第107回国会 内閣委員会 第3号
昭和六十一年十一月二十七日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十月三十日
    辞任         補欠選任
     柳澤 錬造君     藤井 恒男君
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     松浦 孝治君     古賀雷四郎君
     藤井 恒男君     柳澤 錬造君
 十一月二十日
    辞任         補欠選任
     飯田 忠雄君     高木健太郎君
 十一月二十二日
    辞任         補欠選任
     高木健太郎君     高桑 栄松君
 十一月二十五日
    辞任         補欠選任
     永野 茂門君     平井 卓志君
 十一月二十六日
    辞任         補欠選任
     平井 卓志君     永野 茂門君
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     桧垣徳太郎君     佐藤栄佐久君
     高桑 栄松君     飯田 忠雄君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         岩本 政光君
    理 事
                大城 眞順君
                亀長 友義君
                久保田真苗君
    委 員
                大島 友治君
                岡田  広君
                小島 静馬君
                古賀雷四郎君
                佐藤栄佐久君
                永野 茂門君
                堀江 正夫君
                村上 正邦君
                小野  明君
                野田  哲君
                飯田 忠雄君
                峯山 昭範君
                内藤  功君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       外 務 大 臣  倉成  正君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  栗原 祐幸君
   政府委員
       内閣官房内閣安
       全保障室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障室
       長        佐々 淳行君
       防衛庁参事官   瀬木 博基君
       防衛庁参事官   古川 武温君
       防衛庁参事官   千秋  健君
       防衛庁参事官   筒井 良三君
       防衛庁長官官房
       長        友藤 一隆君
       防衛庁防衛局長  西廣 整輝君
       防衛庁教育訓練
       局長       依田 智治君
       防衛庁人事局長  松本 宗和君
       防衛庁経理局長  池田 久克君
       防衛庁装備局長  鎌田 吉郎君
       防衛施設庁長官  宍倉 宗夫君
       防衛施設庁総務
       部長       平   晃君
       防衛施設庁施設
       部長       岩見 秀男君
       防衛施設庁建設
       部長       大原 舜世君
       防衛施設庁労務
       部長       西村 宣昭君
       外務大臣官房審
       議官       渡辺  允君
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       気象庁長官    内田 英治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  利雄君
   説明員
       外務大臣官房儀
       典官       河村 悦孝君
       通商産業省貿易
       局輸出課長    村田 成二君
       通商産業省基礎
       産業局バイオイ
       ンダストリー室
       長        岡林 哲夫君
       通商産業省機械
       情報産業局航空
       機武器課長    今野 秀洋君
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  本日の会議に付した案件
○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(岩本政光君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。栗原防衛庁長官。
○国務大臣(栗原祐幸君) ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。
 これは、自衛官の定数を、海上自衛隊三百五十二名、航空自衛隊二百三十一名、統合幕僚会議二十三名、計六百六名増加するための改正であります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機の就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機の就役等に伴うものであります。また、統合幕僚会議については、中央指揮所の二十四時間運用態勢を確保するためのものであります。
 次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。
 第一は、自衛隊の予備勢力を確保するため、陸上自衛隊の予備自衛官千名、航空自衛隊の予備自衛官三百名、計千三百名を増員するための改正であります。なお、航空自衛隊につきましては、新たに予備自衛官制度を設けるものであります。
 第二は、有線電気通信設備、無線設備及び船舶の防衛上の重要性及び防護の緊要度が高まったことに伴い、自衛官が武器を使用して防護することができる対象にこれらを加えるための改正であります。
 第三は、国の機関から依頼があった場合には、自衛隊の任務遂行に支障を生じない限度において、航空機による国賓等の輸送を行うことができることとし、また、自衛隊は、国賓等の輸送の用に主として供するための航空機を保有することがで
きることとするために新たに一条を加えるための改正であります。これは、主要国首脳会議の際に使用したヘリコプターを今後自衛隊が運用すること等に伴い、必要となるものであります。
 第四は、市町村の境界が変更されたことに伴い、自衛隊法別表第三に掲げられている中部航空方面隊司令部の所在地を入間市から狭山市に名称変更を行うための改正であります。
 この法律案の規定は、公布の日から施行することといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(岩本政光君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○野田哲君 まず最初に、非常に素朴な質問を行って防衛庁の見解をただしたいと思うんですが、今回のこの海上自衛隊三百五十二人、航空自衛隊二百三十一人、この増員の定数改正でありますけれども、私ども不可解に思うのは、現在海上自衛隊では二千人以上の欠員がある。航空自衛隊についても二千人以上の欠員がある、こういう状態にあるわけですから、定数を改正しなくても充足率を上げることによって今の定数改正で増員を要求されている人数は今の定数内で楽々確保できる、こういう現況にあるのではないかと思うんですが、このような二千人以上の欠員がありながらなぜ今回法律改正を提出をされたのか、そこのところの経過について、考え方についてまず説明を願いたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) ただいま御質問の点につきましては二点から御理解いただきたいと思うわけです。
 一つは、定数と実員の問題でございますが、御承知のように定員、定数と申しますのは、例えば船が一隻できれば、艦長以下それぞれのポストについてこれだけの人間がいなければ有事戦闘はできないという枠組みをまず決めるものである、というように御理解いただきたいと思います。一方、充員、実員の点につきましては、そういうことでございますから防衛庁、自衛隊といたしましては平時から一〇〇%の充員がなされておるということが望ましいことはもう間違いないわけでございますが、さはさりながら、予算その他の関係から一部について平時において欠にしておくものもあってもやむを得ない分野もないわけではない。特に陸上自衛隊についてはその分野がかなり多うございまして、相当充足率を下げておるということであります。海空につきましては主として機材の運航ということになりますので、充足率は常日ごろから一〇〇%に近いものである必要があるわけでございますので、平均的に九六%という高い充足率になっておるわけでございます。
 もう一点は、人事補充上の問題であります。これは定員が例えば百なら百と決まっておりますと、瞬時たりともこれを超えた人員を抱えるわけにまいりません。しかしながら実際の採用等について言えば、例えば防大の卒業生は四月に入隊してくる、あるいは一般の隊員についても高校等を卒業して四月時には非常に多くの者が入隊をしてくるということになりますが、一方退職の方は四月ということではなくて、途中段階で定年が来れば退職をしていくということで、余り定期的でない形で退職していくわけであります。そうしますと、四月の段階で一〇〇%に近い充足、一〇〇%充足にしても、それが平均的にいけば年間を通じるとある程度充足的には下回らざるを得ないという人事補充上の問題と、それから、最初に申し上げた定員は枠組みを基本的には考えているものであり、充足とは切り離してお考えいただきたいという二点から御理解をいただきたいと思うわけであります。
○野田哲君 ただいまの防衛局長の説明によりますと、要するに、海上自衛隊については艦艇がふえたから、そして航空自衛隊についても航空機がふえたその就役に伴うものだ、こういう説明であるわけですが、そういたしますと逆に、その防衛局長の説明によりますと、現在私どもの知り得るところでは、海上自衛隊については二千二百七十五名の欠員がある、航空自衛隊については二千百四十二名の欠員がある、これは数字が間違っておれば後で指摘をしていただきたいんですが、それだけの欠員があるということは、つまり、それによって海上自衛隊の艦艇の就役、航空自衛隊の航空機の就役に現状大きな支障を来している、こういうことに裏返して言えばなると思うわけですが、そういうことなんですか。
○政府委員(西廣整輝君) おっしゃるとおりでございまして、例えば、ある艦艇について充足が八割ぐらいまで下がっておるということになりますと、御承知のように、艦艇は三直交代で二十四時間運航して一週間なり二週間行動するということになるわけですが、三直おるべき要員を二直にせざるを得ないというようなことで、一日二日の訓練のための航海なら可能でございますが、長期行動するというには、不足の人員のまま運用せざるを得ないといったような状況ができておりまして、隊員に相当過重な業務を強いておるという状況になっておるわけでございます。
○野田哲君 ですから私が重ねて伺いたいのは、今海上自衛隊では幹部で三百三十六名、准尉で六十名、曹が八百三十七名、士が千四十二名、そして航空自衛隊につきましては、幹部が五百六十三名、准尉が九十四名、曹が三百七十三名、士が千百十二名、これだけの欠員があるということであれば、今この定数を法律改正によって拡大をしてもそれは意味がないんじゃないですか、こういうふうに伺いたいんですよ。つまり、今私が指摘をしたこの欠員を充足すれば、定数を改正しなくても今法律改正で求められている海上自衛隊の三百五十二人、航空自衛隊の二百三十一人、これは充足率を上げることによって確保できると、こういうことになるのではないんですか、法律改正の必要ないじゃないですかということを重ねて伺いたいわけなんです。
○政府委員(西廣整輝君) 繰り返しになる点もあろうかと思いますが、お答え申し上げます。
 まず充足については、先生のおっしゃられるように、我々としては人事的なやむを得ざる欠を除いて九八%ぐらいまでは上げ得るのではないかということでかねがね財政当局には要求いたしておりますが、財政当局の間では九六%ということで今まで来ておるわけであります。そういうことで、実員的にはより上げる余地を今後とも我々としては追求をしていきたいというふうに考えておるわけであります。
 一方、法定員の問題につきましては、先ほど申したように枠組みとして、例えば有事の際に定員の裏づけがない船があるということでありますと、そこで法改正をして定員を設け、そうして採用して出動するというようなことになると大変まずいわけでありまして、やはり船、、航空機等が就役し、司令部その他の部隊ができればそれには定員の裏づけというものをやはりしておく必要があるのではないか。空定員といいますか、定員の裏づけのない船や部隊があるということは、いざというときにそれに応ずることができるだけの枠組みができていないということになりますので、私どもとしてはそれはぜひ認めていただきたいというふうに考えておるわけであります。
○野田哲君 定数を法律改正によって増加しても、充足率が今のままではこれは依然として定員の裏づけのない艦艇、航空機が存在をするということで、そういう点で私はどうも納得しかねるなと、こういう感じがするわけですが、この点はこの辺で置いて、もう一つ、予備自衛官の増員でありますけれども、これは一体どういう意味を持っているわけなんですか、どういう理由に基づくものなんですか、とりわけ航空自衛隊の三百人というのは一体どういう意味を持っているのか、この点をお伺いをいたします。
○政府委員(西廣整輝君) 釈迦に説法かもしれませんが、予備自衛官と申しますのは、御承知のよ
うに、平時はそれほど実員を抱えておく必要がない職種、あるいはそういったものについて、予備自衛官という裏づけによって有事急速に補充できれば、平時から持っておるのはややぜいたく過ぎるというものを中心に考えられておるわけでございます。
 各国の場合は、特に陸軍等を中心に考えれば予備勢力の方が現役より多いぐらいの国が多いわけであります。その点我が国の場合は完全志願制ということで、予備自衛官、予備勢力が非常に少ないわけでございますが、それにいたしましても、例えば今回お願いしております航空自衛隊の予備自衛官のように、防空基地、レーダーサイトであるとか飛行場であるとか、そういったところの防空要員、これはかなりの人間が要ります。そのための例えば短サムであるとかあるいは高射機関砲、携帯サムといったものを使って基地防空をするわけでございますが、そういった要員については、平時は基幹要員だけを抱えておいて有事はこれに緊急補充した予備自衛官等を充当をして、十分な基地防空の任務に当たらせるといったような形でありますし、陸上自衛隊で言えば、例えば師団等の主動部隊が前線の方に出動していくといった形になりますと、その後が空き家になるといいますか、警備が非常に手薄になります。そういったものを肩がわりをして警備等に当たる軽普通化連隊といったものも我々構想いたしておりますが、そういった人員に充てるといったことで、平時からそれを実員で抱えておくには余りにも経費的な負担が大き過ぎると思われるものについては、予備自衛官制度というものを取り入れていく方がいいんではないかというように考えておるわけでございます。
○野田哲君 長官に伺いたいと思いますが、栗原防衛庁長官は、衆議院でのこの法案の審議の際に、民間の予備自衛官制度という構想を述べられた。検討課題として構想を持っておられるというふうに報道をされているわけでありますが、一体民間の予備自衛官制度という構想、これはどういう構想であるのか、またどういう理由といいますか、必要性によるものであるのか、お伺いいたします。
○国務大臣(栗原祐幸君) いわゆる自衛隊OBからのみ予備自衛官を求めるということよりも、広く国民の中で予備自衛官としてひとつやろうというような方々があれば、そういう方々にお働きいただくということも、いわゆる防衛を理解していただくという意味でも、それなりの意味があるんじゃないかというのが前提としてございます。ただ、どのようにしてどうするか、そういうことにつきましてはこれからの検討課題でございます。
○野田哲君 漠然とした今長官のお答えがあったわけですが、これは具体的に検討課題として、庁内で法律改正なども含めて検討されているわけですか。
○政府委員(西廣整輝君) 補足して御説明申し上げますが、今御質問の自衛官の経験者でない者から予備自衛官を採る件につきましては、今回法改正でお願いしている予備自衛官の増員とは直接関係がないわけでございますが、将来の問題といたしまして、先ほどちょっと触れましたように、自衛隊がいかにも弾力性が乏しいという点がございますし、また、将来とも自衛隊の人員の効率的な使用という点を考えてまいりますと、後方部門その他についてより民間に委託できる分野はないであろうかという研究も現在しておるわけでございます。そういったようなことで民間にいろんな業務をさらに委託していく、あるいは有事における予備勢力といいますか、そういった弾力性をより持とうとしますと、予備自衛官の所要というものがふえてまいるわけでございます。そういたしますと、現在のように自衛官の経験者からのみ採用していくということではそれが満たされないおそれも出てくるんではないか。あるいはまた現在自衛官の定年が逐次かなり延びてまいりましたので、自後、退官後さらに予備自衛官として使える期間というものは非常に限定をされてきております。そういった点でも予備自衛官のソースとして自衛官だけに頼るということでは、将来行き詰まるおそれがあるんではないかということを考えまして、将来の問題として、民間のいわゆる自衛官経験者でない者から予備自衛官を採用するということも十分研究に値する問題であるということで今勉強いたしておるところでございます。
○野田哲君 栗原長官から民間の予備自衛官構想ということが述べられたときに、私一つの懸念を持ったのは、ことしの三月にアメリカの国防総省ワインバーガー国防長官からアメリカの議会に提出をされている「共同防衛への同盟国の貢献度」に関する報告、このレポートがあるわけですが、このレポートの中に、ウォータイム・ホスト・ネーション・サポート、こういう項目があるわけであります。それを見ると、幾つかの戦時のホスト・ネーション・サポート協定は、ホスト国に対し米軍部隊を支援する戦闘の役務を提供すべき組織された軍人及び民間人の部隊を供与することを要求をしている、こういうことで、ドイツにおける民間人の具体的な協力の例がここに挙げられているわけであります。
 今回のこの民間予備自衛官制度の構想というのは、このアメリカの国防総省がレポートとして出している「共同防衛への同盟国の貢献度」に関する報告の中で述べられているウォータイム・ホスト・ネーション・サポート、これに基づくアメリカの要請というものがその背景にあるのではないか、こういう疑念を持ったわけでありますけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) そういうことは全然ございません。ただいま政府委員から述べたような、そういう子細でございます。
○野田哲君 今長官は、そういうことは全然ありませんと、こういうことで首を横に振って否定をされたわけですが、アメリカのレポートを見ると、この報告の中の第一章で、「共同防衛への同盟国の貢献度」この報告書の第三章で、日本のウォータイム・ホスト・ネーション・サポート――日本の戦時におけるホスト・ネーション・サポート、こういう項がはっきりと書かれているわけですね。こういうふうに書いてあるわけです。
  日本の戦時ホスト・ネーション・サポート
  一九七八年の「日米防衛協力のための指針」では、将来ホスト・ネーション・サポート取り決めに至る可能性のある分野の研究を行うと規定されている。しかし、同指針はこれらの研究の結論がどうあれ、いずれの政府とも法的、予算的あるいは行政的措置をとる義務を負うものでないことを前提としている。したがって、公式かつ拘束力ある取り決めは、日本で緊急立法が可決されて初めて可能となる。現在、二分野の研究が進められているが、それは、@日本防衛に関する研究、A日本以外の極東で緊急事態が発生した際、日本は米国にどんな支援を供与することが可能かという、いわゆる便宜支援(FA)研究――の二つである。
こういうふうに国防長官の報告書に明記されているわけであります。
 そこで、この@の「日米防衛に関する研究」、これはまた何回も議論されていることでありますが、私どもこれからも内容をただしてまいりたいと思うんですけれども、二つ目の「日本以外の極東で緊急事態が発生した際、日本は米国にどんな支援を供与することが可能か」という研究が行われている、こういうふうに述べているわけですが、その研究の内容というのは一体どのような状況になっているわけですか。
○政府委員(渡辺允君) ただいま先生御指摘になりました研究は、昭和五十三年に合意を見ております「日米防衛協力のための指針」の中に、「日本以外の極東における事態で日本の安全に重要な影響を与える場合に日本が米軍に対して行う便宜供与のあり方」についての研究を行うことになっておりますところから発しておるわけでございますが、実態は、昭和五十七年に二回ほど研究グループの会合を開催いたしましたけれども、その後、研究は進展を見ていないというのが実は実情でございます。
○野田哲君 これはワインバーガー長官のレポー
トによると、今外務省の方からは二回ばかり研究グループが集まってやったけれども、具体的な研究が進んでいないような報告であったわけですが、ワインバーガー長官のレポートを読むと、これはかなり進んでいるような印象を受けるわけです。現在二分野の研究が進められている。そしてこの研究は「計画立案によって緊急時にどんな支援が可能であるか、支援を供与するメカニズムはどうなのかなどをよりよく理解するのに大きく役立つ。」こういうふうに述べているわけです。今の外務省の報告のようなことでは、とてもこのアメリカが役立つというふうな評価の内容ではないんですが、かなりこれはやはり具体的な中身があるんじゃないですか、どうなんですか。
○政府委員(渡辺允君) この国防省の議会に対する報告には、確かにこの二つの研究がオンゴーイングであるということが書いてございます。
 それから、先ほど御説明申し上げた日本以外の極東における事態における便宜供与の研究というものも、これはなくなってしまったわけではないわけでございます。ただ実態は、先ほど申し上げましたように、五十七年に会合して以降、実は進んでおらないというのが実情でございます。
○野田哲君 栗原長官ね、そうするとあれですか、長官が構想として述べられた民間人の予備自衛官制度というのは、今私が申し上げました、戦時のアメリカの要請に基づくホスト・ネーション・サポート、これとは全く関係がない、こういうふうに確認をしてもよろしいわけですか。
○政府委員(西廣整輝君) 今お尋ねの民間人をソースとする予備自衛官、これも有事の際は自衛官の身分に変わるわけでございますから、当然のことながら自衛隊の人間になる。我が国自衛隊の場合、西独等と違う点は、先生も十分御承知のとおり、我が国は集団的自衛権の行使ができませんから、自衛隊が行動するというのは我が国防衛のために限るわけでございまして、いわゆる安保条約で言えば五条事態に限るわけでございます。一方、お尋ねの件は極東有事、六条事態の状況でございますので、これに対する支援というものは、自衛隊が直接行動して支援をするということはできませんので、日本政府全般として支援をするという内容でございますので、先ほど外務省の方から御答弁があったように、外務省を中心として検討をされておるわけでございますし、それについて自衛隊がやり得ることというのは、いわゆる自衛隊の行動にかかわるものということではないというふうに御理解いただきたいと思います。したがって、先ほど来話の出ております予備自衛官というものがそれらの構想とは全く関係のないものだというように御理解をいただきたいと思うわけであります。
○野田哲君 長官、それでいいんですね。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今政府委員が述べたとおり、我が国独自でそういう構想を持っておるということでございます。
○野田哲君 在韓米軍と日本の自衛隊との国内での合同演習が行われたわけでありますが、この問題について伺いたいと思うんですが、今まで在韓米軍と日本の自衛隊とが合同演習をやることにつきましては何回も国会で議論をされているわけであります。
 まず私は、昭和五十年の十月二十一日の衆議院の予算委員会における政府の見解についてただしたいと思うわけであります。
 このときに松永政府委員、たしか当時は外務省の条約局長をなさっておられたと思います、今アメリカ大使ですが、こういうふうに答えておられるわけです。「在韓米軍、それと日本の自衛隊が合同演習を行うということは、安保条約上定められている事柄ではないだろうと思います。」と答えておられますが、これはここに議事録もありますから明確であります。それから、同じ席で丸山政府委員、これは当時はたしか防衛庁の防衛局長であったと思います。この丸山政府委員がこういうふうに答えておられます。「自衛隊の立場で在韓米軍と訓練をするということはできないというふうに判断しております。」、「わが国の安全を守るという目的に合致しない行動については、自衛隊法の関与するところではないというふうに判断をいたします。」と、こういうふうに述べておられるわけであります。
 この松永政府委員、丸山政府委員の見解、これは松永政府委員の見解は安保条約をもとにしての見解であります。丸山政府委員の見解は自衛隊法をもとにした見解であります。それぞれ安保条約なり自衛隊法の第何条、どういう見解に基づいてこのような見解を述べておられるのか、これをまず伺いたいと思います。
○政府委員(渡辺允君) ただいま御質問のうち、当時の松永条約局長の答弁につきましては、外務省のことでございますので私から御答弁をさせていただきたいと思いますが、この答弁の趣旨は、安保条約上我が国の自衛隊が米軍と共同訓練を行うべきである、というようなことが明文で定められているわけではないということを言っているだけでございまして、ただいま御指摘の部分に続きまして、したがって、その問題は一般国際法の問題として処理されることになると思います、というようなことを言っておりますことからもそういう御理解をいただきたいと思います。
○政府委員(依田智治君) 五十年十月二十一日、衆議院予算委員会におきまして当時の丸山防衛局長がお答えした件について私の方からお答えいたします。
 御指摘の答弁は、当時質問者が岡田春夫委員でございましたが、当時の三木・フォード共同新聞発表第三項について言及し、米韓相互防衛条約と日米安保条約とが連動して韓国の平和のために作用を及ぼすということを明確にしておるのではないかというような点等も指摘しつつ、自衛隊と在韓米軍との共同訓練の可否をただしたのに対しまして、そういう中で防衛局長が否定的な見解を述べたわけでございます。その趣旨は、在韓米軍との韓国防衛を前提とするような共同訓練はできないということを述べたわけでございます。
 これは自衛隊法との関係におきましては、自衛隊法三条に「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし」という規定がございますが、この三条の我が国の安全を保つために我が国を防衛する、こういう自衛隊の任務に合致しないということから、当時の丸山防衛局長は、当該訓練を自衛隊法の関与するところではないというように答えたわけでございます。
○野田哲君 今の答弁ですかね、議事録を読み返してみると、韓国を防衛するために、というふうな前提での答弁にはなっていないと思うんですよ。単純に在韓米軍と自衛隊とが合同演習をすることは法律的に可能なのかどうか、こういう質問に対して丸山政府委員は、「自衛隊の立場で在韓米軍と訓練をするということはできないというふうに判断しております。」と極めて明快に、端的に答えているわけですね。さらに続いて、「自衛隊の任務は、わが国の安全を守るというのが目的でございます。したがいまして、わが国の安全を守るという目的に合致しない行動については、自衛隊法の関与するところではない」こういうふうに述べているわけです。韓国防衛のために云々、こういう前提での質問ではない、単純な質問であったと思うんですが、ちょっとその点、今の局長の答弁は少し前提を置きかえているんじゃないんですか。
○政府委員(依田智治君) このときは、三木総理等に対しまして共同新聞発表等の問題を取り上げていろいろ質問があった過程において、丸山局長の方にも質問があったわけでございまして、先ほど私が申し上げたようなそういう過程において防衛局長は答えている。したがいまして、先生が先ほど読み上げていただきました文章でございますが、丸山政府委員は、「自衛隊の任務は、わが国の安全を守るというのが目的でございます。したがいまして、わが国の安全を守るという目的に合致しない行動については、自衛隊法の関与するところではない」ということで、ここで申してありま
すように、我が国を守るということに合致しない行動については関与してないということを述べておるわけでございまして、その裏にやはり韓国を防衛するというような目的としての訓練はやらないということが、暗にそれは自分としてそのように考えておる、私も直接この間も当時の丸山防衛局長に会いましたのでお話を伺ってみましたが、そのようであるというようなことをお伺いした次第でございます。
○野田哲君 今度は長官の発言について、長官に伺いたいと思うんですが、栗原長官は防衛庁長官としては前例のない二度のお務めなんですが、前回の防衛庁長官のときに、昭和五十九年三月二十七日参議院の予算委員会におきまして、在韓米軍との共同訓練については、法的には可能であるが、やるかやらないかは、今総理の話にありましたように、高度の政治判断、状況を考えながらやるべきでございまして、ただいまいろいろ御指摘のあるようなこと、つまり、在韓米軍との共同訓練については私どもはやる考えはございませんと、こういうふうに答えておられます。その前提にある総理の話というのは、「日本はアメリカと安全保障条約を結んでおりますが、それ以上にいわゆる集団的自衛権とか、第三国との間にそういう同盟やら軍事的関係を結ぶということはやらない」と、こういうふうに述べているわけであります。そして、それから約半月ぐらい後にも同じように、四月十日の参議院の予算委員会で同じ趣旨のことを強調されているわけであります。つまり、高度の政治判断や状況を考えながらやるべきことであって、今指摘されたような在韓米軍との共同訓練についてはやる考えはありませんと、こういうふうに述べておられるわけです。
 ところが、先月、北海道方面で在韓米軍も参加をして合同演習をやられたわけであります。これは一体どのような高度の政治判断や状況の変化があったのか、長官としての見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私が前の防衛庁長官のときに参議院の予算委員会で発言したことは、今御指摘のとおりであります。法的にはいかなる国、いかなる部隊とも共同訓練できるけれども、高度の政治判断でいろいろ考えるべきだ、在韓米軍との共同訓練はしない、そういうふうに申し上げた。これが非常に、何といいますか、ある意味で誤解を招いておる。私は在韓米軍と在日米軍と自衛隊、そういったものが一緒に共同訓練するなどということは高度の政治判断からすべきでない、これは今でもそれはそう思っております。
 ただ、韓国に配置されておる軍用機が日本へ来て、在日米軍の指揮下で自衛隊と一緒に共同訓練するということは一向差し支えない。なぜかならば、これはフィリピンに配置されている米軍機が日本へ来て在日米軍の指揮下に入って現に共同訓練しているんです。私が答弁したときも、それはそういう事実がある。そのことを私は踏まえまして、米軍の指揮下にある在韓米軍と、それから日本で指揮をとっておる在日米軍、それと自衛隊の三者の共同訓練はしないということでございまして、今回、A10並びにOV10、これが韓国に配置されているやつが日本へ来て在日米軍の指揮下にあるということは一向差し支えない、そういうことでよろしいということになったわけてあります。
○野田哲君 これは、栗原長官、五十九年の見解の後で私はつけられた理屈じゃないかと思うんですよ。今長官の言われたように、在韓米軍が日本に来れば、空軍であれば第五空軍の指揮下に入るのだから在日米軍になるんだ、フィリピンの米軍が日本に来ればこれもやはり在日米軍になるんだとこういう解釈から、これは在日米軍との合同演習なんだ。こういうことになると、これはもう安保条約の建前というものが全然崩れてしまうんじゃないですか。安保条約というのは、これはやはりそんな無制限なことにはなっていない。幾らでもそれじゃ太平洋地域に展開をしている米軍が膨らんでいくことになるわけで、在日米軍としてこれはもう無制限に膨らんでいくことになるわけですね。そんなことにはなってないんじゃないですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 安保条約の解釈の問題は私の所管じゃございませんから、それはもう外務省の方からやっていただきますけれども、私は、事の性格上いわゆるいかなる国のいかなる部隊ともできる、しかしながら高度の政治判断で排除するところは排除する、その場合に、在韓米軍という一つの部隊と在日米軍という一つの部隊と日本の自衛隊が共同訓練するということは高度の政治判断からやるべきでない、ただし、もう既にフィリピンに配置されている、あるいはまあほかにもあるでしょうけれども、フィリピンに配置されておる米軍機が日本へ来て、在日米軍の指揮下で現にもう在日米軍とそれから自衛隊と共同訓練をやっているのですから、それと同じ意味におきまして、韓国に配置されている軍用機が日本へ来て在日米軍の指揮下に入る、そして在日米軍として自衛隊と共同訓練をする、一向差し支えないと、こう思います。
 安保条約上の問題については、外務省の方からお答えいただきたいと思います。
○政府委員(斉藤邦彦君) 安保条約に関連する面につきましてお答えいたします。
 日米安保条約のもとにおきましては、我が国の領域内に存在する限り、どのような形態の米軍でありましょうとも、日本の領域に米軍が入ってまいりましたときは安保条約及び日米地位協定の適用を受けるという形になっておりまして、その意味におきまして、安保条約及び日米地位協定の適用を受けまして在日米軍司令官の指揮下に入るという建前になっております。
○野田哲君 それは米軍の方の建前、編成上の問題としてはあるいはそういう解釈になっているかもわかりませんけれども、それについてはやはり装備の重要な変更ということで事前協議、こういう規定が取り決められているわけですね。だから、ハワイにいる米軍が日本に来ればこれは在日米軍なんだ、フィリピンと現にやっているじゃないか、こういうふうに長官言われるけれども、フィリピンと現にやっているということは国民が知らない、問題にしない。あなた方は国民に知らさないでやっていて、そういう実績があるんだと言われても私どもはそれを了とするわけにいかないわけで、どこの部隊でも日本に来れば全部在日米軍なんだと、そんな無制限なことにはなってないと思うんですよ。一定規模以上のものが来るときには、これはちゃんと事前協議の対象になるわけでしょう。そうじゃないですか。
○政府委員(斉藤邦彦君) 事前協議の問題につきましてはただいま御指摘のとおりでございまして、一定の条件のもとで、米軍の規模その他が変わる場合、これは事前協議の義務がアメリカ側にあるという点は御指摘のとおりでございます。
 先ほど私が御答弁申し上げましたのは、その点とは別にいたしまして、安保条約の建前上、日本の領域内にある米軍、これは安保条約及び地位協定の適用を受けるという点を申し上げた次第でございます。
○野田哲君 この間日本に来た在韓米軍といいますか、在韓のアメリカの空軍、これは日本に来たんだから在日米軍なんだ、こういうふうに長官は言われたわけですが、これは装備の重要な変更という事前協議の対象の量ではなかったから別にそういう手続はとっていない、こういうことなんですか。
○政府委員(斉藤邦彦君) ただいま言われましたとおりでございます。
○野田哲君 五十九年の栗原長官の予算委員会での答弁、私もこの質問者に聞いたわけですよ、これ。そうすると、質問した方から言えば、あの答弁によって在韓米軍との合同演習というのはあり得ない、こういう理解をしておりますよ。私が今これを読み返してみてもそうなりますよ。在韓米軍との共同訓練については法的には可能であるが、やるかやらないかは、総理の話もありましたように、高度の政治判断、状況を考えながらやるべきだ、ただいまいろいろ指摘があるようなこと、つまり在韓米軍との共同訓練、これは「私どもはや
る考えはございません。」と、こういうことで、質問者はそれで、これはあり得ないことだ、状況の変化あるいは政治情勢の変化がない限りはあり得ないことだと、こういうふうに納得をしているわけなんです。だから、この間の北海道でやられたことについて、同じ栗原長官のもとでやられたということで、これは大変な国会に対する背信行為をやっている、こういうふうに受けとめているし、今議事録を読み返してみても、私は素直に読めば、在韓米軍との共同訓練はやらないと、こういうふうに受けとめるわけです。それを紳士である栗原長官が、今になると、韓国にいる空軍でも日本に来れば在日米軍なんだと、だからそれは前の答弁とは変わっていないんだと。これは物を率直に言われる長官らしくない見解ではないか、こういうふうに指摘をせざるを得ないんですが、これどうなんですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 質問者と私との間に、在韓米軍ということに対する実態的な考え方がずれておったかもしれませんね、お聞きするところによると。というのは、その前に、たしか質問の中で、日本とそれから韓国とアメリカと一緒に合同演習をやるとかやらないとかという、そういうのがあったような気がするんですよ、そのやりとりの中に。これは定かではございませんが、例えばそういうものがあった。その延長線上の問題として、在韓米軍、すなわち米軍の指揮者で、その指揮者がそのまま部隊を連れてきて、在韓米軍としてですね、在日米軍と自衛隊とやる。そういうことがやはり日本と韓国と米国と一緒にやるというのと同じじゃないかと、私はそのときそんなふうな感じを持ったと思います。したがって、これは高度の政治判断からしてそれはできないと。私はその前に、日本以外の基地からアメリカ軍が来た場合にどうなるんだということもあの当時聞いた記憶があるんです、事務当局に。そういうこともございまして、私は、在韓米軍というのはまさに韓国におって米軍が指揮しているそういう部隊が日本へ来る、そういうふうな理解のもとに話をしたわけでございます。
○野田哲君 当時の演習を報道した記事などを見ると、自衛隊の幹部の皆さんは、これは日本に来たから在日の米空軍だとは理解されていないわけです。在韓の米空軍が一緒に合同演習をやった、こういうことでアメリカ側の軍当局も日本の自衛隊の幹部の皆さんも、在韓米軍と合同演習ができたということを大変満足をしているという報道がされている。これでまたこの枠組みが一歩広がったと、こういうことで大変満足をしているという報道がされているわけなんです。だから、素直に私どもは議論をしていって、あれは日本に来たんだから在日の米空軍とやったんだと、この理屈は、私は世間には、国民の前には通用しないと思うんですよ。各紙皆韓国を含めた統一運用に道が開いたと、こういう立場に立った報道をしているわけなんです。
 そこで、一体じゃ栗原長官は前に高度の政治判断や状況を考えながら云々と、こういうふうに述べておられるわけですが、今回在韓米空軍も参加した合同演習をやったことについては、一体どのような政治判断や状況の変化があったのか、一体あの演習はどういうことを想定して、どういうシナリオでやられたのか、これをお伺いしたいと思います。
○政府委員(依田智治君) ちょっとシナリオとか、若干細部について御質問ですので、私の方から初めに答えさしていただきますが、先ほど来いろいろ先生から御意見ございましたが、私どもとしましては、自衛隊は日本を防衛するのを任務としておる、したがいまして、日本防衛のための訓練は絶えずやって練度を保持しておく必要があるというように考えておりますし、また、日米安保体制のもとにおきまして有事には日米共同して対処行動をとる、そういう場合の米軍は日本本土にいる米軍だけに限るというものでございませんで、米本土、韓国、フィリピン等あらゆる地域に駐留します米軍も当然有事の場合には参加するわけでございまして、したがいまして共同訓練する場合においても、どこに駐留する部隊とも日本防衛のためにやるということならできるんだというのが、丸山答弁以来ずっと一貫して、日本防衛のための訓練は米軍とできるというのが一貫した考えでございます。
 今回の訓練に韓国のA10並びにOV10が参加したわけでございますが、今回はそれぞれ日本側、米軍側約六千ないし七千程度、総勢一万三千程度の部隊が参加しまして北海道演習場と、海、空の方の訓練は本邦の東南方海空域で実施したわけでございます。それぞれシナリオの細部については、これは公表を差し控えさしていただきますが、今度の場合、特に北海道大演習場におきましては空地作戦ということで、航空部隊による航空支援というのを実施したわけでございます。この場合にA10は、米軍の場合日本周辺では韓国しかございません。これは類例の少ない近接航空支援戦闘機で、空から陸の作戦を支援するのに非常に適切な航空機である。また、OV10というのも狭小な場所で比較的小規模な戦闘に適した低速度偵察機というようなことでございまして、現在の陸上戦闘におきましてはこういうのが非常に有効であるということで、韓国におる空軍がこちらに参加したということでございました。
 共同訓練につきましてもそれぞれ各隊で、各陸海空とそれぞれやってきましたが、まだ統合レベルという訓練はなかなかできない状況であったわけですが、今年二月、初の日米統合指揮所演習というのをやりまして、やはり実際の部隊運用におきましては統合的運用になるわけでございますので、今回は、これまで各隊がそれぞれやっていた規模のものですので余り大きな規模じゃございませんが、統合レベルで実施したということでございます。そういう過程において、空地作戦ということで韓国に駐留しておりますA10並びにOV10が参加する運びになったということでございます。
○野田哲君 私が聞きたいのは、どういうシナリオ、どういう想定でやられたのかということです。それは答えられないんですか。
○政府委員(依田智治君) 訓練を実施するために必要な最小限度のシナリオ等はつくってございますが、これはいろいろ戦術、戦法等の公表につながりますので、従来から公表を差し控えさしていただいているわけでございます。よろしくお願いしたいと思います。
○野田哲君 在韓米空軍がこれに参加をしたことについて、これはどちらからの発議なんですか。こっちから申し入れたわけですか、それとも米軍の方から申し出があったわけですか。
○政府委員(依田智治君) これ統合レベルの演習をやる場合においては、双方それぞれ統裁官というのを設けて実施するわけでございます。それで、この訓練を効果的に行うために事前にシナリオ等についても協議するわけでございますが、それを協議する過程において、空地作戦ならばA10並びにOV10が有効であるということは専門家間では十分周知されていることでございまして、そういう過程においてA10並びにOV10が今回は参加することが望ましいというように決まったということで、どちらからということは私も特に承知しておりませんが、協議の過程において、今回のシナリオにおいてはA10並びにOV10が有効であるということでこの参加が合意の上決まったというように承知しております。
○野田哲君 協議の過程で決まったということですが、どっちかが申し出なければあんなことになるはずはないので、そこのところを、言い出しっぺはどっちなんですかと聞いているんですよ。
○政府委員(依田智治君) 私どもが直接協議に参加したわけではございませんが、協議の過程でA10、OV10の参加問題が出て、これについて私の方もその経過等を伺った次第でございまして、そのときにどっちから先にA10という言葉が出たかというのは、現時点承知しておりません。
○野田哲君 これは今まで在韓米軍との合同演習あるいは共同訓練という問題につきましては、私が今幾つか論議の経過も述べましたように、国会
の議論でもいろんな経過があるわけでありますし、総理や防衛庁長官も国会で、予算委員会等でみずからそれについての見解を述べているわけですから、私は、在韓米軍の参加による共同訓練を準備していく過程においては、当然防衛庁内部でも、今までの国会での議論あるいは政治的な影響、こういうものについてもいろいろ部内で検討されてきた経過があると思うんですよ。統幕だけで私は単純にああいう形になったとは思えない。当然、長官以下内局の皆さんも相談を受けて、そして国会の審議の経過なども検討された上で判断をされたと思うんです。だから、今、教育訓練局長が、あるいは西廣防衛局長もおられますが、どっちが言い出しっぺかわからない、決まった結果だけ私どもは知ったんだというようなことは私はあり得ないことだと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(依田智治君) ちょっと先生の方が今どちらが言い出したかということだったので、その点について私がちょっと答えたということです。
 A10等が今回参加するということにつきましては、そういう協議の過程でこういう話が出たと。日本側としては支援戦闘機としてのF1が出たわけでございまして、米軍の方はこれを支援するものとしてA10並びにOV10を持っているから出る。したがいまして日本はF1を出すということに対応して、米軍側はA10、OV10を出すということに恐らくなったのであろうと思いますが、そういうことで話が出てきた以後の問題につきましては、これはもちろん内局等におきましても過去の答弁等も踏まえまして慎重に検討し、日本防衛のためのこういう必要性のある訓練ならば、過去の答弁とも食い違いがある問題ではないし、よろしいのではないかということで、もちろん大臣等の高度の判断もいただきまして、こういう訓練を実施する運びになったわけでございます。
○野田哲君 ですから、日本でやる合同演習なんですから、日本側から米軍の方へ要請をして、そして対地支援のためにA10と一緒にやりたい、こういうことを日本から要請をしたと、こういうことでしょう。日本国内でやる共同演習ですからね。そうすると、一体在韓米空軍まで参加を求めてやらなければいけない状況の変化、政治判断をした根拠というのはどこにあったのか、これが私の一番伺いたいところなんです。
○政府委員(依田智治君) 日本が特にこのA10、OV10の参加を要請して実現したというものではないというように承知しております。今回のシナリオがちょうど空地作戦というのを重視したシナリオでございまして、日本の持っている支援戦闘機であるF1、米軍の方はA10並びにOV10等が参加したということでございまして、その点は、日本側がぜひこれに出てくれということでやったものではないというように承知しております。
○野田哲君 機種がA10だろうと何であろうといいんですよ。在韓米空軍に共同訓練参加を求めたのは日本側でしょうと、こういうことなんです。そうすると、初めて在韓米空軍の参加を求めたその必要性といいますか、判断の根拠は何だったのですかと、こう聞いているんです。
○政府委員(依田智治君) 私の承知しておるところでは、両方でこのシナリオ等を研究して、今回は統合演習をどういう形で効果的にやるかということで、十分慎重に議論する過程におきまして、支援戦闘機としてのF1並びにA10、OV10等が有効であるということで決まったわけでございます。このA10並びにOV10は日本はもちろん持っておりませんし、日本周辺においては韓国にしか米軍もないわけでございますので、したがいまして、今回の訓練には有効であるということで韓国からたまたま来ることになった。A10、OV10は日本周辺においては韓国しか配置してございません。そういうことで、作戦を効果的に実施するために韓国から飛来し在日司令官の指揮下に入り、日本防衛の目的のために訓練をやったということでございます。
○野田哲君 この押し問答は切りがありませんから、また機会を見て、さらに私は問題点の指摘をしながら伺いたいと思います。
 次は、SDIの問題について伺いたいと思います。外務大臣も近くお見えになると思いますので、その前に事務的なことからまず伺っておきたいと思うんです。
 SDIの研究参加を決定したときの官房長官の談話によりますと、SDIの「参加問題については、現行の我が国国内法及び日米間の取り決めの枠組みの中で処理することが適当であり」こういうふうに述べておられるわけですが、この「現行の我が国国内法」、そして「日米間の取り決めの枠組み」というのは、どういう国内法であり、枠組みであるのか、まずその点から伺います。
○政府委員(渡辺允君) お答え申し上げます。
 本年の九月九日に発表いたしました官房長官談話の中で、我が国からのSDI研究計画への参加は、先ほど先生御指摘のとおり、「現行の我が国国内法及び日米間の取り決めの枠組みの中で処理することが適当」であるということを申しております。ここで申しておりますのは、現行の我が国国内法及び日米間の取り決めの枠組みの中で処理することが適当であるということでございまして、逆に申し上げれば、例えば、SDI研究計画参加のために新規の国内立法を行うというようなことはしないという趣旨でございます。
 それでは、具体的にここで言っております「国内法」あるいは「日米間の取り決め」とは何かということになりますけれども、これは今後具体的に我が国の企業等が参加をいたしてまいります場合に、その参加の形態等によっても、どの法律ないしどの取り決めが関係してくるかというところは変わり得るところかとは思いますけれども、一般的に現段階で申し上げれば、例えば日米間の取り決めとして念頭にございますのは、日米相互防衛援助協定、あるいは対米武器技術供与取り決め等があるわけでございます。
○野田哲君 国内法は一体今どのような枠組みがあるわけですか。
○政府委員(渡辺允君) 国内法で申しますと、例えばいわゆる外為法でございますとか、それから先ほど日米間の取り決めということで申し上げた日米相互防衛援助協定に基づきます秘密保護法でございますとかいうようなものがございます。
○野田哲君 もっと端的に答えてもらいたいと思うんですが、つまり国内法で言えば外為法、それから日米間の取り決めで言えば日米相互防衛援助協定、この援助協定に基づくアメリカ合衆国に対する武器技術供与に関する交換公文、それから同じく実施細目の取り決め、附属書、そしてさらに日米相互防衛援助協定に伴う秘密保護法、これが現行の国内法であり、日米間の取り決めだと、こういうことですね。
○政府委員(渡辺允君) ただいま先生がお挙げになりましたような国内法及び取り決めは、ここに申します現行の国内法ないし日米間の取り決めに当たるものであろうと思います。
 ただ、先ほど申し上げましたのは、必ずしもそれだけに限るかどうかということは、これは今後の参加の実態によって決まってくるわけでございますので、そういうことだけちょっと申し上げたわけでございます。
○野田哲君 今後の協議の経過によってということですが、協議の結果によって考えられる国内法というのはどういうものが想定をされますか。
○政府委員(渡辺允君) ちょっと私の御答弁がよくなかったかと思いますが、何か具体的に別の法律とか取り決めを念頭に置いて先ほど申し上げたようなことを申し上げたわけでは必ずしもございませんで、基本的に、あるいは一般的に申し上げれば、先ほど来先生が御指摘になったようなものであろうということでございます。
○野田哲君 武器の定義という問題について伺いたいと思うんです。
 昭和五十一年の二月二十七日に、衆議院の予算委員会において、当時の三木武夫内閣総理大臣がみずから武器の定義について見解を示しておられるわけです。これは、いろいろな武器を輸出していたということが問題になって、そのときに総理
が国会で見解を示されているわけであります。
 こういうふうに述べておられるわけです。
  「武器」という用語は、種々の法令又は行政運用の上において用いられており、その定義については、それぞれの法令等の趣旨によって解釈すべきものであるが、
 (一) 武器輸出三原則における「武器」とは、「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」をいい、具体的には、輸出貿易管理令別表第一の第百九十七の項から第二百五の項までに掲げるもののうちこの定義に相当するものが「武器」である。
こういうふうに総理みずからが武器輸出の三原則における武器の定義を示しておられるわけであります。
 この輸出貿易管理令の別表の一九七から二〇五までの間に列記されている品目、通産省おられますか――ちょっと品名を挙げてください。
○説明員(村田成二君) お答え申し上げます。
 ちょっと長くなりますが、順次申し上げますと、まず第一に銃砲及びこれに用いる銃砲弾が一つございます。それから二番目に爆発物及びこれを投下し、発射する装置。それから三番目に火薬類及びジェット燃料。それから四番目に爆薬安定剤。五番目に軍用車両。六番目に軍用船舶。七番目に軍用航空機。八番目に防潜網あるいは魚雷防御網等でございます。それから九番目に装甲板、軍用鉄かぶと、防弾衣。十番目に軍用探照灯。十一番目としまして軍用の細菌製剤、軍用化学製剤、軍用放射性製剤。これらが列挙されております。
○野田哲君 一九八三年十一月八日に日米相互防衛援助協定に基づく対米武器技術供与に関する交換公文というのがあります。この日本側の書簡の中で「日本国政府の了解は、次のとおりであります。」こういうことで、1の項の(2)で「この了解の適用上、「武器技術」とは、附属書に定義する技術をいい、武器技術の供与を実効あらしめるため必要な物品であって同附属書に定義する「武器」に該当するものを含む。」このように述べています。そして、その附属書の中では「「武器技術」とは、千九百七十六年二月二十七日の武器輸出に関する日本国政府の方針に定義する「武器」の設計、製造又は使用に専ら係る技術をいう。」こういうふうに述べています。そして(2)の項で「輸出貿易管理令別表第一の第一九七の項から第二〇五の項までに掲げる物品のうち軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」こういうふうに定義をされているわけです。
 つまり、まず三木総理が国会で明らかにした政府の武器ということについての見解、そこで定義をする「「武器」の設計、製造又は使用に専ら係る技術をいう。」こういうことで、具体的には輸出貿易管理令の別表第一の一九七から二〇五までの物品、これが日米相互防衛援助協定に基づく対米武器技術供与に関する物品である、こういうふうに交換公文で、あるいは附属書で規定されているわけですね。そのとおりですね。どうですか。
○政府委員(渡辺允君) そのとおりでございます。
○野田哲君 このSDIの研究参加によって日本に求められる技術、これは一体どういう技術が求められるのかという点をまず伺いたいわけですが、SDIの官民合同調査団の報告によると、「分野別のSDI研究の現状は次のとおりであるが、今後目標とする技術水準を達成するためには解決すべき課題も多いと考えられる。」こういうことで、「SATKA等」こういうことで「(レーダー、赤外センサー、信号処理等)」、それから「KEW」「(誘導制御、電磁加速、センサー等)」、それから「DEW」「DEW関連技術(高出力レーザー、高出力粒子ビーム、光学装置等)」こういうふうに幾つか項目を挙げてあるわけでありますが、大体こういう内容のものが研究参加の中で求められている技術と理解していいわけですか。
○政府委員(渡辺允君) ただいま先生がお読み上げになりました官民合同調査団の報告でございますが、これはここにも書いてございますように、米国で行われておりますSDI研究計画の全体像をいわば描写したものでございまして、これが現在SDIとして米国で行われている研究の諸分野なわけでございます。したがいまして、これは必ずしもこれらの分野について日本の参加が求められているというような趣旨のものではないわけでございます。
 一般的に申しまして、米国からこれまで具体的な分野を特定して、この分野に参加してほしいというような要請というのは一切ございませんし、研究参加の仕組みから申しましても、恐らくそういう形では物は進まないのではないかと思っております。
○野田哲君 まだ協議中であるということですから、具体的な品名は決まっていないだろうと思うんですけれども、しかしSDIの構想そのものが、SDIの研究の現状というのは、私が今述べたようなものがSDIの研究の対象になっているわけでありますから、日本からの研究参加を求められる技術というのも、私が今述べたような範囲の中で研究を求められると、こういうことじゃないんですか。
○政府委員(渡辺允君) この報告書に書いてございますのは、先ほど申し上げましたように、SDI研究計画の全体像でございますので、その中で具体的にどれということはございませんが、参加をするという場合に、この分野の範囲内で参加をするというのはおっしゃるとおりでございます。
○野田哲君 そこで私が伺いたいのは、武器とはどういうものかということで、まず三木総理が国会の中で見解を述べられているわけであります。そしてそれは、「軍隊が使用するものであって、直接戦闘の用に供されるもの」をいい、具体的には、輸出貿易管理令別表第一の一九七から二〇五の項までに掲げるもののうちこの武器の定義に該当するものだと、こういうふうに述べておられるわけです。つまり武器というのは、ただいま通産省の政府委員の方が述べられた輸出貿易管理令の別表の第一の一九七から二〇五までに掲げられているものが武器だと、こういうことで、これをそのままアメリカとの交換公文、附属書でもこの貿易管理令の一九七から二〇五までをつけておられるわけです。だから、アメリカとの武器技術の供与の枠組みというのはこれに限定されているわけですね。
 そうすると、今SDIの研究の課題としていろいろ述べた技術、これは武器としてアメリカとの間で交換公文で取り決めている、ここに列記をしてある物品あるいはその部品やその技術、こういうものとほとんどはこれは該当しないものじゃないかと思うんですが、該当するもの、該当しないもの、わかりますか、これ。
○説明員(今野秀洋君) お答え申し上げます。
 この輸出貿管令の別表第一、これは物の表なんでございますけれども、ある具体的な物、これが同表のいずれに該当するかという問題につきましては、個別具体的な物の形状、属性といったものに基づいて判断するということになるわけでございます。今度の調査団の報告書に記載されておりました五つの研究対象分野というものは、現段階でもっと具体的に各分野いかなるものが含まれておるのかと、これは確定的に申し上げることはできないのでございますが、その後具体的に明らかになりますれば、それにつきましてその物の形状、属性といったことによって判断するわけです。例えば運動エネルギー兵器、KEWでございますけれども、この分野に一つ掲げてございますが、弾道弾の迎撃ミサイル、こういったものでございますと、輸出貿管令の別表第一の一九八の項に該当するのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○野田哲君 例えばということで、KEWの中で百九十八の「爆発物及びこれを投下し又は発射する装置並びにこれらの部分品及び附属品」というのがあるわけです。これに該当するものもあるだろうと、こういうことですけれども、今アメリカからどういう研究を求められるのか、そしてそれが武器技術供与の交換公文で指定されているこの一九七から二〇五までのどれに該当するのか特定して説明できないということですね、今の段階で
は。そうですね、そういうことなんですか。
○説明員(今野秀洋君) お答え申し上げます。
 輸出貿管令の別表の第一の物の表、これに具体的な物がどういうふうに該当するかという問題につきましては、その具体的なその物がはっきりいたしませんと、その判断ができないわけでございます。今この五分野というのは非常に広い分野でございまして、非常に多岐にわたる概念といいますか、それが列挙されておるわけでございまして、そこの中で具体的にどういう技術について日本の企業等が参加することになるのか、そういうことがわかりますれば、それに基づいてそこで出てくるデータと申しますか、形状、属性といったことがわかるわけでございますので、その時点で判断するということになろうかと存じます。
○野田哲君 倉成外務大臣は今出席されたばかりでありますが、栗原長官はずっとおられたわけです。お聞きになりましたように、もう一回順序を追って私が質問したことを繰り返しますと、SDIの研究参加について官房長官の談話で述べておられる、参加に当たっては、枠組みは現行の国内法とそれから日米間の取り決めの枠組みの中で処理することが適当であると、こういうふうに述べておられるわけです。そして今までの国会での議論の中でも、新たな法制は必要ないと、こういうふうに言っておられるわけです。そこで、国内法と日米間の取り決めの枠組みというのはどういうことですかというふうに次に伺ったわけです。これは国内法というのは外為法、それから日米相互防衛援助協定に基づく秘密保護法、そして日米間の取り決めというのは、日米相互防衛援助協定、そしてそれに基づく交換公文、実施細目取り決め、附属書、これが日米間の取り決めの枠組みですと。そしてその附属書の中では、武器としてはこれこれのものですよということで、貿易管理令の一九七から二〇五までの品目、その部品、そして製造する技術、これがずっと列記をされているわけです。そこで、私が調査団の報告によってSDIの研究テーマ、研究課題というのはどういうことですかということで伺って、今SATKA、KEWあるいはDEW、こういうふうにいろいろ研究の計画、研究課題、こういうものを報告の中で述べているわけですね。じゃそれは一体、日米間で取り決められている武器として、日本からアメリカに提供する武器技術、ここで定めている品目のどれに該当するんですか、こういうふうに伺ったところが、これはまだ固まっていないんだからどれに該当するかは今特定できない、こういうことですけれども、私が見る限りはむしろSDIの研究として日本に求められるもの、レーダーとかあるいは赤外センサーあるいは誘導制御、電磁加速、センサー、高出力レーザー、高出力粒子ビーム、光学装置、こういういろんな技術があるわけですけれども、この附属書で定めている中の百九十八の爆発物及びこれを投下しまたは発射する装置、これにかかわるものは確かにこの一九八に該当するということになるでしょうが、ほとんどはまだ特定できない、そして定めてある附属書に列記をされている品目外のものがほとんどだろうと思うんです、求められる技術は。そういうふうにまだ特定できない仮定の状態の中でなぜ、新たな法制は必要ないとかあるいは既存の国内法やあるいは日米の取り決めの枠組みで処理できるんだと、こういうふうに述べられるんですか。どれに該当するかがまだ、求められる技術がわからないし、これからどういう研究課題が日本に求められるかわからないのに、なぜ、日米間の取り決めや法制は既存のものでいいんだと、こういうことが言えるんですか。そうすると、もっと具体的に進んでいけば、ほとんどがこの日米間の取り決めの品目以外のものということになってきたときには一体どうするんですか。こういう点を今伺いたいと思うんです。
○政府委員(渡辺允君) 今の御質問に対しまして、これはこれまでも国会で何回か御答弁申し上げておると思いますけれども、まず一つには、日本のSDI研究計画への参加ということの意味でございますが、これは、SDI研究計画というのは、この調査団の報告に概括書いてございますような分野について非常に多くの具体的なプロジェクトと申しますか研究計画があるわけでございます。現に米国企業で既にそのような個々の研究計画について国防総省と契約をしております契約の数が千五百にも及ぶと言われておりますけれども、そのように実際に参加という段階になりました場合には、非常に細かい一つ一つの技術について契約を結んで参加していくということになるわけでございます。その場合に、一つ一つのプロジェクトはあくまでアメリカ側がつくっておるものでございまして、それに対して、例えば日本の企業であれば、企業が関心がある場合に、入札のものであれば応札してそれを落札すればそれで契約を結ぶ、そういう形で入っていくわけでございます。
 他方、それでは対象となります技術が、今先生が御指摘のように、武器技術供与に関する取り決めの対象となるものであるのか、あるいはそうではないいわゆる汎用技術になるのかというのは、これは最初に申し上げましたような形で今後実際の参加が進んでいかないとわからないわけでございます。ただ、いずれにいたしましてもこの武器技術供与の取り決めの対象となります武器技術であります場合には、当然この取り決めに定めてあります手続に従って供与されるわけでございますし、一方いわゆる汎用技術であります場合には、これは現在と同じ、他の汎用技術と同じことでございまして、原則としてそれについて制限は課されていないということでございます。
○野田哲君 だからつまり、随分回りくどい説明、答弁をされるわけですけれども、武器技術供与に定めていない品目というのが、だんだん研究参加が固まっていくとずっと広範に出てくる、あの交換公文附属書で定めてあるような品目というのは非常に限られていって、むしろあれ以外の技術、先端技術、汎用技術が非常に広い範囲で参加を求められる、こういうことになるんじゃないかと思うんですね。そうなってくるとこれは、日米間の対米武器技術供与に関する交換公文、実施細目の取り決めや附属書に該当しない個々の企業との直接契約、こういうことになるわけですね、汎用技術の場合。そうすると結果的には、日本の企業の汎用技術というものが日米間の武器技術供与の取り決めの手続を経ないで野放しに民間同士の契約でアメリカに流出をしていく、そして軍事技術に転用されていく、国民が全く知らない間に日本の技術が巨大なアメリカ軍事戦略に組み込まれていく、こういう仕組みになっていくんじゃないんですか。その点いかがですか。
○政府委員(渡辺允君) 御質問の趣旨を私十分理解したかどうか自信がございませんが、一つには、実際の参加をいたしますのはあくまで日本の企業等のいわば自主的な企業としての判断に基づくものでございますので、これは例えば強制されて何かに組み込まれていくというようなことにはならないだろうと思います。それからもう一つには、SDIというのは、たびたび申し上げておりますとおり、これは技術の研究計画でございますので、これが何か既に配備された武器体系ないし軍事的なシステムに組み込まれていくというようなことではないわけでございます。
○野田哲君 だから研究計画の段階で、私が聞いているのは、政府間で取り決めている武器の範囲でない汎用技術という形のものが非常に広範にアメリカに、アメリカとの交渉が合意されて、それからということになるんだろうと思うんですけれども、しかし今の審議官の説明だと汎用技術の場合にはこれは全く企業の自由なんだ、こういうことになると、政府間の協議が調う調わないにかかわらず、これはアメリカのSDI研究に参加をしている企業と日本の企業とが契約で自由にできるんだということになれば、政府の合意ができると否とにかかわらず、これからどんどんSDIの研究開発に必要な技術が汎用技術ということで、これは政府間の取り決めにも関係ないということでどんどんアメリカに取り込まれていく、そしてアメリカの巨大な戦略の中に組み込まれていく、そういう仕組みになっていくことが一体いいのかど
うなのか、そういうことになるんじゃないですかと、このことを聞いているんです。
○国務大臣(倉成正君) 今いろいろとお話を伺っておりますが、御案内のとおり、汎用技術については相互に自由に交流ができるようになってきております。したがいまして、先生の御懸念のお気持ち、御質問されているお気持ちはよくわかりますけれども、日本側もまた、アメリカ側からいろいろな技術を導入するということもありますし、日本側からも汎用技術についてはこれを米国側に契約に基づいて与えるという、相互的にいろいろ得たり与えたりするものがあろうかと思うわけでございまして、技術の性格上、これは御承知のとおり、悪用もされれば善用もされる。我々としてはこの技術というものは、ギリシャの文学者が申しておりますように、やはり両刃のやいばであるという、いわばこれが非常に悪い方面に利用されたら大変なことになるということはわかるわけでございますけれども、しかし汎用技術について、自由に交流できるものについてこれを一々せんさくし、そしてこれが一体どうなるのかというところまでは、なかなか難しいんじゃないかという感じがするわけでございます。
 日米間の取り決めというのはそういう問題とは別の次元で、むしろ日本の企業がSDI計画に参加した場合に、せっかく研究をした結果の成果がなかなか企業の成果として得られない、そういう場合もあるだろう。そういう場合に、向こう側は向こう側の言い分があるかもしれないけれども、日本側としてはできるだけその成果が得られるように努力する。そういう円滑なことができるように、企業間でもやるでしょうが、企業間で全部やれれば一番いいことでありますけれども、そういう大きな枠組みについてひとつ決めていこうというのが日米間の協定の趣旨でございますから、相手があることでございますからこれからどういう形になるか、まだ何とも申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういう成果の利用を含めて、両方にとって満足のいく形のものになるような協定を結ぼうということで、今鋭意交渉しておるような次第でございます。
○野田哲君 SDIの研究参加ということになりますとね、基本的な枠組みとして、西ドイツの例などもあるわけですが、まず一つは研究参加によっての技術の転用が可能なのかどうか、かなり厳しい制約が課せられるんじゃないか、それから秘密保護の扱いが一体どうなるのか、こういうような問題が西ドイツの例などでかなり大きな問題になっているわけでありますけれども、アメリカに対米協議のための代表をこの間派遣をされたようでありますけれども、基本的スタンスというのはどういう立場で臨んでおられるわけですか、対米交渉について。
○国務大臣(倉成正君) 今のSDI研究計画についてのお話ございましたが、SDI研究計画に参加すると否とにかかわらず、汎用技術については相互に自由に交流しておるわけでございますから、企業がそういう形で汎用技術についての交流が行われること、これをとめることはいたしてないわけでございますから、おのずから日米の企業の間で、あるいはこれがSDIの場合には先方の政府ということになろうかと思いますが、契約として決められることになろうかと思うわけでございます。したがって、その中でおのずからいろいろな制約が若干出てくる場合があり得ると考えておる次第でございます。その辺のところは十分そういうことを踏まえながら円滑にいくようにしたいと、日本の企業としては不利にならないようにできるだけしたいということが一つの観点でございます。
○野田哲君 いや、私が言ってるのは、汎用技術がどうなるのかということじゃなくて、アメリカとの間の交渉、この間も行かれたわけですね、協議が調わなかったというふうに伺っているんですが、かなり長引くだろう、年を越すだろうと言われているんですが、対米交渉の主要な項目というのはどういうことが項目なのか、そしてそれに対する日本側の基本的なスタンスというのはどういう立場をとって交渉に臨んでおられるのか、さらに今の対米交渉の焦点になっているのはどういう点なのか、そういう点を伺っているんです。
○国務大臣(倉成正君) 政府委員からも申し上げたと思いますけれども、今非常に協議中でございます。基本的に申し上げますと、例えばただいま私が申しましたように、その成果の利用については双方が満足のいくようにしたいというようなことでやらしていただいておるわけでございます。今ちょうど協議の最中にこういう点をこうだと申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、もちろんある線が出てまいりました際に、公表できる点については公表いたしたい、御説明申し上げる、そういう立場を考えている次第でございます。
○野田哲君 いや、私が伺ってるのは交渉の途中だからこそ伺っているんであって、いろいろ西ドイツの例などもあって、研究に参加をして得た技術については日本でも転用したいという業界は非常に強い希望を持っている。ところが、西ドイツとアメリカとの取り決めの中ではそれはできない、あるいはまたアメリカ側の議会審議の中などでも、アメリカの予算を使ってやった研究の成果についてはやはりそう簡単に外国にはこれを転用は認めない、こういう議論が出ている。あるいはまたアメリカの例を見ても、かなり厳しい秘密保持のための立法を要請されているとか、こういう情報があるので、これらの問題も含めて一体何を対米交渉やっているんですか、そして日本側のスタンスはどういう立場なんですか。これを聞いてもそれは答えられないというのでは、これはもう国民は全く目隠しの中でSDI参加という巨大な軍事プロジェクトに日本の企業が参加をしていく、こういうことになるんで、それは私は納得できない。国会にはやはり報告してもらわなきゃならぬ、こういうふうに思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(倉成正君) 西ドイツについていろいろ野田委員お話しでございますが、私の知る限りでは西ドイツのいろいろな取り決めというのは公表されていないと承知しておりますが、野田委員が何かの形でお知りになったことであれば、またいろいろ我々にも教えていただきたいと思いますけれども、公表されていないと聞いておる次第でございます。
 また、このSDIの研究分野、SATKAから始まりまして、もう一々詳しいこと申しませんが、C3Iまでに至る五分野にわたる、あるいはそのほかの分野にわたる非常に広範な分野の研究でございますから、その中で汎用技術についていろいろお互いにどこが欲しいかというようなこともありましょうし、そういった問題を含めて、現行の枠内でとにかくやっていこうという基本的な方針を日本政府としては決めておるわけでございます。そしてしかもスタンスとしては、成果の利用を含めて日米双方が満足のいくようにしよう、できるだけ円滑にいくようにしようということでございますから、今交渉の過程においてこういう点でこうだということをこの席で申し上げるのはいかがなものだろうかと思うわけでございますから、この点は御容赦いただきたいと思う次第でございます。
○野田哲君 SDIについての基本的なスタンス、どういう立場で対米交渉に臨んでいるんですか、これさえも公表を控えたい、こういうことではもうこれは全く論外だと思うんです。これは改めて私は、それでは総理も含めて出席されている場面でこの問題はただしてまいりたい、こういうふうに思います。
 時間がほぼ参りましたのでちょっと別の問題で、せっかく貿易管理令の中に定めてある武器の問題に議論が行っておりますので、最後に伺っておきたいと思います。
 先ほど御説明がありましたように、政府が統一見解として示した武器技術、この範囲は具体的には輸出貿易管理令別表第一の一九七から二〇五の項までに掲げる物品のうちで軍隊が使用するもの、直接戦闘の用に供されるもの、こういうふう
に定義をされている。そしてこの定義は、アメリカに対する対米武器技術供与に関する交換公文の附属書の中でも確認をされているわけですが、この附属書で確認をされている物品の中で別表第一の二〇五に、先ほど通産省の方からも説明があったわけですが、「軍用の細菌製剤」これが規定をされているわけでありますが、この細菌製剤というのは具体的にはどのようなものを指しているわけですか。
○説明員(岡林哲夫君) お答えいたします。
 軍用の細菌製剤とは一般に軍隊が使用するものであって、微生物または毒素の生理的効果により人、動物、植物を疾病あるいは死に至らしめるものをいう、と考えられております。
○野田哲君 私非常に不可解に思うのは、この貿易管理令と、それからこの対米武器技術供与の交換公文の附属書で細菌製剤というのが規定をされているということ、全く不可解なわけなんです。
 この細菌兵器というのは、一九八二年の六月に細菌兵器及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約これを批准して、同じく同日付で細菌兵器及び毒素兵器の開発、生産及び貯蔵の禁止並びに廃棄に関する条約の実施に関する法律、これが施行をされていて、その第四条によって、生物兵器は製造してはならない、生物兵器は所持をしてはならない、生物兵器は譲り渡し、または譲り受けてはならない、こういうふうに規定をされているわけですね。国際条約を批准し、そして法律で製造すること、譲り渡すことを禁止したこの細菌兵器、生物兵器、これがなぜ対米供与の中に含まれているのか、あるいはまた貿易管理令の中に武器として掲げてあるのか、これ理解に苦しむわけですが、この点はどう解釈すればいいですか。
○政府委員(斉藤邦彦君) ただいま御指摘のありました生物・毒素兵器禁止条約と、それから武器技術供与取り決めの附属書の関連について私から申し上げます。
 生物・毒素兵器禁止条約及びそれに基づきます国内法におきまして、いわゆる細菌製剤と言われておりますものの製造等が禁止されている点はただいま御指摘のあったとおりでございます。
 他方、この武器技術取り決めの附属書に貿管令別表第一の二〇五というのが掲げられておりまして、その中に「軍用の細菌製剤」云々というのが掲げられております。この武器技術供与取り決めの附属書にこういう品目が掲げられております趣旨は、この日米間の取り決めにおきます武器技術、それからそのもとになっております武器、これの定義がどういうものであるかという点についての日米間の了解を示すものでございます。したがいまして、ここに書いてあるから当然日本から米国にこれに関連する技術が供与されるということを定めている趣旨ではございませんで、仮に生物・毒素兵器禁止条約の方で禁止されております細菌製剤というようなものの供与の可能性というようなものが問題になりました場合、そのようなことができないということは、これはもう当然のことでございます。
○野田哲君 武器の定義として挙がっているんだ、そこまではわかるんですよ。そこまではわかるんです。武器の定義として貿易管理令の中で武器とはこういうものですよということで挙げている。しかし、今度は対米武器技術供与の中で、アメリカに対してこういう武器技術を日米防衛援助協定に基づいて提供いたしますよという中に、私が聞きたいのは、なぜ細菌兵器がアメリカへ提供する物品の中に含まれるのか、これはもうおかしいんじゃないですか。この点を指摘しているんです。
○政府委員(斉藤邦彦君) ただいまの御答弁申し上げた点と繰り返しになってしまうかもしれませんが、この武器技術の定義がこの附属書に掲げられておりますのは、先ほど野田委員も御指摘になりましたとおり、この武器技術取り決めに附属しております了解、これにおきまして、「この了解の適用上、「武器技術」とは、附属書に定義する技術をいい、」云々というのがありまして、武器または武器技術としてどのようなものが観念されているかという点を示しているわけでございます。ここに掲げられております関連いたします武器技術がこの武器技術供与取り決めに従いまして当然日本からアメリカに供与されるという、その目的を示すためにここに掲げられているわけではないということを申し上げたつもりでございます。
○野田哲君 それは極端に言えば、あなたの詭弁だと思いますよ。
 こういう武器をアメリカに求められれば日米防衛援助協定に基づいて提供いたしますよと、こういう中に細菌兵器を掲げているということなんですよ。武器とはこういうものですということで、この対米交換公文の中に定めているんじゃないんですよ。日本から提供すべき武器としてずっと列記をしているわけです。その中に細菌兵器があるというのはどういうことなんですか。片一方において国際条約を批准し、そしてまた国内法で持たない、つくらないということを決めている、そういう物品をなぜアメリカに対する供与の中に含めているのか、これは矛盾しているじゃないですかと、こういう点を私は指摘しているんです。アメリカはあの国際条約は批准していないんですよ。そういう点からもこれは全くおかしいじゃないですか、法律と交換公文とが矛盾があるじゃないですかと、こういう点を指摘しているんですが、これ、倉成外務大臣、いかがですか。栗原長官、これは武器技術援助のことですからあなたも関係あるんですよ。いかがですか。
○国務大臣(倉成正君) 私も法律の専門家でございませんが、ここに書いてあるのは武器とは何かということを列記してあるわけで、これをもう何というか、提供するという意味のものではないと思うんですけれども、今先生のお話の点は常識論としてわかるような気がいたします。もう少し勉強さしていただきたいと思います。
○委員長(岩本政光君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十六分開会
○委員長(岩本政光君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○堀江正夫君 私は、防衛庁に対する質問に先立って、SDIの研究参加と安全保障室について御質問いたしたいと思います。
 まず、SDIの研究参加の問題でありますが、私も二点だけお尋ねいたします。
 その第一点は、現在いろいろの観点から、かちっとした枠組みの中でなるべく早く民間の研究参加が行われるように最善の努力を尽くされておるところでございますが、新聞の報道によりますと、第二回の交渉を十二月に行って来年一月中の取り決めを目指すように報ぜられておりますね。果たしてこの交渉、取り決め、今後どのような見通しに立ってやっておられるのか、これをまずお尋ねいたします。
○政府委員(渡辺允君) お答え申し上げます。
 我が国のSDI研究計画に対する参加の問題につきましては、御承知のように、九月の九日に官房長官談話を発表をしておりますが、その中で我が国の企業等の参加をできる限り円滑なものとするために、必要な具体的措置について米国政府と協議するということを申しております。これに基づきまして米国との協議をいたしておりまして、十月の二十八日から三十一日までワシントンで関係省庁の代表が参りまして最初の協議をいたしたわけでございます。御承知のように十、この協議の対象となり得る問題というのは相当幅の広いものでございますし、また、それぞれにいろいろ技術的な詰めを要する点もございますので、まだ先回の交渉はいわば皮切りをしたという感じでございますので、今後なお協議を続ける必要があると
思っております。
 私どもといたしましては、既に参加問題についての方針を決定したことでもございますので、できる限り早い時点で協議を取りまとめたい、不必要にこれを長く延ばすことはないと考えておりますけれども、ただ、先ほど申し上げましたように、いろいろ技術的な点もございますし、今のところいつまでに結果を得られるということをはっきり申し上げられる段階にはないので、その点御理解をいただきたいと思います。
○堀江正夫君 今のような状況でございますと、まだ先走っておるかもしれませんが、いよいよ民間が研究に参加するということになった場合、そこには、午前中も論議が行われましたが、軍事技術の問題も当然出てくるでありましょうし、また、汎用技術については民間相互と言われておりますけれども、両者の企業はもうまさに横綱と前頭か十両といったほど格差があるわけでして、現実的には具体的な諸問題がいろいろと生起をする。したがって、時宜に適した適切、強力な政府の指導と支援が絶対に必要となるんじゃないかと予想されるわけであります。したがってこの場合、政府の窓口はもちろんできるだけ単一にすることが望ましいことは言うまでもありませんが、恐らく外務と通産が直接かかわり合うということになるんだろうと思うわけでして、その窓口あるいは分担について現在どのように考えておられるか、承っておきたいと思います。
○政府委員(渡辺允君) これまでもSDI参加問題につきましては、外務省、防衛庁、通産省、科学技術庁等関係省庁の間で緊密な連絡調整を図りながら取り進めてきたところでございます。将来具体的に日本の企業等の参加が行われることになりました場合に、例えば必要な場合にそれに支援を与えるといったようなことについて、政府のどこが担当するかということでございますけれども、これは今後どのような必要が生じてくるかということにもよるわけでございますけれども、現段階では、それぞれ現在関係しております省庁がそれぞれの担当分野についてお互いに連絡調整を図りながらそれを担当をしていくという建前で考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、政府といたしましては、現在行っておりますアメリカとの協議も含めまして、我が国の民間企業等でそれぞれの御判断に基づいて参加を希望される場合に、そのような参加ができる限り円滑にいくように引き続き検討をし、所要の措置をとっていきたいというふうに考えております。
○堀江正夫君 少なくとも民間が出てきた問題をどこに行って相談したらいいんだ、あそこにも行け、ここにも行けというようなことにならないようにちゃんとした態勢をとるべきじゃないかなと、このように思うわけでして、十分に御検討いただきたいと思います。
 次は、安全保障室についてでありますが、まず、安全保障室が発足して以来今日まで行われてきた検討の成果、これについては新聞ではハイジャック対策のマニュアルができたといったようなことも伝えておるわけでありますが、その概要と今後の検討の予定について簡単にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 七月一日に安全保障室が発足いたしましてから、御承知のように、国防事項と新たに重大緊急事態対処という任務が加わりましてございます。
 国防事項の方でございますが、防衛白書あるいは八月の防衛予算概算要求、こういう問題に関しまして、懇談会を含めまして三回安全保障会議を開催したところでございます。今後の見通しでございますけれども、当然六十二年度防衛予算の主要項目をこの年末には御審議いただく、こういうことに相なろうかと思います。
 次に、重大緊急事態対処の方でございますが、ハイジャック等非人道的暴力防止対策本部というのが五十四年からございましたが、安全保障会議とこれをドッキングさせまして、各省庁の御協力を得て、これに対するいわゆるマニュアルをほぼ完成したところでございます。今後は、その他の重大緊急事態、例えば大韓航空機撃墜事件であるとかミグ25亡命事件のような非常に重大な、国の安全にかかわるような事案、これについてのマニュアルを続けて検討してまいりたいと、かように考えております。
○堀江正夫君 今申されましたいわゆる平常段階における危機管理、危機対処、こういう問題と同時に、いわゆる有事法制の第三分類に属する問題があると思います。これについては先般、同僚の飯田委員から国民の避難、交通機関の統制を内閣が一体となって取り組むべきだといった発言もございました。また、十一月三日のNHKでは、本当かどうかは知りませんけれども、防衛庁が行ってきた民防の研究成果を安全保障室に渡して、その調整にゆだねることになったといった内容の報道もされておりますね。それはそれとして、現在全く欠落をしている市民防護等を含むこれらのいわゆる第三分類の諸問題については、安全保障室が各省に問題を提起させ、これを受けて調整をし、整備を図るというのが安全保障室の本来の任務の重要な一つだと、私はこう思うわけでありますが、これらの問題をどのように考え、今後どのように対処されようとしておるのか、承りたいと思います。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 有事法制第三分類の研究につきましては、既に当委員会におきましても安全保障会議設置法案を御審議いただきましたときに官房長官からも御答弁申し上げておりますとおり、各省庁が担当をしておるけれども、欠落している部分、これについてどこもやるところがなければ政府全体で取り組むべきだろう、その際には内閣官房の安全保障室がその調整を行うべきであろうと、こういう御答弁を申し上げているところでございます。その方針に従いまして、現在防衛庁において内部作業として第三分類の研究をしていただいておるわけでございますが、当室といたしましても、これまでやってまいりました第一分類、第二分類これを含めまして勉強させていただいておるという段階でございます。
○堀江正夫君 ぜひ今のお考えに基づいてこの種の検討、さらに整備に向かって御努力願いたい、こう思うわけですが、今いろいろお話ありましたような問題を処理するとしますと、安全保障室の現状は、仄聞しますと人員の点においても施設の点においても予算の点においても、さらにその運用の面においても、大変多くの問題を抱えているように思われますが、これらの問題点の内容と、これらを今年じゅうあるいは来年度の予算でどの程度、どのように改善しようとしておられるのか、承りたいと思います。
○政府委員(佐々淳行君) 安保室に課せられました任務は極めて重大であると私どもその責任の重大性を強く認識、痛感をいたしておるところでございます。何分七月一日発足したばかりでございますので、限られた人員、限られた予算でどういう効率的な作業をやるか腐心をしておるところでございます。この問題につきましては、六十二年度予算等につきましてどうしてもやはり必要な通信器材等非常用の連絡の通信網が必要でございますので、こういう必要なものを現在要求をしておるという段階でございます。
 なお、この安保室の仕事というのは私ども独力でできるものではございません。各省庁が実際におやりになるのを内閣官房の調整機能としてお手伝いをするわけでございますので、各省庁の御協力、御理解が何よりも大事であると考えておりまして、この面では大変各省庁ともこの重要性を御理解いただいて御協力をいただいておる、こういう現状でございます。
○堀江正夫君 危機対応という本来の第一義的な任務からしますと、ことしも防衛二法でも中央指揮所の二十四時間勤務体制をとるための人員要求が出ておるわけですが、安全保障室も常時勤務できるだけの最小限の人員というのは必要じゃないか。そうしなければいざというときに機能しないじゃないかと、こう思うわけでございますが、そ
の人員の点については来年度どうなっておりますか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 現在、ドライバーまで入れまして二十六名という体制でございまして、御指摘の当直体制はちょっと組めない現状にございます。しかしながら、なるべく長時間空隙を生じないようにということで当番を設けまして、朝八時出勤で十時まで勤務ということでカバーをし、その残りはチェスコムという電話とか、行き先を追っかけてくる電話があるのでございますが、そういうものを設置する、あるいは二十四時間勤務をしておる警察庁、防衛庁等の第一報をちょうだいする、こういう体制を組んでおるところでございます。
 人員の問題につきましては、臨調なり合理化、機構改革というような大きな流れの中で、発足の際に三名ふやしていただいたということでございますが、来年度はちょっと人員は無理ではないかと考えております。
○堀江正夫君 今のような人員体制だと私は大変だと思いますね。来年度どうしても人員増ができないとするならば、関係各省の協力を得て、やはり最小限の二十四時間勤務体制をとるような努力が必要じゃないかなと私は思いますので、あえて申し上げておきます。
 これからは防衛庁関係についてお尋ねいたします。
 まず第一は、防衛二法の改正について一点だけ、航空自衛隊の予備自衛官の問題につきまして、これは質問というよりも私の意見を申し上げたいと思います。
 これについては衆議院の論議の中で、外部の短SAM要員であるというふうにその内容が明らかにされておりますが、従来、日本に対する侵略は奇襲の可能性が強いと言われておるわけです。そして、その場合はもちろんレーダーサイトは第一次的な攻撃目標となる。ところが、予備自衛官は防衛出動が発令されないと招集できないのですから、外部が欠員のままで短SAMが有効に活動できないという事態も懸念されると思います。そうでありますけれども、私は今回は、これはこれなりに大変意義のあることでありまして、もちろんこの法律案の改正に賛成でありますけれども、率直に言いますと、元来、この短SAM要員というのは定員化をして、そして即応態勢を完備しておくべき優先度の非常に高い性格のものではないかと思うわけでございます。すなわち航空自衛隊の予備自衛官も、きのう本会議で総理が自衛隊の行動を補備支援するものと言われていましたが、私も有事に所要が急に増加する警備や補給や整備業務等に重点的に充当を考うべきものではないかと、こう思っておりますので、この点十分に検討をお願いしたいと思います。これについての答弁は要りません。
 次は、防衛計画の大綱と中防について若干お尋ねをいたします。
 私は、大綱というのは言うまでもなく基盤的防衛力構想が基本となっている。その基盤的防衛力構想では、平時及び間接侵略対応の防衛力、防衛体制を整備するとともに、限定的小規模侵略に原則として独力対処ができ、かつ新情勢に円滑に移行できるような防衛力の建設を目標としているものだと理解をしておるわけでございます。そこで、衆議院の野坂委員の質問に対して、「大綱の基本的理念というものは見直さない」と御答弁になっています栗原長官の「大綱の基本的理念」とは一体何を言っておられるのか、この点をまずお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) ただいまのお話にありましたとおり、限定かつ小規模の侵略に独力で対応する、また、情勢いかんによってはそれに即応するような状態にいつでもいけると、そういう態勢を整えておくことが我が国にとって極めて重要である、必要最小限度の防衛力の整備と、そういうように認識をしております。
○堀江正夫君 今私は、私の理解を申し上げたわけでありますが、長官の申されたのは基盤的防衛力構想の中の重要な一部面ではありますけれども、先ほど申し上げましたように、そのほかに平時あるいは間接侵略に対応するところの防衛体制という面もありますし、また、新しい情勢に移行できるような防衛力という面もあるわけでございまして、その点で実はきょうは平時保有の防衛力の水準等の枠組みとかいろんな問題をお聞きしようと思いましたが、どうも時間の関係もありますので略しまして、大綱と中防との関係についてお尋ねをしたいと思います。
 大綱で言っています平時の枠組みというものと限定的小規模対処との関係については、大綱と中防との間には基本的な考え方はそう変化はないものと思っておりますけれども、今も長官が申されましたが、そのウエートの置き方にはやや差があるようにも考えられるわけであります。すなわち中防では直接侵略対処にウエートがかかっている、そういう見方もあるわけですが、その点はいかがですか。もしそうだとすれば、その背景と理由をお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど先生も申されましたし、また大臣がお答えになりましたように、大綱の一つの特徴的といいますか、極限状態といいますか、直接侵略事態であれば限定小規模対処というものが典型的な形では言われておりますが、先生のお話にもありましたように、大綱で期待をしている防衛体制というものには、いわゆる平時における武力をもってする威嚇とかそういったものも含め、大は核戦争までいろんな段階の日本に対する脅威というものはあろうかと思いますが、それに対して直接侵略については、限定小規模事態までに自力で対応できるものを持つということが定められてあるわけですが、そういう意味で、我々決して直接侵略あるいは限定的小規模侵略事態に対応し得る、いわゆる直接侵略対応能力だけを重視しているということではございませんで、やはり平時から四六時中三百六十五日防空警戒態勢を組んでおるとか、そういった警戒態勢あるいは情報収集の態勢、そういったものも極めて重要であろうと考えているわけであります。
 したがって、昨年決定されました中期五カ年計画におきましても、いわゆる正面兵力といいますか、直接侵略時に行動する部隊のための各種装備のほかに、直接侵略にももちろん重要でありますが、平時もなおやはり重要である通信機能であるとかあるいは情報収集機能であるとか、その種のものについて、ある意味では従来の中業と言われた時代、正面の整備を急がされておった時代に比べると、よりそういった、後方と言うのが適当かどうかわかりませんが、各種の支援機能について力を入れたものになっておる。したがって、内容的には大綱のねらっておるものと中期防衛力整備計画が考えておるものとは全く同じであるというように考えております。
○堀江正夫君 今のお考えには若干私は異見もございますけれども、次に移らしていただきます。
 次は、総理からもまた防衛庁からも、この変更は当然だという意味の発言のあります別表の問題であります。
 私は、もちろん防衛力は基本的に対処力を持たなければならない、それでなければ抑止力も期待できないと思っております。その意味で、相手の能力の変化に応じて我が能力も当然変えるべきものである。また、我々自身について言いますと、質の変化に即して内容も量も変わってしかるべきだ。しかし、この量は相手の能力によっては量そのものが当然ふえることも考えなければならないこともあり得るんだと、こう思っております。元来、別表は、当時の部隊、装備の主要なものについてその量を示したものであると理解しておりますが、したがって、これの変更は当然だと私も思っておるわけですが、ここで防衛庁から特に別表の変更は可能であるという明確な根拠、その理由を伺っておきたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) たびたびお答え申し上げている点だと思いますが、大綱で目標として掲げておりますもの、これは先ほど来話の出ております一つの典型としては、限定的小規模事態に独力をもって対応し得る能力を持つこと、というこ
とであろうかと思うわけです。能力がその目標になっておるということでありますると、それに対応し得るための力を持つということでありますから、それに必要な量なり質なりというものが必要であるわけですが、また、その量については大まかな枠組みというものを、単に限定的小規模だけをねらったものじゃありませんが、訓練その他も含めて考えて、別表で、陸で言えば定員であるとか師団の数、海空で言えば航空機なり艦艇の主要な装備の数、あるいは警戒管制部隊の数等で例示的に示してあるわけであります。そこで、そういったものを維持するために、まず本文の方で、軍事技術の進歩その他に即応するための常にそういう水準というものを保つための努力をしていくということがまず書かれておるわけであります。
 一方、大綱の別表の方をごらんいただきますと、別表に数量が書かれておるとはいえ、例えば師団の数は書いてある、しかしながら、師団がどういう装備を持つかということについては具体的に書かれていないわけであります。それはあくまでそれぞれの時期におきます諸国の軍備の動向なり軍事技術の動向等を見ながら、その師団の中身というものの質的改変が可能なようにその点はフレキシブルにもともとなっておるわけであります。したがって、別表の数量の枠内というもの、数量があるとはいえ、それはその質なりあるいは実際に持つべき装備が具体的にすべて例示がしてないという意味で、かなりの弾力性を持っておるものと私どもは考えておるわけであります。しかも、その別表については、注記してございますように、これはあくまで大綱策定時における装備体系、あるいはそこで想定されておった装備体系に基づいて書かれておるということで、状況がさらに大きく軍事技術等の変化があった場合には、装備体系の変化というものもあり得るという前提でつくられておるということでありまして、いずれにしましても、もともと大綱が目標として掲げておりますものは、これこれのものができることという態勢なり能力というもので表示がしておりますので、それができ得るものをつくっていく、それを常に追求していくということは、大綱がもともとねらっておった基本的な考え方であるわけであります。
 ちなみに、質なり量というものを固定しますと、それは数だけは持っておるけれども、どんな飛行機でもいい、どんな船でもいいということになってしまいますので、そういうことでは、先ほど申したような小規模限定的な事態に十分な力を発揮できないものになってしまうということで、質的あるいは装備の内容、場合によっては装備体系の変更を通じる別表の改定によって状況に対応できるような弾力性を持たしてあるというように御理解いただきたいと思います。
○堀江正夫君 私はその考え方は同意でございます。ひとつそういう柔軟な考え方で実のある防衛力をつくるように御努力願いたい、こう思います。
 次に、きのうの本会議で総理は、大綱の見直しは大綱達成時、そのときの内閣が考うべきもの、こういう見解を示されました。また、本日の朝刊では、記者団の質問に対する政府首脳の「大綱は不磨の大典ではない」、「基盤的防衛力構想という考えがわからない。抽象的すぎる」、「大綱方式より年次防方式の方がいい」のではないか、こういった言明があり、これに対して総理は、「防衛庁によく研究してもらう」と言われたと報道をされております。その有無についてはここではお尋ねしません。
 私は、現在、全般及び極東の軍事情勢を見ますと、大綱で言っている国際的な枠組みが変わるという場合はそれは速やかに新たな防衛力の態勢に移行するときである。現在はどういう状況かというと、その前の段階ではあるけれども、全般的国際軍事情勢というのは、詳しくはもうここでは申し上げませんけれども、基盤的防衛力構想の限定的小規模侵略という考え方では、質の近代化を図っても量の問題も切実な問題として考えざるを得ないようになってきて、別表を少々手直しするという程度ではおさまらないようになるのじゃないか、つじつまが合わないようになるんじゃないか。このような情勢を冷静に受けとめながら、内部的にいろいろと考えなければならないときじゃないかと思っておるわけであります。これはもちろん私の意見ですが、何かあったらお答え願いたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) これは総理初め防衛庁長官たびたびお答えしておるところでありますけれども、確かに日本周辺の各国の軍備の動向なり個々のいろいろな情勢については変化はあり得ると思いますが、同時に、大綱当時考えた国際的な軍事的な枠組みといいますか、フレームワークというものは変わっていない、基本的な枠組みは変わっていないというのが我々の基本的な認識であります。
 なお、大綱当時、よく当時はデタントの時代であったんではないかというようなお話もあるわけでありますが、デタントにもいろいろな解釈があろうかと思いますけれども、我々の理解としては、ヨーロッパは確かにデタントであったという点はあろうかと思いますが、その間、東アジアの地域には非常に諸国の軍備が増強された時期でもありますし、かつまた、我が同盟国であるアメリカとしては対外コミットメントを縮小するという傾向があった、そういう時期であります。したがって、大綱策定当時というのは、我が国にとって非常に安寧な時期であったというようには決して考えておらないわけであります。その当時に比べますと、アメリカ自身の世界の平和のための物の考え方というものはより毅然としたものが出てきておる面もあろうかと思いますし、逆にまた、先生の御指摘のように、周辺諸国の中で当時に比べると非常な軍備の増大というものがあったと思いますけれども、なお我々としては基本的な枠組み、それは変わっていないということで、まず我々として、平時に持つべき最小限の防衛力として、大綱水準の達成というものに全精力を注ぐべき時期であるというように考えておるわけでございます。
○堀江正夫君 今大綱策定当時の極東における軍事情勢についてのお話がございましたが、やはり大綱の前提になる基盤的防衛力構想をつくったときの考え方というのは、国際的な配慮はもちろんあるわけですね、枠組みもあるわけです。しかし、主に国内的な政治的な問題からの要素の方が強かったんじゃないかな、私はこう思うわけでして、その点は一応申し上げておきます。
 次は、計画大綱で言っておりますところの新たな防衛力態勢への移行の問題でございます。
 この問題につきましては、計画大綱では、どれだけの期間、どのような手続、幾らの経費を要するのかなどを種々のケースを想定して検討することは、今後早急に実施すべき課題と言えようと言っております。確かに、基盤的防衛力構想あるいは大綱をつくったときに、平和時の防衛力である、しかもこの中には、新たな事態に応ずる必要な防衛力をつくるには非常に期間が必要になってくる、こういうことを強く言っておるわけです。その延長線で今のようなことを言っておるわけです。私は、そのような事態での所要防衛力を含んで、大綱策定から十年たった今日、これらについて果たしてどのような検討が行われているのか、また、これからどのようにして検討をしようとしているのか、この点を伺っておきたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 今先生の御質問にもありましたとおり、当時、防衛力の目標というものをいわば大綱水準ということで若干引き下げたということはそのとおりでありまして、引き下げるについては、我々純軍事面を担当する分野からいえば、より高い目標の方がより安心感があるということは当然のことであるわけですが、国際情勢その他を踏まえて、政治的に、平和時に持つ防衛力としてはこの程度の目標でよかろうという政治的な御決心があったというふうに我々は理解しておるわけです。したがって、より状況が緊迫をしてきた際に、防衛力というものはそれにある程度対応できる柔軟性というものを持つべきものであるということで、この基盤的防衛力、大綱水準というものは、エクスパンド条項と通常言われてお
りますけれども、そういった情勢が緊迫した際により有効な防衛力に転換し得る基盤というものを持たせなくちゃいけないということが明記されておるわけであります。その点について我々の研究は、より情勢が緊迫した際に、例えばどの程度の防衛力の急速増勢が可能であるかどうか、期間はどのぐらいであり、限界をどのぐらいのものまで広げることができるかというような研究は常に行ってはおりますけれども、なかなかこれは非常に難しい問題があります。一部のものについてかなりの弾力性がある場合もありますし、あるものが非常にネックになる場合もある。それと、多くの場合は、そういった急速拡充する際には必要な、主要な装備等をアメリカがどの程度供与してくれるかといったような問題もあるわけでございまして、なかなかこれがここまでできるという確信は得られないわけでありますが、我々としては常々そういったことについて研究は続けておるというふうに御理解いただきたいと思います。
○堀江正夫君 今申されたように、大変難しいいろんなファクターがあるわけですが、これはやはり防衛庁でしか研究できないことてして、防衛庁でしかこれは準備できないことですから、ぜひとも精力的に、計画的にこの検討を進めていただきたい。こういうことを重ねて申し上げておきます。
 次は、大綱の水準達成とGNPの一%の問題であります。
 新聞等では長官は、大綱の水準達成が基本であって、また一%問題については、一%程度とのお考えもあるやに報じております。また長官は、大綱の水準が歯どめであると言っておられるとも言われております。私は、防衛力は元来相対的なものであって、みずから歯どめという考え方を持つことは極めておかしい、率直に言ってこのような考え方はやめるべきだ、このように思っているものであります。それは、政府がその責任において大綱あるいは中防を決定した、それはまさに目標でありますが、現実的にはこれが歯どめ的な機能を十分に果たしておることは明瞭であります。したがって、今後もこの辺の理屈、実態、こういうものをよく国民に理解させる努力は必要なんじゃないかな、こう思うわけでございます。
 また、一%の問題につきましては、十年間もこれに拘束をされてきた、その結果が国民の中に相当程度定着をしている、こういう事実を無視しようとは思いませんけれども、これがいかに国際常識を逸したものであるかという理解も国民の中にはだんだんと広まっているのが現実だと思います。また、これが歯どめ論と一緒になっていかに防衛の本質を国民に誤認させてきたかということもちょうちょうを要しませんが、これはまさに政府の責任だと、私はそう思っております。
 私は、六十二年度の防衛予算は、恐らく一%というこの誤ったきずなから脱却する一つの転機になるのではないかなと、こうも思っております。この際、国民に防衛を真に正しく理解させるためにも、また日本の防衛についての国際的責任を明確にするためにも、過去二回、自民党の政調会で承認されたGNP一%の枠は撤廃する、この考えを十分に酌み取っていただきたい。また、そのように積極的に努力されるのが国民に対する防衛についての責任当局である防衛庁の本来的な責任じゃないかと思うわけでありまして、防衛庁の善処を心から強く望む次第でございます。
 何かありますか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私は現実に三自衛隊の統括責任者でありますので、国防の問題につきましては国務大臣という立場からも重い任務をしょっていると思います。そして今何をやっているかといいますと、防衛計画の大綱水準を達成する、そういうことを国民の皆様にも、また関係の各国にも明言をしてやっておるわけです。ですから、その大綱水準を達成するという最中に私が、防衛計画の大綱、これやらにゃならぬ、これが一応の現在における歯どめである、こういうことを言うのは当然だと思います。論理的可能性の問題につきましては総理大臣はいろいろ言われておりますが、現実的にどう処理するかという場合には、内外に公約しておる防衛計画の大綱水準の達成を期する、一応これでいくんですよということを明確にする、そういう意味の歯どめというのは私はもちろんなきゃいかぬと思う。むしろ何にもないなんていうことになったら国民は非常に心配すると思う。
 しかも、釈迦に説法でございまするけれども、我々は、国民の皆さんは我が自衛隊に対しまして御理解いただいているけれども、もっと御理解いただきたいと思うんです。自衛隊の名誉も欲しいし待遇も欲しい。しかし、そういうことを国民の皆さんにお願いするためにも、国民の意識というものとかけ離れていろいろ論ずることはできないと思うんです。私は正直言って、今自衛隊員の隊員募集などについても機会あるごとに関係の国民の皆さんの御協力をいただこうとして努力をしているわけでございます。そういう意味合いで私は、現実的な処理として、防衛計画の大綱水準を達成するために最大の努力をする、この姿勢、決意は変わらないわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
 それからもう一つ、一%論の問題でございまするけれども、一%の問題を私がなぜこの国会でずっと言ってきたかといいますと、一%を超えると軍事大国だ、一%以下ならいい、あるいは、防衛計画の達成よりも一%でとどめるべきであるというそういう議論がございますから、それはおかしいじゃないでしょうか、私どもからすれば防衛計画の大綱水準を達成するということが必要なんだ、ですから、我々としてはこれがもとでございます、一%の問題というのはもっと国民全体で御理解いただきたい、御論議いただきたい、そういうことを申し上げておるわけでございます。
 今堀江さんからのお話は、激励として承っておきます。
○堀江正夫君 もうまさに長官のおっしゃったとおりでございまして、現在は防衛計画大綱の水準を達成する、こういう一点に絞ってひとつやっていただく必要があると思います。また、一%の問題は、私はやはり防衛というのは責任当局がリーダーシップを発揮しなければ国民は理解しないと思いますね。いつまでもへっぴり腰ではそれに応じた理解しかできないというのが国民だと思うんですね、防衛問題に関する限りは。本当に国民に理解してもらわなきゃいかぬ。そのためにはそれなりに防衛庁がそういう姿勢、防衛庁というよりも政府でございますが、そういう姿勢をはっきりと打ち出すということが必要だということを、これも釈迦に説法でございますが、申し上げておきます。
 次は、六十二年度の予算に関連した問題を幾つか質問したいと思いますが、だんだんと時間も切迫してまいりました。
 まず最初に、六十二年度の予算に取り組むところの長官の基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) これはさきに概算要求をしてございます。概算要求をしておりますものをネットとしてぜひ達成をいたしたいということでございます。それはどういうことかというと、いわゆる中期防衛力整備の第二年度を迎えるわけでございます。したがって、これは正面装備だけではなくて、おくれておりますところの後方を充実する、そこにウエートを置いているわけですね。これも釈迦に説法ですけれども、正面だけでは意味がないので、正面と後方とが一諸になって防衛力というものがつくわけでございますから、そういうことで後方について充実をしたい。
 また最近、いろいろ公共事業、後方の中にもいろいろございますけれども、特に隊舎とかあるいはいろいろの施設ですね、そういったものは公共事業という観点からも今の景気刺激ということに非常に役立つと思うんですね。ですから、後方そのものを充実することによってひいてはそれは日本の経済の活性化の方にも寄与したいということで、この後方については、正面ももちろんでございますが、これを重点的にやっていく、我々の要求を全部認めていただきたい、そういう強い姿勢
で臨んでおります。
○堀江正夫君 今長官から実態を的確に把握された御言明がございましたが、実は、申し上げるまでもないことでありますけれども、第一次防から四次防までを振り返ってみますと、毎次常に正面も積み残して目標の達成ができなかった。特に後方に至ってはほとんど顧みられることはなかった。防衛計画大綱になりましてそのような反省の上にも立ってこれがつくられたわけでありますが、しかもこれが十年近くたってその達成率はおくれおくれで非常に低い。そういう中で中防に衣がえされて今その第二ラウンドを迎えておる。このような計画の中に今日の防衛力の実態というものがあるわけでございます。したがいまして、今長官が明確に申されましたが、その基本姿勢は、ぜひともかたい決意を持って、断固として貫いて防衛庁の責任というものを国民の前で果たしていただきたい、このことをお願いをして、あと具体的な若干の問題に入ります。
 まず、思いやり予算についてでありますが、マスコミは最近何度もいろいろな観点からこの問題を取り上げておりますが、この問題は日本にとっては、当面の日米問題としてとらえてみても、また国内問題として見ても、本当にゆるがせにできない極めて重要なかつ深刻な問題だと思っております。これは単なる防衛予算を幾らふやすかといった次元の問題をはるかに超えた、まさに最高度の政治的な課題であるとも言えると思います。現在これについての関係当局の検討状況についてお聞きしようとは思いませんけれども、どうかこの認識と基本の上に立って、大所高所からこれを前向きで積極的に政府が一体となって処理されるように心から要望をいたします。積極的に国民の理解と協力を求めながら、従来の枠にこだわらないところの大胆な施策の提起も必要ではないかということも提言として申し上げておきます。これについては御意見は要りません。
 次は、正面防衛力の充実の問題でございますが、この中でFSXについて二、三お伺いいたします。六十二年度の概算要求にはFSXについての何らかの予算要求はされておるでしょうか。これをまず伺います。
○政府委員(西廣整輝君) 現在までのところ、FSXについて六十二年度要求の中には直接それに結びつく経費は要求いたしておりません。
○堀江正夫君 FSXの決定の問題は、大変防衛庁でも苦心をしておられることだと思いますが、全般情勢上いつまでも延ばすというわけにはいかない問題ではないかと思っております。一体いつごろまでに決定をしようとしておられるのか、この点をお伺いします。
○政府委員(西廣整輝君) 御承知のように、現有のF1支援戦闘機の耐用命数その他を考えますと、仮に次期の支援戦闘機が開発の上、整備をする機種になったということになりますと、我々としては一日も早く着手をしたいというように考えておりますので、このFSXの検討もできるだけ早く検討を終えたいというように考えておるわけであります。
 しかしながら、といって開発物に決まったということでもございませんので、現在ここまでに決めなくちゃいけないということで、あるタイムリミットを決めて作業をしているということではございませんで、やはり運用上あるいは技術上もろもろの観点から最適のものを選ぶということについて確信を得たところで決定をいたしたいというように考えております。
○堀江正夫君 私はF1の現状から見ますと、いずれにせよ、来年度中にいろいろなことを具体的に手をつけていかなければならないといったようなことになるんじゃないかなと、こう思うわけでございます。そういうような観点からいたしますと、十二月の政府予算案の決定の中で、概算要求の中身を一部組みかえてでも何らかの予算を計上しておくか、決定後の推進に困らないだけの措置は何らかの方法で講じておくということが必要なんじゃないかなと思いますが、いかがですか。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほどお答え申し上げたように、どういう形のものが選択されるかによって必要なリードタイムというものが違ってくるわけで、一概に申せないわけでありますが、何度も申し上げるようですが、我々としては十分な結論が得られるんであれば一日も早い方がよいというふうに考えておるわけでございます。
○堀江正夫君 次に、即応態勢の問題につきまして、海空の定員増であるとか、陸の充足率の問題であるとか、レーダーサイトの直接防空力を強化するための短SAM等の陣地の用地取得の問題であるとか、いろいろお聞きしようと思いましたが、一点だけ、陸の充足率についてお尋ねをしておきます。
 陸上自衛隊の充足率は、長い間基本的には訓練に必要な最小限という考え方でずっと八六%で抑えられ、ある時期はそれ以下にもなったこともあるわけであります。それに対して防衛庁は、四十九年度以降見ても、一貫して毎年最小限のアップというものを要求し続けてきましたが、五十三年度、八六%を割っておるのを八六%まで回復した。その後、五十六年度に〇・三三%のアップが認められた、こういう実態でございます。この〇・三三%のアップによって、わずかに二師団等のごく一部の部隊は即応態勢をとることができるようになりましたが、北海道の地方部隊についても、他の外部の部隊は主要装備は一〇〇%を保有しながらまだ低充足のままでありまして、即応態勢上大きな欠陥を露呈していることは言うまでもございません。今日までこのような状態に置かれてきた、これは率直に申しますと、私は防衛庁当局の重大な責任だ、こう思っておるわけであります。これについての御見解と、来年度は本当に、本気で最優先的な課題としてこの要求しておるアップを行って即応態勢の整備を前進させるつもりかどうか、この点明確にお答え願いたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 陸上自衛隊の充足率につきましては、私どもかねがね申し上げておりますように、我々の立場からいえば、できる限り高充足である方が望ましいということはもう当然のことであります。しかしながら、先生も御指摘のように、全般の財政事情その他の中で何を優先するかということで、おのずから充足率について限界のあることもこれまた事実であります。
 それともう一つ申し上げたいのは、陸上自衛隊の充足率は今八六・数%ということになっておりますが、これはあくまで平均充足率でありまして、その内容というものはやはり時によって変わっておる。例えば数年前までは、この八六・数%のうち、幹部、曹についてはこれはもうほぼ一〇〇%である、士がすべての欠員を抱えておるという形になっておりました。しかしながら、御承知のように最近、予備隊発足当時入隊した人たち等を中心に、大量の幹部、曹の定年退職者が出ております。そういうことになりますと、充足の状況というものが非常に態様が少しずつ変わってきている。かつては非常に少なかった士の人員というものが、当然のことながらこれは二士で入ってきて入れかわることになりますので、ふえてきておるということで、同じ八六%の充足の中でも態様が変わってきつつあるということもまた事実であります。
 いずれにしましてもそれ以外に、各師団その他の装備等も変わってくるわけでございますので、そういった装備品に見合った人員というものも時代によってどんどん変わってくるということもありますので、我々としては常に人員充足がいかにあるべきかということについては神経をとがらせると同時に、募集状況その他をにらみ合わせて、常によりよい形というものを求め続けてきておるわけでございますし、そういう点で、来年度も若干ではありますけれども、陸の充足率をぜひ上げたいということで現在要求をいたしており、これを獲得すべく全力を尽くすつもりでおります。
○堀江正夫君 実は、先ほど長官が申されましたが、中防の第二年で正面防衛力と同時に後方をうんとやりたい、私もまさにそうだと思っておりまして、練度の向上の問題であるとか、あるいは隊員施策の問題、いろいろと御質問もし、意見も申
し上げようと思いましたが、時間がもう参りましたので、最後に、長官の訪中の問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。これはもう時間がありませんから、一括して全部申し上げます。
 最初に、長官は先般、来年の訪中の御意思を表明をされておりますが、まず、中国側が日本に積極的に軍事交流を求めておるその意図をどのように防衛庁は受けとめておられるのかということが一つであります。
 第二は、対ソ戦略上、中国が重要な存在であるということは言うまでもないことでありますが、日本の対中政策は非軍事面ではもちろんどんどん強化に努めるべきでありますが、軍事面については当然のことながら限度があり、節度が必要である。むしろこの面は、アジア全部を考えた場合において、全般的にはこれによるプラス面よりマイナス面の方が懸念される面もないわけではありません。そういう意味において、長官は訪中に何を期待し、今後どの程度の交流の幅を考えられているのかという点でございます。
 もう一つ、この訪中に関連しまして韓国との問題を申し上げてみたいと思いますが、私は、アジアにおいて軍事交流を一層深める必要があるのは、もちろん相手があることでございますが、当然日本の安全にとって極めて重要であると歴代の政府が言明しておりますところの韓国であるべきだ、こう考えておるわけであります。韓国に対する防衛庁長官の訪問は、過去山下長官の一回だけでありまして、その軍事交流もいろいろと相互に理由があるわけでありますが、極めて限られたものにとどまっているのが現状であります。韓国との軍事交流にももちろん限度があることは当然でありますが、それにしても学生の交流であるとか訓練の相互視察であるとか、練習艦隊の相互訪問程度は行われてしかるべきじゃないか、こう思うわけでございまして、こういうような意味におきまして、訪中とあわせて長官の訪韓というものは考えられておらないのか。また、私は今、若干具体的に申し上げました交流の問題をまず韓国と進めていくという考え方はお持ちでないか、その点をお尋ねを申し上げます。
○国務大臣(栗原祐幸君) まず訪中の方ですけれども、私はこの間衆議院の内閣委員会で申し上げたんですけれども、これは経過があるんです。私が第一回目の防衛庁長官のときに、向こうの張愛萍という国防部長が私のところに表敬されたんです。そのときにも、非公式においでいただけませんかという意味のお話があったんです。それについて、私はお断りしなかったんです。その後、加藤長官のときになりましてから、防衛庁と中国の方と非常に交流が御案内のとおり強く出た。そして夏目次官も行くし、向こうからもいろいろ幹部が来る。そして加藤長官にも中国側から訪中の御招待があった。加藤長官は内閣改造があってそれができなかった。私が今度防衛庁長官になった。そこで向こうが、今度は、この間、総後勤部長というのが来たときに、また国防部長からの御招待が正式にあったんです、言葉としては。
 私は、こういう経過を見ますと、もうこの段階でお断りするということは一体どんなものかというのが思いなんです。私は、防衛庁長官であると同時に国務大臣ですから、政治家ですから、私には中国に行くという問題がどのようなものであるかということは十分に認識しております。しかし、今度こういうふうな経過になると、これはお断りすることの方が極めて失礼である。しかも、中国へ行って中国の方のいろいろお考えを聞くということも決して悪いことじゃない。中国が近隣諸国についてどう考えているか、あるいは世界の平和に対してどう考えているかということを、ひざを交えてお話を伺うことも非常に有意義である、そういうふうに考えまして踏み切ったわけであります。
 韓国の方はどうだということでございまするけれども、これまたいろいろと御意見ございました。御意見は御意見として拝聴いたしまするけれども、現在、韓国につきましては、私は訪問するそういう気持ちは持っておりません。
○飯田忠雄君 本年の九月十日ごろの人民日報、国際版であったと思います。国際版の人民日報に中国の空軍が建設されたいきさつがわざわざ報ぜられました。これはちょうど終戦の年に日本軍の航空隊で林部隊というのが満州におりました。満州の遼陽の近辺の飛行場におりましたその飛行隊がソ連に屈服することを拒否しまして鳳城県上湯、これは奉天と安東との鉄道とそれから満鉄線との間の三角地帯ですが、そこを南へ下がってきたところです。そして、たまたま私がその方面の県の協和会の事務長をしておりまして接触をすることができたんですが、最初国民党から依頼され、後で中国共産党から依頼されまして、その林部隊を八路軍の方へ入るように勧められたことがございます。それで林部隊は八路軍に入りました。そして当時、中共軍には飛行隊はなかったのですが、林弥一郎少佐ですが、この方は現在でも藤井寺に住んでおられますけれども、非常に苦労されまして、もう壊れた飛行機を集めて、それを組み立てて、自分の部下約三百四十名と一緒になって中国の兵隊に飛行訓練をしたわけです。そして、中国共産党の飛行部隊ができました。その飛行部隊は、これは朝鮮戦争のときにはアメリカ空軍と戦って互角の勝負をしたという事実がございます。そして、その飛行部隊を訓練をして大変今でも慕われておるのが林弥一郎さんですね。毎年、現在の中国空軍の総司令の御招待を受けて行かれます。現在の中国空軍の総司令は王海という人ですが、この方はその林少佐が訓練しました学校の第二期生なんです。現在の中国空軍の幹部というものがその影響下にあるということでございまして、そういうことをわざわざ人民日報が国際版で報じたということは一体何だろうかということでございます。
 これは明らかに日本の、はっきり言えば自衛隊に対する働きかけではないか。つまり、我々の空軍はおたくの力によってできたんですよということをはっきり言うておる状況であります。そして現在、中国空軍は林少佐のところへいつも手紙をよこしておるんですが、林少佐を呼ぶのに老師と呼んでおるわけです。大変大切にしまして、毎年御恩報じをするんだということでやっております。
 私は、これは国際政治の一つのあり方であると、こう考えるんです。中国が日本と今戦争する気もないし、将来――現在中ソ間が非常に仲よくなってない段階において、中国が頼るのはやはり日本だと、こういうところから始まった一つの政治的な動きであろうと思うわけでございます。
 こういう問題も参考にしていただいて、我が国を攻めてくる国がないようにするためのひとつ手段として、私は防衛庁長官が訪中されることは大変結構だと、こう思います。中国ばかりでなしに、できるだけ多くの国に参りまして、日本の国に対して武力攻略を加えるような、そういう心を起こさせないことをしていただくのがいいと思います。きょうはこの話をする予定はなかったんですが、それが出ましたので、そういう問題について、今の長官なりあるいは日本の政府の首脳者の方はどう考えておられるのかお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私は、基本的には日本は今国際国家の中の日本ですから、日本の防衛力というものはこういうものでございますよということを関係の各国に十分に知らせる必要があると思うんですよ。また、世界の各国がどのように日本に対して防衛面なり何かで期待をし、考えておるかということもよく承知をする必要があると思うんですよ。そういう意味合いでは、できるだけ各国を訪問するということはいいことだと思いますが、ただ防衛庁長官が、一つには時間的な制約もありますが、もう一つは私がいろいろ行くということは、純粋にこういうふうに見るかどうかということは非常に疑問ですね。純粋に見る人もいるけれども、純粋に見ない人も結構おるわけですから、そういう意味では、どこにいつどうするかということは慎重な対処が必要だと思いますが、原則論として世界の各国が日本に対してどう考え
ているか、日本はこういうものでございますよということを各国に知らせることは極めて必要である、こういうふうに考えております。
○飯田忠雄君 きょうは実は法案の審議でございますので、法案について詳しくお尋ねをするのが趣旨でございますが、もちろん防衛の本義についてもお尋ねをいたしたいと思います。しかし、時間の関係でできるだけ細かい問題から先にお尋ねをしてまいりますので、御了承願います。
 まず最初が、防衛庁設置法の一部改正部分の第八条関係でございます。
 これによりますと、自衛官の定数を六百六人増加する、こういうことになっておりますが、その根拠ですね、六百六人ふやすという根拠は、ただ漫然と六百六人という数字が出たわけではなかろうと私は思うわけです。いろいろ御説明の文書がございまして、それを見ますと増員理由として護衛艦とか潜水艦が七隻増すので千六百十八人要るんだ、それから次に、潜水艦一隻を除籍するので千二百七十八人減ずるんだ、こういったようなことが書いてございました。
 これは、実はそろばん勘定しますとどうも合わぬのですが、もう少し親切な御説明を得たいと思います。これはどういうことでこうなったのでございましょうか。
○政府委員(西廣整輝君) すべてを申し上げるのは大変項目の数が多うございますが、やや簡略化して申し上げますと、海上自衛隊及び航空自衛隊で新たに就役してくる艦艇、例えば潜水艦が一隻とか護衛艦が三隻とか、そういったもろもろの船がございます。それから航空機であればP3Cであるとか、航空自衛隊のF15であるとかといった新しく就役といいますか、取得されてくる航空機というものがございます。一方、これに対応するといいますか、同じ数じゃございませんが、古くなって耐用命数がきてしまって除籍をする艦艇あるいは航空機、航空機であれば海上自衛隊で言えばP2JのようなP3Cの前のタイプの航空機あるいは航空自衛隊の航空機、戦闘機等があるわけでございます。そういったものをそれぞれ差し引きしなくちゃいけない。ふえる方で申し上げますと、今申し上げた装備品が入ってくることによって必要とする人員というのは千六百十八人でございます。それに対して、航空機なり艦艇が減っていくことによって減員してよい人員というのが千二百七十八人おるわけでございます。つまりその差、三百四十人が、まず装備品が入ってくる、あるいは落ちていくという関係で必要になってくるわけでございます。
 そのほかに部隊の新編等がございます。例えばAEWという早期警戒機があって早期警戒機の部隊をつくる、そういった部隊を新設する、あるいは従来古くなってきた部隊でそれを減らしてしまう。あるいは我々としていろんな意味で人員の効率化ということを考えて人員の削減をやっております。そういったことで、増員の方が百三十二名、部隊等の運用なり新改のために要るのが百三十二名要ります。逆に定員の見直し、効率化等によりまして削減するものが百二十名、差し引き十二名の増員になる。合わせまして三百五十二名が海上自衛隊の増員になるといったような形になります。同様に、航空自衛隊につきましては航空機等の就役に伴う増が二百八十三名ございます。それに対して航空機等が減っていくものの減が百七十九名ございます。さらに部隊の新改編等に伴う増が三百三十五名ございまして、それに対して省力化の方の人間が二百八人いる。そのすべての差し引きが二百三十一人の増になるというような計算になっています。そのほかに今回お願いしている中には統合幕僚会議の事務局の人間、これは陸海空に所属しない定員でございますが、これが先般完成いたしました中央指揮所を二十四時間運用するために二十三名の増員を、これは純増でお願いをしておるということで、すべてを足しまして六百六名の増員をお願いしておるという次第であります。
○飯田忠雄君 午前中の同僚議員の御質問によりますと、欠員が相当あるということでございました。局長の御答弁によると、それは三直にすべきところを二直で我慢してやらしておる、こういうような意味の御答弁ございましたが、これは少し問題だと思います。自衛隊の艦艇勤務というものは、三直ならばやはり三直やらせるということで、その人数だけはそろえていただかないと事故を起こすもとだと思います。
 それで、そういう点についてなぜ欠員が生じたのかという点なんですが、結局応募する人が少ないので欠員が生じたのか。それとも予算上の問題から、予算定員というものは実際の実員の定員とは違いまして、予算定員どおり採用したんじゃ月給も払えないといったようなことになりますから、そういったような予算上の問題から生じた欠員なのか、その点はいかがでしょう。
○政府委員(西廣整輝君) 端的に申しまして、現在の欠員といいますか、充足率というものを定めておりますのは財政上の理由でございまして、限られた経費枠の中で、人員をある程度抑えた形で維持していくことによって、浮いてきた金を緊急の装備等の購入に充てておるというのが実情でございます。
○飯田忠雄君 そういたしますと、現在の欠員というのは、欠員が生じているのは当然やむを得ぬ欠員であって、応募が足らぬとか、あるいはそのほかの理由のものではないんだ、これが現状だ、こういう意味でございますか。今の欠員というのは、今の欠員の程度がこれが予算上からいくなら当然の欠員だ、こういうことでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 防衛庁の従来からの考え方からいきますと、海空の自衛隊につきましては一〇〇%の充足、ただ、一〇〇%といいましても技術的に、午前中の御審議でも申し上げたとおり、採用者を一〇〇%以上採るわけにいきませんので、退職していく者が途中で出てきたりということで、平均的には九八ぐらいになるんじゃないかと思いますけれども、そういったいわゆる常にできる限り高い充足率を持っておきたいというのが希望であることは当然でありますが、現在のところ九六ということで、若干下回った数字になっておるということであります。
 なお、陸上自衛隊につきましては、我が方ももう少し高い充足率というものを期待いたしておりますし、要求もいたしておりますが、先ほど申したように陸上自衛隊については各国もかなり低い充足率でやっております。それは一つには各国は徴兵制というものがございますので、いざとなれば急速にそれが埋めることができるという裏づけがあるわけでございます。その点日本の場合は完全志願制でございますので、そう急速に欠員を埋めるということは不可能でございますので、できるだけ高い充足率というものを我々としては期待をいたしておるわけでございますが、それにしましても、例えば大砲一門ある、それに対して人員が何人か要るということになりますと、そのうちの弾薬手、弾薬を運ぶ人間というものについては平時は目をつぶっておこうというような形で欠員にしておくというようなこと、細かい作業をいたしまして現在八六%強の数字になっておりまして、我々としてはもう少し高いものが平時から欲しいということで、財政当局とは折衝いたしておるところでございます。
○飯田忠雄君 念のためにもう一度お伺いしますが、結局欠員が生じたといいますのは、例えば昇格原資がないのであらかじめ計画的につくった欠員であるのか、あるいはそうでないのかという、そういう点はどうでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) これは年度の予算におきまして何%の平均充足にするということで、財政当局との話し合いといいますか、決定によりまして、予算で平均充足率というものを決定いたしまして、その範囲内で人員補充をやっていくという形になっております。
○飯田忠雄君 そういうことはよくわかりますが、しかしそうだからといって、例えば海上自衛隊の船に当然乗せるべきものを削ったりされるということは私は問題だと思いますがね。三直制のものを二直制にすれば、これは必ず事故が起こる。
それから航空自衛隊の場合でも、整備員を減らせばこれは事故が起こるもとであると私は思います。そういう点で航空自衛隊とか海上自衛隊の方の欠員は、人員がどうしても必要だということであれば、それは予算をふやすべきだね、それしかもう手がないんです。自衛隊のうちで陸上自衛隊の予算を減らして海空をふやすとか、そういうことをやるんならまだわかりますが、そういう点についてはどう考えておいででしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど来申し上げていますように、我々としましては最終的には全体の経費枠の中で最も優先順位の高いものということであんばいをするわけでございますが、人員につきましては、先ほど申し上げたように全体の人件費枠というものを考えますと、海空の比率としては海空が九六%、陸については八六%強がぎりぎりの限界である、でき得ればこれをいずれももう少し上げたいというふうに考えておるということであります。
○飯田忠雄君 この問題はこの程度にしておきまして、次の問題に入りますが、今度は自衛隊法の六十六条第二項関係ということでございます。
 まず予備自衛官、この自衛隊法の第六十六条で予備自衛官の規定があるわけですが、この予備自衛官を設けられました根拠となる考え方、これはどういうものかということ、それからこういう予備自衛官的な制度というのは、外国の制度として存在するかという問題についてお伺いをいたします。
○政府委員(西廣整輝君) 自衛隊に予備自衛官制度を設けております基本的な理由と申しましては、大きく分けて三つぐらいあろうかと思います。
 一つは、平時はさほど必要ない部隊、例えば補給部隊であるとか輸送部隊といったものは、平時あったにこしたことはありませんが、通常は演習をしてまた駐屯地に帰ってくるということでさほどそう多くのものが必要ないわけでございますが、そういったものについて、有事は前線に部隊が出てしまって、それに対して十分なる補給なり輸送をしなくちゃいけないということになりますと、その種部隊を有事にやはり緊急に編成しなくちゃいけない。それは基幹的なものは実員の自衛官のうちの例えば学校の要員であるとか、そういったものを充てますけれども、その不足分についてやはり予備自衛官等に依存をせざるを得ないというものが一つございます。
 第二点は、午前中にもちょっと申し上げましたが、主力の部隊、例えば師団等が前線に詰めかけていくということになりますと、その師団が平時担当しておりました警備区域というものは空き家になってしまう。そういったものについて最小限の警備態勢をとるための部隊といったものをやはり編成をしなくちゃいけない。そういった部隊の要員に充てるべき人間が必要であるというもの。さらに言えば、戦闘によって当然のことながら死傷者等が発生をするわけであります。そういったものの補充をしなくちゃいけない。それらのことも含めまして、予備自衛官制度というものは設けられておるというように考えております。
○飯田忠雄君 それでは、予備自衛官制度によりましていろいろの防衛上の利益があると思いますが、予算上利益が生ずることはございましょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 御質問の趣旨、必ずしも十分とらえておるかわかりませんが、今申し上げたように、平時からそれを実員として持っておるということは、いかにもぜいたくといいますか、非常に金がかかるということで、予備自衛官をもって有事に充当するという考え方が相当大きくあるわけでございます。ちなみに、自衛官を一人年間抱えるために必要な金額というものは、階級によって差はございますけれども、平均的にいえば、人件費その他全部ひっくるめると五百万強の金がかかるということになりますし、それに対して、予備自衛官であればそれの数十分の一で済むということもあろうかと思います。
○飯田忠雄君 予備自衛官制度で、この制度がいろいろ国際関係で軍備としての承認を受けておるかどうかという問題ですが、例えば予備自衛官制度があることによって、アメリカの方が日本の軍事力としてそれが整備されておるということで認めておるのか、あるいはよその、それ以外の国で日本の軍事力の程度というものを予備自衛官というものも含めて計算しておるのかという問題でございますが、どうでございましょう。
○政府委員(瀬木博基君) 我が国の予備自衛官制度につきまして言及しております外国の文書というのは、数は多くないと思いますが、アメリカにつきましては、同盟諸国の責任分担という、午前中の質疑でも若干言及がございました文書が毎年出ております。その文書の中で、諸外国が、アメリカから見た同盟国がどういうような形で防衛責任を分担しているかといういろいろの指標がございます。その指標の一つに予備役の兵員の数というものも入っておりまして、これによりますと、アメリカから見た同盟国の中で十番目に日本は位いたしております。十番目ということは、アメリカ、ドイツ、フランスというような国のほか、トルコとかスペイン、ギリシャ、オランダというような国の下ということでありますが、いずれにしても、日本は十番目に位しているということで、そのように評価されているようであります。また、それ以外に日本の予備自衛官制度について言及がありますものとしては、昨年出ましたところのソ連の国防省などが編集いたして発行した「日本の軍事力」という文書がございまして、その中に、日本の予備自衛官につき、日本の予備自衛官は毎年の訓練招集を通じた高度の訓練によりその大部分が補備の訓練を受けることなく、直ちに戦闘部隊に編入し得る、というような評価が下されております。これ以外のものについては特に我々承知いたしておりません。
○飯田忠雄君 それでは、この予備自衛官を希望される人の数でございますが、毎募集年度ごとの数はわかりましょうか。陸海空、わかりましたらお願いいたします。
○政府委員(松本宗和君) お答えいたします。
 予備自衛官を志願する者の数でございますが、これは自衛隊を退職した者の中から志願するわけでございますけれども、大体毎年これは、陸上自衛隊について申しますと八千人から一万人程度。年度ごとというお話でございますので具体的に申し上げますと、五十六年で九千九百六十九名、五十七年で八千四百十五名、五十八年で九千七百四十六名、五十九年八千八百七十名、六十年で九千七百三十二名、大体こういう数字になっております。
 海上自衛隊についてでございますけれども、これは毎年度の採用人員が五十名未満ということで、非常に少ないというところから、ただいま申し上げましたような陸上自衛隊についてと同じような統計はとっておりませんので、手元に数字はございません。
 なお、さらに航空自衛隊でございますが、これは現在御審議いただいております自衛隊法の改正によりまして設けられるということでございまして、現在志願者については申し上げられる段階ではございません。
○飯田忠雄君 それでは、この予備自衛官になりますと、なった人に何らかのメリットがあるかという問題ですが、例えば何かの資格を与えられるとか、それとも何か将来勲章がもらえるとか、いろいろなことがあると思いますが、何かございましょうか。
○政府委員(松本宗和君) 予備自衛官の処遇というぐあいに考えさせていただきたいと思いますけれども、予備自衛官につきましては月々予備自衛官手当といたしまして現在三千円が支給されております。また、訓練招集に応じました場合に、その訓練の日数に応じまして一日当たり四千七百円という手当が支給されておりますけれども、予備自衛官であるということをもちまして何らかの、ただいまお話のありました資格であるとか免状とか、そういうものが取り得るというようなメリットというものはございません。
○飯田忠雄君 それでは、予備自衛官の任用期間の問題ですが、六十八条によりますと最長七年と、
こういうふうになっておりますが、そういう年数をお決めになりました根拠はどういう理由でなったんでございましょうか。
○政府委員(松本宗和君) お答えいたしますが、七年というのはちょっと私わからないんですが、六十八条によりますと、「予備自衛官に採用された者の任用期間は、採用の日から起算して三年とする。」と、再任用されました場合には、やはり「引き続き三年を任用期間として、」任用できることとなっておりまして、継続任用の回数には法律上現在制限はございません。
○飯田忠雄君 わかりました。
 予備自衛官になりますと、時々訓練招集をおやりになると思いますが、この訓練招集をするということは、受ける人から見ると一つの生涯教育の機会が与えられたんだと、こういう感覚を持つ人もあると思いますが、自衛隊で訓練招集をなさる場合に、それは純粋に兵力の予備員としての訓練をなさるのか、あるいは人間教育の意味も入っておるのか、こういうことでございますが、いかがでございますか。
○政府委員(依田智治君) 予備自衛官は、先生御存じのように、有事におきまして主として後方警備とか後方支援というような点に充当することとしておりますので、したがいまして、私ども現在、まだ退職して一年以内の者は一日訓練、その他の者は五日間という訓練を実施しておるわけですが、主として目標としては現職の自衛官として在職中に体得していた練度を維持するということを目標にして実施しております。
 具体的には、共通の訓練としまして、基本的な小銃射撃とか体育、それから陸上自衛隊の場合には小隊規模の戦闘訓練とか、また、需品とか輸送等の支援職種のものにつきましてはそういう職種訓練をやりますし、海上自衛隊につきましては各人の特技に応じた術科をするわけでございます。
 ただ、こういう術科面だけでは任務が十分に遂行できませんので、やはり予備自衛官としての使命感というものを持ってこれに当たっていただく必要がありますので、最新の国内外の情勢とか自衛隊の現況等、そういう使命感の確立に役立つようなものもその都度新知識として勉強していただくように心がけております。そういうことが本人の心がけ次第では自分の練成にもなるというように考えておるわけでございます。
○飯田忠雄君 それでは次の問題に入りますが、予備自衛官の定員を今度定められるわけでございますが、予備自衛官の定員を定める根拠ですが、これは自衛官の数との関連で数を決められたのか、あるいは予算上の理由なのかという問題がございますね。それはどちらの方の理由でしょうか。予算上、例えば自衛官に払うお金の額を制限しなきゃならぬので定員を決めたということになれば予算上の理由ですね。それから、自衛官の数にある比率を保って予備自衛官を決めていこうということであればその定数を根拠としておりますね。何らか理由があると思いますが、どういう理由でお決めになったんでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 予備自衛官の員数につきましては、まず有事、陸海空それぞれから予備自衛官をもって充てたい職域といいますか、職員の数というものが出てくるわけでございます。それに対して、予備自衛官というのは、現行制度では自衛官を経験した者の中から採っていくことになりますので、そう一遍に何万人と採るわけにまいりませんので、退職者の中から選んでいくということになりますから、おのずから年間にふやし得る量というのは決まっておるわけであります。そういうことを兼ね合わせまして、本年度はここまでの予備自衛官で充てるべき職員の数を埋めたいからということで財政当局に要求いたしまして、予算が成立したものについてそれを法案の改正としてお願いをしておるということでございます。
○飯田忠雄君 それでは、予備自衛官の組織でございますね、予備自衛官個々ばらばらじゃ恐らくないと思いますけれども、何らかの組織を考えておられると思いますが、どのような組織になっておりましょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 御質問が予備自衛官だけの何か別の団体なり組織ができているかという意味であれば、予備自衛官というものが彼らなりの組織をつくっているということはございませんで、それぞれ防衛庁との間に予備自衛官という身分で結ばれておるわけでございます。したがいまして、予備自衛官というのは、その居住している近くの最寄りの部隊あるいは地連等を介しまして年間に必要な訓練等をしていただくという形になっておりまして、予備自衛官だけの何らかの団体なり組織というものはつくられておりません。
 なお、有事に予備自衛官がどういう組織に所属をするかということになりますと、これは防衛出動命令が出、防衛招集で予備自衛官が出頭した段階から身分的には自衛官と同じになります。その段階でそれぞれ予定されておった部隊あるいは新編される部隊等に配属されるということになるわけでございます。
○飯田忠雄君 それでは、予備自衛官の防衛招集とか訓練招集の行われる時期とかあるいは日数は、これはもう一定しておるんでございましょうか。
○政府委員(西廣整輝君) ちょっと聞きとれなかった部分があるのであるいは答弁漏れになるかもしれませんが、予備自衛官に対する防衛招集命令というのは、防衛出動命令が下令をされた場合に、防衛庁長官が必要があると認めるときに内閣総理大臣の承認を得て防衛招集命令が出せるというような規定になっております。したがいまして、予備自衛官をどの段階で何人に対して防衛招集を命ずるかということは、そのときどきの事態なり様相によって変わってくると言わざるを得ないと思います。いずれにしましても、予備自衛官が招集される期間というものは、最大限、防衛出動命令が下令されておる期間というふうに御理解いただきたいと思います。
○飯田忠雄君 予備自衛官の採用と自衛官の定年との関係ですが、自衛官を終わった人を予備自衛官にするというお考えを承ったんですが、そうしますと、自衛官の定年というものがあって、その定年の過ぎた者を予備自衛官にするということだと思いますが、その予備自衛官には定年はないのかという問題ですが、いかがでしょうか。
○政府委員(松本宗和君) 予備自衛官の採用年齢でございますけれども、現在、自衛隊法施行規則によりまして、士長以下につきましては三十七歳未満、それから定年制の自衛官であります幹部、准尉、曹につきましては定年年齢に二歳を加えた年齢未満ということで定められております。ただ、予備自衛官につきましては定年制をとっておりません。そこで、実際問題といたしまして、余り老齢化いたしますとこれは好ましくないということで、老齢化による質の低下を来さないように、その点につきましては個々に配慮いたしております。
○飯田忠雄君 それでは、予備自衛官を拡充することによって自衛官の数を抑制することができるかというような問題ですがね。そうすれば、もしそうであるなら大変有意義なことになるわけですが、この関係はどうでございましょうか。自衛官の数には関係なしに予備自衛官というものは決められるのか、あるいは予備自衛官があることによって自衛隊がある程度無限に数をふやさねばならぬような事態も防止し得る、したがって、言いかえれば定員削減に寄与し得ると、こういうようなことになるのかどうかという問題ですが、いかがでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 今御質問の点は、これはいずれも今後の研究課題であろうと思って我々今研究しておるところでございますが、二つの面があろうかと思います。
 一つは、例えば現在実員の自衛官で処理をしております各種の後方部門の業務、例えば整備員とかそういったいろいろな業務がございます。そういったものについて一部外部に現在より以上に委託できないかという問題があろうかと思います。そういったことを委託した場合に、それでは有事
の場合どうなるんだというような心配が出てまいるわけですが、委託した先の人が仮に予備自衛官ということであれば、有事はその方が自衛官になっていただいて引き続きその業務を担当してもらえるということであれば、現状以上に業務を外部に出すことができるんではないかということであります。としますと、そのことによって、定員が削減できないまでも、本年お願いしておるような例えば海空の増員がより少なくて済む、あるいはしなくて済むということも可能になる可能性はあるということでございます。
 また、全くこれも論理的な可能性でございますが、例えばスイスのようなところは、御承知のように、平時の実員というのは数万人でありますけれども、有事は七十万人からの部隊をつくるわけでございます。それはある意味では予備役制度によってそれが可能になっておるわけでございますが、そのためにはやはり現在のような予備自衛官とは違ったそれなりの相当の訓練等ができる体制、そういった裏づけがあって初めてできることであろうかと思いますが、そういったことも理論的な可能性としてはあり得るということは申し上げられると思います。
○飯田忠雄君 予備自衛官の場合に、例えば空軍の場合は、パイロットなんかは大変重要な技術でございますが、そういうのも予備自衛官にあるのでしょうか。
○政府委員(松本宗和君) パイロットのような技術があるかというお話でございますが、現在の予想されております予備自衛官についての役割から考えまして、パイロットというような第一線と申しますか、そういう面で活動するといいますか、働くような態様までは現在考えていないというところから申しまして、現在陸上自衛隊と海上自衛隊だけが予備自衛官を持っておりますけれども、パイロットの技術を持っておる者がおるかもしれませんけれども、それはパイロットとしての役割を期待しての予備自衛官ではないというぐあいにお考えいただいたらよろしいかと思います。
○飯田忠雄君 それでは最後に、この予備自衛官の件については、旧軍の在郷軍人制度というのがございましたね、あの制度と同じようなものなのか、あるいは違うのか、どうなっていますか。
○政府委員(松本宗和君) 予備自衛官でございますが、これは防衛招集命令によりまして自衛官として勤務させるということで、自衛隊の継戦能力を確保するための人的基盤というぐあいに考えられますけれども、我が国の予備自衛官の制度につきましては、その採用が、自衛官であった者の志願に基づいて選考によって採用しておるというものでございます。
 これに対しまして、旧軍の在郷軍人制度といいますか、これは予備役、後備役、補充兵役などからなっておりまして、これは徴兵制を前提としております。そういう意味で現在の予備自衛官制度とは大きく異なるものではないかと考えております。
○飯田忠雄君 それでは、この関係はこの程度にしまして、次に、自衛隊法の九十五条の関係の質問をいたします。
 この九十五条によりますと、武器等の防護のための武器使用の制限が書いてございますが、そこで武器の使用をする場合が掲げられておりまして、人に危害を及ぼす場合については、正当防衛、緊急避難の場合、つまり刑法の三十六条、三十七条に該当する場合のほかは危害を加えてはならない、こういうようになっております。
 私はこの条文を見まして、恐らくこれは警察官職務執行法の第七条をかりてきて、そのまままねして書かれたんではないかと思いますが、重大な違いは、警察官職務執行法では項目が後に二つ書いてありまして、次に書いてあること以外の場合では正当防衛、緊急避難だよと、こうなっているんですね。ですから、言いかえれば、警察官が警察法その他の法令に基づいて行う行為というものについて、本来ならそれだけで違法性が阻却されるんだけれども、警察官の武器の使用についてはもう少し絞りをかけると、こういうことで絞りがかかっておるわけですね。その点まあ、それはそれで意味があるんですが、自衛隊法の九十五条の場合はその絞りの範囲が書いてないんです。絞りの範囲を書かないで、警察官職務執行法の前の方に書いてある、本文に書いてあるところだけを引っ張ってきておられますので、大変わけのわからない条文になってきております。自衛隊が、例えばいろいろの弾薬庫だとか武器だとか、あるいは今度おつくりになる有線電気通信設備だとか、いろいろ掲げてありますね、ああいうものを守る場合には武器を使用できると、こう書いてあるんですね。ただし、刑法の三十六条、三十七条に該当する場合のほか、人を傷つけてはならないと、こういう条文ですね。これはわけがわからないのは、一般的にもう三十六条と三十七条の場合だけに限定してしまったという点なんです。
 元来、自衛隊法に基づいて自衛官は武器を使用するわけでございまして、しかも、弾薬庫を守るという業務はこれは法令上の業務であるわけですね。自衛隊の法令上の業務を自衛官が行うに当たりまして武器を使用した、そして人を傷つけたという場合には、刑法の原則からいいますならば、それは当然違法性が阻却されて罰しないものであるはずなんですね。正当防衛以外でも罰しない、緊急避難でなくても罰しないはずなんです。「法令又ハ正当ノ業務ニ因リ為シタル行為ハ之ヲ罰セス」と、刑法の三十五条にはっきり書いてある。そうしますと、刑法の三十五条の原則によらないでわざわざ自衛隊法が九十五条を設けられたということは、これは自衛隊について特別刑法を設けたということになるわけなんです、一般の刑法以外に。警察官職務執行法の場合は七条で絞りをかけて、例えば、死刑、無期もしくは長期三年以上の懲役に該当する罪を犯した者を逮捕する場合に、これが逃げる場合にはけがを与えても構わぬと、足を撃っても構わぬと、こういうわけですね。ところが、自衛隊の場合はそういう場合が書いてないんです。
 そこで、例えば火炎瓶の所持については三年以下の懲役、こうなってます。火炎瓶を持っておるだけで、持って近づけば懲役三年以下の刑罰が科せられる。それから、もちろん爆発物取締罰則によりまして、爆発物を使用すれば死刑、無期、七年以上の懲役なんです。それから、弾薬庫に入り込んで弾薬を盗み出せば窃盗です。これは十年以下の懲役なんです。あるいは看守しておる者をおどかしてとれば強盗ですね。これは五年以上の懲役なんですよ。そうしますと、そういう非常に重い罪というものは必ずしも緊急避難、正当防衛に該当しない場合でも起こってくる。緊急避難とか正当防衛は緊急の場合ですからね、現在の危難を避けるためとか、現在の自分がもうやられるという段階になって初めて正当防衛になる。泥棒が入ってきて、火炎瓶を持って火をつけようとしてやってくる程度じゃ正当防衛とか緊急避難にならない。そういう場合は武器を使用できるけれども、傷つけてはいかぬとなっておりましょう。これは一般人がやれば無罪になるのに、自衛官がやると無罪にならぬというのは一体どういうわけか。こういう問題が生ずるわけです。ですから、規定の仕方が非常に散漫な規定の仕方をしていると私は思います。この点はやはり研究をしていただかないと困るわけですね。
 例えば、火薬庫とか、あるいは有線電気通信設備のところへたくさんの人が押しかけてきましてね、そしてそれを制止して自衛官が、ここへ入ってはいけませんから帰ってくださいと言うでしょう。そういう場合に帰らなければ多衆不解散罪、これは刑法の第百七条の問題です。帰らないときに、それでは武器はどういうふうに使用するんだということです。撃ってけがを与えてはいかぬということであれば、武器は事実上使用できないということですね。一人や二人の自衛官で多衆の者をどうして防御するんだとかという問題も生じます。ですから、どうもこの規定の仕方が、警察官職務執行法をまねたことはいいんだけれども、警察官職務執行法には限定があるのに、ここには限定がないというところに問題があるんです。そこから起こってくる問題が、これはむしろ逆にこうい
うことから不必要な乱暴な行為に発展しかねない、窮鼠猫をかむという状態をつくり出すということにならぬとも限らぬと、私は思いますがね。
 こういうこの規定について検討を加えられる必要があるのではないか。自衛隊法、つまり警察官職務執行法のようなああいう絞りをかけたものをつけるならいいですよ。これはひとつ御研究を願うべき問題だと思いますが、この点についてどうお考えになりますか。お尋ねします。
○政府委員(友藤一隆君) ただいま御指摘の自衛隊法九十五条の規定でございますが、これは我が国の防衛力を構成する重要な物的手段が破壊されたり、奪取されたりすることにより防衛力が低下するのを防ぐため警察権の行使として、武器等の警護に当たる自衛官の職務権限として武器の使用を認めた、こういうことでございまして、この点は先生御指摘のとおりでございますが、私どもとしましては権限の行使については非常に慎重な態勢で望んでおるわけでございまして、御指摘の刑法三十五条の「正当行為」に当たるべきではないか、こういうことでございますが、その「正当行為」という点につきましては、武器の使用そのものが私どもとしては弾薬とか火薬あるいは車両、航空機等を防護するのに必要な範囲ということでございます。したがいまして、その武器の使用は人に危害を直接与えるということを主目的にするわけでなくて、むしろそういった事態を防止する、奪取されないように措置をするというのが大前提でございまして、その点犯人を逮捕するような事例とは若干対応が異なるのではないか、かように考えておるわけでございます。
 しかしながら、警告し、あるいは阻止をいたしましても、奪取あるいは破壊に及ぼうとするような場合には適切な手段でもってそれを阻止するわけでございますけれども、なおかつ、それが非常に危険が及んで正当防衛あるいは緊急避難に該当するような場合には人を傷つけることもやむを得ない、こういうような規定になっておるわけでございまして、その点本法の趣旨等からいたしまして、私どもとしては現在の立法の仕方というものについては妥当なものではないか、かように考えておるわけでございます。
 なお、三十五条との関係で申し上げますと、自衛隊法八十八条でもって自衛権の行使として武力を行使いたします場合には、こういった警察権の行使と異なりまして、今も御指摘のありましたような個々の刑法上の制限というようなものは特に課せられていないということもございますので、御理解を賜りたいと思います。
○飯田忠雄君 実はこの九十五条は警察権行使の規定なんですよ。警察権行使の規定であって、いわゆる戦争用の規定じゃない。警察権行使の規定ならば当然、少なくとも警察官職務執行法と歩調を合わすべきですね。海上保安庁法でも警察官職務執行法と歩調を合わせています。
 もう一つは、警察官職務執行法の場合は、犯人を逮捕するという積極行為に出る場合でしょう。自衛官の場合は積極行為に出ないんです。自分の守っておるものを取られるのを防ごうという立場ですから、なおさら警察官職務執行法よりは守れるという態勢をつくらなきゃならぬのじゃないか。つまり、緊急避難か正当防衛でなければ武器を使ったら大変なことになるということであれば、そういう判断が実際の場合に自衛官にできるかという問題もあります。
 それで、結局弾薬庫を破壊して弾薬庫から弾薬を持ち出すという行為が、これがどういう結果を招来するかという問題を私は心配するわけですね。国民の生命、財産に大変な危害を及ぼす事態をつくり出すと私は思います。そういうようなことになるのを防止するためのものですから、もちろん、命を奪ってはいかぬと書くのならいいですよ、殺人はいけないんだと。空だけ撃っておったのでは逃げません。警察の場合でも大抵足元を撃つんです。そういう撃ち方があるので、足元を撃った場合は当たることがある。当たったら処罰されて傷害罪だということでは、これは自衛官としては、防護に当たる自衛官の警察行為はほとんどできないんじゃないかというふうな気がするわけですね。そういう点を私は申し上げているんです。
 刑法上からも大変疑念がありますのは、これは自衛隊については特別刑法を設ける規定だから私は問題にするわけです。刑法なら刑法どおりやってくれという要求を我々としては言いたいわけです。それでは、これはそういうことでとめておきます。
 それから次に、自衛隊法の八十条の第二項を見ますと、海上保安庁が内閣総理大臣の統制下に入ることが決めてありますが、この場合の指揮権の問題がどうも明確でない。長官によって指揮させるとありますが、つまり、海上保安庁の全部または一部を内閣総理大臣の統制下に入れて、防衛庁長官がこれを指揮すると、こうなっておりますが、この場合に指揮の仕方が、例えば法務大臣が検事総長を通して検察官を指揮するという方法のようなやり方なのか、あるいは直接防衛庁長官が海上保安庁長官を差しおいて海上保安官を指揮されるのかという点が明らかでないわけです。
 指揮権の問題につきまして、海上保安庁法によりますと、海上保安庁長官は防衛庁長官の指揮下に入ることもあるとはっきり書いてあります。防衛庁長官以外の大臣でも構いません。運輸大臣以外の大臣の指揮下に入る場合は、その指揮下において仕事を行うということが書いてありますので、そういう規定とこれとの関係はどうなるのか、こういう問題ですが、どうですか。
○政府委員(友藤一隆君) 自衛隊法八十条の規定によりまして、内閣総理大臣が海上保安庁の全部または一部をその統制下に入れ、防衛庁長官に指揮させる場合でございますが、これにつきましては法律は八十条二項にございます。それから、これを受けまして自衛隊法施行令の百三条に規定がございまして、「法第八十条第二項の規定による長官の海上保安庁の全部又は一部に対する指揮は、海上保安庁長官に対して行うものとする。」と、かような規定がございまして、統制下に入りましても防衛庁長官は海上保安庁長官を指揮する、こういう形に現在法令上はなっておる、こういうことでございます。
○飯田忠雄君 それでは次の問題に入りますが、自衛隊法の七十八条を見ますと、そこに「間接侵略」という言葉が使ってございますが、この「間接侵略」という言葉がまたこれは極めて意味がわからないものでございまして、これは一体間接の武力侵略をいうのかどうかという問題ですね。
 自衛隊は武力で防衛するものですから、そうしますと侵略も武力侵略でなければならぬはずですね、という考え方もあるわけです。そうするとそれは、間接の武力侵略をいう、こうなるわけですが、間接の武力侵略とは一体何だろうかという問題です。これは本当にわからない問題ですが、どういうふうな御理解でしょうか。
○政府委員(友藤一隆君) 自衛隊法七十八条、これは治安出動の規定でございますが、ここに法文上も「間接侵略その他の緊急事態に際し」云々という規定がございます。この「間接侵略」でございますが、これは私どもでは外国の教唆または干渉によって引き起こされた日本国における大規模の内乱及び騒擾というふうに解釈をしておりまして、武力攻撃かどうか、こういうお尋ねでございますが、外部からの武力攻撃そのものでございますれば、これは七十六条の規定にございます防衛出動により対処すべき事項でございまして、ここでは一般の警察力をもっては対処できないような緊急事態の一種を間接侵略というようにとらえておるわけでございます。
○飯田忠雄君 今おっしゃったような内乱とか騒擾ということになりますと、これは間接侵略なのか、あるいは我が国における刑法上の犯罪なのかという点が大変あいまいになるわけなんです。騒動を起こしておるのは日本人であり、騒動が起こっておるのは日本の国内だという、そういう形式的な問題を見てまいりますと、それを動かしておるものが外国だということは、結局外国が行う思想謀略とかあるいは経済謀略とかいったようなものを指すように見えるわけですね。外国が思想侵略をして、その結果日本国内で日本人が暴動を起こす、こういうことになって、それを間接侵略という、こういうふうな意味にとれるんですが、そういう意味で解釈なさっておるのでしょうか。
○政府委員(友藤一隆君) まず、お答えいたしま
す前に、先ほどの御質問に対する御答弁について若干補足を申し上げますと、先ほど七十八条というふうに申し上げましたが、そのほか任務を決めております第三条の方にも「間接侵略」という引用がございますので、補足をいたしておきます。
 御指摘の思想侵略、経済謀略、こういったようなものでございますが、これがどういうものか、なかなか難しいわけでございますけれども、私どもとしましては、ただいま申し上げましたような間接侵略その他の緊急事態に際しまして一般の警察力をもっては治安を維持することができないと認められる場合に、自衛隊法七十八条により、自衛隊の全部または一部の出動を内閣総理大臣によって命ずることができる、こういうことになっておるわけでございまして、一般に治安については警察の方で御所管になっておるわけでございますが、私どもとしましては、治安出動ということになりますと、一般の警察力で対応できない、こういうような場合における対応というふうに観念をいたしておるわけでございます。
○飯田忠雄君 そういうことになりますと、これは結局犯罪であるが、警察力で弾圧できない規模の犯罪という意味に理解しておられると、とっていいわけでしょうか。
○政府委員(友藤一隆君) 当然、内乱ということになりますれば、内乱罪とかそういった条項の対象になるものも出るわけでございます。
○飯田忠雄君 これも表現の仕方ですが、こういう難しい「間接侵略」なんという言葉よりも、今おっしゃったようなわかりやすい言葉で書いていただくとよくわかるんですが、これは御研究を願いたい一つの問題です。
 それから、第七十八条の第二項に「衆議院が解散されている場合」という言葉がございまして、その後で「その後最初に召集される国会」とありますが、そこで承認を得るんだと、こういうわけなんです。「その後最初に召集される国会」というのは、これは選挙が終わって初めて行われる衆議院の国会という意味なのか、あるいは参議院の緊急集会というのがございますが、参議院の緊急集会でもいいのか。どちらかということですが、いかがですか。
   〔委員長退席、理事大城眞順君着席〕
○政府委員(友藤一隆君) 自衛隊法七十八条の「命令による治安出動」の場合、条文にございますように、国会の承認は事後承認という形になっております。それで、同条の第二項のただし書きの規定によりまして、国会が閉会中の場合または衆議院が解散されている場合においては、その後最初に召集される国会において承認を求めること、とされておるわけでございますが、この点につきましては、第七十六条の「防衛出動」の規定を見ますと、こちらの方は、出動に際しましては、原則として事前に国会の承認を得るということとされておりまして、したがって、衆議院が解散されているときには参議院の緊急集会により承認を得るというような形になっておりまして、これと対比いたしてみますと規定ぶりが異なっておるわけでございます。
 このような七十八条の趣旨や七十六条との規定ぶりの相違から見ますると、七十八条に言います衆議院が解散されている場合におけるその後最初に召集される国会というのは、憲法第五十四条第一項により召集される国会というものと解釈をされるわけでございます。
○飯田忠雄君 それでは次の問題に入ります。
 自衛隊法の八十四条の問題ですが、そこに領空という言葉がありますが、その領空の範囲はどの程度を指しておるのか。
○政府委員(友藤一隆君) 「わが国の領域の上空」というふうに八十四条には使ってあるわけでございますが、これは、国際法上、例えば一九四四年の国際民間航空条約第一条等がございますが、我が国が完全かつ排他的な主権を有する領域、これは領土及び領海が入るわけですが、これの上の空間を意味するというふうに解釈をいたしております。
○飯田忠雄君 その空間なんですが、例えば空間という意味は上の方の宇宙まで含むということになってまいりますと、宇宙を飛んでくる通信衛星も落としていい、こういうふうになるでしょう、我が国の領空を侵したことになるでしょうから。そういう点で、従来の定義はまことにあいまいもことしているんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(友藤一隆君) 先生御指摘のように、我が国の領域の上空の範囲について直接的に規定をした法律等はございませんで、この辺は先ほど申し上げましたように、国際法上の慣行等にゆだねられておる部分が相当大きいのではないかというふうに考えております。
○飯田忠雄君 国際法上の慣行というのはどういう慣行がございますか。
○政府委員(斉藤邦彦君) ただいま御質問の宇宙空間の範囲でございますけれども、これは今のところ宇宙空間を定義しようという国際的な努力が続けられてはおりますけれども、今のところはっきりした境界ということについては合意ができておりません。しかしながら、この領空に対する主権というものが宇宙空間を除いて領土及び領水の上空に及ぶという点につきまして、国際法は確立していると考えられます。
○飯田忠雄君 そうしますと、領空の「空」というのは大体空気の意味に理解するんでしょうか。空気の意味で理解すれば、空気のあるところ、こうなりますね。
○政府委員(斉藤邦彦君) 申しわけございませんが、どの辺まで空気があるのか私余りよく知らないのでございますけれども、この辺で境界を引こうという国際的な議論が行われておりますのは、先ほど申し上げましたとおり、まだ合意がございませんけれども、大体上空九十キロとかあるいは百十キロとか、そういうところが討議の中心になっているようでございます。したがいまして、メートルで申しますと十万メートルでございましょうか、そのぐらいの高さのところで引くというのが大体のアイデアのようでございます。
○飯田忠雄君 それでは次の問題に入ります。
 同じく八十四条に「外国の航空機」という言葉があるんです。「外国の航空機」という表現は、これもまた非常にわからないのは、一体航空機とは何だということになりますが、人が乗っておる場合に航空機と言うのか、あるいは人が乗っていない航空機、無人航空機というものは認められないのかという問題がありますが、この点はいかがですか。
○政府委員(友藤一隆君) 自衛隊法八十四条の御質問でございますが、これは「領空侵犯に対する措置」の規定でございまして、我が国の領域の上空、領空のことでございますが、これに対しては、我が国が国際法上完全かつ排他的主権を有するということから、このような我が国の領空に不法に侵入する航空機に対しては、我が国の排他的な主権行為の発動として、自衛隊が侵犯行為の排除という警察措置をとることを定めたものでございます。こういった趣旨からいたしますと、お尋ねの「外国の航空機」というものは、日本国籍を有する航空機以外の航空機を意味するというふうに解釈をいたしておりまして、また、本条の領侵措置をとるに当たりましては、航空機が有人であるかあるいは無人であるかによって法的な差異を生じるということはございませんで、いずれの航空機も本条の対象になるというふうに理解をいたしております。
○飯田忠雄君 それでは次の問題に入ります。
 自衛隊法の九十八条に学生に対する「学資金の貸与」の規定がございます。大学に在学するところの学生に対して、将来自衛隊に勤務するということを条件として学資金を貸与するわけですが、こういう法律ではっきりと「学資金の貸与」の規定を設けて、その対象に普通の大学の学生を挙げた場合に、この在学中の学生は法律によって与えられておる学資金を使って将来自衛隊員になるんだとこうなっておる以上、その在学はやはり準公務ではないか、こういうふうに言うこともできるようになってまいりますが、そういう点について、準公務と認めるか認めないかという点ですが、いかがでしょうか。
○政府委員(松本宗和君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のように、自衛隊法九十八条によりまして、「学校教育法に規定する大学」これは大学院も含めますが、そこに「在学する学生で、政令で定める学術」、これは現在歯科と理工系の学科でございますが、これを「専攻し、修学後その専攻した学術を応用して自衛隊に勤務しようとする者」に対しまして、学資金が貸与されるという制
度がございます。
 その貸費学生でございますけれども、修学後「自衛隊に勤務しようとする者」でありまして、在学中には単に学資金の貸与を受けているというにすぎない。つまり、奨学金を受けておるというのに似ておりますけれども、隊務を遂行していないということになりますので、その学生の在学中につきましては、準公務というのは公務に準ずるというぐあいに考えさせていただきまして、これは準公務と認めることはできないのではないかというのが私どもの解釈でございます。
○飯田忠雄君 実はこの質問を申し上げましたのは、公務員の災害補償法の適用が認められないかという意味で御質問を申し上げたんです。
 防衛庁で学資金を貸与されて勉強しておるその人が災害に遭ったという場合に、やはり将来防衛庁に勤めるんだから、この災害補償ということも認めた方がいいのではないかという政策の問題ですが、これはいかがでしょうか。
○政府委員(松本宗和君) ただいま、これは準公務といいますか、職員ではないということで準公務と言うわけにはまいらないということをお答えいたしました。それとの関連で、実は公務災害補償でございますけれども、防衛庁職員給与法によりまして適用されております国家公務員災害補償法、これは公務災害補償が適用されておるわけでございますが、この防衛庁職員給与法で適用されております災害補償法の適用を受けます職員といいますのは防衛庁の職員ということになっております。したがいまして、この九十八条によります学資金の貸与を受けておる学生につきましては、防衛庁職員でないというところから、公務災害補償の対象とはならないというのが現状でございます。
○飯田忠雄君 この学生に金を貸してその人が卒業して自衛官になりますよね。そして、自衛官になってから、また自衛官を退職してほかの仕事についたという場合に年金の問題がございますね、共済年金です。年金の起算点について、防衛大学の学生は、あれは学生だけれども起算点に入れておりますね、対象に。防衛庁で金を貸したということは、もう将来自衛官にするということですから、金を払ったと同じなんですね、なればもう返さぬでいいんですから。
 そういう場合に、この学生についての処遇の問題ですが、雇用したという、一種の準雇用の形ということで認めることができるならば、年金の起算点はそこから、防衛庁が金を貸した時期から始め得ることになるわけですから、そういう点について、そういう政策をおとりになることについてどうお考えでしょうか。
○政府委員(松本宗和君) 防衛庁共済組合のいわゆる共済年金、これの適用を受けられないかということでございますけれども、まず防衛庁の職員ではないということから、防衛庁共済組合の組合員てはないということになります。したがいまして、共済組合の算定基礎となります組合員期間にはこの学生である期間、貸与を受けておる学生である期間については、これは制度的に算入できないということになっておりまして、これにつきましては、共済制度の問題でございますので、防衛庁でこれ以上のことは申し上げられないのではないかと思います。
○飯田忠雄君 それでは次の問題に入ります。
 自衛隊法に別表というのがございますが、自衛隊法の別表のことが書いてございますね、別表第三の関係です。その中で今度、入間市が狭山市に変更になるわけなんです。ところが、狭山市というのはどこの狭山市かさっぱりわからないのです。実は大阪府に狭山町がありまして、近くこれが市になるんです。そうすると、これも狭山市になるんですね。これははっきり県の名前を書いておきませんと、一体どこの狭山市かわからないということが起こります。この別表三ばかりでなしに、二も一も見てみますと県が書いてないんです。政令都市なら県を書かぬでもいいけれども、政令都市じゃない市に県が書いていないというのは、それは非常に混乱を生ずるもとだと思いますが、この点についていかがでしょうか。
○政府委員(友藤一隆君) 二つ狭山市ができるという話は今初めて伺ったわけでございますが、そのような事態になりますれば、またこの辺の対応を検討いたさなければならないと考えております。
○飯田忠雄君 本来、政令都市以外の市の場合は、何々県何々市と書くのが正式の呼び方であるはずなんです。別表は法律ですから、やはり正式の呼び方で書いていただかないと困るわけです。これもひとつ研究材料にしておいてください。
   〔理事大城眞順君退席、委員長着席〕
 それから、第百条の五というのがございますね。第百条の五の関係ですが、国賓等の輸送用に供する航空機を、今まで総理府で所管しておられたのを自衛隊の所管に移していかれる、そういう規定だと思いますが、これは民間の航空機を借り上げでやるということだと非常に不便かどうかという問題が実はあるわけです。総理府で所管なさっておると、パイロットもいないし、大変金がかかるので自衛隊にやらせるというのも一つの方法です、これは。それはそれでいいですよ。いいですが、民間航空機の借り上げでは国賓に対して失礼に当たるかと、こういう問題ですが、いかがでしょうか。
○政府委員(友藤一隆君) 国賓等の輸送については、私どもは依頼を受けて輸送をやるということでございますが、接遇そのものの御判断は、接遇をされるところで御判断をいただくことになろうかと思います。
 ただ、今回、百条の五でお願いをしております国賓等の輸送の規定は、御案内のとおり、本年五月の東京サミットにおきます各国要人等の輸送のために、総理府で購入をされました三機のヘリコプターをサミット以後どのように活用していくかということで御検討になりました結果、私どもが航空機の運航について相当能力もございますし、今後、円滑な国賓等の輸送の実施というようなことを考えますと、自衛隊が引き受けるのがよかろうということで、任務に支障のない範囲で依頼を受けて実施をするということになりまして、この改正をお願いをしておるわけでございます。
 それで、要人輸送用のヘリが借り上げでいかないのかということでございますが、本来、私どもからお答えする立場にはないと思いますけれども、私どもが仄聞いたしておりますところでは、サミット時における要人等の輸送の重要性にかんがみて、その輸送態勢を確保するために総理府において購入をされたというふうに聞いております。
○飯田忠雄君 この質問を実は私が申しましたのは、例えば比較的文化が余り発達してない国の国賓を我が国に迎える場合に、向こうからは飛行機に乗ってくるだけの力もないという場合には迎えに行かにゃいけませんね。その場合に、自衛隊機で迎えに行くということと、民間の借り上げ機で迎えに行くということと両方あると思うんです。そこで、そういう国賓がこちらへ来るのを迎えに行って連れてくることは含まないんだというなら、それはもう問題外です。しかし、国賓の輸送ということの意味がそういうこともあるということになりますと、そういう輸送を自衛隊で引き受けられるということについては、危険負担の点で問題はないかということなんですが、いかがでしょうか。
○説明員(河村悦孝君) 我が国の国賓の接遇の対応でございますが、我が国といたしましては、あくまでも訪問国のお客様が日本にお見えになってから接遇をするということでございます。そしてその場合に、訪問客が本邦まで到着される交通手段につきましては訪問国の方で手当てをしているということでございますので、御指摘のような事態は生じないというふうに考えております。
    ─────────────
○委員長(岩本政光君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、桧垣徳太郎君が委員を辞任され、その補欠として佐藤栄佐久君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(岩本政光君) 引き続き質疑を行います。
○飯田忠雄君 その点はよくわかりました。
 そこで、少しまた戻りますけれども、爆弾を搭載した無人航空機が我が領空に入った場合に、これを外国の航空機とみなして自衛隊は出動なさるかという問題ですが、こういう場合はどうでしょう。爆弾を積んでいるかどうかわからぬけれども、無人飛行機が入ってきた、日本の飛行機ではない、
しかも同盟国の飛行機でないことがはっきりしている場合に、それを撃ち落とすかどうかという問題です。
○政府委員(友藤一隆君) 私どもとしましては、八十四条の警察権の発動としての要件に該当しておるものであればそれなりの措置をとる。警告して領空外へ退去していただくように行動をとるとともに、退去しない場合には最寄りの飛行場へ着陸させるような措置をとっていく、こういうことでございます。もちろん許可を受けて入ってくるもの、国際条約に基づいて入ってくるものについては八十四条の対象にはならないわけでございます。
 ただ、御質問のように、爆弾を積んで云々というお話でございますが、どういう事態を想定されておるのか、私どもちょっとわかりませんが、もしそれが武力攻撃ということでございますれば、防衛出動の下令等の要件に該当するということであればそういった措置を別途とると、こういうことになろうかと思います。
○飯田忠雄君 先般、実はいろいろ模造の銃をつくりまして撃ち込んだ件があるでしょう、国内で。あれの国際化を考えるわけですが、我が国の中へ外から、例えば国内攪乱をやるために爆弾を積んで無人飛行機を飛ばすという場合に、そういう場合にそれは侵略があったとして自衛隊では出動なさるのかと、こういう質問なんですがね。
○政府委員(友藤一隆君) 武力攻撃がいつからあったかというようなこととの関連があると思いますが、いずれにしましても、そういった武力攻撃かどうか判定するのはなかなか困難な事態もあると思いますが、私どもとしましては、レーダーサイトその他の情報等を十分活用いたしまして、そういった事態が不意に起こらないように対応いたしておるわけでございまして、レーダーサイト等も二十四時間、不明機の情報等があればすぐ対応して、八十四条の領侵措置をかけてチェックをすると、こういうようなことで対応いたしておるわけでございます。したがいまして、それがある国が国家的意思を持って我が国を侵略するということがはっきりしておるということがわかりますれば、これは先ほど申し上げましたように防衛出動が当然下令される事態になると、かように考えます。
○飯田忠雄君 私は、この自衛隊法の改正につきましての細かい点の質問を申し上げましたが、その部分はそれで大体終わりました。
 それで最後に、この防衛というものについての本質の問題ですが、結局現在の国際政治では力と道義とをまぜこぜにしまして、都合のいいのを使って政治が行われるのが現実でございまして、残念なことに、現在の国際政治では背後にどうしても武力というものが伴っておるわけですね。それで国家構造の一部として武力というものが当然のこととして今日の段階では考えられておるわけなんですが、そういうことを背景といたしまして、我が国が戦争を放棄した上での武力を持つということは、一応合法として認めるということになってきておると思います。つまり、自衛隊をつくりまして自衛隊を積極的に使って戦争をするということはしないが、しかし、国際政治の手段として自衛隊を利用するということになっておるんではないかと思うんです。
 アメリカからの要求なり、あるいは他の国が日本と外交交渉をする場合の関心度合いというものは、やはり日本の国がどれだけの自衛力を持っておるかという点が相当国際政治上では響いてくるということでございまして、端的に申しますならば、自衛隊というものは数は大きくなくてもいいが精鋭でなけりゃならぬと、精鋭でなかったら国際政治の手段としてはもう役に立たぬ。しかし、精鋭ではあるんだけれども、これは戦争には使わないんだということになると思います。そういう性質のものではないかと私は考えておるんですがね。そういう考え方はやはり今の段階ではやむを得ぬ、将来軍縮が完成しまして、全世界が戦争を放棄するという段階が来ればそういうことも要らぬことで、それに至るまでの過渡期における一つの様相だと思います。しかし、過渡期の様相だけれども、自衛隊を持つ以上は、国際政治の手段として役立つものじゃなければならぬ、こう思いますが、そういう点についてはいかがでしょう。
○国務大臣(栗原祐幸君) 世界の平和を保ち、戦争をなくそうと、そのためにいろいろの手段が必要でありますが、特に外交等を中心としていろいろ行われておる。しかし、最終的には、最終的といいますか、そういう平和を維持するための大きな要素としてやはり軍事力、防衛力というものが重きをなすことは事実であろうと思います。我が国の場合は必要最小限度の防衛力を持つ、なめたら承知をしないぞと、そういう態勢を整えながら日米安全保障体制、そういうものでしっかりと固めておる。このことが今日までの日本の平和を保ってきた大きな要因の一つではないかと、こう考えます。そういう認識をしておるということでございます。
○飯田忠雄君 時間が来ましたので終わります。
○内藤功君 法案の質疑に入ります前に、内閣官房長官に三原山噴火につきまして御質問をいたします。
 伊豆大島三原山火山噴火によりまして、島外避難をされた島民の皆さんに心からお見舞いを申し上げるとともに、関係者の方々の御努力に感謝を申し上げるわけであります。
 私ども、とりあえず緊急の問題について官房長官に内閣の対応とそれから御判断をお伺いしたいと思うんですが、私は四つばかり緊急問題として指摘をしておきたい点があります。
 一つは、一昨日の政府の第二回対策本部会議の重点事項にも書いてありますが、現地では一部地震計が破壊されるということなど観測の困難も生じている、特に観測機器の点検保守や異状の確認に出かける際に必要な緊急用携帯無線機の不足なども伝えられております。さらに、現状の実態把握をするために、航空機の常時使用による赤外線写真などの観測の実施などが必要ではないか、こういうふうに思うのであります。これが第一点です。
 第二点は、今都内に三十九カ所六千人の方が避難しておられまして、私も何カ所か参りまして直接お見舞いしお聞きしたのでありますが、文字どおり着のみ着のままですね。とりあえず一世帯のうち一人の人が一時帰島したいという切望がありまして、町議会あるいは都議会でもこの要求が出されておるようでございます。この点の御検討をぜひいただきたい。
 三点目は、広い体育館で年齢、それから家族、性別を問わず、広いところにいる、疲労と不安は我々が表から見る以上のものであります。そこで、もう少し各家族が独立して住める住居の提供、さらに公営、公団住宅の空き家利用、仮設住宅、こういった面の御努力を地方自治体とも連絡をとってさらに鋭意やっていただくことが必要だろう。
 最後に四点目でございますが、家畜、水産、園芸など自首業の人が多うございます。ところで、借金を抱えておる方が多くて、みんな住宅ローンの返済を非常に心配しておるんです。そこで、政府系の金融機関はもちろんでありますが、市中の金融機関についても何らかの返済猶予の措置がとられるような御検討、そういう御指導をお願いしたいというのが、いろいろありますが、私四点に絞って、そういう点を感じます。
 これらの点を含めまして、内閣としての現段階についてのこれからの見通しの御判断並びに対応についての基本的態度を官房長官にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(後藤田正晴君) お答えをする前に、今回の大島噴火で災難に遭われた皆さん方に対して心からなるお見舞いの意を表したいと思います。
 ところで、お尋ねの件ですが、御案内のように、第二次の爆発が二十一日の夕方にあったわけでございますが、その状況が従来と違って大変危険であるといったようなことで、とりあえず住民の皆さん方にやはり避難をしていただく以外に方法なしというようなことで、何はさておき、その輸送手段の確保といったようなことで関係各省、それから東京都庁、こういったところがお互いに連絡をしながら、それぞれの役所にはもう早速当日災害対策本部をつくり、そして政府もその夜持ち回り閣議で政府全体の災害対策本部をつくるということで、一応体制を整備をして全力を挙げてやってきたつもりでございますが、さてこれが、避難が長引くということになると、これから先の事柄について当然のことながら住民の皆さん方のやはり不安感が色濃くいろんな御意見等の中にうかがわれるようになってくる、また、いら立ちも当然
のことながら出てこざるを得ない。これらについてはやはり行政として適切な手を打っていく必要がある、こういうことでございます。
 ただ、その前提になるのは、やはり何といいましても、本当に危険な噴火の状況でございますので、生命に対する安全がどうかということをまず第一に判断をしなきゃならぬわけでございます。さて、それの判断の上に立って、住民の皆さん方の不安感なりいら立ちに対する解消策をどうするかと。しかもこれは、噴火の危険状態がいつごろおさまるかという時間的な関係とも極めて密接な関連があるわけでございます。そういうようなことで、実は昨日も下鶴噴火予知連の会長さん、それから気象庁の長官の方に私のところへ来ていただきましていろいろ状況を伺いましたが、まだ非常な危険性があると。北西の海岸ぷち、あれは元町の方になりますかね、それから南東の方は波浮の港、この線を連ねた線ですけれども、なかなか危険性があって、そして同時にまた、それが先行き、今まで中央のあの噴火口、ここらへの噴火の状況が果たして将来どうなるかといったようなことで、予知連の会長さん御自身も、非常に危険性を認めておるんだけれども、さていつこれが落ちつくかということについては必ずしも、まあ当然の話だと思いますが、的確な断を下すところまでいっておりません。
 そこで政府としては、やはり最後は行政がこれに対応しなきゃならないと。それで、その根底はいわゆる予知連の皆さん方の判断、ところが、その予知連の皆さん方が判断するのについて、今御質問の第一点にありましたいろんな観測用の資機材ですね、これが壊れたものもありますし、あるいは東大の地震研究所が、あれはたしか一年半か二年前ぐらいにおつくりになったんじゃないかと思いますが、必ずしも十分整備してなかった、こういうお訴えがございましたので、これは政府は予備費を出してでも何ででも早急に必要なものは、手に入るならばいつでも対応いたしますからということで、関係省庁に早急にそこらのどういう機材が要るのか言ってくれということにしてございます。それが出てくれば政府としては対応いたします、これは。
 さて、そうしながら同時に不安感を除去するためには、第二番目の一家庭の中から強健な方が少なくとも一人でもお帰りになって自分の家がどうなっておるだろうかと、あるいは緊急の避難でございましたからあの品物だけはこっちへ持ってきたかったとか、ともかくこの一週間余り留守の間にどうなっておるだろうとか、当然の不安を持っている、帰りたいということ、これはひとつ予知連の判断の出次第、やはり一日二日とかいうんじゃなしに、場合によれば数時間でも島に帰らせてあげる、そしてそれが終われば直ちにまた引き返す。それをピストンでやる。それの船の準備をする。もう少し一日でもおれるというような噴火予知連の判断であれば、これは私は、場合によれば家の中で住んでいただくのは大変危険ですから、とりあえずは船を宿泊所に使う、こういったようないろんな措置があると思います。これらについてもぜひひとつ検討を早急にしてもらいたいと、こういうことを指示をしてございます。
 それからもう一つは、広いところに住んでおるので風邪も引かれるおそれもありましょうし、やはりだんだん疲労が募ってくる、いら立つといったようなことになると果たして今のままの避難所でいいのかという問題が出てきますが、これらはやっぱりどれくらいの期間で、割合短時間で大島の方へ帰れるのかどうかと、これまさに予知連の判断にかかっておる。しかし、これが少し長引くようであれば、当然のことながら今の御質問の中にあったような住宅の対策ということも考える必要があると、こう考えております。
 それから、家畜の問題は当日もございました、既に。物によっては、私は素人なんですけれども、何か一日か二日か水やらなかったり、物やらなかったら死ぬのがあるそうですよ。これは困る、何とかひとつこの家畜の命を助けてやってもらいたいと、こういう御要望がございました。これはまあできれば犬、猫といったようなものに至るまでうまくいくことが望ましいけれども、それはさてうまくいくことが望ましいけれども、それはさておいて、少なくとも家畜ということになるとそれは生計の種なんですからね、これはやっぱり人間の命の次に考えなければならぬということで、これは手当てをしまして、たしか東京都は獣医さんを長にして現地へ行っていただいて処置をしたと思いますが、さて、これも期間が長くなったら私はなかなか難しくなるなと思います。これも一にかかって期間との関係でどうなるかということ、できれば何とかしなければならぬという、こういう気持ちを政府は持って既に手は打っておるつもりでございます。
 いずれにいたしましても、これは大変な一万人からの人口の方がこちらへ来ておるわけでございますから、これの善後処理ということについては、政府は真剣にこれは取り組まなければならないということで、きょうも三時から国土庁長官を中心にした第三回伊豆大島噴火対策本部会議を開いて今言ったような事柄について検討いたしております。実は昨晩遅く総理から私のところに電話がありまして、今言ったような事柄について、ひとつ官房長官ぜひ検討してもらいたいというお話がございまして、また、けさ国土庁の長官と打ち合わせて今お答えをしているような物の考え方で対応策を、政府としてはともかく精いっぱいやっておるということをひとつ皆さん方にお答えをしておきたいと思いますが、何しろこれは本当に難しい仕事でございます。精いっぱい事柄が事柄ですから努力をさしていただく決意でございます。
○内藤功君 細かいことはまた他の委員会の他の機会で質問したいと思います。万全の措置をとっていただくように、また、私の申しました四点目につきましてもひとつ御検討をお願いをしたいと思います。
 それでは法案の内容に入りたいと思います。予備自衛官の問題です。
 まず、予備自衛官をいわゆる今後の五カ年計画の中でどのくらいの規模の人員数にしようとしているのか、その数字を今までの衆議院の内閣委員会、また、当内閣委員会でもいまだお示しになっていないわけですが、具体的な数字とまではいかないにしても大枠ですね、大体どのくらいのけたの予備自衛官を必要とするか。これはその基礎には日本のいわゆる防衛構想、それから自衛隊の本来の隊員をどのくらいにするかという構想、その他がいろいろ絡む問題ではあるが、この人員数についてはどういう大枠を考えているのかという点をまず伺いたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 昨年政府で決定されました防衛力整備五カ年計画におきましては、予備自衛官の員数を何人にするということを具体的に定めておりません。ただ、経費計画等でその他の増員等も含めてどの程度の金額を仮置きしておくかという問題があろうかと思いますが、その中では、大変大まかに言えば一万人強の増員をできればやりたいというように考えております。
○内藤功君 二十万とか三十万とかいうことが報道されていますが、その規模のことは考えていないんですか。
○政府委員(西廣整輝君) 私どもそういうことを考えたことございませんが、いずれにしましても、現在の予備自衛官制度というのは自衛官を経験した者から採るわけでございますから、そのような数字の予備自衛官を採用することは不可能だろうと思います。
○内藤功君 防衛庁の業務・運営自主監査委員会では自衛官を経験しない人の採用を考えておりますが、もしその採用を前提とした場合には二十万、三十万という規模の予備自衛官の保有というものを考えているんですか。
○政府委員(西廣整輝君) 私、この問題担当しておりませんから具体的な研究の進みぐあいはわかりませんが、いずれにしましても、我が国の自衛隊の予備勢力というものが非常に小さくて弾力性が少ないという点で、それをどうすればいいかという研究、さらには現在の人員というものをより効率的に使うために予備自衛官をどう活用していくかという問題、これらの問題について研究を始めておることは事実でありますが、それがどういう形になるかというのは今後の研究の成果次第ということでありまして、現在とやかくすぐ何十万要るとか、どうなるかというようなことを申し上げる段階にないと思います。
○内藤功君 同じく検討事項の中で、法的な検討も含めて今これをいろいろと検討しているという
ことがあるわけですね。西廣さんの衆議院の答弁でもそういうことが出ています。それで、この法的な検討事項というのは自衛隊法になると思うんですが、自衛隊法の六十七条の自衛隊の経験者から任命するという、この六十七条の改正を検討しているということだろうと思うんですが、それだけですか、そのほかにどんな法的な検討をしておられるのか、考えておられるのか。
○政府委員(松本宗和君) ただいま答弁がございましたように、まだすべてにわたって検討中でございます。もし予備自衛官につきましてその適用業務の範囲を広げるということで増員等を考えるということになった場合に、その規模によりましては、現在の制度、つまり、自衛隊を経験した者の中から採用するということでは間に合わないのではないかということも想定いたしまして、いわゆる自衛隊を経験していない人の中から採用することの可否及びそれに関連いたします法的側面も含めて検討しておるというぐあいに従来から答弁さしていただいております。
 その法的側面でございますが、当然自衛隊法も入ると思いますが、どの範囲ということにつきましてもこれはまだ現在検討の段階でございますので、的確に御答弁できる段階ではございませんので御了解いただきたいと思います。
○内藤功君 この法案が予備自衛官の増員ですから、そういった面も含めてやはり我々に資料を明らかにしていただきたいと思うのですよ。例えばこの六十七条の改正のほか、私大分踏み込んだ質問になりますけれども、例えば訓練期間、報酬、それからいわゆる服務義務、それから予備自衛官に民間から未経験者を採用した場合の階級ですね、こうした問題はどうですか、検討しているんですか。
○政府委員(松本宗和君) まず、民間から採用することの可否を現在検討しておるということでございまして、今先生踏み込んでとおっしゃったわけでございますけれども、現在まだ我々その踏み込んだところまで検討が至っておりませんので、その点まだ御答弁できる段階にはございません。
○内藤功君 そこで、予備自衛官のいわゆる行動の範囲ですね。衆議院の内閣委員会の答弁や当委員会での答弁を聞きますと、有事における人員の確保、特に野戦における補給、装備、それから病院、後方の警備ということを答弁しておられますが、そのほかに輸送とかそれから陣地構築というような任務もこれに付与していくという考え方なんでしょうか。防衛庁の考え方。
○政府委員(西廣整輝君) 具体的にすべての業務について予備自衛官の職務範囲を決めておるわけではございませんが、いずれにしましても予備自衛官でございますので、年齢的にある程度現役の隊員に比べて年がいっておるとかいろいろな問題がございますし、それと、長い間自衛隊の勤務から離れておるわけでございますからそう技術的に難しい仕事はできないということは当然のことでありますので、おのずからその使われる範囲というものは比較的軽易な仕事であり後方の仕事が主体になろうというふうに考えております。
○内藤功君 この予備自衛官の問題に関連しまして現在のこの予備自衛官については招集命令に応じない場合の罰則はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(松本宗和君) 自衛隊法百十九条によりまして「三年以下の懲役又は禁こ」ということになっております。
○内藤功君 現在の規定で予備自衛官が防衛招集に応じた場合の報酬は規定されておりましょうか。報酬、給与はどういうふうになっておりましょうか。
○政府委員(松本宗和君) 予備自衛官が防衛招集に応じました場合には、その予備自衛官として持っております階級に対応します階級の自衛官として勤務することになります。したがいまして、それに対応する俸給等が支給されるということになります。
○内藤功君 この法案の審議ではやはり来年の四月をめどに今検討しておる。しかし、中身は我々に余り言ってくれないので議論が進まないんですけれども、いわゆる自衛隊未経験者からの採用という問題が私は大きな問題のように思えてならないんですね。というのは、これは改めて時間をとって十分に論議したいと思うのです。
 日本戦略研究センター、この報告書がここにございます。これは金丸副総理が所長をやっておられて、ほかの委員会でも取り上げられた問題です。有力な国会議員のお名前も見えます。顧問には瀬島龍三氏などがなっておる。ここで出された報告書によりますとこの三十ページ、我が国の防衛を二十数万の自衛隊員だけで全うすることは不可能だ。「このため、志願する国民を組織化してそれぞれの郷土の警備や後方支援業務等を担任させ或は協力を受けることが不可欠の要件となる。これによって数少ない自衛隊員の大部分を直接戦闘員として第一線に参加させ、より効果的に運用することも可能となり、防衛戦力が飛躍的に強化される。」、私はこれが民間人あるいは自衛隊未経験者から採用するということの一つの背景として考えられるのじゃないかと思っておるのです。しかし、なかなかそういう内容を出してこないので議論にならない。私はこの点を特に指摘をしておきたいと思うんです。
 最後にこの問題で、長官、こういう今検討しておられる自衛隊未経験者から予備自衛官をということについて、防衛庁としてあるいは日本の国政の上でこういうメリットがあるという点は、防衛庁長官、政治家のお立場でどんなふうに今おなかの中で考えていらっしゃるかというのを伺いたい。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど来申し上げておるようにどういうメリットがあるか、どういうデメリットがあるか、仮にそういうことをすればどういうことをしなくちゃいけないか、もろもろの非常に大きな問題があろうかと思いますので、そういうことを含めて今検討しているところでございます。
○内藤功君 長官いかがですか、特にお考えないですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 先ほど申しましたとおり、自衛隊に対して予備自衛官というものの果たす役割、そういうものを充実しなきゃならぬ。その中でOBだけではいかがなものか。一般国民の中でも御理解、御協力いただけるものについてそういうような措置をとることも一つの方法ではないかと、こういうふうに考えております。
○内藤功君 こういう大事なことが明らかになってないので、私の質問もこの法案についてはこれ以上やるわけにいかない。そこで他の点について移っていきたいと思うんです。
 まずシーレーンの防衛共同研究ですね、これは外務大臣、防衛庁長官、現在どういうふうな段階に来ており、どういう時点でこの内容が一応の完成ですねあるいは概成といいますか、それを見るに至るんでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 本研究は昭和五十八年に研究着手したわけでございますが、一つの研究がようやく終わりにかかっておりますので、できるだけ早い時期にまとめ上げたいというふうに考えております。
○内藤功君 報道によれば年内と、非常に近い時期という報道もありますが、いかがでしょうか。
○政府委員(西廣整輝君) 年内にできるかどうか、際どいところではないかなというように考えております。
○内藤功君 それに関連しまして洋上防空という問題が今論議されております。この点は防衛庁、外務省にお聞きしたいのですが、外務大臣は何か所用があるということなので外務大臣が時間が来られた後は外務省の事務当局の答弁を待ちたいと思うんです。
 洋上防空というのはOTHレーターとか早期警戒機とか要撃戦闘機、あるいはイージズ艦とか艦艇防御システムとかいうものによる洋上防空と、こういうふうに言われておるわけですが、結局これは何を守るのか、いわゆる防御対象は何かと、そこら辺のところからひとつお答えいただきたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) 御承知のとおり、我が自衛隊は、国土、国を守ると同時に、我が国が生存していくための生活必需物資を運ぶ船舶、あるいは防衛行動を継続するための最低必要な所要の物資を運ぶための船舶等を防護する任務を持っておるわけでございますが、その際、従来から空からの脅威及び水上あるいは水中からの脅威、もろも
ろの船舶に対する脅威があったわけでありますが、そのうち従来特に重視されておったのは、潜水艦による攻撃が一番重視されて、それに備えた防衛力整備というものが現在進みつつあるわけであります。
 一方、空からの脅威ということになりますと、従来の周辺諸国の軍備を見ますと、相当足の長い航空機というものは存在はしておりましたけれども、その数がまだ少なかった、あるいはその爆撃機等が船舶を攻撃できてもそれは船舶の頭上に来て爆弾を落とすといったような形の攻撃しかできなかったということで、空からの脅威による我が方の被害というものはそう多くは見積もる必要がなかったわけであります。しかしながら、最近になって非常にスピードの早い長距離爆撃機等が出現をしてきておる。しかもそれがミサイルを使って遠くから攻撃できるようになったということで、それに対して我が方の現在の装備ではほとんど対抗手段がないということで、相手を撃退、撃破することができませんので、いつまでたっても空からの脅威というものが減らずに被害が出続けるということで、船舶の安全確保を図るために航空からの攻撃、いわゆる洋上防空の手段を何らか講じないと十分な任務達成ができないということで、いかなる手段が有効であるかを現在研究中であるわけであります。
○内藤功君 ここのところがいつもそれていくんですね。いろいろ研究しました。洋上防空の必要性、洋上防空において考えられる脅威ということの答えとしては今の答えなんですけれども、私の聞いているのは、これだけの兵力ですね、艦船、航空機、あるいは技術、装備、あるいは機器、燃料、膨大な予算をつぎ込むわけでしょう。そうしてよってもって守ろうとする、守るとするその防御対象は何かと、この点です。それに絞って答えてください。
○政府委員(西廣整輝君) 今のお答えで十分尽きていると思いますが、我が国が生存し、かつもし我が国に侵略があった場合に、その防衛のための行動を継続するために必要な物資等を海外から入れていく、あるいは内航輸送する、そういった最小限の物資輸送を行っておる船舶の安全を確保するためにそういったものが必要であるということであります。
○内藤功君 それでは聞きますが、洋上防空はアメリカの言葉では何と言いますか。
○政府委員(西廣整輝君) 私は日本人でございますので余りよく存じておりません。
○内藤功君 だれもおらぬか、参事官の中でいないの。答えられる人いないの。
○政府委員(瀬木博基君) 突然のお尋ねでございますので、後刻調べまして御返答申し上げます。
○内藤功君 日米の有機的な整合性ある協力も余りそれほどのことはないようですね。いないですか。――じゃ私が申し上げます。フリートディフェンスですよ、フリートディフェンス。艦隊防空。いかがです。今の日本の考えている洋上防空というのは基本的に米軍のこのフリートディフェンスなんです。フリート、つまり艦隊ですね。艦隊防空なんです。ワインバーガー長官にお会いになって、栗原長官、通訳つきのお話でしょうけれども、これはフリートディフェンスなんです。油断しちゃいけませんよ。日本とアメリカの洋上防空のとり方は食い違っていますか、いませんか。日本とアメリカの洋上防空の意味のとり方、食い違っているんですか、食い違っていないんですか。
○政府委員(西廣整輝君) 私どもが現在研究しようとしている、我々が懸念をしておる、現在の防衛力では不足しているんじゃないかという洋上防空について、アメリカはその内容というものを十分理解しておると思います。今先生の言われたフリートディフェンスとは私は違うというふうに考えております。
○内藤功君 米海軍ではフリートディフェンスということでもう徹底しているんですね。まずポイントディフェンスといって、これは個艦防御ですよ。チャフ、それからシースパロー、バルカン砲で艦艇の防御をやっている。それから、その周りはエリアディフェンスと言って地域防御、これはイージス艦による射撃によりまして、百五十キロ範囲でこれを防御する。その表側はアウターディフェンスと言って外周防御、F14、あるいは最近ではF18、早期警戒機、これで守る。これで両方やっているわけですね。その両方は、食い違っているのかいないのかという問題です。食い違っていないと、こういうお考えですか。食い違っているというお考えか。もう一回、私確かめておきます。
○政府委員(西廣整輝君) 何度も申し上げるようですが、我々が整備しよう、あるいは整備する必要があるんではないかという問題点について米側が全く誤解はないということを申し上げておるわけであります。
 一方、先生が今言われましたポイントディフェンスなりエリアディフェンス、そういった言葉が用語としてあることも我々は存じておりますが、それと我々が言っております洋上防空の構想なり研究対象というものとはおのずから違うということを御理解いただきたいと思います。
○内藤功君 そうすると、アメリカの方のフリートティフェンスと日本の洋上防空は違うと、こういうふうに承っていいんですね。
○政府委員(西廣整輝君) 我が国の防衛力整備は、あくまで我が国のためにやっておるものでありまして、アメリカの物の考え方の中でやっておるわけでございませんので、違っておる部分もあるだろうし、重なっておる部分もあろうと思いますが、我々のはあくまで我々が申しておる洋上防空ということでございます。
○内藤功君 そうすると、日本の洋上防空とアメリカのこのフリートディフェンスの一番違うところはどこですか。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど来申しておるように、私、アメリカの戦略、戦術を勉強しておるわけじゃございませんが、フリートディフェンスというのは、基本的にはアメリカの艦隊、海上機動部隊等が行動する際の防空の問題であろうかというふうに理解をいたしております。
○内藤功君 そうすると、だんだんわかってきましたが、アメリカのは艦隊を守る、日本のは艦隊を守らないんだと、こういうことで違うと、こういうことですか。艦隊は守らない、商船を守る。
○政府委員(西廣整輝君) アメリカのは、日本と違いましてアメリカは自分が生存していくためにさほど多くの物を海外に依存していないという点で、基本的に我が国と海上交通保護に対する考え方が違うわけであります。アメリカが海上交通保護、あるいはSLOCの防衛という場合は、通常はみずからの戦闘部隊が行動する、あるいはそれに対する補給部隊が行動する、それらの安全を確保するということが彼らにとって最大の眼目になろうと思いますが、我々としてはそういうことよりも、まず国民が生存し、日本が継戦能力を維持するということが最大の眼目である点で非常に違っておるというふうに考えておるわけです。
○内藤功君 そうしますと、毎年一月だとか六月だとか八月だとかに、ハワイあたりで日米の協議がありますね。そういうときに、この前の防衛庁長官に至ってはOTHを調査、研究したいというところまで口に出すんですね。洋上防空というのも言の端に上っている。そういうときに向こうはフリートディフェンスと言う、こっちは何と言うんだかわかりませんが、洋上防空と言う。話が合わないはずなんですね。これは必ず論争になるはずです。アメリカと日本の間でもって、フリートディフェンスかあるいはフリートディフェンスでないのか、洋上防空の意義。その何を守るのか。いわゆるハイ・バリュー・ユニットといいますか、防御すべき対象は何かということで論議がなきゃならぬですね。それはどうなんですか、激しい論議があるんですか。
○政府委員(西廣整輝君) そのような論議は、私、余り経験したことはございませんが、我々としてはアメリカがフリートディフェンスのためであろうが、あるいはアメリカの国土防衛のためであろうが、さまざまな防空システム、あるいは防空のための装備品等を開発をし、あるいは装備をしようとしている。その中で、我が方の構想に合う装備というもの、我が方に合うのではないかという装備というものがあればそれについて資料の提供等を求めるというのは当たり前のことでありますし、それについて何ら紛争が起きる、あるいは論争が起きる代物ではないというふうに考えております。
○内藤功君 このOTHレーダー、これは五百億円すると言われていますね。それからその次のイージス艦、これは一隻少なく見積もって千五百億円だと言われている。四隻買おうなんという構想もあるんですね。それからP3CにレーザーAPS138ですか、これをくっつけたP3C・AEWというのを一機二百億円で購入しようと海幕あたりから出てきている。もしこういうものがやられた場合に、膨大な予算ですね、それで一体何を守るのかという点が私は今の答弁でもはっきりとしない。アメリカはもう当然艦隊ですね、空母機動部隊です。それから戦艦自身の機動部隊ですよ。これも構想です。日本の方は、国会での答弁ではですよ、日米会談で何をやっているか私はわかりませんが、国会での答弁では、重要物資輸送の船舶。明らかにここに私は食い違いがあると思うんです。食い違いがここにあるんですね。こういうような問題、これが国民の前に隠されたままやはり論議されている。私は重大なことだと思いますよ。フリートディフェンス、この問題についてもぜひ調査をして答えていただくことを私は要求するものです。
 次に、時間の関係で最後にもう一点伺いますが、これは陸上自衛隊の関係です。陸上自衛隊の隊員の認識票というのが今問題になっていますね。縦二・八センチ、横五センチ、厚さが〇・四ミリ、千二百度の熱に耐えられるというものを全隊員に交付をした。この内容について御説明いただきたい。
○政府委員(松本宗和君) 認識票でございますが、これは訓練、演習等におきまして死傷事故等が発生しました場合に、隊員の識別あるいは負傷者の救護を容易にするために現在作成しておるものでございまして、これは従来から、海空自衛隊におきましては、パイロットと航空機に搭乗して業務を行います隊員に認識票を所持させております。
 今回、陸上自衛隊につきましてもこれを所持させることとしたわけでございますが、これは近年に至りまして、航空機によります輸送でありますとか、あるいはヘリボーン戦闘等の訓練が非常に広く実施されるようになりました。こういうことにかんがみまして、海空自衛隊と同様に認識票を作成し所持させるという必要があると考えまして、これは昭和六十年度から、昨年でございますが、陸上自衛隊の航空科部隊、普通科部隊及び地雷施設等の訓練を行います施設科部隊等の隊員を対象に認識票を作成しておるところでございます。
○内藤功君 陸曹幹部用のは氏名、血液型で、陸士用のは一連番号だけです。こういうふうに聞いておりますが、これはどうしてそういうふうにしたんですか。
○政府委員(松本宗和君) 六十年度から採用することといたしました段階で、これは数の関係もございますし、人数の出入りもあるというようなことで、当初はそういう今先生がおっしゃいましたような区別を考えていたようでございます。ただ、現在はやはりそれではふぐあいであろうということで、海空と同じように氏名も刻印するというようにすることにいたしております。
○内藤功君 氏名の刻印は日本字ですか、ローマ字、英語文字ですか。
○政府委員(松本宗和君) 日本字かローマ字かというところはちょっと詳しく今承知しておりませんが、多分ローマ字であろうと考えます。
○内藤功君 そのとおりですね。そのほかにGSDFという大文字がありますが、これは何ですか。
○政府委員(松本宗和君) GSDFといいますのはこれは陸上自衛隊の略でございます。
○内藤功君 元の防衛研修所の第一部長の前田さんの本にはGSDFが陸上自衛隊だということがわかる日本国民はどのくらいいるかと書いてありましたが、全くそうだと思いますね。これは一体だれに見てもらうのかということを思いたくなります。
 国籍を刻印してあるのは、これはどういうわけですか、あえて国籍を刻印したのは。
○政府委員(松本宗和君) 国籍でございますが、これは海空自衛隊におきましても当初から国籍を刻印してございます。これは共同訓練を行いますとかというようなこともございますし、まあ通常、国籍を入れておるということで、JAPANという国籍を刻み込んでおるということでございます。
○内藤功君 今この時期にこういう国籍それからGSDFという一般の日本国民にはわからない陸上自衛隊の符号、しかもローマ字で氏名刻印というものをやられたことについて、私は今のいろいろな状況のもとで非常なやはり疑問を持たざるを得ないわけです。
 最後に、横田基地の問題についてお伺いをしたいと思います。
 横田基地内のアメリカ第五空軍司令部の中に、日米共同使用ということで航空自衛隊の連絡幹部が派遣されていると、こういうふうに私ども聞いておりますが、事実関係はどういうふうになっているかということを御報告願います。
○政府委員(依田智治君) お答えいたします。
 航空自衛隊の関係で横田基地にことしから連絡幹部が常駐をしておりますが、これは航空自衛隊の日米共同訓練に当たりまして、訓練計画の作成等のために、従来はその都度要員が横田に出向いて調整しておったわけでございますが、最近非常に日米共同訓練等の回数も増加しておりまして、より密接な連絡をとるということで、本年から訓練計画の調整を行うということで常駐させておるというものでございます。
○委員長(岩本政光君) 内藤委員、時間が来ております。
○内藤功君 最後の質問ですが、まとめて聞きますから、ちょっとお答えいただきたい。
○委員長(岩本政光君) 簡単に。
○内藤功君 連絡調整官の階級ですね、それから人数、今後の増員の予定ありやなしや、それから予算ですね、以上の点をお答えいただきたい。
○政府委員(依田智治君) 現在二名で、一佐一名、二佐一名でございます。
 予算的な面につきましては、これは従来あります机等を使っておりますので、そういう方面には予算はかかっておりません。それから光熱費等につきましては、今後かかった経費について米側と調整して、これはうちの方の使用については支払う。
 なお、今後の増員の予定というような問題につきましては、今のところ計画しておりません。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほどすぐお答えできませんでしたので、追加してお答え申し上げますが、洋上防空について米側と話し合う、あるいは文書等を取り交わす際の用語はマリタイム・エア・ディフェンスという言葉を使っておるようでございますので、お答え申し上げます。
○委員長(岩本政光君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時四十九分散会