第116回国会 決算委員会 第1号
平成元年十一月一日(水曜日)
   午前十時開会
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   委員氏名
    委員長         千葉 景子君
    理 事         大島 友治君
    理 事         鈴木 貞敏君
    理 事         守住 有信君
    理 事         一井 淳治君
    理 事         及川 一夫君
    理 事         刈田 貞子君
                尾辻 秀久君
                岡野  裕君
                狩野 明男君
                鎌田 要人君
                沓掛 哲男君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                陣内 孝雄君
                鈴木 省吾君
                西田 吉宏君
                福田 宏一君
                会田 長栄君
                大渕 絹子君
                粕谷 照美君
                菅野  壽君
                喜岡  淳君
                種田  誠君
                木庭健太郎君
                諫山  博君
                沓脱タケ子君
                高井 和伸君
                山田  勇君
                下村  泰君
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   委員の異動
 十月十七日
    辞任         補欠選任
     清水嘉与子君     井上  裕君
 十月二十四日
    辞任         補欠選任
     沓脱タケ子君     上田耕一郎君
 十月二十五日
    辞任         補欠選任
     上田耕一郎君     沓脱タケ子君
 十月二十六日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     中曽根弘文君
 十月二十七日
    辞任         補欠選任
     中曽根弘文君     木暮 山人君
     諫山  博君     近藤 忠孝君
 十月三十日
    辞任         補欠選任
     木暮 山人君     清水嘉与子君
     喜岡  淳君     國弘 正雄君
 十月三十一日
    辞任         補欠選任
     井上  裕君     木暮 山人君
     國弘 正雄君     喜岡  淳君
     近藤 忠孝君     上田耕一郎君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         千葉 景子君
    理 事
                大島 友治君
                鈴木 貞敏君
                守住 有信君
                一井 淳治君
                及川 一夫君
                刈田 貞子君
    委 員
                尾辻 秀久君
                岡野  裕君
                狩野 明男君
                鎌田 要人君
                沓掛 哲男君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                陣内 孝雄君
                西田 吉宏君
                福田 宏一君
                会田 長栄君
                大渕 絹子君
                粕谷 照美君
                菅野  壽君
                喜岡  淳君
                種田  誠君
                木庭健太郎君
                上田耕一郎君
                沓脱タケ子君
                高井 和伸君
                山田  勇君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 森山 眞弓君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  水野  清君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  松本 十郎君
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   内藤  勲君
       内閣官房内閣内
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房内政審議室
       長        公文  宏君
       内閣官房内閣外
       政審議室長
       兼内閣総理大臣
       官房外政審議室
       長        藤田 公郎君
       内閣審議官    菊地 康典君
       内閣官房内閣広
       報官室内閣広報
       官
       兼内閣総理大臣
       官房広報室長   岡村  健君
       内閣法制局第一
       部長       大森 政輔君
       人事院総裁    内海  倫君
       人事院事務総局
       任用局長     森園 幸男君
       人事院事務総局
       給与局長     中島 忠能君
       人事院事務総局
       職員局長     大城 二郎君
       内閣総理大臣官
       房審議官     文田 久雄君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    櫻井  溥君
       宮内庁次長    宮尾  盤君
       皇室経済主管   永岡 祿朗君
       総務庁長官官房
       長        山田 馨司君
       総務庁人事局長  勝又 博明君
       総務庁人事局次
       長
       兼内閣審議官   服藤  収君
       総務庁行政管理
       局長       百崎  英君
       総務庁行政監察
       局長       鈴木 昭雄君
       防衛庁参事官   小野寺龍二君
       防衛庁参事官   村田 直昭君
       防衛庁参事官   鈴木 輝雄君
       防衛庁長官官房
       長        児玉 良雄君
       防衛庁防衛局長  日吉  章君
       防衛庁教育訓練
       局長       米山 市郎君
       防衛庁人事局長  畠山  蕃君
       防衛庁経理局長  藤井 一夫君
       防衛庁装備局長  植松  敏君
       防衛施設庁長官  松本 宗和君
       防衛施設庁総務
       部長       吉住 愼吾君
       防衛施設庁施設
       部長       大原 重信君
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省北米局長  有馬 龍夫君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済協力
       局長       松浦晃一郎君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       遠藤  實君
       外務省情報調査
       局長       山下新太郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 堯躬君
   説明員
       内閣参事官    浅見 喜紀君
       経済企画庁長官
       官房秘書課長   土志田征一君
       法務省入国管理
       局総務課長    佐々木高久君
       外務省アジア局
       審議官      鈴木 勝也君
       大蔵省大臣官房
       秘書課長     田波 耕治君
       大蔵省主計局司
       計課長      設楽 岩久君
       大蔵省主計局主
       計企画官     原口 恒和君
       文部省大臣官房
       人事課長     岡村  豊君
       水産庁海洋漁業
       部長       赤保谷明正君
       通商産業省大臣
       官房秘書課長   江崎  格君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部障害者雇
       用対策課長    小泉 南男君
       会計検査院事務
       総局次長     三原 英孝君
       会計検査院事務
       総局第一局長   疋田 周朗君
       会計検査院事務
       総局第二局長   澤井  泰君
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  本日の会議に付した案件
○国政調査に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和六十一年度政府関係機関決算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和六十一年度国有財産無償貸付状況総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)
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○委員長(千葉景子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 この際、森山内閣官房長官、中山外務大臣、水野総務庁長官及び松本防衛庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。森山内閣官房長官。
○国務大臣(森山眞弓君) ごあいさつが大変遅くなりましたが、去る八月二十五日に官房長官を拝命いたしまして、内閣官房及び総理府本府の事務を担当することになりました。
 今後とも誠心誠意職務の遂行に当たる考えでございますので、委員長初め皆様方の格別の御指導と御鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。
○委員長(千葉景子君) 中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) 去る八月に外務大臣に就任いたしました中山太郎でございます。
 御承知のとおり、この一年余りの国際情勢には東西関係を初め新たな展開が見られております。流動的な国際環境の中にあって、我が国の平和と繁栄を確保するために外交に課せられた使命は極めて大きいものがあろうと思います。
 また、諸外国の我が国に対する期待と関心は急速に高まっており、我が国としましては、世界に貢献する日本を実現するため、国際協力構想をこれまで以上に精力的に進めてまいる所存でございます。
 内外から政府に課せられた大きな責任を果たすべく、外務大臣といたしまして全力を尽くしてまいる所存でございますので、委員長初め委員の皆様方の格段の御支援をお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
○委員長(千葉景子君) 水野総務庁長官。
○国務大臣(水野清君) 当委員会のごあいさつが遅くなりました。
 総務庁長官を拝命した水野清でございます。
 私は、社会経済情勢の変化に対応した総合的かつ効率的な行政を実現するため、総合調整官庁として総務庁が果たすべき役割を十分認識し、行政改革の推進を初めとする各般の課題に誠心誠意取り組んでまいる所存でございます。委員長初め皆様方の格別の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。
○委員長(千葉景子君) 松本防衛庁長官。
○国務大臣(松本十郎君) 防衛庁長官の松本十郎でございます。
 現下の厳しい内外諸情勢の中にあって、国家存立の根幹をなす国の防衛という大任を担う責務の重大さを痛感いたしております。我が国の防衛政策を推進し、私に課せられた重責を果たしていくためには、委員長初め委員各位の御支援が不可欠でありますので、今後ともなお一層の御指導、御鞭撻を賜りますようよろしくお願いを申し上げます。
    ─────────────
○委員長(千葉景子君) それでは、次に委員の異動について御報告いたします。
 去る十月二十七日、諫山博君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。
 また、昨日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として上田耕一郎君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(千葉景子君) 次に、国政調査に関する件についてお諮りいたします。
 本委員会は、今期国会におきましても、国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(千葉景子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 昭和六十一年度決算外二件の審査並びに国家財政の経理及び国有財産の管理に関する調査のため、必要に応じ、政府関係機関等の役職員を参考人として出席を求めることとし、日時及び人選等につきましては、これをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(千葉景子君) 次に、昭和六十一年度決算外二件の審査の今日までの経過につきまして簡単に御説明申し上げます。
 昭和六十一年度決算外二件につきましては、第百十三回国会におきまして、その概要説明聴取及び総括質疑を終了しております。
 従来の慣例に従いますと、通常選挙後の国会におきましても、既に審査の終了いたしました点につきましては再び繰り返さないことになっておりますので、先例に従いまして、本日は直ちに昭和六十一年度決算外二件の各省庁別審査に入りたいと存じますので、御了承願いたいと思います。
 昭和六十一年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、内閣、総理府本府、総務庁、外務省及び防衛庁の決算について審査を行います。
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○委員長(千葉景子君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(千葉景子君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○及川一夫君 決算の質問に入る前に、けさほど報道されました米ソ首脳会談につきまして外務大臣に、緊急で恐れ入るんですが、お聞きしたいと思います。
 米ソ両首脳が、非公式ということが前提なそうでありますけれども、会談が行われるということは、大変我々にとっては見逃すことのできない、また歓迎すべきことという前提に立って注目をしているのであります。しかも、今回の会談は、一日はアメリカの軍艦の上で、もう一つの一日はソ連艦上で行うということですから、これはよほどの信頼関係というものがなければできるものではない、こう私は思っています。
 同時に、議題になるのは核軍縮という。今までは核そのものは抑止力ということでそれぞれが主張してきたようでありますけれども、その核の軍縮問題が主要議題になる。あわせて、ソ連のペレストロイカに対する期待を込めて、アメリカからの経済協力というものも俎上にのせられるであろう、こうお聞きいたしておるわけであります。極めて重要であり、世界平和にとっても大変な影響が即日出てくるんじゃないかというふうに思われるような議題だと私は思うのであります。
 しかも、新聞の報道によれば、発表直前に日本側に事前に通告をしたというお話があり、日本政府も歓迎の意向を示したという報道もございます。したがいまして、外務大臣にその間のいきさつ、話の内容などについてこの際明らかにしていただきたいというふうに考えるのと同時に、私が前段で述べましたような意味でこの会談をとらえたいというふうに思うのでありますが、外務大臣の所見をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(中山太郎君) 委員お尋ねの、昨日深夜に発表されました米ソ首脳の非公式会談が十二月の初旬に地中海地域で行われるということは、極めて重要な意味を持っているものと外務大臣としては認識をいたしております。
 御案内のように、国際政治は五十年あるいはそれ以上の大きな一つのスパンで見ると、起こってきた大変化であろうかと認識をいたしております。特に、社会主義経済を戦後ずっと実施をしてまいりましたソビエト連邦初め東ヨーロッパの国々における経済混乱、また米ソの極めて激しい対立の時代から対話の時代へ入り、さらに米ソが協力することについての話を行うという新しい現実、そういうものを踏まえながら、さらにECの経済統合を三年後に控えて、まさに世界は歴史的な変革の時代に入ったと私は認識をいたしております。
 そのような認識に立ちまして、米ソ間の首脳会談、つまりゴルバチョフ書記長とブッシュ大統領との首脳会談は明年に公式会談が予定されておったわけでありますが、ブッシュ政権ができて以来まだ米ソの首脳会談というものは行われておりません。そういう意味で、非公式に米ソ首脳が地中海地域で会談が行われる、しかもその一つが核に関する問題であり、またもう一つはソビエトあるいは東ヨーロッパの経済問題、それに対するアメリカの対応、そういうものを協議されるというふうに今委員からも御指摘ございましたが、極めて重要な意味を持っているものと理解いたしております。
 なお、これにつきまして、いつ、どのような時点で日本側に通告があったかということは、外交機密の上から、まことに恐縮でございますが申し上げるわけにはまいらないということを御理解いただきたいと思います。
○及川一夫君 ということになりますと、アメリカから大統領直接か、あるいはアメリカの外交筋から日本の総理か外務大臣かなどということをお聞きすると、機密事項であるのでお答えできませんという答えが返ってきそうなので、これで時間を費やすと損をしますからやめておきます。
 ただ、外務大臣に申し上げておきたいなと思うのは、非公式といってもオープンでいずれにしてもお会いになるという事実は世界各国が見きわめているわけですから、どんな話があり、どんなことが合意され、あるいは明春に改めて会談を持たれる場合に、何を継続事項にして、そしてどのような結論を得ようとするのかというニュアンスめいたものがかなり私は出てくるんじゃないか。しかも現状より後退することはなかろう。やはり現状より、より一歩平和に向けて、世界のデタントのためにということで米ソ関係が緊密化していくというふうに理解されるだけに、ならば我が国の対応は、これまで国会でお答えになったような、きょう論議もされるであろう防衛問題にしろ、あるいは我が国の行くべき方向にしろ、現状のまま変化なしにいけるかどうか。むしろそれ以上に前向きに問題を処さなければいけないんじゃないか、こんなふうに私は思っておるので、日本政府としての対応、日本の立場というのは、やはり米ソ会談いかんによってはいい意味の変化に向けて前進をさせなければいけないというふうに、外務大臣、今の心境、そのようにお受けとめしてよろしゅうございますか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおりでございまして、我が国政府としては、米ソ間の対話、さらに進んで東西間の緊張緩和、ひいては世界の平和というものがこのような過程を通じて構成されていくことが望ましいというふうに考えておりますが、何しろ、先ほども申し上げたように、何十年に一度というような大きな国際政治の変化の時代でございます。十一月六日にはアメリカのベーカー国務長官とオーストラリアのキャンベラで私はお目にかかって日米外相会談を持ちたいと思っておりますので、アメリカ側の意向等も十分その際に伺って、今後の日本政府の対応が誤りのないように持ってまいりたい、このように考えております。
○及川一夫君 ありがとうございました。
 それでは本題に戻りまして、まず私の質問の第一に、平和研究所の問題について総理府を中心にお伺いしたいと存じます。
 この世界平和研究所は、昨年の決算委員会でも若干触れられた問題ではあるんですが、その経過の中で、中曽根前総理がおやめになるとき、私流に言えば一種の交換条件という意味で、竹下後継総理に全面支援を約束させて、また、して、設立をしたというふうに私は受けとめています。したがいまして、財団法人としての世界平和研究所は、いつ認可申請があっていつ設立認可を決めたのかということをまず明らかにしていただきたいというふうに思います。
○政府委員(櫻井溥君) ただいまお尋ねがございました財団法人世界平和研究所は、昨年申請がありまして、六月に設立の認可があったところでございます。
○及川一夫君 認可を許可したのはいつですか。
○政府委員(櫻井溥君) 昨年の六月二十八日でございます。
○及川一夫君 先ほど、認可申請をされたのはい
つですか、そして許可をしたのはいつですかとお聞きしたんですが、あなたは認可申請は六月と、こう聞いたからおかしいなと思ったんですが、その認可申請の時期はおわかりですか。
○政府委員(櫻井溥君) 今ちょっと調べてございますので、次のお答えのときに答弁さしていただきたいと思います。
○及川一夫君 こんな重要なことを、また質問としては初歩の初歩なんでして、頭の中にきちっと入っておるべき問題だと思うんですが、あんまり緊張しないで答えてもらいたいんですよ。別に悪仕立てをしようということでやっているんじゃないんですから。
 それじゃ二番目の質問に移らしていただきますが、当時、竹下総理の特命で中央省庁から優秀なキャリア組を主任研究員として送り込んだというふうに聞いていますが、私の把握によれば五名行かれているというふうに聞いています。したがって、防衛庁、経済企画庁、外務省、大蔵省、通産省ということになりますか、それぞれ氏名と入省年次、出向の形などについて、直前のポストを含めて明らかにしていただきたいと思います。
○政府委員(畠山蕃君) お答えをいたします。
 防衛庁は、世界平和研究所に対しまして、西村繁樹二等陸佐を派遣しております。同二佐は、昭和四十四年に防衛大学校を卒業しまして陸上自衛隊に入隊した者でございます。世界平和研究所に派遣される直前には、陸上自衛隊幹部学校の教官を務めておりました。休職という形で出向しております。
○説明員(土志田征一君) 私ども経済企画庁から出向しております者は、成相修と申しまして、入庁は昭和四十八年でございます。前職は総合計画局調査官でございまして、身分といたしましては休職という形になっております。
○政府委員(山下新太郎君) 外務省からの出向者は、昭和四十五年に入省いたしました田中信明外務事務官でございます。主任研究員といたしまして、休職した形での出向をいたしております。田中事務官が出向直前に本省におりましたポストでございますが、大臣官房総務課の主任企画官でございます。
○説明員(田波耕治君) 大蔵省から研究所に出向しております者の名前は小瀧徹と申します。入省年月日は四十七年四月一日でございます。出向直前のポストは大臣官房企画官兼銀行局検査部審査課ということでございます。やはり休職という形で出向をしておるところでございます。
○説明員(江崎格君) 通産省からも一名出向させておりまして、名前は関成孝と申します。五十五年四月一日に入省した者でございまして、出向直前のポストは工業技術院の標準部国際規格室企画調整班長というものをしておりました。六十三年の十一月一日から出向しております。
○及川一夫君 いずれも十六年から二十年という勤続を数えますから、我が国の官庁では課長クラスといいますか、政府の中でも、行政局の中でも中心的なそれこそメンバーということが言えるかというふうに思います。
 ところで、昨年の決算委員会ではこういう方々について出向出向という言葉を使っておりました。身分を聞くと今回は休職ということになっているわけですが、この休職を発令する根拠は公務員法との関係でどこに置いておられるわけですか。各省庁の方はどこに根拠を置いて休職発令をしたのかということをお聞きしているんですが。
○政府委員(畠山蕃君) 自衛隊法の第四十三条、それからその施行令第五十六条第一号の規定によりまして、自衛隊員は、研究所等において、「その隊員の職務に関連があると認められる学術の調査、研究」等に従事する場合、これを休職にすることができるということになっております。
 他方、世界平和研究所は、その設立の目的等からいたしまして、設立の趣旨、事業内容が、「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つ」という防衛庁設置法第四条に定める防衛庁の任務と密接に関連を有していると理解しております。このため、防衛庁としては、同研究所に職員を休職として派遣しまして従事させることは有益なことと考えておりまして、職員一名を休職として派遣しているわけでございます。
○説明員(土志田征一君) 私どもの休職の根拠は、人事院規則十一の四の第三条一号によっております。
○政府委員(山下新太郎君) 外務省からの出向者につきましても、ただいま経済企画庁の方から御答弁ございましたように、人事院規則第十一―四の第三条第一号でございます。
○説明員(田波耕治君) 大蔵省からの出向者につきましても同様に、国家公務員法第七十九条に基づくところの人事院規則十一の四、第三条第一項第一号に基づいておるところでございます。
○説明員(江崎格君) 通産省におきましても同様でございまして、根拠は国家公務員法の第七十九条と人事院規則第十一の四の第三条でございます。
○及川一夫君 研究休職ということが大前提になっているようですが、この休職の方はもとに戻ることができるのですか。
○政府委員(畠山蕃君) もとに戻ることができるということでございます。
○及川一夫君 他の省も同じものと理解をいたしますが、そうしますと大体どのぐらい休職期間ということになるわけですか。
○政府委員(畠山蕃君) 休職発令の際に、これは六十三年十一月一日でございますけれども、二年間ということで平成二年十月三十一日までという発令事項になっております。
○及川一夫君 各省とも同じだと理解して質問を続けたいと思います。
 そうしますと、この二年間というのは、例えば退職手当、退職をされるときにどういうぐあいになるんですか。防衛庁で結構ですよ。
○政府委員(山田馨司君) 退職手当法の所管をしておりますのでまとめてお答え申し上げますが、財団法人世界平和研究所へ出向している国家公務員につきましては、国家公務員退職手当法の規定に基づきまして、公庫公団等への出向をした場合と同様に、退職手当の計算上、出向期間を勤続期間から除算しない取り扱い、すなわちそのまま期間として通算されるという取り扱いにいたしております。
○及川一夫君 要するに、この二年間というのは休職を発令されて、二年後に戻る。そして、あと十年後か十五年後か知りませんが、本格的に国家公務員をやめられるときに二年間は勤めたものという前提で計算をされて手当が支給されると、こう理解をいたします。そうしますとこれは、世界平和研究所に対しては、退職手当という限られたものであるけれども、一定の便宜供与を与えたと同じになるというふうに私は思います。したがって、政府は全くこのことに無関係ではおられないはずであります。
 同時に、この退職手当法の中に、公庫等から復帰した職員の退職手当の特例が適用される法人というのが例記されています。八十九あります。つまり、公庫等ですから特殊法人的な一つの研究所とかいろんなものが入っておるわけですが、こういうところに行った場合には、今お答えになられたように計算上に含めてよろしい、その法人というものは八十九ですよ、こう例示を実はされているわけでありまして、この中には世界平和研究所というのは入ってないわけであります。それでもよろしいのですか。合法ということになるんですか。
○政府委員(山田馨司君) 国家公務員退職手当法の施行令の第六条がございまして、これをちょっと読みますと、「法第七条第四項に規定する政令で定める法人」、これは今の通算できる法人でございますけれども、「その他の団体は、次に掲げる法人で、退職手当に関する規程において、職員が国家公務員法第七十九条の規定により休職され、引き続いてその法人に使用される者となつた場合におけるその者の在職期間の計算については、その法人に使用される者としての在職期間はなかつたものとすることと定めているもの」とい
うのがございまして、「及びこれらに準ずる法人その他の団体で内閣総理大臣の指定するものとする。」という規定がございます。
 今八十九とおっしゃいましたけれども、この規定による法人は十六ほどございまして、日本原子力研究所、アジア経済研究所等々が挙げてございます。そのほかに「これらに準ずる法人その他の団体で内閣総理大臣の指定するもの」という規定に基づいて指定したものでございます。
○及川一夫君 もうこれは底なしなんですよ、今のお話で言ったら。総理大臣がその気になればどこの財団にも政府からどんどん出向者を休職発令して出すことができる。こんな底なしでいいんでしょうか。全然歯どめがないのであります。総務庁長官どうですか、これでよろしゅうございますか。
○国務大臣(水野清君) ただいまの平和研究所の問題につきましては、設立の当時私はその当事者でございませんが、内閣の周辺におきまして妥当と思いそれをやったことであろうと思います。しかし、ただいまのお話のように、この問題はそう無制限に出向者に対する給与法上の特例というようなものを与えるべきでないことはもちろんでございます。これは私個人として、別に用意した答弁でありませんが、今後こういうことは極めて慎むべきことではないか。
 ただ、平和研究所の研究の内容その他につきましては、御承知のとおりまだ未知数でありますので、いろんな昨年来の諸問題から御批判をなすっていられると思いますが、いましばらく平和研究所の問題につきましては注目をしていくしかない、かように思っております。
○及川一夫君 この辺のことについては、小さいようですけれども大変重要な問題だし、やっぱり税金でもって国家公務員というものが賄われているとすれば、今のような形で運営されたのではもうたまったものじゃない、こう思います。したがって、これは総括段階で内閣総理大臣にやはりただしておかなければならない問題だというふうに思います。
 そこで、私は次の質問に移りたいんですが、この世界平和研究所の収支報告を見せてほしい、出してほしい、このように申し上げているわけでありますけれども、お示ししていただいておりません。なぜですか。しかも、先ほどから質疑で明らかになったように、退職手当とはいいながら具体的に便宜供与をする。五人も一カ所に行政当局からトータルとはいいながら派遣をするというようなことは、私は例はないと思っているんです。そういう意味も含めまして、なぜその収支報告書を出してもらえないのか、はっきりさしてもらいたい。
○政府委員(櫻井溥君) ただいまお尋ねがございました公益法人の収支決算書でございますが、これは先生御案内のとおり、関係省庁が各府省令の規定によりまして主務大臣あてに提出することとなっておるものでございます。したがいまして、これはあくまでも主務大臣の公益法人を指導監督する事務的な必要性から要求しておるものでございまして、外部に公表することを目的としているものではないということを御理解いただきたいと思うわけでございます。
 それから、先ほど私の答弁漏れがございましたが、財団法人世界平和研究所の設立の申請は昨年の六月十日でございました。つけ加えさしていただきます。
○及川一夫君 僕は理解できないんです、そうおっしゃるけれども。
 法人の業務の監督については、明確に民法第六十七条で、おっしゃられたようにあなたたちが監督することになっておる。監督するだけですか。問題になったらどんなことがあってもこれは出さないんですか。収支報告が国会で問題になる。我々には国政調査権というものがあるんでしょう。監督をしなさいということを命ぜられて、法律に従ってやっておって、それを掌握しておいて、国会で問題ではないか、問題があると思うからそれを見せてもらいたいと。だれも世の中に公表しろなんて言ってませんよ。ここで論議をしたいから見せてくれ、出してくれというのをどうしてあなたはお断りになるんですか。何か根拠があるのなら言ってくださいよ。
○政府委員(櫻井溥君) もちろん国会の国政調査権を尊重することは論をまたないところでございます。
 重ねて議員からの要求もございましたので、昭和六十三年度における収支の概要につきまして申し上げたいと思うわけでございます。収入総額は寄附金、会費等により十三億八千八百万余でございます。それから支出総額は十三億五千四百万余でございまして、主な項目としましては、事業費が一億二千八百万余、それから管理費が一億一千二百万、それから基本財産の造成が九億一千六百万余となっておりまして、昨年度末の資産総額は八億六千六百万余となった旨の報告を私どもは受けております。
○及川一夫君 前段と後段、えらい違うですな。理解してください、出しませんと、こう言ったんじゃないですか。あなた今答えられることなら、何でこちらの方へ要求したときに出してくれないんですか。たとえ今程度のものでも、収支はこうなっていますということが何で素直に出せないんですか。こんなことでよろしいんですかね、決算委員会というのは。私は本当にこだわりたいと思いますね、こういう問題については。オープンにしてくださいよ、どちらにしても。ですから、これも今回だけで終わるわけではありませんから、皆さんの方から公表あるいは提出することができないというならば、委員長にお願いをして理事会でももんでもらいましょうという気持ちであります。しかし、今概要にしろ出されたわけですから、それをメモでもって後ほど部屋の方で結構ですから出してください。
 いずれにしても、長官、この世界平和研究所の問題は、新聞紙上で発表されたものによりますと、とにかく二百億円の基金で始まろうと、こう打ち出されたものなんですよね。ところが、幸か不幸かリクルート問題にこの中心的な立場にあった中曽根さんがかかわったものですから、どうも金の集まりぐあいがよくないらしい。中途で百億円に変えたということも報じられているのであります。ところが今お聞きいたしますと十三億八千八百万ということですから、その活動状況というのは一体どうなっているんだろう。活動の現状について知らしてくれませんか。これは数字ないですから言えるでしょう、どのぐらいの活動をされているのか。
○政府委員(櫻井溥君) お答えいたします。
 先ほど御説明いたしましたように、六月に発足いたしまして以来、各種研究会の開催や海外における現地調査などの調査活動、さらには海外の専門家、有識者を招きましてのシンポジウムを開催するなど、国際交流及び知識、情報の普及、公開を行い、所期の目的に沿った諸活動を行っておるとの報告を受けております。先ほど先生から御指摘ございましたように、いろいろな事情で予定どおりの資金が集まっていないことも事実でございますが、所期の研究が実施できるよう、現在鋭意努力をしておると私どもは伺ってございますので、政府といたしましても今後の財団の努力を見守っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○及川一夫君 お答えをなさる方から見ても十分でない、所期の予定をされた活動はされてないということになりますと、先ほど出向者の話が出ましたけれども、二年後には引き揚げるといっても、恐らく二年後にはまた出されるんだと思うんです。二年間だけ、あとは知りません、世界平和研究所は勝手にやってくださいということになるんですか、ならないんですか。
○国務大臣(森山眞弓君) 世界平和研究所は、先ほど来お話がございますように、その高い公益性にかんがみまして、政府としても、その法人の事業の「実施に関し、関係行政機関は、必要な協力を行うものとする。」という閣議了解を行っているところでございます。
 資金面につきまして難しい問題があるということは聞いておりますが、もう少しこの研究所自体の努力を見守っていきたいと考えますし、その閣議了解に基づきまして関係省庁からの職員の出向についても御指摘のような措置をとっているわけでございます。研究体制の整備や財政基盤の確立につきまして、今後の事業の充実、推進を見守ってまいりたいと考えますし、政府といたしましては従来の協力をさらに続けてまいりたい、見守ってまいりたいというふうに考え、退職手当法に基づく指定を取り消すということも今のところ考えておりません。
○及川一夫君 官房長官のお話ですけれども、ずばり言えば、二年後も派遣をする人間はともかくとして継続するという意思表示をされたんだと思うんです。そして退職手当などに支払う政府からの支出は今までどおりというふうに答弁されたと理解します。私は納得できません、この問題は。政府としてやめろとかやれとか、能動的な意味で言える立場にはそれはないでしょう。しかし、政府が協力していることが、一〇〇%とは言わないけれども八〇%も機能していない、五〇%も機能していない。それなのになおかつ出向者を出すというのは一体どういうことなんだろう。むだ遣いと言えませんか、これは。
 それと同時に、この世界平和研究所なるもの、外交という意味では外務大臣の所管なんですが、一体これは何の位置づけなんですか、この世界平和研究所というのは。それがちっともわからない。協力をするということは決めているけれども、今の政府にとってこの世界平和研究所というものは、外交政策を行う上であるいは経済政策を遂行する上で、外務省とか大蔵省とか経済企画庁とか、これだけの機関を抱えていながら、多額の金を出したと私は同じだと思いますから、一体どういう位置づけでそんなことまでしなければいけないのか。しかも、総理大臣というたった一人の人格が意思決定をすれば歯どめなしに政府の役人が出向できるなどということは、どうしても私は承服しかねるんですよ。したがって、これは総理大臣の問題でも私はあると思いますから、総括質疑の際に私はすべてを譲りたいというふうに思います。
 そしてまた、監督をしている総理府にはお願いしたいんですけれども、単に定款などにある活動の内容を読み上げるんではなしに、一体どんな体制になってるんだと。例えば頭数だってそうでしょう、百人いるのか五十人いるのか。そしてどういう機構で、そして活動計画というものはどういうものがあって、それに向けて政府が派遣した人たちがどんな位置づけになっているのか。極めて効率的、効果的に使われているんだというそういう自信めいたものもなしに現状報告などというふうに言われたんではたまったものじゃないと思うんですよ。ですから私は、そういう意味合いで後ほど資料要求をしたいというふうに思いますので、これにはひとつ総務庁長官、応じていただかなければならないし、応じてもらいたいということを申し上げたいと思うんですが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(森山眞弓君) 世界平和研究所の目的、事業内容についてはもう既に御説明申し上げたところでございまして、現在具体的には、主任研究員を中心といたしまして、新潮流下の日米関係を考える、あるいは共産圏諸国との経済協力のあり方、あるいはベトナム軍撤退後のインドシナ諸国の経済発展、中国の政治情勢と中国における経済政策と開放体制の展望、ODAをいかに生かすか等々の課題につきまして、研究会の開催、調査研究委託等を行っております。
 これらは非常に我が国の平和目的、国際的な地位の向上というようなことに有益であると考えておりますので、今後とも閣議了解の趣旨に従い協力をしていきたいと考えておりますが、事業内容について先生御要求の資料についてはできるだけ詳しく、必要とあれば提出させていただきたいと思います。
○及川一夫君 時間の配分もございますから後ほどに譲ることにいたしまして、官房長官は職掌上総理大臣に一番近いと私は思いますから、よくお話をしていただきたいと思うんですよ。お読み上げになっただけじゃとてもじゃないが国民の疑惑は晴れません。これだけは申し上げておきたいと思います。
 それじゃ次に、防衛庁移転問題に移らしていただきます。
 まず大蔵省にお聞きをしたいんですが、報告書の作成問題であります。主計局長名で私のところに報告書が参っております。分厚いものであります。この報告の内容、主計局でまとめられるだろうと思うんですけれども、これは各省任せということになっておるんですか。
○説明員(設楽岩久君) 決算の説明につきましては、国会の意向もございまして、決算審議の参考に供するために、昭和三十三年度以降各省庁から資料の提出を求めまして、大蔵省において便宜取りまとめて国会に提出いたしておるところでございます。
 その内容につきましては、主として当該年度の予算の説明に掲げられた主要経費ごとにその実績を掲記しているわけでございますが、ここ数年来、決算審査の充実に資するために、可能な限り事業施行箇所の記載、主要な長期計画の実施状況、それから決算等につきまして、できるものなら事業量につきましても表示する等努めているところでございます。決算についての物量的表示の観点を取り入れるよう努力しているところでございますが、今後とも関係省庁と十分協議いたしまして、決算の内容はわかりやすいものにしたいと努力してまいりたいと考えております。
○及川一夫君 先回りされて答弁が出てくるわけですから、これは質問どおりというのはなかなか大変だというふうに思うんですが、一応私も目を通したんですよ。非常にわかりやすく書いているところと、数字だけ羅列をして報告だと胸張っているところと、極端に違うんです。私はこれでは困るなと思いました。
 別に防衛庁の移転問題があるから防衛庁を取り上げるわけじゃありませんけれども、例えばODAの問題なんかに対する六千億の支出の問題については二十一ページも費やしているわけですよ。三兆三千億にわたるこの防衛庁の報告は十ページなんです。数字の羅列であります。もちろん、戦車を買った、弾薬を買った、だから幾らだというのは、弾薬といえば何であるかはよくわかりますけれどもね。しかし、その弾薬の購入だって毎年毎年増額されていっているわけです。それが増額されていっているとすれば何だろうと、こう思うんですが、そういうものは一切触れていない、数字だけである。もちろん、軍備に関することですから、それは機密もあるでしょう。しかし、精いっぱい国民の理解を求めようとする決算報告というならば、数字だけではわかりませんのでね。
 あるいはまた、日米合同訓練というものが行われました。あれだって国民の目から見れば、大それたことをやる、当たり前だ、いろんな意見があるかもしらぬけれども、一体あれにどのぐらい税金かかっているんだろう、こういうことを知りたいと思って見たってわかりません。聞いても、それをすべて細かく計上して計算することはできないというようなお話が実は返ってくるわけですよ。これではもう決算審査には全くならないわけであります。
 こういうことについては、先ほど答弁先回りしてありましたから、ひとつ国民にわかりやすく、各省ばらばらにならないように、少なくともわかりやすいのはこれだというレベルがあったらそれに合わして報告書はつくってもらうということが非常に私は大事ではないか、こういうふうに思うんです。そしてまた、自衛隊が行動を起こしますとどうしてもマスコミ上でも報告はされてまいります。国民の耳に目に触れるわけであります。こういうものにどれだけ金がかかったのかというようなことについてもわかるような内容をぜひとも防衛庁として私は工夫してもらいたいということを要求しておきたいと思います。
 それから、防衛庁に対する会計検査院の指摘を見てみますと、一つだけの指摘であります。金額にして六千三百万余り。工夫をすればこんな金額は出さぬで済んだ、こうなっているわけですよ。本当にそれだけなんだろうかと、別に性悪説に立っているわけじゃないけれども、やっぱり疑ってみたくなりますよね。
 したがって検査院にお聞きしたいのですが、会計検査というのは、各省庁の予算額全体が原則でしょうが、一〇〇%見るというのはなかなか至難のわざかもしれない。一体どのぐらいの割合で各省庁の検査をするという考えなのか、あるいはまたされてきたのか、その辺のことをお聞かせ願いたい。
○説明員(三原英孝君) お答え申し上げます。
 会計検査院といたしましては、検査対象でございます国の会計経理につきましては一応全部検査をする、こういう建前になっております。
 検査のやり方といたしましては、相手方から計算書なり証拠書類を出していただく、これを会計検査院において見るという在庁検査のやり方と、それから実地検査のやり方とございますが、実地検査の方は人員その他の制約もございますし、現在のところ施行率は八%台で推移いたしてきております。ただし、この八%の中には、たくさん全国にございます郵便局なりあるいはJRの駅など、こういうのも入った率でございまして、本省とか主な出先機関でございますところの重要箇所に対する施行率は現在のところ四〇%程度というふうになっております。ただし、私どもといたしましては八%で十分というふうに考えておるわけではございませんで、少しでもこの施行率を上げたいということで例年予算要求その他におきまして努力をいたしているところでございます。
○及川一夫君 ちょっと驚きましたな。せめて一五%ぐらいの数字が返ってくるかと思ったんですけれども、八%ということになりますと、やっていないとは言わないけれども、やったということになるんでしょうかね、これは。世論調査と実は違うわけでして、世論調査ですとそれは一〇%ぐらいやれば数式によってかなり確実なということもあるんですけれども、個別の問題ですからなかなかそういかないでしょうね。これは検査体制の問題もあるんでしょうから別の議題で触れることにいたしますけれども、極めて私はそういう検査体制ではやはり問題だということを指摘しておきたい。
 そこで、跡地移転問題について触れたいと思います。
 まず、長官は大蔵省の御出身だそうでございまして、大蔵省というのは常に財布のひもはかたいわけですから、防衛庁ともいろいろ対立した御意見を持ったことがあるだろうと思うし、また実際にそういう場面にこの跡地移転問題でぶつかったことがあるんじゃないか、こう私は理解をいたしているわけですが、この跡地移転問題に対する長官としてのお考えをお聞きしたいというふうに思います。
○国務大臣(松本十郎君) 防衛庁の本庁庁舎、これが移転計画に入っております。これは防衛本庁、いわゆる防衛中枢がある檜町、御存じのようにあの周辺は商業地化が進んでおりまして、このために国土の有効利用という観点からこれを市谷地区に移転させて、これに伴いまして首都及びその近郊の防衛施設の再配置を図ろう、こういう考えで進めております。
○及川一夫君 御質問したのはそうじゃなしに、今移転問題というのはどちらにしても、閣議決定をされたという経過がありますから、ただ商業都市云々の問題よりも、移転をすることによっていろいろ派生する問題が出てまいりますよね。ずばり言って、例えば中央指揮所の問題、大変な騒ぎをしてつくったのはいいんだけれども、移転をするということは中央指揮所も移転をされるわけでしょう。移転をすると一体どういうことになるんですか、残されたものは。ぶち壊すことになるんじゃないんですか。跡地をどう使うかの問題はこれからの問題としてあるでしょう。しかし、移転をすることによって、防衛庁長官として考えたときに、全く問題が起きないんでしょうか。
○国務大臣(松本十郎君) 移転問題というのは、委員御承知のように、国土の多極分散化を図って東京一点集中を排除しよう、これがねらいでありまして、それをねらって各省庁、各機関をできるだけ地方に分散したらどうか、こういう考えで進めているわけでございまして、防衛庁というものもいろいろな施設がございますが、その観点から一番商業地化が進んでおる本庁を移さなければならないな、こういう方向に出たわけであります。
 そうしますと、これまた委員御指摘のような、せっかくつくったものをどうするんだということになりましょうが、それは確かにそういう点はございましょうが、全体としての政策にマッチして物を進めるという観点からすれば、どちらの方がプラスマイナス大きいかということで総合的に判断せざるを得ないというわけでございまして、そういう観点から思い切ってここは移転するということを決めたわけでございます。
 詳細は政府委員から少し説明をさせます。
○及川一夫君 その詳細は大体知っているんですよ。そんなことやると時間食うだけですからそれは必要ないんです、わかっていますから。具体的に、中央指揮所の問題は八十六億円かけてつくったはずですよね。まずこれがつくられたのはいつですか。
○政府委員(村田直昭君) 防衛庁の中央指揮所でございますけれども、昭和五十一年ですか、ミグ事件、ミグ25が函館空港に着陸したという事件がございまして、それを受けて中央指揮所の必要性というものが主張されまして、昭和五十六年度から昭和五十八年度にかけて中央指揮所が整備をされたということでございます。経費は、先生今約八十六億円と申しましたが、建物について約三十六億円、内部の通信機器等について四十九億円、合わせて八十六億円でございます。
○及川一夫君 後段の八十六億円の中身を言うというのは、八十六億円じゃ問題かもしれませんけれども、三十六億円なら許されるんじゃないですかというそういう甘い、これは私はお受けできませんね。これは国税ですからね、どんなこと言ってみたって。ですから長官、五十六年から五十八年にかけて工事がされて要するにでき上がったわけですよ。そうして、ことしは平成元年ですから八年たっています。そうして、平成七年までに移転をするという計画だそうですから、ここまで使ったとしても十五年ということになるんでしょう。
 ところで、この種の建物については政府みずからがお決めになっている耐用年数というのがあるわけですね。六十五年だと私は理解しています。六十五年から十五年引いてごらんなさいよ。大変なむだ遣いをしたということになるんじゃないですか。それも決め方の問題も私はあると思いますよ。
 この問題が取り上げられたのは六十年の十二月ごろにマスコミから報じられていますよ、そういう構想があるという話が。それから、それに相呼応するように、六十一年、参議院の予算委員会で自民党の秦野さんが特特会計の問題について発言されていますね。そしてそれを受けて中曽根さんが、いや私も同じようなことを考えておった、ぜひ研究をしてみたい、こう言いながら、六十二年には移転をするということを閣議で決定がなされた、こういう経過になっていますよ。前段の方は、やっぱり火のないところには煙は立たないわけですから、あったと思いますよ、突然決まるわけじゃないんですから。そしてその時期は、過去にさかのぼってみたらリクルートだらけじゃないですか。しかも、民活ですか、あそこに防衛庁がいると商業発展に邪魔になるから活力を利用せい、どうのこうのというようなこともついていましたよ、当時は。あの中にはリクルート社というものがあそこに進出するかしないかという問題も実は報道されていましてね。
 ですから、私からいえば、どうも移転というよりも民活ということが先にある。そうして、防衛庁が邪魔だからこの際市谷に移そう、市谷を朝霞
に移そう、こういう順序になっているのではないかと私は思わざるを得ません。なぜなら、市谷と六本木でどのぐらい違うんですか。市谷は高台になっているだけですよ。あそこは将来六本木のように若い連中が行ってわいわい騒ぐ、楽しむというようなことにはならないという保証がありますか。移転をするならもっと過疎地帯、まあ一極集中というのが問題だとすれば、長官あなたも発言された、そういう意味で思い切ったところに移転するというならまだ話はわかりますよ。東京都内ですよ。土地の値段としてどのぐらい違うんですか、市谷と六本木で。
 というふうに考えますと、この中央指揮所の問題というのは単なる中央指揮所の問題じゃない。したがって、会計検査院はまだこれ執行されてませんからそれは検査の対象になってないでしょう。しかし、現実にそのことが予測されるわけで、こういうものは指摘事項になりますか、なりませんか。検査院にお聞きしたい。
○説明員(澤井泰君) お答えいたします。
 この移転計画という問題は全体で決められた問題でありまして、その移転計画そのものにつきましては必ずしも本院の検査対象にはならないものと思っております。
○及川一夫君 これは防衛庁予算じゃないんですか。これも時間の関係があるから、やりとりしていてもしようがないけれども、まだ執行していないから問題にはできないという意味の発言はあろうかと思っておったら、これは何か検査の対象にならないというふうに言われましたので、これはちょっと記録にとどめておきます。それで後でこれはお聞きしたいというふうに思います、この点は。
 いずれにしても、長官、このような問題がありますし、それからもう一つ、跡地利用の問題は確かに防衛庁長官じゃないでしょう、大蔵省でしょう。しかし、この跡地利用の問題について、当時の中曽根総理の発言をストレートに受けますと、やっぱり民間に対する払い下げですよ。そして、あの六本木をもっともっと近代的な都市にしてというきれいな言葉で、何か再開発するようなお話に我々は聞こえる。
 ところで、あの跡地というのは一体どのぐらいの値段だと長官お思いですか。
○政府委員(村田直昭君) 跡地の問題でございますが、跡地にどの程度の処分収入があるか、処分できるかということにつきましては、将来、八年先のことでございますので現時点ではお答えできないということでございます。本来大蔵省で処分なさることでございますので私どもが言える立場ではございませんけれども、私どもが聞いておるところでは、現時点では言えない、こういうことでございます。
○及川一夫君 余りとぼけた発言をしない方が私はいいと思いますがね。とにかく、七万六千八百七十二平米あるわけですから、坪数にすれば二万三千坪強の広さの土地ですよ、これは。私はここに公示価格が示された地図を、マップを用意してあるんですけれども、それは値段はまちまちです。しかし、この防衛庁のあるところは二千四百六十万という公示価格になっておるんですよ。これを平米掛けただけでも一兆九千億。時価は一・五倍だと言われているものですから、一坪にすると一億を超えちゃう。そういう値段のところを買うということになると、これはだれが買うんでしょうか。それは庶民はそう買えないんじゃないですか。私は、そういう意味合いで問題をとらえますと、本当にこの跡地の問題についてはまず払い下げをするかしないか、このことをまずもって考え直さなきゃいかぬと思います。
 それから、政府自身が提案されている土地基本法、これを今与野党間で論議をしています。継続審議になっています。そういうものから見ても、私はとてもじゃないが民間に払い下げるということはできないと思う。やるべきでないと思う。逆に国有地の利用をどう効率的に利用するかという立場から、政府自身やあるいは自治体との協議などを通じて、あるいは民間の人たちの知恵をかりてやるべきだというふうに思うんです。払い下げないということになりますと、やはりこれは特特会計という問題にも影響してきますから、私はそういう意味で抜本的にこの問題については考え直すべきじゃないか、移転そのものについて考え直すべきじゃないかと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。(「委員長、議事進行」と呼ぶ者あり)
 後で整理しますよ。(「議事進行が先じゃないか」と呼ぶ者あり)いや、やります。(「今整理しなさいよ、今整理しなきゃだめだ。」と呼ぶ者あり)
○委員長(千葉景子君) その点については、理事会で協議しますので、御発言はそこまでにしてください。(「いや、おかしい。議事進行が先じゃないのか」と呼ぶ者あり)
○政府委員(村田直昭君) 本防衛中枢の移転計画は、昭和六十三年度から既に予算化をされて執行しております。現在は平成元年度、二年度目ということで設計の委託等をしておる状況でございまして、これを逆戻りさせてやめるというわけにはいかないという状況にございます。
○及川一夫君 今の回答でございますけれども、あなたの立場ではそうしか答えられません。したがって、これは当然内閣の問題でしょうから、改めて要求することになりますけれども、大蔵省並びに防衛庁もこうした事態についてはぜひ国民的な次元で考えていただきたいということを強く要請いたしておきます。
 次の問題として、ODAの問題についてお伺いをしたいというふうに思います。
 まず、六十一年度計画の執行状況といいますか、実施状況、簡単でよろしいですからお答え願いたいと思います。
○政府委員(松浦晃一郎君) 外務省のODAの一般会計予算について御説明いたします。
 六十一年度の外務省のODA一般会計予算は二千九百五十億円でございましたが、そのうち経済開発等援助費八百七十四億円が翌年に繰り越しております。
○及川一夫君 そういう話でなしにお聞きしたかったんです。金額じゃないんです。六十一年度たくさん計画がございますよね。その中で、これまでの報告によりますと、かくかくしかじか計画をされたけれども、日本側には実施の意思があるが相手側の都合で実施することができない、しかし何としてもこれはやりたい、したがって繰り越そう、それは何々である、こういうことが明示をされた、あるいは決算委員会で配られたという記憶があるんですけれども、そういう意味のものはありますか、ありませんか。
○政府委員(松浦晃一郎君) 私が今申し上げましたのは、経済開発等援助費八百七十四億円が翌年度に繰り越されておりますけれども、これは案件は全体で百六十案件でございまして、今先生御指摘のように、どうしてこれが繰り越されたかと申しますと、まさに相手国の事情でございまして、資料がございましたらどういう事情か御説明いたしますけれども、いずれにいたしましても、相手国側のいろいろな事情、不測の準備日数を要しましたので翌年度に繰り越しまして、翌年度はほぼ一〇〇%執行しております。
 もし百六十余案件の状況について資料を出せということでございましたら、全部出します。
○及川一夫君 ぜひ出していただきたいと思います。
 それから、ODA問題については、当院の調査会でかなり論議はされて提言並びに具体的な決議、こういったものがなされております。
問題はいかにこれを具現していくかということになってくるんですが、外務大臣、来年の予算編成あるいは予算という中で提言をされた七つの問題とか、そういうものを一つ一つ具体的に実施していく、そういう初年度と私は受けとめるんですが、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 当院でたしか六月であったか、御決議をいただいておりまして、当院の御決議の御趣旨を十分尊重して明年度の予算編成に当たってまいりたいと考えております。
○及川一夫君 ぜひ、せっかく調査会として提言を全党一致で出されておるわけですから、具体的な展開をひとつお願いをしておきたいと思います。
 次に、総務庁にお伺いしたいんですが、この前新聞に、十月二十三日だというふうに記憶いたしますが、NTTに関する勧告、予定という括弧づきなんですが、何か勧告案なるものが発表されましたけれども、これは具体的にもう作業を進められて勧告されるわけですか。
○政府委員(鈴木昭雄君) 電気通信事業に関する行政監察は、一つはNTTの経営の効率化の問題、それからもう一つは有効競争条件の整備の問題、この辺を主なねらいとして実施しているものでございますが、地方レベルの調査といたしましては本年一月から六月、それから本省あるいはNTT本社レベルの調査といたしましては並行して行っておりましたが、これが八月までかかったというものでございます。現在それらの調査結果を整理、分析しているという段階でございます。したがいまして、新聞の報道にございましたように、予定勧告事項が固まりつつあるようなことでございますが、そういうような段階には至っておらないということでございます。
○及川一夫君 ということになりますと、一体総務庁としての情報管理というのはどうなっているんだろう。率直に申し上げて、きのう衆議院の大蔵委員会でも株価との関係から問題をとらえまして、結果的に迷惑をこうむっているのは株主ではないか、国民ではないか、こういう議論が展開されたようですね。
 そう考えてまいりますと、この行政監察というのは確かに法律上、法律がありますから、会社自体が要するにこの対象になるということはそれなりに理解できるんですが、行政監察をする場合の考え方ですよね。つまり各省庁をやる場合にはずばりそのもので、それこそいろんな意味で踏み込んでいいんでしょうけれども、相手が民間企業だ、株を発行している、こういう企業の場合、法律行為による企業の場合、全く省庁と同じような考え方だけでいわば監察に行くということがいいのかどうか、正しいのか正しくないのか、一体その辺のけじめというものはもうまさしくなくていいのかどうか、こんなことが頭に実は浮かぶわけなんですよ。
 自民党の玉置先生が、お亡くなりになりましたけれども、かつて農協という言葉を挙げられてそれでいきましたですな。あれでもう国民的世論が、農協には問題があるんじゃないかということが何となしに世論的に形成されて、行政管理庁としてはやはりその辺も、補助金を出しているから責任を持たなきゃならぬということで監察をする、こういう発言をされた経韓になっているんですよ。非常に慎重な発言の経韓があるんですけれども、仮にそういうものに当てはまるとすれば、その監察のあり方といいますか、そういうものについてもう一度振り返って見直しをして、こうあるべきだというものがつくられてしかるべきじゃないかなという感じがするんですが、どうでしょうか、これは。
○政府委員(鈴木昭雄君) このたびの電気通信事業に関する行政監察は、監察といたしましては郵政省の指導監督行政を見るという建前になっております。ただし、私どもの設置法によりまして、いわゆる特殊法人と言われるものにつきましては監察に関連して調査をすることができるというような規定になっております。そういう観点から、NTTにつきましては、会社化されましたが特殊法人であることは間違いございませんので、そういう観点から調査をいたしているわけでございます。
 なお、民営化されたということでございますが、行政改革の一環として行われたわけでございますが、改革の定着状況とか、あるいは何が残されている問題があるかというようなことは、やはり行政監察としても十分関心を持つべき事項であるという判断でこのような監察を計画し、実施しているところでございます。
○及川一夫君 それ自身はわかるんですよ。私もまた、手心を加えるとかそんな意味で言っているんじゃないんですよ。ただ、民間企業という場合には生きた企業だし、競争の原理も入っているんだし、また市場原理に応じてさまざまなことをやっていかなきゃいかぬという中で、当時の電電公社と同じような意味合いで物を見、判断をし、それでやるということは、果たして民営化されたという実情に合うということになるんだろうかどうだろうか、こういう疑問なんですよ。ですから、これはもっともっと議論をしなけりゃならぬ問題だと思いますけれども、行監の方でも我々が理解できるようなお考えというものが示されればこれはまた別ですけれども、ぜひ検討していただきたい、こういうふうに思うんです。
 さらに、時間の関係で政府広報の問題については後にします。
 官房長官ちょっと欠席しておるんですけれども、問題だけを指摘して次回にひとつ譲りたいというふうに思います。
 というのは、検査官の任命の問題であります。法律によりまして検査官の任命は内閣ということになっていますから、内閣総理大臣ということになると思います。したがって官房長官にお聞きしなけりゃならぬのですが、実態の問題として、検査官が三名おられる。そしてずっと四十年代を見てみますと、一つには検査院から検査官になられる方、それから国会の事務総長、衆参両院からなられる方、それに大蔵省からなられる方、これが定着しておるわけですね。どこからどこまで行政屋さんで、どこからどこまで民間人あるいは立法府を代表するというふうに言えるのかということは、個々人によっていろいろ難しい問題があるというふうに思われるのでありますけれども、いずれにしても、内閣からそれこそ独立した地位が明確になっているわけですから、それにふさわしい体制をつくるべきだということになりますと、なぜそのように、戦後一貫してと言ってもいいんじゃないでしょうか、私が調べたのは四十六年からですけれども、とにかくそれが固定化されているということについて私としては極めて問題ではないのかな、この辺をどういうふうに我々は受けとめればいいのか。内閣の方がおられましたらお答えいただきたいと思います。
○説明員(浅見喜紀君) お答えをいたします。
 会計検査院における主要な事項の意思決定というのは、先生御承知のとおり、三人の検査官で構成される検査官会議において合議制によって行われております。それでこういったことが検査官会議の判断の公正とかあるいは中立性を確保しているというふうに考えております。
 そこで、検査官会議の構成員でございます検査官につきましては、行財政あるいは法律関係について豊富な知識と経験に基づいた公正な判断力を備えているということが強く要請されております。このため、検査官の任命に当たりましては、これらの要件を十分考慮いたしまして、両議院の同意を経て内閣が任命しております。このように検査官にふさわしい方を実質的に選任し、現在のような構成になっているものというふうに認識しております。
○及川一夫君 終わりたいと思いますが、戦前の国の財政に関する検査体制と戦後の検査体制は全く大きな変わり方をしていることは御存じのとおりだと思います。したがって、それにふさわしい体制ということになると、行政の経験者だけで検査官を構成するというのはいかがなものか。俗な言葉で言えば、国民の目というものが直接反映できる、そういう意味での検査官の登用というものが必要ではないか。
 同時にまた、先ほど答弁いただきましたように、検査院の体制の問題についても十分というお答えはどこでも聞いたことがない。不十分だけれども、しかしどこまでいったら十分かということも出てこない。そういう中でとにかく必死に頑張っていますと、こういうお答えしか出てこないわけですが、財政規模が大きくなればなるほどやはりいろんな問題が出てきかねない。そういうものに
対して阻止をするために、問題を起こさないために体制の確立が必要だという意味で、検査官の任命についても検討しなければならない、こういうことだということを最後に申し上げて終わりたいと思います。
 大変ありがとうございました。
○委員長(千葉景子君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時三十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
○委員長(千葉景子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和六十一年度決算外二件を議題とし、内閣、総理府本府、総務庁、外務省及び防衛庁の決算について審査を行います。
    ─────────────
○委員長(千葉景子君) この際、御報告申し上げます。
 本委員会休憩中、理事会を開き、午前中の及川一夫君の自民党に関する発言について協議を行いました。その際、及川君から委員長に対し、本日の委員会における同君の発言中、不穏当と思われる部分のあったことについて遺憾の意を表し、当該部分に関して取り消しの申し出がありました。よって、理事会はこれを了承することといたしました。後刻委員長におきまして当該部分につき速記録を調査の上、処置することといたします。
 以上、御了承願います。
    ─────────────
○委員長(千葉景子君) 質疑のある方は順次御発言願います。
○一井淳治君 官房長官にまずお尋ねしたいと思いますけれども、長官におかれましては、参議院議員でございますので、参議院の決算委員会の重要性については十分な御認識をお持ちだと思いますけれども、改めてこの場でまずお伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 私も参議院議員といたしまして決算委員会に籍を置いたこともございまして、決算委員会の重要性については十分認識しているつもりでございます。決算は予算の執行の実績でありまして、決算委員会における審査は、予算の執行が所期の政策目的を果たしているかどうか等について審査、検討するものでありまして、極めて重要なものであるということを繰り返し申し上げたいと存じます。
○一井淳治君 そういう御認識に立ちまして、この参議院の決算委員会の審議の充実について、政府側の御協力がいただけないとこの決算委員会の審議は十分に果たすことはできないわけでございますけれども、最大限の御協力を賜りたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) ただいま申し上げましたとおり、決算委員会の審議は極めて重要なものでございますので、政府といたしましても従来から予算の適正かつ効率的な執行に留意してきており、予算編成に当たっても決算の成果を十分反映させるよう努めているところでございます。今後とも、決算審査の重要性を十分認識いたしまして、その審査につきましてはできる限りの協力を行うという基本姿勢のもとに、なお一層の努力をしてまいる考えでございます。
○一井淳治君 そして、決算委員会は日取りをとるということが非常に困難を来すわけでございますけれども、総括の場合の総理大臣の御出席、それからまた各担当大臣の御出席の確保ということについて御協力を賜らなければならないわけでございますけれども、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 決算委員会に対します各大臣の出席につきましては、委員会から御要求がありますればできる限り応ずるという姿勢でやってまいりましたし、今後ともその線で努力してまいりたいと思います。
 なお、総理大臣の出席につきましても、できる限り御協力申し上げるべきものと考えておりますが、与野党の御協議もありますので、その御協議に従いましてできるだけの努力をいたすという考えでございます。
○一井淳治君 これを一般論とすれば、あるいは総論とすれば皆様方全員のお考え方が一致するわけでございますけれども、具体的な質疑に対する答弁とかあるいは資料の提出要求に対する御協力というふうになりますと、これはなかなか現実の各官公庁の利害とか伝統とかありまして難しい問題があるわけでございます。例えば午前中の同僚の及川委員の要望しておりました財団法人の計算処理の問題等がございますけれども、仮にこれがもっと早く及川委員の手元に入っておればきょうの決算委員会の審議がより充実したんじゃないかというふうに思いますけれども、質疑に対する答弁あるいは資料の提出要求があった場合の御協力について、ぜひとも積極的にこれまで以上に御協力を賜りたいと思います。
 その点の積極的なお考えをぜひとも聞かしていただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 大臣の出席あるいは資料の御提出その他いろいろな御要求があろうかと思いますが、できる限り応じたいという考えに変わりはございません。そして、与野党の御協議もございますから、その御協議に従って努力いたしたいというふうに思っております。
○一井淳治君 私は後に、労働省に対してあるいは文部省に対して要望しております資料に関してまた質問をさしていただきたいと思っておりますけれども、資料の提出要求に対する御協力と、そして委員の質問に対する誠意あるポイント、的を射た答弁というのが非常に大事であると思いますので、閣議の場でも他の閣僚の方を通して今の官房長官のお考えが各省に伝達されるようによろしくお願いしたいと要望を申し上げておきます。
 次に、女子差別撤廃条約との関係について質問をさしていただきます。
 この条約を締結してことしで四年目になります。また、いわゆる新国内行動計画が決められてから二年目になるわけでございますけれども、非常に多くの方向づけが新国内行動計画の中ではなされております。官房長官もたしか婦人問題企画推進本部の副本部長でいらっしゃるというふうに思いますので、この点を特にお尋ねしたいわけでございます。
 「国の政策・方針決定の過程への婦人の参加の拡大」という大きな項目がございます。これは具体的に言いますと、昭和六十五年度までに、現在は平成でございますけれども、婦人委員の割合を一〇%に持っていく、そして西暦二〇〇〇年までに一五%を目指すということがこの新国内行動計画で決められているわけでございます。しかし残念なことに、実績を見ますと、平成元年度はちょっと不明でございますけれども、六十三年三月三十一日の報告を見ますと六・六%という状況でございまして、毎年〇・三%ぐらいしか前進していない。現在のままでは来年までの一〇%はもちろん、西暦二〇〇〇年までの一五%の目標もとても追っつかないという心配があるわけでございますけれども、ぜひとも強力にこの点を推進していただきたいと思うわけでございますが、官房長官のお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 仰せのとおり、新国内行動計画におきましては、国の審議会などにおきます婦人委員の登用の促進につきまして、平成二年度末までに政府全体として一〇%、さらに西暦二〇〇〇年末までに一五%という具体的な目標を設定いたしておりまして、その目標の達成が本部の重要な課題となっているわけでございます。
 しかし、具体的に実績として上がってまいりましたものは、おっしゃいますとおり、昨年昭和六十三年の三月三十一日で六・六%、本年、平成元年の三月三十一日の数字がここにございますが、これも六・七%とわずかずつの前進でございまして、もう少しここで力を入れなければいけないというふうに考えた次第でございまして、このため、去る七月十日に婦人問題企画推進本部の参与会が同本部長に提出されました提言を踏まえまして、
なお一層努力するという旨の本部の申し合わせを行ったところでございます。そして、副本部長であります私から労使の団体、その他審議会の委員を推薦していただくことに関係のある二百十八の団体の長に対しまして、提言の趣旨に沿いました協力方を要請する文書をもってお願いをいたしましたり、できるだけ実効を期して努力をしていきたい、そういうふうに考えております。
 今後とも、目標達成のために一層努力を重ねてまいりたいと考えております。
○一井淳治君 ただいま平成元年三月三十一日の数字をお教えいただいて私初めて知ったわけでございます。そういたしますと、それまでの一年間が〇・一%前進、さらにその前の年が〇・三%前進、その前の年が〇・五%前進ということで、三年間急速に伸び率が低下しているという状況がはっきり出てきたように思うわけでございます。
 婦人の地位向上といいましても、政策決定の場に婦人が出るということは非常に重要なのでございますけれども、そのためには、今おっしゃいましたようになお一層努力するというふうな抽象的な方法とか、あるいは各推薦団体にお願いをしてまいるということではとてもとてもこのカーブを上向きに急カーブに上げていくということはできないと思います。やはり具体的な委員会ごとに、特に国の委員会につきましては、その委員会は婦人が少ないからこうしなさいとかいう具体的な御指導をいただかないとどうにもならないと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(森山眞弓君) 全くおっしゃるとおりだと思いますが、なぜ婦人の委員が登用できないかという理由を各委員会を対象にして調査いたしてみますと、その委員会に委員を出していただくためのそれぞれの母体、組織というようなところの御理解をまだ十分いただいていないところがある。該当者がいないということで、十分御調査をいただかないまま従来どおりというふうなことでやっていただいているところがまだあるようでございますので、そういうところをまず考え直していただくようにというのが先ほど申し上げた副本部長からの手紙でございます。
 もちろんそのほかにも、政府といたしましてできるだけの努力、一つ一つの審議会の任期が来まして新たな委員をお願いする場合にはそのことを常に留意しながら進めていきたいというふうに考えております。
○一井淳治君 委員を出すということはある程度推薦母体の利害にも関係いたしますし、また既に委員になっておられる方について他の委員にかわってもらうとなれば、その委員は余り楽しくないということもありまして、非常に難しい問題だと思いますけれども、これは上から相当強力な指導をしない限りはどうにもならないと思いますので、一層の御努力を要望させていただきたいというふうに思います。
 それから、それ以外に女子差別撤廃条約の国内での実効性を期していくというためには多々方策があるわけでございますけれども、官房長官のそれ以外の、今申し上げました婦人の審議会委員の問題以外にどのような御抱負をお持ちなのか、御説明をお願いいたします。
○国務大臣(森山眞弓君) 審議会の委員というのも一つの数としてあらわすことのできる目安になりますけれども、実際問題といたしまして、女性の地位の向上あるいは社会への進出をさらに進めていくということは、基本的には女性自身の自覚と努力ということがまず必要ではなかろうかと思います。それを御理解いただき、また御援助いただく社会の仕組み、また男性の御協力といろいろな条件が必要でございますが、まず女性自身が努力をしていく、挑戦していくということが重要ではなかろうかと考える次第でございます。
 幸い、最近の若い女性の皆さん方は教育の機会も均等に得ておられまして、いろいろな分野で勉強し、専門知識、資格を身につけられた方がたくさんおられまして、そういう方々が職場に進出され、さまざまな社会活動をしておられて実績を積み重ねていかれるということが、必ず女性の地位向上、社会進出に結びついていくものと期待している次第でございます。
○一井淳治君 女性の官房長官として私どもも大いに腕を振るってくださることを期待いたしておりますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。
 次に、外務省の方にお尋ねしたいんですが、この女子差別撤廃条約の六条を見ますと、いわゆる売春による搾取の禁止という条項がございます。それとの関係でいわゆる出稼ぎアジア人の女性対策という問題、これはもう前々から繰り返し繰り返し言われていることでございますけれども、依然として性風俗関係への就労が多くていろんな問題が起こっているわけでございます。そういったことについての外務省の最近の施策と実施状況というものについてお尋ねしたいと思います。
○政府委員(久米邦貞君) フィリピンを初めとしましてアジア各国から外国の女性が多数日本に不法入国いたしまして、売春をさせられているということは御指摘のとおりでございまして、外務省としましても人道的な見地からも、あるいはその相手国との関係という見地からも極めてゆゆしき問題であるというふうに考えております。
 この問題に対しましては、国内においても関係各省庁で種々防止のための措置を講じられておると承知しておりますけれども、外務省といたしましてもこうした女性の多くが観光査証を取得して入国し、そのまま不法滞在をしているという状況にかんがみまして、先方政府とも協力しつつ、まずこの査証の発給の段階で慎重に審査を行うということを在外公館においてやっております。その上で、在外公館におきましては、特に観光査証を発給するに当たって、観光査証を取得して我が国に入国しそのまま就労することがないように必要に応じて指導をしております。また、昨年の七月以来は、特に公開興行者につきましては、小規模なバーとかキャバレーで就労することを目的として入国することは認めないという方針をとっておりまして、これも在外公館でそういう指導を行い、査証を出さないような措置をとっております。
 今後とも、この問題につきましては、人道的見地あるいは二国間関係、友好関係を維持するという見地から可能な限りの努力を進めていく所存でございます。
○一井淳治君 六十二年の八月三十一日に、こういった問題を含めまして日比の政府間の第一回の協議が行われた。そして、竹下首相がフィリピンを訪問したときに、同じ年の十二月の十六日にアキノ大統領との会談が行われまして、この種の問題についてアキノ大統領から強い要請があったということを聞いております。それについて、このいわゆるじゃぱゆきさんの問題についてはどういうふうな取り決めといいますか、政府間の協議がまとまっておるんでしょうか。
○政府委員(久米邦貞君) 委員御指摘の日本とフィリピンの間での協議というのは、当時の倉成外務大臣が昭和六十二年の六月に訪比をされましてアキノ大統領を表敬した際に、大統領との間にじゃぱゆきさんの問題について話をされ、日本側としては査証審査の厳正化等に取り組んでいくという方針を述べられるとともに、ただ、この問題の解決のためには日比双方の協力が必要であるということから、日比間の協力の必要性を述べられたわけでございます。
 これをフォローアップして、先ほど御指摘のありました六十二年の六月にマニラで第一回目の事務レベルの協議というものが在フィリピンの我が方大使館とフィリピン側との関係当局との間に行われております。この結果、このような協議をその後も随時行うということで合意がされておりまして、既にこれまでに、六十二年の八月に一回、それから六十三年に入りまして二月、六月、七月と三回にわたって先方との協議をやっておりますけれども、これは一般的な合意をするという場ではございませんで、随時その時点で生じた問題について先方の関係当局と我が方の出先の大使館が話し合うという形の話し合いの場でございまして、これによって御指摘の査証発給に当たっての
不法入国の防止ということに何がしかの寄与をしていると考えております。
○一井淳治君 ことしの十月に法務省の入国管理局の方でつくられた資料を見ますと、トップがフィリピンにかわってパキスタンがふえたということが書いてありますが、依然としてフィリピンが高水準にあるということは変わりないようでございますけれども、何とか入国の段階でもう少し処置ができないものだろうか。
 といいますのは、フィリピンの新聞を見ると、フィリピンの女性が日本の暴力団のえじきになったり、あるいは賃金不払いとか暴行を受けるとか、ひどい目に遭わされているということがフィリピンの新聞には載って、日本とフィリピンの友好関係の妨げになっているというところもございます。それからまた、そもそも日本に来られる女性の方の人権問題であるというふうに思いますが、フィリピンから女性が多くおいでになるようでございますけれども、何とか今のような残念な状況をなくする方策はないものでしょうか。もし少し具体的に、今まで抽象的に、あるいは外務省なりにおやりになっておったことはわかるんですけれども、あれから相当時間がたっておって依然として状況は変わらないというところがありますので、重ねて質問する次第でございます。
○政府委員(久米邦貞君) 本件の対策といたしましては、国内での取り締まりの強化と並んで、入国段階での審査を強化するということが非常に重要であるということは委員御指摘のとおりでございまして、先ほども申し上げましたとおり、現地で観光査証を発給するに当たって、その申請者の申請の背景その他についてなるべく的確に把握した上で、適切でない者については査証を発給しないという努力を続けているわけでございまして、今後ともこういう努力は継続していく所存でございます。
○一井淳治君 具体的な成果が上がるように一層の御努力を、細かい配慮をお願いしたいと思います。
 次に、人事院勧告に関連して要望をさせていただきたいと思います。
 八月の四日に人事院の方から公務員の給与等に関しまして勧告が出されたわけでございますけれども、きょうまで相当長期間が経過いたしまして、全国の国家公務員あるいは関連する地方公務員の人たちはできるだけ早く完全実施の御決定をいただきたいということで待ち望んでおるわけでございます。ことしは、国家公務員の人たちについては共済掛金が十月から上がるというふうなこともございまして、特別の御配慮をお願いしたいわけでございますけれども、総務庁長官の公務員の立場を配慮された温かい御発言を期待して質問させていただきたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 政府といたしましては、御要望の趣旨を踏まえまして、できるだけ早急に結論を得ますよう最大限の努力をいたしてまいりたいと思っております。
○一井淳治君 閣議の開催等は総務庁長官の御権限というふうに聞いておりますけれども、同じような趣旨とお聞きしてよろしいでしょうか。
○国務大臣(水野清君) ただいま官房長官からお話がございましたが、しきたりとしましては給与関係の閣僚会議がございます。それを経て閣議を行うわけでございますが、私どもの方も、極めて近い時期に実現できるというふうに思っておりますが、まだ、いつということまで申し上げられませんので、なるべく早い時期にと、こういうふうに申し上げて御容赦をいただきたいと思います。
○一井淳治君 できるだけ早い機会に人事院勧告完全実施の方向に向けて御決定いただき、執行いただくように要望申し上げたいと思います。
 官房長官に対する質問はありませんので、どうぞ御退席ください。
 次に、身体障害者の雇用率の関係で質問をいたしますが、現在の法規制からいきますと、国あるいは地方公共団体も法に定める一定水準以上の雇用率を達成しなくちゃならないという取り決めになっているところでございます。官公庁や地方公共団体の雇用率の達成状況を見ますと、個別の機関によって相当ばらつきがございます。また、官公庁はやはり民間に率先して垂範する立場にあるわけでございまして、法定雇用率の達成だけでなく、それ以上の雇用の達成ということが期待されているというふうに思いますけれども、残念なことに、具体的にどの省庁がどのような雇用率の達成をしているのか、あるいは都道府県別の雇用率の資料、そういった資料が国会議員が質問のために要望しても出してもらえないというふうな状況がかねてからあるわけでございます。これは、労働省の立場もよくわかるわけでございますが、しかし国会にその雇用率についての資料が出ないというようなことでは、本当に雇用率達成への熱意が疑われるということが言えると思うわけですし、雇用率のような問題を隠し隠し進めるというのは非常にいかぬではなかろうかというふうに思います。
 そこで、ここで改めてそういった資料の提出を要望するわけでございますけれども、労働省の方はいかがでございましょうか。
○説明員(小泉南男君) お答えいたします。
 官公庁の雇用の状況につきましてでございますが、本年六月一日現在の国あるいは地方公共団体におきます雇用率について見てまいりますと、御案内のとおり、雇用率二%が適用される非現業的機関と一・九%が適用される現業的機関があるわけでございますが、この二%が適用される非現業的機関における実際の雇用率は一・九六%となっております。また、一・九%が適用されます現業的機関の実際の雇用率は二・一%ということに相なっておりまして、いずれもおおむね平均的には法定の雇用率を達成しているという状況にございますし、また昨年と比較いたしましても、それぞれ〇・〇一ポイントずつではございますが、雇用率がアップし、雇用の改善が図られているところでございます。
 ただ、先生御指摘のように、こういった平均的な状況ではございますが、それぞれ個別に見てまいりますとかなりばらつきがあるのは事実でございます。したがいまして、もとより官公庁は民間に率先いたしまして障害者の雇用を図るべき立場にあるわけでございますから、単に雇用率を達成するだけではなくて、さらにそれ以上の、より多くの障害者を雇用すべきであろうというふうに私どもも考えているところでございます。したがいまして、労働省といたしましても、各省庁の人事担当者会議等、あるいは各省庁幹部の方々への障害者雇用への要請等、さまざまな方法を用いて障害者の雇用の促進についての御理解と御協力を求めているところでございます。
 先ほど先生御指摘の公表の問題でございますが、これは御案内のとおり、官公庁の雇用率の達成の方法といたしましては、障害者の雇用の促進等に関する法律の規定に従いまして、身体障害者である職員の採用計画、こういったものをつくっていただくことになっているわけでございますが、これの適正な実施の勧告という方法もあるわけでございます。この適正な実施の勧告に正当な理由なく従わないという場合は公表もあり得べしということで、私どもそれぞれ関係機関等にいろいろな御協力をいただいておるわけでございますが、そういった場合以外の個別の機関の雇用状況の報告ということは、いわば公表というようなことにつながってまいるわけでございますので、それはいたさないという考えでおります。
 今申しましたようなそういった法律の趣旨に従って今後とも対処してまいりたいというふうに考えておりますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げます。
○一井淳治君 今法律の趣旨と言われたんですけれども、法律の趣旨というのは、結論として身体障害者の雇用率が向上するようにということでありまして、向上しないというのは法律の趣旨に背いておるんじゃないかというふうに思います。
 私が今要望しておりますのは、公表しなさいということではなくて、決算委員会なりあるいは予算委員会の審議のために必要な場合には資料を出
してほしいというふうに言っているわけです。労働省の立場も、雇用率を上げるように頼みに行っているんだから、頼みに行った先の了解も得られないのに公表するわけにはいかないというそれはわかるんですけれども、しかし、最近では大体雇用率達成の状態になってきておりまして、雇用率を公表しても、あるいは国会審議の場に出しても別にぐあいが悪いような状態はほとんどないような状況になっている。よっぽど誠意のない人たちだけが残っているという状態になっているわけでございます。ですから私は、公表しろというのではなくて、国会議員が議会の審議で必要な場合には出したらどうかというふうに言っているわけですけれども、どうでしょうか。
○説明員(小泉南男君) 公表の問題につきましての考え方は今御説明を申し上げたとおりでございまして、労働省として独自の判断で各省庁の雇用状況を御報告するというのは困難であるという点につきましては改めて御理解をいただきたいと存じておるわけでございますが、ただ、例えば各省庁それぞれがお答えすべき内容を便宜労働省が取りまとめて御報告申し上げるというような方法も考えられますので、これにつきましてはなお検討させていただきたいと思っております。
○一井淳治君 あと都道府県の関係のことがあるんですが、これは十月二十五日午後五時が解禁という「身体障害者及び精神薄弱者の雇用状況について」という職業安定局の資料ですけれども、この五ページを見ますと、都道府県の機関は、雇用率二%が適用されるべきところが一・五九%にしか及んでいない、達成していない。都道府県がこういう状態では非常に残念なわけで、こういうふうなおくれをなくするためにも国会の審議でこういったものは対象にさらされなければいけないというふうに思うわけですけれども、もう一遍どうでしょうか。この都道府県の分は出されませんね。国の分は、関係省庁の御了解をいただいたということで、結果的には出したものを関係省庁の了解をいただいた場合には見られるわけですけれども、都道府県の場合には見られないわけです。
○説明員(小泉南男君) 御指摘のとおり、本年六月一日現在の雇用状況を見てまいりますと、都道府県の機関の雇用率が、二%が適用されます非現業的機関の実際の雇用率は一・五九%と相なっておりまして、法律で定められた雇用率をかなり下回っている状況にございます。これは一つには、実はこの都道府県の機関の中には教育委員会が入っておりまして、御案内のとおり、中学校、高校の先生はそれぞれ資格免許制度に基づいて採用されるわけでございまして、障害者の方でその試験をパスする方が非常に少ないというような状況にございまして、なかなか教育委員会の雇用率が上がらないというような状況にございます。そういったことで、都道府県の機関全体といたしましては一・五九%ということで、少しずつ改善はなされていますが、なお法定の雇用率との差がかなり見られるという状況でございます。
 先生御指摘の、こういったものも含めて御報告すべきではないかという点につきましても、都道府県は都道府県の独自の判断で各県におきまして各県の雇用状況等の報告をしているところでございます。したがいまして、先ほど中央省庁の場合で申し上げましたような形で御報告することも一つの方法として考えられるだろうということでございますので、これも含めましてなお検討をさせていただければというふうに存じております。
○一井淳治君 先ほどお話がありました教育委員会部門でございますけれども、この部門についても、現実には試験には通るけれども採用してもらえないという身体障害者の方々が多々おりまして、非常に不満に思っているわけですが、今の御説明を聞いて初めて問題点も多少はわかったわけです。しかし、今まで労働省からいただいておったものは、教育委員会部門を除いた相当高率の雇用率を達成したような資料がたまに出てきたりというふうな状況もあったわけですけれども、やはりこの身体障害者の雇用というのはちょっとやそっとでは済まない非常に困難な問題を含んでいるわけですから、国会ぐらいには出していただいて問題点を国会で遠慮なく論議するというふうにした方が雇用率が前進すると思います。また、労働省におかれましても、実際に雇用率の状態というものは役所の仕事として把握しておられるわけですから、これを隠すというのはやはり正しいとは言えぬのじゃないかというふうに思いますので、一層の御検討をいただきたいというふうに思います。
 先ほど及川委員が午前中に、後で資料の提出について理事会でというふうなお話もありましたけれども、私はこの書類の提出の問題も理事会でお諮りいただきたいというふうに思っております。
 次に、文部省の方に質問を変えさせていただきますが、六十三年六月十日に退職されました高石邦男前文部事務次官の退職金額と計算根拠について御説明をいただきたいんですが。
○説明員(岡村豊君) 高石前次官は、昭和六十三年六月十日に御指摘のとおり退職いたしておりまして、その退職手当の額は、国家公務員退職手当法の規定に基づきまして計算されました所定の額を支給しております。
 なお具体的な金額につきましては、これは個人の事情に属するものでございますので、一般的に公表する扱いはしておりませんので、お答えすることを御容赦いただきたいと存じます。
○一井淳治君 その計算ですけれども、法律にも条文がたくさんありますけれども、特に私が関心を持っておるのは勧奨の適用をしているかどうかという点ですけれども。
○説明員(岡村豊君) 高石前次官は就任が昭和六十一年の六月でございまして、昭和六十三年の六月の時点では在任約二年ということでございまして、かつ通例の人事異動の時期が参りましたので、人事を刷新し、行政能率の維持向上を図るという趣旨で、後進に道を譲ってもらうよう慫慂し、本人もこれに応じまして勧奨退職の扱いをいたしております。
○一井淳治君 勧奨されたら退職勧奨の記録に関する総理府令によって記録が残るはずでございますけれども、この記録を提出していただけますか。
○説明員(岡村豊君) 最初にお答え申し上げましたように、高石前次官の具体の退職金額につきましては、個人の事情に属するものでございますので、従来からお答えを差し控えさしていただいてきておりますので、御要求につきましてもそのようなことで御容赦をいただきたいと考えている次第でございます。
○一井淳治君 プライバシーであるという一つの根拠をお立てになるわけですけれども、他方では計算すればわかるというふうなことも言われるわけでありまして、そうすれば別にプライバシーでもなんでもない。国民がいろいろ疑問を持っているんだからあっさりお出しになればすっきりしてよろしいでしょうし、それからまた、まさに勧奨が行われておるのかどうかというところが問題でありまして、これはもうその記録を出してみないとどういうふうな勧奨があったかもわからないわけですから、ぜひとも出していただきたいわけですけれども、いかがでしょうか。
○説明員(岡村豊君) 御指摘のとおり、国家公務員退職手当法に基づきまして計算をいたしますれば所定の金額が出てまいるわけでございますが、繰り返しで恐縮でございますが、私どもの口からは、個人の事情に属するものでございますので具体の金額については答弁を御容赦さしていただきたいと考えている次第でございます。
 なお、高石前次官は、先ほども答弁いたしましたけれども、勧奨退職の扱いをいたしております。これは申し上げておきます。
○一井淳治君 先ほど森山官房長官にもお願いしたわけでございますけれども、プライバシーと言われても、わかり切っているようなことを隠されるというのは結局はお役所の思い切りが悪い。思い切りさえすれば、何ら悪いことが出るわけでもありませんし、もう公になっていることが裏づけられる。ただ、公になっているところが果たして
これは妥当かどうかという点がその記録が出ることによってまた論議されることになって、悪ければ改めてもらわなくちゃいけないし、よければ国民が納得するということで、当然出してもらうべきことだと思いますけれども、お出しにならないんでしたら、また私もこの点は後に書類を出してもらうように理事会に諮らせていただきたいというふうに思います。
 それから、総務庁の方にお尋ねしたいわけでございますけれども、高石前文部事務次官の場合は今言われたように勧奨退職になるというふうになりますと、いわゆる国家公務員退職手当法の運用方針第三条関係の四、これは立候補退職の場合には退職割り増しをしないということを定めた条項でございますけれども、高石前文部事務次官の場合はまさにこの立候補退職の典型であって、これが該当しないとなれば、この運用方針第三条関係の四というものは空文になってしまう。それでいいのかという問題ですけれども、どのようなお考えでございましょうか。
 私は、これを条項を変えて、高石前文部事務次官のような場合には退職勧奨金が払われないようにもう少しこの条項の訂正ということも必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(勝又博明君) 一般的に申し上げまして、退職勧奨というものは、人事の刷新であるとかあるいは組織の活性化を図るために、任命権者あるいはその委任を受けた者が事実上の行為といたしまして職員の自発的な退職意思を形成せしめるために行うものと考えておるわけでございます。職員がこのような勧奨を受けて後進に道を譲るために退職した場合には退職手当法上の勧奨退職に該当することになるわけでございます。
 ただ、特に選挙への立候補と退職手当の取り扱いにつきましては、国会等においてもいろいろ御議論がございました。そのような御議論も踏まえまして、昭和六十年四月に通達を発しまして、「退職の主たる理由が選挙に立候補するためのものであることが明らかである場合には、勧奨退職としては取り扱わない」ということにいたしたわけでございまして、以後このような通達に基づきまして各省庁を指導しているところでございます。ただ、具体的に退職事由が勧奨退職に該当するかどうかということにつきましては、基本的には事実認定の問題でございまして、各省庁が判断するところでございます。
 ただ、この選挙と退職手当の問題につきましては非常に重要な問題を含んでおりますので、職員が退職後選挙に立候補するような場合に当たりましては、国民の疑念を招くことがないよう、私どもといたしましても引き続き通達の趣旨の徹底に努めてまいりたい、かように考えております。
○一井淳治君 勧奨退職の場合は大変割り増し金額が高いわけでありまして、国家公務員の方に言えば申しわけないんですけれども、一般の零細中小企業、これは国民の大部分でございますけれども、そういった人たちから見れば割り増しによって得る金額だけでも夢みたいな金額であるわけでございます。勧奨されて退職したというそれだけで、勧奨があったというだけで高額の退職金が払われるわけではありませんで、勧奨退職というのは、やめさせられて次の適当な職場がなくてなかなか給料も入らない、非常に不利益な立場に立たされた、これに対して補償の意味もあって勧奨退職金が相当大幅に増額されるというところがあるわけでございまして、仮に次の職場がさらに給料が上がるとか、新しい職場が残っておるような場合に、ただ単に勧奨があったから、はい、たくさんの割り増し金を上げましょうというのは非常によろしくないことであろうというふうに思います。
 そういったことで、国会議員に出るのはやはり次の職場がちゃんと確保されておると同じでありますから、まあそれは同じではないかもしれませんけれども、結果として勧奨金を払うというのは、非常に私は本来の勧奨退職の割り増しにそぐわないというふうに思うわけです。
 ただ、本件の場合は、そこまで言うのではなくて、現実に退職時点では、その前一年間に地元へ十三回も帰って運動をしておるし、あるいは国会でも非常に問題になっているわけです。そういった人たちにあえて退職金を割り増して払うというのは、これはどうしても国民としては納得いかないということがあるわけです。にもかかわらず、そういったような問題の中で割り増し退職金が払われたわけでございますけれども、やはりその原因は、国家公務員退職手当法施行令の第三条関係の四ですね、今御説明あった条項が余り規定が緩やか過ぎるのであって、もう少しこれを変えたら各省庁とも本件のような場合には割り増し退職金を払わずに済むんじゃないかというふうに思いますので、あえてもう一度質問をさせていただく次第でございます。
○政府委員(勝又博明君) 選挙への立候補と勧奨退職あるいは退職手当とのあり方につきましていろいろと細かに定めたらどうかという御指摘でございますが、いろいろなケースも想定されるところでございまして、具体的な構成要件を区々に定めることは非常に困難だと思います。要は、この規定の趣旨を遵守してもらうことが大事でございますので、私どもとしても今後ともこの趣旨の徹底には十分努めてまいりたい、かように考えるところでございます。
○一井淳治君 条項を読んでみますと、「退職の主たる理由が選挙に立候補するためのものであることが明らかである場合」というふうに、私は高石さんの場合明確だと思います。しかし、「主たる」とか「明らかである」とかいうふうな余分な形容語が入っているために文部省のような取り扱いが行われるわけでありまして、この辺をぜひとも条項を改めるように、お役所の人だけの内部でよろしい、よろしいというのでは国民が納得しないと思いますので、政治やあるいは行政に対する信頼の問題として御検討をお願いしたいと要望しておきます。
 それから国家公務員全体の綱紀、規律保持の関係でございますが、六十一年度中にはこの問題についてどのような施策を実施されておるのか、総務庁の方から御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(勝又博明君) お答えします。
 官庁綱紀の厳正な保持につきましては、これが行政に対する国民の信頼を確保するという上で大事なものでございますので、従来から閣議決定等によりまして注意を喚起してその徹底を図ってきたところでございます。
 先生御質問の昭和六十一年度におきましては、各省庁人事担当課長会議を構成メンバーとする人事管理官会議総会というものがございますが、ここで六十一年度の人事管理運営方針というものを了承し、それを総務長官決定という手続を経まして各省庁に示しております。この人事管理運営方針の中におきまして公務意識の徹底と綱紀の厳正な保持というものを最重点事項に掲げておりまして、政府一体として努力するということにいたしております。
 また、最近では、昨年十二月の閣議決定と官房長官通知に基づきまして、ことしの四月、官庁綱紀の点検、調査につきまして事務次官申し合わせを行いまして、点検、調査を今後進めることといたしたわけでございまして、今後とも官庁綱紀の永続的な保持に努めてまいりたいというふうに考えております。
○一井淳治君 昨年は御承知のような問題が多々起きたわけでございますから、今後は点検をきちんとやっていただきまして、また忘れないように毎年毎年繰り返していただくように要望して、次の質問に移りたいと思います。
 最近、国家公務員の方々の間から超過勤務の問題につきまして、仕事が非常にふえて職場は多忙をきわめておるんだけれども、人員増がないために超過勤務を命ぜられて、家庭でも非常に困っておるという声を多々聞くところでございます。この超過勤務の問題につきましては、人事院におかれまして六十二年の八月六日、六十三年八月四日、そして本年の八月四日と三回にわたって御指摘をいただいているわけでございます。やはり人事院
の目におかれましても超過勤務ということが非常に問題になりつつあるというふうにお考えで、その上で御指摘なされたというふうに思いますけれども、国家公務員の超過勤務の実態についてどういう状態なのか、人事院の方から御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(大城二郎君) 国家公務員の超過勤務の実態についてということでございますが、人事院が昭和六十二年の国家公務員給与等実態調査で、昭和六十一年一月から十二月までの間において各人ごとの超過勤務時間数が最も多い月の超過勤務時間数を調べたものがございます。それによりますと、一カ月当たりの数字でございますが、全職員平均で三二・二時間、本省庁での平均では四一・二時間というふうな時間数になっております。これは最も多い月の数字を平均したものでございますから、これ以上多い時間数の超勤をしておられる職員の方もかなりあるわけでございますので、そういう実態は、職員の健康、福祉の観点等からも、また全体の勤務時間の短縮を図るという観点からも見逃せないことであろうということで、先生御指摘のように毎年の勧告においてこれの改善を申し述べているという状況でございます。
○一井淳治君 今時間数についてお教えをいただいたわけでございますけれども、私どもが職員組合の人たちから聞いているのと比べますと、人事院の把握しておられる数字はやや低いんじゃないかというふうな感じもしないわけではございません。
 それでお尋ねするんですが、人事院の方ではどういう調査をなさるんでしょうか。例えば各省庁の給与簿から残業手当が払われているものを拾い出すとかいうふうな方法でおやりなんでしょうか。
○政府委員(大城二郎君) ただいま申し上げましたとおり、国家公務員給与等の実態調査の中で実施しておりますので、給与等の関連で調べた数字でございます。
○一井淳治君 今後お調べをいただきます場合には、これは半ば公然としていることでございますから言いますけれども、現実には残業手当をもらわない空の残業が非常に多いわけでございまして、給与簿から拾い上げてきて何時間残業しているというだけでは予算の金額を拾っていくにすぎないわけでございまして、やみの残業もあって、それの何割か掛けていただいて初めて本当の意味での残業が出てくるという御認識をいただきたいというふうに思います。それは御回答は結構でございます。
 今申し上げましたように、超過勤務について三年連続御指摘をいただいておるわけでございますけれども、そうしますと、余り諸官庁とも改善の実が上がっていないというふうにお聞きしていいんでしょうか。
○政府委員(大城二郎君) 超過勤務の縮減については、報告の中で毎年述べると同時に、各省に対しましてもその改善についての御努力をお願いしているわけでございますが、問題自体がそう簡単に改善されるというものではございませんし、それから同時に、その改善のためには基本的に業務執行体制の見直し等実際の行政にかかわる部分においていろいろな面の改善を必要とするわけでございます。それが同時に、週休二日制の推進とも関連するという観点から、毎年週休二日制に関連してあわせて超過勤務の縮減についてお話を申し上げているということでございます。
○一井淳治君 現実には、人事院規則の一五―一に基づきまして十三条に書いてあります「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合」ということに該当するということで超過勤務が行われるわけでございますけれども、この「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合」という要件を第十三条にお決めいただいている趣旨でございますが、これは無制限に長時間労働をさせないように制限する趣旨というふうにお聞きしていいでしょうか。
○政府委員(大城二郎君) ただいま御指摘のありました条文は「公務のため臨時又は緊急の必要がある場合」に超過勤務を命ずることができるとしているものでございますが、これは実質的な勤務時間の延長である超過勤務を命ずる条件を示してその命令の根拠を明らかにしたものでございまして、その条件があれば超過勤務を命じ得ることを定めたものでございます。
 しかし一方、過度の超過勤務は職員の健康と福祉に及ぼす影響が少なくないということから、同条の第二項におきまして、超過勤務を命ずる場合には「職員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない。」という点もあわせて規定しているところでございます。
○一井淳治君 第二項にそのように書かれたのは、第一項において、仮に公務のため臨時の必要がある場合にも無制限に超過勤務を命じてはいけないので、やはり今言った第二項の健康、福祉を害さないようにという考慮が要るんだ、そういうふうに解釈すべきではないんでしょうか。
○政府委員(大城二郎君) その点は、先生御指摘のとおり、超過勤務を命ずる場合にも必要最小限に限られるものだというふうに理解しております。
○一井淳治君 十三条の一項を見ますと、公務のため臨時の必要と、公務のため緊急の必要と二種類の規定が読み取れるわけでございますけれども、緊急の必要、これは当然と思います。公務のため臨時の必要、これはかなり抽象的な概念でございますので、この臨時の必要というのをどのように解釈したらいいか、具体的にお教えいただきたいと思います。
○政府委員(大城二郎君) 「臨時又は緊急」という規定の仕方でございまして、具体的にどういう場合が臨時であるか緊急であるかということはなかなか難しいわけでございまして、この点についてこれを具体的な業務の種類等によって例示すべきではないかというような御意見も従来からいろいろございますけれども、そういう形での規定の仕方がなかなか難しい。
 そういうことから申しますと、その点について、今先生の御指摘のようなこういう場合が臨時であるというようなケースをなかなか具体的に示すことは難しいわけでございますが、要はやはりこの規定の趣旨からして、臨時または緊急の場合に必要な限度において超過勤務を命ずることができるのだという趣旨をそれぞれ職場の管理者等が理解して、超過勤務を命ずる場合にはそのようにしていただく、その点を確保していくということが重要なことではないかというふうに考えております。
○一井淳治君 やはり人事院において臨時の必要はこうなんだということを一本きっちりと明確に御説明をお出しにならないと、これをルーズに解釈するというふうなことで、今御指摘のように超過勤務が少し行き過ぎになるという状況になるわけで、この際はっきりと臨時の必要はこうなんだということを明確に解釈していただいたらどうでしょうか。
○政府委員(大城二郎君) 今申し上げたことの繰り返しになりますけれども、なかなか具体的に例示することは難しいということでございますし、また逆の面から申しますと、そういう何らかの事項を挙げますと、それに関してはどんどん超過勤務を命じてよいという理解をされるということもまた困るわけでございまして、勉強はさせていただきたいと思いますが、現時点において具体的にそういう規定を定めるようなことは考えておりません。
○一井淳治君 今は勉強させていただくということでございますので、とにかく人事院において臨時の必要とはこうなんだということをはっきり出していただいたら、それによって残業が現在のルーズな野放しの状態から非常に改善されるというふうに思います。この臨時の必要をはっきりされない点が超過勤務が野方図に行われている原因の一つだというふうに思います。ですから、人事院はとにかく国家公務員の労働条件と非常に関係が深いわけでございますので、この臨時の必要を何らかの機会にはっきりと指し示されることを要
望させていただきたいというふうに思います。
 それから、六十二年十月二十三日の閣議決定におきまして、極力残業をしないようにしようという趣旨の決定がなされておるわけでございますけれども、これについての実施状況はいかがでございましょうか。総務庁の方にお尋ねいたします。
○政府委員(勝又博明君) 先生ただいま御指摘のように、六十二年十月に「国家公務員の週休二日制について」という閣議決定がなされまして、その中におきまして、「公務能率の一層の向上を図ることとし、超過勤務時間についても短縮に努める。」というふうに記述されておるわけでございます。このようなことを踏まえまして、私どもといたしましては、先ほども申しました各年度の人事管理運営方針におきまして、勤務時間の短縮に努めることとして、そのための諸方策の検討を行うということをうたっておるわけでございます。
 具体的には、なかなか解決が困難な問題ではございますが、例えば管理職を含めた職員に対する啓蒙に努めるとかいうこともお願いしてございますし、さらには各省庁との研究会を最近発足させまして、超過勤務時間の短縮につきまして各省庁において実施可能な方策というものをいろいろ研究し探ってまいりたいというふうに思っているところでございます。
○一井淳治君 これは非常に難しい問題、公務という大切なことに関係しますし、長い長い行政の歴史がありますから容易でないことは理解できるんですけれども、そういったものを変えていくわけですから相当思い切ってやっていただかなくちゃならないというふうに思います。
 最近の仕事量がふえるということ、そして増員をしないということ、これに基本的な原因があると思いますけれども、その点を除きましても、例えば国会対策ということで、国会の開催期間中待機されておる。このことにつきましても、私どもの議員の目から見れば、お役所が過剰防衛といいますか、必要以上に時間をとって準備されておるんじゃないか。そうまで準備をされなくて、国会の場でもうざっくばらんなお答えをいただいた方がかえっていいんじゃないかとか、あるいは予算の問題につきましても、大蔵省の方にもう少し配慮していただきまして、夜のヒアリングをやめるとか等々をやっていただければかなり改善されるんじゃないかというふうに思います。そういった機構問題につきましてももう少し思い切った配慮をいただきまして、完全週休二日制に向けて時間短縮を図る時期ですから、思い切った施策を実施していただきたいというふうに思うわけでございますけれども、もう一度その点について総務庁の方の御見解をいただきたいと思います。
○政府委員(勝又博明君) 確かに国会待機等超過勤務に関する各省庁の慣行といいますか、その中には是正する余地のあるものも多々あろうかと思っております。ただ是正を呼びかけるだけではなかなか改善は難しいわけでございまして、まずは管理職を初めとする意識の改革というものが必要だろうというふうに思っております。とともに、あわせ、先ほど申しましたようなきめ細かな具体策というものも探っていく必要があろうと思っております。
 先生の御指摘はまことにごもっともでございますので、十分研究させていただきたいと思います。
○一井淳治君 人事院としてのこの点についての御対策について伺いたいと思います、今後の対策について。
○政府委員(大城二郎君) 超過勤務の縮減は、本来的には各省庁における業務執行体制の問題として、業務の合理化や事務の簡素化等を通じて各省庁がそれぞれの実情に応じて改善の工夫、努力を図るべきものと考えておりますが、人事院としても、引き続き超過勤務の縮減について各省庁に対しまして必要な指導を行うとともに、各省庁と連絡協議をしつつ効果的な縮減方策の検討を進めてまいるようにいたしたいと考えております。
○一井淳治君 超過勤務の実情について十分御調査いただきまして、妥当な方策をぜひともお立ていただきたいというふうに思います。
 次に、岡山県の日本原というところに自衛隊の基地がございまして、そこで去る九月二十五日に戦車砲の試射が行われまして、砲弾の破片が演習場の境界を越えて飛び散ったということが起こりました。時間がありませんので、その概要についての御説明は結構でございますので、演習場の境界からどれくらい遠くまでこの破片が飛び散ったか。それからもう一つ、ねらった目標からどれくらい離れたところまで破片が飛び散ったか。この点だけの御回答をいただきたいと思います。
○政府委員(米山市郎君) 日本原演習場の問題でございます。今お尋ねの件は、九月の二十五日に試射をいたしました際に、射撃時の安全確保のため立ち入り制限の用に供する地区として借り上げております保安用地内に砲弾の破片が飛散をしたという事実でございます。
 お尋ねの件でございますが、本来の演習場と申しますか、保安用地を含めて私ども演習場とは考えておりますけれども、本来の演習場とその保安用地との境界から約二百メートル、標的から約四百五十メートルのところまで到達をしているという状況でございます。
○一井淳治君 ただいま保安用地という言葉が出たわけでございますが、演習をする場合に、破片が飛び散ったりあるいは砲弾自体が爆発するのは、本来の演習場内におさまるようにして演習するのではないでしょうか。
○政府委員(米山市郎君) 御承知のように、この日本原演習場、必ずしも十分な面積がございません。その関係もございまして、安全確保の観点から、保安用地ということで地元の御理解をいただいて借り上げさせていただいて、演習時にはそこには立ち入りを制限するというような形で演習をさしていただいているわけでございます。
○一井淳治君 砲弾が炸裂したりあるいは破片が散らばるのは、本来からいえば保安用地まで行かなくて少なくとも大部分は演習場におさまる、予想外のことも起こりますから、保安用地を一応借りておいて万々が一の危険発生に備える、そういう趣旨に考えたらどうなんでしょうか。
○政府委員(米山市郎君) これは演習場の面積が十分にとれておりますれば、演習場内に落ちるのが望ましいことであることは御指摘のとおりでございます。ただ、この日本原演習場と申しますのは、中部、中国、四国地方におきます中級クラスの演習場としては唯一のものでございまして、大変貴重な演習場でもございます。また、そこで有効に演習をやるということで、保安用地を確保させていただいて演習をやっているという状況でございます。
○一井淳治君 この場合りゅう弾砲が使われておるわけです。私は軍事問題については素人でございますけれども、りゅう弾砲というのは、爆発をしてその爆発による破片によって破壊や殺傷を可能とする砲弾のように聞いてますけれども、それでよろしいでしょうか。
○政府委員(植松敏君) 先生お説のとおりでございまして、りゅう弾は、破裂によりまして生じます爆風及び破片の効果によりまして人員、機材等に損傷を与えることを目的としたものでございます。
○一井淳治君 最近、この陸上自衛隊の方の発射訓練においてよく同じような、演習場外で爆発したりあるいは破片が飛び散るという案件が多々発生しているように思いますけれども、今言われたように、りゅう弾というものが破片が散らばって破壊、殺傷するというのであれば、兵器の性能になるわけですね。破片が散らばるというのが兵器の主要な性能になるわけですけれども、この兵器の主要な性能が十分に把握されていないからこういったふうなことが起こるんですか。どうなんでしょうか。
○政府委員(植松敏君) このりゅう弾の性能、特に破片の有効な飛散範囲につきましては十分に把握をいたしておりますけれども、弾薬の能力そのものを示すものでございますので、答弁は具体的には差し控えさせていただきたいと思いますが、
特にこの砲弾自身に欠陥があるとかそういうことではございませんし、私どもとしましても、十分その砲弾の性能につきましては承知をした上で、安全を確保しながら実施いたしておるものでございます。
○一井淳治君 昨年の二月二十四日に同じようなことが起こりまして、二十五日から実射訓練を中止されておった、そしてその間に原因解明とか安全対策を図られたということを聞いておるわけですけれども、それはそのとおりでよろしいんでしょうか。
○政府委員(米山市郎君) 先ほども申し上げましたように、保安用地を確保して訓練を行っている。ある程度この保安用地に破片が飛散をすることは、当初――当初と申しますか、当然予測をされるというようなことでもございまして、昨年の一月末にそういう事実が発見をされたわけでございます。その際には、保安用地の境界から約二百五十メートル、標的から約五百メートルの地点で発見をされていたわけでございます。
○一井淳治君 それで原因解明とか安全対策をされたんじゃないですか。
○政府委員(米山市郎君) もちろん私どもとしてはできるだけ飛散が小範囲にとどまりますように工夫もしてみようということで、停弾堤の角度を上げることによってそういった効果を期待できるのではないかということでそういう工事も実施をいたしました。安全対策と申しましても、先ほど申し上げましたように、保安用地の本来の性格、またこの演習場の広さとの関係である程度保安用地に飛散があるということは、これはやむを得ざることではないかということでございまして、地元の方にもその辺は理解をいただくように御説明を申し上げているところでございます。
○一井淳治君 今のお話を聞くと、保安用地というのは、今は植林をしているとかというふうに聞いていますけれども、保安用地には本来飛び散ってもいいように聞こえるんですけれども、やはり本来の演習場内におさまるという形で演習してもらわないと困るわけなんです。立入禁止をされるというふうに言っても、これは民事上の契約ですから、何かあって人が入るかもしれません。ですから本来の演習場内に、まあ例外の場合は別にしてですよ。しかも、今言われたようにりゅう弾砲の性能等について把握しておられるんでしたら、そういうふうにしてもらわなくちゃいけないと思いますけれども、どうですか。
○政府委員(米山市郎君) 本来でございますれば、私どももこの保安用地も取得をいたしまして演習ができるように、恒久的に自衛隊で使用ができるような形に何とか地元の御理解が得られないかということでお話も申し上げ、御相談もさしていただいているわけでございます。一部の地権者の方からはこの趣旨を御理解いただいて取得させていただいているところもございますが、破片が飛散しているあたりにつきましては依然借り上げという形で運用をさしていただいているという状況でございます。
○一井淳治君 この試射をされた戦車の砲はたしか九十ミリでございまして、その後三段階の開発ができて、もう現在では一番古い型の戦車であって、それにしてもこの試射の距離が短過ぎて、最近の高性能の戦車砲の場合にはもっともっと飛距離が要るんじゃないか、もっと遠方に弾着地を設ける必要があるんじゃないか、無理をしているから今回のようなことが起こるんじゃないかということが一つ考えられます。それからもう一つは、停弾堤が、横は九十二メートル、高さが三十五・四メートルある大変大きな停弾堤で、それにもかかわらずその後方に、今おっしゃいましたように二百メートルですか、演習場外二百メートルも飛び散ってしまうというふうなことですけれども、これは弾着地の左右が谷間になっておるために地形的に非常によくないんじゃないか。
 したがって、この本県の演習場というのは、現在の戦車の性能を有する自衛隊の演習場とすれば不適当で、もっと他に妥当な場所を見つけるべきであって、日本原での演習は中止してもらう方向に進めるべきではないかというふうに思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(米山市郎君) 日本原演習場は、冒頭に申し上げましたように広さが十分とれていないというようなこと、またできればそこも取得をして、保安用地として今使わせていただいている部分につきましても取得をして演習を続けさせていただきたいという期待は持っているわけでございますが、なかなか地元の御協力が現段階ではいただけていないという状況でございます。
 ただ、先ほども申し上げましたが、日本原演習場というは中部地方、中国地方、四国地方を含めまして大変貴重な演習場でございます。また配属された戦車もあるわけでございまして、日ごろから訓練の必要性というのはこれは御理解いただけると思いますが、不断の訓練が必要でございます。そういう意味から、地元の皆さん方の御理解をいただきながら引き続き使用させていただきたいと思っております。
○鈴木貞敏君 私は、対中国協力関係あるいはハンガリー、ポーランドの経済協力、こういったことを中心に、外務省を中心にいろいろお伺いしたいと思います。
 まず第一に、本年の六月四日、天安門事件が発生したわけでございますが、現在まで対中国関係いろいろの動きがございました。しかし、対中国経済協力の新規再開、これは依然ストップしておるというふうな状況であるわけでございます。その間、日中友好議員連盟伊東会長を団長としまする連盟の訪中、あるいは北京市への渡航自粛勧告の解除、こういったこともございました。
 その間、報道によれば、外務大臣は国連総会に御出席されまして、九月二十八日でございますか、国連本部内で中国の銭其シン外相と会談いたしまして、これは報道記事でございますのでいろいろ私も不正確と思いますが、戒厳令を一日も早く解除して西側諸国との関係がもとに戻ることを心から希望するというふうな趣旨のことを述べられた、そして戒厳令解除と西側との対話拡大を求められた、こういうふうな記事を読んだりしたわけでございますが、この銭其シン外相と外務大臣との会談の内容、お差し支えのない範囲でいろいろお知らせ願えればありがたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 先般、ニューヨークにおきます日中外相会談におきまして、当方から、今委員御指摘のように、天安門事件以来日中関係、また西側諸国との関係が幾分冷えた形になっておりますが、このような関係が一日も早く回復することが望ましいと私どもは考えておりまして、それにはぜひひとつ中国の改革・開放路線を堅持していただいて、西側陣営との意見の交流、接触、そのようなものを深めていただきたい、このように望んだわけでございます。私どもは、あくまでも内政に干渉する意思は持っておらないということも強く主張いたしておりますし、また中国が近代化されることを心から期待しておるということも述べたようなことでございます。
○鈴木貞敏君 天安門事件、これは我々民主主義国家では考えられないような大変なショックであったわけでございます。大規模に厳しい格好で起こった、それだけにショックが大きかったわけでございますが、この原因をどう見るか。また、この事件に対しまして西側諸国としましては、人権を無視したということで、激しい抑圧をしたということで相当それぞれ非難したわけでございますが、それに対しまして中国側はむしろ反発して、事件は動乱であったんだというふうなかたくなな態度をとっておるというふうな報道もあるわけでございますし、むしろ世界の方が天安門事件を誤解しておるというふうなスタンスを変えておらないというふうな記事も見るわけでございますが、この辺のニュアンスについての感触をお伺いしたいわけでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員御指摘のとおりでございまして、中国政府としては動乱という位置づけをしておりまして、この事態を収拾するために戒厳令をしいた、このような考え方でございます。日本政府としては、内政に干渉するつもり
は全くないという意見を申し、さらに我々としては人道的立場で、ひとつ中国が民主化することを心から期待しているということを申し上げたような次第でございます。
 なお、この点直接日中外相会談で触れた問題ではございませんが、日本国政府の立場としては、中国を孤立化させないということを原則に踏まえて日中外相会談に臨んだこともこの機会に申し上げておきたいと思います。
○鈴木貞敏君 けさのニュースによりますると、天安門広場での警戒状況が軍から警察へ転移するというふうなニュースも聞いたところでございますけれども、中国側としましても大分その辺西側に対する考慮といいますか、そういうことでいろいろ体制その他アピール性も考えていると思うわけでございますが、今北京市にかけられた戒厳令、こういったことをめぐっての情勢等をお知らせ願えればと思います。
○説明員(鈴木勝也君) 御指摘のような発表が中国において行われておりまして、戒厳部隊にかわりまして武装警察が北京の要所要所に管理のために入れかわって出てきているという状況はございます。ただ、これと戒厳令そのものが今後どうなるかということとの関係につきましては、いま少し慎重に見守っていく必要があるというふうに私ども考えております。
○鈴木貞敏君 さて、現在対中関係で残された措置としては、閣僚などのハイレベルの交流停止、それから来年度からのいわゆる新規経済援助、ODA、いわゆる八千百億ぐらいでございますか、こういったものが凍結されておるということが残っておるわけでございますが、対中国経済協力再開の判断というものはどういうきっかけで、何だろうかというふうなことでございます。紙上でいろいろ外務大臣のお言葉としても載せられておるのを見る範囲では、改革・開放路線の継続と西側陣営との協力の継続を行動で明確にすることが再開の判断基準であるとか、あるいは西側との協力姿勢を目に見える格好で示すことが必要であるとか、こういうふうな報道も見るところでございますし、またアルシュ・サミットの政治四宣言ですか、その中でも「中国当局が政治、経済改革と開放へ向けての動きを再開することにより、中国の孤立化を避け、可能な限り早期に協力関係への復帰をもたらす条件をつくり出すよう期待する。」というふうな、「条件をつくり出す」、こういう言葉も使っているようでございます。
 そういうことで、我が日本としての対中国経済協力再開、これのけじめといいますか判断基準をどこに置くのか。やはり戒厳令解除というものなのか、それ以外に判断基準とはあるのでしょうかということをお伺いしたいわけでございますが。
○国務大臣(中山太郎君) つい一昨日でございましたか、昨日だったと思いますが、新しく橋本中国大使を北京に赴任させております。私どもといたしましては、在北京の日本大使からのいわゆる中国側の情報、各種情報をもちろん十分に検討いたしますとともに、新規の経済協力に関する判断は、IMFの動き等もあわせて配慮をした上で日本政府としては決定をいたさなければなるまい、このように考えております。
○鈴木貞敏君 今大臣の、IMFの動向というふうなこと、あるいは橋本大使の現地での判断というふうなお話でございましたが、私は、日中間の歴史的な経緯なり両国の地理的な条件、そういったいろいろの点を考えまして、経済協力の再開、これは東欧、ポーランド、あるいはハンガリー等の援助とはまた違った要素があるのかなというふうなことも考えるわけでございます。
 いずれにしましても、国際的な動向を見きわめて判断するという、ある意味では非常に受動的なそういう立場から、アジアの一員として世界に先駆けた一つの判断、一歩先んじた一つのけじめというものが望ましいんじゃないかというふうな感じを持つわけでございます。ボートピープルの問題、経済難民の問題もあるわけでございますけれども、やはりアジアの一員として、その辺世界にも日本としていろいろ中国の実情というものを宣伝するというか、啓蒙するといいますか、そういう立場にもあろうと思いますし、そういう意味で、一歩先んじた判断というふうな点でのお考えについてはいかがでございましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のように、中国と日本とは一衣帯水と申しますか、極めて近い地理的な距離にも位置するそれぞれの国でございますし、長い間の歴史も物語っておりますように、中国からの文化あるいは芸術等の影響も受けてきた日本でございますから、私どもといたしましては、一日も早い日中の友好関係の再開、まあ今現在友好関係が続いておりますけれども、さらに緊密な関係が始まることを心から念じておるものでございます。
 なお、橋本大使は、一昨日と申しましたが、昨日赴任をいたしたわけでございます。
○鈴木貞敏君 私は、経済協力で重要なことは、我が国政府の意思が対外的に一元的に伝わるということであろうと思います。外務省が国内的な取りまとめを行った上で、対外的な窓口となりまして一元的に折衝に当たるということが必要であろう、こう思うわけでございます。
 それで、昨年十二月でございますか、閣僚レベルで援助問題について大所高所から議論し、意見交換を図る、効果的な援助行政の執行に資するということで、対外経済協力関係閣僚会議というものが設置されたということであるようでございますが、この運営状況はどうなっておるんでしょうか。また、対中経済協力再開というふうなものに当たっては、当然この対外経済協力関係閣僚会議の場でいろいろ論議されるんだろうなと素人ながら思っておるわけでございますが、その点を含めてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 対外経済援助につきましては、外務省が窓口となって行ってきておりますし、またこれからも行っていくわけでございますが、関係する省庁が十六省庁に及ぶわけでございまして、いろいろと、例えば技術援助、農林関係の技術援助とかあるいは水産関係の技術援助、あるいは医療の協力といったような問題は、それぞれの日本の担当しております省庁の専門職が相手国との協議に入っております。
 そのようなことをあわせまして、政府として昨年の十二月に第一回の対外経済協力関係閣僚会議を開催いたしております。全体的に最近の経済協力の国際的動向についてということを議題として議論が行われております。それから第二回は本年二月九日に行われておりまして、平成元年度のODA予算全般について協議をいただいております。第三回は本年七月二十八日に開かれておりまして、アルシュ・サミットの結果について議論をいただいておるのがこの経過でございます。
 なお、これと対中国の経済協力の再開の問題とは直接関係はございません。これにかけなくても、外務省の判断で最も適当な時期に決定をいたしたい、このように考えております。
○鈴木貞敏君 これまた新聞報道で恐縮でございますが、十月二十日の新聞でございますが、外務省筋として、政府は、日中両国間の文化交流を促進するために設けた日中文化交流政府間協議、これを年内に開催するように中国に申し入れたというふうな記事があるわけでございます。こういう時期にやはりアクセスとしていろいろ御努力されている、孤立化させないというふうな、そういう一つの路線のあらわれかなと私なりに理解しているわけでございますが、その事実があるのかどうか。また、それに対する中国側の反応はどうなんであろうかということをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 日中文化交流政府間協議の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、芸術とか文化とか、そういったような面での日中間の交流というものは極めて必要であり、維持していかなければならない問題でございまして、中国を孤立化させないためにもそのような交流をこれからも続けてまいりたいということで中国側に申し入れております。中国側の基本的な考え方につきましてはまだ返事が参っておりま
せん。
 以上のような状態でございます。
○鈴木貞敏君 時間もあれでございますが、次はハンガリー、ポーランドへの経済協力の問題でございますけれども、この点につきましては、経済協力というのは、抽象的には国際社会の一員として国際経済の健全な発達というものを目指すものであるわけでございますが、具体的に何を目指すかとなりますと、先進国の中でもさまざまであるわけでございます。外国の場合、世界戦略あるいは軍事的な観点を重視するというふうな考えもあるようでございますが、日本の置かれている条件等から見まして適当でないことは当然でございます。日本の海外協力につきましては、この六月でございますか、参議院でも全会一致で決議がされたのは御承知のとおりでございますが、人道的配慮と相互依存関係というものを基本的な理念といたしまして行ってきたし、これからも行われるであろう、こういうふうに理解しているわけでございます。
 一方、我が国の援助国の対象がどんどん広がっていく。これまたハンガリー、ポーランドが一つの新しいケースではあろうかと思うわけでございますが、何せポーランド、ハンガリーはODAの対象国ではないというふうなことでございますが、アルシュ・サミットでは、あの宣言の中ではっきり両国に対する支援というものを力強く打ち出して、西側諸国が協力して民主的な方向をサポートしようじゃないかというようなことをうたっておる。そしてまた、西側の一員として日本もそれに強くひとつ支援の手を差し伸べよう、こういうふうな姿勢であろうと思うわけでございます。
 しかし、申し上げましたように、いろいろの問題があろうと思うわけでございまして、ODAの対象国でない、しかも時期的な範囲でのいろいろの予算の制肘というふうな問題もあろうと思います。また、両国とも自由の動きはあるというものの、果たして将来そういったものが、政治的安定性というものがずっと担保されるんであろうかという、そういう一つの見通しについて必ずしも確固たるものがあるのかどうか、この辺も自信がないというふうな危惧もあるわけでございます。そういう意味で、どの程度日本としてコミットすべきかというふうな問題もあるんじゃなかろうかと、こうも思うわけでございます。
 アジアの中国と異なりまして、何といいましても両国とは政策対話といいますか、そういったチャンスも非常に少ないというふうな感じも受けるわけでございます。それだけに、両国に対しましては、援助の理念といいますか、意図といいますか、そういったものを明確にしてやはり臨むべきであるというふうに私個人としては思うわけでございますが、そういう意味で、両国への支援、共助の八千二百万ドルですか、というふうな記事にも接するわけでございますけれども、支援の意図、目的、そういった面について大臣のお考えをお伺いしたいわけでございます。
○国務大臣(中山太郎君) ポーランド、ハンガリーに対する援助は、アルシュ・サミットにおいて既に合意を見たものがいわゆる基本になっております。
 ポーランドにおきましては、既に共産党の支配下、指揮下にある政治体制から労働組合が中心になった新しい政府ができておりますし、そういう中で、今日まで続いてきた社会主義経済から自由主義経済への動きというものが考えられているという状況にあると私どもは認識をいたしております。なお、ポーランドの場合は冬に向かっての食糧不足ということが極めて大きな緊急な課題でございます。御案内のように、ポーランドには膨大な累積債務がございますし、ポーランドからは西側に対して十億ドル近い緊急援助も申し入れが来ておりますけれども、日本政府としては、西側諸国の責任ある一国として人道的立場で支援を行わなければなるまい、このように考えております。その場合には、先生御指摘のように、軍事とかそういう面ではなしにあくまでも人道的な立場で食糧等を中心にこれから援助に協力しなければなるまいか、このような考え方で現在関係国同士の事務当局で協議を進めておるという状態でございます。
 なお、経営ノウハウ等の指導を行うために、ポーランド、ハンガリーのそういう関係者を教育するというような人材教育の問題もあろうかと考えております。
○鈴木貞敏君 今大臣は、ポーランドに対しての食糧援助ということでございましたが、私も農業県の出身者の一人として大変食糧援助というものに関心を持つわけでございます。御承知のとおり、減反というようなことで、後期対策等も含め、何とか米をつくりたいけれどもつくれない。一方、世界各国に餓死線上の国もある。こういうことで、何かその辺うまくそういうものを両者がともに生きるような道がないかなと、素人ながらそんなことを考えるわけでございます。
 食糧の緊急援助という点の内容、これはやはり国際価格が著しく日本は高い。そういうことで、今の食糧援助協定等でも、やはり小麦の国際標準価格ということで金に換算して金で援助している、こういうふうな実態のようでございますが、ポーランドに対する食糧援助という場合、どういうような格好でどの程度の規模でどこの米を買うようなルートでやるのか、その辺お差し支えない範囲でお教えいただければありがたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) まだ具体的にどういう金額でどのようないわゆる食料品を援助するかということは決めておりません。ただ、原則的に、日本一国だけでやるわけでございません、サミット加盟国を中心に援助を共同でやっていくという考え方で進みつつありますから、その場合に、一般的な考え方といたしまして、発展途上国の農産物を買っていくということが極めて国際的には常識になっておるというふうに理解をいたしております。
○鈴木貞敏君 両国に対しての支援の規模といいますか、食糧援助が主体だということでございますが、西側の中で日本としてはこれくらいというふうな枠は大体決まっているのでございましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) まだ具体的に金額の枠が決まっているという問題ではございません。いろいろと各国と協議の最中でございます。
○鈴木貞敏君 時間もあれで、あと一問で同僚議員にバトンを譲りますけれども、最後に中国関係で、敦煌石窟の問題でございます。
 これも九月段階での新聞報道なんで恐縮でございますけれども、昨年八月、竹下首相が中国を訪問して約束したあの敦煌の石窟の保存研究センターの無償援助の問題について、こういうふうな状況で来年度の着工が無理であるというふうな記事を見たわけでございますが、これも政治的な問題で、全く世界史に栄光ある時期を占めた西域の文化を守ろうというふうな、いわば先ほどの文化交流の問題、そういったことであるので、次元の違った問題として取り上げていいのかと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) この新規の経済協力につきまして一応の枠組みというものが委員御案内のようにできているわけでありまして、どういう課題についてどのようにこれから進めていくかということについては、それを決定する時期と関係なく事務的にはいろいろと検討しておるというふうに御理解をいただきたいと申し上げておきたいと思います。
○尾辻秀久君 今まさに昭和六十一年度の決算審議をいたしておるわけでございますけれども、この昭和六十一年という年は全国の戦没者遺族にとりましては大変悲しい年でございました。と申しますのは、その前の年、すなわち昭和六十年、それこそ全国の遺族の悲願でございました靖国神社に対する総理大臣の公式参拝が実現をしたわけでございます。遺族は本当に喜びました。これでいつお父さんのもとに行っても胸を張ってお父さんに報告ができる、そう言って年老いた戦没者の妻はあの靖国神社の社頭でぽろぽろと涙を流して喜
んだのであります。これは毎年その後定着をして行われるものである、そう信じておりました。ところが、昭和六十一年の八月十五日、総理大臣はとうとうお参りなさらなかった。なぜだと叫んだ。今改めてそのなぜだについてお答えいただきたい、そのように思います。
 それから、あえて、本当にあえてでありますけれども、長官おられますのであわせてお尋ねをするわけでございますが、昭和六十一年八月十五日といいますと、その直前の七月、衆参の同日選挙が行われました。このときに限ったことじゃないわけでありますけれども、そのときも我が自由民主党は選挙公約として公式参拝を約束いたしました。公約を守るためにも私は、総理大臣お参りになるべきであった、こういうふうに思うのでありますけれども、いかがお考えでありますか。
 今、官房長官お見えでございますので、大変恐縮でございますが、前段の質問をお聞きになっておられませんけれども、要は六十一年八月十五日になぜ公式参拝が、その前の年に行われたにもかかわらず行われなかったんだろうか、このことをお尋ねいたしました。それからあわせて、あえてでございますけれども、その直前の衆参同日選挙で公式参拝を公約したにもかかわらず総理大臣お参りにならなかったのは、やっぱりお参りされるべきでなかったか、私はこう思うのでありますがという御質問をさせていただきました。
○国務大臣(森山眞弓君) 衆議院の予算委員会に出ておりましておくれましたことをおわび申し上げます。
 靖国神社の公式参拝につきましては、これは制度化されたものではございませんので、それを実施しますかどうかその都度判断すべきものであると考える次第でございます。
 総理大臣の公式参拝ということにつきましては、昭和六十年に実施されました後昭和六十一年以降実施されておりませんが、これはその都度、諸般の事情を総合的に考慮いたしまして慎重かつ自主的に検討いたしました結果、これを差し控えることとしたわけでございます。昭和六十年八月十四日の官房長官談話というのがございますが、これは六十一年の官房長官談話でも変更しないというふうに申しております。ですから、昭和六十年に実施した方式による公式参拝は憲法違反にはならないということではございますが、参拝をするべきか否かということは、そのときそのときの状況判断によって決めていくということになっているのでございます。
○尾辻秀久君 それでは、六十一年八月十五日にお参りにならなかったその理由をお聞かせいただけますか。
○政府委員(公文宏君) 六十一年の八月に公式参拝を実施いたさなかった諸般の事情でございますけれども、いろいろなことがございますが、第一に、昭和六十年八月十四日の内閣官房長官談話は現在も存続しておりますし、昭和六十年に実施した方式による公式参拝は憲法に違反しないという政府見解には何ら変更がないという点が第一の事情でございます。それから第二に、国民や遺族の多くの方々が公式参拝を強く望んでおられるという事情です。これも第二の事情としては考えられるということでございます。
 ただ、第三に、靖国神社がいわゆるA級戦犯を合祀しているということもございまして、昭和六十年に実施した公式参拝につきましては、過去における我が国の行為により多大の苦痛と損害をこうむった近隣諸国の国民の間に、そのような我が国の行為に責任を有するA級戦犯に対して礼拝したのではないかという批判を生み、ひいては我が国がさまざまな機会に表明してまいりました過般の戦争への反省とその上に立った平和友好への決意に対する誤解と不信さえ生まれるおそれがあり、またそれは諸国民との友好増進を願う我が国国益に照らしましても、また戦没者の究極の願いにも沿うゆえんではないということが第三の事情でございました。
 それから第四の事情といたしまして、公式参拝の実施を願う国民や遺族の感情を尊重するということは政治を行う者の当然の責務ではございますけれども、他方、我が国が平和国家として国際社会の平和と繁栄のためにいよいよ重い責務を担う立場にあるということを考えれば、国際関係を重視し、近隣諸国の国民感情にも適切に配慮しなければならないこともまた当然である。
 そういう事情などを勘案いたしまして、六十一年度以降は実施しておらないということでございます。
○尾辻秀久君 外務大臣おられますので、この際ちょっとお尋ねしてみたいんですが、当時六十一年の八月ころでありますけれども、お参りなさらない理由として、もし総理大臣がお参りなさると中国政権内部に深刻な影響を与えるんじゃないか、そんな話を盛んにお聞きをいたしました。大分年月たっておりますから、今だから話そうというお話があればお聞きしたいと思ってお聞きするわけでございますが、当時そのような状況がございましたでしょうか、あるいは現実にそういうことが起きたでしょうか、お尋ねをいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 先生お尋ねの昭和六十年……
○尾辻秀久君 六十年から六十一年にかけてですね。
○国務大臣(中山太郎君) 昭和六十年秋に、当時の安倍外務大臣が訪中いたしました際に、中国側に対して同年夏の中曽根総理の公式参拝についてその趣旨説明を行っており、そして中国側の理解を求めたわけであります。その後外交当局間協議の場でも同様の説明を行ってきております。これに対し、先方の反応は依然厳しい姿勢をうかがわせるものがございます。
 また、韓国につきましても、昭和六十年の公式参拝に際し、公式参拝の趣旨及び平和国家に徹するとの我が国の決意に変わりのないこと等につき説明を行っております。翌昭和六十一年の公式参拝の際には、同年八月の官房長官談話の内容を通報いたしております。これに対しまして韓国側からは特段の公式反応は見られておりません。
 以上でございます。
○尾辻秀久君 今お尋ねいたしましたのは、中国政権内部のことでございました。そして、どうも私どもが聞いておりました、これは本当かうそか知りませんが、話として聞いておりましたそういうことは結局むだなことであったんじゃないかな、むだな配慮をしたんじゃないかな、こう思ったりもいたすものですからお尋ねをしたんですが、なかなかお答えいただけない部分であろうと思いますので、これ以上はお聞きをいたしません。
 ただ、今もう随分お答えいただいたのでありますけれども、昭和六十年八月二十七日の内閣委員会でございます。総理の公式参拝が行われた直後でございますが、このときに私の先輩の板垣正議員が同様の趣旨の質問をしておられます。このときに外務省は、今外務大臣にお答えいただいたことではございますけれども、とにかく近隣諸国の理解を得たい、そしてそうした皆さんの御理解をいただいて、こうしたことがきっちり行われるようにしたい、努力をしたいというふうに答えておられます。改めて、そうした御努力をいただいたその成果、いま一度お聞きをしたいと思います。
○説明員(鈴木勝也君) そういう努力をした成果とまで申し上げられるかどうかはわかりませんけれども、例えばことしの八月十六日付の人民日報のこの問題についての扱いというのは、前年が第一面でございましたのに対して、第三面で論評を加えずにというふうなことになっております。そのような意味では若干我が方の意のあるところというものが浸透してきているのではないかと、希望的でございましょうけれども、そういう見方もあるいは可能かとは存じます。
○尾辻秀久君 そういたしますと、先ほど御説明にございました、せんじ詰めて言うと、近隣諸国の皆さんの言っておられることというのは、A級戦犯が祭ってあるからいけない、ネックはそこなんだと、こういうふうに理解してもいいでしょうか。皆さんが言っておられることをそのように私
どもは理解してもいいでしょうか、お尋ねをいたします。
○説明員(鈴木勝也君) ただいま御指摘の点も、確かに一つの問題点ではあろうと思いますけれども、先方が、中国の場合にも韓国の場合にもそうでございますが、やはり自国の国民感情というものをよく考えてほしいということが基本的な姿勢でございまして、この問題につきましては、引き続き中国の態度というものは極めて敏感であるということを申し添えさせていただきたいと存じます。
○尾辻秀久君 本論から少し外れるようでありますけれども、やはりA級戦犯のことがしょっちゅう出てまいりますから少しこだわっておきたいと思うんです。
 といいますのは、どうもA級戦犯について触れますときに、私たちにきっちりしたまだ考え方がないんじゃないか。もっと言いますと、私たちは本当に日本人という立場で戦争責任を問うたり戦争犯罪を問うたりしたことがないんじゃないか。A級戦犯と言われている人たちもしょせんは戦勝国が、勝った方が一方的に裁いた裁判であります。ですから、この裁判についてだけ言わせていただいても、例えば判事を努めたインドのパル判事は、この裁判を復讐の欲望を満たすために、単に法律的な手続を踏んだにすぎないようなやり方は、国際正義の観念とはおよそ縁遠い。こんな儀式化された復讐は瞬時の満足感を得るだけのものであって、究極的には後悔を伴うことは必然であるとして、全員無罪を主張しておりますけれども、そういう裁判でありました。ただ、ここではそのことを議論するつもりはありません。申し上げたいのは、国内的にきちっとした私たちがこのことについてけじめをつけていないんじゃないだろうか、少なくとも国内法で裁いたものではないじゃないか、そう思うわけでございます。
 そんなことを思いますと、例えば一方ではA級戦犯として絞首刑になった方が靖国神社にお祭りされることすらもけしからぬという、こういう話も出てきますし、しかしまた一方では、同じくA級戦犯として裁かれた方が勲一等までお受けになったという事実もあるわけでございます。とにかくこのA級戦犯を私たちがどういうふうに考えるのか。ちょっと難しい御質問を申し上げているのかもしれませんけれども、外国の皆さんに御説明になるときにどういう立場でお話ししておられるのか、お尋ねをいたします。
○説明員(鈴木勝也君) ただいまの点につきましては、法的に言えば極めて簡単な話だろうと存じます。サンフランシスコ条約によりまして御承知のとおり東京裁判の結果というものは認めているわけでございます。
 ただ、法律問題を離れましてどういうふうにということになりますと、これはいろいろな方々がいろいろなお考えをお持ちだろうと思います。私どもの外国の方々に対する御説明に際しましては、やはり東京裁判の結果、一人一人のいわゆる戦犯といわれた方々についての結果がいいの悪いのというようなレベルでの議論は行わずに、むしろ歴史的な事実といたしまして、大東亜戦争と申しますか、第二次大戦の過程で我が国として近隣の諸国に多大の御迷惑をおかけした、そういう認識に立って対応しているということでございます。
○尾辻秀久君 こんなことで外国の皆さんから誤解されたり、とやかく言われたりするのも大変不幸なことでございますし、きっちり私どもの伝統、習慣というのを御理解いただきたいと思いますので、今後の御努力をお願い申し上げておきたいと思います。私の立場は、早くまた総理大臣の公式参拝をしていただきたい、こういうことでございますので、先ほど来繰り返しお話はいただいておりますけれども、確認だけさせておいていただきたいと思います。
 そうした外交的な配慮を除きますと、国内の問題はクリアしておる、私はそのように理解をしておりますが、それでいいでしょうかということでございます。すなわち、司法の判断は、これは津の地鎮祭訴訟に対する最高裁の見事な判断がございます。また、先ほど来お話しのとおりに、昭和六十年の、時の中曽根総理大臣の公式参拝に当たって政府は見解を発表しておられます。この中で、靖国神社は日本の戦没者を追悼するための中心的な施設であるときっちり位置づけをされて、そしてまた憲法上も問題ないということを明確にされておられるわけでございますから、いま一度申し上げますけれども、国内の憲法上の問題などというのは、これはもう完全にクリアされておる、このように理解をいたしておりますけれども、それでよろしゅうございましょうか。
○政府委員(公文宏君) 公式参拝自体は制度化されたものではございません。しかし今までの経緯はいろいろございます。毎年といいますか、毎回その都度公式参拝をどうするかということについては、その都度慎重に検討してまいりたいということが基本でございます。ただ、先生から今お話がございましたように、憲法に違反するかどうかという点に関しましては、ただいま行われておりますような、つまり六十年に行われましたような公式参拝につきましては憲法上の問題はないというのが政府の見解でございます。
○尾辻秀久君 それじゃ整理して申し上げますと、とにかく国内の問題はない、あとは近隣諸国の皆さんの御理解をいただく、こういうことでございますので、それぞれの御努力をお願いいたしまして、そしてぜひきちっと、国のために亡くなった方々のところには国家、国民を代表して総理大臣が、その日と定めた八月十五日お参りをいただきますようにお願いをいたします。
 時間がもう少しございますので、この際でございますから、今このことに関連いたしまして、我が国の憲法で定めております政教分離についてどうも余りにもぎすぎすしておるのじゃないか、このように思いますので、お尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、続けて三点、御感想といいますか、御見解をお尋ねをいたします。
 これは前に申し上げました板垣正議員が御指摘にもなっておるのでありますけれども、例えば小学校のプールでプール開きに教頭先生がお清めの塩をまいた、これがたちまち宗教的なものであるといって問題になった。あるいはそんなことを恐れる余りに市立の保育所がもうクリスマスの行事をやめてしまう。こんなことを聞くのでありますけれども、ここまで憲法で定める政教分離というのを、よく言えば厳密にと言うのでありましょうけれども、何かぎすぎすとしてとらえなきゃいけないのかなと思うものですから、これの御感想をお聞かせをいただきたいと思います。
 次に、もしそこまでそういうふうに厳密な解釈をしようと思うならば、これは今行われております私立学校、この中には宗教教育をいたしておる学校がいっぱいあるわけでございますが、こうした学校に対する国の補助というのは全くおかしくなってしまう。はっきり言うならば憲法違反になってしまうじゃないか、このように思わざるを得ないのでありますが、いかがお考えでありましょうか。
 それから三点目に、アメリカも申し上げるまでもなく政教分離の国家でありますけれども、アメリカの大統領の就任式、これはもうよく皆さん御案内のとおりに、聖書に片手を置くわけでございます。政教分離をうたいながらあれだけの大統領就任式がなされる、これについての御感想。
 以上、三点お聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(大森政輔君) お尋ねが憲法問題に関しますので、便宜私からお答えさせていただきます。
 まず第一点でございますが、お尋ねは結局のところ政教分離の考え方はどうかということであろうと思います。先ほども御指摘のとおり、政教分離の原則に関しましては最高裁判所の津地鎮祭判決というのがございます。これは、昭和五十二年七月十三日、大法廷判決でございますが、その中で、憲法第二十条第三項によって禁止される国及
びその機関の宗教的活動とは、およそ国及びその機関の活動で宗教にかかわり合いを持つものすべての行為を指すものではない。当該行為の目的が宗教的意義を持ち、そしてその効果が宗教に対する援助、助長、促進または圧迫、干渉等になるような行為を言う、こういうふうに判示しております。したがいまして、ある行為が政教分離、憲法が禁止する宗教的活動に当たるかどうか、すなわち政教分離の原則に反するかどうかということを検討するに際しましては、その行為をめぐる諸事情を考慮いたしまして、そして社会通念に従って客観的に判断するということになろうかと思います。
 次にお尋ねの第二点でございますが、宗教系の私立学校に対する助成というものについてどう考えるのかということでございますが、御指摘のとおり助成の対象には宗教系の私立学校も含まれております。しかし、この助成と申しますのは、これは私立学校振興助成法第一条に規定してございますとおり、学校教育における私立学校の果たす役割に着目いたしまして、私立学校の教育条件の維持及び向上、私立学校に在学する児童生徒、学生等にかかる修学上の経済的負担の軽減、そして私立学校の経営の健全性の確保等を目的として行われているものでございます。したがいまして、先ほどの最高裁判所が示しました原則に照らして考えますと、その目的において宗教的意義を有しないということになろうかと思いますし、またその効果も特定の宗教に対する援助、助長、促進等になるようなそういう効果はないというふうに判断されますので、現行の助成と申しますのは、仮に宗教系の私立学校でございましても何ら憲法上問題はないというふうに考えている次第でございます。
 そして第三点のアメリカ大統領の就任式の儀式の点でございますが、これはアメリカがどのような考え方でなされ、憲法との関係をどう考えているかということは定かには承知しないところでございますが、乏しい知識によりますと、アメリカにおいても宗教とのかかわり合いがあるすべての行為を憲法上禁止しているものではない。たしかアメリカ合衆国連邦最高裁判所の判決による言葉であったと思いますが、過度のかかわり合いを禁止しているにすぎないのだと。そして、お尋ねのような行為は多分過度のかかわり合いがあるということではないというふうに解してやっているのであろう、これは推測でございますが。
○尾辻秀久君 時間がもうございませんので、最後にお願いだけさせていただきたいと思います。
 全くおっしゃるとおりだろうと思います。私がお尋ねした趣旨も、とにかく変にぎすぎすして、重箱の隅をつつくようなことを言い合っていたらこれは世の中本当にお互いに生きづらくなっていきますから、そんな過度の、まさしく目に余るようなことはいけませんけれども、もっとおおらかにやっていけばいいんじゃないかな、そういうふうに今後とも政府にお願いをしたいと思います。そして、そういうことをまさにおおらかにやろうとすれば、来年の大嘗祭なんというのもまさしくおおらかにできるんじゃないかな、こういうふうに思っておるわけでございまして、そのことのお願いをさせていただいて私の質問を終わります。
○木庭健太郎君 私の方は、いまだに後を絶たない難民問題についてひとつお伺いします。
 まず、最新の漂着者の実態、それに対する審査状況及び偽装難民の具体的な措置状況、また現在対応に追われております地方自治体への財政措置について総括的な御報告をお願いします。
○説明員(佐々木高久君) 最近の難民の漂着状況とその数字につきまして私からお答えいたします。
 本年に入りまして我が国に漂着いたしましたボートピープル、非常な数でふえておりますけれども、本年初頭よりこれまでに到着いたしました総数は、数にしまして三十七件、人数にいたしまして三千四百九十七名に達しております。
 本年のボートピープルの特徴といたしましては、比較的大きな船に乗ってまいります。大きな船と申しますのは百名以上でございますが、大人数で押しかけてくるということと、もう一つは日本に直接漂着する、日本まで直接やってくる、こういう特色がございます。こういう直接到着したケース及び一件当たりの人数が百名以上に上りますケースといたしまして、本年の五月末以来二十四件、人数にいたしまして三千百十名に上っております。この二十四件のうちの二十二件は直接我が国に漂着したケースでございまして、人数といたしましては二千八百四名になっております。
 以上でございます。
○木庭健太郎君 あと、偽装難民の具体的措置状況をお願いします。
○説明員(佐々木高久君) 次に審査状況でございますけれども、ボートピープルのうち、上陸審査なり再審査により中国からやってきたということで退去強制手続をとった者の数でございますが、十月三十一日現在で千六百五十二名に上っております。その他の者につきましては、国籍を含めまして現在調査中でございます。
 以上でございます。
○木庭健太郎君 もう一つあったんですけれども、飛ばしまして、今ありましたように、中国からいわゆる偽装難民というものが今ふえているわけでございます。政府といたしましては今のところ難民のスクリーニングの厳格化、経済難民排除の方針というのを決めておられますが、同じようにやはり日本に漂着、保護された者に対しては基本的人権が守られなければならないというのは当然のことだと思います。また、先日、品川の国際救援センターでベトナム系難民と中国系難民のトラブルがございましたけれども、これは民族的対立というよりは、どちらかといえば、収容能力を超えた収容施設に閉じ込められてしまって人間的生活も保障されていないというようなことから来たストレスの爆発というふうに私は考えております。
 政府は今のところ、本年の予備費で収容施設の拡大にも努めていらっしゃいますが、先般のトラブルの原因分析、また人道的立場からの収容者の不満解消策、また予備費による施設の概要と進捗状況についてどのように取り組まれてきたか、御報告をお願いいたします。
○政府委員(遠藤實君) ただいま御指摘のございました品川の難民センターの状況についてでございますが、実はひところ前に確かに品川の難民センターに定員をはるかに超えます人員が収容されまして、そのために大変困難を来したことは事実でございます。ただ、その際には、実はいわゆる中国系の偽装難民と考えられている者が六百名以上おりまして、現在は実はこの偽装難民の疑いのある人たちにつきましてはほかの施設に移しております。したがいまして、現在のところ、国際救援センターにおきましては、収容能力は七百二十名ということでございますが、現時点におきましては五百五十二名ということになっておりまして、一時的に非常に問題のありました定員オーバーの問題、これは解消しております。さらに、当時若干あつれきがございました中国系難民あるいはベトナム系難民の問題というのは、確かに非常に広いスペースがあればその問題は避けられたかもしれませんけれども、この収容能力の上にさらに、必ずしもしっくりいかないグループが二つ同居したというところで問題が起こったというふうに考えております。
 それで、品川の方はそういう状況で現在改善されておりますけれども、さらに大村の一時レセプションセンター、あるいはさらには不法入国者を収容いたします収容所、そういったところについてはこのボートピーブルの急増のあおりを受けましてまたこれが非常に過密状態になりつつあるというのも事実でございまして、この点につきましては、関係当局におきまして予備費を要求するとかそのほかの措置を講じてこの収容について万全を期したい、こういうふうに考えております。
○木庭健太郎君 今御指摘のありました難民の受け入れ施設に、中山外務大臣も去る二十八日に東京の方、また長崎の大村難民一時レセプションセ
ンター、また収容所の方も外務大臣としては初めて視察されたと伺っております。その際に外務大臣は、豊かな生活を夢見て日本に来ても日本は受け入れられないということを相手に明確に知らせることが必要だと痛感したというふうに述べていらっしゃいますけれども、御自分で難民関係施設をごらんになった上での今回の難民問題に対する基本的な考え方をぜひお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) いわゆる国際社会で一つの基準を決めております難民と、それからいわゆる、何といいますか、所得、富を求めて密入国してくる人、これは根本的に国家としては考え方を変えておかなければならないと思います。
 これは明確に政府としての考え方をきょう申し上げておきたいと思いますが、私どもの国家は密入国を認めない、こういう一つの法律体系があるわけでありますから、こういう状況の中で、いわゆる経済難民といいますか、日本での労働を求めて入ってくる人たち、私は現場に行きまして、その実態を見て実に驚いたわけです。それはいろいろと正直なこと申し上げて、一隻の船に百人を超す人たちが一どきに入ってくる。先生御案内のように、この収容施設にはそれぞれ収容能力というものがある。政府は考えていろんな施設を国民の税金でつくっております。そこへ一方的にどんどん入ってくる。それがいわゆる国際的な基準に合った難民でなしに利益を求めて入ってくる人たちが急激に増加するということになると、いわゆる管理能力というものの膨張、これが大変ひどい状況になりつつあるのではないかということを、私は現場を見て痛感をいたしました。
 私が当日大村に参りました日も、鹿児島に百四十名ばかりのボートが入ってくるという話を聞いておりましたが、そこの大村の収容所の中での話を聞きましたところ、それはもう審査を終わっている人たちでありますけれども、日本で働けないなら早く帰してほしいと、こういう陳情書を出しているんです。それはそれぞれの人たちが自分の意思として出しているという状況でございますから、ここをはっきりしておきませんと非常に国民は誤解をするのではないか。日本へ行って働いていい所得を得たいと思ってどんどんと、私どもの報告を受けておるのではそういう人たちをあっせんするブローカーがいる。ブローカーにお金を渡してそれに乗ってやってくる。こういうことでございますから、そのいわゆる収容所あるいはレセプションセンターと言われるところで、その相手の意思あるいはどこの国の人かということの確認を急いでいるのに、実は入管の職員が不足して九州全域から、あるいはほかからも緊急に応援を求めているというのが我が国の現状ではないかというふうに認識をいたしました。
 こういう中で、送り出してくる方を送り出さないような方法はないかというのが、率直に私は視察したときの感じでございます。それには、日本へ行っても、不法入国をした場合に、そういうような条件で入国した者についてはいわゆる労働する市場はない、収容所に入られて、そして労働もできずに本国への送還を待っているという状況だということを相手側に早く知らせることが一番大切ではないかということを実は感じました。現在、中国政府にも、中国国籍の判明した者については早急な引き取りをお願いしておるというような状況でございます。
 先生御案内のように、ボートピープルというのは夏場に来ている人たちが非常に多い。そして、寒い冬を日本で迎えるのは初めての体験の人が多いのではないか。そういう意味も含めて、一日も早く難民送り出しのもとの方をとめてもらうような話し合いをしなければ、これはなかなか一方的にこの問題をやっていくということは、国連難民高等弁務官事務所がこの問題を国際的に所管しておりますけれども、現場の人たちの声を聞いてみて私はそのような感じがいたしたわけでございます。
○木庭健太郎君 明確に今立て分けて、経済難民といいますか、それからいわゆるボートピープルという問題を立て分けて考えようというお話がございましたので、今ちょっとお話が出ましたけれども、ベトナム難民に紛れ込みまして我が国に不法に入国した中国人の問題についてちょっとお伺いいたします。
 先ほど言われたように、我が国の強制送還に対して中国側は一応今受け入れを言明しております。今その中国との折衝の状況がどんなふうになっているかというのをお伺いしたい。特に、政府の方は十一月の早い時期にも中国との間で帰還の合意を達成して年内帰還を図りたいというような意向を何か示されておられたようですが、実現のめどがあるのかどうかということでございます。
 また、帰すときの問題でございますけれども、中国は不法出国者は法律に基づいて処理するというようなことを述べております。これは内政干渉にならない範囲でというふうに思うのでございますけれども、こうやって帰る中国人の方たちが、逆に言えば日本側から、不利益な取り扱いを受けないよう中国側に対して特段の配慮を求めるような必要も人権上生じてくるんじゃないかなというようなことも私は考えておりますのですけれども、その点についてはどうでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) 中国側と偽装難民の引き取りについて実務的な話し合いを行っておりまして、現在まで我が方から中国側に対しましては合計三百三十八名の不法入国者の中国人のリストを提出しておりますが、中国側からは既にそのうち合計百九十人につきまして身元が確認され、身柄を引き取りたいという連絡がございました。現在さらに早期送還の実現に向けまして実務レベル協議を続けておりまして、私どもの希望といたしましては、まず早急に引き取りの期日等をめどをつけまして、そしてできるだけ早く送還を実現したいということで中国側と話をしておりますけれども、まだ具体的にいつということはちょっと申し上げられる段階ではございません。
 それから第二の点でございますが、中国に偽装難民が送還された場合、これはやはり建前といたしまして、出身国の出入国に係る関係法令に違反して出国してきたということで、中国にとっては不法出国者ということになるわけでございますので、その出身国において法令にのっとってしかるべき措置がとられるということは、これは法律の建前上は当然だというふうに言わざるを得ないというふうに考えております。しかし、実際に香港から中国人の不法入国者の中国への送還というのが現に行われているわけでございますが、送還された中国人が特に非常に不利益な処分を受けたということはないというふうに承知をいたしております。ただ、いずれにいたしましても、御指摘の点については十分関心を持って対処いたしたいと、こう考えております。
○木庭健太郎君 もう一方のインドシナ難民の方についてお伺いいたします。
 政府の方は九月十三日からスクリーニング制度の導入をいたしましたけれども、今のところいまだ具体的な実施には至っていないというような新聞報道もございます。実際に今のところ実施状況がどういうふうになっているのか。また、もしできていないとするならばどんな問題点があるのかお聞かせ願いたいと思います。そして、スクリーニングをやる判定の際ですけれども、何より我が国の難民認定が、いわゆる国際水準ですね、これとかけ離れたものにならないように対処するのが第一だと考えておりますけれども、その点についてもあわせてお願いいたします。
○説明員(佐々木高久君) お答えいたします。
 ベトナムから来ましたボートピープルにつきましては、ただいま御指摘のありましたとおり、九月十二日の閣議了解によりまして、翌日の十三日から、ことしの六月に開かれましたインドシナ難民国際会議の合意を踏まえまして慎重な審査を行うという決定を見たわけでございます。難民と認定するに際しましては、難民条約に言いますとおり、人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること、または政治的な意見を理由として迫害を受けるおそれのある者ということでござい
ますが、こういう基準に基づきまして現在審査中でございます。ただし、具体的にいわゆるスクリーニングで否定的な者が出たという状況にはまだ至っておりません。そういう状況でございます。
○木庭健太郎君 時間が余りないですね、もう少し聞きたかったんですけれども。
 難民問題の最後に、官房長官もいらっしゃっておりますし、難民問題というのは今外務大臣も指摘されたようにさまざまな問題が絡み合う問題でもあり、また国際化する日本が避けて通ることのできない政治課題として、もう現時点で中長期的な対策を考えるような時期に来ていると思います。また、この問題は多くの省庁にまたがっておりまして、関係各省庁の密接な連携がなければ解決できないのは自明の理でもございますし、まとめ役の内閣官房長官にこの難民問題に対する決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(森山眞弓君) 仰せのとおり、難民行政は多くの行政官庁、省庁が関係する分野でございます。そのため、関係省庁が緊密な協力のもとに一体となって推進するということが必要でございます。内閣におきましては、関係十二省庁から成りますインドシナ難民対策連絡調整会議というものを持ちまして、ここで基本的な方針や主要な措置を決定いたしますとともに、関係省庁の積極的な協力を求めまして種々の問題に適切に対処すべく努めているところでございまして、今後もこの場を活用いたしまして努力してまいりたいと思います。
○木庭健太郎君 がらりと話を変えまして、漁業問題のことなのでございますけれども、今、日本漁船が非常に多くやっております流し網漁業というのがございます。ところが最近この流し網漁業について、アメリカ、そしてニュージーランドを中心として、公海上における日本の流し網漁業を規制、もしくは禁止しようというような国連決議が近日中に出されようとしているというふうにお伺いしております。外務省に、この決議案提出に至る経緯、また背景、内容について御説明いただきたいと思います。
○政府委員(遠藤實君) 御指摘のとおり、流し網漁業につきましては、北米及びニュージーランドを含みます南太平洋諸国の間で、漁業資源、海洋環境への影響、そういった観点からこの流し網漁業を厳しく規制する、あるいは禁止すべきである、こういった動きが出てまいりました。
 御案内のように、日本は北太平洋におきましては米国、カナダ等とのアレンジメントにおきまして、みずからの規制を行い、南太平洋においても隻数の制限をする等の規制をみずから行っているわけでございますけれども、特に米国の議会筋等が非常に強い要求を出しております。そういったことを背景にいたしまして米国が今回の国連総会に本件決議案を提出しようという動きがございまして、これにニュージーランド等が同調しているというのが現状でございます。この決議案自体はまだ国連総会には提出されておりません。おりませんが、この内容はともかくといたしまして、決議案自体が提出されることは不可避であろうと、こう考えております。
 私どもの方としては、国連総会でこのような決議ということで問題を解決するのではこの問題の解決にならないし、ましてや科学的根拠のないような決議というものは受け入れられないということでいろいろと関係国との間に接触をしてまいりましたけれども、現在決議案自体が提出されるということは不可避の情勢になっております。
○木庭健太郎君 今説明があったように、日本の漁業は、捕鯨に限らず、何かいつも追いやられるような形で、PR不足みたいなものを非常に感じるんですけれども、今回の場合もこういう決議案が出されるようになった背景には、日本漁業が安易に他の海産の哺乳動物を混獲しているというような海外からの誤解があるように私は思います。こうした誤解を生まないように水産庁がこれまで何か手を打ってこられたのかということをぜひお聞きしたいと思います。
○説明員(赤保谷明正君) お答えを申し上げます。
 流し網漁業の問題の一つといたしまして海産哺乳動物の混獲の問題が上げられておるわけでございます。この混獲の問題、つまり、とろうと思っている魚種以外の海洋生物がとられてしまう、そういう混獲の問題、これは流し網漁業に限られた問題ではありませんで、ほかの漁業の種類でも多かれ少なかれ混獲の問題が伴うわけでございます。問題はその混獲の程度の問題でありまして、資源に悪影響を及ぼすほどの混獲なのかどうなのか、それほどの混獲でなければそれは漁業活動として認められてしかるべきであろうという考えを持っております。そのために、今外務省からもお答えがございましたが、科学的な根拠に基づいて対処していくということが肝要でありまして、混獲状況の把握だとかあるいは資源状況の把握、解明、そういうための調査研究に取り組んでいるところであります。
 また、ことしはアメリカ、カナダと話し合いをいたしまして、アメリカ、カナダの人を含む科学オブザーバー、調査員、それを日本のイカ流し網漁業の漁船に乗せる、それで一緒にオブザーブしようという話もして、今そういう計画を実施しているというようなことを通じて関係国の懸念、心配に配慮した対応をしてきているところでございます。
 水産庁としましては、可能な限り海産哺乳動物の混獲を回避したい、そのための調査研究もいたしておりますが、後で御要望でありますれば中身を御説明いたしますが、混獲回避のための調査もいたしているところでございます。
 それからまたオットセイにつきましては、混獲された場合にはもう直ちに海に戻すという制限をいたしておりますし、またオットセイが混獲されたというような海域はできるだけ避けるようにという行政指導をする、そういうようなことをいたしております。
 今後とも、そういうようなことによりまして海産哺乳動物の混獲を可能な限り少なくしていく、そういうつもりで努力をしてまいりたいと思っております。
○木庭健太郎君 外務省に伺いますが、この決議案、国連に提出されるまではわかったわけですけれども、提出された場合、採決される可能性というのをどうお考えでしょうか。
○政府委員(遠藤實君) 実はこの決議案がどういうふうに扱われるかという問題は、どのような決議案が提出されるのか、あるいはそれに対して修正案が出るのかとか、あるいは結局すべての国が容認できるような形の決議になるということであればこれはコンセンサスで採択されるということになるわけでございまして、今後の見通しはその中身がどういうふうな形になるかということにかかっているというふうに考えております。まだしかとどのような姿になるかということはわかっておりませんけれども、いずれにしても我が国としては我が国として受諾、のみ得るような、そういった決議になるように努力をしていくということでございます。
○木庭健太郎君 可能性の問題ということで残しておきますけれども、この流し網漁業が日本漁業の中で重要な役割を果たしているという御認識はあると思います。もしこれが禁止というような決議が国連という国際政治の場で行われた場合、どういう対抗措置というのができるのかということを、もし説明いただければいただきたいと思います。
○説明員(赤保谷明正君) 国連で決議がされた場合どういう措置をとるのかという御質問でございますけれども、日本では公海での流し網漁業を営むに当たりましては、従来から関係国の関心あるいは懸念、心配、そういうことを考慮に入れながら資源の保存、管理に積極的に対応してきたところでございます。また、流し網漁業による資源の破壊、枯渇とかあるいは混獲、そういったものに対する諸外国の懸念、批判に対しては、先ほど御質問ありましたけれども、この流し網漁業の実態
を把握するための調査研究の充実に努めつつ、他方、この流し網漁業に関する国際的な話し合いの場で我が国の見解を表明して理解を求めてきたところでございます。
 こういうような中でお尋ねの国連の決議の問題が出てきたわけですけれども、現在外務省が中心となりましていろいろと外交努力をしていただいているところでございまして、我々農林水産省といたしましても我々なりの外交的な努力もいたしているところでございます。また、今外務省からお答えがございましたように、国連での決議案、まだ内容が固まっておりませんし提出されておりませんので、ある種の決議案が出された、通ったときにどういう措置をとるのかということについてのお答えはただいまのところ差し控えさせていただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、我が国としましては、引き続きこの流し網漁業を適切に管理をいたしまして、調査研究活動を充実させることによって関係各国の理解を得ましてこの漁業の維持、存続に努力してまいる所存でございます。
○木庭健太郎君 もう時間が来ましたので最後に、私が非常に危惧いたしておりますのは、先ほど言いましたように、捕鯨の問題がいつの間にかあっという間に追い込まれてしまったような、同じような状況でこの流し網漁業というのも極めて深刻な事態に追い込まれるのではないかというような危惧を抱いております。さらに、国際的に漁業を取り巻く環境が厳しさを増している中で、今後の日本漁業の重要性にかんがみて、今最大限の外交努力が必要なときだと感じております。
 最後に外務大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) この問題は実はたくさんの国がこれをやっていないというところに問題があるわけでございまして、私の存じているところでは、日本を初め韓国、台湾の漁船が大体五十キロぐらいの流し網を流してやっている。それで、海外の国々は天然資源がなくなるということが表立っての一つの反対理由であるというふうに認識をいたしておりまして、カナダ等におきましても大変厳しい意見を私は聞かされてまいりましたが、そういうふうな環境の中で日本は六十隻から二十隻まで自主規制をやって漁船数を減らしてきております。
 そういう中で、国連でどのようなこれから動きが出てまいりますか、そういうものにつきましては、漁業に従事する我が国の方々、生活の問題がございますから、外務省といたしましてもできるだけこれらの方々の問題を踏まえて、この決議案ができるだけ採決されないような努力をいたしていかなければならないし、またそのように努力をしてまいるつもりでおります。
○上田耕一郎君 私は、この数年激しくなった北海道とか秋田とかあるいは長野それから和歌山、奈良、高知などで、米軍の三沢のF16、それからミッドウェー艦載機などが物すごい超低空訓練を行っているんですね、その問題と条約上の根拠、これを取り上げてお伺いしたいと思うんです。
 これは日本だけでなくて、アメリカ本国だとか西ドイツだとかで今ひどくこういう訓練を行っているんですけれども、どういう目的でこういう危険な訓練をしょっちゅうやらなければいけなくなっているのか、それをまずお聞きしたいと思います。
○政府委員(福田博君) お答えいたします。
 我が国は、安保条約第六条の規定に基づきまして、米軍に対し、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」我が国において施設、区域を使用することを許しております。米軍がかかる目的で我が国に駐留することを条約が認めているということは、事前協議に係る事項のように特段の定めがある場合を除くほか、米軍がかかる目的の達成のため、飛行訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としております。
○上田耕一郎君 私の質問をよく聞いて答えてほしいんだな。今の答えはもうちょっと後で言わなきゃいけない。
 何で米軍は世界各地でこういう飛行訓練をやらなければいけないのか。だから軍事上の必要を聞いているんで、外務省わからなかったら、防衛庁、どなたかわかったら答えてくれませんか。
○政府委員(小野寺龍二君) ただいま参りまして、質問の初めの方がちょっとはっきり……。
○上田耕一郎君 軍事上の目的。なぜこういう低空飛行訓練が必要になっているのか。
○政府委員(小野寺龍二君) これはアメリカ軍に限らずNATO軍についても、それから我が自衛隊についても同じかと存じますけれども、陸上戦闘が行われる場合におきましては、例えば対戦車攻撃とか、それからもちろん橋梁等をそういった車両なんかが通過しているところを攻撃するために、やはり低空からミサイル攻撃なり爆弾攻撃なり機銃掃射をしなければならないというようなそういう事情がございますので、どこの国の空軍においても一定の低空飛行訓練というのはどうしても必要というふうになっていると思います。これは米国だけではなくてほかの諸国についても同様でございます。
○上田耕一郎君 軍事評論家の西沢優氏らの研究によりますと、ベトナム戦争のときに、高く飛ぶとミサイルで落ちるというので、レーダーにかからないように、ミサイルに当たらないように超低空を飛ぶようになって、F11というその専門の飛行機が開発された。これが初めだったんですね。それは米軍だけでなくてソ連も今はもう当然戦闘攻撃機というのはレーダーにかからないように超低空を飛んでいくということになってきているんですね。
 それで、長野県の伊那で、南アルプスと伊那山地の間に囲まれている長さ五十キロぐらいの谷で、上村、大鹿村、長谷村、高遠町、それから伊那市へ曲がって権兵衛峠を通って木曽谷へ行くんですけれども、これの超低空訓練が去年から非常に激しくなっている。私、九月の十八日、十九日、共産党の長野県委員会の木島日出夫弁護士の案内で現地を少し詳しく調べてきた。聞きしにまさる恐るべきものなんです。それで長野県議会、この村の村議会それから役場、みんな大変だと。老人ホームの上を通ってお年寄りさんも体調を崩す。それからいろんな施設がある。大体百ホンの音だというんですね。それで非常に不安なのでということで外務省に、「政府におかれては、かかる超低空、超高速飛行訓練が今後行われることのないよう米国軍当局に対し特段の措置を講じられますよう」という要請書が出ているんです。
 外務省は、先ほどそれを早く答えちゃったけれども、これは必要だという態度なんでしょう。村議会や県議会へそういう回答をしたんですか、要請書に対して。
○政府委員(有馬龍夫君) その御要望は承りましたし、またその際表明されておりました御懸念については、あるいは御関心のほどについては米側に適宜、例えば合同委員会の場面等を使って伝えてございます。
○上田耕一郎君 のんきなことをおっしゃっているけれども、現場へ行かないとわからない。私行ってきたんです。
 ここに飛行機の写真があります。去年の十一月二十三日に長野県伊那の平和委員会の方が写したもので、拡大すると尾翼にNFという字があって、これで初めてミッドウェー艦載機だと、これはホーネットなんですけれども、わかったんです。それまで外務省やなんかは問い合わせたってはっきり言わないんだから、どこの飛行機かも。自衛隊についても。この写真撮影で初めてわかったんです。
 同じ日、これは上村で、共産党の上村の野牧村会議員が写した写真で、これはV字型の谷なんです。これが稜線です。稜線より低いところを大体音速で飛ぶんですから、ジェット機が。彼は自動連続写真で撮った。音速で来ますから、音が来て飛び出したんじゃ飛行機には間に合わない。だから皆さん、新聞記者も美和ダム、これを目的に行
くんですけれども、その上で待っている。音がしたんじゃだめなんです。それで向こうに見えると写真を撮るというんですね。中腹にある家の方なんかは自分の家より下を飛ぶというんですよ。V字型の谷ですから。ここは大体人口を調べると五千人ぐらい住んでいるところで、そこを峰より低く秒速二百メートルで、時に二機編隊、三機編隊で山がこうなっているところをびゅうと飛ぶんですから、大変な恐るべきことなんですよ。しかも通告はないんです、無通告です。
 こういうことが行われていて、外務省はさっきのような答弁で、米軍は安保条約上そういうことをやれるんだという態度で、これはもう国会でも、衆議院でも参議院でも何回も取り上げてきたけれども、いつもそういう答弁なんです。これは非常にやっぱり危険な、人身事故も起きやすいんです。
 私現場も行って見てきましたけれども、ことしの七月三十一日、県が送電塔をつくっているんでヘリコプターが資材を持ち上げているんですよ。そこへ二機飛んできた。ここに図があります。これは県が発表した図ですけれども、ヘリコプターが下から二百メートル、資材二トンをつり上げていたら、そこへ高さ二百メートル、三百メートル、二機飛んできて、ニアミス百メートル、こういうのが起きたんです。ひょっと間違うとぶつかりまして人身事故ですよ。去年の九月二日、F16が岩手でぶつかって墜落しているんですから。
 この問題について、八月十日に共産党の木島弁護士らが外務省に行ってこのことを言ったら知らなかった。調査するという返事だった。調査の結果、どうでしたか。
○政府委員(有馬龍夫君) 先生が言っておられるのは、七月二十五日と三十一日両日に二度ニアミスがあったということでございまして、これについては、右を受けて米側に事実関係の確認を行いましたところ、米側からは、本件について調査を行った結果として、当時米軍機は地元のヘリコプターの飛行に危険を及ぼすような飛行状況にはなかったとの回答をよこしております。その際、当方からは米側に対して、改めて安全確保について万全の措置をとるとともに、騒音等の問題、これに十分配慮するように申し伝えてございます。
 念のためでございますが、去年の十二月にここで低空飛行の訓練が行われるということがございましたので、合同委員会の場面で、大鹿村、長谷村、この当該地域には送電線があること、あるいは送電線の架設ということでヘリコプターが飛んでいること、それから人口の密集あるいは分布状況その他の情報を米側に伝えまして、重々の配慮をするようにということは申し伝えてございます。改めてそれを先般のお申し越しで米側に確認したということでございまして、結果は今申し上げたとおりでございます。
○上田耕一郎君 これはなかなか重要な答弁だな。合同委員会でアメリカ側に言ったんですね。ここは訓練空域として使われていたことを合同委員会は知っていたんですか。
○政府委員(有馬龍夫君) これは、この辺で去年の夏ごろから低空訓練が行われるという、私どもは事前に承知しておりませんでしたけれども、そのような報道がございましたので念のため米側に伝えた、こういうことでございます。
○上田耕一郎君 資料をお配りいたしましたが、これは大鹿村と長谷村の記録なんです。それで北米局長、米軍のさっきのはうそですよ、ニアミスなんかなかったと。大鹿村の村役場で聞いたら、ヘリコプターに乗っていた操縦士は米軍ジェット機の操縦士の顔が見えたというんだから。目線が合ったというんです。それを全然そんな危険はなかったなんてとんでもないですよ。そういうことを米軍から聞いて、はいと言っているんじゃ北米局長の役は勤まらないと思うんです。
 これを見てください。これは大変な記録で、二つの村役場でジェット機の係がいまして、高さ、ホン、それから日にち、全部記録しているんです。これは抜けもあるかもしれない。これを見ますと、大変な数字がここに出ているんですね。長谷村では、七月二十四日から八月十八日まで土日を除いて、土日はやっぱり休むんですね、ほとんど毎日で十五日。回数は三十五回です。機数は五十五機です。百五十メートルの高さのがありますよ。百ホン超えているのもある。大鹿村は、十三日、三十三回、五十三機。ほとんど連日なんですね。連日飛んでくる。
 それで北米局長、当時、つまりことしのこの時期、ミッドウェーはいつからいつまで横須賀にいましたか。
○政府委員(有馬龍夫君) 米軍の艦船は、御承知のように、地位協定五条第二項に基づきまして、米側に提供されております施設、区域である港に出入いたします際には通報する義務がございませんので、私どもはその期間を捕捉いたしておりません。
○上田耕一郎君 これいつも答えないんですよね。答えないけれども、新聞には出ていまして、このときは横須賀に七月二十五日入港、八月十五日出港なんです。それで大鹿村の村役場で言っていました。二十四日に、あしたミッドウェーが横須賀に入るという電話通告があったんですよ。そしたらもう朝、頭の上に来ていたというんです。横須賀に入る前から飛んでくるんですよ。それで横須賀にいる間じゅう土日を除いてほとんど毎日来るんですよ。それで八月十五日に出港したんです。十五日に出港して十六、十七、十八日に来ているんです。太平洋に出ていてもここへ来るんです。ですから恐らくほかのところでもやっていると思うんだけれども、とにかくこの機数、これはイントルーダーですが、イントルーダー、ホーネットというミッドウェー艦載機の主要機種がほとんどミッドウェーがいる間連日ここへ来るんですよ。
 それで、先ほど言われたように、どうしてもこれはやらなければならない訓練で、厚木のNLPと同じようにしょっちゅうやっていないといかぬ訓練ですよね。そうすると、私は、空母ミッドウェーが新たに、恐らく去年あたりからこの伊那谷を超低空訓練空域に選んだ、そう見るしかないと思うんです。おととしまでは奈良の十津川村のところでやったんですよ。あそこはほとんど人が住んでいないんです。そしたら木材運搬のワイヤを切っちゃったでしょう。それが問題になってあの十津川村をやめざるを得なくなった。やめたけれども、じゃどこか選ばなきゃならぬ。どうも伊那谷を選んだんですね。非常に直線的な谷で、伊那市に地図があります、立体地図が。長野県の谷を全部見てもここが一番直線的なんです、四、五十キロ。だからここを選んだと私は思うんだが、北米局長、私のそういう見解、どう思いますか。
○政府委員(有馬龍夫君) 何とも申しかねます、存じませんので。
○上田耕一郎君 それで私どもは在日米軍に問い合わせをしました。これは去年の十二月十五日、赤旗の政治部の伊藤章男記者が在日米軍に問い合わせをしましたら、広報担当部長ロドリゲス氏からちゃんと文書で返事が来ています。「この飛行は、パイロットが低高度飛行技能を維持するために必要である。」「長野は、ミッドウェーの艦載機が低空飛行のために使用する多くのルートのうちの一つである。空母の第五航空団は、同航空団が米海軍ミッドウェーに前進配備されて以来、周期的に日本で低空飛行をおこなってきた。」「この訓練飛行は常に田舎で人口の少ない地域でおこなわれている。」。ところがここは約五千人いるんですよ、確かに十津川村は人口が少なかったけれども。それで、「厳格な安全基準と日本の航空安全法に従って指揮されている。」と言うんだけれども。
 だからちゃんと米軍は認めているんですよ。こういうことを知らないんですか。長野はミッドウェー艦載機の多くのルートの一つだ、常にやっておる、周期的に、こうちゃんと赤旗には答えているんだけれども、外務省は知らないんですか、北米局長。
○政府委員(有馬龍夫君) 先生が私に問われた御質問の趣旨というのは、奈良の十津川はやめてそ
して長野に移った、それはワイヤロープの事件があったからかということであったと思ったものですから、私は存じませんのでと申しましたが、おっしゃられるように既に国会でもお答えいたしておりますけれども、今先生が言及しておられます長野県におけるこの低空訓練というものが、ミッドウェーの艦載機によって行われていて、これが低空の飛行訓練を必要としていて、その練度を維持向上させるために必要なものであるということは存じております。
○上田耕一郎君 じゃ、赤旗記者と同じぐらい北米局長も御存じだということは確認しておきます。
 さて、次は条約上の根拠です。これはどう勉強してもわからないんです。有馬さんの答弁も研究してもわからないので改めてお聞きしたい。
 この地位協定には、米軍がこういう空の飛行で使用できるケースを三つ書いてあります。これが明文の規定であります。つまり、日米合同委員会で合意されて提供された施設、区域、これが使用できる。それが第二条。二つ目は第三条。この施設、区域を使用する際に出入りが要るので周辺の空間だとか空域、これも使える、管理できるんだと。横田エリアなんというのはそうですね。横田基地を使うために膨大な横田エリアというのが指定されて、米軍がそれを独占的に管理できるんです。それから第三番目は第五条です。施設、区域に米軍が出入りしなきゃならぬ。日本の飛行場などとの間でまた移動しなきゃならぬ。だからお互いの基地の間の移動、日本の飛行場などとの間の移動、これも第五条で認められている。有馬さん、この三つでしょう、明文の規定は。
○政府委員(有馬龍夫君) と申しますよりは、それ以外のことを米軍は行うことを我が国において許されていないかといえば、そうではなくて、今先生が二条に言及されて我が国が施設、区域を提供しているということをおっしゃられましたけれども、確かに施設、区域であるとかあるいは訓練のための空域、水域というものが決められて提供されている場合、そこで行う行動、訓練、演習等をそれ以外の場所で行うことは考えられないと存じますけれども、他方、その他の、例えば実弾射撃でありますとかタッチ・アンド・ゴーであるとか、そういったものを伴わない通常の飛行訓練、これが許されていないかといえば、それは安保条約の目的に沿って我が国に米軍が施設、区域の提供を許されているわけでありますから、その機能を維持するために行わなければならないというのは、行うことが許されているのは当然だと思っております。
○上田耕一郎君 条約局長。
○政府委員(福田博君) 委員の先ほどの御質問に対して先に答えてしまって大変恐縮ですが、先ほど申し上げましたように、米軍は安保条約の目的を達成するために我が国に駐留することを認められているわけでございます。それはどういうことかというと、施設、区域の使用ということも含めてやっているわけでございます。そこで、事前協議にかかわるような事項のように特段の定めがある場合を除くほか、アメリカ軍がそういう目的のため、訓練を含め軍隊としての機能に属する諸活動を一般的に行うことを当然の前提としておるわけでございます。
 もうちょっと申しますと、要するに日米地位協定は、訓練とか演習というものを特に取り上げて、その実施態様はこうあるべきだ、あるいはこうあってはならないというような形で構成されているわけではないんです。しかし、アメリカ軍の使用に供するために施設と区域が提供されているわけでございますから、一般論として言えば、その軍隊が本来施設、区域でやるもの、先ほど北米局長が申しました実弾射撃の練習とかあるいはタッチ・アンド・ゴー、こういうものは当然施設、区域でやることが想定されていると思いますが、それ以外のものはその施設、区域に限られないわけでございます。
○上田耕一郎君 これは驚くべき重大な答弁なんですけれども、去年の二月二十三日、衆議院予算委員会で、東中議員の質問に対して有馬北米局長からこういう答弁が初めて出たんですよ。これは大変な答弁なんですよ。つまり地位協定には何も決めてないというわけだ。有馬さんはここではっきり言っているんです、「区域外で行うことは、同協定の予想しないところではあります。」と。全然予想しないことが起きたんです、こういう超低空訓練といって。それで、予想をしてないことが起きたので新しい解釈をつくったんです。実弾射撃やNLP以外のものは、また事前協議で言われたとき以外のものは何でもできるということにしたんですよ、安保条約だから。これは驚くべきことです。実弾射撃もどこでもできると、こんなことになったら大変だからさすがにそこは除いた。NLPもどこでもできるなんて大変なことだからそこは除いたんです。事前協議も、これは大変だ、核の持ち込みと我が国からの出動なんだからこれも除いた。あとは何でもできる、地位協定に書いてないけれども。こういう解釈。これは大変な条約解釈なんですよね。
 まず第一に、安保改定時代の国会答弁とまず食い違っている。ここに昭和三十五年五月十一日の議事録を持ってきている。赤城国務大臣の答弁、防衛庁長官でしょう。「一定の区域を指定してそこで演習をする場合には、その区域外で爆撃演習等はしないわけであります。その区域内――上空に対してもその区域内で演習をする、こういう取りきめになっております。」と。訓練、演習、何も書いてない。書いてないけれども、国会では答弁しているんですよ。演習も決めた区域の空だけだと、赤城国務大臣。丸山調達庁長官、「空軍の演習の場合には、防衛庁長官がお答えの通り、演習区域というものを指定しております。従いまして、その演習は、その上空においてのみ行なわれることになります。」「これに関しまする通報は、米軍から調達庁に来、調達庁から地元の県庁に通達し、関係方面に伝える、このような通告措置もなされております。」、はっきり安保国会ではこう答えているんだ。訓練、演習はその区域だけだ、上空もそこだけだ、通告もすると。今や通告なしで実弾演習、NLP以外はどこでもできる、これが安保の建前だ。地位協定には規定されていない。
 この国会答弁との食い違いはどう思いますか。
○政府委員(福田博君) 委員のおっしゃったこの三十五年五月十一日の赤城大臣と丸山政府委員の答弁は十分承知しております。
 まさにここにございますように、一定の区域を指定して、つまり施設、区域を提供しているわけですね、そこで演習をする場合には、その区域外で爆撃演習等はしないわけでございます。つまり、先ほど申し上げましたように、施設、区域を提供しておるわけでございますから、施設、区域を提供したことから当然予想されるといいますか、期待されるものはその施設、区域でやるわけで、実弾射撃とかタッチ・アンド・ゴーなんというのは非常に危険でございますから、施設、区域を提供している以上、そこでやることが期待されるわけでございます。
 丸山政府委員の答弁も、まさに今委員がおっしゃったように、防衛庁長官がお答えしましたとおりと言っておるわけですから、これは爆撃、つまり実弾演習のことを言っているのだと思います。
○上田耕一郎君 そうすると、その当時から、実弾演習しなければあとはどこでも訓練、演習できるということになっているわけだね。これも驚くべきことなんです。
 じゃ、防衛庁、自衛隊はこういう超低空訓練、これは指定された訓練空域だけでやるんでしょう。外ではやってないでしょう。
○政府委員(米山市郎君) 自衛隊機が最低安全高度以下で飛行をする必要がある場合には、航空法の規定に従って運輸大臣の許可を得て飛行するというような形をとっております。こういう許可をとりまして最低安全高度以下で今飛行をしておりますのは救難機、救難をするためには低空におりませんとできませんので救難機がそういうことを
やっておりますが、それ以外の戦闘機等につきましてはそういった低空訓練といったようなものはやっておりません。
○上田耕一郎君 自衛隊の訓練空域がありますよね、ここで例えば低高度訓練試験空域なんていうのがあるんだよ。富山県で言えば立山のところが指定されているんだよね。そういうところでは低空訓練、さっき防衛庁も、自衛隊でも必要になっていると言った。それはこの指定された訓練空域、そこでやっているんでしょう。
○政府委員(米山市郎君) 今私が申し上げましたのは、最低の安全高度以下の飛行のことでございまして、立山あたりでございますと、山が高いものですから、山の稜線あるいは山の地面から大分低く飛ぶこともございますが、いずれにいたしましても訓練空域を外れてそういうことをやるということはございません。
○上田耕一郎君 自衛隊もこの訓練空域、指定されたところでやっており、航空法で決まっている三百メートルあるいは百五十メートル以下のものはよほどのときでなきゃやらぬというんでしょう。だから、そういうことで自衛隊も訓練空域で、三百メートルとか百五十メートル以上の低空訓練はそこでやっているんです。訓練空域外は自衛隊もやっていないんです。
 アメリカ本国を調べてほしいと外務省に注文しておきましたけれども、アメリカ本国はいかがですか。
○政府委員(有馬龍夫君) よくわかっておりません。
○上田耕一郎君 これは文献までちゃんと言っておいたんだけれども。アメリカ連邦航空局のエアマンズ・インフォメーション・マニュアル、一九八七年APR版、これ見てくれと言ってたんだけれども、これにちゃんと書いてある。アメリカでは連邦航空局と国防省の共同事業として航路図をつくるんです、軍事訓練航路図を。それを国防省航空広報に掲載するんです。この航路図には航路、作戦空域、制限区域、危険区域、警戒区域、全部書いてあるんです。アメリカはそうやっているんです。
 西ドイツは、今度参議院の外交・総合安全保障調査会の委員派遣で行かれて、きのう調査会で報告がありました。団長からも報告がありましたし、私どもの吉岡委員からさらに詳しい話がありましたけれども、西ドイツの空軍飛行場へ行って、ビデオまで見せてもらって物すごく詳しい説明を受けたそうです。カナダなんかでは地上五十メートルという低空飛行までやっている。国外でやる場合も三百メートル、百メートル、すべて高度、区域、時期、全部協定を結んで米軍の超低空訓練もやっている。詳しいビデオまで見せた。
 そうしますと、アメリカ本国でも公表し、こういう共同の航路図までつくってやっておる、そういう危険な訓練です。西ドイツでもそうです。NATO軍はそれをやっているんだ。日本でも自衛隊はちゃんと訓練空域でやっているんです。米軍に対して提供されている訓練空域というのは本土で十二カ所ありますよね。公海上を米軍が勝手に使用地域と宣言しているところが十二カ所あるんです。ところが、この米軍の訓練空域以外で、先ほどから条約局長と北米局長の答弁は、実弾射撃以外はこういう危険な訓練を通告なしで地上百五十メートルなんて、谷の百五十メートルのところを百ホンの爆音で、〇・七マッハで飛んでいるんです。そういうことをいいというわけだ。世界で日本だけですよ、こんなことをやっているのは、オーケーと言っているのは。
 それで、条約局長はさっき大変な答弁をしていましたよね。安保国会のをよく知っている。赤城さん、爆撃演習等はしないと言ったから、これは爆撃することだと。丸山調達庁長官の答弁、空軍の演習の場合は演習区域を指定している、「従いまして、その演習は、その上空においてのみ行なわれることになります。」と言っているんです。上空で行われるというのは実弾射撃、爆弾を投下することだけだという答弁。とんでもないですよ。これははっきり、すべての演習は区域指定したその上空だけだと言っているんですよ。地位協定で、私がさっき言ったように、二条、三条、五条、これ以外に何も決まってないんです。決まってないからやれるんだというのが条約局長、北米局長の解釈なんだ、外務省の。決まってないことを何でもやれるなんというのは主権国家ですか。僕はこういう条約解釈を国会として放置できないと思うんです。中山外務大臣はこういうことはそうお詳しくないかもしれないけれども、やっぱり外務大臣なんで、この安保条約問題、日米関係、日米軍事同盟関係の問題は研究してほしいんですよ。
 きょう私三十七分の質問で、もう余りないんですけれども、さっき私言いましたように、とにかく地位協定に書いてないことだ、予想してなかったことだ、それで新たに起きたことで、当時の安保国会の答弁とも違うんですよ。NATOにおいて協定を結んでやっておるのとも、アメリカ本国とも違うんだ。自衛隊とも違う。日本だけ何も決まってないから米軍は何でもできるんだと。こういう恐るべき危険な訓練を、ニアミスまで起こすような、そういうことでいいのか。
 この条約上の根拠を、きょうの口頭答弁だけじゃなくて、はっきり文書で、外務省の、政府のはっきりした解釈をいただきたいと思う。外務大臣の責任としていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(有馬龍夫君) 事実関係がございますので若干私からお答えいたします。
 一つは、先ほど条約局長が申しましたように、当時の赤城防衛庁長官は「爆撃演習等」と言っておられますけれども、その後、例えばタッチ・アンド・ゴーであるとか、いわゆる戦技の向上であるとかということもこの文脈の中では取り上げられております。ですから、そのほかのことは何でもできるというようなことではございませんで、他方、米軍がこれらの演習を行いますときには公共の安全等に重々の配慮を払わなければならないということであって、これを米側に伝えているのも何度も国会で申し上げているとおりであり、それから条約の解釈、先ほど条約局長が申しました一般論として云々という、そこはもう繰り返し国会で申し上げております。
 それから西独における低空飛行訓練の概況でございますけれども、西独は日本の面積の約三分の二でございますけれども、西独内での年間訓練回数は約十一万回、それを西独領空の約三分の二で行っていて、七カ所では七十五メートルの高度での飛行訓練が認められている。それから年間の低空飛行訓練時間は六万七千時間といったような状況なものですから、やはり我が国とは若干異なった手はずができているかなという印象を持ちますし、先ほど防衛庁の方からも説明がございましたけれども、米軍は我が国で訓練をいたしますときに、航空法で申します六十一条に基づいてできております百五十メートル以下は飛んでおりません、それ以下は飛びませんということを申しているわけでございます。
○政府委員(米山市郎君) 先ほど御答弁申し上げた中で若干、ある意味では当たり前のことなものですから、説明を落としまして、あるいは誤解を招くといけませんので補足させていただきますが、訓練空域以外でも、通常の飛行でございますと低空を飛ぶことはございます。それから演習場等自衛隊施設の上空で対地射爆訓練等を行う場合には当然低空飛行訓練を行う。そういう実態はございますので、補足させていただきます。
○上田耕一郎君 ちょっと防衛庁に聞きたいんだが、徳島、高知の県境で、那賀川というところで、例えば八月の八、六、十六日の三日間にジェット機が四回飛来したというんですが、これは自衛隊機じゃないでしょう、米軍機でしょう。この事実は確認できますか。
○政府委員(米山市郎君) 今お尋ねの報道につきましては私どもも承知をいたしておりまして、事実関係を調査いたしましたが、自衛隊機がそのような飛行をしたという事実はございません。
○上田耕一郎君 最後に、外務大臣、条約上の根
拠ですね、先ほど申し上げましたけれども、安保国会のときの関係からも、国際的に非常に突出した異常な状況になっていることからも、条約上の根拠を、重ねてはっきりした見解を明確にしていただきたいと思うんですが、いかがですか。
○政府委員(福田博君) 私が申し上げたことが委員のお気に召さないようでございますが、昭和三十五年のいわゆる安保国会の政府答弁を含め、私が先ほど申し上げましたことは累次これまでも国会で答弁してきたところでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 外務大臣といたしましては、ただいま北米局長並びに条約局長が委員の御質問にお答えをしたということで、外務省の統一的な考え方と御理解をいただきたいと思います。
○高井和伸君 このほど行政手続法研究会が「行政手続法研究会(第二次)中間報告」というものを出されました。これにつきまして総務庁にお尋ねいたします。
 まず、その行政手続法研究会の性格についてどのように私ども理解すればよろしいんでしょうか。その点をお尋ねいたします。
○政府委員(百崎英君) 御質問の行政手続法研究会でございますが、端的に申し上げまして行政管理局長のいわゆる私的懇談会の一種でございます。手続法という問題でございますので、特に行政法学者を中心に専門の方々に御参集いただいたということでございます。
○高井和伸君 そうしますと、この行政手続法研究会、今日に至るまでの経過で第一次の報告案もあります。そういったものと臨時行政調査会との関係はどのように理解すればよろしいんでしょうか。
○政府委員(百崎英君) 臨調の答申を受けましてこの手続法の問題を検討してまいったわけでございますが、当時の情勢といいますか、必ずしも機が熟していなかったというような面もございまして、第一次の研究会報告は出されましたけれども、それがなかなか実現を見るに至らないような状態であったわけでございます。そうしておりますうちに、いわゆる臨調答申の推進ということで旧行革審が発足いたしましたが、旧行革審におきましても、臨調答申のフォローアップということで、やはり国民の信頼を得るための一つの方策として行政手続法の法制化に取り組むべきだと、このような御答申もありました。それを受けまして第二次の研究会を発足さしたということでございます。
○高井和伸君 この中間報告によりますと、その中の「はしがき」の部分に総括的なところで報告してあるのでございますが、それを引用して読みますと、「主として行政の意思形成過程への国民参加の観点から検討が要請されている計画策定等の手続」については「別途、時間をかけて検討することが適当と判断」したと。そういうわけで、検討されるべき事項をこの二点において留保されたわけでございます。私的懇談会というようなことの性格もあるんでしょうけれども、こういった中間報告が出たことに対して総務庁としてはどのようにお考えになっておられますか。
○政府委員(百崎英君) 今御指摘ございましたように、今回の第二次の中間報告におきましては、いわゆる命令制定の手続それから計画策定の手続につきましては、その検討、研究の結果問題点がたくさんいろいろあるということで、これはやや長期的な観点から別途検討すべきである。さしあたりいわゆる行政処分手続というものに的を絞って研究の成果を出されたということでございますが、私どもといたしましては、現在の我が国の置かれております国際化というような観点から見ましても、外国の企業あるいは外国人の方々が我が国の行政手続の面に参加される機会がこれからも増大するであろう、そんなようなことも考えますと、何としてもやはり行政処分を中心にした手続法だけでも進める必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
○高井和伸君 今の御答弁の中でも感じた点でございますけれども、この中間報告書を見ますと、各省庁に対して研究会が、これはもちろん総務庁が介入というんですか、あっせんなさったと思いますけれども、アンケート調査それから各省庁からのヒアリングを行ったということで、その結果報告が出ておりました。これにつきまして文章上だけからはわからない実際のところをお尋ねしたいんですが、各省庁の協力状況、どこそこがアンケートに答えたとか、どこそこのヒアリングを行ったと書いてありますのですが、実際のところの協力状況、内容は別としまして協力状況はいかがでございましたか。
○政府委員(百崎英君) 今お尋ねの点でございますけれども、第一次の研究会報告につきましては、いわばアンケートという形で各省の意見を求めたわけでございます。その結果は、各省からやはりいろいろな問題点がかなり数多く提起されたことも事実でございます。今回の第二次の研究会報告につきましては、そういった形での各省からの意見は今の段階ではまだ求めておりません。検討の過程で各省からその手続の実態等についてヒアリングは行いましたけれども、そういった意味での意見の聴取はまだ行っておりません。
 ただ、今回の報告におきましては、一つは、先ほど申し上げましたように行政処分手続に対象を絞ったということと、それから各省の第一次報告に対するさまざまな意見、こういうものもしんしゃくしながら研究を進めたわけでございますので、今回の報告につきましてはあるいは各省からの反応もやや違ったものになるのかなという感じはいたします。いずれにいたしましても、各省の協力状況が悪いということではございませんで、むしろ行政の実態を踏まえたいろいろな意見が出されているということでございます。
○高井和伸君 今、次の質問の回答も先に出たんですが、基本的に意見を求めたわけじゃない、ヒアリングしただけである、したがっていろいろ問題も出たんだけれども、公式の問題ではないんだろうというような答弁だったと思うんです。
 特にこのヒアリングの段階で結構なんですが、大分出ておりますけれども、意見というんですか、私的意見かもしれませんけれども、どういったところが問題になったのか。公式見解を求めたわけじゃないからというただし書きがつくと思うんですが、この中間報告書を見ますと、その「はしがき」の中で、ヒアリング、アンケートした結果、「その結果、統一法の内容に関してはいろいろな意見が出されたが、統一化そのものについては、各省庁とも慎重な対応を求めるものが多かった。」、こういう点が指摘されております。総務庁として目指されている方向、期待している方向とは違っているんじゃなかろうかと一応想像するわけですけれども、この点につきまして総務庁はどのように受け取って、今後こうした各省庁の態度というんですか、そういうふわっとしたものに対してどう対応していかれようとしておられるのか、その点についてお尋ねいたします。
○政府委員(百崎英君) 今御指摘になられましたことは、第一次研究会報告についての各省の意見をもとに御質問があったと思いますけれども、基本的にはやはり、各省としては現行の制度で一体どこに問題があるのか、現実にそれほど大きな支障が出ていないのではないかというような意見、あるいはこういった法制を整備した場合にかえって手続が煩雑になるおそれがあるのではないか、例えばそういうようなたぐいの意見が数多く出されていたと思います。いずれにしましても、そういう意味で行政の実態を踏まえると、やはり各省の立場としては慎重にこれは対処すべきである、多分そのようなことだったと思いますが、私どもといたしましては、確かにそういうさまざまな問題がございますけれども、やはり各省とある意味では本格的な詰めをもう少し十分に行って、各省の意見のとるべきところはとる、そういう形で何とかこれを法制化に結びつけたいというふうに考えているところでございます。
 ただいまの御質問も、私どもに対する御支援、御鞭撻といいますか、そういうふうに受けとめておりまして、大変ありがたく思っているところで
ございます。
○高井和伸君 質問の趣旨は今御答弁のとおり非常に期待している立場から質問しております。
 それで、最後に長官にお聞きしたいところなんですが、その前にちょっと幾つか聞いておきたいと思うんです。今、処分手続に絞っていろいろ検討していきたいというお話でございました。その前に、そもそも行政手続法研究会というのは局長自身の個人的な、私的諮問だということでございました。
 いろいろここにある資料を見ますと、私の調べた限りでも、昭和三十九年に第一次臨時行政調査会が答申されまして、そのときに第三専門部会第二分科会が行政手続法草案というのを作成されました。これは今から二十五年前でございます。そうしてさらに、今日のこの中間報告に至る前の第一次報告の手続が、昭和五十五年の八月に総務庁、これは今の総務庁じゃなくて前の行政管理庁の時代に行政手続法研究会が発足した。これも先ほどの御答弁から見れば私的なものだったんだろうと思います。そして五十八年の三月に第五次の臨時行政調査会の最終答申が出されまして、その中で、この資料にございますけれども、行政手続法制定への提案がなされて、法律案要綱というようなものが示されて発表されました。それから今日までおよそ六年たっているわけでございます。五十九年一月に閣議決定で、その段階では五十九年度内を目途に専門的な調査、審議の場を設ける。それが今の御答弁によれば局長の私的な懇談会だったとすると、総務庁としてはやっておられることが、閣議決定というものをとらえてでもちょっと鈍いんじゃないかというふうに私は感ずるわけですね。そして今日の第二次中間報告を得るための第二次の研究会が昭和六十年の六月に設定された。
 こういう流れを見てきますと、臨時行政調査会との関係でやはりもう少し思い切った対応をなさらないことにはいけないんじゃないか。その根拠は、やはり行政に対する期待が大きい、そのために行政が先走っていろいろなことをやらなければいけない。ところが、国民の権利義務といったものに、国民の利益に関与する場面が非常に出てくる、侵害する場面が出てくる。そういったことに対してあらかじめわかりやすい、まあ行政の透明性という言葉がよく言われておりますけれども、公正な手続という大前提の上に透明な行政を行うための行政手続法の制定というのが古くから言われているというふうに私は理解するわけですよ。
 それで、局長さんの答弁では、かなり遠慮しながら、各省庁に対してもアンケートをとる、単にヒアリングするだけで公式的な意見を聞いたわけじゃないというような、まあお茶を濁すという言葉を使うと先ほどの声援の質問の趣旨からあれでしょうけれども、各省庁への遠慮からそうせざるを得ないんじゃないかというふうな感じもするんです。先ほどちらりと答弁の中に出ました国際化社会の中において日本の行政がきちっと対応していけるためにも、外国から見た場合行政がよくわからぬ、行政のよくわからぬ日本を相手にできるかという、日本の明治維新の条約改正の時代の雰囲気と同じようなことが日本の行政に求められているんじゃないか、このような私の見解を持っているわけです。
 そこで局長さんに最後の一点ですが、その後に大臣に答弁願いたいと思っておりますが、今の中間報告、第二次報告後の手続はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(百崎英君) 先生御承知のとおり、現在、行革審におきましては公約規制の緩和という問題を取り上げて小委員会をつくって実は検討が進められているところでございます。その公的規制の緩和に関連いたしまして、たまたまでございますけれども、規制手続のあり方が問題になりまして、今先生御指摘のように、手続の透明性あるいは公平性を図る必要があるというような観点から非常に大きな関心を持たれたわけでございます。そこにたまたまこの研究会の報告が出されましたので、先般、この報告の内容を研究会の座長でございます塩野教授からこの公的委員会の小委員に報告していただきました。そういうことで、今ある意味では審議会マターになって、行革審の方でこれをどう取り扱うか、こういう問題になっているわけでございます。
 いずれにしましても、審議会の方で仮に手続法の制定について答申が出されましたら、私どもとしてはそれを最大限に尊重して実現に向けて努力したいというふうに考えておるところでございます。
○高井和伸君 総務庁長官にお尋ねしますが、方向としては私は非常に結構な方向に行っていると思うんですが、そのスピードそれからその手法においていまだ非常に足踏み状態が続いているというように考えております。それにつきまして大臣の決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(水野清君) 先ほど来委員の御質問で、大変行政手続法の問題について関心を持って御指導いただいているようであります。心からお礼を申し上げます。
 御承知のとおり、今局長から申し上げましたように、この行政手続法の問題というのは大きく分けて二つございまして、まず現状の洗い出しをしなくちゃいけない。これは各省にある、千五百ぐらいございましょうか、各法律の中に潜んでいる問題でありますから、そういう問題点を一つ一つ洗い出していくということが一つであります。そこに先ほど来各省庁の考え方のニュアンスの違いというのも若干出てくるだろうと思います。
 と同時に、それをどういうふうに整理していくかという問題でありまして、これを統一的に、言ってみると各省のいろんな諸問題を統一的に整理していくという問題もございますが、法律によっては個別的な問題としても考えていかなければならない、こういう問題があって、そのバランスのとり方といいますか、そういったことも私は必要であると思います。
 いずれにいたしましても、日本の法体系の中ではこれまでになかった一つの問題でありまして、今局長が申し上げましたように、さりとて国際化の時代でこのままでいいというわけでもないわけであります。そこで私どもとしましてはこれは前向きに取り組んでまいるつもりでございますが、片一方で、今申し上げましたように、行革審の規制緩和の小委員会でもこれをお取り上げいただいておりますから、その結論なども待ってこの問題は次のステップに持ち込むかどうかという判断をしていきたいと、かように思っております。
 いずれにしても、私どもは積極的にこの問題を進めたいと思っていることに間違いはございません。
○委員長(千葉景子君) ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕
○委員長(千葉景子君) 速記を起こしてください。
 暫時休憩いたします。
   午後四時五十三分休憩
     ─────・─────
   午後五時十六分開会
○委員長(千葉景子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和六十一年度決算外二件を議題とし、内閣、総理府本府、総務庁、外務省及び防衛庁の決算について審査を行います。
 質疑のある方は御発言願います。
○山田勇君 行政改革について総務庁並びに関係省庁に質問いたします。
 質問に入る前、我々この質疑をするということにおきまして各省レクチャーに参ります。その問題について、きょうは官房長官もおいでですし、建設大臣であられました水野さんもおいででございますので、そういうことでちょっとお答えいただければ幸いでございますが、実はこの質問のレクチャーというのは、この委員会をスムーズに行うための前もっての約束事であります。今から私が質問する内容はそんなに難しい問題じゃない。各省はどの主管か、どこが答えたらいいかという
ことですが、これを書いて、呼んで、いろいろこれだと言ったら、いやこれは自治省だと。自治省を呼んだら自治省はいやこれはうちではないというふうなたらい回しで、延々と引っ張られてしまうということ。かつてこういうことはなかったことです。
 だから、僕は十九年間国会に籍を置いて、あらゆる各省に対していろんな御協力はしたつもりです。きょうは幸い自治省におられた鎌田大先輩もおられますが、そういう意味では非常に困ったことだったというふうに思っております。こんなものはそんな難しい、十八ぐらいの質疑で、ああでもないこうでもないと言われたらたまったもんじゃない。まあ皆さんの所管がそうであったというわけではないんですが、その点特にこれからスムーズに進行するためによろしくお願いをいたしておきます。
 行政改革、行政改革と言っても、最近では若干色あせた感じがしないでもありませんが、二十一世紀を展望した場合、今こそ行革に本格的に取り組まなければならないと私は思います。消費税に関連した論議の中でもよく取り上げられる問題ですが、高齢化社会を迎え、税金や年金負担は現在の二倍に引き上げなければ維持ができないとも言われております。しかしながら、国民の福祉の充実のためには、税金や社会保障など国民の負担増を求める前に思い切った行政改革を断行し、国も地方ももっと身軽な行政体にして、それで浮いてくる財源でもって高齢者福祉の財源に振り向けるべきだと考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、新行革審が最近、地方の活性化を実現するため、第二指定都市構想や広域行政の推進を唱えていますが、国からの権限とか財源の移譲についてはまだ煮詰まっていないようでございますが、国と地方の二重行政の弊害を取り除き、各地域の独自性に応じた効率的な行政を推進するためには地方分権が何といっても必要であると考えますが、この点をどうお考えでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
 地方分権、地方分権と言ってみても、ただ地方に仕事を押しつけるだけでは行革になりません。地方に権限を移譲するとともに財源がくっついていなければ分権は進みません。将来地方への権限と財源の大幅な移譲についての具体案があればお示しをお願いしたいと思っております。
○政府委員(百崎英君) 先生今お尋ねのように、現在新行革審におきまして年内答申を目指しまして国、地方の関係についての審議を行っているところでございます。基本的な考え方のスタンスの一つといたしまして、今お話のございましたように、地域の活性化を図る、そういう観点も含めて幅広い見地から審議がなされているところでございます。特にその中で地方分権につきましてもいろいろ議論が行われているところでございまして、国と地方の機能分担のあり方、そしてまたそれに伴う財源負担のあり方、そういった問題につきましても幅広い議論が行われているところでございます。
 地方分権に関しましては、基本的な考え方の一つといたしまして、できるだけ住民に身近な事務は身近なところで行う、そういうような考え方に立って今議論が進められているところでございます。今の時点ではまだそういった意味で自由な議論が行われているところでございまして、確たる結論はまだ出ておりません。
○山田勇君 わかりました。
 次に、補助金についていろいろ問題があるわけですが、補助金のむだを大幅に取り除くために、公共事業の関係などの補助金を地方公共団体に一括して交付する第二交付税制度を創設してはどうかと考えるわけでございます。こういう思い切った施策を実現させなければ地方分権といってもなかなか目的は達せられないと思います。補助金の整理合理化を進めるには、今申しましたように、基本的には公共事業関係等の補助金を一括して地方公共団体に交付する第二交付税制度を創設し、各施設の整備順位や具体的な事業の選択等、各地方公共団体の裁量に任せるようにし、事業間の整合性を図るなど、事業がスムーズに施行できるようにしなければなりません。また、財源を一括交付すれば、事務手続の煩雑さや事務費のむだを初め縦割り行政の弊害を除去するなど、行政の効率化が図られると考えられますが、第二交付税制度について御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(原口恒和君) 今御提案のございました公共事業関係の補助金を地方に一括して交付してはどうかということでございますが、補助金というのはそれぞれ全国的な視点に立って公共施設の整備、推進を図っていくとか、そういう機能も有しておるわけでございます。また、一括交付するということになりますと、これ国と地方の役割分担の基本にかかわることでもございますので、補助金の機能といったような面から見ますとまた慎重な検討を要する問題ではないかと思っております。
 ただ、補助金の交付につきましていろいろむだをなくすという御指摘は重要な課題だと考えておりまして、従来からも採択基準の改定でございますとか、零細補助金の整理合理化といったことにつきましては、効率的、効果的な執行に資するようにいろいろ努力しているところでございますし、今後ともまたそういうことに努めてまいりたいと考えております。
○山田勇君 次に、公務員制度についてでありますが、現状の公務員制度は年功序列主義で縦割りの意識が強く、相互に連携が十分できないシステムの中で、自分の在任期間中だけは大過なく済めばよいという傾向が強いように思います。そこで、キャリア組、ノンキャリア組を別にしたり、また各省別の採用を改め、共同採用方式を導入するとともに、責任体制の明確化、省庁間の人事交流を推進すること、また民間からの中途採用枠を拡大することなど積極的に取り組んではどうかと考えますが、どうでしょうか。
○政府委員(服藤収君) お答え申し上げます。
 先生御指摘の問題は、一つは省庁間のセクショナリズムに関するものであると考えられますが、総務庁といたしましては、行政の総合性を確保するという観点から強い関心を実は持っておりまして、人事行政面からもこれまで必要な施策を進めてきているところでございます。
 まず、採用時におきまして全省庁のI種試験採用者の合同初任研修というものを、四月の初めでございますが、人事院と共催で実施いたしますとともに、その後におきましても各省庁の幹部職員を対象としたいろいろな啓発事業を実施しております。大蔵事務官とか総理府事務官とかいう意識ではなくて、もう日本政府の事務官というような意識を持つ必要があると私は考えておりますけれども、政府職員としての一体感をこういう形で醸成するように努力しているところでございます。
 それから、御指摘の二点目に省庁間の人事交流があったかと存じますが、これにつきましても大変重要な点かと思います。将来の行政の中枢的な要員となります職員は、本省庁課長相当職につくまでの間に原則として他省庁勤務の経験を持つことになるように計画的に推進しております。今手元に細かい数字がございませんが、公務員になりましてから二十年もたちますと、今のI種の採用者、恐らく七、八割が他省庁で勤務した経験があるというような結果になっております。これらの施策を通じましていわゆる縦割り行政の弊害を除去するように努めているところでございます。
 それから官民交流の問題でございますが、これは我が国の現在の公務員制度を前提にいたしますとなかなか難しい問題でございます。採用についての厳しい試験とかあるいは身分上の保障、制約とかいうようなものがございます。さらに官から民へ行ったときの、そして民で得た情報についての民サイドのいろいろ機密の保持とか、あるいは官サイドの機密の保持とかいろいろな難しい問題があるわけでございますが、しかし先生御指摘のような点が時代の要請として出てきている面があることもあるいは事実かもしれないというふうにも思っております。したがいまして、この問題は今後の国民の世論の動向とかなんとかを見ながら
必要に応じて私ども人事当局としては適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
○山田勇君 各省庁の皆さん方が地方へ行く場合は、大体何年ぐらいを基準として地方へ出向されるのですか。各省によっては違うでしょうが、平均として何年ぐらいで。例えば大蔵省で言いますと国税、税務署長として何年地方へ行く、必ずこれ地方の経験を経てきますから。そういう場合これは別に決まりはないんですか。
○政府委員(服藤収君) 政府全体、各省庁が地方の出先機関等へ配置がえする場合どのくらいの期間置いておるかということについては、恐らく各省庁によって違うんではなかろうかというふうに思います。
 私の知る範囲でやや個別的に申し上げますが、例えば大蔵省の場合でございますと、国税局長であれば大体一年ぐらい、それから税務署長の場合も一年というケースが多うございます。しかしながら、財務局長であれば大体二年ぐらいというようなことになっております。国税局長、税務署長一年というのは短いという声もなきにしもあらずでございますが、しかし税という仕事の特殊性から考えますと、むしろその方が課税の公平を実現する上ではプラス面の方が大きいんだというような考え方もあるようでございます。御参考になるかどうか。
○山田勇君 地方へ行かれたお役人の皆さんとお話しする機会も多うございます。早く帰りたいな、本省へ帰りたいなという希望者もおりますが、一年ぐらいというのは一番地域になじんで、ひとつ一仕事しようかなと思う時分に移転をされるということで、ある意味ではまた残念な面もあるということを言われております。大体二年ぐらいその地域におられて、それでその地域の中に密着した中で一つの仕事をなし遂げてくるという方がいいのではないかなという気もします。
 それと、今どの業界においても異業種間との交流というのは非常に今重要視されてきます。非常に行政そのものも経済そのものも多岐多様に分かれて複雑化してきますから、あらゆる分野の中の人の交流ということは大変いいことだと思います。いっとき問題になりました、筑波大学へ自衛官が研究で行くというような問題もあります、いろいろ反対するところもありましたでしょうが。僕はそういう意味では、いろんな意味でどの分野にでも、研究機関であるとかそういう行政の機関に交流していくということは大変いいことだと思います。
 最後に特殊法人の問題ですが、特殊法人の整理合理化が進まない原因として、官僚の天下りの受け皿になっていることが挙げられると考えます。昭和六十三年度役員総数の中に占める天下りの占有率は五九%となっていますが、このような天下り官僚や渡り鳥役人の存在は特殊法人の事業の自主的運営を阻害するなど問題点を多く含み、そのメリットを考慮した上で大幅な見直しをしなければならないと考えるが、どうでしょうか。そこで、NTTやJRの例でも見られるように、民営化に適していると考えられる特殊法人を民営化し、時代の変化や環境に対応できる経営体制を与え活性化を図ってはどうかと思うんです。また、おおむね目的を達したものの存続意義の薄れたものについては整理することが必要と考えますが、これら特殊法人についての見直しをどうお考えになりますか、お答えをいただきまして私の質疑を終わります。
○国務大臣(森山眞弓君) 特殊法人と申しますのは、本来国の行うべき業務を国にかわって円滑に行うということを目的として設立されておりますので、役員の中に国家公務員出身者が相当数含まれるということは、業務の適正かつ円滑な運用のために必ずしも排除すべきことではないというふうに思います。しかし、広く各界有識者の中から適任者を人選するという見地から、昭和五十二年十二月の閣議決定、そして昭和五十四年十二月の閣議了解におきまして、「全特殊法人の常勤役員については、国家公務員からの直接の就任者及びこれに準ずる者をその半数以内にとどめることを目標」といたしまして、民間等からの起用の積極的推進を定めております。今後ともこの方針に沿って努力してまいりたいと考えます。
 先ほど先生がお挙げになりました数字は、私の持っておりますのでは、常勤役員総数のうち国家公務員から直接就任した者及びこれに準ずる者の割合として、昭和五十五年一月には五九・三%でありましたが、平成元年四月には五〇・七%というふうにややその目標に向かって努力をして成果が上がっているところでございます。今後ともこの方向で努力したいと存じます。
○政府委員(百崎英君) 私の方から、特殊法人の民営化に関する御質問がございましたのでお答えさしていただきます。
 特殊法人の民営化につきましては、御承知のとおり、臨調あるいは旧行革審の答申に基づきまして、業務の性格上公的部門が実施する必要性が乏しい、民営による方が効率的だというようなものにつきましては民営化するという方針で、これまでにもそういった実施を行ってきたところでございます。御承知のように、国鉄、電電を初めとする三公社、それから日本航空株式会社あるいは沖縄電力株式会社等々につきましてこれまで民営化を図ってまいったわけでございますが、さらに民営化を進めるというようなお話でございますけれども、例えば当面の課題の一つといたしまして、いわゆる帝都高速度交通営団、営団地下鉄でございますが、これにつきましては平成三年を目途にとりあえず特殊会社にして、行く行くは完全民営化をする、こういったような方針のもとに今その準備を進めているようなところでございます。
 先生御指摘のように、特殊法人の民営化につきましては、今後ともその特殊法人の経営のあり方につきまして、経済情勢あるいは社会情勢の変化に対応して不断の見直しを行ってまいりたいというふうに考えております。
○委員長(千葉景子君) ほかに御発言もないようですから、内閣、総理府本府、総務庁、外務省及び防衛庁の決算についての審査はこの程度といたします。
 次回の委員会は十一月八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十六分散会