第102回国会 社会労働委員会 第20号
昭和六十年五月二十三日(木曜日)
   午前十時六分開会
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  出席者は左のとおり。
    委員長         遠藤 政夫君
    理 事
                佐々木 満君
                関口 恵造君
                高杉 廸忠君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                大浜 方栄君
                斎藤 十朗君
                曽根田郁夫君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                村上 正邦君
                糸久八重子君
                浜本 万三君
                和田 静夫君
                中西 珠子君
                安武 洋子君
                藤井 恒男君
                下村  泰君
   衆議院議員
       社会労働委員長
       代理       稲垣 実男君
   国務大臣
       労 働 大 臣  山口 敏夫君
   政府委員
       労働大臣官房長  小粥 義朗君
       労働大臣官房審
       議官       野見山眞之君
       労働省労政局長  谷口 隆志君
       労働省労働基準
       局長       寺園 成章君
       労働省職業安定
       局長       加藤  孝君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第一課長    藤原  享君
       労働省職業安定
       局雇用政策課長  齋藤 邦彦君
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  本日の会議に付した案件
○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○労働問題に関する調査
 (三菱石炭鉱業株式会社南大夕張炭鉱の坑内ガス爆発災害に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
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○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。山口労働大臣。
○国務大臣(山口敏夫君) ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 最近における経済社会の進展を背景として、労働力の需要及び供給の両面において、多様かつ著しい変化が見られます。すなわち、労働力の需要側においては、マイクロエレクトロニクスを中心とする新たな技術革新の波が広範な分野に広がり、これに伴って、企業内においても専門的な業務分野が増加しつつあります。一方、労働力の供給側においては、自分の希望する日時等に合わせて、専門的な知識、技術あるいは経験を生かして就業することを希望する労働者層が増加してきております。
 このような変化が進行する中で、他の企業の仕事を請け負い、自己の雇用する労働者をその企業に派遣して就業させるといういわゆる人材派遣業が増加し、そこで就業する労働者数も相当な数になりつつあります。
 ところで、これらの事業については、労働力の多様なニーズに対応した需給の結合を促進し、就業の機会を拡大する役割を果たしているところでありますが、一方では、労働者が派遣先の企業で就業する形態であることから、職業安定法第四十四条で禁止している労働者供給事業との関係で問題が生ずる場合もあるほか、労働者保護に関する労働基準法等の適用に関しましても、現行法のもとでは適切に対処できないという問題もあります。
 また、一方では、今後の労働力需給の変化を展望した場合、増大する高齢者や女子労働者の雇用の安定を図り、技術革新の進展に伴う技能労働力を育成し確保していくためには、我が国の雇用慣行や労働市場の状況との調和にも配慮しつつ、新たな観点から労働力需給調整システムの整備を図っていくことが必要となってきております。
 このため、職業安定法第四十四条の精神を堅持しつつも、特定の業務分野については、労働者の保護と雇用の安定に配慮した上で、労働者派遣事業を制度化し、そのための法的整備を図ることが必要と考えます。
 この問題に関しては、昭和五十三年以来広く関係者の意見を聞きつつ慎重な検討を続けてきたところでありますが、昨年十一月に、中央職業安定審議会の労働者派遣事業等小委員会より、労働者派遣事業の制度化とそのために必要な規制措置について報告が提出されたところであり、政府としては、この報告の趣旨に基づき、中央職業安定審議会等の関係審議会の審議を経て成案を取りまとめ、ここに二法案を提出した次第であります。
 まず、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、この法律は、労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図り、もって派遣労働者の雇用の安定と福祉の増進に資することを目的といたしております。
 第二は、労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置であります。
 その一として、労働者派遣事業を常用雇用労働者のみで行う特定労働者派遣事業といわゆる登録型等で労働者を派遣する一般労働者派遣事業に区分し、前者については届け出制、後者については許可制によることといたしております。
 その二として、労働者派遣事業は、港湾運送業務、建設業務等を除き、専門的な知識、技術、経験を必要とする業務及び特別の雇用管理を必要とする業務のうち中央職業安定審議会の意見を聞いて政令で定める業務に限って行うことができることといたしております。
 その三として、労働者派遣事業を行う者についての欠格事由等を定め、事業停止命令等の措置を講ずることといたしております。
 第三は、派遣労働者の就業条件の整備等に関する措置であります。
 その一として、労働者派遣契約に派遣労働者の具体的な就業条件を定めることとするとともに、正当な組合活動を行ったこと等を理由とする労働者派遣契約の解除を禁ずること等の措置を講ずることといたしております。
 その二として、派遣元事業主に、派遣労働者の就業機会や教育訓練の機会の確保等のための努力、派遣労働者に対する就業条件の明示等適正な雇用管理を行わせることといたしております。
 その三として、派遣先に、派遣労働者についての苦情の的確な処理等の努力を行わせるため、派遣先責任者を選任させる等適正な就業管理を行わせることといたしております。
 その四として、労働基準法等の使用者責任を明確化することとし、派遣労働者については、基本的には派遣元の事業主が使用者としての責任を負うという原則を維持しつつ、派遣先でなければ履行の確保が困難な労働時間の管理、労働者の安全衛生の確保等の事項については、派遣先の事業主に使用者責任を負わせることといたしております。
 その他この法律を施行するために必要な指導、改善命令、立入検査、報告の徴収等の権限及び罰則規定等を定めることといたしております。
 次に、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案は、ただいま御説明申し上げました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案の成立、施行に伴って必要とされる関係法律の整備のための規定及び経過措置を定めるほか、これにあわせて、最近の経済社会情勢の変化に対処して、民間の職業紹介事業、労働者募集及び労働組合が行う労働者供給事業につき、その労働力需給調整機能が効果的に発揮されるよう現行規制の簡素合理化等の改正を行うことといたしております。
 以上、二法律案の提案理由及びその概要について御説明申し上げました。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(遠藤政夫君) この際、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案に対する衆議院における修正部分について、衆議院社会労働委員長代理理事稲垣実男君から説明を聴取いたします。衆議院議員稲垣実男君。
○衆議院議員(稲垣実男君) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、
 第一に、一般労働者派遣事業の許可の申請または特定労働者派遣事業に係る届出書の提出に際し添付する事業計画書及び定期的に提出する事業報告書には、労働者派遣に関する料金等の事項を記載して提出しなければならないものとすること。
 第二に、派遣元事業主は、海外派遣をしようとするときは、あらかじめ労働大臣に届け出るとともに、労働者派遣契約の締結に際し、派遣先が派遣先責任者の選任、派遣先管理台帳の作成、記載及び通知その他派遣就業が適正に行われるために必要な措置を講ずべき旨を定めなければならないものとすること。
 第三に、新たに労働者派遣の対象としようとするときには、労働者派遣の対象となる旨の労働協約または就業規則の定めの適用を受ける労働者についても、あらかじめその旨を明示し、その同意を得ることを要するものとすること。
 第四に、労働大臣は、労働省令で定める場合を除き、もっぱら特定の者に対し役務を提供することを目的として労働者派遣事業が行われていると認めるときは、当該事業の目的及び内容を変更するように勧告することができるものとすること。
 第五に、この法律の施行後三年を経過した場合において、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。
 以上であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(遠藤政夫君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 暫時休憩いたします。
   午前十時十六分休憩
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   午後一時十三分開会
○委員長(遠藤政夫君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の両案並びに労働問題に関する調査を議題とし質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○和田静夫君 まず初めに、三菱の南大夕張炭鉱のガス爆発、これは、炭鉱の保安は鉱山保安法で通産大臣の所管でありますけれども、労働者の福祉を目的とする労働省としても、きちんと事態を見守る必要があると思うんですね。
 労働大臣、私は保安についての労使協議の場をつくるなどのそういう法律の抜本的な改定が、こんなに連続的に炭鉱災害が続きますと、そういうことが必要になってきているんじゃないかと思うんです。したがって、御所見があれば、今回の事故問題を含んで伺いたい。
○国務大臣(山口敏夫君) 和田先生御指摘ございましたように、鉱山保安法の中でいろいろ安全対策というものを進めておるわけでございますが、これは労働者の生命を守るということはもう労働行政の基本でございまして、御指摘いただいている点、私も率直に同感でございまして、たびたびこういう事故の起こる中で、もう事故のない万全の策を講ずるべく努力いたしますと、こう言うことだけでは、それにまた、事故に応じた安全性の点検確認というものを進めていきながらも、なおその整備の後から後からこういう事故が起こるということは大変遺憾でございます。
 私も、今ここでどういう方法でということをお答えできないのは残念でございますけれども、今先生の御指摘いただいた点を十分踏まえて、労働行政の立場から労働者の生命の安全、また炭鉱災害についてどう対応するかということを基本的にもう一度見直し、その取り組み方を研究さしていただきたい、検討さしていただきたい、かように考える次第でございます。
○和田静夫君 警察庁、会社及び保安統括者の刑事責任の可能性が非常に強いように思うんですが、警察としてのコメントを。
○説明員(藤原享君) 問題の事故につきましては、北海道警察本部で事故特別捜査本部を設置いたしまして各般の捜査を行っているわけでございます。発生の翌日の十八日には、会社関係の捜索、差し押さえをいたしまして、関係書類等多数を押収いたしますとともに、十九日からは現場検証を連日行っておりますし、併行いたしまして関係者の事情聴取等も行っておるということでございまして、その中でいろいろ今後それらに関します事故原因と刑事責任の有無の解明に努めてまいりたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、まだ事故発生後間もない段階でございまして、いわゆる刑事責任の問題については、今後十分にいろいろの状況を検討いたしまして詰めてまいりたいというふうに考えております。
○和田静夫君 警察庁、結構です。
 さて労働大臣、昨年の十月経済同友会がまとめたレポートでは、「ME化に限らず構造不況や景気変動によって余剰になった人々を、当該企業に所属させたまま一時的に預かり他企業に供給するいわゆる応援体制の「人材仲介組織」」、これが最も重要だと、こういうふうになっている。同レポートは「中間労働市場」というふうに位置づけているわけですが、「中間労働市場が公正に機能し発展するよう制度面の整備を行うべきである。とくに、職業安定法等の関連法規(同法第三二条及び第四四条)は、法制定当時と今日の情勢変化等を勘案して実情に即した改訂または運用が望まれる。」というふうになっているわけですね。
 この提案は、簡単に言えば本工労働者もまさに企業、資本のニーズに沿う形でいつでも派遣できるよう職安法を変えるべしという提案ですね。今回の法律改定、新法の制定は、この同友会提案と軌を一にしているのではないんですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 経済同友会の中間労働市場論につきましては私も拝見をいたしましたが、こうした観点から見る提言が必ずしも適切なものではないというふうに考えております。
 しかし、御承知のとおりの高齢化時代、またME化時代等、労働人口がこれからさらに五百万、あるいはまた女子労働ということを考えますと八百万近い労働人口の増加が見込まれるという中におきまして、やはり職場をどう確保、拡大をしていくか、雇用を創出していくかということは、労働行政の立場から同友会以上に非常に深刻に検討しておる問題の一つでございまして、常用雇用、終身雇用という基本体系を、今日までの長所を十分生かしてなおかつ縦横な雇用市場体系というものを確立する必要がある。特に私は、ME化、サービス産業等の中におきましてこういったものも、ある意味においては雇用市場の拡大につなぎ得る雇用の研究というものも必要なんではないか。
 そういういろんな角度から考えましてこの人材派遣法も、いろいろな角度からの御論議をいただいて審議会の答申を得てこうして今国会で御論議をいただいておる、こういう経過でございます。
○和田静夫君 そうなりますと、新法のどこで雇用調整に伴うこの本工の派遣労働者化を規制しているかということが問題になるわけでありますが、これで十分だとお思いになりますか。
○政府委員(加藤孝君) 一つには、この中間労働市場論におきましては、こういう全体の余剰労働力が出てくるのではないか、それに対してそういういわばシステムをと、こういうことでございますが、この派遣法案におきましては、まず業務限定というものを一つ基礎に置いておるわけでございます。そしてまた、これが終身雇用制というこれまでの日本の雇用慣行というものを崩さないよう、こういったものとの調和に考慮して運用されるべきものであるという一つ基本的な構えをとっておるということでございまして、同友会の御提言というのは、今後の見通しにおいても私どもとしてはいろいろ問題があると思っておりますし、仮にそのためにこういうものが必要だと言われる話とこの派遣法案とは、これは次元の違うものである、こんなふうに考えております。
○和田静夫君 私は、そうだからこれで一体派遣労働者化の規制が十分だろうかというふうに問うたわけです。
 なぜそういうふうに問うたかといいますと、例えば、今対象業務の問題がありましたが、初め四業種と、こういうふうに言われておったやつがいつの間にか十四になる。きょう論議の中で明らかにしますが、十四ではどうもおさまりそうもない動きがもう既に労働省にある。こうなってくると、対象業務の限定や本人の同意だけでは歯どめにならぬということだろうと思うんです。
 第一に、適用対象業務は政令事項であるでしょう。したがって、政府が拡大しようとすれば国会の同意を必要としない。もっと問題なのは、業務概念があいまいだと私は思うんですね。例えば運転手を、秘書業務を行う者として派遣することができるでしょう。十四業務のうちの十二番目に「事故、火災等の発生の警戒、防止」というのがありますね。これを使えばどういう職種でも派遣できる。いわゆる業務の中にほんのわずかでも事故、火災等の警戒、防止があれば派遣は可能だ、こういうふうになっていきますね。また、本人の同意というのも歯どめにならない。というのは、なぜならば、雇用調整で派遣の対象となる労働者というのは常に弱い立場にあるわけですから、そういう意味では歯どめにはならぬわけです。
 この辺、どういうふうに考えますか。
○政府委員(加藤孝君) 率直に申しまして、日本の場合には、職種概念というものが必ずしも欧米のような明確な職種概念がないわけでございます。そういう意味で、今先生が御指摘のように、これでは必ずしも範囲を規制したことにならないではないかという御指摘は私どもも十分考えなきゃならぬ問題でございます。
 これにつきましては、この業務に入っておるかどうかということがすなわちその派遣業が適法かどうかということにもまたかかわってくる問題でもございますので、これは審議会の意見を聞いて政令で定める段階におきましては、当然業務の内容につきまして、単なる呼称ではなくて内容について明定をしていく必要があるであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
○和田静夫君 そもそも非派遣の社内労働者を派遣労働者にするということは、当初立法の対象としていなかったですよね。昨年二月の労働者派遣事業問題調査会の報告をずっと見てみましたよ。そうすると、この問題触れていませんよ。十一月の小委員会報告書の「立法化の構想」でも派遣事業についてのみただし書き的に触れているにすぎないでしょう。ところが、法律案になると、ただし書きでもなく堂々と非派遣労働者を派遣することになっているわけです。「立法化の構想」よりも法律は後退していると私は見ます。派遣促進という立場からするならば、一層前進しているのでしょう。つまり、ここのところがどうも同友会立場に近づいているのじゃないかという疑問を抱くゆえんです。
 企業が本工労働者を雇用調整のために派遣をするということは、これはいとも簡単にできるのですよ。なぜならば、第一に派遣事業として届け出るでしょう、それでよい。第二には、直接生産工程にいる労働者を非生産工程に配転するでしょう。そして第三に、業務内容に先ほど述べた事故、火災の警戒防止を加える。こういうふうに彼らなりの知恵を回していけば、この三段階の手続を踏みさえすれば、直接生産工程の労働者でも派遣できることになっていくじゃありませんか。その際、本人の同意は重要なファクターにならないことは、先ほど私が述べた立場にあるからであります。雇用調整の対象となった労働者は、希望退職や一時帰休、プレッシャーにさらされているわけですから派遣に応ぜざるを得ない、こういうふうになるのです。
 大臣、私の論議をお聞きになっていてこれはそうお思いになるでしょう。
○政府委員(加藤孝君) これは衆議院の段階でも、就業規則あるいは労働協約というものがある場合には同意が要らないがごとき規定になっておるじゃないかというようなことで同意論がいろいろ論議がございました。
 しかし、先生の今の立論の論拠といたしまして、労働者というのは全部同意しなきやいかぬのだというお話でございますが、これは物によってはもちろんその同意という形のものはある程度そういう企業の中におることによってせざるを得ないものもございましょうが、やはり派遣労働者として今後あちこちに派遣をされるという話になりますと、これはやはり相当重い変更になるわけでございますので、そこは労働者は同意せざるを得
ないのだということで全部割り切っていけるものだろうかという点はあるかと思うのでございます。
○和田静夫君 一番最後のところはつけ足しなので、私はそれまでに三つのことをやっていけばこういうふうにして派遣できるじゃないかということを言っているわけです、本工でも。そこの抜け道をちゃんと用意をされている、ざるの法律ならざるの法律と言ってもらえばざる法として論議をしますがね。どうもそういう私が言っているような知恵は簡単に回ると思うね。法律を利用して、そんなことをやろうと思えば幾らでもできると思う。ここのところは一つ問題であります。
 さらに、今衆議院の附帯決議を言われました。そこで、衆議院の附帯決議を生かすのならば、私は法律に手を入れるべきだ、こう思うのです。附帯決議なんていうのはやりっ放しなのだ、しょせんそんなものは附帯決議だとお思いになっておったら大きな間違いで、一院で附帯決議がついてきたのなら、二院のここでその附帯決議に基づいて法案修正しましょうや。第一に、法三十二条二項はさらに根本的に私は修正すべきである。これは委員長に後で預けてもよろしいと思います。派遣労働者として雇い入れた者以外の労働者の派遣は原則禁止ということを明確にすべきである。衆議院の附帯決議を受けて明確にすべきである。第二に、派遣事業は兼業禁止にすべきである。兼業禁止というものを明確にしておくべきである。
 労働省、兼業禁止としなかった理由は、何でしょう。非派遣労働者の派遣をなぜ原則禁止にしないのですか。ここのところは非常に疑問なのですね。
○政府委員(加藤孝君) 三十二条二項というのは、これは業として行われるものについての規定でございます。ある時期においてそういう派遣会社でないところが労働者をどこかへ出向させるとかあるいは派遣する、そういう場面についてこの三十二条二項は規定したものではないということでございます。
 また、この原則禁止、こういうことで兼業の点ございますが、しかし、やはりこういう企業というものについて基本的には営業の自由というものがあるわけでございますので、そこについてよほど公益的な観点からの必要がある場合にそれについてはっきり禁止を規定する、こういうことでございまして、そういう意味では、基本的には原則自由の中において適当でないというものを明定する、あるいはまたそれを許可条件なりの中でこれを抑えていく、こういうようなことが基本的な制度の運用のあり方ではないだろうか、こういうことでございます。
○和田静夫君 今の二つのことは、後でまた理事会等で協議してもらえばいいと思うんですが、一応要求しておきます。
 さらに、常用雇用の代替を規制するために必要なことは、派遣期間の制限だと私は思うんです。フランス法を見てみてもあるいは西ドイツ法を見てみても、大陸法は、六カ月であったり三カ月であったり、全体としてちゃんとしていますね、英米法は抜けていますが。ここのところはやっぱり私たちとしては学ぶ必要があるところだと思っているんですが。
 調査会報告書が全員一致の意見として、何らかの期間制限を行うということを言っていますよね。それにもかかわらず労働省は期間制限を設けなかった理由というのは一体何なんだろう。労働市場の需給調整というのであったならば期間制限を設けるのが私は当然だと思うんですが、どうですか。
○政府委員(加藤孝君) この点につきましては、中央職業安定審議会の派遣問題についての小委員会の場でもいろいろ論議が行われたところでございます。
 確かに先生御指摘のように、欧米の大陸系においてそういう規定があるということも踏まえいろいろ論議したわけでございますが、結果といたしまして、一つには、そういう規定を置いた場合に派遣労働者の雇用の安定という面で、例えば六カ月であるとか三カ月であるという場合に、そこに三カ月しかおれないという形での、雇用の安定という面での一つ問題があるではないか。そして制限をすることの意味が、これが派遣労働者を使っておる事業場における常用労働者の代替というような形での問題があるんではないか。こういう観点からいたしますと、そこに派遣労働者が三カ月なら三カ月という時期を限った場合に、また次の三カ月別の労働者が派遣されてくる、こういうようなことならば、結局、派遣労働者だけに規制をかぶせてもそういう面での実効は期せられないではないか。そういう意味でなかなかこれは実効を期すことが難しい。そしてまた、実際にそういう規制をしておりますところのヨーロッパの実情を見ましても、やはりある程度更新されておるというような事情もございまして、そういう意味でここで時期を限定するということは必ずしも実情に合わない。それからまたもう一つ、やはり業務によりまして長さがいろいろ区々でございます。
 そういうような実態等も考えまして、ここで一定の期間を入れるというような規定は、審議会の場で議論をされて、入れないという形になっておるというものでございます。
○和田静夫君 審議会の引用がたくさん出てきますが、審議会のことはまとめで後でやります。審議会に出た資料というのは全部目を通さしてもらいました。これぐらいのことで審議会が終わるのでは困るなという感じを持っていますので。
 いずれにせよ、労働省の立法作業が労使の均衡を失しているという疑いはどういう答弁をされても晴れません。しかし、その場合に、現状がどういうような法秩序のもとに進められてきたかということに実は私は大変疑問を持っているんです。
 これから以下は通告してありますから。
 まず、労働省、現在派遣事業所は幾つあって、派遣労働者は何人いますか。
○政府委員(野見山眞之君) 今先生がおっしゃいました人材派遣業なるものは、現行法体系のもとにおきましては制度的には存在いたしませんので、これと類似した形態で行われている、いわゆる業務処理請負事業という形で行っているものについて、比較的派遣的形態が多いと思われる業態についての状況につきまして業種を申し上げます。
 例えばビルメンテナンス業におきましては昭和五十六年度で約八千の事業所がございまして、約三十万人の労働者が就労いたしております。情報処理サービス業におきましても、昭和五十六年度で約五千の事業所がありまして、約十六万人の労働者が就労しているという状況でございます。事務処理サービス業、これにつきましては明確な定義がございませんので正確な数字を把握することはできませんが、関係業界等の情報によりますと、現在のところ約百八十から二百社、そして登録形態をとっておりますので、この登録スタッフの数で約十万から十二万人というふうに推定されておるわけでございます。
 今申し上げましたように、これは業務処理請負事業ということで行っているものでございまして、すべてがいわゆる派遣事業を行っているものというわけではないという点を念のために申し上げたいと存じます。
○和田静夫君 あなた方の統計では、「派遣的」という言葉が用いられていますね。現行法では派遣は違法ですね。
○政府委員(野見山眞之君) 現在、職業安定法におきましては、自己の雇用しているいないにかかわらず、自己の支配下にある労働者を他人に供給することは、労働者供給事業に該当するという規定になっております。
○和田静夫君 私の質問に答えてもらいたいのだが、したがって、「派遣的」という言葉との関係で言えば、現行法では派遣というのは違法だと、こういうことですね。
○政府委員(野見山眞之君) 現行法で労働者供給事業に該当するかどうかにつきましては、職業安定法施行規則第四条におきまして、請負契約の名において行われるものにつきましては四つの要件
を備えるべきであるということでございまして、現在行っておりますいわゆる人材派遣業なるものは請負事業の形態で行っておりますので、問題はその施行規則四条に言う四つの要件を満たしているか否かによって労働者供給事業に該当するかどうかという判定になるかと存じます。
○和田静夫君 満たしていないものは違法ですね。
○政府委員(野見山眞之君) 四つの要件を満たしていなければ、労働者供給事業に該当することになると存じます。
○和田静夫君 七八年の行管の行政監察ですが、職安法規則の四条の「認定基準を充足せず、現行法令にいう労働者供給事業に該当する疑いのあるところがみられた。」、これが十四ページですね。「当庁が調査した業務処理請負事業八十六事業所のうちで職業安定機関が職安法第四十四条違反の疑いから立入検査を行ったところは昭和四十九年度から五十一年度の間で十事業所にすぎないなど、業務処理請負事業の実態はあくは不十分となっている。」、十五ページ。ここのところに対応するものとして、労働省は何かやりましたか。
○政府委員(野見山眞之君) 行政管理庁の勧告に基づきまして、現行の職業安定法で言う労働者供給事業の規定を、いわゆる派遣的形態で行っている事業について一律的に適用するのが適当であるかどうか、社会情勢あるいは労働実態等も変わってきている中で、むしろこの問題につきましては別な観点から、いわゆる派遣的事業のあり方について検討することが必要であるということで、昭和五十三年、労働力需給システム研究会を発足していただきまして、この派遣的形態の事業のあり方について検討をいただいてきたというのが発端でございます。
○和田静夫君 言われた職安法四十四条、同施行規則四条というのは、これは非常に明快ですよ。大臣よく御存じのとおりなんですが、この規則四条は、今言われたように第一項で請負状況の四つを挙げている。そのすべてに該当しなければならないとしているわけですね。さらに第二項では、そのすべてに該当したとしても、故意に偽装されたものは四十四条違反だとしているわけですね。法律上は非常にこれは明快なんです。にもかかわらず、無数の派遣事業が法の網の目をくぐって存在し、摘発はほとんどなされなかった。これはあなた方の行政行為の怠慢と言わなきゃならぬ。
 この点は大臣、何かコメントありますか。
○政府委員(加藤孝君) 御指摘ございましたように、この施行規則四条というのは一応明快に規定を置いております。
 ただ、実態との絡みで見ました場合に、こういう労働者供給事業というものを禁止をいたしておりますそもそもの趣旨が、強制労働の排除であるとか、あるいはまた中間搾取の排除であるとか、こういうようなものを抑えていこう、こういうことが本来一番基本のねらいの規定であるわけでございますが、実際に最近になって出てきております派遣的な形をとったこういう事業につきまして、そういう四条との関係において確かに問題のあるものもいろいろ見受けられ始めてきたわけでございますが、それではこれが、例えば高齢者なり、あるいはまた家庭の主婦等で家事との調和を図りながら就労したいというようないろいろな新しいニーズというようなものの就業希望というものとの関係、そしてまた、そこの行われておる仕組みが必ずしもそういう強制労働とか中間搾取的なものではなくて、あくまでこの施行規則四条に言う請負の要件というものをぴたっと満たしておるかどうかということから、極端に、そういう反社会性の比較的乏しいものについてこれを全部排除をするということが適当かどうか、こういうような判断もございまして、私どももこの需給システム研究会というようなもので研究を開始していただいた、こういうような事情もあるわけでございまして、そういう意味では、直ちにこの四条のごく軽微な点での違反があるからということでこれを全部排除するということではなくて、むしろそういったものについては請負の要件を満たすように是正指導をしてきた、こういうような形で今まで対応してまいったわけでございます。
○和田静夫君 幾つか例を挙げましょう。偽装請負の一つの典型的な例、新宿区信濃町十の七、大新東株式会社、野口勇社長、資本金五億円、派遣会社です。従業員は千名。この会社は、車両、つまり自動車を管理するという名目で契約を結ぶわけですが、実態は、会社の内部資料によれば運転手派遣事業です。これが委託契約書の写しでありますが、「委託業務の範囲」の一番目に「管理車両の運転」とあって、契約料金は走行キロ数によって決められる。これはまさに請負という形態を偽装した人材派遣業です。
 このケースは、職安法四十四条、規則四条に照らしてどう判断しますか。
○政府委員(加藤孝君) 御指摘ございました大新東の件につきましては、実は私どもも、職安法施行規則四条との絡みにおきましてしばしば調査もし、検討もさせていただきました。そういう中におきまして、これがその過程においては必ずしも施行規則四条の関係において完全に請負というふうに言いきれないではないかというようなものにつきましては是正をさせる、こういうふうな形で、現在私どもが把握をしております限りにおいては請負という形においてこれが行われておる、概略こういう考え方を持っておるわけでございます。
○和田静夫君 そうすると、私は偽装請負と考えますが、もしこれが偽装請負と認定できないなら、新法でも規制の対象にできませんよね。あなたは今請負とこう言われた、そうすると、現行法においてこれは合法なんですか、非合法なんですか。
○政府委員(野見山眞之君) この業態が、請負契約に基づいて請負業務として行われている限り、合法のものでございます。
○和田静夫君 内部資料によりますと、いろいろなことがあるんですが、与党の有力な議員の三人も顧問に名を連ねています、その一々の名前は言いませんが。そこでこの会社は、もしそういうふうに言われるのなら、内部資料によりますと、公社公団を含む五十の官公庁が派遣を受け入れていますね。全リストを出してください。
○政府委員(野見山眞之君) 当該会社が営業用のパンフレットとして発行しております資料を持っておりますので、提出いたします。
○和田静夫君 その中に公社公団五十全部書いてあるか。
○政府委員(野見山眞之君) 五十かどうかはちょっと把握しておりませんけれども、その会社のパンフレットを持っておりますので、それを提出さしていただきます。
○和田静夫君 それは後でいただきます。――今ありますか。そこにあったら今ください。私はこれは違法の疑いが極めて強い供給労働を行政官庁が受け入れていたということに、思うんですが、今もらえばわかりますが。私は偽装請負だと思いますから、これは違法状態だと思うんです。言ってみればそれを政府側も促進をしてきた、こういうふうなことが言える。受け入れ官庁側というのは職安法四十四条の違反ではないだろうか。すなわち一年以下の懲役または一万円以下の罰金、こういうものに該当する代物だろうと思うが、あなたの方は請負で合法だとこう言われるのだから、そこの論点はきょうは一応、後で資料を全部もう一遍精査をしてからの論議にいたしましょう。
 兵庫県尼崎市の日正工業株式会社、資本金二千万円、従業員数五百七十二名、この会社がやっていることも、業務委託システムとしていますが、実は労働者派遣事業ですね。これは会社の案内なんですが、見てみると、機械加工、機械の組み立て及び仕上げ、製品の加工及び組み立て作業、溶接等々現業部門、それから設計・製図、一般事務、電話交換、タイプ、コンピューター等々事務部門、すべてにわたって労働者を派遣するというマルチタイプの派遣業です。
 これは合法ですか、非合法ですか。
○政府委員(野見山眞之君) この日正工業につき
ましては、ごく最近御指摘がございましたので至急調査をいたしておりますけれども、現在まで把握したところ、同社の状況は、尼崎市に所在して昭和四十九年に設立した会社で、御説のように自動車会社あるいは電機会社をお得意先といたしまして、請負形態で部品製造あるいは組み立てを行っているというふうに私どもは報告を受けておりまして、これらの労働者につきましては、元請の組み立てライン等の業務の一部を請負って仕事をしているということでございます。
 問題は、この請負形態でやっているものが、先生の御指摘のように実態として請負の要件を満たしているのかどうか、その辺のところ、疑問等がございますれば、私どもといたしましても必要な調査をいたしたいというふうに思っております。
○和田静夫君 大新東にしてもこの日正工業にしても、業務委託システムという今あなたが言う一種の請負という形態をとりながら労働者派遣事業をやっているんですよ、これは。すなわち偽装請負なんですよ。労働者派遣事業で、幾ら派遣をこの法律で規制してみても、偽装請負が野放しであるならこれはざるになりますよ。いかにここであなた方が私を説得しようとして無理な答弁をされていても、法が施行されていけばざるになるのが見えていますよ。将来見えていることを簡単に法律案として上げるわけに私はいかぬと思っているので、じっくりこれは継続審議にでもするか何かして協議をしていくべきそういう法律案だと思っていますがね。
 問題は、偽装請負をきちんと取り締まることから始まらなきゃならぬ。あなた方は偽装請負についての明確な指導の方針なり摘発方針というものを示さなきゃならぬ。お示しください。
○政府委員(加藤孝君) この点につきましては審議会の場でも、今先生御指摘ございましたように、偽装請負といいますか、請負と派遣、この派遣法が成立いたしました場合に、派遣との関係について明確な基準を設けてやっていく必要がある、こういうようなことで、これについてはいろいろ論議もございましたが、さらに今後、審議会の答申の場面におきましても法施行までの間に明確な基準を設けてこれについては実施に当たるべきである、こういう答申をいただいておるわけでございまして、私どもも、成立後におきましてそこを明確な基準を設けていく、審議会の意見を聞いて基準をつくる、こういう作業は当然しなければならぬであろうと、こう考えておるところでございます。
○和田静夫君 審議会は、日本の働く人たちを代理する者はもう全く一握り、わずかですからね。審議会審議会と言われても、審議会の論議なんて余り十分であるとは考えていないんですがね。
 時間が惜しいから、もう一つ例を挙げますが、株式会社東京運行代行会という会社がありますね。これは現行法からして合法ですか。
○政府委員(野見山眞之君) この運転代行会につきましては、会員制で運転の代行を請け負いまして、また具体的な運転業務につきましては、運転代行会と個々の請負従業員という名称のいわば下請労働、下請関係のもとで運転代行業務を行っているというふうに私ども把握いたしておりまして、請負関係にある業態であるというふうに把握いたしております。
○和田静夫君 あなた方が途中でそういう知恵をつけて、そしてこの代行会は会員制にしていったという経過がある。その経過を抜きにして、終わりの方だけで答弁されても困るんだが、実は、この会社は、東京都という権威ある自治体が労働省に取り締まりを希望した。ところが労働省は何のアクションも起こさなかった。私はこの理由は非常に疑問なんです。そしていつの間にか今言ったように会員制というふうに変えていった。
 私は、あなた方は合法と判断したからなのではないだろうか。合法であるとするならば、規則四条のどこに一体該当するのだろう。
○政府委員(野見山眞之君) この運転代行業務につきましては、五十七年六月以降、東京都を通じまして職業安定法の関係について調査をいたしてきたところでございますが、それぞれの運転を実際にする人と運転代行会の関係が雇用契約ではなくて請負関係であるとすれば、これは労働法規がそのまま適用する対象にはなりませんので、請負業務としての形態、実質を備えていれば、私どもとしては職業安定法上の議論を特段いたしてこなかったわけでございます。
○和田静夫君 きれいごとでは済まないわけで、実態というものが一つ存在をしている。形の上では整っている、しかしながら実態はそうじゃない。明確にこれは労働者供給事業ですよ、実態は。そのことを労働省の側が放置をするというやり方というのは、どう考えてみても解せないのであります。
 再度伺いますが、派遣というあいまいな雇用形態を容認する前に、この偽装請負の実態を明らかにする、きちんと取り締まるべきものは取り締まる、このことをきちんとやる。派遣事業の論議などというのはその後でいいわけだろうと私は思うんですが、そういうようなことは、先ほど調査して必要ならばというお話がありましたが、今申し上げたような態度をお持ちになり続けますか。
○政府委員(加藤孝君) 先ほどもお答えいたしましたように、この派遣法が成立施行される段階におきまして、請負との関係、先生御指摘の偽装請負というものと派遣法との絡みにおいてそういう脱法的なものが行われれば、やはりこの派遣法の効果、制度の意味を失うわけでございますので、そういった点については私どもやはり明確な基準を設けていく必要があるだろう。そういう前提といたしまして、私どもも当然こういう偽装請負といいますか、請負という形をとりながらも実は派遣であるというような関係については明らかにしながら法の施行に万全を期していきたい、こんなふうに基本的に考えております。
○和田静夫君 それじゃ大臣、ここのところはひとつ答弁いただきますが、偽装請負をきちんと取り締まり、新法をざるにしないために、私はこの施行規則四条を法律本則に格上げすべきだと考えているんです。大臣のコメントを求めます。
○国務大臣(山口敏夫君) いろいろ問題のある業種、また、偽装請負等については取り締まるのは当然でございますが、問題となるのは、先ほど安定局長との御論議にもございましたように、事業の実態が派遣なのか供給なのか、あるいは請負であるのかどうか、こういう具体的な適用の場面、こうした問題についてもいろいろ労働省の調査と同時に中央職業安定審議会の意見等、また具体的な認定基準というものを定めながら、脱法的な行為が行われることのないように適切に対処していくという考えに立っておるわけでございます。
○和田静夫君 私は、この施行規則四条を法律本則に格上げすべきだと思うんです。これは理事会で一遍検討してもらいたい。委員長に預けます、ここは。
 私の考え方では、先ほど来取り上げてきた大新東、日正、東京運転代行会の業務というのは、実は「立法の構想」に添付された十四業務以外だと思うんです。確かに日正は一部は含んでいますが。ということは、新法が制定されれば私は非合法化される筋合いじゃないだろうか。あなた方は請負だという抗弁をされていますが、実態はそうじゃない、どんなふうに言われても。非合法化されるはずだと思いますので、労働省、自信を持って違法だと言い切ることができるんですか。偽装請負で逃げられるということになりませんか。この辺はどうですか。
○政府委員(加藤孝君) 先生もおっしゃいましたように、この派遣法が成立いたしました後におきましても、これは審議会の論議等でもこういう自動車の運転手というものについての派遣というのは労使とも反対しておられるという状況でございまして、こういったものを派遣の業務、対象業務へ入れていく考え方はございません。
 そういう意味におきまして、これは派遣法が成立するしないということとは関係なしに、この問題については今後とも適正な合法な形でやられない限りは問題があるということでございますの
で、今後この派遣と請負の関係を審議会等の場におきまして施行までの間に明確にしていくという過程におきまして、それ以外の、対象業務以外の、また請負の形のものもやはり当然いろいろ詳細に明らかにしていく、あるいは問題のあるところは是正させていくということをやっていかなければならぬと、こう思っておるわけでございます。
○和田静夫君 ちょっと戻りますが、運転代行のピンはねは、見てみると非常にひどいんですね、びっくりしたんですがね。これは東京都を通じて労働省は実態を知り得る状態に過去にあったわけでありますから、ピンはねの実態、明らかになりますか。
○政府委員(野見山眞之君) 私どもが調査した結果では、運転代行会社が顧客、いわゆる注文主から請け負った料金の六割を、下請になっておりますいわゆる運転者に請負代金としてその六割を払っているというふうに把握しております。
○和田静夫君 この場合の運転代行は、実は帰りの交通費は自分持ちですから、賃金から交通費がマイナスになっている。その例まであるんです。これ、一覧表があります。皆様方お持ちだと思うんです。こういうひどい実態を見逃すわけにいかぬのですが、そういう実態も御存じですね。
○政府委員(野見山眞之君) 今先生御指摘のすべてではございませんけれども、おおむね把握いたしております。
○和田静夫君 私はこの質問に当たって、関係者に会ってその実態をつぶさに調査をいたしました。コンピューター関連では派遣料五十万円が実際に労働者の手に渡るときには十五万円になっている例がざらにありました。ピンはね率七割ですよ、これは。これはまさにタコ部屋の現代版ですよ。この実態を労働省は知らない。これではもう話にならぬ。あるいは知っているのかもしれない。
 労働省は、昨年十二月に「業務処理請負事業における派遣的労働の実態」という、以下実態調査と略さしていただきますが、この問題での唯一とも言うべき調査をまとめられましたね。この調査は重要な調査項目を落としていますよ。中間搾取はこの実態調査ではわからないでしょう。二重派遣も同様にわからないでしょう。コンピューター関連では、二重派遣、三重派遣もざらですよ。派遣が重なるたびにピンはねが上乗せされていくわけですね。
 労働省、この二重派遣の実態、把握していますか。
○政府委員(野見山眞之君) 具体的な実地調査をしたわけではございませんけれども、情報処理業界等におきましては複雑な形で請負等が行われておりまして、その請負の経路の中には派遣的な形で業務が処理されているという状況については、私ども間接的ではございますけれども把握いたしております。
○和田静夫君 例えばあなた方の実態調査の中に第十一表がありますね。「派遣先事業所の産業別構成」という表がここにある。この中で情報処理業に関しては実態を反映していませんよ。サービス業に二五%が派遣しているとあなた方は言っている。このサービス業というのは派遣会社なんですよ。その二五%がさらに卸、小売、金融、保険等々に派遣されるという仕組みなんでしょう。そこのところを糊塗してしまっている。こんな調査結果というのはでたらめじゃないですか。
○政府委員(野見山眞之君) 先ほど来御説明いたしておりますように、現在いわゆる人材派遣業は法制度的にはございませんので、派遣的形態が多いと思われる業種について調査をいたしたわけでございますが、これらの業種につきましては業務処理請負事業という形で業務が行われておりますので、あくまでそういう前提で把握できる限りのものを私どもとしては調査に努めたという状況でございます。
○和田静夫君 だから、あなた方が言う実態というのは、まさに実情に合わない実態把握なんですよ。
 今申し上げましたように、このサービス業二五%というのは、ここから卸屋、小売屋ということで派遣されるんです。そういう実態をあなた方は実態的には知りながら、数字の上ではそのことをほおかむりしてしまう。そのことをもとにして審議会にかけていく、法律案をつくっていく、こんな論理、やり方じゃないですか。そういうやり方というものは私にはのみ込めない。もう少し正確に実態を明らかにすべきである。なぜそんなに実態をごまかす必要があるんですか。二五%なんていう数字はうそですよ、これは。
○政府委員(野見山眞之君) 先生御指摘の二重派遣は禁止すべきだという御議論からこの調査のことにお触れになったと存じますけれども、二重派遣問題については衆議院における附帯決議もございますし、これは自分の雇用していない労働者を他の事業所に派遣するということは労働者供給事業に該当するという事実、法解釈といいましょうか、結論に帰結いたしておりますので、二重派遣については、当然派遣法が成立いたしましても禁止されることについては現行と一切変わらないというふうに理解しております。
○和田静夫君 「立法化の構想」では、「派遣先は、派遣労働者を他人に使用させてはならない」とされているわけですね。新法はこれを完全に排除していません。派遣先が請負として他の会社に派遣することは、新法では合法になります。したがって、二重派遣は新法では阻止できない。
 それにしても、この実態把握にまじめに努めるべきだというか、正確に努めるべきだと私は思うんですよ。二重派遣がどのくらいあるのか、その件数、ピンはね状況を具体的に示してください。
○政府委員(野見山眞之君) いわゆる二重派遣の状況について統計的に把握したものは承知いたしておりませんけれども、業界等のいろいろな実情聴取等から通じまして、二重派遣の実態が一部の業界では見られるという状況については把握しているわけでございます。
○和田静夫君 実態を把握をされていないんです。実態を把握をされていない上で法律案を論議をしろというんですから大変むちゃな話なんですよ、これは。したがって、長い時間あるんですから、この国会で急ぐ必要はないんですから、実態把握をまずやろうじゃやありませんか。そして共通の実態把握の上に立って法律は見直す。当たり前のことですよ、私たちはそういう責務を負っているんですから。実態把握については、その把握はしていません、あることはあるんでしょうというようなのは、それは論理にならないですよ。
 労働時間についても同様でしょう。これは私はいろいろのものをベースにしながら調査をしました。情報処理では十時間以上が一七・九%、十二時間以上が四・四%です。ところが、あなた方の調査は、労働時間については非常に過小ですよ。その理由は私は察しはつきます。いずれにせよ実態を描き出していないんですよ。それはそうですよ。一つの限られたものだけ調査して、これが実態だと言ったって、そんなもの実態になるわけないです。この実態調査の信頼度は、大臣の御努力にもかかわらず、非常にこの信頼度は低い。このことをお認めになっておいてもらわなきゃいかぬと思うんですがね。
○政府委員(野見山眞之君) この業務処理請負事業の実態に関する調査につきましては、事業所調査を一定の抽出率に基づいて調査をいたしておりますし、また、個人調査につきましても、約六千人につきましてその実態を把握すべく各種の項目について把握したわけでございまして、労働時間につきましても、調査によりましては業態の比重の違い、あるいは対象の選び方が必ずしも一致していないこと等がございますので、統計的に必ずしも数字は一致いたしておりませんけれども、私どもの調べた限りでの労働時間数につきましては、正確な状況、調査対象につきましては正確な数字を出しているものというふうに考えております。
○和田静夫君 あなたがここで正確な数字はありませんでしたなんと言ったら、あなたは今の立場におられるかおれないかということになるだろう
から、そういう答弁しかできないでしょうがね。これはもう実態的ではない。この実態調査などというものを信用するわけにいかない。信頼度は非常に低い。
 さらに言いますと、派遣労働者が現状に満足しているか、この設問なんというのは――私はあなた方の調査資料全部持っての話ですからね。あなたのところから調査票もらったんだから。こんな設問の仕方で、満足であるか不満足であるかというのが常識的に出ると思っているんですか。どちらが多いのか全くわからないんですよ、満足しているのか、不満なのか。満足、不満足の中身は出ていますが、どちらに傾いているのかつかめないような調査方法だ。また、就業条件の指示を元がやるのか先がやるのかという点も、非常に疑わしいですよ、これは。きちんと裏がとれておらずに、事業主が記入した回答をうのみにしているのがあなた方の実態調査。そんなものが実態調査と言えますか。そんなものをうのみにするのを実態調査と言えますか。出してきたものだけを。
 就業条件をだれが決めているのかを示す一例を挙げましょう。これは名誉のためにその会社の名前は言いませんが、大手電機メーカー、そこに入っている派遣元への通知書です、これ。日付は昭和五十九年一月九日。この大企業の会社はこれを聞いただけでぴんときますよ。どうなっていますか。表題は、「勤休管理徹底御依頼の件」、この文書は何を依頼しているんですか。派遣元の「三六協定申請内容のうち延長することができる時間を、一日については十三Hr以上、一カ月については百Hr以上に変更した上で協定書の写しをご送付願います。」という依頼でしょう。これは、三六協定は派遣元で締結していますが、内容については派遣先が指示していることですよ。実質的には派遣先が決定している例ですよ、これは。
 労働省、こういうケースは、さきの実態調査ではどちらが決めていることになるんですか。
○政府委員(野見山眞之君) 私どもの調査いたしました実態調査におきましては、項目によっていわゆる派遣先か派遣元か分けて聞いておりますが、始業時間、終業時間等につきましては、例えばビルメンテナンス業務の場合には派遣元事業所が八九・一%……
○和田静夫君 私が聞いていることに答えてくださいよ。そんなものはあなたから資料をもらっているからみんな知っている。私が聞いているこれについて答えてくださいよ。ごまかしはだめですよ。
○政府委員(野見山眞之君) この文章から見る限りは、派遣元が決めているというふうに判断できると思います。
○和田静夫君 そんなのは答弁にならないよ。
○政府委員(加藤孝君) 派遣元において決める仕組みになっているので、派遣先の方がそういうことを要望したということだろうと思います。それについての表現の仕方が非常に命令調であるというところに今先生御指摘の点があるのではないか。要するに、もし本当に派遣元が決めるのではなくて派遣先ですべて決めるならば、派遣元にそういうことを要望するということも必要ないということになろうかと思います。
 もちろん、今後この派遣法案の制度からいけば、こういう形のものは問題があるというふうに当然考えておるわけでございます。
○和田静夫君 ここのところは本当はもう余り続けたくないんですが、そういう答弁では話にならぬのだけれども、重要な問題がありますからもう少し続けます。
 一般的に言って、力関係からすれば派遣先の方が、立場や資本力、そして規模、それからいって強いわけでしょう。そうでないということをもし言われれば、派遣元、派遣先の資本金、従業員規模の比較を示してもらわなければならぬのですよ、ここのところをもし否定をされるのならば。一般に派遣先の方が優位に立っておって、たとえ派遣元が就業条件を決めてもそれがそのとおりにはならないんですよ。この点では実態調査からは実態をつかむことができないんですね、あなた方の実態調査からは。私の調査では多数そういうケースがあった。それで一例を挙げた。派遣元の就業規則、三六協定はしり抜けになっているわけです。したがって、派遣先への交渉権、争議権、少なくとも交渉権が必要ですよ、これ。そう思いませんか。
○政府委員(谷口隆志君) この法案に基づく派遣労働者についての団体交渉権等につきましては、現在の労働組合法上の使用者の概念としては、私どもとしては、労働条件の決定をめぐる当事者、すなわち雇用関係上の使用者を意味するものでございまして、労働条件決定の当事者である雇用関係上の使用者が団体交渉の応諾義務を負うというふうに解されると思います。
 そこで、先ほど来るる御議論がございましたが、派遣先事業主につきましては、この法律案で予定している派遣労働者につきましての労働条件は派遣元が決めるということでございますので、私どもとしては、派遣先事業主は団体交渉の応諾義務を負わないというふうに考えておるところでございます。
○和田静夫君 しかしここでも、まず何をなすべきかということを考えてみると、やっぱり実態把握だろうと思うんですけれども、この労働省の実態調査によりますと、情報処理が、七九・七%の事業所が就業規則を定めているにもかかわらず、具体的な就業条件の指示というのは六、七割が派遣先で指示されているということになるんですね。例えば休日で言えば、派遣元が指示しているのが三五%、ということは、四五%の事業所が就業規則を持ちながらそのとおりにはやっていないということになる。
 これは労働省、そうですか。
○政府委員(野見山眞之君) 就業規則の制定等につきましては、情報処理業において、先生御指摘の約八割が定めてあるということでございまして、この中で、派遣的労働者とそうでない者と同じであるかどうかということで分けますと、派遣的労働者以外の者と同じような扱いにしているものがビルメンテナンスあるいは情報処理業の場合でも多いという状況がわかっております。
○和田静夫君 いや、今の休日の論議はどうなんですか。
○政府委員(野見山眞之君) 休日の定め方につきましては、休日をどちらの指示でとっているかという状況につきましては、情報処理業の場合は、派遣元で指示しているのが三五%、派遣先で指示しているのが約六五%あるという状況でございます。
○和田静夫君 私はこの問題で要求しますが、派遣元就業規則が有名無実化している数を示せますか。
○政府委員(野見山眞之君) 有名無実であるかどうか、これはそれぞれの実態、ケースを見てみなければ判断はできかねるんじゃないかというふうに思います。
○和田静夫君 そうだから実態調査がなっていないということをずっとやってきているんですよ。実態調査を見てみなければわからぬと言うならその実態調査を出してくださいよ。それまで私は論議を待っていますよ。必要でしょう。そんな必要なことを実態調査をされずにこの法律案を用意されて、論議しなさいと言っている方がよっぽど無理でしょう。判断をする材料を出してください。
○政府委員(加藤孝君) 私どものこういう調査、いろいろ先生からは不十分だということではございますが、やはりいろいろ問題的な実情が出ておるわけでございます。そういうような意味からもここに、派遣労働的なものについてはっきりルールを制度的に設けるということがやはり必要であろう、こういうことで、いろいろ審議会の議を経てこの制度化をお願いをしておるわけでございまして、この実態調査の中から出てきておる、この中でも、そういういろいろ問題があるから是正していかなきゃならぬ、あるいは派遣労働者の雇用の安定、あるいはまた就業条件の向上というような面からもこういう制度化をしていかなきゃならぬ、こういう認識でお願いをしておるわけでござ
いますので、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○和田静夫君 なかなか御理解するわけにはいかぬのですがね。どうも立場が逆のような感じで、お役人さんの方がえらいアバウトのことを言って、こっちの方が細かいことを言っているというんでは立場が逆のような気がしてしようがないんです。あなた方は十二分にスタッフを持ってやっている、こっちはわずか一人、二人でやっているのに、一人、二人が調べたことに対して具体的に答えられなくて、アバウトの答えで、それは政治家におなりになる素質をお持ちの局長さんですから構いませんけれども、そういうような感じがするんですよね。
 私は、派遣労働者が現状に満足しているのかいないかというような形の比率もちゃんと出すべきですよ。それは出さずに論議しろというのは無理ですよ、幾ら何でも。まだこの国会日時がありますから、精力的にやればできないことないよ。
○政府委員(加藤孝君) 私ども、こういう調査をした段階でも、いろいろこういう制度化をしていかなきゃならぬということでございまして、今先生おっしゃるような形のいろいろ調査というものもこれから必要と思いますが、率直に申しまして、今この派遣の実態というのは非常に多様といいますか区々でございまして、そういう意味ではやはり法律の施行の過程においてもいろいろ実態を把握しながら是正指導していくというようなことも必要であろう、こういうことで、この法律につきましては労働省の関係職員によりまして随時必要な調査なりあるいはまた指導助言、こういったものもまたできるような規定を置いておる、こういうことでございますし、あるいはまた、衆議院の修正におきましても、三年後においてやはり見直しをする、こういうような修正も行われたということでございまして、やはりこういう多様な実態を持っておりますものを、これをある時期調査したからこれで全部実態は明らかだという形のものはなかなか先生のおっしゃるようにずばっと、こういう実態でございます、だからこうですという形で完全なものをお示しするというわけにいかない性質もあるということも御理解いただきたいと思いますし、また実態も、本当にこれいろいろ動いておるという面もございますので、そういった点は御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○和田静夫君 いかに言われても御理解賜るわけにいかぬのですが、繰り返しますが、局長の御答弁ではありますが、派遣先の使用責任が不明確でしょう。それと、労働者が派遣元としか交渉できないというのは余りにもこれは実態からかけ離れていますよ。私が例示しましたさっきの大手電機メーカーの文章のように、就業条件を派遣先が決めている方が一般的なんですね。そういうような実態からするならば、派遣先の義務を苦情処理程度にとどめるわけには私はいかぬのですよ。最低限交渉権は認めるべきだ。しかも新法は、これまで労働組合が獲得してきた使用者概念の拡大を後退させるものですよ、これは。
 一九七六年十二月十六日の東大阪市への大阪地労委の命令ではこうなっているでしょう。「不当労働行為制度における使用者には、労働契約の当事者のみでなく、労働者を現実に指揮監督し、労働者の労働条件に対して事実上の規制力を有するものをも含むと解すべきである。」こうなっていますね。こういうような判例の積み重ねを新法は全く無視しているということになりませんか。私は、派遣先への交渉権を法定すべきだと、これはもう強く主張します。
○政府委員(谷口隆志君) 今まで派遣的な形の労働者につきまして、具体的な実態がどうかというようなことはいろいろあったかと思いますし、また、雇用関係があるかどうかという最終的な判断は労働委員会とか裁判所等で行うことになろうかと存じますけれども、私どもがこの派遣法で労使関係なり団体交渉の応諾義務をどう考えるかということにつきましては、労働条件の決定は派遣元の事業主が行うということでございまして、したがって、集団的な労使関係における使用者というものはそういう労働条件を決定する立場にある派遣元の事業主、したがってまた派遣元の事業主が団体交渉の応諾義務を持っておるということでございます。
 そういうところで賃金、労働時間等々の労働条件が決められまして、それの実際の割り振りとか運用というような点での問題はあるいはいろいろ出てくるわけでございますので、そういうものについて、先ほどちょっと言われましたけれども、就労に関する問題とか、苦情というような処理を派遣先でも派遣元でも責任者を置いて適切に対応するようにというふうに考えておるところでございます。
○和田静夫君 委員長、今のところ非常に不満でありますので、私はこれ委員長の手元に預けます。どうしてもやっぱり派遣先での交渉権の法定というやつは、これは理事会で詰めてください。本当は、いい答弁が出るまでここで座ってもいいんですけれどもね。
 ピンはねに戻りますが、このピンはね、中間搾取の実態は、これ全く明らかにされていませんね。さっきの東京運転代行会の場合は五割から六割がピンはねですね。労働省は七割とまで踏んでいるのかもしれません。そうすると、労基法六条との関係は一体どうなるのだろう。労働省は、六条のいわゆる「他人の就業に介入」に該当しないから、派遣事業は中間搾取に当たらないという解釈のようですね。しかし、この解釈は到底受け入れることはできません。労働省が根拠とする最高裁の判例、これだって労働省が衆議院などで言っているような形の解釈にはなりません。この点の論争はじっくり時間をかけてやらなければならぬと思いますが、一九七八年の行管監察でも、さっき読んだように、「労働者供給事業に該当する疑いのあるところがみられた。」ということになっているわけですね。
 それで、労供なら中間搾取なのですから、非合法労供の数、そのピンはね率、これは出るはずです。その類推をもって請負収入に占める賃金額の割合というのはすべての調査対象事業所について出せるはずですね。いかがですか。
○政府委員(加藤孝君) 先ほど先生もおっしゃいましたように、請負の形で業務を請け負いましてそうしてサービスを提供すると、こういう仕組みにこういうものはなっておりまして、労働者について賃金を幾ら払うかというのは、これは事業主と労働者の間で決める話です。そしてまた、派遣先の事業所との間におきまして幾らでそのサービスを提供するかというのはそういう事業主間で決まる、こういう性格のものでございまして、その間に幾らはねたらピンはねになるか、こういう関係につきましては、これは先生もおっしゃいますように、「他人の就業」ということではなくて、自分の労働者を使って幾らでそのサービス提供業務を請け負うかと、こういう話でございますので、その料金と賃金との間に幾ら差がある差がないというようなことで、これが幾らだからピンはねだとか幾らだからピンはねでないとか、そういう論議になるものではないと、こう思うわけでございます。
 ただ、実際のいわば業務の実態といたしまして、労働者に対して大体幾ら払っておるのかと、こういうこと、そしてまた、実際に請け負う場合に、その業務がその業界では標準的には大体幾らで請け負っておるのか、こういうような関係は、これはまた今後この法律の施行の中で明らかになってくる、こういうふうに思うわけでございまして、そういうようなことで、例えばそういう標準料金なんかを提出をさせるというような形の中で明らかになってくると思うわけでございますが、あくまでそれは、この基準法との関係でピンはねが幾らあるというような形での問題ではないと思うわけでございます。
○和田静夫君 あなたの答弁、それで理解してくれと言っても非常に無理がありますよ。私は具体的に言っているんですから。一九七八年の行管監察でも、「労働者供給事業に該当する疑いのある
ところがみられた。」としているわけですよ。「みられた」というのならばそれを類推していき、労供なら中間搾取なのですから、非合法労供の数、そのピンはね率は出る、当たり前でしょう、これ。普通の計算で出るじゃないですか。問題は、あなた方はなぜそのことを出さずに、この法律案を審議会にかけて多数でつくってきたかというところにあるんです。
○政府委員(野見山眞之君) 行政管理庁の勧告で指摘している事実、指摘している内容は、労働者供給事業に該当する疑いのものがあるということは、職業安定法四十四条で言う労働者供給事業、すなわち施行規則四条の要件を形式的に欠いている疑いのものがあるという趣旨に私どもは理解しておりまして、したがって、この形式的に疑いのあるものがすべてどれだけの中間搾取等々の問題が起きていたか、そこまで行政管理庁は把握したものでもございませんし、私どもも、形式的な要件を欠いているというものについて必要な是正指導をしていくということでこれまで対処してきたところでございます。
○和田静夫君 あなたの言っているのは、もう全く逆さまなんですよ。労働省がなぜやらなかったかと言っているんですよ。この法律案を論議するに当たって、あるいは作成するに当たって、ピンはね、中間搾取の実態を十分に調査されるのが当たり前でしょうと言っているんですよ。そういう言い逃れの答弁を聞いたって話にならないんだよ。何で実態の調査をやらないんですか。現実、タコ部屋的な状態になっているのがいっぱいあるんだ。そのことをわかっておりながら、おやりにならないのはなぜなんですかと言っているんですよ。その実態がわからずにこの法律案の論議ができますかと言っているんですよ。ごまかしの答弁やめなさいよ、そんなもの。
○政府委員(加藤孝君) 先ほどから申し上げておりますように、この法案の作成段階におきまして、私どももこういうことで調査をいたしておるわけでございますが、その点が不十分である、こういうことで先生から御指摘をいただいておるわけでございます。
 しかし、率直に言いまして、派遣労働、こういうものについての定義もまだ明確でないという段階での調査でもございますし、また、請負というような形の中でそういう派遣的なものが混在をしておるというような形の中での調査でございます。そういう意味でいろいろ不十分な点はあると思いますが、しかし、私どもとしては、そういうものを今後この制度化によりましてはっきりつかまえていく、そういう中で、またこの派遣労働者の労働条件の改善向上、雇用の安定、こういったものを図っていきたい、こういうことでお願いをしておるものでございまして、この実態把握について、先ほども申し上げましたように、派遣労働の実態はこういうことでございまして、これで完全に実態が明らかであるということをなかなか明快に全体像を描きにくい事情にあることも御理解を賜りたいと思うわけでございます。
○和田静夫君 私は、やっぱり中職審にもう少し実態を十分に把握をされた報告をされて、論議をされてくるべきだったなということを――中職審に出されたおたくの資料を全部に目を通さしてもらいましたよ。あなた方のところで持ってこないものがあれば別です。私のところへ持ってきてもらったものが全部とすれば、すべて目を通さしてもらいました。これではやっぱりだめなんだということを申し上げているんですよ。
 すなわち、あなた方の唯一とも言うべき実態調査というのは、中間搾取の実態が出ていないんですよ、どこを見ても。ひっくり返して見たって。最も知らなければならない事実を落とした理由というのは何かあるんだろうかということを実は疑いたくなるんですよ。まあすべてのことは疑い得るということではありましょうがね。なぜこの一番重要なところの実態調査を落としてしまったんだろう。しかもあなた方みたいにすばらしい人たちがそろっておって落とすということは考えられませんから、意図的にお落としになったんだろうかな、こう思うんですよ。
○政府委員(加藤孝君) 先ほども申し上げましたように、請負の形で行っております相手方との契約、請負料金というものと、それから労働者に幾ら払うかということとは、これは直接にそれがピンはねと、こういう認識では基本的にないということでございます。要するに、他人の就業に介入しているということの観点でございまして、そういう意味で、現在そこがピンはねが率が幾らである、こういう観点からの調査は私どもとしてはいたしていないということでございます。
○和田静夫君 おたくの答弁はもう聞かなくともわかっているんですが、しかし、僕はさっきも、最高裁の判例でそう読めないと。あなた方は前段の部分だけを読んでますから、前段の部分で、「同法第八条の労働関係の当事者間に第三者が介在して」云々、ここの部分で今の答弁が出てきています。しかしながら、素直に後段を読んでみましょうや。「その労働関係の開始、存続等について媒介または周旋をなす等その労働関係について、何らかの因果関係を有する関与をなす場合をいうものと解するのを相当とする。」ここの後段の部分は明確に最高裁判定はそう言っている。言うまでもなく、三十一年三月のそのあれは御存じでしょうね。
 私は調査の方法をいろいろ考えてみた、ないのかなと。あなた方は意図的に落としたんでなくて、本当にないのかなということをいろいろ考えてみたんですよ。そうすると、私はこういうふうに思うんですがね。例えば幾らでもあるような気がする。派遣事業大手の財務諸表から一つは類推することが私は可能だと思うんですよ。それは一緒に、共同でやってみましょうや、この法律案の論議と並行して。それから労働者に直接調査して聞き取ることもできるはずであります。なぜそれを労働省はおやりにならぬのだろう。中間搾取を落としたのは、そうするとやっぱりやる気がなかったんだな、いろいろなことを言われるけれどもやる気がなかったんだなと。
 もう一度言いますが、中間搾取は、労基法六条で禁止され、職安法四十四条でだめ押しされているものであることは御存じのとおり。違反者は一年以下の懲役または一万円以下の罰金だ。そうすると、職安法四十四条が労働者供給事業を禁止したのは中間搾取と強制労働を排除するためであることは、先ほど来の答弁の中で明らかですね。それらの法律を守り、労働者保護の観点から監督指導すべき立場の労働省が、中間搾取という実態把握を意図的におやりにならない。その上で、調査もせずに規制緩和法をこういう形で出してくる、これはもう立法手続に重大な瑕疵があると言わなきゃなりませんよ。立法手続そのものに瑕疵がある。
 審議会を経てきたなどと言ったって、審議会の中でその資料は出ていないし、論議されていないんですから。審議会の皆さん方がおやりになったことを全部読ましてもらったわけですが、持ってきてもらったものが全部であるならば。立法に当たって我々は知らなけりゃならないこと、法律の審議に当たって知っておかねばならぬ基本的なことがわからない、そういうような状態では話にならぬでしょう、これは。これはもうやっぱり廃案か継続審議、あるいは今私が言った二つのことで考えてみても、財務諸表から考えていっても出てくるわけですから、継続的に皆さん方と一緒に共同に調査しようじゃないですか。この委員会として調査すればいい。労働省加わって調査すればいい。急ぐ必要はない、この法律は。そういうことじゃないですか。
 大臣、そういうふうにお思いになりませんか。
○国務大臣(山口敏夫君) どういう形でその分配が行われておるかということでのいろいろの御懸念、また問題点、あるいは先生の御指摘のような業種ということも、これから一層の実態調査をしなければならないというふうに率直に考えます。
 また、今参議院でこうして御論議をいただいておるわけでございますが、衆議院における御論議におきましても、そうした御指摘の部分を踏まえ
て、修正部分で、この施行後は、標準的な料金の提出を求める、こういう形で今和田先生の御指摘のような問題も含めて逐次改善をする、そういうことで、この法案自体が政府の政策責任というものと同時に、こうした新しい雇用形態に対する問題点、特に労働者の生活権等をどう守るかということで、再三こうした衆参の社労委で取り上げられてきた問題を、七年越しいろいろ御論議をいただく中で今審議会等の一つの結論を得て御論議をお願いしておる、こういうことでもございまして、同時に、派遣に伴う業種が、先生も御理解いただいておりますように、情報処理でございますとかビルメンテナンスでございますとか、今までの常用雇用の企業形態と違いまして新しい職種、業種ということもございまして、職業安定所の、四百四十カ所ですか、相当聞き込み調査等もしておるわけでございますけれども、そのデータあるいは問題点等は先生の専門的な立場での御指摘に十分こたえ切っていないという点も率直に認めざるを得ない場面もあろうと思います。
 しかし、そういう点も踏まえて、先ほど来加藤局長の答弁申し上げましたように、派遣事業に伴う労使問題あるいは労働者のそうした問題に対する形態を守るべく、この法案を一つのたたき台といいますか、法案の中でそうした問題を逐次改善をしていくということを私どもとしてはぜひひとつ進めていきたい、かように念願しておるところでございます。
○和田静夫君 委員長ね、これはやはり委員長は御専門ですから、私の論議に無理がないとお思いになると思うんですが、中間搾取もわからない、二重派遣もわからない、就業規則の運用実態もわからない、派遣労働者が何を求めているのかもわからない、これで法律論議ができるとお思いになりますか。これはとてもできませんよ。
 しかも委員長、業務処理請負業における派遣的労働の実態調査結果に関する資料要求を私はいたしました。これは、返ってきた返事はひどいものですよ。労働省が持ってきた、私のところへ。一番目の調査票は別添のとおり全部出ています。ところが、二番目の、派遣労働者一人当たりの平均派遣期間、調査項目になし、よってわからない。四十七年以降毎年度の事業所の設立件数、毎年度の集計はしていない、よってわからない。退職金、一時金、通勤手当、定昇、ベースアップ、有給休暇、社会保障、労災保険について適用労働者数を求めたら、調査項目になし、よってわからない。月平均労働者数を二日以上一日ごとに集計していたことはないのでわからない。これが私の資料要求に対する答えですよ。
 委員長、専門家として、これで私になお質問を続けろと言われますか。私は約十八年間、こんなに侮辱された資料要求に対する答えを聞いたことはない。予算委員会といえどもこんなひどいことはやってこないよ。専門の社会労働委員会で要求をしたことに対して、これは一体何なんだろう。
○政府委員(加藤孝君) 先生の御要求の資料に対しまして、そういった面についての十分な調査結果がないというのは確かでございますが、こういった点について、この法律を立案する過程において、すべてこういったものを全部知っていないと法案の立案ができないかということになるとまた別の問題もあるんではないか、こう思うわけでございまして、今後、こういった御指摘の問題点についても逐次把握する中でこういった問題についての改善というものについての指導なりあるいはまたそういった面での施行規則なりといったものも整備していく必要があるかと思いますが、そういう意味でこういった諸問題につきましても、今後さらに私どももまた制度の実施に向けてこういった問題についても調査し、また改善に努めていく、こういう基本的な構えでおりますので、ぜひひとつよろしく御審議を賜りたいと思うわけでございます。
○委員長(遠藤政夫君) 私から労働省に申し上げます。
 今和田委員から御指摘のありました問題はごもっともと考えられる面もございます。したがって、本法律案の審議の過程におきましてできるものはできるだけ努力をして、資料の提出なり内容の究明に努力していただきたいと思いますし、また、物によっては、この法案が仮に成立した暁におきましては、施行までの間に相当の期間もありますので、その間に、ただいま和田委員から御質疑がありまして御指摘になりました点は、十分解明をされるような努力をしていただきたいと委員長から労働省に申し上げます。
○国務大臣(山口敏夫君) 今和田委員、遠藤委員長から御指摘いただいた問題につきましては、十分留意をして、努めてまいりたいと存じます。
○和田静夫君 今委員長からも御注意がありまして、できる範囲の調査を突き合わしたいと思うんですよ。何も論議しないことだけが能じゃありませんからね。
 そこで私は、ピンはねのことについて二、三、もう少しあれしておきます。
 登録型一般と有料職業紹介との区別、非常に難しいわけですね。ところが、ピンはねに関して言えば、有料職業紹介については手数料の上限を受け付け手数料を四百円、紹介手数料を賃金の一割、あるいは最高六カ月間と、それを設けているのに、登録型の派遣は青天井でしょう。それで登録型は、仕事がなくなれば無給となるわけですね。一般的にはそうなると想定されるんですが、そうなれば、有料職業紹介、労働者供給事業とほとんど違いはないというふうに思うんです。にもかかわらず派遣ではピンはねが青天井になっている。これはどうもつじつまが合わぬ。
 まず、有料職業紹介に手数料の上限を設けた理由は何だったですか。
○政府委員(加藤孝君) 民営職業紹介事業の場合におきましては、これが求人者と求職者の間に立って雇用関係の成立をあっせんする、こういうことでございまして、雇用関係はあくまで紹介先と求職者との間で成り立つ、こういう関係のもので、紹介をしたところが雇用責任を負うものではないわけでございます。それからまた、もちろん求職者に対しても、紹介をするところが雇用責任を負う、こういうものでもないわけでございます。
 そういう意味におきまして、これは法律的に言えば、第三者として他人の就業に介入するという法律上の性格を持つものでございまして、そういう意味におきまして手数料について限度を設けておるということでございます。
○和田静夫君 それでは、労基法の六条の趣旨を生かすのであったら、私は、派遣にもピンはね規制を加えるべきだろう。そもそも登録型などという派遣形態を認めるわけにはまいりませんが、百歩譲ってもピンはね規制をはっきりさせるべきでしょう。せいぜい賃金の一割プラス社会保険料負担一割、合計二割というような形で、有料職業紹介とイコールフッティングにすべきだろう。そういうことについて、どうですか、ピンはねの実態についてなかなかあなた方出ないと言うけれども、例えば昭和五十三年七月の行政管理庁行政監察局の報告によれば、ピンはね四割以上七五・一%、五割以上三七・六%、これは十ページに載っていますよ、行管庁の。労働省がこの辺のところをやらぬというのは、どうもわからぬのです。
 したがって、きょうは少し時間を残しまして、この実態については次回の私の質問までの間に、これはいろいろな資料があるんですから、どの数字をもとにして論議をするかという基礎ぐらいはおたくと協議をして決める、こういうことにしなければ進まぬと思うんです。それで、何割かはともかくとしまして、中間搾取規制を入れるのは当然だろうと私は思う。ところが、法案策定過程を振り返ってみても、中間搾取がきちんと議論された痕跡がありません。その結果法律ではピンはねは青天井となった。ここの限りのことを考えるとこれは欠陥法ですよ。少なくとも登録型には中間搾取規制を数量的に明示すべきだと思うんです。
 大臣、論議を聞いておってそういうふうにお感じになりませんでしょうか。
○政府委員(加藤孝君) 登録型の場合におきまし
ても、派遣事業者はこれに対して雇用責任を負っておるものでございます。そういう意味におきまして、雇用しておる派遣労働者につきまして、これについての雇用者責任ということで、例えば教育訓練の関係等の努力義務をこれはかぶせております。あるいはまた、その派遣労働者の福利厚生の面についての努力義務を課しておるわけでございます。
 いろいろ業務の種類、形態によりましてもそういう教育訓練等に要する費用であるとか、あるいはまた派遣先の獲得というようなことでのまた費用というものも、いろいろ業務によって異なる点もあろうと思うわけでございます。そういう意味におきまして、これが例えばどの業務についてはどのぐらいのものが適切だとか、そういうような形で一律に言えるものではないわけでございます。それからまた、基本的にこの請負の料金というものとそういう労働者の賃金というものは、それぞれ性質を異にするものでございます。
 そういう意味におきまして、繰り返しでございますが、これは私ども法律で言うピンはねという形のものではないという理解をいたしておるわけでございます。
○和田静夫君 ちょっと一言だけ言っておきますが、先ほど申し上げましたけれども、行管庁から出た資料だとか、その他政府関係からピンはねならピンはねで資料が出ているわけですから、これに基づいて基礎的なべースをどこにするかというようなやつを、次回の私の質問までに打ち合わせさせてもらいます。
○委員長(遠藤政夫君) 和田君の質問時間のうち二十分を、次回に繰り延べます。
○中西珠子君 労働省に、いわゆる派遣労働者の実態調査をなさったかどうかということをお伺いいたしましたら、全般的には実態調査はやっていないけれども、部分的にはやっている、その数字は社労委の場で説明するというお話でございましたが、私は、五十八年度に業務処理請負事業における派遣的労働の実態調査というものをなすったということを伺っておりましたけれども、この結果報告書というものをぜひ御提出願いたいと思うのですが、それにつきましてはどうですか。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
○政府委員(野見山眞之君) 調査結果につきましては、提出させていただきます。
○中西珠子君 じゃ、なるたけ早い時期にそれを私のところにお持ちいただきたいし、委員会のメンバー全体の方にも配付なすったらいかがかと思うんです。先ほどから和田委員からも非常にその調査に関しての御指摘もありましたし、そういった調査につきましては法案の審議に先立って、やはり実態というものをできる限りつかまねばならないということでございますから、ぜひそれをやっていただきたいと思います。いかがでしょうか、委員長。全員にその調査を配っていただくということにつきまして労働省に要請したわけですけれども。
 それから、最近非常に人材派遣を行う企業がふえているそうですけれども、大体企業の数はどのくらいありますか。
○政府委員(野見山眞之君) 先ほど先生から御要請のございました実態調査につきましては、各委員の先生方にお届けさせていただきます。
 それから、この派遣事業の実態でございますが、先ほど来御説明申し上げましたように、労働者派遣事業、法律に予定しております派遣事業は現行の法体系の中には存在いたしませんので、これに類似した形態で行われているいわゆる人材派遣の多い業種における事業所数及び労働者数について見てまいりますと、ビルメンテナンス業におきましては、昭和五十六年度で約八千の事業所で約三十万人の労働者が就労している。情報処理サービス業におきましては、同じく昭和五十六年度で約五千の事業所におきまして約十六万人の労働者が就労しております。これらは総理府の事業所統計調査に基づいているわけでございます。また、事務処理サービス業については明確な定義がございませんので、正確な数字を把握することはできませんが、現在のところ、業界等のヒアリングによりますと、約百八十社から二百社、登録スタッフの数で約十万人から十二万人というふうに推定されている状況でございます。
○中西珠子君 人材派遣事業というものも、また労働者派遣事業というものもないことは承知しているわけですね。昭和五十三年の七月に行政管理庁の勧告で、職安法四十四条違反の人材派遣事業というものがあるのではないか。非常に労働者供給事業というふうな疑いがあるものが存在しているという指摘がありまして、先ほども和田委員へのお答えの中で、それに対しては労働力需給システム研究会というふうなものを始めましていろいろ研究をやってきたところだというお話もありましたし、また、職安法の施行規則の四条でいわゆる請負の業として当てはまるように指導して、業務処理請負事業として容認していらっしゃったということはもう承知しているわけですけれども、そのいわゆる業務処理請負事業というものに登録したり、それから雇用されたりして派遣されている、まだ法律ができていませんから派遣的労働者といいましょうか、派遣労働者の企業の数は今お聞きしましたし、また三つの業種においての数はお聞きしましたけれども、これは性別構成はどうなっていますか。
○政府委員(野見山眞之君) 業務処理請負事業の実態調査によります性別の状況は、ビルメンテナンス業におきまして男子三九・三%、女子六〇・七%。情報処理業につきましては男子六四・二%、女子三五・八%。事務処理業につきましては男子五・六%、女子九四・四%となっております。
○中西珠子君 事務処理業におきましては、結局登録型の労働者が多いわけでしょうね。どうなんでしょうか。
○政府委員(野見山眞之君) 事務処理業におきましては、御指摘のように登録型が多いというふうに把握いたしております。
○中西珠子君 登録型の労働者を使って派遣事業を行うのを、一応一般労働者派遣事業というふうにして許可制になさるということでございますが、その許可の要件というのがどうも余り厳しくないという感じがいたしまして、登録型ですと、机と電話と鉛筆と紙さえあればすぐに業務が始められるというおそれもあるのではないかと思いますが、今現在業務処理請負事業の企業、そういった企業の資本金やなんかについては把握していらっしゃいますか。
○政府委員(野見山眞之君) 資本金の状況につきましては、各関係業界の調査によって把握いたしておりますが、事務処理業につきましては、日本事務処理サービス協会加盟の二十二社につきまして見ますと、資本金額一千万から四千九百九十九万円が四五・五%と最も多くなっておりまして、次いで百万円から四百九十九万円が二二・七%、一億円以上が一三・六%でございます。また、派遣的形態が多いと見られます情報処理業につきましては、断片的な調査でございますけれども、約半数の企業が一千万から四千九百九十九万円になっておりまして、次いで百万円から四百九十九万円が一五%程度、五百万から九百九十九万円が一五%という調査結果がございます。また、ビルメンテナンス業につきましては、業界団体の調査によりますと、一千万から三千万円未満が三六・四%、五百万から一千万円未満が一八・六%、三千万円以上が一三・八%という状況になっております。
○中西珠子君 大多数が中小もしくは大変小さい企業だということが言えますね。
○政府委員(野見山眞之君) 大きいか小さいか、これちょっとほかの業界の状況との比較、あるいはそれぞれの産業の特質等もございますので、これらの派遣的形態の多い業界が中小企業が多いかどうかは、ちょっと今にわかに判断はしかねます。
○中西珠子君 資本規模も小さくてそして割合と許可が得やすいということですと、これから派遣事業というものがうんとふえてくるのではないかと非常に心配されるわけですけれども、見通しは
いかがですか。
○政府委員(加藤孝君) この許可要件といたしましては、もちろんその業務が認められたものでなければならぬわけでございますが、特に七条におきまして、「業務に係る労働力の需給の適正な調整の促進のために必要であり、かつ、適切であること。」ということ、それにまた、「申請者が、」「派遣労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有するものであること。」、それに加えまして、「申請者が、当該事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること。」、こういうような要件を掲げておるわけでございますし、的確な業務の遂行、こういう面から申しますと、事業主に対しましては、労働者の派遣をするにつきましての責任者を定めるとか、あるいはまた教育訓練、あるいはまた福利厚生についての努力義務等もかぶせておるわけでございます。
 そういうような意味におきまして、特に教育訓練というような形につきまして考えてみますれば、そんな電話と机が一つあればいいというようなものは到底許可の対象にはなり得ないものである、こういうようなことで私どもは考えております。
○中西珠子君 教育訓練を行うに足りるぐらいのということをおっしゃいましたけれども、別に教育訓練計画を出すことが要件として法的に決まっているわけでもないんでしょう、附帯決議の中にはありますけれども。それをどういうふうに労働省が指導していらっしゃるかということはちょっとわからないんですけれども、どういうふうにやっていらっしゃるつもりですか。
○説明員(齋藤邦彦君) ただいま御指摘のとおり、許可の基準を法律の七条で三つばかり書いてございます。具体的な許可基準につきましては、今後安定審議会の意見をお伺いをして省令で定めるということにいたしたいと思っておる次第でございまして、先ほど先生御質問がございました附帯決議の関係での教育の問題につきましても、省令の中で許可基準の一つとして設けたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
○中西珠子君 その許可基準の一つとして、ぜひこれははっきりとしておいていただきたいと思います。零細でどうにも教育訓練などもできないような企業が許可されますとやはりこれは困ったことにもなりますし、それから、十二月の社労委員会で私が中間搾取の問題を言いましたときに、加藤職安局長は、人材派遣をやっている企業は教育訓練もやっているんだから、そっちの面でも非常に費用がかかっているから中間搾取ということはあり得ないというふうなお答えをいただいたと思っているんですよ。ですから、この中間搾取の規制の問題はまた後で私やらしていただきたいと思っていますけれども、とにかく教育訓練の問題はぜひはっきりと許可の要件の中に、省令、政令をお定めになるときに明記していただきたいと思います。
 それから、特定労働者派遣事業というのは、これが届け出制になっている理由はなぜでしょうか。ただ「届出」ということになっているのは。
○政府委員(加藤孝君) 特定労働者派遣事業は、法律の要件にもございますように、常用雇用として既に雇用しておる人についてのいわば使い方の問題でございます。
 そういう意味におきましては、既に雇用の安定は図られておるわけでございますので、これについては届け出制にした、こういうことでございます。一方、一般の場合につきましては、雇用の機会という面では、仕事があるごとに雇用される、こういう形になるのが一般でございますので、雇用の安定という面では、そういう雇用機会をいろいろ労働者に確保できるような体制があるのかどうかというような点等もやはり十分検討、審査する必要もあるわけでございまして、そういう意味で、専ら常用雇用という形で雇用されているという、その特定派遣事業については届け出制で足りるというふうにしておるわけでございます。
○中西珠子君 届け出ということで一応御説明があったんですけれども、第六条の欠格事由、これはやはり特定労働者派遣事業の届け出があったときに、一番初めにお調べになるんでしょう。それで、「事業開始の欠格事由」というのがまたありますよね。そして、とにかく特定労働者派遣事業は届け出であるけれども、第六条の各号のいずれかに該当する者はだめだということになっていますし、それから結局廃止命令をお出しになるというふうなことも可能になっていますね。
 その場合、もう既に存在していて、常用雇用の労働者だけを雇っているから、これは雇用の安定に資しているから届け出だけでいいんだということで、細かい調査も何もしないで、初めの段階においてこの法律が施行されたときに既に存在しているいわゆる特定労働者派遣事業に該当しそうなものについては、具体的にどのようにお扱いになりますか。
○説明員(齋藤邦彦君) お答えをいたします。
 特定の事業の場合につきましては届け出で出てくるわけでございますが、当然その際、届け出に添付する書類等もございますし、そのようなもの等を十分審査をいたしまして、この六条に書いてございます欠格事由に該当しているかいないか、そういうようなものは当然審査をした上で届け出の受理をする、こういう形になると思います。
○中西珠子君 それから、派遣労働者の業務の範囲ですね。適用対象事業というものは一応十四種というものをお考えになっているらしいんですけれども、これは審議会の議を経てそして政令で定めるということですが、どんどん拡大していく傾向がこれから出てくるのではないでしょうか。
○政府委員(加藤孝君) 審議会の小委員会の場におきまして、この対象業務としてどんなものを考えておるか一応今から明らかにしておいた方がいいだろう、こういうことで、いわば例示としてこれが出されておるわけでございます。したがいまして、今後この法律の施行に当たりましては、事前に関係業務につきましていろいろ調査をいたしまして、そしてまた関係者の意見等も伺い、そして審議会に諮って決める、こういう手続を経て決定する予定をいたしておるわけでございます。そういう意味におきまして、論議の過程におきまして、必ずしも十四業務というものに限定されるとか、あるいはまた十四業務というものの例示に完全に縛られるというものではございませんが、今までの論議の経過からいたしまして、この十四業務というものを中心にやはり調査検討がされる、こういうふうに考えておるわけでございます。
 しかしながら、今後のことにつきましては、この法律におきまして、これがこれまでの日本の終身雇用、こういう雇用慣行というものを壊すような、そんな形で幅広く認めていくというようなことは基本的な考え方として排除しておるわけでございまして、そういう意味で、先生御心配のような、これがその後どんどん広がっていくというような運用がされるものだというふうには考えていないわけでございまして、法律でもそこははっきり終身雇用との調和においてという考え方が規定をされておりますし、また、この点については、衆議院の附帯決議におきましてもそういう観点が示されておるわけでございますので、これが無原則に広がっていくというものではあり得ないというふうに考えております。
○中西珠子君 常用雇用の代替にならないように運用していくということをおっしゃっていますし、また、二十五条に「運用上の配慮」というのがございますね、これは常用雇用を基盤とした終身雇用制というものとの調和を考えながらやっていくということだと思いますが、しかし企業の側から言えば、やはり減量経営にして、そして、余り雇用をしている使用者としての責任を持たないで済む労働者を使って、そして景気の安全弁的にやっていった方が経営の効率が上がるという考え方はどうしても経営者としては持つだろうと思いますので、やはり常用雇用の代替の危険性というものは非常にあると思うんですね。
 それで、結局この派遣法は第一条で、派遣労働者の雇用の安定を図る、そして福祉の増進を図る
ということを目的として掲げていますけれども、その派遣先の常用雇用の労働者に与える雇用代替の危険性、そしてそこの常用雇用労働者の雇用の安定を脅かしていくのではないかという心配のほかに、この派遣事業の、殊に登録型労働者だけを使ってやる一般労働者派遣事業の方においては、登録型なんで雇用の安定に資するということは考えられないと思うんですけれども、その点はいかがですか。どういうふうに労働省は考えていらっしゃいますか。身分の安定、雇用の安定はないと思うんですよ。派遣されるときに雇用契約を結んで三日なり一月なり働いて派遣先から戻ってくれば雇用契約がなくなるわけでしょう。そうすると、雇用の安定に資するというふうには、少なくとも一般労働者派遣事業の方は考えられないのじゃないかと思うんですけれどもね。
○政府委員(加藤孝君) この点につきましては、やはり派遣先の事業所といいますか、需要を開拓し確保していくということがやはり登録労働者の雇用の安定ということにもまたつながる問題であるわけでございます。そういう意味におきまして、この法律の三十条におきまして、派遣元事業主につきまして、各人の希望及び能力に応じた就業の機会の確保ということについての努力義務をかぶせておるというようなことでございますし、また、この派遣の制度がやはり派遣契約というもので基本的に定め、そしてまた、派遣契約の実施の過程におきましても、派遣元、派遣先両方にこういう責任者を置く、こういうような形で苦情等の問題処理も図っていく。こういうようなことを通じまして、派遣労働者の雇用の安定と就業条件の改善、こういったものに資していくことになる、こんなふうに考えておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
○中西珠子君 確かに今派遣契約をちゃんと結べというふうな指導もやっていらっしゃらないだろうし、この法律ができれば派遣契約が結ばれてそして派遣先の指揮命令のもとで就労するということになる、一歩前進という面もあるかもしれませんけれども、しかし、先ほども御指摘がありましたけれども、やはり派遣先の方のお得意さんとしてのその企業の労働条件というものが結局派遣労働者を支配するわけですから、例えば派遣労働者がどのくらいの労働時間で働くんですよと言われても、その派遣先で時間外労働をこれだけやってくださいと言われた場合、非常に弱い立場にあるわけですね。
 一応労働省がなさった派遣事業ではなくて業務処理請負事業としての実態調査、これにおきましては、労働時間の面ではどういうふうになっておりますか。
○政府委員(野見山眞之君) この調査によります派遣的労働者の一日当たりの平均労働時間数の構成を見てまいりますと、ビルメンテナンス業におきましては、八時間から十時間未満が六五・四%と高くなっておりまして、次いで六時間から八時間未満が一七・二%になっております。情報処理業におきましては、八時間から十時間未満が六〇・四%、六時間から八時間未満が二六・七%となっております。また、事務処理業におきましては、六時間から八時間未満が五八%、八時間から十時間未満が三三・五%という状況になっております。
○中西珠子君 労働時間につきましても、いわゆる時間外労働については派遣元と派遣労働者が三六協定を結ぶんですね。
 それじゃ、その登録型の一般労働者派遣事業の場合、三六協定結ぶのは非常に難しいんじゃないかと思うんですけれどもね。登録されている労働者の過半数を代表する者を選び出してくるということもまず難しいだろうし、そういう人たちを相手に三六協定を結ぶというその内容についても、結局派遣先の企業によって労働時間が違うし、所定内の労働時間が違うばかりでなく、時間外労働に対するニードもやっぱり違うわけですからね。
 ですから、どういうふうに単一の三六協定が結び得るかということが大変疑問なんですけれども、労働省はその点をどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(寺園成章君) 三六協定は、派遣元事業主とそこに雇用されております労働者の過半数を代表する者とが締結をすることになるわけでございますが、登録型の場合に代表者をどのように選ぶかという問題が一つ御指摘がございましたが、登録型で派遣をされております場合には、異なる派遣先に派遣をされている場合がございますので、一堂に集まって代表者を選任するということが困難な場合もあろうかと思います。そのような場合には、投票による選挙、回覧による信任、派遣先ごとに代表者を選んでその連名によって三六協定を結ぶというような方法が考えられるのではないかというふうに思っておるところでございます。
 また、派遣先が複数でございますので、それぞれの時間外労働時間が異なっている場合の三六協定の結び方でございますけれども、一つには、最も長い時間外労働を必要とする派遣先の実情に合わせて三六協定を締結するということもございましょうが、また、実際に必要な時間外労働の枠を定めるという趣旨からいたしますと、業務の種類ごとにそれぞれに必要とされる時間外労働の枠を定めるというような方法もあるのではないかというふうに思っておるところでございます。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
 いずれにいたしましても、三六協定は監督署に届け出られることになりますので、届け出の受理の際に、恒常的に長時間労働を可能とするような、そういうような三六協定につきましては、現在定めております時間外労働の目安を基準にしながら、適切な指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
○中西珠子君 業務の種類ごとに時間外労働を決めるというふうなことをおっしゃったけれども、実際はなかなか難しいことではないか。また、派遣先で残業の要求が随分違うでしょうから、先ほどの例のような非常にアグレッシブに要求をしてくる派遣先もありますでしょうけれども、派遣先の残業要求のどのような長い残業要求にもこたえられるような最大限の時間外労働の協定というふうなことにならなければいいけれどという心配が非常にございますので、この点は行政指導を大いにやっていただかなくちゃならないことですし、また、実際三六協定が派遣元と派遣労働者との間に結ばれていくという可能性が本当にちゃんとあるかどうかということは疑問なんですね。現在、いわゆる業務請負の事業としてシステムアナリストとかプログラマーとして働いている女性たちが、もう既に深夜業を連日のようにやらされたり、もう本当に長時間労働で体も精神的にもくたくたになっているという状況もあるわけですから、そういう実態の調査も大いにやっていただきまして、そしてこの面の指導ということをやはりやっていただかなくちゃ困ると思うわけですね。
 それから、とにかく三六協定、時間外労働の問題というのは非常にこれは大きな問題でございますけれども、そのほかに、やはり何といっても中間搾取の問題があると思うんです。中間搾取とは全然考えていないというふうな労働省の御意見でございますけれども、やはり基準法の第六条にも中間搾取の排除というか禁止の規定があるのですし、それから職安法の四十四条にもはっきりと中間搾取と強制労働をなくすための労働者供給事業の禁止があるのですから、一応事業計画提出、それから収支計算書提出の折に料金をそれぞれ書くことにするから、その点で中間搾取が排除されるのではないかということで衆議院で修正がありましたけれども、これだけではどうも十分じゃないと思うのですが、この点については労働省はどうお考えですか。
○政府委員(加藤孝君) 中間搾取問題をめぐりましていろんな御論議がある中で、標準的な料金の提出を修正で決められたわけでございます。労働省としては、こういうものが提出をされるということになりますれば、さらに突っ込んだ事業運営の状況というものも把握ができる、こういうふうに考えておるわけでございまして、そういう意味
で適正な就業条件のもとに就業できるような全般の指導というものにこれを役立てることができるのではないか、あるいはまた個別にもそういう標準料金、あるいはまた賃金の実情というようなものの中から全体の業務の適正運営というものについてもさらに突っ込んだ指導が可能になるのではないか、こんなふうに考えておるわけでございます。
○中西珠子君 賃金につきましてはどのように把握していらっしゃいますか。大体、いわゆる派遣的労働者は日給なのか、月給なのか、時間給なのか。また、どのくらいのレベルなのか。これは少しは把握していらっしゃるんですか。
○政府委員(野見山眞之君) 業務処理請負事業の全体の賃金を把握しているわけではございませんけれども、事務処理関係企業の賃金の実情でまいりますと、ワープロオペレーター等につきましては、時間給が千五百円から千八百円、月収にして二十二万から二十七万円等、職種ごとの一般的な賃金等については支給例につきまして私どもとしては把握いたしておりまして、一般的な事務処理業務におきます平均賃金につきましては、時間給が千二百円、月収が十八万円、これは実働七・五時間で週五日勤務をしているという例で把握いたしているわけでございます。
○中西珠子君 ビルメンテナンスでたくさん中高年の女の人が働いていますが、そのビルメンテナンス業というふうな業種ではどのくらいの賃金ですか。
   〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
○政府委員(野見山眞之君) 派遣的労働者の具体的な賃金額について特別に統計があるわけではございませんけれども、労働省の行っております賃金構造基本統計調査によりまして、派遣的形態をとっていることが比較的多いと見られる業務に関する賃金を見てみますと、ビルメンテナンス関係で見てまいりますと、ビル清掃員が十四万九千四百円、そのほか守衛が二十二万二千二百円。さらに関係の業務を見てまいりますと、電子計算機オペレーターが二十万六千三百円、プログラマーが二十万六千四百円、以上いずれも男子でございます。
 また、女子について見てまいりますと、同じく賃金構造基本調査でございますが、和文タイピストの場合十五万八千五百円、英文タイピスト十七万一千三百円、プログラマーが十五万四千円等でございまして、これらは派遣労働者であるかないかを問わずそれらの職種に従事する労働者の平均賃金でございます。
 したがいまして、先ほど事務処理業務につきまして一般的な特定の職種及び平均的な賃金を申し上げましたけれども、派遣労働者の場合の賃金は、派遣労働者が希望する特定の時間あるいは場所等において、ニーズに合致する派遣先があった場合に就業するという形態に基づいて得られる賃金でございますし、先ほど御説明申し上げました賃金構造基本調査での職種別賃金は、学校を卒業して新規に就職した就業者あるいは中途採用の労働者、あるいは派遣的な形態で就業している就業者すべてを含む職種の賃金でございます。
○中西珠子君 賃金構造基本調査の賃金をお聞きしているわけじゃないんです。これ言ってもらってもどうしようもないわけです。
 とにかく、事務処理の請負業から人を雇ってきたときに、あなた、どのくらい賃金をもらっているんですか、そして会社へはどのくらい上げてますかと言うと、四割から五割上げていると言う子が多いですね。それからワープロとかやっている人もそうですし、システムアナリスト、プログラマーなんというのも、結局、会社が請負として派遣先から取っている料金の半分ぐらいしかもらっていない。それ以下のところも非常に多いわけですね。ですから賃金を把握していらっしゃいますかと申し上げたのでありまして、賃金構造基本調査の職種別の賃金をお伺いしても、ちょっと、何にもならないわけです。そうじゃございませんか。
○政府委員(野見山眞之君) 派遣労働者の賃金というお尋ねでございましたので、いわゆる派遣事業で行っている労働者の賃金を申し上げたわけでございますが、その後は蛇足だったかもしれません。失礼しました。
○中西珠子君 果たして中間搾取があるかどうか。また、派遣労働者として登録されたり、常用雇用の人もあるかもしれないけれども、そういう人たちが派遣先の同種の労働者と同じぐらいな賃金をもらっているとは考えられないわけですね。また、非常に差があるということも一点だし、また、労働の対価としてふさわしいものをもらっているかどうかということが非常に疑問で、また、中間搾取というふうなものが存在するのではないかということが疑問なので、やはりここはもう少し実態調査というか、実態の把握というものを労働省にやっていただかなくちゃいけないと思うわけです。
 その点はいかがですか。もう少し調査をやっていただけませんですか。
○政府委員(加藤孝君) 現在行われております派遣的な形態での事業というのは、一応業務の処理を請け負うと、こういうような形でやっておるわけでございまして、そういう意味で、こういう請負の金額とそれからまた賃金との比較、こういうような形の調査というのはしていないわけでございます。
 しかし、今後こういった観点につきまして、実際に調査あるいは実態把握を深める中で、当然御指摘の点等もさらに把握に努めるということをしながら、この法律の施行が適切に行われるように努力をしていきたいと考えておるわけでございます。
○中西珠子君 業務処理請負事業としてこれまで容認されてきたものが、結局派遣事業ということで法的に認知されるということなんですから、やっぱり本当に労働者の雇用の安定と福祉の増進に資するような方向でなくちゃいけないと思うんです。そうでしょう、その点はいかがですか。
 とにかく今まで容認されてきた、そして指導もして、請負の業務としてこれは施行規則の第四条に当てはまるように指導してやらせてきたという実態があるわけですね。それで、請負の請負料というものについてはもちろん調査もしていないし、それとそれぞれの労働者の賃金というものについても、相関関係というものは調査していないとおっしゃるんですけれども、今度は請負業務として続けていく業種もあるかもしれないけれども、派遣事業として新たに届け出をしたりそれから許可を得たりして発足する業種もあるわけですね。それから企業もあるわけですね。その場合に、やっぱり派遣の料金というものとそれから賃金というもの、それぞれの労働者、個々の労働者が受け取る賃金というものの間に余り大きな差があるのは、どうも現行の職安法違反、また労働基準法の第六条にもかかわってくる問題ではないかと心配するわけです。
 ですから、その点におきまして、そういう点は大丈夫だと保証なされますか。
   〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕
○政府委員(加藤孝君) これは、先生も今御指摘ございましたように、この法律の目的そのものが、派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図りまして、派遣労働者の雇用の安定あるいは福祉の増進に資することを目的としておる法律でございます。そういう意味におきまして、この法律の適切な実施の中でこういう目的に沿うようなやはり施策をとっていかなければならぬ、また、この制度の適切な運用を図っていかなきやならぬ、こういうことでございます。
 そういう意味におきまして、例えば派遣の場合の料金等につきましても今後提出をさせていく、こういうような修正も行われておるわけでございます。また、こういったもの等を、制度を活用する中で、あるいはまた、行政機関としての調査というものについてのいろいろ権限もこの法律で与えられるわけでございますので、そういった制度等を活用する中で、実態の把握をさらに深める中でこの法律の適切な運営、そしてこの制度の目的
に沿った内容が実現できる方向への努力というものをしていきたいと考えておるわけでございます。
○中西珠子君 殊に一般労働者派遣事業におきましては登録型の労働者を使うわけで、そして派遣先が決まったときに雇用契約を結び、また、派遣から戻ってくれば一応雇用契約は解除になったというふうになるわけでしょう、大体において。そうすると、やはり派遣先がないときには雇用の安定もないし、そして賃金というものも保障されていないわけですから、一層そういった人たちの賃金の問題というのは重要になりますし、また、その雇用の安定に資するために派遣先を見つけてやる、雇用機会をなるたけ見つけてやるということは大事になるわけです。
 そういった面で、結局派遣先がこの人は嫌だと思えば一方的に派遣を打ち切ることができるわけですね。二十七条に、派遣契約の一方的な打ち切りというものに対しては、契約の解除というものに対して一応制約ができていますね。労働省が初めにお出しになった、この法案を新たに立法作業を進めていくに当たっての考え方というものの中には、正当な理由なくしては契約を一方的に解除するのはまずいということがちゃんと書いてあったのですね。ところが二十七条にはそういうことは書いていないんですけれども、なぜそれをお落としになったのですか。
○政府委員(加藤孝君) 正当な理由なくしての契約の解除を禁止をするという、まさにそういう意味におきまして、この派遣労働者の国籍、信条、性別、社会的身分、それから派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたこと等を理由として解除してはならないと、こういう形で、具体的にそこを規定をいたしておるということでございます。
○中西珠子君 派遣労働者が労働組合の正当な行為をしたことなどを理由としての次に、正当な理由なくというのがあったのですね。ですから、これは一歩後退なすったという印象を受けているんですけれども。
○説明員(齋藤邦彦君) 確かに御指摘のように、派遣問題小委員会等での御議論をまとめました報告書、あるいは私ども審議会に随時御提出しました資料等では、そういうような言い方をいたしておりますが、実質的には同じ意味でございまして、その小委員会等の御報告の御趣旨を法文上にあらわすとこういうような形になると、こういうことでございます。したがいまして、私どもといたしましては、全く同じ意味であるというふうに理解をいたしておる次第でございます。
○中西珠子君 全く同じ意味ですか。
 派遣労働者というのは非常に弱い立場にあるわけですね。技能が非常に劣っていて職務遂行能力がないということであれば仕方がないんだけれども、性別そのものに基づく派遣打ち切りというふうなことはもちろん差別になるし、これでも禁止していますね。ただ、あの人の容姿が気に入らないとか、それから動作が気に入らないとか、物の言い方が気に入らないからこの人は嫌だから取りかえてくださいと、派遣先はこの人は気に入らないから違うのをよこしてくださいと派遣元に言うことがこれだけではできるんじゃないですか。
○説明員(齋藤邦彦君) 先ほども御説明をいたしましたけれども、当初私どもが審議会に当省の考え方ということでお出しをいたしました文章は、「派遣労働者の正当な組合活動を理由とする場合、その他正当でない理由により解約してはならない」と、こういう文言でお出しをいたしました。立法作業をするに当たりまして、より詳しくと申しますか、より明確に文章を書かなければならない、こういうようなことでございまして、趣旨をより明確に法文的に書きますとこの二十七条に書いてありますような形になるということでございます。
 いずれにいたしましても、この二十七条を設けました趣旨は、こういうようないわば正当でないような理由、要するに、民法九十条で申しますようないわば公序に反するような程度にまで高まったようなことを理由にして派遣契約を解除してはならないと、こういう趣旨で、特にその旨を明らかにしようという趣旨で書いたものでございます。したがいまして、この規定に反するか反しないかは個々具体的な判断になるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、そういうような趣旨でこの二十七条の規定を設けてある、こういうことでございます。
○中西珠子君 非常に派遣労働者、殊に登録型は雇用の安定はないし、そしてとにかく派遣先から帰されてしまったら身分の安定もないし賃金の保障もないわけですから、ですからこういう一方的な打ち切りというものに対しての制限というものは厳しくしていただかなくちゃいけないし、何らかの救済措置も必要だと思うんです。
 それじゃ、例えば派遣先の企業が急に倒産したというふうな場合、この場合賃金の保障はどうなりますか。派遣元が必ず払うという保証がございますか。
○政府委員(野見山眞之君) 派遣元事業主は、雇用主として雇用関係にあるものとして賃金支払い義務がございますから、派遣先企業の倒産と関係なく、賃金支払い義務は派遣元事業主が負っているということでございます。
○中西珠子君 ところが派遣元の事業主というのは、先ほど私が電話と机と鉛筆と紙さえあればできるんじゃないか、そういうものも許可なすっては困るというようなことをお話ししましたけれども、とにかく少ない人数で、そして非常に限られた施設で、また資本金も非常に少なくて始めているところが多いわけですね。派遣元の方が倒産したときはどういう救済措置がございますか。賃金不払いの件に関して賃金支払い確保の法律がございますね。あれがちゃんと適用になって、本当に救済されるということでございますか。
○政府委員(寺園成章君) 雇用主であります派遣元が倒産をいたした場合には、まず第一義的には賃金の支払い義務の履行を求めるわけでございますけれども、なお、それにおいても賃金の支払いができないというときには、立てかえ払いの制度を適用していくということになります。
○中西珠子君 それから、いわゆる派遣的労働者、この人たちは幾ら派遣元と常用雇用の関係にあっても、登録型の人はもちろんですけれども、派遣先の指揮命令に従って働かなくちゃいけないということで労働条件も非常に悪い場合もあるし、それから一方的に派遣打ち切りというふうなことにされないとも限らないというふうな危険もあるわけですね。こういう人たちが、とにかく組合でもつくって団体交渉でもできるという立場であれば多少は救われるのかもしれないんですけれども、派遣元の組合の組織率というふうなものについては、ある程度把握していらっしゃいますか。
○説明員(齋藤邦彦君) 若干古くて恐縮でございますが、私どもが五十五年に業務処理請負事業の実態を調査をいたしました。その結果によりますと、業務処理請負事業を行っております事業所、これは事務処理、情報処理、ビル管理三種でございますが、このうち調査をいたしましたのが三百五十四カ所でございますが、労働組合がある事業所は四十七カ所、パーセントにいたしますと一三・三%、こういうことになっております。
○中西珠子君 非常に組織率は低いわけですね。また、組織することは難しいと思いますけれども、こういう組織されている人でも、結局派遣元とだけ団体交渉をしたのでは、本当は労働条件というものは派遣先の労働条件に支配されるんだし、そしてまた指揮命令というのは派遣先の一応上司になる人に指揮命令を受けるわけですから、やはり派遣先との団体交渉というものが必要になるし、また、派遣先にも団交応諾義務というものを負わせなくちゃ、この人たちの労働基本権というのは守れないと思うんですけれども、大臣はどのようにお考えになっていますか。
○政府委員(谷口隆志君) 団体交渉の当事者となります使用者につきましては、現行の労働組合法上の使用者とは、労働条件の決定をめぐる当事者、すなわち雇用関係上の使用者を意味しておる
というふうに私ども解しております。
 そこで、この派遣法案におきます派遣労働者の労働条件の決定につきましては、派遣元事業主がこれを決める、そういう意味で派遣元事業主に雇用されておるということを前提に、団交応諾義務は派遣元事業主が負っておるというふうに解されるところでございます。そういう派遣元との間で決められました労働条件の範囲内で、いろんな就労する場合の枠組みとか段取りとかというような問題につきましては、派遣先の事業主がいろんな指揮監督する場合もありますので、そういう就労に関します問題とか苦情がございます場合は、この派遣法案におきましては、派遣元だけでなくて派遣先にもそういう関係の責任者を置くことを義務づけておりますので、これら双方の責任者によりまして派遣労働者のそういう就労に関します問題とか苦情等につきましては適切に処理されることになるというふうに私ども考えておるところでございます。
○中西珠子君 派遣元責任者、派遣先責任者がそれぞれ話し合って苦情も処理していく、だからうまく適正な労働条件が確保されるだろうとおっしゃいましたけれども、結局派遣先というものは派遣元のお得意さんなんですね。それで、自分たちが派遣する労働者について余りうるさいこと言ったり、労働条件はきちっとこういうふうに守ってくださらなくちゃいけませんなんということを言ったら、お得意さんを失うという危険も出てくるということになりまして、それで労働条件の実態というのは派遣先で左右されるわけですからね。これはやっぱり派遣元が雇用関係があるから派遣元だけとしか団交はさせないというふうなことではちょっとまずいのではないか。やはり少し特例的に考えていただかなくちゃまずいのではないか。労組法上の使用者の義務は派遣先は免責されているから一切団交の応諾義務はないのだというふうに、非常に形式的に決めつけてしまうのはまずいのではないか。
 過去におきまして判例とかそれから労働委員会の裁定というふうなことで、派遣先にも、実際に当事者能力を持っているというふうな考え方をして、団交を応諾させるという方向で解決が見られたというケースだってないわけではないでしょう。いかがですか。
○政府委員(谷口隆志君) いわゆる派遣先の団体交渉応諾義務に関します労働委員会の命令とか裁判例といたしましては、例えば労働委員会の命令の中に、派遣先事業主との間の雇用関係の存否には触れないで、実質上使用者権限を行使している等の理由によりまして団体交渉応諾義務を認めた地方労働委員会の命令が数件ございます。それから裁判例としては、派遣先事業主が雇用契約上の雇用主と同様の支配力を直接現実かつ具体的に有しているとして団交応諾義務を認めました原審の結論を、両者の間に雇用関係が成立していたということで支持いたしまして上告を棄却した最高裁の判例が一つございます。
 実際にどういう状況かということは、やはり個々のケースの実態にもよりまして最終的には労働委員会とか裁判所で決まることになるわけでございますけれども、本派遣法案において考えております賃金とかあるいは労働時間等の労働条件の決定は派遣元事業主が決める、そういう決められた中での運用等について派遣先が実施をしていくということになるわけでございますので、私どもといたしましては、労働条件の決定につきましては、派遣元が団体交渉の応諾義務を有しておる、実質的にその条件の中での就労については派遣先事業主が指揮することもあるわけでございまして、そこで出てくる問題につきましては、先ほど申し上げましたように、やはり両方の責任者の間での話で適切に解決されることを期待をいたしておるわけでございます。
○中西珠子君 私の時間が来ましたからこれはこの次続けさせていただきますけれども、せっかく中労委の命令なんかが出ているケースが数件あったり裁判例もあったりするのに、これを労働省の方で、派遣法においては、派遣先は絶対団体交渉の応諾義務はないのだというふうなことを決めつけておしまいになるのはどうかなと非常に思うわけです。ですからこれは続けていたします。もう私の時間がアップしましたから、この次また続けさしていただきます。
○安武洋子君 本法案と申しますのは、労働力の適正な調整、そして派遣労働者の雇用の安定と福祉の増進を図ると、いかにも労働者の保護を装っております。しかし実際は、現行法で原則的に禁止をされております労働者供給事業と中間搾取を合理化いたしまして、低賃金と無権利の労働者を増大させる。それだけではなくて、ME化のもとで企業の求める短期雇用の労働者の増大、そして大量の余剰人員に対しまして労働力の流動化を促進する、こういうふうなことで、戦後の民主的労働法制と雇用慣行を根本から覆す重大な内容のものとなっております。
 けさほど趣旨説明を受けたばかりで直ちに審議に入るということにつきましては、私どもは反対でございます。他党の合意で審議入りをしたことはまことに遺憾でございますが、こうなったからには十分の審議を尽くしていただきたい。私は十時間要求いたしましたが、そのことを冒頭申し上げて質問に入らせていただきます。
 労働省はこの法案について説明をなさっておられます。今回の派遣法の整備というのは、これは雇用者側とそれから就業者側のニーズに合わせた法整備を行ったと、こういうことでございますが、まず、就業者のニーズという点で聞いてまいります。
 就業者の一部には、日時とかあるいは就労地域とか、こういう希望に合致をするというふうなことで働きたいというニーズもあるかと思います。しかし基本的には、常雇いを望んでいるのが当たり前であろう。不安定で、労働条件も悪くて、賃金にも格差がある、そして職場では差別的な取り扱いを受けかねないというふうな派遣労働を望んでいるというふうには私は思えません。それなのに就労側のニーズに合わせたということは、一体どういうことでございましょうか、お伺いいたします。
○政府委員(加藤孝君) 労働者の側におきましても、例えば家庭の主婦などが、自分の育児であるとかあるいはまた家事責任の問題、それからあるいはまたいろいろ文化的な面での行事に参加するというような多様な他のニーズを持っておられる方がおるわけでございまして、そういう方々が自分のいわば空いておる時間、空いておる日において就業をしたい、こういうような意味におきまして、そういうある程度フルタイムの形とは違った形での就業というものを希望される方がふえてきておる。しかしそれは一般の企業形態の場合でございますと、パート的な形での、例えば毎日四時までとか、そういうような形の就業とまたちょっと違いまして、週のうちの特定の時間帯、特定の日とかいうような形になってくるわけでございまして、そういうような方にとりましてはこの派遣の形というものは一つ有効に機能しておるという面があるかと思います。
 また高齢者につきましても、フルタイムでなくてある程度自分の体力等に合わせまして都合のいい時間、日に働く、こういうようなニーズもある。さらにまた、企業内でのそういう人間関係に煩わされないで、あくまで自分の専門的な一定の分野だけをライフワークとしてやっていく、こういうような方にとりましてもまた、こういう派遣的な形で、例えばコンピューターの関係ならそれだけをずっとやっていく、企業内でのいわば人間関係等に煩わされないでその自分の専門を生かしていく、こういうような労働者側のニーズというのも現にふえてきておる。
 そういう中で一方また需要等もございまして、派遣事業というものが、派遣的な形態での事業形態がふえてきておる、こんなふうに理解をしておるわけでございます。
○安武洋子君 労働省は、何から今そういうふうにおっしゃったか知りませんけれども、この問題に関しては、「業務処理請負事業における派遣的
労働の実態」、こういう調査をされて、これで実態把握をされたということを衆議院あるいは本委員会でも御答弁になっておられます。私が今申し上げました調査、この「労働の実態」という、この中の一体どこから今おっしゃったような労働者のニーズがあるというふうに把握をなさったのでしょうか。
○政府委員(野見山眞之君) この実態把握によりまして、就労者が派遣的労働に満足をしているという事項の中に、「自分の技能・知識が生かせる」というのが三〇%、あるいは「自分に合った事業所に勤務できる」、要するに、注文のあった事業所の中から自分の方から選択できるということ、あるいは「事業所の人間関係にわずらわされない」で働くことができるというのが二七・八%等の調査がこれらの就業ニーズがあるということの判断になるかと思います。
○安武洋子君 調査結果のもとになっておりますのが個人票です。これを拝見しました。そうしますと、問十二に、現在のように派遣されて就労することについてということで、ここの中には、派遣をされて就労した後で満足している点はどこなのか、不満足な点はどこなのかということで例記をされているわけです。満足している点の答えが七つあるわけですが、でもこれはあくまでも派遣された後の満足度ですよ。ですから、就業に当たっての希望とか動機とか、そういうことではないはずなんです。ですからそれをつかまえて労働者のニーズ云々とおっしゃるのはこれはおかしいのとは違うんでしょうか。
○政府委員(加藤孝君) 実際に就労した結果についてであるとおっしゃいますが、結局そういった結果が出てきておるということは、やはり自分の考えていた、あるいは希望したものといわば合致をしておるというようなことの一つの結果ではないだろうかと、こう思うわけでございます。
○安武洋子君 ここに私は全労働が調査したのを持ってきておりますが、これは、「派遣労働者という雇用形態の就職を選んだ動機は」というふうに書いてあるんです。これは一昨年調査されておりますけれども、この調査では十三項目にわたって設問しております。「自分の技能、知識を生かせる」とか、あるいは「人に勧められた」とか、「通勤に便利」だとか、いろいろ書いてあるわけです。これならニーズがわかるというのは当たり前でありまして、この調査を見てみますと、派遣労働者という雇用形態を選んだトップというのは、「年齢にかかわりなく雇用してもらえる」一九%、それから「他に適当な就職先がない」一五・九%、「希望する職種と一致した」一一・七%、「通勤に便利」一一・四%、これが一〇%以上の回答なんですよ。先ほどあなたたちの言われたような、ニーズがあるんだと言われたのははるかに下位なんですね。
 ですから私は、これは調査対象の違いも多少はあろうとは思います。しかし、就職の動機を設問するということでなくて就労後の満足度、これを問うてニーズだと、こう言うのは大体おかしいと大臣は思われませんか。――大臣にお伺いしています。
○政府委員(加藤孝君) これにつきましては、先生もおっしゃいますように、調査対象等もいろいろ違いますので、一概にこれが全く我々の調査結果がおかしいという形には必ずしもなるものではないと思います。
○安武洋子君 だれが調査結果がおかしいと言いましたですか。私は問い方がおかしいと言っているんですよ。あなたたちは就労した後の満足度を問うて、それがニーズだと言う。そうじゃなくて、就職する動機、そして就職するときの選択、そのときに、全労働のように設問すればこれがニーズではないか。大体ニーズだとつかまえられるそのつかまえ方というのがそもそも間違っている。だから、調査結果があなたたちの言われるニーズというのがトップの方に出てこないで、トップというのは全然違うような形で出てきているよと、私はそう申し上げております。
 それで、調査というのに、派遣労働での不満、こういう項目があります。個人調査票、これを拝見いたしました。この回答例では、不満な点ということで何項目この調査をされたでしょうか。「その他」というのは結構です。
○政府委員(野見山眞之君) 不満な項目につきまして具体的に挙げておりますのは、集計いたしておりますのは八項目でございまして、「その他」、「特になし」を含めて、十項目で、多数回答で集計しております。
○安武洋子君 私が聞いたのは個人票では何項目かとこう聞いております。
○説明員(齋藤邦彦君) 不満足な点ということで聞きました問いは、一から十二「その他」まででございます。具体的に書いてございますのは一から十一まで、例えば「就業の安定性に欠ける」とか、定期昇給がないとか、以下十一項目でございます。
○安武洋子君 ということは、個人票では十一項目聞かれた。まとめは八項目、なぜですか。
○説明員(齋藤邦彦君) 単に傾向値を見るためには、これぐらいで結構ではないかと、こういうことでございます。
○安武洋子君 まあそういうお答えが来るんではなかろうかと、私は抜かされた三項目を調べてみました。この三項目といいますのは、労働者が一番要求の中心に置いている「定期昇給がない」、「賞与・一時金がない」、「派遣が切れた間賃金等の支払が受けられない」、こういう重大な三項目でございます。
 この賃金に関する三項目をそっくり抜かしている、一体理由は何ですか。
○説明員(齋藤邦彦君) その三項目につきましては、「その他」というところで書いてまとめてあるわけでございます。ただ、パーセントからいきますと、他の項目とそれほど、何といいますか、変化があるわけではない。大体同じような傾向にあると、こういうふうに思っておるわけでございまして、特に意図的にどうこうしたわけではございません。
○安武洋子君 いかに意図的かと私は思います。
 というのは、今おっしゃったようなことかと思って私は調べてみました。これは労働省の調査の東京都分の集約結果でございます。ただ、数字の集計の仕方というのが労働省の方は重複回答。こちらの方は案分です。総回答数を案分してあるというので、労働省の調査よりは数字は低く出てまいります。それでもこれで見てみますと、事務処理業で抜けている三項目、この合計、何と四〇・六%です。すなわち、不満の全回答、この四割を上回る。労働省のでしたらもっと大きくこれが出てくるわけですよ。これをすっぽり抜かす。まことに意図的ではありませんか。
○説明員(齋藤邦彦君) 先ほどもお答え申し上げましたように、ここに個別に書いてございません集計項目、「定期昇給がない」、「賞与・一時金がない」、「派遣が切れた間賃金等の支払が受けられない」、この三項目につきましては、「その他」というところでまとめてあるわけでございます。
 ちなみに、この三項目全部を合わせました「その他」というところは、事務処理業の場合は一二・九%、これは計でございます。男で九・三%、女性で一三・〇%と、こういう形になっております。
○安武洋子君 三項目の回答の数字、一項目ずつ出してください。その中に込めたと言いますが、その基礎になっている東京都部分、これを見ただけでも四〇%を超えるわけでしょう。不満が四割超えるわけでしょう。そして、一般的に労働者が派遣労働者として派遣されたときに何に不満を持つか。それはだれが考えたって、「定期昇給がない」、「賞与・一時金がない」、「派遣が切れた間賃金等の支払が受けられない」と、こういう賃金に関する不満が出てくるというのは十分予測されるわけです。こういう重大な労働者が関心を持つ問題をなぜ「その他」というふうなことで一般的にくるめてしまうのか。数字をきちっと今出してください。
○説明員(齋藤邦彦君) 先ほども申し上げたことを繰り返すようで恐縮でございますが、単に集計
の便宜上「その他」というところでまとめたわけでございます。例えばそのほかの項目を見てまいりますと、「就業の安定性に欠ける」というようなのが事務処理業の場合は三九・三%でございます。それからそのほか「自分の技能・知識が賃金に反映していない」というのが八・五%、こういうような形で、それぞれ大体同じような割合で不満足な事項というのが出てくるわけでございます。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように「その他」というところに三項目を合わせて集計をしたということでございまして、これは全く集計上の技術的な問題というふうに御理解をいただきたいと思います。意図的にとかくの事実を隠そうとか、そういうような趣旨で集計したわけではございません。
○安武洋子君 それだから、三項目の数字を出してくださいと、こう言っているんです。お出しなさい。
○説明員(齋藤邦彦君) 先ほど申し上げましたように、その三項目を一つにまとめまして集計をいたしました。したがいまして、原票をすべてもう一回洗い直せばそれぞれ三項目ごとの数字が出てまいりますが、それには大分時間がかかるかと思いますが、先生のお話でございますので、これから集計をして、でき上がり次第お届けすることにさしていただきたいと思います。
○安武洋子君 ほかの項目は低い数字でも全部出ておりますよ。「社会・労働保険に加入できない」〇・三%、〇・四%、こんな数字でもきちっと出している。なぜそういう項目をわざわざ、しかも労働者の要求の中心の賃金、この項目をわざわざ落とすんですか。一括するんですか、「その他」の中に。その他の要求にもいろいろあるでしょう。なぜその他の要求の中に突っ込まなければならないんですか。だれが考えたって隠しているとしか考えられない。
 というのは、私は、労基法六条の中間搾取の問題、この論議上故意に落とした、隠したというふうにしか思えないということを申し上げたい。現状把握の中心でしょう。それをこういうふうなものを出して私どもに審議をせよと言う。国会をなめていませんか。国会を軽視していませんか。国民を愚弄していませんか。私はそういう集計のやり方というのは、国会、委員会を軽視している、こう思います。大臣、いかがですか。
○国務大臣(山口敏夫君) 国権の最高機関である国会を、最大限に尊重いたしております。
○安武洋子君 こういうやり方は、尊重していないですよ。大臣、こんなやり方がいいと思われるんですか。私どもが現状把握をしないでなぜ判断ができるんですか。論議をするその一番の基礎になる資料の中から、労働者の要求の中心である賃金部門、一番関心の高いところ、その項目をわざわざ「その他」の中に一緒に突っ込んだんだと、だれがそんな理由が通ると思われるでしょうか。だから、ここを一〇〇%にしないで、これは重複回答だというふうに出されたんじゃありませんか。非常に私は意図的であると断言をせざるを得ないわけですが、大臣はこの事態をもう一度御答弁いただきたい。こんなことでよい、これで委員会、国会議員たる私どもに審議をせよと、それで当たり前なんだと、そのように思われるんでしょうか。――大臣にお伺いしている。これは政治上の問題です。
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど齋藤政策課長から御答弁申し上げましたように、数字をまとめ次第先生の方にお手元にお届けするということでございまして、派遣法をめぐる労働者の生活条件の権利の確保のために、十分この法案の御審議をお願いしておるわけでございますので、先ほどの、数字を取りまとめ次第お届けするということで御理解いただきたいと存じます。
○安武洋子君 それでは私は、こういう資料がなかったらとても審議は続けることができないということで、きょうは非常に短かい時間なんです、あと十分間しかありません。十分間では、この資料もないし、審議も続けるということにもなりませんので、十分間は保留いたしまして、きょうの質問はこれで終わります。――私は次に質問を十分間やる、先ほどの社会党さんと同じような扱いにしていただきます。
○委員長(遠藤政夫君) 安武君に申し上げます。労働省からは、資料を次回提出すると言われておりますから、質問を続行してください。
○安武洋子君 次回とは言っていませんよ。いつ出すんですか、出す日は。それをきちんとやってください。今から集計するから時間が随分かかると言っている。
○説明員(齋藤邦彦君) 大作業ではございますが、できるだけ早急に作業をいたしまして、次回の委員会までには間に合うように御提出をいたしたいと、こういうふうに考えております。
○安武洋子君 だったら次回までこれを保留させていただいて、この質問で十分間やって、それから次の質問に移ります。
○藤井恒男君 法案に入る前にちょっと大臣にお伺いします。
 実は、十日ほど前に大変ショッキングな新聞報道がありました。警察庁から出された昨年一年間の自殺白書のことであったわけです。内容を新聞の報道だけで私は承知しているわけでありますが、「死に急ぐ、熟年男性「勤務」原因が五年で倍増」というような記事なんです。この記事によると、自殺の原因、動機などについて、常識的に考えると病気であるとか経済問題であるとか、あるいは家庭関係というようなものが考えられるんだけど、これらの動機というのはいずれも前年より下回っている、ただ一つ勤務問題だけが増加しているというわけですね。しかもこの勤務問題というのが、五年前の二倍に急増しているという。どういうことになっているのかということだけど、職場では終身雇用、年功序列制度の崩壊というような影響があるし、同時に、オフィスオートメーション、OA化あるいはME化の波にこれら熟年層が乗り切れない、これが勤務問題になり、自殺を五年間で倍増せしめている。
 参議院では、衆議院にない制度でありますが、国民生活・経済に関する調査特別委員会というのをつくって、五年ぐらいかけて研究会を今やっている最中なんです。過去二年間研究をやって、OA化あるいはME化の雇用に及ぼす影響調査なども随分学者あるいは労働者などを呼んで徴しておるし、現にME化の進んでいる工場なども視察して勉強しているさなかにこういうショッキングな記事が出たわけなんだけど、労働省として、これをどういうふうに受けとめているのか。非常にこれは重要な問題だと思うんです。
 たしか、以前労働省としては、我が国においてはロボットと労働者が非常に仲よくうまくやっている典型である、これは欧州諸国と違った我が国の特性だというふうに言っておられたと思うんだけど、現実にこういう姿が出てくると、これは観点も変えなきゃいかぬし、非常に重要な問題である。この熟年層というのは戦後を支えてきた人たちですから、そういった点に立って、大臣、どういうふうに考えておるのか、お聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(山口敏夫君) 人生八十年時代のいろいろ施策を講じているわけでございますし、また、一方におきましては、人生一世紀時代、そういうライフサイクルも考えなきゃならない。こういう反面、今藤井先生から御指摘いただいたような、熟年層における労働者のいわゆる勤務問題でこうした不幸な事態、自殺原因等を考えましたときに、当然、新時代における対応という問題もございましょうし、また、せんだって、七十、八十歳代の方と一緒に五十代後半の方がぼけ老人のリハビリを受けている、これは一つの退職ショックのような形でございますが、いろんな意味におきまして心身の非常なストレスというような問題、また、ストレスという問題で割り切れない深層原因というものをやはり行政の場におきましても十分研究、把握をしなければならないという、私、先生と同じような基本的な問題認識を持たせていただいておるつもりでございます。
 特に労働省といたしましては、五十七年度に実施した労働者の健康状況調査というものに基づきまして、そうした心の健康の確保は労働衛生対策の上においても極めて重要な課題である、こういう見解のもとに、今年度から労働者の心身両面にわたる健康づくりを積極的に推進する、企業における心の健康に関する相談、指導体制の整備を図る、こういう新政策を今進めておるところでございますけれども、こうした問題点を非常に重要に心得て、OA化、ME化等に伴う新時代における職場の条件につきまして一層の研究と取り組みを図っていくべきであると、こういう認識を持たせていただいております。
○藤井恒男君 サミットなどでは余り表には出なかったようだけど、大臣も常々腐心しておられる経済大国と言われる我が国が背負う貿易摩擦の問題、その一つの柱として、我が国における異常な長時間労働がやり玉に上がっておりますね。これについては大臣も、労働時間短縮をやらなきゃいかぬということをしきりに言って努力しておられることは私も多とするわけなんだけど、今度また、こういうふうに勤労者、しかも熟年がどんどん自殺しているじゃないかというようなことは非常に頭の痛い大変な問題だと思うんです。
 六月にはILOの総会もあるし、主要国の労働大臣がみんなジュネーブに集まることだろうと思うんです。大臣も出席されることだと思うんだけど、私は、この労働時間の問題、そして、今ここに出てきた「死に急ぐ、熟年男性」が勤務原因だというようなことになれば、またまた経済摩擦の問題として私は非常に大きく騒がれることじゃなかろうか。外国を気にするだけじゃなくって、我が国の大切な熟年労働者がこういう環境に置かれるということは非常に深刻な問題だというふうに私は受けとめているわけなんです。しかも、OA化、ME化の波が他の国よりも著しいスピードで進んでいるわけですから、だから、その辺は十分検討して、労働省としては的確に対処しなければいかぬ。やっぱりこういった記事が出れば、すかさず労働省としてこういったものを受けとめて、こういう観点からこういうものを防いでいくんだというようなものをアピールしなければいかぬと思う。
 大臣はイベントが大変お好きで上手なんだけれども、この辺については沈黙しておるわけなんで、何かやるつもりはないか、どうです。
○国務大臣(山口敏夫君) こうした問題を通じて今一層労働政策が必要とされておる労働時間の問題、あるいは休暇の拡大、そういう問題を進めるべきであるというふうにも考えます。
 特に今市場開放の問題で御承知のとおり政府が七月までにアクションプログラムということで具体的な作業に入っておりますが、せんだって閣議の席で、諮問委員会の中間報告の中に、労働時間問題とか今先生の御指摘の休暇の問題等、これが提言されておるわけでございます。私は、ここに今のアクションプログラムの、市場開放の問題と同時に、諮問委員会の中間報告の中にあるそうした政策も一緒に並行して進めていかないと真の経済摩擦の解消にはならないんではないか。そして国会と並行して来年度の予算、新政策を各省庁が取り組み始めているわけでございますけれども、そういう中にこれを反映すべきではないかということで基本的に閣議で発言をし、了解をいただいておるところでございます。
 今先生の御指摘のような高齢者の自殺の問題でありますとか、勤務問題におけるストレスの問題でありますとか、そういうME化時代に伴う労働者の健康と心の問題も含めた労働政策の改善というものを進めていく必要がある、こういう決意で今取り組まさしていただいておるところでもございます。
○藤井恒男君 いずれILO総会が終わった時点で大臣に状況の報告をしていただくような機会もあろうかと思うんだけど、我が国の直面している問題で一番労働省として考えなければいけないのは社会構造の変化、とりわけ今も出ておりますこの技術革新と情報化、さらに異常なスピードの高齢化ですね、高齢化社会。そういった中における我が国のおくれている定年制、定年制の法制化もできないという状況、さらには労働の国際化ですね。私はこういった三つの大きな要因があると思うんだけど、総合的に労働行政として、今言ったような形における社会構造の変化に対応してどういうスタンスで臨んでいくのか、ちょっとそういった点も聞かしていただきたい。
○国務大臣(山口敏夫君) ただいま先生から御指摘いただいたように、高齢化に伴う定年の延長、雇用の延長の問題、そしてまた国際化時代におけるフェアな労働条件の改善、こうした問題が今日的な解決を迫まられておる緊急な労働問題、課題であろうというふうに考えますし、私といたしましては、さらに国内的に障害者雇用の問題等もあわせて来年度以降の新政策の中にこれを重点的に取り上げていきたいというふうに考えております。
 幸か不幸かといいますか、労働組合の幹部は別といたしまして、個々の労働者側にも、この長時間労働の問題については、使用者と同じような、非常に勤勉に対する一つの信仰的価値領域の問題があるのも事実でございますけれども、やはり日本人の一つの環境条件の中で、今先生の御指摘のように、例えばOECDとかサミットやなんかで非常にそういう労働時間の問題が大きく取り上げられて、日本及び日本人だけではなかなか率直に言って改善、前進し得ないような部分を大きく国際的な環境の中で押しまくられながら、いやいやという気持ちがありながらこれに取り組まざるを得ない。そういう中でまた新しい国際競争力といいますか、労働者の福祉の改善がなされて生産性も上がっていくというようなことで、私は何としても追い風の部分を十分活用もさしていただいて、そしてなおかつ日本にとって一番重要な労働者の福祉の改善、また中長期的にはこれが雇用の拡大にもつながるわけでもございますし、今先生が御指摘のME化時代に伴う心と健康の問題への大きな取り組みにもつながると、こういうことでもございますので、ぜひこうした社労委における御論議でも十分問題を提起していただきまして、その政策が具体的に前進すべく、また、御鞭撻もいただければ大変ありがたいと、かように思うわけでございます。
○藤井恒男君 まあ労働団体のトップの方たちといろいろ話しておりますと、最近労働組合も非常に労働サミットなども開いたり、頻繁に外国との交流があるわけだけど、この種の問題については四面楚歌のようなんですね。これは単なる労働組合の労働条件としてとらえるという状況からもう離れてしまって、国と国の問題ということになっているわけなんです。
 冷静に考えても、諸外国に比べてそれだけ過酷な労働条件を、それを担保する経済力があるにかかわらずそういう条件に置かれているということは不幸なんで、だからこれは大臣も、日本人の特性としてというような今お話しがあったけど、やっぱり労働省として、例えばもっと余暇時間を持つべきである、労働時間を短くすべきである、あるいは休日は完全に取得すべきである、また、それを阻む労使関係というものについては強力に指導するというようなPRをやっぱりやらなければいかぬと思うんです。それを、財界が反対するからといって、例のゴールデンウイークの問題でもぱたっととまってしまうということでは困るんで、自民党の中でもいろいろな意見があるようだけど、あなたせっかくポストを一つ持って、しかも労働大臣になっておるわけなんだから、そこは遠慮せずにもうちょっと発言して、きちっとした対応をしていかなければ、私は大変なことになると心配しているわけなんです。
 同じようなことで、最近人口の高齢化はもとよりのこと、女子の労働者の増加、これは結構なことなんだけど、さきに雇用均等法、ああいった形で決まったわけですけれども、女子の増加、パートタイマーの増加、パートタイマーというものは新しい一つの就業形態として定着している。こういう主婦労働、それからサービス産業の拡大です
ね、一つの産業として出てきている。それに今言ったME化の問題、こういったものが雇用というものを非常に流動化させている。人材派遣業というのもそういった中から生まれてきた法律であるわけなんだけど、こういったことが勢い雇用形態というもの、例えば終身雇用に代表される我が国の特性ですね、この雇用形態というものを変えつつある。こういう点について労働省はどういうふうな認識を持っているのか、あるいは我が国のこれまでの伝統的雇用形態というものについてどういうふうにこれから取り組んでいくのか、こういった点もお聞きしておきたいと思うんです。
○国務大臣(山口敏夫君) 私は、やはり終身雇用といいますか、常用雇用というものは、一つの伝統的な我が国の雇用関係、労使関係の安定に寄与しておる。また、それが経済の発展、近代化を達成してきたと、こういうことと認識をしておるわけでございます。そういう職場条件というものを維持しつつ、同時に、先ほど来からいろいろ御論議いただいておりますように新しい時代のニーズにこたえる今の雇用関係というものが既に派生し、また、現実にそれが大きな労働者の雇用市場として拡大を見ておる、こういうことでございますから、そういう方々が、労働基準法あるいは労使関係において労働者福祉というものが十分守られるような一つの法律的な裏づけといいますか、環境を整備する必要がある。いろいろ先生方から御指摘いただいたような問題も、そういう論議の中で、いわゆる派遣的な事業、業種に対する常用労働者と同じような生活、待遇条件というものを確保していく、そういう一つの布石にもつながるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 それから一点、これはもう先生御承知ですからあえてさかのぼる必要ありませんけれども、ゴールデンウイークの問題も、ことしは六千二百万ということで、前年に比べまして二〇%増の、休暇をとる習慣がようやく端緒についた、こういうことでもございますし、また、ゴールデンウイークの労働休日を入れるかどうかという問題につきましては、与野党の幹事長・書記長会談で、労働時間短縮の問題とあわせて論議が最終結論をまだ待っておるという段階でございますので、これは政府の提案というよりも議員立法で休日の問題は、祝日の問題は常に御論議をいただいてきた経過もございますので、また藤井先生の方でも一層のひとつお取り組みも、大いに私どもも期待をさしていただきたいということをあわせて申し上げさしていただきたいと存ずるわけでございます。
○藤井恒男君 休日の問題も、大臣閣議でも執拗に発言して急がなければ、これはカレンダーとの関係が出てくるんだからね。だから、カレンダー業界からもいろいろな問題が出てくるんだから、これは急がなければ、結局またしりすぼみになってしまうわけですから、これはひとつ力いっぱいやっていただきたいと思うんです。
 いま一つ、これは大臣じゃなくて結構ですが、実は現在、この社労委員会で厚生日に児童扶養手当の法律を審議しているわけです。この児童扶養手当の受給者というのは、昭和三十七年当時十五万人だったのが現在五十七万人になっている。非常に大きな数になっているわけです。実は私は、今から申し上げる点を厚生省にもお伺いしたんだけど、厚生省の立場としてははっきり物が言えない、やっぱり所管は労働省ということなんで、的確な表現がなかったわけなんで、あえてこの席をおかりしてお聞きしておきたいと思うんです。
 言うまでもなく、突然一家の働き手をなくして生活の支えがなくなる家庭というのは、もうこれは大変気の毒な家庭であるわけです。そういった家庭の母と子の置かれている非常に劣悪な環境や条件に対して国が救いの手をやっぱり差し伸べて、心身ともに健全でかつ文化的な生活を営むことができるようにしなければならない、そのことは私は政府の責任だと思うんです。母子家庭の自立を促していく最大の決め手は、母、お母さんの就労を確保することだ、三万円ぐらいの手当を出していくということよりも、むしろ母親の就労の機会を確保してあげるということが一番健全であろうというふうに思うわけなんです。
 そういった意味から、労働省では身体障害者雇用促進法というものがあるわけですね。同じような発想から、それに準ずるような形で母子家庭における母の就労の機会をつくるという意味の法律をつくる、法制化するというようなことができないのか。それは技術的に問題があるのか。あるいは手当でよしとするのか。労働省の立場から一度お聞きしておきたいと思います。
○政府委員(加藤孝君) 御指摘のございました、こういう母子家庭の母の雇用問題、私どももこれは大変大事な、雇用促進を図っていかなきゃならぬ仕事であると思っておるわけでございます。そのために、今安定所にこういう寡婦等の職業相談員というものを配置をいたしまして、家庭環境などを配慮したきめ細かい職業指導、あるいは職業紹介ということに努力をしておるわけでございますし、こういう母子家庭の母などを雇い入れた事業主に対しましては助成金を支給する、あるいはまた訓練手当を支給しながらの職業訓練、あるいはまた職場適応訓練というものの実施、あるいはまた婦人就業援助施設における技術講習受講の促進のための旅費の支給というようなことなど、いろいろ対策に努めておるところでございます。
 しかし、御指摘ございましたような身体障害者雇用促進法に準ずるこういう雇用率制度というものにつきましては、私どももいろいろ検討はいたしておるわけでございますが、やはりこういうものを事業主に義務づけるというのは、率直に言いまして、なかなか難しい問題があるわけでございます。例えば、こういう母子家庭の母が結婚した場合には今度は母子家庭の母でなくなるという問題が起き、それを法律論的にどうするか、あるいはまた、そういう子供が成人をいたしましてもはや母子家庭の母でなくなる、こういった場合に法律的にどうするかというようなことなどもございまして、いろいろ実態面におきましても、あるいはまた立法技術的にもいろいろ問題が多いということで、今後ともこういう雇用促進については、先ほど申し上げましたような施策をさらに積極的に活用することによって母子家庭の母等の雇用促進を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
○藤井恒男君 それはまあ、身体に障害を受けた方はそのままの形で推移していくわけですから、そういった意味で法律になじみやすい――なじみやすいと言ったら言葉が不適切かもわからないが、つくりやすいわけだけど、若いお母さんですからね、今言う母子家庭というのは。だから、いろいろな問題はあろうかと思うんだけど、何もそれは身体障害者雇用促進の法に照らしたものでなくてもいいわけだから、だから、単なる職業紹介じゃなく、何かもう少しきちっとした形というものをつくるべく、一遍知恵を出して検討してもらいたいというふうに思うわけです。これは今言ったように五十七万人もおるわけですからね、大変な数になっている。一度省内ででも検討してほしいというふうに思います。
 きょうの時間はもう余り残りありませんが、これから何回かこれは行われるので、今後法案に入っていきたいと思うんですが、もうちょっと時間がありますから、一つだけお聞きしておきたい。
 それは、労働組合が行うところの職業紹介ですね。これが現在どういうような形になっているのか。この点、ちょっと私、内容について把握しておりませんので、労働組合が行っている労働者供給事業の実態、教えていただきたいと思います。
○政府委員(加藤孝君) 労働組合が行います職業紹介というのは、現在許可をいたしておりますのが……
○藤井恒男君 供給事業。
○政府委員(加藤孝君) 共給事業の関係でございますれば、ことしの三月末で三十七組合ということでございまして、昭和五十年当時から特にふえておるというような事情はございません。
 供給業種ごとに見てみますと、自動車運転手の
組合が九組合、それから港湾運送関係の組合が五組合、それから看護婦家政婦の組合が十二組合、そのほか調理師などの組合等十一組合ございます。
 この供給対象になっております労働組合員数でございますが、これは現在一万二千名ということであり、一カ月当たりの稼働日数は、業種によりましてはばらつきがございますが、平均いたしまして十日程度、こういうことになっております。
 なお、今後この労働組合の行います労働者供給事業につきましては、御審議をお願いしておりますこの法案におきまして、さらに労働組合に準ずるような団体にも、しかもまた手続等も簡素化した形において実施ができるようにいたしておりますので、今後はこういう労働組合の行います労働者供給事業も増加してくることが期待をされておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
○藤井恒男君 時間が来ましたので、法案の内容については次回に譲って、きょうはこれぐらいにしておきたいと思います。
○下村泰君 審議に入りましてから労働省側のいろいろなお答えを聞いておりますと、いつもの一般質問に比較して非常にスムーズじゃない、お答えが。非常に戸惑っていらっしゃる。時によっては、加藤安定局長の顔を拝見していると、まことにまごまごしているというような表情にも読み取れます。ということは、まだこの法案そのものがそれほど内容的にすばらしくでき上がっているとは言い切れない、そういう点があるのではないかと思います。したがってお答えになる皆様方の方もその内容について完全に掌握していない。具体的な例を挙げられた場合にはなかなか妥当なお答えが出てこない、こんなふうに私は見受けます。
 まず大臣に伺いますが、この法案のよって来るところ、目的でございますね。これどういうところからこの法案が生まれてきたんでしょうか。
○国務大臣(山口敏夫君) 先ほど来お答え申し上げてまいりましたように、やはり新しい時代における雇用関係というものが、必然、派生をしておるわけでございまして、その中で大勢の労働者の方々が生活をしておる。その方々の労働者としての基本的な人権やまた生活権というものがどういう形で担保されているか、こういう問題について十分法的な整備を図りながら、さらに高齢化時代、あるいは女子労働者が非常に数多く労働市場に参入する、こういう時代に備えて一層の雇用の安定を図っていかなきゃならない。もちろん基本的には終身雇用あるいは常用雇用という日本の伝統的な一つの雇用環境というものを維持しながら、また、新しい時代の雇用関係、労使関係というものも確立をしていきたい。
 今先生から、自信がないのではないか、こういう御指摘でございますけれども、これは私どもは十分自信を持って法案は提出しておる。ただし、率直に申し上げて、新しい職域における新しい雇用関係、こういう問題でもございますし、それじゃ、常用雇用や既存企業の営業成績と労働者の分配が果たしてどの程度の配分になっているかどうか、こういう論議はないわけでございますが、こういう新しい業種の中で、派遣という一つの問題の中で、だからこそそういう問題の指摘も出されている。答える方も、そういう意味においてどこまでが会社の経費であり、教育費であり、また人件費であるか、こういうことが言えない部分の一つの何といいますか、状況と、また内容における問題点が、多少業種によって非常に多種多様であるという部分がそういう御指摘をいただいたと思うわけでございますけれども、この派遣法によって職域の一層の安定といいますか、拡大が、一定の安定を図れる、こういう基本的な確信には十分立っておるわけでございますので、その点も御理解をいただきたいと思うわけでございます。
○下村泰君 従来のような労働関係、それにも増して仕事の面で、企業の面でいろいろ多種多様になってきた。そのためにこういうようないわゆる労働派遣というような分野もまた必然的にその多種多様なさまざまな形にこたえるために生まれてきた、そのためにこの法ができた、こういうふうに解釈しているわけです、私も。
 けれども、この労働派遣などということは、何もこの世紀において行われたわけではなくて、人間がこの世の中に働き始めてからあることですわね。一番簡単に言えば、例えば幡随院長兵衛の人入れ稼業がそうでしょう。歴史をたどっていけばそういうふうな道をたどってくるわけですよ。そうしてそのころには、一つの地域には必ず棟梁と呼ばれるような方がおって、その棟梁という方が、大きな商店があるとすれば、例えば昔ありましたような両替屋であるとか、呉服屋でありますとか、そういうおたなに出入りしている棟梁が、そのおたなのだんな様から、こういうところを改造するからとか、あるいはこういうことをしたいからと言われると、その棟梁一人が左官屋さんから、かわら屋から、大工さんから、全部仕切って、そしてその棟梁がおたなからお鳥目、お宝をいただいて、その裁量によって配る。そうして短時日で仕上げなきゃならないとすれば、その分だけを親方が面倒を見る。これは妥当な線ですよ。これが今日まで行われてきた日本のシステムです。
 ところが、今回の派遣法でいうと、これ一番残念なことは、先ほどからずっと言われている中間搾取の問題がある。ところが、法によってはっきりしろとはどこにも書いてないでしょう。例えば新聞の活字なんかによく出ますわ、賃金問題でも。大卒は幾ら、高卒は幾ら、そしてお二人の子供さんを持った四人家族で勤続年数がこれだけで、年齢がこのぐらいの人の平均賃金はこのぐらいというのが出ますよ。ところが、今度のこれに関してはそれが出ないでしょう。ここが問題じゃないですか、やっぱり。
 加藤安定局長に伺いますが、ピンはねという言葉はどういうところから生まれたか御存じですか。ピンはねというのは、他人の利益を先取りすることをピンはねというんですね。ピンというのは、ピンからキリまでという言葉がありましょう。ピンというのは頭ですよ。キリはけつっぺたですわな。その頭はねるからピンはねというんだ、これは。こういう業者をどういうふうに取り締まるのか。取り締まれるのか。そこのところを聞かせてください。
○政府委員(加藤孝君) ここは、他人の就業に介入して利益を得るということを、基準法におきまして中間搾取ということで規定をいたしておるわけでございます。この場合「他人の就業」というのは、先ほど例が出ましたが、例えば職業紹介のように、求職者を今度求人者に世話をする、そういう形においてその紹介の手数料を取る、こういうのが一応他人の就業に介入している、こういうことになるわけでございますが、例えば自分の雇用しておる労働者を使って一定の業務を請け負う。そうして労働者には賃金を払い、また、請負業者はその契約によって得た料金なり利益を得る。そのこと自身は少なくとも基準法に言う中間搾取ということには当たらない、こういうことでございます。
 先生がおっしゃいますいろいろ江戸時代から行われてきておりましたようなものの中に、例えばそういう幡随院長兵衛的なものであれば、これは労働者供給事業ということで、現在はそういったたぐいのものは禁止をしておる。あるいはまた、そういう職業紹介事業という形のものは、これは労働大臣の許可した場合に限って一定の規制のもとにやれる、こういうような形で来ておるわけのものでございます。そういう意味におきまして、今回のこの派遣事業法は、今まで労働者供給事業ということで禁止をしておりましたものにつきまして、一定のルールを設けまして、派遣事業という形で、規制のもとにこれを認めていこう、一定の業務分野について認めていこう、こういうものでございます。もちろん、雇用関係がない形でこういうものが行われれば、これはもう明らかに労働者供給事業違反、労供違反ということで従来どおり取り締まられるというものでございます。
 問題は、現在労働者派遣事業の関係で、労供との関係で一番問題になりますのは、中間搾取とか
あるいはピンはねというような形で問題のあるようなものはこれはもちろんこれまでどおり労供違反という形で当然取り締まっていかなければならぬものである。ただ問題は、施行規則四条という形で、請負につきましての要件を定めております。そういう請負の要件をしっかり満たしておるか、その辺のところが労供に当たるかどうかという形での一つ大きな議論になるわけでございまして、そういう施行規則四条の関係におきましては、今までこれが請負の形ということにはっきりなっていないではないかといういろいろ問題がある中でこの派遣事業的なものが行われてきた、そういう意味で、そういう中間搾取とか強制労働というようなものはもう今までどおりこれは禁止をしていくというのは当然でございますが、そういう請負契約ということで施行規則四条で定めております要件をいわば必ずしも満たしていないものの一定のものを派遣事業として取り出してこれについてのルール化をしよう、こういうものであるわけでございます。もちろん中間搾取、強制労働というものは今後とも労働者供給事業違反という形で取り締まっていくことには変わらないと、そういうことでございます。
○下村泰君 今安定局長がお話しになったのは、結局そういうことのためのこれは法律である、そういうことを取り締まるための法律である、こういう言い方に聞こえるんです、僕はね。今までそういうことが野放しになっていた、その野放しになっていたものをこの法律によって取り締まることができるんだというふうに私は今受けとめておりましたけれども、そう受けとめていいんですか。
○政府委員(加藤孝君) そういう中間搾取とか強制労働的なものはもちろん今までどおりやっていきますが、派遣労働的な形でやっておりましてそれが労供に違反をするという形のものの中で、一定の、いわば反社会性の少ないものについてこれをルール化して認めていくと、こういうことでございまして、明らかに法律上いわゆるピンはねに当たるようなものは、これは当然今後とも認められないということであり、物によりましては労働者供給事業違反になりますし、物によりましては派遣法違反、こういう形で取り締まりの対象になるわけでございます。
○下村泰君 今局長が中間搾取であるとかあるいは不当な労働時間の延長であるとか、こういうことをおっしゃったんですよ。今までそれは野放しになっていた、こういうことになるわけですね、言いかえれば。そういうことがあった、現実的に。そして、そういうことによる数々の被害が出てきた。また、派遣されている労働者の方々のいろいろと声が大きくなってきた。そういうことがあるから、この法律によってそういうことを取り締まらなきゃならない、そして派遣事業というものを認めなきゃならないと、こういうふうな言い方でしょう。ですから中間搾取も行われたし、過酷な労働時間の延長もあったということなんですね、今までは。
○政府委員(加藤孝君) ちょっとそこで御理解いただきたいのは、中間搾取とか強制労働というものを禁止をする基本的な考え方は従来どおりであり、これまでも私どもは、それを認めてきた、野放しにしてきたというつもりはございません。
 ただ、職安法の施行規則四条というもので、請負につきましての要件を定めております。そういういわば請負という要件を必ずしも満たしていないというものについて、これが、言うならば中間搾取とか強制労働とかいうものはないが、そういう請負の形式要件において問題がある。しかしこれを、そういう請負という形を必ずしも十分に満たしていないからずばり労供違反という形で全部禁止にしていっていいかどうか。こういう問題意識の中から、反社会性のないものについては一定のルールをつくって認めていこう、こういうことでございまして、これによって今まで野放しになっていた中間搾取なり強制労働というものをいわば合法化しようとか、そういう考え方、意図はございません。
○下村泰君 いや、安定局長、考え過ぎなんです。そうじゃないんです。僕の言っているのは、そういうことをおっしゃったということは、今までそういう事例が多くあったんですねということなんです。中間搾取であるとかあるいは強制労働であるとかということが行われてきたんですねということを私は聞いているんです。安定局長、少し考え過ぎちゃっている。お疲れですよ、頭がきっと。
 それで問題は、今言っているピンはねですとか中間搾取という問題ですけれどもね。私の手元にある資料には、これ、私がかつておりました社会のことが書いてあるわけですね、ここに。演芸家を取り扱っている事業所とあるんですよ。演芸家というと限られるんです。芸能家というと全般になりますけれどもね。これがしばしばいわゆる芸能人の場合が取り上げられますけれども、これはまた特別の場合もあるわけですね。これは搾取にならないと思うのです、私が考えた場合には。
 例えば松田聖子であるとか、今売れている歌い手がおります。これをプロダクションが一人前にするまでには物すごい投資をするわけですよね。要するに投機と同じなんです、株と。そして、海のものとも山のものともわからない、私らの言葉で化けるか化けないかと言うんですね。一人前になることを化ける、なり損ったのは化けない、化け損なったと言う。化けるか化けないかその目安がない。ある程度はある。ある程度はあるけれども、果たしてこれが化けるか化けないかということで投資をするんですよね。そうしますと、本人をある一定の形にするまでに、もちろん本人にかけます。ところが本人以外に、マスコミに乗せるためにはそれぞれの窓口があるわけ。むしろこれは安定局長よりも労働大臣の方が詳しいはずです。そういうところへどんどん投資しなきゃならぬわけですね。投資しなきゃならないんですから、下手をすると今の価格で言えば二億、三億は楽にかかるわけです。だから、それが化けた場合には、やはりこれは一つの商品ですから、その商品から生み出される利益というのは当然、これで言うと派遣元ですわな。ここが取り上げる――取り上げるというのはおかしいですね、収入として受け取る、これは私は当然だと思うのですよ。
 ところが、この派遣法によれば、これはその人の持っている能力でしょう、その人の持っている能力を利用して派遣元になって事業を行うわけです。ここにあるこまをこっちへ動かすだけのことなんです。うんうんって首振っていますけれども、そういうのがあるんですよ。例えば電算関係なんかそうなんじゃないですか。私のところに訴えが来ていますよ。例えばあるコンピューター会社へ入った。そこで自分は当然そこのお仕事をするのかと思ったら、何か一年研修にやられた。研修にやられて親元へ帰ってこれるのかと思ったら、そこから今度ほかの会社へ派遣された。そこへ落ちつくのかと思ったらまた次へ回された。だから二つ回されているわけですな。二つ目の先で働いていたら、そこで働いている人たちとの給料の差というのは、そこで働いている人の七割しかもらえない。自分の分は全部向こうへ行っちゃっているんです、派遣元の方へ。いわゆる派遣元の方に吸い上げられている。こういう訴えがあるわけですよ。そうすると、ここにあるこまをこっちへ持っていくだけで、ここにいるやつは何もしない、こういう事例がたくさんあるわけです。こういうのを一体どういうふうに取り締まっていくのか、どういうふうに今度の法案でお考えになっているのか、これは大変な問題だと思うのです。
 今度の法案の一番のしんになるのは何だといったら、やっぱり賃金と労働条件じゃないかと思うのですよ。ほかのものは大したことないと思う。ここのところ話はちょっとそれますけれども、港湾と建設が外れていますわね。港湾と建設、殊に建設の場合なんかは、東京の山谷にはよくありますね。あるいは横浜の寿へ行くとわかりますよ。朝の三時、四時ごろ手配師が来ていますよ。寿には有名な女手配師というのがいますよ。元OLの出身で、ちょうど体型が安定局長に似ておるんです。これが大変な女親分なんですよ。大の男を手
配して本当のピンはねをやっている。ああいう人たちを取り締まられたという話は私は余り聞いたことがないですね。
 それから山谷でもって毎朝のようにやってますよね。トラック二台も三台も持ってきて、指三本上げたり四本上げたりしてやってますよ。この指を見りゃわかるんです、一日の額が。そうするとその指の上がった方へ行く。お年寄りは、おまえは年寄りだからだめってはねられる。そして若い労働力をトラックへ乗せてばっと連れていく。こういうのを取り締まったことありますか、失礼ですけれども。一回私は聞きたいと思っていたんだ。こういうのを取り締まったことありますか、労働省で。
○政府委員(加藤孝君) 山谷等におきますそういう事例、あるいは港湾におきますそういう事例につきましては、私どもも、これまでの安定行政の歴史におきまして、ある程度厳しく取り締まった時期もございますし、現在におきましても、そういう先生が御指摘のような事例が明らかな場合はもちろん取り締まるということでおるわけでございまして、これまでそういうケースで取り締まった、あるいはまた送検したというケースはいろいろございます。
○下村泰君 あるったって、毎日やっているわけじゃないですよね。向こうだって知ってますよ、いつごろ取り締まられるか。その情報がどこから漏れるか知りませんけれども。そして、わずかにあそこで取り締まるのは警察ですよ。あれは道路交通法違反なんですよ。むやみやたらにトラックをとめたり何かして、道路いっぱいに人間が散らばっていて、その人間が道路の交通を阻害すれば、これは警察が取り締まるんです。それ以外、余り労働省でああいうのを取り締まったという姿は見たことないですね、僕は。私の目で見ているんですから、そういうのは。私は変な好奇心がありまして、よくそういうのを見て歩くんですよ。そういうので労働省が関与したというのは余り見たことがない。今の局長のおっしゃった言葉を聞いて、その内容から私が受け取る印象としては、前にやってますということだ。だから、例えば建設業者の間ではそういった労働力は幾らでもある。しかも、そういう人の中から全然現場になれていないような人が行って何か機具を扱えば、必ずここに事故が起きているんだ。これが今までの例でしょう。そういったものも取り締まれるのか取り締まれないのか。もっともこれは別枠になってますけれどもね。
 そうすると、私はこの法案というのは、へたをするというと近代におけるタコ部屋をつくっていくと思っているんですよ。近代におけるタコ部屋、へたをすると。そういうものにもなりかねない要素がいっぱいあるでしょう、この中に。そうすると、一体労働者を保護するためなのか、あるいは企業に安く労働力を提供することを労働省みずからが手伝っているのか、ここのところがはっきりしなくなりますよ、これ見ていると。
 どうですか、大臣。さっき話したのと大分違ってくるんですよ、こうやって話してくると。
○国務大臣(山口敏夫君) いろいろ御心配、御指摘もございますけれども、やはり派遣事業主も、単に人様を集めてそれを派遣先に労働力を提供するということではなくて、それなりの企業努力、経営努力、そしてまたよりよい人材を供給をする、こういう企業努力といいますか、労使問題を含めた運営努力というものがなければ、この激しい労働経済市場に企業として、事業として成り立つというわけにいかないわけでございますし、当然その中においては単なるアルバイトやパートを集めて派遣するということではなくて、まさに社員教育その他を含めて、能力開発等も含めて、そうした事業運営がなされるということであろうと思うんですね。
 ただ、そういう新しい業種と職安法の四十四条に係る問題とのかかわりの中で、労働市場におけるこの新しい就業への労使双方のニーズをどう法律的にこれを担保するか、そして労働基準法あるいは労働者の生活条件をどう守るか、こういう立場でのやはり労働省としての当然の政策、法整備に伴う保護を進めていく、こういう考え方でございますから、何か派遣業というとすぐピンはねとか中間搾取と、こういうことになるわけでございますけれども、これはあらゆる産業が労働力の提供を受けて、またその生産性と公平な分配、まあ春闘の賃金交渉ではございませんけれども、そういう形態の中で産業社会が成り立っておるわけでございますから、派遣法に対しましても十分、この現状をどうとらまえて、これを労働者とまた事業主における問題点を整備していくか、こういうことで御理解もいただき、また御審議の上におけるいろいろ御指摘もいただければ、それがまた労働者の福祉の改善に大いに寄与することもできる、こういう基本的な確信の上に立ってこの法案をまとめさしていただいたと、こういうことでございます。
○下村泰君 私はもう賃金の問題にこだわりたいんですが、例えば芸能界におきましては、ある程度一人前になります。つまり先ほどの言葉で言うと化けた人間ですね。化けた人間というのは、その人の年数とかもちろんキャリア、それからその人に対する芸の評価といいますか、その人の持っている芸に対する力の評価、これによって暗黙のうちにランク付けられるんですよ。だれが決めるのではないんです。あの人はこれだけの値打ちがあるんじゃないかというのはだれとなく決められていくものなんです。これは不思議な世界なんです。それでみんなそれにふさわしいんです。そうでない者は下へ落ちていくわけですね。そしてそういう例えばタレントと契約する場合には、うちの事務所では税込みで幾らくださいと。つまり税金を私の方がかわってお払いしますという意味も含めて三割なら三割くださいと、これははっきりしておるんですよ。時によっては、いいよ、おれは税金自分で払うから二割にしてくれということはこれは個人で交渉できるんですよ。こういうふうにして自分のもらうギャラというものははっきりわかっておるわけです。
 先ほども言ったように、プロダクションそのものが投資して育てていく者、これは別枠ですよ、これは給料でやっていくんですから。そのかわり、給料でもらって育てられたのが突如ある日、私は年間何十億と資産を生み出しているのに一カ月これしかくれないと、こういうのが反乱を起こして独立運動を起こすわけです。これが今までのよく芸能誌に出ているいきさつなんです。こういうふうにお教えしておけば加藤職安局長もよくわかるでしょう。そういうふうにしてみんな独立していくわけです。
 だけども、これははっきりしていますわね。だけどこっちははっきりしないんだ。だから僕はそこが気になってしようがないんですよ。幾ら派遣元と雇用契約を結んでいるとは言いながら、この派遣元と雇用契約を結んでいる人間が派遣された先からどのくらい稼いでくるのか、そして自分はどのくらいではっきり言えば売られているのか。これは人身売買と同じですからね。――いや、首かしげることないですよ、パッケージなんだから。一つのプログラムとして売り込まれているわけでしょう。何人で何ぼとか、こういう仕事を何ぼ何ぼしたから何ぼ何ぼと、派遣先と派遣元と契約するわけでしょう。それで派遣元はその派遣する人材と雇用契約をしているから、おまえさんには給料幾らと渡すわけでしょう。そうすると、一体幾らそのプログラムで仕込まれているのか、自分は一体向こうへ行って幾ら、自分らコンビが、例えば三人なら三人、四人なら四人がワンパックで向こうへ行って、一体幾ら稼いでいるのか、そして派遣元に何ぼ入っているのか、それは全然知らぬわけですよ、本人は。それで派遣元と雇用契約を結んでいるからおまえさんは給料何ぼと、こういうことになるわけでしょう。
 その給料を上げてもらいたくなって派遣元と交渉すれば、向こうへ今度その話がいけば、派遣先でもって重労働させられるわけでしょう。そうすると、おまえさんはこれだけ余計に働いたからこれだけ上げてやると、こういうことになる。これ
が耐えられる段階ならいいけれども、耐えられないほどにオーバーしていったら、この人間の命は縮まるわけでしょう。だから、これほど働かせるのに対してこの賃金制度というのがどの程度はっきりできるのか、それを明示できないのか、それに対して労働省がどれだけの介入ができるのか。そんなことは全然これ書いてないでしょう。
○国務大臣(山口敏夫君) まあ下村先生はどうもプロダクション関係の学識経験者ですから、そういうプロダクションにおける雇用契約関係とか、いろいろあるわけですけれども、要するに、もともと派遣労働者が派遣元と雇用契約を結んで、給料もそこで決まって、もちろん納得しなければ就職しないわけでありますから、納得して就職をする。そこからその次の情報産業なりあるいはメンテナンス産業なりそれぞれの事業所へ行ってしかるべき責任ある仕事をしてくる。そこで、派遣元と派遣先の企業間でどういう契約状態にあるかということは、これは事業の問題のことであって、これ一般の通例の常用雇用の企業も同じような企業間契約というのは当然あるわけでございますから、ですから派遣元における労務管理といいますか、あるいは賃金その他雇用条件というものを十分これを担保することによって、この法案等を含めて労働者の賃金の問題とか労働基準法における適用の問題が十分保護される、こういう一つの形態をこの法律によって一層環境を整えていこう、こういうことでございます。
 先ほど来から非常にピンはね、あるいは中間搾取と、こういう、要は人様が行って仕事をするということでございますから、物品を売ったり買ったりする営業マンとして人間が介在するということじゃなくて、生身の人間がそこへ行って仕事をして生産性を生み出すということでございますから、そこにいろいろピンはねとか中間搾取という言葉の論議があるわけでありますけれども、一つの事業の形態として、元請がきちっと雇用契約を結ぶ。先ほどの幡随院長兵衛じゃありませんけれども、幡随院長兵衛はこれは労務供給ということで、今現代においては違反ということになるわけでありますけれども、これは事業としてきちっと元請業者が労務契約を結んだ上で労働者に対する責任を果たす、こういう明確な規定になっているわけでございます。
 派遣法の論議になると、どうもそういう窓口といいますか、それから新しい事業の形態の中で、いろいろ新聞なんかでも非常に御論議を、批判をいただいている部分もあるんですけれども、我々としてはあくまで新しい労働市場における派遣事業の中でいかに労働者の賃金、労働基準法の適用における保護、また労働福祉の改善、この担保をどうするか、こういう理念の上でこの法案を御審議いただき、さらにはこれから非常に膨大な労働人口の雇用に対してもいかに仕事を、雇用を創出していくかということの基本的な見解の上に立ってこの法案をまとめさせていただいた、この基本だけはぜひ御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
○下村泰君 お時間ですから私もこれでやめさせていただきますけれども、これはちょいとなかなかかみ合いそうもありませんな。大分時間がかかりそうですな。ただし、私どもがこうして申し上げた意見が、果たして今度この中に改正されるように入れられるのか、それを一つだけ聞かしてください。
○国務大臣(山口敏夫君) これはやはり衆議院段階におきましても、いろいろ附帯決議でございますとか、あるいは一部修正もいただいたわけでございますけれども、これは、そういう国会での御論議を十分踏まえて、政府としては、現段階における最善の法案として取りまとめた、こういう確信はございますけれども、三年後に十分これを見直して、さらに法整備を一層充実するということを基本的に申し上げさせていただいているわけでございますので、いろいろこれからもひとつ熱心な御論議をいただいて、御批判も賜りたいというふうに思うわけでございます。
○委員長(遠藤政夫君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(遠藤政夫君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律案及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認めます。
 なお、日時、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(遠藤政夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十五分散会