第116回国会 外務委員会 第1号
平成元年十一月九日(木曜日)
   午前十時二分開会
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  委員氏名
    委員長         山東 昭子君
    理 事         久世 公堯君
    理 事         宮澤  弘君
    理 事         田  英夫君
    理 事         中村 鋭一君
                石井 一二君
                大鷹 淑子君
                岡部 三郎君
                関口 恵造君
                鳩山威一郎君
                原 文兵衛君
                久保田真苗君
                竹村 泰子君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
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   委員の異動
 十一月九日
    辞任         補欠選任
     鳩山威一郎君     木暮 山人君
     大鷹 淑子君     清水嘉与子君
     竹村 泰子君     喜岡  淳君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山東 昭子君
    理 事
                久世 公堯君
                宮澤  弘君
                田  英夫君
                中村 鋭一君
    委 員
                石井 一二君
                岡部 三郎君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                喜岡  淳君
                久保田真苗君
                竹村 泰子君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
   政府委員
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  有馬 龍夫君
       外務省中南米局
       長        坂本重太郎君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済局次
       長        内田 勝久君
       外務省経済協力
       局長       松浦晃一郎君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       遠藤  實君
       外務省情報調査
       局長       山下新太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       警察庁刑事局保
       安部防犯企画課
       長        根本 芳雄君
       法務省入国管理
       局警備課長    町田 幸雄君
       外務省経済協力
       局審議官     高橋 雅二君
       外務省条約局審
       議官       丹波  實君
       大蔵省主税局国
       際租税課長    黒田 東彦君
       大蔵省銀行局中
       小金融課長    武藤 敏郎君
       国税庁調査査察
       部国際調査管理
       官        日出島恒夫君
       通商産業省生活
       産業局文化用品
       課長       森田 光俊君
       運輸省国際運
       輸・観光局観光
       部旅行業課長   鶴野 泰孝君
       労働省職業安定
       局外国人雇用対
       策室長      吉免 光顕君
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  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)
○国際情勢等に関する調査
 (最近の国際情勢等に関する件)
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○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る八月十一日、成瀬守重君が委員を辞任され、その補欠として鳩山威一郎君が選任されました。
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○委員長(山東昭子君) 国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても国際情勢等に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山東昭子君) この際、中山外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) このたび、外務大臣に就任いたしましたので、外務委員会の冒頭に当たりまして一言ごあいさつを申し上げます。
 今日、国際情勢は大きな変化のさなかにございます。東西関係におきましては対話が定着し、社会主義国はさまざまな改革を試みており、地域紛争も解決に向けて動き出しております。このように、世界は新しい時代を模索している状態と思っております。
 我が国といたしましては、国際情勢の好ましい
動きを定着させ、発展させていくために、従来にも増して積極的な外交努力をいたさなければならないと考えております。
 特に、我が国の国益を確保するため、また国際社会の期待にこたえるためにも、我が国は、国際秩序の主要な担い手として「世界に貢献する日本」を推進していくことが必要であります。その際、先進民主主義諸国の主要な一員として、またアジア・太平洋地域の一国としての二つの座標軸に立脚して世界の平和と繁栄に最大限の貢献を行っていく方針であります。このたび私はオーストラリアで開催されましたアジア・太平洋経済協力閣僚会議に日本政府の代表として出席してまいりましたが、アジア・太平洋協力の推進もかかる方針に基づく外交活動の一環であります。また、我が国は今や世界のGNPの一割を優に超える経済大国でありますが、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないということも一貫した方針であります。
 そのため、具体的には、我が国の安全確保、世界経済の健全な発展への取り組みに加え、平和のための協力、ODAの拡充、国際文化交流の強化を三本柱とする国際協力構想を積極的に推進しますとともに、環境問題等地球的規模の問題の解決にも力を注いでまいる所存でございます。
 本委員会の皆様方は、外交問題に精通され、多年にわたってこれに取り組んできておられますが、皆様のょき御指導、御鞭撻を賜り、外務大臣としてその重責を全うできますよう、皆様方の御協力を心からお願い申し上げて、ごあいさつといたします。(拍手)
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○委員長(山東昭子君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、以上二件を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、昭和四十三年三月に署名されたベルギー王国との間の現行の租税条約を一部改正するための議定書を締結するため、昭和六十三年四月から交渉を行いました結果、昭和六十三年十一月九日にブラッセルにおいて、両国政府の代表者の間でこの議定書の署名を行った次第であります。
 この議定書による改正の主な内容は次のとおりであります。すなわち、配当に関し、現行条約においては一律一五%とされている源泉地国での限度税率が、親子会社間の配当の場合には、日本国においては一〇%、ベルギーにおいては五%に、また、利子に関し、現行条約において・一五%とされている源泉地国での限度税率が一〇%におのおの引き下げられることであります。
 この議定書の締結によりまして、我が国とベルギー王国との間の二重課税回避の制度がさらに整備され、両国間の経済関係の緊密化に資することが期待されております。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 政府は、インドとの間の現行租税協定にかわる新たな租税条約を締結するため、インド政府と数次にわたって交渉を行いました結果、平成元年三月七日にニューデリーにおいて、両国政府の代表者の間でこの条約に署名を行った次第であります。
 この条約は、現行協定に比し、条約全般にわたって最近の租税条約の改善された規定をできる限り取り入れたものであり、従来我が国が諸外国との間で締結した租税条約同様OECDモデル条約案に基本的に沿ったものとなっております。
 この条約の主な内容としまして、まず、事業所得につきましては、企業が相手国内に支店等の恒久的施設を有する場合に限り、かつ、当該恒久的施設に帰属する利得に対してのみ相手国で課税できるものとしております。また、航空機及び船舶を国際運輸に運用することによって生ずる利得に対する租税につきましては、相手国において全額免税すること、ただし、船舶所得については十年の過渡期間を設けることを定めております。また、投資所得につきましては、配当、利子並びに使用料及び技術的役務対価についてそれぞれ源泉地国における限度税率を定めております。
 この条約の締結によって日・インド間の二重課税の回避等の制度がさらに整備され、両国間の経済及び文化の面での交流が一層促進されるものと期待されています。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第でございます。
 以上二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(山東昭子君) 以上でございます。
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○委員長(山東昭子君) ただいまの条約二件及び国際情勢等に関する調査を便宜一括して議題とし、質疑を行います。質疑のおありになる方は順次御発言願います。
○田英夫君 今議題になりました租税二条約についてまず御質問したいと思います。
 このいわゆる租税条約を締結している国は三十六カ国に及ぶと聞いているんですけれども、その内訳、地域別に見てみますとかなりばらつきがあるように思うんですね。政府としてこの租税条約を締結する相手国を選ぶのにどういう対応をしておられるのか。例えば基準があるのか。同時にまた、先進国もあれば発展途上国もあるという、そういう色分けでは両様あると思いますが、その色分け、条約を結ぶ相手国の選び方というのの基準のようなものがあれば、まずお答えいただきたいと思います。
○説明員(丹波實君) 先生御指摘のとおり、確かに今日まで日本政府が結んでおります三十六カ国、いろいろばらつきがあることはおっしゃるとおりです。一般的な基本的な交渉の相手国の選び方についての御質問でございますが、簡単に申し上げますと、当該相手国との経済的な交流の度合いあるいは人的な交流の度合い、実績といったものを勘案してその国と条約を結んでくるというのが、一般論として申し上げれば従来の考え方でございます。
○田英夫君 私が恐れますのは、日本の企業の進出にとって都合のいい相手国を選んでいるのではないかという、そういう批判を受けるのではないかということを心配するんですけれども、現に三十六カ国の中で南米とか中近東の中の数が大変少ないように思います。南米とか中近東が少ないというのは、これはまた日本の企業が進出しているところですから、この辺も実は理解に苦しむんですが、これはどういう理由ですか。
○説明員(丹波實君) 基本的には、先生もそういうことを念頭に置いて御質問しておられると思いますけれども、日本の資本というものが当該相手国にどの程度流れていっているか、また相手国から日本にどの程度来ているかということが基準になるわけですが、一定のタイムラグというものがそこに起こることは当然考えられるわけでございます。確かに、先生おっしゃいますとおり、例えば南米とか中近東地域の諸国につきましては、南米について言えばブラジル一カ国、それから中近東地域について申しますと現在のところエジプトということになっておりますが、他方、近年の日本からの資本の移動、事業活動の外国への移動ということを反映いたしまして、これら二つの地域につきましても現在アルゼンチン、トルコと締結交渉を行っておりますし、クウェート等中近東地
域の国から締結交渉の申し入れが行われてきているということで、今後これら例示的に挙げております二地域につきましても具体的な交渉、租税条約の締結というものが行われていく趨勢にあるということは申し上げることができると思います。
○田英夫君 そういう意味を込めてもう一つ伺いたいのは、いわゆるモデル条約としてOECDモデル条約と国連モデル条約があるということを聞いておりますが、特に国連モデル条約というのは、発展途上国との間の条約ということの配慮から、OECDモデルからさらに別のものがつくられたということを聞いておりますけれども、この二つのモデル条約のその辺の違い、国連モデル条約ができたいきさつというところをちょっと教えていただけませんか。
○説明員(丹波實君) おっしゃるとおり、モデル条約と言われるものに二つの種類がございます。
 一つはOECD、これは御承知のとおり先進資本主義諸国間の国際機構、経済機構でございますが、このOECDの租税委員会というものがつくりましたモデル条約が一つございます。一九六三年に初めてできまして、それが一九七七年に改定されたものが現在も続いておりますが、これは資本が相互に行き来し合う先進資本主義国間のモデル条約でございまして、基本的には相互主義的な考え方に立っております。
 もう一つは国連モデル条約でございまして、これは一九七九年に国連の経済社会理事会が中心になってつくったものでございますが、これは先進資本主義国と開発途上国との間の関係を見ますと、どうしても資本ですとかあるいは国際運輸所得の発生の仕方というものが先進資本主義国に偏る。そういう関係にありますので、相互主義的な考え方に立ってつくりますと開発途上国側に不利益になるという考え方に立って、OECDのモデル条約に相対するものとしてできたのが国連モデル条約でございます。幾つかの違いがございますけれども、基本的には開発途上国側の課税権というものをOECDモデル条約に比べて強めるという考え方でございます。
 具体的に申し上げますと、先生御承知と思いますが、例えば事業所得をとりますと、日本の会社が相手国に出ていって相手国で事業所得を得るという場合に、その相手国に恒久的な施設があってそこに帰属した所得にのみ相手国は課税をすることができるわけですが、開発途上国側はどうしてもこの恒久的施設、支店とかそういうことを意味しておるわけですが、それを幅広くとることによって課税権を広げたいという考え方を持つわけです。そういう意味で、国連モデル条約はOECDモデル条約よりも恒久的施設というものを広く定義するというところが一つ違いがあります。
 もう一つだけ違いを挙げておきますと、国際運輸所得、これは航空機による所得それから船舶の移動による所得でございますが、先進資本主義諸国間の考え方、OECD条約の考え方はこれらの所得はお互いに行き来するわけですし、それからどこで所得が発生したかというのはなかなか把握しにくい、したがってこれは相互に免除しようという考え方に立っております。ところが国連モデル条約は、まさに先進資本主義国から開発途上国側に飛行機が一方的に来る、船も一方的に来るという傾向にあるのでどうしても開発途上国側にも課税権を認めてほしいという考え方で、そういう違いがございます。
○田英夫君 日本の政府の方の立場とすると、この二つのモデル条約の中のどっちを選ぶのか。インドの例で今大臣の提案理由の御説明の中にも日本が多くの国と結んでいるOECDモデル条約を適用しているというお話がありましたけれども、今の御説明とあわせて考えますと、例えばベルギーとインドというまさにきょう出ている二つ国は、国の評価を言っては失礼ですけれども、先進国と言っていいベルギーと中進国でしょうか、インド。これにもう一つ、完全な発展途上国といえる国と三つ出てくると比較しやすいと思うんですけれども、やっぱり発展途上国と言われるような国との場合は国連モデルにしようという、そういうことを考えてもいいんですか。
○説明員(丹波實君) 例えばインドとの租税条約の例、それからベルギーと二つお挙げいたしますと、先ほどの恒久的施設の考え方につきまして、現在改定されましたインドとの租税条約はOECD条約が恒久的施設として挙げております以上に幅広く恒久的施設というものを定義しております。例えば今回追加されました条項といたしまして、建築工事現場、あるいは組み立て工事等に関連する監督活動、これも恒久的施設と認めておる。それから天然資源の探査のための設備、構築物というものもそういうものと認めておる。これはまさにOECDモデル条約以上のものを定義しておるわけです。それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、インドとの租税条約では航空所得については相互免除が規定されておりますが、船舶につきましては一定期間インド側の主張を認めまして、インド側にも船舶から生ずる運輸所得に課税権を認めておる。この点はOECD条約よりも広く相手国にそういう権利を与えているということでございます。ベルギーとの条約につきましてはこの点はどちらかと言えばより以上にOECD条約に近いものになっておる、そういうふうに御説明できるかと思います。
○田英夫君 私の要望したいのは、そういう国連モデルのようなものができてくるというそれだけのことが国際的に配慮されていると、日本という国は今まさに経済大国であって、むしろその国連モデル条約というものを発展途上国との間に結ぶ場合には、十二分に配慮をしてそういう方向に近づけていった方がいいのではないかということを申し上げたいわけです。
 次に、二重課税を回避する方法として外国所得免除方式と外国税額控除方式というのがあるということを聞いておりますけれども、これの違いですね、これはどういうことですか。
○説明員(丹波實君) 確かに先生おっしゃいますとおり二つの考え方があるわけでございますが、外国所得免除方式と申しますのは、二重課税を排除する方法といたしまして、一定の所得に対してもし相手国が課税するのであれば、この場合は日本、日本の大蔵省はその所得に対しては課税しない。そういうのが外国所得、つまり外国で生じた所得に対しましてもし相手国が課税するのであれば日本国政府としては、日本から見た課税はもうしないというのが外国所得免除方式でございます。
 外国税額控除方式と申しますのは、例えば日本で本来二〇%課税するということになっておる場合に相手国でもし五%課税するのであれば、日本ではその五%を二〇%から引いて一五%で課税しようという考え方でございます。この外国税額控除方式につきましては、今般のインドの例をとりますと、日本は従来から外国税額控除方式をとっておってそれが条約二十三条の三項に書かれておりますが、インドにつきましても二十三条の二項でインドも外国税額控除方式を採用するということが明記されておるわけでございます。
○田英夫君 発展途上国の場合、自国の特定の産業を振興するために国内の税の上で減免措置をとるというようなことでいろいろ対応しているというケースが多いと思うんですね。その場合に外国税額控除方式を適用すると、せっかくその国の産業育成のためにやっている措置が意味なくなるんじゃないかなという、そういう考え方があると願いますが。
○説明員(丹波實君) 私は税の専門ではもちろんございませんので、申し上げた数字が現実性を持っているかどうかはあれですが、相手国が五%課税する、日本は本来二〇%で相手国が五%課税した場合にはその一五%日本で課税するという、そういうことがもし存在した場合に、相手国が開発途上国であって日本からの資本を導入したい、そのために日本からの資本から生まれる配当、利子に対しては五%の課税はしない、したがってどんどん来てくださいという、それがその特別な減免措置を向こうがとった場合、その五%を相手国が課税しないから日本政府としては二〇%課税す
るということになれば、せっかく相手が五%減免しても意味がなくなる。したがって、そういう減免措置を相手国がとった場合には、特別に五%を相手がとったとみなしますということがみなし外国税額控除と呼ばれておりまして、これはまさにそういう減免措置をとった開発途上国側からそういうふうにみなしてほしいという要請があって、それを協定に書き込む。それは現在のインドとの条約の中にも書き込まれているというのが例でございます。
 ちなみに、この種の条約の例は、日本が結びましたものとしては中国とかインドとかフィリピンとかスペインとか、そういうものも含めまして大体十四ございます。
○田英夫君 これも日本の立場からすると、その配慮というのは非常に重要なことではないかと思うのでお聞きしたわけですが、ベルギーの条約の場合、親子会社の場合ですけれども、配当が日本の一〇%に対してベルギーが五%というふうに差がある。つまり、片務的になっているというこのことの内情、これは明らかに差があるわけですから、これはどういうことでそうなったんですか。
○説明員(丹波實君) 確かに、先生おっしゃいますとおり、両国で限度税率が異なっております。これは親子会社間の配当につきまして、日本側としては日本の条約例、ほかの国との条約例に倣いまして一〇%としたいということを主張いたしましたのに対しまして、ベルギー側からは、限度税率を引き下げることによりまして日本からの投資を誘致したいという理由から、片務的になっても構わないからベルギー源泉の配当については限度税率を五%とすることとしたいということの申し入れがございまして、それを日本としては受け入れた。したがって、片務的な形になったということでございます。
 私たちといたしましては、ベルギー側がこのような申し入れをいたしましたのは、ベルギーの隣にありますオランダが日本と結んでおります条約においてまさに片務的な限度税率五%、それに対して日本は一〇%という形になっておるものですから、オランダとの競争の関係上オランダ、日本の租税条約の形に合わせたというふうに考えております。
○田英夫君 ベルギーで今ユーロパリア日本祭が開かれているということですが、日本では意外に知られていないように思うんですね。ヨーロッパの人が知ってくれればいいということかもしれませんが、あれは日本の方ではどこが担当して、実際にはどんなことが行われているのか、ちょっと聞かしてください。
○政府委員(都甲岳洋君) このユーロパリア日本祭につきましては、日本ベルギー協会の会長であられる本田宗一郎氏を中心とするユーロパリア日本委員会が日本側では担当機関になっております。そしてユーロパリアというのは、ベルギーが中心になって年に一回ヨーロッパの国を中心にしてテーマ国を決めて文化祭をやってきたわけでございますけれども、今回初めて、日ベルギー間の緊密な関係にもかんがみ、日本をテーマ国にしてこれを行うということで大規模な文化行事でございます。
 で、開会式典におきましては皇太子殿下の御出席も得ましたし、そういう中でベルギー側の王室も参加されました。雅楽、歌舞伎、それから仏教美術展、各種シンポジウム、映画祭等三カ月にわたりまして七十余りの行事が行われており、今までの経過の中で大変大勢のベルギー人あるいはヨーロッパ人がこれを観覧しており、そういう意味で、大変に日欧間の文化交流として意義ある行事であるというふうに考えております。
○田英夫君 この辺で国際情勢一般の問題について外務大臣に伺いたいと思います。
 ソ連のヤコブレフ政治局員が十二日に最高会議議員団の団長として来日をされるということですけれども、これはいわば国会議員団の団長という形でおいでになるわけですが、ヤコブレフという人の立場を考えますと、つまり党の外交政策委員会の議長というんだそうですが、いわばゴルバチョフ外交をシェワルナゼ外相と支える両輪だと言われている人です。こういう立場の方が見えるということは日ソ外交にとって大変大きな意味を持つと思いますが、外務大臣としてこのヤコブレフ氏の来日をどういうふうに受けとめておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員御指摘のように、このヤコブレフ氏の来日というものはこれからの日ソの外交の展開の上で極めて重要な方であり、私どもとしては心から歓迎をいたしたい、このように考えております。
○田英夫君 大臣ももちろん海部総理もお会いになるというふうに伺っておりますけれども、これから話される内容について伺ってもこれはお答えになりにくいだろうとは思いますが、今当然日本とソ連との関係から考えますと、とにかく話し合いに入っていくということが大事なことはわかりますけれども、具体的な問題としては、大臣はどういう話をしたいというふうに思っておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 日ソ外相会談、それから高級事務レベルの会議が現在行われておりますし、先日もソ連外務省の対日担当官を日本がお招きをして、日本のソ連担当官とバイでいろいろとお話し合いをしていただく、また日本を見ていただくということによって、長年の懸案でございます日ソの間に解決しなければならない領土問題を含めて、これからの平和条約の締結に向かってあらゆる努力をしていかなければならないと、そのような経過が今日まであるわけでございます。そういう中でどのようなお話が出てくるのか、今この段階で私が予測をして申し上げるわけにはまいりませんけれども、これからのアジア・太平洋地域についてお互いに考え方を交換するということは、極めて重要な意味を持つものであるというふうに理解をいたしております。
○田英夫君 今領土問題というお言葉が出てきましたから申し上げますが、北方領土の問題がやはり今回の話し合いの中で具体的に出ると想定をしておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 私は、日ソ間の問題全体についていろいろと意見を伺ってみたい。それからもう一つは、アジア・太平洋問題についてヤコブレフ民の御意見を承ってみたいと、このように考えております。
○田英夫君 北方領土の問題が日ソ間の話し合いの入り口なんだということになりますと、これは私は日ソの話し合いというものが今後円滑に発展していくということにならないんじゃないだろうかという気がするんですね。私の意見で申し上げれば、北朝鮮との関係も、この前予算委員会で竹下元総理の三月三十日の御答弁のことも伺いましたし、それを海部総理も踏襲すると、こうお答えがありましたけれども、この場合でも第二富士山丸の問題というのが何か入り口にあって、それをクリアしないとどうも先へ進まないというような気がして私は仕方がないんです。そういうやり方をすると、今まで関係が冷たかった国との間を発展さしていくという場合にはまずいんじゃないか。その意味で、ヤコブレフ氏が来日して話し合いをされる中で出てくるかもしれないけれどもという、今のそういうニュアンスのお答えは私は賛成なんですね。むしろもう一つ、大臣が言われたアジア・太平洋の問題についてお互いの考え方をぜひ交換したいと、そういう姿勢は私は大変評価したいといいますか、それが大切じゃないかと思います。
 そういう意味で、北方領土の問題が入り口だということはお考えにならないかどうか、そこをちょっと聞かせてください。
○国務大臣(中山太郎君) 日本国にとりまして、北方領土問題を抜きにして日ソ間のこれからの友好親善を拡大してしていくということは、国会の御決議もありますし、なかなかこの問題を外すということは、現実問題として日本国政府としてはとり得ない立場でございます。
 ただし、領土問題だけ議論しているのでは、これはなかなか日ソの問題というものは将来の展望
について不透明な点が多い。こういうことで私どもは、やはり首脳レベルの交流あるいは外相会談あるいは文化交流あるいは人道的な援助、いろんな面で多面的にこの日ソ間の交流というものを深めたいという考え方は持っております。
○田英夫君 大臣がシェワルナゼ外相とお会いになったときに、一九九一年にゴルバチョフ議長来日という話が出てきたと聞いているわけですけれども、予算委員会でも申し上げたのですが、その点は大臣と意見が一致しませんでしたが、今の状態のままで来るんだと約束してくれたというふうにどうも私は受け取れない感じがするんですね。
 大臣は、もうこれはあれだけ言ったなら来日するんだというお立場のようですが、むしろヤコブレフ氏が来るという状況の中から発展をしていけば、一九九一年――二年先のことですから、この激しい動きの中で確定とは言えないかもしれませんが、ゴルバチョフ氏の来日ということでさらに発展をする、その辺の見通しですね。今度あれだけの人が団長で来るということの意味づけにもなるんです。これはやはりゴルバチョフ来日につながってくるとお考えですか。
○国務大臣(中山太郎君) 私は日ソ双方それぞれ対外、対内的な政治の環境の変化というものが双方の国であるだろうと思います。しかし、ソ連の国内政治情勢あるいは衛星国との関係というものと日本との政治の環境というものを比較しましたときに、日本国の政治情勢というものはそう大きな変化を起こすとは考えておりません。むしろソビエトの国内政治、これが一体どのように変化をし、現在のペレストロイカとグラスノスチによるソ連の新思考による政治というものが成功していくかどうか、ここらが実は現在まだはっきりと私どもの頭の中で見通すことが困難な状態にあるのではないか。ただし、いい方向にいくように大変ソ連政府は苦労されておると認識をいたしております。
 一昨日でございましたか、キャンベラで日米外相会談を実はやってまいりましたけれども、ベーカー国務長官に私から率直に実はお尋ねをいたしたのが、十二月二日、三日に行われる地中海における米ソの非公式首脳会談、これはどういうことで実際これが持たれるようになったのかという話し合いをいたしましたが、これはあくまで明年に予定されるゴルバチョフ、ブッシュ両首脳の会談の前にまずこの二人の首脳がお互いに虚心坦懐に国際情勢、米ソ関係あるいは激動する東欧の問題、アジアの問題等を含めて非公式に議題を特定せずに会って話し合うという場を設定するということで、これは実はソ連側が受けたということであるというふうに説明を受けました。まことに歓迎すべきことであると私は申し上げたのであります。
 そのようなことで、明年は米ソ首脳会談が、公式会談が行われることが既にセットされているわけでありまして、やはりソ連の国際政治あるいは国内政治の両面のスケジュールの上から、この明後年のゴルバチョフ書記長の来日というものは大いに期待ができると、可能性に対して非常に高い信頼度を実は私は持っておりますが、それまでにヤコブレブ氏の国会招待による訪日、あるいは十二月の日ソの平和条約作業グループの事務レベル協議、またシェワルナゼ外務大臣の訪日という問題を踏まえて、私どもは幅広くこの協議を続けていくことによってゴルバチョフ書記長の来日が行われるものだというふうに期待をいたしております。
○田英夫君 今のお話で、今回来日するヤコブレフ氏が、ゴルバチョフ議長の意向を当然受けてのことですが、特に最近のソ連の外交あるいは核軍縮、あるいはヨーロッパでは通常兵器の軍縮を含めて、軍縮についての非常に積極的な、まあ言葉は悪いですが平和攻勢というような言葉が使われている。そういう態度からしますと、今度のヤコブレフ氏の地位や立場からもあわせて考えますと、今度の来日の中でかなり大胆な提案あるいは発言をしてくるんじゃないだろうかという感じがいたします。これを政府として十分受けとめていただきたいわけですが、特にアジア・太平洋の平和について既にゴルバチョフ議長は提案をしているわけですから、そのことについてかなり具体的に日本に対して協力を、あるいは日本の意向を聞くという形で協力を求めてくるのではないだろうか。この辺はいかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) もう数日後に来日されて、いろいろと総理あるいは私、あるいは国会の各党の方々との間での会談が持たれるわけでございますから、私どもはその会談によってヤコブレフ団長の御発言あるいはお考えを承ってまいりたい。その中には、先生御指摘のように、いろんな問題が出てくる可能性はあろうかと考えております。
○田英夫君 別の問題に移りたいと思いますけれども、在日米軍の経費負担の問題が日米間で今一つの問題になっていると思いますが、アメリカの議会の動きが大変激しいといいましょうか、既に上下両院でそうした決議が可決をされている。特に上院の場合は全額日本に負担させるということですけれども、これが上下両院一つのものにまとめられてくる、そして日本に迫ってくるという状況ではないかと思うんですね。
 この点について、もしそうしたアメリカ側の議会の動きがアメリカ政府を動かして、政府も日本政府に対してそうした要求を強めてくるということになりますと、当然日米地位協定というものに触れてくる、こう考えざるを得ないんですが、地位協定の改定というところまで含めてお考えになるおつもりがありますか。
○国務大臣(中山太郎君) ございません。地位協定の改定は考えておりません。
○田英夫君 これは非常に重要なことだと思います。
 きょうは経済の問題は触れませんけれども、経済の問題でも今アメリカは日本に対して非常に厳しい姿勢をとり続けてきているわけでありまして、決してこれは無関係でないと思うんですね。もちろん経費の問題というのはある意味では経済そのものですから、そういう中で日米間の関係を非常に大きく崩すことになってしまう。この点は、今の外務大臣の地位協定は改定しないという御答弁は大変貴重なものだと思います。
 ここでちょっと参考のために伺っておきたいんですけれども、現在のいわゆる円建て経費を負担するという、光熱費とか日本人の従業員の本給を負担するとかいう場合の金額と、全額負担になるとどのぐらいの費用になりますか。
○政府委員(有馬龍夫君) 御質問の趣旨は大変明確でございますけれども、米側が在日米軍経費と申しておりますものの内容が詳細わかっておりませんので的確にお答えするのは困難なんでございますが、例えば米側によりますと、八七米会計年度では、これは八六年十月から八七年九月になるわけでございますが、在日米軍経費として約三十六あるいは三十八億ドル負担してきたということを申しております。
 それから、他方、昭和六十二年度予算における我が国の負担額は約二十億ドル、これは三千百六十億円ということで約二十億ドルなんでございますが、この八七米会計年度を考えました場合に、どの部分が円建てなのかというようなことがわかりませんので、今の先生がおっしゃられました御質問に対して、例えば円ドルの変動ということもございまして大変難しゅうございます。ひとつ御理解いただきたいと思います。
 規模は今申し上げたようなことで……。
○田英夫君 私の意見を申し上げると、この前の予算委員会でも言いましたけれども、国際情勢全般の大きな方向というのは明らかに緊張緩和の方向にあるという中で、あえてこの外務委員会でも以前に、三塚外務大臣のときですか、申し上げたことがありますけれども、一九九五年、つまり第二次世界大戦が終わって五十年というところの節目を目標にして世界じゅうに展開しているアメリカとソ連の駐留軍、外国に駐留している軍隊並びにその基地をすべて撤廃するというようなことをやるべきではないかと、これは全くの私見ですけ
れども思っているわけですね。そのくらい私は世界の緊張緩和というのは進んでいいんじゃないかと思いますし、それから第二次世界大戦の結果をそういつまでもお互いにしょっていくということはよくないんじゃないか。
 日本は戦争に敗れた敗戦国でありますから、こういうことを日本から提起することはいささかどうかという感じはいたしますけれども、しかし今ドイツの状況、特に東ドイツの変化を考え、あるいはフランスあたりでは東西ドイツの統一もむしろ早いというような声さえ出てきているということを聞きますと、そういうことをすべてあわせ考えたときに、いつまでも第二次世界大戦の結果を固定しておく必要はないんじゃないか。西ベルリンに行きますと、ルフトハンザは西ベルリンに入れなくて米英仏の飛行機だけが入ることに対して西ドイツの人は明らかに不満を隠さない。心理的なことを含めて、こういう状況をもう取り払うべき時期に来ているんじゃないかなという気がするんですね。そういうことまで含めて米ソの軍隊全面撤退というようなこと、これは容易なことではありませんけれども、私は世界じゅうの市民運動のような声で起こってきても決して不思議ではないという気さえいたします。
 そんな状況で考えるときに、日本に駐留をしているアメリカ軍、これは明らかに私は削減をする方向にいって不思議ではない、日本の中からもっとそうした声が起こっても不思議ではないと私は思っております。ですから、そんなときにアメリカの身勝手な経費負担の問題に日本側が折れてしまうというようなことがないことを切に要望しておきたいと思います。いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 先生もこの間予算委員会で御指摘になりましたように、百年に一度来るか、あるいは戦後初めて我々が体験する大きな国際政治の激動期に入っていると私も認識しておりますし、先生もそのようなお考えを御披露になりました。全く先生のお考えと私との考えではそういう国際政治の面での大きな変化、特にソビエトを中心とする東側諸国の変革というものは、我々が予想もしなかったような事態を迎えている今日でございます。
 そういう中で、ヨーロッパとアジアと比べてどちらが安定感が強いかというと、私はむしろヨーロッパの安定感の方がいわゆる安全保障の面ではアジアよりももっと進んでいるんではないか。そういう中でINFの全廃条約が米ソで合意されるという、やはり変革期こそ最も危険な時代であるというふうに逆に実は私はこの動きを見ておりまして、特にアジアでは、中国のこれからの動き、それから先生先ほど御指摘のような北朝鮮の政府の考え方、あるいはカンボジア和平の問題、いろいろとまだ我々日本の周辺にはヨーロッパと比べると不安定な国際情勢が依然として現存をいたしておりますし、米ソ間のアジアにおける、何といいますか、抑止力のバランスも高いグレードにおいて維持されている。私どもは、そういう中で大きな世界の流れを見ながら、アジアの主要な一国としては、このアジア・太平洋地域の将来の二十一世紀の繁栄のために、これからどのようにやっていくかということを相当多角的に協議をしていかなければならない。
 またもちろん、国際政治に精通されている田先生の御意見なんかも十分お伺いしながらこれからの日本の外交に資したい、このように考えております。
○田英夫君 大変私も共鳴をする部分が多いんですが、だからこそ、先ほども申し上げたように、ソ連側からヤコブレフ氏が来日した機会にアジア・太平洋について大胆な提案が出てくるんじゃないかなということを私も予想しているわけです。
 これに対して、今おっしゃったとおり、全くヨーロッパに比べてアジア・太平洋地域の状況というのは依然として安定度がヨーロッパほど高くないということには私も全く賛成です。その原因は一体何かということを日本としては厳しく考えなくちゃいけないんではないか。日本がイニシアチブをとってアジア・太平洋地域で一つの平和のための話し合いの機関をつくってもいいんじゃないかなということを感じます。
 特に、今名前を挙げられた中国、それから朝鮮半島の南北、そしてカンボジアの問題の収拾を含めて、ASEANまで含めた地域の安定というようなことを考えたときに、オーストラリア、ニュージーランドまで含めてこのアジア・太平洋の平和のための話し合いの場というものをつくる必要がある、これがこの地域の安定につながるんじゃないか。ソ連は恐らく、アメリカも含めて、これに参加をするという態度をとるかもしれませんが、最後に大臣にこの辺のお考えをもう一回伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 実はキャンベラで行われておりましたアジア・太平洋の閣僚会議、これに出席しました際にASEAN諸国の外務大臣とも幾たびか意見を交換してまいりました。また、ベーカー長官との会談でも、日本がこれから対ソ外交でどのような日程が考えられているか、先ほど先生に御答弁申し上げましたようなヤコブレフ氏の来日を初め、十二月の日ソ平和条約作業グループの会合、シェワルナゼ外務大臣の来日というような一連のスケジュールも率直にお話をいたしてまいりました。
 やはりアジア・太平洋地域の外務大臣の考え方の中には、これからアジア・太平洋の時代が来る、そういう中でこれからどのようにこの地域の平和とか安全保障とかそういうものを考えていくか、こういう問題は、これから我々が国際情勢の大きな動きの中でそれぞれが絶えず連絡をし、意見を交換しながら相互に協力をしていかなければならない。そういう中で、やはりASEAN各国の代表者たちの意見を聞いても、この不安定な状況下にあるカンボジア問題、この問題がなかなかそう簡単に現状では年内に片づくというような状況ではない。そういうことを踏まえて、私どもとしてはこれから緊密な連絡を各国ととりながら、アジア・太平洋地域のこれからの繁栄と平和のために努力をしていく機会を見出さなければならないと、このように考えております。
○田英夫君 最後の質問にいたしますけれども、もう一つ突っ込んで、先ほど私が申し上げた、場をつくる、日本がイニシアチブをとってアジア・太平洋各国に呼びかけていわばアジア・太平洋平和会議というようなものを設定するということはいかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 今まで双方のいろんな国々の学者グループあるいは外交専門家たちの会合、いろんな政治以外の分野の方々の場でもいろいろとこのアジア・太平洋に関する会議というものが開かれてきたことは先生も御存じのとおりでありまして、私どもとしては、相手のあることでございますから、まず来週お越しいただくヤコブレフ最高会議議員のお話もよく承った上で、私どもとしてはアジアの平和のためにできるだけの努力をしていかなければならないと、このように考えております。
○田英夫君 終わります。
○久保田真苗君 私はきょうは、外国人労働者問題ないしは不法就労者とか不法滞在者とか呼ばれている一連の問題について伺いたいと思うんです。
 まず第一に、外務大臣はせんだって外国人労働者問題に関する関係閣僚会議というものを提案なさったと伺うんですが、その御趣旨あるいは理由などお聞かせください。
○国務大臣(中山太郎君) 実は、委員も御存じのように、現在の日本には観光ビザあるいは留学生ビザで入国している外国の方々、その方々の中でいわゆる不法就労、日本の国内法で見れば不法就労と思われる人が約十万人いると推定をされております。
 そういう中で、今まで関係各省の事務レベルでの協議がございましたけれども、これから日本国家として外国人の日本における不法就労問題、あるいは将来考えられる技能者レベルの日本における研修問題、こういうものを含めて、日本国の将
来の大きな一つの問題でございますから、単なる事務レベル協議ではなしに、やはり国の未来に責任を持つ閣僚レベルでこういう問題を大所高所から議論をしなければならない、こういうふうに思いまして、実は先般官房長官に申し入れたような次第でございます。
○久保田真苗君 これはいつごろ開かれるという見通しをお持ちでしょうか。
○政府委員(久米邦貞君) 開催の時期等につきましては、現在内閣において検討中と承知しております。
○久保田真苗君 それで、関係省庁の連絡会議というものがございますけれども、これとの関連があると思うんです。関係省庁連絡会議の活動状況について、今現在この問題について何を決め、そして何を実行するつもりかということをお聞かせください。
○政府委員(久米邦貞君) 外国人労働者問題を中心とする外国人受け入れに関する諸問題を検討するために、ただいまお尋ねのありました十七省庁の局長レベルから成ります外国人労働者問題関係省庁連絡会議というものが昨年の五月十三日に設置されております。この会議は昨年の五月に第一回の会合を開いた後、第二回会合を昨年十一月、第三回会議を本年十月に開催しておりまして、随時その結果については関係諸大臣に報告されております。
 また、局長レベルの会議のほかに、課長レベルの会議を随時開催しておりまして、このほか各省庁、関係省庁に対して事情聴取等を行っております。
○久保田真苗君 最近、閣議の口頭了解で、例えば入管法の問題あるいは研修生の受け入れ問題等が了解されていると聞きますが、その内容はどういうふうになっておりますか。
○政府委員(久米邦貞君) 政府としまして従来の方針は、専門的知識、技能を有する外国人労働者についてはできる限りこれを受け入れる、ただし単純労働者については今後慎重に検討していくというのが従来の政府の方針でございまして、これを踏まえて現在検討中ということでございます。
○久保田真苗君 入管法の改正を行うということをお決めになった理由、それとどういう問題意識か、何をするのか、それについてお聞かせください。
○説明員(町田幸雄君) お答えいたします。
 今般の入管法の改正案におきましては、我が国の経済社会の国際化の進展に伴う外国人入国者の増加と、入国、在留目的の多様化、それから不法就労を行う外国人の急速な増大等、最近の諸情勢に的確に対処いたしまして、外国人の出入国、在留の管理を適正に行うことができるように所要の改正を行おうということが主要なポイントでございますが、そのために外国人の在留資格の拡充整備、それから上陸審査基準の明確化、これは従来法務省内部の入管局の通達でやっておりましたものを省令に格上げしまして、いわばガラス張りにして外からもわかるような基準をつくる、こういうこと。それから、入国審査手続の簡易迅速化及び不法就労外国人にかかわる雇用主等あるいはブローカー等に対する罰則の新設等でございます。
 このうち不法就労外国人にかかわる雇用主あるいはブローカー等に対する罰則の新設の趣旨は、一方では、不法就労外国人を来日させる推進力あるいは吸引力となっているものを取り締まろうとするものでありますとともに、もう一つには、ブローカーあるいは悪質な雇用主が不法就労をしている外国人からの搾取あるいは強制売春等の人権侵害を引き起こしている主な原因になっている、こういうぐあいに考えておりますので、そういったものを取り締まらなければならないという考えを持っております。
 この点についてさらに御説明いたしますと、ブローカーやあるいは悪質雇用主は不法就労外国人に対する入管の入国、在留管理を潜脱させている、不法就労外国人を我が国に入国、在留させているわけでございますが、その上で強制的に売春させるなど、その人権侵害を惹起しているものでございます。これを放置したままにしておきますと、不法就労外国人の人権に非常に大きな侵害を与えるばかりでなくて、国際的非難を受けかねないと考えております。そのような考え方から、入管の入国、在留管理の上からだけでなく、不法就労外国人の人権を守る上からもブローカー対策等が極めて重要なものと認識しておりまして、そのために先ほど申しましたような罰則の新設を考えているわけでございます。
○久保田真苗君 特に暴力団絡みのブローカーというものの暗躍が非常に著しくて、これは私も二年前に他の委員会でお伺いしたことがあるんですが、その後の状況、非常にいまだに行われているということについて後で伺いたいと思いますけれども、その意味では有効な対策がとられることを期待している次第です。
 次にお伺いしたいのは、研修生の受け入れ拡大ということを聞いておりますけれども、労働省がおられると思いますが、研修生の受け入れ拡大というのが実際には研修名目の入国を拡大して単純労働への規制を緩める一方策ではないかという、そんな批判がなきにしもあらずなんです。この点については、どういう拡大の目安あるいは拡大の実質的な内容、どんな仕事で実際に行われてきているか、年に何万人なのか、そんなことをちょっとお聞かせください。
○説明員(吉免光顕君) お答えいたします。
 先生おっしゃいますように、研修生は確かに年々入国が増加をしてきております。六十三年の実績で、政府ベース等の分も含めて二万三千人入国をしております。そういった研修生の中に、先生御指摘のように研修名目で労働まがいといいますか、そういった実態で研修が行われているという、そういう指摘もございます。私どもは、そういった研修を推進し拡大するということで考えておるわけではありませんで、むしろアジア諸国の技術、技能者育成というような観点で技術移転を生じさせたい、そういう意味で研修の拡大ということを十分に検討していきたいというふうに考えております。
 ただ、そういったものを考えてまいりますときには、確かに実態が労働になる心配もあるというようなこともございますし、そういったものの研修効果というものをどういう形で評価していくか、あるいは帰国後就職がどういった形で担保されるかというような問題、いろいろございますので、そういうものも十分検討した上で研修拡大に向かっていきたい、こういうふうに考えております。
○久保田真苗君 実際に事業所側の研修生についての受け入れの手続、これはどうなんですか。労働省の方あるいは都道府県の方、そういったところで実際に具体的にだれがどこで働いているというようなことが明らかにされるという、そういう手続をもって行われているのかどうか、その辺はどうでしょうか。
○説明員(町田幸雄君) 研修にもいろいろな形の研修が現在我が国では行われております。一つのものとしては、政府のプロジェクトとして行われているものもございます。それから、民間のプロジェクトとして行われている研修もあるわけでございます。またその研修の期間、これもさまざまでございます。
 私ども入国管理を預かる立場から申しまして、現在研修の実態が非常に把握しやすいものと把握しにくいものの二種類がございます。どういうことかと申しますと、原則的にはその外国人が我が国に入るについてその国の政府の出す旅券と査証が必要なわけでございますが、その査証の発給の際に、こういう人を我が国に研修という目的で入れますがよろしいでしょうかということが外務省から照会があって、その照会に対して我々が回答をするというような形で査証が出るというプロセスをとる場合には、その人がどこで働いているということが我々としてはわかるわけですが、そうでなくてもう一種類、そういう手続を経ずに外務省の在外公館限りにおいて査証が発給される場合がございます。これは短期間の研修で、例えば期
間が六カ月以内というようなものについてはそのような手続で行われているわけでございます。そのような場合には私どもではそれが当初把握できない。私どもで把握できるのは、その人がさらに在留期間を更新する必要があるということで手続に来たときに初めてわかるという構造になっております。したがいまして、今の御質問に対しては、把握できるものもあるしできないものもある、こういう状況でございます。
 そこで、私どもといたしましては、現在研修について実態がどういうものが行われているのか全体的に把握し直そうということで実態調査等を行っておりまして、また労働省あるいは外務省その他関係機関とも協議いたしまして、研修のあり方についてこれから勉強してまいりたい、このように思っているわけでございます。
○久保田真苗君 今の研修生の受け入れにつきまして、それはぜひそういうふうに実態を把握していただいて、きちんとした対応をとっていただきたいと思いますけれども、労働省の場合は研修生として受け入れるというところに一つの道を見出しているようなんですけれども、これは労働省では当然労働基準法なりその他災害関係の法律なり、そういった労働法の適用があると考えられますので、この点について、この面からの把握というものは労働省は十分になされているというふうにお考えでしょうか。
○説明員(吉免光顕君) 外国人に対する労働法の適用の問題ですけれども、実は研修生と労働者とは労働法上は一応区別をして考えております。
 労働者につきましては、職業安定法あるいは先生おっしゃるように労働基準法等そういった労働関係法規は、外国人であろうと日本人労働者であろうと同じような考え方で適用しているということでございまして、外国人労働者につきましてはこういった法律が適用されるように指導監督をしておるわけであります。また、そういった面で法違反がございましたらば厳正に対処するという形で考えております。
 研修生につきましては、そういった意味での労働者ではございませんので、先ほど御指摘もございましたように、実態的に労働まがいの研修になっている等々の問題が指摘されておりますので、そういう観点で行政指導をしてまいるという形で対処しております。
○久保田真苗君 労働省としては、昨年の雇用対策基本計画の中でこれについての当面の対処方針というものを出していらっしゃるわけですけれども、その点からいいまして、一般的には単純労働を受け入れないということをやっていらっしゃるんだけれども、その中で研修生としての受け入れということを考えていらっしゃる。そうすると、それは今おっしゃったように労働法の対象にもならないということでございますと、労働省としてはこの方たちの保護等につきましてどういう対策を持って臨んでいらっしゃるのか、それだけちょっと伺っておきます。
○説明員(吉免光顕君) 先生御指摘のように、私ども昨年第六次雇用対策基本計画の中では労働市場とかあるいは労働条件の面で非常に大きな影響が出るということを考えまして、単純労働者については慎重に対応していこうということで考えてきたわけでございまして、御指摘のような問題のある研修生がふえてまいりますと、そういった考え方ともそぐわないという事態が生じてまいります。したがいまして、研修生の入国についてのあり方あるいは研修中の事業所への指導、そういった面を強化しておりますし、ことしの七月に、事業主指導等を含めまして全県の都道府県知事あてに実は私ども通達をし、そういった面での指導強化をするように地方自治体にも指示をさせていただいているところでございます。現在、そういったものを踏まえまして労働者あるいは研修生を含めたそういう事業所の中での指導を強化しているところでございます。
○久保田真苗君 外務大臣、最近新聞の世論調査でもこの外国人労働力を受け入れるか否かという世論調査がございました。それで、この中では受け入れを容認するという人がかなり多いわけでございます。そしてその一方で、外国人労働力をどう見るかという点で見ますと、人手不足を補っているとか安い労働力だとか、それから嫌な仕事を押しつけているというような意見もございまして、いわゆる先進国の務めとしてこれをある程度受け入れるということはその務めだという考え方のほかに、三K、つまり汚い、きつい、それから危険ということ、それからチープレーバーの温床だというようなこと、そういういろいろな意見が今ある段階でございます。外務大臣は、こういうものをごらんになってどういう所感をお持ちでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 外務大臣として申し上げるのが適当かどうかわかりませんけれども、本来は労働大臣のお考えの問題かもわかりませんが、外務大臣として、国務大臣として率直に私の意見を申し上げますと、今先生御指摘のように、きついとか汚いとか危険とかというような作業に日本の人たちがつくことを嫌がる風潮が出てきていることは否めない今日の事実だと思います。そういうところに外国から働きに来た方々が集中的に入っていくというようなことになってくると、日本の労働市場の中に一つの構造上の問題が出てくるんではないか。
 そういう問題を国家としてよく考えてこれから対処していかないと、将来いろんな労働構造の問題で禍根を残す可能性がある。ここらも先ほどから委員いろいろと御質問でございますけれども、きょうは国務大臣として、私はそのような一つの危惧を持っておるということを率直に申し上げておきたいと思います。
○久保田真苗君 こうしたことを考えるすべての前提として、先ほども出ております人権の問題、それから特に強制売春といったような問題、それから労働力の搾取の問題、そしてもろもろの法違反の問題というものが行われておるわけでございます。特にブローカーの暗躍によりますいろいろな問題が最近も後を絶たないという状況でございます。
 最近の新聞に大きく報道されました奈良県大和郡山市の売春問題なんですが、これは初めに大阪入管局へ助けを求めた女性から事のきっかけが起こっておりますので、私この問題についてちょっとここで調査の結果を伺っておきたいと思います。法務省、お願いします。
○説明員(町田幸雄君) 委員がただいま御指摘になられました大和郡山市内における旅館街につきまして、ことしの六月、六軒の旅館に立入調査いたしまして、売春婦として稼働しておりました――入管法上は不法残留になっているフィリピン人女性三十一人を入管法違反ということで摘発いたしました。その旅館街におきましては、昭和六十二年以降、約三十軒旅館があるわけでございますが、そのうちの十七軒に対して合計二十四回にわたりまして大阪入国管理局が調査を実施しております。そして、合計九十四人のフィリピン人女性を摘発しておりますが、これらの女性たちあるいはそういう関係者を調べたりしておりますと、委員が先ほど来御指摘になっておりますように、その旅館で、何というんでしょうか、ブローカーに連れてこられて、そこで売春をしていた。新聞報道にあるほど厳格に、何というんでしょうか、見張りを立ててその旅館からの外出を禁止していたというほどではないようでございますが、かなり管理売春的な色彩がある、そういう形で売春をしていたということは事実であったようでございます。そして、そういうふうなことがわかりました。
 ただ、その旅館街につきましては、ことしの十月に委員が指摘された新聞で大きく取り上げられたこと、それからまた奈良県警の手入れもなされたことなどから、そこで働くこのフィリピン人女性は今現在そこにはいなくなった、別な場所へどうも移動したようであるということでございます。
 その後、十一月六日、大阪空港出張所に出頭した不法残留フィリピン人女性二名がおりまして、
その者がその旅館街で働いていたというようなことを申しておりましたので、私どもは警察と共同しまして、翌日七日にその働いていた先から移った先を調べましたところ、そこにやはりもとその旅館で働いていたフィリピン人の女性等七名がいるのがわかって、それぞれ警察で逮捕したりあるいは入管で身柄を収容したりして、その背後関係のブローカーの解明、これにこれから当たっていくという状況でございます。
○久保田真苗君 警察の方で協力して捜査をお進めになったようですけれども、お伺いしましたところ、既にそこにいる女性たちは逃げたかあるいは全部連れ去られたかそういった状態で、行方不明と伺ったのです。その調査結果の概要をちょっと御報告いただきたいと思います。
○説明員(根本芳雄君) 先生御指摘のように、今入管当局と協力してこの事件をいろいろと検討しております。
 現在のところ発見された女性の数が少ないということで、なかなか突き上げ捜査が難航しておりますけれども、旅館の経営者等三人を管理売春等で逮捕して指名手配も打ったと、こういう状況ですが……
○久保田真苗君 済みません。ちょっと聞こえないのですが、大きい声でお願いできますか。
○説明員(根本芳雄君) 初めからやり直した方がいいですか。――この事件は、先生御指摘のように、女性が入管の方に出頭して被害を申し出たということで発覚したわけでございます。そしてその後、入管と協力して事件を今鋭意捜査しておりますけれども、現在のところ奈良県警ではそのうち旅館の経営者を三人ほど逮捕して、一部管理売春で逮捕しておりますけれども、さらに一名を書類送致しております。旅館二十九カ所あるいは暴力団事務所四カ所等も関係するということで捜索を実施しております。
 ただ問題は、先生今御指摘のように、百人ほどいたという女性のほとんどがどこかへ行って発見できない。そのうち現在のところここに、この東岡町で働いていたと思われる女性十二人は、警察や入管の御協力で発見して突き上げをして、管理売春等を立証しようと思っておりますけれども、その他の女性については現在のところはっきりわかりません。関係の警察等を通じて行方を今捜していると、こういう状況でございます。
○久保田真苗君 私、警察が熱心に捜査してくださるということは大変歓迎なんですけれども、こういうふうに九十人からの人が一斉にいなくなってしまったということをどういうふうに考えたらいいんだろうかと思っているんです。
 この方たちはだまされてスナックで働くんだといってウエートレスだと言われたり、いろいろだまされてフィリピンから随分連れてこられた。中にはあきらめて割り切っている人もいるかもしれないけれども、そういう状態でキリスト教系の団体に助けを求めたり電話で助けを求めたりという、そういう状況なんですね。
 ところが、一斉にいなくなってしまったということは、それは一つは管理売春であるということの証拠を消すという目的が一つあると思われます上に、そういうふうにして一カ所で女性をあっせんして、報道によれば一人百万からのお金をブローカーは旅館から受け取っているというふうに報道されております。金額の点はともかくとしまして、そういう形であっせんをしている。そこに大きなもうけがあるわけですね。しかも、それを何人もやっている。それが警察の捜査があったということで、クモの子を散らすようにそれをまたまたどこか別のところへあっせんしているんじゃないか。そして、またそこであっせん料を得ているのではないか、そういう土地転がしといいますか、ここではもう外国人女性転がしというような非常に悪らつなことが行われているのではないかと、私はそういう疑問を強く持つんですが、警察ではその辺をどういうふうに把握していらっしゃるか、お聞かせいただきたいんです。
○説明員(根本芳雄君) 警察としては一生懸命今その問題に取り組んでおりますけれども、さっき申し上げましたように、外国で直接暴力団やそういうブローカーが、例えばフィリピンとかそういうところへ行って募集してきて連れてくるとか、そして今度また日本の国内へ来たらまた別々なルートをつくっているとか、いろんな形がどうもあるようです。ただ、それ全部が一元的にコントロールされているわけではなくて、それぞれ別々の形でどうも入ってきている。今回わかったやつでも旅館の経営者が直接向こうへ行って何人かを連れてきている、こういうケースもあります。実際問題としては、女性の方のいろんな事情もあってどっかへそのまま行く場合もあるし、それから今御指摘のように、ブローカーがほかのところへあっせんしたケースも多分あるんだろうと思います。
 そういう意味で、現在この東岡でわかった問題については、旅館の経営者が直接自分でフィリピンまで行って連れてきた、こういうケースでした。
 ただ、いずれにしても、これは非常に広範囲に女性のほとんどは多分そういうブローカーを通じていろんなところにあっせんされているのであろうと、こういうふうに推測されますので、今後ともそのブローカーをぜひとも取り締まりを強めて、そういう被害が少なくなるようにやっていきたいとこういうふうに考えております。
○久保田真苗君 ブローカーについて、このブローカーはどういうところの人がやっているか、そういうことは大体わかっていて、そしてその辺の捜査が進んでいるわけですか。
○説明員(根本芳雄君) 東岡については全部というわけにはまだいっておりません。何組か少しわかり出している。問題は、女性が百人いても、これが一人のブローカーがやったのではなくて、実際は多分何組も別々のルートで来ているんだろうと思います。
 ですから、今一生懸命やっておりますのは、そこで働いていた女性をできるだけ発見して、その女性からどういう実態であったかということを聞き出さないと先に進めないということで、その部分を一生懸命やっているわけでございますけれども、その辺今十二名ほどしか発見に至っておりませんので、今のところわかっている状況はその程度ということでございます。
○久保田真苗君 ブローカー対策としては、今後どういうことが有効に行われると思いますか。
○説明員(根本芳雄君) 基本的にはこのブローカーの実態を把握するということですけれども、外国にいるケース、外国人がその国で集めて、そして日本のブローカーに引き渡したり、あるいは日本人が直接向こうへ行ってやっているケースとかいろんなケースがあるということと、それからブローカーといってもずっとその仕事だけやっているわけじゃない。捕まったら今度は別の人がやるとか、ちょっとうまみがあるということで次々とかわる、こういう難しさがあります。そういうことがありますけれども、暴力団が関与しているものとか、そういうことが常習的にあるようなものを一生懸命捜し出して、これを徹底的に把握して取り締まりたいと思っております。
 ただ同時に、どうしても事件の性格上、犯罪として立証しなきゃいけませんので、その辺の女性の協力を得ないとなかなかそこまで立証してなくすことができない。そういうことで、両面にわたってできるだけ幅広くいろんな情報を収集してやっていきたい。さっきの入管法なんかの改正をしていただくとその点でも大変強い武器になるんじゃないかと思います。いずれにしても大事な問題でございますので、鋭意取り締まりを強めていきたい、こういうふうに考えております。
○久保田真苗君 この女性の協力を得るということなんですが、入管法違反だということで即座に帰国、退去させられてしまって、到底これは証言も何もできないという状況になるという話も聞きますし、また捜査の結果、なぜかその女性たちがどっかへ行ってしまうという状況があるわけでございまして、悪質なブローカーというものがここで介在しているということがやまらないわけでご
ざいますから、この点についてぜひきちんと有効な捜査、それから取り締まりをしていただきたいと思うわけです。
 今度の入管法の改正によりまして、例えばこういった女性が即時追い返されないでも、必要な期間そういうことのために滞在するというようなことはお考えなんでしょうか。
○説明員(町田幸雄君) 入管法の改正案の中にはそのようなものは入っておりません。ただ、私ども従来から、刑事事件の参考人、あるいは裁判の関係で必要であるということであればでき得る限りその要望に応じるように、要するに実務の運用といいましょうか、それで対処してまいりまして、そういう例は幾つもあると思います。最近でも名古屋の方でやはりフィリピン人の女性のケースがございまして、その関係でぜひしばらく残してほしいというようなことがございましたので、私どもはそれに協力をしたというようなこともございますし、そのような例は幾つもございます。
 ただ、この関係で申し上げておかなければならないのは、ただの参考人という立場でございますと、入管法では、これはその人が早期に帰国したいという希望を持っている、これを押しとどめておくということは、やはりまた人権上別の問題が出てきてしまうということでございます。そうしますと、その点も考えながら、しかしまた実際の、何というんでしょうか、ブローカー対策等が有効にできるようにするためには、やはり司法当局等と私どもで相互に情報交換をしながら、そしてその事案に応じて個々的に対処するのが一番妥当なのではないか、このように考えておる次第です。
○久保田真苗君 ちょっと大蔵省に伺いたいんですが、こういうことに関する課税の問題それから融資の問題なんですけれども、こういったことで摘発されたところに融資してきたり、それからこういうものの課税はどうなっているのか、それを簡単に伺っておきたいんです。
 なぜかと申しますと、結局こういった管理売春、強制売春あるいはこういうブローカー、こういったものが経済的には引き合わないんだということで思い知らせることが必要だと思うわけですね。そういう点はどうなっていますか。簡単で結構ですから、方針などちょっと伺わせていただきたいと思います。
○説明員(武藤敏郎君) まず金融機関の方の問題についてお答えさしていただきますが、大蔵省といたしましては、金融機関の公共的な性格ということにかんがみまして、この社会的信頼を損なうようなことのないように慎重に配慮してほしいということを要請してきております。
 御指摘の問題につきましては、去る九月に全国銀行協会あるいは全国信用金庫協会とか、金融機関の協会に対しまして例えば個室つき浴場業のためのそういう融資につきましては当該業者の経営の実態を十分に把握いたしまして、法律に違反するような行為を助長するおそれがあると考えられる場合には当該貸し出しを自粛するようにと、傘下金融機関に周知徹底してほしいということで指導いたしました。これを受けて直ちに各協会は傘下金融機関に通知を発しておるところであります。
 今後ともこういうことで、金融機関の健全な融資態度の確立とか審査機能の整備について、適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
○久保田真苗君 次に、同じようなことなんですが全く逆で、買春ツアーの問題なんです。
 これはもう何年も前に問題になりまして、運輸省の方でやってきていただいているんですが、八二年に旅行業法が改正されまして旅行業者の買春あっせんができなくなったわけです。ところが、日本法人の下請あるいは現地の下請業者を使っての買春ツアーということで二重構造になって、そこで一つ線が切れてしまうという実態のもとにこういうことがどうも増加しているんじゃないか、こう思うわけです。それが最近朝日ジャーナルにフィリピン買春ツアーの陰に旅行社がいるというような記事が大きく出ておるわけでございますけれども、この件に関しましては運輸省はそういう実態を把握していらっしゃるか、あるいはこの件についてお調べになったか、お調べになったならばどこまでわかったか、それをちょっと聞かせていただきたいと思います。
○説明員(鶴野泰孝君) お答えいたします。
 まず、先ほどおっしゃいましたように、五十七年に旅行業法の改正をいたしまして、旅行業者がいわゆる不健全行為に関与できないようにということで旅行業法十三条という条文を設けたところでございます。ただ、実態につきまして一般論で申しますと、こういう問題はなかなか把握が難しいということがございまして、いわゆる買春ツアーが最近増加しているかどうかというようなことについては必ずしもつかんでおりません。
 それから、個別の問題でございますが、朝日ジャーナルの記事につきましては現在調査中でございまして、まだ詳しい内容については現時点では言及を差し控えたいと思います。
○久保田真苗君 ここにも一部が出ている。週刊誌にも一部が出ておるんですけれども、私もこういったもののコピーをとってみたんです。これで見ますと、いわゆるナイトツアーというもの、これが買春ツアーに該当するものだろうと思いますけれども、そういった連れ込んだその女性についての領収証等こういったものが見つかっているというここまでございますので、運輸省としては、これは法的に言いますとどういう取り扱いになるんでしょうか。
 つまり、大変有名な大手の旅行社があって、そして別会社があって、その間にそういう買春ツアーという事実があって、それを知ってそういうことをやった場合に、それはどういう法律あるいはこれに対するどういう罰則があるかということですか。
○説明員(鶴野泰孝君) お答えいたします。
 旅行業法十三条におきましては、旅行業者またはその代理人等が旅行業務に関連いたしまして旅行地において施行されている法律に違反する行為を行うこと、あるいは法律に違反するサービスの提供を受けることについてあっせんし、または便宜を供与することを禁止しているわけでございます。したがいまして、そういう事実がありました場合には、旅行業法第十三条の違反になるということでございます。
 罰則につきましては、この条文には罰則がございません。ただ、違反がありました場合には、同じ法律の別の規定によりまして、行政処分を行うことができるということになっております。
○久保田真苗君 今のこの件は運輸省としては十分調査を進めて結論を報告していただけますね。
○説明員(鶴野泰孝君) 調査が終わりました段階で、また別途御報告をさせていただきたいと思います。
○久保田真苗君 それで、私きょうは特にODAの問題を取り上げるつもりはないんですけれども、アジアの国の特徴というところから見た上で、アジアはやっぱり非常に人口大国が多いと私は思うんですね。五千万クラスの人口を持っている国が軒並みでございます。もっとそれよりずっと抜群に多い国もございますけれども、その程度の国は非常にございまして、そこに十分な雇用機会を用意していくということはどうしてもその国にとって不可欠の条件じゃないか、その国が発展するための条件じゃないかと思うわけです。
 私は、日本のODAが経済的なインフラストラクチャーの整備、こういうことに大変得手であるということも結構だと思いますし、また技術移転、できるだけ高度の技術を備えた人づくりをするんだ、それから技術を途上国に移転していくんだ、このことも大変結構だと思うんですけれども、このように大変たくさんの不法就労が発生しているその背景には、やっぱり収入を得る、あるいは雇用の機会を得たいという、そういう願望が非常に大量にあるということは疑いない事実だと思うわけです。
 それで、雇用機会の拡大について日本のODAはどれだけ役に立っているのか、その辺の自己評
価をちょっと聞かせていただきたいんです。
○説明員(高橋雅二君) ODAの事業のやり方といたしましては、今先生御指摘のとおり、大きく分けますと資金を供与する資金協力と技術を移転して人材を育成する、こう二つに分けられるわけでございます。
 そのうちの資金を供与するという協力の大きな目的は、社会経済基盤の整備を、特に有償資金協力でございますけれども、そういう整備を目的といたしまして被援助国の経済開発を通じまして雇用機会の創出を図る、こういう目的もあわせ持っているわけでございます。
 それから技術協力は、今先生おっしゃったように、技術を移転して国づくりの基本となる人づくりを支援するということで、こういう雇用機会があった場合にそれをそういうための人材の育成に協力する、こういう協力でございます。
 ただ、これも両方うまく組み合わせませんと、技術協力で人材はできたけれども雇用機会がないとか、そういうことになりますと外国に流出するとか、あるいはそういう雇用機会ができたけれどもきちっとした人がいないとこういうことになりますので、これをうまく組み合わせてやることが必要ではないかと思います。
 それでは、具体的にどういう例があるのかということで一、二例を申し上げますと、例えば一九六七年から七一年の五年間に、韓国に対しまして第二次五カ年計画中に円借款を供与したわけでございますけれども、これによってインフラの整備を図るという目的でございました。それで、試算によりますと、この期間において日本が供与した円借款の事業で約十万人程度の雇用創出効果があったのではないかと、そのような報告を受けております。
 それから、もう一つだけお許しを得まして、先ほどから問題になっていましたフィリピンにおける例を申し上げますと、フィリピンのパンタバンガンというところに林業開発のプロジェクトを行っております。これは日本が初めて林業の協力を行った場所でございますけれども、これはプロジェクト――技術協力と資金協力との組み合わせでございますが、ここで我が国の援助を受けましてフィリピン側が造林事業を進めたわけですが、事業量が多い年の雇用人数は一日約二千人ぐらいあったということが報告されております。この林業をやっているところは、大体非常に都心から離れまして非常に貧しいところでございますので、そういう貧しいところにおいて雇用機会が出てきたということはそれなりの評価を得られているというふうに感じております。なお、聞くところによりますと、そこに雇用機会があるということで、ほかの地域からもここに移住してきている者が出てきている、こういうような報告を受けております。
 以上でございます。
○久保田真苗君 今例をお挙げになった林業の問題なんかも、途上国の人口の非常に大部分が農村地帯にいるということを考えますと、それは恐らくそういうところに雇用機会をつくり出していると思うんです。しかし、その量がどれくらい一体あるのか。
 私は、今おっしゃったような人づくり、技術移転も結構、それからそれとの資金協力の結びつきも結構ですけれども、これはただにコマーシャルベースでもっていろんな工場をつくりました場合に、どうしてもそれは経済的な効果あるいは企業の都合ということを考えますから、都市集中型のものになっていって、必ずしも農村にいるそんな技術を持たない、だけれども生活経験、そしてそこの生活を守らなきゃならないという普通の人たちにとっての雇用機会が必ずしもできにくいんじゃないか。今例をお挙げになった韓国なんかはNIESの一員で非常にどんどん進んでいる方だと思いますけれども、私どもが今本当に深刻になっているフィリピンからの流入あるいはタイからの流入、そういった国々について、もっとある程度人づくり、人材とかそういうものじゃなくて、女性を含めて、普通一般の農村の人たちの雇用機会を求める、それにミートするODAの使い方というものをぜひ私は考えていただきたいなと思うんですね。
 そうでございませんと、これは雇用機会のない人たちをどんどんどんどん送り返せばいいんだというようなそういう結論になりかねないわけでございます。ですから私は、一つはぜひ人権とか搾取とかそういうことにかかわる国内の非常に暗躍しているもうけ主義の人たち、これを徹底的に排除していただきたいというのが今回のこの外国人問題を考える上の一つの前提条件だと思うんです。
 それからもう一つは、そういった国々で手を使い体を使うそういう雇用機会をもっとたくさんに散らばせてつくるという方向へ持っていくということもひとつ必要なんじゃないか、そう思うわけです。それが二点。
 そして三点目に、ちょっと女性のための発言になりますけれども、私どもこの間国会の国連婦人議連の集まりでUNDPの婦人基金に二度目に五千ドルを寄附することを決めたのですね。これは微々たるお金です。微々たるお金だけれど、ナイロビの会議で一回やりました。時々これを一種の意思表示として、旗印として私どもはこれをもう一回やるつもりでおります。しかし、その金額からいえばこれはとても政府のODAにはかなわないわけでして、その水向けになったらいいと思っているわけです。
 この婦人基金は、主として農村地帯の女性が自分たちの経験をある程度生かせる食品加工ですとか縫製ですとかそういったものを村々でつくって、そこで何がしかの収入を得て家族の生活を豊かにしていくといったそういったことに向けられているので、もし日本がそこまできめの細かいことをなかなかやりにくいのであれば、ぜひ私は拠出をふやしていただきたい、こう思うわけなんです。
 この点について私は外務省の今までのお考えと、それから最後に大臣の御所見を伺って、それで時間が来ましたから終わりたいと思います。
○政府委員(遠藤實君) まずUNDPの婦人基金への拠出でございますが、我が国は御案内のように昭和五十四年に「国連婦人の十年基金」と言っておりました当時からこの婦人の開発への参加の促進、そういったことを通じます婦人の地位向上に資するためのプロジェクトを支援するという観点からこの基金に拠出をしておりまして、昭和六十三年度は三十五万ドルを拠出しております。それから今年、平成元年度におきましても引き続き拠出を行う予定でございます。今後とも本基金の意義、活動実績等を十分検討の上基金の活動を支援していきたいと考えております。
 拠出をふやすべきではないかと、こういうことでございましたけれども、現在予算要求中でございますので具体的なことは申し上げられませんけれども、まず基金に対する従来の我が国の貢献をぜひとも継続するということで活動を支援していきたいと考えております。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のこれからの日本のODAに対するあり方、大変御意見に私同感でございます。
 やはり女性たちが幾ばくかの所得がその国で得られるというような仕組み、そういうものがこれから委員御指摘のようにその国その国でつくられていくということがやはり非常に大切だというふうに思っておりまして、この御指摘のような点を十分留意をしてこれから日本国としてもやっていかなければならないというふうに考えております。
○委員長(山東昭子君) 午前中の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、所得に対する租税に関する
二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件及び国際情勢等に関する調査を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○堂本暁子君 初めて外務委員会で質問させていただきますが、まずきょうここの議題になっておりますインド共和国とベルギー王国への租税条約について伺いたいと思っております。
 大変基本的なことから伺いたいのですが、租税条約は二重課税の回避が主目的なのか、あるいは脱税防止が主目的なのか、それをまず伺いたいと思います。
○説明員(丹波實君) 確かに、タイトルには二重課税の回避と脱税の防止と、二つ入っております。基本的な目的はやはり二重課税の回避にあるわけですが、それに絡む問題として脱税の問題が上がってくるものですから、この条約の中にも日本とインド両政府の関係省庁の官憲が随時意見交換、情報を交換するという規定がございます。そういうものを通じてやはり脱税も防止していきたい、あくまでも主点は前者にあります。
○堂本暁子君 そうしますと、今回の場合ですと、ベルギーの場合には脱税防止というのは書いてございませんし、インドの場合には「二重課税の回避及び脱税の防止」と書いてございますけれども、この両方の条約は何か相違がありますでしょうか。
○説明員(丹波實君) 現在まで日本政府は三十六カ国との間でこういうたぐいの条約を締結しておりますが、この三十六カ国のうち十九の条約につきましては表題に「脱税の防止」という言葉が書かれておるわけでございますが、それではその書かれていない十七条約につきましては、脱税の防止に全然関心がないかといいますと、それはそうでございませんで、表題にはありませんけれども、やはり条約の中には両国間の情報の交換というような規定もございますので、そういう規定を通じて現実には脱税の防止についても両国としては考えていくという考え方になっております。
○堂本暁子君 それでは、海外における企業とか金融機関による脱税、それから申告漏れが目立っているようですけれども、国税庁が把握しておられる海外大口の不正所得、昭和六十一年から三年間ほどのぐらいの金額になっているのか、お示しいただけますでしょうか。
○説明員(日出島恒夫君) 国税局の調査課で所管しておりますところの資本金一億円以上のいわゆる大法人について調査により把握したところ、一事業年度三千万円以上の大口の海外取引に係る不正所得といいますのは、昭和六十一事務年度で百十六億円、昭和六十二事務年度で百十五億円、そして昭和六十三事務年度では百二十四億円となっているところでございます。
○堂本暁子君 実際に数字を伺いますと減るどころかふえているわけで、どのようなからくりでこういった脱税が起こっているのか、具体的な事例でお示しいただきたいと思います。
○説明員(日出島恒夫君) 海外取引を利用し、あるいは海外取引を隠れみのとした税務上の不正計算の事例を見ますると、その態様はさまざまでございますけれども、主なものを簡単に申し上げますと、例えば海外子会社、支店等との取引に関連します売り上げ除外、それから架空工事原価、この中には架空の外注費のようなものも含むわけでございますが、そういったもの。それから架空の支払い手数料等の架空経費の計上というようなものを行いまして、所得を過少に申告しているものが調査の結果見受けられるところでございます。
 さらに少し具体的に申し上げますと、例えば一つの例としましては、海外子会社を経由して海外の取引先に金型を売却したにもかかわらず、実際はその売り上げを除外したケースであるとか、海外の外注先と通謀しまして外注費を水増ししました上、当該水増し相当額をタックスヘイブン国に送金していたケース、あるいは機械の輸出取引に関連しまして、海外のエージェントと通謀いたしまして架空の支払い手数料を計上し、タックスヘイブン国に送金していたケースなどが当庁の調査の結果判明しているところでございます。
○堂本暁子君 伺いますと、タックスヘイブンと言われる租税に対しての優遇措置のある国や地域を利用して大変こういった脱税が多くなっているようですけれども、どのような脱税の防止策を実際にはとっておられますか。
○説明員(日出島恒夫君) ただいまお話ししましたようないろんなパターン、態様のものがあるわけでございますけれども、当庁としましては、このような不正の態様を十分見きわめました上で、まず国内の親会社に対する調査におきましては、経理担当部門はもとより、海外取引を行っている国際部等、実際の現場部門に保管されております帳簿、帳票類、テレックスなどの調査を通じまして問題の把握に努めているところでございます。さらに、問題点の実態を解明するために、租税条約を活用させていただきまして、各国税務当局と情報交換を効果的に実施しているところでございます。
 また、加えまして、調査上必要と思われる場合には調査官を実際に海外に派遣いたしまして、その支店、出張所等の実態を把握しており、昭和六十三会計年度の場合ですと百十人程度の調査官を海外に出張させているところでございます。
 当庁といたしましては、今後とも適正な課税を実現するという観点から鋭意努力を続けてまいる所存でございます。
○堂本暁子君 今伺いますと、租税条約の中でできることといいますと相当国との情報交換ということのようですけれども、このような脱税がどんどんふえているということ、そして租税条約が脱税防止ということを先ほど伺いましたけれども、そういう目的を持ちながら、余り脱税を防止する方法でもない。それからさらに、けさも出ていました外国税額控除制度、これも大変脱税の温床になっているというような言われ方をしておりますけれども、こういった税の二重払いを防ぐための租税条約、そして制度というものが逆に脱税を巻き起こしている、その隠れみのになっているような、そういったところはないでしょうか、外務省に伺いたいと思います。
○説明員(丹波實君) 現実のいろいろな問題につきましてはただいま大蔵省当局から御説明があったわけですが、今後ともこの二重課税の回避の目的のみならず脱税の防止のために、よりそういう目的を達し得る条約の作成ということ、それから現実の執行におきまして、よりそういう目的が達成されるよう外務省と大蔵省との協力を通じて全力を挙げていきたい、こういうふうに考えます。
○堂本暁子君 何か具体的に今取り組んでおられるようなお考えはおありになりますか。
○説明員(日出島恒夫君) 先ほどお話ししましたような情報交換でございますとか海外出張というようなものをより一層充実した形で実施していきたい、かように考えておるところでございます。
○堂本暁子君 そういった国税庁の調査という方法もあるのでしょうけれども、けさ田議員が質問されたように、三十六カ国としか条約は結ばれていない。それから今度は、開発途上国との条約のあり方という問題もございましょうけれども、その条約の中でこういった脱税を防止するような方策というのは何か方法はございますか。
○説明員(丹波實君) この問題につきましては国際社会における関係当事国間の協力ということが一番重要な問題になるわけですけれども、午前中にも御説明申し上げました例えばOECDの機関の中に租税委員会というのがございますけれども、まさにそういう委員会でこういう二重課税の防止及び脱税に関連します問題が常時話し合われておりますので、ただいまの先生の御意見ということも体しまして、今後私たちこの委員会でそういう方途かないかどうかということもあわせて研究してまいりたい、こういうふうに考えます。
○堂本暁子君 今のところでは日本独自に、特にこういうことが大変今多く発生しているからとい
うことで、何か変えていこうという積極的なお考えはお持ちではないということでしょうか。
○説明員(丹波實君) この点は、ただいま大蔵省当局からも御答弁がございましたけれども、日本国が締結しております租税条約の中にあります情報交換の規定というものをより効果的に運用してそういう問題をできるだけ解決していきたい、こういうふうに考えます。
○堂本暁子君 実際に数字をお示しいただいたわけですけれども、発覚するのは本当に氷山の一角なのではないかということを専門家も言っています。消費税が国民的な関心事となっているこういうときに、国内企業の申告漏れが四千八百九十五億と言われていますけれども、海外に何億、何十億というそういう脱税が行われている事実は、やはり国民の側からすると大変許せない事実ではないかというふうに思います。こうした国際的な租税の制度、それを利用した経営戦略としての脱税、これを実質的にやはり防止しなければいけないのではないかと大変強く思うわけですけれども、外務大臣の所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員御指摘のような問題は、やはりこの条約の整備あるいは国税庁の調査、いろいろな問題を通じまして公正に行われるように外務大臣としては期待をいたしたいと思います。
○堂本暁子君 租税条約はヨーロッパで発達したと聞いておりますけれども、EC各国間での租税条約というのはありますでしょうか。
○説明員(丹波實君) ECの各国間で現実に多くの租税条約が締結されていると思います。先生の御質問は二つ含まれていると思いますが、一点はただいま申し上げたとおりでございまして、もう一点は、OECDという機関がございますけれども、その機関が先進資本主義諸国間で締結する租税条約のモデルというものを過去二回、一九六三年と七七年にそういうモデルを作成しております。そういう意味で一つのモデルができているということが言えるかと思います。
○堂本暁子君 ECの経済統合が間もなく行われるわけですけれども、EC間の租税条約がそういった場合にどうなるか、そういう情報はお持ちでいらっしゃいますか。
○政府委員(都甲岳洋君) ECの統合はいろいろな形で行われておりますけれども、まだ租税を統一するというような状況までいっておりませんので、現在存在する租税条約をなくすという方向にいくのにはまだ少々時間がかかるのではないかというふうに考えております。
○堂本暁子君 経済統合を前にして伺いたいんですけれども、EC十二カ国のうち日本が租税条約を締結していない国は幾つかございますか。
○説明員(丹波實君) 逆な方向からお答え申し上げることになるかもしれませんけれども、逆と申しますのは、西ヨーロッパの中で日本が締結している国というものが十四カ国ございます。お読みいたしますと、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、オーストリア、イギリス、フランス、西ドイツ、ベルギー、イタリア、オランダ、スイス、フィンランド、スペイン、アイルランドということでございます。
○堂本暁子君 そうすると、例えばギリシャですとかポルトガルですとか、ECの十二カ国の中で租税条約を日本と締結していない国もあるわけでございますか。
○説明員(丹波實君) おっしゃるとおりでございます。
○堂本暁子君 そうしますと、これから実際に経済統合が行われた場合に、日本との間で締結している国と締結していない国とがあるわけですけれども、そこで何かの不都合が生じるようなことはないでしょうか。
○説明員(丹波實君) これはただいま欧亜局長からも御答弁がございましたけれども、EC諸国として各国が締結している租税条約というものを今後どう処理していくかという問題の解決にかかっていくのであろうと思います。
○堂本暁子君 そうすると、これからすべて今後の問題というふうにお思いなんでしょうか。
○説明員(丹波實君) EC諸国の九二年の統合以降の考え方によるところが大きいと思います。
○堂本暁子君 例えば租税条約を結んでいる国の間でも税率が微妙に違ったりする場合もあると思うんですけれども、そういった問題もすべて今後ということでしょうか。
○説明員(丹波實君) ECとの関係ではそういうことになろうかと思います。
○堂本暁子君 そうしますと、今後の問題として伺いたいんですけれども、ECが経済統合された場合に、EC全体と租税条約を結ぶというような発想は外務省としてはお持ちでしょうか。
○説明員(丹波實君) たびたび同じことを申し上げてまことに恐縮ですけれども、まさにECとして租税条約というものを従来どおり各国間で締結すべきものと考えるのか、あるいはECとして一つの租税条約で処理するのか、そういうEC自体の考え方がまずわからなければ、今ここでそれ以上のことを日本政府として申し上げることはできないことは御理解いただけると思うんですけれども。
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
 では、ちょっと話題を変えまして、外務大臣はキャンベラからお帰りになったばかりで、アジア・太平洋経済協力閣僚会議に御出席になって大変重い任務を果たされてお帰りかと存じますけれども、けさ田さんの方に、ベーカー国務長官は、地中海のマルタで行われる米ソ首脳会談は来年に予定されている公式会談を前にしての非公式会談だと言われたと、大臣がおっしゃっておられました。この点をもう少し一歩突っ込んで伺いたいわけでございます。
 大変激動する国際情勢をどうとらえ、どう対応していこうかということを、アメリカにしてもそれからソ連の側にしてもお互いに本心をすっかりとこの際知りたいというようなこともあるのではないかと思うんですけれども、そういったようなことをベーカー国務長官とのお話の中で実際に話されるとかお感じになるとか、そういうことはございませんでしたでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 日米外相会談の中で外交機密に関すること以外のことは申し上げることはできると思います。
 そこで、率直に申し上げたいと思いますのは、どちらも両国の指導者がまだ直接二人で会っていないというところが信頼関係をつくり上げるのに私はやっぱり一番の問題点だと思うんですね。だから、明年行われる米ソの首脳会談前にお互いが会われて、そこで人間的な触れ合いもありましょうし、またその機会に、お互いが虚心坦懐というところまではいかないと思いますが、それぞれの大国の指導者ですから、しかし現在の国際情勢、またソビエトにおけるペレストロイカの状況をソ連側としては説明もされましょうし、東ヨーロッパの経済改革あるいは西側がこれからやろうとしているポーランド、ハンガリーへの援助、それを通して東西関係の安定の前進といいますか、そういう問題を含めて、アジアの問題も含めていろいろ話し合い、とにかく特定の議題なしに会談するということでございましたから、そういうお話が行われる。これは我々にとっても極めて結構なことだということで、私は、日本政府としてこの非公式首脳会談が行われることを歓迎するということを申し上げてきたわけであります。
○堂本暁子君 確認するような形で伺いたいんですが、ゴルバチョフ議長にとってもペレストロイカを推進するためにやはりアメリカとの関係を安定させたい、それから逆にアメリカにとっても、ソ連との関係を親密にすると申しますか、今の政権を支持するというようなことが米国側の安全または世界の平和にとって必要だというような考え方があるというふうに大臣はお思いになるでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 私は先般の予算委員会でも申し上げたとおり、第二次世界大戦後の冷戦時代といいますか、米ソの核ミサイルを中心にした激しい対立の時代から膨大な軍事費を国家予算に計上してやってきて、そして経済が大変混乱を
する。そういう中で、経済の面では西側がはるかにうまく経済が繁栄している。それに比べて東側は、ペレストロイカをやらないと経済がうまくいかないということで、ゴルバチョフ書記長は非常な勇気を持って憲法改正からあらゆる人事異動まで含めて現在ペレストロイカを推進しておられる。
 そういう中で米ソが話し合い、それから協力というところまで最近来たわけでございまして、戦後四十数年の時間を経て、二、三年前には想像もできなかったような事態が展開している。そういうふうに私は見ておりまして、この会談が、議題がなくてもそれはそれなりの深い歴史的な意味を持つものだというふうに認識をいたしております。
○堂本暁子君 今大臣がおっしゃいましたように、経済問題というのが話題になるという可能性は大きいんだと思いますけれども、それはブッシュ大統領がやはりゴルバチョフ議長によるペレストロイカを成功させたい、支援したいということを強く思っておられるからでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 私はそのように認識をいたしております。
○堂本暁子君 日本といたしましては、こういったアメリカ、それからヨーロッパを含めてもいいと思いますけれども、と歩調を合わせてゴルバチョフ政権を支持するのかしないのか。その辺の所信を伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 日本国政府といたしましては、我々は何といいましても国家の安全保障問題というものが外務大臣としては最大の責務でございます。そういう立場で国際情勢を絶えず見ながら、やはり超大国と言われる米ソの話し合い、協力、それから西側陣営のいわゆるポーランド、ハンガリーに対する経済援助、こういうものが米ソの間での話し合いの場を通じても相互に理解をされ、また、東ヨーロッパにおける東ドイツから西ドイツへの人々の移動、これもソビエトの了解のもとに行われているという非常に大きな転換期でございますから、私どもといたしましては、数年前まで対立してきた国際的な緊張状態がゴルバチョフ書記長の出現によってアメリカとの対話が進むという事態は、日本政府としては極めて好ましいことであるというふうに認識をいたしておりますので、私どもは現在のソビエトの動きに対して、ペレストロイカがうまく成功する、それが世界の平和のために米ソ間の緊張を緩和するという状況が醸し出されれば、これは単に日本だけでなしにアジア・太平洋各国も大変歓迎するところではないか、このように考えております。
 現実の問題といたしましては、この話し合い、協力の舞台の裏側にはそれぞれの極めて巨大な核の抑止力が働いておりますから、そこらも十分認識して平和への道を日本としては求めていくという姿勢を堅持してまいりたい、このように考えております。
○堂本暁子君 そういたしますと、日本といたしましては、今おっしゃったように、ペレストロイカを支持するとすればどういう方策があるとお考えでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 現在いわゆる学術団体の交流あるいは文化交流というものが行われておりますし、現に日ソ間の貿易も、日本はフィンランド、それから西ドイツ、日本という順位で非常に高いレベルでの貿易関係を持っております。これからソビエト政府からヤコブレフ団長がすぐお越しになりますけれども、米ソ間のような軍事力を背景にした対話ではありませんけれども、我々は我々で日ソ間のこれからの対話というものをどういうふうにやっていくのか、それはやっぱりヤコブレフさんのお越しになるこの機会が大きな一つの舞台を構成するのではないかというふうに思って、実はお目にかかることを大変期待いたしておるわけであります。
○堂本暁子君 随分いろいろなお話がさぞ出るかと思いますけれども、私も初めてですのでちょっと確認をさせていただきたいのですけれども、日本政府としてはまだソ連を潜在的脅威ですとか仮想敵国というふうにとらえておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 私どもは、ソビエトを仮想敵国というふうに外務大臣としては認識をしておりません。
 ただ、日本周辺のソビエトの海軍力あるいは地上兵力あるいは核兵力と言われるようなものが減少したという確認はまだされておりませんし、北方領土におけるソ連軍の展開も現実の問題でございます。そういう意味で、やはり軍事的な脅威というものは現存しているというふうに認識をいたしておりますが、それは直ちにこれを敵視するということではなしに、私どもは平和をどうしてつくっていくか、あるいは軍縮をソビエトはどういうふうにこれからやっていくのか、そういうことがこれからの大きな国際政治の問題になっていくのであろうと思っております。
○堂本暁子君 今おっしゃいましたことはよくわかりましたけれども、もう一度確認させていただきたいんですが、潜在的脅威とか仮想敵国という見方はしないというふうに、先ほどの核の緊張があるということはよくわかりましたが、その上で、そういう見方はしないというふうに受け取らせていただいてよろしいわけでしょうか。今の段階でのことでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 敵国と思うかどうかというお尋ねでございますが、我々は憲法で戦争を放棄しているわけです、だから、我々の方からソビエトに対して戦争を宣告するというようなことは、憲法上も国民の考え方の中にもございません。ただ、相手の国がそういうふうな考え方であるかどうかということはこれは別でございまして、我々の国の国民の生命と安全を期するためには、外交を預かる者としては、あらゆる考え方の中でこの国家の安全を確保していくというための努力をいたさなければならないと考えております。
○堂本暁子君 観点を変えて伺いますけれども、政治と経済の可分な場合と、それから不可分な場合があるかと存じます。ソ連とは政経可分なのか不可分なのか、その点をお伺いさせてください。
○国務大臣(中山太郎君) 現在ソビエトから経営管理に関する調査団がお越しになっていると私は報告を受けておりまして、これはやはり経済に関係する分野でございますから、そういうものを受け入れるという観点に立てば、経済を別にしているとかどうかということよりも、現実問題として私どもとしてはそういう方向に向いているという理解をいたしております。
○堂本暁子君 そういたしますと、政経可分という形でこれからは日本としては対応するということでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) ソ連との関係におきましては、やはり政治と経済が全体として進んでい〈という必要があると思いますので、政治が進まない中で経済だけが進む状態というのはやはり好ましくないと考えております。
 もちろん、実務的な経済関係は従来も進んでおりますし、先ほど大臣から御答弁ございましたように、ソ連の西側の貿易相手国の中では日本は西独、フィンランドに次いで第三位の貿易相手国でございます。そういう形で、実務的な経済関係は進んでおりますけれども、やはり無原則に政治と経済を分けていくということはできないという考えで進んできております。
○堂本暁子君 ココム規制について伺いたいんですけれども、日本のココム規制が中国に対しては比較的緩やかだと言われておりますが、この理由はどうしてでございましょうか。
○政府委員(内田勝久君) ただいま日本のココム規制は中国に対して緩やかであるとか、あるいはその他の国に対してどうなっているというような委員の方からの御質問でございましたが、まず第一に、ココムの規制はココム参加国間の申し合わせによって協調して行うという形をとっております。したがいまして、日本の規制だけが他の参加国に比べて特にどこの国に対して輸出規制が厳しいとか、あるいは厳しくないといった問題は起こってまいりません。
 そこで、中国に対しまするココム規制の緩和の問題でございますけれども、これはこれまでココムの場においていわゆる規制の緩和ということが進められてきておりまして、我が国といたしましても中国の近代化を支援するという、そういう見地を踏まえながら、ココムの場でもそういう規制の緩和に向けての検討に前向きに参加をしてきたということが実情でございます。
○堂本暁子君 先ほどからソ連、そして東欧の民主化、ペレストロイカが問題になっておりますし、現実の問題として大変大きく変わってきていると思いますけれども、そうしますとココム規制の場合も中国と申しますか、ソ連、東欧についてもだんだん規制が緩和されるような方向にいくということでしょうか。
○政府委員(内田勝久君) ココムでどのような戦略物資を輸出規制すべきであるかという点につきましては、常時見直しが行われておりまして、その中で最近の例えば東欧の情勢あるいはソ連の状況ということも、そういう背景も当然検討の対象と申しますか、背景として勘案しつつ検討を進めていくということになろうかと思いますが、先ほど外務大臣からもお答えがございましたとおり、西側諸国にとっての安全保障にかかわる問題というのは、これは依然として西側諸国全体として極めて大事な問題であると認識しておりますし、そういう中で安全保障の観点からのココム規制そのものにつきましては、我が国及び他の参加国も含めまして、そういう輸出戦略物資の輸出規制の重要性の認識に基づいて、一致してこれを維持していくというのが現在の基本的な西側諸国の考え方でございます。
○堂本暁子君 ヨーロッパでは大変ココム批判が大きいと聞いております。日本は東芝問題以後規制がむしろ厳しくて、民間の企業にとっては審査に手間をとったり、それからほかの国との競争に負けるのではないかというようなことも報道されたり、聞いたりしておりますけれども、こういった状況の中で日本だけが経済的に取り残されるのではないかという危惧を専門家は抱いているようですが、この点はどうでしょうか。
○政府委員(内田勝久君) 先ほど委員に御答弁申し上げましたとおり、ココムの規制は、ココム参加国の間で基本的に共通の認識のもとに、共通の規制の中身というものをお互いに申し合わせまして、それを各国が自主的に自国の輸出管理の体制の中で実施をしてきているという性格のものでございます。
 委員御指摘の東芝事件以降、ココムの規制が日本だけ厳しくなっているのではないかという御指摘は、私考えまするに、恐らく規制の中身の問題ではなくて、規制の中身をどのように実施していくか、執行していくかという執行の問題であると思います。
 執行の問題は、基本的に各国の法体制、輸出管理の体制に任されているわけですけれども、我が国の場合には、委員御指摘の一昨年の東芝機械事件を契機といたしまして、外国為替及び外国貿易管理法の改正を行いましたし、あるいは輸出管理体制を強化するための人員、機構面での拡充といった輸出管理の体制を整備してきたということは事実でございますが、これによって本来我が国がとるべき輸出管理の体制が、ようやくと言うと言葉が過ぎるかもしれませんけれども、しっかりとした形で実施できる、そういう体制が整えられたということでございまして、いわゆるココムのコンプライアンスという言葉を使っていますが、ココムの実施という点につきましては西欧の諸国においてはかねてからしっかりとした体制のもとで実施をしてきておりますし、今回の輸出管理体制の改善の結果、私どもは日本の体制も米国及び主要ヨーロッパ諸国と同様のスタンス、立場に立って実施し得る体制が整えられた、このように考えている次第でございます。
○堂本暁子君 それでは、もう一度ソビエトとの政治の話に戻したいのですけれども、最近、ヨーロッパですとか中国、それから実際に日本に来日されたソ連の学者の方や、それからマスコミなどを適していろいろな形でソ連側から日本にボールが投げられていると申しますか、いろんな形のものが出てきていると思います。日本にとっての政治解決、それは北方領土の返還ということはもう言うまでもないことですけれども、いろいろな形の球が投げられた場合に、日本は常にもう身をかわしているのか、それとも一応そういった別の球を受けとめられて眺め回してごらんになるおつもりなのか、その辺のところを伺わせてください。
○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘のように、ソ連側のグラスノスチのおかげで最近いろいろな意見がソ連側から出ることは事実でございます。例えば領土問題につきましても、さまざまな見解がさまざまな学者等の方々から表明されております。これはやはりソ連の中で領土問題について学者等を中心にかなり議論が行われているということの証左であると思いますし、それはそれとして、非常に注意深く、また関心を持って受けとめておりますけれども、しかし基本的に、政府の場で行われております日ソ交渉の中での領土問題についてのソ連の立場は極めて厳しいものがあるというのが現実の認識でございますので、私どもは現段階におきましてはこれを分けて考える必要があるというのが現状でございます。
○堂本暁子君 近くヤコブレフ氏が見えるわけで、先ほど大臣もおっしゃったように大変ソビエトの大物でいらっしゃるようでございますし、忌憚のない話を交わされることになると思いますけれども、その場でも、また今度は違った形のボールを投げてきた場合にはどう対応されますか。
○政府委員(都甲岳洋君) 今後の日ソ対応の中で対話が深まっていき、これが具体的な平和条約締結に向けての一歩になるということを期待しつつ先方との対話を深め、そして交渉に向けてより真剣に取り組んでいくという姿勢でまいりたいと思いますが、個々の今おっしゃっておられる球というものがどういうものであるかということは慎重に見きわめつつ、この一般的な対話、交渉の中でどういう位置づけをしていくかということを考えていきたい、こういうふうに考えております。
○堂本暁子君 確認させていただきたいんですけれども、北方領土四島それ以外の球、どういう球か全く予測はつかないと思いますけれども、投げられた場合にとにもかくにも受けとめて慎重に検討してみようということでございますか。
○政府委員(都甲岳洋君) 日本政府としては従来から四島一括返還で平和条約を締結して日ソ関係を完全に正常化するという基本的な立場でソ連側と交渉してきておりますので、この基本的な立場はあくまでも堅持するという方向でいくことになると思います。そういう中で、先ほど来の日ソ関係の中で平和条約問題も含めて拡大均衡で関係を進めていこうという合意がございますので、その枠組みの中でどういう対応ができるかという話はまた別途いろいろと考えていきたいというふうに考えております。
○堂本暁子君 実際にヤコブレフ氏がどういうことを言われるか、これは予測がつかないから余り事前に話はできないと思うんですけれども、投げられたボールから日本が余り身をかわしておりますと、それを受け取らないと、相手も見限ってしまうというようなこともあるんではないか。そういった意味で大変難しい外交の局面に今ちょうど日本は面しているんではないかと思いますけれども、やはり今局長が言われましたそういう方針というのはとにもかくにも日本としては変えないということでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) やはり私どもが長年日本政府として堅持してまいりました原則的な立場ということは維持しつつ、これを実現するためにソ連側といかに対話を重ね、そして相手の理解を深める話し合いを行い、そしてこれを具体的な交渉につなげていくかという難しい状況になっているということは先生御指摘のとおりでございます。特に、最近は平和条約作業グループという中で具体的な話し合いがかなり行われておりますから、そういう発展の中でこの我が方の考えている
問題の解決にどのように結びつけ得るかということは慎重に考えていきたいというふうに考えております。
○堂本暁子君 大臣の御所見を伺いたいと存じます。
○国務大臣(中山太郎君) 委員も御案内のように、参議院におきましても衆議院におきましても、数度にわたる超党派による北方領土四島一括返還の決議が行われております。これは結局各党が全会派賛成でございますから、共同提案でございますから、こういうふうな国会決議というものは日本の国民の願望をあらわしたものというふうに私は政府として理解しなければならない。そのような国民の願望の中で、このソビエトの代表団がどのようなお話を日本政府――国会の招待でございますから国会にどのようなお話をされるのか、これは私どもが重大な関心を持って見なければならないと考えております。
○堂本暁子君 そうすると、これからまさに私どもが受けとめるという段階かと存じます。
 最後に伺いたいんですけれども、先ほども核の緊張ということを大臣はおっしゃいましたけれども、非核三原則について実際にどういうことが今後あるかということで矢田部議員の方にバトンタッチをしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
○委員長(山東昭子君) 関連質疑の申し出がございますので、これを許します。矢田部理君。
○矢田部理君 ことしの五月の予算委員会で外務大臣にお尋ねをいたしましたが、米空母タイコンデロガから水爆搭載の攻撃機が海中に転落をした。沖縄の沖永良部島の東方ということで、この事故の幾つかの問題点が当時指摘をされました。水爆でありますから環境への影響はどうなっているのか、今日まで全く極秘裏にこの問題の調査をやってきた問題などなど幾つかの問題点があるわけでありますが、きょうは関連質問ですから、一点に絞ってお尋ねをしておきたいと思います。
 一九六五年の十二月五日に米空母のタイコンデロガから水爆搭載の攻撃機が海中に転落した事故について、事故後二日たってから、十二月五日の事故でありますから七日の日でありますが、午前六時十四分に東京湾に入り、午前八時三十分に横須賀港の十二番バースに係留と、問題になっております航海日誌には記載されておりますが、この事実を現段階で外務省は確認できているでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 我が国政府は、米国政府に対しまして、今先生がおっしゃられました一九六五年十二月五日の事故後にこのタイコンデロガがどこに行ったのかということは照会いたしております。その回答にはいまだ接しておりません。
○矢田部理君 当時のタイコンデロガの航海日誌そのものはワシントンにある米海軍の公文書館に保存され、原則公開をされている。在米大使館はそれを閲覧するなどして確認できないんでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 先生が御指摘になりました資料があるという情報は存じておりますけれども、私どもが今米国政府に聞いておりますのは先ほど申し上げましたとおりのことであって、それに対する回答を米国政府が何に依拠して行うかは米国政府が決めることだと考えております。
○矢田部理君 米国に照会するのもいいですよ。照会も求めなければならぬでしょう。しかし、これだけ重大な核持ち込みの疑惑が指摘をされておりますのに、単に照会中といっただけで六カ月以上も経過をしているということは、外務省の姿勢として大変問題はありませんか。
○政府委員(有馬龍夫君) これに大変深い関心が寄せられておりますことは私ども十分認識いたしております。ちなみに、このことが公になりました際に、米国防省は我が方の照会もあって説明をいたしておりますけれども、その際、我々は核兵器に関する日本国民の特別な感情を承知しており、日米安保条約及び関連取り決めに基づく義務を誠実に遵守してきており、今後も引き続き遵守するということを申しているわけでございまして、もう繰り返すまでもございませんけれども、艦船によるものをも含め、我が国に核持ち込みが行われる場合にはこれは事前協議の主題となるということであって、それが行われていないということでございますし、もし行われた際には……
○矢田部理君 ちょっとやめてください、時間がないんだから、そんな一般論は前から聞いておる。従前の一般論を今聞いておるんじゃないんです。お経みたいな話は何度聞かされても納得できないから個別的、具体的な問題として伺っているのでありまして、当時、宇野外務大臣でありましたが、予算委員会で私が詰めたところ、一層米政府に対して確認を急げと、こういうふうに外務大臣として言っておるんだという答弁にもなっておりますのに、その後三塚さんそして中山さんと三代目になってもいまだ照会中というのでは、国会は何のためにあるのかわかりません。
 中山さん、どうですか。外務大臣に聞きます。これは政治の基本姿勢の問題です。
○国務大臣(中山太郎君) 三塚前大臣に続いて私が外交をお預かりしているわけでございますが、前大臣同様この問題については今後とも努力をしてまいるという方針に変わりはございません。
○矢田部理君 照会中と言うんですから、照会の中身を少し聞きましょう。
 いつ、米政府のどこに対して、どういう方法で、例えば口頭なのか文書なのか、どういう内容の照会をしているんでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 整理して申しますと、一九六五年十二月五日この事件が生じた、その後これはどこに行ったのか、それを国務省に対して行ったということでございます。
○矢田部理君 文書ですか。国務省の担当局はどこですか。
○政府委員(有馬龍夫君) その申し入れの態様につきましては、外交上のことでございますので申し上げることを差し控えることをお許しいただきたいと思いますけれども、趣旨は今申し上げたことでございまして、それを篤と米側に伝えてあるということでございます。
○矢田部理君 その照会の中には、問題にされている米海軍の、特にタイコンデロガの航海日誌の存在及びその航海日誌の中身、横須賀にどういう経路でいつ寄港したのか、事故後のタイコンデロガの航路といいますか、寄港先等々についても照会事項には入っておりますか。
○政府委員(有馬龍夫君) 航海日誌のことについても照会いたしております。
○矢田部理君 二つ聞いているんです。航海日誌の存在と、それから横須賀寄港の有無及びその内容というふうに聞いているんですが、後者はどうですか。
○政府委員(有馬龍夫君) 米国にあります環境団体グリーンピースが先生御指摘の資料のコピーを配付したということは、私ども承知いたしております。それから、それにどのようなことが書かれているかということを承っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、聞いておりますのはどこへ行ったかということであって、米国政府からの公式の答えが何によるかということは、先ほど申し上げましたように米国が決めることでございますが、この航海日誌のことについてもあわせて照会の中に含まれております。
○矢田部理君 こんな単純なことが、しかも航海日誌、政府の公文書館にアメリカ政府みずからの責任で発表したものがどうして半年もかかってまだ確認できないんでしょうか。新聞などはもう当時既に核持ち込み確実にという報道などもなされているので、その事実が明らかになることを恐れて日本政府もサボり、かつアメリカ政府も隠しているのじゃありませんか。
○政府委員(有馬龍夫君) そのようなことはございませんで、先ほどこの法的な枠組みの説明をさせていただこうと思ったわけでございます。
 しかし、繰り返して申しわけございませんけれども、米軍艦船の運航の詳細等については普通は承知する立場にはございませんけれども、まさに
事柄の性格ゆえに、この事故についての内容を承知するに及んで、今米側に照会しているということでございます。
 その背景に、これも先生には前にも申し上げたことがあったかと思いますけれども、何分二十四年も前のことであるといったこともございます。
○矢田部理君 大分前のことであることは承知しておりますが、だからこそ公文書館に公にされ、保存されているわけでしょう。情報公開法で一般の人にも明らかにできるものが日本政府としていまだに確認もできないというのはおかしいと思いませんか。六カ月間、照会をしてからあと、どんな努力をしてきましたか。催促をしましたか。具体的に詰めましたか。どんな汗を流してきましたか。
○政府委員(有馬龍夫君) これまた繰り返して申しわけございませんけれども、事実関係について米国政府にはきちんと照会いたしております。それについての回答を待っているということでございますけれども、その背景に、先ほど申し上げましたように、御指摘のごとき資料があることをもあわせその照会の中に含んでおりますが、いかなる答えを向こうがよこすかということ、そしてそれが何に依拠するかというのは米国政府が決めることだと、そういうふうに考えているところでございます。
○矢田部理君 一度照会しただけでただひたすらお待ちを申し上げているというスタイルじゃありませんか、それは。これではだめです。いいですか、これは自治体が、全国の県知事さんですよ、基地を持っている県の県知事さんが、長洲さん、それから青森の北村さん、長崎の高田さんなど、みんな連名で次のように言っているわけですね。「政府はこれまで、核持ち込み疑惑について、米国から事前協議がない以上、核持ち込みはないとの見解を示しておりますが、もはや従来の説明のみでは国民の不安と疑惑を解消できない状況であります。」、渉外関係主要都道府県知事連絡協議会の名でこのタイコンデロガ事件に関連して具体的な申し込みを再三にわたって各自治体からしているじゃありませんか。今のような政府の態度では到底国民の核疑惑、重大な疑惑に対して答えたことにはなりませんよ。
 もう一回外務委員会が予定をされているそうでありますが、今国会の次の外務委員会までに明確な回答を求めたいと思いますが、外務大臣、いかがでしょうか、再度アメリカに照会するなどして。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま北米局長から御答弁申し上げましたように、政府の態度は一貫しておりまして、今後ともただいま北米局長の答弁いたしましたように、相手国の返事を待たしていただくということでございます。
○矢田部理君 政府が一貫しているという態度は、照会中という答弁をすることだけが一貫をしているのでありまして、中身を明かさない、詰めないことが政府の基本的態度で、その点の一貫性しか感じられませんけれども、厳しい言い方をすれば。
○国務大臣(中山太郎君) 安全保障条約のような国の安全保障の根幹にかかわる条約につきましては、日米間の確固たる信頼関係が絶対の基礎条件でございまして、日米安保条約はまさにこのような信頼関係に基づいております。
 米国政府は、核持ち込み問題に対する我が国の立場及び関心を最高首脳レベルを含めて十二分に理解しておりまして、政府としては核持ち込みの事前協議が行われていない以上、米国による核持ち込みがないことについてただいまのところ何ら疑いを持っておりません。
○矢田部理君 その信頼関係なるものが崩れて重大な疑惑が生じている。従来の説明だけではだめですと、都道府県の知事さんですらみんな言っておるわけです。外務大臣の説明ではだれ一人胸に落ちない。だからこそ私は少し声を荒げて申し上げているのでありますが、これはやはり時期を明示して、次の外務委員会までにさらに督促をして明らかにするというぐらいの約束はしてください。
 私どもも政府だけの解明にまつわけにはいきませんので、この問題の航海日誌を直接閲覧したジョシュア・ハンドラー氏を来週は呼んで、具体的な航海日誌の存在を、中身を直接日本でも確かめる集まりを持つ予定になっております。この程度の作業ができなければ、外務省として何をやっているのだ、日本の政治姿勢はどうなっているのだ、国民の疑惑に政府が答えたことにはなりませんので、再度外務省に要請をしておきますが、いかがですか。
○政府委員(有馬龍夫君) 事柄の性格にかんがみまして、外交経路を通じて現在米国に照会中でございます。
 しかし、従来の経緯にかんがみ、繰り返しになりますが、何分二十四年前のことであって、従来も折に触れて米側にこのことは話しておりますけれども、日を切って答えがもらえるものかどうか、ここで申し上げることができないことについては先生御理解くださるものと存じます。
○委員長(山東昭子君) 時間が来ました。
○矢田部理君 もう一言だけで終わります。一分までですから。
 もう一度強い要請、日本の国会の議論もあるので、強い催促をするということぐらいは外務省は少なくともこの席で約束できますか。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま矢田部委員のお尋ねの線に沿いまして、引き続き努力をさしていただきます。
○矢田部理君 終わります。
○中西珠子君 けさの審議中に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約並びに所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求むということで、二つ承認案件が出ておりますが、このような種類の二重課税回避、また脱税防止のための租税条約というものがこれまで三十六あると伺いました。そして、現在はアルゼンチン、トルコ、クウェートなどと交渉中であるということを伺ったわけでございますが、これからもますます日本の企業の海外投資や現地生産がふえていくであろうと考えられる中で、このような条約はまた非常に必要とも考えられるわけでございますが、外務大臣は、これからこういった条約に関するどのような方針をお持ちでいらっしゃいますか、大いにふやしていこうとお考えでいらっしゃいますか。いかがでございましょう。
○国務大臣(中山太郎君) 何といいますか、企業の国際化が大変な勢いで進んでおります。またサービス、財の移動も極めてその速度が速まっておりまして、やはり相互の経済活動が活発になるためには条約を締結していくということがそれぞれの国の経済活動を繁栄させる一つの基盤になるんではなかろうかと考えております。
○中西珠子君 どうもありがとうございました。私もそのように考えます。
 途上国に対してと、また先進国に対しては、やはりきめの細かいやり方をやっていただきたい。これは要望として申し上げておきます。私は本日の条約については賛成でございますから、もうこれ以上聞きません。
 それで、これからお聞きしたいことは、いわゆるWIDと言われているものでございますが、日本語で言いますと開発における婦人の役割とか、開発と婦人というふうに言われておりまして、現在全国組織を持ちます五十二の婦人団体やなんかも、これは国際婦人年の決議を実現するための連絡会議という長い名前の、国際婦人年連絡会議というふうに簡単に申しておりますが、そういう団体があることは御承知かと存じますが、こういう団体でも、これからはやはり婦人の地位向上のためには開発と婦人という観点から大いにやっていかなければいけないし、国際協力もやっていかなければいけない。そういうことで、先ほど久保田委員からもお願い申し上げたんですが、UNDPにございます婦人のための開発基金(UNIFEM)
に対する拠出金をふやしていただきたいということで五十二婦人団体が女性議員との懇談会を持ちましたときに強い要望があったわけでございます。
 そしてまた、私も副会長をやっておりますが、国連婦人二〇〇〇年の議員連盟におきましても、本当に少ない額ではございますが、五千ドルを何とか拠出しようということになったわけでございます。これは一九八五年の世界婦人会議がナイロビで開かれましたときにもやはり五千ドルを寄附したわけでございますが、これは本当に非常にシンボリックなコントリビューションでございまして、やはりODA予算が世界一である日本国といたしましては、もう少しUNIFEMに対する拠出金をふやしていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。これが一点でございます。
 先ほどは同じような、三十五万ドルの額を続けてやるというふうな国連局長の話でしたけれども、それではなくて、大臣が破格の御決断をもってこれをふやしていただきたいと私はお願い申し上げたいと思います。いかがでごさいましょう。
○国務大臣(中山太郎君) 今もう既に、国連局長から御答弁申し上げておりますように、概算要求も出、予算編成を大蔵ではやっておる最中でございまして、まあ明年度どういうふうな結論になりますか、これから努力をしてまいりたいと思いますが、先生のお考え、極めて大切なお考えでございますから、できるだけそのような方向に大臣としては努力をしてまいるようにいたしたいと思います。
○中西珠子君 どうぞよろしくお願いいたします。
 それから、そのWIDでございますが、これは開発と婦人と言いましたり、開発における婦人の役割というふうに訳しているわけでございまして、私もかつて予算委員会やまた外交・総合安全保障調査会などにおきまして、何度も開発における婦人の役割をふやしていただきたいと。これは二つの側面がございまして、政府開発援助、また民間団体の援助、そういったものが受益者としての婦人を潤すかどうかということですね。どうしてももっと婦人を潤していただきたいということが一つの側面でございますが、またもう一つの側面を申しますと、ODAの企画、立案、実施、評価、そういった面でもう少し婦人の声を反映させていただきたい。
 OECDにもJICAにも外務省にも婦人の職員の方はいらっしゃいますけれども、お役人の方もいらっしゃいますけれども、なかなか数が少なくて、そして婦人の声が反映されないという嫌いがないわけでもないと私は思っているんです。それで、婦人と開発の問題について御質問をいたしますと、婦人の派遣専門家は大変少ない、分野も少ない、しかし女性の研修生はたくさん受け入れております、また青年海外協力隊からはたくさん女性を出しておりますと、こういうお答えをいつもちょうだいいたしまして、本当に私自身も派遣専門家としていらっしゃる女性の方が少ないことも存じ上げておりますし、また研修生もいろいろ女性の方も来ていますし、また青年海外協力隊の中で、本当に若い女性がもうアフリカの奥地で化学を教えたり数学を教えたりしている、そういう姿も見ておりますので、本当に女性の力というものをもう少し活用していただきたいなと、こう考えているわけでございます。
 それで例えば、よく御存じのことと思いますが、世界じゅうで七〇年代から婦人の地位向上のために開発における婦人の役割というものをもっともっと強めなければいけないということが言われておりまして、御承知のように、アメリカではUSAIDに婦人の開発における役割、また開発プロジェクトが婦人をもっともっと稗益するようにということを目指したWIDオフィスというのがございます。これは一九七三年にフォーリン・エード・アクト、海外援助の法律が改正されて、そしてその百十三条でコングレショナルマンデートというのができたわけですね。これがいわゆるパーシー・アメンドメントと呼ばれているわけでございますが、これに基づきまして七四年に独立のオフィスがUSAIDの中にできたわけです。一九八二年にはポリシーペーパーができておりまして、ことしは三月でございますが、そのWIDに関して国会にこういう報告を出しているわけですね。
 それで、日本におきましてもぜひもっともっと強力に婦人の声がODA自体に反映される、また途上国の婦人がもっともっとODAによって稗益されるというふうなことをお考えいただきたいと考えておるわけでございます。ナイロビでの国連婦人の十年の最終年の世界婦人会議におきましても、御承知のように、二〇〇〇年に向けての婦人の地位向上のための将来戦略というのが採択されまして、その中でもやはりWID、婦人にもっともっと開発の成果を裨益させるようにしてもらわなくちゃ困るし、またODAの企画、立案、実施それから評価、フォローアップ、そういった面でももっともっと婦人のアイデアを入れてもらいたい、そして婦人を参加させてもらいたい、それが必要であるということを強調しているわけでございます。その前の年のDACにおきましても、WIDのガイディングプリンシプルができているそうでございます。
 そこで、そのDACのガイディングプリンシプルがどのような適用状況になっているかということを伺いたいのでございますが、アメリカのようなマンデートができているところ、それからガイディングプリンシプルができているところ、こういう国はDAC加盟国の中で幾つぐらいございますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 日本以外の国は全部つくっております。ですから、日本だけがまだできておりません。
○中西珠子君 日本以外の国は全部つくっているんですか。日本だけができていないんですか。
○政府委員(松浦晃一郎君) はい。しかしながら、日本もまさにそれを作成すべく作業を現在行っております。
○中西珠子君 それで組織としては、例えばアメリカのような、ちゃんとしたオフィスがなくてもユニットがあったり、担当のスタッフ、オフィサーを置いている国もたくさんあるのではないかと思いますが、その状況はいかがでございましょう。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今ちょっと御報告いたしましたように、私どももOECDのWIDのガイドラインに基づきまして、これは先生も御承知のように、もともとは八三年に最初のガイドラインが策定されましたが、この九月に改定ガイドラインが策定されております。それらを踏まえまして……
○中西珠子君 それは発表されましたんでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 公表されております。
○中西珠子君 それで、新しいガイドラインもできましたところで、日本といたしましては、今度はガイドラインをモニターするようなWID専門家会議、その専門家会議の殊に役員というのでしょうか、ビューローの一員というものになったそうでございますが、日本においてガイドラインも全然ない、そしてまた、組織は望めなくても、担当のスタッフも何人かいるというふうな状況にいたしませんと、これはちょっと恥ずかしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 今のOECDのWIDのガイドラインに基づきまして、国内でどういうふうに対応するかということで私ども鋭意検討を進めておりまして、今御報告いたしましたように、ほかの国にはガイディングプリンシプルなどがございますので、私どもといたしましても、ぜひ日本といたしましても何らかの形で国内のガイドラインを設定したいと思いまして現在作業をしております。
 まず第一段階といたしましては、外務省の中にWID援助委員会というのを設けまして、委員長は不肖私でございますけれども、その下にタスク
フォースを設けまして、具体的にどういうガイドラインをつくるべきか、鋭意検討をしております。
 同時に、並行してでございますけれども、御承知の援助の実施機関でございます海外経済協力基金と国際協力事業団でもそれぞれ検討を進めておりまして、海外経済協力基金では八八年からWID担当官というのを指名しておりまして、円借款の実施に当たりましてまさにWIDの観点を取り入れるべく、そういう担当官を既に置いております。他方、国際協力事業団におきましては、ちょうどWID予備検討会というのを課長レベルでつくりまして、今まさにWIDの改定ガイドラインを受けましてどういうふうに日本として対応すべきか、国際協力事業団としてどう対応すべきかの検討を行っているところでございます。
 したがいまして、全体として諸外国に比べまして残念ながらおくれてはおりますけれども、私どもとしてもまさにOECDのガイディングプリンシプルを踏まえまして、WIDに関しましてそれなりにきちんと対応していくべく作業を進めているところでございます。
    ─────────────
○委員長(山東昭子君) 質問途中でございますけれども、委員の異動について御報告いたします。
 本日、竹村泰子さんが委員を辞任され、その補欠として喜岡淳さんが選任されました。
    ─────────────
○中西珠子君 ただいま外務省においてWIDのガイドラインをつくるために鋭意御努力をなさっているということを伺いまして大変結構だと思うのでございますが、どのようなガイドラインをおつくりになるつもりか。
 また、もう一つ、民間の婦人団体とか有識者の人たち、そういったところの意見をお聞きになるおつもりは全然ありませんか。きめの細かいODAを婦人の、殊に農村の婦人を裨益するためにやっていくには、BHN、基礎生活分野というんですか、そういうものをやっていくにはやはりNGOの協力というものも必要なのではないかと考えるわけでございますが、そういう面からいたしましても婦人団体とかNGOで開発協力をやっているようなところとか、有識者、そういった人の意見をお聞きになるおつもりは全然ないわけでございますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 日本の国内におきましてもWIDに関しましていろいろ御意見を持っておられます方々が大勢いらっしゃいますので、私どもといたしましては機会があればぜひそういう方々の御意見も承らさせていただきたい、こう考えております。
○中西珠子君 ぜひそういう方々の御意見を少なくとも一度は聞いていただきたいと思います。
 それで、大体いつごろできる御予定ですか、ガイドラインの方は。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほど御報告しましたようなことで改定ガイドラインはこの九月に採択されたばかりでございますが、日本が残念ながらこの分野では諸外国よりおくれておりますので、鋭意検討を進めておりまして、なるべく早くと思っておりますが、残念ながらいついつまでということを明示的にはちょっと申し上げかねますけれども、できるだけ早く策定したいと考えております。
○中西珠子君 DACでWIDの専門家会議がございますでしょう、それがこの次開かれるのはいつでございますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御承知のように、専門家会合は年に一回ということでございまして、ことしの五月に会合しておりますものでまだ来年の日程が固まっておりませんが、役員団、ビューローに日本も選ばれまして日本から二人、OECD代表部の女性の職員と、それから私どもの国際機構課のDAC班長、ちょうど女性でございますけれども、二人の女性がこのビューローに入っておりまして、このビューローの会合は来年の一月に開かれることになっております。
○中西珠子君 ビューローのメンバーに日本がやっとなったんですから、そのビューロー会議に間に合うようにでもガイドラインができないとちょっと恥ずかしいんじゃないですか、出席なさる女の人たち。と思いますけれども、大臣、いかがでございましょう。
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御指摘、全くそのとおりだと思います。早急に作業を進めるように、お約束をここで申し上げておきます。
○中西珠子君 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、民間の方の御意見もお聞きになって、そして早急にガイディングプリンシプルというものを、ガイドラインでもいいです、おつくりいただきまして、この次のビューローミーティングにはそれを持っていかれるように、発表ができるように、よろしくどうぞお願いいたします。
 それから、さっきNGOのお話をちょっといたしましたので関連してお聞きしたいんでございますが、ことし既に特定のNGOの方々は補助金をいただいていらしたんですが、一応、対象不特定のNGOとして補助金を予算計上なさり、そしてそのNGOに対する補助金を、ことし初めてですから一億一千万ぐらいで余り多くはないと思うんですが、それを配分なさったわけでございますね。これほどのように周知徹底なさり、どのような応募の仕方をおさせになったのか、それからまたどのような配分をなさったのか、殊に分野ではどういう分野を選んでなさったのか、そういったことをお聞きしたいと思うんです。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生が今御指摘になりましたように、今年度の予算におきましてはNGOに対します新たな事業補助金一億一千万円をつけていただきましたので、これによりまして、従来私どもが補助できなかった、しかしながらいろいろ有益な活動をしておりますNGOに事業補助を始めております。具体的には、これは官報にも載せて公募をいたしましたけれども、それ以外にもいろいろNGOの団体と私ども連絡する機会がございますので、その都度NGOの方々に御連絡をとりまして、予算が一億一千万でございますけれども最終的にはそれを上回る一億五千万近くの応募がございまして、今までのところ、その中を厳選いたしまして九千四百万円、予算の約八四%に相当いたしますけれども、九千四百万円の補助金の交付を決定しております。
 この決定に当たりましては、先生もまさに御指摘のように、従来補助金を供与できなかった、しかしながら非常に有意義な活動をやっている、しかし法的なステータスもきちんと持っていないNGOをも含めておりまして、私どもはそれなりに基準を設けて選定をいたしましたけれども、重要な点は、具体的には、一応これらのNGOの活動が過去三年間以上の実績を持っていること、それからみずから人を開発途上国に派遣してNGOの活動を行っているということ、それから一連の事業の実施管理能力をしっかり持っていることというのを選定基準として考えさしていただきました。
 分野はかなり広く考えておりまして、農村開発、人材育成、保健衛生、医療、地域産業、生活環境等を対象にいたしました。
 最終的に、今御報告いたしました八四%、九千四百万円の交付金がどのような分布になっているかという点でございますけれども、分野別に見ますと、人材育成が四一%、医療が二四%、それから生活環境改善が一三%になっております。ちなみに、今申し上げました補助金は全体で二十四件で、団体の数は十五でございます。
○中西珠子君 ことしは非常に出始めでございまして、予算も少なかったわけでございますけれども、やはり途上国でいい仕事をしているNGOに対しては、これからも予算をふやしていただいて補助をお続けいただきたいと考えておりますが、いかがでございますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 来年度の概算要求におきましては一億七千万円の要求をしておりまして、つまり今年度予算に比しまして六千万円の増を要求しております。私どもとしては、これからもこの予算をできるだけ伸ばして有効に活用し、
いろいろな有意義な活動をやっているNGOを支援してまいりたい、こう考えております。
○中西珠子君 ただいまのは国内のNGOに対する補助金でございますが、ことしの予算から新たに小規模無償資金協力という費目で、途上国のNGOに対してもやはり補助をなされるような仕組みができたと伺っておりますが、この点につきましてはどのように進捗しておりますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のは、私どもが小規模無償資金協力と呼んでいる新しい制度でございまして、今年度の予算は三億円でございます。
 この予算は、開発途上国のいろいろなニーズにきめ細かくかつ迅速に対応するために設置された制度でございまして、対象は今先生御指摘の地元のNGOのみならず、国際的なNGOで途上国で活躍しているNGOも含めますし、それから途上国の地方公共団体、それから研究、医療機関等も対象にしております。
 今年度は初年度でございますので、私ども一応四十カ国前後を対象にいろいろ検討し、現地の大使館が中心になりまして、今申し上げましたいろいろなNGOを含みます団体とアプローチをいたしまして、具体的な案件に関しましてはかなり詰まってまいりましたが、初年度でございますので、まず基本的な枠組みに関しまして途上国の政府と話し合いをしておりまして、それに残念ながら時間をとっております。
 途上国の政府も基本的には今回の新しい小規模無償に対して理解を示しておりますけれども、途上国政府の中にはNGOの活動に対しまして必ずしも全面的にもろ手を挙げて賛成ということではございませんで、かなり選択的なアプローチをとっている国もありますし、国によってはNGOに対して非常に制限を課している国もございますので、ちょっとその話し合いが残念ながら難航しております。私どもは、まず基本的な枠組みを途上国政府とつくった上で、先ほど申し上げたようなNGOを含めた諸団体に直接援助したい、こう思っております。
 今までのところ、四十カ国前後のうち十六カ国につきまして話し合いが成立いたしましたので、この十六カ国については早急に具体的な案件を動かしたい、こう考えておりますし、残りの国につきましてもできるだけ早く基本的な枠組みについて合意に達したい、こう考えております。
○中西珠子君 大変結構だと思いますが、途上国の大使館なり、大使館のないところは領事館なりを通じて、途上国政府に対して補助金を出すところを全部交渉なさっているわけですか。NGOが日本から行きまして、現地で相手方のNGOと一緒になって仕事をするという場合もあると思うんですね。そのような場合には日本のNGOが推薦するといいますか、要請する相手国のNGOに対して出すという、そういう道は開かれていないのでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) この小規模無償資金協力は、まさに先生御指摘のように、現地の日本大使館が直接地元のNGOに資金援助をできるようにするのが目的でございまして、それをまさにしようとしております。ただ、その前提といたしまして、こういうメカニズムでこういうことを今後やっていきますということに関しまして、相手国政府と基本的な了解に達しておく必要がございますので、その基本的な了解づくりに先ほどちょっと御報告をしましたが時間をとっておるということで、この十六カ国については了解ができましたので、その了解に基づいて今度は具体的な、例えば先生御指摘の地元のNGOであれば、どのNGOにどういう援助をするかというのは日本側で決めて、そのNGOと直接話をつけることにしております。
 ただ、国によりましては、NGOに直接やらないで相手国政府を通じてやってほしいとか、あるいは相手国政府の了承をとった上でやってほしいとか、そういう国がございまして、やっぱりそれはその国での援助でございますので、その国の基本的な方針に私どもも従わざるを得ないと思っておりますけれども、かなりの国は弾力的に対応することを認めてくれまして、繰り返しですけれども、全体の枠組みさえ合意すれば、あとは日本側で地元のNGOを選んでそこに直接援助をするということで構わない、こう言っております。
○中西珠子君 国によりましてやはり国情が違い、社会的な情勢また政治情勢も違うから一概には言えないと思いますけれども、すべてを政府を通さないとNGOは補助金をもらえないということでは将来は困るのではないかと考えます。
 それで、日本のNGOにつきましても、補助金をいただいた、けれども自主性は保たせていただきたい、こういう要望を皆さん持っているようでございますので、そこのところが非常に難しいところではないかと思うわけでございますが、先進国ほどこでも、NGOもしくはPVOと称する非営利団体で開発途上国に対して協力援助をやっている民間団体とコファイナンシングシステムという、半々ぐらいの資金を政府と持ち寄ってやるというぐらいのところまで非常に発達しているわけでございますけれども、まだ日本はNGOに対する補助も緒についたばかりでございますし、これから大いにNGOのよさというものを活用して、自主性も尊重しながら大いに広げていっていただきたい。そしてODAでは届かないようなきめの細かい開発協力をNGOにもやってもらう、そういう方向でいっていただきたいと思いますが、大臣の御所見はいかがでございましょう。
○国務大臣(中山太郎君) やはりNGOという分野での協力というものは人と人との触れ合いが非常に濃度が濃いというふうに考えておりまして、そういう面で、これからこのNGOの運動、これについて日本政府としてもさらに努力をしなければならないというふうに私は認識をしております。
○中西珠子君 ODAの開運でもう一つお伺いいたしたいと思いますのは、毎年毎年ODA予算がふえまして、ことしは世界一位になるということでございますけれども、ODAのプロジェクトを見つけることも大変困難なほどお金の方がふえているという感じを私どもは持っているわけでございます。外務省の経済協力局の担当官の方々の御苦労、またJICAの方々の御苦労もよくわかるわけでございますが、それにつけましても絶対的に人数が足りないということは言えると思うんですね。ですから、USAIDその他の国々のODAの担当職員が扱っている金額というものと比較いたしますともう何倍にもなっている。そういうふうな状況でございますから、本当に絶対的に人材の育成を早くやらなければいけないということが言えると思うんです。
 これは、そういう管理の面で企画立案する方々も、それから実施の面で専門家として出かける方、またそのプロジェクトを管理する方、それからまた評価、フォローアップ、これも私が第三者機関を入れて評価をしていただきたいというふうなことをもう数年前から申し上げて、これをお聞き入れいただきまして、第三者的な客観的な評価もお始めになっておりまして大変結構だと思うのでございますが、いずれにいたしましても絶対的に人数が足りないということは言えると思うんですね。これはもちろん行財政改革のときであっても、重点的にやはり人数はふやしていただかなくちゃいけない状況にあると考えております。
 一方、やはり専門家として途上国に行く人、またはその途上国のマクロ経済分析から社会情勢、それから歴史、文化、そういったものの分析もすべてできて、これこそその国の経済社会発展に役に立つプロジェクトだということがわかる人たち、そういう人たちをもっとふやしていく必要があるんじゃないかと思うんです。
 そういう面ではやはり国際開発大学という構想は非常に結構だと思いますが、これはもう報告書は出ておりますけれども、どのような進捗状況でございますか。既に何か受け皿のような財団をおつくりになったとか、これからおつくりになるとか、そういったことになっておりますか。いろんな大学のネットワークづくりをなさるということ
で、これも私は大変結構だと思っているわけでございますが、核になる、センターになるものにつきまして、もう既に何かお考えを持っていらっしゃるわけですか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘の国際開発大学に関しましては、ちょうど四年前になりますけれども八五年十二月に、当時の安倍外務大臣の私的懇談会でございますODA研究会の答申の目玉として出されました構想でございまして、それ以来三年半近く事務的な作業を続けまして、この夏に準備作業が一応完了いたしまして報告書が出ております。
 その報告書の提唱しておりますシナリオは三つの段階がございまして、第一、第二、第三がございますけれども、第一段階では国内の既存の大学に、特にこれは大学院でございますが、開発問題の研究科コースを設けることを支援する。その際に、諸外国で既に開発問題について二十年から三十年の蓄積のある大学とよく連絡をとって協力を得ていくというのが第一段階で、そのための受け皿となる公益法人をつくるべしというのが提言のポイントで、具体的な国際開発大学そのものをつくるかどうかは第二段階に検討するとし、第三段階はちょっとつけ足しになりますけれども、第一、第二段階がうまくいけば、開発途上国にそのような大学を設けることを検討してはどうかという勧告を私どももいただいております。
 それを踏まえて今検討をして、まさに第一段階をできれば来年度から私どもとしては動かせるべく、しかるべき概算要求も行っておりますけれども、とりあえずは受け皿になります公益法人づくりを今鋭意検討している段階でございます。
○国務大臣(中山太郎君) 中西委員御指摘のとおりでして、日本の国家自体が相当スピードを上げて経済成長したものですから、このODAによる国際社会への貢献に当たるだけの十分な職員が整備されていない。これはもう大臣として率直に認めます。
 私は、就任以来、一体どれぐらい開きがあるのかということで調べて、アメリカは一九八七年に約八十八億ドルの援助を総勢約三千五百人でやっております。それから、イギリスは十九億ドルの援助を千六百人でやっております。カナダは約十九億ドルを約千三百人で実施をいたしておりますが、我が国は約七十五億ドルを千六百人で実施している、こういう状況でございます。これを職員一人当たりの担当援助量で比較すると、米国との比較ではおよそ二倍、それからイギリス、カナダとの比較では約四倍の援助量をこなしているということで、この十年前に比較して日本の援助額が円ベースで見て約二・八倍に増大しているのに対して、援助要員の方は約五割の伸びにとどまっている。そういうことで、非常にこのODAの予算の伸びとそれからそれに要する人員の増強がアンバランスになっている。
 そこで、質的なODAの充実をやっていく、そして国民の皆さん方が納めていただいた税金が国会の承認をいただいて政府が開発途上国のために提供するということをさらに充実させなきゃならない。そういう観点から私は、この人員の育成、それから今先生お話しの国際開発大学、こういうものを整備することによって、日本の援助額がさらに増大する方向にございますから、それに必要な人員の整備を政府としては急がなければならない、こういうことを自分で考えております。
○中西珠子君 人員の整備は絶対必要でございますし、育成も絶対必要でございますね。
 それで、私どもが考えているのは、今度の概算要求では労働省や農林水産省など十八省庁が予算要求をODAのためになさっているわけですが、外交ルートを使って、そして外交交渉をなさるのはもちろん外務省でございますから、そういう意味では、そこでは一元化されているかもしれないけれども、まず企画して立案していく段階で総合調整が足らないのではないか、どこかで一元化を図らなければいけないのではないかというふうに考えているわけです。これにつきましては、もう延々何日かかってもしゃべることをやめないかもしれませんから、これは申し上げませんけれども。
 とにかく、一番ODAの状況がわかっているのは外務省だと思うんです。というのは、国際的にやはりいろんな国のODAをよくごらんになっているからよくわかっていらっしゃるし、また国連やOECD、DACの行き方というものをよくわかっていらっしゃるから、いろいろお考えもあるかと思いますけれども、もう一つの問題は、さっき国会の承認を得て予算をとおっしゃいましたけれども、これの中身をもう少し詳しく計画なり何なりでお示しいただいた予算の審議ということにしていただきたい、このように考えているわけでございます。
 これはもうこれ以上申し上げませんけれども、とにかくODAをよくしていって、そして金額だけふえてお金だけばらまいたって、日本は国際社会においてリーダーシップはとれないんだよ、ODAの質をよくしなきゃだめだよと、こう言っているたくさんの経済学者とか政治学者とか、そういう人たちがいろんな国にいるということも御承知と思いますけれども、そういった点もぜひお考えになりまして、国民の税金を使うODAをいかに効率的に、またいかに途上国の草の根の人々、特に婦人、子供、そういった人たちが潤うようなODAにしていくかということをお考えいただきたいと思うのでございますが、大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(中山太郎君) 今御指摘のとおりでございまして、税を払っていただいている国民の方々の中には、ODAというものがこれで世界一になったというような報道を聞かれて、それがむだに使われているのじゃないかということをおっしゃる方もいらっしゃることを私よく存じております。そういうことからもかんがみまして、外務省におきましてはODAの事前評価、それから相手国との十分な打ち合わせ、さらに後の、今先生も御指摘のあった第三者による評価、そういうものをきちっとフォームを決めてやっていく。さらには、日本だけでやる援助でなしに二国間で共同して第三国にやるとか、そういうふうな方向もこれから考えなければならない。そして、国民の皆様方が納得して、経済大国になった日本がこのような形で国際社会に協力していくんだと、それに満足をしてもらうようなODAのあり方というものを確立しなければならない、私自身はそのように考えております。
○中西珠子君 私はODAのことはこれでやめまして、先ほどちょっと外国人労働者の問題が出ました。
 新聞報道では、外国人労働者というのは、それこそ日本の労働力が今足らないんだからどんどん単純労働者でも入れてほしいという要望が一方にございまして、殊に建設業とかサービス業とか、そういった中小の小さな企業が本当に今の経済好況の中で人手が足らなくて困るから、もう偽装難民だって構わないんだ、労働力として回してほしいというふうな、そういうことを言っている企業もたくさんあるということを聞いているわけでございます。
 そういうときに、外国人労働者の問題というのは、不法就労の人たちがいる、不法残留して不法就労している、けさのお話で売春をやっている者もいるというけれども、最近の傾向としては単純労働者である男性がふえているわけですわ。そういう人たちが本当に劣悪な労働条件と低い賃金で、そしてそれこそ三キ、危険で汚くて、とにかく日本人が嫌がるような職についている。こういった状況はやっぱり非常に日本としては考えなきゃならない状況でありますが、けさほどの外務大臣の御答弁の中でよく私がわからなかった点がございます。
 と申しますのは、読売新聞の先週だか何かの記事に、外国人労働者の問題は、労働問題としてもまた国際的な外交問題としても大変重要な問題だから、今まで事務レベルであった各省庁の連絡会議ではなくて関係閣僚会議というものを設けた方がいいと外務大臣が御提唱になって、そして了承
されたにもかかわらず、ある省庁の猛烈な反対でそれが開かれない。その新聞が大変失礼なことを言っておりまして、外務大臣は大阪の出でいらっしゃいまして、向こうは新しい大阪の空港とかいろいろ建設業が猛烈に労働力不足で困っているから外国人労働者を単純労働でも入れた方がいいとお考えになっているのと、はっきり言えば法務省の入国管理の方とぶつかってしまって、あるいは労働省の単純労働は認めないというのとぶつかってしまって、その関係閣僚会議が開かれないのだ、こういうふうな新聞報道がありました。
 けさほど伺っておりますと、労働市場の中で外国人労働という階層ができてしまうのはまずいんじゃないかというふうな御意見を、これは外務大臣としてではないけれども閣僚として申しますというふうにおっしゃいましたけれども、外務大臣のそういう層ができるということがまずいというのは、やはり賃金、労働条件がうんと劣悪である人たちが、日本人と同等の待遇をされないで、基準法や何かの労働法規が適用になるはずなのにそれもされないで社会の底辺に沈滞してしまうということ、そして、それがまたなかなか帰ってはいかない、フランスや西ドイツの例もございますが、そういうことをお考えになってけさの御発言があったのか。そこのところがちょっとわからなかったので、もう一度外務大臣の外国人労働者に対する御所見を伺わせていただきたいと思うのでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員御指摘の新聞記事を私も読みまして、全くくだらない記事だと私は思いました。率直に申し上げます。私はそういう建設業界から頼まれてどうするというようなけちな考えでこの問題を扱ってはおりません。
 と申しますのは、日本で現在不法な就労をしている外国人労働者の実態を把握ができていないんですね、推定なんです、あくまでも。これは約十万人と言われている推定数にすぎない。こういうことで、さらにまだ不明な点もあるやに私聞くこともございますが、それで、これだけの経済大国になり技術大国になってきて発展途上国から研修生を入れていくということになってまいりますと、さっき先生も言われた汚いとか危険とかいう今の日本の人たちがやりたくない作業現場にそういう発展途上国から労働賃金の高い日本に労働を求めてやってくるという人たちが集まってくるということになってくると、いわゆる日本の労働のシェアの中で、そういうところに外国人の労働者が集まってくるということは国家として非常に大きな問題であるという私はとらえ方を実はしているわけです。
 それで、前も予算委員会で申し上げましたように、それではその研修生を入れるという場合になってまいりますと、研修をしながら労働をやるというケースも私は起こり得る可能性があると思うんです。そういう場合の保険の問題とか社会保障の問題とかも十分踏まえて国家としてこれからその影響が私は十年とか二十年とか三十年とか四十年先の日本の一つの社会構造の中の大きな問題として残ってくるだろうと思うんです。それが今の西ドイツの姿でありますから、そういう意味で私は、今先生の御指摘のように、幾つもの省庁が事務官僚同士でいろいろ話をして、自分の役所の発言権がどうとかこうとかくだらぬことを言っているのがおりますが、そういうことではこれだけの大きな国家問題の結論を出すことはできない。それはやっぱり政治に責任を持っている閣僚のレベルでの協議と決断が必要であるということから、私は先般関係閣僚会議の設置を官房長官に申し入れて総理が了承されたということでございますから、どうぞその点は十分御理解をいただきたいと思います。
○中西珠子君 一日も早くそういう関係閣僚会議をお持ちになりまして、これは長期的な見地からやはり御判断いただきたいと思うわけです。
 不法就労の数がどんどんふえているという実態、また研修生という隠れみののもとで就労されている人の労働条件、賃金、そしてまた労災すら本当は適用されなくちゃいけないのにしていないなんということで、医療の問題それから住宅の問題、すべての日本人としての生活面、労働面、そういった面で日本人が享受しているものは絶対与えられない状況で日本人よりも低い賃金、労働条件ということで単純労働者がやってきますと、やはり日本人の賃金を引き下げる効果もある。
 そして、労働基準法が適用はされているとはいいながらも、実際は摘発がなかなか困難であってひどい状況で、またタコ部屋のようなところや、六畳一間に十一人も住んでいるというふうな住居、そういったものを考えますと、これはILOの移民条約もたくさんございまして、御承知と思いますけれども、移民として雇用を求めてきた者に対してはそこの国民と同等の待遇をやってやらなくちゃいけないということを大いに強調しているわけでございますが、やはり日本におきましても、外国人だから低い賃金でいいんだ、低い労働条件でいいんだ、そして狭い部屋にぎゅうぎゅう押し込んでおいたっていいんだ、そしてその人たちがまた本国に送金するためにもうかつかつのお金だけを手元に置いて、本当に食べるものもろくに食べないで暮らしているという状況があるわけで、これは犯罪の温床にもなるし、病気の温床にもなるし、また疲労のためにけがをするというふうなことも出てきますし、大変いろんな社会問題としてあらわれてくるという面もございます。
 今でこそ経済は好況でございますけれども、そして労働力が不足ですけれども、これはいつまた不況になるかわかりません。それから、労働力という面を見ましても、これから高齢化社会に行って若年労働力は大変減るけれども年とった中高年労働力はふえてきて、そして今度は年金の支給開始年齢も――六十五歳ということはちょっと今度は自民党もおやめになるそうで大変結構と思っていますが、いずれにしても少なくとも六十五や七十までは働かなくちゃいけないという中高年がいるわけですね。
 その中高年の雇用機会も、汚いところや日雇い的なところというのはみんな外国人労働者が占めてしまって、そして中高年の雇用機会はますます先細りになっていくということになりますとこれはもう大問題でもございますし、また危険、きつい、汚いという三キの労働でなければ立っていかれないような企業はもう少しよく合理化を考えるとか、機械化を考えるとかいうことで、ひどい状況の外国人労働者に、単純労働者に依存しようということを考える前に、住宅も与え、社会保障も与え、そして賃金、労働条件もよくすれば安い労働力ではないんだという、こういう御指導をやっぱりやっていただきたいと思うわけです。したがって、中長期的な見地に立って、大臣もおっしゃいましたように、二、三十年先に本当に社会保障の負担にもなるでしょうし、いろんな面で日本の社会構造というもの、また労働市場というものの構造、そういったものに大きな影響を及ぼしてくると思いますので、ぜひ慎重に対処いたしていただきたいと思います。
 そこで、不法就労者は今何人ぐらい摘発されているのか、それをちょっと法務省の方にお聞きしたいんですが。
○説明員(町田幸雄君) お答えいたします。
 私ども不法就労外国人対策として、外国から日本に来る、港なりあるいは空港での審査、これによりまして不法就労外国人とわかる者はまず入れないという方針をとっておりまして、それからまた、入ってしまった者については、不法就労外国人であるという者がいれば、それを摘発するというようなこともやっております。
 それで、まず上陸を拒否した人の数ということでございますが、これは昨年度一年間で総数では一万一千百七名について拒否しております。この数は昭和六十年には千三百四十名でしたが、それからすると相当ふえているというぐあいに言っていいかと思います。国籍別で申しますと、パキスタンか四千二百八十八名、バングラデシュが三千二百三十三名、韓国が千七十名でございました。なお、ことしの上半期、一、月から六月まででは総数で五千百六十六名についてやっておりまして、
この中では韓国が非常にふえており、二千五十二名になっております。それが注目される。それからマレーシアが九百二名と非常にふえているということが特に注目されると思っております。
 それからもう一つは、それでは国内で摘発された者はどうかと申しますと、総数で申しますと、昨年六十三年には入管法違反者全体で一万七千八百五十四名でございます。このうちで私どもの方でいわゆる不法就労者として把握している者は一万四千三百十四名でございます。この数につきましては、やはり昭和六十年と比較しますと、総数は昭和六十年の入管法違反全体が七千六百五十三名でございました。それからまた、不法就労事犯は全体で五千六百二十九名でございましたので、やはり相当伸びているというぐあいに思います。それから、ことしの上半期で見ますと、一月から六月までで総数が一万一千二百八十一名になっておりますが、やはり昨年よりまた相当伸びているというぐあいに言っていいと思います。これは不法就労者では九千三百十名ということでございます。そういうように数は非常にたくさんふえてきているのが実情でございます。
○中西珠子君 今回入国管理法の改正をなさいまして、そして就労可能な人たちの枠を広げ、しかも、それをはっきりわかるように明示するということでございますね。それから、研修生の枠を広げるということや、またブローカーなんかの取り締まりもできるような改正をなさるということで、それは大変結構だと思うんですけれども、研修生という隠れみので実際は就労しているというケースもなかなか多くあるのじゃないかと思うんです。
 それで、けさ労働省の方では企業に対して指導をしますと答弁でもおっしゃっていましたけれども、入り口で、入国をするときに本当に研修生であるのかどうか、どのような企業に行ってどのような研修を受けるのかというふうな、そういう基準というのを今度は厳格になさると聞きましたけれども、どの程度考えていらっしゃるんですか。
○説明員(町田幸雄君) その点につきましては、研修の中にいろんな種類、現在やっている研修として入国している者たちの中にいろんな種類がございまして、要するに政府でいわば丸抱えの研修もございますし、半官半民みたいな研修もございますし、また民間だけでやっている研修もございます。それから研修の期間、これも長いものもございますし非常に短いものもございます。いろんな形になっているのが現状でございまして、このうち六カ月以上当初から予定している研修、これにつきましてのビザは外務省の在外公館で出しているわけですが、それを出す際に、事前にこういう人についてそういうビザを出してよろしいかということを外務省本省を通じて法務省の方と協議がございまして、そういうことで把握できるのが六カ月以上の者でございます。こういった者については私どもも把握できるシステムになっております。
 しかし、それ以下の期間で、つまり六カ月以内でやる研修については現在のところ、私どもの方にそういう照会が来ないで、在外公館限りで出しております。そうしますと、これは入国の際にその詳細がわからないシステムになっております。
 したがいまして、全部について私どもで自動的に把握できるシステムになってございませんので、研修の実態が今どうなっているのだろうかということで私どももあちこち実態調査をいたしておりまして、それで把握したい。また、ほかの外務省や労働省などとも協力しながら研修のあり方、そういったものについてもお互いに勉強していきたい、こんなふうに思っているわけでございます。
○中西珠子君 研修生につきましては、労働基準法とかその他の労働法現が適用されないわけですね。そうすると結局、研修生であるのに就労させられて夜までもうんと働かされていたと。それこそ本当にノミナルなんですね、賃金をちょっともらっているだけで、お手当のようなものを。そういうふうな働かせ方をさせられていて、研修とは名ばかりだというふうなものの摘発はやはり労働省とタイアップしてなさっているわけですか。
○説明員(町田幸雄君) 御指摘のような研修を名目とした不法就労事犯というものは確かにあるようでございます。
 この摘発につきましては私どもも非常に関心を持っておりまして、いろんな情報に基づいて摘発を随時やるようにいたしておりますし、また警察の方でも委員御存じのとおり摘発をしてくださっており、これは刑事法の立場からやっていただいているわけです。私どもの方はいわゆる司法機関ではございませんから刑事罰の方はできませんので、行政手続として、何というんでしょうか、我が国から強制退去させる、そういう観点からやっているわけでございます。
 そういうわけで、役割が違うわけです。警察と主に協力しておりますが、労働省の方からも不審な者があれば通報していただくというシステムにはなってございます。
○中西珠子君 ちょっと労働省の方お見えになっていますでしょうか。――労働省の方に御質問したいのでお願いいたします。
 最近、労働者派遣事業法の違反として摘発されたと思うんですけれども、ブラジル移民の子供、これが結局、神奈川県の三協工業なんというのは一つの例だと思うんですけれども、すごい労働をさせられていて、賃金も六割以下しか与えられないというピンはねですね、こういう人たちは外国人労働者として扱っているのか、日本のブラジル移民の子供ということだから両方の国籍があって日本人として取り締まっておるのか、これはどうなんでございますか。
○説明員(吉免光顕君) お答えいたします。
 最近、いろいろブラジル日系人の問題が指摘されているわけですけれども、一般的な形で少し御説明したいと思いますが、ブラジル日系人の一世の方は日本国籍を一般的には持っておられますので、この方たちは日本人と同じような扱いになります。二世の方につきましては、親が日本人であるという場合が一般的でございますので、その場合は、あるいは法務省からお答えされた方が適当かと思いますが、今の在留資格で言う四の一の十六の一という、日本人の配偶者であるとか子供、そういうことで入国を認めておりまして、そういう人たちについての入国後の就労とかそういう面で制限はしていないというのが一般的でございます。
 ただ、三世以降になりますと少し事情が変わってまいりますし、そういった形での入国とは違って日本にいる親族と同居する必要があるとかあるいは個別に事情がある、そういう場合には、在留資格で申し上げれば、四の一の十六の三、「法務大臣が特に在留を認める者」というカテゴリーの中でそれぞれの方の状況を見ながら個別に審査して法務省さんの方で入国の可否を判断しておられるという形になっておりますし、そういう方につきましては入国後の就労可能性といいますか、活動範囲については個々人ごとに決定がされているという形になっております。
 ただ、いずれにいたしましても、ブラジル日系人というのは今いろいろ議論されております外国人とはやはり全く違うわけでございまして、もとをただせば日本人という面がございますし、先生今お話がございましたように、賃金不払いが起きたり中間搾取がいろいろ起きたり、そういうこともかなり指摘されておりますし、そういう事案も出てきております。私どもも警察庁の方と連携をとって情報交換しながら対応しているわけですけれども、そういったものの適正化といいますか、就労の適正化をやっていきたいというふうに思っております。
 今後、またそういう問題についてどういう形で対応が可能なのか、日本国内での就労のあり方のようなものについて検討を進めたいというふうに考えておりまして、実は外務省さんの方にもブラジル国内の事情等の調査もお願いをしておりまして、そういったものを踏まえて適正化でいろんな形の方策はとっていきたいというふうに考えております。
○中西珠子君 一言だけ。
 今のお話はよくわかりましたが、ブラジル移民として日本から出ていった人たちの子供たちやなんかがUターンして帰ってくる。また、ボートピープルで本当の難民でベトナムから来た人じゃなくて、偽装難民がやはり日本で何とかして雇用の機会を得てお金を得たいとか、それからまた外国人労働者が不法就労、本当に不法入国してでも日本で働いてお金を得たい、こういう人たちに対してやはり同じ人間で基本的人権を持っているという立場から対処しなければならないと思うのでございますが、結局不法の方々は帰っていただく、不法就労の人は帰っていただく、また偽装難民の人は強制送還ということでございますね。それは日本としてはいたし方のないことですけれども、その扱いにおいてやはり基本的人権を守って対処していただきたい。やっぱり人間としての尊厳を持った人間だということをいつもお忘れにならないように、入国の何と申しますか、空港にいらっしゃる方も、それからまた各県の入国管理事務所の出張所の方もそういう気持ちで対処していただきたいし、外務省さんもそういうふうにしていただきたいわけでございますし、労働省もそのようなお考えでいつも対処していただきたいというわけでございます。
 結局、そういうふうな日本に雇用機会と所得を求めて何としてでも、法を犯してでも入ってくるというのは、やはり日本が経済大国になってしまって、そして途上国との格差、経済的な発展段階、また経済情勢、雇用情勢、そういったものの格差が余りにも大き過ぎるというところから来るわけでございます。やはり途上国の人たちの雇用機会をふやす、職業をつくってやる、それのためには技能を覚えさせる。それも物すごくハイテクなことで資本集約的な面の産業ばかりじゃなくて、やはり適正技術というものを移入して、そしてそこの情勢に合ったような雇用機会がつくれるようなそういう開発、協力というふうなものをやっていっていただきたい。それがまた一つは、そういう人たちを減らしていくことにもなるのではないかと考えるわけでございますが、大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 実は、私も最近日本の難民センター、それから大村のレセプションセンターを視察いたしました。今週の初めでございましたか、香港へ参りまして、香港の難民収容施設を見てまいったんです。もう基本的に全然違うという問題をはっきり私自身認識いたしました。
 香港の場合と日本の場合と比べまして、日本の場合は中国人と思われる人たちが圧倒的に多いということが特徴でございます。香港の場合はベトナム系の人が極めて多い。それも五万五千人を超えまして、もう香港政庁としてはこれ以上受け入れられない。実際、難民キャンプを私も訪問してみまして、これだけの人間がこの部屋に住んでいるのかと。高等弁務官事務所も香港の政庁も大変苦労しております。そこで私が見た問題は、今先生の御指摘のありましたように、その国の人たちがなぜ来ているかというと、結局政治的な難民、宗教的な難民もありましょうけれども、経済難民の場合にはやはり職業訓練、職業教育というものをよっぽどしっかりやって、国へ帰ってもそれで生活ができるということを、例えば日本と、香港を統治しているといいますか、イギリス政府とが共同してこのベトナム難民の職業訓練をするとか、そういうことが結局いわゆる元栓を締めるといいますか、そういう問題の解決につながるんだろう。それもどこで職業訓練をするか、それはフィリピンでやるのかあるいはベトナムでやるのか、どこかそういうものを国連を通じてお互いに協議をしながら、そういうふうな発展途上国といいますか、そういうところから脱出してきている経済難民の教育、職業訓練というものが大変大切だということを実は痛感をして帰ってまいったようなことでございます。
 特に私が大変感心したのは、宗教団体がボランタリーで大変そういうものに協力をしているという姿を見まして、やはりこれからそういう方面にも日本政府は細心の注意を払いながら配慮して努力していかなきゃならない、こういうふうに思っております。
 きょうは先生からいろいろ御指摘をいただきまして、外務大臣として十分心してこれから外交努力をいたしたいと考えております。
○立木洋君 最初に、この二つの租税条約に関連して大臣のお考えをお聞きしたいんですが、つまり外交上とのかかわりで、こういう税の問題をどう考えていくのかという問題で若干お尋ねをしたいんです。
 今までの租税条約は、日本の政府としてやってきたのはOECDのモデル条約に基づいて相互主義という、先進国間のあり方としてやってきた。一九七九年に先進国と開発途上国との間でのモデル条約というのができまして、今度のインドの租税条約を見ると、今までのOECDのモデル条約に基づいて日本がやってきたのとやっぱり違っている点も個々見ることができるわけですね。それで、そういう状況にあるその国連のモデル条約というのは、開発途上国のいわゆる課税を重視するといいますか、そういう方向が大体見ることができるんじゃないかと思うんです。
 先般もアジア・太平洋の経済協力の閣僚会議に大臣もおいでになって、そういう南北関係の問題についてはいろいろとお感じになったんじゃないかと思いますけれども、今の経済問題の中でやはり南北問題というのはどうしても重視していかなければならない一つの重要な視点だろうと思うんです。一九六四年にUNCTADの会議が行われてから後も見てみますと、南北の経済格差というのはなかなかやっぱり解消しない。それどころか、依然として拡大するような傾向さえある面では存在しているということだと思うんですね。ですから、日本としてのそういう状況からよくこの問題を考える必要があるんではないかというふうに思うんです。
 それで、つまりこの租税条約に関連して今の経済の流れを見てみますと、どうしても経済の流れが一方的になりかねないという状況があるわけですから、こういう開発途上国の課税権という問題を外交上どういうふうに考えて今後やっておいでになろうとしているのか、その基本的な点をまずお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 極めて租税協定の基本的な分野の問題でございますから、一応まず政府委員から答弁させていただきたいと思います。
○説明員(丹波實君) 立木先生の提起しておられる問題意識は、私たちも十分理解できるところでございます。
 御承知のとおり、日本政府といたしましては、従来先生御指摘のOECDモデルに準拠して交渉に当たっているわけですが、先生まさに御指摘のとおり、例えばインドとの条約を見ますと、結果としてOECD条約よりもインド側に広い課税権を認めておるという点で、私たち開発途上国の視点というものも交渉の中で取り入れられているという点を御理解いただきたいと思います。
○立木洋君 じゃ、今後そういう方向でやっていっていただけるということですね。これは問題は別ですが、そのお考えの基本的な点だけまず私はお聞きしたんです。
 大蔵省にお伺いしたいんですが、最近の外国税額控除について、最近の資料のある時期での一年間、その税額がどれぐらいになっているのか、控除税額が。
○説明員(日出島恒夫君) 外国税額控除の総額につきましては、税務統計から見た法人企業の実態という報告がございますが、これによりますと昭和六十二年分、すなわち昭和六十二年二月一日から昭和六十三年一月三十一日までの間に事業年度が終了した法人に係るものの外国税額控除額は三千六百三十八億円となっております。ちなみに、昭和六十一年分は四千七十五億円、昭和六十年分は五千二百六十一億円でございます。
○立木洋君 大臣、聞いておいていただきたいんですが、大蔵省に対する質問なんですが、今度のこの質問の問題に関連してインドとベルギーに関
する日本の外国税額の控除額が一体幾らになっているのか。そしてまた、所得別に見て事業所得だとか配当所得あるいは利子所得、使用料等の金額がどうなっているのかと聞いたら、わからないと言うのです。どうしてわからないのか、まず大蔵省からお聞きしたい。
○説明員(日出島恒夫君) 先生御案内のとおり、我が国の外国税額控除制度といいますのは一括限度額方式を採用しております。この一括限度額方式というのは、改めて申すまでもないところでございますけれども、もう一度お話ししますと、全世界所得に対する我が国の税額をすべての外国を通算した国外所得と、それ以外の所得、国内所得との比に案分するということによって一括して控除限度額を計算するということとともに、納付した外国税額は、どの外国で課されたかを問わず、すべてこの一括限度額の範囲内で控除することを認めるというものでございますが、そのような一括限度額方式を採用しておりますので、国別の控除額あるいは所得区分別の控除額が算定できない構造になっておりますので、お尋ねのインド及びベルギーに係る外国税額控除につきましても、その計数は把握しておらないところでございます。
○立木洋君 日本の外国税額控除制度というのは、今述べられたように、国別にどういうふうになっているのか全く区分けがない。それから、所得別についても全く区分けがない。そして、つまり一括限度額方式なんですね。そうすると、諸外国を見てみますと、一括限度額方式をとっているのはアメリカと日本だと。しかし、アメリカの場合にはこれは一括限度額方式をとりながらも別枠の管理というのがあるんです。問題というのは、石油にしたってガスにしたって、いろいろ外国に出た場合の所得があいまいにならないようにきちっとやっぱり区別をしていくということがやられているわけですね。しかし、こういうふうなつまり一括限度額方式で国別もわからないし所得別も全くわからない、言うならばどんぶり勘定みたいなもんですよ、私に言わせると。それで、先ほど大臣が言われましたように、そういう脱税が起こらないように制度に基づいて厳しくやっていきたいと思いますと大臣がお答えになったが、厳しくならないんです。
 これは大蔵省の幹部自身が「国際税務」という雑誌に書いているんです。つまり、日本の外国税額控除方式というのは、世界じゅうで一番寛大で一番緩やかなものだと。というのは何かというと、いろいろと問題が起こりかねない、そういう要素を備えている制度なんだと、制度自身がそうなんだと。制度があるんだから、制度に基づいてやれば、それは制度に基づいてやったんだから、それは不法だとは言えないんですね、法があるんだから。しかし、法自身がそうなっているんだということをやっぱり見ておく必要があるだろう。
 この間の所得税等一部改正等によって、この限度余裕額だとかそれから限度超過額だとかの取り扱いについても今まで五年だったのをこれ三年にしましたよね。それから、益金の不算入の問題についてもやりました。それをやったけれども、しかし問題というのは、やっぱり制度自体がそういうふうに国際的に見て、早く言えばどんぶり勘定みたいな状況なんだから、これはいろいろと経済の外交関係というのはやはり今後外交上非常に重要な地位を占めますし、関税問題も御承知のようにもう頭が痛いとは思うんですが、そうした日本の国内での税制度のあり方から見て、これから外国にいろいろな形で資本が進出する、その場合にいろんな批判も受ける、そういう場合に、制度自身がそういうものであれば、やはり日本としては国際的な舞台で先進国としてどうするかという点ではきちっとした対応ができないことにもなりかねない。
 そういう意味では、私は所得税等の一部改正というのは全くまだ不満ですよ。問題が多々あるということを言いたいけれども、少なくとも今のこの制度の枠内から見ても改正せざるを得なかった点を政府御自身も認めたわけですから、この外国税額控除方式、制度の問題についても、外交の観点からも私はよく御検討いただきたいというふうに思うんですが、これは大蔵省に聞いても大蔵省は答えられないからいいですよ。外務大臣の御意見を国務大臣としてのお立場から一言お聞きしておきたいと思います。
○説明員(黒田東彦君) 御指摘ございましたとおり、従来の日本の外国税額控除制度につきましては、国際的な二重課税の排除という制度の本来の趣旨を超えた控除が行われる等の問題があるんじゃないかということは税制調査会で指摘がありまして、お話しございましたような改正が行われたわけでございます。
 具体的に申しますと、国外所得の割合を原則として全所得の九〇%までにするということにいたしますと同時に、控除限度額の計算の基礎となる国外所得から外国で課税されない所得の二分の一を除外する等、基本的には一括限度額方式の計算の簡便さを維持しながら控除額の彼此流用の問題に対処したわけでございます。
 とりあえずは、今後この是正策の実施の状況を見まして、今後のあり方としては、それを踏まえてさらに検討が行われるということになろうかと思います。
○立木洋君 大蔵省の考えはああいう考え方で、今後検討していきたいということですけれども、私は、外交上この問題はもっと重視する必要があると思うんです。国別でどうなっているのかというような、税の控除の問題がわからないというふうなことでは今後大変になりますよ、税と外交上のかかわりというのは。私はそれだけにこの問題を、さっき南北の問題を申し上げましたけれども、非常に重視して、外務省も租税条約一本上げたから結構だということじゃなくて、やっぱり今後も厳しい目で本当に見ていっていただきたい、そういう制度上の欠陥があるわけですから。そのことも重ねて御要望しておきたいのですけれども、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 十分検討させていただきます。
○立木洋君 それから、もう一つの問題で言いますと、さっき申し上げました受取配当の益金不算入の制度の問題とのかかわりがありまして、親会社のみなし控除があるんです。これは結局、間接控除制度というのに基づいて、インドの場合ですと二十三条の3の(b)ですか、ベルギーが二十三条の1でしたかにそれぞれかかっている内容ですね。
 それで、これを見てみますと、結局当地で株の二五%以上親会社に所有されている子会社が税額を払えば、それに対しては親会社が払ったものとみなして控除するという制度があるんですね。これもやっぱり極めて不当な優遇措置であって、検討していかなければならない問題だろうと私は思うんですが、この点については、まず大蔵省の方から聞きましょうか、どうしてそういうふうにやっているのか。
○説明員(黒田東彦君) 御指摘の間接税額控除制度は、企業が支店形態で進出する場合と、子会社の形態で海外進出した場合の課税上の均衡をとるというために設けられたものでございまして、国際的な二重課税の排除の観点から必要な制度でございまして、実はほかの先進国においても同様な制度がとられております。例えば英国あるいは米国におきましては、我が国と同様ないわゆる間接税額控除方式を採用しておりますし、他方、フランス、ドイツは原則として海外子会社からの受取配当自体を非課税とするという形をとっているわけでございます。
○立木洋君 それは今の税の観点から、国民感情から見て、やっぱり税の問題からするならば、極めて不公平だと思うんですよ。そうしたら、親会社、子会社といって株式を二五%以上所有しているからといったって、これは法人は別ですよ、別法人ですよ。それなら別法人でなくしたらいいんですょ。二五%所有するなら支店にしたらいいんじゃないですか。もともと同一の法人格にすればそういう問題は起こらない。別法人でありながら、その別法人が支払ったその税を、親会社とい
っても全く別法人ですよ、全然人格は別ですよ、それが払ったとみなして控除する。だから、本会議でも大分問題になったでしょう。日本の大企業が日本の国内ではいわゆるみなし控除の適用を受けて、そして一銭も日本では税金を払っていないという会社がずらりとあるんじゃないかという指摘さえ出たんですよ。
 今の国民感情の中で見れば、本当に税金が、税の問題がどうなるかという大変な状況の中で、こんなに莫大な何百億、何千億という利益を上げるような企業であっても、外国からの控除、これが三年前にいわゆる控除の余裕額があればそれを超過してもさかのぼって埋めることができるわけでしょう。将来、三年間の間に自分たちが税金を払って超過した分があれば、繰り延べして、繰り越しして払わなくたってよくなるわけでしょう。こんな制度というのは一般国民にないわけですよ。法人だからといってそれが認められている、ましてや別法人においてさえそれが認められているというふうなことになると、これは大企業が一銭も国内で税金を払わないで、そしてこんな消費税で大変だというふうな事態になるということは、私はもう日本の国民感情としてやっぱり許せない。
 こういう問題点も私が今すぐ直せと言ったってそれは国際的にそうなっているんだからと言われるでしょうけれども、私はそういう問題についても国内の税のあり方としてはやはり重大な問題が含まれている。そういうことを制度として、条約として固定化して認めてしまうということは、やっぱり国民感情としては、当然だというふうにみなし得ない問題点があるんだということも私はこの際指摘しておきたいと思うんです。大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 政府の税制調査会あるいは税制の審議会、いろいろと税に関する専門の機関がございますから、そこで慎重な審議の上で政府に答申があればそのように政府としては考え方を整理しなければならないと、このように考えております。
○立木洋君 まあ外務委員会の場所ですから、これは税の問題そのものを論議する場所ではないので、きょうは大蔵省にもそういう苦情を一言述べさしていただいて、御検討の内容にしていただければいいと思うんです。だから、大臣もひとつその問題を今後ともよくお考えいただきたいと先ほど来申し上げているので、よろしくお願いしたいと思います。
 それから、先ほど同僚議員も指摘しました非核三原則とのかかわりで最近諸問題がいろいろ頻発しておりますのでちょっとお尋ねしたいと思うんですが、この非核三原則という点については、これが国是で厳守していくという立場は海部内閣においても、中山外務大臣におかれても全く変わりないと、それを厳守していく立場であるということをまず最初に確認さしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) おっしゃるとおりでございまして、何ら変わったことはございません。
○立木洋君 それで、有馬さん、先ほどあなた小さい声でぼそぼそお話しされていたですね、同僚議員の答弁に。私も六月の十六日、タイコンデロガの資料を要求しました。きょう私もそのことをどうなったかお聞きしようと思ったが、同僚議員が既に質問されているので――結局いまだに回答がないという結果ですね。それで、あのタイコンデロガの艦長だったワード・ミラー氏のいわゆる海軍作戦部長にあてた報告書、これも私は要求していましたけれども、それも回答がないということだろうと思うんです。
 それで、お尋ねしたいのは、今大臣が明確にされましたように、非核三原則はあくまで厳守する、国是として厳守するというのが日本政府の立場だということを確認していただきました。そうしますと、非核三原則を厳守していく、そのためにアメリカに対して疑惑のある問題について照会をした。ところが、アメリカ政府からはいまだに数カ月たっても回答が来ない。だから、回答が来ないからもうこれで仕方がないんだと言ってあきらめざるを得ないということに、有馬さん、結局はなってしまうのかどうなのか。どうしても来ない場合には非核三原則を守るというお立場からどういうふうにされるのか、この疑惑を晴らすために。そのことについてお聞きしたい。
○政府委員(有馬龍夫君) 政府は、本件につきまして疑惑があるから照会しているという立場をとっておりません。
 先般来申し上げておりますように、本件が公になりました際、米側が行いました説明の中にも、米国としては核兵器に対する日本国民の感情をよく承知していて、加えて日米安保条約等に基づく米国の義務は忠実に履行しているし、今後とも履行していくということを申しておりますし、第二に、本件をめぐっての事前協議はなかったわけでありますから、疑惑があったということではございませんで、しかしながら本件に対する深い関心にかんがみ、どこへ一九六五年の十二月五日以降この船は行ったのかということを聞いている、こういうことでございます。
○立木洋君 有馬さん、それは有馬さんは疑惑を持ったことはないかもしれないけれども、しかし国民は疑惑を持ったんですよ。だから、調べてほしいということが要請されたわけです。私も疑惑を持っているから要請したわけです。
 問題は、何ぼ要求してもアメリカから回答が来なかったということになった、結局わからないということで済ましてしまうのかどうかということを聞きたいわけです。
○政府委員(有馬龍夫君) まだ将来における今先生が御指摘の可能性について検討したことがございませんので、何とも申しかねます。
○立木洋君 有馬さん、これは日本政府がちゃんと調べる方法があるんです、アメリカの回答聞かなくたって。アメリカはこのタイコンデロガの航海日誌を公表しているんです。アメリカの情報公開法に基づいてこの公開文書を入手することができるんです。そうやったらいいんじゃないですか。アメリカ政府が回答しないならば、日本の政府はアメリカのこの情報公開法に基づいてその資料を下さいと言って資料館からもらえばいいじゃないですか。もう既に入っているわけですから、それはできるんですよ。私たちもコピーを見ているんです。
○政府委員(有馬龍夫君) これから申し上げることも既に趣旨を申し述べたことがございますけれども、日米間の関係にかんがみますれば、日本政府が外交経路を通じましてタイコンデロガがあの事故の後どこへ立ち寄ったかということを照会するに当たって、いわゆる情報公開法に基づき我が方がこれを要求するということはないだろうと思います。
○立木洋君 大臣、非核三原則を厳守するということは、国民が疑惑を持てばその疑惑を晴らす、そういうことがないならないと。アメリカとの信頼関係があるということは、私たちはもちろん別の立場ですが、信頼関係があるならばあるということで、国民の前にやっぱり明確にされることが担当の大臣とされても私は非常に責任のある立場だろうと思うんですよ。そして、アメリカの政府に要求したけれども返事が来ない。いつまでたっても来ない。そうしたら大分この委員会のメンバーもまた変わってしまったとか、年月がたってしまうと忘れてしまうというふうなことで済ましていくということでは、やっぱりどうしてもこの問題については問題が残るわけですね。
 だから、この問題については、アメリカ政府が回答しないならば別途それについて明らかにできる方法があるわけですから、そういう問題点も当然やっぱり検討していただきたいし、先ほど同僚議員から次の外務委員会までその問題についてアメリカから再度回答を求めるようにという要求もありましたが、別途の方法でもその問題について明らかにされる方法を必ず講じていただけるように、私からもその問題について要求しておきたいわけですが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 先ほど御質問をいただいたときに御答弁を申し上げましたように、引き
続き努力をいたしたいと思います。
○立木洋君 これが一つで、それからもう一件は、九月に長崎港に核積載可能な米海軍のブリゲート艦が入ってまいりました。これについては長崎の本島市長が外務大臣あてに要望書を出されて、親善のために入港するのであれば核兵器を積載していないという証明書を提出していただくように強く要求をいたしたい。そして、長崎市民の疑惑が解消されない限り、被爆都市の市長としては長崎への入港については強く反対をいたしますという趣旨の要望書を大臣のもとに渡されたと思うんですが、これについて外務省はいかなる対応をなされたのか、その点について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(有馬龍夫君) その際、私どもの方からは、従来から国会における答弁等において再々表明しているとおり、日米安全保障条約及びその関連取り決めに基づいていかなる核の持ち込みも事前協議の対象であって、核の持ち込みについての事前協議が行われた場合には、政府としては常にこれを拒否する所存であるので非核三原則を堅持するとの我が国の立場は確保されております。
 それから、米国にとって事前協議に関する約束を履行することは安保条約及びその関連取り決め上の義務であって、米軍艦船が我が国に寄港する場合においても、米国より核持ち込みについて事前協議が行われない以上、米国による持ち込みがないことについては政府としては全く疑いを有していないのである。ですから、まさに長崎市にこの趣旨をお話しした次第であります。
○立木洋君 それで、この問題に対しては結局神戸で行っている方式等もあるので、そういう旨も知事あてに出していたわけですね。ですから、そういう方法を講じることがやっぱり可能だったわけですよ。有馬局長が今述べられたのは、今まで日本の政府が述べてきた主張です。しかし、その問題について米艦船側に問いただしたという趣旨のことは一切ないわけですね。そして、問いただしはしなくて、今までの慣例に基づいて長崎市長に回答をした。だけれども、それでは長崎市民の疑惑が晴れなかったというのが私は結果だろうと思うんです。これも一つの問題として指摘しておきたいと思うんです。
 次に、時間がないから一つ一つ指摘をしていかなければならないわけですが、佐世保港に十月に米海軍の駆逐艦エリオット号が入ってきました。そこのアラン・ハガーティ少佐が述べた内容によりますと、この核、非核両用のトマホークなどの垂直発射装置について、六十一発が発射できトマホークとアスロックが装備できる、ことしの七月、核任務を承認済みになっていると、語ったというふうになっています。アメリカの国防省の方から出したこの核任務承認済みというのはどういう意味なのか、もし米側に問いただして確認されておったら述べていただきたい。
○政府委員(有馬龍夫君) この承認手続自体につきましては、核兵器の取り扱いの安全性などの見地から、核兵器搭載可能艦が核兵器を実際に搭載しても問題がないか否かを決めるための手続でございまして、したがってこの手続を経ることと、実際に核兵器を搭載しているか否かとは全く別問題であると、こういう説明を受けております。
○立木洋君 そうすると、これはかつての核兵器搭載能力艦として認定されたことと核任務承認済みという内容とは、問い合わせた結果違ったわけですね。より一歩進んで、その任務が遂行できるということを完全に調査して調べた結果承認したということなんですね。
○政府委員(有馬龍夫君) 御質問の趣旨が私にはよく鮮明ではございませんでしたけれども、繰り返しになりますけれども、ここに核任務承認済みと訳されておりますことは、第一の前提として能力があるか否か、積めるかどうか、それから次に安全性の見地から実際に搭載して問題がないか否かを決めるための手続である。そして、この手続を経ているからといって、実際に核兵器を搭載しているか否かとは全く別問題である、こういう説明でございます。
○立木洋君 今まで核兵器搭載能力艦というのがあったんです。これは事実上核兵器を搭載ができる、その任務にもたえ得るという能力艦です。ところが、今度の場合には、核任務承認済みとなっているのは、搭載してみないと実際にその任務を果たせるかどうかわからないわけですから、この任務承認済みということは一歩踏み込んだ認定なんですね。それが全くかつてと同じような説明の仕方では私は納得しかねるということだけ述べておきたいと思うんです。これは答弁要りません。今までのあなたがお答えになった内容でまだはっきりしていないということを私は指摘しただけですから。
 もう一つは、あしたフランス海軍の核爆雷搭載可能駆逐艦デュプレが来るということになっており、この問題については、核兵器が積載されているかどうか確かめてほしいということも関係方面から提出されておるということになっております。この点についてはどういうふうな対応をされるんですか、フランスの海軍のデュプレの問題については。
○政府委員(都甲岳洋君) この問題につきましては、我が国の非核三原則が既に内外に周知徹底されているということでございますので、今回フランスが友好親善の目的で軍艦を我が国に寄港させるということを希望するに際しましては、このような我が国の基本政策を尊重するとの立場で行動していることは当然の前提でございますので、これら軍艦が核兵器を持ち込むことはそもそも想定されていないわけでございます。
 そういうことでございますので、私どもとしては、フランスがこのような我が国の重要な政策を裏切ることはないとの信頼関係が外交の基本にかかわる問題であるので、従来どおりこのような立場から今回の艦船の寄港に対処するということにした次第でございます。
○立木洋君 これはやっぱり私は大変な問題が含まれていると思うんです。アメリカとの関係の問題については、私は不当だと思いますけれども、一応事前協議ということを主張されるわけですね。核兵器を持ち込むならば事前協議がある、その場合にノーと答えると。だから、核兵器は持ち込まれていません、事前協議がかけられない限り持ち込まれていませんと。
 フランスの場合には事前協議なんという制度はないんです。あなたがおっしゃった、日本政府はそういう態度をとっているということは全世界周知だと、周知だけれども、そういうことを知っているところと知っていないところもあるでしょう。それから、どこまでそのことを理解しているかどうかということもあるでしょう。私が都甲さんに申し上げたいのは、いつ、どういう形でフランスの政府に日本が非核三原則を国是としてとっているということを通告したのか、その日時と、その内容を提出していただきたい。
○政府委員(都甲岳洋君) 私どもといたしましては、累次の国会決議あるいは新聞報道等、日本政府の基本的な原則で、国会における累次の御議論等もございますし、フランス側はこの問題を当然に承知しておるところでございますので、私どもの方から改めてこれをフランス側に通知するという必要はないものというふうに判断いたします。
○立木洋君 中山大臣、外交上の最重要な課題を新聞で承知していると思いますなんというような答弁をするというのは、私はいささかいかがなものかと思いますよ。アメリカで新聞に報道されていたら、アメリカの政府は、新聞で私たちは承知していますと言いますか。言わないですよ。外交上の重要な問題を私たちが新聞に基づいて質問すると、それは新聞のことでございまして、アメリカ政府はどういうふうにお考えになっているのか私たちは聞いておりません、ですからその問題については改めて確かめましょうということになるわけですよ。
 それが、都甲さんがおっしゃったのは、新聞などで承知していただいていると、累次の協議や新聞などについてというふうな、新聞という言葉を入れられたというのは私はちょっと不見識ではな
いかと思うんです。どうですか、都甲さん。
○政府委員(都甲岳洋君) さらに、国連の演説におきましても重ねてこの問題につきましては、我が国の非核三原則につきましての基本的な立場については随時我が方の代表からこれを言及しております。
○政府委員(福田博君) 我が国の非核三原則の政策につきましては、別に新聞報道にとどまらず我が政府として随時明らかにしておるところでございまして、国会における施政方針演説あるいは国連における演説等さまざまな機会に繰り返し内外に示しておるところでございまして、最近の例をちょっと申し上げますと、昨年一月の第百十二国会における竹下総理の施政方針演説あるいは昨年六月の第三回国連軍縮特別総会における竹下総理演説等においても、いずれも非核三原則を非常に鮮明に述べておるわけでございます。
○立木洋君 一般的に述べられていることは私も承知しております。しかし、外交的な関係、国家関係においてそういう問題を、核積載をしてくる船があった場合に、日本政府に届け出をして、そしてその了承を受けたものでないと入ってはならないということをフランス政府に周知徹底させていますか。
○政府委員(福田博君) 非核三原則は、繰り返し政府側が答弁しておりますように、歴代の内閣によって、かつ国民によって支持されたいわゆる国是という基本的な政策でございます。いやしくも外国の軍艦が我が国を親善訪問するというときに、その友好関係ということを損なうことに直接関係してくるような基本的な政策を侵害するようなことをすることはないはずであるということは、これは明らかであると思います。
○立木洋君 この問題の最後ですが、そういう形で今までやってこられたのは、アメリカとの関係においてもそうなんです。実際にはその問題では疑惑が一切晴れないんですよ、国民の間にある疑惑というのは。そして結局、相手についてはその船に核兵器を積んでいるのかどうかということも日本の政府は一回も確かめたことがないんです。そして、みずからも調査をなさったこともないんです。調査可能な方法があるのに調査もしていないんです。そういうことを私はこの十五年間何回も聞いてきた。局長がかわるたびに聞いてきた。確かめてきた。だけれども、みんな同じ答えなんだ。全然疑惑というのは解消されたためしがない。結局、日本のどこかの土地に、それこそ核兵器がここにあるじゃないかと言わないと認めないというふうなことにならざるを得ないということになってしまう。
 だから、やっぱり日本の外務省というのは、本当に国民の理解と支持を受ける立場に立つならば、この問題に対しては徹底的に明らかにする姿勢で私は努力をすべきだと。そういう努力をしない限り、この問題に関しては、日本の国民は絶対に日本政府、日本の外務省の立場を信用しないということが明確に世論調査の結果でも出ているということを私ははっきりと指摘しておきたいと思うんです。
 もう時間がないので最後の質問を一つだけいたします。
 会計検査院の報告で、日本の今後の米軍の駐留費の援助の問題について、基地光熱費それから艦船の修理費、日本人労働者の給与の分野で貢献できると指摘をして、現行協定はこれの負担増を排除していないと判断しているというアメリカの会計検査院の報告がありますが、これについてどういうお考えなのか一言だけお尋ねして質問を終わります。
○政府委員(有馬龍夫君) そのような記述があることは存じておりますけれども、地位協定の解釈というものは、我が国が米国とともになすものであって、向こうが一方的に出すものではございません。
○立木洋君 答弁になっていないんだな。
 終わります。
○中村鋭一君 質問通告はしておりませんが、大臣にまずお尋ねをさしていただきます。
 ヤコブレフさんが間もなく日本にお見えになりますが、大臣、いかがでしょう、お見えになりましたら我が日本の北方領土ですね、これはもう従来から国民の悲願でありますから、これは早く返してくださいということについて率直にヤコブレフさんとお話をなさるお気持ちはございますか。
○国務大臣(中山太郎君) ヤコブレフさんが日本をお尋ねになるという機会に、私は日ソ間に固定化しつつあるいろんな問題、この問題についていろいろとお話し合いをさしていただくつもりでおりますし、当然その中には北方領土の返還という問題もあろうかというふうに思っております。
○中村鋭一君 ひとつせっかく御努力を要請さしていただきます。お願いを申し上げておきます。
 この租税条約ですけれども、今租税条約を締結している国の数と、それから、簡単で結構ですから、大陸別でもいいですから、どういった国々とこれを締結しているかお教え願えますか。
○説明員(丹波實君) お答え申し上げます。
 これまでに日本政府は三十六の国と租税条約を締結しております。
 大陸別といいますか、地域別に大まかにくくりまして申し上げますと、南北アメリカの三カ国、それから西欧の十四カ国、それから東欧の五カ国、アジアにつきましては十カ国、大洋州につきましては二カ国、アフリカ地域につきましては二カ国、以上合わせて三十六カ国になります。
○中村鋭一君 私の手元にも資料があるんですけれども、これを見てますと、やはり南アメリカ大陸、それからアフリカ大陸の国々とは比較的に少ないように思いますが、そういう認識はございますか。
○説明員(丹波實君) 現状では大体先生と同様な認識を持っております。
○中村鋭一君 では、今後の締結をしていこうと思う国の数、それから今申し上げました大陸別とでもいいますか、これを言葉をかえれば、いわゆる先進国とそれから開発途上国に分けましてどういうような御方針をお持ちでございますか。
○説明員(丹波實君) 先ほどのような地域的な偏りと申しますか、ばらつきの背後にある理由を一言その前に申し上げさせていただきたいと思いますが、それは日本とその国々との資本の交流、人的な交流の差、そういうところから来ているものであると理解しております。
 ただいまの御質問でございますけれども、新規の条約を現在締結中の国は四カ国ございまして、トルコ、ブルガリア、それからアルゼンチン、ユーゴでございます。
 それから、新規の条約の締結交渉につき申し入れが先方からあった国、これは七カ国ございまして、バングラデシュ、フィジー、チュニジア、アルジェリア、こういったところは開発途上国に当たると思いますが、それからルクセンブルク、クウェート、サイプラス、こういう七カ国がございます。
○中村鋭一君 一九七七年に改定のモデル条約が公表されました。いわゆるOECDモデルですね。これまでの締約国は主としてこのOECDモデルに準拠してきているわけですか。
○説明員(丹波實君) その点は国によりまして若干異にいたします。先ほど申し上げました三十六カ国の国の中でいわゆるOECDの加盟国に当たる先進国との間では基本的にはOECDモデルに沿った条約を締結しておりますが、いわゆる開発途上国と言われる国との関係ではOECDモデル条約より広い範囲で相手国に課税権を認める条約ということになっております。
○中村鋭一君 ということは、傾向としてはこれまではOECDモデルは先進国が多いわけです。
 そこで、一九七九年の十二月に国連モデルが採択されているわけですね。この国連モデルに基づいて、これから特に開発途上国等々はこれに準拠して条約を結んでいくというのが望ましいだろうと思いますが、その前に、いわゆる国連モデルとOECDモデルとの差といいますか、違いといいますか、この点について簡略にお教え願えますか。
○説明員(丹波實君) 両者の間の比較でございますけれども、あらゆる面で違うということではございませんで、いろいろ共通の面も実はあるわけでございます。
 基本的にOECDモデルと申しますのは、先進国間の経済交流が相互的に行われている形ということに着目して、例えば事業所得あるいは配当に対する、使用料に対する税率を相互に低くしておるというのが特色であろうかと思います。
 これに対しまして、国連モデルと称されるものの中身は、どちらかといえば先進国と開発途上国との間の資本の流れあるいは国際運輸関係の流れといいますのは先進国から開発途上国に流れていく、例えば配船、海運でございますが、そういう例をとりますと、先進国の船が開発途上国の方に配船される量が圧倒的に多い。そういう違いが実態上ございますものですから、今の海運とか航空所得の例をとりますと、先進国間のOECDモデル条約ですと、どうせお互いに乗り入れているわけですから相互に免税にしようじゃないか、そういう考え方に立っているわけです。しかし、後進国との間ですと、例えば日本の飛行機だけがどんどん向こうに流れていく、船も流れていくということで、やはり向こうの国としては……
○中村鋭一君 後進国という言い方はおやめになった方がいいと思いますよ。
○説明員(丹波實君) 失礼いたしました。開発途上国でございます。
 開発途上国側といたしましては、そういう流れが一方的なものですから、自分たちの方にも課税権を認めてほしいということでそれらの開発途上国に課税権を認めるような差が出てきております。これは国連モデルの考え方を取り入れた考え方でございます。
○中村鋭一君 したがいまして、ただいまも立木委員も指摘をいたしましたし、それから昨日は本会議におきまして連合参議院の古川議員も、日本のいわゆる大企業が日本国において租税を結果として免れて、外国のより有利なそういった立場を利用して実は税金を納めていない、こういう事実が指摘されているわけですね。
 ですから、こういった二国間の租税条約におきましても、体に見合った服を着るという観点からすれば、そういったことがもしありとすれば、ある特定の企業の利益を結果として擁護するような条約を私は結ばない方がいい、あるいはそういう疑いを入れられるようなことはしない方がいい。とすれば、今後はOECDモデルというよりもむしろ国連モデルに準拠した、今あなたが説明してくださったそういう形での条約の締結が望ましいと、こう思いますが、この点について一言。
○説明員(丹波實君) 先生のおっしゃる問題意識はよくわかります。外務省といたしましては、こういう条約を締結するに当たりまして、特定の企業の利益ということを考えていないことは御理解していただきたいと思いますけれども、他方、先生のおっしゃるところの開発途上国と条約を結ぶに当たって先進国としての立場だけを押しつけるなという御意見と思いますけれども、その点はおっしゃるとおりで、まさに今度のインドの条約をごらんいただきましても、インド側の主張も取り入れた条約ということになっておりますので、今後ともそういう考え方で対応したいと考えております。
○中村鋭一君 ジンバブエのダム建設に対して十二億五千百万円の無償資金協力を行うための書簡の交換が中山外相とジンバブエのチゼロ大蔵大臣の間で行われたということでございますが、この金額はどのようにして決定されてどの費目から支出されたのでございますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 御指摘の十二億五千百万円の無償資金協力は、ジンバブエのマシンゴ州の中規模かんがい計画に対するものでございまして、このマシンゴ州というのは降水量は少ないんですが、メーズを中心に……
○中村鋭一君 そういう説明はいいんです。どの費目から支出されたんですか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 経緯を一言申し上げますと、昨年の十二月にジンバブエ政府から要請がございましたので、現地調査を行った上で私どもが見ましてもこれは有用な案件であるということで閣議決定を行いまして、ムガベ大統領が参りました機会に、今御指摘のように、先方のチゼロ大蔵大臣と中山外務大臣との間で交換公文の署名をいたしました。
 この予算費目でございますが、これは既に国会で御承認をいただいております本年度予算のうちの経済開発等援助費の中から支出してまいります。
○中村鋭一君 というと、ODAの無償援助と、こう理解していいわけですか。
○政府委員(松浦晃一郎君) そのとおりでございます。予算費目上は今申し上げましたように経済開発等援助費になっておりますが、通称、無償資金協力の予算でございます。
○中村鋭一君 一九九二年、第八回のワシントン条約の開催国として日本がこれはもう決定したんですね。
○政府委員(遠藤實君) ワシントン条約の締約国会議が九二年に開かれることになりまして、我が国が先般のローザンヌの会議で立候補いたしました。その結果、圧倒的な多数で我が国が招致するということに合意が得られました。
○中村鋭一君 大変結構なことだと思うんですが、これは新聞報道で私は知ったんですけれども、この立候補をするに当たって省の間でそのお金の分担についてどうも少しごたごたがあったと聞いておりますが、そういう経緯はありましたですか。
○政府委員(遠藤實君) 実際に開催されます場合にどの官庁がどのくらい持つかという話につきましては、確かに協議が行われまして、まだ今のところはっきりした結論は得ておりませんけれども、いずれにいたしましても、これは早急に調整をして結論を出したいと思っております。
○中村鋭一君 せっかく立候補されて満場一致で日本が開催国になったことですから、どこが開催費用を分担するかというようなことは格好悪いですから、これはひとつ外務省がリードして、要るお金はこれは国民の皆さんも喜んで出してくださると思いますから、ひとつ開催を立派にやれるように御努力をお願いしておきたいと思います。
 先般のローザンヌの締約国会議でソマリア案では、象牙の輸出をやめようじゃないかという二項から一項に上がったわけですけれども、このソマリア案に対して日本は留保をしないことに決定をいたしました。この留保しないことに決定したその理由は何ですか。
○政府委員(遠藤實君) 我が国が今回のローザンヌ会議に臨むに当たりまして、アフリカ象の問題について有しておりました基本方針は実は二つございました。一つは、アフリカ象の保護のために適切な所要の措置はとるべきであるというのが第一点。それから第二点は、既に適切な保護管理を行って再生産に問題がない原産国、これが象牙取引の継続を希望している場合、そのような場合には、そういった国の意向も尊重した格好で問題の解決が図られるべきである。こういうのが基本方針でございました。
 そこで、ソマリア案が出てまいりました際に、一部のアフリカ象原産国の間で、自分たちのところは既に管理が十分に行われて再生産に問題がない、それをほかに問題があるところと同じに扱われるのは困る、こういう非常に強い意見があったわけでございます。したがいまして、日本としてはその時点におけるぎりぎりの選択として委員会レベルでは棄権をしたわけでございますが、その翌日に行われました全体会議におきましては、国際世論の大勢というふうなこともありますし、結局、関係国の間でも、やはりこれはコンセンサスで採択させよう、しかし問題がある国は留保しよう、こういうことになりまして、我が国はコンセンサスの採択に加わったわけであります。その後、一部のアフリカの国は留保いたしまして、日本がどうするかということで、持ち帰りましていろいろ関係者と協議をいたしましたけれども、やはりこの際は国際世論の大勢ということを十分考
慮して、留保すべきではないんではないか、こういう結論に達したということでございます。
○中村鋭一君 私が次にお尋ねしようと思ったことを先にもうおっしゃってしまいましたが、私が言いたいのは、留保しないことに決定した、それは国際世論を考慮してだとおっしゃるならば、最初から棄権をしないで、六十数カ国が賛成しているんですね、棄権というのはほんの数カ国ですよ、そんなことをしないで最初からソマリア案に賛成をして留保はしませんとおっしゃるのが――大概の金持ちの国で日本だけでしょう、こんな十一項目から、これ、イリエワニからオオトカゲから、それからタイマイから、いろんなものをそのまま留保しているわけですよ。世界じゅうの人たちから、日本人は金に飽かして、珍しい動物だとか、べっこうだとか、むちゃくちゃやってるじゃないかと。もう我々それは鯨で懲りているんですよ。いろいろと交渉の場で考えて、棄権はしましたがその後で国際世論を考えて留保しないことにと、そんなぐじぐじしたことを言っているから日本の外務省はだめなんだな。やっぱり、国民の世論を背景に、こういった条約だとか協約をおやりになる限りは、最初から明快な方針をもって臨まれるべきであったと思います。その点についていかがお考えですか。
 だから、私が言っているのは、最初から何で賛成をしなかったんですか、何で最初から留保はしないとおっしゃらなかったんですかと言っている。
○政府委員(遠藤實君) 先ほどちょっと先取りした格好で御説明いたしましたけれども、実は基本方針は、再生産に問題がないというところであれば、これは何でもかんでもすぐ禁止というのは必ずしも適当でなかろう、こういう考え方がやはり一つあったわけでございます。そういうこともありまして、それではなぜだ、もう結果はわかっているのではないか、こういうのが御趣旨かと思いますけれども、しかし我が国としては、実はその前に、このソマリア案に似たアメリカ案には、むしろこれは反対を投じたりしているわけで、確かにその結果をごらんになると、あらかじめわかっているのに何だと、こういうふうにおっしゃるお気持ちは非常によくわかりますけれども、やはりこの……
○中村鋭一君 気持ちじゃない。国民の世論を代弁して言っているんです。
○政府委員(遠藤實君) そこで、ただこの問題は、すべて取引を禁止というよりは、やはり問題がないところは取引を継続してもいいというのはもちろんワシントン条約でもあるわけですから、その辺の実はバランスの問題だろう、こう考えております。
○中村鋭一君 少しこれは皮肉な質問になるかもわかりませんが、ジンバブエは世界有数の象皮並びに象牙の生産国であります。当然ながらジンバブエは今回反対をしております。留保もしておりますね。
 そこで、今回の十二億五千百万円の無償供与と日本が留保を取り消したことの間には、どうでしょうか、何らかの因果関係というものはないんでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 全くございません。私が先ほどちょっと触れましたような経緯で踏み切ったもので、先生御指摘のような因果関係は全くございません。
○中村鋭一君 それなら結構です。私はまた、時期的にも大臣が気を使われて留保を取り消して、もう日本に象牙が全く入ってこなくなるわけですから、かわりに十二億五千万円差し上げましょうということになったんじゃないかなと思っただけです。
 通産省に来ていただいていますが、現実に日本にも象牙の加工業者の方がたくさんいらっしゃると思うんですが、この人たちとの話し合いですね。それから、結果としてこの人たちの業界はお困りになるわけですが、この救済措置等々について、対策は講じておられますか。あるいは話し合いの準備はしておられますか。
○説明員(森田光俊君) 先生御指摘のように、こういった事態に相なりましたものですから、今現在通産省といたしまして、関係の象牙関連業界、いろいろいらっしゃいます、この皆様とお話し合いを進めております。あわせて、こういった事態でございますから、どのような国内対策が可能であるか、この辺につきましても、現在早急に検討を進めておるというのが現状でございます。
○中村鋭一君 それは国際世論でありますし、私はやはりこういった貴重な野生動物を完全な形で残していくというのは大事なことだと思いますから、今回ソマリア案に留保しないことに決定したのは結構ですが、一方、おっしゃるように、確かにそのことによって生計を立てている人はいるわけですから、これは通産省にも十分にその業界の皆さんと話し合いをして、その皆さんが困られることのないような措置をお願いしておきたいと思います。
 さて、今日本は世界一でしょうね、ODAについては。いわゆるトップドナーとしての地位を確立をしているわけですが、しかしながら、これは第四次中期目標というのがございますね、これを見ますと、この中期目標というのは「先進援助国中の我が国の経済規模の割合に見合った水準に援助額を引き上げる」こういうことだと思うのですが、これにはまだ至っていないと思うんですね。だから、今後第四次中期目標に沿いまして、九二年まで毎年百億ドル以上のODAを供与する、これは大変なことだと現実は思うんです。しかし、それでも国際的にはまだ足りないという向きもあるかと思うんですが、具体的に新たな目標値をおつくりになるおつもりがあるのかどうか、お伺いをいたします。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘の第四次中期目標は昨年の六月に決定したものでございますけれども、したがいましてことしがその二年目になりますが、今私どもにとりまして一番重要なことは、この第四次中期目標をしっかり実行していくということでございますので、最終年でございます九二年に向けまして、この第四次中期目標の目標を達成するように、最善の努力をしていきたいと、こう考えております。
○中村鋭一君 通常、一国の援助を国際比較をする場合は、いわゆる対GNP比というのが使われるわけでありますが、これは国際的にも認知された比較指標だと思うんですが、これを見ますと、八九年のDACの対日援助審査でもODAの対GNP比改善の必要性が強調されている。我が国の実態では、八八年の対GNP比は一九八〇年の国連決議の〇・七%目標にはほど遠いですね。DAC加盟国の平均値〇・三五%、国連決議で〇・七。それから、我が国は八八年度〇・三二%なんですね。どうでしょう、国際的に認知されている指標であるこの対GNP比をどのように改善していくのか、この点についてお伺いをいたします。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のように、現在の日本のODAの対GNP比は国際的な目標でございます〇・七%に及ばないのみならず、先進国の平均でもございます〇・三六%、実は八八年度の実績が、当初〇・三五と発表されましたが、その後三六に修正されておりますけれども、それに及ばない〇・三二%でございます。したがいまして、先生も先ほど御引用されました第四次中期目標に基づきまして、着実にODAの拡大を図ってGNP比を改善していくことが重要であると考えております。
○中村鋭一君 何というか、非常に簡潔ではありますが、改善を図ってまいりたいと、具体性に乏しい答弁であったように思います。しかし、その対GNP比におきましても、その総量においても頑張ると、だから第四次中期目標も達成したいし、対GNP比も日本の八八年〇・三二%はこれは確かに格好悪いですわね、平均でも〇・三五、国連決議は〇・七ですから、これも本当に努力をしていただかなきゃいけないと思います。
 しかし、援助額だけじゃなくて、まさに問われるべきは援助の仕方とか、あるいは援助の質的な内容というものが問題になると思うんですが、そ
の点について二、三お尋ねをさせていただきますが、この援助の質を問う場合は、やはりこの贈与比率というものが問題になっていくと、こう思うのですが、どうでしょうか。八六年六〇・七%、八七年が四七・三、八八年度三六・三%、これは低下を続けておりまして、DAC加盟国の最下位なんですね。
 それからもう一つ、援助条件の一つの物差しとされておりますグラントエレメントです。これは欧米ではほとんど一〇〇%、これが普通です。現実に九八、九%じゃないですかね。我が国では、これが八七年度七五・四%、これもまた群を抜いて低くなっているわけです。だから欧米からは、日本は質的なものじゃなくて、単に量だけで稼いでいるんじゃないか、こういう批判をされているわけですが、この批判はある意味では、私は的を射ているんじゃないかとも思うんですが、国際的にODAは贈与でというのが一般化しつつある今日、なぜ我が国でそれができないんでしょうか、その問題の所在をひとつ教えていただけませんか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘のように、援助の質をあらわしますグラントエレメント、贈与比率いずれも残念ながら国際的に見まして最下位でございますが、ただ、それはそれなりに理由もございます。と申しますのは、日本の二国間援助の三分の二がアジア諸国向けでございますけれども、日本が重点的に援助しておりますアジア諸国は発展段階から見まして、必ずしもこの無償資金協力ですべて対応すべき国ではございませんで、むしろどちらかといえば、借款で対応しても十分な国が多うございます。
 したがいまして、先生ちょっとお触れになりましたけれども、援助は原則として贈与という面も確かにございますけれども、同時にもう一つの原則は、発展段階に応じた援助ということがございまして、欧米の国が重点的に援助しておりますアフリカなどは確かに贈与中心で臨むべきと思いますけれども、アジアの国の場合は借款はそれなりに効用があると私ども考えております。にもかかわらず、日本の援助もアフリカ等のより発展段階のおくれた国々に対しましても、今どんどん向けられるようになっておりますので、そういう国に対しましては、先生御指摘のように、できるだけ贈与、それも無償資金協力で対応する必要がありますので、財政事情は厳しいわけでございますけれども、その関連の予算の拡充に私どもといたしましてもさらに努力してまいりたい、こう考えております。
○中村鋭一君 その点を重ねてお伺いしたいんですけれども、だからこのODAは量と質の両面で解決しなければいけない問題がたくさんある、それで今そういうふうに贈与のパーセンテージを上げなければいけないということはお認めになりましたですね。
 これを別の面から見ますと、日本、これは百億ドルもの大金を出しながら、どうでしょうか、被援助国の皆さんから言わせますと、やれ金満国家の札束外交だとか、実は援助に名をかりた輸出ビジネスじゃないかとか、日本株式会社が政府を先頭にODAに名をかりて金もうけをしているんじゃないか、こういう批判が大変根強いわけですね。前段私が質問したこととも関連はすると思うんですが、大臣、いかがでしょう、なぜこういう批判が被援助国から出てきているんだとお思いになりますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御指摘の点に関しまして、外務省では客観的な世論調査の機関に依願いたしまして、東南アジア、南西アジア、アラビアなど、日本の援助がこれらの国の経済社会開発に役立っていると考えるかという世論調査をやっておりますけれども、一言で申し上げますと全体として非常に高い評価を得ておりまして、ASEAN五カ国では八五%から九〇%の人が日本の援助はこれらの国々の経済社会体制に役に立っているという返事をしております。
 いろいろ先生御指摘のような批判がもちろんあるのは私ども重々承知しておりますけれども、全体としては高い評価を得ていると考えております。
○国務大臣(中山太郎君) 実は私も今委員お尋ねの点が頭の中にひっかかっておったものですから、自分の国で自分の国のやったことを評価するというのも一つであるけれども、外国の第三者機関で評価をどのようにしておるかということを確認いたしました。それにつきまして今経済協力局長から御答弁申し上げたとおりのデータが上がっておりました。御理解をいただきたいと思います。
○中村鋭一君 しかし、そうおっしゃいますけれども、私ここに山ほど資料を持ってきていますけれども、新聞なんか見ていますと袋だたきに適っているというような印象がありますね。これは恐らくいろんな問題はあると思います。日本の援助が割にハードに偏って、建物を建ててあげたが、その建物に入っている人たちはこれが日本からの援助で建ったものというのはすぐ忘れてしまいますね。アメリカなんかは利口というんですか、うまいというんですか、ソフト部分ですね、その建物に入って働いている職員の例えば人件費だとか経常費だとかそういうのを負担しておりますから、やっぱり中に働いておる職員の皆さんは、自分の給料はアメリカから出してもらっているんだな、アメリカはいい国だなと、その建物を日本が供与した金でつくったことはすぐ忘れてしまう。
 だから、そういうことはあると思いますけれども、しかしこれだけマスコミ等々で、そのODAの現実の使われ方を現地の人が評価していない、かえってむしろ札束だ、金で面を張る、こういうふうに言っている人が多いということも私は外務省の皆さんにこれはしっかりと認識しておいていただきたいと思います。その現地国の世論調査も大いに結構でございますが。
 それから、今度は我が国の方を見ますと、どうなんでしょうかね、これも世論調査をいたしますと、どうも国民の皆さんはこのODAについて、そんなものは我々の金を使ってやらぬでもいいんじゃないかとか、ちゃんと適正に使われていないじゃないか、我々消費税にこんなに苦しんでいるのに何でそんな百億ドルもの金を外国へ持っていくんだと考えている人が六〇%、こういうような世論調査の結果も出ているわけなんですね。この点につきましてはもうしばらく後でお尋ねいたします。
 そういうことが起きてくるというのは、一つには援助の過程というんですか、そのプロセスが非常に不透明な部分が多いわけですね。これは例のマルコス疑惑を挙げればもうよくおわかりいただけると思うんです。現地においてもまた日本のマスコミでもそういったずさんさに対する告発が続いているわけですが、何でODAにこういう当該現地国における不正がついて回るのか、そういう点についての認識はどのようにされていますか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほど大臣が、援助に当たりましては事前の審査、事後の評価が重要であるということをお話しになられましたけれども、私どもは事後の評価を組織的にやっておりまして、先生から繰り返し御指摘がございますけれども、私どもは今まで事後の評価で大体この七年間に千件ぐらいやっておりますが、千件のうち九割は所期の目的を達している。それは、そういうところから先ほど御披露したような途上国での世論調査の結果にあらわれているわけですが、残りの一割に関しましてはそれなりに問題を抱えておりますけれども、この問題をできるだけ解決するように私どもとしてはフォローアップのためにいろいろ手を打ってきているということでございまして、先生がちょっと今おっしゃっているように、何か全体が非常にずさんで、途上国でも評価されていないということは決してございません。
 援助決定過程の透明性の点に関しましては、私どもはできるだけ透明性を確保するように努力していきたいと思っておりますけれども、何分にも相手国政府といろいろ折衝いたします過程でいろんな数字が飛び交うものでございまして、その全部を数字を含めまして明らかにできない点はござ
いますけれども、全体としての方向性、私どもの基本的な考え方等々に関しましてはできるだけ透明性を確保してまいりたい、こういうふうに考えておりまして、先生御指摘のような点もそういうことはないように対応してまいりたいと考えております。
○中村鋭一君 ないように対応していくとか、事後の審査を何百件だか千件だかやったとかいうことよりも、もう時間がありませんので私の方から先に結論を申し上げますが、やはり外国の人からとやかく言われる、それから日本の国会もどうなっているんだろうと考えると、援助額の決定、その使われ方等々についておっしゃいますけれども、それが明らかでないところにやはりいろんな問題が出てきている。ですから、端的に申し上げますが、この援助の過程を公開する、情報公開ですね、この問題と、それから国民の前にどのように援助をしているかをしっかりと報告をして、国民の代表である国権の最高機関である国会の承認を求めるということについての大臣の御見解をひとつお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 大変御熱心にODAの問題を御検討いただきまして感謝を申し上げます。
 問題は、経済大国になりまして、国民の皆様方のとうとい税金をODAで発展途上国に出すべき国際的な立場に我が国はなりましたから、御指摘のようにODAの金額は非常に膨張してまいりまして、その膨張してきたことについて、今までの人員では到底これからのODAに外務省としては対処できないというのが私の率直な意見でございますが、今総定員法の枠に縛られましてこの増員ができない、ここに一つの今日の課題があると思います。これの解決には私ども全力を挙げておりますけれども、ぜひひとつ先生方にも御協力をいただきたい、これをお願い申し上げる次第でございます。
 先生の御指摘になったように、国会であらかじめそのケースケースで承認をとってやってはどうかという御意見でございますけれども、例えばアフリカのような発展途上国の非常に多いところでそれぞれ個別の国との外交上の話し合いというものを政府はやっておりまして、そのときに、この隣国に対する援助というものが事前に国会で議論されるということはもう筒抜けになりまして、日本の外交上非常に混乱が起こるし、外交をやっていく上に容易でないということで、あらかじめ予算についてはODAの枠を国会で御承認いただき、そして執行については外務省で一元的に、これをいろいろとこれからの日本の国際社会における協力の重要性について、相手国と交渉するという姿勢をこれからも堅持させていただきたいと思っております。事前の審査あるいは事後の評価、こういうものにつきましては、委員御指摘のように十分これから厳重にやってまいりたい、このように考えております。
○中村鋭一君 時間ですので。
○猪木寛至君 もう既に日ソの関係あるいはODAの話が出ておりますので、私は最後なので大分重複すると思いますが、私は、きょうは日ソの関係と、またODAにちょっと触れてみたいと思います。
 まず質問の前に、甚だ恐縮ですが、私自身レスリングを通じて世界じゅうを歩きまして、そんな体験の話をちょっとさせていただきたいと思います。
 昨年、ソウル・オリンピックがあった折に、ソ連の選手たちが大変プロに転向する興味を持っているという情報を私が手にしまして、ちょうど一年と三カ月前の話なんですが、当時としてはそんな話は信用できないよ、実際には不可能だという意見が大多数を占めたわけなんですが、私もその話の調査をしまして、みずから去年の十月にソ連に乗り込み国家スポーツ委員会のメンバーとも話をしたわけなんですが、そんな中で、大変話が難航したんですが、私も一生懸命スポーツ交流の意義を訴え、何回か話を重ねていくうちに非常にお互いの信頼感が生まれてきまして、まああなたがそういうことであれば、日ソの関係においては非常に今冷え切った部分があるけれども、我々としてもぜひ日本とももっともっと友好を持っていきたいんだということで、我々としても、国ともまだ話ができてないけれども、とにかく努力してあなたの希望に沿うようにしようじゃないかということを言ってくれまして、その後何回か交渉を重ねまして、当時本当に不可能と言われた話で、ことしの四月二十四日に東京ドームにおいて日米ソの対抗戦を行いまして大成功をおさめることができました。
 そんなことから、私自身大変向こうの政府の要人たちとも交流が生まれまして、前同六回目の訪ソをしてまいりました。ちょうど六月に、私が選挙に出る前だったんですが、ソ連に参りまして、クレムリンの方へ呼ばれまして、当時副首相であったカメンツェフ副首相とも話をしました。そのときに、何でも構わないからお話ししなさいというので、じゃ遠慮なくさせていただきますということで、我々日本人から見たソ連というのは非常に暗くて笑いがなくて信用がおけない人種であるという話をしましたら、非常に苦笑いをしました。まあしかしながら、こうやって我々がスポーツを通じて交流を始めたらそんなことはない、本当に気さくでみんなすばらしい人がいるよということをつけ加えました。ソ連側も、じゃ私にも一言言わせろということで、カメンツェフ副首相も、実は私は最初に日本との漁業問題で日本に行ったときに、本当に日本人は暗くて、あなたが言うように信用のおけない人種だと思った。実際会議を始めたら、下を向いて我々の話を一向に聞こうとしないということから、逆に日本側が話を始めたら同じ態度をとってやろうということで、全員目をつぶってやったと。会談が終わったら、全員が立ち上がって握手を求めて、我々の話をよく聞いてくれたというようなことで大笑いになりましたけれども、そういう偏見の中に日ソの関係というのは今あるのではないか。そんなことで私も日ソに関係する部分についていろいろ今積極的にやらしていただいております。
 そこで、とみに今世界交流が叫ばれているわけですが、今政治家の方も随分日本に来られます。交流がだんだん高まっていくという中で、先ほどから話が出ておりますヤコブレフ政治局員というんですかが来られる。大変これは期待が大きいということも大臣からお話を伺っておりますし、今現実に経済ミッションの専門スタッフが来られているというふうに聞いておりますが、これはどのようなことのレベルでお話をしているんですか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(都甲岳洋君) 今回のソ連の経済調査団は、日本の経済発展の裏に日本政府としてどのような役割を果たしたかということを先方として学びたいので、しかるべきレベルでのミッションを送りたいという申し出がございましたものですから、私どもとしてもそれに協力することが日ソ関係の現状からして好ましいということでこれを迎えたわけでございます。
 そして、先方のレベルは、次官級のいろいろな分野にわたっておりますけれども、例えば国家科学委員会の議長であるとかそれから財務省の次官であるとか、そういう方々九名ぐらいのかなりハイレベルの代表団でございます。
 それで、私どもとしてはこの代表団を迎えるに当たって、日本側の応接としましては、やはりしかるべきレベルでありながら、しかし実務的に十分に先方の納得する細かいところまで説明ができるようにしたいということで、各省あるいは各企業等におきまして、例えば通産省においては審議官クラスというような形で十分に先方の質問あるいは要請に実務的にこたえられる、しかも高いレベルのという形でこれに応接をしているというのが現状でございまして、先方は大変その接遇ぶりに感謝をしているということを伺っております。
○猪木寛至君 交流が高まるということは結構なことだと思うんですが、私も独自のソ連の情報という部分で、何回か訪ソする中である高官との会談の中で、大変北方領土問題というのは今避けて
通れないということを認識しているわけですが、本音の部分として北方領土というものをある意味で返還する用意があるというような情報も耳にしているんです。大変これには難しい問題があると思いますが、そういう中で今返せ返せと非常に叫んでいるわけですが、トンネルを仮に掘る場合に、こっちから掘ってその先を見ないということはないと思うんですが、もし北方領土を実際にソ連が返しますよと言った場合に、例えば日本側としては今現在どのような準備をしているんでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 先生がいろいろと日ソの平和友好親善のためにスポーツを通じて御苦労いただいていることに心から敬意を表したいと思います。
 今ソ連が日本に北方領土を返すというような話が来たら日本はどうするかといえば、私は心からありがとうということを申し上げると同時に、それが直ちに日ソ平和条約の締結に向かって極めて速い速度で作業が進むということははっきりと申し上げておきたいと思います。
○猪木寛至君 もうちょっとお聞きをしたいんですが、例えば、じゃ返しました、返ってきました。現実に今四万から五万という既に定住しているソ連の人たちがいるわけですね。そういう人たちの処遇問題、あるいは国へ帰れと言うのか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) まだこの領土問題につきましては、ソビエトの最高レベルでこの領土を返還するというようなお話は日本に外交ルートを通じて参っておりません。領土問題について依然として外交上のソビエトの姿勢は極めて厳しい。ただし、これからヤコブレフさんが日本に来られてどういうふうなお話をされるのか、これはまだお目にかかってみないとわからないことでございますし、北方領土が日本に返るときにどうするかというような問題は、ソビエト政府が返還の意思を出されるという時点からの日ソの政府間のいろいろな話というものがその時点から始まるのであろうと。それまでは、一切日本政府としてはその件について今意見を申し上げる立場にないというふうに存じております。
○猪木寛至君 じゃ準備のお考えはあるということですね。
○国務大臣(中山太郎君) 極めてソ連政府にとりましても重要な領土問題でございますから、この問題につきましては、現時点で日本政府として何らかの意見を申し上げるということは御遠慮さしていただきたいと思っております。
○猪木寛至君 この件に関しては、今まで歴史的、法律的ないろんな新しい、難しい問題があると思いますのでこの辺で終わりますが、そこで、今世界が最も注目をしておりますペレストロイカについてちょっとお伺いいたします。
 ソ連が経済的にも今物資不足、新聞紙上で毎日報じられておりますが、そのような問題等、最近新聞に米国がソ連に対して最恵国待遇ということが出ておりましたが、その最恵国待遇ということをちょっと御説明していただきたいと思います。
○政府委員(福田博君) 最恵国待遇というのは、平たく一般的に申しますと、ある国が、特定事項につきまして、第三国または第三国の国民に対して与えるより不利でない待遇を他の国または国民に与えることをいいます。歴史的には、二国間の通商航海条約等で国家間で相互にほかの国に与える待遇よりも不利でない待遇を約束し合う技術的な概念から発展したもので、現在もいろいろな国に利益を及ぼすためにガット等の規定で広く用いられている概念でございます。
○猪木寛至君 そうしたら日本の場合は、例えば今米国がとった考え方に追随する考えでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) 米国の事情につきまして若干御説明申し上げておきますと、一九七〇年代の初めのニクソン、キッシンジャー外交のときの緊張緩和の過程で、最恵国待遇の対ソ供与ということが一回問題になったことがございます。通商条約を交渉いたしまして署名まで至ったんですが、結局当時のユダヤ人の出国問題に絡みまして、ソ連の移民政策が十分に国際的水準に合ってないということでジャクソン・バニック修正案という形で、それが十分に充足するまで認められないということで、結局通商条約が批准されないまま未締結に終わったという経緯がございました。
 その中で、ソ連の移民政策においても最近目覚ましい改善が見られたということもありまして、ことしの五月にブッシュ大統領は、ソ連の移民法が国際的な基準に合致するものとして整備、実施されるならば、右修正条項の一時的な停止につき、議会と協議するようになる旨を表明したというのが現段階でございます。そういうことで、こうした認定が下されますれば、この条項を修正して通商条約を結んでソ連に最恵国待遇を与えるという状況になるわけですが、現状では存在しておりません。
 我が国について見ますと、我が国は昭和三十三年に発効した日ソ通商条約において、ソ連に対して既に関税、通関、身体、財産の保護というようなものに対して最恵国待遇を付与しているという状況でございますので、その意味におきましては我が国の方が関係は進んでおるという状況になっております。
○猪木寛至君 それでは、日本がそれ以上、またそれ以外に独自の対ソ方策を今現在考えていますかどうか、この辺をちょっと聞かせていただきたいと思います。
○政府委員(都甲岳洋君) 例えばアメリカにおきましてはそういう意味ではいろいろな状況から輸銀の使用も今とめておりますけれども、我が方としてはケース・バイ・ケースで輸銀の対ソ供与というものは認めているというような状況で、必ずしもアメリカがとっている政策と同一ではなく、むしろ我が国の方が進んでいるという状況もあるということは申し上げられると思います。
 そういうことは、実態的な貿易関係にも反映されておりまして、我が国は今現在ソ連の西側との貿易相手国の中で西独、フィンランドに次いで第三位、我が国の貿易額は今五十九億ドルに削減になっておりますけれども、フランス、イタリアがこれより少ない額であり、そしてアメリカ、イギリス等は我が国の六割ぐらいの貿易額に達しているという状況であるということで、貿易額全体を見てみましても、アメリカより我が国の対ソ貿易の方が進んでいるのが現状であるということは申し上げられると思います。
○猪木寛至君 外交の基本ということは、お互いの信頼ということがまず第一だと思います。
 そこで、これから日ソの関係をよりよくしていくために、私はプロレスを通じてスポーツ交流ということを今やっておりますが、先ほどにもお話しあった文化交流、経済交流、ありとあらゆる面の交流というものが大事だということはお聞きしておりますが、そこで今こういう雪解けムードの中でどういう交流を優先していったらいいか、お考えをちょっと聞かしてください。
○政府委員(都甲岳洋君) 日本政府といたしましては、対ソ関係につきまして五つの分野で拡大交流をしたいということで、もちろん平和条約が一番重要でございますけれども、適切、可能な実務的交流も広げたいということで、その中にはもちろん実務的な経済交流も含まれておりますし、それから科学技術交流、科学技術の面での協力もやっております。それからもちろん文化交流、スポーツ交流等も当然その中に入るだろうと思います。そういう形で両国民が間接的に触れ合う機会をできるだけ多くするということが一般的にこの交流のもたらす効果だろうと思いますし、それは適切、可能な実務交流の範囲内での日ソ関係の前進という観点から極めて望ましいものであると私は考えております。
○猪木寛至君 私は、スポーツ交流ということで先日モスクワと東京が姉妹都市にならないかということで都知事の方にもちょっとお伺いしているんですが、これは平和条約が結ばれないと無理なんでしょうか、どうなんでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) 一般的に、首都という象徴的な地位にある東京都といたしましては、やはり国民感情の観点から日ソ関係が完全に正常化されるということなしに姉妹都市関係を結ぶというのは、いかがなものであろうかという感じを持っておられるというふうに私どもは伺っております。
○猪木寛至君 そこで、いろいろの問題がある中で、スポーツの交流なら例えば日中の場合にはピンポン外交から交流が始まったわけですが、そういう中でスポーツ交流都市ということを私はちょっと提唱したんですが、これについては問題があるんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) 一般的に申し上げまして、自治体の間でのスポーツ交流というのは、国民の相互の間の理解を増進するという契機として大変に結構なことだと私ども思っております。具体的に各自治体においてこのことをどういうふうに進められるかというのは、自治体におきましてそれぞれの御判断によるものだろうというふうに考えております。
○猪木寛至君 ぜひ政府もひとつ協力していただきたいと思います。
 それではソ連問題は終わりにします。
 ちょっと私もブラジルとかかわり合いがありまして、ODA問題ということで御質問をさしていただきます。ちょうど今環境汚染あるいはアマゾン破壊という問題と関連してくるんですが、今から十五年前にブラジルは第一次オイルショック以後アルコール政策というものを取り入れまして、大変広大な土地にサトウキビを植えまして、そこからアルコールを抽出して、そして今現在はアルコール車が九〇%市内を走っているわけです。ところが、これは今焼き畑農業、そしてまた化学肥料の大量の使用というようなことから酸性化が進み、非常に作自体が落ちてきているということが現状なんです。
 それで私は、サトウキビ工場から出てくるサトウキビの搾りかすとそれからまた廃液というものが当時は川に垂れ流しになって、これがもう川の大変な汚染になっていたわけなんですが、それをバイオの技術で牛のえさあるいは堆肥にするという事業をやってまいりまして、試行錯誤して大変苦しみましたが、その技術の確立に成功しまして今現在ブラジルの方で進めております。
 そこで、私は少年時代ブラジルに移民をいたしましてコーヒー園に入植したわけなんですが、そこのコーヒー園自体つい最近訪れましたら全くのもう砂漠化というか、雑草は生えているんですが牧場にもならない、もう本当に栽培のできないような土地が死んでいる現状を見てきまして、今このサトウキビの将来五年後というものを見ますと、恐らく作がどんどんどんどん糖質が落ちてきているのが現状であって、そうすると今焼き畑農業でここがだめになったからまたほかの土地を求めていく、あるいは政府がアルコール政策をやめるのであれば別ですが、これから進めていくとするならばまた農民はもっと奥地へと入っていく、そこへ今起きているアマゾンの森林破壊というものもつながってくるわけですけれども、その辺でODAとのかかわり合いという問題でちょっと御質問させていただきたいと思うんです。
 ブラジルは債務問題というのが世界一あるわけですが、それとODAの援助というものは、これはどういう形になるんでしょうか。債務があるからこれは全く出せないというのか、またあるいはそういう森林破壊という問題に対して、債務とは別に積極的に援助するのか、その辺をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先生御承知のように、ブラジルと日本の伝統的な関係を考えまして、ブラジルに対しまして技術協力と有償資金協力を中心に重点的に援助してきておりますけれども、この技術協力に関しましては先生御指摘の債務問題は関係ございません。債務問題がどうなろうと技術協力はしっかり従来どおり進めてまいりたいと思っておりますけれども、この有償資金協力というのは、別な言葉で言えば、低利長期のローンを貸すということでございますので、やはり債務問題とのかかわりがどうしても出てまいります。したがいまして、有償資金協力に関しまして今まで何回かにわたって供与をしてきておりますけれども、これは債務問題の行方も考えながら今後進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○猪木寛至君 現在カラジャス計画がもうかれこれ十何年になるわけですが、これの進展状態というのをちょっと聞かせてください。
○政府委員(坂本重太郎君) カラジャスは当初の目的を十分に達成しつつございまして、私どもの判断では非常に円滑に進んでおると、こう考えております。
○猪木寛至君 私はブラジルでODAの資金を受ける側の立場でいろいろ作業をしてきましたが、これは大変難しい問題で、先ほど中村先生からも御指摘があったんですが、実際に必要な資金というものを受ける状態でないというのが私の認識なんですね。そこで、そういうきめの細かいODA自体の質の転換というか、あるいは先ほどあった人員の足らないという問題もあるようですが、しかしながらこのODAというものが本当に国民の税金から得た、それが本当に有効に使われるというのは申すまでもないわけですから、その質についての考え方というものについてこれからどういうお考えを持っているんでしょうか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 先ほど触れましたように、技術協力に関しましては債務問題の帰趨いかんにかかわらずブラジルの人づくりに協力するという姿勢で拡充してまいりたいと考えております。
 今まで研修員の受け入れも毎年漸増しておりまして三百名をついに超えるに至っておりますが、累計いたしますと、もう三千人近い研修員をブラジルから受け入れて日本で訓練しているということでかなりの効果を上げております。それから、日本から派遣します専門家も累計ではもう八百名を超えておりますが、毎年の規模は五十名から百名の間を行き来しておりますが、いずれにしましてもこういう技術協力は、先生御指摘の債務問題等にかかわらずブラジルのまさに人づくりのために協力するわけでございますから、しっかり進めてまいりたいと考えております。
 先ほどもちょっと触れましたけれども、有償資金協力、つまり円借款に関しましては、これはやはりブラジルの経済再建努力を支援するという見地から行いますので、やはりブラジルが本当にしっかりとまじめに経済再建に取り組んでいくのかどうか、その際は当然その債務問題に対します取り組み方も勘案いたします。そういう点を勘案して私どもとしては対応していきたいと思っておりますが、今のところ私どもは、ブラジルは先生も重々御承知のようなことで問題を抱えて大変厳しいインフレその他の状況でありますが、まじめに努力していくようにそういう方向で対応しつつあると認識しておりますので、円借款に関しましてもその限りにおいてはできる限り支援していきたいとこう思っております。
○猪木寛至君 私もブラジルの関係者が多いものですからぜひ支援の体制を整えてもらいたいと思うんですが、先日ブラジルのある雑誌に出た記事をちょっと読んだんですが、大喪の礼のときに各国の元首が日本へ来られたその折、ブッシュ大統領とブラジルのサルネイ大統領が会談をした話なんですが、とにかくアマゾンは唯一地球上に残された財産だと、その意味で何とか世界各国でこれを管理していくような考え方をしようじゃないかと、そのときにサルネイ大統領が大変遺憾の意を表しまして怒った言葉で、とんでもない、これはそこを所有する国のものであって余計な口出しはしてもらいたくないと、こういう話が出ました。
 そうすると現実に今我々から見たときに、アマゾンというのは世界唯一残された財産であるにもかかわらず、ブラジルが先ほど申し上げたような形で非常に日々日々追われているような状況で、世界のことは考えていられないということでアマゾンの森林破壊をした場合に、もう今現実にやっ
ているわけですが、今言う日本とブラジルという関係だけではなく世界全体としてこれはもう大きな問題である。そこで、私は何とかブラジルの救済という部分で、先ほど言われたような形とまた違った、本当に将来我々の子供たち、孫たちのためにも何らか新しい考え方があるのか、考えていただけるかどうか。
○政府委員(坂本重太郎君) ただいま議員から御指摘のとおり、大喪の礼の際に確かにそういうやりとりがございまして、サルネイ・ブラジル大統領は非常に内政干渉的な諸外国の態度は、これは断固拒否するとこう言っておられました。他方、私が三月末にブラジルに参りましたときに、サルネイ大統領といろいろ話をいたしました。その際、サルネイ大統領は、自分はああは言ったけれども、ブラジル自身は非常にこの環境問題に関しては注意を払ってやっております、そして現実にブラジル政府はことしの四月に我々の自然計画というものを発表しますと、そのときに言っておりました。それは森林保護、それから環境保全のため、そしてそのために国際的な基金をつくりたい、ついては日本にも協力をしてもらいたいと、こういう話がございました。
 それ以後、日本政府といたしましてもこの環境問題の重要性にかんがみて、ことしの六月にはブラジルに環境調査ミッションを派遣いたしました。そして、現在、いかなる形の協力ができるか、政府部内で検討中でございます。私どもも内政干渉にならないように注意しながら積極的に協力してまいりたいと、こう考えております。
○猪木寛至君 最後に、日ソ関係とブラジルの問題を申し上げたわけなんですが、日ソの関係における問題も将来エネルギー問題というものも当然日本としては考えなきゃいけない問題である。きょうは時間がありませんのでエネルギー問題には入りませんが、当然クリーンエネルギーという部分で今後天然ガスということを考えなきゃいけないということももう随分叫ばれているわけですが、そういう意味で、一日も早く日ソのいい関係ができますように、そして他方ブラジルにおいてはこれから地球を守っていくためにできるだけの有効な援助の仕方ということをぜひ考えていただきたいと思います。
 まだ時間があるようですが……
○国務大臣(中山太郎君) 猪木委員には、きょうは日ソ関係の問題について大変御熱心な御質疑をちょうだいしまして大変ありがとうございました。
 私ども本当に日ソの平和な日が来るということ、これは国民的な願望でございます。それができ上がる日こそアジア・太平洋のまた新しい平和の時代がやってくるわけでありまして、そういう意味では、日本政府としては、関係のASEANの国々やらあるいはアジア・太平洋の島嶼国も含めてやはりこの日ソ関係の一日も早い平和の関係、これを確立するということに全力を払ってまいらなければならない、そのように外務大臣としては責任を感じております。
 また、ブラジルのアマゾンの熱帯雨林の問題等につきましては、やはり人類社会のこれからの未来にとっては非常に重要な問題でございますので、私ども環境汚染の問題で苦い経験をした日本が、その経験の中を通じて獲得した公害を解決するための技術、またその資金あるいは専門家の派遣等を通じて、ブラジル政府の要請があればこれに積極的に協力をしてまいるということをこの際申し上げておきたいと思います。
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○委員長(山東昭子君) それでは、ここで委員の異動について御報告いたします。
 本日、大鷹淑子君及び鳩山威一郎君が委員を辞任され、その補欠として清水嘉与子君及び木暮山人君が選任されました。
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○委員長(山東昭子君) それでは、国際情勢等に関する調査については本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、以上二件につきましては、他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これから両件について討論に入ります。
 御意見のおありになる方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、ベルギー及びインドとの租税条約について反対の討論を行います。
 これら条約の、短期滞在者や芸能人など一般国民についての二重課税を回避するのは当然のことであります。
 しかし、問題の一つは、親子会社間の配当につき源泉地税率を引き下げ、外国税額控除制度のより有利な活用ができるようにし、また問題のある間接控除やみなし控除を温存したり、新たに盛り込むことによって、税制上のメリットを受けられるようにしていることにあります。
 次に、租税条約の基本となっております我が国の外国税額控除制度が諸外国と比べて、一括控除とか、繰り越し・繰り戻し期間などに見られるようにかなり寛大な方式となっていることであります。
 以上のことから、大企業の海外進出を税制面からより保障するものであり、数年来問題となりました大商社の法人税支払いゼロということも、こうした大企業優遇の租税条約がもたらす一つのあらわれであります。
 以上の理由から、これらの条約に反対するものであります。
○委員長(山東昭子君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とベルギー王国との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山東昭子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とインド共和国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(山東昭子君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会