第111回国会 予算委員会 第1号
昭和六十二年十二月十一日(金曜日)
   午前十時二分開会
    ―――――――――――――
   委員氏名
    委員長         原 文兵衛君
    理 事         伊江 朝雄君
    理 事        大河原太一郎君
    理 事         林  ゆう君
    理 事         吉川 芳男君
    理 事         野田  哲君
    理 事         矢原 秀男君
    理 事         沓脱タケ子君
    理 事         橋本孝一郎君
                石井 道子君
                石本  茂君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                工藤万砂美君
                小島 静馬君
                坂野 重信君
                坂元 親男君
                志村 哲良君
                下稲葉耕吉君
                田中 正巳君
                中曽根弘文君
                中西 一郎君
                永田 良雄君
                野沢 太三君
                鳩山威一郎君
                林 健太郎君
                降矢 敬義君
                増岡 康治君
                松岡滿壽男君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                山口 哲夫君
                及川 順郎君
                広中和歌子君
                和田 教美君
                上田耕一郎君
                吉岡 吉典君
                勝木 健司君
                野末 陳平君
                下村  泰君
                青木  茂君
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十二月七日
    辞任         補欠選任
     青木  茂君     木本平八郎君
 十二月九日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     抜山 映子君
 十二月十日
    辞任         補欠選任
     吉岡 吉典君     神谷信之助君
 十二月十一日
    辞任         補欠選任
     和田 教美君     飯田 忠雄君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         原 文兵衛君
    理 事
                伊江 朝雄君
               大河原太一郎君
                小島 静馬君
                林  ゆう君
                吉川 芳男君
                野田  哲君
                矢原 秀男君
                沓脱タケ子君
                橋本孝一郎君
    委 員
                石井 道子君
                石本  茂君
                梶木 又三君
                金丸 三郎君
                北  修二君
                工藤万砂美君
                坂野 重信君
                坂元 親男君
                志村 哲良君
                下稲葉耕吉君
                田中 正巳君
                中曽根弘文君
                中西 一郎君
                永田 良雄君
                野沢 太三君
                林 健太郎君
                降矢 敬義君
                増岡 康治君
                松岡滿壽男君
                稲村 稔夫君
                粕谷 照美君
                福間 知之君
                矢田部 理君
                安恒 良一君
                山口 哲夫君
                飯田 忠雄君
                及川 順郎君
                広中和歌子君
                和田 教美君
                上田耕一郎君
                神谷信之助君
                抜山 映子君
                野末 陳平君
                下村  泰君
                木本平八郎君
   国務大臣
       内閣総理大臣   竹下  登君
       法 務 大 臣  林田悠紀夫君
       外 務 大 臣  宇野 宗佑君
       大 蔵 大 臣  宮澤 喜一君
       文 部 大 臣  中島源太郎君
       厚 生 大 臣  藤本 孝雄君
       農林水産大臣   佐藤  隆君
       通商産業大臣   田村  元君
       運 輸 大 臣  石原慎太郎君
       郵 政 大 臣  中山 正暉君
       労 働 大 臣  中村 太郎君
       建 設 大 臣  越智 伊平君
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    梶山 静六君
       国 務 大 臣
      (内閣官房長官)  小渕 恵三君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  高鳥  修君
       国 務 大 臣
       (北海道開発庁
       長官)
       (沖縄開発庁長
       官)       粕谷  茂君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  瓦   力君
       国 務 大 臣
       (経済企画庁長
       官)       中尾 栄一君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       伊藤宗一郎君
       国 務 大 臣
       (環境庁長官)  堀内 俊夫君
       国 務 大 臣
       (国土庁長官)  奥野 誠亮君
   政府委員
       内閣官房内閣安
       全保障室長
       兼内閣総理大臣
       官房安全保障室
       長        佐々 淳行君
       内閣法制局長官  味村  治君
       内閣法制局第一
       部長       関   守君
       公正取引委員会
       事務局審査部長  植木 邦之君
       総務庁長官官房
       審議官
       兼内閣審議官   百崎  英君
       総務庁人事局次
       長
       兼内閣審議官   田中  史君
       総務庁行政管理
       局長       佐々木晴夫君
       総務庁統計局長  三浦 由己君
       青少年対策本部
       次長       倉地 克次君
       防衛庁参事官   小野寺龍二君
       防衛庁参事官   福渡  靖君
       防衛庁参事官   児玉 良雄君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        依田 智治君
       防衛庁防衛局長  西廣 整輝君
       防衛庁教育訓練
       局長       長谷川 宏君
       防衛庁人事局長  松本 宗和君
       防衛庁経理局長  日吉  章君
       防衛庁装備局長  山本 雅司君
       防衛施設庁長官  友藤 一隆君
       防衛施設庁総務
       部長       弘法堂 忠君
       防衛施設庁施設
       部長       鈴木  杲君
       防衛施設庁建設
       部長       田原 敬造君
       防衛施設庁労務
       部長       山崎 博司君
       経済企画庁調整
       局長       横溝 雅夫君
       経済企画庁国民
       生活局長     海野 恒男君
       経済企画庁物価
       局長       冨金原俊二君
       経済企画庁総合
       計画局長     星野 進保君
       経済企画庁調査
       局長       勝村 坦郎君
       環境庁長官官房
       長        安原  正君
       環境庁大気保全
       局長       長谷川慧重君
       国土庁長官官房
       長        清水 達雄君
       国土庁計画・調
       整局長      長沢 哲夫君
       国土庁土地局長  片桐 久雄君
       国土庁大都市圏
       整備局長     北村廣太郎君
       法務省入国管理
       局長       熊谷 直博君
       外務省アジア局
       長        藤田 公郎君
       外務省北米局長  藤井 宏昭君
       外務省中南米局
       長        山口 達男君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    恩田  宗君
       外務省経済局長  渡辺 幸治君
       外務省経済協力
       局長       英  正道君
       外務省条約局長  斉藤 邦彦君
       外務省国際連合
       局長       遠藤  實君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     角谷 正彦君
       大蔵省主計局長  西垣  昭君
       大蔵省主税局長  水野  勝君
       大蔵省理財局次
       長        藤田 弘志君
       大蔵省銀行局長  平澤 貞昭君
       大蔵省国際金融
       局長       内海  孚君
       国税庁次長    日向  隆君
       文部大臣官房長  古村 澄一君
       文部大臣官房総
       務審議官     川村 恒明君
       文部省初等中等
       教育局長     西崎 清久君
       文部省教育助成
       局長       加戸 守行君
       文部省高等教育
       局長       阿部 充夫君
       厚生大臣官房総
       務審議官     黒木 武弘君
       厚生省健康政策
       局長       仲村 英一君
       厚生省保健医療
       局長       北川 定謙君
       厚生省生活衛生
       局長       古川 武温君
       厚生省社会局長  小林 功典君
       厚生省保険局長  下村  健君
       農林水産大臣官
       房長       甕   滋君
       農林水産省経済
       局長       眞木 秀郎君
       農林水産省畜産
       局長       京谷 昭夫君
       食糧庁次長    山田 岸雄君
       通商産業大臣官
       房審議官     末木凰太郎君
       通商産業省通商
       政策局長     村岡 茂生君
       通商産業省貿易
       局長       畠山  襄君
       通商産業省産業
       政策局長     杉山  弘君
       通商産業省立地
       公害局長     安楽 隆二君
       通商産業省基礎
       産業局長     鈴木 直道君
       通商産業省機械
       情報産業局長   児玉 幸治君
       資源エネルギー
       庁長官      浜岡 平一君
       資源エネルギー
       庁次長      高橋 達直君
       中小企業庁長官  岩崎 八男君
       運輸大臣官房長  棚橋  泰君
       運輸大臣官房国
       有鉄道改革推進
       総括審議官    丹羽  晟君
       運輸省運輸政策
       局長       塩田 澄夫君
       運輸省地域交通
       局長       熊代  健君
       運輸省海上技術
       安全局長     間野  忠君
       労働大臣官房長  清水 傳雄君
       労働省労働基準
       局長       野見山眞之君
       労働省職業安定
       局長       岡部 晃三君
       建設大臣官房長  高橋  進君
       建設省建設経済
       局長       牧野  徹君
       建設省道路局長  鈴木 道雄君
       建設省住宅局長  片山 正夫君
       自治大臣官房長  持永 堯民君
       自治大臣官房総
       務審議官     小林  実君
       自治大臣官房審
       議官
       兼内閣審議官   前川 尚美君
       自治省行政局長  木村  仁君
       自治省行政局選
       挙部長      浅野大三郎君
       自治省財政局長  津田  正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮下 忠安君
   参考人
       日本銀行総裁   澄田  智君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国政調査に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○予算の執行状況に関する調査
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を開会いたします。
 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に小島静馬君を指名いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、予算の執行状況に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) まず、理事会における協議決定事項について御報告いたします。
 質疑を行う日は本日十一日一日間とすること、質疑時間総計は百四十分とし、各会派への割り当ては、自由民主党及び日本社会党・護憲共同それぞれ三十八分、公明党・国民会議二十二分、日本共産党十六分、民社党・国民連合十一分、新政クラブ、二院クラブ・革新共闘及びサラリーマン新党・参議院の会それぞれ五分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 本調査のため、本日、日本銀行総裁澄田智君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) それでは、これより順次質疑を行います。野田哲君。
○野田哲君 竹下内閣が発足をして約一カ月を経過するわけでありまして、当初は調査によりますと五〇%台の支持率、こういうことで随分高い支持率だなと私どもは面食らったわけでありますけれども、最近のある新聞の調査によりますと三〇%台、こういうことで、これは最近のドルと同じように乱高下が激しいなと思っているわけであります。結局、いろいろ原因を調べてみると、この一カ月の間の非常に重要な日本の政治課題、ガットに対する日本政府の対応が不鮮明、あるいは税制改革に対しての中曽根前総理の国民に約束したことの白紙還元、あるいは土地対策に対するこの国会での対応が全く具体性がない。さらにはアメリカの駐留軍への負担をふやす、こういう問題についての政府の対応、こういう点がやはり国民に失望感を与えているのではないか、こういうふうに思えるわけでありまして、こういう重要な問題をこれからただしてまいりたいと思いますので、竹下総理を初め各関係閣僚、ひとつ明快な御回答をいただきたいと思います。
 最初に、竹下総理の基本的な政治スタンスについて伺いたいと思います。
 竹下総理は、自民党の総裁選挙に際して、中曽根政治の継承、こういうことを述べておられるようでありますけれども、自民党内に向けては戦略としてそれでよかったかもわかりませんが、国民にとってはこのことは抵抗を感じるわけであります。特に、中曽根政治の五年間の、防衛費を最優先にして国民の生活を切り詰めていくやり方、あるいはまた財政運営について、緊縮財政一本やりで経済運営を非常に困難な状況に陥れた。日本の経済体質を外需依存型に変質をさせ、非常な円高、そして経済の空洞化、失業の増大、こういう状態をもたらしたことや、あるいは売上税を導入しようとした税制改革の失敗、そしてその政治手法としては、私的ブレーンを乱用して公的な審議会やあるいは国会での審議を軽視する中曽根前総理一流の政治手法、こういう問題については当然改めるべきであると思うんですけれども、まずその点についての竹下総理の基本的な見解を承りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 御指摘がありましたように就任一カ月余でありますが、本委員会における御質疑をちょうだいするのは初めてでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 今の基本的政治スタンスについてのお尋ねでございますが、私が中曽根路線の継承、言ってみれば、内政の問題で申しますならば、まずは行政改革に始まり、財政改革、税制改革、教育改革、そうした既定の路線というのはこれは賢明なる選択をしつつ継承すべきものである、こういういわば自由民主党そのものの持つ政策の継続性ということを主張いたしたわけであります。
 具体的な問題についての御指摘でございますが、軍事優先、言うならば我が国の防衛費の問題等に象徴される問題につきましては、これは一昨年の九月十八日未明でございましたか決定いたしました防衛計画というものが基本にあるべきものである。これも私もその当時参加しておりましたので、その方針に従いたいと思っております。
 緊縮予算問題、こういうことになりますと、何が緊縮で何が積極的か、こういうことになると議論のあるところでございますけれども、せっかく今日、あるいは六十五年度赤字公債依存体質脱却という可能性なきにしもあらずという状態になりました今日、いわゆる経常部門についてだがを緩めるわけにはいかぬ。押し上げた荷車がまたがらがらと音を立ててもとへ返るようなことになってはいかぬ。しかし、おっしゃいました内需振興施策への大きな転換という意味におきましては、機動的な施策として既に今年度の補正予算等で実効を上げておりますが、ただそれを一時的に終わらすべきものでないということが概算要求基準等において既に明らかにされておるところであります。
 税制改革の問題は、これは御案内のとおり、とにかくいろいろな工夫をいたしまして法案を提出したが、結果として審議未了、廃案になった、そういう現実を踏まえながら、国民のコンセンサスは那辺にあるかということで、これからも各党各会派の意見を聞くと同時に、国民の可能な限りの意見の集約を図って、衆知を集めた上で合意形成に努めたいというふうに思っております。
 それから国会軽視の問題でございますが、元来国会は国権の最高機関であり、そしてまた国会というところはあくまでも話し合いの場である、そういう基本的なスタンスで私は進めていきたいというふうに考えております。
○野田哲君 竹下総理は、総理になられる前、自民党の総裁選挙に当たって、宮澤副総理それから安倍幹事長、こぞってそれぞれ総裁選に臨む政綱を発表されているわけでありますが、そのときに竹下総理の発表された政策大綱を見ると、軍事大国への道を歩まない防衛力の整備、こういうことを述べておられる。そしてまた、雑誌や新聞等のインタビューでも何カ所かそういう趣旨を述べておられるわけでありますけれども、軍事大国であるかないか、この点についてどういうふうに線引きをされるわけでありますか。どこまでいけば軍事大国なのか、どこまでならば軍事大国ではない、軍事中国あるいは軍事小国、こういうことであるのか、それは境界はどこにあるか、この点どう考えておられますか。
○国務大臣(竹下登君) これまた古くからいろいろ議論された問題でございます。国際的に明確に定義されたものがあるわけではございませんが、軍事大国にならないというのは、自衛のための必要最小限を超えて他国に脅威を与えるような軍事力を保持することはないという意味であろうと思います。
 ただ、今御引例がございましたが、書物の中で私も今反省しておりますことが一つありますのは、軍事大国にはなりません、またなれもしません、こう書いたことが、なれもしませんというと、なる意思を持っているのかというふうに受けとめられることもあるではないかということで、今その点だけは自分の書きおろしの文章の中でいささか反省をしておるということであります。
○野田哲君 防衛庁長官に伺います。
 今総理も言われた六十二年、ことしの一月二十四日の閣議決定の文書があるわけであります。その中に「他国に脅威を与えるような軍事大国とならない」、こういう文書があるわけでありますが、これについて防衛庁長官は、ここに書いてある「軍事大国」とはどういう形を指すのか、どういう認識をお持ちですか。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。
 他国に脅威を与えない、そうした強大な軍事力を持つことがあってはならない、かように存じておるわけでございまして、六十一年の考えといいますか、そういう考えが貫かれて、これは防衛大綱でも述べておりますが、中期防策定につきましてもその理念を通しておるわけでございますが、そうしたことを踏まえて閣議決定がなされておる、私はさように心得ております。
○野田哲君 今総理も言われた、防衛庁長官も言われた、他国に脅威を与えないということなんですが、これは日本が勝手に判断すべきことではないのであって、周辺諸国が脅威を感じているかどうか、こういうことなんです。既に今年度日本の防衛費が一%を超えた、今までずっと十年間守られてきたあの三木内閣当時の決定が破られたことについて、周辺諸国では脅威を感じている国がある。そうすると、今の表現からいえば日本は既に軍事大国になっている、こういうふうに理解されてもやむを得ないんじゃないですか。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。
 平和憲法のもとで、非核三原則あるいはシビリアンコントロール、そうしたことを踏まえながら自衛のための力を擁する、さような努力をしておるわけでございますが、他国に脅威を与えないということは、まさに自衛のための力を蓄えておる、かように申し上げてよろしいかと思うわけでございます。
○野田哲君 これはよくわかりませんが、また後でそのことに触れてまいりたいと思うんです。
 もう一つ、竹下総理の言葉じりにこだわるようでありますけれども、防衛費の扱いの問題でありますが、いずれまた年を越しまして予算委員会で六十三年度予算を見た上でこの問題は十分議論をいたしたいと思うんですが、ただ、六十二年度の予算編成を間近にしてぜひ確かめておきたいことがあるわけです。
 ことしの秋の「THISIS」という本があるわけです。自民党の総裁選挙のころに発売されているわけですが、そこに当時の竹下総裁候補、幹事長のインタビューが出ているわけでありますが、その中で防衛費の扱いについてこういうくだりがあります。「今年は円高の問題とか、売上税問題がなくなるとかあるので、僕の計算では一%の中には沈まないと思います。ちょっと出ると思いますけれども、結果として決算ペースで沈めます。」、こういうふうに述べておられるわけです。「沈めます。」ということがどういう意味がよくわからないんですが、これは素直に読めば、決算したときには六十二年度の防衛費は一%以内におさまっている、こういうふうに考えていると読み取れるわけでありますが、この点はいかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 当時私が勉強しておって、正確な記事であるかどうかは別として、「沈めます。」というのは、ちょっと出雲弁でもございませんのでどういう気持ちで言ったか、要するに分母と分子の関係で決まることでございますから、したがって不確定要素のGNPの伸び率というものもある。しかし、売上税があのような結果になったのでそれは予算削減につながるだろう。一方ベースアップがございますので、それがどれだけ効くかというと、大変計算的に微妙な段階がなというような問題意識はあったかと思います。が、今日の時点で正確に内閣総理大臣としてお答えいたしますならば、その問題について今どれぐらいになるだろうという予測は、決算ベースで申し上げることはまだGNPの問題等がありますだけにそれは難しいことだというふうに思っております。
○野田哲君 私はこれを読んで、竹下総理は実にこの当時から細かく計算をされているんだなという感じがしたわけです。そうして私なりに計算をしても、確かに六十二年度の防衛費は一%以内に沈むわけなんです。
 どういうことになるかといいますと、既に第一次補正で四十一億四千二百四十六万円削減をされているわけです。そして売上税関連が九十三億あるわけです。だからこれを合わせると今一%を超えている百三十四億とちょうど同じ額になるわけであります。竹下総理は既にこのことを計算されて一%以下に沈める、こう言われたのかな、こう思うわけなのであります。
 私がこう言うと、人件費のペアがあるじゃないですか、こうおっしゃると思うんです。しかし、これは閣議決定でも、節約をして財源に充でろ、こういう閣議決定が十月二十二日にやられている。あるいはまた最近の円高による不用額が見込める。こうなると、人件費の増を見込んでも、数字的に私が計算をしても、一%以内におさめ得る。ことしおさめ得るということは、六十二年度もおさめ得る。したがって、これはやはり守るという立場をここで鮮明にされるべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 今のお尋ねに対しては、そもそも論を申し上げなきゃならぬようになるわけでございますが、私は、第四次防衛計画の先取りという批判をされましたとき、昭和四十六年から四十七年にかけて時の内閣官房長官でございました。それが第四次防というものでございましたが、その四次防というのが終わった後はどういうふうに位置づけされたかといえば、御案内のように、中期業務見積もり、こういうことに位置づけされたわけであります。されば中業とは何ぞやというと、国会でどういう答弁をしているかと申しますと、防衛庁が大蔵省に対して予算要求するための一資料にすぎません、こういうことになっておった。
 本来のシビリアンコントロールとかいう問題は、まず計画があって、これがどうだ、これがどうだというあの四次防のときの方が本当の姿ではなかったか。いつの日かやはり計画というものをつくるのが本当だという考え方を持っておりました。しかし、その機がなかなが熟さない。しかも、私は財政当局の大蔵大臣であった。しかし、自分なりには勇を鼓して、やはりまず計画ありきということで本来のシビリアンコントロールの姿にもこたえるべきじゃないかということが認められまして、いわゆる中業というものが姿を消して計画というものが出てきた。したがって、まず計画ありきということが本来のあるべき姿だという考え方を基本的に持っておるわけであります。
 しかし、三木内閣のときに閣議決定いたしましたあのことは、絶えず私どもはその精神は生かしていかなきゃならぬ。したがって、今野田さんがおっしゃったようないろいろな数字を私なりにも、まあ大蔵大臣が長かったものですからすぐそういう数字をはじいてみて、あるいはというような気持ちが当時なかったわけではございませんが、それのみにこだわるものではなく、やはり基本はこの防衛計画というものが基本であるという考えを持っておるということをあえて申し上げたいわけであります。
○野田哲君 まず計画ありき、こう言われるわけでありますが、まず計画ありきというのは、十八兆四千億の中期防衛力整備計画のことを述べておられるわけですが、それならば、その十八兆四千億の中期防衛力整備計画の金額、これが一体きちっとした歯どめになるのか。既に崩れかけているんじゃないか。
 そこで具体的に伺いますけれども、私もこの前の内閣委員会でも竹下総理に伺ったわけでありますが、今しきりに議論されている米軍の駐留経費の負担増という問題、ペルシャ湾問題にかこつけて。ペルシャ湾問題はもう鎮静化しているわけです。そういう状態の中で在日米軍の経費負担が協議されているということです。この問題で依然として、きのうの衆議院の内閣委員会の議論でも、この経費の負担増は十八兆四千億の内か外かという議論が続いている。政府の態度は極めて不鮮明です。これはいかがですか。
○国務大臣(瓦力君) 在日米軍経費の問題にかかわり、また中期防の十八兆四千億の問題との絡みでの御質問でございますのでお答えをいたしますが、在日米軍経費の問題は、日米安保体制、これを円滑に運営するために極めて重要な問題と心得ております。
 なお、この経費問題につきましては、駐留軍労務者の雇用の安定、こういった面でもかかわり深い問題でございますので、防衛庁といたしまして、今後関係省庁、外務、大蔵、こうした省庁と協議をいたしまして慎重に検討をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。また、防衛費の枠組みにかかわる問題でございますが、この問題につきましては、五カ年の全体のものとしてのものでございますので、今後の防衛力整備、この絡みも考えながら今後考えてまいりたい、かように存じておるところでございます。
○野田哲君 内で扱うのか外で扱うのかということを私は聞いているので、これは総理、それから大蔵大臣、外務大臣、防衛庁長官、もう一回明確に答えていただきたいと思うんです。
 私どもは十八兆四千億を容認しているわけではないんです。しかし、十八兆四千億、これが昭和六十五年までの歯どめでありますと、こういうふうに答えているわけであります。特に、本予算委員会で五月八日の日に我が党の矢田部委員の質問に対して政府側はこういうふうに答えているんです。「今申し上げたように、まず経費的な上限というものが定められておりますから、そういう点では、先生がおっしゃるような膨らむ要素というものは経費的にはないというように考えております。」。さらに続いて、「中期計画作成以後の特殊な状況によって出てまいったもの、それを仮に年度予算で入れていくということになりますれば、それは十八兆四千億という全体経費の規模の中でやりくりをしてそれを賄っていくということになろうかと思います。」と明快に答えているんです。
 特に、作成以降の特殊な状況によって出てまいったものでも十八兆四千億をやりくりしてこの中でおさめていくと明快に答えているんです。いかがでしょうか。――これは私は政府委員に聞いていないんです、あなたが答えるような性格のものじゃないですよ、これは。
○政府委員(西廣整輝君) 中期計画の仕組みの話でございますので、私の方からお答え申し上げたいと思います。
 御承知のように、防衛計画は、先ほど総理が申されましたように、計画がまずございまして、それには主要な装備等の計画があり、それから一部後方経費その他につきましては、個々に積み上げられませんので、お金の枠で決めておる部分もある。合わせまして約十八兆四千億を上限とするというのがお金の枠組みになっているわけであります。そこで、それではその十八兆四千億というのはそのまま執行されるかということになりますと、御承知のように、年度年度の予算というものがございまして、その段階で我々としては最も効率的な予算の使用ということを考えますし、財政当局も当然そういうことをお考えになるということで、さらに年度。とに精査をされていくわけでございます。
 したがって、何が何でも十八兆四千億使い切らなくちやいけないということではございませんので、具体的にどれだけの予算が計上されるかということは年度年度で決まっていくということになりますと、全体としてどの程度のものになるかということはやはり最終年度にかからないと、枠としてどれだけのものがあり得るかということが、残っておるかということが明確になりませんので、今お尋ねの駐留軍経費の問題、どういったものがこれからどのぐらいの金額が入るかわかりませんけれども、そういったものは最終年度の段階になって枠の中におさまる、あるいはおさまらないので、計画との関係をどう調整するかということが出てくるのではないかと思います。
○野田哲君 確かに今の答弁は西廣防衛局長が答えたわけです、ここで。ところがこれは、矢田部君が栗原防衛庁長官に質問したことに対して、栗原防衛庁長官が西廣防衛局長に答えさして、こういうふうに答えてあるんです、今いろいろ言われましたけれども。「中期計画作成以後の特殊な状況によって出てまいったもの、それを仮に年度予算で入れていくということになりますれば、それは十八兆四千億という全体経費の規模の中でやりくりを」する、こういうふうに明確に答えているわけでありますから、今政府の答弁は内か外かということは不明確でありますけれども、外の議論というのはこれによって、あり得ない、こういうことになっているんです。この点を明確にしてもらいたい、こう言うんです。
○国務大臣(瓦力君) 先ほど来お答えをいたしておりますが、ただいま三省庁間で検討いたしておりますが、またそれらの問題を踏まえてこの全体の中で考えてまいりたい。全体の中と申し上げますのはその内か外かの議論ではなくて……
○野田哲君 そんなことじゃないよ。私は内か外かの議論を聞いている。
○国務大臣(瓦力君) この問題を考えてまいりたい。今慎重に検討をしておるところでございます。
○野田哲君 大蔵大臣いかがですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今防衛庁長官が言われましたとおり、関係省庁間で一生懸命事務当局が今の財源の問題、それから恐らくは法的な面もあるわけでございますから、そういったようなことをいろいろに議論をしておる段階で、私どものレベルに話は来ておりません。ですから、私は外になるという話は聞いたことがございません、今のところ。
○野田哲君 だから、外の議論はないですねと私が確かめでいるんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) もともとまだ閣僚のレベルに話が上がっていない、いわゆる総理大臣のレベルに来ていないわけですけれども、その段階で私は外になるというような話を聞いてはおりません。
○野田哲君 六十二年度の予算審議をやったときの政府側の答弁からして、今駐留経費の負担増についても内、外の議論が政府の中ではあるはずはないじゃないかと、こういうふうに私は確かめているんですよ。そのとおりでいいですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 少なくともこの問題に責任を持っております閣僚の間で、問題はまだそこまで来ておりません。そういうことを私は聞いておりません。
○野田哲君 来ているかどうかを私は聞いているんじゃないんです。前のこの予算委員会の審議の政府答弁からしても、来ている、来ていないの問題ではなくて、外の議論はもうあり得ないですねと、こういうふうに聞いているんですから、それはもう明確にしてもらいたい。
○政府委員(西廣整輝君) 野田先生のおっしゃられておるお話は、六十二年度予算として計上したものについて、もうはっきりどの費目でどれだけの金額というのがわかったものについてのお答えでございまして……
○野田哲君 違う、違う。
○政府委員(西廣整輝君) 現在お尋ねのあるのは、これから駐留軍経費の負担増をどうするかという話でございまして、それについて今我々協議しておりますのは、何をやるかということもまだ決まっておりませんし、金額がどうなるかということも決まっておりません。それらについて直ちに防衛費の内か外かという話ではない。仮に、労務費のように従来から防衛費の費目に計上されているものであれば、当然私は防衛費の中に入ってくるものと思いますが、その際について、それが十八兆四千億の内の中に入るかどうかということは執行してみなきゃわかりませんが、最終年度の段階でその中のその調整を図るべきであるということを申し上げているわけであります。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を起こして。
○政府委員(西廣整輝君) 一度整理して申し上げますが、先ほど来野田先生のおっしゃられておる過去の答弁というものは、六十二年度予算で既にお願いをしておって成立をしておるもの、これにつきましては駐留軍労務者の手当を二分の一ま来負担するためのものということでお願いをして、それについてどう措置するかということについては、お答え申し上げているとおりであります。従来の答弁のとおりであります。
 本日問題になっておりますのは、さらに駐留軍の駐留経費を軽減するためのものというお尋ねでございますので、それについては現在何をするかということについても関係省庁と相談中でございまして、いかなるものが出てくるかわからない。そういう状況におきまして、それが防衛費の枠のうちの外か中かということにはなじまないということを申し上げておるわけであります。
○委員長(原文兵衛君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
○委員長(原文兵衛君) 速記を起こして。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたします。
 六十二年度予算につきまして栗原前長官が長官当時申されたことは、まさにそのとおりでございます。
○委員長(原文兵衛君) ただいまの長官の答弁以外のことにつきましては、後ほど理事会におきましてその取り扱いを相談いたします。
○野田哲君 私は、この問題について改めて政府側の明快な統一見解を求めることにいたしまして、この件については留保して次の質問に入りたいと思います。
 INFの全廃の合意がワシントンで行われました。米ソの首脳会談が、核兵器が出現して四十二年目にして歴史上初めて削減に踏み出した、こういう点、そしてINFの問題だけにとどまらず、戦略核を含めた全般的な軍縮の方向に希望を持たせたという点でこれは重要な意味を持っていると思いますが、政府はこれをどのように受けとめておられるか、総理の見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) レーガン大統領とゴルバチョフ書記長との首脳会談が、INF条約の署名等成功裏に終了しましたことに対して、三日間にわたる両首脳の労をねぎらいたい、こういう気持ちでいっぱいでございます。
 今回の会談につきましては、過去、数えてみますと三回目の会談になるわけでございますが、レイキャビクにおいてある種の潜在的合意というようなものがあって、これがまさに顕在化したという意味におきましては、大変評価すべきものであると思っております。昨日も私お答えいたしましたが、これから米国からもそういう説明がございます、それからソ連側からも説明が日本大使館、外務省等にあると思うのでありますが、そしてまた最終の記者会見とかいうものが残っておるようでございますけれども、いずれにせよ私はこれはいわゆる第一歩としての位置づけとして大変に評価すべきものだ。しかし、だれしも同じことでございますが、頭の中ではまたぐるぐるっと回ってまいりまして、本当に戦略核の問題あるいは地域問題等にさらに進展が見られたら喜ばしいなという感じは、恐らくだれも同じじゃないかというふうに感じております。
○野田哲君 今総理がおっしゃったように、私もやはり戦略核の問題あるいは通常兵器の問題にずっと進展していけば大変喜ばしい、こうい久期待をしているわけでありますけれども、問題は、今回の合意というのは陸上配備のINFだけの問題でありますから、海上、海中配備の問題が残っている。そういう点にやはり一抹の懸念を持つわけであります。特に海上あるいは水中発射のINF、こういうことになりますと、日本列島周辺がやはり非常に重要な地域になってくるわけであります。
 そういう点で、これから先、その面で日本がアメリカの海上、水中発射の核戦略に加担をしていく、こういうことがあってはならないと思うわけでありまして、今回の米ソ首脳会談の合意をさらに戦略核あるいは水中、海上発射の核兵器、これにまで及ぼす、そして通常兵器の削減に向かう、こういう期待をぜひひとつ、竹下総理は年明け早々ワシントンに行かれるそうでありますけれども、日本国民の願いとしてレーガン大統領に強く主張していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 総体的に申し上げますならば、御意見は大体同じだなというふうに考えております。
 まだ正確に読んでおりませんけれども、サム・ヘッドウエーというようなことがありましたか、幾らかの前進というような意味なのかなと思いながら、やっぱり我々が期待するのは、おっしゃるように、さらに戦略核、地域問題、そうして通常兵力と、そういうところへ進んでいく大きな第一歩であったというふうに将来とも評価されたいものだなという気持ちでいっぱいであることは事実でございます。
○野田哲君 そこで、もう一つ政府の対応を確かめておきたいわけでありますけれども、陸上配備のINF、この全廃の合意ができた、そして非常にいい雰囲気でソ連とアメリカのトップの会談が行われた、そういう状況を大事にする、こういう意味で私は、日本もそれなりに対応すべきことがある、防衛政策についてもやはりそれに応じた変更をするべきじゃないか、こういうふうに思うわけです。
 例えばことしの防衛白書、この防衛白書に記述をされている内容というのはどういうふうになっているかといいますと、この中に「わが国周辺の軍事情勢」、こういう項目があるわけです。この「わが国周辺の軍事情勢」というのは、「極東ソ連軍の増強と活動の活発化」、こういう形でずっと記述がされているわけであります。それを見ると、ソ連軍の、脅威の中心になっているのはアジアに配備した中距離核戦力、これが防衛白書の中での「わが国周辺の軍事情勢」、脅威の中心になっているわけであります。三十八ページから四十七ページにかけてずっとこの極東配備のINF、この記述に貫かれているわけであります。これを全廃するということの合意ができたわけでありますから、これはもう日本の防衛政策にとっても大変なことなんです。重要な大事なことなんですから、私はそういう点で日本の防衛政策としてもそれに応じた路線の変換をすべきだ、こういうふうに思いますが、その点はいかがですか。
○国務大臣(瓦力君) 詳細につきまして必要がございますれば政府委員から答弁させますが、今委員御指摘のとおり、SS20の性能や配備の状況につきましては、我が国周辺における軍事力の動向の一環として事実に沿って白書で述べておるわけでございますが、我が国といたしまして今回のINFの全廃合意、このことは大変喜ばしいことだ。さらに戦略核、通常兵器、こうした分野にも進展が見られると結構だというぐあいに期待をしておるところでございます。
 しかし、いずれにいたしましても、我が国はいわゆる通常兵器による限定的かつ小規模な侵略に有効に対処をし得る防衛力の保有ということを目標といたしておりますので、今般のINF全廃に係るその観点も極めて重要な意味を持ちますが、いわゆる防衛政策を見直すというものではない、かように心得ておるわけでございます。
○野田哲君 これは瓦長官、かみ合わないし、そういう認識は私は困ると思うんですよ。この防衛白書でも述べているように、日本にとって一番の脅威は極東に配備されたINF、SS20だ、こういうのが一貫した日本の防衛上の脅威の中心になっているわけなんです。だからこそ中曽根前総理も、ソ連が極東配備のSS20を撤去しないんだったらアメリカのINFをアラスカに百基残せ、こういう主張をされたわけです。そういう認識だった極東配備のINFがなくなるんですから、日本の防衛政策というのは当然大きく情勢が変わったんだ、こういう認識に立たなければ私は今の世界の大きな流れに合わない、こういう点を指摘しておきたいと思うんです。その点は外務大臣いかがですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 昨日合意されましたINFのグローバルゼロ、つまり地球的な全廃、これはもう私たちは欣快の至りと存じております。両国の努力に我々は賛意を表しておる次第でございますが、御承知のとおりそれだけではまだ全核の回ないし五であるというふうに言われておりますから、引き続きましてICBM、今御指摘のSLBM、あるいは重爆撃機等々の戦略核、これの削減問題も相当この会議の間において、分野に関し話が進められたと承っております。これが来年のレーガン大統領訪ソにおいて議論されるわけでございますが、そのほかにまだ、総理がおっしゃいました地域紛争、二国間の問題、人権問題、こうしたことも今回の首脳会談の内容になっておりますので、私は今回のINFの全廃に関しましては非常に歓迎をするものでございますが、だからといって全部今緊張が解かれたかというふうに考えますと、まだまだ道先は遠いのではないか。
 しかしながら、そうした緊張を解くために両国は努力をされておる。特に核は御承知のとおり抑止力の一面も果たしております。そういうふうに考えてまいりますると、まだ我が国を取り巻く周辺には、あるいはバックファイアという問題がございましょうし、あるいはソ連の太平洋艦隊の増強、近代化というような問題もございますから、私たちも対ソ改善はやっていかなければならないと思いますが、確かに御指摘のとおり、INFの全廃だけではまだ我が国を取り巻く環境は厳しい、こういうふうに存じておりますので、その後、防衛庁がいかにそれを判断するかということであります。
○野田哲君 これもやはり私が主張しているのは、日本は今まで防衛政策ではアジアにおけるINF、これが一番の脅威だということで、これをトップに挙げているんですよ、「わが国周辺の軍事情勢」の中では。それがなくなったんだから、やはりそのことは日本としても情勢が変わってきた、こういう認識を持たなければいけないんじゃないですかと、こういうふうに聞いているんですが、防衛庁長官はそういう認識を持っておられない、こういうことなんですが、これは総理いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 防衛庁長官からお答えいたしましたのは、我が国の防衛力整備は通常兵器による限定的かつ小規模な侵略に有効に対処し得る防衛力の保有を目標としておる、それはそのとおりでございます。したがって、申すまでもなく、核の脅威に対しましてはこれは米国の核抑止力に依存しておる、こういうのも現実の問題であります。
 確かにSS20というものは、見えるところとは申しませんが、地図を見れば極東でございますから、いわば非常に近いところにある。したがって、SS20の問題等が随分議論をされて、それが全廃される対象になっておるわけですから、そのこと自体は私も評価いたしますが、さればとて、先ほどからのお話のように、戦略核等を含め核の脅威というものが現実的にないか、こういうことになりますと、残念ながら現実の問題としてはいわば力の均衡というようなものによって平和が保たれておる、一部地域問題は別として考えなきゃならぬということになりますと、軍縮の理念としては、現実問題としては、それができるだけ低いレベルでしかも均衡がとれていくということを現実の問題として意識していなきゃならぬのじゃなかろうか。だから、今度グローバルの全廃ができた、本当にうれしいと思いつつ、やはり我々の頭の中をよぎるものは戦略核でありそして通常兵器であるということに私は結果としてはならざるを得ないんじゃないか。そうなると、ただSS20そのものが変わったから核に対する脅威というものがなくなったという性格のものではなかろう。
 さように考えてみますと、全廃によって我が国の防衛政策をトタで見直すということを今申し上げるような段階じゃないではないかな、こういう感じでもって、御意見を承りながら自分の頭の中も整理をしておるということであります。
○野田哲君 かみ合いませんが、また次の機会を見て論議を進めてまいりたいと思います。
 ガットの問題に入りたいと思います。宇野外務大臣は現地に行かれたわけでありますが、宇野外務大臣と佐藤農水大臣、今のガットの問題、日本の農家にとっては大変なことでありますが、これからどう対応されるのか。いずれにしてもこれは竹下総理の訪米までには日本としてけりをつけなければならないと思うんですが、今どういうふうにお考えですか。
○国務大臣(宇野宗佑君) 本来は農林大臣のお仕事の範疇でございましょうが、ガットという国際の場でございまして私が出席をしたこともございますから、まず最初に私からお答え申し上げたいと思います。
 十二品目に対しまして既にガットの裁定がおりまして、これは米国の提訴によるものでございますが、二つは灰色、あとの十品目はクロ、こういうような裁定で、これが総会に諮られましてそして議論されるという段階を迎えたわけでございます。今まで外務省、農林省協力して十二分に米国と渡り合ってまいった次第でございますが、結論を得られぬまま総会を迎えたということでございますので、私みずからジュネーブに参りまして相手国の代表とお話し合いをしました。もちろん外務省といえども、我が国の農村の今日の立場、並びに十二品目の問題に関しましては農水省と意見を完全に一致さしております。だから、そのことに関しましては相手国に十二分に私からも相当強い口調で申し述べましたが、残念ながら一括採決ということになりました。
 そこで、せめても二品目を分割採択ということにはならないかということがございましたので、これには非常な努力を必要といたしましたが、幸いなるかな発言順序も十八番目を一番目に改めてもらいまして、一番目に分割採択ででも日本としては市場を守りたいということを申し上げましたが、これもまたほとんどの国の反対に遭ったわけでございます。だから私も、本国に帰りましていろいろと政府間の意見を調整いたしまして、この問題はひとつ二月の理事会にまで延期をしてほしい、そのことがガット総会で認められましたので、今後はガットの事務当局、あるいはまた相手国のアメリカとの間におきまして十二分に話をしていきたい、かように思っております。
 しかしながら、空気は極めて厳しいということは申し上げておかなければなりません。また、我が国は今日ガットにおける、アメリカ、ECと並びましてのもう三極を担当する大きな国であるという認識も各国にございます。きのうも衆議院で申し上げたんですが、各品目についての了解はあるいは得られる面があるかもしれませんけれども、要は日本は今日黒字で一千億ドル持っておる。一千億ドルも持っておる大国が何を言うかというのが、実は我が国に対する世界の厳しい情勢であるということもこの際に私から御報告申し上げておきます。
○国務大臣(佐藤隆君) お答えいたします。
 今外務大臣からガットの総会における模様を御説明になりました。担当する我が省といたしましては、パネルの報告を受けてのガットの総会において、その中にいろいろございましたが、その明係におきましては、二品目はどうしても譲れない、なおかつ国家貿易品目、これも実は意見として出ておりますのでいよいよもって大変である、こういうことで実は部分採択という形を強烈に打ち出してもらったところでございますが、結果は、今外務大臣がおっしゃるように二月の理事会に持ち越されたわけであります。ただ引き延ばせばいいという気持ちではなくて、今申し上げたようなことで結果として二月に持ち越された結果になりましたので、それまでの間の時間を大切にしながら、国内農業に悪影響を及ぼさないように、なおかつ国際的な経済関係のことは十分頭に置きながら、特に急速な国際化が進んでおるときでございますから、多くの国を敵に回してはならない、しかし我が国農業の基本は守っていかなきゃならぬ、こういう真剣な気持ちで、残された時間、詰めを鋭意行ってまいりたい。
 なお、最後のところで総理訪米までにと、こういうお話がございましたが、関係者の多くの方々に、国際的にガットの場でもそうでございましょうけれども、我が国内におきましても関係する皆さんに大変な御心配をかけております、心を痛めております。そういうことでございますから、この不安が一日も早く解消されるように運んでまいらなければならない、そういう意味では一日も早く解決しなければならない問題である、こういうことでございます。
○野田哲君 もう一点土地対策の問題で触れて、その後ガットの問題と土地対策で稲村委員の関連質問をお願いしたいと思うんですが、今国会で先般来土地問題の特別委員会での審議が行われたわけでありますが、結論的に言えば具体策はまだ出ていない、こういうふうに思うわけであります。
 振り返ってみると、昨年の秋の臨時国会で、この委員会で我が党の安恒委員や私など、当時から土地の非常な高踏を予測して、六本木の林野庁の職員住宅の跡地、競争入札をすべきではない、あるいは汐留の国鉄用地の問題とか、その他国公有地の競争入札は慎重にあるべきだ、こういうことをこもごもこの席で主張してきたわけなんです。そしてまた、現在ある国土利用計画法によってとるべき措置があるじゃないか、こういうことも何回も主張してきたわけですけれども、当時の閣僚としては宮澤大蔵大臣がいらっしゃったわけですけれども、余り耳をかしてもらえなかった。
 そして今日では、行革審の答申では、国公有地の処分は慎重にしろ、あるいは国土利用計画法によってとるべき措置はとれと、こういう答申が出、政府もやっとことしの十月に対策要綱を決めて、そのことに腰を上げたわけなんですが、率直に私は政府の対応の手おくれ、こういう点を認識されるべきじゃないか。そうして、今日対応策がおくれてきているんですから、適切な対応策を早くとるべきではないか、この点を指摘して、引き続いて稲村委員の方に関連質問に入っていただきたいと思います。
○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。稲村稔夫君。
○稲村稔夫君 まず、ガットの十二品目、あるいは十品目と言っていいかもしれませんけれども、この問題についてお伺いしたいと思います。
 パネル裁定が、結局最終結論を得るというのは持ち越しということになったわけであります。それで、先ほど外務大臣からいろいろと御答弁がございましたが、しかし外務大臣、あなたがお帰りになった十二月の二日ですかの夜の記者会見の中で、実際は分離採択による一部の品目の拒否ということは非常に困難であろう、こういうふうに発言をしておられます。しかし、そのガットの採決を、先ほど農林水産大臣の御答弁を伺っていれば、先へ延ばしたというのは単なる先へ延ばしただけではないというお話であります。そうすると、分離採択をするという可能性というものをどこかで見出された、こういうことになるのでありましょうか。その辺、お帰りになったときの発言とちょっと食い違ってくるのではないかというふうにも思うわけでありますが、その辺はどういうふうになるのかということもございます。
 そしてまた、部分採択が可能だというふうに分析をされたということであるといたしましても、持ち越した二品目については、アメリカ側が譲歩をしてもらわない限り実際はその結論は得られないということになってしまうのではないかと思うので、その辺アメリカ側の譲歩の可能性ということを見込まれたのかどうか、こういうことになるわけであります。
 そして私は、その辺の見解も伺いたいのでありますけれども、同時に、アメリカ側はむしろそれよりも、着々とガットでもって一つのあれを築いておいて、今度はさらにこれからある牛肉とかオレンジとかいうようなものの交渉にも有利に展開しょう、さらには米にもというようなことがあると思います。そうすると、アメリカ側が厳しいということをどういうふうにお考えになっているのか。アメリカ側が譲歩しなければ、今度は先へ延ばしたということの意味がなくなるのではないか、こう思うのでありますが、関係大臣それぞれからお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宇野宗佑君) ガットの場で正式に日本が二品目を分離して採択をしてくれ、つまり十品目のうち二品目は日本として絶対反対、譲れない、こういう主張をいたしましたのは私が帰国した後でございます。だから、帰国談話に難しいという私の感想を申し述べておりますが、当然そうしたことに対しましては、参加国九十五カ国ございます。その間関係国にはやはり根回しというものが必要です。日本としてはどうしてもこうだよというふうな根回しが必要であります。またいろいろ意見を聞くことも必要でございます。
 代表として参っておりましたのは、農水省はもちろんですが通産、大蔵、外務、それぞれ相当なレベルの人たちが参っておりまして、そしてガットの場におきましても、波多野大使を初め広く国際的な知名の士ばかりでございますから、こういう人たちが手分けをして日本の主張をひとつやりましょうと。特に私の出国前に私は与野党の国会議員の先生からもいろんな意見を承っておるわけです、直接あるいは電話によりまして。その意見の中には、宇野さん、せめて分離採択だけは守ってほしい、できるという話だからそれだけはやってほしい、ほとんどこういうような御意見であったと私は思います。
 だからこの線は守らなければならないがかつてガットになかったような話だがやってみろ、というので私が指令をいたしまして、そして私が帰国いたしました翌日の総会がその日程でございましたから、一番目に繰り上げてもらって波多野大使から、ぜひとも分割採択をお願いしたい、こういうふうに言っておるわけで、私が帰りましたときの状態におきましては、そうした根回しの結果どうも厳しい、日本に対しては厳しい。だから日本の要求が通るか通らないかまだ早急に決断を下すべきではないが厳しい、ということを私が記者会見で申し上げたことが、帰国談として載っておるわけでございます。それが第一点でございます。
 二品目に関してはどうかというふうなことでございますが、もちろんこれはアメリカが提訴した問題でございますから、したがいましてやはりアメリカがそれをどうとるかということが一番大切な問題であります。もちろん私といたしましては、十品目全部提訴を取り下げてくれないかというところから交渉は始まっております。なぜかならば、これはもう従来から国会でも取り上げられておりますが、アメリカはガットの創始者でございますから、権利としてウエーバーを持っております。ところが我が方にはそういうものはない。また、ECは輸出補助金をつけております。我が方にはそういうものはない。にもかかわらずひとり日本だけ裸になれと言うのかいというところから、実はもう各交渉段階にわたってそのことは強く主張されております。
 したがいまして、これに対しましては、御承知のウルグアイ・ラウンドというものがいよいよ具現いたしておりまして、ことしから動き出しておりますが、その場所で農産物を取り扱おうということになっておるのですが、アメリカは、そこで取り扱いたい、あくまでそれまでは我々の権利である、この主張を変えません。ウルグアイでやったらいいじゃないか、私から言うならばそうなりますが、いやそういうわけにはいかぬ、権利である、こういうふうな調子で、既に十二品目は参加九十五カ国に全部、パネルにおいて採択されたということが通知されております。だから今さら、アメリカといたしましても、二品目をもし除外すればつまみ食いを許すことになる、今後つまみ食いが許されたらパネルの存在価値はない、こういう解釈でございました。しかし、そうでもなかろうというので、私たちは反論を繰り返してまいったような次第でございます。
 その次に、これが牛肉、オレンジあるいは米に及ばないかというお話でございますが、牛肉、オレンジはこれまた二国間でございますから、これに対しましても農水大臣も主張しておられますし、私からも一応アメリカの代表にそのことは申し述べてありますから、二国間の話として三月までにこれもまた決着をつけなければならないでございましょう。
 それが米に及ぶかというお話でございますが、私たちはあくまでも、そうした米を初めとするものはいわゆる国家貿易である、これはガットにおいて許されておる、したがいまして制限し得ることもあり得べし。米については絶対反対。これは私も申し上げてまいりましたが、一応政府の公式的な見解といたしましては、ウルグアイ・ラウンドにおいて各国それぞれ、農産物は大切な問題で、それを集中的に各国間でマルチラテラルで議論するであろう。そういうふうになった場合には日本も、米を含めて農産物を出すことを拒否いたしません。これが今日の日本の立場でございます。
○国務大臣(佐藤隆君) お答えいたします。
 今こういう状況の中で、まず八品目についてやはり日米間でどのような話し合いを詰めていくか、これにも対応の仕方がいろいろございます。しかし、これを今ここで申し上げれば、またそれがどのように解釈されるか、不利、有利を余り言いたくはございませんけれども、ここでの議論はストレートに国際化の中でまた報道をされる、そういうことで慎重を期しておるところでございますが、地域農業に与える影響、悪影響を及ぼさないようにしっかりやらなければならぬ。
 二品目については、今外務大臣からも申されましたが、我が方としては譲るわけにはまいらぬ、アメリカ側にさらに御理解をいただきたいということで真剣な努力を重ねていく、こういうことでございます。
 なおかつ米、牛肉等についてもお触れになりましたが、これは今までの経緯で明らかなように、またあなたが御存じのように、来年度以降どうするかということを詰めなければなりません。そういう意味では、三月末までに一つの結論が出ればなと。しかし、十二品目が取り扱われてきた経緯と、それから牛肉、かんきつ、これの日米間の交渉としての経緯とその次元が違います。しかし、それは何となくやっぱりワンパッケージでいろいろ議論されるのではないか、こういう心配をみんなお持ちになっておるということでおっしゃったのだろうと思います。特にまた米についても、一部報道がございます。私どもはそれを取り立ててコメントする立場にはございません。あえてコメントするとするならば、我々は米の自由化はしない、こういうことははっきりしておるわけでございますし、牛肉、かんきつにつきましては、今まで取り運ばれた経緯にかんがみまして詰めていく、こういうことでございます。
 いずれにしても、先ほども野田さんにお答え申し上げましたように、我が国農業に悪影響を及ぼさないように、なおかつ国際的な経済関係というもの、これは当然のことながら頭に置くのは当たり前でございますが、我が国農業に悪影響を及ぼさないようにということで慎重にも慎重に運んでまいっておるところでございます。
○稲村稔夫君 我が国農業に悪影響を及ぼさないように慎重に事を運んでいただかなければならない、当然なんでありますが、しかし外務大臣、先ほどのお答えの中で、アメリカ側がこれだけ厳しいという状況であればあるほど、お帰りになってすぐの発言というのが私は、そうすると日本はもういよいよこれはあきらめたかな、日本はこれをさらに揺さぶっていけば最後には妥協するんじゃないか、そういう印象を与えたことは否めないだろうと思うんですよね。ですから、その辺のところは私は外務大臣の発言にも極めて重大な責任がある、こんなふうにも思うわけであります。
 そして総理、一月に渡米をされれば今のこの問題は必ず大きな話題になってくるわけでありますから、この二品目についても、ガットの理事会の前に行かれるわけですから、そうすると当然アメリカ側から日本側の譲歩を要求するというようなことになってくるのではないかと思うんです。それまでの間に日本側の対応がきちんとできて二国間の話ができていればいいわけですが、そういうふうに持っていけるのでしょうか。それとも総理、訪米の際にはどういう態度でお臨みになろうとしているのか、この辺のところもぜひお聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる十二品目問題でございますが、ただ整理してみますと、これはガットの場での問題である、しかしガットの場へ持ち出したのは米国である、こういうことでございますので、ガットの理事会、こういうことで総会でそれまでにということになっておるときに、いやその前に日米首脳会談でこれは解決しますとか言うのはやはり発言としては差し控えるべきものじゃないかな、率直にそのように整理をいたしております。
 私のみならず関係方面で今鋭意いろいろ検討がなされておる段階でございますので、その関係方面との調整に基づきまして、私はその時点における私の立場を仮に議題となれば申し上げるとしか、今の段階では言えないのではなかろうかと思います。
○稲村稔夫君 もう私の時間もそうありませんから、あとアメリカの通商法三百一条問題についてどう理解をしておられるか。アメリカ側はこれをしょっちゅうちらちらとさせているわけであります。この三百一条というのは発動の可能性があるということで我が国が苦慮をしているのか、それともそれとは全然別に今ガット交渉というのを頑張っておられるのか、その辺のところをひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(佐藤隆君) そのことについてここでコメントすることは、アメリカ側にどう判断をさせる結果になるか、事慎重に構えなければならぬと思っております。コメントを差し控えさしていただきます。そういうことがあってはならないと思っておるだけに、そう申し上げておきたいと思います。
○稲村稔夫君 国際問題だからなかなか微妙であるからということでありますから、これ以上は伺わない。また結果が出てきて議論ということにさせていただこうと思います。
 そこで、土地問題についてあと若干お伺いをいたしたいと思います。
 これは大蔵大臣にお伺いしたいのでありますけれども、個人の相続税は毎年路線価の評価が行われて、そしてかなり大きな金額の相続税がかかるということがある。これはきのうのNHKでしたかの報道でも、世田谷で五百九十五億円の資産の方なんというのが出ましたけれども、しかし、法人化をされて法人の資産とするとこれは取得価格がその評価の対象になるということで、この辺のところは個人と法人ではかなり大きな格差になるということになるので、この辺はちょっと納得し切れないわけでありますが、土地を法人の資産として相続税の大枚のものを免れるということができる、こういうことになりますとこれは非常に問題ではないだろうか。相続税を見直されるという、そういうことをお考えになっていないかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 相続税は土地の所有権の移転に対してかかるものでございますから、それと法人との関係とおっしゃいますと、仮に法人がずっと土地を持っている、値上がりをしている、それに課税をすべきじゃないかということになっていくかと思いますが、そうしますとそれは法人が持っている限りはいわば所得という観点から申せば実現していない所得ということになりますし、そうではなくて保有という事実にかけるとなればそれは保有課税となるわけですが、その場合には固定資産税あるいは特別保有税がございまして、しかもその税率はやはり保有という事実に対してではあっても、売っていないわけでございますから非常に高い税率で課するわけにはいかないというのが現実であろうと思います。
 したがいまして、仮に今度は極端なことを言いまして、再評価でもするか、再評価税を取るかということになれば、これはシャウプさんが来ました昭和二十五年かに一度やりました、六%。しかしこれは戦後と戦前との物価がインフレで非常に違ったものでございますからやったのであったと記憶いたしますけれども、今そういうこともございませんので、したがってもとへ返りまして稲村委員のおっしゃっていらっしゃるようなことを整理しますと、保有税としての固定資産税等々の課税をもう少しきつくできるかできないかという問題に帰着するのじゃないかと思います。
○稲村稔夫君 いろいろ技術的なあれはあるでしょうけれども、しかし例えば取得した土地を次から次に法人の資産ということにしていけば、そうすれば相続税はかなりの部分を免れることができるという、うまくやれよということを奨励しているようなことにもなるということで、その辺のところは非常に問題だというふうに私は思っております。これはさらに御検討いただきたいというふうに思っております。
 次に、土地の供給、地価の高騰という問題と絡めていつも農地がいろいろと問題になるわけでありますけれども、私は農地に限らず遊休土地というのを生かしていくためには、地主が高度に利用をするという計画を立てたときには、それに対していろいろと融資その他の積極的な援助策を講じて高度利用を誘導するということを行い、もしこれを売るというような場合には、自治体等の公共の先買い権を確立していくというようなことをきちっと強力にしませんと、現在の段階のままではなかなかうまくいかないのではないか、こんなふうに考えるのでありますけれども、その辺は建設大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(越智伊平君) 遊休土地の高度利用は非常に大事な点であります。
 建設省といたしましては、第一点、遊休地を利用して賃貸住宅等を建設する場合には、非常に有利な融資を行っております。今後もまず融資枠の問題、金利の問題等、十分配慮してやってまいりたいと思います。
 また、今の譲渡した場合の税につきましては、今国の機関、地方公共団体等につきましては分離課税をしたらどうか、こういうことで大蔵の方にお願いをしておる段階であります。
○野田哲君 財政、経済、税制の問題を伺いたいと思うんですが、その前にひとつ極めて具体的な生々しい問題で政府の見解を伺っておきたいと思うんです。
 総理、これをちょっと見てください。(資料を手渡す)今総理にお渡しした新聞は、これはブラジルの邦字新聞なんです。見ていただけばわかるように、ここに広告がいっぱい載っているんです。日本で働きたい人募集、こういう趣旨の広告がいっぱい載っているわけですね。これの状態を見ると、この二年間で千人ぐらい、日本から外務省、国際協力事業団のあっせんによってブラジルに移民した人が、生活難に陥って、そこで世帯主が、大体四十歳代の人ですが、日本にまたUターンをして日本で働いている、こういう大きな社会問題があるんです。勝手に行った人ならともかくとして、政府の手を通じて移民をした人なんです。これが向こうで食えない。そして今、日本にUターンをして千人も、向こうに家族を残して働きに来ている、こういう状態があるわけです。
 外務省では、一体この点について実情を把握されているのかどうか、どういう御認識を持っておられるか、まずその点から伺いたいと思うんです。
○国務大臣(宇野宗佑君) 今申されましたような状態が起こっておることは事実でございます。また、そうしたことを取り扱っている機関があるということも事実でございましょう。そうした面に関しましては、我々といたしましてもなお一層事情を把握することに努めたい、かように思いますが、せっかく移民されてUターンというのは、これには並み並みならぬ理由があるということを私たちといたしましても認識をしなくちゃならぬ、かように存じております。
 従来外務省といたしましては、御承知の国際協力事業団、JICAを通じましてそうしたごあっせんを申し上げておりますが、その移民が行かれました後には農業機具等の助成もいたしておりますし、あるいはまた営農指導もしておりますし、学校、病院等々のインフラも十二分に整えるように調査いたしております。言うならばフォローアップは、十分でないかもしれませんがしかし本当に極力やっておるということも事実でございますから、せっかく移民が志を立てて行かれたにもかかわりませず、まあ円高で日本に行けばもっと入るというような方法をあっせんする人があるかもしれませんが、しかしやはり生業ではありません。移民されたならば向こうにおける本業に頑張っていただくというのが本来の筋である、こういうふうな考えに立ちました場合には、私はこの問題は、なお一層調査をいたしまして十二分な、そうした移民の方々の御面倒をさらに見なければならない面は見ていかなければならぬ、かように存じております。
○野田哲君 労働省の方で、こちらへUターンされてどういう状態で働いておられるか調査をされたということを聞いたんですが、どういう実情ですか。
○国務大臣(中村太郎君) 労働省で調査いたしましたのは、ブラジルUターン移民の実態というようなものではございません。実はある個別案件についで調査したわけであります。というのは、神奈川県のある業者が、今言ったブラジルUターン移民を使って事業を行っているということでございましたので、それが昨年成立をいたしました労働者派遣法上問題はないかどうかという判断に立って今調査を実施中でございます。
 したがって、そのこと自体にはまだ結果は出ておりませんけれども、いずれにしても労働省の立場というのは、ブラジルUターン移民といえどもその労働条件あるいは就業条件につきまして不法とかあるいは不正があれば、これはそういうことのないように万全の注意を払っていかなければいけない、こういう立場にあるわけでございます。
○野田哲君 いずれにいたしましても、政府を通じて移民をした人たちが向こうで生活難に陥って、またUターンして日本で家族を残したままで働いている、そういう人たちが千人もいる。これはゆゆしい問題でありますから、向こうでやはり生活が安定するようにぜひひとつ政府の方で適切な施策を講じていただきたい、このことを要請しておきたいと思います。
 財政の問題でありますけれども、宮澤大蔵大臣にお伺いしたいんですが、ドルがいよいよ百三十円を超えて百二十九円、こういう状態になりました。
 そこでまず伺いたいのは、アメリカの財政赤字の削減策。この間やっと議会との間で合意ができた、こういうことでありますけれども、あの削減策、これからあれが本当に実現するのかどうか。そして国際的にどういうインパクトがあるのか。大蔵大臣の御所見、あわせて今の百二十九円という状態になったことについてどういう判断をされているのか、伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日発表になりました米国の十月の貿易収支が百七十六億ドルという、予想よりもそれを上回るよくない結果であったと、クリスマスセールの関係で十月は幾らか悪かろうという予想はあったのでございますが、こんなに悪いということは予想ができなかったということが直接のきっかけでございますが、その前提に、ただいま野田委員の言われましたように、できるはずのアメリカの財政赤字の削減案が議会で難航しておってなかなかできない、市場としてはそれを催促するような形で、不安定な状況であったところへこの問題が起こったということで、大変に我が国にとりましても、今日市場はかなりそれを受けて動揺しておりますので、当然のことながら介入をいたしております。また今回は、ルーブル合意のとおり各国とも協調してそのような対応に出ておるように存じます。
 そこで、財政赤字でございますが、本来十六、七日を目途に作業を進めておるというふうに聞いておるわけでございますが、もう少し、いろいろな事情があるのだと思いますが、多少延びるのであろうか、しかしクリスマスを越すということはない。当局者たちは、必ずこれは議会で立法をしてもらって具体的に結実をするようにすると申しております。
○野田哲君 ルーブル合意、これが実はもう実態としては守られていない、崩れている、これをもう一回再構築する必要があるんじゃないかと思うんです。特にこのドルの急落、こういう問題を見ると。
 それで、C7あるいはG5、これ、開くだの開かないだのいろいろあるんですが、どういうお見込みですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申し上げましたように、市場の乱高下については各国が協調介入をするということがルーブル合意の一つでございますが、それは現に行われておる。それから政策協調ということについては、遅い、少ないという批判はございますけれども、アメリカも財政赤字を減らすということをやろうとしておりますし、西ドイツ等々も金利などでは最近御承知のように引き下げをしたと。我が国はいち早くことしの春以来やっておるわけでございますが、緊急経済対策とかあるいは公定歩合とか。そういう意味で政策協調というのは、不十分という批判はありますかもしれませんがやはり行われておりますから、その二つのルーブル合意は現実に行われつつあって今日なお有効だと思います。
 ただ、先般十月十九日にウォール・ストリートの株の暴落がございました後、アメリカがそのことに非常に気をとられまして、ともかく金をうんと緩めよう、金利を下げるといったような動き方をいたしました数週間、ちょっとルーブル合意はどうなったのかという疑問がございました。今はそういうことで、大統領自身がドルがこれ以上下がるのは困るということでやっておられるんですが、そういう疑問が生じたときもございましたので、アメリカの財政赤字の削減が具体案として決着をいたしましたら、もう一遍各国がルーブル合意を確認するということは有意義なことであるかと存じます。ただ、それをG7というような会合の形を通じてするかどうかということは、年末にもなりますのでまたみんなで相談をいたしてみたいと思っております。
○野田哲君 経企庁長官に伺いますが、今、来年度の経済見通しの策定作業をやっておられる、こういうふうに聞いておりますし、それから新しい経済計画づくりの作業に入られた、こういうことも伺っているわけでありますが、この六十二年度の下期の景気見通し、そして六十三年度の景気見通し、どのように見ておられるのか。
○国務大臣(中尾栄一君) 野田委員にお答えいたします。
 六十二年度の景気の見通しはどうかと。これは私は、日本の場合におきましては非常に安定路線を保っておりまして、雇用の問題あるいは物価の問題あるいはまたインフレ率の問題などは、ほとんどもう全面的に信じていただいていいのではないかというような路線をたどっておりますので、大体三・五%の成長率というものは達成できるであろう。
 しかし、六十三年度までになりまするとこれは予測を許しませんけれども、いずれにしましても、毎年度の経済見通しといいますのは内外経済情勢の変化によって勘案しなければなりません問題だと思います。それだけに関係各省と協議を十分に重ねまして、経済見通しと経済の運営の基本的態度といいましょうか、これを一貫して予算編成と同時に作成させるのが通例でございますから、したがって、現時点では六十三年度の見通しについてはちょっと言いかねる問題ではないかと、このように考えておる次第でございます。
○野田哲君 大蔵省の方で、最近六十二年度の予算編成についての試算をペーパーにして出されている。あれを見ると五%成長ということを仮定されているようですが、大体そういう見込みでいいんですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) あれは、どういうようなフレームになるだろうかということを考えますときに、ちょっと仮に置いてみた数字でございます。実は、経済企画庁の数字を待ちませんと、歳入、殊に税収の計算は正確にはできませんので、それを待っております。
○野田哲君 この試算を見ると、六十五年度赤字国債依存体質からの脱却というのは計画どおり進め得る、こういう見込みになっているわけですが、大体そういうふうな見込みを立てておられるわけですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私としましては、これから予算編成、各省庁との折衝に入りますときに、六十三年度をその第一年度として具体的にその目標を追っていきたい、そういうことを頭に置きまして予算折衝をやらしていただきたいと思っております。
○野田哲君 六十三年度予算の基本的な考え方ですが、六十一年度についても、六十二年度についても、いろいろ経済界からも言われ、私たち野党も主張して、年度の途中で補正を組んでその年の経済見通しをやっと達成していく。ことしもまた予算編成から間もなく、予算が成立した直後にまた六兆五千億の緊急経済対策、これによって内需の拡大を図る、こういう措置がとられたわけですけれども、いつの場合も、これは緊急異例の措置だと、こういうふうに言っておられるわけです。この点で、もう毎年毎年年度の途中で緊急異例の措置ということではなくて、これはやはり継続性を持って内需の拡大を図っていく積極的な意味を持った当初予算を作成されるべきではないか、こういうふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私も同様に考えまして、先般の国会におきましてNTTの売り払い代金を使いまして社会資本整備勘定をつくることを法律でお認めいただきました。したがいまして、六十三年度におきましては今度は、公共投資にはマイナスシーリングをいたしませんので、公共事業費は従来どおり六兆何がしてございますが、それに加えまして一兆三千億円ただいまの勘定をつくりたいと思いますので、そういたしますと大体例年に比べますと公共事業費、一般会計の公共事業関連は二割増になるわけでございます。この制度ができましたので、今後これは必要であればいつでも継続してやってまいりたいと思っております。
○野田哲君 産業界の方を担当される田村通産大臣、いかがでしょうか、その点。
○国務大臣(田村元君) 私はいつも申しておりますが、内需の拡大策というものは政策の継続性があってしかるべきものであります。言うなれば、今為替レートの変動という外圧がどのような形でのしかかってくるかわからない、既に非常に大きくのしかかっておるという事態でございますが、今日本の景気は確かに底がたさがある。しかも景気の二面性があって、非常に円高に対して時節を得たものもあれば、非常に苦しんでおる製造部門もある。そういう状態でありますけれども、しかし今底がたさがあるというのは、財政措置を初めとするもろもろの施策が効果をあらわしておることも多分にございますから、今この継続性を放棄したならばまたもとの姿に戻るであろう。でございますから、私どもは財政当局にも強くこの政策の継続性をお願いしておる次第でございます。
○野田哲君 税制の問題に一言触れておきたいと思うんです。私がこの席で触れなかったら総理は予見を、参議院の社会党は一言も言わなかったと予見を持たれたんではかないませんから。
 大型間接税に対する中曽根総理の見解、これを白紙にして、予見を与えないで次の税制を考えるということ、こういうふうに言われておりますけれども、あの中曽根総理の発言というのは、単なる国会での、予算委員会での総理答弁というよりも、国会が一回中断をして、協議をされて、メモを持って読み上げた見解でありますし、そしてその間に一回選挙が行われているわけでありますから、これはもう国民の間に公約として残っているわけでありますから、私はあれはもう大前提として考えなければならない、この点を強く指摘しておきたいと思います。これは引き続いて次の予算委員会、六十三年度の予算編成の中でもそのことの論争は避けられない、こういうふうに思います。総理の見解を伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) 私が平素お答えしておることを既にお述べになっております。当時の税制論議の中において時の内閣の考え方を国民に明らかにしたものとして重要な意味を持つということは、私はそのとき、統一見解でございますとか、言ったとか言わぬとか、あるいは政府見解でございますとか、総理大臣の答弁でございますとか、同じように重い重い意義を、政治的な意味を持っておるということは常日ごろまた申し上げておるところであります。
 そこで、多段階、包括的、網羅的、普遍的と、こういうことでございますが、字引を引いてみますと、包括的も網羅的も普遍的も、本当は例外なくと、こう書いてあります。が、その話は別として、したがって、その見解に基づいて工夫をして国会に税制改革法案を提出した。それが結局審議未了、すなわち廃案になった。そういうもろもろの経過というものを踏まえて、反省を含め、されば国民の皆様方のコンセンサスは那辺にあるか、これを国会の議論を通じましたり、各方面の意見を聞きながら成案を得ていこうと。だから、前のを白紙にしたと、こういうことも一つの表現上あり得ると思いますが、ちゃんと書いてあるんです。こういうものであった、そしてそれが廃案になったということも書いてある。だから、白紙よりも、黒々と書いてあるものをむしろ根底に置きながら、だからということで国民の各方面の意見を聞いていくという態度が最も謙虚な態度ではないかな、こんな感じも持っております。
 それから、選挙があった、こういう問題でございますが、確かに選挙もございました。その選挙の際に、国民も反対し自民党も反対するような大型間接税はやらないと。それは自民党が反対するようなものがやれる、政策、法律となるわけのものでもございませんが、その言葉の中身を云々しようなどという気持ちはありませんが、選挙ということになりますと、これは憲法七条解散とか六十九条解散とかいう、政治問題としては大変大きな問題でありますので、今ここでその選挙との位置づけについて私が論及していくということは差し控えさしていただきたい、こういうことでございます。
○野田哲君 今の総理の趣旨は私どもとしては了解できないということだけ申し上げて、時間が参りましたので終わります。
○委員長(原文兵衛君) 以上で野田哲君の質疑は終了いたしました。
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時開会
○委員長(原文兵衛君) 予算委員会を再開いたします。
 予算の執行状況に関する調査を議題といたします。
○委員長(原文兵衛君) 午前の野田哲君の質疑に対し、瓦防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。瓦防衛庁長官。
○国務大臣(瓦力君) 本日、野田委員の御発言にありました本年五月八日の参議院予算委員会における矢田部委員の御質問に対し、政府委員が答弁申し上げたことに間違いございません。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) これより増岡康治君の質疑を行います。増岡康治君。
○増岡康治君 まず、総理に政治理念と申しますか、私の考えを若干申し上げまして、また御答弁もいただきたいと思います。
 考えてみますと、十一、二年前に私自身が行政府で建設大臣にお仕えいたしました。そのときに幹部に対する訓示は、大体建設というのは非常にハードなものだ、これにロマンがなければだめじゃないかという非常に強い御指示と、いわゆるいい問題を提起していただいたことが一つと、それから地方の人間がたくさん東京へおいでになるけれども、地方から来る人は非常に勉強しておる、皆頭を下げておるけれども、本省の行政権限に対して頭を下げておるんで、その人間に頭を下げておると思うのは大間違いだよ、だから、仕事が済んだら後は先輩は先輩としてひとつ尊重せにゃいけないというこの二つが、私自身が当時の幹部といたしまして感銘深い気持ちを持っておるわけでございます。この発想がずっと今日このふるさと創生論にまで発展されたかなという、私は当時のことを思いながら今総理にこういう質問させていただくことにつきまして、ひとしおの実は感慨を持っておる一人でございます。
 そういうことで、今日のふるさと創生論はきのうきょうのものではない、私はそう思っておりますが、この中で総理がおっしゃるのは、コンセンサスということを非常に前からおっしゃっております。合意形成という、コンセンサスというのは非常に時間がかかり、大変な手法なのでございますが、しかしこれを乗り越えないと何一つ政策が進まない、こういうことであろうと私どもも思っておりますし、みずからが国民の方を信頼していらっしゃる一つの大きな自信もおありだというようなことを私は感じております。
 特にきょうお伺いしたいのは、こういうコンセンサス問題で物事を判断していかれる手法というものはこれは当たり前のことでございますけれども、もう一つ大切なことは、総理がふるさと論に申されておりますように、いわゆる新しい一つのコンセプトといいますか、概念の一つの確立といいますか、創立がないと新しい時代に立ち向かっていけないという、新しい概念の確立ということが、今回私も土地委員会でいろいろな勉強させていただきまして、特にそういう一つの土地をもちましてもやはり社会通念を超えた新しい概念を確立しなければいけないなという気が私はひしひしとしたわけでございます。また新しい税をおつくりになる場合あるいは海外に臨む場合、いろいろな問題につきまして新しい概念をこれからつくっていってほしい。そうしなければ国際的に立ち向かえないじゃないかなということで、私はこの言葉が非常に今後大きな理念として浮かぶような気がしますものですから、この概念の確立というものが政治には一番大切だとお書きになっていますが、この辺で総理のお考えをひとつお聞きすることから出発させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○国務大臣(竹下登君) 建設省で一緒にお仕事をしましたのは昭和五十一年でございます。時の河川局長さんから御質問を賜りまして、御答弁をする機会、大変喜んでおります。
 私があのとき申しましたのは、要するに、一つには、建設行政というのは大変ハードなものだから、そこにロマンがなければならぬ。道路一つ考えてみても、ただ産地から消費地へ運ぶだけの道であってはならなくて、むしろ過密に悩む諸君がその道路を通って自然に楽しんでいくという、そういう逆なロマンがなきゃならぬと、こんなことを申しました。それから、建設省というのは陳情の多い役所であるが、いやしくも国家公務員たる者、地方公務員に対し優越感を感じてはならぬ。むしろ自分たちの方よりより詳しい人であるという姿勢で対応すべきであるという、二つのことを申し上げたことを覚えております。
 したがって、今日の日本がここまできたというのは、やっぱり国民の英知と努力というのが何よりも最大に評価されるべきものである。自由民主党がすばらしかったからなどということをつゆ思ってはいけない。野党の提言も絶えず、すばらしいこともあれば、これを大体三年ぐらい後に取り上げれば非常にうまくいくというようなお話もかつてしたことがあったわけでございます。私自身そういうことを思いながら、しかし絶えず食うに精いっぱいの時代から、あるいは前進の時代、そうして繁栄の時代、そうして不確実性の時代、あるいは国際化への時代と進んでいく中で、一つ一つ物に対する考え方というのはそれなりの変化というものが生じてくる。
 先ほど土地を例に御議論がありましたが、土地というものは私ども生まれながらにしてと申しますか、古い時代から一つの固定観念でもって、憲法二十九条を否定する考えはございませんが、財産権を侵してはならないとか、それから旧憲法は「所有権ヲ侵サル・コトナシ」ですか、そんなような言葉がございました。しかし社会、公共の問題に対してその位置づけが変わっていくというような問題を絶えず政治家として意識をしていなきゃならぬというようなことを常日ごろ申し上げておるということが、あるいは今御指摘のコンセプトということに当たるのではなかろうかというふうに考えます。
○増岡康治君 そういう姿であらゆるまた政策に誠実なる実行を心からお願いを申し上げる次第でございます。
 早速でございますが、これから外交問題について若干御質問いたしたいと思っております。
 前内閣の中曽根総理は、国際国家日本という言葉をお使いになりまして、今度竹下新総理は、世界に貢献する日本、こういうようなお言葉でございます。いずれもそのとおりだと私ども思っておりますけれども、この揺れ動く国際情勢の中で、今回の米ソのサミットというものは大変な大きな問題として、私どもすべて朝から晩までテレビに吸いつくような感じでおる。新聞その他にも一生懸命目を通すという事態であったと思います。それだけに、長年の懸案であったINFの全廃を一つの前提にして核軍縮の一歩を踏み出した。それが三%、四%、そういう問題がありましょうけれども、そういうものでなしに、こういう問題について調印が行われたということは非常に私ども評価を申し上げております。
 私自身も、田村通産大臣はみずから被爆手帳ですか、原爆手帳ですか、お持ちでございましょうが、私は広島の生まれ、市の生まれでございますだけに、核軍縮というものに対しては非常に期待を持っておる一人でございますので、核軍縮が一歩でも前へ進むということはこれは本当にうれしい限りであるわけでございます。そういう意味で、世界の平和というものはこのレベルダウンというのが一番大きなことだと思っております。
 総理は、この事態を今後どういうようにお考えになり、また次はどういうようなことをお考えになっておるか。いずれにせよ、この問題を中心にして、今度訪米なさるときもこういう問題があわせて出ようかと思いますし、日本の立場の表明もございましょうが、まず総理にこの受けとめ方を、簡単で結構でございますが、御披瀝をしていただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) まず、米ソ首脳会談においてINF条約が署名され、交渉開始以来米国が提案し、我が国が主張してきたINFのグローバルな全廃が実現されることになったことを、これは御指摘のとおり心から歓迎すべきものである。特にウィリアムズバーグ・サミットのときに軍縮問題が議論されたときに、西側一体という背景において初めでこのことが進んでいくものだという趣旨の合意がなされたことを私も思い出しております。
 そこで、お気持ちの上で、今考えてみたらそういう記念すべき日でございますから、午前中の野田さんも増岡さんもともに広島県ということであるなと今感じたわけでございます。が、本当に広島、長崎という体験、もとよりのことでございますが、やっぱりみんながよかったなと、こういう気持ちになったと同時に、頭の中をぐるぐるっと回ったものは、ああ、それで本当に戦略核の問題、これどれだけ影響するのか、さらに地域紛争の問題、通常兵力の問題、こういうことがだれしも頭をぐるぐるっと回ったんじゃないか。したがって、やはりそういうところにこれが発展していくための大きな第一歩であったというふうに、今も、また後世もそういう位置づけにきょうの日がなりたいものだなと、こんな気持ちでございます。
 米国からもソ連からも今度の交渉について近々知らしていただけるようになっておるようでございますが、機会を通じて私どもも今言ったようなことに進んでいくことを期待して、また協力していきたいものだというふうに考えております。
○増岡康治君 おっしゃるとおりだと思います。核軍縮といいますか、単なる軍縮でなしにいわゆる核軍縮というものに対しましては、やはり世界の軍縮会議にもどんどんと日本も出ておいでになりましてこれから――西側に属するものの、この問題については随分と日本も働いてきたと思うんです、非常にこの核軍縮については日本もその一員として働いてきたという一つの成果もあるんではなかろうかと思っております。
 しかし、このような中におきましても、今総理がおっしゃいましたように、いろいろな問題がまだたくさん残っておる中でございますが、核の戦力の削減から新たに米ソは軍備管理というような言葉に置きかえられるぐらいお互いで監視し合うというようなことになったということでございまして、こう見ると、新しいデタント時代が来たのかなという一つの希望を持ちながらも、総理がおっしゃるように、いやまだまだこんなものでいいのかな、こういう非常に、どう言いますか冷静な見方もしなければいけないな、こういうふうに私どもは思っております。
 特に極東、いわゆる極東の日本でございまして、極東は極東らしい一つの雰囲気がございますし、NATOにはNATOの一つのシステムがございましょう。若干違います。そういうようなことを考えてみますと、そうこの問題が直ちに雪解けになったなと、こういうような感じはありますけれども、本当に解けるかなという疑問もございます。やはり現在の実際の国際政治というものは、力の均衡と核の抑止力というものがまだ厳然としてあるような気がしますし、片やこれをレベルを落としてほしいという両方の念願が実はあるわけでございます。そういう意味で、緊張緩和したという楽観的な見方は、私はまだまだこれはゆっくり見なければいけないなという感じがしております。今度は第四回目として米側からソ連へ行かれるような事態がございましょうが、やはりその成り行きをしっかりひとつ見守りながら考えなければいけない問題だなと思っております。
 特に、いわゆるアジアにおける日本ということを考えますと、この日本というものが今日まで四十二年にわたる平和ということを考えできますと、本当に何がゆえに平和であったかなという根底を探っていきますと、そこには日米安保条約というものが厳然として動いてきた、この効果的な運用というものをどうしても頭に、一番根本に置かにゃいけない。そういうことになりますと、私どもは、きょうも議論がございましたけれども、やはり節度ある防衛力の整備というものを片時も頭の中から離してはいけないんではなかろうかという気がいたします。
 こういう考え方につきまして、総理はいかがでございましょうか。
○国務大臣(竹下登君) これは考え方は大きな差異があるわけではございません。そういう本当に私どもの頭を横切ります、戦略核とかNATOのお話もありましたが、NATOにおけるまさに通常兵力のこれだけの大きな差がある問題でありますとか、あるいはアフガン問題でございますとか、そういうことを考えてみますと、いずれそういうものの方向へ進んでいく一歩であるという認識、そして後世、あれが第一歩でこうなったなということを世界の国民が言うような時代というものを、望ましいという理念の上に立ちつつも現実は確かに力の均衡の上に平和が存在しておる。
 そうすると、軍縮というものの現実を見てみますと、これからは、例えば戦略核一つとりましてもその数をできるだけ、あるいは軍備そのものはすべて可能な限り低い状態で、しかしながらそれなりのバランスというものがないことには、バランスが欠けた場合にまた緊張状態が起こるという、そうした現実というものを踏まえていかなきゃならぬ。したがってそこには、我が国は安保条約という御説がありましたが、安保体制の中にあって果たすべきいわゆる必要最小限のものを整えていかなきゃいかぬというのもまさに現実の問題であるというふうに考えております。
○増岡康治君 防衛庁の政府委員で結構でございますが、御承知のように、ソ連機の沖縄島の領空侵犯についての事実だけをひとつ簡単明瞭にお願いします。
○政府委員(西廣整輝君) お答えいたします。
 一昨日の午前十一時過ぎでございますが、沖縄本島の南方から識別不明の航空機が近づいてくるということで、レーダーサイトがそれを発見いたしまして、直ちに要撃戦闘機の緊急発進をさせると同時に、無線で、そのまま直進すると日本の領空に入るから進路を変えなさいという警告をしたわけであります。しかし、当該機はどんどん近づいてまいりまして、こちらのスクランブルで上がった航空機が目視できる状況まで近づいてみたところ、TU16バジャーという航空壕を改装した電子戦用の航空機、いわゆる電子偵察なり電子妨害をやる航空機であるということがわかりました。
 当該航空機に対しまして、レーダーサイト及び戦闘機の方から、このまま入ると日本領空に入るから進路を変えるということを再三再四警告しましたけれども、そのまま直進してだんだん中へ入ってきた。さらに沖縄本島上空まで入る状況になりましたので、通信及び翼を振ります国際的な慣行になっております動作で知らせる、さらには信号弾を用いて警告を発しましたけれども、なおかつ我が方の制となりに従わず、そのまま沖縄本島の主たる市街があります那覇市、あるいは米軍の基地、我が方の基地等のあります沖縄南部をほぼ縦断するような形で通過いたしまして、一たん太平洋上の公海に出て、さらにまた徳之島と沖永良部島の間の日本の領空を通過して飛び去ったというのが実態であります。
 本件に関しましては、我が方の再三再四の警告、制止にもかかわらず、しかも意図的と思えるような蛇行した格好で沖縄本島を通過しているというような状況でありますので、この事実を資料を集めまして外務省の方に連絡いたしまして、厳重に抗議をするようにお願いをした次第であります。
 その後の外交折衝の経過は外務省からお答えがあると思いますが、いずれにいたしましても、私どもとしましては、現在の国際慣行で許されている範囲内、そしてまた航空自衛隊の領空侵犯措置のでき得る範囲のすべてのことをやりましたけれども、残念ながら未然に領空侵犯を阻止することができず、また強制着陸もさせることができなかったということはまことに残念であり、申しわけなく思っておる次第であります。
○増岡康治君 以上のとおりでございます。
 しかしながら、ワシントンでは雪解けかなと思っておれば、こちらからは氷水を頭からぶっかけるようなものが同時並行したということは、それは偶然かもしれませんが、やはり極東というものは極東としての問題がいろいろあるなと思っております。
 今回防衛庁がとられた処置は私も正しいと思いますけれども、そういうことに関連して、極東の安全ということについて、防衛庁長官、何か一言ありましたらつけ加えていただきたい。今後こういうことに対してはどうするかということ、これは外務大臣のシェアかもしれませんが、両方だと思いますけれども、まず防衛庁長官に。さらに、防衛に対しての理念といいますか、理念というよりは、今までのいろいろな現実をわきまえての御所感をひとつお願いしたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 増岡委員からただいまお述べのように、INF全廃条約に調印を見たということは極めて喜ばしいことでございますが、一方におきまして厳しい冷厳な現実があるわけでございます。我が国といたしましては、国土の防衛、また国民の生活を守る、平和を維持する、かような考え方から、最小限の防衛、その体制はとらなきゃならぬ、こういうことで、中期防を通じてもその努力をいたしておるところでございます。
 なお、こうした雪解けと言われる機運の中で御指摘のようにソ連機による領空侵犯が行われた。数えてみますと二十回に及ぶわけでございますし、また本土上空を通過するという事件は四件あったわけでございますが、今回のように大胆に本土の沖縄上空を通過するというような事件が生じたわけでございまして、これも極めて厳しい現実と、かように受けとめておるわけでございます。
 さような意味合いにおきましても、我が国の防衛政策を進める一方におきまして、近隣諸国にも我が国防衛の位置づけをまた理解をいただく努力をしながら、御指摘のように極東の平和、安全に寄与する努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
○増岡康治君 防衛庁におかれましては直ちに外務省の方へ御連絡されて、直ちに外務省から抗議を申されて、しかももう陳謝が来たということをテレビ等で聞いております。こういうときは拙速をとうとびまして、今後ともありそうなことでございますので、外務省の方もこれから機敏な御行動を御希望いたしておきます。
 次に、日米関係の問題でございます。総理もまた来春おいでになりますが、今回はたくさんの問題が重なりました。我々も今日の繁栄というものに対する米国側の恩は一つも忘れてはおりません。いろいろな面で我々も真剣に対応していかなければいけないことはわかっております。しかしながら、今日の動きというものはいろんな面で保護主義に動きそうな、貿易問題にまた移りそうないろんな問題を今たくさん実は抱えております。
 農産物の問題は、既に本会議等における佐藤農水大臣のお話で皆わかっております。本当に一生懸命に頑張っておる。国内の地域の問題であろうとも、日本の農業に失望を与えないで頑張るという中においての一つの市場開放は、やはり国際的な立場からやらなければいけない。本当に苦しいお立場でございましょう。あるいは建設産業におきましても市場の開放が求められておるという問題。こういう個別問題も含めまして、安全保障面でもまたいろんな問題がございましょう。けさございました在日米軍負担問題も、いろいろ大きい問題があります。
 訪米に当たって、地球ふるさと論というように総理もおっしゃっておりますが、ひとつヒューマニティーを原点にされまして、日本はやるだけやった。私はことしのいわゆる緊急経済対策、これほど立派に約束を守った国はないというような感じがしますので、そういう面の強調もされながら頑張ってほしいという意味で、訪米に当たって、まだこれから各省各大臣といろいろ
お話しになるのだろうと思いますけれども、その前に、お話ができる範囲で結構でございますが、心構えだけをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 日米関係は我が国外交の基軸であります。したがって政府の最優先事項として取り組んでいく、こういうようなことは所信表明等でも申し上げたとおりでございます。一月に予定されております日米首脳会談というものは、私にとっては内閣総理大臣としては初めてのレーガン大統領との首脳会談、こういうことになるわけでございます。したがって、個人的信頼関係をより一層確立するとともに、本当に胸襟を開いて、日米関係にかかわるいろいろ御指摘のありました問題等、あるいは直接間接を問わず胸襟を開いた会談を行って実りあるものにしたいというふうに考えておるところであります。
 私にとりましても、過去サミットでは四回お会いしたということになっておりますものの、アメリカへ行くたびにお会いいたしておりますが、私がいわば大蔵大臣としての分野の仕事だけを抱えてお会いしておりますだけに、これから初めてのことでございますので、より一層個人的友好を深めると同時に、胸襟を開いた忌憚のない日米関係の問題等について話し合いをしたい、このように考えております。
○増岡康治君 しっかりひとつ特色を発揮されましてお願いを申し上げたいと思っております。
 アジア外交とはいいますものの、総理におかれては、直ちに来週になりますとマニラにおいでになるようでございまして、設立二十周年を迎えるASEANサミット、首脳会議ということでございます。最初にフィリピンを訪問されるということは、所信表明でもございますように、非常にアジアを重視されている姿勢というものを内外にお示しになった、時宜を得たものと私どもも思っておるわけでございます。
 既にこれは新聞等でも出ておりますが、演説の中にいろいろとこういうものも盛り込みたいなと、こういうようなところも漏れ承っております。経済大国と言われる日本はやはりアジアに対して何かを貢献しなきゃいけない、特に開発途上国に対しては何かやらなきゃいけない、こういう気持ちはだれしも持っておるわけでございます。ODAの予算の倍増目標二年繰り上げ等を既に御発表なさったわけでございまして、さらに緊急経済対策でも二百億ドル以上の資金還流措置を講ずる、こういうようなことをどんどんとなされておりますが、向こうへ行くとさらに何かしてくれという要望がいろいろ出るのではなかろうか、そういうような気がしております。
 これについて、ASEAN会議に対します、総理のおいでになる心構えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 我が国は、アジア・太平洋地域の安定と発展への今までASEANの果たされた貢献というものを高く評価してきております。そして、今度はASEAN域外国としては我が国だけがお招きをいただいておるわけでございますから、私どもそのことに対しては大変喜びを感じておるわけです。私がお招きいただいたのじゃなく日本国の首脳がお招きいただいたわけでありますから、これは大変評価するところであります。
 したがって、私ども今いろいろなことも各段階で準備もしておりますが、御承知のとおり、人口から見ましても一億六千万のインドネシアからまた二十数万のブルネイまで、こういういろんな変化もございます。一人当たり所得ということになるとまた逆に大変な相違がある。そういう状態でございますけれども、いわばまさにこの連帯というもの、今日世界の人口の五七・六%を持っておるアジアの平和と安定にASEANの皆さん方が果たされた努力というものは評価しなきゃならぬ。したがって、御指摘のありましたとおり、経済協力等において真にそれが実効の上がる経済協力が実施されていくことをこいねがいますと同時に、新たに特に民間部門に対するインセンティブを与えるためのいろんな施策というものも、その国々のニーズに対応して行っていかなきゃならぬ。と同時に、単なる産業協力にとどまることなく、歴史とか文化とかあるいは諸般の交流によりましてできていきますところの人間関係、あるいは留学生等人材育成、そういう点についても幅広い意見交換をし、その中で果たし得る役割というものを果たす覚悟でまいろうというふうに考えておるところであります。
○増岡康治君 結構なお話でございまして、そのとおりだと思います。
 これはちょっと私の思いつきかもしれませんが、外務大臣、開発途上国といいますか、日本はいろんな援助をされて今日までやっておるのは私知っておりますし、今度行ってもまたいろんなことをなさると思います。そういう中で、世界にひとつ何か、日本はこういう平和の国、世界に貢献する国だということを示すために、開発途上国に対して、今総理がおっしゃる文化でも経済でも技術でも何でも、いろいろな面で今後やっていくのだという姿勢、そういう包括的な理念を盛り込んだ基本法みたいなものがありますと、これはずっと将来、私どもはアジアの先頭を切る日本ですから、こういう状態が相当続くと思います。日本はそういうところには思い切って金を持っていくのが日本の一つの役割じゃないかというような感じがずっと私の頭に残っておりますので、何か総括的なそういうものがあればいいがなというような気がするんです。
 これは非常に思いつきで申しわけありませんけれども、外務大臣の御意見を例えればありがたいんですが。
○国務大臣(宇野宗佑君) 大変日本の国際協力に対する御理解あるお考え方であろうと私は考えます。現在も、ODAを第三期の中期目標を定めてやっております。あるいは総理も再三おっしゃっておりまするとおり、二百億ドルでございますが、特にアジアに対しましては二十億ドル以上ということで、その計画もやっております。しかしながら、それだけではやはり、日本は金持ちだから当然じゃないかというふうな批判もございましょう。
 したがいまして、基本法はどうかというふうなお考え方であろうと思いましょうが、現在のところは我々といたしましては、政府にもそれぞれ、外務省はもちろんのこと、大蔵省そのほかの省でも設置法の範囲内で十分各国に対する配慮がなされておると思いますし、あるいはそのほかの附属機関等々を考えましても法令の範囲内で十分今活躍している。だから、今直ちにそうした基本法の必要性はどうかと私も思いますが、これは長い将来にわたりまして一応御意見は尊重しておきたいと思います。
○増岡康治君 一つの検討事項としてお願い申し上げたいと思います。
 これから経済の問題でひとつ経企庁長官にお願いしたいのでございますが、株価暴落に始まっていわゆるドル安、為替の問題もありましょうが、全体を見まして、いつもアメリカがどうなっておるのかという質問にぶつかるわけです。日本から見たアメリカ経済というのはどういうような見方をされておりますでしょうか。これが非常に日本に影響がございますので、そういう問題が一点。それからアメリカの双子の問題、財政、貿易の問題というのがございますが、日本に与える一つの影響といいますか、こういうものに対しても触れていただければありがたいと思います。経企庁長官よろしくお願いします。
○国務大臣(中尾栄一君) 増岡委員にお答えさしていただきます。
 包括的に今のアメリカの財政の状況をどのようにとらえて、どのようになっていくのか、あるいはまたそれによって日本にどのようなインパクトを与えているのかというような御指摘かと思います。
 アメリカの赤字財政そのものは、一九八〇年代に入って急に拡大をしていったことはもう御案内のとおりでございまして、一九八五年の十月から一九八六年の九月、すなわち一九八六年度には二千二百十一億ドルというものに達したわけでございます。一九八七年には一千四百八十億ドルに縮小したというわけでございますが、これは税制改革による一時的な税収入によるところが大きくございまして、依然高水準であることは論をまたないわけでございます。しかし、八八、八九年度の財政赤字については、議会並びに大統領の間においてこの間、実に切実なる世界の思いを秘めて先般赤字削減の基本的な合意がなされたということにされておりまして、これについては着実に実施されてほしいし、またしていただかなければ、私どもの国を含めて大変憂慮する国々が多い、このように考えておるわけでございます。
 さて、二番目の御質問といたしましては、特に日本に与える影響はどんな影響があるのかという御指摘かと思いますが、株価の下落が御案内のとおり十月の十九日、魔の十九日と言われている言葉もございますように、大暴落をアメリカは喫しました。当然のことながら、財政赤字の問題あるいはまた貿易収支の問題という双子の赤字というものの要因から来るものとは思われますけれども、しかし、株価の下落の日本経済に与える影響につきまして、一般論で言いますれば、これまでの消費に好影響を与えてきた株高の効果というものはある程度剥落をされた、これは否めない事実でございますし、また景気回復感に対してもある意味における水を差す可能性はあったなということは、これまた論をまたないことでございます。しかし、我が国におきましてはその程度の問題はさしたるものではないと私は思っておるのでございます。
 他方、労働需給の改善や所得税の減税の実施等、個人消費はこれまた今後も堅調に推移するものと間違いなく考えております。本日多少ちょっと百二十円台になったということでございますこの円相場の動向については、深甚なる関心を持っておるところであることも付加して申し上げておきたいと思う次第でございます。
 以上でございます。
○増岡康治君 ありがとうございました。
 既に大蔵大臣におかれてはこのルーブル合意を非常に今まで一生懸命におやりになって、日本は確実に実行されておることも十分知っておりますが、為替安定でまたG5、G7をやらにゃいかぬかな、年内か来年かなとおっしゃっておるのはよくわかります。そういうことで、もう既に円の安定対策につきましてはよくわかっておりますので、いつ出かけていかれるか、もう日銀もどんどんこの為替の問題については介入されているように御発言がございましたのでよろしゅうございますが、どうかひとつ的確な時期に積極的にやっていただいて、為替安定に努力していただきたいと思っております。要望にとどめます。
 時間が少ないので先に進ませていただきますが、次に通産大臣にお願い申し上げたいんですが、御承知のとおり、内需振興六兆円と言われたものが非常に着々と進んだおかげと低金利誘導策がありまして、非常に実は格好がいいんです。今の新聞紙上に、景気が上がったどうのこうの、第二・四半期はもう年率にすると八・四%というような記事も出ております。しかしながら、本当にそうであろうかなというような感じがしております。そういう意味で、まだまだこれから産業構造の一つの転換は、あるいは調整と言った方がいいかもしれませんが、非常にこれは苦痛を伴う問題でございますけれども、どういう進捗にあるのか。行き先まだまだ不安だ、このままただほうっておけばもうひとりでに構造調整は進むよと、そういう感じなのか。やっぱり不況業種、不況地域を目で見ておるものですから、これはほうっておけないという気がある意味で申し上げておるわけですが、こういう問題に対して一つ。
 それからもう一つ私が問いたいのは、円高メリットに対して非常に大臣は事務当局に強い浸透方策を指示されて、いろいろ地方を動かしておられますが、そういう効果はどうなったか。こういう意味で、簡単で結構でございますからひとつ教えていただきたいと思います。
○国務大臣(田村元君) 産業構造調整でございますけれども、昨年五月に決定されました経済構造調整推進要綱などに沿いまして、産業構造転換円滑化臨時措置法の制定を初めとして各般の施策を講じております。この結果、最近の経済情勢を見ますと、対外不均衡の縮小傾向、それから内需主導型経済成長への転換など、構造調整は少なくとも着実に推進しておるであろうというふうに私は考えております。
 ただ、今おっしゃったように、為替レートの変動やあるいは対外不均衡が依然として大きゅうございます。また、構造調整の推進に伴う地域雇用問題もまだ深刻な状況であると認識しております。このために、今後とも産業活力を維持しながら内需主導型経済成長を定着させていきたい。そして、対外不均衡の是正や国民生活の質の向上に向けて構造調整を進めて、国際的に調和のとれた姿に持っていきたい。総じて着々と進んでおるということが言えると思います。
 それから円高メリットでございますけれども、これはもうどんどんとでき得る限りの還元をいたしております。既に御承知と思いますが、例えば電力、ガスだけでも本年一年で二兆円強の還元でございます。これは平均的な夫婦子供二人のサラリーマン家庭でも年間二万五千円ぐらいの還元になりましょう。大きな規模の減税に匹敵するんじゃないかと思いますが、これだけ為替レートが変動してまいりますと、あながちこうということがなかなか言いにくい統計上の問題がございますけれども、大体二十五兆円ぐらいと見ております。これは企画庁もそういうほぼ似た算定をしておりますが、七割そこそこまでは還元をしておるんじゃなかろうか。また、電力、ガスもいよいよ一月元旦からということになりますので、その査定を今急いでおります。近々決断したいと思います。
 それから、大変お急ぎのときに恐縮ですが、先ほど私の名前が出ましたので、ちょっと増岡君に同病お互いに励まし合う気持ちで申し上げたいと思います。
 私は、今度の米ソの合意、心から拍手を送りました。我々被爆者がどんな気持ちで生活をしておるか。私はいつも被爆者手帳を持って歩いております。そうして、何か事あるごとに調べてもらってはこういうふうに書き込んでもらっている。レントゲン写真一枚撮るにもおびえる。そして、子供や孫にはこのような悲しみを絶対に味わわすまいといつも心に誓っております。お互いそういうことで、このような気持ちを大切に今後も持ち続けて政治家として歩みたい、このように思います。
○増岡康治君 本当にありがたいお話を伺いまして、一緒に頑張りたいと思います。
 それで、今度労働大臣にひとつお願い申し上げたいのでございますが、我が党の政調におかれては、緊急雇用対策特別委員会で既にげさ「新たな構造転換雇用対策の推進」ということで、産業、地域、高齢者と、こういう三つの雇用問題についてまだまだ問題があるよという問題がずっと議論されております。地方歩きの多い私には非常によくわかるわけでございます。したがって、こういうような問題が、法制の延長の問題だとか、それから助成の問題、いろいろまだございますが、このミスマッチ問題等も含めまして、お困りになっておる地域が非常に限られてまいっておりますが、これに対して労働大臣といたされて、雇用対策いかにあるべきか、現状とこれからの方策をひとつ伺いたいと思います。簡単で結構でございます。
○国務大臣(中村太郎君) お説のように、ただいまの雇用、失業情勢は全体として挑むれば改善の方向にあります。しかし、一皮むいて中に入りますると、おっしゃったように地域あるいは構造不況業種を抱えた地域、それから業種間、産業間、さらに高齢者、この雇用の面では極めて厳しい状態が依然として続いておるわけでございます。今通産大臣も言われましたけれども、これからの構造改革、転換、これらをあわせ考えますると決して楽観を許さないというふうに考えておりまして、これが労働行政に課せられた喫緊の課題であろうというふうに考えております。
 そこで、何にいたしましてもこの面の充実強化を図っていかなきゃなりませんが、仰せられましたように、今朝自民党の方から、産業・地域・高齢者雇用プロジェクトという提案がありました。極めで時宜を得た提案でございますし、私どもとしましては、せっかくの御提案でございますし、これの中身の具体化に向かって積極的に進めていかなきゃいけないと思っておるわけでございます。その一環としまして、御提案がありました不況業種法の改正につきましても、労働省としましては、来年度この期限を延長しまして、しかも一部中身の強化をする意味で改正も行いたいというふうに考えておるわけでございまして、いずれにいたしましても、労働省の重要施策の一端でございますので、全力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
○増岡康治君 雇用関係はそういうことがわかりました。
 今度は建設大臣にひとつお願いしたいんですけれども、ことしの景気対策を考える上に非常にGNPの中の大きな比率を占める住宅関係について、ことしは百七十万じゃないか、もうほうっておいていいじゃないかというようなうわさも出る。いや百八十万だろうというような話も出る。こういうようなことがいろいろ世の中にあります。非常にいい施策が打たれた結果こういうことになったと思いますけれども、しかし私自身考える一つの大きなものは、非常に駆け込みが多かった。非常に土地高騰がまた全国に広がりまして、今早いうちに何か手を打たないとという焦りが一割以上あるというような話を私も聞いておりますし、それからもう住宅価格というものと所得の乖離がだんだん広がってくるとか、あるいは賃貸住宅投資がだんだん減ってくるとか、いろんな問題が行く先考えてみると、必ず上がったときには何か悪いことが起こるという傾向が歴史上あるわけでありまして、ここでふんどしを引き締めて、この大きな国民の夢である住宅政策を落とさないようにどうしたらいいか、この辺の決意をひとつ伺いたいと思います。
○国務大臣(越智伊平君) お説のとおり、住宅着工件数は非常に順調に進んでまいりました。百七十万戸に迫ろうか、こう言っておりましたが、最近陰りを見せておるのは事実でございます。いろいろ問題点はあると思いますが、一番大きい問題はやはり所得と取得価格の差である、かように思います。こうした点から、六十三年度はぜひとも今のよりできるだけ落とさないようにいたしたい、かように思います。
 そういった点から、住宅取得の税制、これを充実いたしまして、今財政当局に要望をいたしておりますが、税制それからもう一つは融資の問題、これを拡充してまいりたい、かように思います。また、用地の問題、敷地の問題、宅地の問題もございますので、この点についても、特に東京都を中心とした大都市、これは宅地がもう大変でありますので、この点についても、宅地を供給してもらう、その税制、譲渡益税制についても要望をいたしておる。こういう点で、着工件数が下らないように努力をしていきたい、かように思う次第であります。
○増岡康治君 ひとつよろしくお願い申し上げたいと思っております。
 一般公共事業は、先ほど大蔵大臣もおっしゃいましたけれども、また来年も当初のこの補正後のやつを守っていこうじゃないかと、非常にありがたいお話をもう既に概算要求のときにお決めいただいたということで、この問題は全国にいく。住宅は割合と都市型でございますが、一般公共事業というのはもう山村の隅々までいくという点において非常に幅広い一つの効果があろうと思っております。そういう意味で、二つ合わせての内需への寄与度というものは非常に大きい。GNPの半分ぐらいはそれでやっていくというような計算も出ておりますだけに、やはり内需の立場からもこれを持続していってほしいというのが、今までの不況業種、地域もあわせて、あるいは海外の経済状況をにらんだ上でいろいろな総合的な結論として、私どもは、この内需の問題というのは構造改革の一つの大きな今手段になっておる、社会資本とは別な意味でこれが大きな役目を果たしておると思います。
 こういうことで、既に大蔵大臣にはそのお話を聞きましたので、今度総理にこの内需の持続的な拡大についてひとつお考えをいただきたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 既に大蔵大臣からもお答えがあっておりますように、また本委員会においてもいろいろ議論がなされておりますが、私が長らく大蔵大臣を務めさせていただいておる間は、言ってみれば財政改革路線、こういうものではなかったかと思うのであります。しかしながら、行財政改革の果実が生まれた。それは何か。やっぱり一番代表的なものはNTT株の売り払い代金、こういうことではなかろうか。したがって、行財政改革の骨組みの一つでありますところのいわゆる経常経費部門については、依然として厳しいシーリングを概算要求基準においても行わせていただいておる。しかし、ああしたニーズに基づいて、また行政改革の果実を使って大きな補正予算というものが編成され、それが今実効を上げておる。したがって、これが単なる単発的なもので終わってはならぬということで、御説のように、当初比で二〇%というものが既に概算要求基準として出されておるということが内需振興の一つの大きな柱であろうというふうに思います。
 そしてそのほかには、もとより民間活力の活用でございますとかあるいは規制緩和の問題でございますとか、さらには市場開放の問題でありますとか、あるいは最近また新しい問題として御議論いただきました時短の問題、あるいは最近労働連動の世界でも再編成ができまして労使協調によるところのまさに時短問題等も議論されるでありましょうし、それらが総合して内需型予算への大きな転換の方向を歩み出していくのではなかろうか、このように考えております。
○増岡康治君 もう既に総理からもお話が出ましたので、この財政問題につきましては、ことしは相当税収入がある、既にことしの第二次補正もこうだとか、あるいは来年ぐらいはもうこの程度しょうとかいう、大体新聞記事に出ておりますので略します。しかしながら、今までは内需のために公共事業等をやるんでなしに、NTTのおかげでございますけれども、非常にふえたということが本当のふるさとづくりに、従来以上に市町村の皆さん方、地方の方が元気が出てきた。これを一つの土台にして何かをやろうじゃないか、村づくりをやろうという元気が非常にことし見受けられることでございまして、やはり社会資本の一つのインパクトというものはみんなをそういうように持っていくものだなという非常に強い問題がございますので、ひとつ来年度の予算要求に当たりましても、従来のように一五カ年計画は満足に済んだものは一つもないんです、最近は。みんな七十何%で終わっている。道路ぐらいがまあようやくかなというぐらいでございます。来年は道路予算の第十次も控えておりますだけに、単なる景気対策でなしに、社会資本の蓄積を本当に今みんなが望んでいるということを私は強調したかったわけでございます。
 そういうことで、財政の方もおかげさまでそういうもので、今までの長い長い間の行財政改革がこんなものに実ってこようとは私実は思っていなかったのでございまして、やはり苦労すればいいことがあるなということをつくづく思った次第でございます。
 それでは次に、税制問題についてどうしても申し上げておきたいものですから、その方へ時間を割がしていただきたいと思います。
 税制改革は、早くからこれが土地問題として今回の国会で大きく取り上げてまいりました。最近は、売上税問題が逆の意味で非常に我々は反省することと同時に、国民の間に税とは何ぞやということの問題が非常に広がったことも実は事実なんです。それで、現在の税制の中の不公平はいろいろもちろんあります。産業構造が変わるんですから、絶対にもう不公平が黙っていても出ることはわかっておるわけですが、市町村においてすら、地方公共団体の意見を聞くと、御承知のように、今医療保険いわゆる健康保険問題だとか退職者の保険の問題をどうするかとか、あるいは裏負担をどうするとか、いろんな議論があるけれども、従来は財政当局を責めるだけの議論でした。
 ところが、今ごろの地方公共団体の意向においてすら、やはり何か景気に煩わされない本当の意味の安定した財源が欲しいな、これがない限り余り言ってもだめだなというぐらい、もう最後の言葉は、自治省さんも御苦労なさっているし厚生省さんも御苦労なさっている、いろんな問題がありますが、最後は、地方自治体も早く間接税型の問題をつくっていただいてやらないと、国だ地方だといって財源を取り合ってはかりおってもいかぬなという空気が実はあります。非常に変化がきたなと思っておりますし、産業構造が非常に大きく変わっておりますので、もう当然ながら不公平も出ております。
 いろいろと先般来、大蔵大臣の税に対する、税制改革といいますか、お話を聞きましたし、総理からも手順という意味でいろいろお聞きしております。特に、予見を持ってやっちゃいけない、これも私は正しいと思っておるんです。総理は、今予見を持って言われるとこれはいけないと、そのとおりだと思いますが、しかし、この議論は税調におきましても、我が党においても、あるいは野党の皆さん方も本当に一生懸命に議論しなければ、もうとてもこのままほうっておいてはどうしょうもないなという実は感じが我々のみならず一般の国民にも広がってきた。そういう意味で、いわゆるコンセンサスのあるものを本当にひとつお願い申し上げたいという気がいっぱいでございますが、税制改革根本につきまして、これは大蔵大臣に、簡単でいいですから、やりますということだけで、間接税の方でとにかくやってほしい、直接税だけではどうしょうもないと、こういうことを一つだけお願いします。
○国者大臣(宮澤喜一君) 答えの方まで御用意くださいましてありがとうございました。さように存じております。
○増岡康治君 それで結構でございます。
 そういうことで、課税ペースの幅広い間接税というものは既に定着しつつあるんではなかろうか。ただ、このやり方については本当に、今回で三度目でございますので、今度こそは上手にひとつ国民のコンセンサスを得たいものだな、野党の皆さん方も大いに御協力を、一緒に手を組んでやりたいなというような感じがいっぱいでございます。これは国民に対しての一つの負託だと思っておるわけでございます。
 それから教育問題についてでございます。
 前総理も、非常に教育問題についての、臨教審の問題ございまして、三年間もかかっていろんなものをおつくりになって、これだけは次期内閣に頼むと竹下総理におっしゃったという話があるわけでございますが、この推進に対しての総理の全体的な物の考え方だけを簡単にひとつお願い申し上げたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 行政改革、財政改革、税制改革、そうして教育改革と、こういうようなことが前内閣当時にそれぞれ臨時行政調査会なり、あるいは財政制度審議会なり、あるいは教育改革の問題につきましても臨時教育審議会、こういうことでもって答申を受けて今日に至っておる。したがって、その中におきまして、このせっかくの臨時教育審議会の答申を当面、先般閣議決定をして教育改革推進大綱、これに従って引き続き教育改革をやっていかなきゃならぬ、そこのところまで来て、実行に移すのはまさにこれからだ、こういうことになるわけでございます。これこそ政府一体としての責任でこの答申の趣旨を推進していくべきものである、このように考えております。
○増岡康治君 これは非常に分厚い臨教審の内容を見ただけで、もう相当中身が豊富過ぎて、私どもはどれから手をおつけになるのかなという感じがするぐらい大変広範にわたっております。それだけに、教育というものは大切なものである、こういうことの証左だと思っておりますが、これは文部大臣、テーマの中でやはり解決を急ぐ問題はどういう順番がなというようなことぐらいはひとつお示しいただければありがたいんですが。
○国務大臣(中島源太郎君) 今総理おっしゃいましたように、教育改革推進大綱で当面進めるべき方向が八項目にまとめられております。そのどれももちろん大事でございますけれども、特に強いてと申せば、その第一項目の生涯教育と申しますか、八十年の人生をいつでも学び加えられるという環境をつくっていく、そういうネットワークを形成するということが当面強いて言えば大事な部分ではないか、こう考えております。
○増岡康治君 この生涯教育という言葉を一つのテーマにされまして、大いにこの問題はやはりこれからの将来の二十一世紀、一番大切なテーマだと私どもも考えております。特に総理がよく徳育という言葉をおっしゃいます。本当にこれからは日本のいいものはどんどん残さなければいけないし、新しいものはどんどんやらなければいけないんですけれども、今日の教育というものは、考えてみますと、総理がよく言われるようにどうしても物差しで物を考えるような価値観があったりします。それだけに、そこに流れる一つの徳育といいますか、こういうものが非常に私はこれからの大きなテーマになろうかと思います。こういう問題が各項目にも織り込まれておりますので、これは要望にとどめますけれども、ひとつ本当に徳育という言葉を非常に大切にしていきたいものだな、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
 まだまだ教育問題で御質問したい点はありますけれども、時間の都合上次へ行きます。
 土地問題はもう既に大議論さしていただきました。我が参議院におきましても、土地特別委員会で全会派ともに一致いたしまして決議を出したわけでございますので、どうかひとつ、この問題は中長期の問題が本当の勝負だと思っております。緊急的なものにつきましても、手おくれだったなという御批判がございますけれども、行政当局が本気でやれば物は案外おさまるものだなという実証も私はわかりました。
 こういう意味で、これは監視区域一つをとりましても、先に手を打てば本当に効くものだな、大蔵省銀行局が何度もヒアリングするとやっぱり下がるんですね、これ。行政当局もこういう先手さえ打てはいけるんだなという一つの大きな実証がいわゆる目の先の問題としてわかったわけです。当たり前といえば当たり前なんですけれども、やはり行政当局におかれては、それをやればできる、土地というものは難しいものだ、市場に任しておけばいいというのでなしに、やればやれるんだなという一つのまた証左にもなろうかと思いますが、私の要望は、結果的には中長期の問題になる、こういう感じで私ども思っておりますから、みんな国民が一つの新しいコンセンサスを得たいという問題が最後に結んであるわけでございますし、奥野長官は毎日のように叱咤激励されまして御勉強なさったということもよく知っております。これはどうしても次期国会に何かの形で、また四全総とともにひとつ歩んでいただければ非常にありがたいことだなと実は思っておるわけでございます。
 国民は、今回の土地国会と言われるこの国会を見まして、やはりそのことが各地方へ広がらないということ、東京でも住宅が持てるかもわからないというそういう夢も若干与えたということにつきましては、非常に効果があった委員会だったんではなかろうかと私ども思っております。
 そういうことで、この決議につきましても、どうか行政当局の皆さん方もこの衆参における議論を実際論の行政にひとつ生かしていただきたいことをお願い申し上げる次第でございます。
 結局そうしますと、中期、長期になりますと、四全総というものが非常にタイミングよくこれがつくられまして、多極分散型、最後はこれだな、これに総理の言われる心を込めてやれば、心とそういうもの、これは一千兆円のプロジェクトと言われている四全総でございます。これを上手に被うには、国土庁がせっかくの所管官庁でございますから、これに対して推進のひとつ何か法案でもお考えになったらいかがかな、こういうことを考えておりますし、各省はこれは黙っていても四全総を中心にして動きますが、国土庁として四全総をさらに進める何かお知恵はないものか、こういうことをひとつ奥野長官にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(奥野誠亮君) 温かいお言葉をいただきまして感謝申し上げております。国会の取り組み方が国民に対して大きな理解を与えていただいた、それが支えになりまして都心においては落ちついてきているわけでございますけれども、なお都心の高地価というものが地方の地価と比べまして非常にアンバランスになっているものですから、地方における地価高騰はなお続いておりますので、この姿勢は緩めることができない、こう思っているところでございます。
 おっしゃいましたように、国会におきましても、究極的には東京一極集中を是正して多極分散型の国土総合開発計画、これを実現することだ、国土があまねく国民に適切に利用されるような状態に持っていかなきゃならない、こういう合意も見たと思っておるわけでございます。
 全国総合開発法に基づきまして計画がつくられて四回目でございますけれども、常に絵にかいたもちになってきている、作文倒れになってきている。おっしゃいましたように、何とかしてこの計画を推進するような支えになるものを考えなきゃならない、やっぱり推進に関する法律でもつくり上げることではないか、こう思いながら毎日苦慮しているところでございまして、ぜひ絵にかいたもちに終わらせないような手法をつくり上げてみたいなと、こう考えているところでございます。
○増岡康治君 これ最後の質問にいたします。
 総理に伺いたいのでございますが、私がずっと外交からやってまいりましたけれども、結果的には、やはり総理がおっしゃる文化経済国家をつくる、その中において世界に貢献しなければいけない、二つに尽きるわけでございます。その中において、国内においては四全総を大いに推進しなければいけない、その中に総理の言われる心を吹き込んでいく、こういうようなことに関しまして何かひとつ、この問題についての推進につきまして総理としてのお考えがありますればお伺いして終わりたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 第四次全国総合開発計画というもの、まあ確かに高規格道路等に象徴されますように、ハードの面がそれぞれ整備されていくという図面も描かれておるわけでございますが、特徴といたしましては、それぞれの地域地域の特徴というものを抽出して、それが前文としても書かれながら、しかもいろいろな地域開発計画が示されてきておる。
 大事なことは、さらに、そのさらに細部に至って、自分たちが生活し活動しておる基盤、こういうものを、仮称これをふるさとと申しますならば、そこの伝統とか歴史とかというものをすべて組み込んだものを、住民の知恵と情熱でその図面をその中へ埋め込んでいく、それに対して中央政府等がサポートしていくという姿勢で物事を進めていかなきゃならぬ。いわば、日本列島の地図を広げて上から眺めた図面であっても、中に詰め込まれるものはみんなの合意がそこに組み込まれていかなきゃならぬ、そういうことで、各省庁ともいろんな形の知恵も工夫も出していらっしゃいますので、そういうものがあるいは予算の面においてもあるいは進め方の面においても役に立っていくものではなかろうかと、こういう感じで今私は見詰めておるというのが現状の認識であります。
○増岡康治君 まあそういう気持ちでひとつ大いに頑張ってほしい、日本のためにますます総理以下各大臣頑張ってほしいことを御希望申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○委員長(原文兵衛君) 以上で増岡康治君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 次に、及川順郎君の質疑を行います。及川順郎君。
○及川順郎君 初めての質問で、総理大変お世話になりますが、よろしくお願いします。
 まず、総理に基本的な問題を承っておきたいと思うわけでございますが、今回の米ソ首脳会談、そしてINFの全廃条約調印で、さまざまな論評はございますけれども、世界核軍縮のスタート台にしたい、このような意識は共通していると思うわけでございます。したがいまして、そうした方向に進むということは、これはやはり日本としても非常に大事な要素であると思います。
 ただ、今回の出来事を通じまして、日本政府の国際政治に対する洞察あるいは先見的な外交政策の姿勢につきましては極めて厳しい識者のコメントもあることも事実でございます。総理としまして、この国際政治に対する外交私見といいますか、総理自身の御所見を承っておきたいと思うわけでございますが、あわせまして、今回のこの予算委員会は通常国会の予算委員会に連動していくいわばもう既にスタートラインに立った委員会でございますので、特に内閣としては初めての予算の作業をやるわけでございますから、総理としましてどういった点に一番力点を置いて重点政策を設定していくのか、その腹づもりもお伺いしたいと思うわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) まず最初のお答えは、INF全廃条約の調印が成った、これはだれしもうれしいことである。しかし、それが将来の史家が、まさにあれが大きな第一歩で本当にこんな世界ができたんだなということの第一歩の位置づけに今も、また将来なってくれることをこいねがっておるのは私も及川さんも同じであるというふうに考えております。
 世界政治全体を見ますときにしかしどうかといえば、例えば安全保障を一つ取り上げてみましても、残念ながら今日現実問題としては、力の均衡の中に平和が保たれておる。そしてまた地域問題等を見ますならば、大変な、今言ったような物の考え方とは違ったそれぞれの課題も存在しておるということも事実でございます。したがって、大きく考えてみた場合、まずは、東西関係というものを今度を契機としてより安定させていきたいということ、それから第二番目には、やっぱり南北問題、飢えたる氏もおるわけでございますから、それらに対して、それこそ地球規模のお互いの平和を希求する人類の共通の理念が伸びていくようなことを、よしんば現実とかなりの乖離があったとしてもそれを目指して進むべきものではなかろうかというふうに考えます。
 第二番目の問題は、来年度予算の問題でございます。窮屈なことを申しますならば、一つには、技術的なことでございますが、経常部門と投資部門というものがあろうかと思います。そうしますと、経常部門につきましては、かつて申しておりました六十五年度赤字公債依存体質脱却ということが、まあ言ってみれば夢ではないというような、可能性なきにしもあらずとでも申しましょうか、そういう環境になったという事実をまず踏まえ、やはりこの厳しい財政改革路線というものの上を走っていかなきゃいかぬだろう。しかし一方、投資部門につきましては、世界の声でもあるし国内的にももうそのとおりでございますので、内需の問題というものを中心に、いわばシーリング等を外して今日既にこの概算要求が出ておる。したがって、これから大蔵大臣中心で、各省からいろいろ概算要求なされたものを調整されて予算が編成されていくわけでございます。これに当たっては、かねて貴党の御主張でありますところの国民生活ということを絶えず念頭に置いて対応していくべきものである、このように考えております。
○及川順郎君 各閣僚としてもそれぞれの予算編成については大変な意欲を持って取り組んでいると思うわけでございまして、本来ならばきょうはその決意のほどを各大臣全員に伺いたいところでございますが、そうもまいりませんので、ただいま総理も御答弁くださいました中にありました、国民生活との関連の中で特に関連の深い例えば厚生、通産、運輸、建設、こういったところの大臣の御決意のほどを、そしてまたどこに最重点を持っていくかという点を簡潔にひとつお述べいただければと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 厚生省の予算はいずれも国民生活に直結しているものでありますので、すべてが重要でありまして、国民生活の安定向上のために全力を尽くしてまいっておるところでございます。
 今日、我が国は御承知のように急速に高齢化社会を迎えておりまして、現在六十五歳以上が十人に一人の時代から、やがては六人に一人、ピーク時では四人に一人の超高齢化社会を迎えるわけでございます。したがいまして、厚生省といたしましては、このような超高齢化社会に我が国をいかに軟着陸させていくか、これが最大の課題だと考えております。高齢化社会と申しますと、ややもすればお年寄りがふえ、費用がたくさんかかって、若い人たちが負担できるのかなというお金の面からの暗いイメージがつきまとうわけでございますけれども、我々はむしろ、高齢化社会は人生経験が豊富で、健康で、賢明なお年寄りがふえるという意味では明るい生き生きとした社会を築いていかなければならない。お年寄りは社会の財産という意味において、全力を挙げて明るい生き生きとした高齢化社会を築いていきたいと考えております。
 そこで、特に目玉ということで考えてみますと、まず国民の健康という面におきまして積極的に健康づくりを推進していきたいと思いますし、さらにお年寄りが安心して老後を暮らせるように、在宅のサービスであるとか、また各種施設の整備、並びに痴呆性の老人の方々のためにも施策を充実していく、これらのことがまず最重点であろうと考えております。
○国務大臣(田村元君) お答えします。
 我が国の創造的発展の基盤、それから質の高い国民生活の実現、そのための投資というものを十分に行っていきたい。それによりまして内需創出型の経済運営を行っていきたいものと、これが重要であると考えております。
 六十三年度予算の重点施策でございますけれども、まず活力ある地域経済社会を構築するために、従来からの生産機能の地方分散に加えまして、産業の頭脳部分、いわゆる産業高次機能といいますか、これの地域における集積を図ることなどによって地域の活性化を図りたい。それから二番目に、我が国産業社会の中長期的な発展基盤を確保するために、基礎的、先導的というような研究開発、従来のような研究開発を自分たちでやっていく、初歩からやっていく、その必要がございましょう。それから大規模実験研究施設の整備というようなもので、総合的な技術開発政策を推進したい。それから内外の環境変化に直面する中小企業対策でございます。中小企業の経営資源の融合化による産業開発を図るなど、積極的に中小企業対策をやっていきたい。
 以上のほかに、たくさんございますけれども、内需、新規産業の育成とか経済協力の積極的推進、中長期的視点に立った資源エネルギー政策の推進など、たくさんございますが、それぞれに対して強く要求をしていきたい。
 なお、こういう席で恐縮ですけれども、ぜひ応援をしていただきたいものですから。通商貿易なんかで役人をどんどん外国へやるのにせめても十分の旅費だけはやってもらいたい、これだけはぜひお願いをしておきたいと思います。
○国務大臣(石原慎太郎君) 前川レポートとか四全総に象徴されます、近い将来到来すべき新しい日本の社会に備えました交通体系の整備を含めました運輸行政に私たち一生懸命取り組んでいるわけでございますけれども、当面、来年度予算の柱と申しますと、国鉄改革の推進定着化対策、第二は運輸関係社会資本の整備、三には交通ネットワークの整備、四には海運、造船対策及び船員雇用対策の推進、五には運輸関係安全防災対策の推進、及び国際交流の推進、観光の振興の六点でございます。
 これらの事項はいずれも国民生活の充実に貢献するものでございますので、この際、これに関する予算の確保に努めてまいるつもりでございます。
○国務大臣(越智伊平君) 社会資本、大変おくれておりますし、また内需拡大等々これあり、予算の第一番には獲得、また皆さんに御協力をいただいて早く成立をさせていただく、そうして道路、河川、ダム、海岸、下水道、公園、住宅、また土地の再開発、区画整理、どれも皆急ぎますので、公共事業すべてに重点を置いて進めてまいりたい、かように思います。
○及川順郎君 御発言をいただかなかった大臣の皆さんには申しわけございませんけれども、決して国民生活に関係ないということではないわけでございまして、ぜひ一踏ん張り、二踏ん張り御奮闘賜りたいと思うわけでございます。
 総理にお伺いします。
 所信表明で触れられなかった二つの問題でございますが、一つは定数是正の問題、もう一つは政治資金規制の問題でございますが、定数是正の問題は次期国会の政治日程にお考えになっていらっしゃるのかどうなのかという点と、もう一つは、政治資金につきましては我が党代表質問に対しては、よく各党各派の御意見を拝聴してという御答弁でございましたけれども、私は総理自身のこの点に対する心情を承っておきたいと思うわけでございます。私が感じますことは、政治資金につきましては、献金を拡大するのではなくて、お金をかけないような政治に改めていく、ここにやはり今の政治家が一番努力すべきポイントがあるんではないか、このように思うわけでございますが、総理が所信表明で示されました「清潔な政治」というこの御発言の中身にも関連することでございますので、ぜひ総理御自身の心情を御披露いただきたいと思うわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) 二つでございます。
 一つは、国会における衆議院、参議院の定数問題ということでありますが、私は選挙学会の会員でございますので、選挙法につきましてのいろいろな私見は持っておりますものの、結論から申しますと、今ここに存在する者がみずから選ばれるその土俵の問題というのは、国会の中の各党協議というのが一番実りあるものに結果としてはなっていくんじゃないか、こういうことをかねてから考えておりますので、そのようなことを申し上げてきたわけであります。公職選挙法の特別委員会がございましたり、各党にそれぞれ選挙制度に対する御議論をいただく機関もございますものですから、それの実りある御議論に期待をいたすというべきことではなかろうかと思います。
 二番目の政治資金規正法改正問題に触れての、まあいわばそれよりも政治姿勢と、こういうことであろうかと思うのでありますが、政治資金規正法の問題につきましては、自由民主党の中でも小委員会の案ができたりいろんな案ができたりしておりますけれども、それもよってもって立つ政党のそれぞれの基盤にかかわる問題であるので、具体的に議院運営委員会とかいうことを指定するわけじゃございませんけれども、国会の中の問題としてこれは御議論をいただくことが大事だなと一つは思います。
 基本的な問題としては、御指摘どおり、いわゆるよく言われる金のかからない選挙とかそういうものにだんだん努力して、お互いの自粛とかあるいはいろんなことでやっていかなきゃならぬということは当然のことであります。そうなれば結局、各国の象例を見ますと、いわゆる公的支出の中で活動する分野がどれくらいあるだろうかという問題もあろうかと思いますが、ひっきょうは政治そのものに金がかかり過ぎるということは、やはり私を含む一人一人の心構えの問題からまずは始めていかなきゃならぬ課題だなというふうにいつも思っておるところでございます。
○及川順郎君 土地問題に移りたいと思いますが、今回の土地特別委員会の議論を通じまして、非常に大成功、大成果が上がったという意見と同時に、いま一つ漠然としていて何が成果であったかわからない部分があるという両面の意見があるわけでございますけれども、この点につきまして委員会の論議の成果を総理としてはどのように評価をなさっておられるのか。また、この論議の積み上げを踏まえまして、六十三年度予算編成に具体的に反映できる事項があれば承っておきたいと思うわけでございます。
○国務大臣(竹下登君) 私も組閣いたしまして最初に、設置法では、国土庁長官でございますから、調整権限等読めないわけでもないけれども、さらには実行の問題にまで関与していただける方途がないか、こういうことから国土庁長官に特命として土地問題をお願いをした、こういう事実がございます。そうして今度は、国土庁長官、奥野大臣からの御建言もあって、私自身が座長になって閣僚協議会をつくって、さあ取りかかろう。しかしその前に、どの党が主張したということもなく、衆参両院に土地問題の特別委員会というものが設置された。これはもろもろの施策をやっていくための環境の整備のためには大変評価すべきことだという考え方で臨んで、そうして奥野大臣からのお答えの実情を聞いておったり、お話を聞いておったりすると、事ほどさようにこれが国民全体に意識をもたらすと同時に、今後もろもろの施策をやっていくための、一部相違した意見があろうとも、大きな環境が成熟したという評価をしていらっしゃることを聞きました。
 それに対してまた予算あるいは法律等に基づく問題も当然出てくるであろう。これについていち早くまた土地問題の閣僚協議会もやりたいという御趣旨もございましたが、官房長官がこの間へ入られて、第一回の、第一回とか二回とか回数つけるべきものじゃございませんが、各関係の大臣がそれぞれ協議して、予算なり具体的な政策についての協議を予算編成の中にも間に合うようにひとつ進めていこうというお話し合いがなされて、国土庁長官を中心にいたしまして建言いただいたわけですから、それらの建言に基づきましてそういう環境をつくっていただいたんですから、それのまさに結果がいいものが出るように鋭意勉強しておるというのが今の現状であろうというふうに認識をいたしておるところであります。
○及川順郎君 全般にわたりますともう既に重複をする点もございますので、私は住宅用地問題に絞りまして伺っておきたいわけでございますが、先般、東京湾臨海部を初めとしまして、首都圏の主な土地事情を私も視察したわけでございますが、政府としては最近、将来のビル需要の予測というものを下方修正をしておるわけでございます。今回の地価の高騰で将来必ず事務所が不足する、しかも大変な不足をするといったような、いわば仮の需要想定にあおられた形で起こった要因というものが多分にあったんではないか。そういう意味では、国土庁の需要予測が過大であった責任というものはこれは私は免れないと思うわけでございます。
 そこで今度は、東京及びその近郊における住宅用地はどうなっているのか、その事情について政府としては十分に実態を把握しているのかという点について私は大変疑問に思うわけでございます。例えば国公有地それから地域の再開発、そういうものも含めまして、住宅建設が可能と見られる東京都内あるいは近郊の用地の子細なデータを調べていらっしゃるかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
○政府委員(藤田弘志君) お答えいたします。
 国有財産の未利用地のうち、東京都内で公営住宅用として適当なものがどの程度あるかというような観点からの分析は実は行っておりません。これは先生御存じのとおり、国有地の処分は公用、公共用が原則でございまして、まず地方公共団体等から要望がございましたら優先して払い下げますが、地方公共団体の具体的な利用要望を聞いてから払い下げるということでございまして、国の方から住宅用とかそういうことはやっておりません。
○及川順郎君 住宅の需要がこれだけ逼迫している、そういう状況でございますから、政府としてもこれは積極的に調べるべきではないか、このように思うんですけれども、所管大臣、見解を求めます。
○国務大臣(奥野誠亮君) 先ほどは事務所用地についての御指摘がございました。千六百ないし千九百、土地の供給はそれを上回ると見込まれるということも申し上げたわけでございます。住宅につきましては、たしか第六期になるんでしょうか、住宅建設五カ年計画、絶えず需給をにらみながら努力しておられるわけでございます。
 東京都につきましては、現在も多摩ニュータウンでありますとか、港北ニュータウンでありますとか、千葉ニュータウンでありますとか、その他たくさんのニュータウン計画がございますし、それを生かすために鉄道の新線建設あるいは複線、複々線化も努力しておられるわけであります。同時に大規模の開発プロジェクトも進めておるわけでございまして、東京湾臨海部につきましてもかなりの住宅を考えているわけでございますし、また汐留の貨物跡も住宅も考えておるわけでございますし、みなとみらい21もそうでございます。
 同時に、私は、産業構造が大きく変わってきているものでございますから、東京都二十三区内にもかなり広い工場用地がたくさんあると思うのであります。それが材料置き場になっておりましたり、あるいは駐車場になっておりましたり、いろいろしているわけでございますけれども、これらはやっぱり国民みんなが利用できるように引き出すべきだ、そういう意味で譲渡所得課税の特例を開けないものだろうかなということで相談をしているわけでございます。
 同時にまた、常磐新線をつくっていただきますと、広大な今後の用地があるようでございまして、先ほども茨城県の知事が見えておられまして、今は東京から守谷までの計画ができているわけでございますけれども、守谷から筑波までの線をつけていただくと四千ヘクタールの土地が利用できるんですよ、こうおっしゃっておりました。東京都の鈴木知事は私に、筑波新線をひとつぜひ、あなた力を入れてくれているようだけれども、努力してくださいよという話がありましたし、さらに舎人新線をつくってくださいよというお話もございました。あの辺が空白地帯なんですと。もともと空白地帯になったのには、昔でありますと地質が悪いものですから利用に供しにくかったようでございますが、今の科学技術の進歩からいたしますとそんなことは何でもない、思い切って早く鉄道新線をつけていきますと広大な土地が利用できるんじゃないかな、私はこう思うわけでございます。
 私は、穴場は幾らでもたくさんあるんじゃないか、土地が足りないことは決してない、十分ある、利用していないだけのことだ、我々の知恵と努力いかんだと、こう思っているわけでございまして、今後も努力していきたいと思っております。
○及川順郎君 努力はわかりましたけれども、大臣、具体化していくための基礎となる調査はぜひやっていただきたい、私はこのことを御要望しておきます。大臣よくわかっておりまして、私も、として土地はないんではない、あるんだ、そういう実感は全く同じでございまして、ぜひ今後の具体化に期待をかけたいと思うわけでございます。
 さて、住宅・都市整備公団が多摩で分譲するような分譲住宅が七千万、賃貸住宅の一カ月の家賃が二十五万といったような状況ですね。一般サラリーマンではとてもじゃないけれどもこれを借りるということは難しい。公団の事業資金というのは、とうとい国民の税金、とうとい国のお金を運用しながらやっておるわけでございますから、そういう状況の中で、私は一つの案として申し上げたいんです。
 なぜこんなに公的住宅の家賃が高いか、分譲が高いか、こういうことを考えますときに、やはり土地代ではないか。つまり、上物と土地を分離して、土地代を、言うなれば権原を変えずに、その登記されている土地の権利はそのままにしまして、それを賃貸契約のような形にして貸し斜だけで上物の分でやればもっともっと家賃というのは下げられる余地があるんではないか。そうして、安い住環境のいい住宅を提供するということは、まさに今東京を中心とした首都圏においては大事な要素になっておるわけでございまして、それに対していろいろ関係を調べてみますと、地方自治体でもその努力は一生懸命やろうとしている。そのためには国と地方自治体、時には地域開発のときには民間も加わってやっていきたい、こういう要望があるんですけれども、国有財産法のこの規定あるいはまた公団法の規定によって、国が一緒に共同、協力をしてやるというにはやはり法的に一つの阻害されている部分があるという意見も出ておるわけでございます。
 この事業を促進する意味で、関係の法律を一回見直してみるというお気持ちは大臣ございますか。
○国務大臣(越智伊平君) お説のように、公団住宅で二十万あるいは二十数万という非常に高い家賃であります。これは私も高い、こういうふうに思っております。ただ、一般の民間マンションの家賃の抑えにはなっているのかな、これくらいなところであります。
 そこで、今お話がございましたが、公団住宅についてはできるだけ家賃を安くするように努力をいたします。土地の今の算定方式では今のようになりますので、検討をしてみたい、また話し合いをしてみたい、こういうふうに思います。ただ、六十一年度から土地所有者との共同供給方式というようなことの制度がございますので、これはまだ十分適用されていないようで、利用されていないようでありますけれども、公団、公庫含めまして家賃の安い、いずれにしても地価が安うならないと難しいのでありますけれども努力をしてみたい、かように思います。
○及川順郎君 この点につきましては、一般サラリーマンが入れる、公営住宅というのはもう公の立場ですから、国民全般がそこのところに応募して入れるという状況がなければその意味は半減をするわけでございますから、ぜひその点に対する努力を私は強く要望しておきたいと思うわけでございます。
 これだけやっておりますと時間がございませんので、税制改革に私は入りたいと思うわけでございますが、この税制改革に対しまして、きのうの衆議院の議論を私見ておりまして、多段階、包括的、網羅的、普遍的、大規模の消費税を投網をかけるようなことではやらない、それは議論に対して予見を与えないということで、繰り返しそのことを述べておったわけでございますが、しかしそれを踏まえて総理は、それではこの税制改革の成案をいつごろというめどに定めているかという点に対して、初めて来年秋ごろめどというそういう答弁をなさったわけでございます。私は、本当にそういう立場で国民の理解と支持を得られるような税制改革の議論を詰めていくならば、むしろ成案の時期も私は白紙にすべきではないか、このように思うわけです。
   〔委員長退席、理事林ゆう君着席〕
ぜひその点の見解を総理に求めまして、あと関連質問に譲りたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 確かに、まず税制調査会に諮問をいたします。諮問は、大筋から言えば、最も合理的税制はいかにあるべきか、こういうようなことから諮問して、これは昭和五十二年ぐらいから始まった税論議じゃないかと思うのでございますけれども、そうして今回諮問いたしましたのは、これまた、今日の時点において高齢化社会がやってくるというやがてのことを想定しながら消費、所得、資産等についてこの税制調査会で御議論していただきたい。
 だから、頼んだ方がいつまでと言うのは本当は非礼に当たるなど何回か私も思ってみたこともあります。そうして従来とも、大蔵大臣時代から、やはり諮問した限りにおいては予見を自分から挟むようなことは控えた方がいい、国会等の議論はこれはまた正確に伝えた方がいい、こういう手法をとってきたわけでありますが、あえて御質問で、そういうことをおまえ個人として、五十年ぐらいから始まった税制というもので、大体いつごろ成案を得てほしいかという趣旨のお尋ねでもございましたし、私自身あえてそういう希望を申し上げますならば、そういうときに、実現を見るためにその土台となる答申が出てくれば望ましいなというふうに申し上げて、こっちから期限を付すという性格のものでは今もないような気がいたしております。
○理事(林ゆう君) 関連質疑を許します。矢原秀男君。
○矢原秀男君 総理に質問したいと思いますが、私もきのうの衆議院の予算委員会の質疑の中で総理の答弁を伺っておりまして、先般売上税を拒否しました国民の意思と違う、総理は一般の消費税、幅広く国民の皆さんにという考えの中で、パーセンテージは違うけれども、売上税に執着をされているなという感じを私きのう受けたわけでございますけれども、総理の心中改めて伺いたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) それこそ、私のは基本的にこのような税制が好ましいと思うということを非常に定性的に定量的に言うということはまさに予見のうちへ入るかとも思います。
 一般論として申し上げた場合に、よく税制調査会あるいは本委員会等においても議論されることでございますが、世界で一番所得均衡のとれた我が国において、なかんずく、勤労所得課税といった方が正確でございましょうか、勤労所得あるいは給与所得課税等についてのいわば痛税感、重税感というようなものが存在する場合、広く薄く消費の段階へ着目して税をちょうだいするというのが一つの考え方だというふうには私も理解をいたしておるところでありますが、私が願っておる税制のあり方とは何ぞやといわれることになると、非常に抽象的に所得、資産、消費等に適正なバランスを置かれた税制というのが私のお答えの限界ではなかろうかな、こういうふうに思っております。
○矢原秀男君 六十二年度の自然増収が三兆数千億円、一兆八千億円の所得税を減税いたしましても一兆円を超える余剰財源。またNTT株の売却益も本年は五兆円、あと二百六十万株が残っている。私は、現行税制の不公平を検討する、そうしてそれをまず是正をすることが第一優先、こういうふうに考えております。ということは、国民の立場から見て、日本のように永久政権で、そしてこういう社会が営まれているときには、朝令暮改という法律はいけない。そして国民がノーと言った。
 そういう中で、国会の予算委員会でも、竹下さんが大蔵大臣のときに、政府見解として、昭和六十年の二月の五日に衆議院の予算委員会において、当時の中曽根総理、竹下大蔵大臣がともに多段階課税方式の間接税を否定した答弁を受けて、矢野委員長が念を押して、EC型付加価値税を含めて多段階を否定するのかどうかを確認したところ、中曽根総理はEC型も含める、竹下大蔵大臣はEC型までは否定されるものではない、こういうふうな閣内不一致によって審議は中断される。そうして政府見解が出てきたわけでございます。
 ですから私は、どうしても政府でやっていくということになれば、国民の皆さんの前に具体的なものを挙げて、そうして衆議院解散、総選挙で国民の皆さんに改めて信を問う、そういう日程が先にあるべきであると考えております。その点、総理はいかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 今永久政権というお言葉がございましたが、議会制民主主義は政権の交代があり得ることであるということは私どもも承知しております。たまたま長らく政権の座にあるということであるわけでございます。
 さて、今の税制改革の問題でございますが、確かに思い出してみましても、EC型付加価値税にもいろいろな態様がある、したがってEC型付加価値税をすべてインクルードして一律に規定するわけにはいかないだろう、こういうような答弁を私がいたしました。それに基づいてその後整理したものを中曽根総理が答弁の形で申し述べられた。答弁であろうと、政府見解であろうと、政府統一見解であろうと、政治の重みというのはこれはちっとも変わっておるものじゃございませんから、重く受けとめております。それに基づいていろいろ工夫して法律案を提出して、それが結果として審議未了、廃案になった。そうなると、なぜかというまず反省の上に立って、そうして私どもは国民のコンセンサスが那辺に得られるかということをこれから国会の議論等を聞きながら詰めていこう、こういう姿勢を申し上げておるわけでございます。
 したがって、そうなれば、当時の多段階、網羅的、普遍的、包括的――多段階で例外のないものはと、簡単にはそういうこと、網羅的というのは例外がないということでございますから、多段階でかつ例外のないものは、これはというような議論は別といたしましても、それそのものを選挙のテーマとして国民に訴えるべきかどうか、こういう議論は政治論としてはあり得ますが、国会解散ということになりますと、七条解散、六十九条解散、やっぱり政治の最も重い問題でございますので、私どもが軽々に口にすべきものではなかろうというふうに考えております。
○矢原秀男君 私はこの問題はもう断固反対でございます。
 じゃ、次に移ります。
 米ソのINF全廃条約調印がなされました。これはいろいろの立場で私も考えておりますけれども、先ほどの田村通産大臣の言葉は胸にしみます。私も二十年八月九日のちょうど十一時二分に長崎の原爆に遭遇をいたしました。黒い雨の放射能を受け、そうして五百メーター近くの天然の雲の真ん中で原子爆弾が破裂をして、天然の雲が吹き飛んでいっている。そういう中で、また私は広島でございますので、同僚の学生の人たちがやはりケロイドの中、血を吐きながら死んでいく。こういうふうな状況で、原爆の被害を受けられた方、そしてまた戦争体験の方々すべてが私はこの問題を深刻に受けられたと思います。しかし喜ばしいことでございます。
 そこで、総理に簡単に伺いたいのでございますけれども、本当に原爆を受けた国の総理大臣として、地球人頭の立身からやはり平和の哲学をアメリカにもソ連にも遠慮をせずに訴えていかなければいけない、そのように私は思います。総理いかがでございますか。
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃった基本的な考え方は全く一緒でございます。
 あえてこの機会に二言申させていただきますならば、私もいわゆる地球規模という問題をいろいろ考えております際に、ある女性の宇宙飛行訓練中のお方が私におっしゃったことがございます。本来は、ソ連の飛行士もアメリカの飛行士も私たち日本の飛行士も一緒に宇宙飛行をしたい、そうして、そこから地球を見たら、あの緑の地球に、美しい地球に、しょせん帰るところはあそこしかない、あそこに何で原子爆弾があったり戦争があるだろう、本当にお互いがそういうことによって初めて地球ふるさとというものを考えたならば、まさにそれが平和の原点であると、こういうお話をそのお嬢さんがなさいまして、私も感動したことがございます。
 そういう、世の中、現実問題、お互い今の理想と遠い問題もございますが、その理想を追求していくというのが、今時におっしゃいました、その体験者として、唯一の被爆国民としての国の総理としてそういう気持ちを絶えず持ち、所あるごとにそれを言葉に触れるべき問題であるというふうに考えます。
○矢原秀男君 次に、今アメリカで一番大きく問題になっておりますアスベストの公害問題でございますが、今日本においても大変な状況にございます。アメリカでは数万人の人たちがいろいろと毎年被害を受けているようでございます。
 この問題について先般小学校を私は視察をいたしました。文部省と大蔵省に尋ねたいと思いますけれども、全国の公立学校約四万校の中で、学校数は千三百三十七校、教室の数は六千九百四十一、屋内運動場三百三十九、寄宿舎が二百十四カ所、これらにアスベストが使用されていることが判明をいたしております。こういう中で、崩れ落ちそうなそういう問題の中で、我が国が、特に文部省が当事者として、また財源の問題で後押しする大蔵省が、補助の問題で地方自治体は皆困っている。青少年にもしこういうふうな問題がアメリカのように激しくなると、肺がん、大腸がん、直腸がん、将来そういうふうながん系統に侵されていく、こういう結果になるけれども、対策をどうするのか伺いたいと思います。
○国務大臣(中島源太郎君) 御指摘のアスベストでございますが、先生おっしゃったとおりの数字であると思います。全国で千三百三十七校、こういうことでございます。
 これに対する対策といたしましては、大規模改修でこれを行っておるわけでございます。大規模改修と申しますと十五年以上、二千万以上、こういうことでありますが、特にその中で著しく老朽しておりますアスベストにつきまして優先してこれを取り扱っておる、こういうことでございまして、本年改修申告をいただいておるのが三十六校、これ全部一応改修対象に予算上もできております。ただ、来年からはさらに大規模改修には入らない部分の少額のものも対応できますように制度改正について今関係省庁と検討中でございますが、ぜひその方向に持っていきたいと思っております。ちなみに、大規模改修費は来年度概算要求でことしよりも四〇%アップで要求しておりますので、ぜひこの方でも十分な対策に心してまいりたい、こう思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 文部大臣の言われたような御方針は私どもも承知をいたしておりまして、できるだけ予算面でも補助対象事業として優先的に扱ってまいりたいと思います。
○矢原秀男君 建設省にお願いしたいことは、全国で四万三千カ所の解体工事が行われております。こういうふうなことで、公共、そして民間はゼロでございますけれども、総点検をしなければいけないわけでございますが、建設省の対策。
 それから、最後になりますが、労働省にお願いをいたします。
 これがちょうど一リッターぐらいの入れ物だと思いますが、今日本の国ではこれだけの大きさの中にそういう浮遊じんが二千までは許されている。アメリカでは十分の一以下のわずかこれの中で二百までは汚染が許される。余りにも差がひどい。日本はこういうふうなことでいいのかどうかという問題でございます。この点を労働大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(越智伊平君) ただいま文部大臣からもお答えをいたしましたが、公共建築物につきましては関係機関で調査改善が進められております。よく連絡をとりまして、早急に改善がされるように進めてまいりたい、かように思う次第であります。
 民間の建築物につきましては、所有者等に調査の方法であるとか改善の手法であるとか、こういうことに周知徹底を図りたいと思いますとともに、粉じんによる被害の発生のおそれのある建造物については早急に調査、改善をするように指導してまいりたい、かように思う次第であります。
○国務大臣(中村太郎君) 我が国の作業環境濃度につきましては、その評価方法自体がアメリカと異なっておりまして、一概に比較することは適当ではないと思いますけれども、従来より、評価の基準となる管理濃度の設定に当たりましては、日本産業衛生学会、米国産業衛生専門家会議等の示す許容濃度を参考にしてきておりまして、今後ともこれらの動向を踏まえつつ、最近の研究成果等の情報の収集に努めまして、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。
○及川順郎君 澄田日銀総裁、きょうはありがとうございます。
 日銀総裁に伺いたいわけでございますが、いよいよ懸念されておりましたように大変な事態になりまして、百二十円台に円高が突入したという状況でございまして、非常に難しいとは思いますが、これがどこまで進んでいくのかという点が一点。二点目は、中小企業や国民生活にどういう影響が出てくるか。さらにまた、三点目として、金融政策としてどのような対応策をお考えになっているか。
 その三点につきまして御所見を求めたいと思います。
○参考人(澄田智君) お答え申し上げます。
 十月下旬以来ドル安円高の方向の為替市場であったわけでありますが、今おっしゃるように、昨日のアメリカの十月の貿易収支の赤字が百七十六億ドル、対日赤字が五十九億ドル、こういう数字が公表されました。貿易収支全体の赤字としては史上最高の赤字である、こういうようなことで一段とドル売りが進んで円高ドル安になっているわけでございます。この点につきましては、数字がマーケットの予想を大幅に上回る悪い数字であったというようなこともあって、かなり思惑的、投機的な動きもこれに加わっているという状態ではないかと思います。本日は東京の市場においては百二十八円台ということでございます。
 御質問の第一として、こういう状況がどこまで行くのかというような御質問でございますが、私どもも、現在の市場の反応は数字を見て非常に一時的な動きというようなものもそこに加味されているというふうに見でおりますし、今後の為替市場の動向というのは十分注意をしていかなければならない、そういった段階である、こういうふうに思っております。
 ただ、ここでお断り申し上げておかなければなりませんことは、私ども市場を直接相手といたしております通貨当局という立場でございます。私どもが今後の市場の方向というようなもの、どこまで行くのかというようなことも含めまして、そういうことに触れますことは、どうしても思惑を招いたり、あるいはそれに基づいて憶測、そうしてそれに基づいて思惑、こういうような形で市場にいろんな動揺を起こす、影響を起こす、これは免れないところでございますので、今までいかなる場合におきましても今後の予想というようなものは差し控えておるわけでございまして、甚だ恐縮でございますがその点は御了承いただきたい、かように思う次第でございます。
 それから第二の点で、中小企業あるいは個人等に対する影響を含めてこれの影響はどうか、こういうようなお尋ねでございますが、現在日本経済は、七−九月のGNPの速報の数字、あるいは十一月現在で日本銀行が行いました短期経済観測という非常に幅広い企業にアンケートをとってサーベイを行ったわけでありますが、いずれを見ましても非常に内需を中心として腰の強いしっかりした経済という状態でございます。これは今までの財政金融政策の効果ということもございますし、それから円高のいわゆるメリット面、プラスの面、こういうようなものもやはりそこには出ている、こういうようなことも加わっているのではないか、こういうふうに思うところでございます。
 こういうような状態でございますし、今後におきましては所得税の減税等を含めます財政面の措置がさらに効果を発揮してくるという、そういう面も時期的に今後予想されるところでございますので、こういうことを含めまして、経済の基調、景気そのものにおいでは今後においても内需中心で拡大をしていく、こういう展望が持ち得る状態であるというふうに考えております。ただ、御指摘の為替市場の今のような状態あるいは株式市場の下落、こういうことの影響等につきましては今後十分に注意をしていかなければならない、そういうふうに考えて私どもも対応をしていくつもりでおります。
 三点目の金融政策についての対応の考え方でございますが、日本銀行は昨年初め以来五回にわたりまして公定歩合を引き下げて、ことしの二月から二・五%という世界で最も低い水準、そうしてまた過去でももちろん最低の水準というところまで金融を緩和してまいりました。最近、今月に入りましてからヨーロッパの諸国が金利を下げましたが、その場合におきましても、ドイツがようやくと申しますか、日本並みになった、こういうところでございます。したがいまして、緩和基調というものは十分に行き渡っているというふうに思います。
 他方、マネーサプライが前年に比べて二けた台、一一%の上の方というところまで、これは金融緩和をまさに反映したものでございますが、そこまで伸びておりまして、これは高過ぎるという、そういう状態でございます。
 また、卸売物価等の面におきまして円高が物価を鎮静させるという効果がありますことは、これは当然認められるところでございますが、ただ、ことしの六月ごろ以降の状態においては建設資材、化学製品等を中心に、これは建築が非常に盛んである、こういうふうなこと等を反映したものでございますが、かなり上昇ぎみでございました。そうして、景気の腰が強いということを反映して製品需給あるいは労働需給の面においても引き締まりぎみになってきているわけでございます。
 こういう金融面、物価面の状況等を考えますと、やはり金融政策としては物価に配慮した慎重な目配り、慎重なスタンスということが必要である、こういうふうに考えております。しかしながら、為替市場、株式市場等の動向には最大の注意を払って、そうして短期金融市場の運営面あるいは為替相場の方に対しましては状況によって各国と連絡をとりながら協調介入を行う、あるいは必要な場合にはもちろん単独の介入も行う、こういうようなことで状況に応じて適切に、そして柔軟な対応を図っていく、それが現在私どものとるべきスタンスであろう、こういうふうに思っているところでございます。
○及川順郎君 どうもありがとうございました。
 経済企画庁長官に伺いたいんですけれども、この円高基調が我が国経済に及ぼす影響から経済動向をどうとらえてどうかじ取りしようとしているか、その点を一点伺いたいと思っております。
 それから通産大臣、この円高基調が産業部門に及ぼす影響、これは非常に大きいと思うわけでございまして、プラス面、マイナス面、両面にわたりましてどのようにとらえ、どう指導していくのかという、この点を伺っておきたいと思っております。
   〔理事林道君退席、委員長着席〕
 大蔵大臣に、こうした動向を踏まえて、六十三年度経済、財政のかじ取り、この点をどうしていかなければならぬかという、この点をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中尾栄一君) 及川委員に御答弁させていただきます。
 今おっしゃられました各問題点はそれぞれみんな関係のあることでございまして、私としても一概に申し上げにくいところでございますけれども、細かく申し上げるサンプルもございますが、あえて申し上げますならば、やはりこれは国際協調、政策協調、この問題点が最も必要な問題点ではないのかな、このように考えておるわけでございます。なかんずくアメリカの最近の金融財政は、御案内のとおりの双子の赤字に示されますように、貿易収支の赤字、さらにまた財政の赤字というものが二つございまして、これがためにこういう方向に誘引されたということだけは間違いございません。
 そういう点においては、きょうの円高市況におきましても、委員御指摘のとおり百二十円台というのは私どももやや当惑している点でございまして、この点におきましては、各関係官庁とともども十分に話し合いまして、そして対米関係におきましてもあるいは対欧関係におきましても善処方を申し入れる、あるいはまた我々もそれに政策協調していく、この点に尽きるかと思うのでございます。よろしくどうぞ。
○国務大臣(田村元君) 先般来の急激な円高というものに対して、もう一年半ぐらいになりますか、各企業は、特に輸出型の生産部門、これは大企業というだけでなくて中小企業、とりわけ下請企業等大変な苦労をいたしました。そして、私が率直に言って驚くほど、もうかわいそうになってくると言う方があるいは正確かもしれませんけれども、必死の企業努力をやって合理化にいそしみました。私もたくましさに喜ぶ反面、どんなにか苦しかろうかと思っておりましたが、また現在の急激なさらなる円高ということで輸出に対して相当厳しい影響があるものと思われます。でございますから、それに我々は必死の対応をしていかなきゃならない。一つには構造転換を進めなきゃなりませんが、同時にまた、それなりの不況に対する対応もしなきゃならない。特に輸出型産業、それに不況地域、また企業城下町等に対する政策を一段と強めなければならないと思います。
 また反面、今日の経済の二面性から申しまして、円高というものは一層の物価の値下げ、つまり輸入の促進、円高メリットの還元ということで物価安定の促進につながります。でございますから、国民の生活実感というものは高まるだろうと思います。卑近な例を申しますと、輸入品を買う。うんと安くなるでしょう。また外国旅行をする。これもうんと安くなるでしょう。そういう点でのメリットは大いにあると思いますが、メリットを喜ぶ前にデメリットに厳しく対応しなければならないと考えております。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま両大臣の言われましたようなことを背景にいたしまして、まず公共事業の水準は本年の当初に比べますと二割アップ、補正で上げましたその水準を続けてまいりたいと思っております。と申しますのは、一見景気は好調になったようではございますけれども、地域によって相当落ち込みがございますし、また前川リポートに申しますような日本経済社会の調整と申しますか、転換と申しますのは数年を要する仕事でございますので、一度だけの予算支出で十分だとは考えませんで、できればかなり何年かそういう高い水準を続けていく必要がある。願わくはそれが順調に消化されることを願っておるのでございますが、そういうふうに思います。それもなるべくならば、したがって地方に面的な開発等々が行われることが望ましい、そういう傾斜が望ましいと思っております。
 それから、経済全体は好調になりつつあるように存じますが、やはり企業城下町であるとかでは産業転換に非常に今でも苦労しておられますし、また他方で三十万人雇用造成といったようなことも必要が叫ばれておりますので、そういうための予算支出は惜しんではならないというふうに考えております。と申しますのも、他方でおかげで税収等々が比較的好調に見込まれますし、NTTの売却も順調でございましたので、かねての命題でございます昭和六十五年度には特例公債依存から脱却をしたいという、あと三年残っておりますのでその第一歩を六十三年度予算で実現をいたしたい、こういうことを考えております。
○及川順郎君 円高差益還元、先ほどの通産大臣の御答弁にも関連するわけでございますが、円高によって利益を受けたという国民意識は極めて低いんですね。総理府の調査でも八・九%という低い状況を示している。この円高差益の還元がまだまだ不十分ではないかという意見も強いわけでございます。国民の生活実感とのこうしたギャップの原因はどういうぐあいにとらえておられるのか、この点をまず伺いたいと思うわけでございます。
 あわせまして、電力料金や都市ガス等を値下げの方向で検討されておりまして、ほぼその方向が打ち出されておるわけでございますが、ガソリンなんかも最前線のスタンド等は元の値が下がらないから大変だ、それでもぎりぎりのところで勝負しているということをよく聞くわけでございますけれども、やはりこうした石油、プロパンガス等も含めましてもっと料金引き下げや値下げの余地があるんじゃないかという声があるわけでございまして、この年末を控えまして輸入食品等に関しましてもこれは連動するところでございまして、この点に対する所見を承りたいと思うのでございます。
○国務大臣(田村元君) 円高差益の還元について実感が余りないというお話でございますが、率直に言いまして相当円高差益の還元は進んでおります。ただし、今の百二十円台というのはこれは想定しておりませんので、直近の統計を持っておるわけではございませんが、そう遠くない以前で我々は大体二十五兆円ぐらいの差益があるだろうということをはじきました。そして、そのうちの約七割近くが還元されておるだろうというふうに計算をいたしました。これは企画庁も大体よく似た数値をはじいておるようでございます。でございますから、両者の計算はそれほど違っていない、このように思います。
 特に私どもが扱っております品物の多くは、ほとんどもう非常にスピーディーに差益の還元は進んでおりますけれども、ただ例えばブランド商品とかそういうようなものがまだおくれておるようでございます。アメリカ物は相当進んでおるのですが、ヨーロッパ物が、それも高級品がなかなか値が下がらない。一つには買う方が、高いから買うというところもあると思います。
 それから電力、ガスでございますが、既に本年一年で二兆円余りの還元をいたすことになります。そして、今度改定をするわけでございます。一月元旦から新料金ということになりますと、十日間の公示期間を必要としますから、遅くとも二十一日までには認可をしなきゃならぬ。でき得る限りの還元をいたしたい、このように思っております。電力の場合は平均で三・九%、ガスで平均四・五%という申請がございますが、私どもは厳しい査定をいたして決断をするつもりでございます。
 それからいわゆるガソリンでございますが、これはちょっと事情がいろいろございまして、過当競争だ何だというのがございまして一概に論ずるわけにはまいりませんが、今その秩序を正すように指導をいたしておるところでございます。
 それから、灯油なんかの石油製品もそうでございますが、原油価格低下に見合いました製品価格の低下が見られますけれども、引き続き価格動向を注視していきたい。
 それから液化石油ガス、今おっしゃいましたLPG等でございますけれども、これも輸入価格、仕入れ価格の値下がりを末端価格に適切に反映するように当省から要請を行っておるところでございます。
 いずれにいたしましても、円高差益の還元はしっかりとやるつもり、やるといいますか、やらせるつもりでございます。
○国務大臣(中尾栄一君) ただいまの委員の御質問の中で、特に国民にどのように反映しているか、そのように反映する意味においては多少不満、不定愁訴が多いんじゃないのか、こういう御質問も加味されておったと思いますが、今の田村大臣の御発言のとおりでございますけれども、全体的に見ますると、食料品は、四千人の統計をとって調べてみますると、エビ、バナナ、スイートコーン缶詰、ナチュラルチーズというのは大変に月高差益の還元を認めている感がございます。しかしそれに反して、先ほど田村大臣もお触れになっておられましたウィスキーとかワイン、あるいはワイシャツ、万年筆、腕時計というのがちょっとまだ円高差益還元には至っていないなという感触の統計はそのとおりに出ております。
 そういう意味からいきますると、総括的に見ますると、委員の御指摘のことも十分に踏まえなければならぬ、こう考えております。
○及川順郎君 厚生大臣に伺います。
 国民健康保険制度の地方自治体の負担が年々重くなって、非常にこれはもう悲鳴を上げておるわけでございまして、国保の補助率引き下げ等は、財政面から国の責任の放棄につながるんじゃないかという、こういう非常な批判が噴出しているわけでございますが、将来の一元化構想も含めまして、この点に対する対応を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 本格的な高齢化社会を控えまして、国保制度の長期的な安定化を図っていくということは現在の急務の課題であると思っております。いろいろ御意見があることもよく承知をいたしておりますが、現在は、国保問題懇談会の検討を踏まえまして、特に地方団体関係者の御意見も十分伺いながら、国保制度の安定化に向かって最大限の努力をいたしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
○及川順郎君 文部大臣に伺いたいわけでございますが、災害遺児の育英制度の具体化につきまして、きのうも出ておりましたけれども、現在では、交通遺児育英会の事業対象範囲を拡大してということで関係者が非常に涙ぐましい努力をしておるわけですが、やはり巨額な資金が必要となって、どうしても政府の補助金がなければ無理な状況である。こういう状況にかんがみまして、災害遺児の育英制度につきましては、国としてこれはきちっと確立するという方向に取り組んでいただきたいと思いますが、この点、いかがでございますか。
○国務大臣(中島源太郎君) 御指摘の災害遺児につきましてですが、何回かお答えをいたしておりますが、国で実施しておりますのは日本育英会の育英奨学事業がございますが、それ以外の特定の災害遺児につきましては民間の育英事業が行われておるわけでございます。
 今までお答えしておりますが、内容を申しますと、漁船海難遺児育英会、消防育英会、警察育英会、犯罪被害救援基金、交通遺児育英会、こういうのがございまして、この範囲はできておるわけでありますが、その他、災害遺児一般にこういう救済制度をつくろう、こういうことになりますと、どうしても、その他の原因で家計を支えている柱が亡くなられましたり、そういうことで進学できないという方々との整合性をどうしても考えなきゃならぬ部分が残ってまいります。
 そういう面がございますので、御趣旨のありますことは前から承知をしておりますし、それから関係省庁とも打ち合わせはしておるわけでございますが、そういう面の整合性と申しますか、均衡も考えていかなきゃならない点がありますので、どうしても対応が慎重にならざるを得ない点がございます。しかし、御趣旨でもございますので、今後一層積極的に関係者、関係省庁と打ち合わせ、話し合いをいたしてまいります。
○及川順郎君 環境庁に伺いたいわけですが、フロンガスの規制問題が非常に重要になってきておりまして、これは地球的規模の環境問題として非常に脚光を浴び、また、その対応が我が国としても重要になってくるわけでございますが、この点に対する我が国の対応について、現在どのように考え、将来どのように考えていかれるか、この点を伺いたいと思っております。
○国務大臣(堀内俊夫君) フロンガスのオゾン層の破壊という地球規模の非常に大きい問題でございますので、環境庁としては非常に重要な問題だと考えております。
 特に、地球規模でフロンガスをつくっておるのが大体百十万トンと言われておるのですが、我が国で、その中の十七万トンぐらいつくられております。そういう意味からいうとフロンガスの生産大国とも言えるわけですが、これで油を溶かすことが簡単にできるものですから、非常に便利なものでございます。そのためにだんだんたくさんつくる。こういう便利なものは、一枚めくると大変な公害と裏腹になっておるのが普通でございます。特にオゾン層を破壊するということになると、もう人類の死滅、生存に関係するというような大問題でございますから、立法措置も含めて、この問題について調整しなきゃならないというふうに基本的には考えております。
 さしあたって、一番使われておるのはIC等の洗浄に使われておる。これが空気中へ出るといわゆる公害になってくるわけなので、部屋の中で外へ出ないように、大気へ出さないように、また、その中で使われるものを還流しながら使えるようにすると生産数を減らしても有効に使える。そういう方法についての検討を進めていく。こういうようなこと。また、冷蔵庫なんかの冷媒に使っているものですから、これはそのまま皆捨ててしまうというときに、砕かれて液が流れる。そこからフロンガスが出るわけですから、その始末。廃棄物の終末処理にも注意の点検をやっていくとか、いろんなことを総合的にしなきゃならぬと思います。
 そういうことも含めて、今申しましたように、世界的な、地球上のすべての国の問題として、私の方も特別に研究を進めで、世界に貢献できるような措置を考え出していかなきゃならぬ。それで、結論から申しますと、立法措置も含めてこの問題に取り組んでいきたいというふうに考えておるわけであります。
○及川順郎君 外務大臣に今のフロンガスの問題で一つ承っておきたいわけですけれども、ウィーン条約とモントリオール議定書の締結国に我が国も早くなるべきではないか、こういう感じを持っておるわけですが、この点に対する見通しを伺っておきたいと思っております。
 それで、最後にまとめとして総理にお伺いしたいわけでございますが、所信表明で、「経済発展の成果を国民生活に生かし、真の豊かさを実感できる社会の創造」というぐあいに所信を述べられておるわけでございますが、この「真の豊かさを実感できる社会」とは、具体的にどういう豊かさを想定なさっておられるのか。この点を承りまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○国務大臣(宇野宗佑君) フロンガスに関しましては、今環境庁長官が詳しく申されたとおりでございます。
 既にウィーンにおきましては、委員御承知のとおり条約が二年前にできておりますが、対象の問題に関しまして、規制等でやはり議定書をつくらなくちゃならぬ。この議定書も、モントリオールでこの九月にでき上がりました。我が国といたしましては、当然条約と議定書、この二つが整ったときにひとつ加盟をしようと思っておりましたので、次期国会におきまして条約並びに議定書の御承認を賜るという運びになろうと考えております。
○国務大臣(竹下登君) 先ほど来いろいろな御議論があっておりましたが、例えば生活関連社会資本というものが投下されたならば、それがお互いの暮らしの豊かさの中に還元されていかなきゃならぬ。それから、先ほど来円高差益還元の問題がございましたが、円高差益というものは経済の大きな分野を受け持つわけでありますが、インフレが最大の増税であるごとく、またそういう差益還元なんというのは最大の減税であるとも位置づけられる、そういうものが国民に還元されていく。しかし、ただそういうものだけでなく、いま一つは社会環境全体の中においてお互いの心の持ち方によっての心の豊かさというものを、これは何があってできるというものではございませんが、政治の理想として追求すべきものではないかと、このように考えております。
○及川順郎君 どうもありがとうございました。
○委員長(原文兵衛君) 以上で及川順郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 次に、神谷信之助君の質疑を行います。神谷信之助君。
○神谷信之助君 まず、総理にお伺いします。
 十二月八日に、ゴルバチョフ・レーガン両氏の会談で御承知のようにINF、中距離核兵器の全廃条約が調印されました。量としては全核兵器のわずか八%。しかしながら一つの分野で全廃をするというのは画期的な出来事であります。こういう新しい世界の潮流についての総理の見解をまず聞きたいと思うんです。
○国務大臣(竹下登君) まさに、今おっしゃいましたように、一つの分野であろうと全廃、これは私は大きな第一歩を踏み出したというふうに評価をいたしております。ただ、たびたび申し上げますように、あの調印の模様、その後のいろいろなテレビ等を見ておりましても、頭の中をよぎるのは、いわゆる戦略核の問題とか、そして通常兵力の問題とか、地域紛争の問題とか、そういうものが解決されていく第一歩になればまさに後世の史家ともどもに偉大なる評価をするところではないかという考えでいっぱいでございます。
○神谷信之助君 しかし、これは単に我々は眺めているだけではいかぬと思うのです。
 そこで、これらについての今までの総理の答弁、見解をずっと聞いておりますと、そういう核兵器をなくしていく方向、軍縮の方向への第一歩を踏み出したというのに、軍事費を減らさないで、あくまでも中期防衛力整備計画をやるんだと、これにしがみついておられる、こういうように私は受けとめる九ですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 中期防衛計画にしがみついておると。印象としてお話しになった言葉でございましょうが、しがみついておるという感じを持っておるわけではございませんが、大変大切なものだという問題意識は持っております。
 しかし、おっしゃいましたように、理想と現実というものを考えてみた場合、されば今日の平和はどうして維持されておるか、それは遺憾ながらいわゆる力の均衡と言わざるを得ない。そうしますと、まず軍縮というのは、可能な限り低いレベルで軍備を均衡させることによって関係国の安全保障を高めるものであらねばならぬ。また、そうした合意は必ず検証可能なものでなければならぬ、こういう問題意識を持っておりまして、我が国のいわゆる中期防衛計画というものは、これはまさに局地戦闘状態に対しますところの最小限の自衛の手段としてあるものであって、その大綱に基づきまして逐年整備していくという、これは現実の課題と観念の問題とそれを結びつけるわけにはまいらないというのが、お互い考え方のあるいは相違でございましょうが、私はそのように思っております。
○神谷信之助君 あれが最小限のものだとおっしゃるんですが、そこでたびたび出てまいりました竹下総理の「私の「ふるさと創生論」」、これは私も読ませていただきましたが、これの三十四ページを見ますとこうあるんですね。美しいふるさとと自由を守るために防衛政策を再検討すべきだ、その再検討とは防衛力の質量について増強を目指す、こうあるんですよ。だから、最小限だからもっとふやすんだと。これは十一月五日に発行されていますから、総裁戦立候補のときの、竹下総現実現せばこの道だという本です。だから、軍縮どころかふやすんだ、増強するんだ、これがふるさと創生論だと理解せざるを得ぬのですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 泥靴で侵略されるというような表現が適切であるかどうかは別問題として、現実の問題として、美しければ美しいほどそのふるさとというものを守るのは当然だ。しかしながら、私が申しておりますのは、いわゆる装備等を見ましたときに、従来の固定した観念でとらえると陳腐化したものもあるだろう、そうしたものをより国際的な科学技術の進歩に準じた物の見方で考えなきゃいかぬということを申し上げておるつもりでございます。
○神谷信之助君 それじゃ、増強という日本語はおかしいでしょう。本音が出ているんですね、増強という言葉をお使いになっている、質量ともに。だから、総理がおっしゃっているこの中期防自体、しばしば言われているように、五年間で十八兆四千億でしょう。しかもGNP一%の枠を外して、今度はこれがこの粋なんだ、歯どめだとおっしゃるけれども、そんな歯どめどころの騒きじゃない。増強するんだ、こういうことなのであります。
 そこで、もう既に世界で米ソに次ぐ第三の軍事力を日本は持っている。この日本の軍事費は、実際は日本を守るためにあるんじゃなくてアメリカの肩がわりなんだ。だから私どもはこれを削減しなさい、削りなさい、こう言っているんです。これは既にレーガン政権でも軍事費を削減するという決意をなさったんです。だからこの軍事費を削るということをおやりになるべきだというように思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる我が国の防衛関係予算というものは、やはり我が国を守るための必要最小限度のものであって、アメリカの肩がわりをしておるという性格のものではないという、そこのところに基本的な相違が存在しておると思います。したがって防衛費――私は軍事費とは申しませんが、防衛費の問題につきましては、それこそそのときの経済情勢、諸般の問題を考えながらぎりぎりの線で調整していくべきものであるというふうに私は従来とも考えてまいりました。
○神谷信之助君 そこでお聞きをしますが、具体的に言いますと、中期防で購入しようとしておりますOTHレーダー、これについてまず性能、それから価格、そしてどこに置こうとするのか、防衛庁の方から答弁してもらいたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) OTHレーダーは、短波が電離層に反射することを利用して遠方にある航空機などを探知するものでありまして、一般には探知範囲というのは千から三千キロメートルぐらいの範囲というように考えております。これらは通常のレーダーと違いまして、非常に遠くのものを反射を使ってやりますので機数とかそういうことはわかりませんけれども、航空機なり艦船等がどちらの方向にどのスピードで進んでおるかということがわかるというものであります。
 なお、値段あるいは設置場所というお話でありますが、現在まだ検討中でございまして、設置場所等についてここだと申し上げる段階にないというものであります。それから値段につきましては、まだ開発中のものでございまして正確な値段はわかりませんが、機材そのものとしては数百億のものではなかろうかと思っております。
○神谷信之助君 アメリカの太平洋地域におけるレーダーの建設構想、これはどうですか。
○政府委員(西廣整輝君) アメリカのOTHレーダーというのは二種類ございまして、空軍が用いておりますOTH・Bというのがございますが、これはもう既にアメリカの本土の東側あるいは西側、南側、さらにはアラスカに計十二個を配置するという構想で、逐次調達して配置しつつあるということであります。現在我が方が設置を一応考慮しておりますOTH・Rというのは艦船も見れるというものでありますが、これは米海軍が開発中のものでございまして、米海軍そのものがまだ開発中で、具体的な配備計画はないというように承知しております。
○神谷信之助君 今の米海軍が配置を予定しておるというのは、公表をされていますわね、アリューシャン、ハワイ、グアム、フィリピンと。それで、日本が今度設置しようとするものは、言うたらそのすき間を埋める、こういうもので、つまりアメリカの対ソ戦用のレーダー網の一翼を担う、こういうことで米海軍の配置場所と日本の配置場所、連動しているわけです。これはもう明らかじゃありませんか。
○政府委員(西廣整輝君) 先ほど申し上げたように、OTHレーダーRについてはまだアメリカとしても具体的な購入計画なり配備計画はございませんが、米海軍ができ得ればアムチトカとか、これはアリューシャン列島にありますが、グアム、そういったところに置きたいという気持ちといいますか、構想は持っておるということですが、まだ開発中のものでございますので整備なり配備の計画はないというように承知しております。
○神谷信之助君 それからもう一つ、日本のOTHを設置して使いますと、その情報を、これは日米防衛協力のための指針、ガイドラインで、平時でも日米間で提供し合う。したがってアメリカ側は、平時でも生のデータを横浜の米軍の上瀬谷の通信施設に直送してほしい、大体そこに送る、こういう状況になっているんじゃありませんか。
○政府委員(西廣整輝君) 情報と申しますのは、我が国は我が国のためにとっておるわけでございまして、これを我が国の国益に応じて必要があれば交換をするということはあろうかと思いますが、自動的に我が方の情報がよそに流れるということはございません。
○神谷信之助君 国益に応じて判断して流していくということですから、今の日米関係重視ということであれば流すということですね。つまり、日本がどこからも攻められていないときに、米ソ対決になったとき、そうすると日本はアメリカにソ連の艦船それから飛行機、これらの軍事情報を生でずっと提供する、こういうことはできるように見えます。だからこれは、政府が今まで否定をしてまいりました集団自衛権の問題、あるいはもっと言うとアメリカを守るために軍事的行動をとるということに一歩踏み込むことになると私は思うんだが、いかがですか。
○政府委員(西廣整輝君) 集団自衛権の行使というのは、他国のために武力の行使をするということについて言うものでありまして、情報の移転というものが集団的自衛権に当たるということは従来から政府としては申し上げておらないと思います。
 なお、先ほど来申し上げているように、情報というものはそれぞれの国が独自の必要性からとっておるわけでございますが、それをさらに有効に活用するために国益に応じて交換するということも当然あるというように御理解いただきたいと思います。
○神谷信之助君 一般的に言っているんじゃなしに、軍事情報を送るでしょう、それが問題なんです。
 次にイージス艦ですが、これは中期防での購入計画がありますが、これはどんなもので、価格は幾らか、何隻購入をするのか、この辺をお聞きしたいと思います。
○政府委員(西廣整輝君) いわゆるイージス艦と申しますのは、イージスというシステム、対空ミサイルシステムでございますが、これを搭載した艦というふうに御理解いただきたいと思いますが、現在自衛隊はターターシステムというミサイルシステムを積んだ、ミサイルを搭載した艦を持っております。これに比べますと、例えばそのシステムの持っておるレーダーの探知距離あるいはミサイルの射程、リアクションタイムといいますか、発見してから発射するまでの速度、そういったものが速うございまして、つまりある外から、航空機からミサイル攻撃を受けた場合に、当たらなければ二の矢、三の矢を撃つというようなことで非常に命中性能が上がってくるというものであります。
 これは、中期防計画では契約額としまして一隻千五百億円程度のものを二隻ということで計上いたしておりますが、来年度予算、現在概算要求しておりますのは円高等の状況のため契約額で千三百六十億円でございますが、五カ年で建造するということで現在概算要求をいたしております。なお、期間中にもう一隻建造する計画になっております。
○神谷信之助君 アメリカの議会における証言でレーマン海軍長官がこう言っていますね。日本が防衛責任を負っている一千海里にはアメリカの海軍のイージス艦は展開をしない、する必要はない、そういう計画はない、こう言っています。これは、日本側はイージス艦をつくるからそこでアメリカの方のイージス産を置く必要はない、こういうことであります。
 総理、お伺いしますが、幹事長時代にあなたは、税制改革が必要な理由の一つとして国防のためということも挙げておられます。国防のためであり生活のためでありと言ったことがあるんですが、実は今、来年の秋にでもつくりたいとおっしゃる新しい大型間接税というのは、そういう軍事費を増強するその財源のためにどうしても必要だということではありませんか。
○国務大臣(竹下登君) 私がよく演説する中の文章、あの演説に基づいての御質問、昨日もございましたが、私が申しておりますのを正確に申し上げますと、国の基本とは、予算上から見たら外交、防衛、治安、教育、そしてぎりぎりの社会保障、最低保障、それから社会資本ではないかと。そうすると、ある人が、そういう基本に関する部分は法人税とか所得税とか、いわゆる応能主義、能力に応じて拠出する安定財源が最もよくはなかろうかと。しかしその保障を超す部分の福祉政策とか、ますます高齢化社会がやってくるので、いわばチャリティーフィーを出すように広く薄く対応すべきではないか。あえて私は福祉目的税を前面に出して申し上げておるわけではない、こういう演説をよくいたしまして、外交、防衛の方は応能主義、そしていわば消費に着目したものは応能主義とは別の課題と、こういうふうに申し上げたことはございますが、いわゆる税制改革と防衛費とを結びつけて考えたことはございません。
○神谷信之助君 いろいろ言いわけをなさいますが、いずれにしても、不公平税制の是正をやれば十分財源があるにもかかわらず、これになぜ固執をするのか。それはやっぱり軍事財源が必要なんだということを我々は考えざるを得ない。
 そこで、上田議員がこの間の代表質問で、十一月三十日に外交文書を公開されました、そこで明らかになった一九五二年の行政協定交渉当時の口頭密約について総理に質問したら、総理は否定をされました、それはないと。そこでお聞きをするんですが、外務省、三十五年間秘密にされてきて今回公表された文書の、五二年二月二十二日の第十五回非公式会談の岡崎国務大臣のこの問題についての発言を紹介してください。
○政府委員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。
 第十五回の非公式会談におきまして当時の岡崎大臣が言っておりますことは、米国政府が日本政府の意見を入れられたことに謝意を表する、提案についていろいろな意見があっても新案文に手を触れないためそのままのむこととしたい。ラスクは――これを飛ばしまして、国務大臣は、総理初め閣僚が統合司令部や米司令官の必要性、緊急事態のもとにおける両国協力措置の緊要性については見解を等しくしており、両国間の協力については決して懸念の要がないことを保証したい、こういうことを言っております。
○神谷信之助君 これで総理明らかでしょう。とにかくアメリカの方は統合司令部や米司令官、これを明記してくれ、しかしそれは日本政府としては憲法上困難だ、そんなことをしたら政府は転覆する、それじゃわかったというアメリカの態度に対して、岡崎さんが了解していることを口頭で明確にして議事録になった、いわゆる口頭了解。明らかじゃありませんか、総理、いかがですか。
○政府委員(藤井宏昭君) ただいま私が申し述べましたことは、口頭了解というような種類のものではございません。これは一つの実態認識を我が交渉者が述べたものでございまして、それが明確な米国政府との間の合意を形成するという意味で日本側も発言しておりませんし、アメリカ側もそう受け取っていないということは明確でございます。
 どうしてこういうふうに実態認識がされたかということは、これは当時の時代の状況を考えれば明らかでございまして、この当時は朝鮮半島では朝鮮戦争が火を噴いておりますし、戦後七年を経過したのみでございます、まだ講和条約も発効していないという状況でございまして、警察予備隊というようなものが日本を守っておる、まだ保安隊の前でございます。そういう実情におきまして、もし有事の際、日本が侵攻された場合には日本はいまだ自分を守る力がない。したがって結局そういう状況においては統合司令部というものも必要かもしれない、その司令官というのもアメリカ人を任命するということも必要かもしれないということをるる述べておるわけでございまして、それがアメリカとの合意を形成しているわけではございません。
 現にその証拠といたしまして、この結果、アメリカは十五回、ただいま私が引用いたしました会合でございますけれども、ただいまの岡崎大臣の発言の前に、アメリカ政府は日本の状況を勘案してこれ以上押さない、一般的な表現で結構だということを言っておるわけでございまして、それに対して岡崎大臣がアメリカの態度に感謝するということで先ほどの実態認識を述べておるわけでございます。
○委員長(原文兵衛君) 関連質疑を許します。上田耕一郎君。
○上田耕一郎君 今のは第一幕なんですね。四月二十八日に安保条約、行政協定が発効してから第二幕が始まるんです。よく御存じのはずですけれども、私、質問でも述べましたが、二年前の八五年五月二十二日にアメリカ国務省が外交文書を公表しているんですね。五二年−五四年、「中国・日本編」というものです。
 そこに、安保条約発効後、アメリカ側は、この問題で協定を結ばなきゃならぬ。ナンバー五七三の文書。ヤング北東アジア局長から極東問題担当のアリソン国務次官補に向けての覚書が既に公表されています。アメリカ側がもう既に協定案も全部書いてありますよ。この中で、今が最もいい時期なので、これを最高機密にして口頭で日本政府と結べということになっているわけです。その後の文書、ナゾパー五八一、マーフィー駐日大使からアメリカ国務省への極秘電報があります。この極秘電報には、五二年の七月二十三日の夕方、吉田首相自身がマーフィー・アメリカ大使とクラーク極東軍司令官と会った、この問題を話し合った、そう述べてある。
 そのとき吉田首相は、タツミ元将軍をこの担当者として任命すると言っている。事実と経過を明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(藤井宏昭君) ただいま御指摘のように、アメリカの公開いたしました文書によりますと、当時の吉田総理はクラーク、これは当時の司令官でございますが、とアメリカ大使と会いまして非公式の話し合いを行いまして、緊急時の日米両軍統合司令部に関する明確な了解が欠如しているというアメリカの懸念をアメリカは表明したと。ちなみに、これは先ほど申し述べましたように、先ほどの合意がもしありとすればアメリカはこういう懸念を表明するわけはないわけでございます、そういうことでございます。アメリカの懸念を表明したと。
 さらに、警察予備隊の訓練と装備に関する計画と、日米両軍の調整を直ちに行うことの必要性の概略を説明したと。それに対して吉田総理は両ポイントにつき即座に同意を表明したという趣旨の記述がございます。ただ、この記述につきましては、我が方の文書に当たりましたけれども、そういう事実についての記述は我が方には存在いたしません、
○上田耕一郎君 これは日本側の文書にないところに問題があるんです。このヤング局長の極秘覚書にはちゃんと協定文が全部出ているんですよ。これは最高機密として取り扱い、口頭にとどめておくべきだと。日本政府の情報が少しでも漏れれば日本政府が倒れちゃうからだというのですよ。アメリカ側は文書をもって、口頭で。だから記録にないのですよ。しかし吉田首相というのは条約締結権限を持っておるわけだから、口頭でも国際法上効力があるんです。政府は言わないでしょうけれども、この問題は非常に重大です。
 次の質問。こういうふうに口頭で秘密協定ができて、交渉者までタツミさんという人を任命している。その後、一九六〇年の安保条約、日米地位協定、この問題はどうなりましたか。
○政府委員(藤井宏昭君) まずお答えいたしたいのは、口頭におきましても文書におきましても、全くそのような協定あるいは合意というものは存在いたしません。
 先ほど申し述べましたように、ただいまのお話でございますが、吉田総理が行政協定調印後に述べました見解というものは我が方には記録がございませんけれども、察するに行政協定調印前と同じように実態認識を述べたものでございまして、当時におきましてその実態認識というものが一つの政治的な考えとしてはある意味では当然とも言い得ることではないかと思います。その実態認識が、その際におきましてもアメリカとの明確な意味での合意を構成していないということは明確でございます。
 その点につきまして吉田元総理は、「回想十年」におきましても、この実態認識が当時においては当然であるということをるるお述べになりまして、さらに、一部においては密約があるというようなことが言われているけれどもそれは全く根も葉もない憶測にすぎないということを「回想十年」において述べられておりますし、我が方の記録におきましてもそのような合意を形成したということは全くないわけでございます。
 ただいまの御質問でございますけれども、その後行政協定が、さらに新しい安保条約が一九六〇年にできまして地位協定になったわけでございますが、その間の交渉、新安保条約、現行の安保条約の交渉、現在の地位協定の交渉におきまして、この統合司令部の問題というものは一切出ておりませんし、さらにその後の日米間の防衛協力におきましてこのような話は一切出ておりません。逆に昭和五十三年、御存じのとおり日米防衛協力のための指針におきまして、日米両国は「それぞれの指揮系統に従って行動する。」ということが明確に明記されているわけでございます。
○上田耕一郎君 藤井さんは大変なことを言ったと思うんですよ。国際的な協定はないと言われた。しかし、実態認識ははっきりあったと。つまり、いざというときには日米統合軍をつくって、アメリカ軍が司令官を任命して、そのもとで戦うという実態認識を吉田首相が持っていて、アメリカ側に伝えたということですよ。大変なことですよ。私が七八年に佐藤・ニクソン会談の密約問題で質問したときに真田法制局長官は、たとえ口頭でも首相が結んだものは廃棄されない限りいつまでも効力があると答弁しているんですよ。だから、あなたが知らなくても、アメリカ側がこれは効力があると思っているんだと思います。――ちょっと待ってください、私ももう時間がございませんので。
 今ガイドラインのことを言われました。八三年三月二十四日、参議院の内閣委員会で西廣参事官、今の防衛局長ですね、日米共同作戦、これがガイドラインで調整機関というのが書かれておりますけれども、そのことが問題になって、こう答えている。「一番情報量の多いといいますか、情報処理能力のある道なり飛行機が調整に際してイニシアチブをとるということになろうかと思います。」というんです。情報量も情報処理能力もアメリカ側が多いことはもう言わずして明らかでしょう。調整機関、調整機関と言いながら、今藤井さんが言ったような実態認識に基づいて、今のガイドラインのもとでもいざとなると日米統合軍、アメリカがイニシアチブをとった、そういう軍事行動に踏み切るということに実態上なるということがあると思うんですね。だからこの問題で今の答弁を引き出した読売新聞は、「「日米統合司令部」流れたが 「調整権」で今も継承」という見出しをつけている。この大変な事態について、首相、どういう措置をとりますか。
○政府委員(藤井宏昭君) 実態認識と申しますのはまさに実態の認識でございまして、昭和二十七年の、朝鮮半島に火が噴き、警察予備隊を持ち、戦後七年、まだ講和条約が発効していないというときの実態認識と、それから四十年近く、三十数年たちましての現在の実態認識とは全く異なるわけでございまして、明らかにこれは当時の実態認識を一方的に述べたものでございまして、国家間の合意を構成しておりません。
 その証拠に、先ほど申しましたように昭和五十三年の日米防衛協力のための指針におきましては、明確に「自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下に、それぞれの指揮系統に従って行動する。」と書かれておりまして、調整と指揮系統とは別物であるというふうに存じます。
○上田耕一郎君 総理、重大問題です。
○政府委員(西廣整輝君) 私の答弁に関連しての御質問でございますので状況を御説明しますと、私が申し上げたのは、日米の関係はあくまで指揮命令の関係ではなくて、調整、コーディネーションの関係にあるというように申し上げました。その際、一つの作戦、例えば対潜作戦をやるときに調整関係で作戦ができるかというような御質問があったわけです。それはできますと申し上げました。それは何も日米間にかかわらず、例えば対潜作戦を同じ海上自衛隊の航空部隊と艦艇部隊が共同してやることも当然あるわけであります。
 その際に、それではその調整をどうするかということになりますと、航空機と艦艇であれば艦艇の方が情報量が多い。そうしますと、艦艇の方の艦長、これがたとえ航空部隊の方の機長よりも階級が下であってもそちらが調整のイニシアチブをとって調整し作戦を行う。そういうような事例を挙げて御説明申し上げておるわけでありまして、何も片方が命令をするという関係と調整のイニシアチブをとるということとは違いますので、その点御理解いただきたいと思います。
○上田耕一郎君 総理、この問題は重大なんだから。
○国務大臣(竹下登君) これはやっぱり正確に今北米局長から申し上げましたように、自衛隊及び米軍は緊密な協力のもとにそれぞれの指揮系統に従って行動する、これが一番近いところの理解していただける文言である、私はこのように考えます。
○神谷信之助君 いずれにしましても、INF条約が調印をされ、そして戦略核五〇%削減の方向に向かって進みつつある今日、そういう世界の大勢、流れに逆らって、あくまでも日米関係、日米安保条約に基づく日米軍事同盟強化の路線、軍拡の道を歩むということは私は断じて許せない、こういうように思います。そして、この軍拡の路線、軍事費を削らないで軍事費をさらにふやしていくという方向、あるいは日米軍事同盟の問題というのは、これは単に軍事問題だけではなしに、日本の経済と暮らしにも非常に大きな影響を与えています。
 そこで、経済と暮らしの問題に移っていきます。総理、お聞きしますが、しばしば問題になっておるように、プラザ合意以来二年間に、二百四十円からとうとうきょうは百二十八円台に突入したという状況になりました。こういう円高の進行の中で、御承知のように中小企業の倒産、廃業がふえたし、それから人減らし大合理化が起こったし、あるいは山では首切りがどんどんと進みましたし、そして一方、企業は海外進出、円高もまた一面のてこになりますが、海外に工場、拠点をつくって、そして地域経済の破壊という状況も生まれてくる。これは非常に重大な事態を招いていることはお認めになると思う。その会議に、プラザ会議以来しばしば参加をしたり、あるいは大蔵大臣として責任を持って対処された総理自身、この責任をどういうようにお感じでいられますか。
○国務大臣(竹下登君) 一昨年九月二十二日ですか、のプラザ合意というものは確かに私は当事者として参加をいたしました。そして、そのことが世界全体の経済構造の中へ影響を及ぼしたという、それの責任の一端を自分みずから感じなきゃいかぬ。しかし評価はどうあるか。これは私はやはり後世の史家がいかにこれを評価するか、見るかということであろうかと思います。私にも、あの際あのことがなかったとしたら一体どうなったんだろうか、めぐらせばいろんな思い、考え方はございますけれども、最終的にはこれは後の世の人が、産業構造の世界的な調整の進行の中で位置づけてくれることではないかなと、こういうふうに考えております。
 個々の問題は、御指摘のこと一つ一つ私にも理解できない問題ではございません。
○神谷信之助君 後世の史家に判断をゆだねるというのは私はひきょうだと思うんです。今日の状態の状態の根本原因が双子の赤字であることはこの間代表質問の答弁でもお認めになっているんですね。しかもその双子の赤字の最大の元凶になっているのは核軍拡を支えるアメリカの軍事費の増大、これが財政赤字をふやしています。多国籍企業の問題、これらが非常に大きな要因になっているんですよ。そこのところ、そういうアメリカに追随をして、次からやるたびにどんどんどんどん上がっていくという状況が起こって、いまだに貿易摩擦自身も解決をしない、そういう状況でしょう。
 そこで、そのために一体どうなっているのかということでお聞きしたいと思うんですが、労働省、十二月の四日に発表なさった労働経済動向調査、これでは一九八六年以降の海外進出及び海外生産を拡大した企業の比率はどうなっているのか、あるいは雇用への影響はどうなっているか。これを労働省、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(清水傳雄君) お答え申し上げます。
 十一月に労働経済動向調査を実施しました結果によりますと、製造業におきまして、昭和六十一年以降海外での生産拡大を現在まで実施した事業所は一七%でございました。雇用への影響ということになりますと、そのうち国内既存部門の縮小を行った事業所の占める割合は一五%ということになっております。
 それから労働面への対応の状況でございますけれども、既存部門を縮小した事業所のうち新規学卒の採用停止、削減、退職者の不補充、こうしたことを行った事業所は七五%、同一企業内の他事業所への配置転換を行った事業所は七二%、また出向を行った事業所は五八%、事業転換、新規分野への進出によって雇用の維持を行っている事業所が五五%という状況になっております。
 それからまた、下請への影響等の関係でございますけれども、そうした下請外注の削減を行った事業所は生産拡大を行った事業所のうちの一五%、今後行う必要があるとしている事業所は一四%、わからないとしているのが五六%という状況でございます。
○神谷信之助君 今報告がされたように、特に千人以上の企業では三社に一社が海外進出をする、生産拡大をする、そして雇用に大きな影響を与えてきていますし、下請はどんどんと削減をし、行う必要がある、あるいはわからないを含みますと、ほとんどの企業が、七割を超える企業が、海外進出で企業の生産拡大をするという状況ですね。
 そこで、通産省、これらの大企業の為替レートの変動に伴う下請単価の切り下げの状況を報告してください。
○政府委員(岩崎八男君) 私どもが今年九月時点で三千六百社の下請中小企業を対象に調査いたしました結果では、全体として受注単価は一年前を一〇〇とした場合に九六ということになっております。
○神谷信之助君 いや、マクロでおっしゃると、わずか四しか下がっていない、こういうことになります。しかし、この間マツダの下請単価の切り下げの状況がテレビに出ていましたけれども、レート一円下がっただけでも、下請単価を下げるために部長が直接乗り込んでやっていますね。こういうひどい状況が働いている労働者や下請、中小零細業者をいじめる。そして、大変な状況が日本の今日の政治、竹下内閣のもとで進められているんです。これはまさに、競争力のない弱い者は切り捨ててしまえというあのアメリカの言いなりになってつくられた前川レポート、あるいは産業構造調整だというそういう状況の中で生まれてきているんですね。大企業が生き残るためには、そこに働く労働者やそのもとで生活をしている中小零細業者は切り捨てる、こういう状況が生まれている。こういう政治を変えない限り国民は浮かばれないと私は思うんです。
 同様の問題がやっぱり農業にも起こっているんです。もう時間がありませんからすぐこれに入りますが、例の十二品目に対する農産物の輸入自由化の問題、結局八品目は譲歩して、そしてでん粉などの二品目はアメリカに泣きついて何とか頼み込もう、助けてもらおう、こういうことじゃありませんか。総理、いかがですか。
○国務大臣(佐藤隆君) アメリカに泣きついてやっているわけではございません。パネルの結論が出まして、その中でガットの場において八品目というのを意思表示した、二品目は守らねばならぬと、こういうことで。そういう意味で、また国家貿易品目にかかわることもありましたので、これではいけないということで、実は部分拒否、部分採択、こういうことで実はお願いをしました結果が二月の理事会まで延ばされる結果になったと。しかしこれを、ただ延びただけということではなしに、この時間を大事にしまして、そして国内農業あるいは国際経済の現状、こういうことを踏まえながら、いやしくも日本農業の将来に悪影響を及ぼさないように頑張っていこうということで、我が方の主張は主張としてこれからもあらゆる手だてをし、努力をしてまいる、こういうことでございます。言いなりになっているわけではございません。
○神谷信之助君 最後ですから申し上げますが、アメリカはウエーバー条項でちゃんと輸入制限をやっています。EC諸国もやっているんだ。外国はどこの国でも自分のところの農業は保護する政策をとっている。アメリカは自分はとりながら、日本は輸入制限を自由にせいと、そんな身勝手な要求が結局まかり通るというようなことは一体何だ、これが農民の怒りなんです。そこにまさに自民党政治の対米従属の姿が明白に出ているんだ、このことを申し上げて私の質問を終わります。
○国務大臣(佐藤隆君) 委員長の御指名でございますから一言だけ言わしていただきます。
 ウエーバーの問題については、この現状に照らして公平性を欠くという主張はやっております。
○委員長(原文兵衛君) 以上で神谷信之助君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 次に、抜山映子君の質疑を行います。抜山映子君。
○抜山映子君 竹下政権の発足から早くも一カ余を経過いたしまして、マスコミ等で同日選のうわさがもう流れ始めておるわけでございます。
 ところで総理は、朝日新聞の十月三十一日によりますと、六十一年の五月、当時幹事長でいらしたかと思いますが、長野市の記者会見で「三年ごとの衆参同日選が定着してはいけない。二院制の根幹に触れる。」と言われたそうですが、この見解は変わりありませんね。
○国務大臣(竹下登君) 去年のことでございましたと思いますが、選挙学上それはそのとおりだと思います。
○抜山映子君 過ぐる十一月二十四日、最高裁は名古屋高裁の衆参同日選挙の無効請求の上告事件について、衆議院の解散の効力は裁判所の審査権に服しないという理由で上告を棄却しました。しかしこれは、解散権が恣意的に行われてよいという趣旨ではなく、解散権の行使はあくまで民主的に是認されるべきものでなければならない、こういうことだと思いますが、総理、これは同意なさいますね、当然。
○国務大臣(竹下登君) 私は完全な法律の専門家ではございませんが、そのことについては私も今法制局長官に聞いてちゃんと確認してまいりました。
○抜山映子君 そこで、同日選は二院制の根幹に触れると言われた総理にお伺いしたいんですけれど、内閣の解散権の行使には憲法原理上、憲法習律上当然制約が存在すると存じますが、いかなる場合にこの解散が許されるか、総理の見解を伺いたいと存じます。
○国務大臣(竹下登君) 憲法七条、六十九条ということについては、もう既に古くて新しい問題でありますが、定着しておる問題であるというふうに私は思っておりますが、先生の職業柄、まあ職業柄は失礼でございますが、法律知識の専門に対しては法制局長官からお答えしたらなお適切かと思います。
○抜山映子君 総理が二院制の根幹に触れると言われたのには、当然総理としてその理由を御存じだからそう言われたと思うんです。ですから、総理からひとつお答えいただきたい。
○国務大臣(竹下登君) 私が二院制の根幹に触れると申しましたのは、そういうことは全く不可避の問題ではない、しかしそれがまさに三年ごとにいつでも定着していくということになればこれは二院制の問題というものを考え直してみる必要があるという問題意識は、私もかねてから持っております。
○政府委員(味村治君) まず、解散権に制約があるかどうかということでありますが、これは憲法七条の規定によりまして、内閣の助言と承認によりまして天皇が「衆議院を解散すること。」というふうになっておりまして、その際に実質的に解散を決定するのは内閣であるということは、もう従来から御答弁申し上げているところであります。そして、じゃどういう場合に解散権を行使するのかと申しますと、これは国政の重大な局面において内閣の判断においてするということでございまして、その解散権の行使について制約はないものというふうに承知をいたしているところでございます。
 なお、同日選挙自体が憲法違反かどうかということにつきましては、これも従来からそれは憲法に違反しないんだということを申し上げておりまして、先ほど先生の御引用になりました最高裁の判決でもそのことを認めたわけでございます。
○抜山映子君 第七条の解散が、恣意的にいつでも好きなときに自民党の派利派略で意図的にやるということまでを、それが行政権の行使で妥当であると判決は言ったわけじゃないんです。そういう意味で、もう一度総理にお伺いしますが、何らか制約があると思うんです。六十九条の場合は、これは当然解散をしてよい。じゃ、七条解散の場合はどうかと、これをお伺いしているんです。
○国務大臣(竹下登君) それは重大な時期に判断することであって、自由民主党の党利党略とか派利派略とか、議会制民主主義というのは当然政権の交代があるわけですから、そのときの政権の重大問題に対する認識ということで、私は憲法上七条解散というのを、これは長い議論でございますが、もう慣例としても現実問題としても憲法上の制約があるものではないというふうに考えております。
○抜山映子君 憲法の明文では制約しておりませんが、憲法原理士許されない場合があるだろうということを申し上げでおるんです。非常に整理して申し上げますと、六十九条と同視すべき場合、例えば予算案や内閣の公約である重要案件が否決されたり、審議未了になったときなど、非常に国会と内閣が対立したような場合、これは七条で解散に訴えてもいいだろう、あるいは総選挙の公約や諸政策と全く異なる重大な案件を選挙後に提出した場合、これは解散に訴えてもいいだろう、こういうように思うんです。これが総理の、定着しちゃいかぬ、二院制の根幹に触れると言ったのは、こういうようなことじゃないんですか。
○国務大臣(竹下登君) 私が同日選を定着しちゃいかぬと申しましたのは、まさにいわゆる任期までがいつも一緒になるということは二院制の根幹に触れてくるということで申し上げたわけでございます。今先生が整理された問題の議論は、古くて新しい問題として私どもも十分かつて議論した経験のある問題でございます。
○抜山映子君 御存じのように、五十五年の衆参同日選は、不信任案が可決されて六十九条により解散いたしました。六十一年の衆参同日選は、定数是正法案が通過したので、違憲状態を解消するため改正された新たな公職選挙法の規定によって選挙する必要があるという理由で、これを大義名分として行われたわけでございます。ところが、不思議なことですね。昭和六十一年五月二十二日、国会が最終日を迎えた日ですけれども、自民党の百三十七名が早期解散を求める署名簿を金丸幹事長さんに渡したと、こういうことですが、この名簿を公表していただけませんか。
○国務大臣(竹下登君) それは党対党の話し合いで、私は自由民主党総裁でありますが、この委員会等に出席する場合は、行政府の長として、必ず自分の節度を考えながらお答えするのが常識であると考えております。
○抜山映子君 ところで、この署名簿、総理は署名なさいましたか、なさいませんでしたか。イエスかノーでお答えください。
○国務大臣(竹下登君) 当時私大蔵大臣でございましたが、それは記憶にございません。
○抜山映子君 二院制の根幹に触れるとおっしゃったわけですから、それじゃ二院制の意味を総理にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 二院制というのは、一院制の場合間々行き過ぎがある、それをチェックする。まさに先生のような、良識の府であると、こういうふうに私は意義づけております。
○抜山映子君 お互いの相互抑制、補完協力がなくなってしまう、こう言われてまさしくそのとおりなんですが、もう一つ、参議院の緊急集会を著しく困難にするという面もあると思いますが、総理、いかがですか。
○政府委員(味村治君) 先生の御質問は、同日選挙の場合につきまして参議院の緊急集会が行われることは困難だと、こういう御趣旨の御質問だと受けとめました。
 その同日選挙と参議院の緊急集会の関係は二つございまして、一つは、参議院議員の半数が任期満了前に選挙が行われるという場合がございます。この場合にはもう参議院の議員全員がいらっしゃるわけでございますから、これは法律的に緊急集会を開くことは当然可能なわけでございます。
 それから、任期満了後に参議院の半数の改選、選挙が行われるということもあるわけでございます。この場合には、緊急集会を開こうといたしましても結局半数しかいらっしゃらない、現任の参議院議員の方は半分しかいらっしゃらないということでございます。しかしながら、国会の定数は、憲法の五十六条でございましたか、その条文によりまして、総議員の三分の一ということになっておりますので、したがいまして、参議院の議員の半数しかいらっしゃいません場合でも三分の一は超えるわけでございますので、緊急集会を開くことは可能でございます。
○抜山映子君 衆議院の場合は、解散であろうと任期満了であろうと、議席を失って選挙に入る。参議院の場合は、その選挙の行われる時期によって、議員の資格を持ったまま選挙に入るときもあれば、途中で任期を満了して議席をなくしてしまう場合がある、両方ある、お説のとおりなんですが、これをちょっと解説してくださいますか。
○政府委員(味村治君) これはいつ参議院の通常選挙をするかという問題でございまして、公職選挙法の三十二条の規定によりまして、「参議院議員の通常選挙は、議員の任期が終る日の前三十日以内に行う。」ということになっております。したがって、この場合でございますと、これは任期が終了する前に選挙が行われるわけでございます。ところが二項がございまして、「前項の規定により通常選挙を行うべき期間が参議院開会中又は参議院閉会の日から三十日以内にかかる場合においては、通常選挙は、参議院閉会の日から三十一日以後三十五日以内に行う。」と、こうなっております。したがいまして、もし仮に参議院議員の半数の方々の任期満了の直前まで参議院が、国会が開かれておるといたしますと、任期満了後に選挙をせざるを得ないということになるわけでございます。
○抜山映子君 そうしますと、衆参ダブル選挙が行われているときには、場合によって、わずか二百五十二人の総定数の半数の百二十六名しかいない場合が出てくる、こういうことになりますね。
○政府委員(味村治君) そのとおりでございます。
○抜山映子君 議員定数は、法定の総数の三分の一ですから八十四名と、こういうことになりますね。
○政府委員(味村治君) これは参議院、先ほど申し上げました憲法の五十六条によりまして、総議員の三分の一ということになっておりまして、その総議員というのは、これは国会の方で御解釈になるわけでございまして政府として有権的に申し上げる問題ではございませんが、国会の、参議院の先例によりますと、先生の言われましたように、法定の員数の三分の一であるというふうに解されているようでございます。
○抜山映子君 そうしますと、仮に百二十六名しかいないという場合に、八十四名が国会に集まらなくちゃいけないわけですけれども、非改選の百二十六名はみんな応援に走っているわけですね。そういうときに八十四名が集まることは非常に緊急集会の開催を困難にする。あるいはまた両方とも、改選組、非改選組両方ともバッジがある場合に、選挙を戦っている百二十六名が、仮に他の新人の候補者とわずか十八日間の選挙期間で熾烈に選挙連動を展開している。そのときに、戦いを途中で放棄して国会に戻るということは非常に難しい。こうなりますと緊急集会は極めで難しい。したがって衆参ダブル選挙は、心して制約的に憲法原理を考えなくちゃいけないと思うのですが、総理いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 今おっしゃいました議論ももうたびたびいたしまして、しかし良識のある候補者の皆さん方は、そういう場合帰っていただけるというのがむしろ選挙民の方が余計それを評価するじゃないかと、こんな議論も現実問題としてしてみました。が、ダブル選挙とは別として、その直近の、いわゆる国会が存在するとき、三十一日から三十五日という場合は、ダブルであろうと何であろうとそういうことはあり得るわけでございますから、それは私は現実問題と法理論と少しギャップがあるなと思いつつも、それを埋めるものは何だろうか、それはお互いの良識だろうと、こういうふうに議論してみたことがございます。
○抜山映子君 国会に忠実な議員は当然国会に戻るでしょう。そうしますと、他の候補者との公正な選挙を害する面があると思います。これはお認めになりますね。
○国務大臣(竹下登君) その選挙区にそのときにおるおらぬという問題については、ハンディがあるかもしれません。評価基準は、またその良識がかえって評価されるであろう、こういう評価もあり得るというふうに何回もこれは議論をいたしました。
○抜山映子君 そういうことがあるから、総理がダブル選挙が定着してはいけない、二院制の根幹に触れると言われたことについて、私は大変に敬意を払っているわけなのでございます。
 それでは、定数是正の問題についてお伺いしますけれども、定数是正については、八増七減の公職選挙法の改正を通すときに衆議院で決議が行われました。どういう決議が行われましたか。
○国務大臣(竹下登君) これはもう御存じのとおりの決議でございますが、読み上げても結構でございますけれども、要するに坂田議長のときに速やかに是正すべきという趣旨の決議が行われたということであります。
○抜山映子君 総理でなくて、じゃ細かくどなたか読み上げてください。
○政府委員(味村治君) 昭和六十一年五月二十一日の衆議院本会議におきまして、衆議院議員の定数是正に関する決議としまして、
  選挙権の平等の確保は議会制民主政治の基本であり、選挙区別議員定数の適正な配分については、憲法の精神に則り常に配慮されなければならない。
  今回の衆議院議員の定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置であり、昭和六十年国勢調査の確定人口の公表をまって、速やかにその抜本改正の検討を行うものとする。
  抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員総定数及び選挙区画の見直しを行い、併せて、過疎・過密等地域の実情に配慮した定数の配分を期するものとする。
  右決議する。
ということでございます。
○抜山映子君 昭和六十年国勢調査の確定人口の公表は六十一年十一月十日行われて既に一年余を経過しておるわけで、当然抜本改正をしなければいけない時期にあると存じますが、いかがですか。
○国務大臣(竹下登君) 坂田衆議院議長の当時でございましたが、今法制局長官から読み上げられましたところのこの決議がございます。
 そこで私どもいろいろ議論をいたしてみましたが、さて、選挙制度の抜本改正ということになりますと、法律に基づく自治省における選挙制度調査会というものも存在するけれども、それのまた今日まで果たした役割というものもそれなりに反省してみょうと。結局何が一番これはポイントかということになりますと、自分たちの争う土俵であるから――自分たちが争うじゃございません、切磋琢磨する土俵であるから、したがって、やっぱりそこに参加した者によってまず議論をするのが一番適正じゃないかということで、我が党においても、我が党の選挙制度調査会の方でいろいろ御議論をいただいておりますが、公職選挙法等特別委員会等がございますので、その場が適切ではなかろうかというようなお話をしておるというのが現実の姿でございます。
○抜山映子君 衆議院議員の残る任期は二年半ですが、その間に抜本改正をしなければ総選挙はできないとお考えになりませんか。
○国務大臣(竹下登君) ぎりぎり法律を詰めていきますと、六十九条の場合などもあるいはあるかもしれません。したがって、それを確定して申し上げることはできない。しかし、決議がございますだけに、それはやっぱり努力すべき課題であるという問題意識は持っております。
○抜山映子君 六十二年十月二十二日、東京高裁の判決では、一応定数是正の措置を講じたことと、確定値の公表を待って速やかに抜本改正をするという衆議院の決議がなされているから現在でも一応合憲と認めたわけなんで、これを抜本改正をしないと、また選挙が終わった後裁判所でいろいろ判断されて国会の権威が落ちると思うんです。そういう意味で、やはり抜本改正をして次の選挙に臨むべきだと思いますが、総理の見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(味村治君) 先ほど申し上げましたように、衆議院の解散をする解散権というものは、これは実質的に内閣の機能に属しておりまして、その行使につきましては制約はないわけでございます。およそ民意を問うために必要があるという局面において、国政上重大な局面におきまして、民意を問うために必要があるというふうに内閣が判断をすれば、そこで解散をすることができるということでありまして、それにつきまして制約はございません。ただ従来から、乱用はすべきでないということを歴代の総理はおっしゃっておられます。
 それで、定数是正との関係でございますが、定数是正は、これは国会におきまして、昭和六十年の最高裁の違憲判決を踏まえまして、違憲状態を解消するために定数を是正されたものというふうに承知いたしております。したがいまして、国会の御判断といたしましては、その時点におきまして公職選挙法におきます定数に関する規定は合憲のものである、こういう御判断をなすった、こういうふうに考えております。
 今後、定数につきまして、先ほど私が読み上げました決議に従って定数是正をするかどうかということは、これは国会の御判断でございますが、しかしその定数是正が行われないからといって、そのために内閣の解散権が制約されるということは、法律論としてはないというふうに考えております。
○抜山映子君 六十二年九月二日現在の全国有権者数の調査集計では、一議席当たりの有権者数の格差、三・〇一倍になっておるわけです。前回の定数是正は緊急避難、暫定的なものである、こういうことでしたが、この緊急避難、暫定的なものであるということについて、やはり今度の選挙の前に抜本改正をしなければ暫定的とか緊急避難だとか、そういうことは言えないんじゃありませんか。
○政府委員(浅野大三郎君) 暫定的ということでございますが、これは御案内のとおり、昨年の定数是正は附則に規定されております。そういう意味でこれは暫定的なものだという御認識があるわけでございますし、またそういう御認識は先ほど来引用されております衆議院本会議の決議の中でも示されておるということでございます。
○抜山映子君 時間がありませんから次に進みましょう。
 総理は所信表明演説で、行政改革についても引き続きこれを推進していく考えであると述べておられますが、中曽根総理のもと、メスを入れられなかった行政の本体そのものについてどう行革をお進めになりますか。
○国務大臣(竹下登君) 行革というものにも長い歴史がありました。私は基本には何があるかなと思ってみますと、総定員法と行政絹織法、この二つがやっぱり非常に重大な土台に存在しておる。しかし、それが今度は政治的背景の中で、鈴木内閣のとき、そして中曽根行管長官であったとき、これが大きくクローズアップしてきた。私が恐れますのは、言ってみれば国鉄が民営・分割されて、電電公社が会社になって、そして専売公社が会社になって、若干国会の論議とは別にしても、言源開発株式会社も総裁が社長になって、大体二十六人おった総裁が二十一人になったんです。そういうことを考えてみますと、これで済んだという感じになってはならぬと。しかも果実を生んできた問題がある、電電株とかいろいろ。したがって、せっかく押し上げた荷車が後ろへ下がるから、これだけは、行政組織法あるいは総定員法というような問題をもう一遍読み直してみたら、いろいろ指摘される本体の問題とかあるいはデレギュレーションの問題とか、そういうものがなおざりにされてはなりませんよと、こういうことを常日ごろまた答弁等でも申し上げておるということでございます。
○抜山映子君 ぜひ行革を進めて財源を生んでいただきたいと切望いたします。
 さて、一省庁一機関の地方移転でございますけれども、来年一月中に移転対象機関の選定を進めるといいますけれども、この選定に当たっては、やっぱり行革の精神というものが尊重されなければいけない。すなわち効率ということを考えなければいけないと思うんです。
 したがいまして、本州四国連絡橋公団については、世界最大の架橋である明石海峡大橋の技術的安全性の確保、周辺環境の保全等、現地に即応した対応を図るために、神戸市に本社を移転すべきであると考えますが、いかがですか。
○国務大臣(越智伊平君) 本州四国連絡橋公団についての御質問でありますが、今、土地対策の閣僚協議会で一省庁一機関を地方に分散する、これの基準を決めよう、こういうことで鋭意基準をつくっているわけであります。
 お説にありました本四公団の技術的なもの、そういうものがどこがいいかということはよく検討をしてみないといけないと、かように思います。また、今本四公団がこの対象に決定したということでもございませんので、神戸市とかあるいは岡山とか、こういう固有名詞はちょっとただいまのところでは何とも言えない、こういうことであります。全般的な地方分散、こういうことでありますので、さて本四公団が対象になるかならないかもまだ決定をしていない、こういう点でございます。
○抜山映子君 候補になったそれぞれの機関がみんな移転がいやだと言っていると。そういう声の大小とか地域のエゴとか、そういうことで判断せずに、ひとつ客観的に判定していただきたいということを切望いたします。
 さて、明石海峡大橋の完成に伴って必要となる関連道路のうち、大阪湾岸道路がまだルート決定されておりません。今後ルートの決定、事業の促進をどのように図っていただけますか。
○国務大臣(越智伊平君) 先ほどの本四公団の問題でありますけれども、私は、建設省は住宅やいろいろの関連を持っておりますので、率先して地方に分散ということには努力をいたします。ただ、本四公団と限定したものではございませんので、どの機関を分散するかということについては今後検討をしてまいりたいと、かように思います。
 それから、大阪湾岸道路につきましては、ただいま調査を進めておりますが、早急に調査を進めて事業化をしてまいりたい、かように思います。
○抜山映子君 ルート決定はいつごろの予定でしょうか。
○政府委員(鈴木道雄君) 今環境アセスメント等いろいろ準備をしておりまして、できれば六十三年度から発足します十次五カ年計画中に計画を決定したいと考えております。
○抜山映子君 総理に伺います。
 税制改革は六十三年秋を念頭に置くべきでないかと衆議院の予算委員会で述べられました。総理としては、予見を与えちゃいけないということを何度もおっしゃっていますが、国民のコンセンサスを得るためには若干の方向性をやはりこういう委員会の場で明らかにしていただかなければ困るわけです。その方向性をおっしゃってください。
○国務大臣(竹下登君) コンセンサスを得ることが大事であります。そうして、税制論議はやっぱり十数年行われて今日に至ったという感じを持っております。
 方向性の問題につきましては、まさに今度税制調査会に諮問いたしました諮問文どおり、これがまさに方向性ではなかろうか。すなわち、やがて高齢化社会を迎えるに当たって、所得、資産、消費、そういうところにあるべき税制の姿、これがやっぱりまさに方向性ではないかというふうに思っております。
○抜山映子君 総理ですから、諮問に任せて何も言わないというのはおかしいと思うんです。方向性、もうちょっと明らかにしていただけませんか。
○国務大臣(竹下登君) まさに、たびたび申しておりますように、日本ほど均衡のとれたいわゆる所得分布というものは他の国にもない。そしてまた、今日いろいろな御議論でお示しになっておるように、いわば勤労所得税と言った方がいいでしょうか、給与所得税と申した方がよろしゅうございましょうか、それに対する痛税感とか重圧感とかがいろいろ議論をされておる。そこでやはり広く薄くという議論も出てきておるということはあるわけです。それらを総合して消費、所得、資産というものに適切な判断を与えていただくというべきものではないかなというふうに思っておるところであります。したがって、秋ごろと申しましたのも、厳密に言えばこちらから秋までに出してくださいという指示をすべきものではなく、私の心根を申し上げたということでございます。
○委員長(原文兵衛君) もう一つだけ。
○抜山映子君 百二十八円の前半の円高になったんですが、ついに未踏の円高に企業活動が非常に停滞するおそれがある。それについて、為替安定のため今水面下で何か努力しているのか、今後の国際協調のスケジュールをお願いします。
○国務大臣(竹下登君) 為替安定、仮に水面下で何かしておるかと、こう言えば、これこそいわゆる相場に対する偉大なる影響を与えますから、水面下で何かしておるかなどということについて、仮にだれしも答えられるべき問題ではなかろうと思います。
 基本的には、最も近時はルーブル合意、宮澤さんが行ってしてこられたルーブル合意、その基本線の中で、なかんずく主要国の政策調整ということが基本的には存在しておるだろうと思っております。
○抜山映子君 終わります。
○委員長(原文兵衛君) 以上で抜山映子君の質疑は終了いたしました。(拍手)
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 次に、野末陳平君の質疑を行います。野末陳平君。
○野末陳平君 きょうは持ち時間が短いですから、もう自分の意見を入れないで質問だけさしていただきたいと思うんですけれども、どうも僕はしゃべり過ぎますんで時間が経過しちゃいまして。
 竹下内閣による初めての予算委員会ですけれども、やはり一番の関心事である税金のことですが、きょうは余り出てこなかったのでまとめておきたいと思うんです。
 中曽根前総理は、だれのための税制改革かという質問に対しまして、この予算委員会の席上で、サラリーマンのためであると、こういうふうに断言なされて、これはもう皆さん御存じのとおりなんです。そこで、これについて竹下内閣でも同様であるかどうか、まずこれをお聞きします。
○国務大臣(竹下登君) やはり税制改正はだれのためであるかといえば、いわゆるサラリーマンとおっしゃったのは、税法上における所得の種類は十種類ございます、その中の給与所得だけに限定されますので、やはり言うべきは国民のためと、こう言うべきであろうと思います。
○野末陳平君 当然そのとおりなんです。ただし改革の重点をサラリーマン層に絞ってということだろうと思うんですが、そうなりますと、中曽根前総理もこの席上で何度がお答えになったんですが、サラリーマンが感じているいろいろな税の不公平、これをやはり是正することが私の税制改革の原点である、こういう御趣旨の発言もありました。これはもう竹下新内閣においても同じだろうと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) 野末さんとは随分長い間論争をいたしましたが、久しぶりでございます。この問題については、やっぱり一番最初の原点は五十四年のときの財政再建決議にあるんじゃないかなと。すなわち国民福祉充実のためには安定した財源が必要であるというところから来て、そうしてそれが今度はそのままでずっと続いてきましたから、いわゆる直接税の比重、なかんずく給与所得に関する比重というのが大変重い感じをみんなが受けるようになった。したがっていわば減税の財源として別の税源が考えられるようになったから変化していわばそっちの方へ重点が置かれてきたが、原点はいわゆる安定的財源をいかにして得るかというところではなかったかと。しかし、その経過において、おっしゃるような重税感を最も感ずるところの重税感をいかにして少しでも滅していくかという方向で議論がされてきたんじゃないかな、こういう感じでございます。
○野末陳平君 総理と私の間ではもう長いおつき合いで、その中では今の高齢化社会に向けての安定的財源を得るというこれが基本でなきゃいけないのはよくわかりますが、しかし一般の人、特に私の周囲におりますサラリーマンなどは、間接税、間接税と騒ぐけれども不公平税制をちゃんとやってくれているのかと。つまり、これが完全に不公平がなくなるということは考えていないでしょうけれども、今のままじゃまだおかしいんじゃないか、こういうようなことを全員がほとんど言うわけですね。
 そこで私が、きょうはたまたまテレビの中継もありますから、ですから不公平税制は何だと。いわゆる国民が感じているのとそれから我々プロが感じているのとかなり差もあるでしょうし、そこで改めて新内閣にお聞きする、こういうわけなんです。具体的に一つ一つお聞きした方が早いですから、総理のお答えによってテレビをごらんの方は竹下内閣の税制改革に取り組む姿勢を察していただきゃいいわけです。
 まず第一に、よく言うんですけれども、医師優遇税制というのは今でも不公平だとお感じになりますか。もし不公平だとすればどの点が不公平なんでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは五十四年度に改正いたしまして、それを今日まで、所得水準が上がりましたがそのままにしてございます。したがってこのごろは特例の適用を受けない方々がかなりふえておりますから、私はこの辺のところで大体いいところへ来ているんではないかという印象を持っております。
○野末陳平君 そうなりますと、七二%という必要経費、この数字が残っていることがおかしいのかなという気がしますが、それはどうですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) ちょうど実害もないようなところに、年代がたちまして、来ておるのじゃないかと思っています。
○野末陳平君 次に、これもいわゆる一般の方がよく言うんですね。宗教法人の収益部分に関する課税には優遇がいろいろありますから、これが不公平だと、こういう意見がありますが、これはいかがでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これについてはいろいろ御議論がありまして、まずいわゆる普通の税率と優遇税率との差が大き過ぎるということがございますので、このたびこの格差を、一般の税率を下げますが宗教法人等の軽減税率は一ポイントしか下げないということで、格差を縮めようとしております。
 それから、宗教活動本来の事業から離れて財テクに向けられたり御本人の個人の消費に向けられたりという部分があるのではないかということで、個人に向けられる部分はこれは個人の所得課税をいたしております。宗教本来かそうでないかということにはなかなか難しいところがありまして、監督官庁によくきちんとその辺は指導をしていただきたいと思っております。問題がなしとはいたしません。
○野末陳平君 もちろん宗教法人の場合は、非収益部分に関する、これはもう当然非課税でいいと思いますが、ただ固定資産税などの面でやはり若干の優遇がある、これについてはいかがでしょうか。
○政府委員(前川尚美君) 固定資産税における措置につきましては、これはやはりその宗教法人が本来行う宗教活動との関連で講ぜられている措置でございまして、これが格別不公平であると、一般論としてはそういう認識は持っておりません。
○野末陳平君 じゃ竹下新内閣はそれでいいわけですね、今の答えで。
○国務大臣(竹下登君) 地方税である固定資産税の場合、今の見解は私は支持できるのじゃないかなと思っております。
○野末陳平君 それから、最近一番大きく取り上げられている例の株式の譲渡益の課税、これはやはり、特にマル優が廃止になりますとバランスをかなり欠くと思うんですが、このいわゆる株のキャピタルゲインに関する不公平、これについてはどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これも何度も申し上げているところでございますけれども、先般の改正で六割方、五十回は三十回、二十万株は十二万株と絞ったわけでございますが、これはやはり本当に公平に行政を行おうとしますと、どうしても納税者番号のようなことをいたしませんと、行き当たりばったりの行政になってはかえって問題が多いということでございます。
○野末陳平君 このキャピタルゲインの問題はいずれ具体化してくるだろうと思いますからそのときに任せます。
 それから、みなし法人課税がありますけれども、こういうものはどうですか、不公平だ、これも是正すべきである、そういうふうなお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは問題があるということでたしか上限を切りましたのでございますね。それで幾らか是正をしたつもりでございます。
○野末陳平君 今まで挙げたものは、いろいろ解釈は難しいところもありますし、いわゆる世間で不公平と言っておりますが現実にはさほど言われるほどの具体的な内容はないという感じもしているところなんですが、問題なしとはしない。その部分は大蔵当局も当然承知の上でこれから是正していくと思うんですが、問題はいわゆるクロヨン、トーゴーサンの言葉で象徴されるような所得の捕捉率の問題ですね。この言葉はこれは遊びの要素も入っておりますが、しかし所得の捕捉率が、あるいは捕捉の実態が公平でないということはこれはもう明らかなんです。竹下総理、こういう所得の捕捉という面から正すべき不公平がまだまだある、これはやらなきゃいかぬという御認識なのか、それほどでないのか、そこのところはひとつ総理にお願いします。
○国務大臣(竹下登君) 所得の捕捉、総合課税制度への移行というようなことで、かつてグリーンカードの法律を私が大蔵大臣のときに通してもらって、そうしてそれをやめる法律もまた私の大蔵大臣のときに通してもらったわけでありますが、その難しさを非常に感じながらも、捕捉体制というものの強化とでも申しますか、そうしたことは引き続きやっていかなきゃならぬ問題だと。やっぱり見てみましても、配当所得、利子所得あるいは事業所得、譲渡所得、山林所得、一時所得、雑所得、そういうふうにやってみましても、給与所得の方が一番捕捉率が高いというのはこれは常識的ではなかろうかなというふうに思ってはおります。
○野末陳平君 今までのお答えでおよその感じはどなたもわかったと思うんですが、ただ問題は、来年の春とそれから秋とそちらでいろいろ予定しておられるようですが、その目先の、ここ一年の税制改革で、今まで幾つか質問いたしました不公平税制、あるいは税の負担の不公平といいますか所得の捕捉の公平といいますか、そのどれとどれを当面緊急の課題として取り上げて是正をなさるというおつもりか。それは大蔵でも総理でもどちらでも結構ですがお願いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 御指摘になられましたものの多くのものを私どももやはり問題ありとして、できるだけの改善を実はいたしてまいっておるわけでございます。やはり徴税の強化と申しますか、いわゆるクロヨンとは思いませんけれども、実調をふやすとか青色申告の指導をしていくとかして、いわば給与所得者側の不公平感というのをできるだけ行政で除いていきたいと思っています。
○野末陳平君 率直に私の意見をつけ加えておきますけれども、世間でいわゆる大騒ぎするほど不公平税制があるというふうには思っていないんですが、しかしながらそういう感情が根強くあることは事実ですから、やはりそれを取り除くために最大の努力をしていくということは必要だと思うんですね。その後で間接税というふうに持っていっていただくとサラリーマンでも理解を示しやすいだろうという気がするんです。ところが、不公平税制をうやむやにしたままで間接税が先走りしますときっとまた誤解を招くであろう、またまずいことになるんじゃないかと懸念を持っているという、そこだけをここで聞いておいていただきたい。
 終わります。
○委員長(原文兵衛君) 以上で野末陳平君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 次に、下村泰君の質疑を行います。下村泰君。
○下村泰君 新総理、新内閣になりまして初めての質問でございます。私は障害者を専門にお伺いを申し上げておりますので、恐れ入りますが、またそういう件につきまして基本的な考えを皆様方に伺わせていただきたいと思います。
 総理は所信の中でこういうふうに述べられております。「すべての人々がそれぞれの地域において豊かで、誇りを持ってみずからの活動を展開することができる幸せ多い社会、文化的にも経済的にも真の豊かさを持つ社会を創造することを目指してまいりたいと存じます。」と、こういうふうにおっしゃっていらっしゃいますが、さあそれではふるさと創生論の中で障害を持っている方々がどう生きていかねばならないのか。また、障害者にかかわる問題は大蔵そして厚生、労働、文部の各省庁にわたりますので、皆様方各大臣の持っていらっしゃるこういう問題に対する御認識を伺わせていただきたいと思います。
 まず、総理からお願いします。
○国務大臣(藤本孝雄君) 障害者福祉対策につきましては、よく御存じのように、昭和五十七年三月に政府、本部長は内閣総理大臣でございますが、がつくりました障害者対策に関する長期計画、これに基づきまして施策を推進しております。
 前期におきましては、障害基礎年金制度の創設や身体障害者福祉法の改正を初め、各施策の着実な推進を図ってきたところであります。また、ことしは御承知のように国連で定めました障害者十年の中間年に当たりますので、政府といたしましてはこれまでの実施状況を踏まえまして、本年六月に在宅サービスの拡充を初めとする後期重点施策を策定したところでございまして、今後これに基づきながら完全参加と平等の実現に向けて施策を推進してまいりたい、かように考えております。
○国務大臣(中島源太郎君) おっしゃいます心身障害者の教育というものは重要な教育施策の一環と心得ております。
 私も過日、ある養護学校をつぶさに見学をさしていただきました。大変なお仕事だと思っております。また、下村議員が今まで文教委員会その他でいろいろ御発言、御指摘いただいているところをちょっと抜粋いたしまして読ましていただきました。就学指導の充実、教員の資質の向上、障害者理解教育の推進等を御指摘になっておられますが、その要点は障害者に対する理解を深めよ、こういうことであろうと思いますが、大切なことだと存じました。
 これから心身障害児の教育の充実を図る上で、その辺に心を置きまして、その充実にさらに一層心をいたしてまいりたい、こう思いました。
○国務大臣(宮澤喜一君) この問題につきましては、下村委員から毎年問題の御指摘がありますので、特に私ども気をつけまして、関係各省とよく相談をしながら予算の査定をいたしておるつもりでございます。
○国務大臣(中村太郎君) 労働省としましては、身障者の問題を考える場合に、まず第一に、身障者の皆さん方がその持てる能力を十分に発揮できるような職場をお与えするということも重視していかなければいけないと思っておるわけでございます。従来からそういう立場で、身障の皆さんが十分な能力を発揮して、身障者でない方々と同じように、同じ職場でごく自然のうちに仕事ができる、そういう観点に立ちまして今までも雇用の開発を図っておったところでございますが、これは今後ともこの方針に変わりなく、全力を振り絞って開発に努力してまいる所存であります。
○国務大臣(竹下登君) 母子家庭、障害者、それから難病という問題、今度の所信表明にも入れさせていただきました。それの基本は、あなたに連れられて、佐藤内閣のときでございましたが、あゆみの箱の武道館の大会に行ったときが一つのきっかけになったことは事実でございます。
 これから、たびたびの話でございますが、よくお話を聞いて、予算編成上も調整作業をしていくべきものだと思います。
○下村泰君 皆さんに御意見をお聞かせいただいて、ありがとうございました。殊に総理は、あゆみの箱の武道館を覚えていらっしゃいました。私の方は忘れておりました。さすがに総理になる方は頭がいい、どこかにちゃんとコンピューターが動いていらっしゃるんだなと思います。
 そこでさらに、中でも精神障害者と言われる方々、それからてんかんの人々、そして難病の患者あるいはお子さん、それから重度あるいは重複、ダブルカウントになるお子さん、こういう方々に対してはどういうふうに対応なされますか、これはまず厚生大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(藤本孝雄君) 精神障害、てんかん、それから難病等の方々につきましては、まず病気の原因究明、治療方法等の確立など調査研究面に力を入れていかなければならないと考えております。また、適切な治療が受けられるようにしながら、社会復帰対策や地域における相談体制の整備などに今後とも努めてまいりたいと考えております。
 さらに、難病の方々につきましては、従来からの調査研究の推進を初めとする総合的な対策を今後とも引き続いて進めてまいりたいと考えております。
○下村泰君 今申し上げました方々が抱えている問題については、毎回のようにお伺いしているわけなんですが、これからもさらにお伺いするつもりでおりますから、よろしくどうぞ。
 きょうは、その中で難病対策について伺います。難病対策については、その要綱というのがあるんですね。要綱はあってもその裏づけは何もございません。また要綱の精神も十分に生かされているとは思えないんです。すなわち介護などの家庭での負担の軽減、それから日常生活への援助体制がほとんどないんです。障害者手帳を受けている人々は難病患者の半分にも満たない。中には、難病をしょっておって障害手帳ももらえるのにもかかわらず気のつかない方もいらっしゃるというのが現状なんです。
 特定疾患、小児特定疾患の指定のない難病の方々にとっては、その苦しみはさらに増してきます。身障者福祉法の対象の拡大ですね、拡大解釈していただくとか、あるいは難病の福祉法、これなども制定していただければなお幸いだなと思うんです。こうすることによって少しでも苦しみを和らげてあげたい。殊に、総理は、御自分でおっしいましたように、「経済的に弱い立場にある人々に対しては、きめ細かな配慮をしてまいります。」と総理みずからもおっしゃっていらっしゃるんです。ですから、こういう方々にこそきめ細かい配慮が必要であるというふうに考えるんですが、総理並びに厚生大臣の御所見を伺わせていただきます。
○国務大臣(藤本孝雄君) 難病患者の方々につきまして法的な措置を講じてはどうかという御指摘でございますが、現在におきましても障害の状態、程度に応じまして身体障害者福祉法による福祉の措置が受けられることと御承知のようになっておりまして、これによって対処してまいりたいと考えております。
 また、難病対策につきましては、先ほど申し上げましたように原因の究明、治療方法の確立が何よりも大切と考えておりまして、従来から調査研究の推進や医療費自己負担の軽減、医療施設の整備を柱に施策を進めてきたところでありますが、これからも、先生御承知のように、対象疾患の拡大、治療研究費の増額などの充実に努力をしてまいるつもりでございます。
○国務大臣(竹下登君) 今厚生大臣から申し上げましたような施策を、可能な限り今まさにおっしゃったきめ細かい配慮というもので現実にそれが行われるようなことに努力すべきだろうと私も思います。
○下村泰君 昨年二月以来ずっと取り上げでまいりましたいわゆる施設における費用徴収の問題ですが、この七日に企画分科会の小委員会報告が出たようでございますが、その内容と厚生省の今後の対応をひとつ伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(小林功典君) 今お話しございましたように、去る十二月七日に福祉関係の三審議会の合同企画分科会から、社会福祉施設の中でのいわゆる入所施設におきます費用徴収の問題につきまして意見具申が提出をされております。
 意見具申の主なポイントを申し上げますと、第一に費用徴収の対象となる扶養義務者の範囲でございますが、これは身体障害者の施設を例にとりますと、現在は御案内のように配偶者、親及び子となっておりますが、よく言われますように障害者の自立が大変叫ばれているというようなこと等から、成人につきましては配偶者と子にするのを原則とする、つまり親は範囲から外すという意味でございます。それが第一点。
 第二点は暫定的に設けられております徴収限度額というのがございますが、これは負担の公平の観点から当面段階的に引き上げていくことが適当ということが指摘されております。
 そこで、これからの話でありますが、厚生省といたしましては、この意見具申に基づきまして所要の措置について財政当局とこれから調整をしていくつもりでございます。
○下村泰君 何しろ五分というのは物すごく短いんですね。一つ二つ抜かないと追っつかない。ぼやいている間にしゃべりますが……。
 さきの国会で、内部障害者にも運賃割引制度の適用を求めた請願が衆参いずれにおいても採択されました。この問題はもう何年も前からの懸案で、私も何度か取り上げさせていただきましたが、今回の請願採択を機に英断を期待したいんですね。私どもの議員パスというのも問題になったです。私なんかこれは返上してもいいと思っておりますけれども、こういうときこそ政治をつかさどる者としての見識が問われると思います。
 費用負担の方法はいろいろ考えられます。ということを考えながらちょっと私は夕刊を見たんです。そうしましたら、朝日新聞に出ております。きょうの夕刊です。「いまの役人の頭に節約という言葉はない」、これは私が言っているんじゃないんですよ。
 十一日公表された会計検査院の六十一年度決算検査報告でわかった税金のむだ遣い、非効率は、二百億円を超えた。架空工事に代金を払ったり、違う目的に補助金を使ったり。税の減免 措置を無視して気前よく電気、ガス税を納めていた国立大学もあった。引っ込んだはずの大型間接税が、導入に向けて来年から再び動き始めそうだ。増税には熱心だが、税金を大切に使う感覚は相変わらず乏しい。大蔵官僚から検査院ップに立場を変えた辻敬一院長も「今の役人の頭に、節約や効率という言葉はない」。
こういうふうに書かれているわけですね。
 これは宮澤大蔵大臣、大変頭の痛いお話だと思うんですけれども、私いつも単純計算をしますけれども、大抵これは八%ぐらいの調査の結果がこういう額になっているんですね、毎年百五十億から二百億ぐらい。そうしますと、残りの九二%をこの二百億に掛けたら一体全部で何ぼになるか。これは単純計算ですよ、そういうふうになる。こういうむだ遣いもあるくらいなんですから、今申し上げましたこういう方々の、いわゆる内部障害者の方の運賃割引があってもいいんじゃないか、こういうふうに考えるわけなんですが、どうぞひとつ運輸大臣もお答え願いたいと思いますが、もちろん総理大臣にも大蔵大臣にもお話を伺いたい、そして終わりにします。
○国務大臣(石原慎太郎君) 率直に申しまして、この問題に余りいい御返事ができそうもないんですが、身障者に対する運賃の公共割引制度というのは、割り引いた分の収入の減をその会社がほかのお客の運賃に要するにかけて補てんするという原則になっているわけです。ですから運輸省としても、本来身障者の保護という公共政策というもののための費用を普通のお客様にかぶせて負担させるというのは、基本的にはちょっと問題があると。厚生省がどこかがその分予算を出してくれればまた別でありますけれども、ちょっとそれは今の運賃の制度では非常に難しい。心情的には非常によくわかるんですけれども、割引の対象範囲というのを御指摘のように内部障害者に拡大適用することについては、各交通機関の経営状態とか、要するにその収支その他を勘案して、大変役所言葉になりますけれども、慎重に検討せざるを得ないということでございますのでひとつ……。
○国務大臣(宮澤喜一君) 運輸省の御検討にまちたいと思います。
○国務大臣(竹下登君) 運賃問題は運輸大臣がお答えしたとおりであろうと思いますが、今お読みになりましたのは会計検査院の会計検査報告であろうと思います。私ども毎年指摘されながら、それについて決算委員会等におきましていろいろな御高見をいただいておるわけでありますが、今度の検査報告を見ましても確かに、例えば一例でございますけれども、為替レートの変動などを全然念頭に置かないで支払いをしたために幾らの損失があったかとかいうようなのが割合正確に把握されておるので、ああ、会計検査院も毎年、おっしゃるように八%程度とはいえ、いろんな角度から検査の手法を絶えず工夫しながらやっていらっしゃるなと。それを我々はまたちょうだいしたわけでございますから、その線に基づいてやはりきちんとした対応をしなきゃいかぬという考えを深くいたしたところでございます。
○下村泰君 一言だけ。先ほどの石原運輸大臣のお話ですけれども、費用の捻出方法は各省庁でひとつ、それこそ総理のお言葉じゃありませんけれども、英知を絞って何とかできるようにお願いしたいと思います。
 終わります。
○委員長(原文兵衛君) 以上で下村泰君の質疑は終了いたしました。
○委員長(原文兵衛君) 次に、木本平八郎君の質疑を行います。木本平八郎君。
○木本平八郎君 私は竹下総理に対して、今後政治をやっていかれる上において民主主義の問題をどういうふうにお取り扱いになるかという、極めて大上段に振りかぶった命題を提示したいわけです。しかし、命題は非常に大上段なんですけれども、内容はもう極めて平易なものですから、ひとつ肩の力を抜いておつき合いいただきたいと思うわけです。
 私、総理になられまして、本会議その他で竹下さんのお話をいろいろ聞いておりまして、たびたび民主主義だとかコンセンサスだとか、みんなの合意だとか、あるいは下意上達というふうな意味の下の意見を非常に聞くとか、あるいは民主主義は数だとか、そういったことがもう再三出てくるわけですね。私は非常に、今までになかった経験なんですけれども、それを見ておりまして、竹下さん自身が極めて平民宰相的であるということはわかるんですけれども、あるいは竹下さんが少し何か民主主義というものに危機感というのはちょっと大げさですけれども、そういったものをお感じになっているのじゃないかと思うものですから、この際お確かめしたいと思うわけです。
 それで、ひとつ議論の場を具体的に設定するために防衛施設庁の方にお聞きしたいんですけれども、逗子の池子の米軍住宅の問題ですね、あれが緑派と、何ですか、反対派か賛成派かがいろいろ何回もやりましたね。あの結果、五回ばかりあると思うんですけれども、どういうふうになっておるか、それを説明していただいて場を提供したいと思うんです。
○政府委員(友藤一隆君) お答えいたします。
 御指摘の池子地区の米軍住宅の建設問題でございますが、これに関しましては、昭和五十九年十一月から本年十月までの間に市長選挙が二回、市議会及び市長リコール投票が各一回及び市議会リコールによります市議会議員選挙が一回、合計五回行われております。私どもは五十七年から、米軍住宅が非常に現在不足しておるということで、日米安保体制の維持に大変重要であるということで池子地区を選定いたしまして、長い時間をかけて説得し説明もし、いろいろな経緯を経て今日までに至っておるところでございます。
 それで、それぞれの結果でございますが、五十九年十一月の選挙では、米軍家族住宅の建設に反対をいたしております候補者が当選をいたしておる。それから六十一年三月に市議会リコールがございましたが、これはリコールが成立をいたしております。それから六十一年三月、同じころ行われました市長のリコールでございますが、これは米軍家族住宅建設に反対の市長のリコールは不成立というふうになっております。それから次に六十一年四月、これは先ほど申し上げました市議会のリコール後の市議会議員の選挙でございますが、これは米軍家族住宅の建設に賛成をいたします議員が議会の半数以上を占めるという結果になっております。それから最後でございますが、昭和六十二年十月、先ほどの市長選挙でございますが、これは米軍家族住宅の建設に反対をいたしております前市長が当選、こういう結果になっております。
 以上でございます。
○木本平八郎君 この五回の結果につきまして、市会議員の数だけは一度だけ賛成派が多数を占めた、二人ばかり多くなったということなんですね。ところが投票数ではやはり緑派の方が多かったという結果になっているわけです。私は、これについて今後防衛庁がどうされるべきだとかなんとかということを今この場で議論をしようという気は全然ありません。ただ私は、五回も市民が参加して投票をやったというのは大変なエネルギーだったと思うんですね。それで、この結果はいずれも僅差なんです。ところが私は、この僅差というのは非常に大問題だと思うんです。僅差であってもやっぱり数が多ければ勝ちということになるのはこれは民主主義の選挙のルールなわけですね。そうなりますとこれは、米軍住宅とか安保の問題とか、そういったいろいろな目的とか意義とかは別にして、やっぱりこの結果だけは尊重するということが民主主義の原則じゃないかという気がするわけですね。
 その辺、総理の民主主義観をまずお伺いしたいわけです。
○国務大臣(竹下登君) ぎりぎり話し合いがつかない場合にいわゆる数の論理というものが民主主義の原則の上にあるということを私は否定するものではございません。国会においても、双方だれも心の底には心得ておることであると思っております。
 ただ、池子の問題そのものにつきましては、私は、日米の信頼関係の問題と、それからいま一つ、これも民主主義で選ばれた知事さんの調停案とかいうようなことをかれこれ勘案してみますならば、やはり私は、いつも申すことでございますが、いろんな意見に耳を傾けなきゃいかぬ、しかし最後にはだれかが決断しなきゃならぬ、その範畴に属する事柄ではないかなと、その事柄自体はそのように考えております。
○木本平八郎君 池子の問題についてはそういう状況があると思うのですけれども、これを少し抽象化しまして、要するに国家目的が別にあるわけですね。だから、国家目的、国民の大多数ということになったらあるいは反対の結論が出るかもしれない。しかし、それを問うことができない以上、現実にここに出ている住民の意思というものはやはり尊重せざるを得ないということですね。
 それで、例えば住民運動だとか、土地の問題で私権制限とかということがあるわけです。それはありますけれども、それを問うのは、やはりそういう場を設定して問うて初めてこれは結論が出ると思うのですね。それを勝手に、おまえたちの言っていることは間違えているのだ、国の方向はこうだというふうに決めつけるというのは、言葉は悪いですけれども尊大になるんじゃないか。特に、権力の座にある方はその点を心していただかなきゃいかぬ。
 これは蒸し返すわけですけれども、戦時中も東条さん以下皆必死になって国のことを考えたと思うのです。考えたけれども、自分のやっていることが正しいと思い込んじゃったわけですね。そのためにいつの間にか国がこういうふうになっちゃったということはやはり理解しなきゃいかぬのじゃないかという気がするわけです。したがって、行政の立場にある方は、皆さんが自分がやっていることは正しいと思われるかもしれぬけれども、もう一歩下がって本当に、これは民主主義という一つのルールに我々は乗っかっているわけですから、それに合うのかどうかという反省を常にしていただかなきゃいかぬのじゃないかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(竹下登君) いわゆる池子問題という問題を抜きにして、一般論として今おっしゃいました点で私どもお聞きすべき点も多々あったと思います。
 それで、現実問題として、一つの大方針として広範なところで出る結論と局地で出る結論というものは違ってくることもあります。したがって、今度の問題はそれでは必ずしもございませんが、いわば地域の住民の投票を求めなければならないというようなものも存在するわけでございますが、そういういろいろな仕組みがあって、さて最終的に各般の事情を考えて判断すべきときには、目をつぶってみずからの信ずる方向を志向しなきゃならぬ場合もやっぱり為政者としてはあり得るのじゃないかというふうにも考えております。
○木本平八郎君 そういう評価は後世の史家がやる、午前中もそういうお話がございましたけれども、そうだろうと思うんです。それはそうなんですけれども、ただ民主主義というのは、これは釈迦に説法になりますけれども、ある意味では衆愚政治あるいは無知蒙昧な大衆に左右されるということはあると思うんですね。極めて手間暇はかかるし、それから回りくどいし、それはもう効率の悪い方法だと思うんです。しかしながら、それを承知で現在日本は民主主義というのを、我々はそれをやっていこうということをとっているわけですから、これはもうまどろっこしくても、手間暇がかかってもやって、粘り強く相手を啓蒙し説得して、納得させてやるという方法をとらざるを得ないと思うんですね。それは非常にコストのかかることですけれども、ぜひその辺をお考えになっていただいて、言葉は整々とか粛々とかおっしゃっていますけれども、その辺を無理をしていただかないようにお願いしたいと思うんです。
 最後に瓦長官の御所見を承って、質問を終わることにします。
○国務大臣(瓦力君) ただいま総理からも池子の問題につきましてお話をいただきましたが、委員御指摘のとおり、私どもも自治体とうまくやっていく方法、いろいろ苦労をいたしておるわけでございます。この事業は日米安保体制、またその信頼性を確保する上で、住宅建設というのは極めて大切な仕事でございますので、私もこの仕事を前長官から引き継ぎまして、誠意を持って取り組んでまいらなきゃいかぬ、かように思っておるわけでございます。
 御案内のとおり、本事業につきましては、当時の逗子市長と長期にわたりまして協議を重ねてまいりました結果、条件づきで建設に同意する旨の回答を得て、また自然を最大限保存する、こういうことで神奈川県環境影響評価条例の手続、こうしたものも行いまして、その中で本事業の必要性というものを地元の方々に御理解いただくための説明会等を続けてきたわけでございます。逗子市長とさらに県知事を交えまして今まで三者会談等で話し合ってまいっておりまして、その結果、県知事から市長の意向にも配慮した調停案が提示された。調停案でございますから、国といたしましても大幅な計画の修正を私どももできる限りの努力をしなきゃいかぬ、こういうことでこの調停案も尊重いたしまして、市民の理解をさらに得てまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
 本年九月からいわゆる今日までの計画を修正した上で工事を実施させていただいておるわけでございますが、防衛庁といたしましては、地元の理解を得るための努力をさらに続けながらこの工事を進めさしていただきたい、かように思っておるわけでございます。
○木本平八郎君 終わります。
○委員長(原文兵衛君) 以上で木本平八郎君の質疑は終了いたしました。
 これにて質疑通告者の発言はすべて終了いたしました。
    ―――――――――――――
○委員長(原文兵衛君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 予算の執行状況に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(原文兵衛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四十八分散会