第116回国会 外務委員会 第2号
平成元年十二月五日(火曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 十一月十日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     鳩山威一郎君
     清水嘉与子君     大鷹 淑子君
     喜岡  淳君     竹村 泰子君
 十一月三十日
    辞任         補欠選任
     立木  洋君     吉岡 吉典君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山東 昭子君
    理 事
                久世 公堯君
                宮澤  弘君
                田  英夫君
                中村 鋭一君
    委 員
                石井 一二君
                大鷹 淑子君
                岡部 三郎君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                久保田真苗君
                竹村 泰子君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                中西 珠子君
                吉岡 吉典君
                猪木 寛至君
       発  議  者  中西 珠子君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
   政府委員
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  有馬 龍夫君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済局長  林  貞行君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       遠藤  實君
       外務省情報調査
       局長       山下新太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       防衛庁防衛局防
       衛課長      萩  次郎君
       外務大臣官房審
       議官       太田  博君
       外務大臣官房審
       議官       国安 正昭君
       外務大臣官房外
       務参事官     茂田  宏君
       農林水産省農蚕
       園芸局果樹花き
       課長       市之宮和彦君
       農林水産省畜産
       局流通飼料課長  本田  進君
       通商産業省産業
       政策局国際企業
       課長       若杉 隆平君
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  本日の会議に付した案件
○国際情勢等に関する調査
 (米ソ首脳マルタ会談に関する件)
 (東欧情勢に関する件)
 (フィリピン情勢に関する件)
 (米空母タイコンデロガに係る事前協議に関する件)
 (チェルノブイリ事故による放射能汚染飼料に関する件)
 (子どもの権利条約に関する件)
 (経済協力に関する件)
 (プルトニウムの海上輸送に関する件)
 (在外公館職員の処遇改善に関する件)
○国際開発協力基本法案(中西珠子君外二名発議)
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○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十一月十日、喜岡淳君、木暮山人君、清水嘉与子君が委員を辞任され、その補欠として竹村泰子君、鳩山威一郎君、大鷹淑子君が選任されました。
 また、十一月三十日、立木洋君が委員を辞任され、その補欠として吉岡吉典君が選任されました。
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○委員長(山東昭子君) 本日は、国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。
 質疑のおありになる方は順次御発言を願います。
○石井一二君 このところ、外交関係に目まぐるしい動きがあるように私は認識をいたしております。例えば米ソの首脳会談、フィリピンにおけるクーデター、また東欧の自由化の波等々でございますが、ここら辺の問題に関して若干政府の姿勢をただしておきたい、まずそのように思うものでございます。
 まず、米ソ首脳会談についてでございますが、御承知のようにマルタ共和国において先般来行われ、いろんな格好で新聞紙上をにぎわしております。特に、東欧の激しい事態の変化を受けて東西関係が流動化しつつある中で行われた今般の米ソ首脳会談は、戦後の国際政治の中でも極めて重要な意味合いを持つものであると考えておりますが、政府として今回の会合をどのように評価しておるか、まずお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 今回の米ソ首脳会談は、非公式な首脳会談とはいえ、双方の意見の交換が十分なされたということについて、私どもはこの首脳会談後の記者会見の様子等も踏まえて、この会談が極めて実り多いものであったということで高い評価をいたしておる次第でございます。
○石井一二君 高い評価はわかるんですが、もう少し内容に入っていただきたいと思うんですが、どう高い評価をされたんですか。
○国務大臣(中山太郎君) 先生も御案内のように、この冷戦の終わりを告げる感想が述べられたということが極めて大きな意味を持っているんではないか。今日までの戦後の東西関係を回顧いたしてみますと、一九六〇年代の激しい軍備競争、厳しい対立、そういうものの歴史の中でやはりブレジネフ・ドクトリンの設定があり、チェコにおける自由化の波は弾圧をされる、あるいはポーランドにおいても同じようなことがございましたが、今日は、この両首脳の長時間にわたる会談の結果を踏まえてみましても、東ヨーロッパにおけるそれぞれの国の民族の自主的な意思の決定権というものを双方が認め合っていくというようなことについては、私は新しい戦後の歴史の転換期が始まったというふうに認識をいたしております。
○石井一二君 例えば戦略核の削減交渉については具体的な将来における約束事等もなされたわけですが、海軍力の削減についてはブッシュ大統領の方から時期がまだ尚早であるということで会談の中で深入りを避けたとか、そのような報道もなされておるわけでございますが、ここらあたりをどう理解し、解釈しておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 会談の内容の詳細な点につきましては、近く米国から特使が来日されるというふうに私どもは認識をいたしておりまして、この会談の内容について、今御指摘のような海軍力の問題等について両首脳の意見の交換等その内容を正確に把握をいたして、私どもとしてはそれで判断をしなければならないというふうに考えております。
○石井一二君 どの新聞を見ても、例えばこのように一面いっぱい記事がなっておる。(資料を示す)また、衛星放送を通じて外国の放送が直接入ってくる。そういったスピード化の時代の中で、特使がのこのこ帰ってきてそれから分析をしておるというのは私は外交センスを疑いますが、その辺はどう考えておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員も御存じのとおり、首脳会談の記者会見の内容等というものは、事前に両国のそれぞれの担当者の間で調整が行われた上で記者会見に臨むのが外交上の慣例でございます。私ども同盟的な関係にある国家に対しては、ブッシュ大統領が会談後直ちにブラッセルに飛んで北大西洋条約機構の首脳者たちと会議の内容について報告をされております。同じような条件のもとで米国からソロモン氏が来日するので、その会談の内容についての詳細な報告を承ることになっておるわけであります。
 私どもはそのような環境の中で、衛星通信による記者会見の模様も私も終始見てまいりましたが、具体的な内容についてアメリカ側の特使から詳細に報告を求めたいと、このように考えております。
○石井一二君 もう一つだけ聞いておきますが、例えば新聞等によりますと、ソ連に対して最恵国待遇を供与するといったようなアメリカが姿勢を表明しておる。日本も世界のいろんな国に対して、貿易黒字大国ですから、こういった問題でも当然対処を求められると思うんですが、こういった問題についてもまだ全然答弁をするタイミングではないというようなお考えですか、その辺はいかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 先生お尋ねの、米国がソビエトに対して最恵国待遇を供与するという話が出た由だと、こういうお話でございますが、日本国は既に一九五七年、日ソ通商条約によりまして既にソ連に対して最恵国待遇を付与いたしております。この点では、米側と比べて日本側は既に今から三十年余り前に最恵国待遇を付与しているということを申し上げておきたいと思います。
○石井一二君 次に、激動する東欧の情勢について若干聞いておきたいと思いますが、一連の民主化の運動を外務省としてはどのようにとらえておられますか、まず御所見を伺いたい。
○政府委員(都甲岳洋君) 東欧の最近の民主化の動きというものは、やはり基本的に複数政党制を基礎にした議会制度を目指すものであり、そしてまた経済面におきましては、特にポーランド、ハンガリーにおきまして市場原理を中心とした経済改革を目指しているものでございますので、そういう意味で基本的なかなり根本的なものであるというふうに感じております。そういう意味で、これらの国での改革が成功するということは、東欧情勢そのものでなく、やはり東西関係全般の枠組みに対して大きな影響を持ち得るものとして私どもは非常にこれを注目しておりますし、そしてこれらの改革に対してこれが成功するように我々としても応分の協力をしていきたいという姿勢で今まできております。
○石井一二君 応分の協力という今お言葉が出まして、当然のことだと思います。
 では、中身はどうかということになるわけですが、例えば時を同じくして近々総理が東欧へ行かれる可能性があるということも風聞として承っております。まだ具体的な国名は決まっていないかもしれませんが、ポーランドかハンガリーか、あるいはどこかといったような国名もちらほら聞くわけですが、今申された応分の協力の中で、例えば市場経済原理を導入した経済的な援助とか食糧援助とかいろいろあろうと思うんですが、当面何か具体的なことでお考えになっておることがございますでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) ポーランド、ハンガリーの両国に対します援助につきましては、アルシュ・サミット以来先進二十四カ国の間で鋭意協議されてきたわけでございますけれども、我が国もこの協議された内容に従って順次援助の具体化を図ってきているわけでございます。
 先般十一月二十四日に第三回目の支援会議がございましたけれども、その支援会議の席上で小和田外務審議官より、ポーランドの通貨安定化基金に資する目的で一・五億ドルの低利の商品借款援助の意向を表明したということでございます。その他、ポーランドに対する緊急食糧援助あるいはポーランド、ハンガリーに対する市場経済を目指してのこれらの改革に資するために、マネジメント協力あるいは環境協力という分野で日本政府としても支援を行うべく、目下鋭意関係方面と折衝中でございます。
○石井一二君 私は今まだ決まっていないかと思いますがと申しましたが、総理が行かれる場合の御訪問先というのはもう決まっているんですか。
○国務大臣(中山太郎君) 最終的な日程は今まだ決まっていないと申し上げた方がいいと思いますが、訪問国としては既に決定をいたしております。
○石井一二君 お差し支えなければ、ちょっとそれを聞かしていただくことは可能ですか。
○政府委員(都甲岳洋君) 最近の情勢にもかんがみ、ポーランド、ハンガリーということで日程を調整しているというのが現状でございます。
○石井一二君 もっと聞きたいこともございますが、外交上の問題点も多うございますので、フィリピンのクーデターについて若干お伺いをいたしたいと思います。
 これもまた新聞報道等いろいろございますが、ほぼ鎮圧されて邦人関係者には犠牲者がなかったというように私は理解をしておりますが、大体そのような線で外務省としても御理解をなさっておりますか、いかがでしょうか。現状の把握はどうでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 一日の未明に発生したクーデター、反乱事件でございますが、委員御指摘のように、現時点、今朝の時点では反乱軍の大部分は投降いたしまして、いわゆる主な戦闘はほぼ終わったという認識でございますが、ただマカティ地区と申しますか、マニラ市の繁華街がございまして、そこに実は大変多くの在留邦人の方々がおられます。また、四つばかり大きなホテルがございまして、ここに大変多くの日本からの観光客の方が泊まっておられるという状況もございまして、今起こっておりますのは、反乱軍は大方投降いたしましたものの、いわば残存分子がこのマカティ地区に幅広く分散して一部のホテルを占拠しておるという、これはこれで大変ゆゆしい事態になっております。
 私どもの大使以下館員全員を挙げて在留邦人の安全のために努力いたしておりますが、大使館自身このマカティ地区の真っただ中にございまして、流れ弾が飛んでくるという中で大使館員は一生懸命やっているという状況でございます。昨夜から今朝にかけて、ずっと私ども徹夜で現地と連絡をとっておりますが、大変憂慮される事態にそれはそれでなってきております。
○石井一二君 ここに私は「我が国の対比経済協力 平成元年十二月四日 外務省」と書かれた二枚の紙を持っているわけですが、その冒頭に次のような文章がございます。「我が国は、従来より比の安定と繁栄がアジア・太平洋地域の安定と繁栄にとって不可欠との認識の下、同国に対する経済協力の拡充に努力してきた。」すなわち、フィリピンの安定と繁栄ということに非常に大きな関心を持っておるというのが外務省の見解かと承りますが、このフィリピンの安定と繁栄という観点から、在比米軍基地の存在ということもいろいろと貢献をしておると思うわけですが、アジア・太平洋地域の安定と繁栄という観点から米軍基地の現在の規模、あり方についてどのような見解を外務省としてお持ちでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) フィリピンにおきます米軍基地の存在は、フィリピン国のみならずアジア・太平洋地域の安全保障上重要なものであると考えておりまして、我が国としても大きな関心を実は持っております。ただ、同基地の存続問題等については、基本的にこれは米比間の問題でございまして、日本政府としてコメントする意思は持っておらないということでございます。
○石井一二君 基地がどうのこうのというのは米比の問題ですが、仮に基地がなくなったとした場合に、日本に対する影響という観点から無関心ではおれないというのが私の考えであります。
 同じように、韓国にまた米軍基地がある。このところ、いろんな雑誌あるいは新聞等の報道によりますと、在韓米軍撤退問題というものがアメリカの議会でも大きく論議をされつつある。またフィリピンの場合は、フィリピンの上院では次の改定期には撤去をしてもらいたいというような動きが非常に強いというような感じも私は持って理解をしておるわけですが、こういったフィリピン、韓国両方でそのような動きがある中で我が国の外交上あらかじめいろんなことを配意して手を打っておかなければならないとか、これは防衛庁とかそういったところへ聞くべきような要素も多いわけですから必ずしも外務委員会だけの所管とは限りませんけれども、若干無関心でおれないような気もいたすわけでございますが、何か御所見がございませんか、そのような動きの中で。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のように、このフィリピンの基地の存廃問題、また韓国における米軍基地の問題等、米議会におけるいろいろな意見が出ておることは承知をいたしております。
 そのような中で、我が国として、海洋国家としての日本が今日のような繁栄そして平和というものを維持していく基本的な条件というものを堅持しておかなければならない。そういう意味で、米ソ両首脳による新しい軍備の管理あるいは軍縮、いろんな話し合いがこれから行われようと考えておりますけれども、私どもはそういう現実を踏まえつつ、この安定したアジア・太平洋地域のこれからの維持というものに日本としてはこれから十分な連絡をとりながら外交を展開していかなければならないと考えております。
○石井一二君 今おっしゃったように、十分な連絡をとりながら注意深く外交を展開していただきたいと要望いたしておきます。
 さて、フィリピンに絡んで、マルコス政権以来、またアキノ政権になって我々も特別委員会等をつくっていろいろ論議もしてきた経過もございますが、我が国としては極めて重要度の高い国家として対比援助というものに力を入れつつあるように思うわけでございますが、その動向と、またそれに対する自己評価と申しましょうか、方向づけと申しましょうか、どのようなねらいでもってどの程度のことをなさってきたか、まず御説明をいただきたいと思います。
○説明員(茂田宏君) フィリピンに対しましては、我が国としましては、我が国のODAの最重点国の一つとして位置づけまして、フィリピンの安定と繁栄はアジア・太平洋地域に我が国にとって不可欠であるという観点から援助を拡充してまいりました。
 具体的に言いますと、アキノ政権成立時の一九八六年には六百五十億円の援助を行いまして、八七年度には千三百六十六億円の援助を行っております。八八年度には千二百十二億円ということで援助を拡充してきたということでございます。フィリピンに関しましては、多数国間での援助構想というものがことしの七月にスタートいたしました。このもとで我々はフィリピンの国づくりに協力をするということで、さらに援助を拡大していきたいというふうに考えております。
 この対比援助の評価ということについて御質問がございました。
 日本の対フィリピン経済協力はいろいろな分野にわたっておりますけれども、最近におきましては、農業・農村開発がフィリピンの経済社会安定にとり重要という観点から、その分野への協力を強化してきておりますし、またフィリピンの貧困層に裨益するような協力を重視してきております。我々が行っております対比経済協力につきましては、我々としてはフィリピンの社会経済開発に十分な貢献をなしているというふうに自負しておりますけれども、評価というのは自分が行うものでなくほかから行われるものだと思います。その観点からいいますと、フィリピンのアキノ政権は日本の経済協力を非常にフィリピンの経済発展に役立つものとして高く評価しておりますし、かつフィリピンで行われました世論調査におきましては、これは八七年二月でございますけれども、日本の経済協力がフィリピンの発展のために役立っているという回答をした人が八一%に上っているということで、フィリピンにおいても高い評価を得ているというふうに考えております。
○石井一二君 御答弁の冒頭で年度別の数字を挙げられて、やや数字が伸びつつあるような印象も受けたわけですが、同じ援助といっても、円借款もあれば無償資金もあれば技術協力もある。また、借款でも特別円借款もあればリハビリ借款もあると思うんですが、内容的な流れというものをもうちょっと詳しく教えていただけませんか。
○説明員(茂田宏君) わかりました。
 八六年度につきましては、円借款が四百九十五億円です。無償資金協力が百億円、技術協力が……
○石井一二君 答弁の途中ですが、その数字だけぱらぱら言われても流れがつかみにくいんですよ。だから、方向としては無償のこれに力を入れてやっているとか、そういう流れの方向をちょっと教えてほしいという意味なんですが、質問の意味は。
○説明員(茂田宏君) お答えいたします。
 八六年から八八年を見ますと、円借款における伸びが著しいということでございます。それから、無償資金協力に関しては八六年度が百億円、八八年度は百二十七億円です。技術協力に関しましては八六年が五十五億円、八八年が五十九億円でございます。したがいまして、対フィリピン経済協力額の伸びの大宗は円借款によっているということでございます。それから、八八年度に関しましては、円借款ですけれども、先生御指摘のリハビリの借款が百四十億円でございます。それ以外のものが八百八十五億円でございます。
○石井一二君 技術協力とおっしゃって、その前には農業・農村開発という言葉が出ましたが、どうせJICAを通じてやっておられると思うんですが、技術協力の場合、どのような方向で我が国としてはフィリピンの発展を図ろうとしておられるのか、分野ですね。それともう一つ、多国間援助構想の東京会合とか言われたと思いますが、どれぐらいの規模で何カ国ぐらい巻き込んで日本がリーダーシップをとっておやりになっているんですか。
○説明員(茂田宏君) 技術協力に関しましては、形態としましては専門家を派遣するという形態が一つございます。これはフィリピンに適した農作物を開発するとか、そういうことでの日本の専門家をフィリピンに派遣している協力でございます。それから、フィリピンから研修生を受け入れまして、その研修生に日本における技術を教えるという形の協力を行っております。
 それ以外に開発調査という分野がございまして、これはフィリピンの一つの地域についてどういう開発計画を立てていったら最も効果的なのかということで、日本側で調査をしまして開発計画のお手伝いをするというような形の協力がございます。
 それから、フィリピンに対する多数国間援助の問題ですけれども、これに関しまして参加した国は二十カ国でございます。それで、二十カ国のほかに国際機関七機関が参加をしております。これは四年計画でフィリピンの経済において生じます外貨収支ギャップを埋めていくと同時に、フィリピン側におきましてつくられました発展計画というものがございますけれども、これを多数国間で討議をしまして、この発展計画は妥当なものであるかということを認定いたしまして、それに従ってその下でのいろいろなプロジェクトに各国がそれぞれに資金供与を行っていくということになっております。
○石井一二君 いろいろございますが、次に、国連外交について若干伺っておきたいと思います。
 我が国の国連における分担率は一〇・八四%で、今や第二位の分担率を負担するに至っておると理解をいたしております。こういった中で我が国は、国連行財政改革案を元外務大臣の安倍晋太郎さんが提案されたり、その結果賢人会議が催されたりとかいろんなことを聞いておりますが、我が国の基本的な国連外交のスタンスについて、まず大臣の所見を承りたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 我が国といたしましては、国連を中心にした国連外交というものに大きな力点を置いて外交を進めていくということでは、前内閣以来の考え方に何らの変更はございません。
 国連の機能と機構というものが安倍大臣当時いろいろと国連に対して提案が行われております。また、国連への拠出金も相当順位としては私ども上位にあるわけでございます。そういう中で、国連における幹部職員の日本人の数というものが意外と少ないということも私どもは認識をいたしておりまして、これらの点については鋭意担当者に対して意見を申し述べておるという現状でございます。
 なお、先生御指摘の安倍外務大臣当時の国連の行政改革に対する要望について、今回の九月二十六日に国連総会で日本政府の演説を行っております。そういう中で、御紹介をいたしておきますと、私はこのように申しております。
  大きな変革の時代を迎え国連活動の重点も当然変わるべきものであります。現在国連で進められている行財政改革は、変化する国際社会にあわせて、国連自体が、緊急性を失った活動から国連こそが効率的に対処すべきグローバル・チャレンジへと人員、資金を大きく転換し、新たな時代に適応する活性化した効率的な組織となることを目指したものであります。この行財政改革は、事務総長をはじめ関係者のたゆまぬ努力により、本年末をもって一応三カ年計画を達成するはこびとなりますが、より効果的、機能的な国連を作るとの目標に向けての息の長い努力は、これで止むべきものではありません。生きている組織が退化を避け、より強靭なものとなるには、常に活性化の努力を継続する必要があります。私は、加盟国全体がこのような国連活性化のための努力を全面的に支持すべきであると考えます。
という演説を行ってまいりました。国連における活性化、組織の更新について日本国政府は引き続きこれを強く要望していくという姿勢を打ち出してまいりました。
○石井一二君 国連の活性化また組織の改革等に対する大臣の御所見はそのとおりだと思いますが、戦後四十有余年を振り返って、国連が設立されて以来何をしてきたかということで的を絞ったならば、柱としてどのような機能を国連自体が果たしてこられたと理解しておられますか。
○政府委員(遠藤實君) 国連が創設されました当時の理想は、国連が国際の平和と安全について責任を有し、かつ世界の経済の繁栄を国際協力を通じて実現する、そういうことであったわけでございますが、発足後間もなく起こりました米ソ冷戦、東西冷戦というさなかにありまして、米ソの絡む国際紛争、そういったものについての国連の役割というのは勢い限定されざるを得なくなったわけであります。しかしながら、にもかかわらず例えば中東におきまして、あるいはインド、パキスタン等におきましてそういう地域的な紛争についてやはり国連が平和維持活動に従事するとか、そういった限定的な役割はこの分野においても果たしてきたと考えております。ただ、あくまでそれは、世界全体の国際平和あるいは安全、そういったところから見ますと、極めて限定されたものであったと認めざるを得なかったわけであります。その間に、むしろ経済社会問題につきまして、殊に植民地が独立する、六〇年、七〇年代にかけまして非常にそういった分野での活躍はかなり目立ったものがあったというふうに考えております。
 したがいまして、今回この米ソの対話路線が定着する、あるいは冷戦が終えんに向かう、そういった状況の中で改めて国連本来の姿が取り戻されることを期待しているわけでございます。
○石井一二君 昨今の国連のいろんな問題点を見ておりますと、例えば分担金、拠出金の不払いや未払いが累積しているとかいうようなことも聞きます。どれぐらいの未払い金等がたまってきつつあるのか、ちょっとその辺のことを聞いておきたいと思います。
○政府委員(遠藤實君) 国連の予算は二本立てでございまして、一つは通常予算、それからもう一つは平和維持活動に関する特別予算と二つから成っております。そのうち一般通常予算につきましては、本年十月末現在の未払い累積額は五億三千四百万ドルとなっております。それからまた、平和維持活動につきましての未払い累積額は五億七千万ドルというのがやはり本年十月末の数字でございます。
 ただ、このうち通常予算につきましては、米国が四億三千万ドル未払いでございますが、このうち二億ドルにつきましては米国が本年度の予算に計上しておりますので、それが払われれば通常予算の赤字が三億ドル強ということになるかと思っております。
 他方、平和維持活動につきましては、昨今イラン、イラクを初めといたしまして最近のナミビアに至るまで平和維持活動が非常に活発になってまいりまして、その反面、非常に資金需要が高まってまいりました。そのおかげで累積赤字もふえているわけでございますが、そのうちソ連が一億六千五百万ドルの未払い額を示しておりまして、この点についての未払いの額が一番多いわけでございます。ただ、ソ連につきましてもこの平和維持活動に対する未払い額をできるだけ早期に完済するという決意を表明しておりまして、したがいまして、今後の方向としては若干なりともこの財政難というのは改善の方向にあるのではないか、こういうふうに期待しているわけでございます。
○石井一二君 たしか約四十年前に国連が発足したときは五十一カ国でスタートしたと思います。それが今三倍近くに膨れ上がり、その非常に多い部分がやや小さな国ではなかろうかと思うんです。例えば分担率のレベルで言いますと、〇・〇一%の範疇に入る国が七十九カ国ある。そうすると、これらの国の分担金を全部合わせても全体の一%に満たない。だがしかし、一国一票主義に基づいて表決がなされた場合に、一%以下の分担金の持つ国々が過半数を占めてしまうという中に、私は、国連の現在の大きな矛盾と不満があり、現在のような未払い金とかそういった問題が起こっておるのではなかろうか、このように思うわけであります。
 そのような観点から、じゃ安全保障理事会の拒否権の行使があるではないかということも言えますけれども、これは非常にネガティブな影響力しか持たない。こういった中で日本は改革案等も提起しているわけですけれども、一国一票主義について我が国政府としてはどのような所見を持っておるのか、ちょっと聞いておきたいと思います。
○政府委員(遠藤實君) 国連を創設いたしました国連憲章のいわば大原則として、加盟国の主権平等の原則というのがございます。その原則に基づきまして、主要機関でございます総会、安全保障理事会、経社理、信託統治においては、それぞれ一個の投票権を有するというふうに定められているわけでございます。もちろん安保理につきましては、ただいま御指摘のありました拒否権の問題がございます。
 そこで、確かに御指摘のように、人口が何億の国、かつその分担金が一〇%ぐらいの国と、それから人口がまあ百万に満たない、また分担金も〇・〇一%であると、これが同じ一票であるということについての不満はまさに分担金で、その辺についての不満があることは事実でございます。ただ、やはり主要機関について主権平等の原則ということ自体は、これはその国連の寄って立つゆえんでございますので、変更することは難しいと思います。むしろ実際の運営をコンセンサスによってやるということで、やはりその主要な国の意見も十分反映されるように国連での議事が取り運ばれるということが大事だというふうに考えております。
○石井一二君 最近、外務省のなされた外交の中の一つにナミビアに対して選挙監視団を派遣されたと、このことは私はかなり高い評価を買っておるのではないかと思います。また、将来においても平和維持活動(PKO)という名のもとにいろいろと我が国としてはなさねばならないことが多いという自負心のもとに、国際人材センター設立の構想を中山外務大臣が先般新聞においても発表されておるのを読みました。
 こういったことを踏まえて、ナミビアの経験とか今後のセンターを通じてこうやろうとかいったような角度からの平和維持活動の今後の構想と、また最近の経験に基づいて大臣の御所見を承りたい。
○国務大臣(中山太郎君) 先般、ナミビアにおける国連選挙監視団に対しまして、日本から三十一名を派遣いたしました。現地での大変活発な活動を通じ、まあ日本の汗をかく外交という面が今回出てきたのではないか。こういうふうな平和をつくり上げる、あるいは民主的な選挙を国連の監視機構のもとでやるということについては、明年ニカラグアで行われますこの民主的な選挙についても、我が国は機材及び人員の派遣を検討しておるところでございます。
 また、アジア地域においては、カンボジアにおけるこの国連監視機構のもとでの民主的な選挙が行われる場合には、人員及び機材を提供いたしたいということを既に申し出ておりまして、このナミビアにおける貴重な経験を生かして関係国とも協力をしながら平和創出のための努力を続けてまいりたい。ただし、そのためには人材の育成ということが極めて重要でございまして、このために人材育成のセンターをつくる必要があろうということで本年も調査費をいただいておりますし、平成二年度もちょうだいをいたしたいということでただいま予算を要求中でございますが、こういう線で今後とも努力をしてまいりたいとこのように考えております。
○石井一二君 あと一分ほどあろうかと思いますが、一応もうこれで終わります。ありがとうございました。
○矢田部理君 まず、外務大臣に伺いたいと思いますが、マルタの米ソ首脳会談についてであります。
 従来も米ソ間では首脳会談等が行われてまいりましたが、従来と根本的に違うのは、本格的にこの冷戦体制を清算をし、ここで幕引きを行うということを宣言したことであろうというふうに私は受けとめております。同時にまた、その前提の上に、来年度を目途にしておるわけでありますが、核軍縮、通常兵力の軍縮など、軍縮への大きな一歩を踏み出そうとしておりますし、新しい経済の結びつきなども合意されておるわけでありまして、その点で今度のマルタ・サミットは、歴史的な意味を持つと受けとめておりますが、外務大臣の受けとめ方はいかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 今次の両首脳の会談後の合同記者会見における米ソ首脳の発言は、東西関係が大きな変化の中にあり、これまでの対立の構造から東西間の対話が定着し、さらに新しい関係を構築するための努力が開始されたものとして、評価をいたしております。
 我が国といたしましては、このような状況のもとで、冷戦時代の発想を超えた新しい時代の認識のもとに、米国を初めとする先進民主主義国と協調を図りつつ、その主要な一員として平和と繁栄を確保するために積極的な外交を展開してまいりたい、このように考えております。
○矢田部理君 そこで、このようなマルタ会談、歴史的な意味を持つ一つの時代を画する大きな意味を持つマルタ会談を成功させた背景を少し私なりに探ってみたいと思います。
 一つはソビエトの側から、東の側から、もう一つはアメリカ側からでありますが、まずソビエトの情勢を考えてみますと、ゴルバチョフのイニシアチブのもとに、ペレストロイカ、グラスノスチ、そうして新思考と呼ばれる外交政策がとられつつあるわけでありますが、これらの政治哲学なり一連の政策体系が、単にその場限りの見せかけのものではなくて、本格的かつ長期的なものであるということが一つは立証されつつあるということが背景にあったかと思います。
 また、ゴルバチョフ自身が言っておられるわけでありますが、それぞれの国はみずからの運命をみずから決めることができると。こういう立場を明らかにして東欧諸国の変革を保障し、かつ促しているという点では、かねてから言われてきたブレジネフ・ドクトリンの法規上の積極的な内容が盛られているというようなことに、重要な背景の一つがあったかと思うのでありますが、この点はどう受けとめておられますか。
○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘のように、ゴルバチョフ書記長が進めております国内改革及び新思考外交が国内及び内外情勢におきまして非常に大きな影響を与えてきているというのは、まさに先生おっしゃるとおりだろうと思います。私どもとしましても、このゴルバチョフ書記長の進めている内外政策の肯定的な面については、これがさらに発展し、定着していくことを望んでいるということから、先般もヤコブレフ書記が訪日しましたときに、その肯定的な面についてこれを支持していきたいということを、海部総理大臣より明確に表明した次第でございます。
 それから、東欧の改革につきましてゴルバチョフ書記長が、先生の御指摘のように、やはりこれを支持し、そして社会主義につきましては、各国の歴史的社会的背景をもとにして独自の道を進めることができるという考えを示し、そして現在の民主化に向けての改革を大筋において支持しているということが、現在の発展を可能にしているということもまた事実だろうと私どもは認識しております。
○矢田部理君 ソ連、とりわけ東欧の変革の特徴を私なりに見てみますと、今回の改革は上からのそれではなくて、広範な国民の声あるいは運動によってもたらされたものであるというふうに私自身は見ておるわけであります。その中で、従前の共産党の長期にわたる一党支配、そのもとで醸成されてきた官僚主義に対する批判が含まれております。また、経済政策の失敗や人権上の諸問題などさまざまな要素が複雑に絡み合って、しかもそれが一挙に噴出した変革であるというふうにも見られるわけでありますが、その点はどんなふうに考えておられますか。
○政府委員(都甲岳洋君) やはり共産主義のもとでの中央集権的な経済運営が、七〇年代以降起こってきた西側の科学技術革命を中心とする生活水準の大幅な向上に大きく立ちおくれを見せたということから生ずる市民の不満、これがやはり抑えがたいものになってあらわれてきたという意味で、下からの改革の意欲が非常に大きく体制を動かしたという認識においては私どもも全く先生と同じ考えを持っております。
○矢田部理君 それらの諸要素もまた今度のマルタ会談を成功させた大きな背景の一つだと思うのでありますが、もう一方の側に立つアメリカ側の情勢、既にことしの初めに、例えばシュルツ国務長官が、冷戦は終わった、世界は新しい時代に踏み込みつつあるというような国際情勢についての認識を示したりもしておるわけでありますが、またそうでない意見もかなり根強くあることも事実であります。冷戦体制の終結をブッシュ大統領が合意したという点では、これまた非常に重要な意味を持ち、私なりにも評価をするわけでありますが、冷戦体制は終わったということの背景と意味について、どうもアメリカ側の受け取り方が違うのではないかというふうに考えられる向きが幾つかございます。
 例えば、ことしの五月の十二日ですか、ブッシュ大統領がテキサス農工大の卒業式で演説をしております。「封じ込めを超えて」という表題での演説でありますが、この演説を読んでみますと、アメリカが第二次大戦後とっていた封じ込め政策はその使命をよく果たしたと、今や我々はソ連を国際社会の一員として迎え入れる準備ができつつあると、こういう演説をしているわけですね。したがって、今度の冷戦体制の終結というのは、あるいはマルタ会談の成功というのは封じ込め政策の成果だと、こういうとらえ方をしている向きがあるのでありますが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 封じ込めを超えて、あるいは冷戦を超えてというような考え方がございますけれども、いわゆる冷戦につきましては定義の仕方がさまざまであります。しかしながら、現状においても東西間に基本的な相違が存在し、また世界の平和と安定が基本的には力の均衡と抑止によって維持されていることも厳然たる事実だと存じます。
 したがいまして、まさに先ほど大臣が仰せられましたように、今の状況のもとで冷戦時代の発想を超えた新しい時代の認識のもとに、米国を初めとする先進民主主義国と協調を図りながら、その主要な一員として平和と繁栄を確保するため、積極的に貢献してまいる所存でございます。同時に、したがいましていわゆる封じ込めといったものを超えていかなければならないことは当然でありますけれども、他方、引き続き軍事情勢等を無視し得ないということも事実だろうと存じます。
○矢田部理君 封じ込め政策がその使命をよく果たして、その成果として今日の事態を迎えたというようなことになりますと、これからの、例えば東欧援助などもその延長線上で問題が考えられることになり、むしろこの東欧の一連の流れに手をかけて西側に取り込むための援助というような位置づけにもなりかねないのでありますが、その点は外務省としてどう受けとめていらっしゃいますか。
○政府委員(都甲岳洋君) 東欧の支援につきましては、これらの国がやはり市場経済及び民主主義を目指しての努力をしているということで、これが成功することが東欧の情勢のみならず東西関係そのものに安定的な影響を及ぼすということからこれを支援しようとしているわけでございます。そういうことで、今回の首脳会談の中でも、西側として東欧で起こっていることを自分の利益にこれを利用するようなことはしないというような考え方をブッシュ大統領から示されたということも伺っておりますし、それからNATOの首脳会談でもそのような議論がなされたと聞いておりますし、やはりこれは全体的な東西関係の中での非常に安定的な推移を助長するものとして支援を西側諸国としては考えているということに御理解いただきたいと思います。
○矢田部理君 東欧問題はもう一度議論をしたいと思いますが、その前に、今度の首脳会談で大きく欠落をしているのはアジアと太平洋の問題だったと実は思うわけだし、またそういう指摘もあるわけでありますが、外務大臣としては、このアジア情勢、アジア問題がほとんど論議の俎上に上らなかったということについては、どういうふうに考えておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) 今、この両国の首脳会談でアジア問題が議論されていたかどうか、記者会見の段階ではそれがまだ発表されておりません。そういう意味から見ますと、この共同記者会見からはアジア・太平洋の問題が首脳の間での議論になっていないというふうに考えることも可能かと思いますけれども、一面この共同記者会見で出さなかった可能性もある、外務大臣としてはそのような考え方を持ちながら、近く来日される米大統領の特使の意見、報告を承った上で今後の外交方針を立てる上での参考にいたしたいと、私はこのように考えております。
○矢田部理君 記者会見で出さなかったかどうかは知りませんが、いずれにしても余り重視をされてこなかったことだろうというように考えます。
 問題は、冒頭に申し上げましたように、米ソ双方が冷戦体制の終結宣言をして、これから本格的な軍縮交渉を来年に向けてやろうという運びになっておるし、現にことしの会計年度などでは米ソ双方とも軍事費を削減するというようなことで、具体的な軍縮の方向に着手をし始めているわけです。そういう中にあって我が国がひとり、来年度予算の概算要求も出てきているわけでありますが、軍拡への道を依然として歩み続けている。さらにはまた、後でこれも議論をしますが、米駐留軍の経費問題などでアメリカの肩がわりをして軍事費の負担の拡大を図る、こういうような方向を依然として改めていない。この姿勢は日本政府としていかがなものか。むしろこの際、日本政府としても世界の流れに沿うて、あるいは平和憲法を持つ我が国でありますから、外務大臣として、自国の問題も含めて、アジアの軍縮なり軍備管理問題にイニシアチブを積極的にとるべきではないかというふうに私は考えておるのですが、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 御案内のように、今次の米ソ首脳会談において両首脳が軍備の削減等について意見を交換したことは私どもも承知をいたしております。ただ、アジア地域における政治情勢とヨーロッパの政治情勢とを比較してみますと、はるかにヨーロッパの方が安定をするための長い間の積み重ねが行われてきていると私は理解をいたしております。
 そういう中で、ヨーロッパ全体の平和というものについて今日まで双方それぞれ努力をしてきたし、またそれぞれの国が平和と繁栄のためにどのような国内の政策を展開すべきかという民族的な考え方も立ててまいったと理解しておりますが、残念ながらアジアにおきましては、今カンボジアにおける和平会議もまだ二回目の招集の時期等も決定をされておりませんし、朝鮮半島における平和が完成するという時点にはまだ至っていない。ただ、朝鮮半島の平和を創出するために南北間で熱心な話し合いが続いていることは私どもとしては歓迎すべき事態だと思っておりますが、日本として、この米ソ首脳会談の話が行われたということで、それじゃ日本国の防衛計画を直ちに変更するということに至るだけの環境というものがアジアにおいて熟成されているかどうかということについては、私はまだ道は少し遠いのじゃないか。
 ただし、委員の御指摘のように、アジア・太平洋の平和、繁栄というもののために日本が力を入れて努力していかなければならないということは、委員のお説のとおりであろうと思っております。
○矢田部理君 今大臣が言われるようなことはしばしばこれまでも説明されてきて、ヨーロッパのようにNATOとワルシャワ条約機構というような両体制が一つになって対峙している関係ではない。朝鮮問題あり、北方領土問題あり等々複雑な要素が絡んでいることは私も認めないわけではありませんが、日本外交は戦後随分いろんな外交をやってきましたが、これが世界に冠たる日本外交だという存在理由を示したことはどうも寡聞にして私は余り聞かないのです。
 特に、最近になってみますと、この三、四年間に四人も外務大臣がかわられて、外務大臣の名前すら覚え切らぬうちに次の大臣が出てくる。これは国際的な信用問題も実はかかわっているわけであります。そういう大臣の交代もさることながら、中山さんせっかく外務大臣になられたのだから、中山外交とはこれだというような、存在理由を明らかにするような外交の展開をやられてはどうかというふうに私は考えるわけです。その重要な一つに、アジアの平和と軍縮のための外交の路線を本格的に追求をするというようなことがあっていいのではないか。
 かつて、朝鮮民主主義人民共和国との外交の窓口を大きく開こうということで、安倍さんの時代にある種の努力がありました。竹下さんもその後そういう方向づけをしたのでありますが、今日の情勢は大幅に後退をしております。確かに、ソビエトとの関係では北方領土問題があることも事実だし、これを軽視するわけにはまいりません。それにしましても、大きく世界の情勢からおくれてしまって、依然として日本とアジアは冷戦構造を前提とし、対ソ脅威論を核にして外交政策なり軍拡路線がとられているのではないか。これを大きくやっぱり切りかえるのに外務大臣が一役かってしかるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 日本国として、日ソ間の問題を含めてアジア全域の問題でどのような外交をやっていくかということにつきましては、極めて大事な外交上のポイントだと思います。
 御案内のように、ソビエトとの間では平和条約はつくられておりませんけれども、今月の十八、十九日、日ソの両事務レベルで東京におきまして平和条約のための作業グループが持たれることは御存じのとおりであります。また、シェワルナゼ外務大臣も来年の三月中旬に日本へ来られるという中で、私、外相に就任して以後、この日ソの関係というものをどのように改善していくかということについては、先般ヤコブレフ団長にもいろいろとお話をいたしまして、両者の信頼の上に立ってこれから二十一世紀へ向けてのアジア・太平洋の平和というものについて協議を進め、できるだけ早くこの日ソ間の問題を解決したい、こういうことで両方の意見が出ておるわけであります。
 また一方、カンボジアの問題というものがやはりアジアでは非常に大きな問題でございます。そういう意味で、タイのチャチャイ首相がいろいろとカンボジア和平の構築に向けて努力をされておられまして、実は先般そのチャチャイ首相と会談をしてこのカンボジア和平をめぐる各国の動きというものについて、お正月の二日の日に私はタイへ参りまして、チャチャイ首相と三日の日に会談をいたす予定にいたしております。外相会談も行って、カンボジア和平を構築するために、日本がASEANの各国ともどもにどのようにこれから外交的に協力をすることができるかということについて意見を交換してまいるということで、御指摘のように、アジア地域の新しい時代に向けての日本外交を積極的に展開してまいりたいと考えております。
○矢田部理君 前に戻しますが、東欧の激変に伴ってさまざまな西側の対応があるわけですが、その一つとして、海部首相が一月早々にポーランド、ハンガリーを訪問するということが伝えられておるわけであります。この一連の東欧の改革なり激変に伴って、我が国としては東欧政策をどう立てるのか。一部には東欧ドクトリンを早期に策定すべきだというような議論もあったようでありますが、東欧に対してこれからアプローチをする哲学なり考え方の基本なりをひとつ示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 先般来の東欧各国における民主化の要求、こういうものがそれぞれの国家において自決的に行われてきたということについてはまことに好ましい流れであると、私どもは認識をいたしております。
 ただ、ポーランド、ハンガリー等が社会主義経済体制から自由主義経済体制へと市場原理を導入していくという過程においては、やはり自由主義経済体制で経済を繁栄さしてきたノーハウというものを、この地域のいわゆる経営グループになられる人たちに移転をしていくということが大変重要な要素ではないか。
 こういうことで、今回ポーランド、ハンガリーに対する協力を日本政府としても打ち出したわけでございますが、私どもの目指しているものはあくまでも東欧の経済の活性化、そして国民生活の向上、そういうものに日本が協力をできればさらにまた東欧諸国と日本との外交関係も、あるいは民間の交流も一層活発になるであろうというふうに認識をいたしておる次第でございます。
○矢田部理君 いまだどうも理念や哲学が確立されないまま日本も援助に乗り出そうということの背景の中には、先ほど私が指摘をしました今度の冷戦体制の終結宣言がアメリカの封じ込め政策の成果だという認識の上に、またあるいはその延長線上に東欧を西側に取り込むための橋頭堡づくりというようなことであったとしたら、この東欧政策は完全に間違ってしまう。そこは十分に心してかかってほしいのと、日本が経済協力援助をすることを私は否定する立場にはありませんが、やはりその国の経済の自立や民衆の生活向上に基本的に役に立つという立場でこれを行うべきだということを特にアピールしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘の点も十分踏まえて、今後この外交を展開してまいりたいと思います。
 封じ込め戦略が成功したからどうのこうのというふうな問題ではなしに、米ソ首脳会談での記者会見で発表がありましたように、ヨーロッパの新しい歴史的な動きというものをとらえて、私どもとしてはその地域の経済の繁栄、民生の安定のために、日本は協力をしていくという姿勢を堅持してまいりたいと考えております。
○矢田部理君 そこで、海部さんが行くときにお金を持っていくという話がありますが、ポーランド援助の資金はどこから出すことになっているんでしょうか。
○説明員(茂田宏君) 現在、我が国の対ポーランド支援措置としましては、経済協力基金から一・五億ドル相当の商品借款を供与するという方針を固めております。これに加えまして輸銀融資、さらには貿易保険の引き受けの再開、引き受け枠の拡大、それからポーランドに対しましては緊急食糧援助、さらにはポーランド、ハンガリーに対しましての技術協力というものを検討しております。
○矢田部理君 経済協力やしかるべき資金の援助を私は否定するつもりはありませんが、ポーランド援助に基金のお金を持っていくということにはいささか賛成しかねるのであります。
 もともとOECFの予算というのは何のためにあるかといえば、基金法で決まっておりますように、東南アジア地域その他の開発途上国援助ということになっているわけですね。ポーランドは開発途上国じゃありません。DACの途上国の規定の中にもこれはないのであります。ODA予算からこれを支出するということは、ある意味では目的外支出と言ってもいいようなやり方、予算上の措置なのであります。こういうやり方そのものを私はODA問題についてはかねてから議論をしてきたところであります。安易にこの金を使って、逆に言えば、もっと困っている国々のODA予算をその結果少なくしてしまうというようなことになるのは問題だというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。
○説明員(茂田宏君) 先生御指摘のとおり、海外経済協力基金法には、この基金からの支出は開発途上国に対するものであるということが書いてございます。ポーランド、ハンガリーは、現在OECDのいわゆる開発援助委員会(DAC)の途上国リストには掲上されておりません。しかしながらポーランドは、現在DACリストには未掲上ではありますけれども、みずからを開発途上国として位置づけております。さらに、国民所得水準その他の経済社会開発の程度に関する諸事情等を勘案しますと、我が国としてはこの経済協力基金法上はポーランドを開発途上国とみなすのが適当であるという結論を得まして、それに基づいて今回の商品借款を供与することにしたものです。
 ちなみに、経済協力基金法上の開発途上国とDACのリストに掲上されている開発途上国というのはおおむね合致しておりますけれども、従来もDACリストには掲載されていないけれども、予算上はODA予算として計上されたものを使った例がございます。一つはブルガリアに対しまして、これはホテルを建設するための円借款を供与したことがございますけれども、これも私が今申し上げたような解釈に基づいて行いました。
 それから、JICAに関しましては、JICAも開発途上国に対する援助を行う機関でございますが、法律上も開発途上国に対する援助を行うということが書いてございます。ただ、中国が以前にDACリストに掲上されていなかったころ、我々は中国を開発途上国とみなして中国に対する技術協力を供与した例がございます。
 ちなみに、一九八七年度のポーランドの一人当たり国民所得は、世銀統計上は千九百二十ドルということになっておりまして、これは日本が現在援助を提供している国の中にはこの数値よりも高い国がございます。したがいまして、我々はこれは適切な判断であろうというふうに考えております。
○矢田部理君 ODA予算についてはかねてから中身が明らかになっていない、国会の審議に十分かけていないというようなことで私たちは幾つかの問題点を指摘したわけでありますが、そういうことで、勝手につかみで総理が海外に行くときにお金を持って置いてくる、こういう姿勢はやっぱり根本的に改めるべきだと思います。ポーランドについてもその例外であってはならないと実は私たちは思っているわけであります。
 もとより、このポーランド等が経済的に困窮をしており、インフレ率も高い、対外債務もふえておるということで、一定の援助をすること自体については理解をするものでありますが、だとするならばなおさらのこと、そんなに緊急性があるわけじゃありませんから、東欧に対する今後の援助の哲学なり方針をやっぱり論議をし国会にもかける、そのもとで新しい予算措置を講じて援助をするのがしかるべき方法だというふうに思います。
 細かい話をすればこの基金法との関係ではいろんな議論がありますが、きょうは他の問題もありますのでこの程度にとどめておきますが、そのことを強く要望しておきたいと思います。
 それから次に、タイコンデロガの問題について議論をしたいと思いますが、前回有馬さんに、アメリカに照会中だと、その後どうなっているかというお尋ねをしたのでありますが、その後いかがしたでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) その後も回答に接しておりませんで、どこに行ったのかということは引き続き照会中ということでございます。
○矢田部理君 その後、何か日本政府としてアメリカ政府に催促をする、早期に回答を促すような処置はとられたでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 折に触れて行っております。
○矢田部理君 折に触れてと、もうちょっと具体的になりませんか。
○政府委員(有馬龍夫君) これは、事故発生当時から外交チャネルを通じまして米側に照会していることでございまして、具体的な対応につきましては御容赦いただきたいと存じます。
○矢田部理君 水爆事故という大事故が隠されてきた、しかもその艦船が横須賀に寄港をしている、核持ち込みの疑いが濃厚で日本の非核三原則が大きく揺らいでいるということで、大変な心配を関係の自治体や日本国民がしておる中で、折に触れてやっている、しかし半年以上たっても何らの音もさたもない、こういう状況を許していいんでしょうか。もう少しめり張りのきいた外交、あるいはその手段に訴えてしかるべきではないでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 当初本件について米側に照会いたしました段階で、米側は核兵器に関する日本国民の特別な感情を承知しており、日米安保条約及び関連取り決めに基づく義務を誠実に遵守してきており、今後引き続き遵守するのだということを申しております。何分、これも繰り返しで申しわけございませんけれども、一九六五年十二月五日、二十四年前のことでございまして、まだ回答に接していないという状況でございます。
○矢田部理君 黙っていれば忘れてしまうだろう、長引かせればそのうち雲散霧消してしまうだろうというようなことだとすれば、そういうことは断じてないということだけ明確にしておきますので、本格的な外交努力をやっぱりしていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 どうもあなた方が調べないので私どもは手間がかかってしょうがないのでありますが、この間幾つかの調査なりをしました。事実関係についても分析もしてみましたが、沖永良部島の東側で水爆を水没させた事故を起こしたタイコンデロガは、航海日誌によれば、これは明らかになってきたところでありますが、一九六五年の十二月五日に事故を起こし、ちょうどきょうですね、その二日後の七日に横須賀に入港しています。
 その艦船が核を積んでおったかどうかということについて幾つかの材料がそろいました。もともと、核を水没させたわけでありますから、一個あったことだけは明白だし、その環境に対する影響が問題になったわけでありますから、少なくともこれを外務省はとても否定できないと思うのであります。一個だけ積んでおってたまたまそれを落としてしまったというようなばかなことはないのでありまして、このたび全国の幾つかの弁護士会がお金を出し合って、その艦船に乗り組んでおったウィリアム・レーンという水兵さんを日本に呼びました。その乗組員の証言によりますと、スカイホークという飛行機を艦内から艦上に上げる訓練中に滑って落ちてしまったわけでありますが、その核塔載機が二個飛行隊載っておった。一個飛行隊が十四機でありますから二十八機載っておったということから、少なくとも核は二十八個積まれておった。もちろん、このスカイホークだけが核塔載機ではありませんでしたので、他の機種も含まれており、それらも核塔載能力を持っておりましたので、これ以上は推計になるわけでありますが、三十ないし五十の核が積まれていたであろうという有力な証言が当時の乗組員から、実は弁護士会の招請に基づいて日本に出向いてきたときの証言として言われているわけであります。これが二点目。
 そして三点目に重要なのは、ここにタイコンデロガの司令官がアメリカの海軍作戦部長あてに記した年次報告書がございます。この年次報告書の内容を見てみますと、タイコンデロガが一年間に動いた、どこの港に寄ったとかどこに行ったとか北爆をしたとかという一々の記録が残っているのでありますが、その一つで最後の方に特記事項という項目がございました。それを読んでみますと、「アメリカ海軍の攻撃型空母の一つとして、タイコンデロガは、与えられた任務のいかなる部分も即座に遂行するための準備態勢と柔軟性とを維持していなければならない。これには、合衆国大統領が命じた時刻と場所に核攻撃を加える能力が含まれる。」と、このように明記をされているわけであります。つまり、核を塔載していて、大統領から命令が出れば時刻と場所を問わず核攻撃ができる態勢を整えていた、こういう重大な報告が含まれているのであります。
 アメリカに照会中ということでありますが、核塔載の有無及び塔載個数、核の内容等についても、ぜひともこれは照会をしてもらわなければ困ると同時に、この明白な核塔載艦が、私が申し上げておきたいのは、六五年の十二月七日の日に横須賀に入港したという事実であります。ここまできますと、事前協議がないから核持ち込みはないなどという弁解はもう許されないのではないでしょうか。どうですか。
○政府委員(有馬龍夫君) まず第一に、この事故が生じました後にタイコンデロガがどこへ行ったかということは照会中でありまして、その回答を米側がいかなる形で行うか、それを何に基づいて行うかということは米政府が決めることだと存じます。
 それから、いずれにいたしましても米国は、いかなる部隊であっても、その具体的な装備の内容については詳細話さないということがございます。レーンという人がいろいろ申しておって、今先生がおっしゃられたような趣旨を話しているということは存じておりますけれども、これは何分私人の方の御発言でありまして、ここでコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 それから、三番目のポイントでございますけれども、今おっしゃられました趣旨は、まさにタイコンデロガがそのような能力を有しているということであって、その趣旨はほかのところでも、ほかの航空母艦等について従来から言われてきているところでございまして、それが搭載しているか否かということを申しているわけではなくて、まさに能力について述べているということでございます。
 それから、いずれにいたしましても日米安保条約上、艦船によるものも含めて核兵器の持ち込みが行われる場合はすべて事前協議の対象となるわけてありまして、この事前協議が行われる場合には政府としては常にこれを拒否することとしているわけでございます。したがいまして、事前協議が行われなかった以上、米国による核持ち込みはなかったということには疑いを有しておりません。
○矢田部理君 事前協議がないから核持ち込みはないという、あなた方がつくった神話じゃないでしょうな。だれも信じないですよ。これは私どもが野党だから言っているんじゃなくて、外務省にも、このタイコンデロガ問題にかかわって随分いろんな自治体から、事の真相を明らかにしてほしいという要請が上がっているはずであります。ここに何枚か私は持ってきております。これは革新系の自治体だけではなく、むしろ港を抱える保守系の自治体の首長の連名で上がってきているわけですね。そして、その中身の共通の問題指摘は、事前協議がないから核持ち込みはないという説明では住民の不安や心配を解消できない、もはやその説明は説得力がないんだと。核の有無について、持ち込みの問題点についてもっと確かな証拠を出しなさい、そうでなければ自治体を預かる長として住民を説得できませんよと、こう言い切っているのであります。ここまで状況が煮詰まってきていることを外務省は知らないわけじゃないんでしょう。知って知らぬふりをして、十年一日のごとく同じ答弁を繰り返していること自体が問題なんじゃありませんか。いかがでしょう。
○政府委員(有馬龍夫君) そのような御意見があることは承知いたしておりますけれども、何と申しましても、安全保障という国益の根幹にかかわる事柄について日米安保条約という法的枠組みが存在して、その一環として事前協議体制が存在するわけでございますから、引き続き国民の方々の御理解を得たいということでございます。
○矢田部理君 タイコンデロガは、十二月七日に寄港をして約十日間横須賀にいたわけでありますが、十六日の午後四時ごろ出港しました。この出港に当たって日本政府に対して事前協議の申し入れはあったでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 御質問の趣旨、ちょっと理解していないかもしれませんけれども、御承知のとおり、米軍の艦船は地位協定第五条に基づきまして、原則として米側に提供されてあります施設、区域、港湾に出入することができるわけでございますから。
○矢田部理君 私は、事前協議の申し入れがあったかどうかということだけ聞いているんです。
○政府委員(有馬龍夫君) 先生は今、タイコンデロガが十二月の十六日とおっしゃいましたか。
○矢田部理君 十二月の十六日午後四時、横須賀港を出港したのでありますが、この出港に際して事前協議等の申し入れがありましたかと聞いておる。
○政府委員(有馬龍夫君) 条約で申します事前協議ということはもちろんございませんけれども、今タイコンデロガは十二月五日の事故の後にどこに行ったかということを照会しているわけでございますから、一般論としては事前協議はもちろんございません。また各論といたしましては、そこにおったかということを照会しておるわけでございます。
○矢田部理君 なぜこれを問題にするかといいますと、これまた航海日誌に出てくるのでありますが、航海日誌によりますと、タイコンデロガは十二月十六日の十六時に横須賀港を出港ということになっておりますが、ベトナム共和国の沖合の特殊作戦区域に向けて出航と、こうなっているわけですね。そしてずっと日誌を追っていきますと、このタイコンデロガは二十二日の日に北緯十七度付近に到着、これはベトナムの北緯十七度でありますが、直ちに航空作戦を開始、物すごく密度の濃い北爆を猛然と開始するに至るわけであります。
 そうなってきますと、安保条約六条の実施に関する交換公文で核持ち込みの際も事前協議が必要なのにこれはやっていない。のみならず、もう一つの事前協議条項である「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」、これに当然当たることになるのに、つまり日本の港から直接北爆に出向いていって出撃していると、そのための横須賀の基地使用ということになるわけでありまして、この点については当然に事前協議が必要なのにそれすらもなされていない。二重三重に事前協議条項は形骸化されてきておる。全く無視されてきておる。まさかこれも事前協議がないから日本から直接の戦闘作戦行動でないなどという弁解にはならぬのでしょう。この点はどう考えますか。
○政府委員(有馬龍夫君) 一般論としてまずお答え申し上げますが、我が国の施設、区域を使用して戦闘作戦行動のために出発するということは、直接戦闘作戦行動に従事するということが、その出発する態様そのものがそういうことであればでありますけれども、このように一般的に戦域に赴くために出航するといったような事態は事前協議の対象というふうには認識されておりませんし、このことは繰り返し従来答弁申し上げているところと存じます。
○矢田部理君 事実関係をどうも御存じなしに従前の一般論でお話をされているようでありますが、逐一航海日誌に当時の状況が書いてあるわけです。もともと北爆に参加をして横須賀に寄港した。直接北爆のために、これはヤンキー海域というんですかね、北の方の国に、ベトナムに、そこに出向いていって直ちに出撃をしておる。まさに、この戦闘作戦行動に従事することを目的とした軍事行動として横須賀発ベトナムに向かっておるということなのでありまして、明白にこの事前協議の対象になるというふうに受け取るのが常識ではありませんか。
○政府委員(有馬龍夫君) 引き続き一般論としてお答え申し上げます。
○矢田部理君 一般論なら要らない。
○政府委員(有馬龍夫君) いや、ですから、今先生はタイコンデロガ云々と言っておられますけれども、そういうことではなくて、一つのモデルとしておっしゃっておられるということでお話しいたしますと、安保条約第六条の実施に関する交換公文に申します「日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用」と申しますのは、軍艦については戦闘作戦行動が日本国内の施設、区域を基地として発進し、当該軍艦が右施設、区域を出ていくときの航行自体が既に戦闘作戦行動の一部と認められる場合がこれに該当する、このように申しているわけで、したがってその場合には、当該戦闘作戦行動は施設、区域を出ていくときに既に起こされているわけである。しかし、日本から出港した後、例えばベトナム水域に赴いて戦闘作戦行動に参加しても、そのような結果だけからは日本から出航するときに既に戦闘作戦行動が起こされていたとは認定できないと存じます。例えばベトナム水域の米空母の搭載機がさまざまな戦闘作戦を行ったといたしましても、これを発進させた空母がそのときに戦闘作戦行動を行っていないとは言えないとは存じますけれども、このことと、その空母が日本を出ていくときの航行自体が既に戦闘作戦行動の一部であって、戦闘作戦行動が日本から発進されたかどうかということとは別の問題だと存じております。
○矢田部理君 何が別の問題だと言っているのかわかりませんがね。客観的に見て、単にベトナム海域に行きなさいという命令じゃないんですよ。北爆そのもののために行きなさいという作戦行動なんであります。これほど典型的な事前協議の対象事項はない。
 いずれにしても、あなたは事実関係を知らないわけであります。この点も、少なくともアメリカに明確に照会して調べていただきたいと思います。
 もう一つ大事なのは、横須賀だけじゃないんですね、先ほど申し上げました司令官報告を今度入手をしたわけであります。これもアメリカの公文書館から出たものであります。もともとシークレットと書いてあり、それが消してあって、情報公開で公表されたものであります。
 これはその翌年でありますが、翌年の十二月二十一日にも佐世保港に入港しています。そして、入港のときの記録が全部この当時の司令官から報告されているわけでありますが、これによりますと、南シナ海での戦闘作戦から佐世保に直行したと。そして二十一日に佐世保に入港しました。このときも事前協議がなかったはずであります。核持ち込みの疑いが濃厚であります。そして、出ていくときには佐世保から直接戦闘作戦をしてきた南シナ海での戦闘作戦のために出撃と書いてある。いいですか。ここでも核持ち込みのための事前協議がなされていない。そして、戦闘作戦で南シナ海に出ていったのに、その事前協議も全くなされていないということになりますと、もう事前協議制度などというのは、私たちは前から申し上げておりましたが、全く空文化しているわけであります。
 今世界は核軍縮の時代に入り、日本はかねてから非核三原則を国是として掲げてきた。にもかかわらず公然とこれが破られている。無視されて戦闘作戦行動も行われているということになりますと、事前協議制度ひいては安保条約そのものに重大な疑義と問題点をやはり指摘をせざるを得ないのでありまして、ここまでやられておりますのに、この点も含めて照会をし直してもらいたいし、半年以上もたっていまだ回答に接せずでは、外務省、説明がつかないのではありませんか。
○政府委員(有馬龍夫君) 先ほど来申し上げておりますのは、艦船の場合、我が国の施設、区域を使用して出発いたします態様そのものが戦闘作戦行動の一環と観念される、見られるようなものであればでありますけれども、南下していって、そして何日か後にそこにおいて軍事活動に従事するということ、それは通常の軍の艦船の施設、区域の使用の態様であると考えておりますし、従来から我が国政府はそのように申しているわけでございますから、改めて米国政府に……
○矢田部理君 日にちがかかったとか、距離が長いから戦闘作戦行動とは言えないなどという議論はないのであります。強盗に行くときに遠い道を走っていったからといって強盗は強盗に着手するわけなんでありまして、これは余計なことでありますのでこの議論はともかくとして、それならアメリカに少なくともこの点も含めて問い合わせなさい。
 かつて、今のことにかかわる事前協議事項について、統一見解が出されたことがありますが、はっきりしないやつはケース・バイ・ケースで事実を確かめてやるんだというふうに統一見解の第二項には書いてあるのでありまして、少なくともその事項に当たることだけは明確なのでありますから、アメリカに問い合わせをしなさい。
 あなた方が勝手にそのところだけ、自分たちに都合のいいような一般論だけで逃げるのは、この問題に対する正しい対処の仕方ではないと思います。いかがですか。
○政府委員(有馬龍夫君) 戦闘作戦行動についての政府の統一見解というものは既に出されておりまして、その考え方に沿って今私御説明申し上げたわけでございまして、米国との間にもこの点は認識の差はないと存じますし、もう長年のことでございますから、米国に改めて照会する必要はないと存じます。
○矢田部理君 強く照会することを要望しておくことと、それからそれを待ってまたこれは議論をしますが、ここに航海日誌そのものの写しがあります。これがアメリカの公文書館で入手をした航海日誌です。それからもう一つは、一般に艦長報告と言ったり、司令官報告と言われたりしておりますが、これが艦長報告なのであります。
 だから、アメリカ政府に照会するのも一つの方法でありますが、公文書館で当然にこれはあなた方も調査ができるわけでありますから、日本の国益が根本的に侵されているかもしらぬ重大な問題点と疑惑が指摘されたときには、単に相手国政府に照会するだけではなくて、みずからの努力でも調査をしてしかるべきなのであります。少なくともこういう二つの公文書が存在する事実関係はお認めになるでしょうね。
○政府委員(有馬龍夫君) 今米国に照会しておりますのは、繰り返して申しわけございませんけれども、一九六五年の十二月五日の事故の後にどこに行ったのかということでございます。そして、そのような資料が、特に前者につきましては、グリーンピースというグループから配られているということがございまして、それをも含めて照会はいたしておりますけれども、政府としては米国政府に対して答えを求めているというところでございます。
○矢田部理君 アメリカ政府に照会するのも一つの方法だし、重要な方法だからやりなさい。しかし、公になっている資料の調査ぐらいはアメリカの大使館で簡単にできるじゃありませんか。
○政府委員(有馬龍夫君) 繰り返しでございますけれども、今米国政府に照会して、その回答を待っているというところでございます。
○矢田部理君 委員長に申し上げますが、どうしても外務省がこの手のことをやらぬということであるならば、当委員会として、情報公開法があるわけでありますから、調査室などに命じて、理事会に協議は御一任しますが、航海日誌ないしこの司令官報告などを当委員会として取り寄せて事実関係を明らかにするようにお願いしたいと思いますが、委員長、いかがでしょうか。
○委員長(山東昭子君) ただいまの矢田部さんの申し出に対しましては理事会で検討させていただきます。
○国務大臣(中山太郎君) 今この日米間の安全保障条約というのは、日米の信頼関係が崩れた場合には根本的にこの支柱を失うようなことになりかねないということを外務大臣としては考えておりまして、外交ルートを通じて、今北米局長が御答弁申し上げましたとおり、相手側に問い合わせ中でございますので、しばらく経過をごらんいただきたいということを申し上げておきたいと思います。
○委員長(山東昭子君) 午前の調査はこの程度にとどめます。
    ─────────────
○委員長(山東昭子君) 続きまして、国際開発協力基本法案を議題といたします。
 発議者中西珠子君から趣旨説明を聴取いたします。中西珠子君。
○中西珠子君 ただいま議題となりました国際開発協力基本法案につきまして、公明党・国民会議を代表し、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 世界に類を見ない平和憲法を持つ我が国は、宇宙船地球号のどのメンバーとも平和的共存共栄を図らねばなりません。特に開発途上国の経済的、社会的発展への自助努力を支援し、殊に、貧困や飢餓に悩む開発途上国の草の根の人々の生活の安定や福祉の増進に資するような援助や協力を行い、社会正義に基づいた恒久的な世界平和の達成のため、積極的に貢献することは我が国の国際的責務であります。
 しかし、これまでの我が国の政府開発援助(ODA)は貿易の伸長等、自国の経済的利益を図ることを目的としたものが多く、被援助国の支配層と日本の企業のみを潤しているとの批判が後を絶ちません。これからの我が国のODAは、開発途上国の最貧困層が人間としての基本的ニーズ(BHN)を満たし、人としての尊厳を保ち、開発の成果を基本的人権として享受できるようなものにしていかなければなりません。
 このようなODAの重要性にもかかわらず、我が国においてはこれに関する基本的な法律がなく、またこれに携わる官庁も、外務、大蔵、通産、経済企画庁等多省庁にわたり、施策の一体化を図るための体制整備が必要である等の問題が指摘されてきました。さらに現在の国会における予算等の審査ではODAの内容が十分に明らかにされず、援助をめぐる疑惑等が生ずることのないよう国会が事前にこれに関与すべきであるとの根強い意見があります。
 このような状況から、今般ODA基本法たる本法案を提出し、ODAに関する基本原則を定めるとともに、ODAに関する計画は国会による承認を要することとし、またODAのための一元的組織として国際開発協力庁及び国際開発協力事業団を設置しようとするものであります。
 以下、本法案の内容を申し上げます。
 第一に、基本原則等に盛られた考え方について申し上げます。
 ODAは開発途上国の経済的、社会的発展への自助努力を支援することを旨とし、主権の相互尊重、平等、内政不干渉の原則に従うべきは当然ですが、軍事的用途に充てられたり、国際紛争を助長するような、いわゆる戦略援助は行ってはならないことを明らかにいたします。
 経済インフラストラクチャーの建設に偏っていた我が国のODAが開発途上国の環境破壊や住民の生活基盤の喪失をもたらした例も少なくありません。このような結果とならないよう、十分な配慮が必要であります。援助案件が被援助国の草の根の人々の生活の安定と福祉の増進につながり、被援助国の経済的、社会的発展に真に役立つか否かを見きわめるため事前調査を強化徹底する必要があります。
 また、当該国に援助を行っている外国の政府や民間組織や国際機関と協議、協力し、これらの行っている援助と我が国のODAとの重複を避け、相互補完的、効率的、効果的なものとするよう努める必要があります。
 OECDのDAC(開発援助委員会)の最新の統計によれば、日本のODAはDAC加盟国中、ODAの質を表わす贈与比率においても、グラントエレメントにおいても、ともに最下位であり、技術協力の割合もDAC加盟国平均の半分以下であります。六十二年一月に行われたDACの対日審査においても、ODAの質の向上と、量的増加、すなわち対GNP比の引き上げを要請されたところであります。量的増大については、政府は最近、日本の膨大な貿易黒字に対する国際的批判を和らげる目的もあって、第四次ODA倍増計画を発表いたしましたが、ODAの資金は国民から徴収された税金、その他の貴重な財源で賄われるものであり、納税者である国民に対し資金の使途等を明らかにし、ODAに関する情報を公開すべきであります。また、国民の理解を深めるため開発教育の振興など適切な措置をとるべきであります。
 第二に、国際開発協力計画について申し上げます。
 政府はODAは開発途上国の要請に基づいて行われるものだからと要請主義を振りかざして、ODAの総合的計画を国会に提出することなく、ODA予算の増大を年々図っておりますが、国民の税金等で賄われるODAの総合的計画を国民の前に明らかにすべきであります。それゆえ、本法案におきましては、政府に対し、国別、分野別、協力形態別の計画、並びに、国際機関への出資等の計画をその見込み額等関係参考資料を添えて、提出することを義務づけております。なお、協力案件で二年度以上にわたり実施が予定されているものについては、その内容や実施の期間を明らかにするものとしております。また、政府は国会の承認を受けた計画に基づかない援助を行ってはならず、ただし、災害にかかわる援助や緊急を要するものはその例外としております。さらに、政府の国会に対する報告を義務づけるとともに国会の国政調査権を十分に行使できるようODAに関する必要資料を政府は速やかに国会に提出するよう努めるものといたしております。
 第三に、国際開発協力庁及び国際開発協力事業団の設置について申し上げます。
 ODAの量的増大のみならず、質的改善を図り、適正かつ、効率的、効果的な推進を図り責任の所在を明確化するため援助行政の一元化をすることとしております。このため、総理府の外局として国務大臣を長とする国際開発協力庁を置き、開発協力の総合的企画、立案、実施等に関する行政を行わしめ、それが管轄する実施機関として、国際協力事業団と海外経済協力基金を統合した国際開発協力事業団を置くものとすることにしております。
 現在ODA予算は十六省庁にまたがり、総合調整が十分に行われておらず、特に借款はいわゆる四省庁体制で行われており、責任の所在が明確でありません。援助行政の一元化が必要なゆえんであります。
 さらに、開発協力に係る調査、研究、評価、案件の実施、管理などに従事する人材の養成並びに開発途上地域に派遣する者の訓練を行う特別の機関として、国際開発協力庁に開発協力技術センターを置くものとし、現在の国際協力事業団の国際協力総合研修所の拡大強化を図っております。
 なお、開発途上地域に派遣する者の生活の安定に資するため、職業の安定に関し必要な施策を講じることを政府に義務づけております。
 また、開発協力が開発途上国の草の根の民衆を潤すことができるよう民間の非営利団体(NGO)や地方公共団体等を活用し、必要な補助を与え、欧米先進国で広く行われているコファイナンスシステムの確立を目指しております。
 以上が本法案の概要でありますが、六十一年十二月の国連総会で採択された開発の権利に関する宣言にも明らかなように、開発援助という言葉を好まない開発途上国の心情を考慮に入れて、本法案においては政府開発援助という表現を避けて、国際開発協力という用語を使用しております。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
○委員長(山東昭子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国際情勢等に関する調査を議題といたします。
 この際、中山外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) お許しをいただきまして、フィリピンにおける現在の状況を簡単に御報告申し上げておきたいと思います。
 マニラのマカティ地区を除いておおむね鎮静化しているものと判断をいたしております。
 なお、日本人が多数居住しておりますマカティ地区、これは反政府軍の兵士が入り込んでおりまして、包囲している政府軍との間で緊迫化が進んでおるように認識をいたしております。マニラの大使館と絶えず連絡をとっておりますが、大使館はけさ、反政府軍に占拠されている地区を除くマカティ地区の住民約二千名に退避を勧告いたしました。大使館員が誘導をして退避をやらしているというような状況でございます。
 以上、簡単でございますが、現状での御報告を申し上げておきたいと思います。
○委員長(山東昭子君) 久米領事移住部長。
○政府委員(久米邦貞君) 簡単に補足させていただきます。
 ただいま大臣から御説明がありましたとおり、けさ退避勧告を在留邦人約二千名に対していたしましたけれども、現在退避行動が行われているところでございまして、各ゲートに館員を派遣いたしまして、ゲートの周辺の安全状況を確かめつつ誘導しているところでございます。
 なお、中心部は反政府軍ゲリラが多数、四百名と言われておりますけれども、占拠している状態でございまして、ここにございます幾つかのホテルにはなお約四百五十名ほどの邦人旅行者が滞在しておりますけれども、これについては、昨日以来大使館より連絡をとりつつ、室内のできるだけ安全なところにいるようにという指導を随時行いつつ、情報の提供に努めております。大使館としては、今後も在留邦人の安全確保に努力をしていく所存でございます。
○委員長(山東昭子君) 以上でフィリピン情勢についての報告を終わります。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
○竹村泰子君 放射能の汚染飼料につきまして御質問したいと思います。
 チェルノブイリの原発事故から三年半が過ぎたわけでありますけれども、この原発事故は、現場で事故に対応した運転員、消防士などには致死量の被曝を、百キロメートルの住民には被曝とそして避難を与え、そして原発を持っているか否かに関係なく、世界各地、日本にも大きな影響を与えたわけでありますけれども、今日、新聞報道などの話題ではやや薄らぎ始めた感がありますが、しかし実はその影響は次第に姿をあらわし始めているところであります。多くの作業者被曝、それから各地の放射能汚染、東西ヨーロッパ、北欧諸国の汚染が世界の大きな問題でありまして、日本の汚染もかなり心配であります。
 そして、その地球規模環境の放射能汚染は当然世界の食べ物と健康への大きな影響、被害をもたらしているわけでございますけれども、私の持っております情報では、ここ一年だけでもかなり多くの農畜産物の汚染と広範囲にわたる地域の人々の被害が続出していると聞いております。これにつきまして、外務省はどんな情報を得ておられますでしょうか。
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 ただいま御指摘のチェルノブイリ原子力発電所事故の影響、対策等につきましては、国際原子力機関(IAEA)、経済協力開発機構・原子力機関(OECD・NEA)、これらの関係機関を中心に調査が行われておりまして、外務省といたしましても随時これらの関係情報の収集を行ってきております。
 例えばOECD・NEAのチェルノブイリ原発事故の影響に関する報告書というのが公表されておりますけれども、この報告書では、同事故による放射能汚染の健康への影響についてまとめておりまして、食品の汚染等によりましてOECD諸国の国民一人当たりが受ける放射線の量は、自然界から受ける放射線の量よりも著しく大きくはなかった、したがいまして、がんや遺伝的な影響のような潜在的な健康への影響は特になかったという結論が出ているというふうに承知しております。
 なお、御質問の汚染飼料等特定の問題につきましては、我々が知る限り、これらの機関では調査は行われていないというふうに承知しております。
○竹村泰子君 きょうの私の質問は飼料用の脱脂粉乳の汚染に限りたいと思いますけれども、この脱脂粉乳の輸入量と輸入国を問いたいと思います。
○説明員(本田進君) 昭和六十三年の数字でございますけれども、輸入量は合計で八万五千四百二十二トンでございます。主な輸入国を申し上げますと、西ドイツ三万二千二百十九トン、ポーランド一万六千八百六十五トン、チェコスロバキア一万六千四百四十四トンなどでございます。
○竹村泰子君 私の調査によりますと、チェルノブイリ事故の八六年を境にしてニュージーランドやオーストラリアからヨーロッパへと輸入国が大きく変化をしている、そういうふうにお聞きしておりますけれども、今御発表いただきました数字にもありましたけれども、西ドイツなどは八六年までは全然輸入がなかったのですけれども、八七年になってからたくさんの量を輸入されております。オーストリアもまたしかりです。その大きく変化してきた理由は何なのでしょうか。
○説明員(本田進君) 先生今御指摘の西ドイツからの輸入でございますけれども、昭和六十年、六十一年はゼロでございますが、過去昭和五十三年には二万三千五百三十八トン、五十四年には二万六千九百五十トン、それから五十五年には二万六千十九トンというように多量に輸入した時期もございます。我々いろいろと調べてみたわけでございますけれども、我が国の飼料用脱脂粉乳の輸入先国というのは、その年の国際需給を反映して輸入相手国が変動しているということでございまして、最近はニュージーランド、オーストラリアから東ドイツ、ポーランドとかチェコなどに輸入先が動いてございますけれども、これはニュージーランド、オーストラリアにおける生産量の減少ないしは在庫量の減少ということでこれらの地域の輸出力が大きく低下したことによるものであり、反面EC諸国などでは、脱脂粉乳の在庫が非常にたくさんあるということによったものであるというふうに考えております。
○竹村泰子君 学校給食用の脱脂粉乳などは依然としてニュージーランド、オーストラリアでありますし、バターやチーズなども上の二カ国がぬきんでているわけですけれども、それほど大きな変化はない。なぜ飼料用だけがそう大きく変わったんですか。
○説明員(本田進君) 私ども聞いておりますのは、学校給食用の脱脂粉乳につきましては、従来から日本体育・学校給食センターが一元的な窓口となりまして、ニュージーランド、オーストラリアの輸出機関と安定的かつ継続的な取引関係があるというふうに聞いておりまして、このことによって安定的な輸入がなされているものだというふうに理解しております。
○竹村泰子君 これは最近の「モスクワニュース」なんですけれども、八九年の二月号なんですが、この報道によりますと、家畜の異常出産と住民に身体的影響があらわれた地域はソビエトのウクライナ共和国ジトミール州ナロデッチ郡というふうに指定しておりますが、これはチェルノブイリ原発から五十キロから九十キロ離れた地域で事故後に避難命令は出されていなかった。それと、集団牧場で奇形の家畜が急増している。八八年一月から九月までの九カ月間に七十六頭に奇形出産があった。この内訳は豚四十一頭、牛三十五頭。飼育頭数はそれぞれ豚八十七頭、牛三百五十頭、合計四百三十七頭のうち七十六頭の奇形出産であります。過去五年間では自然発生による奇形出産は三頭であった。つまり年間〇・六頭の割合であった。過去にも一九八八年と同様な飼育状態であれば、事故後の一年で奇形出産は約百倍に増大し、三年後には九カ月で約百三十倍とさらに増加したことになるというふうな報道。
 これはこの「モスクワニュース」に限らず、世界中のあちこちから聞こえてきている報道が多々あるのでありますけれども、農水省ももちろんこれらのことに目をふさいでおられるわけはないと思いますが、これらの報道をどういうふうに思っておられますか。
○説明員(本田進君) 昭和六十一年四月二十六日、ソ連の原発事故が発生したことに伴いまして、我が国に輸入される飼料の放射能汚染が懸念されたわけでございます。現在、我々はソ連及びその近隣諸国で製造、収穫された飼料を対象としまして、通関前に悉皆的に輸入業者による自主検査及び東京肥飼料検査所における検査のダブルチェックを実施しているところでございます。
 この場合の基準につきましては、脱脂粉乳につきましては子牛とか子豚の飼料として使用されるものであるということ、それから給与されても家畜の体外に排せつされるというようなことから、必ずしもその食品と同一の取り扱いを行う必要がないわけでございますけれども、畜産物の安全性に万全を期すとの観点から食品と同水準の基準である三百七十ベクレル以下という基準を定めまして、この基準に違反したものについては輸出国への返送を指導しているところでございます。
○竹村泰子君 食品ではないのでさほど気をつけなくてもいいけれども、我が国では三百七十ベクレルの基準を設けているということですね。今のはそういう意味ですか。
○説明員(本田進君) そういうことでございます。
○竹村泰子君 輸入された脱脂粉乳の国内での使用の内訳を教えていただきたいんですが。
○説明員(本田進君) 昭和六十三年度の数字でございますけれども、牛用に一万九千三百三十七トン、豚用に五万二千六百九十四トンでございます。
○竹村泰子君 検査方法とその体制について、検査国と基準値などについてもお教えいただきたいと思います。
○説明員(本田進君) 先ほどお話ししましたように、我々は飼料用脱粉につきましては通関前のダブルチェックということをやっているわけでございますけれども、この調査対象国は、ソ連、アルバニア、チェコスロバキア、ハンガリー、東ドイツ等二十七カ国でございます。
 それから、サンプリングの方法でございますけれども、こういったソ連及び近隣諸国から輸入された飼料すべてについて各荷口単位でサンプル検査を行うこととしておりまして、同一荷口ごとに任意の大体五袋以上を抽出して開封し、それぞれ等量を採取したものを混合し、そのうちの三キログラムを試料としているところでございます。これら試料のうち、一キロは輸入業者が自主検査を行うという一方、残り二キロは東京肥飼料検査所に送っていただいて、当方で検査を実施するというダブルチェックの体制をとっているところでございます。
○竹村泰子君 私たちがこれまでお聞きしに行きましたときには、全ロット検査というふうにお聞きしていたんですけれども、全ロット検査というのは、今おっしゃったように同一荷口の中から任意の五袋を選んで、そしてそれを検査をするということなんですか。
○説明員(本田進君) さようでございます。同一荷口と申しますのは、同一の船で輸入された同一の原産国のものでございますので、これを一つのサンプルとしてとらえて、その中から任意の五袋を選んで検査するということでございます。
○竹村泰子君 そうしますと、任意の五袋以外の袋が汚染をされていてもわからないわけですね。
○説明員(本田進君) 先ほどお話ししましたように、同一の船で輸入された同一の原産国のものでございまして、しかも生産の月日も非常に近いというものでございますので、我々としては、その中から任意に抽出をすれば、それの放射能の汚染の程度というのがはかれるというふうに考えております。このサンプリングの方法は、我々はほかの飼料の検査も行っておりますけれども、これと同一の方法といいますか、これに準じた方法でございます。
○竹村泰子君 その検査の方法も非常に私は心配でありますけれども、もう一つ心配なのは検査所です。自主検査を通関前にまず行うわけですね。そして、その国の肥飼料検査所に報告をするんですね。そして、その中のサンプルを東京肥飼料検査所へ送付するわけですが、そのサンプルを送って放射能検査ができるのは、この東京肥飼料検査所という日本にただ一カ所だけしかないわけです。いかがですか。
○説明員(本田進君) 現在農林省の附属機関でございます東京肥飼料検査所でこの検査を行っているということでございます。国の機関としてはこの一カ所だけでございます。
○竹村泰子君 広い日本でただ一カ所の検査所で十分対応ができるのかということが私は大変心配でありますのと、もう一つ、基準値を超えているものについて返送の措置をとられるわけですね。果たしてその返送の措置がどういうふうにとられるのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(本田進君) 昭和六十二年十二月に放射能の暫定基準値三百七十ベクレルというのを設定しまして、その後これを超えるものが五件ございました。この五件につきましては、輸入業者に対して輸出国に返送するように指導しているということでございます。
○竹村泰子君 輸出国に返送するように指導しておられるということですけれども、果たしてそれがその輸出国へ返送されたかどうかというところまでは突きとめておられないと思いますけれども、汚染物質の流れですね、我々が拒否したものはどこへ流れていくのか非常に危ぶまれるわけでありますけれども、この辺はいかがですか。
○説明員(本田進君) 輸入業者のうち、四社からは措置状況についての報告を受けており、すべて返送されているということでございます。なお、残り一社からはまだ報告がございません。
○竹村泰子君 それと、飼料用の脱脂粉乳は需要者割当がされている、枠を決めて、量を決めて実際に買い付けるのは業者あるいは農業団体などに任せられて、輸入国については業者任せということですか。
○説明員(本田進君) さようでございます。
○竹村泰子君 そうしますと、先ほど私が最初の質問でいたしましたチェルノブイリ事故から後、ニュージーランドやオーストラリアからヨーロッパへと大きく輸入国が変わってきているということも、これはもう農水省は全く知りません、それは業者任せのことでありますからということなんでしょうか。
○説明員(本田進君) 我々はどこの国から輸入しろという指導はしておりません。したがって、これらをどこの国から輸入するかというのは、すべて業者の決めるところでございます。
○竹村泰子君 輸入の飼料用脱脂粉乳がヨーロッパから大きく流れ込んできている。そして、それが非常に大きな放射能汚染が心配をされているし、また事実、自主的な測定によりましてはかなり高い放射能値を検出している、このことについて農水省は全く責任はないわけですか。
○説明員(本田進君) 先ほど申し上げましたように、我々は、ソ連の原発事故に伴いまして我が国に輸入される脱脂粉乳等の飼料の放射能汚染というのが懸念されましたものでございますので、三百七十ベクレルという食品と同じ基準値をもちまして業者の自主検査及び東京肥飼料検査所における検査のダブルチェック体制をとっておりまして、三百七十ベクレルを超えるものは日本に入っていないというふうに理解しております。
○竹村泰子君 今回の代用乳の汚染に関しましては、結果がすぐに見えないことから内部被曝による晩発性の放射能障害のおそれが非常に強いわけです。例えば病源菌に対して抵抗力が弱くなる、内臓機能に欠陥が出る、成育が遅い、こういうふうなことになりますとまた新たに抗生物質や濃厚飼料が与えられていくわけです。健康な家畜が育てられないということは日本の農業に大きな問題であると思いますけれども、その点はいかがお思いになりますでしょうか。重要な問題だと思いますので、外務大臣も、そして農水省の方にも、今後の緊急の課題として私は対応をぜひ聞かせていただきたいと思います。
○説明員(本田進君) 先ほどからお話し申し上げておりますとおり、現在国内で使用されている飼料用脱脂粉乳はすべて三百七十ベクレル以下というものでございます。こうした低いレベルで子牛や子豚へ内部被曝がどうなるかということにつきましては、我々これまで国内で特段の情報を得ているわけではございません。しかしながら、御指摘もございますので、今後いろいろと情報を集めていきたいというふうに考えております。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま農林省の説明員から御答弁申し上げた点につきまして、外務省としても今後十分注意をしてまいりたいと考えております。
○竹村泰子君 私たちの大事な命の源であるこれらの農畜産物の経営、運営の非常に重要な課題であると思います。財力に任せて我々が安全な食料品や飼料を買いあさることでは、問題は解決しないと私は思います。なぜこのような汚染が起きるのか。食料を汚すということは一体どういうことなのか。今三百七十ベクレルというのが低い値とおっしゃいましたけれども、これは飼料だから低い値とおっしゃるかもしれないけれども、食べ物といたしましては三百七十ベクレルなんというのは大変な高い値なんです。そして、アジアの国々ではゼロベクレルで追い出してしまっている国もあるわけですから、そういうことで食料を汚していくということが私たちの命にどう影響を与えているかということをしっかりと考えていただきたいと思います。
 もう一つ、最後にピートモスについて。
 一年前に市民運動側が要求しました輸入ピートモスの大変な放射能汚染があったわけですが、これは農地やゴルフ場の農地改良剤として使われているわけでございます。ゴルフ場の問題が今大きく広がっておりますけれども、このピートモスの汚染状況の調査報告を約束されていたと思いますけれども、これは農水省いかがでしょうか。
○説明員(市之宮和彦君) お答え申し上げます。
 御指摘のチェルノブイリ原子力発電所の事故の影響と見られる放射能が検出されたピートモス、ピート板が見つかったという報道がなされたわけでございまして、それを受けまして私どもといたしましては、関連のピートモス業界に対しまして放射能検査を行うように指導をいたしました。また、その輸入業者を通じまして輸出国側に善処を要請したところでございまして、その結果、フィンランド側から輸出に当たりましては、日本側の食品としての安全基準ということでございます三百七十ベクレルの水準を超えないものの輸出をする、こういうことになりました。必要に応じまして先方で国営機関の検査を受けた上で輸出が行われている、こういうのが実情でございます。
 また、現在のピートモスの輸入状況でございますが、輸入先が問題のないカナダへ大きく移行をいたしておりまして、六十三年の実績では全体の九五%、これがカナダからということでございます。問題のフィンランドからの輸入は〇・七%ということでございまして、またこれにただいま申し上げました指導の効果もございまして、放射能汚染のおそれはない、こういうふうに考えているところでございます。
 また、ただいま御指摘のございました調査という点でございますが、この点につきましては、その必要に応じ調査をするという趣旨で申し上げたのではないか、こういうふうに私承知をいたしているところでございますが、ただいま申し上げましたように、こういうような指導を通じまして現状においては問題がない状態で入っているというように考えているところでございまして、今後ともこういう指導を通じて安全な輸入ということに努めてまいりたい、このように考えているところでございます。
○竹村泰子君 すべて起きてから後では遅いのでして、ピートモスについてもそうですけれども、輸入飼料の問題につきましても、これからも厳しいサンプリング検査と、いかに安全なものを私たちがいただくことができるか、そういったことについて外務省、農水省、どうぞ力を合わせて厳しい対応をお願いしたいと思います。
 それでは次に、韓国スミダを初めとする日本企業の海外進出についてお伺いをしたいと思います。
 外務省は、日本企業の海外進出の結果、当該国と日本との善隣友好関係に結果としてプラスになるようにとの立場から必要な情報を収集しておられますね。
 十一月四日付の朝日新聞ですけれども、韓国に進出している日本企業が労働コストを理由に次々と撤退をしているということです。中でも韓国に進出しているスミダ電機につきましては、十月十四日、団体協約改定交渉中に約五百名の労働者に突如解雇通知を送付、しかもファクシミリ一枚で解雇通知を送付しております。韓国の国内法では、やむを得ない事由で事業が継続不可能なときには労働部長官の認定を受けなければならないのですけれども、申告もせず人員整理をする場合は、六十日前に通知をし組合と合意しなければならないとされているにもかかわらず、何らの予告もなく撤退をし、そして現地に残された韓国人労働者が、これは大部分が夜間高校に通う十代の女性たちあるいは二十代初めの若い女性たちでありますけれども、工場に籠城しているという状況にあるとの由です。この件について、事実関係をどのように把握しておられますでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) ただいま委員御指摘の点は、ほぼ私どももそのように事実として聞いております。したがいまして、繰り返すことは避けたいと思いますが、私どもの当然の務めといたしまして、現地の釜山の総領事館あるいは外務本省におきまして韓国スミダ電機の方々からお話を伺っております。
 いずれにいたしましても、基本的にはこの問題といいますのは、日本の民間企業が出資しております現地の企業における労使紛争の問題でありまして、政府が右だ左だと直接的に関与すべき立場ではないと思いますけれども、他方、委員御承知のように、せっかく万般良好な日韓関係にあるわけでございますから、また関係方面のいろいろな努力もございます。そういう中で、このような非常に残念な事態が発生したのはまことに私どもも遺憾に考えておりまして、今現地から当事者がいらっしゃって東京でお話し合いが続いているというふうに承知いたしておりますけれども、なるべく早急に円満な解決が当事者の間で図られるように期待しておるところでございます。
○竹村泰子君 この報道が事実でありますとすれば、なぜこのような事態が続発しているとお思いになりますか。外務省、外務大臣それから通産省の両方にお聞きをしたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) とりあえず私の方から韓国の問題に限ってお話し申し上げますが、委員も御承知のとおりでございますけれども、昨今韓国におきましては労働賃金が大変急激な高騰を見せております。それから、現地通貨のウォンが非常に米ドルとの関係で高くなってきておるということもございまして、幾つかの企業が経営に非常に困難を来し始めておるということを私どもは承知しております。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘の韓国におけるスミダ電機の関係会社の話は、これは民間の問題として政府が直接関与する立場にございませんけれども、OECDの多国籍企業の行動指針というのがございますが、政府といたしましてはそれを十分踏まえて、現地に進出した企業がそれぞれの国における現地社会の一員として責任ある行動をやってもらいたいというのが外務省としての考え方でございます。
○竹村泰子君 大臣、今政府が、国が介入するべきではないというふうなお答えをなさいましたけれども、この日系企業というのは韓国でも韓国スミダだけではないんですね。多分御存じだと思いますが、非常にたくさんの企業がこういう状態になっている。それからアジア全体でいいますと、本当にもっともっと多くの企業がこういう労働的なトラブル事例を起こしているわけですけれども、今大臣がお触れになりましたとおり、「海外投資行動指針」、それから産業構造審議会で出しておられます「海外事業展開に当たって期待される企業行動(十項目)」というのがございますね。
 それに先立って世界では、一九七六年にOECDが「国際投資及び多国籍企業に関する宣言」というのをしております。そして「多国籍企業の行動指針」を採択。続いて、一九七七年にはILOが「多国籍企業及び社会政策に関する三者宣言」を採択しております。国連では、多国籍企業行動憲章の草案提出を一九八二年にしておりますね。これらに対応する日本政府の方針は、今私が申し上げたただこの二つしか見当たらないんでございます。これについてどうお思いになりますか。また、これからどうしようとお思いになっていらっしゃいますか。
○説明員(若杉隆平君) ただいま先生御指摘のとおり、海外投資を行いました日本の企業は、よき企業市民として現地で活動することが何よりも重要でございまして、労使関係につきましても、現地におきまして良好な労使関係の確立に配慮した企業行動をとることが基本的に重要であるという認識はそのとおりでございます。
 先生御指摘のように、既に我が国の民間経済団体におきましては自主的に「海外投資行動指針」を策定しておりまして、良好で適正な労使関係の確立に努めるよう申し合わせているところでございまして、通産省といたしましても、海外投資を行った企業がよき企業市民として現地社会で受け入れられるよう、そのような指針の遵守方を要請しているところでございます。
 また、ことしの五月、御指摘のとおりでございますが、産業構造審議会におきまして、海外投資を行う企業が海外事業展開に関します基本理念を明確にすることが重要であるという御認識のもとに、投資先国の経済、社会に積極的に融和、貢献していくべく、それぞれの個々の企業が自主的に定めて実行することが期待される「海外事業活動展開に当たって期待される企業行動(十項目)」というのが提言されているところでございます。私ども通産省としましては、その内容を関係団体に対しまして広く周知させるべく通知を行ったところでございます。
 審議会の提言にもございますように、企業行動のあり方は、各企業の経営環境を踏まえつつ自主的に作成し対応すべきものと基本的に考えているわけでございますが、いずれにしましても当省といたしましては、日本企業が現地の海外社会において何よりもよき企業市民として融和、活動していくことが重要であるという認識でございまして、その努力をぜひしていただきたいという期待をしている次第でございます。
○竹村泰子君 今通産省のお答えにありましたとおり、この「海外投資行動指針」それから「海外事業展開に当たって期待される企業行動」、両方ともなかなかいいことが書いてあるんです。基本的な姿勢として、「投資先国の社会に融け込むよう、その経済、社会との協調、融和を図りつつ行うという基本的姿勢を貫くこと」、「投資先国の法に基づく独立の法人であることをよく認識し、その主体性を尊重して行動すること」、また「長期事業方針の明示、適正な労使関係の確立等の適切な配慮を行う」、また、現地社会の「労働組合組織や労働慣行について十分な認識と理解を深めることに努め」「意思の疎通を図ること」云々とございます。
 これらのわずか二つしかこういった多国籍企業に対する日本の政府の姿勢というのが見つからないんですけれども、こういったただ二つのものから見ましても、今回の韓国スミダの事件、そして数々のアジアの国々でのこういった問題は、大きく私は違反をしていると思いますし、徹底されていないと思いますけれども、その点で外務省そして通産省は、この徹底に対してどういうふうに考えておられるのでしょうか。
○政府委員(林貞行君) 先ほど外務大臣から申し上げましたように、外務省といたしましても進出企業、投資企業が現地において現地社会との融和ということを果たすことが極めて重要と考えております。このような観点から、外務省としても現地の我が国企業に現地社会の一員といたしまして責任ある行動を期待しておりまして、海外における企業や法人の活動のあり方を検討する、例えば官民合同会議等の機会におきまして啓発するよう努力を行っておる次第でございます。
○説明員(若杉隆平君) ただいま先生御指摘にございました産業構造審議会の提言におきましては、個々の企業の経営理念なり企業行動指針は、各企業の経営環境を踏まえつつ自主的に作成されるべきものであって、一律に義務づけをすべきものではないという指摘もあわせてなされているところでございます。このため私どもとしましては、それぞれの企業がよき企業市民として現地社会に受け入れられるための指針をあくまでも自主的に定めて、よき企業市民として現地社会に受け入れられるよう努力を重ねてもらいたいという期待をしている次第でございます。
○竹村泰子君 私の手元にあります資料で「日系企業をめぐるトラブル事例」というのがございます。これは日系の韓国スミダほかの進出企業について「進出企業問題を考える会」の市民の皆さんがガイドラインをつくられましたのですけれども、その中にございますトラブル事例でありますが、これはほんの一部だと思います。韓国が多いですが、それから東南アジア、マレーシア、タイ、フィリピン、パプアニューギニア、香港、インドネシアそして中国、本当にたくさんの私たちの仲間のアジアの国々でこういった似たようなケースあるいはもっとひどいケースを私たちは報告を受けているわけです。
 これらが事実とすれば、対日感情が非常に悪化し、事実、韓国などではもう日本の企業に対する感情がとても悪化していると聞いておりますけれども、アジアの国々と友好的な関係を維持発展させるために非常に私はマイナスであると思いますが、外務大臣、いかがお考えになりますか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおり、現地に進出した企業がこのような事態を引き起こすということは各方面が努力している友好関係に大きな影を落とすものでございまして、私どもとしては本件が早急に当事者間で円満に解決がされるように期待いたしたいと思っております。
○竹村泰子君 経済大国と言われ、先進国と言われる日本ですけれども、しかしわずか四十年余り前に日本はアジアの国々を土足で踏みにじっていき、千八百万人の犠牲を出したわけです。そういった歴史的な事実からいいましても、その償いとしても、アジアの国及び民族との平和と友好、このことにはどんなにたくさんの大きな力を出しても出し過ぎるということはないと私は思います。そうでなくともエコノミックアニマルなどという呼ばれ方を御存じないわけはないでしょう。韓国スミダの問題は氷山の一角にすぎないと思います。
 これらのアジアの国々で起こっている事実に目をつぶらずに、どうか事実をしっかりと把握して、そしてアジアの国々とともにある、ともに生きる、世界の孤児とならない日本、そのためにどうかよい御指導をしていただきたい。企業に対しての行政指導はできなくても、勧告とか忠告とか、そういったことはおできになるわけですから、そういったことをきちんとぜひなさっていただきたい、強く要望しておきたいと思います。
 それでは次に、国連の人権小委員会の問題について御質問をしたいと思います。
 正式には差別防止・少数者保護小委員会、以下人権小委員会と呼ばせていただきますけれども、この委員会は最も実務的な人権擁護機関の一つであり、サハリンの残留朝鮮人、部落差別、精神衛生法、在日韓国人・朝鮮人の問題、来日アジア女性の問題、アイヌの問題など審議の対象とされてきました。この委員会の特徴、性格といいますとどんなことになりますでしょうか、外務省。
○政府委員(遠藤實君) 御指摘の小委員会は、人権委員会というのが一つこの上にございますが、この決定によりましてその下部機関として設立されたものでございまして、世界人権宣言に照らして人権と基本的自由に関連するあらゆる種類の差別の防止及び人種的、民族的、宗教的、並びに言語的少数者の保護に関する研究をし、人権委に対し勧告をするとともに、経社理または人権委よりゆだねられた機能を果たすということが目的とされております。
○竹村泰子君 同時に、人権NGOと大変密接な協力関係を持っていることと、構成される二十六人が個人資格の人権専門家であるということであると思いますけれども、よろしゅうございますか。
○政府委員(遠藤實君) ただいま御指摘の点につきましては、個人資格で選出されるということ、これが独立の専門家であるという点についてはそのとおりでございます。
○竹村泰子君 それでは、最初に申しました人権NGOと密接な協力関係を持っているというのは事実ではないのですか。
○政府委員(遠藤實君) この点につきましては、会議の場におきまして種々のNGOと連絡がある、あるいは種々のNGOの方が出席されるということは承知しておりますけれども、具体的にどういうふうな形で行われているのかちょっと今正確な形ではお答えできないものですから、あえて私の方で一番確かなところだけ申し上げました。
○竹村泰子君 おかしいですね。人権NGOと密接な協力関係を持っているということは私は非常に大事なことであると思いますけれども、残念なことに、現在一九八八年から九一年まで正委員として日本政府が推薦している方は、その言動、著述などにおいて不適格であることが多くの人々から指摘をされております。その著述ですが、明治図書から発行されております「社会科教育」の三月号に「世界の人権・日本の人権」という論文がございますけれども、大臣はこの論文をお読みになっていらっしゃいますでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) まだ読んでおりません。
○竹村泰子君 ぜひ目を通していただきたいと思うんです。この論文によりますと、私は時間の関係でここで一々引用することができませんけれども、アイヌの人々のこと、来日のアジア人女性たちのこと、それから代用監獄のこと、これらのことについて実に私たちがぎょっと驚いてしまうような差別的な発言を行っていらっしゃるんです。これは言葉ではなくお書きになったものですからちゃんと記録が残っておりますので、後でぜひ御一読いただきたいと思います。
 私は先日、これで国会に質問書をお出しいたしました。この私の質問書につきましてお答えをいただきましたのですけれども、まことにむだのないといいますか、木で鼻をくくったようなと申しますか、本当に簡単なお答えをちょうだいしたのでありますけれども、この中に「差別防止・少数者保護小委員会委員への候補者を選定するに当たっては、諸般の事情を総合的に勘案して判断することとしており」というふうにお答えいただいているんですけれども、「諸般の事情を総合的に勘案して」というのは一体どういうことなのでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) 候補者の選定に当たりまして考慮に入れます諸般の事情、基準と申しますのは、私どもが考えておりますのは、国際法、国際関係全般に関する見識、国際機関あるいは国際会議等での経験を含めたものでございまして、このような諸般の基準を総合的に判断する、こういう趣旨でございます。
○竹村泰子君 ちょっとよくわからないんですけれども、例えばその人を選ぶときに、具体的に言うと、どんなことを条件になさるわけですか。
○政府委員(遠藤實君) ただいま申し上げましたようなこの基準に照らしまして、その方の従来の経歴あるいは活動状況、そういったことを念頭に入れて候補者の選定に当たるということでございます。
○竹村泰子君 経歴と活動状況だけですか。
○政府委員(遠藤實君) 大きく言えばそういうことだと思います。
○竹村泰子君 少なくとも国連の差別防止・少数者保護小委員会ですよ、これは人権問題の世界的な窓口です。非常に重要なところです。そこに日本政府の推薦者として出ていく人を選ぶわけですから、経歴とかそういうことだけではなくて、もう少し客観的な推薦基準を追加してみたらどうかと私は思いますけれども、例えば国内の人権問題に対してどんな論文をこれまでに発表しているかとか、どういう考えを持っているか論文を書いて提出していただくとか。そうしないと本当にこの方がその人権問題の小委員としてふさわしいのかどうか、私どもは非常に今不満に思いまた不思議に思うわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) 人権問題につきましては、先ほど申し上げました国際法、国際関係全般の一つの部分でございますし、殊に国際人権問題というのは当然のことながらそういった問題の一部であると、こういうふうに考えております。
 それから、活動というふうに先ほど申し上げましたけれども、その活動の中には当然こういった国際関係につきましての論文あるいは意見の発表、そういったことも入っているというふうに考えております。
○竹村泰子君 その論文は、そのときに提出されたものではなくて、過去のものを参考にするという意味ですか、今おっしゃったのは。
○政府委員(遠藤實君) そのとおりでございます。
○竹村泰子君 そういったことについてやはりもう少し基準を厳しくし広げていただきたいと私たちは思うんです。
 この方は、北海道の二風谷を訪ねられましてアイヌの人々の暮らしぶりを見にきたということで、またそこで新たな発言を繰り返しておられるんです。つい先日のことです。そのときには、正直言ってアイヌのことはよく知らないし、知ろうとも思わないと、そういうふうな発言をしていらっしゃるんです。知ろうとも思わないというのは私はすごい言葉だと思うんですけれども、こういう方をお選びになった、推薦をされたその最低の責任として、この小委員会の報告会を外務省主催で開かれてはどうですか。
 実はこの方は個人の資格で国連人権小委員会の報告会というのを十月三日にやっておられますけれども、これはもう当然外務省の皆さんはこれに御出席になったんでしょうね。
○政府委員(遠藤實君) この報告会の方には出席いたしておりません。
○竹村泰子君 御案内がなかったんですか。
○政府委員(遠藤實君) 御案内はあったようでございますが、個人の資格で開かれるということでございまして、したがいまして委員の独立性ということもございましたので、外務省の方では出席をいたしませんでした。
○竹村泰子君 おもしろいですね、今のね。個人の資格でお開きになったとしても、国連の人権小委員会の報告会をしていらっしゃるわけです。それに外務省の皆さんがお招きがあったのに、個人の資格で開いていらっしゃるから行ってはいけないということはないですよ。
○政府委員(遠藤實君) 大変失礼いたしました。先ほど私のお答えで御案内がありましたと申し上げたんですが、御案内はございませんで、そういうことは、この報告会を開かれるということは承知はいたしておりましたけれども、当省の方には御案内はございませんでした。
○竹村泰子君 御案内なく開かれたので行けなかったということなんですね。まあこういう国連人権委員会の小委員会の報告会をするのに御案内をされないというのも私は大変おかしな話だと思いますし、そういった情報を外務省が知らないというのもおかしな話だと思いますけれども、これはやはり外務省が推薦している最低の責任として外務省主催で報告会をしなければならないのではないでしょうか、いかがですか。
○政府委員(遠藤實君) 実は小委員会そのものにつきましては、私どもはジュネーブにおきまして政府の代表者が出席をいたしておりました。したがいまして、その模様につきましては私どもは在外公館の報告を通じて承知をしているわけでございまして、他方、この個人の資格で選出をされ出席しておられます委員の方につきましては、政府の方としていわば余り干渉がましいことをするのは必ずしも適当かどうか、そういう問題があろうかと思っております。
○竹村泰子君 この方の任期は一九九一年までありますね。ですが、次の人権委員会による選挙は一九九二年一月にあるわけですが、その半年くらい前までに委員候補の公開をしてはどうですか。どういう人選をしようと思っていらっしゃいますか、お聞かせください。
○政府委員(遠藤實君) ただいま御指摘のように、選挙は一九九二年の恐らく二月だろうと思いますけれども、まだそういうことで将来のことでもございますので、ちょっと今の段階でお答えする状況にはございません。
○竹村泰子君 もっともっとふさわしい方が私は広い日本にたくさんいらっしゃると思います。公募をするとか論文を募るとか、何かもう少しお考えになってはいかがかと思いますけれども、ぜひ御一考いただきたいと思います。
 日本政府の人権に関する対応はまことにお粗末と言うしかない。法務省の中に人権擁護局があり、外務省の中に人権難民課があるのみですね。人権局や人権省というのが総合的な人権問題を専門的にやってもよいと思いますけれども、それについて外務大臣はどうお考えになりますか。
○政府委員(遠藤實君) 御案内のように、我が国は人権つきまして世界人権宣言を当然遵守するということのほか、世界人権規約についても批准をいたしまして、関係者の努力によりまして、人権問題について非常に真剣に取り組んできているというふうに考えております。
 ただ、率直に申しまして、国際的な人権問題につきまして日本が若干後発であったということは、これは恐らく事実として認めざるを得ないだろうと思います。しかし、そういった状況を踏まえまして、八〇年代からは人権委員会にも常に名を連ねるという状況で人権問題に取り組んでいくということでございます。
○竹村泰子君 今のお答えですけれども、各国の国際人権条約批准状況というのがございます。それによりますと、二十二の項目があるんですけれども、日本はわずか七つしか批准をしていないんですね。これはずっと世界のほかの国々を見ておりますと、非常に不思議な数字でございます。例えばあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約、これは世界じゅうで百二十五の国が批准をしておりますが、日本は未批准でございます。それから集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約、これは九十七の国が批准をしておりますが、日本は未批准であります。それから、奴隷制度・奴隷取引並びに奴隷制度に類似する制度及び慣行の廃止に関する補足条約、これも八十五の国が批准をしておりますが、日本は未批准であります。
 何と申しますか、この人権条約の批准の状態のお粗末さ、これはまさに日本の政府の人権感覚のお粗末さをあらわすものではないかと思いますが、大臣はどうお思いになられますか。
○政府委員(遠藤實君) ただいま委員が列挙列されました幾つかの条約でございますが、確かに条約の批准状況につきましてはただいま申されたとおりだろうと思います。ただ、それぞれ理由がございまして、例えば人種差別撤廃条約でございますけれども、これは我が国の憲法に言う表現の自由、そういったものとの調整をどういうふうにするかという非常に難しい立法技術上の問題がございます。したがいまして、これについてはかねてから国会等で御質問もございまして、私どもとしてはこの辺をどうするか鋭意検討しているということでございますが、非常に難しい問題で結論を得ていないということがございます。
 それから他方、もう一つの条約、例で恐縮でございますが、奴隷の問題ですけれども、これは随分古い条約でございまして、できましたときにはあるいは意味があったかもしれませんけれども、ちょっと我が国の現在の状況におきまして、奴隷制度・奴隷取引並びに奴隷制度に類似する制度云々の条約ということについては、現在このような実態があるかということを考えますと、およそ実益に乏しいというふうに考えているわけであります。
○竹村泰子君 奴隷制度・奴隷取引並びに奴隷制度に類似する制度というのは、なるほどそういうことは今の日本には薄くなっているかもしれませんが、及び慣行の廃止に関する補足条約というふうに大きくとらえますと、私は決してまだまだ皆無であるとは思えませんし、そういったことに対してぜひ私たちはもっと敏感な国でありたい、そう思うのですけれども、大臣、いかがお思いになりますか。
○国務大臣(中山太郎君) 条約の批准につきましては、一般的な意見を申し上げますと、国内法との調整というものが絶えずついて回っております。条約を批准いたしてまいります前には関係省庁との関係法案、国内法との調整、整合をどうするかという問題が絶えずついて回っておりまして、それらの点も十分事務的に調整をした上で、必要であるものは逐次批准をするべきであると考えております。
○竹村泰子君 もう時間が参りましたので、最後に一つだけお尋ねして終わらしていただきたいと思います。
 先住民のための国連任意基金に対する拠出についてというのがございます。一九八七年八月から既に幾つかの国がこの先住民に対する拠出基金を国連に出しているわけですが、現在七カ国ぐらいですか、日本はこれに対して考慮するというふうに言われて、まだ拠出も額も何も決めておられませんけれども、これはいつ、どういうふうになっておりますでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) 御指摘の基金につきましては、発足してから間もないこともございまして、運用状況その他を十分把握しておりません。実はどのような運営になっているのか、収支状況になっているのかいろいろ照会をしているわけでございますが、これについての返事が得られていないということもございまして、今後こういった運用状況などを十分見きわめた上で慎重に検討いたしたいと考えております。
○肥田美代子君 肥田美代子と申します。大臣に初めて質問をさせていただきます。ふなれですので、どうかよろしくお願いいたします。
 私は、今まで児童文学にかかわってまいりまして、子供とは随分近い位置にいたと感じておりましたのですが、今回国連で子供の権利条約が採択されたことを大変喜ばしく思っております一人でございます。
 この権利条約が採択されました直後、このことをマスコミ各社が取り上げました。例えばここにございます毎日新聞の社説には「先進国と開発途上国の双方がそろって、二十一世紀を担うことになる児童の権利の向上、新しい意識と潮流を生み出すことに協力するのは、日本の国際的な義務と考える」とありますし、朝日新聞の社説には「批准を急ぎ、国内の体制を整えてほしいと思う。忘れてならないのは、国連で十年がかりで練り上げられたこの条約の内容は、世界の大勢からすれば「常識」なのだ」ということであります。また、共同通信の報道でも「先進国でも児童虐待などが大きな社会問題となっているだけに、この条約に各国が署名し、発効すれば「多くの子供たちを救うことになる」と国連は期待を寄せている」とございます。このようにマスコミがこぞって歓迎しております子供の権利条約について、大臣はどのようにお考えでしょうか、御意見をお聞かせください。
○国務大臣(中山太郎君) 我が国としては、基本的にこの条約の趣旨に賛成をしております。そして、国連総会での採択に際しましてコンセンサスに参加したところでございますが、この締結につきましては、我が国の国内法とすり合わせを現在勘案しておりまして、今後各省庁とも協議の上で前向きに検討してまいりたい、このように考えております。
○肥田美代子君 大臣の大変前向きな姿勢をありがたく思います。
 ところで、人権に関する国連の条約は、つい今し方竹村議員が発言いたしましたように随分たくさんございますが、その中で日本が批准しているのがたしか七つとおっしゃったと思います。二十二のうち七つというのは、一体あとの分については日本がどうして批准しなかったかについてはここでは触れないでおきますが、批准されたこの七つについて挙げていただければありがたいんですが。
○政府委員(遠藤實君) 我が国が締結しております条約は七つございまして、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約、通称人権A規約と称しております。それから第二が、市民的及び政治的権利に関する国際規約、通称B規約でございます。三番目が、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約。四番目が、人身売買及び他人の売春の搾取の禁止に関する条約。五番目が、難民の地位に関する条約。六番目が、難民の地位に関する議定書。それから七番目が、婦人の参政権に関する条約。
 以上でございます。
○肥田美代子君 今お答えいただきました条約の中で、例えば女子差別撤廃条約、それから難民の地位に関する条約、それから国際人権規約の三つについてお伺いしたいのですが、国連で採択された年月日と、それから日本で批准された年月日についてお教えくださいませんでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) まず女子差別撤廃条約でございますが、国連での採択が一九七九年十二月十八日、発効いたしましたのが一九八一年九月三日でございます。我が国が締結いたしましたのが一九八五年六月二十五日でございます。
 それから、難民の地位に関する条約でございますが、採択は一九五一年七月二十八日、発効が一九五四年四月二十二日、そして我が国が締結いたしましたのが一九八一年十月三日でございます。
 それから、人権規約につきましては二つございますけれども、採択はいずれも一九六六年十二月十六日でございます。発効の年月日だけが、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約の方が一九七六年一月三日、市民的及び政治的権利に関する国際規約の方が一九七六年三月二十三日でございます。そして、我が国の締結年月日は、いずれも一九七九年六月二十一日ということでございます。
○肥田美代子君 今伺っておりますと、国連で採択されてから日本が批准するまでに随分長い年月がかかっているように思います。その理由として、さっき大臣がおっしゃいましたとおり、国内法の整備とか、それから関係省庁との兼ね合わせとかがございますでしょうが、例えばこの三つの条約について、国内でどういう省庁とかかわって、それからどういう国内法に関連があったかということを簡単にお教えいただけませんでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) これは実は難民の地位に関する条約がある意味では法律あるいは関係省庁の数が一番少ないものでございますけれども、それでも法律で言いますと出入国管理法――令と称しておりましたけれども、法律の地位を持っておりますので出入国管理法、それで当然のことながら法務省がございます。それ以外に難民の国内における地位というものがございますので、当然のことながら厚生省でありますとか、それから文部省その他やはり関係省庁がほかに幾つかあるわけでございます。
 女子差別撤廃条約になりますとこれは非常に広範囲にわたります。これはちょっと今法律の名前を一つ一つ申し上げる用意が必ずしもございませんけれども、例えば国籍法、男女雇用機会平等法、これは新しくつくったわけであります。それから労働基準法、船員法の一部改正、健康保険法、船員保険法の一部改正等々ございまして、当然のことながら法務省、労働省、文部省、運輸省、大蔵省その他あるわけであります。
 そして、国際人権規約ということになりますと、これにつきましては新規立法あるいは既存の国内法の改正を行ったことはございません。ただ実際に、人権規約の趣旨を踏まえまして、この規約の締結後に我が国が積極的に講じた国内処置というのが多々あるわけでございます。これにつきましては、例えば国公立大学における外国人教員の任用に関する特別措置法の制定、これはこの締結のためにやったわけではございませんけれども、締結後に国内的な施策としてやったというものでございまして、そういったものはそのほかにも幾つかございますので、この規約に関連いたします省庁というのは非常に広範囲というふうに承知しております。
○肥田美代子君 今お伺いしましたように、私でも数が覚えられないぐらいたくさんあるわけなんですが、そうしますと、今回の子供の権利条約に関しましても、これが権利宣言として出ましてから三十年が経過しておりますね。それで、政府としてはこの三十年前から何かを始められたのかどうか。もしその三十年の間における作業がございましたら、簡単に御説明いただけませんでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) 国内的にどういう処置を講じたかということになりますと、ちょっとただいま手元に資料がございませんけれども、いずれにいたしましても、この条約を作成する過程で我が国がワーキンググループに参加をいたしまして草案の作成に積極的に貢献をしたというふうに自負しておりまして、したがいまして今回国連でこれがコンセンサス採択されるにつきましても、これに加わったということでございます。
○肥田美代子君 重ねてお尋ねしますが、そのワーキンググループに携わったということと、国内で何かをなさったということは別の問題なんでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) 大変恐縮でございますが、御質問の趣旨が、この宣言の間にその趣旨に沿ってどういう処置を講じたかという御質問かと思ったものですから、その点について具体的な資料がちょっとないと申し上げたわけでございます。
○肥田美代子君 それでは、この条約が草案としてできましてもう一年たちますが、この間に政府としてはどういう省庁間の突き合わせだとか国内法の兼ね合わせなんかを検討なさったんでしょうか。もし検討なさったとなれば、その内容について私はお教えいただきたいんですが。
○政府委員(遠藤實君) 草案のうちのさらにまだ粗い段階、最終的なものというよりもう少し粗い段階のものが一年ぐらい前からあったわけでございますけれども、これが国連総会におきまして採択が予定されたということもありまして、その間に我が国として、このそれぞれの条文について大体どういうふうな態度をとれるのかということについては、いろんな関係省庁がございます、文部省とか法務省、厚生省、労働省、警察あるいは総務庁、そういったところと協議をしつつ進めてまいりました。
 ただし最終的には、これから採択がありまして、これからこの条約を批准する作業をするにつきましては、国内法との整合性というものをきっちり法律的な観点から詰めた格好で検討しなければいけないということでございますので、過去採択までに至ります作業というのは、いわば大体の趣旨についてのすり合わせというふうに御理解いただいたらいいかと思います。
○肥田美代子君 それでは今まで、例えば権利宣言ができましてから三十年の間は、その趣旨について検討なさっていらっしゃったということですね。
○政府委員(遠藤實君) 条約作成が始まりましたのはちょうど十年前でございます。その間に条約をどういう形で仕上げるか、そういったことについての検討は内部でしたわけでございます。したがって、宣言にありますものを果たしてこれを条約の形で盛り込むのが適当であるかどうか、あるいはその宣言になくても新しくまた条約の項目に入れるのが適当であるかどうか、そういった観点からの検討は続けてまいりました。
○肥田美代子君 先日の予算委員会で同僚の堂本議員が質問させていただいたんですが、子供の権利条約と申し上げましたものを、答弁の方では児童の権利条約と言い直して御答弁していらっしゃったように私はお見受けしたんですが、このことは全く偶然なのか、それとも子どもと児童ということの意図がおありでそうなさったのかどうか、ちょっと御説明いただけませんでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) たまたま私どもはこの憲章につきまして児童というふうに仮に呼んできたものですから、その場では児童の権利憲章とお答えがあったのだと思いますけれども、この条約の正式の訳というのはまだ確定をしているわけではございません。
 ただ、いずれにいたしましても条約の内容等も勘案しながら検討していくわけでございますが、現在まで締結した条約におきましては、チャイルドとかチルドレンの訳といたしましては児童あるいは子という言葉が使われておりまして、子供と訳した例は今までのところは見当たりません。
○肥田美代子君 御趣旨はよくわかりました。ただ私の場合、児童と言うよりは子供と言った方がこの権利にはふさわしいんじゃないかなと、本当にこれは感性の部分なんですけれども、それを感じておりますので、もしこの権利条約に日本の名前がつくことになりましたときには、そういうことの意見についても入れていただきたいなと思うのですが、いかがなものでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) 御意見として承っておきます。
○肥田美代子君 私は、大臣と同じ大阪出身でございまして、チマチョゴリを着た少女たちの姿を町でしょっちゅう見かけて育ってまいりました。ところが先般、国会での議論がきっかけになって、そのチマチョゴリの女の子たちがいじめに遭ったということがございましたが、もちろん大臣は御存じだと思うんですが、ここに在日韓国人の新聞が手元にございますが、ここでもこの条約を早く批准してほしいということを強く訴えていらっしゃるんです。それで、いろんな問題もございましょうし、在日韓国人それから朝鮮人の問題も、今回の子供の権利条約を日本が批准しましたことによって、今まで棚上げというよりも一つの課題になってきました人権の問題に関しても、いろんな意味で随分よくなるんじゃないかという感想を私は持つわけです。
 それで、日本と韓国、それから日本と朝鮮の間でもこの条約を日本が批准したことによって大変いい影響が出るんじゃないかというふうに思うんですが、私はまだ政治に余りいろんなことを知識として持っておりませんが、例えば日韓交渉なんかにもこういうことを批准したということはいい影響を与えるのでしょうか、どうなのでございましょうか。
○政府委員(福田博君) 一般的に申しまして、この条約については我が国内において賛意を表する人たちが多いということなので、国内法の整合性等について検討が進めば、それの批准について具体的な日程を決めていくということになると思いますが、日韓関係においてそれが効力を持つためには、大変法律的なお答えで恐縮ですが、韓国も加盟しないと効力を有しないということでございます。
○肥田美代子君 そうしますと、例えば韓国が加盟しなければこのことに関してはいい影響はないというお考えを今伺ったんですが、ただ、これまでの民族の差別ということについて、確かにこの条約は随分新しい方向を我々日本人に知らせてくれると思うんですが、そんなふうにはお考えでしょうか。
○政府委員(福田博君) 今私が申し上げたことで若干誤解を招くと申しわけないので申し上げたいと思いますが、法律的な権利義務関係という意味で効力を生ずるためには、日本も韓国も加入しなければ日本と韓国の間では効果を持たないということでございまして、もちろん日本がこの多数国間条約に加盟すれば国内法もそれに整合された形になって初めて加入という話が起こるわけでございますから、日本の法体系あるいは物の考え方というものはその時点で既に条約の趣旨に合ったものになるわけでございますから、その限りにおいては、いかなる国との関係あるいはいかなる子供との関係でもいい影響をもたらすということはあると思います。
○肥田美代子君 最後に大臣にお伺いしますが、権利宣言以後三十年の経過を見てみますと、子供の権利条約に関してまだ日本は消極的態度であるような感想を私は今持ちました。それで、大臣のお耳にも入っていると思うんですが、来年は国連が子供サミットを開催しようと計画しているらしいですね。この問題は、どうして子供サミットを開催しようと計画したかという一番根本的な精神は、政治の最優先に子供の問題を置こうということらしくて、私はこの考えに大変感動いたしました。
 二十一世紀を担う子供をどんな子供にするかということは、我々大人にとって忘れてはならないというよりも毎日毎日考えなければならない問題でございまして、政府としては一日も早く国会に対して批准を求めていただきたいなと思うのです。例えば来年子供サミットに日本の代表が出席なさることになって、私は大変希望的なことを申し上げるのですが、そのときに条約を批准した立場で日本がそこに出席していくとなるとこれはもう大変日本にとっては明るいイメージで、世界に開かれた日本という認識を世界じゅうが持ってくれるんじゃないかという気がしますのですが、大臣の御意見を伺わせてください。
○国務大臣(中山太郎君) 先にちょっと政府委員から説明させます。
○政府委員(遠藤實君) 来年の子供サミットのことを先生がおっしゃいましたので、この子供サミットでございますけれども、明年の九月ニューヨークで開催するという方向で、ユニセフあるいは若干の国のイニシアチブで検討がなされているということは承知いたしております。我が国についてはまだ招待状というのは来ておりません。
 ただ、十二月十八日にユニセフの特別執行理事会がございますので、ここで恐らくこの問題が取り上げられることになるんだろうというふうに考えております。したがいまして、その議論も勘案して我が国の参加ということについて鋭意検討していくことになろうかというふうに考えております。
 他方、この条約の批准の問題でございますが、大臣から申しましたように、趣旨にはもちろん賛成しているわけでございますが、具体的にこの批准ということになりますと、国内法令との整合性その他を確保する作業というものにやはり物理的に相当の時間を要するということは事実でございまして、そういったことで今私どもが常識的に考えますと、仮に来年子供サミットが開かれた場合に、それに間に合うようにというのはちょっと難しいのではないかなというふうに考えております。
○国務大臣(中山太郎君) 今国連局長がお答え申し上げましたように、関係国内法のすり合わせをするとか国会の手続等もございます。外務委員会だけでどんどん片づけられるものでございましたらお願いをして特別に進めていただくということも可能かと思いますけれども、そういうふうな外務省以外の政府の関係省庁との問題がございますので、大臣といたしましては先生の御意見を尊重して、子供サミットが開かれる時点でこの条約が批准できていなくてもそこにメッセージを送って、いつごろまでにこの条約は日本の国会において批准されるということのメッセージを送りたい、このように考えております。
○肥田美代子君 大臣、この質問させていただいて大変ありがたく思っております。
 次の質問に参らせていただきます。
 先日、私たち社会党外務部会はJICAの研修センターなどを視察させていただきました。その節には皆さんに大変お世話になりました。
 私たちはODAの必要性は十分承知しておりますので、そのためにJICAを見学させていただいたんです。しかし、今までのODAの使い方とか援助のあり方にはかなり批判の声も多かったように思います。その批判の原因は、私が考えますには受ける方の人の問題、それから援助する方の人の問題じゃないかという気がしました。
 我が国の経済援助は、一九五四年のコロンボ計画から始まりまして、年々ずんずん大きくなってまいりまして、今や大きな大きな木になっておりますが、その根っこがどうなのかなということを考えますと、どうでございましょう、大臣はこの大きな木の根っこがしっかりしているとお考えでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 今先生御指摘のように、一九五四年に初めてコロンボ計画ができまして、日本の協力もだんだんとその枠を広げ、経済成長に見合って日本のODAは大きくなっていった。拠出額にすると恐らく今年度は世界一になろうかということでございます。
 先生御指摘のように、相手国政府の対応ぶり、こういうものが日本政府の官僚機構のようにうまくいってない場合が実はございます。そういう場合に、せっかくセットいたしましたものでも結果的にスムーズに運用されていないという問題もございますので、私はしっかりしているとはっきり申し上げておきますけれども、これは膨大な案件でございますから、幾つかの問題については十分今後チェックしなきゃいかぬ、こういうふうに実は認識をいたしております。
○肥田美代子君 政府委員の方にお伺いしたいんですが、我が国のODA予算とそれにかかわっている援助担当官ですが、ODA予算を援助担当官の数で割りますとどのくらいになりますでしょうか。それから、JICAの予算を担当官の数で割った金額も教えていただきたいんですが。
○説明員(茂田宏君) 日本の援助実施要員、これはいろんな角度からとらえられるわけですけれども、外務省、JICA、OECFその他関係省庁をまとめますと約千六百人でございます。援助実績を言いますと、一九八七年の援助実績が七十四・五四億ドル、八八年の実績が九十一・三四億ドルでございます。この日本の援助のうち、世銀等の多数国間の機関を使っているものを除きまして二国間の援助の実績額をとりますと、八七年が五十二・四八億ドル、八八年が六十四・二二億ドルになります。これを先ほど申し上げました千六百人で割りますと、一九八七年に関しましては一人当たり三百二十八万ドルです。一九八八年が約四百万ドルということになります。
 それで、八九年の予算ですけれども、予算の額を援助に携わっている人員で割った場合の一人当たりというのが五百五十万ドルになります。JICAの予算額は、これは平成元年度予算ですけれども、千二百三十八億円でございまして、定員が九百九十六名でございますから、これで割りますと一人当たり約一・二億円でございます。
○肥田美代子君 今お答えいただきましたように、一人当たり四百万ドルもの金額を取り扱うことになりますと、その担当官の御苦労というのは大変なものだと私は思います。その数少ない担当官の方々が本当にその金額を消化するのにひたすら一生懸命になっておられて、援助の現場にまで目が届かないんじゃないかという気が私はするんです。そのあたりに経済援助のあり方の一つの問題点があるんじゃないかという気がいたします。
 それで、ODAは民間企業が携わっていて成り立つという意見もございますが、相手国からの要請主義という名のもとに援助を行っているということを私は勉強させていただいておりましたが、去る十一月十二日にNHKで「ODA追跡リポート・だれのための肥料援助」というのを見たんですが、あのリポートを見る限り、これでODAはいいのかな、民間企業の利益のためにだけあるんじゃないかなという印象を私は受けました。ただ、これは見る人の見る角度によって随分見解は違うと思いますが、大臣はこのことについてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 実は私もあのテレビを見ておりまして、外交の責任を預かる者として大変大きなショックを受けました。
 直ちに経済協力局長を呼びつけまして、こういうテレビが放映されて、国民の皆様方がODAについて一体どういうふうな印象を持たれるかということは外務省として放置できないと言いましたら、実は三十分の発言に対して中から一分半だけ放映されている。経済協力局長は三十分間テレビの取材に応じた。しかし放映されたのはその中の一分三十秒であったと。つまり、国民に対する誤解を与えたということで、私は大変残念に思っております。
 それで、私はその後、ODAの重要性、これを国民の皆様に御理解をいただかないと、これから外務省としてODAを進めていくということについては十分な御支援をいただけない場合のことを考えまして、ただいまODAの実際の姿をわかりやすく国民の皆様方に御理解をいただくように格段の指示をいたしている最中でございます。
○肥田美代子君 今おっしゃったことはよくわかりました。
 私はこの間そのテレビを見ておりまして、一つの見解ではあるが、あと一つの見解というのをちょっと疑問を持ちましてそのことを伺ったんですが、ただ、ODAに関しては、例えば子供に対してもある程度ODAに関してどうなのかという教育をして透明な部分というのをある程度つくらないと、これはどんどんどんどんODAについて国民の不信が高まるんじゃないかという気がいたしました。
 結局、今ODAがどんどんどんどん転がるように予算の額は高くなっているんですが、どうも国民の意識がついていかない。それから、ODAに関する教育というとおかしいですけれども、子供たちにもそれをある程度知らせていって、子供たちが将来ODAに関してどういうことを考えるかということについても、私はある程度の教育は必要だと考えております。
 それで、今回の問題なんですが、携わる人員が少な過ぎて結局企業に頼らざるを得ないということについては、大臣はどうお考えですか。
○説明員(茂田宏君) 日本のODAの実施体制が不十分であるという御指摘は、これは我々もそういう問題点があるということは認識しております。ただ、我々が単に予算の消化に追われてそれ以外のことをやっていないということではありませんで、我々は、国民の貴重な税金からのお金でございますから、全力を挙げて有劾、効果的に使われるように努力をしておるということでございます。
 それから、商社の役割に関しまして、商社等が先方の政府との間に案件発掘等の形で接触をしている、そういう場合があるということは我々も承知しております。しかし、我々が案件の採択等を行います場合には、先方政府と十分な話し合いを行いまして、そのプロジェクトが相手国の経済発展のためにどういう意味合いがあるかということを十分に考えた上でやっているつもりでございます。
 それから、先生御質問の開発教育の問題ですけれども、これは大変重要な問題でして、今後我々も文部省等と協力しながら進めていきたいというふうに考えております。
○肥田美代子君 時間が迫ってまいりました。一番聞きたいことをお尋ねしなくてはいけませんので、お願いします。
 JICAでは昨年度及び本年度定員増を要求なさったんですが、実際の数と要求数、それから増員数について簡単にお願いします。
○説明員(茂田宏君) 平成元年度は四十三名要求しまして十六名増でございます。
○肥田美代子君 それでは伺いますが、要求数と実数とはかなり差が開いておりますが、これはもう少し増員を認める必要があるとはお思いにならないでしょうか。
○説明員(茂田宏君) 我々は増員を認めていただきたいと思っております。
○肥田美代子君 最後に、外務大臣にお尋ねいたしますが、来年の予算に九十一人の増員をJICAの方では希望しておりますが、このあたりどこまで希望がかなえられるのでしょうか。予算に見合う増員というのが私は大変必要だと思いますので、大臣がこれから増員をなさっていこうというお考えかどうかについて最後にお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) ODAを行っていく途次で、それに当たる人たちが十分満たされていないということは、結局この事業を遂行するのにいろいろな問題が起こってくる可能性がございます。そういう意味で、全力を挙げてこの増員枠の確保のために努力をいたしたい、このように考えております。
 実は、私は昨日、大阪の茨木にJICAのトレーニングセンターがございまして、そちらも視察してまいりました。できるだけこのJICAの内容がさらに充実していくように努力をいたすことを、この機会に申し上げておきたいと思います。
○肥田美代子君 ありがとうございました。
 質問を終わります。
○中西珠子君 私がお聞き申し上げたいと思っていたことは大体においてもう同僚議員がお聞きになりまして、お聞きすることがなくなったような感じもいたしますが、やはり東欧の変革という歴史的な東西ドイツを分断しておりました「ベルリンの壁」が崩壊するというふうなことが起こりまして、それに象徴される東欧における民主化の波、これはもう本当に怒濤のごとくと言ってもいいような感じがいたします。
 これにつきまして、けさほどもございましたが、矢田部委員から、ブッシュ大統領は、これは囲い込み戦略の成功であるというふうに言っているらしいということでブッシュ大統領の講演の一句を引用なさったわけでございますが、一方、マルタ会談後のブッシュ・ゴルバチョフ共同会見の席上におきましては、ゴルバチョフは、東欧における変革は歴史的な必然である、自国の運命というものは自国の国民が決定するべきものであるというふうな考えを表明いたしまして、東欧改革への不介入の姿勢を鮮明にしたと言えるのではないかと思うのでございますが、中山外務大臣はこの東欧の動きというものをどのように評価なさっておりますか、それをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 現在の東欧の変化というものは恐らく一年前はだれも予想し得なかったことであろうと思います。そういう中で、ゴルバチョフ議長の大変強い指導力、そして新思考による外交、こういう考え方の中で東欧における各国の国民たちが立ち上がっていったという姿ではないか、そういうふうに認識をいたしておりまして、このような大きな歴史的な変革というものが究極には東西両陣営の融和、緊張緩和からさらに融和していく、そして国際社会が平和な方向にさらに歩みを進めるというきっかけになれば大変幸せであろうというふうに考えております。
○中西珠子君 アルシュ・サミットでポーランド、ハンガリーの東欧二国に対する援助というものにつきましてとにかく関係国会議を開こうと、EC諸国、それから日、米、スイス、スウェーデンといったような欧州自由貿易連合のメンバー、そういったものが会議を開こうということになったそうでございまして、十一月にも開かれ、その後も開かれておるらしいのですが、その会議におきまして主要な国々はどのような援助を東欧に対してやろうということを打ち出したのでしょうか。少し細かいことになりますが、新聞報道ではよくわかりませんので、よろしくお願いいたします。
○政府委員(都甲岳洋君) お答え申し上げます。
 アルシュ・サミット以来ポーランド、ハンガリーで起こっている民主化及び市場経済を中心とする経済改革の動きにつきまして、これが成功することは自由、民主主義それから市場経済という共通の価値が強まることであるということでこれは歴史的な機会であるのでこの改革をぜひ成功させたい、それを成功させることが東西関係、ひいては世界情勢の安定に役立つものであるという認識に立ちまして、先進七カ国が非常に強い支援の態度を示したわけでございます。
 そういうことで、先進七カ国の要請を受けまして、ECの事務局がOECD加盟二十四カ国を糾合いたしまして、現在まで八月一日、九月二十六日、十一月二十四日と三回の会議を開催いたしました。その中で、これらの二国に対する支援の形態といたしまして、次の三つの分野での合意がなされました。
 一つは、まずポーランドに対する緊急食糧援助でございます。これは、ポーランド政権が安定的に推移するために、まず農産物価格自由化を中心とする農業分野での混乱、それに起因する食糧の不足というものを回避する必要があるということで三億ドルを上回る各国の支援が今約束され、順次実施されている状況でございます。
 それから第二の分野は、ポーランド、ハンガリーにおきまして、市場経済に移行するに際しまして、市場経済の具体的な仕組みをよく理解させる必要があるということでマネジメント協力、例えば銀行の仕組みをどうするか、品質管理をどうするかというような問題について、経営陣の中核となる人たちを養成していく必要があるということでのマネジメント協力、あるいはこれらの国々に深刻な問題になっております環境の改善についての協力という分野での協力が合意されております。
 それから、第三番目の分野といたしまして話題になりましたのは、これらの国がIMFとの構造調整についての合意をすることを条件に、これらの国にさらに財政援助を与えて経済基盤を強化する必要があるということが合意されたわけでございます。
 特に第三番目の分野につきましては、当面ハンガリーが交換レートを統一しようというふうに考えておりまして、そのための通貨安定化基金の十億ドルを設定してそれを支援しようということになりました。
 こういう三つの分野について各国がそれぞれの協力の姿勢を示してきたわけでございますけれども、我が国といたしましてもアルシュ・サミットで応分の協力をするということを表明して以来、政府部内で具体的に各分野についてどういうことができるか、今まで鋭意検討してまいりました。その結果、十一月の二十四日の会議におきまして、とりあえず安定化基金の十億ドルに対する支援といたしまして、一・五億ドルの低利による商品借款を行うということを表明いたしまして、これは非常に高く日本の貢献が評価された次第でございます。
 それから、日本といたしましては、この緊急食糧援助及びマネジメント協力、環境協力の分野についても目下具体的な支援施策につきまして関係省庁と調整を行っているという段階でございます。
○中西珠子君 この会議に参加した開発援助における先進国と言われる国々の中で東欧、殊にハンガリー、ポーランドに対して援助をすることがどうかなという意思表示をした国もあったというふうに聞いておりますが、そういうことはないんですか。
○政府委員(都甲岳洋君) これらの国に対して援助をすべきだということについては二十四カ国皆共通した考えを持っております。ただ、その際には、いろいろな見地から配慮しなければならないという議論は行われました。
 例えば食糧援助をやるときに、これらの国の農民に混乱をもたらしてはいけないので、市場価格で売って見返り基金をつくって農業構造改革に支援を与えるべきだとか、それから財政支援につきましても、七〇年代にこれらの国に各国が借款を与えたことが結局経済改革につながらないで膨大な借金として残ってしまった。その過ちを繰り返してはいけないので、これらの国が厳しい国内経済改革を進めるに当たって見通しを立てることをまず要求すべきだとか、いろいろな議論がなされたことは確かでございます。しかし全体として、これらの国の支援をすべきだということについては共通の強い政治的な意思がございました。
○中西珠子君 ポーランドとハンガリーなどは、いわゆるOECDのDACの途上国リストには入っていないわけですね。ですから、そういう意味からいって、アジア、アフリカの本当に貧しい飢餓に苦しむような国々に対する援助とは違う援助であると思うんです。そういった意味から反対した国もあったということをお聞きしているわけですけれども、とにかく全部援助は必要だということで賛成なさったということでございますが、援助の条件というものはやはりおつけになったわけでしょう。どういう条件をおつけになったんですか。
○政府委員(都甲岳洋君) 例えば今回日本政府が支援を表明いたしました低利の商品借款につきましては、IMFとの構造改革についての合意が成立することを条件にということを付しております。各国ともそういう意味では、ポーランド、ハンガリーがきちっとした経済政策をとって、その経済改革が成功するという見通しを立てた上で援助を与えなければ、またむだになってしまうという考えがございまして、これは各国共通の認識になっております。そういう観点からの条件が付されているということはございます。
○中西珠子君 ということは、ポーランドとハンガリーが自由主義体制の市場経済原理を導入する、こういうことが一つの条件になっているということですね。それから、自由な選挙を行うとか、そのほか複数の政党制をとるとか、そういったことが条件になっているわけですね。
○政府委員(都甲岳洋君) 本件につきましては、先日のEC首脳会議の場で共通の認識が示されたことは一つの参考になると思いますけれども、そのときにECの首脳が示した条件としましては、人権の問題が尊重されること、自由選挙が行われること、そして民主主義の価値が強まることということを条件にし、それから、市場経済へ向けての改革が行われることということを条件にしていたと思います。それが各国のいわば共通認識になっているということはございます。
○中西珠子君 今回はハンガリーとポーランドだけでございますが、ルーマニアを除きますとほとんどの東欧諸国が民主化という方にもう急激なスピードで動き始めている情勢らしいというわけでございますが、そういった国々に対してもやはりこれからECを中心とした自由主義諸国、西側の方が援助をするということになっているわけですか。
○政府委員(都甲岳洋君) 当面、ECの指導のもとにおけるOECDの二十四カ国の支援についての目標は、ポーランド、ハンガリーでございます。
 もちろん、最近の情勢でチェコ、東独等においても急速な改革の動きができておりますけれども、これらの国についてどうするかというのは、今後の検討課題でございまして、そういうことを念頭に入れてかと思いますけれども、EC首脳会談では東欧に対する開発近代化銀行というようなものを設定しようという案がミッテラン大統領から提案されて、これには約百億ドルの資金を充てるということを考えているようでございますけれども、今後検討課題になっていくというふうに承知しております。それは、このような東欧における改革についてポーランド、ハンガリーの枠を超えて将来支援をする必要があるのではないかということを念頭に置いての提案だというふうに承知しております。
○中西珠子君 そうすると、ポーランドとハンガリーに対する通貨安定化基金というのは、これはもう既に決まっているし、日本も約束をしているということですね。それから、これはアメリカのブッシュ大統領が提案したということですね。
○政府委員(都甲岳洋君) 本件につきましては、ポーランド政府側から、まず経済改革の手始めとして通貨安定をする必要がある、そのために単一の為替レートを設定する必要がある、そのための基金として十億ドルが必要だという要請が参りまして、それにこたえてブッシュ大統領が各国に呼びかけたという経緯があったと承知しております。
○中西珠子君 フランスの大統領のミッテランさんが提唱した東欧開発近代化銀行というのは、これはハンガリー、ポーランドに限らず東ドイツその他も対象にしているわけですね。でも、これはまだ緒についてないわけでしょう。
○政府委員(都甲岳洋君) この銀行設立につきましては、ミッテラン大統領が提案をして、まずECの枠内で十分議論をしようということになっております。
 これにつきましては、欧州投資銀行というのがございまして、これが既に東欧に若干の投資をしているというようなこともございまして、それとの重複があるのではないかとか、あるいは中にはECの中の低開発に属する国、そういうところに資金が流れているということに対して懸念を表明しているというようなことも伺っておりますし、今後ECの中でどのように意見の調整が行われるか、まだ注目をしていく必要があるというふうに考えております。
○中西珠子君 私は、ハンガリー、ポーランドに対して援助をしてはいけないと思っているんじゃないんですよ。やっぱり民主化の努力をしている国に対して、今食糧がないのならば食糧の援助もしなくちゃいけないし、そのほか必要な援助はしなくちゃいけないと思っているのでございますが、そのポーランドとハンガリーへの援助の資金、それが一体どこから出るのか、ODA予算からということらしいんですね。もちろん、OECFの方から一・五億ドルですか、これは商品借款とするというふうなことで、そのほかマネジメントの研修、それから環境関係、こういったものでの技術協力ということもなさるわけですが、一応ODA予算というのは本当に開発途上にあるもっと発達レベルの低い国々を対象にしている予算ではないか、こう考えますし、けさほどの御説明で、OECFをガバーンしている法律の中ではポーランドやハンガリーを途上国と考えても一向差し支えないと考えたという御説明がございましたけれども、やはりポーランドやハンガリーの動き、また東欧の民主化の動き、それに対する援助の手を差し伸べるかどうかということは、これは行政の自由裁量ですべてお決めになるということの方がどうも外交上はいいとお考えなんだと思いますけれども、もう少し国会で議論があってしかるべきではないか。
 アメリカの国会へポーランドの連帯のワレサが来て演説をしたんですね、その演説がまたすばらしかったらしいのです。日本もその演説をしてもらわなきゃだめだと言っているわけじゃないんですよ。きのう私のところに民主党の女性の国会議員から手紙が来たのですが、すごい演説だった、大変ムービングな演説であったと。国会は上下両院とももうはち切れぬほどの満場の拍手の中でワレサの演説が終わり、そして五億二千三百万ドルをポーランドとハンガリーの援助のために支出することを了承した、こう書いてあるわけですね。
 我々は、少しでもお役に立とうと思っても、援助の中身はちっとも知らされない、そしてポーランド、ハンガリーに対して援助するなんてとんでもないわという私の友達もあるんです。私自身も行ってみましたけれども、近代建築ばかりでなく、古い昔の歴史的な発展を物語るような石造のがっしりしたすばらしい建物がたくさんまだ残っておりますよね。そして、社会資本だって、日本の下水道の普及率はまだ四〇%そこそこですが、あっちの国々はもっとちゃんとそういったものも昔からできている。そういったことで、日本の土地問題、住宅問題で悩んでいて、一生かかってもまじめに働くサラリーマンには東京近辺で家も買えないという状況の中で、あんなポーランド、ハンガリーなんかに何で援助しなくちゃいけないのと言って怒っている私の友達がたくさんいるんです。
 また、新聞の論調を見ましても、読売新聞なんかも西側の中に取り込もうとする戦略援助だというふうなことを言っているわけですね。戦略援助は気をつけてやらなくちゃいかぬということを言っておりますし、朝日の社説なんかでも、もし援助をするとすればむしろODAの予算から出さないで、ODA予算から出すとやはり本当に困っている途上国が文句を言うということにもなりかねない、それよりもむしろ今軍縮の傾向にあるんだから、軍縮ということで軍事費、防衛費を削減したその中から東欧の援助をやったらどうか、こういうふうに言う人たちもいるわけです。
 ODAの予算というものは、これは国民の税金である。OECFの予算だって、交付金も出資金もみんな国民の税金で一般会計から出ていますね。そういうふうに国民の税金を使うというODAについては、やはり国会で議論をしていただくとか、もう少し国民への理解を深めるように、先ほども中山大臣は、国民への理解を深めるようにもっとやらなくちゃいけないと思っているとおっしゃいましたけれども、ODAなんてやる必要はないんだという世論が出てきたらどうするかということがありますね。
 ですから、国会に予算をお出しになるときに、無償資金協力、有償資金協力、技術協力、食糧増産援助、それから食糧援助、それから国際機関への拠出金というふうなそういう枠組みだけでODA予算を通してしまって、あとは全部行政の自由裁量に任せた方がいいというお考えがいつまで続くであろうかということを私はちょっと懸念するわけでございます。国民から信託を受けた国会にある程度はお諮りいただいて、毎年ふえていくODA予算をどういうことに使うかということにつきまして、やはり国会の審議というものにもう少しかけていただけないであろうかと考えるわけでございますが、大臣、いかがでございましょう。
○説明員(茂田宏君) 私から二点お答えしたいと思います。
 一つは、ポーランドを開発途上国とみなすことについて中西先生の方から御異論が提起されましたけれども、私けさほども申し上げましたように、ポーランドの一人当たりの国民所得は千九百二十ドルなんです。確かにポーランドは、過去のストックがあるという意味で町並み等は立派なものがありますけれども、困窮の度合いというものについては、我々が町並みを見て想像する以上のものがあるのではないかと思います。
 これはひとり日本がそう考えているだけではありませんで、ポーランド自身もみずからを開発途上国であるというふうに言っておりますし、西側の諸国の中にもポーランドをDACのODA対象国のリストに掲上すべきではないかという議論もございますけれども、これはまだ結論が出ているわけではありません。そういうことで、東欧支援の問題を経済協力基金ないしはJICAの問題として考えるということについては、私はそれなりの正当性があるのじゃないかというふうに思います。
 それから第二点、国会との関係でございますけれども、予算については国会で承認をいただいており、その予算を国会承認していただいたからその後はもう自由にやっているのではないかということでございますが、いろんな委員会等で、ODAのプロジェクトに関しても、やり方に関してもいろんな御質問等がございまして、我々そういう質問にはできるだけ答えてきたつもりでございます。
 それから、国民の理解を得なければならないということは、先ほど大臣の答弁にもありましたけれども、これは大変必要なことでして、外務省としては毎年、若干厚ぼったいんですけれども、ODA白書というものを出して、各国にどれくらいのことをやっているのか、どういうプロジェクトをやっているのかということをできる限り明らかにしてきたつもりでございます。
○中西珠子君 今おっしゃっていることは、ODA予算の内容は知らしむべからずよらしむべしということをおっしゃっているんだと思うんですよ。聞かれればちょっと言うけれども、これ以上は言えないよという調子で、知らしむべからずよらしむべしというのは昔から日本の伝統的なお上のやり方ということらしいですね。やっぱり行政府と立法府との関係の問題になってきますけれども、もう少しこの問題については柔軟な態度、情報の公開、そしてまた、決定の前に国会でもう少し審議するということをやっていただきませんと、よくもまあ日本の国会はあんな状況でODA予算を通しているねといろんな国の人に言われていることを付言いたしておきます。
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御意見は十分拝聴させていただきました。大変重要なお話だと思っておりまして、やはりODAの仕組みが非常にわかりにくい、非常に専門的に構成されておりまして、一般の国民の方々はODAといっても一体どういう仕組みかということがなかなかわかりにくい。そういう点も含めて国民の皆様方に御理解のいただきやすいような方法を私どもただいま開発中でございます。私、特に命じましてただいま作業を進めておりますので、近く御報告ができると思っております。
○中西珠子君 高齢化社会に向かいまして、経済大国日本と言われながら、国民は豊かな感じを持たないで日々の生活を送っているわけでございます。その中で社会資本のおくれも非常にあるし年金だって少ないし、長時間労働もありますということで本当に何かゆとりのない生活をしているのに、何でODAでよその国を助けなくちゃいけないんだと。我々は敗戦の瓦れきの中から本当に一生懸命働いてやってきたじゃないか。もちろんIMFからお金をもらったり、アメリカからの援助もあったりしたことは覚えているけれども、しかしそれをちゃんとうまく使って日本人はやってきたじゃないか。それなのに、いつまでもいつまでも援助が欲しい、援助が欲しいと思っている国の人たちはだらしがないんじゃないかと、こういう気持ちの国民も随分いるんです。
 ですから、これはやはりきちっとした理念、きちっとした原則というものをお出しいただいて、国民に本当によくわかるような啓発、宣伝をやっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御発言の御趣旨は全く同感でございます。実は、土曜日に一日外務省を岐阜市で行いました。その節もODA問題についても触れましたけれども、新幹線の建設費の一部は世銀から借り入れをいたしておりまして、まだ返済が完済しておりません。世界で一番の債権国になったわけでございますけれども、明年度で完済いたすというようなことでございまして、こういうことも含めて広く国民の皆様方に御理解いただくように努力をしなければならない、このように考えております。
○中西珠子君 よろしくお願いいたします。
 私がもう一つお伺いしたいのは、西独のコール首相がドイツ再統一を目標とする三段階構想というのを発表いたしました。これにつきましては、ゴルバチョフもブッシュも余り好感を持って見ていないらしくて、歴史に逆行しないような形で国境をなんて言っておりますけれども、この発言について中山外務大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
 やはり民族意識というものがあるでしょうから、無理に分割しておくのもいつまで続くかということで非常に大きな疑問でもあるし、また、一緒にしてしまうと大変ドイツが強くなり過ぎてしまって脅威であるということもある。いろいろ難しい問題だと思うのでございますが、いかがなものでございますか、外務省の受け取り方は。
○政府委員(都甲岳洋君) 現在進んでおりますソ連のペレストロイカ及び東欧の民主化の動きという中におきまして、東西関係が新しい秩序に向けて動き出しているということは事実でございます。ですから、そういうことを背景に東西両ドイツの統一問題というのが急速にヨーロッパの中で議題に上ってきているということは、これまた避けがたい事実だろうと思います。こういう中でコール首相といたしましては、もともとドイツ基本法の中に再統一ということは明確に規定されておりますので、それを念頭に置きつつ、再統一に向けての具体的な両独間の協力の姿を示すということでこの十項目の提案をしたというふうに私どもは理解しております。
 結局この問題は、どういうふうに進むかというのは基本的には東西両ドイツが決めていく問題であろうと思いますし、各国ともそういう形でドイツ国民が自決権を持っているその範囲で処理していく問題だという意味においては理解があるわけでございます。
 他方、ドイツ統一問題につきましては、欧州情勢の中で複雑な要因が絡んでいるということもまた事実でございますので、欧州の安定、平和を乱さない中においてこの問題が解決されるべきだろうということを言っておりますし、ゴルバチョフ書記長はヘルシンキ合意の枠組みの中でということを言っておりますし、ブッシュ大統領も、EC統合あるいはNATOの一員としてのドイツということを前提として、今後の欧州の安定的な発展の中でこの問題は解決されていくべきであるという認識を示しております。
 そういう意味で、非常に同情はありながら、やはり基本的にはそういう欧州の安定を乱さない形での統一が実現することが望ましいということが各国の示している認識であろうというふうに思っております。
○中西珠子君 確かに、西ドイツのボンにあります国会に行きますと、まるで体育館のようなものですね。もと学校の体育館を改造したもので、いつかは東西両ドイツは統一するのだから、当分の間はこれでいいんだ、こういう説明をつい最近もされたわけでございます。東西両ドイツの国民はイデオロギーを超えてやっぱり民族意識というものがあるんだから、そしてまた民族自決という原理を主張した場合は、これはどこの国もとめることができないということもあるわけです。
 ですから、大変これは難しい問題で、おっしゃるとおりに、欧州の安定と平和という観点からやはり各国が見守ってやらなければならない、また支援もしなきゃいけない、阻止をすることはできないのではないか。遠い将来においてはそういうことになるのではないかという気もいたしますが、それにいたしましても、やっぱりNATOとワルシャワ条約機構というものは今の形のままではもう存続しないのではないか。非常に変わった政治的な機構もしくは社会経済的な機構というふうな形になって存続していくかもしれない。しかし、今の状態のままでは存続しなくなるのではないかと思うのですが、いかがなものでございましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) ワルシャワ条約機構とNATOとの関係が将来どのように変化をするであろうかという先生のお尋ねでございます。
 先般来の米ソ首脳会談等の話から私どもがうかがい知ることは、やはり現在の軍事条約機構というものから将来は政治的な機構に変わる可能性というものは十分あるだろうと考えております。
○中西珠子君 それから、その関連でございますが、ココムに対する緩和というものも動きとしては既に出つつあるのではないでしょうか。どうでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) 現在東西関係は動いておりますけれども、やはりその中におきまして東西の経済交流については当面まだ安全保障の観点からの協調は必要であるというのが共通の認識でございます。そういう意味で、ココムの合意の枠組みの中で現実に合わなくなった点については改めるけれども、しかしその合意された枠内においてはむしろ壁を高くして、それを厳格に守っていくための措置をとるべきだという合意もまた他方なされております。
 そういうことで合理化はしながらも、しかし現在の段階における東西関係の推移においては、この申し合わせに従って各国とも厳格にこれを守っていくべきであるという共通認識はまだ存在しているという状況だと、私は確信しております。
○中西珠子君 ゴルバチョフは、新思考外交ということも言っているけれども、「欧州共通の家」構想というものを出しておりますね。これにつきましては外務大臣はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(中山太郎君) これは標語のような扱いになっておりますけれども、別に定義というものはないのだろうと思います。つまり、ヨーロッパのそれぞれの国々の人たちがヨーロッパを全体として考える、ヨーロッパは一つの大きな大陸でありますから、そういう意味でこういうふうな表現が使われているものと理解をいたしております。
○中西珠子君 東欧の変革をECが主導して、そして欧州の西半分が非常にリーダーシップをとって欧州の統合という方向にどんどんいってしまっては困るというゴルバチョフさんの懸念というものがあって、いや、欧州は西ばかりであるんじゃなくて東の方もみんな一つになった共通の家という考え方を出してきて、一種の牽制というか、願望というか、そういう含みもあるのではないでしょうか。いかがでしょうか。
○政府委員(都甲岳洋君) 現在欧州で起こっておりますことは、やはり東西の枠組みを超えての大きな経済的な変革を基礎としての動きであるというふうに私どもは認識しております。そういう意味では、一九八五年以来ECが一九九二年を目標として具体的な統合の目標を立てたということと、ゴルバチョフ書記長がくしくもその年に登場しているということは、その共通の基盤としてやはりそういう経済問題が基礎にあるという気がいたします。
 そういう意味では、統合の動きは今後強まると思いますし、それに従ってEFTAが結束を固め、あるいは中にはオーストリアのようにECに加盟したいということを言っておりますし、それからハンガリー、ポーランド等も改革を進めるに当たって徐々にEFTAとの関係を強め、将来はECに入りたいということも言っております。それからゴルバチョフも、そういう意味では西側と共通の基盤に立って経済交流を進めたいと言っております。
 そういう形で、欧州全体として一つの共通の経済基盤が将来形成されていくという方向にある。これがゴルバチョフが言っている「欧州の共通の家」のいわば共通の土台になり得る一つの要素であるということは十分に考えられると思います。
○中西珠子君 とにかく、非常なスピードで進んでいる欧州における変革、またその経済的な流れといったもの、またつい最近マルタでありました米ソ首脳会談、この米ソ首脳会談は、それこそこれまでの冷戦構造に決別する新しい歴史のページを開いたものだなんということも言われているぐらい大きな歴史的意義があるものとは思いますし、また新たなる一ページを開いたんですから新たなる努力を米ソ両国がやっていくということもはっきりとしております。殊に、核軍縮の問題また通常兵器の削減の問題、こういった問題は、もう来年の六月、それから再来年の政治日程に条約調印というものが上っているほどはっきりと言明しているわけですね。
 こういう軍縮の動きというものが世界じゅうの潮流としてあるときに、日本の防衛費の概算要求は四兆円をことし初めて超すというふうなことが新聞報道にありますけれども、これは今までどおりこの世界の軍縮の流れというものに逆らって、政府の言葉で言うと、やはり日本としては防衛計画に基づいて軍備を着々とやっていかなくちゃいけない、こういうことなんですか。いつまでも毎年伸ばしていかなきゃいけないということなんですか。
○説明員(萩次郎君) 今先生お尋ねありましたように、現在の防衛力整備は、昭和五十一年に平和時の基盤的防衛力ということで、独立国としては最低限これだけは必要だということでつくられました防衛計画の大綱、その大綱の水準をほぼ達成したいということで中期防を作成いたしまして、その最終年度ということで来年度の防衛予算を現在お願いをしている最中でございます。
 現在ヨーロッパで起きております事態と我が国の防衛予算との関係でございますが、私ども考えておりますのは、現在ヨーロッパで起きております大きな変革、これは大変好ましい方向ではあるとは思いますが、軍事的側面から見ますと、冷戦構造が終わりつつあるとは言われておりますが、力の均衡というものが国際的な軍事体制をなくしてしまうものではない、依然として力の均衡が顕在しているというふうに私どもは認識をしております。
 このヨーロッパにおける動きがアジアにどういう影響があるかということは、まだしばらく時間をかけてみないとわからないわけでありますが、いずれにせよ冷戦構造がたとえ粛々と終わっていくといたしましても、過去四十年間それはそれなりに国際的な安定的な構造をもたらしてきたものでありますから、それが変更されるとすればかえって不安定な側面もないではないというふうに私どもは考えております。いずれにいたしましても、私どもといたしましては平和時における最低限の防衛力として防衛計画の大綱の水準、これだけは国際情勢のいかんにかかわらず達成させていただきたいというふうに考えております。
○中西珠子君 過去四年間連続でGNPの一%枠を突破しているわけですね、今度の九〇年度予算も入れまして。それで四兆円以上の防衛費を要求していらっしゃるということなんですけれども、米ソ両大国は国防費の削減をきちっと既にもう決定もしているということなんですね。日本だけがどうしてこれまでの計画に基づいてやはり防衛費を伸ばしていかなければいけないのか。そして一%突破ということで、総額明示方式で要るだけ使うんだというような調子でやっているわけです。軍備拡張の路線を日本だけがとっているというのは、やはりアジアのほかの国々からも、また西欧諸国そのほかの国々からも非難の目で見られるのではないか。
 冷戦構造はアジアでは終わっていないから、やはり軍備はやらなくちゃいけないんだということを今おっしゃいましたけれども、冷戦構造が日本を含むアジアでは終わっていない、そして軍縮はアジアではちっとも行われていないのだと。殊に海軍力の削減とか核兵器のアジア地域における削減とか、そういったことは一切触れられてはいないわけですし、アジアにはどういうことをするつもりだということが米ソ首脳会談の中身では全然取り上げられなかったという報道がありますけれども、もうじきお使いが来ましていろいろ大臣にお話があると思うのですが、やはりアジアにおける冷戦構造の終結、そしてアジアにおける軍縮、非核武装、またアジアの平和と安定のために、今こそ日本が日本外交としてイニシアチブをとってやっていただくべきときが来たんではないかと私は思うんです。
 もちろん、ソ連に対しては北方領土問題もあるし、平和条約だってまだ締結されていないし、いろいろ難しい懸案がたくさんございますから、アプローチの仕方も難しいかもしれません。しかし、ここでとにかく一大転換を日本でも図るべきときではないでしょうかと思うのでございます。特に、科学技術が世界を変えるということを提唱なさってもいますし、世界の安定と平和にも大いに積極的に貢献をなさるということをおっしゃっております中山外務大臣に私としては大いに期待しているわけでございますが、外務大臣、いかがでございましょう。
○国務大臣(中山太郎君) こういう何十年に一度というような国際政治の変化というものは、それなりに次の時代への新しい取り組みのいわゆる培地になるというふうに私は認識をいたしております。
 東ヨーロッパにおける変化も、ゴルバチョフ書記長の出された論文等を拝見しておりますと、戦後のいわゆる西側社会における科学技術の発展が今日のような西側の社会の繁栄をもたらしたというふうにも明確に述べられておる点から考えましても、やはりこれからの変化というものがどのように平和につながっていくのか。特にアジアにおいては、まだヨーロッパと比べると問題が余りにも多過ぎる。しかし、多過ぎるからこそ解決の方向へ我々は努力しなければならないというふうにも認識をいたしておりまして、幸い日ソの平和条約作業グループの会合が十二月十八、十九日に東京で行われます。それから来年の政治日程の中に、ソ連のシェワルナゼ外務大臣が東京へ来られる。その段階において、先般開かれました日ソの経済専門家会議は非常に内容の充実したものであったということを駐日ソロビヨフ大使から実は先般お話を承っております。このような一つの日ソ間の外交を進めていく中での明るい方向が今見出されようといたしております。
 一方では、朝鮮半島においても板門店において南北の会談が続行しておりますし、カンボジアの和平についてもいろんな国の外交責任者がそれぞれ動いております。例えばタイのチャチャイ首相とか、あるいはまた今年行われたフランスにおけるカンボジア和平会議の議長国であるインドネシアのアラタス議長、あるいはフランスの外務大臣等もこのカンボジア和平会議の次期開催をいつにするかということで、水面下でいろいろと外交チャネルを通じて作業が行われていると思っております。
 そういう中で、私どもはアジアに位置をいたしております国家として、この地域の安定、繁栄というものに対して、積極的に努力をしていかなければならないという考え方も私は持っておるつもりでございます。そういう意味で、カンボジア問題についていろいろと周辺国と協議をされておられるタイの首相、外務大臣とも年明け早々に会談を行って、来年におけるカンボジア和平をどうするのかという問題についても腹を割って話し合いをして、その後ヨーロッパにも訪問したいというふうに考えております。
○中西珠子君 今の中山大臣のお話を伺いまして大変心強く存じました。どうぞ頑張ってやっていただきたいと思います。
 と申しますのは、いろんな国の大学で国際政治を教えている教授、またビジネスマンで日本に長く滞在してここでビジネスをやっている人、また日本との取引のあるいろんな外国の人たちが言いますには、日本は経済大国になった、経済大国になったから日本はお金をあちこちにばらまいている。ODAでいろんなことをしてあげるということでお金をばらまいているばかりでなく、これは無償資金協力や借款のことを言っているんだと思いますけれども、とにかく日本企業があちらこちらの国々にどんどん投資をして、それも現地生産して投資をうまく効果的に回収するということであるのならばまだいいんだけれども、不動産投資をやってそこの国の人たちが大事だと思っていた例えばロックフェラーセンターとかコロンビア映画会社とかああいうふうなところとか、またパリでもシャンゼリゼの目抜きのところのビルだとか、そういうふうにそこの国の人たちが大事に思っていたものをばっと日本のお金で買ってしまう。日本はこういうお金をうんと世界にばらまくことによって経済大国日本になったからという一種のおごりが出てきてはいるけれども、お金をばらまくことによって国際政治の面でリーダーシップがとれるものではないのだということを、日本の人はよくわかっていただかないと困る。私は日本の友達なんだけれどもその点を大変憂えている、とにかく国際政治、外交の面でもっともっと日本がリーダーシップをとって、そしてアジアの安定と平和、また世界の安定と平和のために本当に貢献してもらいたい、こういうことをいろんな外国人の友達から言われるんですね。
 中山外務大臣は本当に国際的な面でずっと御活躍にもなっていたし、広い視野も、また将来の洞察力もお持ちだと思いますので、大いに中山外務大臣に御期待申し上げたいと思っておりますので、その点はよろしくお願いしたいと思います。
 それから、軍縮の問題なんですけれども、世界軍縮平和婦人議員連盟というのがありまして、WWPPと言うんですけれども、これには社会党の土井委員長、それからここにいらっしゃいました久保田真苗参議院議員、それから公明党からは刈田参議院議員、そして国民会議の私という四人だけしか入っておりませんが、昨年もオーストラリアでありましたし、一昨年もメキシコで会議を持ったのでございますが、ここの主張は、軍縮をして軍備のお金を削って、それを援助に回せということを言っておるわけでございますね。ですから、軍縮の流れがとうとうと進んできている中で、やはり日本も軍備拡張路線ばかりを突っ走ることをしないで、冷戦構造にむしろこちらから終止符を打って、そしてアジアにおける平和と安定というものに貢献する一方、軍備を削減して浮いたものをやはりODAなりそのほかの経済協力に回すというふうにお考えいただきたいと心から切望するものでございますが、大臣、いかがでございましょう。
○国務大臣(中山太郎君) 先生の御指摘の点、私は外務大臣として日本の国家の安全保障という面を最重要な視点でとらえるべき責任を持った立場だと考えております。そういう意味で、我が国が外国から侵略されないといういわゆる安全保障上の責任を国民に対して政府が果たせるという時点、明確に責任を持って国民にお話ができるという時期は必ず来ると思っております。その時期まではやはり国民に対する政府の責任というものが厳然としてございます。そういう意味で、私どもとしては国際環境が平和に向かう、世界が軍縮にさらに歩みを進めるという時点が早く到来することを期待いたしておるわけであります。
 今回の米ソ首脳会談でも、明年のいわゆる軍備削減の条約の署名というようなものも議論されていたように報告されておりますけれども、そういう点が国際的にどんどん変化を起こしていくということを絶えず日本としては十分注目しながら我が国の安全保障政策というものを考えていかなければならない、このように考えております。
○中西珠子君 どうもありがとうございました。時間が参りましたから。
○吉岡吉典君 中山外務大臣には初めての質問ですので、幾つか外交の基本姿勢、基本認識にかかわる問題から質問してまいりたいと思います。
 これまでも議論にありましたまず軍縮の問題です。
 軍縮問題について今ほど期待と関心が高まっているときはないと思います。そして、軍縮全体を進めることは重要ですが、私は特にその中で核兵器の廃絶という問題についてまずお伺いします。
   〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕
 私どもは、核兵器の廃絶というのは、全般的軍縮ももちろん必要だが、とりわけ核兵器をなくすという問題はこれは人類にとって死活の緊急課題だというふうに言い続けてまいりました。
 ところが、政府は中曽根内閣以来、核兵器の廃絶は究極的廃絶でなくちゃならない、究極的廃絶というのは何かということを詰めていくと、結局は通常兵器がある間は核兵器をなくすわけにはいかないという見解であり、私は去年この外務委員会でも当時の宇野外務大臣にも質問したことがありますけれども、宇野外務大臣も、通常兵器がある間に核兵器だけをなくすことはそれは困るという趣旨の答弁がありました。中山大臣は、この点やはり同じように通常兵器がある間は核兵器をなくすわけにはいかないという見解なのか。そうじゃなくて、核兵器は通常兵器がある間でも危険な人類の破滅につながるようなものだからなくさなくちゃならないという見解なのか。まずこの点をお伺いします。
○国務大臣(中山太郎君) 核兵器の廃絶は日本にとりましても究極的な我々国民の目標であらねばならないと考えております。我が国はもちろん非核三原則を国是といたしておりますから、我が国自身が核兵器を持つ不安というものは全然ないわけであります。しかし、核兵器を持っている国家間の話し合いというものが核軍縮に向かってお互いに話を進めていくということについて私どもは全面的な支援をしなければならない。そういう中で、超大国間の核軍縮というものが具体的にその結果を見られる日を一日も早く迎えたいものだ、このように考えております。
○吉岡吉典君 そうすると、通常兵器があるもとでの核兵器がなくなるということは困るというのとはニュアンスが違う答弁だというふうにとってよろしいですか。
○国務大臣(中山太郎君) 外交の継続性というものがこざいますから、さほどニュアンスというか違ったようにお受けとりになるかもわかりませんけれども、一応現状と、宇野外相の当時の答弁申し上げていることとの姿勢にはそう大きな差異はございません。
○吉岡吉典君 今度はそういうふうにおっしゃると、私はまた一言言わざるを得なくなるわけですけれども、これは宇野大臣とも私は論議しましたけれども、国連総会の第一号決議でも、原子力兵器だけは通常兵器と切り離して廃絶せよというのが決議されておることでありますし、それから私ここに持っておりますが、広島市長名で出された八月六日の「平和宣言」、八月六日と九日に市長名で広島、長崎ではいつも宣言が出されますが、これを見ましても「ヒロシマは主張する。核兵器廃絶こそが人類生存の最優先課題であり、逡巡は許されない。」こう言っているわけなんですね。ここには通常兵器がある限りは云々というふうなことはない。通常兵器がある間は困るというふうなことになると、こういう広島、長崎の毎年行っている決議にも沿わないことだということになりかねないと思いますが、どうですか。
○国務大臣(中山太郎君) 核兵器の廃絶ということについて、私ども日本としてはこの廃絶が一日も早く行われることを念願しているわけでございますから、この点については宇野外相の発言と私の発言とにそんな大きな差異はないと自分は認識をいたしております。
○吉岡吉典君 宇野大臣と違うか違わないかということより、通常兵器がなくなる、世界じゅうから一切の武器がなくなるときでなければ核兵器をなくしちゃならないということであれば、これはもういつのことかわからないわけです。そういうことであってはならない。やはり各国が協定を結んで、一日も早く核兵器がなくなることを望むのだというふうにおっしゃっていただければ、それは我々は違うか違わないかということを抜きにして、そうであってほしいということになるわけです。
 私がそういうふうに言いますのは、これは我が党は国会で何回も申し上げてきましたけれども、自民党のパンフレットでも、私ここに別の資料も持っていますけれども、あらゆるもので通常兵器がある間は核兵器をなくすわけにはいかないということが書かれておりますので、あえてそういう姿勢は改めてもらわなければならないということを申し上げたいわけです。
 大体政府は、INF全廃条約には歓迎の意を表されたと思います。そういう点からいえば、戦略核兵器半減条約、この間も問題になった点ですね、これが実現することにも賛成だろうと思いますね。これは通常兵器がまだあるもとでやろうという交渉ですけれども、その点やっぱり通常兵器がある間はそういうのもだめだというふうにおっしゃるんですか。まさかそうではないと思いますけれども、どうですか。
○国務大臣(中山太郎君) 通常兵器があり核兵器が今存在している中で、双方が核軍縮に前を向いてお互いに合意をするということは、日本政府としては歓迎をするものでございます。
○吉岡吉典君 そうだとすれば、中山さんは自民党を代表してここに座っておられるわけではありませんけれども自民党の関係者でもありますから、自民党のパンフレットにあるああいう文書というのは改めて、核兵器というのは早くなくさなくちゃならないものだというふうにしていただきたいと思いますが、もし戦略核兵器半減条約が早く実現することを願うということになるとすれば、それを妨げるものを取り払われる面で、日本政府は積極的な役割を果たすべきだと私は思います。
 最大の問題は、この間のマルタ会談でも問題になりましたけれども、海上海中発射の核巡航ミサイルの問題が最大の障害になっていると私は思います。この点で、日本はアジア・太平洋の海洋核巡航ミサイルの中で非常に重要な役割を果たしている。非核三原則とおっしゃいますけれども、アメリカの関係者というのは半ば公然と私らの耳にも入ってくる形で、日本がもしニュージーランド方式をとればアジア・太平洋の核戦略というものは根底から覆ってしまう、こういうことを言っているんですね。これは在日アメリカ大使館の人だって半ば公然と言っているんですよ、日本はアメリカのアジア・太平洋核戦略の根底を支える役割を果たしていると。
   〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕
こういう役割は改めて、やはり戦略核兵器半減条約が実現する方向への積極的な役割を果たすべきだと私は思いますけれども、外務省はそうでなく、やはり核抑止力に依存するんだという立場なのかどうなのか、この点はっきりしておいていただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 我が国といたしましては、今後とも核兵器の究極的廃絶の実現のために、ジュネーブ軍縮会議、国連等において積極的に努力を傾注してまいる所存でございます。
○吉岡吉典君 私はもうちょっと突っ込んで今問題提起して答弁を求めたわけですけれども、その問題はこの程度にして、時間もありませんから、幾つか基本姿勢をお伺いしたいので、次の問題に入ります。
 外務大臣は、日独伊防共協定というものを今日の時点でどのように評価なさっておりますか。
○国務大臣(中山太郎君) 日独伊防共協定につきましては、いろいろそれぞれの人で評価があろうと思いますけれども、第二次世界大戦の契機になったことは、これは疑いもない事実であると私は考えております。
 いずれにいたしましても、戦後日本は、第二次世界大戦の悲劇を繰り返してはならないという反省に立って、平和外交に積極的に努めているというところでございまして、そのような大きな目的のために今後とも私どもは全力を尽くしていかなければならないと考えております。
○吉岡吉典君 日独伊防共協定というのは、今大臣もおっしゃったように、第二次世界大戦に日本が向かう契機になった。枢密院の文書等を読んでみましても、わかりやすく言うと、ヒットラーが強いだろう、ヒットラーと組めば日本は世界制覇ができるだろうと、そういう判断のもとに組んだけれども、結局それが誤算でああいう結果になったんだと、そういうふうな歴史的な経過を経たものだと思いますね。
 私よくお話を伺いに行った、もう既に故人になられましたけれども、西春彦元外務次官ですね、この人はもう私が会うたびにおっしゃっていましたけれども、戦前の日本を誤らせたのは日独伊防共協定だったと、こうおっしゃっておりました。ところが、同じ元外務次官でも下田武三さんが、外務省が編集協力して発行している「外交フォーラム」という雑誌の去年の十二月号によると、今の日米関係というのはこの防共協定と全く同じ考え方に立ったものだと、こういうふうに肯定的にお述べになっている。まあ元外務次官でも随分違った立場に立つ人がいるものだと私は思いましたけれども、外務大臣、日独伊防共協定と今の日米安保条約、日米関係というのは全く同じ考え方に立ったものだという下田元外務次官の認識と同じか同じでないかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 私はその下田外務次官の文章を読んでおりませんので、それについてのコメントは差し控えさしていただきたいと思いますけれども、今日の日米安保条約と日独伊防共協定、この両者を同じようなものだという考え方には私は立っておりません。
○吉岡吉典君 私は、この問題は時間をかけていろいろ論議したい。日米安保条約というのは、実は国連憲章の精神に反する日独伊防共協定型の軍事同盟だと、こういうふうにここで論証したいんです。
 それは、今の日米関係というのは基本は日米軍事同盟だというふうにこれは外務省の幹部自身がお書きになっているものもありますし、論議したいんですけれども、その時間もありませんから、これはまた機会があったら大臣の意見もいろいろお伺いしたいと思います。
 きょうは、そのことよりも、先ほどから問題になりました冷戦が終わったか、終わるか、終わっていないのかという議論と関係してですけれども、私は、冷戦から本当に離脱するということになれば、その根本はワルシャワ条約、NATO、この対抗する軍事同盟を解消するということだと、これが必要だと思います。我々は、この同時解消ということを従来から主張してきましたし、最近ではソ連などに対して、ワルシャワ条約をまず解体して、軍事同盟をなくすためのイニシアチブを発揮せよということを強く求めております。そして、軍事同盟のない対抗のない世界、一切の軍事的対抗関係のない世界をつくる、これが国連憲章の精神でもあったと思います。
 私は、日米安保条約をめぐる論議は別として、外相自身は軍事ブロックの対抗のない世界を目指すことには反対か賛成か、この点だけお伺いしておきたいと思います。イエスかノーかで結構です。
○国務大臣(中山太郎君) イエスかノーかだけ言えという先生の御要望でございますけれども、もちろん世界がそれこそ「武器よさらば」ということで一切の兵器をなくするということが明確に相互で確認されれば、それはそのような世界が来ることを最も期待するものであります。
○吉岡吉典君 軍事ブロックのない世界というのは、一切軍備がなくなってからでないと実現するものではないわけであって、国連憲章というのは、まさに戦後そういう世界をつくろうとしたわけですけれども、残念ながら戦後今日まで軍事ブロックの対抗が続いてきたわけですね。だから、我々はこれをなくして、国連憲章が目指すような軍事ブロックの対抗のない世界、真の集団安全保障体制ということを主張しているわけです。そういう軍事ブロックの対抗のない世界を目指すこと自身には賛成だというなら、それに伴う努力が必要です。それに伴う努力と反対の方向に向かっているのが、私は日本外交の現状だというふうに思っております。
 というのは、アメリカでの議論はこれまでもいろいろ議論がありましたけれども、やはり米ソ関係の今日というのは封じ込め政策が成功したんだ、アメリカが軍事力を強め、西側が結束した結果こういう状態が生まれたというのが、これがブッシュ大統領が繰り返し行っている演説でもあるし、アメリカの高官が行っている演説でもある。そして、アメリカは今後とも西側の結束と軍事同盟の強化、核抑止力の強化が必要だということを言い、そのためにアメリカに財政的な余裕がない、軍事費を削減せよという国民の要求もあるのでそれを同盟国に分担してくれ、こういう要求がアメリカから強まり、この間、海部総理がアメリカに行かれたときにも、国防長官はかなり露骨に、アメリカでは軍事費が国民の支持を得ないから、日本に肩がわりしてくれという要求があったと報道されておりますし、中山外務大臣が何回か訪米されたときにも同様のアメリカからの要求があったという報道があります。
 それに対して、外務大臣はどのように対応しておられようとしているのか。日本国内には、地位協定を改定してでもこれを受け入れるべきだとか、あるいは地位協定の改定なしに受け入れるべきだという議論も含めて、アメリカのこういう要求は受け入れていくべきだという強い意見になっているように思いますけれども、今私が一括してお伺いした日本の対応、この点について外務省の見解をお伺いします。
○国務大臣(中山太郎君) 海部総理訪米に同行いたしました際の九月一日の外相会談におきまして、ベーカー国務長官より、日米安保体制を安定的に運用することは極めて重要であることについて発言がございました。これに対し私からは、日米安保体制の重要性については全く同感である旨の意見を述べました。さらにベーカー長官より、在日米軍の駐留円滑化に対する日本政府の努力を多とするとしつつ、米国議会において本件に関連した対日要請が強まってはいるが、これは静かに話し合っていくことが重要であると述べたのに対し、自分からは、本件に関するこれまでの日本側の努力を米国全体が評価することが大事であり、安保体制の運用は静かな対話の一環として続けなければならないと述べております。
 また、国連総会に出席いたしました九月二十六日、ニューヨークで行いました外相会談におきましても、ベーカー長官より在日米軍の支援問題について、静かな対話を通じて話し合っていきたいとの発言がございました。
○吉岡吉典君 地位協定改定問題はどうですか。
○国務大臣(中山太郎君) 地位協定の関係につきましては、政府としては我が国の安全保障にとり不可欠な日米安保体制の効果的運用を確保していくことは極めて重要との観点から、従来より在日米軍経費負担につき、できる限りの努力を払ってきておるところでございますが、現時点で日米地位協定の改定は検討しておりません。
○吉岡吉典君 改定は考えていないということでした。
 私、この点についても幾つかいろいろ論議したい点がありますけれども、きょう、どうしてもはっきりしておいてもらいたい点がありますので、もう一つ先に進ませていただきます。
 それは、去年の五月ですか、外務委員会でも大変論議になりました日米原子力協定に関連してのフランス、イギリスからの日本へ向けてのプルトニウム輸送に関連してです。
 私も当時は外務委員会におりまして論議した協定で、その協定では英仏からの日本へのプルトニウム輸送は空輸ということが中心になって、この論議では空輸の危険性について多くの委員から問題提起され、私もそういう質問を行いました。その際の政府の答弁というのは、それはもうアメリカ側からも空輸が一番いいと言ってきているということが繰り返し強調されました。
 ところがその後、新聞報道によると、空輸というのを海上輸送に変更するんだというふうなことが言われ出し、そしてこれはどうしたことかなというふうに私も疑問に思っておりましたら、ことしの外交青書では、去年の七月に発効した日米原子力協定、これを一部修正して海上輸送も対象になったんだ、こう書いてあるわけですね。去年の五月に国会審議して七月に発効したものが、その直後にすぐ一部改定でこういうふうに変更された。最終的に海上輸送になったかどうかは別として、大体方向はそうだろうと思いますけれども、なぜそんなに変わったのか、この理由を説明していただきたいと思います。
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 ただいま吉岡先生から御指摘がございましたように、英仏からのプルトニウムの返還輸送の方法につきましては、まだ正式には航空輸送によるのかあるいは海上輸送によるのか、具体的な輸送方法が決まっているわけではございませんが、当初、日米原子力協定の検討のときに、航空輸送についてのいわゆる包括同意、これを交渉したという経緯は先生御指摘のとおりでございます。
 そういう過程の中で八七年十二月に至りまして、アメリカの議会でいわゆるマコウスキー修正条項というのが成立いたしまして、航空輸送の容器、これは極めて安全性の高い厳しいものをつくらなければ航空輸送が認められないという、いわゆるマコウスキー修正条項というのが成立いたしまして、これを航空輸送の場合には満たす必要が生じたわけでございます。
 それで、このマコウスキー修正条項を満たすということを前提とする限り、航空輸送の容器、これの開発にはかなりの時間がかかるという見込みでございまして、他方、我が国として英仏からのプルトニウムを、どうしても国内の需要の関係から九二年までには返還輸送を行う必要があるという状況でございましたので、したがいましてアメリカとの間に、海上輸送につきましても航空輸送と同様に包括同意についての交渉をいたしまして、海上輸送も可能であるというような道を開いたというのが経過でございます。
○吉岡吉典君 正式決定をしていないというのはまさにお役所言葉であって、もう大体その方向が決まっているわけですね、手続が最終的に完了していないというだけで。
 それはそれとしまして、そこで私は、外務省の基本姿勢を幾つか指摘したいと思うんです。というのは、今話がありましたマコウスキー修正条項というのは八七年の十二月に成立しているんです。だから、この法律によって空輸は非常に困難だという問題がもう既にはっきりしていた。我々が国会で論議したのはその翌年の五月なんです。その五月に論議したときに、アメリカは空でいいと言っている、国防総省も空が一番安全だと言っているという強調は、私だけじゃなくて他の委員に対しても繰り返し行われました。ところが、その質問の中には、アメリカのアラスカで反対運動が起こっているということまで指摘しての質問があったにもかかわらず、今のマコウスキー修正条項などについては一言も触れないで、空だ空だと一本やりで、それでその協定を承認させておいて今日に至ったという点ですね。アメリカでそういう重要な法律の修正が行われていることを全く国会に隠して、そして審議させて国会の通過を図った。これは全く許せない態度だと私は思います。それが一点です。
 もう一つは、そういう審議を経て国会で成立し、批准、発効したその協定を外交青書で一部修正したというふうに書いて、私は初めてここでそういう修正があったということがわかりましたけれども、そういう審議を経て成立した協定の修正があれば、これをいきなり外交青書に書くというふうなことではなく、こういう理由でこうこうこうなったと今説明があったようなことを天下にはっきり説明する、それが外務省の本来とるべき態度ではないかと私は思います。
 その二点でこのプルトニウム輸送という問題で日本外務省のとった態度は非常に遺憾だと思います。特に、プルトニウムという問題は、その毒性においてもあるいはこれがすぐに核兵器の材料になるという点からも非常に重大な問題になった点であります。それだけに、今のような扱いというものは絶対にこういう態度ではならないと私は思いますので、外務省の見解をお伺いします。
○説明員(太田博君) お答えいたします。
 まず先生御指摘の第一の点でございますが、マコウスキー条項が十二月に通っていたのに国会の審議のときになぜ隠していたかという御質問だったかと思いますが、手続的には、マコウスキー修正条項が法律となりましてから、アメリカの原子力規制委員会がそれに基づきまして、具体的にどういう基準を開発された容器の承認に適用するかということを実際に決める作業がございます。これがいつになるか見通しがまだついていなかったということと、それから我が国で実際にプルトニウムをいつ英仏から運んでくる必要があるかということが当時はまだはっきりしていなかった。したがいまして、我が国がマコウスキー条項に適合するような航空輸送に使う容器の開発を鋭意行うわけでございますけれども、まだその時点でそのあたりがはっきりしていなかったということで、必ずしもマコウスキー条項が成立した時点で空の輸送の可能性が全くなくなったということではなかったというふうに承知しております。
 それから第二番目の、国会にこのような重要な点を説明すべきではなかったか、国会の承認を求めるべきではなかったかという点でございますが、この海上輸送のいわば指針の作成でございますけれども、これはいわゆる行政府限りで締結し得る行政取り決めというふうに、原子力協定のもとでそういう性格のものであると考えられておりましたので、行政府限りでこの問題に対処したということでございます。
○政府委員(福田博君) 一点だけ補足させていただきますと、飛行機で運ぶか船で運ぶかということにつきましては、もちろん先生御指摘のとおりにこの委員会で大変御関心が強かったこともあって、この実施取り決めについて船の輸送というものが可能になりました後、外務委員会理事会において報告させていただきました。
○吉岡吉典君 時間が来ましたけれども、一言だけ。
 今のは理事会で承認したとかどうとかいう問題じゃないんですよ。国民の非常に重大な関心のある問題であり、国民にわかるようになぜ説明しなかったのかということを私は言っているわけですよ。
 それと、プルトニウム容器の問題も当時さんざん論議になって、容器開発の見通しがあるということもあなた方は、政府は答弁したんですよ。その時期にアメリカでは、基準がまだ最終的に固まっていたかいなかったかは別として、新しい問題が起こっていたわけです。新しい問題が起こっていることを、その情報さえも提供しないで国会の審議を行ってきた、そういう態度が大変遺憾だということを私は言っているわけです。時間が来ましたから答弁は求めません。
○中村鋭一君 朝から各委員が東欧の目覚ましい変化についてそれぞれ御質問でございました。私もまずこの東欧の変化と、それに適応する状況についての質問から始めさせていただきます。
 いわゆる共産主義国で今現実に変革を求める人たちの動きがどのようなものであるのか。例えばチェコですとか東ドイツでありますとか、連日のようにこれは新聞に報道されるわけでありますから、報道される限りにおいて承知しておりますけれども、現在外務省が入手しておられます情報その他の分析等々から、チェコ、ハンガリー、ルーマニア等に限らず、モンゴル人民共和国あるいはアルバニア、ユーゴ、こういったすべてのいわゆる共産主義国と言われている国々についての国民の皆さんが何を要求しておられるか、政府はどのように対応しているか。その情勢分析、これまでに入手されました情報等の解析をまずお願い申し上げたいと思います。国別にお願いいたします。
○政府委員(山下新太郎君) お答え申し上げます。
 国別にというお話でございますけれども、御承知のとおり東欧諸国の中でポーランド、ハンガリーが進めております改革は、自由と民主主義、さらに市場経済体制を目指した極めて抜本的なものであると、こう考えております。
 次に東ドイツについてでございますけれども、東西両ドイツ間の自由通行ということを御承知のとおり十一月九日に始めたわけでございますが、さらには東ドイツのみならずチェコスロバキアにおきましても、党の指導的役割の憲法からの削除ということをそれぞれいたしまして、民主化へ向かって大きく前進したというふうに考えております。
 ブルガリアにおきましては、御承知のとおり十一月三日にデモが起こりまして、その一週間後の十一月十日でございますが、指導部の交代があったことは御高承のとおりでございます。
 他方ルーマニア、これも共産圏に無論属するわけでございますが、チャウシェスク大統領が、十一月の二十日から二十四日まで第十四回党大会を開きまして、いろいろ長時間にわたる演説をぶたれた結果六選されたという状況でございますが、どうもそこで行われるであろう施策は従前と変わるものであるというふうには余り考え得ない状況でございます。
 ユーゴスラビアでございますが、従前来御承知のとおり、非同盟ないし中立の路線を堅持しておりまして、独自の自主管理経済制度というものを今後とも維持していくのではないか、こう考えております。
 アルバニアでございますけれども、社会主義体制の枠内におきまして、経済関係を中心に西側との関係拡大ということに努力しているものと理解いたしております。
 さらに、東アジア等におきます社会主義諸国の動向でございますが、中国は、東欧の情勢につきまして基本的にはそれぞれの国の問題であり国内問題であるというふうに考えているようでございまして、ただ国内に対する影響もあるということから、関心を持って見守っているということのように見受けられます。
 モンゴルは、御承知のとおり、最近になりまして西側諸国との関係進展に積極的になっているという次第でございます。
 最後に北朝鮮でございますけれども、これらの東欧の動きにつきましては一切報道をさせていないという状況のようでございます。どうも警戒感を持っているのではないかというふうに考えられます。
 大体以上の状況かと思います。
○中村鋭一君 ソ連は、民族主義を唱えるアルメニア等々が、同じ共和国同士で隣国との間に係争が発生したりしておりましたね。その辺の情勢は把握していらっしゃいますか、その後余り報道はされていないようですが。
○政府委員(都甲岳洋君) ソ連の中では、ペレストロイカに伴いましてグラスノスチ、民主化ということで、大幅に民衆の声を認めていこうというきが起こっていることは御承知のとおりでございます。それにつれまして、従来ソ連の中に百十ぐらいの民族がございますけれども、現在の革命成立過程あるいは第二次世界大戦後かなり無理をして民族問題を処理してきたことがございまして、この全般的なグラスノスチ、民主化の中でそのような抑圧されてきた各民族の声というものがこのところに至って非常に大きな声として出てきていることは事実でございます。その中で、各共和国において民族独自の自主的な方向あるいは経済、政治における自立権というものを強く希望する声が起こってきております。
 これらの問題をどう処理するかということは、やはりゴルバチョフ議長にとっては大変大きな問題でございまして、一般的にはペレストロイカの行方を占う一つの大きな問題点であろうというふうに指摘されておりますけれども、その処理はなかなか困難なものがあろうというふうに認識しております。
○中村鋭一君 今ざっとお伺いした中でも、非常に急激に変革が進んでいる国と、それから例えばユーゴあるいはアルバニアあるいは北朝鮮のように、鎖国と言っては語弊があるかもわかりませんが、そういった報道量等にしても国民に他国の動きが知らされないで、その結果としていわば保守的な現政権が維持されている国も多々あるわけでございます。外務省としてはそういった国々について、今例えば東ヨーロッパで進んでいるような民主化、自由化の国民の皆さんの考え方が浸透をしていって、具体的に申しますと、例えばアルバニアとかユーゴとか北朝鮮とか、こういった国々でもそういう国民の皆さんの動きが加速されることをお望みでございますか。
○政府委員(都甲岳洋君) 基本的には、現在起こっている民主化あるいは経済改革の波というのは一般大衆の強い生活向上への願望をあらわしたものでありまして、これはやはり一つの大きな波としてとどめ得ないものになっていると思います。
 ただ、ルーマニア、北朝鮮等の国内におきまして、まだこのような情報がかなり限られた形で国民に提供されている状況を考えますと、直ちにこれが改革の路線に結びつくものかどうかは私どもとしては確たる見通しを持っておりません。むしろ、現在の全般的な激しい動きの中で、これらの両国の動きはかなり遅いものではないかというふうに認識しております。
○中村鋭一君 これは新聞報道ですけれども、中山外務大臣は、本当に毎日のように特に東欧等の情勢が変わりますから、衛星放送から目を離せない、ニュースを即時にキャッチするために気を配っておられる、このような報道がされておりました。したがいまして、当然ながら外務省としてはこのような急激な変化に即応する情報の収集体制というものが必要だと思うんです。
 例えばこれはきょうの朝日の夕刊ですけれども、ワルシャワ条約機構が例の「プラハの春」でソ連軍、ワルシャワ条約軍が進駐したことは誤りであったと自己批判しているし、ソ連政府は独自にやはり誤りであった、先日はゴルバチョフさんもやはり誤りであったと、こういうことを認めているわけですね。これは例えばこのように急激にきょうの夕刊で知るまでは、ワルシャワ条約軍がチェコに進駐したのは誤りだったというようなことは我々想像もできなかったわけで、新聞やテレビで報道されてから、えっそこまで行っていたのかとびっくりするよりも、今申し上げました例えばアルバニアとかユーゴとか北朝鮮とか、当然ながら外務省としてはこういうところにも常に情報収集の網を張りめぐらされて、国民の皆さんが何を望んでいるのか、それについて日本の外交姿勢はどうあるべきかというような即応体制をおとりになることが大変私は必要じゃないか、こう思うんです。その点で外務省のそういった情報収集体制というのは現在どのようになされておりますか。
○政府委員(山下新太郎君) 御指摘いただきましたとおりに、日本の国際的地位が近年非常に目覚ましく向上していることは事実でございますし、相互依存関係が世界的に広まってきている、こういったようなことがございますので、外務省といたしましても情報機能というものを一層強化することが重要になってきているというふうにまず認識いたしている次第でございます。
 情報収集の体制でございますが、基本的には主といたしまして在外公館を通じて行っておりますが、その対象になりますものは無論それらの在外公館の所在しております国の公開情報、さらにはその当該の国ないしは関係のある国々の関係者からいろいろ情報を収集しているということでございます。それらを総合的に判断いたしまして情勢判断等に資しているということでございますが、さらに一層努力をいたしたいと思いますので、よろしく御支援方お願いしたいと思います。
○中村鋭一君 現実は、これは私の想像ですけれども、書記官の方がテレビを見ていて、報道されてから朝日や毎日や読売や産経の支局に電話を入れて、どうなっているんだ教えてくれ、こう言ってそれから後で慌てて暗号に仕組んでテレックスを打っているというようなこともあるんじゃないか、こう思うんです。したがいまして、こういう情報収集体制というのはまさに日本の外交の根幹にかかわってくる問題ですから、これはもっともっと積極的に、そういう人材の養成でありますとかあるいは人そのものをふやすとか、そういう即応体制をひとつとっていただきますように、そうでないと悔いを千載に残すことがあり得ないとも限りませんのでお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから、これは全般的に今の流れを見ておりますと、東ヨーロッパを中心に、もちろんソ連も含めてですね、いわゆるマルクス・レーニン主義に基づく共産主義理論というもの、その共産主義理論というものに立脚した共産主義政権そのものが国民の否定に遭いまして、端的に私の考えを言うならば、東ヨーロッパを中心に共産主義よりはむしろ国民の皆さんは社会民主主義の道をお選びになりつつあるんじゃないか、このような私は考え方をするんですけれども、外務省としてはどのようにお考えですか。
○政府委員(都甲岳洋君) 先生御指摘のように、今社会主義あるいは共産主義の理論についていろいろな議論が行われております。これは各国においてかなりまだ今の段階では差がございます。
 例えばポーランド、ハンガリーにつきましては、西欧における社会民主主義的な動きというものは政治理念としては理想だということを最近は議論されております。その中で議会民主制というものを基礎とした改革が行われているということでございます。
 チェコまたは東独につきましても一党独裁の理念は捨てるということを明確にしておりますけれども、今後これがどういうふうな方向にいくかということはなお注目を要するところであると思います。
 ルーマニアにおきましては、非常に古典的な社会主義を基本としてかなり強い統制のもとに国のあり方を規定していきたいというのがチャウシェスク大統領の考え方のようでございます。
 ソ連におきましては、社会主義の理論の中でやはりレーニンに返れということを言っておりまして、その中で、先ほど大臣からも御指摘ございましたように、科学技術革命が資本主義の新たな発展を可能にしたということ、それから社会民主主義が資本主義社会に新たな人間的な福祉向上の面で大きな貢献をしたと、この二つを入れながら今後ソ連の社会主義の理論的基礎をどう構築していくかということが当面の課題であるということをゴルバチョフが言っております。
 そういうことで、社会主義についてはいろいろな考え方が各国で出てきているというのが現状であろうと思います。
○中村鋭一君 念のために私の選んだ言葉についてちょっと申し上げておきますが、私は共産主義理論というものを申し上げたわけです。古典的なマルクス・レーニニズムに基づく共産主義理論というものは、東ヨーロッパに顕著にあらわれているように、今地球的規模で崩壊しつつあるじゃないか、こういうお尋ねでございます。社会主義とは申しておりません。社会主義と共産主義とは私の理解では違うものだと、こう思っておりますから、それにつきまして。
○政府委員(都甲岳洋君) ソ連の中でも基本的には社会主義というものを基本に今まで構築していたと思います。共産主義の理念というものにつきましては、これは将来の到達する目標だと従来は言っておりましたけれども、現在におきましては、社会主義の現実に根差した理論的な再構築が今のソ連の社会の中における課題であるというふうに考えておると認識しております。
○中村鋭一君 これはきょうの朝刊に出ているんですが、プラハの外電です。チェコで二十五万人が大集会をいたしまして、その主要なテーマは、新しい内閣に共産党員が多過ぎるじゃないか、共産党員が多くてこれでは新しい内閣とは言えない、だからチェコの新内閣から共産党員は退陣をしなさいということを二十五万人の国民の皆さんが言っているわけですね。そしてこれは、ヤケシュ前共産党書記長以下数人の名前を挙げて、あなた方は国会議員をやめなさいということをおおむね国民の多数の意思において言っているわけですね。ですから、少なくとも東ヨーロッパにおいては国民の多くは共産主義よさようならと言っているんです。自由の世界、デモクラシーよこんにちはと言っている。これが東ヨーロッパにおける流れの大勢である。外務大臣、よろしければもう一遍、この御認識をいただけませんか。
○国務大臣(中山太郎君) 東ヨーロッパにおいて今日まで第二次世界大戦後行われてきた共産党による中央統制経済、こういうものが経済的に国民の満足を与えるに至らなかったという中で、生活必需物資を含め国民たちが西側諸国と比べて自分たちの生活水準は低いということから、今日の民衆の声が大きくなってきたものだという理解をいたしております。
○中村鋭一君 中山外務大臣、まことに失礼でございますが、外務大臣は外見、風貌がなかなかゴルバチョフ書記長に似ておりまして、オリエントのゴルビーとあだ名をつけたいくらいでございますが、大変人気があるようですね。この間もゴルバチョフさんがイタリアにおいでになりましたら、もうゴルビーゴルビーの大合唱で西側諸国でも大変人気があるようでございますが、中山外務大臣のゴルバチョフ観をよろしければお聞かせ願いたいんですが。
○国務大臣(中山太郎君) 政治家としてのゴルバチョフ氏の指導力というものに対しては私は大変敬意を払っております。つまり、一つの大きな歴史を変えていくわけでありますから、相当な信念を持って改革をやらなければならない。さらに、ソビエトの中だけじゃなしに、いわゆるワルシャワ条約機構の中での各国のそれぞれの自主的な要求をそのまま、ブレジネフの時代と違った形で、これを認めていく。さらに、今先生御指摘のように、いわゆる「プラハの春」におけるワルシャワ条約機構軍のとった行動が過ちであったということをソ連も認める。こういうことは大変勇気の要ることでありまして、そういう意味で大変大きな敬意を払っているということをこの機会に申し上げておきたいと思います。
○中村鋭一君 そこで、今の世界の流れ等とあわせまして、外相は今回ポーランド、ハンガリーの閣僚会議に御出席でございますが、この席では何を一番主眼としてお訴えになるおつもりですか。
○国務大臣(中山太郎君) 国会のお許しをいただけるならば、十二月十二日からブラッセルで行われる関係閣僚会議に出席をさせていただきたいと考えておりますが、日本政府としてポーランド、ハンガリーに対する援助の政治姿勢というものを明確にいたしてまいりたいと、このように考えております。
○中村鋭一君 これは外相自身のお考えとしても報じられてもおりますが、私もこういった外国に対する援助というのは、単に金じゃなくて人や技術やあるいは我々の精神的な共同存在感とでもいいますか、こういうものをひとつ大いに訴えていただきたい、こう思いますので、それをお願いしておきたいと思います。
 そういうような流れの中から今ゴルバチョフ観もお伺いしたわけでございますが、大変話のわかる方のようでございます。したがいまして、懸案の日本とソ連との例えば平和条約でございますとか北方領土の問題等々についても、これだけ大きな変化が今地球的に起こっているんですから、これは何十年膠着状態でだめだというよりも、やっぱり至誠天に通ずで、話のわかる人を相手にしているんですから、これはひとつせっかく御努力を願いまして、日ソ平和条約とひいては北方領土の返還についてソ連と真摯な話し合いをしてくださることをひとつお願いを申し上げたい、こう思いますが、それにつきまして御決意のほどを。
○国務大臣(中山太郎君) 先般来日されましたヤコブレフ団長とも二回にわたる会談を通じて、日ソの平和条約の締結の日を早く迎えるために、現在平和条約作業グループで行われておるいろいろな協議、さらに来年のシェワルナゼ外務大臣の訪日等を踏まえて、この問題解決のために全力を挙げてやってまいりたいというお話をいたしております。
 私といたしましては、このような大きな歴史の変革期に当たって、長年の日ソ間の懸案を解決して、つまり北方領土の返還というものをソ連の方にも御理解をいただき、日ソ間の問題を新しく展開させるために、北方領土問題の解決を見た上で、平和条約を構築して安定的な関係を拡大させていきたいという覚悟で臨んでおります。
○中村鋭一君 私は、すべてこういった外交の課題というものは、本当に継続性というものが必要だと、こう思います。例えば我々いまだに名前を思い出しますのはダレスさんです。あるいはソ連のグロムイコ外務大臣のごときは、あれは何年ぐらいでございますか、三十年ぐらいは外務大臣をやっていらしたんじゃないかと思います。また、これもたまたま新聞に報じられたところでございすが、中山外務大臣もなかなか続投への意欲をお持ちだ、このように報じられておりますが、グロムイコとはいかぬまでも、どうも日本の外務大臣、いや外務大臣に限らず日本の閣僚は、議院内閣制でもありますから、これだけ長いこと自民党が政権を取り続けているにもかかわらず、大臣というのは大体一年ぐらいでころころかわる。中国の首脳が駐中国大使に、これだけ外務大臣がかわられちゃ名前を覚える暇がないじゃないか、こう言って不快感を示したということがございましたが、まず中山外務大臣御自身の続投についての意欲をお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 私は、自分がその任にある間は全力を挙げて日本のために頑張ってまいるという意志でございます。
○中村鋭一君 それは意欲をお示しになったと理解をしたいんですが、ただ来年二月には総選挙がある、こう報じられておりますし、国民連合政権が樹立されれば当然ながら中山外務大臣にはおやめをいただかなくてはいけない、こういうことになるわけでございます。
 そこで、これまで我が国で、国会議員ではない方、いわゆる民間人で外務大臣をお務めになった方はどなたで、何人ございますでしょうか。
○政府委員(佐藤嘉恭君) 御質問の趣旨は、戦後外務大臣に民間人が起用されたことがあるかというふうにお受けとめをいたしますが、新憲法のもとで国会に議席のない方が外務大臣に起用されましたのは、岸内閣時代の藤山愛一郎外務大臣、二期お務めいただきまして約三年間でございます。それから、大平内閣のときに大来佐武郎外務大臣、期間は短うございましたが約八カ月外務大臣をお務めになっておりますが、この二つのケースがございます。
○中村鋭一君 これは戦後四十五年間にいわゆる民間人の登用はお二人ということですね。ですから私は、中山外務大臣に、本当に意欲をお示しでございますし御努力いただいているわけでございますから、そうころころかわらないでぜひ続投をしていただきたいとは思います。思いますが、しかし今我々は、やっぱり外交というのは日本の国だけのことじゃないわけでございますから、その継続性が必要とされる限りは、例えば民間人の登用も含めて息の長い外交を継続しなければいけない。そのためには、例えば自由民主党政府がある間は、中山外相が懸案を解決しようとなさるならば、たとえ内閣改造がありましてもそれは当然ながらその諸懸案の解決のために、日本の国のために、断固居座るとでもいいますか、解決のために努力をするのが日本のためなんですから、そのことを民間人の登用等も含めて指摘をしておきたいと思います。
 最後に一つ、フィリピンでクーデターがございました。邦人の安否が大変心配でございますが、おおむね収拾はした、少なくとも政権の交代には至らなかった。こういう理解でよろしいかと思いますけれども、仮定の問題ですが、仮にODAが二国間で援助が決定をいたします、有償もあれば無償もあると思いますが、その場合に、それが決定を見てからクーデターがありまして政権が全く反対の立場の人にかわった場合は、このODAの扱いはどのようになるんでしょうか。
○説明員(茂田宏君) お答えいたします。
 フィリピンの場合に関しましては、仮定の御質問に対しお答えするのは不適当だと思いますので差し控えたいと思いますけれども、一般論でお答えをさしていただきたいと思います。
 一般論として言いますと、クーデター等で非合法的な手段によりまして政権の交代があった場合ですけれども、国と国との間の権利義務関係、例えば条約を結んだ場合の権利義務関係、ODAの供与のための交換公文に基づく権利義務関係というのは政権の交代にかかわらず国と国との間の関係としては残ります。
 ただもう一点、非合法の政権交代があります場合には、その新しく成立した政権を正統な政府として認めるかどうかという政府承認の問題が生じてまいりまして、その政府をまだ承認していない段階におきましては、その政府との間で公的な関係を持つことはできません。そういう意味で、権利義務関係は残っておりますけれども、実施の面でいろんな障害が出てくるということになります。
○中村鋭一君 その具体的な障害ということなんですが、これを法的に見れば、新しい政権がたとえ非合法な手段で誕生いたしましても、それを我が国が承認をした場合は、既に決定されたODAは法的に実施に移される。しかしながら、その国を承認していない場合は、前政権との間で決定をいたしましたODAはその時点で凍結をされる、このような理解をしておくべきではないんですか。
○説明員(茂田宏君) 言葉の問題だと思うんですけれども、権利義務関係、日本国が相手国に対して幾らのお金を供与しますということから生ずる供与する義務といいますか、向こうから言いますと受け取る権利というのは、これはそのまま残るわけですけれども、実施に支障が生ずる、その状態を凍結と言うか実施に支障が生じている状況と言うかという言葉の問題かと思いますけれども、そういう状況になるということだと思います。
○中村鋭一君 もう時間が参りましたので終わりますが、どうもあなたの答弁ではもう一つ私は理解できません。非常にあいまいなんですね。ですから、その辺はひとつはっきりしてください。
 有償の援助をしている場合に、政権交代して我が国はその新しい政権を承認もしていないのに、その金が返ってくるのかこないのか、これは重大な国益に関する問題ですから、その辺ははっきりしてもらいたいですね。
○政府委員(福田博君) クーデター等で政府が変わった場合に、政府承認という問題が起こります。
 政府承認をする要件は、その政府が実効的な支配を及ぼしていることと、それから国際法上の義務を守るという意思と能力があるということでございます。したがいまして、そういう政府があった場合に、こちらがそれを承認するということは、その従前にありました権利義務関係が再び復活して続くということを意味するわけでございまして、いわゆるODAに限らず、すべての条約あるいは協定について従前どおりの関係が戻るということでございます。
○中村鋭一君 承認しない場合をお伺いしたんです。
○政府委員(福田博君) 承認しない場合というのは、その政府が承認に値する状況にないことが通例でございます。要するに、実効的な支配、つまり統治をきちっとしていない、あるいは国際法上の権利というか義務を守ろうとする意思と能力がないということでございますので、それは政府承認の有無にかかわらず、現実としてその国との関係の国際約束が履行されないという状態が続くことになると思います。
○中村鋭一君 じゃ、ODAは凍結ですね。
○政府委員(福田博君) ODAに限らず一般論として申せば、その国との国際約束というものが当面実効的な支配のある正統政府との約束として履行されることができないという状態になるわけでございます。
○中村鋭一君 終わります。
○猪木寛至君 大変今世界情勢というのが東欧に目が向いております。私は、先月二十三日、国会の承認をいただきましてキューバとメキシコを訪問してまいりました。まず、キューバにおきましては、カストロ首相あるいは国会議長、それから教育大臣、そして貿易大臣と、また各関係省庁の人たちとも会談をしてまいりました。
 現在、キューバにおきましては、日本の政府としても大変微妙な立場にあるとお聞きしております。ですから、スポーツなら問題はないだろうということでキューバを私が訪問してまいりました中で、カストロ首相とは二十八日の十一時十分から約十二時半まで一時間半にわたって会談をさしてもらったわけなんですが、行く前と実際に会ってみるとではイメージが大変違うなということで、私もいろいろ情報をとって行ったんですが、大変親日的でとにかく日本にラブコールを送っております。そしてまた、各大臣とも会談の中で、全閣僚が日本に熱い視線を送っている。それには経済の問題も含めてあると思います。私はキューバへ立つ前に外務省からレクチャーを受けてまいりましたが、大変アメリカとの関係は微妙なんで、政治的発言は控えてくれというようなニュアンスで受け取ってまいりました。しかし、わずか十日間で行って帰ってまいりますと、米ソの首脳会談の中で中南米紛争というものが課題になっておりまして、合意には達しておりませんが、今東欧と同時に中南米における紛争というものは大きな問題でもあり、またキューバという立場は非常にあの中にあって重要なポジションだと思います。
 そこでもう一つは、なぜこのキューバと日本の関係が悪いかということについてもお聞きしておりますが、一千億からの返済不能という問題、そういうことから私が認識している中では、大変とにかく熱い視線を送っている中で、何とかこれをいい関係にしたいということを痛感しました。そこからきょうは質問をさしていただきます。
 まず、キューバとの関係について今後どのように政府としては考えていくのか、御質問をしたいと思います。
○説明員(国安正昭君) お答えいたします。
 先生おっしゃるとおり、カストロ首相は前から大変親日的なことは我々も伺っておりまして、いろいろ現地でも大変友好的な雰囲気にあるということも十分承知しておりますので、そういう点を十分踏まえまして、特にキューバが共産主義国家であるからということではなくて、一般的に友好関係を今後とも増進していきたいと思っております。
○猪木寛至君 もう一つ、債務問題というのは、今大体どのくらいあるんでしょうか。
○説明員(国安正昭君) ちょっと申しわけございませんけれども、手元に数字がございません。
○猪木寛至君 約一千億と聞いております。その一千億に対して、今の状態であれば返済不能ということで放棄するのか、もっと積極的に返済を可能にするような協力ということを考えているのか、その辺をちょっとお聞かせください。
○説明員(国安正昭君) 債務を返済するしないというのは、一義的には日本側の貸している方がどうこうすることによって本質的に変わるというよりは、むしろ借りている方の自助努力と申しますか、そういう方が強いと思いますので、特に日本政府としてこうやったらどうだとか、そういうことは申しておりませんけれども、キューバ側から累積債務についてそれを緩和させるような方法として日本として協力できるようなことがあれば、当然それは考慮の対象になると思います。
○猪木寛至君 対米問題ということで、例えばこういうこともお聞きしました。
 今キューバの場合は、ニッケルが大変多く出るということで、その原料を日本へ輸出する、その原料で例えばICだとかいろんな材料になった場合、そういうものが使われていた場合に、アメリカで今度はチェックをされてそういう製品は買い入れないというようなことも現地で聞いたんですが、事実でしょうか。
○説明員(国安正昭君) 事実でございます。
○猪木寛至君 これから世界全体として見たときに、東欧が今そういう大きな変化の中にある、東欧だけじゃなくて世界が大きな変化を起こす兆候にあるわけですが、私が現実にキューバに行ってみて、恐らくこれからソ連との関係、コメコンの問題というような形で非常に孤立化していく状態、そしてアメリカ自体がそれを孤立化に持っていくような今政策をとっている。また同時に、アメリカからそういう反キューバ的な宣伝をする。
 これは歴史を見ますと、なぜ革命が成功したかということを思えば、当時革命前は大変貧困が激しく、アメリカあるいはヨーロッパが国民の上げた利益を全部吸い上げていってしまう。そういうことから国民の支持を得てカストロ政権が誕生したんだと思うんです。
 そういう中で、制裁措置というのは必ずしももうこれからは通用しない。そういう意味で日本政府としては、できればそういうアメリカとキューバの間に立って積極的な外交手腕というものを発揮したらどうかと私は考えるんですが、いかがでしょう。
○説明員(国安正昭君) 先生おっしゃるとおり、やっぱり外交というのはそうあるべきとは思いますけれども、他方、日本も西側の一員として、やっぱり対米協調という点も十分考慮しなければいけない点が多々あると思いますので、先生おっしゃった点は十分踏まえて今後の外交政策の策定に寄与させていきたいと思っております。
○猪木寛至君 コロンビアの大統領があしたですか来日するということも聞いておりますが、今中南米における麻薬市場ということが毎日のように新聞に出ておりますが、現実に私も向こうに行きましてそういう話題も出てまいりました。その中でキューバが非常に重要な役割を果たしているということも向こうへ行く前に聞いたわけなんですが、その辺の事実はどうでしょうか。
○説明員(国安正昭君) 麻薬問題というのは非常に裏で動いている要素が多くて、確たる資料としてどうと申し上げるわけにはまいりませんけれども、そういうことが事実として行われているという報道といいますか、情報は持っております。
○猪木寛至君 カストロ首相ともその問題について話しまして、事実、私どもは麻薬には大変厳しい処置をとっていると。一九八九年にオチョア中将に絡む麻薬事件が起きましてその方を処罰したというようなことも聞いておりますが、その辺のこれから中南米における麻薬のルートというものをやはりもうちょっと日本政府としてもつかんでおかないと、単なる情報だけでは、私が実際に歩いてみて、外務省から得た情報と違う部分もありました。
 そこで、キューバの問題は、債務問題も含めて、一番あそこが抱えている観光資源という、これは私もずっと見てまいりましたが、大変すばらしい、まだ汚染されてない資源だと思いますので、今後アメリカと日本の関係、あるいはキューバとアメリカの関係が積極的に進むことによってそういう観光資源もどんどん開発され、またこれから対日債務の返済もできるような状況ができれば私はいいと思います。
 そこでもう一つ、私は今回スポーツ交流ということで出かけていったわけなので、スポーツ関係の話も多かったんです。ちょうどバレーボールが男女ともに優勝して、その歓迎会があったさなかで首相も大変機嫌がよかったんですが、そういう突っ込んだ話と、今後ますます日本との政治以外の交流も高めていこうということで話は終わりにしまして、その翌日メキシコに渡るものですから、メキシコのサリナス大統領と会いますということを申し上げたら、ぜひよろしく言ってくれ、これから友好を高めていきましょうというメッセージをもらいました。
 翌日メキシコでサリナス大統領とそれからゴンザレス・スポーツ大臣と会見をしました。先日海部総理がメキシコにも行かれて大変友好が高まっていて、日本の政府も評価しているということで私も大歓迎を受けまして、非常にこういう関係がキューバにも早くできればいいなと思ったわけなんですが、そこで一つちょっとスポーツ関係になりますが、非常に高地トレーニングという問題を今取り上げておりまして、オリンピックにどうしたら勝てるかということを大臣と話したんですが、メキシコの場合は二千四百メートルという高地の上にさらに三千四百メートルという高地でトレーニングを積んで、これがオリンピックに非常に効果を生んでいるということを聞いております。世界からもそのトレーニング場に参加しているわけなんですが、日本政府としてもぜひその高地トレーニング、そして日本とメキシコがメダルを奪うような成果を上げましょうというようなことも相談されまして、その辺もまた後日発表したいと思いますが、ぜひ御理解をいただきたいと思っております。
 それから、私が今回メキシコとキューバを回りまして、またせんだってはソ連と、議員になる前に世界じゅうを歩いてみまして、日本の大使館の業務というのは、今までは外から、そして今回は議員としての立場から見たときに、大変今まで持っていたものとの矛盾もありました。そして今回、私は自分の正式な立場ということでなく、個人的なレベルということで向こうに行ったわけですが、その中で、これは個人的なものだから大臣が出迎える必要はないというようなトラブルもありました。しかし、これは調べてみましたら、民間の人間の私はいろいろ手づるもあったんですが、その辺のトラブルがありまして、まず大使館と在留邦人とのあつれきというか、いろんな問題があるわけです。その辺も本当に私は大使館の実際の業務というのは大変だなということを痛感しております。
 そこで、大使館員の家族との問題あるいは子供たちの教育の問題、いろいろあると思うんですが、大使館員の給与体系というものをちょっとお聞かせを願いたい。
○政府委員(佐藤嘉恭君) 在外公館の体制につきまして御質問がありましたことは大変心強い限りでございますが、私どもこの在外職員にかかわる給与につきましては、一般的にまず二つのカテゴリーに分けられると思います。それはいわゆる大使、公使の特別職の給与体系と、それから大使、公使以外の一般在外職員の給与体系でございます。
 いずれにつきましても在勤基本手当、住居手当、配偶者手当、あるいは子女教育手当というものを基調にいたしまして、我が国の在外にある外交官にふさわしい、そのメンツにふさわしい生活ができるよう、あるいはまた交際ができるよう、あるいは情報収集等におきまして欠陥がないように、こういう体制を今申し上げましたような四つの中身を基本として立てているわけでございます。
○猪木寛至君 現実に世界で今何カ国でしょうか、この在外公館の数は。
○政府委員(佐藤嘉恭君) 在外公館全体の数は、大使館、総領事館、領事館、それからいわゆる国際機関に対する政府代表部全体を合わせまして二百三十七ということになりますが、その中にはいわゆる兼館と申しまして、一つの館が幾つもの大使館を兼ねているものもありますから、大使館の実館といたしましては百七という数字でございます。また、同様なことが総領事館についてもございますので、総領事館の実館としては五十八、領事館が二つ、政府代表部が六つということで、実館といたしましては合計百七十三の公館を現在有しているわけでございます。
○猪木寛至君 そのように世界的に数多くあるわけですけれども、世界全体としてこれは大変豊かな国あるいは物価の高い国、貧しい国いろいろあるわけですが、その辺の格差というんでしょうか、それはどのような形になっているんでしょうか。
○政府委員(佐藤嘉恭君) 御指摘のとおり、この百七十三の公館の中には相当厳しい生活環境の土地にある公館も数多くございます。外務省におきましては、この各地域のそういう特殊な状況をある基準に基づきましてポイント制度をつくり、先進諸国あるいは途上国にあるそれぞれの大使館あるいは外交官がその土地にふさわしい生活ができるようにあんばいをしているというのが実情でございます。
○猪木寛至君 給与体系から、これはメキシコの場合ですが、大変生活に不自由はしてないけれども、非常に自分で持ち出しだということを聞いたわけなんですが、その中で、やはりメキシコは住居費が日本と同じように非常に高くなってきている、あるいはまた非常に不動産屋が介在して一年契約しかしない、長期契約をしないというようなことで、そのたんびに移らなければならないというようなことも聞いております。そういう住居手当という部分についてちょっとお聞かせください。
○政府委員(佐藤嘉恭君) 一般的に、いわゆる不健康地対策という概念のもとにこの対策を講じておりますけれども、ただいま猪木先生御指摘になりましたいわゆる宿舎の問題につきましては、途上国におきまして家賃の前払いということを相当多額に求めてきている例がふえているわけでございます。したがいまして、政府としては館員の宿舎の借り上げという対策を講じまして、家賃の長期前払いを要求される在勤地におきましては、それぞれの職員が担う経済的心理的負担を軽減するために職員の住宅の安定的確保ということで、政府として官費で宿舎を借り上げるといった方法によって館員に対する貸与をしている状況でございます。
○猪木寛至君 また、これは二重生活ということで単身赴任の場合は子供たちを日本に置いていかなければならぬ、あるいは非常にこれは遠いところにいる人など、特に夫婦との関係というか、あるいは電話代というものも含めて精神衛生上の問題ということでどのような対策をとられているんでしょうか。
○政府委員(佐藤嘉恭君) 国内におきましてもいわゆる単身赴任者というのが国家公務員の間にもふえてきているわけでございます。
 うかがいますところ、人事院におきましてそういう問題に対する対応策をようやくお始めになるというふうに承知しておりますけれども、外務省の場合にはまさしく猪木先生御指摘のとおりの状況が本邦と在外との間で起こるわけでございます。よんどころのない事情によって家族を東京に置かなければならない、そのために負担を相当しよわなければならないという例が頻繁に起こっているわけでございます。私どもとしても、こういった国内のこの制度が定着するというか、認められていく過程の中で、やはり外務省の職員についても同様な考え方が適用されないものか、いろいろと検討の段階に入っているというのが状況でございます。
 なかなか難しい問題も含んでおりますので、簡単にいくかどうか自信はありませんけれども、我々の出先の職員が後顧の憂いなく仕事ができるような体制をつくってまいりたいと思っておる次第でございます。
○猪木寛至君 大変世界が大きく変化していく中で本当にそういう出先で一生懸命働いてもらっているわけですが、私も海外の生活が長かったせいでそういう人たちの気持ちが痛いほど非常によくわかります。
 そこで、いろんな問題はたくさんあるわけなんですが、もうちょっと積極的な理解というか、またある意味では不満というものも大変あるわけですが、そういう人たちが心置きなく本当に力を発揮してもらって、先ほど各議員からも国際化に備えて日本がどうやっていくかということでしたが、その先兵になっている人たちのやはり心、気持ちというものをもっと酌んであげなければならぬだろうということで、あえてきょうは質問をさせてもらいました。
 それと、またもう一つ。私は今回キューバ、メキシコを回ったわけなんですが、外務委員会としての役割というか、本当に新聞紙上でしか我々は世界の情報を得ることができないわけで、私も現地に行きましていただいた情報と実際に現地で得る情報というのは違いもあるというようなことから、外務委員会のメンバーは、例えばほかの委員会との数というんですか、現地へ行く委員派遣というんでしょうか、そういう数というのは同じなんでしょうか。委員派遣というのがありますね、例えば外務を担当している我々がもうちょっと外を見てこないと実際のあれがわからないということで積極的に出られるようなそういう機会を与えてもらえるのかどうか。
○委員長(山東昭子君) 委員長からお答えさせていただきます。
 全くおっしゃるとおりで、私もそう感じておりますけれども、参議院の外務委員会というものは大変残念ながら予算がないそうでございまして、外国へみんな打ちそろって出かけるということが現在の段階ではできないという状況のようでございます。これは皆さんで一緒にやりたいと思います。
○猪木寛至君 きょうはたまたま外務大臣がおられるわけですから、ぜひその辺を積極的に予算をとっていただくようにお願いいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 猪木委員の御指摘は、私は大変大切な御指摘だと思うんです。アメリカの議会では、普通一月ごろ、ちょうどクリスマス休暇が終わって新しい再開前に、大統領専用機を使って日本とかアジアとか方々を回っておるケースがよくわかります。そういう意味で、近い将来政府専用機なども日本でもいよいよ購入することになっておりますから、できるだけこの外務委員会の先生方には海外の実態を調査していただいて、そして今日は外交即内政の時代でございますし、内政即外政の時代でございますので、実は国会の先生方に情報を十分お伝えすることが非常に大切だという認識を持っておりまして、フィリピンにおけるクーデターにおきましても、土曜日、日曜日と私は岐阜、大阪におりましたが、実はアジア局長に連絡を十分いたしておりまして、与党のみならず野党の責任者の先生方には、フィリピンにおけるクーデターの状況、そういうものを的確にお知らせするように格別に指示いたしております。
 そういうことで、このような大きな激動期でございますから、与党野党を問わず正確な情報を逐一お知らせするように努力をしている最中でございます。
○猪木寛至君 大変ありがとうございます。
 そのようなことで、私も今回の旅行の中で感じたこと、そしてやはり大使館の人たちの気持ちというものも十分話を聞かせてもらいまして、これから日本の外交が三流と言われないように、ぜひ世界の平和のリーダーシップをとっていく、そのためにも我々も活動しやすいようなそういう状況をつくっていただくということをお願いしまして、まだ時間が早いんですが、きょうはこれで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
○委員長(山東昭子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時四分散会