第108回国会 予算委員会 第6号
昭和六十二年五月七日(木曜日)
   午前九時一分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 五月六日
    辞任         補欠選任
     坂元 親男君     田辺 哲夫君
     前島英三郎君     斎藤 文夫君
 五月七日
    辞任         補欠選任
     田中 正巳君     青木 幹雄君
     近藤 忠孝君     内藤  功君
     秋山  肇君     野末 陳平君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         桧垣徳太郎君
    理 事
                佐藤栄佐久君
                原 文兵衛君
                降矢 敬義君
                村上 正邦君
                吉川 芳男君
                野田  哲君
                峯山 昭範君
                沓脱タケ子君
                橋本孝一郎君
    委 員
                青木 幹雄君
                石本  茂君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                斎藤 文夫君
                坂野 重信君
                下稲葉耕吉君
                杉元 恒雄君
                関口 恵造君
                田辺 哲夫君
                竹山  裕君
                名尾 良孝君
                永田 良雄君
                野沢 太三君
                鳩山威一郎君
                林 健太郎君
                林田悠紀夫君
                増岡 康治君
                吉村 真事君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                福間 知之君
                矢田部 理者
                安恒 良一君
                山口 哲夫君
                塩出 啓典君
                高桑 栄松君
                鶴岡  洋君
                上田耕一郎君
                内藤  功君
                勝木 健司君
                秋山  肇君
                野末 陳平君
                喜屋武眞榮君
                青木  茂君
   国務大臣
       内閣総理大臣   中曽根康弘君
       国 務 大 臣  金丸  信君
       法 務 大 臣  遠藤  要君
       外 務 大 臣  倉成  正君
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
       文 部 大 臣  塩川正十郎君
       厚 生 大 臣  斎藤 十朗君
       農林水産大臣   加藤 六月君
       通商産業大臣   田村  元君
       運 輸 大 臣  橋本龍太郎君
       郵 政 大 臣  唐沢俊二郎君
       労 働 大 臣  平井 卓志君
       建 設 大 臣  天野 光晴君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    葉梨 信行君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  山下 徳夫君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)
       (国土庁長官)  綿貫 民輔君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  栗原 祐幸君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       近藤 鉄雄君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)      三ッ林弥太郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  稲村 利幸君
   政府委員
       内閣官房内閣安
       全保障室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障室
       長        佐々 淳行君
       内閣官房内閣広
       報官室内閣広報
       官
       兼内閣総理大臣
       官房広報室長   宮脇 磊介君
       内閣法制局長官  味村  治君
       内閣法制局第一
       部長       関   守君
       人事院事務総局
       任用局長     網谷 重男君
       内閣総理大臣官
       房審議官     本多 秀司君
       臨時教育審議会
       事務局次長    齋藤 諦淳君
       公正取引委員会
       委員長      高橋  元君
       公正取引委員会
       事務局経済部長  厚谷 襄児君
       公正取引委員会
       事務局取引部長  柴田 章平君
       警察庁長官    山田 英雄君
       警察庁長官官房
       長        新田  勇君
       警察庁刑事局長  仁平 圀雄君
       警察庁刑事局保
       安部長      漆間 英治君
       警察庁交通局長  内田 文夫君
       警察庁警備局長  三島健二郎君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   勝又 博明君
       総務庁長官官房
       交通安全対策室
       長        矢部 昭治君
       総務庁行政管理
       局長       佐々木晴夫君
       青少年対策本部
       次長       倉地 克次君
       防衛庁参事官   瀬木 博基君
       防衛庁参事官   筒井 良三君
       防衛庁長官官房
       長        友藤 一隆君
       防衛庁防衛局長  西廣 整輝君
       防衛庁人事局長  松本 宗和君
       防衛庁経理局長  池田 久克君
       防衛庁装備局長  鎌田 吉郎君
       防衛施設庁総務
       部長       平   晃君
       防衛施設庁施設
       部長       岩見 秀男君
       防衛施設庁労務
       部長       西村 宣昭君
       経済企画庁調整
       局長       川崎  弘君
       経済企画庁物価
       局長       海野 恒男君
       経済企画庁総合
       計画局長     及川 昭伍君
       経済企画庁総合
       計画局審議官   冨金原俊二君
       経済企画庁調査
       局長       勝村 坦郎君
       科学技術庁長官
       官房長      矢橋 有彦君
       科学技術庁研究
       開発局長     長柄喜一郎君
       国土庁長官官房
       長        清水 達雄君
       国土庁長官官房
       会計課長     佐々木 徹君
       法務省刑事局長  岡村 泰孝君
       外務大臣官房外
       務報道官     松田 慶文君
       外務省アジア局
       長        藤田 公郎君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省欧亜局長  長谷川和年君
       外務省経済局長  渡辺 幸治君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       外務省国際連合
       局長       中平  立君
       大蔵省主計局長  西垣  昭君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省関税局長  大橋 宗夫君
       大蔵省理財局た
       ばこ塩事業審議
       官        頼松 祥典君
       大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君
       大蔵省国際金融
       局長       内海  孚君
       大蔵省国際金融
       局次長      畠中 杉夫君
       文部大臣官房長  古村 澄一君
       文部大臣官房総
       務審議官     川村 恒明君
       文部大臣官房会
       計課長      野崎  弘君
       文部省初等中等
       教育局長     西崎 清久君
       文部省教育助成
       局長       加戸 守行君
       文部省高等教育
       局長       阿部 充夫君
       文部省体育局長  國分 正明君
       文化庁次長    久保庭信一君
       厚生大臣官房総
       務審議官     長尾 立子君
       厚生省保健医療
       局長       仲村 英一君
       農林水産大臣官
       房長       甕   滋君
       農林水産大臣官
       房予算課長    上野 博史君
       農林水産省経済
       局長       眞木 秀郎君
       農林水産省畜産
       局長       京谷 昭夫君
       食糧庁長官    後藤 康夫君
       通商産業大臣官
       房審議官     末木凰太郎君
       通商産業省通商
       政策局次長    吉田 文毅君
       通商産業省貿易
       局長       畠山  襄君
       通商産業省産業
       政策局長     杉山  弘君
       通商産業省機械
       情報産業局長   児玉 幸治君
       中小企業庁長官  岩崎 八男君
       運輸省国際運
       輸・観光局長   塩田 澄夫君
       運輸省港湾局長  藤野 愼吾君
       運輸省航空局長  山田 隆英君
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       平賀 俊行君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設大臣官房会
       計課長      市川 一朗君
       建設省都市局長  北村廣太郎君
       建設省道路局長  鈴木 道雄君
       建設省住宅局長  片山 正夫君
       自治省行政局選
       挙部長      小笠原臣也君
       自治省財政局長  矢野浩一郎君
       自治省税務局長  津田  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        桐澤  猛君
   参考人
       日本銀行総裁   澄田  智君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十二年度特別会計予算(内閣提出、衆議
 院送付)
○昭和六十二年度政府関係機関予算(内閣提出、
 衆議院送付)
    ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を開会いたします。
 昭和六十二年度一般会計予算、昭和六十二年度特別会計予算、昭和六十二年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十二年度総予算三案審査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) それでは、昨日に引き続き、総括質疑を行います。塩出啓典君。
○塩出啓典君 まず最初に、今回の日米首脳会談の件についてお尋ねをしたいと思いますが、総理、本当に御苦労さまでございました。
 レーガン大統領が中曽根総理を大変真心を込めて迎えたという、そういう報道には私たちも心からうれしく思っておるわけでございますが、しかし喜んでばかりいるわけにもいかない。各紙の新聞の報道を見ましても、「日米合意の試練と新しい挑戦」、あるいは「訪米は流れ≠変えたか 戒めたい安易な楽観論」、あるいは「日米に重い「行動」の約束」、さらには「個別問題にこだわり過ぎた日米会談」、こういうように日本の主なる新聞の社説も掲げておるわけでありますが、そういう意味でこれからやらなければならない問題が大変である、私はそのように思うわけでありますが、総理のお考えを聞いておきたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) まさに塩出さんのおっしゃったとおりの事態であると思います。一面におきましては、世界経済がやや停滞ぎみでございますし、それに債務国の問題も解決しておりません。あるいは困ってくる国もあるわけでございます。その上に通貨の不安定状況がございます。特に米ドルの問題というものが若干ございます。各国協調して通貨の安定に努めておるところでございますけれども、この国際通貨問題を強固な安定な体系に維持していくということは非常に大事な問題であります。その背景をなしている大きな一つの原因は、日本の膨大な黒字とアメリカの貿易赤字あるいは財政赤字というものが根本的にございます。したがいまして、長期的にこの通貨を安定させるということを考えますと、それらの構造改革あるいは政策調整というものをさらに強化していく必要がある事態に来ていると思うのでございます。
 そういう困難な問題が基礎にございまして、その上に立っていろいろな波動、あるいは短期的、中期的現象があらわれておるわけでございますが、その両方に対処していかなければならぬというのが現在の状況でございまして、特に経済的に強い日本とアメリカのやり方というものは世界経済に甚大な影響を及ぼし、大きな責任も持っているわけでございます。そういう意味におきまして、アメリカと協調し、あるいはヨーロッパの諸国ともECとも協調しまして、世界経済全体に明るさをもたらすような、そして安定性をもたらすような政策を強力に協調して推進するということは、今日の我々の仕事であると思い、日本も大きな責任をしょっていると思いまして、努力してまいりたいと思う次第でございます。
○塩出啓典君 今回中曽根総理は内需拡大を約束されたわけであります。貿易不均衡是正のための内需拡大、今日まで中曽根内閣スタート以来そのことが叫ばれながらなかなか効果が出なかったわけでありますが、そういう点で今までと同じことを繰り返してはいけないと思うわけでありますが、そういう点ほどのような施策を考えておるのか。特に、「五兆円を上回る」云々とありますが、五兆円というのは、いわゆる一般会計が五兆円なのか、昨年の補正予算のような内容ではいけないんじゃないかと思うんです。そのあたりをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 内需の拡大は急を要する仕事であると思います。最近の円ドル関係の状況、あるいは円高による日本の国内における経済的な情勢等を見ますというと、これはアメリカのためでなくして日本みずからのために内需の拡大を急ぐ必要があると認識いたしました。自民党におきましても二十四日に総合経済対策要綱を決めまして、そして予算が成立いたしましたら政府、与党一体となりまして緊急経済対策として正式に決定いたしましてそれを予算化する、補正予算という形になると思いますが、その際にはかなり思い切った措置を行わなけりゃならぬ。自民党の決定によりますれば、「五兆円を上回る」ということであり、しかもその内容は、財政出動を伴うということが書いてありまして、いわゆる真水を非常に大きくするということであると思います。
 その中身につきましては、中央政府のやる仕事、あるいは政府関係機関、道路公団とか住宅公団とかそういうものの行う仕事、それから都道府県等の地方政府の行うこと等もありますし、また減税という問題も、これは税制改革の一環として与野党の話し合いが行われることになっておりますけれども、その話し合いのぐあいによりましてそういう問題も出てくる、そういうふうに考えております。
○塩出啓典君 今まで昭和六十五年に赤字国債ゼロというこういう目標が現実には不可能になってきたわけでありまして、その看板をおろそうとしないということが非常にわかりにくいと思います。西ドイツはことし二月のG7の後いち早く総額四百四十三億マルク、約三・七兆円に上る減税法案を発表して、八八年から段階的に実施する。そういう意味で、世界に与える影響等も考えて、やっぱり六十五年赤字国債ゼロの看板をおろして、内需拡大の国際的公約を果たすためのそういう姿勢を示すべきではないか。この点はどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 現在御審議を願っておりまする予算は、やはり六十五年赤字公債依存体質脱却からの理念を貫いて実行しております。しかし、最近新行革審におきまして大槻会長からの談話も発表されまして、そして臨時緊急の措置として公共事業、社会資本の充実等については今までの考えにとらわれない、そういうことも示されて、いわばお墨つきをいただいたわけでございますが、そういうような線に沿って、来るべき補正予算というものは思い切ったそういう公共事業や社会資本の充実等の面について力を入れてまいりたいと思っております。
 しかし、やはり行政改革の理念や理想というものはあくまでどの内閣でも貫いていくべきものでございまして、冗費を節約してむだのないように、人間もできるだけ少なく、国民の税金を使わないでできるだけ政府みずからの節約や努力によってやっていく、そういう行政改革の精神はあくまで貫いてまいらなければならない、そういうふうに考えまして、私は先日二刀流だと申し上げましたが、そういう考えに立ってやっていきたいと思っております。
○塩出啓典君 今回の日米首脳会談におきまして、農業問題では日本が重い宿題を背負わされた、そういうように見られておるわけでありますが、十二日からOECD閣僚理事会等も始まりまして農林大臣も出席されるようにお聞きしておるわけでありますが、こういう農産物の市場開放問題についてはどのような姿勢で対処されるのか、これをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(加藤六月君) OECD閣僚理事会におきましては、直接市場開放といったような問題が議論されるというよりか、今日世界の農産物市場の現状というものが、農産物の過剰、それに伴う輸出競争の激化、それに伴って世界の農産物市場が混乱しておる、これを是正して各国がどのような協調行動がとれるかというのが議論の中心になってくるのではないだろうか。したがいまして、今回のOECD経済閣僚理事会の帰趨というものは、その後に続きますベネチア・サミットの議論の行方、さらにはウルグアイ・ラウンドの農業交渉の進展に影響を与えるという意味において重要であると考えております。
○塩出啓典君 私は、農業問題につきましてはいろいろ日本の国も今日までそれなりの努力もしてきておるわけで、したがって、世界各国とも農業についてはいろいろな保護措置はしておるわけでありまして、そういう点日本だけが悪者ではない、そのように思います。しかし、やはり高い米あるいは高い牛乳を買わされておるというこういう国民の不満も非常に大きいわけでありまして、やっぱり農林大臣の務めというのは、安価な農産物を国民に供給するということもこれまた大事な農林大臣の務めであります。国内の農家も守っていかなきゃならないわけでありますが、両方の務めがあると思うのであります。やはり国民から見てもっと農産物の安い価格を確保するための努力が必要ではないか。こういう点についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(加藤六月君) 昨年十一月に農政審の報告をいただきました。それは二十一世紀を目指しての農業のあり方を中心とするものでございますが、その中には、我が国の農業、いろいろ御提言いただいておりますが、特に今先生御指摘のように、国民の理解と納得を得られるような価格というのを念頭に置くようにという御注意もございます。したがいまして、私たちもそこを念頭に置きながら、安くておいしい物を安定的に供給していくということに重点を置いて今後農政というものを展開していかなくてはならないし、また円高差益の還元ということも今日ある面では至上の命題として、その円高差益というものを国民の皆さんに還元していくということに最大限の努力をいたしておるところでございます。
○塩出啓典君 次に、これは総理にお尋ねをいたしますが、先般外務大臣が訪韓をされまして三原則の合意を見たという報道を聞いておりますが、米国政府は対朝鮮民主主義人民共和国との関係改善に向けて一連の措置をとることが報道されておるわけでありますが、我が国の朝鮮民主主義人民共和国に対する今後の対応をどう考えていくのか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(中曽根康弘君) 朝鮮半島の平和あるいは統一という問題は、南北の両当事者がまず話し合ってやるべきものである、それが私たちの第一義的な考え方であります。しかし、両者の間に対話が進み、あるいは交流が進み、そして緊張が緩和されるということは我々としては歓迎すべきことでございますから、我々は隣人としてそういう環境醸成のために各国とも協力し合ってまいりたいと思っておるところでございます。
 最近アメリカは、外交官の出先における接触を認めるというところまでまいりました。これは今までのアメリカからすれば一歩前進してきていることであると思います。しかしながら、やはり南北間にはまだ依然として相当な緊張が現存することは否定できません。そういう意味で、ソウル・オリンピックというものが一つの機縁になりまして南北間の融和促進、つまり文化的な、スポーツ等を通じましてそういう緊張緩和がさらに前進されれば私は非常に結構だと思っておるんです。日本と中国との間の問題でも、いわゆるピンポンというものが取り持ちまして日中が著しく前進したことがございました。最近におけるそういうスポーツの役割というものも否定できない面があると思うのであります。そういう意味におきまして、オリンピックにおきまして南北が融和して、そして参加が行われるように私は大いにこれを期待しておるところでございます。
 私は正月に東欧そのほか共産圏を回りましたけれども、八八年のソウル・オリンピックにはぜひ御出席をお願いしたい、私は隣人として韓国の御成功を祈るためにこういうことを申し上げておるのでありますと、そう言ってよくお願いしてきたこともそういう一環でございます。
○塩出啓典君 やはり朝鮮半島の自主的、平和的な統一が実現をするということは私たちの願いでもあるわけでありますが、そういう点で今後ともやはり我が国も朝鮮民主主義人民共和国とのいろんな交流も促進をしていく、そういう点で今後とも努力をしてもらいたい、このことを要望しておきます。
 今回の首脳会談におきまして、これ以上のドルの下落は両国経済にとってマイナスである、こういう合意に達したわけでございます。これは日銀総裁にお尋ねいたしますが、現在の円レートはもう百四十円を切ったわけでございますが、日本経済の実態を反映したものとは言いがたい、明らかにやはり行き過ぎではないか、このように考えるわけでありますが、日銀総裁の御意見をお伺いしたいと思います。
○参考人(澄田智君) お答え申し上げます。
 このところ、四月中旬以降さらに円高になってまいりまして、百三十九円がらみくらいのところで現在不安定な動き方をしているわけでございます。このような円高方向での不安定というものがさらに続くというようなことになりますると、これは我が国経済の持続的な成長、そうしてさらに対外不均衡の是正という意味においても影響は極めて大なものがある。いろいろ影響するところ、雇用問題あるいは輸出産業の産地等にも影響を及ぼしているわけでございます。
 現在の円レートがファンダメンタルズから見て行き過ぎであるかどうかという点につきましては、私ども市場に接する通貨当局の立場で円のレートの水準自体をいろいろ申し上げる、コメントするということは、これは不測の思惑、投機等の原因にもなりますのでストレートにお答え申し上げることは差し控えさしていただきたい、こう思うわけでございますが、今申し上げたような意味においていろいろ影響極めて大なものがある。ぜひ各国協調、今回総理が首脳会談でもお話しになりましたような協調によって安定を図る、こういうことが重要である、こういうふうに考えておる次第でございます。
○塩出啓典君 通産大臣にお尋ねしますが、通産大臣は前々から、百七十円が限界である、こういうようにも言ってこられているわけであります。また、いろいろ日本開発銀行の調査によりますと、賃金の比較で見れば大体一ドルは百八十円だ、あるいは経構研の特別部会の報告で、各産業の国際競争力から見ますと、自動車は百七十五円、一般機械は百八十円、あるいは繊維は二百十円とか、こういうように報告されておるわけでありますが、こういう賃金とかあるいは企業の採算とか、そういう点から見ましても百四十円割れのような円レートは非常に異常である。日銀総裁はそういうことはなかなか言えないわけでありますが、通産大臣の立場ではどのようにお考えか、お伺いしておきます。
○国務大臣(田村元君) 為替レートは幾らが適正か、これは業種、業態によって一概には言えないと思います。しかし、今日のこのレートの実情を眺めてみますと、輸出依存度の高い産地型中小企業といいますか、あるいは下請というような部門ではもう限界を突破しておるんじゃないかというふうに懸念いたしております。一刻も早く正常な、中小企業や下請の人々が楽しく働くことができます状態に戻ってもらいたいと思っております。
○塩出啓典君 そこで、大蔵大臣それから日銀総裁にお尋ねしたいと思いますが、日本の為替レートは戦後一ドル三百六十円と固定をされていたわけでありますが、昭和四十六年ドルの切り下げ、さらには四十八年から変動相場制に移行をしたわけでありますが、変動相場制というのは、各国の産業競争力を絶えず為替レートに反映をさせバランスをとる、そういうことでスタートしたわけでございます。しかし現在、一昨年のG5以来のあの急激な円のレートの変動という、こういうような事態はその当時は予測はしていなかったと思うんですけれども、そういう意味で変動相場制についての評価はどうなのか。
 さらに、現在のような急激な変動では、長期的な観点からの研究投資とか開発投資、設備投資、そういうものはなかなかできない。したがって、結果的にはマネーゲームに走るというか、企業がもう本業をほったらかしてそちらの方でもうけなければならない、こういうような傾向にもなっていくのではないか、そういう点を私は非常に憂慮するわけであります。そういう意味で現在の変動相場制というものをやっぱり見直すべきではないか、新しい通貨制度が必要ではないか、こういう意見があるわけでありますが、この変動相場制の評価と新しい通貨制度の必要性、そういう点についてはどのようにお考えか、これを大蔵大臣、日銀総裁にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) そもそも変動相場制というのが、これが一つの制度であるかどうかということについては議論のあるところでありますけれども、固定相場という制度が維持できなくなりました結果として変動相場というものがあらわれたというふうに考えております。
 しかし、現在のように基軸通貨でありますドルそのものがかつてのようなしっかりした安定性を持っていないという状況になりますと、その変動相場というものを各国が協調して維持するということしかどうも現実の方法はないということになります。そのために、基本的には各国の間の政策協調というものがどうしても不可欠である。その点がこの間の中曽根・レーガン首脳会談でも話し合われたことの中心部分でありますが、政策協調、アメリカ側及び日本側としてなすべきこと、それにさらに補完的な意味で、乱高下がありますときに各国が協調して介入をする、これはいわゆるルーブル合意で七カ国間の合意があり、また現実には七カ国以上の国が現在協調介入に加入をしておる。加入というような言葉はようございませんが、協調介入に時として入っておるわけでございます。
 そういう基本的な政策の協調があり、しかも乱高下を防止するために協調介入をするということでやはり変動相場というものを安定的に保っていくというのが現実に与えられた唯一の可能な選択ではないか。これがある程度習熟してまいりますと、一定の範囲の中で大きな変動なしにだんだんに安定をしていく、そういう道程に今我々はいわば試行錯誤をしながらお互いに各国が努力をしている、私はそういうふうに考えておるわけでございます。
○参考人(澄田智君) 変動相場制のもとにおきましては、各国の経済のファンダメンタルズに為替相場が変動することによって調整される、そういうような考え方が根底にあるわけでございますけれども、しかし、これまでの経験の示すように、Jカーブの存在等があって、そういう効果が発揮されるのにはかなりの時間がかかるということもまた事実でございます。さらにまた、資本取引によって為替相場がいろいろと影響を受けるということもあるわけでございます。
 変動相場の現在のあり方というものについてはそういう問題点があるわけでございますが、固定相場が維持できなくなり、そうして制度としてこれにかわるべきものがあるかということにつきましては、これまでのたび重なる各国の間の各種の国際会議等の今までの議論が示すとおり、これにかわる制度というものがないのもまた事実であるわけであります。したがいまして、変動相場制のもとにおきましては、これは制度というよりも、為替相場が市場にゆだねられているという状態のもとにおきましては、各国が協調して、そうしてこれに対応してその安定を確保するように努めていく。そのためにそれぞれの国が自国の経済を良好なファンダメンタルズに維持しつつ政策協調を行って、そうして必要に応じては協調した介入も行う。こういうようなことで変動相場の市場というものが安定するように粘り強く対応をしていくということにあるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○塩出啓典君 ただいま大蔵大臣、日銀総裁も、変動相場制にかわるものはない、やむを得ないんだ、そういうようなお話のようでありますが、現実にはこのような急激な変動というものは大変な混乱を及ぼしておるわけで、そういう意味で、例えばフランスのミッテラン大統領等も主張しているようでありますが、欧州においては欧州通貨制度というのは固定相場制で、ある種の幅を持って定期的にレートを調整していく、こういうようなこともやっておるわけであります。あるいは生産活動もせずに単なる投機のための通貨取引というものを規制すべきじゃないかという、かつて日本の国も規制をしておったわけでありますが、昭和五十五年に原則自由にしたわけであります。日本だけがそうするわけにはいきませんが、国際的にそういうものを規制するとか、何らかの形で私はもっと為替の安定に努力すべきじゃないか。
 そういう点で、日米首脳会談等においてももっとそういうことを真剣に討議をし、日米が合意すればある種のこともできるんじゃないか、新しい通貨制度も不可能じゃないのじゃないかと私は思うのでありますが、そういう点総理はどうお考えか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまヨーロッパのEMSのお話がございました。確かにこれは一つの参考とすべき制度でございますが、見ておりますと、やはりヨーロッパ各国の間にかなりの政策の協調がありまして、このEMSという制度を何とか維持していこうということから、我が国とは確かに違いましてみんな接近しております国々でございますから、政策の協調は確かにしやすい点があろうと思います。そういう政策の協調というものに裏づけられてとにかくEMSというものが維持されておる。それでも御指摘のように時々調整を必要とするのでございますが、何とかしかしそういうことで維持されておりますのは、やはり政策協調というものが比較的しやすい状況でなされておるということではないかと思っております。そのことを大きく申しますと、変動相場全体がやはり各国の政策協調が基本だということをあのEMSの例は示しておるというふうに考えるわけでございまして、先ほど日銀総裁も言われましたように、各国間のいわゆるファンダメンタルズというものを調整していくことが基本であろうと思います。
 その次のお尋ねでございますが、確かに変動相場、現在のように非常に円が動きますと、これはもう我が国の経済ばかりでなく、国民生活そのものに非常に大きな影響がございます。何とかしてこれは安定をしてもらわなければならないわけですが、ただそこで、今投機というお話がございました。実際の実需取引と投機に基づくものとは観念の上では、いわば言葉では区別ができるわけでございますけれども、為替取引は非常に複雑でございますから、どの部分が実需であってどの部分が投機であるか。例えばいわゆるヘッジというものは、御承知のように危険を防ぐ行為でございますから、それ自身が投機だとはなかなか申しにくいというような要素がございます。
 したがいまして、御指摘の点はよくわかることでございますけれども、ここまで我が国もいわば自由化をしてまいりました。御指摘のように、かつては実需に限っていたものを今はそれも自由化をいたして、先進国のいわば先頭を走っている一つの国になっておるわけでございますから、これをいっときのことでいわばもう一度統制に戻すということは、果たして失うところと得るところがどうであろうかというようなことも考えなければならないかと思いますし、また仮に我が国が何かそういうことを考えたといたしましても、今為替取引はほとんどもう二十四時間どこかで行われておることは御承知のとおりでございますし、自由化のもとではどの市場で取引をすることも自由でございますから、我が国だけがそういうことを仮に考えましても、それはもうごく簡単にしり抜けになることも明らかでございます。
 というようなことをいろいろ考えてまいりますと、確かにいわゆる投機筋、これによっていわば投機的な金もうけと考えられる向きは、そこから国民生活そのものが脅かされるということについては深く考えていただきたいということを私ども申し上げるにやぶさかでございません。為替管理の問題としてこれを取り上げることは、やはりメリットとデメリットを考えますと、デメリットが大きいというふうに考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) ヨーロッパの場合は、ヨーロッパ統一への共同意思というものが極めて強くございまして、ヨーロッパ評議会とか、あるいは通貨にしても統一していこうというのでECUというものまでもできて、そして政治的な統合の意欲が極めて強い。そういう上に通貨制度というものが設けられて、いわゆるトンネルの中の蛇というような形で、上下二・五%でしたか、調整しながら各国とも政治意思を持って明確にそれを決めて努力をしておる。また、そういう条件が成り立つような文化の近似性とか地域のまた近接性とか、そういうような大事な要件がかなり似ておりまして、そしてしかも非常に取引が大きい、そういうような状況がございます。そういう中で分業を前進させつつ調和を保っていこうというそういう特殊性がありますから、いわゆるヨーロッパ共同体、ECとそれ以外の世界との関係というものはまるきり条件が今違う条件にあると思うんです。したがいまして、にわかにヨーロッパの制度を日本がやる、あるいはアメリカその他が持っていこうといっても、これはしょせんまだ無理な状況であると思います。
 それから、じゃどちらが効率的であり、長期的永続性があるかということを考えますというと、余りにも変動要因がまだ世界経済の各国に多過ぎる。そういう意味においてヨーロッパ的な基礎という条件は余りない。結局は、今のところは構造改革と政策協調、この二つを武器にしながら強力にこれを展開しつつ維持していく。それは要するにマーケット、自由経済あるいは市場経済というものを中心にして、お金の面もそれで自由にやる、貿易の面も自由にやる、そういう制度で動いておるものでございますから、今のようなやり方を今のところとらざるを得ないのではないかと思うんです。
 そうなりますと、じゃどういう条件によって物が動いてくる、安定していくかというと、みんな各国の金利であるとか、景気の状況であるとか、輸出入であるとか、あるいは財政の赤字か黒字か、労働賃金、そのあらゆる面がそういうものに関係してくると思うんです。それで、昔なら金本位制ですというと金の移動によってそれが調節されたわけです。しかし今日は金本位制でないんですから、結局は日本の黒字が膨大にたまるというのは、ある意味においては、昔で比喩を言えば金がたまるみたいなものですから、そうすると黒字が減ってほかの国へこれが流れていく、それで平準化していく、まあそういうような形というものが想定される。もちろん、今申し上げたように財政とか金利とか、いろんな面がほかにございますけれども、そういう面がございます。しかし、なかなか日本の黒字というものは減らない、減らないから円が強い。これで黒字が減っていきますれば円は弱くなり、そしてアメリカのドルと平準化していく作用があるわけです。
 そういう意味において、我々はこの安定を求めようとするならば、やはり円の日本の黒字の累積というものをできるだけスムーズにソフトランディングをしながら減らしていくという努力がやはり必要なのである、国際的にもそういうことは我々は要請されている、そういう考えに立ちまして懸命にその努力をしていくのが今のところは適当である。それ以外は政策協調と構造改革、こういう面で当面は行くべきである、そう考えております。
○塩出啓典君 このことは、余り時間もございませんのでこの論議は終わりたいと思いますが、今総理の言われたように、確かに政策協調は必要である、日本の大幅な黒字というものが是正されなくちゃいかぬと。アメリカのMIT教授のレスター・サロー氏は一ドル百円が適正レートだと言っているわけですが、よくその言っていることを分析してみますと、要は、日本は黒字が非常に多過ぎる、だからそれぐらいにせぬことには日本は結局海外市場から撤退しないから貿易のアンバランス是正ができないと。そういう意味で一ドル百円というようなことを言っておるんじゃないかと思うんです。
 そういう意味で、世界の貿易もずっと縮小の中で日本のみが伸びてきた、こういう点が是正をされなければいけないと私は思うわけでありますが、ところが中曽根さんが総理になってから今日まで、我が国の貿易収支を見ましても、五十七年度は九十三億ドルであったのが昨年は八百九十八億ドルと、この五年間に実に約十倍になっておるわけですね。そういう点、今日まで内需拡大の必要性は言われながらも結局是正されなかった、こういう点は中曽根政治の責任ではないかと思うわけでありますが、総理はどのようにお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 結果的にはこれだけ黒字が累積しまして、それは甚だ残念な結果であると思います。
 しかし、これを現象的に見ますというと、八〇年からアメリカのドルが非常に高くなりまして、アメリカの景気は急上昇しました。円安という面から見まして、それでずっと世界じゅうがアメリカに輸出が伸びた。むしろ輸出が伸びたというよりも、ドル高のために吸引されたという形がありますですね。世界じゅうに流れ込んだというような現象がある。日本もそういう関係でぐっとこう伸びていった。それではいかぬというので、プラザ合意という形で二年前に調整が行われ、そしてそれと同時に、日本側も懸命の努力をして是正するように努力してきた。
 もう一つは、石油が非常に安くなってきた。日本の場合には約二億キロリッターぐらい入れておりましょうが、一バレル一ドル下がると十二億ドル日本は支払いが減るわけです。一バレル一ドルといいますと、当時は三十四ドルとか言っておりまして、それから二十八ドルぐらいになって、それが下がってきて今十六ドルぐらいでしょう。それが十ドルを割ったときもあるわけです。そういう最近の事例を見ますと、石油で払うべきお金が払わなくて日本へたまってきた。その二つのことで日本の黒字がぐっと累積したという現象があると、分析すればそう言えると思うのです。
 そういう状態をわきまえながらも、我々は懸命にこの黒字を減らすように、市場開放であるとか努力をいたしましたが、それはなかなか間に合いません。また必ずしもうまくいったとは言えませんが、結果的に見ればそうです。しかし、そのかわりアメリカ側に対して、あるいは世界側に対して資金還流をやった。日本に集まった黒字のドル、お金というものは、これはもう世界の足りないところへどんどんどんどん供給した、そういう形でバランスを維持してきたという点も一面においてはあるし、最近は産業の直接投資がどんどん進みまして外国へ進出する、そういう形で調節も行われている、そういう現象だと思うのであります。
○塩出啓典君 総理は、そういう原油の価格の問題とかアメリカのドル高ということでいろいろ状況の説明はされましたけれども、しかし結果的にはこのような急激な円高をもたらした。本当を言えば、もっと早い時期にアメリカの決意を変えさして、そしてドル高を是正する、そういう処置をとって、もっとなだらかにやはりやっていくべきではなかったか、そのように思います。
 そこで、どうしても貿易のアンバランスを是正するということについて、なかなか日本経済の競争を、日本の経済というのは確かに競争の中で企業も強くなってきた。だが、その競争があったために日本の製品もいい品物ができるようになったわけでありますが、しかし現代を見ておりますと結局円高になる。そうすると、アメリカにおけるシェアを減らすまいとして、例えば日本の自動車産業等もどんどんコストダウンに努力する、もう下請にも単価の切り下げをどんどん要求していく。そして本当に泣きながら努力している、そうして輸出量を確保する、そうするとさらに円高が進む。こういうことでは非常に悪循環になっちゃうと思うんですね。
 私は日本の競争の中に培われてきたこういう努力を一概にいけないとは言えませんけれども、しかし余りそれが過ぎて逆にまた次の円高を招くことではいけないのではないかと思います。そういう意味で、最近アメリカにおいても、円高になってもトラックのドルの値段が余り上がらない、だからこれはダンピングではないか、こういうようなことが問題になっておるようでありますが、そういう点で、もっと輸出価格も適正に保っていく、やっぱり過ぎた過当競争というものはいかがなものか、このように思うわけでありますが、通産大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(田村元君) そういう価格自体は、為替レートの変化の状況とかあるいはその他の種々の要素を踏まえて、各企業がそれぞれに判断して決定していくもの、このように思います。しかし、何といっても適正な値段で取引をすることはこれは当然のことでございますし、また現に自動車なんかでも若干の減少を見ておりますけれども、競争力を失わないことはもちろん必要でございますけれども、同時にまた、国際的な良識ある価格というものを我々は期待してまいりたいというふうに思っております。
○塩出啓典君 こういう貿易のアンバランスを是正するということが内需拡大によってできるのかどうか、そういう点を我々も非常に心配しておるわけであります。そういう意味で日本政府としても、例えば経常収支の黒字はこの程度にとどめる、そういう目標を決めるとか、場合によってはやはり輸出を規制する処置を考えなければなかなかこのアンバランスは是正できないのではないか、このように考えるわけでありますが、この点、大蔵大臣それから総理にこの輸出規制の問題についてはお尋ねします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 塩出委員が御指摘になっていらっしゃいます問題点は、確かに今の我が国の経済がどうなっているかということを非常に示唆しておられると思います。
 一九八〇年の我が国の貿易黒字は六十何億ドルでございます。ところがわずか五年のうちにそれが六百億ドル余りになっておりまして、この八〇年と八五年の間に非常に問題があった。八五年といいますと、この年になりまして、ドルが高過ぎるのを直すためにプラザ合意をいたしましたわけですが、とにかく六十億ドル台の貿易黒字が六百億ドルになったというところに、結局これは先ほど総理が言われましたように、非常にドルが不当に高かった、それで我が国の輸出がしたがって、非常に易しいと申しますか、優位な条件になりましたために、我が国経済の輸出依存体質がその間に非常に加速されたというふうに考えてよろしいと思います。現に、対米輸出は輸出の総額の中で三〇%を割っておった時期があるわけでございますけれども、現在は四〇%に近いのでございますから、いかにこの間に我が国の輸出体質、殊に対米輸出依存体質が強まったかということがわかるように思います。
 したがって、その根本的な直し方は、輸出を抑えることではなくて、我が国にそれだけの内需をつくり出す。社会資本にしましても何にしましても、しなきゃならないことはたくさんあるわけでございますので、それに向かって資源と資金が流れるようなそういうふうな、申しました五年間に過度に輸出依存体質になった経済を正常に戻していくということがやはり努力の基本でなければならないと思いますし、それを前川報告は言っておるというふうに私ども考えております。
 でございますから、多少それには時間のかかることでございまして、企業の転換なんと申しましても、一つ一つの企業にとってはそれは死ぬ苦しみでございますから、半年や二年でできることではないだろうと思いますが、しかしそれが求められておるということではないかと私ども思っています。そのために財政もすべきことは苦しいけれどもしなければならないと思っておりまして、解決の道は、輸出を抑制するというようなことではなくて、我が国経済の体質をもう少し正常なものに戻していくということではないかと考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 塩出さんのおっしゃったことには非常に示唆に富む内容があると思うんです。我々も考えさせられる点が一つはあるんです。と申しますのは、日本は何といっても過当競争の国で、半導体の問題にしましても、雨後のタケノコのごとく会社ができる、それが激烈な競争をする、それがいい発明もまたつくるもとにもなって、これが日本の競争力や生産力の一つの原因になっております。しかし、これが行き過ぎるというと今度の半導体みたいな事件が起きてくる。
 そういう意味において、ヨーロッパやアメリカに比べてみて日本は独特のそういう過当競争、シェア争いあるいは乱立、そういう体質を持っておるんです。これは人口が多いという面やら、あるいは輸出でなきゃ生きていけないという面もあったんでしょう。しかし、そういう過当競争というような問題について、やはり長期的観点からいろいろ考えるときがひとつ来ている。それは塩出さんおっしゃったような面です。しかし、といって我々はここで統制経済や管理経済をやろうとは思いませんし、独禁法というものも厳然と存在しなければならぬと思うんです。
 しかし一方、輸出の面を見ますと、実は対米貿易等を見ますと、約三割というものはいわゆる秩序ある輸出で自粛をしておるわけです。自動車でも繊維でも鉄鋼でも、あるいはカラーテレビでも、対米輸出の約三割というものはそういう自粛措置を講じて、そうしていわゆるなだれて入っていくというそういうやり方を自制している。ヨーロッパに対しても一部そういうことをやらざるを得ない。いわゆるオーダリーマーケティング、そういうやり方で対外的調和を維持してやっておる。輸出についてはそういう面も、これは通産省等も入りまして独禁法に違反しないようにしながら一面においてはやっておる。
 しかし、国内的に見ますというと、今のような状態でこれはもう乱立て過当競争で、そうしてある場合には赤字も我慢して操業を維持する、そういうことが今行われておる。これがやはり日本経済の現状だろうと思います。しかし、これをどういうふうにしたらいいのだろうかという点を私らも考えさせられております。しかし、といって統制経済、管理経済をやろうとは思いません。そういうような内外的な調整というものをどういうふうに、ある程度中長期的な観点からソフトランディングしながら共存共栄の企業体系というものを組んでいくかということを私は一つの課題として受け持っておる、こういうことを申し上げたいと思うんです。
○塩出啓典君 日米の貿易の不均衡というものは何も日本だけの責任ではない、やはり米国の責任も非常に強い、そのようにも言われております。日本人が米国や欧州で努力をしたその努力ほどアメリカはやっていないんじゃないか、こういう意見もありますし、また、米国企業はどんどん海外に工場をつくって、例えば半導体にしても日本にいろいろな工場をつくって、逆にそれが米国へ輸出をしておる。これが米国からすれば輸入になるわけでありましてね。そういう意味で日米の貿易不均衡には米国の責任論も非常に強いわけであります。ただ、そういうことを言ってもこれは問題の解決はしないわけでありまして、そういう意味で大変難しい問題ではありますが、この貿易の不均衡の是正にひとつ努力をしていただきたい、このようにお願いいたします。
 ちょっと質問は返りますが、公取委員長にお越しいただいておるわけでありますが、先ほどのいわゆる過当競争、関連企業に余りにも過酷なコストダウンを押しつけるということは、結果的には今言ったように輸出が過当競争になるという、こういう結果を招いている点もあると思うのでありますが、そういう点公正取引委員会としてはどのようにお考えか、この点を伺っておきます。
○政府委員(高橋元君) 総理のお答えにもございましたように、国内で十分に競争的な体質を維持していくということは経済の向上発展のための基本的な要件である。そういう意味で私どもは、事業者間の私的な協定による、いわゆるカルテルとか独占的な行為とか不公正な競争手段というものについて、国内市場での競争を保つという観点から行政を行っておるわけでございますが、ただいまお尋ねのありましたことにつきましては、とりわけて親事業者と下請業者の関係ということが中心であろうかと思います。私どもの行政では下請行政というのはかなり精力的にやっておるつもりでございまして、年に、親事業者は大体通産省と半分ずつやっていますから二万件弱、それから下請事業者は五万件ぐらいの調査をしておるわけです。
 それで、六十年に円高になりました以降、急激で大きな円高の結果といたしまして、下請法違反行為の中で買いたたきとか受領拒否とか返品とか、新しい違反の型が出てきております。そういう点で私どもは従前にも増して下請関係の調査ということに力を入れていかなきゃならぬと思っておりますが、同時に、下請の場合に何が買いたたきかということについて、これは学者、実務家、学識経験者、いろいろお集まりいただきまして細かい基準をつくりまして、ことしの四月から例えばどういうことが買いただきに当たるかというようなことの基準を出しています。業界にもそれぞれの業界の特性に応じてガイドラインというんでしょうか、マニュアルというんでしょうか、そういうものをつくっていただいて、実際の購買担当者とか資材担当者において違反のないように自主的にやってもらっているわけでございますが、そういう意味で、下請事業者にいわゆる円高のしわが寄らないように下請法の厳正な運用というものにこれからも十分に努めていきたいというふうに思っております。
○塩出啓典君 それでは次に、内需拡大の問題について質問を移す前に、これは総理にお伺いをしたいと思いますが、先般の朝日新聞の阪神支局における事件でございますが、大変痛ましい事件で、我々も心から哀悼の意をささげるわけでございます。このような事件は言論の自由、表現の自由に対する挑戦でございまして、日本の過去の歴史を見てもこれは初めての事件ではないかと思います。そういう意味で、このような民主主義の根幹を脅かすような事件に対して我々も断固たる態度で臨んでいかなければならない、このように考えているわけでございますが、総理はこういう問題にどう対処されるのか、これをお伺いいたします。
 それと、今日まで、昨日いろいろ手紙を送ってきた団体名は、数回過去においても名前が挙がってきた団体のようでありますが、しかしなかなかその所在がつかめない。果たしてその団体が実際にやったかどうかは別としても、そういう点、警察庁の方はこういう捜査を今後どう進めていくのか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の事件は甚だ遺憾な事件でございまして、お亡くなりになりました方、あるいは負傷されました皆様方については心からお見舞いを申し上げ、哀悼の意を表する次第でございます。
 表現の自由あるいは言論の自由、そういうような憲法の保障する基本的な権利に対する挑戦でありまして、これは軽視すべからざるものであります。こういう傾向が出てくるということは、世の中のためにも憲法擁護のためにも厳重に我々は阻止しなければならないと思っております。今回の事件につきましては、警察でも相当な動員態勢をしきまして事件の究明に努めておるところでございますが、将来このような不祥事件が起きないようにさらに戒めて処置をしてまいりたいと考えております。
 詳細は国家公安委員長から御説明申し上げます。
○政府委員(仁平圀雄君) 私から捜査状況について御報告申し上げたいと思います。
 地元兵庫県警察におきましては、事件認知後直ちに所轄西宮警察署に百十名から成る捜査本部を設置しまして、以来、現場検証、関係者からの事情聴取、本件犯行に使用されたと認められます散弾銃の捜査、採取資料の分析、現場周辺における聞き込み等所要の捜査を行っておったわけでございますが、ただいま先生御指摘のように、昨五月六日に至りまして、日本民族独立義勇軍と名のる団体から、いわゆる犯行声明とも受け取れます文書が一部報道機関に送付されてまいりましたことから、これまでの捜査本部体制に警備部門の五十名を加えまして、刑事、警備合同の捜査本部体制に拡充いたしまして、この日本独立義勇軍なる団体の実態、さらには本件とのかかわり等につきましても鋭意解明を急ぐなど、捜査を一段と強化いたしているところでございます。
 いずれにいたしましても、この事件は、銃を持って報道機関に押し入りましていきなり記者を殺傷したという極めて反社会性の強い悪質な事件でございますので、警察といたしましては、地元兵庫県警察のみならず、全国警察の組織を結集いたしまして、何としても犯人を検挙し、その動機や背後関係につきましてもこれを明らかにする決意でございます。
○塩出啓典君 ぜひひとつこの問題については全力を挙げて取り組んでいただきたい、このことを強く要望しておきます。
 次に、内需拡大の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 先ほど来の論議を通して、どうしても我が国としては内需を拡大していかなければならない。現在、貿易収支の黒字が大半アメリカ等の債券あるいは投資等に使われておるわけでありますが、もっとこれを自分の国に使えというこういう意見もありますし、私ももっともじゃないかと思います。
 そこで、これは経企庁長官にお尋ねをしたいと思いますが、住宅対策として長官はいわゆる住宅ローンの利子全額控除をやれと、こういう案を提案されております。これは御存じのように米国においてはずっと前からこれを実施しておりまして、先般のアメリカの税制改革で多少縮小はされましたけれども、この制度が非常にアメリカの景気対策には効果があったと聞いておるわけでございますが、これは我が党も提言の中でぜひやれと、そういうことをこのトータルプランの中でも言っておるわけでありますが、経企庁長官、これは本当にできますか。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先生の御指摘のように、内需拡大の基本的なベースは入れ物を大きくすることでございますから、一つは社会的な入れ物でございまして、それは国土の全体、総合的な開発でございますが、個人的な入れ物は個人の住宅でございますから、これが大きくならないことには、物を買えといっても置く場所がない、こういうことでございます。そういうことでございまして、政府といたしましても従来から住宅について、例えば住宅金融公庫の利子、低利でこれを融資するだとか、それから最近の税制におきましても、借入額の一%を、いろいろ制約ございますけれども、これを税額控除するとか、そういう措置を講じているわけでございますが、そうした従来の政府の政策は政策としてそれなりの効果があったと私どもは理解をしております。
 しかし、この際でございますから、まず抜本的な住宅投資促進をする。このためには、これまでの施策をさらに一歩踏み込んだことを考える必要があるのではないか、こういうことで私ども経済企画庁の内部においていろいろ今検討をしておるわけでございますが、これはいろいろ関係するところがございますし、またいろいろ問題もあるわけでございますので、こうした問題についてこれからの政策の大きな課題としてひとつ取り組んで何とか前向きの結論を出したい、かように考えている次第でございます。
○塩出啓典君 これはぜひひとつ内需拡大策としてやるべきだと思うのでありますが、大蔵大臣、前向きに考えているかどうか。余り詳しい説明はいいんですけれども、やるかやらぬか。それと建設大臣、建設大臣もこれは文句はないんじゃないかと思うのでありますが、伝えられるところによりますと、こういうのをやると住宅金融公庫が余り仕事がなくなるんじゃないかという、そういうことで反対をするようなことも聞いておるわけでありますが、これはまさに本末転倒でありまして、もう大いに思い切った措置をやるべきだ。これは両大臣に、余り詳しい説明じゃなくて、やるかやらぬかという決意だけひとつ聞かせてください。
○国務大臣(宮澤喜一君) 事の大切なことはよく存じておりまして、昨年度の改正によりまして、従来四百億円程度の年間の優遇措置をしておりましたが、それが千三百億円ぐらいの減収に制度を拡大いたしまして、今年度さらに対象期間を三年から五年に延ばすといったようなことをいたしております。税制でもかなりの実は優遇を考えておりまして、住宅建設も百五十万戸といったような水準に、その結果これも一つの恐らく手伝いになっております。事の重大なことはよく存じておりますので、いろいろ検討いたします。
○国務大臣(天野光晴君) アメリカで非常に利用された手段でありますが、近藤長官がこれを発表したということで、我が国でも取り入れられるようならどうだというので検討はいたしておりますが、まだ実施の段階までは行っておりません。中にいろいろ問題点もやっぱりあるものですから、そういう点で十二分に検討をしていきたいと思っております。
○塩出啓典君 ぜひ政府として前向きに検討をしていただきたい、このことを総理大臣にも強く要望しておきます。
 それから、やはり景気対策には道路のような土地代の要らない住宅とか下水とか、そういうものがいいと、このようにも言われておるわけですが、しかし、竹下広島県知事等、いろいろ意見としては、やはり交通ネットワークができればこれが非常に生産誘発効果以外に地域開発に大きなメリットがある、だから道路ができればいろいろ住宅は後からついてくる、そういう意味でまた市町村等の要望もかなり住宅は多いわけですね。そういう点で、やはりこの道路整備にも力を入れなくちゃいかぬ、しかも縦貫道よりも、例えば中国地方で言えば中国縦貫道よりも横のあばら骨をもっと力を入れなくちゃいかぬ、こういうことが言われております。それからまた、橋をつくれと、橋は確かに土地代が要らないから、私の地元でも江田島に橋をかけるという案が、大臣も御存じのように、そういう案もいろいろ出されておるわけで、確かにあそこに橋ができれば大変島の広い地域もこれは通勤圏になるわけで、そうすると家も建ってくる。
 そういうことで、道路の建設あるいは橋の建設、そういうものも全国のいろいろ要望も聞いて、本当にいろんな意味の効果のあるものは、こういうものは少々建設国債をつくってやっても、これは後世の人も感謝をするものですから、そういう点をひとつ思い切ってやってもらいたい。そういう道路の建設、橋の建設、こういうものについて建設大臣どうお考えですか。
○国務大臣(天野光晴君) やりたくて、もうぶるぶる震えているほどやりたいんですが、御承知のように、なかなか財政再建にひっかかりまして容易でございませんが、この機会に全力を尽くしてやるつもりでございます。
○塩出啓典君 それからこれは総理にあわせてお答えいただきたいと思うんですが、狭い日本の国土は四面海に囲まれておるわけですから、そういう点では私は海洋の活用も考えていかなければいけないのではないか。例えば下水処理場なども、浮かぶ下水処理場という、その方が陸上につくるよりもむしろコストは安い。しかも、そういうところの上はテニスコートにするとか、そうするとレジャーにもなるわけでありますし、あるいは運輸省は沖合人工島の建設計画を非常に進めるとか、そういうような案もあるようでありますが、私はこういう海の活用を大いに推進をしていただきたい、このように思うわけであります。
 これは運輸大臣、運輸省のお考えをお聞かせいただきたいと思いますが、その点どうでしょうか。簡単で結構です。
○国務大臣(橋本龍太郎君) 今大変各地で沖合人工島についての関心が高まっておりまして、御要望もたくさん私どもも承っております。
 委員御指摘のように、狭隘な国土のいわば外に新たな国土をつくることでありますから、私どもとしてはこれは大切なテーマの一つであると考えておりますが、問題は、実はその人工島のプロジェクトというものが往々にしてその島をつくることでとまっておりまして、その上をどういう形で活用し、例えばどういう目的で使い、どんな産業がそこに立地するとか、そうした青写真までがなかなかできておらないというのが現況でございます。ただ、私どもとすれば、これは内需拡大にも非常に資することでありますし、今後民間の活力を活用する仕組みを含めてプロジェクトの推進方策を検討してまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 それから内需拡大の面で、例えば中国地方あるいは九州地方を見ましても、四国でも一緒だと思いますが、東京との距離は非常に近いわけですね。だから、知事会をやるのはどこが一番近いかというと、東京でやるのが一番近いんじゃないかと。お互いのやはり横の連絡を密にしていく。やっぱり東京に一番近いということは東京集中を招くことにもなるわけでありまして、そういう意味で、先般広島市、大分市、松山市の三地点を結ぶコミューター航空がスタートしたわけでありますが、東京との交通も大事ですけれども、それ以上にやはり今後はそういう横の連絡をもっと密にしていく。コミューター航空しかり、また道路もそういうように横の道路を密にしていく、そういうことをもっともっと推進をしていくことが一つは東京の過度の集中を防ぎますし、また各地域の内需拡大にもつながっていくのではないか。そういう意味で、ひとつこういう点にも力を入れていただきたい。
 それから先ほどの浮かぶ下水処理場等も、これは造船対策にもなるわけでありますし、このような構造不況の中で私はぜひ推進をすべきである。この点については総理の御見解、決意を伺いたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 塩出さんのお考えに私も賛成で、できる限りの努力をしたいと思っております。海の活用という問題は、これは埋め立ても含め、あるいは水上そのものを我々の方の造船技術その他を活用してうまく使っていくということも今後の課題だろうと思いますし、それからコミューター関係を発展させるということは、これはこれからの大きな課題であり、大きな有望な産業体系をつくっていくだろうと思います。
 例えば私の群馬県から成田へ行くについて、東京経由で今まで行っていたのが、今度はヘリコプターで直接成田へ行く、そうすると時間が非常に節約されるわけです。事ほどさように、例えばヘリコプターとかあるいは飛行機とかそういうものを使ってコミューターを発展させるということは、地域経済に非常に貢献すると思うんです。私はそういう意味で、私のところへ言ってきた人は、各県にヘリポートを三つぐらいつくらせろ、そうすればヘリコプターの輸入も進むし、住民も非常にそれで利便になる、新しい時代が開ける、そのためには国は相当お金を使ってつくらせたらどうか、それがもう先だと、そういうことをおっしゃる方もありまして、私は近藤企画庁長官に検討してくれと言っておるところでございますが、コミューター関係を大きく発展させるという点については全く同感でございます。
○塩出啓典君 それからやはり内需拡大、輸入を促進する一つの方法として、今までも円高差益の還元ということが言われてまいりました。政府もそれなりの努力はされてきておると思いますが、私は円高というような問題については、これはもう国民全体で受けていくべきであって、特定の業界が利益を受けているのに特定の業界が大変危機に面している、こういうようなことはできるだけ全体で受けていくようにしていく、それがやはり円高差益の適正な還元ではないかと思います。
 経企庁は今まで、昨年末まで、あり得べき円高差益は十四兆円で、五四%これは還元された、このように言われておるわけでありますが、しかしまだまだ円高は続いておるわけですし、そういう円高差益還元のさらなる努力をしていかなければいけないと思うのでありますが、そういう点、特に牛肉とかそういう政府が価格を管理しているところの還元が不十分ではないか、こういうことも言われておりますが、この円高差益の今後の還元については政府としてはどのようにされるのか、これを伺っておきます。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 昨年末までの円高差益の発生額は、先生おっしゃいましたように十四兆を超えておったわけでございますけれども、この一−三月を足しますと円高差益は十八兆を超えるだけ発生している計算になってございますが、その間消費に対しては五兆二千五百億、投資に対しては二兆八千四百億、そして輸出に対しては二兆七千億、合計十兆八千億の還元をした計算になってございます。還元率で申しますと五九・四%、六割還元をしたこととなっておりますが、さらにこうした還元を進めるために、並行輸入を促進するとか、またいろいろ消費者に対して情報提供をする、そうしたいろんな形で、民間の競争力を進める形で円高差益をできるだけさらに末端まで還元をしてまいりたい、多少時間はかかりますがしてまいりたいと思っております。
 先生御指摘のような牛肉その他政府が関与しております物資もございますし、これはそれなりの理由があって規制なりいろいろやっておるわけでございますが、この問題につきましても関係各省と常時連絡をとりながら、できるだけ円高差益を末端の皆さんに還元できるようにこれからも努力してまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 今大臣が言われたように、特に競争の中で価格を下げていく、そういう意味では並行輸入、特にブランド商品がなかなか下がらない、このように言われてきておるわけでありますが、そういう並行輸入等の障害をどんどん取り除いていかなければいけないと思うわけであります。そういう点、公正取引委員会もそれなりの努力をされているように聞いておるわけでありますが、この並行輸入については公取としてはどのように取り組まれますか。
○政府委員(高橋元君) 円高差益の還元を進めてまいるという行政の一環といたしまして、私ども昨年来二十五品目の消費財というものを選びまして、大体三百業者、それから消費者七百五十人ぐらいを対象にしてアンケートなりヒアリングなりを進めてまいったわけです。そういうことをやってまいります過程で、一つは並行輸入によって国内のブランド品の価格がどのくらい下がるのかということについても海外も含めて調査をしてまいったわけですが、並行輸入が大体この一年で四割の業者はふえたと言っています。それはそれなりに価格引き下げの効果があったというふうに思うわけですけれども、日本国内ではブランド力というのは非常に強いわけでございますから、やはり総代理店経由の商品の価格というのは比較的高く維持される、またそういう高価格政策というのも実際には見られるというふうに思うわけです。
 高価格政策が進み過ぎましたところが並行輸入になるわけでございますから、並行輸入の阻害に対しては行政でもって対応していく必要があると考えておりまして、今御説明をしておりました実態調査の結果を踏まえまして、ことしの四月に「輸入総代理店と並行輸入について」といういわゆるガイドラインを出しました。ガイドラインで言っておりますことは、並行輸入を不当に阻害するおそれのある行為として、例えば輸入総代理店が卸売業者とか小売業者に対して並行輸入品を取り扱わないことを条件として取引をする、そういうこと、また、輸入総代理店が並行輸入品を取り扱う小売業者には売らないことを条件として卸売業者と取引をする、こういう形で並行輸入業者を締め出していくという行為については、警告をした上でしかるべく厳正に対処してまいりたいというふうに考えておりまして、そういう観点での並行輸入促進策というものを独禁法の立場から推進してまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 それから農林大臣にお尋ねをしますが、先ほどお話がありましたように、牛肉等におきましては畜産振興事業団が一元的に輸入をしているわけでありまして、いわゆるそういう意味での差益が非常に畜産振興事業団にあるわけでありますが、それをやはり国民に還元をする。例えば最近外国たばこが値段を下げたということで非常に消費がふえておる。そういうことで、やっぱり値段を下げるということは私は大事じゃないかと思うのでありますが、こういう点はどう対処されますか。
○国務大臣(加藤六月君) 畜産振興事業団が取り扱っております輸入牛肉の六十年秋以降六十一年度で大体二百六十億円と円高差益が推計されますが、これは昨年政府が決めました総合経済対策等を受けまして、売り渡し予定価格の引き下げ、売り渡し数量の増加等の対策で二百六十億円の還元を図りました。これらの数字がことしの四月末で百グラム当たりで百三十八円ということになりまして、前年同月比八五・七%になっております。
 また、六十二年度につきましては、国内産牛肉に関する安定帯価格の引き下げも行いましたが、これに対応しまして畜産振興事業団の輸入牛肉の売り渡し予定価格の再引き下げ、そして国産牛肉の小売価格の安定化等の諸対策を実施することにしておりますが、ことし大体三百四十億円の還元が図られるように今計画を立て、実施しようとしておるところでございます。今後とも、国内における肉用牛生産の安定、発展との調和を図りながら、牛肉の需給及び価格の安定を確保するように適切な制度運用を期してまいりたい所存でございます。
○塩出啓典君 この円高差益の還元の問題につきましては、ひとつ中曽根内閣としてさらに努力をしていただきたい、このことを要望しておきます。
 それから、もう一つお願いしたいことは、金利の低下。公定歩合は最大に下がっておるわけで、さらに先般の日米首脳会談におきましても、我が国においては短期金利を下げる方向で誘導していく、こういう合意ができたわけでありますが、しかし、公定歩合が幾ら下がっても、実際に末端の金利が下がってこなければその効果は発揮しないんではないか。そういう意味で、特にこういう状況のときには優良な強い企業は比較的金利も下が久やすいわけですが、弱い立場におる中小企業とかそういうのはなかなか金利が下がりにくい、こういう点があるわけであります。政府としてこの金利の低下、中小企業あるいはまた消費者ローンあるいはローンを借りているそういう方々、そういう方々まで速やかに低下をするように努力をしてもらいたい、このように思うわけでありますが、大蔵大臣はその点はどうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 公定歩合は史上最低になっておるわけでございまして、したがいまして、まず長期金利が非常に下がってまいりました。最近はしかしちょっと長短の間に逆になるような傾向もございますので、御承知のように、短期金利につきましてもいわば低目誘導ということをしばらく前からいたしておりまして、この点については中曽根・レーガン声明にも盛られておるところでございます。したがいまして、資金需要が低いこともありまして、かなり民間の金利は安くなっております。それから、中小企業金融公庫等々のいわゆる特利も随分下がっておりますし、政府関係機関につきましてもそのようなことを心がけまして指導をいたしております。
○塩出啓典君 先般の発表によりますと、全国の上場企業の六十一年度決算で金融機関の経常利益の合計額が製造業の合計額を初めて上回ったと。金融機関は百三十五社、製造業は千六十四社でありますが、そういう点で、もちろん金融機関も一般大衆から集めたお金ですから経営は健全でなければならないと思うのでありますが、余り金融機関がもうけ過ぎるのもいかがなものか。もっと貸出金利等を下げるとかして、こういうやはり円高不況で大変な企業もたくさんあるわけですから、そういう意味でいささか金融機関のもうけ過ぎはいかがなものか、私はこのような感じがするわけでありますが、その点大蔵大臣はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) この点はあらかじめ御指摘がございましたので分析をしてもらっておりますが、分析の結果によりますと、いわゆる金利差によって金融機関の利益が増大しているという形跡はないようでございます。利益がふえておりますのは、一つは経費のいわば削減、経費の縮減によるもの、合理化の結果でございますが、もう一つは、所有の有価証券の含み益が大きくなっておりますので、その売却による利益というものがかなり大きいと、その二つの要素のようでありまして、金利差によるもうけの拡大ということは今のところないように聞いております。
○塩出啓典君 いや、そういうことでは金利差も拡大しておるわけで、ほかの要因が多いということは事実ですけれども、しかしいずれにしても、じゃ金利差以外なら消費者に還元する必要はないじゃないかと、そういうことはないわけでありまして、そういう意味で私は、そういう金利の低下にはさらに努力をしていただきたい、このことを要望しておきます。
 それから特に住宅ローンの問題でありますが、最近焦げつきとかあるいは滞納が非常に目立ってきておるわけであります。これはもちろん所得の伸び悩みあるいは住宅価格の高騰等がその背景にあるわけでございますが、しかし、せっかく苦労して住宅を買った人たちにそういう焦げつき等があっては非常に残念に思うわけであります。そこで、特に住宅金融公庫あるいは住宅・都市整備公団、これは民間と違いまして、むしろ政府が住宅政策を進める上において民間より安い金利で供給するのが本来ではないかと思うのであります。ところが、御存じのように、今民間の金融機関が非常に下がってきて、逆に昔借りた人は大変高い金利を払っておる、こういう状況もあるわけであります。
 そこで、私がお尋ねしたいのは、こういう住宅金融公庫の返済状況あるいは住宅・都市整備公団の分譲住宅の割賦金の返済状況等が今どういう状況であるのか、それをお尋ねするのとともに、やはり民間の場合は借りかえとかあるいは変動金利制というのがありまして、変動金利、そういうものへの借りかえ等ができるわけでありますが、住宅・都市整備公団等の場合はそういう制度がない。そういう意味で私は、極端に高い時期に借りた人たちに対しては変動金利制を設けて移行させるとか、そういう処置を考えるべきではないか、この二点についてお尋ねをいたします。
○政府委員(片山正夫君) まず住宅公団の債務の状況でございますけれども、総件数にして約十四万件でありまして、金額にいたしますと残債務が二兆五千億であります。その償還の状況につきましては、件数で申し上げますと、償還のおくれておりますのが全債務のうちおおむね二・七%に当たります。
 それから住宅金融公庫につきましては、約五百五十六万件の債務がありまして、債務金額は約二十五兆円であります。このうちの債務の償還がおくれておりますのが約〇・二七%であります。
 なお、分譲住宅の償還の割賦金利の問題でありますけれども、これは現在固定金利制をとっております。この理由といたしましては、一つは、住宅の購入者の側から見ましたときに、将来の債務を把握することができる、こういうことから計画的に住宅を取得することが可能となるということが一点、それから住宅の建設の原資に使っております財投資金が固定金利制をとっているということ、こういうことから固定金利制をとっておるわけでありますけれども、この固定金利制をとっておるがゆえに、分譲契約をした後におきまして金利が変動いたしました場合につきまして、その変動の内容が高い方に変動する場合あるいは低い方に変動する場合に、変動の内容いかんを問わず契約に係ります金利は変更しないということにしておるわけであります。ただし、現在の民間の金利の状況、大変低いというような状況もございますので、そういうことを考慮いたしまして、既往の契約につきましても、債務者からの希望によりまして、過去の高い金利に係る債務につきましては繰り上げ償還の道を講じているところであります。
○塩出啓典君 これは総理大臣に最後にお尋ねしますが、そういう金利の低下というものが民間資金、公的資金を問わずやっぱり速やかに還元をされるように政府としても努力をしてもらいたい。これが内需拡大の一つの因ではあると思いますが、そういう点、総理の御決意を承っておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) 過去債務につきましてはある程度はやむを得ないところもあると思いますが、状況の許す限り努力してまいりたいと思います。
○塩出啓典君 次に、雇用問題についてお尋ねをいたします。
 労働大臣にお尋ねしますが、現在の失業率、先般三%を突破して、さらに急激な円高で各企業、鉄鋼業界あるいは造船業界、いろんな業界においてまだ企業内の過剰雇用を抱えて、それが順次この数年の間に人員整理をされようとしている。そういう意味で、私たちもこれからの失業率、雇用情勢がどうなるのか、こういう点に非常に心配をしておるわけでありますが、労働省としてはこの失業率と雇用情勢についてはどのような見通しを持っておるのか、お伺いをいたします。
○国務大臣(平井卓志君) 御質問の点でございますが、六十一年、昨年度の失業者が年間平均で二・八%、本年に入りましてから、今御案内ございましたように、一月が三%、二月が二・九、三月も同じく二・九%という非常に高い水準で推移いたしておりまして、失業者数は百九十四万、前年同月比で十一万増加ということでございます。本来的に雇用情勢というのは非常に流動的な一面を持っておりまして、見通しにつきましては諸条件、前提の置き方で非常に多種多様なとらえ方がございますけれども、特に私が申し上げたいのは、例えば非常に高い水準で強含みで推移いたしております。ただいまの為替の状況、こういう形で推移いたしますと、場合によっては第二次と申しましょうか、さらなる雇用調整の引き金になりはしないかと、かような点も大変憂慮いたしておるわけでございます。
 いずれにしても、労働省として御案内のような三十万人の雇用開発、その他予算面におきましても一〇・三%と大変ふやしていただきまして、二兆三千七百億というかつてない非常に大きな予算をもってこの対策に当たっておるわけでございますが、労働省の雇用対策にはある意味でやはり限界がございまして、訓練等に対する助成、また失業者を出さないように雇調金の拡充、また新規事業に対する助成、援助等々、四月一日から一斉に踏み切っておりまして、先般お認めいただきました地域の雇用開発等も全国で千六百六十二市町村と指定の網をかけまして、もうこれ全国の約三分の一までやっておりますが、このような政策の効果も大体六月以降になるのではないかというふうに考えておるわけであります。
 いずれにしても、ただいま申し上げましたように、基本的には効果的な内需拡大策をもって景気の浮揚を図り、実質的に雇用の増加を図る。そしてまた、でき得る限り為替の安定化ということをお願いする。そのことと、労働省がやっております雇用対策、すべて総合政策として初めて効果を発揮するのではなかろうか。いろいろな予測の仕方がございますけれども、いずれにしても非常に危惧される状態でございます。全力を挙げて政府の見通してございます二・九%に何とか年間で抑え込んでいきたい、かように考えております。
○塩出啓典君 通産大臣にお尋ねをしますが、いわゆる産業の空洞化ということが非常に心配をされております。自動車産業を見ましても、アメリカに各企業が進出をいたしまして、これらが全部稼働しますと二百万台。というと今日本の対米輸出は二百三十万台でございますから、そういうものが本当にアメリカで生産をした場合、輸出はどうなるのか。そういう意味で我々も非常に憂慮しておるわけでありますが、産業構造審議会はいろいろなこういう答申も出して将来の予測を立てておるようでありますが、通産省として産業の空洞化という問題についてはどのような見通しを持っておられるのか、お伺いいたします。
○政府委員(杉山弘君) 通産省といたしましては、我が国の産業構造を国際的に調和のとれたものにすることによりまして対外インバランスの改善を図っていくということで、昨年の五月に産業構造審議会から「二十一世紀産業社会の基本構想」というものを御答申いただいております。
 この中では、産業構造を国際的な調和のとれたものにするということにつきましては、まず第一番目は、先生今自動車の問題で御指摘をいただきましたように、輸出型産業につきましては、日本から商品を輸出するばかりではなくて、できるだけ海外に進出をして、海外の資源、労働を使っていただく。それからもう一方では、国際的な競争力の面でおくれをとっておりますような産業につきましては、国内での産業調整を円滑に進めていくということによりまして輸入の拡大を図っていく。ただ、これだけでございますと雇用機会を失うことにもなりますし、また産業の活力が失われるということになってまいりますので、一方では製造業の分野におきまして技術開発の成果を生かしました新しい分野を切り開いていくという努力も必要でございますし、また一方では、これからの国民のニーズの変化に伴いまして新しいサービス産業というものが要求されてまいりますし、また製造業でも知識的な面でソフトウエア等に重点を置いた対応が望まれておりますので、そういう面で製造業分野におきましてもサービスに依存する度合いが強まってまいりますので、こういったサービス業の分野におきまして雇用吸収も図っていく。全体といたしますと、二〇〇〇年の段階におきましてはほぼマクロ的に労働力の需給バランスというのはとれるのではないかということでございます。
 ただ、全体としまして労働力の需給バランスをとりますためには、やはり四%程度の高目の成長を目指す必要がございます。これが大前提でございます。そうしました上でもなおかつ、職種別に見ますと、専門的な技術者の需要は高まってまいりますのに供給がこれに追いつかない。一方では、生産現場で働く方々につきましては、むしろ需要が供給に追いつかない。こういうような職種間のアンバランス、また地域的な面、さらに年齢的な面でいろいろ雇用のミスマッチが起こってまいりますので、こういう点につきましても政府として相当政策的な対応をする必要があるのではないか。こういう政策的な対応を前提といたしますと、何とか二〇〇〇年の段階では対外インバランスを改善できるような方向で産業構造の転換を図っていけるのではないかということになっております。
 ただ、二〇〇〇年といいますと非常に長い先のことになりますので、むしろ今後六、七年程度の中期的な段階において日本の産業構造がどうなっていくのか、こういう点につきましては現在産業構造審議会等で検討をいたしておりまして、六月中ぐらいには大筋のめどをつけていただくようなことで対外的にもお示しをできればということで、今作業をいたしておるところでございます。
○塩出啓典君 私たち公明党も権藤前国対委員長を長とする雇用問題対策本部をつくりまして、そして福井県の繊維、あるいは北九州の鉄鋼、あるいは玉野の造船、あるいは井原市の繊維、あるいは愛媛県の造船、タオル、あるいは大分県の造船、あるいは北海道の鉄鋼、そういうところをずっと視察いたしまして、そして各地の状況あるいは御意見等もいろいろ勉強させていただいたわけでございますが、今通産省の方からお話がありましたように、やはり国全体では非常に雇用が余っている。けれども一方では雇用が足りないという、そういうような問題があるわけでありますが、ながながしかし、確かに広島県を見ましても、県全体のデータは日本全体でやっても、特に因島とか呉とか、そういうところに特段に雇用情勢が悪いというふうな、そういうような非常に地域的なアンバランスがある。だから、じゃ都会へ出てくればいいじゃないかといっても、なかなか住みなれたところは去りがたいという、そういうようなやはり問題もあるわけであります。
 そういう中で特に私が要望したいのは、やっぱり職業訓練ですね。新しい需要がある、人が足りない、そういう職種に転換をするためには、どうしても職業訓練をしていかなきゃいかぬ。ところが、国の職業訓練所、公共の訓練所等はなかなか内容が古くて、だから皆さんはそういうところへ行くよりも、専修学校、お金を出してもそっちへ行った方がすぐ就職に結びつくという現状でございまして、そういう意味で私は職業訓練のあり方というものを、教える先生を変えにゃいかぬという問題があると思うんです。やはり時代に合うようにこれを変えていかなきゃいけないんじゃないか。そういう点をもっと強力にしてもらいたい。
 それと、職業紹介というもの、現在の職業安定所も頑張ってくださっておるわけでありますが、なかなか、人員も削減されるし、やはりそういう広域的な職業紹介の体制が非常に弱いんじゃないか。だから、職安に行くけれど帰りに玄関で民間の雑誌を買ってそれで就職を決めるとか、そういうようなことが言われているように、私はやはり職業紹介体制をもっと強化すべきじゃないか、このように考えるわけでありますが、労働省としてはこのあたりをどう考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) ただいまの職業訓練の実効が上がるような科目の選択、新設等についてどう考えておるかと。これはもうおっしゃるとおりでございまして、御案内のように、サービス経済化等の構造変化、さらには最近の傾向として非常に就業の中身が高度化しまして、さらに多様化しておるということでございますので、おっしゃるように、公共職業訓練校におきましては第二次産業関連、もうこの職種の科目を廃止いたしまして、電子計算機科、特に近年成長を遂げておる産業、その実態に向くようにそれらに関係する科目の新設、特にこれから、もう毎年度きめ細かく訓練科目の見直しというのをやっておるところでございます。
 いずれにしても、働く人たちのニーズに合った訓練の科目でなければ全く形だけで実効は上がらない、これはもう御指摘のとおりでございまして、そのような方向で実効が上がるべく転換を図っておるところでございます。
 いま一つ、民間の問題でございますが、公共職業訓練施設の指導員については民間企業の人材を外部講師として活用もいたしておりますし、第三次産業関連職種の職業訓練の充実を図るため専修学校等への訓練の委託等の施策を講じているほか、特に昨年末以来、例えばビルのメンテナンス等雇用吸収力のある業種の民間企業や事業主団体への委託訓練をお願いいたしておるわけでございまして、この方面も一層これは活発にやっていきたいと考えております。
 それから、いま一つ御指摘のございました、安定所による職業紹介が不十分ではないか、特に最近の広域化についてやや不十分ではないかという御指摘でございますが、安定所では、原則的に求職者の意向に即しましてできる限り地元における職業紹介というところに重点を置いておるわけでございますが、これが困難な場合には、全国の公共安定所が連絡をとりまして広域的な職業紹介を強力に推進する。また、最新のコンピューター技術の活用によりまして、全国の公共職業安定所をオンラインで結びまして広範囲の職業紹介を迅速に行うことができる、総合的な雇用情報システムを全国に導入すべく準備をいたしておる。安定所を通じて約百五十万が就職をいたしておるわけでございまして、その他は、委員も御指摘ございましたように、縁故関係、さらに学校関係、新聞、雑誌等々ございますけれども、やはり総合的に安定所を強化するということはぜひとも必要でございますので、その方向で最大限の努力をいたしたいと考えております。
○塩出啓典君 それから我が国が非常に長時間労働で、労働時間の短縮ということが議題におっております。それで、今国会において労働基準法の改正案が出されているようでありますが、非常になまぬるい。期限がはっきり明示していない、そういう点で速やかに労働時間短縮を図るべきではないか。この点についての労働省の御見解をお伺いしたいと思います。
 それから経企庁は、労働時間を短縮すれば高齢者雇用が二百二十万人ふえると。このような状況の中では、ワークシェアリングというか、やはり労働時間を短縮してより多くの人に仕事を与える、高齢者にも頑張っていただく、そういう意味で経企庁の試算の結果についてお話を承りたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) かねての懸案でございましたこの労働時間の短縮でございますが、委員も御案内のように、労働者の福祉の観点、さらには内需拡大に資する点、さらには国際協調、今日的に申し上げるとやはりもう時代の要請と言われておるわけでございまして、極めて重要な問題であると私は認識をいたしております。このために、中央労働基準審議会の公労使各側の一致した建議に沿いまして、労働基準法の改正法案を今国会にお願いをいたしておるところであります。
 もう既に御案内とは思いますけれども、労働基準法の本則に週四十時間制の原則を規定いたしまして、中小企業の労働時間の実態等を勘案しながら、法定労働時間をこの目標に向けて段階的に短縮していくこととしておるわけでございます。これによりまして我が国は法制面で週四十八時間制から四十時間制への移行期に入ることになりまして、そういう意味で私は今回の法改正は労働時間短縮のために一歩踏み込んで大変大きい意味がある、かように考えております。
 ただ、なまぬるいではないかという御指摘、またいろいろな立場におけるいろんな方のお考え、御議論が多々あるところでございますが、本質的にこれは労働時間そのものは労働条件の非常に大きい柱でございまして、本来的には労使の間において協議すべき問題であります。ところが、これも御案内のように、最近の十年間、高度成長期を除いて実態がほとんど進んでおらない。しかしながら、時代の要請とも言われ、半ば国際公約とも相なった。しからばどうするかということになりますと、これはいずれ社労委員会においていろいろな御議論をいただくわけでございますけれども、どうにかこうにか公労使三者で一致したのがただいま御提案申し上げております改正案でございまして、まさしく画期的と私ども考えておりますので、一日も早い御審議をお願い申し上げたい、かように考えております。
○国務大臣(近藤鉄雄君) 先般報告をまとめられました経済審議会の経済構造調整特別部会の報告におきましても、「二〇〇〇年に向けてできるだけ早期に、現在のアメリカ、イギリスの水準を下回る千八百時間程度を目指すことが必要である。」、こういう御指摘を受けているところでございますので、今後とも関係各省といろいろ密接な連絡を図りながら、できるだけ先進国にふさわしいような労働時間を実現するように、特に週休二日制の普及、労働時間の短縮等に一層の努力をしてまいりたいと思うわけであります。
 ちなみに、高齢化社会に入るわけでございますけれども、もしも労働時間を千八百時間とした場合に六十歳以上の雇用者が百二十五万人雇用増になる。千六百時間とした場合には二百二十万人、こうなるわけでございますので、先生御指摘のように高齢者の方々にもお仕事を分かち合う、こういうことで、経済の生産性の果実を国民が等しく分かち合いながら雇用増を図っていく、こういう措置を講ずる必要があると考える次第でございます。
○塩出啓典君 これは総理にお尋ねしますが、経済の協調ということは、労働時間においても先進国と日本が大体歩調を合わせるということも大事じゃないかと思うんです。そういう意味で、労働時間の短縮には内閣としても全力を挙げて取り組んでもらいたい。それはある意味ではやっぱり雇用の解決にもつながっていくわけであります。その点、総理の御決意を承っておきます。
○国務大臣(中曽根康弘君) その点は同感でございます。先般自民党がつくりました総合政策におきましても、労働時間の短縮を図る云々、三十万人雇用開発計画を推進する、そういう文章がございまして、党も積極的な構えております。
 私は民間の問題は労使関係で話し合う問題であると思っておりますが、政府に関する限りはやはりできるだけ政府としては積極策をとった方がいい、そういう意味におきまして、週休二日制をできるだけ促進する、あるいは年次有給休暇、この問題も、指摘されているようにできるだけ早期に実現していく。そういうようなことが銀行や金融機関等も同調する形に促進される。それはさらに民間の方面を促進する力を持つだろう。そういうことも考えてみまして、政府が担当する分野についてはできるだけ努力してまいりたいと考えております。
○塩出啓典君 その点、ひとつよろしくお願いいたします。
 それから次に、防衛問題についてお尋ねをしたいと思います。
 先般来、防衛費のGNP比一%のことが問題になりました。去る一月二十四日の閣議決定によってこの一%枠が突破されたわけでありますが、この閣議決定で決まったことは何なのか、対象とする期間はいつであるのか、これをお伺いいたします。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今官房長官がおりません。これは閣議決定でございますから、官房長官がお答えをするのが適当だと思います。ただ、おりませんので、いわゆる閣議決定は安全保障会議の決定を踏まえておりますので、安全保障室長が来ておりますから、そこからどういうことが決まったかということについて御説明をしてもらいます。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 一月二十四日の閣議で決定されましたことは、この閣議決定の内容を既に御承知と存じますけれども、五十一年の三木内閣の閣議決定にかわるものとして、新たな閣議決定は、中期業務計画の遂行期間これを実施すると。中期業務計画の以後の問題については、三木内閣の閣議決定の精神、すなわち節度ある防衛力を整備するという精神を尊重して行う、こういう内容の決定でございました。
○塩出啓典君 節度ある防衛力を自主的に整備してきたと、今後もこれを守ると言っておるわけでありますが、節度ある防衛力、この「節度」の判断の基準はどこにあるのか、これをお伺いします。
○国務大臣(後藤田正晴君) 記者会見で失礼をしておりましたので、あるいは前後つながりがないかもしれませんが、お許しをいただきたいと思います。
 節度のある防衛力整備とは何であるかというのが御質疑だと、こう承ったわけでございますが、一口に申せば、日本の防衛の基本の考え方、その考え方に沿っての防衛力整備のやり方、これについては従来と基本的な変更はない、一口に言えばこう言えるのではなかろうか。という意味合いは、我が国の防衛政策というものは、御承知のとおりに、平和憲法のもとで他国に軍事的な脅威を与えないように、また非核三原則を守りながら、そしてシビリアンコントロールのもとに、既に決まっておる防衛計画大綱の線に沿ってこれを整々と準備して、そして直接侵略には最小限の自分の力で対応しつつ、基本的な国の安全は日米安全保障条約のもとで国の独立と安全を保障する、こういう考え方であるわけでございますから、この点には何の変更もない、こう御理解をいただければいいのではなかろうかと思います。
○塩出啓典君 この閣議決定にもありますように、三木内閣のときの閣議決定の精神は守る、何ら変更はない、そう言いながら、それなら一%を守ればいいじゃないか。そちらはこう知らぬ間に外すと。どうも中曽根内閣になりましてから、大型間接税はやらないと言ってやったり、なかなか言葉のあやというか、我々も油断をしていると知らぬ間にごまかされてしまう、こういう感じがあるわけであります。変えないと言いながら、一%を突破するというのは変わっておるじゃありませんか。
○国務大臣(後藤田正晴君) かねがねこの委員会でも総理からも御発言があり、同時にまた、従来の自由民主党の政府でも、当委員会で昭和五十一年の三木内閣の閣議決定はできる限り努力をして守っていきたい、こういう言明をいたしておったことは事実でございます。この内閣におきましても、この基本方針のもとに防衛力の整備をするための予算の編成に当たってきたことも間違いがありません。
 しかしながら、御案内のように、一方で十八兆四千億に上る中期防衛力整備計画がございます。これもまた閣議の決定でございます。私どもとしては、これは何としてでも整備をしなければならない。ところが、御案内のように、一%という問題は分母分子の関係がございます。最近のように残念ながらGNPの伸びが非常に悪くなる、しかしながら、政府としてもできる限り従来の公約はこれは守らにゃなるまい、その努力の最大限を尽くさにゃならぬということで数年間努力をした。その結果どうなったかといいますと、残念ながら分母が非常に縮小になるということに伴ってひずみがだんだん出てきておったことは事実なんですね。それはどこに出てきておったかというと、後方整備に大きく出てきておったと私は思います。
 防衛力というものはバランスのある整備でなければ、小は小なりにバランスをとってなければならぬと思うわけですね。そこで積み上げた結果、後方整備をいま少しく、例えば防衛庁の宿舎等の整備に当たっても、これは所在の町村から美観の上からも何とかしてくれないかといったような、余りにもひどいという要求が出てくるのが現実なんですよ。皆さん選挙をなさっていらっしゃるからわかっているはずなんです。私も承知をしておる。いかにもこれは国の防衛に当たっておる自衛隊に対する国の処遇としてはおかしいではないか。やはりこういうものはきちんと整備する。同時にまた、訓練の経費も足らぬではないか。あるいは通信設備もおくれているということであっては、幾らやりの穂先ばっかりやったところで柄がだめなんじゃこれ使い物にならぬわけですね。しかし、小さくてもそれなりの効率的な金の使い方ということは防衛力整備の上においても絶対やらなきゃならぬ。
 本年の予算の編成の際には、防衛庁と大蔵省との間では決着がつかぬと。ならば、政党内閣制度のもとにおける政治慣行として重要な事項は政治折衝の上に上げるということで政治折衝の場に上げながらも、途中で場合によるならば一%を突破するおそれも出てくるかもしらぬなと。ならば、そのことを前提として、シビリアンコントロールのために設けられておる国防会議の議も経なければならぬし、あるいはその前段階の国防会議の議員懇談会も経なきゃならぬということで、これの再度にわたって何回となしに議論を積み重ねた上で最終的に一・〇〇四ですか、という結果になったんだと。私は一%の重要性はわかっておるんです。しかしながら、ここはぜひひとつ政府の努力も理解していただきたい。
 しかし、さればといって防衛費というものは少なくて済めば私はそれが結構だと思います。しかし、そうでない場合には必要最小限度のものを整備するということも国の自由と独立を守るためには必要ではないのか。ならばやはりこの際は、三木内閣の基本精神というものは尊重をしながら今後も節度ある防衛力の整備はやりますよ、しかしながら一%というものは本年度の予算編成で結果としては越さざるを得なかったんだと。かように御理解を賜りたいと思います。
○塩出啓典君 これは防衛庁長官にお尋ねしますが、今官房長官は、非常に低成長でもうGNPの分母の伸びが非常に少ないと。しかし、例えばことしの予算を見れば、一つは円高ですね。先般我が党の鶴岡委員がここで質問したように、円高による差益。さらに今年度予算には、売上税が施行されるとしてその売上税分が見込まれているわけでありますが、まだ法律はありますが、この売上税が廃止されたとした場合、一%以内には今の計画のままでこれは入る、そのように理解していいわけですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今の円高とか売上税、それは今出ておるしこれから出てくる問題でございまして、それは予算執行上の問題でございます。したがいまして、予算執行上の問題と十二月の予算編成をするときの枠の問題とは別でございます。そういうように御理解をいただきたいと思います。
○塩出啓典君 一%は国民の世論でもありますし、私は今官房長官の言われた御趣旨はよくわかります。しかし、やはり国民の理解を得ながら進めていかなきやいけない問題ですし、本当に一%をどうしても突破せにゃいかぬというのであれば、それは国民に訴えて理解を求めてやっていかないと、選挙の争点にも全然なっていないのにぱぱっと売上税と一緒に一%突破となると、何か売上税は防衛費の増加のためじゃないか、こう疑われても仕方ないと思うのであります。
 それと、特に一%問題については中国政府等も、ケ小平氏も、軍国主義化の傾向ではないか、そういう点で非常に警戒をしておるわけであります。今度防衛庁長官も訪中されるそうでありますが、アメリカだけではなしに東南アジアの国々の気持ちもやはり配慮していかなきゃいかぬと思うのでありますが、その点はどのようにお考えですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) きのうも議論が出まして、日本は国際国家でございますからその中の一員としてやらにゃならぬという場合に、国際国家として防衛はどうあるべきかということがあると思うんです。その場合に、近隣諸国でいろいろと心配されておるというならば、それはこちらの方で十分に説明をして御納得いただく。また、いわゆる西側自由主義陣営からいたしますと、何か日本は防衛について努力が足らないんじゃないか、そういう批判もあるようでございます。それについては、日本は日本の独自の憲法に基づく見解に基づいてやっているんだ、これ以上のことはやれないんだということをよく理解してもらう、そういう意味合いで今のお言葉は十分心に刻んでおきたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。峯山昭範君。
○峯山昭範君 内閣の意思は閣議決定とか了解とかあるいは報告によって決まると思うんです。
 これは法制局長官にお伺いしたいと思うんですが、その閣議決定の内容ですね、項目、大体どういうふうな項目がいろいろあるのか、それぞれ決定、了解、報告等について詳細教えていただきたいと思います。
○政府委員(味村治君) 内閣の意思決定は閣議によって行われるわけでございます。内閣の意思決定として行われますものには、これは実務上の取り扱いでございますが、閣議決定と呼ばれるものと閣議了解と呼ばれるものとがございます。
 閣議決定と申しますのは、憲法上なりあるいは法律によりまして内閣の意思決定が必要とされるものについて行われるのが普通でございますが、そのほかにも、特に重要なものについて閣議決定が行われる場合があるわけでございます。これはもちろん内閣という言ってみれば行政の最高機関であります合議機関の意思決定の一つの形態でございます。
 もう一つございますのが閣議了解と言われるものでございまして、これも内閣の合議機関としての機関意思の決定の一つの形態でございます。これは、大体のところを申し上げますと、それぞれの省庁の所管に属する事項、それぞれの省庁が独自に決めることができないわけではございませんが、内閣として機関意思を決定しておく必要がある、そういうような事項につきまして閣議了解という形で閣議の意思決定が行われるわけでございまして、このように、閣議の意思決定には閣議決定と言われるものと閣議了解と言われるものと二つございます。
 そのほかに、閣議報告というものがございまして、これは各主管の、主任の大臣がそれぞれの所管事項につきまして閣議に御報告になるものでございます。
 さらに、これらの閣議決定、閣議了解、閣議報告は必ずしも書面によることを法律上は必要といたしておりません。ただ、私の所管外でございますが、実務的には書面によることが多いというふうに聞いております。そのほかに、書面によらないで各閣僚が御自分の所管事項につきまして口頭で御説明になるという事項もございます。
 大体、あらましを申し上げますと以上のようなことでございます。
○峯山昭範君 この問題については、非常に大事な問題ですので、後ほど続いて質問いたします。
 総理、一%枠の撤廃の問題につきましては、先ほどからいろいろお話ございましたし、世論調査の問題、これは総理からも先般ちょっとお答えいただきましたが、ほんの最近の世論調査でも、朝日新聞では六一%、毎日新聞では七七%の国民の皆さんが反対をしているわけです。この問題について総理はどうお考えですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) その時点における国民の皆さんの一つのお考えの表明であると思います。ただ、世論調査のやり方というものによって内容、答弁というものも変わってくる場合が非常に多いと思います。しかし、それなりの国民の一つの御意見の表明であるというふうに受け取れます。
○峯山昭範君 防衛庁長官、いかがですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) 私は、世論調査というものは、一つには設問の仕方によって大分違ってくると思うんです。ですから、今のお話のように、朝日とか毎日にはそういうふうに出ておりますが、読売の場合には大分また違っております。
 それからもう一つは、一%というのは非常にわかりやすいですね、感覚的に。ところが、今日本で問われているのは何かというと、必要最小限度の防衛力の整備ということなんです。防衛計画の大綱を達成することが日本の平和と安全に寄与するのだ、この点についての説明というものが正直に言って十分でないと思うんです。したがいまして、議会等を通じまして国民の皆さんに、防衛力の整備はどういう基準でやっておるのだ、これが基本であるということをさらに認識を願う、そういう努力が必要ではないか、こう思っております。
○峯山昭範君 私は、国民の協力を得るためには国民の声に謙虚に耳を傾けるべきだ、そう思います。国民の世論を無視して国の防衛がやっていけるなんということを考えてはいけない、こう思います。いかがですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) それは私も全く同感であります。しかし、国民の声という場合に、世論調査だけで国民の声というものを求めることはいかがなものか、こういうことでございます。
○峯山昭範君 ほかに何をお考えですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) まず第一には国会での論議、与野党の論議、政府との論議、そういうものであろうと思います。
○峯山昭範君 新聞等の世論調査は無視するんですか。
○国務大臣(栗原祐幸君) いや、無視はしない、参考にしておるんです。
○峯山昭範君 これはそのくらいにいたしまして、先ほどの閣議の問題と関連をいたしまして、「日米防衛協力のための指針」というのがあります。ガイドラインですが、これはどういうものですか。
○国務大臣(倉成正君) 「日米防衛協力のための指針」は研究作業等のガイドラインでございまして、外務大臣及び防衛庁長官が処理すべきものでありまして、閣議書は作成されておりませんけれども、その内容上日米防衛協力のあり方にわたるものであることから、シビリアンコントロールという意味から、昭和五十三年十一月二十八日の閣議において資料を席上配付の上所管大臣たる外務大臣及び防衛庁長官が発言し、その経緯、内容を報告し了承を得たものでございます。これも防衛白書に記述を申し上げたとおりでございます。
○峯山昭範君 内容についてもう少し詳細に。
○政府委員(西廣整輝君) 「日米防衛協力のための指針」と申しますのは、ただいま外務大臣がお答え申し上げたように、日米が防衛協力するための各種の研究等を行うための指針を示したものでございまして、例えば日本防衛のための指針としましては、侵略を未然に防止するための態勢についてはどうであるかとか、あるいはまた日本に対する武力攻撃に際して対処行動をどのようにして行うか、そういったようなことについて述べてあるものであります。そのほかに申し上げますと、例えば後方支援活動をどうするかとか、あるいは情報交換等をどうするか、あるいは調整機関等をどうするかといったような、もろもろの日米が効果的な対処行動を行うための研究を行うための指針だというように考えております。
○峯山昭範君 今私も聞きましたが、自衛隊と米軍が緊急時に整合性のとれた共同対処行動をするための指針である、こういうふうに私どもは何回かお伺いいたしております。先ほど外務大臣からも少しお答えがございましたが、閣議とか事務次官会議等の件名等がすべて記載された本が発行されておりますが、こういうふうなものにいわゆるガイドラインが全く載っておりませんのはどういうわけですか。
○国務大臣(倉成正君) 閣議決定その他の問題についてはただいま法制局長官からお答えしたとおりでございますが、昭和五十三年十一月二十七日に開催された第十七回の日米安全保障協議委員会において報告され了承された「日米防衛協力のための指針」は、防衛協力小委員会における研究協議の結果を取りまとめまして文書として作成したものでございます。あくまで自後行われるべき研究作業等のガイドラインとしての性格を有するもので、政府としての具体的な行政措置を定めるものではございません。したがいまして、このような閣議了解という形をとったわけでございます。
○峯山昭範君 今の発言もちょっと問題でありますが、まず国防会議から聞きましょう。国防会議はどういうことになっていますか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 国防会議につきましては、五十三年の十一月二十八日、外務大臣及び防衛庁長官からこの指針についての経緯、内容の御説明がございました。これについて当然質疑応答という形での審議が行われ異論なく了承をされた、こういう経緯がございます。
○国務大臣(倉成正君) ただいま閣議了解と申し上げましたが、正確に申しますと、閣議に報告され了承されたということに訂正いたします。
○峯山昭範君 まず、私の手元に出ております国防会議の資料によりますと、国防会議で了承したり決定した場合は、必ず「決定」とか「了承」とかありますね。私の手元の資料には、国防会議で審議をしただけと、こうなっています。これはどうですか。
○政府委員(佐々淳行君) お答えいたします。
 国防会議の審議あるいは決定はちょっと閣議と違いまして、その区分上、矢山有作先生の質問主意書に対して官報の衆議院の会議録でお答えいたしましたように、決定と審議と二つのグループに分けられておりまして、この御要望の時期のものですと七十二回行われておりますうち三十一回が審議でございまして、決定に至らない場合、報告があり質疑応答があり了承があった場合は、国防会議においては審議というふうな概念規定をしてまとめさせていただいております。
○峯山昭範君 決定に至らなかったわけですね。
 それで、これは国防会議では審議をし決定に至っていない。そしてしかも今度は、閣議では閣議書もつくっていない。当日書類を配付しただけ。私の手元の資料によりますと、「閣議で説明」となっております。これが実際は現在の日米協力の中の、防衛白書を見ましても、膨大な項目を割いていわゆる防衛の中核に今なっておりますね。これは私は非常に大変な問題であると思っております。
 皆さんも御存じのとおり、最近の日米共同作戦計画やあるいはシーレーン防衛の研究、そういうようないろんな点から見ましても、閣議でもいわゆる決定、了解、報告の中にも入っていないようなこういうふうなものがひとり歩きをして、しかも防衛白書の中でこういうふうな取り扱いを受けている。我々が委員会で質問をするとそれがすべて報告であり了解を受けたようなニュアンスの報告を受けている。これは私非常によくないことだと思っておりますが、この問題について総理並びに防衛庁長官の御見解をお伺いしておきたい。
○国務大臣(栗原祐幸君) 今いろいろのいきさつについて私もここで聞いたばかりでございますからここでどうというわけではございませんが、ただ問題は、防衛庁長官が、シーレーン防衛あるいは共同作戦計画というもの、いわゆる防衛計画の指針、そういうものについては責任を持ってやらにゃいかぬ、防衛庁長官の全責任でやらにゃいかぬ、こういうふうに考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) これはいわゆるガイドラインと言われる性格のものでありまして、言いかえれば、日本語では指針と呼んでおりますが、その大まかな方向を示す、それによって今度は具体的なオペーレーションは長官のいろいろな権限その他法規に基づいて行われる、そういう性格のものでありますから、ガイドラインという、指針という意味におきまして今のような取り扱いが行われたと、そういうふうに私は理解しております。
○塩出啓典君 私は、やっぱり世論に謙虚にやっていただきたい。今回の売上税の問題にしても、もうちょっと世論に謙虚に耳を傾ければこういう混乱も少なかったんじゃないか。そういう点で、防衛問題についても世論に謙虚に耳を傾けていただきたい、このことを強く要望しておきます。
 最後に、税制問題についてお尋ねいたしますが、総理は直間比率の是正ということを言われております。この直間比率の是正ということは、将来の老齢化社会の財源対策として今後増税をするにはやはり間接税でないとなかなか増税しにくい、将来の増税含みがあると理解をしていいのか。その点はどうでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもが老齢化云々ということを申し上げておりますのは、間接税を将来増税しようという考え方で申し上げているのではありませんで、たくさんの老齢人口を若い人たちがしょっていくとすれば、若い人たちの所得税をどんなにふやしましてもしょえませんから、しかも老人はだんだん所得税を払えません、そうなりますと、やはり老人も一緒にその負担をしていくという制度を今からつくっておきませんと困る、それには間接税がいいのだと、こういうふうに申しておるわけでございます。
○塩出啓典君 総理のお考えはどうですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大蔵大臣と同じでありまして、シャウプ税制のころとそれから今日とは非常に変化がありました。国民を五分の一ずつに五つに輪切りして、そして一番所得の低い方と多い方の五分の一ずつを調べてみると、シャウプ税制のころはかなり開いておった。ところが一対三ぐらいに今それが減った。あのころはたしか一対九ぐらい開いていたと記憶しておりますが、それぐらいに平準化してまいりました。あのころは食べるに精いっぱいで貧富の差も非常にあったわけであります。したがって、直接税中心で持っている者からうんと取る、そういうことでありましたが、今は日本の社会はちょうちん型になりまして大体平準化してきた。
 こういうことになりますと、エンゲル係数その他等多少いろいろ配慮はしつつ、やはり広く薄く皆さんで御負担なさる、そういう意味で御老人も御負担を願う、そういうような感覚で全般でみんなで支え合おうじゃないかと。若い人あるいは所得税や法人税を払っている人ばかりではちょっとどうかなと、そういうようなことであります。――一対九というのは五・八という数字でありますので訂正させていただきます。つまり、あのころと比べてみると所得が平準化してきた、そういう点はまず言えると思うのであります。
○塩出啓典君 そうすると、今の税制改革はお年寄りに税金を負担してもらうと。今お年寄りは税金を負担していないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) もともと我が国のような所得水準が高くしかも所得の分布が平均化している、今総理の言われましたように第一分位と第五分位は一対二・九でございますから、こういうところではやはり間接税で社会共通の費用を皆さんに薄く広く負担してもらうということが私はいいのだともともと思っておるのでございます。その上に、老齢化いたしてまいりますと、年寄りになれば所得税を払う度合いは小さくなります、所得が少なくなりますから。そういう意味では、消費はいたしますので、したがって間接税であれば年寄りもやはり相当の負担をしてもらえる、そういう制度を今から考えておきたい、こういうことでございます。
○塩出啓典君 私は、総理大臣、老齢化社会を迎えて、人生というものは老後が大事だと思うんですよ。若いときの苦労はむしろできるわけであって、年とってから税金を余計負担しろということは、これは余りにも残酷だと思うんです。そういう点で、今も宮澤大蔵大臣は、今度の税制改革はお年寄りにうんと税金を負担してもらうための改革だと。それではちょっと納得できないんじゃないですか。そのための税制改革だったんですね、今回の改革は。
○国務大臣(宮澤喜一君) 社会が老齢化してまいりますと、どうしても年寄りのことは若い人がしょってくれませんとやっていけないわけでございますから、実はお年寄りが老後を心配なく過ごせるためのそういう仕組みを今からつくっておきたい、こう言っておるわけです。お年寄りからいえばもらうものの方が出すよりも当然多いのでございますから、そういう仕組みをつくっておきたい。
○塩出啓典君 私は、こういう百五十兆円の現実には国の借金があるわけですから、まあ日本の租税負担率は社会保険料等を加えても諸外国から比べてはまだ低い、そういう点でやっぱりある程度の増税はやむを得ない、これはもう与野党共通だと思いますよ。その前にやっぱりやることはある、私はそのように思うんですけれどもね。
 それで、特に行政改革につきまして、総理大臣、非常に行政改革は進んでいない。中央省庁の許認可の権限を地方に分散するとか、そういう意味での本当の行政改革が進んでいないということを自民党の参議院議員で元知事をされた方もちゃんとはっきり新聞に投稿されて言っておるわけですけれども、そういう行政改革についてはどうお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 先ほども申し上げましたように、行政改革は今後とも一貫してやらなきゃいけない。いわゆるむだのない政府、小さい政府、それを目指して片方ではいくべきだ。しかし、社会資本の充実とか公共事業費というものは、今やこういう時代の変化にかんがみまして急な対策として必要である、しかし行政改革をこれで捨てるというわけにはいかぬ、行政改革はあくまでやっていかなければいけない、二刀流だと、そういうふうに申し上げたとおりであります。行政改革については、私は前から、これは三代十年の仕事だと申し上げて、まだ半ばである、そう考えております。
○塩出啓典君 それから今、広く薄くと。確かに日本の国は、一分位から五分位まで所得を比べましても、アメリカに比べて日本は非常に平準化していますね。平準化しているということはいいことじゃないでしょうか。アメリカのように格差のある社会を目指しておるのかどうか、その点はどうなんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカは一対九でございますし、日本は一対二・九でございますから、それはもう平準化しているということは何よりも社会の安定を意味しておりまして、政治としては大変にいわばいい政治の結果であると申し上げることができると思います。これは分化しない方がいいわけでございます。
○塩出啓典君 だから、広く薄くということは、結局今までは収入の高い人がたくさん税金を納めていた。生活保護を受けているとか、そういう収入の低い人は税金を納めなくてよかった。広く薄くということは、結局上を減税して下が増税になる、そういう論理になるんですか。
 私は、これから社会もやっぱりいろいろ費用が要る、所得税だけの増税では限界があるから、そういう点で将来の増税に備えてこれからの負担は、高額所得者も頑張るけれども、青年、収入の低い若い人たちも頑張ってもらいたい、これならわかるわけですけれども、今度の税制改正は上の方を安くして下の方に負担をかける、これではやっぱり国民は納得しないんじゃないでしょうか。その点はどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、塩出委員が実はよく御承知のとおりでございますが、今度私どもは税制改正の一環として所得税の大きな減税をお願いしたいと思っているわけです。その一番大きな減税を受けますのはやはり勤労所得者、年間で八百八十何万まで、そこまでは少なくとも一〇%と一五%のライフステージで二つの税率でいけるという、いわば一番負担の大きいところの方々の軽減をしておるわけでございます。もとより最高税率も下げましたけれども、それでも世界の最高税率の中ではやはり一番高いものを残しておりますから、決して金持ちが不当に優遇されておるというわけではありません。むしろ、現在のような高い税率でございますとほとんど勤労意欲が起こらないということになりますから、その程度では下げておりますけれども、全体としてはやはり勤労所得者、それも中堅までの勤労所得者が優遇をされておる。
 そういうことをいたしました上で、さて税源も必要である、将来の社会も考えますと、現実に所得税を払っておらない人々もいるわけでございますから、そういう人々にも薄い間接税であれば負担をしてもらっていいであろう、こう考えておるわけであります。
○塩出啓典君 これは大蔵省にお尋ねしますが、結局、今回は増減税が一緒だ、こう言われているわけですが、しかし大蔵省の出した資料を見ますとほとんど全部の階層が減税である。その中にはもちろん、法人税の減税が個人に返るという、そういう我々からは相入れない論理を採用している。それを認めたとして、全部が減税になるというのは、それじゃどこが増税になるのか。どこかが増税にならないとどこかが減税にならないわけでしょう。けれども、大蔵省の資料というのはどこを見ても全部減税。これでは一体減税分を負担するのはどこなんですか。あの表に載ってこない、税金を払っていない生活保護とかそういう世帯が負担をするから増減税一緒になるんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それは売上税ででございますね。
○塩出啓典君 全部。
○国務大臣(宮澤喜一君) いや、売上税の中で。国とか市町村が相当の売上税を払いますので、その分だけが違いになってまいります。(「それはおかしいよ」「絶対おかしい」と呼ぶ者あり)
○塩出啓典君 税制の問題はまた次の機会に譲りたいと思います。
 総理に最後に要望しておきますが、いずれにしてもこれを任期中にやろうとかそういうようなことは余り考えない方がいいんじゃないか。これはやはり与野党の合意に任せて、税制改正はもっと長期的な問題ですから、この国会中にやる、そういうようなことは考えるべきではない。その点どうでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 税制改革は施政方針演説でも申し述べさせていただきまして、ぜひやらせていただきたいど念願いたしております。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいまおかしいというお話がありましたので。
 売上税の収入五兆何がしてございますが、そのうち国、市町村が払いますのが二割ございますから、その分だけは、つまり個人から申しますと自分たちの負担でなくて国、市町村の負担でそれで増減税がバランスいたしますから、それが個人からいいますと減税分になる。
○塩出啓典君 それはしかし、その税金は国民がまた払うわけでしょう。そうでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます、それでバランスをしておるわけでございますから。個人が払われました税金でいわば国も市町村も次の税金を払っていくわけですから、全体としてバランスしております。
○塩出啓典君 これはちょっと数学的に合いませんよ。やっぱり我々庶民の家計がどれだけ税金を負担するか、こういうことを問題にしているわけですから。だから、国民だけが減税になってその分は政府が払う、そんなに政府は打ち出の小づちのお金があるんですか。これはちょっとおかしいな。
○国務大臣(宮澤喜一君) 数学的には大変簡単なことでありまして、こちら側に所得税等の減税がございますね、こちら側に売上税等のいわば増税分がございますね。こちらの方のこれ、個人の所得税でございます、あるいは法人税でございます。こちらの方には市町村が入っておりますから、両方がバランスして、しかも市町村の払い分が一兆何がしございますから、その分だけこちらは減税になっている、こういうことを申し上げているわけです。だから、その市町村の税金はまた納税者が払うんだろうと。それはそのとおりでございます。次の段階でそうなります。一つの段階ではこれでちゃんと減税になっている。
○塩出啓典君 それでは最後に健康問題。
 私は、先般の予算委員会で国民の栄養指針の問題を総理大臣に質問をしたことがあります。厚生省も栄養指針をつくっていただいたわけでありますが、特に最近、世界的に未成年の喫煙の増加が教育上のみならず保健の観点からも非常にゆゆしい問題と言われております。
 そこで、文部省は我が国における未成年の喫煙状況、特に学生の状況を掌握しておるのかどうか。
 それと、特にこの未成年の喫煙についてテレビの広告ですね、テレビでアイドルがすぱすぱと吸う、そうすると若者たちは格好よさにつられてついのむ。そういう意味で、世界各国はテレビにおける広告等は規制をしております。私は、当然そういう点も規制をする、自主規制するか、そのような措置をとるべきだと思いますが、そういう点の大蔵大臣のお考えはありますか。両方お伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 最近、中学生、高校生で喫煙者がふえたことを非常に憂慮しております。
 これは、対策といたしまして、まず先生が有害の自覚をきつく持っていただいて生徒を指導していただくということで、手引等をつくりましていろいろやっております。街頭でコインを入れてたばこを売ったりしていますね。私はああいうものもやっぱり一つの刺激だろうと思うたりいたしますし、そしてまた家庭、そういうところでも十分注意していただきたいと思って、とりあえず三年計画で喫煙者を減らすべく、六十一年度からスタートいたしまして再教育をしておるところでございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) これにはいろいろ問題がございますので、御承知のように、社会の動きに余りおくれないように、余り飛び出さないように、よく考えながらやってまいりたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一般的に見て、やはり若い人たちが吸うということはこれは好ましからざることであり、特に学生の皆さんの場合はそうであると思います。そういう意味におきまして、学校教育におきましてもその弊害等について十分徹底するように今後とも督励してまいりたいと思っております。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で塩出啓典君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 午後一時から再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(桧垣徳太郎君) 予算委員会を再開いたします。
 昭和六十二年度総予算三案を一括して議題といたします。
 これより粕谷照美君の質疑を行います。粕谷君。
○粕谷照美君 総理にお伺いをいたします。
 臨教審の答申が第一次、二次、三次と出されました。一次は東京都議選の直前に、二次は参議院衆議院のダブル選挙の直前に、そして今回の第三次答申が地方統一選挙の直前に出されているわけであります。社会党は、このような教育を政治利用するような態度はけしからぬと、こういう批判を出しているわけでありますが、第三次答申は売上税の陰に隠れまして消えたような形になっているわけでありますけれども、この臨教審の答申を一、二、三あわせまして、特に三次答申を中心にして、総理がどのような御見解をお持ちかということについてお伺いをいたします。
 まず最初に、何点ぐらいの点数をつけられますでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 臨教審が非常に精力的に御努力をいただきまして、立派な答申を出していただきましたことに感謝をいたしております。
 内容につきましては、あのときに談話を内閣総理大臣として発表いたしましたが、教育に関する第三次答申につきましては、学校、社会を通ずる評価の多元化等生涯学習体系への移行、あるいは教科書など初等中等教育の改革、あるいは高等教育機関の組織・運営の活性化のための改革、あるいはスポーツと教育、あるいは国際化・情報化などの時代に合うための諸般の積極的な政策等々、非常に立派な答申を出していただきましたことを感謝いたすものでございます。
 臨教審はたしか夏にもう終期を迎えると思いますので、それでこの問答申になり、最終的な答申がまた夏に出るというので、そういう時間的にスケジュールを組んでやったので、別に政治の影響を考えてやったのではないと、そのように確信いたしております。
○粕谷照美君 きのうの総理の俳句じゃありませんけれども、「命の限り蝉しぐれ」の時期に総理がこの最終答申を受けられるということになるのではないかというふうに考えるわけでありますけれども、この答申を今総理がおっしゃったように本当に心の底から評価をしていらっしゃるかどうかという点は私は非常に疑問なわけであります。
 それは、この一月にアドバイザーフレンドリーの会に総理が出られまして、そして、臨教審の答申は内容が乏しい、学生や親の立場に沿った根本的な改革をしてほしいと、そういうことを語ったという報道がなされているわけでありますけれども、そんなことはないわけですね。
○国務大臣(中曽根康弘君) そういうことはございません。
 私は、第一次答申以来臨教審の努力を見守ってまいりまして、非常に積極的にいい答申を出していただいたと高く評価しておるものであり、第三次答申につきましても、あのときのたしか新聞記者さんの御質問に対しては、非常に立派ないい答申だと高く評価した発言をいたしております。
○粕谷照美君 文部大臣にお伺いいたします。
 藤尾前文部大臣の話録というものを私もちょっと集めてみたわけですけれども、臨教審は議論ばっかりしていてだめだ、抽象的に過ぎる感がある、こういうことを言われているわけですけれども、文部大臣はどのように評価をされておりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、従来の教育問題の審議会等におきましては、現場中心で議論をされたものが多かったと思うんですが、今回の臨教審は、社会人という立場から教育制度並びに教育の内容を検討していただいておる面が多いように思っておりまして、その意味におきまして視点の違う意見を多々出していただいておるという点において私は評価いたしております。
○粕谷照美君 しかし文部大臣、総理府の世論調査もあるわけですけれども、国民はこの臨教審に、そういうふうに立派な答申を出してくれたというように思っているか、臨教審の答申が本当に日本の今私たちが悩んでいる問題を解決するような立派な教育改革になるというように思っているかという点については、どうも乖離があるように思われてなりません。その点ではどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私はその総理府の世論調査というものを十分に拝見いたしておりませんが、そもそも教育問題というのは、親たる者、社会人たる者、全部が一応の識見を持ちまた意見を持っておるものでございまして、それが大多数ともに賛成を得るということはなかなか難しいと思うのでございますが、しかしその中に多数意見があるというものは尊重していかなきゃならぬという、こういう姿勢でおります。
○粕谷照美君 私は、教育改革に本当に国民が求めたものは、いじめをなくしてほしい、もっと一人一人よくわかるような勉強ができるような条件をつくってほしい、大学入試に悩まないで済むようなそういう条件をとにかく一生懸命にやってほしい、そういう当面の要求が大きくあったというふうに思うわけであります。その辺のところは十分に解明されていないという、それが不満の大きな原因ではないか、そういうふうに考えますけれども、文部大臣はいかがお考えですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 従来の教育の哲学と申しましょうか、基本的な考え方というのにつきましては、今までは公平、平等、その結果といたしまして画一主義にならざるを得なかったという、こういう弊害が実は出てまいりました。
 一方において、現在求められておりますのは、個性を尊重しろということでございまして、その個性を尊重しろという方向が臨教審から非常に強く出ておりますことを受けまして、先ほど御質問にございますように、やっぱりこれからの個々の教育、個人個人の教育にうんと重点を置いたものをこれから実施しなければならないだろうと、私たちはそういう方針ております。
○粕谷照美君 そう考えていらっしゃるということと、臨教審の答申によってそうなるかどうかということの判断は私とは違うところがあるわけでありますけれども、それでは具体的な問題についてお伺いをいたします。
 総理、教科書問題については随分深い御造詣とそれから長い経験をお持ちでございますが、この教科書の検定制度についてのお考はいかがでございますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 今回の答申の中の一つの重要な部分は教科書の検定制度にあると思いますが、私は一個の前進をした、割合に視野の広い方向に変わってきて、いいのではないかと考えております。
○粕谷照美君 そうしますと、今までの検定の制度は非常に視野が狭かった、こういうふうに考えてよろしいわけですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 粕谷さん御存じのように、まあ何でも御存じでございますが、特にこの問題についてはもうよく御存じで、専門家でございますので。
 今回臨教審の方で教科書検定について明確にいたしましたのは、検定の基準を重点化しろということ、そして簡素化しろということ、それから審査の経過を簡略にしろということ、それからもう一つ非常に大きい問題として、我々考えておりましてぜひ実現いたしたいと思っておりますのは、審査の結果を公表しろということなんであります。この点が非常に私は大きい改革であった、その意味において総理のおっしゃっているように大きい前進があったと私たちは評価しております。
○粕谷照美君 評価をされるということについて私はちょっと申し上げたいと思いますけれども、今までこの文部省の検定の制度について執筆者たちの中から随分厳しい批判が出ておりましたね。そして私どもも、文教委員会の中であるいは予算委員会の中でこの検定制度について批判もしてきたわけです、そして改善を求めてきたわけです。将来的には自由発行、自由採択にするという、その間もまた経過がありますけれども、そういうことについての意見を申し上げてきたわけですが、今まで文部省は頑として聞き入れなかった。
 そこのところに昭和五十七年の問題が起きてきたわけです。外交問題にも発展をしてきました。そのときに文部省は検定基準というものを新しくつくりまして、そしてその検定基準にのっとって今度検定をするんだからそんな問題はもう起こりっこない、そして検定についてのいろいろな公表もやったようであります、二度ほどは。しかし、去年起こりましたね、同じ問題が。この点については文部大臣はそれではどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 昨年の問題というのは、新編日本史のことでございますか。――それを前提といたしますならば、これは手続上は若干異例なことはあったと思うのでございますが、しかしそれは順序が異例になったことでございまして、手続はきちっと段階を踏み、規定のとおり検定したものと思っております。
○粕谷照美君 手続の問題を申し上げているのではないのであります。検定が今まで、何を真ん中にするかは問題といたしまして、とにかく左に厳しく、そして右に甘いではないか、こういうことがこの六十一年度の高校の日本史教科書に出てきたわけでありますね。だから、基準があって、その基準どおりに出ているのだったらこんな問題は起きてこない。その辺はどうなんですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 基準を適用いたしまして最初原稿本を認可したわけでございますが、その後精査をいたしまして、かつまた調査官の中でいろんな議論がございましたことを踏んまえて一部修正さし、そして合格とした次第です。
○粕谷照美君 一部修正をしなんと言うけれども、一部どころの話ではなかった、随分たくさんあったわけですね。
 それでお伺いをしたいのは、今回のこの臨教審答申というものを簡単に、今までとどこが違うのか、先ほど文部大臣が御答弁をされましたのでわかりますけれども、ちょっと文部省の方で説明してください。
○政府委員(西崎清久君) 先生御指摘のこのたびの臨教審答申の内容でございますが、要点を申し上げますと、まず教科書検定に関しましては、ただいま大臣から申し上げましたように、検定基準の見直し、重点化・簡素化を図る。それからもう一つは、原稿本、内閣本、見本本による三段階審査を一本化する。それから第三点が公開の問題。それ以外に申し上げますと、やはり審議会等の構成の問題、検定周期の問題、以上が検定の問題でございます。
 それから次に大きな問題として、著作・編集、採択・供給の問題がございます。やはり教科書会社が責任を持って編集をし著作をするというふうな点について従来以上に改善を図るべきではないか。あるいは採択組織・手続、採択理由の周知などについてもこれをより以上に改善をすべきではないかというのが第二点でございます。
 第三点としては、無償措置に関する提言がございます。
 以上でございます。
○粕谷照美君 文部大臣、今度の新しい検定制度、確定したわけじゃありませんけれども、この答申についてこれからもっと詰めていかれるのだと思いますけれども、基本的な理念というのがどこにあるかよくわからないわけであります。編集責任者の創意工夫を生かす自由の保障になるのか、文部省の検定権というものを聖域化した規制の強化になるのか、この辺はどういうふうに理解をしていらっしゃいますか。
○政府委員(西崎清久君) このたびの答申の内容の私どもの理解といたしましては、文部大臣の検定権そのものの基本は維持する、しかしその検定の権限の行使に当たっての手続の問題、その手続の中に含まれます著作者あるいは会社、編集者の役割、それから採択その他の手続、いろいろな点での改善の方途が示されているというふうに考えておりますので、基本のところの文部大臣の検定権そのものについては従来どおりの考え方である、こういう理解をいたしておるわけでございます。
○粕谷照美君 検定経過の公表を答申している、それがやや前進というようにお考えになっているかもしれませんけれども、「適当な方法」というだけでは、また検定を行う側の都合で適当に措置をされるということになるのではないか、私たちはそういうふうに思っております。公開という以上は、検定を受ける側の求めに応ずると、こう理解をしてよろしゅうございますか。
○政府委員(西崎清久君) 先生御指摘のとおり、答申自体は公開の具体的な方法には触れておられないわけでございます。その点につきましては政府、文部省としていろいろこれから検討をいたさねばならないわけでございますが、従来公開を原則といたしておりませんのは、やはり著作者側の立場、編集の会社側の立場、それから修正権等、調査官との具体的なやりとりがございますので、一々のやりとりその他も含めて公開することについては問題がある、こういうふうな考え方で来たわけでございます。
 しかし、このたびの答申をいただきましたので、その公開の方法につきましては私どもこれから十分検討いたしまして、具体的な適切なやり方というものを見定めまして実施に移したい、こういうふうに考えております。
○粕谷照美君 今までのやり方を反省してこれから検討して実施に移していきたい、このことは了解をいたしました。ぜひ検定を受ける側の求めに応じてきちんと公開をすべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 それで、この合否の判定を総合的、大局的観点から行う、そして文部大臣の権限でこれが行われるわけでありますが、一方的に基準化してしまうおそれがあるのではないか、こんな心配があってなりません。昨年の文部大臣罷免などということとも絡まり合いまして、私どもは非常におそれを持っているわけであります。新しい制度が自由の保障を基本に置いた改革であるならば、制度運用の民主化は非常に重要な問題であると思いますが、この点の論議は十分に行われたのでしょうか。
○政府委員(西崎清久君) ただいま御質疑の点で臨教審におきまして論議が十分行われたかどうかは、具体的に私どもは審議の場に参画しておりませんので十分承知しておらないわけでございますが、答申の内容から私どもが判断いたしまするに、やはり文部大臣が教科書検定の権限を行使するに際しましては、検定基準に基づいて権限の行使を行う。そしてその検定基準自体については、臨教審答申におきまして重点化・簡素化というふうな御提案があるわけでございますから、その点についての検定基準の改定をいたしまして、趣旨に沿った文部大臣の権限行使を行うというふうに相努めてまいりたいというふうに考えております。
○粕谷照美君 あなた、十分にそこに参画をしていないから答えられないという立場で、何で答弁に立たれるんですか。
○政府委員(齋藤諦淳君) 審議会の事務局の立場から答えさせていただきます。
 教科書検定につきましては、多様化、因性化、そういうことを図るためにいろいろ改革すべきである、こういう議論でございました。その際に、検定基準を簡素化、重点化することによって著作者等の自発性をできるだけ引き出すようにすべきである、こういう考え方がございました。
 それから検定はもちろん文部大臣の権限でございますが、その際に審議会の答申に基づいて検定の結果を決めるようにという、こういうこともあえて書かれておるわけでございます。なお、従来の教科書調査官制度につきましても十分検討をするようにと、こういうようなことで教科書検定の適切が期されるように、そういうことが種々議論されたところでございます。
○粕谷照美君 この制度の運用の民主化が非常に重要な問題であるというふうに思いますので、この点の論議が十分に行われたのかどうかということは大変私たちは気になるところであります。行われていないのではないか、こんな感じがしてならないわけであります。
 文部大臣も御存じだと思いますけれども、文教委員会におきまして、臨教審の一委員が会長に不信を申し出る文書をメンバーの皆さんに送りつけていたということが発表になりました。公の新聞に載っているわけでありますから私どもはそれは事実だというふうに思うわけでありますけれども、文部省、これを十分に調査するようにという理事会からの話だったんですが、その後調査して、どうなりましたでしょうか。
○政府委員(齋藤諦淳君) 臨教審事務局でこの点について調査をしたわけでございますが、この点については、その手紙を出されたというその方本人が、私信のことであるので出したとも出さないとも、そのことは控えさしていただきたいという、こういう結果でございました。そういうことでございますので、私どもとしては、そういう調査になったということに従って処理をさしていただいているところでございます。
○粕谷照美君 その私信がどうしてマスコミに流れたのか、その辺はわからないわけでありますけれども、その中を拝見してみますと、文部省の態度についていろんなことを言っているわけであります。そして、この辺については随分強い意見があるというふうに思うわけでありますけれども、文部大臣はこういう中身は御存じないですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私はその現場におりませんけれども、しかしその特定されておる先生と私と十分に話し合いました。その結果といたしまして、臨教審第三次答申の報告の中に盛られておりますことは、ちょっとえらいかた苦しいけれども、文言で読みますと、教科書の質の向上と多様性、中立・公正を重視する新しい検定制度への改善を図る、こういうことになっておるんです。
 ところで、これは非常に抽象的でございますので、その中身をさらに括弧書きにいたしまして、総合的大局的観点からの検定基準の重点化・簡素化、これは先ほど私が申し上げたところでございます。そして審査手続、この三段階の一本化、つまり製作供給等でございますが、これの一本化、結果の公開、それから審議会、教科書調査官の制度と構成の見直し、これを括弧書きに入れまして、結局、粕谷さんの一番心配しておられる公開の、あるいは教科書調査官の調査の運用の問題等につきまして、これを制度と構成の見直しということを検討するように我々いたしておるわけでございまして、こういうことを通じまして教科書がより活発に、そして時代のニーズを取り入れやすいようにいたしたいと思っております。
○粕谷照美君 総理、どうお考えですか。今までのこの質疑討論を聞いてきて、やっぱり最終的には教科書の検定制度というのは廃止をするという方向に行くのが正しいと思われませんですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) やはり第三次答申で示された内容を充実して実行することがいいのではないかと思います。
○粕谷照美君 その点は私と、というよりは社会党の方針と全然違うわけでありますけれども、私どもも、将来的には廃止をするとしても、今すぐ廃止をしてよろしいというわけではありません。当面は行政機関から独立をした機関を設定して、教科書の内容や表現について専門的な示唆助言を行うものに変えていくべきであろう、こういう考え方を持っているということを申し上げておきたいと思います。あとは文教委員会の討論に移しまして、次に大学入試に入ります。
 今回の複数受験の大学入試、総理、どんなふうにごらんになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私は、受験生になるたけチャンスを与えてやった方がよろしい、一回しか受験できないというのではかわいそうだから、二回、三回受験できるように、できるだけ大学の皆さんにも御協力を求めてやった方がいいと、そういうことを言っておったこと。それから、いわゆる共通一次テストというものにあまりとらわれないで、大学自体ができるだけ自由に本人の能力を調べる。しかもマークシート方式のようなやり方はなるたけやめて、本人の多様的な能力をよく把握してあげる。先生は少し汗を流すかもしれませんが、それは生徒にとっては一生一回の大変な大事な時期なんだから、先生の方も汗を流して協力してくださいと、そういう趣旨のことを私言ってまいったものですから、今回、二回ないし三回受験が国立大学について可能になったという点は大きな前進で、これは変えない方がいいだろうと私は思っております。
 それから、ただ試験につきまして、そういう関係から応募人員の問題が出てきました。しかし、これは補欠試験を何回かやればそれはカバーできるので、やはり生徒たちが何回も受けられるという、このとうといチャンスを与えるということにはかえられないものではないだろうか。ただ、一面言われるのは、勉強のできる、試験勉強をうんとしている子は割合チャンスがあって受かるけれども、そうでない子は受からなくなる、足切りが出てくる、そういう点はこれは一つの問題点ではございますね。こういう問題をどういうふうに改革、改良していくかという問題は出てきていると思います。
○粕谷照美君 総理は続けていくとおっしゃったけれども、あと二回だけですよね。その次は、六十五年からは共通テストに入ると思います。総理のお考えも入れまして、それを受けなくても入れるような条件がつくられるような原案が今討議をされておるわけでありますけれども。
 文部大臣は今回のテストをどんなふうにごらんになりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、総論的に申しまして、いい方向に向かっておると思っております。そして何よりも学生が、今まで一発勝負でございました場合には受験テクニックに走り過ぎておった。しかし今回は自分で学校を選び得るということになりまして、勉強のあり方も多少は変わってきたように私は聞いておるのでございます。
 それと同時に、複数制に踏み切りましたことから、その結果として出てまいりましたのは、国立大学の各大学がお互いの評価というものを、受験生を通じて間接的に評価が出てきておるのではないか。こういう点につきましても、つまり学生はどの大学のどの学部を重点に選んでおるかということを一つは判断をする材料を提供してくれたように思っておりまして、これからの大学政策の、高等教育政策の中にありまして一つの大きい私は示唆を得たと思っております。
○粕谷照美君 文部省としては、国大協はうまくいったと言っていますけれども、一切うまくいったというふうに考えておりますでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) まだ一般の方々は、この制度が従前と違うものでございますので、正確な評価は出てきておらないように思っております。
 ただ私は、今回のこの入試の改革を通じて感じますことは、やはり受験生にもう少し丁寧で広い情報を提供してやる必要があるのではないか。もしこの制度に欠陥があるとするならば、いろいろ欠陥はございましょうが、そのうち改めなければならぬ最大の欠陥は、情報提供の方を怠っておった、この点を十分に補足するならば、この制度を改善しながら続けるべきだと私は思っております。
○粕谷照美君 今の情報提供については私はもう全く同感でありますけれども、今回十万人も足切りが出てきた。一人一万一千円として十億近いお金が国庫に入ってきているわけですね。この辺のところを、返してくれというのも、いろいろな意見があるわけでありますけれども、来年はこんなことがないような条件がひとつできるかどうか。
 それとあわせまして、大変な定員オーバーをしたところがあるわけでありますけれども、この辺のところと、追加合格の問題ですね。私立大学に勉強もしないのに授業料まで納められて、お金を捨ててしまうというような生徒が大勢出てきている。親たちも大変なわけですけれども、この辺についての改善も来年度は行われるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) その点、三点につきまして何らかの改善を図っていきたいと思っております。
○粕谷照美君 大学の入試もさることながら、親たちが一番今困っているのは高校入試だというふうに思うわけであります。高校入試の複数受験というものが主張されているわけです。大学入試の複数受験でもこれだけ大変な問題が出てきているわけであります。高校入試は、もう中学生の九四%が進学をするわけですね。同じようなことの提起というものを文部大臣としてはどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) この問題につきましては、大学入試の複数化というのをことしから実施したところでございまして、このテクニックをもっと完全なものにしていく必要がある、テクニックというのは行政的テクニックということですが、していく必要があると私は思っております。でございますから、直ちに高校の複数制に踏み切るということはちょっと至難な段階だと思っております。がしかし、その声が非常に高い。つまり、今の若い人、学生たちは自分でチャレンジする精神は非常に強いものでございますから、チャレンジの機会をふやせということから高校にもこの問題が浸透してきたと思うのでございますが、目下、都道府県の教育委員会の中で検討をされておる県もあるということを聞いておりますが、文部省としてはこの問題につきましては何らまだ指導はいたしておりません。
○粕谷照美君 私は、高校入試というのは試験をどうのこうのするということよりも、もっと基本的には全員が希望する高校に入学できるような条件をつくることだ、こういうふうに考えておりますので、複数受験などということについて文部大臣が今考えていないということについては賛成をいたします。
 次に、教育予算の問題に入ります。
 中曽根内閣になって、財政的に条件が悪いということもありますが、教育予算の国の予算に対する比率というのがどんどんどんどん減っているわけでありますけれども、現状はどのように分析をしておりますでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) いろんな分析の方法があると思うのでございますが、今、義務教育に対しまして国と自治体との負担というものが逐年その格差が開いてまいります。
 具体的に申しますと、十年前と六十二年度を比べてまいりますと地方に相当な負担がかかってきておるということが明確に出てきております。六十二年度について申しますと、地方自治体が負担しております義務教育に関する分だけを見ましたら、約九兆円近くになるのではないかと思っております。それに対しまして国の方は三兆少しでございまして、その比率から申しまして一対三の比率に開いてきておるということ、このことについては我々も今後の予算折衝で十分心していきたいと思っておりまして、何とか国の負担の制度を堅持していきたい、こう思っておるところであります。
○粕谷照美君 少し先の方に御答弁が行っちゃったような感じがしてならないんですが、臨教審は概要その四でこういうことを言っているわけですね。国の一般会計予算全体の八・五%、これどんどんどんどん比率が下がってきていて、もう今や八・五%である。それから構造の特色は、義務教育関連費を中心に人件費のウエートが年々高まって硬直的な性格を持ってきている。こういうふうに言っているわけですが、大蔵大臣、人件費が予算の七五%も占めるというような省庁はどこかほかにありますでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ほかにということをつまびらかにいたしませんが、確かに非常に大きなウエートを持ってきておりまして、それがいわば硬直性というふうに言われる程度になっておるということは私も存じております。
○粕谷照美君 ほかにないということがおわかりだというふうに思っておりますので、文部大臣にお伺いしますけれども、答申をこう受けますよね、そうすると教育改革には予算というものが必要だというふうに思うわけであります。こんな硬直した状況の中で、文教行政というのは、教育改革というのはできるものでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) これは非常に困った答弁になるのでございますが、実は非常に難しいと思っております。でございますから、まず私たちは重点的投資ということを考えなけりゃいかぬということが一つ。それと、まず第一にパイを大きくしてもらいたいというので、文教関係予算の総額をできるだけ拡大していただくように当局と当たっていきたいと思っております。
○粕谷照美君 確かに、教育改革を推進していくためには、現在の文教シーリング枠を一律に教育関係予算に当てはめることではなく、必要な予算額が確保されなければならないと文部大臣は談話を発表していらっしゃるわけです。私は当然だと思うんですけれども、総理大臣の見解をお伺いします。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は第三次答申を受けましてそういう談話を発表いたしました。間違いございませんで、それはぜひ努力していきたいと思っております。
○粕谷照美君 大蔵大臣、文部大臣のこの談話いかがお受け取りになりますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 何分にも限られた財政の枠でございますものですから、いろいろ御不自由をおかけしていると思います。よく文部大臣のお話も伺っていかなければならないと思っております。
○粕谷照美君 文部大臣おっしゃるの当然だというふうに私は思うんですけれども、少し臨教審の答申がどうなっているかということについてお話ししますと、臨教審はこう言っているわけです。「資金の重点的・効率的配分に努めつつ、国家財政全般との関連において、適切な財政措置を講じていく必要がある」。私はこれが読み取れないんですけれども、文部大臣はどのようにお読みになっていますか。これは、教育は重要である、財政上にも特別の措置をしなさい、こういうふうに書いているんでしょうか。国の財政事情によってカットしても構わない、こういうふうに言っていると思いますでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 重点的に配分しろというふうに私は解釈しております。
○粕谷照美君 文部大臣の解釈というのはどうも正確に、私は共通一次やったら合わないのじゃないかというふうに思っているんですけれども。
 それでは次にお伺いしますけれども、とにかく今内需拡大の問題が大変であります。文教に関する内需拡大を文部大臣はどのようにお考えですか。例えば午前中にいろんなお話がありました。経企庁長官、住宅ローンの利子をもう全額控除するなんて、こんな夢みたいなことでもよろしいですから、お考えになっていることを発表していただきたい。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は大蔵大臣並びに総理にもこれから御認識していただいてお願いしたいと思っていることがございますが、それは内需拡大というよりも、輸入促進とあわせまして研究資材、特に学術図書でございますが、これが実は我が国の大学の輸入量というものが非常に少ないんです。一方、学術研究の図書並びに雑誌というものは逐年膨大な数がふえておるにかかわらず、これを購入する資金が非常に少ない。この分は直接輸入につながりますので、しかも国の、日本としても学術振興になるのでぜひこういうものをやっていきたい、今度の補正でお願いしたいと思っております。
 それともう一つ、内需拡大に関しまして、実は学校の増改築というのは、あるいは附属病院の増改築は公共事業には組み入れられておりませんけれども、まさに公共的事業ではなかろうかと思っております。その意味において、学校の増改築、特に附属病院の改修でございますか修繕、改修、こういうふうなものが随分とおくれてきておりますので、こういうものこそ土地も要らない、もうすぐに手がつく、そして多くの業者がこれに参画する、波及効果が非常に大きいということを思いますので、もし補正予算をお組みになる段階になりました場合には、私たちはこれを最重点事項としてやっていきたい、こう思っております。
○粕谷照美君 その具体的なお答えはまだできないだろうというふうに思いますけれども、今の文部大臣の御答弁を大蔵大臣、しかと胸の中におさめていただいて、予算編成のときには頑張っていただきたいと思います。
 それで、内需拡大ということになるのかどうかわからないんですけれども、今アメリカの大学が日本に分校をつくるというようなことで、百十四の大学がどんどん申し込みをしているということについて、情報を御存じだと思いますが、文部大臣、一体どのようにお考えになっていますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 直接文部省の方に設置の申し出とか、あるいは公的な手続等をとっておるところはいまだ聞いておりません。がしかし、民間の団体、特に学校法人などと話し合いをしておるのは聞いております。しかし、日本におきます私学の制度、学校制度全体についてまだ十分にアメリカの方も研究し尽くしておらないと私は思っております。
 それと同時に、日本におきます需要の調査も、アメリカの大学の方がやっておりますのは、いろんな専門的な面において、例えばビジネス学校である場合はどうだとか、あるいは英語の話学の教習の場合はどうだとかいう、そういう専門的な観点に立っての調査をしておられるようでございまして、分校としての大学を設置し、そこにおけるカリキュラムをどう組むかというような点における調査はまだそこまでいってないように思っております。でございますから、いろいろと具体的に公的に申し入れがございましたら私たちも話し合いをいたしたいと思っておりますが、しかし、それよりも現在の私立大学の育成と、それに関連いたしましてアメリカの分校をどう扱うかということ、この関連は絶えず注意をして考えなければならない問題であると思っております。
○粕谷照美君 自治体等でもう具体的に勧誘の動きがあるわけでありますから、具体的にこの協議が進んでいるわけであります。文部省がこれを本当に設置認可するということになりますと相当のお金が必要になりますね、私学助成も入ってくるわけでありますから。その辺はどんなふうに考えていますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) その地方自治体で候補地には挙がっておりますけれども、その地方自治体と学校との間でまだ内容の詰めのところまでいっておらないと思っております。
 その内容の詰めの一番重要な段階は何かといいましたら土地の問題でございますが、この問題につきましては、その自治体とアメリカの学校側との話がまとまったという話はまだ私たちは聞いておりません。そういう初歩的なことがまだまとまっておりませんので、私たちは関心を持ってこれを見守っておるという段階でございます。
○粕谷照美君 これは早く自治省と連絡をとってみる必要があるんじゃないんですか。終わってから文部省が乗り出したって困るんじゃないんでしょうかね。大体教育が、輸出対象とか、何というんですか、円高、内需拡大とか貿易の摩擦解消なんという観点で見られるということ自体に非常に私は問題を感じるわけでありますけれども、自治省は自治体が用地を無償で供与するというようなことについては別に御異存ないわけでありますか。
○国務大臣(葉梨信行君) 地方公共団体が外国の大学等高等教育機関を誘致するために財政援助を講ずることにつきましては、地方財政上の見地からは、国内の私立大学等の高等教育機関の誘致に準じて取り扱うべきものと考えているところでございます。地方公共団体がこのような国内また外国の大学等の高等教育機関の立地を強く要望し、働きかけておりますことにつきましては、これは地域の活性化とかあるいは国際交流の促進等を考える、そういう見地からであろうと見ておるところでございます。
 自治省といたしましては、そのために財政援助を行おうとしました場合には、過度の誘致競争によりまして多大な財政負担とならないようにすること、また誘致目的にかんがみ、適切な補助とか寄附等の範囲や条件等をはっきりさせておくこと等について留意をして行っていかなければならない、こう考えているところでございます。
○粕谷照美君 今の自治大臣の御答弁は、大学として認められた場合の対策ではないかというふうに思いますけれども、各種学校というふうに認めてもそのようなことについて了解をされるのですか。文部省は、この大学について、大学というふうに認めていく条件があるというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(阿部充夫君) お答えをいたします。
 現在の我が国の制度におきましては、設置をしようとする者が外国人であっても、あるいは外国語で教育を行うということであっても、一般的な認可の条件に当たっておれば学校法人として認可をすることが可能でございますけれども、ただ、今伝えられているケースにつきましては、その関係者の方から、大学として認可を受けるということを予定してないという話を当初から聞いておるわけでございます。今後どういう形になってくるかということはまだまだこれからでございますので、その状況等を見ながら文部省としての対応は考えたい、かように思っております。
○政府委員(矢野浩一郎君) 地方自治体において外国の大学等、まあ分校というような名称を用いるものが多いようでございますが、そういったものの誘致を働きかけておるところがかなりあるということは、先ほど大臣もお答え申し上げたところでございます。ただ、もちろんこれは我が国の教育制度にのっとった形での設立がなされるということはこれは当然のことでございます。仮にそういったような場合に、それが大学という形によるのかあるいはそれ以外の学校という形によるのか、これはいずれにいたしましても、先ほど大臣がお答え申し上げましたように、私立の学校というものに対する地方自治体の政策的判断による財政援助ということになろうかと思います。その場合には地方財政の観点からは節度を持ったやり方をしなければならない。過度の誘致競争等によって自治体の財政自身に大きな影響を与えるというようなことがあってはならないという考え方を自治省としては持っておるところでございます。
○粕谷照美君 これから生徒の数がどんどん減っていくわけであります、ことしなんかは多いですけれども。そういう時代になってこういう学校がつくられていくということについての心配なども多々これあるところでありますから、十分に研究をしていただきたいということを要望しておきます。
 次に、四十人学級と定数改善増の問題について伺います。
 行き届いた教育の実現を目指して発足した四十人学級と、定数改善計画十二カ年計画のうちの八年間が過ぎたわけですけれども、この進捗率はどうなっておりますか。
○政府委員(加戸守行君) 昭和五十五年からスタートしました教職員定数改善計画、八年目を迎えているわけでございますが、現在までに、六十一年度までの達成率といたしましては、この改善計画全体の一九・六%でございます。なお六十二年度予算案におきましては一応達成率が三〇%になる数字を想定いたしております。
○粕谷照美君 もう少し詳しく。極端に低い達成率のところがありますね、これはどこですか。
○政府委員(加戸守行君) 種別的に言いますと、学校の教員とかあるいは養護教諭、学校栄養職員、事務職員あるいは特殊教育諸学校の職員といった形の分類をいたしておりますが、達成率の一番低いのが事務職員でございまして、六十一年度までの達成率は一四・六%でございます。
○粕谷照美君 非常に低い進捗率なんですけれども、これは六十六年までにやってしまわなきゃならないんですね。大体、計画なんと言いますから何か目標みたいに思いますけれども、これは計画ではなくて法律ではないかというふうに思いますが、どうでしょう。
○政府委員(加戸守行君) 先生御承知のように、この定数改善計画の中におきましては、昭和五十七、五十八、五十九、三カ年間臨時特例法によりまして一種の抑制措置が講ぜられました。そういった関係もございまして進捗状況がおくれているわけでございます。
 なお、今後あと六十二年から六十六年にかけまして五カ年間に相当数の児童生徒数の減少が見込まれ、またそれに伴います教職員定数の自然減もございます。そういった余地を十分活用しながら当初の目的に向かって努力を続けたいと考えておる次第でございます。
○粕谷照美君 これが計画されたときには大体初任者研修などということはなかった時代のものであります。それが突如として研修代替の中に初任者研を押し込んでくるなんということは、もう私は許されないことだというふうに思うわけであります。これ試行するなら試行するでまた別の考え方があったのではないか、こういうことも思うわけですが、きょうはそれには触れません。
 これについて文部大臣にお伺いしますけれども、臨教審がこう言っているわけですね。当面は四十人学級実施を含む改善率の計画の円滑な実施に努めること。これは六十六年までに確実にやりますと断言できますか。そしてその次に臨教審は、この完成後さらに改善を図るというわけでありますから、欧米主要国における児童生徒数の比率などを目標として改善増を図るのですから、三十五人とか三十人とか、一クラスの人数は減らしていくという方向で文部大臣もお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) まだ一部で四十人学級が実施されてないところすらあるわけでございますから、まず確実に四十人学級の計画を達成するというところに目標を置いておるものでございまして、三十五人学級とかそういうことはまだ考えておりませんが、とにかく四十人学級を達成するという目標に向かっておるということでございます。
○粕谷照美君 そのことは当然の話でありまして、別に臨教審に言われなくてもやらなければならないことだというふうに思います。
 総理大臣、この臨教審の答申を大事にしますというのですけれども、今臨教審は、私が申し上げましたように欧米主要国における教員と児童生徒数の比率を目標としつつさらに改善を図るというところはどのように受けとめられますでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 四十人学級につきましては、既定の計画がございますからこれをやはり推進するということ、あるいは教室内のいろいろな施設等々につきましても、厳しい中にありましてもできるだけ財政的な面倒を見させていただくように努力いたしたいと思います。
○粕谷照美君 改善を図るということについてどうかという私は質問をしたわけでありますけれども、非常に消極的だということがよくわかりました。
 次に、義務教育国庫負担制度についてお伺いをいたしますけれども、大正七年に制度化されたこのあれが種々の変遷を経て現行に至っているわけでありますけれども、この法律の持っている理念や沿革、果たしてきた役割に対する見解を文部大臣、そしてその次に総理大臣、そして大蔵大臣の順にお伺いいたします。
○国務大臣(塩川正十郎君) 厳しい財政の中ではございましたけれども、六十二年度におきましてもこの制度を維持してまいりましたし、財政当局の御理解があったと思っております。今後におきましても国庫負担制度は堅持してまいりたいと思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) できるだけそのように努力をいたしたいと考えております。
○国務大臣(中曽根康弘君) 義務教育国庫負担制度は戦争前からずっと行われている制度で、日本の義務教育水準を高めるのに私はかなり貢献しているのではないかと思います。今後におきましても、厳しい財政の中でできるだけ国家としての責任を果たすように努力してまいりたいと思います。
○粕谷照美君 今の総理のお答えを聞いて、大蔵大臣、努力したいだけでは終わらないのじゃないんですか。これはやっぱり堅持をしていくということが大事なんだと思いますけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的にはそのとおりでございます。
○粕谷照美君 ところが大蔵省、時々学校事務職員と栄養職員を外したらどうだなんというようなことをアドバルーンを上げるんですね、あのシーリングの時期になりますと。ことしはやりませんね。
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十二年度予算編成においてはいたしませんでした。
○粕谷照美君 昨年の話ですよね。そうすると、ことしそういうことについてのアドバルーンを上げませんね、こう言って聞いているわけです。つまり来年度予算について。
○国務大臣(宮澤喜一君) 六十三年度予算編成につきましては、まだほとんど準備を進めておりませんものでございますから、今から何とも実は申し上げかねる、正直を申しますと。お尋ねがありましたものですからちょっと寝た子が起きたような感じになりましたのですが、まだ何とも申し上げかねます。
○粕谷照美君 文部大臣もそういうふうにおっしゃっているんです。総理も今までのこの制度のことを高く評価をしていらっしゃるわけであります、持たなきゃいけない、こういうふうに言っておりますので。質問をするとどうも答弁がよろしくないわけですから、よく私の言うことを聞いておいていただいてきちんと、変なアドバルーンを上げないようにお願いをしたいと思います。
 特になぜそういうことを言うかといいますと、これは義務教育の水準を維持するのに非常に重大な役割を果たしてきた、こういうわけでしょう。ところが教材費が外されましたね。外されたところが、前の文部大臣は、もう絶対に市町村長さんはそんな教材費を減らすなんということをしないんだと言いますけれども、私の集めた資料によりますとやっぱり減っているんですよね、すごく。それから旅費が去年外されましたね。そうしたら、校長先生方の全連小の調査によりますと、出張や研修にも大変な影響が出る、こういうことを言っているわけであります。その辺は十分心に置いていただきたいと思います。自治大臣、この点についてはどのようにお考えですか。
○政府委員(矢野浩一郎君) 大変厳しい国家財政の状況の中で、義務教育の国庫負担制度の中の御指摘のような旅費、教材費、昭和六十年度にこれは一般財源化をされたわけでございます。この旅費、教材費の問題につきましては、自治省としては地方交付税の算定を通じまして財源的には的確に措置をするようにいたしておるところでございます。ただ、もちろん一般財源化されたわけでございますから、地方自治体がそれぞれの自主的な判断においてその所要額を予算に計上するという形になっておることは、これはいわば当然のことでございまして、各地方自治体も教育のレベルを落とすことのないようそれなりに的確な判断をして予算を計上しておるものと考えておりますし、私どももそのようにあるべきだ、このように思っております。
○粕谷照美君 それはもう全然話になりません。実態を私は言っているわけでありますから、きちんとあなたの方も答弁する以上は責任を持って、こういうふうになっていますから全然レベルは下がっていませんということでやっていただかないと困ります。
 そういう意味で臨教審は非常に不思議な答申をしているわけです。「国と地方の費用負担の在り方の見直しについて大胆かつ細心な検討を行う必要がある。」としている。この「大胆かつ細心」というのは一体どういうことなんだろう。文部大臣はどのようにお考えですか。
○政府委員(齋藤諦淳君) 臨教審の内部で議論されておりましたときには、要するに歴史的な経緯があるけれども、経済社会の情勢の変化というものについては大胆に考慮しなきゃならないという、こういう議論がよくなされたわけでございます。しかし他方、臨教審の内部におきましては、同時に教育というものは大事であるからそれの水準というものを落とさないようにいろいろ考えるべきであるという、そういう非常に慎重な意見もあったわけでございまして、そういう両者の意見を含めて「大胆かつ細心」、こういうように述べられたのではないか、こう推測しているわけでございます。
○粕谷照美君 総理、私がお伺いをしたのは、国民が臨教審に対して期待するかどうかということですね。こういう実にわかりづらい、教育改革をやるには金が要るのか要らないのか、カットしてもいいのかというようなことについて、明確なわかるような言葉を使っていない。それから、今のでも何が大胆で何が細心だか答弁を聞けば聞くほどわからないようなこういう答弁のあり方について、総理は非常に立派に答申を出されているとおっしゃったけれども、やっぱり今でもそういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 私の解釈では、前進せよ、しかし注意深くやりなさい、大蔵省もおりますよ、そういうような意味も言外に含まれているのではないかと思います。
○粕谷照美君 しかし、制度から外すというのはこれは悪いことですから、悪い法律なら別ですけれども、その辺はきちっと御答弁をいただきたいと思います。
 では、これ内部を余り詰めていますと時間がありませんので、秋季入学の問題に入ります。
 この臨教審答申の一つの目玉と言われている秋季入学でありますけれども、非常に強い調子でやろうというような感じがしてなりません、答申を見ますと。文部大臣、これどういうふうに受け取っていらっしゃいますか。これ秋季入学の方がいいという前提に立っているような答申だとお考えですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 秋季入学は、国際化社会へ日本が参加するについて文教制度もそれに歩調を合わせていくということになるならば、学校入学は秋がいいのではないか、こういうところから発想されたのでございまして、まだ臨教審で結論が出たわけではございません。
 しかし百花繚乱、いろんな意見が出てきております。しかし、文部省としては、これはただ単に教育の制度だけではなくして財政的にもちょっと負担が大きいような感じがいたしておりますので、いずれ日本が国際化に伴って、あるいはまた夏休みを有効利用するという点から見ましても、秋入学へのテンポは速まるのではないかと私は思うのでございますが、現在の時点において、ここ数年の間においてはその実現は、財政上の点から見ても、あるいはまた制度の大胆な切りかえを準備するに必要な期間というものを見込みました場合に、ここしばらくの間は難しいように思っておるのでございます。しかし、臨教審の方でその結論が出ました場合には、その結論を尊重してそれの準備もいたさなければならぬと思っております。しかし、まだ臨教審における議論の最中でございますので、立ち入って私が決定的な意見を申し上げるのは差し控えさしていただきたいと思います。
○粕谷照美君 総理は秋季入学についてどのようなお考えをお持ちですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 大体文部大臣と同じ考えております。
○粕谷照美君 文部大臣、この答申はやっぱり九月入学をやりたい、やらなきゃいけない、こういうふうになっているというふうに判断できませんか。特にこの問題について委員会が設けられて、五人中四人が推進論の人になっている。非常に偏っていますね。やるということが前提なんです。総理大臣の直属のこの審議会のときでないとこんな意見なんか出せない、どうもそういうような気迫が感じられてならないわけでありますが、何も今やるなんていう必要は私どもは認めないわけですけれども、文部省のお考えも同じというふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(齋藤諦淳君) 臨教審の答申の考え方にかかわる部分がございましたので私の立場から御説明をさしていただきますが、確かに秋季入学に意義を認める委員さんも多いわけでありまして、なぜ意義を認めるかといいますと、生涯学習体系への移行ということで、夏休みをできるだけ学校から離れて親なり社会で伸び伸びと育つ、あるいは別の考え方、別のプリンシプルで子供が成長するという点がいいではないかとか、それからなお、今も話がありました国際化ということで、六〇%以上がやはり九月入学あるいは十月入学になっておる、こういう事情とか、それから合理的な学年暦というのがございますが、今、入学試験でありますとか卒業式でありますとか、あるいは入学式でありますとか先生方の年間計画の準備でありますとか、これが三月の末から四月の初めの非常に忙しい最中になされておる、そこを夏休みを利用すればもう少し体系的にできるのではないか、こういうような考え方もあったりいたします。
 そういうような意味で非常にいい点があるという考え方が臨教審の中では非常に強いわけでありますけれども、他方、やはり夏休みは学校が生徒指導ということで教育指導を行っているから、日本の場合にはいろいろ問題はあるけれども成果を上げているのではないか、こういうような考え方も強いわけでございますし、それから社会の受け皿というものを現実に考えてみた場合に、そういう受け皿というものが十分整備されないで子供をほうり出すということは一体いかがなものであろうかという、そういうような考え方もあります。なお、財政上の負担も非常に過大であるという、こういう問題があったりいたしまして、そういう長所を考えながら、なおやはり現実に問題があるというそういうような考え方で、臨教審といたしましては非常に慎重に審議をしているという状況でございます。
 説明させていただきました。
○粕谷照美君 臨教審、ここまでやる以上は試算をやっているわけですよね。予算は大体どのくらい必要と計算をしておりますか。
○政府委員(齋藤諦淳君) やり方、あるいはその試算の根拠によりまして若干の差異はあるわけでございますけれども、全学年完成に至るまで、「審議経過の概要」では約一兆八千億円という数字を出しております。なお、この数字はしかし「審議経過の概要」で固まったものではありませんので、答申の後におきましてもまたいろんな形で試算がなされているという、こういう状況でございます。
○粕谷照美君 臨教審の考え方はわかりました。
 それで文部大臣がどう考えるかということがもう一つ私にははっきりしないんですけれども、学校も家庭も受験戦争から解放されるんだろうか、逆に言って夏までそういうものが持ち込まれることになりはしないか、この国民の心配について文部大臣は大丈夫のようだという判断をしていらっしゃるのかどうかということです。
 毎回、夏の甲子園で大臣の始球式が届くかどうか、私ども大変気にしているわけでありますけれども、これ三年生は出られなくなりますね。そういうことなんかもありまして、夏休みというのはもう定着しているわけですよね。一体どういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 夏の甲子園に出られなくても春に出られますから、同じになるわけでございます。
 けれども、そんなことはともかくといたしまして、私は、先ほども申しましたように、やはり学校の制度がだんだんと国際的に歩調を合わせていかなければならないのではないかということが一つあると思うのでございます。それと、従来から学校の先生方が、夏休みすら十分に休みがとれない、何とかして夏だけでも十分に休みたいという希望があった、そういう点を総括して九月入学論というのが一つのサポートを得てきた、こう思っております。しかし、現実の問題として見ました場合に、桜の花の咲くころがやっぱり入学気分が一番いいということでもございますし、また企業並びに官公庁の会計年度も三月末をもって切っておりますし、そういう点、日本の習慣として長年これが定着してきておる春入学を一挙に秋入学に変えていくのには、それだけのやはり準備期間が十分必要だろうと私は思うんです。ですから、この準備期間とは何かと言いましたら、世論の形成が大事だと思っております。
 今、臨教審は秋入学の提言をされた段階でございまして、この提言を受けまして、いろんな各団体あるいは機関、一般市民の中で秋入学の是非についての議論が始まってきておる段階でございまして、そういう段階にあるときに、私らがこうする、ああすると言うことはまだ差し控えた方がいいのではないか、こう思っておりまして、とりあえず臨教審の答申待ちということでございます。
○粕谷照美君 総理も余り自分の御意見をおっしゃらない方がいいなんというお考えになっているようですけれども、共通一次の廃止なんというときはもう明確に意見をおっしゃったと思うんですけれども、あってしかるべきではないか、こんなことも考えるわけですが、内容について余り深入りすることはやめまして、次はその他の教育問題について簡単に二つほどお伺いいたします。
 今、インフルエンザのワクチンの集団接種というものがずっと学校で義務みたいになっていますけれども、これ本当に効くんでしょうか。
○政府委員(仲村英一君) インフルエンザにつきましては、現在有効な予防手段というのはワクチンしかないということで、諸外国でもそういう評価を得ております。
○粕谷照美君 私は、この集団接種、特に小中学校、ここに義務的に集団接種をさせるというそのことについて効果があるかどうか、このことを質問しているわけです。
○政府委員(仲村英一君) 先ほど申し上げましたように、インフルエンザの有効な予防手段というのは予防接種しかないということでございましてそういうお答えをいたしましたが、我が国のように、学童を中心に法律をもちましてインフルエンザの予防接種を集団的にやっておる国は日本以外にはないようでございまして、諸外国ではいわゆるハイリスクグループと申しますか、そういう方たちに勧奨でやるという仕組みをとっております。
 したがいまして、私ども、十年ぐらいこの制度が続いておりますので、その間いろいろの知見も蓄積されてまいりましたこともございまして、インフルエンザの予防接種を今後どのような形でやっていったらいいかということにつきまして、研究班を設けていろいろ今研究をいただいているというのが実情でございます。
○粕谷照美君 随分用心深く答弁していらっしゃるけれども、昭和五十一年義務接種があった。三年たって五十四年、総理のおひざ元の前橋で引きつけ事故があった。そして、この接種そのものによって五十数名の子供たちが障害を受けたり、三人の子供が死亡したという例があって、前橋の医師会ではこれを調査研究して、結局集団接種を中止しても支障なしと、こういうことで結論を出してやめているわけですね。ところが、その他のところでは、これは法律にあるからやりなさいということでやらされている。翌五十五年アメリカの調査団が来て、この集団防衛は効果があるという証拠がないということを報告しているわけであります。
 厚生省、そういうようなことについていろいろな団体から申し入れも受けてお話し合いを進めていると思うんですけれども、このたび研究班が中間報告を出していますね、二月の二十八日。最終報告を出されたのかどうかわかりませんけれども、それはどうなっておりますか。
○政府委員(仲村英一君) 御指摘の中間報告というのは、三月一日の新聞記事によるものだと思いますが、この研究班につきまして、まだ中間報告という形で取りまとめしておりませんで、またと申しますか、中間報告という形で取りまとめをする予定はございませんで、現在、六十一年九月以来五つの分担研究につきまして研究を進めていただいているところでございまして、数回の全体討議が行われております。その最終的な取りまとめの段階に入っているのが現在の状況でございます。
○粕谷照美君 随分異論が出されていながら断固としてやり続けていくのは、これしかないということだと思いますが、やるっきゃないでやられたのでは子供たちがかわいそうなんですね。それで、どうしてもこれをやらなきゃならないという基本的な原因はどこにありますか。
○政府委員(仲村英一君) インフルエンザが最近大流行はないということでございまして、いろいろな意見が出ていることも事実でございます。六十一年の十一月に、公衆衛生審議会の伝染病予防部会の中にございますインフルエンザ小委員会が御見解をおまとめいただいた中で、インフルエンザの予防方法につきましては現在有効な予防手段はワクチン接種しかないということで御意見がございまして、接種を受ける場合に、インフルエンザの感染を予防する効果がある、それから仮に感染したとしても症状を軽減する効果があることも事実であるという御指摘をいただいておるところでございます。
 したがいまして、今先生が御指摘のように、これを法律で義務的に続けるかどうかという観点から検討しろという御意見もございますので、研究班を設けて、そういう点も含めまして、今後どうしていくかということでの研究のお取りまとめをお願いしているというのが実態でございます。
○粕谷照美君 厚生大臣にお願いをしたいと思います。
 その結論を待って厚生省は判断をされるのだというふうに思いますけれども、アクチン生産業界との不純なあれがあるのではないかなどというようなことが言われながら、学校がこういうことについて義務的にやらなきゃならないということについてはやっぱり考え直していただきたい。いかがですか。
○国務大臣(斎藤十朗君) インフルエンザのワクチンの予防接種につきましては、集団生活を営む学童等の範囲において感染を予防するということによって、流行を全体として予防していくのに一番基礎的な役割を果たすのではないかというような観点からこれを行ってまいってきておるところでございますが、今先生御指摘のように、有効性の問題や副作用の問題等、また現場の方々の御意見等、いろいろな御意見があることを承知いたしております。
 しかしながら、今約十年間続けてまいりましたことで、それが流行しないで今日に来ておるという状況の中でのいろいろな御意見でございまして、これを全部やめてしまって、大流行になったときにどうするのか、どういう責任をとっていくのかというような問題も考えてまいりますと、大変難しい問題もあろうかと思うわけであります。でありますので、先ほどから御報告を申し上げておりますような、専門家による研究班において今いるいろ御検討をいただき、その結果を踏まえ、公衆衛生審議会の小委員会等にも語らせていただき、慎重にこれを検討し、結論を得てまいりたいというふうに考えております。
○粕谷照美君 次に、やっぱり厚生大臣にお伺いをしたいわけですけれども、ことしの十一月に第六回喫煙と健康の世界会議というのが東京で開かれますね。厚生省はこれにどのように対処をされますか。
○国務大臣(斎藤十朗君) 本年十一月の喫煙と健康に関する世界会議に対しましては、厚生省がこれを後援いたします。
○粕谷照美君 具体的な後援というのはどういうようなことをしますか。
○政府委員(仲村英一君) 喫煙と健康に関します世界会議というのは、四年に一回ずつ各国で行われておりまして、今回第六回でございまして、これを東京で十一月に実施するということでございます。ただし、主催団体は結核予防会、日本対ガン協会、日本心臓財団、健康体力づくり事業財団というふうな団体に主催をしていただいておるところでございまして、私どもとしてはいろいろな形でこれをサポートするという立場をとっておるところでございます。
○粕谷照美君 喫煙者の自由を尊重しながら非喫煙者の健康を守るという考え方、運動というのが世界的に大きく広がっていると思うんです。この大臣席をずっと私予算委員会中見てきたんですけれども、紫煙が上がったのは三回ぐらいしかないですね。きょうはちょっと文部大臣が一本吸われたようでありますけれども。
 こういうことで大きく運動が前進してきますけれども、第四回のスウェーデンにおける大会、それから第五回のカナダにおける大会、それぞれ政府がもうきちんと政府の方針というものを報告しているわけですね。特に、カナダの厚生福祉大臣の報告書を私読みましたけれども、感動的ですね。多分ごとしは厚生大臣があいさつをされるんだと思いますけれども、おざなりのあいさつでは通らない状況に世界はなっていると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(斎藤十朗君) 喫煙と健康の問題は、WHOにおきましてもこれまでたびたび勧告がなされておるわけでありまして、喫煙が健康に与えるさまざまな悪い影響があるということは皆承知をいたしておるところでありますが、厚生省といたしましては、これまでもそういった喫煙と健康についての知識啓蒙、普及というような観点から種々行ってまいっておるところでありますし、また現在、公衆衛生審議会の中に喫煙と健康に関する専門委員会というものをつくっていただきまして、諸外国の取り組んでいる対策や施策、また健康との関連における科学的なデータの収集というような幅広い観点からいろいろと検討をしていただいております。もうじきにその結論なり報告が出されるわけでございますので、これを踏まえてなお一層の対策を検討いたしてまいりたいと考えております。
○粕谷照美君 そういう総論的なことを言われたんじゃ私は笑われるんじゃないかと思うんですよね。例えばコマーシャル、未成年者は喫煙をしないようにしましょうなど、そういうのじゃなくて、もう世界はテレビにおけるたばこのコマーシャルを禁じている。そして、今新聞だとかあるいは雑誌なんかにあるのも、それもやめさせましょう、あるいはスポーツなんかで広告費を出すわけですが、その看板なんかも取り払いましょうと、こういうようなところまでもう前進をしているわけでありまして、このことについて一体日本の政府はどのように考えていくのか。それから文部省は、学校教育は一体どういうふうに考えていくのか。
 昨年、甲子園で球児がたばこを吸っているのをフォーカスされたなんというのがありますけれども、なぜ吸ってはいけないのかということのきちっとした理屈がないと今の子供は、先生が吸っていて何で生徒が吸っているのはいけないのか、こういうことになるわけでありますので、その辺のところも、こうやっていますという報告がきちんとできるようにしていただきたい。
 最後に総理にお伺いしたいのは、総理は、がん撲滅十カ年計画なんという非常にすばらしい、私はこれは本当に手放しで賛同するものでありますけれども、がんの大変大きな原因にたばこの煙がある。肺がんだけじゃない。受動的に煙を吸う人たちでも、妊婦がその煙を吸ったことで、生まれてくる子供が心臓に欠陥が出たりと、いろいろなことが報告をされているわけでありますけれども、その辺のところもきちんと国民にわかるような情勢報告というものをやっていただきたいと思います。総理はよくアメリカにいらっしゃいますけれども、アメリカの状況なんかも踏まえてこれに対するお考えをお伺いしたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) がんの撲滅については非常な熱意を持ちまして、毎年度の予算におきましても、研究費だけでもこの厳しい予算の中で大体七十億円ぐらい、毎年続けてふやしております。
 先般この関係者の学会がありまして、若い少壮有為の学徒が全国から集まりまして研究成果の発表をやりましたが、私も臨席させていただきまして勉強の一端を見させていただきました。ヒト胃がんの遺伝子の発見とか、それから肝がんの遺伝子の発見とか、日本の研究も世界的な成果を上げつつあります。一番いいことは、国際交流が非常に盛んになりまして、外国のがん権威者は日本へ来、日本の権威者はまた外国へ行く、こういうことで研究が非常に深まってきつつあります。そして、第一線の有為な学徒が非常に元気づいてきた、このこともいいことではないかと思っております。それで、これからもひとつがんの問題につきましては、できるだけ予算の配慮もし、かつ研究者を激励しまして所期の目的を達するように努力してまいりたいと思っております。
○粕谷照美君 アメリカの政府などは、公共的な機関においてたばこを吸う場所というのをきちんと決めているわけですね。そういう意味で、十分政府においても詰めをやっていただきたいということを要望しておきます。
 それで最後に教育問題では、文化予算に関係してなんですけれども、この間の安田海上火災がゴッホの「ひまわり」を五十八億円かけて購入したという点について文部大臣の御感想、それから大蔵大臣の御感想をお伺いしたい。
   〔委員長退席、理事原文兵衛君着席〕
○国務大臣(塩川正十郎君) 新聞で報道されております価格で安田火災がお買い取りになったということであるとするならば、随分思い切った買い物をされたなという感じをしております。同時に、文部省におきまして、今美術品の買い上げの額が余りにも少ないものでございますから、この際にふやしてもらったらもっといろんな物が買えるのになと思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 保険会社でございますから、これ免許事業であるという意味では完全な私企業とも違っておりまして、自分の金だからどう使ってもいいとばかりは言えないところがございます。ですから、そういう余り資金を長くある種のことに固定化するといったようなことが度が過ぎるようだと、それはやっぱり経営者としてもお考えになった方がいいことだと思いますけれども、このこと自身は、特にこうなくちゃならぬということを私自身は申す気はございません。
○粕谷照美君 私がお伺いしたいのは、今文部大臣がうらやましいなという感じでおっしゃったんだと思いますね。つまり、文教予算の中でそういうような問題、そういう美術品を買う金というのは本当に少ないんだということだというふうに思うわけであります。
 文化庁の予算、特に美術品購入予算はどんなふうになっておりますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 昭和六十二年度の予算でございますが、二十七億九千八百万円でございます。その内訳を申しますと、美術作品の購入費が四億一千八百万円、国宝、重要文化財の買い上げが十九億八千六百万円、それから博物館陳列品の購入費が三億九千二百万円、新人の美術作品の買い上げが二百万円、こうなりまして、合計二十七億九千八百万円、こうなっております。
○粕谷照美君 何かだんだん御答弁が小さい声になっていかれるように思うわけでありますけれども、軍事費では、一機三百億円を超すと言われるAWACSの購入をアメリカの要請を受けて今検討している、一方では。こういうのは、たくましい文化を力説される総理の文化予算に対するお考えではないかというふうに思うわけでありますけれども、私はこの辺のところはもうちょっと考えていただいて、文化予算というものを増額するように大蔵大臣には強く要望しておきたいと思います。
 次に、婦人問題に入ります。
 総理にお伺いいたしますけれども、差別撤廃条約が批准をされました。批准をされたということはいろいろな法律や制度が整備をされたということになりますけれども、これで大体終わりだというふうにお考えになっておりましょうか。今の御感想をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、昭和五十年に国際婦人年というものを決めまして、それから五十一年から六十年の間に国連婦人の十年というものを設定しまして、私自体が企画推進本部の本部長になり、国内行動計画を作成して、その結果、女子差別撤廃条約の批准あるいは機会均等の労働関係の法律等々のことをなし得ることができました。
 婦人問題は今後二〇〇〇年に向けてさらに重要な課題として、この成果を踏まえまして、さらに充実発展していきたいと考えております。
○粕谷照美君 その二〇〇〇年まであと十二年であります。基本的な理念というものをどこに置かれますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは、西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画というものを決定いたしまして、この目標達成のために、私も本部長として、婦人を初め各層の強い期待にこたえて努力していきたいと考えております。
○粕谷照美君 では具体的にお伺いをいたしますけれども、まず女性の政策決定への参加ということが非常に大きな目標になっておりました。今回統一自治体選挙におきまして非常に女性の進出が目立ったと思いますが、総理はこの辺どのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 非常に結構なことだと思います。私は、総理にしていただいてから、できるだけ婦人の地位を向上させ、また社会的活動の範囲を広げようと思いまして、そういう面では政府関係の委員の任命であるとか、あるいは叙勲奏請の場合の女性の割合をさらに高めるとか、いろんな努力をしてまいりましたが、議員さんとして活躍なさる方がふえたということは非常に喜ばしい現象であると思います。
○粕谷照美君 少し統計をとっているんじゃないかと思いますけれども、審議会の女性の参加は一体どのように目標に対してなっておりますでしょうか。
 それから人事院にお伺いをいたしますけれども、国家公務員の採用につきまして、I種、U種ありますけれども、この辺は随分進出をしたというふうな数字になっておりますでしょうか。各省庁で今回一人も女性の採用がなかったというところはありませんでしょうか。
○政府委員(本多秀司君) 国の審議会等におきます婦人委員の割合でございますが、昭和六十一年の三月三十一日時点におきまして五・八%を占めております。
○政府委員(網谷重男君) 国家公務員採用者の女性の数でございますが、昭和六十二年四月三十日現在におきます国家公務員採用T種試験による採用者数は八百三十三人、総数でございます。そのうち女性は五十八人。U種試験による採用者は二千百九十五人で、うち女性は二百六人でございます。
 これを例年の同時点で比較いたしますと、T種試験の女性の採用者は、昭和五十九年三十三人、六十年五十人、六十一年四十八人、六十二年五十八人ということでございまして、女性の採用者数は着実に増加してきております。また、U種試験につきましては、試験体系の改変もございましたため六十一年との比較になりますけれども、六十一年は百八十六人、六十二年は二百六人であり、これも増加してございます。
 なお、各省庁でT種、U種女性を採っていない省庁はございません。
 以上でございます。
○粕谷照美君 女性を採っていない省庁はありませんと言ったって、絶対的に少ないわけですから、そんなに威張って報告ができる数字ではありませんですね。
 それから先ほどの審議委員の話ですけれども、五%というのは、目標は最初はどのくらいだったんですか。
○政府委員(本多秀司君) 昭和五十二年に婦人問題企画推進本部が決定いたしました目標値は一〇%でございました。昭和五十年時点におきます国の審議会等における婦人委員の割合は二・四%でございましたので、それから十一年後の昭和六十一年、先ほど申し上げましたとおり五・八%と二倍強になっている状況でございます。
○粕谷照美君 最低のところから倍になっているというのと最初の目標から半分だということは、もう全然説明の意味が違うんですよね。あなたの説明はちょっとおかしいんじゃないですか。どうでしょう。
○政府委員(本多秀司君) 先生御指摘のとおり、目標値が一〇%でございますから、現時点においてはまだ目標値に四・二ポイント足りないわけでございます。
 これは、実はきょう、先ほど本部長であられる総理が御説明になられましたように、婦人問題企画推進本部が開かれまして、西暦二〇〇〇年に向けてのいわゆる新国内行動計画が決められたわけでございますが、その中でも、少なくとも昭和六十五年までに設定されました目標値である一〇%を達成しようと、さらに長期的には西暦二〇〇〇年に向けて、つまり昭和七十五年までには一五%の目標値を設定して、それを達成すべく努力目標を掲げたわけでございます。
○粕谷照美君 ぜひそれは各省庁におきまして努力をしていただきたいということを強く要請いたしておきます。
 それで次に、二〇〇〇年に向けて、有識者が集まりまして、いろいろな意見を持ちまして総理府に申し入れをしているようでありますけれども、今度、男女共同社会形成のためにという、そういう題目が出ているわけでありますけれども、具体的にどのような対策というものが必要だというふうに考えていらっしゃいますか。
○政府委員(本多秀司君) 婦人問題企画推進有識者会議の先生方から、実はことしの三月に、西暦二〇〇〇年に向けての政府が取り組むべき国内行動計画についてのいわば意見をちょうだいいたしたわけでございますが、その有識者会議で提出されました意見の柱は五本ございまして、タイトルだけ申し上げますと、一つは男女平等をめぐる意識の変革。二番目が平等を基礎とした男女の共同参加、これは先ほど先生御指摘になりました政策あるいは方針決定への参加の促進というのが一つの内容になっております。三番目が多様な選択を可能にする条件整備、これは育児における条件整備の充実等を含むものでございます。四番目が老後生活等をめぐる婦人の福祉の確保、これは福祉サービスの整備等でございます。そして最後の五番目が国際協力、それから平和への貢献。こういった点が柱になっているわけでございます。
○粕谷照美君 今の問題点で私は非常に重要だと思いますのは、女が子供を産んでも働き続けていられるようにという条件のこの育児休業法、それからいつも老人の介護が女性に覆いかぶさっているというのが実態だと思いますので、この老人介護の問題をどうするかというのが緊急な課題ではないかというふうに思うわけであります。
 育児休業の前進はどのようになっておりますか。労働省、調査ありますでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) 育児休業制度の普及状況でございますが、労働省の調査によりますと、本制度を導入いたしました事業所は、わずかずつでございますが増加をいたしておりまして、昭和六十年には従業員三十人以上の事業所の一四・六%、これがこの休業制度を取り入れております。
   〔理事原文衛君退席、委員長着席〕
○粕谷照美君 労働省としては、育児休業の制度が十分に理解をされ前進をしているというふうに見ていらっしゃるのか、前進してないというふうにごらんになっていらっしゃるのか、その辺はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(平井卓志君) ただいま申し上げました一四・六%という数字は、昭和五十年度から奨励金制度をとりまして、六十年にさらに増額をしたわけでございます。つまりこの制度の普及ということを目的にして助成運営費ということをいたしておるわけでございますが、まだまだ決して十分ではない、さらに広報活動その他指導によって導入を増加させなければならぬ、かように考えております。
○粕谷照美君 子供の人口が二千五百万人、戦後最低になった、こういう報告がありますが、産みたくても産めない、育てることができない、こういう条件もある中で育児休業の制度というものをつくるというのは非常に重要なことですし、急がれなければならないというふうに思います。そのことは、差別撤廃条約の趣旨に忠実に日本の政府が対応したということになるというふうに考えるわけであります。
 今労働五団体が一致して、ぜひ育児休業制度をつくってもらいたい、要望の内容はこうこうこうだというような内容の意見提出をしていると思いますが、大臣これは御存じですね。全女性にこれが適用されるようなことを将来的にやっぱり考えるということが大事なんではないでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) おっしゃるところは、この育児休業制度の法制化ということでないかと思うわけでございますが、御案内のように、昭和五十九年の婦人少年問題審議会の建議におきまして、現段階ではこの育児休業制度の法制化は困難である、当面、行政側の積極的な指導、援助等によりなお一層の普及を図ることが必要である、かような指摘があったところでありまして、労働省としましては、その趣旨を踏まえまして、先ほど御答弁申し上げましたような奨励金制度をもって一層の普及拡充に努めてまいりたい、かように考えております。
○粕谷照美君 育児休業については深く触れることを避けまして、次に、機会均等法が去年から発足をいたしまして一年であります。こういう法律は最初から私たちはざる法じゃないかという批判をしていたわけでありますけれども、大きな成果というのが見られたというふうに考えておられますでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) 実施されましてからこの法律一年でございまして、こういう新しい法律の浸透というのはある年限を見ませんとなかなかその成果が明確に期待できない。ただ、この法律施行以前より相当周知徹底に全力を挙げて取り組んだわけでございまして、表面にあらわれた形を見ますると、やはり男女を問わず求人の増加、要するに男女の差別が求人面で非常に少なくなった。さらには新入社員の教育の均等的な取り扱い、男女別定年制の是正等、募集、採用から定年、退職、解雇に至る各局面におきまして雇用管理を法の趣旨に沿って改善した企業が多数見受けられる。
 いずれにしましても、この法律施行を契機に女子労働者の職業意識の向上、自己研修、また女子の就業に対する社会全般の理解の進展が見られるということで、そうスピードアップはいたしておりまけんけれども、この法律の趣旨というのは着実に浸透いたしておるのではないか、私はかように評価をいたしております。
○粕谷照美君 いろいろと論議があっての法律でありますから、今大臣がおっしゃったように女性みずからもこれは努力をしなければなりませんけれども、さらに社会がそれを受け入れるような条件をつくるために労働省としては努力をしていただきたいということを要望いたしておきます。
 もう時間がなくなりましたので、最後に一問だけ。
 先ほど建設大臣が、震えている、こういうふうにおっしゃったので、武者震いだというふうに思いますので、一言だけ質問をしておきますけれども、我が国が世界最大の債権国になって国民一人当たりのGNP一万六千ドル、アメリカを追い越した、こういうふうに報道をされておりますが、私どもの生活実感からはこれはもう非常にほど遠いというふうに思っているわけであります。そういう中で、特に生活関連の社会資本の大幅拡充が不可欠だという考え方を社会党は持っているわけです。その生活関連の社会資本の中でもたくさんあるわけですけれども、特に下水道の整備が立ちおくれているというふうに考えておりますが、その現状を御報告いただき、そしてまたこれに対する大臣の見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(天野光晴君) しんがりの発言、ありがとうございます。
 下水道のおくれている原因は数多くありますが、まず我が国で下水道を導入したのが非常に遅過ぎたという、何と言えばいいんですか、スタートが遅かったということに一番大きな原因があると思いますし、日本の生活環境の中で農業に役立つように人間の排せつ物を使うものですから、そういう関係等もこれあってなかなか進んでこなかったことは事実でありますが、一番大きな原因は、下水道に対する金の出し方が足りないということが最近では一番大きな問題だと思っております。過去五カ年計画が完成できないのは、最近のいわゆる財政再建に絡んで公共事業をカットするということも大きな影響がございますが、幸いにも内需拡大をやるという、中曽根内閣大変一生懸命のようですから、ことしあたりからは御期待に沿えるだけやれると思っております。
○粕谷照美君 終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で粕谷照美君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(桧垣徳太郎君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
○上田耕一郎君 いろいろ事件が起きましたので、私ちょっときのうお話ししました質問の順序を変えさせていただいて、言論の自由の問題から入らせていただきたいと思います。
 まず、朝日新聞の阪神支局に対する襲撃事件ですけれども、どうも右翼がやったのではないかと思われる節があるんですね。新聞などもそうですけれども、浅沼委員長の刺殺事件、中央公論の「風流夢 」事件、私どもの赤旗編集局や発送部にも右翼が乱入したことがございますけれども、警察としてはどうですか、これは右翼とのかかわりはあると思っておられますか。
○政府委員(仁平圀雄君) 昨日の新聞社等に送られてきました声明文からいたしますと、右翼とおぼしき団体の犯行である容疑は十分認められるところでございますが、捜査上いまだ断定するには至っておらないというところでございます。
○上田耕一郎君 朝日新聞への脅迫状の中には国際勝共連合とかかわりの深い統一協会の名前なども出ていて、統一協会としてはぬれぎぬだと言っているそうですが、これについてはどうですか。
○政府委員(仁平圀雄君) その点につきましても現在捜査をいたしておるところでございますが、関係があるのかどうかいまだ明らかになってはおらないという状況でございます。
○上田耕一郎君 総理にお伺いします。
 どうも言論妨害といいますと右翼のあれが強いわけですね。政府並びに警察は私ども左翼には辛い、右翼にはやっぱり甘い、いろんなつながりがずっとあらわれておりますけれども、歴史的に事実があるわけですね。総理は今度の、先ほども話がありましたけれども、右翼とのかかわりの疑惑が深いというんだけれども、そういう政府や警察の姿勢ですね、これと結びつきがあると反省されませんか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 暴力については右も左も問わず厳重にこれは取り締まっております。
○上田耕一郎君 今、左翼には辛いということを言いましたけれども、きょうの昼NHKのニュースの報道で、日本共産党の緒方国際部長に対する盗聴事件で現職の神奈川県警の警官に対して東京地検特捜部が事情聴取をしたという報道がありました。法務大臣、事情聴取されたんですか。
○国務大臣(遠藤要君) ただいま東京地検の方で捜査のさなかでございますので、内容については申し上げかねます。
○上田耕一郎君 事情聴取されたかどうかもおっしゃらないようですが、差し支えなければ刑事局長、この問題についての経緯を述べていただきたいと思います。
○政府委員(岡村泰孝君) 共産党の幹部宅に対しまして電話の盗聴があったということで、昨年の十一月二十八日と本年の二月二十五日付で告訴、告発が東京地検に提出されておるところでございます。この事件につきましては、東京地検といたしまして告訴、告発を受けまして以来捜査を継続しているところでございます。
 ただ、捜査の具体的内容につきましては、現在捜査をやっておる最中でございますので、具体的なことは答弁いたしかねるところでございます。
○上田耕一郎君 なぜ東京地検としては公安部ではなくて特捜部がやっているんですか。警察官とのかかわりがあるからではありませんか。
○政府委員(岡村泰孝君) 東京地検に直接告訴、告発を受けました事件につきまして東京地検にございますどの部が捜査するかということは東京地検内部の事務分配の問題でございますが、一般的には、東京地検が直接告訴、告発を受けました事件は特捜部が捜査を行うということになっているのでございます。
○上田耕一郎君 もう報道がいっぱい出ていまして、現職警官の事情聴取が行われたということで、警官による政治的盗聴、これが明らかになったことは初めてだと思うんですね。
 緒方さんのところで盗聴の事実が発見されたのは昨年の十一月二十七日ですが、実は私のところにも盗聴器が仕掛けられておりまして、ことしの二月の二十一日にやっぱり地検の特捜部の検事さんが見えてうちの前の電柱を調べまして、ここに写真がありますけれども、(写真を示す)この電柱のケーブルの端子のところ、ケーブルを外して、端子が三つついている、三つついているんですけれども二つは汚れていてさびたりしているんですが、一つだけ真っさらだったんですね。これを調べたら、中に三百五十オームの抵抗があるというので、この器械を押収していきました。今鑑識中です。(器物を示す)これは同じものですが似たようなもの、同じ製品ですけれども、こういうものがついていてこの中に埋め込んであるわけですな、発信機が。発信機らしきものが明らかになっているんですけれども、私に対する盗聴というのは国会議員に対する盗聴として明らかになったものは初めてだろうと思うんです。共産党などに対する政治的盗聴、私が三十二件目です。これは氷山の一角だと思うんですね。
 それで、実は根が非常に深くて、現職警官が事情聴取されたという報道があるわけですけれども、神奈川県警が、東京都の町田市ですよ緒方さんのうちは。町田なんですから、県境を踏み越えて神奈川県警の警官が町田まで行って政治的盗聴をする。緒方さんは国際部長ですから、神奈川県警の人が国際情報を知りたいというふうにはどうですかな、普通思わないでしょう。もっと上に指揮者がいると思うんです。
 それで、一九八〇年に江間さんという元警視正の方が盗聴事件に関連して詳しく全貌を話してくださった記録がございます。これによりますと、実行しているのは四係というんですね。警察で一係というのは左翼、二係は右翼、三係は外事、四係がこういう秘密工作をやっているというんだ。だから、警察庁が全部指揮しているというんですよ。予算も出して計画も立てて承認もして、莫大な金がかかるというので、こういう四係がやっているという証言があるわけです。葉梨さん、国家公安委員長いかがですか、この四係がこういうことをやっていたということについて。
○政府委員(山田英雄君) 警察におきましては、過去においても現在においても電話盗聴ということは行っていないわけでございます。したがいまして、今御指摘の四係がそういう違法な工作を行うということはない。その前提としまして四係というものが全国統一にあるというようなことも言われておるわけですが、我々としては大変それは誤った見方であると思います。
 過去においてのことはつまびらかではございませんが、課長が課員を統括する場合に担当ごとにナンバリングで分ける、これは警備公安警察に限りません、一、二、三、四、五、六と。あるいは法令係、分析係、調査係とかあるいは担当者の固有名詞で分ける、いろいろな分け方が組織上あると思いますが、現在の警備公安警察におきましても四という係がある県もあれば、そういうナンバリングで分けてない県もある。四という係で分けている県におきましても、その担当する仕事が共通であるということはないわけでございます。
○上田耕一郎君 まあ全く否定はされなかったんですね。これは幾つも資料が過去についてはあります。
 例えば昭和三十年、古いですけれども、警察庁警備部長より警視総監、各県警本部長あての通達、この中で記載の仕方について書いてあるんですな。「とくに四係関係事項は記載しないこと。」という通達があります。
 それから、かつて一九六〇年に日本共産党にトランク十個分の島根県警の秘密文書が手に入ったことがある。これは国会でも取り上げられましたが、その中にも四係問題がうんと書いてある。これはどうも島根の警察署長がお持ちになっていたものが入ってきたんですね、返してくれというのが来ましたからやっぱり本物で、認められているわけで。
 それで、これは追及してもなかなか大変な国家機密事項、それこそ国家機密法をつくったら隠したいことだろうと思いますので、この問題は一応ここでおきますけれども、より重要なのは、アメリカのCIAとの深い関係があるということです。
 これは元警視監の松橋忠光さんの著書です。(本を示す)警察官の等級は九に分かれていますが、上から二番目の警視監だった方です。この方は昭和三十六年、アメリカのCIAにすべてCIAの予算で派遣されて四カ月間特殊情報教育を受けたという体験を詳細にこの中で書かれています。一年に二人ずつ本格的にアメリカCIAへの留学が始まったと書いてあるけれども、これについて事実を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(山田英雄君) 御指摘の松橋氏の著書についての我々の見方をまず申し上げたいと思いますけれども、同氏の著書、本人が体験したというようなことで大変信憑性があるようにいろいろ書かれておるわけですが、私ども拝読しますと、大変本人独特の一流の思い込みがきついわけでございまして、そういうことに基づく推測や感想をつづっておる。随所に事実無根のこと、あるいは事実を歪曲したということが見られるわけでございます。一つの事実を見る角度が大変違うわけでございまして、いわば独断といいますか、関係者大いに迷惑しているわけでございますが、その今御指摘のCIAの研修を受けたかということについても同様でございまして、昭和三十年代の古いことでございますので当時の関係者に確かめてみたところ、これはIACPという機関の招待で当時若手の警察幹部を勉強にアメリカに出したというわけでございます。
 このIACPといいますのは、日本語で訳しますれば国際警察長協会とでも訳すべきものだと思います。英語でインターナショナル・アソシエーション・オブ・チーフズ・オブ・ポリスでございます。それで、この国際警察長協会の招待で行きまして、そこのアレンジでいろいろな米国の各警察機関、CIAにも参ったことがあるようでございますが、CIAの招待でその研修を受けたということはないと承知しております。
○上田耕一郎君 これも全面的に否定されないで一部認められた。アメリカのCIAの講習を受けたと詳細に書いている、松橋さんが。
 どういう講習が。「第一部国際共産主義運動の基礎理論と現状、第二部各種諜報工作の技術、第三部共産主義浸透工作に対する防衛技術の理論と実習という三部から成り、当時では最新の電子工学技術による驚くような機器を駆使した理論と実技とその応用の修練であった。」というんですね。盗聴器も驚くべき装置で、当時から習っているわけですな。恐るべきことがあるでしょう。これね、占領中の遺産だって書いてあるんですよ。つまり、こういう問題にも日米軍事同盟の黒い影があらわれているんですね。
 どうですか警察庁長官、いまだにそのIACPの留学、その中の一部でもアメリカCIAとの接触、続いているんですか。
○政府委員(山田英雄君) このIACPの招待は昭和三十年代で終わっております。その後招待を受けている事実はございません。
 それから、ちょっとつけ加えて申し上げますと、その松橋氏の著書の記述、その考え方、我々の見方を申し上げたんですが、大変思い込みのきつい例としては、福岡の警備部長をやっておりますときに、部外者に殺されると勝手に思い込みまして、宴席にけん銃を携帯していきたい、こう申し出ている。部下がその職を賭してとめたわけでございますが、それが全く別の形で記述されている。一例で申し上げますとそういう内容であると我々は判断しておるわけでございます。
○上田耕一郎君 僕は松橋さんというお方がどういう方かを論争しているわけじゃないんで、これは公刊されているわけですから。
 私はきょう御本人に参考人で来ていただきたいというのでお願いしたんだけれども、野党は皆さん賛成してくださいましたが残念ながら与党は賛成してくださらなかった。
 そこで委員長、ああいうふうに松橋さんのことについて言われるんだから、本当にこれだけのことを公刊しておられるんで――このほかに大変なことが書いてありますよ。警察は全部二重帳簿で、莫大な国費をとんでもないことをしていると。これが最大のテーマですよ。だからああいうふうに言う。証人喚問をひとつお願いしたいと思います。
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(桧垣徳太郎君) 速記を起こして。
 ただいまの証人喚問要望の件は理事会において協議をいたします。
○上田耕一郎君 それじゃ後藤田さんにお伺いしたいんです。
 この江間証言ですね。こう書いてある。こうやって盗聴で集めるでしょう。集めたものを将来使おうというのじゃないというんですよ。盗聴で得た情報は今日ただいま使われる。毎日分厚い報告が内閣に出る。何々大臣、何々代議士。代議士だって警察OB以外には行かないと。皆さん、自民党の方皆さんのところ全部には行かないんです。警察OBの方には行くんです、こういう盗聴の報告書が。それでこう書いてある。だから、元警察庁長官が大きな顔をできる理由は何かというと、その情報でしょう。今の自治大臣だってそうでしょう。彼があんな大きい顔をしている理由は、そういう情報をちくりちくり財界に出したり、自民党の選挙本部に出す。だから権力がつく。それで今の自治大臣にはすべて行っているはずだと。で、私調べた。一九八〇年の七月十一日なんです、これ。あなたが自治大臣だったんです、後藤田さんが。後藤田さんは元警察庁長官ですね。こういう問題について最も詳しい江間氏がそう言われている。ですから、警察庁がああいうことを、盗聴をやらせているというのを私先ほど述べたけれども、警察庁が勝手にやっているわけじゃないんですよ。時の権力が、自民党政権が、アメリカのCIAとも、占領の遺産もずっとあってやっているんですね。
 後藤田さんどうですか。あなた警察庁長官のときにこういう問題についてタッチし、全貌を御存じだったんじゃないですか。あるいは自治大臣のとき、例えば私や緒方さんも含めてそういう盗聴に基づく情報をあなたは読んだことがあるんじゃないですか。これは国会ですからきちんと真実を述べていただきたい。
○国務大臣(後藤田正晴君) 今お話を聞いていますと、それはだれでしたか、江間という人ですか。
○上田耕一郎君 元警視正。
○国務大臣(後藤田正晴君) いつごろの話ですか。
○上田耕一郎君 もう亡くなられましたけれども、一九八〇年の七月の十一日の日。
○国務大臣(後藤田正晴君) 何年の。
○上田耕一郎君 一九八〇年。
○国務大臣(後藤田正晴君) 八〇年というと六年前。私何をやっていましたかな。
○上田耕一郎君 あなた自治大臣。
○国務大臣(後藤田正晴君) 自治大臣であれば当然にこれは当時私は国家公安委員長を兼務いたしております。したがって、警察庁の必要な、公安委員長としての国家管理上の必要な資料は私のところに報告が参ります。しかしながら、おっしゃるような資料はただの一度も見たことはございません。
 それからまたお話の中に、警察庁の長官をやめた人間ですか、あるいは警視総監をやめた人ですか、ここに二人いらっしゃる。私もそういう自治大臣、国家公安委員長とか、あるいは官房長官とかいったような職についておる以外の、平の代議士の時代もございますね。しかしそのときも、それを渡しておったというんですか、先輩である以上は。先ほどの話はそうでしたな。一度ももらったことはございません。もらいたくてもくれません。それだけ申し上げます。
○上田耕一郎君 総理、お疲れでしょうけれども、この問題で最後に一問。
 今私は、共産党などが三十二件目で、私が国会議員で初めてだと。国会議員に対する政治的盗聴をもしも政治権力が行ったら大変だと思うんですね。しかし、これは共産党だけじゃない。この江間氏は、これはもう亡くなられたので残念なんですけれども、「一時はね公明党までいきましたよ、社会党から公明党まで。」と、こういう証言までされているんですよ。政治的盗聴というのは、ニクソン大統領がウォーターゲート事件で辞任までした問題でしょう。もし時の権力が野党の幹部の政治的盗聴を行って、これは憲法二十一条、通信の秘密、これにもかかわることですよ、そういうことを使ってやっていたとしたら、これはもう大変な問題で、戦後ずっと起きているんですから。私ども三十二件あるけれども氷山の一角ですよ。党の大会なりにどれほど仕掛けられたか。私は中曽根総理大臣に、あなたが本当に言論の自由と憲法を大事にしようと思われるんだとしたら、こういう問題についてやっぱり全貌を明らかにする、そういう政治的責任がおありになると思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府が権力を使って盗聴をやらしておるようなことは絶対にありません。
 また、今の事件につきましては検察当局で今捜査中でありますから、捜査を待ってしかるべき時期に捜査の状況について御報告することはあり得ると思います。
○上田耕一郎君 もう一つ、言論の自由にかかわる問題で、今度は大蔵省にかかわる疑惑を一つ取り上げます。
 資料を配付してください。
   〔資料配付〕
○上田耕一郎君 この商売上税を強行しようとしたとき、政府大蔵省はかなりのキャンペーン作戦をおやりになった。このとき不当室言論誘導をおやりになった疑惑が強いんです。
 まず総理に。総理、先ほど言論問題、厳しい答えをされましたが、売上税問題でどういうキャンペーンをあなたが指示されたのか、その際、言論機関、言論人、研究者に対しても働きかけを指示されたのか、まずお答えいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 政府の政策を行う場合には、できるだけ政府広報等を通じまして国民の御理解を求めるような努力をいたしております。これは政府の広報関係の者がそれを行っておりますので私は詳細は知りませんが、一般的に、重要な案件が行われるという場合にはできるだけ国民の皆さんに政府の政策の内容を知っていただくように努力はしております。
○上田耕一郎君 大蔵大臣、TPRというのは何ですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) わかりません。
○上田耕一郎君 この資料の六ページに「TPR応接録」というのがありますが、これは大蔵省がこの売上税キャンペーンにつけたコードネームなんです。Tというのはタックス。タックスPRというんですね。
 自民党が三十万部近く売ったという「税制改革Q&A」というのがありますね。あれは実際には大蔵省主税局が作成したんじゃないか。いかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) いや、それは自民党の作成でございます。
○上田耕一郎君 配付した資料の二−二です。二ページ、上から十行目ぐらい。これは大蔵省の資料です。「税制改革の広報について」、十二月二十四日付。二十三日に自民党税調が決めて、翌日もうこういうものをつくっているんですね。その二ページ、「「税制改革Q&A」(仮称)」、「コンパクトな想定問答集を製本し、「読人知らず」の資料として、年内中に与党の国会議員に配布する。(主税局で作成中)」となっている。どうですか、大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは自民党がそれを出したわけですけれども、大蔵省の主税局の専門家たちがその原稿を書く手伝いをしたなんということはもとよりございます。しかし、出しましたのは自民党でございます。
○上田耕一郎君 ここに持っていますけれども、定価が五百円なんですね。これがもし三十万部売れて印税一割だったら千五百万円になる。これはどこに入るんですか。国民の税金でつくって主税局のお役人が書いて自民党が出して自民党がもうけていいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) お役人が書いたといいましても、役人は分あるいは半ば公の機関からある意味でいろいろ資料を出せとか、それからこういうことについてどう思うかということは、それは役人がいたしますのは仕事でございますから、そのための収入を得てやるわけではございません。
○上田耕一郎君 自民党総裁、どうですか。最初の白表紙本はQ&Aで自民党と書いてなかった。読み人知らずでできていたんです。それをちょっと直して自民党で出したんじゃありませんか。どうですか、自民党総裁。
○国務大臣(中曽根康弘君) 議員からいろいろな資料の要求があればできるだけ協力して資料を提出するというのは各党に対してやっておるところで、自民党におきましてもそういう資料の要求をして、それを政調会が駆使して執筆する、そういうことを今までやってきております。
○上田耕一郎君 これは与党とそれから政府機関ともう混同も甚だしいやり方です。この「広報について」という方針は、国会議員・要路、政府関係者、マスコミ、言論界、経済界、各業界、野党、労働組合等反対勢力、一般国民、外国等、各研究機関、売上税をしみ通らすためにどういう工作をやるか詳細に書いてある。
 時間も限られておりますのでそのうち一、二取り上げたいんですが、二−二ページの三、テレビ番組の作成、ここに総理府定時番組のほかに九月二十一日、日本テレビ系、MOF予算特別番組「サラリーマン必見」というのがある。MOFというのはこれは大蔵省のことです、ミニストリー・オブ・ファイナンス。それから十一月二十六日、「森田健作の熱血税金フォーラム」、これもMOF予算特別番組というんですね。すると、大蔵省がお金を出して大蔵省提供だか何だかわからないという番組があるんですか。もう既にこれは二つ出ているけれども、どうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、このちょうだいしました資料がどういうものかよくわかりませんのでこれをそのまま信じて申し上げるわけではありませんけれども、大蔵省は本省予算で税に関するPRのテレビの予算支出をいたしております。予算としては約三千七百四十万円ございますから、それを使うことは公に認められておるところでございます。この資料が正しいかどうか存じませんが、そういうことはいたしております。
○上田耕一郎君 この資料は大蔵省の内部資料です。一ページ目にあるでしょう、マル秘と書いてある。マル秘の大蔵省の資料。これは一部ですけれども、売上税問題のTPRについての大蔵省のかなりの、きょう一部持ってきましたが、資料がちゃんと提供されてくるんですね。こういうことをやるのはひどいと思われるんでしょうな。そういうもので、何も私が書いたんじゃありません。それで今のことはもう少し調べましょう。これはやっているんですね、このMOF予算特別番組で。それは大蔵省提供というふうになっているんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはこの資料がわかりませんので申し上げられませんが、日本テレビとかあるいはテレビ東京等々で大蔵省はPRと申しますか、広報活動のために予算をとりましてそれをテレビに使っております。
○上田耕一郎君 それが本当に大蔵省と銘打ってやったかどうか、我々ももっと調べたい。これは後で報告を要望したいと思います。
 二−六ページを見てください。
 これは、この方針に基づいていろんな方と会って、その応接した記録がたくさんあります。十二月二十七日、会った相手は電通の方です。こちらは広報室長。何を頼んだかというと、渡辺美智雄前大臣のテレビ出演。中身はどういうことを頼んだかというと、「一月二十日から二、三週間のあいだに渡辺議員が出演するTV番組のアイデアを至急考えて欲しい。@できればタモリを絡ませ、A政府、大蔵省は一切表に出ない形で」と書いてある。「一切表に出ない形で」、「レギュラー番組へのゲスト出演でもよい」と。それで私調べてみました。これタモリさんの番組にはありませんでしたけれども、わかった範囲で言うと、二月二十六日日本テレビ、二月二十七日TBS、山城新伍さんの番組、三月七日日本テレビ、「時の人」などに渡辺元大臣が出席しているんです。どうですか、こういうことをやっているんですか。「政府、大蔵省は一切表に出ない」と。渡辺元大蔵大臣をこの売上税問題で何とか番組に出させてくれというようなやり方。これを見ていますと、「一切表に出ない形」、これはどうですか、応接録、これは明らかですよ。「取扱注意」となっている。その次のを見てごらんなさい、応接録。これは大蔵省の便せんですよ。こういうことをあなた方はやって世論誘導をしているんですか。
 唐沢郵政大臣にお伺いします。放送法の第一条の二、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」というのが放送法でしょう。もし政府が、自分たちがPRしたい、政府の名前を出さない、頼むと。それで国民はいつの間にか、大蔵省のPRや時には防衛庁のPR。あなたは先ほど世論に対してかなり過小評価した話をされたけれども、いつの間にか政府のPR番組を知らないでということになりはしませんか。いかがです、唐沢郵政大臣。
○国務大臣(唐沢俊二郎君) 憲法第二十一条、それから今放送法第一条を挙げられましたが、たしか第三条で我が国は世界で最も放送につきましては放送番組編集自由の原則が守られておるわけでございまして、民放が放送する場合はその放送事業者の自主的判断で決定をいたしているわけであります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 関連質疑を許します。内藤功君。
○内藤功君 さらに重大な問題を指摘したいと思うんですが、この上田議員提示の資料の二−四というところですが、「その他」の丸の二つ目のところです。この文書には、「広報活動の展開の道筋を明らかにしていくための基礎資料として、各界主要人、団体等について税制改革に協力的な者、批判的な者等のリストを作成する必要がある。」と書いてありますね。このようなリスト、特に批判者のリストをつくるということは、これは政府、行政機関による言論統制以外の何物でもないと私は思うんです。どうしてこういうものをつくる必要があるのかという点を伺いたい。
○国務大臣(宮澤喜一君) この資料の正否は存じませんけれども、仮にこの税制についてどういう方々が批判的であるかということを調べまして、そこへ伺いまして、これはかくかくのことでございます、御理解を願いたいと申し上げることは少しも差し支えないことである。
○内藤功君 実際にリストができております。これも私の手元に入手したものですが、こういう中には学界、大学教授、それから研究機関の研究者ですね、それからマスコミ言論界、こういう人を含めまして二百八十九名の私の手元には一覧表があります。そうして、単に大臣が言われたことじゃないですよ、一人一人につきまして氏名、現職から始まりまして、税制改革に対する態度、それから対応、これに対してどういう対応をするか、それから備考欄、こういうものが全部できております。大蔵省の用せんですね。
 どのようにこういう二百八十九人の人に対応をやったのか。どういうふうな働きかけ、工作をしたのか、こういう点を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはよくわかりませんけれども、先ほど申しましたように、どういう方々が反対で、その方はどういうお方である。したがって、そういう方々には事実を御説明して、こういうことでございますと申し上げに行くということは少しもこれは差し支えないことで、何らその方々の言論を統制するわけでも封圧するわけでも何でもありません。
○内藤功君 それならお伺いいたしますが、私の手元にあるもう一つの資料、これは昨年の十二月二十五日付でマル秘が打ってありますね、やはりそして大蔵省の用せんでございます。全部、実名入りです。一人は、この文書を出した人は経済企画庁にいる方であって、大蔵省から出向した方であります。その方から、大蔵省の大臣官房の方にあてた、大臣官房の調査企画課にあてた文書なんですね。
 中身は四つありまして、一つは、現在経企庁の経済研究所で税制改正絡みのペーパーがある。書いたのは東大へ転出した人で、テーマは住宅減税だと。これが一つ。二番目は、今日になって発見されたので、一生懸命水をかけているどころだが、どうなるかわからない。三は、利子配当課税も入っている。四、大蔵大臣の官房調査企画課、宮調から経企庁の官房長の方に陳情してほしいと、この件で。
 明らかに個人の研究及び研究発表への干渉がここで行われているんです。この人は東大の助教授です。いかがです、こういうことが許されますか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今おっしゃったその意味は、第一私によくわからないので、もう少し何かはっきりおっしゃってくれませんか。
○内藤功君 これはもう内部文書でマル秘が打ってあります、大蔵省ですね。そして経済企画庁の研究員のレポートが発見されたと。これについて今、水をかけているところだと、こう書いてあるんです。東大の助教授になった人ですね、経済研究所から。その人のレポートですよ。これに対して、一つの圧力をかけてくれという文書です。こういうことができるんですか。広報の名のもとに、税制改革に批判的な人に対してできるのか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 水をかけるというのは、そういうときに圧力をかけるという意味じゃございませんね。あなたの説はこうです、自分たちはこういう反対論を持っていますということを言っているんじゃございませんか。
○内藤功君 これは明確に、きょうになって発見されたので、一生懸命水をかけているところだがどうなるかわからない、官房調査企画課からも官房長に陳情をやってほしいと。つまり、こういうような税制改革に批判的な文書に対しても工作をして働きかけると、こういうことにとる以外の何物でもないと私は思うんですね。こういうことが広報の名で行われている。ここに私は大きな問題があると思うんです。いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 工作をして働きかけるとおっしゃいますけれども、そういう反対の説の人がいる、それに対してこちら側の説をもって説得をして御理解を得たいということは、工作とかなんとかいうことではございませんわね。
○内藤功君 研究者の自由に対してこれが言えるかという問題ですね。
○国務大臣(宮澤喜一君) お互いに言論の自由を持っているのが自由ということである。
○上田耕一郎君 いいかげんなことを言わぬでほしい。これは論文のレジュメなんですよ。論文のレジュメが手に入ったと。税制上、これはまずいと。だから、発表をする論文になるまでに水をかけて何とかならぬかというものなんですよ。そういうことをあなた方はやっているんです。
 もう時間もあれなんで、一つ一つ時間があれば完全にあなたが参ったと言うまでやるだけの材料はあるんですから。
 それで、ちょっと首相、あなた笑えないんだ、この二の一を見てください。欄外にこれをつくった方の書き込みがある。「官邸も強い問題意識(PM、G等)」と。PMとはプライムミニスター、あなたのことですよ。Gというのは後藤田さんのことですよ。「PMは批判の集積が固着してしまう点を心配 カウンターを打てとやいの催促」と書いてある。どうですか。首相自身がカウンターを打てとやいのやいのの催促をして、大蔵省がこういうマル秘の文書をつくって、テレビかう言論界、研究機関、それから大蔵省出身の東大助教授の論文にまで圧力をかけているんですよ。こういうことをあなた方平気で笑ったりしているんだったら、本当に言論の自由、研究の自由なんてどこに打っちゃいますか。どうですか、首相。(「そんなものを平気で予算委員会でやること自体が問題だよ」と呼ぶ者あり)そういうのがいかぬのだよ。これこそ予算委員会でやるべきである。
○国務大臣(中曽根康弘君) そんな圧力をかけさせた覚えは全然ありません。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大蔵省の役人が東大の論文に圧力がかけられると本当にお思いになりますか。
○上田耕一郎君 もうあなた方はあれだけの公約違反をやって国民をだまして売上税までやろうという方々だから、こういう研究の自由に対する圧力などを大蔵省出身、経企庁出身の人は幾らでもやるんですよ。(「国民をだましたなんと言うのは国民に対する侮辱だよ」と呼ぶ者あり)だましたあなた方が悪いんですから。
 それで、今売上税問題になったので、議長あっせん問題、少し簡単にやりたいと思います。
 議長あっせんで大型間接税、売上税問題廃案の道が開かれたこと、これは世論の勝利だと思うんですが、同時に、きのうから問題になっておりますように、直間比率の見直しなど、これを各党協力して努力するということが入っているので、新しい大型間接税への道が開かれたという危険があります。ですから、共産党はこれを拒否しました。その後の経過はやっぱり、議長あっせん案を新型間接税への道を開く危険があるので我々は受けなかったということが正確だったということを示していると思うんですが、きのうからの論議の続きで、首相、売上税法案はあなたは生きているつもりなんだが、それじゃマル優廃止はどうなりますか。これはやっぱり、低所得者層は今まで三百万円まで無税だったのが二〇%利子がかかる。それから高所得者は分離課税で三五%だったのが二〇%に下がるというので、ほくほくなんですね。これについては、これも与野党協議不調なら廃案とすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中曽根康弘君) マル優の問題は、むしろ金持ちがあれで悪用し過ぎている、そういうのでこれを是正しなけりゃならぬと。現に野党の案でも、たしかグリーンカードその他を使って七千億円ぐらい余計あれから税金を取ろう、そういうような限度管理強化という案もあったはずで、つまり悪用している金持ちをやっつけようという意味も野党の案にはあったんじゃないんですか。
 そういう意味で、あのマル優の問題というものは、ある意味においては不公平税制の是正という意味も実はあるんですね。この議長のあっせんの中で「税制改革問題」と書いてある中には、私は含まれていると思っています。
○上田耕一郎君 では、直間比率の見直し問題が新しい間接税とつながるのじゃないかということについてお聞きしたいんだが、売上税を導入した場合、大蔵大臣、直間比率は今の七対三がどのくらいに変わるんでしたか。
○政府委員(水野勝君) 御提案申し上げております税制改革案によりまして、昭和六十二年度予算におきましては七〇・四%、これが直接税の割合となってございます。
○上田耕一郎君 いや、売上税を入れると七対三がどうなるのか、どのくらい間接税の比率が上がるのか。
○政府委員(水野勝君) 御指摘の点は平年度化した場合のお話かと思いますが、これは今後平年度化します際の計算は推計になりますので正確なことは申し上げかねるわけでございますけれども、おおむね二対一ぐらいの割合になろうかと見込んでおるところでございます。
○上田耕一郎君 そうすると、直間比率の見直しという議長あっせんですね、それで間接税比率を上げようということですが、売上税の場合、今のお話で二対一だとすると、じゃ三三ぐらいで、今より数%、五、六%上がることになるのだろうと思うんですが、この直間比率見直しの場合、間接税の比率を上げようとする際、モデルはやっぱり売上税になるんですか、新しい間接税。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今政府委員が御答弁しましたのは、ただいま御提案をしております売上税でございますね、等々を全部平年度で施行いたしました場合の直間比率はほぼ六六対三三になる、こういうことを申し上げたわけです。
○上田耕一郎君 だから六六対三三になるというんでしょう。今は大体七〇対三〇なんでしょう。そうすると三%ぐらいしか上がらないんですか。とにかく売上税で三%間接税比率が上がるわけだから、新しく直間比率を見直ししようとする場合、間接税をやっぱり導入しようとするわけでしょう。薄く広くと言われていたけれども、やっぱり売上税に似たものになるんでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) 理屈の問題としては、直間比率を間接税の方にウエートを傾けようとすれば、それは何かの間接税をしなければならぬわけであります。
○上田耕一郎君 それでは、物品税とか酒税とか個別の間接税の場合と、それから薄く広く、売上税、一般消費税のような大型間接税と二種類ありますね。後者も含まれる可能性はあるわけですな。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私どもが考えましたのは、可能性としてはないわけではありませんけれども、物品税はもう御承知のように長年やってまいりまして、これをこれ以上また昔に戻すということはもう至難なことであると思いましたし、酒の方も頭を打っておりますから、そういう間接税は確かにございますけれども今のままではそれはもうほとんど増徴することは容易なことでないというふうに判断いたしまして、それで新しい税をお願いしようとしたわけでございます。
○上田耕一郎君 そうしますと、今までの八十五品目の物品税はもう限界だ。そうすると、やっぱり薄く広くという新型の間接税が直間比率見直しで浮かび上がってくるという危険が非常に強いわけですな、議長あっせんに基づいて。
 それで首相、大型の新しい間接税は直間比率見直しでも絶対やらないとあなたは約束できますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは与野党の協議機関でいろいろ御審議願うということになるのだろうと思います。
○上田耕一郎君 与野党協議ということでいつも逃げておられるけれども、これまでのところ、やっぱり新しい大型間接税に結びつく、直結する危険が非常に強いと私は思うんです。これは大変なことで、議長あっせんがこういうことにつながることになるとひどいことになりますよ。共産党はこれはのまなかったけれども、やっぱりのんだ野党も大きな責任が起きてくる。
 これは東京新聞四月二十四日付の記事です。今度の議長あうせん案というのは「常識的には大型間接税導入論議に直結しよう。」と、そうなると「今度は首相だけでなく与党と共産党を除く野党各党の公約違反になりかねない懸念もある。」ということにまでなっているので、私どもは議長あっせんを合意した野党もこういう懸念につながらないように、やっぱり売上税を本当に粉砕、新しい大型間接税導入絶対反対の態度でみんな努力したいと思うんですね。
 以上、私は言論の自由問題にかかわる幾つかの問題を取り上げましたが、次に日米首脳会談にかかわる諸問題を質問してまいりたいと思います。
 首相、お疲れさまでしたと言いたいところですけれども、やっぱり中身はお疲れさまでしたでは済まない大きな問題があります。今度十回目のレーガン大統領との会談で、第一回目は日本列島不沈空母等々軍事分担を引き受けてきたということで大問題になった、今度は経済分担を引き受けてきたということになっていて、あなたはやっぱり悪い方向で一貫されていると思うんですね。もはや晴れたと言われていますが、重荷だけ背負わされてきたのではないかと思います。
 きのう来胸を張っていろいろ言われておりますけれども、中身は大変な問題だったようです。例えば朝日の五月三日の現地の記者の座談会を見ますと、第一回会談は向こうの閣僚がずらっと出てきて、まるで白州裁きのような形で内需拡大を具体的に約束させられたと書いてある。それから「米側によると、首相は首脳会談で「何か持って帰るものをいただかないと困る」と大統領に泣きついた」、こうアメリカ側が言っているそうです。日経の五月四日付を見ますと、半導体問題で大統領に、お土産がないと日本に帰れないと言って盛んにやった。これは現地の報道ですからね。
 こういう状況で、あなたは一体何を胸を張って日本国民に語るものを持っておられるのか。例えば焦点のドル安円高問題でも、アメリカに一体何を約束させたのですか。あなたが帰られてから、行く前と行った後ではやっぱり円高が進んじゃったじゃないですか。はっきりお答えいただきたい。
○国務大臣(中曽根康弘君) 一部の新聞にお白州裁きのようだったとか泣きついたとか、そんなことは絶対ありません。私は日本の総理大臣として日本国の名誉と権威にかけて堂々とやってきたのであって、むしろ先方に対して努力の不足をなじるぐらいに実はやってきた、それが真相であります。
○上田耕一郎君 円高問題で何を約束させたのか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 円高の問題にいたしましても、これは日本だけの責任じゃない、アメリカ側におきましても財政赤字の削減、あるいは輸出競争力の不足、あるいはいわゆる保護主義に対するもっと徹底的な闘い、そういうようなものが必要である。我が方はまた我が方で、市場アクセスの問題あるいは輸入の増大の問題等々について努力をする。両方対等な立場で言うべきことは言い、また向こうが言う言葉で我々が傾聴に値することは聞いてきた。そういうことで、そして今まではこの円ドルの安定問題というものは日本で最大の問題の一つでありますが、大蔵大臣と向こうの財務長官の間の話し合い、合意というものであったのを総理大臣と大統領の合意にまで持っていって、そしてしかも、アメリカ側はもはやこれ以上のドルの低落は許せない、そういう決意の表明まで文章にしたということはこれは非常に生きてくると考えて、世界もこれは注目したところであって、私は日本の総理大臣としてやるべきことをやってきた、そう思っています。
○上田耕一郎君 しかし、アメリカのその責任を多少今度はあなたは言われたとしても、プラザ合意以来の十九カ月のこの経過については、あなた方は今までそういう問題を何にも言わなかったんだから。これは僕は中曽根内閣の大失政だと思いますよ。おととしの九月二十二日のプラザ合意のとき、あのときに、為替レートを変えましょうと言って竹下さんが約束してきちゃったわけだ。それから去年、前川レポートを持ってアメリカに行かれましたね。レーガンさんとの会談をやって、あなたは、輸出大国から輸入大国になる、この私の貿易政策というのはエベレストよりも高い、一世紀に一度のことだと言って威張られたと言われるんだが、あの前川レポートにはアメリカの財政赤字問題の批判なんか一言も書いてありませんよ。日本が悪いんだ、日本がどんどん輸入しよう、そういうことを言っているじゃありませんか。
 それで、この十九カ月の間にどんどんどんどん二百四十円がついに百四十円を割るまで物すごい円高になってしまって、日本経済は大変なことになっている。こういうことを引き起こしてきたプラザ合意、それから去年の前川レポート、輸入大国の約束。この十九カ月というのは僕は大変な中曽根内閣の大失政だと思う人ですが、いかがですか。
○国務大臣(中曽根康弘君) これは国際経済というものはいろんなさまざまな複雑な条件がかみ合って出てくるもので、特に円ドルあるいは国際通貨の関係というものの中には、貿易の関係、金利の関係、あるいは国際投機筋の動きあるいは金の動き、石油の値段、あらゆるそういう要素が複雑にかみ合ってくるものであります。
 有本の状況から見ると、やはりアメリカの競争力が弱いという点もありましょう。日本のドルの蓄積が減らないで、かえってふえるぐらいに現実としては出てきた。そういう結果、円が強くなりドルが安くなる。市場原理で自由経済をやっている間はそういうことにならざるを得ない。遺憾ではありますけれどもそういう状態であったということで、これは日本だけの責任ではないです。世界的なそういう連関の中で経済は動いておる。しかし、そのかわりまた、日本の企業は外国へどんどん進出もしておりますし、あるいはさらに、日本からも相当の金をほかの国に還流して回している。そういうこともあって世界経済には貢献している。そういう面もあるわけであります。
○上田耕一郎君 それでは、今日本の政府も双子の赤字、これが原因と問題を言い始めているようだけれども、双子の赤字を生み出したレーガノミックス、大軍拡と大減税一緒にやったわけですね。これの評価は中曽根さん、どう見ていますか。
○国務大臣(中曽根康弘君) 外国の政権の政策に対して一々我々は批判がましいことは言わないのが礼儀だ、そう思っております。ただしかし、米ソの軍縮問題、これは世界の平和に関係する大事な問題でもあります。そういう意味で米ソ首脳会談を促進するように今まで一生懸命努力してきたのはあなたも御存じでしょう。あるいはさらに、平和と軍縮の問題については、サミットにおきましても、あるいはゴルバチョフさんにも会い、あるいはレーガンさんにも会って、直接にも二人で会って、そして平和と軍縮を前進させるように私は言ってきておるのであります。そういうようなこともあって、だんだんだんだん両方が接近してきつつあるということは非常に歓迎すべきであり、今回もさらにこれが実るように発言もしてきたわけであります。
○上田耕一郎君 外国の政策に物を言うか言わないかというんじゃなくて、これだけの大問題、日米の貿易の不均衡をどう解決するかという大問題について原因の認識をしっかりせにゃいかぬのですよ。池田元首相のブレーンだった下村治氏は、最近、日本は悪くない、悪いのはアメリカだという本を出されて、今アメリカが進めている政策は荒唐無稽だとまで言われている。アメリカに決定的責任がある、レーガノミックスにと言われている。それから、皆さん御支持なさっていると思うんだが、経団連でさえ「経済構造調整に対するわれわれの考え方」を去年十二月に出した。米国の巨額な貿易不均衡の主たる原因は米国自身の経済構造と政策運営にあると。
 そういうリアルな認識をしないと、日本の政策は大変なことになりますよ。中曽根内閣は、こういうふうに決定的原因はレーガノミックスとそれがつくり出した双子の赤字、二千億ドルを超える財政赤字と千億ドルを超える貿易赤字にあるのに、あたかも日本が悪いかのように、為替レートさえ変えれば日米貿易摩擦が解決するかのように、円高にしましょうというのを引き受けちゃったんですよ。そんなことをやっても何の解決もしない、ますます悪化する。やむを得ず、財政赤字を少し直せというようなことをあなたも言わざるを得なくなったんだが、その一番大きな根源である軍事費問題については言わなかった。内政干渉になるときのう言われた。
 私ここに持っているのは専門家のR・ディグラス氏の「アメリカ経済と軍拡」という本ですが、ここにはアメリカの軍事費、これに退役軍人恩給だとか対外軍事援助などなどを入れると八六財政年度に五九・二%になると。これだけの軍事費を使っているわけだ。それでディグラスさんは、赤字幅を圧縮するには軍事費の削減ほど有効な方法は他にないのは確かだと。学者が書いているぐらいなんですからね、それへ手をつけることをあなたは言わないでこれは解決できませんよ。それで、軍事費を減らせということを言うと内政干渉になると。アメリカはどんどん言っているじゃないですか、軍事費をふやせと。それも内政干渉になるでしょう。アメリカから軍事費をふやせと言われでどんどん受けて、内政干渉だという反論もしないで、日本国民の願いであり日米のこの不均衡を解決するのに絶対必要なアメリカの軍事費を削減しろということをなぜ言えないんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) このレーガン大統領と中曽根総理大臣の共同声明を見ますと、「大統領は、米国の財政赤字を削減するとの決意を強調した。」と書いてあります。向こうの大統領はそう言っておられるわけですから、どうやって削減されるかというのはこれは向こうのやり方であって――それはそうでございましょう、あるいは軍事費かもしれない、あるいは増税かもしれない、それは向こうのやることでございますが、とにかく赤字を削減する決意を強調しておられるわけです。これでいいんじゃありませんか。
○上田耕一郎君 宮澤さん、うまいことをおっしゃいますけれども、きのうも、軍事費削減をなぜ言わないかということについて中曽根さんは、内政干渉になるからだと。ところが、西ドイツのシュミット元首相でさえエコノミストでちゃんとおととし論文を書きましたよ。アメリカが五百億ドル軍事費を削減しなければ今の世界の経済不均衡は直らぬとシュミット首相でさえ言うんだから。あなた方は一言も言えない、向こうにはどんどん言わす、こういうやり方はとんでもない。
 それから次の問題で、アメリカに対する市場開放、今度また約束してこられたようですね。ところが、日米の市場開放問題とか相互の製品浸透問題を考える際には、やはり多国籍企業問題を勘定に入れないと正確にならぬわけです。通産省にお伺いしますが、多国籍企業を含めると日本人とアメリカ人、どちらがお互いの製品をどう買っているかということについて数字をお教え願いたいと思います。
○政府委員(吉田文毅君) 一九八三年の統計等で試算をいたしますと、日本の対米輸出額及び在米日系企業の売上額の合計は五百七十億ドルでございます。また、米国の対日輸出額及び在日米系企業の売上額の合計額は五百四十三億ドルとなります。これをもとに米国の人口約二億四千万人、日本の人口約一億二千万人を用いまして一人当たりの金額を計算いたしますと、米国につきましては二百三十七ドル、日本につきましては四百五十二ドルとなります。
○上田耕一郎君 今の通産省の御説明で、アメリカが買っているのが二百三十七ドル、日本が四百五十二ドルでしょう。約二倍近く買っているわけですね。(図表掲示)これは八三年度の数字で、やはり同じパネルにしたものですけれども、だから大体日本人の方がアメリカ人よりも約二倍アメリカの製品を買っているわけですよ。ここには在日米系企業の市場占有率、かみそりはシック、七〇%ですよ、市場占有率。使いますわな、みんなシックをね。コカ・コーラ六〇%、紙おむつ、パンパース五〇%、IBM三〇%とかね。だから、本当に日本人ほど、日本の市場ほどアメリカに対して市場開放をしているところはないと言われるくらいで、アメリカ人よりこっちが二倍買っているのだから、中曽根さんは一人百ドル買おうなんていうキャンペーンをおやりになったけれども、こういうのも本当に事実をしっかり見て政策をやらないと天下の笑い物になる、こう私は思います。
 お米については、きのうからも問題になりましたが、多角的協議の一環にするというのだけれども、加藤農水相、多国的、多角的協議が起きた場合、どういう態度で臨むのか。本当に日本のお米を守ろうと思うのだったら何も多国的協議をオーケーしないでもよかったと思うのですが、農水相いかがですか。
○国務大臣(加藤六月君) 我が国の農地面積の二・六倍ないし二・七倍の農産物を我が日本は諸外国から既に買ってきておるということを念頭に置いてひとつ今後私たちは我が国の農林行政全体を考えていきたいと思うのでございますが、ただいまは多国的相談というようなお話ですが、ガット新ラウンドに臨む姿勢はどうかという御質問ではないかと、こう思うわけでございますが、我が国の米の問題をガット新ラウンドの場において取り上げたいとの米国側の意向につきましては、ガット新ラウンドの交渉の具体的内容等は今後多数国間で決定していく問題であると考えております。これが第一点です。
 そこで、ウルグアイ・ラウンドで農業問題の議論が進み、農産物に関する各種の貿易措置を対象としてルールづくりの議論が具体的に展開されることになった段階において我が国の米が論ぜられるようなことになれば、ガットの場においても米の持つ重要性や国内自給方針など我が国の立場につき理解を求めていく考えであります。
○上田耕一郎君 私は、それぞれの国が自分の国の国民経済を大事にし、日本のお米の生産性問題といろいろありますけれども、農民があれで食べているわけだから、日本人がそのお米を食べているわけなので、そういう問題で農水省が本当に農民の希望にこたえた活動をしていただきたいというふうに思うのです。
 先ほど、中曽根内閣のこういう異常円高をもたらした責任を追及しましたが、大企業でさえ百四十円だったらもうどうにもならぬと言っていますよ。この間の日経に出た富士通の社長さんは、本当に外国に逃げるしかない、日本には金融業とサービス業しか残らぬだろうとまで言っていますからね、そこまで来ている。それでも大企業はやっぱり、何とかかんとか減量経営で輸出を減らすまいとしている。それが悪循環になるんだが、ひどいのは中小企業ですよ。中小企業は、これは幾らコストを切り下げしようといったってできないんだから。そうすると、中小企業は今の百四十円という円高で本当に塗炭の苦しみを味わっていると思うんですが、通産省、何度もこれ問題になるんだが、いわゆる日本の中小企業が耐え得る限界のレートですな、大体どのぐらいだと思います。
○政府委員(岩崎八男君) 採算レート、これは業種業態によって違いますし、また殊に個別企業ごとに違うと我々は思っております。したがって、それが中小企業についてどれだけであるか、これは言えないわけでありますけれども、ただ、随時この円高の中で五十五産地について採算レート、どの程度と今思われますかという質問をしましたものについての回答、これがございまして、直近の昨年末で申しますと、百八十円前後が採算レートであるというふうに答えた産地が多うございました。
○上田耕一郎君 私、きょうは、中小企業問題はよく取り上げられているので、中小企業一般じゃなくて、その中の零細企業ですね、これを少し取り上げたい。
 日本の下請中小企業の総数、これは下請企業研究会「国際化の中の下請企業」にもちょっとデータがあるんだけれども、その中で例えば九人以下とか三人以下、この比率ですね、これをちょっと中小企業庁、お答え願いたい。
○政府委員(岩崎八男君) 通産省が五年に一度、工業実態基本調査というのをやっております。それによりますと、五十六年段階が最新でありますが、下請中小企業約四十七万、そのうち従業員一−二人の企業の比率は五二・五%、四人−九人の企業の比率が三〇・四%であります。
○上田耕一郎君 ですから、中小企業と言うんだけれども、四十七万のうち八二・六%が九人以下なんですよね。三人以下、一人から三人が五二%なんだから、大変なものですよね。
 それで、そういう状況なんですけれども、その下請中小零細企業が、私どもがよく言う乾いたタオルを絞るようにひどい目に遭っている面が確かにある。それから賃金も、千人の企業と比べると三分の一とかもっと低いデータまであるんだが、そういう面もあるけれども、同時に、この「国際化の中の下請企業」、これにも書いてありますが、こういう下請企業のシステムは非常に工程が細分化されていて、多段階化されていて、非常に効率がいい重層的なものだという面もあるんですね。極めて効率的なんだと。そういう点では、零細下請企業の一名から三名などで働いておられる方々が苦労をしながら日本の産業、製造業、機械加工業等々を支えている非常に大事な層なんだということを私、質問の前提として強調しておきたい。その九人以下とか三人以下というところが、今深刻な異常円高で大変な目にやっぱり遭っているわけですよ。まず受注減、それから単価の切り下げね。
 中小企業庁、どうです、そこの辺の実情をどうつかんでいますか。
○政府委員(岩崎八男君) 私どもこの円高の中で随時下請企業の実態調査も行っておりますけれども、最新の二月時点で行いました調査によりますと、受注量が一年前に比べて減少したと答えた企業が五七・四%、変わらないというのが二八、プラスというのが一四。それから、受注単価が一年前に比べて引き下げられたというのが五九、変わらないが三七、プラスになったが二・八ということで、かなり受注量、それから単価についても厳しい状況が続いていると考えております。
○上田耕一郎君 昨年、この異常町高問題で幾つか法律が成立しましたけれども、その中で特定地域法ができたけれども、これは首都圏、大阪市なんかば省かれているわけだ。ところが、首都圏にこういう中小下請企業が集積しているわけですよ。そこはもう省かれている。
 私は去年から大田区の蒲田にいろいろ調査その他で入った。蒲田は京浜工業地帯のかなめで、大田区、ここに九千百九十工場がありますけれども、そのうち七八%、七千百七十社が機械金属加工業なんです。世界でまれだというんですね、技術の高い零細中小企業がこれだけ集積されてきているところは世界にもここしかない。そのうち千軒を蒲田民主商工会が組織しているんですね。私、昨年からいろいろ調査に入ったり、それから去年の十二月十六日には一緒に通産省の交渉もしたんです。実態調査をしてくれと言うと、そういう地域問題は自治体のことだと言ってなかなか実態調査をしようともしないんですね。僕はここはモデルだと思うんだな。こういうところを本当に調べて、日本の産業を支えている中小零細の、先ほど言ったように五〇%なんですから、そこが一体この異常円高で何を求めているか、これ僕は実態調査をぜひしてもらいたいと思うんだ。地域問題だけというんじゃなくて、一つのモデルだから、首都圏の。どうです、通産大臣。
○政府委員(岩崎八男君) 私ども、時に応じいろいろな業種あるいは地域等に対して実態の把握に努めておりますけれども、なかなか手が回りませんで十分な御期待に沿うほどの把握体制はできておりませんけれども、今後とも必要に応じ努力してまいりたいと思っております。
○上田耕一郎君 ちょっと、実態調査する気がありますか。
○政府委員(岩崎八男君) 検討さしていただきます。
○上田耕一郎君 それで、こういう小さな三次、四次の下請企業というのは下請代金法の枠外になっちゃうんですよ。そうすると、例えば親企業が資本金一千万円以下だとこの下請代金法が適用にならぬわけだ。
 それから僕はおとといもこの蒲田の矢口にあるやっぱり民商の役員の方のうちへ行って実態を見たんですが、これはなかなかすごいですよ。数値制御フライス盤、千八百万と千五百万、二台お持ちで、あと旋盤とかなんとか十台近い機械を持って五人でおやりになっている。技術も非常に高いんですよ。しかし、この円高でその数値制御、NCフライス、四年の手形ですって、返せなくなっちゃった、仕事が二割、三割減るから。結局この一年半の円高の間に九百万円借金がふえたと言うんですよ。銀行から貸付手形で、一年六・五%の金利で、四カ月ごとに借りかえ借りかえ今払っていると言うんですね。約一千万円近い借財がふえちゃっている、元気でおやりになっているけれども。結局一番願うのは融資だと言うんですな。ところが、こういう零細企業、零細でも五人だから大きい方なんだが、あの中では。
 例えばどこかから借りようと思っても、あるいは制度融資を借りようとしても、信用保証協会を通るか通らぬか。担保といったって、工場は借りているから、機械は担保にならぬとか、実際この融資問題で、本当に力もありやる気のある方々が異常円高で一千万円近い借金をして、ちょっと今の制度融資ではどうにもならぬということがあるんですよね。これはもう中小企業庁長官だけじゃなく田村通産相、こういう問題で、融資問題、本当に生きた、血の通った考え方でひとつ研究していただきたいと思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(田村元君) 不況対策というのは融資を中心にすべきだというのが私の持論でございます。
○上田耕一郎君 答えになってないね、それは。枠から外れているこういう零細の中小企業が使えるような融資を考えてみてください。
○国務大臣(田村元君) 今、融資について熱意を持ってやるかという御質問だから、私の持論でございますと、こう申し上げたんです。
 実態調査でも、自治体がどうのこうのとおっしゃいますけれども、通産省の方でもやるべきはやりたいんです、なかなか手が回りませんが。実態調査だからといって自治体調査という意味ではございませんと、こう言っておるわけです。
○上田耕一郎君 ひとつ実際に生きた中小企業政策、零細企業対策、下請の対策をお願いして、次に移りたいと思います。
 内需拡大の問題で、これも幾つか出ていますけれども、私一つ取り上げたいのは、交通安全のための投資なんですね。東経大の柴田徳衛教授、都市問題専門家ですが、お年寄りや障害者のためのエレベーター、こういうものを地下鉄などにどんどんつくるというのは、これは内需拡大の公共投資として非常に重要だということを提言されておられるんですね。
 私、きょう取り上げたいのは事故対策です。警察庁、昨年の交通事故の死者、負傷者数、戦後の死傷者数、その中での交差点事故の比率などについてお答えください。
○政府委員(内田文夫君) 昨年の交通事故の死傷者数でございますが、交通事故の発生件数が五十七万九千百九十件、死亡者が九千三百十七人、負傷者が七十一万二千三百三十人でございます。
 それから、戦後、現在に至るまででございますか。
○上田耕一郎君 はい。
○政府委員(内田文夫君) 昭和二十年から六十一年までの交通事故による死傷者数の合計でごさい、ますけれども、死者が約四十万人、負傷者が約千七百八十万人ということでございます。
 それから交差点における死亡事故という話でございましたけれども、昨年の死亡事故の中で交差点の中で発生しました件数が全死亡事故件数の三〇・六%、こういう数字になっております。
○上田耕一郎君 今お答えがありましたように、一時減っていた死者がまた一万人近くになりつつあるんですね。戦後の死者が四十万人、これは大戦争ですね。負傷者が千七百八十万人というんだから、ダブっている方はあるとしても本当に国民的大問題で、その中で案外交差点の事故が多い。交差点での死亡者が今言われたように三割になっている。これはなぜかというと、青信号になると人間も横断する、車も進む。左折車があるでしょう、この左折車が歩いている人をひっかけるというのが非常に多いんですね。信号を守っていてそれで死亡事故になるわけで、先日も葛飾で小学校一年の子供が亡くなりました。
 これは対策はどう考えていますか。
○政府委員(内田文夫君) 交差点におきます交通事故の防止につきましては、警察といたしましても人命尊重の理念のもとに、従来から、歩行者用の信号機等の設置だとかあるいはその他の交通安全施設の整備、それから悪質、危険な違反の取り締まりだとかあるいは歩行者、自転車の保護活動、それから運転者に対しますいろいろな指導、教育、さらには最近では原付の二段階右折の問題とか、あるいは駐車違反に対します反則金の引き上げたとか取り締まりの強化とか、そういったことでいろいろな対策を講じているところでございます。今後とも関係機関、団体との協力の上に、引き続きこれらの対策を積極的に進めてまいりたい、こう思っております。
○上田耕一郎君 一つ具体的な問題で、多摩市の新大栗橋交差点、これは例えば民放でも待ち時間の最も多い横断歩道ということで取り上げられたこともあるというんですけれども、ちょっとこれ、問題なんですね。
 私もこの間行って調べました。一日に七万六千台通る交差点なんですね。多摩市の新大栗橋。二本の都道が交差していてその一本、多摩川に渡る関戸橋に向かう都道、幅二十六メートルあります。二十八秒しか青信号がないんです。私歩いてみたら、私がちょうど歩いていっぱいです。一分四十六秒待ち時間で、お年寄りはとっても無理なんですね。
 それで、共産党の横田市会議員がこの問題を取り上げてアンケートをしましたら、七〇%が横断、中何度も危ない目に遭った。何とか二十八秒を十秒間ふやしてくれという要望書を警視庁に出しているんですね。どうも警視庁の態度は余りよくないんだが、私もプッシュしていますけれども。どうです、これはひとつモデルケースとして現場を調べる、いろいろ問題はあるけれども。二十八秒でとまると左折車が二十秒ぐらいは動くんですよね。これはやっぱり、こういう問題を解決する一つのモデルケースとして警視庁は取り組んでほしいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(内田文夫君) ただいまお話のありました新大栗橋交差点の問題でございますけれども、ただいま大変交通量の多いところでございまして、現在警視庁に三月の末にそういう要望が出されておる、そして警視庁で現在現場を見るなどの調査を進めているということを聞いておるところでございます。大変歩行者の青の表示が短いということでございますけれども、歩行者の信号の青の表示の時間等につきましては、交差点の状況だとかあるいは道路の幅員の状況、それから歩行者の通行量等を考慮いたしまして検討をしているところでございます。
○上田耕一郎君 これは僕は、歩道橋あるいは地下トンネルですね、本当にお金があればこれは解決できると思うので、ぜひ大蔵省もこういう交通安全を内需拡大の一つとして考えていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは、確かに財政の厳しいところですけれども、私どもも重点を置いて今までも考えてきております。六十二年度におきましても予算としてはかなり前年対比でふやしておりまして、考えさしていただきます。
○上田耕一郎君 時間も迫ってまいりましたけれども、最後にGNP一%枠問題を取り上げたい。
 私は、首相がレーガン大統領に財政赤字削減のために軍事費を削減せよと言えなかったのは、内政干渉になるからというんじゃなくて、自分が軍事費一%枠突破をお土産にアメリカへ行っているわけだから相手に言えないということだったと思うんですね。――ちょっと軍事費問題で資料を配付してください。
   〔資料配付〕
○上田耕一郎君 まず防衛庁、日本の軍事費は世界で第何位になっていますか。
○政府委員(池田久克君) 防衛費の定義につきましては、各国の軍事の組織とか伝統によっていろいろ違っておりまして、これを各国共通の水準で比較するというのはなかなか難しいわけでございますけれども、英国の戦略研究所の資料、これの一番新しいデータによりますと、一九八四年のデータでございますが、たしか日本は九位にランクされております。
○上田耕一郎君 NATO基準で軍人恩給、海上保安庁などを入れると一・五倍になるんじゃないかと思いますが、防衛庁、外務省、大蔵省、この三省庁の認識をお伺いします。
○政府委員(池田久克君) 世界各国の軍事費の定義につきましてはいろいろ難しい要素があるということは先ほど申し上げました。それで、NATOが十六カ国ございまして、NATOの十六カ国がそれぞれどの程度の防衛努力をしているかということをNATO本部に報告をして、毎年その総額をNATOが国別に発表いたしております。これがいわゆるNATO定義でございます。ただし、そのNATO定義でどういうものを国防費に計上するということはNATOの秘密になっておりまして、これはわからないという状況でございます。
 そこで、我々もいろいろな形で調査とか研究をいたしておりますが、我が国の防衛費を見ますと、御承知のように自衛隊出身者の恩給とか年金、これはもう現在の防衛費に計上されております。それから基地対策の経費だとか、あるいは在日米軍に関連する経費とか、こういうものが入っておりますからかなり広い概念でございます。ただ、問題は、旧軍人の恩給、これがまず第一に問題になってまいります。NATOの定義の場合は旧軍人の恩給をすべて計上しておるということではございませんで、いわゆる職業軍人の恩給、こういうものが含まれておるようでございます。逆に申し上げますと、徴兵に伴う年金とかあるいは戦争補償、ウォーダメージですね、例えば傷病に関する手当だとか、あるいはまあ言葉が適当ではございませんけれども、遺族、特に寡婦手当とか、こういうものは計上されていないわけであります。
 そこで、我が国の恩給の制度を分析してみますと、こういう職業軍人と徴兵とか区分はされておりません。しかし、それを一緒にいたしましていわゆる軍人の、今NATO定義に近いものと考えますと、大体普通恩給と普通扶助料、これが該当すると思いますが、それを合わせますと大体GNPの一・二%、恩給費の中の四五%ぐらいがこれに該当するのではないかと考えています。したがいまして、一・五というのではなくて一・二%程度ではないだろうかと、こう考えております。なお、海上保安庁の問題がございますけれども、これは先生御承知と存じますけれども、海上保安庁法でこれは軍事的な組織でもなければ軍事訓練もしないものだと明記されておりまして、こういうものはNATO定義の場合は計上しないというふうになっているようでございます。
 改めて申し上げますが、NATOの定義は秘密になっておりまして、正確な数字は計算できないというのが実情でございます。
○国務大臣(宮澤喜一君) 仮に、防衛関係費が三兆五千億余りでございますから、それに旧軍人遺族等の恩給費一兆六千億円ぐらい、それに海上保安庁一千二百億円ぐらいでございますが、後者二つでちょうど一兆七千億余りになりますから、ちょうど三兆五千億の半分になります。そうしますとその一・五というのに近い数字が出てきます。それが時々言われる一・五ではないかと思うのでございますけれども、今防衛庁の政府委員が言われましたように、どうも、NATOで言う軍人恩給というものが我々の範囲よりはこれだけ範囲が違うらしゅうございまして、これを全部勘定をするのはどうも適当でないらしいということと、それからNATOの国防費そのものの定義が実は正確にはわからない、これも今防衛庁の政府委員が言われました。そういう二つのことがございますので、一・五というこの根拠が明確でない、どうもそうではないのではないか、今の防衛庁の政府委員が言われたようなことの方が近いのではないかと思います。
○国務大臣(倉成正君) ただいま防衛庁並びに大蔵大臣から御答弁のあったとおりでございますが、国防予算の制度は国によって独自のものがございます。我が国の場合は御承知のとおり防衛関係費に旧軍関係の費用は含めてないわけでございまして、先ほどの御説明にもありましたように、NATOの定義についてはその詳細が秘扱いになっておりますから、我が国の防衛費をNATOの定義によって算出することは困難であり、また意味があるとは思われません。
○上田耕一郎君 外務省にお伺いします。
 お配りした資料の一の三ですね、これは一九八〇年三月に当時の大来外務大臣がアメリカに行く際、日本の防衛予算はGNPO・九%だがNATO方式で計算すれば一・五%になるということを説明したいと前もって言われ、これはトーキングペーパーが明らかになっていますが、読売の三月二十二日付で、NATOベースでは一・五%、こうアメリカ側に説明してきたという報道があるんですけれども、外務省どうですか。
○国務大臣(倉成正君) ただいま上田委員の仰せになったのは、大蔵大臣がただいまお話しになった点を踏まえての説明ではないかと思いますけれども、私としてはNATOの詳細が明らかでない以上、これ以上のことを申し上げることは意味がないと思います。
○上田耕一郎君 北米局長どうですか、こういう説明、大来さんはアメリカにしたんでしょう。
○政府委員(藤井宏昭君) トーキングペーパーというものを外務省は用意いたしておりましたけれども、特にこの点についてアメリカに詳しい説明をしているということはないというふうに存じております。
○上田耕一郎君 お配りした資料の一−二、マンスフィールド駐米大使の講演があります。「もし日本がアメリカやNATOが行っているのと同じ算定基準に基づいて防衛予算を計算し、年金や遺族手当も含めると、その数字は一%弱ではなく、一・六%近くになろう。しかし、私の考えでは、一・六%と言えども、防衛費としては十分ではない。」、つまり駐日米大使が一・六%と言っているんですから、やっぱり外務省のこういう数字に基づいて言っているのだと思うんですね。
 第一ページをごらんください。
 これは一九八四年度国防費、ミリタリー・バランス、イギリスのものですね。これを見ると、日本は九位です。これを現在のレートで計算し直して、そして日本を一・五倍しますと日本は三番目になる。米ソに次いで三位。これは一九八四年度の数字ですね。右のページ八七年度、ことしです。この西ドイツ、フランス、イギリスは、私どもが在日大使館に電話をして、それぞれの国のことしの国防予算、聞いた数字です。それを日本の場合一・五倍しますと三百二十四億ドル、西ドイツ三百二十億ドル。これはNATO方式。フランス、恩給、年金込み三百十七億ドル、これも全部大使館が答えました。イギリスはどうも大使館では恩給、年金はどう数えているかわからぬと言うのですが、二百六十九億ドル。米ソはこれは別格ですわな。しかし三位、これを一・五倍すると。このレートの計算は百六十三円で計算しているんですよ。これが百四十円だったらもっと上がりますわな。どうやら第三位グループに日本はなったと思うんですね。
 法制局長官、この日本の憲法第九条で禁止されている戦力、一九五一年の政府の統一見解ですと、近代戦争に役立つ程度の装備編成を備えたもの、これは禁止されていると言っていた。それからもう三十年以上たちましたが、どうですか、今はどういう見解ですか、禁止されている戦力。
○政府委員(味村治君) 吉田内閣当時の国会答弁におきましては、憲法九条第二項の戦力を近代戦遂行能力というふうに説明しておりました。しかし、その後の政府見解におきましては、憲法は自衛権を否定しておりません。したがって、その裏づけとなる自衛力を、つまり自衛のための必要最小限度の範囲内の実力、これは憲法九条の禁ずるところではないという見地から、この憲法九条二項の戦力の定義といましたしては、自衛のための必要最小限度を超える実力という説明をいたしておりまして、これはもう昭和二十九年十二月以降すっとそのような見解を一貫してとっているとこうでございます。
○委員長(桧垣徳太郎君) 上田君、時間が参りました。
○上田耕一郎君 ことしは憲法施行四十周年。それで、本来日本は憲法第九条で軍事費はゼロ%であるべき国なんですよ。それが、私今明らかにしたように、NATO基準で米ソに次ぐ世界第三位のとんでもない軍事大国に既になっているんですよ。一%枠を突破しなければいいどころじゃなくて、一%枠で既に八四年から軍事大国に、世界第三位に、そういうことになっていて、金額上でこうですが、中の機能においてはもっと恐るべきものなんですね。歯どめなき大軍拡にその一%枠さえ突破してなりつつ突き進んでいる。私は世界じゅうに、国連加盟百五十九カ国ありますけれども、憲法をこれほど踏みにじっている国はないと思いますね。
○委員長(桧垣徳太郎君) 上田君、時間が来ました。
○上田耕一郎君 これは憲法と実態とがこれほどかけ離れている国はないし、それは中曽根自民党内閣とそれに圧力をかけているアメリカの責任だと。私ども、この根源に日米軍事同盟がありますので、やっぱり安保条約をなくして本当に日本を独立、中立の国にするために、平和の国にするために頑張りたいということを強調して、質問を終わります。
○委員長(桧垣徳太郎君) 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
 明日は午後一時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十六分散会