第104回国会 大蔵委員会 第6号
昭和六十一年三月二十七日(木曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     伊江 朝雄君     出口 廣光君
     桑名 義治君     服部 信吾君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山本 富雄君
    理 事
                嶋崎  均君
                藤野 賢二君
                矢野俊比古君
                竹田 四郎君
                多田 省吾君
    委 員
                伊江 朝雄君
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                河本嘉久蔵君
                出口 廣光君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤井 孝男君
                藤井 裕久君
                宮島  滉君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                鈴木 和美君
                村沢  牧君
                鈴木 一弘君
                服部 信吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                野末 陳平君
                青木  茂君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       内閣法制局第三
       部長       大出 峻郎君
       経済企画庁調整
       局長       赤羽 隆夫君
       経済企画庁総合
       計画局長     及川 昭伍君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       大蔵政務次官   梶原  清君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       大山 綱明君
       大蔵省主計局次
       長        小粥 正巳君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省関税局長  佐藤 光夫君
       大蔵省理財局長  窪田  弘君
       大蔵省理財局た
       ばこ塩事業審議
       官        松原 幹夫君
       大蔵省証券局長  岸田 俊輔君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
       国税庁次長
       国税庁直税部長
       事務取扱     塚越 則男君
       国税庁徴収部長  木下 信親君
       国税庁調査査察
       部長       日向  隆君
       文部省高等教育
       局私学部長    國分 正明君
       通商産業大臣官
       房総務審議官   鎌田 吉郎君
       通商産業省生活
       産業局長     浜岡 平一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       環境庁企画調整
       局環境影響審査
       課長       瀬田 信哉君
       厚生大臣官房政
       策課長      岸本 正裕君
       厚生省保健医療
       局健康増進栄養
       課長       伊藤 雅治君
       農林水産省経済
       局国際部貿易関
       税課長      永田 秀治君
       郵政省貯金局経
       営企画課長    木村  強君
       建設省道路局企
       画課長      三谷  浩君
   参考人
       日本たばこ産業
       株式会社社長   長岡  實君
       日本道路公団理
       事        戸谷 是公君
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  本日の会議に付した案件
○関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件
○租税特別措置法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)
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○委員長(山本富雄君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応し、関税率、減免税還付制度等について所要の改正を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして、御説明申し上げます。
 第一は、関税率等の改正であります。
 まず、関税及び貿易に関する一般協定との整合を図るため、皮革及び皮靴について関税割り当て制度の新設を行い、これに伴う我が国とアメリカ合衆国等との間の合意に基づき、電子式分析機器、クラフト紙、ゴルフ用具等の関税率の撤廃または引き下げ等を行うことといたしております。
 また、我が国の市場の一層の開放を図る等の見地から、ブドウ酒等の関税率の引き下げ、魚の粉、マンガン鉱等の関税割り当て制度の廃止等を行うことといたしております。
 第二は、減免税還付制度の改正であります。
 最近における石油化学製品等の製造の実情にかんがみ、石油化学製品製造用原油の減税制度の新設等を行うとともに、昭和六十一年三月末に適用期限の到来する減免税還付制度について、適用期限を延長することといたしております。
 以上のほか、昭和六十一年三月末に適用期限の到来する暫定関税率について、その適用期限を一年延長するとともに、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及びその内容
であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(山本富雄君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後刻に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
○委員長(山本富雄君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として日本たばこ産業株式会社社長長岡實君及び日本道路公団理事戸谷是公君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(山本富雄君) 次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は、三月二十五日に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○赤桐操君 私は、今回の改正案の中で最大の問題点は、何といってもこれは六十年度に引き続いて所得税の減税が見送られたということであろうと思います。今、サラリーマンを中心といたしまして中所得階層、低所得階層の所得税減税見送りによる税額の負担、その増大というのは大変なものがあろうと思います。加えて不公平感が非常に今日その極に達しておると思いますが、こういう状況の中で見送られるということについては大変遺憾だと思っておりをする。一刻の猶予も許されない状況にある。そういう情勢の中でありますだけに、大変私は遺憾の意を表明せざるを得ません。
 そこで、所得税減税を含めた税制の改革につきまして、どのようにこれをひとつこれから考えていかなきゃならないのかということについて申し上げてみたいと思うのでありますが、社会党は、野党の各党とともに、既に所得税の一般減税一兆六千二百億円を含む二兆三千四百億円の減税要求をいたしております。これに対して、六十一年中に成案を得るという努力がなされているようでありますが、今申し上げたような状況の中では、速やかに私は政府は積極、能動的に取り組んでいくべきだと考えますが、ひとつ大臣の見解を承りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) ここのところ数年国会の論議の非常に多くの時間が、税制の問題についての御意見御開陳なり御質疑でありまして、これはやっぱり国民の皆さん方がいわゆる税の問題について非常な関心をお持ちになっておる証左であろうと思っておるわけであります。したがって、その機が熟したという形で、昨年の通常国会等で御議論いただきました問題をすべて整理し、これを政府税調に御報告しますと同時に、いわゆる抜本改正の諮問を申し上げたということが現状でございます。
 そうして、その進みぐあいといたしましては、所得税、法人税等につきましては、それぞれの部会の中の専門小委員会等においての報告が出されるというような状態に至っておるわけであります。いずれにいたしましても、秋までには総合的な抜本答申をちょうだいしたい、していただけるというふうに思っておりますので、それの答申の趣旨を最大限尊重して税制改正を同会でお願いをしたいという手順になろうかと思うわけであります。
 一方、去る三月四日でございましたか、各党幹事長、書記長さんの申し合わせがございまして、年内に成案を得るという申し合わせがなされたということは、重くこれを受けとめております。政府といたしましても、これに対してはあらゆる協力を申し上げなければならない立場にあるのは当然のことでございますが、あえて私見を加えさしていただきますならば、年内に成案を得るということのお話し合いができたということは、恐らく政府税調の進みぐあい等も十分に横目でにらんでというお考え方からあのような申し合わせになったのではなかろうか、さすがというふうに受けとめております。
○赤桐操君 私は重ねて主張をしておきたいと思いますが、今日の一般の多くの勤労者の受けとめておりまする感覚は、大変税に対する不公平感というものが強くみなぎってきておるわけでありまして、そういう意味合いから、大臣の御答弁がございましたが、一刻も早くひとつこれは取り組んでいただく、こういうことをひとつ再度申し述べておきたいと思います。
 次に、減税の問題の中でもう一つの問題があると思います。それは住宅減税であると思いますが、この住宅減税というものについて少しく伺いたいと思いますが、これはこれからの住宅を、六十一年度以降でありますか、建設省はさらに五カ年計画を樹立して新しい体制をつくろうとしているようでありますが、まず建設省に伺いたいと思いますが、六十一年以降の住宅の建設に対する考え方、対策。これはどういうように考えておられますか。
○委員長(山本富雄君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(山本富雄君) 速記を起こして。
○説明員(三谷浩君) 私は道路局の企画課長でございますため、所管外のことでございますので、正確を期すために後刻またお答えしたいと思っております。
○赤桐操君 わかりました。私が知っているから結構です。
 五カ年計画では、私が仄聞しているところでは六百七十万戸ですか、建設をするというようでございます。したがって、年間百三十万戸から百四十万戸くらいの目標で建設をされるようでありますが、実際のいわゆる買いかえですか、そうしたものを全部含めての要求は、民間のしかるべきところの調査その他等を聞いてみましても、百四十万戸台くらいまでは行っているのではないか、実際の需要は。そういう数字も出ておる状況にあります。したがって、私は住宅は求めていると思うんですね、国民の皆さんは。ところがなかなか収入のぐあいや経済状況等を見るとそういう明るい気持ちになれない。これが実態だろうと思うのであります。
 そういう状況の中で、今減税政策というものを打ち出して住宅建設を誘導しようという一つの考え方が出されてきておると思いますが、果たしてこういう今の減税政策の状態の中でそういう成果を得ることができるのかどうなのか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 今回御提案しております六十一年度の住宅減税案といたしましては、従来の住宅取得控除を住宅取得促進税制と改組をいたしたものでございます。この新しい制度におきましては、対象となる借入金に公的機関からのものも含むとか、足切り限度を廃止することによって幅広く少額の借入者にも効果が及ぶように配慮をするとか、もろもろの新しい措置を講じておるところでございまして、住宅金融公庫融資の拡充など他の措置と相まって相当の効果が期待できるものではないかと考えておるわけでございます。
○赤桐操君 これ私はよくわからないんだけれども、三年を限度としているわけでしょう。そして大体年間、現行法と改正法の差を見ますとわずか五万円の差ですよ、実際に当てはめてみると。五万円というと月に四千円くらいのものでしょう、大体。今一番安くても、いろいろ世間の相場を見ると二千五百万、これは最低でしょう。三千万前後は大体覚悟しなければならぬと言われておるわけですね。そういうものについて月に四千円程度のもの、これはダウンするわけだけれども、これもずっと将来までなら話はわかるけれども、三年を限度ということになってくると、その後はまた上がってくることになりますね。減税のあれにはならなくなる。そういう状況の中で果たしてあな
たがおっしゃったような効果が期待できるのかどうか。
 私は大変、こういうこと言っちゃ悪いけれども、住宅政策というものに対する減税政策ではないのじゃないか、こう思うんですが、もう一遍ひとつ御答弁ください。
○政府委員(水野勝君) 今回の措置は、従来は一人当たりの控除額の最高限度額は十五万円でございましたが、今回はぎりぎりいっぱいに適用していただければ二十万円の所得税額控除になるわけでございます。これは年収四百七十五万円の夫婦子二人のサラリーマンの方の年間の所得税額に匹敵する金額で、大きな恩典ではないかと考えるわけでございます。
 この制度は、三年間税額控除を適用することによりまして、住宅取得者の初期負担と申しますか、これを軽減をする、それによりまして取得を促進させていただこうというものでございます。三年間を通じましては、全体の改正によりますところの減収額は一千億円に上るものでございます。現下の大変厳しい財政事情のもとにおきましては、税制といたしましてはまずぎりぎりの措置ではないかと私ども考えておるわけでございます。
○赤桐操君 私は、住宅というこの政策が我が国の内需拡大の大きな柱として、中曽根内閣としては組閣以来の大きな政策の一つとして出してきていると思うんですよ。
 この三年間にわたって、私も予算委員会や各委員会で総理とも直接話し合いもしましたけれども、大分総理も御認識をなさっているようでありますが、それにしてはお粗末な提案じゃないのか、こういう考え方で私は受けとめているんです、率直に申し上げまして。月に大体十二万から十三万、十三、四万の弁済をしていく、そういう状況の中で、それは困難だという状況なんです。今言うところの政策を遂行するのには、建設省が考えておる六百七十万戸を五年間でやってのけるんだというならば、これは私は率直に申し上げてこの政策ではできないだろうということをお話ししているわけです。それならばどうしたらできるんだ、こういう問題になると思いますから、これはやはりひとつ述べておかなければならないと思います。
 今、東京都周辺の状況を見ますと、これは最終需要者は実は大変大きな税の二重払いをしていると思うんですよ。この認識が政府にはないと思うんだな。ということは、例えば今のいわゆる土地開発の原則からまいりますというと、各それぞれの団地ができ上がってくる場合においては、そこの大体五〇%ぐらいのものはいわゆる関連公共費に属すべきものなんです。ところが実際にはそういうものはなかなか恩典に治せなくて、ほとんど受益者負担という形でもってこれはかぶせられてきている。これが現実なんですよ。したがって、その団地ができ上がってそこに家が建つというと、これは土地は大体道路から公園から、場合によっては学校の土地まで含めたものをそこに入居する人たちは自分で買うわけなんです。このことはやっぱり建設業界でかつて問題になりまして、建設業界のいろいろ主要な人たちも提案をしてきておる内容もありました。私もそれは聞いております。
 それを長い間にわたって肩がわりをする方法があるんじゃないか。そして、その団地ができ上がって税金が入るようになったならば、金を地方自治体が責任を持って返済すればいいのではないか。それに対する補助その他もその場合において考えられることも当然だろう、こういうことまで実は提案されてきている例があります。私もこれはかって何回か提案をしてきているのでありますが、これは言ってみれば諸外国なんかでは通用しない考え方ですよ。道路や公園まで受益者負担なんということはあり得ない。これはヨーロッパの各国へ行って説明してもおよそ通用しない説明になる。したがって私はこれは税の二重取りだというように考えるべきだと思うんですね。そういう根本的なところからこの住宅政策の基本を据えていかなければ私は本当の税対策にならないと思うんですけれども、あなたの御意見はどうですか。
○国務大臣(竹下登君) 赤桐さんがよくおっしゃいますのは、言ってみれば関連公共施設までがいわば取得する宅地に結果として付随して負担がそれを取得する者にかかってきておる。この議論は前々からの住宅政策の側から出てくる一つの議論であり意見であります。
 それで、何年前かちょっと忘れましたが、いわゆるそういう関連公共についての予算一千五十億、あれは最初三百億から出発いたしまして、年々あの予算は積んできたという経過にあることは私も記憶にございます。ただそれをぎりぎり詰めていきますと、いわゆる地方公共団体がさればそれは行ってよかろう、補助あるなしにかかわらず。そうすると、少なくともそこから固定資産税なり何なりが上がってくる間いわば起債を認めて、それが将来上がってくる固定資産その他で償還されていくという意味におけるその関連公共の起債は、単独事業としてそれなりに対象にはなっておると思います。だから、年々そういう予算を積み上げてきたという事実からして、今赤桐さんのおっしゃった住宅政策としての観点からの措置は、とられておることはとられておると私は思っております。税制の問題からこれを取り上げていくということになると、やっぱり税体系の中にこれが位置づけされていかなきゃならぬ。と同時に財政事情というものももとよりございます。
 そこで、ことしの措置というものは、先ほど主税局長も申しておりましたように、四百七十万円の所得の方が仮に二千万ローンをお借りになっておるとすれば、全く所得税がかからぬということになるわけでございますから、そういう角度から見れば相当なものだな、こういう感じでもって議論の末詰めて御審議いただいているのが今回の改正の趣旨である、こういうことであります。
○赤桐操君 一千億もなるほど関連公共費があるんですよ、現実に。しかし多く一般にはこれは使われていないんです。その七〇%ないし七五%くらいは公団が使っておる、現実に。一般のその他のところには使われる状態にはなっていないんです。なかなかやり方も面倒くさいし、地方自治体も扱うことがなかなか思うようにできないようでありまして、現実にはその程度であります。したがって、言うなればそういうものまで現状の中では遺憾ながら思うようにいっていない。
 しかも、これは設定されたときは三百億をスタートラインとして、毎年三百億ずつ積み重ねられていくから十年たつと大体三千億ぐらいになる、こうなれば本格的な関連公共費としてお役に立つでしょうというのが当時の長谷川建設大臣、村山大蔵大臣の話でした。そのときの予算委員会でこれは論争になって承認になったんです。
 そういう実は経過の中で今日に来ているんですが、一千億で頭打ちで切られてしまっているというのが現状でしょう。そういう今のような状態がこれから続くということであっては、とてもじゃないけれども、住宅建設の最終需要者にとっては今私が指摘したような形がずっと続けられていくことになるだろう。そういうところに掛金として三年くらいの間の減税措置が若干とられたとしても、これは実際問題として大きく影響することにはならないだろう、果たして促進剤になるだろうか、こういうことを指摘したわけでございます。
 いっそのこと、アメリカあたりでもやっておりますけれども、利息に対するところのものをむしろ対象とした利子支払い額全額を所得控除の対象ぐらいにして、どうせそういう形をとるなら思い切った施策をとるべきじゃないか、私はこういうように考えておるわけであります。この点はいかがですか。
○政府委員(水野勝君) 確かにアメリカは、個人につきましても、それが事業用の借入金のための利子でございましても生活用の借入金の利子でございましても、すべて所得税算定上は控除するというシステムになっておるわけでございます。これは一九一三年にアメリカで所得税が発足いたしました際に、どういう利子は事業用であって引け
るか、どういう利子は引けないというあたりが線引きがなかなか難しいということから、すべて利子は引いてしまう。でございますから、消費者金融の利子もすべて住宅のローンの利子と合わせて控除されるわけでございまして、したがいまして、総体としては何億ドルという、もう少し大きい、日本のベースに直しますと何兆円といったものが控除されているということになっておるわけでございます。
 日本の所得税におきましては、そこは、個人の所得税におきまして、事業所得者でない場合には利子は生活上の所得のいわば処分として、これは控除しないというシステムの違いがございますので、アメリカのような制度に一挙に制度を変革することが、これだけ長い歴史を持つ日本の所得税におきまして適当かどうかという点は大きな問題ではないかと思うわけでございます。
 なお、ついでにドイツもこうしたものは引いている。しかし一方、ドイツにおきましては、持ち家につきましての帰属家賃につきましてこれは課税するという方式をとっているわけでございましそ、アメリカのように、一方持ち家につきましての帰属所得は課税しない、一方利子はすべて引くというのは、税制上は非常に問題が大きいのではないかということは従来から指摘されておるわけでございます。そこはアメリカの税制としては割り切っておられる。日本の税制といたしましても、現在抜本的改革の時期ではございますので、そうした考え方も一つのお考えとして出てはまいろうと思いますが、日本の所得税制から考えますと余りにも抜本的過ぎるかなという感じがするわけでございます。
○赤桐操君 次に、法人の赤字法人課税の評価の問題で一つ伺っておきたいと思いますが、この法律案では、欠損金の繰越控除制度の一部停止を行うこととしておりますけれども、この点について税調ではどういうように考えておりますか。
○政府委員(水野勝君) 税調におきましては、法人の半分あるいはそれ以上が継続していつもゼロ申告になっているという点につきましては、どうも看過し得ない問題ではあるんじゃなかろうかという指摘は従来からあったわけでございます。また、昭和六十一年度の税制改正の答申におきましても、そうした点も踏まえまして何らかの御負担を求めるようなことも考えていいのではないかという方向が出されておるところでございます。
 この法人課税、企業課税の問題につきましては、現在抜本改革との関連におきましても検討はされておるわけでございますが、ただ、全く本来赤字であるという法人につきまして、法人の利益に課税する法人税でもって対処できるのかという点につきましては、おのずから限界があるということが示唆されている段階でございまして、赤字法人課税の問題というのはなかなか難しい問題ではあるというのが現在の税制調査会の考え方のような気がいたすわけでございます。
○赤桐操君 私は、企業会計の原理に基づいても、少なくともこういう課税の方式というのはないと思うんです。
 これでいきますと、今私も千葉県内をいろいろ歩きながら中小企業の経営者の皆さん方ともいろんな話をしてきておりますけれども、これは大変実は大きな不満が出ておりますね。やはり経営というものは一貫しているわけでありまして、ことしが悪くても来年はよくなるわけです。あるいはその翌年はまた悪くなる年もある。こういう状況の中で、経理の原則からいってもこれは通用しない。日本税理士会等でもこれはおかしいと言っているわけだ。まさに私もそうだと思うんですね。
 それから、特に今の状態はどういう状態がということも考えてみる必要がある。それは円高不況という、言うなればこれは国の政策的な面から出てきている不況、これがいわゆる不況と重なってきているわけでありまして、そういう一つの会社、これは個人の会社でも言える場合がありますが、単独でどんなに努力しても超えることのできない問題がある場合がありますね。そういう中で受けたものまでこういうような追い打ちをかけられるようなことになるということは、これは社会問題ではないですかね。私どもは残念ながらこれは理解ができないんですけれども、ひとつ御答弁願いたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、法人は継続企業でございますので、経営者といたしましては、その単年度だけの成果に基づいて、あるいはその見通しに基づいて経営をされているわけではないわけでございます。法人税も原則は単年度での所得に対しまして着目して課税をさしていただいているわけでございますが、そこは継続企業の実態に応じましてある程度の通算をするというのがどこの国でも立法例になっているわけでございます。それではどの範囲のものを通算するか、これは企業の実態と国の財政事情との兼ね合いではないかと思うわけでございます。
 日本におきましては五年というものが基本的な原則とされておるわけでございますが、一方、当面の厳しい財政事情のもとで、直近一年の分につきましては、今回停止をさしていただければということでございます。五年間という基本は崩してはいないわけでございます。また、これはその年度におきましては、とにかく欠損金の繰越控除前におきましては、黒字である法人につきまして御負担をお願いしたい。しかし、その欠損金は二年目、三年目、四年目、五年目につきましてはどうぞ控除をお使いくださいということでございまして、現下の厳しい財政事情のもと、また円高不況と言われているもとではございますが、その法人として、その年度としては黒字の法人につきまして、いわば一時国が借用するというような形でございますので、何とか御理解を願えればと思うわけでございます。
○赤桐操君 私はついこの一日、二日の中でいろいろの経営者の方々と会いましたけれども、これからはこういう形に将来なってしまうんでしょうかねと、こういう不安が出ていますよ。そのくらい実は不信感を持っているんですよ。これが一つ。
 それから、今税調についてあなたは御答弁なさいましたけれども、税調はこういうことを言ってませんよ。税調の言っていることをよく見てください。赤字法人に課税をしようなんてこと言っておらないですよ、そんなことは。逆のことを言っているんじゃないですか。税調でさえもそういうように言っておるんです。過酷なことはしちゃいかぬと言っているんです。こんな過酷な話は私はないと思うんですがね。一時借りるなんということはこれは成り立たない、国の立場で。税法上からいったってそんなばかなことはあり得ない。今こういう、一つの企業が何ほど努力しても、その企業の努力の限界を超えるいろいろな情勢の中で何とか生きようとしているのが今の中小企業でしょう、赤字企業でしょう。それに追い打ちをかけるような結果になりますよ。これは国がやるべきことではないでしょう。大臣、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 赤桐さんのおっしゃっている、基本的には企業継続の原則という限りにおいては、このような措置はあってしかるべきである、が、法的安定性の上で、ことしに限って直近一年のものはそれを控除しない、こういうことでありますから、その二つの理論というものはそれなりに成り立ち得る理論だというふうに私どもも認めております。が、私どもは、現下の厳しい財政事情のもとに、二千数百億の財源を調達する上においてとらしていただいた措置でありまして、五年間という基本そのものは企業継続の原則の中で崩しはしないということで御理解をいただきたい。
 今おっしゃいましたはうに、税調で議論されておる赤字法人課税というのは、実際こんなに六〇%にもなるものが赤字である、しかし何らかの応益的な負担はあってしかるべきという意見は存在する。しかし、所得なきところに課税はないわけですから、それとは別の角度で検討しなさいよ、こういう趣旨でございますから、赤字法人をねらった措置ではなく、あくまでも、ことしは黒字であるが直近一年の分は御勘弁くださいという企業
に対してお願いをして財源調達をしよう、こういうことでございますから、ぎりぎり詰めて言いますと、やはり財源調達の手法としてお願いをしておるということに尽きるのかな、こういうふうに考えております。
○赤桐操君 明快な竹下大蔵大臣の御答弁には似合わない御答弁であると私は承りました。大臣も大変矛盾を感じながら答弁されておるように拝聴しておりました。こういう矛盾に満ちた政策というものは再検討なさるべきだということを私はひとつ提言いたします。
 次の問題がいろいろありますので移りたいと思いますが、大変毎年税務職員の充実についていろいろ執行上の不公平是正のために要請が出ております。
 ことしもまた、私の立場からこれは申し上げておきたいと思うのでありますが、現在法人の確定申告を見ますると、その半数が赤字の申告をいたしておるわけであります。したがって、その正確性を調査する必要がある。そのためには現在の法人実調率を高めなければならないわけであります。毎年当委員会においても税務職員の問題について附帯決議を採択をしておるわけでございます。それなりに努力が続けられてきておりますが、しかしまだまだ十分ではないということで、今後とも政府は努力をしていただかなければならないと考えるわけでありますが、竹下大蔵大臣の所見を承っておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この税務職員の充実、そして処遇改善、この問題については、本委員会において毎年、あるいは臨時会等がございますときには二回、法案審議の際に附帯決議をちょうだいをいたしております。それが端的に申しますと唯一の支えてあります。
 率直に言って、財政当局でございますから、何だかんだ言いますとすぐまず隗より始めよと、こういうことになるわけでございます。しかし、こういう国会の附帯決議があるから、それに対しては、私といえども、財政当局者といえども、これは主張せざるを得ない。こういう背景が唯一の支えというような感じがいたして毎年対応しておりますが、二けたになりましたと言って威張っておりましたけれども、十一人といいますと、二けたといっても本当の名ばかりの二けたでございますが、ことしの場合は六十四名でございますので、肩を張ってお答えするという意味ではございませんが、二けたの真ん中よりもちょっと上の方へ行きました、おかげでございますと。
 そして、処遇改善の問題につきましては、これも私の立場からは、各省へ、各当局へ陳情することは本当にめったにございませんけれども、人事院総裁に対しましてこれだけは毎年、それも附帯決議が支えになりまして、私が直接陳情といいますか要請といいますか、をさせていただいておるというのが実態でございますので、まあ附帯決議を毎年つけてくださいという意味で言っているわけじゃございません、院の意思に介入しようという考えは全くございませんが、ありがたいことだと思っておりまして、これからもなお、これはこれで済んだなどというものでは絶対ないと思っております。
○赤桐操君 それでは次に、若干東京湾横断道路の問題で伺っておきたいと思います。
 東京湾横断道路の問題は、これは大変今回のいわゆる民活事業ということで鳴り物入りの宣伝の中で行われてきているように思うのであります。この横断道というのは既に昭和四十一年以来の調査が続けられてきておるわけでありまして、これも私もよく承知をいたしております。大変いろんな問題をたくさん含んでいるわけでありますが、環境問題とか航行上の安全の問題とか、そういうことは別の場で論議をさせていただきますが、きょうはひとつ建設の方式及び建設の財源を中心として若干承っておきたいと思います。
 この東京湾横断道の建設が民活事業の目玉事業だというように宣伝をされておりますが、どういう点が実は民活のモデルとして、目玉事業として評価されているのでしょうか、これまず一つ伺っておきたいと思います。
○政府委員(小粥正巳君) お答え申し上げます。
 お尋ねは、東京湾横断道路の建設、運営に関しまして、今回御提案申し上げているような方式がどんなメリットがあるか、そういう問題かと存じますが、幾つかのポイントについて申し上げますと、何よりも民間活力ということでございますが、民間の技術力あるいは経営能力、いわば官に比べまして非常に多様、効率的、弾力的な民間の経営力、技術力を積極的に活用できる、この点が一つでございます。
 それから、資金の調達につきましてもその大部分を民間資金の活用によって調達をするということが考えられているわけでございますが、大規模な公共的事業を大量の民間資金を動員活用することによって行うということ、このことはまた、現在の大変厳しい財政事情のもとで必ずしも国の財政事情に縛られずに、先ほど申し上げました民間の資金力、経営力を生かした効率的な事業の実施が期待できる、そういうことがあろうかと存じます。そのほか、民間の先ほど経営力と申しました技術力あるいは人材の活用ということもございましょう。それからまた、会社形態をとりますために、関連事業の実施等による開発利益の適正な吸収、こういうこともメリットの一つとして考えられるわけでございますが、全体といたしまして、資金の調達あるいは経営全般にわたりまして文字どおり民間活力の効率的な活用、導入を期待してのこの計画ということで御理解をいただきたいと思います。
○赤桐操君 これは有料道路のようですね。有料道路ということになると採算の問題が伴うと思うんですよ。これはどんな見通しでおられますか。
○説明員(三谷浩君) お答えいたします。
 ただいまお話がございましたように、この東京湾横断道路全体で一兆一千五百億円に上る事業かと思います。そこで、方式といたしましては有料道路制度を使いまして、できるだけ早期に完成をさせるというふうに考えております。しかしながら、有料道路でございますから当然ながら採算性が問題になります。私どもの計算によりますと、六%の資金コストを確保いたしますれば総事業費の一兆一千五百億円、これは供用当初の交通量を約三万台と見込んでおります。また料金でございますけれども、昭和五十七年度価格では普通車が約三千円。供用時はそれから十年ぐらいたちますので、当然ながら物価の上昇等を加味いたしますと四千九百円ぐらいというふうな予想もしておりますが、そういう計算をいたしますと、三十年程度で償還が可能、こういうふうなことでございます。
○赤桐操君 そういたしますと、会社が建設と管理を行い、それから所有は公団ということですね。道路公団がこれを所有し、建設と管理を行うのはこれはでき上がるその会社が行う、こういう二つの方式に分かれるわけでありますけれども、採算性は大変とれる、こう言っておりますが、どうなんでしょうかね。
 そこまで採算性の見通しがあるというならば公団が何も介入する必要はないんじゃないですか。純然たる民間でおやりになったらいいじゃないですか。所有は最終的には公団に負わしておいて、そしてその間の建設と管理だけをその間この会社がやるというのはどんなわけなんですか、これは。私はこの経営は納得できないと思いますよ、国民は。何で公団なら公団一本でやらせないんだ、採算が合うんだったら民間経営一本でやったらいいじゃないか、どちらにするんだ、こういう問題が出てきますよ。採算に合うと今言っておるわけですから、どうしてそれなら民間経営でおやりにならないんですか。民間でやるなら民間一本でやることですよ。それが本当の民活だと私は思うけれども、この点はいかがですか。
○政府委員(小粥正巳君) ただいま建設省からお答えがございましたように、現在の考えられております仕組みと申しますか、民間活力を最大限に活用しながら、しかし今後公団にも今お話しのような役割を担っていただく。いわばその組み合わ
せによりまして、この大規模な公共的事業が現在の状況のもとで最も効率的に、文字どおり民間活力の効率的活用が期待できるのではないか、そういうことでございます。
 ただいまお話がございました採算がとれるという前提も、これは今先生の御指摘でございますけれども、公団が所有をするということによりまして、純粋の民間事業では必ずしも対応しにくいリスクでございますとかあるいは用地補償の問題等、この点につきましては公団の対応を期待する。それから、公団が所有することによりまして、全体のコストにつきましても採算がとれるような前提で、公団の所有とそれから民間資金の活用、民間の経営能力による効率的経営、この組み合わせが現在の厳しい財政事情のもとでは最も効率的な仕組みではないか、こういう考え方のもとにこのような構成をとったものでございます。
○赤桐操君 私、納得できないんですけれども、公団にはそういうものをやる能力がないのかというように私はちょっと疑問を持つんですよ。本四架橋の方は全部本四公団がやるんでしょう。それで民活でしょう、これも。金を民間からも導入して結構でしょうし、またこれを行うのは民間の業者がやるんでしょう。どうしてこれ公団があるのにやらせないんですかね。私は不思議でならない、正直言って。なぜその途中にこういう会社形態のものをつくり上げて民活と称して介入させなきゃならないのか、納得できないです。今の御説明では国民は納得しませんよ。再答弁してください。
○政府委員(小粥正巳君) ただいま本四公団との関連につきましてもお話がございましたが、本四公団の事業でございます明石大橋につきましては、これは御案内のとおり既に三ルートの建設計画がございます。一部は既に相当進んでおりますが、いわば三ルートの架橋が一体として採算がとれる、そういう前提で本四架橋公団が事業を進めているわけでございまして、いわば今回の明石海峡大橋の着工につきましては、従来の考え方で、本四公団が三ルート一体として採算のとれる事業、その中で民間資金をできるだけ活用し、国庫負担を合理的に縮減するという、このような方式で今回別途明石海峡大橋等の着工が考えられているわけでございます。
 このたびの東京湾横断道路につきましては、これはいわば明石海峡大橋とは違いまして、独立の大規模な公共的プロジェクトでございます。このプロジェクトを、現在のような極めて厳しい財政事情のもとで、先ほど来申し上げておりますが、民間活力を最大限に生かして、しかも全体として採算のとれる事業としてこの実現性を考えます場合に、先ほどから申し上げておりますような、いわば民間の活力の最大限の活用と、なお公団の所有という、この組み合わせが事業の効率的な運営あるいは民間資金の集中的な動員、活用に最も適切な方式であろう。このような考え方に立ちまして、先ほど来申し上げておりますような今回の仕組み、事業構成をとったものでございます。
○赤桐操君 今の御答弁によりますと、民間資金を導入するのが最大の問題のようでありますね。
 それで、この論議がここまでくるのには免税債の問題もあったようでありますし、割引債の問題に結局は落ちついたようですが、免税債はだめで割引債ならいいというのはどういうわけなんですか、
○政府委員(水野勝君) 割引債もいわば利子配当課税に類似する課税の方式の対象となっておるわけでございまして、御承知のとおり一六%発行時源泉徴収ということでございます。また個人につきましては、これをもって課税が完結する分離課税でございます。これは転々流通するというこの割引債の特性に応じまして税制上措置が講ぜられておるわけでございまして、もろもろの発行対象につきましてこうしたものが現行制度の中に仕組まれておるわけでございます。
 今回、東京湾横断道路建設につきましては、これが他に例を見ない民活のための重要なプロジェクトであるということから、今回の計画に限り、これを民間個人貯蓄の活用ということを特に念頭に置いて、現行制度の中にございます割引債制度の中にこれを入れさせていただいておるということでございます。
 途中の段階で免税債等もろもろの御議論はあったようでございますけれども、正式のものとしてこれが出てまいったというものでもございませんので、正式にこれはこのような問題点があるということを申し述べるというのもいかがかとは思いますけれども、免税債につきましては、個人所得課税の面からも、また法人課税の面からも、もろもろの問題が多々あることはこれはまた事実でございます。
○赤桐操君 割引債というのは、大体今まで一般のこうした商法上の民間会社には認められてこなかったはずですよね。全部これは金融機関だったでしょう、割引債というのは。今回これをいわゆる会社、こうしたところに認めようというわけなんです。こんなにまでしてやらなきゃならぬ理由というのはないと私は思うんです。公団がつくれば公団債の発行できるでしょう。金は集められますよ、いろいろたくさん。あるいはまた、資金運用部資金なんか余っておるでしょう、現在。これも行革の対象にして、関連するところのいわゆる対象機関に対する整理を行うならもっと金が余るはずですよ。何でそういう金が使えないんですか。私は国民は納得しないと思いますよ、このやり方は。いささかこの割引債の設定にしても無理があったんではないですか。どうですか、この点は。
○国務大臣(竹下登君) 今赤桐さん御議論になっておりますような議論が経過の中で行われたことは事実であります。
 端的に言って、一方、これは道路公団でやっていいじゃないか、こういう御主張の中には、財投資金もあるし、公団債も出せるし、それがしかし六%、とにかくまぜこぜにして六%の金利まで持っていかなきゃならぬ。さようしからば、それだけの利子補給すればいいじゃないか、こういう議論が一つございました。それで一方、純粋の民間にやって、免税債出して、コストを六%にすればいいじゃないか、こういう議論。純粋な民間と純粋な公団。そこでいろいろな議論をいたしましたが、免税債ということになると、言ってみればいわゆる特別マル優法人版をつくることになりはせぬかという議論が一番のネックでございました。したがって免税債はあかぬと。一方の方は、利子補給ということは今の財政事情、将来にわたって財政を硬直させるからこれもあかぬと。
 そこでどういう組み合わせをするかということになりまして、結局、コストダウンの相当な基本になるためには出資金というのをきちんとしなきゃならぬ。それで、それは東京都にもお願いしよう、千葉県にもお願いしよう、神奈川県にお願いしたかどうか定かに知りませんが、恐る恐るでもお願いをしよう。それから公団自身も出資しよう。そこで出資金である程度金利負担の軽減を図る土台にしていこう。そして、やっぱり今一番活用すべきなのは金融機関の金という、結果的にはそうなりますが、いわば日本人の貯蓄性向が強い国民性からする個人の蓄えをどういうふうにして活用するかというのが、結局割引債ということに結論としてなったわけであります。
 そして、これは私の考えがあるいは間違っておるかもしれませんが、経過の中でいろいろ議論した問題ですが、大災害でも起こって、地震かなんか、そうなった場合には、やっぱりこれは会社所有にしておくというのは一番問題じゃないか。そうすれば、やはりこれは所有は公団に持たした方が妥当ではないか。それからもう一つは、漁業補償なんかは会社よりも公団がはるかに上手、まあ上手はいけませんが、なれていらっしゃるじゃないか。そうすると、かれこれ考えて、民間の個人の金を可能な限り活用するという民間活力というものと、そして従来からの公団の持つ物すごいノーハウというようなものを組み合してこのような措置に最終的に合意に達したという経過があります。
 したがって、公団派、民活派という派閥があったわけじゃございませんけれども、そういう二つの論点の中から議論をしながら最終的に調整したのが今回の制度、こういうことに相なるわけであります。その中で税制上にかんでくるものが、割引債と出資金に対する控除でございましたか、それが入って六%というものに一応計算がされ、先ほど建設省からお答えがあっておりましたように、それがペイラインに乗る。
 本四架橋の場合は六・一四九にすればいい、こういうことで、これは全部ひっくるめての話でございます、本四架橋の方は。明石だけでありますと恐らくもっと高くてもあるいは、明石だけだったらそれはペイするかもしれませんが、全体を通じて六・一四九というところへ位置づけたから、これはやっぱり全体を基準とするから、そのまま本四架橋公団。今のは単発の大プロジェクトだからこのような妥協といいますか、調整措置で最終的に落ち着いた。
 ちょっと粗っぽい議論でございますけれども、常識的に私が振り返った経過をお答えをしたわけでございます。
○赤桐操君 私はもうこれで一応とどめたいと思いますが、いずれにしても、大変今回の東京湾横断道路の問題については拙速であり、ずさんであると私は考えています。そういう意味合いから、資金の集め方にしてもそうだし、それからまた環境問題や安全問題についてもまだまだ問題はたくさん残っている。今、税制上の問題一つ取り上げても、大変大きな矛盾があるんですね。税体系全体を乱すじゃないか、こういうあれも出ているわけであります。それから、税制上の優遇策から見ていったって、割引債の発行増を国が認めるということはおかしいじゃないかという意見だって金融界を初め全国にありますよ、各界に。そういう面から見ると、大変今回のこの問題については拙速過ぎる、こういうふうに私は受けとめております。
 いずれにいたしましても、いずれまた別の機会においてこれらの問題を詰めたいと思いますが、きょうは以上をもって終わりたいと思います。
○鈴木和美君 私は、今回の租税特別措置法の改正の中で、たばこ消費税の問題について御質問をしたいと思います。
 まず第一に、今回各方面から大変きつい批判がありますたばこ消費税の引き上げについて、まず大蔵大臣の感想をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今回の改正、これは十二月の十七日に税制調査会の答申をいただきまして、抜本改正を前にして基本的な現行税制の枠組みを動かさないという姿勢でまず今回は対応をしてきたわけでございます。
 そこで、補助金等の整理合理化に伴います最終的にぎりぎりのときで地方財政対策どうするか、こういうことになりまして、率直に言って、赤字公債発行に頼るか、何かの現行制度の枠組みの中において負担増を、あるいはいわゆる増収措置を講ずるかという選択に迫られて、それが十二月の二十日の晩でございます。最終的にいろいろ議論しました結果、私の決断で、それじゃたばこにお願いをしよう、こういうことになりました。
 したがって、問題を二つに分けて申しますと、地方財政対策上やむを得ざる臨時異例の措置としてとったことでございますという問題が一つと、それから二番目は、やっぱり手続上の問題、これはなってないと私も自分をしかりつけております。したがって、税調にも二十一日に結局追認していただく、こういう措置をとりました。それから会社にも労働組合にも、あるいは耕作団体にも販売関係の団体にも事後に了承をとるというか、了承されるわけございませんけれども、了承をとるべく努力をして、今日もなお各方面に頭を深々と下げてお願いをしておるというのが実態でございますから、極めてすかっとした気持ちでないということだけは私の率直な心境であります。
○鈴木和美君 私は、まず百一国会における当委員会でのたばこ法案の審議の経過、及び、先ほど大臣は税務職員の場合には附帯決議が唯一の支援であるというようなお話がありましたが、まず附帯決議の点からも違反している。それから手続の面からも税調を無視したということなどの点から考えまして、手続の面、内容の面から見ても私は極めて不当であって、怒りを持って実は受けとめています。このことを冒頭申し上げておきたいと思います。
 さてそこで、二千四百億円、国千二百億円、地方千二百億円、このような増収を図る措置を講じたと思うのでありますが、この二千四百億円と算出をした算出根拠についてまず大蔵省にお尋ねしたいと思います。
○政府委員(水野勝君) 今回のたばこ消費税の従量税率の引き上げに際しましての改正増減収額、これは国税分千二百億円、地方税分千二百四億円、合計二千四百四億円と見込んでおるところでございますが、このうちの国分千二百億円につきましては、最近の課税実績、消費動向、今回の税率引き上げに伴いますところの需要減に加えまして、日本たばこ産業株式会社その他関係者の感触をもお聞かせいただき、これらを勘案いたしまして、六十一年度の紙巻たばこ消費量、国内品としては二千九百十億本、輸入品百三十億本、合計三千四十億本と見込みまして、これを基準にいたしまして初年度計算をいたしまして、国分千二百億円と計算したところでございます。
○鈴木和美君 今のお話の中で、もう少し数字上はっきりしていただきたいんですが、昭和六十年当初の売り見込みは何本でございましたか。二つ目に、六十年度の実行見込みは何本でしたか。六十一年度、改正なかりせば何本でしたか。そして、今お話しの内国たばこ二千九百十億とはじいた一連の数字の経過について明らかにしてください。
○政府委員(水野勝君) 六十年度といたしましては、国産、輸入品合わせまして三千百億本程度の売り上げと申しますか、消費を見込みまして、これに基づきまして予算額を計上いたしておるところでございます。この六十年度予算の金額は、まずおおむねこの予算額程度に達するのではないかということを見込みまして、これをもとにいたしまして六十一年度を見込んでおるところでございます。
 また、今回の改正によりまして、もしこれが改正がなければ、それによりましては百億本程度の国産品といたしましては増加があったのではないか。しかし、これは今回の改定によりますところの消費減あるいは輸入品に対しますところのシフト、そういったものを見込みまして二千九百十億本というふうに国産品としては見込ましていただいておるところでございます。こうしたものに基づきまして六十一年度予算額を見込んだということでございます。
○鈴木和美君 私から数字を述べますが、それに間違いがあるかどうか。ただ間違いがあるかないかを言ってください。
 昭和六十年度当初の売り見込みは、内国たばこですが、大体三千五十億だと私は記憶しております。たばこ会社の実行計画見込みを見ますと三千三十億。そして六十一年度、この値上げが、改正なかりせば三千十億本。今お話しのように、いろんな要素を含めて百億本ぐらいは値上げによっておっこちるんじゃないかということで二千九百十億本、こういう数字と理解しますが、間違いございませんか。
○政府委員(水野勝君) 大筋そのとおりでございます。
○鈴木和美君 大臣、答弁は要りませんけれども、私がこの数字を今なぜ申し上げたかというと、値上げなかりせばという問題はさておいて、値上げがなくとも、この前の法案の審議のときに、三百一条の問題が現在提起されているように、外国たばこからの大変な攻撃がある。また、たばこ離れが現実に起きている。そういうことを見越しながら、あの当時でさえ、つまり専売公社から民間に移るということは自由競争のあらしの中にさらされるということを意味するんだ。自由競争の中にさらされるということを意味すること
は、激しいコスト競争に打ち勝たなきゃならぬ。しかし、そういう状況の中でも現在、いいか悪いかは別にしてもたばこ離れが行われている。そしてその数字を見れば、既に六十年度当初売り見込みから二十億本これは修正しなきゃならぬ。実行計画三千三十億本であったということが三千十億にこれはまた見込まざるを得ない。つまりここでは二十億、二十億本ずつたばこ離れがおっこっているという現実ですね。
 後ほど長岡社長にお尋ねいたしますが、この二十億、二十億おっこっているということは、これは私の試算ですが、たばこというものは、一億本たばこをつくるのに従業員は四人とか大体四・五、五人ぐらいかかっているわけですね。したがって、二十億おっこちるということは、単純計算においても毎年八十人から百人、そのくらい値上げがなくとも労使の中で合理化を進めていかなければコスト競争に勝てない現実なんですよ。そこに今回値上げの問題が起きるということで百億おっこちるということは、大変な数字がここにのしかかってきたということを私は意味していると思うんです。そのことだけをまず私は大臣に記憶にとどめておいてほしいと思うんです。
 さてその次の質問です。
 今回特別措置をとるということが書いてありますね、五月一日から三月まで。この特別の措置とはどういう意味を指すのかお尋ねします。
○政府委員(水野勝君) 今回の措置は、地方財政対策として臨時異例的にとろうとしておるものでございまして、そういう意味におきまして特別に今回五月一日からの分につきまして措置を講じさせていただこう、こういう趣旨でございます。
○鈴木和美君 非常に不明解でございますのでもっとはっきりしてほしいんです。つまり、六十二年の三月三十一日までは一本につき手数料を含めて一円ですね。従量税、従価税の組み合わせというのは若干変わりますが、その期間、一年ですね、一年だけはこの税率を適用させていただきたいということが特別の措置という意味であるというふうに理解して間違いございませんか。
○政府委員(水野勝君) まさに法律的措置といたしましては、たばこ消費税法を改正はいたしておりません。今回、五月一日から来年三月三十一日までの分につきましては従量税の税率をこれだけ上げさしていただく、一方、これが従価税の課税標準にはね返りをいたしますのを回避するために特別の控除を行う、こうした一連の措置を三月三十一日までの特例の措置として租税特別措置法で措置させていただこうということで御提案申し上げているわけでございます。
○鈴木和美君 つまり一年間ということでございましょうが、その後これはどういう取り扱いになさるんですか。
○政府委員(水野勝君) 今回お願いをいたしております措置は来年三月三十一日までの分でございますが、現在税制調査会におきましては税制全体の抜本的な改革をもまた行っておるところでございます。そういう中で、たばこも含め、もろもろの消費税の税負担のあり方もまた議論はされるものと思われますので、一年後におきますところの負担水準、税の面から申し上げます負担のあり方としては、こうした税制調査会の審議の結論等をも待って対処することになろうかと思うわけでございます。
○鈴木和美君 先日、同僚の村沢委員から木下参考人に御質問がありました。参考人のおっしゃっていることは、今回税調に何の諮りもなくやられたということは甚だ遺憾だ、しかし地方交付税との関係があるからやむを得ないと考えた。次の質問で、税調にまだ来ているわけじゃないから話はできぬけれども、私見として述べれば、まあ税調で議論はしなきゃならぬと思っていますというお答えでございました。
 私はここではっきりしておかなきゃならぬことは、税調にお願いする、お願いしないということはこれからの問題ですが、この法案で言っている意味合いというものは、特別の措置ということは、来年の三月三十一日になったときには、現行の税率ということが正しいんであるということから、つまりフィードバックして特例の措置であるということを言っているんだというように理解すべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(水野勝君) 今回の租税特別措置法でお願いを申し上げております御提案は、六十一年五月一日から六十二年三月三十一日までの分につきまして従量税、従価税それぞれにつきまして特例の措置を一年間だけ講じさせていただいておるということでございます。まさに租税特別措置法は臨時的にとられる措置の中身を規定さしていただいているわけでございまして、その点につきましては、この期間を限りましては、この分はたばこにお願いいたします課税標準、税率水準をお願いをしているわけでございますが、一方、たばこ消費税はたばこ消費税としてまた存在をしておるわけでございます。租税特別措置法でこの期間に限りこの特別の御負担をお願いをするというのが、文字どおりの御提案ではないかと思うわけでございます。
○鈴木和美君 よくわかりません。
 私のお尋ねしていることは、これからの取り扱いはどうするかということは別にありますよ。あるけれども、この法案そのものを見たときには、五月一日から三月三十一日までは現行のたばこ消費税の税率があるけれども、一年に限り特別の措置をとらせていただきたいということでしょう。だから、一年が過ぎれば現行の税率ということになるわけでしょう。現行の税率にならないというのであれば特別の措置ということは要らないんですわね、改正をすればいいんですから。いいか悪いかは別にしても、この法案の言っている意味は、一年過ぎれば現行の税率に戻しますよとは言わないけれども、そういう意味合いを含めた法案じゃないんですかということを聞いておるんです。そうだ、そうでないということだけ答えてくれればいいんですよ。
○政府委員(水野勝君) 法律としてはとにかく来年三月三十一日までのことが規定されておるということでございます。
○鈴木和美君 もう一度お尋ねします。
 しつこいようですが、一年間だけのものを規定してあります、そのとおりです。それは私の言うように、来年度、つまり来年の四月一日からは現行の税率に、つまり正しいというか戻すというか、そういう意味合いですよと、そうやるかやらないかはこれからの問題ですよ、法案としてはそういうふうに読むべきでしょうと言っていることに対してそうだと答えてもらえばいいんです。
○政府委員(水野勝君) 御提案申し上げておる租税特別措置法の改正法案、それから別途ございますたばこ消費税法案、これを現時点で総合して勘案すれば、現時点ではそういう御趣旨の意味になるというふうに考えます。
○鈴木和美君 大臣、私は思うんです。衆議院での答弁も全部お聞きしております。しかし私は一番心配なことは、税調にこれから、まあ例えば四月一日からどうするか、適正税率はどういうふうに決めた方がいいんだということを諮問をするときに、まず一つの問題点は、百一国会での附帯決議のときに、たばこ消費税の税率については、現行の納付金率の水準、それから国と地方の安定的な財政収入の確保、それから今後におけるたばこの消費の動向、つまりおっこったんでは税収は上がらぬということですよね、そういうことを配意しながらやっていきますよという附帯決議があるわけです。
 この附帯決議から見ても、税調に語るときにやはり大蔵省としては、我々はこういうふうに考えるのだけれどもということを今回は出さなきゃならぬのじゃないか。たばこの税率は幾らがいいんでございましょうと言うだけじゃなくて、我々はこう考えるけれどもこうだということを出さなきゃならぬという問題点が一つあると思うのです。
 二つ目の問題点は、それならば、税調は一生懸命議論してもらうのだけれども、一年過ぎても税調が結論が出なかった場合はどういうことになるのでしょう。これは二つ目の問題。
 三つ目の問題は、俗称お酒で、格差是正ということで、種類間の格差を是正するという答申で今一生懸命やられておりますけれども、三年、四年かかってもまだこれが出ないんですよ。私はこういうことを考えると、もちろん酒税の格差の問題とは若干意味合いが違いますけれども、非常に難しい議論になる。担税力の問題も考えなきゃいかぬ、外国との競争のことも考えなきゃいかぬ。そういうことを考えてくると非常に私は先行き心配です。
 したがって、税調に対しても今回は竹下さんが今謝っていられるように、罪意識があるわけだから、今度はっきり税調に我々の考えはこうだということを示すべきじゃないかと思うんですが、いかがでございますか。
○政府委員(水野勝君) 事務的な点からまず申し上げさせていただきます。
 五十九年八月二日の本委員会の附帯決議は御指摘のとおりでございます。また、こうした審議の中身は、税制調査会におきましてこうした附帯決議も含めまして逐一正確に報告をさせていただいているところでございますし、また、今国会におきますところの審議の状況につきましてもそのように処理をさせていただくわけでございますので、税制調査会としてはこうした附帯決議、また今回の御審議の状況、こういったものを踏まえて当然来年度以降につきまして御審議をされるものと思うわけでございます。
 また、一年たっても結論が出ない場合ということでございますが、結論は税制調査会としては当然何らかのものは、現行も全く手をつけないということであればそれは手をつけないという結論の方向、何らかの方向での新しい方向を出すということであればそれは新しい方向での何らかの結論は出すものと思われますので、全く無言で結論を出さない、出ない、そういうことはまずないのではないかというふうに考えるわけでございます。
 また、お酒の点につきましては、これは五十六年、五十九年、本委員会にも負担の引き上げのお願いをいたしました際、もろもろの御指摘はいただいておりますし、またそれに応じましてもろもろのいろいろ研究グループをつくったりいたしまして研究はいたしております。御指摘のように難しい点はたくさんございますが、また国際的な状況の変化もございますが、現在これを抜本的にすぐ見直すというところまでの結論には至っていない。確かに御指摘のように時間はかかっております。問題意識としては持っておりますが、またこれを基本的に見直すところまではいっていないというのが現状でございます。
○鈴木和美君 大臣には後から答弁いただきます。
 もう一つ大蔵省にお尋ねを先にしておきます。
 今回の増税によって、当初見込んでいた会社の税引き前の当期利益はどのように考えておりましたか。同時に、今度は増税なかりせばという場合と、増税があった場合の利益の変化についてお尋ねします。
○政府委員(松原幹夫君) 私どもの方では単純な増税なかりせばの会社の利益というものは算定しておりませんので、会社の方からお聞きしましたところによりますと、大体八百億程度の税引き前の利益が出るのではなかったろうか。それが今回の増税によりましてたばこの定価の改定が行われた場合には、約百三十億程度の収益の減少につながって、六百七十億程度の税引き前利益になるのではなかろうかといったような話を聞いております。
○鈴木和美君 これは日本たばこ産業株式会社の事業計画の申請でございますが、一番最後のところに六十一年度の収益見込み、六十年度九百三十億、それから六十一年度六百七十億というように計上されておりますが、これはどういうふうに理解すればいいですか、今の数字とこれとは。
○政府委員(松原幹夫君) 六十一年度は、たとえ増税がない場合でありましてでも、税引き後の利益が約八百億円になるという見込みであるというぐあいに承知しておりまして――失礼いたしました。税引き前の利益が六百七十億円になるというように承知しております。
○鈴木和美君 長岡社長お話ししたいようですから先にお尋ねだけしておきますが、社長にお尋ねしたいことは、まず一つは、さっき私がちょっと数字を述べましたが、たばこを一億本製造するのには従業員が何人がかりますか、これを一つ聞きたい。
 それからもう一つは、葉たばこ原料、製造たばこ十億本当たりの葉たばこの量、面積、これはどのくらいのものなんでしょうか。
 利益の点は後ほどまたお尋ねしますが、先にそこのところだけお答えいただけませんか。今の二つだけ。
○参考人(長岡實君) 一億本のたばこを製造するのに何人の従業員が必要であるかという点は、これは工場の性能、規模等によって違うわけでございますけれども、いわゆる単純計算で申しますと、一億本でおおむね五人でございます。
 それから、十億本のたばこを製造するのに一体どの程度の原料の葉たばこが使用されるかという点も、これもまた葉たばこの種類によっては違いますけれども、これも単純に計算いたしますと、十億本当たりの国産葉の使用数量は約五百トンでございます。
○鈴木和美君 五百トンということは、大体数字に直しますと、十億本当たり、面積にすると二百ヘクタールくらいになっていると理解してよろしゅうございますか。
○参考人(長岡實君) 面積換算をいたしますと約二百ヘクタールになります。
○鈴木和美君 先ほどの利益のところにもう一回戻りますが、大蔵省が今回の二千四百億円をはじき出したときの根拠と、そのことによってたばこ産業に与える影響はどういうふうになるんだろうかというような意味で、計数が全然はじかれていないということは私はないと思うんですね。それは立派な大蔵省ですからちゃんとはじいていらっしゃると思うんです。会社は会社なりにはじいていると思うんです。
 ただ、私は会社に聞いてもわからない点が一つだけあるんですよね。それは、外国たばこのことは日本たばこ会社はわからないんですよ。そうすると、先ほどのお話では、外国たばこと国産たばこを含めて、つまり二千九百十億本と百三十億本を足した数において二千四百億円をはじき出したという先ほどのお話ですね。
 そういうことを前提にしますと、利益の方は、今度は省にひとつ聞いておきたいんですが、今私が聞いたのは税引きの前のことを聞いたんですね。今度は後のことを聞きたいんですが、先ほど申し上げましたように、六十年度の税引きの前の当期利益は九百三十億円をたばこ会社は見込めると言っていますね。それから六十一年度は六百七十億である。これは税引き前ですよ。いいですか、間違いないですね。そうすると今度は税引き後です。法人税、事業税を払った後の利益は一体どういうことになるのか、この数字を教えてください。
○政府委員(松原幹夫君) 六十一年度の税引き後の当期末の処分利益は約四百七十億円というぐあいに聞いております。
○鈴木和美君 もう一回言ってください。
○政府委員(松原幹夫君) 四百七十億円程度になるだろうと……
○鈴木和美君 六十一年度ですか。
○政府委員(松原幹夫君) 六十一年度です。
○鈴木和美君 今の数字はこういうふうに理解していいですか。よくわからないんですが、四百七十億ということは、先ほども私述べましたように、値上げがなかりせばどのぐらいたばこが売れて、どのくらいの利益が上がるかというのがありますね。増税をしたためにこのぐらいのたばこしか売れなくて、これだけの利益しか上がらぬということを私は知りたいんですよ。そこのところがどうもぴんとこないんですわ。
 それで、大蔵省はそういうことをはじいていないというさっきの答えですね。つまり増税がなが
りせばどのぐらいで、あった場合にはどのぐらいということを大蔵省ははじいていないからわからないという答えなんですよ、さっき。私はこれはある意味ではわかるんですよ。ある意味ではわかるということはどういうことかというと、なるべく自主性と独自性を持たせるということで、事業認可ということに対して我々も主張して、なるべく余り介入するなということを私は言った経験がある。大臣もそれにお答えになった。そういう意味では余り省は介入したくないということもそういう意味ではわかるんです。けれども、きちっとした数字をはじいていないということはこれは私は納得できないんです。
 そこで、はしいた算出根拠を大蔵省から聞いて、そして私はその後長岡社長に尋ねたいんです。
○政府委員(松原幹夫君) お答えいたします。
 ただいま数字といたしまして四百七十億と申し上げましたが、三百七十億の間違いでございまして訂正させていただきます。これはたばこ会社から聞いております数字でございますので。大変失礼いたしました。
 それから増収額につきましては、たばこ会社の方では約百億本程度の売り上げの減少を見込んでおりますが、外国たばこにつきましては約四十億本程度の増加を見込んでおりまして、その差額全体として六十億本程度の減少ということで先ほど主税局長からお話になりましたような数字が出てきたのだと承知しております。
○鈴木和美君 長岡社長、会社も当然利益のところは計算されていると思うんですが、だから私は先ほど言ったように、増税なかりせばということの、つまり本数とそのときの利益と、今回増税が行われた、そのときにどれぐらい売れてどのぐらいの利益になる、ここのところはどういうふうにお考えになっているのかお聞きしたいと思います。
○参考人(長岡實君) 先ほど鈴木委員がおっしゃいましたように、昭和六十年度、会社になりまして、初年度の私どもの国産のたばこの製造本数と申しますか、三千五十億本の当初の見込みを三千三十億本にいたしたわけでございます。これは、現在のところ、二月末の段階ではまだはっきりとしたことは申し上げかねますけれども、ほぼ達成できるのではないかというふうに考えております。
 それを前提にいたしまして、六十年度にどの程度の利益が上がるかということを申し上げますと、これも先ほどお話に出ました約九百三十億円という利益が上げられるのではないか。法人税を引きますと、利益としては六十年度は三百二十五億円程度と現段階においては予定をいたしております。
 さて六十一年度でございますが、最近のたばこの需要が停滞から微減の傾向にございますので、私どもは、増税なかりせばどの程度の売れ行きが見込めるかという点につきましては、大体三千十億本程度と考えておったわけでございますが、今回の増税を受けましてたばこの値上げをせざるを得ない。値上げをすればたばこ離れに拍車がかかるといったことと、あるいはアメリカを中心とする輸入品が伸びていくということを考え合わせまして、大体約百億本ぐらい減るのではないかということで二千九百十億本という見込みを立てておりますが、これによりますと、もし増税なかりせばの数字は全くの仮定の数字になりますけれども、税引き前で約八百億円の利益、それから増税後の数字で申しますと税引き前で六百七十億円でございます。
 そこで税引き後これがどうなるかということになるわけでございますが、鈴木委員御承知のように、会社の設立の初年度は事業税が控除されませんけれども、二年目になりますと控除されることになりまして、その結果、税引き後の利益として、増税なかりせば、すなわち八百億円の税引き前の利益がある場合には税引き後で約四百四十億円、それから増税後の数字で税引き前六百七十億円の利益が上がりました場合に、税引き後の利益は約三百七十億円という数字を予定いたしております。
○鈴木和美君 主税局長にお尋ねした方がいいのかもしれませんけれども、今社長がお話しになったことは私こんなふうに理解した上で局長にお尋ねしたいんですが、九百三十億、六十年度税引き前のですね、これは。それで税引き後は三百二十五億だと、こういうんです。これは法人税と事業税を入れるから約六五%ぐらいですな、合算すると、初年度は。それから次の年度、六十一年度は今社長のお話で言えば八百億ぐらいが上がるのじゃないか、なかりせばですな。それのパーセンテージを掛ければ四百四十億出てきますね。それから、六十一年度増税があったという場合の税引き前は六百七十億であるということから見ると、今度は次の年度は大体四五%ぐらいにはじけばいいでしょう。あと平均五五%ぐらいですから、そのパーセントではじいたものが今おっしゃった三百二十五億と三百七十億だと私は思うんです。
 そこで、これは普通ひょっと見ると、たばこ会社の経営というものは増税があっても利益はむしろ三百七十億税引き後あるんじゃないか。六十年度は三百二十五億じゃなかったか。むしろここで四十何億ぐらいプラスになるんじゃないかというような誤解が生ずるおそれがあるんです。だからこれは法律の、事業税の適用の仕方の問題なんであって、これは全く数字上の私はまやかしだと思うんですね。そこで税引き後一体どのくらいの利益の変化があるのかということを先ほど尋ねたんです。そうすると私はやっぱり百何億ぐらいおっこちると思うんですね。
 だから、その意味では今回の値上げの措置というものは経営に対し大変な影響を与えるということを意味しているんですが、私の今のような解釈で主税局長間違いございませんか。
○政府委員(水野勝君) 御説のように、事業税は一二%原則でございまして、これがその年度で支払いますときの年度の経費になりますので、前の年度の利益に対応する分が出てくるということでございますので、先ほどのお話ですと、税引き前で九百億円程度の利益でございますと百億円内外の事業税になろうかと思いますので、恐らくそういうふうな結果ではなかろうかと推察いたします。
○鈴木和美君 ここで中間的大臣の答弁をいただきたいんですが、先ほどまず一つ私が申し上げたのは、制度改正のときに自由化のあらしの中にほうり出された。それで労使は、それでなくともたばこ離れが起きていますから、先ほど二十億ずつおっこっているという話をしましたですね。二十億おっこちるということは、今長岡社長のお話によれば五人がかるというわけですから、これは百人ですわね、二十億ということは。毎年百人ずつ何とかしなきゃならぬという大変苦しい経営なんですわね。大変なことだと思うんです。
 それから先ほど葉たばこの問題も聞きました。葉たばこの問題は、現在四万七千七百ぐらいだと思うんですが、それで大体七万六千人の耕作者がおるんです。それでこのパーセンテージを大体はじきますと、原料の減になることで四%から五%ぐらいになりますから、耕作者を単純に掛け合わすと約三千人から四千人要らない、単純な掛け合わせなんですが。そういう問題でまた減反の問題に追い詰められるというような状況なわけですね。そういう状況の中に、こういう値上げの問題が行われるわけですが、経営としては大変な苦しい状態であるということなんですね。
 さて、それであってもやはりたばこにどうしても手が出た。これは私たちはある種の目的税だと思うんですけれども、地方交付税の足りない部分だから目的税とは言わないという答弁があったけれども、ある種の目的税みたいなものですわ。そういうようなことであってもたばこに手が出たということは、大臣、こういう苦しい状況の中ではあるけれども、私は、たばこというものに対する消費税というものに対して国また地方というものはこれからも大いなる期待を持っているのか、もういいよというような考えを持っているのか。国家財政の財源とか地方財源から見て、地方消費税
の位置づけなどから見て、たばこ消費税に対する大臣のこれからの位置づけというか、考えをここで聞いておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず第一の問題は、先ほど主税局長からもお話ししておりましたが、国会決議、これらを含め、もとより税調に報告がしてございますし、きょうのような議論もまた正確に税調に報告をいたしますので、それらのことは税調審議に反映されるであろうというふうに思います。ただ、抜本のときは恐らく間接税のあり方というようなことなのかな、たばこと、こういうところまで行くのかどうかということについては私もにわかに予測はできません。
 それから、おっしゃいますように、平素お聞かせいただいておりますが、とにかく単純に言っても百人、あるいは四千人、こういうことになっていくんじゃないか、こういうことにつきましては私どももそれは理解ができます。したがって、今後関連企業等につきまして、あくまでも会社の自主性を尊重していかなければ民営に移した意義の多くの部分が薄らいでしまう、こういう問題意識は持っております。
 それから、たばこ消費税の位置づけでございますが、私は、いわゆる安定的税源としての位置づけではなかろうか、国、地方を問わず、そんな考え方であります。
○鈴木和美君 厚生省にお尋ね申し上げますが、新聞などで知らせていただきましたが、今回、喫煙と健康問題に関する専門委員会というものをおつくりになるそうでございますが、この目的と、それから専門委員を選ぶ基準について厚生省にお尋ねします。
○説明員(伊藤雅治君) 今般、厚生省といたしまして公衆衛生審議会に専門委員会を設けまして、喫煙と健康問題に関する報告書を取りまとめることといたしましたのは、最近のこの分野の研究成果も踏まえまして広く喫煙と健康問題に関する知見の評価、整備を行い、今後の喫煙問題の推進に資することを目的とするものでございます。したがいまして、喫煙と各種疾患等との関連性などにつきまして幅広く取り上げたいと考えているところでございます。したがいまして、委員につきましては、呼吸器病学、循環器病学等のすべて医学の専門家によって構成されているわけでございます。
○鈴木和美君 もう一度厚生省にお尋ねしますが、目的ですが、研究の成果を集約して、何とおっしゃったかよくわからないんですが、わかりやすい言葉で言えば、たばこは吸うなということをここで決めたいということなんですか。
○説明員(伊藤雅治君) お答えいたします。
 この委員会におきましては、喫煙が健康に対してどのような影響を及ぼすかということにつきまして、純粋に医学的見地から御検討をいただくという考え方でございます。
○鈴木和美君 つまり、純医学的専門という言葉ですが、それは何をやるんですか。害になるとか害にならないとか、害だということを導き出したいんですか。
○説明員(伊藤雅治君) 具体的にいろいろWHO等からも喫煙の健康に及ぼす影響については報告ないし勧告がなされているわけでございまして、それらの問題につきまして、我が国の専門家によりまして、例えば喫煙が肺がんの発生にどのような因果関係があるか、または肺がん以外の呼吸器の疾病とどのような関係があるか、または心臓病と喫煙の関係はどうかといったような問題につきまして、すべて悪い影響ということだけではなくて、幅広く喫煙というものが健康にどのような関連を持っているのかということを専門的見地から御検討いただくという考え方でございます。
○鈴木和美君 時間がありませんから、厚生省にお願いだけしておきますけれども、もう五百年も健康と喫煙問題というのはこれは議論されているんですよ。それからたばこ会社もこれ毎年やっているんですな。嫌煙権の人たちもやっているんですよ。だから私はある意味で、たばこが犯罪で言えば容疑者であるというようなことの意見に対しては、半ばああそうですかと聞くんです。だけれども、容疑者といっても、真犯人をとっ捕まえるのには、専門的にずっと詰めていって真犯人をまず見つけ出さなきゃいかぬのですな。ところが見当たらないのです、今まで。
 それからもう一つは、肺がんと関係があるというのであれば、先ほど二十億ずつたばこはおっこちていると私は言ったでしょう。たばこを吸わない人がどんどんおっこちているのに肺がんの数はどんどんふえているんですよ。だから、そういうような現実の問題、私はわざわざこれ本まで、いっぱいこういう本あるんです。
 そこで私は厚生省に頼みたいことは、全く中立的な意味でどういうことなんだろうか。それから病理学、医学の点からも、精神医学的な面からもいろんな総合勘案して、私は、いやしくも国なんですから、国が民間の長岡社長におかしなことを言うようじゃ、竹下大蔵大臣は、全くたばこの税に対して大きな寄与をしているというのに、片一方では稼いでくれと言っているのに、あなたの方でだめだというのであれば、中曽根さんというのは一体何をやっているのかということなんですよ。非常にここのところは私はおかしな話だと思うんです。だから、そういう意味で、厚生省は国民大衆から見てなるほどと思われるような指導を間違いなくしていただきたいと思うんです。
 さて、時間が参りました。ここで大臣に締めくくりの言葉をいただきたいんですが、大臣、ずっと言ってきたんですが、衆議院でも議論がありましたので、私はやっぱりまず一つは、アメリカからこれだけ三百一条問題でこれやられているわけですね。製造独占の問題、関税の問題、タックス・オン・タックスの問題、そして契約の問題、こういうような問題について大変責められておるんですが、今いやしくもやってはならないようなことで手を出しちゃった今日、こういうことにかんがみて、やっぱり三百一条問題にかかわるものは毅然たる態度を、従来から政府が示している製造独占問題以下、関税の問題守ってほしい、これをひとつお願いしておきたいんですわ。
 二つ目。二つ目については先ほどお答えがありましたが、やっぱり今度の百億おっこちるということは五百人首切り、それに今までのやつに上乗せになるんですから、そういうような状況になれば、長岡社長も大変苦労していると思うんですわ。しかし、多角経営というような問題に対して、雇用の安定という面からも積極的にアプローチしてほしいんですよ。やっぱりなじむとかなじまないとかいろんな意見があるかもしらぬけれども、雇用の面から積極的な私はアプローチをしてほしいと思うんです。
 それからもう一つは、私は何としても労使がきちっとした話し合いをうまく進むような方向にこれはしていかなきゃならぬことだと思うんです。もちろん今度はたばこ耕作組合の問題も生じます。そういう意味で、政府は適切なそういうものに対する指導を行っていただきたいと思うんでありますが、その点について大臣の答弁をいただきたいんです。
○国務大臣(竹下登君) まず第一点は、三百一条の適用をめぐる日米貿易摩擦問題については、米側の主張をよく検討いたしました上で、これはやっぱり我が国としても主張すべき点は主張して米国側の理解を得るべく努力すべきだと思っております。
 それから二番目の雇用問題でありますが、今回御審議いただくことになっておる国鉄等についてもあれだけの対応策をとっておるわけでございますから、私は当然のこととして雇用問題の立場からこれに対して十分配意をしていかなければならない問題であるという問題意識を持っております。
 それから三番目の労使関係、これは私は一遍ロンドンG5のときに世界一の労使関係だと、こういうことを言いましたので、それが続くことを期待をしております。私などが指導するという立場にはないと思っております。それを指導されるぐらいな立場だといつも敬意を表しております。
○鈴木和美君 さて、最後ですが、今までの演説は別にいたしまして、最後の感想ですが、やっぱり大臣としては大変なことやっちゃったなという実感がおありだと思うんですよ。
 そこで、私が今述べてきた影響が大変ひどいんですね。これ大変だと思うんですよ。長岡社長も胸を張ってこれからおやりになると当然思われます。最後に決意も述べていただきたいと思いますが、そこで大臣、これは私は例えばの話なんですが、例えばですよ、もう自分で長岡さんに大変なことしたんだから慰謝料を払うぐらいの気持ちは持ってもらいたいんですな。例えば、大株主ですね、ことしは配当はちょっと遠慮するわと。全部遠慮するというわけにいかない、だから少しぐらい、長岡さん無理することないよというみたいな、配当に限らないですよ、私は例えばと言っているんですが、そういうようなことで、会社が健全に発展するためのやはり援助、指導というものを的確に私はしていただきたい。そういう感想を私は、長岡社長の決意を聞いた上で、竹下大臣から今の配当の問題も含めた感想などを聞かしてもらって質問を終わります。
○参考人(長岡實君) 先ほども申し上げましたように、たばこの需要は停滞ぎみでございまして、私どもが努力しさえすればその売れ行きをどんどん伸ばしていけるという客観情勢にはございません。その上に日米貿易摩擦問題等もございまして、今回の制度改正が行われ、輸入自由化が行われた結果、輸入品のシェアが逐次高まっております。そういったような意味で、私どもは大変厳しい環境下で仕事に取り組んでいかなければならないわけでございまして、そういう状態のもとにおける今回の増税並びにそれを受けての値上げということは、先ほど来の質疑の中にもございましたように、私どもの企業の経営にも相当大きな影響がある、これは深刻に受けとめざるを得ないと思います。
 それはそれといたしまして、私どもといたしましては、現在そういうことによって社員全員の士気が阻喪されて成績が落ちるということがあってはならない。私自身率先してその努力をいたすつもりでございますけれども、全社員一丸となって何とかそういったような負担をはねのけまして、予定された成績をおさめるように頑張りたいというふうに考えております。
 最後におっしゃいました配当につきましては、大臣からもお答えがあると存じますけれども、私個人といたしましては大変複雑な心境でございまして、一方、NTTがどのような配当をなさるかといったような問題もございまして、これもまた社員全員が肩身の狭い思いをしたくない、させたくないという気持ちと、一方においては、企業として配当性向等考えまして無理をすべきではないという考え方と相矛盾する二つの考え方がございまして、私自身がまだ決断いたしかねておる現状でございます。
○国務大臣(竹下登君) まず基本的には、もしということがございましたが、もしは別といたしまして、やはり今一人株主という変形スタイルになっておりますが、あくまでも、民営化したという厳粛な事実に基づきまして、これから私どもも対応していかなければならないと思います。
 配当等の問題につきましては、今長岡社長からのお答えにもございましたが、いわゆる会社の社会的評価に関する問題もございましょう。が、いずれにせよ、会社の経営陣そのものが判断される問題であるという基本的なスタンスで臨むべきであろうと思っております。
○近藤忠孝君 この法案につきましては、三月二十四日の本会議でも指摘いたしましたが、東京湾横断道路建設に関する税、財政金融面での優遇措置を初め民間活力を口実とする数多くの特別措置の創設がされる反面、赤字企業への課税強化、たばこ消費税の増税など、中小企業いじめや大衆負担の安易な増税が一つの特徴であると思います。
 基本的な問題をきょう質問したいんですが、私は、この基本的な今回の法案の性格の中に、担税力や税負担をどこに求めるべきかという妥当性の点で大蔵省は逆転しているんじゃないかということを指摘したいと思うんです。
 問題は、現在大企業の内部留保がどんどん膨らんでおりますが、その資金が設備投資よりも財テクあるいは土地投機など本来の生産活動以外に、要するに投機的利潤あるいは利ざや稼ぎの方向に流れている、こういう事実ですね。このことは経済全体で見ますと、内需の拡大を抑えて今日の円高の原因ともなっておりますし、日本経済の健全な発展のためにも、また財政再建のためにもこの資金の流れを大きく変えなきゃならないと思うんです。
 こういう観点から若干幾つかの質問をしたいと思うんですが、まず、大企業の内部留保の実態、それからこの数年の推移について答弁いただきたいと思います。
○政府委員(岸田俊輔君) 法人企業統計年報によりますと、資本金一億円以上の大企業の内部留保額でございますが、過去三年、五十七年度で二兆五千七百三十億円、五十八年度で二兆九千九百九十三億円、一六・六%の増加でございます。それから五十九年では三兆六千二百二十一億円で二〇・八%の増加になっています。
○近藤忠孝君 これは大蔵省方式の計算でありまして、これを実態で見てみますと、企業会計上の準備金、積立金に引当金などを加えて算出をするのが実態に即したものだと思うんです。こういう面でこちらで計算してみますと、五十九年度で六兆五千億円、これは対前年の増で、残高で六十兆六千億円ですね。五十七年が対前年で三兆円、この計算で行きますと。五十八年が約五兆二千億円。それで五十九年が六兆五千億円ですから、二年間で倍以上になっているというこういう事実は、これは大まかな計算ですが、こういう計算をすればそういうことになる、これはお認めになりますか。
○政府委員(岸田俊輔君) 私ども手持ちの数字で確認するわけにまいりませんが、その倍率がどの程度になるかということは別といたしまして、増加の傾向にあるということはそのとおりではなかろうかと思います。
○近藤忠孝君 しかもそれは大変大きな流れになっているということ、これはだれも否定できないんですね。問題はこの金がどこに流れているのかという話なんです。これは全般的に見まして、企業の財務活動が、これは昭和五十年代後半以降ですが、それまでの財務の効率化にとどまらないで、より積極的に金融収益の拡大を求めるようになった、こういう大きな傾向というのはこれはお認めになるんですか。
○政府委員(北村恭二君) 最近におきます金融の自由化とか国際化が進展しておるということで、金融資産というものが増大傾向にあることは事実でございまして、個人あるいは法人両部門におきましても、資産運用の面ということにおきまして非常に収益性志向の傾向があるということは事実だと思います。
○近藤忠孝君 そういう大企業の財テクの状況を見る必要があると思うんですが、バランスシート上の現金、預金、これにプラス有価証券、この指標については五十七、五十八、五十九とおわかりですか。
○政府委員(岸田俊輔君) 同じく法人企業統計年報でございますが、現金、預金、有価証券の増加額でございますが、五十七年度で一兆三千十九億円、五十八年度で三兆四千十二億円、約一六一%の増加になっております。五十九年度で三兆八千九百五十七億円、一四・五%ぐらいの増加になっています。
○近藤忠孝君 ですから、二年半で三倍半、残高で五十五兆六千億円という状況なんですね。これは三菱銀行の調査特報でありますが、実際の資金需要に対して大企業が資金調達した額、それがはるかに大きいですね。五十四年で資金需要に対して資金調達は一・三倍だったのが、一番大きいのは五十八年、これは七・七八倍、五十九年では三・二三倍、六十年で二・六六倍、こういう状況であります。
 そこで、これも三菱銀行の調査でありますが、五十九年一年で大企業が財テクに投入した資金が今の約四兆円ですね。その残高規模は約十兆から十二兆円、こういうぐあいに言われておりますが、その事実はどうか。
 そして、こういう指摘がされています。これを実物投資に振り向けると実質GNPを一・五%引き上げる効果がある、この指摘についてはどうお考えですか。
○政府委員(北村恭二君) 今御指摘のような数字がどうかは、ちょっと手元に資料がございませんので確認できかねますが、企業が留保しております収益をある根皮資産運用に効率的に投資するということは、やはり企業の収益の向上ということにもなるわけでございまして、これが設備投資の機会があれば、そのときにはまた設備投資の原資として活用されるということになると思います。したがいまして、その辺は企業が自己の投資収益というものをどういうふうな形で実現していくかという中で判断されることではないかというふうに理解しております。
○近藤忠孝君 資本主義の論理でいきますと、やはりより利益のあるところへ、これはもう必然そう流れるんですね。今それがまさにその大きな流れになっておるわけです。
 そこで、今指摘したGNPが一・五%実質で引き上がる効果があるということで計算しますと、大臣、これは名目で直しますと七・九%の伸びになりますから、三兆円ですね。実際本当にこれが本来の生産活動に投入されていますと、三兆円税収が余計にふえまして、これは大蔵大臣そんなに苦労しなくても済む、こういう状況ですが、まだたくさん質問ありますけれども、今までのところちょっと聞いていただいておって、こういう大きな流れ、この現状、これについての大臣の感想はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) やっぱり余裕資金を、いわゆる収益の向上を目指すことは、これは経済原則には合うことだという感じで今承っておりました。
○近藤忠孝君 それは竹下さんの経済原則でありまして、しかし国民経済全体から見ますと、これは私はこれだけのお金が出てきたということは、結局、みんな労働者が働いてその結果価値を生み出したからこれだけの利益が出てきたわけで、それを結局国民の方に還元しないで金融上の利益を求めていく。さらに海外に出ていく。そしてしかも税収で見れば三兆円ばかり違ってくるというこの事実は、私は大きな面から見ますと、これは国民経済的に見るとマイナス要素じゃないか、こう思うんです。このまま放置するとこれはやっぱり資本主義は危ないと思うんですがね。これは大きな問題ですよね。
 それで、これが外国に流れているということなんですが、外国における不動産買収の実態というものは、これはことし一月三日の週刊朝日でも、「ニューヨークの摩天楼を買いまくる日本企業」と、もう大変な買いの状況ですね。そのうち五番街に日の丸が並ぶ日も近いんではないかと、こういう状況で、その中身を見てみますと相当なものです。
 そこでお伺いしたいのは、こういう外国における日本の、まあ個人もあるかもしれませんが、企業の土地取得の状況、これはわかりますか。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘の日本企業による海外における不動産の取得でございますけれども、現在の外為法のもとにおきましては、こういった取得につきましては届け出の対象外になっておりますものでございますので、御質問のように、海外に進出しておる日本の企業がどのくらい不動産投資をしておるか、あるいは日本の企業が海外に送金をした中でどのくらいが最終的に不動産投資に回ったかという正確な数字を実は私ども把握してないわけでございますが、非常にラフな推計でございますと、これは企業だけでなく、日本から、全体の数字でございますけれども、昨年一年間で大体二億四千万ドルぐらいのものが不動産投資に向かったのではないかというふうにラフな推測をしております。
○近藤忠孝君 これは実際はもっと大きいし、私の方で計算をした、また入手した資料によりますと、この二年間で倍近くになっているという大きな傾向があると思うんです。しかし、大蔵省としてもやっぱりこういう金の流れについては決して無関心ではないだろうし、先ほど申し上げたような外国の土地の買い占め状況など見れば、これに対しては関心はお持ちだと思うんですね。そういう状況についてそれなりの関心を持って実情などは把握しているんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
○政府委員(行天豊雄君) 先ほど御答弁申し上げましたとおり、最近は、できるだけ民間企業の海外取引については原則として自由にしていこうということでございます。ですから、余り民間の方々に報告等で御迷惑をかけないということから、報告等につきましてもできるだけ簡素化していこうというのが従来の方針でございますので、余りそういう個々の詳しい数字につきましては、まことに申しわけないのでございますけれども、十分把握できるような体制にはなっていないのが実情でございます。
○近藤忠孝君 しかし、実情としては大変大きな金が金融資産に、それからこういう外国の土地購入にと充てられることは間違いないと思うんですね。こういう要するに巨額の資金が、生産活動じゃなくて投機資金として実際運用されているということは、これを税制の関係で見てみますと、財界がよく言う、法人税の負担率が高くて国際競争力を保つためにも負担率を下げてほしいという、この議論は私は実情に当てはまらないんじゃないか。やはり大企業はこれだけの金をどんどん出しているわけですから、大変な担税力があると思うんですね。やっぱりここにこそ今日の財政再建の負担を求めるべきだと思うんです。
 大臣にお伺いしますけれども、こういう基本的考え、そして実際これは見送られたんですが、社内に留保されている諸引当金、準備金の整理、また株式発行プレミアム差益等に対する課税、これがやっぱりむしろできるし、必要だと私は思うんですが、どうですか。
○政府委員(水野勝君) 法人税の負担水準につきましては、これも税制調査会の基本的な検討事項の中の一つとして取り上げられておるわけでございまして、先般専門小委員会から第三特別部会に報告書が提出されたところでございます。この中におきましては、我が国の法人の税負担水準、負担水準につきましての測定の基準はいろいろございますが、マクロ的に見まして諸外国に比べますとやはり低いとは言えない。しかもこのところはやや上昇ぎみに推移してきている、一方外国におきましては引き下げの方向にある、こういった点を留意すべきではないか。確かに、日本の企業の国際競争力、いろいろな見方があるわけでございますが、やはり負担水準に余り格差があるという場合におきましては、取引がこれだけ国際化してまいりますと、所得の移転その他もろもろのゆがみも生ずる、こういった点も今後配慮を要するのではないかといったような趣旨の専門小委員会の報告でございます。
 しかしながら、これらの報告につきましては、さらに第三特別部会なり総会なりで十分掘り下げた審議が行われ、最終的な結論が得られるものと思います。そうした結論を得まして、私ども適切に対処をしてまいりたいと思うわけでございます。
 また、内部留保につきましては、先ほどのお話の中で、引当金その他につきまして、これを内部留保と見るのが、法人の企業経理、費用収益対応の原則からいたしますところの負債の引き当て計上であるという見方、これが法人税上の見方でございます。
 また、プレミアムにつきましては、これはやはり株主の方が拠出された資本そのものではないか。これは当委員会におきましてもたびたび御議論はいただいておるところでございますが、その都度またたびたびお答えを申し上げておりますの
が私どもの考え方でございます。
○近藤忠孝君 ともかく金があり余り、今指摘したようなところに運用されていることは間違いないんです。
 そこで、税制上関係してくる問題について特金というのがありますね、特定金銭信託、これについては国税庁から通達がありますが、この通達の内容とそれを出した根拠について御説明いただきたいと思います。また、大体どういうものか、そもそも。
○政府委員(塚越則男君) 御質問の通達でございますが、信託財産に係る有価証券の評価に関する取り扱いを定めました法人税基本通達のことだと思われますが、この通達は、金銭の信託をした場合に、その信託金の運用として取得をいたしました有価証券を委託者である法人の手持ちの有価証券と分離して評価してもよいということがこの内容でございます。
 これはどういう趣旨で設けられたかということでございますが、信託財産である有価証券と法人手持ちの有価証券とを連結させて評価額などを計算することは極めて煩瑣であって実際的でないということから、その両者を分離して評価するという現実的な会計処理方式の選択を認めることによりまして、信託制度と法人税法上の取り扱いとの調和を図ることとしたものでございます。
○近藤忠孝君 要するに企業の計算上の便宜のためのものだと思うんですが、株を持っておって、その運用したものとは別に金で信託をする、それはあとの株をどう買おうと、また具体的に指摘、指示し、どう買わせようと、それと今まで持っておる株の運用とはまた別扱いする、こういうことだと思いますね。そういう前提でいきますと、ともかく同じ株を買うにしても一たん現金で信託した場合とは全然別に扱われるというこの特金の利用が、このところ急激に増加していまして、一年間で倍増して残高約五兆円といわれていますが、この実情はどうでしょうか。
○政府委員(塚越則男君) 国税庁といたしましてはこのような計数を把握しておりませんけれども、昨年末その残高が五兆円を超えだというような新聞報道があったことは承知をいたしております。
○近藤忠孝君 これはやっぱり、先ほど申し上げたような状況をバックに一つの現在特金ブームというのがあるんで、一躍脚光を浴びるようになったわけですが、実は大臣、これにやっぱり国税庁が一役買っているんですね。それが今申し上げた通達なんです。それで有価証券の簿価分離が可能となりまして、企業の方が長期に保有する有価証券の含み益を吐き出さずに、したがって含み益に対する課税を免れる。要するに自由に有価証券の売買が行われるということになったと思うんですね。
 最近の株価の暴騰のもとでこの特金がますます膨らんでいく勢いであります。しかもこれが今の国税庁の通達によって一層勢いを増している。こういう通達があるから実際有利なんですよと、こういうことでどんどん資金を集めている、こういう実情も実際にあるわけであります。となりますと、これは先ほどの東京湾横断道路問題でも大臣の民間資金の活用という話がありましたけれども、民間資金がこういったことで国税庁の通達によってもこういう方向に流れていくことをみずからやっておって、それでいかに民間資金の活用、民間資金の活用と言いましてもこれはちょっと矛盾じゃないのか。実際そうじゃないでしょうか。実際これは大きな流れになって、しかもまたいろんな弊害も出始めておるようですね。その辺は国税庁もつかみ始めていると思うんだけれども。
 こういう点では、大臣どうですか。この問題について、通達も含め、またこの運用の実態に対するもっと的確な対応をするという点での見直しが必要だと思うし、実際やっぱり本当に資金の正しい流れを大蔵省がある意味ではリードする、こういう現状をそのままほうっておけば、もっともっとこれは増していくんですよ。これはおのずと日本経済にとってはマイナスの方向に行く。となれば、これはひとつ見直す必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(塚越則男君) 税の取り扱いにつきましては、専ら税法を適正に執行して課税の公平を実現するということを目的といたしまして、中立的な立場から定めているものでございます。
 先生ただいま、この通達で含み益が表現されないことになるということを問題にされたわけでございますけれども、逆のケースもございまして、手持ち有価証券に含み損がある場合にはその含み損も表現されないということでございまして、一方的に利益ばかりあるわけではないわけでございます。全くそういう意味では中立的な取り扱いをしているわけでございまして、御指摘のような問題になるものとは考えておりません。したがってこの取り扱いを改めるということは考えておりませんが、その趣旨が正しく理解されるように努めてまいりたいというふうに考えております。
○近藤忠孝君 ちょっと大臣の答弁の前に。
 中立中立と称しながら、実際上は片方にてこ入れしている場合が幾らでもあるんですよ。この場合だって、確かに含み益と含み損とありますよ。
 しかし、大臣、現状はどうですか。今は含み損なんというのは余り出てこないんですから、これはむしろ益の方が大きいんですがね。そういう中で、今株価のとりわけ高騰の時期ですから、しかも資金がこれだけあるんですから、それがどんどんそこへ流れていくというそういう中に、税制自身が中立と称しながらも一翼を担っているという、これはやっぱり厳然たる事実じゃないでしょうか。中立だから見直しをしないと言いますけれども、しかし現状をやっぱり正確に見るべきだし、しかも資金の大きな流れの中でこういう問題が出てきているとなれば、それは官僚答弁とは別に、それはやっぱり内閣の中枢におられる大蔵大臣としては別の見解があってしかるべきだと思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 企業の余裕金の運用というのはまた新しい設備投資を生む原資にもなりますし、私は、自由経済の中でそれを月のかたきにして議論するという立場にはないということが基本的にございます。
 それから、いわゆるこの金銭信託の問題はやっぱり、お話ししましたように、経理上の極めて合理的な措置というふうに素直に読むべきものではなかろうかというふうに考えます。
○近藤忠孝君 大蔵大臣が別に今のことに目のかたきにすることはないんで、もし、目のかたきにするということは、将来ございませんから、それは遠慮した方がいいと思いますけれども、しかし私が指摘したことはやっぱり十分考えてもらっていいことではないか、こう思います。
 あと若干の時間しか残っていませんが、せっかく厚生省来てもらっているんで、その関係で質問しますと、社会保障特別会計構想であります。
 これは、昨年末、六十一年度予算編成の大臣折衝で当時の増岡厚生大臣は、大蔵省に対して社会保障特別会計についての私案を大蔵省に示して、その特別会計を創設するよう申し入れたというんです。内容についての答弁は結構です、中身は入手しましたから。問題は、これが厚生省の考えなのかどうか。それからまた大蔵省はこれについてどういうお考えなのか。結局これは財源として福祉目的税として大型間接税導入ということにやっぱり行き着かざるを得ないんじゃないか。前の答弁でそうは考えていないとおっしゃったけれども、結局はそこへ行ってしまうんじゃないかというこの指摘についてどうなのか。それぞれお答えいただきたいと思います。
○説明員(岸本正裕君) 社会保障の予算につきましては、高齢化の進展とか年金の成熟化等によりまして毎年相当規模の当然増が避けられない情勢だと思っております。こういうような社会保障の予算について、一般会計から切り離して、社会保障に関する給付と負担の関係を明確にしたらどうかということを増岡前厚生大臣が御自分の私案として御提示になったものでございます。厚生省といたしましては、この私案につきまして非常に示唆に富んだ考えであるというふうに受けとめておるわけでございまして、今後こういうものを含めて検討していきたいというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、非常に全体の財政構造にかかわる問題でもございますし、また今後の社会保障の進め方にも大きくかかわる問題でございますから、幅広い角度から検討していかなければいけないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 また、財源の問題でございますけれども、先ほど申し上げましたように、今後の高齢化の進展におきまして負担増が避けられないわけでございますから、これを賄うのは租税がまたは社会保険料ということになるわけでございまして、このような財源をどういうふうに組み合わせていったらよいかということは、これからの国民の合意と選択ということが基本になると思いますので、そういうところを見きわめながら考えていきたい、こういうふうに考えております。
○政府委員(小粥正巳君) ただいま厚生省から御説明もございました、お尋ねの社会保障特別会計につきましては、増岡前厚生大臣個人の私案として私ども承っておるところでございます。この私案は、今後高齢化の進展等に伴いまして社会保障関係費の増加が予想される中で、今後の財政再建の具体的な進め方、社会保障に対する負担のあり方につきまして私どももいろいろ検討を進め、勉強しているわけでございますが、示唆に富んだお考えと、こういうふうに承っております。
 ただ、若干意見を申し上げますと、社会保障関係費がこのような仕組みをとることによりまして、いわゆる聖域化いたしまして歳出の節減合理化努力が不十分なものにならないか、そういう問題も考えられます。あるいはまた、多種の経費のあります中で社会保障だけが別枠という、そういう説明で果たして大方の納得が得られますかどうか、いろいろ問題点もあろうかと存じます。
 私ども財政当局といたしましては、このような提言も含めまして、各界の御意見を承りながら、歳出歳入構造のあり方、受益と負担の関係等につきましてなお一層検討を重ね、今後とも財政改革の推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○委員長(山本富雄君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時二十七分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時十八分開会
○委員長(山本富雄君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、租税特別措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○栗林卓司君 質疑の発言を委員長に求められたんですが、大変困っておりまして、なぜ困っているかということからお尋ねをしたいと思うんです。
 今回の租税特別措置法の一部改正案というのは、それぞれ提案理由等を拝見しますと、税制全般にわたる抜本的見直し前にある状況を踏まえながら、その枠組みを変えないで精いっぱいの努力をしたということが書いてあるんですが、その税制全般にわたる抜本的な見直しということは、実は租税特別措置のもとになる本則そのものが不安定だというのが、持っている意味だと思うんです。そういった状態の中で、租税特別措置だけを議論するということに一体いかなる意味があるんだろうか。というのは、私申し上げているのは、本来だったら、本則を直すことが本来の議論としては筋道かもしれない。しかし、今この場所では租税特別措置だけでありますと、こう枠をつけられますと、本当の議論ができるんだろうか。それが私が質問に立ちながらの戸惑いであります。
 したがって、税制全般にわたる抜本的見直しということと、御提示になっております租税特別措置の一部改正、特別措置というのはあくまでも本則に対する特別措置ですから、その辺について大蔵当局はどのようにお考えになっているのか、まず伺いたいと思います。
○政府委員(水野勝君) まさに御指摘のように、ただいま税制の基本的な改革作業と申しますか、抜本的な改正作業を総理からの諮問を受けていたしておるところでございます。したがいまして、御指摘のように、まず基本原則の方の本則がどうなるのかということは、目下まさに税制調査会で検討中の段階でございますので、それに対する特則としての租税特別措置法のあり方というのは極めてある意味では流動的であろうかと思うわけでございます。
 この点につきましては、昭和六十一年度税制改正に関しましての税制調査会の答申におきましてもまさに抜本改革が行われている。したがいまして、本来はこの基本的な姿を今その抜本改革の方向が出ないうちに基本に触れるような改正はやはりいたすのは適当ではない。したがいまして、六十一年度としてはおおよそすべてスタンドスチルで参るのが適当であるという考え方もあるわけでございますが、しかしながら一方、昭和六十一年度におきましても、当面の内需拡大でございますとか、もろもろの緊急の政策的な要請もあるわけでございますし、また、六十一年度予算編成に際しましては若干のやはり税の面でも増収措置もお願いをせざるを得ない面もあったわけでございますので、そうしたもろもろの要請を踏まえ、しかし一方、本則である税制につきましての抜本改革が行われているという点をも兼ねて考えながら六十一年度の租税特別措置法の改正を取りまとめ、御提案をしているという次第でございます。
○栗林卓司君 一つ具体的に例を挙げてさらにお尋ねしたいと思うんですが、今回繰越控除制度の一時停止というのが御提案にありますけれども、この損金の繰越控除制度ですね、これはもともとなぜこの制度というのはできていたんでございますか。
○政府委員(水野勝君) この点につきましては、法人課税は、そもそもはこれは各事業年度単位課税がある意味では原則であろうかと思うわけでございますが、しかしながら一方、法人企業の実態といたしましては、これは企業としては継続企業、ゴーイングコンサーンでございますので、経営者としてはある一定期間をとって見通しを持って経営されているということであろうかと思います。したがいまして、税制におきましても、ある程度そうしたと申しますか、相当程度と申しますか、企業の経営の実態に合わせまして、単年度課税という大原則はございますが、一方、青色申告でもって申告をされておる法人につきましては、基本的には五年間欠損金の繰り越しを措置しようというところでございます。
 この点につきましては、明治二十年に所得税法ができ、法人課税が始まって以来、ある時期には全く欠損金の繰り越しを否認したり、あるときにはかなり長期にわたって認めたり、いろいろな変遷はございますが、昭和二十五年のシャウプ税制の結果として現在五年という姿になっておるわけでございます。
 今回、先ほど申し上げましたように、抜本的な改革作業が行われておるところでございますので、その五年間繰り越すという基本的な仕組み、この点につきましては触れないことといたしまして、ただ、直近一年間に生じました欠損金に限りその次年度においては停止をする。しかしそれは二年目、三年目、四年目、五年目には控除をお使いいただくということで、ある意味で現下の財政事情からの緊急的と申しますか、特例的な措置でございまして、恒久的、基本的な仕組みの改正までにはお願いはしてないというところでございます。
○栗林卓司君 今のお話を要約しますと、企業課税というのはあくまでも会計年度中心であります。そうは言いながら、ゴーイングコンサーンというのは、それ自体見るとちょっと理屈がおかしいけれども、ずっとやり方を続けていればそれはそれで会計制度としての立派な存在理由がある、これがゴーイングコンサーンという意味ですね。
それを税制と比べて言うと、なるほど課税というのは企業会計年度単位なんだけれども、しかしある部分そのときの要請に従って繰り越しというのはあってもいい。それは恩恵的に与えた制度ではなくて、企業に対する課税の一つのあり方として十分説明のつく正しい制度なんだというのがこれまでの御主張だったと思いますが、違うでしょうか。
○政府委員(水野勝君) そこはいろいろ考え方があるわけでございまして、ある意味でのゴーイングコンサーンとしての企業に対しましてどういうふうな課税をお願いをするか。このときに当たりまして、やはり継続企業の実態に即しまして措置させていただくということで五年間という繰越期間を設けておるわけでございますが、しかし一方におきまして、これは青色申告で申告をされておられる法人につきましての制度でございますので、ある意味ではこれは青色特典、青色事業に対する特典だということは言おうとすれば言えるわけでございます。
 しかし、実態といたしましては、稼働法人のほとんどが法人につきましては青色申告を行っておるというのが実態であるということを前提といたしますと、恩典と見るか、一般原則、法人税の会計年度課税の基本原則とゴーイングコンサーンとしての企業の実態と両方を踏まえた、そこの本来的な姿であると申しますか、そこらは、制度として形式的に申し上げるとこれは青色特典でございますけれども、実態はこれがそこそこの通常の姿であるとも言えようかと思うわけでございます。
○栗林卓司君 従来の制度がそれなりに社会的、経済的な機能を果たしている税制だったということを認めるに私はやぶさかでないんです。
 今回これを停止をなさいましたね。停止というのは、それなりに理屈が通れば停止してもいいんだということになるのかどうかが私わからないんです。停止の一番の理由というのは、これは財源対策、そうはっきりおっしゃらなくてもそういったことですよね。もし財源対策というのであれば、本当は本則をいじるべきではないんだろうか。租税特別措置でちょろちょろといじることで財源対策をするということは、そこの法改正に至る議論の質を考えても正しいんだろうか。
 私は、税制を考える場合に財源の面を頭から除外してよろしいとは毛頭考えておりません。したがって、見通しとしてはこれぐらいの赤字が出そうだから何とかならないかという場合には、租税特別措置をいじることで財源対策をするのが正しいんだろうか、それとも本則をいじることによってその財源対策をするのが正しいんだろうか。本則をいじる場合と租税特別措置をいじる場合の議論の質を考えますと、どうしても租税特別措置になると、こういった言い方は失礼かもしれませんけれども、改正は恣意的になってきがちになる。それはたばこ消費税が一番いい例ですよ。したがって、そうではなくて、これだけの財源対策としてどうするかということが本則の議論になってきたとしたらもっといろいろな各方面からの議論が出たに違いない。
 私は、租税特別措置の手直しで財源対策を講ずるというのは税制を担当する大蔵当局とすると避けていくべきではないか、こう思うんですが、大臣どうお考えですか。
○政府委員(水野勝君) この点につきましての、ことしと申しますか、六十一年度の税制調査会の答申におきましては、「全法人の半数以上が赤字申告を行っている実態及びこれら赤字法人における諸般の経費の支出状況を踏まえ、これら法人についても、実質的に過大な負担を求めることとならないよう配慮しつつ、所要の措置を講ずることも考慮してよいものと考えられる。」というところとなっておるわけでございます。
 現在、増税なき財政再建という基本的な理念のもとに予算編成、税制改正が行われておるわけでございますし、また税制におきましては抜本改革が行われておる。こうした場合には、先ほど申し上げたような五年間の基本的な仕組み、こういったものは動かさないで、実質的に過大な負担をお願いはしないようにする。本則的なものを動かして改正して御負担をお願いするとなりますと、やはり恒久的と申しますか、実質的に御負担をお願いしてしまうわけでございます。
 今回は、直近一年の分につきまして停止をする。しかし二年目、三年目、四年目、五年目では控除をお使いいただくということになりますと、これはいわば前取り的に御負担をお願いをするわけでございまして、極力実質的に恒久的な負担とならないように配慮しているというやや暫定的な措置でございまして、これは本来、法人につきましてさらに御負担をふやしていただくというのであれば法人税率の引き上げ、こういったことで対処するのが適当であろうかと思いますが、今回そうした背景のもとで、臨時的にと申しますか、実質的な御負担とならないようにお願いをすると申しますか、そういった背景が強うございますので、租税特別措置でお願いをいたしておるというところでございます。
○栗林卓司君 今回の御提案の中で土地税制をいろいろと微調整をなさっておられるんですが、これはそれぞれ所管する官庁の責任者に伺うのが筋道だと思いますので、この改正によって土地の供出等についてどんな影響があるかなどという質問はいたしません。ただ私が他の委員会で見聞きをしたことだけ申し上げて、焦点だけ聞いていただきたいと思うんです。
 農業用地が転用された場合には登録税を免除するとかありますよね。あるいは公共用の施設に用地が供給された場合には若干の恩典を与えている。今実際土地はどうかといいますと、売らないんですね、土地を持っておられる方が。いろんな政策を手をかえ品をかえしてやっても土地が出てこないんですよ。なぜ土地が出てこないかというと、たまたまある調査機関の結果を申し上げますと、実は地主の方は今相当お金をお持ちになっているものですから、お金に困って土地を処分するというケースがもう余り考えられない。したがって、いろんな税制上の優遇等を含めて優遇措置をやっただけでは土地は出てこない。土地が出てこないと住宅が建たない。どうするか。これはほかの委員会の最も深刻な悩みでございまして、この問題に対して税制としてそれではどうするのか。ほかの土地政策との絡みでも結構ですよ。そこまでの議論をして税のあり方がこうだという議論は、ここまで来ますと私は本来の筋道ではないんだろう。
 そう申し上げるので、租税特別措置といういわば小さなさじですくうような問題というのはここまで来ると少なくなってきて、まさに言われるように税制全般にわたる抜本的見直しをいよいよしていかなければならない時代に入ってきたということではないんだろうか、そう感じたのでいろいろ意見を交えて申し上げたわけでございます。
 そこで、この税制改正の全般的な見直しなんですが、これも全然私どもには見当がつかないんです。それは税制調査会に検討を依頼したという話は聞いておりますが、一体どんな段取りでどう検討するのか、全くわからない状況なんです。
 そこで大臣にお尋ねしたいんですが、我々なりにない知恵を絞っていくときに手がかり足がかりになるような材料というのは、今一つでも二つでもお示しいただくわけにはいかないんでしょうか。あくまでも税というのは必要な公共負担を公平に負担するという制度でありますから、そのときにみんなが負担する、まあ負担率としましょうか、俗に言われる公共負担も含めて一体国民というのは何%ぐらいの負担をこれからしていかなければいけないんだろうか。その辺だけでもめどがつけばまた議論も出発をするんだけれども、それもわからないというのでは何とも議論に参加をするきっかけがない。そこで、中長期の展望で結構ですから、税負担と公共負担と合わせて大体何%ぐらいになっていくと今はお考えになっているんでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 税制調査会へ諮問するということを決断をするに至ったというのは、国会で税の議論というのが何の議論よりも多くの部分
を占めるようになった、それだけ国民の関心も深いだろう。ところがそこのところで、諮問するときにやっぱり私どもも部内で悩みましたのは、一つは政策税制的な角度から持っていくことよりも、従来の税制調査会というのは税理論から積み上げてきておられる。したがって、新たに特別委員の先生方を入れたりして少しは幅広にしましたが、やっぱり基本はあるべき税体系というようなことだろうと私も思うのでございます。
 そこで手順としては、御案内のように、今専門小委員会からは四つやっと出て、それで今度は特別部会で議論していただくというところまで行っているわけです。新聞報道等では可能な限りその小委員会の報告については発表したりして今日に至っておる。それで、先生方の頭の中にはいろんなことがあろうかと思いますが、さていわゆる国民負担率をどこに置くかということについては、私は、議論の過程ではいろいろ出るかもしらぬが、答申で出るものであるのか、それはやっぱり政策選択の問題として、国会等の議論を通じながらまさに政策選択として政治が決めていく問題ではないか。
 そういうことになりますと、今大蔵大臣たががはまっておりますのは、臨調で、ヨーロッパのそれよりはかなり下回るというところまでたがをはめられているわけですね、実際問題。ある人は四五とかいうようなことを想定する人もおる。それから一方、あの臨調答申が出たときから見ますと、今度はヨーロッパはまたずっと上がってきておりますが、しかしあの時点のヨーロッパの負担率というのを念頭に置くべきではなかろうかというふうな気持ちでおりますが、最終的には私は税の議論よりもやっぱり政策選択の課題として政治が決めていく問題じゃないかな、こんな感じで今様子を見ておるというのが実態でございます。
○栗林卓司君 政治が決めるということを非常に短絡をして申し上げますと、投票で決める、これが一番わかりやすいわけですね。民主主義というのは、銃弾にかえて投票用紙で決戦をするわけですから、そういった場所に大多数の国民の皆さんに御参加いただいて選択をしていくというと、あるプログラムを組みながらしていかなければいけません。それは頭の中にありますけれども、なかなか難しくて、言うただけでは進まないんですね。
 だから、おっしゃるように政治が決める問題なんですが、例えば住宅だったら、本当に持ち家というものを政策の基本に置くのか。持ち家についてはなるほど減税措置を一部講じておられますけれども、じゃ持ち家ではなくて借家ということを政策のベースにするんだったら、家賃についてこれをどういった意味で税制で見ていくのか、これもやっぱり整理をしておかなければいけません。
 そういうことをひっくるめて、なるほど国民が選択をする問題には違いはありませんけれども、そのためにどういう方法でやるか、そこが今我々の知恵の使いどころではないか、こんな気がするものですから、難しいからちょっと無理だよというので安易に逃げないで、租税特別措置に逃げないで、これは本則の問題という格好でお取り組みいただいた方が私は問題の解決が近くなるんではないんだろうか、そう思ったものですから意見を交えて申し上げたわけであります。
 以降は総理にお尋ねをします。
○野末陳平君 今回の法案には触れられておりません例の非課税貯蓄の問題ですけれども、ことしから本人確認が厳しくなりまして、これは順調に進んでいるようですから、混乱もないと聞いておりますのでいいと思いますけれども、さて限度枠管理が今後どういうふうに具体化していくのか、その辺のことが今まではっきりしておりませんでしたが、予算とか、これから時間的なことも含めまして、最初に簡単に説明してください。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、六十一年一月一日から限度管理適正化の形で改正が行われておるわけでございまして、まだ二カ月、三カ月の段階でございます。この時点でさらにこうした非課税貯蓄を含めた今度の利子配当課税ということにつきまして申し上げるのはなかなか難しい面もあるわけでございますが、一方、税制調査会におきましては、総理の諮問を受けまして税制の抜本的な改革作業が行われておるわけでございます。その中におきましては、所得税の一端をなしますところの非課税貯蓄制度につきましてもまた当然その検討課題にはなるかと思うわけでございます。
 ただ、現時点におきましては、先ほど大臣からも申し上げましたように、専門小委員会から四つのテーマにつきまして部会に報告がなされ、現在それらの点を中心にさらに掘り下げた検討が行われているという段階でございますので、現時点でこの問題が正面から取り上げられて検討されているという事態にまでは至ってはいないわけでございます。
○野末陳平君 税調の答申では以前に低率分離課税方式というのがきちっと出ているわけですから、それを受けたんですから、当局としては、そうなった場合にどういうケースがいろいろ考えられるか、具体的な検討はしているのが当たり前だと思うんです。そんなわけでして、具体的にもうちょっとお答えいただきたいと思います。
 ことしから行われております本人確認は新規の分ですから、そうするとこれまでの分はそれがないわけですね。これまでの分も含め今後限度枠の管理がきちっとされなきゃならないわけですから、そのための本人確認を求めたわけですから、その限度枠管理は、予算面も含め、方法なども含めてどのように今後なっていくのか、その辺の見通しをお答えいただきたい。もう始まっている話をしているのであって、検討している話じゃないんです。
○政府委員(水野勝君) 確かに御指摘のように、税制調査会から低率分離課税の方向での答申が行われましたが、それを受けて限度枠管理適正化の方向で制度は発足しておりまして、それが現在進行中という段階でございます。したがいまして、その進行中の段階での問題につきまして何らかの考え方を申し上げますとすれば、現在実施されている方向でのものを適正に今後措置していくということに相なるのではないか。また、現行の進んでいるものにつきましての考え方いかんということでございますと、この制度を今後どういう段階でどういうふうにしていくということは、なかなか申し上げるのは難しいかと思うわけでございます。
○野末陳平君 実に頼りなくて困っちゃうんですがね。本人確認によって今までよりはマル優の利用状況というのはきれいになっているような感じがします。ですから、その意味の一種の自己規制みたいなことは働いているようですけれども、しかし、限度枠管理というのは今までこの委員会でも随分譲論になったことで、これがきっちりしていなければ本人確認したところで何ら意味がないという結果にもなりかねないんです。
 大蔵大臣にちょっと角度を変えてお聞きしますが、かねがねここで言っておりますように、私はもうマル優を見直すしかないと思います。見直してもいい。つまりマル優の必要な社会的背景は今や変わっていて、むしろ見直すのが当然だ。それが減税の財源になればこんないいことない。こういう立場から聞いていただいているわけですが、この場合、これはいわば課税ですね、非課税がなくなってある程度の課税。その場合に、庶民をいじめるな、少額の貯蓄に対して課税するとは何とひどいじゃないか、こういうような声がよくあるわけです。もちろんシルバーエージとか弱者は今までどおりにするとしても、何か一般的にいまだにある程度、以前に比べれば相当な貯蓄があるにもかかわらず庶民をいじめてという、この五%あるいは一〇%の課税に対してもそういう声が非常に一部に強くある。これについて大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは一つには、歴史的に見まして、これは私見でございますが、やっぱり郵便局の存在というものがいわば税の、いかに少額であろうとも利子所得も所得には違いありま
せんが、私は国民性の中にそういう少額貯蓄に対する、いわゆるマル優というようなことは当たり前だという考え方に同化、定着しておるんじゃないか。したがって、所得というものはいかなる性格を問わず、これは総合的に把握され、それが課税対象になるのが本筋ではないかというような意識転換をやっぱりやっていかなきゃならぬのじゃないかな、いささか私見でございますが、そういう気持ちを平素持っております。
○野末陳平君 大臣のお答えにありましたように、これは郵便貯金の問題というのがこれについては非常に難関といいますか、だと私も思います。ただ、今のいわゆる意識転換しなきゃいけないけれども、これがあるから、要するに既得権なんですね、既得権だからこれは当たり前だというようなところがあるんですが、しかし、時代が変わったのと、もう一つ、減税をするためにやむを得ずといいますか、このマル優を見直すんだということになりまして、どちらが得かという選択をストレートにしてもらうようなデータを出せばそれほど抵抗ないと思うんですね。
 現実には、一般レベルで言いますと、貯蓄の利子に課税が低率であったとしても、減税になる方がはるかに大きいですからね。ですからそんなに抵抗がない。まして、庶民いじめという言葉はいわば既得権をワンパターンで振り回しているわけでして、言うけれども実際それが行われたときはそれてしょうがないという簡単に割り切れる程度の僕は反対だと思うんですよ。以前と違って本当に今皆さんお金を持っていますし、それから利口になっていますからね。
 だから、言いたいことは、庶民いじめというような反対論が仮にあってもそれほど気にするものではない、そういう顔色をうかがうのはよくない、これが率直な僕の考え方なんです。
 もう一つ言いますけれども、これはちょっと誤解を招きやすい表現なんですが、低所得者、低所得者というんですが、低所得者というのは、生活保護を受けている人も含めましてそれほど貯蓄あるものでしょうか。そこがまた不思議でしょうがないんですが、貯蓄がある、もし貯蓄があればその利子は非常に大きいですけれども、シルバーエージについてだったらわかりますが、どうもその辺もあいまいでしてね。現実に、私の周囲の例ですが、生活保護を受けている方で結構何百万あるんですね。それいいですよ、あってもいいんですが、そうするともはや低所得者と言えないんじゃないかと思ったりしますので、非常にその辺の、従来続いてきた考え方を認めてこのマル優見直し問題を検討するのは間違いが起きるもとじゃないかと思っておるんです。これは僕の個人的な考え方です。
 そこで、もっと実際論に入りたいのですが、低率分離課税になりますと、今も主税局長の答弁ではっきりしないのは、結局限度枠管理をどうしていくんだということですね。これはコンピューターを入れたりなんかすることになるのか知りませんが、お金もかかるし時間もかかるわけです。そうすると、本人確認というある意味のブレーキはきかしたし、マル優の利用状況は前よりもきれいになっているようですが、実はその本人確認をさせたというそのタイミングを一にして低金利時代に入りましたからね。この低金利時代に入ったということが、マル優にこだわって、マル優の非課税という特典にしがみついていたけれども余りメリットがなくなってきたんですね。ですから、そのメリットがなくなってきたんで、どうせならこの際きれいにしちゃおうと、税務署ににらまれても困るしとか、そういう動機も多分にありますからね。
 となると、これは今マル優離れというものが実は起きていて、非課税の特典というものに皆さんがもう何が何でもしがみつくんだという時代では今ないんです。低金利がもしもうしばらく続くとすれば今こそチャンスだという言い方もできるわけです。
 ですから、そういうことを背景にしますと、私は言っておきますけれども、低率分離課税よりも一律課税の総合課税の方がいい、それがチャンスだと言いたいんですけれども、とりあえず税調の答申には低率分離課税が出ておりますので、この方式についてまずそちらのお考えを聞いているんですが、限度枠管理が、これもやはり必要となりますね。低率分離やっても限度枠管理という問題はあります。そうすると、今主税局長はどういうふうにするか具体的なお答えがなかったわけですが、この問題はずっと引きずっていく。恐らく数年は引きずらなきゃなりませんね。それからどこで区切るか。今までの部分、既得権の部分と新規の部分とどこで区切るか、そんなことも含めて非常に難しい。そういう難問が一つ。それからもう一つは、ここまで金融商品が多様化したときに、その中でどれを選ぶかということになりますと、いわゆるマル優に低率の課税をしたときにほかの商品とのバランスというのがもう完全に狂ってくるわけですね。
 そこから具体的にお聞きしますが、もし税調答申の低率分離課税の導入ということを予想した場合、これは検討課題で、大蔵省は何もしていないはずないんですからね、その場合に、分離課税の一六%の割引債券のようなものと、三五%の、これについてはどういうふうに考えたらいいんでしょうか。あくまで予想の場合ですけれどもね。
○政府委員(水野勝君) 先ほども申し上げましたように、まさに低率分離の答申はいただきましたが、政府といたしましては、現行制度を維持し、限度管理の適正化でもって対処していくという方向で出発したばかりでございますので、低率分離の場合にどうなるかという御指摘につきましてはなかなか申し上げにくい点が多いわけでございます。この税調答申によりますれば、低率分離課税になった場合におきましてもやはり限度枠の管理はなお改善、強化することが必要であるという御指摘はいただいていますから、そういう意味におきましては、この税調の答申の考え方でいきますれば、低率分離課税になったといたしましても、限度枠の管理は適正、効率的にやっていく必要があると指摘されているということであろうかと思います。
 また、その場合に、一六%物、三五%物、これをどうするかということでございますが、低率分離の答申をまとめておりますこのときの答申によりますれば、この三五%の源泉選択制度及びその税率、これは維持してもいいんではないかというような方向が示唆されておるわけでございます。それから、一六%の割引債の償還差益の点につきましては、全体的な利子配当課税のあり方の帰趨と関連してその対象となる割引債の範囲について検討していくこと、それから税率水準については、いろいろな点に着目するとその引き上げには慎重であるべきだというような意見があったとか、もろもろの考え方がこのときの税制調査会の答申では述べられておるということでございます。
○野末陳平君 それはわかっているんですけれども、お答えいただきたいのはその先なんであって、だけどもまあそれは無理ですから、じゃ角度を変えて、現在ある商品その他についての問題に触れたいんです。
 例えば、大臣、マル優というのは、いわゆる一般的な預貯金の利息を非課税にするという制度ですから、これはこれで、いわゆる利息ですね。ところが最近はこれが低金利時代で余り魅力がなくなって、これよりも利回りの高いものが幾らでもあるわけですね。もうはっきり言って選択に困るぐらいにあります。そうすると、その中にはいわゆる利息なのにもかかわらず利子課税という扱いを全く税法上受けないというものがありますから、そうするとこれが一時所得になったり雑所得になったり譲渡所得になったり、全部利子ですね。要するに運用益で、利子ですが、この場合、具体的に言えば生命保険会社の一時払い養老保険もそうですし、最近はやってきている抵当証券もそうですし、金の貯蓄口座もそうですと、いろいろありますね。
 それから今度は逆に、投資信託のようなもの
で、最近は調子がいいようですけれども、それも利子というか配当というか、運用益が出てくる。そういうものも、気持ちとしてはお金がふえたという部分で、利子と全く性格が似ているわけですね、受け取る方はですよ。ところが税法上の扱いが非常に複雑で、またその複雑さをうまく縫って、高利回りの有利な金融商品ということで、商売する方はそれを売っておりますが、いずれにしても扱いが余りにも複雑多岐にわたっている。
 そうすると、我々が今マル優に課税だというのは、預貯金の利息の課税ばかり頭に入れておりますが、そうでない、さらに利回りの高い金融商品は一体どういうふうに扱ったらいいのか。これが一時所得であり雑であり譲渡所得でありといって、その有利性、これを残しておいていいはずもない。
 そこで問題は、マル優の見直しとは別に切り離しまして、今のような高利回りの金融商品が税法上みんな扱いが変わっていて、それぞれ有利、不利が分かれていて、そのためにまたお客さんも選択の余地があるとはいうものの、利子という考え方に立つと実にわかりにくい、あるいはまた不公平とも言える。この現状というものはどうなんでしょう。これはもう結果的にやむを得ないからそのままだというのか、それともこれもやはり考えなきゃいかぬのか。考えなきゃいけないけれども、時期はマル優の見直しと同時になるのか。だって、マル優見直しだけしてこっち見直さなかったら、全部お金こっちに流れますからね。低金利が一、二年続くとすればもう完全にそうなる、あるいはもっと続くとすれば、というのがちょっと頭が痛いというか、そちらのお考えを聞いておきたいんで、これはもうマル優とは関係なく、現在ある姿をどう考えているか、そういうことです。
○政府委員(水野勝君) まさに御指摘のように、マル優のあり方とは関連づけられる前に、もろもろの何と申しますか、金融商品と申しますか、そういうものが出てまいって、そういう基本的な改革とは別に、例えばディープディスカウント債につきましては、去年は国外で発行されたものにつきましてはキャピタルゲイン課税の方で対処するとか、ことしはワラント債についての分離後のものもその中に入れていただくように御提案を申し上げているとか、際立っていろんなアンバランスが目立つものにつきましては、その都度対処は個別的にさしていただいてきているところでございます。これは、今後マル優なり非課税貯蓄制度が抜本的に見直されるかどうか、そこのところとは関係なくやはり個別的に適切に対処はしていくべき話ではないかと思うわけでございます。
 また、今後の抜本的な改革の中では、当然、現時点ではまだその段階に至っておりませんが、利子配当課税のあり方も当然検討されることになろうかと思います。そのときに、先生御指摘の、あるものは雑所得、あるものは一時所得、あるものはキャピタルゲイン課税の方式をとって出てきているもの、もろもろあるわけでございまして、そうしたものにつきましては、やはり横に並べて、そこに不当なシフトが起こったりアンバランスが生じたりしないようには、抜本改革の一環として検討はされるべきものであろうというふうに考えてはおりますが、なおまだそこの具体的な成案までは申し上げられる段階には到底ないわけでございます。
○野末陳平君 これは大臣、ますます金融商品は多様化すると思いますね。そして同時に、この低金利だったら少しでも利回りの高いものを求めてお客さんがお金をあっちこっち持っていく、これも当たり前だと思いますね。
 そうなりますと、そういう現状がこちらにありながら、片方でマル優の見直しだ、低率分離課税、僕はあり得ないと思うんですね。それをやってしまったら今度今まで以上の問題が起きてしまいますから、やるならこれは同時にやらなきゃいけない。あるいは金融商品のいわゆる税法上の扱いの整理の方がむしろ先かもしれないというぐらいに非常に今大きな問題になったんですね。この委員会でマル優問題をずっとここ一、二年課税の是非を言っていたときと今非常に事情が、経済事情あるいは金融事情、貯蓄事情、そういうものが変わってきておりますので、これは主税局長が成案を得ていないとおっしゃっていますが、早急な検討が必要だ。特に、お答えの中にも外国債やその他いろいろ出てきましたけど、これもまた一緒なんですね。ゼロクーポンや何かについては手打ったりなさっていますけれども、何といったってそれはその個別商品のみですからね。
 ですから、そういうことでなくて、このいわゆる利子というもの、厳密な定義になるとそれぞれ分かれますけれども、大ざっぱに、利子そのものの課税のあり方の研究の中で、やはり一律に税法上の扱いをしていく、税率も同じであるということにしないとマル優の見直しというのはできないんですよ。だから両方やらなきゃならないという大変な、逆に言えば今がチャンスだと、こういうふうに考えているわけですが、大臣どうでしょうかね。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる金融資産の運用によって上がった利益とでも申しましょうか、郵便貯金の利子とかその他いろいろあるわけでございますから、それらがイコールフッティングといいますか、同じ状態に置かれるような仕組みは好ましいと私も思います。
 確かに、おっしゃったように、今は出た後を追いかけて手直しをしながら来ておる。今回の改正もワラント債問題が入っておりますが、後追いという感じよりも、いわゆるいろんな場合を想定してのあるべき税制の姿、それが、新商品とオーソドックスな今日まで存在するものとが、税の捕捉の立場からは同じ条件にあるような仕組みということは、確かに私もお話を聞きながら勉強しなきゃいかぬ課題だというふうに思っております。
○野末陳平君 何しろお金余り現象とかいいまして、相当なお金があることはもう間違いのない事実ですから、やはりこういうものの扱いをきっちり早くしないといけない。研究していただきたいと思いますね。
 では、もっと実務的なことになりますけれども、低率分離課税の場合でもそうだし、それから、最近私もその方がいいんじゃないかと思うようになった、一律課税にして、総合課税ですね、やはり総合課税にすべきだと思いますけれども、この総合課税の場合でも、常にいわゆるお年寄りと弱者は別にしよう、これはいいと思いますよ、当然それは必要だと思うんです。本人確認をせっかくしてもらっているんですから、これがやはりむだにならないようにしなきゃいけないとも思いますからね。そこで、この本人確認というのは、結果的に、シルバーエージについては少なくも今後どんな課税がとられようと、どういう形の利子課税がとられようが、窓口でいわゆる優遇措置をそのまま続けることは可能になってきたんじゃないか。つまり、還付方式をとらなくても、シルバーエージに限っては、窓口で、あなたは優遇されている、利子非課税、今までのマル優だ、これが非常に可能になっているんじゃないかという気がするんですが、それについては主税局長、どうでしょうかね。
○政府委員(水野勝君) 確かに一律分離をおまとめいただいた税制調査会の答申、六十年度改正答申におきましても、「老年者については、一定の要件の下で免税制度を設けることが適当である」というふうな答申の部分もあるわけでございまして、シルバーエージにつきましては何らかの配慮なり措置が行われることの可能性は大きいわけでございます。
 その場合の具体的な課税のあり方、窓口で対処するのかあるいは還付、一応いただいて還付という形になるのか、そういった具体的なイメージがまず根本、根っこの方がございませんので何とも申し上げることは難しいわけでございますが、窓口で本人の確認はできても、それが複数店舗になった場合には、それを一括して限度を管理する、シルバーが限度なしということならまた別でございますが、限度があったりする可能性も強い。そういった場合に、全国一本管理は、またこれ国税
サイドの話にもなるのかもしれませんので、なかなか具体的に、こちらの方向になるのではないか、まず一律分離といったものあるいはシルバーの還付、免税、具体的なものはまだこれからでございますので、はっきりしたお答えはこのあたりまでが限界かと思うわけでございます。
○野末陳平君 もうやむを得ないと思います。それから、シルバーといってもお金持ちもいますし、だから何でも全部優遇というんじゃありません、どうしても限度があるとなるとその管理はやはりここにつきまとうというんで、この問題は限度額管理というものが今後どういうふうになっていくかということと重大な関係が出てくるんですね。
 時間もなくなってきましたが、何といったって私はもう総合課税をやはりこの際思い切ってやる、いろいろな事情があってもするのはチャンスだと思っていますから、その方向で進めたいと思うんですが、たまたまきのう税調の木下さんがいらっしゃいましてお聞きしたときに、これは大臣に感想だけお聞きしますが、木下先生は、要するに、今までなじんだマル優をすぐ一律課税というようなことはちょっと激変だから、激変緩和措置みたいなものでとりあえず低率分離課税に移行して、時間をかけて一律課税、総合課税というあるべき姿に持っていくのが望ましいんだというお答えだったんです。でも、この非課税貯蓄の問題に激変緩和ということが果たして必要か、そこまで考えなきゃいけないのかという気もして、私は一足飛びに一律課税で、総合課税でと、税率は別として、そこまで持っていくのが一番楽だと思うんですよ、いろんな意味で、税収も上がるし――上がるとすぐには言えませんけれども。
 そこで、段階的にやるという木下先生の御意見でしたが、それについての大臣のお考えなども聞いて、きょうは時間がありませんので、これで終わりにします。
○国務大臣(竹下登君) 私のお答えは、やっぱり税調でいただいた答申の域を出ませんわね、普通の場合、公式にお答えする場合。
 ですから、いわゆる六十年度税制、五十九年の暮れにちょうだいいたしました、あのときのいわゆる段階的措置ということが一つのやっぱり考え方ではあるというふうには、縛りのかかった中でお答えすればそういうものであるのかな。しかしあれは採用されなったわけですから、新たなる課題としては、今おっしゃったような究極的には総合課税だということは私はそのとおりだと思うのでありますが、それに行く道筋として、五十九年の暮れにもようだいした税制のあり方というようなものは、確かにそういう段階的なことで、流れとしては段階的な答申をいただいておるというのが今の現状ではないかなと思います。
○野末陳平君 終わります。
○青木茂君 まず、赤字繰り越しの一年停止、これについて申し上げます。
 これは、いろいろ理屈はあるでしょうけれども、結局は財政困難下において二千二百三十億円を浮かす措置と見ていいだろうと思うんです、目的は。ただ、今、日本経済の置かれました環境から見ますと、非常に急激な円高で中小企業を中心として倒産の続出が懸念されている。あるいは企業ですから赤字覚悟で先行投資しなきゃならぬ場合もある。それが結局やがては民間活力を生み出してくるわけですね。したがって、この二千二百三十億円を浮かすためにやったこの措置が、民間活力のマインドをびびらしてしまって非常に企業に不安感を与えるんではないかという懸念、企業の不安はサラリーマンの不安でもあるわけですから、そういう感じがしてならないんですけれども、まずこの点、これをやる背景の日本経済の実情として、大臣どんなお考えでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃいましたように、究極的には財源対策と、私はそれなりに割り切りました。
 経済学というのは心理学ですから、おっしゃいますとおり、心理的には中小企業というものが、いろいろな業種別の差はありましたにしても、ムードの上で、また実態としても円高等から不況を受けているときに、中小企業を対象にした法の安定性を少し欠くわけですから、一年分は、直近一年は控除できないことになるわけですから、そういう与えている心理的な影響というのは実際あるんじゃないか。
 したがって、これをつくりましたときはまだ二百円ぐらいのときでございましたけれども、赤字企業に対する課税じゃないんですよ、これは黒字の出たものであって、ただ直近一年の分は、企業の継続性というもので五年はありますが、財政上の措置ですから、一時、まあ先払いみたいな感じでございますけれども、そういうことにお願いをしようということを決断しましたから、ひたすら、今度の改正のとき二ついわゆるお願い事がありますのがまさにこれとたばこという感じをそのときも受けとめておったことは、これは正直な事実でございます。
○青木茂君 おっしゃる上うに経済学は心理学でございますから、マインドを冷え込ませるというのは、今まさに打って一丸となって企業活力を増進させて経済摩擦に対応しなければならないというときに、二千二百三十億のためのコストとしては少し大きいんじゃないかという感じがしてならないということ。それから、理論的に見ましても、特別措置というのは、それは確かに理論をおっ外すことですから余り理論を言っても仕方がないんですけれども、去年と来年は有効であってことしだけどうもちょっとというのは、理論的に見てもやはりゴーイングコンサーンを前提とする限りにおいては少し僕はおかしいんじゃないかと思う。
 それから、暫定措置というものは、大体どうも暫定というのは今までの例を見ておって、恒久化してしまうわけですよね。今度の法人税の一・三の上乗せを見ましても恒久化する。これも逆に言うと、マインドの面から見て、あくまで企業のマインドの面から見て、政府は暫定だ暫定だと言っているけれども、何か恒久的な措置になるんではないかという不安感がある。僕はこういう経済困難なときに不安感を与えるということはやっぱりいけないんじゃないかという気がしますんですけれども、この点いかがでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 確かに、この六十一年度に終了する事業年度については、一年お待ちくださいということは今まで言ってなかったところでございますので、そういう意味では不安定性という点はあるわけでございますが、税制改正、今御指摘のような税率引き上げにいたしましても、そこは若干の不安定性と申しますか、経営者に対しますところの期待可能性にやや即さない面もあることはあるわけでございますが、今回の措置は、とにかく一年は待ってください、二年目、三年目、四年目は大丈夫でございますからどうぞお使いをいただきますということでございますから、不安定性と申しますか、期待可能性を大きく損なっているものではないのではないかと御理解を得たいところでございます。
○青木茂君 大きくは損なっていないかもしれないけれども、中くらいにはかなり損なっておりますからね。人間の心理というものは、本当に小さなことが拡大をしますと私は大きなことになっていくんじゃないかと思うんです。
 それじゃひとつここで確認をしておきますけれども、暫定ということですね、暫定ということはこれは断固暫定であるということでよろしいですか。
○政府委員(水野勝君) 租税特別措置法は、すべてこれは恒久的なものでなくて、一定の当面の措置を規定するものでございます。そういう意味では当面の措置であり、暫定ではございますが、この制度の期限の到来のときにはまたそれぞれ税制調査会、各方面の御意見を伺い、また財政事情等総合的に判断さしていただいてまたその時点で処理をさしていただくということではないかと思います。
○青木茂君 そこが危ないんですよ。租税特別措置法の中で本当にもう意味がないとなってしまっ
たものも何か既得権化して続いている。先般ちょっと少しは手直しはございましたけれども、まず医師課税の特例なんてまさに。そういうものですね。昭和二十年代に暫定だ暫定だといったってえらい長いこと続いてしまった。だから、暫定に対する不信感というものは、失礼な言い方だけれども、国民の中にびまんしているんです。
 だから、それをまたここで繰り返すということになったら、本当にこんな小さな二千二百三十億、それで僕は国民の政治に対する不信感が無制限に拡大をするということはゆゆしき問題だと思わざるを得ないんですけれども、これは特に政治の衝に当たられる方は、不正や国民の不信を買っちゃどうにもならないのだということで、特別措置の既得権化というものは断固排除するんだというやっぱり決意を出していただかないといけないんじゃないかと思うわけなんです。大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) あくまでも租税特別措置というのは、本則を特別に曲げることであることには間違いございませんので、その都度、政策目的を果たすために必要な措置であるとは言え、したがって、その必要度がなくなった場合はこれは廃止しなきゃなりませんし、そして受ける側もこれを既得権と考えるという考え方には立つべきでない。いわゆる税のあるべき姿についての本当はPRをもっとしなきゃいかぬことであろうというふうに思っております。
 重ねて申し上げますが、今回のこの一年のいわゆる繰越控除の問題は、まさに私が最終的に判断した場合は、結局これは財源対策としてこれをお願いするしか、根幹に触れないでやれる手法の大きな役割だったというふうに私自分も認識しております。
○青木茂君 大臣から大変どうも正直な御答弁をいただきましたから、これ以上はあれなんですけれども、特別措置全般に対しまして、私は昨日参考人の木下先生に、シャウプ以来の抜本的改正ということは、シャウプ税制の見直しという意味ではなしに、シャウプ税制の原点に返ることだというふうに申し上げた。そのとき木下先生も御異論はなかったと思います。
 シャウプ税制をつぶさに見てみますと、シャウプさんびっくりしているんじゃないか。ここまで特別措置なるものが拡大をした、こんなにたくさん特別措置ができてしまったということについてはびっくりしているんじゃないかと思いますから、とにかく特別措置というのは政策目的であるとはいえ不公平の拡大なんですから、ひとつできるだけ縮小するということは大臣十分にお考えをいただきたいんです。何か縮小するというより広がりつつあるような気がしてしようがないんですよ。
○国務大臣(竹下登君) 従来とも毎年毎年見直しを行ってきておることは事実でありますが、私ども考えなきゃいかぬのは、よく法律用語として使われる当分の間という言葉があると、当分がいつまでも続くとか、あるいは単純な期限の延長というのは法律の作業上も非常にやりやすいとか、そういうようなイージーな考え方に立ってはいかぬ。
 確かに、シャウプ先生に私も先般二ユーヨークでお会いいたしましたが、多少耳が遠いとかいう点はありましても、そういうふうに日本人がシャウプ税制になじんでおるということがあろうかと思いますけれども、やっぱりあの原点というのは相当なものだな。あの当時考えられたので今と全く事情が違うとすれば、富裕税だけはあるいは敗戦直後の格差のある段階と今日の段階との相違はあるが、考え方は、八十数歳の老人でしたけれども、やっぱりみんな昔のことを覚えておって、立派な考え方だという印象を深くしました。
○青木茂君 シャウプ税制を振り返って見てみまして、キャピタルゲインに課税すべきであるとか、家族に払う給料は認めないとか、とにかく脱税の摘発を強化しろとか、もう私は立派なことをあの当時におっしゃっていると思うんです。だからそういう意味においてシャウプ税制の原点に返っていただきたいと思っておるわけなんです。
 そのシャウプ税制の中の脱税許すまじということに関連してさらに御質問を申し上げますけれども、財源対策として二千二百三十億円を浮かすいうならば、法人の実調率というのか、脱税摘発の強化ということにもう少し踏み込んでみる必要があるんじゃないか。これは当局の御発表ですけれども、とにかく百九十七万も物すごい数の法人があって、その中で黒字申告は確かに四三・三%だ、半数以上が赤字申告だ。これにはなるほど景気が悪いから赤字がいなと思う半面、これはかなりの利益操作が行われているんじゃないかというやはり疑いを持たざるを得ないんですよ。そうなってまいりますと、実調率一〇%で三千四百八十六億円ですかの追加税額が出ているんだから、これをもうちょっと引き上げるだけでこの二千二百三十億円に近づけるんじゃないかというふうに思う。あるいは公益法人の調査もなさったようですけれども、公益法人の実調率わずか五・六%だ。
 まだまだ日本社会にはアングラマネーと申しますか脱税というものがびまんをしている。つまり私は、国が徴税能力というものを失うというのか、徴税権をある意味において放棄してしまったらその国はつぶれると思います。だからそういう意味でもう少し実調率というものを引き上げるような方途は当局としてはお考えないかどうかということを伺いたいんですけれども。
○政府委員(塚越則男君) 法人数が増加をいたしております。また法人の取引規模の拡大ということもございます。それに対しまして税務職員等の増加はそうふえないというようなことから、いろいろな工夫を凝らしてあらゆる努力を払っているわけでございますが、現在のところ実地調査割合は一〇%程度というのが実情でございます。
 こうした中で、できるだけ効果的な調査を実施するために各種の資料、情報を積極的に収集、活用することのほかに、個々の法人の申告内容を十分に検討しまして調査必要度が高い法人から的確に調査対象に選んでいく、こういう工夫をこれからますますしていかなければならないのではないかというふうに考えております。
○青木茂君 僕は、効率の高い工夫というより、この際は、これは所得税でも同じですけれども、思い切って電話帳調査をやってみたらどうかというのはかねがねこの席上では申し上げたことがあるんですけれども、それはさておきまして、実調率の問題になりますとすぐ人が足らぬというところへ来てしまうんですよ。ちょうど本則の方へいくと税調の答申を待ってからというのとまた同じでして、人間の問題へ来てしまうんですけれども、その人間の問題について一工夫ないですかね。
 例えば、私これしょっちゅう言っているんですけれども、なるほど国税職員は五万人であるかもしれない。しかし地方の税務課の職員は八万人もいるんです。その人たちが遊んでいるとは決して言いませんよ。言いませんけれども、連係プレーというものがあったら僕はもっと実調率が上がるんじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうね。その連係プレーの方向へ行けませんかね。
○政府委員(塚越則男君) 地方税当局との間ではいろいろな機会に連携を強化する努力を重ねておりまして、例えば申告書の収受でございますとか資料の提供でございますとか、逐年協力の度合いが高まっている方向にございます。調査につきましても所によりましてはいろいろ協力をし合っているところもございます。今後ともこうした形で協力の度合いを高めていきたい、そういうことに私どもますます努力をしていかなければならないと思いますが、ただ、地方自治の問題もございますので、全く一本になるということについてはやはり問題があろうかと思います。
○青木茂君 大変模範的な御答弁なんですけれども、例えば地方自治体の税務課の職員にもある範囲においては自主調査権があるわけですね。そういうものを一つの目的のために活用できないかということはかねがね思っているわけですけれど
も、この問題は堂々めぐりですからこれでおきます。
 そしたら、それがなかなか人間の面で実調率が上がらないということなら、今度はもう本則へ戻りまして、日本が異常に法人数が多いというのは、どうしても税金逃れの法人成りと申しますか、そういうものがまた逆に野放してあるというところに原因があるんではないかと思うわけなんですよ。そしたら、そこを何とか税法上の操作でできないだろうか。いつも皮肉ばっかり言って申しわけないんだけれども、みなし法人などというおかしなことをおやりになったんですよ、かつて。そしたら今度はそれを戻して逆に考えちゃって、みなし個人というようなものへ持っていけないか。きのうもちょっとそういうことを申し上げたんです。法人になるべくしてなったならこれはもう何の異議を差し挟むことではないけれども、税金が安くなる、所得の分割ができるということでもって私は法人になったとするならば、これはバランス上おかしい、給与所得者との。そうなれば、法人ではあるけれども個人とみなすというような考え方だってないとは言えないと思うわけなんですね。これは当局でしょうか、大臣でしょうか、一つの考え方として。
○政府委員(水野勝君) 法人という形態を選ぶか、個人企業の形態で商売されるか、これはまさに個人と申しますか、それぞれの事業体の自由でございますので、現代の社会におきまして、税法上これは法人と見ないという考え方というのはなかなか難しいことではないかと思います。アメリカにおきましてはかって法人でも個人課税をするということもございましたが、選択制度で、強制をするというのはなかなか問題かと思います。
○青木茂君 しかし、みなし法人というのは逆に法人とみなしちゃったわけだから、その裏返しとして僕は幾ら自由社会でもみなし個人もあり得ると思います。しかし時間がございませんから次へ移ります。
 住宅税制ですけれども、住宅金融公庫の扱いですね。住宅金融公庫の扱いは、現行法ではもう住宅金融公庫は住宅基礎控除アウトである。しかし今度のシステムでは民間の半分、〇・五%ですか、何か生きてきた。しかし、国民が住宅建設において一番利用しているのは住宅金融公庫だから、これを二分の一なんてけちらずに、本当に住宅促進税制をやるならば一%にしてしまったらいかがかと私は思うんですけれども、それはどうなんでしょうか。
○政府委員(水野勝君) やはり住宅金融公庫のローンにつきましては、財政負担でもってその金利が軽減されておるところでございますので、ダブルでそうした財政上の恩典を適用願うというのはいかがか。そういうことから従来はむしろこれは対象としないというふうにしてまいったわけでございますが、今回の住宅取得促進税制では、そこは思い切って入れることにしよう、しかし、今申し上げたような趣旨からそれは二分の一の適用割合でいかがかとお願いをしようとしているわけでございます。
○青木茂君 だから、思い切っていったんだからもう〇・五なんてけちらずに一%にいったらどうか。
 大体住宅金融公庫というのは、財投から高く借りてそして安く貸し付けている、こういうことでしょう。そうすると逆ざやが出ますね。その逆ざやは今どうなっていますか。一般会計からの補充ですか。
○政府委員(小粥正巳君) お尋ねのいわゆる逆ざやでございますが、一般会計から補給をしてございます。
○青木茂君 一般会計が非常に困難になりまして、一般会計から補充し切れなくて、少しの間財投からその逆ざや分も回してもらうという事実はございませんか。
○政府委員(小粥正巳君) ただいまの一般会計からの補給でございますが、御指摘のように、一般会計の財政事情大変厳しいということもございますので、一部いわば繰り延べ措置を実施していることは事実でございます。
○青木茂君 そういたしますと、住宅金融公庫の資金というものは大部分が財投なんですよ。財投というのは大体原資は庶民の貯蓄なんですね。庶民の貯蓄で出した金なんだから、若干利子補給だなんて余り細かいことを言わずに、〇・五を一%にしたらどうか。そうしたら僕は国民は喜ぶと思いますよ。今までゼロだったやつが民間ローンと一緒になった。それはなるほど理屈抜きの、また私得意の感性の問題かもしれない。しかしそれが必要なんじゃないですかね。ことしは間に合わぬにしたところで、そっちの方向へ持っていくお考えはございませんかね。
○政府委員(水野勝君) まさに郵便貯金から回っておるということも言えようかと思いますが、その郵便貯金、マル優、これはこれでまた利子の非課税というのがあるわけでございますし、そういう金融資産につきまして、およそ三百兆円にわたる個人金融資産につきましての利子の非課税をしている。一方、さらに今度は実物資産の面につきましても利子控除という形あるいはローン残高の控除という形で拡充していくという、両面と申しますか、何面かにわたって財政負担を持っていくということは、なかなか現在の財政事情からいたしますと難しい問題ではないかと思っているわけでございます。
○青木茂君 僕は、国民が喜んで、国民の家計簿が黒字になることなら理屈抜きに何やってもいいと思います、大した金額じゃないんだから。
 それはともかくとして、最後に、この住宅税制でローンについて非常に一種の優遇措置出しましたね。そうすると、政治の公平という観点からいえば、金額はともかくとして、家賃控除は設けるべきだ。自己保有住宅の減価償却費とまでは言いませんけれども、僕は、家をつくらずに借りている人もたくさんいるんだから、家賃控除とローン優遇はセットでないと新たな不公平をまたここでつくってしまうと思います。これを局長と大臣に最後にお伺いをして、これで終わります。
○政府委員(水野勝君) まさに御指摘のように、この住宅税制、住宅を取得した方につきまして所得税額控除をする。これは、持ち家、マイホームをつくる余裕があったかどうかは別としまして、とにかくマイホームをつくられる方に対する恩典ではないか、そうするとおのずから限界があるのではないかというような御指摘も国会論議でしばしばいただいているところでございます。したがいまして、当然そうした家賃との絡みも出てまいりますが、今回の住宅取得税制は、そうした負担の面とあわせまして内需拡大という一つの政策目的のために、住宅の取得、これに限って対象を適用さしていただいているわけでございます。
 ドイツのように、マイホームにつきましては帰属家賃に課税をする、こういう基本的な仕組みを持ってまいりますれば、それにつきましての利子あるいは固定資産税は控除する。一方また、じゃ借家の場合はどうするという基本的な解決方法もあろうかと思いますが、今回と申しますか、従来の日本の住宅減税制度は専ら租税特別措置としてのぎりぎりバランスを崩さないところでの範囲でお願いをしているところでございますので、家賃控除というところまではなかなかまいらぬわけでございますし、また、家賃控除となりますと、家計支出の中でいろんな部分を所得控除するということにも波及してまいります。そこはおのずとどうも限界があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) 結局、家計支出の課税最低限というものでやっぱりそれは位置づけるべきものではないかな、こんな感じで見ております。
○青木茂君 異論はありますけれども、やめます。
○鈴木一弘君 最初は、シャウプ勧告のことでお伺いをしていきたいと思っております。また総理にもお伺いしたいと思っておりますので。
 シャウプ勧告が示した内容というのは、所得税の総合累進課税、キャピタルゲインに対する全額課税、最高税率を八五%から五五%に引き下げる
問題、富裕税の創設、あるいは租税特別措置を公平の原則から大部分は廃止すること、地方税としての付加価値税の創設ということが言われているわけです。ところが、こういうことをもとにしてシャウプ税制というものができてきたんですけれども、これが講和条約の後で御承知のように修正が始まって、富裕税は廃止される。輸出の振興とか貯蓄奨励とか、ありとあらゆる理由がついて租税特別措置が順次加わって現在の不公平、不公正というような感じになってしまった。シャウプ税制そのものよりもシャウプ税制以後の措置が不公平を生んだんじゃないか。個別間接税を見ても、当然かかってしかるべきような付加価値の高いものにかからなくて、同一品種でありながら付加価値の少ないものの方に間接税がかかる。
 こういうことで、私は、先ほども青木先生から質問されておりましたけれども、このような圧力団体に屈した感じでこうなってきたところ、あるいはそのときの政治の動きでなったんでしょうけれども、ただ、全部が悪いというんじゃなくて、何か税制改革ということを目指されるのであれば、そういう点をよく踏まえて、もう一遍もとに戻っていただいて考え直していただく以外にないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか、大蔵大臣。
○政府委員(水野勝君) まさに御指摘のように、シャウプ税制は公平と財政民主主義といった観点から、今御指摘になりましたような包括的な課税ベース、所得再分配機能を基本とする所得税、これを日本の税体系の中心に置くという考え方に立ちまして我が国税制の柱をつくったものでございます。その後、もろもろの要請から、さまざまなこのシャウプ税制からの乖離といったものがある、そういった点が現行税制に問題を起こしていることは御指摘のとおりの面もあろうかと思います。
 しかしながら一方また、シャウプ税制当時に比べますと、所得税制を背景とします社会経済情勢といったものもまた大きく変化をしてきておるところでございまして、そういう社会経済構造の変化、そういったものにシャウプ勧告の精神は生かしつつも、その背景となる社会経済構造の変化に対応するという意味でもやっぱりこれは抜本的な見直し作業を行うという要請もまたあろうかと思いますので、御指摘の点も含めながら、しかしまた、その背景となる要素をも考えながら抜本改革作業に対処すべきものではないかというふうに考えております。
○国務大臣(竹下登君) 今水野主税局長からお答えしたとおりでございますが、実際シャウプ税制というのは、あれは読んでみればみるほどいいことを言っておられるな、こう感じます。確かにその中に生じたいろいろなゆがみ、ひずみというものがあるから、まさにそれを直すべき時期に到来した、こういうことからの抜本改正への諮問、こういう経過をたどったと思います。
 ただ、今も申しましたように、経済社会情勢の変化が当時とは、敗戦直後でございますから、かなりある。まあ直後じゃございませんが、二十四年からいらっしゃったわけですから、当時から見れば経済社会の変化はあるということは踏まえていなきゃならぬ課題だろうというふうに考えております。
○鈴木一弘君 私は、何かシャウプ税制の見直しという言葉を聞くと、戦前の税制回帰のような感じを受けてならないわけです。やはり間接税中心主義から直接税中心主義に、簡単に言えばそういうことですけれども、特に、不公平をなくそうということになっただけに、その点戦前回帰のような感じで受けられては損だと思いますので、これは総理にも伺いますのでこの程度にします。
 今度はこの法律案でございますが、どうもずっと見てまいりますと、財源あさりのために、一番大事な税制の基本的役割である負担の公平とか、あるいは経済政策的税制運営という点がゆがめられているんじゃないか、こう思われてならないんです。
 一つは、欠損金の繰越控除制度の一部停止、つまり赤字法人への課税でございます。内需が今だめだ、起こさなきゃいけないと内外から言われているときにこういう税制をとるということについて、私は何か矛盾があるような感じがしてしようがない。その点はどうお考えでございますか。
○政府委員(水野勝君) 今回の措置は、主としては財政事情から、一時、直近一年間の部分につきましての控除は停止させていただくということでございまして、二年目以降につきましては控除を御適用いただけるということでございまして、その年度といたしましては、その法人は、繰越欠損の控除がなければ、黒字である法人につきましてのお願いでございますので、赤字法人につきましてさらに足を引っ張るというようにもお考えをいただくところにまではいっていないのではないかという気もするわけでございます。
 また、別の話でございますが、今回、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法によりまして、特定中小企業者に該当する法人の中で特定の法人につきましては、赤字で苦しまれるそういう特別な法人につきましては、現在別途停止させていただいております繰り戻しによりますところの還付、この制度をそうした特定の法人につきましては暫定的に復活させていただいているということで、そうした面での配慮ももちろん最小限度いたしてはおるところでございます。
○鈴木一弘君 この欠損金の繰越控除、直近一年間停止ということは、長い間ずっと続いてきた税制をぽこっと変えたわけですね。だからどこまで行っても、ずっと先ほどからの質疑の過程でもわかりますけれども、原則を完全に無視したものと言えるわけです。しかも、大体どの企業でも欠損金が生じた翌年度というのは一番経営が苦しい厳しいときが来るわけです。そういうときにより多くの税金が、本来ならば欠損金の繰越控除となるものをやられないということで、これは苦しくなってくるわけですけれども、どうもそういう点が納得できないんです。これは総理に本当は聞きたかったんですが、これは時間がないから、大蔵大臣いかがお考えですか。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、重ねて申し上げるわけでございますが、いわゆる企業の継続性というようなもので長年定着しておった制度である。したがって、根幹を揺るがさないということになれば、五年間というものはきちんとそのままにしておくべきだ。そこで財政上の立場から直近一年というものを、まあお借りするという表現が適切でございましょうか、そういう形でもって、まさに財政上の観点からお願いをせざるを得なかったという状況にあったことは率直に申し上げます。
○鈴木一弘君 私は、そういう何というか、財政上の事情からということだけで中小企業を痛めつけるぐらいならば、もっと別な方法を考えた方がよかったんじゃないかと思うんです。
 例えばここに、私が伺いたいのは、ちょっと本案と外れるかもしれませんが、五十六年度に印紙税が一挙に二倍になっているんです。ところが、それから以降その印紙税についての収入の変化というのは余り芳しくないように私は思われるんですが、各年度ごとで印紙税収入はどういうふうになりましたか、ちょっと聞きたいんです。
○政府委員(水野勝君) 御指摘のように、五十六年に百円を二百円、定額の部分でございますが改正をさせていただいておるところでございます。百円を二百円に倍にはいたしましたが、五十六年度といたしましては八七%の増加、以後、五十七年度は七%、五十八年度はマイナスの〇・八%、五十九年度は一・四%の増加、こういうふうな経緯をたどってまいっておるところでございます。
○鈴木一弘君 経済の規模が拡大して経済取引が大変活発になってきているわけですね、ふえているわけです。そうすれば印紙税収入というのもふえてくるのが当然だと思うんですけれども、今のように伸び率は鈍化しているし、五十八年度の印紙税収入は今言われたようにマイナス〇・八、つまり前年度比九九%程度しかない。これは原因はどうお考えですか。
○政府委員(水野勝君) これは、最近におきますところの事務処理の機械化の進展によりまして、文書を省略すみという経済取引が増加しているといったことも考えられますし、またいろいろなタイプの節税策が広範に行われるようになってきているということもまた原因であろうかと推察いたしております。
○鈴木一弘君 印紙税というのは本来取引の実態そのものに及ぼさない、いわゆる流通の段階における課税ですからね。その流通の段階における課税であるのにこういうふうな格好になってくる。今の答弁のいわゆる文書によらない、省略したということはこれはオンラインによる機械化の問題だろうと思います。それが一つになっているようですが、いま一つは、例えば現在の印紙税法では、手形を切る場合、額面十億円以上では印紙税はすべて二十万円ですね。ところが、それを避ける、だから十億円以上の手形を何十枚切るよりも一括して手形を切った方が一回の二十万円で済むわけです。ですから、ある大手企業は下請業者の支払いに一括手形支払い方式を導入している。
 こういうことは企業努力としては私わかるんですけれども、これは公平な課税ということ、それから印紙税の増徴を増徴をといつも言われていることに比べると、どうも納得ができないんですが、その辺はどうなんですか。
○政府委員(水野勝君) 印紙税は、まさに文書が作成されたものにつきまして納税をいただくということでございますので、文書が作成されなくなる場合にはそれはもうやむを得ない面があるわけでございます。
 印紙税と申しますのは明治初年以来ある非常に歴史の古い税制でございますが、またそういう意味ではかなり時代がかった税金でもある、こういうことも言えようかと思います。したがいまして、最近のような経済取引の実態になってまいりますと、その税収入の動向というのは必ずしもはかばかしくない面もあるわけでございます。こうした面を受けまして、税制調査会でも今後そうした点につきましては検討すべき旨の示唆もあるところでございます。今後、抜本改革の中で、こうしたタイプの税がどういうふうな推移をたどることになるか、これからの問題でございますが、そうした審議の方向をも経まして対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
○鈴木一弘君 郵政省来ていると思うんですけれども、現在郵便貯金の口座数はどのぐらいあるのか、またこの一年間の振替郵便の件数はどのぐらいなのか、それをお伺いしたいと思います。
 それと一緒に、受け入れの中の現金払い込み、これから公金とか電気、ガス、受信料というようなものを抜いた金額、また払い出しの方で簡易払い、これは一体どのくらいの口数と金額になっているか伺いたいんです。
○説明員(木村強君) 郵便貯金の口座数でございますが、五十九年度末の計数でございますが、六千五百万程度ございます。それから振替につきましての現金払いと簡易払いとの口数でございますが、昭和五十九年度の取扱高といたしまして、現金払いにつきましては五百六十九万口、約五千億円でございます。簡易払いにつきましては五百七十六万口、約八百九十億でございます。
 公金口座のお話がございましたけれども、これらの申し上げました取扱高は、一般のものと公金に係るものとを区別しないで集計をしておりますので、公金に係るものを除いた取扱高ということは、現状では若干手元に数字がございませんので、今のような御説明をさせていただきます。
 よろしくお願いいたします。
○鈴木一弘君 五十八年度の郵政統計年報から見ると、現金払い込みが通常と電信、公金、公庫等償還金、電気、ガス、受信料というふうに分かれていますね。今言われたのは分かれていないような言い方をされた。
○説明員(木村強君) 五十九年度でございますが、通常につきましては二億一千四百万程度、それから電信につきましては十七万程度、公金につきましては三千百万口数。それから公庫等償還金でございますが、これは十一万八千程度。それから電気、ガス、受信料、保険年金貸付償還金等につきましては一千五百万程度となっております。
○鈴木一弘君 この中で、郵便為替法とか郵便振替法によると、「郵便為替に関する書類には、印紙税を課さない。」また郵便振替法でも、「郵便振替に関する書類には、係印紙税を課さない。」郵便貯金に関するものについても書類には印紙税を課さない、こうなっているんですが、どうして印紙税を課さないんでしょうね。
○説明員(木村強君) 郵便貯金、郵便為替、郵便振替、それぞれ国が経営する事業でございまして、これに課税をすることは、国それ自体が課税主体であるということで、それに課税するということになりますので意味がないということで、基本的には課税の対象から外れておるということでございます。
○鈴木一弘君 現在銀行に預金するときは、通帳をつくると額の大小にかかわらず一律二百円の印紙税が取られる。それから株の配当金を銀行振り込みをすると三千円以上は課税の対象になるわけです。ところが、郵便局で預金証書をつくったり郵便振替しても課税の対象にはならないわけです。そういうことになりますと、これを悪用して、例えば、今までならば銀行から送っていた配当の振り込みを簡易払いで郵便局から送る、あるいはそのほか現金払い込みを使ってやってしまう、こういうやり方ができるわけです。ある大きな企業はこれで一年間で一億円の節約をしている、銀行送金をやめたおかげで、ということがもう言われているわけであります。
 こういうのは本当を言うと、印紙税というのは物やお金の取引に文書一枚ごとに課税する、先ほどの答弁のとおりですが、特定の公共機関とかそういうことになるというと非課税というふうになると、どうも税の中立性からいって不公平にならないか。これは大変難しいことでありますが、もし税をかけるとなったらば一体どのぐらいになるのか。これは大蔵省で試算はできてないかもしれませんが、大体概数で言うとこのぐらいになるんではないかということを言っていただきたい。
○政府委員(水野勝君) ただいま郵政省から御答弁ございましたように、国、地方公共団体が作成する文書というのは印紙税は課さないという規定があるわけでございまして、郵便貯金もまたその一環でございます。したがいまして、こうしたものは他の公共団体関係の課税関係もろもろを通ずる問題でございます。
 自動車重量税のように、自動車を取得すれば課税になる、それは国、地方公共団体を限らないというような課税の仕組みもあるわけでございますが、ここらを基本的に見直すということになりますとかなり大きな問題につながるわけでございますので、そうした点を踏まえた場合に、じゃ郵便貯金業務にかかわる文書につきまして印紙税を課税するとした場合の税収額というのは、なかなかどうもいろいろな前提がございますので、算定をするということはどうも簡単ではない、このように考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 例えば、現金払い込みのうちの通常のうちどのぐらいが銀行であったらばかかるものであり、簡易払いのうちどのぐらいが、普通今までなら商業取引として銀行等を使われていたものがこういうところへ行っているんじゃないかということになるのか。それは見当はどのぐらいつけられていますか。
○政府委員(水野勝君) 例えば先ほど御答弁のございました郵便貯金の口座数、これは六千万から七千万程度ある。これは階級定額でございませんで、定額税制の二百円の印紙、これを課税さしていただくということで機械的に計算すれば、それは先ほどの計数からすれば百三十億円程度になるといったような極めて仮定を置いた計算はできないことはないわけでございますが、先ほど申し上げましたようなもろもろの問題が絡むわけでございます。
 また、振替とかそういった点になりますと、先ほどのお話でございますと、それぞれ口数はござ
いますけれども、それが例えば配当でございますと三千円以下のものですとこれは落ちる。それからまた領収書でございますと三万円以下落ちる。そこらのいろいろな要件がございますので、なかなか計算は難しいわけでございますが、いろいろなものを大胆に割り切ればこういった振替関係のものは百億前後の、これも全くもう粗っぽい計数でございます。
 それから配当関係になますと、先ほど申し上げたような免税点がございます。そこらがございますと果たして何億円というものになるのかどうか、そこはなかなか難しい。しかしながら、繰り返しでございますけれども、先ほど申し上げたような基本原則の問題もございます。
 また一方、現行の印紙税法では、信用金庫、農業協同組合、こういったものの扱い、マル優の扱い、これらもまたそれぞれ印紙税法では特別の扱いがなされておるわけでございますので、そういったものを全部ひっくるめて議論をいたしませんと、簡単に計数をもってお答えをするということはできないものではございますが、先ほど出ましたような数字でもう割り切らしていただけば、あえて御答弁すればそんな感じでございます。
○鈴木一弘君 今はどんどん経済取引が大変進展しているという状況のときです。そうするとなおのこと負担の公平、適正化というものをやらなきゃいけない。先ほども印紙税がおっこってきたのは節税に一生懸命努めるからだと言われたんですが、大企業に限らず小さいところ、中小企業であろうと、送金業務を扱う、そのほかやろうというときに、これは郵便局を使った方がもうかるということになりかねないです。そういうおそれが出る。そうするといろんなシフトがここから始まってくるということになるわけです。規模からいっても大変大きな、日本の最大の銀行のような金額を保有している、そういう貯金を持っているわけでございますから。
 五十八年十一月に政府税調の答申で、経済取引の進展に伴って、負担の公平、適正化の観点から見直すべき時が来ているとの指摘があるので、課税範囲や適用税率のあり方について今後も検討することが必要であると出ていますね。それはその中にやっぱり印紙税も私は入っていると思いますが、抜本的税制改革の一環としてこれは見直さなきゃならない。将来郵便貯金が民営ということになればなおのことこれは当面出てくる問題。私は、大企業の中で、大企業が悪いとかいいというわけじゃなくて、その銀行から郵便局へと扱いをかえただけで印紙税が一億円も年間節約できるなんというのはちょっと意外でもあるし、大きな問題だと思うんです。
 この点、この問題はこれで終わりですから、大蔵大臣に答弁をいただきたい。
○国務大臣(竹下登君) そのような意見もございますので、広範にわたり議論の中で問題が進められていく課題であろうというふうにも考えております。従来の税調答申の際も指摘されたことはございます。
○鈴木一弘君 次は、税収がことしは不足するのではないかということについてお伺いしたいんですが、六十年度に税収不足が起きるだろう、本年度ですね、それは十分に対応できるかどうかということです。三月三十一日までに年度内補正ができればこれは十分にやれると思いますが、六十一年度に入って出納整理期間になって税収に穴があいたらこれは万事休すということになるわけです。財政運営が不可能というふうになってこないかどうか伺いたいのです。
○政府委員(水野勝君) 現在の制度で申し上げますと、出納整理期間後と申しますか、税収は五月まで入ってまいるわけでございます。その場合に、仮に欠損と申しますか、税収で予算面に達しないという場合におきましても、歳出歳入全体の中で、不用あり、不用と申しますか、それから雑収入等の予想以上の収入あり、そういったものでまず対処をする。それで歳出歳入全体を通じましてこれがなお不足するという場合には、決算調整資金の制度があるわけでございますし、またその決算調整資金が足りない場合には国債整備基金特別会計から決算調整資金に繰り入れ、それを一般会計での不足分に充てるというようなことで、一応年度決算は形式的にはそういうような対策で措置をされているところでございます。
 これは制度一般論でございまして、六十年度税収につきましては、御承知のように補正予算で四千五十億円の減額補正をさしていただいているところでございます。現在までの上がっている数字での一月末税収でございますと、現在、その補正後予算での見込み額に対しまして六六・四%入っておる。これは前年のペースの六六・一%よりは若干上回っているのが現在の姿でございます。
 しかし、今後残されている問題は、三月決算法人、これが一番大きなウエートでございまして、これがほとんど五月三十一日一日で入ってくるというところでございますので、その様子を注視してまいる必要があるわけでございます。私どもといたしましては、もろもろの課税実績、改定された経済見通しにおきますもろもろの指標、あるいは企業に対するヒアリング等を基礎といたしまして、この法人税を中心に、法人税、当初予算より三千四百億円減額をいたしたわけでございますが、そのような積み上げで補正予算を計上さしていただいておりますので、現時点におきましてては、まずこの計数で確保できるのではないかと一応考えておるわけでございます。
○鈴木一弘君 今の御説明のとおりですけれども、現在、決算調整資金は五十六年度に全額取り崩されて今一つもないはずですよね。これはもう種銭がないわけです。だから埋めようったって赤字ができたときは埋められないですね。そうすると国債整理基金の余裕資金、これは九千九百億円、しかしこれも使えるかどうかわからぬでしょう。使えないというふうに見なければならないのじゃないかと思うんです。それはつじつまは合いますよ。しかし現実としては無理じゃないか。
 今言われたように、この前の補正で、法人税は六〇%の税収の落ち込みがあるだろうということで減額補正していますよね。しかし三月期決算が固まらないとこれはだめですね。わからない。それが固まったときはもう完全な出納整理期間です。しかも三月期の決算法人が一部上場で約六割、二部上場で五割を超えている。そして年間の法人税の約三割がここでもって入ってくるわけですから、この三月期決算で入ってくるから、そういう点では大変な状況にあるんじゃないか。だからこのままでいくと大変だ。現在の財政法では赤字決算はできないということになっている。それが決算調整資金を設けたときの政府の説明ですよ。
 六十年度赤字決算に追い込まれないという自信は大蔵大臣にはございますか。
○国務大臣(竹下登君) 先般通していただきました補正予算でもってこの四千五十億円の手当てをさしていただいた。確かにおっしゃいますように、私も一月末税収までは、まあまあ、こういう感じがございます。本当に法人税のまさに大宗を占めると言った方がいいかもしれませんこの三月期決算の法人税に負うところや偉大であるというふうに思っておりますが、現在、ああしてヒアリングをやって積み上げたものでございますから、これに大きな狂いがくるという状態にはなかろうというふうに考えております。
○鈴木一弘君 大蔵大臣は何か経済の占い師みたいな言い方を今されたんですけれども、この決算調整資金制度は昭和五十年代の前半にできたわけですね。これは万が一不足した事態に対応するためということでこの制度が創設されてきたわけです。国会がこの制度について賛成をしてできたわけですけれども、しかし本年度も、また来年度もこの予算はゼロですよ。これは国会に制度をつくらしておきながら、あとは使わないというのは、これはどういうことなんですか。どういう理由でしょうか。
○政府委員(小粥正巳君) 決算調整資金制度のお尋ねでございます。
 これは、ただいま御指摘のように赤字決算はも
ちろん認められておりません。したがいまして、万一の不足の生ずるおそれがある場合に、この決算調整資金制度によりましてこれを調整するという制度でございますが、御指摘のように、制度ができまして後、昭和五十六年度におきます歳入不足の補てんのために、当時積んでおりました決算調整資金を使いまして、その後は残念ながら補てんができておりません。
 この点は、端的に申しまして、現在御案内のように特例公債を可能な限り発行を縮減をしていく、これが現在の厳しい予算編成事情の第一の要件でもございますので、特例公債を可能な限り減らしてまいります。そのような状況のもとでは、率直に申しまして、残念ながらせっかくのこの決算調整資金制度に資金の繰り入れを行うということができない状況でございます。ただ、これは先ほど制度の説明の御答弁にもございましたように、御案内のように、調整資金そのものに資金がございません場合には、いわば第二線の準備といたしまして国債整理基金から所要の資金を繰り入れるという道はあるわけでございます。
 大臣から御答弁もございましたように、当面の問題といたしましては、私ども何とか不足が生ずるような事態はないものと期待をしておりますし、また中長期的には、御指摘のようにこのせっかくの決算調整資金制度が生きるような財政運営が行われてしかるベきと、このように考えております。
○鈴木一弘君 黒字決算にいくだろうというような言い方ですけれども、やりくりでそうなるということですか。正直に言えば、赤字のときは赤字決算にしてしまった方がよろしいんじゃないですか。大蔵大臣いかがですか。
○政府委員(小粥正巳君) お尋ねでございますけれども、現在の財政法のもとでは、もう先生よく御案内のように、いわゆる赤字決算という決算の処理は認められておりません。問題提起ということで承らせていただきます。
○鈴木一弘君 そういう点では本当に何か綱渡りしている感じがしてならないんですよ。本来ならば、国債整理基金だってちゃんと国債のためにあるわけですから、そういうものにまで手をつけていくということは全般に後送りということで処理をせざるを得ないということになるわけですからね。
 その後送りということになりますと、総理大臣が先日私どもの竹入委員長との会談で、六十一年度については相当の歳入欠陥が生じるおそれがあるような発言をしている。大蔵大臣も衆議院の大蔵委員会で、円高と原油の値下がりで税収の落ち込みもあり得るという発言をされた。そうなると、こうやって租税特別措置をいろいろやりましても、六十一年度についての歳入欠陥のおそれというものは出てくるんじゃないかと思いますが、大臣どうごらんになっていますか。
○国務大臣(竹下登君) これは、今六十一年度予算を審議してもらっておって、その歳入の見積もりが狂うかもしらぬというようなことは、これは大蔵大臣が答えるわけにはまいらないという問題でございますが、確かに、いわゆる石油税の場合は従価税でございますから、値段が下がればそれだけ下がるというような非常に一つのわかりやすい例示で申し上げたわけでございますけれども、企業収益の今後の動向を期待をしておるというお答えが限界ではなかろうか。いわゆる石油の値下がりにつきましても、それは企業収益には逆にプラスすることになるわけでございますから、そういう点で期待をしておるというのがあるいはお答えの限界かもしれません。
 今、見積もりが違いそうでございましてと言えば、予算書そのものを書き直してこい、こういう議論になりますので、それは限界としての答弁は、可能な限り下から積み上げたものでありまして、それは現状においては最も適切な見積もりでありますとお答えするのが限界であろうと思います。
○鈴木一弘君 最もという言葉だけはお抜きになられた方がいいんじゃないかと思います、最も適切とおっしゃったんですけれども。
 名目成長率が今度大幅に下がるということが予想されているんですが、そうすると税収も落ち込んでいく。例えば法人税が税収の三割になっておりますけれども、この法人税収について、当初のレートは一ドル二百九円のときで考えていると思います。今円相場がきょうも百七十何円だったそうですけれども、百八十円というふうに仮になったとしますね。その前後でずっと推移したということになると一〇%以上の円高による影響が出てくる。これは法人税収の減収に、仮定計算で結構ですけれども、どのくらい出てくるんでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、円高になる、それは一方におきましてまた原材料コストの低下になる、それが企業収益にどう影響してくるかということもございます。もちろん円高によります輸出産業等につきましての変化もあるわけでございます。両方の動きがございますのでそこらを総合勘案をする必要があるわけでございます。したがいまして、幾らの円高で法人税収がどの程度変化するかといった面につきましては、簡単には計数化してお示しするというようなことは難しいと考えております。
○鈴木一弘君 したがって私は仮定でどのぐらいでございますかと聞いているわけです。
○政府委員(水野勝君) 先ほども御答弁ございました石油税などにつきましては、まさにこれは引き取り価格の四・七%でございます。ですからこれは円高によりまして直ちにそこに響いてくる。しかし、こうした石油税でございましても、じゃそのように円高になりあるいは石油のコストが下がった場合に数量がどう変化するかということもございますので、石油税のようなものにつきましてもなかなか簡単に大胆な試算をするということも難しいわけでございますので、さらにそれが幾重にも影響してまいります法人税になりますと、これはもう大変難しいということでございます。
○鈴木一弘君 それだけじゃなくて、所得税それから今言われた石油税ですね、それから関税ですね、こういうものの税収の落ち込みが言われているわけです。専門家の中では一兆円から二兆円の歳入欠陥のおそれありということを言われている。大蔵省内部の意見もあるという話を聞いているんですが、だからそこまでの声が聞こえてくるというからには御計算なさっているんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(水野勝君) 六十一年度予算におきますところの税収見積もりは、六十年度、先ほど申し上げました補正後予算の見積額、これを基礎といたしまして、さらに、六十一年度におきますところの政府経済見通しにおきますところの諸指標を基礎として個別税画ごとに積み上げでもって計算をいたしておるわけでございます。そうしたもろもろの積み上げと申しますか、計算の根拠といたしましたもろもろの計数等につきまして、今これを基本的に改定をするようなそうした背景となる計数等はまだ別に固まっておるわけではございませんので、今、現時点で見積もり直しを行い、それによってこんな程度の欠陥が出るといったようなそうした作業は現時点ではできる段階にはなく、またそういったものも行ってはいないところでございます。
○鈴木一弘君 欠陥が出るということじゃない、欠陥のおそれはあるかないかということについての検討もしてないというんじゃ、これは大蔵省は国の財政を預かるところですから、
   〔委員長退席、理事矢野俊比古君着席〕
これは本当に心もとないという以外言いようがないわけです。一兆円から二兆円あるだろうという声がもう既にあるということです。
 私は、財政再建の旗はおろさない、こういうことを大蔵大臣も今までずっとおっしゃってきたし、総理も言ってきた。しかし、そういうようなこれからの経済というか、財政、税収の方向を見ますというと、財政再建の手順と方法が今までどおりでは不可能になってきたというふうに思われ
るのですけれども、今までの財政再建の方法ではもう限界に来ているということになりませんか、大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) 我が国の財政を取り巻きます環境は一段と厳しいものがこれはあります。我が国経済社会の活力を維持して国民生活の安定と充実を図っていくためには、やっぱり財政の対応力を回復するという、すなわち財政改革を強力に推進していくということはこれは私は大切なことだと思います。
 今の鈴木さんは、言ってみれば、今までの方法なりではもう不可能じゃないか、こういうことでございます。かつて、いわば第一次目標を昭和五十九年赤字公債依存体質からの脱却ということで進めつつも、五十六年、五十七年の世界同時不況によってその目標は達成できなかったということは、私どももそういう事実があったことは十分承知いたしておるところでございます。しかしながら、歳出面においては、中長期的な視野に立ってさらに制度、施策の根幹にさかのぼったところの改革をして節減合理化を努めていかなきゃならぬ。そして税制面については、これはいろいろ議論をしておりましたが、今まさに税制調査会で精力的に詰めていただいてこの秋答申がいただけるだろうということは、去年の状態よりも私は一歩進んだ姿になっておるであろうというふうに考えるわけであります。そうしてその答申等を見た上で、これを最大限に尊重しながら、やっぱり毎年毎年の予算編成で厳しく対応していってその目的を達成していかなきゃならぬ。
 大変日暮れて道なお遠しの感なきにしもあらずでございますが、結局は、どういう組み合わせでやっていくかということは国民の選択に帰することでございますものの、財政当局としては、単年度主義である予算を毎年毎年その編成の中で節減合理化に努力していくという姿勢を継続していくべきものであろうというふうに考えております。
○鈴木一弘君 最後に、私の最後でございますが、一つは、大蔵大臣にぜひとも、先ほどの印紙税のような問題、こういう問題はこれから先本当にやっていきませんと、いろいろ経済運営にアンバランスが起きたりおかしなシフトが起きたりしますので、この点は、これは各省各省ということになりますからぶつかり合うことでありますけれども、よく考えて対処していただきたいと思うんです。
 それから、これはお願いと同時に決意のほどを伺いたいんですが、いま一つは、先ほども御質問がありましたが、国税職員の定員増加とかそういった問題について、大分私どもも今までこの委員会で何回も附帯決議をしてきております。確かにふえてきたこともよくわかります。しかし、これからもし先ほどのようなマル優の低率分離というようなことが起きるとまた業務は拡大せざるを得ないということになります。そういう点から考えますと、やはり国税職員についてはまたさらに一層の配慮をしていかなきゃいけないと思うんですが、そういう点について伺って、終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃいました、まず第一に印紙税の問題でございますが、去年の暮れにちょうだいしました答申におきましても、
   〔理事矢野俊比古君退席、委員長着席〕
「印紙税については、最近における経済取引の進展等に伴い、課税範囲や適用税率のあり方につき見直すべきであるとの意見等が表明されている。これらの問題については、既存の税制の枠内で個々に解決を図ることが難しい面もあり、今後、税制の抜本的見直しの中で掘り下げた検討を進めていくことが適当である。」こういう御指摘も正確にいただいておりますので、まさにきょう鈴木さんの御議論なさいましたような問題をも含め広範な立場から税制調査会でしっぽりと審議していただける課題であろうというふうに期待をいたしております。
 それから税務職員の問題につきましては、六十四名というのが今度この予算でお願いしておるわけでございますけれども、なお一層ただいまのような意見を背景にして私どもも努めていかなければならない至上命題の一つであると考えております。
○多田省吾君 私は、初めに住宅・土地税制について若干お伺いしたいと思います。
 今回、内需の拡大に資するための措置の一つといたしまして、住宅対策三百七十億円でございますが、この程度で果たしてどれほどの内需拡大がなされるのか甚だ疑問でございます。民間のデベロッパー等は、やらないよりはましであるが、効果についてはほとんどみんな疑問視しているわけです。
 私どもは予算共同修正要求の中で、住宅減税は二千億円程度はぜひとも実施すべきだ、また税額控除の額を住宅ローン等の残高の二%相当額に引き上げるとともに、適用期間の延長や適用対象の拡大等を図ることも要求してきたのでございますけれども、これが取り入れられませんでした。諸外国からウサギ小屋と言われるこの住宅の現状を本格的に改めるべきだと考えます。また、内需拡大のためには住宅減税が相当必要だということも事実だろうと思いますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる住宅減税につきましては、それこそ四百七十万の所得の方の税額に匹敵するものを控除するということに相なっておりますので、現在の財政事情からすればこれはぎりぎりの措置であろうというふうに考えております。
 確かに住宅減税問題につきましては、多々ますます弁ずるという意見があることも承知いたしておりますが、考えようによりますと、四百七十万円の方が二千万円借力でいらっしゃれば一銭も所得税がかからないということになりますから、相当な規模であるという見方も私はできるのではなかろうかというふうに今考えるわけであります。
 ただ、この問題につきましては、三月四日の与野党書記長・幹事長会談の政策減税というようなことで、今国会中に実務者間で結論を得ると、こう書かれて、この申し合わせのことも十分承知いたしておりますので、その推移をも見守っていかなければならない課題だというふうに考えております。
○多田省吾君 私も昭和六十年度及び昭和六十一年度の税収の見通しについて大変心配しているわけでございますが、今鈴木議員からも詳しく質問のあったところでございます。
 私は一点だけお尋ねしたいのですが、最近の大蔵当局が使用している租税の弾性値は一・一ということでございますが、最近のように税収の伸びが落ち込んでいる現状においては、この一・一という弾性値が妥当なのかどうか甚だ疑問でございます。五十九年度は一・一ちょうどでありましたが、それ以前十年間さかのぼってみましても、わずかに四回しか一・一を超えていない。かつてほどの経済成長が見込めない現状においては、弾性値というものをもう少し低目に見た方が堅実な税収動向をつかめるのではないかと思いますが、いかがですか。
○政府委員(水野勝君) 弾性値は、結果として出されました税収見積額と政府経済見通しにおきますところの、あるいは実績としての経済成長率、名目成長率との割合でございます。したがいまして、各年度各年度におきまして弾性値でもって税収をはじいているということはないわけでございます。ただ、財政の中期展望、その他中長期的なものとしての税収見積もりを行います際には、ほかの適当な手段もございませんので、過去の弾性値の平均値を用いたりすることはあるわけでございますが、翌年度なり当年度の見積もりとしてはあくまで積み上げが原則でございます。
 この点を考えまして、昭和六十一年度の税収見積もり、結果として積み上げで出しましたものを経済見通しにおきますところの成長率から逆算いたしまして考えますと、弾性値は一・○八ということで、一・一は下回っておるわけでございます。今御指摘のように、弾性値一・一を上回ったり下回ったり、五十年代いろいろなばらつきがご
ざいますので、一・〇八だからどうということは申し上げられるわけではないのでございますが、計数としてはそんなふうになっておるわけでございます。
○多田省吾君 次に、たばこ消費税の引き上げ措置について若干お伺いしたいのでございます。
 六十一年度税制大綱ができ上がった段階で突如として、臨時措置とはいえ飛び出してきました。昨日も木下税調会長代理がその間の事情を説明しておられまして、異例、やむを得ないというお話もございましたけれども、相当皆さんも戸惑ったわけでございます。初年度二千四百億円の増税、国が千二百億、地方が千二百億ということでございますが、当初の政府税制調査会の答申のどこにも見当たらないものを政府が独自の判断で実行に移す、何とも納得しがたい。この辺大臣はどのように説明されようとしているのか。また、大臣が幾ら遺憾だと言っても納得が得られないわけでございます。日ごろ、国民のコンセンサスを得ながら税調の御審議をいただき、というようなことをいつもおっしゃっておりますけれども、このたびはそういう姿勢と全く反対の姿勢でございます。
 今回の税制改正では、後で御質問いたしますが、欠損金の繰越控除特例による二千二百三十億円の増収と並ぶ最大の増税の目玉とも言うべきものでございます。専売公社から日本たばこ産業への民営化の際も、当事者能力、すなわち活力の向上がうたわれていたわけでございますが、今回の措置によって当事者能力というものをそぐ形になります。民営化で華々しく打ち出した趣旨を一年も経ないで放棄されようとしている事実はまことに遺憾です。これをどのように説明されるのか、大臣の率直なお考えを聞きたい。
○国務大臣(竹下登君) まず最初の手続上の問題でございます。
 確かに二十日の夜決断をいたしまして、二十一日に税制調査会でいわば追認をしていただいた、こういうことは私も遺憾であったというふうに思っております。そして各方面に対しても、これが御了解いただけるかいただけないかは別といたしまして、事後にこれらの点について御連絡を申し上げる、こういうことになったわけでありますが、いわば地方財政対策として最終的にそれだけの赤字公債を増発するのか、あるいは何らかの増収措置をとるのかというぎりぎりの措置でありましたので、この点につきましては機会を得るたびに私なりの心境を率直に申し上げておるわけであります。
 さて次の問題は、多田さんの御質問にもございました五十九年八月二日でございます。私の答えにも、「専売公社を当事者能力が付与された株式会社形態に改組して、輸入品との自由な競争に耐え得るような形営形態とする」というお答えをいたしておりますが、今回の問題は、いわゆる外国たばこと日本の国産たばこというものは、これは消費税率の引き上げ措置そのものは同じでございますけれども、少しでも競争力が落ちるような措置をしてはならぬという趣旨については確かにおっしゃることは痛いほど私にもわかるところでございます。今後会社経営の一層の御努力の中にこれらを克服していただけることを心から期待をしておるというのが率直な私の心境であります。
○多田省吾君 アメリカの巨大企業フィリップ・モリス社等が日本において今莫大な宣伝力をもとにシェアの拡大を目指しております。この価格競争とシェアの動向についてどのように考えておられるか。一説には、日本のたばこ値上げによって百億本程度売り上げ減少があるんではないかと危惧もされているわけでございますが、この辺いかがでございますか。
○政府委員(松原幹夫君) お答え申し上げます。
 今回のたばこ消費税の引き上げは、先ほど大臣からもお話がございましたように、内外の製品に対しまして無差別に、公平に適用されるものでございまして、今回の措置によりまして直ちにそれが内外の製品についての競争条件に変化をもたらすというものではなかろうかと思っております。ただ、近年喫煙と健康の問題に対する国民の関心の高まり等もございまして、我が国のたばこの消費需要が全体として伸び悩んできております。そういったような中で外国たばこの伸びは対前年度比で約一五%程度ということで着実な伸びを示しております。こういったようなことは事実でございまして、このような傾向がこのたばこの消費税の値上げが行われましてでも恐らくは続いていくのではなかろうかと思っております。
 そして、このたばこ消費税の引き上げが行われましてでも、外国のたばこの中には価格を据え置いて日本の国産たばことの価格競争力を高めようという動きがあるということは私ども承知しております。しかし、そういった場合におきましても、たばこというものは嗜好品でございますので、価格差が若干縮まったからといって、現在の我が国の一般の人たちの国産たばこに対する愛着の強さから見まして、そう急激にシェアが変化するというようなことはないのではなかろうかと思っております。
 それから、日本たばこ産業株式会社におきましては、このようなたばこ消費税の値上げがございまして価格を上げざるを得ないという事態になりました場合には、およそ百億本程度の売り上げの減少が起こるのではないかといった予想を立てて試算をしておるということも承知しております。しかし、日本たばこ産業株式会社は従来から経営の効率化、合理化に努めておりますし、また制度改革後は経営の多角化に大いに配慮してきている、こういうことでございますので、そういった経営の効率化、多角化の中でこのたばこ消費税の値上げの影響を吸収していっていただけるものと我々は期待しております。
○多田省吾君 次に、東京湾の横断道路問題についてお尋ねいたします。
 今回、民間活力導入策の一つといたしまして、東京湾横断道路の建設につきまして、特定会社に出資する法人の所得金額の計算上、出資額の一〇%相当額を控除する措置をとるとのことでございます。建設に当たりましては種々議論はありますが、この特定会社の構成及び機能はどのようになるのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(小粥正巳君) お尋ねの東京湾横断道路の建設を行う会社でございますが、これは、現在御審議をいただいております東京湾横断道路の建設に関する特別措置法案これが成立いたしました後に、商法に基づきまして設立される株式会社がこの東京湾横断道路の建設を担当することとなっております。この会社につきましては総額六百億円の出資金を予定いたしておりまして、これは約三分の一を民間から、そしてその他それぞれ三分の一ずつを地方自治体及び道路公団からの出資を予定しておりますが、民間からどのような構成で出資が行われるかにつきましては、これは現在のところはまだ未定でございます。
 いずれにいたしましても、このようにして設立されました株式会社が、この東京湾横断道路の建設を担当いたしまして、建設をいたしました後は道路公団にその建設をされました道路が引き渡されまして、公団はいわば道路の所有者となるわけでございます。したがいまして、公団が所有し、建設を行った会社が管理運営をする、そのような形でこの横断道路の建設、運営が行われる予定でございます。
○多田省吾君 この道路建設につきましては、千葉県にとりましては二十年以上にわたる県政の悲願でございますから私もよく承知しておりますが、一方、神奈川県等においてはいろいろ問題もあろうかと思います。また、この横断道路の波及効果も大きいことも承知しておりますけれども、心配なのは、大気汚染とか水質汚濁とか自然破壊、あるいは接続道路周辺の交通公害等、環境アセスメントというものが非常に重要になってまいりますが、環境庁としてどのような対策を講じようとなされているのか、お伺いしておきたい。
○説明員(瀬田信哉君) 本件、先生御指摘のように大きな事業でございまして、本計画についてのアセスメントは、昭和五十九年八月に閣議決定をいたしました「環境影響評価実施要綱」というの
がございますが、これに基づきまして事業者によりアセスメントが実施されることになっております。環境庁といたしましても、この実施要綱に沿いまして、環境庁長官に意見を求められた際に、公害の防止、自然環境の保全の観点から適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○多田省吾君 この事業は総額で一兆一千五百億円ということでございますけれども、資金調達の見込みも非常に大変かと思います。あるいは環境等の問題、また民活等の度合い、こういった問題を考えまして、大蔵大臣としてはどのようなお考えで建設をなされようとしているのか、ひとつ総合してお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この問題、要するに一番のポイントは、六%の金が調達できるかどうかという問題が議論の基礎に存在しておったわけであります。その意味において六百億の出資金、これが一つございます。それから、政府保証事業債、それと民間借入金、それから道路開発資金というのがございます。これはたしか無利子融資でございます。そういうようなものを組み合わせて六%程度の資金調達をしよう。これは私は可能であろうというふうに考えております。
 六十年十二月の長期プライムレート七・五%の際の金利を用いたことを前提にして数字をはじいてみますと、出資金が六百億で、それから借入金が一兆九百億、政府保証債が三千八百、開銀借り入れ、民間借り入れが二千二百、道路開発資金、ただいま申しました無利子資金が二千五百、公団二千四百等々から申してみますとおおむね可能であろう。ただ、長期プライムレート、先ほど申しました時点の数字であることをつけ加えさせていただきます。
○多田省吾君 法人の欠損金の繰越控除の一時停止についてお伺いしたいのでございますが、我が党の桑名議員も本会議で政府の見解をただしましたように、この制度は、法人企業のゴーイングコンサーン、営業中の事業、会社としての存在を是認して、その継続性を維持強化するためのものだと言われております。この停止措置は理論的根拠が見当たらないと考えておりますが、なぜこの六十事業年度に生じた欠損金についてその控除を認めないとするのか。どう考えても一時しのぎの増税というか、税収確保策としか言いようがない、このように思います。
 大臣も御承知のとおり、中小企業が今日本の経済を支えているわけでございますけれども、急激な円高不況で厳しい経営環境にありまして、むしろ救済策を至急に講ずべき段階にあるのに、こういった措置をなぜとったのか、大臣からひとつ率直にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) この制度は、たびたびお答えいたしておりますように、青色申告書を提出した事業年度において生じた欠損金の繰越控除制度において、直近一年間に生じた欠損金に限って適用を停止するというものでございます。だから当該年度においては黒字である法人について適用されるものでございます。そうして二年前、三年前、四年前及び五年前に生じた欠損金というものは当年度において繰越控除できるということになっておりますので、今回の措置も、来年翌朝以降は四年間繰越控除の機会が残っておるという意味において、いわば根幹には触れなかったというふうに考えております。まさに財政上の措置として、一年前借りというとちょっと表現は適切でありませんが、それをお願いしようということでございます。
 そこで一方、円高対策による特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、この分につきましては、いわば従来もうストップされております欠損金の繰り戻し制度、これをいわゆる還付措置を講ずるということでこれらには対応をしておるわけでございますので、心理的、企業マインドの問題は別として、この二つの措置はそれぞれ立場を異にした措置であるというふうに御理解をいただきたいと考えております。
○多田省吾君 次に、移転価格税制の導入について少々伺っておきたいのでございますが、この制度の導入につきましては私どももしばしば指摘してきたものでございます。企業の多国籍化、国際化が進む中で、海外の特殊関係企業との取引価格を操作することによりまして所得の海外移転、すなわち税逃れを防ぐものでございまして、もっと早く導入すべきものであった、このように考えます。
 この制度導入に当たって国税庁職員の配置はどうなるのか、また諸外国の制度と徴税体制はどうなっているのか。米、英、独、仏等代表的なものだけで結構ですが、お伺いしたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 移転価格税制の執行に伴い発生する事務の量と質に即応しまして、職員の配置や機構の整備等適切な措置を講じていくつもりでございます。
 すなわち、本制度は、六十一年四月以降開始する事業年度から適用されるものであるため、それにかかる確定申告書のほとんどは六十二年五月以降に提出されると思われます。したがいまして、六十一年度においては納税者に対する当該税制の周知、納税者からの相談等に対する対応及び適用企業の実情把握などが中心となります。さらに、六十二年度以降は、三年一巡をめどとする実態調査や、必要とされた場合における独立企業間価格の算定事務等、当制度に関する本格的な調査事務が必要となります。私どもといたしましては、これらの事務の実態に即応した職員の配置、機構の整備等について関係各方面の御理解を得ながら努力してまいりたい、かように考えております。
 もう一点の、諸外国におきます移転価格課税の徴税体制はどうか、こういう問題についてでございますが、取り寄せた資料や出張者による調査で把握した範囲でございますので、全貌を申し上げるに至らないといる点については御理解をいただきたいと思いますが、各国とも移転価格課税を含む国際取引に係る調査体制を充実する方向である、こういうふうに聞いております。
 移転価格課税に即して申し上げますと、米国では、一般調査の中から価格設定に問題のあるものを拾い上げて、これを対象に、署に配置してあります約四百人の国際調査官が、所得を恣意的に配分するための移転価格かどうかについて調査を行っている。この際、事案に応じましては、本庁等に置かれております約三十人のエコノミストが調査に参加するという体制をとっているようでございます。
 イギリスにおきましては、内国歳入庁に移転価格等国際関係を担当する調査二課Bというものを置きまして、一部大規模事案の調査を行うとともに、この課の直接の指揮のもとに局署において調査を行っている、かように聞いております。
 フランスにおきましては、国税総局に置かれております特別調査事務所において、大企業の国際取引に関する調査の一環として主として調査を行っているというふうに聞いております。
 また西ドイツにおきましては、国税局に相当する上級財務局においてこの調査等を担当しておりますが、国際的な問題等を統一的に処理する観点から、これら調査事案の中で大規模なものにつきましては、連邦財務庁第二局に置かれている連邦企業調査課のスタッフが調査に参加している、かように聞いております。
 以上でございます。
○多田省吾君 次に、前回も大臣にお聞きしたのでございますが、今税調では、専門小委員会から第二特別部会に所得税制の問題で、給与所得控除につきましては実額控除を選択制にしたらどうかという有力な意見も出ているわけでございます。実額控除につきましては我々も賛成でございますが、また国税庁職員の大幅な増員も図らなければならない問題もあると思うんです。
 我々は、附帯決議等でいつもこの国税庁職員の要員の増員あるいは処遇の改善等強く要求してきたのでございますが、なかなか要求どおりにはまいらないのでございます。先ほどから六十四人増員というふうなお話もありますけれども、今まではほとんど一けた増員にすぎなかったわけでございます。こういったこれからの種々の諸問題にか
んがみまして、職員増員ということは早急に図らなければならない重要問題だと思いますが、もう一度大臣の御所見をお聞かせいただきたい。
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃったような経過で、まだ決まったわけでなくて、これから深い議論がなされるわけでございますが、小委員会の報告があっておることは事実でございます。したがって、まだ仮定の事実の状態でございますものの、いずれにせよ、今後の審議によって決まることでございますが、当然のこととして、我々といたしましては必要な執行体制について十分配意をしていかなければならない課題であるという問題意識は十分に持っておるところであります。
 今後とも、税務の執行体制の問題につきましては、国会等の御意見を背景に一生懸命努力したいというふうに考えております。
○多田省吾君 最後に、フィリピン問題について一つだけお伺いしておきたいと思います。
 今日までの援助額の総額、それから今後の対策について大蔵大臣の御見解を伺っておきたい。これから調査特別委員会が衆参に設けられて、真剣、活発な議論が行われていくと思いますけれども、今回は時間もありませんので、大臣の根本的な御見解だけをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず数字につきまして国金局長からお答えをした後、私からお答えさせていただきます。
○政府委員(行天豊雄君) 現在までのフィリピンに対します我が国の援助でございますが、具体的に申しますと、円借款が四千六百六十七億円、無償の資金協力五百四十七億円、それから技術協力三百八十一億円、全部合計いたしまして五千五百九十五億円となってございます。また、このほか戦時賠償といたしまして千九百二億円の支払いが行われております。
○国務大臣(竹下登君) 米国議会が公表したマルコス前大統領関連の文書で、リベートの支払い等が行われているとされている問題、こういう問題につきましては、政府部内で総理からもお答えがあっておりますが、その真相究明のためできる限りの努力を行いたい。そして、私の大蔵大臣の立場といたしましては、それに対して最大限の協力をしなければならないというふうに考えております。
 特別委員会設置は、私もそういうことは伺っておりますが、それの調査に対しては政府側としては最大限の協力を申し上げなければならない課題であるというふうに考えております。
○委員長(山本富雄君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(山本富雄君) 速記を起こしてください。
○竹田四郎君 総理にまず、きのう通産省の幹部に対して警察の手入れが行われて逮捕されたという事件がありました。
 この撚糸工連の問題は既に予算委員会でもいろいろ問題になっていたわけでありますけれども、現実に逮捕という事件になったわけであります。新聞報道でありますからわかりませんけれども、さらにこれは局長クラスのところにも行くであろう、あるいは場合によれば政治家のところにも及ぶんではないだろうか、こういうふうに言われておりますが、今日時点において総理の所感を伺いたいし、またこの設備廃棄事業というものそのものにやっぱりこういう温床をつくっておいたのではないかということもあるんじゃないかと思います。こうした事業に対して、これだけではこれからないと思いますし、いろいろな問題で過剰設備を廃棄をするというようなことが起きるだろうと思いますけれども、そういう点に関して総理はどんなふうに対処しようとしているのか、これをまず簡単にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 撚糸工連の事件が現役の公務員に波及いたしまして、それが刑事事件に発展いたしまして、まことに申しわけない次第でございます。
 政府といたしましては、このような事態につきましては、検察当局の手に移ったことでございますから、その成り行きを見守るということでございますけれども、こういうような不祥事件を再び起こさないように原因の究明等にも努めまして万全の措置を講じてまいりたいと思っております。
 産業設備の廃棄、特に撚糸工連の場合は繊維関係の過剰施設の廃棄ということで起きておる問題でございますが、これは日本の繊維関係の設備が過剰設備がございまして、そのために非常に苦しい立場に関係業者がなりまして、そういう意味で、中小企業の苦難を救うという意味もありまして、過剰設備を処理してそして適当な生産環境を維持するという目的でやったのでありまして、この政策自体は私は間違っているとは思わない。やらなければ中小企業の経営及び従業員の苦難というものを放置するということになりかねないと思うのでございます。
 ただ、それの実際のやり方自体が命検察に問われるような事態を引き起こしまして、やり方自体にずさんなこともあったのではないか、あるいは関係の公務員の綱紀に関する自覚が甚だしく欠如していたのではないか。そういう意味におきまして、やり方及び公務員の綱紀の問題について政府といたしましても大いに反省いたしまして、改善に努めたいと思う次第でございます。
○竹田四郎君 大いにその点は綱紀の粛正と、それから事業が本来の目的をどう公正に遂げていけるかということについては十分御研さんをいただきたい、こう思います。
 次は、税制改革の問題に入りたいと思いますが、総理は抜本的な税制改革をおやりになろう、こういうことでありますけれども、抜本的な税制改革の理念というのは一体どういうものなのか、御説明をいただきたいと思うわけであります。
 今まさにアメリカではレーガンの税制改革が論議をされ、それがやがて実現を見ようとしているわけでありますが、恐らく、日本の税制、シャウプ税制が戦後四十年に近い間行われてきたわけでありますが、これからいつまでになるかわかりませんけれども、あるいは中曽根税制というようなものが相当長期間にわたっていくのではないか、このぐらい大きな税制改革だろうと私は期待をしているわけでありますけれども、その理念というものは一体どういうことなのか。やはりかなり大きな理念、税制改革への哲学、そうしたものが当然必要になってくるだろうと思いますけれども、お示しをいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 三十五年前にアメリカのシャウプ博士の来日を得まして、日本の税制の大改革が行われました。自来三十五年経過いたしまして、社会経済関係も非常に大きく変化をしたわけでございます。また、その間における税の体系もいろいろ小刻みの改正あるいは変化がございまして、言いかえれば、母屋に附属建物がいろいろ建てられたりいたしまして非常に複雑化しております上に、非常によじれやあるいは不整合な面も出てきてはしないかと心配される状態になりました。特に、そういう面から重税感あるいは不公平感というものがございます。
 そこで、シャウプ税制がねらいました点は、やはり公平感というものを充足するということが第一で、それに、非常に包括的な総合的な税制としてこれを考えるという意味で、割合周到な配慮をした、バランスのとれた税制というものを目指したと思うんです。その中心は直接税中心主義でございまして、これはアメリカの伝統を負ったもので、所得税、法人税を中心にした税体系であったと思うのでございます。それを補う一部として富裕税というようなものもシャウプ博士は考えたようであります。その後富裕税についてはそれは日本になじまないということで採用されませんことになりましたけれども、直接税中心主義の体系というものはずっと維持されてきたわけでございます。
 しかし、その後の変動及び日本の社会経済情勢の変化というものを見ますと、膨大なサラリーマン群というものも発生しております。それから農業関係も非常に大きな変動を遂げつつございます。それに、一次産業から第三次産業の方へ人口
も移動しているし、また産業の重点も徐々に変動しつつあります。それからさらに、今日はハイテク等を中心にした新しい高度の産業関係が大きく伸びようとしております。そういうような諸般の構造変化というものに対応して、そしてやはり包括的な総合的なバランスのとれたものであって、公平感に訴えられる充足したものでなければならぬ、そう思います。
 そういう考えから、私は、公平、公正、簡素、選択、それから民間活力に資する、そういう諸原則を掲げまして、それに合うような税制改正を諮問しておるわけでございます。やはり公平感とそれから総合的バランスというものを考えていただきたい。しかし、これは財政収入増加を目標としてやるものではありませんとはっきり申し上げておるところでございます。結論的に見れば、レベニュー・ニュートラルと申しますか、中立性を持ったものが結論的なものである、こういうふうに考えておる次第でございます。
○竹田四郎君 レーガン税制の大きなまくら言葉というのは、公正、簡素、成長ということでありましょうし、それからシャウプさんがおっしゃっているのは、公正、簡素、中立ということでありますが、今も総理がおっしゃっている中に選択という概念があるわけでありますけれども、これはかってこの委員会でも選択は何ぞやという質問がありまして、竹下大蔵大臣がお答えになったんですが、どうも余りよくわからなかったわけであります。
 きのうは税調の木下会長代理さんがここで、選択はどういうふうに受け取っているんだと言えば、税調は幾つかの案を出してそれを国民に選択してもらうことなんだ、こういうふうにおっしゃっているわけであります。しかし一部には、加藤寛さんというのは臨調の中で、あなたのブレーンの一人になられた方だと思いますが、その方が最近出された本の中に、選択というのは、国民がその税を払うのか払わないのかはその人の選択によるんだ、消費税というものは、物を買えば消費税を払わなくちゃならぬ、買わなければ払わなくてもいいんだ、だから選択は消費税のことを言っているんだ、こういうふうにあなたの非常に近しい人の加藤寛さんは言っているわけでありますけれども、どうもその辺がよくわからない。
 この選択というのは、あるいはいろいろな制度があって、この制度を選択する、あるいはこちらの方式を選択するという選択のやり方も税制の中には幾つかあるわけでありますが、そういうことをおっしゃっているのかどうなのか。その辺を少し、理念の一つの中に入っているわけですから。どうも木下さんがおっしゃるのは、税制をつくるまでの一つの、そこへ達するまでの一つの過程を言っているように私はきのうお聞きしたわけでありまして、理念そのもので似ないような気がするんですが、本当には総理はどうお考えになっているのか、その辺が今まで私どもあなたのお話を聞いてきて一番わからないところでありますが、その辺をお話しをいただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私が選択と申し上げておりますのは、基本的にはいわゆる財政民主主義という原則を実行せんとしておるものであります。財政民主主義というものはそれじゃ端的にどういうことになるかと言えは、国民の合意あるいは国民自体がみずから選ぶ、そういう性格を強く持ったものにしたい。これには、前にも申し上げたことがございますが、おっしゃいますように、採用に至るまでの選択、それから制度としてできてから内部において国民が選択する、両方を私は意味しておるわけであります。
 そこで今回の大税制改革につきましては、今税調でいろいろ案を出していただいておりますが、税調がどういう案を出すか全くまだわかりません。わかりませんが、我々としては少なくとも幾つかの案がございまして、そしてA、B、C、D、Eというようないろんな方法なり体系がある。その中で国民の皆さんはどれをお選びになりますか、若干の時間的余裕を置いて国民の前にさらして、そして国民の皆さんがどれをお選びになるか、あるいはどういうコンビネーションを御選択になるか、そういうことはまず一つ手続として私はやった方がいいと思っております。
 それから第二番目には、今度は税制の内容の中におきましても、国民が自分はこれをやる、源泉課税を選択するのか総合課税を選択するのかというのは今までの税制でもございましたけれども、そういうような意味の選択性というようなものも中に含まれていいのではないか。
 そういう二つの意味を持って私は申し上げておるのです。
○竹田四郎君 そういう財政民主主義、新しい税制のつくり方のアクセスといいますか、そういうものも半分は含まれているんだということはよくわかったわけでありますが、そういうことをなさるには、私はどうもそこでそういうふうにおっしゃられてよくわからない点は、減税案は四月に中間答申を出してもらう、こういうわけでしょう。それから秋にはとにかく総合的なものを出してもらって、六十二年度から実施をなさる、こういうお話なんですね。そうするとどうもその辺が、今おっしゃられたように国民に選択させるという条件に欠けているんじゃないですか。減税があれば、その財源になるものは当然国民の選択に任せるというものであるならば、両方出していかなければ選択できないんじゃないですか。先に減税案を出されれば、ああこれいい、これいい、こうとられる。後でまたそれに対すみ増税案をばんと出されてくるということになりますと、前のことと後のこととなかなかそう結びついて考えることは私はできないだろうと思います。
 それから同時に、これはあなたの任期等の関係もありますわね。これだけのものを国民に選択させるというと相当の私は時間が必要だと思うんですね。やっぱり半年ぐらいじゃいけないと思うんですね。四月に出して半年で十月。中曽根税制をつくるには、やっぱりそれが国会で成立するまではあなたがいなければ中曽根税制にならないと思うんですが、その辺はどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まず私は、国民が一番今欲していることあるいはやめてもらいたいこと、そういうようなことに手をつけるべきだ、そういうことを申し上げて、それで不公平感とか重税感とかあるいはゆがみであるとか、そういうものをどこをさわったらいいか、それをまずやっていただきたい、それを税調に諮問しておるわけです。それで、それが出て陳列されて、国民の皆さんが自分はこれがいい、あるいは私はこっちの方がいい、私はこうすべきである、いろいろ議論が出てくると思うのです。それで相当議論さしていただいて、まあ大体この辺じゃないかというそういう線が、新聞の論説なんかにも、テレビの解説なんかにもいずれ出てくるだろうと思います。そういう時間的経過を考えてその二つに分けたわけです。
 まず第一に、当面すぐ手をつけてもらいたいというのは、重税感とかひずみとか不公平感というものですから、それをまずやっていただいて、それでさらして国民がどれを選ぶかという大体の安定する場所を見たい。それから今度は、それをそれじゃ実現するにどういう財源が必要であるか、そういう問題が次に出てくる。そうして今度、前と役とがコンビネーションになって、最終的にどういう組み合わせがいいんだろうか、そういうものが出てくると思うのです。そういう段取りを考えてやっているわけであります。
 私の任期は十月末であったと思いますが、多分自民党内閣は当分続くだろうと思いますから、だれが総裁・総理になりましても、党主導でやっているものですから御心配はないと思います。
○竹田四郎君 まあせっかくですから、歴史に残る中曽根税制というものをやっぱりあなたはつくられる、そういう発想をしたわけですから、それでその準備をしているんですから、初めやっぱり手をつけたら最終的な税制ができるまであなたはやっぱり責任があると私は思うんですがね。これは私の要望でございます。
 そこで、総理が今までに言われていることは、おおむね所得税の累進構造をもつと緩やかにしよう、ブランケットももっと広くしょう、こういうことをおっしゃつておられるわけで、減税対象を年収四百万から八百万ぐらいのところにしようというようなことを言われておりまして、その辺はよくわかるわけでありますが、総理の頭にはそのほかにはどんな改正というものをお考えになっているんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 重税感、不公平感、それからゆがみ、ひずみ、そういうこととそれからバランス、こういうことを申し上げております。そのほか、やはり民活に資する、そういう点も大事であり、簡素化という点も大事であると思います。どこに一番重税感があるか、それを今税調でも探していただいておりまして、大体の新聞の論説等も見ますと、今おっしゃったようなところが山で、その前後も多少ならしてそしてフラットにしていく、そういうことが一応考えられるんじゃないかと思います。
 それから、刻みをもっと減らしたらどうか。十五段階を五段階ぐらいに減らしたらどうか。レーガン税制のように思い切って減らしたらどうか。フラット化とそれから刻みをもっと少なくする。大体この辺は皆さん御要望なすっていることじゃないだろうか。税の申告ついて税理士さんに一一全部相談せぬでも自分でも申告できる、それぐらいの簡素化ということが私は望ましいと思っておるのであります。
 そういうような点と、それから学者が論じているのは、これは私が特に言っているわけじゃありませんが、学者が論じているのは、直接税と間接税の比率が日本は非常にもうゆがんできている、スタートのときは大体五〇、五〇前後であった、それが今七、三ぐらいになってきている、そういうことを専門家は、学者は指摘なすっております。また世論の中にも、これはアンバランスは直した方がいい、そういう議論もございます。この辺がこの租税論としてどういうことになるのか。アメリカや日本は今まで大体直接税中心主義で来たのを、そういうふうな外国との比較において変えるというようなことは果たしてなじむかどうかという問題がございます。しかし、社会党のように社会福祉税ということをおっしゃる考えもあり、場合によっては特別会計をつくって、そういう税源をもって社会福祉を安定性を持たせるという非常に示唆に富むお考えもございます。
 そういういろいろな案が出てまいりまして、そういうものをいろいろさらしてみんなで議論をして、そしてまず国民の大多数がこの辺だと思うところへおさめるのが政治として穏当なやり方ではないか、そう考えております。
○竹田四郎君 簡素な税制、税理士の指導を受けなくても税が計算できるということは私もそのとおりだと思うんです。そういうことを一番阻害しているし、また不公平感というものを与えている一つのものは、私は租税特別措置だろうと思うんです。これはかなり不公平感を与えているし、また、総理自体が租税特別措置法というものをお読みになったことがあるかどうかしりませんけれども、これは非常に難解な法文であります。そこに余計不公平感なりあるいは税金に対して近づきにくい、自分で計算できないというようなものがあるだろうと思います。
 今度のこの税制改正の中には、あなた自体がシャウプ勧告を御説明になるときに包括的な税というようなことをおっしゃっていたわけでありますが、今度この租税特別措置というのは一体どういうふうになさるつもりなのか。今私ども新しい租税特別措置の改正案を議論しているんですが、こういうものと将来の税制改正の問題とは一体どうつながっていくのか、この辺をお聞きしておきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨調答申におきましても不公平税制の是正ということは指摘されておりますし、公平税制への是正ということを中心にして税の調整を考えるということも認められておりました。つまり、GNPに対する負担の比率というようなものは、新しい税目を起こさないという条件のもとに公平税制等によって調整をするということは認められてきたし、今までもやってきたところでございます。
 その中の何がそれじゃそういうものに当たるかという問題になりますが、いわゆる会社等の内部留保の問題等、あるいは医師課税の問題等、これは今まで割合に指摘されてきたところです。いわゆる優遇税制と言われるものでありました。しかし、いわゆる法人税における引当金制度とかあるいは配当軽課制度とか、あるいは受取配当益金不算入制度というものは租税特別措置とは考えていない。これは大蔵省が今までもそういうことで答弁していると思います。私もそのように思っております。
○竹田四郎君 租税特別措置のお話は聞いたんですが、これは全体的に今度の大改正でどうなさるんですか。例えば、シャウプさんに言わせれば、日本では私がつくったのをいろいろな政策減税、政策税制をつくったからゆがんできてしまったんだということをおっしゃっているわけですね。そういうものの中に租税特別措置もあるし、今のようなおっしゃられた税法そのものの中にあるそうした不公平というようなものも私はあると思うんですが、そういうものを今度はどうするのか。一切そういう租税特別措置というのはやめちゃって新しい税制をつくっていくのか。その辺はどうお考えになるんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういう内容については税調でいろいろ御論議願いたいと思っておりまして、私は、先ほど申し上げた公平、公正、簡素以下の原則を申し上げて、その原則にどうぞできるだけ近い税体系というものをお考えください、そういうふうにお願いしております。私がここで今熱心な御論議をしている最中に口を差し挟むことは差し控えた方がいい、ずっと一貫してそういう態度をとっている次第でございます。
○竹田四郎君 総理、あなたそう言うけれども、先ほどの、所得税についてはフラットにしなさいとか何とかしなさいというのはこれは随分影響ありますよ。恐らく、今の租特や法人税制あるいは所得税の本則の内容についておっしゃる以上に私は細かいことをおっしゃっているんじゃないかと思いますよ。それから考えてみれば、租税特別措置というのは一番ここは税金を逃れているところですし、課税ベースを狭くしているところでありますから、具体的にどうのこうのという議論じゃございませんよ、これは。もっと概括的な議論なわけですよ、税制というものの非常に大枠の話を私は今申し上げているわけで、総理はもっと細かい話を私にしているんですが、どうもその辺は総理ちょっと違うんじゃないですか。
 だからもう少しその辺の、課税ベースを広げるための大きな考え方というのはお示しになってしかるべきじゃないですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、定性的に申しまして、いわゆる不公平税制と言われるものはぜひ改善していただきたいし、我々も大いに大蔵省の内部におきましても勉強させたい、そう申し上げております。その程度で御勘弁願いたいと思います。
○竹田四郎君 ぜひひとつ税制について、私は、レーガンと同じように、総理がある程度、余り細かいところまでおっしゃるのはどうかと思いますけれども、ある程度の構想というのは示されてしかるべきだと思うんですね。教育臨調などでは大変よく示されておるわけでありますから、あの調子でひとつおやりになったらいかがでしょうか。
 そこで、今のように、国民にいろいろ選択をさせる、税法についてもいろいろ選択をさせるというお話でございますから、総理どうですか、これは総理の諮問機関でありますから、もう少し税調の論議を国民にわかるように発表をしていったらどうでしょうか。最近は少しは私は進んできているように思います。時々は特別委員会の議論なんかを私どもに配付してくれますから若干私どもにはわかり始めましたけれども、もう少しこれを国民にも発表をしていく、あるいは税調に出してい
る資料でいろんな資料がおありになるでしょうけれども、積極的にひとつこれは公表して国民の判断にまつというように、もう少し税調を国民によくわかるものになさるおつもりはございませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ある段階が来ましたら、議論のサマリー、内容の梗概等をお示しすることは適当であると思います。ただ、余り細かくやりますと、だれがどう言ったというんでわあっと反対の陳情が来たり手紙が舞い込んだりするものですから、今のような状態でも委員の皆さんのところには随分手紙が来るようであります。別にそんなプレッシャーを受ける方々ではないと思いますけれども、それにしてもやはり公平な、適正な税体系というものを生み出してもらうためにはできるだけ閑静な場所に置いておく必要がある、そういう気もいたしまして、その辺は小倉税調会長さんにおいて適宜ごあんばいしていただいておると考えております。
○竹田四郎君 せっかく十名の、新聞によると暴れ馬と称される方々を特別委員としてお入れになったんですから、この人たちがもう少し今までの税調と違った新しい税調、もっと国民に公開された税調というものにしていく方がやはり国民が選択をしやすい、こういうことになると思いますから、ひとつお考えをいただきたいと思います。
 時間がありませんから次へ進みますが、赤字法人に対する税対策というのが、どうも最近、赤字法人あるいは中小企業法人いじめというのをしているようですね。五十九年には欠損金の繰り戻し還付の中止をやったり、あるいは法人税の、まあ中小企業には幾らか、パーセンテージは少ないにしても、法人税の上乗せをやってみたり、今度も欠損金の繰り越しの停止などというふうに、毎年一つずつぐらいは赤字法人、主として中小企業だと思いますけれども、そういうもののいじめをやっているというふうに私ども思います。
 きょうの竹下大蔵大臣に対する質問でも、どなた様も赤字法人の問題は提起をしているわけです。来年は抜本改正があるわけでありますから、ことしあたりはこういうことはおやめになったらどうだろうか。確かに二千二百三十億というとらの子を欲しいことはわかるわけでありますけれども、抜本改正の中でお考えになったらどうだろうか、こう思いますが、総理はどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ことしはともかく非常に財政窮乏で税収が落ちておりますから、やむを得ず赤字法人課税ということを部分的にお願いしておるわけでございます。部分的にお願いしているという意味は、直前のものに限ってお願いをしているということでございますが、望むらくは、やはり包括的な今度の大税制改革の中で整合性のある考え方で取り上げられるということが望ましいと思って、いずれそれは検討されることと思います。
 ただ、学者や専門家のお話を聞いてみますと、それが大多数であるかどうかしりませんが、赤字法人の中には相当節税でやっているというのもあるというんです。東京都で今都心部の地価が相当高いという一つの中には、相当裕福の法人がああいう高いものを買って、そしてそこへ財産を投入して赤字になる。それでこっちの裕福な黒字を帳消しにして税は免れる、そういうようなものもなきにしもあらずだから注意しなさいよということを私言われたこともありますし、また学者や専門家がそういう議論をなさったことも聞いたことがあります。これが全部だとは申しませんが、中にはそういうものもあり得ると思うのです。そういうものをどういうふうにして防ぐか。それが土地の今のような激しい上昇の原因であるとすれば放置するわけにはいかぬ。しかし、見分けるのが非常に難しいと思うのであります。
 それからもう一つは、赤字法人もやはり法人として存在しておるので、社員もおれば、いろいろ水道も使っている。そういうわけで多少のおつき合いはしてもらったらどうか。地方税はもとより、国税におきましても多少は、存在して周りにもいろいろ迷惑をかけている点もなきにしもあらずであり、また区や国からも恩恵を受けている点もあるのだから、赤字のときでも多少はおつき合い願ったらどうか、そういう議論もあるわけです。恐らく税調におきましてはそういう全部を今研究の対象にいたしまして御検討願っていると思うのでございます。
○竹田四郎君 総理、確かにそういう悪いのもいるでしょう。いないというふうに私も言いませんけれども、悪いのを征伐するのに、大多数の非常に良心的にやってあくせく働いて、しかも円高で景気が悪くて、大企業からは搾られているというようなところがたまたま、銀行からおまえの借金が多いからこの際土地を売りなさいよといって収益外のものを売って黒字になった、それもだめなんだということでは、これは私はちょっと中曽根さんの政治じゃないと思うんですね。だからその辺は、もう少しひとつ考えていただきたい。これは大蔵大臣にもお願いをしておきたいと思うんです。
 時間がありませんから次へ進みたいと思います。
 民活民活ということで、総理は東京湾の横断道路非常に御執心のようでありまして、これについてもいろいろ今度の租税特別措置の中にもあります。そして、きょうもうちの赤桐さんも、新しい会社の経営状態、一体なぜ公団でやらぬかというような御意見もありまして、いろいろな見方があると思うんです。しかし、私はこの東京湾の近くに住んでいる人間の一人でありますし、最近東京湾の湾内の船舶の安全航行という問題については非常に大きな問題が私はあると思うんですね。
 各港はそれぞれの地方自治体がいろんなことをやる。その自治体が岸壁や航路をその判断でやっていく。この中にはもう非常に狭い中に大きな二十万トンの船がどんどん入ってくる。簡単に自動車のブレーキをかけるような形には船は、まあ総理自体船に乗っていたわけでありますから、もう御承知のとおりであります。かじを切るというのはそうすぐかじが切れるわけのものではないと思います。こういう東京湾に横断道路をつくらなくちゃならないにしても、東京湾の安全というのは一体どうなっているのか。
 私は、この東京湾に横断道路をもし総理がどうしてもつくるというならば、事前に三つの条件というものを船舶の航行安全についてお願いをしたいと思うんです。
 一つは、巨大タンカーを入れない。これは、なかなか船はとまりませんし、もし船が壊れて油が出たり、あるいは最近はLNG船の大きなのも入ってきておりますが、これあたりがもし衝突をしてガスが流れて引火をするということになったら私は大変なことだと思うんですね。総理も覚えていらっしゃるだろうと思うんですが、四十九年ですか、第十雄洋丸というのが衝突をして炎上をいたしました。どうしても消すことができないから、相当な危険があったと私は思いますけれども、東京湾から引っ張り出して房総の沖へ持っていって、海上自衛隊が一生懸命砲撃をして沈めたということがあるわけでありまして、ああいうことが今後起こっていかないという保証はないと思うんですね。
 特に、道路のつくり方もいろいろあると思いますけれども、今のように一部橋を出すということになりますと、東京湾の中の錨地というのは、いかりをおろすところは余計狭くなる、そこへ大きな船が入ってくる、こういうことになったらいつぶつかるかわからない。特に、東京湾に入ってくる船、この中には便宜置籍船というのがありますね。これはもう皆さん御承知のとおりだと思うんですが、パナマだとかリベリアに船籍を持って、実は日本の船だけれども、外国船員で運航している。これはもうまさに海員仲間では海のアウトローだ、こういうふうに言われている便宜置籍船も随分通っている。でありますから、この船と衝突をするということは非常にあり得ることであります。
 したがいまして、東京湾の内部にはっきりした
旋回の航路ですね、一方通行のできるような旋回航路というようなものをちゃんとつくって交通を整理してもらわないと、今後ますます私は東京湾の安全航行というのはできないし、もしこれに何かがあって災害が起きるとなれば、恐らくそれは陸上のいろんな施設にも及ぶと思うんです。そういうものなしに東京湾の横断道路をつくられるというのは私は困るし、ただ私個人の安全じゃなくて、首都全体の問題にも私はそれはなると思います。
 そのほかいろんな問題がありますけれども、そういう東京湾の安全航行という立場からも、この問題をしっかり考えた上でないと着工してくれちゃ困ると思うんですが、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 東京湾の海上交通の安全の問題は、竹田さんのおっしゃるとおり非常に重要な課題でありまして、御指摘のとおりであるだろうと思います。私は、やはり海上交通の安全問題と環境評価の問題が大事だと、そう思っておるのでございます。
 海上交通の安全につきましては、従来から海上交通安全法の制度とかあるいは東京湾海上交通センターの設置などによりまして万全の措置を実施しておるところでございます。なお、この事業の実施に伴う航行安全対策については、学識経験者等より成る委員会の審議の結果等を踏まえまして所要の措置を講じたいと思います。
 ともかく、御指摘のように、あれだけの架橋をやるということになれば、非常に航行密度の大きい東京湾でございますから、よほど注意して安全については万全の措置を講じていかなければならないと考えております。
○竹田四郎君 あと住宅減税について一つお伺いをしておきたいと思うんです。
 これは総理の御答弁でなくても結構でございますけれども、きょうもいろいろこの住宅減税については質問が出たわけでありますけれども、確かにこれだけで景気を直していくということは私も当然無理な話だ、こういうふうに思います。最近臨調が民間にも行き渡っているし、国鉄の民営化なんかにも影響があると思うんですけれども、人の移動というものが非常に激しくなってきた。政府の方は今までも同じように持ち家政策をずっと続けてきている。こういうことになりますと、職場が変わって遠くへ行く、せっかくの自分の持ち家を手渡さなくちゃならぬという場合というのはかなりあると思うんですね。しかし、これはたしか十年という期限があると思うんですね、居住の。それでないと買いかえの特例というのは適用されないと思うんですけれども、この辺はもう少し大蔵大臣短縮したらどうですか。
 それからもう一つは、こういう問題があります。持ち家でせっかく家を買おうとして金をためる。しかしなかなかそうすぐ金はたまらないというので、まあ土地だけ買っておこうじゃないかというので自分の住む居住用の土地を買っておく。しかし、家が建てられない間にどっかへ移転せざるを得ないという生活上の条件がある。そうすると、向こうで家をつくらなくちゃならないときに、前に買った更地の土地を売った場合にはこれは特例はない、税金がかかってしまう。そして新たにまた税金のかかった金で買わなくちゃならない。こういうことは私はこれから非常に無理だと思うんですけれども、その辺は少し改善ができないものかどうか。人が移りにくいと思うんですね。どうでしょうか。
○政府委員(水野勝君) 買いかえ制度は昭和四十四年まではかなり幅広く一般的に行われておったわけでございますが、当時の税制調査会等の審議の結果を踏まえまして、余り広い買いかえ制度と申しますのほかえって土地の仮需要なり不急需要を招く、あるいは小さな家を売ってとにかく大きくすれば恩典がある、しかし大きな家からだんだん小さな家に移っていく場合にはむしろ特典がなくなってしまうという、もろもろの問題があるということから廃止をされ、一方、三千万円控除という制度に移行したわけでございます。しかし、ただいま先生御指摘のようなもろもろの事情もあり、長年住みなれたお家を買いかえを行わざるを得ない事情もあるということから、再び昭和五十七年の改正でこれが復活をしたわけでございます。
 今まさに御指摘のように、長年住みなれた家を売らざるを得ないような場合、これはやっぱりこういう特例は適用したらいかがかということで復活したものでございますので、やはりそこは十年程度の居住期間というものは残させていただきたい。買いかえとなりますと、もとの取得価格を継続して管理する必要もございます。サラリーマンにとってもまた税務署側にとってもそういう事情があったわけでございますので、復活した現時点では十年という要件をお願いをいたしておるわけでございます。
 また第二点の更地の場合でございますが、その場合に、果たしてそれがもともと、本来そこは自分のお家を建てられるというものであったのか、あるいは値上がりを期待して持っておられたのか、そこらを税務執行上厳密に執行するということはなかなか問題があるわけでございます。この買いかえ、先ほど申し上げました、とにかく長年住みなれたお家を、いわば自分の最後の城を売る、そういう場合に特殊な事情を考慮して設けられたものでございますので、そのまた建てられる前の更地、これはいろいろな先生御指摘のような御事情もある場合もあろうと思いますが、一般的な制度としてそこまでいくのはいかがか、現状そういう点のあたりから、五十七年に復活いたしました際そこまではいってないということでございます。
○鈴木一弘君 総理に冒頭昨日の事件についてお伺いしたいんですが、通産省の課長と係長が日本撚糸工業組合連合会の不正事件で逮捕されました。早速総理大臣が、綱紀粛正の折でもあり、事態をよく見守るしかないということの発言をしたと新聞に出ておりまして、私もそのとおりだなと思ったんですが、ただいまの竹田理事に対する答弁を伺っておりまして、原因の究明をやり万全の措置をとりたい、また綱紀についてもこれをきちんとしていきたいというお話がございました。
 国民の信頼を大きく失墜しているというか、そういう声がいろいろ報道等でされております。どうしてもこれは信頼の回復のために全力を挙げなきゃならないと思うんですが、今言われた万全の措置、綱紀の粛正ということについて、これはみずからの役所がみずからを律するやり方というのは非常に難しいだろうと私は思うんです。専門のグループをつくって、一体今後どうあるべきか、綱紀の問題等についてどうあるべきか、またこういう事故を二度と起こさないようにするのはどうあるべきかということについて、特別の機関というか、専門のグループといいますか、こういうものを設けられてやられた方がよろしいんではないか、研究させるべきではないか、また答申を受けるべきではないかというふうに思うんですが、その点いかがお考えになりましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一番の根本はやはり公務員倫理の徹底あるいは使命感の徹底ということであると思います。新聞で報道された状況に関する限り、やはり非常にその点で緩みがあったというふうに感ぜざるを得ません。したがって、公務員倫理を徹底させるということが非常に重要であると思いました。
 それから、業務の運営あるいは行政指導とか、そういういろんなかかわりのある接点についてこれからもう少し監視を行うとか、あるいは機構的にもそういうことが起こらないようないろいろなことを考えてみる必要もあると思います。出張のいろいろなやり方についてもいろいろ監督する必要もございましょう。
 そういう意味において、今回の事件に顧みまして、内閣といたしましても、特にこれは通産省とか、業界と接触する度合の強い官庁において要請されていることでございますが、それぞれにおいて、また内閣といたしましても、御趣旨に沿いましてよく検討を加える方法をひとつ考えてみたいと思います。
○鈴木一弘君 次はシャウプ勧告の問題でございます。
 シャウプ勧告が示した内容は、所得税の総合累進課税、それからキャピタルゲイン全額課税、最高税率八五%から五五%に引き下げるという問題、それから富裕税の創設、租税特別措置を公平の原則から大部分を廃止する、それから地方税としての付加価値税の創設というようなことが言われたわけです。シャウプ税制のいいところは、公平ということであり、いま一つはやはり財政民主主義を貫くということにあったと思うんです。今の総理の御答弁をいろいろ伺っておりまして、バランスのとれたものにしていきたいということでございます。このシャウプ税制について大蔵大臣に伺ったところ、シャウプ税制の目指しているものについてはなるほどなと思うところがある、よくできているということの答弁がございました。
 私は、そういう点で、本来ならそのままでいけば大改正までいかないで済んだかもしれないという気持ちがいたしますが、講和条約の後でこのシャウプ税制がどんどん修正され出してきた。富裕税を廃止する、それから輸出をドライブしなきゃならぬという至上目的がありました。いまひとつは貯蓄の奨励をしていかなきゃならない。こういうことから租税特別措置がだんだん加わって、総理が言われているように、どうしても不公平感、不公正感というものの強い税制というものができてきたんだと思うんです。ですからそういう点で、シャウプ税制以降、いろんな圧力団体があったりいろいろありますものですから、個別の、何というか物品税等を見ますと、付加価値の高い高級品に対しては同じ品物でありながら税がかからなくて、そうでないものにはかかるというような非常におかしな、どう見ても公平感のないものがございます。
 私は、そういう点で、まずそのゆがみをとってしまってその上で考えるというふうになさる、そういうお考えなのかどうかを伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) シャウプ税制に関する私の評価につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、それ以来三十五年もたちましていろいろな社会経済関係、商品関係の変動等もございます。そういう意味におきまして、新しい観点に立ちまして思い切った再編成、バランスのとれた再編成、再構築ということをひとつやってみたいと考えておったわけでございます。
 内容につきましては、今税調でやっておりますから私が意見を差し挟むことは差し控えたいと思いますけれども、最近のように非常に新しい生活分野があらわれたり、商品形態があらわれたり、ソフトの面が非常に大きく出てきたり、あるいは流通という面が経済領域を非常に支配してくるような状況等も出てきておりまして、そういう点につきましても公平感にこたえるだけのものをやはり考えていかなければならないだろう、そう思っております。
 具体的な問題につきましては、税調の答申を待ちましてよく検討してみたいと思っておるところでございます。
○鈴木一弘君 所得税について、先ほどの御答弁で、フラットにする、また段階を減らす、これは私もよくわかるし、やらなきゃならないだろうと思います。
 私は、ずっと御答弁を伺い、また今までの御姿勢から、間接税中心主義から直接税中心主義になったのはシャウプ税制で、今度は、直間の比率のことを先ほど言っておられましたけれども、そういう直接税と間接税の比率を直すというのが一つのターゲットなのかどうか、こう思ったんです。もしそうだとすると、活力の意味からいったら、戦前にはよく言われたんですが、税制というのは、所得税を納めるようになると赤飯を炊いて昔は祝ってくれた。おまえはそんなに税金が納められるほど所得がふえたかと言われたわけです。今は高校を卒業するとすぐかかってくるから嘆きになってしまうわけです。こういうことでは活力はやっぱり出ませんよ。
 私は、そういう意味でも、所得税の問題について、やはり総理が言っているのは、間接税の比率を上げていこうということにあるのか、直接税の方の比率と間接税の比率を直そうということにあるのか、こう受け取ったんですけれども、それと活力の問題についてお答えをいただきたいんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 直間関係をどうしようかとか、あるいはそれらの内容について具体的にどうしようかとかという点については白紙の状態でおります。今税調でやっておりますから、税調のお考えをよく検討してみたいと思っておるところでございます。
○鈴木一弘君 国民の方は、春に出る減税案というのは中曽根内閣の示す減税の税制改正案だとみんな思っているわけですね。税調という御答弁があったんですけれども、これが中間答申という形での減税案だけです。この減税案なるものが出されても果たして本当に実施されるかどうかということを僕は心配しているんです。といいますのは、今までも過去の例を見ても、政府の税調の中で、時の政府の都合のよいところだけ取り上げられるという改正がある。都合の悪いところはそのまま放置されてきている。今回は、税調の答申に全くなかったものが今回の租税特別措置の中でたばこ消費税の引き上げが出ているわけでありますから、こういうことになると、税調というけれども、これは政府、特に大蔵省の飾り物にすぎないんじゃないかというふうに考えられるわけです。
 したがって、減税案だけの答申だと、これは秋に出す増税案を含めた税制改正等が出たときには全く内容が変わってくるんじゃないかという心配をしているんですけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そもそも今回の大税制改革の発想は、やはり重税感とか、ひずみとか、ゆがみとかという、民衆や国民の皆さんが何とか直してもらいたいと思っておるというそれを直そうという動機からまず始まったものでございまして、そういう意味において、レーガン税制というものも非常に参考になると私は思って発想の一つの資料にもしたわけでございます。今レーガン税制がアメリカ議会において非常に難渋しておりますが、それもよく注目して、どの点が嫌われているか、どの点がどう直されているかという点も注目して勉強しておるところでございます。
 そこで、日本の場合におきましては、今そういう民衆や国民が直してくれと思っておるそのところへまず手をつけて、そしてしかる後に、相当の時間を置いて国民の皆さんの批判にさらして、大方の落ちつくところを見当をつけて、そしてその次にそれじゃこれに対する財源対策という形で進もうと考えておるわけでございます。そういうような段取りをやりましたのは、今まで大蔵省が税改正についてやったことのない段取りなので、これはさっき申し上げた選択制と申しますか、国民の皆さんがまあこの辺がいい、大方随分不満をお持ちでしょう、お持ちでしょうが、これにはこういう一長一短もあるとよく認識なすって、その認識の上に立って、今の日本の状況から見ればこれが一番いい、これ以外にちょっとないだろうなという検討の落ちつき先をよく見る。これが税に大事なことで、大蔵省や政府が押しつけることをしない、それを非常におもんぱかって考えておるわけでございます。
 それは歳入の面についても同様でございまして、そういう意味においてプラス・マイナス・ゼロというニュートラルな考えていく。税の増収策、財政収入をふやそうという考えではやらない。そういう意味もそういう考えから申し上げておるところでございまして、これ以上はちょっと申し上げられないと思いますので、よろしく御了解をお願いいたしたいと思うわけでございます。
○鈴木一弘君 国民の方からすると、減税案を出されるということが言われましたものですから、一体所得税はどのぐらい減るんだろう、住民税はどのぐらいというふうに皆さんお考えなわけです。やはりリーダーシップとして日本国民を引っ
張っていくわけでございますから、リーダーシップを持ってやっていらっしゃるわけですから、やはりここで一体どの程度の減税規模を考えているのかを示してあげないと私はいけないんじゃないかと思うんです。総理の腹の中にあるのは一体どのぐらいというふうにお考えでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) まだどれぐらいというような見当もついておりません。まあ望ましきことというのは大きければ大きいだけいいわけでありますが、しかし諸般の情勢にかんがみてみまして、これはまず党の諸君のお考えもよく聞かなきゃなりませんし、また、定性的な中間報告が出た後、最終段階に至った場合に税調の皆さんの御意見もまた承る必要もあると思うのです。そういう意味において、政府が軽々しく先に数字を出すということはこれは差し控えた方がいい、そう思っておるわけでございます。
○鈴木一弘君 次は、租税特別措置法のこの法律案の中身を見ますと、住宅・土地税制から民間の活力導入、租税特別措置の整理合理化、法人税、たばこ消費税、こうなるわけでございますが、これを見てまいりますと、私は中曽根内閣の経済財政運営の姿が見えるような気がしてならないんです。内需拡大、そしてそのための住宅建設促進と民間活力の導入、この二つを合わせて約四百二十億円。一方、法人企業に対しては、欠損金の適用一部停止と租税特別措置の整理合理化でやはり二千六百三十億円、これは逆に今度は負担がふえるわけですね。こういうことで、私は内需拡大とおっしゃっている方向と少し違っているんではないか。
 今、御承知のように我が国の問題だけじゃなくて、四月十七日からパリで開かれるOECDの閣僚理事会で採択されると予想されるコミュニケの原案の中でも、日本の国に対して内需振興と輸入拡大を求めていく、こういうことからも非常に緊急な課題に内需拡大はなっているわけですが、どうもこの法案というのは内需拡大策とは違う感じがしてならないんですけれども、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回のたばこに対する課税については非常に恐縮な次第でございまして、これは全く異例の措置であったと思います。中央、地方の費用の分担、負担区分等の折衝が長引きまして、そういう関係でついに事後承認をいただくということでありまして、まことにこれは遺憾な次第であります。これから、税調の皆様方が非常に幅の広い観点からいろいろ御審議をいただいておるわけでございますから、それらの御審議の内容等もよく我々はトレースしまして、その考えを十分理解し、了解した上でやっていきたいと思っております。
 ただ、今お挙げになった数字の程度は、今まで毎年毎年多少税関係について出入りがあったわけでございますが、今まで臨調においても大体認められる調整措置と言われる範囲内にとどめるように努力した次第でございまして、たばこというまとまった金でああいう形が出たことは大変恐縮な次第ではございますが、ぜひ御了解をお願いいたしたいと思う次第でございます。
○鈴木一弘君 たばこのことは余り言わなかったんですけれども、ようわかりました。まあいいでしょう。
 内需の問題で、経済運営になって大変恐縮なんですけれども、民間の調査機関の予測ですと、日本経済研究センターですが、六十一年度の我が国の名目経済成長率が四・一%、実質で二・七。政府の方の見通しは五・一の実質が四・〇ですね。そうするとそれよりはるかに下回っているわけです。ですから、政府見通しで示した内需のみでの実質四・一という伸びはとても無理じゃないかという予測が起きているわけです。そういう点で総理自身、経済見通し達成は、これは希望じゃなくして現状を見て、今のままでいって一体できるんだろうかということだと思うんです。実質四・一%の増加というのは、これは現在の施策を見ると、もう一つ円高もあるし、そういうことから輸出依存の産業等には打撃がきておりますから、こういう点でまず不可能じゃないかというふうに思えてならないんです。これはどういうふうにお考えになっておられますか、今。
○国務大臣(中曽根康弘君) 企画庁の専門家に話を聞いてみましたら、六十年度はまあ大体四・一程度はいけそうではないかという観測のようでございます。六十一年度につきましては、いろいろな変動要因が今出てきております。しかし、今の趨勢から見ますと、やはり原油価格は二十八ドルからずっと下がっていくだろう。どの程度までいくかわかりませんが、いろいろ想像した数字で考えてみますと、やはりある程度は下がっていくであろう。そういうような面から見て、輸入品についてはかなりの期待ができる。輸出についてはある程度停滞してまいりますが、全般的に見て物価が安定する。そういうことで、物価の安定とそれから輸入品の原料安、そういうような面から企業の収益率というものは必ずしも落ちるとは限らない。
 そういうような面から、割合に初めは悲観説があったのでございますが、最近はアメリカ経済、ヨーロッパ経済等についても強気がかなり出てきております。日本におきましてもやはり少し明るい見通しを持つ方々がふえてきつつあるように思います。これは先行きのことはよくわかりませんが、私はどちらかといえばその明るさを持っている方の考えを持っておる者で、四%はこれを実現することができると考えております。
○鈴木一弘君 これは予測のことですからわかりませんけれども、現状からいくと、確かに総理がおっしゃるように、原油価格も最近の報道だと、バレル十一ドルにOPECの総会の後はなるだろうという報道もありますので、そういうことになると、経済としては底力がまた出てきちゃうということになるだろうと思います。しかし、やはり内需拡大をしないと、それでまた輸出競争力が伸びるとまたやられるわけですから、その内需拡大のためにさらに追加する施策が大事と思うんです。
 こういうことで、四月上旬に総合経済対策を出される、こういうお話でございますが、具体的にどういうのが出てくるのか。今まで言われているのは、金融政策とか、公共事業の繰り上げ実施、前倒しですね、中小企業向けの緊急融資というようなことが言われているんですが、ちょっとお考えを伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 御審議願いました補正予算の中に込められているもの、それから今度の六十一年度予算でいろいろ考えている公共事業増等々も考えてみまして、ことしの上半期というものはそれほど悲観すべき状態ではないと私は思っておるんです。
 昨年十月、内需関係の政策をやり、また十二月にもまたやり、公定歩合も最近の一カ月間で二度にわたって引き下げました。金融政策についてはさらに機動的、弾力的に我々は考えていくつもりでございます。
 そういう面と、それから四月に予算が成立しましたら、予算執行に伴いまして内需に関する振興策を出そう、そう思っておるわけでございますが、これは恐らく、今までの例から見ましても、公共事業の前倒しをどの程度やるかとか、あるいは金融政策の機動的な運営方法であるとか、あるいは今度の原油価格の低下や円ドル関係の変化に伴う余剰と申しますか、利益というもの、これの処理、これを内需あるいは景気振興にどういうふうに使うかとか、そういう諸般の考え方が打ち出されるのではないかと思っております。
○鈴木一弘君 我が国経済の内需拡大をしていきたいということですけれども、だれもがそう思っていると思います、今は。しかし、外需依存体質というのはそう簡単に改められないんじゃないかということを心配しているわけです。というのは、産業構造の転換を図るとか国民の生活意識の変化をやるとか、可処分所得を増加をさせるとかということがまず内需拡大には必要だと思います。産業構造を変えないとやっぱりどうしても輸
出中心の構造になっていったり、あるいは生活意識の変化がなければ国内消費は伸びてこないわけです。可処分所得を増加させなければやっぱり同じように消費は伸びません。そういったのもありますし、いま一つは、意識的なものでありますけれども、明治以来ずっと輸出優遇できたわけであります。投資よりも貯蓄がいいということで、その貯蓄優遇をしてきた。これは小学校から我々は教えられてきたわけです。
 そういうことがありますから、教育を通じて、また政策を通じての転換までがないと、これから先の日本はずっといつまでもいつまでも内需、外需の問題で板挟みになっていじめられる。いじめられるという言い方はよくないんですが、そういう非難は避けられないだろう。そうすると、内需、外需の均衡のとれた経済をつくるというには、今申し上げたようなことを考えていかなければならないと思うんです。総理もそういう点について専門家のグループに何か御検討をさせていらっしゃるようでございますけれども、どういうようにこの辺のビジョンをお持ちか伺いたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 去年は約五百億ドルの輸出超過でございました。経常収支も大体五百億ドル台に及んでおると考えております。六十一年度についても、石油の値が下がりましても、あるいは円が強くなりましても、Jカーブの効果によりましてドル建ての金額はかえってふえるという現象は今も続いております。しかし、一−三を見ておりますと、大体四分の三ぐらいが内需の方に変わってきています、経済成長の導因が。それで、輸出は大体量的には横ばいあるいは少し減りぎみでありますが、輸入もまた多少減ってきている。しかし、輸出が横ばい、ないし減ってきているということでありながら、ドル建ての値段というものが非常に高くなってきている、こういう現象が当分まだ続くだろうと思います。
 そういう中で諸般の政策を考えていかなければならぬと思うのでございますが、今経構研でいろいろ御審議を願って、けさも大体最終段階の取りまとめの議論をしていただいた状況で、私も出席してお聞きしたわけでございますが、やはり戦後四十年たちまして、日本は瓦れきの中から立ち上がっていくために貿易国家という目標を立てまして、そのためにもまず重化学工業国家にならなければだめだ、そういうことで、貿易国家のために通商産業省という役所をつくったり、それから通商産業省が中心になってコンビナートの計画とか重化学工業国家化の計画を立てまして、そして輸出中心にいろいろな産業政策をやってきました。今日はそれが成功し過ぎるぐらいに成功もしまして、ここで転換点に来て、このまま行くというと世界から村八分になる、これを何とか構造的にも直さなければいけない、そういう観点に立ちまして今検討していただいております。
 それで、大体皆さんの考えが大まか的に一致しつつあるというのは、一つはやはり内需というものを重視すべきである。それからもう一つは、輸出、輸入のバランスという問題を政策的にも考えるべきである。そのためには、産業構造の変革ということもある程度耐えていかなければならない。それから円レートの問題、これも安定的にバランスのとれる感覚で進められなきゃならない。あるいはさらに、内需等々の関係等もありまして、蓄積とそれから消費の関係、貯蓄と投資の関係、こういうような問題も長期的には考える必要がある。あるいはさらに、直接投資という問題もこの段階になると考えていかなきゃならぬし、それから海外経済協力や科学技術その他の国際協力とか、そういういろんな面について議論がわたっておりまして、そうして重要な問題についてめり張りのついた答申をしていただくように実はお願いしておるところなのでございます。
○鈴木一弘君 命総理が御答弁の中に、受け取りの金額がふえたということになるわけですから、六十一年度の国際収支の見通しで、経常収支五百十億ドル、貿易収支五百六十億ドルと予測していますけれども、どうも民間の調査機関では、あっちを見てもこっちを見ても七百億ドルの経常収支では黒になるというのがほとんどです。それも二兆円の公共事業を国内に追加してやってもそうだという説が多いわけでございますから、こういう点ではこれはこれからの運用が物すごく大事だと思います。それから、五月のサミットは経済サミットということでございますし、そのときにはOECDの閣僚理事会のコミュニケが基本になる。そういういろいろな面で、それもあるしサミットもあるしということで内需振興、輸入拡大ということが物すごくまた言われてくると思うんです。
 そういう点で、総理自身、一体、当面のところは先ほどお話がありましたが、国際収支の見通し、また、ここのところで急に二兆円ぐらいの公共事業というものをさらに六十一年後半で考える、考えてもこうだというんですから、考えなければならないということになってきていますから、この点で建設国債増発というようなこと、そうしないと、前倒しが多ければ後半は苦しくなるわけですから、後半に仕事がなくなるわけですから、それをおやりになられるかどうか伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 六十一年度の国際収支のしりについては、我々も非常に今注意深く考えておるところでございます。
 今おっしゃった七百億ドルとかなんとかという数字の一番大きな原因は、実は円ドル関係の変化と油代の低下なのでございます。それで、一バレル一ドル下がると石油だけで大体十二、三億ドル浮いてくる。そうすると十ドル下がれば百二、三十億ドル浮くわけです。ですから、五百億ドルといってもそれはすぐ六百億ドルになるわけであります。そのほかに、今のは円ドル関係だけですが、石油が下がってくるというものもあるわけであります。円ドルと二つの作用があるわけです。そういう相乗効果等も考えると、今のような数字も機械的には出てこざるを得ない、そう私読んでみまして感じたわけでございます。しかし、そういうこともなきにしもあらずですから、我々としては非常に注意して内需を喚起していかなければ追いつかない、そういう考えに立ちまして懸命な努力をしていきたいと思います。
 しかし、財政事情から見まして臨調路線を外すわけにはいかない。臨調の示された増税なき財政再建、あるいは六十五年度赤字公債依存体質からの脱却、これはあくまで守り抜いていくつもりで、いわゆる財政に関する臨調路線はゆるがせにしない考えてあります。そういう面からいたしましても、建設公債の問題についても私は割合に厳しい態度をとっていかなければならぬ、臨調路線を守っていくのが妥当であろう、そういうふうに考えておるわけであります。
○近藤忠孝君 命の答弁とも関係いたしますが、総理は、去る二十四日宮澤氏との会談の後――私が言っているのは要するに六十五年度赤字国債依存体質からの脱却で、建設国債はフリーハンドを与えられている、こういう発言がございました。これを文字どおり素直に理解しますと、建設国債の増発を考えていることになるんだと思うんです。建設国債も赤字国債もこれは本質的には同じでありまして、この合計の残高を減らすことが財政再建にとって最も必要であるし、今まで政府がとってきた方針であると思うんです。
 今回のこの発言というのは、国債発行の抑制を緩めるということになるのか、まず御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) ただいま鈴木議員にお答えしたとおりでございます。私は、建設国債発行については臨調路線を守る、そういう態度でいきたいと考えております。
○近藤忠孝君 そうしますと、政府自身がここずっと減額してきましたね。この減額を守っていくということなんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一兆円減額というのは臨調が言っているわけじゃないんで、政府が決めているわけであります。これはもう六十五年赤字公債依存体質脱却から計算してそういうふうにやってきておるわけであります。今申し上げたように、臨調路線を守っていきたい、そういうこと
を申し上げておる次第であります。
○近藤忠孝君 ちょっと不明確ですけれども、世間じゃ今私が言ったような受け取り方をしているんですね。
 次に、総理は昨日の衆議院本会議で、平泉長官に対し厳重に注意したが、長官自身も深く反省していると、こういう発言をいたしました。しかし、平泉長官はフィリピンのマルコス資産形成に絡む一連の疑惑追及を内政干渉だと言って、これを妨害するような不当な発言を行ったわけですね。それで国会を中断させたことに対して、私の発言の一部について誤解を招いたことは私の不注意だ、こういうことなんです。しかし、これ誤解の余地なんぞないんですよ。発言の意図も内容も明白でして、だれも誤解など全然してないんです。誤解というのは、相手方が誤って解釈したというんですが、だれもそんな誤って解釈をしてないんで文字どおり理解したわけですね。要するに、これはあえて誤解だということは、自分には非がない、陳謝する必要は全然ないんだと居直っておるのと同じじゃないですか、事実を認めないんですから。となれば反省など全く見られない。
 お伺いしたいことは、総理はこの平泉長官のどの点を指して深く反省していると言っているというのか、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 平泉長官の発言は軽率であって、それで舌足らずと申しますか、そういうような誤解を与えたという点は甚だ遺憾であります。
 どの部分かと言われれば、平泉発言というものを私文章で読んでみました。しかし、まあ速記をとっていたわけではないですね。それで、その読んだ範囲内において私が感じましたことは、言わぬでもいいことを言っておるし、それからこの事態の重要性というものについて認識がまだ甘過ぎる、そういうふうに私は感じた点があるのです。私自体及び外務大臣は真相究明を徹底的にやりますと、そう申し上げておるのに対して、それは彼は心の中ではそう思っておったし、またそういう態度も持っておったのでありますけれども、そういう態度を出すべきであったと思うんです。それを出さなかったということは甚だ遺憾であると私は思います。
○近藤忠孝君 総理は今、言わぬでもいい発言だったというんですが、そういう認識自身がやっぱり総理の認識が甘いと思うんですよ。言ってはならないこと、担当の大臣としては言ってはならないことを言ったところに今回の問題があると思うんです。
 要するに、疑惑解明は内政干渉だというこの発言ですが、これ取り消してないでしょう。これがまず第一ですね。さらに、女房に渡した財布の金は何に使っても勝手だという、こういう発言も、それはやっぱり対外経済協力の所管大臣としては不見識、無責任も甚だしいと思うんです。この担当の大臣としての資格がない。ということは、注意だけじゃ済まないことで、なぜ罷免しないのか。どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく軽率な発言をいたしましたことは私は本会議場でおわびしたわけでございまして、ぜひこれは聞き届けていただきたい。
 それで、罷免要求も出てきておりましたけれども、これは本人がこういうふうにおわびもし反省もしておりますので同様御寛恕を願いたい、そういうふうに申し上げて、ぜひ聞き届けていただきたいとこの席におきましてもお願い申し上げる次第なのでございます。
○近藤忠孝君 聞き届けるわけにいかぬからこの席でまた改めて指摘をしているんです。
 やっぱり今問題は、疑惑解明は内政干渉だという、これは本音ですよね。この考えを放置しておったんでは今後の徹底究明が妨げられると思うんですよ。総理もそれから安倍外務大臣も、真相の解明や経済援助の見直しということを言っております。それが総理の本心だとしますと、まずその第一歩として、あなたの方針とは違うんですから、疑惑解明は内政干渉だというこの本音の発言は取り消していないんですから、やはりこれはあなたの方針に反する。方針に反する大臣をいつまでも置いておくということは、今度は中曽根さん自身がこの問題に対して極めて消極的だ、一緒に疑惑を隠そうとしているんじゃないかという疑いを受けちゃうんです。それでもなおかつ罷免をしないということですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ともかく遺憾なことでありましたから私もおわびを申し上げたわけで、本人もそういう自分の真意を十分言い尽くせなくてこういう事態を招いたことは申しわけないと私に陳謝もいたしました。そういうことで、首にするのはこの際は御勘弁願いたいとお願いを申し上げた次第なのでございます。
○近藤忠孝君 どういう個人的事情があってかはそれは知りません、御勘弁いただきたいというのは。
 しかし、それは別にしましても、やっぱり国民に対する関係では、今国民は自分たちの納めた税金がイメルダ夫人の三千着の衣類とか靴とか、あるいは何箱もの宝石の一粒ぐらい自分の税金じゃないかとみんなそういう疑惑ですよね。それはごく一端であって、もっともっとでかいということが今だんだんわかってきておるんですが、そういう国民の疑惑、自分たちの納めた税金の行き先に関する疑惑について、その疑惑を解明することが内政干渉だと。内政干渉をやらぬということも、これだって中曽根内閣の方針ですからね。そうでしょう。内政干渉であれば。しかしこれは内政干渉じゃなくて、自分たちの税金の行方がどうであるか。となれば、疑惑解明は内政干渉だというこの発言を取り消さぬ限りは、要するにそれが間違いだったという事実を認めない限りはこれは改まらないですよね。
 反省というのは、中曽根さん、日本語ではどうですか、事実を認めた上で反省するわけでしょう。事実を認めないでただ反省と申しましてもそれは反省と言わぬことだと思うんですが、どうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 平泉長官も私に陳謝いたしまして、そして私と同じ考えでございますと、そういうこともはっきり言っておるわけでございまして、総理大臣にそういうふうに言っているわけでありますから、その点はここでも私からもお願い申し上げている次第で、御寛恕のほどを願いたいと思うわけなのでございます。
○近藤忠孝君 重ねて聞きますけれども、疑惑解明が内政干渉だというその事実を反省し取り消し、そして総理に陳謝したんですか。その点は全然もうお互いには別に言わぬでおこうということでの陳謝なんですか。どちらですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 疑惑解明が内政干渉にすぐなるとは限らぬのです。だからその言葉は適切でないんです、もし言ったとすれば。そういう点で甚だ行き届かぬ軽率な発言をしたと、そういう意味であります。
○近藤忠孝君 じゃ次に進みますけれども、今回の疑惑というのはやはり今言ったとおり税金の行方の問題ですから、日本の国会が徹底的に真相を究明すべき問題だと思うんです。
 このことについては中曽根総理が一生懸命やるということでありますと、いろいろな資料があると思うんですよ、政府自身が調査すればすぐわかる資料。こういうものについても徹底的に解明しかつ国会に提出する、そういう基本的態度はおありですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) できる限り御協力申し上げたいと思います。
○近藤忠孝君 中曽根さん、できる限りというのはなかなかこれ問題でありまして、あるところまでやるとそれはもうだめというふうなことですが、やっぱり疑惑解明に必要な資料は要求があれば提出すると、こう理解してよろしいですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ですから、できる限り御協力申し上げたいというふうに思います。
○栗林卓司君 現在進められております税制の全般にわたる抜本的な見直しとの関連でお尋ねを申し上げます。
 総理は選択という言葉をお使いになるものですから、選択とは何でございましょうかと以前伺ったら、どのような税制を決めるかは国民が選択する問題であります、こうおっしゃいました。私は非常に大胆な御発言ですが立派な識見だと思うんです。どういう税制を選ぶかということは、実はその国にとってみますと、どういう行動原則を確立するかという問題だと思うんです。
 十分の一税というのがありまして、所得のうち十分の一はもう神殿に納めてしまう、こういう原則をとっているところもあります。また、申告納税制度とかあるいは総合課税というものを日本人の生き方の面でどう位置づけていくのか、そういったものをめぐって我々日本人がどういう税制を選択するのか。仮にまた脱税をした場合には、欧米の場合には相当社会的制裁は厳しいようであります。そういうことも含めて、我々が生きていく行動原則、これをどう決めるのかということが税制をどう決めるのかということと裏腹の問題だと私は思うんです。
 したがって、恐らくどうも日本人の場合は行動原則をみずからつくるということがなかなか不得手でありますけれども、そういったわけにもなかなかまいりませんので、もうかんかんがくがくの議論をしながら、やがてその熱気の中で最終的には民主主義の原則に従って方向を決めていく、こういった格好で国民に選択を願う。おおむねそういったイメージを頭の中に想定しながらの御発言であったんだろうと思うんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) そのとおりでございます。
 先ほど申し上げましたように、財政民主主義というものが基本にございます。そういう意味で、今まではややもすると税制改正というものは上から与えられたもののように考えておりました。私はこれは考えが本末転倒している。どういう税制がいいかということは国民が選択すべき問題である。そういう面から、まず税調で案をいろいろ出してもらったら、それを国民の皆さんにさらしていろいろ意見も聞いてみる。それでどれをお選びになるのか、あるいはどのコンビネーションがいいと思われるのか、どこに重点を置けという志向をされておられるのか、そういうような点をお聞きして、大体の落ちつく先を見て、そして次に今度は、じゃそういうものをやっていくためにはバランスシートをどういうふうにとるべきか、それについてもまたいろいろ議論をしていく。最終的に、じゃプラスとマイナスをコンビする場合にどういう選択を国民がなさるか、そういうような、要するに国民のお考えを常に聞きながらどういうものを採用していくかということも決めていきたい。それが一つ。
 それから今度は、税の制度の内容の中についても、源泉分離を望むのか総合へ持っていっていいのか、それを選択する、どっちを選ぶのか、そういうものもあり得ると思うんです。両方の意味もございます。
○栗林卓司君 端的にそれじゃどういたしますかと国民の皆さんに伺うといっても、なかなか難しい問題であります。
 そこで、これからの政治スケジュールにも絡むんですが、普通ですと、こういった案がございます、どうでございましょうかという問いかけになりますね。そういった格好で結局は国民に選択を問う形になるんだろう。こういった聞き方は別にたぐらんで伺っているんではありません。今の文脈からいって、近く参議院選があることは間違いありません。当然総理とすると自民党の勝利を願って御努力なさると思うんです。そこで自分が勝った場合、そのときにこの税制の選択という面でどういった評価をなさいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 勝つか負けるかわからぬうちにそういうおこがましいことは申し上げない方がいいと思います。
○栗林卓司君 なぜこういった伺い方をするかといいますと、総理が投げかけられた問題というのは、あれは政府の言うことだからまあほっておけやと冷たい目で見過ごしていい問題ではないんですね。野党とはいえやはり自分の問題として受けとめながら、野党としての案をまとめながらやはり選挙に臨み、政策を訴える、そこで初めて、選挙というのは実は啓蒙活動ですから、それが生きてくることに私なると思うんです。そういったものとして、今回の参議院選挙をまず総理としては、あるいは自民党総裁でもいいですよ、位置づけておいでになりますかということでもあるんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、選挙というものは余り意識しないで、その案が出て、幾つかの案が出た場合に、例えば新聞の論説がどういうふうに書くであろうか、あるいはテレビやラジオの解説者がどういうふうに評価するであろうか、あるいは農業団体や中小企業団体や、あるいは消費者団体がどういうふうな考えを持ってあろうか、そういういろんな考えをじっと見て、そしていろいろ議論、作用、反作用が起こる中でどういう水準に大体落ちつくであろうか、それを実は頭に置いて選択ということを申し上げたわけです。しかし、参議院選があれば国民がどういうふうにお選びになるかということもそれは一つの参考資料にはなると思います。
○栗林卓司君 今のように、国民がどう考えるというか、慎重に見定めながらとおっしゃるものですから、中曽根政治というのは誤解されると思うんです。国民の声を吸い上げていく民主的なチャンネルというのはないわけではないんです。この国会もそうです。それとの見合いでどう考えていくのか、こうしてこないと、国民の声はこの辺にあるんではなかろうかというその想定そのものが非常に独断的に映ってくる。
 したがいまして、今の税制調査会もあそこで作業なさっているようですが、我々にも見えないんです、それはいわんや国民の皆さんには何にもわからない。しかも、ある抜本的な見直し作業だけが先行して進んでいる。しかも、減税優先だとおっしゃるんですが、減税をすれば拍手大喝采かと言えば決してそうではございません。減税のやり方によってはまた不公平のもとになるのでありまして、税制というのはそんな私は単純なものではないと思います。もともとは、公の費用はみんなが公平に分担するところが、この認識から始まるのでありまして、そのときに一体公平は何だというところを突き詰めていかないといけないのでありまして、まず減税やるからいいだろう、あとはプラスマイナスで増税案は秋だというわけにもいかないんではあるまいか。
 そういった意味で、総理のお考えになっているのが先ほど私が申し上げたようなことを頭に置きながらのことだといたしますと、国民を交えたのも、平たく言いますとティーチインですよね。あっちでもこっちでもティーチインが起こる、あっちでもこっちでも税制が議論されるというものをむしろ意識的におつくりになりながら、そこの中で有権者の意向を酌み取っていくという道をぜひお選びになるべきではないんだろうか、今の段階では。なぜこう申し上げたかといいますと、国民が参加する余地がないんです。国民が参加する余地がないと、出た結論に対して、あれはおれたちが参加して決めたんだよという実感も到底持ち得ません。
 選挙というのはせっかくの機会でありますので、いろいろまた御工夫いただきたいと思います。意見を交じえて申しました。
 以上です。
○野末陳平君 財界の偉い人たちから、減税のためには大型間接税もやむを得ないというような声がありまして、また提言などもきょうの朝刊に発表されておりましたけれども、こういうムードは総理にとっては歓迎すべきことですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大型間接税については、各党の反応を見ていますと消極的な態度が多いと思います。言いかえれば、反対の声が非常に各党とも多いと思います。それから中小企業団体とか、消費者団体等もやはりそういう空気ございまして、我が党の内部におきましても相当な批判
が内部にあります。
 しかし、今税調で作業をしてもらっているについては、聖域は設けないで、ともかく自由に勉強してください、そういうことで勉強の対象にはなっておるけれども、結論がどう出てくるかということは将来の問題である、そう私は見ておりまして、今の状態でどうこうということを私が先に申し上げるのは適当でない、そう考えておりますが、やはり日本になじむ、日本の社会生活になじむということは税をやっていく上において非常に大事な点である。かつて取引高税というものでひどい目に遭った経験がありますから、そういう点でも私は割合に慎重な態度を持っているわけであります。
○野末陳平君 それから、予算委員会で去年からずっと総理は、所得税と法人税と相続税について減税をという意欲を示されておりました。その中の相続税の減税がちょっと影が薄くなったような感じがしているんですけれども、これについての総理のお考えはどうなってますか。後退ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 別に後退しているわけじゃありませんが、私がその際例示で申し上げたのは、例えば大学に寄附するとか、あるいは文化施設とか留学生に対する補助とか、そういう非常に公益的なものに財産を寄附したいというような場合、なかなか今の相続制度では難しい面もございますね。できるだけそういうのはいいところは認めてあげる、それで名誉を残す、そういうことは外国並みでいいんじゃないか。
 例えばそういうことでいろいろ奨学金とかあるいは大学に寄附や何かいったという場合に、場合によっては私学の助成金を片方で減らすことができるかもしれない。だから、ストレートに国民からその対象の方へ物がいって、税金という形で国を経由せずに直接そういうふうなことでいくという、そういう方法も検討していいんじゃないか。そういうケースも頭に置いて申し上げておったわけでございます。
○野末陳平君 それから、最近の特に勤労者家庭における負担の一番大きいのは住宅ローンとそれから教育費ですね。住宅ローンは今回の租税特別措置でもかなり盛り込まれているわけですが、教育費ですが、この教育減税を望む声もかなりあちこちで高まっておりますが、これについては総理はどういうふうなお考えでしょうか、基本的には。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは教育費というものをストレートに対象にしてやるのがいいのかどうか、それは一つの検討課題で、恐らく税調でこれは審議されているのであろうと思います。ただ、サラリーマンや国民の皆さんで、子持ちで、住宅ローンやあるいは塾の費用や教育費にかかっている、そういう負担の非常に多い層というものを考えてあげなきゃならぬ。そういう意味において、教育費の負担の非常にかかっている層というものについて減税を及ぼす中心線の一つ、中心部面の一つ、そういう取り上げ方は私はあっていいのではないかと思っているわけです。
○野末陳平君 これは非常に教育費の減税というのは難しいと思いますが、それでも検討はまだまだしていかなきゃならないという感じで私は思っているんです。たまたま受験シーズンが終わったところで、教育費の一番負担のきつい中堅世代といいますか、年齢的には四十代ぐらいの勤労者家庭を頭に置いて、ちょっと最近気づいていることで提案してみたいと思うんです。
 御存じのとおり、大学の入試というのは、国公立の発表が一番最後にありまして、私立の方の発表が先にある。言っちゃ悪いけれども、人気のない二流三流から発表がだんだんあるわけですね、当然これは。そこで受験生としては、先に発表がありますと、そこで受かっていれば当然これはいわば滑りどめのために手続をして、とりあえず納めるわけですね、その大学に大体そのお金が、入学金と前期の授業料など入れて三十万から五十万ぐらいはかかるんですね、大学によってちょっと違いますよ。だけれども、これはいわば受験生も弱みがありますから、今手続しないで次の発表で落ちていたらだめですから、やむを得ずこれは払う。これがもうずっと、何十年とは言いませんけれども、これが日本の受験界では当たり前になっています。
 そこでちょっと考えたんですが、前から気になっていたんですが、とりあえず手続をしまして三十万から五十万の金を納めますね。その後で発表があって全部だめなら、正式にとりあえず手続していた滑りどめの大学に入りますから、これは問題ないんですけれども、もし後で志望校に入れたらそちらに行きますから、当然滑りどめで出した何十万の金はこれはもうあきらめざるを得ない。これが世間常識になっているんですよ。なっているんですが、しかしちょっとおかしいなというのは、大学へ入らないんですからね。前期の授業も受けないんですからね。そこまでの負担を父兄がしなければならないのかな、どうもこれはリーズナブルではないというふうに考えて、額が余りにも大きいですからね。どうもこれは、特に大学に子弟をやろうという年代は四十代ですけれども、この負担は痛い、何とかこれはならないかとずっと思っていたんです。
 これがまずリーズナブルじゃないと私は思うんですが、総理はどういうふうにお感じになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 野末さんはいつもそういう質問なさって、非常に私も感心するわけであります。非常に庶民が願っていることをお取り上げになって、そういう考えに私もなびきたいのでありますが、しかし大学のことは大学でお決めになっておるのですし、そこまで政府が干渉するということはどうであろうか、そういうことがまず考えられるのです。大学の経営とか大学の講座とか、そういう問題については大学の自治に任しておくというのがまず政府としては考えなきゃいかぬのではないか、そう思います。
○野末陳平君 ところが、実は私も大学に関係しているんですけれども、これは受験生の弱みにつけ込んだ大学の金取り主義なんですよね、率直に言いまして。というのは、初めから合格者の数を余分に発表しておきますから、落ちこぼれ分は当然のこともう勘定に入れてますから、そしてそれで不足が起きたら補欠を入れますから、大学経営にその定員から見たら支障は全くないんですね。ですから、落ちこぼれてくれればくれるほどもうかる。弱みにつけ込んだ、どう考えても金取り主義だとしか思えないんですよ、実際。だけどそれは大学の自治ですから、総理のおっしゃるように、大学の内部に干渉しないと仮にしても、それならば言いたいのは、一体このお金の性格は何だということですね。いわば商取引の手金に当たるのか。手金ならもっと一割なら一割とりあえず納めるとかということもあるし、それから違約金というふうな性格で取られちゃうのかと思うと、相手に損害与えたりなんかしてないしね。どう考えてもこれは社会常識で通ってきたけれどもおかしいと思うんです。
 そこで、干渉はできないというものの、どうなんでしょうかね。やはりこれはもうちょっと低額にする。少なくも三十万、五十万というような額を父兄に滑りどめというような意味で弱みにつけ込んだ負担をさせるということを大学の教育の場としてやっぱり常識だては済まないと思うんですよ。ですからぐっと低額にするか、それとも、改めて、入学しない場合には一部といいますか、とにかくその大部分を返すとか、そうしないと、そもそも納めた金が入学金と前期授業料という名目になっているんだから、寄附やなんかは正式に入るときに父兄の気持ち次第で払いますけれども、どう考えてもこれはおかしいと思うんです。
 ですから、大学の自治だから内部に立ち入らない、政府はそこまでとおっしゃらずに、やはりその程度の指導をするのが、現在教育の負担を軽くしてやりたいというお気持ちがあるならば、何かおっしゃってもいいんじゃないですか。どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) どうでしょうか、例えば授業料の前納みたいなものは、入学発表後あ
る程度期間を長くしておいてやる、その間多少猶予期間みたいに時間を少し長目にとっておいてあげる、そういうことも二つは考えられますね。しかし、これもその大学がみずからお決めになることで、政府が余り干渉がましいことはやれないので、特に大学の場合は政府がくちばしを入れるというとすぐ怒られますからね。だからこれは慎重な態度をとらざるを得ないと思うんです。
○野末陳平君 どうもなまぬるいですね。しかし、いずれにしても父兄がただ取られ、どぶに捨てたような結果にならないように、返ってくる期間を置くなりいろんな方法があっていいですから、やはり返ってくるのが当たり前ですよ、その大学に入らないんだから、ほかに入るんだから。
 百歩譲って、そういう指導を一切やらないというなら、税法上で、ちょっと突拍子もない発想ですが、単身赴任減税が実現したんだし、教育上もこれ全くの赤字ですよ、損金ですから、捨てたような金ですから。これを税法上で、臨時特例な措置ですから、こういうのを租税特別措置に入れてほしいくらいです。これは認めて何らかの控除の対象にするとか、そういうようなことだってあっていいと思うんですよ。それが、教育費減税ではなくて教育費の負担を少しでも軽減してやろうというさっきの総理の気持ちの一つのあらわれにつながるんじゃないかと思ったりするんです。
 時間がなくなりましたが、税法上は全然面倒見れないのか、救うことができないのかどうか、それだけ聞いておきましょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 野末さんからそういう質問があるというので主税局にいろいろ研究させましたが、どうもそれは無理だと、そういう答えでありました。
○青木茂君 私どもは、この二月の六日から二月の十六日にかけまして、サラリーマン、自営業者を対比して意識調査をやりました。できるだけ誘導尋問にならないように冷静、客観的にやったつもりでございます。その中で、サラリーマンのことを一番よく心配している政党はどこですかという問いを出してみたんですよ。そうしたら、当党を除きますと自民党さんがトップであったわけですが、こういう評価に対して総理はどうお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) ありがたいことで恐懼おくあたわずという気持ちであります。
○青木茂君 とにかくそれだけ期待をされておるわけですね。しかしありがたいことだけでは仕方がないんで、同じ調査で、クロヨンというのがあるかないかという調査をしましたら、サラリーマンは八二・四%あると、これはまあいい。自営業者が五八・一%あるというんですよ。特に、クロヨンという言葉は現実をよくあらわしているかという問いに対して、サラリーマンが三六・六%、自営業が三四・八%、ほぼパラレルですね。そうなりますと、クロヨンというものは幻の表現ではない。やっぱり国民の中に定着した一つの事実なんじゃないか。
 ありがたいことで恐懼おくあたわざるということなら、この定着したクロヨンというものを今度の抜本改正案で解消の方向に持っていくということについて、総理の御決意ですね、これをちょっと伺いたいんですが。
○国務大臣(中曽根康弘君) 恐らく定着したのは青木さんの功績じゃないかと思います。
 しかし、よくそういうことが言われておるのを私も承知しております。言いかえれば、それが重税感という表現で申し上げておるところであります。それでそれがどの層に一番重税感があるかという点もいろいろ調べてもおりますが、恐らく税調におきましてそういう点を中心に減税問題が論ぜられ、案がつくられるんではないかと思います。
○青木茂君 税調におきましてそういう点を中心に案がつくられるのではないかということに対して、私ども大変期待を持って税調の御審議の推移を眺めておりたいと思っております。
 これは昨日の参考人の方に、特に税調の木下先生にお伺いしたんですけれども、新聞紙上に報ぜられるところによりますと、給与所得者、サラリーマンにも経費の実額控除と概算の選択を認めて、さらにいわゆる担税力控除と申しますか、そういう意味の給与所得控除をさらに差し引く、こういうあれが出たわけでございますけれども、いろんなこれも調査の結果によりますと、サラリーマンの必要経費の中で、背広だとか靴だとか医療費ですね、そういうものを控除の対象にしてくれというのが大変強い意向なんですよ。ところがどうも内容的に入っておらぬらしい。
 どうなんでしょうね。私も質問する方が商売でこれ着てきますよね。総理もまさか着流してはいらっしゃらない。背広を着ていらっしゃいますね。これはやっぱり職業上の経費じゃございませか。そうお思いになりますか、なりませんか。あっちの答弁はいいですから、総理の方にお伺いいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) やっぱり汎用品の性格を持っておると思います。
○青木茂君 ハンヨウヒンというのは半分という意味ですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) あまねく使うということです。
○青木茂君 あまねく職業上で使う。職業生活以外の面でもそれは使いますわな。使うけれども、それは自営業の人が光熱水道費を家事費と家事関連費に分けるよりこれは技術的に分割できるはずですね。ですから、どうなんですかね、やっぱりお互いのことなんだから、総理の税金も減るんだから、ひとつサラリーマン共通の悲願なんだから、そこまで踏み込むような御指導を願えませんかね。
○国務大臣(中曽根康弘君) 主税局に聞いてみますと、やっぱり制服とか、あるいは銀行で使う女子職員のああいう制服とか、ああいうものはどうも入るらしいんですけれども、日常どこでも使うという、映画へ行ったときも着る、商売しているときも着る、そういうものはどうも汎用品的性格を持っていて、お認めにならぬような、そういう情勢だろうと思います。
○青木茂君 主税局に伺うとそういうことなんですよ。それは確かにそうなんですよ。ただ、理屈から考えて、職業上で着ていることは間違いないんだから。そうしたら、例えば減価償却なり消耗品扱いなり、それから生活部分があるというなら、分けて職業部分だけを必要経費にするというのは、私は論理としておかしくはないと思うんですけれどもね。主税局というのは頭がかたいからだめなんです。頭のやわらかい中曽根総理に伺っているんです。
○国務大臣(中曽根康弘君) 必要経費論というのはずっとサラリーマンの皆さんがお訴えになっていることで、私は考えなきゃならぬ要素もあると思っております。ただ、今おっしゃるところまでそれを考えていいかどうか、その辺は検討課題であると思います。
○青木茂君 まあ門前払いよりは検討課題の方がそれはよろしいですけれども、前向きのひとつ検討課題に願いたいと存じております。
 それからもう一つ伺いたいんですけれども、同じ私どもの調査で、サラリーマン減税をやっていただく場合の財源ですね、財源につきましてどう考えるべきなのかという調査結果を見ますと、何よりも行政改革だ、これが六七・八%ございます。それから第二点は、脱税の摘発が非常になまぬるいんではないか、脱税摘発の強化というのが五〇・三%ございます。これに対して、巷間言われておりますいわゆる大型間接税は一九・九%、大分下がっております。それからマル優の撤廃というか見直し、それが七・八%という意識調査の結果が出ております。
 これから定性的に税金の抜本的な見直しをやっていただいて、それから財源措置だということなんですけれども、定性的な財源、定量は後の問題として、定性的な財源を今の調査結果なんかから見まして総理はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これも今税調でこれ
からやろうというところでありますから、私が先行して申し上げるのはこの際差し控えたいと思います。
○青木茂君 これはこの大蔵委員会で終始出ておるんですけれども、国民から選ばれた大蔵委員会よりも、王権神授説だか何か、税調さんの方が先行して――税調さんが早く出していただいて、そして我々がゆっくり議論する時間的余裕があればまだそれもいいけれども、年末にぽんと出して次の年と言われても、これは審議する我々時間的余裕がないんではないか。それではどうも国会としておかしいんじゃないかというのは、これは私だけでなしに委員皆さんのお持ちのところだから、まあ税調以上のことをおっしゃれないという立場はわかりますから、これ以上やめておきますけれども、しかし、税調オールマイティー論というものは少し考え直していただかないと、何となく我我の審議自体がむなしいという感じを持っておるということだけあれして終わります。
○委員長(山本富雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○竹田四郎君 私は、日本社会党を代表し、議題となっております租税特別措置法案に反対いたします。
 以下、時間の関係上、数点のみにわたって理由を述べます。
 第一は、現下の国際、国内の経済情勢の現況から見て、本年度こそ税制の抜本的改正を行い、二兆三千億円以上の大幅な減税を行うべきであります。本年度の税制改正は小規模にとどめたものであって反対であります。
 第二は、住宅減税は不徹底であり、今日、住宅建設こそ内需拡大の大きな柱とすべきであります。同時にまた、この措置は特定の一部の者のみを対象とするものであり、土地政策を含め抜本策を講ずべきであります。
 第三は、赤字法人に対する欠損金の繰越措置の一部停止は不当なものであります。赤字法人は中小企業が大部分であり、円高や貿易摩擦の影響による被害が甚大であります。たまたま黒字になったとしても、それは正常な経営によって生み出したものではなく、赤字対策上の臨時に資産を処分して借金等を支払った残額のものが多いと言われています。中小企業は、法人税の上積み分も継続され、欠損金の繰り戻し還付措置なども引き続き停止中であります。
 第四は、たばこ消費税であります。事前に政府税調に諮問することもなく、民営化されて間もない、また外国たばこの激しい競争を挑まれている日本たばこ産業株式会社にとっては寝耳に水の出来事であり、本委員会の附帯決議の趣旨等から見ても不当であり、反対であります。
 第五は、東京湾横断道路建設会社関係の特別措置は、十分な事前の準備もなく、将来の安定した経営の検討もなく建設に踏み切ったことは不適切であります。関連交通体系、東京湾の安全環境を精査の上対策を立てた後でなければならないと考えます。
 第六は、エネルギー基盤高度化設備投資促進税制については、石油価格の値下げ、為替差益のある現在、逆に撤廃すべきものであると考えます。
 以上で討論を終わります。
○矢野俊比古君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行うものであります。
 当面の我が国財政は、歳出面において国債残高の累増に伴い、利払い費を含む国債費が一般歳出の圧迫要因となっており、他方、歳入面では最近の円高の影響もあって、経済成長率の鈍化は否めず、その結果として、税収面では多くの自然増収を見込み得ない状況にあります。このような厳しい財政状況の中で、可能な限り公債発行額を圧縮するとともに、財政再建への着実な歩みを続けていかなければなりません。
 本法律案におきましては、引き続いての租税特別措置の整理合理化による公平の確保と、六十二年度抜本見直しを控えて、その妨げとならない範囲内において、住宅減税による内需拡大、民間活力の活用を図るなど、各般の政策的要請にこたえるために最大限の改正が行われております。
 まず第一は、住宅取得促進税制の拡充強化であります。
 住宅建設、土地の有効利用については従来からも種々の税制上の措置が講じられてきたところでありますが、今回は、対外経済摩擦への対処をも念頭に置いた内需拡大策の一環として、住宅取得をより一層促進する必要性からとられたものであって、時宜を得た適切な措置であると認めるものであります。
 第二は、民間活力導入等のための措置であります。
 東京湾横断道路の建設に関し、特定会社に対して法人が出資を行うについて、一定の要件のもとに、その出資額の一〇%の所得控除を認め、資金調達の円滑化を図っております。
 その他、民間活力導入のためのプロジェクト構想についての施設のうち、一定のものについて取得価額の一三%の特別償却制度を創設しておりますが、これらは内需拡大に大いに寄与するものと期待されるところであります。
 第三は、法人税の特例についてであります。
 今回、欠損金の繰越控除制度の特例措置を講じておりますが、これは全法人の半数以上が赤字法人であるという実態及びこれらの赤字法人における諸般の経費の支出状況を踏まえてとられた措置であり、また、法人税の臨時税率について、その適用期限をさらに一年間延長することとしておりますが、これらの措置は、いずれも現在の厳しい財政事情のもとにあってやむを得ないものと考えます。
 最後に、たばこ消費税の税率の引き上げについてであります。
 一年間限りの措置として、紙巻きたばこ等の従量割の税率を千本につき四百五十円引き上げておりますが、補助金の整理合理化を行うに当たって地方財源充実のための臨時異例のやむを得ない措置と言わなければなりません。
 以上の理由により。本法律案に対する私の賛成討論といたしますが、政府におかれましては、これまでにも増して財政収支の改善に努力されますとともに、来年度に向けて税の抜本的な見直しを図り、税に対する国民の信頼を確保されんことを期待いたしまして、私の討論を終わります。
○鈴木一弘君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております租税特別措置法の一部を改正する法律案について、反対の討論を行います。
 現在我が国経済が直面している課題は、対外的には貿易摩擦を解消するための数々の問題が山積し、対内的には急激な円高による経済への影響にどう対応するか、しかも財政としては依然として悪化の一途をたどっているのをどのようにして再建するか等々、難問が横たわっております。
 しかるに、昭和六十一年度予算とそれに関連しての税制改正におきましては、これらの山積する課題に対して、共通して有効な政策手段である内需拡大のための施策が余りにも消極的過ぎることを指摘せざるを得ません。しかも、六十年度の補正予算編成の段階で税収不足は四千億円強に達し、現在ではさらにこれが拡大する懸念が深まっているのでありますが、六十一年度においては民間の各調査機関の予測をはるかに超えた高い経済成長率をもとに税収が算出されており、これが急激な円高の到来によってさらに巨額の税収不足が生じることは火を見るより明らかであります。こうした状況に十分対応できる対策をとるべきでありますが、その点が不十分であることをまず指摘したいのであります。
 反対の第一の理由は、国民各層がこぞって要求
してきた減税要求を昨年に引き続いて見送り、実質上の増税を行っていることであります。
 二つには、今回の税制改正の目玉だと言われる住宅減税にしても、その効果は疑問であり、民活の名称で措置しようとしている東京湾横断道路建設に関しては、その内容は民活の名に値しないとさえ思われます。
 三つには、赤字法人への課税強化のための欠損金の繰越控除制度の一部停止は、課税理論上からも全く不合理きわまるものと言わざるを得ません。この控除制度は、法人企業の継続性を維持強化するために当然の制度として認められているものであります。時あたかも、急激な円高によって輸出関連の中小企業はその存立さえ危ぶまれているというのに、これに追い打ちをかけるがごとき課税強化策は直ちに撤回すべきであります。
 四として、大衆課税であるたばこ消費税の引き上げの暴挙であります。税調答申でも触れられていないたばこ消費税を、財源対策のため、予算編成の瀬戸際で行うとは国民不在の行為としか言えません。国民の税制への不信感をますます深めるものであり、断じて認められないのであります。
 以上の諸点から今回の租税特別措置法の改正案に反対し、討論を終わります。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法の一部改正案について反対の討論を行います。
 まず第一に指摘しなければならないことは、政府は内需拡大と言いながら、その最も有効な施策である所得減税を見送り、勤労者に重い実質増税の負担を押しつけていることであります。
 勤労者に対する所得減税が見送られる一方、本法案では民間活力の名のもとに大企業、大資産家には数々の減税措置が盛り込まれております。その典型が東京湾横断道路建設に係る割引債の発行と出資控除制度の新設であります。民間企業にこのような特別措置が認められるのは極めて異例のことでありますが、そればかりか、道路開発資金による無利子融資や低利の開銀融資など税、財政金融からの二重、三重の手厚い優遇措置がとられているのであります。この結果、新日本製鐵などJAPIC傘下の一握りの大企業は、わずか二百億円の出資で一兆一千五百億円の事業を確保し、利潤をむさぼるとともに、完成すれば、採算に合わないことが自明なことから、これを道路公団に引き渡し、ツケを利用者や国に押しつけようとしているのであります。これが中曽根内閣の民間活力の実態なのであります。
 本法案では、このほか、民間活力の名のもとに、民活関連施設特別償却制度、エネルギー基盤高度化設備投資促進税制、電線地中化特別償却制度、民鉄整備準備金制度、土地信託税制等々、数数の大企業向け特別措置が新設されているのであります。これは、税制の不公平を一層拡大するものであり、租税特別措置整理の政府の方針にすら反する全く不当な措置であると言わざるを得ないのであります。
 さらに問題なことは、本法案において、不足する財源のつじつま合わせのために、たばこ消費税が引き上げられ、また赤字法人課税の突破口が開かれていることであります。
 たばこ消費税の引き上げは、一本につき一円、一箱で二十円の引き上げとなりますが、間接税の引き上げであり、低所得者の家計を圧迫するものであります。
 また、欠損金の繰越制度の一時停止措置は、赤字企業が努力してやっと黒字になっても直ちに税金で持っていかれることになり、赤字企業の大半を占め、今日円高不況のもとで苦しい経営を強いられている中小企業にとっては、泣き面にハチの措置であると言わなければなりません。
 最後に、本法案で移転価格税制が設けられたことは、タックスヘーブン対策などとともに、大企業の国際取引に関して適正に課税することを求めてきた我が党の提案に沿うものとして歓迎するものでありますが、外国税額控除を利用した課税逃れに対する規制など、多国籍企業の国際活動に対するなお一層の抜本的な対策を制度面、体制面から強化することを求めるものであります。
 以上をもって反対の討論といたします。
○栗林卓司君 私は、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、財源対策のためにまことに安易に増税に踏み切った点であります。また反対理由の第二は、法案提出の順番が違う点であります。
 特別措置は本則に対する特別措置でありますが、現在、本則そのものが税制全般にわたる抜本的見直しの対象となっているのであります。本則そのものが検討過程であり、流動的である今日、その本則に対する特別措置を議論することはまことに意味をなさなくなってきたと言うほかはありません。
 今政府がなすべきことの第一は、抜本的見直し作業を一日も早く完結させることであります。そして、その結論を国会に一日も早く提出することであります。それなしに租税特別措置法の一部改正案を提出することは、国会に対する礼を著しく欠いたものと言わざるを得ません。
 この点を強調して、反対討論を終わります。
○委員長(山本富雄君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認めます。
    ―――――――――――――
○委員長(山本富雄君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、伊江朝雄君及び桑名義治君が委員を辞任され、その補欠として出口廣光君及び服部信吾君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(山本富雄君) それでは、これより採決に入ります。
 租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山本富雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、竹田四郎君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田四郎君。
○竹田四郎君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブ及びサラリーマン新党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    租税特別措置法の一部を改正する法律案
    に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一、税制の改革に当たっては、社会経済情勢の変化と将来の展望を踏まえつつ、可能な限り関連資料の提示に努めるとともに、幅広く意見を聴取し、国民の理解と信頼が得られるよう適正・公平な租税制度の確立に向けて鋭意努力すること。
 二、各種の租税特別措置については随時見直しを行い、そのあり方について基本的な検討を行うこと。
 三、退職給与引当金、貸倒引当金等の繰入率等について、引き続き実態に即した見直しを行うとともに、退職給与の保全措置についても検討を進めること。
 四、欠損金の繰越控除制度の一部停止については、諸情勢の推移を踏まえつつ、今後さらにそのあり方の検討を進めるとともに、本措置に伴う納税資金の融資についても配慮すること。
 五、利子・配当課税については、郵便貯金を含め、今後ともその適正・公平な課税がなされ
 るよう、引き続き検討を行うこと。
 六、複雑、困難であり、かつ高度の専門的知識を要する職務に従事する国税職員について、変動する納税環境、財政再建の緊急性、業務の一層の複雑化及び税務執行面における負担の公平確保の見地から、職員の年齢構成の特殊性等従来の経緯等に配慮し、処遇の改善、職場環境の充実及び要員の一層の確保に努めること。
 七、たばこ消費の停滞、外国たばこ産業の本格参入等、我が国たばこ産業がおかれている厳しい情勢にかんがみ、昭和六十二年度以降のたばこ消費税のあり方については、今次のたばこ消費税の税率引上げが臨時異例の措置であることに配意しつつ対応するとともに、現行の製造たばこの関税率水準及びたばこ事業法の製造に関する規定については、これを維持するよう努めること。
 八、専売改革法成立時の附帯決議の趣旨を踏まえ、たばこ産業の健全な発展を図るため、日本たばこ産業株式会社の経営の自主性を尊重し、新規事業の合理的、積極的な拡大に十分配慮するとともに、日本たばこ産業株式会社は、関係産業の雇用、生活の不安解消のために早急かつ積極的な対応に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
○委員長(山本富雄君) ただいま竹田四郎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山本富雄君) 全会一致と認めます。よって、竹田四郎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
○委員長(山本富雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(山本富雄君) 次に、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題とします。
 本案は、本日の委員会の冒頭に趣旨説明を聴取いたしましたので、これより直ちに質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○竹田四郎君 大蔵大臣、質問に入る前に、先ほどそこでお立ちになりまして、附帯決議の趣旨を尊重して配意しますと、こういう御答弁をなさったんですが、この附帯決議案ができるためには、各党の意見を出しまして、その中で特にその文案については大蔵省からいろいろ注文が非常につくわけであります。その注文も、これは法律違反ですからだめですよという注文ではないわけですね。こうしてくれなくちゃ困るというような注文が非常につくわけですね。まあ大体私どももそれを受け入れているわけですね。しかし、その結果というのが余り反映していないですね、その後の政策に。ひどいのになりますと、局長さんで附帯決議を忘れちゃっているというような人もおありなんですよね。
 こういうことで、せっかくここで附帯決議に時間を割き、そして大蔵大臣もそれについて十分に配意します、こういうふうな御答弁をいただいているんですが、十分に配意した割にはその附帯決議の事項というのは余り実施されていないんですが、どうもこの辺がお互いに形式に流れているような気がするし、特に大蔵省の方は、そのとき通れば後はどうでもいいんだ、忘れてもいいんだというようなことでは、これはまことに附帯決議をやる意味がないんですが、その辺について大蔵大臣ここでひとつ、先ほどの御答弁が非常に歯切れのいい御答弁があったんですが、これについてもひとつ歯切れのいい御答弁をいただきたいと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 附帯決議というのは本当に、ある人がある時期に、これは附帯決議程度のものにしようという言葉を使って、私も大変怒りを感じたことがございます。
 確かに附帯決議というのは、その委員会等で出された問題点を大体全部集約されて、それに対して行政当局も入って、これはここまで書かれると誤解を受ける、範疇を超すことになる、だからこの程度までにしてもらいたいとかいうようなお願いをしながらつくっていただくものでありますし、きょうの附帯決議を見ておりますと、納税資金に対する融資の問題なんかは衆議院でなかった性格のものも入っておりますので、ははあなるほどなと思って感じておりました。
 だから行政当局としては、附帯決議というものはいつでも、法を執行するに当たってその背中に重い重い、荷物という意味じゃございません、いい意味における重い責任として背負って歩くべきものであろう。私も国会の子でございますから、そんな感じを素直に申し述べます。
○竹田四郎君 非常に歯切れのいい御答弁をいただきまして、今後非常に期待を申し上げます。
 以下関税の方の質問に入ります。
 今度の革・革靴についての関税割り当ての問題ではなかなか相手がきつくて大変だったとは思います。ここまでこぎつけたことについての御苦労については感謝をするわけでありますけれども、しかし、この対象の業者というのは非常に零細な人たちが多い、特にメーカー関係は非常に零細な人が多いし、また靴つくりの労働者というのも高齢化している人たちが多い。
 こういうことでありまして、今までも何回か革の問題については日米間でも問題になったわけでありますけれども、今度これで協議ができたということでございますが、本当に国内のなめしあるいは靴をつくるメーカー、そういう方面とは完全な了解が得られたのかどうなのか。ある面ではどうも押しつけたんではないだろうか、泣かせたんではないか、こんな感じもしますけれども、その辺はいかがですか。
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘のとおり、皮革産業あるいは革靴産業はいわゆる同和対策地域の中心的な産業でございます。その上に、先生御指摘のように零細性が高く、かつ合成皮革等の進出によりまして需要の低迷に悩んでいるというように大変難しい状況にあるわけでございます。
 しかし他方、ガットの場におきましては、皮革についてはガット違反であるという判定を下され、また靴につきましても遠からず同様な判定を下されるに違いないというような状況に追い込まれまして、その間隙をいかに解決するかということで、政府内でもいろいろ協議をいたしました結果、関税割り当て制度というような選択をいたしたわけでございます。
 この過程におきまして私どもも本当に何度も何度も関係業界と意見交換を進めてまいりました。もちろん、自由化を避けたい、何とか今の状況を維持したいというような空気は強かったわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような国際的状況を次第に御理解をいただきまして、歯切れは必ずしもよろしくないわけでございますけれども、いずれの業界も、どうしても自由化という方向に進むのならば関税の強化をしてもらいたい、その際の強化の中には関税割り当て制度も含みます、むしろ関税割り当て制度がまあセカンドベストだというような雰囲気の要望書等も御提出いただいたわけでございまして、私どもといたしましては、完全に歯切れよく御了解いただいた
とはなかなか申し上げにくいんでございますけれども、やむを得ざる方針、やむを得ざる決定というぐあいにはお受けとめいただいておるんではなかろうかと思っておるわけでございます。
○竹田四郎君 今度の関税割り当てで、一次税率で、靴でありますけれども、靴の割り当てはどのくらいで、今までの輸入の実績というのはどのくらいの数量になっているんですか。
○政府委員(浜岡平一君) 最終的な割り当て数字は法律を成立させていただきました後関係政令で定めるわけでございますが、今回の御提案を申し上げております法案の中で基準量というようなものが掲げられているわけでございます。この基準量は二百四十五万足でございます。恐らく今後決定をいたします昭和六十一年度の一次枠は、この数字にさせていただければというぐあいに思っているわけでございますが、この数字につきまして若干御説明を申し上げます。
 現在革靴の国内生産量、これは既に自由化されておりますスポーツ靴を除きまして約七千万足でございまして、これに対する比率は約三・五%程度でございます。
 なお、現在の数量制限制度でございますが、これは従来金額ベースで割り当てを行っておりましたので、直接の比較は困難でございますけれども、従来の割り当て枠を数量に換算をいたしますと約百九十万足前後ではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、これに対しましては約三割程度の増量というようなことになるわけでございます。
○竹田四郎君 そうすると、実際の輸入量と割り当て量はかなり、五十万足ぐらいですか、ここで差が出ておりますね。この二百四十五万足というのはどういうふうな割り当てをしていくんですか。何か先着順ということの話もあるんですが、先に書類を出せばそれでいいのか、あるいは何か輸入契約書というようなしっかりしたものをつくって出さないと受け付けないのかというようなことでありますが、その辺はどんなふうな割り当てをやっていくのか、その辺のやり方を教えてください。
○政府委員(浜岡平一君) 昭和六十年の実績で靴の輸入量は約百万足でございます。今後この一次枠につきましてどういう割り当て方針を適用していくかということでございますが、従来の輸入数量制限よりも、これはいわばガットのルールに沿った透明性のあるものとして運用されていくわけでございますので、やはりできるだけわかりやすいものというような考え方が政府部内にもございますし、また国際的な要請でもあろうかというぐあいに思っております。
 しかし他方、既存の流通秩序あるいは輸入体制を混乱させるのも問題でございますし、また、既に実績のある人がこの枠を消化していく能力が基本的には高いというぐあいに判断をすべきではなかろうかと思っております。したがいまして、私どもは、実績者に対しまして適正な配慮を払いながら、基本としましては先着順というような考え方で運用していったらどうかというぐあいに思っておるわけでございます。いずれの実績者につきましても、あるいは先着順で対応いたします場合にいたしましても、やはり枠の消化の確実性というような配慮が必要であろうかというぐあいに思っておりますので、やはりその際の判断のベースといたしましては、輸入契約の存在というものを置くべきではなかろうかというぐあいに思っておる次第でございます。
○竹田四郎君 私は余り靴関係のことはよくわからないんですが、最近は非常に安い靴が輸入をされる。あちらこちらで靴のバーゲンというのが大大的に行われているということでありまして、スーパーでもデパートでも、一カ月に四回や五回ぐらいは靴のバーゲンが行われているという状況だと思いますね。
 そういう状態の中で、メーカー関係と流通関係の結びつきというのはどんな結びつきになっているんですか。私なんかが伺っているところを見ると、前近代的な問屋資本的な形で従属されている中小メーカーが多いというわけですが、大きいメーカーは大きいメーカーであろうと思いますけれども、特に零細なメーカーが多い中ですから、その辺の関係はどうなっているんですか。
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘のとおり、靴業界の中もかなり経営基盤のしっかりした企業と、いわば手細工的な手法に頼っている企業とございまして、かなりバラエティーがあるわけでございます。いわゆる機械靴メーカーと言われるような分野におきましては、かなり流通段階とのネットワークというようなものを整えている企業もあるわけでございますけれども、大多数の企業は、御指摘のとおり、流通段階につきましては、流通業者のいろいろな判断なりあるいは方針に従っているというようなものが多いわけでございます。
 私どもは、靴というようなものはまだまだ日本の生活環境あるいは私どもの感性といいますか、そういったものにマッチするような対応ができるのではなかろうかというぐあいに思っております。そういう意味で、先生御指摘のように、生産段階と流通段階の結びつきというようなものをもっと緊密にしていく必要があるのではなかろうかというぐあいに考えております。
 今回のこういった業界を取り巻く環境の変化に対応いたしまして、私ども振興策を一段ときめ細かくやってまいりたいと思っておるわけでございますが、例えばそういう技術振興策の一環としまして、ややソフトな話になってくるわけでございますけれども、靴のイージー・オーダー・システムというようなものを取り込んでいくというようなことで、流通段階と生産段階のリンケージを高めていくというような発想も一つの発想としてあるのではないかというぐあいに思っているわけでございまして、この面につきましては、先生御指摘のように、今後格別の工夫と創意が要るのではなかろうかというぐあいに思っている次第でございます。
○竹田四郎君 そういう今度の関税割り当てによって余計小さなメーカーが不利益をこうむる、あるいは仕事ができなくなる、そういうようなことに対して具体的に中小企業に対するどういうふうな措置をおやりになろうとしているのか。今ちょっと技術のお話が出ましたけれども、この前も事業転換の中小企業対策をやるということになったらアメリカが随分怒りまして、輸出補助金がということで大分怒ってきましたけれども、そういう小さなメーカー、流通業者、そういうものに何か援助をするということが、また再び向こうから抗議を受けるというようなことはございませんか。どうなんですか、その辺は。
○政府委員(浜岡平一君) 革産業あるいは靴産業をめぐります諸問題につきましては、これまでに随分と、もう十年、十五年と日米間で話し合いが続けられてきているわけでございます。御指摘のようないろいろな特別の事情というようなものも、アメリカ側には口が酸っぱくなるぐらい説明をしてきております。
 その交渉の過程でのアメリカ側の言い分といいますのは、日本側の事情は理解できないことではない。ただ、それはいわゆる貿易政策あるいは通商政策面で対応するよりも、むしろ国内対策で対応すべきではないかというようなことを再三申してきているわけでございまして、私どもといたしましては、この分野の新しい環境への適応につきまして国内対策面で対策を講じていくということにつきましては、米国サイド等におきましてもそれなりの理解を持っているのではなかろうか、持ってくれるのではなかろうかというぐあいに思っているわけでございます。
○竹田四郎君 私どもこの革の日米交渉を見ておりまして、まあよくこれだけアメリカの言い分を聞いたな、国内には随分無理をさせているな、こういうふうな感じで、一番最初の質問にもありましたように、特に関係業界がこの点で了解したかどうかということを私はあえて言ったわけでありますけれども、そのくらい譲歩をしてもアメリカのこれに対する対応というのは余りよくないですね。関税を引き上げたりしているようなこともや
っているように伺っているんです。
 どうなんでしょうか。こういう形でこれからこちらの弱いところをぎゅうぎゅう言わして、そして向こうの言い分を通させるというようなやり方が、下手をすると、これを一つの契機にしてこれからもこの手法でやってこられる可能性というのはありませんか。その辺は余計広がっていくという心配があるような気がするんですが、その辺はどう考えたらいいですか。
○政府委員(浜岡平一君) 確かに最近の米国通商政策、御高承のとおり、諸外国の不公正あるいは差別的な制度、政策等に対しまして、向こう側の通商法の三百一条を使いまして厳しい対抗措置を適用するという姿勢でその除去を求めるというような仕組みを導入しつつあるということは、御指摘のとおりでございます。ただ、こうした新しい政策も、輸入制限制度でございますとか輸入課徴金とか、より保護主義色の強い諸政策を導入することを主張いたしております米国議会へのいわば対抗案として米国行政府が導入をいたしておるものでございますので、私どもは、まず基本的にはそのポジションというものを理解をしていく必要があろうかというぐあいに思っております。
 ただ、そういう判断に立つといたしましても、この手段を適用してまいります分野分野にそれぞれの事情もあるわけでございまして、一律に評価をするのは大変難しいと考えております。このケースの場合には、多年ガットの場で論議をされてまいりまして、先ほど御説明申し上げましたように、まあほぼ黒というような判断を下されているというようなかなり苦しい事情がございました。また、米国側の全面自由化の要求にどうしても対応することができないというような限界もございまして、土壇場ではやはり向こう側の三百一条によります報復措置か、あるいは日本側からの代償の提供かというような選択を迫られたわけでございます。
 私どもといたしましては、今回の代償は確かに決して軽いものではない、かなり苦しい過程で捻出をしたものだというぐあいに思っているわけでございますけれども、ただいま申し上げましたような総合的な状況を判断をいたしてみますと、大局的に見れば、やはりこういう解決ができたということは、万々歳とはなかなか申し上げにくいのでございますけれども、現在の状況下においてはまあまあ評価すべきものと言えるのではなかろうかと思っている次第でございます。
○竹田四郎君 浜岡さん、かつて私、十年ぐらい前ですが、アルゼンチンへ行ったときに、アルゼンチンは革の国だということで、あそこで靴を一足求めたことがあります。店へ行きますと専門の店員が出てきまして、腰かけてくださいと、それで靴を乗っけるような台を持ってまいりまして、そこへ足を乗っけてくださいと言って、こちらの足型からいろいろなサイズを全部はかって、その資料を持って倉庫へ行って、その靴を出してきて履かしてみて、あちらこちらさわりまして、これでうまくいっているかどうかというふうに、足に十分フィットしてくれるんですがね。日本の靴屋へ行くとそうじゃないですね。履いてみてください、合わせてください、まさに靴に足を合わせろということで履いてみてください、こういうことだと思うんです。これは皆さん同じような経験だと思うんですね。
 話を聞きますと、英国もかつてはそういう形であったけれども、英国人の足に合った靴をつくろうということで非常に技術的な勉強をしたというんですけれども、日本人の足というのは特に特有の足だ、こう言われているわけですね。ところが今安い靴がじゃんじゃん入ってくる。高級靴はイタリー靴とかフランス靴だ、安いのは台湾靴とか韓国靴とかメキシコ靴だとかいうのがどんどん入ってくる。そういう中で、本当に日本人の足型の靴をつくるということが一体できるのかどうなのか。これをやっぱりある意味ではさせなければ、日本人の足はあっちにたこをつくったり、こっちにまめをつくったりして歩かなきゃならぬという靴を買わされるわけであります。
 そういう意味では、靴業界というのを少し技術的水準も高くして、やっぱりちゃんと足に合った靴を履かしてくれる。昔の軍隊みたいに、おまえの足を靴に合わせるというような、そういう伝統があるのかどうかは知りませんけれども、その辺はもう少し通産省としても、皮革・靴メーカー等を指導する、技術的な水準を高めるというようなことはできないでしょうかね。
○政府委員(浜岡平一君) 全く同感でございます。私どものなすべきところがまだまだ大きい分野ではなかろうかと確かに思うわけでございます。
 輸入対策といたしまして波打ち際で何らかの手だてを講ずるということは、緊急的な対応といたしましてはやむを得ないことと思うわけでございますけれども、基本は、先生おっしゃるように、日本人のフィーリング、日本人の生活感覚にマッチしたものが日本で供給されるというようなことになるのが一番の輸入対策であろうかと思うわけでございます。そういう意味で、私どももかねがね関係業界の方々に、ややオーバーな表現ではございますけれども、日本人の日本人による日本人のための靴をつくるという方向に進もうじゃないですかというようなことを御提案を申し上げている次第でございます。
   〔委員長退席、理事矢野俊比古君着席〕
 幸い、昭和六十年度の補正予算におきまして、皮革関連産業の経営安定のための債務保証基金といたしまして、国の予算で三十億円、補助率が六分の五でございますので、合計をいたしますと三十六億円の基金を新しく造成することをお認めいただいたわけでございます。この基金の果実が、現在の金利でございますと、約二億円年々生まれてくるわけでございますけれども、私どもはこれをぜひ技術振興に使いたいというようなことで、既に関係業界等にもその考え方を示しているわけでございます。
 その中で、先ほどちょっと申し上げたわけでございますけれども、靴のイージーオーダーシステムを開発をしていこうとか、それから今御指摘の足型の研究を徹底的にやってみようとか、あるいはデザインあるいは靴の皮革製品の品質評価方法といったものを確立していこうとか、そういったアイテムも今後の課題として掲げているわけでございまして、先生御指摘の方向に沿いまして私どもも一生懸命知恵を出してまいりたいというぐあいに思っておる次第でございます。また、関係業界でも先生御指摘ような方向での機運というものが非常に強くなっておりますし、また、あの分野で働く労働者の中からもそういう声が非常に強く出てきておりますので、非常に大きな課題だと思っております。
○竹田四郎君 大蔵大臣どうなんですか。そういう点で、確かに補正予算で組んだ額は三十億くらいのものだと思うんですが、最初だから仕方がないと思うんですね。
   〔理事矢野俊比古君退席、委員長着席〕
 米が生活上、口から入って体を養うものだとすれば、靴というのはやっぱり一番基盤で、人間が立っている一番下にあるものですからね。その辺は、すぐ出すかどうかは別としましても、もう少し履物というものに対して通産省が真剣に考えるなら、大蔵省もその辺では援助してやるべきじゃないかと思うんですがね。今のお話聞いていて、竹下さんどういうふうにお考えでしょうか。ちょっと感想を伺わせてもらいたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 全く靴業界なんというのは私は素人でございますが、浜岡さんの話を聞いておって、一生懸命でやっておられるなという気持ちはいたく私にもわかったような気がいたします。具体的などのような手法があるかというようなことを申し述べるだけの知識を持っておりませんけれども、十分協議すべき課題だと思っております。
○竹田四郎君 それでは次の問題に移っていきたいと思います。
 先ほども私ちょっと討論の中で述べましたし、租税特別措置の中でもその関係で申し上げたんで
すが、石油は安くなる、輸入するものは円高で安くなる、こういう状態で、去年の今ごろは総理はテレビへ出て、パネルを持って、輸入品を買いなさい、輸入品を買いなさいというふうに言われたんですけれども、そんなに輸入品が国内で売れているようにも思えませんけれども、それは結局高過ぎるからじゃないですか。結局為替差益がどこかへ吸い取られてしまっているというようなことで、なかなか我々の手に入ってこないし、あるいは今度はいろいろ輸入品の認証について自己責任を押しつけてきている。今まではあるところで見てくれた。肉なんかは厚生箱が一応検疫してくれるというようなことで、国民が安全にそういうものを使用できたわけですが、これからは、貿易摩擦ということで、例えば電気製品なども自分で、メーカーがそれはひとつ安全度を確認しなさいよというような形ですわね。そういう中で入ってくる。
 だから本当の安全度というものはわからないという不安があるから、それなら安全度のわかったものを使おうじゃないか、それは国内品でもいいじゃないかというようなことも非常にあると思いますね。それからアフタ一サービスの面もあると思うんですが、基本的には、そういうことを含めて、どうもこれだけ円高になって、片一方では日本の貿易黒字をやって、もっと輸入しろ、輸入しろと言われているんですが、輸入されたものを容易に買えないということですね。この辺は何か改善されているんですか、具体的に。その辺をやっぱりやっていかないと買えない、したがって輸入もふえない、こういうことになると思うんですがね。それが向こうにとってみれば、ある程度、日本はまだ市場開放していないというような形で押しつけられてくるという面が私はあるように思うんですがね。どうなんでしょうか、その辺は。
○政府委員(北村恭二君) いわゆる円高あるいは原油価格の低下ということは、我が国経済にとって輸入の支払い額が減るという意味でかなりプラス面の効果があるわけでございますので、そういった効果ができるだけ日本経済の活性化ということにつながることが必要だろうと思いますし、それは具体的に申しますれば輸入品が安くなる。製造過程で申しますれば原材料とかそういうものが安くなるという面もございますし、それから個々の実際の製品が安く入ってくるということで、家計の何といいますか、消費の拡大につながるといったようなことが期待される面もございまして、できるだけ基本的には国民に利益の還元、そういったメリットの還元ということが輸入価格の低下を通じて均てんするということが必要だろうと思います。
 現に輸入物価等がなり下がってきているわけでございまして、そういった効果が本当に国民生活にプラスになるというようなことを期待しているわけでございまして、公共料金的なもの、政府が関与しているような価格というような点につきましては、いわゆる物価対策といったような観点からも十分その点を注視してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○竹田四郎君 大蔵大臣、今の北村審議官のお話ですと、政府の関与するものだけにはそうやっているというんですが、これはある意味じゃ国難ですよね。ですからそれは政府として、あれだけ輸入品を買え、輸入品を買えと言って、総理がセールスマンになってやってからもう一年もたっているんですから、もう少しその対応というのはあっていいと思うんですがね。これじゃ総理が物を言ったってだれもそれに従わない、こういうことだと思うんですが、もう少し何らかの措置を政府としてやるべきじゃないですか。
○国務大臣(竹下登君) 幸い通産省からも企画庁からも専門家が来ておるようでございますので、私からはまことに大ざっぱな話でございますが、私どもも確かに相当なタイムラグがあるということはわかっておりますけれども、この間久しぶりに美術展がありまして百貨店へ参りましたら、輸入品でこれだけ価格が下がったという展示がしてありまして、初めて何かメリットが出たというような感じがいたしました。
 昨年来いろいろやっていただいております流通機構の問題とか、まだまだやらなきゃならぬこともたくさんございますし、基本的にいつも感じますのは、特に議員外交というのが最近盛んになりましたが、日本の国会議員の方はある意味で言うと非常に幅広く見ておられる。えてして、あれは小選挙区のせいかどうか知りませんが、それも一つの理由かと思いますが、自分の地域の産業だけをもとにして議論をなさる外国の国会議員さんも非常に多いなという感じはいつも抱きますので、これからは、これは率直な私の感じでございますけれども、今そういう構想も超党派で進められておるというふうに聞いておりますが、議員外交も姉妹都市とかそういうものを中心にしてもっとやっていかぬと本当の理解というものは、ワシントンへ僕らが行って話ししておるだけでは本当の国民感情の底にまではなかなか入れないなという印象はいつも強くしております。
 非常に大ざっぱな私の感想だけを申し上げた次第であります。
○政府委員(浜岡平一君) ただいま先生お話ございました消費財の大半が私の所管の分野でございますので、私なりに若干申し上げさせていただければと思うわけでございます。
 確かに、製品輸入の拡大に際しましては流通機構の問題というのは非常に大きな問題点であろうかと思います。現在、私どもはもちろんでございますが、経済企画庁を中心に政府部内で輸入と流通機構の関係につきまして実態解明、それから問題点の掘り出しというようなことに鋭意力を注いでいるところでございます。また流通機構の姿につきましても、チェーンストアでございますとかあるいはスーパーストアでございますとか、そういった非常に開放的な姿の流通機構というようなものを拡大をしていくというようなこともまた極めて重要な課題でございます。さらには、輸入のルートにつきまして、いわゆる総代理店制を見直しまして、並行輸入というようなものを拡大をしていくことが有効な分野等も多々あろうかと思うわけでございます。
 それからまた他方では、先ほどちょっと私が申し上げましたこととちょっと微妙にすれ違うような部分もあるわけでございますけれども、やはり日本人の好みあるいは日本のマーケットの特性といったようなものを十分知ってもらうこと、それにマッチした商品を開発し供給していただくこと、これがやはり輸入拡大につながっていくんだろうと思うわけでございます。余り何もかも全部教えちゃいますと物すごく輸入がふえるという若干の苦しみがあるわけでございますけれども、やはりジェトロの機能等を通じまして、米国側産業界に対しましても今申し上げましたような問題点についての積極的な適応を促していくというような努力も必要不可欠であろうかと思うわけでございます。
○多田省吾君 今回の日米皮革交渉は種々の国内事情を持っておりましたけれども、関係する代償品目も相当に上っております。交渉経緯について御説明いただきたい。また、代償額についても交渉過程での日米双方の主張に開きがあったようでありますが、この点の決着の仕方も政府はどのように評価しておられるのか、お伺いしたいと思います。今回の交渉、まことに残念でありますけれども、アメリカの相当高圧的な要求もございまして苦労もされたと思いますが、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(浜岡平一君) 私自身二度ワシントンに参りまして交渉に立ち会っておりましたので、私の方から若干御説明をさせていただきます。
 確かに今回の交渉につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、米国の新しい通商政策と日本側の特に皮革産業の特別の状況というものをいかにすり合わせるかという大変苦しい交渉でございました。米国側の求めたところは、基本的には全面自由化でございますけれども、全面自由化ということは不可能でございまして、関税割り当て制度というような対応をせざるを得なかった
わけでございまして、米国側としては十分満足できないというようなことで、その満足できない部分をどうやって埋めるかという問題に焦点が移ったわけでございます。
 その段階で二つの選択がございまして、一つは米国側で相応の報復措置を講ずる、対抗措置を講ずるということでございますし、もう一つは、日本側が代償を出すということでございます。
 前者につきましては、この交渉の過程で大変苦しかったのは、対抗措置を講ずるべき品目の候補というのを米国側で約四十品目事前に発表いたしておりまして、これが陶磁器でございますとか、おもちゃでございますとか眼鏡のフレームでございますとか、大部分が中小企業関連分野でございまして、そっちの分野での対応を図るということになりますと、非常に広範な中小企業の分野にいわばとばっちりが及ぶというような状況でございまして、これは私どもとしても回避したいところでございますし、また、日米関係という大局から見ましてもそういう方向を選ぶというのは適切でないという判断が圧倒的でございました。
 そこで代償という方向に進むわけでございますけれども、先生御指摘のとおり、代償の規模をどういうぐあいに決めていくかというところが大変難しいところでございまして、米国側の代償についての基本的な考え方は、もし日本の革の市場あるいは靴の市場が全面的に開放された場合、米国製品がどれぐらい日本に流入するだろうかという推定の問題になるわけでございます。ところがこの辺になりますと、アメリカ側も一つの推計をし一つの数字を持っていたわけでございますけれども、日本の革の市場あるいは靴の市場の大きさをどう推定するかということになりますと、日本の工業統計を信用するかどうかというような問題も出てまいりまして、大変微妙な領域がたくさんございます。
 また、実際にどれくらいのシェアが日本のマーケットでとれるかということになりますと、これはなかなか水かけ論みたいなところもあるわけでございまして、米国側の主張する数字が絶対正しいとは言い切れないわけでございますし、また、私どもの推計も絶対に根拠があるとも言い切れないわけでございまして、かなり初めの段階ではそこの計測面での、あるいは計量面での対立というのは厳しかったように思うわけでございますけれども、次第にお互いの推定の根拠等を突き合わせをいたしますうちにかなりの柔軟性というようなものが双方に出てまいりまして、最終的なプロセスでは、日本への市場アクセスの改善という点で評価できるアイテムをいかに見つけることができるかというようなところに話し合いの焦点が移っていったわけでございます。
 最終的には御高承のような結果になっているわけでございますけれども、大局的には、対抗措置、縮小均衡というような方向ではなくて、代償提供、拡大均衡というような方向で大筋解決できたことは私どもとしては評価できるというぐあいに考えるべきではないかと思っている次第でございます。
○多田省吾君 日本の残存輸入品目は、今回の皮革の関税割り当て制度への移行によりまして二十三品目になったわけです。そのうち二十二品目は農産物でございますけれども、今度は相当農産物が問題になりそうでありますけれども、輸入額の我が国の総輸入額に占める割合というのは非常に低いわけです。
 農林省に一点だけお聞きしておきたいんですが、その辺をどのように考えておられるのか。
○説明員(永田秀治君) お答えいたします。
 お尋ねのございました農林水産物の輸入制限品目の輸入額というのは、十二億ドル程度でございまして、御指摘のように、総輸入額の一%程度と極めて低い割合になっております。
○多田省吾君 関連してお伺いしますが、円高で打撃を受けた中小企業への低利融資とそれから雇用調整助成金につきまして、米国が輸出補助金に当たるとしてガット違反ではないかという主張をしているようでございます。
 この問題の政府の対応についてお伺いしたいことと、今後の産業構造問題、これは総論賛成でも各論においては簡単にいかない面がございますが、政府の基本的な考えをただしておきたいと思います。
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘のような議論が日米間であるわけでございますけれども、全く釈迦に説法でございますが、現在のように急激に円高が進んでまいりますと、いわば全く商売あるいはビジネスがとまってしまうというような事態が発生をするわけでございます。いわば仕事量、契約の見通しが立たなくなるというような状況になってまいりまして、こういう状況になってまいりますとどうしても輸出だけでは企業の存立というのは困難になるわけでございまして、まず緊急的には、仕事量が減ってしまったことに対応する運転資金の確保によりまして、企業の存立あるいは雇用の維持というような緊急的な対応をいたしまして、その上で新しい事業分野への事業の拡充転換というようなものを考えていくというのが現在の対応の基本でございますし、現在の対策もそういうぐあいに色づけられているわけでございます。
 したがいまして、これが輸出促進効果を持つとか、あるいは減るべき輸入を減らしていないというような受けとめ方はかなり曲解というぐあいに言わざるを得ないわけてございまして、政府といたしましてもあらゆるルートからその辺の状況をるる説明をいたしてきておるわけでございますし、米国側の理解も次第に深まりつつあるというぐあいに受けとめているところでございます。
 また、確かにこういう大きな流れの中で産業構造の調整というようなものも必要でございますが、産業転換につきましては、産業転換等の面でできるだけきめ細かい対策を講じまして、摩擦のない対応を図っていくというようなことも今後の大きな課題でございまして、さらにきめ細かい対応というものを分野別に考えていく必要があろうと思っているわけでございます。
○多田省吾君 大蔵大臣にお聞きしたいんですが、一つは、フィリピン向けに多額な債務を邦銀が抱えているわけでございますが、累積債務問題の今後についての政府の考え方をお伺いしたいことが一つと、それからもう一つは、我が国のODA予算のあり方ですね。我々も相手国の国民の利益になるような経済援助をすべきだということは常々主張してきたところでございますが、対比援助問題は、今までの援助のあり方は大変残念な姿になっているわけでございます。
 外務大臣もいろいろ今後のあり方についてお述べになっておりますけれども、財政を預かる大蔵大臣の御所見というものもお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、フィリピンの累積債務問題は決して容易なものではないという認識でございます。
 私どもの資料では、フィリピンは現在約二百六十五億ドルに上る対外債務を持っておると思われるわけでございます。ただ、こうした債務問題に対しましては、例えば公的な債務のリスケジュールにつきまして、一昨年の十二月にパリ・クラブが開催されまして、関係各国間での合意が成立しておりますし、それから今委員御指摘の民間銀行からの債務につきましても、同じようにリスケジュールの交渉が一昨年の十月に、フィリピンと債権を持っております民間銀行との間で基本合意ができまして、それに基づきまして本年の一月に実際の繰り延べが調印されたというような進展を見ておるわけでございます。
 そういうわけで、フィリピンの累積債務問題、決して容易ではございませんけれども、国際的な支援がいろいろな形で行われております。
 それからまた、フィリピンにつきましては、新政権が生まれまして経済再建に取り組もうという前向きの姿勢を示しておることでもございますので、私どもといたしましては、今後こういった関係者の協調によりましてこの問題が解決に向かって進展するよう期待をしておるわけでございま
す。
 それから、ODAのあり方についての御質問もございましたが、御高承のとおり、ODAの予算につきましては、従来、我が国非常に厳しい財政事情のもとではございますけれども、相手国の開発のニーズをできるだけ的確に把握いたしまして、優先度につきましても十分吟味を行って、この限られた財源を配分するように努力をしてまいっておるわけでございます。援助を実施するこちら側の体制につきましても、できるだけこの援助が適正かつ効果的な形で実施されるように、例えば事前調査を充実するとか、あるいは援助に関連いたします交換公文におきます援助資金の適正使用の義務づけというようないろいろな手だてを講じておるわけでございます。今後も、こういった諸措置を通じまして援助が適正かつ効果的、効率的に行われますよう努力をいたすつもりでございます。
 先般、米国の議会が公表いたしましたマルコス前大統領に関連いたします文書でいろいろと問題が提起されておるわけでございます。目下、政府部内で真相究明のためにできるだけの努力を行いたいと考えておりまして、その結果改善を要する点が明らかになれば、そのように努力をしてまいりたい、関係各省とも一緒に共同して行っていきたいと思っておる次第でございます。
○国務大臣(竹下登君) 今行天国際金融局長からお答えいたしましたことで尽きるわけでございますが、今朝、行天局長ともどもモルガンの責任者とお会いいたしまして、お互い債務累積問題、フィリピンだけではございませんけれども、話し合いもいたしたところでおります。
 私がベーカー提案というのに加えて七項目の提案というのをいたしておりますのは、やっぱり債務累積問題というのは先進国自体がまず果たさなきゃならぬ役割がある。それは経済運営もとよりでありますが、また日本の国会のように、大変積極的にいわば国際機関への出資でございますとか増資でございますとか、そういうことを御支援していただける国柄とそうでない国柄が確かにございますので、そういう国際機関への出資とか増資とか応分の寄与というようなことには、苦しい財政状態の中にありましてもこれは積極的な対応をして、そしてやっぱり国際機関が、IMFにいたしましても、各国の事情を一番正確に把握をいたします。そこで、それのつけましたいわば条件、コンディショナリティーというようなものがもとになって民間金融機関の融資もあり得るわけでございますから、そういう点については、累積債務一般問題といたしましてこれからも心していかなきゃならぬ問題だというふうに考えます。
 フィリピン問題につきましては、総理大臣も外務大臣もお答えをいたしておるとおりでありまして、私どもも、私どもの分野においてそれに対しては最大限の協力をすべきであるというふうに考えております。
○多田省吾君 通産省にお尋ねしたいのでございますが、今回の皮革及び皮靴産業の困難な状況、またアルミ産業の同じく大変な状況、さらに円高不況による輸出関連の中小企業に対するいろいろな援助、こういった問題につきまして、通産省は、日本の経済を守るという観点から相当意欲的に、これから真剣にその対策を講じていかなければならない、このように思いますが、その御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(浜岡平一君) 御指摘のとおり、日本の経済も日本の産業も基本的には国際化の海に進んでまいりまして、世界の中の日本という位置づけを確立をしていかなければならないと思います。しかし同時に、やはりその際に国内の雇用等の面につきまして重大な影響を与えることは回避しなければならないわけでございまして、いわば、うっかりいたしますとまた裂きの刑に遭いかねないというような状況でございますけれども、関係方面の御意見を十分承りながら、また政府部内でも十分意見調整を図りながら、また裂きにならないような的確な政策を選択してまいりまして、先生御指摘のような要請にこたえていかなければならないと心を決めている次第でございます。
○多田省吾君 私は最後に税関の問題についてお尋ねしたいと思います。
 税関の業務量というものは、輸出入件数あるいは出入国者数、いずれも毎年数%以上の伸びを示しております。従来から税関行政の重点化、効率化というものも実施しているわけでございますが、残念ながら人員は減少の一途をたどっている。このようなことで十分対応できるのか、こういう心配もございます。また覚せい剤とか大麻、銃砲などの社会悪物品の水際での阻止、また迅速通関というような相反する社会的要請にもこたえなければならない。
 こういうことで、通関手続というものが大変深刻な姿になっているわけでございますが、私どもは前々から要員の早急なる増員、あるいは待遇の改善等を主張し続けているのでございますけれども、政府においてはこの件をどう考えておられるのか、最後にお尋ねして終わりたいと思います。
○政府委員(佐藤光夫君) 先生御指摘のとおり、私どもの税関業務が年々増加、複雑化してまいっていることは事実でございます。過去十年間に輸出入の申告件数は約二倍に増加いたしておりますし、出入国者数も同様に二倍になっております。覚せい剤、けん銃等の社会悪物品の押収数量は数倍にふえておる。こういう状況でございますし、加えるに、コンテナリゼーション等の運送手段の変化というようなことも我々の仕事を困難にする大きな要因でございます。また、御指摘のとおり、社会悪物品の水際での取り締まりに対する社会的な要請、国民的な期待というものも大変大きなものになっておるわけでございます。
 他方におきまして、甚だ残念ながら、私どもの定員は昭和五十五年度以降減少をいたしておるような傾向でございまして、私、関税局長といたしまして、適正な税関業務の遂行をどうして確保していくかということに日夜悩んでいるわけでございますが、一つは、人間ではなくて機械にやらせられるような仕事はできるだけ思い切って機械にやらしていこうという、一つのOA化と申しますか、コンピュータリゼーションを今後とも進めてまいりたい、かように考えます。
 もう一つは、先生も御指摘のとおり、仕事をできるだけ重点化していく、効率的な仕事のやり方をやってまいりたい、かように思ってやってまいりましたし、今後もやってまいりたい、かように思っております。
 それから最後には、人員等の重点的な配分と申しますか、等し並みにどんな分野でもあるいはどんな地域でも仕事がふえているわけでもございませんので、重点的に人員等の資源の配分ということを今後とも心がけてまいりたい、かように思っているわけでございますけれども、私といたしましては、この要員の確保の点につきましても、関係当局に十分な理解を得るように最大限の努力を払ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○国務大臣(竹下登君) 今佐藤関税局長からお答えしたとおりであります。
 なお、社会悪物品等の取り扱い等がございますだけに、さらに処遇の改善という問題につきましても、年々国会の御支援をいただいて、私どももその改善に努めておるところでありますが、これからも引き続き改善に努めなきゃならぬという問題意識は十分に持っておるつもりでございます。
○近藤忠孝君 最初に税関行政について質問しますが、輸入の場合には、税金を取る関係上その数量、価格、品目などをしっかり把握できると思うんですが、輸出についてはこういう状況の把握が実際どうなっておるのか。
 それから、この輸出について問題ある場合、ということは、外国為替及び外国貿易管理法四十七条、この法の目的に合致する限り、最小限度の制限のもとに輸出が許容されるという、こういう法の目的に反するような輸出についてはチェックできるのか。チェックできるとなれば、いかなる場合にどういうチェックが可能なのか、まずこれについてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(佐藤光夫君) お答え申し上げます。
 輸入の場合には、先生御指摘のとおり、関税の賦課ということがございますので、価格のチェックは非常に厳しいわけでございまして、適正に、まあ日本の場合でございますとCIFベーシスの価格をとらまえまして、それに対しまして関税率を適用する、あるいは必要であれば内国消費税を課する、こういう姿になっていることは申し上げるまでもございません。
 御質問は輸出の場合でございますけれども、関税法の規定によりますと、輸出の場合にも、これ許可制になっておりますものですから、数量、価格あるいはその輸出品の内容でございますね、これを申告することに相なっておるわけでございまして、御質問の趣旨が必ずしもわからないところがございますが、非常に偽りの価格を申告したというような場合にはそれをチェックすることはできる、いわば一種の虚偽申告ということに関税法上は相なる、こういうことになっております。
○近藤忠孝君 法の目的によりますと、我が国経済の健全な発展に寄与ということでありますね。さらに、法律そのものは憲法の原則に従うわけですから、憲法の前文には「われらは、」「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」法律はこういう目的をさらに実現していくものですね。となりますと、独裁政権への援助、あるいは、わけてもその独裁政権の中で権力者が私腹を肥やすようなそういう輸出について位これはチェックできるんだろうと思うんです。
 具体的に申しますと、もう既にこれは指摘されておりますように、価格について相当水増しがある。今のところ大体指摘されていることは一五%。運賃、保険料などを合わせるとさらにまだある。そういう状況ですと、やはり税関の現場の専門家が見ますと、申告された価格と実際の価格、さっき言った偽りの価格ですね、大体一〇%から一五%、大体それはもう見当つくことだと思うんです。しかも今度の場合には、過去にそういう事例があったという、これほど明確な報道がされている。となりますと、これについても税関としては相当の関与ができるんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○政府委員(佐藤光夫君) 先ほどお答えを申し上げましたように、私どもは、ちょっと先生誤解がおありなのかもわかりませんが、関税法の規定に基づきまして価格等をチェックをいたしておる、こういう立場でございまして、御指摘の外国為替等管理法の立場とはちょっと違うところがございますけれども、その価格が偽りであった、虚偽であったというような場合にはそれをチェックすることができるということは先ほど申し上げましたとおりでございます。
 ちなみに申し上げますというと、どれくらいさかのぼれるかということでございますが、時効は一応三年ということに相なっておるわけでございますので、三年はさかのぼってそこはチェックができる、こういうことになっておるのでございますけれども、実際問題といたしますと、かなり確度の高い情報があればそれをさかのぼって審査をするということが可能かと思いますけれども、そうでない場合には、正直申し上げまして、私どもの税関、年間五百八十万件にわたるような輸出がございますものですから、しかもそれをかなり迅速に、スピーディーに処理しなければいけないというようなこともございますものですから、事実上かなり困難は伴うのかなというふうなことを率直に考えている次第でございます。
○近藤忠孝君 今回のマルコス不正蓄財に絡む円借款事業関係の輸出、これは事業は特定できるわけですからね。これは確実に特定できる。となりますと、いつのどの輸出というのはわかりますよね。しかもこれだけの事実が、しかも相当確度の高い資料をもって指摘をされている。時効の問題はかなりあると思うけれども、しかし今まで公表された以外のものでは相当時効に関係しない部分もあると思うんですね。となりますと、これは関税局としては現在のこの事態についてかなりの注視をしている。きょう昼間関税局に電話して確認したところではそういう感触を得たんですけれども、その点、これは大臣というのか局長、どちらでもいいんですけれども、この問題について税関のできる権限を大いに活用して問題の解明をしていくということについての決意があればお聞きしたい、こう思います。
○政府委員(佐藤光夫君) 輸出が円借款にかかわるものであるかどうか、あるいは特定の相手国に対する輸出であるかどうかにかかわりなく、先ほど申し上げましたように、虚偽の申告等がある、サスピションがある場合には私どもはチェックをする、こういう立場でございますので、御指摘のような問題につきましても、その限りにおきますと申しますか、その限度におきまして私どもも関心を持ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
 今後、御指摘のような問題につきまして政府全体としてどういう対応になるのか、今現在私どもとしても十分に承知しておらないところもございますので、そういう立場から私どもは対処していくのかなというふうに考えております。
○近藤忠孝君 その限りでいいんです、その限り。ほかのところまでこれは拡大することないんで、今問題になっているマルコス不正蓄財というその限りについて、やっぱり持てる法的権限を大いに生かしてこれはぜひとも解明していただきたいということを求めたいと思います。
 それで、その結果解明した問題については、大臣、これは守秘義務の対象じゃないと思うんですよ。だってこれは国の事業でしょう、政府間の事業。で、国民の税金が使われている。また資金にしたってこれはやっぱり公的資金ですね。となればまさに税金の行方の問題である。守秘義務の問題がないので、今局長が言われた、この限りで調査し事態が解明された、それは公表すべきだと思いますが、これは大臣の考えをお聞かせ願います。
○政府委員(佐藤光夫君) せっかくの御指摘でございますけれども、円借款であるかないかということの違いは、いわばファイナンシングの違いでございまして、そのプラント等が日本から特定の国に輸出されていくという過程におきましては、あくまでも輸出者は私企業であるわけでございます。これは、日本の政府機関からの代価が支払われ、それが将来において相手国から返済される、そこが違うだけだと思いますので、関税法上はあくまでも民間の企業の輸出ということに相なりますものですから、私どもといたしましてはやはりその守秘義務というものが当然かぶってまいるというふうに考えております。
○近藤忠孝君 しかし、これは大きく見ますと、結局日本の商社などがフィリピンへ行って、そこでいろいろな事業をまずつくって、それをマルコス政権に持ち込んで、それをフィリピン政府の事業にして、そして日本政府に持ち込んで、そして日本の業者がその仕事を請け負って輸出をする、そして日本の国内で金を払う。だからいろいろリベートとかなんとかがうまくいくんですよね。そしてまた、あそこでこそ日本の方への、政治家も含めての還流があるんじゃないかということが指摘をされているわけでしょう。となれば、日本の税金の支払いなんですよ、たまたまそれは民間が介在するかもしれぬけれども。そういう問題なので、これはひとつそういう立場から、守秘義務と言わずにぜひ解明してほしいと思います。
 それから次の問題は、先ほどのニュースによりますと、税務署はもう既に税務関連の資料を入手している、そしてそれに基づいて関係企業に対しても徹底的に調査をし解明するという態度を明確にしたと思うんです。大臣はそれについて、その立場をさらに徹底して進めるように、こういう基本的態度かどうか、税務調査等に関して。そしてこれもまさに国民の税金の使い道の問題ですから、その結果はやはり公表すべきだと思うんですが、大臣の見解を聞きたいと思います。
○政府委員(日向隆君) 委員御存じのように、私
どもは各種の資料、情報を絶えず検討しておりまして、このような資料、情報と申告書とを対比いたしまして、課税上問題があれば実地調査を行うなどして適正に処理してまいっておりますし、今後ともまいるつもりでございます。
 御指摘の、調査によって私どもが知り得た事柄につきましては、これは委員よく御存じのように、やっぱり守秘義務の対象になってまいりますので、これについて申し上げることは控えさせていただきたいと思います。
○近藤忠孝君 あと若干の時間があるようですから。
 例えば一五%のリベートの性格ですが、これはもう明らかにわいろの金ですね。それで指摘したいことは、もしこれが、わいろは経費として認められませんから、しかし、実際の企業では損金算入として経理処理されていればやっぱり脱税になるんだろうと思うんです。特定事件というと答えませんから、一般論として、私が指摘したような場合には、これはやっぱり脱税と見ざるを得ないんじゃないか、こう思いますが、これはどうですか。
○政府委員(日向隆君) 委員御存じと思いますが、売り上げ割り戻し、エージェントに支払われた手数料等で、提供された役務との相当性が認められたもの、これはよろしいのでございますが、それ以外は、その実態に応じて私ども交際費、寄附金、使途不明金として課税しているところでございます。このような観点から、御指摘の一五%のリベートということにつきましても、その実態を正確に把握いたしまして適正に処理してまいる、こういうことであろうかと思います。
○栗林卓司君 これから関税率がどのように推移するかということは、相手国との交渉の絡んだ問題でありますし、また国内的には非常に感じやすい産業と直接関連した部分でありますから、未来の予測を立てるということはなかなかできないと思います。とはいうものの、日本が置かれている環境から見ますと、将来的にも関税というのは漸次関税率は低下をしていくことになろうかと思います。また、その方向に対して敢然と挑戦をしていくのが私は今の日本の課題の一つではなかろうかと思います。そんな意識を踏まえて、今回の関税定率法の一部改正案には賛成であります。
 ただ、先ほども出ておりましたけれども、税関の人員体制の問題についてだけひとつ意見を交えながら申し上げたいと思います。
 このように関税率が下がってまいりますと、理の当然としまして、国庫収入としての関税というのは下がる一途になりまして、いかにも稼ぎが悪いわけであります。それと、定員が減ったということが妙に頭の中で結びついてしまいまして、非常に士気にも影響するんだという話を私は聞いたことがあります。その意味では、今果たしている役割は非常に大きいわけですから、特段に処遇とあわせて人員体制の十二分の対応をしていかなければいけないんではなかろうかと意見を申し上げて、御返事を求めたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 御意見は私も同感でございます。
○委員長(山本富雄君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表して、関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 まず第一に、皮革・革靴の関税割り当て制度の新設は、中小企業が圧倒的多数を占める国内皮革産業の被害を防ぐ上で一定の役割を果たし得るものであります。しかしながら、この措置は、アメリカの不当な圧力に屈して皮革・革靴の輸入の自由化を前提としたものである上、この制度が有効に働くかどうかのかぎとなる一次税率枠について順次これを拡大することとしているなど、多くの問題を含んでおります。
 第二に、この皮革・革靴の関税割り当て制度の導入に対する代償措置は、日本政府の当初の主張から見てもアメリカのごり押しへの全面降伏であり、しかも、今回税率引き下げの対象となる工業品目の中には、クラフト紙、ガラスの球、棒及び管、コック、弁など国内中小企業に打撃を与えるおそれがある品目も含まれており、問題であります。本年一月一日実施のアクションプログラムに係る二〇%税率引き下げに当たり、国内産業に影響が出た場合の歯どめとして導入された二〇%引き下げの適用停止措置について、実施後わずか三カ月で品目数の一割近くに当たる百十六品目を除外する措置に至っては、まさに朝令暮改とも言うべきやり方であり、中小企業等への影響の面からも到底容認できないのであります。
 しかも、アメリカは、これら一連の代償措置で二億数千万ドルが補てんされるが、まだ不十分として、現行の平均九%に一律四〇%の対日報復関税率を上乗せし、四九%の高率とすることによって日本からの対象品目の対米輸出は事実上完全ストップすることが予想されるという、許しがたい暴挙に出ておるのであります。
 第三に、ワイン関税率引き下げの一年繰り上げ実施は、昨年四月に引き続いて二年連続の大幅引き下げとなり、ジエチレングリコール混入による打撃と相まって、中小ワインメーカーやブドウ栽培農家に連続的な打撃を与えるものであり、容認できません。
 第四に、麦芽の関税割り当て一次税率の引き下げ、魚粉の関税割り当て制度廃止も、将来の事態の推移によっては、国内のビール用麦芽栽培農家や我が国沿岸漁民に打撃を与える危険性があり、賛成できないものであります。
 第五に、暫定税率の適用期限延長については、これまでも我が党が反対してきた一連の一方的な税率引き下げが大部分を占めており、賛成できません。また、減免税還付制度はいずれも大企業優遇制度となっており、今回の改正も、アンモニア製造用原油の減税廃止を除いて、その他の延長あるいは拡大延長にはすべて反対であります。
 以上、本法律案は、全体として大企業の要求する自由貿易体制維持のため、アメリカの際限のない対日市場開放圧力に屈従した一方的かつ不当な譲歩を重ねてまいったものであり、貿易摩擦にはほとんど何の責任もない中小企業や農民、漁民などに犠牲転嫁を図るものであり、断固反対することを表明して、私の討論を終わります。
○委員長(山本富雄君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山本富雄君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、矢野俊比古君から発言を求められておりますので、これを許します。矢野俊比古君。
○矢野俊比古君 私は、ただいま可決されました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、新政クラブ及びサラリーマン新党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    関税定率法及び関税暫定措置法の一部を
    改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一、関税率の引下げに当たっては、国内産業への影響を十分考慮し、特に農林水産業、中小企業の体質を併せ考えつつ、輸入の促進を図
 り、もって国民生活の安定に寄与するよう努めること。
 二、皮革及び革靴が、輸入数量制限制度から関税割当制度へ移行することに伴い、これら産業の困難な実情を考慮し、今後とも技術向上による経営基盤の強化等その体質の改善に努めるとともに、関税割当制度の適正な運用に努めること。
 三、世界経済における我が国の立場を踏まえ、国際的協調特に開発途上国への協力、新しい多角的貿易交渉への積極的取組み等を通じ、自由貿易体制の維持・強化を図り、もって世界経済の発展に貢献し得るよう努めること。
 四、伸長する輸出入貿易に伴う税関業務の増大に加え、覚せい剤、銃砲等の社会悪物品の水際での阻止・取締りが社会的要請となっていることにかんがみ、業務処理体制等の一層の見直しを行うことにより、税関業務の効率的、重点的運用に努めること。また、税関職員の特殊な職務を考慮して要員の確保と処遇の改善に努めること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
○委員長(山本富雄君) ただいま矢野俊比古君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山本富雄君) 多数と認めます。よって、矢野俊比古君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
○国務大臣(竹下登君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
○委員長(山本富雄君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山本富雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後七時四十五分散会
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