第102回国会 大蔵委員会 第10号
昭和六十年四月三日(水曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月三日
    辞任         補欠選任
     丸谷 金保君     大木 正吾君
     片山 甚市君     鈴木 和美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
    委員
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                中村 太郎君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       内閣審議官    海野 恒男君
       科学技術庁長官
       官房審議官    雨村 博光君
       大蔵政務次官   江島  淳君
       大蔵大臣官房会
       計課長      朝比奈秀夫君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       大山 綱明君
       大蔵大臣官房審
       議官       角谷 正彦君
       大蔵省主計局次
       長        保田  博君
       大蔵省関税局長  矢澤富太郎君
       大蔵省理財局長  宮本 保孝君
       大蔵省証券局長  岸田 俊輔君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       国税庁直税部長
       兼国税庁次長心
       得        冨尾 一郎君
       郵政大臣官房審
       議官       田代  功君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       国土庁地方振興
       局東北開発室長  照井 清司君
       外務省経済協力
       局外務参事官   太田  博君
       厚生省年金局企
       画課長      渡辺  修君
       資源エネルギー
       庁公益事業部開
       発課長      関野 弘幹君
       自治省税務局企
       画課長      湯浅 利夫君
       会計検査院事務
       総局第五局上席
       調査官      深田 烝治君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○昭和六十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和六十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和六十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行)
    ─────────────
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(藤井裕久君) 昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行を議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大木正吾君 きょうは、貿易摩擦問題について少し聞きたいと思っておりましたけれども、その前に、三税法案の審議のときに伺いました中の年金の部分について少しく伺っておきたいと思います。
 厚生省はお見えになっていますね。――厚生省に伺いますが、五十九年度の国民生活実態調査、これは五十八年分ですが、この中にあります高齢者世帯の平均所得金額、高齢者の貯蓄状況ですね、これについて答えてください。
○説明員(渡辺修君) 高齢者世帯の所得構造を見た数値でございますが、年金、恩給が占める割合は年々増加しておりまして、五十八年には総所得の五〇・四%を占める、過半を占めるに至っております。
 一方、高齢者世帯の貯蓄の状況を見ますと、貯蓄なしの世帯が約一四%。それから貯蓄ありの世帯のうちでも、百万円未満の世帯が三二%、それから百万円から二百万円未満の世帯、これが一四%ということでございまして、高齢者世帯の約半数の世帯は貯蓄が二百万円未満、こういうことになっております。
○大木正吾君 貯蓄状況ですが、平均の所得金額についてはわかりませんか。
○説明員(渡辺修君) 申しわけございません。ちょっとはっきり聞きとれませんでした。
○大木正吾君 所得金額ですよ。高齢者、六十五歳以上の平均所得金額、高齢世帯ですね。たしかこれは資料があるでしょう、数字が。
○説明員(渡辺修君) はい。五十八年の高齢者世帯一世帯当たりの平均所得金額は二百十万八千円ということでございます。
○大木正吾君 そこで、大蔵省に再度伺いたいのでございますが、五十八年十一月の税調答申の中にございます公的老齢年金に関する部分、給与所得控除の適用に問題があるとの指摘、または「老年者年金特別控除を加味すると、極めて優遇された扱いとなっている」という部分がございます。同時に、六十年の答申はこれを受けまして、早急に検討を重ねろ、こう書いてございますが、本年度の三税の中には出てこなかったわけでございますが、これについて大蔵省はどういうふうに税調
答申を受けとめて対処されるおつもりでございますか。
○政府委員(大山綱明君) 五十八年度の答申、それから六十年度答申におきまして早急に検討すべきであるという御指摘をいただいている点につきましては、委員おっしゃるとおりでございます。
 私ども現在、公的年金制度等各種年金制度につきましての改正の御議論が行われているところでございますので、そういった公的年金制度自体の改正の動向と申しますか帰趨と申しますか、そういったものを見きわめた上で、いかに公的年金ないしは私的年金を通じて整合性のとれた税制の整備を行うかというのが私どもの課題だと考えておりますが、現在のところ帰趨を見守っておるというところで、検討作業に入っている段階にはございません。
○大木正吾君 一部の新聞報道ですと、たしか二月ごろの新聞報道ですか、六十一年度改定を目指す、こういう記事がございますが、これはあくまで新聞記事ですからそういうことをやっているかどうかよくわかりませんが、そこで、大臣にちょっと伺いたいんです。
 よく税制問題については中曽根総理もおっしゃるんですが、公平、公正ですね、五つの項目を挙げておられますが、公平ということについて大臣の所見をもう一遍同わせていただけませんか。
○国務大臣(竹下登君) 公平、公正というのでございますが、公平というのは、これも私どもが部内で勉強しまして一応、難しい意味での定義づけではございませんが、公平というのは要するに水平的公平と垂直的公平がある。水平的公平とは同じ所得のある者が同じ課税を受ける、こういうことが水平的公平じゃないか。垂直的公平とは、いわば所得に応じて応能主義と申しましょうか、そういうものではなかろうか。公正というのはそれに若干の倫理感を加えたものではないか、こういうような位置づけをしております。
○大木正吾君 大臣のおっしゃるとおりだというように考えますが、そこで、今の六十五歳以上の高齢者の年金問題について、税調の審議の内容に立ち入って資料もいただいておりませんし、どういう委員の方が発言しているかわかりませんが、例えば、自営業者の場合、日本は男女ともども平均年齢が、世界でもって高齢者の寿命が延びておりまして、世界で一番高い方に行っているわけでございます、人生五十年のときとは大分違うわけですが、六十五歳といったら私たちもすぐ近づく年でございましてね、私も考えているんだけれども、これで六十五になったら一体何をさあやろうかということでもって、下手なへぼ碁をやるか、剣道でももう一遍やり直すか、日本国じゅうを歩き回るかなんてことを考えたりしておるんですが、これ自営業者の場合でしたら、大体自分のうちで商売をしておられますから、まあ健康な方は、全部とは私あえて申し上げないけれども七十歳ぐらいまではお仕事ができる。私のうちの近くにも床屋さんとか魚屋さんとかおりますが、年金をもらいながらでも結構いい商売ができる方々が相当多数おるわけですな。
 そういう場合、サラリーマンで六十五歳以上で何も仕事のない方と、いわば自営業でもって相当の稼ぎができる方について、大臣の今の公平論、理論的にはよくわかるんですが、果たしてこれ真の意味の公平ということでサラリーマンと自営業者を比較したときに言い得るかどうか、その辺大臣、所見がありませんかね。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる公的年金課税に当たりまして、サラリーマンの方が加入していらっしゃる厚生年金等の被用者保険と、それから事業所得者が主に加入しております国民年金とを区別して扱っておるわけでは必ずしもございません。老年者年金特別控除のほか給与所得控除の適用を両者に認める等というような工夫をして扱っておるわけでございます。
 が、しかしやっぱり、例の中期答申にございましたように、「今後、制度の成熟等に伴い、公的老齢年金の支給の増大が確実に見込まれること、世代間の負担のバランスをより重視していく必要があることを考慮すれば、公的老齢年金についても、現行の課税の仕組み・負担水準を基本的に見直すのが適当であると考える。」ということがこの柱でございまして、そうして先ほどお述べになりましたように、六十年度税制においても「早急に検討を行うべきである」。したがって、今恐らく大木さんのおっしゃっていますのは、いわゆる公平という原則の中で事業者の国民年金と厚生年金受給者の場合のことを念頭に置いておっしゃっていることだと思うのでございますが、やっぱり最終的には、公的年金のほか、私的年金であります企業年金とか任意年金を含めて、これから法律改正をしたりいろんな商品が出てきたり、そういうものの中でちゃんとした位置づけをしなきゃならぬ問題ではないかな、素人ながらそんな印象は持っております。
○大木正吾君 この問題で時間をとっておられませんので、ひとつ厚生省へのお願いですが、この議論をまだこれからも本委員会でやることも多いと思いますので、自営業者、自由業者の業種別、所得階層別の資料があると思いますので、それを後でもってひとつ、私の方から資料要求としてお願いしておきますので委員長よろしくお願いします。
 そこで、大臣にもう一言お願いでございます。
 とにかくサラリーマンの場合には、六十五歳を過ぎた場合、極端な人は本当にそれから何年ももたずに亡くなってしまうとか、確かに人間の生活の価値観の違い等もございますが、もし世代間の公平を欠く云々という言葉が主として理論的なものでございますれば、私はやっぱり、いずれそれはもう三十の方も四十の方も六十になることは間違いがないわけですから、そういうことは別の面で解消する方法を講じていいわけであって、さっきも高齢者の方々の生活の実感が出てきて、それに加えて実は貯蓄もどんどんどんどん減っておるんですね。そういうことを考えていきますといわば、全部が全部とは申し上げませんが、大多数の方がそんなに、個人的には株式の配当とか、あるいは証券に対する投資とか信託とか、そういったものも少ないわけですから、統計的には五十何%になっているようですが、この貯蓄額が示しますように、非常にやっぱりそういうことによる他の収入が得がたい方が多いということはわかるわけですね。
 そうしますと、税調答申そのものが少しく、私をして言わしめれば、例えば特別控除ですね、老齢年金者の特別控除等々を足しながら、負担がふえていくからこの辺を削れ、こういう意味のことに感じるわけなんです。むしろ私に言わしめれば、やっぱり生活の実感と同時に、他のいわば、自営業者を例に挙げましたけれども、他の所得階層との間には水平的公平というものにおいては欠けるといいましょうか、生活の実感という中身において欠けていく。計数的な面だけでもって見ていけばこれは確かに税調で言っていることの意味もわからぬことありませんけれども、実際老齢者の方々が生活していく中身では大変な不公平をもたらしてしまう、こういう問題が出てくるわけです。
 そういったことで大蔵省はこの問題についてぜひ、答申を受けたから必ずしも全部実行したというケースは今までもなかったわけですから、相当な議論をした上で慎重にこれは対処してもらいたい、こういうふうに考えていますので、大臣の所見をもう一言伺わせてください。
○国務大臣(竹下登君) 今まさに慎重に検討すべき課題である、しかも早急に検討しろ、こういうことになっておりますが、制度改正の問題あるいは私的年金等におけるいろんな新商品とかのものが出てまいりますので非常に短い間にきちんとした答えを出すということはあるいは私は難しいかなという、これは私個人の印象でありますが、今おっしゃったような生活実感、私も本当は聞いておって二百万円以下が半分もおるのかというのは本当は実感としてわかりませんでした。今初めて実は厚生省のお方の答弁を聞きながらわかった程度の知識でございますけれども、そういうような議論を正確に税調の中へも持ち込んでいくべきだ
という感じは私もお話を聞きながらいたしました。
○大木正吾君 このことはぜひ慎重に、同時に、さらに生活が下方に向かっていくという状態でございますから、検討されんことを強く希望いたしておきまして、次の質問に移ります。
 時間がありませんから急ぎますが、郵政省、これは逓信委員会での委嘱審査の項目かもしれませんが、アメリカとの通信機器摩擦についての概況、同時に逓信委員会における審議過程との矛盾点等があったかなかったか、そういったことについての感じ方はどうですか。
○政府委員(田代功君) まず交渉の概況でございますが、ことしの一月から日米の次官級の会談が何回か引き続き行われまして、新しい法律がこの四月一日から施行されますために、先週郵政省の事務次官がワシントンに参りまして日本側としての考え方を最終的に、最終的にといいますか、ぎりぎりのところの細かい説明をしてまいったところであります。
 内容的に法律を国会で審議していただいたときの状況と矛盾はないかという点でございますが、私どもとしては矛盾はないと考えております。米側から出ました問題の中で大きな問題は、特別第二種事業の登録制を廃止すべし、あるいは特別第二種と一般第二種を分ける基準として千二百ビット五百回線という区分けがおかしい、こういう指摘がございましたけれども、この点につきましては私ども日本側の考え方を十分に説明いたしまして、登録という制度が必ずしも参入障壁になるものではない、これがこれからの特別第二種事業を育てる上で、あるいは利用者の保護の上で役に立つものであるということを説明いたしまして、この法律の案のとおりに理解を得たものでございます。
○大木正吾君 それはそこまではいいんだけれども、これはこの委員会で余り専門的でないから言っておきますけれども、新聞の報道等によりますと、いずれにしたって、区分基準についての規制の撤廃と端末機器の問題については二カ月後に再交渉でしょう。結局あなた方は、国会での審議でもって我々との議論した中で決めたことを、アメリカとの関係があるものだから日本の国会との矛盾が起きないように一応難を逃れたというか、緊急避難しながらすきを置いてまた直す、こういうことになる、これはもう問題がはっきりしているのですよ。
 だから、そこのところはきょうここで、もんでもしようがないけれども、いずれこれは今国会中に、まあ二カ月後だから臨時国会となるかもしれぬけれども、とにかくごねられたら妥協するということ等については、当時からアメリカのVAN業者、あるいはATTとかIBMが入ってくることは明確だったんだから、もうちょっと事情を見ながら国会での審議をする。我々が質問をするときにはいいかげんなことを言っておって、それで今度アメリカとの話になると途端にすぐ妥協するようなことについて、格好をつけることをやめてもらいたいということが私は言いたいことです。
 あと詳しいことは恐らく逓信の方でもってやっているでしょうから、これはそれ以上言いませんが、ゆうべの日経新聞を見たらあなた、アメリカのレーガンは大変喜んだとある。けさの日経新聞を見たら今度は、NTTはもっと物を買えとこう書いてある。こんなやり方を見ていると、本当に私たちは何をやっているのかという感じもするし、同時に通信機器の問題につきましては、いわば三百七十億ドルになんなんとする貿易赤字の中で十一、二億ドルのものですから、ねらいは別にあるだろう、こういうことも大体見当がついているので、国会の審議の過程では、小山次官に言っておいてもらいたいことは、もっとやっぱり明快にものを日本の国会における審議を通じてやってもらいたい、このことを注文として申し上げておきます。
 次に、これは外務省の関係で伺います。
 外務省と経企庁とにも絡むかもしれませんが、アメリカの貿易摩擦に関しましていろんなことが出てきています、最近のテレビ、新聞等で出ない日がないぐらいに出ているわけですけれども、結局あれですか、大来委員会が河本特命相に対して近く報告、答申を出されるという記事が新聞にございましたが、それを待たれて政府としては対策を決める、こういうふうになるわけですか。
○政府委員(海野恒男君) 今御指摘の点につきましては、結論を先に申し上げますと、四月九日に経済対策閣僚会議を開きまして、当面の経済摩擦についての対応策を確定する予定になっております。
 まず大来委員会との関係で申しますと、大来委員会は現在審議を終了いたしまして最終的な起草に入っておりまして、ここ一両日中には結論が出されるということになっておりますが、内容的には二つの諮問事項がございまして、一つは過去の対外経済対策に対するレビュー、評価を求めるという点と、それから今後の国際化に当たっての中期的対応、中期的課題は何かという、この二つが諮問委員会に対する諮問事項になっております。政府といたしましてはこの諮問事項を踏まえまして、そして当面の対策も中期的な対応の中で考える、こういうことを考えておりますけれども、四月九日には少なくともこの諮問委員会の答申に対する政府の受けとめ方並びに現在問題になっております四分野に関する取りまとめ、それから、その他これまで取り残されてきた諸問題についてどう対応するかということについての答えを出すという方向で現在検討しておるところでございます。
○大木正吾君 MOSS方式の木材問題とか通信機器問題、そういったことはまあいい。いろいろそれは四品目をやってきたんでしょうけれども、いずれにしましてもこの大来委員会、新聞報道でしかまだ見ていませんから中身は詳細にわかりません。わからぬけれども、大体要点を新聞が抜いている部分でいきますと、けさのNHKの報道にもありましたが、関税を工業製品について撤廃をするとか、あるいは農産物関係については関税を下げるとか、これを裏書きをして見ていきますと、例えば木材合板のときの、これは一部の新聞記事ですけれども、あの関係だけで三年間関税をぐんと安くした場合に二千億円の助成が要る、こういう記事になっておるんです、いいですか。そうすると、工業製品でも結果的にはやっぱりすべてのものがアメリカに対して強いというわけじゃありませんわね。まして今度は日本の場合に弱い割合では、農林業等に関して一次産品絡みの問題になりますともっと大変な問題が出てきます。下手をすると大変な助成金というか、あるいは保護というか、そういったことの資金が必要になってくることは目に見えていますよね、それが一つ。
 それからもう一つは、この間東京ラウンドの後、この委員会でもって前倒しで上げたばかりですけれども、恐らく答申があれば、関税に絡む問題ですから関税率審議会にかかって大蔵委員会に来て、そして早くとも来年の一月か二月、あるいは通常国会に入れば来年の今ごろしか発効できないですわね。その間に三百七十億ドルぐらいいくだろうというものが、今度は六十年には四百億ドルを超すだろう、こういう傾向になっているでしょう。一体その間の流れはどうするのか。
 そこで私は、ここに今河本さんに、きのうじきじきに話をすれば彼は来ると言ったんだが、あなた方は抑えて呼ばなかったんだけれども、河本さんに来てもらいたかった、本当のことを言いますとね。結局河本さんが予算委員会で答えた中には、はっきり申し上げて、彼の持論と言う方もおりますが、相当大型な所得減税等をやらなければもうだめだ、こういうことを言っておるわけです。だから、そういったこともあり、同時にやっぱり相当ダイナミックに日本経済のあり方について再検討しなければ、アラビアの王様みたいに一千億ドル以上もの対外債権を抱える日本になってしまうということも新聞記事によく出てくる問題ですから、私はあえて申し上げれば、時間もぼちぼち来ましたから竹下さんに最後に聞きたいんですけれども、大体春闘のベースアップが鉄鋼がけさの
ニュースでもって〇・七%、これはもう御承知のとおり鉄鋼というのは〇・七といったときにはほぼ一%になるんですよ、あれは手当も含んでいきますから。なかなか計算のマジックがわからない、読めないんですが、そうしますと、大体去年の四・四五%プラス一%ぐらいに平均値がいくであろう、こういうような感じを持ちます。
 ということは、日本のいわば経済見通し、予算の土台になった経済見通しが相当上方に動いていくということで、大体アメリカの景気は横並びかあるいは少し〇・二、三ポイントぐらい下がったとしましても、そんなに大きな影響はないと見ますから、そういった意味合いで、経済全体の総合的な上方修正が必要になってくると同時に、政府は割合に低目に見積もってきましたから、そういう考えでいくと、私はむしろこの際には思い切ったやっぱり、野党が言ったからといったそんなことは抜きにしまして、日本の国全体の国際的な立場を考えて思い切って所得減税、同時に公共事業について余りバイパスをつくらないで正面切って本当は話を出してもらいたいという感じがします。
 その辺について竹下大蔵大臣はどういう考え方をお持ちでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 私も実は毎日一喜一憂しておるのが、為替レートが一つございます。きのう、おととい比べて三円といいますと一%強、この十八日からおとといぐらいで四%ぐらい今度は円高になっておる。二百円のときに比べますと二十何%、百八十円のときからでは四四、五%。関税でこの間お世話になったやつを見ますと、一品目見ると大体一%下げとか一・五%下げとか、本当は関税というものの引き下げがどれだけの効果があるだろうかということを考えると、為替レートと比べますとじくじたるものが実はあります。
 それから次は、所得減税による問題、それによりますと、これも一応の計算でございますが、五兆円の所得減税で大体七億ドル輸入がふえるだろう、公共事業を三兆円やって十三億ドルふえるだろう、こうよく言われます。そうすると、五兆円の減税ということになるとこれは大体大変で、その財源をまさか赤字公債で埋めるわけにもいかぬということになればこれも容易なことじゃないな。そうすると、より効果があるのが今後段でおっしゃった公共事業、公共事業が確かに今効果が少なくなったのはあれは用地費率が高くなっているからでございますので、そう言えば大木さんの方ではそれじゃ用地費率の少ないものをやっていけばいいじゃないか、これも一つの議論だと思いますが、それが三兆で仮に十三億ドル、こういうことをよく言われますが、一体それを貯蓄があるからというので仮に建設公債を発行したとした場合、いわば一時的なものはありますが、一応三兆としますならば、一兆で三兆七千億ですから十何兆の後世代に対するツケ回しになる。
 それともう一つは、一遍それをふやした場合、じゃこれでことしは効果があったから今度は減しますよということに対する合意というのがなかなか関連業界も多いだけに得られないじゃないかということになると、やっぱり地道な財政再建の線の中で民活あるいは諸般の規制緩和というようなところで位置づけをしていかなければならぬかなという、こんな感じがしております。
 ただ、所得減税の問題はもう一つ、ことしの答申には財政状態から見ればその余地はないと書いてありますけれども、この間各党の話し合いがありまして検討されるというふうになっておるものですから、その検討の結果は尊重するという建前はもちろん崩しておりませんが、いわばそれによってどれだけ輸入がふえるかという観点だけから見た場合に大変なことにはならぬな、こんな感じがいつでもしております。
○大木正吾君 一問で終わりますけれども、これは大臣、この前も私ちょっと嫌なことを言ったんですが、要するに八千三百二十七億円のこれは五十八年度を中心とした脱税がずっと大きな項目だけ四つ挙げてあった。その傾向の資料、きょう国税庁からいただきました。だんだん毎年ふえておるんですね。それにプラスして上方修正する経済動向等を絡めていきますと、私はやっぱり、野党との話であったあれを誠実に実行しようと金丸さんはおっしゃっておるわけですから、どうなんですか、ああいうものを前倒しにしながらやっていけば、方式は別にしましても、やっぱり五月のサミット段階には相当ダイナミックなものをぶつけていかないと間に合わないと感じますよ。だから私は、この大来委員会の答申というものは中期的なものですから、とりあえずは緊急避難として野党と話をした一兆円程度の減税問題については、ああいったものの財源等とか上方修正との関連で考えていかぬと、これは別に出しっ放しじゃないんです、金が返ってくるんですからね。
 だから、そういったことを含めて私はぜひこのことを、いわば日本が孤立しないためにも与党、野党抜きにしてでもやっぱり考えるべき問題だということを強く期待いたしまして、終わります。
○竹田四郎君 時間が余りありませんから、ひとつ簡明に答えていただきたいと思います。
 まずODAの倍増計画ということが前々からずっと言われてきているわけでありますけれども、その経過はどんなふうになっておりますか。倍増できたんですか、できないんですか。
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。
 先生の御質問は、まず現行の中期計画がどうなっているかということでございましょうか。
 現行の中期計画につきましては、昭和六十年までにODAを倍増するという計画を現在実施中でございまして、一般会計におけるODAの予算につきましては、昭和六十年度の政府原案をもちまして当初の目標の九八%が達成されるという見通しが立っております。
 それから、実績につきましては、現在八三年までの実績がわかっておりますけれども、八四年の実績を踏まえましてさらに八五年、本年度当初の倍増計画が達成できるようただいま努力しているところでございます。
○竹田四郎君 ODAについてそういうことで努力してくれるのは結構ですが、ODAの内容なんかに私は大変問題があると思うんですね。
 それで、この間雑誌を見ていたらカイロのオペラハウスの話が出ておりまして、三千万ドル日本の援助でオペラハウスをつくるということでありますが、この経緯というのは、一体どうなってこういうものを日本が引き受けるようになったのか。
 どうもこれは余り評判がよくないわけですね。とにかくこの雑誌に載っているくらいですから、いいことは書いてないです。その経緯をちょっと話してもらいたいし、これでむしろ向こうのガバメントオフィシャルズは非常にむしろ悩んでいる、こういうことで、国内的にクラスウオーなどの起こり得る可能性すらある、こういうことも述べているわけです。それは単なる雑誌じゃないです、ニューズウイークですから、かなりこれは世界各国で読まれているんです、私でさえ読んでいるくらいですから、世界的にいったらかなり読んでいるんですね。今、しかも日本が国際的に黒字国だといってたたかれている中でこういう記事が出るというのは、私どもは非常に、日本のODAというのは一体何のためにやっているのか。
 片っ方では安倍外務大臣は、もう一切そういう形のものはやらないんだ、その国の社会的なテンションを起こすようなことはやらないんだ、こう何回も言っていますわな。それでいてこういうものがどんどん出てくるというのは一体どういうわけですか。この経緯と状況を教えてください。
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘の計画は、我が国がエジプトに対しまして無償資金協力ということで実施をしております教育文化センター設立計画、このことを指しているものというふうに理解しておりますが、これの経緯は一昨年、五十八年の四月にエジプトのムバラク大統領が日本に参りました際にエジプト政府からの要請がございまして、我が国として無償資金協力の実施について検討するということをまず表明いたしました。その後、本件の
計画、協力にかかわります基本設計調査団、これの派遣等を通じましてこのセンターの機能とか目的等につきましてエジプト側と合意をいたしまして、昨年の十一月に安倍外務大臣がエジプトを訪問しました際に、この計画にかかわります交換公文に署名いたしております。それでつい先日でございますが、三月の三十一日にカイロ市内の建設現場でムバラク大統領とエジプトの政府要人等が出席の上で定礎式が行われまして、近々入札がエジプト政府によって行われまして、順調に参りますと本年五月には着工の見通しということでございます。
 先生御指摘のニューズウイークの記事でございますが、これはエジプトにおきまして最近貧富の差が非常に問題になっているという記事の一環として、このいわゆるニューズウイークの言いますオペラハウスもそのむしろ貧富の差を目立たせるものになるのではないかというような趣旨かと思いますけれども、この教育文化センターと申しますのはオペラ等を中心とする上演機能のほかに教育機能というのが非常に重要な機能の一つになっておりまして、この教育機能の方はエジプト国民各層、これの教育文化活動に資するものである、そういう点から我々といたしましては、決してニューズウイーク誌の言うような貧富の差を目立たせるような施設ということではなくて、広くエジプト国民各層の利益になる施設である、そういうふうに考えている次第でございます。
○竹田四郎君 一般の国民の一部がこのことによっての社会的な不安というものを心配するならばそれも一つだと思いますが、ガバメントオフィシャルズと書いてあるんです。向こうの政府の役人が困っている、こんなものができてと、こう言っているわけです。
 こういうようなものを押しつけ的につくるということは、やっぱり同じ経済協力、無償援助でももう少し慎重であらねばならぬと私は思うんです。先ほどの中期計画も必ずしも思うようにいってない。かなり外国からの要求は強いというような中で、こういうあり方というものはもう少し考えていただかなくちゃいけないんじゃないですか。
 恐らく教育文化センターといってもいろいろあると思うんですが、ここはオペラハウスと言われているくらいですから、昔オペラハウスがあったからそういうことなのかもしれませんけれども、やはりその辺は向こうの国情というものをしっかりつかみながらやっていかないと、かえって協力はしたけれども恨まれてしまう。今度経済協力局が何か、こういうODAの援助に対する評価のことをやっていらっしゃってそういう報告も出しているようでありますけれども、これはどういう評価をなさるかこれからの問題だろうと思いますけれども、そういう意味では私は、ODAをふやすことは賛成です、賛成ですけれども、やっぱり質的な問題をもう少し考えていただかないとこれはいけないと思うんですけれども、その辺はどんなふうにお考えですか。
 そして同時に、そうした海外援助、ほかにもまだIFCあたりからも日本に要請が来ておりますし、援助をふやせということは今度の大来さんの諮問委員会の中でも恐らくそういう問題が含まれるとは思いますし、そういうことはありますけれども、質を高めていくとともに額をふやしていかなくちゃいかぬと私は思いますが、この辺は大蔵大臣どうですか。
 おたくの方は、ODAをふやすことについては大分抵抗をしていらっしゃるようであります。OECDでODAの第三次の中期計画を発表しろというふうな要請があるようでありますけれども、それが発表できないというような段階だというんですけれども、やっぱり出し方が少ないから発表できないんだろうと私は思うんです。だからもう少し、確かに予算的には大変だろうとは思いますけれども、この辺は効果のあるような形でのODAなり海外への資金協力、金もうけのためでなくてやっていくべきだと思うんですけれども、その辺はどうなんですか。同時に、質も検討してもらわなければこれは困ると思うんですがね。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、いわば量的な面といま一つは質的な面。で質的な面でいろいろな御指摘を受けておりますので、そういうのは今後外務省、大蔵省でいろんなフォローアップされたものについて吟味をしていこう、基本的にはそう考えております。
 ただ、エジプトの場合は、私は非常にあのセンターがシンボリックな援助の対象ではなかったかな、これは私個人の印象でございますけれども。各般にわたる援助、ODAの対象につきましては、質的な面は十分吟味し念査していこう、こういう方針であることは事実であります。
 量的な面におきましては、実はきのうも安倍外務大臣と話ししまして、大体もう少し事務当局で詰めまして、いわば定量的なものは仮にもし財政事情等でそれが実行に移せなかった場合のまた非難ということについても非常に慎重にならざるを得ない、がしかし方向としては、何らかOECDの閣僚理事会で安倍外務大臣がお話しになる、その基礎的考え方は余り違わないわけでございますから、どういうふうな形でそれを詰めてみるかということで今事務当局で詰めておりまして、可能な限りあしたのお昼、時間を両者で見つけることができるとしたらそこで詰めようじゃないか、こう話をしておるちょうどさなかでございますので、考え方としては今竹田さんがおっしゃった考え方、量的な面と質的な面についての考え方は私どもとおよそ考えを等しくしておるというふうに私も理解をさせていただいております。
○竹田四郎君 こればかりに触れているわけにいきませんからほかに移ります。
 最近日米の経済摩擦の問題が木材関係入りまして、この点で大分問題になってきているわけですけれども、木材の関税を一体どうするのか。これは恐らく二年、三年先まで待っている問題じゃないと思いますし、それから与党のお偉方はいろいろ発言をされておられるようであります、特別会計をこのためにつくるとかつくらぬとか、こういうふうな話も出ているわけでありますけれども、特別会計をつくって木材の関税を下げればそれで日本の対米黒字というのがなくなるわけではないと私は思うんです。
 この前もちょっと利子平衡税のお話をしたら、これは余りよくないという大臣のお話がありましたけれども、きのうあたりの何か大新聞に書いてある総理の言うことを見ますと、私はああいうことは非常におかしいと思います。あれも言うなれば、輸出したやつは金を出して買えというんですから、実際は一種の輸出課徴金みたいなものだと思うんです。いずれにしてもそういう方向に行かざるを得ない事態になってきているんじゃないか。さっきの話じゃありませんけれども、公共事業をふやすあるいは減税をやるということで恐らく対米黒字がなくなるなんということはあり得ないわけでありますからね。そういう意味では、どうしても輸出課徴金をかけざるを得ない、そういう段階に入ってきたと私は思うんですが、どうですか。
○政府委員(矢澤富太郎君) 輸出課徴金の問題につきましては、まだ大蔵省といたしましては正式に検討したことはございませんが、平素いろいろ勉強を重ねているところの一応の結論を申し上げておきたいと思いますが、一つは、効果が果たして本当にあるだろうかということでございまして、輸出課徴金をかけますと、場合によりますと、ドイツの場合のように、輸出課徴金によって上がりました税収は輸入の方に返すというようなことをドイツで十数年前にやったようなことがございます。その場合には、国際収支への影響ということは、日本の黒字幅が減るということでございますから、もし変動相場制が正常に機能すれば円安ドル高というようなことになろうかと思います。その場合には、輸出課徴金分は円安に吸収されてしまいまして、ドルでの日本の対米輸出品というのは価格的には変わらないというようなことも起こるんじゃないか、あるいは大変に競争力の強いものでございますと、為替相場がそのまま変わら
ないといたしましても、その分を販売価格に上乗せをするというようなことがございまして、第一点は、果たして効果がどの程度あるかという点をよく吟味しなければいけないだろうということでございます。
 第二点は、これは私どもが頭で考えることじゃなくて、果たして外国が評価をしてくれるかどうかということでございますが、ただいまのガット体制のもとでは輸出も輸入も人為的な制約は加えないということが基本でございますので、そういった点からも問題があるんじゃないかということでございまして、私の方としては従来から慎重な対応をする必要があるのじゃないかというふうに考えております。
○竹田四郎君 私もそういう輸出課徴金なんかない方がいいと思いますけれども、しかし、総理の指示から見ていくとこれはもう輸出課徴金をかけざるを得ない事態に、片方では木材関税をなくして山林振興をやる特別会計をやろう、三千億だ五千億だという話もあるわけですから、その金を一体どこから出してくるかということになれば、どこかからその金を引っ張り出してくるということにならざるを得ないわけですから、そういう意味で私はどうもそういう輸出課徴金的なものが出てこざるを得ないだろう、こういうふうに考えておりますけれども、それはさらにひとつ検討していただきたい、こう思います。
 それから、あともう時間がありませんから、次の問題に入ると長くなっちゃいますからこの辺でやめておきますが、竹下大蔵大臣、今度九日に出る問題でも、恐らく国内消費の持続的な成長というものはかなり大きい問題として出てくるだろうと思いますね。それから世界各国からも大変日本の経済に対して、内需の拡大をしろということは言われているわけですね。しかし果たして内需の拡大で今やれることと言えば、恐らく民間設備投資と個人消費支出を伸ばす、この二つしかないと思うんです。
 それで民間設備投資は、大蔵省の考えでは何か、設備投資はどんどんどんどん進んでいてそれが本当の内需に転化していくんだ、こういうふうにおっしゃっておられますが、多くの人は、そういう民間設備投資は必ずしも国民の国内の消費じゃなくて輸出関連のものが非常にまだ多いと識者は言っているわけですね。そうしてみると、民間設備投資を一生懸命やればやるほど輸出がふえるという悪循環に入ってしまうわけです。
 そうなってくると、問題はあと消費支出をどうふやすかという問題しか残ってこないわけです。そうすると、そこで減税か賃上げかという問題になってきているわけですけれども、その減税もすぐというわけにはなかなかいかないということになりますと、やはり今民間の賃上げというものに大きな期待をかける以外に私はないと思うんですが、その民間の賃上げについてどう思いますか。恐らく私は、そういうものにはタッチしたくないということがお返事かとも思いますけれども、その辺を強く言わなければ内需の持続的な成長ということは今のところどうにもならない、そうした事態になるんじゃないですか。これは一言でいいですから、もう私の時間が来てしまいましたから一言ひとつ答弁してください。
○国務大臣(竹下登君) 予測して優等生答弁のようなことを言っちゃいけませんけれども、やっぱりこの賃金問題というのは労使関係の話し合いの中で位置づけられるものでございますから、政府からそういう感想を述べることは、なかんずくその立場にない大蔵大臣が感想を述べることはそれは避けるべきことじゃないかな、あくまでも労使の話し合いの中で円満に解決されることを期待しておりますという、いささか優等生答弁になって申しわけありませんが、そういうことじゃなかろうかと思います。
○竹田四郎君 終わります。
○多田省吾君 私はまず、サラリーマン税金訴訟についてお尋ねいたします。
 初めに大蔵大臣の基本認識をお伺いしたいのでございますが、去る三月二十七日、いわゆるサラリーマン税金訴訟につきまして最高裁大法廷において、現行税制を合憲とする、原告側の上告を棄却する判決が出たわけでございますけれども、その中で、サラリーマンの必要経費の存在は観念するとして必要経費の存在を認めておりますし、また、所得捕捉率の格差につきましても、租税公平主義の見地からその是正のための努力が必要であると言わざるを得ない、こういう判決が出たわけでございます。
 そのことについて大蔵大臣の基本認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 先般の最高裁判決というのは、いわゆるこれを平たく言えば合憲性というものが認められたということになろうかと思っておりますが、それよりも、今御指摘がありましたようないわゆる一審判決で引用されております所得種類別納税者割合あるいは所得種類別の国民所得に対する課税所得割合等の資料ではないかと思っておりますが、いずれにしてもこの表に対するお答えは御要望がありますならば事務当局からお答えさせることにいたしますが、いわゆる所得捕捉問題に対するところの補足意見というものにつきましてはこれは最も謙虚に受けとめて対応していかなきゃならぬ課題だというのがやっぱり基礎認識にあるべきだと思っております。
○多田省吾君 国税庁次長がお見えでございますのでお伺いしたいのでございます。
 補足意見の前に、まず判決の中に、所得捕捉率の格差につきましては、事業所得等の捕捉率が相当長期間にわたり給与所得の捕捉率を下回っていることは本件記録上の資料から認められないではなく、租税公平主義の見地からその是正のための努力が必要であると言わなければならない、このようにあるわけです。
 また、大臣のおっしゃったように、六人の補足意見がありましたけれども、その中でも所得捕捉の格差につきましては、租税負担について給与所得者層の持つ不公平感は無視し得ずその是正に向けての早急かつ積極的な努力が払われなければならない、こういう補足意見も述べられたわけでございます。
 この点につきましては長年にわたりまして、トーゴーサンとかあるいはクロヨンとかあるいはクシピンなんという言葉も出ておりますが、象徴的にサラリーマン、いわゆる給与所得者層の税務当局へのフラストレーションとして実在してきたわけでございます。今回の訴訟の趣旨が憲法第十四条の法のもとの平等という点については違反しないということでありましても、先ほどのような、判決の中に是正のための努力が必要であると言わなければならないと認めている事実がありますし、先ほどの補足意見もあるわけでございます。また、大臣がおっしゃった本件記録上の資料という資料をもとにしての判決だったと思います。
 この最高裁判決後、大蔵省や国税当局としては、現行制度は基本的には合憲とされたけれども今後税制調査会などの場で是正作業を積極的に進めていくという方針のようでございますが、まず国税庁次長から、最高裁が本件記録上の資料と言う資料について、どのように把握されているのか、お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(冨尾一郎君) 先生御指摘のように、最高裁にはあの判決の中では事業所得等の捕捉率の根拠として本件記録上の資料から認められないわけではなくという表現がとられておりまして、私どもも実は判決の中に明確に記録とか資料がついているわけではございませんのでいろいろ推測しているわけでございますが、これまで第一審、第二審で判決の中に引用されましたデータ、それから補足意見に述べられております数字等々から考えまして、一つは所得種類別、つまり事業所得者、農業所得者、それから給与所得者、こういう事業種類別の納税者割合の数字ではないかと思っております。
 二つ目には、国民所得統計の中で所得種類別にいろいろ数字が出ておりますが、それの数字と、それから私どもが税務上、統計上持っておりますそれぞれの所得者の種類別に対応いたします数字
との比較、こういうところからデータをおとりになったのではないかと推測をしておりますが、必ずしもはっきりいたしません。
 なお、所得種類別の納税者割合ということにつきましては、主税局の方から予算委員会の方にお出ししているデータではないかと私ども推測しておりますが、そういうことでございます。
 私どもとしては、先ほど大臣が申し上げましたように、捕捉率、的確な所得の捕捉につきましては、今後とも引き続き最大の努力をさせていただきたいと思っております。
○多田省吾君 私どもはこの前の政府提出の法人税あるいは所得税、租税特別措置法、その他の税制改正につきましても審議いたしまして、不公平の是正というものを強く求めてまいりました。
 司法当局が、裁判記録上から判断いたしまして、捕捉率に公平を欠く点を認めているということが明確に示されたわけでございます。ですから私は、税務当局としても、法人の申告漏れの問題とか脱税の問題とかを発表されることも結構でありますけれども、明確なこの捕捉率がどうなっているかということもはっきりと発表すべきだと考えますけれども、大蔵大臣はいかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) この問題につきましては、やはりいつも御指摘がありますのは、一つは実調率の問題等がございます。そういうことからして毎度委員会で御決議をいただいて、精いっぱいの努力をしながらも必ずしも十分ではないが、いわば税務職員の増員等によって可能な限りそういうものもふやしていこうということであります。
 と同時に、やっぱり国民全体の税に対する理解を深めていかなければなりませんので、一方そのような点につきましても私どもは年々そういう問題についての配慮も行っておるところでございます。したがいまして、いわゆる所得の捕捉状況につきましては、毎年一定の時期に発表しております。それと、申告漏れ割合は二〇%程度でありますが、納税者全体の漏れ割合はもっと低いであろうということであります。大体毎年二月程度に公表しておるということであります。いわゆる資料情報等に基づいて対象を選定の上に申告内容に特に問題があると認められたものに的を絞って調査を行った結果でございますので、いわば何といいますか、そういうにおいのあるところを対象とする、と言うとちょっと表現は適切でございませんが、そうしたところを対象にしますから全体的には、多くの納税者はこれは正しい申告をちょうだいしておるわけでございますので、その水準自体はもっと低いものになっていくてあろうというふうな感じでございます。
○多田省吾君 これもまた詳しく質問したいところでございますが、もう一つの問題、必要経費の問題でございます。
 これは、最高裁においても、現在の概算控除を一応認めているような判決になっておりますけれども、給与所得者の給与所得控除というものがここ二十年間において是正されたのは昭和四十九年、いわゆる二兆円減税のときに給与所得控除が引き上げられた、それも残念ながら高額所得者に大変有利なように引き上げられたわけでございますが、これ一回だけでございます。私はやはり給与所得控除等の引き上げを大幅に行いまして、この際徹底的な所得税減税をやるべきときに来ている、このように思います。
 この日本の特殊な概算控除方式、これは欧米諸国とは違うわけでございますが、日本のサラリーマンの必要経費に対する控除のあり方と欧米諸国のそれとの比較、これを簡明にお述べいただいて、納得のいく説明をひとつ求めたいと思います。
○政府委員(大山綱明君) サラリーマンの必要経費の控除に関します各国の税制はいろいろでございますが、国によりましては実額経費の控除を認めている国、米、英等ございます。我が国におきましては、先生ただいま御指摘のように給与所得控除という形で概算的にこれを控除するという仕組みをとっているところでございます。
 この仕組みにつきましては、必要経費を概算的に控除するということのほかに、これを通じまして給与所得者とその他の所得者との負担の調整を行う、こういったことも考慮されているわけでございます。この給与所得控除の仕組みにつきましての御判断でございますが、ただいま御指摘のように最高裁におきましても合理性が認められたわけでございますが、税制調査会の答申におきましても、勤務に伴う費用に応じての控除という点、それから他の所得者との負担の調整というような点、二点を挙げまして、こういった点からそれ相応の理由を持つということでこの基本的な仕組みは今後とも維持していくことが適当である、こういう御指摘をいただいているところでございます。
 なお、給与所得控除の水準につきましては、やはり常に見直しと申しますか検討を行っていく必要はあると承知しておりまして、五十九年度、昨年度の税制改正におきましてもこの引き上げ等を行わせていただいたというところでございます。
○多田省吾君 諸外国の例を挙げてその比較の上で論じていただきたい、このように申し上げたわけです。
○政府委員(大山綱明君) 諸外国ちょっと触れさせていただいただけでございましたが、例えばアメリカでございましたら実額控除を認めております。イギリス、西ドイツしかりでございますが、ただ、実額控除を認めるといった場合のその実額としてどういったものを認めているかという点につきましては、極めて限られたものでございまして、例えば通勤費、アメリカなんかの場合でございますと通勤費の控除は認めないとか、衣服費について、例えば背広でございますが、こういったものも、特殊な職業に従事するがゆえに着用を命ぜられかつ通常の場所では着用されない衣服の費用に限り控除を認めるとか、極めて限定的にその必要経費というものを解しているように見受けられます。
 なお、御案内のことでございますが、イギリス、西ドイツそれからフランスにおきましては実額控除とあわせて概算的な控除の制度もございますが、その水準自体は、我が国が平均的には三割の控除を認めているというのに比べますと、国にもよりますけれどもかなり低い水準での概算控除とそれから実額経費の控除、その選択を認めているという実情にございます。
○多田省吾君 次に、税務当局は政府税調に専門小委員会を設けて諮問されるようなことを新聞情報で伺っておりますけれども、これはいつまでに結論を求められ、また答申が出された場合には早急に実施する意思があるかどうか、税務当局の見解を聞きたいと思います。
○政府委員(大山綱明君) 今回の大島訴訟に対します判決でございますが、これにつきましては税制調査会が開かれました暁に当局より御報告をさせていただきたいと思っております。それに基づきましていかなる審議が税制調査会で行われますかにつきましては、現段階ではそういった段取りあるいは審議の内容についてはまだ私ども小倉会長とも御相談もいたしておりませんので、いわば白紙の状態でございまして、今国会のいろいろな御議論を御報告いたします税制調査会の総会が開かれました以降に税制調査会において決定と申しますか、取り運び方につきましての御判断があるものと思います。
 いずれにいたしましても、私どもは判決の全文は税制調査会に提出をいたすという、こんな運びは考えております。
○多田省吾君 この問題の最後に大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、一部にこの不公平の是正について大型間接税の導入をもって行うことが早道であるというような議論が現実にあるわけでございますが、私たちは大変けしからぬことだ、このように思っております。この捕捉率の不公平という問題と大型間接税の導入問題は全然別個の問題だと思いますが、大臣はどのように考えておられるのか。また、私はこの捕捉率の問題あるいは必要経費の問題、こういった問題は国税当局において早急に是正すべきだ、このように思います
が、それに対して大蔵大臣のお考えをお聞きしたい。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる大型間接税の問題につきまして国会で議論されたのを一度私もひもといて見たわけでございますが、これは多くの学者の意見の中に、要するにこの問題は、特にEC型付加価値税の点につきましてインボイスを売り手の方が出さなければならない、買い手の方はまたそれを保存しておかなくちゃならないという義務がついておるという関係で、売り手と買い手の間に相互牽制作用が働いてその間の、ごまかしと言ってはちょっと悪いのですけれども、ごまかしがないように、公正に売上高、仕入れ高がわかるようになるという意味におきましてはいわば、何といいますか、クロヨンとよく言われるようなものに対しての作用はあるだろうという一般論としてのお話があっただけでございまして、今御指摘のありましたとおり、私どもといたしましてはまずは公平、公正という立場からいたしますならば、捕捉率の問題等につきましてなお今後とも一層の勉強をしていかなきゃならぬことであろうと思っております。
 したがって、今度の税調自身に諮問申し上げるには、初めにいわゆる大型間接税ありきという考え方でこれに対応するという考え方は持っておりません。そうして、いわば捕捉率問題等につきましては、今のような御意見というものを正確に税調の方へお伝えすることによりまして、私どももそれに対してあらゆる協力をして勉強も検討もまた部内でもさせていただかなきゃいかぬ課題だというふうに考えております。
○多田省吾君 衆議院の予算修正の段階で寝たきり老人介護の減税等の政策減税が与野党間に約束されたわけでございますが、昨日も総理は衆議院の本会議等で、この問題について与野党合意に基づいて検討した結果は尊重する、こういう答弁をされております。当然大蔵省でも、この寝たきり老人介護の減税等の年内減税の取り組みをしておられると思いますが、その取り組みの状況はいかがなものか、またこの問題に対する大蔵大臣としての決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる寝たきり老人問題を含めた政策税制について我が党の幹事長の金丸さんから言明があったということは、十分私どもも承知しております。したがって、総理からも申し上げましたように、その結論に対しては最大限尊重する立場をとるわけでありますが、言ってみれば専門家同士でお話が始まるということでございますので、それに対しては、まずあらゆる角度からの資料提供でございますとか、あるいはこういう勉強をしてこいとおっしゃればそういう指示に基づいてお手伝いをさせていただく。したがって現在は、そういういわゆるお手伝いをさせていただくという立場でその推移を見守っていこうというのが現状でございます。
○多田省吾君 それから、関連しまして、この寝たきり老人等に対する税の申告でございますが、どのような配慮がなされているのか。申告書を見ても、小さな字で、読むこともできないというような状況、記載などの問題がありますけれども、この点一応お伺いしておきます。
○政府委員(冨尾一郎君) 寝たきり老人の方というのの所得の状況等につきまして、ちょっと私どもも実際の数字を把握しておりませんが、仮にそのような方で所得の申告のある場合ということにつきましては、私どもそういう方につきましては通常事前に申告書をお送りしております。したがいまして、その段階でお申し出があれば、税理士さんを派遣するなりいろんな形で御相談に応じて、適正にかつ申告の上で便宜が図られるように取り扱わなきゃいかぬというふうに考えております。
○多田省吾君 それから、年金課税問題でお伺いしておきます。
 先ほども論議があったわけでございますが、どうも税調の中間答申等を盾にとりまして、大蔵省では昭和六十一年度あたりから年金に課税する方針を決めているようでございます。
 厚生省の方が見えていると思いますので、お伺いいたしたいと思います。今回参議院に参っております年金法案で昭和六十一年度から給付水準の抑制等が図られ、もし年金課税が昭和六十一年度あたりからやられるとすれば、これは大変な高齢者の生活を脅かす増税ダブルパンチになるわけでございまして、最近でも老人医療費の定率負担の導入とか、あるいは企業の厚生年金基金への課税の検討なんかもなされているようでございますが、それらを含めて、これから高齢者社会になろうというのに、高齢者の生活が極端に脅かされようとしている。大変危機的状況でございます。厚生省としてこの年金課税の問題についてはどういう考えで臨んでおられるんですか。
○説明員(渡辺修君) 年金受給者に対します課税につきましては、先ほど来もお話がございましたけれども、老齢者年金特別控除という特別な控除制度が設けられているわけでございます。この制度は昭和四十八年に導入されまして、その後、租税特別措置ということで時限的に措置をされておりますが、延長を重ねてきておりまして、つい最近も六十一年、六十二年、向こう二年間この措置を延長する、そのための租税特別措置法の改正が先般成立を見たばかりのところでございます。
 私ども厚生省としましては、この年金受給者に対する税制というものは受給者の間に広く定着をして年金受給者の生活設計に組み込まれていると考えておりますので、今すぐどうということはないであろうと思いますが、仮にこれを厳しくするというようなことであれば、年金生活者の生活設計に大きな影響を与えるわけでございまして、老後の不安の増大にも通ずる。従来どおり私どもとしては年金受給者の立場に立ちまして、これらの方々に不安を与えないような方向で対処をしてまいりたい、これが基本的な私どもの考え方でございます。
○多田省吾君 今厚生省から老齢者年金特別控除の七十八万円の問題についてお答えがあったわけでございますが、所得に応じて段階的に分けてこの額を減らしていくというような考えは、私たちは到底納得できない。その点もお含みおき願いたいと思います。
 それから、昨年九月発表の郵政省の調査でも、公的年金収入だけで生活を大体賄えるという受給者の方はわずか二七・五%にすぎなかったわけでございます。それから、これから年金を受けるという五十五歳未満の年金加入世帯に至っては、同じ答えの人はわずか一一%という状況です。このように、大変危機感を持っておられるわけでございます。
 それから、この年金課税につきましては、一部に、サラリーマンの必要経費に当たる給与所得控除までも、年金収入を得るのに経費は不必要だからというような理由で適用を廃止するというような考えもあるやに聞いておりますが、これもまことにとんでもないことでございます。この問題について、厚生省はどうお考えですか。
○説明員(渡辺修君) 先ほどもお答え申し上げましたけれども、年金受給者に対します税制につきましては昭和四十八年以来の長い実績がございまして、これが年金受給者の間に広く定着していると考えられますので、私どもとしては引き続き受給者の立場に立ちまして税務当局とも御相談をしてまいりたいと思っておりますが、当面は先ほど申し上げましたように六十一年、六十二年、向こう二年間さらに現行の措置が延長されるということでございまして、政府としてそのような方針が固まっているということでございますのでそれから先の話であろう、それにつきましての基本的な姿勢は従来から一貫しているところでございます。
○多田省吾君 もう一点厚生省にお伺いしておきたいのですが、これは基本的問題でありますが、先ほど大蔵大臣もこの年金課税の強化につきまして、世代間の負担と受益の不均衡を正す必要がある、こういうことをおっしゃっているわけです。そうしますと、現在の年金の受給者は自分たちが今まで年金制度を支えるために支払ってきた社会
保険料などは不当に安過ぎた、軽過ぎたということになるのかどうか。厚生省としては、大蔵省やあるいは税調の言う世代間の負担と受益の不均衡、こういった問題はどう受けとめているんですか。
○説明員(渡辺修君) 私ども厚生省といたしましては、先生が先ほどこの年金税制の冒頭御指摘になりましたように、現在、公的年金制度の大宗を占めます厚生省所管の厚生年金、国民年金両制度についての抜本的な改革案を国会にお出しして御審議を仰いでいるところでございますが、この年金制度改革の柱の一つは世代間の給付と負担の公平を回復するといいますか、というところにあるわけでございます。
 サラリーマンの場合で申し上げますと、現行の年金制度のままに放置をいたしますと、老齢者の夫婦の場合で厚生年金だけで現役のサラリーマンの平均給与の八割を超える、それから妻が国民年金に任意加入をしていると、長期に加入をしている場合を考えますと、将来は現役の方の、これは男子の場合でございますけれども平均給与の一〇〇%以上になるというようなケースも想定されるわけでございまして、これでは現役の方とそれから年金受給世代、両世代間の給付、負担の公平というものは維持できないのではないか、均衡が崩れてしまうのではないか、こういうことでこれを見直しまして、将来に向かって年金の給付水準を、老夫婦の場合で、サラリーマンの男子の場合奥様のおられるケースで、現役の平均的な給与の七割弱にとどめる、こういう給付面の適正化によりまして負担の面でも将来大幅に軽減される、こういう改革を考えているわけでございます。
 こういった年金制度の改革によって老齢世代、現役世代、両世代間の給付と負担の面におきます公平が基本的に維持されるというふうに考えておりまして、この年金制度の改革の一日も早い実現をこいねがっているというのが現状でございます。
○多田省吾君 大蔵大臣にお尋ねしますけれども、この年金課税の問題は私は大蔵当局が国庫負担を減らすためにやるんだとしか思われないような節があるわけでございます。もともと資産性所得にだけ今の税制は非常に有利でございまして、配当所得だけで生活している人は四人家族で五百十三万六千円まで非課税でございます。しかも年金生活者の方は退職金もほとんどなくて年金だけで生活している方が非常に多いわけでございまして、その御苦労は大変なものだと思います。
 こういう意味で、税調の中間答申の問題もありましたけれども、私はそもそも調査会とか審議会のあり方についても大変疑問を持っているわけでございまして、私も数年間選挙制度審議会なんかにいたこともありますけれども、それはよいか悪いかわかりませんが、国会議員がその中に含まれていたという問題もあります。税調にはもちろん議員はおりませんが、そういう意味で私は政府のやっぱり隠れみのにされている、こういう気がしてならないわけです。そういう意味で私は、税調の答申の前にやはり国会においてこういった問題は十分に、大蔵当局も資料や考えをどんどん出してそして論議すべき問題だと思うんです。私は、この年金課税につきましても大変な危機感を持っております。むしろ厚生年金や国民年金の積立金なんかはもう五十二兆円に迫る勢いでございまして、資金運用部に全部預託するのではなくて一部を自主運用に回せば運用益が多く見込まれる、我々はこういう主張を今までもやってきたわけです。
 それは別にしましても、この年金課税という問題は極めて大変な問題でありますので、大蔵大臣としてどのような考えで臨まれているのかもう一回お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、先ほどもお答えしておりましたが、税調の五十八年暮れの中期答申それから六十年度税制のあり方について二度にわたってこの検討を急ぐべきであるという御答申をいただいております。
 世代間の負担と受益の不均衡というのは私も観念的にはわからないわけじゃございませんけれども、実感として感じましたのは、ちょうどきのう本委員会で矢野さんの質問のときに二十分ほど私の方の所管でございます国家公務員共済の審議会へ出ましたときに、二点だけ質問するというお話がございました。それは恐らく頭の中にあったのは国家公務員共済で国鉄共済を救った問題についてのことが頭の中にあっての御質問だったと思いますが、例えば十万円をもらっている若い人が、たしか七千円と言いました、程度掛金がある、そしてやめた方々は平均二十二万円だと。そうすると、何で二十二万円の人の給付のために七千円を十万円の我々が出さなきゃならぬのか、こういう素朴な質問がございまして、そういうところに一つの世代間の不公平感というものがあるのかなと思って私もそれを承っておりました。一方また、ちょうど私や多田さんの年齢の者が言ってみれば今国鉄をやめております。そうすると、あの大変なときにあごひもを締めて手袋をして、体でもって人を押し込むような形であの戦後の輸送力を担当してきた、その我々の老後の年金すら不安だというのは耐えがたい、こういう話も聞いたことがあります。なるほどなと思って聞いておりました。言ってみれば、世代間の負担と受益の均衡を図るということはやっぱり念頭には置くべき課題であろうという感じはいたしました。それは特殊な、恐らく国鉄共済ということに対する考え方があったからそんな質問が出たんじゃないかと思って聞いておりましたが。
 この問題につきましては、いわば、今厚生省からもお話しがあっておりますように、公的年金、私的年金を通じて整合性のとれたものを改革に当たって絶えず念頭に置いていかなきゃならぬ課題だということであります。
 それからもう一つは、国庫負担を減らすためだけに行われるという御指摘でございますが、本格的な高齢化社会の到来を控えた場合、やはり給付を受ける者も国民、負担するのも国民でございますので、長期的な安定した公平な制度ということで今先ほど御説明があっておりましたが、いわばこの国庫負担を老後保障の基本的部分であります基礎年金部分に集中して、基礎年金の三分の一とすることによって制度間の公平を図るという考えでございます。したがって、やっぱり二十一世紀の人口構造等にかんがみた場合における私は不可欠の措置ではなかろうか、今回の改革はそのようなものではなかろうかというふうに考えております。
 それから年金生活者の問題でございますが、例の配当税額控除は基礎控除のほかにそれが認められておるということでございまして、法人税と所得税の二重課税を調整するための措置でありますが、この仕組みにつきましては事務当局の方からお答えした方が正確であろうかと思います。
○多田省吾君 よろしいです。
    ─────────────
○委員長(藤井裕久君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、片山甚市君が委員を辞任され、その補欠として鈴木和美君が選任されました。
    ─────────────
○近藤忠孝君 財政投融資問題でありますが、これが有償の資金であることと、それから公共目的に即して運用されるべきこと、したがって、これを扱う政府系金融機関がこの目的に即してこの運用を行わなきゃいけませんが、大蔵省はこれがそのように行われるためにどのように対処しておりますか。
○国務大臣(竹下登君) 財投のいわゆる有償性、公共性の基本原則に即して運用さるべきであると。で、この問題につきましては、財投融資の大宗を占めます資金運用部資金については、資金運用部資金法第一条において、確実かつ有利な方法で運用することによって公共の利益の増進に寄与すべきであると規定されておるところでございます。したがってその運用に当たりましては、有利性の要請と、一方公共性の要請を規定する資金運用部資金法、今の法律にのっとるように努めてき
ております。
 政府関係金融機関等につきましては、それぞれ設置された目的でございますとかあるいは機能を果たしながら、資金運用部資金、今の第一条の趣旨にかんがみて有利性と公共性の要請に即した資金運用をそれぞれの政府系金融機関で現実に行っておるというふうな事実認識をいたしておるところであります。
○近藤忠孝君 次に産投特別会計の産業投資に必要な経費、これ合計ことしは三百十四億ですが、そのうち二十七億が北海道東北開発公庫に参ります。これは全体の中で第四位、大変北東公庫を重視していると思うんですが、その理由は何ですか。
○政府委員(保田博君) 北海道東北開発公庫は、先生御承知のように、この地域におきまする産業の振興開発を促進する、それを通じまして国民経済の発展に寄与するというために長期の資金を供給するということによりまして、民間の投資及び一般の金融機関が行う金融を補完する、さらにはこれを奨励するということで昭和三十一年に設立をされました。
 同公庫に対しましては、現在までに三百十三億円の出資をいたしております。この出資は、毎年毎年の予算編成におきまして国の財政事情、資金の出所は産業投資特別会計でございますが、産業投資特別会計の資金繰り、さらには公庫の経営体質を健全に保つといった観点との兼ね合いで、毎年毎年の所要額を計算いたして出資をしてきた、そういうことでございます。
○近藤忠孝君 このような北東公庫あるいは開銀の資金が、もし計画が具体化されますとその融資が予定されている核燃料サイクル基地の問題であります。
 それが青森県の下北に立地を大変急いでいるという状況ですが、これを急ぐ理由は何でしょうか。
○政府委員(雨村博光君) お答え申し上げます。
 先生お尋ねの核燃料サイクルでございますけれども、この核燃料サイクルは石油代替エネルギーの中核になります原子力発電、これを安定的に供給いたしますのに非常に重要なものでございまして、そういった観点から我が国の原子力政策の非常に重要な課題として進めているところのものでございます。
 今お話しの下北への核燃料サイクルの立地のことでございますけれども、現在御承知のように我が国では原子力発電と申しますものは電力総発電量の二〇%を占めているような状況でございますので、早期にこの核燃料サイクルというものを実質的なものとして確立する必要があるわけでございまして、現在、お話しのように電気事業連合会の方が地元の地方公共団体の方へ立地の要請をしているところでございまして、それを私どもとしては非常に前進として評価しているところでございます。
○近藤忠孝君 日経ビジネスという、これ雑誌ですが、去年の七月二十三日号によりますと、これは複数の電力業界の幹部が言っているというんです。再処理工場を優先するというのは、実は地元対策の意味が大きいんだと。電力業界の幹部が本当に急ぎたいのは廃棄物の貯蔵施設や使用済み燃料のプールの方だ、こう言っているというんですね。
 私たちも実際いろんな資料を見まして、やっぱり実際に今電事連が本当につくりたいのは低レベル放射性廃棄物の貯蔵施設、それから使用済み核燃料の貯蔵施設と高レベル放射性廃棄物のプールじゃないか、こう思うんですが、実態はまさにそういうものでしょう。
○政府委員(雨村博光君) お答え申し上げます。
 電気事業者の計画によりますと、先生お話しのように、この下北には三つの施設が並行して建設される計画になっておりまして、それはそれぞれ並行して進めることになっております。先生お話しのように、確かに廃棄物のものもその中の一つでございますけれども、それが三つができませんといわゆるサイクルとして成り立ちませんものですから、それはそういうことはございませんで、三つとも並行して並べるというふうに計画もなっておりますし、また私どももそうなるように見守ってまいるつもりでございます。
○近藤忠孝君 計画はそうだと思うんですが、しかし地元の方ではやはり七千億円という一番金の落ちる再処理工場が欲しいわけですね。実際、真っ先に持っていく、こう言っているんですが、本音はそうじゃなくて、むしろ核のごみ捨て場、要するにプールですね、先ほど言った。の方じゃないかというのは、この再処理工場というのは、これは現に日本原燃サービスの方で去年七月に総合エネルギー調査会のお墨つきを得まして、運転開始時期を当初予定の六十五年から七十年に延ばしておるんですね。それから、これは技術的にも大変難しい問題、また再処理使用、経済性からいきましても問題だし、それから、これから出てくるプルトニウムを燃料とする高速増殖炉の実用化も、これは二〇三〇年というずっと先の方なんてすね。
 ですからそれは、一応持っていくという格好になっているけれども、実はそうじゃないんじゃないのか。むしろ廃棄物の捨て場。その証拠に、この本元の再処理工場の方は今言ったようにずっと先の方へ行っておるんですが、別の面、例えばこれは使用済み核燃料の貯蔵施設、総工費約六百億円の設計ですが、これは日本原燃サービスが去年三月に東芝、日立製作所、三菱重工それから武藤構造力学研究所に対してこれ発注しているんじゃないですか。その事実、どうですか。
○政府委員(雨村博光君) お答え申し上げます。
 いわゆる廃棄物再処理のところだけが先行するのではないか、あるいはそうでなく貯蔵のところだけが先行するのじゃないかというお話でございましたけれども、御承知のように、例えばウラン濃縮につきましても、電気事業者の方はこのたび、その実施主体となります会社を発足させますというふうにそれぞれ並行して進めているわけでございます。もちろん再処理のところで技術的に燃料を前もって受ける必要がございますから、燃料受けのところが先に先行するということは技術的にございますけれども、それはその再処理を前提としているものでございまして、決して先生の御懸念のようなことにはならないというふうに思っておるわけでございます。
○近藤忠孝君 今私が申し上げたこの使用済み核燃料の貯蔵施設の設計の発注ですね、その事実はどうか。お答えいただきたいんですが。
 もう一つあるんですよ。これはやっぱり同じく日本原燃サービスが去年四月石川島播磨重工業、それから東洋エンジニアニング、武藤構造力学研究所に対して、これはイギリス、フランスから返還されてくる放射性廃棄物の貯蔵施設、これは総工費四百億円と言っておりますが、その設計を発注したんじゃないか。この二つについてどうですか。
○政府委員(雨村博光君) お答え申し上げます。
 まことに申しわけございませんけれども、私、手元に今資料がございませんので、その点承知しておりません。
○近藤忠孝君 これ事実なんですよね。そうしますと、しかも一番大きくかつ地元も期待している再処理工場はなかなか難しい。となると、結局核のごみ捨て場を真っ先に下北に立地しようという、今核燃料サイクルと言いながら、サイクルじゃなくてまずごみ捨て場というのが現状じゃないかというのですが、これはやっぱり科技庁ね、その責任省庁としてそういう状況をつかんでない、これはおかしいじゃないですか、どうですか。
○政府委員(雨村博光君) お答え申し上げます。
 例を再処理のところで申し上げますと、再処理を実際の事業といたしまして認可いたします場合には安全審査を当然するわけでございまして、その際は再処理工場もその貯蔵施設も一体となりまして審査いたしますので、その点はこちらできちんと確保できるようになっているというわけでございます。
○近藤忠孝君 ちょっと最後むにゃむにゃっとしたけれども、どうも大体そんなふうな状況だと思うんですね。
 問題は、次のこの核燃料サイクル立地先の下北の六ケ所村を中心とするむつ小川原開発計画が問題でございます。むつ小川原開発会社の昭和五十九年十二月末の所有土地の簿価、帳簿上の価額ですね、が幾らか、また銀行からの借入金の累積額は幾らか、それぞれお答えいただきたいと思います。
○説明員(照井清司君) お答えいたします。
 むつ小川原開発株式会社の五十九年十二月末現在の所有土地の簿価は千三百八十二億円でございます。それから銀行等からの借入金額の融資残高でございますが、やはり昭和五十九年十二月末現在で千四百四十六億円となっております。
○近藤忠孝君 次に、同じく数字をお答えいただきたいんですが、このむつ小川原会社の発行済み株式数、資本金、それからこれも昭和五十九年十二月末の欠損金の額についてお答えいただきたいと思います。
○説明員(照井清司君) 発行済みの株式数は六百万株でございます。資本金は現在三十億円でございます。六百万株に見合う資本金でございます。それで累積の欠損金でございますが、昭和五十九年十二月末現在で約二十七億円となっております。
○近藤忠孝君 この第二次むつ小川原開発計画が、これは大臣も御承知のとおりで、もう既に破綻しちゃっておるんですよね。これはどうしようもない状況であります。予定していた石油コンビナート関連の立地の見通しは全くない。入ってきたのは現時点では、国家石油備蓄基地、そこに二百六十ヘクタール出しましたが、それと、東北電力変電所、これはたった一ヘクタールだけです。この先第二期計画の枠内では売れる見込みのない土地だけなんです。
 その簿価が今のとおり一千三百八十二億円。赤字の総額は、これを超える一千四百四十六億円です。それで、累積欠損金はだんだんふえてきまして、資本総額が三十億円なのに、もう既に二十七億円。本年六月以降にはこの累積欠損が資本金を超えることは、これは必至だと思うんですね。この破綻の状況、これは間違いないでしょう。
○説明員(照井清司君) 破綻といいますか、非常に経営が苦しくなっておることは先生御指摘のとおりでございます。
 ただ、むつ小川原開発というような非常に大規模な工業基地の建設事業と申しますのは、計画期間が御承知のように非常に長期であるということと、先行取得した工業用地の保有期間というのはかなり長くなるわけでございます。二度にわたる石油ショックということもございまして、今確かに先生御指摘のような企業しかまだ立地しておらないわけですけれども、またその用地を先行取得した分、あるいは公共施設負担等の負担がかなりかさんで、そのためにその処分が長期にわたっておるということで、現在、おっしゃられましたような多額の借入残を抱えておりますが、これは土地分譲を促進することにより解消されるというふうに考えております。
 私どもとしては、企業立地の推進により土地分譲を促進するということがもちろん基本的でございますけれども、それ以外にも、この会社の経費の削減等の合理化というような指導を行っておる状況でございます。
○近藤忠孝君 土地分譲が促進できれば何も苦労しないんですし、それは自信を持って言っているわけではないんだと思うんです。それはそうですよ。
 それで、次に移りますが、北海道東北開発公庫、先ほど来申し上げている、これがむつ小川原開発会社に対して出資していますね。その持ち株数、それから資本金の出資額、これは幾らでしょうか。
○政府委員(吉田正輝君) 持ち株数は二百万株で、資本金出資額は十億円でございます。したがって、構成費は三三・三三%でございます。
○近藤忠孝君 三分の一の株を持っているんだから、これは実質的には子会社か、あるいは自分自身の経営と全く同じようなものだと思うんです。
 そこで、この北東公庫は、単に出資だけでなくて、ずっと貸し付けも行ってまいりました。その貸付残高の推移、これを、時間もないんであれですが、ちょっと早口で、昭和四十八年以来の貸付額の推移を言ってくれませんか。
○政府委員(吉田正輝君) 四十八年から順次申し上げます。
 貸付金額、四十八年七十五億円、四十九年三十五億円、五十年三十六億円、五十一年三十三億円、五十二年四十億円、五十三年三十二億円、五十四年四十六億円、五十五年九十七億円、五十六年九十三億円、五十七年七十七億円、五十八年七十五億円、五十九年六十一億円でございまして、五十九年の貸付残高は五百八十四億円と承知しております。
○近藤忠孝君 時間節約に御協力どうもありがとうございました。
 それで、五年据え置き十年償還ですと、五十四年以降には早い時期の貸付分が償還期限が来ているんだと思うんですね。五十四年以降の返還額は、これは幾らでしょうか。
○政府委員(吉田正輝君) 五十五年に六十億円、五十六年に四十八億二千万円、五十七年に七億八千五百万円でございます。
○近藤忠孝君 五十八年以降はゼロなんですね。しかも、その中で貸付残高は五百八十四億円。要するにこれは、国家石油備蓄基地の用地を売ったときに入った収入の一部で、五十五、五十六、五十七年と若干の返済です。しかし、その後はもうとまってしまって、しかも貸し付けの方は毎年七十億程度ずっと行ってきているんですね。当面これ返済見込みは立ちません。先ほど来の答弁、期待していると言ったって、それはできる状況じゃないんですね。こういう会社に毎年七十億円からの貸し付けを行って、そして五百八十四億円もの貸付残高。
 となりますと、この貸し付けは一体何に使われたのか。土地は三百六十ヘクタール持っていますが、事業は何も行っていないんですね。この辺についてはどうですか、銀行局だと思いますが。
○政府委員(吉田正輝君) この貸付金はいわゆる工業用地造成事業に要する必要な長期資金ということで、この中には土地取得費を含んでおります。
○近藤忠孝君 ともかく土地をどんどん買ってきて、ほんのごく一部、先ほど申し上げた二つしか売れない。あとは膨大に土地が残っておりどうしようもないという状況だと思うんです。
 そこで次に、市中銀行二十七行、それから生命会社十一社からの借入金がどんどんふえておるんですが、これは五十四年以降それぞれ何億円になっているのか。それからこのむつ小川原会社が五十四年以降返済した額、これはどうてしょうか。
○政府委員(吉田正輝君) 市中銀行が貸し付けました金額は、五十四年七十五億円、五十五年百九十三億円、五十六年百二十八億円、五十七年百十五億円、五十八年百三十九億円、五十九年百七十一億円でございまして、五十九年末の貸付残高は七百四十三億円でございます。
 それから返済額は、五十四年はなし、五十五年百八十四億円、五十六年百二億円、五十七年三十六億円、五十八年五十三億円、五十九年百一億円でございます。
○近藤忠孝君 ともかく借金は雪だるま式にふえ続けているのに対して、返済の方は全然追いついていない。事業らしい事業は、ともかくも用地を売った分、わずかこれは三百四十億円だけですね。借金返済の六年間の総額六百八十三億円になりますかな。ですから、要するに借金を返すために銀行から借入金を導入して、その中で特に北東公庫の年々の貸付額はほとんど借金返済、しかも大臣、これ利子支払いなんですよ、ほとんどね。計算するとどうもそうなるんです。この状況をどう把握しているか。
 そして大蔵省として、先ほど来の監督責任の問題から見まして、ほとんどこういう破産に近い状況にあるむつ小川原開発会社に対して、これはもうまさに核燃料サイクルなんて話じゃなくて借金やりくりサイクルですわ、これを支援するために北東公庫が今申し上げた巨額の融資をつぎ込んで
おる。しかも当面返済の見込みはない。これじゃ焦げつき融資にさらに屋上屋を重ねることじゃないのか。この責任、これは当然大蔵省に責任がありますよね。まず一つは、むつ小川原開発の破綻も含め、この北東公庫の現状の責任、これは一体どうなんですか。
○政府委員(吉田正輝君) 貸付金の内容についての御指摘でございます。
 先ほど私、北東公庫はこのむつ小川原に主として工場用地造成事業に必要な長期の資金、土地取得費を含む貸し付けを行っている、こういうふうに申し上げましたが、この必要な長期資金というのは北東開発公庫法に定められている必要な長期の資金でございまして、その場合、土地原価として棚卸資産、企業会計原則上では未成不動産勘定に計上される諸費用てあると考えられます。この用地造成事業に必要な借入金の支払い利息というのは、土地造成に要する諸費用があるわけでございますけれども、この諸費用の中には当然金利コストも含まれておりまして、貸付対象に企業会計原則上含まれるものと承知しているわけでございます。したがいまして、こういう形で貸し付けをしておるわけでございますけれども、この貸付資金は、いわばむつ小川原会社が多額の運転資金を必要とし、かつその回収までに長期間を要する事業の性格にかんがみて行っているわけでございまして、その場合に利息も諸費用の中に入れますときには当該土地造成物件の妥当な原価を構成するものとして棚卸資産に計上することとしておるわけでございまして、この額の範囲内というのは、いわば最近で申しますと、現状では造成用地の最近の売買実例に照らしましてもいまだに妥当な金額の範囲内である、金利を含めて棚卸資産に計上することは、企業会計原則上から見ましても特に不当なものとは考えていないわけでございます。
 この場合に民間金融機関も貸しておりますが、この取り扱いはむつ小川原会社に対して北東公庫が行っている貸し付けと協調融資という形をとっておるわけでございますけれども、その協調融資を行っている民間金融機関も同様の企業会計原則にのっとる計算をやっておるというふうに承知しておるわけでございます。
 先ほど来、北東公庫が、巨額の赤字を抱えて債務返済の見込みの立たないむつ小川原会社に融資しておるのは問題ではないかという御指摘につきましては、先ほど来国土庁からも御説明がいろいろございました。私どもも同じような考え方でございまして、オイルショックによりまして経済社会環境の変化から事業の進捗が当初計画に比べまして大幅におくれております。この結果、用地の取得とか造成とか分譲を目的としておりますところのこのむつ小川原開発株式会社の用地費とか公共施設負担等多額の先行負担を余儀なくされて、財務内容が悪化しているということも事実でございますけれども、当事業はいわば国家的事業、ナショナルプロジェクトとしまして長期的観点から推進する必要があると考えられた判断に基づきまして、北東公庫は地域開発の専門機関として事業の推進のため民間金融機関と協調して支援を行っているわけでございます。
 以上申し上げましたような原因、現状及び政策目的等を十分大蔵省としては認識いたしまして、北東公庫に対しましては、同社を初め関係機関に企業誘致に全力を挙げるとともに経営の合理化に努めるよう指導するよう、要請しているところでございます。
○近藤忠孝君 むつ小川原開発計画が破綻してしまって、少なくとも第二期基本計画の石油関係、それに関連するのはもう一切来ないというのはこれは常識ですよ。そしてしかもこれ、途中で破綻してとても売れないという見込みがついてから、またどんどん融資して土地を獲得しているんですからね。そこで、そういう点で、どこに確実かつ有利な運用と言えるのかという問題があると思うんです。
 そこで、これは当然会計検査院の仕事ですね。銀行局長からはあの程度の答弁しか出てこない、それは立場上あれ以上言うとちょっと問題があると思うのでなにでしょうけれども、今度立場から見れば、会計検査院、私が先ほど来ずっと指摘しているこの事実、これを受けてどうなさいますか。
○説明員(深田烝治君) お答え申し上げます。
 先生ただいま御指摘の点を踏まえまして今後検査に取り組んでまいりたい、このように考えております。
○近藤忠孝君 よく、まいりますと言うけれども、それは具体的にやる、こういうぐあいに聞いていいんですか。
○説明員(深田烝治君) お答え申し上げます。
 検査をいたしたい、そういうことでございます。
○近藤忠孝君 今核燃料サイクル、それは先ほど申し上げたような状況なんだけれども、しかし、そこに立地を予定しているんですがその意味はどういうことなのかということで、これは人事の面から見てみたいと思うんです。
 それで、質問通告、答弁されるとちょっと時間がかかっちゃうんで、私の方で一気に言いますからそれを受けてお答えいただきたいんです。
 むつ小川原会社の役員ですが、取締役会長はこれは稲山経団連会長、取締役の中には平岩外四経団連副会長・東京電力会長、玉川敏雄東北経済連合会会長・東北電力社長、これはやはり電事連関係者、もう一つ青森県関係者、前知事の竹内さん、それから常務取締役には花田公男前青森県むつ小川原開発室長、それから北東公庫からはこれは三名入っております。これは当然だと思いますね、一番の株主ですから。それから今度はお役人の関係ですね、これは通産省の方から織田官房審議官、それから国土庁の方からも官房審議官守谷氏などが入っておるわけであります。これはもう間違いないと思います。
 そこで、こういう政官財という一体のものですね。で、今核燃料サイクル、特に核のごみ捨て場問題がこれはもう各地でせっぱ詰まって、しかもあちこちでこれは立地を断られているんです。そういうのがまず電事連、それからむつ小川原開発計画の破綻で窮地に陥っているのがこれが青森県、そして国土庁もそうだと思いますね。そして五百八十億を超える貸付金をつぎ込んで、これはもう銀行局長もなかなかかばい切れなくなってきている北東公庫、この三つがどこもにっちもさっちもいかなくなっているところで、役人の中から出てきたのが核燃料サイクルを誘致しようということ、しかも現状は核のごみ捨て場になっていくわけです。
 そうすると、これではもう核燃料サイクルじゃなくて、まさに借金のやりくりサイクルですね。本当にその破綻になっているものを救うという、開発計画破綻のしりぬぐいじゃないか、こう思うんですが、こういう指摘を受けて大蔵大臣、どうお考えでしょうか。
○説明員(照井清司君) 私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 むつ小川原開発株式会社の役員構成につきましては、今先生がおっしゃられたほぼそのとおりでございますけれども、その東京電力の会長なり東北電力の社長が非常勤の役員として入っておられるのは、むしろ広く経済界から人材を集めて御意見をお聞きしたいという観点からでございまして、電気事業連合会からという立場ではないと私どもは承知いたしております。
 それから、いろいろ北東公庫の関係でありますとか、前国家公務員であった方もおられるわけですけれども、これは会社の業務を非常に円滑に進めるため、いろいろ多方面の調整等もございまして、そういう意味での有力な人材をお願いしているというふうに承知いたしております。
 それで、この計画が破綻しているからということでございますけれども、そもそも核燃料サイクル施設の立地地点の選定というのは、民間の電力会社の集まりであります電気事業連合会が、先生も御承知のように昨年の七月に青森県及び六ケ所村に立地協力要請をしたものでございまして、その要請を受けて、今現在、六ケ所村はことしの一月十七日に受け入れを村として決めましたけれども、県としてはまだ今意見の集約中という状況で
あるわけでございます。
 国土庁といたしましては、その地元の受け入れが決まりますれば、むつ小川原地域の振興の見地、それから先ほど科学技術庁の審議官からも御答弁がございましたけれども、技術的核燃料サイクルの確立の観点というものを踏まえて関係省庁と相談してまいりたいというふうに思っております。
 いずれにしても、この核燃料サイクル施設立地がむつ小川原開発株式会社の救済をねらいとして始まったものではないということは御理解いただきたいと思います。
○近藤忠孝君 それぞれ人事にはそれなりの名目はあるので、それはそれとして伺っておきますけれども、私が今指摘したいわば失敗のしりぬぐい、そして核のごみ場に困っている電力業界の要求というのが結びついてきたことは間違いないんです。
 そこで問題は、今最後に言われた、地元の自治体が受け入れの方向を出しているというのですが、これは考えてみればお気の毒なんですよ。というのは、今まで既に国家石油備蓄基地交付金ということで五十五年以来毎年幾らかずつ来まして、四十五億一千五百万円来ている。それがもう自治体の中にぴったりついて、それなしにはもう自治体が運営できない、こういう不健全財政に陥っておるのですね。それでもう、どうしようもないんですよ。そこで、今度やっぱり核燃料サイクルが来てくれれば交付金が来ると。しかしこの三施設のうち、今度電源三法交付金ですが、対象となるのは再処理工場だけですね。ほかのは対象にならない。そこで青森県の北村知事が村田通産大臣とそれから竹内科技庁長官のところへ行きまして、この核燃料サイクルの三施設を電源三法交付金の対象とするような明確な制度を早く確立してほしい、こういう要請があって、それで両大臣がこの方向で進めているという回答があったという報道がされております。
 そこでお聞きしたいのは、この方向で進んでいるのかどうか。そしてこれはいつごろ、どういう具体的な検討を行っていくのか。次の概算要求までにはそういう方向の結論が出ていくのかどうか。それについてお答えいただきたいと思います。
○説明員(関野弘幹君) 御説明いたします。
 核燃料三施設のうち再処理施設につきましては現在の制度においても電源立地交付金の適用が可能でございますが、商業用のウラン濃縮施設及び低レベル廃棄物の貯蔵施設につきましては、発電用施設周辺地域整備法施行令の改正が必要となります。核燃料サイクル三施設にかかわります立地交付金の適用につきましては、これら施設の円滑な立地を図るという観点から現在検討しているところでございます。今後、立地計画の進捗に合わせて検討を進めてまいりたいと考えております。
○近藤忠孝君 その検討というのは、お役人で言えば前向きというのかね、やっぱりそいつを地元の要望にこたえるような方向での検討なのか。大変やはり難しいのかどうか。その辺はどうですか。
○説明員(関野弘幹君) 先ほど申しましたように、核燃料三施設にかかわる立地交付金につきましては、核燃料サイクル確立の重要性及び電源三法の趣旨を踏まえて検討していくということでございます。
○近藤忠孝君 最後の質問になりますけれども、もう破綻してしまったむつ小川原開発計画でありますが、しかし、この開発計画の中には、これはあくまで石油シリーズの立地ですから、原子力関係の立地は全く想定されていなかったわけです。現状はあくまでも石油シリーズの立地としての各種基盤整備事業が行われて、毎年毎年相当額の予算が、例えば道路、港湾、港湾整備事業で見ますと大体八十億規模の金がずっとつぎ込まれている。私も現地で見てきたけれども、実際、事業をやっていますね。しかし、基本計画がだめになってしまっているのに、現場では大変な莫大な金がつぎ込まれて進んでいる。これは大変なむだじゃないかと思うのです。それをどうするのか、大蔵大臣。
 そして、これは当然ここで見直しが必要です。ここで見直しする場合に、ただ部分的な見直しで進んでいってしまうのか、あるいは基本、全面的見直し、これをするのか。これは閣議了解事項ですから、大臣、これを一体どうするのか。
 しかも、もしも一部変更でいくとなりますと、これはやっぱり今までの残りはずっと残ってしまって、それで全く見通しがない。せっかくしりぬぐいしようといったって、しりぬぐいさえできないのじゃないか、こういう問題さえ起きるのですね。これはもう何しろ国家的な、今国の中で指折り教える大プロジェクト事業になるし、中曽根さんの民間活力の対象としても実際挙がっていますよね。となれば、大変大きな問題ですので、これは最後に大臣からお伺いしたいと思います。
○説明員(照井清司君) 最初の基盤整備事業の関係でございますけれども、確かに経済社会情勢の変化によってかなり厳しい状況にあるわけですけれども、ただ、このむつ小川原地区と申しますのは、全国でも数少ない大規模工業のための適地でございまして、また、その地域の地域振興という上からも非常に重要であると考えておりまして、長期的観点に立って着実に基盤整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
 それから、お尋ねの第二点目でございますが、むつ小川原開発第二次基本計画、現行の計画は、先生御承知だと思いますが、もともとは青森県が策定をいたしまして、それをむつ小川原総合開発会議というところでその計画を尊重してこれからそこの地域の開発を総合的に進める、それをもとにまた閣議口頭了解ができておるという性格のものでございますから、この核燃料サイクル施設立地を仮に地元が受け入れたといたしますと、その立案作成者である青森県が土地利用計画等の変更についてまず検討をするということになると思います。で、国といたしまして、国土庁といたしましては、御指摘のように、第二次基本計画には核燃料サイクル事業というものは想定されておりません。したがいまして、これが受け入れが決まりますと、土地利用等に変更が出てくることは当然だと考えております。ただ、この計画のそもそものねらいは、工業開発を通じてむつ小川原地域の振興を図るというものでございまして、核燃料サイクル事業も工業というようなものでありますので、そういう考え方に立って政府ベースでどういうふうに計画と調整をするかということは、関係省庁それから青森県とも相談してまいりたいというふうに考えております。
○国務大臣(竹下登君) 私も実態を必ずしもつまびらかにしておるわけではございませんが、今国土庁からの、ナショナルプロジェクトとして出発したわけでございますから、したがってその基盤整備を引き続きやって、そうしてそのいわゆる核燃料サイクルでございますか、そういうものの位置づけがどうなるかというようなことにつきましては、もとより関係各省と私どもも協議をしていく課題であろうというふうに考えます。
○委員長(藤井裕久君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時十二分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行を議題といたします。
 午前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○栗林卓司君 昨年の委嘱審査でお尋ねしたことですが、まだ議論が尽きておりませんので引き続いてお尋ねを申し上げたいと思います。
 振り返って申し上げますと、こういう事件がございました。
 ある中小企業ですけれども、その社長さんが、みんなで一生懸命働いたら配当をもらえるようなそういった会社にしていこうではないかというの
で、いわば従業員持ち株の、まあ全従業員ではありませんけれども、まねた形をおとりになって、手段として社長さんがお持ちの株を額面五十円で従業員に分けて、だけれどもやめた場合あるいは亡くなった場合には戻してくださいねということを定款に決めまして、そういったことをやっておったんですが、一人がおやめになり一人が亡くなられたものですから、当然額面五十円で株がまた社長さんのところへ戻ってきた。
 ところが税務調査の際に、いや、それはいかぬ、社長さんのところに戻ってきた株というのは、同族会社でありますから、資産価値で見ると七百円、数字はちょっと違いますが丸めて申し上げますと七百円に相当する、したがって五十円との差六百五十円はみなし贈与ではないかということで、約二千万近くの課税がさらに追加されたという事件でありまして、これは昨年質問したときにはまだ不服審判所に異議申し立ての最中でしたが、結局昨年裁決で敗れまして、その件はそれで終わったんですが、制度の問題としてどうも合点がいかないので、この案件そのものを取り上げるつもりは私はありません、制度の問題としてお尋ねをしたいと思うんです。
 株式の評価をどうするかといいますと、通常の株であれば購入に要した原価、平たく言うと購入代金が株の値段になるわけです。ところが相場がない株の場合にはどう評価したらいいか。そこで時価評価という大変難しい作業にかかることになるわけですね。この時価というのはしからばどういったものであろうかということで、たまたまこの不服審判所の裁決の中にこういった文章があるので読み上げてみます。
 前段は抜かしますが、「時価は、課税時期においてその財産の現況に応じ不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額を言い、これは、客観的な交換価値を示す価額と解されている。」、この記述は間違いございませんか。
○政府委員(冨尾一郎君) そのとおりでございます。
○栗林卓司君 そこで、今の記述の中の「客観的な交換価値」というのはどう読めばいいかということなんですが、「客観的な交換価値」というのは、いつでもその値段で換金できる、平たく言えばそういった意味だろうと思いますが、その点はいかがですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 時価という概念を御説明するのは大変に難しゅうございますし、今先生がおっしゃったそれを客観的交換価値というふうに言いかえてもなかなか難しゅうございますが、問題はこれを相続税の課税標準として、もしくは贈与税の課税標準として時価というものを私どもが評定を、評価をさせていただいているわけでございます。
 したがいまして、その評価した価額でもって私どもとしてはできるだけ客観的に評価をさせていただいておりますし、いろんな客観的な基準を設けてございますけれども、ただ、その価額で直ちに世上で一般的に売買できる価額であるかどうかということにつきましては、必ずしも、いろいろな前提条件がまたほかに、売買が成立するかどうかについてはいろいろな客観条件が加わりますので、評価した値段ですぐ売れるかということにつきましては、にわかにちょっと私どもとしては判断しかねるというふうに申し上げさせていただきたいと思います。
○栗林卓司君 「客観的な交換価値」というのは、客観的というのはだれが見てもでしょう、交換価値というのは交換できる価値ですよね。平たく言えば、それで市場に売却をしたらいつでも金にかえられる、それが「客観的な交換価値」という言葉の意味でしょう、それが貫徹できるかどうかは別ですよ。時価ということは「客観的な交換価値」と言うのだったら、それは平たく言うと換金できる、そう読むのが一番無理のない日本語の読み方だと思いますが、重ねていかがですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 重ねて私も申し上げさせていただきたいと思いますが、言葉の意味としてはまさにそのとおりでございます。ただ、売れるかどうかということにつきましては、私どもとしては必ずしも、いろいろな条件のもとでございますので、先生の御質問のように同族会社の株式ということを念頭に置きますと、売れるかどうかということは非常にいろいろなケースでケース・バイ・ケースだろうというふうに判断しております。
○栗林卓司君 私は同族会社の話までまだしてないんです。時価は何かということでお尋ねをしているんです。
 で、同族会社の問題について後続けてこう言っております。「市場において相場が形成されないということが直ちに客観的交換価値を持ち得ないということにはならない」、これは、頭の中で考えて、そう言えなくもないと思います。その次に「取引相場のない株式であっても、それ自体の経済的価値を想定し得るものである」、それはそうでしょうね。続けて「当該株式は当然に一定の時価を持っているものと認められる。」、こう書いてあるんです。
 ところが、相続あるいは贈与の場合の評価はどうかといいますと、三種類あるわけですね。類似業種比準でやる場合、純資産価額でやる場合、配当をもとにしてやる場合、三種類の時価推定方法がある。これはまた平たく考え直しますと、「客観的な交換価値」というのは同じものについて三種類もあっていいんでしょうか。
○政府委員(冨尾一郎君) 取引相場のない株式の評価の問題だということでお答えさせていただきますが、私どもとしては取引相場のない株式につきましては、基本的に二つの方式で評価をするということで考えているわけでございます。
 株式につきましては、いわゆる上場会社につきましては取引相場がございます。したがいまして、大きな会社、大会社につきましては、上場会社に準拠いたしまして類似業種比準方式という形で評価をさせていただくということでございます。またごく小規模の会社につきましては、実は個人事業者の場合には純資産方式、つまり資産から負債を差し引いた純資産の価額でその事業の実態を評価させていただくということと平仄を合わせる意味で、純資産価額方式というのを小会社の場合には基本にしております。
 ここから私どもとしては評価をスタートさせておりまして、その中間にいろいろな規模の会社がございますので、その場合には類似業種比準方式と純資産価額方式との併用というか、両者を合わせたような方式で評価をさせていただいている。ですから取引相場のない同族会社の株式につきましては、以上の二点から評価をさせていただいているわけでございます。
 ただ、株主の方が極めて少額な株主で、その株式を持つことによってその企業に対します支配権等をお持ちになっておらない場合には、そういう方々は株式を単なる配当期待権というような形でお持ちになっておられるということが通常でございましょうということで、その場合には配当還元方式といういわば便法を講じさせていただいているということで、私どもとしては基本はあくまでも類似業種比準方式と純資産価額方式、この二本を組み合わせた方式で取引相場のない株式の評価をさせていただいている、このように理解をしております。
○栗林卓司君 私がお尋ねしていますのは、先ほど申し上げたように「当該株式は当然に一定の時価を持つているものと認められる。」、ついやっぱりこれ筆が走ったんだと思うんですね。一定の時価」、一つの定まった時価があるものと認められる。というのは、だれしも客観的交換価値というのは一つのものについて一つしかない、三つもあるわけがないんですよ。客観的交換価値はいつも一つで、したがって「一定の時価を持っているものと認められる。」、これはだれが見てもそうなんです。それがなぜ三つある。
 今のお答えは、今までのやり方はそうしておりますという解説だけであって、客観的交換価値が、繰り返しますと、客観的というのはだれか見ても
交換し得る価値、これ一物一価ですよ、それがなぜ三つあるんですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 株式の評価につきまして、株式の場合の時価、特に取引相場のない時価につきまして、先生三つというふうにおっしゃられるわけでございますけれども、私どもとしては、株式というものは一つ会社の支配権を象徴したものでございます。ですから、株式の評価に当たりましては実はいろんな要素が加わるわけでございまして、私どもとしては、先ほど御説明をいたしましたように、株式の評価の基準として基本的には大会社の場合に類似業種比準方式、似たような上場会社の株式に準拠した方式をとるということとか、それから純資産価額方式をとるといいましても、できるだけそれは会社の客観的な実態を反映した数字ということでございますけれども、さらにその奥に、株式というものは会社の支配権を象徴したものだということであろうかと思っております。
 したがいまして、そういう場合には、それも含めたトータルとしての評価として便宜私どもとしては類似業種比準方式と純資産価額方式をどちらかをとる、もしくは併用させていただきながら、その中でできるだけ全体として、つまり非上場の株式につきましての大きいところから小さいところまで、片や上場した大会社、片や個人事業の方ということの間で二つの方式をつなぎ合わせ、バランスをとりながら一つの結論といいますか、評価をさせていただいているということてあろうかと思っております。
 したがいまして、その場合に、一方で全く会社の支配と関係のない零細株主の方についてまでそこまでの評価をすることは贈与税なり相続税の課税上いかがかということで、私どもとしては一種の便宜的な措置としてそういう配当還元方式ということをこれはとらせていただいているわけでございまして、やはり基本は類似業種比準方式なり純資産価額方式ということを基本にし、大きい会社小さい会社のバランスをとりながら評価させていただいている、それが私どもとしては株式としての時価、客観的な評価だというふうに考えております。
○栗林卓司君 私がお尋ねしているのは、客観的な交換価値というのは一つでしょう、それがなぜ三本立てになっているんですか。これが三本立てになっているからさっき私が申し上げた問題が起きるわけですよね。だから、本来は一つであるべきものがなぜ三つに分かれている。しかも零細株主については配当還元方式、大会社については類似業種比準方式、中会社は選択制。
 株というのは市場で流通して取引をして価額が形成されてくる、これが前提でしょう。ところが、相続の場合あるいは贈与の場合は全然取引がないわけです。ないんだから、幾らで手に入れたんだか見当がつかない。そこで、時価を推定するのに大変難しい立場にあることはわかりますけれども、原点に帰って言うと、客観的交換価値は一つでしょう。なぜ三つになるんですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 一つだけ申し上げさせていただきたいのは、株式というものは確かに存在いたしますが、そのすべてが流通性があるとか取引相場があるというものでは必ずしもないだろうというふうに私どもは考えております。多くの中小企業の場合の株式というのは、ほとんどもう流通性がないわけでございます。これを何とか私どもとしてはいろんな基準によって評価をしていかなければいけないということでございますので、必ずしも流通性と裏腹の形での評価ということはなかなか現実の問題として難しゅうございます。そこはある程度の割り切り方でいかざるを得ないというふうに思っております。
 そういう意味で、ない知恵を絞って私どもとしては、上場会社の関係で言えば類似業種比準方式ということでまずアプローチするしかないし、それから個人の事業所得者との関係で言えば純資産価額方式しかアプローチの仕方はないということで両端を押さえますと、あとはそのバランスといいますか、その両方の方式をうまくミックスしながら適用させていただいて時価としての一定の評価額を算定していただくということしか私どもとして現実的な対応のしようがないだろうというふうに思っております。
 結果的に先生のおっしゃるように一物一価ということでございますけれども、必ずしも自由な市場で上場会社の株式のように価格がいろんな要素を組み合わせながら売り手と買い手との需給関係で決まっていくのとは、全くある意味で言えば別の世界にある株式も実はあるわけでございます。それがまさに問題の取引相場のない株式ではないかというふうな気持ちで私どもこの問題に取り組んでいるわけでございます。
○栗林卓司君 私はこう思うんで、間違っていたらおっしゃってください。
 というのは、時価をなるべく客観的な事実をもとにして推定をしたい、しかも取引相場がないわけですから、推定せざるを得ない。私が今申し上げているのは相続もしくは贈与の場合ですよ。これは取引がないんですから相場もへちまもないんです。しかも、そこに資産として承継されたあるいは贈与された事実はある、これがある経済価値を持っていることもだれも否定はできない。したがって、どう推定するか。そこで恐らく大蔵省がおやりになってきたことというのは、類似業種比準方式というのは類似業種の株価というのは客観的事実としてあるわけです、それをもとにして推定したらどうだろうか。純資産価額方式、純資産価額もこれは事実としてあるわけです、それをもとにして推定したらどうか。配当還元方式、配当も事実としてつかめるんですね、それをもとにして還元したらどうか。いわばこの三つの方式というのは客観的事実を踏まえながら推定をしております。ただ、あくまで推定なんで、一つに絞るだけの自信はございません。したがって、三つのうちの最も有利なものとしてもいいけれども、それじゃ余り無責任なんで一応整理をしましたと。もともとは、客観的事実を踏まえてどうやって近似値を推定するか、その模索なんです。
 この私の言い方は間違っていますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 先生のおっしゃった、まさに私どももそういう形で模索し、推計をさせていただいているということでございます。
○栗林卓司君 そこで問題は、取引相場のない株式の取引が行われた場合、これは今度のケースなんですよ、取引相場のない株式の取引が行われた場合に一体どうするんだ。一株五十円で取引をされました、どこがいけないんでしょうか。一株七百円で取引をされました、どこがいけないんでしょうか。客観的交換価値はわからないんですよ、取引価格は事実としてあるんです。そうなった場合、取引相場のない株式の取引が行われた場合にはそのときの取引価格で判断するのが当然ではないですか、いかがですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 株式の譲渡の場合、つまり普通の売買の場合でございますが、その場合にどのような価格で取引をされるかということにつきましては、私どもとしては、評価の問題ではございません、現実のそのときどきの取引の問題でございます。ただ、一定のケースでみなし譲渡課税が行われたり贈与が行われたりというケースがないわけではございませんけれども、基本的にはそのこと自体私どもいいとか悪いとか税法の立場で判断することではないだろうというふうに思っております。
○栗林卓司君 繰り返して申し上げますと、相続とか贈与で取引そのものがなかった場合これは推定せざるを得ないけれども、なるべく客観的事実を踏まえて推定をしていきましょうというのが三つの方式ですよね。
 ところが取引があった場合、あった場合にはその取引を踏まえてそのまま認めていくしかない。なぜかというと、五十円で取引して悪いという理由はどこにもない。五十円を割りますと額面割れの取引ということで別途の問題が生まれますけれども、五十円でやっていれば、しかも双方納得ずくですから、それはそれで認めていくしかない。あるいは七百円でいった場合、双方が納得してい
るんだったら、それはそれでいくしかない。取引がないんだったら推定せざるを得ないんですよ。取引があった場合、その取引そのものを事実として認めていくしか税の立場はないんじゃないですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 取引相場がない場合の評価として、しかし現実にその株式が何らかの形でいろんな値段で売買されている場合に、その売買を現実にされた価格と評価額との間でどういう関係があるのか。
 例えば、五十円で従業員同士の間で売買をされているという実例がある場合に、その評価を、では五十円でいいのか、それとも別途の、先ほど私ども申し上げております類似業種比準方式なり純資産価額方式、どちらでいくべきかという御議論だろうと私ども理解をさせていただきたいと思いますが、やはり会社の株式の取引の場合に、従業員の間で五十円で額面で売買されるというケースは、恐らく先ほど私が一般論として申し上げたときの配当還元方式的な発想で、この会社の株は一割しか配当がないんだから五十円なら五十円でいいだろう、額面でいいだろうということで従業員の間で売買される。もしも譲渡制限等があっても仮にそれは株主総会なりの了解を得て従業員の間で持ち株が売買されるということであればそれはそれでよろしいんだろうというのが基本的な考え方でございますが、ただ株式についてこういう売買例があるからそれでいいではないかということでおやりいただくと、極端な例、本当に純資産価額なり類似業種比準方式で例えば一株千円の評価をしなければいかぬような株式について、事実上五十円で従業員間で転売されているからいいではないかと言ってそれを五十円で評価するということは、やはり相続の際の正しい相続財産を見積もって、つまりその基準として時価でございますが、見積もって課税をしていくという課税の公平のバランス上からはいかがであろうかと私ども基本的に考えております。
○栗林卓司君 質問の聞き方を変えますと、こう言っておられるんですね。同族株主が取得した株式、これは会社財産に対する持ち分であります。それ以外の株主の取得した株式は単に配当を期待しているだけです。別の言い方をすると、同族株主の取得した株式は会社財産の分散的な所有証書です、それ以外の株主の場合には配当という利子を受け取り得る元本債権証書です、こう説明しているんです。
 そうしますと、一つの株が持ち主によって色が変わる、こうなりますね。いいですか、相続の場合にはだれに帰属した財産かということで色が変わっても私はわかるんです。これは相続でも贈与でもないんですよ、一般取引なんです。そのときに、ああこれはあなたが持っているからこの色だ、この株はあの人が持っているからあの色だということが、一般の取引の通念として世の中を通っていくんだろうか。
 別な言い方をしますと、仮に百歩譲って、株については同族株主の場合には会社財産の分散的な所有の証書であるとしますね。したがって、七百円ということです、この場合は。それ以外の株主の場合には配当という利子を受け取り得る元本債権証書だ、五十円というんです。そうしますと、これは取引相場がないんだけれども、株の取引がないわけはないです、あり得るわけです。そのときにどういう取引があると思いますか。同族株主の間でやる取引、それ以外の株主の間でやる取引、これは十分あり得ると思うんです。どういった意味を言っているかといいますと、値段が五十円でいいかどうかは別ですよ、これは相対で決めるわけですから。それ以外の株主の間の取引では値がつく。要するに元本債権証書としての値段がついてくる。一方、会社財産の分散的な所有証書として扱う場合には七百円に近い値段かついてくる。その意識を持ってやりとりするわけですからね。
 したがって大蔵省というのは、持ち主によってマーケットを二つに分けてごらんになっているわけですよ。したがって、この株の売買をすると会社の支配権に響くぞ、これは七百円だって千円だって買いますよ、という値がつくマーケットともうこれは株だけ、気が楽、五十円で値がつくマーケットと、この二つの市場を頭に置いて値づけをしておられるわけですよ。
 ところが、時価というのは、客観的な交換価値で単一マーケットしか頭に置いてないのですよ、もともと。単一マーケットでできてくる客観的な交換価値イコール時価でしょう。なぜこの場合だけ持ち主によってマーケットを分けて見るのか。これは客観的な価値ではないんです、主観的な価値なんです。持ち主によって変わるということは、この株は自分の支配に加わったら支配力がふえると思ったら買うのです、高くても。これは主観的な価値ですよ。これは配当だけ、これも主観的な価値ですよ。客観的な価値ではなくて主観的な価値を評価なさったと同じことじゃないですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 先生が今株式の定義を二つおっしゃったわけでございますけれども、私どもとしては基本的に、評価をいたします際に、いわゆる経営権を握っております同族的なグループの持っておる株式の場合には、単なるそれは会社の資産の一部を表示するというだけではなくて、その会社の経営権を実は象徴しているという事実もその株式に加わっているわけでございますので、本来取引相場のないそういう同族的な色彩の濃い中小企業の株式の場合には、株式とそれからそういう企業の支配権とが実は一体として観念されているケースが通常であろうというふうに理解をしておるわけでございまして、そういうのを基本に、それを私どもとしては念頭に置いて先ほどの類似業種比準価額なり、純資産価額なりを考えているわけでございます。ただ、いきなりその株式の場合の中の会社の支配権というものを評価の中で我々として打ち出しているわけではございませんけれども、そういうものを含めたものとして観念的には理解をさせていただいております。
 したがって、そういう会社の支配権的なものがない場合のいわば便法として、単なる配当期待権しかお持ちになってないような零細株主に対しては配当還元方式をとらせていただいておりますが、これはあくまでも例外的な措置でございまして、やはり会社の株式というものを経営権も含めたそういうものとして考えてまいります場合には、原則的なつまり類似業種比準方式や純資産価額方式での評価というものが基本的な価額で、それが私どもとしてはまさにいわゆる相場がない場合のいわば株式の相場と言うべきものであろうと思っております。
 決して私どもとして二つのマーケットを考えてそれぞれ別に存在させているということではなくて、やはり基本はそういうことで考えておるわけでございます。
○栗林卓司君 私がなぜマーケットと言うかといいますと、換金性というのがこれは株と言ったら切っても切れない関係でしょう。ところが上場してない、取引相場がありません、換金性がない。換金性がないからあくまでも今度は大蔵省の主観で理論構築してどうにでも評価していいということにはならないと思うんですよ。やっぱり株というのは流通して値がつく、しかもそれは不特定多数の間で自由な流通ということが仮にできないにしても、相対でもやっぱりそこについた値段というのは株にとって死命的なものだと思うんですよ。そこでどういった値がつくかということが何にも増して第一判断条件である。ところが相続とか贈与ということになると、取引がなくて資産が来るんですから、これはある程度理論構築をしていかざるを得ない。ところが取引があった場合は、そのときの取引価格、それが何よりも最も雄弁にその取引の性格を証拠づけているじゃないか。したがって、会社の支配権を守ろうと思ったら千円でも二千円でも出すかもしらぬ。そのときに二千円は高過ぎるじゃないかということを言ったってだめ、それだけの取引はあった。片一方では五十円、やっぱりそういった相対ずくの取引があったら、それはあった。取引がある以上はそれを率直に認めていかないと、株というのがおかしくなっちゃいますよ。
 だって、証券局に聞いて、株ってどうやって値段がつくんですと言ったら、こんなに項目を並べますよ。事実そんなもんだもの。そうは言っても、相続や贈与の場合には取引がない、したがって理論的に近似値を見つけていかざるを得ないのであって、取引という現実があったら、それはそれで踏まえていくしかない。しかも、理論的な構築をする基本通達を踏まえてやってまいりますと、私は二つのマーケットと言ったけれども、その間の取引を遮断するに等しいんですよ。片一方は総資産価値でいくと七百円だ、片一方は配当の期待で五十円だ、この間で取引ができますか。
 物の言い方をかえますと、会社の支配権というんだからタコにたとえましょうか。同族株主がその株券のことをタコだと思っている、片一方の方はイワシだと思っている。イワシとタコで等価交換できるわけがないじゃないですか、という不自然なものがどうしても残っちゃう。これはぜひお考えいただきたいと思うんです。
 この問題につけても思うことなんですが、時間がないのではしおってまいりますけれども、取引相場のない株式の評価の場合、客観的交換価値は不明ですね、推定せざるを得ない。そこで問題は、その推定額で換金できるか。今の場合で言うと七百円でその株を処分できるか。できないです。銀行は担保にもとらない。もともとそれは大蔵省が構築した主観的価値像ですからね。実際には、同族支配的経営者にしたって株の何%はこれは手放せない。この何%かは五十円でやってよろしいと色分けして見ているのが現実の姿でしょう。そういった中で、この株はどっちなんだ、一体何ぼで担保にとるったって、とりはしないですよ。担保にもとれない、換金できるか、できない。ところが評価はせざるを得ない。
 そのときに逃げ道として相続税法が何を持っているか、物納という制度ですよ。それで事情がもっともだったら物納結構ですという格好で受け取っているわけです。ところが、贈与に関しては物納がない。今度みたいに、五十円で株を引き取った。みなし贈与課税で七百円だ、七百円で株の処分はできない、では一体二千万近くの税をどうやって調達するんだ。たまたまこの企業は超優良企業ですから、文句は言っているけれども払うんでしょう。普通の企業だったらどうします。逃げようがないですよ。銀行に持っていったって担保にもとれない、換金もできない。しかも大蔵省は、理屈から言ったらこうだという理論をとって、全然動かない。どこに救いがあるんですか。
 私は、三つの方法を盾にとってやるのは、相続財産だったらそれはわからないでもないと言うのです。取引がないんですから。相場がない株式でも取引があったら、いいですか、繰り返して言いますよ、会社の支配権に影響があるんだったら七百円でも八百円でも当然買う、そうでなかったら五十円。いわばこの二つのマーケットがある世界で、理論構築だけで、相続税基本通達だけで評価をするのは、私は間違っている。
 そこで私が申し上げたいのは、とにかく今それでやっているわけですよね、そこで大臣にお尋ねしたいんですが、大臣、結局、贈与にも物納を認めるしかこの逃げ道はないと思うんですよ。相続税の場合には物納を認めているんです。相続財産の評価というのはある程度理論値ですからね。それだけの現金があるかといったら、あるわけじゃない。そのときには物納してください。同様に贈与についても、事情については条件をつけてよろしいけれども、物納結構ですと言ったら、この場合にはその評価額で株を物納すればいい。評価額を決めたのは大蔵省ですから、それで引き取ることは何の文句もない。これくらいしないとちょっとこれは救いがなさ過ぎるんですよ。ですから、大蔵省がおやりにならないというんだったら、私は同僚議員と相談して、議員立法ででも物納の制度をつくりたい。どうお考えになりますか。
○政府委員(角谷正彦君) 大臣のお答えになる前に、現在の法律の制度の考え方だけ御説明したいと思いますけれども、租税といいますのは一般的に国の財政事情といいますか、その年々の歳出の需要を賄うための財源に充てられるものでございますので、現金納付というのが原則でございます。ただ、唯一の例外が今御指摘になりました相続税でございます。
 なぜ相続税について物納が一定の要件のもとに認められているかといいますと、相続税といいますのは、やはり相続という事実が必ずしも予期しない時期にどうしても不可避的に起こる。しかも、相続という事実が起こった段階では、相続税を納めたりいろいろなことをするために、財産の分割その他いろいろな承継取得した財産につきまして一遍にこれを処理しなければならない、こういったような問題があるといったことでございますので、一定の要件のもとに物納を認めている。これにつきましては、例えば取引相場のない株式につきましても、そのそれしか財産がないというような場合には例外的にこれを認めているというのが原則でございます。
 それじゃ、なぜ贈与税で現在認めていないかといいますと、贈与といいますのは、やはり贈与する時期とか、贈与の対象となる財産でございますとか、その範囲とか、規模とか、かなり任意性のあるものでございます。そういったことからいいますと、相続税と性格が違う。むしろ所得税、法人税その他の税と性格が類似しているといったことから、現在の制度のもとにおいては贈与税について物納を認めていない、やはり金銭納付だけを原則としているというのが現状でございます。
○栗林卓司君 贈与についてはそうおっしゃるんだけれども、みなし贈与の場合にはどういったみなし贈与の評価になるのか。だれもわからないんですよ、これは。査定を待って初めてわかるんですから。そういった意味で私はお伺いしているんです。
○国務大臣(竹下登君) 私も問答を聞いておってわかりません。私なりに理解するのは、いわゆる贈与の場合は双方の意思が働く、相続税の場合はいわゆる意思が働かない、それが差なのかなという感じで受けとめましたが、これは勉強させていただきます。
○青木茂君 第一に、捕捉率の格差について御質問申し上げます。
 捕捉率の格差というのが不公平の最たるものだということは古くして新しい課題でございますし、またこの前のいわゆる大島訴訟判決においても、捕捉率格差については最高裁も非常に強く遺憾の意を表明しているということは御承知のとおりだと思います。
 ただ、この問題になってきますとすぐ実調率の問題が絡んできまして、職員数が足りないからふやせふやせで終わってしまうわけなんですけれども、そこを、必ずしもすぐ定員増に結びつけなくてもそこに何らかの工夫があり得ないかどうかということが私の御質問の第一の要点なんです。今国税関係の職員数は約五万と言われているんですけれども、これはそういうことですか。
○政府委員(冨尾一郎君) 現在の国税庁の定員は総計で約五万三千人弱でございます。
○青木茂君 その五万三千人弱の中で、こういう内訳ができますか。つまり、外に出て実際調査を担当する者と、税務署の中におって事務を担当する者の割合、内訳と申しますか、そういう調査はございますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 私どもの国税庁の中での仕事の分担というのは専門官制度を基本にしておりますので、一人の専門官が対外的ないわゆる税務調査にも参りますし、また申告の相談にも応ずる。それから、申告書が出てまいった場合のいろんな整理、それから最終的にはいろんな債権管理、督促ということまでそれぞれ一人の担当者が分担する、ないしは一つの系列の担当者がやりますので、外勤者つまり調査専担者が何人で、内勤者つまり内部事務だけをやる者が何人、そういう区分けはちょっと難しゅうございますが、全体としての事務量の中でのおおよその感じということならば私どもとしては申し上げられると思いますが、数として何人ということまではちょっと申し上げかねるのが私どもの今の組織の実態でござい
ます。
○青木茂君 アバウトで結構です。
○政府委員(冨尾一郎君) 私どもとしては税務事務の中で外部の事務、つまり税務調査の事務というのがやはり課税の公平を期す点からも一番大事でございますので、できる限り内部事務を省力をし効率化しながら外部事務に人を投入するということでやらせていただいておりまして、所得税それから法人税事務に限って申し上げさせていただきますと、おおよそ両者ともその六割強の事務量といいますかを外部事務に投入している、こういう状況でございます。
○青木茂君 そうしますとさらに、民間の会社で言えば配置転換なんですけれども、非実調事務と申しますか、実際調べに行かない役割の人たちの仕事をできるだけ実調率を上げる方向に回すというような工夫はあり得るかあり得ないかということですが。
○政府委員(冨尾一郎君) 実は私どもとしてもできるだけ外部に調査に出かける事務量を確保するというのが一番大事な仕事でございます。大事な使命だということで従来からコンピューターの導入、それから事務の手順の効率化ということでいろいろやらせていただいておりますが、内部事務の中には例えば納税者の基本的な管理ということになりましょうか、申告書の整理とか債権管理というように納税者の数に従って比例的にふえていく仕事がございます。したがいまして、この十年間をとってみましても、定員はほとんどふえておりませんが、納税者の数はおおむね四割増しないし五割増しというような数になっておりますし、還付申告の事務に至りましては二倍を超えるという実態でございます。そのようなことでございますので、基本的に内部事務の効率化を一方で図りながらも、その絶対的な内部事務量というのはなかなか減らない。それを何とかそこをやりくりしながら先ほど申し上げた六割強の実調率を確保しているわけでございますが、今後とも基本的には先生のおっしゃるようになお内部事務の省力化、効率化には努力をいたしまして、できるだけ調査に出かけられる職員の事務量を確保したい、こういうふうに考えております。
○青木茂君 修正申告の、以前の調査なんですけれども、指導というのか調査というのか、そこら辺はよくわかりませんけれども、例えば税務署の方が、ある日に調査に行きますよ、それで、ちょっと都合が悪いから土曜日にしてくれぬかと言ったとしますね。そうすると、土曜日でも調査にお出かけになるかどうか。ちょっと細か過ぎて偉い人にはわからぬかな、つまり、土曜日にも調査に回っていますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 私どもとしては、納税者に御都合を伺って、調査に参る場合にはできるだけ納税者の御都合に合わせるようにさせていただいておりますが、ただ、土曜日というのは御承知のとおり半日の勤務でございます。調査はやはりやり始めますとなかなか途中で打ち切るというのも難しい。できれば一日でも二日でも続けてやりたいというケースもございます。そういう意味ではできるだけ私どもとして土曜日の調査は、土曜日が都合がいいのだがという場合に、その日しかとれないということであればそれはやむを得ませんが、できる限りは土曜日を避けていただく方が私どもとしてはありがたいと思っております。ただ土曜日で決して嫌ということは申しません。
○青木茂君 私は税務署ににらまれておるかどうか知らぬけれども、何年前でしたか、私のところに来るというものだから、商売で月曜日から金曜日まではだめだから土曜日に来てくれと言ったら、土曜日は勘弁してくださいよと言われた経験があるものだからちょっと言ったのですが、まあそれはいいです。
 そこでアメリカの場合はどうなんですか、アメリカの内国歳入庁は大体アバウトで何名ぐらいの職員でしょうか。
○政府委員(冨尾一郎君) アメリカの内国歳入庁の職員の数でございますが、一九八三年、昭和五十八年の数で申し上げますと、八万五千九百七十人というふうに承知しております。
○青木茂君 そうすると大体日本で五万三千人、アメリカで八万六千人、人口の数からいくと対人口比なんか考えた場合にそんなに大きな差はないと思いますね。思うのだけれども、アメリカではサラリーマンのあれも実額申告を認めているわけですよね。大変だから職員をふやせという声が出ているという話は聞いたことがない。だから日本だって、税務職員の労働力が過重になるということはわかりますよ、わかるけれども、仕事なんだからやろうと思えば僕はもう少しできるんじゃないか、向こうさんでもやっているのだから。そういうふうに思ったということが一つ。
 そこでそれに関連をいたしまして、自治省の方いらっしゃいますか、――ちょっと伺いたいのですけれども、地方税法の二十六条、二百九十八条の規定によれば地方の税務課職員も検査権があるわけです、質問検査権ですね、これはやった前例というのはあるのですか。
○説明員(湯浅利夫君) 地方税法におきましても各税目におきまして課税の適正化を担保するために徴税吏員の質問検査権があるわけでございます。ただいま御指摘の第二十六条は法人住民税の質問検査権、それから二百九十八条は個人住民税の質問検査権でございますが、こういう規定をもとにいたしましていろいろと調査をいたしているということは聞いておりますが、この具体的な実施状況につきましては私ども把握はいたしておらないわけでございます。
○青木茂君 どうも今まで地方税、特に住民税が所得税に連動するものだから、確定申告書を出しますよね、一時は何かそれを地方税の方で写してそれを基準に課税する。このごろはコンピューターか何かでなっているのですけれども、そういう全く自動的ということでなしに、私は、地方の税務課にもこういうふうに調査権があるのだから、むしろ徹底的に少し調査して、例えば国税は百万と言ったけれども地方の方で調査したらこの人の所得は百五十万ありますよ、あるいは国税は一千万と言ったけれども地方は一千五百万ありますよということを逆に国の方に逆通報をやって、相互の補完でもって捕捉率を高めるというのか、実調率を高めるというのか、そういうことも私は可能じゃないか。つまり実質的な実調率を高めるために地方の税務課の職員の二十六条、二百九十八条を死文化してしまわずに、活用をすべきだというふうに考えていますけれども、ひとつ大臣、今の一問一答でどういうお感じですか。
○説明員(湯浅利夫君) 地方の関係につきまして具体的にどの程度実施しているかという点につきましては十分わかりませんけれども、昭和五十七年の十二月に自治省と国税庁の間で国税と地方税の徴収に関しましていろいろ細かい点で協力関係をより一層推進しようという了解をしたわけでございまして、その中には例えば簡単な確定申告は市町村の窓口で受け付けるというようなことで、市町村の窓口におきまして相当程度これは受け付けておりますし、またただいま御指摘の税務調査につきましても、国税、地方税の各税法に基づきまして税務調査のできる範囲内でお互いに調査をいたしながら、必要に応じてその資料交換をするというようなことも、その了解の中に入っているわけでございます。
 具体的には、それぞれの地元におきまして、国、県、市町村におきまして税務協議会というようなものも設置いたしておりまして、その協議会におきまして、具体的にどのような運用をするかということをそれぞれの地元において御協議をしていただくということにもなっておりますので、この辺のところは、私どもといたしましては相当協力関係は進んでいるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○青木茂君 私は、とにかく地方の税務課の職員の立場にいる人が国税の五万人に応援体制を組むということになると、実調率を高めることができるのじゃないか、いわゆる所得捕捉の不公平というものにもある程度国民に納得してもらえるようなことができるのじゃないかと考えております。
だからそういう意味において、ここで今どうしてくださいということじゃございませんけれども、単に国税庁の職員の数をふやさなきゃ数が足りないからできません、足りないからできませんじゃなしに、一工夫も二工夫も実調率を高めるためにやっていただかなければこれはちょっと、特にガラス張り課税の給与所得者全体としては納得のできないところだということ、これは感覚的に御承認いただけますか、大臣。
○政府委員(冨尾一郎君) 大臣が御答弁になる前にちょっと私ども、先ほど自治省が御答弁になりました私どものことにつきまして、国税の立場から敷衍をして申し上げさせていただきたいと思います。
 先ほど自治省の方から御説明がございましたように、地方公共団体と私どもとの間で協力関係を取り結ぶことにつきましては、昭和二十九年に基本的な了解事項を取り結びまして五十七年にさらにこれを拡充しておりますが、先ほどから青木先生が御指摘の中で、例えば地方団体がみずからの調査権に基づいて住民税の課税をしていただく、その結果として国税にもはね返るのではないかという形で、新しい納税者を通報していただく、私どもこれを市町村の自主決定資料をいただくというふうに言っておるのですが、これが相当件数ございます。これが新規納税者の把握の上で非常に大きく貢献をしております。それから、納税相談などの時期にも市町村の窓口でやはり確定申告の相談をしていただいておりまして、ここで随分私どもと共同で確定申告の時期には取り組んでいただいているわけでございます。また、いろんな課税資料の収集、例えば農業などにつきましては特に市町村の御協力を得ていろんな資料を収集しやらせていただいておりまして、その意味ではできる限り市町村と協力体制をつくって私どもとしても課税の充実を図っていくという方向で、今非常に市町村との段階では協力関係が緊密化しているというふうに認識をいたしております。
○青木茂君 なかなか大臣にお答え願えないんですけれども、さらに詰めますよ。
 要するに、実はこれは大蔵大臣の問題じゃございませんけれども、地方税法二百九十八条と二十六条によって所得の調査をしたことがあるのかないのかということをまず押さえたいんですね、形式的な協力じゃないんです。実調率を上げるために国が漏らした網から地方ですくうという、そして国がまたそれで新たに、ああこれは間違っていたからふやそうというような協力体制が過去にあったかどうかということ、さらに念を押します。
○説明員(湯浅利夫君) 具体的にこの二百九十八条なり地方税法の二十六条の規定を使って質問検査権を行い、それが国税との間でどのような関係を生んだかという点につきましての詳細を私ども承知いたしておりません。ただ、先ほど申し上げましたとおり、地元におきまして、税務署、それから県、市町村の間の税務協議会におきまして、その辺のところは十分協議しながら運用しているのではないかというふうに私ども推察しているわけでございます。
○青木茂君 この問題ばかりで時間をとっちゃいますとあれですから、最後に大臣、どうもこの大蔵委員会でずっとやっていまして非常に我々が戸惑うのは、何か問題の核心が出てくると、予見を交えずに税制調査会にという御発言が出てくる。それから、これはきょうの課題じゃないからおいておきますけれども、もう一つ、クロヨンだトーゴーサンだという問題が出てきて脱税摘発がテーマになってまいりますと、怪しいと思われるのを調査したんだからこういう数字が出てくる、これは全部がそうじゃないんだというような御答弁がございますね。
 ひとつここでテストケースとして、限定してもいいから電話帳的な税務調査を一回やってみたら本当のクロヨン、トーゴーサンの実態が浮かび出るのじゃないかと私は思うんですけど、一回やってみるお気持ちはございませんかね、電話帳的無作為抽出というやつを。
○政府委員(冨尾一郎君) 先生御指摘のようないわば電話帳方式の無作為、ランダムサンプリングと申しましょうか、による税務調査対象を選定してやったらどうかということでございますが、二つポイントはあるかと思います。
 一つは、すべての国民を対象に無作為抽出をやるということになりますと、例えばサラリーマンのような源泉徴収で完結をし年末調整で申告義務がないという方につきましても、結果的に税務調査を行わなきゃいかぬというケースも出てまいりますし、このようなものまでカバーした調査ということになると、ちょっと問題があるのではないかという感じがしております。
 それから、申告のある方の中から無作為抽出ということになりましても、これにつきましては、私ども先ほど申し上げておりますように、非常にやはり事務量的な制約がございます。したがいまして、その中でやはり基本的には高額隠しという形で問題のありそうな納税者を対象に選定させていただいておりますので、なかなか現実の問題として私どもとしては難しい問題がございます。
 ただ、結果として一つだけ参考のために申し上げさせていただきたいと思うんですが、私ども、業種別の経営実態を把握するために実は無作為によりまして一部の納税者について過去にそういうのに近い調査を行った例はございます。その場合の申告漏れ割合は一〇%程度という数字もございまして、私どもとしてはそのような実態でございますし、また昭和五十七年に実は特定の地域に限りましての話でございますが、九千人ほどの世帯主に対しまして実は実態調査をいたしまして、無申告であるかどうかというような調査をいたしたことがございます。申告所得税の実態調査という形で実はこれは新聞にも発表させていただきましたが、そのような中で見ておりますと、所得税を納付すべきであるにもかかわらず申告がなかったというような方の数は、全体の〇・三四%に当たります三十一人程度であったというところで、私どもとしては基本的には、このような中の数字で先生のおっしゃるようなおおよその感触は御理解いただけるのではないかというふうに考えております。
○青木茂君 いや、私は何も電話帳といったって、年末調整で課税関係が終わってしまう給与所得者まで労力を使って調べる必要はない。例えば一年間にある一定の業種なら業種を想定しましてね、その業種につきまして、これはお医者さんだっていいしパチンコ屋だっていいし、それは何でもいいんですよ、業種想定して、その業種に対して、怪しいと思った者でなしに、電話帳的ピックアップで一回やってみる、そういう試みをやってみたらどうか。その結果がどうだこうだ言っているんじゃない。やってみたらどうかということを私は御提案申し上げているわけです。大臣に一度もお答えいただいておりませんから、どうぞひとつ。
○国務大臣(竹下登君) 今までも業種間ではそれに近いものをやったことがあると聞いております。一つの参考になり得るものである。ただ、それがどういう時期がタイムリーなのかということにつきましてもこれは勉強をさせていただかなきゃならぬ課題だと思います。
 それから、先ほどの地方と国との問題でございますけれども、昭和二十九年、かなり昔、大蔵、自治が話しまして、それで私は前に大蔵大臣をしておりますし、五十四年、五十五年のときに大変それがやかましくなりました。それで五十七年でございましたか、もう一遍すり合わせをしまして、それで結果としていわばより実調等が正確になっておるのじゃないかなという印象は持っております。
○青木茂君 私がひそかに腹の中で思っていたタイムテーブルは、このテーマは十五分でやるつもりだったんですが、三十分かかりましたからあとはちょっと急ぎます。
 いつでしたか、新聞で、例のボルカーさんですか、あの人が大来さんに、日本の貿易黒字は、数字を正確に記憶していませんけれども、四百億ドルか、丸が一つ多いんじゃないかとかいうようなことを言った、そしてもっと日本は内需振興に力を入
れろといったような記事を見たんですけれども、外国の人が大体日本の国の政治に余り口を出すことは僕は賛成じゃないけれども、しかし内需の拡大によって対米貿易摩擦をいい方向に持っていくことは重要だと思います。それは何も私は、摩擦のいわゆるよく言う量の問題じゃなしに、日本が日本経済の運営で内需振興の姿勢を示す、それが重要だと思うんです。そうすると、やはりどうしたって、内需振興の姿勢ということになると、税制というのか減税によって消費支出を突き上げるということになると思いますけれども、こういう物の考え方に対して大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これはいろいろな議論があるところでございますが、五十二年のサミットでございましたか、いわば日本機関車論というのが出まして、それで公共事業などたしか三〇%ぐらいでございましたか、増査定をしまして、やった。それが空景気を引っ張ったとても申しますか、そういうことになったと思います。そうしたらヨーロッパの諸君で見れば、日本がやってくれたのはありがたいが、自分らは宗主国だから、日本さえやっているのにというので、かつての英領どこどこ、仏領どこどこがみんな要求してきてそれをやった。そうしたら財政赤字が多くなって、結論としてそういう国のいわば資本提供とかそういうのが行われなくなってしまった、したがって反省しようという、大体本当は五十五年のベネチア・サミット以来にそういう流れになりまして、それで今のところはサミットでは、とにかく各国が大体共通したようなインフレなき持続的経済運営をしようや、それには各国がサーベーランス、ちょっと言葉は余りよくないですが、監視をやってそういうふうにしようというので、本当はウィリアムズバーグ、ロンドン・サミットまではそういうことになっているんですね。したがって、今度のサミットで僕はいきなり日本に内需拡大という要求が、今までの経過からいえば出にくいなという感じは持っております。
 で、ボルカーさんには私もちょっと、二言目にはと言っては悪いですけれども、しかし資本提供しているじゃないか、こういうことを我々も言いました、結果としてという言葉はつけていますけれども。それであの人、この間あの記事を読みながら、何だあんないつもすぐ資本提供と言うから、そんなのは要らない、それだけあればもっと国で使えばいいじゃないか、それによっておれの方の輸出が伸びていく方がいいじゃないか、こういうふうなことを言の葉に乗せられたんじゃないかなと思っておりますが、元来ボルカーさん自身もいわゆる機関車論的な問題にはそう積極的な人じゃないものですから、今度会ったときにはよく本音を確かめてみようと思っておりますが、しかし内需振興という姿勢は出さなきゃいかぬことは私もそう思います。それを減税でやるか公共投資でやるか、その問題は別として、そういうことは考えなきゃいかぬ課題だと思っております。
○青木茂君 内需振興をやらなければいけないんだと。これは大変ありがたいんですけれども、公共投資は利権と結びつきやすいから、減税の方がいいですよ。不特定多数にプラスが返ってくるわけですから。公共投資をやると、すぐそこに何かおかしなものが群がってきますから。まあ、それは冗談として。
 それから、どうも景気の回復がかなりいいようだ。今五十九年度の税収実績で一番新しいやつは一月分ですか。
○政府委員(大山綱明君) そのとおりでございます。
○青木茂君 どれくらいですか。
○政府委員(大山綱明君) どのくらいとおっしゃいます趣旨でございますが、進捗の状況というようなことでございましょうか。
 予算額に対しまして、現在進捗率が六六・三%までいっております。約三分の二入っている状況でございます。
○青木茂君 税収の金額、仮に六十年一月と限定しますと、金額どうでしょうか。
○政府委員(大山綱明君) 一月末の累計でございますが、二十三兆八百五十二億九千五百万円でございます。予算額が三十四兆八千三百五十億でございます。
○青木茂君 前年対比、どうでしょうか。
○政府委員(大山綱明君) 前年対比で一〇六・七でございます。ちなみに補正後予算額の五十八年度決算対比は一〇七・七でございます。
○青木茂君 順調にふえておるわけですね。
 それから、大蔵省が先般お出しになりました景気予測調査におきますと五十九年度の企業収益は一六・九%ぐらいふえる。これは非常に大きな数字。そうすると、どうもことしの三月期の法人決算はかなりいい数字が出て、税収もふえるんじゃないか。そうすると、どうもこれは六十年度は剰余金がかなり出そうだ。剰余金が仮に出たと仮定しますよ。これは将来のことだからわからぬけれども、出たと仮定したら、それを減税に回すというお気持ちは大臣、今持っていらっしゃるかどうかということをお伺いしたいんですけれども。
○国務大臣(竹下登君) 例の与野党の合意の中に、経済情勢の推移を見ながらという言葉がございますので、それはそれとして、出た結論は尊重する。で、財政当局で言えば、仮定の事実ですけれども、一%は誤差のうちなんて僕はよく粗っぽい話をしますが、仮に一%であろうと剰余金が出た場合、やっぱり今の素直な心境から言えば、それは国債整理基金にそれを入れさせていただきたいという気持ちにやっぱりなります、それはどうしても。
○青木茂君 そうおっしゃらずに、例えば五十六年度はラーメン減税といって余り評判がよくなかったけれども、それでも剰余金を減税に回しましたね。それから昨年度ですか、昨年度も剰余金財源というものは減税にお回しになった。だから、ここではもう剰余金というものは源税財源であるという定義を私はした方がいいと思うんです。それでないと、とにかくインデクセーションがないんだから、給与生活者としては実質増税になってしまいますから、せめて剰余金ぐらいは減税の方向に出していただくということを私としてはお願いしたいと思いますね。
 引き続いて伺いますけれども、これは私は通告したかどうか覚えがないのですけれども、おわかりにならなければ結構ですから。
 今度の六十年度予算で申告所得税関係の伸びは何%ぐらい見込んでいらっしゃいますか。
○政府委員(大山綱明君) 二・四%の伸びを見込んでおります。
○青木茂君 源泉所得税はどれぐらいでしょうか。
○政府委員(大山綱明君) 一二・九%の伸びでございます。
○青木茂君 そういたしますと、申告所得税の伸びが二・四%の増加見込み、源泉所得税の伸びが一二・九ですか、一二・九%の増加見込み。この一二・九という数字は恐らく春闘相場を大きく上回るという数字だと私は思うんですよ。そうなるとさっき剰余金の話も出ましたけれども、補正前と補正後の仮に差額が出た場合に、これは一口自然増収と片づけてしまえば話は簡単でございますけれども、私は自然増収なるものの内容に踏み込んで見ると、高い累進税率の中で所得分散ができない源泉徴収で所得をフルキャッチされるところの給与所得者の犠牲というのか貢献というのか、それによってかなりな自然増収が出たというふうに見ざるを得ない。そうなりますと、その自然増収分を給与所得者の方に何らかの形で還元するという方向は出ないものかどうかということを大臣にお伺いしたいんです。
○国務大臣(竹下登君) これは基本的には法律で剰余金が出たら半分は国債整理基金に入れることになっているわけですが、大平答弁でたしか当面は全額入れる。したがって四百八十億でございましたか、あれは五十五年の剰余金を五十六年に戻し税でやっちゃったわけですね、ラーメン減税と言われたときでございますけれども。あのときちょうど私、大蔵大臣を休んでおったときですが、
五十五年の決算は私が編成した予算でしたから非常に興味を持っておりましたが、法律をつくりまして、要するに入れなくてもいいという法律をつくって減税財源にしたわけですけれども、余り寝覚めは本当はよろしゅうございませんでした、実を申しまして。
○青木茂君 そうかな、寝覚めはよかったんじゃないですか。
 今、給与所得者の課税最低限が二百三十五万七千円ですか、間違っていたらちょっとあれですけれども、六十年の政府見通しの消費者物価上昇率、ちょっとこれどれぐらいとお見込みでしょうか。これは通告してないからあれですけれども。
○政府委員(北村恭二君) 政府の経済見通しでは、消費者物価の上昇率二・八%と見ております。
○青木茂君 そうすると、消費者物価上昇率二・八%とすれば、その分だけいわゆるインデクセーションと申しますか課税最低限の引き上げをやりましても、私は財源はそんなに要らない、千六百億から二千億あればできるんじゃないかと思うんですよ。そうすると私は、先ほどの自然増収なり剰余金なり、何らかを、その金額が将来出たとして、それを一部つぎ込めばインデクセーションできるんじゃないか、給与所得者に対してですね、と思うんですけれども、物価スライド制、これにつきましては将来やる方向のおつもりがおありになるかどうか、そこを大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(竹下登君) これは昔、まあ昔といってもそう昔じゃございませんが、物価調整減税というのをやったことがございました。そのときやっぱり問題になったのは、税を納めない人はどうなるかということがございました。その後は超物価安定、他国に比べても水準は高くない。さればやっぱり、インデクセーションという物の考え方は我が国の国情からいってこれはとるべきではないじゃないかという考え方で、残念ながら、青木さんの立場になれば残念ながら、そういう考え方で来ておる。
 いつもインデクセーションの場合気になりますのは、税金を納めない人はどうだという議論がもう一つあることはあります。これは、減税全般にもある議論でございますけれども。そのこともやっぱり考えておかなきゃならぬ課題だと思います。
○青木茂君 最後に。一時話題になりまして消えてしまった、最近はどうも余り話題になっておらないんですけれども、税金を納めない人に対して負の所得税といったような考え方がかってあったことがあるんですけれども、そういう考え方も取り入れて、インデクセーションを入れながら税制全体というものをもう少し、本当にシャウプ以来抜本的に考え直してみる。その考え直してみるプロセスの中においてやはり最も光が当てられなきゃならないのは、もうシャウプ以来不公平税制の名において犠牲になってきた給与生活者である、給与所得者であるという基本方向は、大臣、これはお認めいただけますか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる所得税が基幹税となった、しかも比較的給与所得者はその捕捉率が高かった、パーフェクトだったという現実を私は否定するものじゃございませんが、やっぱりインデクセーションの問題になりますと、一つにおきましては、いわゆるインフレ心理を刺激するとか、今までの我々の勉強ではいいのが出てこない。この間も持ってきておりましたが、今もございましたので、シャウプさんと主税局長とが五十六年九月九日に対談しましたが、そのときにも、国民のインフレ心理を是認してしまう、所得税のみならず減価償却、キャピタルゲイン、債務者利益等インフレによって同様に影響を受けるものについてもインデクセーションを導入しないと不公平になる。インフレーションはどの国でもある程度は避けられないものであるが、ある程度のインフレ率なら所得税のインデクセーションは不必要であると。これは、シャウプさんもそう言っちょるな、こう思いました。
○青木茂君 大いに不満ですけれども、終わります。
○野末陳平君 まず、相続税のことを聞きたいんです。
 国税庁に最近の課税状況を説明してほしいんですが、件数とそれから平均納税額などのここのところ最近数年間の推移、それどの程度まで、二、三年で結構ですが。
○政府委員(冨尾一郎君) 相続税の課税状況につきましては、とりあえず昭和五十八年中の相続税の状況を申し上げますと、相続税の課税対象となりました被相続人の数は約四万人でございまして、五十八年中に亡くなった方七十四万人中の四万人でございます。また、相続税の納税者の数であります相続人の数は十一万一千人でございます。相続税の対象になりました課税価格は五兆二十一億円、また相続税の納付税額は七千百五十三億円でございます。
 さかのぼって申し上げますと、五十七年分でございますが、これは約三万六千件でございまして、金額が四兆四千七百億円でございます。
 それから、さらに一年さかのぼりまして、五十六年は被相続人の数が三万一千五百人でございまして、相続の課税価額の合計が三兆八千三百億円でございます。
○野末陳平君 後でまた細かい数字をデータでちょっと出して資料としていただきたいと思うんですが、今のを聞いていますと、やはりこれは遺産の中身が土地中心になっている、その土地の評価が上がっているということが大いに関係しているんでしょうか、分析としては。
○政府委員(冨尾一郎君) 相続税の財産の内訳でございますけれども、昭和五十八年のデータで申し上げますと、土地が六九%、家屋、構築物が三・二%、有価証券が九・五%、現金、預貯金が八・一%、その他は一〇%ということでございます。
 三分の二以上が土地でございますので、土地の評価の上昇が先生の御指摘のように、相続額の上昇のある程度の理由にはなると思います。
○野末陳平君 土地を持っている人は非常に相続税の負担がきついということを言うんですが、一般的には相続税を払う人の数は今のデータのとおりそんなにいないわけですね。
 そこで、今後に向けて相続税というものをどう考えるか、その場合に、高齢化社会の問題もあったり、あるいは子供たちがもらう分にはこれは当然課税してという考え方も一方にはあったりするんですが、基礎控除の額、現在の相続税の基礎控除の額の二千万円プラス四百万円掛ける相続人の数でしたかね、これを今後どう検討するか、引き上げる方向があるのかどうか、その辺の感触を大臣にお聞きしたいと思ったりしているんですが。
○国務大臣(竹下登君) この問題は、中期答申にまさに「直ちに課税最低限や負担水準を見直さなければならない状況にはない」という一応の答申になっております。で、その余地は非常に乏しいのじゃなかろうかな。そもそもが、いつも言う話でございますけれども、これは非常に観念的な話をするようでございますが、我が国の相続税というのは児孫のために美田を買わずというんですか、そういう西郷南洲さんの精神が貫かれているんじゃないか、時々私そういうことを言っておりますが、今の場合、税制調査会の中期答申でもそういうふうになっておるところてあります。
○野末陳平君 僕も大体そんなところでいいと思うんですが、ただし高齢化社会などを考えますと未亡人の問題についてはどうかな、ここだけはまだ検討の余地があるのかどうかということがちょっとになりましたんで聞いたんですが、主税局の方からはどうですか。今のところは未亡人はもうとにかく二分の一というのがありますからそれで十分かとも思うものの、さて、これから夫に先立たれて十五年から二十年くらいの老後がある、年金問題がもちろん一番根本ですけれども、この相続税についてはどうでしょうか。
○政府委員(大山綱明君) 先ほど大臣もお答え申し上げましたとおり、税調におきましてもいろいろ検討していただいておりますが、そこで言われますことは、遺産の財産階層分布の状況とか平均的な実効税率等には格別の変化は見られない、こ
れは具体的には、先ほど国税庁の方から課税価格の総額についての時系列的なお話がございましたけれども、被相続人一人当たりの金額に引き直しますと最近さほど大きく変化はしておらない、したがいまして相続税の負担率を見ましてもさほど顕著な増加傾向にはない、こんなような実態があるわけでございます。
 事務的にはそういうことでございますが、かたがた財政事情とかいろいろな問題もございまして、ずっとこのところ相続税の課税最低限はいじらずにまいっておる状況でございますが、早急に見直さなければ弊害が生じているというふうな実態にはないのではないかと私ども考えてはおりますが、今後税調におきましても税制全般にわたる見直しが行われますので、その中においての検討はなされる、していただくべき事柄であるとは考えております。
○野末陳平君 では次へ行きましょう。
 前回のこの場でも出ましたけれども、いわゆるマル優問題から発展して節税商品ですが、節税商品の課税関係が非常にばらばらである、またわかりにくい、そういうようなことをもっとすっきりさせたいということが議論になっておりましたが、さて、現実問題としてこれの検討に入っているのかどうか、どの点を一番検討して見直さなきゃいけないという判断なのか、その辺、主税局。
○政府委員(大山綱明君) 節税商品と言われますものの中には、現在キャピタルゲインが非課税になっております、その非課税制度を利用したものがまず一つのグループ。それから二番目は、一時所得でございますとか譲渡所得の特別控除を利用したものがございます。それから三番目のグループといたしまして、雑所得の申告不要制度、二十万円以下が申告不要でございますが、それを利用いたしました商品、この三つぐらいのグループに分かれると思います。
 先生御案内のように、今年度の税制改正におきましてゼロクーポン債の中途売却益、これにつきましては課税をいたすということで過日税法を通していただいたわけでございますが、それ以外のものにつきましてはいろいろまだ検討の段階でございます。
 まず早急に手当てをいたさなければいけないと私ども考えましたのは、このゼロクーポン債のように全額が何と申しますか、絶対免税になると申しましょうかそういったものでございます、それを取り上げたわけでございます。
 あとの二つのグループの、一時所得等の特別控除五十万円を利用する商品、これは例えば具体的には一時払いの養老保険などがございますけれども、これにつきましては支払い調書が出される仕組みになっております。五十万円以下のものまで課税するというのは今の税法の趣旨ではないと思いますが、五十万円というのをあちこちて利用する、それは税法上はできないわけでございますが、執行上それを免れるというような事態があればそれは問題だ、そういう観点から私どもはアプローチをすべきかと思っておりますが、これにつきましては今の支払い調書の制度がございますので、当面その運用と申しますかその活用を図り、なお弊害が出るようでございましたら考えなくてはいけないという、そういう検討の状況でございます。
 あと、もう一つのグループでありますところの雑所得の申告不要制度、二十万円を利用した商品ということでございますが、これも考え方としましては今の一時所得、譲渡所得の特別控除につきましての考え方と同じでございまして、二十万円以下でございましたら少額不追及ということで課税されないでしかるべきだというのが税法で、それを今変える必要はないわけでございますが、その二十万円は不追及であるということをあちこちて利用するということが仮に目につくようになりますれば、それは法律的な手当をすべき事柄になってまいるかと思いますが、それにつきましても第二のグループと同じような考え方から、そしてまたこれにつきましては給与所得者等で千五百万円を超えるような方々でございますと申告不要という制度の適用もないわけでございます、そういうことで利用者の範囲も限られているのではないかということで、いましばらく検討課題ということで早急な手当てからは見送ったところでございます。
 以上でございます。
○野末陳平君 基本的な考え方はわかったんですが、実は大臣、僕もこういうことを聞かれると、教えることは教えるんですけれども、確かに節税商品なんですが、非常に矛盾を感じるのは、貯蓄に対する利息の非課税というのがマル優なり郵貯の枠、特別マル優があるわけですね、今度、節税商品というのは、それを超えた場合に利用するわけですから、それ以上のお金があるわけですよ。そうすると、今主税局からの答えがあったように、特別控除を利用したりあるいは申告不要制度を利用したりすると、結果的に利息とか配当とか、いろいろ名前は違うけれども、キャピタルゲインに対して税金がかかってこない。こういうことになると、これはやっぱり一種のマル優枠の実質的な拡大と同じことになりまして、結果的にマル優を超えてもなおかつこういう有利な道が開かれているというのは、制度上は今の主税局の答えで調書の問題もあったりするんですが、しかし一人の非課税枠が実は九百万でなくてそれ以上だということになりますから、ここら辺をほっといていいかなという気がしているんで、そこが一つなんです。
 それからもう一つ。雑所得だとか一時所得だとかいいながら、五十万円が特別控除だったり、あるいは申告不要の二十万円がとかいうようなわかりにくいのを置いておくというよりも、利子なら利子所得という形で全部統一した方がわかりいいのにな、こう思ったりする。
 この二点が実は、別に弊害は余りないかもしれませんが、このままで検討しないでおいていいかどうか、ここなんですよ、どういうことなんですかね、大臣。
○政府委員(大山綱明君) ただいま先生の御指摘の中で節税商品を買えば非課税枠が九百万円を実質的に超えることになるのではないかという御指摘が第一点だったかと思いますけれども、さように考えるべきなのか、私どもとしてはその枠がいわば実質的に広がるというふうに考えるのではなくて、やっぱりそれぞれの所得の性格に着目して五十万円控除とか二十万円控除、そこは少額不追及である、それを仮に乱用してみだりに使いまして、五十万円をわからないから何口も利用するということがあれば、それは捕捉体制の問題としてまずは考えるべきだと思いますし、捕捉体制が十分でない、法律上の手当てがなければ追っかけられないということであれば、また税制上の問題として取り上げるべきかと思いますが、何か枠が九百万を超えて随分広がっておる、こういうお考えというのは今の税法の建前、システムからいきますとそういうものではないと言うべきではないかと私考える次第でございます。
 それから、五十万円の特別控除とか二十万円の少額不追及の限度額とかいうその制度自身がそれでいいのか、利子所得ということで何か統合的な考え方ができないのかという御指摘でございますが、もともと所得を十分類でございますか分類をいたします。それは所得の種類ごとにその性格に応じて給与所得、雑所得、一時所得等々と分類をいたしておるわけでございまして、その所得の性格に着目しました特別控除なりあるいは申告不要制度というものがあるわけでございます。むしろそちらの方の制度に問題があるわけではなく、金融商品の方がいわば法のすき間をいろいろかいくぐってきている、私どもはそんなようなとらえ方をいたしますものですから、実態的には先生の御指摘のように金融商品がいろんな所得にばらばらに分類されるという御指摘も実態的にわからないわけでございませんが、私どもは保険というのは一時所得、これは一時的な性格のものでございますから一時所得、保険支払い受取金でございますね、というふうな分類をいたしておりますので、それではあえて一時払いの養老保険を利子所得のグループに整理をするか、そこまでおっしゃられるわけではないかと思いますけれども、そこまで
は私どももいささかいかがかなという感じがいたします。
○野末陳平君 ちょっと部分的に違うんですよね。だから乱用はこれは別問題ですね、総合課税ということからいくべき話なんですが。今の、金融機関が競争が激しいからすき間をねらっていろんなのを開発する、それはそれでいいと思うんですが、しよせん、お金を運用する方から見ればみんな貯蓄なんです。つまり、所得の性格によって税法上の扱いが違う、これは確かに制度から言えばそうだけれども、お金を運用する方は、あらゆるものは貯蓄であり、貯蓄は果実を生むという、そういうふうに考えれば、名前がどうあれ税法がどうあれ結果的に利回りがマル優もそれから節税商品も同じである、あるいは強いて言えば有利である、こうなるとやっぱり実質的なマル優枠拡大で課税を免れるための知恵だ、こうなるでしょう。
 また、僕はまたそれを教えるわけだね、はっきり言って。それは、あるから聞かれれば教えるけれども、そう教えながらやはり矛盾を感じて、お金がたくさんあれば、知恵さえ使えばいろいろある、これはマル優枠の実質的拡大だ、こう思わざるを得ないんです。もちろんそちらの考えはわかりましたから、大蔵大臣はどう感じるか、ちょっと聞きたいですね。
○国務大臣(竹下登君) 今の議論を進めていきました場合に、マル優そのものも結果として見ればこれは高額所得者だから利用できる制度であって、したがってこのマル優そのものに対してもある意味における公平性というのは分離課税にした方が公平じゃないか、こういう議論も現実問題としてあることはございますよ。したがって今のお話を聞きながら、確かに国際化あるいは自由化の時代でございますから僕らもよう覚えません、そんないろんなのが出てまいりますと。それが今おっしゃったような感じを生んでおるということは私にも理解できますが、それぞれの税の仕組みの中でそれをとらえてみればなかなか現実問題として難しい問題じゃないかな、しかしこれは、これだけいろんな商品が出てまいるわけですから絶えず注意して、また検討を続けていかなきゃならぬ課題だという問題意識は私にもございます。
○野末陳平君 率直に言いまして、マル優の悪用とか不正利用をしていることに比べれば当然いいんですよ。いいんですけれども、それにしても、わかりにくい説明をして、だから結果的にこれは得でなんていう素人にわからないようなのが税法であるというか、その扱いを受けている商品だというのがもっとすっきりすればなおいいのにと思ったりしているので、これを今後この課税関係をすっきりさせる方向で検討するのかどうか非常に関心があるわけなんです。
 余り急ぐ話じゃなさそうですが、今回はああいう本人確認、限度額管理になりましたけれども、いずれマル優問題がもう一度議論されるときにこの問題は避けて通れないだろうなという気がします。
 それで、一つだけ、これもここで当局に聞いても始まらないのだけれども、お年寄りの中に実に不運な人たちが存在するという例なんですが、例えばマル優額を超えましたと正直に言って金融機関に行くと二〇%の源泉、その後総合課税か三五%の分離課税か選択させられる。そうするとどちらと言われれば二〇%を選択します。つまりマル優を超えた貯蓄をまじめに二〇%の課税貯蓄で運用するというか、預けるというか、割と年寄りに多いのですけれども、これが支払い調書が回ると十万円を超えた場合には扶養家族を外されます。現実にそういう例は今物すごく多いですね。
 だけれども、その人が一六%の割引債券を買う知恵を持っていたら、これは全然そういう問題は起きてこないのですよね。そうすると税率は安いわ、扶養家族は外される心配もなくやれる。知恵があるかないか、知識があるかないか、それだけの差でしょう。こういうのが現実に存在するというのも非常におかしいという気がしてくるのですよ。だから、すっきりした課税関係でみんな素人にもわかるようになればこんな問題もなくなる。現にいろんな税務署から聞くけれども、税務署にどなり込んでいるの、いるのね。利子所得が十万を超えて扶養家族を外されて、年寄りが何でだ、こういう文句が現場では事実あるのですが、これも、あなたは二〇%を選ばなければよかったのにと言ってあげればそれでいいけれども、その人は知識がない、知恵がない、こういう矛盾というものがあるわけですよ。
 だから、素人にわからないような課税関係でいろんな商品が出てくることは、一方において有利に運用して得する人もいると同時に、損する人も出てくる。こういうあたりをほっとけないという気がしていたんですが、今の場合どうですか。これは一六%の割引債券というのがあるということが、ほかに比べて少し有利過ぎるのですよね。そんな気がするのですが。
○政府委員(大山綱明君) 現在、総合課税の対象となります資産所得が十万円を超えますと扶養控除が認められないというふうになっております。それは先生御指摘のとおりでございます。この制度自身は何と申しますか適切な制度だと思います。今の問題の御指摘は、一六%の分離課税を選んでいる人はそれから外れてしまうじゃないか、そこのおかしさなのかと思うのでございます。逆の方の、先ほど申しました十万円の方の総合課税対象となる所得、これがあっても扶養家族にすべきかどうか、それはむしろしないという税法の考え方に正しさがあるのだろうと存じますが、今の分離課税を認めておりますこういう割引債あるいは利子所得も三五%の分離課税がございますが、それにつきましてはその制度そのものが利子の受取段階でもう課税関係を完結してしまう。それによって執行の便宜にも資するし、そういった資産の所得者というのは税務署とは無関係になる。それがまさに分離課税の制度そのものでございます。税務署にも何も幾らの利子所得あるいは償還差益が発生したかというのは連絡がないような仕組みになっておりますので、したがいまして扶養控除の対象とすべきかどうかの判定基準になります十万円の中には入れない制度になっておるところでございます。
 問題はそこいら辺のところがおかしいという御指摘かと思いますけれども、分離課税のものにつきましては、先ほど申し上げましたように、受取段階で一六%あるいは三五%の課税をするということで課税関係は完結して一切税務署との縁もなくなるというような制度でございますので、それもそれなりの合理性は持っている制度であろうと思います。
 したがいまして、ちょっと変な言い方でございますけれども、よくそういった制度についての周知といいましょうか、先ほど御老人の例でございましたけれども、そういった方々には、そういうふうになっておりますということを、どこでございましょうか、銀行の窓口なり何なりが教えて差し上げるということでしか何か解決のしようがないような気がいたしております。
 制度そのものの御指摘のような点につきましては、税調でも実は議論がなされたことがございまして、現在、非課税貯蓄、マル優につきましても、それから発生いたします利子所得は、それはただいまの扶養控除の判定の十万円の中に入れないということになっております。その点についての、それは見直すべきではないかという議論もあることはございますけれども、現状はそのように考えておるということでございます。
○野末陳平君 かなり回りくどいんだよね。回りくどいんだけれども、肝心のところは言わない。要するに利子所得十万円で扶養家族を外されていて、それがだめだと言っているんじゃないんですよ。知恵があったり、ちょっと知識があったり、人に教えてもらった人は一六%で済んじゃう有利なものを選べる。課税関係がどうなっていようがそれはそれで済むのに、二〇%を選んじゃった人は、たまたまそれが利子所得が年間十万を超えたために扶養家族を外されちゃっている。わからないと言いますよ。それはわからないよ。だから、いや法律はと、こう言って年寄りなんぞをいじめたくな
いわけで、そういうわかりにくい、あるいはちょっとしたきっかけでもって大きな差が出てくるというような税法が制度的に見て、つまり主税局から見ればそれでいいんですよ、だけども、そういうわかりにくい、あるいは説明をたくさん要するようなものにしておいて、いわゆる貯蓄関連の商品を、あるいは課税関係をほっておいていいかどうか、こういうところなんです。
 僕は、要するに、お金の運用や何かは自分が勉強しなきゃだめなんだから知恵のない人はだめだと言いたいところですけれども、しかしPRも周知徹底していないし、また、したってこういうのは難しいですよ、わかりませんよ。雑所得だ、一時所得で五十万円控除して、そんなこと普通の人はわからない。ましてや利子所得十万円以上は扶養家族を外されちゃうんだ、マル優関係だったら大丈夫なんだというと、大臣、マル優を悪用している人は得しちゃうんですよ。あるいは、悪用とは言わないまでも、分散してうまくやっている人は得するんですよ。まじめなやつはいつも損する。だから、そういう被害者に説明しにくくなっちゃうんで、そこを素人にもわかりやすい課税関係をこの貯蓄商品に限ってはしていく方向を研究すべきでないか、そういうふうに僕は常々思っているということなんです。
 とにかく、そちらで余り緊急性を要するとは考えていないようですから、また後日ほかの例でいろいろあれします。
 もっと大事なことは、この問題はこれでいいんですが、今まで捕捉率の問題とかいろいろやってきたんですが、申告書を出した人についてはそれにしても記帳義務とかいろんなことが今回新しくなりましたし、それから調査もできたりとかあるんですが、そもそも申告書を出していないというそういう人たちに対してどうするかということをちょっと聞いておきたいんです。
 自営業などの業種でもって申告がどのくらい出ているか、大ざっぱでいいですけれどもわかりますか。
○政府委員(冨尾一郎君) 現在、所得税の確定申告につきましてはまだ五十八年分の数字しかございませんが、五十八年の確定申告をなさいました方は合計で約七百万人でございます。それから、還付申告がそのほかに五百七十万件ほどございます。
○野末陳平君 それで今度は、つまり自分で商売していても申告しない、それは意図的にいわゆる潜りみたいなのもあれば、自分で経費がかかって赤字だからしないとか、そういう人もいますね。つまり、申告書を出す立場なのに申告書を出していない、申告していない、そういう人たちなどを含めて今の申告の率を聞きたいわけですが。
○政府委員(冨尾一郎君) 申告をしていない人の数ということになりますと私ども大変難しい話でございますが、一つのデータとして申し上げさせていただきますと、実は私ども昭和五十七年に、全国の特定の地域を選びまして悉皆的にその地域の中で、申告をされておられる方ないしは申告されてない方も含めてお住まいの方全部につきまして世帯主の申告状況を調査したことがございます。
 これによりますと、新調査対象は九千百三十七人、世帯主でございますが、この中で本来所得税の申告をすべきであったにもかかわらず申告をして所得税を納付していなかった方というのが三十一人ほど見つかりまして、割合でしますと〇・三四%というような数字が一応手元にございます。それ以外にはちょっと全体としての無申告者の状況ということについてのデータは私どもございません。
○野末陳平君 それは事実、無理なんですよね。次から次へ会社をつぶしたり店をつぶしたりとか、あるいは初めから潜りでやっているとか、いろいろありまして、その無申告者の実態はわからないんですが、一つ気になるのは、要するに今の申告のやり方は、自分で経費を出しまして最終的に所得が出ていなきゃ申告書をつくる必要はないわけですね。そうするとこれは、かなりの税法に通じた人間でなきゃできないことなんです。経費が何かという問題から始まって、結果的に所得が出た出ないというけれども、そこまでやって正しい所得計算の後に申告書を出さないというならわかるんですよ。しかし、それができてないで申告書を出していないという人の方が圧倒的じゃなかろうか。あるいは意図的に赤字にしちゃう、経費をたくさん出し過ぎたりとか、人件費を家族にも払い過ぎたりとか、そういうことだって当然あるわけでしょう。
 ですから、申告書が出た人は非常にチェックされてまたよりよい申告に指導されるんでしょうが、出てない人たちに対してどういうふうに今後取り組んでいくのか。そこにも、チェックすればいろんな問題が当然予想されるんだけれども、その辺は対策はどういうふうに今までやってきたんですか。
○政府委員(冨尾一郎君) まさに先生御指摘のように、申告納税制度のもとでございますから納税者の方できちんとした計算をしていただくということが基本でございます。そのためには、昨年の税法改正で記帳制度を導入していただきまして、白色申告者の、青色申告でない白色申告者の方に対しましても一定の納税者の方には記帳をしていただくという記帳制度を導入していただきましたことは、この意味でも大変プラスというか前進であろうかと考えております。
 ただ、私どもとしては、現実に本来申告すべきにもかかわらず申告されてない納税者の方がいらっしゃるのも事実でございますので、一つは地方税当局からいろんな情報とか御連絡をいただくということとともに、いろんな資料、新しく商売を始められたとか、いろんな情報を収集いたしまして、無申告者の把握ないしは事後の調査によりましてチェックをしていくというふうに努めておるところでございます。
○野末陳平君 問題は、時代が変わってきまして、お店を張っている人たちはまだそうやって目につきますから地方税関係の職員も実態をつかむことが不可能じゃないんですね。だけれども、今やいろんな仕事が出てきましたから、店を張る仕事じゃない仕事の方が多いわけですよ。となると、その人たちは、記帳義務があろうがなかろうが初めからもう申告する気もない。だけれどもかなりの所得がある。ここはだれが調査していいかというと、調査なんていう対象にならないんですね。そういう存在がこれからふえるとすれば、ここら辺をどう今後扱っていくべきか、これは非常に大きい問題だと思います。
 なぜならば、例えばサラリーマンの主婦などがパートに出たりする。そのときの話題に、家庭教師なんか大したことはないですけれども、要するにおけいこごとの先生から始まって、セールスをやっている人から始まって、同業つまり主婦仲間ですか、主婦仲間ですごいいい仕事をしている人たちが話題になったりする場合に、税金を払っていないのは当たり前になっているんだよね。それは捕捉が難しいし、本人が申告する気がなきゃそれで通っちゃいますよ。だけれども、こういうのがふえてくると、またそれでサラリーマンの主婦が、うちの主人は源泉徴収でと、こう実際言っています。だから僕は、お店を持って商売をしている人たちは、記帳義務というようなことからまだ前よりはいい点も出てくると思うんですが、そうでない人たちもたくさんいるし、そういうのを全部ひっくるめると、――申告書を出した人が常に修正申告に及ぶようなチェックを受けて、一万円でも二万円でもいろいろとチェックを受ける、これはこれでいい。だけれども、申告書を出さない方がもっと得である、こういうふうになりかねないんですね。
 そういうふうな風潮が出てきているというのを事実耳にするので、それが心配だから、国税当局はそれにどう対処していくのかが聞きたいんです。これは難しいし、簡単にこうであると言えないところがあるので、むしろ申告してもらう納税意識の啓蒙から始まらなきゃならない話ですが、それにしてもどうでしょう、申告書が出ていない
方が有利だというようなことが仮にもあったら、そんなばかなことがあっちゃいけないんだけれども、それがないとも言えない、現実にね。それについてはどう考えます、今後の問題なんですけれども。
○政府委員(冨尾一郎君) まさに先生御指摘のように、最近はいわゆるニュービジネスとかソフト産業ということで、店舗を構えないいわゆる無店舗販売のようなものとか、サービスを中心にしたもの、しかもほとんど現金取引、こういうようなものがあることは確かにおっしゃるように事実でございます。私どもとしてはやはりその辺について、どういう形で資料を集めていったらいいか、どういう形でそういう経営の実態をつかめるかということで実は大変苦心をしておりますが、いろんな情報の中から私どもとしては端緒をつかみながらやってまいりたいと思っております。
 例えば一例として、普通お店という形で営業の方、所得の方からのアプローチも一つの方法でございますが、例えば非常に高額な資産をお持ちになっているとか、やはり目に見える形でお住まいの方、つまり生活の面でいろんな状況があります場合には、高額資産の取得資料ということで、いろいろと実は項目について私ども資料収集しております。そういうことも含めまして、表、裏からいろんな面でアプローチをしながら、そういう申告漏れの有無につきまして今後とも目を光らせていくということで努力してまいりたいというふうに思っております。
○野末陳平君 努力しているのはわかるけれども、何しろ人数も少ないのでほんの一部しか及ばないから、そこで最終的には、これはもう申告のやり方を少し変えなきゃならないかなというところまで最後はいくんですね。要するに、自分で計算をちゃんとして、所得が出てなかったらいいんですよと言ったって、計算がちゃんとできない、あるいはいいかげんな計算をする、それをいわゆる申告納税の建前にしておくのがいいのかどうかというところまでいくだろうと思います。
 どちらにしても、今後どうするか、こういう問題が恐らく出てくると思いますので、考え方の一端だけを聞いてもらって、また後日やることにします。
 終わります。
○委員長(藤井裕久君) これをもって昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、大蔵省所管、国民金融公庫、日本開発銀行及び日本輸出入銀行についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十五分散会