億一百万円、五十八年度が三百八十三億五百万円、五十九年度が三百六十三億四百万円、六十年度が三百六十三億二千三百万円でございます。
 傾向的に若干減っているようでございますが、これは実は、例えばこの中に国立歴史民俗博物館あるいは国立能楽堂、国立文楽劇場といったような大きな施設が順次完成していくという部分がございまして、その部分、そういった施設費を除きますと傾向的にふえておりまして、こういう予算のもとで最大限の努力をしているところでございます。
○多田省吾君 いろいろな施設が順次できることは当然でございまして、それで次に新しい施設がまたさらに必要だということも当然ございます。
 それにしましても、総理のおっしゃる割には、昭和五十五年度の四百億二千五百万円が最高であって、それから順次文化庁予算が減ってきている。特に昭和六十年度は、文化庁として三百六十九億三千万円の要求をなさったのに、それが大蔵省当局によって三百六十三億二千三百万円に大分減額されたという経緯もございます。このようにマイナス予算が続く文化関係費でございまして、せめて本年だけでも文化庁の要求どおり政府案に盛り込めなかったのか、こういう考えも浮かびます。どういうわけで、総理がたくましい文化と唱える割には文化関係費がだんだん減っているのか、また大蔵省は減らしておられるのか、大蔵大臣はどのように考えておられますか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに九十七回国会の総理演説の中で、「「たくましい文化と福祉の国日本」をつくること」ということで、「終戦直後、人々は空腹を抱え、トタン屋根の仮住まいの中で、文化国家、福祉国家の理想を掲げました。」、総理はそのときに、二十二年国会へ当選されたわけでございますが、「「たくましい」とは、人間の自由と創造力、生きがいという心の内なるものを尊重する考え方を指すものであります。それは、国民がわが国のよき伝統である連帯と相互扶助の精神をとうとび、生涯を通じて互いに学び合い、切磋琢磨する姿勢の中から生まれてくると思います。」、こういう基本的な考え方が総理の所信表明にも述べられたところであります。
 したがって、それをいわゆる文化庁予算で見てまいりますと、非常にわずかでございますが、三百六十三億四百万円から三百六十三億二千三百万円、〇・〇五%増ということで厳しい予算の中でも計上をしておるところでございます。たくましい文化というのは、この予算の多寡だけと直接結びつくものではなく、先ほど総理の所信表明の一端を利用させていただきましたが、物質的、精神的な成果としてその内容がいわゆる人間の自由、創造力、生命力、こういうものにつながっていくという心構えこそが大事ではなかろうかというふうに考えておるところであります。
○多田省吾君 大分苦しい御答弁をなさっておられますけれども、文化に対するそのような心構えがあったならばこのように年々文化関係費が減っていることはないわけでございまして、大変この点は言行不一致ということで疑問に感じます。
 入場税に関しましても、そもそも大正年間に地方税として発足したものである。ところが昭和十三年にいわゆる戦争に関する特別税法という一括法の中で国税として制定されたものと聞いております。その後昭和十五年に単独法となり、終戦の年昭和二十年には最高税率二〇〇%にもなったと承知しております。戦時につくられて戦時に税率が極度に引き上げられるという、戦費調達のための税制であったことは事実でございます。戦後四十年、平和憲法のもとで文化国家を目指した我が国にとって、果たしてこの税制が今後も存続する必要があるのかどうか甚だ疑問でございます。
 このたびは免税点の引き上げということは一応評価できますけれども、さらに進めて入場税の撤廃、特に舞台芸術等に関する入場税はこの際撤廃の方向で検討されたらいかがと思いますが、御答弁をいただきたい。
○政府委員(梅澤節男君) 入場税のこれまでの歴史はただいま委員がおっしゃったような経過をたどっておるわけでございます。
 入場税というのはそもそも、映画とか演劇の入場者、その入場料金の支払いに担税力ありとして、税目といたしましてはサービス消費税という性格のものでございます。税制調査会の答申にもあるわけでございますけれども、今後消費のサービス化といったような状況がどんどん進行してまいるわけでございまして、むしろ我が国の今後のサービスに対する課税というものは、いつの時期かは
ともかくといたしまして、将来の税制上の大きな検討課題の一つになっておるような状況でございますが、翻って我が国の国税体系の中でサービスに対する課税を行っている税目というのはこの入場税と通行税のわずか二つでございます。
 税収の規模についていろいろ御議論はあるかと思いますけれども、私どもはやはり現在の国税体系の中で非常に貴重な地位を占めている税目と考えておりますので、この入場税全体を将来撤廃するということは考えておりません。
○多田省吾君 大蔵大臣にお伺いしますが、大蔵省当局は答弁の際いつも、入場税というものは映画だとか演劇だとか、入場者の担税力に着目して課税するんだ、こう答弁されております。そうしますと、高い入場料のものへは収入の多い人が行き、収入の少ない者が行けるとは考えていないということになりますけれども、そういう考えでいいのかどうか。やはり、見る側の国民にとってあくまでも、担税力、言いかえれば収入の差によって芸術文化に接する内容が違うのが当然だというような意味の御答弁では、我々は納得できない。
 この点に関して明確な御答弁をいただきたいし、また将来の税制改革によっては撤廃もあり得るんだ、そういう方向を示すのが私は当然だと思いますが、この入場税の今までの経緯にかんがみましても、また芸術文化を大事にする中曽根内閣の大蔵大臣としても、そういう方向に向かうんだという御答弁をなさるのが私は当然だと思いますけれども、いかがでございますか。
○政府委員(梅澤節男君) これは言うまでもないわけでございますけれども、入場税に限りませず消費税というのは、その消費の支出そのものに担税力を推定するということでございまして、その背後に厳密に収入とか可処分所得と結びついているとか結びついていないとかいうことは直接関係がないわけでございます。少なくとも、高い消費をされる、それだけの経済力に担税力ありとするのが消費税一般の考え方でございます。
 ただ、そうは申しましても、消費税につきましては、消費の内容によって、例えば非課税とされるものもございましょうし、課税の範囲から除かれるといったような、いろいろなきめの細かい配慮が実際の租税の立法化に当たっては行われるわけでございまして、入場税につきましては、ただいま御提案申し上げておりますように、一定の免税点を設けまして、その免税点を上回るような、いわば高級と申しますとちょっと語弊があるわけでございますけれども、高額な入場料金について課税を求めるということで御理解を願いたいと思うわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる消費一般に担税力を求めるという税制のあり方については今梅澤局長からお答えをしたとおりでございます。
 で、私どもも、いわゆる芸術文化というものは、いわば見る人の立場といま一つはそれそのものをみずからの業としていらっしゃる方々、見る立場と演ずる立場とあるような感じがいたしております。したがって、演ずる立場、見る立場を含めてあるいは劇場の整備をしますとか、そうした財政面においてこれに対して助成措置を行っていくという一つの考え方、いわゆる助成政策によってこれに対応していくという考え方が一つはございます。より大衆性ということからすれば免税点というものもあります。そうしてやっぱり演ずる立場の方に立って、いわばそういう入場料金に値するだけの芸術に自己研さんを行っていかなければならぬ、そういう人の気持ちというものもその芸術文化全般には必要なことであろうというふうに考えておるわけであります。
○多田省吾君 私はやはり、見る国民の側の立場に立ちましても、また収入の道を他の職に見出しながら懸命に努力されている多くの芸術家、文化人の方々もおられる、そういったことを考えましても、この入場税撤廃という方向に関しましては真剣にお考えいただきたい、このように強く要望いたすものでございます。
 次に、今年度の税制改正につきまして、さきの本会議におきまして同僚の桑名議員からも幾つかの問題点について指摘してまいりました。今日の財政事情、それに伴う税制改正に対しまして国民から、税の重圧感、不公平感を政府、大蔵当局は全く無視している、あるいは常に取りやすいところからしか取らないというような声が上がっておりまして、私もそのとおりであろうと思います。
 まず最初に、税負担の公平確保という見地に立って大蔵大臣はどのように考えておられるのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 税制の基本が公平確保にあるということは御指摘のとおりであります。
 連年の税制改正におきまして、社会経済情勢の変化に対応して税負担の公平化、適正化を推進する立場から、税制の見直しを絶えず行ってまいりました。それの具体的な例としては、租税特別措置については一貫して整理、合理化という方向でこれを進めてきておるわけであります。やはりこの問題につきましては、総理からもお答えしておりますように、公平、公正、簡素、選択並びに活力という基本的視点に立って、幅広い角度から税制全般についての論議を検討していくべきであろうというふうに考えておるところてあります。
○多田省吾君 今年度の税制改正による増減収見込み額はどのようになりますか、御説明いただきたい。
○政府委員(梅澤節男君) 主なものを申し上げます。
 貸倒引当金の法定繰り入れ率の引き下げ二千億円、公益法人、協同組合等の軽減税率の引き上げ三百二十億円、法人税における所得税額控除の控除不足額の還付に関する特例八百四十億円、それから先ほど御議論がございました入場税の免税点の引き上げによりまして四十億円の減収。主なものを申し上げましたが、総額で二千八百九十億円の増収を見込んでおります。
○多田省吾君 この中で貸倒引当金の法定繰り入れ率の引き下げで初年度二千億円、金額的にはこれが目玉のようでありますけれども、昭和五十八年度の法人企業の貸倒引当金残高を見ますと三兆二千九十二億円となっております。これが貸し倒れ実績率と比較検討してみるとどうなるのか、この点、実績率はどうですか、御説明いただきたい。
○政府委員(梅澤節男君) 五十四年から五十八年の五年間の平均実績率で申し上げますと、卸小売業が千分の四、割賦小売業が千分の六、製造業が千分の三、その他が千分の四ということでございまして、ただいまと申しますか、昭和六十年度の税制政正で予定をいたします法定繰り入れ率の引き下げによりまして、現行の水準でございますと大体実績の三倍ぐらいの水準にあるわけでございますが、これをおよそ二・五倍ぐらいの水準に引き下げるということを内容にしているものでございます。
○多田省吾君 政府税調の六十年度答申は「現行の法定繰入率がなお平均賃倒実績率に比べ相当上回っていると認められることから、更にその適正化を図るべき」だと、このように述べておりますが、その適正ということが問題だと思います。相当上回っているのなら相当の引き下げが可能であると思いますが、今回はわずか二千億円程度の引き下げでございますが、本来ならばもっと引き下げられたのではないか、このように思いますけれども、大臣はいかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは確かに政府税調の答申で、結論から申し上げますと、貸倒引当金の法定繰り入れ率については今後とも実態に即するような見直しを行ってまいりたいという、結論的にはそういうことでございますが、そもそも貸倒引当金というのは課税所得を合理的に計算するために設けられているものでございまして、この制度自体がいわゆる政策税制と考えることは適当ではなくて、その繰り入れ率等については実態に応じて常に見直しを行っていく必要があるという性格のものであると考えております。
 したがって、先ほど申しましたように、製造業、卸売業等の法定繰り入れ率についておおむね二割程度の縮減を行ってその適正化を図ってまいりました。今これも申し述べましたように二千億円の
増収をもたらすいわば千億単位のものでございますから、これは相当な規模のものてあります。そしてまた、従来縮減を行う場合に講じられたいわゆる積み増し停止措置とか、段階的な繰り入れ率の引き下げ措置といった経過措置を今回は講じないで、一遍にやったと申しましょうか、したがってその点においては内容としてはかなり厳しいものとなっておるというふうに御理解をいただきたいと考えております。
○多田省吾君 私は初めに大蔵大臣に公平の確保という問題で御質問いたしました。それから見ますと、法人税法による各種引当金、準備金等を見ましても私は抜本的に見直す時期に来ているのではないかと考えております。今ございました貸倒引当金残高は三兆二千九十二億円、退職給与引当金残高は七兆六千六百八十八億円、それから賞与引当金残高は四兆三千三百二十二億円に及んでおります。これらは、もちろんすべてをなくせということではなくて、現状と推移を見ながらやはり適正な思い切った措置を講ずべき時期だ、このように思いますけれども、今回は退職給与引当金等の問題は改革されなかったわけでございますが、今後のことについて大臣はどう考えられるか。
 我々は見直す時期だ、まさにそのときが来ていると思うのでございますが、もう一度この点に関しまして大臣の御所見をお伺いしたい。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる貸倒引当金及び退職給与引当金、こういう問題についての御意見を交えた御質問でございます。
 退職給与引当金につきましては、言ってみますならば、これも一つの絶えずいわゆる税負担の公平確保という観点から社会経済情勢の変化に対応して必要な見直しを行っていかなければならない問題でございます。いわゆる企業関係租税特別措置につきましては大体五十一年以来改善措置を講じておりますが、今回はいわゆる株式売買損失準備金等四項目の廃止、それから特別償却率等の二十八項目、そういう整理合理化を行ったところでございますので、いわば退職給与引当金ということにつきましては今回はその対象としなかったということでございます。
○多田省吾君 今御答弁のあった退職給与引当金残高にしましても七兆六千六百八十八億円でございますが、資本金百億円以上の企業が三兆三千六百三十二億円、逆に一億円以下の企業は一兆二千四百六十一億円と、三倍までにいかないにしてもそれに近い数字でございます。やっぱり従業員数から見ましたら比較にならないほど中小企業というものが占める割合が多いことから見ましても、私は資本金百億円以上のような企業の退職給与引当金の活用の度合いあるいは残高の推移というものを見まして、まだこれは引き下げられる要素が強いのではないか、このように思いますが、もう一度御答弁をいただきたい。
○国務大臣(竹下登君) そもそものお話になりますと、退職給与引当金は言ってみれば課税所得をこれまた合理的に計算するために設けられたものでありまして、この制度自体がいわゆる政策税制というふうに考えることは適当でないとされておるところであります。退職給与規程がいわゆる労働協約や就業規則等によって定められている場合には大企業、中小企業の別なく退職給与引当金の適用を受けることができますが、その利用状況を見ますと、残高ウエートは御指摘のとおり大企業の方が高いことは事実でございます。これは中小企業にありましてはそもそも退職給与規程を有しない場合が多くございますこと、それから中小企業退職金共済制度といった外部拠出形態によって退職金の支払い準備を行っている例も多いわけでございます。これは中小企業対策として制度化された制度でございます。したがって、退職給与引当金の仕組み自体が不公平てあるというふうには必ずしも考えておらないところでございます。
 で、今後の方向、こういうことになりますと、退職給与引当金につきましては、定年制の延長の動向等を見きわめながら、現行の累積限度のあり方については今後とも引き続いて検討を続けていくべき課題であるというふうに考えておるところでございます。
○多田省吾君 次に、酒税について一点お伺いしておきたいと思います。
 昭和六十一年度の税制改正に向けまして、財政当局はしようちゅうに対する酒税の引き上げをねらっているとも言われております。
 酒税引き上げにつきましては、昭和五十九年度に三千二百億円の増税を行ったものの、五十九年度補正予算では酒税引き上げのツケが回ってきまして二千四百五十億円の減額補正のやむなきに至っております。さらに五十三年度と五十六年度の増税時にも、決算段階ではそれぞれ七十四億円、千六百六十一億円も税収見込みを下回っているように、安易な増税というものは増収どころか税収減を招くことをはっきりと示していると言えます。増税のねらいをしょうちゅうに置いたのは、他の酒税に比べて税負担が低いことあるいは消費動向が他の酒類に比べて伸びていることを考えてであろうと思われますけれども、これまでの酒税増税の反省の上に立てば、しょうちゅう増税というものが直ちに税収増に結びつくとは思われない、むしろ角を矯めて牛を殺すことにもなりかねないと思います。
 酒税増税による減額補正に追い込まれた事実をどのように反省し、今後の税制改正に生かしていくのかどうか。さらには、酒税の増税等の有無についても明らかにされたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 酒税の税収の動向につきましてはただいま御指摘がございました。特にビール、ウイスキー類の消費動向が非常に低迷をいたしておりまして、補正の減額のやむなきに至ったわけでございます。
 これは私ども必ずしも弁解ということでお受け取り願わないようにということで申し上げたいわけでございますけれども、酒税の税率の引き上げを行いました時点で、課税数量なり税収見込み額につきましては私ども関係業界と十分ヒアリングも行い、いわばあの時点で客観的な税収見積もりを行ったというふうに考えております。ただ、これは結果論になるわけでございますが、今の時点から振り返ってみますと、いわゆるビールとかウイスキー類の消費低迷の裏側でございますしょうちゅう等の消費の動向が顕著にふえましたのが、五十八年の秋以降でございます。それから五十九年に入りまして、いわゆる税率引き上げによる価格改定がこの動向に無関係であったと私ども決して申し上げるつもりはないわけでございますが、ただ、現在の酒類の動向につきましては、例えば一九七〇年代の前半から後半にかけてアメリカで起こりましたいわゆるホワイト革命といったような酒類の消費動向の構造的な変化が、我が国にも起こっているのかどうかという問題意識を持っているわけでございます。これはまだ軽々に判断するわけにはいかないわけでございますので、いましばらく酒類の動向等を慎重に見守る必要があるというふうに考えております。
 ただ、御指摘がございましたように、事実としてこういう結果になったわけでございますので、私どもは、これを貴重な教訓として今後の酒税の問題について対応していかなければならないと考えるわけでございますが、これは一昨年の税制調査会の答申にもございますけれども、我が国の酒税の問題点の一つといたしまして酒類間、級別間で税負担の格差が非常に大き過ぎる、この格差を縮小しなければならないという方向が示されておりまして、実は五十九年の税制改正でも、恐らく三十年代から初めて、むしろ低負担酒の税率の引き上げ幅を大きくするという格好で対応したわけでございますが、結果として今次こういう状況になっておるわけでございます。
 こういった状況を踏まえまして今後とも一昨年の答申に即して検討してまいらなければならない問題であるとは考えておりますけれども、ただ世上伝えられますように、今直ちにいわゆるしょうちゅうの税負担の引き上げについて私どもが具体的な検討を行っておるという事実は、現段階ではございません。
○多田省吾君 次に、利子配当所得課税について
御質問いたします。
 三大不公平税制の一つとして国民が強く指弾してきたのが利子配当所得についての課税のあり方でございました。既に長期間にわたって論議されて、その最善の方策として考え出されたのがグリーンカード制であったと思います。我々はその一部に懸念があったのでございますが、やはり不公平税制の是正ということで我々も最終的には支持したのでございますが、五十五年に制定されたこのグリーンカード制の制定の趣旨というものを簡明に改めてここで述べていただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 五十五年の所得税法改正で立法化されましたいわゆるグリンカード制度は、二つの制度の目的といいますかねらいを持っておったわけでございまして、一つは非課税貯蓄の限度枠の管理を厳正に行うことによって乱用を防止する、適正な非課税措置を講じるという目的がございます。
 それから、課税貯蓄につきましては、グリーンカードを一つの手段として、その他各種の確認書類が当時決められておるわけでございますが、それによりまして完全な名寄せを行うことによって、課税貯蓄については適正な総合課税を行う、非課税貯蓄については厳正な限度管理によって適正な非課税措置を講じる、こういった二つの目的を持っておった制度でございます。
○多田省吾君 今局長のおっしゃったように、一般庶民の貯蓄についてのマル優等の非課税制度が一部で乱用されている現状を是正するために、本人確認と限度額管理というものが必要であり、そのためにやはり現状で考えられる最も正確、厳正な方策というものが私はグリーンカード制度であったと思います。また、今局長がおっしゃったように、非課税限度を超えるような課税貯蓄につきましてもその額を把握することができますし、さらに、どんなに利子所得が多額に上っても、配当の場合は年五十万円未満でございますが、三五%の源泉分離選択制度の税率で済むという不合理や不公平を排除いたしまして、総合課税化するというものであったわけでございます。
 ところが、この不公平、不公正を是正するためのグリーンカード制というものがせっかく国会で法改正され創設されながら、全く日の目を見ることなく、自民党を中心にしてこれを凍結したまま今日に至りました。今回の税改正でついに廃止されようとしております。内閣が提案して国会でこれを可決した法改正による制度の創設というものを、今回廃止するという案を内閣が提案しているのでございますけれども、これについて大蔵大臣はどういう見解をお持ちでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに今多田さんが御指摘になりましたように、グリーンカード制度、これは昭和五十五年税制改正に際しまして導入された制度であります。そして、いわゆる課税貯蓄また非課税貯蓄の双方を通ずる課税の適正化を確保するという理由でありました。しかしこれを、資金がシフトしますとか、あるいは準備が十分に整わないとかいうようなもろもろの情勢からいたしまして、その実施を延期し、凍結し、そして今度は廃止する、こういうことになったわけであります。
 六十年度答申でも指摘されておりますように、「その後今日に至るまでの経緯に照らしてみると、この制度について各層の理解と受入れ体制が十分に整っているとは必ずしも言い難い。また、法的安定性や税制に対する国民の信頼感を確保する見地からすれば、本制度の実施を再び延期することは適当でないと判断せざるを得ない。」という点の御答申を受けまして、したがって、廃止するという措置を講ずることもやむを得ない。書き方としては、さらに詳しく申し述べますならば、「このような観点からグリーン・カード制度を一旦、昭和六十年度税制改正において廃止するという措置を講ずることは、やむを得ないと思われる。」、こういう御答申でありました。
 その御答申の趣旨に沿いまして、これを廃止することといたしたわけであります。したがって、私どもといたしましても、このいわばここに書かれておりますところの文章から見ましても、今次の限度管理等の政策遂行の経緯を見ながら、絶えず引き続き検討の対象として意識していなければならない課題であると承知いたしております。
○多田省吾君 今回の租税特別措置法の改正案におきまして、利子配当所得の課税関係で、適用期限が従来は定められていたものを今回はその定めを廃止いたしまして、恒久税制にしようとしているものが幾つかありますが、それを挙げていただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 主なものを申し上げますと、ただいまお触れになりました利子配当所得の源泉分離選択課税、それから普通預金等の利子の確定申告不要制度、それからいわゆる少額配当と言っておりますが、一銘柄年十万円以下の配当の確定申告不要の制度、それから割引債の償還差益の源泉分離課税制度等でございます。
 ただ、これは従来期限を付して制度化されておったものでございまして、期限を今回取り外すということにいたしておりますけれども、租税特別措置全体が当分の間の措置ということでございますので、恒久化ということを立法上意味しないということは御理解を賜りたいと思います。
○多田省吾君 租税特別措置法が当分の間だ、だから適用期限を廃止しても恒久税制という言葉だけは使ってもらいたくないとおっしゃるそのお気持ちは私はわかりますけれども、また、法解釈ではそうなろうかと思いますけれども、しかし政府の言う当分の間というのは、もうそもそもほとんどのものが恒久化しているわけでございまして、私は実質的には恒久税制と言っても過言ではない、このように思わざるを得ません。
 それから、これらのほとんどは、従来から課税貯蓄についての不公平の最たるものとして取り上げられてきた制度ばかりでございます。まず最初の利子配当所得の源泉分離選択制度につきましても、グリーンカード制度のもとでは、この点を十分に配慮いたしまして、分離課税そのものを廃止するものとしてグリーンカード制ができたわけでございまして、利子所得が幾らあっても三五%の税率で済ませるというのはどう考えてもおかしいわけでございます。
 三五%の税率というものは、勤労所得では、課税所得ではその上積み税率が八百万円から一千万円まででありまして、一千万以上は四〇%の税率になるわけでございます。一千二百万円以上になりますとその四五%、こうなっていくわけでございます。不労所得である利子所得が幾らあっても三五%で済むという制度を、しかもこれまで期間の定めがあったのに今回いわゆる恒久制度にしようというのは、どのような発想からこのようになさったのか全く不可解の一語に尽きます。
 我々が理解できるようにもう一度御説明いただきたい。
○政府委員(梅澤節男君) これは六十年度の答申にかなり丹念に書き込まれておるわけでございます。
 まず、三五%の税率水準につきましては、ただいま委員がおっしゃいましたように、現行の税率水準を引き上げるべきであるという御意見もございました。一方、現行の三五%の水準は、現在の各種の金利の水準とか金融市場に対する影響という点から見ると、むしろ今回はこれを維持すべきである、引き上げるべきではないという御意見もございまして、結局、税制調査会といたしましても答申がいわば両論併記のような形になっておるわけでございます。
 そこで、源泉分離選択課税制度を一体どう考えるのかという問題がございます。これは先ほど来委員が再々この制度の期限を外して恒久化したという御指摘に関係するわけでございますけれども、この源泉分離課税制度のあり方につきましても、そもそも利子配当課税を将来どのように展望するかという点についてもかなり昨今税制調査会の中でも議論が従来と比べまして分かれてきております。
 総合課税を堅持するという立場の方もやはり当面は源泉分離選択課税制度はやむを得ないという
御意見もございますし、一方の側から見ますと、金融の自由化あるいは国際化を展望した場合に、将来の課税のあり方としてはむしろ市場に中立的な一律分離課税が検討に値する一つの選択肢ではないかという有力な意見もあるわけでございます。したがいまして、こういった委員の方々はむしろそういったサイドから現在の源泉分離選択課税制度は評価すべきであるという意見でございまして、たまたま結論は同じになっておるわけでございますけれども、答申にはこの二つの考え方が書き分けられておるわけでございます。
 したがいまして、先ほど源泉分離選択課税制度を私どもは立法上としてもこれは恒久措置ではないと申し上げましたのは、大臣の御答弁にも先ほどございましたように、利子配当課税全体についてやはり近い将来基本的に見直さなければならないという課題を控えておるわけでございまして、そういった観点から六十年度におきましては現行の三五%の税率のままで現行の制度を維持する、とりあえずそういう措置をとらせていただいたというふうに御理解を賜りたいと思います。
○多田省吾君 これは今の御答弁でもなかなか納得いかないのでございますが、次に非課税貯蓄の限度額管理について。
 本人確認制度もさることでございますが、名寄せを完全に行わなければその適正化は図れないことも指摘されております。そこで限度額管理と名寄せについて具体的にお伺いしたいのでございます。
 第一は、郵便貯金あるいは少額預金の預け入れの際の公的書類の提示というものは昭和六十一年の一月一日以降に預金する人たちから適用されますけれども、非課税貯蓄の悪用をチェックする今回の措置のねらいからしますと、既存の非課税貯蓄枠あるいは非課税貯蓄額についていかに本人確認するかが重要になってまいりますが、この扱いは具体的にどうなさるのか。
 例えば、郵貯の定額預金期限は最高十年であります。仮に六十年十二月三十一日に預け入れをすれば十年間は本人確認をする手だてがないことが予想されますし、民間預金もほっておけば自動継続されていく。ある一定の経過措置を設けて本人確認をするとも聞いておりますが、郵貯、少額預金それぞれについてどうなさるのか、まずお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 六十一年一月一日から新しい本人確認書類によって本人確認を行うということになるわけでございますが、しからばその既往分を一体どういうふうにするのかという問題がございます。
 考え方といたしましては、ある時点を期しまして全部洗いかえてしまうという制度の立て方もあろうかと思います。こういった点について私ども内部で議論し、関係方面ともいろいろ議論したわけでございますけれども、一方これは非常に一つの大きな制度の変わり目でもございますから、やはり貯蓄者の立場といいますか、そういった金融市場に余り大きな混乱が起こらないようにという配慮も必要であるわけでございます。
 したがいまして、既往分の洗いかえにつきましては、一斉にある時点でやってしまうというやり方をとりませんで、具体的には貯蓄者が店に来られてお金を預け入れられる、従前の申告書なり従前の通帳等によって預け入れられる際に、そこをつかまえて本人確認をさせていただく。店に来られない例えばキャッシュカードによる振り込みとか給与振り込み等につきましては、お客さんが店にお見えにならないわけでございますから、現金をもって預入された時点でその機会をとらまえて既往分の本人確認をするという基本的な考え方に立っておるわけでございます。
 ただ、いわゆる自動継続と言われるものにつきましても、それではお客様が店に見えなければ無制限にそのままほっておくのかといったこともまた適当ではございません。したがって、この辺の細かい取り扱いにつきましては、現在なお関係金融機関なり郵政当局等と詳細の、細目の詰めを行っておりまして、余り制度が乱用されないように、しかし一方貯蓄者の余り面倒もかけないようにという点で、現実的な手順を決めるべく今最終の詰めの段階に入っておりますので、いずれそういうものが具体的な結論を得ましたら、また政省令の問題も含めまして当委員会等にも御報告を申し上げなければならないと考えておるわけでございます。
○多田省吾君 次に、郵便貯金法で定める預け入れ限度を超える貯金の利子については課税対象とすることになっておりますが、郵便貯金受け入れ者は源泉徴収義務者ではないため課税貯蓄の利子の源泉徴収ができません。その支払い利子額等は税務署長に通知することになっておりますが、果たして税務署段階で完全に課税把握することができるのかどうか。できないとなると、民間金融機関の預金者との整合性を欠くことになりますが、この点はいかがですか。
○政府委員(梅澤節男君) そういった問題はございます。
 ただ今回、源泉徴収制度を郵政官署に導入する問題は将来の問題として見送ったわけでございますけれども、支払い通知の制度をとりましたのは、郵政官署では現在でも行っておりますけれども、郵便貯金法によって限度を超えた場合に減額措置を講じます。こういったものは必ず税務官署の方に通知をしてもらう。それから減額措置を講じないものでも本人確認ができないといったような課税利子につきましては、当然郵政官署の方から税務官署の方に支払い通知が行われるわけでございます。
 税務官署におきましては、その支払い通知をもって適正な課税処分を行う。必要な場合には所得税法の反面調査等の規定によりまして、個別具体的に郵政官署に調査させていただくというふうな措置を講じておるわけでございまして、私どもは、現行の郵便貯金をめぐるいろんな話題になっておりますような問題について、かなりこの現状が改善されることを期待しておるわけでございます。ただし、この制度の実効を見きわめた上でなお適切な措置を講じなければならないという事態になればそれは将来の問題として、いましばらくはこの改正案によって制度の運用をさせていただきたいということでございます。
○多田省吾君 次に、非課税貯蓄枠を設定してあっても預金残高ゼロというような口座数もかなり多数あると思われます。
 これについては法律の附則で無効とすることにしておりますが、実際の運用はどのように行うのか。また、名寄せの段階ではその人の預金残高までは必ずしも明らかになるとは思われませんけれども、名寄せしていく上での支障というものが生ずるおそれはないのかどうか、伺っておきたいと思います。
○政府委員(冨尾一郎君) 先生御指摘のように、空枠の預金についての非課税貯蓄申告書は昭和六十一年一月一日以降無効となるわけでございます。したがいまして、金融機関の実務といたしましては、金融機関では六十一年の一月一日以降マル優の預金の適正な管理を行うためには、それまでに申し込まれたいわば旧非課税貯蓄申告書のうちの残高がないものにつきましては、別に管理をしていただくことが必要であろうというふうに考えておりまして、私どももこのような方向で金融機関に周知を図ることにいたしたいと思っております。
 また、税務当局といたしましては、金融機関に対する利子所得の調査を通じまして、六十年十二月三十一日以前に提出をされましたいわゆる旧非課税貯蓄申告書が同日において、つまり六十年十二月三十一日現在で残高ゼロかどうかということは事後的にはさかのぼって調査をし確認することができますので、このようなことによりまして実務上は十分対応できるのではないかというふうに思っております。
○多田省吾君 次に、現存する非課税貯蓄申告数は少額貯蓄分だけでも二億三千五百万枚ですか、その程度あると聞いておりますが、税務段階での年平均の名寄せ処理件数は現在どの程度行われて
いるのか。
 さらに、税務当局としての完全な名寄せの体制確立の見通しはあるのかどうか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(冨尾一郎君) 非課税貯蓄申告書の名寄せの問題でございますけれども、これは先生御承知のように非常に多数の申告書が提出されておりまして、これにつきまして私どもとしては現在、手作業でございますけれども、提出されました非課税貯蓄限度の名寄せを行っておりまして、これによりまして限度を超えていないかどうか、また非課税貯蓄申告書に記載をされました住所、氏名等が真実のものであるかどうかということを確認し、住民票との照合等を行っているわけでございます。
 非常に膨大な数でございますので、現在私どもが行っておりますのは、この中で一定数を抜き出すといういわゆるサンプル調査によりまして名寄せを行っている状況でございますが、事務量的に非常に私ども制約がございますので、実際の名寄せの件数はわずかなものにならざるを得ないということが実態でございます。
 ただ、これによりまして貯蓄者の間に不公平があってはならないということで、名寄せをする場合の申告書の抽出、いわゆるサンプリングの仕方に当たってはいろいろと工夫をして、効果的に行えるようにということでやっております。
 なお、私どもとしては、今回の本人確認の制度の厳正化に伴いまして名寄せの問題が一層重要となってまいりますので、金融機関の調査を現在やっておりますが、これの拡充とあわせまして効果的な名寄せシステムの検討をいたしまして、この中にはコンピューターによる方法その他いろいろあろうかと思いますが、これらのシステムの開発につきまして早急に検討を重ねまして、全体として制度の適正化に努めたいというふうに考えております。
○多田省吾君 最後に私は、先ほども論議されましたが、国税職員の定員増につきまして強く要望しておきます。
 適正公平な課税の実現が急務でございますが、悪質な脱税は後を絶たない現状でございます。また、不正所得把握のための税務調査の割合も低下せざるを得ない状況にございます。納税者人口は大変最近急増しております。昨年の通常国会でも当大蔵委員会で、国税職員の定員増につきまして格段の努力をすべきことの附帯決議をしたわけでございますが、残念ながら六十年度予算ベースでは、定員減、退職等を含めまして五百五十五名、定員増が五百六十六名と、実質増は十一名にすぎなかったわけでございます。このような状況では、今後適正公平な税務行政を維持することは極めて困難であると思います。国税庁開庁以来定員はほとんど増加しておりません。一方、納税者は、昭和四十年と五十八年度の比較だけでも、申告所得税納税者数で二・四倍、法人数でも二・三倍と、執行面から税制そのものが崩壊するおそれさえあります。
 そういう意味で、行革の最中ではございますが、どうしても必要な面の増員は私は図らざるを得ない、そのように思います。それに対しまして大蔵大臣の御決意をお聞きして、終わりにしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 多田さんのたびたびの御指摘でございますが、私どもといたしましては、御指摘なさいましたとおり、行政改革の折とかくまず隗より始めよという対象になりがちな大蔵当局でございます。しかしながら、本委員会等の決議の背景が支えとなりまして、私どもは国税職員の定員増問題については毎年それぞれの関係方面へ要請をし続けてきております。で、ネット十一名、おっしゃるとおりの結果に終わったわけでありますが、今後ともそういう背景を支えにして、私どもはこれが拡充、増員、そしてその質的向上等に努めていかなければならない最も重要な課題であるという認識を持って、対処してまいりたいと存じます。
○近藤忠孝君 最初に、先ほど指摘がありました誠備事件でありますが、核心部分に無罪の判決が出ました。私はこれは大蔵行政に関して三つの問題点があると思います。
 第一点は、この陰に起訴を免れた真の脱税者がいるということであります。新聞の指摘でもこうなっています。「公判でも一部が明らかにされたように、加藤被告に資金を提供し、仕手戦に参加した客の中には、政治資金のねん出を意図した政治家や、高級官僚、財界人などが多数いたといわれる。」と。これは恐らく事実だろうと思うんです。
 こういう事実を前にして一つは国税庁、これは判決の中では捜査の失態が指摘されているんですが、私はその指摘は国税庁としても人ごとじゃないと思うんですね、まさに自分のことを言われているのだと私は思うんです。そのことについて、どうこれを受けとめ、どう対処するのか。
 それから大臣について。この新聞のような指摘ですね、真の脱税者が隠されている、こういう事実を指摘されて大蔵大臣としてどう受けとめ、どう対処するのか。それぞれお答えいただきたいと思います。
○政府委員(村本久夫君) 誠備事件の判決につきましては、先生御承知のとおりでございます。私どもも、株式取引に係ります非常に複雑な実態でございます、そうした実態をできるだけ把握するように努め、適正課税の確保ということに鋭意努力をいたしているところでございますが、御指摘もございました先般の誠備事件の裁判におきましては、御承知のような内容になりました。
 大変に私どもの方としてはできる限りの努力をしたつもりでございますけれども、率直に申し上げまして、司法当局の判決でございますのでとやかく言う立場にはございませんが、調査に携わった者といたしましては非常に残念だというような気持ちでいるところでございます。
 株式取引につきましては大変複雑な一面がございます。その解明にはなかなか困難な点があることも事実でございますけれども、先般の事件も一つの反省材料といたしまして、今後なお資料、情報の収集等に努め、また調査手法等も一層工夫を凝らして、かつまた関係方面の協力も得るというようなことを通じまして、さらに適正な課税に努力をしてまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(竹下登君) これは判決そのものは司法当局の判断に基づくことでございますから、これに対するコメントは差し控えさせていただきたいと存じます。しかしながら、税務当局はその調査に当たりましては最大限の努力をしたということを私は信じております。したがって今後、より一層研さんいたしまして、こういう問題に対応していかなければならないというふうに考えております。
○近藤忠孝君 私が指摘したい第二の問題は、今のことと関係するんです。
 全力を挙げて大蔵省、国税当局としては可能な限りやったと。にもかかわらずこういう事件が発生し、しかも真の脱税者、先ほど指摘したような者が存在するという原因は何かというと、これはもう私も大分前に指摘をしたんですが、要するに株式売買益が原則非課税であるというところに問題があるんです。先ほど仮名取引への適正な対処と言ったけれども、やはり大もとが問題なんです。やはりこれを原則課税にすることが必要だと思います。この点も既に各紙で指摘されていますけれども、要するに「一定数以下の場合は非課税とされているせいもあり、税務当局のメスがはいる例はまれで、それが資産家を不当に利する結果になっていることは疑いをいれない。」、私もまさにそう思うんです。
 こういう点を指摘しますと、ともかく把握できないんだと言うんですが、これ私は前に議論したときとは段階が違っていると思うんです。証券取引所も大分よく建てかえたし、コンピューター化が進んでいますね。私は東京証券取引所の最高幹部に聞いたんですが、これだけコンピューター化すれば売買益への課税も可能じゃないかと言ったら、彼は嫌な顔をしていました。課税されちゃ困
ると思って嫌な顔をしておったけれども、しかし、技術的には可能だと言うんです。技術的に可能であれば、今まで技術的に不可能だから課税しないということが我々の要求に対する拒否の理由だったんだけれども、もうその理由はないんじゃないか。
 となれば、このコンピューター化が進んだ段階で原則非課税を改めて原則課税にすべきじゃないか、こう思うんですが、これはどうですか。
○政府委員(梅澤節男君) このキャピタルゲイン課税をめぐる問題は、非常に長い議論の経過のある問題でございます。これは昭和二十年代に御承知のとおり原則非課税になったときに、いわばそれと並行して有価証券取引税、これは先進国の中でも我が国が有価証券の流通に対して課税をしている数少ない例でございますが、そういったいろんな制度的な経緯がございます。
 それからもう一つ税制調査会の議論といたしましては、ただいま委員が触れられましたように、制度で課税といたしましても捕捉の問題が確実に行われないというときにはかえって実質的な不公平を招くというふうなこともございまして、現在は、大量継続的に行う場合とか、あるいは事業譲渡類似のような、本来の有価証券の譲渡と見られないものについての課税に限定されておるわけでございます。
 今直ちに有価証券の譲渡益について原則総合課税という制度に踏み切るのがよいのかどうか。あるいは、税制調査会等が従来言っておられますように、実情に即しながら漸次課税の強化を図っていくという方向がいいのか。あるいは、有価証券取引税等の取り扱いも含めまして、将来の税制の基本的な見直しの中でどういうふうな議論が行われるのか。そういったたぐいの問題として私どもはこの問題を考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、その御指摘の点につきましては、今直ちに原則課税に踏み切るというふうな段階にはまだ立ち至っていないというふうに考えております。
○近藤忠孝君 相当の利益がありしたがって所得があって、それが課税されずに免れているということ自身、大変な不公正だと思うんです。その点は、ちょっと例は多少違いますけれども、昨年の当委員会で問題になった記帳義務化、そして収支内訳書の提出義務化、これは零細業者に対してまでこういうものを要求するという点で大変過大な負担になっていると思うんです。しかし、ここまで今大蔵省は踏み込んでやったわけです。となれば、比較的に言いましても、しかもこれは株式譲渡益ですから額に汗して働いた所得とは違うんですね、そいつを免れさせているというそのこと自身の不公正さ、これは大臣どうしても免れないと思うんです。
 国税庁に一つ聞くんですが、コンピューター化が進んだ段階で技術的にはこれは捕捉可能じゃないかというのが一つ。
 それから大臣については、今申し上げたような税の公正さという、特に申告納税制度のあの問題とも関係しまして、この点はどうですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 株式取引の把握につきましてコンピューターを使ったらどうだという御質問でございますが、まずコンピューターを使う前提といたしまして、基本的に株式取引が実名で、かつその記録が的確に証券会社なり関係者の手元に保存をされ、それを我々が入手し得るということが前提だろうと思います。
 そういう点で言いますと、株式取引につきまして、真実の名義者がだれであるかということについての把握の問題は、先ほどから申し上げておりますようにいろいろとまだ難しい面もございますし、コンピューターを入れたから直ちにこれにつきまして私どもの把握体制ができ上がる、そう簡単にはまいらないのではないかという感じでございます。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる機械化による税務執行上の確度をより高めていくという努力は、これからも重ねていかなければならない課題だというふうに思っております。ただそれは、そういうものが実存するということを前提にしての対応策でございます。
 基本的には私は、今度の問題の反省からいたしますならば一つは、税務調査の方ももとよりでありますけれども、いわゆる投資顧問業というもの、投資家保護、健全な投資顧問業の育成ということ。やっぱり今までは、それじゃ週刊誌に書いてあること、あるいは新聞に書いてあること、株のお勧めとか、それも投資顧問業に触れるんじゃないかと各般の議論をいたしましたが、それらを総合していわゆる証券取引審議会において規制の可否も含めて審議してもらうというのも、私はこのような問題から来る一つの反省から起こしたアクションではないかな、こういうふうに考えております。
○近藤忠孝君 各証券会社は大変コンピューターが完全に進んでいますよね。証券取引所も同様だと思うんです。そういうことを前提にして考えますと、確かに今言われたように仮名問題は残るけれども、しかし原則課税にすればそれの相当部分は解決できると思うんてす。こういう点でひとつ真剣な検討をお願いしたいと思うんです。
 第三の問題は、証券業界の問題なんです。この点について証券業界の中では、誠備事件は既に過去の出来事で、証券界のあり方そのものが問われたわけではなく、個人の脱税事件にすぎないということで、平静に受けとめておると。私、これ余り平静に受けとめられては困るんじゃないか、こう思うんです。単に過去のもの、単なる脱税事件ではなくて、詳細なことは指摘をやめますが、背景に現在の証券取引問題、端的に言えば賭博場化しているという、そう言えばわかると思うんですけれども、そのことに一つ大きな問題がありはしないかと思うんです。
 判決の中では、全体を見てだと思うんですが、正義が実現されないと。裁判官も大変もどかしかったと思うんですが、これは単に脱税問題にとどまらず、全体について私は言っていることではないか。こういう点で、証券業界の受けとめ方も含めて証券局長の見解をお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(岸田俊輔君) この問題につきまして、私どもは決して過去の問題だとは考えておりません。適正な株価形成、それから投資家保護というような面からの株式市場の健全なる発展ということのために、このような事件が再び起こらないように万全を期してまいりたいと考えております。
 確かに先生御指摘のように、この誠備事件に引き続きまして投資ジャーナル事件等、投資顧問業に関連いたしまして種々の問題が起こってきていることも事実でございまして、またこれに対して規制をすべきであるという声があることも十分私ども承知をいたしております。
 ただこの場合、最近国民の金融資産の蓄積がたまってまいりまして、なおかつ経済も非常に国際化をしてくるというような状況になってまいりますと、よい意味における投資顧問というものに対するニーズというものが非常に高まってきているわけでございます。そういう意味合いから、こういう投資顧問業に対しまして規制をすべき問題と育成をすべき問題、こういう二つの問題点があり、いろいろ形態も広がっておるというような状況でございますので、先ほど大臣からも申し上げましたように、こういう実態を明らかにして、どうあるべきかということで、証券取引審議会に投資顧問業務等に関する特別部会というものを設けまして真剣な議論を現在やっている状況でございます。
 私どもといたしましては、審議会の御判断を得まして適切な対処をしてまいりたいと考えております。
○近藤忠孝君 過去の問題だと言っているのは一紙ならず各紙に報道されていますから、やっぱり現在の証券業界の一般的な受けとめ方だと思うんですね。そうすると、局長の今の見解と違うので、そういう点ではきっちりと指導されますか。
○政府委員(岸田俊輔君) まさにこれこそ我々が常に現在考えております問題でございまして、そ
ういうことを証券業界が考えているとは思いませんけれども、私どもといたしましては、そういうことのないように指導してまいりたいと考えております。
○近藤忠孝君 次に、税の基本的なあり方の問題として、これも先ほど来問題になっております公平、公正、簡素、選択、それに参議院の方に来てから活力が加わってちょうど五つ目になったというんですが、私は本会議でも指摘しましたが、この総理の言う考え方がなかなか具体的に何なのかよく理解できない面があるんですが、この最後の活力はよく理解できると思うんです。要するに一言で言えば民間活力だと思うんです。そしてそれが、今回の租税特別措置法の改正の中でもハイテク減税、テレトピア減税、都市再開発減税という形で実現されていると思うんです。
 お聞きしたいんですが、こういう民間活力という考えに基づく企業減税、これは今後もそうなるとやっぱりやっていくという方針なのかどうか、この点どうですか。
○政府委員(梅澤節男君) 税の公平という観点から、代表的な租税特別措置等につきましては絶えず見直しを行い整理合理化を図っていかなければならない、これは当然のことでございまして、特に五十一年以来企業関係の租税特別措置については大幅な整理合理化を進めてまいりました。昭和四十年代では法人税収の大体一〇%近く、この租税特別措置によるいわゆる企業政策税制の減収部分があったわけでございますが、現在は三%ぐらいに縮減をしておるということでございます。今後ともこの努力は続けなければならないと考えております。
 ただ一方、それでは租税政策という手段による政策税制は一切否定すべきかといいますと、私どもはやっぱりそれはそうではなかろう。国がいろんな財政、金融手段、政策手段を持っておるわけでございますけれども、その中の有力な手段としてはやっぱり租税政策というものもあるべきものであろうと考えておるわけでございます。それはしかし、あくまでもそれが緊要な国の政策目標であり、かつそれなりの効果があって、しかもある程度税の公平を犠牲にするものでございますから、その辺の調和というものをよく考えてやっていかなければならない。
 たまたま現在政府としては民間活力の推進というものを国策として大きく掲げておるわけでございますから、その政策目標に沿って、しかも既存税制の、既存の租税特別措置のスクラップ・アンド・ビルドのような考え方のもとで、その時点その時点で必要と思われるものに租税政策の目標を向けていくということはあながち否定してはならないのではないかというふうに考えております。
○近藤忠孝君 あながち否定ではなくて、今局長も言ったとおり、全体として減っている方向なのに、新たに加えられた。しかもこれは政府税調答申の中で「新規の政策税制の創設は、厳にこれを抑制」しなきゃならないと言われたやさきなんですね。そのときにこれが設けられている。
 何かというと税調の答申を待ってというのでいつも逃げ込んでしまうんですが、今度はこれに真っ向から反する税制が設けられている。これは一体どういうことなんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) それはやや誤解がございまして、「抑制するものとし、」と答申に書いてございますが、その後に「真にやむを得ないものについても、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則を堅持すべきである。」と。したがいまして、私どもはこの考え方に沿って既存の租税特別措置のスクラップを行い、その範囲内で新たな各種の政策税制、真にやむを得ないものと認められるものについて今回御提案を申し上げておるわけでございます。
 それからもう一つ参考までに申し上げますと、税制調査会の従来の御答申は、税体系の基幹的な部分に対する基本的な考え方をお示し願うわけでございます。当然租税政策でございますので、その他の、国の諸施策との整合性という観点から租税が出動しなければならないという政策的要請は当然あるわけでございまして、それは税制調査会がお示しになった考え方の範囲内で政府が責任を持って実行する、これはまたそれなりに必要な施策であろうというふうに考えるわけでございまして、例えばハイテクノロジー関係の促進税制について税制調査会の答申に一言も書いてないから税制調査会の答申に反するではないかというのは、これはやや読み違えというふうに申し上げざるを得ないと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 スクラップともう一つは真にやむを得ないかどうかという問題ですが、スクラップの方を見てみますと、廃止されたのは、もう積み立ての終わった国際科学技術博覧会出展準備金とか、あるいはこれは昭和四十年の証券不況のときにつくられた株式売買損失準備金、いずれも役割を果たしてもう廃止しても当然のもので、黙っておったってこれはもうやめるべきものなんですね。
 片や今度、真に必要だったかどうかということで、今、民間活力という国策からいって必要なものはやるというんですが、まずこれは具体的に聞いていきますが、総論的に聞きますと、民間活力というのは民間が自主的にみずからの採算ベースで進めるべきものだと思うんです。国が関与することはできるだけ避けること、これが私は民間活力の基本だと思うんですね。
 そうだとしますと、これに新たな補助金をつけたり新たな特別措置をつくることは、これは矛盾するんじゃないか。民間活力論がこうして税制に入ってきますと、これも民間活力、これも民間活力ということで無限に広がって、租税特別措置を減らしていこうということに逆行していく、逆に拡大してしまいやしないかと思うんです。
 特に、民間活力を相当強調されている総理のもとではそうなりかねないと思うんですが、これはどうですか。
○政府委員(梅澤節男君) 民間活力という政策目標が掲げられた場合、税制がどの面を受けもつべきかという取捨選択は非常に慎重にやらなければならないという点については、御指摘のとおりだと思います。
 ただ、民間活力と申しましても、例えばデレギュレーションのような方向は、むしろ国が関与しない方向で活力を促進するということでございますが、今回の御提案申し上げております税制の中で例示的に申し上げますと、一つはやはり都市再開発事業関連の土地、住宅税制なり再開発建築物に対する割り増し償却の問題でございますけれども、これはその一点をとります限りはその企業に対するフェーバーということになりますけれども、いわばそれは呼び水的に都市再開発事業の全体の推進を行うという観点から、必要最小限度のところに着目して税制上の措置を講ずる。例えば、そのほかにハイテクノロジーの問題につきましても、やはりこれは当該私企業の収益率から見て短期的には必ずしも採算の合わないものでありましても、その企業がそれをやることによって国全体の技術レベルが上がるという、いわば社会的収益率というような概念もあるわけでございます。
 そういたしますと、社会的収益率が期待される分野についてはむしろ法的補助を与えるべきであるという理屈もあるわけでございまして、私どもといたしましては何でもかんでも民間活力ということで租税特別措置を使うということではなくて、スクラップ・アンド・ビルドという基本的な規律を守りながら、しかもその中で効率等を考え取捨選択をした結果、ただいま御提案申し上げているような六十年度の税制改正の内容であるというふうに御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○近藤忠孝君 真にやむを得ないものであったかどうかですね、その点についてはまたこれから次回にかけて指摘をしていきたいと思うんですが、そこに入る前に、これは衆議院でも指摘された点ですが、今回のハイテク減税は従来の試験研究費の税額控除と重複適用される。それから、さらにこれは昨年創設されたエネルギー効率化促進税制の税額控除との重複適用も認められて、合わせる
と当期税額の三五%までの税額控除が認められる。これは余りに過大な特別措置じゃないかという指摘がありました。
 それに対して梅澤局長の方からは、一五%とか二〇%は相互に融通して使えるわけじゃないとか、あるいは適用対象資産が違うんだという答弁があったわけです。それはそうなんで、同一資産についてそれぞれの税額控除が適用されるとなったらこれは大変で、私はこれは論外だと思うんですが、問題は、同一の企業の中でも対象資産が違えば同じような方向の性格の税の優遇を受けて、結局企業としては二重の税額控除を受けて、結果的には三五%の限度まで税額控除が認められる、そこが問題じゃないかと思うんですね。
 そういう点について、税額控除がこういうぐあいに重複適用されることについて、これは何か歯どめがあってしかるべきじゃないんだろうか。対象資産が違えば何でもどんどんそこまでいけるということにやっぱり問題がありはしないかという点についてどうでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) それは先ほどの議論と若干関連があるわけでございますけれども、政策目標をまず是認するかどうかということが基本になると思うわけでございます。
 五十九年の投資促進税制はエネルギーの効率化投資を促進するという観点でございました。六十年度はさらにハイテクノロジー関係の研究資産投資を促進するということでございます。
 ただいま委員がおっしゃいましたように、ある企業で同じ一つの資産がエネルギー効率用促進税制と、それから今回のハイテクノロジーの研究投資と重複して適用を受けられるということは税法上排除してございますので、それはそれぞれの政策目的に応じた投資であって、たまたまそれが同一企業で行われるかどうかということは、それは基本的には、政策税制を議論する場合にそういうものが基本的な論点であるかどうかということについて私どもは大きな疑問を持つわけでございます。
 それから、そういうことでございますから、先ほどもおっしゃいましたような重複適用は認めない。それから、個々の枠は彼此融通するわけではございませんので、ただ単純にその枠を足されまして三五%という議論を提起されるのは私むしろおかしいのではないかということを、衆議院の段階でも申し上げたわけでございます。
○近藤忠孝君 しかし、一つの企業で見てみますと、いろんなものをやって結局三五%の枠までいくということなんですが、問題はやっぱりハイテク関連税制としていろんな点での優遇があり、かつその上でのさらに今回の措置である、こう思うんです。
 そこで、まずこれ御答弁いただきたいのは、各種の減免措置、これはハイテク関連についてどういうのがあるか御説明いただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) ハイテク関連というよりも、むしろ試験研究開発についてどういう税制があるかという御質問かと思いますけれども、これは基本的に増加試験研究費の税額控除という制度がございます。そのほかに今回は時限措置といたしまして、バイオテクノロジーとか、あるいは新素材とかいった先端技術分野を限定し、かつ資産を特定いたしまして、そういった資産を投資された場合に従来の増加試験研究費に加えて税額控除を認めるということでございます。
 そのほか、試験研究一般につきましては、耐用年数で試験研究用資産の特例を設けてございます。
 そのほか、技術関連で各種の特別措置がございまして、それは見る角度によっては、そういった投資を促進することによりその辺の技術のレベルが上がるという関連から見ますると、そのほかに各種のいろんな政策税制はございます。
○近藤忠孝君 幾つか例えば研究開発用資産の耐用年数の短縮、鉱工業技術研究組合への支出金の損金算入などがあると思うんですね。こういう税制以外でも補助金、これは委託金もさらにありますが、さらに財投融資など、こういう点で二重三重の恩典が施されておると思うんです。技術開発と名がつけばいろんな分野でいろんな措置が施されているんですね。それが特に大企業に集中する。
 そこで、お答えいただきたいのは、こういう補助金、これは委託金も含みますが、日立製作所、三菱重工、東芝電気、川崎重工、石川島播磨重工の各社に対して昭和六十年度の研究開発補助、その合計は各社どれほどになっておりましょうか。
○政府委員(的場順三君) お尋ねの件でございますが、これは予算編成のときに、執行いたします通商産業省とまず第一に御相談いたしますのは、新しい例えば研究開発、先ほど来コンピューターが出ておりますが、現在のコンピューターではなくてもっと能力のある、人間により近いコンピューターについて、これを国の補助とすることは適当かどうかということについて議論はいたします。あるいは海底の資源でございますマンガン団塊について、これを効率よく収集するためにどういう研究開発を行っていけばいいか、それを国庫補助の対象にするか委託費の対象にするかということは十分議論いたしますが、それをどういう事業主体が行うかということについては、これは執行省庁でございます通産省の責任でやっていただくということでございまして、一たん計上されました予算について、その予算をできるだけ効率よく所期の目的を達成するように執行していただくということでございます。
 そこで、お尋ねのように大会社でございますけれども、それぞれの会社について一体どの程度の補助金が行っているかということは、実は我々の段階ではつかんでないわけでございます。それで、通商産業省の方でそういうことについての把握があるかということになりますが、そのそれぞれのアイテムにつきまして実は事業の研究組合というのをつくりまして、その研究組合に対してそれぞれ予算を執行するわけでございまして、個別の企業にどういう形でその補助金が行っているかということは把握できるようになっておりません。
○近藤忠孝君 時間が来てしまったんで、あと、今の答えるべきことは私の方で証明しましてそして質問を終わりたいと思うんですが、たしかそういう研究組合に対して行っているんですが、それぞれの項目の研究開発についてそれぞれ参加している企業がありますよね。そこへ補助金が行っているんだから、あるいは委託金が行っているんだから、そいつを今度、参加した各企業で単純に割ってみますと、全体を合計すればやはり結果的に、政府の方から行っている補助金、委託金の各企業への額がわかるんです。
 私の方で計算したやつだけを読み上げますが、日立製作所七十億円、三菱重工五十五億円、東芝五十二億円、川重三十六億円、石播十九億円ということであります。
 で、あとはこれに基づいて次回、明後日になりましょうか、またこのあとの論争をひとつしたいと思いますので、質問はこれで終わりたいと思います。
○栗林卓司君 大臣にお尋ねをします。
 御答弁を伺っておりますと、税制全般にわたる本格的な見直しの必要性はお認めになっていると思うんですが、その観点から、時期は別として、税制調査会の方に御検討をお願いしたい、税制調査会の方も五十八年十一月の答申で、国民各層の広範な論議を踏まえながら本格的な見直し作業に入りたいということも言っているわけですからいいんですが、税制全般の本格的な見直しを税調に検討をお願いするというのは、税調がそう言っているから諮問されるんですか、それとも政府としても根本的な見直しが必要だとお考えになっているから諮問されるんですか、どちらでしょう。
○国務大臣(竹下登君) これは御案内のとおり三年に一遍、税調、新しい人も留任の人も含めて任命をいたしまして、その最初に、国税、地方税のあり方についてと。したがってその後、どちらかといえばあうんの呼吸でその都度問題を議論していただいて、そしてまたもう一つは年度年度の税制のあり方、そしてもう一つはおおむね三年の周期のときに中期答申、こういうものを出していただ
いておったわけでありますが、今度は、中曽根総理と相談をしておりますが、やはり改めた諮問文をつくってお願いしようじゃないか、こういう考え方になっております。
 その限りにおいては政府の自発的な意思とでも申しましょうか、国会の論議等を通じましてそういうことを考えておりました。ただ、それを一つ押し出す背景になりましたのは、五十八年十一月税制と申しますよりも、六十年度税制のときに異例のことながらといって答申をいただいたのもそれを押し出す一つの背景になったというふうに分析をしております。
○栗林卓司君 それで、どういう内容の見直しをするかというのは、政府としては白紙であります、国民の御論議を見なければなりませんし、より具体的に言うと国会の議論を整理し、より正確に税調に伝えたい。あくまでも政府は白紙でありまして、しかも主税局長が税調の事務局長をやっているわけですから、その観点からも大蔵大臣とするとなるべく中立な立場を守りたいという御答弁なんですが、とにかく政府として見直しを諮問するわけです。しかも異例な税調答申が六十年度の中にあるわけですね。
 私、伺いたいのは、見直しをお願いしますというときには、政府の頭の中には見直さざるを得ない問題意識がやはり厳然と存在しているんじゃないか。それなしに、頼みます、いや、うちは白紙ですよ、これはないですね。したがって、問題意識というのは一体どのようなものであるか、その点では白紙ではないと思うので、その点をお尋ねします。
○国務大臣(竹下登君) 確かにゆがみ、ひずみというものが生じておるという問題意識はあるわけです。ゆがみとは何ぞや、ひずみとは何ぞやということを一応今整理しております。そして、今度は正規に諮問するということになりますといわゆる諮問文も税制のあり方についてだけじゃいかぬじゃないかというので、そこにはしたがって、現在はまさに白紙でありますが、国会の論議等を踏まえながらある程度整理したものを書かざるを得ないのかどうかというのを先日来、まだ部内で協議をする段階になっておりませんが、私と主税局長ぐらいのところで、どういう形の諮問をした方がいいかということを折々国会の議論等聞きながら考えておかなきゃいかぬなというところまでの話し合いをしておるという段階でございます。
○栗林卓司君 そこで、我々がお尋ねをするときに、その諮問文がまだできていないんだそうですけれども、それをぜひ聞かせていただきたいという趣旨の質問が実はもう午前中から相次いでいるわけですね。六十年度の税制改正が今議論されているわけですが、そのときにそういった諮問文も、実は今政府はこんなことを考えておりますというようにお出しになるのが私は普通ではないか。
 なぜそう言うかといいますと、話を割って申し上げますと、税というのはいわば国の財政需要を調達するために国民の財産を召し上げる、そういう強制的な法律ですよね。予算を組むときには、これは政府の責任で予算をお組みになっている。別に予算調査会というものがあるわけではありません。しかも、提出権を政府だけが持っているんですから、当然予算をお組みになる。税になりますと、その所要財源をどうやって調達するか、調達方法も非常に一方的、強制的な賦課金の性格が強いですね。
 そのときに、国民的な議論が起きるんだろうか。予算そのものについても賛否で分かれているわけです。簡単に言うと与党は賛成、野党は反対ですね。その調達の分については政府は白紙であります、国民の皆さん議論してくださいと言ったって、国民の方では、そんな話ってあるか、あの予算を組んだんなら、どういったぐあいにおれたちの財産を召し上げるのか一緒に案をつくってよこせというのが私は普通ではないか。
 ですから、ほっておきますと、国民的な議論ということは、先ほど重税感とおっしゃいましたけれども、重税感というのはあくまでも感でして、これは国民全員に共通しているんだけれども、国民的議論というとあくまでも減税してもらいたいという意見しか出てこない。
 問題は、所要の財源をどうやって調達をするのか、予算はこう組みました、その調達は政府としてはこうしたい。その賛否はまた賛否で、あっていいんです。その調達の部分で、政府は白紙でありますというのは、私いかにも無責任に見えてならないんですが、この点いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これは予算は、歳出面につきましては、税制調査会のような総理の諮問機関じゃございませんが、いわゆる財政制度審議会というものからの意見をちょうだいするわけでございます。そして一方税調は、今の抜本見直しとは別にその年度年度の、税制調査会の六十年度税制のあり方についてというのを出していただくわけです。六十年度税制のあり方についても、五十九年度議論が行われたことを整理して税調へ答申してそこから出てくるものでございますから、単年度ごとに見ますとそれなりの手順は踏まれておるというふうに思います。
 そこで、今度の税制調査会に御諮問申し上げようというのは、これはいつも指摘されますように、いわば歳出の要調整額をどういった手法で埋めていくかというのは出していないわけです。したがってそれは、歳出削減にしましょうか、増収措置にしましょうかという問いかけを一方でしている。そうすると、一方でやっぱり諮問する問題というのは、これは今度は税制のあり方についての基本的諮問であって、財政再建とか増収措置とかいう問題がまずありきという形の諮問ではないようにして、まずこのガラガラポンをした議論からやってちょうだいしようじゃないかという考え方に立っております。
 それと、国会の議論あるいは国民の議論といいましても、決して減税だけではないと思います。だんだんだんだん、減税というものとそしてそれに伴う財源、そしていわゆる国民の受けるサービスのあり方というようなものに、負担するも国民、受益者また国民という観点から議論がかってよりも非常に今濃密になっておるのじゃないかという考え方を持っておりますので、まずは歳出の方向を見出した、それに対応するところの税制ではなくして、まさに戦後税制のいわばゆがみ、ひずみに対して抜本的な検討から始めてくださいということでございますので、いわゆる歳出に対応した考え方、もちろん税制でございますから安定的な財源を確保するというのはこれはいつの世にもございますけれども、いわば初めにそれを埋めるための増収ありきとかいう考えでなしに諮問をしよう、ただ、とはいっても少なくとも国会における議論は正確に整理したにしましても、国会の議論の中ではこのような議論があったとかいうようなことを諮問文の中へつけるかどうか、その辺をまだ二人でしか相談してないというのが現状そのままでございます。
○栗林卓司君 諮問するとしましても、とにかく財政需要の調達という振り出しの話、もともとの話で申し上げますと、これだけの予算を組みました、それだけの財政需要があるわけですね。そのうちの幾らを税収で埋めるか、この判断は一体どこでするんだろうか。というのは、税法はそれ自体体系でありますけれども、物を言うのは税収が幾ら入るか、いわば五十二兆の予算を組んだときに四十五兆は税金で調達をしたい、あるいは四十兆でよろしい、このめどがないと本当は税法の議論にならないわけですね。調達すべき目標額があって、それを今度は国民が公平にどうやって負担していくのか、これが徴税の一番基礎でしょう。
 したがって、幾ら税収が欲しいのだということなしに税法の議論をお願いするというのは、ある意味ではちょっと無責任なんです。税調にもし多くを期待して、政府は白紙ですというのだったら、五十二兆の予算のうちのどれぐらいを税収で確保するか、その判断まで税調にお願いしなきゃいかぬ。その判断は結局予算編成の中に組み込まれて政府なんだとおっしゃるのか、税調なんだと。よくこれは、増税ということをどこの国の政治家も嫌がるものですから、財政の均衡については憲
法に書けという議論がございますね、それほどデリケートで難しい問題なんだけれども、そのどれぐらいを税収で調達するか、この問題は政府と税調でキャッチボールするわけにいかない。
 これを決めるのは当然政府ですよ。そうすると今度諮問をお願いするときに、税収はこれぐらいです、これぐらいは税収で見させてくださいということは当然お書きにならないと向こうは検討のしようがない。そういう意味で、そのことはお書きになる必要が私はあると思うのですが、この点いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 私は税の議論をしていただくときには安定的歳入の確保というのはベースにいつもあると思うのですが、したがって、幾らのものが必要だから検討してくださいというのは、最終的には政府税調なり、歳出で言えば財政審なりの、これは片方は答申、片方は意見、報告とか建議とかという言葉が使われておりますが、それで選択をするのはその毎年度毎年度の予算において政策選択は政府の責任にあるんじゃないか。そのいわば答申を最大限尊重した中で政策選択の問題は政府自身にあるというふうに理解しております。
 したがって、およそ幾らかかるというのは、まだ歳出削減、もうこれから努力しなきゃならぬというときに、定量的にこれほどのものが必要で、その中で可能な限りにおいては税収を八五%にして税外収入をこれぐらいにして組みたいので御議論をいただきたいという、その前の段階の諮問で御協議をお願いすることになるんじゃないか。
 ただ、そう申しますが、一方これはどうせ六十一年度税制のあり方というのはこれはやっていただくわけです。そこのところのタイミングはどうなるのかなというのも、それも税調といよいよ構えてお願いするときにはある程度のことを考えなきゃいかぬのかな、こうは思っております。
○栗林卓司君 ひずみの問題ですけれども、税調が五十八年十一月、また今回の答申でもそうなんですが、こういう状況であるから本格的な見直しをしなきゃいかぬということが書いてございますが、そういう情勢認識については政府は税調と思いを同じにしておられるか。
 申し上げますと、税調が言っているのは、社会経済情勢が変化した、一つは産業就業構造が変わりました、所得の平準化が起こりました、人口構成の老齢化があります、消費の多様化、サービス化が進んでおります、こういった点については認識は同じでございますか。
○国務大臣(竹下登君) その認識はおおむね等しくしておるつもりでございます。
○栗林卓司君 そこで、見直しの結果がどうなるかということの議論をしているのですが、産業就業構造の変化というのは具体的に何を言っているのか。恐らく私は第一次、第二次産業の比重が減って、第三次産業がふえました、特にサービス産業ということだろうと思うのですね。それから所得の平準化、私なりに読みかえますと、逆進性を重視する必要性が薄まってきた、恐らくそういったことを言いたいのてしよう。人口構成の老齢化、これはどういったことかというと、所得の稼ぎがない人口がふえてきた。消費の多様化、サービス化、一つは消費水準の上昇という問題がありますから、担税力が拡大したのではあるまいか。それから、従来の間接税になじまないサービスがふえている。
 以上、一貫して、行間を察しますと、サービスについて課税ができないとこれからの税制は困るみたいな、そう私には読めるんです。したがって、こういう情勢判断で認識を同じくされているとすると、将来はサービスについて何らか新しい税制の取り組みをせざるを得ない、こうなるんですから、その点についても言及されることはやはり白紙で困難ですか。
○国務大臣(竹下登君) 今栗林さんがおっしゃっておりますのは、いわば税調の中期答申におきましてもおおむね指摘されておるところでございます。
 それから、我が方で、現行税制とシャウプ税制と、未定稿でございますけれども、これを比較しながら、その後の我が国の社会経済情勢の構造変化ということで、簡単に読み上げてみましても、所得水準の向上、所得の平準化。二番が産業就業構造の変化に伴う所得の給与化の進行。三番目、消費態様の多様化、サービス消費の拡大。それから四番目、社会保障制度を中心とする財政の所得再分配機能の拡大というようなことを、これはまだ未定稿でございますけれども、今おっしゃったようなものを下敷きにしながら、そのような議論は行ってみておるところでございます。
○栗林卓司君 そこで、サービスに仮に着目をして新たに税目を起こすということになりますと、従来の庫出税はとてもこれはなじまないわけですね。しかも、多様化し、いろんなサービスが出ていることを考えますと、入場税とか通行税とかその格好で税目をわっと起こしていくこともなかなかむずかしい、というよりも不適当です。そのときに一番適当な税目は一体、普通考えて何になっていくんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) その辺の議論になりますと、先ほど来大臣も御答弁申し上げておりますように、現時点におきまして、税制当局といたしまして具体的な税体系、特にサービスに対応する税体系について検討しておるという段階ではないわけでございますけれども、ただ、中期答申でございましたか、そこでは例えば運輸、通信サービスといったようなものも掲げられておりまして、あながち委員がおっしゃっているようにサービス課税即課税ベースの広い間接税ということには限らないわけでございます。それは、個別のサービス消費税というものをまた別に考えるのかどうかというチョイスもあり得るわけでございまして、その意味では、先ほども申し上げましたように、まだ現段階で具体的にどういう税体系であるべきかというふうな勉強をしておるというふうな段階でもないわけでございます。
○栗林卓司君 総理が公平、公正、簡素、選択、活力、こうおっしゃって、その観点から見直しをしたいと言われるんですから、なるほどおっしゃるように、五つの言葉を並べるのがお好きな総理ですから、さほど深く考えてお使いになったかどうかわかりませんけれども、率直に言って、今とにかく新しい税体系については勉強中です、しかも税調に諮問を求めてやってまいりますという中で、総理が言っている公平、公正、簡素、選択、活力だけがいかにもマスコミにひとり歩きするものですから、そこでお尋ねをするのですが、公平と公正というのは、税の面で見てどう違うのでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これも総理がお使いになった後から議論したと言えばちょっと、まさに現実的なお答えになるかもしれませんが、公平というのは垂直的公平と水平的公平があるんじゃないか。水平的公平というのは、同じ所得のある者は同じ税を支払う。それで、同じ所得のある者が、クロヨンもその一つの例でございますが、業種とかあるいは特別措置とかで違っていくというのは余り好ましくない。これが水平的公平。今度は垂直的公平というのは何ぞやということになりますと、これはやっぱりいわゆる所得の多い者が余計支払う。富の再配分というような観点から垂直的公平。
 それで、されば公正とは何ぞや。その垂直的公平と水平的公平にさらに倫理感を加えたものが公正かな、そういう程度が竹下登さんの解説というところでございます。
○栗林卓司君 言葉としますと公平、公正と言うと非常に舌になじみがいいんだけれども、実際の税制として見てまいりますと、では現在が一体どうなんだろうかとみんな考えるわけですね。現在は不公平です、不公正です、まことに煩瑣であります、というぐあいに読みかえてまいりますと、そういった実態があるんだろうか、こうなってしまうんで、総理に会われましたら、余りああいう言葉を軽々に使わぬ方が国民の誤解が少ないと思いますよとぜひおっしゃっていただきたいと思うんですが、公平も公正も辞書を引きますと大体似
たことでして、余り分ける意味は私はないし、こじつけるとしたら今大臣がおっしゃったような言い方しかないんだろうと思います。
 ただ一つわからないのは、簡素はいいです、これは何を言っているかわかるんですが、選択、これはどういった意味ですか。
○国務大臣(竹下登君) これも、私は最初、選択は源泉分離課税のような選択、あるいは間接税を念頭に置いた納税者の方に選択権があるというふうな受けとめ方もちょっとして、話を聞いてみましたら、これはまさに最終的にどの税制が適当かというのを選択するのは国民だという意味において選択という言葉を使った、こういうことに大体思想統一をいたしておるわけです。
○栗林卓司君 また公平、公正に戻りますけれども、垂直的、水平的というよりも、税法上の公平というのは応能負担ということなんですよね。要するに能力に応じて負担をする、これが税法上の公平なんだ。公正は、これもこじつけになりますけれども、もう一つ再配分機能を持っていますから、その辺では適正な再配分機能を求められますから、そこでは累進税率の問題が焦点になる。いわば税制が全体としてどのような累進構造であるか、あるいはまた景気調整機能としてどういうようなことが言われるか。
 そこでお尋ねしたいのは、将来の税を考えるに当たって、やっぱり根幹は所得税だ。所得税が最も適しているわけです。ところが、シャウプさんがやってきて一番びっくりしたのは、日本の当時の所得把握のでたらめさ、と言ったら怒られますけれども、とにかく一億総脱税みたいなあれを見て非常にびっくりした。そこで青色申告制度をつくりあれをつくりしながら、所得税を根幹にしたシャウプ税制をつくってきた。ある意味では一つの理想的な税制だったと言ってもいいと思うんです。
 で、もう片一方では、さっき言ったサービス課税をどうするかという問題がありますね。確かに大きな今議論の分かれ道に来ていると思うんですが、ひずみというのは、今申し上げた文脈で考えてまいりますと、むしろシャウプ税制のときはほぼ満たされたある理想像に近かった、その後の税制改正で結局あるべき姿から離れてきた、そういったぐあいに理解する方が正しいと思うんですが、この点の御認識はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) おおむねそれは私も等しくしております。勧告の基本的理念は、所得税を中心とする租税体系の確立、基幹税は所得税だぞよということでしょう。それから二番目は、制度、執行両面を通じた公正の確保、いわゆる申告制度とかそういう問題に触れたこと。それから三番目が、当時はやっぱり中央集権的な物の考え方から地方分権、地方財政の確立という三つが柱で、これは間違ってないと思っております。
 ただ、当時の日本は、昭和二十四年でございますからお互いまだ焼け跡、やみ市の状態のときでございますので、今の繁栄と申しましょうか、当時から比べれば繁栄に対応するにはその原則として若干欠けたものがあるのかなという感じはないでもございませんが、ゆがみ、ひずみとは、要はその後でできたもろもろのものというふうに考えて私も間違いじゃないと思っております。
○栗林卓司君 それで、税制の本格的な見直しにまた戻るんですが、大臣にお尋ねしたいのは、どういう税制に最終的に帰着するのかこれはわかりません。わかりませんが、今の経済社会の姿に見合いながら、しかも税負担の公平ということを踏まえながら、所得税を根幹として新しい税体系が構築されていくんでしょうけれども、税の公平というのは法律面だけではだめなんですね、執行面の公正があって初めて相まって担保されていくわけですから。そこで、今の徴税体制もまた見直していかないと、片方で税体系、法律議論ばかりやっていてもだめなんです。
 したがって、現在の国税職員、あれがあの数でいいかどうかということも含めて税調に諮問されるんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) どういう諮問の仕方になりますか、これは先ほど素直に申し上げましたように、まだ梅澤博士と私とがどうしようかと言っておる程度の段階でございます。が、いわば税制論議の中で今のいわゆる執行面の公正という角度から税務職員問題が多く議論されておるというのは、これは正確にお伝えする中身の一つである、柱であると私も思っております。それを、執行面についてはおまえら、こういう考え方に沿って政府で考えるべきだとおっしゃるかどうか、それも予見できませんけれども、それは正確に報告する中身の一つの柱であるという問題意識は持っております。
○栗林卓司君 なぜ伺うかといいますと、まず隗より始めよとおっしゃるものですからね。
 まず隗より始めよというのは横並び主義でして、そこの中で御苦労されているのはよくわかるんですけれども、その悩みと税の公平を担保するための執行体制、これは全く次元が違うんですね。ですから、なかなかずばっと割り切って言いづらい面が税にはありますよね。しかも、いわんや、ある場合には増税もという議論はとても今はできない。しかし、しばらく後のある時期にそれが来ることは目に見えている。その議論をどこでやるかというと、ちょうど今政府税調がいわば一種の隠れみのになっている面もこれはあるわけですから、そこでまた議論してもらいながら、いやこれは隗より始めよと言われてもだめだ、あそこでそうおっしゃるんだから今回は十何名増員というわけにいきませんぞという御工夫も、やっぱりやってみる必要があるのではないか。国際比較をしてみても非常に少ないですよね、日本の職員は。ごく一部について実調をやりますと、すさまじい脱税が次々に挙がってくる。あれを全部にやってくれたらなあというのがやっぱり国民各層の共通意見だと思うんです。それと、いわば予算編成に当たっての、横並びの関係でまず隗より始めよというのは私は無責任ではないか、やっぱり御工夫があっていいんではないかと思いますが、その点だけ伺って質問を終わります。
○国務大臣(竹下登君) 確かにその点いつも考えますのは、結局凡夫の域を出ないかな、こういう感じを持ちます。どうしても財政当局におりますと、いわゆるまず隗より始めよという思想が出てまいります。そこで支えになったのが、国会決議というようなものが支えになってきた。そこにさらに、税調の答申を意図的に隠れみのとしてそこへ書いてもらうほど厚かましくてもいけませんしというような議論があったことが正確に報告されたならばどういう御答申がいただけますやら、答申の中身につきましては予見を差し挟む今日ではないということで御了解をいただきたいと思います。
○青木茂君 まず入場税の方からお伺いをしたいんですけれども、入場税の免税点を引き上げることは大変よろしいんですけれども、ただ、今までの例からいきますと、これを引き上げますと何か今度は入場料金がそれにスライドして高くなっちゃうというような先例がございますから、そうすると、せっかく免税点を引き上げても国民のためにならぬじゃないかというようなこと、これの歯どめみたいなことは入場税問題についてお考えになりましたでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) その問題は五十年の免税点の引き上げのときにもございまして、当時行政指導で、この減税部分は入場者に還元する、あるいは入場料金を引き下げるということで臨んだわけでございますが、ちょうど当時、オイルショック後の物価騰貴等の関連がございまして、なかなかそれがうまく浸透しなかったというふうな事情もあったようでございます。
 今回は五十年度と同じ手法ではございますけれども、二月の初めに、私ども大蔵省主税局から関係庁でございます文化庁、それから厚生省、通産省に、ただいま申し上げました、もし国会で法律が通った場合に、入場者にその恩典が還元されるように、これは入場料金面の指導の問題でございますが、それを強くやっていただくように申し入れております。
 それで、私どもの承知しております範囲では、二月の二十日から二十五日にかけて文化庁、通産省、厚生省が、それぞれ文書でもちまして各関係団体に指導通達を出していただいておると思います。したがいまして、この法律を国会で通していただきましたら、四月一日から施行になるわけでございますけれども、私どもは今回の場合それが適正に入場者に還元される方向で、これは入場料金の話は結局興行者の経営の自主的な判断の問題ではございますけれども、こういった経緯で免税点の引き上げも行われたわけでございますから、関係行政機関の御協力もまって、今委員がおっしゃいましたような御懸念が生じないようにということを期待し、また私どももそういう方向で努力をしたいと考えております。
○青木茂君 ここのところはひとつ強く、できるだけそういう芝居や映画を見に行く人たちのためになるように強く押さえておいていただきたいんです。
 この入場税の問題は、どうなんでしょうね、税調ではどれぐらい議論されたんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 税制調査会で年度改正の議論をしていただきます場合に、いつも申し上げておりますように、国会の御議論を正確に報告するわけでございますが、そのほかに関係方面からいろんな陳情書が出てまいります、税制調査会長あてに。その中に、六十年度の税制改正の御審議に当たりましては、この入場税の問題について減免方陳情が幾つかの団体から出ておりましたから、当然審議の対象にしていただきました。各種の御論議があったわけでございますけれども、結局のところは、免税点を積極的に引き上げるべきである、あるいは引き上げるべきでないといったような一義的な御結論に至らなかったというのが、税制調査会での御審議の実情でございます。したがいまして、入場税問題については六十年度答申には触れられておりません。
○青木茂君 そうしますと、税調の方では必ずしも積極的でもなかったし消極的でもなかった、こういうことですか。
○政府委員(梅澤節男君) 答申に触れられてないわけでございますから、税制調査会としては、特に政府に対して入場税の扱いについて意思を表明される必要は認められなかったのではないかというふうに理解すべきだろうと思います。
○青木茂君 入場税が間接税の中に入るか入らぬか、そこら辺のところは議論はございますけれども、ある意味においては、これは間接税のテストケースになるかもしれないんですね。間接税を下げても値段が上がる、上がればもちろん上がるというわけで、間接税と物価騰貴と価格高騰というものがどうしてもストレートに結びつきやすいものだというふうに思うわけなんですよ。
 ですから、そこら辺のところはこれからいろんな間接税を考える場合においても、十分ひとつ御留意をいただきたい。大臣からひとつその点のお考えを伺いたいんですけれども。
○国務大臣(竹下登君) 確かに前回の改正の際、徐々に上へ張りついてしまったという効果の方が、あるいは営業の方から見たらそういうふうに受けとめられたかもしらぬ。それで、今主税局長から申し述べましたように、私どもの方から直接というわけにはいきませんが、私どもの方からは、文部省、厚生省、通産省でそれぞれそういう対象を持っていらっしゃいます、そこへお願いをしておる。それが今度は具体的な指導をされるということでございますが、間接税と申しますか、要するに消費に着目した税であることは事実でございますから、そういう傾向を持つ場合もあり得るということは十分認識していなきゃならぬ課題だと思います。
○青木茂君 次に移ります。
 この前の予算委員会で私必要経費のことばかり言っていて、いわゆる所得配分の不公平ですね、不公平についてはちょっと舌足らずで終わってしまったわけでございますけれども、所得税の不公平といいました場合、どうしても事業をやっていますと、青色申告の専従者控除にいたしましても、さらに極端な場合はいわゆるみなし法人という場合においても、所得分散してしまうわけですよ。そういう形になって、おかしなサラリーマンがばかにふえてきているんです。商売を実際はやっていて経営者なんだけれどもサラリーマン的スタイルをとるような人が非常に多くなってきている。ところが本当の真正サラリーマンというのは、分割ができないものだから高い税率でぱかんといかれるわけです。だからこれはどうしても不公平ということにならざるを得ない。
 そこでやはり私は、この前も申し上げましたように、もうぼつぼつ二分二乗と申しますか、サラリーマン家庭にも所得分割ということを積極的に認めていただく時期に来たんじゃないかと思うんですけれども、この辺大臣いかがですかね。
○国務大臣(竹下登君) 勉強しました中に産業就業構造の変化に伴う所得の給与化の進行、これが同族会社なんかが給与化したということの一つにもなろうかと思っておりますが、青木さんの議論をさらに聞きますと、やっぱり実額控除の問題とそれからもう一つは二分二乗、それに帰着していく論理の展開になると思います。
 二分二乗というのは私どももかねて非常に興味を持って議論をいたしてみましたですが、税制調査会の中期答申でも、二分二乗課税方式を採用すべきであるという意見に対して、「夫婦合算二分二乗方式を採用すれば負担に大幅な変動を生じ、共嫁ぎ世帯や独身世帯(特に扶養家族を有するもの)が相対的に不利になり、中高所得者層に負担軽減の効果が偏るという問題がある。」そう指摘されて、これは青木さん百も御承知の話ですが、また「我が国では大部分の納税者が年末調整を通じて納税を完結する効率的な制度となっており、合算課税の採用は非現実的である」として、「課税単位の変更を行うのは適当でない」という答えになっておるわけです。確かに、世帯単位でやった方がいいじゃないか、あるいは二分二乗方式というのは、二分二乗という厳密な意味じゃございませんが、相続税のときにはそういう観念がそこにございますわね。しかし、今の場合、課税単位として考える場合、先ほどの税調の答申を一つの答えとして私どもはやっぱりいただくべきではないかな、こんな感じでございます。
○青木茂君 今大臣がおっしゃいました年末調整で課税関係が完了するという問題につきましては、またこれがちょっと一つの問題をはらむんですけれども、それは後回しにいたしまして、確かに二分二乗をやりますと共働き世帯なんかが不利になることは私はそのとおりだと思います。思いますけれども、これは二分二乗に対して例えば勤労主婦控除、このごろのいわゆるパート減税を少し拡大した形において勤労主婦控除というようなものをセットすれば救済できるし、それから単身者の問題に対しては、ちょうどアメリカの税法でやっておりますように、税率は何も単数でなくてもいい、いわゆる税率表を複数に持っていけばこれもまた救済可能なことだと私は思うんです。
 ですから二分二乗の欠点というものは工夫いかんによっては救済できるんだから、とにかくこの所得配分の不公平というものを出していかなきゃそれは給与所得者は損ですよ、不公平ですよ。そこら辺のところをほうり投げておきますと、やはり不公平感というものが私は幾らこれから税法の抜本的改正をおやりになっても消えないと思うんですがね。重ねてちょっと大臣にお伺いしたいんです。
○国務大臣(竹下登君) 先ほど読み上げました中期答申でございますが、もう一つは、あらゆる税制に仮に二分二乗方式、そうするとそれを中和する措置というものは、簡素の点からいえばあるいはより税体系そのものを複雑にしていく要素もあるんじゃないか。それは確かに間接税というものは逆進性がある、しかしながらそれは所得税においてそれを中和すればいいじゃないかという議論も、あらゆる税制にそれを中和する議論というのはあり得ますけれども、現状の我が国の経済社会あるいは個々人の存在から見て、二分二乗方式をとるというところまではやっぱりまだ踏み切れな
い課題ではなかろうかな。割に今度は田舎の方へ行きますと家族単位の方がむしろより適正じゃないか、こういう議論も確かに出る余地もございますし、したがってやはり今の中期答申の、税調の専門家の方が出してくれた考え方というのが当面のお答えということになるんじゃないかな、こんな気がしております。
○青木茂君 いや簡素、私も簡素は大賛成なんですけれども、しかし例えば昨年の税制におきましてもあれですよ、個人年金保険の控除をつくるなんというのは、あれはあんなわずかな金額で一つつくったってしようがないんで、複雑にあえてしておるようなところがございましてね。何かこれは、シャウプさんはもうお年だから日本へは来られないと思いますけれども、シャウプさんが来たらびっくりするんじゃないですか、あんまり複雑にしてしまって。
 だから、あるときは簡素でお逃げになって、あるときは複雑で説明されたんじゃ困るんです。これはきょうはその大論争をやる場じゃないですからいいんですけれども、この所得分散ということになりますと、どうしても一面においてみなし法人というやつがひっかかるわけなんです。
 きょうの読売ですか、「青色申告 優遇浮き彫り免税所得一兆も」、「「青色専従者」と「みなし法人」という制度の特典により、合計二兆五千五百億円が、給与所得に転換、うち九千五百億円が「免税所得」に変わったことになる」、こういう五十七年調査がございますけれども、このみなし法人、これまた当時の税調もこれは決して賛成しなかった制度なんです。こういうものが一方にあって、給与生活者はとにかく所得一〇〇に対する高い税率が来るということになりますと、それはやはりだめなんですよ。
 しかも、みなし法人というのはあれは時限でしたね、たしか。局長、時限でしたね。
○政府委員(梅澤節男君) 五年の時限立法でございまして、たしか去年……
○青木茂君 いや、正確でなくていいんです。
○政府委員(梅澤節男君) 五年の時限立法で、従来、期限を延長しておるわけでございます、期限が到来いたしますと。
○青木茂君 非常に極論すれば、これは税法の公平原則を踏み外したいわば私はめちゃくちゃなやり方だと思っていますよ。それが時限なら、そのときに必要があったからおやりになったんだけれども、時が来たらこれはもうサンセットで、考え直すものだと思います。去年だったら残念だったな、あと四年もあるわけだ。しかし、今度時が来たら抜本的にこういうものはなくしてしまうというように思うんですけれども、大臣どうですかね、このみなし法人というやつは。
○政府委員(梅澤節男君) これは所得税の本則の建前からいきますと、みなし法人課税でございますからあくまで租税特別措置法で時限立法の経過をたどっておるわけでございます。これは前回の予算委員会でも申し上げたわけでございますけれども、基本的には中小企業の近代化と申しますか、企業と家計の分離という政策目標ということでこの税制は設定されたわけでございまして、ある一面ではそういった役割を果たしてきたということは私は否定できないと思うわけでございます。したがって、その政策目標と税の公平というのは、この問題に限りませず租税特別措置あらゆるものにつきまとう問題でございますけれども、そういった観点から将来の一つの検討課題になるのかと思います。
 ただ、この問題につきましては、そのみなし法人課税の問題だけじゃございませんで、これは税制調査会の答申等にも指摘されておりますけれども、いわゆる所得分割の話は税制上余り割り切ってしまいますと実態に非常にそぐわない面も出てくるわけでございます。例えば青色申告者の家族従業員の給与の問題がございますけれども、これはやはりきちんと整理されておれば、家の外へ働きに行って給料をお取りになる人も、家の仕事を働いてしかも独立の家計を持って給料をもらうということもあり得るわけでございますから、問題はそういった給与が不当な水準にあるとか、あるいはそういう勤務の実態がないのに支払いを仮装している、そういったものは執行面から是正していかなければならないわけでございますけれども、我が国の零細企業をめぐる税制の問題はやはり我が国特有のいろんな実態がございますから、一概に制度面で割り切ってしまうというのはかえって、つまり乱用の実態があるからこういう制度は全部やめてしまえという議論もなかなかしにくいということでございます。
 いずれにいたしましても、今後の所得税制全般の見直しの中で、改めてこういった点も御議論をいただかなければならないと考えております。
○青木茂君 いわばこのみなし法人の問題は、期限が近づいてきたらもう一度税制調査会に投げ返していただいて、十分な議論をしていただきたいという希望があるんですけれども、この点はひとつ御承知願えますか。
○政府委員(梅澤節男君) 今度は所得税制全体の見直しをしていただくわけでございますから、あらゆる問題を改めて御検討いただくことになろうと思います。
○青木茂君 税調も大変ですね、これは。
 次へそれじゃ進みます。
 この前私、総理にお伺いをしたわけなんですけれども、どうもよくわからなかった点があるんですね。アメリカの税制改正では、あれを読みますと中立という言葉はかなりはっきり出てくるんだけれども、大臣いかがでしょうね。今度のアメリカの税制改正の案、案の中に出てくる中立性という言葉の意味はどういうふうにお考えになりますでしょうか。これは総理ではなくて大蔵大臣のお考えとしてどんなもんでしょうね。出てきませんか。
○国務大臣(竹下登君) 財務省提案では最初は公正、簡素、経済成長のための税制改革ということになっております。そして個人所得税、法人税を通じて各種の控除、優遇措置の見直し、課税ベースの拡大、税率構造の簡素化と緩和、それによって公正かつ簡素で経済効率を高めるような税制を構築することを目指しておる、経済活動の各分野に対して税制ができる限り中立的であることが重視されているものと理解しておって、それで十一項目挙げられておるその一番最初にエコノミックニュートラリティーでございますか、経済的中立性というものが挙げられておるということでございますので、まさにいわゆる経済的中立性ということ。経済的中立性とは、こういうことにさらになりますと、税制が経済の各分野に対して不当な干渉をしないという意味での中立性であって、租税原則の一つとして位置づけされるものである。
 一方、もう一つ、歳入面での中立性、これは抜本的税制改革の目標の一つとして挙げておるが、これは、財務省提案の税制面での効果が全体として増税にも減税にもならず現行税制とほぼ同じ歳入額を確保するものであることを指しておるというふうに、ですから、いわば財務省提案の歳入面での中立性という部分を総理は言われたような気がしましたですね、あのとき聞いておりますと。
○青木茂君 私があのときお伺いをしたかったのはまさにその後の部分でございまして、ゼロサム、増税、減税相打ちというゼロサムであって、ゼロサムの中に余りきらびやかな新しい税目は持ってこないということをアメリカの場合中立という表現を使ったんではないか、そこのところを実はあのときお伺いしたかったんですよ。したかったんですけれども、十分な実はお答えは、これは無理
はないんですけれどもいただけなかった。大蔵大臣はプロなんだから、どうなん
でしょうね、そこのところは。
○国務大臣(竹下登君) 決してプロじゃございませんで、かなり相当なアマの方に入るわけでございまして、ただこの職にあることいたずらに馬齢を重ねておるにすぎません。
 それはそれとしまして、いわゆる歳入面での中立性、二十二日の青木さんの質問に対して総理は収支とんとんという表現を用いておりましたが、それは抜本的税制改革を目標の一つとして挙げて
おりますが、これは財務省提案の税制面での効果が全体として増税にも減税にもならず現行税制とほぼ同じ歳入額を確保するものであることを指しておるというふうに定義づけております、その面では。
 それから、もう一つの経済的中立性という分は、税制が経済の各分野に対して不当な干渉をしないという意味での中主性ということでありまして、総理はいわば歳入面での中立性のところだけをお答えになったな、こういう感じで聞いておりました。
○青木茂君 一歩をここで突っ込むとするならば、アメリカの税制改正で言う中立性というものを日本の場合にこれをどれぐらいつまり活力の次にもう一つつけ加えるか、五つのお好きな方だから六つというのは難しいけれども、本当は活力よりもこの中立というのを入れて五つといいますと、今非常に問題になっているいろんな税に関する問題というものの私は一つの方向というものが出てくるのではないかと思いますけれども、もう時間が近づいてきておりますから、この論議は他日に譲りたいと思います。
 これはちょっと今急に気がついたことで恐縮なんですけれども、公平、公正、簡素、選択、活力ですか。公平はわかりますわな。公正も、今大臣の御説明でわかったようなわからぬような点がございますけれども、公正というのはあれは公平と正義ということですから、そうすると公平とはダブるんですよ。だからあれは五つじゃなくて四つになるわけなんです、本当は。
 しかし、それはともかくとして、よくわからないのが選択なんです。選択という言葉で総理の頭に何がイメージされていらっしゃったかということなんですけれども、そうすると先ほどの大臣のお答えでは、つまり新しい税目を取り入れる、あるいは現在の税の体系を固定化する何か一つの手続みたいなものであって、税法そのものの中に踏み込んだ、現在の税体系そのものの中に踏み込んで選択制を入れていくという問題ではないというわけなんですね。
○国務大臣(竹下登君) 私も青木さんと同じような最初印象を持って見たんですが、あくまでも、いつも答えておりますように、最終的には国民の合意と選択、その意味の選択、こういうふうに総理の口から解説を受けております。
○青木茂君 私は、やはり民主主義なんだから税法そのものの中に踏み込んだ選択制を私は主張しました、実額と概算と。これも一つの選択の内容なんじゃないかな、すべてとは言いませんけれども。つまり、税法の中に、徴収する側の論理で税法を規定してしまわずに、納める側の自主性と申しますか、そういう意味の選択というものをこれから少し取り入れていくべきである。これは私自身の、大臣がよくおっしゃる意見を交えてのあれですから、もう本席はいいですけれども、それはやっぱり考えていくべきだと思います。
 最後になりまして、実はこの前の予算委員会におきましていろいろ議論がありました給与生活者の必要経費の問題ですね。
 必要経費の問題はここでもう一度いろいろ論議をしたいと思っておったんですけれども、もうこれは時間的にどうしようもないから明後日に譲ります。ましてや明日大島さんの訴訟の最高裁判決が出る日で、それに最高裁がどういうふうに断を下されるか、それの資料に基づきまして必要経費の問題の議論をさせていただきたいと思っております。私は基本的には、もうぼつぼつ家事費とか家事関連費とかいうことでなしに、家事費の中に潜り込んでおるところの給与生活者の必要経費を我々がピックアップする努力に入るべき段階に来ているというのが私の基本的な考え方、それは明後日いろいろ申し上げさせていただきたいと思うわけです。
 ここで時間いっぱいやったところで途中で終わりますから、切りがいいところで、三分余して終わります。
○野末陳平君 先ほどから現行税制のひずみ、ゆがみですね、そのような議論が出ておりまして、これを今度税調に諮問する大蔵大臣のお考えはかねてからお聞きしておりますが、大蔵大臣がおっしゃるひずみとゆがみの中に、どうでしょうか、シャウプ勧告以来の今のこの所得税中心の考え方が既に限界に来て時代に合わなくなってきたんだというような受けとめ方も、大臣の頭の中にあるのかどうか、その辺はどうですか。
○国務大臣(竹下登君) やはり僕は所得税が基幹税であるという考え方は今日もなお続いております。したがって、所得税というのはもう限界に達した、だから所得の段階に担税力を求める比重よりも消費の段階、資産の段階に担税力を求めるべきだという前提を置いているわけではございません。
○野末陳平君 確かにそのとおりで、所得税中心というか、所得税が基幹であるというのはこれは僕も全然異議はないんてすけれども、ただ、所得といいましても、今や勤労所得、いわゆる勤労所得だけでなくて、日本人がリッチになってきた点、資産所得というものもかなりウエートが高くなっていますね。そうすると、ただでさえいわゆる勤労による所得あるいは営業による所得というようなものも捕捉が難しい。ここにも不公平感が出ている。それから累進税率による一種の節税の行き過ぎというか、逃税行為ですね、そういうものも当然あってくる。その上に資産所得ですが、これがまた捕捉が非常に難しい。形態がいろいろある、税の仕組みが違ってきていますからね。やはり資産所得が高まってきたということも、非常に所得税にウエートを置き過ぎた税体系というのを変えなきゃならぬところに来たんだと。現在の経済構造が非常に富が平均化して、少なくとも所得水準が日本人は全体に高くなったでしょう。それはやはり考えないと、これからの税制のあり方において、単に直間比率が直接税にウエートがかかってきたからというだけではなしに、所得の中身がいろいろ変わり、それで非常に今の税体系ではなかなかうまく課税していけないんだ、こういう時代の変化というものも当然今後考えるべきだと個人的にですよ、思っているわけなんで、そういう点についてはいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) したがって、税調の六十年度答申の中にいわば所得、資産、消費にそれぞれのアンバランスが感じられるという書き方がしてあったのも、今おっしゃった思想と同じ思想ではなかろうかというように私は受けとめております。
○野末陳平君 ただ、それを突き詰めていってしまうと、結論としては消費に、つまり広い課税ベースの消費税の方がいいんだとか、あるいはそっちの方が公平だというふうになりかねないので、そういう面も確かにあるという点なんですが、いずれにしても今後税調の答申がどういうふうになっていくかわかりませんが、所得税と一口に言うんですが非常にそこが複雑になってきたという面を、いわゆる経済構造の変化を頭に入れないで、ただシャウプ勧告に戻るのがこれからの税のあり方かそれともシャウプ勧告とは別の新しいあり方を考えるか、というような単純なことではなさそうに思うんですよ。それは僕の考え方ですから、大蔵大臣の受けとめ方をちょっとお聞きしているんですが。
 もう一つ、特にサラリーマンを中心として、あるいはサラリーマンだけじゃなくて、いわゆるまじめな納税者と言うべきでしょうか、税の不公平感というのは非常にありますね、これが世の中に満ち満ちている。ただ、その不公平感はあくまて感ですから人によって全く中身が違っていたり、実体がよくわからない全く誤解に基づく不公平感も多いわけでしょう。だから、そういうのをひっくるめてその不公平感というものも大蔵大臣は今のゆがみ、ひずみというものの中に考えておられるのかどうか、そこはどうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) このゆがみ、ひずみから来る不公平感というものは私はそれぞれ存在しておると思いますが、今おっしゃいましたように、それは誤解に基づくものもあろうかと思います。それで、ことしのように税論議が国会においても
新聞論調を見ましても随分なされる、そういうなされる間に国民全体の知識水準、税に対する知識も上がってきて、誤解に基づくようなものはおのずからまた整理されていく状態も期待できるんじゃないかな、こういう感じで見ておるところでございます。
○野末陳平君 そこで、今後の税改正のあり方、改正というか税制のあり方の中に、いわゆる捕捉率が今のようにまず公平にはできそうもないというような前提があるわけですね。そうすると、サラリーマンのように完璧に捕捉されているという人たちの不公平感というものは、これを税制に、今後の税制のあり方の中に、あるいは税改正の中にこの部分を反映させるべきかどうかというところが難しいという気がするんですね。これは、だって永久に、捕捉の公平ということが一〇〇%保証されるということは考えられませんからね。そうすると、どこをどう直し、これがゆがみだ、これがひずみだといって直しても、一〇〇%捕捉され、しかも好む好まざるにかかわらず源泉されているんだというこの不公平感は、これは永久に続く。これを税制に反映させないとちょっとおさまりがつかないんじゃないかな、こういう気もしているんですよ。
 これをやり出すと切りがないんだけれども、しかし昔はいろいろな政策効果を考えるためにあれやこれややったわけですからね。ですから、これから特に、給与所得者の一〇〇%捕捉され源泉を余儀なくされているというこの一種の不平公感といいますか、被害者意識といいますか、こういうものも若干は税制の中に反映させざるを得ないところに来たのかな、こういう気がしているんですが、これについてはどうですか。
○国務大臣(竹下登君) 非常に難しい質問でございますが、しかし源泉徴収というものが、徴収義務者の方に御迷惑をかけておるわけでございますけれども、我が国の納税には大変な大きな役割を果たしております。したがって、より他の捕捉を完全にする努力で近づけていくということがやっぱり原則にはあるべきではなかろうかなというふうな感じで、これは個人的な感じで今お話を聞きながら受けとめたところでございます。
○野末陳平君 いろいろ難しいというかやりにくい点もあるので、また考えて後日の機会に質問したいと思います。
 とりあえず具体的な法案の中身で、さっきから出ておりました入場税ですけれども、これは僕前も言ったんですけれども、撤廃するならまあいいんですよね。撤廃するならそれなりに意味があるんだけれども、中途半端な免税点の引き上げというのは余り意味がないんですね。ですから、そこで、四十億円減税になる。減税に対して無理に反対するような気はないけれども、この四十億円はどんな形でだれに還元されるんですか。
○政府委員(梅澤節男君) これは先ほども御答弁申し上げましたけれども、減税になった分は当然入場料金の引き下げを通じまして入場者に還元されるべき問題であろうと考えるわけでございます。したがいまして、五十年度のときの経験にもちなみまして、この二月に既に、仮に法律が国会を通りました場合は、関係行政庁におきまして関係団体をきちんと指導してもらう。いやしくも入場税の減税に便乗して興行主筆がこの税制改正の意図に反するような行動をとってもらわないようにということでございまして、私どもはやはり全部が入場者に還元されることを期待しておりますし、またそういう努力をしていくべきだろうと考えております。
○野末陳平君 実際に、前回もそうでしたけれども、入場料金が引き下げになるということは余り考えられないような気がするんで、例えば映画に関して言えば、千五百円の今の入場料金はもともと免税点ですからこれは関係ないとして、ロードショーの場合ですけれども、指定席に入れば二千円とか二千何百円になる。せめてここのところは百円かそこら安くなるかもしれませんけれどもそれだって余り期待できないんで、むしろ、さっき青木委員からも話があったけれども、大体、秋千八百円入場料というのはもう業界の常識になっている。となるとこれは、僕に言わせれば、こういう中途半端な免税点の引き上げをやれば入場料金を値上げするきっかけを与えただけで全く意味がないと思うわけですよ。だから税調もこれには触れてないんで、これは要するに、今のままで特に実害も実益もないだろうというようなことからあえて触れなかったと思うんですが、唐突で余りいい中身だと思えませんけれども、それにしても賛成者が多いと思いますからあえてけちはつけません。
 先ほどの値上げの歯どめですが、大体どういうように予想されていますか。関係するところに全部大蔵省の考え方を伝えたとはいっても、それが正確に受け取られて結果的にこの減税の恩典が一般の人に及ばなければ何にもならないんで、大体どういうふうになる、つまり歯どめがかかって入場料金が引き下げられる、そうして入場料金が値上げされることはない、こういうふうに判断なさった結果こういうふうになったわけですか、自信ありますか。
○政府委員(梅澤節男君) これは五十年の例を見ましても、その当時も指導をいたしまして、ただ半年ぐらいを経過した後引き上げの動きが出てきたという事実も当時ございました。それは一つは、当時の物価情勢と今回の場合は少し違いますから、その点私どもは五十年のような、一たん引き下げてまたもとへ戻るというふうなことが五十年のような姿では出てこないだろうということになろうと思います。関係省庁も文書できちんとそれぞれの関係団体へ、この関係団体はそれぞれ入場税の取り扱いについて陳情されてきた団体でもございますから、私どもはそういった人たちの良識を信用しつつまた関係行政庁の指導に期待をしておるわけでございます。ただ、入場税の免税点の引き上げにつきましてはいろいろ議論があったわけでございますけれども、やはり五十年からずっと据え置かれておった。当時からの物価の上昇率等から見ましても、今回の免税点の引き上げの幅がそんなに不合理不適正なものであるとは私どもも考えていないわけでございます。
○野末陳平君 だけれども、むしろほうっておいても入場料金は下がる傾向にあったんですよね。要するに、今の入場料は高いんだ、安ければお客はいっぱい来るというのが現実に映画の日というのをどんどんふやすことによって実証されていたので、むしろこういう免税点の引き上げがなければ入場料金はしばらくの間据え置かれただろうと思うんで、まあこれは先のことで、別に値上げが決まったとは言っていませんけれども、余りいい結果になりそうもない心配がありますから。大蔵大臣、ひとつ入場料金を安易に引き上げないように、くれぐれも厳しく指導していただきたいとお願いしておきます。
 次は、新札なんですが、新しいお札の、要するに目の不自由な方や何かのためのあれがありますね、左下の方に、手でさわってすぐわかるとかいう。これが本当に当局が考えたとおりに便利で重宝がられているのかどうか、その辺の評価はどうですか。
○政府委員(宮本保孝君) 今御指摘のような点は目の悪い方々からいろいろ陳情等がございまして、若干不鮮明でわかりにくいんじゃないかというふうな御陳情などがあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、初めてオランダで一九七一年に凹版印刷によります識別が採用されましたけれども、世界で初めてすき入りの印刷によりまして識別をつけたらどうかということで新しい試みをやったわけでございます。紙の厚さとか大きさなどの制約の中で現在の技術の限りを尽くしたものでございまして、確かにいろいろ御指摘があるのでございますけれども、現段階ではこれが精いっぱいのところであるということでございます。
 ただ、紙幣の印刷技術につきましては、今後とも引き続きよりよい紙幣をつくるための研究を続けてまいるその過程で、こういう点につきましても改善が図られれば漸次改善を図っていくという
ようなことで対処いたしたい、こう思っているわけでございます。
○野末陳平君 もちろん私もこれについてはわからないんですが、ただ、やはり今の答弁にもありましたように、陳情が多くて、結論としては、今の点字表示は手でさわってもわからない、はっきり言ってほとんどわからないという声が多いわけですよ。ですから、技術の限りを尽くして、日本は技術がすぐれているわけですから、肝心の不自由な方が便利であるように、そういう意図のもとにつくられたわけですから、さらに改良してほしい、そういうお願いをしておきたいんですがね。
○政府委員(宮本保孝君) 今直ちにということはなかなか難しかろうと思いますけれども、初めての試みをやったということを御評価いただくと同時に、私どもといたしましても今御指摘のような点につきまして、印刷局の技術員も大変すぐれておりますので、懸命に努力してまいるということを御答弁させていただきます。
○野末陳平君 やっぱりそういう点でも日本がお手本をつくるといいと思いますね。
 それから、さっきから出てきております例のマル優関連の話なんですが、グリーンカードはもうついに廃止ということになりますと残念ですね。
 それにしても、グリーンカードがなぜこうして廃止に追い込まれてしまったかということの反省ですが、税調の答申にもいろんな書き方をされていますけれども、結論的に大蔵省に聞きますけれども、どこが結局失敗、失敗というか、結論は失敗ですね。廃止に追い込まれてしまった、行政の失敗で。大蔵省としてはどこに原因があったというふうに思っていますか。PRの不足だったとか、あるいはいろんな誤解を生んだのはこれは制度上に欠陥が、制度ってまだ誕生していなかったわけてすけれども、欠陥があったという判断なのか、それともいわゆる根回しのようなあちこちにそういうものが足りなかったのか、いろいろあるんでしょうけれども、どうでしょうかね、この反省。
○政府委員(梅澤節男君) これはいろんな分析ができると思うわけでございますけれども、今の時点で私どもが反省と申しますか、今後利子配当課税を考える場合に留意しなければならないという点は、一つは金融資産というのは非常に波動性が強い、それから心理的影響というのは金融市場に対して非常に大きな影響を及ぼすということでございます。
 それは具体的にどういうことかと申しますと、一つは我が国の近代の所得税制上を見ましても、利子所得が完全総合課税になったのは昭和二十五年のシャウプ税制のときに制度的には一年ございましたけれども、実際は完全総合課税を経験していないわけでございます。大部分の時期を通じまして、分離課税であるか、非課税であるか。したがいまして、一般の貯蓄者にとっては、一挙にこれが総合課税とか、あるいは金融資産が白日のもとに税務当局の前にさらされるという一種の不安感、これは善悪の問題は別にいたしまして、この事実は今後とも利子所得の問題を考える場合によほど注意をする必要があるということでございます。
 それからもう一つは、郵貯と民間のマル優のシフトの問題とか、あるいは他の投機資産等へのシフトの問題が当時喧伝されたわけでございますが、たまたまあのときは時期が悪うございまして、五十五年の春に金利の天井感というものが出てまいりました。そのときに郵貯の定額貯金というのは非常にいい利回りの商品であるということがグリーンカードと重ね合わせまして毎日毎日新聞に報道されまして、当時、中央線の沿線にサラリーマンの奥さんが郵便局を渡り歩いておるというような話も出たくらいの騒ぎでございました。したがいまして、そういった導入は三年後であったわけでございますけれども、制度ができたという時期が、これはいろんな税制についても言えることでございますけれども、そのときの経済情勢というものと非常に密接なかかわり合いがあるというふうな問題もあったと思います。
 それから、今後の問題といたしましては、そのほかに、先ほど来申し上げておりますように、金融の自由化とか国際化というふうな状況がどんどん進展してまいるということになりますと、金融資産の波動性とかあるいはその税制が持つ金融市場への影響というものは、よほどこれからも慎重に検討を重ね、国民の方々の御理解を得ないと大変難しい問題であるということを痛感いたしておるわけでございます。
○野末陳平君 今の局長の答弁で、同意するところも多いんですがね。要するに、これから利子所得課税のあり方を考える場合に非常にこれはいい教訓といいますか、いろんな問題を教えてくれたと思うんですよ、このグリーンカードがこうなったということは。それで、幾つか指摘なさいましたけれども、僕自身もグリーンカードはかなり積極的に考えていたわけですが、日本人がこれほどリッチであるということも実はあれでわかったんでね。本来、みんながお金を持ってきたからでなくて、一部のお金持ちの利子配当所得、特に利子ですが、そこら辺がマル優の悪用で不公平になってとか、そちらの方ばかり考えていたんですけれども、実はある程度みんなが金を持ったために資産運用にすごい敏感になって、そのために金があんなふうに早く動いたんですね、敏感に反応早くね。それも考えたんで、そうなるとやはりこれからは、利子所得というのは別の意味でも非常に重要な税のテーマであるという気がしているんですよ。
 そんなことも含めてこれからまた考えていきたいと思いますが、今回のグリーンカードが廃止になった結果、今回の措置については非常に不満というか、実効が少しは上がると思いますが、まあ今までよりは少しはよかろうと思うものの大した意味がないんで、むしろ今後早い機会にきちっと考え直すべきだと思うんです。
 そこで、今度の限度管理強化ですが、郵便局の方へ先に聞いておきましょうかね。
 郵便局のオンラインというのは限度管理をもう近い将来完璧にやれるというところまで来ているのかどうか、その辺のことはいかがですか。
○説明員(神岡篤司君) 郵政省でございますが、先生のお尋ねでございますけれども、昨年の三月の二十六日、ちょうど昨年のきょうになりますか、郵便貯金のオンラインネットワークが完成をいたしまして、今はオンラインによって名寄せの処理、限度額管理には本人確認と名寄せと二つの面があることは御承知のとおりでございますが、名寄せの処理をいたしておるところでございます。手作業時代の場合には大変これは手数がかかりましたし、また効率化の面でも問題があったかと思うのですが、オンライン、五十三年から逐次できてまいりまして、そういった状況に伴いまして私どもの限度額管理も次第にしっかりやれるようになっておりますし、またこれからも厳正な対応をしていこうというふうに考えておるところでございます。
 とりわけ、このたびの法改正によりまして生年月日というものも得られるというふうなことになりますと、これを加えたシステムでさらにより精度の高いと申しますか、そういう手法もなかろうかというふうなことを考えているところでございまして、これにつきましては大蔵省、国税庁と寄り寄り御相談申し上げながらこれから勉強してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
○野末陳平君 そうすると、今までは本人確認が必ずしも、大分よくやっているのはわかっているけれども、十分でなかったと。それから名寄せも、手作業だからこれも完璧とははっきり言って言えなかった。――いや、そちらでは完璧だと言うけれども、そんなのはうそに決まっているんで、手作業であれだけの枚数で貯金局ごとに分けて完璧にできるはずがないんだからそれはいいんですけれども、少なくもこれからオンラインによって名寄せ、限度額管理などもきちっとできるということですね。
 そこでこれは、郵貯だけでそれをやるのはそれはそれなりに意味があるけれども、今度はいわゆ
る民間の金融機関のマル優も含めてここまで考えていかなきゃならないんですが、これはどうですか郵政省、これは独自でやったんだから民間の方も含めて両者共通にしてやるなんということは不可能なのか、技術的に。これはもう別でやるべきものなのか、どうなんでしょうか。
○説明員(神岡篤司君) 昨年一年間非課税貯蓄の問題でいろいろ各界から御議論をいただきまして、そのとき私ども感じているところは、非課税貯蓄をよりクリーンなイメージにするというふうなことが非常に大事なことだというふうに考えておるところでございます。
 郵便貯金はもとより、これはマル優も含めましてやはりそういった限度額管理の厳正化というものを相携えて相談をしながら進めていくというのが、これがやっぱり本筋ではなかろうかと思っておりまして、こういった面でもこれからさらに具体的に大蔵省、国税庁と御相談をしてまいりたい、こういうことでございます。
○野末陳平君 大蔵大臣ね、郵政省はこういうふうにオンラインによってかなり名寄せができる。しかし、銀行関係の方ですな、民間の方は、本人確認はできたって、店舗を変えてそこで本人確認をやればいいんだから、利口な人はこんなのはすぐわかっているわけですよ。そうすると、この辺をほっておいて本人確認そして限度額管理がうまくいくというふうに考えるのは、これはとても子供だましの話でしょう。その点についてはどういうふうに考えているんですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 確かに今先生の御指摘のとおり、本人確認とともに名寄せを的確に行うことがこれから一番マル優の適正の運営のためには必要なことでございまして、私どもとしてはこのためには効率的な名寄せシステムを早急に完成しなければいけないということでございますが、これにつきましては非常な多数の非課税貯蓄申告書を名寄せするということでございますので、現在の状況からしますとこれは、手作業で行うというよりはコンピューターを使った方式を導入する、こういうことを踏まえてシステムを検討させていただきたいというふうに考えております。
○野末陳平君 そこで、大蔵大臣にお聞きするんですが、これが最後になりますが、郵政省は郵政省でやった。しかし今言ったように、マル優あるいは郵貯の非課税あるいは特別マル優、全部を通じてこれはやらなきゃならないわけですから、名寄せシステムを一貫しなきゃなりませんね、一本化しなきゃなりませんね。そういう方向で大蔵省は、今の答弁にもあったが、コンピューターなぞを利用して名寄せシステムを確立しようという検討に入っているのかどうか。つまり、郵政省も、名前と住所と生年月日が今度インプットできる、だからより完全になるだろうという答えだった。
 ですから大蔵省も、それに相乗りというんじゃなくて、共同で一本化した名寄せシステムというものを今後考えていくのかどうか、そこだけ答えていただいて、終わりにしましょう。
○政府委員(冨尾一郎君) 現在の少額貯蓄非課税制度というか、利子に対する非課税制度は、一つは郵便貯金が三百万円の限度まで非課税という制度がございます。そのほかに民間のいわゆる預貯金に対するマル優制度、それと少額公債に対する非課税制度、この三つあるわけでございます。
 したがいまして、限度額管理ということを考えまして、また名寄せをしていくということにつきましても、それぞれの制度の中でまずは第一次的に名寄せをしていくという必要があろうかと思います。そういう意味で郵政省としては郵便貯金の名寄せをやっていくということを今御計画中だと私どもは考えておりますが、マル優につきましては、多数の民間金融機関の店舗間の名寄せをするわけでございますし、いろんな金融機関を相手として御協力を得ながらこれからシステムを構築するということでございますので、私どもとしてはこれにつきましてこれから鋭意検討しなきゃいかぬと思っておりますが、コンピューターの問題を含めて、予算的な問題、人の問題、そういうことも含めてこれから関係方面とその点につきまして折衝しながらシステムを検討していく、こういう状況であるということだけ御理解いただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは前から、国税局ごとにいろいろなコンピューターの導入によっていろんなシステムができております。本来基本的には金利決定機能そのものも郵便局と民間金融機関と違うわけでございますけれども、それらも含めて一元的な方向にいかなきゃいかぬ。私はコンピューターの知識はございませんので、可能なことならば本当は今、相乗りというのか共同というのか、そういうものができたら、コンピューターの知識がないままの私の素朴な感じでございますけれども、一番いいんじゃないかなという感じでいろいろな議論をこれは党におりますときもしてみましたけれども、なかなかこのセクトはかたいものがあるなという印象をその都度強くしております。
 そもそもは郵便局には三百万円以上はないという前提でございますから、したがって議論いたしますと、男性に子供を産めということと同じじゃないかというような議論も出まして、ないという前提のもとにあるという前提で対応していくというのはこれは難しいものだなと思いまして、これからもやっぱり相互の話し合いでどこまで進みますか、その環境整備を皆さんにもお願いしてやっていかなきゃ、これは本当に実効の上がるところまでには日暮れて道なお遠しというような感じが素直に私いたしております。
○野末陳平君 終わります。
○委員長(藤井裕久君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時八分散会