第109回国会 社会労働委員会 第3号
昭和六十二年七月三十日(木曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 七月二十八日
    辞任         補欠選任
     初村滝一郎君     森下  泰君
 七月三十日
    辞任         補欠選任
     浜本 万三君     山本 正和君
  出席者は左のとおり。
    委員長         関口 恵造君
    理 事
                佐々木 満君
                曽根田郁夫君
                糸久八重子君
                中野 鉄造君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                岩崎 純三君
                遠藤 政夫君
                田代由紀男君
                田中 正巳君
                前島英三郎君
                宮崎 秀樹君
                対馬 孝且君
                山本 正和君
                中西 珠子君
                沓脱タケ子君
                内藤  功君
                藤井 恒男君
   国務大臣
       労 働 大 臣  平井 卓志君
   政府委員
       労働大臣官房長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       平賀 俊行君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       白井晋太郎君
       労働省職業能力
       開発局長     野見山眞之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        此村 友一君
   説明員
       北海道開発庁計
       画官       大道 英彰君
       環境庁大気保全
       局大気規制課長  浜田 康敬君
       文部省教育助成
       局施設助成課長  遠山 耕平君
       厚生省児童家庭
       局母子福祉課長  柏崎 澄雄君
       労働省職業安定
       局民間需給調整
       事業室長     戸苅 利和君
       労働省職業安定
       局高齢者対策部
       長        甘粕 啓介君
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  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (最近の雇用失業情勢と雇用対策に関する件)
 (北炭真谷地炭鉱における退職金未払いに関す
 る件)
 (季節労働者対策に関する件)
 (男女雇用機会均等法の施行状況に関する件)
 (女子労働者福祉対策に関する件)
 (労働者派遣法の施行状況に関する件)
 (アスベストに係る労働安全衛生対策に関する
 件)
 (脳血管障害等の労災保険認定基準に関する件
 )
 (造船業等における退職勧奨に関する件)
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○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十八日、初村滝一郎君が委員を辞任され、その補欠として森下泰君が選任されました。
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○委員長(関口恵造君) 労働問題に関する調査を議題として質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○対馬孝且君 先般、三月二十七日の当委員会で、これからの雇用推進のあり方につきまして大臣にただしました。問題は、今日の円高不況、構造不況などによる失業の増大傾向ということに対しまして、極めて重大な関心を持たざるを得ませんし、また対策をとらなければならない、こう思っています。
 そこで、本年五月の完全失業者数、これが百九十一万、前年同月と対比をいたしまして二十九万人の増加、したがって完全失業率は三・二%ということになっております。したがって、これは昭和二十八年度調査開始以来の最悪の水準である、こう言わなければなりません。この失業の増加という傾向は、もちろん円高不況、輸出産地の影響などもございますけれども、これらを踏まえまして、所管官庁である労働省として、これからの失業情勢、現状認識というものについてどういうふうにお考えになっているか、まずお聞かせを願いたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) この雇用失業問題につきましては、当委員会でも従来いろいろな御指摘もいただき、御議論もあったところでございますが、まさにおっしゃいますように、産業構造の転換期にございまして、特に雇用問題は当面の最重要政策として取り上げられねばならぬと政府も考えておるわけでございます。
 ただ、御案内のように、非常にこの雇用失業問題は流動的な一面もございまして、失業率その他の統計資料も多少乱高下をいたしておりますが、結論から申し上げますと、やはり輸出関連また不況業種、その地域というところにこの雇用問題はかなり集中しておるというふうに理解をいたしておりまして、政府といたしましては、政策目標でございますけれども、何とか年平均で二・九%程度に失業率を抑えてまいりたいという目標を立てまして、あらゆる雇用対策面における措置をし、ただいま万全を期すべく努力をいたしておるわけでございます。
 そういう中で今後、この地域の問題または不況業種等に対する対策の問題につきましても、実績等を見ながら順次見直し、制度の効果が十分に働くような努力もさらに重ねてまいらなければならぬと考えております。
○対馬孝且君 今、大臣から、認識については私が指摘をした認識を持ちながら随時ひとつ対応をいたしてまいりたいという趣旨のお答えがありましたが、問題は、今日の失業者の特徴的な問題点はどこにあるのかということが非常に大事な点じゃないかと思います。
 私は次の三点ほどを考えているんでありますが、今回の三・二%というかつてない失業増加に対する特徴的な分析というのを我々は判断してみなければならないと思います。
 一つは、ずっと趨勢を見ますと男子の失業率の悪化が非常に目立っている。特に昨年七月以来十カ月ぶりで三%の大台を突破している、これが第一の特徴ではないかと思います。
 第二は、失業者の年齢階層なんでありますが、特に男子の四十五歳から五十四歳、この働き盛りの方々が前年同比で見ますと六万人実はふえている、これが第二の特徴ではないかと思います。
 第三の問題は、最近の解雇者などによる非自発的な離職者が非常に増高している。この例は炭鉱地帯でもそうですけれども、先般の大夕張あるいは芦別、三井砂川炭鉱はもちろんでありますけれども、仮に南大夕張の例を申し上げますと、目標が四百八十名の希望退職に対しまして六百八十名出る、あるいは赤平でも同様でありますが四百六十名に対してまた五百七十人ぐらい出る、こういう非自発的なやめ方が非常に多い。
 例えば函館ドックの場合でもそうでありますが、造船業界の不況というものをみずから認識しているのかどうか知りませんけれども、これは希望退職をとりますと、逆に三百二、三十人やっぱり希望者が出る。つまり非自発的な離職者という傾向がこれは六十四万人。前年同期と比べますと十二万人実はふえている。挙げますとたくさんありますけれども、特徴的にはこういう点が、かなり失業者数がふえている傾向の特徴である、こう考えておりますが、この点の認識はいかがですか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 先生御指摘のとおりでございまして、完全失業者の中身または完全失業率を見ますと御指摘のようなことかと思います。
 男子の失業率のアップにつきましては、五月に顕著にあらわれたわけでございますが、最近の傾向としましては、女子の方の失業率がわずか〇・一ポイントか二ポイントでございますけれども高目に推移いたしておりまして、これは今後の状況を見なければ必ずしも五月だけでそう言い切れるかどうかということはわかりかねるかと思いますが、そういう状況でございます。
 それから、二番目の中高年の問題につきましては、これは、従来から中高年齢者の失業率は高いわけでございますが、それが中高年齢者に集中しているということは言えるかと思います。特にしかし、中高年を除きましても、世帯主の失業率が必ずしも低下していないということにも問題があるかと考えております。
 それから、御指摘の失業者には自発的な失業者と非自発的な失業者とあるわけでございますが、解雇その他希望退職で非自発的な失業者がふえる。一方、自発的な失業者は、こういう雇用失業情勢でございますので、従来の経緯からすれば最近そうふえていないということが見られるわけでございまして、これはやっぱり転職を希望いたしましても他になかなか就職を見つけることができないということがあるのではないかというふうに考えております。
○対馬孝且君 今、白井局長から全く認識は同一であるというお答えでありますから、そういう認識に立つとするならば、これからの対応はもちろんでありますが、その前にひとつ労働省として、これは閣議で平井労働大臣の発言要旨と、言うならば労働省と総務庁の失業指数に対する、指数の食い違いが生じているという発言など、これ出されておりますけれども、この問題についてちょっとお伺いしたいのは、五月の有効求人倍率が〇・六五倍、前月で〇・六四倍と、若干改善されているんでありますけれども、完全失業率が総務庁調査では悪化の一方であり、労働省の調査では有効倍率がやや改善の兆しをしている、こういう矛盾について閣議で議論があったようであります。
 これに対しまして、後藤田官房長官の記者会見での談話も出ていますけれども、「どんな原因があるのか労働、総務の両省庁間で究明し、正確に説明できるようにすることになった。統計のとり方には何らかの問題があるかもしれない」、こういう談話をちょっと出しているんでありますけれども、ここらあたり、今一番大事なのは、働く者のこれからの不安感あるいは安定感というものはどういうふうに考えるかということになるんでありますが、これは間違うと、やっぱり対策に本腰を入れるかやや緩やかにいくかということになるのでありまして、この点大臣にひとつ率直な、閣議の大臣の発言の真意とこのやりとりを含めての考え方について、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) 今御指摘の問題でございますが、総務庁から三・二%という非常にかつてない失業率の統計上の指数が出たと、同時に労働省の調査によります有効求人倍率が、本年一月が〇・六一と、月を追うごとに〇・六二、六三、六四、六五と順次上がってきた、にもかかわらず逆に失業率がふえておるというのはいささか矛盾でないかというふうな議論が出たわけでございます。
 これは御案内のように、いろんな角度からいろんな分析の仕方があるわけでございますが、大きく申し上げれば、やはりある程度経営機能回復時におきましては、この有効求人倍率というのは景気の上昇と一致して連動していく、ところが失業率ということになりますると、これは求人または求職者その他いろいろな数字が出ますけれども、どうしてもタイムラグがございまして、かなりずれがあるというのが、従来から統計に出ておる一つの数字が我々に教えておるわけでございます。
 言うなれば、やはりよく言われておるミスマッチと申しましょうか、この産業構造の非常に調整が進む中で、地域間、職種間の労働力の需給のアンバランスがどうしても見られるわけです。したがって、求人の増加が失業の減少にすぐに結びつかない面がこれは常時あるわけでございまして、さらに申せば、最近の製造業からの離職者、それが三次産業を中心とした需要の増加とイコールで結びつきにくい。
 労働白書でも、他の業種から二次産業に百六十数万流れ込んで、これから七年間見た統計でございますけれども、第三次産業の方に二百二十万出ていく、差し引きは五十数万、それがそっくり結びつくかと申しますと、今委員が御指摘のように、やはり中高年を中心にこのミスマッチの問題がございまして、なかなかそうは単純にまいらないというところのギャップがございますので、そういうことが一時的にこういうふうな景気のやや回復期に向かっての数字として出ておるんではないかというふうな議論でございました。
○対馬孝且君 ただいま大臣から閣議での対応した考え方をお聞かせ願いました。
 問題は、同じ閣議ですから、政府として二つの数字が出るということは、これは国民的に考えても、まして雇用問題ですから、ほかのことと違って、やっぱり労働省なら労働省の指数によって一本化されるということはきちっとこれからもやってもらいたい。何か総務庁というのは、一週間なら一週間の、一定期間をとって指数を出す。労働省は御案内のとおり毎勤統計で出しておるわけですから、いずれが正しいかという問題はあるにしても、所管官庁である労働省の数字と総務庁のあれで違うんだというようなことではやっぱりまずいんで、これは労働大臣ひとつここらあたりをきちっとこれから一元的に、確信ある数字を出すべきであると、こう思います。
 特に私がなぜそれを申したかと申しますと、ことしは構造調整元年と、こう言われているわけですね。労働白書にもありますけれども、この間の七月七日のあなたの談話の発表もございますけれども、これでまいりますと、やっぱりこれから二百二十万の転職が必要と考えられる。果たしてそのとおりミスマッチでうまく労働が移動していけるのかと。これ誤ると、三%台にとどまらない、六%台になると、こういう考え方も現実に出ているわけであります。
 したがって、そういうふうに転換が果たして有機的にうまくいくのか、そういう誘導政策が果たして可能なのか。それは言葉で言ってもしようがないんで、裏打ちある政策がなきゃだめなわけですから、先ほど大臣の答弁に、何とかひとつこれからの目標として二・九%、百七十五万、ここにひとつ戻すような最善の手だてをしたいと、この考え方はわかりますけれども、それに対する対応として、そういう見通しと対応はどういうふうに
達成されるのか、このことをもう一度確認しておきたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) これはもうおっしゃるとおり、是が非でも政府目標の二・九%に年間平均で抑えてまいりたいということで最大限の努力をいたしておるわけでございますが、おっしゃいますようにやはりこの中でいろいろな原因はございましょうが、地域的なミスマッチの問題、時間的な問題、さらには職種による問題、また中高年等の年齢による問題等々ございまして、何が何でもこのミスマッチというのはいろいろな角度から解消していかなければならぬ、今後の非常に大きい雇用対策の中でも特に重点施策として考えなければならぬ問題だというふうに考えております。
 基本的にはいつも申し上げますように、もう今日的な状態から申し上げて、やはり内需拡大を中心にした均衡のある経済成長というのを前提にいたしませんと、今の大型の雇用不安はなかなか解消できない。したがって、今後政府の経済運営、さらには産業構造の転換に伴う産業政策等々と、これ一体となった総合的な雇用対策でなければ効果が出てまいらないということは御案内のとおりでございます。
 最近、内需関連業種を中心にやや求人等も増加をいたしておりまするし、製造業等の雇用過剰感もやや減少したかなというふうな形も出てまいっております。
 そういう中で、ただいまも申し上げましたように、一つの重点施策といたしましては、このミスマッチ解消のために職業転換のための訓練、出向等に対する助成、また出発をいたしておりますが、産業雇用安定センターへの援助等を通じて、どうしても労働力の移動を円滑にしていかなければならぬという問題、それから従来から、これは委員よく御案内のとおり、雇調金制度の拡充、これも重ねてやってまいったわけでございますが、これを最大限御利用願って、失業の予防、雇用の維持に尽くしてまいりたい。
 いま一つは、かなり広域化ということで考えなければなりませんので、求人、求職を中心とした雇用情報の広域的な提供、これは、私はまたかつて答弁申し上げたことがあるんでございますが、大体本年度中にオンライン化で全国ネットが完成するというふうなことで急がせておるわけでございます。
 いま一つは、四月からもう既に実施をいたしております地域雇用開発等促進法、これをよく御理解願って、総合的な地域雇用対策ということを重点的にやっていきたい。
 いずれにしましても、このミスマッチ問題をなおざりにして今後の雇用対策というのは効果を発揮し得ないという認識に立っておりますので、あらゆる面の能力開発、また日ごろの訓練内容、科目の見直し等々柔軟に、機動的に対処してまいりたいと考えております。
○対馬孝且君 基本的には総合対策ということで、内需拡大、同時にまた時間短縮、週休二日制あるいは消費購買力の増強、減税ということになりますけれども、一連の総合政策はもちろんこれは公共投資問題もございますけれども、直接労働省としてのこれからの一定の雇用増大、今ミスマッチの問題も出ましたけれども、そこらあたりやるとすれば何といっても三十万人雇用開発プログラム、地域雇用開発等促進法、さらにまた三十万が四十万、四十万が五十万にという拡大強化をしていかなければ失業の増大は食いとめられないのではないか。
 同時に、大臣からあったもちろん職業訓練、あるいはそれによる広域移動、またそれに対する対応ということはもう情報社会ですからそれらの手だてが今出てきておりますから、ぜひそういう点でもう一度やっぱり三十万人という、後から申しますけれども、補正予算なども決定をしたわけでありまして、その補正予算に伴ういわゆる三十万人体制がどう上積みされていくのかということも含めて、これからしかと対応してもらいたい、こう思っています。
 そこでお伺いするのでありますが、今回六兆円という補正予算が組まれた。労働省としては三百四億という補正を要求したという内容になっております。これでつまり三十万人プラス上積みとして雇用対策はどの程度のものになるのか、この考え方をひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(岡部晃三君) 補正予算三百四億、労働省関係分でございますが、これは具体的には雇用対策関係費がその大半、二百七十六億を占めておるわけでございまして、三十万人雇用開発プログラムをさらに補強するものという位置づけでございます。
 具体的な内容といたしましては、地域職業訓練センター、新方式のもの二カ所の新設が二十一億円、職業訓練施設等の整備が百七十六億円、移転就職者のための宿舎の整備が七十九億円となっております。さらにまた、予算には計上しておりませんけれども、雇用調整助成金、特定求職者雇用開発助成金及び高年齢者多数雇用報奨金制度等の改善もこの中には含まれておりまして、七月一日から実施したところでございます。
○対馬孝且君 その三百四億という補正予算は結構なのでありますけれども、これで何人ぐらい雇用増大しますか、端的にお伺いしますけれども。
 私の見る限りでは、ここにも補正予算の概要というのをいただきましたが、それなりにあると思うけれども、一つは何といっても雇用調整助成金、今もありました特定求職者雇用開発助成金、高年齢者多数雇用報奨金というのが出ていますけれども、これは一つの緩和政策、今挙げました情報処理センター、地域職業訓練とそれなりにあると思うんです。
 随分政府は鳴り物入りで六兆円、六兆円と国際公約で、ベネチア・サミットで中曽根総理が胸張って国際的に約束をした。その割にはこの労働省予算の三百四億というのはちょっと少な過ぎるんじゃないか。しかも雇用増大という今の時期に至ってもうちょっと思い切った予算要求をしてよかったんではないか、こう思うんですが、いかがですか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今官房長の方から御説明申し上げました労働省予算についての御質問でございましたけれども、今回の補正予算その他でどれくらいの雇用が増大するのかという、全体の数字につきましては労働省で直接はじくには、それぞれの公共事業にも種類がございますし、数的に立てるのはなかなか難しいわけでございますが、これによって経済成長を図っていきますとともに、先ほど大臣が申しましたように、六十二年度二・九%程度の失業率に抑えていくというために資する効果があるというふうに我々としては考えているところでございます。
 それで、この雇用対策面での雇用調整金や特定求職者雇用開発助成金等につきましてはこの中身を弾力化することによりまして、例えば特定求職者雇用開発助成金につきましては、先ほども中高年の問題がございましたが、また社会党の五十万人雇用開発プログラムにおきましても年齢要件の緩和を図るべきというような中身もございましたけれども、最近の状況を踏まえまして高齢者の年齢を五十五歳を四十五歳に下げるとともに、特に特定不況の求職者につきましては三十五歳にこれを下げるというような措置その他の措置をとりまして、この三十万人雇用開発プログラムの効果的実施を図っているわけでございます。
 雇用をふやすということは、この制度によりましてその求人に対しまして就職を容易にしていくということで図っていくわけでございまして、もしこれによりましてさらに数字がふえてくるというようなことがございましたら、その後、予備費も持っておりますし、いろんなものをつけ加えながらさらに三十万人以上の対策も図っていくということを考えている次第でございまして、この補正そのもので何万人をふやしていくということは現在のところはないわけでございます。
○対馬孝且君 緊急経済対策にかかる六兆円、三百四億ということですけれども、説得力を持つのはやっぱりこういう補正予算によって例えば三万
でも四万でも五万でもプラスになるという、またならないことはない、今言ったように五十五歳を四十五歳に下げるというのは、これは私もわかります。
 それからまた、後からお伺いしますけれども、情報処理センターという機能強化もあるからそれなりにあるんだけれども、国民に対しては大型補正、こう前広に宣伝したわけですから、そうすると国民が待っているのは、そのことによって雇用はどうなるのかなと、あるいはどのぐらいの対策をとるのかなという関心を持っているものだから、そうすると補正予算を今回労働省としては行うことによって約十万の雇用創出が可能である、またそういう裏づけある政策である、こういう説得力があった方が政策として国民にこたえる道ではないか、こう思うものですから私は申し上げているので、もちろん一定の成果があることは事実であります。
 そこで、これからの問題ですけれども、私はむしろ六十三年度ですね、これは大臣にこの機会に伺っておきたいのは、八月は六十三年度の骨格予算の要求の時期である、十二月は確定になるわけでありますが、六十三年度に臨む大臣として、三十万人雇用開発プログラムという発想を基本に据えまして、来年度に向けてどういう柱になる予算の大綱なり考え方をお持ちなのかということをあわせてこの際お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) もう御案内のように、八月概算要求その他におきまして六十三年度予算というものが決まってまいるわけでございますが、労働省としてもいろいろ重点施策は盛り込んでおりますが、やはりすべてに優先しなければならぬのがこの産業構造の転換に伴う雇用対策についてどこまで踏み込んでいくかということを最重点施策、強いて申せば私はそういうふうに考えておるわけでございまして、今後強力にそのことを関係省庁にお願いもし、これから折衝もいたすわけでございますが、ひとつ今後委員の方におかれましてもまたそれなりの御支援をいただきたいというふうに考えております。
 むしろ私の今の考えでは、かつてないような大型の雇用不安を招いておるわけでございますから、特にこれの対策につきましてどうしてもこの予算を無視してやれませんので、基本は、どれだけの方策をもってどれだけの予算をとり、どういうふうな当を得た制度をもってこれを執行するかという一点にかかっておりますので、私としましてはこの問題について今後もあらん限りの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○対馬孝且君 大臣はあらん限りの決意で取り組んでまいりたいということですが、やっぱり柱になるものは三十万人という、幸い出したわけですから、これが三十万が四十万になり、四十万が五十になって五十万人体制になっていくという、これが六十三年度の予算で何か目玉商品として出てくるということで対策として持つべきではないか、こう思います。それは労働省も情報処理センターというのはこれ一つのアイデアだと思いますよ。
 この機会に私もちょっと申し上げたいんでありますが、私は六月十六日の参議院エネルギー調査会で提起をしました。北海道はかつてない鉄鋼、石炭あるいは、北洋漁業と国鉄、あるいは造船、後で申し上げますけれども、もはや五月の失業者指数が、私も認識不足でありましたけれども、きのう横路知事も来まして、超党派で、各党全部集まりましてきのうの八時から陳情を受けました。その中で御報告されましたのは、五・三%ですよ、北海道の今失業率が。私聞いてびっくりしたんだけれども、五・三です。四・五と思ったのが五・三まで、北海道は最悪の事態になってしまっておるという状況でございまして、したがって私はこの北海道に、あるいは全国的な問題ですけれども、今かなり労働省も、訓練それから情報というもので能力開発局長を中心に今やっておるわけでありますが、何とかこのリクルートセンターという構想がいかがなものかと私も提起をいたしました。
 それは技能開発をして再就職をする、再訓練をしてまた再就職に出していく、これですね、これはもちろん国だけではできるものではありませんけれども、国が発議をして道と、北海道は、北電なり新日鉄が一部これに、第三セクター方式ならば基金を出しますと、こういうところまで実は財界筋からも出ておるわけでありまして、私はこの北海道に、あるいは全国的でも結構なんでありますけれども、モデルとしてこのリクルートセンター構想というのを持つべきではないか。
 そういう対策が、今現実は情報処理センターもそれなりの役割を果たしているんでありますけれども、そこらあたりの整合性といいますか、こういう基本構想について過半予算委員会でも若干出たようでありまして、田村通産大臣は積極的にこれを労働省並びに関係省庁とも相談をして何とかひとつ実現方に努力をしたいという答弁になっているんでありますが、この点もあわせまして、大臣、これからの対応として六十三年度に向けて何らかのひとつ新しい発想を持つべきではないか、こう思うんですが、いかがでしょうか、この点。
○国務大臣(平井卓志君) おっしゃいますように、特に雇用情勢が厳しい特定雇用開発促進地域におきましては、従来から職業相談、職業訓練、職業紹介、こういうものを一貫して行う地域雇用能力開発事業を実施いたしておるわけでございます。この事業の推進によって、在職労働者の他の企業への出向、離職者の再就職等が円滑に進むように努力をいたしておるところでございます。
 いずれにしましても、この北海道のようなまことに厳しい状況にある地域の雇用問題に対処していくためには、やはり御指摘の構想も含めて関係者においてさまざまなアイデアなり知恵を出していただくことはこれは大変重要だと考えておりまして、今後とも、今通産省の話が出ましたけれども、関係者とのさらに協力連携を図って、雇用対策にそういう方向で全力を挙げていきたいと考えております。
○対馬孝且君 今大臣からお答えが出ましたが、ぜひひとつ、これは通産省ベースだけではなかなか困難だと、むしろ労働省のアイデアの方が、これは雇用対策ですからね、しかも政府だけでやれと言っているんじゃないので、政府が音頭をとって、そしてそれに道なりそれから第三セクター方式で一定の産業団体もこれに協力をするという姿勢でいけば、かなり雇用開発ができる、こう思っておりますので、大臣は今積極的に取り組んでまいりたいというお答えですから、ぜひこれをひとつ六十三年度のこれからの対応として考えてもらいたいと、特に申し上げます。いかがですか。
○国務大臣(平井卓志君) 十分に当局に検討させます。
○対馬孝且君 それでは次に、実は北海道対策で、先般三月二十七日の当委員会でも大臣から非常に力強いお答えをいただきました。残念ながら今日の状態では、先ほど申しましたように、北海道の雇用情勢というのはまさに六月時点では十三万人、五・三%という失業率が増大していると、こういう数字が残念ながらきのう知事から実は御報告がございました。そういう状況でございまして、したがって、これの実態もここにございますけれども、時間もありませんから多くは申しません。
 端的に今出ている数字だけ申し上げましても、北洋漁業で三千五百三十一、鉄鋼で、これからまだまだ出ますけれども、これは六月三十日現在でありますけれども、千八十二、水産加工が五百六十二、石炭産業が三千三百六十六、製材業が四百三十八、造船が二百九十八、非鉄金属が百六十二、その他が二百五、一番近い数字が実はこれによりますと九千六百四十五と、こういう数字が出ております。したがって、大変な勢いで失業が出ているんであります。
 そこで、全道的な厳しい情勢でございますけれども、まず、とりあえず第一点としまして、過般、三井砂川炭鉱がついに七月十四日をもって閉山になりました。そのほかに大夕張炭鉱の合理化、赤平、芦別という希望退職募集で、今申しましたよ
うに全体で言いますと、甘粕高齢者対策部長とも確認をいたしておりますが、四千五百に上るであろうと、こう言っております。そこで、土砂川並びに夕張、赤平、芦別炭鉱対策として、ぜひ次の問題を大臣並びに局長の方にお伺いをして、答えを求めたいと思うんであります。
 第一の問題は、直轄組合員の場合は比較的これは会社なりあるいは企業グループで手だてをいたしております。問題は下請雇用関係、これは砂川の例を一つ申しますと、直轄従業員は五百八十八名ですけれども、問題は下請を入れますと千三百三十名を超えるわけであります。だから、下請労働者の方が多いという数字になるくらいでございます。そこで、これらの方々に、もう一度確認をする意味で申し上げますが、昨年来私は申し上げていることでありますけれども、こういう不安定労働者に何らかの措置をとってもらいたい。
 これに対して労働省も鋭意検討していただいて緑の手帳、特定不況地域に働く下請労働者に緑の手帳が交付されるということになりました。これはたしか五月からだということで確認したいと思いますが、この場合、黒い手帳の大体水準の一年間、使用権切れた後一年間、緑の手帳で一定の給付をされる、これ確認してよろしゅうございますか。それによって、下請労働者がこの一年間だけはこれによってある程度生活につくことができるということになるわけでございまして、その間に何とかこれは政府としてぜひ親会社並びに企業グループにこの下請労働者であっても就職あっせんその他をやるべきであるという行政指導を第一点はしてもらいたい。これが第一であります。
 それから第二は、しばしば三月二十七日の当委員会で申しました委託訓練、職業訓練ですね、また臨時の職業訓練校、これをぜひ設置をしてもらいたい。それで雇用対策をぜひ図ってもらいたい。これが第二の対策でございます。
 それから第三は、炭鉱離職者の団地の問題であります。雇用促進事業団の団地、それから公営住宅の建設でございます。
 既に私のところに入っておりますのは大夕張炭鉱の希望退職者、芦別、夕張の希望退職者、四百六十三名、実は六月末現在でございますけれども、希望者がもう出てしまっている。それはほとんど札幌であります、札幌以外に第三次産業の就職がないものですから。札幌だってあるわけではないんだけれども、御存じのとおりビル管理の清掃ですね。賃金は安いんです、十万足らずですけれども、ほとんど札幌以外に食う道はないということでほとんど札幌周辺ということになって、幸い過般労働大臣もいち早く手を打っていただいて、補正予算では二百戸、札幌市百二十戸、それから江別市が八十、これで一定の就職者がもう来るわけでございまして、何といっても低家賃住宅に入らなければ、賃金は十万足らずですからね。大体調べてみますと、ビル管理で働くのは、高い方で十三万、安いのは八万です。そうすると、ここから三万三千円払っておったんじゃ生活できないわけでございまして、その意味では雇用促進事業団の団地というのは中型高層でいきますと今一万八千三百円、こう聞いております。したがって、これを何とかひとつ、二百戸は決定いたしましたが、現在四百二十人も希望者があるわけでございまして、ぜひこれ、六十三年度に再び札幌市、札幌周辺に二百戸以上の建設を、ぜひ設置してもらいたい。これは第三の問題でございます。
 それから第四の問題は、この機会に聞いておきますが、情報処理センターが室蘭に一カ所設置をされることになりました。労働省の御配慮でなったようでありますが、この情報処理センターの内容を、この機会に国民的に何かいま一歩はっきりしないというあれがあるんで内容をひとつ明確にしてもらいたいということと、それから、室蘭は結構なんでありますけれども、ぜひ産炭地に六十三年度――ことしは一カ所ということに、モデル二カ所だそうでありますから、お話聞きますと。六十三年度はどういう計画になっているのか。それから、六十三年度中に北海道産炭地に、どこの市とは言いません、産炭地に一ないし二カ所ぜひ建設をしてもらいたい、設置をしてもらいたいというふうに考えておりますので、この点、まずまとめてひとつ土砂川閉山対策並びに石炭合理化が行われている産炭地の振興対策として、通産省その他たくさんございますけれども、労働省として当面問題についてひとつお伺いをして、御返答をもらいたいと思います。いかがですか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 私の方からは、先生の御質問の第一点、それから第三点についてお答えを申し上げたいと思います。
 第一点は、いわゆる特定不況業種として指定された下請関連等につきまして、さらにその下請について就職促進手当が支給されるかどうかということでございますが、これは三十五歳以上につきましては、雇用保険終了後一年間支給されるということになっております。
 それから第三点の住宅の問題でございますが、これは御指摘のとおり、今回全体で七百戸のうち北海道に二百戸設置、予定さしていただいているわけでございまして、重点的に我々としては配分しているつもりでございますが、なお今後の問題については、まだ来年度の予算要求等は固まっているわけじゃございませんので、その際にいろいろと検討してまいりたいというふうに思っております。
 まず、雇用促進住宅、もう先生御存じのとおり、札幌にも相当ありますし全国で十三万戸あるわけでございますが、これは一般的に指摘されておりますのは、必ずしも移転就職者が入ってないという状況等もございまして、おられる方を追い出すわけにいかないわけですけれども、そういう面での対策もまた必要かというふうに考えております。
 そのほか、これも御存じと思いますが、公営住宅その他に入居ができずに民間の賃貸住宅に入居せざるを得ない者につきましては、入居時に必要な費用の負担の軽減を図るために一部、三十万四千円でございますが、助成するというような措置をとって援助いたしている次第でございます。
○政府委員(野見山眞之君) 第二点、第四点についてお答え申し上げます。
 まず、第二点の炭鉱離職者等の再就職促進のための職業訓練体制の整備でございますが、既に北海道等におきましては炭鉱離職者を主たる対象とする職業転換訓練コースを設けているわけでございますが、一時的に大量に必要が出てきた場合には、臨時に定員の拡大あるいは特別コースを設定するなどの対応をしているわけでございます。今般の問題につきましては、特に委託訓練等につきましては、既存の訓練施設等で収容できない場合あるいは適当な科目がない場合には、関連の専修学校、各種学校等を利用した委託訓練を随時実施する準備をいたしておりますし、また臨時の訓練校につきましては、どういう訓練内容を行うかあるいはどういう御要望があるか等々、地域の実情等を十分伺いながら、必要に応じてこの体制についても考えてまいりたい、かように思っております。
 それから第四点の、情報処理技術者の養成センターの問題でございますが、まず趣旨といたしましては、御存じのように今後のME化を中心とする高度情報化に向けて、こういう情報処理関係労働者の不足が大量に予想される、一方で既存の産業構造の変化によりまして余剰労働者等が出てくるというような中で、新しい技術、技能労働者を早急に養成していく必要がある。これは、私どもで実施しております技能労働力需給状況調査によりましても、他の職種に比べて格段にプログラマーあるいはシステムエンジニア等の情報処理関係労働者の不足が訴えられているわけでございます。
 したがいまして、私どもとしては今後の教育訓練の方向としてこういうニーズの高い教育訓練を積極的に進めていくということを考えておるわけでございますが、同時に北海道あるいは九州等におきまして、産業構造の変化に伴う余剰労働者の増大、あるいはそういった地域におきまして新し
い成長産業の導入等を中心とした産業構造の転換が要請されてきているという中で、地域における産業の活性化にも役に立つような産業導入にもプラスをしていくという観点から、今回の情報処理技術者養成施設の整備を準備さしていただいているわけでございます。
 具体的な内容は、既にございます地域職業訓練センターの様式で施設を整備をいたしまして、そこにコンピューター等の情報処理教育に必要な機器の整備をいたします。これを地域の企業あるいは公共団体、あるいは情報処理関係産業等々の御協力をいただきまして、運営は主として第三セクター方式で情報処理関係の方々を養成していただくということが内容でございます。今般の補正予算におきまして二カ所認められましたので、先ほど先生御指摘のように北海道の室蘭と九州の諌早市を設置の予定にいたしておるわけでございます。
 来年の問題につきましては、今後ともこういった職種の養成の必要性はますます高まっていくという前提で、かつまた不況地域等の産業振興にもお役に立つようにするという観点から、来年度も引き続き設置の必要性があるというふうに考えておりますし、北海道等からも御要望が出ておりますので、この点につきましては今後必要性の有無あるいはその他条件等を十分検討さしていただきたい、かように考えております。
○対馬孝且君 安定局長に補正予算の二百戸は最大限の努力をしていただいて、先ほど申しましたように札幌、江別ということで決定されましたので、早期にひとつ完成をしてもらいたい。もう出てきていますからね、札幌に。ただ、一日も早く、やっぱりこれ、体を隠すところがなかったらどうにもなりませんので、突貫工事とは申しませんけれども、ひとつ早期に完成をしてもらいたいということが一点と、六十三年度、再び札幌周辺ということでひとつ二百ないし二百五十程度をぜひ実現を期してもらいたい。それでも満たないわけでありますけれども、もちろん公営住宅などの対策もありますけれども、これをやってもらいたいということを強く要請しておきます。よろしゅうございますか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今回の決定につきましては、先生方の御協力も得まして土地問題が早期に解決しそうでございますので、早急に着工するように我々としても事業団その他へひとつ指示したいというふうに思っております。
 来年度の問題につきましては、今から予算要求でございますので、この際戸数その他についてはちょっと私申し上げかねますが、御要望については十分検討さしていただきたいと思います。
○対馬孝且君 それで野見山局長ね、今の目標をわかりやすく言うと、結局この情報処理センターの構想というのは、目的はわかりましたけれども、予算、設備の方でまいりますと、結局建物と機械は労働省で設置いたしますよと、こういうことでしょう。それから運営については第三セクターで、当該の市町村なりあるいは民間なりが参加したセクターでもって運営をしてもらいたい。建物と機械は労働省で持ちますよと、こういう理解でいいですか。この点どうですか。
○政府委員(野見山眞之君) 今のお話のとおりでございます。
○対馬孝且君 そこで、先ほど申しましたように、今もお答えありましたけれども、明年度、六十三年度、産炭地にぜひひとつ設置を強く申し上げておきたいと、こう思います。
 そこで、次の問題を時間もありませんので申し上げたいと思いますが、実は夕張市にございます北炭真谷地炭鉱、これの労務債問題につきましてちょっとお伺いをしたい。
 まずこれ、我々もあえて閉山を好むものではありませんし、閉山を避けなきゃなりませんが、事態は非常に深刻でございまして、この間も北海道新聞に、九月十八日で真谷地炭鉱閉山が、こういう大見出しで実はもう出てしまっておりますので、そういうことを踏まえて深刻に考えなきゃならないし、しばしば私も以前当社会労働委員会、あるいは商工委員会、エネルギー調査会でも申し上げております。
 そこで、問題はどういうことかといいますと、真谷地炭鉱がこれは労務債が、正確に言うと二十七億という労務債があるわけであります。この実態を恐らく労働省もしばしばこの問題で調査をされていると思いますが、実態認識をどういうふうに考えているかということをまず労働基準局長にお伺いしたいと思います。
○政府委員(平賀俊行君) 北炭真谷地炭鉱の労務債、既に退職した方々への退職金が不払いになっているという現状を非常に深刻な問題として把握しております。
 その累積額といいますか、既に昭和五十年代から積み重ねられておりまして、私どもが把握しておりますところでは現在四百六十二人に対して二十六億四千万円ぐらいの累積額があるというふうに数字を把握しておりますが、いずれにいたしましてもこれらの退職金の不払いが継続的に累積されておるということは即労働基準法の違反でもございますし、現地の局署において既に何回も会社に対して指導をし、また是正勧告等も実施しているところでございます。
○対馬孝且君 今労働基準局長から実態認識についてございました。四百六十二名ということで約二十七億という数字でございます。これ私も手元にありますけれども、いつも申し上げるんですが、三十年以上の勤続者が百四十三名いるんです。さかのぼると五十三年からもらっていないんです。正確に言うと、この真谷地炭鉱に来る前に、平和炭鉱というところに勤務しておって平和炭鉱閉山になって、また真谷地炭鉱に配転をして受け継いだ。さかのぼると五十三年以来これもらっていないんだ。
 まさしく労働基準法八十九条の完全な違反でありまして、これは待ったなしで解決しなければならぬわけであります。私のところにも手紙が来ておりますし、この間も現地へ行っていろいろ言われておるのでありますけれども、言うならば人道上の問題である。そこへ閉山という日にちが迫ってきておるということになりますと、好むと好まざるとにかかわらず、これは私は社会正義の問題として、また人道上の問題として解決をしなければならない今日の段階に迫ってきておる。
 しかも九月末に閉山なんということではこれは大変なことになると、こう思いますので、先般、実は六月十六日のエネルギー調査会でも私もこれ申し上げました。当時雄別炭鉱というのが昭和四十四年ございまして、これは三つの山がございまして一挙に閉山をしました。企業ぐるみ閉山とこう言うんであります。これは石炭鉱業合理化臨時措置法第三十五条の六に、企業ぐるみ閉山の場合は国はこれを買い上げなければならない。その前は特別閉山交付金制度というのがございまして、一般閉山交付金が一〇〇%とするならばこれに七五%加算をして支給をする、こういう制度が今なお現行法で実は残っております。ただ、この期間が二年間という、四十四年四月一日から四十六年三月三十一日までの間ということの一応の定義はございましたけれども、一応現行法は消滅はいたしておりません。したがって、この点をひとつ何とか労務対策、労務債の解決の一策として考えてみてはどうかということを提起しました。
 これに対しまして田村通産大臣並びに石炭部長の方から、何らか対馬さんの考え方を含めて国としても責任ある解決に努力をすると、こういう答弁をいただいているのでありますが、そこで私は、今までも努力をされてきたと思うのでありますが、いま一度やっぱり会社側に対して、これ何も国だけに責任があるとは私申しません。これは労使協定の問題ですから、これは明らかに北炭株式会社の責任であります。その点を踏まえてもう一度、閉山は避けなければなりませんけれども、事態は深刻であるだけに、労働省として北炭会社に対していわゆる行政上の強い勧告をもう一度すべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) ただいまおっしゃいました北炭真谷地炭鉱の退職金未払い問題でございますが、これはもうかねてから私としても重大な関心を持って憂慮いたしておるわけでございます。
 御案内のように、労働省といたしましてもこれまで再三にわたってあらゆる努力を尽くして速やかに支払うよう会社に対し勧告、指導ということをやってまいったところでございます。
 御指摘の点、ごもっともでございますので、今後ともさらに強力に指導してまいるというふうに考えております。
○対馬孝且君 ぜひひとつ大臣のその決意で対応してもらいたい。
 そこで第二点でありますが、今通産ベースでさらに誠意を持って検討していただいております。つまり、あえてこういうことは好ましくないことではありますけれども、政治解決以外に道なしと、これが今の情勢判断のようであります。そこで、私が申し上げたことに何もこだわる考え方は一つも私はございません。炭鉱マンでございますから、坑内で太陽の日の見えないところに命がけで三十年働いて、それで今の退職金がもらえないなんて、しかもそれで閉山になると、これは泣いても泣き切れないですよ。これはもうそのことを頼りに一途に生きてきた労働者にしてみれば、まさに残酷、非道であると私は言わなければならぬと思うんです。
 これは北炭会社の責任でありますけれども、そういう点からいきまして、今通産段階で鋭意この解決策に努力をされておりますけれども、労働大臣から通産大臣に対しまして事態が深刻だけにぜひひとつ解決に全力を挙げてもらいたいという働きかけをお願いしたい。いかがでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) 本件につきましては、労働省事務当局におきましても通産省事務当局とこれは大変緊密に連絡をとっておるわけでございまして、ただいま御指摘ございました御意見につきましても通産省にはよく伝えるようにいたしたい。
 なお今後必要な場合には私から通産大臣にできるだけの手を尽くすよう要請してまいるというふうに考えております。
○対馬孝且君 大臣から大変積極的な答えがありましたので、辛抱強くひとつ解決に努力をしていただきたいと、こう思います。
 次の問題として、実は北海道特有の季節労働者の問題につきまして先般来しばしばこの委員会でも申し上げてきたところでございます。これは歴史はもう大臣も御存じ、局長も長い経験者ですからおわかりだと思いますが、これはかって九十日労働というのが五十日に減額をされた、特例一時金という制度ですね。これが五十日になりまして事態は非常に深刻であるということになりまして、その当時石田博英労働大臣、今雇用促進事業団の理事長になっております関安定局長時代にこの問題で私も全力を挙げまして、大変労働省の御配慮をいただきまして、当時寒冷地給付金制度、略称積寒給付金制度というのを五十二年度スタートをいたしました。
 そこで三年、三年でずっとこうきているんでありますが、実はその後一部質的改善が行われまして、現行の冬期雇用奨励金制度、冬期職業講習給付金制度、通年雇用制度と、こういう三本柱で実は労働省の配慮をいただきまして行われているわけであります。北海道は三十万人命ここにおるわけでありまして、この方々が先ほど申しましたように石炭、鉄鋼、二百海里、国鉄ということで、この方々が漸次季節労働者の方にどうしても流れ込んできているという傾向があります。むしろ年齢が高年齢であった者が今三十歳、私も驚きましたけれども、三十から二十代が季節労働者の中に入ってきているということ、非常にこれはいかに就職条件が悪いかということを意味していると思うんであります。
 そこで今日的情勢なんでありますけれども、先ほど申しましたように、今の状態を見ますと季節労働者の雇用条件はもちろんでありますけれども、給付資格の人がどんどん減っていっているという傾向であります。
 私の手元に資料ありますけれども、一般の建設、公共の伸び悩みあるいは民間建設の低迷ということももちろんありますけれども、昨年の倒産件数と対比をしてみますと、建設業が全体が千五百八十三件に対しまして五百三十件、実は北海道で倒産をいたしております。そのために春先の就労が、もちろんこれ予算措置の関係もございましたけれども、春先の就職が非常におくれたということと、それからもう一つは夏枯れがきている、夏の就労日数が減っている。それから秋口に入っての就労というのが非常に減少してきている。これはもちろん六十一年度です、六十年度に対する六十一年度のあれでございますけれども、したがって現在の北海道建設業者というのは、全体では季節労が二十六万九百二十二人、そのうちの建設業というのは十六万八千百四十人実は該当いたしておるわけであります。
 この点ひとつ労働省としても、三年、三年サイクルでずっと今まできているんでありますけれども、もうそろそろ通年雇用化ということを安定しないと不安定労働者だけがふえていく、こういう傾向に実はなってきているわけであります。
 そこで労働省は、今私が申し上げました実態把握として今日非常に季節労働者のいわゆる低迷状態というのが出ているんでありますが、こういう認識についてまずいかがでしょうか、この点。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 季節労働者につきましては全国で六十五万と推計いたしておりますが、毎年冬季に事業活動を休止することによりまして離職を余儀なくされる労働者が北海道では約二十三万、全国で四十五万、そのうちの六四%が建設業に従事しているというふうに推計いたしております。
 その特例一時金の受給者数につきましては、先生おっしゃるように六十年と六十一年比較しますと、若干ではございますが減少いたしております。しかし全体産業別の中におきますシェアは六一・六%ということで、必ずしも減少していないわけでございますけれども、これは六十一年度のことでございまして、その後公共事業の前倒し、それから今回の緊急対策その他数次にわたって対策が行われておりますので、六十二年度については必ずしもそういうことは言えないんじゃないかというふうに考えております。
○対馬孝且君 六十一年度はそういう横ばいというか鈍化の状況なんだけれども、ことしになってからまた下がっているんですよ、現実に。なぜかといいますと、これはたまたま特例一時金に該当した者の数字がここに出ているだけであって、この月十一日稼働六カ月、御存じのとおり、これがなけりゃ資格にならぬわけですから、この資格のある者が二十六万何千人とこう出ているんであって、ところが現実は資格でない者が相当ふえてきているわけですよ、さっき言った就業が窮屈になっているものですから。これ入れると三十二、三万になっているというんだ、現実に。これは特例資格のある者がここに挙がっているだけの話で、それに該当していない者は挙がっていないわけですから、そういう者を入れると三十二、三万に実はふえてきているというのが今の趨勢になってきています。そういう認識を持ってもらいたいということを私申し上げているわけですよ。
 そこで何が原因がという問題なんですけれども、これは確かに高年齢になっているということも一つあります。もう一つは、やっぱり公共事業の発注そのものが減少傾向にあるということでございます。
 そこできょう開発庁に実は来ていただいておりますけれども、毎年開発庁長官と我々北海道議員団で交渉をやっているんですが、そこで問題は今申し上げましたように前倒し、ことしは予算がおくれましたから確かにこれ前倒しといってもあれでありますけれども、現在の情勢はどうなっていますか。公共事業発注の北海道の開発庁関係の予算に伴う現況がどうなっているかということ、それから補正予算がこれ七月二十四日に参議院成立
したわけですから、この補正予算に伴う公共事業の発注は一体どうなっているか、この点ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(大道英彰君) ただいま先生御指摘のように、確かに北海道は季節労働者をたくさん抱えておりまして、北海道開発庁といたしましてもこの季節労働者の雇用の確保という点につきましては重大な問題として認識しているところでございます。
 それでこれらの季節労働者の方の雇用の確保、特に冬場雇用の機会に恵まれないというようなことから、従来できるだけ年度当初の早期発注に努めるというような形で努力してまいりました。それで六十二年につきましては今年度暫定予算というような状況もございましたが、早期発注に努めた結果、五月末で申し上げますと発注率、これは直轄と市町村の補助事業を含めて北海道開発事業全体の実施状況、発注状況でございますが、五月末で四五・七%、これは昨年にいたしまして四六・四%、若干下がっておりますが、六月末では六三・三%、昨年六三・四%とほぼ昨年並みの発注を確保いたしまして、さらに昨年を上回る早期発注に今努めているところでございます。
 それで補正予算についてのお尋ねでございますが、補正予算につきましては今年度国費ベースで北海道開発予算千四百十億円、当初予算に比べますと実に二一・二%という大規模な追加がなされたところでございまして、このようなかってない大型の開発事業を確保するということができましたので、これにつきましての今後の執行につきましては、先ほどから問題になっております疲弊の著しい産炭地域とか地域の不況、それから雇用問題、そういったような問題につきましても十分に配慮しながらできるだけ早く発注をしていきたいというふうに考えて準備をいたしているところでございます。
○対馬孝且君 開発庁に実施状況、発注状況を聞きました。大体昨年度並みの水準ということ、今の段階では。
 特に要請しておきたいのは、先ほど言ったように十一日稼動六カ月ということですからね。はっきり申し上げて、大体今まで五月か六月、早いところで五月ですからね。五月から大体十一月いっぱいまで。仕事の発注の平準化といいますか、こういうふうに前回御指導いただいているんです。これは綿貫長官にも何度もお会いしておりますが、そういう何とか平準化をして一定の季節労働者の受注機会をひとつ確保してもらいたいということ。
 それから、開発庁も御存じだと思いますけれども、北海道建設業協会がございまして、建退共にももちろん加盟いたしております。だから、建退共加盟の建設業者ですね、事業主、こういうものには優先的にといいますか、そういう配慮を大臣も言っていただいておりますけれども、これからもぜひひとつそういう受注機会の配慮を与えてもらいたいと、この二つをこれからぜひ促進をしてもらいたい。いかがですか、その点。
○説明員(大道英彰君) 季節労働者の雇用の確保につきましては、北海道開発庁といたしましても従来からできるだけの努力を払っているところでございますし、そういう中で、建設業界への協力の依頼、あるいは工事の発注の都度、公共職業安定所に対する通報制度等、関係機関とも十分連絡協調をとりながらできるだけ季節労働者の雇用の確保という面に努力をいたしているところでございます。
 それから先ほど先生のお尋ねの、建退共の加入の業者につきましては、北海道開発局におきましては、これは工事の発注業者の資格審査というのがございますが、その際これらの加入業者につきましては点数上配慮をいたしまして優遇をいたしておりますし、それから建退共に加入した場合の掛金、いわゆる証紙代というような費用がかかるわけでございますが、それらにつきましては発注に当たりまして関連の費用を積算するというようなことで、これらの徹底について努力しているところでございます。
○対馬孝且君 ぜひひとつそういう方向で解決に一段と努力してもらいたいと、特に要請しておきます。
 そこで大臣、今お聞きのとおり、北海道の場合は三庁ですね、農水、運輸、建設というのが開発予算の全体の主要官庁なんでありますけれども、労働省も今までもやっていただいておりますけれども、何とか横の連係プレーでできるだけ公共事業の、つまり季節労働者の仕事の機会といいますか、そういう機会を与えるような行政指導をぜひやってもらいたいということをいつもお願いしておるんでありますが、その点、大臣にいま一度善後策についてぜひひとつお願いしたいというのが第一点です。
 それからもう一つは、これが私も悩みなんですけれども、毎回三年後、三年後と、大体二年前からいつも労働省と話し合ってこれまでは解決してきているわけですが、六十三年度で今やっている制度が切れるわけであります。六十三年度といえば来年度ですから、すなわち六十四年の三月三十一日までですから、したがって今安定局長からもありましたけれども、問題は、私は、ふえても減ることはない、先ほど言った流れです。北海道の失業多発地帯という状況から判断して季節労働者はふえても減ることはないと、こういう情勢は断言してもいいと思うんですよ。
 そういうふうに考えてまいりますと、ここが問題なんでありますけれども、私は今鋭意検討いたしておるんでありますが、日本の制度といいますか、今の労働省がやっている制度も一つの制度ですから結構なんでありますけれども、私なりに三年、三年というのはいかがなものか。俗に言うことは通年雇用なんですよ、大臣。
 通年雇用化とすぐに言うんだ、大蔵省も。私も毎年交渉やっているんだよ。大蔵の言うことは通年雇用化せいということ。遊んで金もらいたいと言うのはだれもいませんよ。やっぱり働いて金もらうのが本筋であって、遊んで金もらいたいと言うような労働者は一人もいない。三年前、労働省が札幌にいわゆる勤労ハイツをやりましたね。あれは労働省が通年雇用でやったんです。まあ北海道は冬ですから、ある程度上物をつくって冬場に内装をやるということで、三百六十五日通年雇用化をして大成功して非常に喜ばれたんです。北海道では。労働省が初めてやったんです。
 それを各省にやってくれと僕は言うわけだ。ところがこれは単価の問題になるわけですよ。冬場の単価見ないととてもやれないというわけだ、建設業者は。そこで、これは労働省の問題ではないんだけれども、ひとつ横並びで一回建設省あるいは予算を持っている発注する省庁に対して、特に建設省になるんですけれども、何とか単価を上げていただいて冬場でも通年雇用で働ける、これを何とか促進方ができないか。
 これもいつも議論になっているところなんです。ところが、やればできるんだけれども、なかなか単価制度でいって、天野建設大臣にも去年実は予算要求に行って、いや対馬君の言うこともごもっともだ、しかし検討してもなかなか単価を上げるというのは難しいんだという話をしておりましたけれども、何とかそういう方法をとりながら、要は、通年と言うんですよ。大蔵省は通年と言うけれども、労働省も通年と言うんだよ。三百六十五日働きたいというのは、だれでも皆季節労働者は願ってもないことですよ。たまたま三百六十五日仕事がないから、そこでやむなく冬期職業講習助成金制度の恩恵にあずかるということになるわけですよ。この点をひとつ大臣、何らか通年雇用化という目的に向かって対応を考えてもらいたい。
 労働省が一番模範を示したんですから、予算委員会でもこれ言ったことあるんだ。労働省が模範を示してちゃんとこれこれのことやった、ほかの省も単価を上げればちゃんと通年雇用労働者ができるんだと、こういう言い芳したことあるんでありますけれども、この点についてひとつ検討していただけないか。いかがなものでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) 今お話ございましたよ
ように、季節労働者の雇用の安定というのは、これはもうまさしく通年雇用の推進が基本でございまして、年間を通じての工事量の平準化、また冬期施工がポイントであるわけです。このために公共事業の発注につきましては関係省庁、北海道関係行政機関、大変密接に連携を図っておるわけでございます。
 特に、御案内のように、先般労働省及び建設省の間で連絡会議を開きまして、私らも建設大臣に対し、特に北海道等の不況地域ですね、公共事業の従来の形の上でのある種の配分の仕方ではなくて、さらに重点配分をやっていただけぬかという要請をしたところでございまして、まさに重要なところでございますので、労働省としても今後とも関係省庁と密接な連携をとってさらに推進してまいりたいと考えております。
○対馬孝且君 今大臣から関係省庁に働きかけをしていただくということですから、ぜひひとつ一歩でも二歩でも――もちろん一遍にできるとは私は思いません。一歩でも二歩でもそういう通年雇用目的のための事業発注のあり方についてぜひ検討してもらいたい。特に要望しておきます。
 時間も参りましたので、そこで現行制度の問題につきまして、冬期雇用奨励金、冬期職業講習助成金というのがあるんですが、安定局長ね、私も今寄り寄り検討しているんですよ。お互いにこれ懸案で、まあ白井局長も御存じだし、前の関安定局長以来の懸案でございまして、対馬さん知恵出そうじゃないかという話で、お互いに知恵を出しながら、通年雇用化を目指しての質的改善というものは何かないかということをお互いにやってきて、今の冬期雇用奨励金やっているわけでありますが、私たまたま西ドイツあるいはオランダ、スウェーデン、北海道に比較的似ているノルウェー、北欧三国ですね、こういう季節建設労働者を中心にして冬場にどうしても働くことができないという方々にどういう制度があるのかということを私なりに勉強してみました。
 これは西ドイツの例ですけれども、いいか悪いか別ですけれども、西ドイツの例を見ますと、これはちょうど日本の今の季節労働者と同じであります。日本的な名称を申しますと、西独の場合は、雇用促進法に基づく建設業における通年雇用の促進の措置というのがありますけれども、大きく言って三つにでき上がっています。つまり、冬場のどうしても働けない期間を西ドイツ方式で言いますと悪天候期間と、こう言っているんです。ちょうど北海道と同じですよ。ちょうど北海道も今の冬期雇用奨励金というのは十二月から三月までですから大体似ているのでありますけれども、十一月一日から三月三十一日までを悪天候期間として定める、これが一つの制度なんです。
 その期間にどうしても通年雇用で働くことができないという方々に対しては、ちょうど今の日本的なことと似ているのでありますけれども、ちょっと違うのは一時間当たり二マルク、この時間を八時間なら八時間換算して支給する、悪天候期間における冬期手当という、こういうのが一つあるわけであります。一マルクが八十四円にして二マルクで百六十八円ですから、それで計算しましても八時間で何ぼになるかというのは大体出てきますけれども、千五百円ぐらいですか、そうなりますけれども、こういうもの。それから別居手当というのがありまして、悪天候期間内に家族と別居を強いられる者についてはまだ別に支給するというのがございます。それから、交通費に対する助成、悪天候期間中の作業中断による帰郷の旅費の助成、こういうものがございまして、したがってこれは一つのいい例じゃないかというふうに考えます。これはノルウェーにもあります、スウェーデンのも私持っていますけれども、やや大体こういうようなものに似ているのであります。
 したがって、私の申し上げたいことは、私もこの問題に携わって十二年になるのでありますけれども、何か毎年三年、三年ごとにその都度やるというようなことじゃなくて、諸外国のように一定の制度化をしていくべきじゃないか、こう私は考えておりますので、私なりにそれなりの対応を私の方も勉強いたしまして、決して私が議員立法で出すことが目的でありませんが、近く議員立法を出したいと私思っているのでありますが、議員立法を出さずともできるものなら政府提案として出してもらえば一番いいのであって、私のあれにこだわることは毛頭ございません。しかし、何らか考え方をこの機会にぜひ検討してもらいたいというのは、例えば西ドイツあるいはオランダ、スウェーデンというような、ノルウェー、北欧三国の、こういう日本の季節労働者的な方々に対する制度化が行われている、この点についてひとつぜひ検討していただきたい。
 私があえて言いたいのは、制度化する時期に来ているのではないか、三年、三年では非常に不安定だと、こういう問題についてどういうふうにお考えになっているか、検討していただきたいというふうに考えます。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今先生御指摘の制度につきましては、私ちょっと不勉強で内容をつまびらかにいたしておりませんが、どういう形でその財源がとられるのか、いろいろ問題があるかと思いますけれども、ひとつ制度を取り寄せまして至急調査検討したいと思っております。
 現在の制度自体は暫定的な制度として行われておりますので、六十四年度以降については問題になるわけでございますが、各国の状況その他検討すべきものがあれば検討してまいりたいというふうに考えております。
○対馬孝且君 大臣、今私のやりとりをお聞きしてわかると思いますが、諸外国にはそういう、特に北欧、冬場の季節にある国の通年雇用を目指しての一定の考え方というのが制度化されておりまして、今やっていることがだめだと私言っているんじゃないですよ、最低でもこれは維持してもらわなければなりませんけれども、そろそろ制度化というか、諸外国のように通年化していく段階に来ているんじゃないか、こういうことで私、今御検討願いたいと、検討していただくということですが、大臣からひとつこの問題について、そういう恒久的な意味を含めて制度化をこれからも検討していただくということについてぜひやってもらいたい。いかがでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) 今、局長から御答弁申し上げましたように、現在までの助成措置はこれは暫定措置としてやっておるわけでございますが、六十三年度で切れるわけでございまして、昭和六十四年度以降のこれらの季節労働者関係給付金制度、これらの延長問題につきましては、これらの制度の創設の経緯、また関係自治体及び事業主の工事の通年施行化の努力、こういったものを十分に検討した上で誠意を持って対応してまいりたいと考えております。
○対馬孝且君 ぜひひとつ前向きに、平井労働大臣の積極的なこれからの対応を強く要請を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。以上であります。
○糸久八重子君 女子労働者の問題につきましてお伺いをさせていただきます。
 男女雇用機会均等法が昨年の四月に施行されましてから一年四カ月を経ようとしておるわけですけれども、まず労働大臣にお伺いをいたしますが、均等法のこれまでの施行状況につきましてどのような感想、お考えをお持ちでございましょうか。
○国務大臣(平井卓志君) まさしく均等法施行になりましてから、ちょうど一年と四カ月が経過したわけでございます。男女雇用機会均等月間の実施等によりまして、その周知徹底に労働省としては全力を挙げて取り組んでまいったわけでございます。
 その結果でございますが、成果がどうかという、即断するわけにはまいりませんけれども、現在あらわれているところでは、求人等について男女不問、これが非常に増加をしておる、また男女別定年制の是正と雇用管理を法の要請に沿ったものに改善した企業が非常に多い、これが認められておるところですね。そして、女子を積極的に活
周していこうという傾向が出ておる。また、法施行を契機に女子労働者の職業意識の向上と申しましょうか、また女子の就業に対する社会全般の理解が進んだのではないか。そういう意味では、まさしく法の趣旨が着実に浸透しておるものと評価をいたしております。
 労働省としても、現在あらゆる機会をとらえて法の周知徹底に努めて、とにかく着実、円滑にこの問題を進めてまいりたいと考えております。
 今後は、さらに雇用の分野における男女の均等取り扱い、また育児休業、女子再雇用制度などの就業に関する援助の措置、これが着実に実現されていくように、法律の適切な運用にさらに努めてまいりたい、かように考えております。
○糸久八重子君 求人の問題につきましても、定年制、それから女子の積極的な活用、職業意識の向上とか社会全般の理解とかということで、大変評価をなさっていらっしゃるわけですが、婦人局長にお伺いをいたしますけれども、大臣は評価の面をおっしゃられたわけですけれども、一年四カ月を経過した現在、特に問題だと思われる点はどういうことでございましょうか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 今、大臣が申し上げましたように、改善が進んでおるわけでございます。
 もちろん、問題がないわけではございませんで、例えば個別の企業で男女別の定年制がまだ残っておるといったような問題はあるわけでございますが、そういうものにつきましては婦人少年室の方にたくさん御相談等も来ておりますので、私どもの室の方で企業と女子労働者の間に立ちましていろいろ実態をつかみました上で、企業への指導等も行っているところでございます。
    〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕
○糸久八重子君 問題になる点というのは、個別的な企業でもって定年制がというようなことをおっしゃられたわけですけれども、確かに労働省の法実施に向けてのきめ細かい労働行政とか周知徹底のための方策で、たとえ義務規定でありましても、募集の部分で今までは男○名、女○名というふうに募集をしていたものが、男女何名というような形になったという点とか、それから採用の部分でも四年制の学卒がかなり大幅に採用されているというような部分もございますね。それは、企業もこの均等法に対してまじめに対応していたということについては認めるわけですけれども、しかし企業規模によりましてかなり対応に大きな差があるように思えるのです。
 例えば、百人未満の規模の企業のうち、均等法に対処できたというのは一%に満たないのではないかというふうに言われているわけです。百人未満の企業というのは、全企業の九割以上を占めるわけですけれども、しかも募集、採用では大変対応がよかったというわけなんですが、しかし募集、採用の部分は新規学卒者が対象で数も少ないというようなことで、言ってみればやりやすい規定であったというようなことが言えると思います。
 これに対して在籍の労働者、非常に数が余計なわけですけれども、その在籍労働者全員を対象とする昇進とかそれから昇給については、その状況をこれから把握をなさるだろうと思いますけれども、追跡をしていきませんと本当に平等になったのかどうかということは信用できないのではないかというふうに考えるわけです。現実に今言われていることは、労働環境が非常に厳しくなったという声が多くなっております。
 例えば、総合職、一般職というふうに採用入り口で選別をする。これは、巧妙な男女差別ではないかということが言われておりますし、それから海外転勤のあることをほのめかして、総合職希望を一般職に変更させたというような事例も聞いておりますし、それから総合職として採用されても男子とは同一賃金ではなかった、一般職よりも多少は高かったけれども、総合職の男子の賃金とも違って、いわゆる中間賃金であった。だから、同一賃金というのも表向きなのではないかということが言われていたり、それから残業がふえて家族団らんが減ってきたというようなことも言われてきているわけです。
 そういうような声が耳に入るのですが、一年四カ月を経て、こういう実態を労働省は調査をなさったのか、もしなさらないとしたならば、実態調査を行う計画がおありになるのかどうか、それについて伺わせてください。
○政府委員(佐藤ギン子君) これだけ企業に大きな変革を求める法律でございまして、一年数カ月というところでございますから、評価はもちろんさまざまでございまして、非常に進んでいるという面と、なかなか改善に時間がかかるという面があるいはあるというその御指摘はよくわかるわけでございますが、私どももこの施行後の変化につきましてできる限り詳細な調査をいたしたいということで、本年の二月にもう調査を行っております。まとまり次第公表いたしたいと考えております。
○糸久八重子君 均等法の施行で残業が大幅にふえたという訴えがあったということを今申し上げましたけれども、今国会へ提出されております労基法の改正案、これは大幅な労働時間の弾力化の導入など、大変問題が多いわけです。
 中でも変形労働時間制の導入というのは、家事、育児を抱えて働く女性にとってはますます働くことを困難にしてしまうのではないかと非常に危惧をされているわけですけれども、変形労働時間制の導入が全雇用者の三分の一を占めている婦人労働者に与える影響、それについて大臣並びに婦人局長はどう認識していらっしゃるのか伺わせてください。
○国務大臣(平井卓志君) 今回の労働基準法の改正によりまして、法定労働時間が週四十時間制に向けて段階的に短縮されていけば、特に今お話しになっております女子労働者については、時間外、休日労働の上限が規制されておることもございまして、実際に働く労働時間も確実に短縮されることになる。そういう中で家庭生活との調和を図るためのゆとりがより大きくなるものと期待をいたしておるわけでございます。
 この労働時間に関する法的規制の弾力化でございますが、これは労働基準法制定当時に比して第三次産業の占める割合、これは御案内のように非常に大きくなってまいっております。これらの社会経済情勢の変化に対応しなくてはいかぬということで、同時に労使の工夫によって労働時間短縮を進めやすくするためにも、私どもはこれは必要ではないかと考えております。
 また、御案内のように三カ月単位の変形労働時間制につきましては、これまでの変形労働時間制の要件がございますが、それに加えて、原則として三カ月平均で週四十時間以下としなければならぬ、及び労使協定の締結をやらなければいかぬ、この二つの要件がございまして、そのもとに認められておるものでございまして、従来の変形労働時間の運用の実際に照らしてみましても乱用のおそれはないのではないかというふうに理解をいたしております。
○政府委員(平賀俊行君) 若干補足してお答えいたしますと、均等法が施行されてから約一年でございます。最近の実績では、昭和六十一年の労働時間の統計が出ておりますが、その前あるいは前々年ぐらいに比べまして、男の方の平均労働時間、女の方の平均労働時間、いずれにしても前年、前々年よりも若干ながら減っております。総体としてそう大きな減りではございませんけれども、余り変化はないということが出ております。
 それから、大臣御説明いたしましたように、新しい労働基準法、前国会から提案されております労働基準法の変形労働時間については、全体として労働時間に関しては短縮の方向で効果があるというふうに考えております。
   〔理事佐々木満君退席、委員長着席〕
○政府委員(佐藤ギン子君) 今大臣と基準局長からも申し上げたところでございますけれども、私どもといたしましても、労働時間の短縮というのはやはり男女を含めた労働時間の短縮が進まなければ本当の意味の機会均等は進まない、男子の方
が長くて、女子にだけ特別保護をしているという間は、なかなか同一の基盤で男女が同じように扱われ、能力を発揮していくということは難しいわけでございますので、そういう意味で、今回の法改正で男子を含めた全体的な労働時間が短縮するということについて、大いに期待をいたしているわけでございます。
 先生お尋ねの変形労働時間につきましては、もちろんさっき申し上げましたようにいろいろな縛りがさらにかかっておるということでございます。ただ、理論的にそれでは一日当たりが長くなることはあり得るのではないかということはもちろんございます。それが実際に起こるかどうかというのとは別に、理論的にはそういうことはあり得るかと思いますけれども、私どもとしては、家庭責任を負っております女子労働者が職業生活と家庭生活との調和を図ることができるようにするということは大きな関心事の一つでございますので、制度の趣旨に反して乱用がされないように、事業所の指導につきましては、関係局と連絡をとってまいりたいと考えております。
○糸久八重子君 この問題につきましては多くきょうは論議をいたしませんけれども、いずれ論議をする機会があろうかと思います。
 それでは、ことしの三月三十日に、婦人問題企画推進有識者会議が婦人の地位向上のための意見を中曽根首相に提出いたしました。二〇〇〇年に向けての総合目標を「男女共同参加型社会システムの形成をめざす」として、男女の共同参加がごく当たり前になるような社会の仕組みづくりを要請をしているわけですけれども、労働大臣としてその意見をどう受けとめでいらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) この婦人問題企画推進有識者会議の意見でございますが、これは国連婦人の十年、五十一年から六十年までのこの間における国内行動計画の成果を評価しまして、今後とも継続して努力すべき課題を明らかにする。同時に、西暦二〇〇〇年に向けての我が国の社会の変化、発展、及び国際社会の動向を展望して新たな要請への対応のために努力すべき課題を明らかにしたものであると認識をいたしております。
 本意見の趣旨に沿って策定されました新国内行動計画に掲げる施策を着実に推進することによって、本意見を尊重してまいるというふうに考えております。
○糸久八重子君 有識者会議の意見を踏まえて五月に二〇〇〇年に向けての新国内行動計画が策定されたわけですけれども、労働省といたしましては、六十五年度までの具体的な施策で何を重点課題として取り組んでいらっしゃるおつもりなのか、明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(佐藤ギン子君) 新国内行動計画の中で具体的な施策でございますが、まず一つは、固定的な性別の役割分担を直していこうということのための啓発、さらに母性保護のための対策、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保の促進、労働時間の短縮の推進、さらに生涯職業能力開発体制の整備、再就職希望者に対する援助、育児休業制度や女子再雇用制度の普及促進といったような育児期における条件整備の充実、パートタイム労働対策などの多様な就業形態における就業条件の整備といったようなかなり盛りだくさんなものを考えているわけでございます。
○糸久八重子君 六月一日に公表されました女子労働者福祉対策基本方針、これは今後五年間の女子労働者の福祉の増進と地位の向上を図るための基本的施策を示したものと理解しておるわけですけれども、まずこの方針における施策についての基本的な考え方、それから具体的な施策の内容について、そのポイントを明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(佐藤ギン子君) 基本的な考え方といたしましては、まず雇用機会均等法の基本理念にのっとりまして、雇用の場で男女の機会均等が確保されるということ、その他さまざまな労働条件の改善あるいは雇用管理の改善対策、さらに女子の場合には家庭責任を負っている方があるということから、就業の態様もさまざまでございまして、継続就業する方もありますし、結婚、出産でやめる方もあり、その後また職場に出てくるというような方々がございますので、そうした多様なニーズに応じまして女性自身が主体的に自分の職業のつき方の選択ができるように、そういう条件整備をしていこうという考え方でつくったものでございます。
 具体的な柱といたしましては、まず、福祉の増進に関する機運の醸成というのが重要だと思いますけれども、さらに、さっきも申し上げましたことでございますが、雇用の場での男女の均等な機会と待遇の確保の促進、それから母性の健康管理に関する対策の推進、女子労働者の就業についてのさまざまな援助の推進というようなところを重点的に行いたいと考えております。
 特に、二番目に申し上げました均等な機会と待遇の確保の促進ということにつきましては、機会均等推進責任者というものを選任するような形を今考えております。
 こういうことも含めまして、雇用機会均等法の周知徹底、法の円滑な施行のための相談、指導、援助業務の充実も図ってまいりたいと思いますし、それから女子労働者の積極的な活用のための援助、こういうことを考えていきたいと思っておりますし、また就業援助につきましては、女子の職業能力の開発、向上の促進、育児休業制度の普及促進、再雇用制度の普及などの再就職の援助の促進というようなところを主に考えております。
○糸久八重子君 今おっしゃられました機会均等推進責任者、この方たちの果たす役割とか機能についてはどのようにお考えなのでしょうか。そしてまた、どのようにして選任を勧奨していくのでしょうか。国としての選任奨励策の具体的なものはどういうものを考えていらっしゃるのか、お願いいたします。
○政府委員(佐藤ギン子君) やはり雇用の管理の改善というのは、先ほど先生からもお話ございましたけれども、個々の企業で真剣に取り組んでいただきませんとなかなか進んでいかないものでございますので、個々の企業におきまして女子の雇用管理制度の見直しその他、改善が進みますように、そのことについて責任を持っていただく方を責任者として定めることが重要なんではないかというのが基本的な考え方でございます。
 この責任者になる方は、やはりその企業では人事雇用管理について重要なポストについている、責任を持っている方でないと実効が上がらないというようなことでございますから、人事担当の部長というような最も高い、具体的な仕事をする中では高いポストについている方たちを私どもは責任者になっていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
 具体的には、室を通じまして管内の企業に積極的にこういうものを設けるようにお勧めしていくように、今具体的な方策などを研究いたしているところでございます。
○糸久八重子君 そういう推進責任者を事業所内につくって、「事業所内における男女の均等取扱いの進捗状況についての自主点検を促す」というふうにされておるわけですけれども、自主点検だけでなくて、行政機関への報告も義務づけるべきではないかと思うのですけれども、それについてはいかがでしょう。
○政府委員(佐藤ギン子君) ただいまどういうふうにするのが一番改善の効果が上がるかということで考えておりまして、一つの方策として自主点検というのがなかなか効果があるのではないかということでございます。その具体的な方法を検討いたしておるわけでございますが、行われた場合には十分その結果を婦人少年室でも活用して改善に役立てるようにしていきたいというふうに考えております。
○糸久八重子君 女子労働者にとっては職業生活と家庭生活の両立というのは大きな課題でございます。本方針の中の「女子労働者の就業に関する援助の推進」では、職業指導とか能力開発、育休制度、再雇用制度など具体的な施策が今御説明が
あったとおり幾つか挙げられております。そして、基本方針の部分で「老親介護と職業生活との調和を容易にするための条件整備」というふうに書かれております。
 それから二〇〇〇年に向けての新国内行動計画の中にも老親の介護問題は記述されておりますね。もちろん二〇〇〇年に向けての新国内行動計画は男女労働者の問題としてでございますけれども、そこで、介護休暇制度問題についての労働省のお考えはいかがなのでしょうか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 御指摘ございましたように、これから人口も高齢化していくわけでございまして、老親の介護というのは大変大きな問題になるだろうと思います。ただ、この問題につきましてはさまざまな御意見がありまして、老親の介護の問題を女子だけの問題と考えるかどうか、ということについてはさまざまな議論があるわけでございます。先ほど先生がおっしゃいました方針は女子労働者の問題についてのものでございます。
 とりあえずはこの方針の中には書いておらないわけでございますが、ただ、現実には女性がそういうお年寄りの介護を担っておるということは多いわけでございまして、そのことが就業にもさまざまな面で影響を与えているということがございますことから、労働省でも長寿社会における女子労働者と福祉に関する調査研究というものを今度財団法人の婦人少年協会に委託をいたしまして、この中で介護休暇制度も含めましていろいろ先生方に御意見を伺い、また実態の把握に努めているということでございます。
○糸久八重子君 これから婦人少年室の果たす役割は大きくなってくると思いますけれども、都道府県の婦人少年室の機能の充実強化につきまして、具体的にどのような構想をお持ちでございましょうか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 今、先生おっしゃいましたことはそのとおりでございましてそれまでもかなり室はいろいろ業務が多かったわけでございますけれども、均等法の施行に伴いまして女子労働者と事業主の間の具体的な紛争の解決のための援助あるいは助言、指導、勧告といったような仕事がふえておりますし、これまでに比べまして来室者も多く、相談の中身もだんだん複雑になってくるというようなことでございますので、私どもとしては、婦人行政を円滑に推進するためには婦人少年室の体制、機能の充実強化というのはもうなくてはならないことだというふうに考えております。
 これまでも増員ですとか、あるいは職員の資質の向上のための研修の充実というようなことをやってまいりまして、婦人少年室の体制、機能の充実強化には努めてきたわけでございますけれども、これからもさらにそういう点につきましては、なかなか客観情勢厳しいわけでございますけれども、精いっぱい努力してまいりたいと思っております。
○糸久八重子君 どうぞ六十三年度の予算編成の中で頑張っていっていただきたいと思います。
 また、「婦人関係情報ネットワークの一端を担うような情報提供システムの整備を図る」とされておるわけですけれども、この内容を説明していただけますか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 労働市場に女性の進出がどんどん進んでおりますし、また私どもの行政の内容も大変に多岐にわたっております。それだけ女子の方からのニーズの多様化、質に対する要求というようなものも難しくなってきているということでございますし、また、国民の関心も高く、国際的にも女子の労働者に関しての情報のネットワークというものが必要だということが認識されておるわけでございます。
 そこで、私どもとしましても、女子の雇用に関する情報、これは労働そのものだけではなくて、もっと広い分野での情報を総合的にまとめ、それを皆様に提供できるような形にしていくということが重要だというふうに考えております。
 そこで、使用者団体とか企業、あるいは女子労働者、もちろん男子も含めた労働者全体、労働組合、地方自治体あるいは学識経験者というような方たちに女子雇用に関する情報につきましての実態を、どんなことがニーズとしてあるのかということも十分把握するということと、体系的な情報の収集、分析あるいは保管、国内だけではなくて国の外へも提供できるようなそういうシステムをつくるのにはどんなやり方が一番いいのか、どんな方法が効果的なのかということについて検討することにいたしておりまして、今年度から女子雇用に関する情報システムの整備に関する研究会というものを発足させることといたしたわけでございます。
○糸久八重子君 新国内行動計画を達成するためにILOの百五十六号条約、男女労働者特に家族的責任を有する労働者の機会均等及び均等待遇に関する条約、この批准を急ぐべきであると思いますが、批准の見通しはどうなっておりますでしょうか。
○政府委員(佐藤ギン子君) ILO百五十六号条約と国内法制の整合性につきましてはなかなか難しい問題がたくさんございまして、現在検討を続けているところでございます。
 例えば、「家族的責任のみをもって雇用の終了の妥当な理由としてはならない」というような規定があるわけでございますけれども、現在の国内法制でこの部分は満たされておるのかどうか、あるいはこの条約はなかなか難しい条約でございまして、「国内事情を考慮した上、必要な場合には段階的に適用することができる」ということも決めてあるわけでございますけれども、段階的に適用する場合にどの程度までの施策を講ずればいいのかといったような問題、その他なかなか難しい問題がございますので、私どもとしては我が国の実情等も考えながら、さらに検討を続けていきたいというふうに考えております。
○糸久八重子君 それでは、先の通常国会で労働一般ができなかったわけですから、六十二年度の労働省の予算関係でちょっとわからない部分がありますので教えていただきたいと思います。
 新規事業として、女子在職者リーダー講習の開催というのと、それから女子パートタイム雇用管理改善研究会の設置というのがありますけれども、その事業内容と趣旨についてお願い申し上げます。
○政府委員(佐藤ギン子君) まず、女子在職者リーダー講習でございますけれども、女子の能力開発については教育訓練が重要であるということでございますけれども、これまでなかなか中小企業で女子の中堅的な仕事をしていらっしゃる方、あるいはリーダー的な役割を担っている方への教育訓練というのは必ずしも十分でなかった面がございますので、こういう方たちにまず職業人として必要な知識を習得していただく、そういう形で職業意識の高揚と資質の向上を図るということを考えて実施しようということでございます。
 具体的な講習内容といたしましては、まずそういう方たちに婦人労働の現状とか、あるいはどういうところに問題があるのかというようなことを十分御理解いただくようなもの、それから婦人関係あるいは婦人労働関係のさまざまな法規がございまして、かなり内容も複雑でございますが、そういうものを十分にわかっていただくということも重要でございますので、こうした法規の概要ですとか、あるいは、人の上に立っていただく方たちでございますので、そういう方たち、リーダーの条件といったようなものについても講習の内容に含めていきたいと思っております。
 また、先ほどから御指摘のとおり、女性の場合には家庭責任を負っている方も多いわけでございますので、生活設計あるいは職業生活と家庭生活との関係、職場の人間関係というようなことにつきましても十分な知識を持って、御自分も労働者として資質を向上させると同時に、影響を与えるような他の女子の方たちにもいろいろと指導などもできるような内容を考えていきたいと考えております。
 それから、パートタイムの雇用管理改善研究会
でございますが、パートタイム労働者は年々増加をいたしておりまして、今後も増加するのではないかというふうに私ども考えております。しかも、今までのように単純、補助的な仕事あるいは定型的な仕事をしている方だけではなくて、かなり専門的な能力、技術というようなものを持って基幹的な部署につくというような方も増加してくるというふうに考えられますので、そういう方たちの雇用管理の改善が今後大きな課題になると考えております。
 そこで、来年度からパートタイム労働者を多数雇用しております企業の人事労務担当者あるいは労働関係の行政機関の方たちを構成員といたしまして、パートタイム雇用労務管理改善研究会というものを各都道府県の婦人少年室に置きまして、パートタイムの労働者の特性に配慮した雇用労務管理の適正化あるいは改善のための研究を行うということにいたしておりまして、こういうものを通じて好事例などは他の企業などにも紹介する、またお勧めするというような形で改善を進めていきたいと考えております。
○糸久八重子君 それでは、時間が参りましたので、最後に六十三年度の予算編成に当たって、大臣、どうぞ、非常にふえております女子労働者についての予算を十分にとっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(平井卓志君) その方向で最大限努力をいたします。
○委員長(関口恵造君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
○委員長(関口恵造君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、浜本万三君が委員を辞任され、その補欠として山本正和君が選任されました。
    ―――――――――――――
○委員長(関口恵造君) 休憩前に引き続き、労働問題に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○中西珠子君 労働者派遣事業法が施行されて一年になりますが、特定労働者派遣事業の事業所として届け出をしてきた件数、それから、一般労働者派遣事業の許可を得た件数並びに業種別の件数をお知らせいただきたいと思います。
○説明員(戸苅利和君) 労働者派遣法の施行から昭和六十二年七月一日までの許可及び届け出の状況でございますが、まず、常用の労働者のみを派遣いたしております特定労働者派遣事業の届け出の受理の事業所は六千二百八十五件となっております。それから、常用労働者以外の労働者を派遣する一般労働者派遣事業の許可を行った事業所は一千百三十三件。合計いたしまして七千四百十八件となっております。それから、適用対象業別に申し上げますと、まず、特定労働者派遣事業につきましては、情報処理関係の事業所の割合が特に高くなっておりまして、ソフトウエアの開発が四千百六十五件となっております。次いで、機械設計関係の業務、これも比較的高くなっておりまして八百三十七件となっております。それから、一般労働者派遣事業につきましては、事務処理関係のものが高くなっておりまして、事務用機器操作の関係が八百五十五件、それから、ファイリングが五百九十九件となっております。その他ソフトウエア開発の情報処理関係もかなり高くなっておりまして三百八十四件ということになっております。
○中西珠子君 パーセンテージでいきますと、届け出の受理事業所数に関しましては、コンピューター関係が六六・三%、それで、事務機械の関係が四一%、それから、大変多いだろうと思った建設物の管理とか掃除とかメンテナンス、そういうものは案外少なかったような感じですが、これは労働省の予想どおりですか。一般の方につきましても同じようなことが言えると思うんですけれども、これは労働省の予想どおりですか。
○説明員(戸苅利和君) ビルメン関係につきましては、業務の実態というものが請負で行われているものもかなり多い実情にありまして、そういった意味で、当初我々派遣ということで出てくるものもかなりあるんじゃないかと思っていたんですが、実際には請負でやっていこうということで判断されたところが多くなった結果、こんなことになっているんじゃないかと思っております。
○中西珠子君 コンピューター関係はどうですか。請負のままの形でいたいという要望が随分そちらの方にもあったと聞いていますが。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今、室長お答えしたとおりでございまして、コンピューター関係につきましては、当初は派遣法の中身その他につきまして十分に理解が進まなかったとかいろんな点があったわけでございまして、そういうことで、請負でできるものは請負でいきたいというような話もあったわけでございますが、実際には、派遣法を適用してみて、その法に基づいてやることに別段差し支えもないし、その方がいいということで数もふえてきているというふうに思います。
○中西珠子君 労働省は、法の運用のためにいろいろ御指導なすっていらっしゃることだと思いますが、労働者派遣事業適正運営協力員制度というものが発足しておりますけれども、これのメンバーにはどういう方がなっているのかということをお教えいただきたいと思います。
○説明員(戸苅利和君) 労働者派遣事業適正運営協力員につきましては、昨年の十月に委嘱をいたしておるところでありますけれども、各都道府県の労使の代表の方に委嘱をいたしております。
○中西珠子君 パーセンテージで見ますと、財務処理関係の届け出受理事業所数も、また許可の方もそんなに多くはないのですけれども、最近の傾向として、新聞などにも随分出ていることなんですが、銀行関係それから証券、信託、損保、そういったところが非常に一般労働者派遣事業の許可も得ているし、また、特定労働者派遣事業の届け出もやっているという傾向が非常に顕著に見えるわけですが、労働省はどのようにお考えですか。
 これは、一流の銀行それから地方銀行の労働者派遣事業を始めたところのリストで、これが九十三もあるわけですけれども、企業内の余剰労働力の調整とか、人件費の削減というものを目的として労働者派遣事業を始めたところが多いのではないかという感じを抱いているわけです。結局、余剰の労働力を出向きして、そして移籍して派遣労働者にすると、そしてとにかく自分自身の銀行にそれを派遣してくるという、そういう傾向が非常に出てきているのではないか。また、銀行によっては派遣労働者の数をうんとふやして常用雇用の労働者に代替させて、とにかく常用雇用はできる限り少ない数でやっていくと、あとは派遣で間に合うのだということを既に発表もしているところもあるし、公言しているところもあるわけなんですけれども、こういった点に関しては、労働省はどのようにお考えになっていますか。
 四十八条に、特定の対象のみ派遣する場合は労働大臣が改善の勧告をなさることができるわけですね。そういったものを発動しなくても指導によってうまくできるというふうにお考えになっているのか。私はやはり、終身雇用制がどんどん崩れていって、そして派遣労働者がふえて常用雇用労働者の代替をしていくという傾向は、このような経済情勢の中でいたし方のないことかもしれないけれども、当人にとってみれば大変な問題だと思うんですね。労働省はその辺の御認識はいかがなものですか。そしてまた、なさっているとすれば、どのような指導をなさっておりますか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 物はとりようでございますが、私たちはそうは考えてはおりません。銀行等につきましては、いろんな機械化その他が進みまして、その面での需要と、一時的な仕事の量の増加、その他いろいろあるわけでございます。そういうような面でそれ
らを活用しているというふうに考えております。
○中西珠子君 派遣労働者は割合と技術的、専門的な知識のある人など、殊に女性などが家庭責任を持っているとすれば、自分の好きなときに働けていい。そして、中間搾取の問題はさることながら、また中間搾取はないのだと労働省が御説明になって、それは教育訓練を派遣労働者に行っているからというふうな御説明でございました。
 確かにいい点もあるんだけれども、男性の中高年になった人が、今まで一流の銀行員だったのが出向させられて、今度は派遣労働の事業所に移籍になって、そして派遣労働者として給料も下がる、それから身分的にも、自分がこれまでいた銀行にキャリアサービスとかいろんな名前の労働者派遣事業所から派遣されてきているというそういうケースがふえていて、奥さんにもこれはないしょで言えないんだというふうな、そういう人もふえているわけですね。だから、これは野放しにしておいてもいいのかどうかということが大変私は心配なんですが、いかがですか。
○政府委員(白井晋太郎君) 先生のおっしゃるような問題があるかどうか私たちつまびらかにしないわけでございますが、必ずしもそういうことではないというふうに理解いたしております。
○中西珠子君 ヨーロッパの派遣労働に関する法律には、派遣期間とか派遣事由に関する規制があるんですね。私もこの派遣労働法が審議されたときに盛んに申し上げたんですが、これは日本の派遣労働法にはないものだから、やはり常用雇用労働者の代替を促進するということにならざるを得ないという現象が起きているのではないかと思うんですが、労働大臣はこの点はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○政府委員(白井晋太郎君) この法律にも派遣期間をちゃんと定めるようになっておりまして、先生の御指摘の点はいつでも期間を設けて規制するようになっているところでございます。
○中西珠子君 私が派遣期間と言ったのはそういう意味じゃないんです。一年間派遣されればもう常用の雇用としないといけないというそういう派遣期間の規制なんです。ドイツはありますね。そういうのと、派遣事由というのは、常用雇用の労働者が病気になったときとか急に業務がふえてしまってどうにもさばけなくなったときという、そういう派遣事由がやはり法律の中に入れられているという、そういう意味なんです。
○政府委員(白井晋太郎君) この派遣法の趣旨は、先生も先ほどからおっしゃっていらっしゃいますように、専門的であるということと、それから管理上その他から派遣に向くというそういうことで進められておりますし、業務指定その他につきましても、御指摘のように常用雇用との代替にならないように、そういうことで業務指定をしますとともに、今の期間のような定めもあるわけでございまして、そういう立場からいけば、長く勤めておられれば常用にするというような規定がこの法律の趣旨から要るかどうかというのはまた別問題だというふうに思います。
 それからもう一つは、今先生おっしゃいました派遣理由の点も同じ制度の趣旨でございまして、例えば病気とか休暇で休んだから派遣するということではなくて、そういう業務が派遣に向くかどうかということで業務指定されているわけですから、そういう規定も必要かどうかというのはまた別問題だというふうに思います。
○中西珠子君 適用対象業務は一応十三項目であって、全部数えると十六になるわけですけれども、その適用対象業務以外に派遣をやっているというものはないですか。
 例えば財務関係の適用対象業務、リストアップしてありますね。銀行なんかじゃ、ロビーにいるロビイストといわゆる言われているロビーで案内するような人、こういうふうな人も派遣になっているという話も聞いたんですけれども、適用対象業務以外の派遣事業というものもないわけではないということを職安局長は経営新聞の中でもおっしゃっているわけですね。ですから、そういうものがあるかどうかということと、適用対象業務を広げるおつもりがあるかどうかということについてお答え願いたいと思います。
○政府委員(白井晋太郎君) 適用対象業務外の派遣があるかどうかということにつきましては、その許可または届け出を行った事業所のみがこの派遣事業を行うということになっているわけでございますので、それにもし違反しているものがあれば指導、監督、または先ほど先生おっしゃいました関係労使団体等によります労働者派遣事業適正運営協力員等の協力を得まして実態把握に努めていかなければならないと思いますが、必ずしも今普及されまして、そういう実態が出てきているということは現在のところまだございません。
 今先生おっしゃいましたような、受付その他の業務にも派遣があるというようなこともいろいろ聞いているわけですけれども、それは派遣業務事業の業務処理その他の一環としてそういうものがあるわけでございまして、その適用業務の中にも受付はございますから、これは必ずしも派遣業務違反ではない、派遣業務の一環だというふうに思っております。
 経営新聞の中身、ちょっとどういうふうに私申し上げたかあれでございますが、世の中はだんだんに移り変わっていくわけでございまして、先ほどから午前中の議論にもございましたように、いろいろと産業構造や就業構造の変化が行われておりますが、労働市場自体もその需給の面で雇用形態や需給システムそのものがいろいろ変化いたしております。
 そういう中で、派遣業務について今のままでいいのか、時代の移りによってやはり法に基づいてちゃんとやっていただくように指定しなければならないものもあるかどうかということは今後の問題だと思いますし、そういう問題につきましては、もしいろいろあれば審議会の審議にかけて検討を進めていかなければならないというふうに考えております。
○中西珠子君 適用対象業務の点についてのお答えがなかったんですが、適用対象業務はやはりもっと広げた方がいい。例えば病院関係に派出されている派出婦とか家政婦さん、今は有料職業紹介所で行っておりますが、そういったものだとか、それから老人介護をやるサービスとか、そういったものはこれやはり適用対象業務に非常になじみやすいし、やった方がいいんじゃないかという主張の学者の方もいらっしゃるわけですね。労働省はどのようにお考えですか。
○国務大臣(平井卓志君) 今御質問になっております派遣事業の内容でございますけれども、これは御案内のように、経済、社会の変化を背景として生まれたものでございまして、言うなれば労働力の需要、供給の双方のニーズにこたえなくちゃいかぬ、また労働力需給の迅速またその調整を促進するという意味もございますし、また一方気をつけなければならぬのは我が国の雇用慣行に悪影響を及ぼしてはいかぬ。さらに先ほどおっしゃいました派遣先の常用雇用の代替を不当に促進するようなものになってはならぬと、こういう配慮も必要ではないかと思うわけであります。
 したがって、この派遣事業を実施できる適用範囲はもう御案内のように、一つには専門的な知識、技術、経験を必要とする業務、さらには就業形態、雇用形態等の特殊性により特別の雇用管理を必要とする業務というふうになっておりまして、中央職業安定審議会の意見を聞いて定めることとしております。
 現在、情報処理関係、事務処理関係等、今御指摘になりました十六業務が指定されておるところでございますが、今後経済、社会の一層の変化に伴いまして新たに追加を検討すべき業務が生じてくること、これは当然予想されることでございますが、これらの業務につきましては、このような今申し上げたような基本的な考え方に立って、業務処理についての実態把握を含めて慎重に検討を行って、中央職業安定審議会の意見を聞いてその適否を決定してまいりたい、こう考えております。
○中西珠子君 非常に大臣の前向きのお答えで結
構だと思いますが、確かに世の中の情勢も変わってきているし、それから殊にこれから高齢化社会を迎えていく上で多様な雇用形態が必要なんだし、またこれまで既に行われていた労働者供給事業という違法な形態ではなく、こういうきちっとした法律ができて派遣労働者の労働条件もきちっと明確になるし、責任の所在というものもそれぞれ派遣元と派遣先とではっきりとしたということでございますが、まだまだ施行されてから一年間ということでいろんな問題があるのではないかと思うのでございます。
 例えば派遣先の従業員が深夜業を禁止されている派遣女性労働者に深夜業をさせた場合、責任がどこにもとれないということを私は聞いているわけです。この本にも書いてあるわけで、その点はどうなんでしょうか。「派遣労働者の労務管理」というのは労働省労働基準局監督課が編著なさった本ですね。それで労働基準調査会が出しているわけですけれども、そのような場合はどういうことになるか、基準局長どうぞ御説明ください。
○政府委員(平賀俊行君) 派遣法の基本的な考え方というのは、派遣元とそれからその労働者の間に労働契約があるという考え方でやっております。ただ、労働基準法その他規定の種類によっては、ただいまの深夜業の問題も含めて現実にその場面で指揮監督をした者に責任をとらせなければならない、そういう性格の規定がございます。
 この点につきまして派遣法の中で立法的に解決をして、御設問のような場合はまさしくその現場での指揮監督にかかわることでございますので、事業主としての基準法上の責任は派遣先の事業主が負うということを明確に規定してございます。
○中西珠子君 この本の中には、派遣先の従業員が指揮して命令して、そして深夜業を行わせた場合には事業主の方は行為者ではないから責任は問われない、このように書いてあるわけですね。
○政府委員(平賀俊行君) 恐らく現行法の解釈のことを書いてあると思うんですが、派遣法の規定で、したがって立法的に解決して特例を設けた。やや回りくどい書き方になっているのでその辺あるいはちょっと誤解を招いている点があろうかと思いますが、実際はその問題については完全に派遣先の事業主に責任がございます。
○中西珠子君 それを聞いて安心いたしましたけれども、この本はちょっとまずいと思いますよ。
 それからプログラマーの場合は、これは深夜業や残業規制がかかるわけでしょう。コンピューター関係のシステムアナリストは深夜業や残業規制からは外されておりますね。しかし、プログラマーの場合はかかるわけでしょう。この前の均等法の審議のときにそのように私は前の婦人局長の御説明があったと思うんですが。
○政府委員(平賀俊行君) 均等法ができたときの基準法の改正で、残業等の規制に関してその前の段階より規制が強められたということになりますが、例えばその場合についても、協定を越えて残業させたりそういう場合についてはこの新しい派遣法についても労働時間に関する規定の違反が生ずる場合はあると思います。
○中西珠子君 システムアナリストの女の人で、とにかくコンピューター関係の派遣事業所から派遣されて毎日のように物すごい残業の続いている人があるわけですね。でもシステムアナリストであれば深夜業はやってもいいというごとになっているんだからそれはいたし方ないとして、プログラマーの場合は本当はさせてはいけないということですね。ところがやっぱりさせているケースは随分あるらしい。私はそれは派遣労働者としてコンピューター関係の派遣会社から派遣されている方から聞いた話なんですが、そういう場合の取り締まりの方法はやはり先ほどおっしゃったような派遣先の事業主が責任をとる、こういうことですね。
○政府委員(平賀俊行君) いわゆる三六協定の締結は、派遣元の事業主との間に締結しなければいけない。ですからその件については別として、現場における労働時間監理については派遣先の事業主に責任があると解釈できると思います。
○中西珠子君 三六協定を果たして派遣労働者の事業主と派遣労働者の間に結べるかどうかというのは、これはまた別問題で大変難しいだろうと私は思うんです。殊に登録型の労働者派遣事業所であった場合は、しょっちゅうそこに労働者がいるわけではないし、ただ登録しているだけですからね。だから登録している人を一堂に会してそして三六協定を結ばせているというケースはたくさんございますか。
○政府委員(平賀俊行君) 私がお答えしましたのは、三六協定については派遣元で締結をするということでございます。
○中西珠子君 だから派遣元と言ったでしょう。労働者派遣事業をやっているところで、それも登録制でやっているところ、派遣元ですよ、すなわち言いかえれば。ですから登録制のところは難しいんじゃないでしょうかと申し上げているわけよ。
○政府委員(平賀俊行君) 現実に登録といいますか、協定を結んでいるところもございますし、法律の取り扱いとしては協定は派遣元と締結しなければならないことになっております。
○中西珠子君 派遣元と締結しなくちゃならないということになっているのはよく存じておりますが、実際問題として難しいのではないですかと言っているわけです。
 どのくらいありますか、三六協定結んでいる登録型の派遣労働者事業所は。これは今すぐわからなかったら後で知らせてください。
○政府委員(平賀俊行君) 現在その具体的な数字を持ち合わせておりませんので、適当な機会にまた御報告申し上げます。
○中西珠子君 派遣労働者と派遣店員というのはなかなか区別がつきにくいわけでございますが、派遣店員も派遣先の指揮命令系統に属して仕事をする、出退勤とか休憩時間とか労働時間なども派遣先の例えばデパートやスーパーなどで決めたとおりにするということで、また派遣店員を派遣している使用者というものは結局どの程度やはりこういったことに対して、こういう派遣先の例えば派遣元とは全然無関係な仕事をやらせたりしてまるで派遣労働のようなことをさせたというふうなときに対して、労働省側はどのような指導を与えてらして、そういった派遣店員の労働時間が長くなり過ぎないようにとか、安全衛生が確保されるようにというふうな指導をなさっているか、お聞きしたいわけです。
 例えばこれは最近私のところに訴えてきた人の話なんですけれども、派遣店員としてデパートやスーパーにしょっちゅう行かされる。そこで大きな冷蔵庫があって、その中に入っていく仕事ですね。冷たいところで長時間働くことは女性にとって大変身体的に苦痛ばかりか障害も与えるということなんですが、やはり派遣先の店員は、正規の従業員は自分が行かないで派遣店員をやるということで、その派遣店員が中に入っていって、何回も何回も日に冷蔵庫の中に入って仕事をするということ自体も大変なんだけれども、冷蔵庫の中に入ってしまうとなかなか中からあかなくなってしまうので、いつも少しすき間をあけておくそうです。
 ところが、すき間があいていてだれかが中に入っているということがわかっているはずであるのに、派遣先の正規の従業員が閉めてしまったというのですね。これはもう故意に閉めたんじゃないでしょう。無意識にやってしまったんだろうと思うんですけれども、それで中からどうしてもあかなくて数時間冷蔵庫の中に閉じ込められてしまって、それで正規の従業員もそれからやはり派遣元から派遣されてきていた店員の同僚の人も、その人がいないのでおかしいということで探したところが、冷蔵庫の中で倒れていたというこういうケースもあるわけですね。
 このようなケースのときに、果たしてこの派遣元の使用者の方に責任があるのか、派遣先の使用者の方に責任があるのか。これは派遣店員だからどちらかというとやっぱり派遣元の使用者に責任があるということになるのかとも思いますが、指
揮命令をやるのが派遣先である場合、非常にここのところ微妙ですし、どのような指導を労働省は、安全の確保とか労働時間が長くなり過ぎないようにとか、そういった点でなさっているかお聞きしたいと思います。
○政府委員(平賀俊行君) 御質問の場合は、派遣法の派遣労働者ではなくて、派遣元と言うのが適当かどうかわかりませんが、デパートなどに例えばそこに商品を出している会社がその職員を出張さしてそこで労働させる、その労働に関する指揮命令もその出張さしている店、ここで派遣元と言うと紛らわしいですが、そのもとの店の方、デパートではなくて店の方が負う、したがって、原則として安全衛生等すべての場合についてその店の方が負うということになるわけでございます。
 確かに、デパートという現場で、場合によってはそのデパートの従業員と混在して仕事をするとか、あるいはお得意先とそうでないという関係、そういう契約関係などが店とデパートの間にあるものですから、デパートの仕事をたまたま手伝わさせるというようなこともあるかもしれませんが、いずれにいたしましても、その労働基準法上の責任はすべてそのデパートではなくて店の方にあります。
 ただ問題は、そういう形で混在して一つの現場で働かせるというような事態について、確かに御設問のようないろいろな事態が想定されますので、そういう場面、双方について適切な労務管理が行われるように私どもとしては双方を指導しておるところでございます。
○中西珠子君 双方を十分に指導していただくことを要望いたします。
 均等法施行以来一年数カ月になりまして、先ほども糸久委員から御質問があったわけでございますが、私は、婦人局はやはり均等法施行の一年半の間に非常にいろんな御努力をなすって、均等法の内容の周知徹底並びにその中に殊にございます育児休業制度普及促進旬間とか、そういったものも含めていろいろなことをなすっているという御努力は非常に多としているわけでございます。高く評価しているわけでございます。
 先ほども、婦人少年室の機能の強化、人員の充実というふうなことが必要なほど非常に差別を訴えてきている件数が多いのだ、また、解決した件数も多いというふうなお話でしたけれども、数でいきますと一体どのくらいになりますか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 室の方に参ります相談あるいは質問というのが非常に多様でございますし、また、その質の程度といいますか、さまざまでございまして、例えば電話でちょっと尋ねてきて五、六分の応対で済むものもございますし、二時間、三時間やっても終わらなくて一日粘っておるというのもありまして、それもそれぞれ一件ということにするのかどうかということがございますので、私どもとしては、必ずしも件数という問題は、もちろん重要ではありますけれども、物事の軽重を判断する指標としてはなかなか使いがたいというふうに感じておるわけでございます。
 ただ、均等法に基づきまして女子労働者と事業主の間の紛争解決の援助あるいは企業の雇用管理制度の改善を目的といたしまして、室長が助言を行うとか指導を行うといったものの件数を御参考までに申し上げますと、六十一年度は二千件を超える数になっております。その内容といたしましては、定年退職、解雇に関するものが最も多うございまして、それから募集に係るものがそれに次いでいるということでございます。
○中西珠子君 婦人少年室が適当と認めた場合、また本人が要望した場合は機会均等調停委員会に付託するというふうになっておりますね。この機会均等調停委員会に付託された件数は幾つございますか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 現在までのところ、まだ調停までいっているものはないのでございますが、これはなぜかということにつきましては、まず一つは、均等法の趣旨がかなり広く知られ、また、内容につきましても正確に理解が進んでいるところが多うございまして、その法律に応じた雇用管理の改善が行われているところが多い、そういうところでは問題が出てこないということがございます。
 それから、問題がある場合でも、企業の中で解決されておりますものと、それから室に参りまして室が指導をしたために直っていく、調停までいかないというものがかなりあるということからではないだろうかというふうに考えております。
○中西珠子君 婦人少年室の方で一生懸命勧告をなすったりして問題が解決して、調停までいかなくて済むということは非常にいいことなのかもしれないけれども、この機会均等調停委員会に付すには使用者側の同意が必要ですね。ですから、使用者側の同意を得ることが大変難しい、また、差別を訴えたことに対する解雇その他の不利益取扱禁止条項というものも均等法にございませんから、そういったことで機会均等調停委員会に付託する件数が少ないんじゃないかな、調停まで持っていこうという気持ちの女子労働者が少ないんじゃないかなという私は心配をするわけですが、その点はいかがですか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 残念ながらといいますのか、何と言っていいのかわからないんですが、まだ女子自身からこれをぜひ調停にしてもらいたいということで使用者側に御相談するところまで持っていっているものが現在のところないわけでございます。もちろん問題がなかなか難しいときに、場合によっては、これ調停にできるんですよと、御本人は、女子は言っていらっしゃらなくても使用者側に申し上げることはあるんですけれども、使用者側の方も、いや、そんなにまでしなくても検討しますというふうなことで応じていただいてしまうといいますか、そういう意味で使用者側に同意を求めるところまでいかないうちに問題になったものが解決すると、これまでのところはそういう実態でございます。
○中西珠子君 使用者側の同意を得て調停まで持っていかないで解決が図られて、またうまくいっているということは、それだけ婦人少年室が御苦労が多いのだと思いまして大変評価しますけれども、外国なんかはとにかく差別を訴えたことに対する不利益取扱禁止条項というものがございますね。機会均等調停委員会という名前ではなくて、雇用機会均等委員会とかオンブズマンとか、いろんな名前のところがありますけれども、もう少し強力な機能を持っているわけですね。ですから、やはりまだ一年と数カ月ですから何とも言えないけれども、もう少しこの状況を見守っていきたいと私は思っております。
 また、婦人少年室の機能の強化のために予算並びに人員をふやしていただきたいと心から思っておりますので、六十三年度予算におきましてはその点もぜひ御配慮いただきたく労働大臣にお願いするわけでございます。大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(平井卓志君) 予算の獲得、今お約束はできませんけれども、御趣旨の方向で努力いたします。
○中西珠子君 育児休業につきましてちょっとお伺いしたいんですけれども、均等法の中に、育児休業を奨励し、また、国は援助するとなっておりますね。そして、婦人局は育児休業制度普及促進旬間というものもなすったし、それから女子の職業と子育てについての国際シンポジウムなども開催されたりして大変普及促進に努力をされておりますね。そしてまた、育児休業の奨励金というものも最近引き上げられているし、中小企業が初年度が六十万ですか、二年目が四十万、それから大企業が初年度が四十五万、それから二年目が三十五万というふうな相当のものをお出しになっているということですが、均等法施行後、育児休業はどのくらい民間でふえましたでしょうか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 法律が施行されましてからまだ育児休業制度の普及状況について調査したデータが残念ながらございませんで、法施行前に実施した調査、これは六十年にいたしております。といいますのは、この調査は女子保護実施状況調査というのでいたしておりますが、二、三
年に一回ずつやっておるということでございまして、六十年にやりましたのでまだ六十一年、六十二年はその間隔からいいまして次の番に回ってこないということで行われておらないわけでございます。
 六十年の、法施行前の実態を見たものでございますと、育児休業制度を実施しております事業所の割合は一四・六%という数字になっております。
○中西珠子君 これは民間だけですか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 一部公立の学校等が入った数字でございます。民間だけの実施状況というのは一割を切っているわけでございます。
○中西珠子君 育児休業奨励金は、雇用改善事業の方の特別の会計から出ておりますね。それで、毎年お使いになっている予算がいつも余るような傾向で、それだけこれだけは目標にしようとお思いになったのが達成できないのが年々の状況ではないかと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 私どもといたしましては、普及が少しでも進むようにというのでどうも予算を一生懸命頑張って多目にとるという面もあるからかと思いますけれども、確かに御指摘のように、私どもの期待したほどには進まないために予算が使い切れないという実態は御指摘のとおりでございます。
○中西珠子君 私は、義務教育の女子教員、それから国公立の病院とか医療施設の看護婦、助産婦などに与えられているような、あれは無給でちょっととる方の側からすれば大変痛いことだと思うのですけれども、できれば収入の六割ぐらいは保障される育児休業法が民間の女性にもとれるようにぜひこれは法律をつくる必要があるのではないか。それで、今行財政改革の中で、そんな新しい育児休業のために、収入の六割を保障するなんということはとんでもない話、それでなくてもあらゆる社会保険、労働保険はピンチであるというふうなことを言われると思うのですけれども、育児休業のための六割の収入保障をつけて一年間ということでこれ試算してみますと、一月百円ぐらいのことで使用者側と労働者側とそれから国と、三者が負担することによってできるという、それぞれの拠出が一人百円というくらいでできるという試算もできております。
 これはやはりほかの欧米の、アメリカはありませんが、ヨーロッパの国々がどんどん育児休業法を、これも女性ばかりでなく男性もとれる育児休業法をつくっている中で、やはり日本は少し立ちおくれているのではないか、法律の制定が必要なのではないかと思うのですけれども、婦人局長のお考えはいかがですか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 先生おっしゃいましたように、育児休業制度というのは非常に重要であり、このごろは父親もとれるような制度が国によってはあるというお話でございまして、私どもも女性が仕事を続けていきます場合に、育児をだれが負うかということについてはいろいろ御意見あると思いますけれども、実際には女性が育児の責任をほとんど全面的に負っている場合が多いわけでございまして、そういう人たちが仕事を続けていく上で育児休業制度というのは非常に重要だという認識を持っております。
 したがいまして、均等法をつくりますときにも、審議会の中で育児休業を請求する権利を法律的に認めるかどうかということについては長い長い御議論をいただいたわけでございますけれども、その結果が、まだまだ育児休業の制度の普及が低い段階では、すべての企業に法律をもって強制するのは時期尚早なので、もう少し行政の方で普及のための努力をしてからにしろというような御意見をいただいたのが、言ってみればついこの間の、やっとそれでそういう御建議をいただいてまだ日が浅いわけでございまして、私どもとしてはまずその審議会での御建議で指摘されましたように、行政の努力というのをもう少ししてみなければいけないのではないかと思っております。
 先生が御指摘のように、なかなか進まないという苦しさはあるわけでございますけれども、もう少し奨励金の額なども大幅にアップしておりますので、努力をさせていただきたいと思います。
○中西珠子君 現在、保育所の数は相当ふえておりまして、十分だということも言われております。大変出生率が下がっていることでもございますし。そして、働く婦人が一番困っているのは産休明け保育、産後の休暇が終わった後すぐの保育、それからゼロ歳児保育ですね。それから、働いている女の人たちがもう五時になって走っていかなきゃ保育所が閉まってしまうというふうな思いばかりしているので、延長保育、午後七時までぐらいはやってほしいという要望が非常に強いわけでございますけれども、そういう延長保育をやっているところも非常に少ない。また午後十時ごろまでやっている保育、いわゆる夜間保育をやっているところも非常に少ないということで、私も去年あたりの数字はあるんですけれども、厚生省は今どのような状況になっておりますか。
○説明員(柏崎澄雄君) 御説明申し上げます。
 保育所の数につきましては、昭和六十一年四月の時点で見ますと全国二万二千八百七十七カ所でございます。これら保育所に入所しております児童が約百七十四万人でございます。そのうち乳児、ゼロ歳児の子供さん方が約三万七千五百人でございます。それから、延長保育、夜間保育についてでございますが、六十二年三月末の時点で申し上げますと、延長保育が三百七十カ所、夜間保育が二十五カ所と相なっておるわけでございます。
○中西珠子君 全国の数字で延長保育が三百七十、それから夜間保育が二十五ですね。非常に少ないですね。そしてまた、産休明け保育、ゼロ歳児保育の区別は統計としてはおとりになっていないけれども、乳児を預かっているところは大体三万七千五百の乳児が保育所に入っている、こういうことですか。これではもう本当に赤ん坊を育てなきゃならない、そして働かなきゃならないお母さん方は困ってしまうわけですね。
 ですから、やはり厚生省としてももう少し保育の多様化というのか、対象を多様化すると同時に、また時間を延長するとか、夜間保育を行っていくところを奨励してもっと多くするようにしていただけませんですか。
○説明員(柏崎澄雄君) 御説明申し上げます。
 先生の御指摘になりました保育所の整備につきましては、昭和四十年代、五十年代を中心にかなりの整備を進めました結果、今日人口急増地域、を除きまして、全国的にほぼ一応の量的な水準は確保したのではないか、かように考えております。
 むしろ、これからは近年の婦人就労の増大あるいは就労の形態の多様化等々に対応した御指摘のような保育需要の多様化への適切な対応というのが必要であろうと考えております。このような観点に立ちまして、従来からも延長保育、夜間保育、乳児保育等の特別保育対策の推進に努めてきたところでありますが、私どもこれからは量的より質的な充実に大きく力を注いでいかなきゃいかぬ、かように認識しておりまして、今後ともさらに努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
 なお、ちなみに六十二年度予算におきまして、これらの対策をさらに一層推進できるようにということで、従来も制度的な助成を行っておりますが、ささやかでございますが、施設機能強化推進費という予算を計上いたしたところでございます。
○中西珠子君 これから高齢化社会に向かいまして、二〇一〇年ぐらいになると生産年齢人口、殊に二十歳から五十九歳ぐらいの人たちががたんと減って半分ぐらいになってしまうということが言われているわけでございますから、その中でやはり婦人がもっともっと経済活動、社会活動を続けていかなければならないニードがあるわけですね。しかし、女の人が働き続けられるという社会的な環境というものはまだまだ整っておりませんので、厚生省も労働省もこの点は大いに婦人の働く人たちのために考えていただきたいと思うわけ
でございます。殊に育児休業法というものはなるたけ早く実現していただきたいと思うわけでございますが、労働大臣はどのようにお考えですか。
○国務大臣(平井卓志君) 保育所の整備が十分かどうか、またいろいろ御議論ございましたけれども、おっしゃいますように、この育児休業の普及が必要であるという認識は我々も持っておりまして、ただ御案内のように、先ほど局長からも答弁申し上げましたが、今までの経過の中で、審議会の建議等もございまして、現段階ではこの育児休業制度の法制化は困難であるということでございますから、当面、行政側のやはり積極的な指導、援助、これによって一層の普及を図っていかなければならぬと思うわけであります。
 御指摘ございましたように、予算執行がすべてできるかどうかという問題もございますが、労働省といたしましては、御趣旨を踏まえまして育児休業奨励金等の大幅拡充等によってその普及に努めてまいりたいと、かように考えております。
○中西珠子君 均等法が施行になりましていろいろ明るい面もたくさん出てきたわけですが、均等法と同時に改正になりました労働基準法の女性に対する残業規制の緩和とか、深夜業の禁止の緩和とか、そういったもので相当均等法というのは残業がふえるんだとか、深夜業ができるように大っぴらになったんだというふうな受けとめ方をしている女の人が多いし、また女性ばかりでなく男性も多いと聞いているわけでございます。
 そんな中にあって、今度の労働基準法改正案の中に、殊に女性が大変困る、これは男性も困るんですけれども、女性が大変困る変形労働時間、殊に三カ月単位の労働時間制というのが導入されることになりますね。これは一日の最長労働時間の上限の規制もないし、一週間の最長労働時間の規制もない。また、連続労働日の規制もないということでございますので、労基法三十五条で週一日は休日を与えなくちゃいけないということが規定されておりまして大変いいんでございますけれども、二項に、四週間の中で四回休日を与えれば週一日与えなくてもいいということが規定されてもいるわけですね。
 そういたしますと、この三カ月単位の変形労働時間が、先ほども労働大臣は、三カ月の平均は原則として週四十時間になればいいという縛りがかかっているとおっしゃいました。三百人以下のところは週四十四時間ということになるのかとも思いますが、その縛りと、それから労使協定による縛りがあるからこれはもう大丈夫と。そして、むしろ労働時間短縮の方向に効果があるというふうなお話でございましたけれども、私はどうも、今まで子供を育てながら働いてきて、途中で病気で挫折して、家庭の主婦もやったり、またパートで働き始めて、そしてやっとフルタイムで働けるようになったという一人の女として、どうも三カ月単位の変形労働時間というのは女性がフルタイムで働けなくなるのではないかという気がするんです。
 というのは、幾ら三カ月単位の週平均で四十時間になればいい、もしくは四十四時間になればいいと言いましても、先ほども申し上げたように一日の上限がない、それから一週の上限がない、連続労働日の規制がないということで、繁忙時はとにかく一日十一時間でも十二時間でも、六日でも十日でも続けて働かせることもできるということになるわけですね。
 それが労使協定によって所定労働時間ということになりますと、残業手当も払わなくて済む。だから、繁忙時は長時間労働を残業手当を節約しながら労働者にさせることができるというふうな、こういうふうなことになって、そして暇なときに休暇をやったり、また週休二日制にしてみたり、また労働時間を少なくして、平均が週四十四時間もしくは週四十時間になればいい。
 これはもう残業しないのだから労働時間の短縮につながると、そういうことらしいんですけれども、どうも女の人はやっぱり一日の生活のリズムというものを考えて、殊に家庭責任のある人は、朝子供を保育所に預け、夕方五時になったら急いで保育所に子供を迎えに行って、そしてうちで御飯を食べさせて寝かせるということがあって、それからやっと洗濯をして、そうして自分自身の時間が果たして持てるかどうかというふうな働く婦人の生きざまなんですけれども、また、そういう繁忙時は所定労働時間が長くなってしまって、五時になったから託児所へ迎えに行ってもう帰っちゃうということはできなくなる。
 それから、せっかく均等法と一緒に改正されました労基法の六十六条の条項、妊産婦が残業や深夜業や休日労働をしないということを申し出ればさせてはならないというこの条項がやっぱり、一日八時間で五時になりましたから残業はしないで帰らしていただきますといって今まで帰っていた人が、所定労働時間が五時で終わるんじゃなくて八時ごろに終わるというふうなことに繁忙時はなってしまいますと、帰らしてもらった人は早引けということになって、そして結局のところ、そんな早引けが重なりますと首を切られるということにもつながりかねない。もちろん妊娠の状態、それから産後の状態の解雇は禁止されておりますけれども、実際問題として働き続けられなくなるという、こういう事態が起きてくるのではないか、そういう心配が大変あるわけでございます。
 暇になったときにたくさん休日をもらっても、また労働時間が短くなっても、残業手当というものがやはり入らなくなりますと、遊びにも行かれないだろうし、また勉強しようと思っていた人は授業料も払えなくなるだろうし、またもっと深刻なのは、生活費の中に繰り入れていた人は生活費が減ってしまうので家計に響くということにもなりますし、これは女性ばかりの問題でもなく、男性の問題でもある。収入減になるということ、それから疲労が重なるということ、そういった面で男性にとっても問題であると思うわけですが、そして共働きのときには本当に子供が犠牲になってしまうし、両親が疲労こんぱいしてしまう。家庭生活の崩壊にもつながりかねないと、こういうふうに私は心配するわけですけれども、これは杞憂でしょうか、婦人局長どうでしょうか。
○政府委員(佐藤ギン子君) 女性にとりましては、一日単位の労働時間というのは確かに重要であると考えていらっしゃる方が多いということは、御指摘のとおりでございます。今お話ございました変形労働時間、三カ月というような単位の変形労働時間が導入されたら実際にどうなるかという、言ってみればこれからどうなると思うのかと、こういう御質問だと思います。
 現在でも変形制は、もっと短い期間のものでございますけれども、あるわけでございますが、調査によりますと、変形制の適用を受けているものの数はそんなには多くないわけでございます。ただ、労働の実態、産業構造、就業構造の変化などに応じて今後どういうことになるかということになるわけでございますが、一般的に言いまして労働時間をそういうふうに、ある日は十二時間であったり十時間であったり、場合によってはゼロになったり四時間になったりするということは、例えば工場などの仕事としては余り考えられないことでございますし、多くの企業にとって、もし十時間を超えるような時間を設定いたしますと、一週で考えますと、もし十時間ずつ初めに使ってしまいますと、週の三日は休ませないと、あるいは時間外労働にしないと成り立たないということになるわけでございまして、こういう非常に変則的な仕事のさせ方をして、なおかつ企業にとってはその方が便利であるというものはそんなにたくさんはないのではないだろうか。
 理論上、もちろん先生の御指摘のようなことが全く起こらないであろうということは難しいところでございますが、私どもとしては、そういうことになる場合でも、労使協定等によりまして十分に話し合いが行われるということを期待しているわけでございますし、それからまた女子労働者につきましては、職業生活と家庭生活の調和を図ることができるようにするということの大事なことは先生おっしゃるとおりでございますので、変形労働時間制が制度の趣旨に反して乱用されないよ
うに、その点につきましては事業場の指導などもできるように関係局とは十分に連絡をとってまいりたいと考えております。
○中西珠子君 三カ月単位の変形労働時間をとるところは余りないでしょうというお話でしたけれども、デパートとかスーパーとかそれから食品産業、おにぎりをつくってスーパーやデパートに出すところとか、それから大きな仕出し屋さんがありますね、そういうふうなところでは繁忙時に一月に三十二時間とか四十時間の残業手当を払わなくちゃならなくて、これはとても大変だからこういう三カ月単位の変形労働時間を導入してほしいという要望がある。
 一方、働く者にも、殊に若い人にはこういうやり方の方が遊ぶ時間ができていいのではないかという労働省側の御説明もかつてあったわけでございますが、私はやはりそのような残業手当がなくなると収入が減るという問題につきましては、これは日本の基本給が少なくて残業手当を当てにして生活しなきゃいけないという、この賃金体系そのものを変えていかなくちゃならないと考えるわけでございます。これが一点でございます。
 労使協定の問題につきましては、組合の組織率が今全体で二八%ぐらいですし、それから民間だけだと二二%ぐらいだということも労働省の方の調査でわかっていると思うんでございますけれども、たとえ組合があってもなかなか力関係で使用者側に都合のよい労使協定ができるという心配があるし、また、これが届け出制でなくてとにかく労使協定ができればいいという一つの要件になっている。それで就業規則を変更するときに、どうしても変更しなくちゃいけないんだから、変更するときにそれが届け出になるからそのときにチェックができるというお話ですけれども、監督官の数の少なさ、そして仕事の忙しさということを私は同居しているわけで、なかなかチェックができないんじゃないかという点が一つ。
 それから、組合のないところでは労使協定を結ぶといいましても、だれが民主的に労働者の代表として選ばれてくるかという問題が非常にあるわけですね。職場のボスがにらみをきかしていて、使用者側の意を体してどんどん協定をつくってしまうというケースも随分ある。それで労働基準法の改正が来年四月一日ということを既に予測いたしまして、会社内の体制を変形労働時間、殊に三カ月単位の変形労働時間の体制にするべく着々と準備しているところもあると聞いております。そこで働いている人の話もたくさん聞きました。
 ですから、これはやっぱり殊に働く婦人がフルタイムでは働けなくなる。また、育児時間というものも有名無実になったり、それからせっかく労働基準法六十六条で入れてくださいました妊産婦の残業免除の特典、これも大変働く婦人の人たちが喜んでいる。全民労協の調査にも大変いいことだ、喜んでいるというふうに書いてございますね。そしてもちろん産前産後の休暇を延ばしてくださった、これは婦人が喜んでいるんです。もちろん産前産後の休暇は大丈夫ですけれども、妊産婦の残業免除の特典というふうな、そういったものが有名無実になるようなこういう制度は導入しないでいただきたい。どうしても導入しなきゃならないとすれば必ず一日と一週間の労働時間の上限をつける、また連続労働日の規制をするというふうなことを考えていただきたいと思うんです。
 婦人局長も子供を育てながら働いていらして、今婦人局長という高いポスト、局長のポストは女性ではたった一人なんですね。そういう高いポストにおつきになったというこれまでの御努力、また家庭責任も果たしながらやっていらした御苦労というものもよくわかります。婦人労働者のことを考えてくださるのは婦人局長しかいないんですから、その点でどうぞよろしくお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○委員長(関口恵造君) 簡潔に答えてください、時間が……。
○政府委員(佐藤ギン子君) 先生の御趣旨を体して精いっぱい努力をいたします。
○内藤功君 いわゆるアスベストの健康への有害性がかねて指摘されておりましたが、最近ベビーパウダーに含まれていたということが判明したり、この夏休みに各地の学校の天井などに吹きつけられたアスベストの除去作業を行うなど、社会的にクローズアップされており、対応策は当面の急務だと思います。
 そこで環境庁に伺いますが、アスベストは環境蓄積性の高い大気汚染物質と見られるわけですが、その防止策や規制策が我が国の場合外国に比べて立ちおくれているのではないかという指摘もあるんですが、いかがでございましょうか。
○説明員(浜田康敬君) 外国との比較はどうかというふうなことでございますが、まず背景について御説明いたしますと、私ども環境庁といたしましては、このアスベスト問題というものは大変重大な問題だということで取り組んでおりまして、その一環といたしまして昭和六十年度におきまして全国的なモニタリング調査というものを実施いたしております。そういうことで、一般環境中のアスベスト濃度の測定を全国五十八地点におきまして行ったところでございますが、その結果、全般的には環境における危険性は少ないというふうに判断をしておるところでございます。
 しかしながら、アスベスト製品製造工場など、発生源周辺におきましては比較的高い値も、相対的にということでございますが、絶対値としてはそう直ちに問題になるレベルではないものの、比較的高い値もそういった場所で散見されたということでございまして、その結果、本年三月には関係省庁並びに自治体に対しましてアスベストの環境大気中への排出の抑制等について要請をいたしますとともに、本年度におきましてはさらにアスベスト製品製造工場等の発生源周辺におきますより詳細な調査を実施いたしたいというふうに思っておるところでございます。
 今後はこれらの調査結果に基づきまして、さらに必要な対策というものについて検討を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
○内藤功君 次に、文部省に伺いたいんですが、各地の学校でのアスベスト材使用状況についての調査、さらに除去作業、これらは現在どのように行われておるか。また、今後の計画、見通しはどうかという点を伺いたいと思います。
○説明員(遠山耕平君) お答え申し上げます。
 公立学校における吹きつけ工事によるアスベストの撤去状況につきましては、本年五月十一日に各都道府県、それから市町村に各学校全部の悉皆調査を依頼したところでございます。その結果が十月末には全国的な集計がまとまる予定でございます。
 現在における対応といたしましては、アスベストで老朽化の著しいものにつきましては早急に撤去、改修をすることが望ましいということで、各都道府県を通じて市町村に指導をしているところでございます。現在まだ各都道府県の方から除去作業の計画等は出ておりませんけれども、この指導によって撤去が進むものと、このように考えております。
 それから、この撤去事業のうち大規模改修事業というのが補助制度でございますので、この大規模改修事業に該当するものについては、この補助制度を活用して優先的に採択をしてまいりたい、このように考えております。
○内藤功君 それでは、以下労働省にお伺いをいたします。
 我が国のアスベストの年間消費量は八五年現在で二十六万トン、アメリカをしのいでソ連に次いで世界二位と承知をしております。消費量の七割は建築建材と言われ、床、天井、屋根から建築材と広く使用されております。建築労働者は施工時に大量のアスベスト粉じんの影響を受けております。アスベスト粉じんは、非常に小さくて発がん性が高いことから、ミクロの恐怖鉱物と言われており、国際的にも論議されておるところであります。
 昨年ILOの総会で採択されたアスベスト関係の条約、勧告の内容はどんなものになっておる
か。
○政府委員(岡部晃三君) 昨年ILO総会におきまして、アスベストの使用における安全に関する条約、百六十二号条約と、それからアスベストの使用における安全に関する勧告、第百七十二号勧告の二つが採択されたわけでございます。
 この条約の中身は、職業上のアスベストへの暴露に起因する健康に対する危険の防止、労働者を保護するために国内法令により措置を定めて、十分かつ適当な監督制度によって保護すること、それから権限ある機関が労働者のアスベストへの暴露の限界等につきまして定めて、それを確保するために適当な措置をとること、それからもろいアスベスト絶縁材を含有する構造物の取り壊し等につきましては一定の資格を有する者のみが行うものであること等について規定したものでございます。
 なお、勧告はこれを補足する細目的な事項でございます。
○内藤功君 日本としては速やかに条約を批准すべきだと思いますが、労働省のお立場はいかがですか。
○政府委員(平賀俊行君) ただいま御説明いたしましたようにこの条約は百六十二号条約、ILOが今まで採択した条約百六十二の一番新しいものでございます。しかし、アスベストの危害の防止につきましてこの条約がILOで審議されましたのは、やはり国際的にその問題についての関心が強まっておりまして、それを各国で十分討議してその内容を検討したものでございます。そういう意味でこの条約は非常に重要な意義を持っておると思います。
 ただ、昨年採択されたばかりの一番新しい条約でございます。したがって、かなり具体的な内容が入っておりますし、私どもの現在施行しております関係法令の内容等と十分にすり合わせなどをいたしたいと存じております。
○内藤功君 次に、六十一年、去年の九月六日付で労働基準局の安全衛生部長から「建築物の解体又は改修の工事における労働者の石綿粉じんへのばく露防止等について」という通達が出されておりますが、私は、この通達は建築物の解体、改修工事に限定しておりますが、もっと建築材料全般についての予防措置というものをとるべきじゃないかというふうに思うんです。
 もう一点は、この通達も大事ですが、同時に労働省として建設現場の粉じんの被曝状況というものを直接把握をする、こういうような姿勢で臨んでいただきたいというふうに思うわけですが、いかがですか。
○政府委員(平賀俊行君) 昨年九月の通達は、条約の審議状況等にもかんがみ、非常にアスベストについての問題の多い建設工事、特にアスベストを使用した建物等を解体する現場でやはり粉じんが飛散するということがございますので、そういう観点から特に通達を出したわけでございます。
 アスベストの危害の防止につきましては、特定化学物質等障害予防規則によりまして、労働者が単に建設現場等に限らずアスベストの粉じんに暴露されることのおそれのある業務全般について規制をしておりますし、またそのアスベストの濃度等についても測定をし、適切な保護対策を講じるように万全を期しております。また、この問題については私ども非常に国際的な関係ばかりでなくて国内的にも重要なまた問題の多い業種として、監督指導に万全を期したいと考えております。
○内藤功君 私もいろいろと調べてみましたが、アスベスト製品の切断現場では、作業現場の周囲が真っ白になるほどアスベスト粉じんが飛散して、作業に従事する建築労働者がこれを吸っているという驚くべき実態ですね。
 何人かの話を聞いてみましたが、これは東京の調布市の大工さんの話なんですが、三階建て鉄骨のマンションの一室を改築した。天井板をはがすと、鉄骨部分にアスベスト吹きつけてあったのが、工事を進めるにつれてボトボト落ちてきて一抱えにもなった。こういうことを私聞いたことがあります。
 それから、この人は労災認定を受けた人ですが、世田谷区に住んでいると十歳の配管工の人ですが、戦前はボイラーやスチーム管などの保温剤としてアスベスト製品を使った作業を手がけてきた。戦後はビルの解体工事をやってきた。すごいほこりが出る。肺に突き刺さる。刺さった物は体外に出ない。せき込む苦しさは本当に言いあらわせないということであります。
 もう一人、五十五歳のこの人は解体工の方ですが、やっぱり労災認定を受けました。この人は努力肺活量が一・五一リットル、一秒わずか〇・六五リットル。夜中の十二時と二時半と四時半、三回ぜんそくの発作に襲われて、酸素吸入器で一時しのぎをする。こういう方は口々にアスベストに対する規制というものを訴えておられたです。
 それで、伺いたいのは、アスベストによる労災認定患者数というものをちょっとお示しいただきたい。
○政府委員(平賀俊行君) アスベストによる職業病といいますか、把握しているものとして、職業がんによるものと、それから中皮腫という病気のものについて把握をしております。それで、アスベストにさらされる業務についておってその業務に起因するがんといいますか、それにかかって労災認定された方の数は五十一年から六十年まで十年間に三十五人。それから中皮腫は九人でございます。
○内藤功君 先ほど引用しました二人の方は、たまたま東京土建労働組合など組合の方のいろいろな適切唐助言がありまして、労災の申請をして認定を受けることができたわけですが、現にまだ申請中で決定がない件についてもかなりあるように私は理解しております。労働省が、労働者保護の立場から、積極的にこれらの案件についても臨むことをこの際強く要望しておきたいと思うんです。
 労働科学研究所の専門家である海老原勇先生は、アスベストに許容量はない、微量の吸引でも危険性があるということを指摘しております。アスベスト粉じん吸引後十五年から三十年という長い年月を経て、肺がんあるいは悪性の中皮腫が発病しており、まさに私は患者の予備軍が多数存在しているというふうに表現をしても言い過ぎではないというふうに思うわけでございます。
 私は、以上主として建設産業におけるアスベストによる健康障害のごく一端について披瀝をして御質問したわけでありますが、なお私は今特別の健康診断の問題をどう考えるべきか、それから防じんマスクなどの衛生対策の強化をどのように有効にやるかというふうな点についても提起をすることが必要だと思っておるんですが、これは別の機会に御質問を申し上げたいと思います。
 ともあれ、この対策は各省庁縦割り行政のもとでの個々の対応だけでは二十一世紀に向けて重大な禍根を残すというふうに思います。このほか、労働省の所管ではないが、政府全体としては、アスベスト含有量五%以下の製品を含めてすべてのアスベスト含有製品に表示を義務づける、徹底させる。それからアスベスト含有製品の代替品の研究を国と企業とで行って、その開発を早急に行うこと。それからアスベストのうち極めて発がん性の高いクロシドライトについては直ちに全面使用禁止するというような重要な課題があると思うんであります。
 そこで最後に、労働大臣に伺いたいんですが、労働者の健康、生命を保護するという労働省の任務、立場から、積極的にこのアスベスト問題に取り組むとさっき局長からもお話がありましたが、大臣としてのお立場で、国民の側からもよく平井大臣はやったと喜ばれるような前向きの積極的、意欲的な答弁を求めたいと思います。
○国務大臣(平井卓志君) いろいろ大変重要な御示唆もいただいておりますが、このアスベストの有害性につきましてはもう十分に認識をいたしておりまして、昭和五十年からがんに関した規制を行ってきたところでございます。
 今後ともまさしくこの労働行政の重点として積極的に取り組んでまいる考えであります。
○内藤功君 次に、労働省の昭和三十六年二月十三日、基発一一六号、「中枢神経及び循環器系疾患(脳卒中、急性心臓死等)の業務上外認定基準」、こういう長い名前の通達でございますが、この見直しにつきまして御質問したいと思うんです。
 私は、国家公務員の問題とも関連させまして、昭和六十年四月二十三日、十二月十七日、昭和六十一年四月十七日、十月二十八日、この四回にわたりまして本院内閣委員会で質疑を行ってきたところでございます。今日、官民を通じまして非常に長時間の労働が一部のかなりな職場で見られる。それから、夜の残業が限界なしになされるところが見られる。一方、仕事は機械化をする、それから複雑化してくるという中で、この勤労者の中にストレスが高じて、文字どおり働き盛りの労働者が脳血管障害、心臓病によりまして急死するという深刻な事態が続出しております。
 問題はこれが業務に起因するものかどうか、つまり業務上外の認定というのがこの事故発生後の大きなやはり問題となっておるわけです。もちろん、その根源を突かなくちゃなりません。労働基準法の改悪などはもってのほかでありますが、その根源は突かなきゃなりませんが、一たん事故が起きた場合のこの認定が問題であります。
 労働省が昭和三十六年二月十三日に出されました通達、認定基準はまあいわゆるアクシデント主義、災害主義という立場に立っております。既に二十六年たっておりまして、この見直しが論議されていますが、当時はともかく今のこの複雑な状況、職場の状況、労働者に加わる強大なストレスの影響という状況に合わなくなってきているということを私は実例の中で痛感をするのでございます。
 特に今の認定基準は、発症直前に突然のアクシデント、突然の異常な過激な事故というものを要求しているのでありますが、そういうものはないんだけれども、長年の間の残業とか、それから長時間労働、心身の疲労が蓄積する。蓄積して、それが基礎疾病、その本人の持っている基礎疾病素因と共働原因になって発症して死亡をされるというようなケースについては、この昭和三十六年の通達ではとてもこれを適用して業務上の認定ができない、業務上という認定ができないような非常に狭い要件になっていると思うし、多くの識者から言われておるところであります。
 しかし、それじゃその業務上認定ができないというので、それで放置するということでは余りにも過酷である、被災者の実態に合わない、不合理だということで、昭和五十年初めごろから、これは各地の裁判所の判例、あるいは裁判所までいきませんが、いわゆる裁定例の傾向といたしましては、私の理解するところ、昭和三十六年基発一一六号通達を批判し、またはそれに反対の考え方に立って認定するものが続出して大勢となってきたということであります。この際、この判例の大勢と通達が著しく乖離しないように、認定基準の見直しは喫緊の問題だと私は思うんです。
 大分長く申し上げて恐縮ですが、そこで、現在この認定基準の見直し作業というのはどういうふうに進んでいるのかという現状、これを御報告願いたいと思います。
○政府委員(平賀俊行君) 御質問のポイントは、脳血管障害あるいは心臓疾患についての業務上外の認定の問題点について専門家の方々に検討をお願いしている、そのことをおっしゃっているのではないかと思いますが、その専門家につきましては主としてお医者さん、医学の立場の方々をお願いして、ここ数年来検討をし、それもその二つの疾患について部会に分けて、お忙しい方々ですのでなかなか一遍にお集りになれない時間もありますけれども、それによって今検討を続けております。
 そういう段階でございますが、確かに先生御指摘のように、この形の病気の問題が労災の具体的なケースとして挙がってきているということは事実です。したがって、そういう事態に対して専門の立場から御検討をお願いする。ただ、これまた既に御案内のように、これらの分域については非常に業務上と業務外の原因が錯綜しているものですから、なかなか難しいということも事実でございます。したがって、現在その専門家の方々の医学上の御検討の結果を待っております。
○内藤功君 実は労働省は、昭和六十一年四月十七日の私の質問に対する答弁では、おおむね一年ぐらいで結論を得る見通しであると。それから、昨年十月二十八日の答弁では、六十一年度末までに結論を得るように事務当局として努力したいという答弁があるんですね。そこで私はその見通しをこの際伺っておきたいんです。
○政府委員(平賀俊行君) そういう難しい問題でございますので、御答弁申し上げたときよりは少しその御検討が延びておりますが、できるだけ早い機会に結果を得られるように私どもとしてもまたいろいろとお願いしてまいりたいと思います。
○内藤功君 これはもう労働省のためにも早くやることを私は言っているわけです。労働省がそういう古い基準を持っていても名存実亡というような状況なんで、昭和三十六年通達の認定基準に批判的あるいは反対の裁判例、裁定例などがどんどんふえるばかりなんです。
 ここにも私も持って来ておりますが、今調べたところ、少なくとも九十六件ぐらい、昨年末であります。これはもう今の基準に反対の立場の裁判例です。ことしに入ってからでも、例えば二月二十六日の津地裁の判決というのがありますが、四日市の労働基準監督署長の処分を取り消す判決を言い渡したのですが、これは四十九歳のトラックの運転手さんで、六月五日から三日間、昭和五十四年ですが、九州の天草までドラム缶五十本を運送する作業に出発した。二日目の十二時五分ごろ気分が悪くなって三回嘔吐して、そしてその日の午後七時二十五分に高血圧性脳内出血で死亡されたのであります。
 判決の認定は、十分から三十分の休憩四回、仮眠二回、二十二時間余り一千キロ走った。そのうち十一時間三十五分も運転している。この人は昭和五十一年以降本態性高血圧症であった。要治療であった。しかし、この長距離の貨物運送業務は、深夜業を伴う長時間不規則労働が常態の、厳しい肉体的、精神的緊張と疲労をもたらす激務だ。その業務の遂行が高血圧症を増悪させる要素を持つんだ。業務がその死亡について、発症について相対的に有力な原因であれば、それは業務上の障害と見るべきだ。こういう立場に立っていますね。
 それからもう一つ、四月二十三日には長野地裁で、これは同じくトラックの運搬作業員、当時四十二歳ですね。クレーンつき六・五トントラックの荷台から四十七・五キログラムのブロック百二十四個を三十分間に六十個の割合で手でおろす仕事をやっていた作業中倒れて、十分後に蜘蛛膜下出血に基づく急性心不全で亡くなった。
 判決のポイントは、ブロックの手おろし作業により一過性の血圧高進が生じ、これによってかねて形成されていた脳動脈瘤が破綻し発症に至った。業務の内容、勤務状態、健康状態から想定される幾つかの原因のうち本件現場の業務が相対的に有力な原因の一つだ。こういうことで判断をしておりますね。
 いずれもこの基準局の通達の線ではない認定をしております。そして被告の労働基準監督署長の主張が退けられているという実態、これがどんどん出てきておりますね。そういうことであるがゆえに、早くこういう判例の大勢に合った通達というものに変えていくことが労働行政のために必要であろうと思います。出さなきゃこういうものがどんどんふえていくだけの話なんです。
 これらの二つの判決、これに対して控訴をしたんですか。
○政府委員(平賀俊行君) いずれのケースにつきましても、亡くなられた方々は大変お気の毒だと存じております。
 御質問の前のケース、四日市のケースにつきましては六十二年の三月十一日に、それから後の長野のケースにつきましては六十二年の五月九日に控訴の手続を済ましております。
○内藤功君 私は控訴しないのが正しいというふ
うに思うわけなんです。控訴するということはますますこの判例の大勢に逆行するものだと思いますし、それから何よりも国はこういう事件で控訴をすれば余計にそのための人員、それから費用を使うことになって大変なむだになると私は思うんですね。また一方、被災者遺族の方にとってみますと、裁判を長引かせられて精神上、財産上の苦痛がさらに上乗せされていくことは大きいと思いますよ。私はこれは取り下げるべきだというふうに思うんです。
 現に去年こういうことがありました。二月二十八日に大阪地裁が、同じく夜間警備員の方が脳出血で死亡された、それを業務上だと認定した判決が出ました。本件と同じように労働基準監督署長の処分が否定されたわけでございます。しかし、当時の労働省はこれについて控訴しない方針をお出しになって確定した。私は非常にこれは正しい態度だ、こういう前例があるわけです。
 今後のこともありますので、この種の事案については一審の判決を尊重してこれに従うという態度をとることを私はこの機会に強く要望をしておきたいと思うんであります。
○政府委員(平賀俊行君) 先ほどから申し上げておりますように、いずれにしても蜘蛛膜下出血あるいは高血圧などの事例につきましては、業務上の原因あるいはその個人の体質その他業務外の原因が非常に複雑に絡んでいるケース、あるいはその辺のところの判断が難しいケースでございます。私どもとしましては、実際に監督署長が認定をします段階で十分医師の方々とも相談をしてその辺の事実を確認し、そして認定をしているものでございます。
 そのケースが裁判に上がります場合が確かにございますし、その場合にやはり裁判所としてもそれなりの判断をされると思います。私どもとしては、そのケースごとに私どもの立場とそれからその判決理由などを判断して、ケース・バイ・ケースで判断をしております。その場合に私どもの立場が適切であると思う場合には、私どもとしては控訴するのがやはり役所の立場として当然であると考えております。
○内藤功君 そのケース、ケースによって控訴する場合もあり、しない場合もあるという答弁ですが、私の意見は繰り返しませんが、さきのことをよく要望として肝に銘じておいていただきたいと思います。
 そこで次に、円高不況や造船不況を口実として、一部の大企業、特に造船、鉄鋼などの大企業がそこで働く労働者の人格の尊厳を傷つけるような方法をとってまで大人数の大量の退職を強行実施して、人権の侵害問題が起きている。こういう事例を私は取り上げ、御見解を伺いたいと思うわけであります。
 この問題は一部大企業の中で行われましたが、今ここで放置をいたしますと、また今後電機とか自動車とかこういう産業、大企業にも拡大していくおそれがあると私は見ておるんです。政府・労働省がこれに抜本的に腹を据えてメスを入れるかどうかということは、こういう企業に働く労働者にとって極めて重大だし、また非常な関心事であるということをまず申し上げたいんです。
 例えば、その造船の中で代表的な石川島播磨重工ですね。世界に冠たる大企業であります。私どもは、その技術、そこで働く人の能力、その成果というものについていささかもこれを否定するものじゃない。それなるがゆえにしっかりした労働法、憲法に基づく労働管理をやってもらいたいという立場で私は強く言うわけであります。
 昨年十一月から十二月の十五日にかけて、二万四千人の全従業員のうち何と七千人、三人に一人の割合で退職をわずか四十五日間で強行したわけですね。十一月いっぱいは五十五歳以上の方にねらいを定めて退職させていく。あと十二月十五日までは五十歳以上の方、その他会社がこの人はやめさせようとねらいをつけた方に集中した。次から次へと退職に追い込まれていったわけであります。この間、土曜、日曜、祝祭日を除きますと計算すると三十二日間ありますよ。その三十二日間に七千人ですから、一時間平均で二十七人から二十八人の割合で退職させられたわけであります。二・二分に一人の割合で退職させられていくわけであります。
 その手段、方法、態様につきましては、希望退職募集、あるいは建前はあくまで本人の意思だというんです。しかしこれは表向きであって、実態を私は当事者からよく聞きました。調べました。また週刊誌、雑誌、新聞にも随分載りましたので労働省は当然御存じと思いますが、強要、脅迫に当たるものが少なくないということを私ははっきり申し上げたい。
 強要とは、人の生命、身体、自由、名誉、財産に害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行により人に義務なきことを行わせるのが強要であります。その前段の、生命、身体、自由、名誉、財産に害を加える旨を告知するだけでは脅迫であります。告知は、口でこういう害を与えるぞと言うだけじゃなくて、動作による通告、動作で示す、それから加害を暗示する、これも含まれるというのが刑法の通説であります。
 希望退職についてまず説明会を済ませますと、個別に退職を勧める。みんな石川島という造船企業に強い愛着て入った人が多いんです。子飼いの人が多いんですね。一生懸命働いて世界のIHIをつくった年代の人であります、この人たちは。五十五歳以上あるいは五十以上という人は。やめるかと言われればやめないと言うのが普通であります。そのやめる意思の人が簡単に七千人も出るわけがありません。二・二分に一人簡単に出てくるわけがないんです。ここは圧力が加わったと見るしかないんです。やめる意思がないとわかると、一人四、五回、一番多いのは十回ぐらい呼び出される。それからひどい人は十八回から二十回呼び出される。その場合に業務命令で呼び出される。それ自体が私は強要に当たると思いますが、一時間以上にもわたって退職を強要する。
 ここに資料がありますが、これ全部言う時間ありませんが、もう全部聞き取り書きがここにあります。会社に残ると言うが、転勤しても引き取り手がない、こういうふうに言われたり、あんたは年齢からしてコンピューター化に対応できないからやめたらどうだと言われたり、職安に行って仕事を探してこいと、職務命令だと言われたり、あんたは七千人の予定の中に入っているんですよと言われたり、何としてもやめないのか、もう仕事はないぞとおどかされるだけでなくて実際に仕事を全く与えない。四、五カ月も仕事を与えられない。あるいは所定の位置にいろと言うだけで仕事を与えられない。ひどいのは、上司の方がその御本人を前にして御本人の奥さんに電話をして、あなたの御主人はだめな人だ、やめた方がいいとまで言われて、ここまで言われるんではもはやこれまでと退職届に判こを押した事例まであります。言えばたくさんあります。まだまだいっぱいありますが、そういうことが行われている。
 以上のことは全部私の調査、それから新聞、週刊誌に根拠のあることばかりですから、いつでもごらんに入れます。自殺者もその中で出ております。
 東京都の西多摩に瑞穂工場がありますが、そこで勤めておる、この方はお名前出せば小川さんという方ですが、今石川島播磨重工を相手取っての民事訴訟まで起こしておりますが、この方は、つるし上げ、監禁、暴力行為まで受けております。昨年十二月十九日の昼休みの四十五分間に、約百名の人が小川氏を取り囲んで早くやめろ、早くやめると言えばすっきりするぞ、会社に来ても仕事はないし、嫌な思いをするだけだぞと。業務終了後にも五十人から六十人の人が取り囲んでやめろやめろ、それからやめると言うまでやるぞと。長時間の脅迫、暴力まで振るっている。
 以上述べたことは、私は希望退職募集というのであれば本人の意思が確認されればいいんですから、一回呼び出してあなたはどういう意思ですかと、そこでじっくり穏やかに聞けば相手の意思はわかることであります。わかることなんですね。それを一回、二回というのならともかく、数回、
さらに十回、十数回から二十回も呼び出すというのは、これは強要以外の何物でもないんじゃないでしょうか。私はこれはまず労働法というより常識の問題だと思うんですよ。いかがですか。こういうような退職強要のやり方は許されますか。私は許されないと思うんですがね。行き過ぎだと思うんですよ。いかがでございますか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 今先生いろいろお挙げになった事例その他につきましては、実際にそういうことが行われたとするならばかなり強硬な退職勧奨だと思います。しかし、一般に人員合理化や解雇の問題につきましては、具体的な事情に応じてまず労使の当事者が話し合ってそこにゆだねるというのが最も適当であると我々思っておりますし、一つの今の事例等ございますけれども、我が国の場合各産業におきましてはなるべく離職者として出さないように各企業においてかなりの努力が払われている。余剰労働力としてのいろいろな対応は行われているというふうに思っておりますし、それを政府としても期待している次第でございます。
○内藤功君 今局長の答弁は非常に何か遠慮がちでありますが、そのような事実がもしあるとすればかなり強硬なやり方だと言っております。このような事実があるんですね。事実があれば、これはかなり大きな問題ですよ。一部ではやっぱり強要罪、脅迫罪というものに触れるという、そういう疑いのある行為もやっております。
 今、局長は話し合うのが当然だと言った。話し合いじゃないんです、やめると言うんですから、十数回も呼び出して、やめろやめろと言うんです。これは話し合いじゃないですね。これはやっぱり脅迫ですよね。話し合いというものはそういうものじゃない。私はやめたくありません、そうですかと、それじゃ引き続き働いてください、それが話し合いというものですね。ところがこういうことをやられている。一体どこへ行けばいいんですか、こういう場合は。労働者はどこへ行けばいい。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 それは一方的にそういうふうになされたかどうかにつきましては、会社の事情その他どうしても生産を縮小せざるを得ないというような事情の説明その他もあったでございましょうし、また先ほど先生おっしゃいましたように、そういう事情であっても個々の労働者にとってはすぐにやめるということが出てくるということではないと思いますが、その辺の話し合いが十分行われるということが必要だというふうに思います。
 その問題が実際にどういうことに当たるのかどうかということでございますが、解雇に当たるとするならば、解雇予告とか解雇手当の問題もございますでしょうし、そういう面でのいろいろな、労働基準監督署とかいろんなところがあるかと思いますし、また一方、先生がおっしゃるように脅迫とかそういう問題であればやっぱりこれは裁判の問題ではないかというふうに思います。
○内藤功君 私は、労働省がこういう七千人という規模の事態に対して、本省としてやはりきっちりした行政指導をやるべきだというふうに思いますね。
 東京都は、労働経済局の労政部の労働組合課長が、本年二月五日、石川島播磨重工に対しまして次のように言っています。「私達の行政目的は、都内の企業の労使関係の近代化の確立と、労働者の労働条件の向上を目指しているものである。当局にこのような苦情が聞こえてくることは好ましいことではない、今後このようなことのないよう、十分に留意して欲しい」との要望を会社側を呼びまして、会社側勤労部長らに対して申し入れております。ここに私、文書を持っています。これは行政として筋を通したと思うんですね。これに対して石川島播磨重工側は、「私達のことで御迷惑をおかけして申し訳ない」という一応の釈明をしておるんです。ここに東京都の文書も私持っております。
 私は東京都でさえこれやっているんですから、政府・労働省として当然新聞、雑誌等にも事実は報道され、私が当委員会で指摘した事実について、これは今後の大きな問題ですから、事実の調査を行って、これに対して必要な行政指導その他の措置を当然すべきだと私は思うんですよ。大臣これいかがですか。
○国務大臣(平井卓志君) いろいろお述べになりましたが、この具体的な事例については私十分に承知しておりませんけれども、退職の熱心な勧奨であったのか、行き過ぎた強要であったのかというふうなことでございましょうが、一般的に申し上げて、そういう部面において企業に行き過ぎの点がございましたら、これは都道府県等を通じてさらに指導してまいりたいと、こう考えております。
○内藤功君 都道府県だけの責任に私はしてはいかぬ、やっぱり政府・労働省がもっと厳しい姿勢で臨む必要があると痛感をいたします。
 川崎重工業ですね、ここでも本年三月十六日から退職勧奨が開始されましたが、これも調べてみましたが、勧奨とは名ばかりで実態は退職強要が行われるというケースが少なくない状況であります。特に見せしめが行われている。四月の三日に退職を拒否した三名の従業員に対して、あんたらはもう仕事がないんだ、ここに書いた白ペンキの枠があんたらの職場だ、座ったらいかぬ、枠の外に出たら職場放棄とみなすと通告をして、工場建物外の白ペンキの枠、白ペンキの枠と申しますのは資材置き場を示す標示であります、その中に三人を立たせたんですね。この事実は朝日新聞によって報道されました。これは恐らく労働省は調査機関がありますから全部ファイルとっておられると思うんです。
 そうして、会社は社会的反響が大きいのに驚いてこれを中止いたしました。しかし、三名の方のうち二名は、こういうことが大きく響いたのでありましょう、退職をしてしまわれた。私はもうこれ自体が態度による、また暗示による強要、脅迫そのものだと言っても過言じゃないと思うんです。そのほか退職拒否してつるはしによって穴掘りをさせられた人が三人、うち二名は退職してしまう。屋外の通路に立たされた者が七名、そのうち五名は退職する。地下のエレベーターの前に座らされた人が一人、この人は身体障害のある方で、この人は退職してしまう。それから退職を拒否した人から七名を選んで第三ドック、第四ドックの清掃をやらせる。それに耐えられずにやめる人が出るとさらにまた補充するという形で九名が退職。そのほか、仕事を取り上げられる者がこれはもう勘定もできないぐらい多い、こういうやり方がこの川崎重工業では行われておる。現に最近行われておる。私はこういうものを厳しくやはりやめさせていかなきゃならぬと思います。
 ところで、雇用保険法に基づいて雇用調整助成金という制度があるが、この目的、趣旨は何でありますか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 これはもう先生既に御存じとは思いますが、雇用調整助成金制度は、景気の変動、産業構造の変化その他経済上の理由によりまして事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、その雇用する労働者について休業、教育訓練、または出向を行うことによりまして当該者の離職を防止した場合に、その手当等につきまして一部を補助、助成する、そして失業の予防その他の雇用の安定を図っていくことを目的とするものでございます。
○内藤功君 失業の予防、失業の発生を食いとめる目的のためにこれは支出され、使うお金であります。そういうことで受給しながら、仮にも七千人に上る大量の労働者を今私が申したような強引なやり方で余儀なく退職をさせる。石川島播磨といえば世界的に有名なビッグカンパニー、内部留保も多い。このままでは倒産してしまうといういわゆる町中の小零細工場とはわけが違うんであります。それがこんな大量の失業者を東京に兵庫県に全国につくり出す。そうして、この雇用調整助成金、失業を予防するというお金を受けながら失業者七千人をつくる。私はどう考えても矛盾だと思うんです。
 私は、そういう支給については今後厳正にして、雇用調整助成金の本来の目的に反するような受給企業に対しては、支給の停止を含むいろんな反省を促す方法を講ずるべきだというふうに思わざるを得ないんですが、いかがですか。
○政府委員(白井晋太郎君) お答えいたします。
 雇用調整助成金は今申しましたような趣旨、目的で支払われているわけでございますが、先生おっしゃるようにそういう企業から七千人の離職者が出てくるということでございますけれども、まあそれは企業の縮小の度合いによるかと思いますが、一方考え方によっては、雇用調整助成金がなければさらに離職者がふえているということも考えられるわけでございまして、それでもなお余剰労働力を企業内には置けないというような状況が現在のそういう希望退職につながったというふうに考えなければならないのではないかというふうに考えております。
○内藤功君 局長ね、雇用調整助成金がなければもっと失業者が七千人よりふえたかもしれないという、その証拠を示してもらいたい。根拠がありますか。
○政府委員(白井晋太郎君) 証拠とおっしゃいますとあれですが、雇用調整助成金で休業その他をやってそこにまだ残っているということであれば、その分が余剰労働力として残っている分だというふうに思います。
○内藤功君 何だか語尾がはっきり聞き取れないですね。いいかげんなことを言っちゃいけませんよ。証拠と私は言ったけれども、あなたのは想像でしょう、それは、一つの。雇用調整助成金という制度の本来の趣旨、これが運用されているかどうかということを十分考えるのが労働省の役目ですよね。それでそういう企業は、一方において失業予防の名目の調整金をもらいながら七千人の失業者を発出している。ここが問題なんですね。私はそこのところをついているんです。それが雇用調整金が行っていなけりゃもっと多く出たろうと。しかもこれは企業に聞いたんですか。石川島にそんなことを聞いたんですか。そうじゃないでしょう。あなたの推測ですよ。推測で物を言っちゃいけないと私は思いますよ。
 もう一つは、法律の点で問題なのは高齢者雇用安定法ですよ、いわゆる六十歳定年法。去年の六十一年二月二十五日に衆議院の社労委で趣旨説明がありました。三月二十六日に衆議院で可決をされました。四月十一日、本院で修正可決をされたものであります。そうして十月一日から施行されたものであります。
 ところが石川島播磨は、六十歳定年制の努力義務が法律化され、やがて施行されることは十分知り得る大企業としての立場にありながら、去年の四月に五十八歳に定年を切り下げたんですね。そうして、同法施行後十一月から五十五歳以上の高齢者の方を無条件に対象とした早期勇退制度で五十五歳以上の人を全部退職する方向に持っていったわけですよ。それから、新日鉄は本年四月に五十九歳定年としたと聞いております。私は、六十歳定年法四条「六十歳を下回らないように努める」というこの努力義務規定違反が明確であって、こういう企業に対しては厳重な注意と改善を指導すべきだと思う。
 それから、同法四条の二には定年引き上げ要請を労働大臣が行う権限をせっかく書いてあるんですから、こういうときに使わなければああいう法律を幾らつくってもむだなんですよ。こういうときに使わなくちゃいけない。
 しかも石播は、一方で大量退職七千人を強行しながら、ことしの春高校卒業者三十名、大学卒業者百七名、合計百三十七名を新たに雇い入れたと私は報道で知りました。私は同条の「特段の事情」というものは認められないと思うんですね。これはもうこういうときにこそ六十歳定年法に基づく四条の二の「要請」を含めて注意と改善を指導すべきだと思うんですが、いかがですか。
○説明員(甘粕啓介君) 先生お話ありましたように、私ども昨年十月から施行されました高年齢者雇用安定法に基づきまして定年の引き上げの要請等の行政措置を講じているところでございます。この定年の引き上げの要請につきましては、中央職業安定審議会の意見を踏まえまして、六十歳を下回る定年を定めている事業主のうち、一つは事業活動に著しい支障を来している等特段の事情があると認められる事業主、それからもう一つは、既に定年を六十歳以上に引き上げることを決定している事業主、現在はまだ六十歳未満でございますが、六十歳以上に引き上げることを決定している事業主、これにつきましては要請をしないということにしているわけでございます。
 今御指摘のありました石川島播磨につきましては、六十一年四月一日から六十歳に定年を引き上げるということでございましたが、これを二年間延長いたしまして六十三年四月一日から六十歳定年を実施するという労使合意ができておりますので、定年の引き上げの要請は行っていないという状況にございます。
○内藤功君 いずれにしましても、こういう大企業に対して、今の雇用状況のもとで積極的にこういう権限を行使しなきゃいけない。
 今、石播の答えは一応ありましたけれども、もう一つの新日鉄、こういったところはどうなんですか。やはりこれについてもきちんと要請をしなきゃならぬでしょうね。どうなんですか、これは。
○説明員(甘粕啓介君) 鉄鋼関係各社につきましては、私ども、各企業を呼びまして、今回定年につきまして二年間の凍結をするということにつきましては事情聴取等をした上に、今後経営状況の改善の中で二年間の凍結問題につきましてはやはり速やかに、経営事情等が許せばそれをさらに繰り上げるよう指導をいたしたところでございます。
 今お話のありました定年延長の要請につきましては、先ほど申し上げましたと同じ事情でございまして、六十歳定年の実施の年を二年間先に延ばしたということで、やはり六十歳に引き上げることにつきましての労使協定が既にあるものでございますから、要請の対象にはしていないということでございます。
○内藤功君 労使協定というのは、さっき話も出ましたけれども、労働行政というのは、労使協定があれば何でもそこに入っちゃいかぬというものじゃないと思うんですね。労働組合が本当に労働者の日常の利益を守り切れているかどうかというところまでよく見なきゃいけないと私は思いますよ。
 もう一つ問題は、この六十歳定年法の九条では再就職援助の措置というのがありますが、この石川島播磨の場合は七千人の退職を強引に実行しましたけれども、この九条の再就職援助の措置というのは努力義務がありますが、とっていますでしょうか。
 もう一つは、時間がないのでもう一つまとめて聞きますが、こういう企業に対して労働大臣は、同法十一条に基づいて再就職援助計画の作成と提出、さらにその円滑なる実施の援助という権限を持っておるし、作成、提出については要請権限があると私は法文上理解をいたしますが、こういう権限の発動もすべきではないかと思いますが、この点はいかがですか。
○説明員(甘粕啓介君) 今、先生のお話がありましたように、再就職援助計画の要請につきましては、昨年十二月にこれを行いまして、本年一月にこの再就職援助計画を提出してもらっているところでございます。
○内藤功君 残念ながら時間が来ましたので、最後に大臣に今の問題について御見解を伺いたいと思うのです。
 労働省設置法三条、それから施行令、施行規則をずっと読んでみますと、労働省の任務は非常に大事な任務を持っているわけですね。私は、改めて第三条を見ますと、「労働省は、労働者の福祉と職業の確保とを図り、もって経済の興隆と国民生活の安定とに寄与するために、左に掲げる国の行政事務及び事業を一体的に遂行する責任を負う行政機関」だと。その第二号には「労働条件の向上及び労働者の保護」というのがうたってある。非
常に立派な、また貴重な使命を持った役所だと私は思うんです。
 しかし、この大企業の労使関係について遠慮をして、そこで行われているいろんな労働者の退職勧奨、さっき大臣は行き過ぎた強要か熱心の余りの勧奨かと言われたけれども、これは行き過ぎた強要なんですよ。もし大企業の経営に遠慮をして労働者の貴重な権利の保護、福祉の保護ということに力を注がないということになりますと、これは労働省の使命を果たしていないという批判を免がれるわけにいかないと思います。特に、私は、先ほど明確な答弁をいただきたかったんですが、いただけなかった。ああいう執拗な強制、そうして脅迫、これに対してはよく事実を調べて、それは行き過ぎだ、それはやめなさいということまで言えないようじゃ、私は、失礼だが、労働省の役目を十分に果たしたことにならぬと思うのです。そこらあたりの問題を含めまして、大臣のお考え、御所見を伺っておきたいと思います。
 私は、これで質問を終わります。
○国務大臣(平井卓志君) いろいろ伺ったわけでございますが、企業の大小によって遠慮があるわけでは決してございませんで、やはりその法律、制度の趣旨を十分踏まえて、実態に即し適法に指導すべきものと考えております。
○委員長(関口恵造君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時六分散会