第102回国会 大蔵委員会 第16号
昭和六十年六月十一日(火曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 六月六日
    辞任         補欠選任
     倉田 寛之君     中西 一郎君
     吉川  博君     後藤 正夫君
     青木  茂君     木本平八郎君
 六月七日
    辞任         補欠選任
     後藤 正夫君     吉川  博君
     中西 一郎君     倉田 寛之君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
    委 員
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                木本平八郎君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       大蔵政務次官   江島  淳君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       大山 綱明君
       大蔵省主計局次
       長        平澤 貞昭君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理財局長  宮本 保孝君
       大蔵省理財局次
       長        中田 一男君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   参考人
       日本銀行総裁   澄田  智君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る六日、青木茂君が委員を辞任され、その補欠として木本平八郎君が選任されました。
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○委員長(藤井裕久君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案の審査のため、本日、参考人として日本銀行総裁澄田智君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(藤井裕久君) 次に、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 まず、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 御承知のとおり、我が国財政を取り巻く環境には極めて厳しいものがあります。
 このため、政府は、昭和六十年度予算編成におきまして、引き続き財政改革を強力に推進するため、特に、歳出の徹底した節減合理化を行うことを基本とし、あわせて、歳入面についてもその見直しを行い、これにより公債発行額を可能な限り縮減するよう最大限の努力を払ったところであります。
 まず、歳出面におきましては、既存の制度、施策の見直しを行うなど徹底した節減合理化を行い、その結果、一般歳出の規模は前年度に比べ三億円の減額となり、これは昭和五十八、五十九年度に引き続き三年連続の対前年度減額であります。
 他方、歳入面におきましては、税負担の公平化、適正化を一層推進するとの観点から税制の見直しを行うとともに、税外収入について、極めて厳しい財政事情にかんがみ、可能な限りその確保を図ることといたしております。
 しかしながら、これらの措置をもってしても、なお財源が不足するため、昭和六十年度においては、特例公債の発行を行うこととするほか、国債費定率繰り入れ等の停止などの措置をとらざるを得ない状況にあります。
 本法律案は、以上申し述べましたうち、特例公債の発行等、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置を定めるものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、特例公債の発行についてであります。
 昭和六十年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で特例公債を発行できることとしております。
 第二に、国債費定率繰り入れ等の停止についてであります。
 昭和六十年度における国債の元金の償還に充てるべき資金の一般会計から国債整理基金特別会計への繰り入れについて、国債総額の百分の一・六に相当する金額の繰り入れ及び割引国債に係る発行価格差減額の年割額に相当する金額の繰り入れは、行わないこととしております。
 第三に、政府管掌健康保険事業に係る繰り入れの特例についてであります。
 昭和六十年度における一般会計から厚生保険特別会計健康勘定への繰り入れについては、健康保険法に規定する国庫補助に係る額から九百三十九億円を控除して繰り入れるものとするなどの措置を講ずることとしております。
 次に、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 昭和六十年度以降、国債の大量の償還、借りかえという事態を迎えることとなりますが、本法律案は、これに円滑に対応するため、国債整理基金特別会計について所要の措置を講じようとするものであります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、年度内に償還される短期の借換国債の発行及び償還をこの会計の歳入歳出外で行うことができることとしております。
 また、翌年度における国債の整理または償還のため、予算をもって国会の議決を経た額を限度として、借換国債を前倒し発行することができることとしております。
 次に、政府に無償譲渡された日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の株式のうち売却可能分については、国債の償還財源の充実に資するため、この会計に帰属させることとするなどの措置を講ずることとしております。
 最後に、産業投資特別会計法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 ただいまも申し上げました政府に無償譲渡された日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の株式のうち政府の義務保有分については、産業投資特別会計の資本の充実に資するため、この会計に帰属させ、その配当金収入を同特別会計において活用することにより、もって、国民経済の発展と国民生活の向上に資することとするなどの措置を講ずる必要があるので、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、政府に無償譲渡された日本たばこ産業株式会社及び日本電信電話株式会社の株式のうち政府の義務保有分については、産業投資特別会計の資本の充実に資するため、この会計に帰属させることとしております。
 次に、一般会計への繰り入れ規定を設けるなどの所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上が、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
 なお、これらの法律案は、いずれもその施行日を「昭和六十年四月一日」と提案しておりましたが、その期間を経過しましたので、衆議院におきまして「公布の日」に修正されておりますので、御報告いたします。
○委員長(藤井裕久君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○赤桐操君 昨年度の財源確保法をめぐっての論争が大変厳しく行われてまいったところでありますが、この論争についてはいろいろ私どもと政府側との間には詰め切れなかった、歩み寄れなかった部分がかなりあったと思うのです。そしてその中で、将来我が国財政に重大な影響を及ぼすものであろう、そしてまた政府の努力によってはこれを排除することができる、こういう考え方に立ちまして法案成立の条件として附帯決議がつくり上げられたと思います。
 私はまず、政府は政策転換によりまして特例公債を建設公債と同様に借りかえることとなりました。このことが後世代への負担の転嫁として大きく残っていく、これが六十年代の財政運営に大変取り返しのつかない大きな問題となるのか、それとも合意に基づいて政府の大きな軌道修正が功を奏して、これから新しい方向をつくり上げることができるのか、大変重大な岐路に立っているというように考えております。そういう認識の上に立ちまして、この附帯決議の各項目にわたりましてこれから、一年間にわたってきた経過と、いろいろその後におけるところの経緯等があると思いますので、お尋ねをしてみたいと思います。
 まず、附帯決議の第一項であります。
 第一項については、従来の目標年次を定めた特例公債依存体質からの脱却ということが一つ大きくうたわれております。その六十五年度を目標とする年次を一応想定いたしまして、目標達成に至るまでの手順と方策を具体的に明らかにする、こういうことが述べられておるわけであります。
 そこで問題は、この具体的な手順と方策であります。これをひとつお伺いしてみたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 附帯決議の第一項目目とでも申しましょうか、目標達成に至る手順と方策を具体的に明らかにすべきである、こういうことについてのまずお答えをいたします。
 特例公債依存体質からの脱却目標達成に至ります具体的な手順と方法につきましては、附帯決議をいただいた際に私から発言を申し上げましたように、具体的な歳出削減計画、それから増税計画を策定してお示しすることはこれは困難でございます。だから、決議の趣旨とそれから昨年からの国会で御議論を踏まえ私が何とか半歩でも進んだものをお示しできないか検討を重ねたいという趣旨のことをたびたび申し上げたわけであります。その検討を踏まえまして国会に、「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」と、そして中期的な財政事情に基づきます財政の中期展望や仮定計算を出しました。これらは結果的には去年と同じものじゃないか、こういうことになるわけでありますが、それは、六十年度予算編成において歳出、歳入両面において財政改革に向けての懸命の努力を行いますとともに、税制全般について幅広い角度から検討を行うことが必要との認識をそのほかに明らかにしております。
 それから、歳出面では、補助金のあり方について抜本的な見直しを始めることとしております。そして、国債償還財源の充実に資するために電電株式を国債整理基金へ三分の二帰属させる等の方法を示すなど、言ってみれば提出した中期展望と仮定計算は同じものでありますが、透かし絵とでも申しましょうか、そうした形の中にそのような方向を明らかにするという意味で、半歩なりの前進という努力のあらわれとこれを理解していただければ幸いであります。
 いずれにしましても、毎年毎年の予算編成に当たりまして精いっぱいの努力をこれからも重ねていかなければならないというふうに考えておるわけであります。
 その要調整額を埋める具体的方法ということについては、今後ともこのような努力を続けていく必要がございますが、歳出、歳入両面にわたるいろいろな施策の組み合わせが結論からいえば必要であるわけでありますので、それらの中でどのような政策手段の組み合わせを選んでいくかということは、まさに毎年毎年の国会の問答等を通じまして最終的には国民の合意と選択、コンセンサスがどこにあるかということを見定めつつ、現在の試算よりも半歩でも進んだものをお示ししていくためにいま少し透かし絵みたいなものを出したわけでございますが、いろいろな議論が交わされる中で、国民の合意が那辺にあるかということを見出していく努力が必要ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。そこで、これから議論をするに際しましても、例えば具体的にいろいろな前提をお示しいただいたものについて、可能な限りの協力をして、相互の試算のすり合わせ等をやっていくというのも一つの方法ではなかろうか。
 いささか話が長くなりましたが、そのように考えております。
○赤桐操君 透かし絵と言われておるわけですが、どうも透かし絵にも見えないと思うのですよ、大変申しわけないと思うんですが。
 今どこが透かし絵かなと思って伺ったのですけれども、強いていえば電電の株が透かし絵ぐらいに見えるかなと思って伺いましたが、その額その他を比較して見るというとこれも透かし絵までいかないぐらいの額しかないのじゃないかなと思っているんです。
 今までも大体、中期展望とか収支計算書というのは毎年出ておりました。私は去年のこの附帯決議によって、ことしの二月の中期展望あたりにはかなりいろいろなものが、本当の意味における透かし絵ぐらいが出るかと思ったんですけれども、残念ながらこれは出なかった。今の大臣の御答弁、既にもう一年を経過しているわけであります、ちょうど昨年から見て一年でありますが、余り私は工夫が重ねられてでき上がってきた道筋としてお伺いするような内容とは受け取れない、こういうふうに実は伺っていたのであります。中期展望等がこれから出されると思うのですが、来年の中期展望あたりにはもうちょっとしっかりしたものが出てくるのかどうなのか、この点ひとつ伺っておきたいと思うのであります。
○国務大臣(竹下登君) 来年ということになりますと、今赤桐さんがおっしゃいました電電株というようなものの定量的なものがどのように予測されるかということが一つ考えられますが、ただ私は何分、どうして値決めをするのか、そういうものをあらわすことはなかなか難しいので、量的にそれらを計画性を持って透かし絵を浮き彫りにするというのは、結論から言うと非常に難しいことではないかな、こういう感じがしないわけでもございません。
 もう一つは、ことし一年限りの措置としての補助率問題を御審議いただきましたが、これが一年以内に結論を出して仮にもし一つの恒久化した法律になったとすれば、これはやっぱり試算の中にそれなりの影響はもたらしてくるものになるのではなかろうか。
 それからいま一つは、税制改正、こういうことを言っておるわけでございますが、これにつきまして、さて来年度の中期試算の中で税制改正に伴う中期試算というのができる状態になるかどうかというのは、今後の税調や国会の御議論を承った後でないと判断ができないのではなかろうか、こんな感じがしております。
○赤桐操君 大臣、私はこう思うんです、あなたの御答弁、本会議の答弁の中でこう出ているんですよ。
 しかし、新たに加わったこととして、税制全般についての幅広い角度からの今後の検討、補助金のあり方についての抜本的見直し、そして国債償還財源の充実に資するために電電株式を国債整理基金へ三分の二帰属させる、そういう将来の方向というものを明らかにしていきたい。
 こういうことを言っていますね。これはこの間の本会議の御答弁ですから間違いないと思うんです。この答弁をおっしゃったと思いますね。そうしますと、本来この委員会には、税制全般についての幅広い角度からの今後の検討とはどういう方向で考えるのか、あるいは補助金の整理というならば、これからはもう一歩突っ込んでどのような補助金整理の方式を考えるのか、それによってどれだけの財源が浮いてくるのか、節減できるか、増収することができるのか、こういうことが原則的に明らかにされなきゃならぬと思うんです。
 それで、さっきちょっと透かし絵と私も言ったんですが、電電株は、あれは全部処理して大体幾らぐらいになると見込むんですか、大臣。
○国務大臣(竹下登君) 最初の二つの問題をまずお答えしますと、税制改正を行いたい、そして国会の議論を集約して政府税調等でこれから議論をします、それには予見を挟みません、こう言っておりますので、それが出ないとその透かし絵がどの程度浮き彫りになるのかというのはちょっと答えにくいかな。それから補助金の問題でございますが、本院で適していたださました次の閣議で、一応検討委員会を設けるということが決まったわけでございます。それで第一回が行われて、今度はこの検討委員会へプロのお方にお集まりいただいて御審議をいただく、これは予算編成までにということになっておりますから、したがってこれはいずれは補助金、補助率のあり方について、国と地方との費用負担のあり方がいかにあるべきかという角度から出てくるでございましょう。そうしてそれは、来年度予算に盛り込みますと、それが今度は中期試算にもそのままはね返ってくるようにこれはなると思います。
 それから、今おっしゃいました電電株の問題でございますが、こいつばっかりは、初めてのことでございますので、どのくらいになるかと言われましても、わからぬと言うしかたいだろうと思っております。実際、こんな不思議な、不思議と申しますか、株主は今一人でございますから、一体放出するということになると値決めをどうしてやるのか、プロの意見を聞くといったってプロは一人も日本じゅうにいないわけでございますから、これから民間有識者の意見とでも申しましょうか、そういうもので、いついかなる形でどのような方法でというようなことを決めていかなきゃならぬ課題ですが、何分関心の高いものでございますので、いささかも国民の疑惑を生むようなことがあってはなりませんし、これについてはいわば透かし絵でなく、株券が存在しておるというのはまさに透かし絵でございますけれども、何ぼになるかというのはまさに白紙、こういうふうに申し上げるしかないのじゃないかな、また、いい知恵がありましたらひとつ御提供をお願いしたいと思います。
○赤桐操君 大臣、私は率直に申し上げますが、電電株というのは、どんなに高く売ろうとしたって限度があると思いますよ。これは第二ラウンドでは値が出るかもしれません、出せるかもしれぬけれども、大株主のあなたがそういうようなことじゃ甚だ困るんだけれども、率直に申し上げて私は限度があると思います。これは五千億のものを十倍に見たってせいぜい五兆円ですよ。これはどう考えてみてもそこいらの程度だと思う、率直に言って。したがって、これがいわばこの附帯決議に述べられておる手順と方法の大きなウエートを占めるということにはなり得ないと思うんです。いわばこれは、そういうものは、一つの常態として考えられる中で別な枠として出てきたものとして考える以外にはない、こういうように私は思うんです。
 したがって、この私どもの大蔵委員会で本格的に論議するためには、政府みずからが、どういうものであるかということをこれはもう私は出すべきだと思うんです。これが出てこなくては論議になりません。だから私から申し上げておるわけなんだが、それは来年の中期展望あたりでは出るんですか。また、出さざるを得ないんじゃないんですか、あれからもう一年たっておりますよ。それでなおかつ出ないんでは、これは手順と方策の論議のしようがないではないでしょうか。増収の対策としてはどのような方法を打ち出しますか、削減の方法としてはどのような方法を打ち出しますか。端的に申し上げれば、もう、収入の道を得るか、あるいは削減をするか、いずれかの道を選ぶ以外にはない。あるいはこれらの両方を兼ねる以外にはない、こういうことになると思うんです。
 電電株というのはプラスアルファにすぎない。これは本質的なものではない。
 本質的なものは、今申し上げた、大きな削減をして帳じりを合わせるか、収益を図って帳じりを合わせるかどっちかしかない、こういうことになると思うんですよ。あるいはその両方を一緒にしたものでしょう。そう考えるというと、これはもう、今ここで真剣にこの論争が行われにゃならぬ段階に来ているのじゃないか。去年あれだけの大論争をやって一年ほどたった。今日のこの大蔵委員会の場でそれが真剣に取り上げられて、各党の意見が開陳され、論議されて、そして相当の論戦を闘わしながら半年か一年かかって次の新しい展望が開けるのかどうなのか、こういうぐあいに私はなると思うんです。国民の合意ということはそういう中で得られることではないんですか。
 大臣いかがですか。私はそう思って、実は期待して大蔵委員会にきょうは出てきたんです。あなたの提案説明と同時にそういう御答弁が伺えるかなと思って来たんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) まさに、先ほど申し上げましたように、こういう国会の問答の中で国民の合意というのが徐々に徐々に浮き彫りになっていくものではないか、それを踏まえて毎年毎年の予算編成のときに衆知を集めていかなきゃならぬ課題だ、私はこういうふうに考えておるわけであります。
 先ほども申し上げましたように、そしてまた赤桐さんからも御指摘がありましたように、電電の売却収入というのはプラスアルファだ。まあプラスアルファでも大変これは期待を持っておるプラスアルファではございますが、これがこの法律の御審議をいただくことによって我が方に、我が方といいますか、いわゆる帰属が明らかになっていく、これが透かし絵でございます。それを今度は定量的に、何年にはこれぐらいで売っていきますというのは、値決めがあってそれから放出するということになりましても、年間、大体新株というのは時には一兆円を割っておりますし、時には新株の発行が市場へ出回るのが一兆七、八千億ぐらいのことがございますか、したがって、そうむちゃくちゃにと申しますか、大量に放出できるものでもなかろうと率直に思うんです。そうすると、そこのところはまさにこれから民間有識者の意見等を聞きながら決めていくことでございますので、定量的にそれが、透かし絵がまさに浮き彫りにされる性格のものかどうなのかということに対しては、私もしかとした自信のあるお答えを今日の時点では申し上げる能力には達していないと申し上げるべきであろうと思うわけであります。
 もう一つ考えてみますと、これはあるいは余談だとおっしゃればそれまでですが、来年仮に予算に計上するか。こうしたときに、いわばまだ一年たって決算ができていなくて財務諸表がないままに、半期決算ぐらいは見られるかもしれませんけれども、ある種の価格を決めて計上するということは、結果的に非常に変動する可能性のあるものをどういうふうにして、計上すべきかというのも勉強の課題に今とっておるわけであります。したがって、このものは、計画的な定量性を持って中期試算の中へ入れるというのはこれは難しいなという、アルファぐらいはかけるかもしれませんけれども、難しいなという気がします。
 それから、税制改正の問題は、まず増収ありきとか減収ありきとかいう形でなしに抜本改正としての恐らく諮問をするようになりますから、そこへ数字の入るものじゃないのじゃないか、最初いただくものは。それをどういうふうな形で数字を入れていくかということがあって初めて将来へ投影する基礎ができるわけでございますから、これは税調の審議の経過を見なければ、今予断を与えることはできない。
 そうすると、補助率の問題は幾らか私は投影できるのじゃないか。ことしの場合は一年限りの法律ですから、中期試算はもとへ返ったのが入っておるわけでございますから、したがって、それがもとへ返るかどうかまだこれも不確定ではございますけれども、いずれにしてもこれが決まればそれは数値の上で投影されてくるものになりはしないか、こんな感じで今見ておるところでございます。
 そのほかの問題でも、国会の議論等の中で国民のコンセンサスのあり方というのがだんだん浮き彫りにされてきたものは、これは投影していかなきゃいかぬではないかというふうに考えております。
○赤桐操君 私は、先ほど来申し上げているとおり、少なくともやはり、ここで言っておるように国債償還に対するところの財政全般についての幅広い検討が必要ならば、具体的にもうそれを、どういうように考えているかということは政府みずからの腹として出すべきだと思うんですよ。それからまた、今はもちろんこれは入るをはかって出るを制する以外にないんですから、出るを制する方法についてはこれこれしかじかの方法があるというならば、それについてもずばりと出す、なるべく早くこれを出していく。そういう中でこの整理をどういうふうにしていくかという論争が裏腹の関係で論議されていかなければ、実のある論争にならないと思うんですよ。
 私の方でこういう質問をしていて、あなたがただ言語明瞭だけれども理解に苦しむような答弁ばかりされておって、それぞれが何か煙に巻かれたような格好の中で終わっていくという中では、舞台の中でやっているやりとりについては、我々はまた例のやつをやっているなと思っているけれども、これを見ている観客はそうは見えないと思うんです。霧に包まれたかなたで何か行われているけれどもよくわからないということになると思うんですね。それではいけない。 国会は、この舞台でやっておることは観客、国民にわかるようにしなきゃならない。そのためには、私どもの今考えておる本腹はこうでございますということを、はっきり速やかに考え方をまとめて出されるべきだと思うんです。それを論争の一つの題材にして私たちがこれを論議していくということでなければ論議の発展はないと私は思うので、抽象論ではなくて具体的に、これからの中期展望等をつくり上げられる中でも速やかにひとつ確立して提出してもらいたい、こういうことを要望しておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) こういう問答を繰り返す中で、観客という言葉が適切かどうかは別としまして、なるほど、サービスを受けるのも国民だし負担するのも国民だ、そして今のサービスをこのまま持続すればこれだけの要調整額が要るのだな、そうすればみずからに振り返って、サービスを切るか、あるいは負担を増すか、こういうことを国民の皆さん方が考えていただいておるような感じに私は受けとめておるわけであります。したがって従来にも増して税制の論議が国会の議論でも高まってきておりますし、マスコミ論調等でも非常に高まっておるところであります。
 で、振り返ってみましても、中期展望なり仮定計算というのを出した。 毎年毎年とはいえ、いわばそれが変化してくる制度改正というものは、やっぱり健康保険法の改正というものが一つの制度改正として投影していく数値が変わってきた一つであると思うのであります。したがって今度の場合、補助率のあり方、すなわち国と地方との費用負担のあり方というようなものが一つまた決まってまいりますと、それは後年度負担推計の中へ投影されてくるであろう。そういうことの積み上げでいくしかないではないかな。初めから固定して、これらのサービスはこのように守ります、したがってそれに対する負担は増税でお願いしますとかいうところへいく、あるいは、これらはこれだけのサービスの低下もやむを得ませんとかいうところまでに国民の合意が那辺にあるかということを見きわめていくというのは、やっぱりかなりの時間というものが必要ではないか、こんな感じでこういう問答を繰り返しておるわけであります。
 だから質問される赤桐さんも、去年のこれは財確法で大変なお互い議論をいたしましたが、食い足りないものをお感じながら引き続き御質問をいただいておるでありましょうし、また答える私の方でも、結局毎年毎年の努力しかないということ、そこにいささかでも透かし絵が出たものをお答えの中へ入れさせていただく、こういう問答を繰り返して辛抱強く財政改革というのはやっていかなきゃならぬのだな、そんな感じでいつもお答えの席に立っておるわけであります。だから国民の皆さんも、言語明瞭なれども意味不明というのが、少しずつだんだん意味もわかっていただきつつあるのじゃないかな。いささか自画自賛であります。
○赤桐操君 それでは、今私から申し上げたことについては大臣はよく御理解いただいていると思いますので、ひとつ来年の中期展望あたりまでにはもう一歩前進したものを出してもらいたい。 そして論議の素材として速やかに提供してもらいたいということを要望して、次に移りたいと思います。
 次は第二項であります。
 この中では、公債の償還方法と減債基金への繰り入れについての見直しを行うということが述べられております。前回の論議において借りかえ即六十年償還、こういう政府の考え方が実は最大の争点の一つになっておったわけでありますが、現実に本年度の特例公債の借りかえを見ましても六十年償還を前提として実施されようといたしております。附帯決議では三年をめどにそのときどきの経済情勢、財政事情、こうしたものを勘案しながら見直しをしよう、そういうふうに出ておりますが、一年を経て現実に特例公債の借りかえも始まっている現在、そしてまた今後の財政運営の上から考えてみまするときに、今前段でいろいろと手段、方法も求めましたけれども、この全額をどんなふうにして償還すべきであるのか、財政当局として一体どんなふうに考えているのか、この点についてひとつ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる附帯決議第二項目、これにつきましては、その附帯決議を踏まえまして、公債の償還方法及び国債整理基金特会への繰り入れのあり方についてということで財政制度審議会で御審議をいただきました。そこで、今後とも厳しい状態が続くことが予想される財政事情のもとで、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却に努め財政改革を具体的に進めていくためには、当面、特例公債の償還については、六十年償還ルールによることが現実的選択としてやむを得ない。しかしながら、特例公債の償還年限を六十年間と固定的に考えることなく、今後の財政事情の中でできる限り早期償還に努めることが期待される。それから二番目として、基本的には現行の減債制度の仕組みはこれを維持するのが適当であるという報告をちょうだいしたわけでございます。そこで政府としては、この報告の趣旨、財政事情を踏まえまして、これに適切に対処することとしておるわけであります。
 また、特例公債、建設公債別の公債の発行と、それから消化、償還、保有の状況、国債整理基金特会への繰り入れ状況等につきましては、その資料を大蔵委員会に提出させていただいておるところでございます。
 それから次に、毎年度の償還計画、これにつきましては、六十年度の償還計画については、借換債発行額及びネット償還額を特別会計予算の参考に付しております国債整理基金及び国債及び借入金に係る償還財源の繰入額等償還額及び年度末基金残高表、これにお示しをしたところでございます。
 さらに、六十年度からは特例公債についても借換債が発行されることでございますので、財政法第二十八条による予算参考書類におきまして、普通国債の発行年度別償還年次表の様式を改めて、六十年度予算から新たに、建設公債及びこれを借りかえるための国債、それから特例公債及びこれを借りかえるための国債の別にこれを分けまして、年度別の償還予定が明らかになるようにいたした、こういう次第でございます。
○赤桐操君 国債整理基金特別会計への繰り入れのあり方でありますが、借りかえる国債の償還年限とこれはまさに表裏一体の関係にあるわけで、仮に特例公債償還年限を三十年短縮するとしますと、これは定率繰り入れの特例公債に関する分は現在の二倍の比率の三・三になる、こういうように私は考えているんですが、したがって現在、五十七年度以来四年にわたって停止されている一・六%の定率繰り入れ、これをどうするかという問題じゃないんですよね。このことはそういうふうに理解してよろしいんですね。
○政府委員(平澤貞昭君) 現在、委員が今おっしゃいましたように、一・六で繰り入れるという減債制度の仕組みになっております。したがいまして、これは建設国債、特例公債込みででございますが、そのうち特例公債について仮に三十年という前提で考えていく場合に、減債制度との関係をどう考えるかという問題が当然出てくると思います。しかし、現在の法律上の建前といたしましては、国債の残高に一・六という法文上の規定になっておりますので、その辺をどう考えていくかという問題は当然出てくるのではないかというふうに考えるわけでございます。
○赤桐操君 重ねて伺いますが、私が今申し上げたような考え方でよろしいんですね。
○政府委員(平澤貞昭君) 仮に特例公債について三十年ということになりました場合には、従来の考え方をそのまま延長いたしますと、委員のおっしゃるような考え方が当然あり得るというふうに考えております。
○赤桐操君 特例公債の発行が五十年度に行われまして以来、この借りかえの問題についてはこれはあってはならないということが特例公債については決められておる。そして十年で償還する。したがって、その当時から私どもが主張してきたことは、一〇%ずつ毎年積み立てるべきではないのか、こういうことを、繰り入れを主張しておったわけであります。これはしかし、残念ながら政府によって無視されてきている。五十七年度以来は、一・六も、これまた定率繰り入れを停止してきている、こういう状況なんです。これでは国債整理基金の償還財源が枯渇してくることは当然でありまして、特例公債の借りかえを行わざるを得ないという窮状に追い込まれてきたわけであります。これももう当然の帰結だと思うのであります。私はここに大きな原因があったと思うんですが、この点、大蔵当局はどう考えますか。
○政府委員(平澤貞昭君) やはりこの問題につきましては、全体の一般会計の財源事情ということが当然あるわけでございます。非常に厳しい財政事情の中でこの問題を考えていかざるを得ない。しかも現段階におきましては、片方で特例公債を六十五年度までに新規発行をゼロにしていくということをやっているわけでございます。そのための財源が一兆円以上計算上は必要であるわけでございます。かつまた、減らしてはいっておりまずけれども特例公債を片方で発行している。そういう中でそれでは、国債整理基金に一定額を入れていくということになりますと、そのお金は当然のことながら公債を発行して賄ったお金を一般会計から入れるということになります。したがって、特例公債を発行し、金利を払って得たお金をまた減債基金に入れていくということをどう考えるかという問題もあるわけでございます。そういう中でいろいろ苦しみながら考えてまいりまして、今回法案としてお願いしておりますように、六十年度については定率繰り入れを停止させていただきたいというふうに御審議願っているのでございます。
○赤桐操君 六十一年度以降の国債の償還年限に合わせて、これに見合う定率繰り入れ、これについては法定どおり実施をすると約束していただけますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今御説明を申し上げましたように、六十一年度以降も非常に厳しい財政事情が予想されるわけでございます。そういう中で、財政審から答申を得ました現行の減債制度の仕組みはその基本は維持していくべきであるという考え方、それとの調和をどのように考えていくかということは、当然六十一年度において問題になろうかと思います。しかし、その問題につきましては、やはり今後の経済の情勢、財政事情等を念頭に置きながら答えを見つけ出していくべきものというふうに考えているわけでございます。
○赤桐操君 意欲はあるんですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 具体的に現在予想されます数字で申し上げますと、六十年度末で減債基金の残高は九千九百億円程度ということになるわけでございます。それに対しまして六十一年度に予想される現金償還の額、これは赤字公債につきまして六十年償還ルールを適用するという前提で計算しているわけでございますけれども、これが一兆五千九百億円だったと思います。そういうことですので、九千九百しかお金がないわけでございまして、現金償還が一兆五千九百必要であるわけでございますから、当然に国債整理基金はお金が足りなくなるという問題が六十一年度に起こってまいります。いわゆる猶予できないような状況が予想されるわけでございます。したがいまして、これについてどう対処していくかという問題を控えた中で、それでは一般会計から繰り入れていくのかどうか、そういう問題とあわせて六十一年度の定率繰り入れの問題を考えていくべぎであるというふうに思っております。
○赤桐操君 政府に無償譲渡され国債整理基金特別会計に所属がえをしたところの電電それからたばこ産業それぞれの株式でありますが、これは売却可能であります。先ほどお話しのとおりであります。
 この売却益は、国債の償還に充てるということにされておりますね。これら株式が売却されれば、それによって国債整理基金特別会計には当然これが入るんですから、大変余裕が出てまいりますね。そういうことになると思いますが、一般会計からの定率繰り入れを今のお話によると場合によっては停止する場合もあるように私は聞いておるんですけれども、これを当て込んで停止されるということになるのですか。それとも、これを当てにしないで、絞り出して必ずこれは来年、六十一年度は定率繰り入れをやるように努力する、こういう考えなんですか。私はそれによって大変大きな問題が発生すると思うんですよ。御答弁願いたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 六十一年度につきましては、先ほど御答弁申し上げましたような基金の資金状況が予想されるわけでございます。そういう中で基金に属することになります――現在法案を御審議いただいているわけでございますので法案が通ってからでございますが、その電電の株式、これは将来売却できればそのお金は当然この償還に充てられることが予想されますので、我々といたしましてはその意味では大変心強い財源であるというふうに考えられるのでございます。
 しかし、先ほど大臣からも御答弁がございましたように、実際にこの電電の株がいつ幾らで売れるかということは今の段階では非常に予想が困難でございます。したがいまして、六十一年度の予算編成の際にこの売却益の問題を定率繰り入れの問題等とあわせてどう考えていくかということは委員御指摘のように大変重要な検討項目になろうかと考えておりますが、現在においてそれでは具体的にどういうことを考えているかということを申し上げられるには、いろいろの諸条件がまだ煮詰まっていないというのが現実の姿であるわけでございます。
○赤桐操君 国債整理基金特別会計法の今回の改正案によって、第十六条に、同特会に所属する両会社の株式の売却益は「国債ノ元金償還ニ充ツベキ資金ノ充実ニ資スル」と書いてありますね。これは、売却益及び保有している間の配当は一般会計の財源には充てないということ、こういうように理解すべきだと私は思うのですが、どうですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 委員のおっしゃるとおりでございます。
○赤桐操君 そういたしますと、仮に売却益及び配当収入によって国債整理基金に余裕が生じ、したがって一般会計からの定率繰り入れを停止する、こういうことになるということになると、結局のところ売却益または配当収入というものは一般会計の財源にしたということになりますよ。これはよろしいんですね。
○政府委員(平澤貞昭君) くどいようでございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、現実問題として定率繰り入れの問題をどう考えていくかということにつきましては、答申にもございますように、その制度の仕組みはこれをできるだけ守っていくということで我々として考えておりますので、そういう中でこの電電株の利益によって得た資金の増、それも考えていくべきであるというふうに考えているわけでございます。
○赤桐操君 そこまではいいんですよ。私が言っていることは、定率繰り入れは定石としてこれは入れていくべきものだ、これは大前提だ。そして、電電株等のこうしたいわゆる臨時的に入ってくるものについては、端的に申し上げればこれはそのほかの金ですから、それによってこれをさらにプラスして償還に充てるべきだ、こういうのが私の主張なんです。また解釈なんです。
 そうしなければ、電電株を売却したあるいはまたその配当の利益、収益を正しく償還財源に充てたということにはならないのではないか。これが入ったために、それは大変結構だった、それじゃ定率繰り入れの方はこれはひとつやめてしまおう、これでは話にならぬ、それは本当の意味における償還にはならないだろう、こういうことを私は言っているんです。逆に言えば、電電株でもって一般会計に入れて、一般会計から入れたことと同じことになっちゃう、こういうことを私は主張しているわけです。電電株はそういう形でもって処理されるものではありませんということだと私は思うんです。それで間接的にしても、電電、たばこ産業両会社の株の売却益とか配当益というものについては、これはもう一般会計の財源にすべきものではない。逓信委員会においてもこれはもう論争済みでございます。
 そういう意味で、今国会で特別会計法の改正によって国債償還の財源とするということを法律で決めた以上は、一般会計から定率繰り入れを停止するようなことがない、こういう形にやはりしていかなければならない。これが政府みずからが自分自身を縛った一つの原則だ、こういうふうに私は理解をし、確認をしておきたいと思いますが、よろしいですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 電電株の処分益は、今委員もおっしゃいましたように、法律によってこれを当然国債の元金償還等に充てるというふうに明定されているわけでございますので、必ずそれに充てるということでございます。
 定年繰り入れの問題につきましては、過去四年、一般会計の非常に苦しい財政事情の中でやむを得ず繰り入れを停止してきたということでございますが、しかしそういう中で財政審の答申は、現在はやむを得ず繰り入れを停止しているけれども減債制度の仕組みはこれを維持していくべきであるという答申もいただいておりますので、我々としてはそういう答申の趣旨に沿って今後ともこれはこれで考えていくというべきものと思っているわけでございます。
○赤桐操君 私は、どうも一つ抜け道をいつも設けているように思うんです。
 電電株やたばこの株の収益が上がったからこれはいいことだ、率直に言えば、これで助かった、六十一年度はひとつこれでもって間に合わせよう。これがまた五兆円、六兆円と売れていくようになればもう一、二年助かる。こういうことであっちゃならぬということで私は言っているんですよ。
 六十一年度は、「仮定計算」によれば、大体償還額は十二兆一千億、借換債の方の関係で十兆五千百億、そうすると二兆八百億ばかり不足、こういうことになるんですね。これが定年繰り入れの繰入額になってくる。今お話しのように九千九百億の余裕残高があるわけです。これで処置をしていくことになれば間に合う、こういうことになると私は思うんです。一兆五千五百億の残が出てくる、こういう形でもって基金の残が存在していくことになると思うんです。私は、こういう形にこれは仮定計算のとおりにやるべきだと思うんです。それならば、私が今お話しした電電株の問題とこうしたものについては、これはすっきりした形でもって国民も納得すると思うんです。しかし、これでもってすりかえられたということであっては事の建前から言ったってこれは通りません、こういうことを言っているんですから、ひと
つあなたはきちっとした確約をしてくださいよ。
○政府委員(平澤貞昭君) 定率繰り入れは、先ほど来御答弁申し上げておりますように、政府といたしましてはこの制度の仕組み、その基本はできるだけ維持していくべきものというふうに考えるわけでございます。しかし、過去四年、ここで法案の御審議を願いましたように、財政状況の非常に苦しい中でやむを得ず定率繰り入れの停止をやってきたわけでございます。したがいまして、今後の定率繰り入れの問題につきましては、これまでも悩み悩みながら来たものと同様に、今後ともそういう中で、できるだけ基本は維持したいという気持ちを抱きながらやはり処理していくべき問題であるというふうに考えております。
○赤桐操君 大臣、私一つ伺いたいと思うんですけれども、私の今の論争をお聞きになっておられたと思うんですね、あなたはどう考えますか。
○国務大臣(竹下登君) これは、去年の附帯決議をいただいた後の財政審もやっぱり、この減債制度の基本は維持しろ、こういうことでございます。したがって、今度は基本は維持しようという考え方に基づいたにもかかわらず、六十年度は定率繰り入れを引き続き停止した。それには、一つには残高がまだあったからということもございます。今度六十一年度ということになりますと、まさに空っぽ、空っぽといいますか、マイナスが立つわけでございますから、これは何らかの措置はしなきゃならぬ、当然そういうことになります。
 そこで、これから予算編成の際に考えていかなきゃならぬ課題でありますが、この定率繰り入れというものをある人の試算では二分の一やったらどうだとか、こういう試算もちょうだいしたりいたしますものの、我々としてそこへ今踏み切ったわけでもございませんので、あくまでもその基本を維持しながら、さあどういうふうにして仕組んでいくかということを六十一年は考えていかなきゃならぬだろうと思います。
 それから、今のその後の議論としては、極めて赤桐さんの分は明快であって、定率繰り入れはちゃんとしなさい、それが約束であり、国債の信認を保持するゆえんのものではないか。そこへプラスアルファとして、プラスアルファといいますか、得がたい財源として入ってきたものは、それはトタで残高を減らしていけばまことに結構じゃないか、こういう論理であります。非常にわかりやすい論理でありますが、私どもといたしましてその減債制度の基本は維持しますが、やっぱりどういうふうな形でそれを仕組んでいくかということは毎年毎年の予算のときに、それこそ平澤次長の言葉をかりれば、苦しみながら対応していかなきゃならぬ問題だと思うわけでありますが、基本的にすっきりした赤桐さんの考え方というのは我々がいつも心しておくべきものであるという自覚は持っております。
○赤桐操君 私が申し上げておることは、これは極めて一般国民の、普通の良識を持った国民、普通の常識を持った国民が主張する内容ですよ。そうでしょう。
 例えば、一軒のうちで一つの計画があって、一軒の家を建てるなら建てたと。それに対して月賦で償還をしていく。この程度ならば夫婦で働くならできる、よろしい、それじゃこれをやりましょうということで新居をもうけた。それじゃひとつこれで毎月毎月払っていきましょう。そうしたら、たまたま競馬へ行ったところが、大変その日はついていてえらい金もうけがあった。これはいいあんばいだった、これで払っておいてあとは飲んじゃえということじゃ、これは困るんじゃないんですか。それは健全な家庭のやることではないだろう。大蔵大臣、あなただって息子さんに恐らくそう言うでしょう。私はそうだと思いますよ。健全な国民、普通の一般の国民であったならば、普通の良識と普通の常識を持った者だったらば、私はそういう考え方を持つと思いますね。
 それを私はただ主張しているんです。論理として明快だとか簡単明瞭だとかというだけじゃないんです、これは国民の声ですよ。良識ある国民、一般の正常な常識を持った国民、この人の声だ、こういうふうに私は思うんです。だから、そういう意味でひとつこれはあいまいな形でなくて取り組んでもらいたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 時間の関係がありますから次へ進みます。
 次は附帯決議事項第三項ですが、これは日銀関係の問題になります。
 財政法第五条に即しまして、日銀の国債引き受けについてひとつ確認をさせていただきたいと思います。借換債の発行が今後増大をしていく。短期国債の発行によっても、将来円滑にこれを消化できる保証というものは必ずしもあるとは言えない。その場合においても日銀引き受けが行われることは絶対にあり得ないかどうか、このことをひとつまず冒頭に総裁にお伺い申し上げておきたいと思います。
○参考人(澄田智君) ただいま引用されました財政法五条におきまして、日銀の引き受けによる国債の発行についてはこれを禁止いたしております。私どもといたしましては、いかなる場合におきましてもこの財政法の精神を厳に守っていくことが将来にわたってインフレを未然に防止していく上で極めて重要である、こういうふうに確信をいたしているところでございます。したがいまして、日本銀行として国債を引き受けるという、そういう気持ちは毛頭持っておりません。
○赤桐操君 これは前総裁にもお伺いした言葉でございますが、新しい総裁のひとつ言明として承っておきたいと思います。
 さらにまた、これは大蔵当局に伺いたいと思うのでありますが、昨年の秋に短期の国債発行に踏み切るに当たって、大蔵省は短期国債の日銀引き受けを現実問題として検討したように私は聞いております。内々日銀に対して打診をしたのではないか、そういう事実があったのではないかと聞いておりますが、大蔵省当局としてはそういうことをやったんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 今度お願いいたしております短期の国債は短期の借換債でございまして、これは財政法第五条の系列に属する国債として認識しているわけでございまして、私どもといたしましてはこの短期の国債を日銀引き受けで行うというようなことは毛頭考えていないわけでございまして、今御質問の日銀に対して打診をしたというふうな事実はございません。
○赤桐操君 そういう事実であれば大変結構だと思うのでありますが、報道されているいろいろの情報で見まするというと、既にマスコミの中ではこの問題は周知の事実のように報道されてきているんですね。前川総裁の思い切った決断でもって大蔵省の意図が砕かれたと、こういう報道さえも私たちは聞いております。
 昭和四十年度に我が国の財政が公債を導入して以来、各種の公債発行に関する歯どめが次々と実は打ち砕かれてきておるということも御承知のとおりであります。そして、ついに特例国債が今日ここまで来てしまいまして、借りかえにまで踏み込んでしまった、こういう状況であります。最後に残る歯どめというのは一体何だろうか、こういうふうに考えてみるというと、それは日銀の引き受けを禁止するというこの条項しかないんですね、最終の段階は。これまでにもたびたび日銀引き受けの問題はいろいろ、行わないということも言明されてきましたし、ただいま総裁からも言明をいただいたわけでありますけれども、しかし日銀引き受けの禁止ということについては公債政策についての最終の歯どめでありまして、これがもし破られるということになると、これは重大な問題になる。
 しかも、日銀法等をいろいろ見まするというと、必ずしもこれは完全な歯どめがかかっているとは法律的に見て思えないんですね。これは過去の経過等から踏まえて、私たちから見れば、日銀なりあるいは当局なりが公債政策運営上の節度にだけ実は頼っておるような形になるわけでありまして、だから法律的にこれを抑えているというようには、完全に歯どめがかかっているというようには私は考えられないと思うんです、この条文を見ていると。そういう意味で、どうもマスコミが報じている昨年からの動き、こうしたものを感ずるときに、まことに肌寒いものを実は覚えるわけであります。
 そこで、財政法第五条のただし書き、日銀法第二十二条第二項の両項についての改正をしておく必要があるのではないか。もっとびっちりとした、きちんとした、あいまいな形でないものをつくり上げておく必要があるのではないか。もうこれ以外には歯どめはない、そう思うときに、私はそういう感じがするんですが、この点はいかがでございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 委員のおっしゃいますのは、財政法第五条ただし書きに、公債の日銀引き受け禁止の原則の例外の規定がある点だと考えているわけでございます。その例外の規定は、
 「特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。」、こういうふうに規定しているのでございます。しかも、法文上、この「特別の事由」につきましては何ら限定的な文言が入っておりません。
 そこで、これにつきましてはどういうふうに考えるかということでございますけれども、この例外の規定にもございますように、国会の議決を必ず経る必要があるという点は我々として厳粛な歯どめであるというふうに考えているわけでございますし、従来のこの「特別の事由」に当たる事例は、日本銀行が保有する公債、これを借りかえる場合はその「特別の事由」に当たるということで例外となっておりますけれども、それ以外につきましては、過去に戦後の非常な混乱期、昭和二十三年でございますが、それ以来の混乱に対処するためにこの規定を適用した事例があるのみで、極めて限定的に従来も運営されてきているわけでございます。したがいまして、政府といたしましても、この規定の今後の適用につきましては、これを現在以上に拡大して適用していくというつもりはないわけでございます。
○赤桐操君 現行の財政法では、これはもう戦前、戦中、そしてまた軍事公債の乱発、日銀引き受けによるところの財政インフレ、国民経済、生活の大変な逼迫、こうしたものが歴史的にいろいろ教訓として残り、これを踏まえて財政運営の基本としてこの均衡財政を求めてきておる、こういうように私は考えるのですが、大蔵大臣はどうお考えになっていますか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり今赤桐さんの御主張のとおりだと私も思います。
○赤桐操君 要するに公債不発行の主義ですね、これを第四条によって具体的に明示している、こういうように私も考えます。その例外として第四条ただし書きで建設公債の発行を認めている、こう思うんです。昭和四十年度において税収不足が発生して、初めてここで歳入欠陥が出て、いわゆる特例公債というものの道が開かれたわけでありますけれども、それまではこの方針で貫かれてきた。この時期から、いわば新しい公債政策が始められてきた。
 しかし、そのときに福田蔵相が当時国会に出された内容を見るというと、条件として、市中消化の原則をまず第一に挙げている。二つ目が公債依存度を五%以下にする。三つ目が建設公債に限定をいたします、だからこの建設国債は御承認をいただきたいというのが議事録に残っているわけです。
 そういうことでこの国債というものの道が開かれてきたと思います。この三つの条件の中で一つ一つ見ていくというと、第二番目に申し上げた公債の五%以下の依存度、これも今日ではもう大変な数字に上ってしまっておる。それから建設公債についても、これまた限定をするといっても、この道はもう限定どころじゃなくて今日のような事態に発展してしまっている。私は、さっきも申し上げましたけれども、残っているのは市中消化の原則以外にはない。これでもってあとは阻止をどの程度していくか、あるいはまた抑え込みをしていくかという形をとる以外にはない。これは言ってみれば日銀引き受けはやらないということになるわけでありまして、そういう意味で、市中消化というものと日銀引き受けをやらないというこのあり方、これだけがこれからの私はかぎだと思うんですね、率直に申し上げて。
 これからの問題として、そういう状況の中で赤字国債の発行がこれからまた急増していく。そして赤字国債自体財政法自体がこれを認めていないわけでありますけれども、こういう今申し上げたような大変危機的な状況の中で、しかも申し上げたような形でもって急増をしていくこの状態、これは特例なんです。特例が常態化してきているわけです。これについて大蔵大臣、今異常なんですけれども、異常にあなたはもうお思いにならない状態に来ているのじゃないんですか。この点いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) これは確かに、四十年、初めて三千億でございましたか、公債発行に踏み切りましたときのおっしゃいますとおりの三つの条件でございました。そして、そのことは閣議でも大論争がありまして、私は当時たまたま内閣官房副長官でございましたので、メモをする係でございましたから、よくその状況はまだ私には記憶に鮮烈に残っておるところであります。
 事ほどさように大変な問題でありまして、そしてそれでも私はあの三千億が特効薬のように効きまして、そうしてオリンピックの翌年の戦後最大の不況というのをあっという間といいますか、ちょっと古くなりましたが、感じとしてはあれが即効薬のように効いたと思っております。そうして、その後昭和四十九年までで締めて九兆七千億だったと思いますが、建設国債がこれは残高が累積してまいりました。したがって、その次の五十年の赤字公債というのが確かに今おっしゃいました二条件を放棄してしまったと申しますか、そういう状態であったと私も思います。したがって、これはマンネリになるのが一番いけないことでございますので、当分の間なんということをしないで一年一年国会で汗をかいて財源確保の法律を御審議いただくということが財政の節度に対してあるべき姿じゃないかというので、一年一年お願いをするというこの姿勢を今日もとってきておるわけでありますので、その一年一年苦しみながらお願いするということは、やっぱりそういうマンネリにならないための大きな私は財政の節度に対する姿勢の一つではないかというふうに思っておるわけであります。
 したがって、今御指摘なさいましたように、やっぱり絶対に守らなきゃならぬのは、乗りかえは別といたしまして、いわゆる日銀引き受けというものを安易にその道を選びますと、もう本当に調整インフレみたいな政策を施行せざるを得ないような環境になってしまいますので、これだけは守っていかなきゃならぬ、越してはならない垣根だ、こういうふうに考えております。
○赤桐操君 そうすると大臣、日銀引き受けについてはこれはやってはならない、そしてまた、この種のものをマンネリ化してはならないということははっきりと確認してよろしいわけですね。
○国務大臣(竹下登君) 結構だと思います。
○赤桐操君 日銀総裁、重ねて伺いますけれども、短期国債を含めて日銀引き受けはやらぬということで理解してよろしゅうございますか。
○参考人(澄田智君) 先ほど私が御答弁申し上げましたときも、もちろん今回提案されております短期国債、これを含めてそれを日銀が引き受けるということは毛頭考えていない、こういうことで申し上げた次第でございます。したがいまして、この点は、短期国債ももちろんここに含まれております。
 それから、新聞に書かれた当時、私も副総裁で日銀におりましたが、まだ大蔵省からそういった話が何にもないうちにあれは新聞にああいうことが出まして、私どもとしても意外に驚いた次第でございます。そういうふうな話というのはかつてなかった、これは私もはっきり申し上げることができます。
○赤桐操君 そういたしますというと、さっき平澤次長からお話がありました「特別の事由」の問題ですけれども、財政法第五条の本文で日銀引き受けを禁止、ただし書きにおいてこれを認めている。それでただし書きによる日銀引き受けを認める条件については、「特別の事由がある場合」、こうなっておるんですね。
 「特別の事由」とは何かということについて私もちょっと研究してみたんですが、ここに財政会計辞典という大変立派な権威ある辞典があります。これはかつて法制局長官をやられた吉国さん、この方が中心で、大蔵省関係の方も入っておられますかつくられたものですが、この中で明確にその「事由」について述べられておりますね。この事由をずっと見ていきますと、これは大変な内容なんですよ。これは私の考え方ですが、「特別の事由」には「たとえば、景気政策の見地から不況対策として政府が信用の造出をする必要がある場合へ非常に緊迫した経費の支出を必要とするが民間資金の状況が悪くて市中公募ができない場合」、こういう場合が考えられると書いてありますね。これがいわゆる事由だ、こう言っているわけです。
 ところがこれは、よく考えてみると、こんなような状態というものの中で公債の発行というものをしていいのかという問題ですね。これは公債発行をすべきじゃないと思うんです。もう歯どめが今日の段階では全部なくなっているんです。歯どめが今まであったならまだ話はわかる、もう歯どめがない。特例公債も十年の枠を取っ外しちゃった。こういうただいまの時点において、このような二つの事由が考えられたとしても、それでもしこれを行うということになったときには大変なことになると思うんです。これはもうあとは救いようがなくなると思う、こういうやり方でいくとすれば。「特別の事由」というものについては拡大解釈をしない、こう言われているけれども、これは当たり前の話であって、これは少なくとも私は、こういう状況の中である以上は今日の段階ではこの事由というものは存在しないと考えていいと思うんですが、大蔵大臣、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 先ほど来通貨膨張の要因となるものではない場合の借換債、これは別でございまして、このほかにどのような場合が財政法第五条の「特別の事由」に該当するかということは、私は今のは学説の一つだと思うのでありますが、非常にこれは困難だと思うんです、要するに「特別の事由」とは何ぞやということを示すことは率直に言って非常に困難だと思います。したがってこれは、最終的な判断は国会にゆだねなきゃならぬ問題であろうというふうに考えますが、政府側からいたしますならば、「特別の事由」の範囲を拡大するという考えはございません。
○赤桐操君 ですから、今までのような幾つかの歯どめがあっての中ならまだ話はわかりますけれども、今日の段階に来ている以上はもう歯どめがないんですから、市中消化と日銀引き受けをやらないというこの原則に頼る以外にない以上は、これはやっぱりこういうあいまいなものは残さない方がいいと思うんですよ。法律改正を私は提案したいと思うんですが、大臣、御検討願いたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる特別な事由の適用を現在以上に拡大する考えはない、こう政府の方針として申し上げておるわけでございますが、それを、「特別の事由」とは非常に漠然とした表現になっておりますから何か歯どめとして検討をしてみないかという今御質問でございますが、私は法律の専門家でございませんので、どういう形から検討に入るべきかということはよくわかりません。が、赤桐さんのおっしゃっている意味は私もわかりますので、その限りにおいては勉強させていただきたいと思います。
○赤桐操君 それじゃ重ねてひとり明確に私、考え方を申し上げておきますが、財政法は財政運営の基本法、それから日銀法は中央銀行の金融政策の基本にかかわる法律であります。この両法というのはこれはいずれにしても基本法です。この基本法の中に今申し上げてきたような変遷の現実の過程があるわけだから、この現状の中において考えることは、あいまいなものはこれはもう削除する、そして、こういうものは必要なんだ、例えば今乗りかえとおっしゃいましたね、乗りかえ等はこれは確かに必要だと思いますよ。だから、乗りかえについてはこういうようにやるべきだと、これは結構だと思いますが、その他の今理解されるような、場合によっては拡大解釈までされるようなものについてはこの際削除をする、こういうことをひとつ重ねて申し上げておきたいと思うんです。必要なものはその都度今申し上げてきたとおり乗りかえでもできるわけですから、そういう形にひとつすっきりと、すかっとさわやかなものにすべきだと思うんですかね。
○国務大臣(竹下登君) そういう意味で勉強をさせていただきたい。ただ、私は法律の専門家でないものですから、検討しますと言って、もしとんでもない検討をしたと言われても後世に恥をさらすことになりますので、御意見の趣旨は私非常によく理解できますので勉強させていただきます。
○赤桐操君 それでは、市中消化に関してもう一つ私は伺っておきたいと問うんです。――日銀総裁、結構でございます。
 市中消化というものがこれからの大きな舞台になってくるということになりますので、重ねて私はお伺いしておきたいと思うのであります。これはいろいろの見解の相違はあると思うんですが、私は、資金運用部の国債の引き受けについて、これからの資金運用部資金、財投資金の運用とのかかわり合いの中で少しくお尋ねをしてみたいと思うわけであります。まず、過去五年間の資金運用部の国債引き受けをしてきた状況について、資金運用部の方でおわかりであればひとつ御説明願いたいと思います、五十五年以降六十年度まで。
○政府委員(宮本保孝君) 五十五年度が二兆五千億、五十六年度が三兆五千億、五十七年度が三兆五千億、五十八年度は三兆七千億、五十九年度は三兆六千億、六十年度が五兆円の予定でございます。
○赤桐操君 六十年度の財政投融資原資の見込み額と、そのうちの資金運用部資金の額、これらの対前年度の伸び率について、どのような状況になっているか、おわかりでありましたら御説明願いたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 財政投融資の原資は二十五兆八千五百八十億でございます。それから、運用部の原資は二十兆二百九十億でございます。
○赤桐操君 そうすると、これは伸び率にすると、対前年比原資見込み額と資金運用部資金のそれぞれの伸び率についてはおわかりになりますか。
○政府委員(宮本保孝君) 財政投融資全体で四・七%でございます。それから、運用部資金につきましては五・九%でございます。
○赤桐操君 それから、財政投融資計画の六十年度の状況について、伸び率をあわせて伺いたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 財政投融資計画全体の伸び率はマイナス一・二%でございます。そのうち政府関係金融機関、銀行、公庫がマイナス五・八でございます。それから、公共事業実施機関はプラスの七・一でございまして、その他の公団、事業団等がマイナスの一・九でございます。それから地方公共団体、これは全体で三・八のプラスでございますが、地方公共団体だけに限りますと八・五%のプラスでございます。
○赤桐操君 そこで、一つ伺いたいと思いますが、財投計画の額が今お話しのとおり一・二%のマイナスになっておりますね。しかも、そういう状況の中で、財投原資の中枢をなす資金運用部資金による国債の引き受けが五十九年度の三兆六千億から五兆円になっているんですね。計画としてそうなっておりますね。そうするとこれはパーセンテージに直しますと、三九%も一挙にここで拡大するようになっているんですが、これは一体どういう理由なんでしょうか。
○政府委員(宮本保孝君) 財政投融資につきましては、原資全体を含めまして統合的に運用いたしまして、これを国と地方とそれから財投機関、この三つにバランスをとりながら配分することを役割としているわけでございますが、最近の資金の実態を見てみますと、財投機関につきましては、かなり金融緩和の状況を反映いたしまして、政府関係金融機関等におきましては資金需要が非常に細っておるというふうな状況もございます。それから、その他の公団、事業団等につきましても、過去に比べまして資金需要の実態というものが緩慢になっておるわけでございまして、一方で国とか地方におきましては資金不足が大きいということもございまして、そういうバランスをとって配分するという意味におきましては、財投計画の実態に合わせて計画を策定しました後余裕があればこれを国または地方の方へ配分していくというふうな計画を組んだわけでございまして、そういう意味におきまして、今回は国債の引き受け及び地方公共団体への資金配分が増加した、こういう次第でございます。
○赤桐操君 わかりました。
 国債の市中消化原則、これは日銀引き受けによらない消化の方法を厳守する、こういうようになるわけでありまして、この点についてはこれからの原則として進めていかなきゃならない。市中消化の原則の上に立ってまず考えるわけでありますが、その市中消化原則のよって立つ有効性というものは一体どんなものであろうか、こういうふうに私は今考えて見ているわけであります。いわゆる市場原理に基づく、国民の蓄積による国債の市中消化能力、みずから国債発行の歯どめとなり得る、こういう状態でなきゃならぬわけでありまして、この自然に国債発行をとどめていく、そういういわゆる歯どめの役割、これが市中消化の原則だ、そしてまた有効性というものはそこに求められる、こういうふうに私は考えます。
 であるとするならば、資金運用部の引き受けというものが国民の蓄積した資金によって構成されているとはいいながら、大蔵省の判断で発行した国債を大蔵省所管の資金によって引き受けていくということになるわけであって、そこには市場原理の働く余地がなくなってきている。いわゆる国債の発行量規制のための歯どめの効果というものについては、ないと言っても過言ではないだろう。こういうように思うんですが、この点はどうですか。
○政府委員(宮本保孝君) 国債の発行額自体は、予算編成の過程におきまして国会の御審議を得た範囲内で発行するということでございまして、後それを具体的に発行、消化するというのはいわゆる発行事務当局が担当いたしているわけでございますが、そういう点につきまして、この発行額自体の歯どめというのはいわゆる予算編成の過程であるわけでございまして、その後の消化につきまして、まさに先生御指摘のように国民の蓄積の資金によってこれを消化することがこれはもう大原則でございまして、これを破りますといわゆるインフレ通貨の造出になるわけでございまして、私どもといたしましては、その限りにおきましては、今御指摘もございましたけれども、いわゆる市中の金融市場から調達する部分、それからいわゆる金融機関の預金によって消化するシ団引き受け、それからもう一つは郵便貯金等国民の蓄積によって集められました資金、いわゆるすべて国民の貯蓄資金によってこれをどういう割り当てによって配分していくのかというふうな立場に立っているわけでございまして、あくまでも市中消化の原則、いわゆるインフレ通貨の造出にならないという意味で私どもとしてはこの運用部による引き受けを、運用部資金に余裕があればこういう国の資金不足の状況でございますのでできるだけ国債を持つというふうな方向で考えているわけでございます。
○赤桐操君 私は、資金運用部の国債引き受けを大幅に増加させるということは問題があるんじゃないだろうか、こういう観点で申し上げているわけなんです。余り好ましいことではないだろうと思っているんです。しかも、現在は民間の資金状況は大変緩やかになってきておる。このような状況の中で、資金運用部の引き受けを大幅に増加させていかなきゃならぬ理由はないのじゃないのか、私はそういうふうに思うんですが、理財局長いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) もちろんバランスの問題はございます。でございますから、運用部の国債引き受けをどんどんふやしていっていいというふうなわけではございませんで、そのときどきの経済、金融情勢、こういうものの実態を踏まえた上で判断していきたいと思っておるわけでございまして、実はことしにつきましても、新発債十一兆強、さらに借換債を含めましてとうとう二十兆の大台に乗せるというふうな状況だったものでございますから、この点につきましてできるだけ、市中の市場に余り国債が出ることによってインパクトを与えてもいけないだろう、あるいは国債が余り多く市中に出てまいりますと国債の値崩れを生ずるというふうな点も勘案いたしましてことしは五兆円にふやしたわけでございまして、今先生御指摘のようにこれをどんどん、運用部の金だから国債をどんどん引き受ければいいんじゃないかというふうなことは考えておりません。
○赤桐操君 しかし理財局長、昨年度から見たら大変なこれは増大ですよ。昨年、五十九年度は三兆六千億でしょう。ところがことしは五兆円ですよ。これは大変な大幅な増じゃないんですか。私は、こういう状態でいけるということ自体が大きな問題だと思って考えているんですよ。これではだんだん市場原理というものを相殺していくことになりますよ、これだけの額のものが大蔵省の手によってぼんぼん消化されていくんですから。
 なるほど、発行するときは予算委員会等国会の議を経ていきますよ。しかし、これを操作する場合においては、五兆円、結構だ、こういうことでばっと引き受ける。一兆円、二兆円のときにはまだ話は別だった。年間五兆、六兆、七兆となっていくということになりますとこれは私は将来大きな問題を引き起こすと思いますが、そういうようなおそれはございませんか。
○政府委員(宮本保孝君) 運用部が引き受ける場合におきましても、あくまでも市場実勢に応じましたいわゆる市中で消化される条件でもって引き受けているわけでございまして、いわゆる何といいますか、日銀引き受けであるとかあるいは民間の貯蓄資金でない資金によって我々が恣意的に引き受けるというふうなことじゃございませんで、あくまでも市中の金融原則に従った上で引き受けているわけでございまして、またこの財政投融資につきまして、国会の御審議あるいは予算での御了解を得た上で引き受けるというふうなことをやっておるわけでございます。
○赤桐操君 これは六月九日の毎日新聞に「五十九年度財投資金 一兆三千億円不用に 民間資金需要落ち 一兆円を国債引き受けに」、こういうふうに出ていますね、これは御承知だと思いますが。
 それで、この新聞に出ておりまするように、五十九年度の財投計画において一兆三千億の不用額が生じている、大蔵省はこのうち一兆円を国債引き受けに回している、こういうことなんですね。五十九年度は当初計画において三兆六千億、これが国債引き受けの予定であったわけでありますが、結局五十九年度における資金運用部によるこういう国債引き受けは総額でどれだけになるんですか。
○政府委員(宮本保孝君) 総額で運用部の引受額は補正予算で千八百五十億追加になっておりますので、三兆七千八百億でございます。
○赤桐操君 そこに、今のこの財投の方の金一兆三千億を加えることになるんですよ。この財投の金、この資金のウエートは、資金運用部から出ているわけですから資金運用部で受けたのと同じことになります。これは、財投の金というのは枠が決まっておるから、その余った分だからこれは大蔵省の判断で結構なんだと、こういう処置の仕方だと私は思いますが、これだけまたさらに一兆三千億加わることになるんですね。
 これは私は、こういう形でもって安易に回されていくということは大変大きな問題だと思うんですが、理財局長はそうお思いになりませんか。
○政府委員(宮本保孝君) 私どもといたしましては、財投の原資は産投会計、それから資金運用部資金、それから簡保資金、それから財投機関が調達しております政府保証債、これで当該年度の財投資金というものを見込みを立てまして、その上で、先ほど申し上げましたように国と地方とそれから財投機関、それぞれの資金実態というものを見きわめた上で当初の財投計画を編成しているわけでございまして、現在の状況におきましては、先ほど先生御指摘のように、財投機関側におきまして資金需要というものが現在の経済金融情勢を反映いたしまして鈍っておるものでございますから、同時に一方で国とか地方の資金不足が非常にふえておるというふうな実態を踏まえまして、その三者にバランスをもちまして資金配分をしたわけでございまして、特に国債に限って安易な資金配分をしたというわけじゃございません。全体の資金の原資の事情を見きわめた上でその三者にバランスをとって配分した結果がこういう財政投融資の姿になっておるということでございます。
○赤桐操君 五十九年度の巨額な不用額発生、これは私は一時的な現象だというようにはならないと思うんです。資金運用部の資金のあり方、財投の運用の仕方、もう既に長い間にわたっていろんな批判が出てきている。やはり私はそれが今日こういう格好で出てきていると思うんです。これは金融情勢の変化です、同時に構造的な原因です。それに基づくものですよ。社会情勢の推移による結果だと私は考える。
 したがって、今後もこういうような状況が現出するんです。そうすると大蔵省は、また資金運用部資金による国債の引き受けを増加させて、その方で処理をしていく、こういうことが繰り返されていくことに私はなるのではないかと思うんです。これはこれから来年も出るだろうと思う、再来年も出るだろうと思うんです、今のような格好で計画されていくなら。この点いかがお考えになりますか。
○政府委員(宮本保孝君) 一方であるいはそういう状況があることは確かだと思いますが、さらに、他方で財投の原資につきましての先行きを見込むといいますか展望いたしてみますと、やはりその大宗をなします郵便貯金を一つとってみましても、経済が低成長、安定成長に移行しておる、それから国民の所得もかつてのような伸びが期待できない、あるいは金融自由化の進展とともにいろいろな金融商品が出てくるというふうなこともございまして、これは民間の預貯金と同じなのでございますけれども、預貯金一般につきまして伸び率が鈍るというふうな状況になっておりまして、そのような状況で郵便貯金の伸びというものもかつてのような大幅な伸びが期待できません。それから厚生年金とか国民年金でございますが、これは受給者がだんだんふえてまいっております、高齢化社会の到来とともに。そういうこともございましてこれの積立金もなかなか今後はふえないし、逆にこれは取り崩されていく可能性があるわけでございます。また簡易保険のお金も、今申し上げました全体の経済金融情勢あるいは国民の所得等の関係からいいまして、これもそう伸びが期待できません。それから財投機関が自力で調達いたします政府保証債等でございますけれども、これも国債を大量に発行いたしておりますので、その上になお公的部門であるところの財投機関がみずから政府保証債を発行して資金を民間から調達するのもいいかどうかという点もございますし、また財投金利よりは一般論としては政府保証債の金利が高いものでございますから、そういう高い金利の資金を集めましていわゆる財政投融資活動をするのもコストの面からいって限りがあるわけでございます。これもそうそう期待できないということになりますと、やはり原資の事情というものが相当将来伸びが鈍るわけでございまして、そういうことを考えますと、資金需要が仮に鈍ってくるというふうな状況と平仄を合わせつつその財投計画がおさまっていくのではないかというふうな感じがいたしておるわけでございまして、原資がどんどん伸びる、あるいは資金需要でどんどん足りなくなる、その結果国債引き受けをどんどんふやすというふうな状況にはならないのじゃないかと思いますし、私どもといたしましても、今申し上げました国と地方と財投機関への資金配分につきましてはバランスをとった上で十分配慮してまいりたい、こう考えております。
○赤桐操君 財投関係、資金運用部の方の資金の運用関係についていろいろ、今回だけじゃないんですよ、かつてもあったわけですよ。そうした中で財投計画自体について、最近における経済金融情勢にある程度これはそぐわないところが出てきているんじゃないのか、今までのような形でやっていったのではこれはだめじゃないのか、こういうことの現実にいろいろな批判が出ておるわけです。財投の見直しについては、したがって各方面から指摘がされておるわけなのであります。
 この問題を抜本的に整理をするなり、見直すなり、そしてまた政府資金の運用のあり方、こうしたものについて基本的に再検討する段階に私は来ているように思うのです。そういうものとあわせて国債との関係を考えていくべきだと思うんですけれども、理財局長、私の考え方はおわかりいただけませんか。
○政府委員(宮本保孝君) 先生の御指摘、非常によく私理解できるわけでございまして、すべて金融全体が曲がり角に来ているということと同時に、公的な金融あるいは財政投融資全体も曲がり角に来ているというふうな認識は十分持っているわけでございます。
 もちろん財投計画につきましては、そのときどき経済社会情勢の変化に即応いたしまして資金配分につきましてもかなり変えてきておりまして、例えば最近におきましては、住宅であるとかあるいは中小企業であるとか、あるいは特にまた最近におきましてはエネルギーであるとか、あるいはさらにまたことしからは新しく技術開発であるとか、いろいろそのときどき資金配分の実態を変えてきておりますけれども、しかしなお、先ほど申し上げました原資の集まりぐあいの先行きあるいは金融自由化との絡みで、集められるコストあるいは政府部内での預託金利の問題、あるいは財投機関から国民がサービスを受けるいわゆる政府関係機関の貸出金利であるとか、そういうものが金融自由化の進展とともにどうあるべきかというふうな問題についての問題意識は十分持っているわけでございまして、そういう点もございましてとりあえず昨年の秋から財投研究会というのを発足させまして若手中堅学者を中心にここ一年間勉強してまいりました。
 ただ、これはあくまでも勉強にとどまっているわけでございまして、今後、そういうような勉強の成果を土台にいたしましてもう少し広い場で御議論いただくのがいいのじゃないかというように考えております。ただ、この問題は各省各庁にまたがる問題でございますし、非常に複雑な問題をはらんでいるわけでございますので、なかなか一大蔵省だけの問題じゃございません。どういう場でこれを検討していけばいいのか等の点につきましても今後十分勉強してまいりたい、こう思っております。
○赤桐操君 私は、今日までの資金運用部の果たした役割は大変大きなものがあったと思うんです。戦後の時代時代の中で大変大きな役割を果たしたと思うんです。で、民間部門に金が不足している時代におきましては、一括運用で、こういう一元化した形の中で、政府が重点的配分をしながら政策的にリードしていくということが私は必要だったと思うんです。それで日本経済がここまで来たと思うんです。これは大変な役割を果たしたと思います。
 しかし、今日の状態はどうかということを考えてみると、民間部門の資金不足というものは今日既に解消しているんです。それで特に大会社などは、自分で金を持っている、銀行から金を借りてやらなくたって済むようなところまで来ちゃっている。公共部門の資金不足の方がむしろ今日の段階になると大きくなってきている。民間の部門は余っているんです。国債の消化なんか民間でみんなやってくれる。公共部門の方が金が不足してきている。こういう時期になってきた以上は、政府資金の運用のあり方というものは抜本的に考え直さなきゃならないときに来ている、こういうように私は考えるのです。
 それで、特に政府資金のこの運用の中で、国債の消化について私は今いろいろと考えながら来たのでありますが、発行の主体と引き受けの主体が一つであるというばかなことはないと思うんですね。発行の主体と引き受けの主体というものはこれは明確に分離すべきです。そして少なくとも、この金の操作が行われる間には媒体が一つ入るべきだと私は考える。それが郵政省であるかどこであるかは別にして、当然入るべきだと私は思う。この点について理財局長どうお考えになりますか。
○政府委員(宮本保孝君) 国債の発行につきましては、いわゆる政府の提案いたします予算というものを十分立法府で御議論いただくということで、そこでもって発行が決まるわけでございまして、それを受けた消化というのはそれぞれのその発行事務当局がこれを円滑に消化していくということでございまして、やはりそこにおのずから我が国の国債の発行制度については歯どめがかかっているわけでございまして、必ずしもその発行と引き受けとが一体になっているというわけじゃございません。
○赤桐操君 形はそうなっていると思いますよ。しかし事実はそうじゃないんじゃないですか、運用の面においては。事実はそんなことはないと私は思う。これは周知の事実です、実際のことを言って。
 それで、結局私は、もうこの金融自由化の時代、金利の自由化の時代、こうした中でこの種の運用ということを考えてみるときには、これはやはり大蔵省がそういうように握っているべき段階じゃもうないと思うんです。この段階に来た以上は、郵貯関係の資金については郵政省に、さらにまた厚生年金関係の資金については厚生省に、それぞれ分野別にこれを渡して、それを媒体として、積み立てている人の利益を守りあるいはまた預金者の利益を守るという考え方に立った適用を一面においてはやらせていく。
 大蔵省がやっていれば、それは管理政策だけですよ。預貯金者の立場に立った政策というよりは、管理政策上の政策がウエートを占めることになる。そういう意味で私は、今日の段階に来てこれだけ資金問題については大きく変わってきているんだから、民間においてももう既に大きく不足の段階なんかないんですから、私はそういう新しい情勢に即応するあり方というものがとられるべきだ、こういうように思うんです。そういう形をとることが市場というものの原理を大きく活性化することになるし、さらにまた健全化したところの国債の発行というものが続けていかれるだろう、消化がなされていくだろう、こういうように思うんです。多額のものを安易に引き受けるような機関を大蔵省みずからが持っているべきじゃないと私は思いますが、いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) 年金資金とか郵貯資金等の公的な資金は国の制度とか信用を通じて集められた資金でございまして、その運用に当たりましては、その公共性の見地から、やはり資源の適正配分が行われる必要があるということがまず大原則でございます。一方で年金積立者であるとかあるいは貯金者の利益も考慮する必要があるわけでございまして、これらのさまざまな種類の資金につきまして各主体がばらばらにこれを運用することになりますと、非常にまた大きな弊害も出てくるわけでございまして、やはりこれらの国の制度、信用によって集められました資金につきましては、原資から運用を通じた一つのシステムとして調和を図っていくというのが一番必要ではないのだろうかと。そういうことによりまして、公的資金の政策的な重要性に応じまして資金配分ができ、かつ財政金融政策との整合性を保つことも可能になるのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、仮にこの公的資金をばらばらに運用することになりますと、これはやはり公共的な資金需要に応じることができなくなるというふうな、いわゆるバランスのとれた資金配分が困難になるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございますし、また資金の運用主体が多元化することによりまして、いわゆる財政金融政策との整合性あるいは資金運用の効率性、機動性が損なわれる、あるいはまた別途の観点から行政簡素化にも逆行するというふうないろいろな面があるわけでございまして、また金融面におきましても、いろいろな各特別会計の主体がばらばらに資金運用をすることになりますと、我が国の金融資本市場に与える影響というものもかなり大きな影響を与えることになりかねないわけでございますから、私どもといたしましては、この国の制度、信用を通じて集められました資金につきましては、やはり統合運用の原則だけは崩すわけにはいかないのじゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○赤桐操君 ばらばらにすると大変マイナスだという御答弁でありますが、私はそうじゃないと思うんですね。簡易保険、郵便年金の金は今どのくらい理財局では見ておられますか。きょう郵政省は来ていませんからわかりませんが、あれは二十兆円を超えておったでしょう。概略で結構です。
○政府委員(宮本保孝君) 今調べますが、二十兆円は超えていると思います。
○赤桐操君 数字は後で結構でありますが、二十何兆円かちょっと記憶はありませんが、とにかく二十兆円を超えている大変なものですよ。これは郵政省に運用権が移管されておるはずです、完全ではないけれども。九〇%以上運用権が移管されておる。しかし、財投計画と相反する動きはしていないんじゃないですか。きちんと、大蔵省を中心とした財投計画の中で、その中でレールに乗せた運用をしておるはずですよ。私はいささかもそこに問題はないというふうに考える。したがって、今の理財局長のような一元化しなきゃならないという理論は、大体十年ぐらい前までならそれはわかりますが、最近における理論としては私はちょうだいできない、こういうように思うんです。
 それから、金融の自由化、金利の自由化、こういう時代に入ってきて、あと二、三年たったら大変な時代になるでしょう。政府資金が一元的に運用されていくといったって、これは大変困難な時代になってきていると思うんです。既に資金運用部資金が百五十兆円をもう今日超えているんですよ。これだけの巨額なものを大蔵省が握って、それで預託金利を基準とする規制金利体系の中で財投の金利によって融資をされていくというこの体制がどこまで維持し切れるかと、私は疑問があるのです。金融自由化もそれでは不完全になってしまうだろう、こう思うんですよ。
 金融自由化時代に入ったればこそ、政府資金の今までの一元化運用というものについては抜本的に改める必要がある。そして今、国債のこの関係から見ていっても、市場原理から見ていっても、郵政省なり厚生省なり、あるいはまたそれぞれの運用官庁が間に入って、事業体が間に入って一つの媒体になるならば、これはそこに安全弁が出てくる。管理政策だけの政策的なもので進められるのではなくて、預貯金者なり積み立てしているところの加入者なりの立場というものを考えた運用になるわけでありますから、例えば国債が余りプラスにならないと思えばもう国債はやめます、社債を買います、こういうこともあり得るわけです。今はそういう時代じゃないんですか。百五十兆の金をひとりで握っておって、一つにしなければならないんだ、ならないんだという時代はもう終わっているんですよ。その証拠には、今申し上げたとおり、簡易保険、二十兆円を超える、これだけのものも財投計画を外れた運用なんということはしていないと思うんですね。
 そういう意味からするならば、まさに私は百五十兆円なんという多額のものを握りながら一元化、一元化と言う時代はもう終わった。この辺で新しい角度に立って、時代に即応するところの資金運用のあり方を考えるべきだというように思いますが、いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) 御指摘のとおり、金融の自由化に対応いたしました財政投融資の見直しということはこれはもう確かに必要でございまして、それなりに私どもとしても、先ほど申し上げましたように、真剣に勉強していかなければいけない問題だと思っておりますけれども、何度も申し上げておりますように、こういう公的な資金というのは、確かに加入者やあるいは貯金者、年金積立者の利益をこれ考慮することも当然必要でございますけれども、一方で公共的な資金の配分ということもこれ必要でございますので、そこの接点といいますか、バランスといいますか、それをいかにとっていくのかということを模索しながら対応していく必要はあろうかと思うわけでございますが、やはり郵貯だ、年金だ、あるいは各特別会計がばらばらにこれを運用することになりますと、非常に公共的ないわゆる資金配分というものができにくくなる可能性もありますし、また機関投資家が非常にたくさん簇生してくるわけでございますので、そういう機関投資家がばらばらな運用を市場で始めますと、我が国の金融資本市場に与える影響等も非常に大きいわけでございますので、やはりこういう国の制度、信用を通じて集められました資金につきましては統合運用を図っていく必要があるのではないか。私どもといたしましても、貯金者、加入者あるいは年金積立者等の利益も十分考慮しなければなりませんし、一方でそういう財投機関を通じてサービスを受ける国民の利益も考慮しなければいけないわけでございまして、そこのところを、金融自由化の中でどういうふうな金利設定なりあるいは条件設定をしていけばそういう要請にこたえられるのかという点を今後検討し勉強してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
○赤桐操君 理財局長と今私、かなりの時間論争したんですが、大蔵大臣はどう受けとめられますか。
○国務大臣(竹下登君) 金融の国際化、自由化時代を迎えるわけでございますから、今の議論をだんだん整理してみますと、まず財投機関というもの、極端な議論をする人は、むしろ財投機関というものの公共的な色彩、もう既に卒業したものは卒業させて、新しい試験とか研究とかいうようなものにやるならば、別途利子補給の財団みたいなものがありさえすれば財投は、民間資金を活用することによって利子補給機関が別途存在しておったら、それで機能するじゃないか、こんな議論も確かに一つございます。
 それからいま一つの議論といたしましては、いわゆる分離して運用の問題がございますが、この問題でいつも感じますのは、結局、郵便局が別の新しい国家銀行になるという発想があればこれは別といたしまして、今の場合の郵便貯金にしても年金にしても、国の信用において集めたものであるから、一つには公共性を持たせなきゃいかぬ。そういたしますと、公共性を持った場合は有利運用とは必ずしも符合しない場合がございます。それからいま一つは、まさに有利運用しなければならぬ。それから三番目は確実、いわゆる安全確実という面の運用の仕方がある。そうすると、それらを一番整合性をもってやるためにはやっぱり一元運用が一番いいのじゃないかというので、いろいろ議論された結果、臨調もこれは厳守すべきだ、こういう答申を出しておるわけでございます。機関投資家の数がふえていくわけですから、それらをやった場合に公共性の面が勢い有利運用の方へのみこれが志向いたしますと、私はリスクも伴うこともあり得るので、国の信用において集めたものはやはり一元運用というものが正しい姿ではなかろうか、こういうふうにいつも思っておるわけであります。
 予算編成の際は、郵政省あるいは厚生省と我が省とが、いつも予算折衝の際にこの問題は古くて新しい問題として毎年毎年議論いたしますが、今のような議論の中で合意を得ておる。ただ、郵政省におかれても厚生省におかれても、もうこれでそういう主張はいたしませんということは断じておっしゃらないで、引き続き検討という形で自分たちはそういう姿勢を今後とも貫いていくということで最終的には単年度の合意ができて、今日のような一元化運用というのが続いておる、こういう状態でございます。
 で、先ほど来申しておりました研究会、これは私的研究会、ときどき批判を受けますが、一生懸命勉強しております。もう一つございますのは、資金運用審議会というのがあることはあるのでございます、これは内閣でございますが。ただ、あのメンバーを見ますと余り偉い人でございまして、まあ偉い人と言うとちょっと表現がおかしいんで、ほかの人がばかな人という意味じゃございませんけれども、物すごい人材が網羅してありまして、はてここで果たして議論ができるのかな、こういう感じもしないではございませんので、そういうところで何かいわゆる今後の財投、資金運用部資金等のあり方についての今勉強を一生感命しておりますが、それをオーソライズするのはどこがいいかなというふうな考えも持っておるところでございます。
○赤桐操君 そこで、最後の締めくくりになりますが、国債はやはり市中消化の原則を今日も守り抜かなければならない。そこで私が心配するのは、国債というのは今どんどん借りかえもやっていかなければならないし、これからずっと続いていくことになると思うんですね。その削減をする努力がこれから続けられますが、続くことは間違いない。
 そこで考えられることは、今はなるほど政府が一元運用で資金運用部の金を持っておる。財投の方も自分でくみ上げてくる、こういう操作ができる立場にあります。しかしこの金も、今のお話のとおり、だんだん郵便貯金も余り伸びなくなってくる、財投の金もそう思うようにくめなくなってくる、こういうようになってきて、国債の引き受けもそうできなくなってくるような場合が漸次出てくる。あるいはまた、ある事情があってその年には極端にそういう現象が発生しないということも言えない。そういう場合において、しかし国債は出さなければならないという延長線上に置かれている。財政運営上これはもう、はたと困りました、日銀の方で何とかなりませんか、こういうことでまた一つ、先ほど総裁がそういう事実はなかったと言われたから結構でありますけれども、新聞報道でいろいろにぎわわされるような問題が水面下で働くようなことがあり得たら大変だと思いますけれども、これはよもやないと思いますが、大臣いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり私は、最後の歯どめと言うと少し表現が適切であるかどうかは別としまして、こののりは越えてはならぬというふうに思っております。
 実際、予算編成をしますときに、三十九年以前の国債というものがなかった時代、それから四十九年以前の赤字公債というものがなかった時代、そういう時代から今日に至りますと、建設国債に準じた措置を今年度はとらせていただいておりますが、そういう状態を仮に継続するという状態で考えたとしたら、本当に赤字公債自身の、昭和六十五年ではちょうど六十五兆ぐらいになりますが、償還のために六十五年からまた六十年ということで、百二十五年というようなことになりますと、子だ孫だじゃなく、そのもう一つ下のひ孫の時代にまで後年度への負担を残すことになりますので、それを大変財政当局としては胸を痛めると同時に、それにもう一つ、歯どめがなくなっていわゆるこれがインフレと同時に進行するようなことになったら、それこそ後世代に対して、それは百二十五年まで生きておるわけはないでしょうけれども、何のかんばせあってまみえるか、あの世であらうと、という感じがしますので、これだけは、これは私の時代とかそういうことでなく、越えざるべき一線として画しておかなければならぬことだという認識は毎日毎日しておるというのが実態であります。
○赤桐操君 終わります。
○委員長(藤井裕久君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十一分開会
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○多田省吾君 初めに、財源確保法案について御質問いたします。
 初めに、本年度の国債発行計画につきましてその概略を御説明いただきたいと思います。特に借換債につきましては、特例積分で収入金、額面、それぞれ幾らなのか、引受側も含めてお述べいただきたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 六十年度の国債発行計画でございますが、新規財源債が十一兆六千八百億円でございまして、借換債が八兆九千五百七十三億円、合計二十兆六千三百七十三億円でございます。このうち、日銀と運用部保有国債一兆八千五十五億円につきましては全額乗りかえということにいたしておりますので、これを除きましたいわゆる運用部も含む市中消化額は十八兆八千三百十八億円となっているわけでございます。
 これを消化先別について見てみますと、シ団引き受けにつきましては前年度比七千億円増の七兆六千億円にいたしております。その内訳は、新規財源債が六兆円、借換債が一兆六千億円でございます。
 第二に、運用部引き受けにつきましては、六十年度におきましては国債の大量償還、借りかえが本格化するという事情もございましたので、引受額の増枠に努力いたしまして、前年度に比べて一兆四千億円増の五兆円を予定いたしておるわけでございます。その内訳は、新規財源債が三兆六千億円、借換債が一兆四千億円でございます。
 それから、三番目の柱は中期国債の公募入札でございますが、これは今申し上げましたシ団引き受けと運用部引き受けを除きました残額六兆二千三百十八億円を予定いたしております。その内訳は、新規財源債二兆八百億円、借換債が四兆一千五百十八億円でございます。
 なお、六十年度におきます借換債の収入金ベースでの発行予定額は八兆九千五百七十三億円でございますが、そのうち特例債に係る部分は一兆八千六百五十億円でございまして、発行計画作成時点の発行条件でこれを額面に換算いたしますと一兆八千八百三十八億円と相なります。
 以上でございます。
○多田省吾君 そのうちで、本年度で償還期限の到来する国債は総額で幾らか、またそのうち特例債は幾らになるのか、お述べいただきたい。
○政府委員(宮本保孝君) 六十年度の国債償還額は十兆二千六百億円でございまして、そのうち特例債は二兆二千七百九十七億円でございます。
○多田省吾君 今お答えいただいた中で、本年度に償還期限の到来する国債のうち特例債分は二兆二千七百九十七億円、それを償還する財源としての借換特例債分が額面で先ほど御答弁の一兆八千八百三十八億円、比率にしますと八二・六%は借換債に頼らざるを得ないということのようでございますけれども、これで間違いないかどうか、お答えいただきたい。
○政府委員(平澤貞昭君) そのとおりでございます。
○多田省吾君 昨年度の財源確保法案の審議におきましても我が党が強く反対いたしましたけれども、残念ながら五十年度から五十八年度までの特例公債の借換債不発行規定というものを外してしまったわけです。同じく五十九年度におきましても同様の措置がなされております。本年度の法案も同様の内容になっております。しかし、特例公債について借換債の発行につきましては、条文におきましても「できる限り行わないよう努める」こととなっております。しかるに、その初年度において借換債の占める比率は償還全体の八割を超えるものとなっております。しかも、これは建設国債の六十年間償還ルールに沿ったものとなっているわけでございます。八割も超えていて何が努力するかと、このように言いたいわけです。初年度八割超で来年度からは一体どうなるのか大変不安になりますが、そのことについてどう考えておられるのか、はっきりした御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 借換債の発行につきまして昨年度御審議願って、赤字国債の借りかえをできるようにしていただいたわけでございます。これにつきまして今後どういうふうにしていくかというお話かと存じますけれども、前国会におきまして当委員会の附帯決議にもございましたように、この問題につきましてはその後財政審でいろいろ御議論いただきました。いろいろの検討をしたわけでございますけれども、そういう検討の結果を踏まえまして、当面四条債と同様のいわゆる六十年度の償還ルールによらざるを得ないということで、今回におきましても予算その他でそういうことで御審議をお願いしているということでございます。
○多田省吾君 それでは、やっぱり審議に当たってどうしても明らかにしていただきたいのは、特例公債の借換債の発行見通しを来年度以降どうなさるのかですね、これを明らかにしていただかないと私たちのこの法案を審議する意味が失われてしまうわけでございますが、これはいかがですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほども御答弁申し上げましたように、特例公債の借換債の今後の発行につきましては、一応六十分の五十ずつ、要するに六十年間に償還ということで考えているわけでございます。したがいまして、国会に御提出しております「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」もその前提で計算してお出ししているわけでございますが、この仮定計算における借換債収入のうち今おっしゃいました特例公債分につきましては、数字的には一応次のような金額になっております。
 順次申し上げますが、六十一年度は二兆九千六百億円、六十二年度三兆八千億円、六十三年度二兆八千百億円、六十四年度五兆四千億円、六十五年度六兆一千四百億円、六十六年度五兆一千六百億円、六十七年度六兆一千二百億円、六十八年度五兆八千七百億円、六十九年度五兆六千六百億円、七十年度六兆三千三百億円、七十一年度六兆二千八百億円、七十二年度五兆九千九百億円、七十三年度四兆二千百億円ということでございます。
 しかし、先ほども申し上げましたように、この数字はあくまでも一定の前提を置いた数字でございます。いわゆる仮定計算でございますので、今後発行見通しあるいは計画といった具体的なものではないということを申し上げておきたいと思います。
○多田省吾君 我々の知りたいのはこの具体的な発行見通しでありますけれども、これは答えられないということで、大変残念に思うわけです。
 今、財政による内需拡大を求める声も出ております。しかし、経済摩擦の中で、また一方では累積する国債重圧の中で、財政は半身不随のような姿であえいでいるというのが実情でございます。政府はこれまで、国民への公約といたしまして、建設国債の歯どめあるいは赤字国債の借りかえ禁止、これを言ってまいりましたが、残念ながらこれらを次々と破ってきております。しかも財政再建の目標は先へ先へと延ばされてきたわけでございます。
 国債発行と財政再建問題については、現在まで相当の時間を費やして議論してまいりましたけれども、実は週刊誌の「金融財政事情」という雑誌の六月三日号のインタビューの中で、元大蔵省事務次官の谷村氏の「証言」というものが出ているわけでございますが、このことについて竹下大蔵大臣にお考えをお聞きしておきたいと思います。
 谷村元次官はこういうことをおっしゃっています。国債発行については、「満州事変のときでも」「ダメ、ダメといっていたのに、ずるずると現地が進んでいってしまった」、「いまだってずるずるやっている」、「いまはもうブレーキではなくて、あと戻りしなければならないとき」に来ている。「利払いのための借金という途方もない姿が拡大してゆきます」。さらに、「建設国債の原則を守る限り、こういう事態になることはないし、その原則が破られるとは予想もしませんでした。「一ぺんこっきり」というのが、一ぺん許したとなると、後はまあまあで許し続けて十年たちましたが財政当局はそれでいいとは決して思っていませんよ」。
 このような発言があるわけでございますが、この谷村氏の発言につきまして竹下大蔵大臣はどういう感想を持っておられるか、お聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 谷村さんの雑誌インタビューにおける発言につきましては、今多田さんがお読みになりましたとおりでございます。で、「財政当局はそれでいいとは決して思っていませんよ。だからこそ特例公債を減らしているのです」、まさに事実認識としてはそのとおりだろうと私も思っております。
 振り返ってみますと、三十九年までは全く国債はなし。それから四十九年までは建設国債だけ。まさに五十年からこの赤字国債の発行をいたしましてからもうこれで十一年でございますか、本当にずるずると来た、こういう感じでございます。だからこそ、毎年毎年この赤字国債を減らすことに努力を傾注してまいりました。したがって、今努力目標として示しております六十五年度にはどうしてもこの赤字国債体質からの脱却は、非常に困難な問題でありましょうけれどもこれを達成しなければならぬということで、年々年々の努力を続けておるということであります。特にやっぱり、これを当分の間とか、今後十年とか、そういうことでなしに、毎年毎年こうして御審議をいただいておるということも、いわば財政に対する節度を示す一つの場所であり、そしてあらわれではないかというふうに御理解をいただきたいというふうに考えておるところであります。
○多田省吾君 今大臣の御答弁がございましたけれども、今国会当初における大蔵大臣の財政演説を改めて目を通しましても、政府の施策の失敗について、国民に対しまして、今日の事態は仕方がないんだというようなことは述べておりますけれども、反省の弁あるいは遺憾の弁が全くないと言ってもよいほどでございました。先ほどの谷村元次官の話も、予想だにしなかったと言っているわけでございまして、その状況をどう考えるのか。また、減債制度につきましても、国民の納得のいくような明確なめども示されていない。これもこれからどう対処するのか問題です。
 それから、百歩譲りまして、谷村発言では、財政当局はこのままでよいとは思っていませんよと。大臣も、そのとおりで、一兆円ずつ赤字国債は減額しているではないか、このようにお述べになっているわけでございますが、大蔵省の本当の意味の財政再建策というものがいまだに明確にされておりません。こういった問題で今後、大蔵省としてどういうお考えで進むのか、もう一度ひとつ御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは確かに六十五年度という努力目標を提示しておるわけであります。そして第二段階としては、いわゆる国債残高を対GNP比に対してその速度を落とし、そして減額、減らしていく、こういうことを示しておるわけでありますが、さればそれにはどうすればいいか、こういうことになりますと、いつも申すようでございますが、いずれは歳入歳出両面にわたって、サービスを受けるのも国民、負担するのも国民でございますから、そのサービスを減らしていくのか、国民負担をふやしていくのか、そういうことに、あるいはその組み合わせということにならざるを得ない。したがって、毎年毎年の予算編成の中でこれの不断の努力を重ねて今日に至っておるわけであります。
 あらかじめ、いわゆる歳出カット、すなわちサービスを減らしていくのはこれぐらいにします、あるいは増収措置はこれぐらいに増税措置をもって行いますということが固定的に出せないというのは、やはりこういう国会の問答を通じながら国民のコンセンサスが那辺にあるかということを見定めながら進めていかなきゃならぬ、したがって苦しい苦しい道のりをたどっておるというのが現状でございます。
 御案内のように、建設国債だけですよとこう言いました。そして今度は五十年に、やむを得ず赤字国債を出しました。しかしこれは、まさに一年限りということが、今日に至っておるわけであります。そしてその法律の中では、借りかえだけはいたしません、こういうことを申しながら昨年政策の大転換を結局御了承いただきまして、赤字国債も借りかえに踏み切らざるを得なかったというのが今日の実情でございますので、それらの点を総合的に勘案しながら、やはり毎年毎年の予算編成の中で制度、施策の根源にさかのぼりながら、厳しい姿勢で財政改革への道を歩み続けていかなければならぬというのが私どもの偽らざる心境であります。
○多田省吾君 財政再建の面からいいましても、昭和六十五年度を目標とする特例公債依存からの脱却というものはどうしても必要だと思います。また、現在のように借換債がどんどん膨らんでいきますと、国債の発行市場における引受能力をオーバーするということも考えられますので、こういった面からいってもやはり新しい特例公債発行はますます抑え込んでいかなければならないということになります。
 ところで、この昭和六十五年度を目標とする特例公債依存からの脱却という問題は、五十九年度、六十年度の予算編成を見ましても、もうはっきり言って不可能のような状況に追い込まれているようでございます。もちろん大臣としては、後退はしないということでございます、努力をするということでございますけれども、一部におきましては景気回復のためにはこれは延ばさざるを得ないのではないかという意見も出てきております。大蔵大臣は、現状においてはなお不退転の決意を持って臨まれるのか、あるいは単なる努力目標なのか、あるいは非常に厳しい状況になってきたのか、その辺どう考えておられますか。
○国務大臣(竹下登君) 我が国の財政事情は、ことし大蔵省から国会に提出いたしました財政の中期展望や六十五年度までの仮定計算、これに示されますように、中期的に見て極めて厳しい状況に置かれておるということは事実でございます。したがって、こういう状態の中で六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという努力目標の達成は容易ならざる課題であるという問題意識を持っておるところであります。
 しかし、やっぱりこれは国民的課題でございますし、そして一たび仮に弾力的な運営の場合、例えば六十五年度ごろとか、要するに若干のおくれというものを初めから念頭に置いて幅を持たせた考え方に陥った途端に、いわば歳出圧力に対して抗し切れなくなるというので、かたくななまでにも六十五年度脱却の目標を掲げて今日に至っておるわけであります。したがって、今後ともやっぱり具体的には歳出歳入両面にわたっての不断の努力をすることによって、この努力目標の達成に向かってまさに今おっしゃいましたように不退転の決意で臨まないことには、一遍この旗をおろしますと私は、それこそ先ほど御批判がありましたように、ずるずると安易な体質に逆戻りするのではなかろうか、このような懸念もいたしておるわけであります。
○多田省吾君 借換債につきまして、さらに何点かお伺いしたいと思います。
 まず、資金運用部引受分についてでございますが、本年度はどれくらいの引き受けを予定されておられるのか。
○政府委員(宮本保孝君) 五兆円でございます。
○多田省吾君 もう一遍お伺いしますが、借換債についての資金運用部引受分はどのくらいか。
○政府委員(宮本保孝君) 失礼いたしました。全体で五兆円のうち、一兆四千億が借換債でございます。
○多田省吾君 運用部資金に一兆四千億円分の借換債の引き受けを計上した根拠というものはどこにあるのか、お伺いします。
○政府委員(宮本保孝君) 資金運用部の資金につきましては、国と地方とそれから財投機関、この三者にバランスよく配分することを我々の務めとしておるわけでございますが、今年度におきましては特に国の部門におきまして資金不足が巨額に上る、その中で先ほど申し上げましたとおり新規財源債は一兆円減額いたしたわけでございますけれども、借換債が八兆九千五百億でございまして、全体の増加額は三兆六千億弱になるというふうな巨額な姿になったわけでございます。そんなこともございまして、この借換債対策というふうな意味もあったわけでございますけれども、五兆円のうち三兆六千億を新規財源債、これは五十九年度と同額を充てることにいたしまして、その残り一兆四千億円を借換債の引き受けに充てるふうにいたしたわけでございます。
○多田省吾君 やはりこの一兆四千億円の引き受けをした裏には、昭和五十九年度、昨年度において資金運用部資金に一兆円程度の余裕が生じた、そういうこともあってこの一兆四千億円引き受けたというように聞いておりますが、いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) 財政投融資の場合には、その原資といたしまして産投資金、運用部資金、それから簡保資金、さらに政府保証債といったようなものがあるわけでございますけれども、そういう原資がどのくらいになるかというものを算定いたしました上で先ほど申し上げましたような資金配分というふうに努めているわけでございまして、今御指摘のように持ち越し金一兆円を出してそしてそれを国債の借換債の消化に充てるというようなことではないわけでございます。
 確かに、各財投機関の五十九年度の資金需要の実態を見てみますと、輸出入銀行で約四千七百億円強、それから中小企業金融公庫で二千八百億円強、さらに住宅金融公庫では一千億円強等々、特に政府系金融機関を中心にいたしまして、民間の資金需給の緩和を反映いたしまして資金に余裕が生ずる見込みになったという点も踏まえまして、それを六十年度の財投の原資にカウントいたしましてそしていわゆる財政投融資の原資を算定いたしたわけでございますが、その全体の原資の中で、先ほど申し上げました国、地方、それから財投機関、この三者に配分いたし、かつ、特に国債に対しましては、借換債の増加という点も踏まえまして一兆四千億円を引き当てたということでございまして、一兆円と一兆四千億の借換債の引き受けとに特に因果関係があるわけではございませんで、全体の総枠の中で考え、かつ資金配分をしたということでございます。
○多田省吾君 次に、特例公債償還のための借換債の残高削減についての具体的方策というものを、財政当局は誠意を持って国民の前に明示すべきではないかと思いますが、この問題はもう何度も議論されておりますけれども、もう一度お伺いしておきたいと思います。いかがですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 特例公債につきましては、今委員もおっしゃいましたように、その残高をできるだけ速やかに減少させていくということが非常に重要な課題であるということは言うまでもないわけでございます。したがいまして、そのためには、特例公債を将来にわたり六十年かけて償還するということではなくて、今後の財政事情の中でできる限り早期償還に努めるということが必要なことだというふうに考えるわけでございます。
 しかし、御指摘のように、しからばこの特例公債の残高削減について具体的な計画を策定してはどうかというお話でございますけれども、今後の経済情勢そのものがどういうふうになるのか。日本経済あるいは世界経済の中に日本の財政というのは抱かれているわけでございますので、その財政そのものも、長期的に考えていきました場合に、いろいろ変動が予想されるわけでございますので、極めて流動的である。したがって、歳入、歳出両面にわたって具体的にこういうふうにするという計画をまずつくるということが極めて難しいわけでございますので、それを前提にさらにこの特例公債の残高の削減をより具体的に出していくということもこれまた極めて困難なわけでございます。
 そういう意味から、御指摘ではございますけれども、特例公債の残高削減について現段階で具体的な方策ということになりますと、やはり消極的なお答えしか申し上げられないということでございます。
○多田省吾君 御答弁にもありましたけれども、この借換債の問題につきましては、当局は六十年間のいわゆる建設国債の償還ルールでやるということを決め切っているような態度でございます。これは本来の財政再建を先送りするだけではないか、このように我々は考えるわけです。やはりこの償還を早めることこそ健全な財政運営ではないか、こういう見地から質問したわけでございますが、それは流動的でまたはっきり明示できないということで残念でございますが、これは誠意を持ってお考えいただきたい、このように思います。
 次に、国債整理基金の定率繰り入れの問題、これも大きな問題でありますが、国債整理基金の定率繰り入れというものは元本償還のための基本的なものでございます。他に財政法六条による剰余金の繰り入れ、予算繰り入れの方法があるわけでございますが、この定率繰り入れこそ減債基金制度として財政当局が最も前から重要視し、かつ今後もその実行に当たらなければならない、このように思うわけでございますが、その点まず明確なお答えをお願いしたい。
○政府委員(平澤貞昭君) 定率繰り入れにつきましては、現在御審議を願っております六十年度を含めましてこれまでに四回繰り入れ停止をお願いし、かつ実施してまいったわけでございます。この問題につきましては昨年の本委員会においてもいろいろ厳しい御指摘がございました。そういうことを踏まえまして、六十年度予算編成に当たりまして政府といたしましても、財政制度審議会等にこの問題をお諮りしていろいろな角度から御議論をお願いしたわけでございます。
 その審議会の答申におきましても、この定率繰り入れを含めました現行の減債制度の仕組み、これは基本的にはこれを維持するのが適当であるということでございますけれども、他方、大変厳しい国の財政事情等々を踏まえて、一時的にこれを停止するなどの措置をとることはやむを得ないという考え方をお示しいただいたわけでございます。そのこと等も踏まえまして、定率繰り入れにつきましては六十年度もまた繰り入れを停止することをお願い申し上げているということでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、定率繰り入れを含みました現行の減債制度の仕組み、これはやはり政府としては今後とも維持していく方向で考えていきたいというふうに考えている次第でございます。
○多田省吾君 我々は、この繰り入れ率の百分の一・六というものも元本償還のためにはまだ不完全ではないかということを考えております。本来は減債基金制度さえ実行すれば必ず元本償還ができるようにならなければならないわけでございます。しかし、繰り入れ率は百分の一・六と定めておりますので、元本償還には六十年間要するようになっております。同時に、それには経常経費を賄うための特例公債が含まれているために、現在の減債制度は百分の一・六の定率繰り入れでは基本的に欠陥があると思います。
 それにもかかわらず、その定率繰り入れすら実施しないという状況では、財政運営として大変もう安易で、節度を踏みにじったやり方だと、このように言わざるを得ません。
 今お答えにございましたけれども、財政制度審議会答申では、定率繰り入れの問題に関しまして
 「基本的には現行の減債制度の仕組みはこれを維持するのが適当である」、このように言っております。ところが、一時的にはやむを得ないというような理由でこの基本を踏みにじっているわけです。どうも、基本的には維持するというはっきりした答申と、現在まで四年間連続して繰り入れを停止してしまったこととは、もう整合性が全然ないと思います。
 基本的には維持するのが適当である、この「基本的には」という言葉は非常に重みのある言葉だと思います。これは我々は、減債制度を基本的には必ず守っていくべきだというふうに読まなければならないと思っているわけでございますが、一時的にはやむを得ないということで四年間ずるずる連続して繰り入れを停止した。そして来年度からも、どうも本当に守るのか守らないのかわからない。この辺のお考え方は非常に安易であると思いますが、もう一度この「基本的には」ということをどのように考えておられるのか、お答えいただきたい。
○政府委員(平澤貞昭君) この定率繰り入れを組みます現行減債制度の仕組みにつきましては、過去にたしか四十二年度だと思いますが、財政制度審議会でも御議論がございまして、その際いわゆる仕組みの必要性、メリット等も示されているわけでございます。例えば国民の国債に対する信頼、信認を維持する上で必要であるとか、それから定率繰り入れを行うことによって財政そのものの規律が示されるというような幾つかのメリットが挙げられているわけでございます。そういう点での定率繰り入れのプラス面、メリットと言っていいかと思いますけれども、これは現在においても我々として当てはまるものであるというふうに考えるわけでございます。
 したがいまして、財政審におきましても、そういう制度の仕組みは基本的にはやはり必要性がある、したがってこれを維持するのが適当であるということを答申で述べておられるというふうに、我々も理解するわけでございます。しかし、答申にあわせて述べてございますように、財政状況等により一時これを停止するなどの措置をとることもあながち否定されるべきものではないという趣旨も述べられているわけでございまして、そういう意味で「基本的」という意味を我々としても重く認識しているということでございます。
○多田省吾君 もう一度申しますけれども、本年度も国債整理基金への定率繰り入れをやらない。これは五十七年度から、本年も含めて四年間連続の措置になるわけです。これは、基本的には維持すべきだという答申と比べても、大変異常な状態です。一時といっても、四年間連続で一時というわけにはまいらないと思います。ですから、これは財政法上あるいは財政運営上本年度は大変異常な状態にあるということをお認めになりますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほど来委員がおっしゃっておられますように、基本的にはやはりこの制度は維持すべきであるということでございますので、その基本的な部分と過去四年定率繰り入れを停止してきた事態、これはある程度矛盾した面があるという点は私としても認識いたしております。
○多田省吾君 そうしますと、定率繰り入れ停止はいつまで続くとお考えですか。矛盾がいつまでも続いていいとお思いですか。少なくとも昭和六十五年度には、大臣も不退転の決意とおっしゃっているように、新規特例公債発行はゼロにするという方向で進まれているわけでございますから、じゃ今後、来年度から四年間この定率繰り入れ停止はどうなるのか。もう来年度からやらない、あるいは来年度あるいはその次の年度はやるが後はやらないとか、この具体的方針についてここでお伺いしておきたい、このように思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 具体的に申し上げますと、六十年度は、たびたび御議論もございましたように、年度末の基金残高は九千九百億円というふうに見込まれるわけでございます。したがいまして、六十年度定率繰り入れを停止するといたしましても国債整理基金の資金繰りの状況は問題はないわけでございますけれども、六十一年度になりますと、現金、いわゆるネット償還額、すなわち要償還額から借換債の収入金を控除いたしました額、これが一兆五千九百億円ということになるわけでございますから、単純に今の数字を引きましても六千億円程度基金の残高が足りなくなるという事態が六十一年度に予想されるのでございます。したがいまして、基金の円滑な運営のためには基金残高がマイナスであるということは考えられないわけでございますので、少なくともこれをある程度維持することが必要な事態が六十一年度に参る、すなわち、もう猶予できない状況が来るわけでございますので、今後の、六十一年度の予算編成に当たりましては、この問題につきましては、真剣にいろいろな角度から政府としても考えていかざるを得ないという事態になるわけでございます。そういう中で定率繰り入れの問題も当然に検討の重要課題になるということでございます。
○多田省吾君 今お答えのように、昭和六十年度末におきましては国債整理基金の残高は九千九百億円。それじゃ六十一年度中にはどうなるかと申しますと、おっしゃるようにどうしても一兆五千億円以上の財源が必要になる。それから定率繰り入れ停止をいたしますと、六千億円の穴があくという意味だと私たちも認識します。ですから来年度は絶対に繰り入れ停止ということはやってはならない、このように我々も思っているわけでございます。
 ところが、六月七日ごろの新聞報道によりますと、大蔵省として国債整理基金への六十一年度の定率繰り入れも五年連続して停止する方針だ、このようなことを考えているという報道もございます。これは大変ゆゆしい事態だ、このように思いますが、今こういうことは絶対考えていないとはっきりお述べになるべきだと思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 六十一年度の定率繰り入れの取り扱いにつきましては、先ほども申し上げましたように、六十一年度の財政状況、それから国債整理基金の資金状況等々を考慮する必要があるわけでございます。したがいまして、そういうことを十分念頭に置きながらこの問題を取り扱っていくべきであるというふうに考えております。
 それとともに、現行の減債制度の仕組みを維持するという基本的考え方、これとをどう適切に調和させていくかという点も重要な問題であるというふうに考えております。
○多田省吾君 今のお答えを見ますと、どうも六十一年度の繰り入れ停止も考えておられるような御答弁になっておりまして、大変残念です。
 私は、ここでやはり、六十一年度の繰り入れ停止はやりません、やらない方向で進みます、こういう御答弁が当然だと思うんですが、大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、おっしゃいますように、ことしまで一時一時と言って四年たった。それもいわば国債整理基金の資金繰りに影響がないという一つの支えがあったと思うわけでありますが、御指摘のように六十一年度は待ったなし、こういうことになるわけであります。
 国債整理基金のいわゆる定率繰り入れの問題につきまして、中にはいろんな案をおっしゃっていただく人もございます、半分入れたらどうだとか、例えばの話でございますが。いま一つはいわゆる電電株の問題も対象にのり得る問題ではないか、こういう意見の人もございます。が、やはり財政審の報告の中に明瞭に言われておりますように、減債制度の基本はこれを維持しということを念頭に置いた対応の仕方を結果からすればしなきゃならぬではなかろうか、こういう感じで、今日まだ財政事情、経済事情等が定かに見定めはできませんものの、考えていかなきゃならぬではなかろうかというふうに考えております。
○多田省吾君 私がなぜこのようにしつこくこの問題を御質問するかといえば、やはりこの特例公債の発行あるいは借換債の発行といい、これは財政民主主義の上から異常としか思えないような状態になっておりますが、どこかでこれは歯どめをかけなければならない、このように思います。先ほどからの御答弁にありますように、特例公債の相続く発行、しかも昨年からの借換債の発行、どんどん財政上の秩序が壊されてまいります。これは我々としても大きな不安を感ずるわけでございます。それで財政民主主義を守るために、じゃどのような歯どめをするかといえば、この問題もやはり大きな問題だと私たちは思います。さらに、大臣がおっしゃったあの六十五年度の新規特例債発行脱却という問題、これも一つの歯どめだと思いますが、こういう歯どめが次から次へと破られていくような気がしてなりません。これはやはり相当しっかりした覚悟を持ってやっていただかなければならない、このように思うわけでございます。
 次に私は、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案についてお伺いしたいと思います。
 まず、法第五条及びその二をわかりやすく御説明いただきたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 改正後の国債整理基金特別会計法第五条は、「政府ハ各年度ニ於ケル国債ノ整理又ハ償還ノ為必要ナル額ヲ限度トシ借換国債(当該年度内ニ償還スベキモノヲ含ム)ヲ起スコトヲ得」というのが第一項でございます。したがいまして、従来の規定によりますと、この「当該年度内ニ償還スベキモノ」、これの情擬国債の発行はできないと解釈されておりましたが、それが可能になるということでございます。
 それから、第二項に、「前項ニ規定スル当該年度内こ償還スベキ借換国債ノ募集金ハ国債整理基金特別会計ノ歳入外トシテ之ヲ国債整理基金ニ編入スベシ」ということが書いてございます。従来の借換国債は長期の国債でございましたので、これにつきまして、短期のものにつきましてはこれを歳入外として行うことによりまして弾力的に発行することが可能となるわけでございます。そういう点が、この二項の規定でございます。
 それから、三項は、「国債整理基金ハ第一項ニ規定スル当該年度内ニ償還スベキ借換国債ノ償還ノ為国債整理基金特別会計ノ歳出外トシテ使用スルコトヲ得」ということでございまして、これも、短期の国債につきましては歳出外としてこの基金を使用し償還できるということで、弾力的な償還が可能になるという道を開いているということでございます。
○多田省吾君 第五条ノ二の方も御説明いただきたい。
○政府委員(平澤貞昭君) 第五条ノ二は新しく入れた条文でございますが、読まさせていただきますと、「政府ハ翌年度ニ於ケル国債ノ整理又ハ償還ノ為予算ヲ以テ国会ノ議決ヲ経タル額ヲ限度トシ借換国債ヲ起スコトヲ得」ということでございまして、いわゆる年度越え前倒し発行の道を開いているということでございます。
 この規定を置きました趣旨は、五十年度以降の大量の特例債の発行の償還期が六十年度以降参るわけでございます。この大量の償還は特定月に集中する。例えば五月という月に二兆円、三兆円というのが集中するわけでございますが、この償還のための現金を用意する必要があるわけでございますけれども、非常に巨額の金額でございますので、この四月、五月の二カ月では十分にその金を調達できない可能性もあるわけでございますし、仮に調達いたしましたとしても、非常に無理にやりますと発行条件が悪くなる、場合によっては十分調達できないということもございます。そこで、その前年度の例えば二月、三月、これは金融が緩んでいることもございますし、場合によりましては前年度の国債はほぼそれまでに発行が終わっているという事態も予想されるわけでございますので、そのようなときに有利な条件で例えば短期の国債を発行して償還財源を二月ごろから積み立てていく、そして五月の大量の償還に備えるということはやはり国債管理政策を有利にかつ弾力的、円滑に行うためには必要であるということから、この第五条ノ二の規定によりまして年度越えの前倒し発行が可能になるようにする規定を入れているということでございます。
○多田省吾君 そこで、お伺いいたしますけれども、国債の満期償還が特定月に集中するということでございますけれども、本年度においてはその状況はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) ラウンドで申し上げますと、六十年の五月が大変多うございまして一兆五千六百億でございます。それから、八月が九千二百億、十一月が二兆二千六百億、それから一月が一兆七百億、来年の二月が二兆三千二百億というふうに、月によりまして大変巨額な満期到来債が参ります。
○多田省吾君 今御答弁のように、特定月、二月、五月、八月、十一月に償還が集中するので、これを平準化する意味で新しい規定を設けた、こういう御答弁でございます。
 それでもう一点お伺いしておきたいんですが、短期借換国債の発行という措置がいかにも必要なものであって欠かすことのできないような説明をなさっているわけでございますが、仮に国債整理基金への定率繰り入れが定められたとおり行われて、そして基金が充実したものであったならば、これは当然必要でなくなるものではないかと思いますけれども、これは違っていますか。どうですか。
○政府委員(宮本保孝君) この短期の借換債につきましては、先ほども説明がありましたが、二つその趣旨がございます。
 一つは、短期の資金の運用手段として今現在保有されている期近債が多いわけでございますが、それの償還金を短期にやはり吸収するためには、こちら側といたしましても短期の金融商品を提供することが有効でございます。そういうふうなことで、多様ないわゆる市場ニーズに即応した資金調達を行うためにそういう短期資金の吸収手段が必要だというのが第一点。
 第二点は、満期到来債が特定月に集中するわけでございますので、中長期債の借換債を平準的に発行するという目的、それからもう一つは長短金利水準の状況によりましては、中長期債の発行時期を調節することで金利負担の軽減を図ることができるというふうな意味を持っているわけでございます。そういう意味におきましては、いわゆる短期のつなぎという観点があるわけでございますので、短期的なつなぎという観点からのみ考えますと、余裕資金残高がたくさんあるといたしますればこの短期債を出す必要性が乏しいというふうに考えられることはございますけれども、その場合でも、その短期の商品に対する市場ニーズに対応いたしまして適切かつ効率的な資金調達を行うという観点からは、やはり短期国債を発行する必要が出てくるわけでございまして、したがって短期国債の導入といいますのは国債管理政策の適切な運営のために重要な政策手段でございまして、国債整理基金残高が乏しくなったから導入するというわけのものでもございません。
○多田省吾君 今のお答えは、資金が豊富な場合であっても市場ニーズの問題があるから短期借換国債の発行の措置をやった方がいいんだ、こういう御答弁もありますが、その後の方はつけ足しでございまして、やはりこの措置も私は異常なものということにおいては変わりない、このように思います。
 この辺、異常異常が続くわけでございますが、大臣といたしましてこういった問題に対して、異常が続くこの責任というものを十分認識されているとは思いますけれども、この点の御見解をお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かに今、異常異常とおっしゃいましたが、振り返ってみますと、まず最初は依存度が五%ぐらいという歯どめがありました。そしてその後は一けたというような歯どめがございました。それからもちろん赤字公債を発行した際におきましても、これはまさに借りかえはしませんというのがちゃんと歯どめとしてついておった。一つ一つ、現在の厳しい財政事情の中で、やむを得ざる措置としてそういう歯どめが徐々になくなってまいりました。したがって今、六十五年という一つの努力目標、そしていわば日銀引き受けはしない、そういうことで今日に至っておりますが、この短期国債というのは私はいわゆる国債の多様化という点においては、それは国債管理政策上は一つのあり方としてそれなりの効果のある施策だと思っております。
 ただ、多田さんおっしゃいましたように、やっぱり基金残高が乏しくなったという状態が、より国民のニーズの多様化に対応していくためのいわば商品の多様化と申しますか、そういうこととの直接の因果関係が私は全くないとは思いません。したがって短期国債そのものは、私はこのニーズに対応するための多様化として一つの施策としてお認めをいただきたい。因果関係が全くないものというふうには必ずしも思っておりませんが、短期国債に対する考え方としては、ニーズに適応していくための多様化という施策からしては、一つの施策としてあり得る姿ではなかろうかというふうに思っておるところでございます。
○多田省吾君 それではまたお尋ねしますが、本年度において法第五条の特別会計の歳入歳出の歳計外として発行するこの借換国債の累計額というものはどの程度と見ておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 短期の借換債の発行につきましては、中長期国債の満期の到来状況はどうなのか、あるいは中長期国債がうまく発行できるのかどうか、どの程度発行できるのか、それから短期の金融市場における償還能力がどの程度あるのか、あるいは長短金利水準、長短金利格差がどの程度あるのかというような点を見きわめまして、必要、有利と認められるときに臨機に発行していくべきものでございますので、その性格からいいましてその発行量とか発行時期を想定することは非常に困難なわけでございます。
 したがいまして、今の先生の御質問に対しましては、幾らになるのかという点につきましては、今申し上げましたような性格上、あらかじめ想定することは困難であるというふうなことでございます。
○多田省吾君 それでは一歩譲りまして、この短期借換国債の起債の一回ごとの発行限度額はどの程度に考えておられるのか。例えば特定月に来る満期償還金の何%までは発行してよろしいだろうとか、そういったお考えはないのかどうか、その辺のルールについてどう考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 特定月の償還額のどの程度を短期の借換債によって調達するのかという点につきましては、そもそも短期の借換債の発行がさきに述べましたようないろいろな状況によって異なってくるものでございますから、一概には申し上げることはできないわけでございます。
 例えば、現在のように中長期金利の水準が短期金利の水準とほとんど差がなくなりまして、中長期の借換債の発行によることがむしろ適当と考えられる場合には、短期の借換債は一切発行しないということも考えられるわけでございますし、逆に長期金利水準が一時的に極めて高水準になりましてその低下が見込まれるような場合には、その月の借換債発行額のすべてを短期債の発行によるというような場合もあり得るわけでございます。したがいまして、短期の借換債の一回ごとの発行額を満期償還額の何%以内とか、そういうふうなルールをあらかじめつくって対処するというふうなことはできないのではないか、こういう点につきまして御理解いただきたいと思うわけでございます。
○多田省吾君 その償還についてお尋ねしたいのですが、例えば特定月の五月に資金が足りないということで発行したとしまして、その償還は次の特定日の八月までに行うのか、それとも年度内でいいのか、あるいは特定月の間に、例えば一カ月ごとに発行、償還してもいいのか。
 また、幾ら特別会計の計上が必要でないとしても、この発行総額は年度内でもう幾らでもやっていいということはないと思いますので、その限度をお考えになっているのか。その辺のことを、これはルールとは言えないと思いますが、お考えをお聞きしたい。
 私は、何もかも勝手にやればいいというものではない、このように思いますので、それをここで明らかにしていただきたい、このように思います。
○政府委員(宮本保孝君) 短期の借換債の償還期間であるとか、あるいは最低発行単位等の具体的な細目につきましては、法案成立後に検討いたしたいというふうに考えているわけでございますが、特に今お尋ねの償還期間につきましては、短期の借換債の償還が次の中長期の償還月に重ならないように留意することが必要かと思うわけでございますし、また、発行時の金融情勢を踏まえまして、その時点におきます市場のニーズにこたえて最も有利に発行し得る期間というものを選択する必要があるわけでございますし、さらに規制金利商品である各種の預金、定期預金とかあるいは割引金融債、さらには自由金利商品でございますCDであるとかあるいはMMCとの競合にも配慮する必要があるわけでございまして、したがって、御質問のように、仮に償還が集中いたします五月に短期の借換債を発行する場合、その償還期日をどのように選択していくのかというような点につきましては、今申し上げましたような種々の要素を踏まえる必要があるわけでございまして、一年以内の範囲内におきまして適切な償還時期を決定して発行いたしたい、こういうふうに考えております。
○多田省吾君 もう一つ気にかかることは、発行された短期国債が果たして政府の思うままに消化できるのかどうか、十分消化できるようにするためには市場の実勢に応じた発行条件にしなければなりませんし、そのような条件にした場合、今度は銀行等の預金離れとか、預金減額という形で金融情勢に何らかの影響を与えていくのではないか、こういう不安も起こります。
 これについて、どのような発行条件でどのように対応されるのか、そのお考えをお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) この発行方法、発行条件等につきましては、これも今後の検討課題と思うわけでございますけれども、その発行方式は、私どもといたしましては、今現在やっております中期国債の公募入札の延長線上に考えるのが適当なのではないかというふうに考えておりますので、いろいろ方法はあろうかと思いますけれども、公募入札によることになるのじゃないかというふうに考えているわけでございまして、その場合、発行金利は当然発行時の市場実勢を反映したものになるものと思われるわけでございます。したがいまして、短期の借換債は、市場から見ますと短期の自由金利商品としての性格を持つことになりますので、期間であるとかあるいは最低券面額等につきまして、金利以外のそういう具体的な細目でございますが、それの検討に当たりましては、まさに御指摘のとおり、預貯金金利等既存の規制金利商品であるとか、あるいはCD、MMC等大口の自由金利商品との競合にも十分配意いたしまして、急激な資金シフトなどが起こらないように十分留意してまいりたい、こう考えております。
○多田省吾君 この点をまた別の面から考えますと、こうした形で短期国債を市場実勢に合わせて発行するということになりますと、一方で他の金融商品、もちろん銀行の預金金利なんかも自由化しなければならないのではないかという考えになります。言いかえますと、金利の自由化がこのことによって早くなるのではないか、こういう考えもありますが、いかがですか。
○政府委員(吉田正輝君) 先ほど来触れられておりますように、金利の自由化も進展しております。例えば大口預金金利につきましても、ただいまは、大蔵省が公表しております「現状と展望」あるいは円・ドル委員会報告書では、大口預金金利規制の緩和及び撤廃を二、三年以内に図るように努めるということで、遅かれ早かれ金利の自由化が進行しているわけであります。その中におきまして短期国債の発行が行われます場合に、金融市場に与えます影響というものあるいは金利自由化に与える影響は、発行量とか期間あるいは最低発行単位あるいは発行の形態、金利等によって異なってくるものと考えられるわけでございまして、それにつきましては、理財局長からも答弁いたしましたように、法案の成立後は、金利の自由化の進展状況を踏まえ、かつ、先生御指摘のような既存の金融商品との競合や急激な資金シフトを起こさないよう金融資本市場に及ぼす影響なども配慮しながら、金融界等を含めまして関係方面の意見を聞きながら十分検討されると聞いております。
 したがいまして、そのこと自体が金融の自由化ないし金利の自由化について悪い影響を与えるというようにならないように配慮されてまいるというふうに信じておるわけでございます。
 これは、一つは金利の自由化の進展要因になるかということでございますけれども、確かにこれは短期の自由金利商品の一つがふえるわけでございまして、そういう意味では短期金融市場の厚みがふえる、あるいは金利裁定の場が広がるという意味で、金利の自由化を進める要因になることは確かでございます。そのこと自体は、こういう短期金融市場が整備拡充されていく要因にもなっておりますので、金融の自由化あるいは金利の自由化を進める上でスムーズな環境をつくる面もあることも事実であるというふうに把握しておるわけでございます。
○多田省吾君 これに関連してお伺いいたしますが、去る五日金融制度調査会は、「金融自由化の進展とその環境整備」と題する答申を提出されたわけです。
 小口預金金利自由化の前向きな検討、あるいは預金保険機構の抜本的強化など、金融自由化への積極的な取り組みを促す内容となっております。大蔵省といたしましてこの内容をどのように実行されるお考えか、これは国債の市中引き受けとも深い関連が出てまいりますので、この点はどうなのかあわせてお伺いしたいと思います。
○政府委員(吉田正輝君) 御指摘のとおり、六月五日に金融制度調査会から、「金融自由化の進展とその環境整備」ということで、かなり幅広い御提案をいただいたわけでございます。
 その中には、法律改正などもお願いしなければならない預金保険機構の抜本的強化などもございますし、それから預金金利につきましても、大口預金については喫緊の課題であるというふうにとらえて、例えばMMCやCDの進展状況を見ながら行政当局において適切に進めていくように、あるいは小口預金につきましてもこれは前広に進めるということでの御提言をいただいておるわけでございます。
 したがいまして、私どもといたしましては、こういう金融制度調査会の答申を踏まえまして種々の環境整備を図ってまいりたい。例えば小口預金の自由化を進める場合でも、環境が整備されて、つまり信用秩序維持が遺憾なきを期せる体制になっているというようなことでなければまた小口預金の自由化も進めるわけにはまいらぬという背景もございます。したがいまして、金融制度調査会の御答申につきましては、私どもこの幅広い御提言につきまして前向きに受けとめまして、法律を要するものは法律の改正をお願いする、あるいは行政面で対応できるものは行政面で適切に対応するということで、本質的には「現状と展望」あるいは円・ドル委員会報告書に示されているように、金融の自由化につきまして漸進的かつ前向き、主体的に進めてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○多田省吾君 それから日銀引き受けという問題をお伺いしておきたいと思います。
 市中引き受けが思うように進まない場合に、日銀引き受けというケースが生ずるかどうか。また、市中で十分に消化できるとしても、制度として日銀引き受けはあり得るのかどうか、この二点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) このいわゆる歳入国債につきましては、借換債も含めまして財政法第五条の国債でございます。したがいまして、財政法第五条の運用につきましては厳格な適切な運用が必要でございまして、私どもといたしまして、こういうような財政法五条の国債についての日銀引き受けということは一切考えていないわけでございます。
○多田省吾君 続いて、短期国債の発行についてお伺いいたしますが、短期国債が発行されて償還されます、余分に金利がかかります、その結果、国債整理基金を通じて国の財政負担の増加となるわけです。国債の借りかえを弾力化、円滑化するためといっても、一方におきましては金利の負担増加が起こるわけでございます。この短期倍換国債の発行に伴う金利の負担増加分を六十年度におきましてはどれだけあると見込まれているのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(宮本保孝君) 短期の借換債の発行につきましては、私どもといたしましては金利負担をできるだけ軽減するためという意味もありましてお願いしているわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、長期の金利に比べまして短期の金利の方が低いような場合に発行するわけでございまして、単にその平準化を図るというだけで短期でつないでいくというふうなことじゃございません。私どもといたしましては、特に発行当局といたしましては、できる限り長期の、かつ良質な、財政当局にとりましてはいわゆる財政負担の少ない安定した資金を調達することをまず眼目とすべきでございまして、金利が高いときに短期の転がしというふうなことをやるつもりはないわけでございまして、そういう意味におきましては短期国債の発行が金利負担を増大させるというふうなことにはならないというふうに考えております。
 なお、六十年度における短期国債の金利負担につきましては、まず短期国債を本年度にどのくらい発行するかという点につきましてもまだ全く見込みが立たないわけでございますし、一応予算的には先ほど来申し上げておりますように中長期国債のかわりとして、つなぎとして発行するわけでございますので、いわゆる国債金利につきましては一般論といたしましては長期よりは短期の方が金利が低いわけでございますので、その予算に計上されました中長期国債の金利負担の中で対応できるものであるというふうに考えております。
○多田省吾君 さらに、この発行の状況がたとえ国債整理基金特別会計予算に計上されないとしましても、その詳細の報告は国会に出されるべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(宮本保孝君) 国債の発行につきましては発行の都度告示を行いましてその実績を明らかにしているところでございまして、年度内に償還されます短期の借換債につきましても、告示によりまして発行の実績をお示しすることになると思います。さらに、国会に対しましてその発行の実績を明らかにすべきであるという御指摘でございますれば、決算の添付資料等において現在も中長期の国債の内訳をお出ししているわけでございますが、短期の国債をどういう形でお示ししたらいいのか今後検討してまいりたい、こう考えております。
○多田省吾君 次に、法第五条ノ二の規定についてでございますが、これは財政法十二条、会計年度独立の原則の例外規定でございます。
 まずお伺いしたいのは、さきの国債整理基金特別会計の歳入歳出外としての起債もそうでございますが、こういう形で財政運営が行われるということは、財政当局がみずからの能力に限界があると認めるようなものではないか、このように思いますが、この点いかがですか。
○政府委員(平澤貞昭君) この年度越えの前倒し発行の趣旨及び理由につきましては先ほど御説明申し上げました。その結果といたしまして、この発行は、財政法第十二条の規定、会計年度独立の原則が規定されているわけでございますけれども、その例外的なものになるわけでございます。会計年度独立の原則を規定しております十二条は要するに「各会計年度における経費は、その年度の歳入を以て、これを支弁しなければならない。」というふうに書いてあるのでございますが、しからばこの原則についていかなる例外もこれは認められないのかという問題がございます。
 これにつきましては、従来から、合理的な理由があればその措置も認められるということでございまして、財政法上も例えば歳出予算の繰り越しがございます。いわゆる明許繰り越し、事故繰り越しあるいは継続費年割額の逓次繰り越しといったものもございますし、歳出面では過年度支出というものもございます。歳入面では過年度収入あるいは前年度剰余金の繰り入れといったようなことも認められているわけでございます。この年度越え前倒し発行につきましては、先ほど御説明いたしましたようにその必要性等々がございますので、したがいまして十分に合理的な理由があるということから今回法案でこの規定を入れて御審議をお願いしているということであります。
 そこで、この年度越えの前倒し発行につきましては、規定にもございますように、限度額について予算をもって国会の議決を経るということが規定されておりますので、その意味からいいましても歯どめもあるわけでございます。したがって財政法十二条の原則の例外といたしまして法律改正でお願いするのも特に問題はないというふうに考えているわけであります。
○多田省吾君 今お答えのあった借換債の前倒し発行について一点だけお伺いしておきますけれども、発行限度額でございますが、六十年度分は翌年度すなわち六十一年五月二十日に満期償還が来る二兆八千億円の約三分の一の一兆円を限度とするそうでございますが、これが今後ともそうした方針で国会へ提出されるのかどうかお伺いいたします。
○政府委員(宮本保孝君) 今御指摘のとおりなのでございますが、今年度の一兆円と申しますのは、六十一年度初に必要となります償還資金を平準的に調達するための所要額、それからまたもう一つは、過去一―三月期におきまして各月の発行可能額というのは大体似通った数字になっておりますので、そういうような点も総合的に勘案して決めたところでございます。六十一年度以降におきます限度額につきましても、基本的には今申し上げましたような諸要因を勘案いたしまして毎年度の予算編成過程の中で総合的に検討してまいることになろうかと思うわけでございますが、六十二年度以降の年度当初の償還資金が大体六十一年度と似通った数字でございますので、それほどかけ離れたことにはならないのではなかろうか、こういうふうに思っております。
○多田省吾君 この問題で大臣に最終的にお尋ねしたいのですが、この第五条ノ二、これは明らかに財政法十二条、会計年度独立の原則の例外規定でございます。本来例外規定というものはない方がいいわけで、あってはならないわけでございます。これを提案しなければならない大臣としてもちろん責任は感じておられると思いますけれども、この問題に対してどうお考えでございますか。
○国務大臣(竹下登君) これは、おっしゃるとおり、いわゆる例外規定であることは事実であります。財政法第十二条というのは会計年度独立の原則を定めておりますが、いかなる例外も認められないというものではないというふうに思います。すなわち、合理的な理由があれば年度越えの措置をとることは可能である。それは、先ほど答えておりましたように、歳出の繰越制度等もこれもまさに例外として規定されておるということであります。
 したがって、今回の措置についていろんな議論もしてみましたが、今回の措置は、資金である本特別会計の性格にはなじむものであって制度的に無理を生ずるということはないのではないか。 他の過年度収入、過年度支出というようなものもそれぞれ例外として認められておるということでこのような形にしたわけでありますので、やっぱりこの措置の方がより、言ってみればそのときどきの事情に応じて機動的に対応する措置として、私どもはこの例外規定というものの合理性をお認めいただこうじゃないか、こういうことで結論としてお願いをしておるということであります。
○多田省吾君 次に、電電及び日本たばこ株式会社の株式運用についてお伺いしたいと思います。
 今回の法改正によって、財政調整のための資金、すなわち両社の三分の二と二分の一のそれぞれの株式を、国債の元金償還に充てるため国債整理基金特別会計に所属がえをするとなっておりますけれども、一体この民営化が行革の柱としてなされたのか、あるいは財政運営失敗のための穴埋め措置としてなされたのか疑いたくなるわけでございます。民営化、民間活力という言葉が先行いたしまして、実態はさほど変化がなくて看板の書きかえのみであるというようなことがあったならば、これは問題でございまして、この国民の財産である両社の資金を、また資産を、国の財源補てん策に利用しただけと言われるのは非常に遺憾だと思いますが、そのようにも見えるという声も強いわけです。この問題をどう考えますか。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり基本的には電電、専売それぞれ、民営化の大義名分というのがまず存在しておったと思います。すなわち、電電の民営化は、将来の高度情報社会に向けて電気通信事業の分野に競争原理をとにかく入れよう、こういうこととともに、事業の公共性に留意して、民間活力を導入して事業経営の一層の効率化、活性化を図るということが目的として行われたものであります。それから専売は、これは開放経済体制ということに即応する、そしてたばこの輸入自由化を行う、国際競争力確保の観点から合理的企業経営が最大限可能な会社にする、こういうことであります。
 したがって、まさに民営化の目的がそれぞれあるわけでございますので、いわばこの株式売却利益、国民共有の資産を国民共有の負債に充てようということがまず目的として存在しておったというものではございません。したがいまして、これらのことにつきましていろいろ議論をしました結果、この国民共有の財産を国民共有の負債に充てようということから国債整理基金に直入させていただくことで法律の御審議をお願いしておるというのが素直な現状でございます。
○多田省吾君 それでは最後にお伺いいたしますが、産業投資特別会計への両社株式の帰属につきましても国民経済の発展と国民生活の向上に資するということを明らかにするということでございますが、この資産運用益につきましても、大ざっぱなことではなくて、今日高齢化社会への対応等具体的に対応策を盛り込むべきである、このように私たちは思います。
 それから、やはり国民が納得するような株式配当金収入の使途を私どもは明らかにすべきである、このように思います。また、この株式運用にかかわる投資先につきましても、いやしくも国民の疑惑を招くことのないような姿でいかなければならない。
 このように思いますが、これらの点について大臣の確認を求めておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 産投会計に帰属することになります電電株式会社の配当金、これは六十一年度以降産投会計の運用収入として受けられるものでございます。この配当金は産投会計の他の収入と合わせまして産投会計に投融資財源に充てるということになるわけであります。
 この電電株式の配当金等を財源といたします六十一年度以降の具体的な産投会計の投融資先につきましては、これは毎年度予算編成の段階で検討することとなりますので現時点では何とも申し上げられませんか、いずれにしてもこの配当金というのは、いわば産投会計もずっと経済社会の推移の中で変化してきておりますので、やはり従来のような考え方ではなく、技術開発それから中小企業対策等、国民経済の発展と国民生活の向上に資する分野に活用するということを基本としてそれ
ぞれ各省庁等でもこの検討が進められていく課題ではなかろうかというふうに考えております。
 そこで、まさにおっしゃいますように、配当金がいわば疑惑を抱かせるようなことがあってはならぬというのは当然のことでございます。したがって、そのような観点から、投融資先の事業につきましては所管官庁におかれてその事業内容について十分監督していただける――我が方の直接の監督の行き届くことではございませんけれども、政府内部における所管官庁において事業内容については十分監督がしていただけるということになろうというふうに考えます。
 それで今度は、したがいまして、産役会計の投融資先につきましては、毎年度、特別会計予算参照書の投資計画表にお示しして国会の御審議の参考に資す、こういう姿勢で臨むということになろうかと思われます。
○近藤忠孝君 事前に通告しておった問題に入る前に、午前中からの議論との関係で若干の質問をしたいと思います。
 それは、財政再建ができるのかということです。これは去年も議論になりまして、大蔵省側の答弁としますと、結局は赤字国債の新規発行ゼロ、それを六十五年に達成するのがまず第一の目標だ、こういうことに尽きたわけですね。それ以上聞いても、何にもお答えにならなかったんです。
 そこで、しかしその目標どおりに進んでいない。もう連続二年、今年度は建設国債でつじつまを合わせていますが、結局連続二年目標を達成していないんですね。この事態をどう考えるのか、そして、達成できなかったら一体どうするのか、あるいはどうなるのか。まずお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 六十五年度に赤字公債を歳入とする予算を組むことからは脱却する、これが第一目標だとこう申しておるわけであります。それで去年もことしも達成できなかったんじゃないかとおっしゃいますのは、単純平均した減額一兆数百億というようなものに達していないんじゃないか、こういう御指摘だと思うのであります。確かにおっしゃるとおりでございます。後送りになって、単純平均すれば毎年少しずつそれが後送りになりますから、それを平均してもなおふえてきておるということは事実でありますが、しかしこれは毎年毎年の予算編成の中でやっていくわけでございますので、それぞれの二年間にわたる単年度そのものを見てもうギブアップではないかという評価は、必ずしも当たらないんじゃないか。大変苦しい目標だということは十分承知の上で申しておるわけでありますが、だからギブアップしましたと、こう言った途端にやっぱり、歳出圧力というものに私は抗し切れなくなるのじゃないかという感じを持っておるところであります。
○近藤忠孝君 それはギブアップしたらば、前の鈴木さんのときと同じように内閣を投げ出さざるを得ないかもしれぬし、竹下さんは大蔵大臣のいすにとどまり得ない、それほどの問題だと思うんです。
 しかし今の答弁でも、果たしてこの後どうなるのか。一年目、二年目が目標を達成していない。だんだん苦しくなってくる。それでもなおかつできるという自信がおありなのか。去年やっぱりこの財確法の審議の一番最後に総理大臣が来たときに、自信があるのかと聞いたらば、あの自信家の中曽根さんも自信があるとはお答えできずに、ただただ達成に努力するのみであります、こういう答弁だったのです。恐らく今も聞くと、ただただ達成に努力するのみというお答えになるかと思うんですが、それはさておき、仮に達成したとしましても――達成できない公算の方が強いというのが大方のもう意見になっていますけれども、仮に達成したとしましても、これだけではやっぱり財政再建にはならないわけです。六十五年以降も国債残高はふえ続けて、これも去年聞きましたけれども、ピークはいつかと聞いたら、ピークはどうもはっきり言えないと。となりますと、第一の目標達成を仮にしたとしても、その後これがどうつながっていくのか。この点については、これまた今のところは何とも言えないという、そういう状況でしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 達成したということになりますと、大体建設公債を横ばいで出しますと残高が百六十五兆――百六十六兆弱と言った方がいいかもしれませんが、六十五年百六十五兆、建設が百兆、赤字公債が六十五兆、言いやすいからあえて百六十五兆と言っておりますが、その百六十五兆の残高が残るわけでございますから、それを今度はいかにしてGNPの伸びと調和をとって逐次減らしていくかというのがやっぱり第二段階の最大目標ではなかろうかというふうに私は考えております。
○近藤忠孝君 そういう段階、これは大変甘い見方でして、しかし、仮にそういう方向になったとしても、やはり国債の利払い費はふえ続けるわけですし、私は、建設国債発行が減額に向かうという保証はやっぱりない。逆じゃないかと思うんです。それは現に本年度でも、歳出を抑えたと言いますけれども、道路予算などを見ますと、揮発油税一千億円、これを道路整備特別会計へ繰り入れる、あるいは財投、結局一般に見えている予算よりは二千億円多いわけですし、実態は、財政全般から見ましてもやりくり算段、無理に無理を重ねておりますよね。特に地方への負担増、これが問題になっておりますけれども、地方債で調達する、結局これも国が六十一年以降面倒を見なきゃならない。
 そうすると結局、すぐほころびが出てくるようなそういう状況なのではないか。そういう中でもなおかつ、これが本当にずっと財政再建へ進んでいけるという、本当にそうお考えになって今財政運営をされておるのかどうか、その辺のちょっと本音を聞かせていただきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) これは、行かねばならぬ、こう思っておるわけでございます。
 事実、今、いわば公共事業等に対する歳出圧力に耐えかねて建設国債は少なくとも膨張していくんじゃないかというような懸念をも踏まえた御質問としますと、やはり社会資本のおくれというものに対しての配慮はしなきゃならぬにいたしましても、対GNP比で言えば大体五・五%ぐらいでございましょうか、他の先進国の倍ぐらいでございますから、逐次その水準には追っかけていくであろうし、さらにいわゆる民間活力、これをどう組み合わせていくかということがこれからの課題ではなかろうかというふうに思っておりますのでやっぱり、仮に赤字国債がなくなっても、建設国債ならば資産が残るからいいじゃないかという単純論理だけでこれにイージーに対応していくべきものではないというふうに思います。
○近藤忠孝君 民間活力の問題はまた次回以降に。この法案との関係で議論したいと思うんです。
 そこで、国債発行残高がどんどんふえて、GNP比率で申しますと英国を追い越したことの意味は大変大きいと思うんです。
 イギリスの場合には、第二次大戦の戦費、それがそのまま借金になって残ったまま来ているから大変高いGNP比率だったと思います。日本の場合には、超インフレで実質不払い、すなわちこれは前年議論した国家破産、大日本帝国がそのときに破産したおかげでその後身軽になったわけです。片やあのときの借金を抱えたまま来て、現に八〇年四五・五%、それから翌年四四・一%、八二年四三・六%と、少しずつではあるけれどもずうっと下がってきている。それに対して日本は、ゼロから出発しながらGNP比率ではこのイギリスをも超えた。しかも大変急激な勢いでふえてきている。八一年三七・四%がどんどんふえて、八三年では四五・八%、この段階でもうイギリスを超えましたね。そして八五年の予算案で四八・四%ということなんです。そしてGNP比率の国債残高は世界一。世界一なら何でもいいというものじゃなくてこれはやっぱりぐあいが悪いんですが、こういうイギリスを超えたという今の意味を踏まえて大臣の所見をお伺いしたいと思うんで
す。
○国務大臣(竹下登君) イギリスと日本との基本的ないわゆる戦費調達にかかわる問題というのは、敗戦国と戦勝国の差というのが心理的に大きく作用しておると実際は思います。したがって、イギリスはイギリスなりの措置しかあのときなかったのじゃないかなという感じが私もしないではございません。日本の場合確かに世界一であることは事実でございますが、よく我々の会合で見かけますのは、これにくみしておるわけじゃございませんけれども、我々はいわば資金の調達を外国から得ておる、日本は国民から得ておるじゃないか、そこに我々との非常な違いがあるんじゃないか、こういう議論がよくあります。
 しかし、租税負担率も国民負担率もそれはイギリスの方がはるかに日本より高いわけでございますけれども、将来幾らか上がっていくであろうということはだれも予測するところでございますけれども、適度なあるいは適正な国民負担率の中でなおその対GNP比率を鈍化させそして減らしていくという努力は、容易でないにしてもそれをやらぬことには、結局これは生きとし生けるものの後世代に対する責任が果たせないじゃないか。だからやっぱりかたくななまでにもそのことは言い続け、現実、歳入歳出両面の工夫をしながら対応していくべき課題だというふうに考えております。
○近藤忠孝君 私はもう少しイギリスとのことで、超えたというそのことで深刻なお考えが出てもよかったのだと思うのですが、次に移りたいと思うんです。
 そこで、これは通告しておきましたが、財政危機の原因をどう見るか。
 これは衆議院でも議論されてまいりましたし、そしてまたこれは既にもう繰り返し言われておりますように、二度にわたる石油危機の際に景気浮揚策などとして国債を増発した。これは効果があったと思うんですね。そしてこの点については異論はない。問題は、その効果をだれがどのように恩恵を受けたのかということが問題だと思うんです。この点につきましては、これは直接因果関係があるかどうかについて議論はあると思うんですが、しかし数字の上で見る限りは、国債増発を二度の石油ショックのときにした。日本の生産は第一次のときには八一%ぐらいまで、がくっと落ちた。しかし景気浮揚策で、一番遠い速度で回復しましたね。第二次のときには、ほぼECやアメリカが横ばいか落ち込んだのに対して日本は一一八%ですか、へこまずに来た。これはもう間違いないんですね。
 問題は、その結果、諸外国、先進諸外国が横ばいか落ち込んでいるのに対して日本がこういう高い成長を、伸びを示したということの結果、その利益、恩恵はどこへ行ったのかということなんです。
 これは数字上、これはこちらで言ってしまいますが、日銀の主要企業経営分析から見てみますと、五十年を一〇〇としまして、経常利益が五十一年二二九%で始まって、どんどんふえて、五十四年には三四六、五十五年四八〇、五十六年四〇二、五十八年四八五%となり、内部留保も同様にずっとふえてきて、五十五年には二〇九になり、五十八年には三四二になっておる。こういうことですと、結局利益はここへ行ったんじゃないか。この間の賃金指数は恐らく一一三か四です。これが一般の国民へのいわば配当、配分ですよね。それに対してこういう主要企業へけたが違うものが行っているということ。となれば、ここの層、要するに主要大企業、大企業ですね、ここが税制あるいはその他の方法で負担をすることによってこの危機を切り抜けるのが、これが公正な方法ではないか、こう思うんですが、この点についてのお考えを聞きたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) この点につきましては、我が方でも数字を調べてみたわけでございます。
 一つが、五十一年度を基点として主要企業の経常利益の伸び、総額では社数がふえておりますからふえてまいりますので、一社当たりの平均の経常利益の推移を見てみますと、五十一年度を一〇〇といたしました場合に、五十八年度は一五五・五になる、一・五五倍ということでございます。
 それから、内部留保額でございますが、一社当たり同じものが二五〇・四、二・五倍となっております。
 それに対しまして、事業所に勤務しております一人当たりの平均月額の現金給与額、これを五十一年度を一〇〇として五十八年度をとってみますと、一五六・二、一・五六。したがって、大企業のこの経常利益の伸びとほぼ並行しておるわけでございます。
 ただ、内部留保の方はそれを上回って伸びている。内部留保の場合にはストックに金利等がまた乗っかってきますのでふえる部分がある等々いろいろ理由があるかと思いますけれども、少なくとも委員の御指摘ほど大きくは数字が、現金給与総額と伸びが違っているということはないのではないかというふうに思うわけでございます。
○近藤忠孝君 いろんな資料があって、別の資料にはもっと私の指摘した幅が大きいこともあるんですが、一応共通の資料、それで一社当たりという答弁がありました。しかし、内部留保を含めれば、それは利益が相当行っているということは間違いないわけですね。
 片や、これは衆議院での大蔵大臣の答弁ですが、昭和四十八年、福祉元年、あのときに社会保障の水準が世界的水準に達した、その惰性というものが赤字国債と建設国債両方にかかって進められ五十五年からの財政再建に入るという発言を大臣はしておるんですね。これをこのまま読む限りは、財政危機の原因が福祉政策の強化にあるというぐあいに受け取れるんですが、そういうおつもりでおっしゃったんですか。
○国務大臣(竹下登君) いろいろな反省の中に福祉元年というものを打ち立てた。ところがそれがたまたま御案内のように第一次石油ショックと重なった、だから足踏みしておればよかったな、こういう議論をする人は確かにおります。だが私は、福祉元年というとき、あのとき、勇気を持って、いずれにしても公債発行ができたのは国民に貯蓄があったからですよね、そういうことがあったことはよかったことだと思っております。
○近藤忠孝君 そうすると、衆議院での発言は、私が言ったようにまで理解するのはちょっと行き過ぎというようなことですかね。いつもかなり慎重に言葉を選んでおられる大臣がこういうことを言うものだから、これはおやと思ったわけです。
 そこで、国債費の膨脹で、これは指摘もありますように、本年度予算では主要経費の第一位で、一般歳出のほぼ二割ですね。国債費、要するに中心はほとんどが利払い、これがやっぱり財政の所得逆再配分機能を果たすのじゃないかということはずっと触れてまいったんですが、この問題、依然として未解決のままなんです。前国会でこの指摘に対しまして大蔵大臣は、そういう逆所得再配分機能について勉強している、こう答えましたし、平澤さんの方からは、その逆配分の可能性は十分にあるという答弁はございました。それじゃ財政当局として、しかもこれは十兆円規模です、減税といったって一兆にならないし野党の要求だって二兆なんというんですが、それが全然けた違いが逆流するとなれば、それに対して財政当局としてこの逆配分機能を是正する必要があるんじゃないかという指摘に対しては、答えを出すのは難しいというのが昨年までの答弁なんです。
 そこでお聞きしたいのは、この問題をどう研究し、是正策をどのようにすべきと考えておるのか、研究成果をお聞かせいただきたいと思うんです。これは歳入歳出両方にかかわりますので、主計局、主税局それぞれお願いしたいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 委員の御指摘のように、国債利払い費の支払われる支払われ方によってはいわゆる所得の再配分にいろいろ問題が生じる可能性があるということは、いろいろの学者の先生も指摘しておられるところでございます。それを我が方でもいろいろ分析に努めておるわけでございますけれども、ただ問題は、公債の所得階層別の保有状況というものが現在統計上出ないわけでございます。一番大きな理由は、国債は無記名でございますから、だれが所有しているかというのがよくわからないというところが一番大きいわけでございます。したがいまして、具体的にどういうところへどう行っているかという点についてお答えできる状況には現在ないのでございます。ただ、先ほど来申し述べておりますように、所得の高い人たちが利払いを受ける率が高い場合には、そういう人たちのところへお金が行くということはそれ自体事実でございますので、したがって資産のある人が持っている場合には結果的にはそういう可能性があるという点は否定できないことだというふうに考えておる次第でございます。
○政府委員(梅澤節男君) 一般会計の中で国債費の占めるウエートが非常に高まってきておるということでございまして、これは一昨年の政府税調の中期答申の中でも、意図せざる所得再配分が起こる懸念があるという懸念が表明されておりまして、基本的にやはり税制調査会の考え方というのは、結局、こういった意図せざる所得再配分を取り除くためには、これは当然のことですけれども、とにかく国債の残高を減らしていくということに尽きるわけでございますけれども、税制面でどういう対応をするのかという御質問でございますが、今税制面で局所的にこれに手当てするというふうな観点からではなくてもちろん国債の増発を食いとめるということがまず先決でございますけれども、税制につきましては、やはり今国会でも御議論がございましたように、今後、税制全般について公平あるいは公正という視点から抜本的に見直すということでございますので、今おっしゃいましたような観点も含めてこれからの検討課題というふうに考えております。
○近藤忠孝君 国債の保有状況がよくわからないので答える状況にはないといってこれはほっておいていい問題ではないと思うのです。ほっておけばそのまま、今も言われたとおりそういう方向があることは間違いないわけだから、そうなると大変な所得格差が発生する。
 で、去年の議論の中で、国家破産に踏み込んだんじゃないか。竹下さんは、まだ国民全体の経済力から見ればそれとはほど遠い。私は現状はそうだと思うのです。今の状況がどんどん進み、加速度がついた場合に、一部の者は富めるかもしれぬけれども、全体としては大変なこういう状況に耐えがたいことに突入しかねない。私はそういう意味で提起したのです。だからやっぱり、それはわからないで済ませる問題じゃないということだけ指摘をしておきたいと思うのです。
 そこで、主税局長の方ですが、衆議院の大蔵委員会で、所得が平準化していること、そして財政の歳出面で所得再配分機能が非常に拡大していることなどを挙げまして、そして戦後税制のゆがみの一つとして、現行所得税の所得再配分機能は少し行き過ぎているんじゃないか、こういう考えを述べておるんですね。果たしてこれは我々の実感からそうなのか、大変これは疑問に思うのです。そう言われた根拠をお示しいただきたい。
 それから、私は当委員会で何度もジニ係数について指摘をしてまいりまして、これは多少の動きはあるけれども、七〇年代以降は、そして特に最近は概して横ばいを続けておるのですね、これはジニ係数の問題。
 それに加えて特に新たに幾つかの事実を指摘したいのですが、最近やっぱり賃金抑制が進んで、その反映で所得の伸び全体が抑えられている。五分位階級で見てみますと、低所得層ほど所得の伸びが小さくて、この一、二年はマイナスの伸びになっております。総務庁の貯蓄動向調査による五分位別の年収の伸びを見てみますと、この五年間の収入の伸びの平均が二二・八%であるのに対して、一番低所得層である第一分位の伸びは一四%しか伸びていない。しかも、五十八年には第一分位が、五十九年には第一分位だけじゃなくて第二分位も前年に比べてマイナスの伸びとなっている。こういう事実を前にして、主税局長、先ほどのようなことが言えるのかどうか。
 さらに、フローとしての所得以上にストックとしての資産の保有が問題で、格差が広がっているんじゃないかというこれは最近幾つもの資料があります。最近発表された貯蓄動向調査によりましても、勤労者世帯の貯蓄額は平約で約六百四十九万円でありますが、第一分位は二百九十三万円、第五分位平均の四分の一です。最近の伸び率で見ましても、五十八年は第一分位が、そして五十九年には第二部位がそれぞれマイナスに転じております。さらに長銀のレポート、これはかなり厚い、また、中身もしっかりした資料ですが、これによりましても、十分位階層の配分比で見てみますと、最も豊かである第十分位は、所得では全体の二七・四%を占めていますけれども、金融資産では倍近い四六・九%、金融資産だけじゃなくて実質資産を比べますと五一・九%と、大半を占めているという調査結果が示されておって、資産の格差が実は開いている。そして今度、資産の格差が開きますとその資産から生ずる資産所得の格差もまた開いていくという点で、こういう面でもこれがどんどん広がっていくんじゃないのか。
 こういう数字を、これは主計局の方になりましょうか、どう見るのか。そして、こういう状況について大蔵省は全面的な調査を私は行うべきじゃないか。これはあくまでも民間の調査ですから、こういう特に資産格差の広がり、ここを見なければ、先ほど申し上げた国債金利の逆所得再配分機能なども含めてますます経済が跛行的になっていく、それを阻止し得ないのじゃないか、こう思うのですが、それぞれお答えいただきたいと思います。
○政府委員(梅澤節男君) 所得の平準化の問題でございますけれども、これは先ほども申し上げましたが、一昨年の政府の税制調査会の中期答申で今後の我が国の所得税制を考える場合の視点として三つ挙げておるわけでございますが、一つは所得の平準化、それからもう一つは、就業構造等の変化によりまして給与所得者、いわゆるサラリーマンの階層が非常にふえてきている。それから三番目に、今もおっしゃいましたけれども、歳出面の所得再配分機能が非常に拡大してきておる。こういった状況の中で我が国の所得税をどう考えるのかという問題の提起の部分を御紹介申し上げたわけですけれども、その際の税制調査会の議論というのは、もう少しロングレンジの議論をしておるわけでございます。というのは、我が国の所得税の税率構造は、昨年の所得税減税によりまして十五段階になったわけでございますけれども、それまでは十九段階でございました。この十九段階の税率構造というのは、三十年代、四十年代、ちょうど高度成長期を通じて非常に精緻な構造になっていったわけでございます。
 ところがその間、今の視点で振り返りますと、三十年代、四十年代を通じまして所得の平準化が非常に進行した。これはジニ係数をとってもしかりでございますし、家計調査の第一分位と第五分位の格差、三十年代はこれは四倍ぐらいに開いておりましたけれども、今は二・五倍ということでございます。ただ五十年代、オイルショック後、一時ほどジニ係数の低下傾向は見られません。これは計数面で明らかでございますけれども、それは観点を変えますと、OECDあたりでも、先進国の中で日本のジニ係数というのは一番低い、つまり所得の平準化が一番進んでいる国だというふうに言っております。そういった中で、しかも五十年代に入りまして、ただいま大臣の答弁の引用もございましたけれども、一方、歳出面の所得再配分機能は非常に拡大しておる。その中で、先進国の中で一番強い累進構造を持ち、しかも三十年代、四十年代、所得再配分機能を所得税だけに任せておったというころと条件が違っておる。そういう問題提起をしておるわけでございまして、その基本的な方向については私どもは間違った方向の指摘であるとは考えておりません。
 それから資産所得といいますか、金融ストックの話でございますけれども、これも総理府の貯蓄動向調査で見ますと、昭和三十年代は第一分位と第五分位の金融残高の格差は十倍ぐらいあったわけです。今はこれは四倍。一方、もう一つ負債比率もふえております。これはやはり基本的には住宅ローンの負債がふえておるということで、これも観点を変えますと、その分は自分の持ち家になっているわけですから、帰属家賃としての、計数面にあらわれない所得増としてあらわれておるということから考えますと、金融ストックについても平準化という方向に少なくとも進んでおる、逆方向にはなっていないというふうに考えるべきだと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 委員のまずおっしゃいました年収五分位別収入の伸び、勤労世帯でございますけれども、五十四年から五十九年の間の平均の伸び率で見てみますと、むしろ第三階級が一番伸びておりまして、全体の平均は五・九に対して六・三という伸びでございます。一番所得の高い第五階級が、六・三の第三階級に対して五・七でございますから、そういう意味では、収入の伸びが最近階層によって特に上位階層の方に高くなっているということは一概に言えないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
 そこで、先ほど来の御議論にございました財政面での所得再配分機能の問題につきましては、先ほど主税局長も申しましたように、やはり一番重要なのは公債発行額の縮減にあらゆる努力をしていくというところにあろうかと思います。そういう意味では、たびたび本委員会でも御議論になっておりますように、六十五年度に特例公債から、まず新発債の依存から脱却しようという努力、それからさらに公債依存度をできるだけ引き下げていこうという努力、さらにはGNPに対する公債の残高の比率、これを下げていく方向で努力しようというようなことが重要な政策課題ではないかと思うわけでございます。その他、歳出面につきましては、特に社会保障面で恵まれない人々に対する予算、これについては六十年度予算でもきめ細かい配慮を加えて行ってきているということでございます。
○近藤忠孝君 時間が来てしまったので終わりますが、この続きは時間をたっぷりとってもらいまして今後やりたいと思います。
 それから、特に資金運用部の国債保有問題、準備してもらったけれどもきょうはできなかったので、次回以降にしますのでよろしくお願いしたいと思います。
○栗林卓司君 特例公債依存体質の脱却という目標に対して具体的にどういう道筋で歩んでいこうとしておられるのか、午前中の議論を聞いておりましても一切皆目わかりません。かいま見ましてもなかなか前方がはっきり見えない。そこで、同じような質問になるかもしれませんが、私からもお尋ねをしておきたいと思います。
 将来の財政を考えてみますと、大きな要因というのは三つに分けられるのではなかろうかと思います。一つは成長率、一つは税制、もう一つが歳出。この三つについてこれからどういったことを考えておいでになるのかということがはっきりいたしませんと、なかなか私は立ち入った議論ができないのではないか。二兆円の所得税減税要求、我が党が出しておりますけれども、出していながら一抹の不安がありますのは、先日でしたか、経済企画庁がある調査結果を発表いたしまして、減税というのは景気刺激に役に立つのであろうか、その結論というのは、余り役に立ちそうもない、幾ら減税したって結局は貯蓄がふえるだけだというような結果だったそうであります。なぜそうなるのかということは、問題は先行きに対する不安感でありまして、先行きが不安だとだれでもどうしても財布を締めてしまう、私もそうだと思います。そこで、特例公債依存体質の脱却ということに対して道筋がわからないということは、国民から見ますと先行き不安を高めこそすれ解消することはないのではないかというようなことで、くどいかもしれませんが、成長率と税制と歳出と、いわば三つに分けてみまして、まず成長率からお尋ねをしたいと思うのです。
 従来、ややもすれば成長率というのは大蔵のらち外のような錯覚もありがちでしたけれども、税制のいかん、歳出のいかんということは成長率と密接にかかわっているわけです。しかも毎年の予算ということになりますと、名目・実質成長率を含めて予算案を国会に御提示になるわけでありますから、成長率の問題も大蔵のいわば枠の中の話、こう理解して間違いないと私は思います。
 そこで、一応ことしのことを考えながらお尋ねをするんですが、というのは、中期的に話を引き伸ばしましてもなかなかとりとめがつかないものですから。まず、今国民も世界各国も非常な関心を持って見詰めているのは、七月にアクションプログラムをどう中曽根内閣がつくるかということだと思うんです。そこでこのアクションプログラム、内容はわかりません。わかりませんが、これは成長率に対してどういう影響が出るとお考えになっておいでなのか、大蔵当局からで結構ですから御判断をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(北村恭二君) 今先生お尋ねのとおり、政府といたしまして七月の末に向けましてアクションプログラムの策定ということに鋭意努力しているところでございます。既に御高承のとおり、アクションプログラムの内容といたしましては、一つは大きく関税の問題がございます。それから輸入制限の問題、あるいは基準・認証、輸入プロセスの問題、あるいは政府調達の問題といったように、このアクションプログラムの策定ということによって我が国の市場アクセスが一層改善されるということを通じまして諸外国からの輸入が促進されるということを一つ大きく期待しているところだと思います。
 ただ、実際にどの程度輸入が増加するかという、そういういわば計量的なものとしてこれを見た場合には、やはりいろいろ今後為替相場の動向がどうなるかとか、あるいは、我が国あるいは諸外国の景気動向がどうなるかということによってかなり差が出てくる問題だと思いまして、これが我が国の成長率にどういう影響を与えるだろうかという点についてなかなか計量的に現在の段階で申し上げにくい性質の問題ではないかというふうに考えているわけでございます。
 ただ、御存じのとおり、政府の今年度の経済見通しといたしまして、実質の我が国の経済成長率四・六%ということで見ているわけでございますけれども、当然その中には、今後の輸出入動向がアメリカ経済の動向等を反映いたしまして、輸出がある程度鈍化するといったようなこともある程度織り込んだ上でこういった見通しをつくっているわけでございます。むしろ、政府といたしましては内需、個人消費であるとか住宅投資であるとか、あるいは企業設備投資といったようなことを中心に今申し上げたような成長率が達成されるということを期待しているわけでございまして、今までのところ、昨年の十―十二月までの国民所得統計しか企画庁から発表されておりませんので、計数的に、例えば五十九年度がどんな姿になるかというような点はまだそういった統計の発表を待たなくてはいけませんけれども、しかし、いろいろな諸指標で見る限り、大体政府が今考えているような成長路線の上に乗っているのではないかというふうに私ども認識しているわけでございまして、もちろん先行きにつきまして、いろいろな条件の変化によってそういった見通しは変わってくることはあろうかと思いますけれども、ほぼ大筋で申し上げると、今、当初見通しを策定していたような線の上に沿って動いているのではないかというふうに認識しているところでございます。
○栗林卓司君 一応原則自由、例外制限ということでやっておられるわけですね。原則自由、例外制限でやっておるから結果として輸入がふえるかふえないかは相手もあることだしわかりません、それはやってみてのことですという御認識なのか。何をどうやろうと構わないけれども、結果として輸入がふえない限り今の日本が置かれている環境からするとどうもぐあいが悪いようだ。どっちの方にお考えになっていますか。
○政府委員(北村恭二君) 今政府として取り組んでおりますいわゆるアクションプログラム、対外経済対策というのは、一つには我が国に対し市場開放というものがおくれているのではないかという各国の指摘に対しまして、姿勢の問題といたしまして、そういった市場開放努力というものに我が国が真剣に取り組んでいるということを、いろいろな諸規制の撤廃、今お触れいただきましたような原則自由、例外制限といったような基本原則の中で、そういった政府の姿勢を示していくということにやはり大きな意義があると思いますけれども、そういったことを通じまして輸入が、特に製品輸入といったようなものが拡大していくということにつながることも期待しているわけでございます。
○栗林卓司君 つながることを期待しているのではなくて、製品輸入がふえない限りどんな作文をしようとだめだということなんじゃないんですか、実態は。
 どんな伺い方をしてもいいんだけれども、たまたまBISの年次報告があるものですから、これに沿ってお尋ねをしたいと思うんです。
 これは日経新聞の要旨ですからよくわかりませんけれども、何を書いているかといいますと、「西側先進諸国が一体になって推進すべき具体的な政策は、明らかに景気回復基調を維持することである」、これは大蔵省も全く同感だろうと思います。自律的な回復軌道にあります、それをどうやって長続きさせるか、そのためにお互いに協調して頑張りましょう、この結論については異論は全くないと思います。
 そこで、ただ二つの点について配慮をしなければならないと。一つは何かといいますと、「インフレ圧力をさらに軽減すること」、これはヨーロッパとアメリカなんかを頭に置きながら特につけ加えられた条項だと思います。二番目、「国際収支や為替レートを狂わせている米国の対外不均衡を是正すること」、この二点だと言っているんです。これはもう別に御異論はないと思います。私もそのとおりだと思うんです。
 そこで問題は、米国の対外不均衡を是正するためにどうしたらいいのか。さすがにBIS、きちんと見ているなと思いますのは、早くやってはだめだと言っています。早くやったら経済が混乱しちゃうからこれはゆっくりやるしかない。そこでアメリカの政府とアメリカの議会の間で「早急かつ信頼できる合意をとりつけること」がまず先だと、私もそう思うんです。そのときに周りの国というのは一体何をしたらいいか。「米国経済が軟着陸をめざすとすれば、それを補うために」、ということは赤字を減らしてまいりますとデフレ効果に効きますよね、それを減らすために周りの国々は「国内支出の増大を促進することが要求されよう」、この辺からちょっと意見が分かれるところですけれども、一応BISはこう見ている。もっと端的に言いますと、「米国の輸出の潜在的な拡大を現実のものにするために、各国は米国の輸出に対する需要を増やさなければなるまい」。途中ちょっと抜きます。「率直に言えば、日本の経常黒字が日本の輸入増によって削減されない限り、米国の経常収支を自然な均衡に持っていくことはできない。また単に円に対するドルの価値の下落によってこれが成し遂げられるとも考えられない」。日本に向かっては、途中経過はいいと。今世界の悩みの一つは何かといいますとアメリカの膨大な赤字です。あのインバランスを是正するに当たって日本に頼みたい仕事は、輸入をふやすことだと。
 こういった環境の中に今日本が置かれているという感じは、大臣どうですか、国際会議にお出になってやはり痛感しておられると思うのですが、御所見を伺います。
○国務大臣(竹下登君) 環境は、今の栗林さんの御意見と違っていないと私も認識しております。
 ヨーロッパとアメリカの考え方の相違は若干ございますけれども、環境はしたがって今もおっしゃったように、特に製品輸入の問題が日本の中で解決されることを期待し、また相互の国がそれだけの競争力が、日本の製品との競争力があるかということに疑念も持ちながら、しかしそれを期待しているということは事実であります。
○栗林卓司君 かつて日本の商品が輸出競争力がない場合には、何とか市場を開拓して競争力をつけようという惨たんたる苦労の時代がございました。今はどっらかというと、向こうの商品に競争力がないからだめだといっていないで、それにどうやって競争力をつけ、日本の市場に合ったものを開発してもらいながら我々が買うか、これが日本の今や生きる道にもなっていると思うんです。したがって七月のアクションプログラムというのは、何をどうしようと構わないんだけれども結果として輸入がふえなかったら恐らく西側先進諸国はがっかりすると思う。がっかりさせることが日本の国益にとってプラスかといったら、プラスなことは何にもない。
 そこで、まだ七月のアクションプログラムの中身はわかりませんから、御努力いただくんですが、一応我々として想定するのは、輸入がこれはふえるかもしれない、またそうでなければ日本の国策としてうまくいかない。こうなりますと、日本の成長率に対して相当デフレ的に効いてくる。
 大蔵のお抱えの商品で申し上げますと、ウイスキーの関税があるでしょう。あれを全廃したら日本のウイスキーメーカーは立ち行かないと思います。でも、海外とすると、何で日本がウイスキーをつくるんだ、しかも一つの銘柄として最も売れているのがサントリーだということになったら、それは英国は頭にきますわね。そうすると、関税率を撤廃しろ、当然のこれは向こうの要求になる。はあそうですかと撤廃したら、日本のサントリーもニッカもひっくり返っちゃう。だけではなくて日本の清酒業界もいかれちゃう。そうなってくると、清酒業界は当然、使う材料米については、食糧管理価格じゃない安い値段でよこせと言うに決まっている。こうしたもろもろのものをどう整理するかというのが今あなたが抱えている問題であって、どこまでできるかは知りませんが、結果として製品輸入がふえなければ日本の国益に反する。
 私がこう申し上げているのは、そうやって国内で倒産が出る、失業が出る、それも国益だ、この際は。そこまで見ておかないと、日本は進路を誤るんじゃないか。そこで今成長率ということをまず申し上げたんです。
 七月のアクションプログラムで日本の成長率はやっぱり落ちるかもしれない。そのときにどういう対策を今我々は準備をしたらいいのだろうか。これは大蔵省にお尋ねするのが間違っているんでしょうか、それともこれは経済企画庁でしょうか、ほかに聞かなければいけないんでしょうか。この点はどうなっていますか。
○国務大臣(竹下登君) 私は大蔵省に聞かれて結構な課題だと思っております。
 成長率の見方ということになりますと、我々としては六ないし七というような、名目で言いますと。実質で言いますと四%程度、五のときもあれば三のときもあるでございましょうけれども、それは企画庁で中心になって一応「展望と指針」で確認したことでございますから、その辺を見てやりますが、今おっしゃいましたように四月九日の日に対外経済対策というものの方針が決まった。サミットでもこれは、ECの委員長はある国と申しておりましたが、日本のことですが、新しい対策を打ち出された、したがってこれは刮目に値することである、がしかしその効果がどう出るかということが将来の最も重要な課題であると。私もそのとおりだと思うのであります。その効果がどう出るかはやってみなきゃわからぬにいたしましても、それによって、今おっしゃいましたように、EC側で我が省の問題といえばそれはコニャックとスコッチとブドウ酒でございましょうか、たばこはもう済んだとしまして。そうすると、それの関連した国内の産業構造に変化が生ずるということも私どもも理解していかなきゃならぬ、それがどういうふうな軟着陸でいくのか。今は我が方の分ですが、我が方の分でないものにおきまし
ても、その業種は国際分業の中でもう成り立ち得ないものも出てくるかもしれない。あるいはそうなると、今倒産、失業とおっしゃいましたが、ある意味で転廃業というようなことを考えていかなきゃいかぬ。それらのことは総合的に考える課題だという問題意識は持っております。ただ、大蔵省からその問題意識を先に出しますと、国内対策がまずありきで、先に出てという警戒心も私にまんざらないわけでもございませんけれども、そういう問題意識を持って対応していかなきゃいかぬことは事実だというふうに私も認識しております。
○栗林卓司君 個々の業界対策ということになると、おっしゃったとおりだと思います。ところが、それをひっくるめたマクロの対策をどうするかという議論は早目にしておかないと私は間に合わないのではないかという意味で申し上げるんですが、ではとにかく転廃業という個々の話は別にして、全体とすると所期の成長率はちょっと達成は無理みたいだ、しかも年度末期にはアメリカの経済の見通しの方もどうなっておるかわからぬ。これは本で読んだことですが、西ドイツの大蔵省の方は、アメリカの景気後退を見て所得税減税の前倒しをやることに決めたと、真偽は別として、ありました。
 そういったような議論を本当はここでしなければいけないんですね。そこで、そのときに何ができるか。問題はここだと思うんです。なるほど成長率が下になっちゃった、下になるということは税収も伸びないわけですから、ますます所期の特例公債依存体質脱却からは遠のく。そのときに何ができるかというと、さあ、それは次の二つですよね、税制なのか歳出なのか。では歳出がふやせるか。これはとてもそんな環境にない。
 金融はといいますと、さっきのBISをかりますと、こういった中で金融が何をするか。とにかく「実質成長を維持できる通貨供給量のターゲットを設けることを意味している」、もう一つは、「金融システムの安定保持であり」、こうさりげなく書いていまして、どっちにしてもやっぱり金融というのは中立の態度を守ろうということだろうと思うんです。私もそうだと思うんです。
 金融がだめでしょう。歳出がだめでしょう。あと何があるんですか。私は、所得税減税と言っているんじゃないですよ。成長率が落ちた、戻さなきゃいかぬ。そのための手段として金融は使えない。また、使おうといったってアメリカの高金利がありますから使えませんわね。歳出も無理。あの膨大な公債残高を見ればとても無理ですよ。
 そうすると使えるのは一体何か。こうしてきますと、結局、税制を政策目的に使うしか出口がないんじゃないか。こういった話になると大蔵当局は非常に抵抗されるんです、税というのは中立なものでありますと。それはそうです。そうだけれども、これからの切所を切り抜けていくのに、ある程度期限を切った格好かもしれませんけれども、税制を政策目的で使うということがあっていいし、それしか今発動できる手段というのはないのじゃないかと私は思うんですが、感じとしてはその辺いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 私は、金融というものはもとよりこれは中立的に元来市場原理に沿って動くべきものでありますが、いわゆる規制緩和ないし規制撤廃というような政策環境の中では政策の流れに従った動きが出てくる可能性は持っておるというふうに、大変に期待を本当はしているんです、可能性を持っておるどころか大変期待をしております。
 それから一方、税制ということになりますと、これはやっぱり本来は中立的なものである。だから、政策税制であるとすれば租税特別措置でございましょう。それは悪であるとは申しませんが、私はそれぞれの政策目標というものがぎりぎり必要な場合のみあるべきもので、本来、安易にその道を歩んだときには元戻しすることが大変困難な問題ではないかという問題意識を持っております。これは大蔵省全体の一つの税に対する物の考え方の基本であると言われればそれまででございますけれども、そういう意識を持ってきておることは事実でございます。
 ただ、税の問題は国会の論議を正確に伝えまして、――今もう整理しておりますが、まず報告してそして税調で議論をしてもらうことになっておりますので、いわゆる税の抜本改正という形で議論してもらうわけでございますから、その中の政策税制をどう使うかというのはその後の問題になると思いますが、問題意識は持っておりますが、元来、税に対してはこれは非常に中立的なものとして受けとめるべきだという考え方はやっぱり我々にはあると思っております。
○栗林卓司君 おっしゃるとおりでして、税というのはあくまでも公平を旨として中立であるべきものですよね。そうはいっても、ときどきの経済情勢の中で、税を政策目的で多用しなきゃいかぬ場合もありますよね。
 私がここで言いたいのは、そういったぐあいに多用する場合に、決める場所というのは税制調査会なんです。政府税調というのはあくまでも、税というのは中立であります、負担の公平、これを唯一の尺度にして考えてまいります、私はそうだと思うんです。また、そうでなければ困るわけですよね。ときどきの政策目的で、例えて言いますと、これだけ国際環境の中で内需拡大を言われ、何が一番効くんだろうかというと、だれしも頭に思い浮かびますのは住宅減税でしょう、思い切ったものをやる。そうすると、住宅需要というのは相当伸びてくるかもしれない。多少時間がかかるかもしらぬけれども、例の今アメリカとの交渉で問題になっている木材業界にもやがて均てんするかもしれない。ちょっとやっぱりこれをやろうじゃないかというのは、税制調査会にはなじまない議論だと思うんですよ。それはあくまでも政府の政策そのものでありまして、片一方でそれを横目で見ながら公平な税体系というのは一体どうであろうかということを御議論いただくのが政府税調でしてね。それもこれもひっくるめて政府税調って言われちゃうと取りつく島がないんですよ。政府税調はあくまでも税負担の公平ということを考えて、あくまでも中立の尺度から考えていただく。政策運用というのは政府の責任において、この場合にはこれを使うあれを使うということが合っているんです。また、そういった使い方をしませんと、もうこれだけ公債残高が多いと歳出はふやせない。
 金融についても、確かに私も期待したい気がするんですが、そうはいったってなかなかそういくかどうか。それぞれ高い金利を乗っけてマネーゲーム化している今の金融情勢ですからね。そう考えていくと、かつての政策金融ではなくて、税で直接中に入っていって需要を掘り起こすということも私は必要になるのではないか。それは、法人税の減税にしても投資減税にしても全く同じですよね。例えば耐用年数の短縮なんて我が党が言いますと、そんな話はないっていつもお答えが返ってくるんだけれども、あれだって時限を切ってやる分には選択肢の一つですよ。
 ですから、ここから先は政府税調、これはわかるんです。ここの今一番議論したい部分が政府税調と言われてしまうと、もう取りつく島がない。やっぱりこっちの方は我々が議論できる、政府としても責任を持った提案ができる、こっちのものとして置いておかれた方が、また置いておくべきではないか、そんな感じを持っているんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 政府税調というのは確かに中立的な立場でそれは議論をされる。したがって、五十八年の暮れに出ました中期答申というのが一つあります。そして今度は毎年毎年やります何年度税制のあり方、その何年度税制のあり方の中にはいろんな政策的要素がやっぱり入ってくる。それは国会での議論等を正確に伝えますし説明をしますから、したがって例えばことし、中小企業あるいは技術開発研究に限られたとはいえやっぱり投資減税というのがオーソライズされて出てくるわけですから、ですから、抜本議論と何年度税制のあり方というのはいささかの違いは私も
あるというふうに意識をしております。だが、抜本税制の中でそれにどうウエートをかけていくかということは、やっぱり最後の選択は政府であり、そしてそれをオーソライズしてくれるのはやっぱり税調というふうに運んでいくのではなかろうかというふうに思います。
 ただ、言葉を選んでおりますのは、今度抜本改正を諮問しますときに、私もまだ考えはまとまっていないわけですね。それを誤解を生んではなりませんので今言葉を選んでおりますけれども、常識的にはそんなような、抜本と何年度税制というものとが政策の選択の場合はあり得るのかな、こんな感じがしておるだけでございます。
○栗林卓司君 時間が参りましたのでこれでやめますけれども、こういった議論が大臣、何となく切実な実感を持ってこないということは、日本の経常黒字がどれほど異常かということの、もう大臣は御存じですよ、御存じなんだけれども、どれほど異常かということについて国民のコンセンサスがないですね。今、日本が集めているのは、かつての、油が高くてと言っていたころのサウジアラビアの持っていた黒字以上でしょう。こんなことで国際社会が通るわけがないですよ。それはもう二国間で議論すべきものではなくて、あくまでもマルチラテラルでやっていこうという議論があったって、その議論を超えているんだもの。
 したがって、七月に我々がしなければいけないのは、それは百億減らすのか二百億減らすのか知りませんよ、目に見えて下降線をたどらなかったら、それは日本の、いろんな意味で広い意味の安全保障の危機だと思いますよ。そういった意味では、そちらの作業の方もよほど腹をくくってやっていただきたいんです。なぜ腹をくくってと言いますと、日本の貿易摩擦というのは、言葉は悪いけれども官僚摩擦ですよね。官僚摩擦の是正を官僚にお願いしたって、いい案が出てくるわけがないって言うの、私。本当は政治家が腹をくくって、よし、この際はこれだということを考えながら、こっちにはこの政策、こっちにはこれとしていかないと、とてもじゃないけれどもこれからは渡っていけない実感が深いものですから私申し上げました。
 終わります。
○木本平八郎君 実はこのテーマにつきましては、私去年も大蔵委員会に出させていただいたし、予算委員会あるいは決算委員会その他でもこの国債問題というのは取り上げてきたわけです。
 それで、先ほどからお聞きしておりまして、非常に各委員全部そうなんですけれども、ここに出されてきた法案自身はそれはまあ大したものじゃない――大したものじゃないと言うとおかしいですけれども、後追いで、あるいはカンフルかもしれないしそれは輸血かもしれないんです。これをやらなきゃ確かに死んじゃうという大問題ではありますけれども、問題はやはりその背後にあるこの国債残高をどうするかという問題だと思うんですね。その問題がなかなか解明されないものだから、皆さんもういらいらしながら何だかんだと言っていろいろ突っ込まれる。それで政府の方もなかなか答弁ができないというふうなことで、去年からずっと同じことを繰り返しているという感じで私は受けとめていたわけです。
 それで、今現在、ことしの終わりで百三十三兆の国債残高になる、そして昭和七十三年には百九十二兆ですか、そういうふうになっていく。これを去年からの感じで見ておりますと、病人と同じで、少しよくなれば将来に明るい希望を持てるわけですけれども、どうも余り歯どめがかからずに、何かずるずるずるずる行っちゃうというふうな不安があるわけですね。これは私だけじゃなくて国民全体がやっぱり感じていると思うんです。
 私、実は財政は素人ですし、大蔵委員会にもピンチヒッターで出てくる程度ですから余り国債関係というのはよくわからないんですけれども、ここでちょっと国民の不安として、これだけの国債残高があったらどうするんだろう。中には、もうインフレ政策をとるしかないんじゃないかと。これは現実に我々、戦後そういうなにがありますし、そういう不安を非常に持っているわけですね。しかも、一方、高齢社会になっていく。年金生活者としては、インフレになったらえらいことだという不安もやっぱりあるわけですね。
 そこで、この問題をちょっと置いておきまして、それで実は財政学的な観点から、こういう多額の国債をどう処理したらいいのか。過去の歴史、世界の財政史上というんですか、私は読んだことはないんですけれども、こういうケースがあってこういうふうに処理した。十何世紀にはこうなったとか、あるいは江戸時代の各藩でも相当赤字を抱えてそれを再建したという例がいっぱいあるわけですね。そういう、その時代と今は違いますけれども、純粋に財政学的に見て、こういう赤字、国債というものを抱えた場合にはこうすべきであるという、一つの学問的な見解があると思うんです。これは参考人の方にお聞きすべきなんでしょうけれども、私持ち時間が非常に少ないものですから、それから日本の大蔵省というのは世界的な財政のエコノミストと私は受けとめておりますので、これは質問通告してぜひこの場所でちょっと、生々しい問題とは別にして、純学問的というか、理論的にはどういう手があるんだろうかというふうなことを教えていただきたいと思うわけです。
○国務大臣(竹下登君) これは総務審議官がおった方がよかったかと思うのでありますが、基本的には藩の財政立て直しとかいろいろな問題は、これは一番よく表現されておるのは入るをはかって出るを制する、こういうことであったのじゃないかなと、基本的にはそう考えております。
 それからもう一つは、いわゆる調整インフレの心理状態から申しますと、これは間違っているかもしれませんが、私が最近言っていることですけれども、木本さん、大体ここ同じようなゼネレーションが比較的多いとしますと、戦時国債を買った経験がないわけですね。それで我々のおやじどもは買っています。したがって、インフレというものの絶望的な感じが我々にはないと思うんです。物心ついたときは、国債を抱えていましたけれどもインフレの中で消えてしまいまして、したがって、ややもすると我々の世代は調整インフレ待望論者になる嫌いがありはしないか。一番端的な例として、おっしゃいました老後問題についての年金の実質下落、そういう問題も体験していないわけです。したがって、やっぱり物価の安定というのが将来設計を立てるための基調であるという考え方に立った場合は、インフレなき持続的成長というものをこいねがっていくというのが一番真っ当じゃなかろうかというふうに考えます。
 そこで今度は、問題は、今おっしゃいました百三十三兆。脱却しましても百六十五兆になるわけです、昭和六十五年に。それから見ますと、百六十五兆は七%の金利で今のような償還方法でやりますと五百十兆になるんです。それが対GNPの中でどれぐらい埋め込まれるか、国債を抱えない財政というのはちょっと我々の生きている間はないわけですから、その問題がこれからの検討課題になっていく、勉強しなきゃいかぬところだなと思っております。
 余り正確な答えにならなかったと思いますが……。
○木本平八郎君 先ほど同僚議員からも質問がありましたけれども、英国が戦時国債を抱えていてそれの償還があったために非常にひどい目に遭って苦しんだ、それで英国病なんかもそれが遠因であると言われておりますし、アメリカなんかもそういうなにがあったわけですね。その辺は日本とかドイツとかは非常にうまくやったということも言われているわけですけれども、それに比べて、私はよくわからないのですが、フランスなんかはうまく切り抜けたんじゃないかというふうな、一時はフランスも相当困っていましたね。そういうことで私は、やはり国債の処理を間違えると将来日本の活力というんですか、経済的なあるいは民族としての活力が急激に失われていくのじゃないかという心配があるんですが、その辺はどういうふうに大蔵省の方で受けとめておられるのか、わ
かっている範囲で結構ですからその外国の例をどういうふうに受けとめていられるかということも含めてお聞かせいただきたいのですかね。
○政府委員(平澤貞昭君) 従来、世界各国では歴史上いろいろ国債を発行して、一番多くの例は戦争を行った際の国債発行が多々例があるわけでございます。それ以外には、国債発行は大体破局的な処理の方法ではなくて、通常の、先ほど大臣がお話しいたしましたような、歳入をできるだけ上げて歳出を節減することによって、それによって出た余剰を償還に充てていくという処理の方法で行っているわけでございます。
 そこで、最初の、いわゆるインフレ、極端な場合は国家破産によって結果的に公債が実質的に無価値になったという例としては、一番大きいのは、やはりフランス革命の場合あるいはロシア革命等の場合に、新政府によって旧政府の債務の破棄が行われたということがあるわけでございます。これはいわゆる公債の破棄、国家破産と言っていいかと思います。それからインフレーションによる通貨価値の下落の場合は、例えば第一次大戦後の各国の公債処理、あるいは第二次大戦後かなり各国とも急激なインフレになっておりますので、そういう中で国債の価値が下がることによって結果的に処理が行われたという例があるわけでございます。しかし、これはいずれも参考にならないわけでございまして、結局巨額の国債の処理というのは地道な方法しかないわけでございます。一つは、やはりどのように歳出面で節減合理化を行って余裕資金を生み出してくるかということ。それから、それを余りやり過ぎますと、先ほど委員がおっしゃいましたように国の経済そのものにマイナスの影響を与えるということもございますので、片方、もう一つの方は収入面でいろいろ行う、新税を創設することによって行った例が諸外国には多いわけでございますけれども、そういうことで行ったということでございます。
 具体的な、技術的なやり方としては、減債基金をつくってそこにそういうお金を入れてそしてやっていく。場合によっては、国の所有する不動産を一時的に処分してそれを基金に積んで、基金から徐々に取り崩しながらやっていくというようなことも、アメリカ等でやった例もあるわけでございます。しかし、多くの国は、結局歳入、歳出両面でいろいろ工夫を凝らしながら歳入、歳出の間に余剰を生ぜしめて、それを利用することによって残高を減らしていくという方法をとっているというのが、歴史上の現実の姿であるということでございます。
○木本平八郎君 私も、確かにそういう地道な方法を積み重ねていくしかないと思うのです。思うのですけれども、実際にこの数字を見た場合、現在の利払い、ことしは九兆六千億ですか、それがどんどんふえていくというふうな状況にあるわけですね。そうすると、利払いだけでも十兆円浮かさなければいかぬわけです。今の税収がことし四十兆円ですか、そこから十兆円を浮かしていく、それ以外にまだ償還しなきゃいかぬというふうなことになりますと、これは大変なんじゃないか。
 それで、ただ私この辺も教えていただきたいんですけれども、国債残高というのは、いつか返せればいい、百年後に返せればいいというふうなものではなくて、残っているとやっぱり精神的な圧迫だけでなくて何となくあらゆる面に圧力になってくるんじゃないか、したがってこれはできるだけ、一年でも二年でも早く償還するとか、あるいは少しずつでもいいから償還の方向に向かわないと、利払いだけでつないでいくというのはやっぱり乱暴じゃないかという気もするわけです。
 そこで、これまた平澤さんにお聞きして、わかっている範囲で結構なんですけれども、こういうふうな国債というものが、これも発行されるときにあなたがそのポジションにおられたかどうか知りませんけれども、大体GNPの幾らぐらいまでだったら償還可能なんだというふうな、基準みたいなものですね。例えば我々民間の場合、住宅ローンを借りるときに返済額が大体年収の二〇%ぐらいということで一応歯どめをかけられるわけですね。やはり幾ら国といえども、幾らでもいいんだというわけにもいかないと思うのですけれども、どの辺がその辺の一応限度というんですか。これは純粋な財政学上の見地から、わかっている範囲でお答えいただきたいのですが。
○政府委員(平澤貞昭君) 国債の残高あるいはもう一つはフローで毎年発行する額、これについてどういう限度という御質問でございますけれども、なかなか具体的に申し上げるのは困難な点が多々あるわけであります。ただ、現在諸外国の数字と比較してみますと、例えば長期政府債務残高、これは国債がほとんどでございますが、我が国は飛び抜けて高くなっておりまして、五〇%近いのでございます。その次がイギリスが四四、五%ということでありますが、それ以外の国はアメリカが三割程度、西ドイツが二割程度でございますから、際立って高い。これはやはり問題ではないかということが一つ言えると思います。
 それから、国民一人当たりの残高の国際比較で見ましても、非常に大きな額になっておりまして、諸外国に比べますと非常に高い額でございます。
 それからもう一つは、フローの面で見ますと、利払いのためのお金が歳出の中でどれだけ占めるかということでありますけれども、我が国は二割近くになっております。アメリカが高くて一四・五%程度でございますが、そのほかの国は一割から一割以下ということでございますので、これもその意味で異常であるのでございます。
 いずれの点を見ても、現在、日本のやはり国債の残高、あるいはフロー面の問題、ともに限界的な状況にあるということが言えるというふうに、これは私見でございますけれども、そういうふうに感じているわけでございます。
○木本平八郎君 今おっしゃったように、こういうふうに分析していきますと非常に厳しいわけですね。大臣が本会議でも言っておられました。今、先ほどもおっしゃっていましたけれども、例えば電電株式を売却したそのプレミアムはこっちの償還に入れるのだ、これはもう当然入れていただかなければいかぬと思いますけれども、あれでも政府の手持ちは五千二百億円ぐらいですね。二十倍のプレミアムがついたって十兆円なんですね。利払いをやっと、その年一回きりです。それでたばこの方は、五百億円に、これも二十倍のプレミアムがつくことはまずないと思いますけれども、ついても一兆円ですね。この二つで十一兆円。売ってしまえばもうあと何にも残らない。そのほかにも次々にいろいろなことを考えられると思いますけれども、やっぱり私は、こういう国債を償還していくということになると、もう先ほどの古典的な、入るをはかって出るを制するというふうなこと、これしかないと思うのです。それで、過去ではめちゃくちゃな為政者がおって、モラトリアムだとか打ち切り、棚上げ、日本もやりましたけれども、ああいうことなんかもありますし、それから、まあこういうケースは余りなかったと思いますけれども、国債なんかの償還に大増税をやるとか、それから、やるとすれば比較的長期にずっと少しずつ減らしていくというふうな計画その他あると思うのです。
 私実は具体的には、この次かその次の委員会で御提案申し上げたいんですけれども、やはりこの際は少し稼ぐことを政府としても考えなければいかぬ段階に来ているんじゃないか。しかも先ほどお話がありましたように、きょう現在は日本の国自身、それから国民自身が相当の資力も持っておりますし力も持っているから、この際にやはり軌道に乗っけるというか、スタートを切らなければいけないのじゃないかという気がするのです、活力のある間に。そうしないと、どんどん行って活力がなくなってしまうと、いざやろうとしてもなかなか力が入らないのじゃないかというふうな気がするものですから、この次の委員会では少しそういう点で私のアイデアみたいなものを申し上げたいと考えているわけです。
 それで、それの一つなんですけれども、国債償還、あるいはそれに充てるために例えばアングラマネーとかそれから脱漏税ですね、これは去年から何回も言われていて、理論的にはもう総論としては全員大賛成なわけです。脱漏税を何とかうまく防いでそれを財源にしたい。それで、私どもが税の不公平と言っている一番の最たるものもやっぱりここにあるわけですね。この辺をちゃんとしていただかないともう国民としては、協力できないというわけじゃないですけれども、本当にもう怒りがおさまらないといることなんですけれども、この辺で、これはもう去年から大臣になにしていますけれども、主税局の方で何か検討を進めておられますか、脱漏税の問題です、それからアングラマネーに対する対策。その辺をお伺いしたいんです。
○政府委員(梅澤節男君) 税の問題は、その制度面が完備されておったといたしましても、その捕捉の不公平ということがどうしても、特に所得課税にはつきまとうという、これは各国共通の悩みであろうと思うわけでございます。そのために、五十九年、いわゆる納税環境の整備ということで制度面のいろいろな手当てもしておるわけでございますが、若干私見にわたる部分で恐縮でございますけれども、おっしゃいましたようないわゆるアングラマネーとか脱漏所得面について、制度面で完璧なものをつくるというのは私はおのずから限界があるだろうと思うわけでございます、税制そのものは非常に公平にできておるわけでございます。
 問題は、徴税の面で税務職員、五万の職員が汗水垂らして一生懸命やっておりますけれども、やはり実際に税務調査をすると残念なことに脱漏所得が出てくるということでございますので、国会の大蔵委員会等で連年附帯決議等もいただきまして、執行体制の強化ということについて御声援等もいただいておるわけでございますけれども、そういった徴税技術面で、新しい社会経済の状況、それから企業の経理体制等もどんどん変わってきておりますので、そういった面の工夫努力というものはしていかなければならないということでございまして、制度の問題よりもやはり徴税面での努力といいますか、研究と申しますか、そういうものについてさらに努力していかなきゃならない。ただ、我が国の税務行政の執行水準あるいは効率性というのは、これは先進国の中でも非常に優秀な組織であるということだけはひとつ御理解を願いたいと思います。
○木本平八郎君 まさに、私もそういうふうに思うんです。それは、税制という点においては、あるいはブラジルの方があれが世界一だと言う学者もおるわけですね。しかしながら、その徴税ぶりということになると、あれは世界最低じゃないか、こんなことを余り言っちゃいかぬかもしれぬけれども、そう思うんですね。日本の税制は確かにいいと思いますし、それから執行ぶりも相当高い水準にあるだろうということは私もよく承知しているわけです。
 それで、よく言われるように、税務署の第一線の人たちは命の危険まで冒して調査に行っているというふうなことも聞いておりますし、それは相当やっておられる。それで私は、逆に言ったら、これは限度だと思うんですよ。もうこれ以上はやっぱり無理なんじゃないか。したがって、脱漏税とかアングラマネーの問題を考えた場合に、これはもうこれ以上税務署のしりをひっぱたいてしっかりやれと言ってももう限度がある、やはりこれは制度的に何かアプローチを考えなきゃいかぬじゃないか。
 それで、一説によるとアングラマネーというのは大体三十兆円ぐらいあると言われておりますし、脱漏税も、大蔵省は割合に過小評価されておりますけれども、私はやっぱり十兆円ぐらいあるんじゃないかというふうに考えるわけです。そこから税金をどのぐらい取れるかは問題ですけれども、二兆かそこらは取れるんじゃないかという気がするわけです。
 制度的には限度があるとおっしゃって、確かに常識的には限度があると思うんですけれども、それでよくこれは本会議で、シャウプ以来の大改革をやる、こうおっしゃっているわけですけれども、この中にこういうものが、なかなか具体策とかいいアイデアはないかもしれませんけれども、こういう点に相当大きくウエートを置いておられるのかどうか、あるいはただ単に大型間接税とか消費税とか割合に、はっきり言えば、簡単に取りやすいようなことしかお考えになっていないのか、こういう難しい面にこの際メスを入れようということでシャウプ以来とおっしゃっているのか、その辺の感触だけで結構ですからちょっと教えていただきたいんです。
○国務大臣(竹下登君) 総理からシャウプ以来と。今三十五年になるわけですが、あのシャウプ勧告というのはそれなりによくわかる税制だと思います。それがその後、いろいろな租税特別措置でございますとかそういうものが変化を来して、複雑になった。だから今回は、まことに異例のことながらとして六十年度税制のあり方の際に税調から指摘を受けた。そこで抜本的な見直しを行おう、こういうことになったわけでありますので、やっぱりそれは税制改革ということでありまして、今の木本さんおっしゃいます執行面の問題をぎりぎりそこで議論するのは――執行面の問題はむしろ我が方がよく知っているかもしれません、実際問題として。だが、その問題は、たゆまざる毎年改革をやってきておるわけでございますが、税理士会の協力を求めるとかいるんな団体の協力を求めるとか、さらに今度は地方税の方との協力関係とか、地方税の方は八万で人数は多いわけでございますから、そんなようなことで進めていかなきゃならぬ。これは税制改正よりもむしろ部内の問題としてやっていかなきゃならぬ課題ではないかな、こんな感じでおります。
○木本平八郎君 大型間接税とか消費税ということに対しましては、党としても私個人としても大反対なんですけれども、ただ、仮にそういうものを検討されるときに、我々としてはただ単に増収、税金、歳入をふやせばいいというふうな観点じゃなくて、もうこういう状況になってきていれぽ、やはり国民全体のコンセンサスを得られるようなやり方を考えていただかなきゃいかぬじゃないか。
 例えば、これは具体的には私、税の専門家じゃないからわかりませんけれども、徴税技術もわかりませんけれども、かつてアメリカで少しやっていました、今でも少しやっていますけれども、間接税をぱっと大きくかけて、そして負の、マイナスの所得税で、年末に給与の低い人に返していく。税務署は逆に言えばもう徴税、取る方じゃなくて、あれは払い戻す窓口であるというぐらいの徹底したことをやれば、これは先ほど言ったようにアングラマネーだって脱漏税だって相当押さえられるわけですね。私は決して、だからやってくださいとは申し上げているわけじゃないんですけれども、そういうふうな一つの発想の転換のようなものを入れていただいてやっていただかないと、例えば、来年歳入が二兆円足らないからとりあえずこの消費税で少し二兆円稼ごう、その次の年は三兆円だからもうあと少しだというふうなことでは、どんどんこの問題というのは後追いになっていくのじゃないかという気がするわけですね。
 それで、実は余り時間がなくなったので、あとのことは次の委員会に回しますけれども、きょうの私の質問でぜひ大蔵当局にお考えいただきたいのは、何よりも、この国債の問題、利払いの問題、いろいろありますけれども、国民の不安をまずなくすということが一番大事なことだと思うんですね。その辺の努力が私は、はっきり申し上げて足らない。それで、皆さんいろいろなことをおっしゃるわけですね。エコノミストの方がいろんなことを新聞、雑誌でどんどんおっしゃるし、私なんかでも無責任なことを言っているかもしれません。しかし、そういうふうに国民をどんどん不安に陥れていくというのが私は政治としては一番まずいと思うんです。
 したがって、先ほど申し上げましたけれども、国債償還の方法は、こういう方法もこういう方法もいろいろ過去行われてきた、失敗もあったし成功したのもある。例えば仮に、今の日本の経済力あるいはGNPから見て、このくらいの国債残高ならそう恐れることはない、一生懸命やらなきゃいかぬけれどもそんなに破局的になることもないんだというふうなことも、やはり私はもっとPRしていただく必要があるんじゃないか。そういうことが私自身もわからないわけです、だからこうして委員会で素人じみた質問もするわけですけれども、そういうことでまずこの際は、ここでの法案審議ももちろん重要です、それから大蔵省内部の対策も必要ですけれども、国民に向かってこの問題で安心感を与えるというふうなことがまずスタートにないと、何を言っても国民の協力を得られない。国民の協力を得られなければこれはやっぱり机上の空論になってしまって、もうどうしようもないと思うんです。
 その辺どういうふうにお考えになっているか、大臣の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(竹下登君) 結局、こういう問答が国民との対話にもなると思うんです。その中で逐次、コンセンサスがどの辺にあるかということをお互いがつかみ切っていかなきゃならぬ。だから、問答の段階じゃないか。最初は機械的に補助金は金目で一割減らしますとか、それじゃだめだというので医療制度の改革とか、制度へ入っていきます。それから電電株というものがあります、これは負債に充てますとかいうようなのを逐次国民の中に理解していっていただかなきゃならぬ。
 ただ、言いにくいことが一つございますのは、それはサミットへ行きましても、財政赤字のことが出ますと、国民負担率は日本が一番低いわけでございますから、あなたのところはもっと増収措置を図られたらどうですか、こう言われても、国民の皆様、世界的には低うございますからもっと出してくださいということで直ちに理解を得られるものじゃない。やっぱりぎりぎり削減して、ある種の痛みを感じて初めて負担を求めることもできるんじゃないか。大変時間のかかる問題だと思って、本当に長い間私も希望者がないのでやらせていただいておるというような感じでございます、率直に申しまして。
○野末陳平君 きょうの議論を聞いておりましても、毎年この問題になりますと、なかなか新しい工夫とか新しい考え方が出るわけじゃなくて、繰り返しになってしまうんですが、財源の確保というのは非常に難しいですね、頭が痛い。ことしこれで切り抜けるとしても、来年、再来年、年を追うごとに深刻になっていくと思うんです。で、一番痛感するのは、百数十兆の国債残高を抱えまして、非常に深刻で危機感を持っているというのは果たして国民の中ではどのくらいかというようなことになりますと、しかし国民は余りそんなことを深刻に考える必要はないのかもしれませんが、少なくとも国は赤字で国民は一人一人黒字ですから。その辺のことをどうもこの議論の中で全く考慮に入れずにやっていていいのかどうか、非常に疑問に感じたりするんです。
 そういう折に、中曽根総理が減税にすごく積極的になっているでしょう。
 あそこはちょっと僕も、総理が具体的にどういうことを衆議院の方でお答えになったかは報道などを通すだけですが、非常に大胆というか乱暴というか、真意をはかりかねているところもあるんですが、どうですか大蔵大臣、お聞きしますが、こういう財源確保で頭を痛めている状況の中で、総理の減税に非常に積極的であるというあの姿勢ですね。何か思い切った減税を断行するんだ、結果的には税制改革をやってということなんでしょうが、大蔵大臣はどういうふうに総理の真意をはかっていらっしゃるんですか。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり国会で議論をしておりますと、それはだれしも、減税減税という要求が強い中で、総理といえども所得減税をしたいという願望はあろうと思うのであります。ただ、そこに一つだけの貴重なことは、歯どめとして、がしかし、今日の減税財源を後世代にツケを回す赤字公債をもって充てることはいけません、したがって税制の抜本見直しの中で検討していきます、こうおっしゃっているわけでございますので、その限りにおいては論理性はあるな、こう思って聞いておるところでございます。
○野末陳平君 しかし、一国の責任者だから願望だけを言っているというわけじゃないので、受け取る方、国民の方は、もう間違いなく減税は断行される、こう思いつつありますね。また、新聞も大きな活字でそういうふうに書いていくと思うのですよ。
 そういう状況を総理がどんどんつくっていっている。総理にお聞きしますと、予算委員会でも、財源のことは考えていないのだ、とにかく今大蔵大臣のお答えのような、願望である、しかししたいのだ、するのだ、こういうふうなことでしょう。そうしますと、結局、財源についても大蔵当局にげたを預けたんでしょうが、さてこれはできるのですか。何か来年にも大減税がありそうな、つまり裏返せばまた大税制改革なんでしょうが、願望だけで、願望だから別に来年実現しなくてもいいじゃないか、そのうちに何とかなるかもしれない、その程度の受け取り方なのか。そこがちょっと気になりますね、どうなんですか。
○国務大臣(竹下登君) したがって、総理も言葉を選んで、何年度からということは申していないわけであります。減税をしたいという気持ちを自分は十分持っておる、しかし赤字公債でやってはならぬから、税制改正の中でこれを受けとめていきたい、こういうことになっておるわけでありますので、さて今度は大減税がでは例えば六十一年度にできるか、こういうことになりますと、これはなかなか予見を持って申し上げるのは難しい課題じゃないかな。といいますのは、私もこれから急に相談しなきゃいかぬ課題でございますけれども、抜本改正とそれから六十一年度税制というものがどうつながっていくかということがにわかに私として判断をまだようしておらぬというのが現実の姿でございます。
○野末陳平君 僕なんか思うに、抜本改正と減税は結果的に一つになるかもしれないけれども、当面違うと思います。だから、今や減税がひとり歩きしちゃって、もうやらざるを得ないところに来ている。したがって大蔵当局は財源を見つけなければならない。その財源にはそう幾つもあるわけじゃないからだんだん追い込まれるんじゃないか、むしろ困っているんじゃないかとこう思ってお聞きしたらば、それほど困っている様子もないから、いやそんなにあの発言は深刻には、国民は喜んでいるというかまじめに受けとめているけれども、大分含みがあるように大蔵大臣はとっているので、そこに大分ギャップがある。でも減税はもう、ほとんど一人残らずと言っていいぐらい国民は期待するところまで来ちゃいましたね。その場合にどういう減税かというのを、いわゆる国民といってもいろんな人が今いますから、最大公約数がどこら辺にあるかと僕も考えてみたのです、いろいろな新聞にも調査が出ますし。
 そこで、これから税制改革をやる、あるいは財源を何とか確保するといういろいろ政策を考える場合にも、国民の意識というものを無視してはできませんので、例えば減税に関してどういう考え方を持っているだろうか、その辺の最大公約数を大蔵大臣はどの辺に置かれているか、それをお聞きしようと思うのです。例えば、減税は大賛成である、ただし負担がふえるような形の減税じゃなくて、ただ減税だけをやってくれ、こういう声の方が強いように思うのですよね、勝手かもしれないけれども。どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) そこのところがいわゆる、公債残高のときに野末さんがお述べになりましたように、国民一人一人が金を借りておりませんので、いわば政府が国民の預金を当てにして調達しているわけですから、公債残高の痛みというのは、国民の一人一人には現状では直ちにはないではないかというところに一つ意識の問題があろうかと思っております。ただ、医療制度の改革をしたりいろいろな形の中で、あるいは年金制度、二十一世紀を展望しながらいろいろ議論する中で、だんだんこの公債残高の重圧というのが国民の皆さんにもわかってきてはおるな。そうすると、それをさらにその重圧をふやすような形で今の減税に充てるということに対しては、私はそれはいけないことだということはわかっていただけるんじゃないかなというふうに思っております。
 で、減税の関係というのは今三つの環境があると思います。その一つは、抜本改正をやりますというところから何か減税のバラ色が描ける印象を与えるという点が一つ。もう一つは、与野党の幹事長・書記長会談というもので所得減税問題を取り上げて議論しようということになっている。 それからもう一つは、対外経済対策の中で内需拡大の施策としていわゆる貯蓄、消費、投資等についての税制改正という三つの環境がありますので、それをどう組み合わせてこれから政策論議の上へのっけていくかというのがここのところの課題ではないかなと思っておるところでございます。
○野末陳平君 さっきの減税を望む国民の声の最大公約数的なところですが、僕にも本当を言ってわからないんです。わからないんですが、最近いろいろ聞いてみますと、間接税と抱き合わせでも所得減税はやってもらった方がいいという声もかなりあるんです。これが大きくなったら大蔵省には都合がいいかもしれませんね。しかし、結果的にこれがいいのかどうか非常に難しい判断ですが、少なくも、片や間接税の増税ならば直接税の減税があってそこでバランスがとれるんだったらそっちの方を選ぶんだという、こういう意見あるいはこういう声、これはどうでしょう、まだほんの一部だという感じですか、それともそういう声が前よりずっとふえてきたと思いますか。僕はふえてきたような気がするのであえてお聞きするんですがね。
○国務大臣(竹下登君) 私は政府の責任者でございますのでそれが今ふえつつあるということは言えないかもしれませんが、関心は非常に高まっておるということは言えると思うのでございます。したがっていろんな議論がある。
 ただし間接税というのは、いつも申し上げますように、一遍導入しますと、これはフランスなんかがいい例のような気がするんですが、ちょっと税率をいじれば、極端に言えば、たばこをああして五十八年でございましたか、一本一円で三千億でございます、また税率を倍にすれば三兆円というような、まあ例えばの話でございますが、そういうイージーになって、そして痛税感が所得税のようにございませんから、したがって、歳出に対する監視の眼が薄らいでいって相対的な租税負担率の重圧に耐えかねるというような空気が出たりしておりますので、よっぽど気をつけなきゃいかぬ税制であるというふうに思いますが、中にはさらに少しプロフェッショナルな議論みたいになって、それをいわば福祉目的税あるいはもっと限定して基礎年金財源として考えれば許容されるのじゃないかとか、そんなような議論がかまびすしく出てきたということは私も認めておりますが、比率が上がったか減ったかということは、私も大蔵大臣でございますので、間接税をもって所得減税財源に充てるべきだという世論は高まりつつあるというようなことはちょっと言えぬじゃないかなと思っております。
○野末陳平君 ですけれども、増税を何とか納得してもらおうという場合に、福祉とか今言ったような基礎年金の財源に充てるとかという説明の仕方も大分頭のいいというか巧妙というか、そういう感じも出てきてはいますね。それにしても大事なのは、やはり総理のおっしゃっている税制の改革イコール減税であるというようなのはちょっと僕はまずいと思うんです、そういう考え方は。大蔵大臣はそれをおっしゃっていないからまだいいんですが。
 もう一つ、国民の税意識の中で大蔵大臣の受けとめ方をお聞きしておきたいのは、いわゆる重税感とか不公平感とかあるいは負担感とかいろんな言葉を使っておりますが、一番年代的に重税感や不公平感を持っているのはどういう層だとお考えなんですか。いろんな調査がありますが、大蔵大臣が一番個人的にこれだと思うところで結構なんですがね。
○国務大臣(竹下登君) やっぱりちょうど中間管理職といいますか、そのあたりかなという感じは私も何となく持っております。
○野末陳平君 そうしますと、もし減税をするのだということになりましたら、やはり中間管理職のこの辺を重点的にやる、こういうことになるのですか。
○国務大臣(竹下登君) これは予見を持って申し上げるわけにはいきませんが、この前の五十九年税制改正のときにもいろいろな刻み等を考えましたが、大体その辺というものに当たって行われたのではないか、こんな感じは持っております。
○野末陳平君 そうですね、強いて言えばその辺がという感じもしないでもないんですがね。しかし、いわゆる重税感とか不公平感というのは人によっても違いますし、階層によってもそれから年収、年代ですか、すべてによって違いますからね。なかなかこの辺が難しいんで、果たしてこういう一種の世論を背景に税制改正ができるかどうか、この辺は僕もわかりませんから、一応大蔵大臣の基本の認識だけをお聞きしているのです。
 もう一つ大事なのがいわゆるサービスと税金の関係なんですが、こういう声についてどういうふうに受けとめられますか。
 それは、サービスがもうやや低下してもいいんだ、増税だけは困るんだと。言いかえるならば、増税してもサービスを維持するという考えが一方にあるわけですけれども、そうじゃなくて、サービスの低下はやむを得ないから増税は御免だというような、これが僕は現代人らしいと思うんですよ。日本の現代人はどうもこの辺じゃないかと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり世代間の問題がありまして、結局私は、これは少し例が狭義に過ぎるかもしれませんけれども、年金等の審議を審議会等でしていただいて、関係者と懇談をしたりしますと、十万円取っている人が七千円年金の掛金を払って、おやめになっている人が二十二万円もらっていらっしゃる。何であのおじさん、おれが七千円出して二十二万にしなきゃならぬのかなと。私、世代間アンバランスみたいなものがあるなという感じを持ったことがございますので、その世代の人は自分の年とったときのことを余り考えないで議論をしていらっしゃるのかなとも思ってみたり、あるいは素朴な感じとして受けとめてあげなきゃならぬかなと思ってみたりしながらこの懇談をしておるわけでございますので、今世代間で見ると、どちらかといえば若い方の方が、サービスということよりも今日の負担というものを減らすことに余計関心を持っていらっしゃるのかなという印象は時々受けております。
○野末陳平君 確かにそうだと思いますね。ただし、若い人だけじゃなくて中堅も多分そういう傾向が強いのじゃないかという気はするんですよ。しかし一方、かなりの高年齢になりまして、あるいは年金生活者などになりますと、いわゆる福祉を後退させてもらっちゃ困る、サービスの低下はだめなんで、サービスの維持をするためにある程度の増税があってもやむを得ないという考え方に傾くのではないか、まさに世代間で大分これは違うと思うんです。違うからこそ、どっちにするか、どちらを世論と見るか。あるいは、最大公約数であろうがなかろうが老年者の方を大事にすべきであるのかどうか。
 その辺なんですね。どちらも国民ですけれども、どちらを重点に今後税制改革というか、今のサービスとの関連で言いますけれども、考えるべきでしょうか。難しいところなんですかね。これは今回の年金法の改正でもそうだったんですね。直接、税金と関係はないんですけれども、やはりあの年金法改正は、今の高齢者にはそんなに打撃がないようにしてあります、若くなるほどかなりの打撃になります。しかしそれにしても、年をとったらまた次の世代におんぶしてもらうんだということで一応納得させてつじつまを合わせているけれども、あの年金法改正は完全に高年齢に焦点を合わせた改正で、下の層にはあれは改悪ですからね。でも年金制度全体のためにあれは僕も賛成したしあれは必要だと思っていますが、税制改正の場合はどうなんでしょう。
 今いみじくも大蔵大臣がおっしゃったように、サービスの低下と税金の関係で、年代によってかなり正反対に近いほど考えが変わるとなると、どちらに焦点を合わせていくべきでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) サービスの問題と負担の問題を別に横へちょっと置いていけば、やっぱり税というものの中立性から言えば、これは所得に着目したものは年齢のいかんを問わずやっぱり所得に着目されるでございましょうし、消費のものもそうでございましょう、資産に対するものもそうでございましょうが、サービスと負担という観点から見ますと、人口構造から言って、最近、高齢化社会じゃなく長寿社会というような言葉を使った方がいいということをおとといあたり私聞きましたけれども、言葉は別としまして、長寿社会が訪れますそういう全体設計で見ていかなきゃならぬのじゃないかな、こういう感じがしております。
○野末陳平君 そうなると税は中立とも言っていられなくなって、やはり税は政策目的でかなりいろいろと考えられますから、今の長寿社会だったらどうですか、そっちに幾らか傾くのじゃないんですかね。それは、大臣のお答えの中で出ました年金の課税なんかもそうですね。今のいわゆる年とっている人の方が楽とは言いませんけれども、若い人に比べればどちらかといえば恵まれているような収入ですね、年金のある面では。そこで、恐らく大蔵省も年金の課税のあり方を見直すというようなことを徐々に言い出したのだと思うんですよ。
 今の大臣のお答えで年金の課税にちょっと触れますと、これははっきり言いまして、年金をもらっているお年寄りはもう絶対に反対ですよ。間違いなく絶対反対ですね、取られるんですから。しかし若い人、あるいは中堅、あるいは僕らのように客観的に見ますと、少しいろんな優遇があり過ぎるような気もします。でも、あってもネットで若い人とのバランスがとれていればいいのですけれども、やややはり若い方がきついですね。となると、そこでお聞きしたいのは、じゃ年金課税の強化が今後もし検討されるとすれば、これはむしろ若い人たちから支持されるかもしれないと思うんです。むしろ支持されるかもしれない。これでバランスがとれると思う。そんな気もしないでもないんです。
 そこで、この年金課税ですが、これは今までのやりとりの中でどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 年金課税の見直しというのは税制調査会からも指摘されておるわけでありますが、基本的に考えられておりますのは、諸制度の一元化が進んでいくのだからその中で見直すべきである、こういうようなたしか答申になっておったと思いますので、今直ちの問題とこれを受けとめることよりも諸制度の推移の中でという受けとめ方の方に幾らか私は比重を置いて見ております。
○野末陳平君 時間も来ましたけれども、いわゆる国民の税に対するいろんな意識調査もありますし、大蔵省も独自の資料でいろんなお考えをお持ちだろうと思うんですが、そういうものを無視してはどうもこれからの税制改正はできないので、決して迎合するわけでもないんですけれども、しかしやはり納税者は神様ですから気になってお聞きしていたんです。
 そこで最後に、やはり国民の税制改革に対して望む声なんですが、幾つかあるのですが、一つこういうのがあるんですね。もちろん、不公平を直せというのが一番多い意見でしたかね。これを裏返せば、優遇税制をもっと厳しくしろということでしょうかね。そんなのもありますが、その中で、脱税の罰則強化というのを望む声がすごく強いんです。これはどの調査、どの新聞あるいはどの機関の調査を見てもかなりのウエートを占めるところなんです。
 そこで、脱税の罰則強化なんですが、新聞をここのところにぎわしていますけれども、結論は、脱税で捕まったとか、これだけお金を取られたとか、その程度の記事に終始しているようですが、現在の日本における罰則ですね、これはその程度によって違いますけれども、どうでしょうか、これからも厳しくして、こちらの方のむちで脱税を少しでも防止する、いわゆる精神的ブレーキをかける方向が必要なのか。それとも、罰則はこの程度で十分で、むしろ当局の調査能力を高める必要があるのか、そのどちらだという方針ですか。つまり、脱税の罰則強化というのが国民の声であるので、これに対してもいずれは当局はこたえなきゃならないだろう、そんなことを思ってお聞きしているのです。
 これを最後にします。
○政府委員(梅澤節男君) 税の罰則の強化の問題につきましては、五十六年の改正のときに除斥期間を五年から七年に、したがって公訴時効も七年に延びた。そのときにいわゆる懲役刑の水準もいろいろ見直したわけでございまして、今の我が国の法体系の中で見ますと、脱税はいわゆる刑事罰の類似、例えば詐欺とか横領とかというののバランスからいいますと、我が国の税の罰則というのは整合性はとれていると私どもは考えております。
 さらに、注目すべきことは、最近脱税事犯で裁判事例でいわゆる体刑、自由刑の判決が非常にふえてまいりました。従来はほとんど懲役刑の判決はなかったわけでございまして、それはやはりそういった国民の世論とか納税道義の観点から司法官の物の考え方といいますか、そういうものもやはり微妙に移り変わってきているのだろうということで、今直ちに罰則の強化ということで臨むよりも、先ほど木本委員からのお話もございましたけれども、これはもちろん執行だけの問題じゃございません、制度の問題も含めましてやはり公平、公正という観点からの努力、それを優先さすべきであろうということだと思います。
○委員長(藤井裕久君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
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○委員長(藤井裕久君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております三案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会