第116回国会 決算委員会 第3号
平成元年十一月十五日(水曜日)
   午前十時開会
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   委員の異動
 十一月十三日
    辞任         補欠選任
     三石 久江君     福間 知之君
     喜屋武眞榮君     下村  泰君
 十一月十四日
    辞任         補欠選任
     高井 和伸君     池田  治君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         千葉 景子君
    理 事
                大島 友治君
                鈴木 貞敏君
                守住 有信君
                一井 淳治君
                刈田 貞子君
    委 員
                尾辻 秀久君
                岡野  裕君
                狩野 明男君
                木暮 山人君
                清水嘉与子君
                陣内 孝雄君
                鈴木 省吾君
                西田 吉宏君
                福田 宏一君
                会田 長栄君
                大渕 絹子君
                菅野  壽君
                喜岡  淳君
                種田  誠君
                木庭健太郎君
                諫山  博君
                沓脱タケ子君
                池田  治君
                山田  勇君
                下村  泰君
   国務大臣
       文 部 大 臣  石橋 一弥君
       厚 生 大 臣  戸井田三郎君
       労 働 大 臣  福島 譲二君
       国 務 大 臣
       (科学技術庁長
       官)       斎藤栄三郎君
   政府委員
       科学技術庁長官
       官房長      平野 拓也君
       科学技術庁原子
       力局長      緒方謙二郎君
       外務省国際連合
       局長       遠藤  實君
       文部大臣官房長  國分 正明君
       文部大臣官房総
       務審議官     佐藤 次郎君
       文部省生涯学習
       局長       横瀬 庄次君
       文部省初等中等
       教育局長     菱村 幸彦君
       文部省教育助成
       局長       倉地 克次君
       文部省高等教育
       局長       坂元 弘直君
       文部省高等教育
       局私学部長    野崎  弘君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       文部省体育局長  前畑 安宏君
       厚生大臣官房総
       務審議官     加藤 栄一君
       厚生大臣官房審
       議官       伊藤 卓雄君
       厚生大臣官房老
       人保健福祉部長  岡光 序治君
       厚生省健康政策
       局長       仲村 英一君
       厚生省保健医療
       局長       長谷川慧重君
       厚生省生活衛生
       局長       目黒 克己君
       厚生省社会局長  長尾 立子君
       厚生省児童家庭
       局長       古川貞二郎君
       厚生省保険局長  坂本 龍彦君
       厚生省年金局長  水田  努君
       厚生省援護局長  末次  彬君
       社会保険庁運営
       部長
       兼内閣審議官   土井  豊君
       労働省労政局長  岡部 晃三君
       労働省労働基準
       局長       野崎 和昭君
       労働省婦人局長  佐藤ギン子君
       労働省職業安定
       局長       清水 傳雄君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     七瀬 時雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 堯躬君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     榊   誠君
       防衛庁防衛局防
       衛課長      萩  次郎君
       国土庁土地局土
       地利用調整課長  大日向寛畝君
       運輸省運輸政策
       局運輸産業課長  小幡 政人君
       運輸省海上技術
       安全局船員部労
       政課長      龍野 孝雄君
       会計検査院事務
       総局第二局長   澤井  泰君
       会計検査院事務
       総局第四局長   山本  正君
       会計検査院事務
       総局第五局長   安部  彪君
   参考人
       動力炉・核燃料
       開発事業団理事  橋本 好一君
       環境衛生金融公
       庫理事長     山下 眞臣君
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  本日の会議に付した案件
○昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算、昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算、昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書、昭和六十一年度政府関係機関決算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)
○昭和六十一年度国有財産無償貸付状況総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)
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○委員長(千葉景子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。
 この際、石橋文部大臣、戸井田厚生大臣、福島労働大臣及び斎藤科学技術庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。石橋文部大臣。
○国務大臣(石橋一弥君) ごあいさつを申し上げたいと存じます。
 このたび文部大臣を拝命いたしました石橋一弥でございます。
 教育は、我が国が二十一世紀に向けて発展し、世界に貢献していく基礎を築くものであり、我が国の将来は究極のところ教育の成果に帰すると言っても過言ではないと存じております。このためには、今日の教育の現状における諸問題を見据えつつ、社会の変化や文化の発展を踏まえ、日本人としての自覚に立って国際社会の中でたくましく活動できる豊かな心を持ち、創造性に富んだ青少年を育成するとともに、創造的で活力ある心豊かな社会の形成を目指して教育改革を推進していかなければなりません。
 私は、課せられた役割と責務を十分認識し、今後一層、教育、学術、文化、スポーツの充実発展に寄せる国民の期待に的確にこたえる行政の推進に全刀を傾注する決意であります。
 委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。
○委員長(千葉景子君) 戸井田厚生大臣。
○国務大臣(戸井田三郎君) 厚生大臣の戸井田三郎であります。
 来るべき高齢化社会を活力ある長寿社会にすることは、我が国の直面する最大の政治課題の一つであります。そのためにも、国民生活を支える社会保障制度を安心できる確かなものとすることが重要であり、より一層制度の効率化、運営の適正化に努めてまいりたいと考えております。
 私は、年金や医療を初め社会保障制度を公平で安定したものとして活力ある長寿社会を築くべく全力を挙げて取り組む所存でありますので、委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。
○委員長(千葉景子君) 福島労働大臣。
○国務大臣(福島譲二君) 先般、労働大臣に就任をいたしました福島譲二でございます。
 今、国内四千七百万と言われます働く方々、勤労者の皆様方の幸せを守るという立場に立って、中でも、現在大変なスピードでの高齢化が進んでおりますが、お年寄りの皆様方の雇用の確保、あるいは婦人の皆さん、身障者の方々、あるいは中小企業に従事される方々、そういった方々が安心して安全で勤務できるようなそういう条件の確保、大変難しい問題がありますが全力を尽くしてまいりたいと思います。
 また、新しい時代に即応した労働時間の短縮、これもこれからの人生にゆとりを持っていくという意味でも大きな課題でございますが、こういった大変重要な、かつ困難な課題に全力を尽くして取り組んでまいりたいと存じておりますので、委員長初め委員の皆様方の今後一層の御支援、御鞭撻を心からお願い申し上げてごあいさつにかえさせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(千葉景子君) 斎藤科学技術庁長官。
○国務大臣(斎藤栄三郎君) 今回、科学技術庁長官を拝命いたしました斎藤栄三郎でございます。
 資源の乏しい日本にとって、また世界の平和のためにも、科学技術の振興が最も重要な課題だと存じます。
 微力ではありますけれども、その職責を果たすために全力を尽くしますので、委員長初め諸先生方の御支援、御協力を、また御指導を賜りたいと存じます。どうぞよろしく。
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○委員長(千葉景子君) 委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、喜屋武眞榮君及び三石久江君が委員を辞任され、その補欠として下村泰君及び福間知之君が選任されました。
 また、昨日、高井和伸君が委員を辞任され、その補欠として池田治君が選任されました。
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○委員長(千葉景子君) 昭和六十一年度決算外二件を議題といたします。
 本日は、文部省、厚生省、労働省、科学技術庁及び環境衛生金融公庫の決算について審査を行います。
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○委員長(千葉景子君) この際、お諮りいたします。
 議事の都合により、これらの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(千葉景子君) それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○菅野壽君 私は、厚生省並びに文部省に、医師過剰の問題と看護職員の問題、そして時間が許されれば変動する人口の動向とその対策について御所見を承りたいと思います。
 まず、医師過剰の問題でございますが、厚生省の将来の医師需給に関する検討委員会は、昭和六十一年六月の最終意見の中で、将来の医師需給について、昭和百年すなわち平成三十七年には医師の一割程度が過剰になると言っておられますが、それに先立って、国会でも昭和五十九年、健康保険法改正の際、「医師、歯科医師、薬剤師及びその他の医療従事者については、今後の医療需要の動向等を踏まえて、養成確保対策を見直すこととし、適正な水準を確保すること。」という附帯決議がなされております。
 まず、医師がどのぐらいふえれば医師過剰の弊害が出てくると考えておられるのか。具体的には、人口十万人当たり医師の割合がどの程度になると弊害が出ると考えておられますか、お伺いいたしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) ある職業の数がどのぐらいが適正かというのは非常に難しい問題だと思いますが、医師数の検討委員会の最終意見、今お触れになりました検討委員会では、二〇二五年にこのままの水準で推移いたしますと十万対三百人に達して、これはやはり必要数を十分見込んだ上でも深刻な医師過剰になるということが見込まれるということをおっしゃっておられるわけでございます。医師の必要数というのは、国民の医療ニードの高まりの問題でございますとか、医学医療の高度化でございますとか、社会の高齢化の進展の度合いなどによって将来的には医師需給が左右されることがあるわけでございますが、この最終意見で述べられておりますのは、七十年を目途に新規参入を最小限一〇%削減ということで御意見をいただいているところでございます。
○菅野壽君 諸外国の状況でありますが、医師の数が大変多くなった場合に医師の過当競争による混乱という問題が懸念されております。すなわち、過当競争により悪貨が良貨を駆逐するという心配もあるのではないでしょうか。既に諸外国におきましては医師が過剰になっていることも多いように聞いていますが、各国の医師の過当競争の問題状況とこれに関することをお伺いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 現在既に欧米諸国では人口十万対医師数が二百二十から二百三十以上の国が出てきておりますが、お医者さんが失業するという状態が出来しておるという国もあるようでございます。必ずしも厳密な数字ではございませんが、丸い数字で申し上げますと、西ドイツでは二万二千人、イタリアでは四万五千人、フランスでは千八百人、イギリス三千人というぐらいのオーダーで職がないお医者さんがおられるという情報を承知しておるところでございます。
 それから、新たに医師免許を取得された方のうち、卒後の臨床研修を受ける場所がない、機会がないという西ドイツのような例もございますし、フランスの場合などは、医学部に入学いたしましても、途中で厳しくふるいをかけまして、七、八割はほかの学部へ回すというような状況もあるよ
うでございます。それからアメリカの場合などは、外国からのお医者さんの受け入れは抑制するということで、むしろこれは技術移転の問題として問題にされるという指摘もあるような状況でございます。
 それから、御指摘のように、医師が過剰になることによりまして、過当競争によって良質な医療が確保されないということも起こり得る、危惧されるということでございますので、先ほどのような御意見も踏まえまして、私ども医師数を適正な数にできるだけ近づけたいということで考えておるところでございます。
○菅野壽君 医師数増加の経緯についてでございますが、医師の養成については、昭和四十年代に入りますと、国民皆保険制度の定着に伴いまして、医師需要の増加や医療水準の向上の要請に対応しまして、大学医学部の拡充が行われました。とりわけ、厚生省による昭和六十年を目途に人口十万人当たり医師数を百五十人にするために四、五年内に医科大学の入学定数を六千人に引き上げる必要があるとの見通しの見解が出た昭和四十五年以降、四十八年までに十七校が新設され、医学部入学定員は六千二百人となりました。さらに、その後も国の無医大県、医師のいない県でございますね、解消構想や私立大学の相次ぐ設置申請もありまして、昭和五十六までに防衛医大を含む十八校が新設され、定員は八千三百六十人となりました。
 この結果、人口十万人当たり医師数を百五十人にするという当初の目標は、地域にばらつきもありますものの、国内全体では二年早く昭和五十八年に達成され、今度は逆に医師過剰の危惧がなされるようになりましたことは御承知のとおりでございます。
 このように、現在の医師過剰問題は、昭和四十九年以降に行われた将来展望を欠いた定員増、これに端を発しているとも言えるのではないでしょうか。
 そこで、当初の目標を二千人以上も上回る定員増がどうして行われたのか、この点について文部省にお伺いしたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 先生今御指摘のとおりに、昭和四十五年の九月に厚生省の方から私どもの方に、医学部の入学定員を六千人程度に増員してもらいたいという趣旨の御要望がございました。それを受けまして鋭意医学部の拡充を行ってきたわけでございますが、これまた先生がただいま御指摘ございました、昭和四十八年の二月に閣議決定で経済社会基本計画が決定されまして、その中で、医科大学については、計画期間中、すなわち四十八年度から五十二年度までに医科大学あるいは医学部のない県を解消することを目標として整備を進める、いわゆる無医大県解消計画が策定されたわけでございます。
 確かに入学定員が六千名程度に四十八年でなりましたが、まだ社会的に一般的な空気といたしまして医師が不足しているのではないかというような気持ちが非常に強くあったということ、それから無医大県解消につきましてはかなり社会一般に評価されたということ、特にこの点については、先生も十分に御承知のとおりに、日本医師会でも無医大県解消計画については賛成を示していただいたわけでございます。そういうようなこともございまして、昭和五十六年度までに無医大県解消計画に基づく入学定員増というのが行われまして、先生御指摘の数字、防衛大学校まで含めて四十九年から十六大学が整備されたわけでありますが、その中で私学が三、防衛大学校が一、無医大県解消に基づく国立大学の医科大学の整備が十二ということでございました。
 そんなような経緯もありまして、最終的に、先生御指摘の八千二百八十人の入学定員ということになったわけでございます。
○菅野壽君 具体的削減の方法について承りたいんですが、検討委員会の最終意見では、昭和七十年すなわち平成七年を目途に医師の新規参入を最小限一〇%削減するという提案がされておりますが、具体的施策としては大学医学部の入学者を減らすという方法を中心に行われていると思います。平成七年に医師になるといえば、この春大学医学部に入学した学生がその中心になるのでありましょうが、実際今年度の国立、公立、私立大学医学部及び防衛医大の入学定員は従来よりも一〇%減っていますかどうか、そういう点を文部省にお伺いしたいと思います。また、医学部入学削減以外の方法もとられているならば、それについてもお答えを願いたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 先生も御指摘のとおりに、平成七年を目途に新規参入、医師となる者を一〇%減程度削減するという提言がなされておるわけでございまして、一〇%程度と申し上げますと八百二十八人を入学の段階で減をするということでございます。
 この提言に基づきまして、国立大学について申し上げますと、各大学の状況や各大学の意見などを踏まえまして、六十年度から逐次入学定員の減を図ってまいりまして、平成元年度までに医学部十八校で合計三百六十人の入学定員の減を行ってきたところでございます。私立大学につきましても、その入学定員一〇%削減の趣旨を十分私立大学の関係者に御説明もしお願いをし、努力をしていただいておるところでございますが、私立大学につきましては、経営上の問題等もございまして残念ながら余り進捗状況がよくございませんで、平成元年度までに入学定員の削減を行ったのは医学部四校、合計四十五人、それから私立医科大学協会の申し合わせ、これは入学定員が百二十人の大学は募集人員を百十人というふうに落とすという申し合わせによりまして減を行ったものが六十人という状況でございます。その結果、国立大学につきましては目標の約八割、私立大学につきましては募集人員の減を含めますと目標の三五%、三割強の削減が行われまして、国公私立全体では六割近いという削減が行われているわけでございます。
 ちなみに、国立大学について申し上げますと、来年度百二十人の医学部の減を行うことにいたしておりまして、そうしますと累計で四百八十人。削減目標数が四百五十八人でございますので、国立大学については来年度、平成二年度におきまして目標を達成できる状況になっておりますが、私学につきましては、先ほど申し上げました私学の経営上の問題もありまして、私学が経営基盤確保のために新たな学部学科を増設するなど多角的な大学の整備計画を持っている場合には、これを積極的に文部省としても応援していくということも私学の関係者に御説明もして努力をお願いしているところでございます。
 なお、公立大学につきましては、地域の実情等があるということ、それから比較的小規模の医科大学が多いということで、まだ入学定員の削減が行われていないわけでありますが、私どもとしましては、公立大学につきましても地元の御理解を得ながら入学定員を削減するようお願いをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
 いずれにしましても、医師過剰問題ということにつきましては私どもも十分深刻に受けとめておるつもりでございますので、今後、厚生省とも十分連絡をとりながら、入学定員の削減につきまして鋭意努力をしていきたいというふうに考えております。
○菅野壽君 医師の質の水準確保について承りたいと思いますが、医師過剰が声高らかに叫ばれておりますけれども、医師志望者が減少傾向に陥ると考えられるわけでございます。そうしてこれが医師の質的低下に結びつくのではないかという懸念がございます。医師過剰対策を進めるに当たりまして、これに並行して医師の水準を維持向上していくという必要があると思いますが、それについて御説明を願いたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のような危惧を抱かれる向きもあろうかと思いますが、一方、競争率が高いのでチャレンジしようという逆の傾向もあるように、私どもまだそのくらいのことはあると思っておりますが、長期的にはおっしゃるよ
うな危惧も非常にされるわけでございますので、御指摘のようにお医者さんの質が低まるということは大変国民の健康の問題としては問題でございます。
 同時に、今御指摘ございましたように、医師の水準の維持向上というのは非常に大きな問題だと考えております。医学教育に関しましては文部省の御所管でございますけれども、教育条件でございますとか教育内容の改善ももちろん重要ですし、プロフェッションとしての自覚を十分お持ちいただくような教育、それは卒前に限らずあるわけですけれども、お医者さんの技術的な水準という観点からいえば、卒後の研修の問題とか、今、日本医師会等でも一生懸命おやりいただいております生涯教育の問題とか、そういうふうないろいろの側面でお医者さんが社会的信用を失うことのないような水準の維持向上というのは、御指摘のように非常に重要でございますし、非常に多面的な要素があろうと思います。それらすべての事柄について的確に対応していくことが非常に重要だと考えております。
○菅野壽君 御承知のとおり、一方で過剰が叫ばれ、また一方で不足という問題も起こっておるわけでございます。医師過剰問題が叫ばれる中にあっても、医師不足となっている状況は依然存続しております。
 具体的には、御承知のとおり、僻地医療、救急医療、基礎医学研究医、公衆衛生等の公共サービスに携わる公務員医師であります。医師過剰対策を講ずるに当たりましては、それについて不足している分野における医師のより一層の活躍を活用してはいかがでございましょうか。また、僻地医療や救急医療の条件整備のためにどのようなことが実際的に行われてきたのでしょうか。承りたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 医師の過剰といいましても、地域的な偏在でございますとか分野的な偏在とかいろいろ御指摘があるわけでございます。医学教育あるいは臨床研修の中でそういういろいろな分野での理解を深めていただくということも非常に重要だと思っておりますが、例えば基礎研究につきましては、おっしゃるように、お医者さんがなかなか研究の活動に従事する率が大学の基礎医学などを見ますと減っておるというのも実態としてあるわけでございます。やはりそういう形でだんだん研究の道に進むという人も今後ふえるような方途も講じなくちゃいけないと思いますし、公衆衛生の関係で言いますと、保健所に働くお医者さんも若い方が大分ふえるような傾向が出てきておるという実態もあるわけでございます。
 そういうことでございますので、御指摘の僻地とか救急の問題も、厚生省としては、例えば僻地中核病院に僻地で働いておるお医者さんに集まっていただいて研修をするとか、救急につきましても、専門的な研修でございますとか、脳神経外科とか麻酔とか救急医学等の研修をやるとか、いろいろのことでお医者さんの職域ができるだけ偏在することのないような形で私ども引き続きやってまいりたいと思います。実際にはなかなか難しい問題もございますが、長い経過の中で私どもだんだんそういう方向に、関係の団体等も含めまして御理解を深めていただきたいということも考えてまいりたいと思っております。
○菅野壽君 次に、外国人医師の受け入れについてお伺いしたいのでございます。
 医師の新規参入を削減するために文部省は大学医学部の定員削減を進めているようでありますが、国内の医学部の定員が削減されましても、外国人医師とか外国の医学部を卒業した日本人も医師国家試験受験が可能であります。彼らの参入を自由にしておきますれば、国大における定員削減は無意味なものとなってしまうと思うのであります。国際化の流れの中で、専門技術職の受け入れを拡大する方向にある現在、門戸を閉ざしてしまうことはできませんが、経済的格差があるため、日本へ安易かつ出稼ぎ的に来られても、医師過剰の傾向を助長するだけでありまして、発展途上国などの場合、この国の医師が不足する事態にもなると思います。
 今後の外国人医師、外国人医学部卒業者の取り扱いについてお伺いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 国際交流の観点と国内の医師需給との関係と二面の問題を御指摘になったと思うわけでございます。
 国際交流につきましては、ODAも非常に額がふえたということもございますので、私どもとしては大いに医療協力を含めてやらなくてはいけないということで考えておりますし、国際協力センターなどももっと活発にしていきたいと考えておりますが、外国人のお医者さん、日本へ来て勉強したいという方もふえてきたわけでございますので、昭和六十二年の五月に、外国人医師、歯科医師の臨床修練に係る特例法という法律をつくらしていただきまして、研修のためにお見えになる外国のお医者さんについての受け入れ体制を整えたということがございます。いろいろの国から、二十カ国ぐらいの国からもう既に実績といたしまして研修にお見えになっているという実績もあるわけでございます。
 それから、国内において外国人が開業できるかどうかという問題でございますが、これはやはり医師、歯科医師の免許制度というのがあるわけでございますから、私どもとしては、そういう免許をお持ちにならない場合にはだめだということで貫いておるわけでございます。ただ、我が国の正規の医学教育の課程と同等の知識、技能をお持ちであると判断された方については医師の国家試験の受験資格を認めるということで、そういう対応をしておるところでございます。
○菅野壽君 次に、看護職員の問題でございますが、看護職員需給見通しについてお伺いしたいと思います。
 厚生省は今年の五月に、各都道府県の医療計画を踏まえ新たな看護職員の需給見通しを策定しました。過去二回の需給計画は看護婦、准看護婦を中心にまとめられましたが、今回の見通しは「医療機関等において需要が多様化していることを踏まえ、保健婦、助産婦、看護婦及び准看護婦について総合して考える」ことといたしまして、看護職員全体の需要数と供給数を示すにとどまり、各資格ごとの見通しは立てられておりません。保健婦、助産婦と看護婦は職域を異にしておりますが、就業看護者数三十七万三千人のうち保健婦あるいは助産婦を兼務している者は二千人にすぎません。看護婦確保の諸施策を的確に推進するために各職種ごとの医療計画を作成すべきではないでしょうか。
 看護婦需要見通しとしましては、昭和六十三年末の就業者数を七十六万六千人としておりますが、同年末の確定数では七十四万人であり、既に二万六千人の誤差があります。供給数は過大見積もりではなかったでしょうか。お伺いしたいと思います。
○委員長(千葉景子君) 御答弁、お声を少し大き目にお願いいたします、ちょっと聞こえにくい部分があるようですので。
○政府委員(仲村英一君) 看護職員需給見通しについてのお尋ねでございます。職種ごとに需給計画を策定すべきではないかということでございますが、私どもも前の二回の需給計画につきましては全国一律と申しますか、全国一本で需給の数を見通したりしておりましたが、今回は、都道府県、地域別に非常に需給のアンバランスがあるということもございましたので、都道府県の計画をおつくりいただいて、それに基づいて全国版のような形で見通しをつくるという作業をいたしました。したがって、現実は御指摘のように職種別の需給見通しにはなっておらないわけでございます。
 ただ、これも既に御承知のように、保健婦さんや助産婦さんが実際に病院に勤務する方もだんだんふえてきておるという実態もございますし、訪問といいますと今までは保健婦さんが主でございましたが、今後は訪問着護という業務も在宅サービスの一環としてもっともっと重視していきたいということもございますので、職種別に相互乗り入
れと申しますか、そういう格好もふえておるという傾向も踏まえまして、なかなか職種別にはつくりがたいということで全体の需給見通しを作成したということでございますので、御了解いただきたいと思うわけでございます。
 それから後段のお尋ねでございますが、昭和六十三年末で七十四万人ということは事実でございますが、これは過去の実績もそうなのでございますけれども、本人の届け出に基づく集計でございまして、届け出漏れがある場合がございます。私ども、医療施設調査というのがございますが、これの在職者数と申しますか実働人員というものの結果を用いて、これを補正して推計しておるわけでございます。それによりますと六十三年末の数は七十七万人程度と推計されますので、私どもの六十三年末の就業者数に大体合っておるということでございますが、これは使います統計にもよるわけでございますけれども、そういう形で私ども積算をしておりますので御理解を賜りたいと思います。
○菅野壽君 看護業務補助者についてお伺いしたいのでございますが、「病床百床当たり病院の要員は、昭和六十二年三十四・三人から平成六年には四十・九人にまで高まる。」と言われておりますが、昭和六十三年の医療施設調査・病院報告によりますれば、そのほかに看護業務補助者が七人必要だと。平成六年における看護業務補助者の見通しはどうでございましょうか。お伺いしたいと思います。
 また、現在看護婦さんが行っている業務は、看護婦でなければ行えない業務とそうでない業務とをもう少しはっきりさせた上で看護業務補助者の需要を含めなければ、真の総合的な看護職員の需給見通しとはならないのではないでしょうか。お伺いします。
○政府委員(仲村英一君) 看護助手を医療の現場でどのように組み込んでいくかという問題は非常に難しい問題だと考えております。それは、資格はないということもございますし、後段にお尋ねのその業務の範囲をどのようにするかということ、さらには医療の場におきましての、今後は高齢化ということから考えますと、介護の部分がだんだんふえてくるという問題も別にあるわけでございますから、実際の個別の業務を規定するという形で区分するのはなかなか実態的にも難しいことだと思います。一方にはもちろん看護婦の資格というのがあるわけでございますから、実際上なかなか明確に分けにくい部分があるということが一方にあるわけでございます。
 そういう点で、お尋ねのように、看護助手についての数の将来見通しは今回のこの需給見通しの中に含まれておらないわけでございます。しかし、看護の総量と申しますか、そういう点からいいますと、御指摘の部分も当然考慮しなくちゃいけない要素だと考えておりますが、先ほど申し上げましたように、実際の業務で区分するというのは難しい場合も、同じ業務を助手の方と看護婦さんがおやりになることもあり得るわけでございますので、そういう点今後どのように考えていくか、研究をした上でお尋ねのような問いに対してお答えを出してまいりたいと思うわけでございます。
 基準看護等に、医療保険の方では四、四、二という形で二が含まれておるような実態もございますので、なお具体的な問題については御指摘を踏まえまして勉強させていただきたいと考えております。
○菅野壽君 看護婦さんの離職防止策について伺いたいのでございますが、需要見通しによりますれば、平成六年に看護職員の不足は解消すると予測されておりますが、各年とも当初就業者数の五・五ないし五・八%の離職者数を見込む一方、離職者数に対する再就職者数の割合を、昭和六十三年の四人に一人から平成六年には二人に一人の割合に増加するものと見込んでおられます。そして、新卒就業者数と離職者数との差は、昭和六十三年に一万三千八百人であったものが平成六年には四千六百人と三分の一に縮小されております。看護職員の供給増加については、毎年度の離職率を微増と見込みつつも再就職者数の増加に期待するのは矛盾しているのではないでしょうか。離職防止策を考えていないような感じがいたしますが、どうでございましょうか。
 また、昭和六十一年度以降、毎年度七億二千九百万円を有子看護婦の、子供のある看護婦さんの離職防止策と、再就職を容易にするために行う院内保育事業に必要な経費に対する補助金として計上しておられますが、院内保育所はどの程度拡充されましたでしょうか。そして、離職防止策と再就職の増加を図るには、看護婦さんの二人に一人が月に九回以上の深夜勤務をしているという過酷な労働条件を改めることが肝心なことであります。
 労働条件が悪いから離職する、離職するから看護婦さんが不足である、さらに労働条件が悪くなるという悪循環を断つには、行政府として抜本的な対応を講ずる必要があるのではないでしょうか。できれば大臣から承りたいんですが。
○国務大臣(戸井田三郎君) 御指摘の看護婦の離職、そしてまた復職、そういうような状況が繰り返されるということは、看護婦という仕事が御承知のとおり人の生命に関係する意味で、常にその職場環境というものは非常に厳しい環境の中で仕事をしていかなければなりません。同時に、非常に高い水準の教育を受けてそういう重要なお仕事につかれる、とうといといいますか大事な人ですから、そういった人に対する職場環境というものを十分に気をつけていかなければいけないんじゃないか、かように私は思います。そして、福祉という観点で、今保育所の問題も取り上げられましたけれども、同時に、高齢化社会に向かって必要となる看護職員を今言ったように確保していくためには、ハードな、過重な勤務条件というものを逐次緩和をしていく努力が当然必要であろう、かように思う次第であります。例えば院内に、どうしても欠けることのできない夜間勤務等の回数を減少するなど、いろいろとそういった環境整備を十分に考えてまいりたい、かように思っております。
 このため、労働省とも同時に連携をとりながら、従来から夜勤日数を一カ月の三分の一以内とするように民間医療機関等に対しても指導を行ってきたところであります。また、国立病院等につきましても、夜間勤務の緩和等を図るため当然職員の増加を進めていかなければならないと思っております。
 今後とも、看護職員の勤務体制の改善を進め、高齢化社会に向かってのより充実した医療を提供するように努力していかなければならない、かように考えております。
○菅野壽君 看護婦の養成問題についてでございますが、昭和六十一年度における看護婦養成所の総定員を見ますと、八百五十五施設十万四千人となっております。国立病院・療養所に附属された看護婦養成所は百二十二カ所、生徒数は一方三千人にとどまっております。国立病院特別会計病院勘定の歳入決算を見ますと、昭和六十一年度で、看護婦等養成所の入学検定料収入は予算額の五割増の九千七百七十九万円であるのに対し、授業料収入は一削減の二億六千八百四万円となっております。入学志望者が予定より多いが生徒数は予定より少ないという状況が続いているようですが、この原因はどういうところにありますか。また、その対応策を講じていますかどうか。そしてまた、再就職者の増加、離職者の増加にとどまらず、看護婦の養成機関の拡充をなお一層図るべきではないでしょうか。お伺いしたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 国立病院・療養所に附置された看護婦養成所の状況につきまして御指摘でございますが、入学志望者、これはすなわら受験志願者でございますけれども、この数が予算に予定しました数よりも多い、これに対しまして実際に入学した生徒数が予算で予定した数よりも少ない、これは事実でございます。
 これは、受験生がいわゆるかけ持ち受験をやるというケースが非常に多うございまして、その場合に、複数の学校に合格いたしました際に、他の
養成所、学校に入学しているというケースが非常にございまして、これが大きな原因であるというふうに認識をしております。そこで、私どもといたしましては、合格者ができるだけ他校に流れないようにというようなことで、その状況を十分勘案いたしまして、予定数を充足してまいるように努力するよう各学校長に指導いたしているところでございます。
○政府委員(仲村英一君) 養成力の拡充についてのお尋ねがあったわけでございますが、御指摘のように現在働いておられる看護婦さんができるだけやめないようにするために、先ほど大臣からお答えいただいたような内容の努力を続けたいと思いますし、潜在看護職員をさらに活用して再就業を促進するということも一つの重要な要素だと思っておりますが、やはり新しく看護婦さんを養成するということも非常に根幹の問題だと考えておるわけでございます。
 養成所の新設に限らず、入学定員を増加させるということも重要だということでございますが、入学定員につきましては毎年四百人程度増加させてきておりますし、新設校も今後またふやしていただくようなことで各県にもお願いしております。そういうようなことで、看護婦の養成力の拡充についてさらに努力してまいりたいと考えております。
○菅野壽君 看護婦さんの不足というものは非常に医療関係者には悩みになっております。
 准看護婦というのがございますが、准看護婦さんは受験資格が中学校卒業程度でございますが、今ではほとんど高校卒業でございます。それで、この准看護婦、卒業後何年かの教育並びに通信教育を受けて、国家試験を経て看護婦さんの免許取得というふうな便法が講ぜられることができませんでしょうかどうか。例えば戦争中に各大学に臨時医専という医師養成がございましたが、そういうふうなこともいかがでございますか。ちょっとお伺いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) もう先生も御承知のように、准看護婦問題というのは非常に長い間の議論の一つであると承知しております。今お尋ねのような資格の向上ということについて、具体的にどういうふうにしたらいいか、どういう条件がいいかということでいろいろ御要望等が参っておりまして、現在それについて研究をしておるところでございます。今どうこうするというお答えできないのは申しわけないのでございますが、今後の研究課題として私ども考えておることをお答えさせていただきたいと思います。
○菅野壽君 これは大臣聞いておいていただければ非常に結構でございますが、ある大学病院、千ベッドある大学病院からの申し出でございますが、看護婦さんが六十人足りない、そうするとベッドを閉鎖するか基準看護を辞退するかどちらかだ、基準看護を辞退するのには大変だ、だからベッドを閉鎖せざるを得ないと。患者さんが二千人も千五百人も押しかけてくる外来の多いその大学は非常に困っております。なるべく早く、緊急にひとつ看護婦さんの養成、離職者もまた再就職していただくような体制づくりをしていただくことを要望申し上げまして、終わります。ありがとうございました。
○清水嘉与子君 ただいま菅野委員の方から看護婦の問題についてるる御質問がございまして、大変興味深く聞かせていただきました。私も、まず看護婦の問題から質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、大臣にお伺いしたいのですけれども、今も菅野委員が御指摘のように、看護婦の問題というとどうしても数が足りないという問題が今日まで続けられてまいりました。しかし私はむしろ、数ももちろん大事なことでございますけれども、もっと日本の看護婦の問題の中で深刻なのは、やはり指導者が非常に少ないという問題ではないかというふうに認識しております。一般の看護婦の教育レベルはほかの国に比べましても劣るところはないと思いますけれども、いわゆる指導者、教員でありますとかあるいは婦長でありますとか、そういうところになりますと、ちょっとやはり先進国あるいは時には開発途上国にも少し差をつけられているというのが現状でございます。先ほど仲村局長も、六十三年七十七万人働いているというふうに言われましたけれども、その中でも、例えば大学もまだ一二校しかございませんし、非常にまだレベルが十分ではないのではないかというふうに思います。
 日本でも徐々に看護大学をつくろうかというような動きが出てまいりましたけれども、そのときに一番問題になりますのは教員の不足でございます。あるいは国際協力におきましていろいろ問題になりますのは、資格要件を満たす看護の専門家がいないというような問題でございます。厚生大臣は、この看護の世界に指導者の育成が急務であるという問題につきましてどんな御認識を持っていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(戸井田三郎君) 委員御指摘のとおり、まさに今の日本の状態は看護婦不足、同時に医療そのものが、長寿社会に進むに従ってさらに医療の進展、そして高い技術水準、そういういろいろな意味で環境が大きく変わっておりますので、もちろん不足する看護婦を補充するためにも再就職等をいろいろな意味で促進をしなけりゃいけないということは先ほど御質問があったのにお答えしたとおりであります。
 そういう意味で、さらに一層より高い水準の指導者を養成するということは非常に重要なことであり、心して取り組んでいくべき問題である、かように思います。
○清水嘉与子君 私もかつて看護行政を担当しておりまして、看護教員の養成ということに大変力を尽くしたつもりでございます。厚生省におきましても、この看護教員の養成機関を整備するというようなことをしたわけでございますけれども、しかし今千六百校を超えます学校の教員を厚生省だけで対応するというのはとてもできないことでございまして、各都道府県でございますとかあるいは専門団体に委託をいたしまして、教員の養成をやってまいりました。
 そこで、専門団体であります日本看護協会は、たしか四十七年からだと思いますけれども、国の委託を受けまして、都道府県では半年間で教員養成をやっておりますところを、自分たちのお金をつぎ込で一年間の教員養成コースをつくるというようなことをやってきたわけでございまして、今日までに約八百人くらいの教員を世に送り出しているわけでございます。この看護協会の事業につきまして厚生省はどういうふうに評価されておられますでしょうか。
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、昭和四十七年から看護教員の養成講習会を社団法人日本看護協会に委託を申し上げて実施していただいておるところでございます。非常に熱心に、しかも今おっしゃいましたように期間も長くおやりいただいておりまして、六十三年度までで合計七百五人の看護教員が養成されております。今の言葉で言えば民活ということになろうかと思いますが、非常に役所ではやりにくいようなことについてまで看護協会で専門団体としておやりいただいているということについて、私ども非常な評価をしておるところでございます。
○清水嘉与子君 そこで、十月二十二日の読売新聞に、日本看護協会の運営しております、教員養成の場であります看護研修センターの土地の問題が報じられたわけでございます。清瀬に国有地をお借りしまして建物を建てまして、そして会員から募金を集めてこの土地を買うということでやったわけでございますけれども、やっとそのお金を集めて払えるようになったと思いましたら、土地が非常に急騰いたしまして、予定していた金額ではとても買えなくなったというようなことでございまして、土地の払い下げが宙に浮いてしまって困っているという内容が出たわけでございます。この問題の経緯と、今どうなっているのかについて御説明いただきたいと思います。
○政府委員(伊藤卓雄君) 社団法人日本看護協会におきまして看護研修センターを準備したいとい
うことで、その用地を国立療養所東京病院の敷地の一部を考えたいというお話がございました。これは昭和五十九年十二月のことでございますが、これを購入されるという前提で、当座有償の貸し付けのお話があったわけでございますが、昭和六十年六月に、昭和六十三年度から三カ年計画で売り払うということを前提としての有償貸し付けの手続を行いました。面積は約四千九百四十三平米でございます。
 その後、六十二年から六十三年にかけまして地価が急騰いたしまして、看護協会で当初予定されておられました八億円では全体を購入することが困難だという事情になりまして、本年三月時点で、有償貸し付け地の一部でございます千三百五十七平米、予定の三割弱でございますが、これを時価相当の八億円で売却をしたということでございます。なお、残りの用地三千五百八十六平米の売り払い方法につきましては、現在看護協会ともいろいろ御相談をし、検討もやっているところでございます。
○清水嘉与子君 看護協会が土地をお借りしますときに、三年後に購入する価格を約八億と見込んだ。そして募金をいたしたわけでございますけれども、三十二万の会員がほぼ一〇〇%近くお金を出してくれまして八億ができた。そして、いざ払おうと思いましたらこれが二十九億になっていたということでございます。
 首都圏の地価高騰というのは看護協会に何の責任も実はないわけでございまして、先ほど来厚生省の方でも御認識のように、国の重要な施策であります看護教員の養成、育成ということ、あるいは看護婦の卒後教育の充実といったことを事業としてやっているところでございまして、いわば公的な事業を行っているこの施設に対しまして、国としてもやっぱり問題解決のために前向きに取り組んでいただきたいというふうに思うのでございますけれども、これについてはいかがでございましょうか。
○政府委員(伊藤卓雄君) 国民共有の財産でございます国有地の処分につきましては、財政法の九条の規定によりまして、適正な対価、つまり時価をもって処分しなければならないというふうになっておりまして、看護研修センターの用地につきましても、この原則で処分するということについては御理解を賜りたいわけでございます。
 ただ、近年の地価高騰によりまして、協会が直ちに購入することが困難だという状況に至っておりますことは十分承知しておりますので、適正な対価、つまり時価処分を前提としながら、その枠内で看護協会が少しでも購入しやすいようにするにはどういう方法があるか十分研究いたしまして、今後御相談し、適切に対応してまいりたいと思います。
○清水嘉与子君 ぜひ特段の御配慮をお願いしたいというふうに思うわけでございます。
 ただ、適正な時価処分といいましても、六十一年のときには約八億が適正な価格だった、六十三年になりましたら二十九億が適正な価格である、こういうことでございまして、いろいろ御配慮いただくわけでございますけれども、今後それを先延ばしにして、また地価がどうなるのかということが大変心配なわけでございます。
 そこで国土庁にお伺いしたいんですけれども、今後の首都圏の地価の動向、あるいは地価抑制対策につきまして、その見通しについてお伺いをしたいと思うのでございます。
○説明員(大日向寛畝君) お答えいたします。
 平成元年の都道府県の地価調査によりますと、東京圏の最近の地価動向は、その周辺部におきましてかなりの上昇が見られたものの、東京都、神奈川県におきましては地価が下落している、そういったようなところも見られまして、やや落ちついた傾向も見られるわけでございます。しかしながら東京圏の地価が落ちついている、そういったようなところにおきましても、その地価の絶対値、地価の水準が非常に高くなっているんじゃないか、高値安定じゃないか、そのような御指摘も受けておりますし、また金融緩和、いわゆる金余りでございますが、そういった状態も続いているというようなこともございまして、今後とも地価の動向につきましては予断を許さない、こういった状態にあると考えております。
 このため、今後とも総合土地対策要綱に基づきまして、監視区域の的確な運用、大都市の諸機能の地方分散、それから土地の有効、高度利用による住宅宅地の供給の促進等、各般の対策を総合的に推進することによりまして、地価の安定と適正な土地利用の確保に政府一体となって全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
○清水嘉与子君 今お答えいただきましたけれども、地価の動向は予断を許さぬことであるというようなお話でございまして、ますます何か心配が出てきたわけでございます。たまたま身近に起きた問題でございまして、新聞に報道されることになったということで私もここに取り上げましたけれども、一般的にこういった公共的な非営利事業、そしてこういう地価高騰のあおりを受けて事業が非常に支障を来すという事態も出てきているところがまだあるのではないかというふうに思います。こういうものにつきましてはぜひ特例的な措置をとっていただきたいなというふうに思うわけでございます。この地価の安定もぜひお願いをしたいし、またこの具体的な件につきましてはぜひ厚生省の方でも看護協会と十分話し合って、事業が支障なく続けられるように御配慮いただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
 次に私は、地域保健問題についてお伺いしたいと思います。
 戦後、保健所というのは我が国の公衆衛生活動の推進の拠点として大きな役割を果たしてまいりました。しかし、次第に医療保険制度が充実し、そしてまた保健、医療の社会資源も整備され、人口構造や疾病構造が大きく変わってきますと、何か保健所のサービスが国民のニーズに合わないんじゃないだろうか、こたえていないんじゃないだろうかという批判がたくさん出てきております。また、保健所の職員自身、期待される役割は大きいんだけれども、物理的にも技術的にもとてもそのニードにこたえられないんだというような嘆きも私は聞いております。厚生省も、この保健所のあり方につきましては、二年近く検討されまして、ことしの六月に地域保健将来構想検討会から報告書も出されております。私もこれを読ませていただきましたけれども、どうもいま一つすっきりと保健所のイメージというのがわいてこないものでございますのでお伺いしたいわけですが、厚生省としては新しい保健所の機能というのをどのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 御指摘のように、戦後四十年、保健所は非常に感染症、結核あるいは伝染病に対しまして実力を発揮してまいりましたし、環境衛生問題についても取り組んでまいったという実績は先ほど御指摘いただいたとおりだと思いますが、今後の二十一世紀を迎えるに当たって今のままでいいということではないということから、地域保健将来構想検討会という、専門家から成ります検討会を設けまして、いろいろ御議論をいただいたところでございます。
 なかなかわかりにくいという御指摘でございますが、確かにそういう面もあろうかと思います。と申しますのは、今までやっておったサービスのほかに、それをつけ加えるにはどうしたらいいかという問題があるわけでございますし、それは多分に将来的な問題でもあるわけでございまして、なかなか国民の間で具体的なイメージとしてわかないという部分があろうかと思います。
 ただ、全体的な方向といたしましては、数カ町村をカバーする、県と市町村の中間にあります非常に技術集積性の高い役所ということで、今後新たな機能をやはり付与していかなくちゃいけないと同時に、市町村も実力がついてまいったということもございますので、市町村に渡すべき業務を渡して新しい保健所らしい機能というのを担っていくということで大筋は成り立っておると私ども
考えておるわけでございます。
 具体的にはなかなかイメージがわかない部分もおありかと思いますが、市民健康に十分こたえられるような、何でもいつでもこたえられるという相談窓口と申しますか、総合相談窓口と申しますか、実際上、エイズの当初の騒ぎのときにも、保健所の電話線がパンクするぐらい住民からも非常に信頼を得たという実績もあるわけでございます。健康に対する考え方も非常に高まってまいっておりますので、総合相談窓口をつくるとか、あるいは今後の方向としては福祉面も加えて在宅ケアを推進しなくちゃいけないということでございますので、そういう方向へ機能を転換していく、新しく付与していくということで考えてまいりたいと思うわけでございます。
 その中で、特定の保健所につきまして、より集約的に、二次医療圏単位に実際に保健医療を各地域で具体化していくための計画の作成をしていただく、あるいはそれを実際に実施していただくという機能でございますとか、情報化時代でございますので、地域の保健情報というものをもっともっと収集、解析して住民に還元するという機能も重要だというふうに考えておるわけでございます。
 これからそういう方向へ変えていくということでございますので、具体的なイメージのわきにくい部分もあろうかと思いますが、二十一世紀を見据えながら新しく保健所を再生させていきたいということで、地域保健将来構想検討会の報告書の趣旨を私どもお受けいたしまして、さらに努力をしてまいりたいと考えております。
○清水嘉与子君 報告書を拝見しますと、従来市町村が老人、母子といった対人サービスをやってきているわけですけれども、さらに対人サービスも住民に近いところのサービスはなるたけ市町村におろすというような報告というふうに読めるわけでございます。また、福祉の方でも、従来やってきた福祉のサービスを市町村にだんだんおろしていくというような方向も出されているというふうに思うのです。そうしますと、市町村が中心になってそういう対人サービスをどんどんやっていく、それは非常に結構なことと思いますけれども、そこにやっぱり人的な問題もございます。十分まだ整備されていない、保健婦もまだいないようなところもあるというようなこともございますし、そういうものに対しての技術的な援助といいますか、そういったようなものについても保健所がどれだけかかわっていただけるのだろうかというようなことも実は心配をしているわけでございます。
 特に、今度の報告書の中で、地域におきます保健、医療、福祉の連携の中に相当保健所が役割を持つよというふうに読める部分があるわけでございますが、その辺について、もう時間もなくなりましたけれども、御説明をいただきたいというふうに思います。
○政府委員(仲村英一君) 今までの保健サービスと違いまして、これから住民が希求する保健サービスというのは、住民サイドから見て、これが医療で、これが福祉で、これが保健サービスだというふうには分けにくい部分がますますふえてくるだろう。そういう意味で保健、医療、福祉の連携ということでうたわれておるわけでございます。ただ、言葉で言うのは非常に簡単ですが、実際上は縦割り行政とかいろいろございまして、住民の側から見て、サービスが提供されているか、満足のいくような住民に対するサービスが行われているかという、非常にこれから日本民族は未体験の部分もあるわけでございますが、そういう点で医療、保健、福祉の連携がうたわれておるというふうに私ども理解しております。
 具体的に若干申し上げますと、高齢者でございますとか難病の患者さんとか精神障害者等の在宅療養者の方々のケアを推進するために、保健所に保健・福祉サービス調整推進会議というふうな会議を設けて連携を強化していくというふうなことでやってまいりたいと思います。これはもちろんすぐにできるという問題でもございませんが、うまずたゆまずやらざるを得ない方向だろうと考えております。
○清水嘉与子君 地域のこういう健康問題に対します専門的な知識、技術が集積している場としての保健所に私は大変期待をしたいわけでございまして、ぜひこれから活気のある保健所活動をしてほしいというふうに思っております。新しい機能を発揮できるように人的また物的な充実にぜひ厚生省も頑張っていただきたいというふうに思います。
 質問を終わります。ありがとうございました。
○大渕絹子君 私は、きょうは交通機関の身体障害者割引制度についてお尋ねをしたいと思います。まず運輸省にお尋ねをいたします。
 昨日運輸大臣によりまして、今まで適用外でありました内部障害者について割引制度を対象とするという決定がなされたそうですが、関係者の皆さんの努力に心から敬意を表するものでございます。その内容について詳しくお聞かせください。そしてまた、今までJRや私鉄等で実施されておった障害者割引に国庫からの拠出金があったかどうか。それからもう一つ最後に、交通機関は公共的施設であるかどうかという点をお尋ねしたいと思います。お願いいたします。
○説明員(小幡政人君) お答え申し上げます。
 まず、昨日運輸大臣の方から、内部障害者について今回身障者割引の対象にするということを発表させていただいたわけでございますが、中身的には、JR、民鉄の鉄道でございます、それと航空につきまして、実は外部障害者だけが対象というのが現行の身障者割引制度でございますが、これを内部障害者の方を対象に含めるということを決めさせていただいたわけでございます。今後の手続といたしましては、月内にも各事業者の方から申請をいただきまして、認可は年内には済むと思います。ただ、具体的な実施時期につきましては、我々現場窓口の職員に対する周知徹底、あるいはせっかく厚生省さんに労をとっていただきます身障者手帳の書きかえ等ございますので、来年の二月実施をめどということで進めたいと思っております。なお、この手当ては運輸事業者の負担により行うという形での実施でございます。
 次に、今回そういうことにいたしたわけでございますけれども、我々運輸省といたしましては、身障者割引など運賃の社会福祉割引につきましては、基本的には公的な負担により実施されるべきものというふうに考えております。しかしながら、先ほど申し上げました内部障害者につきましては、現在実施されております外部障害者の割引制度とのバランスもある、あるいはまたJR各社がおかげさまで最近の経営状況の改善があるというようなことにかんがみまして、内部障害者に対する割引を事業者の負担において行うというふうなことにしたわけでございまして、今回の措置の発表になったわけでございます。
 しかしながら、我々といたしましては、残余の問題と申し上げますか、例えば範囲の問題では、精神薄弱者の方々あるいは難病の方々の問題、それから内容的にはJRの場合に特急券が対象になっていない、あるいはまた距離制限の問題がある等々のいろいろ問題が残っております。こういう問題に関しましては我々今後の検討課題と考えておるわけでございますけれども、これらは先ほど申し上げましたような事業者負担という形ではなくて、あくまで原則どおり社会福祉政策の一環としての公的負担によるべきだろうというふうに考えております。その意味で、お尋ねのございました現在の身障者割引もすべて事業者負担において行っておるという状況でございます。
○大渕絹子君 厚生大臣にお尋ねをいたします。
 今運輸省から、交通機関に対しては公的な、公共的な施設であるというお答えをいただきました。厚生大臣のお考えはいかがでございますか。
○国務大臣(戸井田三郎君) お尋ねの件でございますが、障害者対策につきましては、心身障害者対策基本法のもとで各省でそれぞれ必要な施策を推進しているところでありますが、厚生省の場合は、障害者の一般的な所得保障であるとか、障害
年金とか所得保障や社会参加促進事業などを推進しているわけでありますが、交通機関の運賃割引は、今運輸省からお話がありましたように、そういう事業者の負担ということで行われているわけであります。でありますから、こういう障害者に対して厚生省で特別の措置をするということは考えていないわけであります。
○大渕絹子君 今私がお尋ねをしたのはそうではなくて、厚生大臣御自身は、交通機関は公共施設であるかどうかということをお尋ねしたいんですけれども、交通機関一般に対して。
○国務大臣(戸井田三郎君) それは、例えば民間で運営している事業は私的な事業経営になっておりますけれども、その実施している仕事は公的な住民へのサービスという面を強く持っているものと思います。
○大渕絹子君 私は有権者の青年からの一通の手紙をいただきました。本日の質問に大変大きな関係がありますので、大変申しわけありませんが原文のまま読ませていただきます。
  はじめまして
  私は、日ごろ県職労新潟支部一組合員として、大渕さんを強く支持するものであります。さて、おくれましたが、当選おめでとうございます。消費税はぜったいつぶして下さい。お願いします。
  さて、本日のお話の内容ですが、実は、私は視力が大変悪く、小さい時から盲学校で勉強しました。今は両方共にそれぞれに〇・〇一位で、大変不自由をしております。この手紙も虫メガネを使って書いています。私は大渕さんと同じく川口町で生まれました。
このあとは私的なところですからちょっと飛ばさせていただきます。
  ところで、私は障害者手帳一種の二級を交付してもらっていますが、その内容はあまり現在のスピード化された多くの事情から障害者にとってきめ細かく考えられておりません。例えば、障害者手帳交付者一、二級の人で一種の人にはつきそいも割引になる制度がJR・バス会社の規定にありますが、この制度が発足したのは戦後まもなくだそうです。そのころは旧国鉄は急行というものが花ざかりで、特急はほんの一部だったようです。そして、障害者手帳保持者は普通列車(片道百一キロをこえた時にのみ)割引を受けられ、同時に当時の長きょり旅行に欠かす事の出来ない急行列車についても割引が受けられておりました。しかし戦後四十四年がたち、その中で旧国鉄もJRとなり、世の中の進歩と共に交通事情もどんどん変わって来ました。今や長いきょりを行くには新幹線又は特急があたり前の世の中になって来ました。しかし障害者に対する割引は四十年前と全く変更されず、新幹線・特急料金については割引がみとめられておりません。この四十年の間に、高速道の発展により車を運転できる障害者は役所で手続きを取り証明をもらって高速料金は半分になっております。しかし、私のような視覚障害者が遠い所に行こうとすると、どうしても特急か新幹線を利用しないと不可能です。どうか割引制度をこれらの列車にも広げてもらえるよう社会党として細かく調べて取り組んでいただけないでしょうか。旧国鉄時代からの度重なるダイヤ改正で、この四十年でほとんど急行はなくなり、障害者にとってはかえって割引を受けにくくなっております。全国にいる百万人以上といわれる視覚障害者は、本当にこまっています。よろしくお願いします。
  政府に対してこの事の交渉を社会党で行ってもらえたら、全国の障害者団体・個人は本当に助かり喜ぶものと思います。どうかよろしくお願いします。
  視力が悪いので読みにくく下手な字ですみません。どうかよろしくお願いします。
  今まで運ゆ省は、なかなか腰を上げてくれなかったそうです。参議院も保守・野党が力関係が逆転した今、是非社会党にこのお話を聞いていただきたく下手なペンを取りました。私は何もぜいたくをしたいと言う事でなく、一九七九年に始まった国さい障害者年(十年続くので、今日も続いています)のテーマである障害者の自立と完全な社会参加を進めて行くには、どうしてもJR利用はぬきにしては考えられないのです。よろしくお願いします。
  政府及び地方行政当局は、一九七九年その年だけで国さい障害者年が終わってしまって、十年間続いているなどと全く考えていない人も多いようです。海外に行って政府高官がODAをふんだんにばらまき、又一せき三千億もするイージス軍かんを作る政府です。障害者のこれら弱い声にも耳をかたむけて欲しいと思います。どうかよろしくお願いします。
というようなお手紙をいただきました。大変目の不自由な方ですので大きな字で書いてあるんです。
 この方が言っておりますように、大変今は高速化された列車の利用が、私たちじゃなくて障害者の人たちは利用しにくくなっているんです。
 例えば、新潟の例で大変恐縮なんですけれども、新潟から東京へ上京する場合に新幹線を利用する場合、今までの割引制度ですと、乗車券は五〇%引きですので二千六百八十円、ところが新幹線の自由席特急券は割引対象外ですのでそのまま四千二十円かかります。そうすると六千七百円かかるんです。でも、お金はかかりましても所要時間は一時間四十分。これは一日に三十往復も列車があるのです。
 ところが、普通列車だけを利用いたしますと、今残念ながら新潟から東京まで直通で行く電車は一本もございません。四回ほど乗り継ぎをしないと東京まで来ることができないんです。料金は乗車券のみでよろしいわけですから二千六百八十円で済みますけれども、所要時間は実に七時間もかかってしまいます。そして、特急と急行を利用した場合ですけれども、特急は乗車券二千六百八十円と自由席の特急券二千四百七十円で五千百五十円、急行を利用いたしますと、乗車券二千六百八十円と急行券半額で六百二十円で三千三百円となりますけれども、新潟―上野間につきましては、特急、急行両方とも一つも運転をされておりません。どうしても新幹線を利用せざるを得ない状況であることを踏まえていただきたいんです。このような地域が非常に多くなっているのではないかと思うんです。
 このことに関しまして、先ほど厚生大臣が最初の答弁のときにおっしゃって、今は考えておらないというふうに御返答いただきましたけれども、もう一度考え直していただくわけにはいきませんでしょうか。
○国務大臣(戸井田三郎君) 今私がお答えしたのは、身体障害者基本法に基づいて厚生省が担当すべきものは、所得の問題であるとか、そういうような保障をいたしますが、その他の問題はそれぞれの役所がそれぞれの立場で実際には各省やっておるわけであります。そういう中で運輸省が割引を今実施をしているという関係でございますので、今までの経過等について、先ほどいろいろ申し上げて、世の中ずっと変わってきた、今まで非常に時間がかかった、今はスピードで行ける、そのスピードが利用できないというようなこと等については、やはりすべて私どもがお話をする問題ではないように思います。
○大渕絹子君 五十九年四月二十六日の内閣委員会で、当時の運輸大臣であられました細田運輸大臣の答弁の中に、そういう問題は運輸省だけの問題ではなく、厚生省あるいは国庫の一般会計として扱うべきではないかという答弁があります。そしてもう一つ、六十三年の十二月十九日、竹下総理大臣の答弁の中に、全国の福祉政策の中で、財政当局はもとより、内閣そのものがそれに対する意図を持って調整すべき課題であるという返答をいただいておりますけれども、この辺を踏まえても厚生大臣、厚生省としてはお考えになる余地はございませんでしょうか。
○政府委員(長尾立子君) 身体障害者の交通運賃のことにつきまして先生から大変心温まる御支援
をいただきましてありがとうございます。
 私どもは、運輸省がJRそれから私鉄、航空機各社に対しまして公共的な政策割引のことにつきまして御指導いただいておりますことを大変ありがたいと思っております。
 現在、公共割引全体として見ますと、学生さんに対する割引が非常に大きいと思っておりますが、私どもの身体障害者の割引制度は、いわばそういった政策の全体のバランスの中でやはり考えていくべきものだろうと思っております。先生は、身体障害者の問題であるから厚生大臣はもう少し気張ったらどうかという励ましのお言葉かと思うのでございますが、先ほど来大臣が申し上げておりますように、もし身体障害者の問題すべてのことにつきまして私どもの立場でやっていくということになりますと、やはりそれには一つの限界がどうしても出てくる面があるということも御理解をいただきたいと思います。
 先生が今おっしゃいました社会参加の促進、これは国際障害者年の最大の課題でございますから、私どもも十分そのための対策をやっておるわけでございますが、私どもの対策の中で、今先生、目の御不自由な方のお手紙をお読みになりましたが、例えば目の御不自由な方へのガイドヘルパーといったような事業を社会参加促進事業としてやっております。これはほかの各省ではいずれも取り上げ得ないものだと思って私どもがやっておりますけれども、こういうものをとりました場合は、率直に申し上げまして、所得の非常に高い、まあ例外ではございますが、所得のある程度水準の高い障害者の方、またそのガイドヘルパーを必要とする外出の目的といったようなものにつきまして、現状ではある一定の制約のもとにやらざるを得ないというような形を持っておるわけでございます。しかしながら、もし運賃割引をそういった形のものに置きかえるといたしますと、それは現在受けておられます方々のものとは変わったものとなるわけでございまして、厚生省が取り上げますことのある一面性ということも御理解いただきたいと思うわけでございます。
 公共料金がこういった割引をしていただいておりますこと自体、身体障害者の福祉という観点ももちろんあると思いますが、これはある面では全体の運輸政策の中で御検討いただく部分も、今先生は経営事情のことをおっしゃいましたが、そういった全体のものの中で御検討いただくべきものもあると思いますので、私どもの立場の制約があるということは御理解をいただきたいと思います。また、この身体障害者の問題は、大臣冒頭にも申し上げましたように、例えば住宅の問題にいたしましても道路の問題にいたしましても、それからいろいろな公共施設の利用の問題にいたしましても、各省がそれぞれの立場でできる限り御理解をいただくような、そういう方向を目指していくということが政府全体の態度であるということは御理解をいただきたいと思います。
○大渕絹子君 そういう御発言の内容については、私自身は理解はするんですけれども、納得はちょっといきかねるという点がございます。
 なぜならば、心身障害者対策基本法の第五条、「国民は、社会連帯の理念に基づき、心身障害者の福祉の増進に協力するよう努めなければならない。」とあります。この理念に基づきましてJRや私鉄の方たちは今まで割引制度に非常に多くの協力をしてきてもらっていると思います。私たち国民一人一人も、交通機関を利用することによってこのことには協力をしてきておると思います。
 ところが、この同じ基本法二十三条にもう一つうたわれております「国及び地方公共団体は、心身障害者及びこれを扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は心身障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。」とございます。先ほど運輸省でも、厚生大臣からも、交通機関は公共的施設であるという御答弁をいただいております。この条項を勘案しますと、新幹線や特急料金について割引をするということは国の義務であると私は思っております。そして、四十年前につくられました条項を今まで、今の時代にそぐわないままで適用していることにも多くの問題があると思うんですけれども、この件につきましてはいかがでございますか。
○政府委員(長尾立子君) 今先生がお読み上げになりました基本法の趣旨でございますが、これはある意味で、我々が心身障害者の対策をやってまいりますときの基本的な理念というものを示したものというふうに理解をいたしております。私どもの担当いたしております対策の中で、私どもは、身体障害者のいろいろな更生施設でございますとか、それから身体障害者の福祉センターでございますとか、そういった公共施設をつくっておりますけれども、こういった施設につきましては、なるべく経済的な御負担が障害者の方御本人及びその御家族の方にかかりませんような対策を講じること、この趣旨のとおりに私どもとしてはやらしていただいておるつもりでございます。
 今先生は、確かに今の時代でございますから、特急ということは通常の交通の機関ではないか、その時代の流れに沿ってやはり割引制度を考えていったらどうかという御趣旨かと思うのでございますが、私どもとしては、非常に率直に申し上げまして、先生のお気持ちは大変よくわかるわけでございますが、現在の割引制度全体を拝見いたしますと、学生さんの場合においてもそういった対応、それから私どものほかの、身体障害者一般ではないほかの割引制度が御承知のようにございますが、こういったところでも対応されていないようでございます。これは運輸省さんのお考えがあることかと思うわけでございますが、今後とも勉強させていただきたいと思っております。
○大渕絹子君 学生さんとか一般の人の割引というふうに身障者の方を比較するのはどうかと思います。体に障害のある方というのはそれ自体で私たちよりは弱い方というふうに受けとめなければならない、みんなで協力をして助け合っていかなければならない方ということで、私はそう思っています。内部障害者の方につきましても、五十九年から問題提起がされて、やっときのう実現をするという運びになったわけでございますから、私がこの件についていつまでも質問を続けるあれはございませんけれども、今後の課題といたしまして、厚生省管轄、これは福祉の一策として行うべきものだと私は思っております。その点で前向きに御検討いただきたいと思います。
 それでは続きまして、最近寒くなりましてインフルエンザ等の流行も心配されているわけでございますけれども、そのインフルエンザの予防接種についてちょっとお尋ねをいたします。
 予防接種にかかった費用の決算額、六十一年、六十二年、六十三年度、わかりましたら教えてください。
○政府委員(長谷川慧重君) インフルエンザの予防接種の費用につきましては、地方交付税の中に積算をされておりますので、各自治体の実際の費用は、それぞれの自治体がおわかりかとは存じますけれども、私どものところにおきましては、それの実際の費用についてのデータを持ち合わせておりませんので、お許しをいただきたいと思います。
○大渕絹子君 時間をかければわかりますでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 何人接種をされて、その一人当たりにいわゆるワクチン代が幾らかかるとかあるいは注射針が幾らかというのはわかるわけでございますから、それを掛け合わせますれば概算的な数字は出てまいります。しかしながら、それ以外にいろいろな費用等もございますので、そこら辺になりますとデータをつかまえることは非常に難しいことになるわけでございますので、それはひとつお許しいただきたいと思います。
○大渕絹子君 厚生省ではそういうもろもろの予防接種についての費用というものを毎年つかんではおらないんですか。
○政府委員(長谷川慧重君) 予防接種につきましては、先ほどもちょっと御説明申し上げました
が、地方交付税の中で積算されてございます。そういう面で、地方交付税の積算の中におきましてインフルエンザでございましたら一人当たり幾らというぐあいに決められてございますので、そういう面でそちらの方にお任せしておる状況でもございますので、私どもといたしましては実際の費用等についてのデータは持っていないわけでございます。
○大渕絹子君 私も、費用についてとか接種の人数とかの資料は自分の手元にありますので掛け合わせをするということの算出はできるんですけれども、実際に使われた金額というものが知りたかったわけでございますけれども、わからなければ仕方がないと思います。
 時間がないですので、インフルエンザの予防接種の問題につきまして、大変今全国で学校の教職員組合などからも集団接種についての反対の動きが出ておりますけれども、文部省にちょっとお尋ねいたします。この集団接種について、文部省のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
○国務大臣(石橋一弥君) インフルエンザの予防接種につきましては、御承知のとおり、予防接種法に基づいて、厚生行政の一環である、そして都道府県知事あるいは市町村長が実施しているものでありまして、学校は実施場所を提供して協力する立場にあります。そのような立場の中において、インフルエンザ予防接種の意義でありますとか効果でありますとか、そんなようなことについて保護者や児童生徒等に十分な理解を得るように努めております。そしてまた、児童生徒が予防接種を受けるに当たっては、保護者において児童生徒等の健康状態にも十分配慮するよう指導いたしております。
 こんなことをやっておりますですが、今後とも教育委員会や学校に対してその指導の充実に文部省としては努めていきたい所存であります。
○大渕絹子君 今まで学校単位の集団接種をやめたところの学校がございますでしょうか。
○政府委員(前畑安宏君) 幾つかそういう学校があるということは承知いたしておりますが、具体的な数までは承知いたしておりません。
○大渕絹子君 それでは厚生省の方にお尋ねいたします。
 先ほど言いましたように、教職員組合や消費者団体あるいは市民運動の中で、インフルエンザの集団接種に反対する運動が起こっているんです。新聞等にも時々掲載されている事実があるんですけれども、どうしてこのような反対運動が起こってきたのでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 新聞等でもいろんな情報は私ども聞いておるわけでございますが、いろんな考え方があろうかと思います。インフルエンザ予防接種につきましては、個人的には接種をすればかなり効果はある、しかしながらそれが集団予防接種という形で社会防衛的な意味があるのかないのか、あるいはワクチン株と実際の流行株の差異があることからその効果もないんじゃないかというような、いろんな意見等があるというぐあいに承知いたしております。
 私ども、そういうもろもろの意見があることを踏まえまして、六十二年に実は公衆衛生審議会の方に、インフルエンザの予防接種の当面のあり方ということで御諮問、御相談申し上げたことがございます。その御意見の中におきましても、ちょっと長くなりますけれども読み上げさせていただきますと、
  現在の不活化インフルエンザワクチンを用いた予防接種では、社会全体の流行を抑止することを判断できるほどの研究データは十分に存在しないが、個人の発病防止効果や重症化防止効果は認めれらている。
  また、インフルエンザについては、現在、ワクチンの接種以外に有効な予防手段は存在しない。
  こうした現状を踏まえ、インフルエンザ予防接種は、当面、その法律上の取扱いを変更することなく行うこととするが、国民が自発的意思に基づいて予防接種をうけることが望ましい。
というような内容の意見をいただいております。そういう御意見を踏まえまして、私ども引き続きインフルエンザの予防接種を実施しておるというところでございます。
○大渕絹子君 今おっしゃられましたように、ワクチンの製造も、流行するワクチンを選出するのに大変難しい条件もあると思いますけれども、接種率の低いところと高いところによってインフルエンザに感染する率が大幅に違うとかというような実例はございますでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) いろんな地域で予防接種を実施し、その地域におきます罹患率等を調べていろんな先生方が論文を出しておるということは私ども承知いたしておりますけれども、そういういろんな事例を踏まえて、予防接種委員会で先ほど申し上げましたようなお答えを出しておるというぐあいに受けとめております。
○大渕絹子君 インフルエンザに感染をした場合でも、適切な処置をとれば一週間ぐらいで治る病気である。感染することよりも、むしろ接種によるショックあるいは副作用による病気、後遺症、そういうものの方が不安であるという住民の声が非常に高まっているわけでございますけれども、実際に被害を受けた人の事例はございますでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 昭和五十二年からの重症と認定されました患者数が全体で十一人ございまして、一千百四十万人に一度の割合という形でございますので、頻度というものを申し上げますと一千万に一回というような程度でございますからそう大きな問題ではない。しかしながら、お話ございましたように、かなり重篤な事例もございますので、そういう方に対しましてはいろんな対策といいますか手当て等を行っているところでございます。
○大渕絹子君 その方たちの救済制度というのは実際にはどのようなものでございますか。
○政府委員(長谷川慧重君) 予防接種によります健康被害認定制度というのがございまして、審議会がございまして、その中におきまして個別の事例についての予防接種によるかどうかの判断をしていただきまして、その認定を受けた後、いわゆる医療費だとか、あるいは障害の場合には障害の程度に応じました年金というものを支給いたしておるわけでございます。
○大渕絹子君 もう少し具体的にお聞きをしたかったわけでございますけれども、先ほどおっしゃいましたように、六十二年の八月から、保護者の同意を十分に問診票の中に繰り入れた中で接種をして、集団接種から厚生省としては個別接種へ切りかえたというふうに私は受けとっておりますけれども、よろしゅうございますか。
○政府委員(長谷川慧重君) 予防接種につきましては、一般的には、かかりつけのお医者さんのところで個別接種で行うことが望ましいという考えを持っているわけでございます。しかしながら、インフルエンザの場合におきましては、いわゆる罹患率が高い学童に短期間に効率よくワクチン接種をする必要があるというようなことから、多くの市町村におきましては、医師会あるいは学校の協力で集団で予防接種をしている段階でございます。
 そういうことで、六十二年の、先生のお話にございましたことにつきましては、そういう面で保護者の方々の御意見を十分聞くということを強く強調しておるわけでございまして、接種のあり方、接種のやり方等につきましては従前からの考えを変えておるわけではございません。
○大渕絹子君 接種率の低下ということが言われておりますけれども、どのような低下をしておりますか。年度別にパーセントがわかったらお願いをいたします。
○政府委員(長谷川慧重君) 保健所運営報告をもとにいたしまして全国のインフルエンザ予防接種の実施率を推計いたしますと、昭和五十九年におきましては六五・三%、六十年では六一・七%、六十一年六一%、六十二年四四・八%、六十三年三二%という形になっております。
○大渕絹子君 今の御答弁のように、接種率が非常に下がってきておるこの現状、そして先ほども言いましたように、インフルエンザに感染することよりも後遺症の方が怖いという人たちの考え方を取り入れまして、法律でまだ保護者に義務づけているこのインフルエンザ、これから改正をしていくという気持ちはございませんでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 先ほどお読みいたしました六十二年八月の公衆衛生審議会の答申、御意見の中におきましても、いろいろ意見はあるけれども、現在のインフルエンザワクチンにつきましては、法的制度を変えることなく、引き続き保護者の理解と協力を得て実施することが望ましいというような御意見をいただいているわけでございますので、私どもといたしましては現在のインフルエンザワクチンの接種義務についての変更は考えていないところでございます。
○大渕絹子君 私がなぜこのようにこだわるかといいますと、私、二人目の息子に種痘を受けさせまして、それの大変な副作用で死のふちまで追いやったことがございます。子供の命を預かる母親といたしまして、子供が拒否する力がない時期に予防接種を受けさせなければならないんですね。そういう問題を非常に重要視していきたいと思っているからでございます。
 インフルエンザの件はそれでよろしいですけれども、もう一つ今問題になっている新三種混合ワクチンについて、四月から導入されておりまして、やっぱり問題があって厚生省の方から慎重に行うようにという通達が全国の都道府県に発令をされておるそうでございます。もう時間がありませんのでやめますけれども、こういう新しいワクチンを使うようにするまでの過程において、恐らく慎重に討議をなされた上の導入であるとは思うのですけれども、実施されて半年足らずで副作用の事例がたくさん出てくるというような問題、安全性についての確認が少し不足していたのではないかと思います。まして、おたふく風邪の場合は法律的にも義務づけられていない病気でございますし、導入に対してもう少し慎重であってよかったのではないかと思っております。
 一言申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○会田長栄君 会田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 私は、文部大臣にまず文部行政のあり方について幾つかの点でお尋ね申し上げます。
 歴代自民党内閣は、教育の重要性というものを常に国民に呼びかけてその施策を行ってきました。とりわけ、中央教育審議会答申、臨時教育審議会答申以降、常に教育改革というのを施策に盛り込んで打ち出してきました。打ち出せば打ち出すほどいろいろな問題が生じてきたことも事実のようでございます。何が変わってきたのかといえば、本当に考えさせられる幾つかの課題があります。本日の決算委員会における石橋文部大臣のあいさつ、感銘深く聞いておりました。特に、二十一世紀、我が国の発展は教育に期待するところが大であるということと、心豊かな子供の教育、こう感じ取ったわけでありますから、文部行政もいよいよ心温かくなるんだなと、こういう気持ちを持ちまして受け取っておりました。したがって、具体的に私はお聞きします。
 その一つは、政府予算、すなわち一般会計予算に占める文部省所管の予算比率というのは年々低くなっております。昭和三十年代一二・五%、四十年代一二・二%、昭和五十年一一・三%、昭和五十五年一〇%、そして元内閣総理大臣の中曽根さんの時代の昭和六十年は八・七%となりまして、平成元年度、本年度は私からすれば残念ながら七%台に低くなっているところでございます。教育が大事だ大事だと歴代内閣が呼びかけるごとに一般会計予算に対する教育予算の比率というものは年々低くなってきておる。このことは逆に言えば、歴代の内閣が教育改革を主張してきた大もとは、結局は教育費は父母負担に肩がわりさせるというところに本当のねらいがあったんではないのかという気がしてならないわけでございます。したがいまして、文部大臣のごあいさつにもあったとおり、一般会計予算の文部省所管の教育予算が年々低くなっていることにつきましてどのように考えるか。まず一つはその文部大臣の所見をお伺いしたい。
 二つ目は、少なくとも計画的に昭和五十五年度の一〇%台に早急に引き上げるべきではないか、こう思うわけでありますから、その点での文部大臣の決意のほど、所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(石橋一弥君) お答えいたします。
 大変ある意味では身の引き締まる御質問であったわけであります。当然、教育の重要性を考えてみた中におきまして、やはりお金だけではありませんけれども、でも予算というものの教育に占める大きさ、重要度、これはおっしゃるとおりであります。そこで私どもといたしますとおしかりを受けた形であります。私も、予算の中における教育費の比率を上げていきたい、つまりパイを大きくしたいという考え方、これに向かって今までも党にあったときも努力をしてきたつもりでありますけれども、残念ながら結果がこのようになって力不足を嘆いているのが実際の問題であるわけであります。
 要は、御指摘のとおり、内閣そのものが一体教育というものをどう考えるかということに土台が私はあると思います。また、その土台をきちっとしていくためには、歴代の文部大臣あるいは文部省そのもの、その力が、あるいは考え方が内閣そのものを動かすまでにならなかったことを本当に反省をいたしております。そのような考え方、もちろん今の予算のつくり方がシーリングという一つの枠の中でやっておりますのでこんな形になってきたではないかなと、こう思いますが、これからは、私自身、委員の考え方と全く同じ考え方でやってまいったものでありますので、さらに力を結集して文教予算の拡大ということに力を尽くす所存でありますので、よろしくお願いを申し上げます。
○会田長栄君 力強い決意のほどを聞きまして、本当に頑張ってください。よろしくお願い申し上げます。
 ところで文部大臣、決算委員会でこういう話をするのは何かと思いますが、文部省の教育予算が減れば減るほど実は地方自治体の教育関係予算も減っているという現実、その中にあって例えば教材費が減る、出張旅費が減る。というのは、変な話と言ったのは、出張命令が出て自分の金で出張するという現実も教育界にはあるんですよ。自分では出し切れないからPTAの方におんぶするというのもあるんですよ。こういう現実をひとつきょうの決算委員会の中でも踏まえていてほしいと思いましてこれをお聞きしたわけであります。
 二つ目の問題、これは文部大臣にお伺いします。
 文部省は十一月七日の閣議で、教育白書「我が国の文教施策」を報告、了承されたと聞きます。その内容は、詳細にはわかりませんけれども、小中学校から高校までの初等中等教育の現状を特集して、学校教育の画一化、受験競争の過熱、登校拒否などの教育をめぐる問題を率直に認めていると報じられております。私も現実認識としては賛成でございます。特に、学校教育について、制度や運営で硬直的に過ぎる。二つ目は、指導法も画一的、詰め込み教育という傾向が強い。三つ目は、深刻化する受験競争、すなわち偏差値教育、高校入試問題。四つ目は、教師も生徒も父母も精神的ゆとりがなくなってきている。大胆にかつてないほど文部大臣、文部省は踏み込んだ白書を発行したわけですね。これをひとつお尋ねします。踏み込んでいるんです。今までの文部省の教育白書でここまで思い切って踏み込んだことはないのでございます。私はその意味で、石橋文部大臣今度はさすがやるのかなと期待しているところでございますから、その点まず第一にお伺いします。よろしくお願いします。
○国務大臣(石橋一弥君) 今度の教育白書の中身については、委員御指摘のとおりであります。委
員から特に中身についてお話がありましたので省きますが、要は、今度の白書、反省をしたということですね。反省をしたというのが私は特色ではないかなと、こう考えております。
 では、その反省について一体どのような施策をどのように進めていくかということに相なりますと、幾つかの点については触れておりますが、いわゆる文部省内に設置してありますところの各種審議会、そのようなものの答申等がまだ出ていないのも事実であります。問題点を出してそして反省はしたが、それに対する処方せんがきちっとできていないということで、私も隔靴掻痒の気持ちがいたしておりますですが、さらに具体的には政府委員をして答弁させます。
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま先生からお話がございましたように、今回の教育白書は学校教育を中心にして出しております。特集といたしまして、「社会の変化に対応する初等中等教育」という特集テーマを掲げておりますので、当然学校教育の現状とかその課題とか今後の展望について触れているわけでございます。
 その中で、「学校教育をめぐる諸問題」といたしまして、御指摘のような諸点を挙げているわけでございます。第一に、学校教育の画一性の問題につきましては、我が国の学校教育が明治以来、国民として必要な知識を共通に修得させる、国民全体に共通の基礎教育をしっかりするという観点からは大きな成果を上げてきたということをまずレビューをいたしまして、しかしながら、その制度や運営が硬直的に過ぎるとか、指導法が画一的であるとか、記憶力中心の詰め込み教育の指摘があるとかという問題点を率直に指摘しております。
 そして、それに対応しましては、今後の社会においては、みずから学ぶ力と申しますか、社会の変化に主体的に対応できる能力というものをつけなければならないから、学校教育は子供たちの多様な個性が生かされるように、創造性が生かされるように推進していく必要があるという点を特に述べているわけであります。
 また、御指摘のように、受験競争の問題につきましても触れております。これも現下の我が国の教育にとりましては大きな課題でございます。塾通いも問題になっておりますし、入試選抜に当たりましても、多面的な評価、多元的な評価ということが必要だと指摘されております。そういう観点から、個性教育の推進を図るとともに、入学選抜を改善したり、進路指導を充実したりすることが大事であるということを述べたのであります。
 それから問題行動につきましても、校内暴力、いじめを初めといたしまして、昨今では登校拒否の問題が大きな課題になっておりますので、その問題につきましても率直に取り上げまして、今後の対応として種々の施策を進めている現状を述べている、こういう白書になっております。
 ただ、これは特集のテーマでございますので、そのほかにはもちろん文部行政全般に対します、例えば高等教育の問題とか学術の問題、さらには文化、スポーツ等につきましてもこの白書の中で報告をしている、こういうことになっております。
○会田長栄君 私は、前文部大臣より一歩踏み込んで石橋文部大臣が記者会見をしたことについて期待を持って今質問しているわけでありますから、どうぞ頑張ってほしいと思います。
 次にお聞きしたいのは、先ほど私申し上げましたけれども、中数審答申とか臨教審答申以降のさまざまな実態というのは実は白書には書いてありませんけれども、本来であれば文部省自身が積極的にこのことを指導してきたのではなかろうかと思うから、ついででありますから、その点は一歩踏み込んでほしい、こう思っているんです。
 その次にお聞きしたいのは、これは大臣でなくて局長でいいです、初中局長。
 今さまざまな施策をやってきて、今日、小学校とか中学校とか高等学校の学校現場の実態というのを一体どのように把握していますか。まさしくゆとりなき社会、授業以外は子供から離れる社会、非常に心配しているということがあるものだから、この現場の実態というものをどのようにとらえているか、率直にお聞きしたい。これで長くなると困ります。
○政府委員(菱村幸彦君) 教育の実践の場の実態といいますものは私どももいろんな形で把握はしているつもりでございます。各種の調査もございますし、それから視学官とか調査官が各学校に出かけましてその実態をお伺いしたり、そして必要な指導をしたりしております。また、私どもも適宜各地の状況をいろいろ聞かしていただく、それから教育委員会を通じまして市町村の教育委員会、県の教育委員会等いろいろなところからお話を聞かせていただいたり、各種の教職員の団体の方々からも話を聞いておりまして、実態につきましては私どもなりに承知しているつもりでございます。そうした上に立ちまして、今回の白書もその問題点等をいろいろ書いてきた、こういうつもりでおります。
○会田長栄君 次に、率直にお伺いします。
 文部大臣に就任して以降、これだけ重要な白書を提起しているわけでありますから、これからの教育を考えていくときに当然私は、教育関係の諸団体、教職員団体と直接文部大臣はお話し合いしたことがありますか、ありませんか。お聞きします。
○国務大臣(石橋一弥君) ございません。
○会田長栄君 残念です。私そう思います。残念だと思います。二十一世紀に期待するのが教育、そこまで明言しているなら、私は、文部大臣に就任するや否や、これは同時に白書を発表したところでありますから、早急にぜひ教育関係諸団体、教育職員団体、これとぜひ話し合ってほしいと思うわけであります。これは子供たちを愛するがゆえにです。これからの日本を考えるがゆえにであります。
 そこで、先ほど私が申し上げたのは、白書には大変温かみのある内容が書かれてきている、今度は、率直に。だから大臣、そのものも温かみのある施策が出てくるでしょうと、こういう期待をしておったところでありますから、ひとつぜひやりましょう、そんなにちゅうちょすることはない、こういう決意のほどを聞かせてもらいたい。
○国務大臣(石橋一弥君) 激励をいただいてありがとう存じます。
 各団体と会ってお話を聞くことでありますが、まだ私もやっと三カ月になったかならないぐらい。そこでこの問題、文部省といたしますと、長い歴史があるわけでありますので、私もきちっと本問題について検討をいたしたいと思います。
○会田長栄君 残念です。こんなもの検討することではないでしょう。ここまで踏み込んだら、文部大臣、勇気を持って、文部省内で話し合いをして、積極的にみずから飛び込む姿勢を待ってほしいと私は思いますから、お願いしておきます。これはたびあるごとにお願いするつもりでありますから、よろしく。
 それからもう一つこれに関連をいたしましてお尋ねします。
 実は、先ほど私お聞きしたのは、学校現場の実態というのは大変な状況にきている。一例を挙げれば、勤務時間などはあってなきがごとしであります。無定量の勤務というのは常識的になっております。それでも現場の先生方は、ここは何とか直したいと頑張っておる。
 しかし、考えてみますと、温かみのあるような行政をしてほしいという次の点は、これは十年前とか十五年前に、全国統一闘争などということで実は地公法事件としてそれぞれ各県の人事委員会で審理が続けられていることは事実ですね。それで、地方の人事委員会もいろいろやってみて、今日の教育現場というものはまことに無定量勤務に近い状況にあることも率直に認める、何とかしてそれを一歩でも打開したいというところで努力していて、審理の中にあって、実はこの問題をこの辺で、経済的負担を十年も十五年も二十年も教職員に課すことは過重なのではないのかというようなところから、和解してみたらどうなんだ、時代が変わってきた、こういう意見があって出てくる
わけでありますけれども、最終的にどこが聞くかというと、文部省に行ってその話をすると、それはノーだ、だめだと、こう言うらしい。ここは確実でないから、らしいと言っておきます。それで具体的に進まない。それではせっかく温かみのある、教育行政と実際は違ってしまうのではないかと思うから、そこは今後柔軟に対応してほしい。そのお考えがありますか。お聞きしたい。
○国務大臣(石橋一弥君) 御質問の趣旨を、今まで各都道府県の人事委員会裁定等がいろいろありました。あの過去のいろんな、まあ言葉は悪いですが、闘争という話になりますと、これは文部省といたしますと、和解する気持ちは持っておりませんです。
○会田長栄君 それがもう書いてあることとやることが違うということなんですよ。そんな教育行政ではだめですと私は言っているんですよ。今は十五年とか二十年前の話をしている時代ではないんですね。今日の話の中でどう一致点を見出すかにかかっているんですよ。それを各地方地方がやろうとしているときに、その大もとになる文部省自身が水を差すということはやめるべきでないかと、こう言っているわけです。これもこれから一生懸命粘りますから、そのおつもりでいてください。
 それでは次に、私学助成についてお伺いします。
 まず一つは、私立大学の助成について幾つかの問題を尋ねますが、我が国の教育を語るとき、私学の果たしている役割はまことに重要であるということはお互いであります。そういう意味で、今日まで、昭和四十五年度に創設された予算補助、その発展として、議員立法によって私立学校振興助成法というものが成立をしています。そうして、参議院でも附帯決議がされて、その振興助成法に基づいて、二分の一以内の国庫補助率をできるだけ速やかに二分の一とするよう努力することという附帯決議があることも学びました。
 ところで、平成元年度の予算を見てみますと、私大等の経常経費総額に占める本補助金の割合を見ると、昭和五十五年度の二九・五%をピークに年々下がり、昭和六十三年度は何と一六%になっている。したがって、本院での決議と全く反していると言わざるを得ない、こう思っております。この点はあってはならないと思いますから、この際、先ほどの教育予算と関連をして今後とも御努力願いたいということをお願いしておきます。
 具体的にお聞きしたいのは、これは平成元年の九月二十六日付「内外教育」で報道されたことに関して幾つかの点を率直にお聞きします。できるだけ率直に明らかにしてもらいたいと思います。
 その一つは、昭和六十三年度私学助成において、福岡大学医学部は入学者数が定数を大幅に超えていたため補助金がゼロとなった、このことは事実かどうかお聞きしたい。
○政府委員(野崎弘君) 今お話しの点は、現在の制度からお話しした方がよろしいかと思いますので、若干制度に触れさせていただきますと、定員超過率の著しい学部等につきましては、私大等の経常費補助金の交付対象から除外をする、こういう制度になっておるわけでございます。
○会田長栄君 六十三年度とこう聞いていますから、そのとおり言ってください。
○政府委員(野崎弘君) その事実だけあれしますと、今先生の御指摘のとおりでございます。
○会田長栄君 補助金ゼロになったというのは、百人の定数に百二十一人が入学したことがゼロになった根拠でございますか。
○政府委員(野崎弘君) 医・歯学部につきましては、入学定員に対しまして一・二倍以上の者を入れますと補助金の交付対象から除外するということになっておりますので、そういう考え方で除外になった、こういうことでございます。
○会田長栄君 昭和六十三年三月十四日に、実は昭和六十二年度分の調整係数表というものがあって、該当していてゼロになったんだと、こういうことでありますが、昭和六十三年三月十四日というのは実は私学で卒業式が終わった後でしょう。大体私学は卒業式終わるか終わらないかのところです。私学経営者にとったら、年度初めにその基準額を明らかにして助成額というものを見込んで年間の経営に当たるんじゃないんですか。それを年度末に改正をして減額、ゼロとなったら、私学に対する影響というのは大変じゃないんですか。そう思いませんか。
○政府委員(野崎弘君) 御指摘の点でございますが、入学定員に対しまして一・二倍以上になりましたら補助金を交付しないという措置は、これは昭和五十六年度以降そういう措置を講じております。
 それで、御指摘にございますように、補助金を交付するかしないかということは大変私学の経営にとっては大事なことでございますので、こういうようなことにつきましては、私どもは事前に私学に対して周知徹底を図りまして、私学におきましても適正な定員の管理をしてほしいということを要請しておるわけでございまして、今の福岡大学の件は、これは当然もう福岡大学自体におきましても事前に十分承知をしておった件でございます。
○会田長栄君 それでは次に、大分問題になっておりますところの帝京大学の助成額について、これも「内外教育」のことに基づいてお聞きいたします。
 帝京大学の助成額は前年度より四億七千七百万減額、十九億七千八百八十万円と発表されております。この減額理由について文部省は、傾斜配分の強化によるものと説明しているようであります。減額の原因となった学部は一体どこなんでしょうかということが一つ。それからもう一つは、調整係数表のどの項目に該当して、どのランクからどのランクに落ちたのか、ちょっとお聞きしたい。
○政府委員(野崎弘君) 帝京大学につきましては、今お話ございましたように、調整係数表で計算いたしまして、傾斜配分の結果そういう数字が出たということでございます。御存じのように、私学の予算というのは、トータルその年の予算というのは決まるわけでございまして、私どもはそのトータルの予算というものをできるだけ効率的に執行したい、こういうことでございます。端的に申しまして、この調整係数表というものを全然いじりませんでやりますと、予算というものが足りなくなるわけでございます。これは学生数がふえてきたり教員数がふえるというようなことで足りなくなります。そういうようなことで、これは毎年予算の総額にできるだけ合うように調整係数表というものを改定してきておるわけでございます。
 ちょっと技術的な話になりますが、調整係数というのは三点の要素を入れておりまして、一つは、学生定員に対して実際の学生数がどれくらい入っておるか。これは、学生総数が定員に対して大変入っているほど率が悪くなります。それからまた、足りなければ足りないなりに率が悪くなる、こういう制度でございます。それから第二点の要素は、教員の数に対して学生数がどうか。つまり教員一人に対して学生数がどれくらいいるか。これはできるだけ教員の数に対して学生数が少ないほど定員がよくなる。こういうようなのが二番目の係数でございます。三番目は、今度は学納金を入れておるわけでございますが、学生納付金でございますね、学生納付金に対しまして教育研究経費にどれくらいそれを還元しているか。教育研究経費にできるだけ還元したところにその点がよくなる。こういうような三点の要素を考慮いたしまして現在の傾斜配分というのを行っておるわけでございます。
 帝京大学の場合は、そういう傾斜配分表、特に今三点目に申し上げました学生納付金の教育研究経費の還元状況につきましては、傾斜配分を強めるということで調整係数表を六十三年度つくったわけでございますが、そういうこと等によりまして、帝京大学の場合は学生納付金が比較的高額である、そういうようなこともありましてその影響が出てきた、こういうことでございます。
○会田長栄君 そうすると、先ほど申し上げたとおり、帝京大学への助成額というのは傾斜配分で減額になりましたということですか。
○政府委員(野崎弘君) そういう点が大きな要素でございます。
○会田長栄君 そういう点が大きな要素なんと言われるとまた勘ぐりたくなるんですよ。それはなぜ勘ぐりたくなるかというと、三つしか言わなかったですね。だから、帝京大学の助成額の減額というのが傾斜配分で減りましたと言えばそれで一番わかるわけね。ところがそうでもなくて、もう一つあるというから、もう一つあるというのは、要するに補助金の基準額の調整として四項目あるうちの四番目。四番目というのは何ですか。お聞きします。
○政府委員(野崎弘君) 経常費助成は一般補助と特別補助という二つがございます。
 一般補助は、今お話しいたしましたようなそういう傾斜配分で実施をしておるわけでございます。したがって、この部分につきましては、今先生の御指摘になりましたように、これは傾斜配分の影響が出た、こういうことでございます。それから特別補助につきましては、これはそれぞれの事由によりまして特別補助を実施しておるわけでございまして、この部分につきましても帝京大学の場合には減額があったということでトータルとしてこれだけの金額が出た、こういうことでございます。
○会田長栄君 主なるものと言ったから聞いたんですよ。主なるものと言ったら最初の三項目。その次にあるものは四項目目ということなんですよね。要するにこれは、経営管理状況、財政状況、事務処理状況等につき必要あるときは文部大臣と協議の上調整できるというところなんでしょう。違いますか。主なる部分と言った以外のところ。
○政府委員(野崎弘君) 今の部分のことではございませんで、まさに傾斜配分の結果、それから特別補助の部分、そういうものの結果これが減額になった、こういうことでございます。
○会田長栄君 実は「内外教育」だけではありませんけれども、生涯学習振興財団の設立認可問題に関して帝京大学が八億円の寄附をした。そのことが問題になって、文部大臣も見直しをする、私学助成金の見直しをすると。見直しをしてみた結果八億減ったというものだから、誤解も受けているところあるんですよ。
 しかし、私がここで言いたいのは、それは傾斜配分とか基準によって、だれが見ても客観的に減るのが当たり前、ふえるのが当たり前というのなら私は構いません。ところが、要するにリクルート疑惑問題と関連をいたしまして、前文部事務次官の関係したことがあって、生涯学習振興財団の問題から仮にこの問題が出てくるとしたら、それはちょっとおかしいんではないのかということをお聞きしたいんですよ。例えば一私立大学が八億もの寄附をぽんとできるわけがない。福岡県教育委員会がそのことをわかっていて設立認可するわけがない。文部省と福岡県教委と大学と一緒の相談がなければこういうことは私はできないんじゃないんですかという意味なんですよ。そういう情勢であればあるほど、こういう誤解を生むような四項目目の適用というのは相当客観的にしておかなければいけないという意見を持っているからお聞きしているんです。改めてお聞きします。
○政府委員(野崎弘君) 先生の御疑念でございますが、現在の制度の仕組みでは、そういう文部大臣が裁量するというような計算方法になっておりませんでして、先ほどもお話しいたしましたけれども、私立大学等の実際の専任の教員数あるいは専任の職員数、学生数、それぞれに所定の単価を乗じる、それに先ほどのような調整をした傾斜配分を行う、こういうことで数字が出てくる形になっておるわけでございます。そういう意味で、先生の御疑念の部分は私どもはそれは断じてないと、このようにお答えをさしていただきたいと思います。
○会田長栄君 私がどうもこの四項目目、先ほど申し上げたとおり、経営管理状況、財政状況、事務処理状況等につき必要あるときは文部大臣と協議の上調整できるということ、この中身を客観的にしておかない限りこの種の問題は必ず誤解を生む。したがって、私が言いたいのは何かといったら、世間でも言われているとおり、「内外教育」でも言っている、文部省はついにみずからの、文部省という所管の次官がおやりになったことについて文部大臣みずから制裁報復措置をとったなという、一般的に、この「内外教育」でも言われていますが、そういう誤解は一切ないんですね。お聞きします。
○政府委員(野崎弘君) そういうことはございませんで、先ほどお話ししたような仕組みの中で計算をした、こういうことでございます。
○会田長栄君 それでは、今後も私も十二分にそれを勉強させてもらって、そういう疑いのないように話を何回となくお尋ねしますから、きょうのところはこれで終わりまして、私立高校への助成について二つだけ質問申し上げます。
 一つは、私立高校への助成に関しては、県費負担の額に応じて助成する仕組みとなっており、この制度が私立高校の水準を維持することに重要な役割を果たしていると考えるが、文部大臣の所見はいかがでございましょうか。
○政府委員(野崎弘君) 私立高校の助成の趣旨はまさにそういう趣旨でございまして、国から都道府県に対してこれを補助しておるわけでございまして、国の補助は都道府県の助成水準というものを勘案して補助する、こういう仕組みになっておるわけでございます。
○会田長栄君 私立高校の助成に関しまして今御意見を聞きました。
 それでは、数年来自治省から、県費を前提とする助成基準を改めなさいというお話があるとお聞きしております。ありますか、ありませんか。
○政府委員(野崎弘君) 御指摘の点は、都道府県からの助成につきまして現在最低限度額制度というものを設けておるわけでございますが、この制度を廃止したらどうかということで自治省から要請があることは事実でございます。
○会田長栄君 事実ですね。事実なら、私立高校にとりまして大変な問題が出てくるわけでありますから、ここで改めて、そういう自治省からの要請があっても文部省としては従来からの見解の上に立って強力にこの趣旨を守りますと、こういう決意のほどをお聞きしたいんです。
○政府委員(野崎弘君) そういう撤廃につきましての要請があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、各都道府県の助成水準を引き上げることとか、あるいは都道府県間の助成水準の格差是正を図る、こういうことによりまして私立高等学校の教育条件の維持向上、あるいは就学上の経済的負担の軽減等、こういうことに資してまいりたい、こう思っております。これは補助制度発足当初より設定されているものでございますから、文部省としてもぜひこれは必要なものと、そういう考え方でございます。
○会田長栄君 時間の関係がありますから、私立幼稚園の問題については、日本私立幼稚園連合会、ここで打ち出されていることと、それから本院で決議されていること、附帯決議が出ていることに関連をいたしまして、文部省として今どのように考えているか、簡潔にお聞きしたい。
○政府委員(野崎弘君) 先生の御指摘の点は、個人立幼稚園等の法人化の促進のお話でございましょうか。
○会田長栄君 そうです。
○政府委員(野崎弘君) そういう点でお答えをさしていただきたいと思うわけでございますが、これにつきましては、昭和五十七年の法改正のときに附帯決議があったわけでございまして、その附帯決議というものを受けまして各都道府県に対して通知を出した。その通知の具体の中身は、認可基準の運用の弾力化、そういうことによって学校法人化の促進を進めてほしいという趣旨の通知を既に出しておるところでございます。
○会田長栄君 次にお聞きしたいのは、学校事務職員、栄養職員の国庫負担制度について、文部大
臣としての決意のほどを、文部省としての決意のほどをお聞きしたい。
○国務大臣(石橋一弥君) 義務教育費国庫負担制度、これは今後とも堅持をいたしたい、こう考えております。
○会田長栄君 ありがとうございました。頑張ってください。
 そこでもう一つお願いしておきます。これ、毎年毎年、除外するのしないのという動きが政府部内にあります。したがって、学校事務職員、栄養職員の精神的負担というのは物すごいのであります。もう本年限りでこういう議論のないように最終決着を堅持するというところで頑張ってほしいということを最後にお願いしておきます。
 次に移らせていただきますが、これは農政と農業高校のあり方の関係でお聞きするんです。
 御承知のとおり、農業高校を卒業しても農業後継者たり得ないというのが今日の現実であります。したがって、それは今私から言わなくても、文部省が調査をしていればその傾向というのは一目瞭然だと、こう思うわけでありまして、農業高校の今日の時代に合うような抜本的な施策、同時にこれのおおよその原因というのは農政にあるわけでありますから、まあ悪いけれども、自民党さんの猫の目農政、こういう言葉遣いは悪いけれども、しかし、くるくると変わるんだから猫の目と、こう言わざるを得ない。ここに問題はあるわけでありますから、こういう点ひとつ調整をして、ぜひしっかりした農業後継者が農村の活性化に役立つように、文部省としても頑張ってほしい、この件につきましてはこうお願いしておきます。
 次にお伺いしたいのは、専修学校及び各種学校についてお尋ねします。
 専修学校、各種学校の設置基準、認可基準というのは、各部道府県教育委員会にあると思います。しかしなかなか設置基準、認可基準に適合しない。看板は看板、中身は中身、別ですという看板倒れの学校が年々マスコミをにぎわしております。したがって、これは総理府並びに文部省の指導監督、この点が強化されなければいけないんじゃないか、こう思っているところでありますが、それについての御所見をお伺いします。
○政府委員(横瀬庄次君) 専修学校及び各種学校について、いわゆる学校の内容の広報と、それから実際に行っておる教育の実際の内容との間の差があるというようなことにつきまして、ただいま先生が御指摘のようにしばしば報道されております。特に、昭和六十二年の一月に総務庁の行政監察に基づく勧告がございまして、このときにも一部の学校においてそういう具体的な事例があるということが指摘されました。
 そこで文部省は、それ以前でございますが、昭和六十一年の一月から、専修学校の教育の改善に関する調査研究協力者会議を設けまして、そこでその広報のあり方についていろいろと検討いたしまして、その次の年の六月に専修学校のいわゆる適正な生徒募集のあり方についての提言がなされました。これは主として専修学校のいろいろな自主規制を行うとか、あるいは専修学校の概要表の作成について基準を設けるとか、あるいは専修学校に対する進路指導の資料を作成するとか、そういうような具体的な提言が六項目ほど出されまして、これを受けまして、文部省としては、専修学校の団体とか、あるいは都道府県の、今おっしゃいました所轄庁への指導でありますとか、そういうことを重ねてきておりまして、それによって今御指摘のようなことがなくなるように指導しているところでございます。
○会田長栄君 最後でありますが、労働大臣に労働行政の基本にかかわって一つだけお尋ね申し上げます。
 御承知のとおり、国鉄が民営・分割化されてJRになりました。JRの事故は頻発しております。そのことをきょう語る気はありません。もう一つ特徴的なのは、これも本院で附帯決議六項目が挙げられているとおり、実は清算事業団に働いている人たちの雇用を守る、これは中曽根総理大臣みずから、一人も路頭に迷わせない、こういう見解を発表してきたわけでありますが、今日、清算事業団で働いていると言ったらいいのか、正直言えばいるといった方がいいですね。本当に働く者の人権すら疑問になるような仕事をしているということについて、労働行政を預かる労働省としてどういう所見をお持ちかお聞きしたいということが一つ。
 もう一つは、少なくとも労働行政を預かる労働省といたしましても、この種の問題は、単に運輸省というんではなくて政府全体が中心になって雇用の安定を図っていかなければいけないんじゃないか、こう思うわけでありますから、御所見のほどをお聞きしたいわけでございます。
○国務大臣(福島譲二君) 御質問にございました清算事業団に勤務される職員の皆様方の現況につきましては、これはやはり運輸省の方の直接の担当分野かと存じますので、今この際私からの答弁は御遠慮させていただきたいと存じます。
 いずれにいたしましても、まだかなり多くの職員の皆さんが再就職先が未定であるという現状でございます。民営化当初からこの二年半で約五千名強が再就職いたしましたが、本年の十一月一日現在では、北海道、九州が大変多いわけでございますが、合わせて二千二百十八名の職員が再就職先未定という現状でございます。
 国鉄清算事業団、来年の三月には解消されることになるわけでございますので、その三月までに再就職促進法の趣旨に基づきまして完全な再就職を確保するということが何よりも大切なことでございます。――今ちょっと私間違えました。清算事業団が三月でなくなると申し上げましたが、再就職促進法が三月で失効するということでございますので、それまでに全員何とかしなきゃならない。これは前々からの内閣が一貫してとってきたところでございまして、単に労働省だけでなく、政府を挙げてという御趣旨のもとに、関係閣僚会議も再々開きまして、この三月までに再就職先を決定すべく全力を挙げておるところでございます。
 幸いにしてと申しますか、現在、人手不足の状態が大変強く、有効求人倍率からいたしましても多くの方々をまだまだ吸収できる職場というものを私どもの方の公共職業安定所も多数提供をいたしておるところでございまして、この三月までに、働く意欲を持っておられる全員の皆様方が再就職できるように今後ともなお全力を尽くしてまいりたいと存じております。
○会田長栄君 列車事故が頻繁に起きる、要員が足りない、そして事業団に置く、変な矛盾が交通行政にあるわけでありまして、そのことをきょう言おうとは思いません。労働行政を預かる労働大臣といたしまして、あれだけのエネルギーを持った人を遊ばせておいてはならないという視点からお聞きしましたので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。質問を終わります。
○一井淳治君 身体障害者の雇用問題に関連してお尋ねいたしますけれども、障害者の雇用の促進等に関する法律によりまして、民間企業は一・六%の障害者の雇用が義務づけられておるということは、これは皆様御承知のとおりでございますけれども、民間企業の雇用率の達成状況がどういう状態なのか。全体での雇用率と規模別の雇用率について御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(七瀬時雄君) お答え申し上げます。
 一・六%の身体障害者の雇用率が適用される一般の民間企業、これは六十三人以上の規模の企業でございますが、そこにおける平成元年六月一日現在の雇用率は一・三二%となっておりまして、実雇用率は前年から〇・〇一ポイント上昇いたしております。また、雇用率未達成企業の割合は四八・四%でございまして、前年から〇・一ポイント改善されております。
 また、雇用率を規模別に見ますと、六十三人から九十九人までの企業規模では一・九九%、百人から二百九十九人まででは一・五〇%、三百人から四百九十九人まででは一・二四%、五百人から
九百九十九人では一・一七%、千人以上の企業規模では同じく一・一七%となっております。
○一井淳治君 先ほど申し上げました法律の十五条によりますと、労働大臣は、雇用促進のために雇用率未達成の事業主に対して、身体障害者の雇い入れ計画の作成を命じることができるようになっておりますけれども、昨年度中にこの計画作成命令を何件出されておるのか。そしてその内訳として、規模別、その当該企業の雇用率がどうであったかということについて御説明をお願いいたします。
○政府委員(七瀬時雄君) 御指摘の法律十五条に基づきまして、昭和六十二年に雇い入れ計画の作成を命令した企業数は二百七企業となっております。これを企業規模別に見ますと、千人以上の規模が五十一企業、それから千人未満五百人以上の規模が百一企業となっております。
○一井淳治君 百一と五十一と言われましたけれども、雇用率はどの程度になったんでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先ほど六十二年と申し上げたようでございますが、六十三年度中でございます。おわびいたします。
 命令を出しました二百七企業の雇用率は〇・七〇%程度でございます。
○一井淳治君 それから大企業の雇用率未達成企業の割合はどれくらいになっておりますか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先ほど申し上げましたように、千人以上の規模で一・一七%となっております。
○一井淳治君 一・一七%の平均雇用率になっておるようですが、雇用率未達成の企業の割合、これはどれくらいになっておりますか。
○政府委員(七瀬時雄君) 雇用率未達成企業の割合は八〇%でございます。
○一井淳治君 私が手元で見ております資料と、それから労働省の御担当の方がお手元でごらんになっている資料とは同じだと思いますけれども、企業規模が千人以上の雇用率未達成企業の割合が八〇・四ということですね。そういたしますと、それ以下の企業に比べて、例えば一番小規模の六十三人から九十九人の企業についていいますと三九・八%ということで、小企業ほど雇用率達成割合は高いわけでございまして、大企業は経済力があるわけですから雇用率の達成が非常にやりやすいというふうに思うんだけれども、逆に雇用率が非常に悪いという状況になっておるわけでございます。
 このように、大企業が身体障害者を雇用しなくてもよいという何か共通の理由でもあるんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先生御指摘のとおり、大企業が全体として雇用率の水準が低いことは御指摘のとおりでございますが、例えば千人以上の大企業につきましても、その雇用の改善状況を長期的に見ると、企業全体と比較してかなり大幅な伸びを示しておりまして、大企業におきましても雇用改善に相当の努力が見受けられるところでございます。ただ、大企業の実雇用率の算定の基礎となります常用労働者数が大きいため、実雇用率の急速な向上が実現しにくい側面がある。そういうことでございまして、ここ十年ぐらいのタームで考えてみますと、実雇用率は大企業と企業規模全体の格差は大きく縮小している傾向がございます。
 また、全般的に見まして、重度の障害者や比較的年齢の高い障害者の方々の側の御希望として、大企業よりは家族的雰囲気のある、あるいは通勤に比較的利便のある中小企業を選択される傾向があるといったような事情もあろうかと思っております。
○一井淳治君 ただいまの御回答に、十年ぐらいの経過を見ると大企業も雇用率が進んでいるという御説明でしたが、もっと肝心なところを見忘れられたら困るので御注意申し上げます。
 御存じとは思いますけれども、大企業の場合は、六十二年度は一・一八%の雇用率であったものが六十三年度は一・一七%に雇用率が下がってくるという非常に困った状態があるわけですね。それを見過ごされたら困るわけでございますけれども、どうですか。もう一遍お尋ねしますけれども、今あなたがおっしゃられました理由というものは雇用率を達成しない理由にはならないと思うんですが、どうでしょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先生御指摘のとおり、大企業の雇用率が昨年に比べて〇・〇一ポイント下がったという残念な事実がございますが、この点は、最近の雇用情勢を反映いたしまして全体の雇用数が伸びた割には障害者の雇用が伸びていないという、そういう問題点は厳粛に受けとめたいと思っております。
 先ほど申し上げましたのは、例えば昭和五十二年におきまして全体が一・〇九であったものが、大企業について〇・八〇であった、その格差が縮小しているという事実は申し上げたわけでございますけれども、昨年に比べて落ちているということについては大きな課題として受けとめたいと思っております。
○一井淳治君 大企業の場合は、納付金の納付で、言葉は悪いかもしれませんけれども、身体障害者を実際に雇用しなくて、金で買えるんだという思想があるのではないかと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。そしてまた、納付金の納付が雇用率を高めていけない一つの理由になっているんじゃないかという心配がありますけれども、その点はいかがでございましょうか。
○政府委員(七瀬時雄君) 先生御承知のとおり、納付金制度と申しますのは、障害者を雇用する、あるいは雇用が少ないその間の経済的負担を調整する制度でございまして、その点については事業主の方々の御理解を得るように鋭意努めているところでございます。
 したがいまして、全般的に申しまして、納付金を納めているからいいということではなくて、やはり法の精神に基づいて雇用率を伸ばさなければならないという、そういう気持ちは大企業の中にも当然あるわけでございまして、私ども、あらゆる機会を通じてそういった雇用率の達成ということを主眼にしながら行政指導を進めているところでございます。したがいまして、もし万一、一部に納付金を納めさえすればというようなことがあるとすれば問題でございますので、その点にも十分留意しながら行政指導を進めてまいりたいと考えております。
○一井淳治君 身体障害者の方もなかなか世知辛い世の中で大変だと思いますけれども、雇用する側も現実の問題として容易ではないということは私ども理解はできます。しかし、これはもう社会全体の問題として、温かい人間味をもって身体障害者を大切にしてあげるということを広く社会の共通の常識としていかねばならないというふうに思うわけでございます。
 外国などの立法例を見ますと、例えば身体障害者に対する解雇制限、これは刑罰をもって報いるというふうな強力な方策をとっておりますけれども、日本の場合はわずか四万円の雇用のための納付金ということで、雇用の未達成に対して甘い状況があるというふうに思うわけです。特に、大企業の場合非常に自覚が足らぬのじゃないかというふうに思うわけで、労働省といたしましても、特に最近は労働省の場合にはいわゆる癒着の問題ということで、国民から厳しい目で見られているというふうに思いますが、そういったことを払拭するためにも、この際大企業に対して一番雇用率の低い層に対して強力な御指導をいただかなければならないと思いますけれども、いかがでございまょうか。
○政府委員(清水傳雄君) 身体障害者の雇用がどの程度進んでいるかというのは、やはりその国の経済社会のある意味におきまして発展と申しますか、そうしたレベルの高さを示す一つのバロメーターであろうかというふうに私ども考えております。雇用納付金によって金で買うとかということじゃなしに、納付金を納めている企業というのは未達成企業ということになるわけでございますので、その企業が雇用率、雇用義務を免れるというものじゃなしに、逆にそこに対して私どもといた
しまして雇用率を達成するように、そうした一連の行政措置、指導を講ずる、まさにそこが対象になる、このように考えておるところでございます。そうしたところから、特に大企業の事業主の人たちを私どもブロック別にお集まりを願って、そうしてこの制度の趣旨の徹底、それからいろんな雇用をされている場合の好事例、ノーハウ、そうしたものをお話をし、雇用が進むような措置をここ一年強力に講じつつございます。
 最近、非常に一般雇用が伸びておる、そういう分母の大きさがふえている、そういう状況の中で身体障害者の雇用者数そのものも増加をしておるのでございますが、相対的に率が低下をしている、こういう事情にもあるわけでございます。しかし、それだけになお一層身体障害者を雇用する環境が整っていると反面言えるわけでございまして、今申しましたような考え方で強力に進めてまいりたい、このように存じます。
○一井淳治君 現在は相当社会も景気がいいわけで、企業の方も経済的な余力がありますし、また働く人たちの就労という面でも非常に有利な条件にあるわけでございますから、こういうときに身体障害者の雇用率を高めるように一層の御努力をお願いしたいと思いますけれども、ここで大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
○国務大臣(福島譲二君) るる御質問がございましたが、私も、身体障害者の方々が働きたいのに働けない現状というのはいろんな理由がたくさんあるだろうと思います。私どもの身内の近くにもそういう者がおるものですから、どこに隘路があるかということも私自身十分承知をいたしております。例えば通勤等に当たりましても、歩行困難な者が手で動かす自動車を運転して、そして会社に通おうと思いましても、その駐車のスペースもない。いろんなことが本当に現実に大変隘路になっておりまして、この駐車場の問題一つつかまえても、現実にその確保を図ってやるということは、今の都会の地価状態などから見まして大変困難なところが多いわけでございます。
 そういう意味で、これはもう労働省だけでなく関係の各省にも御協力をお願いいたさなければ思うようにこれが伸びていかない現状かと思います。私もこの身体障害者の皆様方の雇用の問題につきましては今後とも全力を尽くして、十分に意を用いながら対処をさせていただきたいと思っておりますし、今御指摘がありましたような大企業において格別十分でない状態というのは大変残念なことでもございますので、私どもも機会あるたびに、こういった関連の企業に対してこの問題に対する配慮を求めるべく、あらゆる機会を利用させていただきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、今後とも十分にこの問題、労働省の最重点事項の一つとして取り扱わせていただきたいと思います。
○一井淳治君 次に、労災補償制度の問題についてお尋ねいたしますが、昨年の八月五日に労働基準法研究会がいわゆる中間報告を出されまして、それから後、労災補償制度の改定の問題が論議されてきておるわけでございますけれども、この問題での現在の進行状況ということについて御説明をお願いいたします。
○政府委員(野崎和昭君) 労災保険制度の改善につきましては、ただいま委員御指摘のとおり、最近の経済社会情勢の変化あるいは今後の高齢化の一層の進展等を踏まえまして、昨年八月以来、労災保険審議会の委員全員による懇談会におきまして制度全般にわたりまして幅広く御議論をいただいているところでございます。現在のところ、一わたりの論点につきまして議論を終わりまして、今後改善としてどの問題を取り上げるかという点につきまして、公益委員を中心に整理が行われているところでございます。
○一井淳治君 世間では、公益委員の方が一つの取りまとめをして、これが労災保険審議会に対する諮問のたたき台になるんだということが言われておりますけれども、この世間で言われている情報は正しいんですか、どうなんですか。
○政府委員(野崎和昭君) 現在行われております検討の場は、労災保険審議会の委員全員による懇談会の場でございます。したがいまして、公益委員のほか労使委員も参加している場でございます。そこでまず問題点を基本的に整理するということで、その整理のための作業を公益委員が中心になって行っているということでございまして、公益委員の案なるものはもちろん内々できておりまして、現在それをもとに労使の方がそれぞれの側の意見を整理しておられるという状況でございます。そこで懇談会の意見がまとまりましたならば審議会に正式に諮問することになるということでございます。
○一井淳治君 今後どのような進行になるんです
○政府委員(野崎和昭君) 懇談会に対しましては、年内にできれば御意見をまとめていただきたいというふうにお願いいたしております。したがいまして、年内に懇談会としての一致した意見ができますれば、それをもとに政府の方で必要な法改正を含む措置を検討いたしまして、法改正が必要なものについては改めて労災保険審議会に諮問をするということになろうかと思います。
○一井淳治君 現在はそういうふうな状況のようでございますし、また、きょうはもう時間がございませんのでその内容について詳しくはとても申し上げられませんけれども、労災事故の被害者の権利に関する極めて重要な問題で、生活に直接強く影響することでございますので、十分慎重なる審議をお願いしたいということでございます。
 特に、この中間報告は、法律的な見解といいますか、机の上でのかなり思いつき的な見解が列記されておりまして、労災被害者の実態というものについての調査がほとんどなされてなかったというふうな点もあると思いますので、今後事実関係も十分調査して、労災被害者の権利を不当に切り下げることがないような慎重な進め方をお願いしたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(野崎和昭君) 労働基準法研究会の報告につきましては、御指摘のような御意見もございましたので、報告が出ましてから今日まで一年半にわたりまして検討を続けていただいているわけでございます。また、報告も一つの参考資料でございますけれども、それだけではなくて、幅広く労使の意見を伺って検討を進めているところでございまして、そういう見地に立ちまして今後とも慎重に検討してまいりたいと思います。
○一井淳治君 それから、瀬戸大橋が架橋されたことに伴いまして、関連する船会社の廃業や縮小で離職者が大量に発生いたしましたけれども、その関係での現在の離職者数はどれくらいになっておるんでしょうか。
○政府委員(清水傳雄君) 瀬戸大橋の建設に伴う一般旅客定期航路事業等からの離職者数は六百八十三名でございまして、そのうち、いわゆる陸上部門に再就職をしたい、こういう形で公共職業安定所に求職申し込みをされた方々は二百八十二名、再就職をした数は百三十四名、それからなお、未就職で現在求職中の人たちの数は四十八名ということになっております。
○一井淳治君 未就職の方の就職に対する対応をできるだけ促進できるようにいろいろと手厚い御配慮をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(清水傳雄君) この離職者の方々に対しましては、法律に基づきまして雇用対策を展開いたしております。具体的に申し上げますならば、求職手帳を発給いたしまして、雇用保険につきましても四十歳以上については九十日の延長給付を行う。さらに、雇用保険の給付期間が切れた後におきましても、二年間の就職促進手当を支給する期間を設ける。そしてまた、訓練を受けられる方々には訓練手当を支給する。さらに、足を伸ばして広域的な求職活動をされる方々には必要な手当、活動費を支給していく。移転して就職をされる場合には移転費を支給する。早期に就職をされる方々には就職支度金を支給する。こうした一連の手だてを講じまして、再就職対策を行ってお
るところでございます。
 関係いたします県、香川県なり岡山県あるいは広島県、現時点におきましてそれぞれ皆全国平均の求人倍率を上回るそうした就職口につきましても、全国的に見まして求人数も多い地域でございまして、いろいろと離職者の方々の御事情もあろうかと存じますが、そうした方々の事情に即した再就職の促進ということに向けまして、就職促進手当等の期間もなお残っているところでございますので、そうした中で最大の努力を払ってまいりたい、このように考えております。
○一井淳治君 私聞き落としたんですが、今の未就職の方の数は労働省のこの職安の関係だけでございましょうか。もしそうでないんでしたら、運輸省の方からも同じようにお願いしたいと思います。
○説明員(龍野孝雄君) 減戸大橋の供用開始に伴いまして離職を余儀なくされた船員の方は四百九十八名でございます。このうち、現在再就職していない方は百二十五名になっております。
○一井淳治君 そういった方の再就職について手厚い御配慮をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○説明員(龍野孝雄君) 現在離職中の船員の方は高齢者が多いということもございます。また、自宅から通勤できる職場を望んでおられる方も多いということでございまして、なかなか再就職指導も難しい面がございます。しかし、我々としても、本四法に基づく離職者支援をしながら、国、公団及び地方公共団体と十分な連携をとり合って、また本人の希望も踏まえつつ、これらの方々の再就職促進方、引き続き努力してまいりたいというふうに考えております。
○一井淳治君 次に、残りの時間を利用させていただきまして、有給教育休暇に関する条約に関してお尋ねをさせていただきたいと思います。
 この問題につきましては過去何度か関連の委員会で取り上げさせてもらっておりまして、この条約を批准できない理由ということも部分的に説明がなされておるわけでございますけれども、この際、どういう理由があるからこの有給教育休暇を批准できないかという理由を一つ一つ全部御説明をお願いしたいというふうに思うわけでございます。外務省の方からお願いいたします。
○政府委員(遠藤實君) お尋ねの条約の批准に関連いたしまして、現在も国内法制との整合性あるいは条約の解釈上の問題につきまして十分な検討が必要であるということがございまして、我が国の雇用慣行との関係も含めまして慎重に検討をしているところでございます。
 特に問題となります点につきまして申し上げますと、まず第一に、この条約の第二条というところに、有給の教育休暇には、一般教育、社会教育及び市民教育を目的とする休暇、それから労働組合教育を目的とする休暇が含まれておりますけれども、これらにつきまして、そのそれぞれの範囲あるいは国内法制との関係、これが問題でございます。さらに申し上げますと、この条約は、有給教育休暇の付与を国内事情あるいは国内慣行に適合する方法によって、かつ必要な場合には段階的に促進するということを認めているわけでございますが、批准するに際しましては、最低限度どの程度の施策を実施する、あるいは実施している必要があるか、そういった点についても明らかになっておりません。したがいまして、こういった点についての国内法制との関係が問題になっております。
○一井淳治君 全部言ってください。
○政府委員(遠藤實君) 実はすべての点について網羅しておりませんけれども、特に問題なのは労働組合教育を目的とする休暇でございまして、この点につきまして、我が国の労働組合法、特に第七条三号に規定する不当労働行為になるのではないか、こういうことが最大の問題というふうに考えております。
○委員長(千葉景子君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時二十分まで休憩いたします。
   午後一時十九分休憩
     ─────・─────
   午後二時二十二分開会
○委員長(千葉景子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、昭和六十一年度決算外二件を議題とし、文部省、厚生省、労働省、科学技術庁及び環境衛生金融公庫決算について審査を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○木暮山人君 私は、昭和六十一年度の厚生省関係の決算審査において、歯科医療に関する問題について質疑を行いたいと思います。
 高齢化社会を迎え、今や国民総医療費二十兆円の時代になり、政府の推計によれば二十一世紀には国民医療費は国民所得の約八%に達するとされております。私は歯科保健医療を担当する一人といたしまして、プロフェッションに対する技術評価の適正化を強く望むとともに、国民医療費に関し将来の国民の負担に耐えかねる事態が生ずるようなことのないよう、これを避けるように考えております。
 この点に関しまして、まず第一点としては、今後高齢化社会を迎え医療費の増数が見込まれる中で、医療保険制度をどのように運営していくのかにつきまして大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 さらに第二点といたしましては、歯科診療所の経営の現況、そしてまた歯科診療報酬の今後のあり方につきまして、厚生省の見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(戸井田三郎君) 木暮先生の御質問にお答えいたします。
 今後の本格的な高齢化社会においてもすべての国民が安心して医療を受けられるよう、医療保険制度の長期的安定を図ることといたしております。このため、各制度間の給付と負担の公平化を目指して必要な諸改革を段階的に進めてまいりたいと思っております。
 また、国民の医療費の負担が、ただいま御指摘のように非常に過大なものとならないように、医療費の適正化を図るとともに、良質で効率的な医療の確保に努めてまいりたいと思っております。
 そして、今第二番目に御質問の歯科診療所の経営状況等については、政府委員から答えさせていただきます。
○政府委員(坂本龍彦君) 歯科診療所の経営状況に関しましては、幾つかのデータがございますが、近年の統計データについてこれを見てみますと、例えば、一つは中央社会保険医療協議会が実施いたしました医療経済実態調査というのがございます。ここでは歯科診療所一施設当たりの収支差額につきまして、昭和五十九年の十一月調査では一カ月当たり百三十五万五千円、昭和六十二年十一月調査では一カ月当たり百三十四万四千円という数字が出ております。それからまた、別のデータといたしまして国民医療費という統計がございますが、この推計等から試算をいたしますと、歯科診療所一施設当たりの歯科医療費では、昭和五十九年度には年間約三千七百万円、昭和六十二年度には年間約三千九百万円、こういう数字が出ておるわけでございます。
 歯科診療報酬につきましても、従来から国民医療費の動向、保険財政の状況、賃金、消費者物価の動向、さらに医療経営の実態等、医療を取り巻く状況等を総合的に勘案いたしまして、技術料を重視する観点に立って改定を行ってきているところでございますが、今後とも、中央社会保険医療協議会における御議論をも踏まえまして歯科診療報酬の合理化を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
○木暮山人君 どうもありがとうございます。
 いろいろと諸機関がございますけれども、その機能を完全に発揮するように御指導あられんことをお願いします。
 第二に、近年、我が国は高齢化の進行、そしてまた疾病構造の変化等により、歯科保健医療を取
り巻く環境は大きく今変化しております。大臣は厚生行政のベテランでございますが、このような現状にありまして、歯科保健医療における今後の大きな課題につきましてどういう御認識をお持ちになっておられるか、その御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。
○国務大臣(戸井田三郎君) 長寿社会を迎えた今日、高齢期になっても歯の健康を保持し、そして豊かな食生活が送れるように、歯槽膿漏等の成人の歯科疾患の積極的な予防対策を推進することが重要だと考えております。そのために成人歯科保健対策検討会を設置いたしまして、幅広い観点から検討をただいま進めているところであります。
 また、歯科医師数につきましては、全体的には削減を進める必要があると考えております。しかしながら、一方、僻地や寝たきり老人等に対する歯科保健医療の充実等を加味しながら適正数を確保していく必要があると思います。
 また、歯科疾患予防の重要性にかんがみ、引き続き歯科衛生士の養成及び資質の向上を図ってまいりたいと思っております。
○木暮山人君 どうもありがとうございます。
 その御所見の一つ一つにつきまして、ひとつ掘り下げて御質問させていただきたいと思います。
 まず、先ほど菅野委員が同じようなことを質問しておりますけれども、歯科医師需給対策についてでございますが、需給対策の重点事項をいろいろとお示しくださいまして、それについての機能を御説明願いたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 歯科医師の需給対策の重点事項というお尋ねでございますが、歯科医師の将来の数がどうなるかということで御検討いただいた将来の歯科医師需給に関する検討委員会というのがございまして、ここで最終意見をちょうだいいたしたわけでございますが、そこで述べられておることは、入学の定員、歯医者さんの学生の定員でございますが、二〇%削減をしないと将来過剰になるだろうという御意見でございましたので、その方針にのっとりまして、私ども、文部省にもお願いしながら、適正な歯科医師数を確保するために削減に取り組んでおるというのが第一の柱でございます。
 それから、ただいまお述べになりましたような状況の変化がございまして、歯科保健の領域におきましても、歯科医療のみに限らず積極的な保健サービスをもっともっと導入していく必要があるということでございますので、患者さんの方も、国民の方も非常に変わってきておるということから、新たな施策といたしましては、例えば在宅の寝たきり老人の歯科保健、老人歯科保健対策でございますとか、ただいま大臣からお答えいただきましたような成人歯科保健、年をとってもできるだけ自分の歯で食事ができるような方向の施策というのがいろいろあるわけでございますが、そういう施策についての推進を図るということを重点事項として考えておるところでございます。
○木暮山人君 関連いたしまして、歯科大学等の定員削減計画は、昭和六十一年の検討委員会の最終意見であることは今御説明もちょうだいいたしましたが、既に実施されているものではございますが、その意見の主眼点、これが何であるか等の認識についてもう一度ひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) お尋ねの検討委員会の御意見でございますけれども、歯科医師が過剰になることによって歯科医師あるいは歯科医療の質の低下につながる危険性があるということ、それから歯科医師養成におきまして臨床実習が必要なわけでございますが、その臨床実習のキャパシティーを確保するのに非常に困難を来すおそれがあるなどという理由から、この検討委員会では入学定員の削減を提言していただいたということと理解しております。私どもも、こうしたことから入学定員の削減につきまして文部省、関係学校当局等にも協力を要請しておるところでございます。
○木暮山人君 ただいまの御説明によりますと、その意向でまいりますと立派に機能を達せられると思います。しかし、やはり裏腹に、いろんな面でそれがバランスがよくとれませんととんだことになる方向に行くというようなこともあります。それ等にのっとりまして、歯科大学等の定員削減は六十一年から始まっておりますが、その進捗状況がいかなるものであるか、ひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 先ほど厚生省の方からお答えいたしましたが、平成七年を目途に新規歯科医師になる人の数を二〇%程度減じたいということで、したがって入学定員、入学の段階で入学者を二〇%程度減ずるという提言がなされておりまして、厚生省からの要請もあり、私どももそういう方向で六十一年度から取り組んでいるわけでございます。
 まず国立大学について申し上げますと、平成元年度までに歯学部八校の入学定員を合計百六十人減じたところでございます。平成二年度、来年度につきましてはさらに歯学部十五人の削減を予定しております。合計で百七十五人の削減となる予定でございます。国立大学の目標値が二割と申し上げますと百七十二人でございますので、一応来年度春、百七十五人の削減ということで、国立大学としては目標が達成できるという状況でございます。
 公立大学につきましては、歯学部一校が二十五人減をいたしておりますので、公立大学の目標数値が同じく二十五人でございますので、公立大学についても一応目標が達成できておるというところでございます。
 私立大学については、昭和六十二年度から平成元年度までに歯学部四校が合計百二十人減の削減を行ってきております。私立大学の目標値は四百八十人でございます。なお、私立大学の歯学部につきましては、私立歯科大学協会におきまして、平成元年募集人員、入学定員はそのままにいじらないわけですけれども、募集人員を六十一年度から入学定員の一〇%減、それから本年度、平成元年度は二〇%減という申し合わせが行われておりまして、その線に沿って平成元年度の入学募集が行われたわけでございます。募集人員の減が三百二十八人おりますので、先ほどの定員減と合わせますと四百四十八人ということになります。
 以上の結果、国公立大学については目標を達成する見込みでありますが、私立大学につきましては募集人員の減を含めまして目標の九三%の削減ということになります。私どもとしましては、私立大学の入学募集人員あるいは入学定員の削減につきましては、各大学にこれからも積極的にお願いをしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○木暮山人君 加えまして、定員削減計画は私立大学の経営等にはなかなかいろんな問題があるのではないか。また、これについて関係者も相当御苦労なさっているということが推察できるのでありますが、全体としては御説明のようにほぼ目的を達してきている。しかし、目的を達していない私立大学等がまだ三、四校あるわけでございまして、それにつきましてこの削減計画が本当に順当にできているものか、どこかに欠陥があるものか、それらをお伺いしたいということと、同時に文部省、厚生省は例えばこの計画に対しての不履行の場合どのように対処なさるのか、その辺を御説明願いたいと思います。
○政府委員(坂元弘直君) 私立大学の募集人員の減というのは、私立歯科大学協会の申し合わせに基づいて行われているということ、それから個々の私立大学の立場から見れば、それぞれ独立して学校経営を行っているわけでございますので、私立歯科大学協会の申し合わせがストレートに個々の大学の経営、入学定員の減、募集人員の減ということを硬直的に拘束するものではないわけでございます。あくまで協力方をお願いするという立場であるわけでありますが、私どもも、これらのまだ協力されていない幾つかの大学に対しましては、今後とも私立歯科大学協会を通じて、あるいは直接的にお願いをして、ぜひとも私立歯科大学におきましても二〇%削減の目標は達成させたいということで努力をしてまいりたいというふうに
考えております。
○政府委員(仲村英一君) 入学定員の削減の問題、ただいま文部省からお答えをちょうだいしたわけですが、私どもも、先ほど大臣から申し上げましたように、良質で効率的な歯科医療の供給、さらには質の維持向上という観点から、この方針が歯科大学御当局等にも十分御理解をいただくということが必要なわけでございます。したがって、関係方面にもいろいろ御理解、御協力を賜るように要請をしておるところでございますが、歯科医師会としても御承知だと思いますが、日本私立歯科大学協会あるいは各歯科大学の学長、学部長、理事長あてに同様の定員削減の推進をするような要請も行っていただいておるところでございます。
 プロフェッションの適正数の確保という観点から今後とも私ども、文部省を初めといたしまして関係方面に御協力を要請してまいりたいと考えております。
○木暮山人君 それに関連しまして、助成金とかそういう問題の停止とか、いろんな問題がまた出てくるとは思います。
 定員削減計画については、二〇%ではまだ不十分だという意見もあります。そのまた一方、歯科医師が余り減り過ぎますと将来歯科医療のためによくないのではないかという意見もあります。この点、厚生省といたしまして的確な将来構想というような見通し、見識がございましたらひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 当面、私どもといたしましても、この検討委員会でお出しいただきました二〇%削減という方針を尊重して、これに向かって努力を重ねてまいりたいと考えておりますが、これには当然歯科保健の将来の需要と供給という観点からの多角的な検討から御意見をちょうだいしたものだと思いますので、平成七年を目途にその達成に全力を挙げてまいりたいと思うわけでございます。
 需給検討委員会の最終報告におきましても、「今後とも歯科医学・歯科医術の進歩、社会情勢の変動等に伴い、近い将来、再度の見直しが必要である」という付言もなされておるという事実もございますので、当面この方針を達成するように努力をしてまいりたいと思いますが、状況の変化というものについても常に分析を怠らないようにしてまいりたいと考えております。
○木暮山人君 検討委員会の最終報告において、も、定員削減とあわせて進められるべき施策としては、「資質の高い歯科医師の確保やより良い歯科保健医療サービスを提供するための施策」が挙げられておりますが、これらの施策はどのように進められているのでしょうか。御説明をお願いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 貴重なる御意見を多角的にちょうだいしておりますが、歯科医師のまず資質の向上の問題でございますけれども、昭和六十二年度から、卒業直後の歯科医師に対しまして臨床研修を行う一般歯科医養成研修事業というのを新たに開始をいたしております。
 それからまた、平成元年七月に歯科医師の国家試験の出題基準を改正いたしまして、近年の社会環境の変化でございますとか歯科医療の高度化、専門分化等に対応できるような内容に改めたところでございます。
 歯科保健サービスでございますけれども、昭和六十三年度から開始いたしました老人保健事業の第二次五カ年計画におきまして、歯周疾患の予防のための重点課題といたしまして、歯の健康教育あるいは歯の健康相談を実施しておるところでございます。
 また、昭和六十三年度からは、在宅寝たきり老人を対象といたします歯科訪問指導等のモデル事業を現在行っておるところでございますが、さらに、先ほど申し上げましたように、成人に対する歯科保健事業の推進を図るために、成人歯科保健対策検討会を設置して諸般にわたっての検討を現在進めておるところでございます。
○木暮山人君 よく理解させていただきました。
 引き続きまして、歯科医療にとりまして最近パラデンタル、いわゆる歯科衛生士の業務はますます重要な意義を持ってまいりました。先般の歯科衛生士法の改正も、高齢化社会への移行、歯科医療への国民の関心の高まりに応ずるものであり、この改正によって歯科衛生士の免許権者は厚生大臣とされ、厚生大臣は国家試験の実施事務をその指定する者に行わせることができるとされておりますが、その準備はどのようになっておりますかお伺いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 歯科衛生士法の改正でございますが、議員立法によりまして改正をしていただいたわけでございますが、その施行は今月の一日から施行をしておるところでございます。
 お尋ねの、国家試験の実施事務を指定する者に行わせるということになったわけでございますが、実際に試験事務、登録事務を行うこととなる指定機関をどのようにするかということについて現在検討を行っておるところでございまして、まだ決定しておりません。
○木暮山人君 近時、各種国家試験の実施事務を大臣の指定する者に委託するという例がふえております。これは臨調、行革の考え方に沿った事務の簡素化の線ではありますが、医療に関する資格を与える試験が厳正でなければならないことは言うまでもなく、歯科衛生士の国家試験の実施機関の指定に当たり、今お話をお伺いしましたが、相当具体的に進んでいるのではないかと漏れお伺いしておりますが、それにつきまして御所見等を御説明願いたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) お尋ねのとおり、国家試験を厳正に実施するためには試験事務を適正に実施できる受託機関のようなものが必要なことは重要なことでありますので、先ほど申し上げましたようなことで、まだ決定はしておりませんが、内々専務的にいろいろ検討しておるところでございます。指定試験機関の指定というのは、法律上も厳しく要件が定められておりますし、罰則もついておるというようなこともございますので、この法律の趣旨に基づきまして、私ども厳正に検討した結果その指定を行いたいと考えております。
○木暮山人君 それにつきまして、一番基本的な歯科衛生士の総数、人口十万に対しましてどのような推移になっておりますか。現況を御説明願います。
○政府委員(仲村英一君) 昭和六十三年末現在で就業しておられる歯科衛生士の方が三万六千九百八十六人ということでございまして、人口十万対にいたしますと三十・一人でございます。十年前の五十三年に比べますと、就業人員は当時一万六千九百六十四人ということで一万七千人ぐらいでしたわけですが、現在三万七千人ぐらい。人口対比にいたしましても、十万対で十四・七から三十・一ということで倍以上の増加になっておるのが現状でございます。
○木暮山人君 検討委員会の最終意見では、歯科衛生士について、「今なお不足の状況にあり、今後とも養成等の充実を図る必要がある。」と述べておりますが、厚生省はこの意見をどう受けとめておいでになりますか、また養成についてどういう施策を請じているか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 検討委員会の最終意見に、御指摘のように、将来にわたって国民に安定的に歯科医療を供給するためには歯科診療の補助を行う歯科衛生士を確保する必要があるということで御指摘を受けておるわけでございまして、私どもも十分認識しておるつもりでございます。なお、不足の状況にあることから養成等の充実も図る必要があるという御指摘もあるわけでございまして、従来から養成力につきましては増強に努めてまいったわけでございますが、入学定員でございますけれども、七千九十人ということで、十年前に比較いたしまして二倍に増加しておるというのが現状でございます。
○木暮山人君 歯科衛生士の養成所については、教育の過程で、巡回臨床実習教育に必要な経費を補助する予算が計上されておりますが、六十一年度の予算額とその執行状況、そしてまた平成元年
度の予算額をお示しになって説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 歯科衛生士の養成所で社会福祉施設等へ巡回臨床実習をするための事業に国庫補助が行われておるわけでございますが、その予算額、六十一年度の予算額で申し上げますと、六千四百九十四万六千円が予算額でございました。執行額が六千四百九十二万七千円でございました。それから平成元年度の予算額を申し上げますと、六千六百十六万円ということでございまして、この事業が有効に行われておるというふうに理解しておるわけでございます。
○木暮山人君 巡回臨床実習教育費関係の予算額はここ数年間横ばいであり、もともと養成所の全体の運営費から見るとかなり限られた部分にすぎないのですが、歯科衛生士の養成をもっと積極的に進めるには養成所の運営費に対するところの助成を拡充すべきではないでしょうか。こんな点につきましてひとつ御所見をお願いしたいと思います。
○政府委員(仲村英一君) 歯科衛生士の養成に運営費補助が出せないかというお尋ねでございます。
 御承知のように、医療関係職種の養成所の国庫補助は看護婦のみが現在のところ対象になっているわけでございます。看護婦については、一時非常に全国的な不足ということもございましたし、現在も不足なわけでございますが、そういう観点から補助を行っているというふうに私ども理解しておりますが、歯科衛生士の養成所についてどうかというお尋ねでございます。これは他の医療関係職種とのバランスのこともございまして、私ども今直ちに補助金を創設するという考えは持っておらないところでございまして、なお歯科衛生士の今後の需給状況の推移を見守りながら慎重に対処していかざるを得ないのではないかという考えを持っております。
○木暮山人君 そのような御説明で大体衛生士の方の見通しはつくと思います。
 しかし、歯科全般として見ますと、高齢化の進展に伴い国民の健康の維持向上のための科学的な研究はその重要度を増してきておりますが、厚生省はこの面で研究の充実にどのような努力を重ねておいでになったか。また、今後この研究につきましてどんな重点目標をお持ちか。その点についてひとつ御説明願いたいと思います。
○政府委員(加藤栄一君) 厚生行政におきまして科学技術研究は大変重要でございまして、またその重要の度合いもますます増大してきております。厚生省といたしましては、対がん十カ年の総合戦略、ヒューマンサイエンス基礎研究あるいはシルバーサイエンス研究といったような研究分野の拡大を図っておりまして、あわせまして研究費を充実する等、科学技術研究の推進を図ってきたところでございます。
 また、厚生省におきましては、科学技術全般にわたる研究の基本戦略を策定いたしまして、その振興のビジョンを提示するということが必要でございますので、昭和六十一年十一月から厚生科学会議というものを設けまして、科学技術研究の推進に取り組んでおります。今後の科学技術研究に当たりましては、この厚生科学会議の御提言を踏まえまして、がん、老化・成人病、精神・神経疾患など十一分野を当面の重点研究分野といたしまして、引き続きその充実を図ってまいる所存でございます。
○木暮山人君 最終的にひとつ歯科全般に関しましての御質問を厚生省当局にお伺いしたいと思うのでございますが、今の歯科の経営というものはなかなか大変な状態になっております。これは法的に行政の面から見る状態と歯科の内輪から見る状態ではまだ相当の格差があるんじゃないか。と申しますのは、今の保険制度そのものがこの三十年間にいろいろと改廃、是正、向上はしてきたのでありますが、考えてみますと、どうしてもそこら辺にまだしっかり整理のつかない問題が多々あるというのが今の歯科界の隠さない事実ではないか。ここら辺を厚生行政当局はその担当しておる歯科医師会等とよくお話しになっておいでになるのでしょうか。そこら辺をちょっと説明していただきたいと思います。
○政府委員(坂本龍彦君) 診療報酬の問題につきましては先ほどもお答えしたとおりでございますけれども、いろいろと歯科の医療の内容も変化してまいりますし、また歯科の医療を必要とする患者の状況も変化しているという実情もございます。私どもとしては、いろいろな機会に歯科医療を担当される方々の団体や、あるいはいろいろな立場において実際に担当されている方、あるいはまた学術面での研究をなさっている方、いろいろな分野のそれぞれ専門家あるいは実務家の方とも十分に御意見を伺いながら、また私どものお考えもお示しをいたしまして、今後の歯科医療の充実ということに努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
○木暮山人君 このごろ漠然ではございますが、歯科界全般の医療担当者、この資質がだんだん低下しておるのではないか。これは、行政の御当局にしましても、国家試験を受かった歯科医、これにまたいろんな意味で臨床の実習を卒後研修してやらなければいけない。これには理由があると思うんです。今医療過誤等がありますから、大学の附属病院ではなかなか一生懸命そこまで骨を折ってくれない。また、文部省のいろいろな教育方針によって、昔のような状態ではないことは私も理解はしております。
 しかし、やはり何より一番大切なのは、次の時代を背負うところの若者たちが歯科に対する魅力を失ってしまった。これはどういう意味で魅力を失ったかといいますと、国民総保険制度、昭和三十五年に施行されました保険制度によりまして、これがうまく機能しまして、現在では非常に長寿社会が樹立されてきている。これに対しては私は大変立派でいいことだとその施策につきましては感心しているところでございます。しかし、その反面、やはりその枠のうちでございますから、行政とか政府、これとは関係ないんですが、医療費の総枠の中で、各担当分野で相当大きな陰のいろいろな綱引きといいましょうか、力学的なそれぞれの綱引きが行われた結果、相当今ではその格差が開いてしまいました。かつて発足当初は、御存じのように、乙点数表と甲点数表、歯科の点数表、これはそんなに格差はなかったわけであります。しかし、今となりますと大きな格差が出てきている。これは何か大きな力が作用したということは考えられるわけでありますが、そこら辺をひとつ是正していかないことには経済的にますます圧迫されていきます、抑止されていきます。そうなりますと、経済のだんだん低下していく状態、これに立派な青年がその頭脳を持ってここに入ってくるということは考えられません。今の歯科界は、まさに若者は経済的な見地、そしてまたいろんな角度から魅力を失ってしまっているのではないか。
 でありますから、最近の入学した大学の学生の姿を見るにつけまして、まことに悲しむべき現状ではないか。これについては御答弁はちょうだいしなくてもいいと思いまずけれども、できるならば文部省、厚生省ともども、今の歯科界、非常に力かない業界でありますから、言われるとおりでありますが、こんなことでは、二十一世紀の歯科医療というものを国是に従いまして責任持って担当するいわゆる担当者、こういうものに非常に事欠くのではないか。私はそんなことを考えたとき非常に憂えるものであります。でございますから、その点厚生省の御当局もひとつぜひ御勘案くださいますことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。よろしくお願いします。
○刈田貞子君 質問をさせていただきます。
 まず、文部大臣にお伺いをいたしますが、去る十日の閣議の場面を思い出してください。高原経済企画庁長官が国民生活白書を報告した閣議があったと思います。そのときに高原長官から、男性が育児、教育、高齢者介護、家事等に目を向け、
主婦の介護負担等の軽減を図る社会を整備することが必要、女性大臣と女性課長が書いた生活感覚を生かした今回の白書でありますと、こういうことで閣議で報告をされたと思うのでございます。そのときに、男性閣僚すべて賛成、異議なしと、こう言われたということを新聞で読みました。さらには、とかく女性の地位問題では大変に失言が目立つ閣僚の中にあって、男性が家事に参加するのはいいことだ、育児もしないといけない、これは松永通産大臣の発言であります。松永さんはもう育児の心配がないから言えるんだが、私は五人も子供がいる、育児はできるが、しかし掃除はだめだ、橋本大蔵大臣。私は育児も洗濯もできます、大石郵政大臣。それぞれの生活白書の一端を御披露した、果たして実績はどこまであるかと。これは読売新聞の政界メモからちょうだいをいたしましたが、この記者さん大変いい取材をなさったというふうに思うのでございます。
 私は、この種の話が閣議で出ることについて大変歓迎をする一人でございます。かつてこういうことを聞いたことがございません。今、日常社会ではこうした話がたくさん出ている中で、閣議でこの会話がされたということを私は大歓迎します。
 ところで、文部大臣はこのとき何と発言をしたのですか。それから、もし発言をなさらなかったならば、これを聞いていて何をお感じになりましたか。それからあわせて、厚生大臣もこのとき何か言いましたか。教えてください。
○国務大臣(石橋一弥君) 先に答弁をさせていただきます。
 私は何か話そうかなとも思いましたけれども、残念ながら私の家庭はもう孫家庭です。育児のことあるいは台所のことをやらない中においてこの年齢になってしまって、もう子供たち夫妻がそうしたことをやっておりますので、時代が変わったものだなと、こう考えております。
 もう一言申し上げるならば、私が育ったころは男は台所に入るものじゃないよということの中で育ってまいりました。そこで、今このような社会になってみて、なるほど男性と女性が育児もあるいは台所のことも一緒にやっていくことがよりよい社会をつくることになるんだなと、こう今は考えております。あの閣議のときには残念ながら孫のことだからということで黙っておりました。
 以上です。
○国務大臣(戸井田三郎君) 石橋文部大臣と大体同じような時代で、私は子供が四人おりましたけれども、四人とも全部出ていきまして、今は老夫婦二人で生活をしております。こういう中で選挙区と東京とを往復しているんですから、二人だけで宿舎に住んでいればやはりお互いに助け合いをしなければいけないという程度で、布団を上げたり何かするぐらいのことは、飯をつくっているときにはこっちがやるというのは当然だと思ってやっております。
 しかし、あのときに話が出て非常に大きな意味があったのは、人生七十万時間一生、そういう中で男と女が家庭を持って、そして人生を終わるまでの間にどういうお互いの働き方をするかということを真剣に考えなきゃいけないんじゃないかということを私は考えました。それは、今までは男がどちらかというとあくせく一生懸命に働いて、嫁さんは家を守るという関係が続いてきたわけであります。そして、男は大体女性よりも六歳ぐらい若く死んでいって、そして女性の方が五歳ほど長く生きていく、これが人生である。そういう中で考えてみるというと、やはり男の労働力といいますか、一生懸命に働くという、そしてわき目も振らずに縛られて一生働いていくということがその短い生命の中にどれだけ影響しているんだろうか。
 しかし一方、考えてみるというと、女性は子供を産むという非常に大きな仕事をしている。これが長生きという問題にどう関係してくるんだろうかというようなことをいろいろ考えてみると、やはり働くということが、これからは女性もある程度社会に進出していって、そしてお互いに女性も男性も同じ社会の中で働くということを通じて貢献をしていく、そういった時代が当然これからやってくるだろう。そういう中においては、やはり女性も男性も同じように働くわけでありますから、家庭の中における相互の分担ということも当然に起こってくるわけで、そういう中で、高原長官と女性の課長さんが中心になってまとめたということを確かにそのとき言いましたけれども、そういう社会がこれからの社会になってくるんだろうという示唆を受けた点で非常に感銘いたしました。
○刈田貞子君 大変御丁寧な御答弁をいただきましたが、これから私は、二月に発表された新学習指導要領の男女家庭科共修について文部省に質問をしていくわけでございます。
 先ほど文部大臣のお話によりますと、男子厨房に入るべからずという時代にお育ちになられました大臣がこの新指導要領を進めていくわけでありますので、非常に大変じゃないかというふうに思います。
 そこでお伺いいたしますが、この新学習指導要領に盛り込まれましたところの男女家庭科共修、特に高等学校における家庭科共修につきましては、一九八五年のいわゆる女子差別撤廃条約を批准する際に、近き将来に指導要領改訂の時期には必ずその共修を進める教育課程をつくるということを担保にこれは批准を進めたという経過がございます。したがいまして、今回出されました新指導要領は、平成六年に向けての手順がずっとあるわけでございますけれども、その実をつくるということで非常に大きな事業になっていくんだろうというふうに私は思いますし、これは世界に対する公約でもあるわけでございますのでしっかりと進めていかなければならない、このような認識に立っておるものでございます。
 ところで、新指導要領のその部分のところを私も読ませていただきましたが、私どももこの家庭科男女共修問題については長年主張を持って婦人運動等の中で進めてきた者の一人でございますけれども、この指導要領の中に、いわゆる家庭科共修というのは男女平等教育の基本にあるんだという認識に立って私どもは運動を進めてきたはずなんですが、男女平等というような文言はどこにもないわけであります。総則を読んでみましたが、総則は多いくらい道徳教育のことは書いてある。附則にはその抜け道すら書いてある、まあ後で触れますが。そして各科目の目的についても、いわゆる男女平等教育を進めていくものが基本にあるということがどこにもうたわれてないというふうに思うのですが、その精神をどこで読んだらよろしいでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 今回の新しい学習指導要領では、家庭科のみにとどまらずあらゆる教科を通じましてこの男女平等といいますか、男女相互の理解と協力と申しますか、そういうものを前提にしてつくられているわけでございます。したがいまして、この具体的な、一番端的に出てまいりますのはもちろん家庭科の共修のところでございます。そこの家庭科の目標とか内容、履修の仕方などをごらんいただければ、これは完全に男女同一のカリキュラム、男女平等ということを前提にしたカリキュラムであるということがおわかりいただけるであろうと考えております。
○刈田貞子君 何となく理解できなくはないんですけれども、やはりその文言をどこかできちっと私は入れるべきではなかろうかなというふうに思います。
 先ほどいみじくも大臣は、男子は台所に入るべきではないという時代の話をなさいましたが、私は、今回のこの家庭科共修という問題がただ単に男性が厨房へ入るべしということで事足りている問題ではないということは、今のお話に言われるまでもなくよくわかっております。あらゆる場面に盛り込んだとおっしゃいましたね、今。そのとおりです。私もまたそうあってほしいというふうに思うのです。
 そこでお伺いをいたしますが、これはたくさん伺いたいことがあるのでございますけれども、三
十七分しか時間を持っておりませんので、高校家庭科に限って伺いますのでそこのところを了解してください。
 高校の家庭科についてですが、いわゆる家庭一般と言われた分のものですが、今回、家庭一般、生活一般、生活技術という三つの科目に分けて、しかも選択をさせるという形をとりましたね。選択必修ですね。これはどういう理由によるものでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 高等学校の家庭科につきましては、家庭を取り巻く環境の変化に対応するとか家庭生活の充実向上を図る、実践的態度を養う、それを育てるということでございますが、生徒の多様な能力、九四%も高等学校に入っておるわけでございますので、高等学校の生徒は極めて多様な能力や適性や興味とか関心、進路などを持っておるわけでございます。それに対応する家庭科教育ということで、今回家庭一般のほかに生活技術、生活一般を設けました。しかし、これはよく中身、目標、内容をごらんいただきますとおわかりいただけるとも思いますが、いずれの科目を履修いたしましても家庭生活に必要な能力とか実践的態度を育てるという観点からつくられているものでございます。
○刈田貞子君 私も内容を全部見ました。家庭一般、これは従来の家庭科の中身というふうに思います。生活技術、これは中学校の課程の中の技術のようなものが入っていますね。それから生活一般という中身で一部生活情報とかコンピューター等々新しい分野が幾分か盛り込まれてきて、あるいは消費生活というような問題ですね、入ってきているというふうには思うんですが、この三つの科目について中身を見ると、もし生活一般を男子高生が選択必修し、そして家庭一般を女子高生が偏って必修した場合に、これは従来の形を踏襲するというような弊害は出てこないでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 家庭一般、それから今御指摘の生活一般につきましても、いずれも衣食住、家族とか保育とか家庭経済とかいうことが中核的な内容になっております。ただ、生活一般の方は御指摘がありましたように若干指導内容につきまして選択の余地を入れておりまして、これらは、先ほど申し上げましたが、多様な子供たちの興味とか関心、適性等に対応する、そして子供たちの自由な選択によってこれができるようにするというものでございますので、どの科目が女子でどの科目が男子などということは考えていないところでございます。
○刈田貞子君 これは後でまた伺いますけれども、そうすると、これから各学校においてその実施計画を組む中でかなりの工夫をしないと、そういう傾向になりはしませんかというのが一つと、生活一般については当分の間この二単位でよしとして、そしてそれを体育あるいは情報等で補うという形をとっていますね。これは理由わかっています。教師あるいは施設、設備等整わない当分の間というおつもりだというふうに思うのでございますけれども、これも私どもは気になるところでございまして、当分の間あるいは特別の場合ということがただし書きに入っておりますので、これが今後のせっかくつくられた家庭科必修というものに対する抜け道になりはしませんかという質問でございます。
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま御指摘になりましたように、今回新しく男子にも必修にするわけでございますので、今まで例えば男子の多い学校とか職業学校では家庭科をやっていない学校がございまして、したがいまして教師もおりませんし、施設、設備もそこにはつくってない。家庭科を履修させるとなりますといろいろ実習室も要ります。施設、設備も要ります。そういうことでその整備に少し時間がかかりますので当分の間の例外措置を認めたわけでございまして、これはあくまでも当分の間のつもりでおります。
 私どもは、できるだけ早期に家庭科が男女共修になりますように各都道府県にも指導してまいりたい、そして各都道府県においてもその整備の努力をしていただきたい、こういうふうに考えております。
○刈田貞子君 そうしますと、これは平成六年からの実施ということになるわけですが、私どもいろいろ読ませていただいた関係によりますと、男子校、工業高校等を含めて全国に七百校ぐらい家庭科教室がない学校があるというようなことが言われておるわけですよね。そうすると、平成六年までの間にはこの七百校に及ぶ学校については家庭科教室が整えられない、あるいは設備が整えられないということをお考えの上で当分の間のこの二単位履修を認める、こういうことなんですか。
○政府委員(菱村幸彦君) この前に、大分前でございますけれども、家庭科を女子のみ必修にしましたときにも、やはり当時は施設、設備の整備とか、それから教員の手当てということで当分の間例外措置をとったことがございます。今回も、もちろん平成六年の全面実施までには間に合いますように最大限の努力は尽くすつもりでございますけれども、平成六年から直ちに全面的にこれができるかどうかという問題がございますので、その後も当分の間この例外措置をとっているというわけでございます。これはあくまでも例外的措置でございますので、できる限り速やかに整備をして実施ができるようにしていきたい、このように思っております。
○刈田貞子君 そうすると、そこで施設、設備を整えていくための手順及び財政的裏づけというようなことがすぐ問題になってくるわけですけれども、今依然として男女役割分業の固定化観念みたいなものがまだ社会や子供の教育環境の底辺にもある。あるいはまた受験重視の高校教育というような関係から、家庭科を高校教育の中に取り入れてもらっては困るのではないかという意見もなさにしもあらずと聞いております。そうしますと、施設、設備を整えなければ当分の間受験重視の教育で、家庭科はとりあえず生活一般でも生活技術でも、それから家庭一般でも、特に生活一般二単位でいいということになっていくわけだと思うんだけれども、この施設、設備を整えていくために国はこれからどういう計画を持っているわけです
○政府委員(菱村幸彦君) 施設、設備の計画につきましては、これは当然都道府県で計画的に整備をお願いするわけでございますが、文部省もこれについての後押しをしなければならないと考えております。そこで、従来から産業教育振興関係の補助金がございますので、これを充実いたしまして、これによりまして各部道府県の整備の後押し、お手伝いをしていきたい、このように思っております。
○刈田貞子君 今言われた産業教育振興法に基づく助成というのは三分の一ではありませんか。
○政府委員(菱村幸彦君) はい、三分の一でございます。
○刈田貞子君 そうすると、あとはみんな地方自治体任せの出費になっていくわけですね。
 きょう午前中も施設、設備のお話がありました。私は、大変小さな町ではございますが、地元で教育委員をしていた経験がございます。そのときに大変に苦労したのは、たかが小さな体育施設の問題なんですけれども、小学校の体育課程の中で、体位向上にはサッカーよりバスケットボールの方がいいというようなことから、取得する体育教科をサッカーからバスケットボールに変えた時期があったでしょう。あのときに私はたまたま現場の教育委員をしていたんです。ところがバスケットの施設をそろえるのができないんです。それで、私は行政側にいましたものですから、組合の先生方から大変に突き上げられまして、早く施設を整えなければ子供たちにバスケットを勧めてやることができないではないか、現場は大変当惑をしているというふうに言われました。
 とにかく都が持たない、それから小さな町で三分の一でしたかね、持たなきゃならぬ、こういうようなことでは事実上施設、設備、たかが体育の小さな設備でさえ現場で非常に苦労していることを目の当たり自分も経験し、見てきています。
 そうすると、今平成元年ですからこれから五年
の間でこういうものを各都道府県が計画的に進めていくだろうとは思うけれども、国はこれだけのものを打ち出すからには何らかの特別的な財政裏づけをしない限りは、私どもが悲願としてきた家庭科の共修というようなことは実現しないんじゃないか、絵にかいたもちになるんではないかと思うのです。この後教師の手だてのことも伺いますが、財政の問題についてもうちょっと考える余地はないんでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) 産業教育関係の補助金につきましては、三分の一の国の負担でございますが、残りの三分の二につきましては、これは交付税等で入っているわけでございますので、国の補助金を充実することによりまして、それの裏となります交付税も充実していきたい、このようなことで対応してまいりたいと思います。
○刈田貞子君 そうすると、やっぱり交付税の関係だから地方自治体の責任になってくるのね。
 いずれにしても、私たちは、これがお打ち出しなされたとおりに進んでいくことを願い、しかし、なかなか厳しい条件下にあることを危惧いたしまして質問をしているわけでございます。
 それから先ほど申しました教師の方でございますね、これはもっと大変なんじゃないか、こういうふうに思うんです。教師の問題について、家庭科共修を進めていくについてお伺いしますけれども、箇条書きで聞いてしまいます。
 定数法とはどうかかわってくるんですか。それから特別加配にするんでしょうか。あるいはまた、要員といっても、一名採用なのか複数採用するのか。一校に二名ぐらいは必要なのか。これは学校の規模によってなんでしょうけれども、こういうことを文部省の方でお示しになるのかどうなのか。あるいは現代社会等がなくなっていく、そうした教師、保健体育を担当している方あるいは理科の教師、こういう人たちが移行して家庭科の教師を担当するといったような場合に、仮免許等の措置でやる方法があるのかどうなのか。あるいは前年度採用による準備要員のような形でできるのかどうなのか。こういうことも含めまして、教師の手だてについてはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○政府委員(倉地克次君) 教員定数の問題でございますけれども、今回の改定によりまして高等学校における家庭科については新たに男子も必修とされたわけでございますので、家庭科自体の授業時数は増加するわけでございます。ただ、教育課程全体として見てみますと、週当たりの授業時数は三十二単位が標準になっているわけでございまして、これは新旧とも変わっていないということでございます。したがいまして、基本的には現在の教職員定数で対応できるというふうに考えている次第でございます。
 それから一人採用するのか複数採用するかということでございますけれども、これは学校の規模、それから教育課程の実施状況などによりましてそれぞれの事情でございますので、その辺は学校と各設置者の教育委員会との相談の上で決まることじゃないかと思うわけでございます。
 それから免許の点でございますけれども、全体の教育課程における週当たり単位時間数は変わらないわけでございますので、各教科に家庭科の授業時数がふえた影響が及ぶというふうに考えているわけでございますけれども、それは全体の教科の調整によりまして処理されることではないかというふうに考えるわけでございます。現在の採用状況を見てみますと、家庭科の免許を持っていない人を採用しなければならないという状況にはないような事態でございますので、別に仮免ということを考えるような事態ではないのではないか、そのように考えておる次第でございます。
○刈田貞子君 家庭科教師と申しますと女性の先生が大部分でございます。男性の家庭科教師というのをお考えでしょうか。
○政府委員(菱村幸彦君) どの教科は男性でなきゃいけない、女性でなきゃいけないということはないと思います。が、実際上家庭科の先生は女性がほとんどであるということは御指摘のとおりでございまして、今全国で、ちょっと古い資料なんですが、昭和五十五年に教員の詳細な調査をしましたときに、家庭科で男の先生がどれぐらいいるかというのを調べましたら、百六十六人となっておりますので、若干はいらっしゃるということはわかると思います。現時点でどのようになっているか、申しわけありませんがちょっと把握しておりません。
 ただ、新しい家庭科は、当然男女が協力して家庭生活を築いていく、男女ともに必修とするということでございますので、これからの家庭科は男性の教員が指導することも十分意義があるのではないか。これは、もしそういう先生がいらっしゃって、それが資格があって、採用されて教えられるならば結構なことではないかというふうに思っております。
○刈田貞子君 まだまだ伺いたいことがいっぱいあるんですけれども、時間がないので大変申しわけない。
 いわゆる女子差別撤廃条約前文及び十条の(b)、(c)です。これをもし何でしたらごらんになってください。十条の(b)は、同一教育課程、同一の試験及び同一の水準の資格を有する教職員及び同質の学校施設についての機会を保障するということですね。それから(c)が、教育のすべての段階及びあらゆる形態における男女の役割についての定型化された概念の撤廃。これが十条の(b)と(c)でございますし、前文の方におきましては、「社会及び家庭における男子の伝統的役割な女子の役割とともに変更することが男女の完全な平等の達成に必要であることを認識し、」という一文が入っております。私は、これから立てられました指導要領をベースにしながら進めていく高等学校の家庭科共修が、こうした世界に公約した女子差別撤廃条約をクリアしていくに値するであろうかどうだろうかということを伺おうと思っておるわけでございますけれども、いかがなものでしょうか。これ大臣でしょうか、お願いします。
○政府委員(菱村幸彦君) ただいま御指摘の女子差別撤廃条約の(b)項は、まさに今回の新しい学習指導要領でこの問題は一応クリアしているというふうに考えております。
 また、(c)項の男女の役割についての定型化された概念の撤廃ということ、これが基本的には大事でございます。冒頭にも少し触れましたけれども、家庭科のみでなくて、もちろん家庭科も重要でございますが、社会科とか道徳とか特別活動とか、いろいろな分野でこれをやっていかなければならない。
 そこで、新しい学習指導要領をごらんいただくとおわかりでございますが、例えば中学の社会科では、「両性の本質的な平等に基づいていることの意味を理解させ」とか、道徳では、「男女は、互いに相手の人格を尊重し、健全な異性観をもつようにする。」とか、さらには高等学校の特別活動のホームルームでは、「男女相互の理解と協力」を取り上げるとか、いろいろなところでこの問題を教えるようにしているわけでございます。
 また、教科書などでも当然問題になるわけでございますが、台所に立つ写真で女子だけが立っているというような御指摘がよくございまして、このごろの教科書を見ますと、男女が台所に立つ姿とか「育児に関しましても女子だけがやっている写真じゃないとか、そういう配慮も著者においてされているわけでございまして、いろんなことを通じましてこの問題を徹底していきたいというふうに思っております。
○刈田貞子君 かつてのCMで、あんたつくる人、僕食べる人というCMがキャンセルされましたが、やはりこれは学校教育の問題、特に高校の家庭科共修の問題だけに限って教育という観点からの男女平等の問題を今伺ったわけでございますけれども、社会教育においてもあるいはまた家庭教育においてもこの種のことが進められていかなければならないと私は思っておりますので、どうぞそうした側面からの御援助、御指導もよろしくお願いしたいと思います。
 時間がなくて大変申しわけないんですけれど
も、二分しかありません。厚生省さんにちょっと伺いたいのでございますが、延長保育の実態についてだけちょっと伺います。よろしくお願いいたします。
 本年度、平成元年度から延長保育に対する助成金がついたということで、保育行政については大変に福音になっているはずなのでございますが、私、各地から苦情を受けまして調べましたところ、延長保育の実施については、午後六時を超えておおむね一時間以上開所している保育所についてということがうたわれていることに気がつきました。今、実は六時までは地方自治体の出費で自主的にやっているようなところがたくさんあるわけです。これでは七時からということになるわけですね。だから、今回の平成元年からのこのいいお話というのは全然通用していないということになる。七時から実施している保育所は全国にどのぐらいあるのですかと聞いたら、全国で三十一カ所しかないというわけでしょう。そこにだけ通用する話なんだろうと思うんですけれども、これをぜひ六時に繰り下げてほしいという話が出てきているんですが、この点についてはいかがでしょう
○政府委員(古川貞二郎君) 御指摘の通常の保育時間を一時間ないし二時間超えて行う延長保育の制度というのは、今御案内のように、婦人就労の増加とかあるいは就労形態の多様化等によって保育時間を延長しようという需要の増大、そういったものに対応して五十六年からできたわけなのでございますが、実はそれが施設としては、一保育所当たりおおむね二十人以上の対象児童がいらっしゃる、そういう施設に対して実施する、こういうふうになっていたわけでございます。そういう意味で昭和六十三年度全国で現在実施箇所数が四百八十七カ所、こういうふうにとどまっているわけでございます。数字は四百八十七カ所でございます。そこで、こういった問題に対処しまして、平成元年度予算におきまして、おおむね二十人以上というものを大幅に緩和いたしまして、六人以上の程度の少人数でも対象にしようじゃないか、こういうふうなことで平成元年度そういう実施をしているわけでございます。
 ちなみに、今年度当初におきまして、そういう六人以上ということで実施するとした場合にどういうふうな見込みが得られるのだろうかということを都道府県に聞いたわけでございますが、それによりますと、見込み数は九百五十三カ所というふうに大幅にふえております。したがいまして、平成元年度からはかなりそういった延長保育の施策が実質的に生かされるんじゃないか、かように思っております。
 先生の御指摘については、恐らく二十人以上という縛りがあるものですから、大都市中心ということではできるけれども、大都市以外ではなかなか延長保育の対象になる二十人というものが得られないというようなことでのネックがあったんじゃないか。時間の延長は六時ということでございますが、この延長保育は一時間ないし二時間を延長する、こういう制度でございますので、平成元年度から私どもも力を入れていきますし、恐らく施策が相当実質的に生かされるんじゃないか、かように思っております。
○刈田貞子君 終わります。
○諫山博君 戦時中の毒ガスの後遺症について質問します。
 旧小倉市、現在の北九州市小倉南区に旧陸軍の毒ガス充てん施設、東京第二陸軍造兵廠曽根製造所というのがありました。そこで働いていて毒ガスによるさまざまな後遺症に悩んでいる元工員の約三百人の人がことしの八月、毒ガス傷害者互助会を結成し、そして国に補償を求めて運動を始めています。先日、北九州市議会では全会一致で国に対する補償要求の意見書を議決しました。
 これらの人たちが曽根製造所に雇用、徴用されていた事実があり、かつ毒ガスによる後遺症があり、その程度が恩給法で言うところの五款症以上であれば当然戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用対象になると思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(末次彬君) 援護法の障害年金を受給するための要件としましては、同法に規定する軍人軍属あるいは準軍属の身分に該当すること、それから公務上の傷病により一定の障害の状態に該当しているということが必要でございます。
 お尋ねの事例につきましては、具体的なことを承知しておりませんので、まだはっきりしたことは申し上げられませんが、状況によりまして判断をさしていただきたいというふうに考えております。
○諫山博君 具体的なことはまだ御存じないと思いますけれども、とにかく毒ガス工場で働いていた、そして毒ガスの後遺症があって、その程度が五款症以上であるということになれば一般的に援護法の適用を受けるわけでしょう。
○政府委員(末次彬君) 御指摘の旧陸軍の第二陸軍造兵廠曽根製造所でございますか、ここで働いておりました工員等、これはいろんな方がいらっしゃるというふうに考えております。中には旧令共済組合員であった人もいらっしゃるわけでございまして、そういう人を除きます準軍属という者につきまして、公務上の傷病により一定の障害の状態に当該する場合には援護法の対象になり得るものでございますが、いずれにせよ、具体的事例によりまして判断しないと何とも申し上げられないということでございます。
○諫山博君 五款症以上であるかどうかというのが一つ問題ですけれども、仮に症状の程度が援護法適用に至らない場合であっても、例えば同じ東京第二陸軍造兵厰で広島県竹原市の大久野島にある忠海製造所で働いていた元工員、この人たちに対しては今援護法の適用という形ではなくて一定の援護措置がとられているはずです。ですから、私が今述べたような条件が満たされるとすれば、援護法の適用を受けるかあるいはそれ以外の援護措置がとられるということになるんじゃないでしょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 ただいま先生からお話がございました旧陸軍造兵厰忠海製造所等において毒ガス製造等に従事しておられた方のうち、いわゆる正規の工員などの方につきましては大蔵省が定めました毒ガス障害者救済のための特別措置要綱というものに基づきまして、また動員学徒等につきましては毒ガス障害者に対する救済措置要綱、これは厚生省が定めておるものでございますが、そのそれぞれの要綱によりまして医療なり手当の給付等を行っておるところでございます。
○諫山博君 忠海製造所で働いていた人については、何名ぐらいにそういう措置がとられていますか。
○政府委員(長谷川慧重君) 旧令共済組合員の方方は二千二百八十七名、それから厚生省の関係で、動員学徒、女子挺身隊員等につきましては二千四百四十二名の方々が対象となって手帳の交付等を行っております。
○諫山博君 次は、沖縄県のいわゆる戦争マラリアについてです。
 沖縄県では強制疎開マラリア犠牲者に対する国家補償の要求が非常に大きな問題になっています。沖縄県議会はことしの九月の定例議会で、いわゆる戦争マラリア問題を論議しまして、全会一致で沖縄戦強制疎開マラリア犠犠者の遺族補償に関する意見書を採択しました。そして、今月の八日に県議会の代表が政府に意見書を提出しています。
 日本共産党は、古堅実吉氏を団長とする調査団を編成しまして、十月二十日から四日間にわたって現地調査を行いました。私も団員の一人としてこれに参加しましたけれども、私たちは沖縄県の石垣島、西表島、波照間島に行って、実際に現地を歩き、たくさんの関係者から話を聞いてきました。戦争マラリア問題の重大性、深刻さを改めて認識し直したのであります。
 調査第一日に、私たちは石垣市で大泊フミという人に会いました。この人は戦前、波照間に住んでいましたけれども、終戦の年の四月に軍命令で西表島の南風見に家族とともに強制移住させられ
ています。家族は十七名でしたが、大泊フミさんを含めて全員がマラリアにかかりました。八月の初めに波照間に帰ってからも発病はやまず、結局、その年の十一月までに十七人の家族のうちの十六人が死亡しました。大泊フミさんもマラリアで苦しんでいましたけれども、一人だけ辛うじて生き残ることができたと話しています。
 フミさんは私たちに当時のことを涙ながらに語ってくれましたが、マラリアにかかると発作的に高熱に襲われ、布団で押さえつけてもはね返すほど苦しむそうです。発作がおさまって平熱になると仕事ができるようになるそうですけれども、何日かするとまた発作が起こる。同じ苦しみを繰り返して、そのうちに体が衰弱して死亡するという状況だったそうです。
 戦時中に波照間には千五百九十人が住んでいました。そして全員西表に強制疎開させられています。その中の九九%がマラリアの患者になり、死亡者が四百七十七名です。つまり、波照間島の人口の実に三〇%の人がマラリアで死亡したわけであります。
 私たちは石垣島、西表島、波照間島で何人ものマラリアの遺族に会いました。マラリアの悲惨さというのはだれの話も同じです。自分は小学生だったが、父も母も妹もマラリアで死んだ、今ひとりぼっちだ、こういう人もいました。竹富町の町会議員の保久盛長正さんという人は、戦後、南風見で遺骨収集をしたということですけれども、終戦後、三、四年たったころ、波照間出身者の七十体ぐらいの遺骨を収集したけれども、一体はどうしても発見することができなかった、こういう話を私たちにしてくれました。
 沖縄県でこういう悲惨な出来事があり、これが今沖縄県で大問題になっていることを厚生大臣は御存じかどうか。知っておられるなら感想を聞かせてください。
○国務大臣(戸井田三郎君) この問題は、私は最近、貴党の、共産党の皆さんが政府委員室に来まして、いろいろと御陳情をいただいて、いろいろな経過を知りました。
 私も戦争に召集されて行ってきた関係があって、特に南方ではマラリアが非常にしょうけつ状態で発生をしていたこともよく知っております。マラリアがいかに患者さんにとって苦しいものであるかということも体験をして、私は軽い三日熱というやつをやったことがありますけれども、熱帯性のマラリアというのは非常にひどいものであることは私自身も戦友等のことを見てよく知っておりますので、大変気の毒だなということを感じております。
○諫山博君 私自身も一九四五年の敗戦を沖縄県の宮古島で迎えました。やはりマラリア患者が非常に多かったところです。たくさんの戦友がマラリアで死んでいくのをみとった者の一人です。
 そこで、戦争マラリアの問題というのは今沖縄県だけではなくて全国で注目されるようになっています。NHKや民間放送が何回か沖縄のマラリア問題を取り上げ、放映しています。もう一つの沖縄戦、あるいは戦後は終わっていない、こういう立場からの放映であります。マスコミが戦争マラリアを取り上げるときに必ず取材しているのが「忘勿石」です。これは、波照間国民学校の生徒が次々に亡くなっていくときに、織名という校長先生が海岸のかたい石に、この石を忘るるなかれ、「忘勿石 ハテルマ シキナ」、こういう文字を刻み込んでいるんです。
 現在、戦時中にいわゆる沖縄の戦争マラリアで死亡した人の数は、石垣島が二千四百九十六名、竹富島が七名、小浜島が百二十四名、黒島が十九名、新城島が二十四名、波照間島が四百七十七名、鳩間島が五十九名、西表島が七十五名、与那国島が三百六十六名、合計三千六百四十七名、こういう数字が出ていることを総理府、厚生省は把握しておられましょうか。
○政府委員(長谷川慧重君) 石垣市がつくりました石垣市史の中に先生のお話しのような数字が全部載っております。その点につきましては、私どもそういう面での、戦前あるいは戦後間もなくのころの沖縄におきますマラリアの蔓延状況といいますか、発生状況につきましての数字は持っておるところでございます。
○説明員(榊誠君) 現在、今御質問の数字につきまして総理府で承知しているかという御質問でございますが、私ども総理府としては、平和祈念事業特別基金等に関する法律というものを所管しておるわけでございますが、この法律の対象の方々というのは、いわゆる恩給欠格者の方、あるいは戦後強制抑留者の方、あるいは引揚者の方ということでございますので、御質問の数字については承知してございません。
○諫山博君 沖縄の戦争マラリアの問題について幾つかの点を指摘したいと思います。
 第一は、八重山地方、特に西表が昔からマラリアの有病地として知られていたということです。以前から西表に住んでいる人は、長い経験によって安全な地域を選んであらゆる注意を払いながら暮らすという生活でしたけれども、よその人からは西表というのは死の島だ、悪魔の島だとして恐れられていました。西表に行きますと、今でも村ぐるみ廃村になったところがちゃんと残っています。つまり、西表に強制疎開させられるということは恐ろしいマラリア有病地に無防備で投げ出されるということを意味していたわけであります。
 そこで厚生省にお聞きします。八重山地方、特に西表における戦前、戦後のマラリアの状況について説明してください。
○政府委員(長谷川慧重君) お尋ねの八重山諸島におきますマラリアの発生数でございますが、きちんとしたデータがなかなかなくて、非常に断片的な資料があちこちにあるのを私ども持っているわけでございますが、その中の統計の幾つかを申し上げたいと思っております。
 まず、日本帝国人口動態統計というのがあるわけでございますが、これを見ますれば、沖縄県におけるマラリアによる死亡者数は、昭和十五年で七十八人、昭和十六年で六十七人、昭和十七年で七十六人という形になっておりまして、沖縄県という形でくくられているところでございます。それ以外に、先ほど申し上げました石垣市史におきましても、昭和三年から昭和十七年にわたりましてマラリアの死亡数というのが載っているわけでございますが、これを見ますと、昭和三年から十年間ぐらいのところは大体二けた、二十人から三十人という数でございますけれども、昭和十三年以降が五十人あるいは三十人というような形で推移をしておるところでございます。
 それ以外に、「日本における寄生虫学の研究」という本がございまして、その本の中におきましては、八重山諸島におきますマラリア患者及び原虫保有者総数と数字が載っておるわけでございますが、これに基づきますと、昭和二年から昭和十年の間で大体千名から二千名の数が記載されてございます。
 そのようなことで、いろいろ文献等によりまして必ずしも数字が一致しないわけでございますが、八重山諸島におきましてマラリアがあったという事実は文献的にはっきりしているところでございます。
○諫山博君 余り正確な数字ではないようですけれども、それにしましても、敗戦前後に八重山地方で三千六百四十七名の人が死亡したというのは全く異常だということがおわかりだと思います。
 そこでもう一つの問題は、この強制疎開が軍の命令で強行されたということです。八重山諸島には、陸軍中野学校出身の離島残地諜者が、国民学校訓導や青年学校指導員の辞令をもらって偽名で配置されていました。波照間に配置されたのは、本名酒井清、仮名山下虎雄という陸軍軍曹です。そして、波照間から西表への強制疎開というのは、山下軍曹の命令のもとに強行されています。そのとき山下は、完全に島の支配者となって軍刀を振りかざしながら村民を強制疎開させています。今でも島の人たちは山下軍曹のことを恐怖をもって語っているのであります。
 そこで防衛庁に質問します。
 防衛庁防衛研修所戦史室著作の「戦史叢書」の
「沖縄方面陸軍作戦」によりますと、山下軍曹は、昭和十九年九月に第三十二軍に編入された遊撃隊のメンバーであったことがわかります。沖縄戦を前にしまして、大本営陸軍部及び三十二軍、また政府も含めて、そのころ南西諸島からの住民の移住という方針が進められたのではないでしょうか。
○説明員(萩次郎君) お尋ねの沖縄の遊撃隊でございますが、遊撃隊、ゲリラの部隊でございますが、先生御指摘の「戦史叢書」第十一巻、「沖縄方面陸軍作戦」、これによりますと、沖縄における遊撃隊の編成は、昭和十九年九月九日、三十二軍に編成をされました。三十二軍というのは南西諸島方面を隷下に置く部隊でございます。この遊撃軍が二つに分かれまして、一つは独立混成第四十四旅団長の隷下に入り、もう一つは先島集団長の指揮下に入っております。
 先ほど先生のおっしゃられました軍曹の記述は特に入っておりませんが、遊撃軍は二つございましたが、それぞれ四百名で、そのうちの約百名が西表島に配置をされていたという記述がございます。
○諫山博君 戦時中に、軍あるいは天皇あるいは政府の命令でマラリア有病地とわかり切っている西表に強制的に疎開させられた。そして、恐れていたとおりたくさんの人がマラリアの犠牲になったわけです。なぜこういうむちゃな強制疎開が強行されたのか、まだ解明を要するところが残っています。一般には、米軍が波照間その他の離島に上陸するのではないか、こういう誤った情勢判断から出た強制疎開ではなかったかと言われていますけれども、この点ではまだ解明を要する点があると思います。
 そこで、マラリアの犠牲者というのは、空襲で被害を受けた一般の人たちに代表されるいわゆる一般戦災者とは違うということを私は指摘したいと思います。もちろん、我が党は一般戦災者には補償する必要がないというような立場はとるものではありません。しかし、戦争マラリアの被害者には一般戦災者とは違う特別の何らかの処置が必要だと考えるわけです。戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用の問題も含めて、国家補償の立場に立って補償措置が可能であるかどうかを検討しなければならないと思います。きょう私は厚生省の現在の見解をこの場で聞こうとは思いません。政治的、行政的な結論を出すにはまだ資料が不足しているからです。
 第一に要望したいことは、政府が速やかに実態を調査することです。あるいは沖縄県の調査に積極的に協力することであります。沖縄県は既に予算も組んで調査することを決めています。しかし、戦時中の、しかも軍の指揮命令も絡んでいることですから、やはり政府の独自の調査あるいは協力がどうしても必要だと思います。つまり政府自身で調査してもらいたい、あるいは沖縄県の調査には積極的に協力してもらいたいというのが第一の提案です。
 第二は、この問題を担当し処理する政府の窓口、受け皿、所管庁を決めることであります。私は、十一月一日に古堅調査団長と一緒に総理府、厚生省、沖縄開発庁を訪ねましたけれども、三者とも自分たちの所管ではないという逃げ腰の態度でした。
 ことしの六月二十日の参議院社会労働委員会で、我が党の沓脱タケ子議員がこの問題を取り上げて質問しています。そのときに厚生省の花輪援護局長は、「先生からそのような問題提起があったことを総理府の方にお伝えをいたしたい」、こう答弁しておられます。小泉厚生大臣は、私も今初めて実情を聞いた、ひどい状況だなと率直に感じた、こういう前置きをしながら、戦後処理の問題といえば、これを所管しているのは総理府だな、総理府の問題でもある。地域は沖縄開発庁の所管でもあるんだ、開発庁にも問題がある。近いうちに厚生省に陳情に来られるということですので、厚生省、総理府、沖縄開発庁、この三者で協議すべき問題じゃないか、こういう答弁をしておられます。これは小泉厚生大臣の答弁です。三者で協議すべき問題ではないかと答弁しておられますけれども、この三者協議はどうなっているのか。この問題について戸井田厚生大臣はどのようにお考えなのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(戸井田三郎君) 今お話しのありました件でございますが、事実関係を調査するのには、厚生省としてはやはり援護法に関係してその調査に出るということになるんだろうと思いますが、一つは、これは援護法の該当には当たらないということは既に御答弁をしたとおりであります。しかし、この実態、現実に対してどう考えるかということは我々考えなきゃならない問題の一つだと思いますが、それにはやはりいろいろな意味で、強制疎開になった状況その他について、果たして御説のとおりに戦況に対する誤った判断からそういうようなことが行われたのか、そういうような幾つかの解明しなければならない問題がまだたくさんあるように思います。
 そして、前小泉大臣が厚生、沖縄、総務庁というお話があったようでありますが、そのことに関しては事実関係、その後のこと等について政府委員から答弁をさせていただきます。
○政府委員(末次彬君) 六月の国会でそのような答弁がございました。内容につきましてはそれぞれ関係省庁に連絡をいたしております。
 ただ、ただいま大臣の答弁にもございましたとおり、本件の中身につきましては、私どもも沖縄県が把握した内容につきまして報告を受けておるところでございますが、御承知のとおり、戦傷病者戦没者遺族等援護法、これは身分関係があるということと、戦争公務に従事している間に死傷した、こういう要件がついておりまして、御指摘の事例につきましては援護法の対象ではないというふうに考えております。したがいまして、厚生省としてこういう実態調査を行う立場にもございませんし、またこの問題について各省間でイニシアチブをとるような立場にもないということでございます。
○諫山博君 私が聞いたのは、行政的な結論を出すのは早過ぎる、結論を出すためにはさまざまな資料を集める必要があるし、調査をする必要がある、こういう立場から二つの提案をしたわけです。
 一つは、調査をしたらどうですか、沖縄県の調査に協力できますか、これが第一です。第二番目は、小泉厚生大臣は三者で協議すべき問題じゃないかと答弁しておられるから、当然三者協議が行われたと思いますけれども、三者協議はどうなっているのか、どうするのか。この二点に答えてください。これは大臣からお願いします、小泉厚生大臣の答弁を受けた質問ですから。――待ちなさい、大臣から答えていただきたい。
○政府委員(末次彬君) まず調査の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、逐次沖縄県が把握いたしました内容につきまして私どもなりに報告を受けております。ただ、受けております中身で判断いたします限りは、私どもとして実態調査に乗り出すといいますか、これにつきまして県と共同の調査あるいは厚生省として調査するような立場にはないというふうに考えております。
 それから各省間の問題でございますが、一応先般の六月の委員会の内容につきまして、関係省に連絡をとりまして話し合いはやったわけでございますが、それぞれ主張が食い違っておりまして、現在のところそれ以上の進展はないというのが実情でございます。
○諫山博君 私が古堅調査団長と一緒に沖縄開発庁に行きましたら、厚生省から全然三者協議の申し入れはない、厚生省から申し入れがあるのではないかと待っているというのが答弁でした。本当に協議しましたか。厚生大臣、説明してください、協議についてどうされるのか。
○政府委員(末次彬君) 私どもも事務的な立場でそれぞれ連絡を取り合って話し合いをやっております。
○諫山博君 私は、小泉厚生大臣の答弁を受けて三者協議を提案しているわけです。小泉厚生大臣
は三者協議をやろうと言っているけれども、現厚生大臣はその気持ちはおありでないんですか。
○国務大臣(戸井田三郎君) この問題は、援護局長が今御説明しているとおり、沖縄県からの調査の報告は逐一聞いておる。しかしながら、現在の状況ではその調査をするという段階には至っていないように今説明をいたしております。
 私も、この問題について、小泉大臣が三者協議の問題を提起したということでありますから、そういうことの原点に立って、それも含めて沖縄県の調査の結果等も、事務当局が聞いたというだけではなく、私自身もその経過についてよく聞いてみよう、かように思っております。
○諫山博君 総理府です、今度は。
 戦後処理問題懇談会の報告というのが出されて、措置すべきであるにもかかわらず残されている戦争被害があるかどうかを検討したという言葉が出てきますけれども、この検討の対象には、今私が問題にしている沖縄県の戦争マラリアの問題は含まれていないと思いますけれども、どうです
○説明員(榊誠君) お答えいたします。
 戦後処理問題懇談会の審議状況に関連しての御質問でございますが、御承知のとおり、戦後処理問題懇談会は、昭和五十七年六月に設けられまして、約二年半、各方面からいろんな戦後処理問題をどう考えるべきかということで御審議をいただいた懇談会でございます。
 現在、先生から御質問のございました沖縄におけるマラリア犠牲者の問題につきましては、ことしになってそういう問題があるといいますか、そういう補償要求が出てきたということで承知しておりまして、その当時沖縄マラリア問題について戦後処理問題懇談会で承知していたというふうには考えておりません。
○諫山博君 念のために質問しますけれども、我が国には、今後いかなる戦争被害が明らかになっても補償してはならないというような法律はないんでしょう。
○説明員(榊誠君) 私ども総理府の立場で現在所管しておりますのが、先ほど申しましたように、平和祈念事業特別基金等に関する法律、この法律自体は、ただいま御答弁いたしましたように戦後処理懇の報告を受けましてできた法律でございます。この法律を提案する際に、戦後処理問題の中の三問題を中心に御議論をいただきまして、それを踏まえて法案を提出さしていただいたという経緯がございまして、法案を出した考え方の根底といいますか背景には、この法案の提出によって戦後処理問題については一応最終的な処置をさしていただきたいという考えのもとに出したというふうに私承知してございます。
 ただ、先生御質問のように、そういうことを法文上明記しているかとか、そういう法律があるかということについては、確かにそういう明記したものはないのではないかというふうに考えております。
○諫山博君 この問題の特色は、現在の考え方からいえば、国家賠償法の適用があるような政府の違法行為によって国民が損害を受けたということなんです。この点がいわゆる一般戦災とは違います。国家賠償法を引用しますと、公権力の行使に当たる公務員がその職務を行うに当たって損害を加えるわけですから、この点で一般戦災と全然類型が違う。繰り返しますけれども、私たちは一般戦災者に対してもう補償の必要がないというようには考えていませんけれども、これはそれとはまた違った特殊な問題をはらんでいるということが私たちの理解です。
 そういう立場から、やはりどこかの窓口がなければ事態は進展しないわけですから、厚生省に要望しますけれども、ぜひ、例えば沖縄県の代表が来たときに、うちの担当ではない、どこに行ってくださいというようなことを言わずに、これを受け付ける窓口、所管庁を決める必要があるというのは当然の要求だと思います。そしてその立場で小泉厚生大臣が三者協議を答弁されたわけです。今一番緊急なのは窓口を決めることだ、私はこう思いますけれども、その点どうですか。
○国務大臣(戸井田三郎君) 軍命令が違法行為であったかどうかという問題も、諫山委員は違法行為であったと言うし、そういったものを含めて、恐らく沖縄の調査等も踏まえながら、そういったものまでさかのぼって調査をするということは、私たち厚生省の立場からすればその権限は私どもにはない、かように思っております。
○諫山博君 厚生省が窓口になってくれと言っているんじゃないんです。小泉厚生大臣は、厚生省がいわば問題を提起して三者で話し合いましょうと言っているんですから、それは当然小泉厚生大臣の答弁を受けるべきではないですか、受け継ぐべきではないですか。大臣がかわったからもう知らぬというわけにはいかぬでしょう。答弁してください。
○国務大臣(戸井田三郎君) 小泉大臣の述べられた見解については、その経過からその後の経緯等について私自身もさらに検討いたしてみます。
○諫山博君 終わります。
○池田治君 私学振興助成法に関してお尋ねいたします。この点につきましては午前中も会田委員の質問にも触れておられましたので、重複するところがあるかもわかりませんが、よろしくお願いします。
 最近の大学入学者は毎年約七十万人、そのうち約七六%の者が私立学校に入学しております。それぞれ建学の精神を持った私学では、我が国高等教育の発展に大きく貢献していることは周知の事実でございます。
 そこで、昭和五十年に成立しました私学振興助成法により、私学の経営の安定と父兄や学生の負担の軽減、高度の教育の普及に大きく役立っていることも申すまでもありません。しかし、昨年度の交付補助金二千四百五十三億五千万円は前年度に比べましてわずかに総額にしてふえているものの、私学の経常経費全体の中での補助金の割合はわずか一六%となりまして、ここ数年間、毎年低下しております。これは本来の私学助成制度の意義に反する動きと思われますが、文部大臣の御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(石橋一弥君) お答えいたします。
 私立学校は我が国の学校教育において量的に大きな役割を果たしており、また質的な面においてもそれぞれの建学の精神に基づき個性豊かな教育、研究を行い、我が国の学校教育の多様な普及、進展に大きく貢献しているところは委員の御指摘のとおりであります。
 そこで、私立学校の今申し上げたような役割のの重要性にかんがみまして、私学助成は私立学校の教育、研究条件の維持向上、就学上の経済的負担の軽減、そして経営の健全性を高めること等を目的として行っているものであり、助成制度実施後私立学校の教育、研究条件等は改善されてきていることを考えますとその意義は大変大きいものがあると考えております。
 数字的なことにつきましては政府委員から答弁をさせます。
○政府委員(野崎弘君) 今委員御指摘ございましたように、昭和六十三年度で申し上げますと、経常的経費に占めます補助の割合が一六%ということで、この率は年々確かに減ってきておるわけでございます。私ども大変苦しい財政の中で、これは一〇%カットのシーリング対象経費にはなっておるわけでございますけれども、毎年増額を図ってきております。来年度の要求におきましても大学関係では四十億の増要求を図っている次第でございます。
○池田治君 増額は図っておられるそうですが、しかし、昭和五十年に私学振興助成法が制定された際、本院の文教委員会では、できるだけ速やかに経常費の二分の一となるよう助成金を増加することに努める、こういう附帯決議がなされていたようでございますが、その当時は私学経常費の約二〇%ぐらいを国庫で負担していたという際にこういう附帯決議をしておられます。しかるに、今の御答弁では一六%と、間違いないということでございますので、附帯決議があるにもかかわらず
数字が下がっていくということは、私は不思議でしようがないのでございます。
 この附帯決議というものは法案の本条文ではないので、強制的に予算を拘束する力はないと理解しておりますけれども、ただ、附帯決議は何のためになされたか。この附帯決議の拘束力といいますか、どれだけ予算を拘束するか、また文部当局に与える拘束力はどの程度強いものと御理解されているか、お答え願いたいと思います。
○政府委員(野崎弘君) 五十年の私学振興助成法が制定される際に、参議院文教委員会の附帯決議として、「私立大学に対する国の補助は二分の一以内となつているが、できるだけ速やかに二分の一とするよう努めること。」という附帯決議があることは私どもも十分承知をしておるわけでございます。
 この過去の推移を見ますと、五十年当時二〇・六%、一時期五十五年に二九・五%まで上がったわけでございますが、御指摘のように現在これが年々下がってきている。これは経常的経費自体が人件費の増等によりまして相対としてふえている、それに応じた予算の方がふえていないということが現実でございますけれども、やはり現在のような厳しい財政事情の中にあるわけでございますので、私どもとしてはそういう附帯決議の趣旨も体しながら、できるだけの努力をしているというのが現実でございます。
○池田治君 御努力は結構でございますが、ここで論じるよりも予算委員会で僕は表現した方がよかったかと思いますけれども、努力しながら減っていくというのも、また理解できないところでございますので、どうかひとつ努力して増加をさせていただきたいと思います。
 これに関連しまして次に、私学増設が五十七年以来次々となされておりますが、どれだけの新設大学があるか、学部の増設があったか、これはわかりますか。
○政府委員(野崎弘君) 五十年代のお話かと思うわけでございますが、昭和五十一年から昭和五十五年度の間は、私立学校法の附則十三項で、特に必要があると認められる場合を除いては設置等の認可は行わない、こういうことが法律で決まっております。その後五十六年度以降もその決定が引き継がれております。そういうことで、五十年代の新設状況で言いますと、大学で二十九、短期大学で二十八と、こういう数字になっております。
○池田治君 五十年代にいろいろ増設、新設をなさったという反面、五十七年度以降からは、経常費に占める補助金のパーセンテージはうんと下がってきておると思うのですが、これはどうでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 私立大学等の経常費に対する助成の方に限ってお話しさせていただきますと、五十七年度では五十六年度と予算が同額ということでございました。五十八、五十九年におきましては、予算のシーリングということもございましたし、当時ちょうどいろいろな大学におきます不祥事というようなこともございまして、五十八、五十九年は予算がカットされたということがございました。そういうようなこと等ございますし、一方では経常的経費が伸びておるというようなことで、経常的経費に占めます補助金額の割合が下がってきた、こういうことでございます。
○池田治君 もう一つあるでしょう。五十七年は同額、それからカットされてきたということのほかに、新増設をたくさんやられたので、総額が同じで大学の数はふえたということでもパーセンテージが減ったんじゃございませんか。
○政府委員(野崎弘君) 私どもは、先ほどもお話ししましたように、昭和五十年代、これはどちらかというと、新増設というものに対しまして慎重に審査をしてきたということで、例えば昭和四十一年から五十年度、いわゆる四十年代、これは大学で九十五、短期大学で百五十二という新設の認可をしてきたわけですが、五十年代は先ほどお話ししましたように、大学で二十九、二十八ということで、五十年代は数字の方は相当抑制をしてきた、このように私どもは認識しております。
○池田治君 今後はその許認可についてはどういうお考えですか。
○政府委員(野崎弘君) この点につきましては、抑制という基調はその後も私どもの基調としてあるわけでございますが、御存じのように、平成四年に向けまして十八歳人口がふえておるわけでございまして、最高で二百五万人になるということでございますので、昭和六十一年から平成四年までの七年計画という新高等教育計画というのを定めまして、現在それを推進しているわけですが、やはりこの十八歳人口がふえている。したがって、五十八年当時の進学率は確保しなきゃいかぬだろうということで、その計画では八万六千人の増というものを恒常的な定員増あるいは臨時的な定員増で対処しなきゃならぬということで、現在その計画につきましては、私学の方の御努力もありましてほぼ達成をしたという状況にあるわけでございます。
 私どもとしては、現在の段階では基調としてはそういう従来の基調があるわけでございますけれども、当面の問題としまして、やはり十八歳人口の増というものには必要な対応をしていかなきゃいかぬだろうということで整備をしている段階でございます。
○池田治君 最近の高校卒業生の増加、大学進学率の高比率ということから考えますと、今の御回答も理解できるわけでございますけれども、しかし、十八歳人口の増加というのはいつまでも続くわけではございません。何年後に減少の傾向になると考えておられますか。
○政府委員(野崎弘君) 十八歳人口は平成四年までふえまして、ここで二百五万人になります。その後だんだん減ってまいりまして、平成十二年には百五十万人。したがって、平成四年の二百五万から平成の十二年にかけましては五十万ほど十八歳人口が減る。急増を迎え、そしてその後急減を迎える、こういうような状況でございます。
○池田治君 そこで私が心配しますのは、今その場で間に合わせに大学の新増設を認めても、数年後にはまた十八歳人口の減少で経営自体が困難になる私学が出てくるのではなかろうか。私企業に例えますれば、不渡り手形を出して倒産する、こういうような弱小私学ができるんじゃないかということを心配しておりますが、その場合の対策も文部省ではお考えでしょうか。
○政府委員(野崎弘君) 確かに急増を迎え、急減を迎えるということでございますので、新高校教育計画の中でも、すべてを恒常的な定員増ということではなしに、八万六千のうちの半分ほどは臨時的な定員増というもので対処する。したがって、急増の時期におきましては臨時的な定員増というものをその中に含めまして、急減の時期にはその臨時的な定員増というものを少しずつはがしていくというようなことで現在対応しておるわけでございます。
 この減少期の問題につきまして、やはり各私立大学におきまして、そういう十八歳人口の急増急減ということを踏まえまして、長期的な見通しのもとに教育研究条件の向上を図るということがやはり大切かと思っておるわけでございます。国際化とかあるいは情報化、それから生涯学習への積極的な取り組み、そういうことによりまして個性的で魅力のある学校づくり、そういうものを各私立大学で御工夫をいただく。そういう意味では、従来にも増して経営努力というものが行われることを期待しているわけでございます。
 なお、私学助成につきましても、国の財政事情、そういうものを総合的に勘案しながらその確保に努めてまいりたい、このように思っております。
○池田治君 定員減をするとますます経営が苦しくなってしまうということも考えられますが。その点が一つ。
 それから、今までは私立大学が申請をして助成金をいただく、こういうことになっていたと思いますが、六十一年度の決算検査報告では、六件が不当申請をしていたということが発表されております。そこで、過大交付をしたのではないかとい
うことで問題にもなりまして、社会でも問題になっているわけでございますが、こういうことのないように私学に経理の公開を求めてはどうかと私は思うんです。これに関しましては、大学の自治とか私学の自由とか、こういう問題もございますけれども、一生懸命経営努力をしてもなお財政状況がよくならない、こういう地方の大学も幾多ありますので、これらの点についての御配慮を願いたいと思いますが、文部省はどうお考えでしょう
○政府委員(野崎弘君) まず、私学の経理不正ということでお話がございましたが、これは専任教員のいろいろな、どういうところが対象になるかとか、そういうあたりに、何といいますか、私学側の判断が違っておったりして、そういうところから出たわけでございますので、これが直接そういう経営状況ということではないわけでございますけれども、やはり私学の経理の公開という点につきましては、私学が公共性の高い事業に携わっている、あるいは従来から学校経営に対しまして父兄等の関係者の協力を求めるなど、そういうこともございますので、財務状況を関係者に明示するように指導はしているところでございます。
 ただ、この問題は、国の方で一律にこうしなさいということではございませんで、必要な場合にどの範囲の者に閲覧をさせるか、あるいは一般に公開するかどうか、そういうようなことはやはり私立学校の自主的判断によって行うべきことかと思っております。
○池田治君 自主的判断は結構でございますが、それに基づいて経理を見ていかなければ、将来倒産する法人が出てくるということを心配しております。どうぞそこらの御配慮をお願いしまして、時間ですので終わります。
○山田勇君 まず厚生大臣にお尋ねをいたします。
 去る十三日、島根医科大学において二十六歳の父親が自分の肝臓の一部を切り取って一歳の我が子に移植をする生体部分肝移植の手術が行われたのですが、経過も順調で大変喜ばしい結構なことでございますが、この問題は、今論議の的にもなっている脳死問題とも絡み、各方面でいろんな意見もあるようでございます。国会の方におきましても脳死問題の委員会を設立するようにも聞いておりますが、大臣として今この問題にどのような感想をお持ちでしょうか。
○国務大臣(戸井田三郎君) 山田委員の突然の御質問でございますけれども、一つは、一人の人間として、そして二十六歳の親が、一歳と四日と新聞には書いてありましたが、その子供がまさに命を失おうとしている中で、親として自分の生体肝を提供して手術をお医者さんにお願いした。この記事を見て、私は正直言って感動いたしました。そして、その後の経過が、拒否反応もなく、成功したということでございますから、まさにこの小さな命が本当に救われて、大きく成長してもらいたいと心から祈る気持ちでいっぱいでありました。
 同時に、国会では内閣委員会で脳死問題が今論議をされておるわけでありますが、脳死の状態の患者さんの内臓提供にも今国論が分かれているわけでありますから、恐らくこの生体肝臓を移植したということは、そういう意味ではいろいろ国民の間にまた論議がなされるであろうし、これからもこういうようなことがあり得ることであろうと思いますので、大きな国家的な、国民的な論議がなされて、こういったことにも新しい方向が見出されていくことを願っております。
○山田勇君 どうもありがとうございました。この問題いろいろとまたこれから国会の方でも論議がなされると思いますが、でも大臣、一つの生命がどういう形であろうが救われるということは大変喜ばしいことだと私は思います。
 続きまして労働省、厚生省にお伺いをいたします。
 海部総理大臣は、先月の二十二日でしたか、母校の早稲田大学で講演をされた際、国民の老後の生きがいづくりのための新人生計画のようなものの必要性を述べておられました。これからの高齢化社会に対応する施策はあらゆる面で万全を期さなければならないと考えるわけですが、まず年金問題ですが、これらの改革法案が国会で審議をされ、その中で支給開始年齢の引き上げが提案されています。しかしながら、老後の生活を送る場合、六十五歳の定年退職年齢も普及しておらず、あまつさえ税金、社会保険料の負担が重いという意識の強い中で、これはなかなか国民には受け入れられないものではないでしょうか。とても困難であると私は考えます。また一方、三十歳から四十歳代の勤労者は時間にも経済的にもゆとりがなく働いているのが現状でございます。八九年度国民生活白書にも指摘されておりますが、こういった点を勘案して、勤労意欲の高い高齢者に就業機会を保障することによって中堅勤労者のゆとりある生活の実現ということも考えられるわけです。
 そこで、年金支給開始年齢の引き上げなどという前に、六十歳―六十五歳の雇用環境を整備することに力を注いではどうかと思うんですが、まずこういうことに対する具体的な計画、また現状はどうなのかお伺いしたい。六十歳以上で働く意欲のある人に対する雇用対策を積極的に推進してはどうかと思うので、労働省の方にお伺いをいたしておきます。
○政府委員(七瀬時雄君) お答え申し上げます。
 現在、高齢化に伴いまして労働力人口も高齢化いたしておりますが、全労働力人口に占める五十五歳以上の高齢者の割合は一九・三%となっておりますが、二十一世紀初頭には四人に一人が労働力人口の中で高齢者である、こういう状況になってまいるように予測されております。また、労働力人口がふえていく中でそのかなりの部分が高齢者に依存していく、こういう社会が予測されているわけでございますので、私どもといたしましては高齢者の雇用対策に全力を尽くさなければならないと思っているわけでございます。
 ただ、現状を申しますと、例えば完全失業率について見ましても、これは六十三年の数字でございますが、全体が二・五%であるのに対して、高年齢者は二・九%、それから有効求人倍率については、全体が一・一六倍であるのに対して高年齢者は〇・二四倍と非常に厳しい状況になっております。私どもといたしましては、現在、六十歳定年の定着化を基盤といたしまして、さらに六十五歳までの勤労者の多様なニーズにこたえた高齢者の雇用対策に努めているところでございますが、先般、雇用審議会に私ども諮問いたしまして、六十五歳までの雇用を確保するあり方について法的整備も含めて御検討をいただくようにお願いいたしまして、現在御審議をいただいているところでございます。
○山田勇君 そういう就業環境整備を行政側で指導していけば、僕はまだまだ六十五歳という、壮健な方は十分働けますので、ぜひひとつその環境づくりのためにも御努力をいただきたいと思います。
 次に厚生省にお伺いをしますが、年金の支給開始年齢の引き上げや保険料率の引き上げなどの提案は、年金財政をどう運営するかという視点から出てきたものと考えます。ところが現実を見ますと、厚生年金積立金への国庫負担の繰り延べ措置を毎年行ってきておりますが、現在一兆三千五百億円近くになっておりますが、これはいわば国が借金をしているということになるのではないですか。この補てんについて厚生省としてはどう取り組んでいるのか。また、平成二年度で返済をされるのか。もしそうでないなら、これは本来可及的速やかに返済をされるべきものと考えておりますが、どう処理をするのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(戸井田三郎君) お説のとおり、この問題は財政当局との間に精力的に協議をして、早く解消していくように努力をしていきたいと思っております。
○山田勇君 初めに申したように、我が国として未曾有の高齢化社会を迎えるに当たり、年金制度と高齢者雇用との両者のかかわりは重要な課題で
あると考えます。厚生大臣はどのような認識をこの点についてお持ちか、お伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(戸井田三郎君) 実は現在の法律は既に六十五歳ということになっておるんです。それで当分の間は六十歳ということで、本則は六十五歳になっていることを御承知願いたいと思います。
 そして、公的年金は世代間扶養の仕組みで運営されているものであり、給付を受ける側と負担をする側とのバランスを考えることが必要であります。御指摘の、現在三十歳とか四十歳の方々は厚生年金の保険料として月給の六・二%を支払っていただいておるわけでありますが、支給開始年齢を六十歳のまま据え置いた場合、これから先の年金を受ける方々がどんどんふえてくるわけでありますから、この方々を支える現役世代の保険料率というものは現在の二・五倍、一六%程度とならざるを得ないと見込まれておるわけであります。
 給付水準を維持しながら将来の若い世代の方々の負担がこのように過重なものにならないようにするためには、高齢者雇用の確保を図りながら、今労働省からお話がありましたように、その環境整備をしながら、支給開始年齢を二十年間の期間を置いて段階的に引き上げるというのが今の六十五歳提案であります。現在六十歳でありますけれども、現在支給が、実際開始年齢の平均の水準はどのくらいになっているかというと、昭和六十二年で、既に六十歳支給でありながら実際にもらっているのは六十二歳が平均になっているんです。ということは、そこまで雇用が確保されておるものですから、実際に支給されているのは六十二歳。また、六十五歳になっても、自分自身の状況、体の状況であるとかあるいは職がないとか、あるいは被保険者でいないというような状態の場合には、いつでも繰り上げで支給を受けられるように今度は提案をいたしているわけであります。
○山田勇君 厚生省の年金の問題はこの程度にとどめおきます。
 次に、産業廃棄物に関連してお聞きしますが、御承知のように、現在地球環境の保全が全世界で叫ばれておりますが、我が国もこの問題の解決について経済、技術などの分野で貢献すべきことは言うをまちませんが、国レベルだけではなく国民生活の中においても環境保全に向けた努力は必要であると考えます。このことは、去る九月の地球環境保全に関する東京会議に示されました環境倫理というものであります。地球環境に優しい国民生活、ライフスタイルの確立ということであると考えます。そういった中で、限りある資源を大切に、そして廃棄物を再資源化する、また減量するといったことが必要であります。また、木材や鉱物資源などを海外の多くの国に頼り、これを大量消費することにより豊かな生活が支えられているわけですが、こういった中身を見直すことも重要であります。
 しかしながら、現実の社会は、OA化によってペーパーレス社会の到来かと思えば、逆に紙のごみが増大する、使い捨て商品のはんらん、ごみの投げ捨て、処分する場所が少ない、また処理段階で有害な物質を排出するおそれなど、環境倫理とは逆方向に進んでいるのではないか。この転換を図るため、国民生活の変革、啓蒙はもちろんだと考えますが、国としての取り組みも充実させなければなりません。
 そこで、もう一度厚生省ですが、廃棄物の再資源化のため、また適正な処分施設の整備についてどのような施策を進めているのか、この二、三年の予算措置はどうなっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(戸井田三郎君) 後で数字は事務当局から説明させていただきます。
 ごみの処理に当たっては、焼却とか埋立処分とあわせてごみの再資源化が基本でありますが、ごみの再資源化については、今年度から新たに、総合的に再資源化を行う再生利用施設の設備に対する補助制度を導入するなど、積極的に取り組んできているところであります。ごみの再資源化には、流通技術上の困難もあり、国民一人一人の意識の変革や製造業者の協力が重要で、今後ともこれらの点を踏まえながら、総合的に再資源化に取り組んでいくわけでありますが、御指摘の予算の問題については局長から答弁させていただきます。
○政府委員(目黒克己君) ごみ処理の対策につきましては、ただいま大臣の方からお答え申し上げましたように、焼却、埋立処分及び再資源化を行っておるわけでございますが、その予算額は、六十二年度四百六十四億円、六十三年度五百四十七億円、平成元年度五百五十二億円を計上してきたところでございます。
○山田勇君 時間です。終わります。
○下村泰君 先ほど同僚議員から、日本で初めての、世界でも四例目ですが、生体肝移植が一昨日、十三日午前九時半から島根医科大学で行われました。これについては賛否両論ありましょうし、各界の方々がそれぞれの意見があります。厚生省などにもどう受けとめられておるかお聞きするところでございましたけれども、もう既に質問がございましたので、同じことは伺いませんが、こういうふうにして移植手術が終わり、まだ二週間先がめどだと言われておりまするけれども、ここでこの子の生命が保たれればこんなすばらしいことはない。
 しかし、同じ親子の間で、俗の言葉で言えば、三千世界に親を思わぬ子はあれど子を思わぬ親はない。子供のためならばという親は幾らもいる。その親が子供のために自分の体内から骨髄液を出して、そして白血病のために移植手術をしようと思っても、これがなかなかできませんで、組織適合というものを検査しませんとできない。親子の間でも、あるいは兄弟の間でも、兄弟でも四分の一の確率しかないという難病の白血病を治すための骨髄移植なんですけれども、この骨髄移植をするために今世界じゅうで骨髄バンクというものが非常に叫ばれております。
 これは私はもう三回目になるんですけれども、その間にも、先日森山官房長官にも、アメリカで実際にこの医術に当たっているアメリカの医学者お二人を御案内して、あと東大の教授で十字猛夫先生という方がいらっしゃる、この方も実際に骨髄移植をやっていらっしゃる先生、この方々をお連れして森山官房長官にもお願いしてまいりました。
 大体厚生省のお答えというのは決まっているんです。例えばドナー、いわゆる提供者といいますか、その方々のリスク、心身への負担、これが一番問題になっているのではないかと思いますけれども、その域からいまだに出ませんか。お答えください。
○政府委員(長谷川慧重君) お答えいたします。
 白血病患者などの治療法として骨髄の移植という問題があるわけでございますが、ただいま先生からお話がございましたように、過去からいろんな話等があるわけでございますが、現実におきまして、私ども骨髄移植につきましては、先生のお話にもございましたけれども、骨髄の提供者に全身麻酔をかけた上に、腰の骨に数十カ所の注射針を刺して、それから骨髄をとるということで、いわゆる提供者側に非常に肉体的に精神的に大きな負担がかかる。さらには、先生のお話にもございましたように、いわゆる敗血症等のリスクがあるというようなことから、現在、通常におきましては、肉親の愛情等を前提として実施されている状況にございます。そういう面で、生体の第三者からの骨髄の採取を前提といたしまする骨髄バンクにつきましては、今後とも医学的、社会的、倫理的になお十分検討する必要があるだろうというぐあいに考えているところでございます。
 しかしながら、厚生省といたしましては、先生のお話もございましたのですが、当面、死体から骨髄の採取をして、それをいかにうまくそういう希望者の方に与えることができるようにするか、死体からの骨髄採取の方法、あるいは骨髄を培養して増量する方法、そういうものの研究を進めまして、リスクを伴わない形での骨髄を提供してま
いる方法をいろいろ研究してまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
○下村泰君 今の局長のお答えは私は決して否定もしません。むしろそれはそれで進めていただきたい。ただ、これはもうこの前の質問のときに、健康政策局長ですか、その仲村さんがお答えになるのと一つも変わってないわけですね、今のお答えの内容は。全然それから前に進んでないわけです。
 事実、例えばそれじゃドナーのリスクというものがどの程度いろいろ心配されている事例があるのかないのか。あったら教えてください。
○政府委員(長谷川慧重君) アメリカにおきますNIHの報告によりますると、骨髄移植のドナーが四千六百二十人、このうち十三例の合併症が発生したというぐあいに言われております。大ざっぱに申し上げますと、三百例に一例、〇・三%、〇・四%のところでいろんな合併症の症状があるというのがアメリカの方から報告されているのを持っておるところでございます。
○下村泰君 日本の方はどうなっていますか。
○政府委員(長谷川慧重君) 日本の場合につきましては正確なデータを持ってはいないわけでございますが、現在、骨髄移植をやっております件数が年間大体百五十件から二百五十人ぐらいに行われているというぐあいに聞いているわけでございますが、日本におきます合併症につきましての発生頻度は詳細を把握いたしておりません。ただ、私どもいろいろ話を聞いておりますと、かなり重篤な合併症もありますし、あるいは軽微な合併症もあるわけでございます。現在のところ、そういうドナーに対します、合併症で亡くなったという方はいらっしゃらないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、三百例に一例ぐらいの割合でいろんな意味の合併症が発生するリスクはあるというぐあいに承知いたしております。
○下村泰君 私もそれを一番心配しまして、先日東大の十字先生にも伺ったんですが、十字先生の扱っているのでは一件もないそうです。一つありましたのは、注射をたくさん打ちますね、針を、それが化膿したというのがあるそうです。それ以外はないそうです。
 それから、今まで私事例を――事例というよりも、専門家じゃございませんから、文献その他によるしか手だてとしてはございませんけれども、例えば「代謝」という医学専門誌がございますね、これは昭和六十三年の八月三十一日に私が質問した書き残しの中にあるんですけれども、その六月号で、正岡徹という方が厚生省がん研究助成金骨髄移植研究班の成績を中心にまとめられたものがあります。その正岡氏のレポートの最後にこういうことが書いてあるんです。「骨髄移植はこれまでの治療法では治癒率のきわめて低い疾患を完治せしめる治療法であるから、これが施行できるかどうかが、患者の生死を左右することになることが多い。このような観点から、骨髄移植の成績の向上と施行数を増加させるために、広域的な行政の対応が望まれる」「骨髄移植センターの設置はかなり有効な対策と思われる」、こういうことをおっしゃっていますね。
 それから名古屋大学病院の森島泰雄先生は、「数万人のバンクができれば、少なくとも毎年数百人の白血病や再生不良性貧血などの患者を救える。アメリカではすでにバンクが活動しており、」、これはアメリカのは大変なものです。そして、こういうことがなぜこれだけ切実に望まれているか、健常者にとっては余りぴんとこない話かもわかりませんが、事実こういう病に侵されている人は数限りなく、年間発生数が我が国では五千人と聞いています。五千人の方々は手当てを受けられないうちにお亡くなりになる方が多いということになりますね、これは不治の病の一つですから。
 ここにこういう記事もあります。「私も手術を受けたい。元気になりたい。もっと長生きしたい。だから、だれか私に命を半分だけください」。ことしの五月、骨髄の提供者があらわれるのを待っていたにもかかわらず、十四年という短い生涯を閉じた国本真木ちゃんという子がいらっしゃいます。お父さんが亡くなって、しかも初七日ですよ。お父さんが同じ病気です。亡くなった初七日に後を追うようにこの子も亡くなった。
 それから、この間私も例に出しましたけれども、これはお名前を伏せます。「私は去年の十一月に主人をなくしました。」、この方は主人が亡くなって五カ月後に今度は御自分のお嬢さんが入院しなければならない羽目に立った。今のいわゆる抗がん剤というものを入れますね、抗がん剤を使用するんですけれども、抗がん剤を使用してある程度までいっても、これを寛解と言うんだそうですね。つまり完治でもなければ治癒でもない。したがって、こういう寛解という言葉を使うんだそうです。治りかけているんじゃないかなというような言葉なんですね。ところが、この状態になっても八〇%が必ず再発する。ところが、同じ骨髄の移植をする場合に、五〇%の治癒率というのは寛解じゃないんでず。五〇%しか治癒率がないにしても、これは完治なんですよ。ところが片方の抗がん剤を入れていくのが八〇%以上が再発するわけなんです。ですから、助かるという見込みが絶対あるわけではない。
 それで、抗がん剤を打たれるとこのお嬢さんが気持ち悪くなるんですね、物すごく強いから。吐き気を催して食欲はなくなる。水すら飲めなくなる。それを吐き戻すんですね。片方の手はシーツを汚したらいけないという気持ちで嘔吐するものを受ける体勢を整える。片方の手は硬直して震えておる。そしてこの嘔吐がおさまると、眠ろう眠ろうと本人は努力する。そして娘は寝る。その寝顔は目を半分開いたまま白目をむいて寝ているというんです。母親にとってこんなむごたらしい娘の姿を見るのはつらいでしょう。ところが起こすわけにはいかない。これが一番楽な姿勢なんです。それで、この間母親はじっと見ているというような記事なんです。
 このほかに、フランスあたりではどうしているかというと、フランスはさすがに考え方が違うんですよ、日本の厚生省とは。フランスじゅうの七千軒の薬局がパンフレットを置いているんですね。そして情報宣伝をして、それを見ることによって心ある方が、それじゃ私も提供者の一人になりましょうと。
 恐らく戸井田厚生大臣は私と同じような生まれの年であるし、お互いに戦争の経験もあるし、ビルマで私もマラリアにやられてきている経験がありますから、ツーと言えばカーの気持ちになるんですけれども、私や戸井田厚生大臣ではもう提供者になれないんですよ、年が年ですから。さようならなんです、我々は。もっと若い人でなきゃいかぬ。厚生大臣に幾らこれをお話ししても、ころころかわる。かわるたびに意見が変わる。意見の変わらないのは局長クラスだけなんです。ですから、一番大事なのは、戸井田厚生大臣の名前を永遠に残すためにも、ここでひとついわゆる骨髄バンクというものを何とか形にできないものか、これをひとつ考えていただきたいと思うんですが、ただいまの御心境、どうでしょう。
○国務大臣(戸井田三郎君) 今下村委員がいみじくも、健常者にはわからないという言葉を言われました。私は、この問題がやはりこの間の島根のお父さんと同じように、身内やなんかで健常者であっても気持ちがわかる、そういった人たちによってバンクが今支えられているんだろうと思います。しかしながら、このバンクを制度として行おうとすると、いろいろな方々に適応していかなければならない。そこにいろいろな問題があると思いますので、先ほど局長から御答弁がありましたように、今衆議院の内閣委員会でやっている脳死の問題と同じように、その問題を解決して、そして死体の骨髄から取れるような制度というものも今進めようと努力をしているわけで、これは半歩であるかもしれないけれども、前進の方向に行く努力の一つの形態だと思います。
 また、もう一つ今言われた問題は、白血病の中でも九百名が何か適応者があるそうです。そういうような人たちからすれば、本当に一日も早くこの問題を解決してもらいたいという気持ちもよく
わかりますので、そういった意味も含めながら、今言った厚生省の考えている方法等をもできるだけ推進をしていきたい、かように思います。
○下村泰君 それで、これ念のために聞いておいていただきたいのでございまするけれども、イギリスでは登録している人が十三万八千人ですね。これは慈善団体の方に登録している人。それから国営の方では一万人。それからアメリカでは赤十字と国で登録しているのが四万人。協会というのが二万四千人。フランスが国営で四万三千人。カナダが赤十字で七千人。ベルギーが赤十字で五千人。オランダが、これは大学の方で三千五百人。スペインが赤十字で千五百人。それから西ドイツ、これはウルムの大学ですが、二千人。オーストラリアがただいま赤十字で準備中。スイスも既に発足しています。それからフィンランドが赤十字で今準備中。じゃ日本はどうか。日本では東海地方の東海骨髄バンクというところに大体三百人。日本全国で所々方々にこういう声が大きく広がりまして、今日本全国で言うと千五百人から二千人近くなっています。民間の間ではこういう声が起きているんですよ。
 ですから、私は厚生省に動いてほしい。もし厚生省というお役所が動き切れなければ、赤十字とかそういうところをもう少し動かして、僕はドナーになる人はたくさんいると思いますよ、日本人はお互いに助け合う精神が強いんだから。そういうことで、まず骨髄バンクを先行させて、バンクは登録するだけなんです。登録したからすぐやろうというんじゃない。登録させるんですから、登録するところが骨髄バンクなんですから、仕事はそれからなんです。それにあわせて研究も進めていってほしい、これが私のお願いなんですが、時間がないんです。よろしくどうぞ。
○政府委員(長谷川慧重君) ただいま先生から外国の事例についての御紹介がございましたが、私どももそういうことで、外国におきましては国営なりあるいは赤十字等でやっているところがございます。赤十字の中におきましてもこの骨髄移植の問題につきましては内部でいろいろ検討しているという話がございますので、私どもそういう面では医学的な知識の交換、情報交換というのをやりながら、先ほど申し上げましたように、今のところ私どもといたしましては、何とか早く死体から取る方法あるいは増量する方法というものにつきましての研究を進めまして、患者さんの不安の解消に役立ててまいりたいというぐあいに思っている次第でございます。
 民間ベースで、確かに東海骨髄バンクにおきましては、十月現在で約千百名ほどの登録者がおられるわけでございますが、登録されましたらすぐに取るというわけじゃないわけでございますけれども、ある程度、さっき先生お話しされましたように、血液型が合いますと、提供する側の方も、一定期間病院に入院していろいろ治療を受けて、ある日にドナーに来てもらってやらなきゃならないということになっているわけでございます。そういう面で、ドナーを登録しましても、病院側で受け入れ態勢を整えておった日にドナーが急に来れなくなったということになりますと、また非常にいろんな問題等もございまして、なかなか提供者側の事情もございますし、制度的に維持するのは現時点で非常に難しい問題をいろいろ抱えているということで、なお勉強、検討させていただきたいと思っております。
○下村泰君 まだあと三十秒ありますので、三十秒だけ。
 そうしますと、今局長のおっしゃっているのは、大体いつごろにめどを立てればよろしいのか、これがまず一つです。
 それから、竹下登元総理が、「近代医学の発達した中においても手の届かないものがあり、ある意味において難病、奇病という言葉を私どもよく使わしていただいておりますが、そういう問題についての調査研究というものが一層進むことによって、それらの解決の糸口が見つかるものじゃないかなというふうな感じで承っておった」、こういうことなんですね。ところが糸口は見つかっているわけですよ。もう目の前にあるんですよ。しかも、先ほど申し上げましたように、年間五千人の発病者があって、今私がこうしてしゃべっている間にも倒れていく人がいるわけです。きょう傍聴者の中にも十三歳になる坊ちゃんを抱えて、この子がいつ倒れるかわからない、いつ唐土に旅立つかわからない、そういう必死の思いでこのお話を聞いていらっしゃる傍聴者もいるんです。一刻の猶予もできないと私は思います。もちろんそれは脳死の問題もいろいろありましょう。けれども、私が今言っているのは、とにかくバンクを先行させなさい、登録する人をふやしてください、それからいろいろ組織適合どうのこうの、問題はあります。けれども、まず事を動かさぬことには旗は動いていかないんですよ。旗を動かすことをやってください。
 大臣、一言だけお答えください。
○国務大臣(戸井田三郎君) お説、よく検討をしてまいりたいと思います。
○下村泰君 終わります。
○委員長(千葉景子君) 他に御発言もないようですから、文部省、厚生省、労働省、科学技術庁及び環境衛生金融公庫の決算の審査はこの程度といたします。
 次回の委員会は十一月十七日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時八分散会