第103回国会 内閣委員会 第3号
昭和六十年十二月六日(金曜日)
   午前十時三十分開会
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   委員の異動
 十二月五日
    辞任         補欠選任
     安恒 良一君     片山 甚市君
 十二月六日
    辞任         補欠選任
     川原新次郎君     志村 哲良君
     片山 甚市君     福間 知之君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         亀長 友義君
    理 事
                曽根田郁夫君
                野田  哲君
                原田  立君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                川原新次郎君
                源田  実君
                沢田 一精君
                志村 哲良君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                森山 眞弓君
                穐山  篤君
                小野  明君
                片山 甚市君
                福間 知之君
                太田 淳夫君
                内藤  功君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
       通商産業大臣   村田敬次郎君
       運 輸 大 臣  山下 徳夫君
       自 治 大 臣  古屋  亨君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 藤波 孝生君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  後藤田正晴君
   政府委員
       内閣審議官    海野 恒男君
       臨時行政改革推
       進審議会事務局
       次長       山本 貞雄君
       総務政務次官   岸田 文武君
       総務庁長官官房
       長        藤江 弘一君
       総務庁長官官房
       審議官      米倉  輝君
       総務庁行政管理
       局長       古橋源六郎君
       総務庁行政監察
       局長       竹村  晟君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       尾崎  護君
       大蔵省主計局次
       長        小粥 正巳君
       大蔵省理財局次
       長        足立 和基君
       大蔵省理財局次
       長        中田 一男君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       通商産業大臣官
       房審議官     松尾 邦彦君
       通商産業省通商
       政策局次長    鈴木 直道君
       通商産業省機械
       情報産業局長   杉山  弘君
       資源エネルギー
       庁長官      野々内 隆君
       資源エネルギー
       庁長官官房審議
       官        逢坂 国一君
       中小企業庁長官  木下 博生君
       運輸省航空局長  西村 康雄君
       運輸省航空局技
       術部長      大島 士郎君
       郵政省貯金局長  塩谷  稔君
       郵政省電気通信
       局長       澤田 茂生君
       建設政務次官   谷  洋一君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設省都市局長  牧野  徹君
       建設省住宅局長  渡辺  尚君
       自治大臣官房審
       議官       石山  努君
       消防庁次長    井上 孝男君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  利雄君
   説明員
       警察庁通信局無
       線通信課長    宮野 嘉文君
       水産庁海洋漁業
       部漁船課長    高山 和夫君
       通商産業省機械
       情報産業局総務
       課長       坂本 吉弘君
       運輸省航空局管
       制保安部長    中村 資朗君
       運輸省航空事故
       調査委員会事務
       局長       藤冨 久司君
       海上保安庁警備
       救難都庁     宗形 健壽君
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  本日の会議に付した案件
○許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合
 理化に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○連合審査会に関する件
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○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨五日、安恒良一君が委員を辞任され、その補欠として片山甚市君が選任されました。
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○委員長(亀長友義君) 許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合理化に関する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○片山甚市君 去る十二月の三日の逓信委員会で若干の問題について指摘いたしたところでありますが、何といっても八省にまたがる関連二十六法律、四十二事項の改正を要するものを一委員会で処理すること自体、ルール無視、国会審議軽視という批判が当然であります。電波法第三十七条について言えば、これまでの郵政省による無線機器の型式検定業務及び定期検査業務の重要性にとどまらず、制定後三十五年を経過した電波法上問題ありとするものについて、逓信委員会における慎重な審議が求められるべきではないかにもかかわらず、総理がどこかで口約束してきたことを一括法案として場当たり的に処理することについては納得しがたい。特に日米貿易摩擦解消のためにこういう法案がつくられたということですが、解消できるかどうかについて疑念があるので、総務庁長官の言葉をいただきたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) 御質疑は、なぜ一括法案にこういうものを取りまとめたのか、こういう御趣旨であろうと思います。これはしばしば御質疑等があってお答えしたとおりでございますが、この法案に盛り込まれております事項は、公的規制の緩和に係る事項の実現という統一的な政策でとられたものでございます。そして改正の趣旨、目的は、時代の変化等に伴いまして過剰あるいは不必要といったようなものをこの際合理化させていただく、こういう趣旨、目的が共通である、こういうことが第一点でございます。そしてまた民間における事業活動等に対する公的規制の緩和という共通理念に係る施策の是非について国会の御判断を仰ぐ、一覧性のもとで御判断を仰ぐことが適当ではないかと、こういうものを取りまとめたわけでございます。
 もちろん、この問題については従来から、五十六年あるいは五十八年でございましたか、国会等でも御質疑があり、内閣としては、法制局の見解というものをお答えいたしておるわけでございます。一定の基準がございます。その基準を厳しく考えながら、一括できるものを一括した。つまり将来にわたっての重大な政策変更を伴うといったようなものは、これは個別法でやらざるを得ない、そうでないものは一括してしかるべし、こういうふうなことで従来からこういったお扱いをお願いをし、過去十一日の例もある、こういう先例等をも考えまして御提案を申し上げたわけでございます。したがって、政府としては、委員会の審議を無視する、軽視する、こういったことはもちろん当然のことながら毛頭考えていないわけでございます。
 御趣旨の電波法の関係のものについても、そういう趣旨のもとで、混信等その他は緩和してももちろん心配はない、こういう判断のもとにお願いをしておるわけです。ただ、不法電波その他等いろいろ出ておることは承知いたしております。しかし、これらはいずれも今度の問題とは別に、秋葉原で買ったものをいろいろ善意のもとに使っておるといったようなものは、これは広報等によってよく趣旨を徹底して、是正していただかなきゃならぬ面がありますし、同時にまた意識的にやっているものについては、これには厳しく従来からも対応しておるわけでございます。取り締まり等を徹底していこう。こういうことでございますから、特別これによって、不法電波、混信、それらが特に多くなるといったような点は政府としては考えていない、こういうつもりでございますので、ここらはぜひ御理解していただきたい、かように思うわけでございます。
○片山甚市君 長官おっしゃいましても納得できないのは、非常に重要なことでありますから、十分に常任委員会で審議する事項があるにもかかわらず、審議する時間が少ない一括法案ということについては納得できません。
 時間が制約されておりますので、私も要点のみにとどめて質問をいたしますから、答弁はこれまでの審議経過に基づいて簡潔に御答弁を賜りたいと思います。
 まず、無線機器の型式検定の改正でいえば、一口に育って、私は、貿易摩擦を口実にしたアメリカの対日圧力に屈した結果としての基準・認証制度の緩和策だと言わざるを得ない。例えば十一月十四日のサンケイ新聞によれば、MOSS(分野別協議)で無線市場の開放について、アメリカの十一項目にわたる対日要求が具体的に示されました。その内容と我が国の主張とその協議の内容について、それでは今問題がなければ郵政当局から答弁を賜りたいと思う。
○政府委員(澤田茂生君) 私どもは、ことしの一月の中曽根・レーガン会談におきまして、MOSS協議ということで、電気通信の分野もこの一つの対象に取り上げられておりまして、いろいろ検討、話し合い等をやってまいりました。前半の方は電気通情有線の関係についていろいろ語をいたしまして、こちらの方につきましては、四月一日の新制度発足ということに合わせましてとるべき対応策というものについてはすべてとったということでございますが、引き続きまして無線関係についての提案がございまして、有線と同じような形で無線についても対応してもらいたいというのが趣旨でございます。これは青葉としては通りやすい言葉ではございますが、有線と無線というものの違いがございます。無線の場合は、これは相手方だけではなくして、どこへも簡波が飛んでいって混信を生ずるというような問題もございますし、また周波数の有効利用という観点も配慮しなければならないという意味で、アメリカ自体におきましても、有線と無線の規律の仕方、対応の仕方というのは制度として違っております。日本の場合ももちろん制度としてはアメリカの場合と違うものがございます。そういったものについての勉強をしなきゃならぬというようなことでいろいろ回を重ねてまいりました。いろいろな勉強会というようなこと、非常に専門技術的なことでもございますので、専門家会合という形で専門家同士の話し合い、勉強というものを続けてきているわけでございまして、新聞に出ておりますようないろいろな項目等もございますけれども、結論が出たということではございませんで、なお引き続き、今月中にももう一度専門家会合を開きたいというような向こうの要望もございます。
 議論として出ておりますのは、技術基準の適合証明の審査手続に関しまして、その拡大とか、あるいは外国メーカー作成データの受け入れとか、無線設備の認証手続、透明性の確保、こういったいろいろな問題について今議論を進めているわけでありますが、私ども、電波の有効利用とがあるいは電波秩序の維持、それから利用者の負担の軽減、また電波の利用の促進という観点から見て、利用者サイドからも望まれる手続というようなことについて、米側の意向というものが取り入れられるものかどうかというようなことで、我が国の国際社会における立場というようなことも配慮しながらいろいろ調整を図っているというところでございます。
○片山甚市君 去る十二月三日に質疑をいたしましたが、もう一度聞きます。
 義務型式検定の必要性及び法三十七条に掲げる六つの無線設備の検定を要するとした根拠はどの国際条約に依拠しておるんですか。
○政府委員(澤田茂生君) 義務型式検定対象機器といいますのは、船舶や航空機の航行の安全を図る上で極めて重要なものである、海上や上空における厳しい環境条件のもとにおいて常に正常に作動できるということが必要でございまして、このような環境条件においてこれらの機器が、要求される性能等を有するものが技術基準に適合するかどうかというようなことをあらかじめチェックする費用があるということで、義務型式検定ということで取り上げているわけでありますが、三十七条で掲げております六機種につきましては、船舶に備える警急自動受信機、それから救命艇用携帯無線電信、それからレーダー、無線方位測定機、このものにつきましては、千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約、この附属規則の関係規定で、主管庁が型式承認を行うということを定めております。それから航空機に施設する無線設備の機器についても、国際民間航空条約の附属規則の関係規定におきまして、主管庁の承認する型式のものを施設するということを定めてございます。また周波数測定装置につきましては、国際電気通信条約に附属する無線通信規則において、船舶は一定の精度の周波数測定装置を備えつけることとされておるわけでございます。
 以上でございます。
○片山甚市君 そのような国際条約に基づいての義務型式検定でありますが、その条約上、主管庁の権限に属するもので、基本的には当該国以外の国の型式認定を認めることはしていないはずであります。しておれば言ってください。例外的に当事国間で個別に認め合っているケースはありますが、アメリカはこの条約に従ってどのように対応しておりますか。
○政府委員(澤田茂生君) 今申し上げました千九百七十四年の海上における人命の安全のための国際条約につきましても、主管庁の承認した型式のものであることを定めておるわけでございますが、今回の改正の措置、これは郵政大臣が行う検
定に相当する型式検定に合格している機器というものを郵政大臣が認めるということでございまして、そういったものについて再度の検定を免除しようということでございますので、条約の趣旨にはかなったものであろうというふうに思います。
 それから一方、国際海事機関では、船舶の航行設備について他の主管庁の承認を受け入れるということ、それからインマルサットの型式承認というものを自国の型式承認の際受け入れるということなど、こういう同一基準で行われる型式承認を相互に各国が受け入れるべきであるという決議もなされておりまして、今回の電波法の改正の措置というものはこういう動きから見ましても是認されるべきものであろうというふうに思います。
 なお、アメリカの方でございますが、アメリカでは同様な措置は講じられておらないわけでございますが、外国メーカー作成のデータというものの受け入れということをいたしておりまして、実態的には似たような制度がとられていると言ってもよかろうかと思います。
○片山甚市君 総務庁長官、アメリカはやってないけど日本だけやるという法律だということだけは覚えておいてください。余り論争しません。特別に時間をいただければ別ですが、できないですよ。大体アメリカに屈服した形で貿易摩擦を含めて民間活力を導入するというようなことでこの一括法に出されておる、問題があるということだけ申し上げておきます。
 法三十七条改正で、我が国と同等以上の基準及び条件で実施していると認められる外国の型式検定に合格したものは我が国の行う型式検定を必要としないということでありますが、国際条約上、他国もやっていないことをわざわざ法改正しなくとも主務官庁の権限で当事国と相互に協定すればできることではないのか。それはどうでしょうか。
○政府委員(澤田茂生君) 今回の三十七条の改正の趣旨はただいま申し上げたとおりでありますが、現在六機種のうち二機種については既にそういう措置がとられているわけでございます。したがいまして、今とられているものを他の四機種についても拡大しようということでございまして、二重の検定の実施を避けよう、国民の負担の軽減と検定事務の簡素合理化というのがねらいであります。
 なお、二国間協定を結んだといたしましても、国内的に同様の措置を実施するというためにはこの協定のみでは不十分で、国内法令による措置というものも必要であろうというふうに考えております。
○片山甚市君 今まで二重にやっていたそうです、これ一つしかやらなくて済むんでいいじゃないか、そういうことを覚えておいてください。後日そういうことがなくなったときに、もう一度委員会で議論するときに参考にしたいと思います。
 法三十七条改正に直接関係はございませんが、十二月二日付日経新聞によれば、郵政省は無線機の自己認証制導入を決めアメリカに伝えたということでありますが、真実はどうか。ただいま電波法改正の是非が国会で審議されている細注に、一方では基準・認証制度抜本見直しともいえる自己認証制度導入を決めるということについては理解に苦しむところです。
 国内の現状と問題点はこの後具体的に明らかにしますけれども、自己認証制度はアメリカにメリットがあることは言うまでもありませんが、我が国にとってどんなメリットがあるのかについて返答を願いたいと思います。
○政府委員(澤田茂生君) 今回の改正措置は、対外的な配慮というよりも、むしろこれによりまして二重の検定を避ける、そういうことによりまして国民の負担の軽減と検定事務の簡素合理化を図ろうというものでございます。
 また、日経新聞で報道されました自己認証制度の導入ということにつきましては、先ほどもお答えを申し上げましたが、いろいろな提案というようなことがございまして、日米の専門家合会で目下いろいろ勉強しているという段階のものでございまして、まだ結論は出たというものではございません。
 米国の提案につきましては、米国においては既に外国メーカー作成データの受け入れというものを実施いたしておりまして、我が国においても同様の措置をとってほしいということでございますけれども、我が国といたしましては、現行制度の趣旨というものを踏まえつつ申請者の負担軽減と、それから行政事務の簡素合理化を拡充する、さらに電波の一層の利用促進を図るという観点から米側といろいろ折衝を重ねているというところでございます。
○片山甚市君 二重の仕事をやめたということですから、その説明以上に聞きません。
 法三十七条による型式検定について日本のメーカーの製品で外国の型式検定を受けているものは幾らありますか。
○政府委員(澤田茂生君) 船舶の無線機器につきましては、レーダーについてメーカー三社ございますが、三社が七カ国で三十九機種を受けております。それから無線方位測定機につきましては、メーカー二社で十カ国、七機種ということでございます。それから警急自動受信機につきましては、一社が一カ国で三機種でございます。また航空機の無線機につきましては、一社が一カ国で三機種ということでございます。
○片山甚市君 今説明を受けましたところのこれらについては、相手国に自社検定で認められるというのなら法改正の実効があると言えるのでありますが、この対応について通産省はどうなっていますか。
○説明員(坂本吉弘君) 検定の実態につきましては、ただいま郵政省の方から御答弁なさいましたように、必ずしも私ども十分その実態を把握しているわけではございませんが、郵政省の規制の対応にお任せをしているのが実態でございます。
○片山甚市君 その程度でよろしいです。もう質問しません。時間ありません。
 行革審の七月答申では技術基準適合証明の拡充の検討を指摘しておりますが、このことは無線局が急増している中で型式検定制度を含めて拡充強化を図り利用者の便宜と行政事務の効率化を行うということではないだろうか。とすれば、検定制度の拡充強化とは具体的に郵政省はどのようなことを言っておるんですか、するつもりでありますか。
○政府委員(澤田茂生君) 技術基準適合証明は、小規模で簡易な無線局に使用する無線設備の性能というものが技術基準に適合しているということを証明する制度でございますけれども、この証明を受けた無線設備を用いて無線局を開設しようという場合、落成検査というものが省略されます。それからそういう簡易な無線免許手続というものがとられるということがございますが、近年パーソナル無線とかMCAというような無線局の著しい増加に対処いたしまして、行政の簡素化それから利用者の利便を図るという観点から、この技術基準適合証明制度というものをとったわけでございますが、今後ともこういう制度の対象とする小規模で簡易な無線局というのは増加していくであろうと思われますので、この対象の範囲というものを拡大するということによりまして行政の簡素効率化を図ってまいりたいと考えております。
○片山甚市君 技術革新に基づいて非常に電波の利用が高まってまいりました。電波法制定後既に三十五年も経過した現在では、その間に無線技術と利用手段は当時と比べて革命的とも言えるほど進歩変化していることは御承知のとおりです。
 そこで問題になりますのが、不法無線局、混信妨害等の現状を簡単に説明していただきたい。
 この混信妨害は、警察無線、航空管制通信、防災行政無線、海上保安通信、漁業用通信、放送取材用通信など、公共性の高い亜要無線通信にさまざまな影響を与えているが、事故が起きた後の摘発で済まされることではない。混信妨害を受けた関係機関はやむを得ないということではいけないと思います。それぞれ意見を聞きたいので、郵政省、警察庁、運輸省、消防庁、農水省、建設省からそれぞれ現状を御報告いただきたい。長官は混信とかそういうのとは別に対策をやるよと言っているけれども、つくるところから使うところまで一貫して安全に公正に使われるようにしなきゃなりませんので、型式検定を含めた問題については非常に重要視しておるところです。御説明を賜りたいと思います。まず郵政省。
○政府委員(澤田茂生君) 電気通信業務とか放送の業務とか財産の保護、治安の維持等のための無線設備に対する妨害等でございます。こういう不法無線局によると思われる重要無線通信に対する混信妨害といいますのは、昭和五十九年度におきまして約九十件ということでございます。
○説明員(宮野嘉文君) 警察無線に対する妨害につきましては、意図的な妨害と混信とは明確に判断できない場合もありますが、昨年中の妨害回数は年間約一万七千回でございます。最近は若干減少の傾向にありますが、事件に絡めて電波妨害するなど悪質化しております。警察庁では、この対策といたしまして、傍受妨害に強いディジタル無線機の整備を進めているところでございます。
 以上でございます。
○説明員(中村資朗君) 航空機関係の航空局でございますけれども、ILSとかVORとかNDBだとか、無線航法の援助施設あるいはレーダー、対空通信等多数の無線局を運用しておるわけでございますが、過去に過激派と見られる故意の電波妨害がございまして、これにつきましてはそれぞれ対応したわけでございますが、現在のところ空港の周辺におきます工業機器とか医療機関、そういうところからの電波雑音による影響その他は特にございません。かつてソ連地区の大放送局からの影響を受けたことがございますが、その都度関係当局と連絡をとりながら適宜処置してまいったというのが現状でございます。
○説明員(宗形健壽君) 海上保安庁といたしましては、いわゆるSOSといわれます一般船舶の遭難通信とか緊急通信等を常時聴取しておるわけでございますが、これらの通信が不法無線機により混信妨害を受けたという事例はございません。
 しかしながら、海上保安庁通信所間で行っております業務通信につきましては、その周波数と不法無線機の周波数が近接していましたために、昨年一年間二カ所の通信所において混信がございました。この二カ所における妨害事案につきましては、地方電気通信監理局の協力を得まして発信源の撤去を行ったところでございます。
○説明員(高山和夫君) 漁業無線におきます混信の実情につきましては、私どもの方でその発生件数をまとめたものはございませんが、外国からの電波それから市民ラジオの無線局、いわゆる市民バンドと申しますが、等によりますと思われる混信があると聞いております。しかしながら現在のところ、漁業無線の通信上大きな障害となっているということにはなってございません。しかしながら、私ども今後とも関係省庁と連絡をとりながら、漁業無線の機器の性能向上を図りつつ、混信が低減されますように努めてまいりたい、こう思っております。
○政府委員(井上孝男君) 消防庁といたしましては、混信件数についての統計はとっておりませんが、消防無線及び防災行政無線通信におきまして混信があるということは地方団体からの情報として聞いておるところでございます。こうした混信に対する完全な対策を立てますことは現状ではいろいろ制約がございまして困難でありますが、今後とも郵政当局等関係機関との連携を密にいたしまして今後の対応策につきまして検討を重ねてまいりたいと存じております。
○片山甚市君 今の御報告によると妨害は余りないということでありますが、報告書を見ると相当大きな妨害もあるようであります。こういうような状態の中で過去三年間で約八十件の妨害確認がされております。実態はそれよりも多いと思われますが、その中でも昭和五十九年度措置局数六十六局のうち指導したのが五十三局でありますが、違反者が、通信機材が違反電波を発信するという製品に対する知識がないという状態だと言われています。製造者には何の規制もなく、使用者のみに責任があるというのでは、ますます違法機器がはんらんすることになります。ピストルは製造販売しても問題はないが、使用した者だけを罰するというようなことと同じになり、納得できません。
 特に、京セラ問題ありましたように、ハイパワーコードレス電話などによって、日本は外国に輸出しましたけれども、それが返ってきて、逆輸入してきてそれを使い、本来的に無線機等に規制が必要な条件で返ってくるということでありますから、無線機について規制があるのは当然ではないかと思うんですが、どうでしょうか。不法に外国に輸出したハイパワー・コードレステレホンが返ってきて、日本で使われて妨害電波をたくさん出しておるという例があるんですが、それを郵政省はどう認識しますか。
○政府委員(澤田茂生君) 私どもはそういう不法な無線局についてはいろいろ監視体制を整備し努力をしているところでございますが、我が国の現在の仕組みは個別の無線局の開設についてはチェックするということでございますが、無線機器の製造販売、輸入輸出というようなことについてチェックする体制になっておりません。そういうことで、電波利用秩序の確保という観点から、こういう不法無線機の製造販売というものを自粛させる必要があろうというふうに私どもも考えておりまして、いろいろな角度から検討してみたいと思っておるところでございます。
○片山甚市君 今までのお話の中で、総務庁長官の感想はどうですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) この法律案に入っておるのは、御案内のように、一つは郵政省が行っておる型式認定と同等もしくはそれ以上のものについては外国の型式検定を受け入れる、つまり外国並みにする、こういうことでございます。それからいま一つは、製造技術の進歩で安定性あるいは信頼性が大変向上した。そこで機器の故障等で混信等の妨害を与えるおそれが少ない無線局についての定期検査を緩和する、物によっては廃止する。今三百三十万局ぐらいあるんじゃないかと思いますが、そのうちの二百数十万を廃止して、それ以外のものは年一回の周期を緩和する。こういったような処置をとろうとしておるわけでございます。それから同時に、一部の無線局について検査を民間機関に委譲する、こういうものでございますから、これらについて電波の利用に強い支障が生ずるということはないというものについてこういう処置をとろうと、そうするわけでございます。
 ただ、御質問の中に、特に警察が多いんだろうと思いますが、故意に通信妨害、こういうものがあることは事実でございます。それに対応してディジタル化するとかといったようなことで盗聴等がやられないようにするとか、いろんな処置を講じておることでございます。したがって、当初お答えしましたように、混信等も無意識的にどうなっているか知らざるうちに善意でやっているというものがあろうと思いますが、これらは郵政省等を中心にして関係省庁が連絡をしながら広報宣伝等も行って指導をやっていく。同時に、故意にやっているものについては、これはそれなりの厳しい対応をしなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
○片山甚市君 そこで、定期検査についても、私は検査制度の重要性を再確認する立場から、その目的、意義、指定検査機関の指定をめぐる措置、手数料等についての問題点を十分解明したいんですが、時間の制約がありまして本日は省略しますが、郵政省として、去る十二月三日の逓信委員会における私の質問を踏まえ、慎重に対処してほしいと思います。特に、法七十三条の定期検査の内容も、制定当時のままで、しかも船舶通信を基本としたものでありますだけに、今日陸上移動無線局が相当多い状態でありますだけに考えてもらいたい。今後の利用動向を踏まえれば、法七十三条の内容を強化する立場での改正が先決であると考えるが、それについての郵政省の見解はどうでしようか。
○政府委員(澤田茂生君) 定期検査につきましては、その無線局の監督手段の一つの方法として、無線通信を円滑かつ効率的に行うということで必要な電波秩序の維持確保に大きな行政的役割を果たしていると考えております。この定期検査に係る今回の改正案につきましては、最近における無線局の急増、それから無線通信分野の著しい技術革新、無線通信の利用形態の多様化等踏まえまして、定期検査を要しない無線局を設ける、それから定期検査の時期を緩和し、さらに一部の無線局の定期検査については民間委譲するということによりまして、より合理的かつ効率的な監督を行おうというものでございます。利用の動向の変化、それから技術革新の進展、こういったものに十分対応するものにしていかなければならないということは先生の御指摘のとおりでございまして、私どももそういうことを踏まえまして対処をいたしたいと思っております。
○片山甚市君 法第七十三条の内容を強化する立場での改正が先決ではないかと思うということについての見解はどうでしょうか。
○政府委員(澤田茂生君) 検査項目につきましては、これは電波法で規定をいたしておるものについて検査をするという立場でございまして、そういうことについて十分私どもも配慮いたしているつもりでございますが、なおいろいろ検討してみたいと思います。
○片山甚市君 資料を見ますと、これまで申請された機器のうち、船舶用レーダーでは、昭和五十五年から五十九年の間での合格率は八六%、周波数測定装置では、過去十年間の合格率は七四%などとなっておりますが、自己認証制度導入を言うなら、せめてこの合格率が一〇〇%であることを見定めてから言うべきで、信頼性を担保する行政責任かと言えば、極めて不明朗だと考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(澤田茂生君) 電波法三十七条の対象機器のうちの船舶用レーダーの型式検定でございますが、昭和五十五年度から五十九年度の間におきまして百三十一件の受検がございまして、十七件に下ぐあいがあったわけでございますが、再試験を行いましてすべて合格をいたしております。外国主管庁の型式検定の受け入れということは、その当該外国主管庁が定める条件が、我が国の型式検定規則で定める条件と試験方法と同等かまたはそれ以上である、そういう検定に合格した機器について行おうというものでございまして、また受け入れた検定の合格機器が施設されるときは個別に落成検査というものを行うということでございまして、そういうチェックをいたしておりますので、問題というものは生じないであろうというふうに考えております。
○片山甚市君 今の発言に留意して、とりあえず信用して、どういうことになるか見きわめたいと思います。
 さて、電気通信事業が飛躍的に発展し、衛星通信の実用等技術革新と競争原理のもとにシステムがふくそうする中で、抜本的電波法制の見直しが必要だと言われているとき、部分的改正、それも外圧による規制緩和が新しい問題を引き起こさないとは限らない。その結果、この法律が朝令暮改とならない保証は、郵政省、ありますか。
○政府委員(澤田茂生君) 私どもは無線の利用の促進という観点からいろいろ検討しなければならないし、なお今先生おっしゃいましたような技術革新による機器の安定、性能の向上というようなこともございます。今後とも電波秩序の維持と電波の利用の促進という観点からいろいろ勉強もし、検討をさせていただきたいと思っております。
○片山甚市君 短い時間の中でたくさんのことを言いますから、言葉がきちんとつながってないこと、内容がつながっておらぬことは事実でありますが、電波法の改正は、簡単にイエスということでなくて、大きく問題を掘り下げて、国際的な問題であるし国内的な通信の問題であるということで発言をしたかったから取り上げました。
 私は、次の諸点を指摘しておきたい。まず第一に、法改正によって必ずしも規制緩和にはならないと思う。二つ、検査省略の拡大、指定検査機関により監督業務のなし崩し切り捨てが起こるだろう。三つ目、省令で定める検査機関の設定や指定機関の導入は、従来国が行ってきた重点実施や裁量を狭め画一的実施となるだろう。四つ目、改善の方向は、電波法制定当時の検査内容では、実際には対応していない。先ほど申し上げたように、海上から陸上分野への利用が拡大されておる、利用の多様化があります。技術性能の向上があります。特に利用の増大と割り当て周波数の逼迫等で大変困難なことがあります。
 以上の多くの課題を持っておる電波行政であることについて理解を願いたい。
 指定機関制度、これは民間でやるんですが、ひとり歩きすることによって監督権の形骸化、責任体制のあいまい化が問題視されており、多くをゆだねる省令そのものが示されておらない段階での法改正では早さに過ぎると思います。私たちに省令の形はこういうことですということを説明して、条文でなくても、納得させてからやるべきだ。特に省令の内容については、現場機関関係者等と十分に協議をし、その結果については当該委員会の同意、賛同を得るように、郵政省は電波事業の円滑化のために努力すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(澤田茂生君) 今回の法改正に伴う郵政省令の策定等に当たりましては、定期検査が無線局の適切な管理を確保するということで大変重要な役割を果たしているということもございます。関係者の意見というものを十分に聞きまして、さらには先生方の御意見というようなものを賜り御理解もいただきまして進めてまいりたいと考えております。
○片山甚市君 最後になりました。長官、今お話ししたように、電波法の改正に伴う諸問題は日本の国の高度情報化社会における陰の部分をつくることになり得る危険もあります。法律ができてから三十五年になります。もう一度見直してみて足らざるものは補ってもいいが、現実に使ってない法律があればそれを改めるようなことにするためにも、郵政省が専門官庁でありますから、検討するときは御協力を賜りたい。
 一括法案で審議するということで、三十分か三十五分でできる道理がない。長官はそれぐらいはわかっておるじゃないかと言うが、わかっておるんだったら国会は要らない。わからぬ者がおってわかるようにするのでありますから、その点で要望して質問を終わります。
    ―――――――――――――
○委員長(亀長友義君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、片山甚市君が委員を辞任され、その補欠として福間知之君が選任されました。
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○委員長(亀長友義君) 引き続き質疑を行います。
○福間知之君 まず基準・認証制度に関しまして御質問申し上げます。
 政府は去る七月三十日にアクションプログラムの骨格を策定されました。そして輸入を促進するために製品の安全性などについて一定の品質を確保するための基準・認証制度の改定を進めてまいっております。そして今回の法案におきましても、例えば消費生活用製品安全法、さらにはガス事業法などを改正いたしまして政府認証を自己認証制度にしようとしているのでございます。
 そこで、まず、現在この政府認証制度と自己認証制度、それぞれ数においてどれくらい存在しているのか、特にAPで検討の対象になったものはどれくらいあるのかということをお伺いしたいのと、またその実施状況について御説明をお願いしたいのであります。
○政府委員(海野恒男君) アクションプログラムの中で取り扱いましたいろいろな項目、全部で基準・認証制度、輸入プロセスの改善につきまして八十八項ロの措置をとることにいたしたわけでございますけれども、その中に自己認証あるいは政府認証というものがどれだけあるかということは定義によって大分違いますので、政府の介入をできるだけ少なくするという観点からの自己認証制、非常に広く解釈しますとそういうことになるわけでございますけれども、非常に狭く解釈すれば、こういった自己認証制、三つの法律を現在一括法の中でお願いしているわけでございますけれども、自己認証制に直接かかわる法律とすれば三つということになりますけれども、基準・認証制度で取り扱いました八十八の項目の関係する法令は全部で三十一ほどございまして、そのうち今回のアクションプログラムに直接かかわる法律改正とそれから政省令の改正等を含めまして二十三法令について今回措置をとることにいたしております。
○福間知之君 八十八項目で二十三法令と今お聞きしましたが、これは三十一法令ほどあるというふうにも聞くのですけれどもどうなんですか。それから今の御説明で実施の状況についてはいかがですか。
○政府委員(海野恒男君) 失礼いたしました。
 法律そのもので今回のアクションプログラムの関係で措置する必要の生じた法令は二十三でございますが、検討対象といたしましたのはもっと多うございます。基準・認証制度でも、例えば麻薬法だとか、そういったたぐいの初めから対象外にしてしかるべきもの、あるいは過去五年間輸入実績がないとか、あるいは外国から何らのクレームも出ていないようなもの、そういったものを除きまして検討対象としたものが三十一、そのうち改正を必要とするものあるいは対象にいたしたものが二十三ということでございます。
 それから実施状況でございますけれども、基準・認証制度の八十八項目のうち一年以内に実施するものが六十五ございます。約三分の二が一年以内に実施することになっておりまして、十月三十一日現在でそのうち二十五は実施済みということでございます。あと四十、この一年以内に実施するための細則の決定等準備をしているものが四十あるということで、残りの二十三項目は二年ないし三年の期間を要するということでございます。
○福間知之君 この法案では先ほどもお話がありました三法律について自己認証制度にしよう、こういうことだと承知していますが、これ以外にまた政令や省令、あるいは告示とか通達、そういうものでも自己認証制度に切りかえるということが考えられていると思うのですけれども、どういうようなものがあるんですか。
○政府委員(海野恒男君) 例えばこれまで化粧品のようにその都度届け出を必要とする、そして一応政府に届け出た後で輸入されるというようなものもある程度一定の条件が整えば届け出を不要とする、こういったようにいわば政府の介入をできるだけ減らすというような形で実施されるようなもの、これは法律の改正でなくて政令は改正等で処理できるものがあるということで、その範囲をどの程度にするか、政府認証から自己認証へというものの定義をどれだけ広げるかということによって多少数は異なるかと思いますけれども、そういった届け出を不要とするというようなものも幾つかございますので、これが政府認証でこれが自己認証に移ったというふうに一つ一つ申し上げるのは数字としては若干あいまいになりますので、お答えを控えさせていただきたいと思います。
○福間知之君 これは後ほどのお尋ねにも関連するのですけれども、今申し上げましたんで、いずれある程度進行して固まりましたら参考にお知らせを願えれば幸いだと思います。
 これまで国が基準をつくりまして適合しているかどうかチェックを行ってきたわけで、これを今後メーカー自身のチェックにゆだねる、いわゆる自己認証という制度に持っていこうとしているわけですけれども、しかしその場合ワインの例もあるわけですね。これは輸出する側、輸入する側、両方に一定の責任があると思うのですけれども、一般的にいって、企業の信頼性というのは今日まだかなりの分野で疑問のあるところが考えられるわけでありまして、いいかげんにチェックして結果において事故が起きるというふうな場合だれが一体責任をとるんだということにも相なるわけであります。日本にはまだ御案内のとおり製造物の責任制度というのがありません。したがってまた消費者と企業との間で一たんトラブルが起こって裁判ざたにでもなったら何年も何年も解決しない。カネミ事件などはその典型的な例だと思うんです。したがって、あれがレアケースだというのじゃなくて、常にそういう危険性というものは事と場合、品物によってはあると、こういうふうにも見なきゃならぬのだと私は思います。したがいまして、輸入手続を緩和するという方向は基本的に賛成でありますが、しかし今お話にもありました化粧品などは、一たん失敗しますと肌を傷めたり人体に危害が加わるわけでございますので、心配が多いわけであります。
 したがって、自己認証制度にするという前提で考えても、一体その場合、政府の安全性に対する対応といいますか、一定の取り組みといいますか、規制とはあえて言いたくないんですけれども、そういうものについて具体的にはどういう手法を考えておられるかをお聞きしておきたいと思います。
○政府委員(海野恒男君) 具体的な措置、例えば消安法でどのような品目を自己認証制度に移すかということはまた担当の通産省の方から、あるいは御質問もあるかと思いますけれども、一般論として申し上げますと、私どもは、自己認証制を導入することによって、国民の身体の健康なり安全なりということについて、消費者保護という立場からどう考えたらいいかということを随分議論いたしました。その結果、政府が認証するということがかえって供給者も需要者も、この場合消費者と言ってもいいかもしれませんが、製造業者もあるいは消費者もともに、政府が認証しているという安易な気持ちでそのことを処理するということがかえって問題を大きくするのではないか、事故を起こす原因になるのではないか。供給者も自分で責任を持って供給する、それから需要者の方も自分の責任においてよりよきものを選択していくという習慣をつけることの方が事故を少なくするのではないかという観点から、私どもは、そのことの方が事故は少なくなる。別途政府が介入するということは、外国の方から見ますと、日本の市場が非常に閉鎖的である、不公平であるというパーセプションと申しますか、感じを持つ原因になることから、今回のアクションプログラムで自己認証制度というものを導入したわけでございますけれども、消費者保護という観点からすれば、私どもは、供給者の責任あるいは責任ある態度というものと、需要者の方側にいわば選択と責任というものを植えづけることによって一層安全性は逆に確保されるのではないかと、こういう考え方で自己認証制というものを導入することにしたわけでございます。
○福間知之君 私、今お聞きしたのは、規制措置ではないけれども、自己認証にするんだからそれと矛盾するような規制基準を考えているのかと、こういうお尋ねではなくて、その範囲内において、だが政府としても安全性についての一定というか最低限の何か歯どめ的手法というのは考え方としてあってもいいのじゃないか。今答弁者がおっしゃいましたけれども、今の大きな貿易摩擦全体の背後には、例えばアメリカと日本との間の伝統文化の違いがありますし、あるいはまた政府に対する国民の期待というものもかなりこういう点では違う。市場原理を貫徹させて、粗悪品は勝手に排除されるんだ、どんどん入れさせればいいじゃないかというのじゃ、ちょっと日本の国民感情としては合わないというふうな側面がありますね。単に日本の産業界、業界を保護するために、あるいは役所が自分たちの仕事を手放したくないために規制措置を残すんだなどという、そういう角度の議論は議論として、そうじゃなくて、日本の伝統社会の中における国民感情というものは、私はあると思うんですね。それがいいか悪いかは別です。政府に過大な期待をかけている、安全を守ってもらわなければいかぬという期待をかけ過ぎる。それはここへきては少し考え直さなければいかぬ面でもあるとは思うんですけれども、そういう前提で自己認証をするにしても、何かそこに一筋、政府側として国民を守るという視点があってもいいんじゃないのか、こういう気持ちを申し上げたわけです。
 次に、具体的に乳幼児ベッドの安全基準についてお伺いをしたいと思う。
 消費生活用製品安全法の特定製品に指定されているベビーベッドでございますが、この安全基準については、基準の甘さから最近事故の発生が多いと言われております。製品安全協会という団体がありますが、そこによりますと、五十二年に最初の被害届が出されました。最近ではことしの六月二十五日に発生いたしております。合計十一件発生しているとのことでございますが、その内訳は、消費者の使用上のミスによるものが一件、残りはメーカー側の作業上のミスによるものが占めております。去年、ことしは死亡事故にまで発展しているという例があるわけです。
 こうした中で、政府がその事態の重大さを認識いたしまして、去る十一月の二十五日でしたか、乳幼児用ベッド安全基準調査研究委員会なるものを発足させて安全基準の見直しを図ろうとしておりますが、実はこの委員会の見直し対象は一体どういうものを対象として考えているのか。また死亡事故の起きたネット式のベッドだけを検討対象にしているようにも思えるが、そうなのかどうなのか。他の製品は含まれていないのか。以上三点についてまず所見を伺いたいと思います。
○政府委員(松尾邦彦君) 先生御指摘のように、乳幼児ベッドにつきましては、最近、御指摘ありましたように特にネット式のベッドにおきまして、ネットとマットレスまたは布団の間に乳児がはさまって窒息死するという痛ましい事故がございましたことにもかんがみまして、通産省といたしましては、事故原団の究明を行ってまいったところでございますけれども、それとの関連で、先生御指摘のように現在安全基準の見直しにつきまして専門の委員会を発足させて検討いたすことにいたしておりますけれども、私どもの事故原因に関する分析からいたしますと、対象といたしましては、ネット式の乳幼児ベッドがこの種の事故の中心を占めているということにかんがみまして、ネット式のベッドを対象に現在基準の見直しの作業を急いでいるところでございます。
○福間知之君 消費者側の声の中には、政府のこの安全基準はいわゆる理化学的な数値に基づいておる、実際使う者の側に立った感覚を欠いておる、こういう批判があるわけですけれども、今の御答弁でネット式という商品だけを限定して検討対象にされるということですけれども、果たしてそれでいいのかどうかを含めまして、消費者側の立場に立った配慮を必要とするのではないか。もちろん専門家の立場で当局も研究委員会にはいろいろなことをおっしゃっているだろうと思うんだけれども、消費者側に当たってみたということもあるのかないのか。当たられたらいいんじゃないか。特に消費者側という意識を鮮明にしている団体があるわけです。これは老婆心ながら申し上げておきたいわけであります。
 それからこの安全基準調査研究委員会の構成メンバーに消費者側の委員が入っているんじゃないかと思うんですけれども、これはクローズドで公表してないようでして、私その事情もわからぬではないんですけれども、こういうものはオープンにする、それで名前も出してもらっていいというメンバーを入れるべきだと思うんです。ないしょにしておくということは、それだけでも何か不信をみずから買っている気配がなきにしもあらずです。そういうことも含めまして、委員会を公開する、メンバーはもちろん、議論のあらかたもですね。そういうオープンに研究委員会の運営をすべきだと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(松尾邦彦君) 先生御指摘のように、事は消費者の安全にかかわる問題でございますので、私どもといたしましても、消費者の声を十分に反映したものである必要がある一方、専門的な知識を有する方々の御意見も十分聞かなければならないということで、安全基準の委員会には学識経験者と消費者の代表、さらには例えば赤ちゃんを多数預っております保育園の方なども委員に加えて審議をお願いいたしておるところでございます。私どもの気持ちといたしましては、当然のことながら、こういう問題につきましては、広く関係の各界の方々の御意見を伺いまして答えを出していくという基本的な態度にのっとっておりますので、審議の状況に応じまして、必要の都度、審議内容につきましては広くお知らせする方向で取り組んでまいりましたし、今後もその点については十分留意いたしてまいりたいと考えております。
○福間知之君 今乳幼児ベッドについてのみ二、三お聞きをしたんですけれども、いわゆる特定製品の幾つか、ここにずっとデータもございますけれども、この事故の原因別の時系列調査も載ってまして、炭酸飲料瓶詰などの破裂の頻度なんかかなり高いのもありますし、今後も皆無にはまずならないということも考えられますんで、規制をするということではないにしても、この自己認証制度に一〇〇%、一二〇%も期待して放任してしまうということはいささかどんなものか、こういうふうにも感じておりますので、十分運用に当たっての留意を求めておきたいと思います。
 次に、昨今の貿易プログラムについて幾つかお聞きしたいと思うんです。
 九月の下旬のいわゆるG5以来ドル高修正がかなり進んでまいりましたが、摩擦の緩和につながるような目立った兆候が果たして見られるのかどうか。現にこの二、三日前のアメリカ議会では繊維と靴の規制法案が可決されましたし、日米間の皮革の交渉、皮製品の交渉についてもこれは物別れに終わったようですし、なかなか順調とは言えないわけで、日本の貿易黒字はまた年内にも五百億ドルに達するんじゃないか、こういうふうにも言われますし、けさほどの新聞によると金子経企庁長官もそういうふうに言っていますし、来年度も五百億ドル前後になるんじゃないか、こういう経企庁の見通しのようでございます。
 アメリカは来年中間選挙が秋にありますし、再び議会筋が摩擦問題をクローズアップする可能性は残っている。予算委員会でも私、総理と少し話し合ったわけですけれども、円高で四十円も上がったが、これは今までの経験則から言っても、一年余りはJカーブが続くと、こういうことも言われているわけですし、まさに来年の三月ごろは再び問題になる時期ではないかと、こんなこともささやかれておるわけであります。そういう点でアクションプログラムあるいはまた今回の規制緩和、政府としても懸命の努力をされているわけですけれども、さて果たして実効は上がると見ておられるのかどうか。そういう決意を一遍お聞きしたいと思っているわけです。
○国務大臣(村田敬次郎君) 日米貿易摩擦の問題等でございますが、御指摘のように、九月二十二日のG5の会議以降円高現象が始まりまして、これは輸入の増大その他非常に好影響を及ぼすであろうという推定はなされておるわけでございます。しかし現実にはアメリカ議会では保護貿易主義的な動きが依然として続いておりますし、福間委員御指摘のように、繊維関係の貿易法案も上下両院を通過した。しかし大統領がこれに対しては拒否権を発動するであろうというような情報も伝わっておりますし、また最近のニュースでは、皮革、革靴製品ですね、この交渉を、若杉審議官が私の代理としてアメリカに赴きまして、ヤイター通商代表とも七回にわたって交渉した結果、まとまりませんでした。したがって交渉を中断して一度帰国するということで、きょうの夕刻着く予定でございます。
 そういったいろいろなアメリカ議会の保護貿易主義的な動き、それからまた現実に交渉をやっておりまして、なかなかまとまらないという動き、まさにこれは大変先行き決して楽観できない。また年を越えて貿易摩擦が再び火を噴いてくるのではないかというような懸念もいたしておりますが、しかし政府としては、総理が陣頭指揮をされまして、アクションプログラムあるいは内需の拡大等々次々に打ち出しておるところでございます。この臨時国会でもその関連の法案等々いろいろ出ておるわけでございまして、基本的には本年度のうちにアクションプログラムの九割ぐらいは全部やってしまおうという意気込みで進めておるわけでございまして、そういった日本の努力はアメリカ政府としても高く評価しておると思います。ただ、来年の中間選挙を控えてアメリカ議会は特に保護貿易主義的な動きが活発であるわけでございまして、これに対応して次々と日本としても手を打っていかなければならないと思います。
 きょう取りまとめて総理に報告したところでは、先般の外国製品輸入の額ですね、これは結局七十四億ドルというところで現在推定されております。既に申し上げた七十三億ドルを一億ドル上回るという数字でございますし、その他貿易摩擦解消のためにあらゆる努力をしておるところでございまして、こういった努力はアメリカあるいはEC、ASEANその他対外的に認められていくということを私どもは期待をし、なお努力を傾注していく所存でございます。
○福間知之君 アラスカの石油、一部最も埋蔵量のよくないクック石油だと聞いていますが、それを何とか出してもいいと嫌々決めたらしいと漏れ聞いているんですけれども、これもけしからぬ話でございまして、もっと思い切って日本に輸出すればこれは解消に特に役に立つんじゃないかと思うんです。そういうふうにアメリカ側も日本の受け入れやすい製品なり物資をもっと出してもらう。確かに第二次製造業の工業製品で今にわかに日本側が貿易解消という名に値するほど輸入を拡大するということは私は無理だと思うんです。短期間では無理。かなりこれは双方の努力が行われて、それこそ総理が諮問機関をつくって、構造改善まで含めた総合調整ということに一定の成果を上げれば別ですけれども、そうでない限りはやはり当面は無理じゃないだろうか。石油、原油、そ他の穀物などかなり第一次、素材製品に関するものが中心になっておるわけですからね。そういう点でもっとアメリカも知恵を出してもらわなきゃ困ると思います。
 そういうことを考えますと、先ほどの大臣答弁のように、この五月、七月、各メーカー集めてお願いしたりして、結果として七十四億ドル、これは一つの成果だと思うんです。また政府が十月以降にとった内需拡大策諸措置によって、これが経企庁の判断によると二十億ドルぐらいしかふえないんじゃないかと言っているわけです。そうしますと、来年の春ごろまでに目立って貿易の黒字が減少するというふうにもならないというふうにも思うので心配しているわけでございまして、これは理屈だけじゃなくて、もう感情論にまでなっているということを我々は念頭に置いて手を打たなきゃならぬ、こういうふうに思っているわけです。
 ところで、この摩擦の原点として、今話したようなことで、輸入の制限品目の数のほかに諸外国が強い関心を寄せている一つに関税というのがあるわけでありまして、それらは何よりも市場開放の度合いを象徴するターゲットであります。日に見えてわかりやすいからでございます。去る六月の二十六日の日経新聞によりますと、一見して小売価格に占める関税の割合がワインの一二%を除きますと極めて小さいと。日本の関税率は国際水準あるいはそれ以下なんだよ、こういうふうに我々もある場合では言ってきましたが、そうなんですね。しかしウィスキーの場合、これも皆さんも御案内のとおりですけれども、小売価格は七千円で輸入価格は何と八百五十円だ。輸入価格に対して関税率が三〇%余りかかっておって、この三〇%が高いと、こういう指摘をされてしまうわけです。しかし酒税及び関税を除いた残りの金額で四千二百六十九円と出るんですけれども、かなり大きな流通マージンなんですね、この部分が。実質的に関税はもはや本来の機能というものを果たしていないのじゃないかにもかかわらず輸入価格に対する関税率は三〇%で高いんだと、こういうふうに海外から見られているということで、この点、我々自身も何と直言えない気持ちがするわけですね。これをもって一般論として論ずるわけじゃございませんが、アクションプログラムで関税率一律二〇%引き下げると、こういうふうに言われるんですけれども、これは大きな意味合いがどうもなさそうだと、こういうふうに思うんです。
 要するにこういう一つの小出しの改善策と言うと語弊がありますが、そういうものでは今の貿易摩擦に関する海外の圧力というものをはねのけることができないのと違うかと、こういうふうに思うんです。もっと積極的に自主的に日本側が大胆な改善策というものをとって摩擦の火種を一気に取り払うぐらいの措置が必要だと思うんですけれども、今までの積み重ね、いささか小出しに過ぎる。過去七回もやってきてだめで、また今回これが最後のような格好でやっているんだけれども、そこらはどうなんですか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 例え話を一つ紹介したいと思います。キッシンジャーさんが昨年来日本にたびたび来ておりまして、総理にもお会いになり、私にも会ってお帰りになったんですが、あの人は非常にすぐれた国際感覚を持った政治家であって、総理にも私にも言われたことは、こういった貿易摩擦を一年一年というふうに解決しようとしても根本解決にならない、相当まとめて基本的な問題から考えるべきだということをおっしゃったんですね。これはさすがにキッシンジャーの意見だと私は伺いました。総理にも同じことをおっしゃったそうです。福間委員がこの貿易摩擦問題について今おっしゃったこと、御見識でございまして、個々の一年一年で解決しようということではとても対応できないと思うんです。したがって、中曽根総理とレーガン大統領がことしの一月二日にロサンゼルスで会われ、それ以降のボン・サミットであるとか、あるいは先般のニューヨーク・ミニ・サミット、日米首脳会談等見てみますと、大統領も総理をはっきりと長期間にわたって日米間のわだかまりを解消しよう、そういう非常に大きな構想のもとに進んでおることは、私は明らかだと思います。したがって、総理が私にレーガンさんがこう言ってたよ、あるいはキッシンジャーさんがこう言ってたよということを御紹介されたことの意味は、総理自身がそういう根本的な問題にまでさかのぼって貿易摩擦の問題を解決しようという御意図、哲学を持っていることは明らかだと思うんです。
 その意味で、今回の関税に例をとって言われましたが、千八百五十三品目というのは、過去においてもこれだけ大規模な関税の引き下げ、撤廃をした例はないんですね。大蔵省等の試算によれば、邦貨に換算して七百億円ぐらいには優に相当する関税の引き下げ、撤廃措置であるというのでございまして、そういった意味で、日本政府がよくやっているということはレーガン大統領も認めておりますし、諸外国が認めておるところなんですが、なお四百五十億ドルとか、そういう大変な貿易黒字というものがあるために、日本に対する非難は必ずしも減少しない。またアメリカの中間選挙の存在することも、そういったスケープゴートを日本に求めているような、そんな感じがせぬでもないわけです。
 しかし、今行っております基準・認証や内需の拡大や関税の引き下げや、そういう一連の措置というものは、まさにそういった今後中長期的にわたって貿易摩擦を解決しようという日本政府の意欲のあらわれでございまして、これは決して一年二年のびほう策ではない、こういうふうに考えておるところでございます。したがって、この臨時国会において今お願いを申し上げております諸案件を初め、大体において九割まではアクションプログラムの内容を本年度のうちに解決してしまおうという非常に大きな意欲のあらわれだと思うのでございます。
 ただ、先ほど例にお挙げになりました流通マージンの問題とか、そういったことで外国の商品が日本に入ってくるとウイスキーでもブランデーでも非常に高くなる。あるいは自動車でも化粧品でも高くなる。酒類は大蔵省の所管でございますからこっちは直接調査はしておりませんが、調査の結果は聞いています。通産省所管の自動車だとか、いろいろなものを見てみますと、流通マージンが確かに高いものがあるのでございまして、これは利益を得る場合に、例えばこういうものはこのくらい高くても日本の消費者は買うんだというようなことで、流通マージンが高くなっているものもあるわけでございます。外国のものをたくさん買ってくださいよと言って閣議でもお願いをいたしましたら、ここにおられる後藤田長官もデパートへ行って、翌日私に、村田君、行ったけれども、買うものがありゃせぬよ、こういったことを言われたぐらいでございまして、確かにその点は円安であった当時はアメリカのものを買おうと思うと皆高いという感じがしたのでございますが、これだけ円高になってまいりますと、一定の期間がたてば、私は日本の人たちに買い得るものがたくさん出てくるんじゃないかと、このように期待をしておりまして、福間委員が御指摘になったJカーブとかいろんなものを考えますと、その効果が出てくるのはなお若干の時間がかかる、このような認識をいたしておるところであります。
○福間知之君 今の大臣のお話に関して、なお引き続いて若干質疑をしたいんですけれども、円高に関連しまして、木下中小企業庁長官がおいででございますので先にちょっとお伺いします。
 今般の円高が二カ月間ぐらいで二〇%も進行するという、かなり急激な上昇であったわけでありまして、しかもそれは協調介入というかなり人為的な措置によってもたらされたということは明らかでありますが、こういう性格を持った今回の円高ゆえに、中小企業群はかなりの打撃、ダメージを受けていると同時に、大蔵当局というか政府当局というか、に対して怒りすら覚えているのではないか、こういうふうに推察をするわけですが、中小企業庁は十一月十八日付で「円高の輸出型産地中小企業への影響について」というレポートを出されております。その後、さらに円高は進行していますから、どういうふうに事態をつかんでおられるのか、あるいは中小企業庁としては今月の二日ごろから実施の一千億円規模の緊急融資、当面の対策としてとられているようですけれども、その進捗状況、今後の一応の見通し、いかがでしょうか。
○政府委員(木下博生君) 円高の急速な進展によりまして、特に輸出関係の全国各地の産地で相当影響が出ているというようなことでございましたので、今先生御指摘のように十一月の中ごろ、中小企業庁としては調査をまとめたわけでございます。その時点におきましても、輸出採算は二百二十円か二百三十円ぐらいのところでやっているというところが非常に多かったわけでございますが、新規の契約がなかなかできないということで、相当影響を受けているという感じの報告が出てきておりました。その後もさらに円高が進展いたしまして、最近時点でまた各通産局を通じて調べておりますけれども、その厳しさはますます高まってきているようでございます。特に年末を控えまして資金繰りが非常に苦しいという産地もふえてきているような状況でございます。
 そのようなことでございますが、円高自身はアクションプロクロムによる輸入促進策と同様、貿易摩擦解消の観点から好ましいということであるわけでございますが、このような措置が定着していくためにも、そういう影響を受けた中小企業者に対しては十分な措置をとってやる必要があるだろうということで、とりあえず十二月二日から一千億円規模の低利融資あるいは中小企業信用保証の弾力的運用というようなことを実施したわけでございます。対象としては、五十業種につきまして対象といたしまして、六・八%の融資で中小三機関から融資を行うという措置を実施したわけでございますが、六・八%程度の融資ではまだ非常に大変だという声が非常に強うございますので、私どもといたしましては、年末の大蔵省折衝の過程において、もう少し低利の融資が実施できるように、またあるいは信用保証の点でも別枠措置等が実施できるように折衝していきたいというふうに考えておりまして、この急激な円高に伴って影響を受けております中小企業者に対する対策は万全を期していきたいというふうに考えている次第でございます。
○福間知之君 それはわかりましたし、なお十分でないとすればさらに積極的に考えていく、こういう御意向、これは尊重したいと思うのです。
 先般、新聞でしたか、私、見たんですが、こういう中小企業対策をとろうということに決めた途端に、アメリカ側から反発がありましたね。私はそれはまた見方が少し立場によって違うわけですから、今おっしゃったように急激な円高に対する緊急避難的措置は私は必要だと思うのですけれども、アメリカ側の非難に対してはどういうふうなお考えですか。
○政府委員(木下博生君) 確かに急激な円高に伴います対策を講ずることについてアメリカ側から懸念を表明されているのは確かでございますけれども、私どもといたしましては、大幅な貿易黒字を解消するという目的を持って実施しておりますこのような円高措置が、国内的にも円滑に進むということのためには、当然影響を受ける国内の業者、特に中小企業者に対する対応策を十分にやらなくてはいけない、またそういうようなことをやることによって今のような円高基調の定着も図ることができるだろうというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、私どもといたしましては、内需の拡大あるいはこういう企業が内需向けに転換を図っていくとか、あるいはそれ以外の現在やっている品目以外の品日に将来転換を図っていくというような措置もあわせて実行することによって、今後対応策を図っていきたいというふうに考えておるわけでございますが、そういう措置は時間がかかるわけでございますので、その間に資金繰り等ができなくなって倒産するという事態を防ぐ、そのことによってまた雇用問題に悪影響が及ぶというような事態を防ぐということのために、緊急避難的措置としてそのような融資措置はぜひ必要だと考えている次第でございまして、このような考え方については当然アメリカ側の理解を得られるものというふうに考えております。
○福間知之君 ただいまの御答弁大変結構だと私も賛成するものでございますが、要するに内需の拡大というところに落ちつくわけですね。
 ところで、今回の輸出比率の高い産地組合に影響が強くあらわれている。その中に、今はやりのハイテクを中心としたベンチャー企業、我が国にも結構存在しておりまして、それが今まで輸出に力を入れてきただけに、今回円高の影響を大きく受けるという羽目になっているわけです。例えば、売上高の七割近くを欧米向けに輸出しているあるプリント基盤の企業がございます。十一月の出荷が最盛期の三割以下に落ち込んでいるということなんですね。こういうベンチャービジネスが今後生き残っていくとすれば、今企業庁長官がおっしゃったように、内需に転換をしていく、あるいは事と次第によっては機種の転換というものを図っていく。もちろんそれにはそれなりの資金なり技術なりというものが必要でありますが、一定のそういう転換策については支援体制が必要だろう、こういうふうに思うわけであります。
 最近、銀行筋などの調査機関がぼつぼつ来年の景気見通しなども発表しているわけでございますけれども、来年度果たして景気がどうなるんだろうか、これはアメリカの景気も影響があるわけで、きのうあたりの新聞じゃ二・数%から三ぐらいいくかなという、やや楽観的な見通しが出ていますが、日本の場合はどうなのか。どうなのかということを他人任せでなくて、まさに先ほどおっしゃった内需拡大という我々の自主的な政策の転換を果たさなきゃならない、予算編成も間近いということであればなおさら私は期待が大きいと思うのです。そういう点で、これはお答えを求めることもないのです。内需拡大のために本当に真剣に今までの継続的な政策の延長線じゃなくて、それを一遍思い切って考えないといかぬ時期がきている。大蔵省でしたかな、きのうも東京湾の横断道路云々で財投を使おうかと、こういう話でございますが、それも結構です。私は、これからの内需拡大策はそういう一点豪華主義じゃなくて、もっと今通産が進めている、郵政が進めている、建設が進めようとしている、各省庁で今大体共通したターゲットになっている情報社会へのアプローチを政策化していくのだ、それに公共投資の財源をある程度広く、したがって結果的には多少薄くなるかもしらぬけれども、全国的に展開するということがこれからの公共投資のあり方ではないか、そういうふうに思うのです。
 後藤田長官おられますけれども、それは治山治水ということで、かなりおくれている部分をもちろん重点的にやらなければいけませんが、同時に、今喫緊の課題は、内需拡大は国際的な責任を果たす上で必要ですから、私はそんな政策配慮が必要ではないかというようなことを思っているのです。
 ちょうど大臣は先ほどキッシンジャーの話をされましたけれども、何かロサンゼルスタイムズでも日米が共同で対日赤字をどこまで減らすんだという目標を共同でつくる、これはもう必要ではないか、こういうことをおっしゃっています。こういうことをおっしゃっている。そのことを先ほどのお話で思い出した。そういうことを実現しようと思ったら小出しのそういう政策だけでなくて、思い切って内需に転換して、中小企業はもちろん、日本の輸出ドライブを回避し得るような国内景気の上昇ということを目指す以外にはないんじゃないですか。それでなければ、稲山さんじゃないけれども、もう自主規制にしくはないというふうなことで、まさに縮小均衡という路線をひた走って、そこから出てくるデメリットが非常に大きいということで再びまたお互いが苦しまなければならない。だから、この間の予算委員会で大臣御承知のとおり、大蔵大臣に、財政再建六十五年目標は結構、常識的にはだれも反対はない。しかし、今まで立てた目標ができたためしないんだから、今回もそうだろう、このままでいけば。だから、思い切ってここで二兆や三兆国債を発行しても、増発しても景気対策をとる方が急がば回れですよ。こういう提言を繰り返ししているんですけれども、なかなか明快な政策転換の御意思表明はないんですけれども、しかしきのうの新聞でもそういうふうに財投をちょっと使ってみようかというようなことでやり出しているということは今後の予算編成を注目しなきゃならぬな、そういうふうに思っておる次第でございます。
 中小企業庁長官、もう結構でございます。一生懸命ひとつやって年の瀬が越えられるように中小企業に対応してあげてください。
 それで、円高の原則のお話に帰りたいのでございますが、日米摩擦、G5の後の急激な円高、先ほど申しましたように一定の効果を上げまして今貿易摩擦、いささか小康状態ということでございますが、二カ月間という短い期間に四十円の値上がりというのは、考えれば、先ほど来申しておるようにかなり大幅である。輸出産業に対する影響も少なからず大きいし、先ほど来申しておるように対応策は必要だ。対応策をとろうとすれば、またそれは日米間の摩擦論議に発展する危険がある。こういうふうに非常に困ったことなんですね。先ほど触れた総理の諮問機関で産業構造の摩擦を長期的に解消するというふうな方針を出しているわけですけれども、これは通産当局としても所管の産業構造を含む所管の省として、我が国産業構造の時代的な、今日的な問題点、課題というふうなものを把握されて将来にわたって我が国国民生活と産業活動が円滑に発展、繁栄を続けていく上で極めて重要な政策課題だと思いますが、通産当局としては総理の諮問機関と別にどのように対応される御覚悟ですか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 大変重要な問題だと思います。福間委員御指摘のように、総理の諮問機関として経済構造調整研究会で長期的な産業構造を検討する。通産省の方もそれに対応いたしまして、通産政策としての基本的な方針を決めなきゃいけないものですから、産業構造審議会であるとか、あるいは二十一世紀のビジョンの研究をするというようなことで、独自の委員会、審議会等を設置して検討をしておるところでございます。
 通産省では、二十一世紀を目指していつも言っているのはどういうことかといいますと、技術開発、それから情報化への対応、これを一丁目一番地と言っているんですね。そういうことに対応して中小企業対策でも、あるいは資源エネルギー対策でも、産業立地対策でも、あらゆるものをそういう目標のもとに思想的に統一していく、こういう思想であります。だから、それが地域立地政策になれば、技術開発が中心になればテクノポリスという構想になりますし、それから情報化社会ということになればニューメディア・コミュニティーを設置するということで、これは昭和四十年代などに行われました新産都市の構想や、あるいは工業整備特別地域の構想とは基本的に考え方が違うんですね。二十一世紀を目指してエレクトロニクス時代とか技術開発時代とか宇宙時代とかというものに対応する産業政策を立てていこうという非常に大きなビジョンを持った対策だと思うんです。
 基本的には、今福間委員御指摘になったように、日米間でも総理と大統領とが接触を非常に密接に保たれて今後の対策を考えていく、それに対応して実際はカウンターパートの閥でもそういう考え方が浸透していくのが好ましいと思います。つまり、半導体だとかあるいは皮革製品だとかそういう個々の、全体からいえば個々の問題でなしに、全体としての体系の上で世界の貿易政策はいかがあるべきか、日米の通商問題はいかがあるべきかという構想の中でグラフに一つ一つ当てはめていくということが私は正攻法だと思っております。したがって、今福間委員の御指摘になったような観点で通産省としての新しい政策も、産業構造審議倉や二十一世紀のビジョンの委員会や太平洋委員会や、その都度適宜適切に審議会等を設置して検討をし、そしてそれを事務的には事務次官のサイドで、そしてさらに関係各省、総理との関係では私自身が陣頭指揮でやっていく、こういう体制で進めておるつもりでございます。
○福間知之君 総務庁長官がお暇なようですからひとつ長官に。先ほど来申し上げていることで、今度の認証制度ですけれども、今度の規制緩和制度でどういうふうに長官としてはなることを期待されて見通しを持っていられるかということをお聞きしたいんです。
 十月の対米の輸出額が前年に比べて九・二%、六十億二千八百万ドルと過去最高を記録しちゃっているんですよね、黒字が。先ほど言っているように、過去半年間で七十四億ドル黒字が減った、この今回の措置で来年の年明けから三月ごろまでにはさらに二十億ドルぐらい減るだろう、こういうふうに言われているんです。一方マクロで見れば、トータルで見れば依然として五百億ドル前後の黒字が残って、来年もJカーブで残るんだ、こういうふうな見方なんですよ、専門家筋は。私は今度の措置でも少し小出しにすぎないのかという気がして、まさにJカーブをある程度信用せざるを得ないか。となると、アメリカ側の対日批判はまさに三月から中間選挙に向かってさらに拡大していく。こういう危険があると見ているんですけれども、そこのあたりはマクロで長官はどういうふうな御感想ですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は今日までの日本の各種の規制、これはそれなりの効果を果たしてきたと考えておるんですが、ここまで日本の経済が発展したという以上は、日本独自のこういった規制というものは、これはかえって国際的にもいろんな批判がありますし、また国内の民間のエネルギーを完全に発揮させるという意味においてもかえって障害になっているということですから、これは絶えざる見直しをやりながら、できるだけ合理化をし、簡素にし、任せるべきものは任じていくというのが基本的な考え方である、かように考えているわけでございます。
 御質問は、主として対外関係での御質問が中心でございますが、今日の四百億ドル以上、五百億ドルになんなんとする対外黒字、これを背景にして、諸外国からは日本の市場がいかにも排他的ではないかという、場合によれば感情的とも思われるような非難が出てきておる。これについては、我が国としては、私は率直にそれは受け入れて、できる限り日本としても対応をしなければならぬ、こう思うわけです。そういうことで累次にわたって政府は関税の軽減、それから何よりもやかましい非関税障壁の撤廃、こういうことで努力している。これが今回政府の決めておる一連の、七月三十日ですか、決めた基本であろうと思います。しかし、それで日本の対外黒字が減るのかといえば、それはそう簡単にはもちろんいかない。しかしながら、日本としてやるべきことだけは誠意を持ってやる必要があるということでこういう対策を決めたわけですね。
 しかし基本的にはその次に起きる問題は、対外黒字の解消のためには、今の円・ドル相場が基本にあると思います。これはG5の合意の結果、だんだん是正がなって今二百円前後まで来ておる。これはできる限り定着させなければならぬ。しかし、それだけで対外貿易黒字が解消になるのかといえば、これはJカーブということもあって、これはある程度のタイムラグがありますから、そう急激にはならぬであろう。そうなればまた外国からのいろんな要求が重なってくるであろう。それはそれなりのまた対応をしなきゃならぬ。しかしそれだけで今度は解決するのかといえば、フランスのように自給自足経済でもやろうと思えばできる国、あるいはアメリカのように資源の多い国、こういうような国と日本は根本的に違いますから、何といっても貿易で飯を食わなきゃならない。したがって、それなりに日本には日本の事情がある。といって各国それぞれの事情で頑張ったんでは縮小再生産につながるわけですから、各国協調しながら長期にわたる目標を立てて、産業構造あるいは中小貿易の構造、これらについて各国協調して、そして少なくとも世界経済全体が縮小に向かわないように、拡大の方向に向かっての自由市場を守っていくという基本的認識のもとに、お互いが中長期のそういった構造対策に取り組んでいく必要があるであろう。しかしその途中にはまだまだいろんな問題が起きますから、それにはそれなりの日本としても最大限の努力をしなき山ならぬ。そうすると、日本は先ほど御質問がありましたように、中小企業、これらについて相当なこれは打撃である。これはまたそれなりに国内対策としてこの対応をしなきゃならない、こう思うんですね。
 それから同時にまた、御質問の中にあった内需の拡大の問題、これも私は重要な政策課題だと考えております。ただ、これは御承知のとおりに、今これだけの累積の国債を抱えておる。したがって財政の出動余力というものは極めて乏しい。この乏しい財政事情の中で内需拡大についてどう知恵を出すかということ、これを私は当面考えなきゃならぬ。ならば、これは私の所管ではありませんけれども、これは国務大臣としてのお答えになっているわけですけれども、財政投融資を思い切って活用して、そして事業量は少なくても前年度より、例えば公共事業なり何なりというのが事業量ですか、これが拍子でも上回っていくといったような運営が必要ではないかな、かように考えておるわけでございます。
 この考え方には、ここにお座りの村田さんもそれほどの異論はないんであろう、こう考えているんですが、いずれにしても、今大変な時期でございますから、財政の運営、金融政策、さらにはただいまお答えしたような通商政策あるいは産業政策、これらについては中長期をにらみながら真剣に。私は今ターニングポイントに来ていると思うんです。こういう観点で政策に間違いのない方向でやっていくのが一番いいのではなかろうか、かように考えているわけでございます。
○福間知之君 長官なり村田大臣なり、今のお話は共通した御認識だろうと拝察しますし、私も総論としては全く変わらないんです。各論でちょっと違うんですな。財源を裏づけにした重点政策をこの際とるとすればというところからちょっと違ってくるわけなんですね。
 例えばまさに拡大均衡でいかにゃいかぬので、先ほどもちょっと触れましたように、経団連のある首脳のような縮小再生産に持っていくようなやり方というのは、それは大企業である部分の会社はいいですけれども、先ほど来議論している大方の九十数%を中小企業群で支えられている日本の経済というのを考えるとそうはいかない。縮小再生産ではどうにもならない。雇用は減るし、地域経済は麻痺するし、大変な事態になる。それどころか、構造不況の業種はここでかなりふえてくる危険があるんですね。つい二、三日前も陳情があって、これは御案内のとおり我が国の金属鉱山ですよ。大変な事態に今見舞われています。山の二つや三つはほっておいたらぶっつぶれますよ、年内に。これはもう中小企業問題じゃないんですよ、構造不況なんだ。そういうところに対して緊急避難として打つ手と長期で打つ手。これは産業構造改善、改革という困難な政策の中で対応しなきゃならぬので、これは口で言うはやすいが非常に難しい問題だと思うんです。しかし、そういうことをも含めて、日米間の包括的な産業構造調整という話になっていくとすれば、我が国も大変な意識革命をやらなければどうにもならないだろうと私は思っているんです。
 それで、現にアメリカからたたかれていて、それにもっとまともにこちらも言いたいこと言うべきだとこの間総理に私は主張したんですが、アメリカも日本から今何と今年度で約五百億ドルに累積するような資金が流出していますね。これは本来、日本の国内の景気の上向き状況が現出されておれば、半分以上の金は日本に投下されるはずです。高金利に惑わされて利ざや稼ぎに出ていっているわけですね。だから、そのことのよしあしを言えばそれはそれで議論になるんですが、それは別にしまして、逆にアメリカの立場からいえば、日本からアメリカの国家予算の六、七%に相当する五百億ドルという、十二兆円という膨大な金が流れ込んで、それが向こうで活用されているわけです。そうすると、それが極端な例で全部引き揚げられるということはないにしても、かなりの部分が引き揚げられるということになると、アメリカ側は途端に金融財政事情が逼迫しますよ。困難な状況になります。それは避けたい。だから、金利を下げるということがなかなかできない。その影響がまたはね返って日本の金利にも連動してくる。こういういい面、悪い面を含みながら相互に依存関係を保っていますから非常に厄介だと思うんですね。
 私は、そういう点を解きほぐしていくためには、まず世界の経済の一割と言われる日本がここで、昔の議論じゃないが、機関車役を果たすときが来ている。国内景気を思い切って浮揚させる。そのためには公務員の給与も後藤田長官の御協力で、野田さんと一生懸命やっていただいたと聞いておりますが、これもきょう閣議で決めたようでございます。皆さんに早く支給を願って、来年の春闘も、購買力高揚のためにはことし以上に上げるように推進していただく。減税についても真剣に考える。それから公共投資だとか民間活力を引き出すというためにも政府の財政がまず先導的に役割を担ってもらう。そういうふうに前向きの方向で総合して少し腰を上げるということでないと、世界の一割国家日本の責任が果たせないんじゃないかと思うんです。
 ちょうどエネルギー庁長官おいでですね。何か真剣に考えていただいているようです。石油、ガソリンの輸入についていろいろ議論が行われているんですが、これも海外との関係で非常に適切ないい政策だと思うんですけれども、一定の効果をどのように期待されていますか。
○政府委員(野々内隆君) 石油につきましては、非常に重要な基礎エネルギーでございますので、若干通常の商品摩擦とは異なるかというふうに考えております。日本の経済の安全保障上、石油製品の安定供給というのがどうしても必要だという観点から判断する必要があると思います。ただ、従来我が国の石油製品は、原油を輸入いたしましてこれを精製するという消費地精製方式をとっておりましたが、最近の国際石油製品マーケットの状況を見ますと、製品の市場というものがうまれてきておりまして、必ずしも原油供給だけに頼る必要がないという感じになっております。
 他方、欧米諸国におきましては、石油製品、特にガソリンの輸入が急激にふえておりまして、国内でいろんな問題が起こっている。そういうところで、日本のような大消費国がガソリン等の輸入を全く行わないというのは国際経済上いかがかという問題が起こりまして、ことしの七月のIEAの閣僚理事会におきまして、村開通産大臣が出席いたしまして、今後日本といたしましてもできる限りマーケットメカニズムというものを尊重してまいりたいという方針を打ち出しておりまして、また石油審議会におきましても同様の方針が打ち出されております。したがいまして、現在国会で御審議いただいております法律が成立いたしましたら、私どもといたしましても石油製品の輸入ということに前向きに取り組みたいと思っております。
 この方針は、アメリカ、ヨーロッパ等、大変高く評価いたしておりまして、今後日本政府が実際にどのように実行していくかということを見守りたいというお話でございますが、各国から大変高く評価されております。特にアメリカでは、国内の保護貿易主義と闘っている大統領に対して大変心強いメッセージであるというような評価も受けております。今後、石油の安定供給あるいは国内の関連事業の混乱ということの防止等を考えまして、できるだけ安定的な輸入ということに努めてまいりたいと考えております。
○福間知之君 この問題は、諦めた議論は別の委員会で行わなきゃなりませんが、今、石油業界、ガソリン等の製品輸入を控えてそれなりに体制を整備しなきゃならぬという立場にあろうと思います。またそれが国策として受け入れてもらうということにならなきゃなりませんが、それはそれとしまして、概して過当競争で、この業界、大変不安定さが目につくんですね。しかも、これは通産当局が終始一貫して深いかかわり合いを持って行政指導をやってきています。ある見方からすれば、私などは、やや過保護できたのじゃないかな、したがって業界もそれに甘えを感じて体質改善というものに少しおくれをとっているんじゃないかな、そんな気持ちがするんです。
 例えば一部企業合併なども昨今において行われましたね。それから今、数多くあるガソリンスタンドでかなり激しい競争をやっていますね、価格面で。ユーザーである国民から見れば、ガソリンは十円か五円でも安い方がいいわけなんですね。しかし、それが業界の体質を弱化するということに今までつながってきていまして、それに対する当局としての御苦労がそこにあると思うんですけれども、石油輸入の問題は一応別にしまして、これから業界の体質を改善するために何か手を打たなきゃならぬのじゃないか。私、素人でちょっとわかりませんが、御見識があればお聞かせください。
○政府委員(野々内隆君) 今の石油業界の状況というものがこのままではいけないという認識は、業界人そのものにもございますし、私どももそういう認識でおります。元売段階及び販売段階、両段階の秩序あるいは構造改善というものが相まって、今後の石油業界の安定、ひいては石油製品の安定供給という方向が達成されるんだろうと思います。元売段階につきましては、過剰設備の処理及び元売の集約化等の一層の促進があろうかと思います。また現在全国に六万軒ございますガソリンスタンド、これの過当競争が特にひどい状態でございまして、半分以上が赤字というような状態でございます。これを安定させるというために、中小企業近代化促進法に基づきます構造改善を進めたい、かように考えておりまして、年内に構造改善計画を策定し、早急にそれの実施を図りたいと思っております。
○福間知之君 質疑をちょっと早目に終わりたいと思うんですけれども、最後に先ほどの話に戻ります。
 事故認証制度で、具体的にどういうふうにそれにしても政府としては目配りをするのかということをお聞きしましたが、具体的になかったので、例えば試買テストなどを特定製品について今後やるのかどうかということ、それからもう一つ、ガス事業法の関連で、第二種ガス用品に移行する具体的な基準がわからないんですが、これはどのように考えておられるか。この二点だけお聞きして質問を終わりたいと思います。
○政府委員(松尾邦彦君) 私ども自己認証制度を導入いたしました後におきましても現在と同水準の安全水準は確保しなきゃならないという観点から、今度の法案もお願いいたしているわけでございますし、具体的な行政運営に当たりましても、消費生活用製品安全法を例にとりますと、第一には、今度の改正によりまして自己認証品目に指定されることになる品物につきましても、製造事業者、輸入事業者に改善命令、回収命令等の法律に基づきます措置を厳正、機動的運用に努めることはもとよりでございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、試買テストにつきましても、特に今後は自己認証品目に重点を置いて実施してまいることにいたしたいと考えているところでございます。
○政府委員(逢坂国一君) 第二種ガス用品にどういうものを移行するかというその基準の御質問でございますが、現在のガス事業法で考えております第一種ガス用品と第二種ガス用品との境目といたしましては、第一種ガス用品は構造とか使用条件あるいは使用状況等から見て特に災害の発生のおそれの多いものというものを第一種にしまして、それ以外のものを第二種と、こういうふうに法律上はなっております。したがいまして、今後この第二種ガス用品の区分をどのようにしていくかにつきましては、特に器具のガスの消費量でありますとか、使用時間でありますとか、あるいは使用状況、こういうものを総合的に判断しなければいけないというふうに考えております。その際に、これまでの検定の不良率とか、そういうものが参考になろうかと思います。
○委員長(亀長友義君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二十九分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時三十一分開会
○委員長(亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合理化に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○原田立君 総務庁長官に行政改革の推進に関して若干お伺いします。
 行革審は、行政改革の実施状況の評価として、昨年十月、やっと五合目ぐらいに達したのじゃないかというふうな評価をしておりますが、ことしの七月二十二日の「行政改革の推進方策に関する答申」を見てみますと、まず第一番目に、行財政事情が非常に悪い、我が国財政を増税に頼ることなく昭和六十五年度までに赤字体質を改善しろ、第二番目が、最重要課題である国鉄の抜本改革をしろ、第三番目が、地方行財政の改革を進めろ、第四番目が、今後より積極的に民間の活力が発揮、推進できるような方策を講じろ、第五番目に、新しい時代の要請にこたえ得る行政の機構や制度を整備しろ、こういう答申をしておりますが、今後残された時間はいわゆる正念場に差しかかっている、こんなふうに私は思うのでありますけれども、行革担当大臣の総務庁長官はいかが御決意でありましょうか。
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま原田さんが御指摘になりましたように、行革については昨年の暮れに一定の行革審からの御評価をいただきましたけれども、これは率直に言いまして、これから大変だからしっかりしなさい、こういう意味に私どもは受け取っておるわけでございます。今日まで政府としては閣議決定をして行革には誠心誠意取り組んできたわけでございますけれども、これから先も、国鉄の改革であるとか、あるいは地方行革の問題であるとか、あるいは内閣の総合調整機能の問題であるとか、数多くのものが残されておるわけです。さらにまた現在三つの小委員会を設けて行革審でも特殊法人の問題その他を御審議賜っております。
 これらの課題を考えますと、あと来年の六月下旬まででございますから期限が間近に迫っておるといったようなこともございますが、いずれにいたしましても、政府としては、今回のこの行政の改革というのは国政の最重要課題という観点からこれに取り組んでおるわけでございまするので、我々としては不退転の決意で、政府としてはそういう考え方で臨んでいきたいし、同時にまた国会等にも、したがってそれに伴っての数々の立法を要する事項も、今国会でもこのようにお願いしておりますけれども、来国会にも多くの法案が出るのではないか、その準備も進めておるわけでございますが、どうぞ、そういうことでございまするので、国会等においてもぜひそれが大きな国民的な課題であるというような観点から、何とぞ御理解、御協力を切にお願い申し上げたい、かように考えておるわけでございます。
○原田立君 九月二十四日に閣議決定したその内容は、「内閣の総合調整機能」、それから二番目に「科学技術行政」、三番目に「機関委任事務」、四番目に「国・地方を通ずる許認可権限等」、五番目が「規制行政」、六番目が「国有地」、七番目が「その他」と、こうなっていますが、この七つの指摘があるうち、今回はいわゆる「規制行政」の問題が出ておるわけですね。そうしますと、あとの閣議決定して今回提案した以外のものについての進捗状況はどうですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) 七月二十二日の行革審の答申を受けまして、九月二十四日に「当面の行政改革の具体化方策について」という閣議決定をいたしました。これはこの答申を受けての行程表でございます。この方針に基づきましてただいま御審議を願っておるような規制緩和の法律案を御提案申しておる、こういうことでございますが、さらにこの答申の中で指摘をせられております内閣機能の強化、これは六十一年度の予算編成の過程で結論を得て、その結論の出次第、所要の法律案を通常国会に提出したい。それから科学技術の問題についての御答申もちょうだいしておるわけでございますが、科学技術政策大綱は本年度内に閣議決定をしたい、そして産官学の研究交流を促進する法案を国会で御審議を願うことにいたしたい。それから地方の自主性、自律性強化のための方策として機関委任事務の整理合理化及び地方への権限委譲、これのための法律案も通常国会に提案をさせていただくべく準備を進めておるところでございます。それから民間活力の発揮、推進のための規制緩和、これはただいまお願いしておりますが、なおこのほかに国有地の信託制度の導入、これについては、今の国有財産法にこういう規定がたしかありませんので、検討をいたしまして、所要の法律案を次の通常国会に提出さしていただきたい。こういういろんな法律案について、現在、政府、各省において検討中でございます。
 いずれにいたしましても、全体のスケールが決まるのは、十二月の、今月末の予算編成の過程でだんだん詰めていって、そして所要の法律案を取りまとめて来国会にお願いしたい、かように考えておるわけでございます。
○原田立君 今の長官の話の中に一つありましたけれども、今回の臨時行政改革推進審議会は来年六月で終わりになりますね。これに対して、新聞報道等によりますと、また新たに審議会を設けてやるんだというようなことが新聞には出ておりますけれども、ここら辺はどうですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) この点、いろいろ新聞には出ておりますけれども、先ほど来お答えしておりますように、まだ行革審それ自体が三つの小委員会で審議している重要な事項もございますし、それからまたただいまお答えしたようないろんな法律案の準備もありますししますので、いわゆるポスト行革審については、政府の内部においても、それからまた行革審内部においても何らまだ議論をしていないというのが今日の段階でございます。
○原田立君 総務庁長官、これは希望として言っておきますけれども、この前の官房長官の私的諮問機関の靖国懇、あんなような私的諮問機関などはつくらないということだけははっきりしてもらいたい。来年六月までだから鋭意努力しているということはよく了解しました。私的諮問機関でなくきちっとした審議会を設けて行うんだということの受けとめ方でよろしいですか。
○国務大臣(後藤田正晴君) いわゆる私的諮問機関、研究会ですか、これについてはしばしばおしかりを受けておりますから、それは十分腹に置いて処理していかなきゃならぬ、かように考えております。
○原田立君 大蔵大臣が何か大変忙しいそうなので、本当はもっといてもらいたいんですけれども、二十分ぐらいで退場なさると聞いております。大変残念に思いますが、しょうがない、順序を変えてお伺いしたいと思います。
 大蔵省は今年度上半期の国際収支速報を発表しておりますが、それによると、半期としては史上最高の黒字幅を記録したわけでありますが、その原因についてどのように認識しているのかというのが一つ。
 それから、短絡的見方はできないかもしれませんけれども、急激な輸出の減少とかあるいは円安は考えられないとかいうようなことで、今後も現状とそう大差はないというような方向で下半期は推移するのかどうか、その点はいかがですか。
○政府委員(行天豊雄君) お答え申し上げます。
 六十年度上半期の貿易収支は二百九十三億ドルの黒字を計上いたしました。これは委員御指摘のとおり過去最高の黒字額でございます。
 この原因でございますが、多々もちろんございますが、大きく分けまして三つかと私ども考えております。一つは、このところ続いておりましたドル高・円安の結果、我が国から輸出が非常にしやすい状態にあったということ。それから二番目には、米国の経済が昨年以来非常に活発な拡大を続けておったために米国における輸入需要が大きかった。同じような事情は中国にもあったわけでございます。そういうことで、輸出は概して好調でありましたのに比較いたしまして、輸入の方は、御承知のとおり、石油価格等我が国が非常に多く輸入しております一次産品の市況が低迷を続けておりましたために、輸入の方はむしろ減少ぎみであった、こういった結果、大きな貿易黒字が出たものと考えておる次第でございます。こういった傾向は現在も続いております。
 したがいまして、御質問の本年度下期でございますが、仰せこの貿易収支の問題はいろいろ要素が多うございますので、現時点で的確に予測をするわけにはまいらぬ事情は御了解いただきたいと思うのでございますが、少なくとも現在までのところはかなり黒字基調が続いておる。九月二十二日のいわゆる五カ国蔵相会議以来のドル高是正によりまして、今後我が国からの輸出につきましては徐々にこのドル高是正の効果があらわれまして、輸出につきましては増勢鈍化、減少という傾向になるものと考えておりますが、そういった輸出減少に至りますまでには多少時間がかかるということもございますので、現在では今年度下半期の黒字幅につきまして確たる予測を申し上げることができないような感じでございます。
○原田立君 輸出の先行きに大きな不安材料はないなどのことを見ると、六十年度の貿易黒字は前年度に比べて大幅な伸びになるであろう。民間なんかも五百億から五百五十億ぐらいの間の数値を、数カ所からそういう数値を出しておりますが、六十年度の経常収支の見通しは一体どういうふうに見ていらっしゃいますか。
○政府委員(行天豊雄君) 六十年度の経常収支につきましては、年初の政府見通しにおきましては、三百四十億ドル程度の黒字が出るのではないかというふうに見込んでおったわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたとおり、現在までのところはかなり前年同期を上回る黒字のペースでございます。ちなみに、今年度に入りましてから、上半期すなわち四月から九月までの経常収支の黒字は二百六十六億ドルということでございます。前年度の同じ四月から九月までの黒字は百八十七億ドルでございましたから、前年度に比べますと相当幅が広がっておるということは確かに御指摘のとおりでございます。
 この経常収支の大幅な黒字は、先ほどの御質問でお答えしました、その基礎になっております貿易収支の黒字が非常に大きくなっておるということが最大の理由でございます。九月以降のドル高是正によりまして、いずれこの貿易黒字がだんだんと縮小していくものと期待しておりますので、それを反映いたしまして、経常収支の黒字につきましても、増勢の鈍化、縮小という過程をたどるものと期待しておりますが、先ほども申しまして繰り返しになりますが、これはいろいろな要素があるものでございますからなかなか的確な見通しができない。ただ、今年度の経常収支黒字につきましては、昨年度に比べますとどうしても多くならざるを得ないんじゃないかなという予測を現在持っておる次第でございます。
○原田立君 今局長の答弁の中に、少しはトーンダウンするんじゃないかというような意味のお話があったけれども、僕はそうはいかないと思うんですよね。貿易収支の黒字幅というのはわっと太ってくると思う。そうなると、大蔵大臣、アメリカやECやASEAN等から、また日本は貿易黒字ばっかりやってけしからぬというふうな圧力がかかってくるんじゃないか、こう心配するんですけれども、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 今も御説明申し上げておりましたが、G5の効果というのはかなり時間がかかって出てくるものではなかろうか。最初は、Jカーブということを言っておりますが、短期的に見た場合にはむしろふえていくんじゃないか、こういう議論もございます。したがって、私ども、例えばの話でございますけれども、今原田さんと私どもは年度で見て議論しますけれども、外国はとかく暦年で見ます。そうすると、それが二月ごろ正確にわかってくる。そうしますと、ちょうど我が方の予算審議、こういう状態の中でこの黒字幅が出てまいりますと、外国からもそれに対してのいろんな意見は出てくるだろうというふうに、私も今から若干の予測をいたしておるところでございます。
 しかし、G5の円高基調の定着への期待と、それからアクションプログラムに基づいて今御審議いただいております関税の一括引き下げでございますとか、あるいは、まさに今御審議いただいております一括法、これらの効果もずく出るわけじゃございませんけれども、そこの中身等をおっしゃいましたアメリカにもECにもまた開発途上国にも正確に説明して根気強く理解を得ながら進めていかなきゃならぬ課題だというふうに私も考えております。
○原田立君 大蔵大臣、あなたの考えているように輸入増につながるというのは大分先になるであろう。こうなると当面は内需拡大、これをしなきゃならぬと思うんですが、内需拡大をどうするかが最重要課題ではないかと私は思うんですが、御所見はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 輸入増ということで、例えば先般発表いたしました三兆一千億でございますか、この経済対策で、経済企画庁がある一定の前提を置いた仮定計算をしましても一年間で二十億ドルぐらいだろう、こう言っておるわけでございます。したがって、目に見えて内需拡大施策によって黒字幅が縮小する、あるいは輸入が顕著にふえるということは、おっしゃるように時間のかかる問題でございます。
 そこで、今内需拡大策に対してのいろいろな御意見がございますのは、もともとは輸入増あるいは貿易黒字の縮小、こういうことから内需拡大策が論議されてまいりましたが、その後、いわゆる円高基調の中で中小企業等にキャンセルが出るとか、あるいは成約が延期されるとかいうような問題に対する御指摘も今日いただいております。したがって、輸入増を目的とする内需拡大ではなく、まさに景気対策としての内需拡大をやるべきだ、こういう議論が今出てきておることも十分承知いたしておるところであります。
 したがって、そこら辺の兼ね合いということになりますから、財政が出動する余力はない。そうならば知恵を出さなきゃいかぬというのがいわゆる民活、まさに今回御議論をいただいておる法律案あるいはその規制緩和等によって民活を促進していく環境をつくる、あるいは財政投融資等の活用、あるいはまた地方単独事業の活用、また今度補正予算をお願いすることになろうかと思いますが、その際の災害復旧費の前倒しとか、またその一方、債務負担行為の拡大、すなわち前倒しになるわけでございますが、そういうことを考えて着実にやっていかなきゃならぬ課題だ。それからいま一つは、中小企業等に対する先般決定いたしました融資対策、これらに期待して進めていかなきゃならぬではなかろうかというふうに考えております。
○原田立君 今も大臣言われましたけれども、十月の十五日の経済対策閣僚会議、ここで内需拡大に関する対策を発表しているんですけれども、今お話があったように、その波及効果は、輸入増加効果は約二十億ドル前後。これは経企庁でもらった文書に出ているんですけれども、さあ、こんな二十億ドルぐらいのことをやって、アメリカにしても、ECにしても、ASEANにしても、おお日本はようやっておるなんて言って褒めますか。僕はむしろ、言わなきゃ日本はやらない、言うから少しずつ小出しにしている、けしからぬというふうな批判が強くなるんじゃないかと心配するんです。
 そこで、私お伺いしたいのは、建設国債や建設地方債の増発などにより公共投資の拡充をしてはどうなんだ、あるいは所得税減税、これなど当然やるべきではないか、こう思うんですが、何か自民党の部会でもう所得税減税はやらないんだなんていうようなことが新聞にしばしば出ていますけれども、本当に内需拡大という面で、日本の立場として二十億ドルぐらいの輸入増加効果しか出ないような方策だけで済ましておったら、これは問題になるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かにおっしゃいますとおりいろんなことを考えてみても、なかなか買う物がないと言うと失礼に当たりますが、何ぼでも日本が安くて、長もちして、いい物をつくるものでございますから、本当に一つ一つの品目別に見ますと、私も原田さんの御懸念のような感じを持ちながら苦悩しておるところです。
 そして、同時にまた諸外国に対しても、外国の方から見た輸出努力もしていただきませんと、日本は実際問題猛烈な輸出努力もかつてはやっておったわけでございますから、その方もお願いをしなければならぬ。これも前提を置いた仮定計算でございますけれども、例えば所得税の約三分の一にわたる五兆円の所得税減税をしたら、大体七億ドル程度の輸入がふえるじゃないか、あるいは三兆円の公共事業をやって十三億ドル程度じゃないか、それも公共事業をやれば、鉄鉱石ということになれば豪州、ブラジルということになって、これもアメリカから買う物はないじゃないか、こんな意見もございます。いや、住宅を建てればそれは大工さんなど忙しくなって、うちへ帰って飯を食わぬようになってパンを買って食うから小麦の輸入がふえてくるというような、あらゆる議論をしておるわけでございます、私のような素人なりにでも。が、確かにトタで輸入増につながるという問題は本当に少のうございますので、したがって、諸外国に対しては、まずはこのようにフェアなオープンマーケットをしておりますということを態度で示すということ、それからあらゆる規制緩和等によって内需拡大の環境をつくる努力をしておりますということを示すこと、それからいま一つは、総理の方で、いわば我が国のよって立つ産業構造の基本についてもうこ週勉強し直してみようじゃないかというので、前の日銀総裁の前川さんを座長にして最近勉強を始めたところでございますが、そういうような形でもって諸外国に理解を求めていかなければならぬという感じがいたしておるわけであります。
 具体的に所得税減税の問題は、これはいずれにせよ来年の秋ごろまでかかって、抜本改正を政府税調に諮問したばかりでございますので、今所得税減税の財源を赤字国債に求めるというようなことになっても財政改革の本旨に反することでもございますので、今直ちに行う環境にはないではなかろうか。そして建設国債の発行の問題も、地方債の問題につきましては先ほど申し述べたわけでございますけれども、実際問題、一兆円の建設国債を発行いたしますと、七%の金利をつけ、六十年間に三兆七千億返さなければならぬ。六十年といいますと、子、孫、ひ孫の時代にまでツケを回すということになりますと、勢い慎重にならざるを得ない。同時に、ことしの予算でも御審議賜りましたが、社会保障費を利払い費が超してしまったという段階でございますだけに、財政改革と、そしてその辺の民間活力活用による景気対策とどう調和さしていくかということは、難儀な難儀な仕事だなということで日夜御意見等を承りながら勉強をさしていただいておるというのが素直な現状でございます。
○原田立君 建設政務次官、何か建設大臣はお風邪を召したようで出られないということで残念ですが、ちょっとお伺いするんです。
 今の話のように、公共事業を中心とした内需拡大策について建設国債の発行をしたらどうなんだという意見があるんですが、建設省もそういう意見と大体同じじゃないかというふうに聞いておるんですが、いかがですか。
○政府委員(谷洋一君) 社会資本の充実が立ちおくれておる我が国でございますし、さらに現在の状況といたしまして、内需の振興を強く推し進めていかなきゃならぬ現状でございますので、今先生から御指摘のような建設公債の発行も建設省としては一つの方法だろうと思っております。しかし、これは先ほど来大蔵大臣からもいろいろとお話ございましたように、国全体の財政運用との関連がございますので、建設省といたしましては、一つの方法としては思っておりますものの、六十一年度予算編成に当たりましては財政投融資に重点を置いて公共事業の増額を図っていきたい、こう考えております。
○原田立君 大蔵大臣は公共事業推進のための建設国債発行には非常に渋い、むしろ極端な言葉で言えば反対というふうな御意見のようですけれども、過日自民党の金丸幹事長は、これは新聞で見ておるだけですけれども、「内需拡大を図り、円高・ドル安でしわ寄せを受ける輸出関連企業を助けるためにも建設国債を出すべきだ。(減額を主張している)大蔵省に反省を求め、予算案に組めるよう努めたい」、こういうふうな意見を述べております。それからまた「大蔵省は建設国債増発を拒否しているが、このまま行くと事態はどうなるか。円高・ドル安のしわ寄せを受ける輸出関連の中小企業などは青菜に塩≠ノなると強調、公共事業を中心とした内需拡大の必要性を力説した。」、こういうことなんです。もっともその後に「ただ、建設国債発行額を六十年度より増やすのか、少なくとも現状維持とするのか、については詳しい言及を避けた」。こういう報道があるわけですが、建設省の方も何か余り歯切れのいい返事じゃないけれども、そんなことで内需拡大推進できますか。これは政務次官と大蔵大臣にお伺いします。
○国務大臣(竹下登君) その金丸幹事長の新聞報道、また原田先生のきょうの御意見、日本というのは自由な民主的な国家でございますから、いろんな議論があって私もいいと思っております。その中でどう調和をとっていくか、こういうことが選択の問題であろうというふうに考えるわけであります。建設国債もちろん発行しないわけでもございません。当然いわゆる公共事業についての建設国債は発行せざるを得ないわけでございますが、それを増額する、あるいは減額することをやめるべきだ、こういうところが議論になっておるわけでありますが、建設省も私どもも等しいのは、仕事の量だけは確保しようじゃないか、そこに地方債の活用とか、先ほど建設政務次官からお答えにありました財政投融資金の活用、あるいはこれから結論を出すことでございますが、東京湾の話とか、あるいは明石架橋の話とか、そういうものにどのような工夫をして事業量を上乗せする、結果として事業量が上乗せするようになるようにしなきゃならぬというので、予算編成過程を通じて毎朝毎晩話をしておるというのが現状でございます。
○政府委員(谷洋一君) ただいま大蔵大臣からもお話がございましたが、建設省の立場から申しますならば、建設公債というのは赤字公債とは違うという考えを持っております。しかしながら、国の財政運用という立場から考えますと同じでございまして、大蔵省とは十分話し合いの上でともかく六十一年度予算編成に当たりましては事業量をふやしていきたい、こういう考えのもとに強く大蔵省と話し合いを進めておるわけでございます。そういうことで、先ほど申し上げました財政投融資の増額の問題あるいは民間活力の問題等々あわせまして増額をしていく方針でございます。
○原田立君 大蔵大臣、大型間接税の導入なんかはしないでしょうね。財界、労働団体、学識経験者などで構成する社会経済国民会議(有澤廣巳議長)は、十一月十四の日に「これからの経済運営と行財政改革」と題する提言をまとめたわけでありますけれども、行財政改革がまだ十分進んでいないのに大型間接税を導入すれば、税の取りやすさに頼った財政の膨張を許し、行革が途中で挫折してしまう、こう強調しているのでありますけれども、そんな導入だなんということは考えないでしょうね。
○国務大臣(竹下登君) 有澤先生の調査会の基本的な考え方は、まずもっともっと歳出の削減あるいは行政改革、すなわちひっくるめて行財政改革をするところのまだ努力が足りない、これが何よりも先だ、こういう哲学の上に立っておりますので、ある意味においては臨調路線とでも言えるんじゃなかろうかというふうに私どもは理解しております。
 そこで、税の問題ということになりますと、これはそれこそ幅広い間接税のあり方というようなものは勉強すべき課題だよというのは、今までの税制調査会の中期答申にもあるわけでありますが、いずれにせよ九月から新しく、よく言われます公平、公正、簡素、選択、活力という五点から、抜本的な税制改正の議論をしてください、こういう諮問をしたところでございますので、これがその税調における議論というものに予見を持って申し上げるわけにはまいりませんが、きょう直ちにいわゆる大型間接税を導入するとかいうようなことは、これは税調の御審議をも見ないでそんなことは私ども言えるわけもございません。
 ただ、今原田さんおっしゃいましたように、間接税というのは確かに取りやすい、表現が適切でないかもしれませんが、取りやすいかとも思います。五十八年度でございましたか、あのたばこ、結果的には今消費税になっておりますが、たばこを一本一円税金をちょうだいいたしますと、ちょうど三千億円になるわけでございますから、なるほどな、一億二千万で割ってみれば一人当たり二千五百本、三百六十五で割れば一人当たり七本、六人に一人たばこをのむ者があれば六、七、四十二、なるほど相当なもんだなと思ったことがございますが、事ほどさように間接税というものについては一遍入れた場合に非常に安易になりがちであるという批判はいつでも、これはヨーロッパの反省においてもあるわけでございます。したがって、すべてがこれは審議の過程において税調の審議を見守らしていただいておるというのが現状でございます。
 そしていま一つつけ加えますならば、中曽根総理も本院の予算委員会等におきましても、網羅的、羅列的、普遍的、投網をかけるようなものはやりません、かつての取引高税とか、いわゆる一般消費税(仮称)というようなものを自分の念頭に置いて申し上げておるわけでありますというようなことをたびたびお答えをなすっておるとおりであろうと思っております。
○原田立君 大蔵大臣ね、率直に言って所得税減税はどうしてもやらないんですか。今諮問をしているから、それが出てこなければ全然手をつけないんだと、こういう拒否的な返事しかもらえないんですか。
 この前、過日の内需拡大策のあの閣議決定したのに対しても、巷間、マスコミなんかも、あらゆる人たちの意見なんかも、どうして所得税減税の案を入れないのか、これは非常に不審な点であるということを強く指摘していますよ。また今だんだん増税感が高まっている時代なんですから、そして内需拡大を図らなければいけないんですから、所得税減税というのはどうしてもやるような方向に持っていかなきゃいけないと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(竹下登君) 元来政府税調というものについては、国会での議論を正確にお伝えしてそれをもとに議論してもらう、そして政府側から予見めいたことは申し上げない、こういう形で今日までも運営されてきておるわけであります。したがって、抜本策を諮問した今日、その諮問のこれから御審議を見守るというのが公式的には答弁の限界であろうというふうに思うわけであります。
 では仮説として今直ちに減税ということを考えた場合に、さあ、さようしからばどうやってその減税財源をどこに求めるか、こういう議論になるわけであります。そうすると、勢い現段階においてはその分赤字国債でもって充てるということに仮になったといたしますと、それこそ今日の減税のために六十年間子孫にまさにツケを回すということになる、やっぱり生きとし生けるものとしてこの辺は辛抱しなきゃならぬじゃないかと、こういうことも考えざるを得ないと思います。そして、この一つの事象をとらまえての税制改革というよりも、シャウプ以来いろいろなゆがみ、ひずみもできた税制の抜本改正という中でとらまえて所得税の減税というものは議論さるべきものではなかろうか。したがって、今直ちにおまえ減税をやも用意があるか、所得税減税をやる用意があるかというお尋ねであるとしたならば、それには今そこへ決断をする環境には残念ながらございませんと答えざるを得ないと、こういうことでございます。
○原田立君 甚だ不満な答弁でございますが、次に進みたいと思います。
 国有地の問題ですけれども、規制行政の問題の前に国有地の問題についてお伺いするんです。大蔵省は総務庁とも連携をとりながら民間活力活用可能な国有地の総点検調査を行ってきたと聞いておりますが、今日までの経緯はいかがですか。それからまた民間活力活用可能土地の選定を調査点検しているという話も聞いておりますが、いわゆる民間活力活用可能土地とはどんなものか、その定義等をお教え願いたい。
○政府委員(中田一男君) まず、民間活力可能土地ということで実は先般九月に行革審の答申に基づきまして閣議に報告をいたしましたが、大蔵省は行政財産等全国で昭和五十九年度には四千カ所ばかりの土地を実態調査いたしまして、その中で効率的に使われてない土地について今後どうするかということを詰めていきました。そして国で使う予定があるものはよし、国で使う予定のないものは、地方公共団体等に公用公共用として使う予定があるかどうかということを確かめられるものは確かめ、そういう予定のない土地、また面積的に言えば大体千平米以上の比較的大きな土地、こういうものに着目いたしまして、これを公用公共用としてさしあたり使う予定のないものは民間に処分して民間の力で活用していただこうと、こんな考え方から選定をいたしてまいったわけでございます。
 この選定は実は今回が初めてではございませんで、民間活力の活用というのは昭和五十八年の前半ごろからそういう考え方が前面に出てまいりましたので、既に昭和五十九年の二月、五十九年の十月、そして今回と三回にわたって、こういった民間で使っていただいていい土地というものを選定してきたというのがこれまでの動きでございます。
○原田立君 民活可能土地の選定は現在二百七十八件百六十二・二ヘクタール、そのうち処分済みのものが四十六件ということでありますが、この四十六件中、地方自治体等公共の用に供したものは一体何件あるんですか。
 というのは、これを聞きたいのは、民活だ民活だと言って民間に払い下げることはかり考えて、地方自治体等公共の用に供するものについては大分影が薄いんですよ。それを心配するんですが、いかがですか。
○政府委員(中田一男君) まず直接の御質問からお答えしたいと思いますが、四十六件のうち地方公共団体に処分いたしましたものは二件でございます。
 四十六件のうち二件で少ないなという御印象だと思いますが、先ほど御説明いたしましたように、民間活力可能土地を選定するまでの間で既に地方公共団体が使いたいというふうなことを言ってきておりまして、その計画がかなり具体化しておるものは民間活力可能土地には選定いたしませんで、直接地方公共団体等に処分しております。したがいまして国有地の処分の傾向がこの民活の処分で代表されるということではございません。むしろ私ども、冒頭に言いましたように、国有地を活用していく基本は、有効活用してそして余った余裕の出たところをまず国が使うなら使う、地方公共団体が公用公共用に使いたいということであればそれはそれで優先する、そしてそういう予定が現在ないものについて民間に処分していく、こういうことを基本にやってきておりますので、最後の民間活力可能土地だけを見ますと民間に行っているものが多い。これは、選定いたしましたときにはまだ地方公共団体の利用要望がはっきりしておらなかった、しかし民間活力可能土地として選定しております土地は行政財産で現在まだ使っておる、処分が三年先、四年先にわたるというものも含まれております。そういたしますと、そのうちに公共団体の方から、いや、あれは計画はなかったけれども実はこういうふうに使いたいというような話が後ほどやってくることがあります。そういう要望につきましても、話を聞いて妥当であれば、それを公用公共用の方に回すということもやりつつ運用しているわけでございます。
○原田立君 国有地活用の基本的考え方として、答申では「基本的考え方」という中で、第一番目に「土地対策の面からの要請」として「土地利用の有効性を高めるためには、高度利用誘導型の土地政策、地価対策、長期的かつ総合的な地域開発等が系統的、計画的に実施される必要がある」、それから第二番目に「都市整備の面からの要請」として「今後は、既成市街地の土地利用の高度化を進めることにより、道路、公園等の公共・公益施設の整備、オープンスペースの創生等を図り、災害に強く、安全で快適な環境を備えた活力ある都市づくりを推進する」、こういうふうに言われているのはあなた方御承知のとおりでありますが、今の件数では行革審の答申からするとちょっと方向が違っているのじゃないですか。四十六件中だった二件が地方公共団体であるというようなことは、社会資本の整備、公共福祉のための民間投資を活用することが民活の趣旨だと思うのでありますけれども、答申どおり一〇〇%現在行われている、こう自負していますか。
○政府委員(中田一男君) 行革審の答申におきましても、公用公共用等をまず優先的に考える、そういう原則は維持しつつも、そういう使用の予定のないものについては民間に処分していくという考え方でございます。したがって、今委員御指摘の点は、その前段、大いにそういうことに使うべしということだと思いますが、私どもも土地を処分します場合に、そういうところは十分念頭に置いて、地方公共団体にも利用要望の有無などを確認しておるわけでございまして、その要望のないものを民活土地として選定してこれを処分していく。先ほど申しましたように、一たん要望がないといっても後から要望が出てきたら、それももう一度再検討しようといって、それが妥当であれば地方公共団体に処分する、その件数は二件でございます。年間に国有地を処分している件数からいえば、これは地方公共団体への件数というのは非常に多いものでございまして、これらをすべて考えあわせますと、行革審の答申におっしゃるような基本的な方向を踏まえつつ国有財産行政を進めてまいっておるものというふうに確信しております。
○原田立君 後藤田長官、今までのやりとりをお聞きになって、民間会社売却中心のやり方が行革審答申に十分かなう内容であるというふうにはまさか考えていないでしょうね。
○国務大臣(後藤田正晴君) この国有地の利用の問題ですけれども、これは行革審の答申にもあるとおり、そしてまた今大蔵当局からお答えしたとおりのようなやり方で実は取り組んでおるんです。
 申し上げるまでもありませんけれども、国有地というのは国民共有の財産でございますから、これは何といったって公共目的にまずは優先して使う。それがためには、国なり地方団体が使う予定のあるもの、これは当然除かなきゃなりません。しかしながら、さればといって、土地というのは貴重な資源でございますから、使う目的がない、そしてそれをそのまま放置して何十年も置いてあるというようなものであれば、有効に国土利用するということも国民全体の立場から見て適当ではないか。こういうようなことで、実は大蔵省を中心に調査していただいたわけです。実際は行政財産なんというのはそれぞれの所管官庁が手放すものじゃないんですよ。絶対心配ありません、そういうことは。僕らが見ても、これは一体使う目的あるのかい、こう言っても、ありませんものもある、こう言うんですよ。しかし、それでもそこらは各省の言うのももっともだなあ、こう思えばよかろう。それから地方公共団体も全く同じでございます。
 したがって私どもは、こういった貴重な国民の財産ですから、何といったって災害用にはどういう土地が要るとか、あるいは公園緑地にどういうものが要るというものであれば、当然それはのけて、それで最後に残ったものがただいま大蔵当局からお答えした件数である、かように理解しております。したがって、原田さんが御心配のようなことは私はもう全く実際問題としてはない、かように考えているわけでございます。
○原田立君 市街地における都市再開発を進めていく場合、どうしても代替地が必要であります。東京を中心に近県では緊急の課題ではないかと思うのであります。具体的には公務員宿舎であるとか、あるいは住宅・都市整備公団など、いわゆる老朽建物の建てかえなど代替用地や空地として確保し、今後の都市再開発の用に準備するというようなことも重要な問題じゃないかと思うんです。
 以前、東京紀尾井町の旧司法研修所の跡地が民間の不動産会社に落札売却されたこともありますが、これは公示価格の三倍であった。また昨年三月、品川駅そばの国鉄用地がやはり公示価格の三倍で落札されている。その後この周辺の地価が急上昇しておる。このような前例を見ると、地価対策とは逆に国有地の売却によって地価上昇のそれが先導役になってしまう。こんなおそれが実はあるわけでありまして、こういう心配をするわけでありますが、国民の貴重な共有財産である国有地がこのような形で利用されることがあってよいのかどうか、またこのやり方が国有地の有益な利用方法、活用方法と言えるのかどうか、この点いかがですか。
○政府委員(中田一男君) まず最初の都市圏にある土地については住宅の建てかえ用地、公営住宅、公務員宿舎等の建てかえ住宅あるいは都市開発整備のための代替地等としてとっておくことが望ましいのではないかという御指摘の点でございますが、私ども民活可能土地を選定するに先立ちまして、公共団体にその土地がそういう目的で必要であればそれは優先的に確保するということで来ておるわけでございます。
 公務員宿舎等の用地につきましても、同じように民間に処分する前に要るかどうかということを判断し、要るものはとっておるわけでございます。そしてそういう予定がない土地を民間に処分する民活可能土地として選定をして処分していくということを段階を踏んでやっておるわけであります。
 紀尾井町の土地につきましても、実は国の内部でこれを利用する計画はあるかどうか、あるいは東京都あるいは千代田区等に利用する計画はあるかどうかということを確かめましたけれども、これらの団体でそれぞれ使う予定はないということでございました。あのようにいい場所にある土地をいつまでも未利用のままで置いておくということも、国有地、貴重な財産であります国有地を有効に使って内需を拡大する、あるいはこれを処分して、現下の財政の事情の悪いときに財政の面から見ても処分してその収入を上げるというふうな角度からしましても、民間に処分していくことは妥当ではなかろうかと判断して売却をしたわけでございます。
 確かに品川の駅前の土地の処分というのは先例でございましたので、私どももこの処分に当たりましては、競争入札が原則ではありますけれども、無条件の競争入札であってはいけない、これを購入した民間の企業がすぐに建物を建ててみずから利用するというふうな、言うなれば実需をもって入札に参加してもらうという形でなければいけないだろうと判断いたしまして、競争入札は、原則は無条件でもいいという法律の規定がございますけれども、この場合は特に建築の着工条件ですとか竣工条件ですとか、そういう条件を付して入札を行ったわけでございます。
 いろいろ話題にもなりましたし、確かに公示価格に比べますと相当高い値段になったわけでございますが、もともとこのところ東京の都心部の土地が非常に需給が逼迫しておりますといいますか、需要が非常に強うございまして動いておるというような状態でございました。そういう中での競争入札とすれば、余りフィーバーにならずにマーケットで値段を決めていただいたというふうに見ておるわけでございます。
○原田立君 古屋自治大臣にもおいでいただいておりますのでお聞きするのであります。
 行革審では地方行革についても検討を行っていると聞いておりますが、地方行革については各地方公共団体で進められている地方行革大綱づくりが余り進んでいないんじゃないかと、こう思うのでありますが、進捗状況についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(古屋亨君) 地方団体における行革の指針といたしまして、昨年の暮れの閣議決定、あるいは昨年の夏の臨行審の答申に基づきまして、本年の一月二十二日に、自治省におきまして、地方公共団体における行政改革の指針といたしまして行革大綱を策定いたしまして進めておるところでございます。
 進捗状況につきましては、行革の推進体制につきましては、民間有識者から成る委員会は、県、指定都市では全団体、市町村では、九月二十日現在でございますが、二千七百八十三団体、八五・二%が設置されております。また行政改革の推進本部につきましては、県、指定都市では全部、市町村では、九月二十日現在三千八十三団体、九四・四%設置されております。
 さて、行政改革大綱の策定状況でございますが、十二月五日現在、都道府県では三十九団体、指定都市では六団体が策定済みでありまして、市区町村では、九月二十日現在の調査しか今できておりませんが、いずれ近くその調査が参ることになっておりますが、一五%の団体で策定済みという報告を受けております。
 なお、おくれているんではないかというような意見ございますが、民間有識者から成る委員会等において非常に熱心に論議されておりまして、開催日数が予定よりふえていること、また議会を初め関係団体との調整に時間がかかっていること、あるいは団体の中には、万博や国体等、大きな事業を実施しているから、それを済ましてからやるということでございまして、しかし、さきに述べましたように、体制の整備は順調にいっており、大綱の策定は一応軌道に乗っているものと考えておりますが、なお今後とも、私どもはこの点につきましては、馬力をかけまして地方団体を督励して早くこれができますように努力してまいりたいと思っております。
○原田立君 だから、現状で、大臣、順調に進捗しているという判断ではないでしょう。要するに、市町村が一五・三%、都道府県で四二・六%、政令指定都市で一〇%、これはもうはるかにおくれているということですよ。だから、せっかく努力するというお話でございましたから、地方行革がおくれている自治体への指導というものを今後よく督促してもらって実施に当たるように、これは自治大臣にも総務庁長官にもお願いしておくんですが、よろしいですか。
○国務大臣(古屋亨君) 御意見の点は私どもも全く同感でございますので、一生懸命に推進してまいります。
○原田立君 総務庁長官は答弁がないけれども、大体同じだろうと思うんですが。
○国務大臣(後藤田正晴君) 同じです。
○原田立君 余り時間がないもので非常に残念なんでありますけれども、通産大臣においでいただきましたので、午前中も議論になりましたけれども、円高に伴う差益についてお伺いするんでありますが、電気、ガス、石油の円高差益はどの程度になると見込まれておられますか。
○政府委員(野々内隆君) 円高の差益の計算でございますが、これはなかなか難しゅうございまして、電力、ガス会社等に与える影響につきましては、為替レートあるいは燃料の消費動向ですとか石油製品への影響というようなことの条件によりまして異なりますので、なかなか試算が難しゅうございますが、一定の条件で他の条件にして等しければということになるわけですが、そういたしますと、機械的に計算いたしますと、一ドル十円の変化が一年間続いたというふうに仮定いたしますと、電力九社で大体一年間に千二百億円程度、それからガスの大手三社では一年間で百四十億円程度というふうに言えるかと思います。
 他方、石油製品につきましては、これは自由価格でございまして、市場メカニズムによりまして価格が決定いたしますので、コスト変動要因だけでは円高の影響というものを計算することが困難でございますので、ちょっと計算はいたしかねるというのが実情でございます。
○原田立君 当面の経済政策に円高差益の取り扱いが重要課題でありますが、電気料金を初めガス料金や石油関連製品の値下げにはもっと積極的に取り組むべきではないのか、差益還元に対する具体的対応等業界指導にどう対処するのか、これが一つ。
 それから、きのうもテレビでやっていましたよ、円高差損ですね。中小企業の人たちが、こんなんじゃ輸出をやっておったけれどももうお手上げですということで、困りましたということを言っておりました。大変だと思います。下請への転嫁はもう防止しなきゃいけませんよ。下請代金支払遅延等防止法、そういうふうな基本法によって、こういうことがないようにすべきだろうと思うんであります。石油についても、確かについこの間までは一ドル二百四十五円ぐらいのものが入ってきていたわけですよ。それがだんだん安くなって、今は二百二円とか、二百三円とかにドルがなっています。だから、当然我々庶民は少しは安くなるんじゃないだろうかという淡い期待を持っているわけです。だけれども、今まで入っていたのが高かったんだから、それがなくなるまでは下げないんですよだなんというようなことであっては、これでは政治はできないと思うんですよ。エネ庁長官よりも大臣、あなたからお伺いしたい。どうなさいますか。
○国務大臣(村田敬次郎君) 原田委員にお答えいたします。
 大変重要な指摘だと思います。電気、ガスにおける円高差益の還元問題と石油製品、これはまたおのずから違うんでございますが、まず電気、ガスでございますけれども、円高不況が始まりましてから約七十日間でございます。まだまだ日が浅い。したがって、そういった影響が実際の収支面に及ぶにはタイムラグがあるということで、現在直ちに収支に円高の影響が出ているわけではありません。十一月末に発表されました電力各社あるいはガス会社三社等の決算を見てみますと、上半期は前年度に比べて大体横ばいの状態であるという結果が報告されておるのでございます。また昭和五十三年の円高のときの状況を見ましても、これは相当の期間を見てから料金等に対する一都還元が始まるわけでございます。
 したがって、私が今考えますのは、来年の決算が出ましてその後の計画が立つ来年の六月ごろの時点において、円高差益の還元をどういう形で行うかというのを決めるのが一番妥当なのではないか、このように考えておるわけでございます。
 と申しますのは、一番近い電力料金改定の例で申し上げますと、昭和五十一年に電力料金を二三%アップいたしました。そして二年たって昭和五十三年に円高が始まったわけでございますが、このときには七%ダウンして、一軒毎月二百七十円の値下げをしたわけでございます。ところが、それから二年たたないうちに今度は電力会社の経営が非常に行き詰まりまして、約五割の電力料金をアップしておる。こういったような料金が上がったり下がったりということになりますと、国民にも非常に影響をもたらしますので、したがって、そういった意味で究極的に電力の安定供給ができる、また消費者、国民が安心して電力が使えるのにはどういう形がいいのであるかということを考えて、来年の夏ごろに判断するのが適当であろうか、このように考えております。
 また石油製品でございますが、これは原田委員も御指摘になりましたように、このように石油が下がってくるのであるから料金を下げるのは当たり前であるのではないかという発想は非常によくわかるわけでございますが、石油製品というのは市場商品でございまして、価格は市場メカニズムによって決定されることが基本でございます。その意味でまだ円高が始まってから日が浅い、現時点では為替レートの動向だとか、あるいは国内経済だとかいろいろな事態をよく見守って対応すべきである、このように考えておるところでございます。
 いずれにいたしましても、円高問題が起こりまして中小企業にも大変深刻な影響が輸出関連産地においては起こっておるところでございます。したがって、緊急融資その他の措置をとることを決定いたしまして、既に十二月二日から一千億円の緊急融資をすることを始めたわけでございますが、さらに六十一年度の予算においては金利のもっと安い緊急融資のできるような要求を合いたしております。
 それから輸出関連事業において円高のために下請企業が非常に困っているのではないかということでございますが、このことは原田委員御指摘のとおりでございまして、したがって今月の十六日、月曜日に輸出比率及び下請企業比率の高い業種にかかる親事業者団体の長を、五十六団体でございますが、お招きして、私から直接円高の下請企業に及ぼす影響について特に不適正なことの行われないよう内容説明も行い、下請取引の適正化について指導を行うように予定をいたしておるところであります。
○原田立君 建内保興石油連盟会長ですか、このお方は一ドル二百円が定着するならば来年度以降考えるというような返事をしているようであります。またもう交代したそうでありますけれども、小林庄一郎電気事業連合会会長さんは、電気料は下げないと言っている。ところが、これは十月の十七日のことでありますけれども、新聞でありますが、十一月の二十八日に九州電力の川合辰雄社長は、十一月二十七日の記者会見で、六十年度決算が固まった時点で円高差益が生ずれば電気料金引き下げを含む何らかの方法で差益を消費者に必ず還元したい、こういうふうに述べている、こういうふうに報道されているわけであります。今の大臣のお話ですと三月決算ですか、そして六月ごろをめどにというふうなお話だったけれども、今三者の言っていることを参考にして申し上げたのですが、再度お答えをいただきたい。
○国務大臣(村田敬次郎君) まず電力問題でございますが、電事連の小林会長が言われました言葉、それから九州電力の社長が言われたという言葉、これは私の先ほどの答弁と決して矛盾しておらないと思っておるのでございます。と申しますのは、円高差益というものはある程度定着しないと判断ができないわけでございまして、先ほど申し上げた五十一年、五十三年の事例は、五十一年の年度平均レートが二百九十三円四十五銭、五十三年は二百二円五十七銭でその間九十一円の差があるわけでございます。しかも二年間のタイムラグがあって初めて二百七十円の差益還元を決定したわけでございまして、
   〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
したがって、一年、二年どこういった為替レートが定着し、円高差益が定着するということが明らかであれば当然判断するということでございますが、その判断も、先ほど私が申し上げましたように、電力の安定供給ということから見て、いかなる方法が一番妥当であるかということを判断した上で決定するのが正しい態度である、このように考えておるわけでございます。
 また、建内石油連盟会長が差益を還元するということをおっしゃったというのは、私も新聞その他で読んでおりますが、これも相当期間の為替レートが定着し、そして円高差益を還元してもいいという状況判断がつけばという仮定であろうと思います。石油業界は率直に申し上げて非常に不況でございまして、経営そのものになかなかの困難がつきまとっておるわけでございまして、現在の時点で円高差益の還元というようなことはとても無理であろうと私どもは考えておるところでございますが、それは市場メカニズムの決定するところでありますので、自由主義経済に従って判断すべき問題である、このように考えておりまして、電力、ガスの場合と石油の場合はやや状況が異なるかと存じております。
○原田立君 実は余り時間がないものであれですが、通産大臣ね、小売価格一万円程度の高級ウイスキーの輸入原価がたったの千円だという、あんな話を聞いてもうがっかりしましたね。国民全体ががっかりしたんじゃないでしょうか。流通経路を抜ける間に、もとの相場の十倍以上になってしまう、輸入品が安くならないという流通機構上の問題がありますが、このような実態を見ると、国民の多くはどうもすっきりしない、割り切れない気持ちが多いわけでありますが、この際流通機構の改善なり何らかの対応策を実施する必要があるんじゃないかと思いますが、大臣の御所見をお願いしたい。
○国務大臣(村田敬次郎君) 大変ごもっともな御指摘だと思います。
 実は、そういった流通過程におけるマージン等の問題をいろいろ研究しておりまして、今原田委員の御指摘になったウイスキーとか、そういうものは、実は大蔵省マターなんでございますが、確かに原価に比べて余りにも国民に売られる価格が高過ぎる。これは物によっていろいろ差がございまして、例えば化粧品、自動車、いろいろございますが、流通マージンが大変異なるわけでございます。いずれにいたしましても、原田委員がそれをお聞きになってがっかりされたということは全く同感でありますし、そういう流通過程で取られるものが余りに大きいと、どうしても製品輸入が拡大しないという点もございます。そういった点については大蔵省なり通産省なり農林水産省なりでそれぞれ調査をいたしまして、既にいろいろ調査結果も集まりつつありますので、委員御指摘のような流通過程における不合理性をどうしたら抜くことができるか、脱却することができるかについて検討を進めてまいりたいと思っております。
○原田立君 中小企業庁長官、さっき大臣から答弁をちょっともらっちゃったから、あなたに来てもらったけれども時間が実はないのです。中小企業の人たちが年末を迎えて大変苦しんでいる。これは先ほど福間委員の指摘したとおりですよ。ぜひ温かいおもちが食べられるように、ぜひきちっとした対応策を、あなたが決意しなければできないのですから、しっかりやってもらいたい。その返事だけ聞きたい。
○政府委員(木下博生君) さっき村田大臣の方からお答えもございましたけれども、私どもとしては、急激な円高によって、より影響を受けている中小企業者の方々に対する対応策というのは十分に講じなくちゃいけないということを考えておりまして、とりあえず予算措置を必要としない形で今週から金融措置を実施しておりますが、今度の予算折衝の過程において十分な対策が講ぜられるよう大蔵省との間と十分協議していきたいというふうに考えております。
○原田立君 実は、この次に自己認証制度のことでお伺いしようと思ったんですけれども、これはもう午前中質問がありました。それで政府認証と自己認証、わからないことはないけれども、もし仮に問題が起きた場合に一体どうなのか。企業だけが責任を持ってやればいいのかどうかということが大きく問題として出てくるわけです。特に食品関係、消費生活用製品安全法の改正なんかいろいろ出ているけれども、こういう問題については、もし手の打ち方が間違うと危険が伴うわけです。だから率直に言って余り賛成しがたいのだけれども、八品目特定品目がありますが、そのうち一品目だけ解除する。それは何かコカコーラかペプシコーラみたいなあんな瓶の関係のものらしいようだけれども、ひとつ事故のないようにきちっとしていただきたい、要望しておきます。
○政府委員(松尾邦彦君) 御指摘の消費生活用製品安全法の自己認証への移行に当たりましては、私どもといたしましては、現在と同程度の安全性が確保されるよう、今般御審議をお願いしております法改正におきましても、十分そのための手当てを行ってまいっておるつもりでございます。法の規定も当然でございますけれども、その運用に当たりましても、先生御指摘のように、事が消費者の安全にかかわる問題でございますので、十分遺憾のないような機動的なかつまた厳正な運用を図ってまいりたいと考えております。
 今先生が御指摘になりました事故が仮に起こった場合のことについても一言触れさせていただきますと、私ども十分気をつけて運用していきたいと考えております。
○原田立君 建設省、大変お待たせしましたけれども、地代家賃統制令を今度廃止しようという。考えてみれば昭和十四年にできた法律が今まで生きているのもどうかなというような気もしないでもありません。だけれども、借家が九十万世帯、借地が三十四万件、百二十四万、三百四十万人の人たちが今度は影響を受けるわけであります。あなた方の言うこともわからないことはない。あるいは総務庁長官が趣旨説明の中で三つの条件を示した、それもわからないことはない。だけれども、実際に今そこに住まっている人たち、お年寄りとか収入の少ない人とか、生活保護を受けている人だちだとか、そういうふうな人たちが統制令撤廃になって、それでじわじわ家賃が上がっていっちゃって、そこにおられなくなっちゃったなんてなったらば、これは重大な問題だと思うんです。
 私も過日あるところへ行って調べてきましたけれども、昔はへんぴなところだったであろうけれども、今は都心の中心部になっている。だから妙な感じをしながら実は見てはきたんですけれども、十四年につくった法律がまだ生きているということで今度は改正しようという気持ちもわからないことはない。だけれども、波及する、影響する人たちが多いのだからそこら辺の対応策をどんなふうに考えていますか。
○政府委員(渡辺尚君) 先生今お示しのように、もともとは昭和十四年にできておりまして、現行の地代家賃統制令は昭和二十一年にできたものでございます。廃止の影響でございますけれども、私たちが見ているところでは、要するにこの廃止の理由というのはいろいろございますけれども、その中の一つに全体の民間借家の中でのパーセントを見ますと七%である。つまり九三%の方々とのバランスの問題も重要に考えるべきではないだろうかというふうに考えたわけでもございます。
 しかしながら、全般としてこの影響がどうかという点につきましては、非常に長期間継続して入居しておられるという実態があるということ、それからこの地代家賃統制令の対象が昭和二十五年七月十日以前のものでございますから、一番新しいものでも三十五年たっている。要するに非常に老朽化しておるということ。さらに統制令が廃止されましても、借地・借家法の上での地位には何らの変更もないといったようなことから、影響は比較的少ないんではないかというふうには考えております。しかしながら、お示しのように確かに年齢的には高齢者の方がやや多い、あるいは低所得者の方もやや多い、一般の民間借家に比べてでございますけれども、という状況もございます。そこで我々は、トラブルを防止してスムーズに廃止が行われるようにということでいろいろ考えでございます。
 まず第一は、正確な情報を広報により提供するということだと考えております。それから第二には、影響の中の一つとして便乗値上げというものが考えられるわけでございますので、そういったものがくれぐれもないように関係の借家の例えば経営者団体でありますとか仲介業者団体等を指導してまいりたいというふうに考えております。それから、いろんな問題が起こってくる場合に、公共団体でその対応ができるように相談体制を十分に充実したいと考えております。そういった一般的な対応で足りるというふうにも考えられるわけです。
 なお、この統制令の廃止に関連しましてどうしても他へ転居しなきゃいかぬ、かつ公営住宅の入居資格がおありになるという場合には、公営住宅には、何度も申し上げておるのですが、特定目的公営住宅制度というのがございます。その優先入居の制度を活用いたしまして、必要によりましては枠を拡大するとか、あるいは、これは毎年特定目的のものをつくっておるわけですが、そういった建設を促進するといったような形で公共団体を指導していきたいと考えております。
 さらに収入基準をオーバーする者についてはどうするかという問題があるわけでございますが、ちょうど公社・公団の住宅につきましても同じような優先入居制度というのがございます。現実には現在公営住宅の収入基準の超過した者に対してその受け入れを行っているわけでございますが、その例に準じまして優先的に入居ができるようにいたしたい、措置したいと考えております。これらはいずれも通達によって措置をすることを考えております。
 それから非常に古いということでその住宅が不良住宅ということで撤去されるという場合がございます。この場合には公営住宅につきましては特定入居制度というのがございまして、そのまま入れるという制度がございます。この制度を活用しますし、また全く動かないでしかし家賃が非常に重くなってきたというようなケースがもし仮にあったとした場合には、これは生活保護担当部局との連携を強化いたしまして、現在は住宅扶助というのがかなりの額出るというふうに聞いておりますので、万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○原田立君 大体あらあら答えられたように思いますけれども、百万円以下の方々が二十万戸、全体の約二二・七%ですね。それから百万から百五十万の人が十四万戸、百五十万から二百万の人が十二万戸。全部で四十六万戸もあるわけなんです。半分近いんですよ。それから六十歳代の方が住んでいるというのが二十六万戸、約三〇%です。こんなふうな数値をずっと私も資料としてちょうだいしておりますが、今局長が言ったようなことを、ひとつ委員会でしゃべっただけで終わりになるようなことのないようにばっちりやってくださいよ。むしろ僕が言いたいのは、一年後に撤廃になると、そうしたらば、じゃ家賃の決め方や何かのことについてのこういう人たちに対する手当の意味で第三者機関、体制をつくるとか、何か公正なものがつくられていかないと、ぱっぱっと上げられちゃうおそれがある。泣く泣く出ていかなきゃいけないということもある。もう長いことそこへ往んでいて、死ぬまで離れるのはいやだなんという人もおると思うんですよ。それを無理無理引っぱがしていくようなやり方は建設省はしないと思いますけれども、そこいら辺のところを含めて局長に答弁してもらいたいし、次官、あなたは大臣代理ですからきちっとした答弁をいただきたい。
○政府委員(谷洋一君) 先ほど住宅局長の方から詳細にわたって申し上げたわけでございますが、結論といたしまして、建設省といたしましては、確かに御指摘のとおりに高齢者の方々あるいは低所得者の方々が多いことも事実でございます。そういうことでございますので、住宅相談に応じますとともに、他の省庁と十分連絡をとりまして、生活保護世帯等々につきましての万全を期していくようにしたいと思っております。御心配をかけないようにいたしたいと思います。
    ―――――――――――――
○理事(曽根田郁夫君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、川原新次郎君が委員を辞任され、その補欠として志村哲良君が選任されました。
    ―――――――――――――
○内藤功君 まず、航空法六十五条に関して質問したいと思います。
   〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕
 本年八月十二日に起きました日本航空一二三便の墜落事故についてまずお尋ねをいたします。航空機史上最大の事故、五百二十名の大量のとうとい人命が奪われた事件でありますが、この事故の原因究明は現在どこまで進んでおるか、運輸省の御見解を求めたいと思います。
○説明員(藤冨久司君) お答え申し上げます。
 今回の日航機事故にかかわります航空事故調査につきましては、八月十三日に現場調査を開始いたしまして以来、三回にわたり経過報告を公表いたしまして、飛行記録装置等の情報あるいは後部圧力隔壁の破損状況等を明らかにしたところでございます。その後、十月の初旬には事故調査にかかわります主要な機体残骸の収容を終えまして、現在機体残骸の詳細調査を行いますなど本格的な調査を開始した段階でございます。今後は、さらに科学的かつ公正な事故調査によりまして、原因の徹底した究明に努めてまいりたいと考えているところでございます。
○内藤功君 そうすると、これから究明に入る、本格的な究明にこれから入るという段階ですか。
○説明員(藤冨久司君) さようでございます。
○内藤功君 航空機の事故というのは一瞬にして大量のとうとい人命を奪うものである。それだけに、航空機を運航する機長を先頭とするいわゆるクルーのチームワーク、それから整備員など地上職の陰の力というものが相まって航空機の安全が保たれると思うのであります。労働者がそれぞれの役割分担、職責を全うする、この信頼が崩れると必ず大きな事故に結びつく、私はそういう関係にあるとかねがね思っているんです。今、調査委員会によると、究明はこれからという答弁でありますが、私は今回の事故は少なくとも乗員の人為的なミスではないということは現段階では確認できると思うんですが、この点、運輸省いかがですか。
○国務大臣(山下徳夫君) 私も現段階ではそうであろうと思っております。
○内藤功君 そこでお尋ねしますが、あの一二三便のジャンボ機は、かつて大阪空港で着陸に失敗していわゆるしりもち事故を起こした、こういう前歴があります。そのときの修理は、メーカーであるボーイング社の技術者が直接派遣されてきて行われたと、かように理解しておりますが、このときの修理が十分でなかったんじゃないか、事故直後この点はいち早く指摘をされておりました。ボーインク社は一度否定しましたけれども、結論においてミスを認めました。報道によれば、日航の支払う補償費用の半分を負担すると、こういうことも言われているわけですが、このときの修理の不十分さ、欠陥というものと今回の墜落事故というものとは深い結びつきがあると私どもは考えておるわけでございます。この点どのように運輸省あるいは事故調査委員会では御判断をなさっているか、明確なお答えを伺いたい。
○政府委員(西村康雄君) ボーイング社は、日航のしりもち事故の修理につきまして、自社の修理が不完全であったことを早くから認識して、その旨を表明しております。そしてまた今回の事故につきまして、ボーイング社の修理を含めた機体についての責任というものがあり得るということを考えて、事故の発生に伴います損害賠償その他の費用につきまして負担に応ずるという用意があることを言っているわけでございます。こういったことを基礎に日本航空は、今回の損害賠償等遺族に対する問題につきましては、ボーイング社の責任も含めて日本航空が一元的に処理するという態勢で臨んでおります。
○内藤功君 航空技術の専門的な立場も含めて認識をお伺いしたいんですが、発表されたボイスレコーダーの記録から見ますと、乗員は非常に頑張ったと、私はそう見るんですが、調査委員会の御認識はいかがですか。
○説明員(藤冨久司君) 私どもボイスレコーダーについての解読を行ったところでございますが、これは公表した資料をごらんいただくとおわかりになるように、各乗員ともいろいろと操作に苦労している跡はうかがえるところでございます。
○内藤功君 私は、ボーイング社の修理ミスがこの大惨事を招く重要な要素になったと、こういう考え方をしているわけですが、ボーイング社の不十分な修理作業、この修理ミスを見逃したという点で、運輸省の責任はどのようにお考えになっているかということをお伺いしたいのであります。特に大臣は、この事故の直前にたまたま同じ飛行機にお乗りになったと承っておりますので、大臣の御認識もお伺いしたいと思います。
○国務大臣(山下徳夫君) あれから相当の時間を経過いたしまして、調査委員会の調査が徐々に進んでまいったわけでございますが、当初の段階におきましては、修理後、その修理、ボーイング社がやった修理につきましても、いわゆるふぐあいの部分、事故が起きたその部分よりもかなり広範囲に部品を取りかえ、修理も完全に行ったということでございますし、その後検査もパスし、七年の間常に検査にも合格し、ふぐあいも何ら発見されなかったということで、私どもはその期間においてはミスはなかったものだと思っておったんでございますけれども、その後、この事故が置きました後にさかのぼっていろいろ検討した結果、そういう問題が出てき、またボーイング社もそのことを認めているということでございまして、それに対するボーイング社の責任も私は重大であると思っております。御指摘のとおり、私もあの飛行機に乗っておりまして、この事故の処理につきましては、一つの使命感と申しますか、そんなものを持って今後とも徹底的な究明に私自身が指示をし、また当たってまいりたいと思っております。
○内藤功君 大臣のそういう責任感をもって、言葉の上だけでなく、実際に臨んでもらいたいと思います。
 今回の規制緩和法に盛り込まれている六十五条の改正につきましては、私は、憲法の第十三条に言う国民の生命というものは国政上で最大の尊重を受けなければならぬという立場から、非常に重視をしていかなきゃならぬと思うのであります。特に事故が起きて四カ月もたってないという時期であります。五百二十名の大量の犠牲者の方の補償もこれから本格的に話し合いが行われようと、こういう時期において、安全対策については政府としては特段の配慮と姿勢が求められている状況だと思うんですね。万全の上にも万全という措置をとってしかるべきじゃないか。例えば四つの目よりも六つの目ということがよく言われる。乗員の充実をしていかなる事故の原因も未然に防止するという体制をとっていくのが、高度の交通機関、航空機をつかさどる役所としては当然のことだと思うのであります。ところが逆に、航空機関士というものを乗せなければならない航空機の範囲を六十五条別表の改正によってさらに狭めていくということは私は逆行だと思うんですね。国民だれに話しても、これはそういう感じを持つと思うんですよ。特に現実に航空機を運航する職場に働く人たちは強い疑念と反対を表明しておる。それから新聞投書等から見ましても、この日本航空と運輸省の行政についての強い批判の声が非常に多く見られると私は思うんです。まことに、この一番大事な時期に逆のことをする、一番航空機の安全を大事に考えなきゃならぬときに全くその逆の方に行くというのは、詳しい技術的なことはいろいろありましょうけれども、これは国民の声だと思うんですね。そういうものに逆行しているんじゃないかということについて私は深い危惧と批判を持っているわけなんです。これは大臣ですが、どういうふうにこういう声や不安におこたえになりますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 運輸行政をあずかる者といたしまして、飛行機のみならずあらゆる交通機関において、まず安全の生きを期さなければならぬことは、これは当然のことでございます。まして飛行機の事故というものは人命にかかわる非常に重大事故が多いのでございます。さらにこの安全性というものは、より確実にやっていかなきゃならぬということでございますが、今先生が御指摘のように、四つの目より六つの目というのはいささかどうも古いんじゃないかと思うのでございまして、人間の目だけでもって運航するんじゃございません。人間の目を上回るいろんな機械ができておりまして、コンピューターを初め、そういう計器によって今操縦する時代でございます。しかも昭和二十七年にこの法律というものは制定されている。当時の飛行機というものは、機種は、今、日常運航されているものは余りありませんよ。したがって日進月歩で飛行機は進歩していく。その過程において、私は法律は当然改正すべきだと思うのでございますけれども、特に今日におきましては、例えば四発がどうだとか、あるいは重量がどうだとかいう一つのそういった外形的なものによって規制することは当たらない。例えば三発であっても、三つの発動機であっても三人乗せることもありましょうし、それはそういう一つの基準でもってやるべきでない時代が来ているということでございますから、三人を二人に減らすからといって、直ちにこれは安全性をおろそかにするというそのお考え方自体がどうかなという感じが率直に私はするわけでございます。
○内藤功君 こういうジャンボジェット機のスイッチボタン、警報灯は操縦士のところに幾つ、航空機関士のところに幾つあるか、大臣知っていますか。
○政府委員(大島士郎君) 正確な数は数えたことはございませんし、ジャンボの仕様によってまた変わります。また現在乗務員の方々が心配しておりますのは、現在の飛んでおりますジャンボからフライトエンジニア、航空機関士をおろすということではない。これは乗務員の方も御存じのとおりでございます。私どもが説明いたしておりますのは、今後できるいろいろな飛行機が今先生御指摘のスイッチの数を減らし、警報装置も見やすく、コンピューターで的確な警報が出る、そのあとの操作方法もコンピューターで直ちに出る、こういう進んだ飛行機においてなおかつ製造国が厳密な審査のもとに操縦士二名でよろしい、こういうふうに判断したものは操縦士二名を日本でも許可する、また、するかどうか、そういった観点を踏まえて審査していく、こういう趣旨の法改正でございますので、現在のジャンボの操作装置の数あるいはスイッチの数ということとこの法律によってもたらされる効果とはやや異なるものだと私ども考えております。
○内藤功君 ボーイングの747に例をとってみますと、パイロットのところのスイッチボタンは二百、警報灯は二百二十、航空機関士のところにはスイッチボタン百六十五、警報灯二百九十です。これが少なくなってもやっぱり三けたの数字でしょう。これを四つの目よりも六つの目の方が正確に見られるというのは、これはだれでもわかることだと私は思うんですね。今非常に古いということを大臣がおっしゃったので、一言私もお返しをさせていただいたわけです。
 私は、大臣、今の航空法の六十五条の改正というのは、何といっても、こういう日航機の墜落事故の原因がこれから究明されようというとき、遺族への本格的な補償の交渉もこれから始まろうとするとき、こういう時期にお出しになるということについて、私はこの航空行政についての姿勢というものがこれでいいのかということを強く感ぜざるを得ないということをここで申し上げておきたいと思うんです。これはこれ以上論争をやっても時間がかかるばかりですから、次の質問に入ります。
 お伺いしますが、アメリカのほかに、今問題の新型のボーイング767、これはさっきおっしゃった二人乗り用につくってあるそうですが、これを採用している国はほかにどんなところがございますか。
○政府委員(大島士郎君) アメリカのほかの主な国名を挙げますと、日本でございます。あとはカナダ、オーストラリア、イギリス、ノルウェー、ブラジル、エジプト等々、アメリカを除いて十二カ国、十五の航空会社が六十九機を運用しております。
○内藤功君 そこで、コックピット内に二人のパイロットしかいない、航空機関士がそのほかにいないという場合に、万一、機長や副操縦士に心臓病、脳溢血など突発の事故が起きた場合、一人が倒れた場合の対処はどのようになされるんですか。
○政府委員(大島士郎君) 飛行中乗務員が身体的な理由で操縦あるいは操作不可能になる、私どもパイロット・インキャパシテーションと申しておりますが、そのような事態は航空の分野ではまれにあることとして、さらにまた重要な問題として、いろいろな国で研究が行われているところでございます。これに対する対応としては、パイロット、乗務員の日常の健康管理、あるいは身体検査基準等がまず重要な要素でございます。そのほか飛行機のハードウエアの面としましては、乗務員が一人不能に、インキャパシテーションに陥っても、他の乗務員で安全な飛行が維持できるように設計の基準を決めております。それに従ったテストも行われております。さらに、航空会社に移りまして、運航規程等々でそのような場合に対応する措置を決めておりまして、これを訓練によって習得していくということ等々、最近は訓練方法もいろいろ研究されまして、かなりの効果が上がっているというのが現状でございます。各国の航空のそれぞれの研究者あるいは行政当局等はこの問題についてさらに検討を重ね、このインキャパシテーションに対応できるような体制づくりに努力しているところでございます。
○内藤功君 一人が自席で倒れて例えば前のめりになる。そうすると、スイッチやレバー、ボタンなど無意識に押す。そしてそれが他の操縦士と逆の動作を結果的に行うことになる。特に巡航の態勢に入っているときは時速八百キロから千キロという非常に速いスピードで飛行しておりますから、一方の健在の方の操縦士はレーダーの監視だとか計器類のそばから離れるということが実際上できないんじゃないでしょうか。こういう場合には、まさに第三の乗員、航空機関士という方がいるかいないかで第一機長、副操縦士の心理的な影響、負担というものはかなり違うと思うし、安全性の問題としてはポイントになるというふうに私は思うんですが、この点大臣はどういうふうに認識しておられますか。
○国務大臣(山下徳夫君) 私もコックピットの中はよく存じませんので、これは素人論議になってくるかもしれませんが、ただ、今言うように二人で一人がのめっても大丈夫だと替っているんですが、それでもだめだとおっしゃる。それが私よくわかりませんが、例えば私もコックピットに何回か入ったことがありますが、前にのめった、そしてそののめった形でもって幾つボタンを押すのか私わかりませんよ。しかし、もしも幾つかボタンを押したりするとするならば、機関士が後ろにいたからといって、のめる瞬間をどうすることもできないんじゃないでしょうか、どうでしょうか。私は、むしろ横に同じ状態で操縦席が二つあって、そうしてちゃんとハンドルを持っていますね。ですから、それから先は技術屋・設計その他を信ずる以外にないのであって、ここで先生とそれ以上論議しても意味があるんでしょうか。
○内藤功君 そうですか。これはやっぱり局長に答えてもらいましょう。どうですか。
○政府委員(大島士郎君) ただいま大臣がお話しされたとおりの状況でございまして、パイロットのインキャパシテーションというのは最初の五、六秒の対応が大変重要であるということでございます。この同乗パイロットがインキャパシテーションの状態に陥ったことを早く認識する、これがまず第一だ。この早く認識する方法についていろいろ教育的なレポート等は出ておるわけでございまして、二回尋ねて正確な答えが返ってこなかったらすぐそういうことを疑え。それから最初の五、六秒というのが大変重要なタイミングでありますが、その際にまず安全飛行を保つよう心がける。それから最近ではパイロットの座席をボタンを押すことによって後ろに下げる。これまではパイロット自身がいすを調整するようになっておったわけですが、それに対して隣からも電動によってボタンでパイロットのいすを後ろに下げる。こういうようなハードウェアの設備もつけられておりまして、これに対して世界的にこのような事態がないとは言えませんので、このような事態に対してできるだけの対応を試みるということでございます。さらにこれは世界的な規模で研究を重ねて、この対応に対して取り組んでいるというのが現況かと思います。
○内藤功君 私は、そういう技術的な問題に深入りしようと思いませんけれども、安全というものは、万全の上にも万全を期するという考え方がやはり基本になければいかぬと思うんですね。
 国際的な趨勢というのをよく運輸省は答弁で言われますけれども、今問題のB767、二人乗務でつくられている新型機だそうですが、これを導入している航空会社で例えばオーストラリアのアンセット航空、ここでは二人乗りにできた機体にもかかわらず、わざわざ航空機関士の席を設けて、このコンピューター化されたエンジン、各種計器等を独自にモニターしてデータを収集している、こういうふうに私は聞いております。これは、今いろいろ言われておる運輸省の大丈夫だ、大丈夫だという姿勢とか、我が国の航空会社のあり方とは正反対の立場だと思うんですね。
 私も、実は九月にオーストラリアに行きました際に、アンセット航空でキャンベラからメルボルンまで飛んだ経験がありますが、聞くところによると、このアンセット航空のデータをボーイング社が買っているというんですね。買い受けている。そして後で知ったことですが、このことはボーイング社が二人乗りの飛行機をつくったものの、まだ本当のところは自信がないんですよね、安全のデータについて。そこで三人乗りでやっているオーストラリアのアンセット航空からデータをもらって、将来改良する際の基礎資料にしているんじゃないか、こういうふうにいわれておるわけであります。運輸省はこの点についての御認識はいかがですか。
○政府委員(大島士郎君) ただいま先生の御指摘のような意図でボーイングが買い入れているかどうかは私ども承知していないわけでございますが、同じオーストラリアでも、国際航空会社、あるいはこれまで一度も事故を起こしていないということで有名なカンタスという航空会社がございますが、ここの767は二名で運航しているわけでございまして、あながち二名乗務にメーカーが不安があるから三名乗務のデータをとっているということは当たらないような気がいたします。
 いずれにいたしましても、この767という飛行機、現在百二十七機ほど飛んでいるわけでございまして、今後ともさらに機数は多くなるかと思いますが、そのほとんどが二名乗務で運航されておりまして、特に767の二名乗務ということには安全上問題ないというふうに判断しております。
○内藤功君 国際的な例としては、ヨーロッパの先進国であるフランスですね、ここでは一九八四年にいわゆる政労使といいますか、この三者の協定で、今後はスリーパイロット、三人制の導入に限る、今後導入する場合は三人制の導入に限るということを協定しておるそうであります。もちろん、今の二人乗りはエアバス310型などであります。それから世界のパイロットの組合はほとんどが、安全運航上問題が多いとしてこれに反対しているという状況じゃないでしょうか。我が国でも日航の乗員組合なども安全性の観点から反対の立場を表明しております。
 私は、こういう二人パイロット制の導入に乗員の組合、団体が反対を表明している、こういう以上はあえてこの一括法の中に織り込んでこういう改正を行って推し進めるということについては、改めて今の安全優位の航空行政のあり方に逆行するものだという感じを禁じ得ないわけであります。特に日航一二三便の大惨事の教訓を生かしていない。少なくともこういう乗員組合の強い反対というものがあるものについては、この十分な納得を得、同意を得てやるという姿勢、フランスの政労使の三者協定のような姿勢というものが望まれると思うんですが、なおかつ、これを強行させるのかどうかということについて、私は強い不満とまた危惧を感ぜざるを得ないということをここで申し上げておきます。大臣のこの点の見解はさっき私は聞いたので、特にこの点は答弁を求めません。
 最後に、このボーイング767の性能の点について二、三お聞きしたいんです。
 非常に高度のコンピューターを積んでいる飛行機だということですけれども、コンピューターに多くのことを任せることによって、故障が生じた場合に、警告灯がつくまでの間に相当の状況が進行してから警告灯がつく、つまり人間の病気で言いますと、熱が出て頭が重くなってって、いろんな兆候があって一つの故障があらわれるわけなんですけれども、この新しい767の飛行機はいきなり警告灯がディジタルの方法でつくということで、非常に対応におくれが生ずるというような危惧が表明されておりますが、この点はどういうふうにお考えになるか。
 それからもう一点関連して、アメリカ合衆国の場合には、こういう警告灯が表示をされた場合にすぐ直近の飛行場へ着陸するように指導もされ、飛行場も多くできておりますけれども、日本の場合にこの767のような大型の航空機が着陸できるような飛行場の数は一体幾つあるか、この二点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(大島士郎君) 警告灯の問題ですが、警告灯と申しますのは、危険な状態以前に警報するのが警告灯でございまして、767の新しいコンピューター感知による警告と申しますのも危険な状態になる十分以前に警告灯が出るということになっておりますので、この点については警告灯が出て、それに従って十分な対応する時間が設けられるというように理解いたしているところでございます。
 それから空港の問題につきましては、現在のこういう大型のジェット機でありますと、飛行中何か異常が起きまして最寄りの空港に着陸するというのは非常に少ない例でございます。例えば代表的な例は機内で火災が起こった場合等々、これは一刻も早くおりなければならないのですが、例えばエンジンの故障あるいは飛行機のシステムの故障、こういうものは既に設計上フェールセーフになっておりますので、最寄りの飛行場という概念は少ないわけでございますが、現在日本では附がおりられる空港として一応考えられますのは千八百メートルの滑走路を有する飛行場、こういうことで、全国で三十五でございます。
○内藤功君 航空法については大体以上の質問で、次の問題に移りたいと思うんですが、もともとこの767という飛行機はアメリカ合衆国、ああいう大陸向きの飛行機としてつくられたと思うんです。アメリカのような非常に広い、離陸しても眼下に幾つも緊急着陸のスペースのあるような飛行場が見えるという国と、日本のような今おっしゃったような数の飛行場程度の国とは、これは根本的に違うんじゃないかという点も私は大きな疑問の一つとして提起をしておきたいと思います。
 運輸省は以上で結構です。
 次に、通産大臣においでいただいております。革靴の日米交渉の経過及び今後の見通しについて御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(村田敬次郎君) 皮革・革靴問題につきましては、米国の通商法第三百一条に基づく対抗措置の発動を回避しなきゃならぬということで米国と交渉を行ってきたところでございます。すなわち、私の代理といたしまして若杉審議官を十一月二十一日にアメリカに派遣いたしまして、十二月三日までヤイター通商代表と前後七回にわたって会談を行うほか、関係政府高官と精力的に会談を重ねたわけでございます。ヤイター通商代表、それからスミス通商代表次席大使等でございます。この中で、皮革・革靴問題の日本における難しい背景、日本が取り得る対策などについて十分説明をしたところ、両国間で合意に達したわけではありませんが、米国としては取りあえず対抗措置の発動を延期いたしまして、さらに米側で検討を続けることとなったわけでございます。
 若杉審議官はきょうの夕方帰国をいたします。今までも電話で私と直接いろいろ連絡をとり合い、対米交渉に当たってくれたわけでございますが、きょう夕刻帰れば、また早速万般の報告を聞きたいと思っております。
 なお、アメリカとは来週中にもジュネーブでガット二十八条交渉を行うこととなろうと思っております。
○内藤功君 報道によりますと、七四年米通商法の三百一条に基づく報復措置がいろいろ言われております。私は細かいことをせんさくしようと思いませんが、三百一条は私の理解によると、米国の利益に矛盾またはこれを否定する行為、あるいは米国の通商に負担をかけまたは制限する行為というのが発動要件であります。しかし革靴については日本はアメリカにほとんど被害を与えてないということはもう間違いないんじゃないでしょうか。私はこの三百一条の発動は不当だと思うんですね。
 それで、革靴総輸入量、アメリカの総輸入量の中で日本の占めるシェアは、これはわずか〇・三八%にすぎない。八四年度の日本の対米輸出金額は十億一千四百九十一万円。米国からの輸入は十億七千四百三十二万円。わずかですが日本側の入超になっているはずであります。自動車を引き合いに出すということにしますと、自動車の八四年度対米輸出二兆九千九百二十八億円、わずか二千八百分の一という、こういう数字になります。この間のUSTRの公聴会でも、対日報復反対の意見が大勢を占めたように報道されておりますし、日本をお得意さんとする牛原皮生産者団体も反対意見を述べておる。米国内のそういう状況もあります。
 特に、大臣も御承知のとおり、日本の皮革業者というのは九人以下の事業が八〇%ですね。その周りに家内労働者、家族労働がずっと取り巻いておる。私も二十七日の日に東京都台東区内の革靴業者をずっと回ってみたんですが、自由化で韓国、台湾、ブラジルの安い靴が入るだろう。そうすると七割くらい倒産が出るだろう。何でよりによってこんな弱いところへ犠牲を負わすのか。工賃ももうこれ以上安くできないところまで来ておる。それから昔のことを知っている人は、一九五九年、六〇年度のちょうどハンドバッグの問題のときと似ているけれども、あのときはヘップサンダルの方に仕事が回っていったんです。今度はそういう事業転換もない。まだいっぱいありますけれどもね。直接のこれが声です。
 それで、こういう皮革業界の現状、それからさっき言った三百一条についてのいわゆる法理といいますか、道理ですね、米国内でも反対世論があるという増勢の中で、ぜひ大臣に強く要望し、また決意を承りたいんですが、正面切って堂々と米国に日本の立場を表明して、日本の利益を守るように頑張ってもらいたいと私は思うんですがね。その点のお考えと、今私の言ったことについて何か御所見があれば承りたいと思います。
○政府委員(鈴木直道君) 先生の御指摘の点、ほとんど実態そのものでございます。私どもの日本からの対米輸出がアメリカの革靴産業に影響を与えているかどうかにつきましては、おっしゃるとおりアメリカの市場における日本の輸出のウエートは大変小そうございまして、アメリカの革靴業者に大きな影響を与えているとは決して思いません。現在問題にされておりますのは、むしろ我が国の輸入制限措置でございまして、我が国が従来からとっておりました輸入制限措置が昨年ガットにおきまして違法である、かように決定をされておるわけでございまして、私どもといたしましてそれに対して何らかの対処をしなくちゃいけない、こういうのがアメリカ側の要求でございます。しかし先生御指摘のとおり、我が国の革靴業界が直面しているいろいろな難しい問題、零細な点等々含めまして、難しい情勢につきましては、これまで必死にアメリカ側に説明し、その理解を求めてきたわけではございますが、先ほども申し上げましたようなガット上の問題というものにも同時に直面しており、それを背景にアメリカ側は御指摘の三百一条の発動を私どもにちらつかせている、こういう情勢でございますので、そのような難しい問題を両面に持ちながら必死に交渉を続けているというのが現状でございます。
○国務大臣(村田敬次郎君) ただいま事務当局である鈴木次長から申し上げたとおりでございまして、実はガット上の違反であるという指摘を受けたわけでございます。したがって、これは放置しておくことができないので、いわゆるIQからTQへということで関税上の問題に移行するということで、ガットでは話し合いをしておりますが、アメリカ国内法に言う三百一条、内藤委員御指摘の問題が発生いたしまして、そのために交渉が開始された。アメリカで交渉が開始される前に、スミス通商次席代表が私のところに参りまして、非常に事の緊急性を告げましたので、日本としては誠心誠意対応をするので、ひとつ私の代理として若杉審議官を受け入れ、ヤイター通商代表と全面的にざっくばらんに交渉してほしい、こういうふうに申しました。これは今から三週間ほど前であったかと思いますが、それ以後若杉審議官が参りまして、スミス次席代表、そしてまたヤイター代表と、ヤイターさんとは七回、スミスさんとは恐らくその倍くらいだと思いますが、連日連夜にわたって交渉を続けました。そしてレーガン大統領の示しております期限が十二月一日であったのでございますが、十二月一日が日曜日であったので、二日に交渉期限を、一日延期してもらって、その間私あるいはさらに外務省等ともいろいろ接触をとりながら懸命の交渉を続けたところでございます。
 そして、この事柄の性質は、なるほどガットそのものでは内藤委係員の御指摘になったように非常に少ないのでございますが、ガット違反であるという指摘をされたことから、非常に重要な国際問題になっておりまして、実は総理のお耳にも入れ、外務大臣とも相談して懸命の対応をしてまいりました。その結果、米国としては対抗措置を直ちにとることは回避いたしまして、できるだけ円満な解決を図ろうというので若杉審議官がヤイターさんと別れてきたわけでございます。
 私の方としては、この問題はそういう非常に難しい問題をはらんでおります。また国内産業としても、内藤委員が御指摘になったように、大変零細企業でございますし、国際的な対抗力が少ない。だからこの解決方法はいかようにしたらよかろうかということで、外国の技術をできるだけ日本で取り入れて改善をする面がありはしないか。また、なめし革製造業あるいはいろいろな革製の履物の製造業、カバンの製造業、その他のいろいろな工程において、もっともっと技術において学ぶことはないか、そういうことも考えながら、国内的には業界の方々と対応をし、そして国際約にはガット上の交渉、対米交渉を真剣に続けておるところでございます。
○内藤功君 では最後に、官房長官、御多忙の中をおいでいただきましたので、ぜひ一問だけあなたにお伺いしたいと思います。
 それはこの法律の出し方です。先国会でも地方公共団体の事務に係る国の関与等の整理、合理化等に関する法律案、これがいわゆる一括法案の形で出されました。六月十三日の当委員会で、私の質問に対して官房長官は、「ただいま委員が御指摘になられました国会の常任委員会等のそれぞれ機能を大事にするようにということにつきましては、今後法案を取りまとめます際に十分頭に置いて進めていくようにはいたしたい、このように考える次第でございます。」と答弁して。おられるところでございます。しかし、今国会の本法案の出し方は、全くあなたのこの先国会の御答弁に反しているんじゃないかと私は思うわけです。二十六の法律、四十二の事項にわたるものを一括することによって国会の唯一立法機関としての審議権が侵害されると私は思わざるを得ません。
 例えばさっき質問した航空機関士の乗務させるべき航空機の範囲の問題、こんな大事な法案です。航空機関士の役割は、あの日航機墜落事件の前例でも非常に明らかです。こうした法案だけでも非常に技術的にも高度の問題が入っておりますし、私のような素人ではなかなかわからぬ点もありますから、長年の御経験のある運輸委員会で慎重に徹底的に、多角的に審議されてしかるべきじゃないんでしょうか。それを一括法の名のもとに処理しようというんですね。
 もう一つ例を挙げて言うと地代家賃統制令、百二十四万戸の方々が統制令の適用対象下にあると言われておる。統制令は一つの生活を守る歯どめになっているんですよ。こういう歯どめが外されては家賃の急激な増額が出てくるでありましょう。結局、払い切れない人は立ち退き問題、これは社会問題だと思うんですね。これだけでも建設委員会、場合によっては法務委員会で徹底審議すべき案件ですよ。とにかくそういう大事なものを十把一からげで難しいものを織り込んでくる。この統制令に至っては、今まで四回も国会で廃案になっているんですね。こういう先例がもし許されるとこれはゆゆしき事態だ。
 私は反対の立場に立つがゆえにこれを言うんじゃないんです。国会というのは常任委員会制度をなぜつくっているか。全くこれの意味がなくなってくるじゃないかと思うんですね。常任委員会の審議権を侵すんじゃないかというのは、各委員会で御専門の方々の口から私はこの法案が出てから多く聞くわけなんであります。あなたのこの前の国会の答弁というものを私は信頼しておりました。ところが、趣旨、目的が同じだというんでこういう航空機関士から統制令から入れてくる。あなたの御発言の信頼性にもかかわる問題だと私は考えましたので、あえて御多忙の中おいでを願って、この点の御所見を伺ってきちんと記録に残しておきたいということで来ていただいたわけであります。明快な御答弁を願います。
○国務大臣(藤波孝生君) 常任委員会等の機能を大事にするようにという御質疑に対しまして、同じ趣旨でありますことを前国会、内閣委員会でもお答えをしたところでございます。また閉会中、この臨時国会が近づいてまいりましたときなどにも、議院運営委員会の理事会などでも各党の方々から同じような御趣旨の御指摘もございまして、したがいまして今国会、法案を準備するに当たりましてはその観点から十分検討してきたところでございます。
 今回の法律案を一括するに当たりましては、時代の変化に伴いまして不合理などとなっている規制の是正という趣旨、目的の共通性について慎重に判断いたしました上、政府の重要政策課題の一つであります公的規制の緩和を図るという統一的な政策のもとに取りまとめたものでございます。また民間における事業活動等に対する公的規制の緩和という共通理念にかかる施策の是非について国会の御判断をお願いする趣旨を明らかにする観点からも、また国会の論議を通じて国民の皆様方の理解を得るためにも、一括して取りまとめて提案する、むしろそれぞればらばらに御審議をいただくよりも、こういう場で一括して御審議をいただくことの方が趣旨、目的を同じうするという意味から御審議を受けやすい、こんなふうに考えまして取りまとめたものでございます。
 御質疑をいただいてきております常任委員会などの機能を大事にしなければいかぬという国会のあり方についての御意見につきましては、今後ともよくそのことを尊重して進まなければなりませんし、また法律案を取りまとめる際に十分配意してまいらなければならぬ。そのように考えておりますが、そういった十分検討いたしました上で今回の取りまとめになったということをぜひ御理解をいただきたいと思う次第でございます。
○内藤功君 最後に、今の御答弁は法案を提出する側の希望、つまり、なるべく早くそれを効率的にという言葉で表現されているというふうにとらざるを得ないんですね。審議する側、これを受け取って国民の立場を踏まえて徹底的に審議するという立場からいけば、専門の委員会があるんですから、この法案だけで参議院で七委員会ですか八委員会ですか、七か八の委員会でやるべきだと思うんです。私はこの法案は撤回させるべきだという立場なんですが、少なくとも極めて重要な反対意見のある法案、例えば航空法の六十五条の改定とか、それから今まで国会で四回も廃案になって大きな反対のある地代家賃統制令というものは、仮にあなたの立場でもって趣旨、目的が同じだと思っても、これを切り離していくというくらいの考えを持たなければ、常任委員会の機能を尊重してまいりたいという御発言には沿わないと私は思うんです。このことを申し上げまして、私は特に答弁を求めません、質問を終わります。
○柳澤錬造君 建設省の方にお聞きをしてまいります。
 今も出ておりました地代家賃統制令の問題なんですが、三十五年と三十六年に政府が提案して廃案になった。さらには三十七年、三十八年、今度は議員立法で提案してこれも廃案になっているわけなんであります。建設省としては、この統制令が都市整備を進める上でネックになっているんではないかと思うんですが、そういう点がなかったのかどうか。あったとするならば、それを二十数年間もこういうふうに放置しておいたということはどういうことなんだということがまず第一問です。
○政府委員(渡辺尚君) 先生今お示しのとおり、昭和三十五年と六年に政府提案で、それから三十七年、八年は議員提案で統制令の廃止が提案されたとしろでございますけれども、いずれも審議未了、廃案となっております。その間も統制令の適正な実施を図るために建設省といたしましては毎年、地代家賃に関する実態調査を実施してまいりました。これは二十八年から実施してきております。運用実態の的確な把握に努めてまいりました。それから地代家賃統制令におきましては、地代家賃の停止統制額あるいは認可統制額が公正でないと認められるに至ったものにつきましては建設大臣がこれにかわる額を定めることができるとされておるわけでございますが、これに基づきまして、昭和二十六年に当時の物価情勢等を背景といたしまして、地代または家賃の停止統制額または認可統制額にかわるべき額を定める告示が制定されたわけでございます。以降二十七年、三十九年、四十六年、四十九年に改正がなされてまいりましたほか、五十年代に入りましても、五十八年までに六回の告示改正という形でバランスの是正と申しますか、をやってきておるということでございます。
 先生お示しの市街地の整備という問題でございますけれども、良好な市街地の整備が重要であるということはもう当然でございます。そういうことで区画整理事業でありますとか、市街地再開発事業、あるいは住宅建設事業等によりまして、鋭意市街地の整備を図ってきたところでございます。
 ところで一方、地代家賃統制令の対象借家、これは昭和三十八年当時には二百九十五万戸ございました。それが現在では九十万戸となっておるわけでございまして、そういう形での市街地の整備というものも進んできたというふうにも考えられるわけでございます。
 しかしながら、地代家賃統制令があることによりまして、地代あるいは家賃が非常に安いということもございまして、建物の維持修繕が思うように進まない、あるいは、これは時間的にはかなり長期の問題かもしれませんが、適切な建てかえが進みにくいという面もございます。そういうことで今回約一年後に廃止をしたいというふうに考えているところでございます。
○柳澤錬造君 局長、それはわかるわけだけれども、二十年以上も放置しておったということはどういうことなんですか。だったら何もここでもって慌ててやることないでしょう。私から言わせるならば、あなた方がサボタージュしていたんじゃないんですか。出したものがつぶされた。出したものがつぶされたけれども、それは必要だから出したわけでしょう。だったら、それから何年かしたらまた出して、何としてでもこれはもう廃止しなけりゃ困りますといって提案すべきであって、二十何年間も提案しないできたということはどういうことですか。これは次官の方からお答えいただきたい、簡潔でいいから。
○政府委員(谷洋一君) 先ほど住宅局長がお話し申し上げましたように、確かに三十五年、三十六年につきましては政府提案、三十七年、八年につきましては議員提案で出されたわけでございます。その後御指摘のように二十年間以上放置したということも事実でございます。その間、建設省といたしましては放置したというわけでなく、先ほど説明申し上げましたようにそれぞれ種々適切な措置をしたと思っております。しかしながら、今回提案いたします最大の理由は、対象戸数が非常に激減してまいったこと、それから対象家屋が非常に老朽化しておること、そういうこと等々考えまして、この際非常にいろんな御意見はございましたものの問題はなかろうと、こういうふうに考えまして決心したわけでございます。
○柳澤錬造君 総務庁長官、よく聞いておいて。今の政務次官の御答弁もそれは答弁じゃないんです。少なくなったからむしろ、中曽根総理がしょっちゅう答弁台へ立つと公平公正、何ですか、よく言うけれども、そちらの側から考えるべきことでしょう。だんだん減っちゃったから、さっきも出ているように六・九%しかいないんだから外してもいいじゃないか、そういう判断ということを言うから、私はあなた方が今まで二十何年間サボタージュしていたんですよと言っているのはそこだ。
 次にお聞きしたいのは、この統制令の対象になっているのは百二十四万戸でしょう。その中に年収が四百万以上という、高額というか、かなり高い所得の人たちが十一万三千戸もおるわけなんです。だから一番今問題になるのは、統制令が廃止されて困るという困窮世帯の人たちというのはどのぐらいいるんですか。
○政府委員(渡辺尚君) 困る世帯ということを数字で示すのは非常に困難なことでございますが、例えば生活保護世帯というものを一つそのメルクマールとしてとってみます。そうしますと建設省が、これは全数調査でございませんで六都府県において実施した五十九年のサンプル調査でございますけれども、割合が三・七%であるということでございます。御参考まででございますけれども、一般の民営借家でいわゆる二種公営住宅以外、二種公営住宅を除きますと、三・五%ということでほとんど変わりないんでございますが、この三・七という数字に基づきまして推計いたしますと、戸数としては四万六千戸程度というふうに考えられるわけでございます。
○柳澤錬造君 困窮者が今四万六千戸というお答えがあったわけです。
 それで局長ね、統制令の対象外の人、一般の借家人、その人たちの中で年収が百万以下という極めて低所得の人たちが百二十二万戸もあるわけでしょう。これは皆さん方の方がおわかりだと思う。これらの人たちというものは統制令の対象になっていなかったわけだから、こういう人たちと統制令の対象になっておった人たちとのアンバランスというものを建設省はどうお考えになっていたんですか。それの調整をそれまでさっき言った二十何年間何かおやりになったんですかどうですか、そこをはっきり答えてください。
○政府委員(渡辺尚君) 先生御指摘になりましたように、今回廃止ということで、一年間猶予ございますが、提出したその大きな理由の中にこのアンバランスの問題があると思います。
 先ほどもちょっとお答えしたんですが、民間借家全体の中の七%であります。かつ統制令の対象家屋であって、かつ統制令の額を守っているというのが、地域によって差がございますけれども、一割から三割ということでございます。したがいまして、実際に七%のうちで一割から三割ということになりますと、残りの方々、つまり九十数%の方々とこの統制令を守っておられる方とのアンバランスということが非常に大きな問題ではないかということもこの理由の大きな一つでございます。
 そして先生のお尋ねの、確かに二十年間何をしていたんだという点がございます。私が先ほど申し上げましたのは、その間バランスが少しでも是正されるように告示の改正ということによって地代なり家賃なりの上限額を改定してきたということでございます。
 そしてこれもお尋ねの対象外で非常に困っている人、困っているといいますか低所得の人、そういう人たちに対してはどうしているかという問題でございますけれども、例えば公営住宅でございますと、公営住宅法は二十六年にできておりますので、それ以前と現在では――現在では百九十一万戸の公営住宅がありますが、そういう形で公的な賃貸住宅の施策がかなり進んできていると思います。そういう形によって一般の方々というその低所得の人たちに対する施策を展開してきたわけでございますし、これからもそういった公営住宅の的確な供給あるいは公的な賃貸住宅、こういったものの供給によってそういう人たちに対応してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○柳澤錬造君 総務庁長官、こっちは自分たちが仕事していた方だからよくそういう内容がわかっているけれども、長官の方はそういう詳しいことを知らないから、聞いていると、私の言うことが、なるほどなと思われるでしょう。いかに建設省がサボっておったか。
 それからもう一つ今度お聞きをしていきたいことは、これもいろいろ今までのあれからいけば逆のことを私は聞くんだけれども、この統制令の対象になっておった家主さんなり地主さん、かなり規制を受けておるわけです。今日の日本経済というのは一応は自由市場経済であるわけでしょう。自由市場経済という言い方もあれですけれども、何というか、売る方と買う方だから高くすれば買ってくれない。家を直したって入ってくれない。だから今住宅がない、ないと言ったって、マンションなんかいっぱいあいているのがありますよね。だからそういう点に立ったときに、だんだん減ってはきたものの、この統制令の対象になっていた借家なり土地を持っていたその人たちというものは、自由市場経済の上からいくならば被害者ですよ。そういう被害者の救済ということは今度何かお考えになったんですか、おやりになったんですか。
○政府委員(渡辺尚君) 現行の地代家賃統制令は昭和二十一年にできたものでございます。その目的が国民生活の安定を図ると、一般的な目的としてできたものでございまして、その結果として確かに御指摘のようにそういった家を持っておられる方、家主の方あるいは地主の方々は財産権の制約を受けてきたわけでございますが、当時の情勢からすればやむを得なかったことではないだろうかというふうに考えてございます。しかしながら、そういったことのために老朽化が非常に進んでいるということも、先ほど政務次官も申し上げましたが、今回統制令の廃止を御提案申し上げる理由の一つでございます。良好な市街地の形成あるいは居住水準の向上ということを図るためには、時間的な要素は十分考えなければいけませんけれども、良好な市街地の形成を進める上でもやっていかなければいけない。
 そこで一体どういう手だてがあるのかという御質問かと思いますが、例えば住宅金融公庫に土地担保賃貸住宅制度、これは地主の方が借家を建てるための制度でございますけれども、あるいは住宅・都市整備公団の民営賃貸用特定分譲住宅、これは公団の資金とノーハウを使って地主が持っておられる土地の上に長期の割賦で貸し家を分譲していくという制度でございますが、そういったもの、あるいは特定賃貸住宅建設融資利子補給制度、いろんなものがございます。そういった制度の活用を図るとともに、この地代家賃統制令の対象の住宅というのは、木造といいますか、いわゆる木賃が多いわけでございます。そこで、木造賃貸住宅地区総合整備事業、そういったような再開発の手法を活用いたしまして、長期的にはこういった統制令対象の住宅を含めた建てかえといいますか、そういうものを進めていかなければいけないというふうに考えております。
 また、これは税金の問題でございますけれども、建てかえを行われます貸し主、家主あるいは地主でございますけれども、につきましては、新築借家の割り増し償却制度、あるいは新築住宅の取得に関する不動産取得税の課税標準の特例、あるいは固定資産税の軽減等税制上の措置も講ぜられておるわけでございまして、今後ともこういったものの活用を図りながら、良好な賃貸住宅供給の促進のために財政上、金融上、税制上の援助措置に努めてまいりたい、そういうことによって対応してまいりたいというふうに考えております。
○柳澤錬造君 局長、それはこれからのことだね、枠を外して。現実には今みんな借家でもっているわけだから、今の税制上のことやいろいろの融資のことというものは適用になるものじゃない。だから私は、もうこれ以上余り言うとなんだからやめようかと思うけれども、よく聞いておいてよ。二十何年間という長さでしょう。これはほかの商品と違って住宅なんだから、むやみに家主さんが上げちゃいかぬからといって統制は必要だからしてきた。それがよしとするならば、その枠をぽんぽん外さないで、今日になっても大多数の人たちはそういう統制下の家賃でもって生活ができるようにしてあげるべきでしょう。それから外すことがいいというならば、とっととみんな外して、そのかわり不当な暴利を得るようなことをやる家主がいたら、今度は別な角度からそいつは、物価統制令といったってどこまで効くか知らぬけれども、何か別な方からやらなければいかぬ。それをこうやってだんだん、もう新しく建ったのは適用にならない、たまたま昭和二十五年のそこから前のだけが適用になっている。それを長いこと放置しておったというあなた方のやり方というものはいけませんよと言っている。わかりましたか。
 もう一つだけこれはなにしておきたいのは、衆議院がこれを上げるときに附帯決議しましたね。外すんだから急激に負担増にならないようにいわゆる激変緩和の調整をやるということを衆議院が附帯決議をしているんで、これはいいことだと思うんです。だからそれに合わせて、いわゆる統制外の一般借家人で、さっきも言うように、年収が百万以下でもって一般の借家に住んでいる人たちが百二十二万戸もある。百万から二百万以下の人たちでも二百十八万戸もある。これは統制外でみんな借家しているわけだから、だからこういう人たちについても何らかの救済の措置ということを考えなくちゃいかぬと思うんだけれども、そこはどうでしょう。
○政府委員(渡辺尚君) 先ほど申し上げましたように、現在の日本において低所得者層に対する住宅施策といたしましては、まず公営住宅がございます。それからその収入基準がございますから、それより上回る方については公的賃貸住宅として公社あるいは公団の住宅がございます。それからさらに、そのものも払えないという場合には、これは第二種の公営住宅の場合に、生活保護世帯のパーセントが大きいわけですけれども、生活保護という中で住宅扶助制度をやる。そういった制度を的確に展開していくことによって先生の御指摘の施策に対応していくということではないかと思います。
○柳澤錬造君 住宅問題はこのくらいにしておきますから、総務庁の長官にもお願いしておくし、それから建設省にもお願いしておきます。
 都市整備公団ね、これは一回本当に責任者を呼んでお聞きになるとわかるけれども、あの高度成長のときに家の建てられないところをぽかぽか買ってしまって、だから今都市整備公団が持っているんだけれども、売るわけにもいかないわ、家を建てるわけにはいかないわってね。それこそ税金のむだ遣いであり、大変なことをしているわけなんです。それから建てても入れない。だからそういう点でほかの商品と違って、ほかの商品ならば高ければ我慢して買わなきゃ済むけれども、住宅ばかりはそういうわけにいかないんだから、そういう点は十分に国民の皆さん方が安心して住めるようなそういうことに対してきめの細かい施策をしてあげてくださいね。ここでもって私が言っていることだから、はい、はいと答えているんじゃなくて、ちゃんとそのことを日常の中でやっていただかないと困りますということだけ要望申し上げておきます。
 それから大蔵省にお聞きしたいのは、大口預金の金利を自由化いたしましたね、十億以上は。これで動くお金というものは、まだ始まったばかりだけれども、把握をなさっておったならばどのくらいの資金量が適用になっておって、自由化されているんだからいろいろあるだろうけれども、大体金利がどの辺の水準にあるかということをお答えいただきたい。
○政府委員(吉田正輝君) 十月一日から、金利自由化の一環といたしまして、大口定期預金金利の自由化が行われているわけで、先生おっしゃるとおり十億円以上のものについて、これは第一歩といたしましてこの十月から実施しておるところでございます。
 お尋ねの総額、金利でございますけれども、まだ一月でございまして、ただいま私ども十月末までのものの統計を持っておりますけれども、その残高は約三兆円になっておりまして、十月中の平均金利は約六・五%と聞いております。
○柳澤錬造君 そういう点で、今度は小口預金の方も自由化していくということをもうお決めになっているわけなんで、小口預金の方の金利も自由化していくということになるとどういうプロセス、どういう段取りでもって来年のいつごろになったらこのようなことをやっていきたいと思います、年末はこうなりますといった一つのプログラムというかプロセスというか、その辺、今大蔵省で考えているのをお聞かせいただきたい。
○政府委員(吉田正輝君) 金利の自由化でございますが、この金利の自由化につきましては、全体金融の自由化につきまして、私ども主体的、漸進的かつ積極的にというふうに内外に表明しているところでございます。
 それで小口でございますけれども、これはこういう漸進的という立場から、大口のものを漸次自由化していくことで環境の整備並びに醸成を図っていき、金融秩序並びに信用秩序に混乱がないようにしながら着手してまいりたいと、かように考えているわけでございます。
 それで、七月末に出ました政府の金融資本市場自由化のアクションプログラムがございますけれども、その中では小口預金金利につきましては、「預金者保護、郵便貯金とのトータル・バランス等の環境整備を前提として、具体的諸問題について早急に検討を進め、大口に引き続き自由化を推進する。」考えである。これが今小口金利につきましての政府のアクションプログラムの展開でございます。
 ここで「大口に引き続き」ということでございますけれども、私ども、大口預金金利の自由化を、全体といたしましては、このアクションプログラムにおきまして、六十二年春までに規制の緩和ないし撤廃ということを表明しておりまして、目下よほどの混乱がない限りそれを目標にして努力しているところでございます。漸次、例えば大口預金金利の十億円の額面も小さくしていく、あるいはそれ以外に自由化商品がございます、CDとかMMCがございますが、そういうものの規制緩和を図っていって、漸次この小口が大口に引き続き自由化ができるようにしていきたい。それにつきましても、小口の自由化につきましてはいろいろと問題がございますので、現在、学識経験者で構成されます金融問題研究会、大蔵省でお願いしている勉強会でございますが、そこにおきまして関係省庁や民間金融機関等各方面の意見を幅広くお聞きしながら、理論的に幅広くこの問題を検討しているところでございます。今後の検討の進行状況にもよりますけれども、可能であれば来年夏ごろまでに何らかの中間的な取りまとめを行っていただけるものと考えております。
 で、小口預金金利は、先ほどのとおり幾つかの前提があるわけでございますけれども、これを満たし得るならば「大口に引き続き」ということでございますので、この六十二年春までに大口が進みますので、それに引き続きということでこういう勉強を進め、その段取りといたしましては、今申しました勉強会などで来年夏ごろまでには理論的な勉強は少なくとも終えておきたいと、このように考えておるわけでございます。
○柳澤錬造君 総務庁長官、今答弁したのでわからないでしょう。
 銀行局長ね、今のようなことだったら何も答弁受けなくたって、九月二十四日のこれでもわかっていることだし、むしろこの間もテレビのニュースでは来年末までには一億まで自由化するとはっきり言っているわけです。さらに小口になれば今度は再来年にならなきゃだめでしょうといって記者がしゃべっている。しかし、記者は皆さん方のところへ行ってそういうことを聞いてこなきゃしゃべれるわけないのであって、だからもうちょっと前段で言ったようなことなんてほとんど用はないことなんだから、そこは今急にどうこうのものじゃない。おっしゃるように預金者の保護も図らにゃいかぬし、いろいろなことを考えながら無用なトラブルの起きないように順次やっていっていただきたい。
 ですから、そういうことでやっていただくことにして、次にお聞きしたいことは、これは本当言って、大蔵大臣に私は聞きたいなと思っていたことだけれども、いよいよだんだん自由化していくわけでしょう。東京の街を見ても、銀行が街の一番の一等地の四つ角の目ぼしいところをみんな押さえて、そこにでんとして銀行がいるでしょう。世界じゅうどこにありますか。それは泥棒に入られちゃ困るから建物はちゃんとしておかなきゃいかぬけれども、裏通りの土地の安いところにおったっていいわけだ。だからそういうことからいって、ああいう街の目抜きのところにでんと構えているような銀行のあり方というものはどうか。少しでもコストを下げて、そして預金者には金利を高くして預かってあげる、借りたい人には少しでも安い金利で貸すということの努力をする。そこがこれからの銀行の自由化の道なんだから、そういう点についてどうお考えになっているか。
 あわせてもう一つ、銀行のあり方で、もう昔からだけれども、銀行というのは人のお金を預かっているわけでしょう。人様の金を預かって、その金を恩着せがましく今度は人に貸して、高い利子を取ってその利ざやで生きているのが銀行ですよ。自分の金を貸しているんじゃないんだからね。人様から預かった金をほかへ今度は恩着せがましく貸して、そしてまともにそれを返してこなければ、何だかんだ文句を言って、銀行からそこの会社に役員等を送り込むでしょう。あんなふらちなことがございますか。そういうことが正常な銀行のあり方としてよかったんですか。それをこれからもお認めになりますか。大蔵省、いかがですか。
○政府委員(吉田正輝君) まず第一の質問でございますけれども、基本的に私どもの店舗行政の姿勢と申しますのは、顧客のニーズ、利便性にこたえるとともに、銀行の自主性尊重ということで、公共的機関でありますけれども私企業でございますので、そういう点もございます。しかし銀行の効率性も十分勘案して、先生のおっしゃるとおり出店が行われるべきであると考えているわけでございます。
 こういう観点から眺めてみますると、銀行の店舗は、世界でも角地にあるところもありますし、それからこっそりやっているようなところもいろいろあるようでございますが、我が国の場合には、今までずっと見ていますとかなりいいところである、角地であることも事実でございますが、金融環境が極めて厳しくなってきておりまして、利ざやも極めて薄い、場合によっては逆転しているときもございます。
 そこで、私どもといたしますと、このごろの銀行の効率性、それから住民の利便というようなことを考えてみますと、こういう従来のような店舗よりもむしろ小型店舗とか機械化店舗とか、そういう店舗が各地にあって、住民の利便になっていく。しかも、そういうところですと余り大きないい場所をとらなくても済むようにもなる。それから事実近ごろでは銀行経営も非常に厳しくなっておりまして、これは大きい銀行、それから信用金庫、信用組合までいろいろあるわけでございますけれども、高い土地で店を開きますると、とてもコスト採算が合わないという、いわゆる損益分岐点でございますけれども、どんどんこの損益分岐点というのが長引いてきておりますので、実際上高い土地を取得する傾向も少なくなってきております。
 現実に、ただいま申し上げましたような小型店舗、機械化店舗で預金ができる、あるいはそこで消費者への貸し出しができる、内国為替が送れる、こういうような利便店舗につきまして、私ども店舗の許可に当たりましてもこれが数多くできるようにして、いわゆる一般店舗、大きな店舗については非常な制限をしております。現に五十八年、五十九年、六十年、六十一年について見ますると、大体大型店舗につきましては、五十八年、五十九年二年間通算しますと、都銀、地銀、相銀、信金でございますけれども二百六十五、小型店舗が一千二百三十一、機械化店舗が四百六十三、それから六十年、六十一年で見ますると、一般、俗に言えば大型店舗になりますが百九十、小型が千百四十四、機敏化が四百六十七ということで、比較的小さなものが方々に出るようにする、そういうようなことにしております。今後とも経営効率化の観点、これは私どもの方からも、それから銀行の方でも、ともに考えるべき問題であるというふうに認識して店舗行政を進めてまいりたい、こういうように考えております。
 それから第二の、銀行が融資先に役員を送り込むことが妥当だと思うか、こういうことでございますが、銀行の役職員が取引先の会社に出向して役員となる、あるいはやめて役員となるというようなことは、銀行とその会社の関係によって事情も異なりまして一概には私ども言えないわけでございますけれども、取引先の経営不振で再建をする場合とか、管理部門等の人材不足等に際して、取引先より専門知識や能力を請われて役員の派遣を行うというような場合なども考えられるわけでございます。いずれにいたしましても、これは大変恐縮でございますけれども、銀行と取引先企業との私企業間の人事の問題であるというふうに考えまして、人事の問題というようなもの、あるいは経営者間の問題というようなこと、私企業の経営の問題というようなことで、私どもとしては指導すべきものではないというふうに考えておる次第でございます。
○柳澤錬造君 もう銀行局長には聞かないよ、そんな長ったらしくだらだら物を言って。これだけ金融が自由化して刻々と円が幾らになる、ドルが幾らになると動いているときに、今のようなそんな店舗の数が幾つかどうかじゃなくて、東京の街でも大阪でも見てみなさい。もう街はどこでもみんな銀行の看板ばかりでしょうと言うのだよ。それで街の目抜きの大きいところにでんと構えているのは銀行じゃないですか。だから、おまえらはもっと引っ込んでそういうふうにコストダウンせいと言うべきなのに、それをあなた方が今まではちゃんと預金の金利は幾らまでどうだ、こうやっていたから、のほほんと損益分岐点が幾らなんて計算が成り立つわけだ。本当に自由競争でやったらそんなこと言っていられないのだから、今度自由化したならば、その辺の点を早いところ、コストダウンのためには建物やそういうものももっとコストのかからないところへやらなきゃいかぬ。
 それから重役のことも、それは大蔵省がとやかく言えないこと。しかしさっきも言うとおり、大蔵省の立場からいけば好ましくありませんぐらい言えなかったらどうするのですか。銀行が自分で銭持っておって、そいつを、貸してやる、だからおまえ返せないのだったら、おれのところからやる重役を受け取れと言ってもわかるけれども、人様から預かった金じゃないですか。それを恩着せがましく貸してやって、その利ざやで飯を食っている者が偉そうなこと言うな。そこのところをちゃんとしてよ。
 それで今度は郵政省においでいただいているのでお聞きしたいのは、今の小口預金をまだ時間かかるけれどもだんだん自由化していく。そうすると必然的に何といっても郵便貯金の方に関係してくるわけなんで、だから郵政省の方はそういう小口預金の自由化ということに関係してどういうお考えをお持ちですか。
○政府委員(塩谷稔君) 柳澤先生おっしゃいますとおり、小口預金金利の自由化を進めるに当たりましては、個人金融で私どもかなりの役割を果たしていると思っておりまして、この問題、郵便貯金を切り離すわけにはいかぬというふうに考えております。私どもは、国民あるいは利用者から期待されておりますこの点についての課題にこたえるために、金利自由化につきましては、積極的にそれから的確に対応してまいりたいと思っております。ただ、自由化への対応ということに当たりましては、国民経済あるいは利用者国民に与える影響というものも一生懸命真剣に考えなきゃいかぬと思いますので、現実的に対応していくことも必要ではないか。したがいまして、円滑に進むために、実施のスケジュールを含めまして、具体的な諸問題について大蔵省とも十分意見交換を行いながら対応していきたいと思っております。それから円滑に実施していくということを考えましたときに、過渡的な措置として、小口の市場金利連動型貯金ということを考えることも必要ではないかと思っておりまして、現在内々に具体的な商品内容について検討しているところでもございます。
 いずれにいたしましても、この機会にちょっと申し添えさしていただきますれば、小口預貯金金利の自由化に私ども郵便貯金が対応していくためには、お客さんに提供する商品面で市場の金利を反映した商品を提供することが必要だということでありますと同時に、それができるためには私どもは、郵便貯金が運用される面で市場金利によって運用されるということも必要ではないかということで、市場金利による資金運用制度の創設ということについても実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
○柳澤錬造君 局長、国債も今まだ郵便局で売っていないわけでしょう。これだけ膨大な国債が出てなかなかさばき切れないような状態になっているのだから、何で郵便局の窓口から売らせるようにしないかと私は言うのです。それで何だかんだ言ったってまだ国民みんな貯金しているのですから、かなりの利子がついて、そして国民に持ってもらえば――一番安定している。国民の側だって、今の国債の金利からいけば、あとは何かある用があったときに売れるだけの市場さえつくっておいてやれば心配ない。そういう面からいって、郵便局で国債をお売りになるというお考えはないんですか。
○政府委員(塩谷稔君) 実は、最近の国債意識調査というのがございまして、それによりますと、国民の金利選好の高まりあるいは資産選択の多様化を反映して国民の三人に一人が国債を買いたいとしておりますし、また郵便局あるいは農協などでも国債を買えるようにしてほしいとする人たちが、この調査での六〇・五%、六割といったデータがあるわけでございます。郵便局で国債を販売しますれば、こうした国民の要望にこたえることにもなりますし、国民の健全な資産形成にも役立つことになるんではないかと考える次第でございます。
 それから、何といいましても、郵便局の利用者というのは個人でございますので、個人利用者が国債の個人消化という形で消化を促進するということは、財政政策上重要な課題になっております国債の安定的な消化にも役立つだろうと思うわけでございます。
 それから、いろいろ効能書き申し上げて恐縮でございますが、民間金融機関の国債負担も軽減されることになるんじゃないかということで、国債に充てていた民間資金を公共事業等に有効に活用できるということになって内需拡大にもつながるだろうということで、そういうわけで郵便局で国債を販売するのは大変メリットがあるだろうと先生のおっしゃるとおりでございまして、私ども来年度予算の重要施策として要求してその実現に向けて関係の向きと折衝しているところでございます。
○柳澤錬造君 銀行局長お聞きになったと思うけれども、きょうは答弁求めませんけれども、もう何年か前に私が予算委員会でこのことをお話しして、あのときはまだ渡辺大蔵大臣のときだったけれども、郵政省からそういう申し入れがないからやらないんですというのが時の渡辺大蔵大臣の答弁だったのです。今のお話を聞いているとそういうことをぜひやりたい、そして申し入れをしたいと言っているんだから、それはぜひ私はおやりになったらいいと思うんですよ。何もそれが銀行なり証券会社なりのあれを圧迫することではないんであって、これだけ、ことしなんか二十兆円超えるんでしょう、国債を出す、借りかえまで含めていくと。だから、今までのような、今もお話があったように、銀行はいいと言ってももう銀行が限度へ来ているんだから、そういう点では、これはぜひ郵便局でもそういうことを扱って、お金を持っている人は国債を買って一つの財産がわりにでもできるようなことをしてやっていただきたいということをお願いすると同時に、これは大蔵省にお願いしたいのですが、国債の売買をするマーケットを今の株と同じようなぐあいでやれるようなそういうものをつくってあげないと、今度は国民が持っていても、売りたいときに一々規制ばかり受けていたんではいけないので、そういう自由なマーケットをつくるようなことを考えていただきたいと思うんです。
 もう時間もあと三、四分しかございませんから、総務庁長官に二言も御質問しないで申しわけございませんでしたけれども、今までの私のお話を聞いておって、所管大臣として最終的な締めくくりの御答弁をお聞きして終わります。
○国務大臣(後藤田正晴君) 柳澤さんのきょうの御質問は、一つは地代家賃統制令の廃止について今まで一体政府は何をしておったんだといったこと。それから金利自由化について大口から漸次小口に移っていくであろう。そのときに一体今までの銀行のあり方、姿勢について当局はどう考えているか。まことに急所をついた御質問だったと拝聴したんです。それだけに政府は答えにくい。しかしさればといって、一言でお答えしますと、今の御質問のような点を政府としては十分腹に置きまして対処しなければならない。一般的に言いまして法律の改正というのは、現在千五百余りあるんですね。これを子細に点検をしますと、数年前には一括してこれを廃止した経験があるんです。しかし今日でもよく見ますと全くこの時勢に合わない、あるいは要らないというものがたくさんあります。その結果がえって不公正、不合理になっているものがある。こういうものはいろいろな問題もあろうけれども、改廃後の善後措置というものに十分配慮しながらやるべき改廃措置はやっていくべきものであろう、かように考えます。
 それからまた小口の金利自由化の問題、銀行のあり方、おっしゃるように人の金で威張るなと、こういうことですね、一口に言えば。しかしそこは人の金だから大事にしなければならないという理屈も私はあると思うんです。しかし今日まで過保護の中で銀行というのはぬくぬくと来たわけですよ。ところが今日金利自由化を迎えて厳しい情勢になっておる。ならば今までの御指摘になったような営業のあり方、これについても本当に真剣に考えてしかるべきものであろう、かように考えます。
 しかし、いずれも難しい問題ですし、私は素人でございますから、きょうはこの程度でひとつ御勘弁を願いたいと、かように思います。
○柳澤錬造君 終わります。
○委員長(亀長友義君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
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○委員長(亀長友義君) 次に、連合審査会に関する件についてお諮りいたします。
 許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合理化に関する法律案について、社会労働委員会及び商工委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することとし、さらに今後他の関係委員会から連合審査会開会の申し入れがありました場合は、これを受諾することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(亀長友義君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
     ―――――・―――――