第114回国会 内閣委員会 第4号
平成元年六月二十日(火曜日)
   午前十時開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     大浜 方栄君     鳩山威一郎君
     木宮 和彦君     亀長 友義君
 二月十六日
    辞任         補欠選任
     中野  明君     峯山 昭範君
 二月二十七日
    辞任         補欠選任
     永野 茂門君     大鷹 淑子君
 二月二十八日
    辞任         補欠選任
     大鷹 淑子君     永野 茂門君
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     柳澤 錬造君     抜山 映子君
 三月二十七日
    辞任         補欠選任
     大島 友治君     本村 和喜君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     本村 和喜君     大島 友治君
     野田  哲君     小野  明君
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     小野  明君     野田  哲君
     抜山 映子君     柳澤 錬造君
 六月十四日
    辞任         補欠選任
     野田  哲君     村沢  牧君
 六月十五日
    辞任         補欠選任
     村沢  牧君     野田  哲君
 六月十六日
    辞任         補欠選任
     大島 友治君     大鷹 淑子君
     村上 正邦君     河本嘉久蔵君
     野田  哲君     上野 雄文君
 六月十七日
    辞任         補欠選任
     大鷹 淑子君     大島 友治君
     河本嘉久蔵君     村上 正邦君
     上野 雄文君     野田  哲君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大城 眞順君
    理 事
                板垣  正君
                名尾 良孝君
                永野 茂門君
                久保田真苗君
    委 員
                岩上 二郎君
                大島 友治君
                岡田  広君
                古賀雷四郎君
                村上 正邦君
                小川 仁一君
                野田  哲君
                飯田 忠雄君
                峯山 昭範君
                吉川 春子君
                柳澤 錬造君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長)  塩川正十郎君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  池田 行彦君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  山崎  拓君
   政府委員
       内閣官房副長官  牧野 隆守君
       内閣法制局第一
       部長       大出 峻郎君
       内閣法制局第二
       部長       大森 政輔君
       人事院総裁    内海  倫君
       人事院事務総局
       給与局長     中島 忠能君
       内閣総理大臣官
       房審議官     文田 久雄君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    櫻井  溥君
       内閣総理大臣官
       房臨時特定弔慰
       金等業務室長   石倉 寛治君
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務政務次官   若林 正俊君
       総務庁長官官房
       長        山田 馨司君
       総務庁長官官房
       会計課長     稲葉 清毅君
       総務庁人事局長  勝又 博明君
       総務庁恩給局長  石川 雅嗣君
       防衛政務次官   鈴木 宗男君
       防衛庁参事官   小野寺龍二君
       防衛庁長官官房
       長        依田 智治君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  山本 雅司君
       防衛施設庁総務
       部長       弘法堂 忠君
       防衛施設庁建設
       部長       田原 敬造君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        原   度君
   説明員
       人事院事務総局
       職員局審議官   望月 憲司君
       内閣総理大臣官
       房参事官     平石 治兌君
       法務省民事局参
       事官       岡光 民雄君
       外務省北米局安
       全保障課長    重家 俊範君
       外務省国際連合
       局軍縮課長    神余 隆博君
       厚生省援護局業
       務第一課長    村瀬 松雄君
       自治省行政局行
       政課長      松本 英昭君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調
 査並びに国の防衛に関する調査
 (総理府関係の施策に関する件)
 (平成元年度内閣、総理府関係予算に関する件
 )
 (総務庁の基本方針に関する件)
 (平成元年度総務庁関係予算に関する件)
 (防衛庁の基本方針に関する件)
 (平成元年度防衛庁関係予算に関する件)
 (平成元年度皇室費に関する件)
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○軍人恩給改定に関する請願(第二五号外一二件
 )
○鉄道共済年金の安定的財政確立に関する請願
 (第一七一号)
○元日赤救護看護婦に対する慰労給付金に関する
 請願(第二〇四号外一六件)
○傷病恩給等の改善に関する請願(第六九三号外
 一六件)
○皇室内廷費増額に関する請願(第七五四号外一
 四件)
○日本鉄道共済年金の財源確保に関する請願(第
 八二七号)
○スパイ防止のための法律制定に関する請願(第
 八八六号外一〇件)
○継続調査要求に関する件
    ―――――――――――――
○委員長(大城眞順君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二月十五日、大浜方栄君及び木宮和彦君が委員を辞任され、その補欠として鳩山威一郎君及び亀長友義君が選任されました。
 また、去る二月十六日、中野明君が委員を辞任され、その補欠として峯山昭範君が選任されました。
○委員長(大城眞順君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 永野茂門君が一たん委員を辞任されたため現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に永野茂門君を指名いたします。
○委員長(大城眞順君) この際、国務大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。塩川内閣官房長官。
○国務大臣(塩川正十郎君) このたび官房長官を拝命いたしました。内閣官房及び総理府本府に係る事務を担当することに相なりました。
 今後とも誠心誠意職務に精励いたしますので、諸先生方の御支援、御協力を心からお願い申し上げまして、ごあいさつにかえさせていただきます。(拍手)
○委員長(大城眞順君) 池田総務庁長官。
○国務大臣(池田行彦君) このたび総務庁長官を拝命いたしました池田行彦でございます。
 私は、社会経済情勢の変化に対応した総合的かつ効率的な行政を実現するために、総合調整官庁として総務庁が果たすべき役割を十分に認識し、各般の課題に誠心誠意取り組んでまいる決意でございます。
 どうぞ、委員長初め委員諸先生方の御指導、御鞭撻のほどを心からお願い申し上げる次第でございます。(拍手)
○委員長(大城眞順君) 山崎防衛庁長官。
○国務大臣(山崎拓君) このたびの新内閣の発足に際し、防衛庁長官を拝命いたしました山崎拓でございます。
 委員長初め委員各位に謹んでごあいさつ申し上げます。
 内外の諸情勢が厳しいこの重要な時期に我が国の防衛という国家存立の基本にかかわる任務に携わることになり、その責務の重大さを痛感いたしております。
 私は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、日本国憲法に従い、国民各位の御理解のもと、着実な防衛力の整備と日米安全保障体制の信頼性の向上に誠心誠意努めてまいる所存でございます。
 本委員会は、国の防衛に関する事項を所管される委員会としてこれまで長年にわたり防衛問題に熱心に取り組んでこられ、皆様はこの分野に精通されるとともに、我が国の防衛政策の確立とその推進に御尽力をいただいてまいりました。
 私といたしましては、今後、皆様方の御協力を賜り、課せられた職責の遂行に誤りなきを期してまいりたいと考えております。何とぞ一層の御指導、御鞭撻をお願いいたしまして、ごあいさつとさせていただきます。(拍手)
○委員長(大城眞順君) 牧野内閣官房副長官。
○政府委員(牧野隆守君) このたび内閣官房副長官を拝命いたしました牧野隆守でございます。
 塩川官房長官を補佐いたしまして職務に精励してまいる決意でございます。委員長初め委員の各先生方の御指導、御鞭撻を心からお願いする次第でございます。(拍手)
○委員長(大城眞順君) 若林総務政務次官。
○政府委員(若林正俊君) このたび総務政務次官を拝命いたしました若林正俊でございます。
 池田長官を補佐し全力を尽くしてまいりたいと思います。委員長初め委員各位の格段の御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)
○委員長(大城眞順君) 鈴木防衛政務次官。
○政府委員(鈴木宗男君) このたび防衛政務次官を拝命いたしました鈴木宗男であります。
 山崎長官のもとで最善を尽くして責務を全うしてまいる所存でありますので、委員長初め委員各位の諸先生の御指導、御鞭撻を切にお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。(拍手)
○委員長(大城眞順君) 次に、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。
 まず、内閣官房長官から所信及び平成元年度内閣、総理府関係予算の説明を聴取いたします。塩川内閣官房長官。
○国務大臣(塩川正十郎君) 総理府本府の所管行政につき、所信の一端を申し述べます。
 初めに、今国会において御審議をお願いしております臨時教育改革推進会議設置法案について申し上げます。この法律案は、臨時教育審議会答申を受けて講ぜられる教育改革に関する施策を円滑かつ効果的に推進するため、総理府に臨時教育改革推進会議を設置すものであり、第百十二回国会から衆議院において継続審査となっているものであります。慎重に御審議の上、速やかな成立をお
 願いする次第であります。
 次に、法律案以外の主な所管事項について申し上げます。
 まず、恩給欠格者問題、戦後強制抑留者問題、在外財産問題等のいわゆる戦後処理問題でありますが、昨年五月に成立を見ました平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づいて昨年七月に平和祈念事業特別基金を設立いたしました。現在、この基金を通じまして、関係者の戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に慰藉の念を示す事業を行うとともに、戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等を行っているところであります。今後ともこの法律に基づいて事業を引き続き適切に推進してまいる所存であります。
 また、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等の支給につきましては、関係各議員の御努力により法律が制定され、昨年九月から支給業務を開始し、現在、順調に処理が進んでいるところでありますが、本事業の趣旨を踏まえまして、今後とも迅速な処理に務めてまいる所存であります。
 次に、緑化の推進でございますが、昭和五十八年に緑化推進連絡会議を設置いたしまして、全国的な緑化推進運動の展開を図ってまいりました結果、地域に密着した市町村等の緑化推進運動の着実な実施、国及び都道府県の各種の緑化推進事業の積極的な展開により、地域住民の緑化意識の向上が図られ、全国的に大きな盛り上がりを見せております。本年「みどりの日」が国民の祝日として制定されたことなどを契機といたしまして、今後さらに緑化推進運動の定着化を図るため、地域の実情に即応した緑化対策を推進し、花と緑に囲まれた潤いのある地域社会の建設を目指してまいる所存であります。また、平成二年に開催される「国際花と緑の博覧会」の成功を期して総理府の立場から格段の努力をしてまいる所存であります。
 婦人に関する施策の推進につきましては、昭和六十二年五月に西暦二〇〇〇年に向けての新国
内行動計画を策定し、現在、この計画に掲げられた諸目標達成のための施策を鋭意推進しているところであります。特に国の審議会等委員への婦人の登用を図るなど政策決定過程への婦人の参加を促進することを最重点にいたしておりまして、今後もこの計画に沿って男女共同参加型社会の形成を目指し、種々の施策のさらなる推進に努めてまいる所存であります。
 また、障害者対策につきましては、「国連障害者の十年」の後半期に向けて策定されました障害者対策に関する長期計画後期重点施策に沿って、広く国民の理解と協力を得ながら、障害者の社会への完全参加と平等を目指した各般の施策の推進に努力してまいる所存であります。
 さらに、政府広報につきましては、政府に対する国民の信頼を確保するため、我が国が当面している課題やそれに関する主要な施策、制度に重点を置き、広報活動を積極的に実施してまいる所存であります。
 以上、所信の一端を申し述べさせていただきましたが、その他の所管事項についても諸施策の推進に一層の努力を傾注してまいる所存であります。
 委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いする次第であります。
 引き続きまして、平成元年度における内閣及び総理府所管の歳出予算額についてその概要を御説明いたします。
 内閣所管の平成元年度における歳出予算額は百二十二億二千七百万円でありまして、これを前年度歳出予算額百十九億三千八百万円に比較いたしますと二億八千九百万円の増額となっております。
 以下、順を追って申し上げますと、内閣官房に必要な経費といたしまして五十三億五千万円、内閣法制局に必要な経費として六億五千六百万円、人事院に必要な経費といたしまして六十二億二千百万円であります。
 次に、総理府所管の平成元年度における歳出予算額は七兆五千二百八十八億一千七百万円でありまして、これを前年度歳出予算額七兆二千六百六十九億一千万円に比較いたしますと二千六百十九億七百万円の増額となっております。このうち、当委員会に関係いたします総理本府、日本学術会議及び宮内庁の歳出予算額は四百四十四億三千三百万円でありまして、これを前年度歳出予算額三百九十一億一千七百万円に比較いたしますと五十三億一千六百万円の増額となっております。
 以下、順を追って申し上げますと、総理本府に必要な経費三百五十億二千四百万円、日本学術会議に必要な経費八億六千七百万円、宮内庁に必要な経費八十五億四千二百万円であります。
 次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。
 総理本府に必要な経費は、政府広報、栄典関係、平和祈念事業特別基金事業の推進、台湾住民である戦没者の遺族等に対する弔慰金等の支給及び航空機の購入等のための経費でありまして、前年度に比較して五十億七千三百万円の増額となっております。
 日本学術会議に必要な経費は、科学に関する重要事項の審議、内外の研究連絡調査と国際共同事業の協力に関する業務等に必要な経費でありまして、前年度に比較して三千六百万円の減額となっております。
 宮内庁に必要な経費は、皇室の公的御活動、皇室用財産の維持管理に附帯して必要となる経費等でありまして、前年度に比較して二億七千九百万円の増額となっております。
 以上をもちまして平成元年度内閣及び総理府所管の歳出予算額の概要の説明を終わらせていただきます。
○委員長(大城眞順君) 次に、総務庁長官から所信及び平成元年度総務庁関係予算の説明を聴取いたします。池田総務庁長官。
○国務大臣(池田行彦君) 第百十四回国会における内閣委員会の御審議に先立ち、所信の一端を申し上げます。
 第一に、行政改革の推進、機構・定員等の審査等についてであります。
 行政改革は、改革前進内閣たる現内閣の最重要課題の一つであります。政府としては、これまでも臨調及び行革審の答申等を踏まえつつ、累次にわたる行革大綱等に沿ってその推進に努めてきたところでありその成果は着実に上がりつつあると認識しております。
 しかし、臨調答申等の目指した改革の本格的な実現と成果を見るには、なお今後従来にも増した推進努力を必要としております。
 このため、昨年十二月には規制緩和推進要綱を閣議決定し、公的規制の緩和に積極的に取り組んでいるところであります。また、平成元年度の予算編成に際しても、行政組織、定員、特殊法人、重要施策など広範な分野にわたり平成元年度に講ずべき措置を中心として、中期的な課題についても極力盛り込んだ平成元年度行革大綱を閣議決定したところであり、今後、着実にその推進を図ってまいる所存であります。
 新行革審においては、現在、国と地方の機能分担、費用負担等のあり方、その他関連する諸問題について本年内の答申提出を目指して精力的に調査審議を進めているところであり、また、公的規制の緩和等に関する答申の実施状況の点検、評価等を行っているところであります。さらに、今後の行財政改革全般にわたる基本的課題と改革の方向を示すべく、最終答申に向けて調査審議に取り組むこととしております。
 政府としては、新行革審における調査審議の動向等を見ながら、今後とも行政改革を全般的かつ強力に推進し、簡素にして効率的な行政の実現を図ってまいる所存であります。
 行政サービスの向上を目的に昨年来実施しているさわやか行政サービス運動についても、引き続き全国的かつ持続的に展開してまいります。
 平成元年度の機構・定員等の審査については、機構の膨張を厳に抑制し簡素合理化を推進するとともに、第七次定員削減計画に基づく定員削減を着実に実施する一方、増員を厳しく抑制し、三千六十九人の純減を行うこととしております。
 行政情報システムの総合調整については、時代の変化、情報関連技術の進展等に即応できるよう、一層の推進に努めてまいりますとともに、昨年十二月に公布された行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律をできる限り速やかに施行するための所要の準備を進めてまいる所存であります。
 第二に、国家公務員の人事管理については、行政の公正な執行について国民の信頼を確保することが喫緊の課題となっていることにかんがみ、昨年十二月、「官庁綱紀の粛正について」を閣議決定するとともに、これを踏まえ、綱紀の永続的な保持を図るため各省庁に綱紀点検調査委員会を設置し、綱紀粛正の徹底状況を継続反復して点検調査することとしました。全体の奉仕者である公務員が、その職務を行うに当たって国民からいささかの疑いも受けることのないよう、今後とも綱紀の厳正な保持に努めてまいる所存であります。
 また、国家公務員について適切な処遇を確保することにより士気の高揚を図るとともに、能力開発・啓発等の施策を推進し、公務能率の増進、行政サービスの向上等を図ってまいる所存であります。
 第三に、行政監察については、政府の重要政策課題の解決の促進及び既往の諸改革の定着と実効確保の観点から、経済協力、国と地方一電気通信、国有林野、高齢者対策等について、監察、調査を計画的に実施してまいります。
 また、行政苦情のあっせん業務についても、民間有識者から国民的立場に立った意見を聴取するとともに監察機能との連携を図りつつ、鋭意取り組んでまいる所存であります。
 第四に、統計に関する業務については、その総合調整に当たり社会経済情勢の変化に対応したより精度の高い統計の整備充実に努めるとともに、本年行う全国消費実態調査やサービス業基本調査等の円滑な実施に万全を期してまいります。
 また、統計データベースの整備等統計の高度利用の推進に努めてまいる所存であります。
 第五に、青少年対策等特定行政分野の総合調整について申し上げます。
 青少年対策については、昨日、青少年問題審議会から内閣総理大臣に対し「総合的な青少年対策の実現をめざして」と題する意見具申がありましたので、その趣旨をも踏まえつつ、青少年の社会参加の促進を初めとする各種施策の推進を図るとともに、家庭、学校、地域社会、関係機関等の協力連携を呼びかけ、非行防止対策の推進を図るなど、総合的な取り組みの一層の強化に努めてまいります。
 また、国際化の進展に伴い、世界青年の船事業の実施等青年国際交流事業の充実に努めてまいる所存であります。
 交通安全対策については、第二次交通戦争と呼んでも過言ではないような現在の厳しい交通事故状況に対処するため、交通対策本部において決定した交通事故防止に関する緊急総合対策等に基づき、関係省庁との緊密な連携のもとに各種の施策を推進するとともに、交通安全思想の普及、交通事故被害者の援護等に努めてまいる所存であります。
 長寿社会対策については、二十一世紀初頭の本格的な高齢化社会の到来に備えるため、長寿社会対策大綱に基づき、雇用・所得保障を初めとする各般の施策について、関係省庁との緊密な連携のもとに総合的に推進するとともに、高齢社会をめぐるさまざまな問題について国民各層の理解と関心を深めるため、啓発・情報提供活動の充実強化にも努めてまいる所存であります。
 地域改善対策については、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に基づき、地域改善対策特定事業を国及び地方公共団体が一体となって実施しているところでありますが、今後とも、地域改善対策の適正化等にも配慮しつつ、法失効後に一般対策へ円滑に移行できるよう最善の努力をしてまいる所存であります。
 最後に、恩給行政についてでありますが、今国会においても恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図るため恩給法等の一部を改正する法律案の御審議をお願いしております。
 以上、所信の一端を申し上げましたが、委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いする次第であります。
 次に、平成元年度における総務庁の歳出予算についてその概要を御説明します。
 平成元年度の総務庁の歳出予算額は一兆七千六百三十六億七千百万円で、前年度歳出予算額に比較しますと百三十七億四千四百万円の減額となっております。
 以下、主なものを御説明申し上げますと、恩給法等に基づく文官・旧軍人等に対する恩給の支給に必要な経費として一兆六千九百九十八億三千百万円、行政改革の推進等、行政運営の効率化、合理化等を図るために必要な経費として二十五億三千九百万円、青少年の健全な育成、世界の青年との国際交流を一層充実させるための世界青年の船事業等に必要な経費として二十四億五千五百万円、長寿社会対策を総合的に推進するために必要な経費として八千万円、交通安全対策に必要な経費として五億六千万円、地域改善対策啓発活動等に必要な経費として六億九百万円、全国消費実態調査等統計調査の実施等に必要な経費として二百三十一億二千万円を計上いたしております。
 以上をもって平成元年度総務庁歳出予算の概要の説明を終わります。
○委員長(大城眞順君) 次に、防衛庁長官から所信及び平成元年度防衛庁関係予算の説明を聴取いたします。山崎防衛庁長官。
○国務大臣(山崎拓君) 平素から我が国の安全保障に深い関心を持たれ御指導をいただいている参議院内閣委員会の皆様に、私の所信の一端を申し述べさせていただきたいと存じます。
 御案内のとおり、現下の国際情勢については、米ソ間の対話の進展、中ソ関係の正常化及び世界各地の地域紛争解決への具体的努力など評価すべき動きが見られ、今後の展開が注目されるところであります。しかしながら、依然として、今日の国際社会においては、力の均衡が世界の平和と安定の基本的な条件になっている事実に変わりはありません。
 このような国際軍事情勢をも踏まえ、政府としては、我が国の平和と安全を守るため、引き続き、みずから適切な規模の防衛力を保有するとともに、日米安全保障体制を堅持することが必要であると考えております。
 防衛力の整備に当たっては、現在、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標とする中期防衛力整備計画の着実な実施に努めているところであります。
 平成元年度防衛予算におきましても、財政事情の厳しい中ではありますが、国の他の諸施策との調和を図りつつ、中期防衛力整備計画の第四年度目として、質の高い防衛力の着実な整備に努めることとし、諸外国の技術的水準の動向に対応し得るよう正面装備の質的充実に加え、指揮通信・情報機能の充実、練度の向上、隊員施策の推進等を重視するとともに、あわせて基地対策の推進にも配意して所要の経費を計上したところであります。さらに、中期防衛力整備計画終了後の平成三年度以降の防衛力整備につきましては、昨年十二月の安全保障会議において引き続き現行のような中期的な計画を策定する必要があるということで意見の一致を見たことを受け、今後の国際情勢等の動きを慎重に見きわめつつ、著しく進展する軍事技術の動向等も十分に勘案し、有効かつ効率的で質の高い防衛力の整備を図ることを基本として検討を進めてまいる所存であります。
 また、我が国は、日米安全保障体制の円滑かつ効果的な運用とその信頼性の維持・向上のため、不断の努力を行う必要があると考えており、このため、日米防衛協力のための指針に基づく共同作戦計画についての研究、日米共同訓練、FSX日米共同開発を初めとする装備・技術面における日米協力等を通じて、日米の信頼関係をより確かなものとするため、今後とも積極的に取り組む所存であります。米国においては、本年一月、ブッシュ政権が発足しておりますが、この新政権との間においても、今後、あらゆる機会をとらえて間断ない対話を行い、従前にも増して良好かつ緊密な日米防衛協力関係を築き上げるべく努力してまいりたいと考えております。
 また、我が国の防衛にとって必要不可欠な自衛隊や在日米軍の施設を確保するとともに、その安定的な使用のため、防衛施設と周辺地域との調和を図るべく、防衛施設周辺の生活環境の整備等の諸施策につきましても引き続き積極的に推進してまいる所存であります。
 今日、我が国は、自由主義諸国の一員として世界の平和と繁栄に貢献すべき責務を負っております。このような国際的責務を果たすに当たっては、まず自国の平和と安全を守る努力が必要なことは言うまでもありません。政府といたしましては、今後とも、憲法及び専守防衛等の基本的防衛政策に従い、適切な規模の防衛力の整備を進めてまいる所存であります。私は、以上のような基本的な考え方のもと、国民の理解と協力を得ながら、全力を尽くしてまいる覚悟であります。
 終わりに当たり、委員長を初め当委員会の皆様の一層の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げ、私の所信表明とさせていただきます。
 なお、平成元年度防衛予算の概要につきましては、藤井経理局長より説明いたさせます。
○委員長(大城眞順君) 藤井経理局長。
○政府委員(藤井一夫君) 平成元年度防衛予算について、その概要を御説明いたします。
 まず、防衛本庁について申し上げます。
 平成元年度の防衛本庁の歳出予算額は三兆五千百五十四億六千三百万円で、前年度の当初予算額に比べますと一千八百六十六億八千八百万円の増加となっております。
 次に、新規継続費は平成元年度乙型警備艦建造費等で八百九十一億七千五百万円、国庫債務負担行為は武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等整備等で一兆五千百十八億三百万円となっており
ます。
 次に、防衛本庁の予算の内容について申し上げます。
 平成元年度予算は、厳しい財政事情のもと、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を図ることを目標として閣議決定された中期防衛力整備計画の第四年度として、質の高い防衛力の着実な整備に努めることとし、正面装備の質的充実に加え、指揮通信・情報機能の充実、練度の向上、隊員施策の推進等後方部門を重視し、所要の経費を計上したものであります。
 特に重点を置いた事項について申し上げると次のとおりであります。
 第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については、更新近代化を中心としてその整備を進めることとし、八八式地対艦誘導弾、対潜哨戒機P3C、要撃戦闘機F15等の調達を行うこととしております。
 第二に、防衛力を効果的に発揮させるため、弾薬の備蓄、魚雷・機雷の管理運用態勢の改善を初めとする継戦能力・即応態勢の着実な充実に努め、航空機用掩体の建設等抗堪性の向上のための諸施策を引き続き進めるとともに、防衛力の維持運営に最小限必要とする要員を確保することとしております。
 第三に、指揮通信・情報機能の充実を図るため、引き続き、防衛統合ディジタル通信網、超長波送信所及び艦艇用衛星通信機能の整備等を図るほか、新型の固定式三次元レーダー装置及び移動式警戒監視システムの整備に着手することとしております。
 第四に、訓練内容及び教育訓練用装備等の充実等練度の向上等を図るため、油購入費、修理費、教育訓練経費等について、所要の経費を計上し、教育訓練の推進に努めることとしております。
 第五に、隊員施策については、隊舎、宿舎、食厨、浴場等の生活関連施設の充実を図るとともに、隊員の処遇改善に努めることとしております。
 第六に、将来装備の動向等を勘案し、装備品の研究開発を推進するため、引き続き次期支援戦闘機等の研究開発を実施するとともに、新たに短SAM改、対潜用短魚雷G−RX4等の研究開発に着手することとしております。
 以下、機関別の主な内容について申し上げます。
 陸上自衛隊の歳出予算額は一兆三千七百九十二億七千三百万円、国庫債務負担行為は三千六百十九億九千万円となっております。
 陸上装備については、七四式戦車五十六両、装甲戦闘車八両、七三式装甲車二十三両、二百三ミリ自走りゅう弾砲六門、百五十五ミリりゅう弾砲FH70四十三門、八七式自走高射機関砲八両等の調達を予定しております。
 誘導弾については、一個高射特科群の改良ホークの改善を予定するとともに、八一式短距離地対空誘導弾四セット、八八式地対艦誘導弾十六基等の調達を予定しております。
 航空機については、対戦車ヘリコプター九機、観測ヘリコプター十一機、多用途ヘリコプター十機、輸送ヘリコプター五機、合わせて三十五機の調達を予定しております。
 また、予備自衛官の員数を一千人増加することとしております。
 海上自衛隊の歳出予算額は九千七百十五億六千万円、新規継続費は八百九十一億七千五百万円、国庫債務負担行為は四千六百三十億五千九百万円となっております。
 艦艇については、護衛艦一千九百トン型二隻、潜水艦二千四百トン型一隻、掃海艦一千トン型二隻、音響測定艦二千八百トン型一隻、合わせて六隻の建造に着手することとしております。
 航空機については、対潜哨戒機十機、訓練支援機一機、連絡機二機、初級操縦練習機二機、対潜ヘリコプター十二機、掃海ヘリコプター四機、救難ヘリコプター三機、初級操縦練習ヘリコプター二機、合わせて三十六機の調達を予定しております。
 地対空誘導弾については、八一式短距離地対空誘導弾ニセット等の調達を予定しております。
 また、自衛官の定数については、艦艇、航空機の就役等に伴い、三百二十一人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を二百人増加することとしております。
 航空自衛隊の歳出予算額は一兆三百億四千九百万円、国庫債務負担行為は五千九百四十一億五千百万円となっております。
 航空機については、要撃戦闘機十一機、早期警戒機三機、中等練習機二十機、輸送ヘリコプター二機、救難ヘリコプター二機、合わせて三十八機の調達を予定しております。
 なお、F4EJについて、延命に伴う相対的な能力不足を改善するため引き続き改修を行うとともに、新たに偵察機転用のための試改修を行うこととしております。
 地対空誘導弾については、ぺトリオットー個高射群分、八一式短距離地対空誘導弾四セット等の調達を予定しております。
 また、自衛官の定数については、航空機の就役等に伴い二百三十三人の増加を図るとともに、予備自衛官の員数を三百人増加することとしております。
 内部部局、統合幕僚会議及び施設等機関等の歳出予算額は一千三百四十五億八千百万円、国庫債務負担行為は九百二十六億二百万円となっております。
 これは各種装備品等の研究開発費その他各機関の維持運営に必要な経費であります。
 また、統合幕僚会議に所属する自衛官の定数については、通信電子業務の要員の確保等のため、五人増加を図ることとしております。
 以上のうち、昭和五十一年十一月五日に閣議決定された防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについてに基づき、安全保障会議に諮り決定されたものは、自衛官の定数及び予備自衛官の員数の変更のほか、七四式戦車等主要陸上装備の調達、地対空誘導弾ホークの改善、八一式短距離地対空誘導弾、八八式地対艦誘導弾及び地対空誘導弾ペトリオットの調達、対戦車ヘリコプター、輸送ヘリコプター、対潜哨戒機、対潜ヘリコプター、掃海ヘリコプター、要撃戦闘機、早期警戒機等航空機百十七機の調達等、護衛艦一千九百トン型等艦艇六隻の建造の着手であります。
 なお、平成元年度における自衛官の定数及び予備自衛官の員数の増加については、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案を提出し、別途御審議をお願い申し上げております。
 続いて、防衛施設庁について申し上げます。
 平成元年度の防衛施設庁の歳出予算額は四千四十一億八千七百万円で、前年度の当初予算額に比べますと三百二十八億一千百万円の増加となっております。
 また、国庫債務負担行為は提供施設整備で八百九十一億二千万円となっております。
 次に、防衛施設庁の予算の内容について申し上げます。
 平成元年度予算において、特に重点を置いた事項は次のとおりであります。
 第一に、基地周辺対策事業については住宅防音工事の助成に重点を置き、基地周辺地域の生活環境の整備等を図ることとしております。
 第二に、在日米軍駐留経費負担については日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備及び労務費の一部負担の充実を図ることとしております。
 以下、各項別の主な内容について申し上げます。
 施設運営等関連諸費は三千二百十四億三百万円となっております。このうち基地周辺対策事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように個人住宅の防音工事費六百四十九億八百万円を含め、一千五百八十八億二千七百万円を計上しております。
 このほか、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備として歳出予算に八百九十億四千七百万円、国庫債務負担行為で八百九十一億二千万円をそれぞれ計上しております。
 調達労務管理費については、在日米軍従業員の安定的雇用の維持を図り、もって在日米軍の効果
的な活動を確保するため、地位協定第二十四条についての特別措置に関する協定に基づき負担する経費三百二十一億五千五百万円を含め基地従業員対策等に要する経費として五百五十六億三千八百万円を計上しております。
 その他、提供施設移設整備費二億九千万円、相互防衛援助協定交付金一億二千四百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費二百六十七億三千二百万円を計上しております。
 以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算に安全保障会議予算を加えた平成元年度防衛関係費は三兆九千百九十八億三千四百万円となり、前年度の当初予算額に比べますと二千百九十五億六百万円、五・九%の増加となっております。
 以上をもちまして防衛本庁及び防衛施設庁の予算の概要説明を終わります。
○委員長(大城眞順君) 次に、平成元年度皇室費について、政府委員から説明を聴取いたします。宮尾宮内庁次長。
○政府委員(宮尾盤君) 平成元年度における皇室費の歳出予算について、その概要を御説明いたします。
 皇室費の平成元年度における歳出予算額は四十九億七千七百三十一万四千円でありまして、これを前年度予算額三十億一千五百九十一万九千円に比較いたしますと十九億六千百三十九万五千円の増加となっております。
 皇室費の歳出予算額は、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。
 以下経費の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億五千七百万円、宮廷に必要な経費四十五億百三十万六千円、皇族に必要な経費二億一千九百万八千円であります。
 次に、その概要を御説明いたします。
 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度と同額となっております。
 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費でありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動等に必要な経費五億三千四十六万六千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費三十九億七千八十四万円でありまして、前年度に比較して十九億五千九百七十四万三千円の増加となっております。
 その増加の主な理由は、昭和天皇の大喪儀及び陵の営建に必要な経費十七億一千七百七十一万一千円を計上したことによるものであります。
 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して百六十五万二千円の増加となっております。
 これは、憲仁親王第二女子典子女王の御誕生に伴うものであります。
 以上をもちまして平成元年度皇室費の歳出予算額の説明を終わります。
○委員長(大城眞順君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。
○委員長(大城眞順君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。池田総務庁長官。
○国務大臣(池田行彦君) ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、最近の経済情勢等にかんがみ、恩給年額及び各種加算額等を増額することにより、恩給受給者に対する処遇の適正な充実を図ろうとするものであります。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。
 これは、昭和六十三年における公務員給与の改定、消費者物価の上昇その他の諸事情を総合勘案し、恩給年額及び各種恩給の最低保障額を、平成元年四月から、二・〇二%増額しようとするものであります。
 その第二点は、寡婦加算及び遺族加算の増額であります。
 これは、普通扶助料を受ける妻に係る寡婦加算の額を、平成元年八月から、他の公的年金における寡婦加算の額との均衡を考慮して引き上げるとともに、遺族加算の額についても、同年八月から、公務関係扶助料受給者に係るものについては四千九百円、傷病者遺族特別年金受給者に係るものについては三千円それぞれ引き上げようとするものであります。
 以上のほか、傷病恩給に係る扶養加給の増額等所要の改正を行うことといたしております。
 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 なお、この法律案では、経済事情の変動等に伴う恩給年額の増額等の措置は、平成元年四月一日から施行することといたしておりましたが、衆議院において、これを公布の日から施行し、本年四月一日から適用することに修正されております。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
○委員長(大城眞順君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保田真苗君 きょうは、この国会で新内閣に対します初めで終わりの委員会になりました。時間の許す限り、できるだけ当面の問題等に絞ってお伺いしたいと思います。
 私は、きょうは、恩給法、人事院勧告の問題とそれから防衛庁関係の問題と婦人問題その他について伺いたいと思いますので、私の時間は二つに分かれておりますから、婦人問題その他を午後に回して、官房長官と総務庁長官の御出席をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 では、初めに人事院勧告について伺います。
 人事院勧告はこの提出されております恩給法に大変影響力を持っておりますけれども、まずお伺いしたいのは、人事院は連休明けから民間の給与実態調査を行っておりまして、六月に入ってその作業がかなり進んでいると思うんですけれども、今現在の実態調査はどういうふうになっていますか。また、今後勧告をお出しになるまでの段取りについて伺いたいと、こう思います。
○政府委員(中島忠能君) ただいま先生がお話しになりましたように、五月の連休明けから、人事院の職員と各都道府県及び指定都市の人事委員会の職員と共同いたしまして民間企業の給与の実態調査に入りました。六月の中旬、おおむね先週の末あたりでその調査を終わりまして、今週いっぱいかけまして人事院の方で調査いたしましたものと地方団体の方で調査いたしましたものを交換してそれぞれ取りまとめをいたしたい。取りまとめた後、総務庁の統計センターの方にお願いいたしまして、総務庁の方で集計をお願いしたいというふうに考えておりますが、その結果が七月の上旬あたりからぼちぼち出てくるんじゃないかというふうに考えておりますけれども、それぞれの項目によりまして集計が出てくる順序が異なりますが、出てきたものから順次院内で検討に入りたいというふうに考えております。
 人事院勧告の時期につきましては、現在、まだいつごろということを申し上げるほど作業の手順が明確になっておりませんので申し上げることができませんけれども、ただ、人事院といたしましては、この勧告の趣旨というものを考えましてできるだけ早期に勧告ができるように鋭意努力いたしたいというふうに考えております。
○久保田真苗君 ことしの春闘は、景気の動向を反映して去年に比べますと上向きの賃上げ率を示していると、こう言われるんですけれども、これまでに労働省としてはこの春闘の結果をどういうふうに把握していらっしゃるか。また、人事院としてこの春闘と比較してどう見ていらっしゃる
か。その点いかがでございましょうか。
○政府委員(中島忠能君) 昨年の春闘の結果の賃上げ率というのは、労働省の調査によりますと四・四三%ということになっております。ことしの春季の賃金闘争の結果につきましては、現在、まだ労働省の方から数字が発表されておりませんけれども、経営者団体とかあるいはまた労働団体の方からそれぞれ数字が出ております。その両者を比較いたしますと、おおむね〇・七から〇・八%ぐらい賃上げ率が高いというふうに我々は見ております。ただ、私たちの方で調査の対象にしております企業の数とか企業の規模とか、そういうものとこれらの春季の賃上げ率の算定の対象になっております企業の範囲、規模等が異なっておりますので、直ちにどうこういうことを申し上げることは難しいと思いますけれども、ただ、一般的な傾向としては、今先生がお話しになりましたように、昨年よりもやや明るいかなという感じを私たちは持っております。
○久保田真苗君 そこで、いわゆる追加較差の問題なんですけれども、去年の勧告では追加較差の算定方式の中で民間の定期昇給率を二・八から二・六%にしているんですけれども、民間も公務員と同じように年々これが下がってきておりますね。日経連などの調査によりますと、民間の定昇率は二・三%前後だということなんですが、民間の定昇率につきまして昨年の人事院調査はどういうふうになっていましたでしょうか。
 また、ことしについても調査して、追加較差の式に当たります二・六%とそれとのギャップがあったときに当然改善すべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(中島忠能君) 追加較差を算定するときに、民間の定昇率というのを考慮いたしておりますけれども、私たちが問題意識を持ちまして民間の定昇率を調査する、それを重ねておりますけれども、ただ民間企業で定昇率ということをはっきり意識している会社が我々が予想しておったよりも非常に少ないという実情が実はございます。あるいは、先生の方が専門家でございますので既に御存じかもわかりませんけれども、そういう実態であることと、どういうような算定方式で定昇率を出すのかということもまた企業によってそれぞれ異なっておりますので、かなり難しい問題でございます。ただ、一般的に民間企業の定昇率は何%だといったときに、我々が現在用いております二・六%よりも低い率を挙げるところが多いというのもこれまた事実でございますので、私たちは民間企業の定昇率というものの実態が非常に把握しにくいことを承知しながらも、ことしもまたその調査を重ねまして、より適切なものが把握できるというか、より適切なものに推移することができるという自信を深めましたらまたそれも検討してまいりたいというふうに考えております。
○久保田真苗君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ことしから土曜閉庁の問題が出てまいりましたので一応お伺いしておきたいんですけれども、一月から四週六休制なんですけれども実施に入りました。その点、何か問題点が生じているかどうか、人事院それから総務庁におかれましてもいろいろフォローアップしていらっしゃると思いますので、所見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(勝又博明君) 総務庁人事局からまずお答え申し上げます。
 土曜閉庁を実施するに当たりましては、国民の理解を得ながら進めるということを基本といたしておりまして、国民の各界各層から幅広く意見をお聞きするなど、いわゆる民意の反映に努めたところでございます。その結果、中小企業と一部の方に反対意見もございましたが、大勢としては御理解が得られたものと考え、いただいた御意見も踏まえまして、行政サービスを極力低下させないための工夫や適切な広報活動を行いながら土曜閉庁を実施することにいたしたものでございます。
 本年二月にその実施状況について調査を行いましたが、各官署におきましては、例えば緊急時における連絡体制の確保であるとか留守番電話の設置等々、行政サービスに関するいろんな工夫が行われますとともに、ポスターの掲示やあるいはちらしの配布など、関係団体等への通知、周知などを徹底いたしておりまして、国民の皆様の御理解をいただいて、おおむね順調に実施されていると報告を得ておるところでございます。
 今後とも土曜閉庁が円滑に実施され、国民の間に定着するよう私どもとしては努めてまいりたいと、かように考えております。
○説明員(望月憲司君) 土曜閉庁の実施状況につきましては、人事院におきましても各省庁から事情を聴取しております。
 ただいま総務庁人事局長からお答えがございましたように、政府あるいは各省庁におかれまして種々の配慮、努力が行われてまいっておるところで、そのようなことによりまして、当初は若干戸惑いも見られたところがあったように聞きますけれども、全体的におおむね順調に行われていると、かように理解しております。
 今後ともよりよい行政サービスが提供されることによりまして土曜閉庁が定着し、そしてまた今後の完全週休二日制の実現に向けて国民の御理解を得ることが大変大事であろうというふうに考えておるところでございます。
○久保田真苗君 おおむね円滑で大変うれしいと思います。
 個々の問題について実施前にお伺いしたポイントがございますので、例えば法務省関係のいろいろな受刑者との面接の問題ですとか、そういったことはまた次の機会に伺いたいと思いますので、なお今後ともフォローアップをお願いしたいと思います。
 それから、きょう総裁がお見えになっておりますので、次のステップとして政府が平成四年度に実施しようとしている完全週休二日制の問題なんですけれども、人事院としてはことしの勧告に関連してこの平成四年度に実施しようとしている完全週休二日制の問題をことしの勧告でどんなふうにお触れになっていくつもりか、そのお見通しなり所信なりを伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(内海倫君) 週休二日制につきましての私どもの考え方、それから今日までとってきております実際の措置、この辺を総合してお答え申し上げたいと思います。
 人事院としましては、完全週休二日制というものはぜひとも、しかもできるならば早くこれを実現に移すような考え方を政府にお出ししたい、これが私どもの基本的な考え方であります。ただ、今も両当事者からお答えしましたように、現に行われました四週六休、そして土曜閉庁というものが行政サービスの上でどういうふうな影響を与えておるか、私どもは極力そういうものの円滑な行政が行われるようにという措置を進めておりますけれども、なおその辺について国民の皆さん方の意向がどうであるかということも考え合わせなければいけない、こういうふうなことで、そういう面の調査もあるいはいろいろな意見の聴取も行わなければならないと思いますが、そういうふうな仕事を一応なし終えた時点で本来は完全週休二日制というものに移行すべきものであろうと、こういうふうに考えておるわけであります。
 さてそこで、ことしの勧告においてこれをどういうふうに取り扱うかという問題ですが、大変無責任なようですが、現在なおいろいろなそういう意見、あるいは私どもも地方に出かけましていろいろ地方の実態に基づく意見の聴取にも当たっておりますので、そういうふうなものを総合して今度の勧告あるいは意見の表明についてどういうふうに触れていくのが一番いいのかということはなお現時点では決めかねております。決めかねておりますけれども、先ほど冒頭申しましたように、私どもとしてはなるたけならば早い時期に完全週休二日制というものを実現すべきであると、こういう考えを持っておりますので、そういうこともあわせ考えて今回の勧告に何らかの意見を表明するか、あるいは今回は勧告での意見表明を見送って我々の一般的勧告に伴う意見の表明ということでいくか、この辺もなお最終的な結論を私どもは
まだ出すに至っておりません。
 以上が大体の私どもの考え方でございます。
○久保田真苗君 期待も大変高いものですし、前に昭和六十三年に経済運営五カ年計画でもって期間中に週四十時間労働制を実現するということがございますので、ひとつできるだけ積極的に前向きの御所見を今度の勧告でも考えていただきたいということを希望しておきたいと思います。
 次に、恩給関係でございます。
 今年度の恩給の改定率は二・〇二%なんですけれども、まずこの引き上げ率の根拠を一応伺っておきます。
○政府委員(石川雅嗣君) 平成元年度の恩給の改善に当たりましては、恩給が国家補償的性格を有するものであること等の特殊性を考慮……
○久保田真苗君 済みません、ちょっと人事院総裁に。恐縮ですけれども、人事院総裁、もう一つ。それでは先にやらせていただきます。済みません。すぐ終わります。
 特別給なんですけれども、ボーナスについてですが、昨年の民間の特別給が大変よかった、こういうことがございまして、ことしも引き続き経済が大変好調なんでございます。これまで公務員は特別給が五・二カ月ということでございましたけれども、今四・九カ月というふうになってしまっているんですね。そうしますと、特別給について人事院はどういうふうに今後の問題としてお考えになっていらっしゃるか、その辺について御見解を伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(内海倫君) 詳細が必要であれば担当局長から補充してお答えを申し上げますが、基本的な考え方をまず申し上げておきたいと思います。
 御存じのように、公務員につきましては常に民間給与と平準化して均衡を維持していくということが基本的な考え方でございまして、これは給与全般に及ぶ考え方でございます。したがって、特別給につきましても、民間における特別給がどのような傾向をたどっておるか、それをフォローアップしながら公務員における特別給も今まで勧告をいたしてきております。この考え方は今回もそして将来におきましても同様の考え方でいきたい、こういうふうに思っております。
 今伝えられます民間のいわゆるボーナスというものが、昨年に比べてあるいはそれ以前に比べて上がっておる由でございますが、今、人事院におきましても、これらについて民間調査として調査を行っております。それがどういうふうな数字になって出てまいりますか、それらも十分検討した上で今回の勧告においてどういうふうな答えを出すか、いま少し時間をかけたい、こういうふうに考えております。
○久保田真苗君 民間の状況が非常によいので、そのいい数字が出てくるという状況であれば当然それは反映されるんだと、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますね。
○政府委員(内海倫君) 基本的に、申し上げておりますように、民間との均衡というものはこれは考えていかなきゃいけない。ただ、民間の調査をした場合に、全部が全部国家公務員における特別給というものと対比してふさわしいものであるのかないのか、この辺の検討は、やはり国費をいただく建前ですから、その辺は真剣に考えておかないといけない、こう思います。しかし、基本的にはやはり、民間が大きく上がっていって公務員だけは一つも影響が出てこないじゃないかという常識論もあろうと思います。これらの常識もまた十分我々は考えていかなきゃならない。この辺非常に大ざっぱな答えでございますが、だんだんに精密になっていくと思います。
○久保田真苗君 今おっしゃったことは、常識といいますより、人事院勧告の持っている正当性の一つの根拠だと思うんですね。ですから、それはぜひ反映していただくことを強く希望しておきたいと思います。
 どうもありがとうございました。
○委員長(大城眞順君) よろしいですか。じゃ、お引き取りください。
○久保田真苗君 恩給法に戻ります。
 今年度の恩給の改定率二・〇二%、まずこの引き上げの根拠についてお伺いしたいんです。
○政府委員(石川雅嗣君) 平成元年度の恩給の改善に当たりましては、恩給が国家補償的性格を有するものであること等の特殊性を考慮しつつ、恩給年額の実質価値の維持を図る観点から、恩給法二条の二の規定にのっとって、諸般の事情を総合勘案し、平成元年四月から二・〇二%の改定を行うこととしているものでございます。
 この二・〇二%の算定根拠につきましては、これは公務員給与の改定率、行(一)本俸改定率二・三五%でございました。それから、消費者物価の上昇率、これは予算編成時の見込みが〇・七%でございました。これらの諸般の事情を総合勘案して定めたものでございます。
○久保田真苗君 もう三年越しなんですね、この総合勘案方式というのが。それで、ことしはこれで三回目になるんですけれども、もう一定のルールとか算定方式のようなものができないものなんでしょうか。
 この点、総務庁長官の御所見を伺っておきたいと思うんです。
○国務大臣(池田行彦君) 恩給の改定に当たりまして一体どのような指標をもとにしてその改善を図っていくか、これにつきましては従来からいろんな考えがございまして、結局そのときどきにおける社会経済事情を勘案しながらその時点で最も適切と思える指標を採用してきた、こういうことでございまして、現在では、今いわゆる総合勘案方式というものが基準となり、これを中心にいたしまして恩給の実質価値の維持を図っておるところでございます。
 確かに今、先生御指摘のとおり、どうもわかりにくい面があるじゃないか、ルール化したらどうかという御意見に私もうなずける部分もあるのでございますが、もう既に三回やったんだからという御指摘がございましたけれども、私どもといたしましては、まだ三回しかやっていないのでもう少しこの総合勘案方式によって改定を進めていくという、そういった作業を積み重ねてまいりまして、その積み重ねる中でおのずから一定の方式が編み出されていくんじゃないか、こういうことを考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、恩給改善につきましては、恩給が国家補償的な性格を有する制度である、このことを踏まえまして、それにふさわしい処遇がなされるべきである、こういった基本的考え方のもとに恩給受給者の処遇改善に努力してまいりたい、このように考えております。
○久保田真苗君 まだまだということなんですけれども、受け取る人にとりましては、いつも年末まで幾ら上がるのかわからないという状態なんですね。また、政府に対し、それから大蔵省に対し、それから与党の力関係、そういうもので恩給改定率が決まってくる、公務員給与の改定率に占めている割合がいつでも下がるんじゃないかといった不安があるわけです。ですから、その時期になりますと、皆さん本当に心配で、押しかけていらっしゃらなきゃならない。もう年中行事になってしまっているんですね。でも、こういうことは、私は、本当にささやかな恩給を差し上げるのにいつまで政治的な取り扱いということでひもをつけて引いているような、政治的なやり方というのはもう反省してよろしいんじゃないでしょうか。こういうことは、生活条件の基本にかかわる問題ですから、一定のルールとかそれから公務員の給与改定に準じた改定ルールというものをきちんと決めていただいて、不安のないようにしていただきませんと、これはやっぱり総務庁長官のお力の尺度になると私は思うんです。
 それで、今お返事はいただいたんですけれども、でしたら次年度以降はそういう考え方に立った恩給の引き上げをやっていらっしゃるのか、この内閣が続くのであればそういう御決意があるのか、その辺を伺わせておいてください。
○国務大臣(池田行彦君) 私どもも、恩給というものは、先ほども御答弁申し上げましたように、
基本的に国家補償的な性格を有するものであるという認識を持っておりますが、また同時に、これが受給者の方々の生活の支えになっておるということも十分認識しておるわけでございまして、決して恩給の改定を政治的に動かしていくということを考えておるわけではございません。
 そういった意味におきまして、やはりそのときそのときにおいて一体どういう指標をもとにしながら改定をしていくのがそういった恩給受給者の方々の生活を保障するためにもまた国家補償的な性格から見てもふさわしいかということでやってまいったわけでございます。過去三回、総合勘案方式というのでやってまいりましたので、来年度、平成二年度の予算編成におきましてもやはりこの考え方を基本にいたしまして恩給改定の問題を考えていく、こういうことになろうかと存じます。
 先ほど申しましたように、そういった作業を積み重ねていく中で、おのずから受給者の方々からも、それからまた政府といたしましても、納得のいく適切な方式というものが生まれてくるのではないか、ぜひそういう方向に持ってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○久保田真苗君 早い決着をお願いしておきます。
 官房長官、人事院勧告が提出されたときの取り扱いというのは、このところ完全実施ということを当然念頭に置いてやっていただいているわけでございますけれども、一つは、早く完全実施ということをやっていただきたいんです。特にことしは、そんなわけで民間の方が若干いいし経済の状況もいいということでございますから、期待もございますので、この際、改善をお願いしたい。完全実施の線でお願いしたいということ。
 それから、これがこの委員会のその他の法案との絡みでいつでも後ろに後ろにというふうに取引材料に使われるんです。これはもちろんこの委員会の問題ではあるんですけれども、政府に閣議決定を早めていただくとかそういうことで法案を早く提出していただいて、私たちの方でもそれを早く処理するようにしませんと、これは労働条件にかかわる問題だから、こういう悪習はやめるべきじゃないかと私は思うんですけれども、官房長官の御見解はいかがでしょうか。
○国務大臣(池田行彦君) 官房長官の御答弁の前に給与担当大臣の立場から御答弁させていただきます。
 給与担当大臣の立場といたしましては、従来から、労働基本権制約の代償措置である人事院勧告制度は尊重していかなくちゃいけない、こういった基本的姿勢に立って対処してまいりました。今年度におきましても、人事院勧告が出されますならば、もとより国政全般との関連を配慮しなくてはなりませんけれども、私といたしましては、勧告をできるだけ早期にそして完全実施するように努力をしてまいりたい、このように考えております。
○国務大臣(塩川正十郎君) 総務庁長官の答弁とほぼ同様でございますが、最近におきましては、勧告が出ましたら早速第一回の給与関係閣僚会議を開きまして、それを各省に持ち帰り検討を早めるということが習慣づいてきております。したがって、先ほど総務庁長官が言いましたように、各省庁との連絡をできるだけ速やかにいたしまして、少しでも早く決定ができるように心がけていきたいと思っております。
 それと同時に、ほぼこの数年は完全実施をしてまいりましたので、公務員の士気高揚のため、あるいはまた意識を堅持していくためにもそのような努力を政府としてはすべきではないか、こう私は思っております。
○久保田真苗君 防衛庁の方に移らせていただきます。
 私は、国会での総理大臣の所信表明の中でも、それからきょう表明なさいました所信の中でも、どうも吹っ切れないものがあるんです。それは、いわゆる東西関係、中ソの関係、それから地域紛争その他について、緊張緩和ということを非常にはっきりと認めていながら、なおかつ冷戦構造があるかのごとき非常な後ろ向きの態度を政府がとっているということなんです。防衛庁の立場としては、ただ単に軍事力をふやすのか減らすのかという問題だけではなくてもっと積極的に信頼醸成措置というものをとっていく必要があるのではないか、こう私は思うわけなんです。それは世界じゅうどこでも一生懸命努力をしているわけでございまして、残念なんですけれども、東アジア、東南アジアのあたりにおきましてはそういう努力が一番欠けているように思うんです。緊張緩和というものは、一〇〇%緩んでしまったとか一〇〇%強いとかという状態じゃなくて、絶えずそういう信頼醸成措置、周りの国との交流、交換、交渉、そういうことをやっている過程が平和を維持しているのではないか、こう私は思うわけです。それが我が国においては欠けている。その面につきまして防衛庁長官はどういうふうに認識していらっしゃるか、その辺をまず伺ってみたいと思います。
○国務大臣(山崎拓君) ただいまお尋ねの件でございますが、お話しのとおり、米ソ間の話し合いあるいは具体的な削減の提案、地域紛争解決への動きなどが見られることは事実でございます。
 一方におきまして、我が国の防衛力は、これもよく御案内のとおり、我が国の憲法のもと専守防衛に徹する防衛力、しかも節度ある防衛力、シビリアンコントロールのもとに厳正にコントロールされました防衛力でございます。我が国は防衛計画の大綱という整備計画、整備の目標を持っておりまして、その計画達成のために中期防衛力整備計画は五年間の整備計画を着実にこれを今まで取り進めてまいりましたところでございます。そういう状況でございますから、我が国の防衛力がいわば国際社会に向けて緊張緩和の大勢があるといたしましてもそれに対しまして逆らうものであるとかもとるものであるとか、そういうものではございません。みずからの国をきちんと守る防衛の努力をいたしますことが世界の平和と安全にむしろ寄与するものである、そういう考え方のもとで取り進めてまいりましたのであります。
 今後ともそれを引き続き努力をいたしたいと思っております。そういう国際的な動きはもとより評価をいたしておりますが、基本的な構造と申しますのは変わってはいないんだと、そういうことで引き続き防衛力整備計画を取り進めてまいりたい、そのように考えております。
○久保田真苗君 大変失礼な言い方になるんですけれども、若い山崎長官がおいでになったことで私、もう少し新しい識見を期待したんです。だけど、それは防衛官僚がお書きになった答弁そのままですよね。私、非常に残念だと思うんです。
 それではひとつもう少し個別に伺ってみたいと思うんです。
 何といいますか、基本的な構造はそのままだとおっしゃったんですけれども、今、東アジア、西太平洋の軍事力、こういうものを見まして、例えば中国の戦力ですね。中国の戦力、これは二百三十万の陸軍、九十四万トン、二千隻の海軍、それから独自開発の核戦力といったような、こういった中国の戦力は日本にとって潜在的脅威というふうにごらんになるのかどうかということなんです。
○国務大臣(山崎拓君) 先ほど私に対する御注意もございましたけれども、私はかつて防衛政務次官もいたしましたし、一貫して国の防衛政策について関心を持ってまいりましたのでございますが、その私自身の考え方は正しいと思っているのでございます。
 ただいま中国の問題についてお話がございましたが、結論的に申しますと、中国を潜在的脅威と考えにくいことを申し上げたいと思います。そもそも脅威というのは、先生よく御承知のとおり、侵略し得る能力と侵略しようとする意図が結びついて顕在化するものと考えております。潜在的脅威という表現は、侵略し得る軍事能力に着目をいたしまして、そのときどきの国際情勢等を含めまして総合的に判断して用いてまいりました表現でございます。そのような観点から申しますと、冒頭に申し上げましたとおり、中国の軍事力を潜在的脅威であるとみなしがたいと考えております。
 なお、詳細は国際参事官から答弁させます。
○政府委員(小野寺龍二君) ただいま委員御指摘のとおり、中国軍は陸海空ともに数の上では非常に膨大なものでございます。しかし、その中国軍が保有いたしております兵器というものに着目いたしますと、このような兵器というものは、例えば我が国に対して侵略するという性質のものではないというふうに我々は見ております。また、軍がとっております態勢につきましても、中国軍の態勢というのはそういう態勢になっていないというふうに我々は見ております。
 そういうことを勘案いたし、かつその国際情勢を総合的に判断いたしますと、我々としては中国を潜在的な脅威とみなしてはおりません。
○久保田真苗君 さっき、長官、潜在的な脅威だというふうに見ているとおっしゃったんじゃなかったでしたか。
○国務大臣(山崎拓君) 潜在的脅威とはみなしがたいと申し上げたわけでございます。
○久保田真苗君 それではソ連について伺いたいんですけれども、防衛白書では専らソ連脅威論というものが強く出てきておるんですけれども、ゴルバチョフ書記長が一九八九年度軍事費、これが七百七十三億ルーブル、これは日本のお金に無理に換算してみると十六兆円余りということで公表したわけです。今まで公表されていたのは約二百二億ルーブルでございますから、それから見ますと三倍以上だというふうなことがわかったということなんですけれども、その七百七十三億ルーブルというこの数字を防衛庁はどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。例えば、これで正確であるとかないとか、そういったことも含めて伺いたいと思います。
○政府委員(小野寺龍二君) ただいま委員御指摘のとおり、一九八九年の軍事費として発表されておりましたのは二百二億ルーブル。これに対しまして、ゴルバチョフ書記長が今回発表いたしましたのは七百七十三億ルーブルでございます。これは従来の公表ベースに比べまして約三・八倍の数字になるわけでございます。
 このように、ソ連がその軍事費について、グラスノスチに基づきより正確な数字を発表するに至ったこと自体、これは非常に評価できる点ではないかと存じます。西側といたしましては、繰り返しソ連に対して軍事費を公表することを求めてきたのに応じたことかと存じます。
 今回発表されましたこの数字と申しますのは、GNP比で申しますと大体九%でございますけれども、ただ西側諸国、特に米国などでは、従来、ソ連の軍事費につきましては約一五ないし一七%ではないかという推定を行っております。そういった観点から申しますと、この七百七十三億ルーブルというのはまだ西側の推定と開きがございます。そういった観点から、我々としてはなお慎重にこの数字について調査し分析していきたいと存じております。
○久保田真苗君 ソ連東部の軍事力なんですが、これも、ゴルバチョフ書記長が五月の十七日に北京で極東地域での軍縮問題に触れたわけですね。そこで十二万人の削減をすると、こういうふうに言っているわけです。これを受けまして五月二十八日にヤゾフ国防相がソ連東部の軍事力の実態を明らかにしたわけです。
 これをちょっと突き合わせてみますと、ザバイカル軍管区というのがありまして、主に中ソ国境に配備されている軍のことのようでございます。ここで実態を明らかにしたところは、軍用機八百二十機、戦車八千百両、軍用車両が一万二百台、火砲九千四百台、そして兵員が二十七万千四百人というふうに出ています。それと別に、極東軍管区というのがありまして、これは主として日米に対抗する配備であろうと考えられるのですけれども、これが軍用機八百七十機、戦車四千五百両、軍用車両四千百台、火砲が七千、そして兵員が三十二万六千二百人と、こういうふうになっておるわけです。
 これと防衛白書に紹介されている数字とが若干食い違っているんですよね。例えば、軍用機がこの両方を合わせて千六百九十機だけれども、防衛白書では二千四百三十機というふうに出ていますね。それから兵員は、防衛白書は三十九万人と出ている。それから主要の水上艦、これはヤゾフ国防相の方は五十五隻、そして原潜が四十八隻と言っているんですけれども、防衛白書は八百四十五隻というふうに出ています。
 何か根拠が違うのだろうとは思いますけれども、この際、一応防衛庁としてこのヤゾフ国防相の挙げた数字についてどういう見解を持っていらっしゃるか、ちょっとその点を伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(小野寺龍二君) ソ連のヤゾフ国防相が初めて極東ソ連軍の勢力について公表いたしましたこと、これもまた我々としてはそれなりに評価いたしております。従来、このような数字の発表はございませんでした。日本側から外務大臣等がソ連に対して数字の発表を求めていたのに対して、これまた応じたものであるというふうに見ております。しかしながら、数字の内容につきましては、当庁の把握している数字と一部を除き食い違いがございます。特に、極東軍管区の兵力につきまして、日米対抗用、中国対抗用というような形で分けている。これは非常に人為的ではないかと存じます。そういった意味で非合理な分け方ではないかというふうに存じております。それからさらに、陸海空別の兵力の内訳がいまだ明らかでございません。そういった観点から、この数字をもちましてもなおまだ極東ソ連軍の実態把握は困難ではないかと存じております。そういった意味でさらに公正かつ合理的な詳細なデータの公表を期待している次第でございます。
 委員ただいま航空機、それから艦艇の差について御指摘でございましたけれども、ソ連側の言っております航空機の内訳、これは一体何が入っているのかというその実態がよくわかりません。そういったようなことからも差が出てくる可能性がございます。同様に、艦艇につきましても、大型水上艦艇というものがどういうものを指しているのかということが必ずしもわかりません。それから、原子力潜水艦につきましても、これはSSBNを除いているということを書いてございますけれども、例えば我が方の白書におきましては、原子力潜水艦については戦略潜水艦を含めた数字になっております。そういったようなことから差が出てきているんではないかと存じています。
○久保田真苗君 そうしますと、日本は、この前も竹下前首相が国連軍縮総会などで軍事情報の透明性というようなことを演説していらっしゃるんですけれども、こういったものは一応評価するということでございますけれども、なおかつ詳細なことを知りたいとお互いに詳細な実態を公表し合うというようなことにつきましては、あるいはそういったあいまいさについての疑問にこたえるというようなことも防衛庁長官としては必要だと、こういうふうにお考えになるわけですか。
○国務大臣(山崎拓君) 先生御指摘のゴルバチョフ書記長の北京での兵力削減の発表それ自体は、私ども一応評価に値するものと考えております。
 しかしながら、二つの点を申し上げたいんですが、極東ソ連軍の軍事力の集積と申しますか、それは大変に大きいものでございまして、このたびの提案が仮に実施された場合にその実質的な意義がどの程度のものであるかということが一つ問題でございます。
 それからもう一点は、ただいま国際参事官から申しましたとおり、具体的な内容あるいは実施状況を私どもは正確に把握をしなければならないと思いますし、またソ連側も極力正確な公表を私どもはしてもらいたいと期待をいたしておるのでございます。
 そういう諸点を十分検討いたしまして、私どもは慎重に見きわめ、対処を行ってまいりたいと、そういう立場でございます。本当に、こういう米ソを中心といたしました国際社会におきまして軍事力削減の努力がなされるということは、私ども強い期待を持っておりますし、私どもはそういう立場で見守ってまいりたいと、そう考えておるところでございます。
○久保田真苗君 軍事力削減の努力を評価される以上、見守るだけではちょっと防衛庁長官のお役が勤まらないんじゃないかなと思うんです。もし世界に今いい風が吹いているのだったらば、日本も軍事的脅威にならないような、そういう努力をする必要があるんじゃないか。ヨーロッパはそういう意味で非常に苦労をしているところなんですけれども、例えば、米ソの軍事力の核の削減交渉ですとか、それからヨーロッパにおけるいろいろな戦力の削減交渉ですとか、それからヘルシンキの首脳会議あたりで合意しました東西両方での大きい演習の事前通告ですとか相互にオブザーバーのような監視員を派遣して乗り入れをするとか、それから基地への視察の相互乗り入れとか、そういった努力がみんな信頼醸成措置であって、そしてそれはもちろん外交交渉が必要ではあるでしょうけれども、外交だけでなくてこれは軍事に係る信頼醸成措置で、防衛庁がそういったことに積極的な姿勢をとらない限りこういうことは実現していかないと私は思うんですね。
 お伺いします。例えば、ソ連の太平洋艦隊が七月に日本海で軍事演習を行うわけです。そして日本を含むアジア・太平洋地域十五カ国の海軍の代表をオブザーバーとして招待するというふうなことが伝えられているわけです。それは報道されているという意味です。こういう招待は、ソ連からは具体的に何かの格好で出ているんでしょうか。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま御質問のありましたソ連艦隊の日本海演習に関することでございますが、これは、実は突然の招待でございましてソ連の真意がはかりかねる点もございましたが、私ども急遽慎重に検討をいたしました。検討いたしましたが、視察時間が極めて限定されておりますために、わざわざオブザーバーを派遣するに値するかどうか、どうも値するとは考えにくい、そう判断をいたしまして今回の招待には応じないことにいたしました次第でございます。
○久保田真苗君 それは大変残念だと思うんですよ。
 せっかく米ソもやっている、中ソもやっている、それからヨーロッパの東西もやっている。そういう中で日本だけが後ろ向きになっていますと、いろんな海の核なんかがこの太平洋にたくさん集まってきちゃうんじゃないか、そういうおそれもあると思うんです。
 これは私の意見ですけれども、こういった少なくとも演習に乗り入れるというようなことを、こちらがあちらを招待するとかしないとかということはやってみて考えればよろしいんであって、そしてこういう信頼醸成措置の一つとして軍事力の公表も兵力の削減の声明も一応評価されるのであれば、なぜこういうのに応じないんでしょうかね。値しないと言うよりは、私は日本としては応じてみなければと思うんです。今の新しい転換と言っていらっしゃる、首相の所信表明でも歴史的転換の時期、こう日本を位置づけているわけですね。私は何もやみくもにじゃ転換をやればいいじゃないかということではないけれども、こういうのは一つ一つの積み重ねですよね。
 自民党の内閣が言っていらしたことは均衡抑止論ですよ。抑止論だけれども、敷居を相互に下げていく、それがなかったら均衡抑止論なんというものは本当に有害な考え方だと思うんですよ。相互に下げていくということにおいて初めて若干の意味を見出し得るわけでして、そういう姿勢が何も具体化されないという状態では幾ら何でも、さっき長官は憲法に従いとおっしゃった。憲法に従い、国際信頼の状況を高めていくと。何一つ信頼醸成措置を軍事的に講じないということでは、私は今の世の中はとてもやっていけない、この世界の中で日本は本当に置いてきぼりになる、こう思うんですけれども、長官はそうお思いにならないんでしょうか。
○国務大臣(山崎拓君) 先生のお考えは抑止と均衡の理論をおっしゃったのでございますが、その考え方は私どももとっているのでございます。バランス・オブ・パワーが、これは双方の努力によって水準が低められていくということは大変重要な意義を持っていると思っております。そういう努力は、我が国は国際社会の中にありましてやはり今日まで声を高くして努力してまいったと思います。私自身もかつて官房副長官をいたしましていろいろ国際会議にも出ましたが、日本を代表する首脳がそういう発言をいたしまして、ぜひ双方が軍縮、軍備管理の努力をするように提唱いたしましたことを目の当たりに見てまいったのでございます。そのこと自体は、先生のおっしゃるとおり、引き続き努力しなければならないと思っておるのでございます。
 ただ、信頼醸成措置ということをおっしゃいましたが、今回のソ連艦隊日本海演習に日本がオブザーバーとして出席をいたすことがあるいは視察すること自体がこの招待の内容からいたしまして信頼醸成措置に資するものである、そのようには私ども必ずしも考えていないのでございます。日本の防衛力は世界に対して脅威になるというようなことは毛頭考えてもいないし、実態としてもないのでございまして、大綱の水準は限定的小規模侵略を独力で排除する水準を目指しておるということにとどまるのでございます。我が国は憲法を守り専守防衛に徹し、決して軍事大国にならない、そのこと自体が私は国際社会において信頼を醸成する一助となっておると確信をいたしておるのでございます。
○久保田真苗君 抑止均衡論は私が言ってるんじゃないですよ。間違えないでいただきたい。私はそういう考えはとっていません。それは歴代の自民党内閣の防衛庁長官が言っていらしたことなんです。抑止均衡と。
 私は、仮にそこのところに立脚点を求めるとしても、それが敷居を下げるという方向で信頼醸成措置をやっていく努力がないんだったら、抑止均衡論なんてエスカレートするばっかりで有害だと申し上げているんです。だから、それを下げるためにどういう新しい考えができるのか。盛んに呼びかけが来ているわけです、ゴルバチョフさんから。その一つ一つをどういうふうに消化していくのか。あるいはブッシュ大統領も、兵力削減あるいはもうソ連封じ込め時代の終えんだというようないろいろな、それは一つの演説かもしれないけれども、一国の大統領がそういう演説をはっきりと世界に向かってやるということはこれは非常に大きいことだと思うんですよ。それなのにこういう小ちゃい信頼醸成措置すらも後ろ向きな態度で何にも手をつけないということだったら、私は本当に北方領土どころの騒ぎじゃないと思うんです。北方領土はどうしても返してもらいたいと思うのであれば、前に言った海峡封鎖論だとか、それから不沈空母論とかやりと盾だとか、言いっ放しになっているわけですよ。そういう状態のままでどうして北方領土の交渉が成功できるんですか。だから、それなりのそれらしい努力をこっちもしなきゃしようがないんじゃないでしょうか。今、こういういい時期を、いい風の吹いている時期を逃したら、本当にこれは解決のできない問題になるんじゃないでしょうかね。
 よろしいですけれども、もうこれで防衛庁長官のお考えはわかりましたけれども、今の時代を担う防衛庁長官としては、私は、もっと今の風というものに目を向けていただいて、日本も自分の立場を守りながら、でも自分だけがいいじゃなくて世界をいい方向に持っていくという努力をもう少ししていただかないと。それは外交だけの問題じゃないと思うんです。
 FSXについてお伺いします。
 FSXは、自主開発か米機の購入かに始まりまして、結局共同開発という格好になりました。その後、ワーキングシェアとかハイテク技術移転、こういう問題をめぐってアメリカの商務省だの議会だのからいろいろなクレームがついて、非常に複雑な経過をたどってしまったんです。私も本当に理解がしにくいんです。
 それで、FSXに関するアメリカの技術移転承認の手続は一応五月三十一日で終了した、こういうことになっているんですけれども、またそれと別に上院、下院で技術供与を制限するという決議
案などが可決されているんですね。何かもう二枚腰、三枚腰の外交だなということを痛感するんですけれども、外務省それから防衛庁はこの議会の決議についてどんなふうな見解を持っていらっしゃるんでしょうか。
○説明員(重家俊範君) アメリカ議会の動きでございますが、去る五月十六日、上院の本会議におきましてFSX共同開発計画の実施に一定の条件を課すようないわゆるバード決議案というものが可決されました。それから、その後六月七日でございますが、下院におきましても同様の内容の決議案が可決されたところでございます。
 私どもといたしましても、この決議案の内容につきましては相当問題があり得るということで懸念を持ってきたわけであります。また、そういう意味で注視してきたところでございます。
 今後、大統領がどういうふうにこれに対応していくかということになるわけでございますが、アメリカ行政府といたしましても、例えば大統領の裁量権を侵害するものであるというようなことで非常に強い立場を表明しております。したがいまして、私どもといたしましては、この問題についてもアメリカ行政府が適切な対応をしていくことを期待しておるということでございます。
○政府委員(山本雅司君) ただいまのアメリカの議会あるいは行政府におけるFSX問題の扱いにつきましては、私どもは外務省と終始非常に緊密に連絡をとってやっておりまして、現在、向こうの状況につきましては今外務省の担当課長から申し上げたとおりでございます。
○久保田真苗君 少し絞った方がいいと思いますので、ゼネラル・ダイナミックス社ですね、このF16をつくっている会社ですけれども、ここでアジャイルファルコンという計画がございますね。はしつこいハヤブサというんですか、これについてはよく御存じと思いますけれども、これはアメリカの空軍とそれからベルギー、オランダ、デンマーク、ノルウェー、もし間違っていなければ、とが共同開発をやる。F16を近代型にするために共同開発をやるというふうな内容の計画なんですね。
 これが合計七百機以上生産というふうにちょっと聞いておりますけれども、この点は間違っていないでしょうか。
○政府委員(山本雅司君) アジャイルファルコン計画につきましては、確かに今御指摘のように、アメリカの空軍がこの計画を取り上げましてゼネラル・ダイナミックスといろいろ検討していたということは承知しております。
 ただ、その具体的な、共同開発かどうか、あるいは何機生産するかというような詳細につきましては、これはアメリカの国内の問題でございますから、私どもは詳細には把握しておりません。ただ、このアジャイルファルコン計画というのは、F16の現在の機種を能力向上いたしまして主翼の面積を大きくするとか、あるいはエンジンの出力を上げるというようなことで新しい時代にマッチしたものをつくりたいというようなことであったかと私どもは了解しております。
○久保田真苗君 ところで、こういうふうに日本のFSXとアジャイルファルコンと両方が並行してゼネラル・ダイナミックス社と共同開発をしていくということになりますと、日本側が持っている技術、これはこの前の対米武器技術供与に関する交換公文によって武器技術共同委員会で決定されることになっているんですけれども、対米の問題が私たちとしては大変残念ながら武器輸出三原則に対する一つの非常に重大な例外になったわけです。
 FSXに関するアメリカへの技術供与、これは既に決定されたのかどうか、お伺いします。
○政府委員(山本雅司君) 実はアジャイルファルコン計画の内容なりその推進状況というのは、先ほど申し上げましたように、私ども詳細に了解、了知はしておらないところでございますが、ただそれとは別に……
○久保田真苗君 済みません。アジャイルファルコンはもうお答えいただいたんです。今言っているのは日米の間の……
○政府委員(山本雅司君) それで、対米武器技術供与につきましては、アメリカに対して技術を供与する場合にはこの手続をとることにしております。
 ただ、FSX計画そのものにつきまして米側から技術供与の具体的な内容についてまだ来ておりませんし、それに着手する前でございますから、今のところまだ対米武器輸出供与の手続はとっていない状況でございます。
○久保田真苗君 日本側には、何というのですか、フェーズド・アレー・レーダーですか、それからそういった電子機器とか、主翼をカーボン繊維複合材で一体成型する技術とか、そういうことを日本側が提供するというふうに伝えられているんです。
 ところが、伝えられるところによりますと、これ新聞報道です。六月八日の日経新聞なんですけれども、ゼネラル・ダイナミックス社がFSX共同開発で得るノーハウをアジヤイルフアルコンの開発に転用する考えを明らかにしたと出ているんですね。私、これは随分ふざけたことだと思うんですよ。これは日本政府の事前の書面による同意が少なくとも必要になっているんですよね、今の崩れた武器輸出原則でも。それだけの手続が必要なのに、こういうことをアメリカの会社が言うということは非常におかしい。
 そうすると、これはゼネラル・ダイナミックスの行き過ぎなのか。それとも実際にはそういう手続が行われ――今さっきまだ申し入ればないとおっしゃったでしょう。だからこんな手続があるはずないんですね。そうすると口頭なり何なりで大体のそういう合意ができているのか。私、どっちかだと思うんですけれども、それはどっちなんでしょうか。
○政府委員(山本雅司君) 今御指摘のような報道があったことは私どもも存じております。
 ただ、そういうような先方の意図というのは私どもには直接的には伝えられておりません。したがいまして、今後そういう話が仮に出てきた場合には、今まで決められました手続に従って審査して事前の同意をするということになるわけでございますが、現在、先ほど申し上げましたようにまだ先方からそういう話が来ておりませんから手続は全くとっていない、こういう状況でございます。
○久保田真苗君 でも、ゼネラル・ダイナミックス社がそういうことを言っているということ自体については何もおっしゃらないんですか。これはあるいは民間の間で本当にこういう話が進んでいるのか、私はやっぱりそこのところをきちんとしなければいけないんだと思うんですけれども、その点はどうなんでしょう。
○政府委員(山本雅司君) これは、アメリカの国内でそういう話があったという報道でございますが、私どもに対してそういう話がありませんし、まだ民間同士、いわゆる技術の供与をするお互い同士でもそういう話があったということは承知しておりません。
 したがいまして、私どもといたしましては、あくまでも先方がそういう意向を示し、要請があった場合にこちらは慎重に検討して態度を決める、こういうことになろうかと考えております。
○久保田真苗君 それはそうなんですけれども、問題点は日米の技術供与。それは、この前、対米のところは本当は穴をあけられたんですよ。だけれども、それから結局アジャイルファルコンをやっているヨーロッパの国、第三国に技術移転が行われるということなんです。ですから、これは、日本のきちんととっている態度からしたら、幾ら民間の会社であるからといってそんなことが容易に行えるものだというふうな、こういう発言をしてもらうことについては一言あってしかるべきなんじゃないでしょうか。
 そして私は、もう一つ、そういったアメリカを通じてどんどんいろんなところに武器技術の移転が行われるというような状態は、武器輸出三原則の原則は崩れていないんだと政府が言っていらっしゃることから見たら、これは非常に心外なんで
す。
 防衛庁長官、どうでしょう。その辺、もう一つしっかり何かくぎを刺していただきたいんです。
○国務大臣(山崎拓君) 対米武器技術供与取り決めがございまして、米国に供与されました武器技術の第三国移転の問題につきましては、ただいま装備局長が申しましたとおり、我が国の事前同意にかからしめられております。したがいまして、米国より事前同意を求められました際には、個々の具体的事例に即し、当該技術を米国に供与した趣旨及び御指摘の武器輸出三原則等を踏まえまして慎重に検討をいたします。
○委員長(大城眞順君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ―――――・―――――
   午後一時一分開会
○委員長(大城眞順君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○久保田真苗君 塩川官房長官にお伺いしたいんです。
 それは官房長官が自民党の幹部のお一人でいらっしゃるという意味でなんですけれども、それは政治改革に関係しまして自民党の政治改革大綱でもって最高顧問、総裁、副総裁、党四役、閣僚が派閥離脱をするというふうにお決めになっているそうです。
 それで、これは何のために決められたのか。私たちとしましては、これがリクルートのけじめだというふうには全く思われないわけで、それは自民党内の異動であって国民に対するけじめということにはならないんじゃないか、そう思うんですけれども、しかし政治改革の一環として自民党がお取り上げになっているということについては興味がありますので、何のためにそうなのかということを伺わせていただきたいと思います。
○国務大臣(塩川正十郎君) 御承知のように、現在の選挙制度は中選挙区制をとっております。その中選挙区制によりますと、同じ選挙区内で同一政党の同志同士が骨肉を相はむ選挙をいたさなければならない、そういうところから派閥というものが自然に形成されてきたと私たちは認識しております。ところが、その派閥がやはり自己の同志を強力に支援するということになりますと、いろんな面で、資金の調達も相当無理なこともいたさなければならないことがしばしばございまして、その一つのあらわれとしてリクルート問題から反省が起こってまいりまして、この際に派閥がそういう同志をかばい合う姿勢を党内における全党的かばい合いに変えていったらどうか、こういうことが趣旨でございます。でございますから、これからの選挙について同一選挙区内で二人のあるいは三人という複数の同志が立候補する場合も党が結束してその応援をしよう、できるだけ派閥関係を薄くしていこう、これが派閥解消への一つの足がかりになってくるではないか、直ちに解消できないにしても少なくとも派閥から来る弊害の除去の一端にはなる、こう政治改革委員会におきまして我々は議論したところであります。
 したがって、一応中立的な立場になければならない党の主要役員なりあるいは閣僚は、この際に派閥を離脱し、閣僚は国会のあるいは政府のために懸命に努力することを趣旨とし、党の役員は党運営について公正公平を旨とする、そういうことをおもんぱかりまして、そういうことを目標にいたしまして派閥離脱を決めたようなことでございます。
○久保田真苗君 わきから拝見しておりますと、どうも非常に難しそうな感じがあるんですね。
 竹下前首相が派閥を離脱なすったんだけれども、若い政治家を立派な政治家に育てるためにということで竹下派の議員の応援もする、頼まれればいろいろな会合で講師もなさる、それからそういう派閥の方々のためにいい環境をつくっていくというふうな御発言があって、そういうことを鮮明になすっていらっしゃるということがあるわけです。
 そして閣僚の中でも、官房長官御自身が十七日に安倍派の代議士の応援に岡崎市においでになっている。そういうことがあるんですが、これはどういうふうに考えていらっしゃるわけでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私、先ほど申しましたように、派閥といいましょうかグループ化といいましょうか、そういうものが人間三人集まりましたらどうしても自然的に発生するものだと思います。ところが自然発生するグループのものが、これが派閥というエゴに走ってしまって、そのこと自体が拡張すること自体が目的になってしまってはいかぬ。それは私は派閥の弊害がもろに出てくると思うんです。そうではなくしてお互いが気心知れた者が助け合うということは、私は、それは決して悪いことでも何でもないと思います。だって久保田さんが所属しておられる社会党におきましても、やはり勉強会のためのグループというのはあると思うんであります。その方々は自然の情として同じグループの者をお互いにかばい合おう、私は、これは当然だ、これは人間の心情ではないかと思うんです。
 でございますから、派閥もいいところもございます。先ほどの、竹下前総理が言っておられる中身を私は直接聞いておりませんのでわかりませんけれども、若い優秀な政治家を育てていこうという一つの使命感に燃えてやっておられるということは私は決して悪いことではないと思うんです。そのことがむしろエゴに走ってしまうということ、派閥の勢力を増強することだけを目的にしてしまうということになれば私はそこに弊害があると思いますけれども、若い者を育てるということは私は決して悪いことではないと思うんです。
 また、私がこの前岡崎へ参りました。そのときは、私の年来の友人でございましたし、まだ当選一回早々の人でございますので、私が機関紙の指導をしておったのであります。その機関紙の一周年を迎えました。そこでその読者の方々との対話をということで、これは本年の二月か三月ころにその約束がございまして、そのお約束だけは果たしたいというこれは本当に友情から出たものでございまして、派閥を意識したものではなかったということはこれは信じていただきたいと思うのであります。
 でございますから、党の方から、その代議士の応援に行くならば党の指令どおりいろんな人の応援にも行けということで、某参議院議員の候補者のところも応援に行ってまいりました。そういうことで私は、これから党の指図があるところには幾らでも出かけていこう、こう思っております。しかし、派閥を膨らすために、そのことのみの目的でやるという派閥活動は慎んでいくべきだ、こう思っておるところであります。
○久保田真苗君 閣僚の中でそういったことがありまして宇野首相が御注意されたというふうにも伺うんですけれども、例えば閣議などでこういうことをお申し合わせになった、あるいはどんな内容でお申し合わせになったのかということがございますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) これは政治家の問題でございますので、政治家の一つの行動の基準を決める話でございますので、閣議の席ではこんなことはいたしておりません。それは誤解でございます。
 閣僚が閣議に入ります前に待合室で、よくテレビなんかに出ておりますが待合室がございます、あそこで懇談会をいたしました。これは閣僚だけで自由に発言していただく懇談会でございますが、その懇談会の席で、宇野総理の要請を受けまして私から、政治改革大綱に言われておる、閣僚は派閥を離脱をしてもらいたいという発言をいたしまして、それに対しまして宇野総理から、これはこの大綱を身近なできるところから実行していくというのが宇野内閣の基本的な考えなんだと、だからこれはもう今、身近にできる問題だから官
房長官の趣旨を了解して、派閥離脱の心持ち並びにそのような行動に踏み切ってくれ、こういうことの要請がございまして、全員これに賛同いたしました。
 ついては、その際に話が出ましたのは、それでは資金的な関係は、これはもう派閥を離脱した以上本人の常識によってきちっとしてもらって明朗にしてもらいたい、そういうことから疑いのかかるようなことをしてはいかぬ。それから、応援演説などというものは具体的にどうかということでございましたが、それは党が要請すれば、これは我々だって自由民主党の党員でございますから、党の要請があればその党の要請に従ってその応援体制に参加する、こういうことは結構だと。それと同時に、今まで約束してしまっておるものがある、これは派閥の方の関係で約束しておるものがあるが、これ今さら急に取り消すというのはポスターも用意もしておるのにどういうことになるんだろうということがございまして、今までに約束してあるものはその限りにあらずということとして今後は全部党を通じてやる、こういうことだけしっかりとひとつけじめをつけてくれ、こういう要請がございました。それでまた全員そのことに対しまして賛同をした、こういうことであります。
○久保田真苗君 派閥の資金集めなどについては何かお申し合わせがあるのでございますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 派閥のための資金集めは遠慮してくれということははっきり出ております。
○久保田真苗君 じゃ、婦人問題に移らしていただきます。
 私、内閣委員会にいながら婦人問題企画推進本部の質問にしばらくごぶさたしてしまいました。それで、本部で各省の調整役をやっていらっしゃるんですけれども、本部会議あるいは民間の有識者の会議、これの開催状況とそれから取り上げた主な事項についてお話しいただきたいと思います。
○政府委員(文田久雄君) お答えをいたします。
 お示しの婦人問題企画推進有識者会議の方でございますが、これは婦人問題企画推進本部長決定によりまして婦人に関する施策の企画及び推進に資するための事項を審議するために開催されているところでございますけれども、これまで十回開催されてございまして、昭和六十一年の三月には本部より同有識者会議に対しまして長期展望に立った婦人関係施策の推進についての意見の取りまとめを依頼し、翌六十二年の三月、同有識者会議は西暦二〇〇〇年に向けての男女共同参加型社会システムの形成を目指すことを総合目標といたしました婦人問題企画推進有識者会議意見を取りまとめてございます。そして本部長あて報告を行いまして、本部におきましては、同意見の趣旨に沿い、同年五月、西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画を策定したところでございます。
 その後、同有識者会議は、新国内行動計画の掲げる目標が十分達成されまするよう、計画の見直しの時期等を考慮しつつ、情報、状況改善、そして調査の三委員会を設置し、引き続き意見交換を行っているところございます。
 なお、本部の会議の次第でございますが、五十年の十月九日以来のナンバーで申し上げますと、六十二年の五月七日まで十回開催してございまして、その幹事会議につきましては十五回開催というような状況になってございまして、それぞれ婦人問題の企画推進に対しまして鋭意討議あるいは検討会を催している、こういう状況であります。
○久保田真苗君 今度、本部長が総理大臣でそして副本部長が官房長官でいらっしゃいます、新しくなられたわけですけれども、近く本部会議なり有識者会議なりをお開きになりますか。
○政府委員(文田久雄君) お答えをいたします。
 これまで婦人問題企画推進本部の会議では、御案内のとおり、国際婦人年及び国連婦人の十年以降、国内行動計画の徹底とかそれから女子差別撤廃条約の批准等本部の活動の重要な節目に際しましては、その節目節目で適宜開催しているところでございますが、今後の開催時期、それから議題につきましては、新国内行動計画の掲げる目標が十分に達成されますことを念頭に置きまして適切に判断してまいりたい、かように考えてございます。
○久保田真苗君 要点だけで結構なんです。
 おかわりになったんだから、私は、少なくとも有識者会議の方は当然お開きになって決意表明をなさるべきじゃないかと思っているということでございます。
 それから、これは民法改正の問題なんです。
 あの女子差別撤廃条約批准のときに私どもが出しましたのが、法務省で今度法例の改正をやっていただきました。それはひとつ上がったと、こういうふうに思っているんですけれども、今問題になっております選択制による夫婦別姓を認める法改正、これは大変要望が強いものだと私どもは思っているんですけれども、これは新国内行動計画の中で、あれは新国内行動計画は決して評判が悪くないと思っています。ですけれども、抽象的であるといううらみは依然として消えないわけですね。私は、この夫婦別姓を選択制でも認めるということを法務省に従来決算委員会の中でお願いしてきましたけれども、これは婦人問題担当室で十分有識者の意見などを聞いてお取り上げになる必要がある問題だと思っているんです。
 これは、問題点を申し上げますと、日本の民法では夫婦は結婚したら妻または夫のどちらかの姓に一つを選ばなきゃならないということになっています。しかし、伝統的に男女の力関係を反映して九八、九%までが男性の姓を名のるという結果になっています。このために、どうしても自分の姓を維持したいという人は非常に苦労しておりまして通称で使う、これも非常に損があるわけです。それから、これでもって夫婦別姓のまま婚姻届を出そうとしましても婚姻届が受け付けられない。したがって、法律的にはその婚姻は無効であるという、とんでもない、事実に逆らうような法律に成り果てていると私は思うんですね。
 この前、女子差別撤廃条約の差別撤廃委員会で国別審査が行われて、日本の審査のときに各委員からのいろいろな意見がありまして、今、こういう国は、少なくとも日本のタイプの法治国家では非常に少ない、これほどきつい夫婦同氏を強制する必要は何なのかという質問が出たというんです。私は、これは婦人問題担当室が民間の方の御意見をもっと具体的に聞いて、ひとつ背景をつくっていただきたい問題だと、こう思うんですけれども、その辺の議論はどうなっていますでしょうか。
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
 先ほど私御説明申し上げましたが、この有識者会議に設けられてございます委員会の一つの調査委員会でもちましてただいま先生お示しの事項につきましては各委員の方々からの御要望も大変あると伺ってございますけれども、その調査委員会でもってこれを取り上げて検討するというふうに予定をいたしております。
○久保田真苗君 それじゃ、法務省にお伺いしたいんですね。
 時間の関係で簡単にいたしますけれども、これについての請願が六十七件今国会で出ているんです。この請願が採択か保留かはその当該委員会で決められるわけですけれども、私はこの重みというものを感じていただきたいと思うんです。それは法務省が法制審議会を持っていらっしゃるからですね。その辺についての御見解はいかがでしょうか。
○説明員(岡光民雄君) 先生が今お話しいただきました夫婦別姓の問題でございますが、現在の民法は夫婦同氏の制度、夫と妻は同じ姓でなくてはいけない、こういう制度をとっておるわけでございますが、この制度はそれとして今日まで社会的に定着してきたというふうに考えておるわけでございます。もちろん、先生御指摘のように、近時別姓、夫と妻が別々の姓を名のったまま結婚できるようにしてもらいたいと、こういう声が強くなっていることはそれなりに承知しております。請願の方も出ているということも承知しております。
 ただ、この問題は、社会の伝統とか習俗とか国民感情とか、そういったこととも非常に密接なかかわり合いのある非常にデリケートで難しい問題だと思っておりますので、そういった新しい状況を踏まえて十分に検討さしていただきたいと、このように現時点では考えておるわけでございます。
○久保田真苗君 法制審議会を持っていらっしゃるだけに御発言は慎重になると思うんですよ。
 だけれども、ともかくこれは、いわゆる西側の国もそれから東側の国もあわせまして、夫婦同氏を強制しているという国はほとんどないということですよね。それは定着したとおっしゃるけれども、実際には国連婦人の十年あるいはその前後でそれは残っているものもほとんど改まったということなんです。日本の法務省は抱えていらっしゃる問題がいっぱいあったから、次々にやってきてくだすってまだ残っている問題もある、そういうふうな状況にあるんだけれども、でも私は、そういう世界状況の中で別氏を強制しろなんて決して言っているんじゃない、それを望む人には認めてもいいじゃないかということを申し上げているんですから、ひとつ御検討いただきたいと思うし、この前申し上げたら、法制審議会の民法部会の身分法小委員会の中でこれは一つの可能性のあるテーマであると、こういうことだったんですけれども、特別養子制度というのが先になっちゃったんですね。
 今、次のテーマを、多分あれが終わったから御検討中だと思うんですけれども、どんなテーマを候補にお考えになりますか。
○説明員(岡光民雄君) テーマの選定といいますのは、これまでの慣習によりますと身分法小委員会で決定していただく、かような方式をとっておりまして、事務当局の一存でどうこうというわけにはいかないんですが、先生も御案内のとおり、身分法小委員会で昭和三十年代に民法の見直し作業をやったときに、仮決定、留保事項という形でテーマを取り上げてまとめております。その中で法改正につながったものもあればそのまま保留されているものもございますので、そういうテーマ、それから今の先生御指摘の別姓の問題を含めて、世間でやはり国民の関心の高い問題、こういった問題がおのずとテーマの中に取り上げられてくるだろう、かように考えておるわけでございます。
○久保田真苗君 それじゃ、婦人問題担当室の方でもせっかく大きな有識者会議を抱えていらっしゃるんですから、こういう問題、さっきおっしゃったようにひとつ積極的に取り上げて推進できるようにお願いしたいと思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(文田久雄君) ただいま先生の御趣旨を体しまして適切に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
○久保田真苗君 次は、売春対策審議会について伺います。
 これは総務庁の所管だと思いますけれども、この一年間ぐらいをとりまして、開催状況とどんな議題を取り上げたかおっしゃっていただきたい。
○説明員(平石治兌君) 御説明申し上げます。
 売春対策審議会の過去一年間の活動状況でございますが、六十三年六月九日に売春対策当面の諸問題ということで総会を開催しております。
 当面の対策の諸問題の内容でございますが、じゃぱゆきさんを含む不法就労外国人について及びエイズ関係についてというようなことで総会を開催しております。
 なお、これ以外に小委員会、幹事会などを随時必要に応じて開催をしているところでございます。
○久保田真苗君 じゃぱゆきさん問題を取り上げていただいたそうなんですけれども、このじゃぱゆきさん問題というのは物すごくたくさんの官庁に及んでいるんですね。私、前にやはり決算委員会で取り上げたことがあるんですけれども、二回やっても本当に官庁が多くて大変だったんです。私は、これはもっとどこか中央の、例えば内閣官房長官のところなりあるいは総務庁の中なり、そういうところで強力な総合調整をしていただかないといけないんじゃないか。今現在は窓口として法務省あるいは外務省がそれらしき役をやっていらっしゃるんですけれども、実際問題として今後の体制というものを後でお伺いしたい、こう思うんです。
 まず初めに、これは法務省にお伺いするんでしょうか、最近、アジアからの入国者、特に女性を目当てとする売買春というものが非常に悪質なものが横行しています。きのうも新聞に出ていました。そういう状況の中で、今、どういう推移があって、何が、どれだけの問題があるのか。そういうことをちょっと実態を聞かしていただきたいんです。――出入国の方がいらしてないんだそうですね。
 それじゃ、売春対策審議会でもお取り上げになったそうだから、最近の状況を説明していただけますか、総務庁。
○政府委員(文田久雄君) 直接本件を担当しませんが、官房審議官ということで私から近時の売春対策審議会の活動状況等についてお答えさしていただきたいと存じます。
 先生御案内のとおり、昭和三十一年の売春防止法制定以来三十二年を経過してございますが、その間、売春対策審議会はそのときどきの問題につきまして審議を行い、内閣総理大臣外関係大臣に答申、意見具申、要望等を行ってきたところでございます。
 昭和六十三年度におきましても六月九日に総会を開催し、また、福岡市に出向いて現地懇談会を行う等、小委員会それから幹事会も開催しているところでございます。
 今後とも売春防止対策全般にわたりまして審議会の場において幅広く問題の検討を行っていく、こういうふうに承知をしております。
○久保田真苗君 私がお伺いしたいのは、あっさりと数字を挙げていただきたかったんですよね。
 私の方から申し上げますけれども、一年ばかり前の状況で、ともかく東南アジアから流れ込んで来る、こういう観光ビザを持って入ってくる人たち、それは男性も女性もいるんですけれども。そのときには女性の方が圧倒的に多く、その後男性がふえているということですけれども、このときの状況で見ますと、この女性たちが不法就労だけれどもどういうところで働いたかという、これは挙がった事犯なんですよね。例えば、ホステスそれからストリッパー、そして売春婦とはっきり書いてあるのもございまして、こういったもので合わせて七割になるんですね。で、今非常に問題になりますのはこの間に介在するブローカー、これは相手国と両方の国のブローカーそれから暴力団で、その暴力団が国内のいろいろな業者あるいは事業所、そういうところと一緒になって売春を強要する、そういう事例が多いんです。
 で、私、本当は法務省の事犯の件についてお伺いできるといいんですけれども、時間が残り少なくなりましたので、そういう状況にあるということをひとつ御承知いただいて、これについての対策を今どういうふうにとっていらっしゃるか。
 それからあわせて、こちらから行く、いわゆるツアーというのがあるわけです。これはひところ非常に話題をにぎわしたものなんですが、売買春ツアーというのがございまして、運輸省がいろいろな意味で指導をなさったということなんだけれども、その後の推移はどうなのか。これについて当然売春対策審議会の中でいろいろやっていらっしゃるわけだとすれば、その辺の状況をお話しいただきたい。簡単で結構ですから、どうなっているか、推移と対策をお願いします。
○説明員(平石治兌君) 御説明申し上げます。
 資料は若干古くなりますけれども、六十三年に実施いたしました売春対策審議会の総会での報告でございますが、じゃぱゆきさんを防止するために単に違反外国人のみを退去強制または上陸拒否するだけでなく、悪質なブローカーまたは雇い主など、その背後関係につきまして職安法あるいは売防法など法令違反が認められた場合につきましては、警察等関係機関へ通報し、告発するなどを
行いまして、積極的に取り締まりをしていこうというようなことになっております。
 なお、こういった不法就労者を雇用しております事業主等に対しましても広報、啓発活動を行いまして、その防止に積極的に努めてまいりたいというふうに報告を受けているところでございます。
○久保田真苗君 私、総務庁の方に、各省庁をお呼びする時間がないから一括して説明してくださいと申し上げなかったでしょうか。もう簡単に、わかるようにその数字を。それはまあいいです、そしたら。
 いいけれども、今、売買春の問題というのはいろんな形に非常に発展していまして、ひところの売春防止法、それは昭和二十九年でございましたか、あのころ決めたものだから、今のソープランドとか、それから売買春ツアーで海外へ行く分とか、それから外国人が入ってきていろんなところへそれが連れて行かれる、そういう形のものは想定していなかったと私は思うんですね。特に、もちろん買う方については、それはザル法になっているわけです。そういうわけでございますので、私は、売春対策審議会というのはもう少し身を入れてやっていただきたいと思うんです。それは非常に新しい問題が発生しているからなんです。
 それで、これは外国人労働力全般の問題をどこでやるかということはまだこれからだと思うんですけれども、少なくともこの売春に関する限りは総務庁でやっていただけるのか。どうぞそれじゃお答えください。
○国務大臣(池田行彦君) 総理府の方です。
○久保田真苗君 総理府。
 そうすると官房長官の方ということですか。
○政府委員(文田久雄君) 本件の担当でございますけれども、これは総理府それから内閣でそれぞれ内政審議室というのを持ってございますが、そこが担当してございまして、ただいまの先生御質問の、一括適切にまとめて答弁ということは私たち不肖にしてよく理解しておりませんものでしたから、御質問に対して大変適切を欠いていることは非常に遺憾に思っております。
 所管に関しましては、総理府でございます。
○説明員(平石治兌君) 御説明申し上げます。
 売春対策審議会の活性化ということでの御質問だと思いますが、先ほども答弁がございましたが、昭和三十一年の売春防止法制定以来三十二年も経過しておりまして、事情も大変変わってきておるというようなことでございます。現に昭和六十一年三月十八日の中では、派遣型売春の取り締まりをいかに強化するのかというようなこと、それからマスコミに対しまして、悪影響を与えるような広告を自粛していただきたいとか一それから売春対策につきましては、新しい技術制度を検討する必要があるというようなことで御提言をいただいておりまして、その中で各省庁今一生懸命努力をしておるような状況でございます。
○久保田真苗君 そうしますと、これは、売春対策審議会は総理府に入っているわけですね。そういたしますと、それは塩川官房長官の最高責任になるわけですよね。
 じゃ官房長官にぜひお願いと決意をしていただきたいんですけれども、これはこれからの本当に大事な問題になってくると思うんです。これが外国人労働者の問題と合わさりまして非常に目立つ存在になってくると思うんです。今でも十分目立っているんですね。ですから、これは売対審の中でというだけでは足りないのでして、官房長官のもとにあるんだったらなお強力な総合調整が考えられると思います。労働省の労働基準法、職業安定法、それから法務省のいろいろな入国とかそれから警察、文部省、厚生省、主なところだけでもそれだけ広がっていますので、私は、ぜひ抜本的にこれを内閣官房でリフレッシュしていただきたいと、こう思います。
 いかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 久保田さんの御発言でございますが、私たちも、その意向を受けまして今後も売春防止対策全般について審議会等を通じて強力にこれを推進していくということ、そして問題点についての検討を絶えず行っていく、こういうことをやっていきたいと、こう思っております。
 今すぐにといって、予定は実はまだ具体的に持っておりませんから、関係の者と相談して、おっしゃるように各省間の統合統一をしていくということについて私たちも一層の努力をやっていきたいと思います。
○板垣正君 私は、初めに恩給の問題でお伺いしたいと思います。
 このたびの池田総務庁長官の御就任は、御経歴からも恩給の問題について従来から大変御理解がありまた大変御熱心にお取り組みいただいている長官の御就任は私どもとしても大変喜んでおります。また、大いに御期待申し上げているところでございます。
 そういうことで、改めて基本的なお考えを承りたいわけでございますが、恩給は国家補償としてその理念を守っていくというかねてからの御方針も承っております。同時に、御承知のとおり、昨年、我が党におきましても改めて恩給改定の小委員会を設けて、その答えとしまして、第一項として、恩給は国家補償であり、その精神にのっとって今後も改善を図っていくということと、第二点として、恩給改善の基準は公務員給与の改善に準じてやる、そういう方針を党としても改めて確認しているわけでございます。
 そうしたことも含めましての長官の御決意、基本的な御認識を改めて承りたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) 恩給の意義並びに性格につきましては、恩給法自体にこれといった定義があるわけではございませんけれども、私どもはこういうふうに考えております。
 恩給というものは、公務員として相当長期間にわたって勤務をされて退職された方々、あるいは公務による傷病のために退職をされた方々、そして公務のために死亡された方の御遺族の方々、そういった方々に対しまして、いわば国家補償的な性格を持つものとして考えておりまして、そういった意味におきましては共済年金その他の公的年金のようにいわゆる保険数理の原則によって運営されるものとは基本において異なるものであると、このように認識しておる次第でございます。
 そして、ただいま先生御指摘ございました自由民主党の小委員会で検討されましておまとめになりました二項目についても、私もその作業に参画した一人でございますのでよく承知しておるつもりでございます。そういった意味で、第一項目につきましては先ほど申しましたとおりでございます。第二項目、今後の恩給の改善の方策でございますが、これはけさほどの御質疑に対しても御答弁申し上げましたけれども、恩給が国家補償的な性格を持っておる、そういう制度であるということを基本に置きましてそれにふさわしい処遇がなされていかなくちゃならぬと、このように考えております。
 そして、御高承のとおり、これまで三年にわたりましていわゆる総合勘案方式ということで恩給の改定を進めてまいったわけでございますが、この総合勘案という中には公務員給与というものも大きな要素として含まれておるということは御承知のとおりでございます。今後の改定につきましても、けさほども御答弁申し上げましたけれども、総合勘案方式によりまして恩給の実質的な価値を維持していく、こういうことでまいりたいと、こう存じておる次第でございます。
○板垣正君 総合勘案方式というのが三年ほど行われましたけれども、率直に言ってなかなか理解が難しい。端的に公務員給与にスライドしてもらいたい、これが今まで四十八年以来ずっと行われてきたところでございますし、依然としてそうした期待は非常に強いわけでございます。しかし、諸般の情勢の中で当局もいろいろ御苦労いただいております。平成元年度の恩給改善、特に戦没者遺族の公務扶助料等につきまして、四月の二・〇二%のアップに合わせまして八月段階四千九百円のアップという形でほぼ実質的に公務員給与に見
合う増額措置がとられたと認識をいたしておりまして、そういう点で評価をいたしているわけであります。
 そこで、要望でございますけれども、基本的には総合勘案方式ももう少しやってみてというお考えもございましょうけれども、やはりわかりやすいあり方、人事院勧告が出、公務員給与の改定が行われる、それに見合ってほぼ自分たちの年金が、公務扶助料が、恩給がこれだけ改定されるという見通しも立つ、そこに物心両面の安定感も出てくるわけでございます。ぜひそうした面での御努力を願いたいし、どうしても総合勘案という立場で調整をとらざるを得ない場合におきましても、例えば四月実施、八月実施というような差を置かないで四月に実施するとともに、戦没者遺族についてはさらにことしと同様な御配慮のもとに実質的に公務員給与に見合う、こういうふうなルールでさらに前進をしていただければ受け取る方といたしましても安定感が出てまいると思いますけれども、その点、長官でも局長でも結構ですが。
○政府委員(石川雅嗣君) 戦没者遺族に支給されます公務扶助料につきましては、かねてから旧軍・人恩給再出発時の経緯、それから他の補償制度とのバランス等を考慮いたしまして、これら遺族の置かれている事情にかんがみできるだけの増額を図り、昭和六十年度におきましては、かねてからの御要望でございました月額十二万円、年額にいたしますと百四十四万円でございますが、これの最低保障を実施したところでございます。
○板垣正君 経過はわかりますので、なるべく簡単にやってください、ポイントのところを。
○政府委員(石川雅嗣君) 戦没者遺族等に対する処遇の改善につきまして、先ほど大臣も御答弁申し上げましたが、恩給が国家補償的性格を有する制度としてそれにふさわしい処遇がなされるべきである、こういう基本的な考え方に立ちまして、最近における社会経済状況の中で今後とも私どもとしては最善の努力を傾けさせていただきたい、このように考えている次第でございます。
○板垣正君 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、戦後処理の問題について、昨年、平和祈念事業特別基金がスタートいたしまして、運営委員会も運営されているということも承っております。いずれにしましても、これはいろんな論議を経てようやくスタートいたしました。シベリアの抑留者にしましても、基本的にはやはり国家に補償を求めるという立場は今なお持っているわけでございますし、恩欠その他の問題についてもまだまだ十分な結論が出ておらないという受け取り方、これは御承知だと思います。したがいまして、運営委員会を中心にした運営、ただ、今まで決まった形で何とか運んでいくというのではなく、より積極的に掘り下げて進めていただきたいということをまず御要望申し上げたいわけでございます。
 時間の関係もありますから余り詳しいことは省略をいたしまして、戦後抑留者の問題、シベリア抑留者の問題について一点。例えば、千島とか樺太とかあるいは満州とか、事実上ソ連の軍事力なりソ連の権力の支配下に置かれ、本土に抑留された者と同じような辛酸を経たと、そういうケースもあるわけですね。そういうケースについて、さらに配慮、検討する余地がないかどうかということが一点であります。
 それから、恩給欠格者については、今回の予算においてもある措置がとられたことも承知いたしておりますけれども、さらに検討し、個別的な慰藉という方向において一層掘り下げた検討をお願いしたいと、こう思うわけであります。
 それから、引揚者の問題についてはどういうふうな現況にあるのか、その三点について承りたいと思います。
○政府委員(文田久雄君) まずお答え申し上げますが、戦後強制抑留者に関しまする南樺太それから千島の問題でございますけれども、先生もっとに御承知のとおり、これらの島は戦前は日本の領土でございまして、日本人が多数居住し、終戦後の状況もソ連地域とは異なるということで、平和祈念事業特別基金等に関する法律におきましては、御案内のとおりその慰労品の贈呈等の対象とされなかったという次第になってございます。先生の御指摘もございますし、いろいろ私たちも検討しましたが、なかなか難しい問題がございますけれども、なお引き続いて勉強させていただきたいというふうに考えております。
 それから、恩欠の方及び引揚者の方については、私どもといたしましては昨年七月成立を見ました平和祈念事業特別基金等に関する法律、これを適切に進めてまいるということでこの御労苦に対する慰藉を行うべきではないかと、かように考えております。
○板垣正君 次に、台湾関係の日本軍人、旧軍人軍属の問題であります。
 これも長年の懸案でございました。ようやく昨年実施を見まして、現地の方でも現実に弔慰金の支給も始まっておるというふうに承っておりますが、どうもこういうことはできるまでは皆熱を上げてでかすわけですが、できた後は関心が薄れてしまうんじゃなくて、じゃどういう姿で現在進んでおるのか、非常に特殊な事情がございますから、国交もないというような間柄でございます。それと、肝心の向こうの戦没遺族の方がどの程度把握され、またどの程度の割合で現在申達が行われ、あるいはどういう受け取り方をされているのか、その辺を聞かせてください。
○政府委員(石倉寛治君) お答えをいたします。
 いろいろな各般の御質問がございましたのでまとめてお話をさせていただきますが、この制度そのものが板垣先生初め各党の先生方の御発案によりまして生まれたわけでございまして、既に昨年の九月から申請を受け付けておるところでございます。今年度は二年度目になるわけでございまして、総額で私ども一億八千万近い金額を予算で計上いたしておりまして、そのほとんどの部分を、この仕事を実際にやってくださっております台湾にあります紅十字会とそれから日本側は日本赤十字社、この両者に委託金をお支払いして作業を進めていただいておる、こういうことで作業が進んでおるわけでございます。
 現実に台湾の現地におきましては、第一次関門であります紅十字会には二万五千件ほどの申請が参っておるわけでございます。そのうち、この第一次審査を済ませて日赤へ回してきました件数がおよそ一万五千件ということでございます。日本赤十字社ではこれを審査いたしまして一万件、一万一千件弱の数字を裁定いたしまして、既にもう約一万件につきまして弔慰金、見舞い金を現地へ送金を済ませておるところでございます。
 先ほどの御質問の中で全体としてはどれくらいの対象者があるかというお話でございましたけれども、諸種の資料からいたしまして考えますと、およそ三万人は確実におられるということでございます。実を申しますと、第二次大戦中に台湾の住民でございまして戦後国籍を離脱された方々の中で旧日本軍の軍人軍属等に在籍をされました方は延べ二十一万人になります。この中で戦没をされた方、それから重度の戦傷を負われた方、私どもが確認済みが先ほど申しました三万件は確認をいたしておりまして、さらに現地側からはさらに多数の方がほかにおられるという情報に接しておりますので、この数字を双方で、台湾にあります紅十字会と日本赤十字社で全体像を確定するための作業を今続けておるところでございます。したがいまして、三万件が大体ベースになって、さらにそれにプラスアルファがついていると、こういう状況でございます。
 全体として戦時中の御迷惑あるいはいろんな形での弔慰の気持ちを示すということで、いわゆる基本的な気持ちから政府としてはこの対応をするということになりましたものですから、できるだけ早くあと残っておられます方々にも弔慰金をお支払いするということに努めてまいるつもりでございますが、基本的な問題としてはほとんどそういった意味での作業が順調に進んでおりますので、ベースの三万人にまだ申請数が届いておりませんので、そういった未申請の方にもできるだけ
こういったお話が通じますように現地を通じてさらにこの作業を円滑に進めてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○板垣正君 困難の大変多いお仕事だと思いますけれども、日本の赤十字社あるいは向こうの紅十字会、そういうような関係の方々を含めて今後とも順調に運ぶように御努力を願いたいと思います。
 それから、恩給法に関連して、これは私も何度か申し上げ、また今回の請願にも出ている湘桂作戦の問題ですね。これは十三師団百十六連隊、新潟の新発田の連隊会の会長さんの片山さんとおっしゃる方、もう八十を超えて一切私財をなげうって全国を行脚されたり専ら慰霊の事業、戦友会のお仕事、そういうことで大変熱心にやっておられますけれども、つまりこの湘桂作戦において連隊によりましては半分以上の戦死者が出る、合わせますと八千名を超える、湘桂作戦のある期間。勅語も賜っておる。にもかかわらず、いわゆる甲地域になっておらない。それよりも損害の少ないところが甲になっておって、こうした激戦地が乙のまま放置されている。しかし、これはもう何度お尋ねしても、これは一度裁可されたことだからできませんと、こういうことだけで済まされるのかどうか。もう一歩そこを踏み込んで、本当にもうこの辺で解決しないと解決の機会もなくなると思いますが、その辺のお考えを承りたいと思います。
○国務大臣(池田行彦君) ただいま御指摘の湘桂作戦における戦闘につきましては、先生初め多くの委員の方々から累次にわたり御質問をちょうだいいたしておりますし、それからまた御熱心な請願その他御陳情もお受けしておることはよく承知しております。そして、私どもの方でも、いろいろ残されました記録、資料等によりまして、確かに湘桂作戦による戦闘は大変な激戦であったということは十分承知しておるところでございます。
 しかし、もう御高承のとおりでございますけれども、加算年の取り扱いにつきましては、実際にその戦闘が行われましたその戦争中に実質的に事変の状況等を十分把握しております軍、陸海軍でございますね、その辺を中心としていろいろ検討いたしまして決定されたものでございますので、それからもう既に四十数年を経過した今日の時点でそれを改めて見直すというのは大変な困難があるということは先生も十分特に御承知のことでございますが、そこのところはひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
 なお、蛇足ではございますが、いわゆる加算年につきまして戦後になりましてから見直したという例はございません。正確に申しますと、沖縄について見直したことはございますが、これはもう既に戦時中において軍を中心としての検討が済み、それを中央の方に上申している、その途中であった、そういったことが証拠をもって裏づけられましたので、いわば戦時中中断しておったその手続を補完したというような格好で見直したという例は唯一ございますけれども、それ以外には加算年について見直しということはやっておりませんので、もし湘桂作戦について何らかのことを考えるということになりますと、やはりあれだけの大きな戦争でございますからあちらこちらでいろんな問題が出てくるのじゃないか、そういう波及ということを考えなくちゃいけない。何よりも、これだけ時間を経過した今日において当時の実態を十分に把握して見直すということは非常な困難を伴うものであるということをひとつ御理解ちょうだいできればと考える次第でございます。
○板垣正君 大変難しいという話だけでいささか物足りないんですが、これはまた改めて御陳情も申し上げたいと思います。
 そこで次に、私は沖縄の慰霊の日の問題について自治省の方から承りたいと思います。
 御承知のとおり、沖縄県におきましては、あの玉砕の日と言われる六月二十三日を慰霊の日として休日にしてずっと今日まで専ら戦没者の慰霊、追悼が行われてきたわけでございます。これは昭和三十六年、一九六一年ですから、当時の琉球政府の立法院において住民の祝祭日に関する立法の際に、六月二十三日を沖縄戦の戦没者の慰霊、平和を祈る、そういう趣旨で慰霊の日として定められ、自来全島を挙げて文字どおり慰霊が行われるし、また本土からもたくさんの遺族、関係者が参加をして島ぐるみの慰霊が行われてきたわけでございます。
 ところが、これは本委員会で審議をしたのでその点私どもも責任があるわけでございますけれども、いわゆる土曜閉庁法が成立をいたしまして地方自治法の一部が改正され、地方自治体の休日についてもこれに基づいて条例を定めるという段階を迎えて続々できているようでございますが、この兼ね合いにおきまして、沖縄の慰霊の日、沖縄にとっての休日が、これは休日を廃止しなければならない、法的にも制度的にも休日のまま置いておけない、こういうことで実は沖縄の遺族会初めいろいろな方面でも大変な論議を招き、またぜひこれは休日として残してほしいという声も強いわけです。
 そこで、自治省に伺いたいのは、どうなんですか、これは法的には残せない、制度的にも休日としては残すわけにはいかないんですか。その点を承りたいと思います。
○説明員(松本英昭君) 御説明申し上げます。
 沖縄におきまして、現在、沖縄県慰霊の日を定める条例というのがございまして、六月二十三日を慰霊の日と定めていることは御指摘のとおりでございます。
 これは、沖縄の復帰前の昭和三十六年、ただいま御指摘のように、いわゆる住民の祝日に関する立法によりまして住民の休日として制定されたものでございますが、昭和四十七年に本土復帰をいたしました際に、この復帰前の住民の祝日に関する立法が休日といたしましては失効いたしました。それで、県の職員の休日として、現在まで沖縄県の職員の勤務条件に関して定められております沖縄県職員の勤務時間、休日及び休暇等に関する条例によって、特に勤務を命ぜられない限り勤務を要しない日、すなわちいわゆる行政機関における閉庁日ということで現在もあるわけでございます。一方、先ほどの沖縄県慰霊の日を定める条例というのは、これはその後新たに制定されたものでございます。
 そういうことでございまして、このような背景があるわけでございますが、ただいま御指摘ございましたように、前国会におきまして、昨年の末、国の行政機関の土曜閉庁方式による週休二日制が実施されることになりまして、これに伴いまして国の行政機関の閉庁日としての休日が定められたわけでございますが、地方公共団体におきましても同様の措置を制定化するため地方自治法が改正され、国と同様に地方公共団体の閉庁日として休日を地方公共団体の条例で定めるものとした制度を制定したわけでございます。
 このようなことから、沖縄県におきましては、慰霊の日を定めて諸行事を行うことについてはいささかもその後も何の影響もないわけでございますが、地方公共団体が閉庁して執務を行わない日としての休日ということにつきましては、改正後の地方自治法に基づいて条例で土曜閉庁による週休二日制を導入する際には慰霊の日を閉庁とするわけには法令上いかなくなってきている、こういうことでございます。
 もっとも、閉庁日ではなくなっておりますけれども、職員が公的にはもちろん慰霊のための諸行事に出席することは当然でございますが、私的でありましても慰霊のための行事等に参加することにつきましては支障のないように別途措置を図ることができるものでございます。
 また、学校につきましても、学校の休業日という制度になっておるわけでございまして、そのことについて今回の法改正によって影響を受けるものではないということでございます。
○板垣正君 一応のそういう御説明は御説明として成り立つと思うし、ある面で理解もできるわけですけれども、しかし週休二日にしても、全国的に統一して条例を各県で定めて休日も枠にはめるという、これは提案の説明にもございましたよう
に、公務の効率的な運営を図るため週休二日制を実施する、こういう趣旨で行われる。これは一つの行政の方向だと思います。しかし、それだけでいいのかという問題がやっぱりあると思うんです。
 やはり、大事な問題、特に戦没者慰霊にかかわる問題、しかも国民の心情的にも一番深いところにかかわる問題で、私どもも、あの沖縄の、まさに戦場と化し、一般住民を合わせてあれだけ痛ましい犠牲があり、本土の言ってみれば防波堤として戦い抜かれたあの慰霊の島、悲劇の島と言われる。だからこそ、アメリカの占領下においても住民の中から慰霊碑もたくさん建てられる、あるいは六一月二十三日を慰霊の日と定めて本当に全島を挙げて年寄りも若い者も子供も連れ立って慰霊碑に行く、あるいはごうに行ってその日は一日慰霊をやる、こういう姿に私どもは沖縄に行くたびに心を打たれてきたわけであります。それにまねたというわけじゃありません。そういうものに実は我々も刺激されて、日本も国としてそういう日を設けるべきだという形が五十七年四月十三日の閣議決定、八月十五日を戦没者を追悼し平和を祈念する日として決定されたことは御承知のとおりです。このとき、これもやはり戦没者慰霊の日に関する懇談会の答申に基づいてできたわけですけれども、そうした慰霊ということは人間の自然な情感であり、できるだけ大事にしていかなければならない、人間として最も基本的なことであるというような趣旨で定められたと思います。
 そういう点で、沖縄の場合も学校は休校日ということにする、お役所も慰霊の行事を行う。休暇を取って出てきなさい、こういうことではなく、効率的な行政も大事ですけれども、やはり今、地方の時代と言われる、まさにふるさとの時代、ふるさと再生の中で地方のカラーを生かしはぐくまれてきたものを生かすというふうな、そういう地方公共団体の特殊性、必要性、そういうものに対する配慮というものもあって当然ではなかろうか。
 そういう点で、私はできればこうしたものについていろんな問題の見直しということが必要だと思うんです。やった途端に一〇〇%正しいというわけではない。やはり手直しするところは手直しする、そういう面で検討をお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。
○説明員(松本英昭君) ただいま先生御指摘の沖縄県におきます慰霊の日の持ちます特別な意味、心情、そういうものは私どもも大変深く感じ入るところがございます。また、先生御指摘のように、地方自治体のいわゆる閉庁日というものを地方の実態に合わせて別途設けられるようにする、そういう御指摘もまた私ども地方自治制度を預かる者といたしましては大変魅力的な提言であることは事実でございます。
 率直に申し上げまして、この法律を立法いたします際に、ただいま先生のおっしゃいましたような考え方が私どもの中にも一部にありました。そういうことをも検討して、ただ、ただいま申し上げましたように、今回の法律にいう「地方公共団体の休日」というのが、いわゆる地方公共団体の閉庁日という意味を持つ、またそれ以上の意味を持たないということから、国の職員と地方公共団体の職員のいわゆる勤務条件等の面でとかくいろいろと言われている、地方公共団体の職員の方が有利ではないかというようなことを言われているというようなこともございます。また、国と地方公共団体との職務というものは相互に非常に関連をしておるというようなこともございます。さらに、今回の法律の改正に当たりましては、いわゆる行政機関に対する申請、届け出その他の行為期限につきまして、いわゆる期限をもって定められているものについて期限の特例の規定もございます。そういうことから総合的に勘案をいたしまして、私どもはただいまのような制度というものの方がいいのではないかということで御提案申し上げ、御議決いただいたわけでございます。
 しかしながら、なお先ほども申しましたように、沖縄の慰霊の日におきます。その特別な意味というものは重々私どもも感じておりまして、その理念はいささかもこれによって変更されるものではございませんことはもちろんのこと、県におかれましては、諸行事等は従来どおりとり行い、職員の諸行事等への参加については支障のないように取り計らう、そして慰霊の日の意義を一層高めるべく努めてまいりたいということでございますので、どうか何とぞ御理解を賜りますようお願い申し上げたいわけでございます。
○板垣正君 終わります。
○飯田忠雄君 本日、私が質問いたします内容は、最初に恩給法の周辺の問題をお尋ねしまして、その次に防衛問題を質問いたします。それからその後で、憲法の第七条に言う内閣の助言と承認の法的性質について。この三つの問題で質問を申し上げます。
 まず最初の問題ですが、恩給法の点は、実は今まで同僚議員が相当御質問になりましたのでその分はやめまして、まず、このたびの措置で恩給の受給者というものが一体どういうふうに把握されておるのか、これが明確でないのでお尋ねをするわけです。
 恩給の受給者は年々減少してまいりますことが確実であります。本年の一月二十四日に閣議決定されました行革大綱中にも、恩給受給者の減少傾向に対応した組織の見直しなどについても、中期的な課題として、引き続き検討を行う、こういう文言がございます。そこで、この中長期的な恩給局の組織の見直しというのはどういう内容のことでありますか、お尋ねいたします。
○国務大臣(池田行彦君) 先生御承知のとおり、恩給受給者は年々減少の傾向にあるわけでございまして、平成元年度におきましては恩給受給者は全部で二百四万人と考えておりますけれども、将来推計をやってみますと、十年後で約百五十一万人、そして二十年後には約七十万人にまで減少していく、このように推定されているところでございます。
 このような長期的な受給者の減少に伴いまして恩給局の業務が減少していくことは当然見込まれるところでございまして、そういったことを踏まえて、平成元年度の行革大綱におきましても、中長期的な恩給局の組織の見直しというものが掲げられておるわけでございます。しかしながら、確かに長期的には減少してまいるわけでございますが、当分の間について申しますと、本人がお亡くなりになる、そして本人が受け取っておられた恩給がその遺族の方の恩給に振りかわっていく、いわゆる転給、受給者がかわるという意味でございますが、そういったことが非常に多いわけでございまして、ここしばらくは必ずしも業務量の減少は急激にはいかない、こういうことが見込まれております。
 したがいまして、中長期的には恩給局の組織そのものの見直しも考えなくちゃならないわけでございますが、当面は恩給局の業務の適正化、合理化ということを図っていき、そしてまた将来の受給者の減少傾向もにらみながら適切な時期に適切な処理をできるように対応してまいりたい、このように考えておるところでございます。
○飯田忠雄君 わかりました。
 次に、先ほど同僚議員からも御質問がございました戦後処理の問題で、シベリア抑留者の問題でありますが、これにつきまして、裁判所の考え方は新聞に発表されておるとおりで、政府に補償義務はない、こういうことでございます。さらに、その裁判長が言うのには、原告らの損害は国民がひとしく負担すべき戦争被害で、憲法が補償を予想したものではない、補償は立法措置によってのみ解決される問題だと、こういたしておりますが、私は、裁判所の見解は大分ずれておるじゃないかと思います。
 といいますのは、この抑留者は戦争中に抑留されたんではない、戦争が終わってから抑留されて強制労働になったんです。戦争中の被害なら一般の被害と言ってもいいでしょう。実はそうじゃない。戦争が原因で抑留されたことには間違いないんですが、その戦争は日本が起こした戦争ですから当然日本政府がその損害に対して責任を負うべ
きではないかという論法が出てくるわけでありますが、そこのところを裁判所はどうもごまかした論法でやっておられるような気がいたすわけでございます。そしてその責任を立法の措置に任せておられる。ということは、国会で立法をしたらいいではないかと、こういう論法なんですね。こういう判決を得まして私どもは大変不満でございますが、裁判所に不満を言ってもしょうがありませんので、政府はこういうことに対して今後どういう措置をお考えになっておるのか、お尋ねいたします。
○政府委員(文田久雄君) お答えを申し上げます。
 ただいま先生お示しの戦後強制抑留者問題などのいわゆる戦後処理問題に関しましては、御案内のとおり、昨年五月に成立を見ました平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づきまして同年七月に平和祈念事業特別基金を設立し、戦争犠牲による労苦について国民の理解を深めること等により関係者に対し慰藉の念を示す事業を行っております。また、戦後強制抑留者に対する慰労品の贈呈等も行っておりまして、平成元年度におきましてはその対象範囲の拡大などの措置を講じたところでございます。
 私どもといたしましては、平和祈念事業特別基金等に関する法律に基づきまして今後ともこれらの事業を適切に推進してまいる、かように考える次第でございます。
○飯田忠雄君 その点はよくわかりましたが、私はこのたび政府が努力されましたことは高く評価するわけですが、殊に最近平和祈念事業特別基金で記念品をお配りになりましたね。この記念品は大変効果があったようです。私はお金の方がいいんで記念品なんかどうでもいいと実は内心考えておりましたが、実際にお目にかかりますと逆でございますね。十万円ぐらいの金よりも記念品がいいんだということでございました。特に遺族の方はそういう感じを持っておられたようであります。それでは、こういう問題につきましては人間の心の慰めの問題ですから、どうか今後とも御努力をしていただきたいと、こう思います。
 それから、これに関連をいたしまして、抑留されたのは軍人、軍属だけではございません。終戦後中国において若い女性がたくさん抑留されました。これは満州でございますが、国民党軍が戦争に負けて逃走しました後八路軍が入ってまいりまして、その後解放戦争が行われたわけですが、この解放戦争中に看護婦が足らないために、日本の十八歳以上三十歳以下の未婚の女性は全部強制的に徴用されました。これは本人が喜び勇んで行ったのではない、無理に強要されたんです。行かなければ遺族が困るし、現地の居留民が大変苦境に陥る状況でありました。私も現地におりましてその事情はよく知っておりますが、そういう女性の方は十年以上向こうで抑留されて帰っています。帰ってこられましたのは昭和三十三年から三十八年の間でございますので、その間軍務に従事しておられるわけですね。日本の軍務ではない、中国の軍務ではあるけれども、やはり日本が戦争を起こしたことが原因で起こった問題ですから日本政府の責任ではないか、こう思います。こういう人たちに対するところのいろいろの思いやりというものは考えるべきものだと思いますが、こういう問題につきまして政府におかれましてこれまでに調査されたことがございましたら御報告願います。
○説明員(村瀬松雄君) お答えいたします。
 終戦後、旧満州地区には当時中共軍及び国民政府軍が相次いで入りまして、両軍ともに多くの日本人を強制的に徴用して、戦闘、後方勤務、技術等の要員として留用した経緯がございます。
 これらの留用者の実態につきましては、戦後間もなく混乱しました中国においてのことでありますので現在では詳しい事情はわかりませんが、引き揚げ及び未帰還者調査を所管しております厚生省では、引揚者の証言などから概況を次のように把握しております。
 留用者でございますが、留用者にはおおむね三様ございますけれども、戦闘要員として前線部隊に配置された者。それから、軍医、衛生兵、看護婦、軍需部、運輸部要員のように後方勤務の部隊に配置された者。また、炭鉱・鉱山関係の従業員、電気通信、鉄道等の技術員のように、当時の中共政府の各種機関に留用された者がありました。昭和二十四年の中華人民共和国成立までに、国民政府軍に留用されていた者は逐次留用を解除されて帰国したのでありますけれども、中共軍に留用されていた者は引き続き留用されておりました。その後、それらの者も逐次その留用を解除されまして、各地の職場に配置され、あるいは学習に参加させられました。
 中国地域からの引き揚げは昭和二十三年に一時中断しましたが、昭和二十八年三月に再開して、三十年までの中国地域からの引き揚げはおおむね留用者が主体でございました。
 なお、中国地域からの集団引き揚げは昭和三十三年まで行われまして、その後は個別引き揚げとなっております。
 以上のような状況を厚生省としては承知しております。
○飯田忠雄君 ただいまのような人たちに対する何らかの慰労措置というものはこれまでとられたのでしょうか、お尋ねします。
○政府委員(櫻井溥君) ただいまの御質問に直接お答えすることにならぬかと思うわけでございますが、現在政府がとっておりますこの種の措置でございますが、旧日本赤十字看護婦それから旧陸海軍看護婦につきましては、慰労給付金ということで予算措置で昭和五十四年それから五十六年からこの措置をとっておるわけでございます。そういう意味におきましては、先ほど来先生がおっしゃっておりました方々につきましては少なくとも総理府といたしましては直接の措置はとっていないという現状でございます。
○飯田忠雄君 実は中国に抑留されました女性は、看護婦、その他後方勤務に従事したんですが、この方々は、率直に申しますとソ連の抑留と違いまして、ソ連では残酷な取り扱いをいたしましたが、中国では残酷な取り扱いでなしにやはり戦友として取り扱っていった。そのためにソ連から帰った人のような恨みは持っていないようです。そのことと、この人たちが帰ってまいりまして、もちろん婚期も逸しておりますし、現在もう六十何歳になりますね、そういう人たちの心の中の寂しさというものは思いやるべきではなかろうかと、こう思います。
 実は、大阪の藤井寺というところに林弥一郎という元空軍の少佐が住んでおられます。この人も強制抑留されて、中国の空軍建設に当たった方で、現在の中国の空軍はほとんど林弥一郎さんの手でつくられた。最高幹部は全部その弟子でありますが、先般、その方にお目にかかりましたときに、軍人は全部恩給年限が延びたので喜んでおる、抑留されたことによって皆恩給年限が延びたので、高給をもらって喜んでおる、しかし救われないのはそうした軍人軍属でなかった人、それから日赤とか旧陸海軍の人でなかった人、こういう人たちは何の救済措置も講ぜられていないので、そういう人たちについて何らか救済措置を講じてやっていただけないかという話を受けました。
 それで、私、皆様方にお願いをするわけですが、そういう人たちもいるということをぜひお心にとめていただいて調査をしていただき、何らかの慰労の処置を講じていただきたいと、こう思います。
 この点につきましての政府の御見解を承りたいと思います。
○説明員(村瀬松雄君) お答えいたします。
 先ほどお答えいたしましたとおりでございますが、厚生省といたしましては、未帰還者の消息の究明、それから引揚者の促進の観点から概況を把握しているところでございまして、この概況は現地からの引揚者に対する調査や留守家族からの申し立てなどについてやっておるところでございまして、保管資料につきましては、留用者の名簿や留用の有無を逐一記録した個人資料がございませんので、詳しい実態は把握できておりません。
○飯田忠雄君 それじゃ、この問題はお願いをす
ることで、もし御調査になるのでありますれば、その手がかりぐらいは私もつかめると思いますので協力いたします。
 次に、この問題は憲法第七条の十号の儀式に関する問題でございますが、憲法解釈が最近――最近というよりも従前から、大変乱れておるような気がいたします。
 それで、その憲法解釈をただす意味で第七条の問題についてお尋ねをしますが、官房長官が後ほどおいでになるということですので官房長官にお聞き願う点はその際ということで、まず最初に、皇室典範の即位の礼というのがございます。
 この皇室典範の即位の礼の内容でございますが、これが極めてあいまいもことしてはっきりいたしません。しかし、実際にどういう即位の礼を従来やっておいでになったかという点を調べてみますと、即位の礼の中で、我が国の農業国としての思想を反映させるための大嘗祭ということが入っております。大嘗祭は、お祭りと書いてあるからお祭りですが、鎮守の森のお祭りのようなもので、宗教的なお祭りではないと私は思いますね。
 そこで、この大嘗祭の考え方につきましてこの際明確に政府のお考えを承っておきたいと思いますのは、大嘗祭を宗教として理解されておるのか、あるいは日本の古典的な習俗として理解されておるのか、こういう点についてどうお考えになっておるか、お伺いいたしたいわけであります。
○政府委員(宮尾盤君) 先例によりますと、御承知のように、即位礼及び大嘗祭は御即位後ほぼ二年後に行われておるわけでございます。それで、皇室典範第二十四条には即位の礼についての定めがございますけれども、このあり方等につきましては、大嘗祭も含めまして、今後しかるべき時期に内閣に委員会を設けられる、こういうことが予定をされておりますので、その委員会の場で慎重に検討されるものというふうに考えております。
 ただいま、大嘗祭がどういう性格のものか、宗教的なものか、そうでないのかというような御質問がございましたけれども、そういう点についてもしかるべき時期に設けられる委員会において十分検討をされるべきものだというふうに考えておるわけでございます。
○飯田忠雄君 私が問うておるのは、憲法に言う宗教かという問題ですよ。
 憲法の第二十条は何を一体禁止しようとしておるのか、ここで言っておる宗教とは何であるかという問題。それから、憲法の八十九条に述べておる宗教とは一体どういうものを指すのか。憲法は具体的な法律ですから実行しなきゃならぬから、明確にしておかないと間違いを来すと思います。学問的な意味での宗教の概念、それから実際に日本の国で習慣的に宗教だと言われておる概念、いろいろあると思いますがね。
 例えば、道祖神は宗教か、この問いに答えていただきたいわけです。道祖神は宗教か。それから、鎮守の森でお祭りをやりますが、あれは宗教かという問題。こういう問題を全部含めてやる必要があります。鎮守の森の場合に、あれを宗教だということになりますと鎮守の森はもう成り立たない。日本人の大部分は神様を宗教として見ていない。浄土真宗においては神様の排撃をいたします。神を拝んではいけないというのがある。鎮守の森を拝むのは、あれはそういう宗教の神ではないという考え方から皆参っておるんです。
 それから、この宗教かどうかという問題で先般、私は、ここで葬式は宗教かという問題で皆さんの意見を聞いたことがあります。葬式もこれは宗教ではないということをその節私は申し上げましたが、言葉というものをいいかげんに使って概念規定もしないでいろいろの論議をされるということは大変困るわけです。例えば、国宝がございます。法隆寺は国宝になっているんです。国宝に対して、これに国の金で援助をいたしておりますね。あれが宗教ならば、援助をすることは憲法違反です。これは憲法八十九条の違反となります。それで、この問題は、宗教という言葉をいいかげんに考えることは許さない、憲法で言っておる宗教は何かというところから理解をいたしませんと間違いを来すと思います。そういう意味におきまして、私はここで政府に明確にしていただきたいと思うわけです。
 といいますのは、従来行ってきた即位式というものは、日本の皇室の伝統に従って即位式を行ってきました。これはもう明らかですね。日本の国の伝統というものが憲法とどういうかかわりがあるかという問題につきまして考えていただきたい。
 それは、憲法の第一条で、天皇は日本国民統合の象徴である、こう書いてあります。何がゆえに日本国民統合の象徴なのか。あれは言葉じゃないんです。中身があるからああいう規定が出てきた。その根拠はいろいろあると思いますが、一番近くは徳川将軍が将軍になるときにどういうことをしたかということからお考えになればわかります。朝廷にお願いをして征夷大将軍の位をもらった、お許しを得た、そして将軍をやったんです。つまり天皇というものは政治権力は全然なかったけれども、政治権力に対して権威を付与した、そういう機関であったわけですね。我が国における歴史的な天皇の地位というものは平安時代以来全部そういう形でありました。
 私は、今ここで考古学的な天皇制を問題にしようとは思いません。現在の我が国の憲法第一条の日本国民統合の象徴というそういう地位が生まれてきた根拠は何かということを問うておるわけです。これは権威なんですね。権力ではない。このことは重要なことだと思いますよ。今日の日本国憲法の中に通じて流れておりますのは、天皇は権威であるけれども権力ではない、この考え方です。憲法の第七条もそうですね。あれも権力ではない。権威だ。だから国事行為は行われるが国政は行われない、こういう問題であります。
 こういう点につきまして政府はどうお考えになっておるのか、お伺いいたします。
○政府委員(大森政輔君) ただいまの委員お尋ねの、まず道祖神あるいは鎮守の森、葬式は宗教かというお尋ねでございますが、これは甚だ難しい御質問で、なおよく勉強させていただきたいと思う次第でございます。
 ただ、憲法第二十条第三項では、国及びその機関は宗教的活動をしてはならないということを規定しており、また八十九条を読みますと、公の財産は宗教上の組織等に支出してはならないというような趣旨の規定がございます。ここの憲法の規定に言う「宗教的活動」とかあるいは「宗教上の組織」というものをどのように解するのかという問題につきましては、これは憲法解釈の問題あるいは法律解釈の問題でございますから答弁の義務があろうかと思います。
 それに関しましては、委員御承知のとおり、最高裁判所の、昭和五十二年七月十三日、津地鎮祭判決というものがございます。政府の立場におきましてはこの最高裁判所大法廷判決に示されました見解に基づいて律すべきものであるというふうに解している次第でございます。これは釈迦に説法ではございますが、その要旨だけ御披露申し上げますと、憲法二十条三項によって禁止される宗教的活動とはおよそ国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いを持つすべての行為を指すものではない、このようにまず述べまして、当該行為の目的が宗教的意義を持ち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉等になるような行為をいうのだ、憲法二十条三項はこのような行為を禁止しているのである、このように述べております。私ども政府の立場におきましても、この判決の趣旨とするところに従いましてこれに違反しないように心がけていかなければならないと自戒しているところであります。
 そこで、委員御質問の大嘗祭との関係でございますが、先ほど宮内庁から答弁がございましたように、大嘗祭と憲法との関係等につきましては設置が予定されております委員会において十分に検討すべきものであるというふうに考えておりまして、現在お尋ねの事項について法制局が見解を述べるという段階にまだ至っていないということでお許しいただきたいと思う次第でございます。
○飯田忠雄君 わかりましたが、それではこういうことですか。
 大嘗祭が何かという問題は委員会で検討して決める、これは内容なども全部の問題だと思いますが、名前が宗教だとは皆さんおっしゃらぬでしょう。大嘗祭の内容でしょうね。内容が宗教でないように大嘗祭を決めるということですね。そういうことじゃありませんか。大嘗祭というものの内容を宗教でないような内容に決める、こういうことでしょうね、名前はどうあろうとも。その点はどうですか。
○政府委員(大森政輔君) いささかお尋ねと答弁が食い違うかもしれませんが、私どもが申していることは伝統に従って行われてきた大嘗祭というものの意義、性格、そのあたりをまず研究いたしまして、そのような研究の結果、現行憲法のもとでどう取り扱うべきかということを委員会において今後検討していく予定であるということを申し上げているわけでございます。
○飯田忠雄君 これは私が勉強不足で解釈を間違えておるかもしれません。そのときはお許し願いたいが、大嘗祭というのは、我が国の農業国としての地位から、毎年とれたお米を天地の神にささげる。天地の神というのは思想上の問題ですが、それは何という名前をつけられてもいいですよ。我々人間は昔からある偉大なる宇宙の力によって育てられ宇宙の力によって生活しておるという考え方は、昔から、人類発生以来存在する考え方でございまして、そうした偉大なる力、宇宙の大いなる力に尊敬をささげそれに奉仕するという考え方は皆持っておるものでございますが、そういう状況を表現するためにとれたお米を供えるわけですね。先祖の神に供える。先祖の神といったって中身は何もないんですよ。あれは、家があったって木でつくった枠なんだ。中身は何もないんだ。あるはずがないんです。あんなものは何もないんです、実は。なくても我々の心の内に存するものを仮の形に表現しているだけです。そういうものでございましょう。そういうものに我々の感謝を、例えば天皇が感謝をささげられる、そういう儀式を行う、それが大嘗祭ではありませんか。
 その点はどう理解されておるか。私の考えと違うなら違うでいいんです。ひとつ御説明願いたい。
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭の意味につきましては、いろいろな考え方、御意見等があるわけでございます。私どもは、今、過去の大嘗祭というものはどういうふうに行われてきたかというような先例を勉強しておる段階でございまして、確定的に申し上げる段階ではないわけでございまして、今後、先ほど御答弁申し上げました委員会の場等で検討する段階で十分その問題を詰めてまいりたいというふうに考えております。
 ただ、先生が今おっしゃいましたお考えというものについても非常に貴重な御意見であるというふうに私ども承って、大嘗祭につきましては、これは皇室の長い伝統に基づく非常に重要な儀式でございますので、十分過去の先例等も勉強しながら慎重に対処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○飯田忠雄君 この問題はこれでやめますが、ただここでぜひ申し上げておきたいことは、大嘗祭の規定の仕方によりまして、これがもし宗教だということでありますならば国家予算を一切使えないということを御承知願いたい。内廷費であっても国家予算です。私は、この大嘗祭というものは宗教でないと信じますから国家予算でおやりになることは構いませんがね。しかし、規定の仕方によっては、宗教的な内容で大嘗祭をおやりになるなら、それは国家予算は使えませんね。
 それから、従来のやり方では田んぼを決めまして、主基田、悠紀田、田んぼを決めてとった米を供えて…るでしょう。そういう行事でしょう。そういう行事がどうして宗教か。それが宗教ならば米はもう全部宗教だ。どうですか。
 そういう問題について、最後にこれだけ承ってほかの問題に移ります。
○政府委員(宮尾盤君) 大嘗祭に関する過去のいろいろな学説その他、私ども勉強をしておる段階でございますが、それは民族的な行事であるとかあるいは宗教的な行事だといろいろな説を唱えておる者が、学説があるわけでございます。そういうものを整理をいたしまして十分今後の検討課題として詰めていきたいというふうに現在考えておるわけでございます。
 ただいま先生が御指摘になりましたような点も踏まえて、これは皇室の非常に重要な儀式でございますから、慎重にまた誤りのないように十分な対処をしてまいりたいというふうに考えております。
○飯田忠雄君 次に、防衛問題、防衛の基本政策の問題についてお尋ねを申し上げます。
 先ほど防衛庁長官から所信表明がございましたが、その全部についてではなくてその一部についてでございますが、まず安全保障における防衛力の位置づけ、こういうものにつきまして長官はどのようにお考えになっておられるか、お伺いをいたします。
 申すまでもなく国の安全保障は重要なものでありまして、そのために日米安保体制及び憲法で許容された一定限度の防衛力の保持が必要である、こういうことは公明党も認めております。今から私が質問いたします防衛政策に対する質問は、私個人の質問ではございません。公明党としての質問でございますので、その点を御了解願いたいと思います。
 力の均衡に基づく抑止論というものが従来ございましたが、これでは真の平和は達成できません。平和外交を基軸とした総合的な安全保障政策の確立がなければならない、こう思います。
 この点につきまして、長官のお考えをお伺いいたします。
○国務大臣(山崎拓君) お答え申し上げます。
 国の平和と安全を確保いたしますことは国家存立の基本でございます。戦後四十数年経過いたしましたが、我が国は平和と安全をその間確保いたしまして今日の繁栄が期せられたと考えるのでございます。
 ただいま公明党の安全保障に関する考え方を承りまして、大変ごもっともな点も多いのでございます。とりわけ外交の努力が必要ではないかとおっしゃいましたが、そのとおりだと存じます。外交を通じまして国際平和を醸成してまいりますことはまことに肝要なことだと思います。また同時に、内政も重要でございまして、生活の安定、民生の安定あるいは経済の発展、政治の安定を図ってまいりますことはこれは重要な安全保障につながる政策であると思うのでございます。
 しかしながら、国の安全がただいま申し上げましたような非軍事的手段のみによって確保されるということは理想ではございますけれども、必ずしも現実的であると考えられるものではございません。もし実力を持ってする侵略が試みられるとするならば、これをでき得れば未然に防止する必要がございますし、万一侵略が行われた場合にはこれを排除する自衛手段を平素から備えておくことが必要であると考えるのでございます。
 かかる観点から、今後とも憲法及び基本的防衛政策に従いまして適切な規模の効率的な防衛力を整備し、かつ日米安保体制を堅持し、その維持向上を図っていく、そういう防衛政策を遂行してまいりたい、このように考えているところでございます。
○飯田忠雄君 ゴルバチョフ書記長が五月十七日に北京の大会堂で演説をいたしまして、極東地域での兵力十二万人削減を表明するとともに、その内訳は十二個師団の地上軍、十一個飛行連隊及び太平洋艦隊十六隻の削減であるということを明らかにいたしました。
 防衛庁は、従来ソ連の軍事力を潜在的脅威ということで説明をしておいでになりましたが、ソ連のこのたびの兵力削減表明につきましてどのように評価し、分析をしておられますか、お伺いをいたします。
○国務大臣(山崎拓君) 御質問ございましたゴルバチョフ書記長の北京での提案は私ども承知をいたしております。一応の評価に値するものである
と考えておるのでございます。
 しかしながら、この提案の具体的内容につきましてあいまいかつ不明な点が多いのでございます。例えば、極東地域の範囲でございますとか削減人員、装備の内訳でございますとか削減後の極東ソ連軍の規模でございますとか、そういった諸点において不明な点が多いわけでございます。したがって、この提案が我が国の防衛に及ぼす影響につきまして軽々に判断しかねるところでございます。
 一方におきまして、極東ソ連軍は長期にわたって増強されてきたのでございます。その蓄積はまことに膨大なものでございます。加えまして、引き続き海空戦力の近代化が図られている実情でございます。
 そういう次第でございますので、この提案後ソ連の意義ある削減が実行されることを私どもは期待するほかはございません。その実施状況を冷静かつ慎重に見きわめてまいりたい。現時点ではそう申し上げるほかはないのでございます。
○飯田忠雄君 先ほど同僚議員が御質問になった中に、中国に対する潜在的脅威を感ずるかという話がございました。ソ連に対しては、兵力の削減を言明してもやはりちょっと不安だ、ちょっとどころかよく見きわめなければならない、こういう御意見だと思いますが、しからば中国の場合は、本当にこれは問題にならない、安全だというお考えでありますか。どうでしょうか。
○国務大臣(山崎拓君) 私どもは、中国の軍事力に関しまして潜在的脅威とは認めがたいということを申しておるのでございます。その考え方につきましては先ほど久保田委員の御質問にお答えをいたしましたところでございますが、侵略し得る能力あるいは侵略しようとする意図がございますときに私どもはそれを脅威と呼んでおるのでございます。したがいまして、潜在的脅威というのは、侵略する能力は認められるが国際情勢等勘案いたしまして脅威とは認めがたい、その場合に潜在的脅威と申しておるのでございます。
 以上のような考え方からいたしましても、中国の現在の軍事力を見まして私どもは潜在的脅威とみなしがたい、そういう判断を持っているのでございます。
○飯田忠雄君 中国の方は潜在的脅威とはみなさないということでありますと、結論的にはソ連だけだということになってまいりますが、ソ連が、現在まだやっていないからわかりませんけれども、声明どおり真実にそれを実施したということがあらわれてまいりましたときには、防衛大綱はどういうふうになりましょうか。
○国務大臣(山崎拓君) 防衛計画の大綱につきましては、この水準を達成すべく現段階におきまして中期防において努力を継続中なのでございます。その大綱に盛られております国際軍事情勢の諸条件に現時点では重大な変更が見られていないのでございます。
 なお、先生の御質問にございましたゴルバチョフ提案が具体的に実施に移されたというときに果たしてどうなるのかということでございますが、この点に関しましては、実際にその提案が実行に移されまして、その結果、極東ソ連軍の軍事的な蓄積にどういう量的あるいは質的な変化がもたらされるかということを私どもは冷静に見積もらなければならないのでございまして、現時点で申し上げることは、我々は、防衛計画の大綱の考え方はこれを今変更する必要性がない、そう考えているのでございます。
○飯田忠雄君 ゴルバチョフ書記長の言明した兵力十二万の削減といいましても、極東地域とありますが、極東地域という意味をどういうふうに理解するかで変わってくると思いますが、現在、総合的な判断をするためのこういう方面の調査をする機関は我が国にはあるでしょうか。ないとすると、ただ個人的にいいかげんに想像しておるだけでは判断間違いをすると思いますが、外務省はこういう点についてどう判断しておられますか。
○説明員(神余隆博君) お答え申し上げます。
 極東の地域の範囲、その他ゴルバチョフ書記長の提案あるいはソ連側の言っております、各極東に含まれる地域、その他削減の対象となる軍隊等々につきましては、先ほど防衛庁長官の方からお答えがありましたように、必ずしもその具体的な範囲等明らかでないものがございまして、我々といたしましては、今慎重に、その削減ぶりあるいはその他の地域がどのようなものになるかといったことも含めまして、情勢判断をしていきたいというふうに考えております。
○飯田忠雄君 それでは、これに関連しまして、特に非核三原則につきまして、最近、空母のタイコンデロが搭載機が水爆を積んだまま沖縄近海に水没した事件が発見されたわけですが、こういう事件につきまして報道が余り明確でないので正確な情勢判断ができないわけですが、これは、外務省の方ではあるいは防衛庁では十分調査をなさっておるのでしょうか。調査なさっておれば、どういう事情であったか、お聞かせを願いたいと思います。
○説明員(重家俊範君) 政府といたしましては、本件事故の報道に接しました直後、五月八日でございましたが、直ちに米国政府に対しまして我が方の重大な関心を表明いたしました。また同時に、事実関係につきまして照会を行ったところでございます。
 それに対しまして米側より事故の概要について説明を受けました。これは国会の方にも御答弁で御報告させていただいておりますが、そういう事故の概要につき説明を受けた後、さらに安全性につきまして、爆発は決して起こり得ない、また環境への影響はないという趣旨の説明をその後受けたところでございます。これにつきましても五月十五日に対外的な公表をさせていただいた次第でございます。
○飯田忠雄君 事故が起こった後で日本にこの空母が立ち寄ったといううわさもありますが、この点については詳しく御言及になることはございますか。
○説明員(重家俊範君) 空母タイコンデロガがこの事故を起こしました後に日本の港に立ち寄ったのではないかということが報道されておるわけでございます。この点に関しましては政府といたしましてまだ確認ができていないということでございます。
 日米安保条約上も、例えば、日本がそのもとで施設、区域として提供しております港に入る場合は一々通告等を行う建て前になっておらないわけでございまして、そういう意味で日本側として確認するすべを施設、区域につきましては持っていないということでございます。したがいまして、本件につきましては現在米側に照会をしておるところでございます。
○飯田忠雄君 この沖縄近海に沈んだという事故はどうしてわかったんですか。どこかの発表ですか、それともこちらの方で御調査になった実態調査でしょうか。
○説明員(重家俊範君) これは、アメリカからの報道によりまして、先ほど申し上げましたように五月八日でございましたが、沖縄近海でこのような事故が起きたという報道がなされたわけであります。
 他方、一九八一年になりますが、アメリカの国防省及びエネルギー省が一九五〇年から一九八〇年に関しまして起きました核に関する事故の報告書というのを出しております。実はその中で太平洋の海上ということで本件事故が記述されていることはございます。しかしながら、当時、これが太平洋海上のどこの具体的な水域なのかということも八一年には全くわからなかった次第でございまして、この事件が沖縄の近海で起きたということはことしの五月になって初めて私どもの知るところとなったということでございます。
○飯田忠雄君 非核三原則の件につきましては、日本の領海に入ったかどうかが問題なんですよ。その点についてはどうでしょうかね。
 沖縄近海というのは一体どの辺の地域ですか。
○説明員(重家俊範君) これは、その後米側に照会いたしましたところ、沖縄の北東約二百海里、
琉球諸島の直近の陸地の東方約八十海里の公海上であったというふうに承知しております。
○飯田忠雄君 これは防衛庁長官にお尋ねを申し上げますが、結局、この問題につきまして、従来からもいろいろ問題が起こるんですが、核持ち込みという言葉ですね。核持ち込みという言葉は何を意味するのか、その定義が明確でないわけですね。日本側の定義と米国側の定義とどうも違うのではないかと思われますが、米国は核兵器搭載艦艇の日本への寄港とかあるいは領海通過は核持ち込みとは考えていないのではないか、日本側もそれを承知しておってまた別の定義をしておるのではないかという疑いが持たれておるわけですが、この点についてどうでしょうかな。
○説明員(重家俊範君) 事前協議の対象でございます核の持ち込み、英語ではイントロダクション、こう申しておりますが、この中に先生がおっしゃいましたような形態のもの、つまり寄港、通過が含まれているということにつきましては、安保条約の関連の取り決めてございます岸・ハーター交換公文の規定及び藤山・マッカーサー口頭了解からしまして十分に明らかであり、この点に関して日米間に了解の違いはないというふうに考えております。
 また、従来から繰り返し申し述べてきておりますとおり、艦船によるものを含めまして、核の持ち込みにつきましては、米国が事前協議を行うことは安保条約及びその関連取り決めに基づく条約上の義務であります。米国政府は累次にわたりまして安保条約及びその関連取り決めに基づく我が国に対する義務を誠実に履行してきており、今後とも引き続き履行するということを確認しておるわけでございます。今回の事件に関連しましても、五月九日でございますが、国防省の報道官が同様の趣旨のことを確認しておるわけでございます。
○飯田忠雄君 実は私がお尋ねいたしましたのは、建前はよくわかっているわけなんですが、本音のところで食い違いがあるのではありませんかという問いと、本音も間違っていないなら言葉のごろ合わせで済ましているのではないかというその疑いと、両方出てくるわけですね。どうでしょうかね。
○説明員(重家俊範君) 先ほどから御答弁させていただいておりますように、この事前協議制度というものは安保条約に基づいたそういう国際約束としてでき上がっているものでございます。そういう意味で国と国との関係を規律するものとしては大変に、これ以上重たいものはないと思うわけでありますが、そういうことの中で米国が義務として負っておるわけでありまして、私どもといたしましては、従来の経緯、条約上の規定等にかんがみまして日米間に了解の違い等はないというふうに考えておるわけでございます。
 先ほど申し上げましたが、したがいまして事前協議がない以上核の持ち込みがないことにつきましては政府といたしまして何らの疑いも有していないということでございます。
○飯田忠雄君 現在は日本国民に対する重大な事故が起こっていないから余り問題になっていませんのですが、もし起こった場合はやはり重大なことになると思います。事前協議がないから持ち込んでいないだろうというのは、これは非常に安心し切った、相手を信用し切ったどうも態度ではないかと思います。まあ先方を信頼するのもいいですが、それは限度がございますからね。ある程度のことははっきりさしていただかぬと困るでしょう。相手が何も言ってこないからなかったんだろうというんだったら、言ってきませんわ、これはね。だから、そういう実際の問題もあるから、日ごろからもう少し連絡をよくして、特にひどくなるようなことにならないような連絡をしておいていただかないと困ると思いますがね。
 そういう点はどうですか。
○説明員(重家俊範君) 同じような御答弁になって恐縮でございますが、累次御説明しておりますとおり、日米安保条約上、艦船によるものも含めまして、核兵器の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となるわけでございます。また、核の持ち込みについての事前協議が行われた場合は政府としては常にこれを拒否する所存であるということは、国会等でも累次述べてきているところでございます。米国政府は、核の持ち込み問題に対する我が国の立場及び関心を、最高首脳レベルを含めまして十分に理解しておるところであります。したがいまして、政府といたしましては、先ほど御答弁させていただきましたごとく、核持ち込みの事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことにつきましては何らの疑いも有していないということでございます。
 他方、安全性の問題に先生触れられましたので一言申し上げさしていただきたいと思いますが、今回明るみに出ました事件に関しましては、米側から一応の安全性の説明というものを受けまして、私どもはそれはそれとして非常に重みのある説明と認識しておる次第でありますが、他方、国民の皆さんの不安を除去するために、関係省庁において緊密に連絡をとりつつ、専門家の意見もお伺いしながら目下対応をしているところでございます。
○飯田忠雄君 それではその件はそれだけにしまして、次に、これは防衛関係費の問題でございますが、一%枠のことが長年言われてきております。
 で、この一%枠は、公明党の態度としましては非常に重要視しておるわけでございまして、長官がおかわりになったら必ず聞くことになっておるわけです。そして長官のお考えを承るというのが慣例になっていますのでお尋ねをいたしますが、この一%枠につきまして二つの考え方が、こだわり方があると言われております。
 その一つは、一%の枠は少なくとも昭和四十二年から二十年間にわたって守られてきた防衛費に対する国民的合意である、日本が軍事大国化しないあかしであったから将来ともこれを守っていくべきである、こういう一つのこだわりがあります。もう一つは、一%枠があったからこそ日本の防衛力整備に手かせ足かせがかけられて、そのために日本の防衛費の増大が防がれた、しかし今こういう手かせ足かせのやっと取れた段階において考えてみると、防衛費というものをある程度確保していくという立場からするならば、やはり二度と一%以内に戻しては困るのではないか、こういうこだわり。この二つのこだわりがある。
 つまり、最初の方は、今日の日本の発展のためには防衛費の節減がよかった、もう片方は、今日の日本を確実に守っていく、あるいは安保条約と歩調を合わせるためには、やはり一%枠では困るので、二度と一%枠に戻してはならないんだという、こういう考え方、この二つの考え方が対立しておるようでございますが、防衛庁長官は率直なところこの一%枠についてどちらの方のこだわりをお持ちでございましょうか、お尋ねいたします。
○国務大臣(山崎拓君) いずれのこだわりかと申されましても直接それにお答えしにくいのでございますが、要は、我が国の平和と安全を保つことが重要でございまして、もし一%を超えることがあれば我が国の安全が阻害されてもいいという考え方は成り立たないんではないかとかねてから考えておりましたところでございます。
 私どもの基本的な考え方は、国防の基本方針がございまして、国力国情に応じて「必要な限度において、効率的な防衛力を漸進的に整備する。」とうたってあるのでございます。日本の防衛力整備は、この国防の基本方針にのっとりまして一貫して整備を続けてこられたと思うのでございます。昭和五十一年にただいまの一%をめどとする閣議決定が行われましたが、と同時にと申しますよりは、その直前に防衛計画の大綱が定められたのでございます。この大綱水準の達成ということは、これはただいま申し上げました国防の基本方針にのっとりまして定められた目標でございます。その目標に向かいまして私どもは大変な努力を続けてまいったところでございますが、中期防衛力整備計画、今四年度になっておりますが、この中期防におきましてその水準の達成を今、期しておるところでございます。この中期防が定められました経緯は先生御案内と存じますが、五カ年間の防
衛力整備の内容と所要経費を明示いたしまして、その枠内で私どもは節度ある防衛力の整備を行うという方針を六十二年の一月の閣議決定で確認をいたしました次第でございます。
 そういう次第で、実績を見ておりましても、当初一・〇三八%の対GNP比に防衛費がなるという試算がございましたけれども、その後、GNPの伸びが大きいこともございまして、中期防各年次におきまして現在までは一%を超えたケースはないと承知をいたしておるのでございます。
 重ねて申し上げますけれども、私どもは平和憲法のもと、専守防衛に徹し、周辺諸国に脅威を与えるような軍事大国には決してならない、国力国情に応じて整備をしていくわけでございまして、その国力国情の中には、もちろん最大のものは国民世論でございますし、あるいは日本の経済力、あるいはその他の諸要素、財政力ももちろん入るのでございまして、そういうものを総合的に十分勘案し、良識を持って節度ある防衛力を進めてまいるということを申し上げたいと存じます。
○飯田忠雄君 公明党では、一%枠というものは日本が平和憲法のもと、他の国に脅威を与えない、軍事大国にならないという基本方針を実証するもめである、こう考えておるわけでございます。また、国民が戦後の歴史の中で国の防衛というもの、防衛力整備というものに理解を示し、自衛隊に対する理解を持つに至った大きな原因の一つがこれであるというふうにも考えておるわけでございます。そこで、公明党はこの一%枠に大変なこだわりを持っておるわけでございます。
 ところで、一点確認をいたしておきたいのですが、それは、一%枠にかかわって政府が現在とっているいわゆる総額明示方式による防衛費の枠によりますと、六十一年度から平成二年度の五年間で十八兆四千億円となっております。これは国民にわかりにぐいものでございまして、毎年度の歯どめにならないという重大な欠陥があると思うわけでございますが、ようやく来年度の最終年度を迎えるということでこの問題を明確にする意味が初めて出てきたと思うものであります。
 そこで、防衛庁の資料によりますと、本年度までの六十年度ベースの合計額は約十四兆三千四百億円ということでございますが、来年度の防衛費は四兆六百億円でなければならないということになるのでしょうか。実質伸び率では今年度までの五%以上と比べて四・九一%と低くなると思いますが、この点についてどういうふうにお考えか、御確認を願いたいのでございます。
○政府委員(日吉章君) 総額明示方式の意義につきましては、GNP一%枠の意義との裏腹の問題といたしまして、防衛庁長官からただいまお話がございましたように、私どもは、防衛費の中に組み込みます実体的な防衛力整備の内容と経費等とをリンクさせている、裏づけをしているということで、防衛費のあり方を示すものとしては単純に経済指標等にのみリンクさせているものに比べまして内容が適切になっているんではないか、かように考えております。
 ただいま委員から御質問がございましたように、来年度でいよいよ最終年度を中期防計画は迎えるわけでございますが、平成元年度までの四年度を合計いたしましたところでは昭和六十年度価額で換算いたしまして十四兆三千三百億円程度でございまして、したがいまして残りは四兆七百億円となってございます。ただいま先生が御指摘になられました数字と百億の差がございますが、これは想像いたしますところによりますとどうも四捨五入の関係ではないかと思いますが、これは大勢に影響のあるものではないと思います。したがいまして、これは四捨五入の関係で伸び率が若干違ってまいりますけれども、私どもはやはり五%少々のところを残しているのではないか、かように考えている次第でございます。
○飯田忠雄君 防衛の問題はこの程度にしまして、非常に時間が少なくなりましたが、次に、憲法第七条に言うところの「内閣の助言と承認」の法的性質につきましてお尋ねを申し上げます。
 憲法第七条に十項目が考えられておりますが、これは本文にありますように、天皇の国事行為でございます。天皇がこの国事行為を行われるときに内閣の助言と承認が必要だ、こういう規定でございますが、この内閣の助言と承認という言葉で、従来、政府の御見解では、実質的な国政にわたる分野も内閣が決定をする根拠である、こういう意味の御意見があったように思います。この点につきまして、国政にわたることについて内閣に助言と承認権があるのか、これは大変重要な問題だと思います。内閣の助言と承認は憲法七条では国事行為に限る、国政に関しては助言と承認をする権限はないのではないかと思いますが、この点について大臣はどのようにお考えでしばうか。
○政府委員(大森政輔君) 憲法の解釈にわたる問題でございますので、便宜私からお答えをさせていただきます。
 委員御指摘のとおり、我が国の憲法第四条におきましては「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する機能を有しない。」と規定しております。他方、御指摘の第七条等におきましては「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行う。」といたしまして、例えば解散等各種の国事行為が掲げられているところでございます。
 そこで、この両者の関係をどう解するのかという問題が御質問のポイントになるわけでございますが、なるほど第七条に掲げられております国事行為、その端的なものが衆議院の解散だろうと思いますが、そのこと自体は非常に高度に政治的な事柄であろうと思う次第でございます。ただ、同条は内閣の助言と承認に基づいて天皇が左の国事行為を行うというふうに規定しているところでございまして、天皇の国事行為はすべて内閣の助言と承認を必要とし、内閣の実質的な決定したところに従って行われるものでございます。したがいまして、その結果、天皇の国事行為といたしましては形式的名目的なものとなり、結果として生ずる衆議院の解散というものと天皇とのかかわり合いにつきましては天皇が国政に関与する機能を行使してはならないという規定に反するものではないというふうに従前から政府としては考えているところでございます。
○飯田忠雄君 言葉のあやで随分ごまかしてしまわれますが、この第七条の一号から十号までは全部これ国事行為なんですよ。国事行為ということは、これはもう説明せぬでもあなたは法律の専門家だからわかっていますから説明しませんが、国事行為というのは例えば儀式に類するもので、実体的なことを決める例えば衆議院の解散を決定するとかあるいは栄典をだれにどういうものをやるとか、こういうことは天皇はおやりにならない。天皇がおやりになるのは衆議院を解散するという解散詔書をお出しになるだけ、それから栄典の場合は勲章をお授けになるだけですね。その前の段階のことはやらないんですよ。それで、それはだれがやるかといいますと、実際の権利を憲法で認められた実際の権利者が行うことになりますね。そこで、内閣の助言と承認というのは国事行為についてだけの助言と承認なんです。条文をお読みになればわかりますね。国事行為についての助言と承認なんですよ。そうであるなら国事行為についての事実関係だけをお決めになったらいいんです。国事行為の事実関係以外のことまでお決めになる、そんな権限は出てこない。
 もう一つ言いますと、国政に関する行為については内閣は助言と承認をなし得ない。第四条で天皇は国政に関する権限をお持ちにならないんです。お持ちにならない者に助言、承認をするということはあり得ないんです。それは憲法違反だ、もしそんな助言をやれば。天皇に国政に関することをやってくださいというような、そんな助言をされるなら憲法違反です。だから、そういうことはあり得ないので、ここで言っておる内閣の助言、承認というものの内容は国事行為に関する事実関係だけです。
 具体的に言いますと、先ほども申しましたように、衆議院を解散する場合ならば、解散詔書を出していただく、そのために解散詔書を出してくだ
さいということを言う、そしてどういう形式で書くかという様式を示す、そういう事実関係なんです。それから、栄典の授与ならば、何のたれそれに勲章を出すと紙に書きまして、そしてこれに署名をしてくださいと。天皇に勲一等の場合は署名していただいておく、そして渡す場合はそれぞれ内閣で渡し方を決めて、勲一等は天皇みずから渡してくださいと言って助言する、そういう内容のことを決定するだけです、内閣の決定は。その前の、だれに何をやるかということになると、これは実際の権限は法律で決めるべきものなんですね。現在法律で決めていないからそれじゃどうするかといえば、国政を扱う者は国民の代表者でしょう。これは憲法の前文にはっきり明記されておる。私が前文を出しますと、よく前文と本文なんかおかしいとおっしゃるが、前文があって本文があるんです。だから、前文にはっきりと「権力は国民の代表者がこれを行使し、」と書いてあるんだから、そういう憲法を決めるよということが前文に書いてある。そうしますと、そういう内容で決めなきゃいけないんですが、時間が来ちゃったからやめますが、これは明らかに国民の代表者は国会議員だということは憲法に明記されております。したがいまして、国会で行うのが当然なんですね。そういう問題はこれは今日の民主主義的憲法を維持するための最も重要な基本的条件であると私は考えるんです。
 ワイマール憲法がなぜだめになってヒトラーの政権ができたか、内閣総理大臣に無条件で国会を解散できる権限を与えておったからです。だから、ヒトラーは、少数政党でありながら政権を握ると同時に自分の党が全体を支配するまで解散に解散を継いでやったでしょう。そしてナチス政権をつくった。これは民主社会を維持する上における最も基本的な重要な問題だから私は申し上げるんです。憲法をないがしろに、いいかげんな解釈をしてはならないと思いますよ。憲法に基づいて法理論的に解釈をしていく、そういうことをこの日本の民主主義社会を守るために私は内閣に要望したい、こう思います。
 いかがでしょうか。
○政府委員(大森政輔君) ただいま委員からるる伺いました御意見、これは従前から本委員会におきましても幾度にもわたってお伺いした意見でございまして、十分その言われるところは認識しているわけでございますが、やはり本日、従前と同じ答弁を政府としてはする以外に道はないと考えるわけでございます。
 ワイマール憲法の例を挙げられまして憲法解釈のあるべき姿というものをるるおっしゃられたわけでございますが、私どもも憲法の大原則である民主主義の原則に基づいて憲法を解釈するという点におきましては人後に落ちるものではございません。今後ともそのような立場を堅持して仕事をしてまいりたいと思う次第でございます。
○飯田忠雄君 終わります。
○吉川春子君 まず、官房長官にお伺いいたします。
 先ほど三十年以上にわたって争われてきました航空自衛隊百里基地の訴訟の上告審の判決が出ました。最高裁は基地反対住民の当然の要求を認めず退けたわけですが、この判決について政府としてはどういう見解をお持ちでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 本件訴訟は自衛隊基地内の土地の所有権をめぐる訴訟でございますが、最終判決が出たということを聞いておりますが、まだその細部を承知いたしておりません。したがいまして、それを検討する必要があると思うのでございますが、要するに国の主張が全面的に認められたと私たちは承知しております。
○吉川春子君 自衛隊の存在が百里に限らず全国各地で住民の生活を脅かしており、平穏な生活の脅威になっていることは御存じかと思います。憲法の前文並びに第九条は、日本は戦争を放棄したとうたいまして、陸海空すべての戦力は持たない、これを保持しないというふうに規定しているわけです。改めて言うまでもなく、自衛隊というのは、憲法の容認することは到底できない存在であると思います。全国で基地反対の住民の闘いがありますが、これは生活を守るためのやむにやまれぬ闘いであるわけです。
 私は、政府がこの判決に力を得て、基地の強化あるいは住民からの土地の取り上げ、こういうことをますますやるようなことは絶対にしてほしくない、そのことを要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(山崎拓君) ただいま憲法の解釈についても触れられましたが、私どもは、憲法九条が主権国家として持つべき自衛力について否定しているものではないと、そう考えているのでございます。
 基地の問題についていろいろと御指摘がございましたけれども、やむにやまれぬ防衛をやっているというお話をおっしゃいましたが、私どもは住民の皆様方の生活をあるいは生命を守りますために我が国の防衛力を持っているのでございます。ぜひ御理解をいただきたいと考えております。
 なお、自衛隊は国民の理解と協力なしに存在し得ない、その機能を発揮し得ないのでございまして、そういう観点から周辺の住民の皆様方あるいは国民全般の皆様方の自衛隊に対します正しい理解をいただきますように、今後引き続き格段の努力を図ってまいりますことを申し上げたいと思います。
○吉川春子君 この判決に力を得て強圧的なことはやらない、こういうふうに理解していいですね。
○国務大臣(山崎拓君) この判決とはかかわりなく、従来どおり私どもは節度ある防衛力の整備を進め、かつ国民の温かい御理解と御支持を得るように努めてまいりたいと存じます。
○吉川春子君 官房長官のお時間があるようですので、次の問題に進みたいと思います。
 官房長官は婦人問題企画推進本部の副本部長でいらっしゃいます。婦人の差別撤廃、地位向上のための政府の施策、決意についてお伺いしたいと思うんですが、日本が批准しております婦人に対する差別撤廃条約において、あらゆる形態の婦人の売春及び婦人の売春からの搾取を禁止するための適正な措置をとることが求められています。それを受けた形で「西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画」の施策の基本方向、「男女平等をめぐる意識変革」、そしてその「母性の重要性についての認識の浸透と母性保護等」の中で「性の問題は人間の尊厳にかかわる問題であり、「性の商品化」傾向の是正等に努める。」、こういうふうにうたわれているんです。政府が考えておられる「性の商品化」ということは具体的にどういうことを指すんでしょうか。
 同時に、六十二年から七十五年の基本施策として「人間の尊厳にかかわる「性の商品化」傾向等を社会全体として戒めるとともに、婦人がかかわり、又は被害者となるような性犯罪、売春事犯等に対して、適切な措置を講じる。」というふうにもしていますけれども、具体的にどういうふうにやられているんでしょうか、お伺いします。
○政府委員(文田久雄君) まず、私からただいま先生御指摘の「性の商品化」とは一体どういうことかということについてお答え申し上げます。
 お示しの「性の商品化」と申しますのは、女性を性的対象としてのみみなすという人格軽視の考え方でありまして、御案内の新国内行動計画におきましては、人間の尊厳という観点からいたしましてその是正が求められたものであるというふうに理解をいたしております。
○吉川春子君 売春防止法違反事犯は多様化して潜在化しています。しかも国際化しており、売春防止は国際的な責務でもあるわけです。
 ぜひ官房長官にお答えいただきたいんですけれども、海外とりわけアジアで日本男性の買春ツアーが大きく問題になって、日本国内で見てもいわゆるじゃぱゆきさんとしてここ数年大きな社会問題になっています。昨年一年間の不法残留者の稼働内容では、法務省の調べで、女性の場合圧倒的に風俗営業。で、風俗営業の不法就労の数は、あくまで表に出ている数で、マスコミなどでも取り上げておりますように、駆け込み寺に助けを求め
る東南アジアの女性が後を絶たないと言われています。
 経済大国の日本で、売春防止のために大きな国際的な責務を負っており、そのためにより有効な措置がとられる必要があると思うんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(塩川正十郎君) この売春問題に関しまして外国との交流はしばしば問題になるところでございまして、私たちも極力あらゆる行政機関を動員いたしましてその防止に努めておるところでございますが、同時にそれの出国先の国に対しましてもそれぞれの協力を求めたいと思っております。
 ちょうど昭和五十五年ごろでございましたか、ASEAN諸国の中の一国でございますが、セックスツアーということが非常に問題になりまして、私は、その当時運輸大臣で相手国の関係大臣と直接このことについて話し合いをしたことがございました。それによって相当改善されたようなこともございます。
 したがいまして、今後我々としても、日本の国内の問題は問題としてやると同時に、お互いの国が連絡を密にして、こういう不幸な事件が起こらないようにお互い協力し合うということは私は非常に大事な政策の一つではないか、こう思っておりますので、そういうことにつきましての相互の情報交換なり連絡を密にやっていって、日本がそういう非難を受けないように心がけていきたいと思っております。
○吉川春子君 先ほど審議官の答弁では、性の商品化というのは女性を性的な対象としてのみみなすことだとおっしゃられました。婦人問題企画推進本部の本部長の任にある宇野総理が女性を金で買ったと報道されて大きな問題になっていることは御承知のとおりです。各党によって国会でも取り上げられましたけれども、総理は、私的な問題であるから公の場では答えられないとして答弁を避けられているわけです。事実の有無について明確な態度を示すことが求められているわけです。
 それで私はお伺いしたいんですが、総理はもちろんですけれども、政治家はこの種の問題についてみずから厳しく律しなければならないのではないかと考えますが、長官はいかがお考えですか。
○国務大臣(塩川正十郎君) これは何も政治家だけじゃなくして、やはり先ほど答弁しておりますように、人間の尊厳にかかわる問題でございますから、すべての人が心がけなければならぬ、特に政治家においてはと、こう私は意識しております。
 総理とはこの問題につきまして私は話ししたこともございませんし、またこれは総理自身の個人の問題でもございますので、私からお答えするようなものは持ち合わせておりませんので、答弁は辞退させていただきます。
○吉川春子君 世界のマスコミがこの問題について日本社会の後進性とともに総理のスキャンダルとして大きく取り上げています。国内ではキリスト教婦人矯風会あるいは日本婦団連など婦人団体からの抗議が総理のもとに届けられていると報道されています。昨日もテレビで拝見しておりましたら、宇野首相あての公開質問状が国際婦人年連絡会の皆さんによって届けられておりました。また、きょうの報道によりますと、川崎市議会では宇野首相の女性問題の真相究明を求める決議が自民党を含めて全会一致で可決されております。また、八王子とか町田市議会の女性議員による総理に対する退陣要求抗議なども報道されております。今後、日本の特に女性はこの総理の動向に注目しているでしょうし、国際的にも注目されていると思うんです。こういう方を婦人問題企画推進本部長にいただいていては事業が進まないんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、その副本部長である官房長官はどう思われますか。
○国務大臣(塩川正十郎君) 私は、ひとつぜひ御理解いただきたいと思いますのは、今いろいろメディアを通じましてそういう総理の報道がございますけれども、私たちはその実態は十分存じておりません。ましてや、これ、聞いたことも見たこともない話がやはり出ておるのではないかと思うのでございます。あるいは、その実態について我々が把握いたしましたらお答えの方法もあろうと思うのでございますが、それを承知しておりませんので、まあひとつこれは個人の問題としていただきたい。
 次の問題として、総理がこれは職権上婦人問題の推進会議の本部長をしておるということでございまして、これにつきまして私は、やはり婦人問題がいかに国政上の大きい問題であるか、その責任者としての総理大臣ということを位置づけられておる、こう思うのでございますので、その点について御理解をいただきたいと思います。
○吉川春子君 女性の地位向上というのは大変重要な問題で、したがって総理大臣がその地位におられると思いますが、今回のような問題で果たして政府が積極的に取り組む意欲があるのかどうかということにまでやっぱり疑いの目が向けられていると思いますし、真相をはっきりおっしゃらないということであればますますそれは疑惑が深まるわけで、私は、こういう方は女性問題の推進の最高責任者としてやはり失格なんじゃないか、こういうことを指摘しておきたいと思います。
 続きまして、順序が逆になりましたけれども、恩給法の問題についてお伺いいたします。
 今回の恩給法の改定は、実質的価値の維持のため、総合勘案方式で二・〇二%の引き上げを決めた。先ほど論議のあったとおりです。総合勘案方式ということであれば、社会経済事情が当然考慮されていなければならないわけです。ことし四月一日より実施された消費税によって恩給生活者の暮らしが大変圧迫されています。便乗値上げ分を含めると三%以上の物価上昇になって、実質価値が目減りしていることは総務庁の統計局の調査によっても明らかです。五月の東京都区部の消費者物価指数の値は、昨年の五月と比べてみますと消費税が物価を押し上げているのがわかります。前年同月比では三・三%、八四年二月以降五年三カ月ぶりの大幅上昇になっています。この実態についてどういう対策を講じられますか。
○国務大臣(池田行彦君) 本年四月に導入されました消費税、それからそれに伴う物価の上昇、あるいはほかの要因もあるわけでございますが、そういったことが恩給の額の改定においてどのように考慮されておるか、そういう御趣旨の御質問かと存じますけれども、恩給の額の改定につきましては、御承知のとおり、公務員給与の改定であるとかあるいは物価の上昇であるとか、そういった事情を総合勘案して定めていることは御説明申し上げたとおりでございます。
 しかしながら、その中で、物価の上昇につきましては、従来から前年の十二月までの消費者物価の上昇率というもの、さらに具体的にはその予算編成時点における物価上昇の見込み、こういうものを基準にしておるわけでございます。本年の改定について少し申しますと、昨年の一月から十二月までの消費者物価の上昇率は〇・七%ということであったわけでございまして、これが今回恩給改定の中に一つの要素として総合的に勘案されておる、こういうことでございます。したがいまして、四月に行われました消費税導入に伴う物価の上昇については今回の改定に導入されておりません。
 しかしながら、ただいままで御答弁申し上げたことから御推察いただきたいと存じますけれども、来年の恩給額の改定におきましては平成元年の一年間の消費者物価の上昇が勘案されることになるわけでございます。したがいまして、もしこの一年間を通じまして消費税の導入に伴う物価の上昇があるならばそれと、他の要因による消費者物価の上昇もあわせて勘案されて恩給の改定が行われる、こういうことになろうと存じます。
○吉川春子君 政府の施策によって物価を三・三%押し上げたわけですから、石油価格の上昇、インフレといった単なる不可抗力の経済変動ではないことは明らかで、人為的に目減りしたもので、予測もできたことです。そういう意味で、消費税相当分を当然上乗せして実質価値を維持することが必要だと思うんです。
 それで、来年の恩給に反映させたいということですが、ことしの四月から普通恩給で一万八千三百円増額になります。これを一カ月当たりにすると千五百円に当たるわけですね。そうしますと、千五百円といえば五万円の消費にかかる消費税に該当する金額にすぎない。そうしますと、これは東京で例えば民間アパートを借りた場合は家賃にかかる消費税相当額にも満たない、値上げたというふうになるわけですね。実質価値を維持するということは到底言えないわけですが、こういうような問題について、消費税が家計を圧迫している、恩給生活者を圧迫している、そういうことを厳密に計算してきちっとそれは改善されなければならないと思いますけれども、そういう踏み込んだことまできちんとおやりいただけますか。
○国務大臣(池田行彦君) 消費税の導入に伴う物価の上昇については、最終的にはまだわからないわけでございますけれども、政府の試算によりますと、初年度におきましては一・二%というふうに予測されております。これは、消費税は三%の税率で幅広く課税されるわけでございますが、一方におきまして物品税の廃止等の措置もあるわけでございますので、CPIの押し上げる効果は、初年度は平年度一・二%というふうに推定されているわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、その点は、今年度の恩給額については勘案されていないのは御承知のとおりでございますが、しかしながら全体として見れば二・〇二%の恩給額の改定が行われたということはひとつ御理解をいただきたい、こう考える次第でございます。
 それから、通常の物価上昇と違って政府の意思によって消費税を導入しその結果として物価が上昇したんだから、これは格別の配慮があってしかるべきじゃないかという御意見は御意見としてお聞きしておきますけれども、御承知のとおり、他の公的年金等におきましてもやはり物価上昇などは前年度の実績をもとにしておるということもございます。それから、恩給はもとより一般の公的年金とは性格が違うわけではございますけれども、総合勘案される中の要素の一つである物価のとり方についてはやはり過去の実績をもとにして対応するということでまいるしかないのではないかと存ずるわけでございます。
 それから、恩給改定による一カ月当たりの増額が千五百円にしかならない、これでは五万円の買い物しかできないではないか、こういう御指摘があったわけでございますが、もとより恩給というのは恩給受給者の方々の生活を支える、生活を保障するものであることはそのとおりでございますけれども、しかし基本的には、公務に長い間従事された、そういったことを前提にいたしまして、それに国家補償的な性格なものでございますので、何と申しますか、そういう額の決定につきましてもそういった公務員給与その他のものをいろいろ総合勘案しているということでございますので、このままの給与体系でどうこうというわけにはまいらぬことがあろうかと思います。
 それから、さらに申しますと、御承知のとおり、今回、消費税の導入は消費税単独で行われたわけではございませんで、一方において所得税、住民税等々の大幅な減税もあったわけでございます。そういったことも勘案していただきたいと存じます。とりわけ所得減税につきましては、六十一年度以来六十二年、六十三年度というふうにいわば先取りして実施されている部分もあるわけでございまして、その中には、恩給受給者の方々の中には高齢者、老人の方も少なくないわけでございますが、そういった老人の方々の税制面での負担を軽くするためのいろいろな配慮も行われておったということもひとつ御考慮に入れていただければと存ずる次第でございます。
○吉川春子君 私は、結論的に申し上げて消費税というのは恩給受給者のような立場にある方にとって非常に過酷な税制であると思うんです。万一消費税が廃止されなければ、恩給受給者の生活改善のために本当にいろんな施策が求められるわけですけれども、減税の恩恵もほとんど受けない人々が多いと思うんですね。
 私は、そういう意味からこの恩給生活者に限ってみても消費税というのはもう廃止するほかないと、こういうふうに申し上げまして時間の関係で
○国務大臣(池田行彦君) では、簡単にもう一つ補足して。
 確かに所得税減税の恩恵に浴さない方が少なくないというのは事実だと思います。そういった方々に対しましては、御承知のとおり、臨時福祉給付金であるとかあるいは臨時介護福祉金というものを歳出の面で準備しているわけでございまして、恩給受給者の方々でございましてもそういった給付金の支給要件に該当される方々に対しましてはこういったものは支給されておるということもそれは申し上げておきたいと思います。
 それから、先ほどから繰り返しになりますけれども、もし消費税に伴いまして物価上昇がありますならば、これは来年度の恩給額の改定においては配慮されるということでございます。
○吉川春子君 給付金の問題も言い出せばいろいろあるんですけれども、これは一万円で、それで終わりですからね。とにかく消費税は非常に過酷な税金だと私は切実に感じております。
 時間の関係で防衛問題に移りたいと思います。
 防衛庁は、次期防の検討のために、ことし一月防衛力検討委員会を発足させておりますが、次期防の検討の内容について、現在まで中間的な時点ですが、可能な限り説明してほしいと思います。
○国務大臣(山崎拓君) 次期防衛力整備計画につきましては、昨年十二月の安全保障会議を踏まえまして、今後の国際情勢や軍事技術の動向等を慎重に見きわめながら逐次検討が進められていくものでございます。今、中間報告ということでございましたが、まだ何分にも検討を開始したばかりでございまして、今具体的に申し上げることはできない状況でございます。
 なお、六十二年一月の閣議決定、御案内のとおりでございますが、憲法及び専守防衛等の基本的な防衛政策を踏まえまして、国際情勢や軍事技術等ただいま申し上げたとおりでございますが、あるいは財政事情等を十分勘案いたしまして、節度ある防衛力を整備していくという精神は引き続き尊重して計画をつくってまいります。
○吉川春子君 それでは具体的に内容をお伺いいたします。
 次期防について、航空母艦を持つかどうか、これは検討の対象になるんでしょうか。
○政府委員(日吉章君) ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、まだ検討が緒についたというばかりでございまして、そこまで具体的な検討に立ち至っておりません。
○吉川春子君 理論的な可能性について伺っています。検討の対象になり得るものかどうか。
○政府委員(日吉章君) 洋上防空の一つのメディアといたしまして航空母艦、それも攻撃型でない航空母艦というようなものが理論的には対象になり得るかと思いますけれども、それは、私どもがそれを検討しているということでは決してございません。
○吉川春子君 空母を持つ場合に大綱を変えないと持てませんか、それとも今の大綱別表のままで持てますか。
○政府委員(日吉章君) この点につきましては、基本的な国際軍事情勢等の枠組みが変わりません場合にはその中の具体的な装備等につきましては大綱の別表に書かれておりますようなものの中に入ればそれはそれでよろしいわけでございまして、これを見ますと艦種ごとにどのような艦が何隻というようなことに必ずしもなってございません。対潜水上艦艇とか潜水艦とか、こういうふうな形、あるいはまた対潜水上艦艇部隊、あるいは対潜水上艦艇潜水艦部隊とか、こういうような形になってございますので、そのあたりにつきましても具体的にどういうふうな艦艇を想定するかによりまして変わってくるわけでございまして、一概にここで別表上持てるとか持てないとか言うことは困難かと思います。
○吉川春子君 持てないというふうにはっきりおっしゃっていただけませんか、この大綱別表では。
○政府委員(日吉章君) 航空母艦というのは、吉川先生どのような航空母艦を想定しているのかわかりませんが、前々から申し上げておりますように、攻撃型空母というものは大綱以前の問題として私どもは憲法上持ち得ないと、かように考えております。
○吉川春子君 空母といったら空母だと思うんですけれども、防衛庁はいろいろと分けておられるようですね。
 そうしますと、整理いたしますと攻撃型でない空母、軽空母とかそういうようなことをいうんですか、対潜空母とかいうんですか、そういうものは憲法上お持ちになれるということをおっしゃっていますね。この大綱別表を変えなくても持てると、こういうことですか。
○政府委員(日吉章君) これは全く理論的な問題としてお考えいただきたいと思いますが、委員がただいま御指摘になられましたような対潜水艦用の例えばヘリコプター搭載空母というようなもの、垂直離着陸機のみを搭載するような空母というようなものを想定いたしますと、それは大綱の別表の中に「対潜水上艦艇部隊」というふうに書いてございますから、これは明らかに対潜水上艦艇部隊の一つの艦種として考えることができます。それがこれを含めましたがために対潜水上艦艇が約六十隻と書いております。その六十隻をオーバーするとかというようなことになりますればまた別の観点から制約を受けますけれども、対潜水上空母、対潜を目的といたしました軽空母というものそのものが別表上持ち得ないというようなことは論理的帰結としては出てこないと思います。
○吉川春子君 それは私たちはとんでもない答弁だと思います。
 例えば、産経新聞の三月二十三日付の夕刊に、次期防で海上自衛隊が大型護衛艦DDVの建造を要求する、こういう報道がありました。このDDVというのは排水量が一方から一万五千トン。英国製垂直離着陸機ハリアー戦闘機の改良型、対潜ヘリを搭載したいとしており、実質的な防御型軽空母だと、こういうふうに書いているんですね。
 こういう要求は具体的にはもう出てきているんですか。
○政府委員(日吉章君) 委員がただいま要求が出てきているのですかというお尋ねでございましたが、私どもは内部でただいまも申し上げましたようにまずもって国際情勢をどう読むか、またその中で国際軍事情勢をどう読むか、現有のそれから中期防完成時の我が防衛力がどのように評価されるかというようなことを検討している段階でございまして、個々具体的な装備にまで検討は至っておりません。
○吉川春子君 私は検討しているかどうかというふうに伺ったんじゃないんです。
 検討の前提として陸海空からそれぞれ要望を出すんじゃないですか。そういう要望はまだ出てきてないということですか。
○政府委員(日吉章君) 私どもは、内部部局は陸海空それぞれの幕僚監部と一体となりましてこの作業をいたしておりまして、要求あるいはそれを受けての査定というんでしょうか、そういうような立場にはございませんで、私ただいま申し上げましたように、国際軍事情勢をどう読むかというようなことから勉強を始めているところでございます。
○吉川春子君 この報道とは別に、既に昨年から、この空母を持つかどうかという問題について検討されている形跡があります。
 これは、昭和六十三年五月二十三日安全保障調査会講演録、自由民主党の安全保障調査会で行われた「わが国の防衛の現状と課題」、こういうものなんですけれども、この中にこういう記述があります。
 国会で、防御用空母ということがいろいろと議論されていたわけでございますけれども、私はまさにわれわれの移動する部隊に降りかかってくる火の粉であるミサイルを払い落とし、さらにそのミサイルを発射する母機を、何らかの格好で撃破する機能というのは、あくまでも防御的なものであろうと考えているわけです。
 今後は、ミサイル発射母機に有効に対処する機能、これがどんな形のものであるのか、立派な空母でなければならないのか、インビンシブルのようなものなのか、あるいは航空支援艦とでもいうようなものなのか、(中略)いずれにせよ私どもにしてみればこのような脅威の増大に対する何らかの防御的な機能が必要ではないかというふうに考えているわけでありますと、海上幕僚監部吉川何というんでしょう、防衛部長の方ですね、こういうふうに言っていますが、長官にお伺いいたします。
 制服の幹部の中にこのような空母必要論あるいは期待論というものがあるということを御承知でいらっしゃいますか。
○政府委員(日吉章君) 長官からお答えいただきます前に私の方からお答え申し上げますが、私どもといたしましては、あらゆる脅威に対しまして最も効率的に対処し得るためにはどうすればという研究は各般からいたしているわけでございまして、その研究が即そのまま、研究の対象にしたということそのものがその装備を行うあるいは目的とするというようなことではございませんで、各般の研究がなされ得るということは事実だと思います。
○国務大臣(山崎拓君) 防衛の基本的な方針といたしまして専守防衛に徹するということは毫も変更はございません。その前提の上に立ちましていろんな防衛面での技術につきまして防衛庁・自衛隊内で討議が行われるということは当然であろうかと思いますが、詳細について私が一々承知しているわけではございません。
○吉川春子君 長官がおっしゃるように専守防衛ということであれば、空母を持つなどという発想は出てこないわけですね。しかし、今、局長はそれも検討対象の一つだと、こういうふうに否定しないわけですからとんでもないことですよね。やはり、次期防の検討対象の一つとして俎上に上っているということはどうやら間違いなさそうで、大変なことだと思うんです。
 長官にもう一つお伺いいたしますけれども、昨年八月、アメリカの下院軍事委員会の防衛分担小委員会で中間報告が発表されました。そこで日本が一千海里シーレーン防衛のために空母を保有する必要があるととんでもないことを言っているんですけれども、こういう要求がアメリカから来ていますか。
○政府委員(日吉章君) ただいまの報告書の内容は私も内容といたしまして承知いたしておりますが、それはあくまでも研究報告書でございまして、それに基づきまして米国政府から私どもに対して特別の要請なり要望はなされておりません。私どもは、次期防の作業に当たりましてはあくまでも自主的観点に立ちまして次期防を策定するつもりでございます。
○吉川春子君 長官、アメリカからこんな要求されたら断りますか。
○国務大臣(山崎拓君) 私どもは、防衛計画を作成するに当たりましてこれは自主的に行うのでございまして、もちろん日米防衛協力の観点はございますが、あくまでも自主的に防衛力整備計画を定めるということを明確に申し上げておきたいと思います。
○吉川春子君 もう一つ伺いますけれども、海上自衛隊はイージス艦二隻の建造、そして航空自衛隊は空中給油機、米国製KC10、KC価数十機と早期警戒機、AWACS、これの導入を検討しているわけですけれども、これらの装備は次期防でどういう扱いになりますか。
○政府委員(日吉章君) いろいろな装備を例にされましたが、まずイージス艦につきましては既に中期防計画で二つの船の建造を計画いたしておりまして、一隻は既に予算をお認めいただいているわけでございます。それを次期防におきましてどのように整備していくかという点は今後の検討課題でございます。
 それから、空中給油機につきましては中期防の中で既に検討対象といたしておりまして検討を続けておりますので、その中期防期間中の検討結果を待ってどのようにするかというようなことを決めていくことになろうかと思います。
 それから、早期警戒機につきましては中期防計画におきましてはE2Cを整備しつつあるところでございますけれども、今委員の方からAWACSというお話がございましたが、これにつきましては、E2Cよりも能力が非常にアップしたタイプでございますので、そのような必要性があるのかどうかという点は、今後も、既にE2Cを持っているものと装備しているということとの関連上どういうふうに関連づけることができるのか、あるいは必要かどうかという点を検討してまいると、かようなことでございましていずれも今後の検討対象でございまして、これらを装備するというふうに決めているわけではございません。
○吉川春子君 防衛庁長官は就任直後の記者会見で次期防の策定作業に関連して防衛計画の大綱の見直しについて話しておられますけれども、大綱の見直し、大綱別表の見直しもあり得ると、こういうことですか。
○国務大臣(山崎拓君) 私が申し上げましたのは、理論上あり得るということを申したのでございます。
 少し私の考え方をこの際申し上げますが、現状の中期防は大綱水準達成を目指すものであることは御承知のとおりでございます。次の新しい計画におきましては、大綱の基本的精神を受け継ぎあるいは大綱そのものを残しましてこれをつくるべきであるかどうかという議論は現状の中期防が達成するのでございますから当然起こってしかるべきだと思いますが、それは理論上そういうふうに申し上げたのでございます。
 ただ、私個人の考え方もそのとき申し上げたのでございますが、私は今防衛庁長官でございますから、私の個人の考え方を申し述べるということは非常に大きな意味を持つことになりますので、当然慎重を期して申し上げたつもりでございます。と申しますのは、今の大綱の基本的な考え方、基本的精神は変える必要はないのではないかということを申し上げたのでございます。
 ただ、次の計画をつくるに当たりまして、軍事技術の動向、これはもう日々著しく進展してまいるわけでございますから、現在の大綱別表は昭和五十一年度に大綱ができましたときにつくられたものでございまして、その後、兵器の体系でございますとかあるいは武器技術の水準でございますとか、相当変わってまいっておるわけでございます。したがいまして、大綱本文、大綱の基本的理念を変えないといたしましても、その別表が、これはあくまでも数量的なものでございますから、それが変わるということは理論上あり得るということを申し上げたわけでございまして、変えるとも変えないとも結論を出したわけではないのでございます。
○委員長(大城眞順君) 時間です。
○吉川春子君 時間がなくなりました。
 私は、大綱の別表を変えるということは理論的にあり得ないと思うんですね、大綱を変えないのであれば。大綱の策定の経過というのは防衛白書にも何回も出ていますけれども、本文と別表が一体不可分であるわけですね。大綱は全体一つのもので、本文は基本的防衛力構想に基づいた防衛のあり方を示しているし、その考え方を数で具体化したものが別表ではないでしょうか。だから、大綱の「陸上、海上及び航空自衛隊の体制」では「前記四の防衛の態勢を保有するための基幹として、陸上、海上及び航空自衛隊において、それぞれ次のような体制を維持するもの」としているわけですね。三つの自衛隊の体制を述べた後、「以上に基づく編成、主要装備等の具体的規模は、別表のとおりとする。」と書いてあり、別表と本文というのは一体不離のものであって、別表だけ改定するということは理論上もできない。そのことを指摘しまして、時間ですので質問を終わりたいと思います。
○柳澤錬造君 最初に防衛庁長官に、これはお聞きにだけなっておいてください。
 この内閣委員会、これがもう最後になるわけですからそういう点で申し上げておくんだけれども、昨年のこの内閣委員会で私がシビリアンコントロールということについていろいろ質問しました。まともな答弁ができないわけです。それで、結局そんなことを言ったってらちが明かぬから、統一見解をちゃんと持っていらっしゃいといって終わっておったんですが、いまだに持ってこないわけなんです。これは法制局の方も関係があることなんですが、この国会の最後の内閣委員会ですからそういうことだけ防衛庁長官に申し上げておきますので、それだけお聞きになって、どうぞもう結構です。
 きょうは宮内庁の方へ御質問をしていくわけですけれども、昭和天皇が崩御になりましてそれに伴って相続税の問題が出ておるわけです。どうしてそういうことになるのかということをお聞きしたいんです。
 憲法でも第一条でもって「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」と、こう規定されているわけなんです。それがどうして亡くなられたら相続税というふうなものが発生することになるのか、そこからまずお聞かせいただきたい。
○政府委員(宮尾盤君) ただいま御質問にございましたように、天皇は国の象徴であり国民統合の象徴である、こういうふうに憲法で定められておることはそのとおりでございます。
 そこで、現行法制のもとにおきましては、象徴たる天皇の地位及び皇位の世襲制に基づきまして、一般国民といろいろ異なった取り扱いをすべきものについては当然特別の取り扱いということが認められておるわけでございますけれども、そうでないものにつきましては一般法規の適用があるというふうに解釈をされておるわけでございます。
 現在の相続税法の考え方といたしましては、天皇も相続税について納税の義務を負うというふうに解釈をされておりますので、したがいまして現行法制の規定に基づいて適正に処理をする必要があるというふうに私ども考えておるわけでございます。
○柳澤錬造君 今納税の義務と言われたからそこはまただんだんお聞きをしていくんですけれども、まず、それじゃ昭和天皇の崩御に伴っての相続税というのはどのぐらい納めることになるんですか、金額。
○政府委員(宮尾盤君) 一般的に税金の問題につきましては、これは個人の秘密を守るということで守秘義務を課せられておるわけでございます。
 そういう意味で、私ども宮内庁の立場におきましていろいろ陛下のことにつきましてはお手伝いをする立場にはございますけれども、現行税制でいった場合にどの程度の税金を納めるかということにつきましては、御答弁は御容赦をいただきたいと思うわけでございます。
○柳澤錬造君 個人の秘密を守るといっても、かなりの有名な人が亡くなったときはだれだれさんはこれに伴って相続税が幾ら幾らと新聞に出るでしょう。そうすると、あれはその新聞社がやったのかどうか知らぬけれども、その個人のそれを侵したことになるんですか。そういう点からいくならば、何か軍事機密のような意味での、そういうものを伴うような性格のものではないと思うんです。ですから、そういう点ではやはり別にそれほど隠し立てをしなきゃならぬあれでもないことなんですから、明らかにしていただきたい。
○政府委員(宮尾盤君) その点につきましては、これは税法上の扱いといたしまして、課税総額、課税価格が一定限度以上のものについては税務当局の方で公表をするということが義務づけられております。そういう意味で私どもの立場で幾らということを申し上げることは御遠慮申し上げておるわけでございますが、これは税法の規定に基づいてのそういう課税価格等の公表というのはしか
るべきときに税務当局の方からなされることになるというふうに考えております。
○柳澤錬造君 そういう答弁には納得しないけれども、また後であれですが。
 じゃ、天皇は住民税を納められているんですか、納められていたならばこれも幾ら納めているのか、お聞かせいただきたい。
○政府委員(宮尾盤君) 天皇陛下が住民税を納めておられるかということでございますが、この点につきましては、不時の支出に備えてお持ちの資産とかあるいは資産にかかる若干の預貯金の利子だとか、あるいは御著書等があればその印税というようなものがございますので、そういうものにつきましては一般国民と同様に所得税、住民税というものをお納めになられているというふうに承知をいたしております。
 幾ばくの税を納めておるかということについては、これは陛下御自身のことにかかわることでございますので、私どもから答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。
○柳澤錬造君 固定資産税はどうなっていますか。
○政府委員(宮尾盤君) 固定資産税は不動産にかかる税金でございますが、現在、先生御承知のように、天皇陛下は赤坂御所にお住まいになっておるわけでございますし、それから先帝陛下は皇居内の吹上御所にお住まいになっておったわけでございます。これらの土地とか建物というのは、これはいずれも国有財産である皇室用財産でございますので、したがいましてこれにつきまして固定資産税が課税されるということはないわけでございます。
○柳澤錬造君 次長が今言われたように、あそこの皇居のなには国の所有物であり国有財産。そうしてくると、先ほどの次長の、天皇にも納税の義務があるんだということになるならば、当然国から借用しているという形になるんで、あの皇居のあれだけの大きな土地を御使用になっているんだから土地代というか土地の使用料というものを払っていなければおかしくなるわけです。それからまた、建物もそうだと思うんです。
 そういう使用料というものはお払いになっているのか、どのくらい国に払っているのか、それをお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(宮尾盤君) 現在天皇陛下がお住まいの赤坂御所も、あるいは先帝陛下がお住まいになっておりました吹上御所も、これはいずれも国有財産であります皇室用財産でございまして、その皇室用財産というのは、本来皇室の用に供するために国が提供するといいますかお使いいただいておる、こういう性格のものでございますから、それにつきまして例えば地代だとか家賃だとかというようなものを国が徴収するというようなことは制度上予定をされていないものであるというふうに考えておるわけでございます。
○柳澤錬造君 ではもう一つ。
 一昨年来、御病気になられて入院されましたしまた手術もお受けになってずっと入院されておったんですが、御病気になっておったとき、天皇の場合はどういうことになるんですか、国民健康保険の適用を受けたんですか、それとも老人保健の適用を受けてやられたんですか、それともまた別な何か天皇という地位に基づいての便宜があって行われたんですか。その辺はどういうことになったんですか。
○政府委員(宮尾盤君) 昭和天皇の御病気中のいわば治療費の問題その場合に国民健康保険の適用があったかどうか、こういうことでございますが、御病気中の治療費につきましては宮廷費から支出をする、つまり国費で支出をいたしたわけでございます。
 それは、天皇が日本国及び日本国民の統合の象徴であるという、そういう特別な御地位にあられるということにかんがみまして、天皇及び皇族の日常の御健康の維持を図りあるいは御病気になられたときにどうするかということで、宮内庁としては皇室医務主管とかあるいは侍医長、侍医というような職員を置きますとともに、宮内庁病院も設置して宮内庁の所掌事務としてこれに当たっていく、こういうふうになっております。したがいまして、先帝陛下が御病気になられた場合には侍医長あるいは侍医等の職員がその御治療に当たり、またその治療のために必要な医療器械とか医薬品等に関する費用というものは当然国費で負担をする、こういうことにいたしておるわけでございます。
 健康保険に入っているかという問題でございますが、天皇陛下あるいは皇族さん方は医療保険には入っておられません。ただ、医療保険には入っておりませんけれども、その治療費についてはさっき申し上げたような形で国の責任において十分な態勢をとり必要な治療を行う、こういうことになっているわけでございます。
○柳澤錬造君 次長、今のお話の中では、天皇がああいう御病気になったことについて、それは象徴だから国費をもって賄ったんだという答弁をなさったわけです。だから国の象徴として、ああいうふうな御病気になられた、あるいは入院をするんだ、それはもう当然国費で見るべきだというふうなことで扱われたと思うのです。
 そうすると、最初へ戻って、その象徴である天皇が崩御されて、それに伴っての相続税がということがどうして出てくるのか。そこら辺のところが私は理解がいかない。それから、住民税も納めているんです、納税の義務があるんですと。だから、納税の義務があるならば、それなりにやはりちゃんと固定資産税も何もしなくちゃいけない。ところが、いや、あれは国のものであって、言うならば固定資産税の対象にならぬと。固定資産税の対象にならぬということならば、あれだけの膨大な土地から建物からあるんですからその借用料というふうなものを払わなかったらこれはおかしなことであって、その辺がいろいろとつじつまが合わない。私には理解がいかないわけなんです。
 だから、もうちょっと角度を変えてお聞きするんだけれども、天皇というものは国民と同列に扱うんですか、それとも今言ったように、天皇は象徴であって一般国民とは別な扱いをするものなんですかという、そこら辺はどういう整理をしているんですか。官房長官、最後にまとめて政府の見解をお聞きしますから、これはよく聞いておいてもらいたいのです。
○政府委員(宮尾盤君) 今医療費の問題あるいはそのお住まいについてのお話があったわけでございますが、これは先ほど御説明をしたとおりでございますけれども、要するに相続税の取り扱いがどうなるのかということについては、これは先生も十分御承知だと思いますけれども、皇室経済法第七条に規定をされております「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」、こういうものにつきましては相続税法の中で明確にこれは課税対象から外すという規定があるわけでございますが、一般的に相続税を課税しないという考え方に基づく税制の仕組みにはなっていないわけでございます。したがいまして、現行税制の解釈といたしましては、私どもも関係方面ともこの点についていろいろ御相談をして検討もしたところでありますけれども、現在の制度の上において相続税は課税をされる、こういうことでございますのでその考え方に従って処理をしていくべきものであるというふうに考えておるわけでございます。
 天皇は一般国民とは違った御地位にあるから一般国民とは違った取り扱いをしていいものがあるではないか、こういう御趣旨かと思いますけれども、これは、確かに現行法制のもとにおきまして天皇陛下という一般国民とは異なったそういうお立場にある方につきましては、例えば一般国民とは違ったいろいろな特別の法制上の取り扱いというものが現にあるわけでございますけれども、それはそういう特別に取り扱いを認める必要がある範囲内におきましてそのような法制上の措置が講ぜられておるわけでございまして、しからざるものにつきましては一般法規の適用があるというふうに解釈をされておるというふうに私ども理解をいたしておるわけでございます。そういう意味で、先ほど御答弁申し上げましたように、所得税につきましても何がしかの税金を納めておられる、そ
ういうことになっておりますし、それから相続税についても、例えば金融資産とかあるいはその他の一部の資産等につきましては相続税法の規定に基づいてお納めをいただくという仕組みになっておるというふうに考えておるわけでございます。
○柳澤錬造君 次長、もうちょっとわかるようななにで聞かしていただきたい。
 じゃ、例えば、天皇は就職の自由があるんですか。あるいはどこかから、来て講演してくれんかと頼まれたら、行って講演する自由があるんですか。また、講演したらそこで謝礼もくれるんだろうから、それももらえるんですか。それから、映画を見たいなと思ったら、じゃそういう外出の自由があるんですか。ましてや海外出張なんかこれはさせないわけでしょう。
 そういういろいろなことをなにしていったときに、それは昔と違って人間天皇になった。だけれども、そうは言ってもいろいろな面でやはり国の象徴としてむしろいろいろと制約しておる方が多いと思う。極めてごく一部自由の面もあるけれども、自由はないと言った方がいいくらいに天皇の生活というものは規制されているわけなんですね。だけれども、この税金の一部のところだけ一般国民並みに扱えというから私は理解ができないで聞いているんです。
 先ほど言ったそこはどういう御答弁をなさるんですか。就職の自由があるのか、講演を頼まれたら出かけていく自由があるんですか、外出の自由があるんですかと言ったらどうですか。
○政府委員(宮尾盤君) 天皇が一般国民とは違ったお立場にあるということは当然のことでございます。
 そこで、天皇、皇族につきまして、例えば基本的な権利というようなものはどうなるのか、こういうようなことになろうかと思うわけでございますが、憲法上そういう特別の地位におられておること、あるいは皇位の世襲制というようなことについて定められている、こういうことからそういう特別な地位に基づく必要な限度内で憲法第三章に定められておる権利とか義務ということについての規定はいろいろな制約を受けているものがあるというふうに考えておるわけでございます。
 例えば、今先生がおっしゃられました職業選択の自由というようなものがあるのかないのかとかあるいは皇族男子の婚姻については単に両性の合意というだけでなくて皇室会議の議を経なければいけないことになっているということもそうでございましょうし、天皇、皇族は養子をすることができないという規定もあります。また、選挙権、被選挙権というようなものがないというふうに解されております。そういうような象徴天皇という御地位に基づいて必要な限度内での制約というものが当然憲法上あるいは現行法制上あるということになっておるわけでございます。
 そこで、なぜ相続税は一般の国民と同じになるのか、こういう御質問だろうと思います。これはいろいろお考えがありまして、そういうことはおかしいではないかという御議論は十分承っておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、関係方面とも十分いろいろ御相談をし、また現行の相続税法の規定等についてもいろいろ御相談をしたわけでございますが、現在の税制の建前が由緒ある物については相続税は非課税となっておりますけれどもそれ以外の一般的な金融資産等につきましては相続税の対象になる、こういう考え方に今の税制はつくられておる、こういうことで、私どもはそのことを申し上げておるわけでございます。
○柳澤錬造君 まだはっきりしない。
 次長、事相続税については宮内庁がそういう認識、だから昭和天皇は外国元首や何かからいろいろいただいた物をもうみんな国に寄附するというわけでしょう。何でそんなことさせるんですか。それは、相続税の対象になったらもうどえらい金額になるから恐らくそうしているんだろうと思う。それじゃ、歴代の内閣総理大臣だって外国から来た人たちからいろいろ物をもらっているはずだ。それじゃ、総理をやめたときに、これは内閣総理大臣をしていてもらったんだからこれは国に寄附していくなんてやった総理大臣が、官房長官、いるですか。そんな者いやせぬと。何で天皇にだけそういうことをさせるんだろうか。だから、その辺のところをもうちょっと宮内庁にしっかりしていただいて、天皇の自由なんていうのはごく一部であって、生活上においても大部分のいろいろなことにおいて、天皇という地位に伴っていろいろ天皇が処理しなきゃならないことで規制され枠をはめるなんて言っちゃいかぬけれども、そういう状態に置かれてずっと来たわけでしょう。映画を見たいからといって見にいくわけにはいかないわけなんだ。だから、崩御されたからといって事税金については一般国民と同じに納税の義務があるんですなんていうことを次長がいけしゃあしゃあ言ったんじゃ困ると思うんだけれどもね。どうしてそういうことをするのか。
 もう一回最後に、あなた、相続税が幾らぐらいになっているのかということはやはり明らかにしてあげてください。それだけのものを取るというのだから。会社の社長やなんかのある程度の社会的な地位のある人だったらみんな、あそこは相続税は幾らといって発表されているわけでしょう。それは、むしろ国民に知らしてあげる方が、機密に云々なんて、秘密でなんて隠す必要ないと思う。国民にそれを明らかに知らしてあげるということで、やはりきちんと言ってください。
○政府委員(宮尾盤君) 最初の御質問の、例えば外国からの御贈進品のお話でございましたが、これは今いろいろ整理をしておる段階のように承っておりますので、それについてどうするというような御方針は承っておりませんけれども、御贈進品につきましてはたしか当委員会でも御質問等がございまして、例えば外国元首がおいでになったときにはこちらの方からも記念になるような品物を差し上げる、これは国費で支弁されているではないかと。外国からいただいた物はそれに相応するものであるから、むしろ国有とするとかあるいは一般の国民に何らかの形でお見せするとかというようなことをすべきではないかというような御議論があったことを私記憶しておるわけでございます。そういうようないろいろな御議論等もありましたことを踏まえて、今後どういうふうにそういうものについて御整理をなさるのか、これはまだ進行中の段階でございますのでここで御答弁を申し上げることは差し控えておきたいと思います。
 それから、税額が幾らになるかということは、私ども宮内庁の立場は陛下がお納めになるといいますか、今の相続税についていろいろ陛下のなさられることをお手伝いしている立場でありまして、そういう立場にある者が税金が幾らでございますというようなことを申し上げることはこれはいかがかというふうに思いますので、その点はぜひ御容赦をいただきたいと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、これは税法の規定によりまして税務当局がしかるべきときに必要な範囲内のことは公表をするという手続がありますので、そちらの方でお知りをいただくということになろうかというふうに考えておるわけでございます。
○柳澤錬造君 わからぬ。
 余り次長を困らせたってよくないとは思うけれども、その辺がやっぱり宮内庁の悪いところだと思うんです。お手伝いをしておるだけですか。そうなんですか。あなた方が天皇を動かしていると言ってはおかしいけれども、ああせいこうせいと言っているんじゃないですか。
 さっきも憲法七条の問題で同僚議員の質問のときに、助言と承認のあの言葉のときもそうだけれども、これから検討いたしますなんて答弁しているのを私は黙って聞いておった。何十年もたって憲法の解釈をこれから検討しますなんて、そんなものじゃないわけです。だから、納めるのは今の後の新しい天皇が相続税を納めるわけだけれども、それはお手伝いしているんじゃなくて天皇の
四六時、二十四時間中のことをあなた方が拘束してやっているのであって、それこそほとんど自由にできる時間なんか与えないくらいなんでしょう。あの田植えをするときぐらいじゃないんですか。そういう点からいって、余り天皇のところヘカーテンを引かないで、やっぱり国民の前に天皇の姿というものをありのままに。
 それで、今言ったけれども相続税を納めることは、私はおかしいと思う。しかし、それが必要ならば、こうこうしかじかで昭和天皇が亡くなられて、今度それに基づいて今上天皇が受けてこうしたらこれだけの税金を納めることになったんですと国民に明らかにしてあげる方が私はむしろ天皇家のためにもなると思う。
 官房長官、ずっとさっきからお聞きになっていたと思うんだけれども、天皇が崩御されて相続税がかかるんですが、どこからそういうのが出てくるかということがわからない。それで今言ったとおり、聞けば納税の義務があるというのです。じゃ幾ら納めるんだと言えば、いや、それは個人の秘密ですからと。官房長官だって亡くなられたら、あなたは幾らかとそれはすぐ新聞に出るじゃないですか。何でそれじゃ官房長官なり総理大臣の秘密を守ってやらないんですかと言いたくなる。
 ですから、天皇をめぐっての政府としての見解をここでもってやはりきちんと示してくれませんか。そうでないと、やはり私ども納得いかない。宮内庁がやっていることがいいならいいんだし、いけないならいけないで、そこのところはそれこそのったにないことなんだから、政府がきちんと検討して、こういうふうな形にするんだといってやってあげてくれなきゃいかぬと思いますので、最後に官房長官から御答弁をいただきたい。
○国務大臣(塩川正十郎君) 柳澤先生の御質問の趣旨は私も十分理解しております。この問題につきましては、内閣法制局、宮内庁、大蔵省等関係省庁が十分に協議いたしまして、その結果として一つの考え方をまとめております。それは、天皇陛下は憲法上日本国及び日本国民統合の象徴であるという特別な地位にあらせられます。これは憲法第一条に明記してございます。また同時に、その地位は世襲であるという点で、憲法第二条にこれまた明記してございます。したがいまして、一般国民と異なった地位にあられるということは、その意味で一般国民の扱いと違った面が認められる面もあることも御指摘のとおりであります。
 ところで、相続税の課税に当たっては、皇室経済法第七条に規定する「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」についてはその特殊性にかんがみ非課税とされているところでございますが、これは同時に相続税法第十二条にも明記してあるところであります。それ以外の財産、例えば有価証券、預貯金などについては、一般国民と同様相続税の課税の対象とするというところに一応意見を統一しておるところでございます。
 特に、この結論に至りますまでには、やはり現在の御皇室は日本の法律に非常に忠実に従ってやるという、これは皇室の伝統的なお考えでございまして、現行法規の中で考えた場合に、合法的に処理するということが私は一面から申しまして皇室のお心を酌むことにもなるのではないか。したがいまして、要するに象徴としての陛下の財産、そしてまた一般国民的立場におかれる財産というものとを見ました場合に、そういう財産につきましては法の定めるところによって処理いたすことが私はこの精神、先ほどおっしゃいましたように国民に開かれた皇室ということ、国民とともに歩んでおられる皇室の姿として一番適切なものではないか、そういうふうに考えまして、この考え方に対しまして我々はなおこれからさらに一層慎重に漏れなくこれで解釈ができるかどうかということを検討してまいりたい、こう思っております。
○柳澤錬造君 それで結構です。慎重に検討していただきたい。
 それから、これは次長と官房長官に申し上げておくのです。先ほどの、天皇が外国の元首なんかからいただいた物ですね、あれは天皇が行くときには国費でお土産を買って持っていって渡したんだから向こうから来た物もといって、それを国に寄附する何か一つの理由にさっき答弁されておったんだけれども、内閣総理大臣が外国へしょっちゅう行くときに持っていく物もみんなそうですよ。あれはポケットマネーで持っていっているんじゃないんだ。あれもやっぱり国費を使って持っていくんだ。だから、そんなことを言えば、歴代の総理もみんな外国からもらった物は全部国に寄附しろとやらなかったらおかしなことです。
 だから、官房長官、それはもう御答弁要りませんから、その辺なども含めて十分慎重に御検討いただきたいということだけ要望して、終わります。
○委員長(大城眞順君) 他に御発言もなければ質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 恩給法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大城眞順君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 永野君から発言を求められておりますので、これを許します。永野君。
○永野茂門君 私は、ただいま可決されました恩給法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
 恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、次の事項について速やかに善処すべきである。
 一 恩給年額の改定については、国家補償としての恩給の性格、恩給受給者の高齢化等に配意し、今後とも現職公務員の給与水準との均衡を維持するよう努めること。
 一 恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をするとともに各種改善を同時期に一本化して実施するよう努めること。
 一 恩給の最低保障額については、引き続きその引上げ等を図るとともに扶助料については、さらに給付水準の実質的向上を図ること。
 一 恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。
 一 外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。
 一 恩給欠格者等の処遇について検討の上、適切な措置を講ずるよう努めること。右決議する。
 以上でございます。
○委員長(大城眞順君) ただいま永野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大城眞順君) 全会一致と認めます。よって、永野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、池田総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。池田総務庁長官。
○国務大臣(池田行彦君) ただいまの附帯決議につきましては、今後慎重に検討してまいりたいと存じます。
○委員長(大城眞順君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大城眞順君) これより請願の審査を行います。
 第二五号軍人恩給改定に関する請願外七十四件を議題といたします。
 本委員会に付託されております請願は、お手元に配付の付託請願一覧表のとおりであります。
 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第二五号軍人恩給改定に関する請願外四十六件は採択すべきものにして内閣に送付するを要するものとし、第一七一号鉄道共済年金の安定的財政確立に関する請願外二十七件は保留とすることに意見が一致いたしました。
 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
○委員長(大城眞順君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。
 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、両件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大城眞順君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四分散会
     ―――――・―――――