第102回国会 大蔵委員会 第2号
昭和五十九年十二月六日(木曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 十二月四日
    辞任         補欠選任
     丸谷 金保君     大木 正吾君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                塩出 啓典君
    委 員
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤野 賢二君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       大蔵政務次官   江島  淳君
       大蔵省主計局次
       長        平澤 貞昭君
       大蔵省主税局長  梅澤 節男君
       大蔵省理財局長  宮本 保孝君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵省銀行局保
       険部長      加茂 文治君
       自治省税務局市
       町村税課長    緒方勇一郎君
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  本日の会議に付した案件
○連合審査会に関する件
○租税及び金融等に関する調査
 (当面の財政及び金融等に関する件)
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○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四日、丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として大木正吾君が選任されました。
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○委員長(藤井裕久君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 日本電信電話株式会社法案、電気通信事業法案、日本電信電話株式会社法及び電気通信事業法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、逓信委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(藤井裕久君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○竹田四郎君 まず、資料関係からちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、十一月の十九日に日本経済新聞に六十年度のフレームワークとして出ていた数字がございます。それからさらに吉野主計局長が税調でお述べになった骨格がございますけれども、この二つの数字を比べてみますと大変大きな違いが実はあるわけであります。十一月十九日の紙上で出ておりますところのフレームには定率繰り入れを中止しているわけです。ところが、税調で述べているのを見ますと、一兆八千六百億の定率繰り入れを組み込んでおります。この結果が相当大きなものだとは思いますけれども、税収についても五千億ぐらいは違っておりますし、また税外収入についても約七千億弱違っております。したがいまして、収支のアンバランスを見ますと、十一月十九日の収支のアンバランスは二千九百億ですから、非常に大きいという数字にはこれはなっていないわけなんです。
 ところが、税調で発表したのを見ますと、収支の差が三兆五千九百億という形であります。もし定率繰り入れを抜いたといたしましても一兆七千億の収支のギャップが出る、こういうことになっているわけでありますが、この二つの新聞記事を見まして、私どもは、これは税調になるべく増税してもらうように税調の各委員の人に吹っかけているんだなという感じにしか実際上我々は受け取れないわけであります。
 今、増税のことがいろいろ言われておりますけれども、こんなに違う、三兆三千億も違う数字というものを平気で出している神経というのが私はよくわからないわけであります。税調に出したのは確かでありましょう。日経に載っていたのは、正式に発表されたのかスクープされたのか知りませんけれども、こうした数字を日本経済新聞が勝手につくるとは私は思いません。恐らく大蔵省のどこかでこういう試算がされているというふうに私どもは見ますけれども、一体これはどういうことなのか。
 また、税調に、定率繰り入れはここ四年間やめているのに、わざわざ定率繰り入れを一兆八千六百億いたしますよという数字を出しているのは一体どういうわけなのか、その辺の神経がよくわからないのですね。私の部屋に来れば、定率繰り入れをある程度しようと言うと、そんなことはもうけしからぬ、そんな国民に迷惑をかけることはできませんと、こう言っていながら、片一方、税調にはこういうものを示している。本当に理解できない大蔵省の二面性というのか、二つの態度といいますか、これはどうなんですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今委員からお話がございました一つは、税調で先日主計局長が説明した資料がございます。この資料は、前国会にお出しいたしました「財政の中期展望」の計数をベースにいたしまして、それにその後の概算要求あるいは人事院勧告の取り扱い、それらが決まったわけでございますので、それを一応織り込んだものを六十年度の財政事情の当面の考えられる姿として御説明したわけであります。
 他方、十一月十九日の新聞に載っていたという方でございますけれども、これにつきましては、我々としてはそのような方針を新聞に書いてあるように決めたということではございませんで、先生御存じのように、現在各新聞がそれぞれいろんな数字をこのところ出しておられまして、ある意味では各紙がこうなるだろうということでお書きになったんじゃないかと思われる数字もあるわけでございます。したがいまして、この新聞の数字につきましては、我々としては関知してないということでございます。
 それから税調での主計局長の説明の際に、定率繰り入れについて国債費の中に入れているということでございますが、定率繰り入れにつきましては、五十七、五十八、五十九と毎年度財確法あるいは特例法を国会にお出しして、そこで御審議願って、そのたびごとに停止を決めてやってきているわけでございます。したがいまして、六十年度につきましては、現在の法律上の規定といたしましては定率繰り入れを行うということになっておりますので、その法律の規定に従って定率繰り入れという数字を入れて試算したものを税調で御説明したということでございます。
○竹田四郎君 あなたの方が、十一月十九日のものは責任がない、それは新聞社が勝手にこういう数字をやったんだと言ってしまえば、それはそれまでのことですがね。正式な発表があったかどうかは別です。しかし、こういうことが大蔵省の中のどこかで議論されていなければこういう数字は出てこないと思うんですね、現実に。幾ら日本経済新聞社がコンピューターを持っていても、一般歳出がどうなるのか、こういうようなことは恐らく私は幾らコンピューターがあったってはじき切れないと思いますね。そうなってみますれば、どこかでこういう計算がされている、こう思うんですよね。
 だから、今ここでそういう議論をしても、大蔵省の方は、それはにせの資料でございまして正確な資料でございませんと、こう言われておりますから、これ以上議論の対象にはならないと思いますけれども、例えば税収などにしましても、税調に出した来年の税収見込みというものと日経がつくっている税収見込みを見ると、だれが見ても三十七兆六千億の方が正しいと思われるわけですよね。税調に出したのは「中期展望」そのままを出しているわけですね。こういうことを見ますと、必ずしもあなたが否定したように国民は受け取ってない。やり方によっては、ギャップが二千九百億ぐらい、そんなにそう大騒ぎをしなくてもいいようなギャップになるんではないだろうか、こういうことにもなります。現実に自民党の税調に出して経団連から大分文句を言われた税収三十八兆、そういう数字を大蔵省は示され、これで自民党の税調会長は経団連から大分食いつかれたというニュースが出ておりますがね。そういう形で、どうもその辺でもむしろこの十一月十九日の資料の方が信頼性が高い、こういうふうにしか思えないわけでありますが、これはきょう議論はいたしません。
 しかし、何で税調には定率繰り入れ一兆八千六百億というものを入れた数字をわざわざ出したんですか。それはまだ定率繰り入れが六十年度については中止するかどうかはわからぬ、こういうことであろうと思いますね。そういうことであれば国債の方も十一兆六千一百億はそういうふうに決まってないでしょう、まだ。六十年度の特例公債もちゃんと入っていますか。これは法律でやっていいということになっていますか。計算していいということになっていますか。その辺の数字というのはどういうふうにやっているのか甚だ理解に苦しむ数字を税調に出している。こういうふうにしか思えませんよ。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほどの私の説明とダブるところもございますが、税調に提出いたしました資料は、前国会にお出しした「財政の中期展望」の計数をベースに、その後概算要求あるいは人事院勧告の取り扱いを決定いたしましたので、その二つの要素を織り込んだ上で「中期展望」の計数を、その部分を改定いたしまして、それで税調で説明したと、こういうことでございます。
○竹田四郎君 「中期展望」というんですけれども、「中期展望」そのままじゃないでしょう。そのまま出しているわけじゃないんですよね、税調に。例えば税外収入なんかははるかに大きな違いがありますし、それから地方交付税の問題でも大きな相違があるわけですから、修正して出しているわけですよ。だから当然定率繰り入れを今まで四年間やらない、そして私どもが仄聞するところによると、六十年度もやらないというんですから、当然その分はのけて税調にお願いして、したがって収支のギャップはこのくらいになるからひとつ税制について御審議をいただきたい、こういうことになるのは当然じゃないですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほどこの「中期展望」の計数を修正いたしました点を細かく申し上げませんでしたが、細かく申しますと、税外収入につきまして若干いじりましたのと、それから地方交付税につきましては、これは自治省からの概算要求の数字でございますので、その意味では先ほど御説明した概算要求の数字で入っているということでございます。
○竹田四郎君 いずれにしても、幾らかずつ修正していることは事実なんですね。そのままじゃないんですからね。
 来年は、大蔵大臣、定率繰り入れはどうするんですか、現実に。まだ決まっていないということですか。
○国務大臣(竹下登君) 竹田委員おっしゃいましたように、今端的に答えろとおっしゃれば、決まっておりませんと言わざるを得ない情勢にあります。
 この問題については、今御指摘のありましたように、過去それを停止してきた。しかし、仮にこれを停止するといたしますならば、六十年度はそれなりの機能を果たすかもしらぬが、六十一年になると大きな予算繰り入れが必要になるということを考えれば、一方、荒っぽく、ここのところ継続しておったからそれでいこうかというところにまで踏み切れないし、したがってテキストをどこに求めるということになると、あの財政審の答申によりますところの減債制度の基本は維持しろとおっしゃっているそのテキストも現実に存在しておるということになると、それこそここのところ何日と申しましょうか、二、三週間の間に適切な結論を結果としては出さなきゃならぬ。だから、現時点においては確かにいろいろな要素を踏まえながら、結論を出すに至っておりませんということをお答えするのが一番正直なのかなと、こういう感じでございます。
○竹田四郎君 今度は政令改正で短期国債を出すということが可能になったと、こういうことでありますけれども、しかし資金繰りとしての短期国債を出すということになりますと、それぞれの特会の中で若干法律的に問題があると思うんですけれども、その辺は、当然今度は、国債整理基金特別会計を来年度は改正するということに恐らくなるだろうと思いますけれども、それはまたそれとしまして、大体基金の状況というのは一体どんな状況になっているのか。来年は六千億とも言われるし、いやいや、もっとあるんだ、八千億とも言われるし、いろいろ言われているんですが、我々には余り明らかになっていない。前回のこの委員会以降から、いろいろ短期国債の議論というのがされているわけでありますけれども、短期国債に非常に多くのものを依存するというのは私は反対です。本当に純粋に資金繰りというためにある程度の短期国債というものは、これは認めるのにやぶさかではありませんけれども、短期国債を多く出していくというようなことは、私はやがてそれは無制限な発行になっていく可能性があると思うんですね。ですから、恐らく来年もこの特会の総則か何かにおいて短期国債の発行限度というのは当然述べられてくるだろうと思いますけれども、これは小なくすべきだと、こういうふうに思いますし、そのために基金というのを常日ごろ、もう少し一般会計を犠牲にしてでも、これを積み立てておくべきだ。やっぱりどこかはちゃんと痛みを感ずるようにしておかなければ、国債というのはずるずる伸びてくると思うんですよ。だから、私がこういう議論をすると大蔵省の人は、高い金利の長期国債なんか借りられるか、短期国債の方が国家にとって利益になるんだと、こう言うんですけれども、近目で見れば確かにそうかもしれません。しかし長い目で見ると、会計が痛みを感ずるという仕組みをちゃんとしておかなくちゃいかぬ、私はこう思うんです。そういう意味では、一・六%の定率繰り入れがいいかどうか、これはちょっといろいろ今後検討していかなくちゃいけませんけれども、少なくとも一般会計から相当程度の基金への繰り入れというものは原則的にやっていくべきだ、こう思うんですけれども、これは大蔵大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 国債の信認を確保する意味からいたしましても、減債制度の基本は維持すべきだという財政審の答申も、今竹田委員の御意見を交えての御質問の趣旨が議論の結果そのようにつづられてきたものじゃないかと私も思っております。
 短期国債そのものを全般的に否定するものではないとおっしゃいましたように、一時期に集中して発行しておりますだけに、償還期が一時期に集中してくると、それをある意味において分散する必要があるという角度からの御議論で、いつもおっしゃているような範囲にとどめるのが私どもの財政秩序に対する一つの良心というものじゃないかなと、こういう自己認識はしておるつもりでございます。
 ただ、今おっしゃいましたように、金利というものを考えた場合に、短期国債で、言葉の表現は悪いんですが、転がしていくというような議論をなさる人も、それはたくさんございますが、私は財政節度の点からすれば、竹田委員の御議論の方に自分の良心は位置づけしておくべきじゃないかという認識をしております。
○竹田四郎君 ちょっと数字をおっしゃってください、基金の数字を。
○政府委員(平澤貞昭君) 基金の数字でございますけれども、前に国会にお出ししました際の数字では、六十年度末で約六千億ということでございましたが、その後五十八年度の国債整理基金特会の決算が確定いたしまして若干の剰余金が出ておりますので、その数字を足しますと八千億円程度になろうかと考えられております。
○竹田四郎君 それじゃ若干数字的なことをお伺いいたしますけれども、五十九年度の税収見込みというものは、もちろんまだ半分しかたっていないわけですから正確には出てこないと思いますけれども、先ほどの税調に出した資料にいたしましても、本年度から比べますとかなりの税収は伸びているわけですね。約二兆五千億ぐらい伸びているわけですけれども、五十九年度の見通しというのはどんなになっておりますか。できたら法人税、所得税、物品税、酒税、そのぐらいの大きなところでおっしゃってください。
○国務大臣(竹下登君) この五十九年度の自然増収、五十九年度税収実績、これは本日発表する予定にしております。これは十月末税収でございますけれども、十月末税収によりますと、前年度比伸び率が六・三%。これはしたがって予算伸び率であります六・九%を〇・六%下回っております。これは十月時点でございます。
 で、年度を通した税収の動向につきましては、現在鋭意見直し作業中でありまして、計数的に厳密な見通しを述べるにはいましばらく時間を要するわけでございますが、これまでに判明しております課税実績、それから企業ヒアリング等をもとにあえて現時点での、きのう随分議論しましたが、感触という言葉を使わせていただきまして、感触を申し述べさせていただきますならば、法人税についてはある程度の増収は見込める。法人税以外の税目には低調なものもありますために、全体として予算額に対して二千億をやや上回る程度の増収と、こういうことにお答えの統一をきのう議論してしたわけでございます。
 よく私が、これは別に学問的な数字じゃございませんけれども、一%は誤差のうちとかなんとか本委員会においても言わしていただいたことがございますが、それを念頭に置いて、あえて数字をつくったわけじゃございませんけれども、大体二千億円をやや上回る程度の増収ということにとどまるではなかろうかなと、こういう感じでございます。非常に大ざっぱに言いますと、酒税などが多少落ちるのかな。要するに、所得税がとんとんで、そして酒税等で多少落ち込みのものがありましても、その他がとんとんになって、全体で法人税の伸びたのだけがプラス要因になるのかなというような感じでございます。
 まず一応統一しましたので、これを読み上げてみます。
 源泉所得税。源泉所得税の大宗を占めます給与所得分については、現在までの課税実績及び最近の給与の支払い状況、春闘ベア、ボーナス相場等の各種指標からあわせ考えると、ほぼ予算どおりと見込めます。
 次にその他でございます。物品税や有価証券取引税のように比較的好調な税目があるが、酒税のようにかなり低調な税目があり、全体として見れば、予算の見積もりに対し若干の減収が生じる可能性がある。
 次に法人税。法人税収の動向については、今後の景気動向等の推移を深く見守る必要があるが、企業ヒアリングの状況等から判断すると、好調な企業収益を反映して予算額をある程度上回るものと期待される。
 こういうことを議論して、きょうお答えをつくりましたので読ましていただきました。
○竹田四郎君 私は、給与所得は、いろいろな指標を見ましても、この一年就業者数もふえているし、それから労働時間も延びているし、給与も減っていることはございませんので、もう少し伸びるだろう、こういうふうに思わざるを得ませんけれども、これは中途の数字でありますから、今後にまつということにしたいと思います。
 その次に、税外収入が非常に低いわけですね。この中で確かに電電の臨時納付金が二千億なくなったにしましても非常に少ないんですけれども、これは一体どういうことなんでしょうかね。
○政府委員(平澤貞昭君) 税外収入につきましては、過去数年間にわたりましていろいろな努力をしてまいったわけであります。したがいまして、言うならば、あっちこっちのポケットにあったものを全部出してきたような姿になっておりまして、その意味では、今現在予想される六十年度の税外収入の見通しといたしましては、大きなものが期待できないのでございます。
 特に電電の納付金は二千億ございますし、それからその他日本銀行からの納付金、それから外為会計からの納付等々も大きなものが見込めないというのが現状でございます。そのような結果、数字的には一応現段階で見込まれるものはマイナスになっているということでございます。
○竹田四郎君 あなたはおっしゃるんですが、外為はそう減ってないんでしょう、今度だって。百億単位の問題ですよね。それから日銀が確かにことしは一兆二千億ばかり納付しておりますから、これが若干減るかもしれませんけれども、これだってそう大きなものではありませんね。ほかの方は大体そんなに急激に減るというものじゃないと思うんですよね。それがどうしてこんなに七千億、八千億近いものが減ってしまうのかということは本当は理解ができないわけですけれども、どうなんでしょうか。例えば輸銀、開銀なんかの問題も恐らくあるだろう。輸銀についてはどうかわかりませんけれども、開銀あたりはもうけがまだあるんではないだろうか。こういうふうにも思いますし、ほかで物すごく減りそうなものというのは感じられないわけですよね。だから、税外収入はもう少しふえてもいいと思うんですが、どうですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 例えば日銀納付金につきましては、金利が下がってきているというようなことも大きな要因でございますし、それから外為特会からの受入金が五十九年度予算で二千二百億ございましたが、概算要求の際にはこれは一応ゼロということで出てきております。それから、先ほど申し上げましたように、電電公社の臨時納付金が二千億五十九年度にはございましたけれども、六十年度の要求にはこれはゼロになっておるわけでございます。それから専売につきましても三百億だったのがゼロになっている。それからその他細かいものにつきましても、いろいろ五十九年度については無理と申しますか、いろいろ努力をして納めてもらっておるものにつきましても、六十年度についてはそろそろ限界に来ているというのが細かいものについてもございまして、そういうものを合わせた結果が概算要求のような数字になっているということでございます。
○竹田四郎君 この税外収入をなるべく少なく見積って、電電の株を売らしてもらったり、それから税金をうんと多くしようというふうに心がけているんじゃないですか。それでないと、私はもっと出ると思うんですよね。外為のものだってゼロというふうにおっしゃっていらっしゃいますけれども、これも出てくるだろう。そういう意味では、大蔵大臣、もう少し税外収入というのを探すべきだと私は思うんですよ。何かその辺の努力が、今までの持ち分を出しちゃったからもう探さないというようなことであってはならぬと、こういうふうに思うんですけれども、これはこれから努力してもらわなければいけないと思います。
 電電の株はどうしますか。当初予算には組まないと、こういうふうにおっしゃっているわけでありますが、後の税調の成り行きいかんにもかかわるかもしれませんけれども、電電の株については今市場でいろいろ議論をされているわけですが、これほどうなっていくんですか。来年の補正ぐらいで考えていらっしゃるんですか。それとも、これはもう慎重に、当面考えないと、こういうことなんですか。どうなんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) まず最初、税外収入の問題でございますが、竹田委員毎度御指摘になりますように、八月の概算要求の段階はなりますと、電電、専売を別といたしまして、他の点については、要するに年なら昨年で予算編成の最後に追い込んでいろんな御協力をいただいたということがございますので、概算要求時点のものももちろん大きな参考になりますが、最終ぎりぎりまで今御指摘なさいました外為特会等も含め、これは強烈に格段の努力をしなきゃならぬ。事がいつでも、概算要求と本じまいのときとこの問題はいつもずれた形で精力を集中するようになる性格がとかくございますけれども、御趣旨のようなことで努力してみたいと思っております。
 それから今の電電の株式の問題ですが、これも一番答弁しにくい問題は、法律が通ってないときに仮定の事実を置いてという問題も一つはあるなと思って見ております。が、私どもといたしまして、そういう状態になったときも、これが世間様から見てまことに立派な形で処分されなければなりませんし、そしてその収入に対しましても国政全般を見てこれは決定すべきことでございましょうし、お答えの際も非常に慎重に対応して今日まできておりますが、一つの常識から考えてみまして、法的不可能という意味はなくても、要するに今もちろん法律が通っておりませんが、通していただく、そして四月一日の発足が一応確定する、その中間に近い段階で、今年度中に予算編成をするということになると、法律的の可能性は、それは絶無ではございませんが、四月一日から民営になるもので、そして一遍も中間決算もわからないものを前提にして予算に組むというのは、どうも法律以前の、いわば株式会社の常識的な措置からしても、ちょっと無理じゃないかなというような気がいたします。これは軽いディスカッションをしてみてもそんな議論が間々出ます。したがって、処分の方法も含めて議論すべき問題でございますので、慎重の上にも慎重に対応すべき問題ではなかろうか。歯切れが悪うございますのは、法案が通るまだ前の段階であるということも含めて御寛容願いたいというふうに思います。
○竹田四郎君 私どもは、電電の株式を売って赤字の穴埋めをするということについては私どもの党は反対でございますけれども、そうすると今の大臣のお話を聞いていると、法律が通れば来年は考えられる可能性が出てきた、法律が通りさえすれば。こういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか。法律だけですか、それともほかの方の条件がいろいろあるから決められないとおっしゃるのですか。法律が通れば、そして会社が成立すればそれでいいというのですか。その辺がもう少しわからないのですが。
○国務大臣(竹下登君) これは非常にお答えにくい問題でございますが、法律が通っていない前にどうのこうのと言う議論もいかがかなという気持ちもございますが、法律が通れば一応法的に売ってはならないということにはならないとは思います。が、私の現段階における心境をも含めて申しますならば、まだ発足はしていない、発足するのは四月一日でございます。そうして発足しても仮にそれ以前にそういうものを予算に計上するということになれば、一遍も決算してない会社の株を評価することになるわけでございますから、その辺も法律的に全く不可能ということはないであろうけれども、常識的にはそれらの段階で株を売ることを前提に歳入財源を考える状態ではないんじゃないかなというふうに思っておるところでございます。だから、法律が通ればどうにでもできるというのは、法律が通れば法律上は可能でございましょうが、商慣習等から見て、それを発足以前に歳入財源として乗っけるというのは、やっぱり避けた方がいいんじゃないかなというような議論はしておるところでございます。
○竹田四郎君 そうすると、もう一回言い直しますと、第一回目の決算後はいい、だから第一回の決算がされる六十年度はだめだ、こういうふうに理解しておいてよろしゅうございますか。
○国務大臣(竹下登君) そこまできぱっと言い切ってしまうのも少し出過ぎておるのかな。常識的にはそんなことを私考えますけれども、法律的に言えば、民営にするわけでございますから、第一回の決算が出ようと出まいとやってやれぬことはないという理屈は、議論しておれば成り立ちますけれども、普通の商慣習で、一遍も決算してないものを上場、市場へ出すわけですからそれはいかがなものかな、値段の決め方から何から大変難しい問題がありはせぬだろうかなという気持ちが常識の上においてはある。でございますが、だから六十年度は絶対に――もちろん今おっしゃいましたように補正のときにはどうするか、こういう議論も出てくるかもしれませんけれども、したがってそういうものも含めて総合的な判断をしなきゃならぬから、今画然と、当初予算にはのっけません、そして補正は、例えて申しますならば、半期のおおむね決算の見込みが立ちますから、あるいは可能性もありますとかいうようなところまで整理した議論をまだしてないというふうに御理解いただいた方がいいんじゃないかなと思っております。
○竹田四郎君 それから、これは主税局長にお聞きした方がいいと思うんですが、いろいろ今まで税調にお諮りしているのかしていないのか知りませんけれども、税制の手直しをするということで、退職給与引当金とか貸倒引当金とか、あるいは中小企業の交際費だとか広告課税だとか、こういうような各種のものがありますけれども、そういうので税調の御意見を求めて実施していこうとするものですね、どんなものがあるのか、ひとつおっしゃっていただきたい。お酒もしょうちゅうなんかのことがあるでしょうし、あるいは印紙税なども大変いろいろ議論を呼んでいるところでありますが、こういうものは一体どうするのか。それから物品税についても、紙の話もちらっと出たこともあります。電池の話も出たことがあります。OA機器関係のものを一体どうしていくのか。これらの税制全体に対してどういう手直しを具体的に税目的に考えていらっしゃるのか、その辺をひとつおっしゃっていただきたい。
 それからもう一つは、今問題になっている公益法人あるいは協同組合の税率でありますけれども、これは上げるんですか、どうするんですか。これは去年上げたばかりなんですね、一%ではありますけれども。しかし、こういうものを毎年毎年上げていくということは、一体税制に対する信頼度からいかがなものだろうかと私は思うんです。もしことし上げるということになれば、去年の一%は間違いであった、こういうことに当然なるわけですね。去年のが正しいとすればことしはそういうことをやる必要はない、こういうことになるんですが、その辺もあわせてひとつお答えをいただきたい。
○政府委員(梅澤節男君) 六十年度の税制改正の検討項目といたしましてただいま税制調査会の方に私どもの方からお願いをしております項目につきまして、列挙的に簡単に申し上げますと、まず法人税につきましては、退職給与引当金累積限度額、それから貸倒引当金の繰り入れ率。公益法人につきましては、ただいま御言及がございました税率の問題並びに運用資産収益等の問題。交際費につきましては、中小企業の定額控除の水準をどうするかという問題、そのほか赤字法人の課税問題、これは非常に新しい問題でございますが、これについてどう考えるべきかという問題。それから広告課税についてどう考えるかという問題。それから租税特別措置一般につきましては、これは例年のとおり既に党と各省庁で個別事項ごとに折衝いたしておりますが、そういうものも含めまして、全体として検討項目として提出をさせていただいております。それから物品税については、課税範囲の拡大について検討項目をお願いいたしております。それから自動車関係諸税につきましては、暫定税率が期限が到来いたしますのでこの取り扱いについてお諮りをいたしております。
 ただいま委員がおっしゃいました中で、公益法人の問題と物品税の問題につきましてやや詳しく申し上げますと、公益法人の税率につきましては、現在基本税率が二六%になっております。これに見合う普通法人の基本税率が四三・三%、中小法人の軽減税率が三一%でございまして、この税率の格差につきましては、従来から税制調査会の答申等でも、本来公益法人の収益事業につきましては、公益事業に財源として移した後の部分については全く普通法人の税率と同じであっていい、協同組合につきましても事業分量配当後の留保所得につきましては、性格上、税の理屈といたしましては、普通法人の税率と全く同じでいいという御見解がございまして、なるべくこの格差は縮小すべきであるという考え方に立っておるわけでございます。その観点から六十年度におきましては、この公益法人それから協同組合の税率については相当程度引き上げるということについての可否についてお諮りをいたしております。
 御案内のとおり五十九年度の税制改正で確かに一%の税率の引き上げをお願いいたしました。これは所得減税に見合う財源補てんの意味も兼ねまして、公益法人、協同組合等に限らずあらゆる法人につきまして、普通法人につきましては一・三%、その他につきましては一%、二年間の暫定措置としてお願いをしたわけでございまして、今回お願いしておりますのは、むしろ税率の構造的な観点から恒久的な税率の引き上げという観点からの御検討をお願いしておるわけでございます。
 それから物品税につきましては、これも現在の物品税の課税範囲、限定された考え方よりももっと広く、物品税本来の物品の消費の担税力に着目するという観点から、現在の消費の動向、物品の使用状況等を考えながら適切な課税範囲の拡大をお願いするという観点でございますが、六十年度につきましては、具体的にはワードプロセッサー等五品目、そのほかこれとの関連でいわゆるオフィスコンピューター、パーソナルコンピューター、大ざっぱに言いますと六つの品目に限定いたしまして、現在これを物品税の課税範囲に取り込むことがいいかどうかという点について御検討をお願いしておるわけでございます。
○竹田四郎君 そうしますと、私が例示した印紙税それから紙製品の物品税、電池等はお諮りをしていないというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(梅澤節男君) 物品税につきましては、ただいま申しました六品目に限定してお諮りをいたしておるわけでございまして、ただいま委員が例示されました紙とか電池とかいうものについては六十年度の検討項目としてはお諮りをしておりません。
 印紙税につきましては、個々の手直しはあるいはあり得るかとは思いますけれども、五十六年度に大幅な税率の引き上げをお願いいたしましたので、印紙税によって結果として大幅な増収効果が生じるような意味での印紙税の改定の御検討はお諮りをいたしておりません。
○竹田四郎君 そうすると、公益法人のものは大分大幅に上げるということでありますが、そうすると去年のは適切でなかった、これはやり直しだと、結局こういうふうに理解してよろしいわけですね、いろいろ理屈はありますけれども。
○政府委員(梅澤節男君) 先ほども申しましたように、そうでもございませんで、五十九年度の税制改正は全法人につきまして二年間の暫定措置としての税率の引き上げを、これは専ら所得税の減税財源との絡みでいわば臨時的な措置としてお願いしたということでございまして、今回検討をお願いしておりますのは、公益法人、協同組合の現行の税率が、税制の建前として現在の軽減税率が一般の法人の基本税率との格差が大き過ぎるという税制のいわば構造的な基本的な問題として提起しているわけでございまして、ことしの一%の引き上げをお願いしたという観点と考え方が違うわけでございます。
○竹田四郎君 それは理屈なんですね、そういうのはね。取られる方からしてみれば、去年は一%のプラスで済んだけれども、今度は五%ぐらいのプラスにされるということになると、取られる方は、主税局長は理屈を盛んに言うんだけれども、そんなら一緒にしてくれりゃいいじゃないか、その方がわかりいいじゃないか、こういうことになると思うんですね。だから、理屈ということも必要でありましょうけれども、税金を納める人の立場というものも考えてやらないと税制に対する信頼度というのは私は失われると思いますね。これからますますそういうことになると思うんですよ。その辺あわせてお考えをひとついただきたいと思います。
 時間がありませんから次へ移ります。
 防衛庁の経費のGNP一%問題なんですが、今度三・四%のベアで今年度は四百三十億ですか、それだけで防衛庁費が膨張するというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 本年度のベア分が具体的に細かい数字でどうなるかというのは現在詰めているところでございます。しかし、仮にベースアップすると計算した場合に、防衛庁の場合に数字的には恐らく百二十億円台の後半の数字になるかと思います。したがいまして、それで計算いたしますと四百前後の数字ということになるわけでございますけれども、具体的には既にそのうち一%分については既定予算に組んでおりますので、したがって、残りの部分がプラスになるというふうに考えられるわけでございます。
○竹田四郎君 そうすると、どのくらいになるんですか、防衛庁の費用は。二兆九千、そのあとの数字はどういう数字になるんですか。
○政府委員(平澤貞昭君) 数字といたしましては二兆九千三百四十六億というのが既定予算でございます。二兆九千三百四十六億円であります。したがいまして、それに今回のベア分がどれだけ乗るかということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、現在その具体的なものを詰めている部分が数字的にまだ少し変動する要素があるのと、それから例年、これも御存じのように、給与につきましては補正段階で節約等によりまして減額する部分がございます。これがどの程度になるか、これも現在まだ詰めている段階でございますので、数字的にぴったしのものが既に我我の頭の中で決まっているということではないわけでございます。
○竹田四郎君 今一番問題になっているのは、一体防衛費の一%の枠をどうするかということが問題なんですよね。仮に一円ふえたってこれは私は問題だと思うんですね。その枠内でやるということが、一たん踏み出されてしまうということになったらどんどんどんどん踏み出されてしまうんですね。しかも、大蔵省としては、ことしの経済成長については当初の経済見通しを直してないわけです。経済企画庁が直そうと言ったら、これについて賛成できなかったから、経済企画庁の成長率が経済企画庁独自のものということになってしまったわけでしょう、名目六・五というやつがね。それを数字的には経済企画庁のその数字を入れていれば、こんな問題を提起するまでの数字にはいかなくてよかったわけです。大蔵省はそれを拒否したわけですね。大蔵省はいまだもってその当初の名目五・九%ですか、それで計算されていらっしゃるわけでしょう。そうしますと、ことしのGNPは二百九十六・幾ら、二百九十六兆幾らという数字になってくると思うんです。だから私は問題にしているわけです。ですから、その点は、経済成長は当初の経済成長よりも伸びたと、こういうふうに思っていらっしゃるんですか。それとも、それはそのままだというふうに思っていらっしゃるんですか。その辺はどうなんですか。
○説明員(北村恭二君) 経済企画庁で九月に経済成長率を企画庁限りの試算として上方修正しておりまして、私どもこれが五十九年度経済を予想する上での一つの材料を提供しているものだというふうに考えております。レビューに示されております具体的計数につきまして個別に評価する材料を持ち合わせておりませんけれども、全体の方向といたしましては、おおむね私どもの考え方と余り大きな違いはないというふうに考えております。いずれにいたしましても、今後こういった試算、あるいは新しいデータもその後出ておりますので、年末に行われます五十九年度の政府経済見通しというものをどういうふうに見直すかということにつきまして現在作業を進めたいというふうに考えている段階でございます。
○竹田四郎君 最後の質問でありますが、大蔵大臣、数字を後でどうこうするということでは私はないと思うんですね。この問題は極めて政治的な問題だというふうに私どもは理解しております。ですから、その辺は明らかにしていただかなければ問題が後へ残ってくると思いますよ。だから、経済企画庁の数字を使えば、一%の枠というのはそれなりに今までの決定というものとそう大きなそごはない。私どもは内容的には問題はあると思いますが、形の上ではそうそごはない。しかし給与を出したりなんかするのは大蔵省ですわな。そこで、これからよく調べてみたらなんということには私はならぬと思うんですね、この問題は。政治的に早くぴしっとすべきものはする、オーバーしそうなら抑える、これを何とかして最後の収支決算して、決算した後どうだこうだという問題では私はないと思うんです、この問題は。今聞いていると、不用の額が出てきて、それに加えたりしたら内部におさまるからというような技術的な問題じゃないと思うんですがね。その辺は大蔵大臣、はっきりしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) この防衛費の対GNP比の問題につきましては、もちろんGNPの推移等不確定な要素がありまして、見通しを述べるというのは将来の問題になれば非常に困難な問題もございますが、基本的には五十一年の三木内閣の防衛費に関する閣議決定の方針についてこれを変える考えはないということであります、一つは。
 それから、今おっしゃいました現在進行中の予算、五十九年度予算の問題、これは今竹田さんおっしゃいましたように、経済企画庁は五・九から六・五に上方修正、きのうの発表になりました分を見ますと、五十八年の分が、もう大分過ぎ去ったような気がしておりますが、諸要素が出て、五十八年が四・一が四・二に今になって上方修正される。こういう性格のものでございますから、多少の動きはあったにしても、そこのところは基本的な考えがもう一つございまして、いろいろ議論しましたが、経済企画庁の方で見れば、経済運営の指針だから、ややアメリカがやっておるように毎たび、毎月、あえて毎月ではございませんが、修正して出してそれを国民の皆さん方に参考の指標として大いに目で見ていただくのがいいんじゃないかという発想が一つあるわけです。
 我々の方は、その議論をするのにいたしますと、今のような予算に絡むいろんな問題が出てくるから、やはりかちっとしたところでいつでも十二月末に翌年度の名目成長率、実質成長率等を見ょうやということが慣例となって今日に来ているわけです。したがって、私どもといたしましては、あのお出しになった六・五%というのに大きな差はないと思っております。が、いずれにしても、さらに濃密なデータ等で議論して十二月には決めなきゃいかぬわけでございますから、来年度の問題について、そうすれば今年度の問題についても議論の時間もございますし、確たるものが出ていくだろう。したがって、経済運営の指標としてしょっちゅう上方修正、下方修正を出していくということも一つの考え方でございますが、財政当局としてはかちっとしたものを出す時期というのは十二月じゃないかなあという感じを持っております。しかしながら、そういう修正をしたといたしましても、私は結果として、今歩いております五十九年度予算が節約もございましょう、不用も出すでございましょうが、一%を補正段階で超すであろうということは考えておりません。超さないで済むというふうな前提の上に立って作業を進めておるということであります。
○竹田四郎君 わかりました。
○鈴木一弘君 今度の内閣の発足以来、最初から増税なき財政再建ということが路線として出されてきたということは承知しているんですが、しかし、最近の自民党首脳の発言では、増税なき財政再建というよりも、それは不可能であるというような発言がぽんぽん飛び出してきておりまして、国民の方から言わせれば、増税なき財政再建が完全に揺らいできた、基本方針は大きく変更されたんではないかということを思わざるを得ないというふうに感じられているわけです。その点については大臣の方はどうお考えでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 増税なき財政再建というのはあくまでも私は理念としてこれを堅持すべきものである。それを堅持しておりませんと、いわゆる歳出削減に対する意欲と申しましょうか、がすぐ薄らいでしまう危険性がある。だから、これはあくまでもてことして堅持すべき問題であるというふうに基本的な認識を持っておるわけであります。
 そこで一方、税制調査会というものがございまして、それの現段階におけるバイブルは何か、あるいはテキストは何かといえば、五十八年度の十一月ちょうだいした中期答申というものであろう。それの全体を眺めますと、そういう考え方は堅持しつつも税のあり方等、あのテキストに示された問題で将来にわたって絶えず検討していっておきなさいよという問題が指摘されておるというものも、いつも並行してそれを眺めていなきゃならぬということだと思うんであります。
 したがって、いろんな形の意見としてこれ以上サービスを削減するということに対しては限界がありはしないか。そうなれば負担するのも国民、受益者も国民だから、そこに負担の点について、増税という表現に置きかえても結構でございますが、負担の点についてもう一歩踏み込んだ議論をしてもいい時期じゃないかと、こういう御発言は確かにあっておるわけであります。しかし、そういう発言はもちろん私どもの耳にも入りますが、基本的には今日まで言い続けてまいりました増税なき財政再建ということを理念として堅持しつつ、なお制度・施策の根本にまでさかのぼっての歳出削減のメスを鈍らしてはならぬというてことして私どもは心の底にまず置いておかなきゃいかぬという考え方で臨んでおるというのが実態でございます。
○鈴木一弘君 心の底の中にきちんと財政再建という基本方針を置いておく、増税なき財政再建ということを置いておくということを言われているわけですが、六十年度の税制改正の検討項目が明らかになっている。その内容はもう先ほどから議論がされておりますが、改正をしようというよりも増収をしようということだけを目的としている感じで国民の間には一番強く受けとめられていると思うのです。
 財政再建は理想だ、増税なき財政再建は理想だけれどもできなければしようがないじゃないかというものが、何かそれが後ろにちらついて見える気がするわけです。足りない財源を税制改正という名のやり方で増収するという、そういう方法はもう限界に来ていると思うのですがね。本当ならば、課税とか徴税とか、こういうものの公平ということに最大の視点を置いていかないと、先行しているものが増税、増収目的だけというふうになっていくのじゃないかという点で、乱暴な財源のかき集めを一生懸命図っている、こういうふうに受けとられても仕方がないんですけれども、これはちょっと大臣の腹に置いていることと矛盾している感じがあるので伺いたいのです。
○国務大臣(竹下登君) これは中期答申等でいろんな指摘を受けております。幸いにという表現は適当でないかもしれませんが、税調の中期答申というものの基本的なものは、各種の公共サービスの確保は国民の負担に裏づけられるものである。したがって、歳入面においても社会経済情勢の変化を踏まえて対応していかなきゃならぬが、公平適正な税制のあり方ということをまず前提に置いて、その中で中期答申も出されたものであるので、結果としてそれが増収になる場合があっても、まず増収そのものが第一義的目的で議論すべきものではないだろう。いわゆる公平適正な税制のあり方という問題が最初であって、結果が増収につながる場合もありましょう。が、初めから増収のいわば手法としてそれを意識しておるという性格であってはならぬと私も思っております。
 ただ、新聞論調そのものを見ましても、すぐこれがこうなれば幾ばくの、これだけの増収になるとかいう書き方もございましょう。それも結構でございますが、したがって税の論議の場合に、どうしたら増収が図れるかということは、一番最初に出た議論の仕方というのは税調の流れからすれば誤りじゃないか。いま鈴木委員がおっしゃるように、税の公平適正をいかにして図るかというところの結果として出るというものが増収であるという事実認識に立って対応していかなきゃ、私ども予算を組む側にありますだけに、なお初めは増収ありきという感じにならないように、ならないように、毎日つたない頭に言い聞かせておるというのが実情であります。
○鈴木一弘君 しかし、先ほどの局長の答弁等を聞いていると、どうも増収が最初にありきというような感じを私は受けてならないのですね。
 いろいろありますが、少額貯蓄非課税制度の問題、これについてここで伺っておきたいのです。五つの改正案を発表してそれが二つに絞られてきた。限度管理強化案と低率分離課税案で、最初に内容をちょっと伺いたいのですが、この二案を採用した場合、それぞれどの程度の増収規模になっていくものなんでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) ただいまお示しのように、現在二つの方式を議論のたたき台として御検討願っておるわけでございますが、限度管理を強化するという葉は、現行の制度といたしましては、現行の非課税貯蓄制度そのものを存続させるわけでございます。御質問の趣旨は恐らく、この制度を、限度管理を適正にすることによって現在不正に利用されている部分が課税になってくる、その場合の増収効果という御質問であろうかと思いますけれども、この点について、私どもこれは税務統計等でも出てまいる数字でもございませんし、計量的に申し上げ得る性格のものではないということを御了承賜りたいと思います。
 一方、低率分離課税の場合は、現行の非課税枠の元本から生じます利子に、私どもが議論のたたき台として提出いたしました考え方は、所得税の最低税率を上回らない水準の税率ということでございますので、一〇・五%が現行の最低税率でございますので、したがいまして、これ以下ということになるわけでございますが、この税率水準をどのように設定するかによってただいまの御質問に対する数字の形が変わってくるわけでございますが、大ざっぱに申しまして、現在、民間のいわゆる非課税貯蓄、それから郵便貯蓄を含めまして、年間非課税となっている利子所得の額はおおむね十二兆円前後と想定されておりますから、今回の案におきましても例えば老年者に対しては免税措置等を講ずるということにいたしておりますので、その十二兆円がまるまる課税対象になるというわけではございません。そういった点を引きますと、いわゆる課税ベースは十二兆円よりかなり下回ることになるかと思いますが、例えばそれに一%の税率ということになりますと、それを掛け合わせていただくとそういったオーダーの完全平年度で増収効果になるということでございます。
○鈴木一弘君 新聞等の報道によると二ないし三%程度ということが出ているんですけれども、大体どの程度を今考えておりますか。新聞等の報道によると、その場合当初二ないし三%というような課税案を考えているということなんですが、その程度をお考えなんですか。
○政府委員(梅澤節男君) 所得税の最低水準を上回らない程度の水準、一〇%以下ということでございますが、この税率水準をいかがに設定するか、こういう案が御採択になるかどうかということはまた別にいたしまして、こういったことも含めまして、すべて税制調査会等での御決定を仰ぐということでございまして、大蔵省といたしまして何%といった数字を今あらかじめ持っているわけではございません。
○鈴木一弘君 今の答弁から伺っていると、新聞に報道されているような二、三%より一〇・五%を要望しておるような感じを私受けたんですけれども、そういうことですか。
○政府委員(梅澤節男君) 正確に申し上げますと、先ほど来申し上げておりますように、考え方といたしまして、所得税の最低税率を上回らない水準での低率分離課税ということでございますので、その税率水準を具体的にどうするかということについて大蔵省といたしまして具体的な考え方を持っておるわけでもございませんし、具体的にお諮りもいたしておりません。
○鈴木一弘君 実は、全国町村会等の決議、そういうところで出された緊急要望等を見ますというと、利子配当課税に関して、住民税における利子配当課税に対する緊急要望がいっぱい出ています。これは御承知のとおりだと思いますが、住民税については、住民税にも利子配当所得については課税できるための制度を確立してくれというのがあるし、もう一つはいわゆるマル優ですね、非課税貯蓄制度に対しての限度管理を強化してくれ、こういう二つが強い要望として出ているんですね。これは財政的に苦しいからこういうことが私は出てきたんだと思います。いま一つは、さらに租税特別措置によって逆に町村の方で取りにくくなっている税金があるからそういうものも何とかしてくれというように載っております。
 こういう要望があるということは、低率課税よりもむしろ限度管理をちゃんとして不公平感をなくせということが底流に私はあるんじゃないかと思うんです。実際はそういうような方向の方が望ましい、こう思うんですけれども、残念ながらグリーンカードもだめになった、じゃ一体どういうふうな方法を考えればいいかということになるわけですけれども、その辺についての検討、研究はそれ以後どの程度なされているんでしょうか。
○説明員(緒方勇一郎君) お答えいたします。
 所得税におきますところの課税貯蓄に対しまして、現在一定の部分、例えば所得税において源泉分離課税が選択されました利子配当などにつきましては、現在支払調書が出されないということなどもありまして、市町村でその所得を把握できないという、こういう技術的な理由などによって現在非課税とされております。この点につきましては、住民の中で給与所得や事業所得等で生計を立てているような人たちはすべて住民税の対象となる、しかし利子配当所得の一定のものについてそうでないということにつきまして、住民の間に公平感を欠くというような問題が従来から提起されております。私どももその認識は持っておるわけでございます。これに対しまして何らかの課税方法ができないかというような声が御指摘になった町村会あたりからの御要望であろうかと思います。
 この問題につきましては、現在、政府の税制調査会の中におきまして、利子課税問題の一環としてこの問題も御審議願っているところでございます。私どもとしてはこの審議の結果を踏まえまして適切な対処を行ってまいりたいと考えております。
○鈴木一弘君 では自治省、結構です。
 その次、昭和六十年度予算編成の問題が先ほどから出ておりましたが、これがもう最終段階にいよいよくるわけですが、八月三十一日に行った概算要求の総額が五十四兆七千五百三十五億円、こう伝えられております。本年度予算に対して八・二%の伸びでございますが、大臣、これについての見解はどういうふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘なさいましたとおり、概算要求の総額は五十四兆七千五百三十五億円、五十九年度予算に対しまして八・二%、すなわち四兆千二百六十三億円の増、こういうことになります。さて、その内訳で見ますと、まずありき、ということになりますと、国債費とそれから地方交付税。この地方交付税交付金を減算しますと、昨年に引き続いて原則マイナスという厳しい概算要求基準を設けまして、したがって一般歳出は三十二兆八千六百三十一億円でございますから、前年度に比べまして一般歳出ベースで見ますと〇・九%、すなわち二千七百七十四億円、こうなるわけであります。それに当然のこととして、人事院勧告の取り扱い分が決まりまして、それでそれが年金、恩給等へのはね返り、これを含めまして、その上にそれが増加圧力となってオンされるわけでございます。
 したがって、まず歳出面においてあらゆる分野に聖域を設けることなく、補助金等の見直しを初めとして、既存の制度・施策につきましても改革を行うというような方向で徹底した歳出の節減、合理化に取り組んでまいらなきゃならぬわけで、それの今、途中経過の中に存在しておるということでございます。だから、一般歳出伸び率ゼロ、すなわち二千七百億に対してその上に今申しました増加のプラスしたものをなおどこまで抑えていくかということについて、確たることを今申し上げる段階じゃございませんが、それを一生懸命でいわば抑え込むと申しますか、そういう努力の経過中であるというふうに御理解をいただきたいと思っております。
○鈴木一弘君 先ほど竹田委員も言っておりましたんですが、大蔵省としては考え方を発表した覚えがないということなんですが、十一月二十一日に基本的考え方というので報道されている。これによると、来年度予算の一般会計の規模は五十二兆五千億から八千億ということで、大体四ないし四・三%増というようにしようと。今の要求に対しては約二兆円程度減ってくるわけでございますけれども、こういう考えはどうなんですか。具体的にどうなんでしょう。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほども御答弁いたしましたように、大蔵省としては基本的な方針、方向を発表したことはございません。したがいまして、今おっしゃいました数字、一般会計の規模は五十二兆五千億から八千億、四ないし四・三%増と、こういうこともまだ我々の頭の中にはないわけでございます。
○鈴木一弘君 そうすると、頭の中にないということであれば、国債費は十二兆三千七百五十七億円ということだったんですが、概算要求で示されたものは。それがその次の報道で見たのは十兆三千億から十兆六千億ということであります。二兆円から一兆七千億円も減ってきているような感じがあるんですけれども、これは何を削ったものなんでしょうかね。そういう考えがあるんでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) 今具体的にその数字を持っておりませんが、これはあくまで今お話を伺いましての推測でございますけれども、恐らく新聞での考え方、試算といいますか、その新聞社の試算では定率繰り入れ部分について減しているのではないかと、そのように推量されるわけであります。
○鈴木一弘君 そうなりますと、恐らく国債整理基金への定率繰り入れ一兆八千六百二十五億円、これを見込んでいたのを削るということ、若干削るということだろうというふうに思いますけれども、もしそうなりますと、この前の国会で予算委員会とか大蔵委員会では、六十年度予算では定率繰り入れを再開したいと、こうはっきりと大蔵省は言っていたと覚えておりますがね。そうすると、ついこの間言ったばかりのことでありますけれども、今泣いたカラスみたいなもので、もう忘れた、ギブアップだと、こういうことになっていくんでしょうか。
○政府委員(平澤貞昭君) 定率繰り入れの問題につきましては、これまでの本委員会の御議論の際にもたびたび出ておりますし、こちらからも御答弁申し上げたわけでございます。その際にも申し上げましたように、定率繰り入れの制度は、現行の総合減債制度の基本的な仕組みでございますので、この基本的な仕組みの考え方そのものは我々としてもできるだけ維持していきたいというふうに考えるわけでございます。
 それでは六十年度以降どうなのかということでございますけれども、これもたびたび御答弁申し上げましたように、この問題につきましては、そのときどきの財政状況あるいは国債整理基金の資金繰りの状況等を十分に考慮する必要があるわけでございまして、そういう中で、しかもこの基本的な仕組みも十分頭に入れながらこの問題を処理していくということだと考えております。
○鈴木一弘君 私は、何か答弁が少し変わってきたように思うんですね。ことしの二月に大蔵省が提出した「中期展望」、それでも国債費については六十年度以降定率繰り入れ実施を言っているはずです。それから赤字国債の償還のための借換債の問題、その発行について断じて認められないという大変な議論になりました。そういう意見に対して、我が国の減債基金制度に基づく定率繰り入れは六十年度から行うというそういう考え方の明示があった。それが借換債発行の例の関係法案が通過した要因であったというふうに思っているんです。それが財政事情云々という何か特別の事情がまたぽこぽこと入ってまいりますというと、はっきり言って、何か国会に対してお約束したこととは違う方向に持っていくという意図的な答弁のように聞こえるんですけれども、これは約束違反になりませんか。
○政府委員(平澤貞昭君) この点につきましては、先ほどの大臣の御答弁にもございますし、それから私が申し上げましたように、たびたび本委員会でも申し上げておるわけでございますが、その答弁の内容は先ほど私が申し上げたような内容でございまして、六十年度以降につきましては引き続き、先ほど申し上げたような状況の中で、かつまた基本的な減債制度のあり方も十分頭の中に入れながら処理していくということで申し上げてきているわけでございます。
○鈴木一弘君 頭の中に入れながらといって、やらなければ何にもならないんですからね。借換債発行という我が国の国債政策の一大変化がこの間あったわけです。赤字国債についての借換債ですから大変なことでありますけれども、そのときに国債の減債制度の尊重、それから定率繰り入れは当然再開するというように、私どもは政府側の態度を、また答弁をそう受け取ったわけでありますけれども、残念ながらいざ六十年度の予算編成を目の前にして、できませんでしたということじゃ済まないんじゃないかというふうに思うんですけれども、これは大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) 借換債の問題につきまして本院で特に長い時間をかけて御議論をいただきました。大体この減債制度そのものにつきましては、それまでのいろんな議論の中には、それに積むためにまた金利のつく国債をそれだけ増発するという結果になるわけだからやめてもいいじゃないか、こういう議論もあった。しかし、それらの議論を全部踏まえて結局財政審で議論してもらおうやと、結論から言うとそういうことになったわけです。
 そこで、その財政審の議論というのは、減債制度の基本というものは維持しなさいよということが書かれた。だから、それは先ほどの頭の中に入れてという表現ですが、我々の念頭に置いておかなきゃならぬな。がしかし、現実の問題として、その償還財源がどれだけのものが必要かということになると、今の場合はこれで間に合うとか、あるいは今からきちんとしておかなきゃ翌年度等将来の問題として危なくなるとか、そういう問題全部を総合的に考えて対応していかなきゃならぬ。しかし、御指摘なさいましたとおり減債制度の基本だけは、本院の指摘もございますが、財政審の指摘等の考え方を基本に置いて対応していかなきゃならぬというので、先ほど来御議論ございましたように、あの国債費の中からアバウト一兆八千億引いた計算をした新聞も出たりしておりますが、そういう考え方もそれはあるでございましょう。しかし、基本はやっぱり減債制度の根幹というものを考えながら対応していかなきゃならぬ。したがって、今その議論のまさにさなかにあるということでございますから、基本的に減債制度そのものを否定するというような考えは持たないでこれからも対応し続けていこうという考え方には立っております。
 現実の結果は、またいろんな御批判をどういう形でお受けするようになるかということを定かに今明示する時間的な状態にまでは至っていないということであります。
○鈴木一弘君 何か減債基金制度というのが消し炭か埋れ火みたいなふうになりそうな感じの答弁なんですよね、今のは。だから、尊重するということと、基本的に本気になって取り組んでいくことと違うような感じがしてならないんですけどね。埋れ火にしてしまってだれかがまた火をつけるときが来るでしょうなどということではならないと思うんですよ。
 百二十二兆円の発行残高に国債は五十九年度末でなるはずでしょう。そうすると、これから先まだ発行されていくということになると、昭和六十年、六十五年ということになってくると、それは全部返すとした場合には、恐らく五百兆を超える金がなきゃやっていけないはずです。だから、表面的には百二十二兆円だけを我々は見ていますけれども、実際にはもう四百兆近いものの論議を実際は詰めているということですよ。本気になって減債を考えないと我々皆破産するか猛烈なインフレに遭うか、どっちの道を行くかしかないということになります。足利時代の徳政令でもやるようなことになったんじゃもう話にならないわけですから、本当にこの辺は本気になって考えていただきたいと思うんです。
 国債発行についてのことで何か十一月二十一日の大蔵省基本方針というのが出ているのを見ると、中期試算とそっくりでございますが、特例公債といわゆる四条公債との数字もその中期試算どおりだったかどうか、この点ちょっと伺いたいんですが。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほどの新聞の数字がどうなっているか、私ちょっと今手元にございませんが、恐らくおっしゃるように中期試算の数字を国債についてそのまま入れているのではないかと推察しているわけでございます。
○鈴木一弘君 六十年度で借換債の発行が本年度に対して約三兆五千九百億円増加して八兆九千五百億円になるということですが、借換債発行で特例公債の借換債はどのぐらい入っているんでしょうか。
 それについて伺いたいのと、これは結局、国債整理基金特別会計の扱いになってまいりますけれども、その償還計画については六十年度の予算の審議をしなきゃなりません。そういう場合もありますので、当委員会に資料として提出願いたいと思うんですが、できますかどうか。
○政府委員(平澤貞昭君) 第一の御質問の数字の点でございますけれども、本年二月に国会に提出いたしました「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」というのがございます。この中に六十年度の借換債の発行見込みについて書いてあるわけでございますが、それによりますと総額で八兆九千六百億円、これは収入金ベースでございますが、このうち特例公債分は約一兆九千億円。したがいまして、四条公債分は七兆一千億円という数字になっております。
 それから第二の借換債について償還計画表をというお話でございます。御存じのように、償還計画表につきましては、法律上、財政法四条の規定とそれから財確法の規定に従いまして、新発の建設公債及び特例公債についてはそれぞれ償還計画表を国会に提出するということになっておるわけであります。他方、借換債につきましては、新発債のように新たに国民の貯蓄を調達するということではございませんで、貯蓄の入れかえになるというようなこと、あるいは借換債につきましては、いろいろ機動的、弾力的に借りかえていく必要があるというような趣旨から、法律上はこの償還計画表の提出を義務づけられていないわけでございます。したがいまして、従来からもそうでございますように、これからも償還計画表を提出するということは考えておりません。
○鈴木一弘君 つまり計画については資料は提出できないということですね。
○政府委員(平澤貞昭君) 今御説明いたしましたように、償還計画表を法律上提出するということになっておらないその意味は、先ほど申し上げましたように、二つの背景に基づいて法律上そうなっておりますので、そういう趣旨に従いまして我我としても対処してまいりたいと考えております。
○鈴木一弘君 これは委員会としてぜひ御要求をお願いいたしたいと思います。
○委員長(藤井裕久君) 別途理事会で協議いたします。
○鈴木一弘君 それから借換懇が五月に出した報告の中で、国債管理政策の弾力的な運用を述べております。その中で、借換債の弾力的な発行を困難にする現行制度上の問題というものを指摘されて、一つは、特定日に一遍に償還が来るということがございます。例えば六十年五月二十日に一兆六百七十六億、十一月二十日に二兆二千五百九十四億、六十一年二月二十日に一兆九千六十五億、六十三年の五月二十日には三兆五千百五十四億円というふうに特定日に大きく集中する。したがって、借換債を発行するには、これを平準化して、円滑な消化を進めなきゃならないということが言われているんですけれども、この現行制度上の問題というのは、今私が指摘したもの以外に何かございますか。
○政府委員(宮本保孝君) 借換債につきましては、今御指摘のとおり、国債借換問題懇談会におきまして御検討いただいたわけでございまして、まさに今先生御指摘のようなところが発行当局といたしましては一番大きな問題であるというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 そうすると、平準化ということになりますと短期国債も出てくるということになるわけでございますが、現在の国債整理基金特別会計法に規定する制度では、これは予算単年度主義ですよね。そうすると短期国債の発行は可能なんでしょうか、現行の法律の上で。もし短期国債を借りかえのために発行するとすれば、現行のこの規定、そういう単年度主義のところの問題であるとかそのほかございますけれども、これを変えざるを得ないんではないかというふうに思うんですけれども、その点がどうかということです。
○政府委員(宮本保孝君) 現在の法律のもとでは年度をまたがる短期国債は発行できるわけでございますけれども、その年度内に償還してしまいます短期国債につきましては、現行法のもとではこれは発行できないんではないかというふうに考えられておるようでございまして、私どもといたしましては、その年度内に償還期の来る短期国債も法律上できるようにしていただければというふうに考えているわけでございます。
○鈴木一弘君 そうすると、財政法の中の特例公債の発行授権の問題あるいは国債整理基金特別会計法、こういうものの改正案が今度は提出されるというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(平澤貞昭君) 先ほど委員御指摘のような問題、大量国債、借換債の償還を控えましてございます。それにつきましては、本院でも種々御議論がこれまであったところでございます。それを踏まえまして、大蔵省といたしましても、現在財政審等の場でこの問題について議論していただいておりまして、その議論の結果、必要ある場合には法案を提出したいというふうに考えております。
○鈴木一弘君 これは大蔵大臣、大臣が若干述べているんでありますけれども、昭和六十五年度には百六十五兆円の国債残高になる。そのうち建設国債が百兆、赤字国債が六十五兆、こういうことで返済額が五百十兆円になる。この点から物を考えなきゃならないので、あらん限りの知恵を出す必要がある。財政投融資の活用であるとか、郵貯の伸びがないから原資が不足しているので、外国から金を借りるとか、低金利の資金の導入を工夫するということを述べていらっしゃるんでありますけれども、これについて基本的にどういうふうにこれからお考えになられますか。
○国務大臣(竹下登君) 鈴木委員御指摘になりましたように、七%の計算にするか七・三%の計算にするか、そこのところを別といたしまして、一兆という国債は三兆七千億、七・三なら三兆八千でございますが、百二十二兆だったら三百九十兆。それで六十五年百六十五兆。百兆と六十五兆というのは少しわかりやすく整理しましたので、本当は端数で多少の違いがございますが、それを大ざっぱに言いますと確かに五百十兆ということになるわけであります。そうすると、これは容易ならざることだな。それは六十五年に赤字公債脱却ということをした上での残高を見ての話でございます。そうすると、そこのところでどういうふうなことになるか。今は六十五年に赤字公債依存体質からは脱却しますということを第一の財政改革の目標に掲げておる、今度はそれから残高を減します、こう言っている。その残高は今御指摘のとおり。そうすると、その問題については、償還財源ということになりますと、色が別についておるわけじゃございませんが、観念的には六十五兆の赤字国債を、そういうものを先にひとつ念頭に置くべきものかなという感じもします。さあ六十五兆ということになりますとどうするかということになると、本当に気が遠くなるような気がいたしますが、ありとあらゆる手法を考えていかなきゃならぬ。
 で、中にいろんな議論をする人もございますけれども、それがいつまでになされるか。昭和三十九年までは公債はなかった。四十九年まで締めて九兆七千億。そうすると百十数兆はこの十年間でございます。そういうことを考えると、三十九年の国民の生活水準まで落とすということになると、これまた容易なことではない。しかし、そこにあらゆる知恵を絞れば、それでもさしあたりのいろんなものをやっていくためには、これは開発途上国が世銀等で金を借りるという性格ではなしに、一般的な金融を財政に出動さすという角度から考えれば、外債等も、今でもスイス市場等でやっておりますが、より多く活用していかなきゃならぬでよと、だんだん原資も少なくなれば。その辺の総合的工夫をどうするか。だから基本的には、今おっしゃいましたように、まず百六十五兆ありきじゃなく、五百十兆ありきと。先ほど御指摘なさいました百二十二兆ありきじゃなく、三百九十兆ありきというところから、問答の中で大体国民の皆様このようにして返す方法を考えなきゃならぬじゃないですかというような、おぼろげながらそういうものがいつまでに出ていくかというのが、大変難儀なことだが、今のままで、はい、そうでございます、そうなりますだけじゃ済まぬというところで、これからも国会の議論等を通じながら、知恵をかりながらやっていこうという気持ちで、希望者がないものですから引き続き大蔵大臣になった、こういうことになるわけでございます。
○近藤忠孝君 時間がないので金融問題は絞りますが、金融自由化の大波が金融の現場に大変な影響を与えておりまして、銀行などはこの戦国時代を生き抜くためにと称して大変な不当事例あるいは違法事例が多発しております。そのことについては、私はことしの七月十七日の当委員会で具体的に、例えばこれは駿河銀行、秋田銀行、羽後銀行、第四銀行、青森みちのく銀行などの内部文書に基づきまして具体的に指摘をいたしました。それに対して大蔵省の答弁としては、昭和四十年五月十二日の銀行機関経営の刷新についての通達は大蔵省の基本通達の一つとして生きている、そして各金融機関はこの通達の趣旨を踏まえて経営を行っていると考えるし、期待しているという、こういう答弁でした。しかし私の指摘に対して調査を約束したわけであります。
 まず最初に、調査の結果と、恐らく大変な不当事例、違法事例があったと思いますのでそれへの対応、これについて御答弁いただきたいと思います。
○政府委員(吉田正輝君) 先生御指摘のありました事項につきましては、財務局を通じまして一々調査を行ったところでございますけれども、銀行の内部文書に御指摘のような一部適切を欠く表現があったほか、やや行き過ぎと思われる事例も認められたわけでございます。これにつきましては、銀行にも、必ずしも全部一致しないような意見もあったわけでございますけれども、このため、問題があるものにつきましては個別に指導を行いまして、さらにかかる事例を今後も注意していく必要がある、未然に防止していく必要があるというふうに考えられましたので、去る十一月三十日付をもちまして、地方銀行をもちろん含めまして、都市銀行から信用金庫までの金融機関に対して通達を発したわけでございます。
 その通達は、先生が先ほどおっしゃいました金融機関経営の刷新についてという金融機関に対する依命通達でございますけれども、その通達について注意を喚起いたしまして、預金の獲得に関しいやしくもほかより非難を受けることのないよう厳に注意を喚起したところでございます。
○近藤忠孝君 いろいろ銀行は弁解はしたと思うのですが、私が具体的に資料を当委員会で示したし、またその後も銀行局へ行きまして資料を提供しましたね。その資料に対してはこれ否定はできなかったでしょう。やっぱり事実だったんでしょうね。それが一つ。
 それからもう一つは、その中には大変ひどい例があって、この戦国時代を生き抜くため血の小便が出るまで、もう一刻も寝ないででも預金獲得のために努力したかということを一々点検するような、そういうような文書もあったのですが、そんなことは不適切なことだという指示をなすったか。この二点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(吉田正輝君) 一々につきまして細かくは申し上げませんが、先ほど申し上げましたように、一部適切を欠く表現があり、行き過ぎた事例があったと思われますので、そのとおり注意を喚起したわけでございます。是正の指導をしたわけでございます。
○近藤忠孝君 ただ、現状は、この通達が死文化しておったんじゃないかと思うのですね。実際、私も指摘したように、例えば富士銀行などでもこんなものを今どき守っておれぬとか、こういう指摘もあったし、実際にはこの通達などお構いなしに現場で行われておったと思うのです。今回、先ほど言われた十一月三十日付で出したのは、これは各銀行に直接出したわけですね。ということは、やはりこの通達が実際上は生きていなかった、守られていなかった、こういう実情にかんがみて出したものと思いますが、どうですか。
○政府委員(吉田正輝君) 出しました通達は、御指摘のとおり、各銀行あてに大蔵省銀行局より発出したわけでございます。
 それで、私どもといたしましては、この金融機関の資金獲得行為のあり方については、かねてから行き過ぎた資金獲得行為及び表面的な業容の拡大に重点を置いているような営業店指導の自粛について要請してきたのだ、そこで現在なお適切を欠く取り扱いの事例が認められることは甚だ遺憾である、したがってこの通達に思いをいたして、いやしくもかかる非難を受けることのないよう厳に注意されたい、こういう趣旨でございます。したがって、現在なお適切を欠く取り扱いの事例が認められるということは遺憾であるということを指摘して各銀行に発出したわけでございます。
○近藤忠孝君 これは私は大蔵省の積極的な姿勢として受けとめたいと思うんですが、ただ問題は、違反は十一月三十日以降、要するに十二月に入りましてからも堂々と行われており、中にはこんな通達なんか守ることないんだと、具体的にお示ししますけれども、こう言っておるんですよね。大蔵大臣ね、大蔵省は全くこけにされているんです。ニューリーダー竹下登さんの君臨する、あるいは鎮座まします大蔵省の威令が、現場じゃ、そんなの守る必要ないんだと、こう言っておるんですよね。私は具体的にその事例をこれから指摘をしたいと思うんです。
 一つは、これは富山相互銀行、これは年末までに五千億円達成しようというのですが、現在まだ十一月末で四千百八十七億だからちょっと無理なんでしょうね。そういう中で、今店内にでっかいポスターを張りまして、チャレンジ五千億円ポスターというんですよ、たくさん張っている。だからお客さんに聞くと、チャレンジなんて言われると威圧を感じると、こういう状況なんです。それだけじゃないんです。チャレンジ五千億円を業務連絡で掲示を指示すると同時に、全職員に対してその賛成署名、賛同署名を指示して、そしてそれに応じないと、これは査定、成績に響くというんですよ。こんなことどうですか、ちゃんとこのようにあるんですけれどもね。
○政府委員(吉田正輝君) 先ほど申し上げました通達では、営業店の指導を過大な預金目標の設定、割り当て等により行うことについては自粛の対象でございます。したがって、過大な預金目標を掲げて、それをいわば労働行為あるいは労基法上の問題等にも抵触するような形でやることは、金融機関の経営の安定性あるいは労使の安定性という点からは問題だと思います。金融機関につきましては、私ども次第に自由競争が激しくなっていく、自由化の中で自由競争が激しくなるというふうに思っておりますし、それは自由であると同時に適正な競争でなければならないというふうに考えております。
 それから、ただ預金獲得という行為につきましては、金融機関は預金を集め貸し出すということで、これは営業上の本源的に必要な行為であると思います。これは程度の問題あるいは良識の問題あるいは労使関係の安定の問題等というような点から判断していくべき問題かと、かように考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 何しろ異様なポスターのようですね。そしてそれに賛同する署名を拒否した者は人事考課の対象とすると。そしてそういうものが、そういう状況がお客さんに異常な感じを与えている。ならば、どうですか、これを調査して、不当、違法と思ったら是正されるお気持ちがあるかどうか。
○政府委員(吉田正輝君) 預金獲得行為につきましては、ただいま申し上げたように指導を行っている、過当なものについては指導を行っているということでございますし、そのあり方につきましては、私、競争の観点あるいは労使間の安定の関係、種々判定すべき基準で総合的に見ていきたいと、かように申し上げたわけでございます。先生御指摘の点につきましては、また先生から具体的にお伺いいたしまして、ただいまのような考え方でどういうふうに指導を行うべきか考えてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
○近藤忠孝君 時間十四分なんで、余裕が全然ないんで、後でまた来てください、どっさりありますから。
 そこで、これまた指摘をしますと、大臣、宣戦布告、トラトラということを御存じだと思うんです、真珠湾攻撃のときの暗号だそうですね。今、青森みちのく銀行ではニュースを頭取から発行しまして、そしてともかく目標達成と。目標達成しない場合には、一時金に大幅なデメリットを課すということで、これはボーナスに響いちゃうんですね。うまく成績が上がった方は店長あたりで六十一万ぐらいのボーナス、これに関する成績査定部分でそのくらいになりますが、悪い方は二十三万ぐらいになっちゃう。そんなに差が開いてしまうという、こういうことを現にやっています。
 それから岐阜相互銀行では、やはり目標を立てて、目標を達成しない場合に実際罰金を取ったんですよ、罰金を。一時、給与から差し引いた。こんなのは労働基準法の賃金直接支払い、全額支払いの明らかな違反ですよね。罰金を取るんだから、成績上がらないといって。こんなことまでやっておる。
 まだたくさんあります。ともかくこういう事例がたくさんあります。しかもこれからボーナスが出ますね。次の土日、これはちょうど連休のはずなんですが、恐らく全銀行は全部休日を返上させて一斉に打って出よと指示されていますよ。ここでは猛烈な激烈なる戦争ですね。だから、せっかく通達が行われながらだめなんです。
 しかも、具体的にお示ししますが、横浜銀行の座間支店では、特にことしの七月十七日に大蔵省の通達が生きているという吉田さんの答弁もあったということから、大変な預金獲得合戦のために従業員にいろいろ強要するものだから、それは通達違反じゃないかと、従業員がこう言いましたらば、この座間支店の支店長はこう言うんです。通達の内容は知っている、ところが守る性格のものではない、そんな自粛通達など気にしていたら何もできない、勝つためにはどんなことでもやる、こう言っておるんです。
 それから先ほどのみちのく銀行では、実際に通達は来ましたと、そこまでは教えているんです。多くのところで教えないところもあるんだけれども、通達は来た、特に十一月三十日の事務連絡は来たと。しかし、来たと言いながら、やることは違反の中身をやらすわけです。そして、後でつけ加えて、ただし文書に気をつけろ、また近藤忠孝のところに文書が行っちゃうといかぬから気をつけろと、こう言うんですよ。
 これはどうですか。特に次の土日というのは大事ですよ。これは従業員にとって大変過酷だ、休日を奪われちゃうんだから。そんなことさせないかどうか、この辺のひとつ調査をお願いしたいと思うし、その答弁をいただきたい。
 大臣にあと二点だけ。
 今お聞きになったこと、竹下さんが総理を目指すんだったら、この辺やめさせておかぬとちょっと無理ですよ。ひとつそういう面から見解を承りたいのと、前回の私の質問に対して主税局長がかわって答弁しちゃったんですが、ナショナル・トラストに対する税制問題、これは来年度の予算でどうするかこうするかという問題もありますけれども、ああいう考え方について大臣どう思うのか、これについての答弁を伺って質問を終わりたいと思います。
○政府委員(吉田正輝君) 御指摘のありました件につきましては、先ほどのような判断の基準がございます。それから依命通達という基本通達がございますので、先生から御事例を承りまして、その基準に照らして合っているかどうかということで、これは私たびたび申し上げるようでございますけれども、金融機関は預金獲得についての競争がある、自由競争の中でございますから。これは同時に、かつ適正でなければならないという良識の問題がかなり入っている判定のなかなか難しい問題でございますけれども、ただいまの依命通達の趣旨に照らしましてそれが妥当なものであるかどうかについて調査させていただきたいと、かように考えるわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) 二つの点、一つは、いろいろ銀行の、言ってみれば、今おっしゃったような過当競争とでも申しましょうか、そういう点につきましての基本的に考えなくちゃいかぬ問題は、いわゆる金融自由化、国際化、こういう問題に対応してそれがよりオーバーに受けとめられた中の競争の激化というようなことを私どもとしてはしょっちゅう念頭に置いて対処して差し上げなきゃいかぬのかな。現実、国際化、自由化問題というのは割にテンポよく進んでおるという評価があるだけに、その辺は気をつけなきゃいかぬなと思っております。
 それからナショナル・トラストの問題につきましては、環境庁から要求が正式な形で出ておりまして、したがって税制調査会での検討マターということになっておるというのが現状であります。税調へ入った限りにおいては予見は差し挟まないという態度をとっております。
○栗林卓司君 私は、自賠責の問題でまたお尋ねをしたいと思うんですが、きょうは時間が少ないものですから、ちょうど十三日に決算委員会が大蔵を中心に行われますので、そこに話を続けながらお尋ねをしてまいりたいと思います。したがって、きょうのところは差し上げた資料の説明と、御見解をもしいただければ、御見解を伺うということで時間を使いたいと思います。
 二つ差し上げてあるんですが、一つはメモみたいな数字がごちゃごちゃと書いてあって、これは本当にメモでありまして、差し上げるまでのことはないんですが、数字の議論なので、あったらかえって御便宜かと思いまして、メモがわりにごらんいただきたいと思います。
 まず、このメモから申し上げます。実は自賠責というのは、交通事故が大変ふえてまいりました一方、保険金限度額もふえて、支払い保険金もふえてまいりました。これが現在単年度で二千億円を超える赤字になっている原因でありますと一般に言われるものですから、私なりに検証してみたんです。
 一番をごらんいただきますと、「交通事故発生状況」、これは警察庁調べです。というのは、交通事故といいますと、大体警察調べと受け取るのが普通なものですから。それで比べますと、五十二年と五十八年、死者は六%、負傷者は一〇%ふえております。ちなみに、昭和五十二年というのは単年度収支がまだ黒字であった年です。五十三年度から赤字になってきたんです。保険金の限度額が改定されまして、三番目をごらんいただきますと、実際の限度額改定の効果というのは平均支払い保険金に出るわけでありまして、平均の数字を見ると、死亡は二四%ふえました。傷害は一五%、後遺障害は五%支払い保険金がふえました。
 ここで、交通事故の伸び率と支払い保険金の伸び率がわかりますと、単純な計算ですが、五十二年度の実績をもとにしてある推定をすることができるわけですね。そこで五十八年を推定してみますと、五千九百八十億という数字が答えとして出たわけです。これに附帯費用を加えて、実際には五千九百八十一億。
 もしこの数字どおり五十八年度実績が出たとしたらどうなるかというのが六番目でありまして、収入純保険料の方は六千二百三十七億。今推計の右のところで御説明申し上げております。六千二百三十七億で、支払い保険金は五千九百八十一億ですから、差し引き二百五十六億円の黒字、五十八年度ですよ。実際どうかと見てみると、二千六十三億の赤字なんです。
 そうすると、どうも一般的には交通事故がふえております、支払い保険金がふえております、よってもって赤字ですと言うんだけれども、少なくも交通事故を警察統計によってみると、そしてまた支払い保険金の伸び率を考えてみると、それだけでは赤字になりそうにもない。一体どうなったんだろうかというのが七番目でありまして、下の方をごらんいただきますと、米印で「増減率比較」という欄があります。そこで死者を見ると、警察統計では六%増、自賠責の保険事故では一〇%増、この程度は似た数字だと見ておけばよろしいと思うんですが、負傷者になりますと、警察統計では一〇%増、保険事故では負傷者合計で言いまして何と五四%もふえているんです。実はこれが二千億円を超える赤字の主な原因ではないか。警察統計で交通事故がふえているのも決していいことではありませんけれども、収入純保険料というのは加入者が年々ふえているものですから、この程度の伸びであれば十分中に入っちゃうんです。したがって、今現在、本当だったら黒字なのがどうして赤字になったんだろうか。
 端的に言いますと、負傷者で比べると五四%もどうしてふえてきたのかと思いまして、大蔵省に御苦労をいただきまして、数字をいただきながらグラフをつくってみました。それをごらんいただきたいんですが、上の方に、太線で右上がりにずっと急上昇している線があります。これは自賠責の事故件数であります。したがって、その裏側には事故があるわけです。その下に横ばいになっておりますのは、警察統計で言う交通事故者、これは常識的には一緒になるはずなんですね、自賠責というのは人身事故しか対象にしておりませんから。ところが、警察統計の方は上がっておりますが横ばい、自賠責の事故の方は急角度で上がっておる。
 そこで、もう少し申し上げますと、この角度が上がっている事故件数というのは、例の救急自動車の搬送人員と実によく似ておりますという御説明を伺いました。したがって正直にそれも並べてあります。
 ついでに、事故件数の太い線の下にちょっとくっついて並んでおりますのが、法人及び個人の医療機関の取り扱い件数です。
 問題は、この交通事故者、警察統計で言うこれの線と、それから各事故年度における事故件数。正確に言いますと、事故件数の方は年度でありますが、警察統計は年です。ところが、トレンドで見る場合には、年と年度の違いというのはある程度目をつぶって私は構わないと思います。そういう目で見てみると、ここにできてくる川中島なんです。しかもこれが広がっているんです。この理由が一体何なんだろうか。ちなみに申し上げますと、任意保険の場合には、自賠責の証明がないと人身事故の場合には保険金がおりません。ところが、自賠責の場合にはその証明がなくても保険金はおります。したがって、この三角地帯、川中島は実は自賠責だけがカバーしている部分なんです。これがこうやって急角度で開いてまいりますとそれは赤字になる。
 その問題でまず伺いたいのは、この開いているのは一体何なんだろうか。まず考えられますのは、警察統計が間違っているんじゃないか。これが一つですね。それからもう一つは、救急自動車が勝手に動いているんじゃないか。
 そこで警察に聞きますと、人身事故と物損事故とあるんだけれども、一体おまえさん方はどうやって区分しているんだと聞きましたら、それはもう社会常識でありまして、けが人がちょっとでもいれば、それは人身事故ですという答えなんです。そこで、じゃ救急車で運ぶような事例だったら全部人身事故かねと言ったら、それは当然そうですと言うんです、警察はですよ。一方、救急自動車はどうしているかといいますと、実施基準というのを自治省が出しております。それを見ますと、救急記録表というのがありまして、そこには救急事故発生年月日、発生時刻、発生場所、発生原因、傷病者の住所、氏名、年齢、性別、傷病の部位、程度、医療機関名、そして医師を書かなければいけない。これも当然だと思うんです。ところが、こうやって開いている表を見ますと、警察がおかしいのか、自治省の救急自動車がおかしいのか、あるいは、もしかすると、交通事故による救急搬送人員というのは警察統計のまだ内数ですから、救急自動車が扱った割合がふえてくると支払い件数はふえるんだろうか。この点についての解明がないと、二千億を超える赤字になったから、したがって、よってもって料率を上げてくださいと言われましても到底わからないというんで、実はきょうこの資料を出してまず御見解をお伺いし、続けて決算委員会で質疑を続けたいと思うんですが、きょう現在のところでは、この三角の開き、これは一体何なんでしょうか。
○説明員(加茂文治君) 各種の統計がおのおのそのカバーする範囲、定義等が異なりますので単純な比較は難しいと思いますが、五十八年度までの実績につきましては、いずれの統計でも近年交通事故は急増していることを示していると考えられます。
 そこで、今御指摘のありました警察統計と自賠責の統計との関係でございますが、警察統計の交通の事故者数は、道交法第二条第一項各号に規定されました道路上において車両等の交通によって起こされた人身事故について警察に届け出のあった件数でございます。一方、自賠責の事故件数は、自動車損害賠償保障法第三条に規定された賠償責任によって保険金支払いの対象となった件数でございます。したがって、警察統計の交通事故者数と自賠責の事故件数は、その範囲が異なる部分もあって必ずしも同じ傾向をたどるとは限らないわけでございます。例えば警察統計の交通事故者のうち自損事故等は自賠責保険の対象となっていない反面、保険金支払いの対象であります自賠責の事故件数のうちには構内事故等警察統計の対象となっていないもの、それから警察官に事故報告をしていないもの、また三番目として物件事故として報告をしたが人身事故としては報告されていないもの等があるわけでございます。先ほど先生御指摘ございましたように、消防庁統計の交通事故による救急搬送人数の伸びやあるいは自動車安全運転センターの交通事故証明書発行数の伸びは、自賠責の事故件数の伸びとほぼ同様の傾向を示しておりまして、警察統計との比較だけで議論をするのはいかがかなという感じがいたしております。
 それからもう一つつけ加えて申させていただきますと、任意の約款につきましては、約款上事故証明を必要とすることになっておりますが、ただし相当の理由がある場合には事故証明がなくても支払っておるのが実情でございます。
○栗林卓司君 警察統計と自賠責の対象が違うというのはおっしゃるとおり。したがって、これも大蔵からもらった資料ですけれども、死亡でも一%、傷害でも五%から六%、後遺障害では一から二%、これは交通事故証明が全くない。というのは、警察統計は道路との関係でつかんでいますから、したがって構内の事故とか、極端に言うと、道路から転落したならば記録するけれども、向こうの田んぼでひっくり返っているのは、これは警察は見ていないという面があるものですから、したがって五%程度の開きがあるのは知っております。そのほかに物損事故で自賠責の請求になるのは知っているんです。
 私が聞いているのは、この角度が何で開いてきたのか。大臣、これまで、警察統計に比べますと、大体二割ぐらいどうも自賠責が上回っているらしいというお話を聞かれたと思いますね。その二割という内訳を申し上げますと、全く事故証明のないものが五%程度、物損の証明なんだけれども自賠責として払ったのは一五%、締めて二割なんです。ということは、この表でいきますと、警察統計の上に二割分ずっと乗っかっているという意味なんです、その説明は。それはそれでわかるんですよ。私の質問は、なぜふえているのか。このふえている角度が高いということは保険収支を将来計算する場合には決定的に効くんです、これは。
 ここに点線で延びている部分がある。交通事故統計はことしの十月までしかわかりませんけれども、恐らく下がります。下がりますが、保険を考える場合には点線どおり上がるんです。なぜ上がるかと言いますと、事故率は横ばいと見るんです。ところが台数はふえるんです。したがって件数はふえるんです。そういう設計しかもちろんできない。したがって、このふえる角度というのは意味を持つんですよ。これが単年度、リトンベーシスでいきますと、赤字になったのは五十八年が最初です。契約年度でまいりますと五十三年度から赤字になっている。これはリトンと契約年度がなぜ違うかはこの角度なんですよ。あくまでも事故という実態が何かあるはずなんだ。
 あとは決算委員会につなげますが、私が言っている意味を誤解のないように申し上げますと、自賠責というのは被害者保護のためにつくったんですから、この事故件数の急上昇は実態だったら当然料率は上げなければいけません。あわせて、この事故を減らすためはどうすればいいかを一生懸命に考えなきゃいかぬ。そうでしょう。だから、どっち側からいったって、この理由ははっきりとわかるように言っていただかないと、料率アップという議論にはとてもいかないでしょう。その入り口で何か重要な問題がありそうな気がしますということでありまして、あとは十三日に続けていたします。
○青木茂君 十四分ですから、詰めた議論のできる時間ではございません。そういう意味でこれからこの大蔵委員会、それからやがて開かれる予算委員会で、私の立場としていろいろサラリーマンの税制の問題の議論をしたいと思います。その前提として、きょうはまず三つの点を確認だけしておきたいと思います。
 第一の確認事項ですけれども、前のこの委員会で、私、財政上の都合と企業サイドの都合と国民レベルの都合と、どこにその価値のファースト・バリューのアクセントを置かれるかとお伺いしましたら、最後に大臣は明確に、それは国民サイドの都合というものに価値の原点を置くんだというふうにお答えをいただきました。それはここで再度確認をしていただけますでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) あのときの御質問の流れからいたしまして、ザ・ファースト・バリューですか、そういう問題は今御指摘なさったとおりのお答えをしたし、考え方に変わりはありません。
○青木茂君 そういたしますと、今問題になっておるマル優の問題も、限度管理か低率分離かということについてほぼ結論的方向が出たような感じもいたしますけれども、これは後からの問題としておきます。
 確認の第二点は、これは極めて当然のことだと思いますけれども、そういう意味において政治上いろいろな争点が出た場合、それを最終的に決めるものはやはり民意である、国民の意向である、それが民主主義であると思いますけれども、この点の御確認をもう一度改めていただきたいんです。
○国務大臣(竹下登君) あらゆる制度・施策、それは予算を伴うもの等々、法律に定められる問題につきましては国会、その国会は民意の集積であるという認識をしていなきゃならぬと思っております。
○青木茂君 その国会の議論がいろいろ紛糾しました場合は、最終的には選挙という形を通じて民意を問うわけなんですね。
 私そこで大変疑問なのは、増税なき財政再建ということは確認をされている。ところが、まあこれは揚げ足を取るわけじゃございませんけれども、与党の幹事長の立場にある方から、選挙のない年に増税をやっちまえというような御発言があったわけですね。これは主権者、国民に対してかなり失礼なお言葉じゃないかという感じがしてならないわけなんですけれども、これは大蔵大臣としてより竹下さん個人の御意見はどんなものでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) そういう発言、政府・与党連絡会議でございましたか、翌日の記事にはそういう発言になって出ておりましたが、私もそのときおりましたですが、そんな荒っぽい発言じゃなかったと思っております。
○青木茂君 それでもはっきり書いてありますよ、新聞にかなり荒っぽく。「来年は選挙がない
 増税するなら今…」と書いてある。そういう荒っぽい発言でなかったら、これは民主主義の原点に関する問題ですから、何らかの形で御訂正をいただいた方が国民も納得するんじゃないかと思います。これはこれだけにしておきます。
 それから主税局長ほちょっとお伺いしたいんですけれども、前回の決算委員会のときに、私、単身赴任の問題を扱いましたときに、ドイツにおいても単身赴任優遇措置はある、アメリカでしたか、家族帯同の場合の優遇措置もあると、こういうことを申し上げたときに、日本の場合は税体系が違うから、そういう外国の事例は余り参考にならないというような御発言がございました。そういたしますと、一般論として、私どもがこれからの委員会あるいは予算委員会で税の問題を扱いますときに、国際比較ですね、国際比較というものは余り参考にならないという拡大解釈をせざるを得ないような感じがしたんですけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(梅澤節男君) 私の答弁があるいは舌足らずであったかもしれませんけれども、あの決算委員会の私のお答えに対しまして、国際比較は一切意味をなさないという意味におとりになったとすれば、それは拡大解釈だと思います。私が申し上げましたのは、外国の税制、国際比較というのは、税制あるいは租税負担率等を考える場合に大変重要な参考資料でございまして、そういったものを比較しながら、しかも我が国の国情と照らし合わながら、そこの国が一体どういう事情でそういう税制なり租税負担率を構成しているのか、我が国の場合はどういう国情でもってそういうことをやっているのかということを絶えず考えていかなければならないという意味で申し上げたわけでございます。
 この単身赴任問題、特にあのときに委員が御指摘になりましたのは、二重生活のかかり増し経費のたしか実額控除の問題であったと思いますが、私が申し上げましたのは、給与所得者の場合、我が国の税体系ではこれは先進国の中でも極めて高い水準の概算控除、給与所得控除という構成をとっておる、所得控除のやり方として。ドイツの場合には概算控除はございますけれども、二重生活によるかかり増し経費の場合には概算控除にかえてこちらの方を選択できるという制度をとっているわけでございます。彼我比較いたしますと、我が国の現在の給与所得控除のあり方というのは、それはそれなりに日本の所得税制において定着もいたしておりますし、たびたび引用させていただいて恐縮でございますけれども、税制の簡素化とか、あるいは所得税におきまして、個人の個別的な事情をしんしゃくするにはおのずから限界があるということで、かなりの水準での概算控除を設定しておるというわけでございます。したがいまして、ドイツの場合に実額控除が認められているというのは、概算控除の上に上積みして特別にそれだけが認められているというふうに受け取られますと、これは制度の比較論としては正確を欠くという意味で申し上げたわけでございまして、言葉足らずでございましたら御了解賜りたいと思います。
○青木茂君 私はあのとき、給与所得控除は、我我が問題点を指摘すると、全部給与所得控除に含まれているんじゃないかということですべてが逃げられてしまう一つのあいまい控除だという表現をとったんですけれども、これは別な機会にもう一回徹底的に議論をさしていただかないといけない問題だと思いますが、きょうは深くは触れませんけれども、前回のこの委員会でしたか、この単身赴任の問題というのは雇用政策の問題であるし、それから寒冷地手当とのバランス、あるいは家族帯同で赴任する者とのバランス上、どうも税制上の優遇にはなじまないというようなお話があったというふうに聞いておるわけなんですけれども、これはそうでしたね。
○政府委員(梅澤節男君) 論点は二つあるわけでございますが、一つは、寒冷地手当というふうに今おっしゃいましたけれども、例えば公務員給与の今の体系を見ますると、本俸のほかに各種の手当があるわけでございますし、無数にあるわけでございます。その中でいわゆる生活給と目される手当が十一種類ございますが、その中を見ますると、地域手当的なものもたくさんあるわけでございますね。それは全体としまして給与という名前で支給されようが、手当という名前で支給せられようが、所得税といたしましては、それは全部給与所得として観念し、それに対して、先ほど申しましたように、かなり高い水準での概算控除が行われておるわけでございます。
 したがいまして、この単身赴任の減税の問題は、論点がやや混乱が起こっているんじゃないかと思うんです。青木委員がおっしゃるようなかかり増し経費の実額控除の話と、いわゆる単身赴任手当として支給されるものを非課税にする議論がどうも混乱を起こしているわけでございますが、手当を非課税にするという観点は、これは先ほど申しましたように、生活給として給与全体として観念されるべきものであろうということでございます。
 それから先ほどの家族を帯同して行く場合の話というのは、実はかかり増し経費の方の話でございまして、これは例えば家族を帯同される場合でも、東京に自分の家を持っておられる方がたまたま家族を帯同して向こうで借家住まいをされるということになりますと、その家族で行かれる人と単身で行かれる人の経費がどちらがかかるかというのは、なかなか難しい問題であるというようなことも申し上げたわけでございます。
○青木茂君 そのとおりなんです。あそこで私が申し上げましたのは、かかり増し経費一本に絞っておったわけですね。つまり単身赴任に当たっていろいろ超過経費がかかる。ところが、その超過経費を埋めてくれる企業もあるし、埋めてくれない企業もあるし、埋めてくれても金額の大小というものは企業によってまちまちである。だから、かかり増し経費マイナス企業の補てん分ですね、補てん分を所得控除にしていただいたらどうか。逆に言うならば、企業の補てん分の方がかかり増し経費より多ければ、これは所得に追加されるわけですね。そういう税法上の筋をぴしゃりと通していただいたらどうかということなんです、私の申し上げたのは。
 それで、もう申し上げておきますけれども、この転勤、単身赴任を含めまして転勤の問題というのは、日本のサラリーマン社会のいわば宿命でございまして、私の同僚が赤紙が来たようなものだという表現をとったんですけれども、いやでも応でも行かざるを得ない。家族みんなで行きたいんだけれども、これは単に個人レベルの問題じゃなしに、例えば教育問題があるではないか。あるいは住宅問題があるではないか。あるいは高齢者の扶養の問題があるではないか。あるいはこれからの雇用均等法で言えば共働きの問題があるではないか。つまり社会のシステムのあり方はおいて単身赴任行かざるを得ない、単身たらざるを得ないという社会的事情があると思うんですよ。単に個別企業の雇用政策のレベルの問題じゃなしに。
 そうなりますと、そこに国がサラリーマンの負担に対する何らかの配慮をしてもいいじゃないか。それは私が第一の点で御確認を申し上げました。いろんな問題はあるであろうけれども、原点は、国民の懐を政治がいかにして温かくするかにあるんだ、そこが原点なんじゃないかという第一の確認事項ですね、第一の確認事項に連動するわけでございます。当局のお立場としては、僕は梅澤さんの言葉はわかるし、もっともだと思います。もう時間が参りましたから、最後にこれは政治家としての大臣の御見解を、くどいようですが、もう一回伺いまして終わりにしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) たびたび御議論申し上げておりますように、いろんな問題が給与の一部であって、税制上個別の事情をしんしゃくしてそれを税制の中で生かすというのは、現実問題として非常に難しいということをいつも申し上げております。さらに私、最近その問題を議論するときに、いわゆる出稼ぎ労働者でございますね、私の田舎とか東北の方。この問題をネグってその問題だけを議論してもいけないなあという感じも持ちます。したがって、そういう議論が積み重ねられる中で、最終的には雇用政策の中で、それは企業の経営の中で、あるいは労使交渉の中でいろいろございましょうが、そういうところへ議論が進んでいって物が煮詰まっていくのがやっぱり至当な線じゃないかなあという気持ちが最近より強くなっておることだけ、私も勉強の途中でございますが、素直に申し上げておこうと思います。
○野末陳平君 予算編成のことで幾つかお伺いしたいと思うんです。
 まず、公共事業関係ですけれども、公共事業費を拡大してほしいというような声もかなりあるように、あちこち地方などへ行きますと聞いたりするんですが、大臣としては、今度予算面で公共事業費の拡大というのにどういうふうに対応なさるおつもりか、それをまずちょっと。
○国務大臣(竹下登君) 私どもも、特に野末先生は地方とおっしゃいましたが、公共事業依存度の強い地方にはそういう意見がたくさんございます。事実、建設業自体の角度から見ましても五十二万ございます。五十二万というのは、この委員会で何遍も審議いたしましたたばこ屋が二十六万でございますから、ちょうどたばこ屋の倍ある。こういうことですから相当なものだなあということは肌で感じますが、予算に当たっては、そういう問題は一つは傾斜配分のような問題で解決する面があろうかと思います。もう一つは、量自体を民活も含めいろいろな知恵を出して確保する。財政そのものの対応以外にそういう点も、今までにもやってきたことはございますが、そんなものを総合してどういうふうに対応すべきか。いわゆる実額でふやすということは、私は今の財政状況のもとでは非常に困難なことじゃないかという感じがしております。実額と申しましたが、予算ベースでふやすのはと、こういう意味でございます。
○野末陳平君 地方の場合は、景気回復のテンポがどうも都会に比べて鈍いようで特に公共事業に頼るんだろうと思いますけれども、予算面で確かにこれを拡大するというのは、今の削れという至上課題がある現在難しいと思うんです。ただ、公共事業費というものは景気浮揚効果がどの程度あるか。もう時代の流れとともにかなり変わってきているだろう。昔は確かに公共事業を拡大すると景気がよくなった。かなり以前はそうだったようですが、年とともにどうもそんな感じもしてこないし、その辺がいま一つはっきりしないんですが、主計局などではこの公共事業と景気浮揚効果、どういうふうに最近の事情をつかんでいらっしゃるか、見解を聞きたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) ちょっと正確に平澤次長からお答えする前に私の感じで申し上げますと、例えば一兆円でございますといわゆるGNPには一兆二千億ぐらいの影響を与えるのかなあと、こういう感じはございます。時代の趨勢とともにかつてほど効果がそのまま出ないようになったというのは、いわば徐々に物事が整備されて、残っておるそういう公共事業の対象が用地費比率等に大変食われるところが多くなっておるんじゃないかという感じもいたしますので、かつてほどは効果そのものはないではないかというふうに考えております。別の角度から申しますと、公共事業三兆で二十億ドルぐらい、恐らく貿易収支に響くのが二十億ドル、減税五兆で十億ドルというようなことをよく言っておりますが、そういうのも一つの指標として考えておかなきゃいかぬのかなあと思っております。
○政府委員(平澤貞昭君) 今の大臣のお話を補足することになりますが、最近乗数効果がかなり落ちてきているわけでございます。一番大きな理由は、だんだんだんだん、今大臣のお話にもありましたように、用地費の比率が高まっているということも大きな原因であろうかと思います。
 そこで、例えば一兆円投資するとどうなるかということなんでございますけれども、一兆円投資しますと、これは経済企画庁のモデルで出したわけでございますけれども、単年度で一兆円出すと初年度でその一・四七倍の需要ができる、次年度で〇・七八、それから第三年度で〇・四七ということでございますので、合わせても二倍強のものが出てくるということになるわけでございます。
○野末陳平君 いずれにせよ、地方の要請も必ずしも無視していいというわけにもいかぬでしょうけれども、公共事業と乗数効果のことを考えながら予算編成した方がいいと思うんです。
 同時に、今度いわゆる景気とは関係のない部分の歳出がまた多い、特に福祉とか教育面とかありますね。これはもちろん同列に比較すべきことではありませんけれども、しかし歳出削減ということになったときに、福祉、教育面で必ず大蔵省が出してくるのが教科書の無償とか児童手当とか、こういうものがありますね。これもいろんな世論がありまして、一概に世論はみんな教科書無償を支持しているかというと、いや、もう教科書を有償にしてもいいという意見だって多いわけですよ。ですからこれをどうするのか。大蔵当局がこれを毎年出したり引っ込めたりしながらやっているというのがどうも不徹底で、こういう態度はよくないと思うんですね、一貫性がなくて。ですから、そもそも大蔵省は、具体的に言えば金額はそれほどじゃありませんが、教科書の無償とか児童手当とか、こういう部分に対してどういう考え方なんですか。そこを聞いて、もしもどうしてももう無償はしないと言うんなら、その態度を貫いてもらいたいし、どちらかにしてほしい。毎年出してきたり引っ込めたりするのはみっともないという気がするんですが、それはどうですか、大臣。
○国務大臣(竹下登君) 最初に教科書の問題で申しますと、私どもよく教科書を覚えるときには二、三、四、五、六と覚えろと、すなわち二千二百円が小学校、三千三百円が中学校、締めて四百五十六億。ところが四、六、五になっておりました、ことしの数字見ましたら。恐らく単価でそうなったんでございましょう。四百五十六億で漫画の本の売れ行きが千五百億だとか、まあいろんな議論もございますが、教科書無償の時代からのずっと経緯をたどってみますと、私は有償であってこそ、大正十五年の三月三十一日生まれまでの者は、「ハナ ハトマメ マスミノ カサカラカサ」と皆覚えておりますし、その後は「サイタ サイタ サクラガ サイタ」と覚えているのは、あれは親が買ってやったからじゃないかというようなことを演説では言ったりしてみておりますが、問題は、この問題については一応与党と私どもとの間である期限を切って結論を出すということになっておるわけであります。その結論が一遍出まして、その結論は何であったかというと、もう少し時間をかけて審議すると。そのもう少し時間をかけての審議の結論がきょうの段階ではまだ出ておりませんので、したがって出したり引っ込めたりということでなしに、ある時期には、そういう協議会というんですか、何か小委員会のようなものができておりますので、その結論を見ておるところというのが現段階でございます。そこできっぱりすれば将来の方向が一応は決まるんじゃないか。
 それから児童手当等の問題についてもたびたびいろいろな議論がございます。率直に言いまして、中国は二人目からは罰金で、三人目からは米の配給がないとか、そんな議論をする人もございますけれども、これとて歴史的経過をたどってできた意義ある政策でございますので、それが運営に当たっては、あるいはこの所得制限の問題をどうするかとかいうようなことに財政とそして時代の趨勢等を見ながら対応していかなきゃならぬ。
 おっしゃいますように、いささか何か毎年出したり引っ込めたりという印象を与えておることも事実と思います。生活保護そのものにいたしましても、ある県では千人当たり四十人、ある県では千人当たり四人しかいない、所得は四十人の方が高いとか、そういう例はございますものの、一つ一つなかなかそれらを精査することも難しいわけでございますけれども、そういう大つかみな実態調査等をしながら、厳しい財政状態でございますから、可能な限りそれの執行面に至るまでの公正さがあるような形で一つ一つ根気強く解決していかなきゃならぬ問題だなと、こういう感じがしております。
○野末陳平君 私個人の考えを言いますと、いろいろな人の意見を聞いていますが、確かに教科書は有償でも構わないという意見の方が今強いと思いますね。しかし福祉という精神を重視すれば、そんな金額で、削りやすいから削っていっていいかどうか、これは疑問ですが、少なくも世論というのは絶対無償でなきゃということはないと思っております。それから児童手当も、一般家庭の第三子からの児童手当ではなくして、むしろ母子家庭その他の手当の方に厚くする方向が望ましいんだろうと思ったりしていますから、そちらの結論が出て、またいろいろ聞かしてもらえばいいと思います。
 それから補助金の問題ですけれども、昔からこの問題はなかなか難しいこともわかりますが、予算補助、法律補助など含めて補助金をどうするか。何か一律カットでというような考え方もあるやに聞いたりしているんですが、今度の予算編成では、この補助金については個別というよりも全体的にどういうふうな取り組み方をなさっているのか、それも聞かしてほしいと思います。
○政府委員(平澤貞昭君) 補助金の問題についてでございますけれども、国、地方を通じて行財政改革を推進していくということが非常に重要な課題であるわけであります。その場合、国と地方との間の機能分担、費用分担のあり方、これについて幅広く見直していくということになろうかと思います。
 そのような認識に立ちまして、今までも臨調あるいは行革審等においてこの問題をあらゆる角度から御検討いただきまして、それについても答申等が出ているわけでございます。したがいまして、我々といたしましても、このような答申その他を踏まえながら、この問題についても、六十年度予算あるいはそれ以降含めて十分にその考え方を反映していきたいというふうに考えているわけであります。その中に、先ほどお話がありました補助率の引き下げという問題も含めて取り上げていきたいということでございます。
○野末陳平君 じゃ最後に。
 さっきも出たかもしれませんけれども、防衛費の一%の堅持の問題ですが、中曽根内閣が三木内閣のときのこの一%を尊重するのはわかりますし、僕もそれはいいと思いますが、ただ人件費など考えますと、どうしてもこれを超えてしまうようなときが遠からず来るというか、既に来ているわけですね。そこで大蔵当局として、この防衛費の一%堅持にはどういう意義を見出しているか、その辺のことを最後に聞いておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) これは昭和五十一年三木内閣のときに決まりまして、当時の情勢と今日と、それから対GNP比、あるいはGNPの伸び率、他の予算とのバランス、いろいろな変化はございますけれども、財政当局という限定した立場から見れば、一つの歯どめというものはやっぱり今日までそれなりの効果を果たしたんじゃないかという事実認識は私はしております。
 で、今日の段階においてどうするかということになりますと、当面、中曽根総理からもお答えしておりますように、これから六十年度予算、きょうは五十九年度のベアを含めたらどうなるかという御議論もいただきましたが、総理がお答えしておりますように、この一%という三木内閣のときの閣議決定は、これを遵守してまいるというのが今日の段階のお答えになろうかと思います。
○野末陳平君 終わります。
○委員長(藤井裕久君) 本日の調査はこの程度といたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十七分散会