第102回国会 大蔵委員会 第17号
昭和六十年六月十三日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 六月十二日
    辞任         補欠選任
     岩動 道行君     志村 哲良君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
    委 員
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                志村 哲良君
                下条進一郎君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                木本平八郎君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       大蔵政務次官   江島  淳君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       大橋 宗夫君
       大蔵省主計局次
       長        平澤 貞昭君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理財局長  宮本 保孝君
       大蔵省理財局次
       長        中田 一男君
       大蔵省証券局長  岸田 俊輔君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       国税庁直税部長
       兼国税庁次長心
       得        冨尾 一郎君
       厚生大臣官房会
       計課長      末次  彬君
       社会保険庁医療
       保険部長     坂本 龍彦君
       郵政大臣官房審
       議官       田代  功君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       建設省住宅局住
       宅建設課市街地
       住宅整備室長   若山 和生君
   参考人
       住宅金融公庫理
       事        福田多嘉夫君
       住宅・都市整備
       公団理事     救仁郷 斉君
       日本電信電話株
       式会社代表取締
       役社長      真藤  恒君
       日本電信電話株
       式会社取締役経
       理部長      飯田 克己君
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  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十二日、岩動道行君が委員を辞任され、その補欠として志村哲良君が選任されました。
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○委員長(藤井裕久君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案の審査のため、本日、参考人として日本電信電話株式会社代表取締役社長真藤恒君、日本電信電話株式会社取締役経理部長飯田克己君、住宅金融公庫理事福田多嘉夫君及び住宅・都市整備公団理事政仁郷斉君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(藤井裕久君) 昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題といたします。
 前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○大木正吾君 本三法案に絡みまして、新しい特徴的な問題として、電電、たばこの両会社の株の売却益の収入が国債整理積立金の方に入る、こういう問題がございますので、これは同じ一〇二国会で上がりました新電電会社等々でございますから、同じ国会の中でもって議論しながら何か話が前後してもいけませんので、その問題をまず私はただしてみたい、こう考えておる次第でございます。
 これ、手元にありますのが一〇二国会の冒頭、十二月七日にございました逓信と大蔵等々の連合審査の際における私が竹下大臣に御質問した部分でございますが、全部読み上げますと長くなりますが、私の方からは主として、売却益については膨大な負債を抱えた電電の債務あるいは電電債の償還に優先的に充てるべきじゃないか、こういう話をいたしました際に、竹下大蔵大臣の方から、それも一つの見解であり、一方では赤字公債の返却に充てるという意見もありというような形で、末尾の方は、非常に答弁がうまくなられましたからうまく私の頭をなでたような形になっておるわけでありますが、その辺のことについて、竹下さん御自身御記憶でしょうから、再度当時のお答えを思い起こしていただきながら、電電株の売却益について依然として当時は電電債の債務の返済並びに赤字公債と、両方の議論があったというふうに御記憶されておると思いますが、その当時の感触で、再度このことについてお答えいただけますか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに電電株式の売却益につきまして種々の議論がありましたし、そうして私自身もこの十二月七日、本院における逓信、内閣、地行、大蔵、社労、商工の連合審査の際、大木さんに対しましてお答えをいたしました。この国会での御審議等を踏まえ、予算編成過程で政府部内で検討を行うべきものだと。そこで特に私は、この電電株の帰属を新会社の債務返済に充てるべきだという意見は経営者側からすれば当然出てくるであろう一つの議論だというふうに私も理解します、こういうことも申し上げました。そして一方、国民共有の財産は国民共有の負債に充当すべきだという議論も存在しておるということも申し上げたわけであります。当然のこととして新会社の経営者の皆さんあるいは労使の皆さんから出てくる意見であろうと思いながら、心の底には、しかし一方、資産、負債も継承するが、すばらしい技術陣も継承されるし、また、それは言ってみれば独占の中において蓄積されたものである。そしてまた一方、新しい第二電電とかそういうものが参入すればすべてのものを自己調達によってこれは準備しなきゃいかんということになると、それとの競争におきましては若干差をつけるということにもなるんだ、こういうことを心の中で反すうしながら、御質問には正確に答えておりませんが、そういう気持ちを反すうしながら、その問題は非常に大筋を分けて二つの意見が存在しておると。したがって予算編成過程のぎりぎりにおいて結論を出さなきゃいかぬ課題だと思います。
 こういうことを申し上げたのはまさに御指摘のとおりであります。
○大木正吾君 郵政省からだれかお見えのはずでございますが、関連いたしまして郵政省に尋ねたいと存じます。
 今次官になられた小山電気通信局長並びに奥田郵政大臣の答弁で、何回か衆議院の逓信委員会なり参議院の逓信委員会におきましてお答えがありました中に、いわば三つの方法がある、こういう趣旨に理解できるお答えが返ってきておるわけであります。
 例えば、基盤技術の研究の推進という問題が一つございます。二つ目には、電電債の償還並びに市外料金を意識されての御答弁かと思いますが、利用者への還元の方法としてこれは料金絡みの御答弁が一つのパートとしてございます。要するに、基礎基盤技術の研究の問題と料金絡みの問題、加えて、当時のマスコミ等にも報道されましたように、赤字国債の補てんという言葉もございます。
 要するに、三つの答えが奥田大臣並びに小山現次官、前電気通信局長から衆参の逓信委員会でこもごも返ってきた言葉でございますが、このように確認してよろしゅうございましょうか。
○政府委員(田代功君) 電電改革の法案を御審議の際に、ただいま大木先生から御指摘のような趣旨の答弁をしたことは事実でございます。
○大木正吾君 もう一つお尋ねいたしますが、これは同じく大蔵省にまた話が返りますが、日高主計官はきょうは見えてございませんが、実は、逓信委員会の方においでになった担当が主として日高さんだったと記憶いたしますが、竹下大蔵大臣並びに日高さんの方からは、多分これは十二月の二十一日の政府並びに与党の連絡会議の前のお話ですから、この当時の問題意識といたしましては、恐らく電電の株式売却益は一般会計にいわば帰属させる、こういうお気持ちじゃなかったかというふうに推定なり想定いたしますが、要するに、このことを裏返して申し上げますと、この種の売却益は特定財源に使用しない、こういう言葉が何回か返ってきているわけであります。これについても関係政府委員で結構ですから、そういう言葉が何回か返ってきたことについて大蔵省は御記憶がございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員もおっしゃいましたように、電電三法の御審議の際に、財政当局としては、電電株式の売却収入につきましては特定財源とすべきではないという答弁をしてまいりましたことは御指摘のとおりでございます。
○大木正吾君 これは法律を調べている暇がなかったわけですが、特定財源という言葉は、これは一般用語と理解してよろしゅうございますか、それとも財政上の用語でございますか、どうでしょう。
○政府委員(平澤貞昭君) これは財政的な用語としても使っておりますが、この際の答弁は一般的な用語として使用したものというふうに私は了解をいたします。
○大木正吾君 そういたしますと、私の理解する日本語の解釈と大蔵省当局の解釈とでは余り距離がない、こう考えてよろしゅうございますね。いわば特定財源というものは例えばガソリン税等が例がございます。これは目的税的なものもありますが、道路財源にしようということがずっと引き続いておりまして、私、建設委員会の方に行くと、どうも道路財源の方がよさそうな話を聞かされその一味に加わったりしまして、この委員会に来ますと今度は国の財政が大変だからやっぱりもうちょっと特定しないで広く使ってと、こう気持ちが行ったり来たりするんですが、そこで話を進めてみたいと思うんです。
 例えば、今私が申し上げたように、最終的に、逓信委員会におけるこの会社の設立の案件に関する論議の中では、株式売却の益をどのように使うかについては余りはっきりしてなかったということが一つですね、いろいろ言い方がありました。同時に、大蔵省から特徴的に出ていますことは、これは特定財源としないわけでありますから、一般財源に一たん入れまして、そして国債整理積立金に持っていく部分もありあるいは調整額の部分に回す部分もありというような形でいくのかなと、こういう感じがいたすわけでございますけれども、その辺の認識はどういうふうに私たちは受けとめたらよろしゅうございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) その際にこちらから御答弁申し上げましたのは、いわゆる電電の株式、これは国民共有の資産であるわけでございますので、その売却収入はやはり国民共有の負債である公債の償還財源に充てるのが適当であるという観念を念頭に置きながら御答弁申し上げたというふうに理解している次第でございます。
○大木正吾君 平澤次長に余りそのことを強調され過ぎますと、これはずっと記録を見ていけばわかるわけですけれども、あなた方はどうもその辺のことをうまく、いわば内に秘しながら逓信委員会の方の議論に加わっておった、こういうことになってしまう。これは余り深くは追及いたしませんがね。
 そこで、もうちょっと話を進めさせてもらいます。
 十二月の二十日の日に本会社の法案が正式に本会議でもって上がりまして、翌日の二十一日の政府と与党連絡会議において国債整理積立金特別会計に入れることが正式にここでもって、閣議ではありませんが、決定をされている、こういう経過になっておるわけですね。それはよろしゅうございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員もおっしゃいましたように、大蔵原案の直前、すなわち十二月二十一日、金曜日でございますが、に結論を出したわけでございます。これが電電三法の成立の翌日となったという点は委員御指摘のとおりでございます。
○大木正吾君 そこで、これは特定財源にまた話が返るのでございますけれども、大体この政府・与党連絡会議の中で、逓信委員会で議論のありました三つの流れ、そういったことがどの程度いわば議論されたのかが、知りたい問題点でございますことの一つですね。
 もう一つは、国債整理積立金というものは特定財源であるのかないのか、この辺のことを少し教えてくれませんか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今回の法案では、売却可能な株式、すなわち三分の二になるわけでございますけれども、これは国債整理基金に帰属させることで御審議を願っているわけでございます。これは、いわゆる特定の政策分野における施策を実行するための特定の財源としているというわけではございませんで、そういう意味では従来の答弁と矛盾するわけではないわけでございます。
○大木正吾君 そうすると、国債整理積立金というものは、これからはどんどんいろんな角度でもって、政府の御都合でもってどちらへでも使ってよろしい、こういうことになるわけですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今も申し上げましたように、これにつきましては特定の政策分野の特定の施策のためということではございませんので、いわゆる先ほども御説明申し上げましたように、国民共有の負債である公債の償還財源に充てる。そういう意味では一般的な財源の使用であるというふうに理解しているわけでございます。
○大木正吾君 ちょっと私も頭が悪いのか、理解に苦しむ点もございますが、要するに一般財源と公債の積立金というものは同性質のものだ、こういうふうに理解すればいいんですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほど委員がおっしゃいましたように、この特定財源という意味と一般財源という意味でございますけれども、それは財政学的あるいは財政法上特に規定はございませんけれども、一般的に考えているものであるかという御質問が先ほどございました。それに対して、一般的な常識として考えている言葉、それで我々は理解して従来御答弁申し上げてきたと。いわゆる特定財源というのは、税金的な分野で言いますと、例えば道路などは極めて特定している、そういうことでございますので、そういうことを極めて厳密に頭に置いているのではなくて、先ほど来申し上げましたように、国民共有の財産であるからというところに理解の原点がある。そういう意味で、一般的であり、特定財源ではないということでございます。
○大木正吾君 国民共有の財産ということは後でもってまた御質問いたします。そのときで結構なんでございますけれども、ただ私たちの一般という認識からいたしますと、やっぱり国債整理積立金なるものは法律的に国債発行額の百分の一・六というものを義務づけられておることはきのうも同僚議員の質問に対してお答えがあったわけですね。これが六十一年度に積み立てられるのかどうかということも大分きのうやりとりがあって、まだすとんと落ちないものが残っているわけですけれども、ですから一般とは私はあくまで、もし財政論的にといいますか、財政法律論的にもし限定した解釈があればまた別ですけれども、あくまでも常識的な話でやりとりするとしますれば、私たちはやっぱり一般会計の場合には、一般会計に電電株売却益が入ったといたしますれば、この金は要調整額の方に回ろうとも、あるいは他の予算に回ろうとも、一般会計にずぼっと入っていた分ですからどこに使ってもいい、こういうふうに考えるわけです。
 しかし、整理特別会計に入った部分は、あくまでもやっぱり国債のいわば信頼度を増すための資金に入っておって、一般会計分よりはもっと使い方が厳しく抑えられる、こういうふうに認識をするので、この辺の認識はどうなんですかね。
○政府委員(平澤貞昭君) 今の特定財源という言葉の関係で例えば申し上げますと、財政法六条に決算上の剰余金の処理というのがございます。二分の一超は公債財源に充てるために繰り入れる、こうなっておりますが、これを、では財政法上と申しますか、特定財源と言っているかというと、そういう言い方をしておらないわけでございまして、類型で申しますと、それに近い考え方というふうに我々としては理解しておるわけでございます。
○大木正吾君 その話、最後の方にもう少し関連しますので、一応これ残しておきます。私認識が幾らか違うものですから残しておきます。
 それで、ちょっと話が横にそれますが、ちょうど新電電の経理部長がお見えになっているそうですから、その方に質問をちょっとそらさせていただきます。これは竹下大臣にもぜひ御理解願いたい部分でございますので、お聞きを願いたいんです。
 まず第一に、NTTの経理部長に伺いたいわけでございますけれども、要するに国会審議の過程でもって、共有の財産ということとともに、いわば新電電あるいは電電公社の資産形成の過程という用語が随分と野党議員からも出たと思うんですね。問題は、この資産形成の過程といいますと、電電公社発足のときに国の資金が百八十八億入りましたということは一つお互いに認め合っているところでございまして、それから今日の代の電電公社ができ上がってきたわけでございますが、わかりやすく申し上げて質問してまいりますけれども、一つは、例えば研究費等については過去五十五年から五十九年までに、電電公社はどれぐらい使われておったのでしょうか。それをまず答えてください、経理部長から。
○参考人(飯田克己君) 金額から申し上げますと、五十五年度で七百五十五億、どうも私ども、研究開発費というものは非常に事業の飯の種でございますので重要視しておりますが、これ指標といたしましては売上高の中でどの程度のパーセンテージを占めているかということも重要視しておりますが、その七百五十五億というのは売上高に対して一・九五%ということでございます。それから五十六年度は八百二億、同じく二・〇五%、それから五十七年度が八百八十五億、二・一二%、五十八年度は九百三十九億、二・一七%、それから五十九年度は千二百六十六億で二・七九%、こういう数字でございます。
○大木正吾君 数字がはっきりいたしません。私がもう一遍読み上げてみます、資料をちょうだいしましたから。五十五年度七百五十五億、五十六年度八百二億、五十七年度八百八十五億、五十八年度九百三十九億、五十九年度千二百六十六億、これに相違ございませんね。
 そうしますと、トータルをしまして五十五年度―五十九年度に四千六百四十七億円の研究費が使われている、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。
○参考人(飯田克己君) そのとおりでございます。
○大木正吾君 次に伺いたいのは、資金の調達の経緯でございますが、これも電電三十六年の歴史をひもといたら大変なことになりますから、最近の問題についてだけ伺いましょう。
 資金調達の推移でございますけれども、手元にあります資料、十年間分ございますが、十年じゃなくてもいいですけれども、十年間分を例にとりますと、いわゆる電話債券ですね、これは加入者債券、加入者及び受益者引受債務というのがありますが、電話債券でしょう。これが二兆四千七百二十三億円。過去十年間の中の、五十八年から停止になっていますから、約八年間の統計であります。その次は公募特別債券、同時に非公募特別債券、これは公募債券の方は恐らく証券会社等からの借金だと思います。これが一兆五千三十億円、十年間でございます。非公募特別債券、これは都市銀行の方から借りたわけでしょうが、これは九千六百五十四億円。外貨債券が十年間に四千百六十億円。政府引受債務、これはどういう性格の、いわば政府関係の金融機関から出ているのかどうかわかりませんが、これが八千五百五十八億円、こういう状態と認識しますが、よろしゅうございますか。
○参考人(飯田克己君) そのとおりでございます。
 政府引受債券は簡易保険の資金であるとか資金運用部、そういったことでございます。
○大木正吾君 この表をずっと見ていただきますとわかるんですが、独占の電電公社だからもうかって当たり前であるという認識とか、いわば補助金はもらってない、保険の方から借りている部分が財投の次ぐらいの金か、こういう感じですわな。電話債券部分は二兆四千億ですから、それ以外の都市銀行、証券会社から借りている部分を加えていきますともう電話債券部分を凌駕することは明らかですね。そして外国からの借入金が四千百六十億円ございます。
 これを全部トータルすると大体六割ぐらいは全くの民間会社と同じように、竹下大臣、これは電電は自前でもって借金して会社のやりくりをしている、こういうふうに理解しておるんですが、どういう御所見でしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 議論にありましたのは、資産形成の経緯にかんがみということから考えた場合は、まさに自前の努力の中で労使の協調で生み出した資産であり、負債でもある。したがって、そういうかつてからの議論が多くなされておったということは十分承知しております。
 しかし、その資産形成の経緯ということを考えてみますと、国の一部である旧電電公社が法律により独占事業として電話事業を営んだ。その結果、いわば資産が形成されたものである。したがって、国民にとって不可欠な、全国一円に自動化された電気通信網が築かれてきたということを考えると、国民共有の財産という定義づけというものが適切ではないか、こういう結論に到達したわけでございます。
 したがって、いわば資金運用部から借り入れをしますとか、そういうことは仮にあったとしても、これは、これがあるいは民間金融機関であったとしても通った金ではないかとも私は思います。だから、その限りにおいてはその努力の中に築かれたものでございますが、もう一つ根本をさかのぼりますと、いわゆる国の一部であるところの旧電電公社が法律により独占事業を行った、こういうことからすればやっぱり国民の共有の財産、こういう位置づけもできる。それの資産形成の過程の中に努力を評価するとかいうものも、私はそういう角度からの議論があるのはこれは当然のことだと思いながら、最終的に整理したのが今のようなお答えになるわけであります。
○大木正吾君 私は前身が、前の仕事が仕事でございますから、なるべく労働問題に触れない立場でもって御質問申し上げているわけですが、大臣の方からそういったニュアンスのお答えがございましたのでちょっとこれを申し上げさせていただきますと、毎年これ、少ないとき十八万ですね。多いときでもって二十四、五万人のいわば訓練を続けてきているわけです。一方では、この前たしか連合審査のときに申し上げたのですが、私が昭和三十年、近藤さんがおられて言いにくいのだけれども、私たちの中にも随分共産党の方もおられましてね、そうして日本で初めて労使協議事項を結んだのが全電通の組合なんですよ、率直に申し上げて。当時の書記長は私なんですよね。大分、不信任寸前まで追い詰められまして、やられたこともあるんです。ただ、やっぱり技術が進歩して、また後楽園球場並みの電話局をつくるわけにはいかぬじゃないか、こういう話も考えましてね。やっぱり今の土地や建物は変えないで市外回線をどんどん自動化していく。こういう経過の苦しみを労働問題といたしましては苦しみ抜きまして、十数万人の嫌がる御婦人方を職場を変えたり局を変えたり、こうやってきたことも事実なんです。
 しかし私はきょう、そのことを余り強く主張しますと、あいつはまた前科者だからああ言っている、こういうふうになりますので言わなかったんですけれどもね。
 ただ、私率直に申し上げて、この電電の経理問題を中心にして物を考えますと、政府関係の資金がほとんど入ってないというところは竹下大臣、やっぱりよく認めておいていただきませんと、今後、いろいろな政府関係の金融機関がたくさんございますから勢い、民間の金融機関というものはこれはどうしたってある程度の利潤は上げなきゃいけません、政府関係の場合にはそれほど利潤は多く求めなくていいわけです。したがって、貸し出しの相手が違ってきますし、借り入れる側も政府関係にお願いする、または使い方が違いますね。そういう意味合いで私は、恐らく一般的には共有財産というものは電話債券が一つは土台になりましょうが、電電の資産形成過程あるいは育ってきた過程では政府関係の資金が一般的には相当大量に入っている、そういうふうに国民の方々に、この先生方は全然違うと思うけれども、そういうふうにとられがちでありますから、改めてきょう財産形成の経緯という問題について私の考え方を述べたわけであります。
 ただ、大臣の方からまたこれうまく答えられまして、なかなかこのごろは答えがうまいものですから、いわば都市銀行の金までが一般国民だ、こう来てしまいますと、もうとにかく政府関係の金融機関は全部要らないんじゃないか、こういう理屈になってしまう心配もある。これはまた別の場所の議論の展開かと思いますが、とにかく資産形成の過程について一般の、国鉄の例ということは私あえて挙げませんが、一般の、いわば政府関係の事業あるいは企業、これから見たらはるかに電電は、すぐれて自前でもって金融調達をしながらやってきたんだということについて、他の企業とは違うんだということは御認識いただけるかと思うんですが、その辺いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) それは十分認識しておるところであります。資金運用部等の金が入ったにいたしましても、当時のその時点時点の金融情勢から見れば必ずしも資金運用部の金でなくても都市銀行なり民間資金なりで私は間に合ったんじゃないかという感じもいたしますので、まさに自前の努力というものが基本にあるということは十分承知しております。
 一つだけやっぱり、これは電電のみならず、いわば国の一部であるというこの背景から来る信用というものがまた民間資金なりあるいは電話公債なりというものの信認というものの裏づけになっておるという議論も無理すればできるかな、こういう感じを持っておりますが、だからやれたんだろうというような開き直りをするような考えは竹下登さんには全くございません。
○大木正吾君 それは両輪だというふうに理解してもよろしゅうございますが、ただ私が申し上げたいのは、やっぱりおっしゃるとおり独占企業とは国というものがバックで、日本の国民というのは単一民族的でございます。言語も宗教もほとんど余り摩擦がありませんから、そういった面でいいと思いますけれども、いずれにしましても、私が申し上げたいのは、政府関係の企業経営的なものの中では、私は内部の努力についてはやっぱり、経営側は経営側としての資金の調達などの問題とか、あるいは労働側は労働側としてのいわば国民のための電話事業のためにみずからが技術の革新に対応していった努力、こういったものは内部的には認めておいた上で株式売却問題についてはお考えいただかなきゃならぬ、こういうふうに思っているわけでございますから、ここでもってこの問題をこれ以上論争しようと思いません。
 私は、この法案を仕上げる過程で責任ある委員長という立場を持たせていただきましたこともございますから、改めて、やっぱり株式がぼんと入る前に少しくこの辺の復習をしておかないといけない、こう思ってあえて質問させていただきました。
 それでは、NTTの、新電電の社長もお見えでございますので、最近ちょうだいしました事業計画等を参考にしながら二、三質問をさせていただきます。もちろん経理部長でも結構な部分は結構でございます。
 端的に申し上げて、新聞報道ですから余り根拠がなかったらそれまでの話でございますが、当初の新電電は、資本金一億であるとか、あるいは株は大変なフィーバーも含めて値上がりをするであろうとか、そういったことが巷間には言われておりましたけれども、最近発表されました事業計画を拝見いたしますと、結果的には初年度の経常益が二千二十億円ですね。そして株式の配当が八%、こういうような問題点がポイント的にはつかみ得るわけでありますが、そこでまず冒頭にこれは経理部長に伺いたいのですが、公社から新電電に入って新しい負担がふえた部分はどういうものがございましょう。これを経理部長、答えてくださいませんか。
○参考人(飯田克己君) たくさんございますが、まず第一は新しい税金関係、これが一番大きいものでございます。その他項目を挙げればたくさんございますけれども、おおむねそういったもので、新しく民営化したということに伴いまして約二千億ぐらいの負担増というふうに考えております。
○大木正吾君 もうちょっと中身を具体的に言うていただけませんか。後で少し関係がありますので、二千億という手元のここに資料もございますが、一つは新しい負担の税目なり、あるいは社会保険、退職金積み立てですか、そういったものについて中身を入れながら再度お答えいただきましょうか。
○参考人(飯田克己君) では金額の大きなところから申し上げますと、まず耐用年数の変更でございます。これは御案内のとおり、民間会社になったということに伴いまして、新しい耐用年数の適用を受けるということがございます。これが約七百億。それから道路占用料でございますとか、あるいは各種の保険料とか、そういったものが約四百億ございます。それから社会保険料、そういうものが二百億ございます。それから会計制度の変更に伴いまして、従来投資勘定として経理していたものを当該年度の損益経理として経理し直すというものもございます。その他事業税等でございます。以上合計しまして二千億ということでございます。
○大木正吾君 退職金の引当金の方はどういうふうになるわけですか。
○参考人(飯田克己君) 退職給与引当金は、従来の公社制度のもとにおきましてはそういった引当金制度はございませんでしたが、今度は当然民間会社ということで退職引当金制度を創設いたします。これは設立委員会において御議論いただきまして、約一兆七千億近いものを負債勘定に計上してバランスシートをつくっております。なお、それは、毎年度退職者が出たときにその引当金から取り崩して支払いをいたしますけれども、それに対して、引当金制度の本質からいいまして、一定の引当金分に対して不足を生じた分については、毎年度の費用勘定から補てんし直すという性格でございます。これが約二百億円と想定しております。
○大木正吾君 わかりました。
 そこで、新しい事業計画の中に出ておりました六十年度収支計画の中をちょっとだけ伺いますが、収益の部分五兆六百四十億円とございまして、この中の四兆二千五百十億円が電話収入でございますね。この中の市内関係と市外関係の料金の区分けはわかりましょうか。
○参考人(飯田克己君) 市内関係、市外関係という区分けはできかねる仕掛けになっておりまして、先生も御案内かと存じますけれども、すべてダイヤルで全国つながるということになっております。それは距離と時間によって度数が、回転数が違うというカウントの仕方をとっておりますために、全部一緒になっておりますので、この分計はちょっとできかねるということでございます。
 なお、将来的に、これは非常にコストの上で大きな問題で重要な部分でありますので、そういった通話の流れというものがどういうふうに各発信地から着信地まで、どういう時間帯でどういった通話のバルブが流れていくかという設備は、導入して精密な測定をしたいと思っております。
○大木正吾君 いわば、機械の流れからいっての話としては聞けるんですけれどもね。料金収納関係としますれば、四兆二千五百十億円のうち市内部分として何割か、何%か、あるいは何干、何兆かということの数字はわかるんじゃないですか。これはわかりませんか。
○参考人(飯田克己君) 恐れ入りますが、ただいま手元にその資料を持っておりませんので……。
○大木正吾君 極めて大まかなパーセンテージをちょっと教えていただきたい。特に市外関係のウエートはどれぐらいあるかということを教えてくれませんか。
○参考人(飯田克己君) 非常に粗っぽい言い方をいたしますと、七割三割かと存じております。約七〇%が市外通話関係の収入と想定しております。
○大木正吾君 質問することはまだございますが、大体ポイント的なことは出てきたわけです。
 ちょっとこれは大蔵省へ今度は逆に戻って伺いますが、今までの電電公社、これは大変な金がかかります。ここにも資料が若干ございますが、電話局の中、これは恐らく次長も見たことはないと思うんですが、電電公社というのはやっぱり、私は出ですからわかるんですが、中の機械に物すごく金がかかるわけです。世田谷の火災がございましたのも、でかい地下ケーブルの幹線ですね、あそこに金がかかるわけです。従来、こういったものについては、郵政省に監督を受けながら電電公社御自身が、電気通信機械設備等に対する償却などは、機械のいわば寿命なども考えながらある程度は自分たちの判断で、郵政省の許可を受けてやってきたということの経過のようですが、今度新しく新会社は大蔵省の方から、いわば耐用年数等を中心としました償却率等、大蔵省令でもって御指導いただく、こういうふうになるかと思いますが、そうなりますか。
○政府委員(平澤貞昭君) これは主税局の方のお話でございますけれども、私が仄聞するところによりますと、今委員がおっしゃいましたように、国税庁と密接に連絡をとりながらこの問題をどうするかやっているというふうに聞いております。
○大木正吾君 担当が違って失礼しましたけれども、これは資料からすれば当然大蔵省の省令によって決めていただく、こうなっておりますから、ひとつこれからも御検討いただきたいと考えております。
 新電電の社長にここで伺いたいわけでございますけれども、社長どうでしょう、私たちが当初、外から見ておりまして、資本金が七千五百、七千八百あるいは八千億というような話題は前にもちょっとございましたようですが、配当の八%というような数字は若干このスタートといいますか、前のマスコミの報道等からすると低いというような感じがしますけれども、こういった問題については、これから恐らく電電株の売却等をする場合に、どういうような評価をされるかということの一つの基準的な面にもなりましょうが、いずれにしても、二千二十億円の経常益、八%の配当、これは俗に優良会社と言われるものの財務諸表、第一年度でございますけれども、そういうふうに見てよろしゅうございますか。それとも、いわば、もっと経営努力をするというような気持ちでもってお臨みなのかどうなのか。
 この事業計画書をきのういただきまして、拝見いたしました。
 その末尾の方にこういうことが書いてございますね。「増収施策並びに経営改善施策の推進」などがまずありまして、「INSの形成」、そして最後の方にいきまして、二行半ほど、「厳しい経営環境に配意し、機動的弾力的に対処するとともに、さらに一層の増収、経費の節減に努めることとする」、こう書いてございますが、このことの持つ意味合いを少し新社長の決意なども含めてお聞かせいただけますか。
○参考人(真藤恒君) 今冷たい頭で予想いたしますと、事業計画書で政府に提出したような数字になりますけれども、私ども現在、これをどうさらにプラスアルファをつけるかということを前提といたしまして努力いたしておる状態でございますが、幸い組合の方の態度が非常に積極的な協力体制がますます強くなってくるような傾向を見せていただいておるので、何とかこの数字は改善できるだろうという自信は持ち始めておるところでございます。
○大木正吾君 そういった御決意は私どもぜひ取り組んでいただきたい問題点でございますけれども、実は大蔵省側にもこの問題とあわせて私御理解願ったらどうかと思う問題は、これは三月二十六日に新しい事業計画等を練ったときの一部の新聞記事の報道でございますけれども、二千二十億円の経常益はちょっと見込みが少なかったんじゃないかということとか、実は、最近金融がだぶつきぎみでございますけれども、一般にアメリカの金利に引っ張られたりしまして、金利が高く張りついている傾向もございますが、「企業 負債コスト戦後最低」という見出しによりまして、一部上場等を中心としました企業の利子率平均が年六%と、こうなっているわけですね。
 問題は、そこで新電電にお尋ねしたいわけでございますが、さっきのこととも関連して、少しやっぱり経営努力してもらうわけではございましょうけれども、新電電の新しい事業計画に基づく金利負担率はどの程度になりましょうか。この辺は経理部長で結構ですから、答えてくれませんか。
○参考人(飯田克己君) 旧公社時代の金利負担率は七・八でございます。
○大木正吾君 新しいこの事業計画に基づく四千億前後返していくとかという話がございます。要するに企業全体の、一部上場関係かもしれませんが、これは日経新聞の記事なんですよ、六%、こう書いてあるんです。ですが、旧電電公社当時七%であったということはまあいいでしょう。今後、ことしの新しいものはどれぐらいの利子を払っていく、利子率はどれぐらいになるかということは、経理部長、頭の中にあったら、それを聞かしてほしい。こういうことなんです。
○参考人(飯田克己君) 既にNTTになりましてから新しくNTT債というものを三回発行しております。これは先生御案内のとおり、そのときそのときの市況状況というものを見て発行いたしますので一定してはおりませんが、大体最近のNTT債の一番新しい直近の場合、これは一番低コストでございまして、下がっております。六・八六八と記憶しております。
 なお、第一回の四月発行のときはもっと高うございました。
○大木正吾君 若干質問している趣旨と、短期のミクロ的な話になってしまっているようですが、私が言っているのは、大体経営者の中のお金の金庫を預かるあなたは親分のはずだから、大体そういった市中金利全体を見通したときに、公定歩合が下がる傾向はないということとか、金融自由化問題とか、総合した場合、実は十二月の七日の日のこの連合審査のときの岩下当時の経営担当総務理事から聞いた話では、五兆六千億円の負債のときには、年の金利の負担が七・八%、こういう記録がはっきり残っておるんですよ。ですから、その後四千億何がしか減らして五兆一千億ですから、金利負担が減ることは当然なんですがね。ただ、六・八%程度でもって一年間通していけるかどうか。この辺のことは私は余り安心できない、こういうふうに考えておりまして、要するにこれも一般の世間の期待といいますか、国民の見る目からすれば、こういった金がだぶついて金利が割合に動かない時期には、ある意味で企業とすれば、大体一流企業並みの六%前後の金利ぐらいに負担が年平均した場合いくのが筋じゃないか、こういうふうに考えておるわけですが、これ以上電電からの答弁はよろしゅうございます。
 大蔵大臣に伺いますが、幾つかポイントをここでもって伺ってみたんですが、大臣どうですか。電電が持っている負債との兼ね合いなり、あるいは今の金利問題、さらに新社長の、もう少し経営の成績を上げたいという意欲がありましたね。その陰にやっぱり、関係従業員なりあるいは経営陣の努力がなければできないわけなんですね。ですから、そういった問題について大蔵大臣としての所見がもしございましたら。
 私があえて申し上げたいのは、当時も随分議論したんですが、これから議論いたします株式の売買益の一部は、さっきの話に若干関連いたしますけれども、やっぱり財産形成の過程があるわけでありますから、一部は当然電電債務の返還に充ててしかるべきじゃなかったか、こう考えておるわけですが、大臣として、そういったものはもう方法論としてはないということは衆議院の記録でもってよく拝見いたしました。補助金は出し得ないとか、研究費を出せば税金で半分ぐらい持っていかれるとか、たくさん記録が来ていますけれども、そういったこともございましょうが、今伺ったような経営状態なりあるいは形成過程等にかんがみまして、今後監督するなりあるいは大株主の大蔵省といたしまして、一体どのような所見をお持ちか、ここで伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは今まさに新社長、新といっても四月からですから新じゃございません、現社長のお答えにもございましたように、より成績を上げようということに対して組合の方の協力の姿勢というものは大変なものである、したがって我々もその線に沿って努力していかなきゃならぬ、こういう御趣旨の御答弁でございましたが、まさに民間活力というのが一番出ておるという印象を強くしたわけであります。
 これはいささか横道にそれますが、私も長い間仲裁裁定の取り扱いというのをやっておりますときに、ことしは電電さんと専売さんはないわけでございます。いち早く労使の間で決まりました、三十何年ぶりでございましたというお話を聞きましたときに、これはある種の感傷とでも申しますか、じんとくるような感じがいたしました。ああ民営化してよかったな、こういう素朴な感じを受けたわけであります。そういう中でこれから努力されていただけるわけでございますから、私どもは十分これに期待を持つことができるのではなかろうか。私がいろいろ申し上げておりますのは、仮にもし、経営者として当然出てくる自然の発想ではあるにしても、従来の債務返済に充てるということになったといたしますと、今の帰属しておる株というものがいわば国有財産である限りにおいては、新たな競争相手が出てきた場合と比較すれば、補助金を出すと同じ理論になってくるではないか、こういうことを申し上げておるわけでございますけれども、現在の体制の中で現在の資産、負債を引き継がれ、今の努力の経過を私なりに見させていただきますならば、私は十分公益性をも維持しながらしかも民営の実績というのが大変に上がっていくのではないか、だから政府としては可能な限り関与をすることを少なく少なくしていくという姿勢でむしろ対応すべきものだという印象を強くいたしておるところであります。
○大木正吾君 恐らく国民の方からは、私どものこれは感触ですが、さっき料金問題をちょっと伺いましたけれども、やっぱりまだまだ、情報化社会の進展で新聞やマスコミに電電問題が出ないことは少ない、相当出るだろうと思います。そうしますと一番の関心事は、一つは株式問題もありましょうが、市外料金ですね。何とか市外の料金を下げてくれぬか、こういうような期待が相当強く出るだろうというふうに考えておるし、私自身もなるべく早く、市外料金については新しい料金体系自身をいろいろ工夫されているようで、つい最近も電話明細書を出しますよというのが新聞のトップ記事にちょっと出たこともありましたけれども、そういうようなことでございますから、恐らく市外料金値下げ問題は相当早い日程に上る、こういうふうな感触で世の中の動向というものを見ておるわけでありまして、これについて電電からも意見を聞きたいとは思いますけれども、そのことは後にいたしまして、今大臣の答えたことと新社長真藤社長の答えにございました中で、結局これは、一割配当に持ち込むためには経常益をやはり一千億ぐらいプラスするぐらいの頑張りがなければいけない、こういう感じもいたします。
 そうしますと、どうしても従業員に合理化を強いるとか、あるいはいろんな面での工夫、効率化ということが出てくるわけでありましょうし、精神状態というものは相当私たちも見ておりましてよくなったというふうに考えますが、修羅場の競争にいくわけでありますし、同時に一面では、第二電電、第三電電がどんどん出てきますと、東京、大阪、名古屋等のところはクリームスキミングでうまいところはどんどん新しい会社が、結局スタートは新しいのでありますけれども当然これは大きなシェアを持ち始めてくるであろうということと同時に、半面では電電は山間僻地まで含めた全国サービスをしなきゃならないという問題もございます。
 これは市外料金に絡むわけですが、そういうこと等を総合して考えたときに、株の問題についてこれから厳しい議論に入りますので、その前にこれは大臣と新社長にちょっと伺っておきたいんですが、組合の方の意見を伺いますと、イギリスのBTなんかの例が最近ございますが、もし電電株に不正な、と言うと言い方が悪いのですが、余り多数の持ち株を持つ方が個人であらわれたり法人の買い占め等が起きますと大変な問題で、これはどんな経営努力をしても結局信用は丸つぶれですわね。そういったことを、一面ではやはり影響を与えること等も含めたり、あるいは労使関係の安定努力、経営努力、合理化努力等を含めたときに、持ち株組合という話題がBTにもあるし、日本の新電電の関係組合からも持ち上がっているわけでございますけれども、これについてまず、真藤社長の持ち株組合に対する御見解がありましたら伺わせていただけますか。
○参考人(真藤恒君) 私ども、この問題につきましては、できれば政府が株を一般に公開されるまでに、第一回からこの持ち株制度というものの動きをさせていただきたい、できればというふうに考えております。
○大木正吾君 今の新社長の言葉に加えまして、大蔵大臣の方ではどういう所見をお持ちでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) まず一つには、先ほどもお答えいたしましたが、電信電話株式会社の民営化は初めての試みでありますので、その事業経営が公共性を維持しつつ効率的に行われることが必要であって、そのため日本電信電話株式会社法においても政府の関与を必要最低限のものにとどめる。この精神はいつまでも持っていなきゃならぬ課題だと思います。
 そこで、今後の経営の健全性、いわゆる安定株主、持ち株組合などの事業経営上の新たな問題が想定されるわけでございますが、労使の協調を基本としつつ問題の解決が図られて、経営努力が発揮されることを私どもの側からも期待しておるということは明確に言えるのではなかろうかと思います。
○大木正吾君 新電電絡みの今までの経過等につきましては、以上で終わらせていただきますが、新しく今度株が売却されるわけでございますけれども、株の問題について少しく質疑を継続させていただきます。
 新電電の社長、どうぞ退席されて結構です。
 これは、会社法第五条で、大臣も御承知のとおり株式の処分という項がございまして、「年度の予算をもって国会の議決を経た限度数の範囲内」というだけ書かれておるわけでございまして、これ以外に一切電電株に関するいわば取り決めとか規則、細則その他ございませんから、したがってこれは商法とか証券取引法に基づいて株の処分をされる、こういうふうに認識してよろしゅうございますか。
○政府委員(中田一男君) 現在、電電の株式は一人株主というふうなことで大蔵大臣の手元にあるわけでございますけれども、これを処分いたしますに当たりましては、会計法あるいは予決令あるいは国有財産法、こういった国有財産を処分するための法体系がございますが、その手続にのっとって処分されていくべきものだと考えております。一たんこれが売却されまして市場に出回りました後は、ただいま大木委員御指摘のように証券取引法なり何なり、そういった一般の会社の場合と同じようにこれが扱われるものと思っております。
○大木正吾君 と申しますと、証券取引法第百十条ですか、新会社は設立後五年以内に上場はできないというくだりとか、上場基準とか、こういったものは一切これは今度の新電電の株の売却には関係がない、こういうふうに理解しておいていいわけですか、理解するのが正しいんですか。
○政府委員(中田一男君) 恐らく、少なくとも初回の売却に当たりましては直接そのような規定が制約になったりするということでは必ずしもないだろうと思いますが、直接は、国有財産の売却という観点からこれをどのように扱っていくか検討してまいらなければいけないと考えております。
○大木正吾君 ちょっともう一遍今のことを伺いますが、国有財産であるから最初の場合にはこれは国有財産の処分の枠の中でやる、一たん売却した場合には後はもう一般の証券市場の問題として商法なり取引法でやる、こういうふうにお答えになり、今のまた御答弁ですと若干その辺が区分けが難しいような答弁に返るんですが、もう一遍答えてくださいませんか。
○政府委員(中田一男君) 整理していただいたとおりでございまして、最初の売却というのは市場もございません。一人株主がこれを売り出していくわけでございます。そしてその性格は国有財産でございますから、国有財産法ないしは会計法等の諸規定に基づいて処分をしていく必要があろうかと思います。それから後はむしろ大蔵省で言えば証券局の方の守備範囲になってくるものだ、このように考えております。
○大木正吾君 これは株問題について随分と衆議院、参議院の逓信委員会等々、連合審査でもそうですけれども、やかましい議論がございまして、最後に法案を仕上げるときには中曽根総理にも出席してもらって、いろんな答えが返ってきていますけれども、特徴的に申し上げますと、公正に国民の信頼にこたえるという言葉とか、あるいは国民に疑惑を抱かせないとか、公正で厳正でありますとか、特定個人に集中させないとか、幾つか言葉が並んでいるわけですが、用語というものは極めてこれはきれいに使うことはできますが、さて問題はこういったことの中身としてどう実行するかという非常に難しい問題があろうかと思いますが、これに対する諸準備は一体どのように今されておられるのか、あるいはおつもりなのか、その辺のことを聞かせてください。
○政府委員(中田一男君) 国有財産でございます株式を国が処分いたしました先例というのも幾つか持っておりますが、そのような先例を勉強いたしましたり、あるいはごく最近にはイギリスの電電会社がやはり民営化されて処分されたというふうな例もございますが、こういう例を勉強いたしましたり、そういったことで勉強はいたしておりますけれども、何分にも電電株の場合にはそのボリュームからいいましても内容からいいましても私ども初めての経験でございます。したがいまして、これは非常に慎重に取り扱っていかなければいけない問題でございます。
 また、どういう売却方法を施行いたしますにしても、その過程で十分民間の有識者の方々の御意見を広く伺ってまいりたい、そういうふうに考えておりまして、今のところまだそれ以上具体的に準備は進んでおるという状況ではございません。
○大木正吾君 私は本会議でも実は総理と大蔵大臣にお伺いしたんですが、今次長のお答えの範囲のものであれば、この法案の中に、財確法の中にこういったものを直ちに入れる必要はないではないか、全く新しいケース、同時に大変関心度の深いものでございますから、何かいずれは金が、売却益が入ってくるから入れ物を早く用意しようということはそれは意味はわからぬではありませんが、そんなに急いで入れ物をつくらなきゃならぬということはない。現に入れ物はあるわけです。ですから、あれに入れるんだということについて決めればいいわけですから、ちょっと順序が逆じゃないかという、そういう感じでもって本会議では、あの部分はとったらどうですかということを申し上げまして、今あなたが、次長が答えたとおり、売却をいたします、公開いたします、売却するときの手順や方法等がみっちり議論されまして、その上にこの法案の中でここに入れるなら入れる、一般会計に入れる、こういうふうな形のものにしたらどうか、こういうふうに申し上げたんですが、ちょっとこの法案の出し方が逆じゃないか、こういう感じを持っているんですが、いかがですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほど来御議論がございましたように、この電電株式でございますが、
これは国民共有の資産である、そういう性格からやはり国民共有の負債である国債の償還財源に充てるのが適当であるというふうに判断したのでございますが、そういう趣旨を明確にするために今回、帰属をお願いする法案をお出ししているわけであります。
 その場合に、一つは、この電電株につきましては、昨年十二月に電電株式会社法が成立しました際に、本年の四月一日にこれが無償で政府に譲渡されるというふうになっております。したがいまして、一般会計に来ているわけでございます。そういう状況のもとにおいて、やはり六十年度においてこの趣旨を明確にする、所属会計を明らかにするのが適当ではないかというふうに政府としては者えている点が一つございます。
 それとともに、六十年度におきましては、現在御審議をお願いしております国債整理基金特会法、これは国債の大量償還を円滑に行う、その対応をするために短期国債等の発行を可能にするということで行っているわけでございますが、その法律を六十年度に御審議をお願いしているわけでございますので、その受け皿の法案の中に、やはりこの趣旨を明確にするという先ほどの観点から、六十年度に行うのが適当であるということでございますので、この規定の中に入れてあわせて御審議願うのが当然であるということから、今回帰属を明確にする意味で御審議していただいているということでございます。
○大木正吾君 当然であるというように言葉を相当厳しくおっしゃられたんですが、電電が発足しましてから二カ月余りしかたっておりませんですね。確かに大蔵省の国有財産の処分という問題に絡むというふうにおっしゃられたことはそれはそうでしょうけれども、さっきも大分質疑いたしましたとおり、大体公社経営そのものと新しい出費が起きます新電電というもの、しかもそれが二カ月しかまだ経営していない、いずれ九月になったら半期の決算が出るかもしれない、そして三月には一年分ぐらいの財務諸表ができ上がり、五、六月にはっきりするかもしれませんね。
 そういった順序を追っていきますと、大体電電株の公開売却は大蔵省としてはいつごろを予定されておるわけですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 電電の株式の売却の時期その他につきましては、たびたび御議論もございましたように、いろいろそれまでに検討し解決していく問題が多々ございます。したがいまして、現段階でいつこれが行えるかという点につきましてはまだいろいろ検討している段階でございますので、具体的にいつということを申し上げる状況にはないということでございます。
○大木正吾君 百分の一・六というものも、百三十二兆という形までいってしまう来年の三月になりますと二兆二、三百億円ぐらい現在の法律関係ですと整理基金の方に入れなきゃならぬ、こういうことになるわけですね。現在の残高は九千九百億。そういったことからしますと、国債に対する国民の安心度、あるいは市中銀行、都市銀行等が引き受けているシ団の感覚、そういった目から見た場合に、国の財政が火の車ということは大体わかっているかもしれませんが、法律的にも国債の信用度合いからいってもやっぱり問題なんじゃないんですか。
 だから大蔵省は、なるべく早くこういったものを九千九百億について上積みしながら、せめて二兆までいかないまでも何らかの上積みをしたい、こういうお気持ちか。それとも一般会計から何か宝物でも出てきてそっちの方にいくから心配はない、こういうお気持ちなのか。どうなんですか、その辺は。
○政府委員(平澤貞昭君) この電電株式の処分の問題につきましては、一つは電電株式会社が設立されたという趣旨、これは民間としての活力を生かしていただくという趣旨からいえばできるだけ早く処分していくというのが一つの考え方になろうかと思うわけでございます。しかし、やはり片方におきましては、これは先ほど来申し上げておりますように非常に国民共有の貴重な財産でございますので、その処分に当たってはできるだけ国民にとって有利なように処分していきたいという気持ちがまた我々としても強いわけです。公益性の観点と言っていいかと思いますが、そういう観点もあるわけでございます。それとともに、この処分におきましてやはりいささかも疑惑を招くようなことのないようにするのも、政府としての重要な責務でございます。
 したがいまして、今申し上げましたようなもろもろの観点の中でこれをどう処分していくかということについて今真剣に検討しているというのが、偽らざる現状の姿であるということでございます。
○大木正吾君 逓信委員会での議論のときにはその程度の答えでもいいんですが、やっぱり入れ物をつくって持ち込もうということを決めるんだとすれば、この法律案を通すからには、もう少し中身をはっきりしてもらわぬと、国民の関心度が高いだけに私はいけないと思うんですね。
 逆に伺いますが、二年間ぐらい凍結をした方がいいんじゃないですか、逆に申し上げますが。二年間凍結をして、会社のいわば財務諸表などがもっとはっきりして、そして株の配当も上向いてきまして、大蔵省がもうちょっと売却益が上がるというころを見計らって売る方がいい、こういうふうに考えるためには二年間凍結をだあっとやった方がいいんじゃないですか。どうですか、その辺は。
○国務大臣(竹下登君) 一つはやっぱり、民営になった限りにおいては可能な限り早く、それは一人株主じゃいけません、株主の意向が経営にも反映されるようにという意味においては可能な限り早く売るべきだという考え方が基本に一つはあると思うんです。
 もう一つは、いわば国民共有の財産でございますから、公正、公平にきちんとやらなきゃならぬ。
 それからもう一つは、今度は、できるだけいい値で売らなきゃいかぬという問題も、国民の共有の財産であると同時に、また財政当局としては当然考える。
 そこで入れ物の問題をまず決めていただく。普通、入れ物の問題を決めるならば売却の方法というのももう少し具体的に議論の中で明らかになるようにした方がいいんじゃないか、この議論も部内でいたしました、率直に言って。ただ何分、初めてのことでございますからプロというのは一人も日本にいない。日本にいないというか、まさに日本にいないような気がします。そうなると、やっぱりこれは国会の議論を聞いて、それを土台にして、必ずしもこの問題に対するプロとは言えないが民間有識者の方々の意見でも聞く方法をとっていかなきゃならぬじゃないか。そうすると今度は人事配置も我が方で、恐らく本当にそれを専門にやる有能な人の配置もしなきゃならぬな、こういう感じも持ちながら今日に至っておるわけでございますので、入れ物をつくります、では売却方法はおよそこういう方法でぐらいなところまでは言えるのが本当かという議論もしたことだけは事実でございますが、結論から言うと、その問題はやっぱり余りにも難し過ぎる。したがって、国会の議論等を基礎にして有識者の議論を詰めていってそれで対応しなきゃならぬのじゃないか、こういう結論になったわけでございます。これは中身もさらけ出してお答えをしたわけであります。
○大木正吾君 大臣に聞くのはもっと先と思っていたんですけれども、先に答えられてちょっと拍子抜けしている感じもありますが、あれですか、大臣は電電株七千八百億円とたばこ産業一千億円の株を持たれまして合わせて八千八百億円の大株主である。まさか次の総理をねらっている竹下さんがその程度でもって身震いしているわけじゃないでしょうね。百三十二兆の赤字までいくのに、頂に立つことをねらっているお方なんだから、わずか八千八百億円程度の一人株主になったからといって身震いするわけじゃないと思うんで、私はもっと大胆にですね。どうもこういう、これは大臣の場合は違いますが、言葉が悪いんですが、やっぱり行政関係の専門家の方の立場というものは、今大臣がおっしゃったことは常識的にはよくわかりますよ、わかりますが、作業をするときには絶対にマスコミはシャットアウト、もちろん私たちも聞かせてくれない状態でいきまして、結論がぼんと出たち一遍に飛び出してきてもう絶対に一点の修正も加えない、こういう習癖があるわけです、日本の場合どうもそういう関係があるんですね。ですから、大臣のお答えを聞いてもそういう感じがいたします。そうだろうという気持ちもいたしますが、どうもやっぱり出口のときには、脱兎のごとく、決めたら動かさない、こういうふうになってしまうという心配がどうしても走るんですね。だから、私はむしろ、平澤次長のお話の中から、何か行ったり来たりしているようですから、だったら思い切って二年間ぐらいか一年半でもいいですが、凍結をして、その間にみっちり手段、方法、売却の方法論について詰めてみようじゃないかと。我々もたまには中間でもって報告を受けながら議論に参加させてもらいたいものだ、こういう気持ちも持っているわけです。
 ですから、そういう意味合いで私は株の問題について、今大臣が答弁されたことについて、せっかくの御答弁でございますから、それに関連しまして少しく内容に入らせてもらって、さらに質問を進めてみたいと思うんです。
 まず一つは、共有財産ということはもう何遍も言っていますから私も多くは言いません。ただ、これはやっぱりむしろ、最初共有財産という表現が文書上登場したのは一年半ぐらい前でありまして、我が党がいわば関係組合の所見などを聞きながらつくった用語です。そのときには、赤字公債にばかっと持っていってしまうよりも、国民全体が加入者、ほとんど九九・九%加入者でございますからね、この方々を土台にしていくとすればやっぱり全体の共有の財産、こういう認識で実はこれは使った用語なんです。ところが今度、ずっと出口の方にいきますと、共有財産だから赤字公債の穴埋めに持っていくのが一番正しい、こういうふうに出てくるものですから、話が途中で少しくこんがらがってきてしまっているわけです。いずれにしても、そういった入口、出口のことは抜きにいたしましても、共有財産で絶対に不正とかあるいは疑惑があっちゃいかぬということはもう何遍も総理も竹下大臣も繰り返しておられますね。
 そこで問題は、内容に入りまして、二、三点ですが、まず適正な価格の設定という問題についてはどのような方法を、市場価格は現在存在しないわけですから、どのような検討を加えておられますか。その辺について聞かせてください。
○政府委員(中田一男君) まだ電電株式の価格を云々という形で具体的な検討をしておるわけではございませんが、一般的に非上場の株式、まだマーケットに値段のない株式ということになりますと、何らかの評価というようなことを行います場合に通常用いられます方式というのは、例えば類似会社と比準をする方法とか、あるいは純資産価額でもって評価する方法とか、その会社の態様等により幾つかの方式が考えられるわけでございます。それらにつきまして一般論としては勉強いたしておりますけれども、じゃ具体的に電電株式の評価に当たってどんな評価方法を用いることが妥当かというふうなことになりますと、先ほどもお答え申し上げましたように、これから民間の有識者の方々の意見などを広く伺いながら慎重にも慎重に検討をしていかなければいけない問題だ、このように考えておる次第でございます。
○大木正吾君 今お話がありました類似会社比準方式という場合の類似といった場合には、一体どういう会社が想定されるわけですか。
○政府委員(中田一男君) 新電電会社の場合は確かに、独占企業体でございますから、これと全く同じ事業を行っている会社というのは国内にはないわけでございます。したがって、どの会社が適当かというと、これまた難しい御質問でございます。例えば国際電電のように電電の事業をやっている会社はございますけれども、これは仕事の分野が違うとか、あるいは例えば料金の認可を受けておる公益性の非常に強い企業ということになると電力会社とかガス会社とかという会社もございますけれども、これまた分野も違いますから、具体的にどうかと言われると、これは非常に難しい問題だと思います。
○大木正吾君 そうしますと、今おっしゃられたそういったことも、方法も含めて検討されているということに理解いたしますと、さっき大臣のお答えで返ってきました、学識経験者あるいは専門家といいますか、そういった方々の意見を聞く。さらに大臣が一昨日もおっしゃっておったんですけれども、世界じゅうにいないだろう、こういう話をちょっと大臣、冗談も半分あって申されましたですね。
 だから私、これは本当に今まであります、例えば類似会社比準方式としてKDD、これは六十倍、七十倍の株の値段がついちゃって、そんなにとても売れるものじゃないという気はいたしますが、同時に、一般的には初めて上場するときには公正な第三者の鑑定とか競争入札とかいろんな方法があるわけですが、どの方法をとるかについてもいまだもって焦点が定まっていない、結局はこういうことですか。
○政府委員(中田一男君) 例えば会計法という法律の建前からいたしますと、原則は国有財産を処分するときは一般競争入札というふうになってございます。したがいまして、一般競争入札というふうなことを考えるのか、あるいはシンジケート団でも編成して処分していくというふうな方法を考えるのか、幾つかの方法が考えられると思いますけれども、それにつきましてもまだ方向が定まっておるわけではございません。
○大木正吾君 これは新電電株は額面五万円でございまして、そして簿価が二十一万三千何がしですか、それで大体競争入札に仮にした場合にどうなるかということは、私の住んでいる家の周辺のおばあちゃん方でも、大木さんは電電に顔だから恐らくあいつ株を買うのじゃないかとかといううわさもされたりして、痛しかゆしだし、私にも分けてくれないかという話が来たり、本当に冗談を抜きにしてそんな笑い話があるわけです。
 そうしますと、この適正な価格ということは非常に重要な問題を含んでいるわけですね。そういった意味合いで、私はやはり手順というものについては、きょうは時間がそれほどありませんから余りこれ以上この問題については申し上げませんけれども、何らかの方法でもって大蔵委員会の理事の方々などには、どういう方法でもってやろうとしているのだというところぐらいは委員長を初めとしてお話があって、私たちは平ですからあえて参加したいと思いませんけれども、理事さんの方ぐらいはやっぱり責任を持ってもらわなきゃ、一面では責任なんです、うれしい話だけれども反面では責任があるわけですね。そういったことを含めてぜひお考えを、慎重にこれは扱ってもらいたいことをお願いしておきたいのです。
 二つ目の問題ですが、適正な売却量ということ、これは割合答えやすい問題じゃないかと私は判断いたしますが、主として株式市場の問題なりに絡んで、従前のいわば年間における証券市場の取引総額がどれぐらいのものがあったのか、あるいはどれぐらいの会社が大量にやったときにはどれぐらいの大きな、東電さんのような例があるようですけれども、そういったものについて経験的なことをお話しいただけませんか。
○政府委員(岸田俊輔君) 企業の国内の資金調達の状況でございますが、直接関係のございます株式でございますが、五十六年で一兆七千九百三十二億円、それからだんだん減ってまいりまして五十九年では八千百四十八億円という状況でございます。ただ、資金調達を考えます場合には、株式だけでなしにほかの転換社債とか事業債その他を含めて考えなければいけないかなと思いますが、それで参りますと、五十六年で参りますと三兆六千、それから五十七年二兆五千、五十八年二兆四千、五十九年で三兆一千というような状況でございます。
 個別に大きな資金調達がどういうケースがあるかというのは、ちょっと手元に今ございません。後ほど御報告いたしたいと思います。
○大木正吾君 いずれにしても、これは市場を混乱させることはなかなか問題がございましょうし、同時にまた、理財局の側としますればなるべく高い値段で売りたいという気持ちもございましょうし、そういう点で証券市場の側との打ち合わせなども必要かと思いますけれども、問題はやっぱり大蔵省自身の財政上の理由といいましょうか、要するに国債整理基金の方に持っていくんだ、その方がだんだんいわば量が、積立額が減ってきておる、こういう状態との兼ね合いとか総合的にいろんな面を考えていくわけでしょうけれども、少なくとも、たしか量として電電株は総体的に七千八百億のうちで五千二百億の売り出しですね、額面株で。株式の総額は一千五百六十万株ですか、たしかそれぐらいになるはずだというように私は記憶いたしますが、とすると、これはその大体五分の一売ったといたしましても三百万株、三百万株を仮に三十五万円で買いますと約一兆近い、こういうふうな形が出てきますね。相当これはいわば市場に対する影響が大きいことであるということについても、さっきの株価の問題等々をあわせまして、一つの公正な売却をするためのいわば手段方法の中に入りますから、これもぜひ私は、後ほどさらに申し上げますが、とりあえずこの場におきましてはやっぱり、大蔵委員長なりあるいは大蔵委員会理事等に中間的な流れ等については私は話があった方がよろしかろう。
 これはやっぱり責任、万が一ということがある。万が一、いわばある人が大きな会社の社長をしておりまして、金融市場がどんどん自由化されてきますし、同時にいろいろな関係でもって合弁会社ができてきますから、一応電電会社法では外国人の取り締まりについては二割か何かでもって制限していますよね。しかし、もし合弁会社がありまして、それが仮にささやかですけれども二百社、三百社持っていきましてずっと連結していったときに、これは大変なつながりになって、調べてみたらいつの間にか株式のウエートが三分の一をもっと超えたのが何かどこかでできてしまったということになったら、これは大変なことですからぬ。
 そういったこと等々を考えていきますと、売却量の決定と同時にやっぱり私たちは、どこにこの株が行っているのかということは、もちろんこれは市場側としては秘密にしたい問題でしょうけれども、ある程度輪郭というものは、大きな株の量の流れということは把握しなきゃならぬ、こういうことがこの裏にありますからね。
 そういう意味を含めて、このことも委員長の方にお預けいたしますけれども、なるべく理事会側として掌握していただきたい問題点と考えています。
 第三の問題は、これは公開体制の確立の問題でございまして、いわばさっき中田次長のおっしゃった面もございますが、例えば幹事会社をつくるのか、十四証券全部にやるのか、あるいはシンジケート関係でもって相談される、いろいろ方法がありますが、今のところは一体どういうような公開体制を考えておられるわけですか。要するに国民に対して、共有財産というからには、電電株が売りに出ますよということは知らせる責任がありますね。同時に、秘密にしておかなきゃならぬという面も恐らくお考えだろうと思うんです。ですから、余り早くやってしまうと、何かこうすっぽりもうどこかに買い手がそろってしまって一般の国民が手を出しようがないという問題も出てくるでしょう。逆に今度は余り秘密で持っていきますと、ばっとこう来てしまってどうもならぬ問題が出てきます。
 ですから、この辺の公開体制の確立も非常に私は微妙な議論が、非常に難しい議論が要るんだろうと思いますけれども、これについてもし理財局で検討されておりましたらその模様を聞かせてもらいたい、こう考えます。
○委員長(藤井裕久君) 今大木委員の御提言については、理事会において別途協議いたします。
○政府委員(中田一男君) まだ具体的な売却方法ないしはそれの扱い等々につきまして、そんなに検討というものは進んでおる段階ではございません。
 しかし、いずれにしましても、これだけ関心を集めております株式を売却するには、売却方法を決定する過程におきましても幅広く有識者の方々の意見を聞いていくとか、十分それは国民の皆様方にわかりやすいやり方で決まっていかなきゃいけない問題だと思いますし、また具体的に売却に当たりますと、できるだけ大勢の人に買いに来ていただかなければいい値段がつかないわけでございますから、当然こそこそやるというふうな考え方は毛頭持っておりませんで、広く皆さんに売却の方法なり売却の時期なりを知っていただいて参加していただくということを心がけなければいけない問題だと考えております。
○大木正吾君 幾つか株の問題について伺いましたが、この問題のある意味では最終的なことかもしれませんが、やっぱり中田次長ね、国民が関心を持っておりますだけに、全部が全部私は議論した経過とかなんかということはあれですけれども、一定の手段、方法、基準などにつきましては、あらかじめやっぱり議論して詰めていくわけでしょうから、そういったものについて私は、国会の論議を通じても結構ですから、やっぱり国民に知らせておく方が免罪といいましょうか、要するにみんなが知った中でもっていろいろな売却がされていくということになりますので、私はそういったことをどうしてもしていただきたい、こう考えております。
 同時に、一方では、いわば個人なりあるいは法人の買い占めというと言い方は悪いんですが、一定の量の持ち株に対する制限ということを考えておられるか、全く自由にしてしまうのかどうか、そのことについてはいかがですか。
○政府委員(中田一男君) 現在、会社法におきましても、例えば外国人が株主にはなれないというような必要最小限の限定は持っておるようでございますが、それ以上の何らかの規制を設けるというふうなことは恐らく、当初の売却の際にどういう条件を設けるかということは別といたしまして、一たん売却された株が流通するというふうなこと、流通市場のことを考えますと、なかなか法律でいろいろなことを縛る、あるいは規則でいろいろなことを縛るということはなじまないのではないか、適正な価格、適正なマーケットということを考えると、必ずしもそういう制限をするという考え方が適当なのかどうか問題があるのではないかという感じかいたしております。
○大木正吾君 それは初めからあらかじめシェアを決めてやるかということか、あるいは結果論としてどうなるかということはいろいろありましょうけれども、やっぱりこの株というものは非常に関心が高いということ、同時に、将来確かに新電電がある程度スリムになっていくということはあり得るかもしれませんが、この株が下がっていくということはちょっと考えられませんし、余り過大に値段をつけて買い占めても余りもうからぬかもしれませんしね。しかし、ある程度優良株でいくだろうということは想定ができるわけです。いろいろな例えば研究施設の問題でありますとか、それからどんどんディジタル化していきますから、一つのパイプの中でもっていろいろな通信ができていきますから、それはもうサービスも多様化していきますから、いろいろな意味合いでもって株が下がる条件というのはなかなかないだろうとこう考える、しばらくの間はですね。そういうふうに見ていきますと、やっぱり私はいわば所有が制約される、一定の量まででとめなきゃいかぬとかですね、どっちか、入り口でもって一つルールをつくってしまうか、結果的に出たものをあげたところがそうなるかどうかは別にしましても、私は何らかのこれはやっぱり個人なり法人の持ち株のいわばルール化といいましょうか、制約といいましょうか、そういったものがなければ、おっしゃるように、国民に対して共有財産とうまいことを言っていたけれども全然あんた株はどこかにまとまって行っちまった、こういう話になってしまったのでは意味がありませんから。
 そういったことを含めて、この辺についても十分に検討してもらいたいところなのでありまして、これは今あなたの方からはそういう気持ちはありません、自由市場に任せます、こうおっしゃったんだけれども、もう一度その辺について考え直して御回答いただけませんか。
○政府委員(中田一男君) 前段で申しましたように、初めて国の株、国有財産を民間に処分するという処分をやりますときに、果たして青天井で何も規制しないのがいいかどうかということになると、これはいろいろな考え方があろうかと思います。したがって、それは別といたしましてというふうに御答弁申し上げました。一たん民間の手に落ちました株式につきまして、以後の流通等についていろいろな規制を設けることというのは必ずしもなじまないのじゃないかなという感じがいたしております、こういうふうに申し上げた次第でございます。
○大木正吾君 わかりました。その辺のところ、第一回の結局公開売却が一番問題だと私は思います。ですから、そのためにこそ大蔵省御自身が三分の一の株を保有する、こういうことでもあるわけでしょう。それから同時に、やっぱりこの種の株はなるべく、気持ちだけでなく、具体的な問題として国民の大多数がいわば公開なり、あるいは上場なり、あるいは売却の際に入札に参加できるということが望ましいわけですね。実際問題はできない、困難かもしれません。しかし、その意味合いで私はやっぱり第一回の上場の際に、いわば大衆が見ておりまして、そしておれが欲しいんだけれども、しようがない、金がない、買えないとかね、買いたいという方でもってうまく買えたという方が出てもこれはしようがないわけです。
 イギリスの場合でも、大体二百五十万の応募者があったが百万に一応制約していますね。そういったケースもある。同時に、イギリスの場合には、四百株までの方々は全部申し込みのとおりに分けた、逆に五百株以上の方々は全部制限した、こういうケース、御存じだと思いますけれどもそういったことをやっていますね。ですから、そういったこと等々を考えていきますと、やっぱりイギリス自身は、日本と環境ももちろんこれは違います。違いますけれども、大衆株主ということを非常に実行をしているということは言える。これが法律的にやったのか、あるいは競争の中でもってそういうことをやったのか、環境は違うといいながらもああいった姿は参考にはなり得る、こう考えて私は見ているわけです。ですから、あくまでも大衆に対する株主をふやしていくとなりますと、大衆個人――私個人が持つというんじゃなくて、例えば私が預けている信用組合とかあるいは関係するところの共済組合とか、そういったところが持つことは、大衆の金を集めているわけですから、一定のシェアというものを置きながら、いわば証券会社なりとも話し合いいたしましてやっていく方法もあろうし、だからといって別に、そういったところが特別に安い方法で買いたいと言ったときは断ればいいわけですからぬ。そういう点を含めて、やっぱり大衆の預貯金、あるいは金を集めている機関、金融機関などがなるべく――KDDはそうですわね、持っている株のシェアが固定していますよ、働きがあってもささやかですね。ですから、例えば損保会社とかあるいは電電の共済組合とか幾つか大株主がおりまして、六十倍、七十倍の株と言われますけれどもこれはほとんど働きがありませんね。
 ですから、ああいう姿が最も望ましいと私は思って描いているわけです。
 おっしゃるとおり、だから一遍市場にぶん流しますと後はもうなかなかそれは規制できませんから、第一回の上場の際極めて大事でございますので、そのことをぜひお考えいただきたいわけなんであります。衆議院の方では、これは中田次長も恐らく御出席でしょうけれども、調査委員会とか小委員会などをつくる。要するに、これは財政法第九条の問題との兼ね合いでもって、恐らく国有財産法の第九条に絡む審議会のメンバーは、これは竹下さん一昨日おっしゃったのかな、大分偉い人がたくさん集まっているとかとおっしゃったことを記憶していますけれども、あれは主として土地とかそういったものの不動産関係の売却が多かったと思うんですよ。こういった大きな新会社の株の売却はメンバーとしては、こんなことを言っちゃ失礼に当たりますけれども、なかなか専門家筋は少ないだろうというふうに想定いたします。そうしますと、これと関連した小委員会等をつくるお気持ちがあるかどうか、その辺についてはどうですか。
○政府委員(中田一男君) かつて私どもが電発の株式を売却いたしましたとき、あるいは日本航空の株式を売却いたしましたときに、国有財産中央審議会に、売却の方法でございますとか評価の方法でございますとか、そういうことを諮問したことがございます。そのような際、ただいま大木委員から御指摘がございましたように、国有財産中央審議会の委員の構成は、どちらかというと株のことよりは土地の専門家というふうな感じがございますし、したがいまして、専門の小委員会を設けまして、そこで議論をしていただいたという経験がございます。恐らく今回の雷電株につきましても、最終的にどういう審議会にかけるか、どういう形で民間有識者の意見を広く聞いていくかということにつきましてまだ省内のコンセンサスができておる段階ではございませんけれども、仮に国有財産中央審議会に御審議をお願いするといたしますれば、当然やはりそれにふさわしい方々にお願いをするということも必要になってこようかという感じはいたしております。
○大木正吾君 これは非常に大事な問題でございますので大臣に承りたいんです。
 先ほど幾つか個別の中身に入り過ぎて、理事会の方にお預けすることにいたしましたけれども、私は、国会審議における中曽根総理の答弁でありますとか、竹下さん非常に熱心にお答えいただいたことでありますし、同時に国民の非常に今一般の、マスコミの少しあおり過ぎもございますけれども、それだけに関心が強いということが一面にございまして、一面では自分自身の今までのキャリアというものとの反省に立ちますと、万が一これについて買い占めでございますとか、誠備事件とかいろんな事件が幾つかございましたけれども、あれにちなんだような事件が起きたら、もう新電電はアウトだ、完全にだめだ。極端なことを言ったら、竹下さんも今大蔵大臣で株主ですから、この株主さんにも責任をとってもらわざるを得ないかもしれませんし、私自身も法案を仕上げたときの、九割まで上げた逓信委員長でございましたから責任があると考えているんですよ。同時に、新電電の幹部、社長以下もそうでしょうね。万が一にもないことを期待いたしますが、万が一そうなったら大変なことになるわけなんです。ですから、その意味合いで、私はこの小委員会の問題についてはぜひ理事会でも御協議いただきたいわけでございまして、何らかの方法でもって、私は全部とは申し上げませんから、会派から出ています理事の方々と御相談願って、メンバーの厳選とかあるいはルールづくりについての中間報告とかそういったことについて、どうしても大臣にこのことだけは約束をひとつしてもらいたい、このように考えておりますが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 最初にちょっと補足させていただきますのは、本委員会で大変偉い人ばっかりだと言いましたのは、あれは資金運用審議会のことでございまして、いわば財投のあり方等に研究会をつくっておりますが、それを資金運用審議会、あれは総理府でございますので、あそこで議論してもらおうかなと思ってみましたら、天下の肩書人ばっかり集まっておられまして、これは本当に実効が上がるかなということを感じましたので、これはその際にお答えをいたしましたが、あの国有財産審議会の方、これももちろん偉い人でございますけれども、今中田次長から申しましたように土地関係の人が多うございますので、したがって今おっしゃったような発想も当然出てくる発想ではなかろうかというふうに私も理解をしております。
 それから、これの具体的な処分問題ということにつきましては、それは当時の逓信委員長としての御責任もございましょう。そして、受け皿をここでつくって法律審議していただいております当委員会の御責任もございましょう。そして、もちろんこの今の際、竹下登個人として銘打ってはございませんが、大蔵大臣が一人株主になっておるわけでございますから、私の責任に帰するものもございます。それらを含めて、先ほど委員長の御発言にありましたように、理事会等で御協議いただくということに対しては、我々はそれに忠実に即応すべき問題だというふうに考えております。
○大木正吾君 委員長にこれはお願いいたしたいんですが、私自身は、この問題については非常に重要な問題を将来抱えている、こう考えますものですから、ぜひ理事会におきまして御協議いただきまして、適切な小委員会等をつくっていただくようにお決めいただくことを、期待ではなく、むしろこれは確信申し上げておきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
 さて、問題はその次でございますけれども、電電株の売却なりたばこ株の売却に絡みまして財政再建について少しく伺わせていただきます。
 これは一昨日も同僚議員の質問もございましたとおり、現在整理基金の残高が九千九百億円でございますし、今年度だけでも百分の一・六という数字、あるいは六十年度末、来年の三月末になりますと、これは二兆三百億円ぐらいの新しい積み立てが法律的には要る、こういう計算にはなるわけですね。それについて、一昨日次長の方からのお答えは、どうも歯切れが悪いという感じが何遍もしたわけですが、再質問的になって申しわけありませんが、要するに六十一年度においても百分の一・六の定率の繰り入れはするのかしないのか、この辺についてもう一遍答えていただけますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 一昨日も御答弁申し上げましたように、六十年度末で九千九百億円、一兆円弱の基金残高になるわけでございます。六十一年度におきましては、それに対しまして償還のネット償還額が一兆五千九百億でございますので、このまま何らの繰り入れもなく推移いたしますと、当然のことながら六千億円程度の整理基金の残の三角が立つ。そういうことになりますと、六十一年度におきまして国債管理政策が動かなくなるということになりますので、いわゆる猶予できない状況に立ち至っておるということでございます。したがいまして、それについて、それでは今後六十一年度予算編成の過程においてどう考えていくかということは、極めて大きな編成上の問題であるという認識を持っているわけでございます。
 他方におきまして、この定率繰り入れにつきましては、その制度が発足いたしまして以来、これはやはり現行の総合減債制度の基本であるから、その基本は今後とも維持すべきであるということをたびたび、財政制度審議会その他からも御指摘をいただいておるわけでございますし、政府といたしましても、これにつきましては非常に重く受けとめていることもまた事実でございます。しかし、現実には大変厳しい財政事情がこのところ続いておりまして、残念ながら、六十年度を含みましてここ四年間にわたって定率繰り入れを見送らざるを得ないという状況に立ち至っているのもまた事実であるわけでございます。
 そういう中で六十一年度についてどう考えるかということでございますが、これはやはり今後の財政の状況をどう考えていくかということをいろいろの角度から検討しながら、その中で解決していく問題であるというふうに理解せざるを得ないというふうに考えているわけでございます。
○大木正吾君 なかなか大変なことだろうということはいろんな資料から拝見をするんです。
 この前もちょっと私どこかで申し上げた記憶がございますが、新規の財源としまして少額預貯金が去年の暮れからことしの春にかけて大激論がありまして、そして、大蔵省の意見が通るやに見えたものが通らずに終わった、こういう経過、これは竹下大蔵大臣に御同情申し上げなきゃならぬのかもしれませんが、しかし、今のああいった預貯金に絡む問題は、とにかく物から金にどんどん皆さん方のニーズが移動し、金融機関もそういうふうになっている段階ですから、手をつければあの辺に手をつけなければ要調整額等はなかなか調整ができないという感触はいたしますね。若干ベースアップが去年よりも〇・六ぐらいふえたとか、景気の動向がどうとか言っても、まだらな、いいところはいいし悪いところは悪いという傾向が依然として残っていますから、余り大きな税収期待ということはできないとしますと、なかなか大変だということで、私個人の意見では、党の意見は若干違うんだけれども、もう一遍激論してもらいたい問題である。要するに、二百六十兆に上る預貯金の金利の税制問題ですね。そういった感触はいたしますし、同時に、アメリカの税制問題等についても相当参考にしてもらいたいという気持ちがございますが、一応そのことはきょうは議論のわきに置きまして。
 あえて申し上げさせていただきますが、こういうふうに大臣も答えられているし、同時にいろいろ議論が出てきて、奥田前郵政大臣も答えているわけですけれども、電電株式の売却益を国の赤字財源のためにと電電を民営化したということではないですね、こういうことをどこかでもって明確にしたいということを何回かおっしゃっておられますね。ところが、今の御答弁とかあるいはずっと財政の見方等をしていきますと、残念ながらそういったイメージはぬぐい切れないものが出てくる。
 といいますことは、一つは、百分の一・六の積み立ての流れを見ていきますと、五十二年度が一兆二百九十一億円から、一番ピークのときの五十五年度が三兆五千七百七十八億円でございますね、そして、五十七年から八年、九年、そして本年に九千八百九十三億円、こうなって、大体空っぽに近づいてきているわけですね。そうしますと、こういうことが言えるんですよ。要するに電電株を仮に五年後に三分の二の売却、済むかどうかはありますが、おおむね売却し切ったときに、ちょうどこのピークの五十五年度の三兆五千七百七十八億円を若干超えるような状態に、全部積立金に売却益を入れていきますと、額面の七倍、六倍等を想定したときにそういったことが言えるわけですね。ですから、一つのルールは、要するに永久に百分の一・六の積み立ては放棄をせざるを得ない、こういうふうになりましたね。もう一つは、要するに借換債でもって転がしていくんだと。問題の第三点は、要するに、若干の歳出のカットあるいは増減税等も大枠としては余り大きな変化をですね、それで何とか苦心して要調整額をあれして、六十五年度までに赤字公債の発行を取りやめていくんだと。何のことはない、結局総体的に見ていきますと、電電株がとりこになった中で格好だけの、と言うと竹下さんは怒るかもしれませんけれども、格好だけはどうやら六十五年度に特例公債の発行がなくても済むという状態にいくのだというルールがどうも感触的に私は頭に浮かぶんですが、これは平澤次長はどう考えるかわかりませんが、その辺は私の認識は間違っていましょうか、どうでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) この点につきましては、昨日も御答弁申し上げましたが、国債整理基金特別会計法の第十六条がございます。それには、この「三分ノ二ニ当タル株式ハ国債ノ元金償還ニ充ツベキ資金ノ充実ニ資スル為一般会計ョリ無償ニテ国債整理基金特別会計ニ所属替ヲ為スモノトス」ということございますから、この売却収入は、この規定に書いてございますように、「国債ノ元金償還ニ充ツベキ資金」であるということは法律上明確になっているわけでございます。したがいまして、これがその意味でほかに使われるということはないというわけでございます。
○大木正吾君 私が申し上げているのは、今平澤さんがおっしゃったところまでいきますとまたこ
れ問題が、新しく論争が起きてこざるを得ないんですが、一たん整理基金に入れたものを結果的には途中でもって、調整額の方が埋まらないものだから一般会計にあれして、例えば電電株が八倍か十倍になったと仮定いたしますと、さっき申し上げた、要するに国債整理積立金の三兆五千億のピーク時を上回るんですよ。そうすると、そんなにたくさん要らないんじゃないかという議論が出てくることもこれは常識的にはあってもいいのですね。そうすると、一兆円か二兆円の金は、どうだひとつ、調整額の方はだんだん厳しくなりますからそっちの方に回してもいいじゃないか、こういう乱暴な議論が出てくると、まさしくもってこれは混乱のきわみなんですよ。だから、私が本会議でも御質問申し上げたのは、例えば、保険関係の黒字九百三十何億円かを持っていったということを一つ御指摘しましたね。同時にこの委員会では、竹田委員の方からかつて、石油関係かなんかの問題について問題を出されましたね。要するにつじつまだけ合っておればいいんであって、財政の基本的な法律条項とか準則、そういったものを全部乗り越えまして数字が合っていればよろしいというところに落ち込んだのでは――私はだれが悪いということを申し上げているわけじゃないんですよ。やっぱり、財政というもののあり方を崩していくと、一昨日赤桐委員が質問いたしました日銀法の問題にまで触れざるを得ないということになってくるものですからあえてこういったことを聞いているわけで、要するに三頭立ての馬車で行くのかなということは、七倍ぐらいでもって電電の売却が終わったといたしますれば、五兆二千億ですから、おおむね三兆四、五千億でもって借りかえすれば、それでもうそっとしておく、百分の一・六はないからもうできないでもって逃げてしまう、専ら後は、赤字国債の発行だけは何とかして乗り切っていく、この形でもって向こう四、五年間は過ごしていく、こういう考えに極めて常識的ですけれども受けとめておるわけですが、大臣、その辺のことは、私の認識は間違っていましょうか。それとも、違うぞと、こういった、もっと抜本的な大胆な何か発想はございますか。
○国務大臣(竹下登君) 今の問題でございますが、よく議論としてあることでございます。
 すなわち、定率繰り入れを当面なしにして、そして株式の売却益というものがかなりのものが国債整理基金に入っていったならば、言ってみれば予算繰り入れもしないでおくという形でいけば、その結果として帳づらではおまえが言うように六十五年度脱却するかもしらぬと。しかし、本来その問題は残高が減っていくということにはならぬという議論が出てくるわけです。先日、赤桐さんからの御議論もその点が中心であって、やはり国債の信認というものを維持する限りにおいては定率繰り入れというものは、これは財政審でも言われておるように、その基本は維持するという考え方でとにかく積みなさい、そして売却益というのは、これはまさに残高を減らすためのむしろ繰り上げ償還、という表現が適切であるかどうかは別として、そういうことに使っていくべきだという一つのわかりやすい論理が打ち立てられておるわけであります。
 したがって、我々の考え方としては、減債制度の基本は維持しなさいよということをやっぱり念頭に置いておかなきゃならぬ。いろんなことをおっしゃる方はございます。三分の一入れたらどうだとか、あるいは二分の一入れたらどうだとか、いろんな議論がありますが、それらの議論も総合勘案して滅債制度の基本を維持しながら、そしてこの財政改革の道は進めていかなきゃならぬ。だから、要するに電電株の売却利益というものをトタで国債整理基金の残高に合わせた物の考え方でだけいくのは余りにもイージーに過ぎるじゃないか。そんな議論は私は出てくる議論だと思います。そんなに締めなくてもこうやればいいじゃないかという議論は私は出るだろうと思うんですが、さあ出たときにもこれに厳しく対応していくというのも容易なことじゃないが、だれかがやらなきゃならぬからと思っておるところでございます。
○委員長(藤井裕久君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律案、国債整理基金特別会計法の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の三案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○鈴木一弘君 最初に、財政の基礎ともなるべき経済の問題から、これは特に大蔵大臣等にお伺いしたいのです。
 ことしの初め以来非常に危惧されてきたことでもありますけれども、アメリカの経済が大変鈍化をしてきている。ことしの一―三月の実質のGNP、これが速報値では年率一・三%と言われていたんですが、今回の修正ではさらに落ち込んで〇・七%というような増加にとどまっております。当初のアメリカ経済の見通しよりも何か低下してくる速度が大変速いような感じがいたすのでありますが、政府のアメリカ経済に対する認識はどういうものになっているか伺いたいんです。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、今鈴木さん御指摘なさいましたように、八五年度第一・四半期の成長率は年率に直しますと〇・七%、これはそのとおりであります。八五年の米国経済についていろいろな意見を吐く人がございますが、このままの形で失速するだろうという意見は極めて少のうございます。一般的には、第二・四半期以降再び緩やかな安定成長が持続するのじゃないか、よく言われるソフトランディングというようなことを言う人の方が多うございます。しかし、それにしたところで、八四年の六・八%から見ますならば、これはスローダウンすることは避けられないというふうに思います。これに伴って我が国の輸出も鈍化していくだろうということが推測されるところであると思います。ただ、我が国経済は現在、幸いに設備投資が大幅に増加するなどの国内民需中心の自律的拡大局面と一応受けとめられますので、今後についても、物価は安定しておりますし、企業収益もまずまず好調というふうに見られますので、いわゆる引き続きインフレのない持続的成長というのは確保されていくのではないかな、こんな感じでございます。
○鈴木一弘君 今のお話ですと、第二・四半側以降は多少回復をしてきて、前には及ばないけれども持続されるだろうという景気局面の話があったんですけれども、どうも、昨年の第三・四半期は年率一・六%に落ち込んでいる。その後第四・四半期の十月から十二月に四・三%とやや回復したものが、一―三月で〇・七%ということでありますから、成長率の鈍下は、何か波を打っているようですがだんだん下に下がってきている。
 大きな原因としては、一応八二年の不況から急速にもう回復したわけですけれども、それがここへ来て一巡し終わったということ、それから減税効果が昨年の第二・四半期あたりでもう終わったんじゃないかということ、それから、ドルの異常高によって輸入が急増しますから、それも加わってくれば当然生産にも響いてまいりますので、そういうことでデフレ効果が効いてきたというようなことが挙げられるのではないかというふうにこれは思っておりますが、今連邦準備制度理事会の方で公定歩合を下げました、七・五%に引き下げた。そういう金融緩和策をとっておられますけれども、やはりそういう公定歩合を引き下げるとかなんとかということになってくると、私は、今の大臣の答弁よりもっと強くアメリカ経済というのは失速をソフトランディング以上にするのではないかというふうに思うんですが、その辺はどうで
しょう、もう一遍お願いしたいと思います。
○政府委員(北村恭二君) 今先生御指摘のとおり、アメリカの経済は、八二年から急速に拡大を続けてきた後、最近に至りましてかなり鈍化の傾向が見えるということは、いろいろな諸計数から見てそのとおりでございます。何か一進一退といったような数字がいろいろ続いているわけでございます。ただ、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、今後の動向につきまして緩やかながらある一定の成長率にソフトランディングしていけるのではなかろうかという見方が多いという点は、やはりアメリカの基礎的ないろいろな条件というものについての見方がいろいろあるからだと思います。
 言いかえますと、経済の非常に基本的な要因でございます物価というものが非常に安定しているということは、やはり一つの経済の強さでございます。それから、雇用面等におきましてもやはり緩やかに改善をしております。これはむしろ、サービス部門がかなり堅調だということを反映しているわけでございます。それから、個人消費といったものもやはりかなり堅調な推移をしているのではないかという見方が多いわけでございます。そのほか、住宅投資も、先ほどちょっと金利の問題をお話しございましたように、全体として金利が低下に向かっているという中で、住宅投資の回復がある程度期待できるという面もあるわけでございます。それから、金融緩和のスタンス、今お話しございましたような公定歩合の引き下げにも見られますようなFRBの基本的な政策スタンスというものが、やはりそういった成長の失速ということを未然に防止する形で政策運営が行われているということもあろうかと思います。
 したがいまして、確かにことしの第一・四半期の〇・七%成長というのは数字としては小さいわけでございますけれども、内需はやはり三・九%という形で増加しておりまして、これに対して輸入の増大ということで、外需で三・二%足を引っ張った結果が〇・七%という数字ということでございますから、こういったことについては外需はやはりある程度改善されていく面というのはあろうかと思います。むしろ、第一・四半期に少しこれが大きく出ているという統計上の問題もあるのじゃないかと思いまして、そういったことを踏まえて考えますと、今申し上げたようなアメリカの経済については、やはりある一定の成長率にソフトランディングしていくという見方をとっておいていいのじゃないかという考え方でおるわけでございます。
○鈴木一弘君 今のは楽観論に基づく考え方ですね。
 確かに、言われたような問題がございます。あれだけドルが高いですから安い品物が輸入されて物価が安定するというのは当然のことでしょうけれども、金利の低下で自動車とか住宅、こういうものの方が回復してくるということから、三%、四%というような成長率を考えているという楽観論がございます。
 しかし、悲観的な論も出ていて、その方で言うと、今までの景気拡大要因であった財政、その歳出削減を含めて経済にブレーキをかける、そういうデフレ効果が効いてくるというふうに考えている人々もいるわけですね。だから、そこで全然反対の考えなんです。私は、だから、ドルの異常高による輸出減、輸入増、こういうことで製造業というのは大変不振な状況になっていることは御承知のとおりだと思いますが、もう一つ、アメリカ経済全体が債務国に転落しつつあるというようなことを考えると、ドル高の原因である高金利、そして財政赤字の削減、これは結局本格的に取り組まざるを得ないだろう。そうすると、一時的にも相当程度経済は低下するのじゃないかとも思うんです。
 ことし当初のOECDが三%、アメリカ政府自身の三・八%見通しを相当程度下回るのではないかというのが通常の考えだと僕は思うのですけれども、ちょっと意見が違うのですが、どういうふうに思いますか。
○政府委員(北村恭二君) ドル高に伴いましてアメリカの経済、特に製造業等が非常に競争力を失ってきているといったような、ドル高によるアメリカ経済のマイナス面というものは御指摘のような点があろうかと思います。したがいまして、生産等の分野で確かに計数的には余り強い数字が出ていないということも御指摘のとおりだと思います。
 ただ、確かに、アメリカ政府の当初持っておりました八五年の成長率見通し三・八%といったようなものにつきましては、民間の予測等を見ますとそれが三%程度ということで、若干見方はいろいろあるようでございますし、それから、OECDの最近のエコノミックアウトルックを見ましても、アメリカの八五暦年の成長率を三・二五%といったような数字で見ているわけでございます。もちろん先行きのことにつきましていろいろな見方はあろうかと思いますが、しかし、このまま大きくリセッションという形でアメリカ経済が失速するという見方までとっている方は非常に少ないのじゃないか。むしろそうでないという見方の方々の御意見あるいは分析といったようなものに私どもかなり、私どもの分析として見ましてもそういった数字の可能性が強いのじゃないかということを前提といたしましてお答えしているわけでございます。
○鈴木一弘君 アメリカのことばかり言っても仕方がないことですが、それによるところの日本に与える影響が問題だと思うのです。
 最近の日本経済は、消費にはやや明るさが見えておりますけれども、景気にはややスローダウンの傾向がある。これは、全般的にそういった空気がございます。いろんな論調等にも出ております。昨年の輸出の急増に対して、最近は輸出が鈍化をしてきている。そういう影響も、既に先ほど申し上げたもの等の影響を受けていると見るべきではないかと思うのです。アメリカの経済が、景気停滞から下方へというふうにだんだん屈折をしていく。そういうことになりますと、アメリカの輸入というのは景気から二、三カ月おくれて普通ですから、ことしの夏以降に今度は日本の輸出に全部響いてくるということになります。そうなると我が国の経済にもデフレ効果というものを及ぼすのじゃないかということで、アメリカ経済の低下が日本に及ぼす影響、これが非常にこれから先心配されるわけですけれども、この点はいかがお考えでしょうか。
○政府委員(北村恭二君) アメリカの経済鈍化が、いずれにいたしましても我が国経済に非常に大きな影響を持っているということは、御指摘のとおりだと思います。言いかえますと、アメリカの昨年の六・八%といったような成長にある程度引きずられて我が国の輸出が拡大していったということが、我が国の景気拡大ということの端緒になったということも事実だと思います。
 ただ、私ども、我が国経済の見方といたしまして、これをよく内需、外需という形で分けて見ているわけでございますが、内需を中心とした余り外需に依存しない形での成長というものに持っていかなくてはいけないのではないかということで、内需中心の経済成長ということを申しているわけでございますけれども、幸い今お話もございましたように、需要項目の中で大きなウエートを占めております個人消費につきまして、今まで緩やかな増加ということでございましたけれども、最近特に好転の兆しが若干見えているといったような明るい面もございます。
 それから、よく御説明申し上げることでございますが、設備投資が非常に好調でございまして、ハイテク関連を中心に非常に高い伸びを示してございます。
 いまお話しございましたように、輸出というものが恐らくかなり鈍化するだろうということは考えられるわけでございますけれども、そういったことをある程度織り込みましても、今言った内需中心の成長ということで今後推移していけるのではないかというふうに見ているところでございます。
○鈴木一弘君 五月の通関統計、これを見ますと、アメリカへの輸出は、全体が伸び悩む中で前年度対比で一二%ふえているわけです。これは、自動車が輸出の自主規制枠が拡大された。そういうことが上乗せされたということだろうと思いますが、今ハイテクの設備投資が進んでいるからというお話が国内の問題であったのですけれども、しかし、昨年著しく伸びたエレクトロニクス関係の製品の輸出がこれまた落ち込んできたということも現在ございます。
 そういう点から見ると、日本の設備投資を支えるのは輸出が拡大するときにあるわけですから、必ずしも対米輸出が続いて伸びるというわけでないということになると、日本の経済に与える影響というものは大変大きなものだろうと思います。
 対米輸出による直接的な経済効果だけじゃなくて、アメリカ経済の拡大をするときには東南アジアとか韓国からどんどん輸出されるわけでございまして、そこからの対米輸出の拡大がある。その結果その地域に対する日本の輸出がふえたという間接効果もございます、クッションボールみたいなものでありますが。こういう両面から見ると、日本の経済に与える影響というものはアメリカ経済のわずかな低下でもすごく響いてくるというふうに思うべきで、私はちょっとこの辺は過小評価するべきではないような気がしてならないのですが、ここら辺は大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 私も〇・七が出ましたときに、私自身、後から反省しましたが、リセッションの始まりじゃないかというようなことを、ちょっとその数字を見た途端にちょうど委員会が開かれておりますときにそんなことを言いまして、後から、いささか走り過ぎたお答えをしたなと思ったことは事実でございます。そうしてその後各方面の意見を聞いてみますと、およそソフトランディングといえば三%台とかいうようなことはいくのではないかな、こういう感じをもって今日に至っておるわけでございますけれども、仰せのとおりでございまして、間接効果の方も落ちていくわけでございますから、アメリカ経済のスローダウンというのは我が国にもこれは効いてきますので、したがって設備投資にしましても、やや好調とはいえ五十九年度ほどにはいかない、こういう見通しの上に立っておるわけであります。
 ただ、最近の数字で見ますと、住宅投資が七カ月連続して五十五年度以来の年率に直して百二十万戸台の着工が続くというようなことは、私はいいことじゃないかな、こういうふうに見ております。
 それから個人消費、これが緩やかな増加を続けてきましたが、特に年末以来レジャー支出や百貨店売り上げ等好転する様相にありまして、しかも物価は安定しておりますし、所得も堅調な増加、こういうことになりますと、この間の連休の際の数字などを見てみましても、私は着実に個人消費の方も、急激なものじゃございませんけれども、増加していきつつある傾向ではないかというふうに見ておるところでございます。
○鈴木一弘君 それはわかりました。
 しかし、一方で私は、アメリカ経済の鈍化というのが日本経済に及ぼす影響というのはそう簡単に定量的に、向こうが一下がったからこっちが五下がるとか、簡単にわかることじゃございませんし、時間をかけて効いてくることでしょうから、おきゅうをやっているようなもので、最初は熱くないけれどもだんだん熱くなるみたいな感じになってくるんでしょう。
 そういうことで、少なくとも今回日本の景気がずっと回復してきた引き金になったのは、御承知のようにアメリカへの輸出でございますから、それが主導でなったということは事実です。そのことを考えると、私は、相当効いてくるんじゃないか。今の大臣の話で、住宅であるとか個人消費の伸びであるとか、百貨店の売り上げとか、ああいうふうにおっしゃっておられましたけれども、それ以上何か財政拡大を及ぼすとかなんとか本当に考えなきゃならない。ですから、政策として、内需拡大のための、景気を維持していくためのものをどう考えるかということがこれからの大きな政策課題になるだろうと思うんです。
 そうすると、財政当局としては、財政出動というか財政を拡大するという方向でいくのか、それとも、やらないとなればその他の政策をどういうふうに打ち出していけばいいのか。いわゆる規制緩和というようなことだけで済んでいくのか、もっと民間の活力をどういうふうに引っ張り出すとか、いろんなことがあると思いますが、財政に比べれば民間の力なんというのは全体で見ても大したことはないわけでありますから、そういう点、これはどうやるのか。全く別問題として、それはそれ、これはこれ、アメリカの経済は勝手でございます、その影響は知っちゃいないということか。そうじゃなくて、私どもは私どもとしてこうやっていくんだからいいんだというふうなお考えでいくのか。この点のところをちょっと伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) アメリカ経済というのは、やっぱり大きな影響を与えます。かつての、アメリカがくしゃみをすれば日本は肺炎にかかってしまうというほどではないにいたしましても、やっぱりそのスローダウンしたものはそれなりの影響はあります。したがって、その限りにおいては、外需依存から内需型に転換していかなきゃならぬし、また現実そういう姿になりつつあるというふうに思うわけでございます。ただ、今鈴木さんもおっしゃいましたように、自動車の関係での輸出の増加というのは、これは一日五千台が六千三百台になったわけでございますから、これはそういう数字としてあらわれてくるのは別の問題としておきまして、事実おっしゃるような状態であろうと思うのであります。
 さあそこで、内需拡大のためにどういう具体策があるかといいますと、今の状態というのが、私どもがボン・サミット等で一応合意しておりますインフレなき持続的成長という、大体そういう流れの上には立っておるんじゃないか。そして一方、厳しい財政状態を見ますと、財政が出動する余裕はないということを言わざるを得ないのではなかろうか。ただ、今度の予算も工夫させていただいたとすれば、公共事業がとにかく国費ベースではマイナスでございますけれども、事業費ベースでふえております。あれなどがやっぱり内需の関係にいい影響を与えているなという感じで受けとめておるところでございます。ただ、執行が若干おくれましたのでその辺がどういうふうに数字に出てくるかというのは、これは個人としても関心を持っておるところでありますが、総体的には事業費が確保されたというのは私は、財政が出動したという言葉にはならぬかもしれませんが、工夫をしたということにはなるのではなかろうかなというふうに考えております。
 そうなりますと、今もおっしゃいました規制緩和の問題がございます。明朝、会議を開きまして総務長官から発言があるように今聞いてまいりましたので、恐らく規制緩和の問題をいろいろ詰めておられるからそれが中間報告か何かでなされるのじゃなかろうか、こんな感じでちょうど今出てきたところでございます。ただ、おっしゃいますように、いわゆる内需拡大、民間活力、こういうことになりますと、現実何が動いておるかと申しますと、予算、ささやかな予算を見てみますと、都市再開発でございますとかいわば民活の環境の整備です。それから、都市内における堤防が非常に急がれておって、その堤防によって利益を受ける地域の民活が期待できるというようなもの、具体的に見ると全くないわけじゃございませんけれども、大きく言いますと、新電電が会社はできましたけれども、第二電電が別にまだできたわけでもございませんし、そういう活力は話としてはありますが、まだ出ておるとは思いません。若干、電話機の納入とかそういうことで多数が参加するようになったときに活力が出たでありましょう。
 それからもう一つは、やっぱり関西新空港でございます。この仕組みはまことに結構でございますけれども、これもまだトンとかカチとかいう、トンカチという音はしていないわけであります。
それから、西戸山の問題を見ましても、あれも計画はかなり進んでおるが、これもトンともカチともまだ音がしていない。そういうものが音がし出すのが、結局私は下半期から来年へかけて出てくるのじゃないか。しかし、やっぱり内需振興の一つの流れの中へは、端緒としては今年度中に幾らかあらわれてくるのじゃないかな。そういうことに知恵を絞って、さらに抜本的といわれる規制緩和等がそれの流れに沿っていけば、私は六十一年度にまたつないでいけるようになりはしないか。やっぱり財政の出動だけの余地は今日ないと言わざるを得ないというふうに考えております。
○鈴木一弘君 わかりました。確かに財政出動はできないということは理解できます。財政出動がしにくいからあのような事業費拡大という方向でいろいろ工夫されたこともよくわかりますが、今言われたようなやっぱり規制緩和というような根っこを動かさないとなかなか、といってそれがすぐ効果が出るかわかりませんけれども、私は大変だろうと思いますので、その点は努力をお願い申し上げたいと思います。
 もう一つ、アメリカ経済の鈍化の問題で関連して伺いたいのですが、問題点としては対米出超ですね、輸出超過の問題です。
 アメリカの商務省の資料ですけれども、一九八四年のアメリカの貿易収支は千二百三十三億ドルと言われている、赤字です。その赤字のうちの三百六十八億ドルが対日赤字、大変なものでございます。ことしの一―三月でも既に百十一億ドルの赤字ということになっていて、このままですと年間四百億ドルを超えるのではないかというように言われております。景気停滞で対米輸出が鈍化しても、アメリカ側が満足するほどの減り方でないと、貿易摩擦、経済摩擦というものは永久に消えないと思うんですけれども、このままでいきますと、減っている減っていると言いながら、何か対日赤字がふえていくという感じになりかねないので、この点はどういう見通しと対策をお立てになりますか、ひとつ伺いたいと思います。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘の対米出超の数字でございますが、先ほどの商務省の数字の御披露がございましたが、我が方の通関統計によりますと、昨年度、五十九年度でございますが、輸出が対前年比三〇・二%という非常に大きな伸びを示しました結果六百八億ドル、輸入の方も五・一%増加しましたが二百七十億ドルということで、黒字幅が三百三十八億ドルという非常に大きなものになったわけでございます。
 今後の見通しでございますが、先ほど来お話がございましたように、ことしの米国の景気拡大が少なくとも昨年に比べればかなり安定成長型に落ちつくであろうということを背景といたしまして、我が国の対米輸出は少なくとも数量的には相当伸びが鈍化するのではないかというふうに思っておるわけで乙ざいます。現に我が国の対米輸出を四半期ごとの数字で見てみますと、昨年の一月―三月期が対前年同期比で四五・三%の増加でございました。次の四―六が四九・四、それから七―九が四一・一、非常に高い数字でございました。これが十―十二月になりますと二七・六%、それからことしの一―三月期は六・八%というふうに、だんだんと伸びが鈍化しておるわけでございます。それからまた一方、円ドル相場につきましても、二月の下旬にピークに達しました後、徐々にではございますけれどもドル高の修正が行われるということでございますので、私ども、対米輸出の超過額はかなりまだ高水準が続くとは思いますけれども、少なくとも今後、従来のようなスピードでふえ続けるということは余り考えられないのではないかなというふうに考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 私は、輸入がふえなければ、これは輸出は減ったって、やはり赤字としては増加する危険性があるわけですよね。そういうことでしょう。そういう点では、今後むしろ経済摩擦がもっともっと激化するのじゃないかというふうに思います。一部に、そのことに対して輸出課徴金の発想が自民党内にある。それに対して中曽根総理が、これは縮小再生産になるという話から採用しないという旨を明言された。非常にこれは結構だと思うんです。しかし、過度な対外収支の黒字の解消について、個別的な解消策はもちろんですけれども、やはり本当を言うと、外へ向けるより国内にお金を使わせるということを考えなきゃならないところへ来ているというふうに思います。とにかく、日本の対外純資産が七百四十三億ドルというふうに、一年前の約二倍に膨れ上がっております。そういうこと、これはアメリカが債務国に転落したということと逆に、日本の場合はそれが対外純資産がふえてきているということで、私が代表質問でも申し上げたとおり、どうもことしは世界最大の債権国に日本がなるのじゃないかというふうに思うんですよ。
 この点の見通しはどう思いますか。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、昨年の我が国の対外資産負債残高の推移を見てみますと、我が国の経常収支の黒字と表裏をなしまして対外資産が大幅に増加しておるわけでございます。その結果、御指摘のとおり昨年末で七百四十三億ドルという対外純資産がございまして、これはその前の年に比べますと三百七十億ドルの増加ということでございます。ほかの国の数字につきまして余り最新のデータがないので確たることを申し上げられないのでございますが、私どもの推計では、昨年末の時点におきまして、米国の同じような対外純資産は恐らく三百億ドル前後であろうかなと。それから英国の場合は、日本より少しまだ多うございまして、八百億ドル前後ではないかという推計をいたしております。
 したがいまして、ことしの末にこの数字がどう変わるかということでございますが、まさにことしの各国の経常収支の動向がどうなるかということがそこに反映されるわけでございますので、現時点で確たることは申し上げられませんけれども、我が国の経常収支の黒字が今年度も相当大きなものになるということを前提にいたしますと、本年末の我が国の対外純資産はさらに増大をするし、また一方、米国は、この大幅な経常収支の赤字が続くようでございますと、御指摘のように、今年末には純負債が発生するという可能性はあるものと考えております。
○鈴木一弘君 もう一つの問題は、日本にとってはずっと慢性的に赤字だった貿易外収支が、四月に九千三百万ドルですか、黒字が出ました。大きく報道されたわけでございますが、わずかであるけれども初めて熊字になった。貿易外収支はサービスの取引ということですから、海外渡航とか保険とか運輸関係の受け払いとか内外投資に伴う利子配当、こういうことで、いつも常に日本は赤字で、発表されてはおりませんけれども政府の経済見通しでも私は赤字が想定されていたものだと思うんです。その貿易外収支がどうして黒字になったのか。恐らくは黒字の理由もいろいろあると思いますけれども、その理由と、それから今後の見通しとして、この黒字が定着するというふうにごらんになっているのかどうか、その辺もお伺いいたしたいと思います。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、我が国の貿易外収支は恒常的に赤字でございました。これは我が国の場合運賃、それから保険料、各種のロイヤリティー、それに海外旅行に伴う出費というようなことが恒常的にございましたし、利子配当等の投資収益も歴史的には我が国は赤字だったわけでございます。それが、先ほど来お話にございますように、我が国の対外資産負債構成がだんだんと資産がふえてまいるということに伴いまして、この貿易外収支の中の大きな項目でございます投資収益の赤字が減って、むしろ今度はそれが黒字に大きく転化をしてきておるという事情が一つございますわけでございます。
 実は、確かに御指摘のように四月に、九千三百万ドルという少額ではございますが、黒字が出ました。これは実は歴史始まって――歴史始まってというか、我が国で戦後この国際収支統計をつくり始めてから初めてのことなのでございます。ただこれは、基調といたしまして、今お話し申しま
したように、我が国の対外資産負債構成の変化に伴ってだんだんと赤字が減る傾向にあるということに加えまして、四月は実はかなり特殊な要素がございました。大体四月は日本の銀行の海外店からの利益送金が行われてくる月でございますので、毎年この投資収益がふえる時期でございますけれども、ことしは特に米国におきますドルの動向等、金利が下がってきてそのために借り入れ利子が減ったというようなこともございますし、かなり特別の増加があったわけでございます。そのために少額でございますが黒字になったのでございますけれども、私ども、こういう傾向は、これから定着した格好で黒字になるとも実は見ておらないわけでございます。恐らくこれからある程度の期間をとってみますと赤字であることには間違いないと思いますが、その赤字の幅は先ほど来申しております全体的な傾向の中でだんだん減っていく、そういうことにはなろうかと思っております。
 先ほど失礼いたしました。戦後初めてと申しましたけれども、これは、現在の統計はIMF統計と呼んでおりますが、このIMF統計をとり始めましてから初めてというふうに訂正させていただきたいと思います。
○鈴木一弘君 今の答弁に、赤字であるけれどもだんだんそれが減る傾向にあるという、そういう答弁でそのとおりだと思いますが、こういう貿易外収支で黒字が出たなんということも、今の答弁にあったように、対外資産がふえ、それによる収益が簡単に言えばふえたということですよね。その内容も、昨年の場合、民間長期資産の増加額が五百四十億ドルございますが、その中で一番大きいのが証券投資、それが三百十五億ドル、その利子配当収入というのが大きく私は寄与していると思うんです。
 経常収支の大幅黒字がございますから、こういうことはどんどん私はふえてくると思いますが、その大幅黒字の活用について政府は昨年の経済白書で資本輸出国論を提唱しておりますが、米国が企業の直接投資によって資本輸出をした、それに比べると日本の場合は今の証券投資のパーセンテージを見ただけでも、財テク志向のマネーゲーム的資本輸出になっているのじゃないか、そういう点にやや問題があるように私は思うのですが、この点についての評価なりお考えはいかがでございましょうか。
○政府委員(行天豊雄君) 確かに最近の我が国の資本輸出の内訳を見てみますと、御指摘のとおり証券投資の比重がかなり大きいわけでございます。昨年度でも、本邦からの資本の輸出の総額が六百二十一億ドルでございましたが、そのうち株式、債券、それからまたいわゆる円建て外債等々を含めました証券投資が約三百五十億ドル以上、三百五十二億ドルということでございます。この背景はやはり、何と申しましても、特に日米間の金利差が非常に大きいということであろうかと思います。特に、長期金利におきます日米の金利差は、現在かなり縮まってきてはおりますけれども、依然として四%近い水準にあるわけでございまして、これだけの金利差がございますと、一方で為替のリスクがあるといたしましても、かなり日本の側での投資家の立場からいたしますと、この高金利に引かれて投資を行うというインセンティブはあるわけでございます。
 それから、一方で、近年行われております金融の自由化、国際化ということで日本の金融市場というものが非常に国際的に大きな役割を果たすようになってきておって、東京で国際的に金を借りるということもふえておるわけでございますので、そういったもろもろの事情でこの証券投資がふえておるわけでございます。
 しかし、一方で直接投資も着実にふえておることは指摘させていただきたいと思うのでございます。昨年度を見ましても直接投資が五十七億ドルということで、その前の五十八年度の四十二億ドルに比べますと三分の一以上の増加を示しておるわけでございます。したがいまして、現在の証券投資が非常に大きいという事情は金利差によるところが大きいと思いますけれども、一方、我が国の資本輸出は、直接投資も含めまして、海外におきます金利高騰圧力の低減とか、あるいは雇用の創出とか、あるいは途上国への資金の供給とか、いろんな面で結果的にはプラスの面も多いと思っております。
 今後の見通しといたしましては、先ほど来のお話にございますように、米国の景気の安定化に伴いまして金利が一層低下するということになりますと、少なくとも金利差を求めた証券投資というもののインセンティブは減ってくると思われますし、一方ドル高の修正が行われてくるようになりますと、その分為替リスクがふえるわけでございますから、傾向としては、ここしばらくの間続いておったような高水準の証券投資というものは、今後もずっと続くという可能性はそれほど高くないのではないかなというふうに考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 金利差を求めて世界じゅうの金が動いているわけでありますから、そう簡単に楽観論的には物が言えないのじゃないかと思います。
 貿易外収支の性格からして、この取引が黒字を若干でも出したということは、日本の経済が成熟してきた段階ということだと思うんです。そういうふうに言われてきているわけです。イギリスの例で言えば、貿易収支は赤字か小幅な黒字である、貿易外収支で大幅な黒字というパターンをとっているわけです。だから、日本の場合は、それが両方とも黒字になって経常収支を大きく拡大させるということになっていますから、そうなるとこれは対外摩擦をより激化させ、下手をすれば貿易を拡大するところの阻害要因にもなりかねないということになると思います。
 今、日本が持っている経常収支の大幅な黒字の使い方、この使い道が世界から問われているのが現状です。そこで、我が国が貿易収支の黒字をかつて、金や外貨準備を積極的にため込まないで、経済拡大という方にという形で国民に還元していったという経験もございます。そういう考えをとるべきじゃないか。
 経常黒字が生み出すゆとりを、先ほど住宅投資が大分拡大してきたという答弁等もございましたけれども、そういう住宅等を含めた国民生活の質の向上に活用すべきだ。建設省が発表してこれから考えようというような、一世帯当たりの畳数をふやそう、三LDKから四LDKにしていこうというようなのが出ていますけれども、統計をとってみると東京では一世帯当たり十五畳半ぐらいですね。東北等へ行けば三十八畳ぐらいあります。やはり日本は、ウサギ小屋と言われたけれども、諸外国に行くと同じ世帯でありながらみんな日本の三倍ぐらいの家に住んでいるんですね。そういう点から見ますと、やはりウサギ小屋の解消という方向、極端な言い方でいい言葉じゃないかもしれませんが、そういうようなふうにこの黒字を使うように政策誘導をするべきじゃないか。そう言うとすぐまた、鈴木さんは財政支出を出せと言うのかというふうに言われるかもわかりませんけれども、税制とか金融面の活用とか、そういうことであらゆる手段を考えてやっていかないと、やはりどこまで行っても私は貿易摩擦は解消していかない。多少のことはあると思います、財政のことでございますから。一体その配分をどうするかとかいう話は、これは後になります。そういう基本的なものが財政を論ずる基礎にありますので、この点、このところのまとめとして大蔵大臣からお伺いしたい。
○国務大臣(竹下登君) これは五十八年のたしか貿易白書、それから五十九年の経済白書でございますか、いわゆる資本提供国としてのあり方ということ、五十八年の貿易白書のときに初めてたしか出た言葉でございますけれども、私はそれなりにそういう認識を持っておりますが、確かに諸外国と話をします場合は、それ以上の経常収支の黒字というのが問題であって、お互い選挙する立場でありますけれども、外国の国会議員さんの方で言うならば、貿易であれだけ稼いだ上になお金利稼ぎに来ているんじゃないかと。だから私はそれ以来、結果として資本提供国の役割を果たしておりますと、こういう表現につつましやかに変更していつも話をしておるわけでございます。
 いずれにせよ、それは大いに諸外国のそれこそ経済を支えたり雇用の場を拡大したり、いろんな意味に貢献をしておるとはいえ、やはりそれだけの貯蓄が国内で使われていくというのが私は好ましいことであると思うわけであります。
 そうなると、いつも出てくるのが公共事業、特に住環境というようなことから住宅問題、こういうものが出てまいります。
 住宅問題ということになりますといろいろなことが考えられますが、政府サイドで考えると住宅金融公庫ということになりまして、そうするといわゆる利子補給金をどうするか、こういう問題がトタで財政につながってくるという問題になるわけです。したがって、住環境の整備の中ではいわば規模拡大というような方向に志向した、そしてまた無抽せんでとにかく全員が当たるという量の確保はしておりますものの、基本的にはやはり土地問題ということに突き当たってしまうという難しい問題がございますけれども、建設省等でもお考えになっておりますが、住宅問題につきましては民間関係でもああして二世代ローンでございますとかいろんなものをやってみておりますが、そういうもののいろんな組み合わせの中でこれは進めていかなきゃならぬ課題だというふうに考えます。
 公共事業全般ということになりますと、やっぱり一兆円の公共事業を建設国債でやったとしますと、三年間にわたって四千数百億は確かに一時的に税収で返ってくることは間遠いありません。が、ただ乗数効果はかつてほどは高くないようになってきている。これもやはり地価問題があろうかと思うのであります。それで結局三兆七千億のこの負担を後世代の納税者にツケを回すというところに悩みを感じておりますが、可能なことならば、あるときに建設国債が出動し、少なくともそれによって上がってくる増収というのが、直ちにそれが償還財源に充てられたとすれば五千数百億というものになっていく。それは結局、いわゆる事業費の変動ということを国民が許容するようにならなきゃならぬと思うのであります。一遍伸ばしますとそれより減るということに対する抵抗がより大きい。その辺をある種の意識転換も求めていかなきゃならぬのかな、こんな感じで私もいつも対応をしておるところでございます。
 したがって、最初も申し上げました、いろんな工夫をして事業費を確保したというような点が今の場合は一番効果そのものの幾らかの評価にでもなるのかな、こういう感じで受けとめております。
○鈴木一弘君 都市緑化なんかをする場合には、もう土地は上がっておりますから到底できない。今、既存の建物をつくり直して、少なくも三、四十階建ての住宅をつくっていって大幅なセットバックをさせて緑地を確保しなければならない。そうでなきゃ到底諸外国並みにはいかないわけですし、緑が回復できません。そういうこともあるから、全体を考えると相当勇気を持ってやらなきゃならないときへもう来ているということだと思うんです。そうしませんと、いつまでたっても狭いうちに住まなきゃならない。そして緑はない、しかも黒字でたたかれる。何のことはない、自分たちが得べき喜びを逆に苦しみで受けるということになりかねませんので、この点は、今の大臣の基本的な考え方はよくわかりましたけれども、ひとつ十分お考えになって伸ばしていただきたいと思います。
 では、財源確保法案に入りたいと思います。
 昨年の財源確保法案の審議の最中に、私は三つの問題点について指摘をいたしました。それはいずれも、政府からの答弁では納得できませんでした。
 第一番目が、これから六十年先、今も大臣がちょっと触れておられましたが、六十年先のことまで我々は責任を持てない。それなのに巨額な借金を後世代に押しつける、こういうやり方は改めるべきではないかと言いました。これは本当に私自身、政治家としても心の痛む問題でございます。今生まれた子にまで借金をということで、有権者でない人にまでということは、大変な苦しみを伴うことになるわけですから、それが一つ。
 それから、二つ目は、昭和五十九年度の赤字国債発行の件と、五十一年から五十八年度までの赤字国債の一括現金償還について、借換債を発行して償還するというのは別々だからこれは法案を別にしろと言いました。これも実現しませんでした。
 それから三番目は、借換債について、建設国債と赤字国債は性格が全く違う。したがって、それぞれの借換債の扱い方も別であり、その償還方法も異なってしかるべきではないかということを申し上げた。
 この三点を言ったんです。しかし、二番目はもう既に法律が通ってしまいましたことですからやむを得ないとして、一番目と三番目はまだ現在の国債政策の中でも重要な課題だと思うんです。
 建設国債についての減債基金制度、つまり百分の一・六の定率繰り入れとか、あるいは六十年間で償還するという、そういう制度の見直し、この一年間、昨年の審議からきょうまでの間に政府はどういう検討をしてこられましたか。これをまず伺いたいんです。
○政府委員(平澤貞昭君) 建設国債と赤字いわゆる特例債との償還方法につきまして、本委員会で御指摘もございました。。それから、附帯決議でもそういう御趣旨のことが述べられているわけでございます。
 政府といたしましては、その後この問題につきましてはいろいろの角度から検討をいたしました。特に財政制度審議会、これにこの問題につきまして御意見を伺うということでいろいろ御議論を願ったわけでございます。
 その結果、昨年十二月の財政審の報告が出ておりますけれども、そこでは、いろいろの角度から議論はしてみたが、当面、この特例債につきましては、やはり建設公債、四条公債と同様のいわゆる六十年償還ルールによらざるを得ないのではないかという報告を受けたわけでございます。その際に述べられております理由といたしましては、一つが、特例公債については、「原理的にある一定年限で償還すべきとする方式を決め難い面がある」、それから次に、また現下の厳しい財政事情のもとで、仮に特例公債の償還をより短期間で行うこととすれば、「償還財源を賄うための国債費の増加は」「六十年償還ルールによる場合に比べ、大きなものとならざるを得ず、財政事情をさらに厳しいものとすることは否めない。」ということが述べられておりまして、結局、これらの事情もございまして、六十五年度に赤字国債脱却を目指して今後具体的に財政改革を進めるためには、やはり当面、建設国債と同様のいわゆる六十年償還ルールによるのもやむを得ないという報告を得たわけでございます。
 したがいまして、政府といたしましては、先般国会で議決を得ました予算におきましても、そういうことで予算書を組みあるいは参考資料を提出しているわけでございます。
 しかし、たびたび委員会等で御指摘もございますように、特例公債については本来その残高をできるだけ速やかに減少させるよう努めるべきであるということは、またこれも言うまでもないことでございますので、今後財政事情の許す限り、その中でできる限り早期償還に努めるということは政府としても重要な問題として考えていくべきである。そういうことから、御審議願っております法案の中にも、そういう趣旨の訓示規定を入れておるわけでございます。
○鈴木一弘君 現在は、この国債残高の百分の一・六という定率繰り入れも既に四年間にわたって停止してきておりますね。減債のための財源は底をついている。この状態は、言いかえれば、国債は一度発行したら六十年どころか無期限に返済しないということになりかねないわけです。
 今の答弁の中で、財政審で言っているのは、六十年より短くすれば財政事情を厳しくする。それじゃ建設国債の六十年は大体、なぜ六十年にするかという根拠が一応ないみたいなあるみたいなようだけれども、ありますよ。しかし、一般財源とする特例公債についてはないんだったら、六十年より短かくすれば財政事情を厳しくするというんならば、無期限にすれば財政事情を厳しくしないじゃないかと逆説的に言えるわけですね、これは論理として当然言えるわけです。だから、何かそういうのをねらっているんじゃないかというふうに、六十年度この減債基金をやらないということは、もうずっとやらないということじゃないか。だから、来年度はこの定率繰り入れを必ずやるんですか、それともやらないのかはっきりしてほしいと思いますね、これはぜひやってほしいんです。やらなければ、これは無期限というふうにならざるを得ないというように私は思いますですが、その御決意を伺いたいんです。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員の御質問あるいは御指摘の点につきましては、たびたび本委員会で御答弁申し上げている点でございますけれども、このいわゆる定率繰り入れにつきまして、今回で四年続けてであるわけでございます。この定率繰り入れという現行の減債制度、これにつきましてはたしか昭和四十二年度でございますか、財政審においていろいろの角度から御議論をいただきました。
 その際に、この制度のメリットとして幾つか挙げられております。
 一つは、国債に対する国民の信頼、信認を維持するのに必要であるということとか、それによって財政の節度ある運営が裏づけられる、その他いろいろのメリットがあるわけでございます。したがいまして、この減債制度そのものの仕組みはやはり政府としても引き続き維持していくということを基本的な態度としていくべきであるということを、常に念頭に置いているわけでございます。財政審でもそういう方向で御答申をいただいているということでございます。
 しかし、その片方におきまして、二次にわたるオイルショック以降、非常に厳しい財政事情が続いておりまして、そういう中で歳入歳出両面でぎりぎりの努力をしつつ予算編成をしてきておりますけれども、なお編成に当たって非常に厳しい状況が続いているということでございますので、当面六十年度までは、国債整理基金の残高はなおこれがございますので、仮にこの一・六を繰り入れない場合におきましても国債管理政策を行う上で支障はないという状況でもあるわけでございますから、引き続き六十年度についてもこの一・六の繰り入れを停止することで法案を提出しているというのが現実の姿でございます。
 したがいまして、くどいようでございますが、やはりこの減債制度の基本ということは政府としても引き続き維持していくべきであるということは強く意識しているということでございます。
○鈴木一弘君 だんだん形だけになるという答弁に承ったんですが、国債整理基金特別会計での減債基金の余裕金が本年度で九千九百億円、来年度の定率繰り入れの二兆八百億円を入れなければ、余裕金の残高はこれはマイナスになってきますね。このことは、減債基金制度そのものが法律の上で残って、制度上は残っていても崩壊をするということを意味しているのではないか。五年間も定率繰り入れがされないということになれば、これは名ばかりで実在をしないということ同然だと思うんですが、これはもう実に大蔵省の責任が重大でございます。
 今の話から、国民の信頼を得るためにも減債基金制度というこの制度と仕組みは維持するということですけれども、定率繰り入れを行わない状況のもとでの仕組みやそんなものは、減債基金制度の基本なんか幾ら残しても、その維持はあり得ないというふうに考えなきゃならないんです。どう思いますか。
○政府委員(平澤貞昭君) この減債制度につきましては、やはり基本は維持していきたいということでございますが、先ほど来御答弁申し上げておりますように、非常に苦しい財政事情の中でやむを得ず定率繰り入れの停止をお願いしてきたのが現実でございます。したがいまして、そのお願いに当たりましては、毎年度、毎年度法案をお出しして国会での厳しい御審議を受けながらやってきております。いわゆる特例立法をお願いしてきているところでございまして、政府としても苦しみながらそういうプロセスを踏んできておるということを御了解いただけたらと考えておる次第でございます。
○鈴木一弘君 そんなに苦しければそういうことをなさらなければいいと思うんですけれどもね、簡単に申し上げれば。
 六十年度末の基金の残高が九千九百億、これに対して六十一年度の現金償還額が一兆五千九百億円、その不足額六千億円、これは定率繰り入れを行わないということになった場合には予算繰り入れをしなければなりません。そういうことになれば、この国債整理基金というものは、減債基金としての機能というよりも、単に予算繰り入れで入れては返していくというトンネルになるだけですね。そういうトンネルという機構にするんでしょうか。これは大臣どうでしょう。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり、財政審の報告で御指摘いただいておるように、減債制度のこの根幹は維持すべきであるという考え方の基本の上に立って私は対応すべきものだ、それは確かに四年間停止しておりまして、そういうことを言ったって現実に四年間も停止したじゃないか、そういう御指摘はそのとおりでございますが、いわばまだ空っぽにならなかったということもあったわけでございますので、やむを得ざる措置というふうに御理解をいただきたい。途中で、例えば苦しければ半分入れたらどうだとか三分の一入れたらどうだとか、そんな議論もなされたことがございます。したがって、来年、六十一年どうするかということは、まさにその財政状態等を見ながらぎりぎりの決断をしなきゃならぬ問題だ。だから、あれは電電株と予算繰り入れとのトンネル機関だというような感じで対応したら、途端にやっぱり厳しさがなくなります。したがって、減債制度の根幹は維持すべきものだということをあれだけ議論していただいての結論でございますから、その上に立って基本的には対応すべき課題だというふうにお答えをすべきであろうというふうに考えます。
○鈴木一弘君 今の答弁からすると、まだ確定してはいないけれども定率繰り入れが行われるというふうに私は受け取ったんです。前回、予算委員会のときにもそういう趣旨の御答弁を私はいただいたように思うんですよ。その点、これは詰めるとまた答えがおかしくなるかもわかりませんけれども、再度答弁していただきたい。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり減債制度の根幹を維持するという精神でこれに対応をしていくべきだということがお答えの限界ではなかろうかというふうに考えます。
○鈴木一弘君 それから、赤字国債、いわゆる特例債の償還についての考え方は、先ほどの話で建設国債と同様に扱うべきだ、しかし法案にも示したようにできるだけ早く償還できるように努力をするという、そういう精神条項みたいなものが入っているわけでございますが、これについては何にもはっきり、どうやるということは示してないわけでございます。ただ、償還期日が来たときに償還財源がなければ大変だから借換債を出しましょうという償還の道をつくったということだけでございます。ですから、六十年でいいじゃないか、六十年以内になればどうしても財政事情を圧迫するからというようなそういう言葉が出てくるというのは、そこに僕はあるんだろうと思うんです。やはり財確法案の第二条の四項と五項でできる限り赤字国債の借換債発行については行わないように努めるとか、速やかな減債に努めるとか、こういうことが出ておるわけでございますから、そうなると借換債そのものの発行の期限というものが特例債の場合は六十年を切るということが本当じゃないか。
 ですから、六十年間で償還するというんじゃなくて、十年とか二十年とかということで考える。二十年ということであれば今生まれた人が二十になるまでということでありますから、ある程度の理屈の通しようがあるわけでございますが、そういうことを意味しているのか。先ほどの答弁からだと、ぎりぎり六十年だ、不可能だけれどもできる限り速やかな減債に努めるというふうに努力目標を決めただけでございます、というふうに聞こえるんですけれども、どういうふうに解釈したらよろしいですか、受け取り方は。
○国務大臣(竹下登君) これは当面建設国債と同じ方法でやむを得ない、こういう考え方で予算計上をしたわけでありますが、確かに、議論をいたしましたのは、それは今あるようなないようなとおっしゃっておりましたが、建設国債でございますと、道路は百年とかいわば耐用年数というものがそれぞれありまして、それの平均値で六十年と理論的根拠はそれなりに存在しております。
 赤字国債の場合は確かにそういう理論的背景がないわけでございますから、だから今おっしゃった、生まれた子供が二十歳というのも一つの考え方でございましょうし、最初考えてみましたのは、何とかとにかく、借金に色はつきませんけれども、わかりやすい報告をするということにしたわけでございますから、残高の赤字国債分ということになりますと、赤字公債が発行されたのが昭和五十年だから、要するに五十年というところを目標に何か設定されぬものだろうか、こういうようなことも勉強したり議論したりしてみましたが、なかなかその基準をつくることは難しゅうございます。が、努力規定を置いておるということは、やはり絶えず借金について、残高になれば同じものにはなりますけれども、ちょっと表現はおかしいんですが、犯した罪と言うとおかしいんですが、発行したことに対する責任からすると、五十年というものを基点にしてひとつ何か考えもないものかな、こんな模索もいたした。しかし結果としては当面六十年ルールということでお願いしているわけでございますが、そういう模索はし続けてきたということだけは申し上げておくべきだろうというふうに考えておるところであります。
○鈴木一弘君 模索ですか。
 じゃその努力目標の「速やかな減債に努める」ということは、六十一年度以降、NTTの株式の売却益が生じた場合に、当初の国債償還の予定がある、それに加えてその分を償還額の追加分に充てるということになるのか、そうでなければ「速やかな減債に努める」という規定と違うことになるわけですね。そう思いますが、いかがでございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 一つは、現段階でどれだけ実際問題として売却収入が見込めるかという問題が当然あるわけでございます。そこで、今委員がおっしゃいましたように、ある時期におきまして売却収入が現実に出てきた場合ということでございます。その場合は、先ほども御答弁申し上げましたように、特会法の規定でこれは元金償還に充つるためということで帰属しているものでございますので、当然のことながら、これはそういう使途に使うべきであるというふうに考えているわけでございます。
○鈴木一弘君 これは詰めておかないことにしましょう。
 国債の大量償還がもう始まってきておりますが、この五月二十日に、約一兆六千億円という大変な国債の償還が一日に集中していたわけです。この具体的内容を示していただきたい。その所有者は政府、日銀、これは乗りかえをやられたんだろうと思いますが、と銀行、法人企業、個人、それぞれの占有率はどうか、それからそこへのいわゆる利息分といいますか、支払った利払いはどのぐらいか、ちょっと伺いたいんです。
○政府委員(宮本保孝君) 五月二十日の国債の償還額は一兆五千六百五十四億円でございます。その内訳は、十年の利付国債が一兆六百七十六億円、それから三年利付国債が四千六百七十八億円、それから五年割引国債が三百億円となっております。
 それから、保有者別でございますが、これはわかっておりますのが日銀の保有分がはっきりいたしておるわけでございます。それが三千五百六十五億円でございまして、残りの一兆二千八十九億円がこれは金融機関と法人あるいは個人等で所有されておるわけでございます。実は五月二十日現在におきます法人と個人別の内訳が把握できませんでございます。そこで、今先生御質問の点に関して大ざっぱな推計といたしまして、四月末におきましては金融機関とそれから法人、個人等との割合が大体四、六になっておりますので、金融機関が四割ぐらい、それから個人、事業法人等が六割ぐらいというふうに大体推計できるわけでございます。ただ、さらに法人と個人とになりますと、実は登録されておる部分につきましては別でございますけれども、いわゆる証券、本券といいますか、本券を持っている分につきましてはそれが個人なのか法人なのかというのは全くわからないわけでございます。無記名の本券でございますので、これを持ってきた人には全部金を渡してしまうわけでございますので、それがだれに渡ったかというのは把握できておりません。したがいまして、今の先生の御質問につきましては、今申し上げましたような御答弁がぎりぎりのところでございます。
 それから、利払い額でございますが、五月二十日の利払い額は一兆三千四百四億円でございます。それで、このうち日銀が保有している部分に対する利払いが七百十八億円、それから資金運用部が持っておりますものに対する利払いが二千六十億円、残り一兆六百二十六億円が金融機関と事業法人になるわけでございますが、これは先ほど申し上げました満期償還額よりもさらにだれに払っているのかというのが把握が困難でございまして、これは三十七銘柄ごとにそれぞれ所有者が違っておるわけでございまして、そこのところの把握は現在のところできておりません。
○鈴木一弘君 それで、この五月二十日には、その合わせた金額、どのぐらい元金と金利で支払われて、同時に国債が発行されていますね、それがどのぐらい出ているか、それをちょっと伺いたいんです。
○政府委員(宮本保孝君) 今の利子の支払いは一兆三千四百四億円でございます。国債の発行でございますが、五月の国債の発行高は借換債で一兆九千百十四億円でございます。さらに新規財源債といたしましては、二年の利付国債が二千九百七十一億円、それから十年利付国債を六千九百八十三億円発行いたしております。
○鈴木一弘君 当日七千億円の資金が余り、それが短期金融市場に回ってコールレートがその前の週の末に比べて〇・一二%下がったようでございますが、こういうような市場への影響についてどういうふうに考えておりますか。
○政府委員(大橋宗夫君) 五月の二十日に、償還がありましたというよりは、利払いの資金が市場に回ったということになるのではないかと思いますが、ちょうど二十日、月曜日でございます、前週末の土曜日が六・〇六二五%でございましたコールレートが五・九三七五%というように、御指摘のように下がったことは事実でございます。その後二十一日、二十二日、二十三日とやはり二十日の水準よりも若干低い水準にとまっておりましたけれども、週末になりまして二十四日には六%台に戻るというようなことでございますので、若干コール市場に対する影響はあったかと思うのでございますけれども、大したことではなかったのじゃないかと思います。なお、手形レート、現先利回り等についてはほとんど変化がございませんので、短期金融市場の中で吸収されたというふうに理解しております。
○鈴木一弘君 予算委員会での答弁では、ほとんど影響はないであろうという答弁だったですね、あのとき。しかし現実は若干の影響が、時間的な経過を経るまではあり得るということをこれで示したように思います。
 それからもう一つですが、本年度は約十兆円の償還が予定されております。これだけの償還に支払う利払いの額はどれぐらいになりましょうか。本年度です。
○政府委員(宮本保孝君) 本年度の利払い額は合計で九兆一千四百三十七億円でございます。
○鈴木一弘君 この約十兆円の償還の中で、借換債で償還する分はどのぐらいでございますか。
○政府委員(宮本保孝君) 本年度の借換債の発行額が八兆九千五百七十三億円でございます。
○鈴木一弘君 こういうことで、今の利払いの問題、そういうものが必ず短期金融市場に資金が流れ、いろいろな金利に影響を与えるというおそれがある。それから、こういうような大量の国債償還ということになると、利払いだけで九兆円ということでございますから、巨額な資金が余剰になるというそういう心配がないか。それから、短期金融市場の拡大が当然そうなると出てきますわね、一時的であろうとは思いますが。この点はどう見ているか。それから、今後高利回りの金融商品が出てきますと、国債からそちらの方へ移っていくというのも出てくる。そうなるとやはり、競争条件から考えると、これは国債の方もその条件を変えていかなきゃならない、その点はどうか。
○政府委員(大橋宗夫君) 三つの点でございますが、まず、利払いが九兆円行われるということによりまして短期金融市場に影響があるかということでございます。これは、一般の財政収支の払いがそのぐらいあるということになりますと、全体の収支の規模からいたしますと、その都度の金融市場に若干の影響はあるかと思いますけれども、これは市場の機能の中で消化されていくものというふうに思っております。
 それから、新しい金融商品が出てきた場合の問題点ということになるわけでございますが、金融市場におきます商品の利回りというものはこれは市場で成立した利回りによって成り立ってくるわけでございまして、国債の金利そのものも市場で成立するわけでございますから、特に短期金融市場商品に流れるからといって国債の消化が行われなくなるというようなものではないのではないだろうか、市場全体の中で吸収されていくというふうに思うわけでございます。
 短期金融市場の拡大ということにつきましては、これはその利払いが行われました資金がどういうふうに吸収されていくかということにもかかってまいりますので、一概にそのことをもって短期金融市場が拡大するというふうには思われませんけれども、一般にやはり経済の規模が拡大してくるのに伴いまして短期金融市場が拡大していく、また新しい商品の発行額もふえてまいりますので、先生御指摘のようなことは全体の流れの中では当然のことでございますが、これが利払いによって起こったのかという点になりますと、ちょっと一概にそういうふうには申せないのではないかと思っております。
○鈴木一弘君 電電株の売却の問題でございますが、これについてはかなりの質疑がされておりますので私は簡単にしたいと思います。
 売却の方法についてはこれから国有財産中央審議会等に諮ってやるのだろうと思いますけれども、売却可能分については現在どのぐらいになろうかというような検討をされているのだろうと思いますが、そういうことについて伺いたいんです。
○政府委員(中田一男君) 電電株式の売却につきましては私ども幾つかの先例を持っておりますけれども、そういう先例に比べてはるかに重要な問題でございますので、実はいろんな具体的な問題のまだ十分検討が進んでいるというところではございません。いろんな先例等を勉強しながら、これから売却の時期とか方法等につきまして民間の有識者の御意見などを広く聞きながら慎重に検討を進めてまいりたいと思っておりまして、御質問の趣旨に対しまして今こういうお答えを用意しておりますというふうな状況にないことを御理解いただきたいと存じます。
○鈴木一弘君 両院の逓信委員会で決議がございます。「株式の売却に当たっては、いささかも疑惑を招くことなく、株式が特定の個人、法人へ集中せず、広く国民が所有できるよう行う」、こういうふうに出ているわけです。もともとこの資産というのはこれまで公社として国民全体の協力の結果でき上がったいわゆる果実でございますから、その果実がいわば電電の株売却益になるわけですから、これは国民全体に均等にその利益というものを配分すべきであるということですから、それは当然、一部の人だけに安く株が行って短期間のうちに株価が急騰してその人だけに集中的に利益をもたらすなんということがあり得てはいけない。むしろ、予想さるべき相場に合わせたような価格をもって売却をして、それを国債等の返還に使うというのが国民に対して均等にやるということになると思いますが、そういう点今の答弁ではよくわからないんですが、この附帯決議に即した売却のあり方、その見解はどうおとりになっているか、伺いたい。
○政府委員(中田一男君) 御指摘のとおり、電電株式につきましては、国民共有の財産でございますし、また国会等でもいろいろと御議論をいただいておるわけでございまして、その売却に当たってはいささかも国民に疑惑を抱かせることのないように、また国益を損なうことのないように公正かつ適切に行っていく必要がある、特定の者の利益になるような方法をとるべきでないということはかたく心に秘めておるわけでございます。
 しかしながら、具体的にそれではどういう方法をという御質問に対しましては、この電電株式というのは現在は大蔵大臣が一人株主という状況で国有財産でございますが、これをまず民間の方々に買っていただくというその際には、国有財産法の有価証券でございますので、会計法なり国有財産法なりの規定に沿いましてその売却方法を検討してまいらなければならないわけでございます。会計法は、国有財産を処分いたしますときには一般競争入札によることが原則だというふうにうたってございますけれども、実際に一般競争入札によりこれを行うのか、あるいはまたシンジケート団のようなものを組織してこれを行っていくのかというふうな点につきましては、これから幅広く民間の有識者の方々の意見を聞きながら慎重に検討してまいるべきものだというふうに考えているわけでございます。
○鈴木一弘君 市場価格は一体どういうふうになるか、これはまだ今わからないんです。だから、そういうときに割り当てをしてということになりますと、やはり抽せんによるとかオークションにかけるとかということ以外に手はなくなってくるだろうと思うんです。そうして疑惑を持たれるのは、その割り当てられた人が割り当てのときの価格で取得して、それから後急騰をしたというようなことが起きることについて、その価格差が大きくなることに疑惑を持たれるというわけでしょう。そういう点が心配だということがいっぱい出てきている。ですからやはり本当を言うと、この売却益、政府が売り出すときの売却益というものについては、できるだけ高い方がいいということですね、多い方が。そういう点のことを考えると、完全な公募方式をとるとかいろいろなことを考えなきゃならないのじゃないかというふうに思うわけですよ。そうしないと、半年ぐらいたてば後はもう実勢価格になって、一般の株式と同じような取引の需給関係によって価格は形成されると思いますけれども、それまでの間は思惑から何からでもってごちゃごちゃしちゃうだろう。
 そういう点で、この点について疑惑を生じない方法というのはやっぱり一般の公募によるものであろうというふうに思うんですけれども、その点どうでしょう。
○政府委員(中田一男君) 私どもかつて、政府の保有の有価証券を売却したという先例を四例ばかり持っております。そしてその四つの株式の売却に当たりましては、いろいろな方法をとっております。競争入札によって処分したこともございますし、あるいはシンジケート団に任せたこともございます。しかしながら、その先例等を勉強いたしましてもやっぱり一長一短ございますので、これからじっくりと、広く有識者の方々の意見を聞きながら詰めていかなければならない問題だと考えているわけでございます。今、これがよかろうとかこれが悪かろうとかというふうなことを申し上げるほど検討が進んでおらない段階でございます。
○鈴木一弘君 この点は公正を期してほしいと思います。
 それから、六十一年度予算と福祉関係予算について、もう時間がなくなりましたので一問だけ伺いたいのです。
 とにかく大蔵大臣は、六十一年度の予算の概算要求の時期にもう入ってきているわけですが、具体的に言えば、来年度も増税なき財政再建ということでマイナスシーリングでいくんだろうと思います。その中身ですが、防衛費が突出されていく一方で福祉と文教が抑えられるということで、我々としてはその点は強い不満を持っているんですが、この点が非常に心配でございます。
 高齢化が進んでまいりますと、厚生関係の予算として、年金とか手当で約三千億、医療費で五千億、社会福祉その他で一千億、合計約一兆円が当然増経費として必要です。さらに政管健保国庫負担の特例措置の財源確保法案、それから補助金の一括カット、厚生年金の国庫負担の四分の一繰り延べ、こういったような行革特例法は一年限りで期限切れになるというものですけれども、この影響額がそれぞれ九百三十九億円、二千五百五十二億円、三千五十億円、合計約六千五百億円が必要です。当然増経費と合わせると約一兆六千億円もの財源が必要になってくるのですが、そうなるともはや歳出カットは限界ではないかと思うんです。この点で、財政展望として大蔵省の中期財政展望の中でも、高齢化の過程で厚生省予算は増加するという展望が明らかにされているんですけれども、そういうときに、やっぱり特定の予算の中で片方を膨らませば片方を減らさなきゃならないということで、その減らす方にいつもいつも弱いところが当たるということではならないので、とてもびほう策ではこれから対応できないだろうと思うんです。この点大蔵大臣はどういうふうにお考えか伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 来年度予算も、今日の我が国財政を取り巻く環境は大変厳しゅうございますので、これは私どもといたしましては本当に、個人と公あるいは地方と国の役割分担、費用負担のあり方をも含め、歳入歳出両面にわたってやっぱり制度面から切り込んでいくという考え方に立たざるを得ないというふうに思っております。
 具体的にそれがどうなるかというとこれからの問題でございますけれども、試算中の厚生省関係の俗称当然増も、それは鈴木さんの御指摘とそう大きな違いがあるとは私も思いません。それをどういうふうにしてまずは概算要求基準の際に対応していくか、こういうことになるわけでございますので、今それこそ概算要求基準がまだ決まらない段階でございますけれども、もう容易ならざる状態でやっぱり対応していかなきゃならぬ問題である。
 今国会でもああして厚生年金、まだ残っております公務員共済年金等もございますが、ああいうものをも念頭に置き、そして補助率問題というのもこの間検討委員会をつくったわけでございますから、それらの意見も聞きながら、大変苦しみながら対応していかなきゃならぬ課題である。これはやっぱりあらゆる聖域を設けることなくという前提で、なかなか援軍来らずでございますから、対応しなきゃならぬだろうな、こういう感じで今部内で心を引き締めておるという段階でございます。
○近藤忠孝君 一昨日に続いての質問ですが、資金運用部が大量の国債を引き受けるのは問題ではないかという質問がございました。実際年々ふえてまいりまして、六十年度で、国債の総発行額二十兆円の四分の一、五兆円、内訳は新規債三兆六千億円、借換債一兆四千億円、その他乗りかえですが、これが資金運用部引き受けということになっておるわけですね。この比率は今後ともこれはふやしていくおつもりですか。
○政府委員(宮本保孝君) 運用部の資金配分につきましては、国と地方とそれから財投機関、この三者のバランスをとって配分することをねらいとしているわけでございます。その場合に、国の資金需要の実態がどうか、それから地方の資金需要の実態がどうか、さらには財投機関の資金需要の実態がどうかというものを見きわめました上で配分をしていくわけでございます。
 本年度につきましては、財投機関の方の資金需要がやや減ってきておりまして、国の資金需要が一番強うございました。そういうこともございまして、特に借換債の大量の発行ということも踏まえまして、財投機関への資金配分に余裕が出てくればできるだけ国の方へ回すのが適正な資金配分じゃないかということでもって、昨年に比べまして一兆四千億をふやして五兆円にいたしたわけでございます。
 今先生の御質問のように、これをどんどんふやしていくのかという点につきましては、それは各年度各年度の財投策定時におきますところの、今申し上げましたような各部門の資金需要の実態を踏まえた上で配分していくわけでございますので、今ここでもって今後これをふやしていくのかという御質問に対しましては、毎年度毎年度計画策定時において適正な配分に努めるというふうなお答えになろうかと思います。
○近藤忠孝君 いずれにしても、これがふえますと預託金利の弾力化が不可欠じゃないかという、こういう指摘がされていますが、これはどうですか。
○政府委員(宮本保孝君) 現在、預託金利につきましては、いわゆる預貯金金利とそれからもう一方では財投機関が貸し出します金利、これは基本的には民間の長プラを基準にいたしておりますが、預貯金金利と長プラとの間でもって、郵貯、年金等の加入者あるいは貯蓄者に対する還元、それからもう一つは財投機関からサービスを受ける国民の利益、この双方を勘案して、実はその中間のところに大体決めてきているわけでございますが、ただ原則として預貯金金利の改定が行われますときに預託金利の改定も行われてきたというふうな慣例もあるわけでございます。ところが最近におきましては、預貯金金利は、公定歩合が変更いたしませんので規制金利である預貯金金利が全く動かない状態が続いているわけでございますが、一方で、大量国債の発行を契機といたしまして大きな長期の資本市場が形成されつつございます。そこでもって長期の金利につきましては漸次自由化されつつあるわけでございまして、現在の金融緩和の状況を反映いたしまして、長期の方の自由化された金利がだんだん下がってまいりまして、結局長プラが今七・五%にまで下がってきているというような状況でございます。それに応じまして運用の方の利回りが下がってきているものでございますから、実は運用部自体の収支にも問題を起こしてきておりますし、また財投機関の収支状況にも問題が生じてきているわけでございまして、したがいまして、預金金利が自由化されるまでの過渡期におきまして果たして預託金利をどうするのかというふうな問題、これは真剣に考えていきませんと非常に大きな問題が生じますので、私どもといたしましても、この預託金利を、できれば自由化されつつある長期金利体系の中で考えていかざるを得ないのではないかということで、関係の省庁とも話し合いをしてまいりたい、こう考えております。
○近藤忠孝君 もう一つの問題は、いずれにしてもそのときの状況によっては引き受けがふえる可能性もありますし、また市場への介入でまたふえる可能性があるんですね。そうしますと、今後、原資の伸び悩みから、運用部が、日銀への手持ち国債売却を通じて、そして新発債引受資金を調達しようということにこれはなるのじゃないか。もしそうなれば日銀信用の膨張をもたらすのじゃないか、こう思うんですが、その点はどうか。
 そして、現に五十七年十月から十二月に資金運用部から日銀に九百億円、それから五十八年一月から三月に五千五百億円、国債を売却していますね。こういう事態も現に起きているわけで、それを特に心配するんだけれども、これはどうなのか。
○政府委員(宮本保孝君) 運用部によります国債の引き受けは原資が国民の貯蓄資金でございまして、したがいまして、いわゆる運用部の金によりまして引き受ける限りにおきましては市中消化と同じ原則でございますので、私どもといたしましてはこのこと自体特に問題はないと思うわけでございますが、今先生御指摘のように、仮に運用部が日銀から資金を調達して国債を持つということになりますと、これはまさに日銀引き受けのような効果を持つわけでございます。これは私どもといたしましては一切やるつもりはございませんし、またやってはいけない問題であろうと思っております。
 実は運用部と日銀との間で取引がございますのは、運用部のこれは金が入ってくる方と出ていく方とで時間的なずれ等もございますので、やはり余裕金というものが発生いたしますときにそれを運用する手段といたしまして、今運用部のお金というのはかなり法律によって運用先が決められておりますので、なかなか余り有利な運用先がないというふうな点もございまして、日本銀行の手持ちの国債を買うわけでございます。それでもって利息を稼ぐというようなことをやっているわけでございまして、いわゆる日本銀行との間では買い先行の取引を行っております。買ったものを売り戻す、要するにいわゆる現先取引をやっておりまして、二カ月とか三カ月とか、日本銀行の手持ちの国債を買いましてそしてそれをまた売り戻すという売買が、今先生御指摘のような日銀と運用部との売買で数字としてあらわれてきているかと思うわけでございますが、すべては買い先行の取引でございまして、一切、運用部が日銀から資金調達をするというそういう性格のものではございません。
○近藤忠孝君 現在のやつは私はその説明で了解しますが、ただ、現にそういう取引があるわけですね。そうすると、それが年度を越えることがないのか、これがまず一つ。
 それからもう一つは、今言ったように、資金調達的なものにこれが発展していく可能性がないのか。今の局長の答弁だと、ないということなんですが、これはぜひここではっきりと断言できるのかどうか。
 大体今まで、赤字国債は発行しないと言っておきながら発行し、借りかえは絶対しないと十年間繰り返しながらこれもがらっと変わってしまうわけだから、大体大蔵省の言うことを信用していいのかどうかという問題もあるんですが、しかしこの問題がそうなったら、それこそ最後の最後の最後の歯どめがなくなっちゃうわけで、今私が言った、年度を越えないか、それから資金調達的な要素は絶対に持たない、このようにお約束できるか。これはむしろ大臣ですな、大臣、今の件。
○政府委員(宮本保孝君) 年度末に残る点は、それはまたがって現先をやることがございますので、年度末に残っていることはございます。ただ、それは、先ほど申し上げましたように、すべて資金の運用手段としてやっている取引の範囲でございますので、今先生の御懸念はございません。
 それから、運用部が日銀から資金を調達してということはとても考えられないわけでございまして、運用部というところは国の制度、信用を通じて集められました資金を適切に運用していく一つの機関でございますので、運用部自体が今先生が御指摘のようなことはあり得ないというふうに考えております。
○近藤忠孝君 借りかえはしないということが、赤字国債ね、あり得ないと思っておったことがあり得たわけですからね。そういう点では大臣、いつまで大蔵大臣か知らぬけれども、ひとつしっかりとこれは守ってほしいと思うんです。
 次に、おとといのまた議論の続きですが、財政再建が果たしてできるのかということで、六十五年赤字国債脱却自体は困難だし、仮に達成したとしてもその後の再建の方策などが全く立っていない。国債費などは年々ふえていくし、国債発行残高もふえ続けるのじゃないか。こういう指摘に対して、一昨日大蔵大臣は、民間活力に期待する、こういう趣旨の発言があったんですね。これを言葉どおり受けとめれば、民間活力によって早く成長を回復させて、そのことによって税収増を図ろう、そのことに期待する。今の計算ではとてもそういう再建の見込みは立っていないけれども、そういうものに期待をしているということだと思うんです。
 そこでその民間活力の問題に入りたいんですが、公費を通じて民間の力を強める、国民生活と日本経済の好転に影響を与えるということに私も異存はありません。民間活力は全部顕からだめということは私は申さないんですね。問題は、その公費の行く先と、それがどういうところにどういう効果をもたらすのか、これが問題だと思うんです。その点で、今も鈴木委員から指摘がありましたけれども、六十年度予算でも、歳出の徹底削減と言いながら、軍事費その他大企業関係の超突出と、そして国民生活に対しては適宜削られているということなんですが、公共事業で見てみますと、民間活力ということで相当な金が投じられるんですが、やはり相当問題がある、私はこのように思わざるを得ないんです。
 そこで、具体的な問題で指摘しますが、その前提として、住宅金融公庫とそれから住都公団、それぞれ理事さんに来ていただいていると思いますのでお答えいただきたいんですが、いずれも財投資金等で資金を賄っておるわけで、この法案の審議と大変かかわりがあるんです。
 まず住宅金融公庫にお答えいただきたいのは、昭和六十年度の貸付計画額、そのうち財投計上額、それから一般会計からの利子補給額、それぞれ幾らか。
 それから、住都公団の方は、やはり六十年度の事業計画額と財投の計上額、お答えいただきたいと思います。
○参考人(福田多嘉夫君) 昭和六十年度の住宅金融公庫の事業計画は、戸数にいたしまして四十九万戸、金額にいたしまして三兆五千二百六十億五千万円でございます。財政投融資の額は三兆四千八百二十九億円を予定いたしております。また、補給金の額は三千四百十二億五千万円でございます。
○参考人(救仁郷斉君) 住宅・都市整備公団の昭和六十年度の事業費は、一兆一千四百十九億円でございます。それから、資金のうち財投資金は八千二十億ということになっております。
○近藤忠孝君 住宅金融公庫の五十八年度末の総融資残高、これは十八兆四千七百十億円ですが、そのうち上場企業向け融資残高、これが二百七十社で九百二十三億円。そのうち、その上場の融資残高の二七%に当たるのが、三井不動産に行っております二百五十八億九千三百万円です。
 そこでお聞きしたいのは、三井不動産に対する融資実績の内容。個別なのでなかなか具体的に言えなければ、大体こういう性格のもの、あるいはこういう三井不動産なり三菱地所なり、そういうものに対する一般論でもいいですから、大体こんな性格のものということをお答えいただきたい。
 それから、きょうこれから本題で入りたいと思っています東京都の大川端再開発計画に対して、これも三井不動産が大きな役割を果たすことは明らかなんですが、これに対して融資予定があるかどうか。
○参考人(福田多嘉夫君) お答えいたします。
 三井不動産には再開発と分譲住宅関係の融資をいたしております。ただ、具体の金額につきましては、ちょっとお答えいたしかねます。
○近藤忠孝君 金額はお答えしにくいといったって、ちゃんとこれはもう雑誌に出ているんですよ。五十八年十二月十六日の東洋経済にちゃんとトップで出ていますね。これ間違いないでしょう。――まあいいでしょう。
 そこで、大川端開発に対してはどうですか、融資計画。
○参考人(福田多嘉夫君) 現在までのところ、大川端の再開発計画について三井不動産に融資をしてほしいというような話は全然ございません。
○近藤忠孝君 これは東京都の都市計画局長が都議会の答弁で、ここに建てる三井の住宅については住宅金融公庫の制度によって建設させたいと思っておりますと言うから、これからこれが間違いなく間もなく参りますので、恐らく対応することになると思うんですね。
 そこで、建設省に質問しますが、この大川端開発計画について、特定住宅市街地総合整備促進事業として建設大臣の承認を与えているはずでありますが、第一回整備計画、それから変更後整備計画について、いつこれは承認を与えたのか。
○説明員(若山和生君) 大川端の特定住宅市街地総合整備促進事業でございますが、五十六年度に国の事業採択をいたしております。具体的には五十七年の二月に東京都が策定しました整備計画の建設大臣承認を行っております。また、一部内容の変更がございまして、これにつきましては今年の三月に変更の承認をいたしております。
○近藤忠孝君 この開発計画は、中央区の石川島播磨重工業の移転したことに伴って、この場所に都心定住型住宅の供給、そして文化、商業等施設の導入、それからさらに道路、公園等公共施設の整備、さらに隅田川防潮堤の緩傾斜型堤防への改築等々という大変大きな計画であります。総事業費は一千七百四十億円と聞いておりますが、そのうち公共施設整備費約二百五十六億円、住宅建設が二千五百戸で約八百七十五億円、文化、商業施設約六百九億円と、こう聞いておるんです。
 そこで、第一にお聞きしたいことは、公共施設整備二百五十六億円の内訳と、そのうち国庫の補助金はどれくらいでしょうか。
○説明員(若山和生君) 今御指摘の二百五十六億の公共事業の内訳でございますが、街路事業としまして百四十七億円を予定しております。これは隅田川にかかります新しい橋も含んだ事業費でございます。国費は約九十億でございます。次に、河川改修でございますが、隅田川を緩傾斜堤に整備し直すといった事業でございますが、七十五億の事業に対しまして国費二十三億を予定いたしております。さらに、公園整備でございますが、三十四億の事業費に対しまして十二億の国費を予定しております。合計しまして二百五十六億の事業費に対しまして国費は百二十五億になる予定でございます。
○近藤忠孝君 この中身は全部あとは東京都で公の金ですから、そのことを頭に置いておいていただきたいと思います。
 そして、あと住宅建設費、これは二千五百戸分八百七十五億円ですが、この内訳はどうなりますか。
○説明員(若山和生君) 二千五百戸の内訳でございますが、まず東京都が建設しますものとしまして都営住宅が百八十二戸、さらに従前から居住されておりました方の住宅としまして従前居住者用住宅九十八戸、合計二百八十戸を東京都が建設いたします。それから、東京都の住宅供給公社でございますが、四百二十五戸の建設を予定しております。次に、住宅・都市整備公団が予定しておりますものが六百二十五戸、以上公的な住宅供給が千三百三十戸でございます。さらにそれ以外に、民間開発者としましてこの場合には三井不動産が予定されておりますけれども、千百七十戸が予定されております。合計しまして二千五百戸の計画となっております。
 なお、事業費でございますが、具体の個々の事業につきましては、戸当たりの規模とか、あるいは賃貸住宅、分譲住宅、どちらにするかとかといった詳細がまだ確定されておりません。極めて概算でございますけれども、用地費と工事費合わせまして一戸当たり、二千五百戸を平均しまして、三千五百万程度になるのではないかと思っております。合計しまして八百七十五億という数字を算定してございます。
○近藤忠孝君 それから、この特定住宅市街地総合整備促進事業では、特定施行者に対する建築物除去移転費、それから共同施設整備費、附帯事務費に対して、国の補助制度があると思います。補助率については、都の補助が三分の二で、国の補助はその約半分だから全体の三分の一補助していると思うんですね。中身はちょっと時間がないので私が言っちゃいます。
 問題は、特定施行者に対する補助の具体例は、この制度発足の昭和五十七年以降、東京都では木場の実例があると聞いています。その場合、一戸当たりの都の補助、そしてそのうち国の補助がどれほどかというと、これは既にお聞きしたところでは、木場の場合には都の補助が一戸当たり百八十万円、国の補助は九十万円、これで単純計算をしますと、三井不動産の場合には一千百七十戸ですから二十一億の補助が行きますね。東京都住宅供給公社が四百二十五戸だから七億六千五百万円、合計二十八億特定事業者に来るというんですが、これで合っているかどうか、それだけお答えいただきたいと思います。
○説明員(若山和生君) 先ほど申しましたように、まだ具体的に個々の事業の内容、計画の内容が固まっておりませんので、したがいまして補助対象となる共同施設整備費の事業費が出てまいっておりません。現在の段階では未定でございます。
○近藤忠孝君 今のは、私は木場の例で聞いたけれども、これは間違いないかということ。――いいですね。そして後の、今度大川端にはどうなるか、これに準ずるかちょっと低くなるかは別として、それはどうですか。
○説明員(若山和生君) 江東区木場の実例で申しますと、御指摘のとおり、戸当たり東京都の補助は百八十万入ってございます。
○近藤忠孝君 それを、単純計算でいくかどうかは別としますが、やや下げまして一戸当たり百五十五万から百六十万という計算でも、今度大川端には特定事業者、この場合は三井不動産が中心ですが、十八億、約二十億の補助が国費及び都費から行くわけであります。
 次の問題は、緩傾斜型堤防事業というのがあります。これは総事業費七十五億円で建設工事費三十四億円ですが、十分の三が補助。国庫補助は十二億ですね。
 お聞きしたいのは、昭和五十八年度と五十九年度にこのスーパー堤防の工事を受注したのは三井不動産建設と三井建設である、こう聞いていますが、間違いありませんか。
○説明員(若山和生君) この隅田川の河川改修事業でございますが、東京都が工事の発注をいたしております。東京都に問い合わせましたところ、今の御指摘のとおりでございます。
○近藤忠孝君 ここには東京都の上の方のお役人が三人天下りになったということで、ちょうど時期が同じだったということも指摘されておるんです。
 大臣、今まで私はこの大川端事業について、公費がどう投じられるかについて指摘をしてまいりました。整理して申しますと、一つは河川あるいは道路その他の整備関係と、それから実際特定事業者ということで建設に関する費用にも金が、公費が行くわけですね。しかもその事業は、もう既に全部周りの公共事業でさえ三井関係だから、これをやるのはもう全部三井に決まっておるんです。そこで、これに大変な公費が投じられ、しかも実際できた後、利益を得るのはこれは三井不動産なんです。こういう状況を大臣どう思うかということです。
 これは、この間私が指摘したみなとみらい21と全く同じですよ。あの場合にも、開銀融資を初めその他の公共事業が全部行って、結局土地を持っているのは三菱地所だけだから、二〇〇〇年代で約年間一千億から二千億円の利益を独占する可能性がある。
 今度の場合に、こいつは、できたものは全部分譲住宅です。しかもこれは、時間がないから全部言った後お答えいただきますが、先ほど、原価が三千五百万円一戸当たりかかると。分譲します
と、どうしたってこれは都民の普通の所得水準の人は買えないんです。
 これも質問通告をしておったけれども、時間がありませんからこっちで言ってしまいますが、今、普通の都の平均のマンション平均価格は二千四百九十五万円で、返済負担率二五・六%、平均年収が四百九十七万ですね。これが普通なんですが、これらの人々は買えないんです。どう見ましても、地上三十七階という高層ビルで余計金もかかりますから、大体四千万から六千万以上のものになる、こういうことも東京都では議論されておるわけですね。そうすると、まず都民にとっては高ねの花。じゃ都営住宅があるじゃないか。都営住宅は、先ほど答弁のとおり、今入っている人の分も含めて二百八十戸、新しくは百八十二戸しかないんです。住都公団、答弁いただく時間がなかったけれども、住都公団もこれはやっぱり分譲が多いですから、かなりありますから、これも相当、同じような価格に、あるいはこれに近い価格になる。
 となりますと、これを普通の都民はまず買えない。恐らく一定の水準の人、そして恐らくセカンドハウスなんかに相当買うんじゃないか。中央区ではここに人に住んでほしいと言うけれども、セカンドハウスなんかになったらば、あるいは事務所関係になったらば、まずこれは余り人は住みませんわね。となりますと、これだけの公費が投じられ、しかも建築関係にまで金が行く。しかも住宅金融公庫の融資もある。往都公団はまさに公の金。そこでさらに文化、商業施設もこれはできるんですが、これは大体住都公団と三井不動産と半々のようですね、土地関係は。しかし実権はどうも三井不動産が握るという、こういう話もあるんですね。となりますと、みなとみらい21、あれは三菱地所、こちらは三井不動産、あれの東京版なんです。こんなところで、結局投ずる公共投資がこういったところに行って、特定の利益につながってしまう。
 これが果たして大臣の言う税収につながるのか。確かに、三井不動産がもうけてその分だけ税収があるかもしれませんけれども、これだけ金を投じた効果としての税収になるのか。その点が一つ。
 それから、これだけの金を投ずるんだったら、もっともっと一般の人が入れるようなものがたくさんできます。一千戸以上できます、東京都の関係でも。これをむしろやるべきじゃないかということ、財政再建が大変厳しいときにこういうところの公共投資が果たして要るんだろうか。
 これについてまずお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 環境整備でございましょうね、今の話を聞きますと。その中で、環境が整備されれば民間活力というものが生かされてくる。それは要するに、財政が出動することによる内需喚起の一環としての税収効果というようなものは、財政の出動では今望む環境にない。したがって、環境整備等が民間活力を誘発するというようなことはこれはいいことじゃないか。
 それで、今、三井不動産の税金がどうのこうのというお話でございましたが、そういう税収というよりも、そういう民間活力全体から、これは底辺の広いものでございますから、そういうものの期待ということで、特定の業種そのものを見ての増収措置というような考え方は少し局限的な見方じゃないかな、こんな感じで承っておりました。
○近藤忠孝君 だとすれば、その点は私は意見が一致するんですよ。こんなでかいところで三井不動産だけが仕事をするあるいは利益が入るだけじゃなくて、もっと例えば事業そのものだって、一般の中小建設業者が参加できるような住宅の建設、それをたくさんやればむしろ波及効果は大きいと思います。そういう点はどうなんだろうか。
 しかも、今度、ことし新たにできた税制で、特定の優良な再開発建築物に係る割り増し償却制度の創設、これによりますと、これは大蔵省の説明ですが、法人が十億の建物を取得し、定率法で割り増し償却した場合、当初五年間で二千万円の税金が減税される。私計算してみましたら八億です、三井がもし取得した場合ですよ。というようなことに、これはなるんですよ。
 そういう面から見ても、私は税収という面では決して効果があるものじゃない。となれば、こういう特定の事業者にのみ利益が行くようなこういったところにこんな莫大な公共事業を投ずることが果たしていいんだろうか。
 前回のみなとみらい21に対して大蔵大臣は、一応節度があるものだと、こういう答弁がありましたよね。となりますと、私これは節度を超えているんじゃないか。横浜は三菱、東京のここは三井、どこどこはどこかの独占というようなことでそれぞれ分割しちゃってそれぞれ利益を独占しているとなれば、しかも公的資金や公的な金が行くとなれば、これはまさに財政再建にも逆行するのじゃないかということを私はこの具体的事実を通じて痛感しますので、もう一度、今申し上げたことも踏まえて御答弁をいただきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) 公的資金を含め民間活力を誘発するような環境整備をするためのことは、いいことだというふうに思います。みなとみらいにしても、私は基本はそこにあると思うのであります。で、そこにある三菱地所とか三井不動産、それだけをとらえて議論をしても、不毛の議論とは申しませんが、少し短絡的過ぎはしないかな、やっぱり全体に対する波及効果というようなものが一番大事だろうというふうに思います。
○近藤忠孝君 短絡と言われたのでちょっと反論しなきゃいかぬと思うんですけれども、時間が来てしまったので、次にあとはまた議論をしたいと思います。
○木本平八郎君 私はおとといの委員会で、百三十三兆ある国債、これは大変な問題じゃないか。どういうふうにして償還するか。これはもう政府任せじゃなくて、みんな、国民全体の問題として考えなきゃいかぬじゃないかということを申し上げたわけです。
 それで、私なりに、ない知恵も少しあるのでこの次の委員会でと申し上げたわけですけれども、たまたま昨年十二月二十一日に財政制度審議会が出された建議書の中にも、昭和六十一年度になったら公債の償還財源の問題はもはや猶予を許されなくなる、したがって「償還財源の充実について最大限の努力、工夫を行うよう、強く要望する。」とあるわけですね。これはもう努力はもちろんですが、「工夫」という言葉がやはりあるわけです。
 そういう点からいって、私はきょうここで、トンチン公債の問題を提案したいわけです。
 まず、このトンチン公債、この委員会の皆さん方のアンダースタンディングのレベルを一応そろえるために、大蔵省の理解されている、受けとめられているトンチン公債の内容というものについて御説明いただきたいと思うわけです。
○政府委員(平澤貞昭君) 今おっしゃいましたトンチン公債ですが、これは十七世紀にイタリア人、ロレンゾ・トンチが考案した。その内容は、元利の支払いにかえて毎年応募元金の総額に一定率を乗じた利息を生存者にのみ与える形の公債のことと思われます。そして、この元本は、応募者すべてが死亡したときに政府に帰属することとなっているわけでございまして、したがって、償還する必要はない、こういうことでございます。
○木本平八郎君 それをもう一度確かめますと、要するに、仮に一万人の人が百万円ずつ出し合って百億円のファンドをつくったと。そうすると、仮に一割の配当とすると、毎年十億ずつは政府が配当を出していく。初めの年には一万人でそれを分けるから一人は十万円ずつしか入ってこない。ところが、年々死亡者が多くなって死んでいくと、死んだ人には払われないから残った人はどんどん配当金が多くなる。例えば一万人の人が千人になれば一人当たり十万円の配当が百万円になるとか、最後に残った一人は十億円全部もらえるようになるということですね。そして、最後の一人が死んだらそのファンドの百億円が全部国庫に入ってしまうというふうな制度なわけです。
 これについて十七世紀に、一六八九年から七〇年ぐらいの間に五回ぐらいフランスで行われました。これはいずれも、五回とも大成功だと言われているわけです。最後は利率が九・四%までになったということも言われているわけですね。
 ところが、これが失敗したというか、そこで取りやめになったという事情はどういうふうに受けとめておられますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 取りやめた事情については特に具体的に勉強しておりませんが、この公債について私なりに考えてみますと、やはり幾つかの問題があるかと思います。その問題が、この続いたものが廃止された理由にもなっているのではないかというふうに推測するわけでございます。
 そこで、どういう問題があるかということでございますけれども、結局、亡くなっていった方の残りを生存者が受けてくるということになると、最終的には巨額のお金が一人の方に行く。これが一般的な国民感情から見て適当かどうかという問題がございます。
 それから、こういうことは一種の射幸心をあおるという面がある点も問題になるのではないか。
 それから、政府の方の立場で参りますと、生存者が一人でもいる限り十億円なら十億円というのを毎年払っていくということになります。そうすると、六十年ぐらいこれを払っていきますと結果的には財政負担が通常の公債を発行するよりもずっとふえてしまう、たとえ元本が最終的に国に帰属するといたしましても。そういう問題もあるわけでございます。
 等々のことがございまして、結局廃止されたのではないかというふうに推定しているわけでございます。
○木本平八郎君 今の、元本が政府に入っちゃうわけですね、百億円が。そして、十億円ずつ払っていくというのは、これは金利、運用益で払っていくので、政府に負担がかかるとはちょっと思えないんですけれどもね。
 その点は後でちょっとやるとして、私の聞いている範囲では、要するにああいう十七世紀ですから、年齢の詐称、五十歳の人が六十歳だといって年齢を詐称したとか、あるいは最後は殺し屋を派遣してコンペティターを消したとか、そういう問題があってこれは廃止されたというふうに文献にはあるわけですね。
 それで、ギャンブル性の問題については、果たして競馬だとかそういったものに比べてこういうものがどれだけギャンブル性があるか。一見ギャンブル性があるように思いますけれども、これにそう多額のものをかける気にはならないんじゃないかという気がするんですね。最小限の保障という程度にとどまるのじゃないかという気がするんです。
 この点は後で少し議論するとして、ちょっと問題を戻しまして、大蔵大臣が今長寿社会だと、こうおっしゃったんですけれども、言葉はともかくとして、私はやはりこれから日本というのは超高齢化社会に入っていくだろうと思うわけです。ところが、高齢化というのは、非常におめでたいように思うんですけれども、実際に直面している人間にとっては同時に非常に大きな不安があるわけです。長生きして一体どうなるだろうかという不安があるわけですね。
 例えば私なんかでもこれ、今参議院議員に何とかなった、何とかなったわけじゃなくて棚ぼたでなったわけですけれども、一たんバッジをつけた男が八十九とか九十になって野たれ死にするかもしれぬという不安だってないとは言えないわけですね。現実に今六十五歳以上の人というのは一〇%を超えて、それから二〇二〇年には二二%になっちゃうと。どんどん高齢化が進んでいって、昔は人生五十年と言われて、六十年、今八十年になっているわけですね。人生五十年で、ついこの間まで、五十五歳で退職して、退職金をもらってそこそこやっていれば六十五ぐらいでうまく死ねたわけですね。ほんとに、ある意味じゃうまく死ねた。
 ところが、今現在、六十五歳で引退しても、八十歳とすればあと十五年間あるわけですね。十五年間分ぐらいは何とかうまく年金その他で予定しておいても、それ以上生き延びたらどうなるか。特に、奥さん方はまだその後十年間生きなきゃいかぬわけです、あえて申し上げれば、生きなきゃいかぬわけですね。
 そうすると、九十までの自分の生活の保障をどうするかという問題が非常に深刻だと思うんですね。しかも、今は核家族になっているし、子供にも頼れない、それでしかも物価の上昇の問題があるし、インフレの問題だってある。例えば、今公的年金が非常に整備されていますけれども、ついこの間の年金改正のように、やっぱり財政が厳しいからどんどん厳しくなっていく、それでシビルミニマムというのも案外それにも不安があるというふうになってきて、現実には皆何をやっているかというと、個人年金が今物すごく広がっているわけです。しかもそれも、個人年金の七〇%が女性なんですね。女性というのは、要するに公的年金に不安がある、それから主人が死んだ後、例えば基礎年金で五万円ですか、それで自営業の人なんかそれしかないわけですね、そうなったら、これはとてもじゃない、いかぬと思うから、自衛手段としてやっている。それで、生命保険の問題も後でちょっとやりますけれども、そういうふうな非常に大きな将来に対する不安ができてきているわけですね。それに対して、これ将来のことだから大蔵省にお伺いしてもしようがない、厚生省に本当はお伺いしなきゃいかぬのかもしれませんけれども、こういう不安があるということに対して大臣の、これは本当の御所見で結構なんですけれども、どういうふうに受けとめておられますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 木本さんのおっしゃるとおりでございまして、男性が五十歳を超したのは、昭和二十二年が五十・二歳だったと思います。それから、私が昭和三十三年に代議士に出ましたときは六十三、女性が六十九、それが今は七十四・二〇と七十九・七八でございます。それで、一・七人ずつ生んでいきますと、ちょうどあと八百年で日本人がなくなるという計算になるそうでございます。そういうことからして、お互い年齢構成が変化してきますから、今はたくさんの人で支えておりますが、支える人の数の方が少なくなりますから容易でない、だからそういう人口構成の中で今から負担と給付と両面を考えて年金を考えておこうや、こういうのが年金改革の大体のフィロソフィーだと思うのであります。それをいろんな形で今仕組んで、七十年には一元化しよう、こういうことになっておるわけであります。したがって、それを補完するものとして個人年金がうんとはやってきておる、これは私もそのとおりだと思っております。そのことがで逆にまた日本の貯蓄率も、かつて年金制度等がなかったときには本当に老後の蓄え、今は今度はみんなが知ってきまして、長生きするようになって人口構成もこうなる、そこでそれの伝統がまた新たなるものを惹起した、こういうことでふえてきておるのじゃないか。
 したがって、今から考えなきゃいかぬのは、今おっしゃいました二〇二〇年、それから大体人口が横ばいになると仮定しまして、そのときの仕組みで今から考えておかなきゃならぬ課題だという問題意識は等しくしております。だから、それは最近共済の議論をするときにもそういう議論が出るんです。基礎年金だけは税でやろうか、あとは自立自助でやった方がいいんじゃないかという議論が出るのも、私はやっぱりそういう問題があるからだ、だから大いに練って、中期というより長期の年齢構成までを見通した年金制度というのをやっぱり考えていかなきゃならぬ課題だという問題意識は私も同じくしております。
○木本平八郎君 今大臣もおっしゃいましたように、これはもう国民全部の認識だと思うんですね。
 それで、今は、多少の財産があっても本当に九十まで生きたらどうなるかという、みんな自信の
ない時代だと思うんですね。私少し不謹慎で、これはまじめな話なんですけれども、同窓生の医学部の教授なんかに言ったのは、今までの医学というのはいかに長生きさせるかを考えてきたけれども、これからはいかにうまく死なせるかということを考えなきゃいかぬ。というのは、寝たきりになったりぼけたりせずに、自分が朝ジョギングを毎日やっていればうまく死ねるとか、そういうことをやっぱり考えなきゃいかぬ時代になってきているのじゃないかと思うんですね。したがって、今現在、ぽっくり寺なんかの信仰が非常に盛んになってきたり、そういう時代になってきていると思うんですね。
 そこで、先ほどもありましたけれども、日本人の現在の保険契約の残高が八百兆円あるというわけですね。GNPが三百十五兆ですから約二・五倍ぐらいのものがあるわけです。しかしながら、これがほとんど死亡保障なんです。死亡保障ですからこれは高齢者向きじゃないわけです。高齢者になるとどんどん保険料が高くなりますから保険にはもうはいれない、したがって個人年金か何かの方に行っているわけですけれども、これだって、将来のインフレなんかの心配を考えると、二十年、三十年先の保障力がどのぐらいあるかという非常な問題があるわけですね。しかも、私ここで一つ申し上げたいのは、死亡保障の保険というのはやはり短命時代というか、人生五十年、六十年の時代の保険だったと思うんです。ということは、それまでに子供を育てなきゃいかぬ、現役のときに万一死んだらえらいことになるから、それの収入保障としての生命保険だったわけですね。
 ところが、今やもうむしろ、それが全部終わっても、あと長生きしたときの生活保障の方にむしろ重点が移ってきているのじゃないか。だから、生命保険会社は今どんどんもうかるわけです。もうかるというのは、死なないからどんどんもうかっているわけです。しかし、保険会社がもうけるのもいいんですけれども、国民のニーズとはもう保険制度というのはずれてきている。したがって、五月の三十日ですか、保険審議会か何かで、生存者保険を導入すべきであるというふうな答申も出ていますね。そういう点からいって、私は、現在の保険だとか年金制度というものは、今の社会の向かっている方向と少しずれているのじゃないか。したがって、生存者保障とかそういった方向に大きく向いていかなきゃいかぬのじゃないかという気がするんですけれども、その辺、大蔵省としてはどういうふうに受けとめておられるかお聞きしたいわけです。
○国務大臣(竹下登君) これは先生、非常に私的なことで失礼ですが、私は大学が保険でございまして、それでそういうニーズの変化に対応してきたという論理は非常によくわかります。ただ、保険数理学というのは忘れましたから、その点は御勘弁いただきたいのでございますが、したがってそういうニーズの変化に対応するような仕組みになってきておりますし、それから長生き時代におきましては掛金もそれに見合って減らすような努力もしておりますし、ただ我が国のなかんずく生保、これが年金性保険になってきますですね。
 それは現在のところ世界の保険業界の中では最高水準を行っているというのが一般的な評価でございますので、なお今のような御意見を踏まえて業界自体が大変な何といいますか、自己努力といいますか、それが進んできておるというふうに、だから今木本さんのごらんになったような認識を業界自体が受けとめてきたという状態にあると認識していいんじゃないかな、こんな感じで見ております。
○木本平八郎君 ちょっと国債償還の問題から話がずれて申しわけないんですけれども、もうちょっと聞いていただきたいんです。私の申し上げたいのは、要するにライフサイクルのステージに従ってどんどん対応していかなきゃいかぬ。したがって、今までの貯蓄していればよかったという時代から、やはり保障というものを求める時代になってきているのじゃないか。例えば、今ことに仮に一億円あったとしても、九十歳、百歳まではとてもじゃないがこれはもたないわけですね、今の生活程度を仮に下げたとしても。やっぱり一億円で、なかなか七、八百万円しか年収がない、それで大丈夫だろうか、物価が高くなったらどうなるだろうという心配はだれにもあるわけですね。
 そういう点からいってやはり考え直さなきゃいかぬし、老人福祉の問題も、今までは老人福祉というのはどちらかといえば低所得者層を相手にしていた。ところが、ここにおられる方々もみんなその対象に、全員対象になっていく時代だという私は受けとめ方をしているわけです。したがいまして、ニーズも多様化、多種化していっているし、それから先ほどのようにやはり貯蓄ということよりもむしろ保障志向、保障というものを重視しなきゃいかぬ世の中になっていきつつあるのじゃないかというふうに考えるわけです。
 したがって、私が申し上げたいのは、年金一つにしても、いろいろな年金があってもいいのじゃないか、バラエティーに富んだものがあっていいのじゃないかという気がするわけです。
 それで、ここに調査が一つあるのです。生命保険センターのアンケートでは、一般に、公衆というか大衆に聞いたところ、死亡保障については二八%の人が死亡保障は要らぬということを言い出している。それから、保証期間の問題も四〇%の人が要らないと。有識者の中では、むしろ生存保障を大事にすべきだというのが三七%あるという調査が出てきているわけです。したがって、私は、そういう意味においても、少し先ほどのような形のトンチン年金というふうな形のものがあってもいいのじゃないか。それ一つだけで全部一遍に解決しようということはできないと思うのです。やっぱりこれだけニーズが多様化しているときですから、一つでもって全部はカバーできないと思うのです。これは国債の償還の問題でもそういうことを申し上げたいわけですけれども、そういう点でワン・オブ・ゼムとしてそういうものが存在してもいいのじゃないかという気がするのですけれども、その辺平澤次長の御感想を承りたいのですが。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員がおっしゃっておられますいわゆる年金の場合ですと、百億円預かりました保険会社が、保険会社以外でも結構でございますけれども、それを運用した収益を払っていくということでそれは成り立ち得るわけでございますが、国の場合は、百億円集めましたのを赤字国債のかわりに、特例債のかわりでした場合には、それを国が使ってしまいますので、それによって収益を得るということはございませんから、あとは国は利息だけをずっと払っていくということが長い場合は六十年ぐらい続きますと、通例の国債に比べて六十年たって計算してみますと、かなり巨額のかえって国の負担になるということを申し上げたわけでございます。したがいまして、年金制度としてそういうものを考えるのがいいか悪いかという点は私の所掌ではございませんけれども、先ほど大臣も御答弁しておられましたように、保険審議会でございますか、の答申にも生存保障性のあるそういうものを考えることを示唆していることもありますので、考えられる仕組みではあるというふうに思うわけでございます。
○木本平八郎君 今、政府のやるべき性格のものではないのじゃないかという話なんですけれども、トンチン年金という性格からいって、これはやるとすればやはり政府なり地方公共団体がやらないと、一般の私的企業がやるとこれはちょっとおかしなことになると思うわけです。
 トンチン年金に入る前に一つ私がぜひ申し上げたいのは、今の財政状況からいって、国民の率直な感触ですけれども、これはやっぱり大増税必至であろうという恐怖感があるわけです。これはちょっと不謹慎な言い方ですけれども、増税がいいとは言いませんけれども、どうしようもなければ払わざるを得ないわけですね、国民としては。しかしながら、その前にはやはり、必死になって工夫もし考えてもらわなきゃいかぬというのも国民の率直な感情だと思うのですよ。これは封建時代
なら、おまえら人民ども払えということで済みますけれども、今の近代国家ではそういうわけにいかない。現在、国民の公的負担というのは、税金と社会保障を合わせて三五%ですか、それが将来四五%になるだろうと言われるわけですけれども、これも、国民というか、私の率直な感触では、まず五〇%を超えるだろうと思うのです。
 そうなりますと、ある人は、日本国民の若い人たちは税金亡命でどんどん出ていくんじゃないかというようなことを言う人もおるわけです。それはちょっとなにしても、やはり増税というのは政治の中では悪政の最たるものだと思うのです、最後の最後だと思うわけです。しかも、今でも国民はやはり、税が重いという感触を持っているわけです。これが一体どこにどうなっているのかというのを私も少し勉強してみたいと思うのですけれども、これは大蔵大臣は三五%の負担だから大したことはないというふうに答弁されますけれども、国民の率直なる感触は相当重いという感じなんですね。それで、中曽根総理も、シャウプ以来の税制改革をやろう、こうおっしゃっているわけですけれども、私はぜひ税制改革の前に、徴税方法というか、それから歳入の特別財源の確保というふうなところにまず全力投球していただかないと、国民のコンセンサスを得られないんじゃないかという気がするわけです。
 それで巷間大型間接税とか消費税とか言われておりますけれども、このままそれが導入されますとやっぱり国民は相当反感を持つのじゃないかと思うのです。したがって、その前に、政府としてはこれだけあらゆる面において努力をしているということを示していただく必要があるということで、金額的には大したことはないようですけれども、私はトンチン公債の考えなんかも入れてやはり国民の自助的な努力、もう年金は政府に任しておけばいいのだということじゃなくて、やはり自分たちの将来は自分たちでも考えるということも含めて、トンチン年金の考え方がいいのじゃないかと思ったわけです。
 私自身もそういう専門家じゃないからよくわからないのですけれども、先ほどのフランスで失敗したというところから、やはりトンチン年金を導入するためにはまず財政だとかそれから国に対する信用がないとだめだ。国の国民に対する信用がなければ、もう全然国民がこれは入りませんからね。それから、先ほどの年齢詐称の問題がありますので、戸籍がしっかりしているということ、それから、先ほどの殺し屋じゃないですけれども、警察制度がしっかりしていないとこれは非常に困る。ところが日本は、両方ともばっちりやっている。それから、ギャンブルという問題がありますけれども、私の南米なんかの経験では、やっぱり日本人というのは非常にギャンブル性というのは少ないのじゃないかという気がするわけです、非常に健全だ。
 したがって私は、これは直観ですけれども、トンチン年金をやっても、ギャンブルの面からこれに飛びついていくという人は非常に少ないんじゃないかという受けとめ方をしているわけです。したがって私は、そういう意味で平澤さんの意見とは反対に、日本が今世界で一番、トンチン年金を導入するには向いているんじゃないかという気がするのです。これはこの前の話じゃないですけれども、ブラジルなんかだと、これをやるとまたえらいことになるんじゃないかという心配がありますけれども、日本は一番今のところ向いているんじゃないかという気がするわけです。
 私はもう一度ここであえて、トンチン年金でもトンチン公債でもいいのですけれども、トンチン公債を導入することをやはり真剣に考えていただいたらどうかと思うんです。特にこれは、国債の償還原資としてという前提を置いてやっていただいたらどうだろう。先ほどのように、仮に百億円なら百億円の原資が集まった、そうしますと、確かにそれは今全部使っちゃってあと金利の負担だけが残るという説明もありますけれども、本来は、ちゃんと原資は残しておいて金利は一割ずつ払っていって最後の一人が亡くなったときにそれが国庫に入るというのが本当なんで、先に使っちゃわれたら困るわけです。ただ、将来であっても、こういうきちっと償還原資があるということであれば、私は国債の残高が残っていても問題はないのじゃないかと思うんですがね。その辺は財政操作としてはどうなんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) あるいは平澤次長からお答えした方が適切かと思いますが、いわゆるトンチン年金というのは、これは年金の構想としての考え方の中で検討に値する課題だ、こういうことに保険審議会でもなっておるわけですね、トンチンとは申しておりませんが。要するに、生存保障性を強めていくという意味においてそれは検討すべき課題だと。ただ、我が国の年金制度というのは、どちらかといえば、傾向を見ますと、基礎年金は国の責任でやろう、そしてその上積み分は企業とか個人の、率直に申しまして自立、自助の中でやっていこう、こういう思想です。
 それからもう一つ、今おっしゃいますそのトンチン公債ということになりますと、それは使っちゃならない、積んでおくものにしないことには運用益は出ないわけですから、今の我が国の公債というのは、財源不足に対して公債を発行するわけですから、それを使ってしまうわけでございます。そうしますと、六十年間でしますと、今十年間に六分の一ずつ返して一兆円が三兆七千億になりますが、それを金利だけを六十年間で払っていきますと四兆二千億の計算になりますから、五千億ほど余計かかるという理屈になるわけです。それを使わないで積んでおいてという議論と、公債の償還財源として別途そういうものをつくるということになりますと、これは税制上の問題とかいろんな課題が生じてまいりますので、もう少し勉強させてくださいませんか。
○木本平八郎君 私も専門家じゃないので、専門的な立場からぜひそういう点を御検討いただいて、もうどうしてもこれがだめであればそれは仕方ないと思うんですけれども、私は素人の思いつきの段階ですからそれ以上の何はできないんですけれども。
 ただ、トンチン公債の場合に非常にいいのは、普通に、借りかえにしても公債を出していきますと、インフレになる心配があるわけですね。しかも、この大もとが百三十三兆なんてでっかい金額ですから。ところが、トンチンの場合は民間にある資金を吸収してということですから、インフレにつながらないわけです。私はそういうふうに解釈しているわけですが、そういう点においてこれは非常に考えるに値するのじゃないかというふうに考えるわけです。
 ちょっと時間がなくなりましたので、この続きはこの次の委員会でまたやらせていただくことにして、今のこの、トンチン公債の場合にはインフレにつながらないというふうな解釈は、これはどうなんでしょうか。次長の御意見をちょっと伺って、私の質問を終わります。
○政府委員(平澤貞昭君) トンチン公債の場合は、まさに民間の個人の人たちからお金を集めてくるということでこざいます。しかし、現在発行しておりますいわゆる建設国債も特例公債も、民間消化の原則、日本銀行引き受けはいけないということになっておりますから、同じように民間の金を集めてきているわけで、その限りではほとんど経済的意味において差はないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
○野末陳平君 先ほど主計局のお答えの中で、五月に一兆六千億ばかりの償還がありまして、それが市場には大して影響も与えなかったというようなお答えがありまして、そうだろうと思うんですが、今たまたま債券の市況がいいですからそれで済んだと思うのですが、どうなんでしょうかね、この秋になりまして十一月になると、今度は二兆何千億という償還があるわけです。その場合にもさほどの影響はないというような判断をしていいのかどうか、その辺の見方はどうでしょうか。
○政府委員(大橋宗夫君) 先生御指摘のとおり、償還あるいは借りかえ発行の環境次第によりまして、それぞれの金融市場に及ぼす影響が違うということは当然のことでございます。ただいまから秋の問題を予測することはできないわけでございますけれども、五月の経験からいたしまして、金融市場に若干の影響は出るものの、市場の状況次第によりましてその影響は金融市場の中で比較的容易に吸収されたという経験を持っているわけでございまして、秋の金融市場について予測することはできませんけれども、このあたりにつきましては、大蔵省といいますよりも、日本銀行の適切な金融市場の調節ということも期待しているわけでございます。
○野末陳平君 これは、今回は、この秋も今のお答えのようになるかもしれないと思いますが、常識的に言いますと、大量償還が続いていくと、どうしてもこれは市況が悪くなるような不安を当然感じる人も多いだろうと思うし、それから個人のシェアがどのくらいかということもまた影響があるのかもしれないし、大体これ常識的に今後大量償還が続いていきますと、やはり市場の混乱の不安というか、市況の軟化のおそれというか、そういうことは当然考えられるのですかね、よくわからないんですが。
○政府委員(大橋宗夫君) 国債の償還ということをとらえてみますと、これは市中に資金が流れるわけでございますから、そのことを通しまして金利はむしろ下がる要因になるわけでございます。そういう金融市場の状況を踏まえまして、一方におきまして借換債が発行されるということになりますと、その借換債の発行自体が市況を締める要因になるというふうに考えられます。償還されます国債は期近物、当然そういうことでございまして、短期の資産保有という形に最終的には少なくともなっているわけでございます。借換債につきましては、今後適切な借換債の発行ということが行われると思いますが、いずれにしましても、償還されるものよりは長期のものということになりますと、それなりに若干の、市場におきます資産の期間が変わるということの影響というものはこれは出てくることは当然のことだと思いますが、借換債の発行の種類、期間等の適切な選択ということによりまして弾力的な中場を保っていくようなことが期待されるわけでございます。
 また、金融市場の最近の深まりということを考えてみますと、その中で金利裁定機能が有効に働くということを期待できるような環境になってきていると思いますので、国債の大量償還あるいはその借換債の発行ということが金融市場に混乱と言われるような悪影響を及ぼす事態には至らないのではないか、そういうように予測しております。
○野末陳平君 あした参考人からまたいろいろな意見が出るとは思うんですけれども、もう一つ、短期国債の発行と金利の自由化ということについては、今後どういうような見通しを持っておられますか。
○政府委員(大橋宗夫君) 短期国債の発行ということは、金融の立場から見ますと、一つの金融商品が市場に出てくるということになります。それに見合います金融市場の方におきます大口の預金あるいはCD、MMCというような自由商品あるいは弾力的な商品というものとの兼ね合いが問題になるわけでございますけれども、この辺は、短期国債の発行に当たりまして、金融自由化の進展に応じた適切な発行を行っていくように心がけてまいりたいと存じております。
○野末陳平君 そうしますと、金利の自由化がさらに早まっていくだろうというようなことと見ていいんですか。
○政府委員(大橋宗夫君) これは短期国債の発行そのもので金融自由化が早まるかどうかということは、直接その発行の仕方によりまして影響が違ってまいりますので、直ちに短期国債の発行自体で金融自由化が進むというふうには即断できないかと思いますが、金融の自由化そのものは、そういうことを離れましても着実に進展していく、そういうふうに考えております。
○野末陳平君 あした午前と午後にあるようですから、その当事者の意見なども聞いてみたいと思うんです。
 それから今度は、前回、おととい、財源確保について幾つかのいろいろ案を考える前に、いわゆる国民の意識というものがどうなっているか、どう変わっているかも考えなければという話をちょっとしていたんですが、どうもマル優が来年から少し変わるという、あのあたりであちこちで貯蓄税制の相談会みたいなことを物すごく大々的にことのところやっているようなので、それに関連してちょっと考えるんですが、どうも大蔵大臣、財源確保にいろいろこれから苦心をするんですが、その一つの方法として、やはりマル優の課税は一日も早く方針を固めて、まあ去年そうだったんですけれども、再度これはやはり断行する方向に行かなければいけないと思うんですよ、いろんな事情はありますけれども。
 そこで、その基本的な認識をお聞きしたいのですが、大蔵省でもいろいろなデータでマル優の不正利用の状況などはつかんでいると思いますが、そういうものを踏まえて、このマル優のあるべき姿についてどういう分析を今のところしているか。つまり、税調でも課税の方向が打ち出されていながら結局は限度管理、本人確認、あの程度のことで終わってしまいましたが、しかし、大蔵省がそれで満足しているとも思えないのですが、大臣、どうですか。今後マル優はどうあるべきだという率直なところを。
○国務大臣(竹下登君) 私、これは日本的なやり方でございますけれども、いろんな議論を聞きながら税制調査会でオーソライズしてもらったものを取り上げるというやり方でございますので、個人的な意見が先行して出ちゃいかぬなといつも自分で自分に言い聞かせておりますが、少なくとも限度管理で、半歩前進か一歩前進か、それを来年の一月からやってみるわけでございます。が、引き続きこの問題はいわゆる継続して検討すべき課題だという問題意識は私どもにも十分あります。税調ももちろんそうであります。
 一例として申し上げますならば、日本の貯蓄率が高いという議論をしますと、先進諸国の財政当局諸君は、それはやっぱり優遇税制があるからじゃないかと。それも、端的に言えば、納めるべき税金を納めないでおるということは、補助金をもらって貯金をしておるという論理につながりはしないか、こういうことがよく、五カ国とか十カ国の大蔵大臣会議で出る意見ではございますけれども、これを私の意見として申し上げるにはいささか時とところを得ないではなかろうかというふうに考えております。
○野末陳平君 じゃ大蔵省に聞きますけれども、この利用状況ですが、今一番マル優を利用している所得層というのはどういうところか。
 それから、いわゆるいろいろな調査で、国民の一世帯当たりの平均貯蓄額は、マル優枠の、すべて含めて郵貯も含めた九百万からいくとかなり低いわけですが、それらも踏まえて、どうなんでしょう、マル優というのは当初の政策意図のように利用されているという判断ができるかどうか。
 その辺の見解をお聞きします。
○政府委員(梅澤節男君) いわゆるマル優の所得あるいは収入別の利用状況を示す端的な資料はないわけでございますけれども、たまたま貯蓄増強中央委員会のサンプル調査で、各世帯の貯蓄保有高別に利用割合を出した資料がございます。例えば貯蓄の保有額が百万から三百万ぐらいの世帯で利用割合が六五・三、これは貯蓄残高がふえるに従いまして利用高がふえておりまして、例えば一千万から一千五百万のところになりますと九三・六%の利用割合、一千五百万を超えますと九六・六といったような計数がございます。
 で、これから類推いたしますと、総理府でやっております貯蓄動向調査で、世帯当たりの貯蓄高と年間収入の間にはかなり明瞭な相関関係がございます。したがいまして、先ほど私が申しました例えば一千万から一千五百万の貯蓄高の世帯というのは、サラリーマンで言いますと年収一千万前後の世帯かと思いますが、そこで大体九三・六%利用されておる。高額所得者といいますか、高収
入階層ほど貯蓄が多うございますから、当然利用割合はふえてくるというふうに見ていいかと思いますが、昨年の税制調査会の検討の過程でもこの資料に基づいていろいろ議論をしていただいております。
 そういうことでございますから、価値判断の問題は別にして、やはり貯蓄優遇税制といいますか、マル優というのは、我が国の中で広範に活用されておるというふうに言っていいかと思います。
○野末陳平君 そこで大蔵大臣、今までは僕もこれでよかったと思うんですね。今主税局長の答えのように、年収のほぼ同額、あるいは一・五倍ぐらいまでの貯蓄があってもおかしくないというところまで国民がリッチになってきたわけですから、そのための貯蓄奨励の政策目的も非常にこれは活用されたわけですね。しかしながら、果たしてこれからもこれを続けるというような意味があるかどうか。簡単に言えばマル優の今日的役割ですね。それについては、大分今までと国民の懐ぐあいなども、あるいは経済情勢、特に日米関係なども考えますと、やはりこれはそろそろ転換しなきゃいけないときに来ているんで、あえて財源確保のためだけというのじゃないんですが、もう少なくも今までのマル優の貯蓄奨励の目的は終わった、こういうふうに見ていいのじゃないですか。
○国務大臣(竹下登君) 貯蓄奨励ということになりますと、どこまでいけばいいか、こういうことになるとこれは議論の分かれる問題でございますから、やっぱり精神的にも継続しておる問題でございますので、いわば税制改正の所得税制のあり方の中で私はこれは検討されていくべき課題ではないかなと、こういうふうに見ておるところでございます。
○野末陳平君 もう一つ強いてマル優の意味を考えると、将来に向けての自助努力の一環として貯蓄をという、こういういわゆる高齢者、あるいは高齢に向けての経済計画の中では、やはりあった方がいいという意見が強いと思うんですよね。だからそういう面からマル優を残さなければという考えもできなくないとは思うんですが、しかしそれも貯蓄の税制だけでできる話じゃありませんから、だから僕が考えますのに、どうもマル優問題は、これは一人一人いわゆる世論を聞きますとだれだって嫌と言うんですね。嫌とは言うけれども、増税に比べればはるかに嫌さの度合いが違うんですね。となると、今まで十分役割を果たしてきたものをここで政策転換してもこれはおかしくない。もうそれが当たり前の時代だという認識を持ってもいいだろう、こう思うんですが、ただ国民の声はそれを嫌がるから、どうしても嫌がるものを無理にという踏み切り方がなかなかできませんが、しかしどうなんでしょうか、やはり今回の、来年からの本人確認は必ずしもその効果を上げません。今までと、じゃ、どこがどう違って、どこが前進か。大臣は半歩前進とかおっしゃいますが、半歩の前進もないのじゃないかと思うんです。
 それは、この貯蓄税制が変わるといって相談会とか、懇談会とか、いろいろなところでやっている。大々的にやっているのの様子を見てみると、どうも半歩どころじゃない、今までと変わらぬという程度なんで、ここらで踏み切るべきだというふうに僕も最近考えてきたんですよ。
 で、一つ意見を申し上げますが、今まではこのマル優問題を一種の不公平税制というような観点からかなりやった。事実、悪用、不正利用が目立っていましたからね。しかし、そういう観点だけではなくて、マル優の大蔵省あるいは税調が示したいろいろな案はやっぱりみんなわかりにくかったですね。いろいろな案がありましたけれども、どうも最終的には低率課税にしろ何にしろわかりにくい。というのは、ほかにも金融商品がいろいろありましたのでね。やっぱりこれのわかりやすさということも、これからマル優をどうするか、課税をどう考えるかという観点に入れていくべきで、不公平問題はむしろ一部の不正利用者、悪用を防止するという面が強かったんですね、一般の人はマル優枠よりもぐっと下回るぐらいの貯蓄であったわけですから。そうすると、これを直すなら、つまり課税に持っていくなら、わかりやすい税制にして、みんなどの商品も同じだというところに重点を置くべきじゃなかろうか。前回の、つまり税調の答申、大蔵省の課税のいろんな案が出ましたね。
 そういうものを大体あのとき検討して、今考えるとどうもわかりにくかったんじゃないか、そこら辺が反省点なんです、僕が思っているところなんですが、大臣はどうですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、失礼ですが「野末登」とか「竹下陳平」なんというのがあっちゃこれはいけませんですよね。だから、そういうのは非常にわかりやすい話で入ってきたわけでございますが、したがって議論がぎりぎりして、本人確認とかそういうことで、不正防止とでも申しますか、そんな感じの議論が展開されてきたことは事実であります。
 この間、実は沖縄へ参りましたときに、沖縄は四十七年に復帰しまして、四十九年でしたかまでは向こうの税制なんです。それで、本土へ復帰したら何とマル優というものがございましたという話を聞きまして、へえっと思って私も感じました。だから、そういうものが通常になっておれば何の抵抗感もない。今やマル優、いわゆる非課税貯蓄というものが存在するのが当たり前になっておるというところで、理解と協力の求め方というのはこれは慎重を期していかなきゃならぬというふうに私も考えるわけでございます。したがって、こういう議論がかまびすしく町の議論としてもまた国会の議論としても行われていくというのは、税に対する国民の関心がより高まっていくことにはなるのではなかろうかと思っておるわけであります。ただもう一つ問題は、いわゆるグリーンカードのときの基本的考え方でありました総合課税の問題との兼ね合いもあるんじゃないかなと、こういう気はいたしております。
○野末陳平君 主税局に伺いますが、去年も議論になったところですが、いわゆる雑所得とか一時所得とか、いろいろな分類によって金融商品の課税の形態が違う。これをすっきり一本にするというようなことは非常に技術的に難しいのかどうか。やる気になればこれはできるのかどうか、いわゆる利子として。性格は似ているわけです、全部果実ですから。しかしそれを利子課税のような形で、あるいは配当でもいいんですが、一律の扱いをするようなことはそれほど難しくないような気もするんですが、現実問題としてどうでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) これは制度の仕組みの問題でございますから、そう難しいという問題ではなかろうかと考えております。ただ、ことしも例えば、ゼロクーポン債の課税とか金融類似商品、あるいは似通ったようないろいろな商品があって明らかに負担のバランスを欠いているようなものには、手当てをさせていただいたわけでございますけれども、基本は何といっても、利子課税を一体どういうふうに設定するのか、現在の非課税貯蓄制度を一体どういうふうに制度的に設定するのか、その制度とのバランスということでございますので、現状では私ども、非課税貯蓄制度というのは現存しておるわけでございますから、他の金融商品について今直ちにこれとの統一を急いでやらなければならないという状況に必ずしもないのではないかということでございますけれども、制度的に非常に難しいという問題は、それは制度論でございますから、これは克服できる問題だと考えております。
○野末陳平君 そうしますと、大臣、どうなんでしょうか、これは僕個人の考え方なんですが、前回も減税が望まれているし、総理もああいうことをおっしゃる以上は減税のもうひとり歩きですから、財源のあるなしにかかわらずもう減税しなきゃいかぬというところに来ているんじゃないかという話をしていますが、その財源については非常に難しいですね。やはりこれは、赤字国債に頼る、これはもちろんだめですね。増税といったって、いわゆる直間比率を変えてというのは、なかなか作業が難しくてそう簡単にはいきませんし、もちろんマル優についてやったってすぐその年から入ってくるわけじゃないんですけれども、少し長い目で見て、減税の財源にマル優を廃止して利子課税ということで僕は方針をきちっと決めて、早くそういうアピールをしていくというか、世論誘導をしていくというか、それが必要じゃないかとこう思っているんですよ、それは僕個人がですよ。
 ですから、そういう考え方でいろいろ接してみますと、昔と違ってきたのは、要するに利子の一〇%なりは、あるいは二〇でもいいんですが、税金は利子の一割ですからね、気分的には嫌でもその程度はたえられるんですよね。要するに、金利の高いとき低いときのことを考えますと、結論はその程度の、一割前後の動きはあるんですからね。だから昔と違って、利子に課税されてもそれほど打撃を受ける層は少なくなった。いわゆる低所得者あるいは老齢者、そういうところはこれはちょっと保護しなきゃいかぬと思いますが、一般的には、もう大丈夫だ、利子課税の一〇%前後だったらたえられる、こう見ているんですよ。どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 仮に七%とすれば、それは〇・七でございますから、変動金利制になっていけばそれらの動きはあり得ることでございましょう。だから確かに、私どもに公的あるいは私的にいらっしゃる方の中に、そういう意見の人もいらっしゃることは私も承知しておりますが、これから所得税の一環として税調で審議される前に、国民の世論は既にこうなっていると大蔵大臣さんが言うというのは、どうもちょっとやっぱりできないことではなかろうか。そういう情勢を見守っておるということまでが限界ではないか、やりたいという気持ちで見守っておるじゃなく、平常心で見守っておるというのが答弁の限界かなと、こんな感じでございます。
○野末陳平君 いや、僕はやりたい気持ちで見守るのが当然だと思うけれども、それはこういう場ですからやむを得ませんが、やはり増税はこれはもう簡単にはできないしまた慎重にしなきゃならないことで、直間比率の是正という名目、あるいは福祉、年金のためにというような目的を幾らつけても、なかなか増税は大変ですよ。しかしこのマル優問題は、だんだん貯蓄もふえ生活も向上してきたりすると考え方が大分違ってきますね。だから、そういう時代の変化も考えながら、悪く言えばやりいいという環境になってきたのだという気はするんです。しかし僕は、むしろ財源確保の方法として割り切って今やらないと、減税もできないし、そして毎年こうやってあれやこれやといろいろ頭をひねらなきゃならないんで、いつまでもずるずると、マル優問題は引き続き検討の課題だなんという消極的なのは、ちょっと不満なわけですよ。
 現に、どこででも聞かれるんだけれども、結局本人確認というけれども、もう利口な人はすぐわかっちゃうんですね。本人確認といったって、限度管理はきちっとコンピューターでできるわけじゃないんですから、どこまで実効が上がるか。精神規定みたいなものです。そうなると、実効を上げるために次はコンピューターの予算を計上していくことになるんですか。つまり、来年から本人確認が決まりました、じゃ次には本人確認をしながら限度管理、郵貯はオンラインになりました、銀行関係、国債関係は証券会社、これはまだオンラインになりませんから徐々に徐々にコンピューターでと、こういうふうにしてもうそういう方針を立てるということで理解していいんですか、そんなに金をかけるんですか、というふうに考えると、コストがかかる、こんなばかばかしいことはやめて課税するのがいい、そういうふうに思うんですよ。しかもそれはそんなに国民に打撃を与えない。まあこれは僕が思っているんです。僕が言ったって余りあちこちで反論は食いませんが、大蔵大臣が言ったらこれは大変かもしれません。
 しかし、いつまでもずるずるしておくことは、この問題に限っては僕は好ましくないと思うんです。ですから、前回の答申がもう出ているんですから、あのやり方がいいかどうかは知りません、低率の課税があって、あれだって限度管理の問題が常に出てきます、あれがいいかどうかわかりませんが、早く結論を下してほしいですね。引き続き検討なんという消極的なのはやめてほしいと思うんですがね。
○国務大臣(竹下登君) 形の上で整理すれば、一段落が本人確認の強化ということになって、したがってこの問題は所得税制のあり方とともに引き続き検討の課題の中へ入っておる、こういうことでございましょう。したがって、税体制の中で大変な議論が行われるであろう課題だというふうに私はこれを位置づけておるわけでございます。
○野末陳平君 主税局長に聞きますけれども、極端なことを言いますけれども、要するに利子課税はこうだとわかりやすくなればみんなが納得するという前提で聞くんですが、これはどうなんでしょうね、一律の分離課税をとった場合、税率はともかくとして、どこに問題が起きるんですか。
○政府委員(梅澤節男君) これは、問題が起きるということよりも、先ほど来大臣の御答弁にもありますように、税制というのは結局は国民の御理解を得ませんことには成り立たないものであるわけでございまして、一律課税ということの考え方は昨年の税制調査会の少なからぬ委員からもそういう意見が表明されて、それは答申にも書き込んでございます。その論旨は、やはり金融の自由化、国際化という展望から見ると、金融市場に対してむしろ中立的なのは一律分離の方がいいのではないかという、むしろ金融論とかあるいは経済学者の系統の方の御意見が非常に強うございます。
 しかし、一方、利子課税につきましては、所得税は総合累進課税が公平であるということになりますと、やはり利子は総合課税であるべきであるという公平論の立場もまたあるわけでございます。
 この部分も実は税制調査会の答申に書き込んでございまして、事ほどさようにこの問題というのは、立場あるいは見方によりまして非常に意見の分かれるところでございまして、先ほど委員がおっしゃいましたように、税制調査会の審議の過程も非常に紆余曲折があったものですから、ごらんになって、非常にその審議の過程もわかりにくかったという印象をあるいはお与えしたかと思うわけでございますけれども、いずれにしてもこれは最終的には、大臣が先ほどから繰り返して言っておられますように、世論の動向をやっぱり見きわめていく。ぜひこれでなければならないということではなくて、最終的には国民の選択の方向を見定めていくという対応にならざるを得ない問題かと考えております。
○野末陳平君 これは僕だけの考え方かもしれませんから余りこだわりませんけれども、いずれにしても大蔵大臣、税制のゆがみとかひずみがずっとシャウプ税制以来あったと、それを大改革しようという機運が出てきたわけですね。
 たまたまアメリカの方でも、税制を簡素にする、わかりやすくするということが具体化してきたわけです。だから、恐らく所得税の方もわかりやすくなってくると思うんです。その方向で恐らく大蔵省は検討なさるんでしょうけれども、そのときにこのマル優問題もやっぱり、わかりやすさということに重点を置いて、だれにでもわかる、――つまりお金を持っている人にはもういろんなレベルの人がいますからね。わかりの悪い人もいますよ。マル優のことをよく知らない人だっているんだから。ですから、やはりみんなにわかるという意味では、僕はどうやらここのところ割と考え方が変ってきたんですが、一律分離課税というのは捨てがたい。まあ三五%から低くなるところだけを見ると不公平という批判も出てくるとは思います。思いますけれども、一律分離課税をすれば、これは不正利用とか悪用とかというのはなくなってくるわけですね。
 だからプラスの面もあるし、だから、所得税全体を、あるいは法人税も含めて、わかりやすくしていくという税制改正のプランの中で、このマル優もわかりやすさを旨として課税の方向を考えてほしい。こういうふうに言っておきたいんです。
 終わります。
○栗林卓司君 私は、電電の株の売却問題についてお尋ねをしたいと思います。
 電電の株の売却問題というのは、中身を分けてみますと、いつから売り始めるのか、一体幾らで売るのか、こう二つに分かれると思います。
 まず、いつから売り始めるかということなんですが、その質問に入る前に「中期的な財政事情の仮定計算例」、この数字を使って若干組み立て直しながら、私の考えていることを申し上げてみたいと思います。
 六十一年度の予算が一体どうなるのか、これは現在わかりません。わかりませんが、今から想定してみてそう無理はあるまい。今考えておりますことを申し上げてみますと、まず国債費は、これは定率繰り入れはやるわけにはいかない。これは理屈から言いますとやれという主張もありますけれども、やった結果赤字公債がふえたのでは身もふたもないのでありまして、赤字公債を発行している間は定率繰り入れはむしろすべきではない。問題は減債制度の枠組みが守れればいいわけですから、したがって、これは定率繰り入れはやめます。
 地方交付税は、これは率を変えるというのは、必ずしも現実的な想定ではありませんから、このままの数字になる。
 一般歳出。五十九年度、六十年度それぞれ対前年度比ゼロでありました。一応このゼロが続くものとこれは想定をしてみました。続かないということになれば事態はもっと大変になるわけですから、最もいい状態というのは一般歳出は対前年度ゼロ。
 こうやって考えてみますと、六十一年度、国債費、地方交付税それぞれ対前年度ふえた額というのは一兆二千六百億円。歳入はどうかといいますと、六・五%の名目成長率と一・一の弾性値、これはこのまま実現するものと前提を置かざるを得ませんから、そのままとしてそっくり受け取りますと、歳入は対前年度比一兆六千九百億円ふえております。国債費と地方交付税は一兆二千六百億円、一般歳出はゼロ、歳入は一兆六千九百億円、差し引き約四千億円余るんです。
 ところが、問題なのは、国債整理基金の余裕金残高が九千九百億円しかない。そこに必要な所要額を入れてあげざるを得ない。幾ら入れるかといいますと、大体六千億円。六千億円入れてしまいますと、先ほど四千億円余ると申し上げましたけれども、二千億円足らないことになる。こういうロジックで参りますと、不足額が六十一年度では二千億円、六十二年度一兆二千億円、六十三年度五千億円、六十四年度以降はもうずっと一般歳出はゼロで抑えているものですから、税収との関係で、もはや心配する必要はない。六十五年度も同じ。そうしますと、国債整理基金の関係では所要額をこれはどうしても入れざるを得ないわけですから、六十一年度二千億円、六十二年度一兆二千億円、六十三年度五千億円、締めて一兆九千億円、これは何としても過渡的に資金対策を打たざるを得ない数字だと思う。
 問題は、この資金対策をどうする。ほうっておけば赤字公債の増発になるわけです。しかし、それはしたくない。一方では電電の株の売却という問題がある。国債整理基金に入ってくる。そうなりますと、筋としましては、電電の株の売却益というものは残高の減少に充てるべきだ、それはそのとおりなんです。だけれども、残高を減少させて、一方、国債整理基金に対する所要の繰入額の見合いとして赤字公債を出したのでは元も子もないわけです。したがって、一時売却益を流用しながら、今申し上げました六十一年度の二千億円、六十三年度の一兆二千億円、六十三年度の五千億円、その資金の手当てに使おうではないか、というのは筋から見るとおかしいんですが、かといってそうおかしいわけでもない。むしろそういったぐあいに使うことを考える方が財政の担当者とすると当然なのではないかと考えてみますと、電電の株というのはいつから売り始めるのか。私は、六十一年度から売り始めないといけないという結論になるのではないだろうか。
 この点についてお尋ねします。
○国務大臣(竹下登君) 今の栗林さんのお話は、いわゆる中期試算に基づいた発想で、売らねばならぬ、――その以前にもう一つ、本当は民営にした限りにおいてはいち早く売るべきだということがありますが、その問題はちょっと横へどけておきますと、さあどうなるかということになりますと、予算計上をしなきゃならぬわけです。そうしますと、これは予算計上でございますから、まさか何万株とか、そういう計上はできませんでしょうし、それから簿価というわけにもいきませんでしょうし、そうすると、その値決めをどうするかということが問題になるわけであります。
 したがって私どもは、やっぱり国会の議論をもう一遍聞こうやと。株主総会というのは私一人でございますから、じゃどこが株主総会かというと、私は国会じゃないか、国民の代表の方がいらっしゃるから。その意見をまず聞いて、その後で整理して、民間有識者――というのも本当は私言葉では言っておりますがだれが有識者かと言われるとちょっと困るぐらいでございますが、そこへ相談してみようということでございますので、財政以外の横へ置いた議論でも早く売るべきだと思いながら、はい、そうでございますと言えないのが今日の素直な私のお答えであるわけでございます。
○栗林卓司君 そういうお答えがずっと繰り返されておりましたので、「仮定計算例」を使って、六十一年度、従来にはない特殊な資金手当てをしないとどうにも困ることになるのではないか。別に無理な前提ではないんですよ、税収は大体あのとおりの数字を使いましたから。そうはいくかいと言ったらもっと悪くなるんです、もっと穴があくんです。それから、一般歳出はゼロにできない。できなかったらもっとあくんです、要するに資金手当ての量がふえるんです。そう考えてみますと、二千億というのは実は少ないのであって、もっと多いのかもしらぬ。ただ、額の議論を私はしているんじゃないんです。そういった資金手当てが必要になる。といって、赤字公債を出すわけにはいかぬ。目の前に電電の株がある。おっしゃったように、民営移管したんですからなるべく早く売りたい。となると、六十一年度に売却可能な状態に少なくも準備をしておくことが必要なのではあるまいかという意味なんです。
 もしそうだとしますと、おっしゃったように、六十一年度予算で売却の株数と、それから国債整理基金特別会計の予算では額と、両方書き出さなきゃいけませんわね。ということは、これはことしの十二月までに結論を出さなきゃいかぬという意味なんです。六十一年度しなくていいというなら別ですよ。しなきゃいけないんだったら、十二月末までにこの結論は出さざるを得ないでしょう。今六月ですよ。七、八、九、十。十一月は臨時国会ですよ。となったら、この四カ月のうちに結論を出さなければ、少なくも六十一年度どうこうできないというほどいわば切迫した問題でもあるのではないか、こう申し上げているんです。
 まだ時期については結論をお出しになっていないでしょうから、結局聞き流すしかないと思うんですよ。でも、どう考えてみても六十一年度にはこれ売り始めなきゃいかぬかもしらぬ。そのときには、ことしの十二月末、その段階では、何株売るのか、幾らで売るのか、これを決めない限り、六十一年度予算が組めない。そうすると、七、八、九、十、せめてこの間で結論を出さないといかぬというような問題だと思うんです。
 そこで、じゃ一体どういう売り方があるのか。先ほど、国有財産の処分については競争入札があると。競争入札というのはこの電電の株に合うんだろうか。競争入札というのは一番高い値をつけた人が全株引き取ったっていいわけですね、競争入札である以上は。しかし、電電のこれだけ関心を集めた株を、一番高く値づけをした人が全株買い取って果たして承知ができるか。国有財産の処分としたら間違いないんだけれども、一般の国民感情とすると、何だという話になりますよね。したがって、そんなことはできない。
 話を変えまして、土地でも何でもいいですよ、一件について処分する場合には、競争入札という考え方は私は成り立つと思うんです。一万株売ります、一番高い値をつけた人が一千株幾らです、次が一千株幾らです、そうなったら、その高い順番に分けていくのか。当然そうなりますけれども、これほど奇妙なことはない。それじゃ、一番高い値をつけた人が、ばかにするなと言いますよ。おれより安い値をつけたやつがやっぱり一千株持っているじゃないか。したがって、競争入札にはこれはなじまないんです。では一体どんな方法があるか。
 問題は、幾らで売るかですよね。幾らで売るかというのは二つしかないんです。政府が勝手に決めるのか、あるいは相談して決めるのか。政府が決めた場合に、はい、幾らで公募、これはあります。問題は、決められますか。第一回売却をする。転々流通するわけですよ。仮に五万円とします。五万円で売った。市中十万円になっちゃった。十万円になったって文句の言いようがないんですよね。もう第一回の売却以降は、これは市場原理に任すしかない。そのときに差がついたら、そのときの非難ごうごうたる声に政府は対抗できるか。不可能ですよ。そんな責任はだれもしょえない。となったら、責任を幅広く分担させようという格好で、みんなで集まって決めよう、これしかない。そのときに、シ団の関係者と相談して決めるか、あるいは証券市場に渡すので証券業者、アンダーライターの連中と相談して決めるか、どっちかですよ。じゃ、これで危険負担が減るかというと減らない。そうなったら、こういった方法を選ぶのでしようがないから皆さん集まってくれや。これをしなかったら怖くてしようがないでしょう。いつやるか。七、八、九、十ですよ。そうでしょう。
 この私の申し上げているのにどこか問題がありますか。
○国務大臣(竹下登君) 後から中田君にちょっと補足をしてもらわなきゃいかぬと思いますが、それにはもう一つ、会社経営の状況ということになりますと、半期決算というのが一つあると思うんです。一般的に言えば、本決算が出ない前に一体売ることがいいのかという議論もまだ我々の議論の中に残っております、まだ勉強というほどじゃございませんけれども。したがって、競争入札による場合、それはおっしゃるとおりです、一番札のものが全株持っていくということ。町の評論家は、その一番札のものに一番シェアを余計やって、あと二番札以下に一番札の価格で分ければいいじゃないか、こういう議論をする人もおります。これはまだ町の議論という程度でございます。
 それで、今度はシンジケート団の組み方ということになると、これもまた大変なことじゃないかというような感じで、今のところ不勉強のままに来ておるわけでございますが、中田次長が私よりは勉強を、しておっても言えないかもしれませんけれども、その範囲内でお答えするでありましょう。
○政府委員(中田一男君) 売却の際の値段ということになりますと、確かに現在この株は一人株主でございますからマーケットがない。したがって、何らかの評価で決めるのか、あるいは競争入札でむしろ入札者の意向に任せるのか、二つの選択だろうと思うのでございます。栗林委員は、株の売却は競争入札になじまないだろう、こうおっしゃいましたが、実は私ども、国際電電株式会社の株を売却いたしましたとき、それからまた日本合成ゴム株式会社の株を売却いたしましたときに、一般競争入札という手法を使ったことがございます。前後三回ございます。恐らくそのうち二回は失敗例、一回はうまくいった例というふうな感じではなかろうかと思います。
 それで、競争入札をやります場合に、栗林委員がお挙げになりました例は、入札者の入れた値段に応じてそれぞれが違った価格で持っていく、これは一つの競争入札の手法としてコンベンショナル方式として認められた方式でもありますから、電電の株の売り方、どういうふうにするか決めてはおりませんけれども、頭からこれはなじまないんだ、適用できないだろうというふうに私ども現段階で思っておるわけではございません。したがいまして、一般競争入札のような手法を使えば、価格は私どもが決めるのではなく、もちろん入札予定価格といいますか、最低価格といいますか、そういったものをあらかじめ内々に用意しておかなきゃいけないかもしれませんけれども、直接価格を決めるということなくして処分が可能な一つの手法だと思います。そうじゃなくて随意契約、いろいろなやり方がこれもあろうかと思いますけれども、随意契約的な形で売却いたしますときは、あるいは公募方式でも、イギリスの電電が売却しましたようなやり方はあらかじめ価格を決めて売り出したわけでございます。
 したがいまして、競争入札以外の方法で売却するとすれば、どうして価格を決めるかという問題、これは確かに非常に大きな問題だと思います。そのためには、例えば一般的には株式の評価というのはどうやるのか、特に取引事例のない株式の評価などの必要な場合、例えば類似会社と比準して決める方式ですとか、あるいは純資産価額をもとにして決めていく方式ですとか、いろいろな方式が一般に使われておるわけでございますけれども、そういう方式を当てはめて、どういう評価になるかということに迫っていくやり方もあろうかと思います。
 しかし、いずれにしましても、栗林委員が御指摘になりますように、この問題は非常に大きな問題、非常に難しい問題、また先例がないぐらい重要な問題でございますので、私ども、できるだけ幅広くいろいろな方々の意見を聞きながら答えに迫っていく、慎重にも慎重を期して検討を続けてその答えに迫っていくということが必要ではないかというふうに考えております。
○栗林卓司君 私が申し上げたいのは、最初に言ったみたいに、過渡的な資金需要、要するに国債整理基金の所要額を入れていかなきゃいかぬ。減債制度の枠組みを崩すことはこれは不可能ですよね。定率繰り入れの停止というのは枠組みを崩したわけではないという格好で一応説明しているわけですから、あの枠組みを崩すわけにはいかぬ。となると、所要額はどうしても入れていかなきゃいかぬ。この財源処置をどうするのか。これは真剣に考える必要がある。片一方では、これだけの大問題の電電の株の売却ですから、いささかも疑惑を受けることのないように慎重に構えたい。それはそれでいいんです。片一方では財源がない、片一方では慎重にやりたい。この結論をいつ出すのかという私の質問なんです。
 数字は大ざっぱですが大体こんな感じなんでしょう。六十一年度が二千億、よくてですよ。六十二年度が一兆二千億、六十三年度が五千億、後はこれはもう心配ないんです。ただし、一般歳出をずっとゼロでいけたらという前提ですよ。この前提は、過去二年間がそうでありましたから、御努力いただくという前提を立てるのはあながち無理ではないかもしれない。実際には非常に無理を重ねての数字なんですが、一応そういった想定を将来に向かって立てることも無理ではないかもしれない。となりますと、六十一、六十二、六十三年度、このときの国債整理基金の穴をどうやって埋めるか。これは待ったなしで来るわけです。
 それと、株を幾らで売却したらいいか。だれも知らないんですよ。純資産価値といったってそれは低く出るんです。もともと株価というのは、その発行会社の全株がしょっちゅう取引されているんじゃなくて、取引されているある部分で決まっていくんですからね。高いからといってみんな株を売り出しちゃったら、大暴落するだけなんですよ。そんなこと、だれがわかりますか。結局市場に聞けということになるんです。そのときに大量発行にしますか、小出しにしますか、いろんなことを考えていかなきゃいかぬ。しかも、幸いに六十一年度はまだまだ二千億で済んでいる。問題は六十二年度ですよ。そうなってくると、六十一年度、売るかどうかは先の話としたって、売れる条件はつくっておかなければいけないでしょうと私は言っているんです。であれば、六十一年度の予算の中に売却株数、多寡は言いませんよ、売却株数と、国債整理基金の特会予算では額と、これを六十一年度予算で書いておかなかったら、六十一年度全然売れない。なるほど四月一日が出発ですから中間決算は九月、一年たって三月三十一日。三月三十一日までこれは待っていられるのだろうか。
 問題は、今の減債制度の枠組みを赤字公債を出さないでどうやって守るかという意味なんです、僕の聞いているのは。そのときに、目の前に電電の株の売却がある。それを流用したって、格好は悪いけれども別に問題はない。売却益が国債整理基金の枠の中に入っていさえすればこれは大きな間違いはないんですよ。しかも、やがて財政再建ができていくとすると定率繰り入れの復活もできる。問題はこの急場をどう渡るかだと思いながら聞いているのだけれども、確かにこの数年間、今の手当ての面では従来にない原資の手当てが必要だという御認識はあるのでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) それにつきましては、おっしゃいますように純償還額の一兆五千九百億円が見込まれて、六十年度末の基金の残高が今のところ九千九百でございますから、何らかの措置をとらざるを得ないということでございます。
○栗林卓司君 そこで、何らかの処置をとらざるを得ないでは困るのでありまして、どういう処置をとるのかもうそろそろ決めていただかないと困ると思うのですよ。
 六月二十五日で国会は終わるんです。終わった後に決まるんですか。恐らくこれは、来年度の予算編成と絡めながら、どうしようかという決まり方をするんでしょうけれども、従来にないこの資金手当てをどうするかというのは、本当はもう今から決める。赤字国債には頼らない、これぐらい決めなきゃいけませんよ。事実そういうことですわね。赤字国債に頼らないのだったら、この巨額な資金調達をどうやってやるのですか。そこで、電電の株を流用することが罪の意識があるとおっしゃるのかもしれないけれども、よく考えてみたら、これは国債整理基金の枠の中の話なんです、当然それを当てにしてもいいと私は思うんです。
 なぜ今言っているかというと、みんなと相談して早く決めないと、私は政府の立場で言っているんですよ、危険負担させる場所がなくなっちゃうというのです。したがって、審議会でもいいですよ、懇談会でもいいですよ、なるべく幅広く議論させて、衆知の集まるところここでありました、これでも間違ったらごめんなさい。それでも間違うのですよ。絶対合わないのです。だけれども、それだけの手だてをしておかなかったらだめだし、それは七、八、九、十、この四カ月ではないですか、という御認識はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 民間有識者、だれが有識者かは別といたしまして、そういう各方面の意見を聞いてそういう大体期間、十一月も入るかもしれませんが、そんなことが私の念頭にはございます。が、それももう一遍議論をいたしませんと、一体年間決算のないものがやれるかという議論だって全くないわけではないのです。そうすると今度は補正みたいな感じに、六十一年度補正みたいなことに時期が一つ設定されるのか。そんなことも含めてもう少し議論を詰めていきませんとそれこそ大変問題を残すなと思っておるところでございます。
○栗林卓司君 そういったお答えになるのでしょうけれども、やっぱりこれはちょっと切迫しているような気が私しますよ。ですから、どういった売り方をするのか。それは競争入札なのかあるいは談合で値段を決めながらその価格で処分をしていくのか、それはいろいろあるでしょう。それはまた御検討いただいていいんだけれども、少なくもことしの夏ごろには、審議会か懇談会かわかりませんけれども、そういった有識者を集めた会合は開きますということぐらいはもうおっしゃった方がいいのじゃないでしょうか。いつまでも、とにかくいささかも疑惑を招かないようにと言っていますけれども、不可能ですよ。
 純資産価値で言いますと一株当たり二十一万三千二百十円です、五万円の株価に対して。でも、二十一万三千二百十円で、じゃ価値を代表しているかといったら、これは簿価ですから含みは全然入っていないんです。したがって、こんなのは到底参考にならない。じゃ類似業種。これも参考にならない。そうすると、買い手の方は安く買いたい、政府は高く売りたい。問題はこの駆け引きですよ。でき得れば、第一回の売却が行われた後の転々流通価格と、第一回の売却価格の差がなるべく少ない方が望ましいです。とはいったってそれは開くでしょう。英国の電電公社の売却のときに大問題になりましたけれども、あれも、株価というのはあんなことだと思うのです。これは一年たったって二年たったってだめですよ。だったら、早い目に結論を出してそして早い目に処分。といったって、段階的にやっていくしかないと思う、相手は市場なんですから。
 そうするための懇談会等についてはなるべく早期に設置をしながら、そこでかんかんがくがくの議論をやっていただいて、みんなもうくたびれちゃってそれで前に進む、これしかないじゃないですか。
 以上を申し上げて、質問を終わります。
○委員長(藤井裕久君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時四十一分散会