第118回国会 外務委員会 第5号
平成二年六月一日(金曜日)
   午前十時二分開会
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   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任
     石渡 清元君     山本 富雄君
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     堂本 暁子君     菅野  壽君
六月一日
    辞任         補欠選任
     菅野  壽君     堂本 暁子君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         山東 昭子君
    理 事
                久世 公堯君
                宮澤  弘君
                竹村 泰子君
                中村 鋭一君
    委 員
                大鷹 淑子君
                岡部 三郎君
                関口 恵造君
                原 文兵衛君
                久保田真苗君
                田  英夫君
                堂本 暁子君
                肥田美代子君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                中西 珠子君
                立木  洋君
                猪木 寛至君
   国務大臣
       外 務 大 臣  中山 太郎君
   政府委員
       外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君
       外務大臣官房外
       務報道官     渡邊 泰造君
       外務大臣官房会
       計課長      阿南 惟茂君
       外務大臣官房領
       事移住部長    久米 邦貞君
       外務省アジア局
       長        谷野作太郎君
       外務省北米局長  松浦晃一郎君
       外務省中南米局
       長        瀬木 博基君
       外務省欧亜局長  都甲 岳洋君
       外務省経済局次
       長        須藤 隆也君
       外務省経済協力
       局長       木幡 昭七君
       外務省条約局長  福田  博君
       外務省国際連合
       局長       赤尾 信敏君
       外務省情報調査
       局長       佐藤 行雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        辻  啓明君
   説明員
       科学技術庁原子
       力安全局核燃料
       規制課長     大森 勝良君
       通商産業省通商
       政策局経済協力
       部技術協力課長  増田 聰博君
       通商産業省産業
       政策局国際企業
       課長       若杉 隆平君
       通商産業省基礎
       産業局非鉄金属
       課長       光川  寛君
       運輸省地域交通
       局自動車業務課
       長        山下 邦勝君
   参考人
       海外経済協力基
       金理事      小宅 庸夫君
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  本日の会議に付した案件
○平成二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、平成二年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)平成二年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (外務省所管)
○参考人の出席要求に関する件
○向精神薬に関する条約の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 先般、石渡清元君、堂本暁子君が委員を辞任され、その補欠として山本富雄君、菅野壽君が選任されました。
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○委員長(山東昭子君) 去る五月二十五日、予算委員会から、六月一日の一日間、平成二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管について審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 中山外務大臣から説明を求めます。中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) 平成二年度外務省所管一般会計予算案の概要について御説明申し上げます。
 外務省予算の総額は、五千三百三十九億二千九百九十七万九千円であり、これを平成元年度予算と比較いたしますと、六百七十二億八千七百七十一万一千円の増加であり一四・四%の伸びとなっております。
 戦後の国際秩序は、欧州を中心に大きく変貌を遂げつつあり、新たな国際秩序への模索が始まっています。このような中で、我が国は、国際情勢の前向きの変化を定着させつつ、世界の平和と繁栄をより確固とする新しい国際秩序の構築へ向けて幅広い分野で積極的に貢献していかなければなりません。これは国際社会に枢要な地位を占めるに至った我が国の重要な責務であると同時に、世界の平和と繁栄の中で、より豊かな国民社会を形成していくために必要不可欠な道であります。かかる観点から、我が国外交に課せられた使命は極めて重要であり、従前以上に強力な外交を行っていく必要があります。
 平成二年度においては、定員等の増強、在外勤務環境の改善等の外交実施体制の強化、国際協力構想を中核とする国際協力の推進の三点を最重要事項とし、その他情報機能、海外邦人対策を加え、予算の強化拡充に格別の配慮をいたしました。
 特に、外交強化のための人員の充実については、平成二年度において百八名の増員を得て、外務省定員は合計四千三百三十一名となっております。また、機構面では、在外公館として在カメルーン大使館及び在エジンバラ総領事館を開設することとしております。
 次に、国際協力構想を中核とする国際協力の推進に関係する予算について申し上げます。
 国際協力構想の三つの柱は、政府開発援助(ODA)の拡充、国際文化交流の強化、そして平和のための協力の強化であります。
 まず、平成二年度政府開発援助(ODA)一般会計予算については、政府全体で対前年度比八・二%の増額を図り、ODA第四次中期目標に盛ら
れた諸施策の着実な実施を図るため、特段の配慮をいたしました。このうち外務省予算においては、無償資金協力予算を対前年度比二六%増の二千十一億円計上しておりますが、その内訳は、経済開発等援助費が一千六百二十一億円、二年度から外務省に計上されることになった食糧増産等援助費が三百九十億円であります。このほか、技術協力予算の拡充に努め、なかんずく、国際協力事業団事業費は対前年度比七・六%増の一千二百五十億円を計上しております。
 次に、国際文化交流の強化でありますが、世界の異なる文化間の相互交流を促進し世界の文化をより豊かなものにするとともに、近年の対日関心の高まりへの積極的な対応を図ることが求められております。そのため、国際交流基金の拡充、国際文化交流事業の促進、海外啓発活動の促進のために百五十五億二千二百万円を計上しております。
 さらに、平和のための協力の強化につきましては、我が国は、国力の伸長に伴い、経済協力の分野のみならず、世界の平和と安定のために貢献し、相応の国際的責任を果たすことが必要となっており、百二十一億円を計上しております。
 このほか、情報機能の強化及び海外邦人対策の整備拡充に配慮しております。
 以上が外務省関係予算の概要であります。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(山東昭子君) 以上で外務大臣の説明は終わりました。
 この際、お諮りいたします。
 外務省所管平成二年度予算の大要説明は、これを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。
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○委員長(山東昭子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 ただいま議題となっております本件の審査のため、海外経済協力基金理事小宅庸夫君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(山東昭子君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○宮澤弘君 外務大臣、東奔西走大変御苦労さまでございました。
 きょうは私は、外交の基本に関する問題一問だけ私の考えを申し上げまして、大臣の所感を承りたいと思います。
 今国会の総理大臣の施政方針演説の外交の部分を拝見いたしますと、総理大臣は、新しい「国際秩序の構築に参画し、志ある外交の展開に取り組んでいかなければなりません。」、こういうことで五つ、「平和と安全が保障されること」、「自由と民主主義が尊重されること」、「開放的な市場経済体制のもとで世界の繁栄が確保されること」、「人間らしい生活のできる環境が確保されること」、「対話と協調を基調とする安定的な国際関係が確立されること」、この五点を「国際秩序」というふうに述べておいでになります。
 それからまた、外務大臣の外交演説を拝見いたしますと、世界の平和と繁栄への貢献、国際協力構想の推進ということで、「平和のための協力、政府開発援助の拡充及び国際文化交流の強化」の三点を挙げておいでになります。
 そこで、まず一番初めに、総理大臣の言われる「志ある外交」、これはどういうことでございましょうか。簡潔にひとつ大臣のお立場で教えていただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 総理の言われる「志ある外交」とは我が国の安全と繁栄を確保するため、また憲法前文に言う「国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う。」との理念を実現するために、日本の持てる力を信念を持って全地球、全人類のためにささげるとの決意を込めて日本の外交の基本姿勢を表現したものというふうに理解をいたしております。
○宮澤弘君 総理大臣の演説、外務大臣の外交演説、いずれも我が国外交の方向について体系化され、具体化して述べておいでになる。私はこれは無論異議がございませんけれども、何か欠けているものがあるんじゃなかろうか、こう私は思うのでございます。
 今、総理が「志ある外交」ということを述べておられた、それは一体何だということを伺いましたのも、実は私のそういう疑問に関係をいたしております。
 外務次官の栗山さんが外務省の機関誌の「外交フォーラム」五月号に、「激動の九〇年代と日本外交の新展開」という論文を書いておいでになります。その中で栗山さんは、日本外交の新展開を論じられて、「大国面をしない大国の外交」を展開しなければならない、こういうふうに述べておいでになりますね。そこで、そういうことが日本に求められているんだということが栗山さんの論文の趣旨でございますけれども、栗山流に申しますと、日本も中小国の外交から大国外交に脱皮をしていかなければならない、こういうのが栗山さんの論旨だと思います。
 私も、大国日本がこれからの世界の中で世界のために何を目標に何をしようとするのかという、何といいますか、行動原理と申しますか、長期目標と申しますか、そういうことをこの際我が国の外交としても確立する必要がある。世界の人も、一体大国日本が世界のために何をしてくれようとしているのかということを注目していると思うんです。さっき「志ある外交」ということで、総理の演説に関連して世界の平和と繁栄ということをお述べになりましたけれども、世界の平和と繁栄というのはいわば世界共通の外交の基本理念だと思います。どこの国にも妥当することである。私が申しますのは、日本固有の外交の行動原理と申しますか、少しきざな言葉で申しますと外交の理念とか哲学とか言っていいのかもしれませんけれども、そういう意味の日本固有の日本外交の行動原理がどうも我が国において確立されていないというか、欠けているんじゃなかろうか、私はそう思うのでございます。
 アメリカについて見ますと、最近時には色あせたり、時には厚化粧になりますけれども、戦後いわば民主主義のチャンピオンという旗印を掲げてきたわけでございますし、特に最近は人権外交というものがアメリカ外交の旗印になっているわけでございますね。我が国も、先ほど来国際協力ということも強調されておりますが、国際協力が外交のポイントであることはこれは間違いございませんし、世界の各国も日本の経済協力、経済援助ということに着目をいたしておりますけれども、お金を配ること自体が外交の目的であるわけではない。これはもう申し上げるまでもないと思います。何を目的にどのような世界の実現を目指して経済援助をしようとしているかということが必要で、そういう旗印が必要ではなかろうか。経済援助一つとりましても、根底に外交の旗印というものがなければならないのではないかと私は思います。
 無論、今外交の行動原理というものを明らかにする必要があるということを申し上げましたけれども、この外交の行動原理を確立して実行するということは私は容易ではないと思います。
 今まで外交の行動原理ということを申し上げましたけれども、考えてみますと、これは外交の行動原理であるばかりでなくいわば一種の国家目標でもあると思います。そういう意味合いでは、外務省だけに一生懸命頑張ってつくれつくれと申し上げられることではない。いわば政府全体の課題であり、あるいは国会も含めた国民的な課題であるというふうにも考えられますので、そういう意味合いで日本の外交目標、国家目標をつくるということに大変模策をし、努力をしていかなければならない問題であるということがまず第一でござ
います。
 それから第二番目に、そういういわば行動原理というものを宣言いたしますといたしますれば、これは一度つくりました以上は断固としてそれを守っていく必要があるわけでございますね。当面我が国の利害関係の面で不利な面があっても、あるいはたとえ他国に不快の念を催させることがありましても、行動原理として確立したことについてはそれを守り、それに基づいて行動をする良心と勇気あるいは決断が必要になってくると思います。そういう意味合いでは、他国への無原則の追従外交であるとか、なるべく波風を立てないでいこうというような態度は、一度日本の価値観を確立いたしますならばそういう態度は許されないという意味で、かなり厳しい考えのもとにそういう行動原理を確立していかなければならないと思います。
 アメリカが天安門事件以後の一連の中国の情勢というものを前提にして、人権政策への強い執着を持って対中国外交を展開しているというのが私はその一例だと思います。
 これまで外務大臣以下外務省の方々は変転する世界情勢に対処して大変よくやっておいでになる、私は高い評価を差し上げるにやぶさかではございません。最近も韓国の大統領が見えて外務大臣が見えたときに、新聞によりますと、中山外務大臣は韓国の外務大臣と会談をされて、冷戦後のアジアの新しい何といいますか、枠組みを検討するために秋に外務大臣の会議を開いたらどうだろうかという御提案をなすったということも新聞で拝見をいたしました。我が国もこれから、大国でございますので、従来のような西側の一員としての外交という立場から脱皮をして、アジアの一員としての外交であるとか、あるいは被爆国としての平和外交であるとか、そういう我が国独自の積極的な外交政策を展開されることが期待されているわけでございます。
 私が申しますのは、それらの具体的な外交政策の根源にあるもの、つまり外交の行動原理というものをこの際お互いにもう少し考えていく必要があるのではなかろうか、こういうことでございます。私も我が党の外交部会等ではそういう提言もいたしましたのですが、それじゃ一体おまえ、どういう行動原理というものが考えられるかといいますと、どうも模索をいたしまして結論を得ているわけではございません。
 あるいは貧困の克服というようなものを中心としたものが一つの旗印なのかなということも考えられますし、あるいは社会的な弱者のみならず、自然環境というものも人間に関して傷つきやすいものでございますから、そういう自然環境も含んだ意味での弱者との共存というような旗印であるとか、あるいはまだ全世界に十億人ぐらいの文字を識別できない人がいるというようなことを根底にした人間能力の開発であるとか、そういう我が国が地球的な立場でリーダーシップをとっていいことが幾つかあると思うんです。頭に去来いたしますけれども、これがどうも我が国の外交の行動原理としてあるべしという結論までなかなか出てまいりません。
 そこで本日大臣に承りたいことは、いずれこの問題についてゆっくり御所見も承りたいと思いますが、日本が大国になった現在、そういう国家目標というのでございますか、あるいは外交の行動原理というのでございますか、あるいは我が国外交の大義、英語で言えばコーズというのでございましょうか、あるいは俗に言えば外交の顔と言っていいかもしれません。そういうものを確立していくことが必要ではないだろうか。それについての御所見を一つ。それから、必要がないとおっしゃるならば、いずれ日を改めて御議論申し上げたいと思いますし、必要であるというふうにお感じになるならば、これからひとつぜひ外務省の中でまず積極的な議論を喚起し、大いに勉強していただきたいと思いますが、そういう二点についての御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 大変基本的な哲学的な考え方をどのように持って外交に臨まなければならないかというお尋ねだろうと思います。
 私は、新しい人類の歴史が今また始まろうとしているんじゃないか、こういう認識の中に立って私自身は外交をお預かりしながら、これだけの国際情報が世界じゅうのどの地点におってもわかるという一つの新しい電子工学を中心にした科学技術の発展により、地球を一つの村社会というような考え方で考えなければならない新しい時代に突入しつつある。そして、その影響のもとで、かつて二十世紀までに対立してきた、思想的な二つの大国を中心にして分割された国際間の対立というものが、二十世紀の終えんに当たって今新しい歴史のページを開くために、どのような形で双方が話し合いをしながら戦争という恐怖から新しい時代へ平和を求めていくかという指導者間の話し合いが、それぞれの地域で行われつつあるんではないかというふうに認識をいたしております。
 そういう中で二十世紀を展望すれば、やはり戦争の多かった時代、こういうことが言えるんではないか。それでは次の新しい世紀には人類は何を考えていけばいいのかといえば、やはりこの地球全体の環境をいかに健全なものとして維持していくのか、あるいは人類の敵である麻薬をどういうふうに撲滅していくのか、あるいは国際的なテロをどういうふうに終えんさせていくのか、あるいは発展途上国が抱えている地理的あるいは自然環境の中で先進工業国になり得ない地域の人たちへ先進工業国家がどのようないわゆる援助をやっていくかというような、幾つかの大きな課題が先進工業国に与えられているんではないかというふうに私自身は認識をしながら外交をやっております。そういう中で、国連等におきましては、私は日本の基本的な外交姿勢として国際協力構想という考え方でお話をしております。
 その一つには平和のための協力、それから政府開発援助の拡充、それから国際文化交流の強化という三本柱、それに私はもう二つつけ加えておりますことは、累積債務をどのようにこれから我々が協力をしながら解決していかなければならないか、あるいは工業化の過程で公害問題で苦しんだ日本が解決するために努力して得た技術とノーハウ、こういうものを発展途上国等での公害問題にどのように貢献をしながら解決するために協力をするか、このような考え方で日本外交というものを実は今進めていると申し上げても過言ではなかろうかと思います。そういう中で委員御指摘のように、これだけの大きな国際的な変化というものが起こってまいりますと、やはり平和への模索というものが、ヨーロッパ大陸においては米ソを中心にいろんな各国での模索が行われている。
 そういう中で私どもは、アジアにどのような平和をつくっていくかということがアジアの経済大国としての日本に与えられた、また平和国家としての日本に与えられた大きな一つの課題であろうという考え方で実はやらせていただいておるというふうに申し上げても過言ではなかろうかと思います。
○岡部三郎君 予算の質問に入ります前に、先般行われました総理のアジア六カ国歴訪、私も随行させていただいたものですから、これに関する質問を二、三申し上げたいと思います。
 過去のことをそれほど私も知っているわけではございませんけれども、今回の歴訪にはやはり従来とは一味違った何かがあったんではないかと思うわけであります。と申しますのは、もちろん今回訪問しました各国はいずれも発展途上国でございますから、日本に対して必要な政府開発援助等を求めるということはこれは当然でございますが、必ずしも今回はそれだけではなかった。
 例えば東南アジアではカンボジアの問題あるいは南西アジアではカシミール問題といったような深刻な地域紛争があるわけでございますが、こうした地域紛争等についても日本もアジアの一員としてやはりもっと強い関心を持ってその解決のためにプロセスの段階から必要な働きをしてもらいたい。あるいは今世界の大変革に当たりまして、先進国の目が一斉に東欧に集中をしてアジアが忘れ去られようとしています。また東西融和の時代
を迎えまして、アジアに力の空白が生じつつある。こういうときこそ日本はもっとしっかりとアジアに目を据えて、南北問題を中心に国際的な役割を果たしてもらいたい、こういった、今宮澤先生からもお話がございましたが、日本の外交姿勢それ自体に対する強い要望なり注文があったのではないかと思うわけです。
 総理もこうした期待にこたえられて、インドの国会での演説では世界の変革の中で新たな国際秩序構築のために日本は積極的に貢献していくんだということをはっきりと言明されたわけでございますが、アメリカやオーストラリアの新聞などではこの演説について日本はようやく新しい外交方針を示しただとか、あるいは巨人が眠りから目覚めたとかいったような表現で好意的な評価をしておりますが、一方中国あたりは政治大国化の欲望であるとか、あるいは新日本主義の台頭だといったような批判もされておるわけであります。
 大臣は今回の総理歴訪をどのように評価されておるか、まずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 今回の総理訪問は、南西アジア四カ国及びインドネシア訪問で、新しい米ソ間の話し合いが進む中での有意義な指導者の意見の交換が行われたと思っております。また一番大きなのは、やっぱり今回総理が訪問された地域というものは今までどちらかというと米ソの大きな影響を受けた地域も相当ございます、陰に陽に。そういうところで新しい時代への模索が始まった中で、日本がこれらの国々とより一層意見の交換を行いながら外交をやっていくという意味では新しい政府としての意見、考え方というものを相手国の指導者にもわかっていただいたのではないか。
 特に先般、昨日でございましたが、欧州開発銀行の署名式に出ました際に、例えばオーストラリアのエバンス外務大臣あるいはフランスのデュマ外務大臣から私に対して、今回タイ国のチャチャイ首相が海部総理に対して申し入れをされて東京で和平会議の場所を提供するということについては、従来カンボジア和平についていろいろとかかわりを持ってきた国々の指導者たちがこの東京での日本政府の対応ぶりに重大な関心を示しておりまして、私ども話し合いをしながらこれらの経過と結果についてはそれぞれの国にお知らせをするという話し合いも行われたということも、この一つの大きなあらわれではないか。
 今まで、どちらかといえば、先ほどの宮澤委員の御指摘のように追随的な外交もなかったわけではございません。今日の国を興す過程においては、いろいろと話し合いの中で日本というものが発展をしてくる過程があった。しかし、このような立場になってまいりますと、我々の国が国際社会にどのように貢献していくかということについてはむしろ積極的にこれからアジアの平和をつくるためにも努力をしていかなければならない、このように考えております。
○岡部三郎君 そこで、南西アジアで最大の問題であるカシミールの問題についてお伺いしたいと思うんですが、これはインド、パキスタン両国が分離独立以来の長期にわたる、しかも歴史的にも大変に根の深い問題でありまして、総理が訪問される直前にも、これは東欧変革の影響があったのかどうか、両国ともこの問題についての世論が非常に硬化をしておりました。
 特に、シン首相がインド国会で戦争も辞さないといったような発言があったとかいうことで極度に緊張が高まっていたわけでありますが、総理はこうした状況下でいわゆる誤算による軍事的な衝突というものを避けるためにも極力抑制と話し合いによって解決すべきだということを両首脳にも訴えられまして、シン首相からは、これは有名になりましたが、パキスタンが解決に向けて一歩前進すれば我々は二歩前進するという言葉を引き出されましたし、またブット首相からも、平和的な解決のためいつでも話し合いに応ずるという言明をさせられたわけであります。
 当面の危機管理という面では今回の総理の両国訪問というものは大変に効果があったと思うわけでありますけれども、もちろんこれだけで解決できるような簡単な問題ではないということは言うまでもないわけでありまして、その後もこの紛争がなお続いておる、こういうことであります。外務省は最近のこの情勢をどのように把握されているか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) お答え申し上げます。
 岡部先生も総理に御同行になりましたので、現地でつぶさにそれぞれの国の主張なり言い分を聴取いただいたわけでございますけれども、先生も御存じのとおり、このカシミール地域というのは、インド、パキスタン両国が独立以来その地位をめぐって対立してきた地域でございます。ことしに入りましてから、東欧の民主化とか、あるいはソ連の構成共和国等で見られますいろいろな対立の要因が一気に顕在化いたしましたし、そんな影響もありましてでしょうか、このインドの実効支配下のカシミール地域でイスラム教徒による反政府、反インド運動が大変激化いたしまして、大きな騒擾が発生し、現在もそういう極めて残念な、心配される状況が続いておるということでございます。
 そういう状況のもとで、インド、パキスタン両国の国内におきましてこの問題が大変大きな注目を集めております。ところが、このカシミール問題についての両国の基本的な立場が非常に隔たりがあるものでございますから、緊張が依然継続しておるということでございまして、そういう中でパキスタンのデモ隊が停戦ラインを越えてインド領に越境する、これに対してインド軍が発砲するというような事件も最近は起こっているわけでございます。
 その間、他方、インドとパキスタンの間では、ニューヨークでございましたか、両国の外務大臣がお会いになりまして、それぞれそれなりの努力はされておるようでございますけれども、それからまたアメリカも含めまして、あるいは日本も含めまして、両国の自制を求めるということをいろいろ、そういう立場を表明しておるわけでございますけれども、残念ながら今までのところ事態の改善はほとんど見られておらないということでございます。大変残念な状況が今日もなお続いておるということでございます。
○岡部三郎君 特にこの紛争は他のものと比べて違いまして、両国が核兵器を持っておるのではないかと言われておるわけであります。特にインドは御案内のように一九七四年に核実験を行いまして、一度は失敗しましたが、二度目には成功したようでございますし、間違いなく再処理工場があると言われております。そのことは、すなわちプルトニウムを持って、核兵器があると考えるべきだと思うわけでありますし、既にパキスタン国境に軍隊を集結させて、いつでも核兵器を使用できる態勢をとっているという情報もあるわけであります。
 それからパキスタンについても、少なくともウランの濃縮工場はあるのではないかと言われております。アメリカの偵察衛星の写真の分析の結果、同軍のF16戦闘機には核爆弾用の特別な装置が搭載されているということが明らかになったというイギリスの新聞情報もあるわけであります。
 いずれにしても、大変に危険な情勢にあると思うわけであります。したがって両国に極力自制を求めなきゃならぬと思いますけれども、ただ、両国の間にはいわゆるシムラ協定というのがありまして、紛争は二国間だけで解決するんだ、こういう建前になっておるわけでありますから、なかなか日本が直接調停の労をとるということも難しい面があろうかと思いますが、何か国連の平和維持機能を活用するなど、国際的な枠組みの中でこれを解決する、そのために日本がイニシアチブをとるというようなことが考えられないでしょうか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 確かにそういう道筋も一つあろうかと思いますし、国連もこの問題についてはそれなりの関心は持っておるようでございます。
 ただ、まさに先生がお話しになりましたように、両国、インドもパキスタンも、当面はこの問題は二国間の交渉を通じて解決したいという姿勢でございまして、その背景には、両国ともこれに署名しておりますただいま仰せのシムラ協定というのがございまして、そこにも、両国間のこの紛争を二国間の交渉を通じて平和的な手段あるいは両国間で合意するその他の平和的手段によって解決しようということが書いてございまして、私どもは当面、その両国間の自制を基礎とした話し合いによりまして何とか事態が収拾されることを期待しておるわけでございまして、その趣旨は、先ほど大臣も申し上げましたように、総理からも先般の御訪問の際それぞれの首脳に対しまして強く要請されたところでございます。
○岡部三郎君 次に、カンボジア和平の問題でございます。
 今大臣からもお話しございましたが、いよいよ東京会談が、四日、五日ですか、開かれる、こういうことで、これには、三派を代表するシアヌーク殿下、ヘン・サムリン政権のフン・セン首相ばかりでなくて、ソン・サン派やポル・ポト派からもそれぞれ代表者が、シアヌーク殿下の随員という形で来日されるというふうに聞いておるわけでありますが、もちろんこの結果はやってみなきゃわからぬ、こういうことでございましょうけれども、相当突っ込んだ議論が展開されるんではないかというふうに期待されるわけであります。
 このまことに複雑な会談をタイその他の関係国と密接な連絡をとりながらこの実施までこぎつけられたということに対して、大臣初め関係者の皆様方に敬意を表する次第でございますが、平和のための協力というのには、和平が成立してからの復興協力もさることながら、和平に至るプロセスでの協力が大事なんだということを大臣はかねてからおっしゃっているわけでありますが、逆に、復興協力できる能力があるということは、すなわちそのプロセスでの発言にも重みが生ずるんではないかとも思うわけでありまして、地域紛争の仲介をするというのは我が国にとって戦後初めてのケースだそうであります。
 ぜひ、座敷を単にお貸しするというだけでなくて、積極的にあっせんの労をとっていただいて、この会談が成功するように最大限の御努力をお願いしたいと思いますが、大臣の御決意をお願いしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) このカンボジアの内戦の問題というものは、カンボジアの国民の幸せに直接つながるものである、また、これ自体が、カンボジアの指導者間の話し合いがうまくいかなければカンボジアに平和は来ない、こういう私は基本点があるんだと思います。
 今までのインドシナにおける革命運動を通じての長い植民地闘争の中で生まれてきたこのような問題は、それぞれさらにこのグループごとに支援する外国の力がかかっていた、こういう中で、私ども日本としては、昨年のカンボジア和平会議に出席して以来、どういうふうにこの問題の解決に日本が協力できるか、日本はやはりプロセスから介入していくことが極めてこれからの日本の外交にとっても大切なことだ、またアジアにおける日本としての大きな責任でもあろう、こういうふうに考えまして、この一月に私自身がタイ、マレーシアを訪問した際にも、カンボジア和平というものにも自分なりの日本の外交の強い考え方を申しておりましたが、先般、チャチャイ首相が来られた際のタイ政府のお申し入れについて、私どもも直ちにこのタイ国の考え方に協力をしながら、日本での和平会議の場を提供したい、こういう申し入れをシアヌーク殿下及びフン・セン首相にお伝えしたわけで、それが両派からその受諾する連絡が参りまして、いよいよ六月四日、五日、東京でその会議が開かれる。
 戦後の日本外交にとっては初めてのことでございます。この機会に日本はやはり平和への強い貢献をするという国家の意識を国際社会にも明示するいい機会ではないか、私はそのように考えておりますし、そういう機会を通じて今までこの和平実現のためにかかわってきた関係各国ともより一層深い話し合いの機会を持つことができる、それがまたアジア各地における紛争解決にも日本が協力していく一つの大きな場を提供していくんではないか、そのような考え方に立ちまして、この会談をぜひ成功裏に終わらせたい。こういうことでタイ政府には先般外務省の河野課長を派遣して、これからの議事の進め方等についてタイ政府との意見の交換を十分いたしておる最中でございまして、それで明日シアヌーク殿下と総理、私、お目にかからせていただきますけれども、明日からこの新しいアジアの歴史づくりに日本も積極的に協力していくということを始めさせていただきたい、このように考えております。
○岡部三郎君 次に、予算に関連をいたしまして外交機能の強化について御質問したいと思うんです。
 こういった外交をこれから活発に展開していくというためにもやはり外務省の定員というものがもっと多くならなきゃいかぬということは言うまでもないことでありますが、平成二年度の予算を見ますと、九十五名の純増ということで、大変厳しい状況下にもかかわらず近年にない立派な成果を上げられたということでありますが、これでもなおアメリカの四分の一、英仏の二分の一、イタリアよりも少ない、こういうことでありまして、なお一層の御努力をひとついただきたいと思うわけであります。
 と同時に、私は、この際他の省の協力を求めるということも必要なんではないか。もちろん他省にも定員が余っているわけではないと思いますけれども、最近各省ともやはり国際的な業務というものが非常にふえてまいりまして、在外公館勤務経験者というのは各省にとっても非常に貴重な存在であります。それからまた、外務省にとっても、他省の専門的な知識を持った者が外交の第一線で働くということはそれ自体有効であるばかりでなくて、帰任後、こういう経験というもの、経験を持った者が他省に数多くおるということはやはり国内調整を図るというような場合でも大変プラスになるのではないかと思うわけであります。そうした意味で、他省からの応援をこの際相当強力に呼びかけたらどうか。
 同様な意味で、JICAの業務強化のためにも、他の各省所管の公団の協力を求めたらどうだろうか。ただこの場合に、やはり他の省、他の公団にとってみれば定数を人間つきで貸すということでございますから、それだけ定数に余裕があるじゃないかと見られて、それをその次の機会には減らされるというおそれがないとは言えないわけでありますから、これはやはり国益にかかわる非常に大事な問題でございますから、ひとつ大臣がしかるべき方としっかりと話をつけていただいて、そしてそういうことは絶対させないというはっきりした確約を出していただければ他の省も安心してそういう協力ができるんじゃないかなと思うわけでありますが、一つのアイデアでございますけれども、御検討いただければありがたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 大変貴重な御示唆をちょうだいいたしまして、厚く御礼を申し上げたいと思います。
 人員の確保については、大変難しい環境下にございますけれども、国民の立場に立って国家の外交をどうするかという観点から見れば、各省の利益もさることながら、国民全体のあるいは国家全体の利益を考えてこの際思い切った改革とそれから充実をすべきであろうというのが私の基本的な考え方でございます。細かい点につきましては官房長からひとつ話をさせていただきます。
○政府委員(佐藤嘉恭君) 外交機能強化との関連で定員の増強あるいは他省庁、関連の政府機関との人事交流ということについてのお尋ねがございました。
 私どもといたしましては、当然のことでございますけれども、定員の増強ということを予算要求の最重要事項というふうに心得て対応しておるわけでございます。ただいま先生からも平成二年度政府原案についての御感触が示されましたことは
私どもとしても大変心強い限りでありますが、厳しい行財政事情のもとでなかなか制約はございますけれども、外交実施体制強化という観点から、大臣の御意向も踏まえて対応していきたいと思っておるわけでございます。
 他省庁との人事交流の点でございますけれども、私ども現在在外公館におきまして二十省庁から四百二十九名のアタッシェを受け入れている状況でございます。全く御指摘のとおり、在外公館において外交官としての折衝をやっていただく、あるいは対外的な広報活動をやっていただくという活動を通じまして外務省のシンパになっていただいている方々も非常に多いわけでございます。こういう方々が東京へ戻られて、各省の枢要な地位におつきになって国際関係を所掌されるという方も多く出てきているのが現状でございます。私どもとしてもできる限りの対応をしていきたいと思っております。
 それから国際協力事業団あるいは国際交流基金といった私ども外務省の関係機関からも、現在、三十七名の職員を在外に配置させていただいております。これらも重要な外交の一翼でございます。私どもとしてもこの問題についてさらに考えをまとめていきたいというふうに思いますし、また国際協力事業団あるいは国際交流基金自身の定員の強化という点について財政当局からの支援もいただいていると思っております。
 本省におきましても、人事交流ということを私ども非常に大切なことと心得ております。ただいま現在五十五名の方々を本省にお迎えしているという状況でございます。また政府関係機関からも十四名の方々をいただいておるという状況でございます。今後ともこういった人事の交流ということを積極的に進めていく考えでございますし、これが政府全体として役に立っていくということを確信している次第でございます。
 なお、いわゆる配置転換ということにつきましても、私どもとしても政府の方針に従いながら対応している状況でございます。現在、昭和五十五年度以降平成元年度まで、この省庁間の配置転換の制度が発足いたしましてから六十八名のいわゆる配転を受けているわけでございますが、こういう形で定員の増強と同時に実員の確保ということに心して対応し、外交機能の強化に努めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○岡部三郎君 次にODAの問題について質問をいたしたいと思うんですが、その前に一つお願いがございます。
 昨日の新聞によりますと、フィリピンのネグロス島でオイスカの農業指導員水野文雄さんが武装したフィリピン人数人に連れ去られたということであります。彼は現地語も話し、フィリピン人を奥さんにして十二年も技術協力に従事をしている、いわばNGOのベテラン専門家のようでございまして、当然のことでございますけれども、ひとつその救出に万全を期していただきたい。現地の政府の方とも十分に連絡をとっていただいて、そのことをぜひお願いしたいと思います。
○政府委員(久米邦貞君) 現地の大使館では、三十日の夕方、オイスカ経由で知らせを受けまして、三十一日の朝、直ちに館員二名を現地に派遣して、国軍関係者等と連絡をとっております。そのほか、現地におきまして、大使からフィリピンの官房長官に対しまして安全な救出について全面的な協力を得たい旨申し入れております。
○岡部三郎君 ODAの進展に伴いまして、最近はマスコミ等の報道も大変ふえてまいりまして、ようやく国民的な関心事になりつつあるということは大変結構なことだと思うんですが、ただややもすれば失敗例のみがトピック的に扱われまして、援助全体の実態が必ずしも正確に国民に伝わっているとは言いがたいという面もまだまだあるわけでありまして、なぜ援助が必要なのか、あるいはその方法、実態等をもっと明確に国民に伝えるためのPR活動というものをさらに活発に行うべきではないかと思います。
 もちろん、外務省がいろいろ今御努力されていることを私どもも知っておりますが、事の重要性に比べますとまだまだそうした面は不十分なのではないかと思いますが、何か具体的な対策をお考えでしたら教えていただきたいと思います。
○政府委員(木幡昭七君) ただいま御指摘のとおり、我が国のODAのあり方についていろいろ国民の皆さんにもっと広く御理解していただくべきであるということは、日ごろ私どもも痛感しているところでございます。
 先生御案内のとおり、これまでも私どもとしましては国民の皆さんに御理解をいただくという目的を持っていろいろな公表資料も整備してまいったところでございます。必要がございましたら、このリストをいつでもお届けできるようにしてございます。ただ、そればかりではなくて、もっとわかりやすく、なぜODAが必要なのかということを広く国民の皆さんに理解していただくという、そういう肝心のところの努力はこれからますますやっていかなければならないところでございます。当委員会でも、先般御質問がございまして御説明したところでございますが、大臣の御指示もございまして、さきに漫画のODAというものもパンフレットとして出したところでございます。
 これは大変高校生から評判がいいようでございまして、そういう一般的にわかりやすいODAについての資料というものをますます今後努力してつくっていかなければならないと感じております。さらにまた、そういう資料とともに、我が方の実施しましたODAの評価、こういう成果を上げているという、もちろん反省点も込めてのことでございますが、そういう評価報告書についても一層充実してまいりたいと考えております。本年もできるだけ早く評価報告書を発表するということで、今鋭意準備しているところでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 今局長から御答弁申し上げましたけれども、局長の答弁のポイントとして私からさらに大臣として申し上げたいことは、やはり国民が理解をするODAでなければならない、これが私のお預かりしている外交の基本的な考え方でありまして、それには国民の皆様方に対する解説が足らない。これは限られた予算の中で行われておりますから、解説が十分行き渡っていないという問題がございます。
 それで、委員御指摘のように、なぜ今我々は援助をしなければならないのかというところがもう少し国民に理解をされれば、いわゆる先進工業国家の一員として、国民がやっぱり発展途上国に対して自分たちが人間としてどういうふうに国家を通じて協力していくかという大きな問題がひとつ国民御自身に御理解がいただけるのではないか。そういう過程の中で、やはり援助の方式、その中に問題点があるのかどうか、この点が一つ問題がございます。それからどういうやり方で行われてきたのかということがもう一つあろうかと思います。それから相手国の国民にそれが歓迎されているかどうかということの評価が一つあろうかと思います。
 そういう点につきまして、実は六月の二十五日に、就任以来私はやっぱり医療協力をもう少しアジアに進めなければならない、こういうことで、熱帯の医療というものが日本の医学の世界では十分認識がまだ蓄積されていない問題がございますので、関係各科の専門家を東京に集めまして、これからいかに相手国の国民の健康自身にどのような方法が一番理解がされ、感謝されるような協力ができるかということのための国際的な会議を開催することにただいま準備を進めておりまして、新しい一つの国際協力の場をそこでつくってまいりたい、このように考えております。
○岡部三郎君 ODAに関しましては、このほか透明度の上昇とか、さまざまな問題について実はお尋ねをしたいと思っておりましたが、ちょっと時間がなくなってまいりました。御準備いただいてまことに申しわけございませんが、また次の機会にすることにしまして、大臣もOECDの閣僚会議に御出席、急遽お帰りになったということで、大変お疲れなことだと思いますが、その関係の問題をちょっと質問させていただきたいと思い
ます。
 けさOECDの共同宣言というのが出て、私も拝見をいたしたわけでありますが、あの中で、日本がかねてから主張をしておりました食糧の安全保障という言葉が入らないで、いわゆる非貿易的関心事項、ノントレード・コンサーンという言葉が入った、こういうことでございますが、実は私、きのう外務省にきょうの質問要旨を出しましたときに、農業の問題というのはその公益的な機能等を考えてひとつ非貿易的関心事項として扱うべきではないかということを申し上げたんですが、期せずしてOECDの共同声明の言葉と一致をしてしまったわけでございますが、これについて若干私の考え方を述べさせていただきたいと思います。
 私は、本来、農産物というものは、やはり工業製品と同じ貿易ルールで論ずるということ自体がこれは大変問題であるというふうに思っております。これは何も最近経済評論家なんかが盛んに言われるように、農産物が日本で競争力のない分野だから、したがって別のルールでやろうとするんだというような、そういった考え方で言っているわけではないわけでありまして、やはり農業というのはどこでも、農産物を生産する機能というもの以外にも、やはり国土保全とか環境の浄化とか、そういった多くの公益的な機能というものがあるわけでありますし、特に日本ではそうした面が、農産物生産機能というよりもむしろ大きな面があるんではないかというふうに思うわけです。
 だからこそプンタデルエステ宣言でも農業の特殊性ということが言われ、あるいはガットにも非貿易的関心事項、ノントレード・コンサーンという言葉が入っておるのだと思うんです。例えば東京で言えば、神田川がちょっとした雨でもすぐはんらんをする。それはなぜかといえば、やはり大正から昭和の初めごろまではあの上流には相当広大な水田地帯がありまして、降った雨の六割ぐらいはそこに貯留されて四割が出てくる。ところが、今は全部これが市街化されまして、雨が降れば九割は一度に出てきてしまうんです。そのことがやはり下流の地域の人たちの生活に非常に大きな影響を与えておるわけでありまして、私はこうした問題は、当委員会でもしばしば議論をされましたODAによる開発と環境保全といった問題に非常に関係があるというふうに思っております。
 環境破壊を防ぐために開発をやめると言うことは、これは簡単でございますけれども、しかしなかなか発展途上国はどこも人口がどんどんふえてくる。また、その人たちは何とか雇用していかなきゃいかぬ。さらに、多少でも生活水準を上げるということになれば何らかの開発を図らなければならない。それを環境と十分調和を図りながら進めていくということが大事なわけでありますけれども、実際にはなかなか難しい問題がある。
 ところが、この環境を破壊するどころか、むしろそれを向上させながらしかも開発を進めてきた、いわば理想的な方式が、実は二千年来行われてきた日本の水田開発であったのではないかというふうに思うわけであります。水田は、面積当たりの最も多くの食糧を生産するということだけでなくて、さっきも申しましたような治水の効果であるとか、あるいは土壌保全の効果であるとか、あるいは地下水涵養、水質の浄化、国土の美観等々環境をよりよくする大きな機能を持っておるわけでありまして、少なくともこのアジア・モンスーン地域というところにおいては最高の土地利用方式である。もし、この水田を目先の貿易ルールに合わないからということで壊してしまったのでは、日本の自然環境が大きく破壊される。その結果は、やはり農民が困るだけではなくて、国民全体が将来にわたって大きな損失をこうむるのではないかと思うわけであります。
 OECDで最近農村地域開発というスタディーを初めた。これは、いつでしたか新聞にもちょっと出ておりましたが、要するに農業、農村の持つこういった広域的な機能というものを公共財として考えていこうという考え方のようでありまして、こういう動きがあったからこそ今回のノントレード・コンサーンというような言葉があるいは入ったのかなとも思うわけでありますが、日本では食糧の安全保障という言葉が非常に普及しておりまして、ノントレード・コンサーンなんといっても何のことだかよくわからぬということでございますけれども、やっぱり今申しましたような広域的な機能というふうなものを考えると、日本の場合にはむしろこの方が実態に合っておるのではないかとも思うわけでありまして、私はやっぱり今回共同声明にノントレード・コンサーンという、どういう形で使われているのか、実は原文をまだ見ていないものですからよくわからないわけでありますけれども、これを機会にそういう面を踏まえてひとつ今後の折衝、特にガットでの折衝に当たっていただきたい。
 そのことを申し上げまして、もし御感想でもあれば一言お伺いできれば幸いでございます。
○国務大臣(中山太郎君) OECDの閣僚理事会におきましては、農業の問題に関しては極めて激しい議論のやりとりがございました。そういう中で日本としては、食糧安全保障という一つのかねてからの国の考え方というものを国会の決議も踏まえて主張しております。また、それに関連をいたしまして、今委員御指摘の環境の問題、これも主張をしております。このほかに、日本以外の国で例えば農村における雇用の問題あるいは地域政策の問題等について意見を申し述べている国がございます。
 今回は大体二十四カ国の閣僚が出席をいたしておりましたが、その中でこの問題について強い発言をしておりますのは、日本それからフィンランド、スウェーデン、ノルウェー、スイス、オーストリー、こういうところ辺がこの問題を強く主張しているわけでございます。非貿易的関心事項という項目でこの問題点をその中に含めた意味でのコミュニケの作成というものが行われたわけでございますが、私どもとしては委員御指摘のような点が極めて大切な点であるということを今後とも主張を続けていくつもりでございます。
○岡部三郎君 ありがとうございました。終わります。
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○委員長(山東昭子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、菅野壽君が委員を辞任され、その補欠として堂本暁子君が選任されました。
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○堂本暁子君 大臣は、ちょうど三日ぐらい前ですか、私は予算委員会で質問させていただいて、もうヨーロッパから早速またお帰りになってきょうお会いしたということで、大変短いヨーロッパの旅行であったかと思います。大変仕事もお忙しかったであろうと思いますが、きょうは、外務次官の栗山さんがお書きになった「外交フォーラム」の中の「激動の九〇年代と日本外交の新展開 新しい国際秩序構築への積極的貢献のために」というこの文章を読ませていただきまして、思うことが多々ございました。また、外務省の姿勢と申しますか、日本の外交のあり方を考えることも多々ございました。
 まず最初に、外務大臣に、この内外の反響の多かった次官の論文、どう評価し考えておられるか、伺えたらと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 栗山次官の「外交フォーラム」に載せました論文につきましては、日本が現下の国際情勢を踏まえつつ新しい国際秩序構築に向けて国際的な責任を果たさなければならないということが基本になっていると思います。これはあくまで外務次官の立場で日本の外交方針を解説したものでございまして、九〇年代に日本が外交面で求められる進路を説明したというふうに私は理解いたしております。これについていろいろと国々がコメントをしているということも認識をいたしております。
○堂本暁子君 今おっしゃったとおり、二十一世紀に向けての外交の考え方、次官のお考えかもしれませんが、それが示されているように私も読みました。実際にそこに次官の考えておられること
が示されているのでありましょうけれども、これがどのように現実の外交の中で実際に具体化されていくのか、そういった点ではどのような認識をお持ちでいらっしゃいますか。
○国務大臣(中山太郎君) これから具体的にこの外務次官の論文が外交面で具体化されていくかという問題については、これはやはり日本の国連等における国家の外交の哲学といいますか、基本的な考え方というものをこれから具体化していかなければならない。先ほども宮澤委員の御質問にございましたけれども、やはりこれからの新しい日本の外交というものは基本的に、私が外務大臣に就任をして以来、やっぱり信頼される国家ということを目指さなければならない。それには経済的に発展をした日本が、自分がみずから蓄えた、国民の努力によって構築された経済力というものを、これからこの地球社会の繁栄のために、協力するために使っていかなければならない。
 委員かねてODA問題でいろいろと御指摘をいただいておりまして、そういう面でもこれからODAの拡充をしなければならない。また、カンボジア和平会議を東京で開くためには、やはりこれも国民の税を使っての費用がかかります。三日間東京で会議すれば相当なお金がかかる。しかし、それもこの平和を目的とする日本の国家にとっては、これからの地球社会のために必要なこと。また、国際文化交流をやっていくというためには、紛争をできるだけとめるためには異文化の人たちとの交流を積極的にやっていかなければならない。あるいは地球環境保全の問題、あるいはまた累積債務が一兆二千九百億ドルぐらい南半球にはございますから、そういうふうな国々の累積債務をどういうふうに片づけていくか、こういうことを具体的にこれから外交政策として打ち立てていく、その柱というものが五つぐらいあるのではないか、そういうふうに私は考えております。
○堂本暁子君 今大臣が御指摘になった外交の方針、大変経済的な裏づけを必要とする多々の問題であるかと思います。そして、経済力を持った日本としての、ODAにしろ環境の問題にしろこれは一つあると思うんですけれども、もう一つやはり哲学という言葉もお使いになりました。栗山さんの表現によると、「より平和でより豊かな世界への明るい希望と秩序の空白が生み出す混乱の危険とが混在する時代」というふうに書いておられるんですね。そして、九〇年代の十年間は新しい秩序の構築の時期になるというふうにおっしゃっています。
 確かに、経済的に日本が何をするかということも問われていましょうが、そういった新しい秩序の構築というところに日本がどのように参加していくのか。これは経済的な問題だけではないんではないでしょうか。ほかにもあるんではないかと思うのですが。
○国務大臣(中山太郎君) その一つの具体的なあらわれというものは、先般行われた総理の南西アジア地域に対する訪問で、首脳間での意見の交換が行われたということであろうと私は判断をいたしております。それはやはりカシミール紛争に見られるような激しい対立、そういうものに対する日本の協力がどういうふうにできていくのか、あるいはカンボジア和平に対するチャチャイ首相との会談とか、こういうものを通じて経済力以外に、政治的に平和を構築するために経済力を背景にしながら協力ができるものはないか、私は、やっぱりそこが一つの栗山論文の指摘であろうと。
 なお、米ソの膨大な軍事力による財政赤字に起因した国際的な経済援助がそれぞれ限界点に達した中で、やはり地球のいろんな地域には空白地域ができてくる可能性がある。例えば先生もよく御案内の非同盟諸国の考え方というもの、先般もユーゴスラビアでは、御案内のようにチトーの国でございますけれども、ここではやはり非同盟国家が掲げてきた理想は一応達成された。それは米ソの超大国の軍事的な対決が終わろうとしているということが、このかつての非同盟の大きな運動の目的であった。あるいは平和をつくっていくという問題、そういう中で非同盟国家がこれからどのような形で政治に関与していくか、それと日本との関係はどうなっていくか。インドも御案内のように非同盟の大きな国であります。そういう形で日本というものが次の時代への一つの外交の展開を始めているというふうに御理解をいただければ大変ありがたいと思うんです。
○堂本暁子君 それではちょっと表現を変えまして、別のおっしゃり方もされておるわけです。それは「大国面をしない大国」というふうに書いてあるんですけれども、本当に大国面をしない大国というのは難しいと思うんです。大国面をしない大国ということ自体がもしかしたら大国意識であるということもあるかもしれませんし、今おっしゃった非同盟というところで果たして日本が本当に大国面をしない国としてどのような役を果たせるのか。
○国務大臣(中山太郎君) 大国面をしない大国というのは栗山式表現法だと思うんですね。私は、自分が外務大臣として国連総会に出席させていただいていろんな国の外務大臣ともお話し合いをする中で、やはり戦後の日本の社会というものは、勤勉な国民と自由主義経済、民主主義政治の体制というものの中で我々の国は世界のいろんな国が驚くような国家になったという認識を肌で感じております。
 また、先般、東欧諸国を回りましても、あるいはOECDの会議に行きましても、どうして資源のない日本があのような経済力を持つ国家になったのか、これがやはり日本に対する敬意の念になって、今私ども外交を直接やっている人間には肌身で感じられる今日でございます。そういう中でヨーロッパ開発銀行に出資ができるような機会も得ることができる。それを通して東欧の変革にも協力ができる。あるいはアジア開発銀行にも出資をし、協力している。そういう中で私は、大国面をしないという言葉よりもむしろ謙虚な姿勢でみずからの経済力で地球のいろんな地域の発展のために協力をしていく姿勢というものが必要でございますし、軍事力を伴わない一つの力のある国という形がこれからの世界に求められるのではないか。
 私は、そういう意味で技術力、経済力を持った日本というものは、勤勉な国民、英知のある国民を持った国家としてこれから国際社会への応分の協力ができる、それが大国面をしない日本のあるべき姿ではないかというふうに考えております。
○堂本暁子君 この委員会でもたびたび問題になりましたが、今軍事力を持たないというふうにおっしゃいましたが、ヨーロッパに比べてアジアにはまだ軍事的脅威があるということをおっしゃっていたわけで、まさに今一番心配することは、大国面をしない大国とそう言葉で言うことは可能であるけれども、これはもしかしたらヨーロッパやアメリカに対しての言葉であって、アジアに対してはむしろそういうことによって経済大国、軍事大国というイメージは逆に強くなっているのではないか。別に栗山次官の言葉を引くまでもなく、言葉の上で軍事大国ではない、しかし経済大国であることはもう揺るぎない事実です、そして軍事大国ではないと言ってみても、やはり今一番アジアで感じられていることは経済大国、軍事大国になる日本への脅威ではないか、そういうことがあるのではないか。
 今大臣のおっしゃった軍事的にではなくという、その片方の経済ではない軍事の方の大国、このことはアジアにやはり脅威を与えることになっていないでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 私は、考え方を国家としてある程度整理ができていると思います。それはやはり日本の国民でもう一度戦争をしようということを考えている国民は皆無に等しいんじゃないか、私はまずそこが一つあると思います。また、我々戦争を体験した世代には、再びあのようなことをやってはならないという心の申し合わせができていると思います。また、世界唯一の被爆国としての日本では非核三原則を厳守しなければならないという考え方がございます。こういう基本的な考え方があり、憲法上交戦権を否定している、
あるいは宣戦布告をする権利を放棄した国家でございますから、そういう意味では私は日本が軍事大国になるということは、そういう憲法の問題をよく理解してもらえば世界は理解をするのではないか。
 私のところへ訪れてこられるソ連の指導者、中国の指導者にも日本の憲法の精神を私は必ずお話しいたしております。そして、日本は平和を目的としているんだ、こういうことも強く主張しております。私は、日本の外交の中でそういうふうな基本的な国のスタンスというものをきちっと示すことが必要である、また示していかなければならない、このように理解をいたしております。
○堂本暁子君 しかし、事実として日本は軍縮の方向に向かっているようには私ども思えませんし、予算の編成が一番それをよく示しているように感じずにはいられない。感じるのではなくて、事実そうであると思います。そこに外交の姿勢が問われているのではないか。まさに今新しい秩序の構築、その空白が生み出す混乱の時代であったとしたらば、そこに日本がアジアの中でどういう外交を確立していくのか。
 そのことは、今大臣のおっしゃった言葉の上では確かに日本の外交の姿勢なのかもしれませんけれども、この栗山論文に対して中国から、米国の世界戦略に追随とかそれから政治大国化を欲望している日本というふうに直ちに反応があったのは、アジアの国々からはそういうふうに読まれてしまう。そして、それはこの論文だけではなくて、今日本の外交がとかく軍事大国というふうに逆に思われている、その危惧を抱くのですが、もう一度その点を伺わせてください。
○国務大臣(中山太郎君) 我々の国は少なくともみずからの非核三原則を守っていくという国民のコンセンサスがございますから、私はアジア近隣に対して日本みずからが核を使うということは絶対にあり得ないし、あってはならないことと思います。
 しかし、日本にとって核が使われないという保障は実はございません。日本の防衛政策の一番の弱点は、日本に対して核が使われないという保障が国際間にないということではなかろうかと思います。ここが一番日本の防衛を考える上で、この抑止力というものがどこにあるのかということを考えないとこの国家に住む国民の生命の安全を保障できない、これが一番の大きな問題点であろうと思います。
 そういう意味で、米ソの超大国を初めアジアにも核保有国がございますから、そのような意味で私どもはこの国家の防衛力というものは専守防衛に徹する。しかしそれでは防衛できない問題点があるので、アメリカとの安全保障条約を結んで核の抑止力というものを米ソのあるいはアジアにおける核保有国とのバランスの上で私どもは日米安保を堅持してきた。そして平和が守られてきた。これから先も平和でなければならない。それにはこの米ソ首脳会談が行われて、うまくいけば一万発ずつ持っている核弾頭つきのミサイルが六千発に限定されていくという交渉が今行われている最中でございますが、それでも二大国が六千発ずつ持っているということは大変な問題でございまして、これがゼロになるあるいはもっと低い抑止力になっていくことを私どもは強く要請を続けなければならない。
 私どもの国家というものが被爆をした国家でありますし、戦争を体験して二度と戦わないという約束をした国民の合意の中に立って、私どもはみずからの安全を最小限確保することを忘れるわけにはいきません。しかし、不必要な防衛をする必要はない、これが日本の考え方でなければならないと、私はそのように考えております。
○堂本暁子君 けさ、きのうもですが、盧泰愚大統領がアメリカでゴルバチョフ大統領と会見するという報道がなされました。まさに今おっしゃった抑止力ということがこの外務委員会で、私が来てから一年になんなんとしておりますけれども、ずっと語られてまいりました。それは、ベルリンの壁は確かに開いた、そしてヨーロッパは違う方向に行ったけれどもアジアでは違うんだということの説明がるる語られたと思いますけれども、まさに今ワシントンで冷戦の凍結のアジアでの朝鮮半島、その壁がまた今崩れていくような兆しがあるんではないかと感じるようなことが起こっています。
 それを日本はいつまでも見ていて、まさに最初に伺ったように、新しい秩序を構築するときに、秩序が構築されてから参加したのではもう本当に外野にしかいないような立場だと思いますし、言葉の上でどのように日本は平和憲法があり平和を維持するのだということを言っても、今日本がとるべき新しい外交の姿勢というのがあるのではないかというふうに感じずにはいられない昨今なんですね。特にきのうきょうはそういうふうに思っております。
 盧泰愚大統領がゴルバチョフ大統領と近く会談をするというその事実を、外務大臣はどのように受け取っておられますか。
○国務大臣(中山太郎君) ヨーロッパの共通の屋根という話が出て以来、ヘルシンキ会議が開かれて今日まで、平和の構築のためにヨーロッパは米ソを中心に大変な努力が行われています。そういう中で、アジアではなかなか平和の構築というものはでき得ない環境にあったと思います。
 私は、一昨日もヨーロッパでECの副委員長なんかと話し合いをしておる中で、どうしてヨーロッパとアジアと同じようにいかないのかと。それはやはりアジアでは、朝鮮半島にしてもカンボジアにしてもベトナムにしても中国にしても、同じ民族同士が戦ってきた経緯が一つあるんではないか。そういう中で分断国家が生まれてきている。そういうアジアの地域が平和を構築するためにそれぞれがどのように努力すればいいのかと。やっぱりカンボジア和平会議は日本ができ得る大きな一つの仕事でありましょうし、盧直奏愚大統領が今回ゴルバチョフ大統領と会われる。これは朝鮮半島の新しい政治の展開には大きなインパクトを与える出来事になるだろうと私は思います。
 殊に、このソ連と韓国との外交交渉が活発化していくという中で、北朝鮮がどのような外交を展開していくのか、あるいは北朝鮮と深い外交関係を持っている中国がどのようにこれに動いていくのか、そういう問題はこれからの盧泰愚大統領とゴルバチョフ大統領との会談がどのような結果を生むかということはまだ予測をすることはできませんけれども、少なくてもいい方向に向かうことは間違いがないと思います。
 時あたかも東京においてはカンボジア和平会議が開かれる、こういうことで両派の首脳の話し合いが全く同時日に行われるわけでございまして、アジアにおいてはモンゴルにおいて新しい動きが出ていますし、ミャンマーはいわゆる反政府の圧倒的な投票の勝利が報道をされている。こういう中でアジアは大きな動きを始めたという認識を私は持っております。
○堂本暁子君 ちょうどヨーロッパからお帰りになった大臣にもう一度確認して伺いたいんですが、ヨーロッパを中心として起こっていったデタントの動き、それが今またアジアでも起こりつつあるとおっしゃいましたけれども、アジアでも本当に新しい平和に向けての動きが活発化しているというふうな御認識ですか。
○国務大臣(中山太郎君) 動きが始まったという私は認識であります。動きが始まったと。それはヘルシンキ会議以降、長いやっぱり時間をかけた、習熟されたヨーロッパの人たちの考え、そういうものが今日出てきている。それでも先生御案内のように、東西ドイツには数十万の兵力が、外国軍隊が展開しているわけでありますから、なかなか現実に軍縮がさっといくというわけにはいかない。しかし、努力はやっぱりしていく。そういう意味では私は、アジアで新しい動きがこれから始まる、そういう認識を持っております。
○堂本暁子君 前にもこの委員会で私質問させていただきましたけれども、中国を舞台にして北朝鮮とアメリカの交渉が何回か持たれたというようなこともございましょう。それから今回の韓国と
そしてソ連の、またいろいろ近い関係も生まれてまいりますでしょう。そういったこともあり、そして一方で、やはり日本としては、軍事的脅威を感じているということをおっしゃり続けながら、そこのところが何かイニシアチブを日本がとらずにいるという感じがいたします。
 栗山さんはサッチャー首相の言葉を引いて、氷が解けるときが危険であるということをおっしゃっていらっしゃる。確かに氷が解けるときの危険、それから不確実性、不安定さというものはございましょう。ですから国民の安全を守るために、しかし一方で、日本が今攻撃されるような現実があるのかといえば、それは非常に少ないのではないかというふうにも思います。そういった中で新しい形の平和なり新しい価値観を持った、グローバルな価値観とでも申しましょうか、もう少し普遍的な価値観、そういったものを持った新しい秩序の構築というようなもの。水と氷ということで言えば、新しい形の氷ができ上がったときに、日本はその氷の形の中でやはりイニシアチブをとらないで、氷が固まるのを待って、どういう形になったから日本はどうするのだというのでは私は遅いんではないかという気がしてならないんです。
 これを読ませていただいて、別に栗山次官のこの論文がイコール外務省の見解というふうには思わないのですが、大変いい指摘も多々ございますし、それから、果たして本当に大国面をしない大国なのかということの難しさみたいなものも一方でアジアの方を向きながら思っています。その中で大変に思いますことは、ここで一番、私がこの間予算委員会のときに、日本はODAに関して言えば受け身になっているのではないか、今でもそういう危惧を持たないわけではありません。
 ですから、お金を出しているということでは大変多額に出していて世界のトップに行っているけれども、そのお金の出し方の理念と申しますか、外交哲学と申しますか、そういったことではいささか受け身に回っているんではないかという危惧を感じるがゆえにナルマダの問題、フィリピンの問題ということを個別に挙げては質問させていただいているんですが、ここで栗山次官は能動的にならなければならないということをおっしゃっていらっしゃいます。平和の問題としても日本は今能動的に動かなければいけないのではないか、アジアの中で。とすれば、今抑止力だけを問題にして情勢を待つということでは遅過ぎるのではないかということで、くどいようですが、もう一度その点を大臣に確認させていただきます。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘の点は、私、別に自分の意見と違う立場にお立ちになっていると思いません。私と同じ考え方のところが多くあると思います。一点、軍縮の問題については少し考え方が違っているかもわかりません。しかし、アジアに平和をつくらなければならないということについては、私は基本的に、自分の基本的な考え方を持っております。
 私、外務大臣に就任して以来、例えば国連総会に行きましたときに、アフリカ諸国の外相を昼食会に呼ぶ、あるいはラテンアメリカのリオ・グループの外相等を皆集めて昼を一緒にしながらラテンアメリカの問題と日本との関係を語り合う、こういうことがございますし、そのほかに日中の外相会談あるいは日本と韓国の外相会談、いろんな二国間の会談をやっておりますけれども、やはりアジアの外相が一つの場所に席を同じくしてアジアを語るということはなかなか現実の国際情勢の中ではつくり得ない現実であります。
 だからそういう意味で、この間、盧泰愚大統領と御一緒に来られた崔韓国外務長官に対して、ひとつ国連総会のときに日本と韓国とでまずアジアの問題を話し合うという外相の会議の場をつくるように協力をしませんかという申し入れを実はさせていただきました。やがてこの夏の七月二十八日、九日にはインドネシアでASEAN拡大外相会議が開かれます。また続いて三十、三十一日にはシンガポールでアジア・太平洋経済関係閣僚会議が開かれます。その前後、前の方には、例えばインドネシアのアラタス外務大臣が日本を訪問される、あるいはマレーシアのハッサン外相が日本に来られる、あるいはいろんな国の外務大臣がアジアから来られます。あるいは先般来られたブータンの外務大臣、あるいはシンガポールの第二副首相等に対しても、アジアの平和をどうしたら構築できるかという話もいたしております。
 やはりそういうことを考えれば、それぞれの国の外相とアジア問題を語るについてはいい環境が今生まれつつあるんではないか。そういう意味で私は、各国の外相が集まる国連総会でこういうふうな場をつくることに日本政府としては努力をしていこうということで、アジア局長にも大臣としてそういう方向をつくれということで今作業をするように話を進めている。
 そういう中でカンボジア和平の話し合いが東京で行われる場合は、カンボジアにかかわってきたいわゆるソ連もこれには重大な関心を持つはずでありますし、中国もまた大きな関心を持ってくる。そういう中で徐々に日本としてはアジアの平和に対する大きな努力をする場をつくりつつあるというふうに御理解をいただきたいと思います。
○堂本暁子君 確かに外交の場でいろいろ努力はなさっていらっしゃると思いますけれども、軍縮に関しては考え方が違う。大臣もおっしゃいました、私もそう思います。やはり軍縮ということを率先して日本が示すことが一番、言葉とかそういうことではなくて、周りの国が、アジアの国々が日本に対して脅威を感じずに済むというその姿勢がやはり積極的に示されることが、私は新しい氷の形ができるときの一つの大きな動きになっていくのではないかというふうに思えてしようがありません。
 大臣が先ほど医療のことをふやしたいとおっしゃったことは大変私もうれしく思いますが、そういったことが軍縮のことと並行して一つの哲学のもとに、単発的なことではなくてODAの理念として展開されていくような方針、それが明確に打ち出されること、そして軍縮ということが実現するといいと思うのですが、その話はとにかくこのぐらいにさせていただきます。
 次に、盧泰愚大統領が見えたときに、お言葉の問題ですとかそれから土下座の問題ですとかいろいろございました、国会審議の問題とか。私はやはりそこにいささか日本国民と申しますか、私たちをも含めて大国面を見たような気がいたしますし、政府の姿勢にも大国面を見たような気がいたします。どうしてもっと素直に謝れないのかと思いました。そして、実際に何かとても出し惜しみのような謝り方に外国から見ればなったかもしれませんが、一応は謝った。その結果、これから具体的にどういうことをされるのか伺わせてください。
○国務大臣(中山太郎君) 先般の盧泰愚大統領の訪日につきましても、海部総理が総理大臣という立場で、政府を代表して、韓国政府に対しあるいは朝鮮半島の方々に対して心から済まなかったという言葉を出された。私自身も国会答弁において明確にお話をいたしてまいりました。韓国側にとっても、私が訪問したときに、大変高い評価をしているということを先方の政府が私に対して言われました。
 私は、そういうふうなお互いが謙虚な気持ちの中で隣国同士がお互いに信頼できる友人にならなけりゃならぬ、そういう立場に立ちますと、外相会談においてあるいは首脳会談においてお約束いたしましたことについては、誠心誠意これを実行していくということが私どものやるべきことであろうと考えております。
○堂本暁子君 私大変に感じますことは、戦争が終わったときにイタリアなどは植民地、たしかソマリアだと思いますが、から来ていた人たちにイタリーの国籍なりもとの国の国籍なり独立した国の国籍なりを選ばせた、そして選ぶことができた。それからなおかつ今でも、五年間滞在すれば外国人でも選挙権が持てるというような形のものがあります。
 在日の韓国、朝鮮の方たちに対して、私たちは、
やはりそういった形の戦後処理を日本はしてこなかったんではないかという気がしてなりません。在日韓国人の法的地位協定も、きょうは六月一日ですが、六月二十二日にちょうど二十五年目を迎えるわけです。そして協議することになるわけですが、ちょうど盧泰愚大統領が見えた。指紋押捺の問題などがありましたけれども、三世の問題については国内法だけで済ますことができるのか、それとも新しい協議の文書をおつくりになるのか、この点はいかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 具体的なことでございますので、それでは条約局長からお答えを申し上げます。
○政府委員(福田博君) 四月三十日に中山大臣が韓国へ参られて、三世の方についてこういう方針で処理をしていきましょうという基本的な考え方について先方と合意をしたわけでございます。これについては先生御承知のとおり、韓国との間でございます法的地位協定で来年の一月まで協議をするということになっておりますので、それを具体的にどうするかということはこれから日本国内において、外務省が中心になると思いますが、関係各省と十分御相談をしつつ対応ぶりを決めていかなければいけない。つまり一般的な原則が書いてあるわけでございますから、それをどういうふうにやるかという具体的なことはこれから半年の間に詰めていかなければいけない。かつ四月三十日に向こうとお話をしましたものの中には継続協議になっている部分もございます。そういうところについては引き続き協議をするということが必要になります。
 先生のお尋ねの、その結果をどういうような法的な形できちんと片をつけるのかということについては、実はこれから半年の間にいろいろ考えていくことの中の重要な分野でございますが、今の時点ではその点については決まった考え方というのがあるわけではございません。いずれにしましても、先方とそういう方針でやるということについて合意をしておるわけでございますから、それについて日本側の誠意というものが疑われることのないような形で処理をしたいと考えております。
○堂本暁子君 まだ決まっていないということですか。
○政府委員(福田博君) 簡単に申せばそういうことでございます。
○堂本暁子君 それからもう一つ、きょうの新聞に、まさにウルグアイ・ラウンドではいろいろお米の問題が出ておりますが、私はやはり、できればお米は輸入したくないと考えます。しかしこの栗山論文を読みますと、一方で大国としては自分の国のエゴをむき出しにすることができない、一口で言えばそういうことかと思いますが、書いておられる。実際にヨーロッパに大臣がいらっしゃいまして、一粒も輸入をしないということが可能なのかどうか、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 外務大臣としてヨーロッパで発言をしておることはすべて国会の御決議、これを重く踏まえながら発言をいたしておりまして、このような島国にとっては食糧の安全保障ということは欠くことができないということを強く主張しております。それがすべて私の閣僚としての発言でなければならないと自分に言い聞かせております。
○堂本暁子君 ここには、新しい国際秩序づくりもウルグアイ・ラウンドに課せられた大きな仕事だということ、そしてその目的を達成するために国際協調の枠の中でという書き方がされていますけれども、日本がそういうように頑張り抜くということが果たして可能なんですか。
○国務大臣(中山太郎君) OECDの閣僚理事会で議論が行われましたが、先ほども岡部委員からお尋ねがございましたように、非貿易的関心事項ということで我々の主張はそこにコミュニケにノートされているということでございます。これから七月末のガット・ウルグアイ・ラウンドにおけるTNCの協議を通じて、いろいろと年末の最終ラウンドに向けて協議が行われていくことと思いますが、それぞれ各国は自分の国の主張をOECDの場でもあるいはガット・ウルグアイ・ラウンドの場でも強く主張をし合っております。昨日ですか行われました会議でも、ECのアンドリーセン副委員長はECを代表して、あるいはアメリカはカーラ・ヒルズ代表を中心に本当に一時間半にわたって大激論が闘わされております。
 そういうような状況でございますから、これからそれぞれの国がみずからの国会の考え方あるいは政府の考え方を受けて自国の利益を主張するということが続いていくんだろうと思いますが、最終ラウンドを成功させなければならないということについては、それぞれの主張がどのような形でおさめられるかということはこれから会議を通じて議論を続ける過程の中での話でございますので、この時点で私が政府の意見を申し上げるわけにはまいりません。
○堂本暁子君 オレンジのときも牛肉のときもそうでしたけれども、国民は最後まで期待を持ったと思うんです。やはり日本の外交の一つの形、外務委員会に所属してから感じているのですが、大変に外交が国民から見えない。ODAを一つの例として私は資料要求なんかさせていただきました。OECF、外務省そして大蔵省からお届けいただいた資料、これだけいただきましたけれども、ほとんどがどうして出せないかと。このことでナルマダのダムについてのワールドバンクが出したニュースレリースとそれからENはいただきましたが、あとは日本の調査団の報告書すら出していただいていない。
 朝日新聞が出した最近のアエラを見ていますと、私どもが全く知らないようなことも全部ジャーナリズムではもう出ているわけです。私も記者をしておりましたが、記者として手に入るものと国会議員としてお願いしていただいたものを比べますと、国会議員としては公表されているもの以外は何も出てこないということがこの資料で大変明確になりました。ということは、一体国政調査権というのはどういうものかという疑問を一つ持ちましたけれども、その話はまた後に譲るとしても、最低限伺いたいんです。
 このアエラに書いてある、移住計画を立案して、そしてここにお金の額もずっと出ておりますが、これはOECFにぜひ伺いたいんですけれども、八五年の五月にもう既にお金の話がなされている。それはここに書いてありますが、このことを大蔵省なり当の基金なりが御存じないはずはないと思うんです。そして一方で私がこの外務委員会で伺ったときに先日のお返事では、「八五年六月に審査ミッションを出しまして審査をしております。」、そして今般「環境、生態系への影響につきましては、世銀とインド政府の話し合いを通じまして一連の合意がなされております。」というふうにお答えですが、これはどうも順序が逆であるというふうに思いますけれども、一体これはどういうことなんでしょうか。
○参考人(小宅庸夫君) 今委員から御指摘いただきましたこの数字は、OECFの方で承知している限りでは、ダムに対する世銀のローンを審査する段階で使われていた世銀側の内部資料の一部というふうに私どもは了解しております。したがって、これと日本政府あるいはOECFのコミットメントとは直接にはつながりがない、こういうふうに考えております。
○堂本暁子君 でも、とてもそれでは不思議なことですね。そこで、もう既にお金を日本側にどれだけ要求するというようなことの話し合いがなされているとすれば、それは審査が後からになったということではないですか。内部資料だったとしても、事実、だからこそ情報の公開が必要なのではないか。結局うそになるのではないですか。事実と違うことになるのではないですか。
○政府委員(木幡昭七君) これまでの予算委員会、外務委員会等での御審議の過程で私ども申し上げましたこれまでの援助決定に関する主な節々の時点を申し上げますと、一九八五年の三月にインド側から本件につきまして口上書にて正式要請がございました。それを踏まえまして同年の四月
に政府調査団が参りまして、インド側と種々協議をいたしました。それを受けて、さらに六月にOECF、経済協力基金の審査ミッションがインドを訪問しております。そういう一連の過程を経て、八月にインド側に我が方の援助の意図表明をしまして、正式な約束でございます交換公文の署名は、同年の九月、こういう時系列になるわけでございます。
○堂本暁子君 お金と申しますか、実際にローンをどれだけ出すかということの話し合いは、当然そういたしますと審査の後でございますね。
○政府委員(木幡昭七君) ただいま申し上げたような経緯で、審査の後になっております。
○堂本暁子君 とても資料を公開していただくことの壁の厚さを私は感じました。
 先ほどODAの問題をもっとPRしなければいけないというふうに大臣はおっしゃいましたけれども、一方的なPRということでは困るんだと思うんです。一方で公害の問題、それからこういった住民の問題が起こっております。そのことは一体どうなのだろうかということを正確に知ることが国民の知る権利なのであって、一体それがどこでどう不正確に伝わっているのか、不正確なことがどこにあるのか、どこに問題があるのか、この反省の上に立って、次はどういうふうにしていったらいいのかということを国民のレベルでも考えなければならないことだと思います。
 外交が今やもう、国民外交、市民外交という言葉がございますね、パブリックという言葉を使われるような、そういう時代になりました。そのときに、情報もテレビでもう即刻ヨーロッパのこと、外国のこと、全部伝わっております。もっと重層的な国の中での外交があるんだと思うんです。そのときに余りにも情報が、ODAはもちろんですけれども、それ以外の外交の情報ももっとオープンになるべきではないかというふうに考えますが、大臣はいかがお考えでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 外交をもっとオープンにしろというお話でございますが、私は外交を実際やっておりまして、やはり相手国との関係がございます。一国、一方だけで話し合ったことを全部しゃべるというわけにはまいらない、それが外交の信頼性というものじゃなかろうかと。そういうことが一つございますけれども、委員の御指摘のように、経済協力なんかの結果いろんなところに問題が相手国で起こってくるというような事態については、援助をする国の方もこれからは相当そういう問題についてさらに慎重な配慮をしていかなければならない、こういう考え方に立つのは私は当然であろうと思っております。
○堂本暁子君 もっと国民に自己判断のチャンスがあっていいと思うんです。私たちが納める税金がどう使われているのか、それがどうも不明朗な使い方になっているのではないか。それがやはり情報公開ということを求めたときに、確かにここに書いてある理由は金融ということ、それから今大臣のおっしゃったような外交に秘密がつきものだということは百も承知しております。そのことを全部オープンにしていただきたいと申し上げているのではございませんが、これだけ国際世論が起こり、日本の中でこれだけ問題になっているものに対して、いわゆる一般論でこれだけしか出てこない。これは、そしてしかもアエラの方にはもっと私たちが不思議だと思う記事がいっぱい載っているわけです。
 こういった中で、私どもも国会ではこれだけしか出ないのだ、そしてこれだけの違った情報があるのだというときに、どのぐらい国民がそれに対して不信感を持つか。これは一つの具体的な例で申し上げておりますけれども、やはりそういうものはもっとOECFも明確にする責任があるんではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(小宅庸夫君) 今委員から御指摘のあった点でございますが、基金が有している資料といいますのは、そのほとんどが借り入れ国、政府あるいは関係者の資料、これに基づく情報、こういうものでございます。したがって、委員も御承知だと思いますが、金融機関としての守秘義務、それから対外関係上の配慮等もありまして、相手側との信頼関係を維持するためにも情報の提供等にある程度の制約があることは、これは残念ながら事実でございます。しかし、そういう制約はありますが、今委員も御指摘ありましたが、ODA、開発援助に対する国民一般の理解を得ること、これは極めて重要なことでございます。したがって、金融機関としての守秘義務あるいは我が国の対外的配慮、こういうものを十分勘案しつつ、できる限り情報提供というものには今後とも引き続き努めてまいりたいと思っております。
○堂本暁子君 それでは、OECFからいただいた資料に、調査団が事後的に行っていますけれども、その調査報告はどうして出ていないんでしょうか。
○参考人(小宅庸夫君) 今委員が御指摘になった調査団といいますのは、ことしインドに行った調査団のことでございますか。
○堂本暁子君 はい。三月一日から二十四日まで行っていますね。そして、これだけ緊急の事態でたくさん質問があり、それからたしか東京新聞が最初に報道したのが一月一日だと思いますが、元日の記事で読みました。そして、それを受けて調査に行かれたのだと思いますが、こういう緊急の事態で政府がどういう態度をとるのか。先日、予算委員会で、今度の対インドの援助会議ではこのナルマダは外すという答弁がございましたけれども、そういうような事態のときに、このことの報告が明らかにされていない、報告書もないということはないと思いますけれども、ただここに私がいただいているのは、こういう調査をやったということだけで、調査の内容は一切出てきません。それから、一九八五年の六月十日から二十一日の間協議をされた、現地視察もあったというふうに書いてありますが、この資料はないんでしょうか。
○参考人(小宅庸夫君) 調査団の報告書という形では報告書は存在しておりません。しかし、今委員御指摘ありましたとおり、本件プロジェクトにつきましてはいろいろな問題があるように思われましたので、担当部長を派遣していろいろと事情調査せしめ、その結果は関係省庁等にも報告をしたところでございます。
○堂本暁子君 その報告は口頭でなさったんですか。
○参考人(小宅庸夫君) 口頭でございます。
○堂本暁子君 大変考えにくいことですけれども、それだけのミッションを派遣されて、外国の例ですと事後調査、エバリュエーションをやった後は、こんな分厚い報告書を何度も私見ていますが、そういう報告書すらもおつくりにならないんでしょうか。
○参考人(小宅庸夫君) もちろんいろんな形の内部資料として口頭説明をした記録とか、そういう内部資料としてはございます。しかし、これは先ほど申し上げましたとおり、金融機関としての特殊な立場、相手国との関係等々がございますから、これについては公表することはできない、こういうことでございます。
○堂本暁子君 きょうるる一時間にわたってお話ししてきたことの結果がまさにこれだと思います。こういうときこそOECFにしろ、外務省にしろ、大蔵省にしろ、これだけ国民が疑念を抱き、世界からも日本はどうするのだと言われているときに、内部資料はつくるけれども外に対して何ら報告書をつくらないというのは私は無責任だと思います。先日、東京新聞が、これは中止になったという記事を書きました。私は、その翌朝、議員会館の事務所へ行って大変驚いたんですが、ヘルシンキとかワシントンから、おめでとう、よかった、安心したというファックスが入っていたんです。私は、名前も知らなければ、全く知らない方たちです。
 そのぐらい外国の関心が集まっているんですね。そういうものに対して、視察団は行ったけれども、それは内部資料だ、国民にも明らかにしない。外国からそれだけの注目を集めていながら、それに対して国会でこうやって伺ってもなおかつ何も出てこない。ただ日程があって、あとは内部
資料だというのは私はおかしいと思いますが、大臣はどうお思いになりますか。
○国務大臣(中山太郎君) 今海外経済協力基金から御答弁申し上げましたが、今の答弁を聞いておりまして、金融機関としての守秘義務というものを守らなければならないという考え方を述べられておりました。私は、資料の提出は、相手国政府との関係、あるいは銀行の立場でできないということであれば、適当な機会に口頭でこの報告の説明をされることが適当ではないか、このように思います。
○堂本暁子君 大臣、私は、やはりこれだけ報道され、世界の人も関心を持っているのであれば、口頭ではなくて、きちんと日本の政府としてあるいはOECFとして、実際に調査にも行かれたわけです、これだけ環境だ、移住だと言って。相手の国の人権の問題でございます。それに対して、公的に何もお答えにならない、そういうことはどうなんでしょうか。日本のまさに平和の外交とおっしゃり、そしてODAによる経済的な外交とおっしゃりながら、それではまるで一方で何かおみやげを持っていきながら、一方で火事を起こしているようなことに対しては水をかけるというような大変矛盾したものに思えます。
 これこそが、まさにこの栗山さんがおっしゃる大国面をしない大国ゆえの大国ではないか。私は大変疑問に思います。私は満足がまいりませんし、納得もまいりません、今の御説明では。これだけ日本と国際的な問題になっているものに対して、金融の秘密の方が優先するのか、日本の信頼、外交、そちらの方が優先するのか、その辺のところをはっきり伺いたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) さきの予算委員会でも御答弁申し上げましたように、これらの点の問題については私は慎重に検討させていただくということを既に御答弁申し上げております。御理解をいただきたいと思います。
○堂本暁子君 そこは理解しております。
 ということではなくて、調査に行っているとすれば、問題になっているのは環境とそして現地の住民の問題です。とすれば、国民に対して調査に行った結果、環境はこうであった、そして住民の状況はこうであったということを御報告になるのが当然ではないか、そのことを日本国内の人も外国の人も求めているということでございます。
○国務大臣(中山太郎君) 実は私も昨晩帰ってまいりまして委員の質問要旨を承ったところでございまして、改めてOECFの調査の結果を慎重に検討して、そして私が外務省としてお話しのできることは国民にお話しをしなければならないというふうに考えております。
○参考人(小宅庸夫君) 今堂本委員が御指摘になられた点に関連いたしますが、先日の参議院予算委員会でも谷村副総裁からお答えした点でございますけれども、私からもこの三月に担当の部長が行った結果私どもが聞いているところを簡単に二、三点申し上げさせていただきます。
 一番大きな点は、世銀の融資のコンディショナリティー、条件となっていた移住計画の策定について相当のおくれと問題点が見られる。それから住民の反対運動が激化している。しかし、土木工事等はかなり順調に進捗している。これはOECFの円借の事業とは関係ありませんけれども、そっちは進捗している、そういうことでございます。したがって、そういうことを踏まえましてOECFとしての考え方を固めてその結果を政府に報告し、そしてその結果、政府として近くインド政府へ伝える本年度の日本の援助政策の決定方針の中に反映していただく、こういうことになっているわけでございます。他方、インド側との関係におきましては、もちろんインド政府は引き続き日本の援助を求めていると私は思います。それからまた、インド政府としても引き続き世銀との間で交わした約束に基づいて一連の移住計画等についての関係州及び州住民との話し合いを今続けていると思います。しかし、そういうことでありますけれども、一応基金といたしましては、一言で申し上げますと、このプロジェクトについては相当の環境、移住面で問題があるんじゃなかろうか、したがって慎重に対応していかなければならない、こう考えております。
○堂本暁子君 最後に、それでは今のお話ですと、本当に政府間の交渉事だけを理事から伺いました。しかし、税金を使っての仕事ですから、タックスペイヤーとしての国民にも明らかになさる責任があると私は思います。最後にそれを申し上げまして、終わります。
○委員長(山東昭子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
○委員長(山東昭子君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○竹村泰子君 外務大臣にお尋ねをしたいと思いますが、ホワイトハウスで米ソ首脳会談開かれておりますけれども、その成果と今後の米ソ及び世界の軍縮平和外交についてどのようにお考えになりますか、一言お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 昨晩始まりました米ソ首脳会談、この会談で、現在世界全体が抱えている超大国の激しい対立が話し合いによって軍縮の話が進行するということ、また緊張を緩和していくということを私どもは心から期待いたしております。
○竹村泰子君 先ほどもお尋ねがございましたけれども、韓国政府の発表によりますと、六月四日に盧泰愚大統領とソビエトのゴルバチョフ大統領の会談がサンフランシスコで行われるということですけれども、まさにこれは冷戦の終結を示しているのではないかと思いますが、外務大臣はこの韓ソ首脳会談をどのようにお考えか、そして、盧泰愚大統領が先般訪日いたしましたときにこのような韓ソ会談について何か打ち合わせがありましたかどうか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 韓ソの首脳会談がサンフランシスコで行われるということは極めて歓迎すべきことだと思います。長年アジアの中での朝鮮半島の安定を求めてまいりました日本国政府といたしましては、この韓ソの首脳会談を通じて朝鮮半島における南北の対立が、平和裏に話し合いが進行していく一つのきっかけになれば大変結構なことだというふうに思っております。
 なお、この韓ソ首脳会談について先般盧泰愚大統領訪日の際に何か事前に日本政府に通告があったかというお尋ねでございますが、通告はございません。
○竹村泰子君 通告というような大げさなものではなくても、そういった何か打ち合わせといいますか、そのようなことを考えているというふうなお話もございませんでしたか。
○国務大臣(中山太郎君) 外相会談においてはそのような話もございませんでした。
○竹村泰子君 何か世界の動く音が聞こえてくるような昨今ですけれども、そうした中で外務大臣の非常に大きな責任をお感じになっていると思いますが、私どもは十分世界の情勢を見きわめつつ平和に貢献する日本としての役割を果たしたいし、また外務大臣にも果たしていただきたいと思います。
 それでは次に、お尋ねを続けたいと思いますが、科学技術庁にお伺いをいたします。
 モナザイト鉱石、レアアース、トリウム232、この三つについてちょっと基礎的な勉強をしたいのですけれども、御説明いただけますでしょうか。
○説明員(光川寛君) ただいま御下問のまずモナザイトでございますけれども、これはセリウムなどの希土類元素、レアアースでございますが、この希土類元素を主成分としてほかにトリウムなどが若干含まれておるレアアースの原料鉱石、鉱物でございます。
 それからトリウムでございますが、トリウムは元素の一種類でございまして、比重が約十一・五
ぐらいの相当重い灰色の金属でございまして、放射性を有しております。それからこのトリウムの用途でございますが、恒久の耐火物とか特殊合金の材料として用いられております。
 それから三点目の希土類、レアアースでございますが、こちらはセリウム、ランタン、イットリウムといったような化学的に非常に特性の似ておる元素を一括して呼ぶ呼称でございまして、十七種類の元素を一括してこういうふうに呼んでおります。これらの用途といたしましては、高性能の磁石とか蛍光材料、それから超電導の材料などというような主にハイテク分野で今日使われておる材料でございます。
 以上でございます。
○竹村泰子君 このレアアースは日本で生産されていますか。
○説明員(大森勝良君) ただいまのお尋ねでございますが、レアアースが日本で生産されているかというお尋ねでございますが、このレアアースがモナザイトから生産されているようなことがあるかというふうな問いとして答えさせていただきたいと思いますが、現在我が国におきましてそのような場合には、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律、これは通称原子炉等規制法と申しておりますが、この核原料物質の使用の届け出を行う必要がございます。この届け出を行いましてモナザイト石から希土類の抽出を行っている者はございません。
○竹村泰子君 モナザイト鉱石は輸入されていないわけですね。
○説明員(光川寛君) ただいま科技庁の方から御説明ございましたように、モナザイトは日本でも福島県とか岐阜県とか福岡県、こういった地域に産出するのでございますが、その量が極めて少量である、加工対象に至らないということもございまして、今日では日本では鉱業的に採取されておりません。したがいまして、かつては日本にないためにレアアースを精製するためのモナザイトを海外から輸入して日本国内で精製加工をいたしておりましたが、これはおおむね昭和五十七年ごろまででございます。その後輸出国側の企業などからの付加価値を高めて輸出したいとかいうような要請などによりまして、現地での精製加工に徐々に切りかわり、今日では我が国の輸入が大幅に減少してほとんどが加工品の輸入に切りかわっておるといった状況でございます。
○竹村泰子君 大体七一年ごろからモナザイト鉱石としては入ってきていないですね。
○説明員(光川寛君) 昭和五十八年ごろから入ってきていないというふうに推定されます。
○竹村泰子君 どうして輸入しなくなったんですか。
○説明員(光川寛君) 先ほど申し上げましたように、従前は輸入しておったんですが、輸出先国の企業などから、自分のところの資源を付加価値を高めて輸出したいというような要請もございまして輸入品に切りかわってきたというふうに聞いておりまして、私ども通産省といたしましては、企業がモナザイトを輸入するかどうかということはビジネス上の判断でそうされておるというふうに考えております。
○竹村泰子君 そのレアアースを精製するときに副産物としてトリウム232が出てくるわけですね。このトリウム232は核燃料物質としてウラン235などとともに厳しい規制の対象となっておりますけれども、なぜですか。
○説明員(大森勝良君) トリウムにつきましては、先ほど申し上げましたように、これは放射性物質ということでございますので、我が国におきましては放射性物質等につきまして従前から、放射線防護という観点からの法律に基づきまして規制を行っております。
○竹村泰子君 半減期はどのくらいですか。
○説明員(大森勝良君) トリウム232につきましては、半減期は約百三十九億年でございます。
○竹村泰子君 百四十億年ぐらいということですね。
 マレーシアの北西部、ペラ州イポー市というところ、人口約三十万人、ここに三菱化成が三五%出資するエイシアン・レアー・アース、以下AREと約しますけれども、この会社があります。従業員が二百人ぐらい、二十四時間操業です。マレーシア政府は、このトリウムを将来の核燃料として位置づけて、このAREにその貯蔵、保管を求めていたと聞いておりますが、いかがでしょうか、事実でしょうか、外務省。
○政府委員(谷野作太郎君) このトリウムをマレーシア政府の指定いたしました備蓄場に貯蔵するということになっておりますが、貯蔵されたこのトリウムをマレーシア側においてどのように将来使うのかということにつきましては、私どもは直接マレーシア政府からは考え方は聞いておりません。
 しかしながら、これに関係しております日本側の企業のお話によりますれば、マレーシア政府としては今後これをマレーシアのエネルギー源として使用したいというふうに考えておるようだということを日本の企業の方から聞いております。
○竹村泰子君 このAREの現在の社長、重役、経営責任者、できれば技術指導者を明らかにしてください。
○政府委員(谷野作太郎君) 私どもの手元にございます資料によりまして御説明いたします。
 社名は、先生お話しのようにエイシアン・レアー・アースということでございます。設立は一九八〇年の四月。所在地は、お話しのようにマレーシアのペラ州、イポーという市がございますが、そこにございます。株式の構成は、これも先生お話しのように、日本側の企業は持ち分が三五%、残余の六五%がマレーシア側の企業の出資ということでございます。
 それから役員等も申し上げますか。――マレーシア側は三名の役員を出しております。日本側は二名でございますが、このお二人についてはいずれも非常勤ということで、五名の役員をもって構成されておるようでございます。従業員は百七十名でございまして、全員マレーシアの人たちということでございます。それから現地には他方、日本から技術者が一名行っておられます。それから日本人の支配人ということで一名、計二名の日本人が現地で勤務しておられるということのようでございます。
○竹村泰子君 社長、重役のお名前を明らかにしていただきたいんですが。
○政府委員(谷野作太郎君) 役員の、会長のお名前はアユーブ・ビーン・モハメッド・ヤチムという方のようでございます。ほか役員五名。お名前を申し上げますか。
○竹村泰子君 日本人の。
○政府委員(谷野作太郎君) 日本の方でございますか。日本の方は、ただいま非常勤の方と申し上げましたが、三菱化成の原田靖男さんという方と、津野智明さん、このお二人が非常勤の役員として参加しておられます。
○竹村泰子君 ゼネラルマネージャーの方のような形で勤務しておられた重信さんという方はもうおやめになったんですか。
○政府委員(谷野作太郎君) 現在は役員ではないというふうに私どもは承知しております。
○竹村泰子君 このAREの製造技術はどこから提供されたんでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 技術指導を三菱化成がやっておる、そのために技術指導者も現在一名行っておられるということでございますから、技術指導の源は三菱化成であるというふうなことが私どもの理解でございます。
○竹村泰子君 AREは当初工場から五キロのところに貯蔵所をつくりましたけれども、放射性物質であるということがわかって猛烈な住民反対運動が起こり、ついにここでの貯蔵を断念いたしました。そのとき、百四十億年しないと半分に減らないという大変な放射能を持ったトリウムを含む膨大な廃棄物はどうされましたでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 現状をちょっと御説明いたしたいと思いますが、廃棄物は確かに放射性を持った廃棄物でございますが、マレーシア政
府の意向によりまして、将来恒久的な備蓄場をつくるという計画であったと承知しております。
 そして、その間八九年の二月に恒久的な備蓄場が完成するまでの間、一貫してこのARE社工場内の敷地に仮の備蓄の施設をつくりまして、これは企業の方に他方御説明を受けますと、マレーシア政府の定める安全基準にしっかり沿ってつくった貯蔵施設だというふうに伺っておりますが、いずれにしても、工場敷地の中に仮の備蓄の施設をつくりまして、そこに貯蔵されておったということのようでございます。
 他方、現在は、先ほど申し上げましたより恒久的な備蓄場をつくるということでございまして、六月中旬には完成するというふうに聞いておりまして、現在この仮の施設から恒久的な備蓄場へ廃棄物の移送を行っておる段階というふうに私どもは伺っております。
○竹村泰子君 今谷野アジア局長は備蓄というお言葉をお使いになりましたけれども、備蓄という言葉が一体どういうことを指すのかというその定義をここでやっている時間は少しないのですけれども、これは備蓄でも保管でも何でもなかったんです。最初は、ブキメラ村というこのすぐ近くにあります村の住民たちは、捨てられたと言っております。AREで四年間働いた元社員は、放射能については何一つ知らされていなかったし、工場内に危険を知らせる標識もなかった。まして防護処置など何一つとられていなかったと。会社側は心配ない心配ないと言い続けた。そして、最初廃棄物は裏の溝のようなところに捨てられていたと言っておりますが、どうお思いになりますか。通産省にもお聞きしたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 御説明がちょっとその点が足りませんでした。おわびいたします。
 一九八四年ごろに、このARE社が廃棄物運搬のために雇用した運送業者がおったようでございますが、同社の本社の指示に反してというのが私どもの受けている説明ですが、この会社の工場の周辺の指定地域外にこの問題の水酸化トリウムを投棄していたということが判明いたしまして、マレーシア政府当局の命によりましてこのARE会社は水酸化トリウム及びその周辺の土壌を回収したというふうに私どもは説明を受けておりまして、その後ARE社は廃棄物管理の体制を強化して外部の業者の雇用も取りやめたというふうに聞いております。
○竹村泰子君 廃棄物の処理を請け負っていました業者の一人は、廃棄物は廃坑跡、ごみ捨て場、野菜畑、川などあちこちに捨ててよいということで捨てたと言っています。もっとひどい例は、よく効く肥料だと言われて畑にまいた人もいる。外務大臣、このひどい事実を御存じでいらっしゃいましたか。
○国務大臣(中山太郎君) 私は存じておりません。
○竹村泰子君 谷野アジア局長、どうお思いになりますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 私どももこの件は、予算委員会でもお取り上げになった経緯もございまして、終始関心を持っておった次第でございます。ただいま先生が御指摘のような点も含めてそれぞれの当事者の主張が食い違っておりますものですから、私ども日本政府としてこれを有権的にどちらの主張がどうと言う立場にはございませんが、いずれにいたしましても、現在イポーの高等裁判所におきまして係争中でございまして、私どもの聞いておるところでは早ければ七月中にも判決が出るということでございますから、そのことの司法の手続が高等裁判所でその限りにおいて完結するといいますか、結論が出るのを私どもは静かに見守っておるというところでございます。
○竹村泰子君 その廃棄物を、放射能の非常にたくさん含まれている廃棄物を廃坑跡やごみ捨て場や野菜畑や川などに、あるいは肥料だといって畑にまいたということをお聞きになって、外務大臣、どう思いになりますかと私はさっきお尋ねしまして、谷野アジア局長も今の御答弁では判決を待って静かに見守っていると。静かに見守っていただいちゃ困るんですけれども、どう思いになりますでしょうか、重ねてお伺いいたします。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員お尋ねの点につきましては、私はやはりその放射性物質を扱う責任者の科学的な知見またそれに沿っての行動が基本的な問題であろうと思います。マレーシアに進出した企業が、現場の責任者でそのようなことが行われたことが事実とすればまことに残念なことでございます。
 日本でも、東大の学内でもそのようなことが先般起こりまして大変大きな問題になりました。私はやはりいろいろ御意見を聞いておりまして、これからいろんなところに企業が進出する、そういう問題で公害の問題というものが、日本が地球の環境保全で強く問題解決に取り組むという姿勢を示している以上、このようないわゆるその国の国内法がそれぞれの国で違うかもわかりません。それも調査をさせていくつもりでおりますけれども、国連はこういうふうな環境問題に関しては経済社会理事会がそれの扱う権限を持った理事会というふうに私どもは認識をしておりまして、日本も理事でございますからそういう場で国際的にこの地域の環境保全に対する考え方というものの国際的な協力を取りつけるようにこれから指示をいたしたいと、このように考えております。
○竹村泰子君 通産省はどうお思いになりますか。
○説明員(光川寛君) 通産省といたしましては、本件に関してAREの操業状況とか裁判の進捗状況などにつきまして外務省の御協力のもと、外交ルートを通じて情報収集をしておるとともに、随時、出資しておる日本側の出資会社である三菱化成から事情聴取を行っております。
 ただ、現在、先ほど御指摘の不法投棄があったか否かという点も含めて、まさにマレーシア国内で司法権が行使されている問題でございますので、今後の裁判の成り行きを見守るとともに、情報収集をしておるという状況でございます。
○竹村泰子君 どのような情報収集をされているかは私はわかりませんけれども、ムラサキツユクサを使って低レベル放射能の影響の研究で有名な埼玉大学の市川定夫先生は二度にわたって調査に入っておられます。また十六名の弁護士による調査団が一九八八年十一月と八九年三月の二度調査に入っております。市川先生の報告によりますと、八四年ごろ有刺鉄線と簡単なさくがしてあるだけの投棄場、この廃棄物の入ったドラム缶の表面は九千マイクロラド毎時という極めて高い値であったと。これは年間でいたしますと七十八・八ラドとなります。
 一般人に対する線量限度の何と八百倍近い数値が出ております、このドラム缶のすぐ上では。そこは子供たちだって簡単に入ろうと思えば入れる場所でありますし、みんなも平気でそのそばを通っている道であります。その後投棄場は野ざらしではなくなり、先ほどおっしゃいましたように倉庫となりましたけれども、今でも一般人に対する被曝線量をはるかに超えているといいます、その付近では。科技庁は外務省または通産省からこのトリウムの投棄や線量の事実を聞いておられましたでしょうか。
○説明員(大森勝良君) 科技庁といたしましては原子力を初めとします科学技術全般にわたります諸外国の情報につきまして従来から外務省を通じて入手してきておりまして、本件につきましてもその一環としまして外務省から適宜情報提供を受けておりますが、今御指摘のような点につきまして詳細かつ正確な情報という形では入手しておりません。
○竹村泰子君 急性リンパ性白血病の患者が今何人いると報告を受けておられますでしょうか。
○説明員(大森勝良君) 科技庁といたしましては、そういうふうな情報は外務省から受けておりません。
○竹村泰子君 外務省、通産省いかがでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) この問題がいわゆる被曝線量の規制値を超えておって、これが急性リンパ腺白血病等の健康障害の状況になっておると
いうのが原告側の主張だということは承知しておりますけれども、かつまたその点がまさに一つの争点として裁判で争われておるわけでございますけれども、何名という具体的な数字は私どもは入手いたしておりません。
○説明員(光川寛君) 私ども具体的な何名という数字は承知しておりません。
○竹村泰子君 今少なくとも三人の患者の状態を聞いておりますけれども、人口七千人の村でわずか一年で三人の白血病患者、二人は子供です。また頭骨の欠損、呼吸困難、知恵おくれなど複合の障害を持った子供の母親はAREのすぐそばの製材所で働いておりました。一家の住まいはAREの排水が流れ出すセロカイ川のほとりにあり、井戸水を使っておりました。いま一人の複合障害児の母親は妊娠中にAREの拡張工事に出ておりました。現場は鼻をつくようなにおいがして、よく頭痛に襲われたといいます。十二人の子供を抱えて夫は家出。貧困にあえぎますけれども、障害児を育てているため働くことができないと訴えております。
 クアラルンプールの血液研究所の検査では、それからまたカナダのドクター・バーテル、インドのドクター・ジャヤバランの検査によりますと、白血球の足りない子供たちが五〇%いるといいます。正常値は二〇〇から八〇〇ですけれども、この子供たちの半数は二〇〇以下である、白血球の数が。妊婦の流産率も非常に高い。このような事実を外務省、通産省は把握しておられますか。
○政府委員(谷野作太郎君) 私どもも、先ほど静かにその裁判の結果を待っておるというのは、静かにというのは別に関心を持っていないということではございませんで、大いなる関心を持ってこの事の成り行きを見守っておるというふうに申し上げた方がよろしいかと思いますが、そういう中で先生がお話しの、例えば事件のこのための調査団が日本から行かれまして、私の手元にございますけれども、その報告書も入手しております。そしてその中にまさに先生が今るるお述べになりましたようなことも書いてございまして、その限りにおきまして私どももそういう主張があるということは承知いたしております。
 他方、しかし日本側の関係者には別の主張もあるようでございまして、それを私は一々ここで述べる立場にはないわけでございますが、いずれにいたしましても、現在この問題は係争中のことでございますので、その結果を見守りたいというふうに考えております。
○説明員(光川寛君) 私ども通産省も、できる限りその反対のお立場にある方々の御意見を聞くことにも努めなければならないということで、昨年の五月の三十一日とそれから九月の十二日、二度にわたりまして現地の調査などを行われた日本の弁護士グループの方々や、それから現地ブキメラ村から来られた住民の方々、それからお医者さんの方々、こういう方々と面談し、訴えを聞いております。
 そういう主張がある、そういう事実があるという御説明は承っておりますが、まさにその点について今裁判で係争中ということでございますので、その点のコメントは、その原因とか何かについてのコメントは差し控えさせていただきます。
○竹村泰子君 住民の代表が四人、通産省をお訪ねになりましたね、昨年の九月ですか。そのとき、通産省をお訪ねしましたときに、判決によっては強力な行政指導をするというお約束をなさったそうですけれども、光川さんがお会いになったと聞いておりますけれども、判決が出る出ないにかかわらず直ちに行政指導をしていただきたいと私どもは思いますがどうお考えですか。それと同時に、どのような行政指導をするおつもりなのでしょうか。
○説明員(光川寛君) 先ほど来申し上げておりますように、本件は今まさにマレーシアのイポー高裁におきまして係争中の問題であるわけでございます。したがいまして、現状ではその動向を注視していくしかないということでございますが、私どもといたしましてはその裁判の結果を見て、必要に応じて相手国との関係を配慮し、これはARE自身はマレーシア法人でございますので、やはり相手国との関係を配慮しつつ、日本側の出資企業に対しまして、環境保全に万全を期すよう適切な指導を行っていきたいということでございます。いずれにしても、裁判の結果を見てということでございます。
○竹村泰子君 住民は知れば知るほど不安におびえ、怒っています。八五年に一万一千人だった人口は今七千人を切っているわけです。若い人たちは皆安心なところへと子供を連れて村を離れていっているそうです。地元の人々に聞きますと、今マレーシア法人だとおっしゃいましたけれども、日本企業が来て、日本が来て放射能をばらまくと言っている。
 昨年の五月に千葉景子参議院議員がこの件で予算委員会で質問をしておりますけれども、ちょうど一年です。その後どのような調査をしたか報告をしていただきたいと思います。
○政府委員(谷野作太郎君) 私ども外務省といたしましては、その後も随時マレーシアにあります私どもの大使館からの報告を受けております。また、関係者から東京においても事情の聴取を行うなど、フォローアップに努めてきた次第でございます。それから昨年の五月末には、八八年十一月に現地調査を行ったグループの方々から報告書もいただきました。
○竹村泰子君 いろいろ報告を受けている受けているとおっしゃいますけれども、どんな報告がどうなふうに来ているのか、もう少し詳しく教えていただけませんでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 外務省といたしましては、できる限り偏らない立場で、反対の立場にある方々の話も聞かなければならないということでいろいろ努力してきておりまして、昨年の五月には日本の弁護士グループの方々で構成されました、私の手元にございますけれども、ARE事件調査団代表の方の御説明も受けましたし、それから現地大使館におきましても、反対派の方々から要望書等を受け取るというようなことをいたしまして、現地の方の声も聞く努力をいたしております。
○竹村泰子君 そしてその結果、静かに判決を見守ろうということになっているわけですね。
○政府委員(谷野作太郎君) 静かにという言葉が適切でなかったとすれば、要するにこの段階で係争中でございますから、どちらの立場、いずれの立場に立って物を言うのも差し控えたいという意味において静かと申し上げたわけでございまして、私ども外務省といたしまして、この種の問題に関心がないということでは決してありません。それはぜひ御理解いただきたいと思います。
 ただ、私の手元にもございますけれども、原告側の主張といわば被告側のARE社の主張がいろんな点で大きく食い違っておるものでございますから、この点につきましては司法のしっかりした手続を待つより仕方がないという意味において申し上げたわけでございます。
○竹村泰子君 先ほどからお話が出ておりますとおり、住民によって八五年二月AREは訴えられて、その年の十月イポー高裁は住民の訴えを認めて操業停止を命令しておりますね。廃棄物の除去、管理を命じております。一カ月後にAREは操業停止しましたけれども、IAEAの元専門官を招いて測定、政府から再許可をとり、八七年二月再び操業を始めました。このことにつきまして外務省、通産省、科技庁、それぞれどう思われますか、三五%とはいえ日本に重大な責任があるとはお思いにならないでしょうか。なぜ操業許可をマレーシア政府と話し合ってとめられなかったのでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 私どもが承知しております事実関係を申し上げたいと思います。
 確かに八五年十月のイポー高等裁判所における仮処分命令というのがございました。しかしながら、その内容は次の三点でございます。
 操業に当たり放射性物質または放射線を外部に漏出するような方法での生産、貯蔵の禁止。
 第二点は、工場内での廃棄物の移転、処分について必要な措置を速やかに講ずること。
 第三点は、国際原子力機関、IAEAの規定する安全保障措置を講ずること。
 こういうことでございまして、この命令自体は直接操業停止を命じたものではないというふうに聞いております。
 いずれにいたしましても、ARE社は八五年十一月から操業停止しておったのは事実でございますけれども、それはマレーシアの関係の国内法の改正がございまして新しい法律ができましたものですから、それの新しい法律による操業許可をとるために若干の時間が必要だったためで、八七年の一月にその許可をマレーシア政府から得た後、八七年二月から再び操業を開始したというふうに私どもは聞いております。
○説明員(光川寛君) 私どもも同様に伺っております。
○説明員(大森勝良君) 科学技術庁といたしましては国内の原子力安全ということをつかさどっているという立場でございますので、特にマレーシアの状況について正確に把握しておりませんことから意見を申し上げる立場にはございません。
○竹村泰子君 谷野アジア局長、その仮処分命令の三つの条件の第一番目をもう一度お読みいただけますでしょうか。
○政府委員(谷野作太郎君) 第一点は、操業に当たり放射性物質または放射線を外部に漏出するような方法での生産、貯蔵は禁止されるということでございます。したがって、そのようなものでないならば、この文言を素直に読みますれば操業の継続は可能であるということだと思います。少なくともそういうふうに理解されて操業が継続されておるのだと思いますし、事実、関係者の方に伺いましても、現在の状況は廃棄物の管理につきましてマレーシアの関連の国内法令の安全基準に沿ってなされておるということのようでございまして、マレーシア政府がこれについて別に異議といいますか反対といいますか、強い意見を持っておるわけでは全くないというのが私どもの理解でございます。マレーシア政府の定めました国内法令の安全基準にのっとって操業が継続されておるというふうに私どもは聞いております。
○竹村泰子君 十七年前に生産が日本の国では中止され、そして原石の鉱石すら輸入が禁止されている危険なトリウムを産出してしまうようなものを、日本の国のいわば外で生産をしてもらって、いいところだけ日本は取り込んでいるわけですよね。さっきもありましたとおり、これはテレビとがいろいろなハイテクの世界では非常に貴重な希土類だそうですけれども、そしてそこから産出されるいわゆる廃棄物、かすはよその国で放出をしているわけですけれども、今お読みいただきました三つの条件のうちの一つの放射能物質を外部に出さないということにこれは当てはまりますでしょうか。
 レアアースを製造というか生産していく段階ではトリウムが必然的に出てきてしまうわけですよね、非常におそろしい放射能が大量に出てきてしまう。でもそれは生産過程では特に停止命令にはひっかからないというふうな解釈をなさったわけですね。マレーシア政府の方針であるから特にそこには、やばいところには口を出さないという非常にそういうふうに読み取れるわけですけれども、それは操業停止命令の条件には当てはまらないというふうにおっしゃるわけですね。
○政府委員(谷野作太郎君) マレーシアの国内の問題であり、関係の法令の解釈、あるいは裁判所の仮処分命令の解釈の問題でございますから、私がここで有権的な解釈を申し上げる立場にもございませんけれども、いずれにいたしましても、その後の状況につきましてマレーシア政府の側でこれを問題にしているということは全くないということは事実でございます。
○竹村泰子君 調査団の報告によりますと、ブキメラの子供たちの血中の鉛度、鉛はトリウムと同時に摂取され、つまりいつも同居しているんだそうですが、非常に鉛度が高く鉛中毒の症状、すなわち貧血が出ているんだそうです。白血球の減少とともに既に子供たちが深刻な鉛汚染、放射能汚染を受けていること、がんや白血病の発生のおそれが十分あることを報じております。つまりトリウムは主としてアルファ線を出しながら崩壊していきますけれども、最後に鉛となる、骨や骨髄にこれは付着すると言われております。
 そういう中で、これは通産省にも外務省にもお聞きしたいと思いますけれども、日本企業の発展途上国に対する海外進出というのはどのような理由から行われるのか。市場あるいは原材料供給、ほかへの近隣へのというようなこと、安価な土地、安価な労働力、そういうものを求めているのは否定しませんけれども、製品の独占的な販売権の取得による莫大な利潤を期待して、相手側政府から種々の免税措置や利潤の海外送金の保証といったさまざまな優遇措置を受けている場合も多いわけですね。日本よりもはるかに緩やかな公害規制のもとで日本で操業し得ない工場を設立して、そして公害防止策を施さないで操業することによる莫大な利益を取得している例が随分あちこちに見受けられると思うのですけれども、その責任について外務大臣、どのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中山太郎君) 海外に進出した日本の企業が現地における生産の過程で有害物質を放出しているということについては私は政府の責任ではない、これはあくまでもその企業の経営者のモラルによるものである。私は現地の国の国内法がどのような規制をしているか定かに存じませんけれども、恐らく今公判が行われているということであれば、現地の国内法に基づいてそれが有罪かどうかということを審理されていると思いますが、あくまでもその企業のモラルだと私はそう思います。これは恐らく日本だけでなしにいろんな国から発展途上国に進出した企業すべてにとって、やはり企業家としての地域社会に対する、あるいは人間に対するモラルがいかに貴重であるか、大切であるかということを私は改めて印象づけられております。
○説明員(若杉隆平君) ただいまの御質問、若干補足させていただきたいと思います。
 先生おっしゃいましたように、さまざまな経済的な原因、理由で最近企業が大変海外展開を活発に行っております。その中には豊富な労働力を求めて、あるいは資源を求めて、あるいは現地の需要先が非常に近いということで、そういった需要という側面からも活発に国際的な企業の展開が行われているところでございます。こういった企業の国際的な展開そのものにつきましては、私どもは経済的にも、あるいは技術移転、さまざまなメリットもあるのではないかというふうに考えている次第でございます。
 ただ、海外進出をいたしました日本企業は、先生再三御指摘のように、進出先国の環境の保全に配慮した企業行動をとることが必要であるというのは私ども御指摘のとおりだと思っております。その場合、特に環境の問題につきましては、進出先国の定めております環境保全のためのさまざまな規制を遵守して、よき企業市民として環境保全に努めること、これが基本でございますし、さらに我が国でのすぐれた技術なども生かして環境保全に貢献することが期待されているのではないかと思っている次第でございます。
 私どもとしましては、さまざまな経済団体がこういった自覚を持って取り決めなり提言をしているところでございますし、そういった線に沿って海外進出企業の環境配慮が行われるよう強く期待しているところでございますし、また、通産省としましても、昨年産業構造審議会で、環境保全に十分配慮すべきだというような指摘も含んだ企業行動についての提言をいただいておりまして、この内容を広く関係団体あるいは現地の日系企業に周知徹底させていただきたいというふうに考えている次第でございます。
○竹村泰子君 今お話のありました「海外事業展開に当たって期待される企業行動(十項目)」、「世界に貢献する日本」という項がございますね。そして、「投資先国での環境問題について、十分配
慮する。」、「環境保全に十分配慮し、環境上の影響を最小限に緩和するよう努めるべきである。」、一項目がございます。それから経団連がことし四月にお出しになりました「地球環境問題に対する基本的見解」、これらにも環境アセスメントをするべきである、そして地球の環境には十分配慮すべきであるという項目がたくさんございます。
 環境アセスメントなどは、三菱化成は何もやっていないことは言うまでもないのですけれども、これは「デイズ・ジャパン」という雑誌ですけれども、「三菱化成と公害輸出」という大変大きな特集を組んでおります。この中では、「子どもたちは果していくつまで生きられるのか」という大変痛ましい写真、療養中の子供たちの写真、毛が全部抜けてしまった女の子の写真、白血球の減少などを伝えております。
 こういう事実に対して本当に私たちは、マレーシアの法人でございます、マレーシアの会社でございます、日本は責任はありませんという素知らぬ顔をしていていいのかどうか。このことを非常に私は思いますけれども、谷野アジア局長、先ほどの調査団の報告書を見たとおっしゃいましたけれども、外務大臣もぜひ、御多忙と思いますが目を通していただきまして、そして通産省はごらんになっていますか、調査団の報告書。――よく熟読していただきまして、やっぱり先進国と言われ経済大国と言われる日本が、たとえ三五%でも出資をしている、現地の人たちは日本が公害をまき散らしていると言っているわけですね。
 そして、この特集にもありますように、やはり三菱化成の犯罪であるというふうにマスコミにも伝えられているわけです。そういうことに対して特に外務省、通産省の責任は私は大変大きいと思いますが、もう一度御所見を聞かせていただけますでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 今先生御指摘の点は、極めて大切な問題であろうと思います。
 今局長から御答弁いたしましたように、海外進出に関する十の環境配慮事項というものが示されておりますけれども、それは配慮事項でございまして、私は、現地でそのような投資を行い生産をする際に公害廃棄物が出るというような問題について厳重な規制を守るということが原点ではないか。私はそのような意味から、先ほど企業家としてのモラルの点を申し述べておりますけれども、やはり一方におきましては、日本政府としては地球環境保全という問題から考えましても、この問題を国際的な社会できちっと、できれば基準を統一するとかいうことができれば最も好ましいわけでございますから、国連の環境問題を扱う経済社会理事会において、日本政府としてこの問題等も含めて、国際的な地域の環境保全に関する問題について積極的に意見を申し述べ行動いたしてまいるべきであると考えております。また、そのように指示をいたします。
○説明員(若杉隆平君) お答えいたします。
 通産省といたしましても、進出先国の基準あるいは国際的基準に従うべきことは当然でございますが、日本企業が海外現地社会の環境問題に十分配慮した行動をとるようにさまざまな機会をとらえて働きかけてまいりたいと思っております。
○竹村泰子君 ちょっと通産省と外務省にお尋ねをしたいんですが、予算上そういった、海外進出企業に対して例えば啓蒙していくとか、教育をしていくとか、指導していくとか、そういう予算の額はどのぐらい両省でお持ちなのでしょうか。項目の立て方が、チョイスの仕方が難しいかとも思いますけれども、大体で結構ですけれども、どのぐらいの額を充てておられるのでしょうか。
○政府委員(佐藤嘉恭君) お尋ねの趣旨は理解をいたしたつもりでございますが、外務省の予算の立て方として、ただいま先生が御指摘のような形でのものは必ずしも表には出てこないかもしれません。しかし、私ども在外公館の機能の一つとして、先ほど来御答弁申し上げているとおり、適切な助言とかあるいは企業に対するアドバイスとかということは、我々の在外公館の活動の中の一つの重要なものであるというふうに理解をするわけであります。
 したがいまして、私ども直接東京サイド、本省サイドでおっしゃいますような特別な予算を持っているということでは必ずしもないかもしれませんけれども、先生が今御指摘になりましたような趣旨のもとで、外務省の仕事の一環として在外公館では特にそういうことを心がけながら対処をしているということを、一般論で恐縮でございますが、申し上げておきたいと思います。
○説明員(増田聰博君) 御質問に直接に数値が出る性格のものではございませんが、通産省といたしましては、発展途上国における環境保全というのを積極的に支援するために、現在御審議いただいております平成二年度予算案におきまして産業公害防止、環境保全調査に関する調査協力、それから発展途上国における環境関連の研究能力の向上を図るための研究協力事業というのがございますけれども、そういうものを中心といたしまして総額四億七千七百万円の予算をお願いしているところでございます。
○竹村泰子君 四億というお金は大変なお金ですけれども、しかし、世界じゅうに広がって進出をしている日本の企業を指導し監督をするという額にしては大変に少ない額であると思いますが、また予算を計上するときにもぜひ強力に御配慮いただきたいと思いますが、先ほど外務大臣、平成二年度の外務省所管一般会計の御説明がありましたけれども、政府開発援助対比八・二%の増額、ODAを非常に大きく配慮しておりますし、また無償資金協力予算を対前年度比二六%増、前向きに大変よく頑張っているわけです。そしてまた新たに食糧増産等援助費が三百九十億円。そしてその次に技術協力予算の拡充ということで一千二百五十億円。国際交流基金の拡充、国際文化交流事業の促進、海外啓発活動の促進、こういうことで本当に頑張っておられる。
 その姿勢はよくわかりますし、私たちも誇りといたしますけれども、しかしその片方の手でこうやって日本の出資している会社が大きな放射能を含んだ廃棄物をあちこちにまき散らしたりいいかげんにずさんな投棄の仕方をしていることに目をつぶっておられるということであっては、これはもう全く私は絵にかいたもちにしかならないような気がして仕方がないのです。ぜひ即刻停止、操業停止と私は言いたいところですけれども、そうはいかないならば、せめて子供たちの未来の健康のことを考えてくださるならば、やはり強い行政指導を最後に大きくお求めをしたいと思います。日本国内でたたかれ追い出された公害企業が再び海外で公害を巻き起こすというこの構図、公害企業の体質に潜む根深い病巣と申しますか、私たちの構図、これはやっぱりどこかで断ち切らなければならない。
 ここばかりじゃありません。海外へ進出した企業が公害をまき散らしている例はほかにもたくさんございます。どうか外務省、通産省、協力して情報をしっかりとお集めくださった上で強い行政指導を心からお願い申し上げて、終わらせていただきたいと思います。一言大臣御感想を聞かせてください。
○国務大臣(中山太郎君) 当委員会で御議論いただきました御趣旨は十分政府としても認識をして関係企業に意見を念達したい、このように思っております。
○中西珠子君 中山大臣はOECDの関係閣僚会議に御出席になり、急いで帰国されましてお疲れも見せずに本委員会で答弁に当たっておられまして、まことに御苦労さまでございます。
 私は外務委員会における予算の委嘱審査は初めてでございますので、大変初歩的な質問をさせていただくことになるんではないかと思いますが、けさほどの大臣の御説明で平成二年度においては定員等の増強、在外勤務環境の改善等の外交実施体制の強化、定員の増強ということでございますが、国際協力構想を中核とする国際協力の推進の三点を最重要事項とし、その他情報機能、海外邦人対策を加えて予算の強化拡充に格別の配慮をいたしましたと。大変結構だと思うのでございます。
しかしちょっとお伺いいたしたいこともございますのは、情報機能の強化という点でございます。
 御承知のように、そしてまた大臣もけさほど御指摘になりましたように、今、昨年の東ヨーロッパを中心に巻き起こりました激動と変革のあらしというのはまだおさまってはおりませんで、世界の平和と繁栄のための新しい国際秩序の樹立が模索されているわけでございますが、どうも最近のマスコミその他の情報、また国際機関やなんかからも聞こえてくる情報、それから開発途上国ばかりでなく、東欧の国々ばかりでなく、また西欧の先進国からも聞こえてくる声というのは、日本の経済力、技術力に対する大きな期待であり、また早く言えば日本からうんとお金を出してもらったり、技術的にも援助してもらう、こういうことばかりが期待されているような感じを私は持つわけでございます。
 それこそ新しい国際秩序の樹立のために日本が国際政治の面でリーダーシップをもっととっていく必要があるのではないか。日本外交はこれまでとかくいろいろ批判があって受け身の外交だとか、アメリカ一辺倒の外交とか周りの国々を見回してからその反応を見てそれから意思決定をするというふうなことを言われて、後手後手に回った嫌いがなかったわけでもない。こういった批判を全く返上いたしまして、本当に平和なすべての人の基本的人権が守られるような新しい国際秩序を構築していく上で、積極的な役割を果たしていただきたいと思うわけでございます。
 そのためには、やはり情報の収集、伝達能力というのが非常に大事ですし、また文化交流の活動も必要ですけれども、それも含めた海外啓発活動というものが非常に大事だと思うわけでございます。この点に関しまして、やはり西欧先進国よりも日本の予算は少な過ぎるのじゃないかと私は思っているわけでございますが、大臣はどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員からお尋ねの、先進首脳国と比べて日本の外交予算というものは少ないじゃないかということでございますが、具体的には官房長が来ておりますので官房長からお答えをさせていただきたいと思います。
○政府委員(佐藤嘉恭君) ただいま先生の御指摘にありましたいわゆる情報収集活動というものでございますけれども、私ども外務省の仕事のいわば全体がそういう志向性を持った仕事であろうかというふうに思っております。したがいまして、諸外国との条約交渉をするに当たりましても、これは事前に相手国がどういう意図で条約交渉に臨んでくるか、そういうことも日ごろの外交活動の中で私どもこなしていかなければならない、かように思うわけでございます。したがいまして、人的なスタッフをきちんとしていく、あるいはそれに伴う経費というものをあてがっていくということがなかんずく、とりもなおさず情報収集活動にとって非常に重要だというふうに思います。
 あえて若干、情報収集あるいは分析能力の強化拡充ということにかかわる予算措置というものの概要を申し上げますと、例えば情報調査局の関係では要人の情報管理システムあるいは国際情報の管理システムの開発等のために経費を計上しておりますけれども、この分野で二億二千七百万円、あるいは学究的な立場から情報収集処理を行う国際問題研究所につきまして三億一千一百万の経費を計上しているということがございます。情報管理室というのを持っておりますけれども、外務本省、在外公館を一体とした情報処理体制確立のために必要な経費を中心として約二億九千八百万円を計上いたしております。事務処理のOA化ということも必要な分野になってきておりますこと、御案内のとおりでございますが、この分野で約六億六千万の経費を計上しているということを例示的に御報告申し上げることができると思います。
○中西珠子君 海外啓発宣伝費につきましては一応啓発宣伝費という目の区分で八億九千百七十七万六千円というのが計上してありますけれども、日本の海外向けの刊行物というのはほかの国に比べると少ないと思うんですね。この海外の啓発宣伝のためにもう少し刊行物もふやし、テレビ上映時間とか、それから映画、そういったもののメディアをもっと使うことができないのか。そのために予算がもっとかかるということであれば、もっとお使いになってもよろしいのではないかと考えるんですが、いかがですか。
○政府委員(渡邊泰造君) 私どもは海外広報のため、それから文化交流活動予算としてこれを計上し、そのような今先生がおっしゃられましたような、海外に日本の姿、日本人の考え方を知らせる努力、これにもっと力を入れていかなければならないと、こういうふうに思い、今回平成二年度政府原案においても前年度比二〇%増の予算要求をしております。
 この中でどのようなことを今やっているかという御質問でございますが、単なる広報資料を作成するだけでなくて、映画、ビデオ等も作成してこれを在外公館に配付し、でき得れば外国のマスメディアにもこれを乗せてもらうように努力しておりますが、その広報資料、映画作成のための予算として、今二年度におきましても十三億五百万円の予算をお願いしております。これは今おっしゃられました啓発宣伝費のみならず渡し切り費の方にも乗っております。
 ただ問題は、このようにつくりました資料にいたしましても、先方の、例えばテレビ放送会社等ですと、こちらがつくったものを直ちにそれを乗せるわけにはまいりませんと。向こうの独立性というものがございまして、金だけの問題ではなくて、先方にいかに日本自身に興味を持たせ、向こうの金で日本を報道させるかと、これも一つの大きな問題になっております。先生方の御助力を得てぜひ予算を拡充していただきたいと思うわけですけれども、それに加えて我々自身も、先方にもっと日本を自発的に報道してもらうこと、これについてももっと努力を注がなければならない、このように考えて努力しております。
○中西珠子君 向こうのメディアに対して、もっともっと日本に対して理解を示して自発的に報道してもらうようにするという努力も非常に必要だと思いますが、在外公館の附属した文化センターのようなものや何かがございますね。そういうところとか、またその在外公館の中で、その現地の人たちを集めてそういう日本の海外啓発のためのビデオを見せるとか資料を見せるとかという、そういう催しというものはやっていらっしゃると聞いておりますけれども、その催しに招待される人が非常に限られているということを聞いているわけです。いつもいつも同じ人ばかりが行くのだ、我々は関係ないと、こういう話を西欧諸国ですけれども聞くわけですが、その点はどのような努力をしていらっしゃいますか。
○政府委員(渡邊泰造君) 先生おっしゃられましたように、広報の対象として考えている、あるいは広報の対象として我々がお招きしている人たちが、ともすればマンネリ的なリストに基づいて行われるために幅が広がらないと、こういう批判があることは我々も十分承知しております。
 今例えばアメリカにおいて起きている現象は、従来から日本に関係を持ち日本について議論を重ねてきた人たちに加えて、新たに、ほかの分野でいながら日本に関係を持ち日本のことを知りたい、こういうことを言ってくる人たちが多くなったと、こういうのをよく聞いております。したがいまして、我々の方といたしましては、単に大使館、総領事館あるいは広報センターにおいての活動を活発化させるだけでなく、その外にあります日米協会あるいはアジア協会、アジア財団、そのような外部の団体との協力ということもあわせて力を注いでいる、そしてそのように今広がってきている対日関心にこたえてできる限り幅広い、また深みのある広報資料、ビデオ等を作成しなければならないと、こういうふうに考えております。
○中西珠子君 今アメリカの例をお挙げになりましたけれども、アメリカだけではなくてフランスその他のヨーロッパの国でも同じようなことが言われていることを申し上げておきたいと思います。ですから、その対象となる人たちをもっと幅
広く選択して、幅広くアプローチするということが大変大事だということと、それからそのメディアをもっとうまく使うということ、それから刊行物なりビデオなり映画なり、その内容と量、質量ともに改善、拡充していただきたいという要望を申し上げておきます。
 それから今度はちょっと、余り私時間がきょうはないので、ODAに関してけさの大臣の御説明の中では、第四次中期目標に盛られた諸施策の着実な実施を図るために特段の配慮を払いましたと、こうおっしゃっているわけでございますが、そのODAの第四次中期目標の現在の達成程度という現在の状況をお教えいただけますか。
○政府委員(木幡昭七君) 現在御案内のとおり第四次中期目標を実施しているところでございますが、その第一年目に当たる一九八八年のODAの実績は九十一・三四億ドルでございました。第二年目に当たる一九八九年の実績につきましては現在集計中でございます。これはいつも翌年の半ばぐらいにようやく集計の最終的な数字が出る次第でございます。いずれ御報告させていただきますが、そういうことを踏まえまして、引き続き第四次中期目標の達成に向かって努力しているところでございます。
○中西珠子君 八九年の数字はことしの中ごろにわかるということですね。
○政府委員(木幡昭七君) 例年のとおり六月中旬ごろに発表できる見込みでございます。
○中西珠子君 八八年の日本のODAの対GNP比は〇・三二%ですか。
○政府委員(木幡昭七君) そのとおりでございます。
○中西珠子君 OECDにTUACというのがございますね。TUAC――労組諮問委員会、これが五月の三日から四日、バリのOECD本部で第八十四回総会を開いたという報道がございまして、六月にアメリカのヒューストンで開かれる主要先進国首脳会談、ヒューストン・サミットに労組の見解として反映させるように求めた声明を採択したそうです。その声明の中で主張している最優先課題は、経済成長の維持と完全雇用の達成。あわせて、OECD加盟国各国はGNPの〇・七%を目標にODAを強化するように訴えていると。また、民主化の進む東欧、中欧に対しては、社会的公正を確立する意味から、経済面ばかりでなく社会システムづくりにも助言や直接的な支援を行うように要請していると、こういう報道があるわけでございますが、このパリのOECDで開かれましたTUACの会議の声明文ですね、これについては日本はどのようにお考えでいらっしゃいますか。外務省としてはどのようにお考えですか。
○政府委員(木幡昭七君) 私どもの経済協力国がこのトレード・ユニオン・アドバイザリー・コミッティーそのものを所管しているわけじゃございませんで、先生も御案内のとおりこれは民間のアドバイザリー・コミッティーということで、民間の方々がOECDの委員会の活動について助言をされるということでございます。私も、したがいまして、先生からただいま御説明いただいた以上のことを承知していないわけでございますが、ODAの関連で申し上げますと、この対GNP比の〇・七%達成については、私ども日本としても、いつまでという期限を切って実現するめどを申し上げるわけにはまいらないわけでございますが、その大きな目標に向かって努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○中西珠子君 これはもちろん民間の労組の集まりで、それが諮問委員会を形成しているわけでございますけれども、日本におきましても、やはり労組からODAに関して申し入れとかいうものも時々は外務省に対してございますか。
○政府委員(木幡昭七君) 私ども、かねてよりODA研究会というものを外務省内で開いて民間の有識者の方々に参加いただいております。そのメンバーの中に労働組合の代表の方にも御参加いただいておりますし、さらにまた、総理府で設置、運営されております経済協力審議会においても、労働組合の代表の方がいろいろ有意義な御意見を述べておられます。
○中西珠子君 労働組合の代表ばかりでなく、市民団体も最近大変ODAに対して関心を持つ団体がふえておりますね。そういういわゆるNGOという方々の御意見というものは、やはりODAに反映させるような努力をなさっておりますか。
○政府委員(木幡昭七君) 私どもODAを国民の御理解を得て拡充、充実していかなければならないということで努力しているところでございますが、特に政府レベルの極めてオフィシャルな立場のODAと、また別の形から、今先生がおっしゃられましたような市民の参加を得る形で、いわゆるグラスルート面での協力ということにも意を用いるということについて最近いろいろ努力しているところでございます。NGOに対する支援という観点では、私ども基本的にはNGOの自主性を尊重しながらNGOとの協力関係を一層促進していきたいという考えで臨んでおります。
 外務省といたしましては、従来より関係団体に対して補助金等の供与もしてきたところでございます。政府とNGOとの連絡体制が強化、あるいは国際協力事業団を通じて財団法人日本シルバーボランティアズの対中国専門家派遣等、こういうふうな例も既に実を結んできているところでございます。またもう一つの例は、バングラデシュにおきまして、我が国政府レベルで無償資金協力で建設した施設を利用してオイスカ、我が国のNGOの一つでございますが、オイスカによる各種研修が実施されているという例もございます。
 予算面でさらに補足させていただきますと、平成元年度よりNGO事業補助金制度を導入しておりまして、今御審議を願っております平成二年度の政府原案においては二億二千万円をこのために計上しております。さらにまた、NGOも対象とする小規模無償資金協力を導入して、平成二年度では三億円ということで御審議を願っている次第でございます。
○中西珠子君 最後におっしゃった小規模無償資金協力ですね、これは昨年度と同じ三億円なんですね。これはふやしていらっしゃらない理由は何でしょうか。オイスカとか、そういった前から補助金をもらっていたNGO、団体ではなくて、ほかのNGOに対する補助金は昨年が一億一千万、ことしは二億二千万と倍増しているわけですね。ただ、小規模無償資金協力につきましては昨年度と同じ、平成元年度と同じというのはどういう理由でございますか。
○政府委員(木幡昭七君) これも新しい制度でございますので、私どもとしましてはこの使い方について随分いろいろ議論したところでございます。いわゆる一般無償の対象国のみを対象にせずに、一般無償対象国より若干はみ出すところにも何とかやれないかというような工夫もしながら、今この制度の効果的な活用、言うなればテストをやっているところでございます。したがいまして、その成果を見ながら必要に応じまた予算の増もお願いするということで、とりあえず平成二年度におきましては前年度並みの予算をお願いしている次第でございます。
○中西珠子君 この小規模無償資金協力というのは、カナダなどが実施していますミッション・アドミニスタード・ファンド、これと同じようなものと理解してよろしいでしょうか。
○政府委員(木幡昭七君) そういう面もございます。そのほかに、NGOのやっております事業をどうしてもNGOが金がなくてもうちょっと事業拡大したいときにできない、そういうときにももう少し有機的に関連づけるというような試みもできるように考えております。
○中西珠子君 無償資金協力予算というものを全体として見ると、対前年度比は二六%増ということで二千十一億円計上しているというわけであります。その内訳は、経済開発等援助費が一千六百二十一億円というふうになって、またこれまで大蔵省に計上されていた食糧増産等援助費が三百九十億円外務省に計上されたということでございますね。
 それで、大変増加したのは結構なんですけれども、この予算書を拝見しますと、経済開発等援助費として内訳が出ているんですけれども、その積算の内訳たるや、橋梁建設援助、環境改善施設建設援助、農業施設建設援助というふうな表現なんですね。そして、それが昭和六十一年度国庫債務負担行為の歳出化額というふうな表現であって、また項目によりましては昭和六十三年度とか平成元年度とかというふうに出ているわけですね。それから環境改善施設建設援助とか、船舶建造援助とかそういう表現が使ってありまして、各年度別に国庫債務負担行為の歳出化額というふうに内訳が出ているのもあるわけですね。
 これは、国民によく理解のできるようなODAをやっていくつもりでございますと大臣もおっしゃっているし、経済協力局長も常々おっしゃっていることなんですけれども、こういう予算の表現の仕方ではちょっと国民にも私にもわからないんですね。この橋梁建設援助というのは、これはどこの国にどういうプロジェクトでやるんですか。
○政府委員(木幡昭七君) 今先生がごらんになって御質問しておられますのは、予算書の各目明細書というものをごらんになっての御質問かと存じますが、予算の立て方につきまして、実は私どもは要求してお願いする立場でございまして、予算書のつくり方は私ども外務省の所掌事務じゃございませんが、ちょっと私持っております資料に基づいて御説明をさせていただきますと、まず予算書というのがございまして、それからもう一つ、今申し上げました予算各目明細書というものがございまして、さらにまた参考書類をつけているわけでございます。
 そして、今先生がおっしゃられた橋梁建設援助その他の項目につきましては、いわゆる国庫債務負担行為について多年度にわたりますものですから、特にここに明示してこの関連の費用で多年度にわたってお願いするものはこれこれがございますという説明をしているわけでございます。
 どの国にどういう援助かというお尋ねでございますので一例を引いて申し上げますと、この予算書のところで橋梁建設援助というのがございまして、平成二年度限度額として六十四億一千万円の計上がございますが、これはタイ及びガーナにおける橋梁建設資金に充てるための援助でございまして、その建設に多くの日数を要するためにあらかじめその建設の援助に係る約定を複数年にわたって結ぶ必要があるということでお願いしている、そういう多年度にわたるものをここに計上している、こういうことでございます。
○中西珠子君 環境改善施設建設援助というのはこれはどこですか。
○政府委員(木幡昭七君) これはバングラデシュにおける雨水排水施設の建設資金に充てるための援助でございます。
○中西珠子君 農業施設建設援助はどうですか。
○政府委員(木幡昭七君) 農業施設建設援助はバングラデシュに対するものでございまして、これはかんがい施設建設計画に対する平成二年度支出予定十七億九千六百万円の分でございます。
○中西珠子君 船舶建造援助というのはどこですか。
○政府委員(木幡昭七君) エジプトにおけるアラブ海運大学新訓練船建造計画に対する援助の分でございます。
○中西珠子君 これは外務省の権限ではなくて、このような表示をするのは大蔵省の権限だとおっしゃいますけれども、国とかプロジェクトの名前というのは参考資料としてでしか出すことはできないわけでございますか。
○政府委員(木幡昭七君) これは、予算書の立て方自体は恐らく横並び等いろいろ問題があって、私どもこれは大蔵省とよくお諮りしないと私どもの一存でお答えできないわけでございますが、その他のプロジェクト等についての御説明はできる限り私どもはさせていただきたいと思っております。
○中西珠子君 食糧増産等援助費とございますね。これは今まで大蔵についていたのが外務についたということで、行政監察報告とかいったところでもちょっと問題にされた費目ではないかと思っているんですが、この食糧増産等援助費に等がついているのはどういう意味ですか。
○政府委員(木幡昭七君) 等は、いわゆる複数ということでございまして、項目が二つあるためでございます。申し上げます。食糧増産援助とそれから食糧援助、その二つを含んでいるために等としてございます。
○中西珠子君 食糧増産援助の方は何を含みますか。
○政府委員(木幡昭七君) 食糧増産援助は、いわゆる食糧を増産するための援助でございますので、肥料とか、あるいはそれに必要となる農機具とか、例示すればそういうものが挙げられます。
○中西珠子君 この食糧増産援助、肥料とか農機具とかそういったものが、日本ではもう要らなくなったようなものを外国に押しつけているという評判があるんですけれども、そういう評判に対してどうやって論駁なさいますか。
○政府委員(木幡昭七君) 肥料等につきましては、必要としている国が依然としてあることは間違いございません。
 一例を挙げますと、ニカラグア等から食糧増産の援助要請ございまして、私ども急遽肥料の調達をして援助を差し上げたばかりでございます。したがいまして、私ども、日本で要らなくなったものを援助に充てているという意識は実はないのでございます。
 しかし、そういう御批判をいただかないように、相手国のニーズ、たびたび御説明申し上げておりますが、引き続き相手国との対話を密にしてニーズに合ったものを供与していきたいと考えております。
○中西珠子君 相手国との政策対話というのをうんと強化していただかなきゃいけないと私は思っておりますんです。そして、外務省はその方向で大変御努力をなさっていますし、それぞれの国のカントリースタディーも大変徐々にではあるけれどもなされ始めているということで結構なんですけれども、国民の税金を使って対外援助をするわけですから、国民のやっぱり理解というものが必要だし、国民の支援というものが必要なんでございますから、もう少しどこにどういう援助をするのだということを、例えば交換公文がもう交わされた後の国の名前の発表なんということはできるのではないかと思います。
 それで、いかがなものでしょうか、この予算におきましてももう少し詳しく、これはもちろん大蔵省と御相談なさらなければいけないことではございますけれども、プロジェクトの名前とか国の名前とか、そういったものをもう少し詳しく予算審査のときにお出しいただくということが、これは私ども国民の信託を受けて国民の代表として国会に来て予算審議をやらせていただいている者の立場として、余りにも何もわからないで総額だけははい結構と言って、毎年ふえているODA予算をどんどんどんどん、わからないで情報の公開もなしに、また御説明も詳しくいただかないでやっていくということはできないことなので、ただいま大分詳しく御説明をいただきましたけれども、これからの予算をお出しになるときの形としてもう少しこれを何とか具体性のある、できる限りの細かい資料をお出しいただくという方向に御努力願えないでしょうかね。
○政府委員(木幡昭七君) 予算のときに予算の数字、これは御承認をいただいた範囲内で、それから私どもは相手国といろいろ詰めの作業を行って、その範囲内でその予算年度において援助をしていくという、これが建前なものでございますから、今先生がおっしゃられましたように、事前のものを出しにくいということは御理解いただけると思います。しかし、その後の時点におきまして、私どもここずっと十年近く毎年経済協力についての報告書を出しておりますので、その中におきましては、もうできるだけ克明に御要望にこたえられるような国別あるいはプロジェクトの説明等に
ついても記録をつけるように努力しているところでございます。
 さらにまた、評価報告書もこれも毎年出しておりますので、その評価活動報告書の中におきましても、できるだけこれまでの成果あるいは反省すべき点等を含めて御説明できるように公表してまいりたいと思っております。
○中西珠子君 私、七年前参議院に参りましてからずっと、このODAのプロジェクトのフォローアップ、アフターケア、それから評価、その評価も自己評価だけではなくて第三者的な専門家を入れた客観的な評価が必要であるし、またその報告書もお出しいただきたいということを重ねてお願いしてまいりまして、随分外務省は御努力してくださいまして、立派な評価報告書も出ておりますね。しかし、その評価報告書の中で、ああこういう国に対して援助をしているのかと後で拝見するばかりでなく、せめて交換公文がもう締結されてしまってこの国にはもうこういうことをするということが前の年まで決定しているものについても発表ができないんでしょうかね。
○政府委員(木幡昭七君) ただいま先生がおっしゃられた交換公文の署名まで済んでいるものについては、私どももう相手国との関係でどうしても難しいものを除きこれまでも発表に努めてきたところでございます。むしろタイミングを失することなく随時発表してきているわけでございますので、その点をまとめてこうしたらもう少し使いやすいのではないかという御指摘でございましたら、その辺のところは引き続き工夫させていただきます。いずれにしろ、もう発表可能になった時点でできるだけ早くこれまでやってきたつもりでございます。
○中西珠子君 とにかく国民の税金を使っているのでございますから、国民にわかりよく、そして国民の支援が得られるようなODAにしていかなくちゃいけないと思うわけですね。そういう点から申し上げているわけで、やはり非常に密室の中で決められていて我々は何にも関知していないと。途上国の人を助けるのもいいことだけれども、日本の国内だって土地は上がる、住宅の値段は上がる、我々だって経済大国だなんて言われたってちっとも潤った生活はしていない、社会保障だっておくれているし、社会資本は非常におくれている、下水だって普及していない。
 こういう日本の国内の問題をたくさん洗い立てて、とんでもない、途上国の人たちを助けるどころじゃありませんよと言う、そういう人たちもたくさんいるわけですね。その方々にやっぱり、年間一人当たり一万何千円という国民の負担というものを使ってODAをやっているわけでございますから、できる限り中身を公表する、情報公開をするということと、それからまた基本理念、基本原則として外務省が挙げていらっしゃるものは法律としてはっきりうたわれているわけではないんだけれども、こういう目的でやっているんだということもやはりあわせて啓発宣伝する必要があると思うんですよ。
 この間褒めてさしあげたように、ODAの漫画をお出しになったのは大変結構なんですけれども、大変ODAもわかりにくい、何のことだかさっぱりわからない。また、日本外交というものも非常に秘密のベールで包まれていて、ちっともわからないと。だから、もう少し国民の声が反映するような、国民が納得のいくようなやり方をしていただきたいと、こういう要望がありまして、市民運動なんかも徐々に高まってきてはいるわけでございますけれども、そういった国民に開かれた外交、国民の理解のできるODAというものをやっていただきたい、こういう要望を私は持っているわけでございますが、大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 委員御指摘のとおり、国民の理解と協力のないODAというものは意味がないと私も思っております。そういう意味でできるだけ公開をするようにいたしておりますが、公開いたしましたものの中にも新聞等で取り上げられないものもございます。そういうものはODA白書とかいろんなことで出していくつもりでおりますけれども、できるだけ国民の皆様方にわかっていただきやすい方法でこのODAの実態を御紹介するということがこれからも政府にとっては大きな課題であるというふうに認識をしております。
○中西珠子君 ODAはOECDからも指摘されているように非常に人材が不足しておりまして、プロが育っていないということも言えるけれども、絶対数が足りないということがございまして、今度JICAの人員も、また外務省の人員も十分とは言えないながらも多少ふえたということは結構なことだと思うのでございますけれども、とにかく人材の育成のために外務省の国際開発大学というアイデアをお出しになって、そしてこれが国際開発高等教育機構ですか、こういうものをおつくりになったということを聞いているわけでございます。
 これが、平成二年の一月にお出しになった外務省のODA予算というところに、開発援助人材育成振興費として新規に四億六千万円というふうに出ておりますね。開発援助人材育成のための国内研修、海外派遣等を行うと、こういうふうに書いてあるわけですが、この予算書の中で、明細の方ですが、国際開発高等教育機構に四億二千四百四十二万八千円の拠出をなさるということで、これは目の区分では経済開発計画実施設計等委託費とこうなっているわけですが、これは全く同じことをおっしゃっているわけですか。
○政府委員(木幡昭七君) 結論的にはそのとおりでございます。ただ、ちょっと内訳がございますので御説明申し上げますと、御指摘の四億六千万円経済開発計画実施設計等委託費が目として計上されておりますが、そのうちの四億二千四百四十二万八千円は一般会計歳出予算各目明細書に記載してございますが、財団法人国際開発高等教育機構に委託されるものでございます。
 また、同じく目に計上されております国際開発センター等を対象とした委託費一億八千五百四十八万四千円がございますが、そのうちの三千六百五万円が大学等の研究者が開発援助について調査研究を行うための予算ということになっております。この両者を合わせた総額四億六千万円がいわゆる国際開発大学、正式には財団法人国際開発高等教育機構で取りまとめて行う事業ということになります。
○中西珠子君 この国際開発高等教育機構というのは財団法人ということだそうですが、外務省の拠出のほかにやはり民間、財界ですね、早く言えば。そういったところから拠出を集めていらっしゃるわけですか。
○政府委員(木幡昭七君) 経団連を中心といたしまして財界の御支援もいただいております。
○中西珠子君 事務所はどこにあるんでしょう。
○政府委員(木幡昭七君) 場所は東京都新宿区新宿二丁目にございます。
○中西珠子君 これは結局国際開発大学は、各大学で開発経済をやっているところとか、国際関係学科があるところとか、そういうふうなところで研究者を育てるという意味もあってネットワークづくりをするというお考えであったと承っているわけですが、国際開発高等教育機構というのは将来、結局国際開発大学というのをつくることを目的にしているんですか。
○政府委員(木幡昭七君) 終局的にはそういうところまで持っていきたいと考えておりますが、余り野心的に一挙にそういうところまでいっても足元が固まっていないと成功を期しがたいということもございますので、とりあえずはこれまで国内及び諸外国において開発関連の研究をしているところのネットワークづくりをきちんとやって、その上で、例えば大学院大学のようなものをきちんとつくった方がいいという結論が得られた場合には、国際開発大学を実際物理的にも設置するというところまでいくという二段構えの構想でございます。
○中西珠子君 海外の大学で既に協力をなすっているところ、また協力を申し入れられているとこ
ろというのはありますか。
○政府委員(木幡昭七君) 例えばアメリカでございますとハーバード大学との間でもう何年かにわたってそういう将来の協力計画について話し合いを進めてきておりますし、あるいはまた英国においてもサセックス大学その他と協力できるというめどがほぼ確実になってきております。
○中西珠子君 オーストラリアあたりはどうですか。
○政府委員(木幡昭七君) オーストラリアは、決して排除するものではございませんが、まだネットワークとしてそれほど確実なところまではいっておりません。引き続き検討させていただきます。
○中西珠子君 オーストラリアあたりで非常に今日本のODAを研究している人がいますね。御存じですか。アラン・リックスとかという人がおりますし、大変オーストラリアというのは日本のODAにも関心を持っているし、日本との協力関係も望んでいると思っておりましたのでちょっとお聞きしたわけですが、たくさんの国とやはり協力関係を結んでネットワークづくりをやっていただきたいと思います。
 途上国の大学はどうですか。
○政府委員(木幡昭七君) 途上国でも非常に熱心なところがございますので、特にタイであるとかインドネシアであるとか、そういうASEANの国々との交流ということも積極的に進めてまいりたいと思っております。
○中西珠子君 殊にタイのチュラロンコン大学とか、その他ASEANの大学の教授の中でやはり日本のODAの現地におけるインパクトを研究している人があると聞いておりますので、そういう人たちとも交流を深めていただきたいと思います。
○政府委員(木幡昭七君) 先生多分お会いになられたと存じますが、先般もタマサート大学のブラサート教授、かつて日本のODAについて大変厳しい批判をしておられた方でございますが、その方も来られて日本のODA、いろいろ表裏全部研究されて、総体的にはこれはASEANにとってもアジアにとっても大変重要な有益な援助であるという御理解をいただくようになりました。私も先般お会いしましたが、そういう方々との交流も一層深めてまいりたいと思っております。
○委員長(山東昭子君) 中西さん、時間が……。
○中西珠子君 時間が参りましたから、ODAの人材の育成もどうぞ頑張ってやっていただきたいと思います。
 それから国民に対する情報の公開、国民のわかりやすいODAをやっていただくということ、また草の根の人たちに届くようなODAをやっていただきたい、殊に婦人、子供に裨益するようなODAをやっていただきたいということを一言要望として申し上げて、終わります。
○立木洋君 大臣にお尋ねしたいんですが、米ソ間の戦略核削減交渉が先般のベーカー・シェワルナゼ両者の間で基本的な合意を見るという状況になって、今度米ソ首脳会談でこれについての言及がされるという、言及した後コメントが発表されるんではないかと。もちろん、その後も続くわけですが、問題点が残されているわけで。この米ソ戦略核の削減交渉が今日基本的な合意が見られたという点についての大臣の評価としますか、見解と申しますかをお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 今回の米ソ首脳会談においてこの戦略核の削減問題で合意を得たということは極めて好ましいことであると、高く評価したいと思います。
○立木洋君 きょうこの問題全般にわたっていろいろお尋ねする時間もありませんし、またさらに残されている問題点、今後詰めていくことになるでしょうから、きょうは一つの問題だけこの点に関連してお尋ねしたいんですが、つまり検証の問題ですね。SLCMは検証なしということになりました。この点については、日本の政府は今まで検証という問題は最も不可欠な要因として核軍縮の問題については主張し、強調されてきた点だったと思うんです。
 これは引用申し上げますと、「軍縮問題と日本」という外務省が出しました八八年五月の資料を見てみますと、「どのように野心的な軍縮条約をつくってみても、もし条約遵守を確保するための具体的な裏付けとなる措置、すなわち検証措置が充分でなく、抜け穴があれば軍縮措置としての意味はなくなり、そのような取決めは長続きしないばかりか、かえって国際関係を不安定にすることにもなりかねません。」という極めて厳しい指摘があります。それから大臣がこの間、昨年の九月二十六日の国連で発言なさった中でも、効果的な軍備管理・軍縮を実現するためには適切な検証措置が不可欠であり、近年この面での創意工夫がますます求められているということを大臣も強調されてきたわけですね。
 ところが、今回のこのSLCMの場合には検証なしということになって、二国間の宣言という形になったわけですが、こういう面については政府としてはどういうふうなお考えを持っておられるんでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) これはあくまでもSLCMの場合にも、両米ソ首脳間での話し合いの結果でございますし、双方が検証しないということで合意したということについて、日本側としてはこの会談の内容を十分報告を受ける前にとやかく批判することはまたできない状態ではないかと思います。
○立木洋君 それじゃ今のこういう合意があったとしても、日本政府としてはやはり検証措置が不可欠であり、そういうことが明確にされなければ軍縮措置としては効果がないという見地を今の時点でもお持ちになっておられるのかどうか。
○政府委員(赤尾信敏君) 先ほど先生も御指摘されましたように、基本的には私たちは軍備管理あるいは軍縮に関する二国間ないし多国間の条約ができたときにはそれは実効的な検証措置についての規定も設ける必要があると。それによって裏づける必要があるというような基本的な立場であります。
 したがいまして、STARTにつきましてもその点は同じことでございますけれども、このSLCMにつきましては、これは海上あるいは海中発射巡航ミサイルでございますけれども、ST ART自体についてはこれは法的拘束力を有する条約でやろうと、START自体につきましては。ただSLCMについてはこれは宣言でやろうと。したがって法的拘束力というよりは専ら政治的な拘束力を有する宣言であろうということになっておりまして、先ほど大臣からも御説明がありましたとおり、今のところSLCMについては実効的な検証措置については米ソ間で合意できないということのように私たちは伺っております。
○立木洋君 今の局長が言われたようなお話になると、結局やはり検証措置というのがSLCMの場合に二国間の宣言でできていないから、これはやはり大して意味がないというふうに今の時点では判断されているというふうに考えていいんですか。
○政府委員(赤尾信敏君) 確かに検証措置は設けられておりませんけれども、これは双方を政治的に拘束するということで意味があるんじゃないかというふうに考えております。
○立木洋君 私の考えは述べないで今聞いているんですけれども、政府が今まで検証は非常に重要だということで、もう戦略核削減交渉というのは八年間に及ぶわけですよね。そしてその間、政府としてはやはり検証措置が非常に重要なんだと。この間についてはソ連側というのは検証はなかなかしようとしなかった。だからこの点ではやはり検証ができない限りちゃんとできないんじゃないかということを強調してきたわけだね、繰り返し。
 そして、ところが最近になると検証が可能になってきたと。それで、大臣も去年の国連の演説で言われているように、そういう不可欠な要素というのをあらゆる創意工夫を凝らして実現しなければならないと、検証ですね。そういう方向に動いてきていると。それで、一時期でもそういう検証の問題についてはもう実行不可能だというよう
なことではなくなってきたということまでが問題になってきたわけですね。シェワルナゼ外相も去年、おととしでしたか、国連総会のときに述べられていましたように、アメリカやその他の核保有国が相互主義にのっとってやるならば、ソ連としては外国の港に訪れる自国の艦艇の核兵器の搭載の有無を発表する用意がありますということもシェワルナゼが述べています。
 という状況になってきたわけですね。だから、今までの政府の立場で言えば、検証がますます可能になってきて、そういう実現の方途も出てきたという状況のもとで、なおかつ今検証ができない、やらないという形で行われた政治宣言に、今まで政府が主張してきた立場からそれは非常に結構ですと、政治的な意義が重要なんですというふうにおっしゃるのか、それともやっぱりこの点には問題が残されているという一点の問題を含んだお考えを持っておられるのか、そこらあたりの判断を何でしたら大臣の方からちょっとはっきりさせていただけるといいのではないかと思うんですが、今までの政府の立場との兼ね合いで今の時点、やっぱり問題が残されているというふうにお考えになっているのか。
○国務大臣(中山太郎君) 米ソ間でのSLCMについての検証が約束されていないことについて政府の今までの主張とどういうふうにこの点の違いがあるか、どう考えるかというお尋ねじゃないかと思いますが、私は政治的な宣言にしろ、まず宣言ができたということは、できなかったときよりもはるかに進歩したとそう思っています。そういうふうな宣言ができた以上、両者間でそれぞれが信頼醸成をつくっていく、そういう中で検証問題というのが続いて起こってくるんじゃないか、私どもはそちらの方向に向かうことを期待しているわけであります。
○立木洋君 じゃ、この問題からちょっと進めまして、この間松浦さんが、先般ここでの委員会でのお尋ね、同僚議員が尋ねられたと思うんですが、これは検証措置がないということはアメリカの、つまり核の存否を明らかにしないという主張があって、そのアメリカの主張に基づいてこういうふうになったものだというふうに答弁されたと思うんですね。そういうことになりますと、結局この検証措置をとらない、入れないということがアメリカの主張によって今回SLCMの場合に行われた、これは私は非常に大切な点じゃないかと思ったんです。
 それは私は、日本の核持ち込みの問題との関連で言っているんではなくて、去年の国連で、海軍の軍備の軍縮問題が国連で議題になって討論されましたですよね。そして、今の事態の中で海軍の軍縮という問題を実効あらしめるために軍縮委員会に実効措置を検討してもらおうじゃないかというのが国連総会に提起された。そして、日本政府もこれは賛成されたんです。今海軍、つまり海における軍縮を進めるということはもう非常に重要になってきている、相当多くの核の配備が海洋上に行われているという指摘もなされたわけですね。その去年国連で行われたこの海軍の軍備の軍縮の問題について反対したのはアメリカだけなんですね。ほかは賛成して、棄権ゼロなんですよ。そして、それでそういう主張の立場に立ってこういう検証なしのですね、いわゆるSLCMというのは核、非核両様があるわけですから、この問題についての検証というのはより重要なんですよ。
 ましてや、今海に配備している核の問題というのは非常に問題になってきて、去年の国連の軍縮の討論の中で、スウェーデンの外相なんかはこの核の存否を明らかにしないなんていうような考え方はこれは時代錯誤だと、こんな政策を今とっているというのは誤っているんじゃないかという厳しい批判まで出された。それは海洋の核というのは大変な事故まで起こしている。今海底に沈んでいる核がどれだけあるかというふうな問題にまでなって、この海洋の、つまり海における軍縮ということが非常に重要だということが強調された。それに反対したのがアメリカ一国だけだと。その国連で議論されて、批判されている政策に基づいて今回のこの米ソ首脳会談の外相の基本的な合意でSLCMがやっぱり含まれていないと、検証が。
 これはやっぱり日本の政府としては、少なくとも核の軍縮ということを重視する立場であるならば私は批判的に見ておいていただきたい。結構です、政治的な意義が重要ですとなおかつ言われたならば、それまで結構ではないですと私は言いませんけれども、しかし、なおかつ日本の政府としては、この問題はこれまで検証を重視してきた立場からしても、海に囲まれた状態からしても、今海洋の軍備という問題から考えても、これは非常に大切なんだという点でやっぱり一言あっていただきたかったと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) 今委員お尋ねの点、私の日本政府を代表しての国連での核軍縮に関する意見については、政府の考え方というものは基本的に変わりません。そう思っております。
○立木洋君 きょうは時間があれですからこれ以上この問題をもう詰めてお尋ねすることはいたしませんが、その点をやっぱりきちっとした見解を持っておいていただきたい。
 その問題と関連するんですが、去年の国連のやはり同じく総会でインド洋の平和地帯の設置に関する実施の決議というのが出されました。これはもう御承知のように、一九七一年にインド洋、ここにおける軍備を取り除き、核もなくしてそして平和的な地帯を設置しようというふうなことだったと思うんです。これは一九七一年にそれが出されてきて、その後これを実施するための決議というのが毎年繰り返されてきたと思うんです。日本の政府はこの点について若干の項に棄権をされたのか、まあ一部の項については異論があるというふうに述べておられますけれども、しかし、全体としてはこれは賛成してきたわけですね。
 この賛成された内容については、平和の問題を解決しようと努力するアジア諸国の希望を表明するものとしてこのインド洋平和地帯宣言の実施に関する決議にはずっと賛成してきたわけですが、去年になったらこれに反対したんです。その前までは賛成しておったのに去年になったら反対したというのはこれはどうしても理解に苦しむわけですが、これはどうして反対されたんでしょうか、賛成から反対に変わられたのか。
○政府委員(赤尾信敏君) 私たちは、今先生からも言われましたように過去数年にわたってこの決議のコンセンサスされた国に参加してきたわけです。ですから、支持してきたわけなんです。こういう国際緊張を緩和して全面的な完全軍縮の前進に資する方向での平和地帯の設置は歓迎するというのは基本的な立場です。ただ、そのときは条件がございまして、公海の自由の原則が確保されなければいけないとか、世界のあらゆる、ここが特に大事なんですけれども、あらゆる軍事大国を含む関係諸国の合意があること、その他査察検証等の問題もありますけれども、特に米ソ等を中心にした軍事大国が参加できるような形での決議が必要であるというふうに基本的に考えております。
 おととしまでは米国も含めてこのコンセンサスの採択に参加してきたわけですけれども、去年は一部の非同盟諸国が関係国間でコンセンサスができる前にこの採択を強行してしまったという、手続的に各国の合意が得られないままに採択を強行したというのが一番問題であります。したがいまして、関係諸国が合意しないような、合意できないような決議を採択するということは実効性がないということで、日本政府といたしましてはこれに反対したわけでございます。
○立木洋君 局長、それも私は筋が通らないんじゃないかと思うんですよ。一番最初この問題が出されたとき、ソ連も東ヨーロッパも西側諸国も反対したんですよ。だけれども、日本は賛成したんですよ、合意はなかったの、大国の中で。だけれども日本は賛成したんですよ。
 ところが、今度は大国の合意がないから賛成しないと言ったって、今度反対したのはあなた四カ国だけじゃないですか、アメリカとイギリスとフランスと日本だけですよ。今まで、初めソ連も東
ヨーロッパも西側諸国も賛成しないのに日本は賛成した、ずうっと賛成してきた。インド洋で平和的な地帯を設置するということに賛成してきたんです。ところが、去年になったら反対したんですよ。今の言い方でおっしゃると、そういう大国間の合意ができないのに強行されたと言うけれども、実は最初のときには大国間の合意がなかったのに賛成されたのはなぜなんですか。そういうことになるんですよ。だから、今の問題についての御説明もそれは納得させることのできない説明だ。
 それから問題は、第一委員会でこの問題が議論されているときに、国連の中で日本の代表はこう述べているんですよね。まず最も重要なことは何か、非核兵器地帯を設置する場合それがその地域で安全保障に寄与するかどうかという問題のまず第一に重視しなければならないのは、と言って日本政府が挙げたのは、その地域の諸国のイニシアチブに基づくことが挙げられる、こう述べたわけですね。ところが、このインド洋の沿岸国でどの国も反対していないんです、全部賛成しているんです。そしたら、沿岸諸国が全部賛成しているこのイニシアチブに今まで賛成してきたのに、なぜ去年から反対したのか。大国間の合意がないというのは以前からなかったんです。
 インド洋諸国は全部賛成しているんです。日本政府は、その沿岸諸国が賛成すればそれが本当のイニシアチブになり得るからそれは結構なことだということまで第一委員会で述べているんですよ、日本の代表が。それなのにアメリカ、イギリス、フランスと日本だけが、初めて日本だけ今度反対に回っている、どうしてもこれはわからぬのですがね。
○政府委員(赤尾信敏君) 最初に、去年の採択が従来の決議の採択の仕方とどういうふうに変わってきたかということですけれども、例えば八一年以来コンセンサスで過去八年間採択されてきたわけなんですけれども、八九年になりまして今先生が言われましたように日本を含む四カ国が反対しただけでなく、実は非同盟の一部の国も棄権しているわけです。従来賛成してきた国の一部も十四カ国が棄権しているわけで、その数字も念頭に置いていただけると非常にありがたいと思います。
○立木洋君 棄権しているという国があることは私存じております。だけれども、問題は棄権の国があってもそれは非同盟諸国じゃないんですよ。ほとんどが全部NATOの加盟国なんですよ。そういう、ちゃんと調べておっしゃっていただきたいんですけれどもね。
 そういう棄権があるということは知っていますけれども、しかし、日本政府の立場としては従来からとってきた考え方、ましてや国連で述べている主張、こういう見地からしても去年反対したというのはこれはやっぱり道理がない。
 大臣、私の今までの説明をお聞きになって、やっぱり政府が反対したのは道理があったというふうにお考えになるのかどうなのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(中山太郎君) その前に、先に政府委員からもう一度その間の事情を詳しく説明させます。
○政府委員(赤尾信敏君) 確かに先生が言われましたようにこの地域の諸国のイニシアチブが非常に大事でありますけれども、同時に、関係する諸国の合意というのが非常に重要です。例えばアメリカ等の参加なしにそういう平和地帯を設置しても効果が、やっぱり有効性が疑問視されるということもあります。
 ですから、すべての関係国が納得するような形で、あるいは参加するような形でやる必要があるということでこれまで、もう先生十分御存じのはずなんですけれども、このためにアドホック委員会が設けられましてずっと検討が行われてきているわけです。ですけれども、昨年来の一部の非同盟諸国のどちらかといえばそういう強行的な動きもありまして、アメリカ等一部の国はもうこのアドホック委員会に出るのも嫌だということで最近脱退しました。ところが、日本としては引き続き関係国を説得してみんながうまく満足できるような形で決議が採択されれば非常にいいということもありまして、日本としては引き続きアドホックグループに参加して努力したいというふうに考えております。
○立木洋君 わかりました。
 大臣、いかがですか。
○国務大臣(中山太郎君) 今国連局長がお答え申し上げましたような経過でございますから、昨年度政府がとった態度が悪かったということを私は外務大臣として申し上げるわけにはまいりません。
○立木洋君 それは間違っていましたと言えばちょっと大ごとになりますからね。だけれども、私は筋が通らないと思うんですよ。やっぱり最初から合意がなかったんです、大国間の。だけれども日本政府は賛成したんですよ。ずっと一九七一年から八八年まで、この問題に関する実施については賛成してきたんですよ、日本政府は。
 それが去年からごろっと変わった。反対が四カ国になった。核を持っていないのは日本だけなんです、その中で。こういう状態でそういう態度をとられるというのは、幾ら平和のために努力しますと言っても現実にはそういう、インド洋諸国の人たちがみんな賛成しているのに日本だけがそれに背を向ける態度をとるというのは、やはり海部さんが、首相が行かれていろいろ話をされてもなかなかやっぱりどうだろうかといって、眉につばをつけて見られるようなことにもなりかねない。国連でとる態度というのは非常にこれは重要ですから。
 そういうことを私は申し上げたいわけですが、もう一つの問題は、同じく去年の国連の中で、軍事費の削減に関する決議というのが出されております。この軍事予算の削減という百十四―A、これについても、それまではコンセンサスで日本の代表も賛成してきたわけですが、去年はこれに反対をしている。
 もう時間がないから一方的にちょっとしゃべって、最後にお話だけ聞きますけれども、コンセンサスで同意してきたのが去年今度はこれは棄権した。つまり、去年棄権した内容を見てみますと、軍事予算の削減の分野について、つまりちゃんとどういう点を削減するかという原則を決めたわけですね、去年の場合。そうすると、日本政府は今度は棄権に態度が変わった。その原則の内容を見ますと、十数項目にわたって出されておりますけれども、その中では結局、特に軍事費の多い国が率先して軍事費を削減しなければならないというふうな、いわゆる守らなければならないことが書かれてあります。
 そういうことについても今度は態度が変えられたというふうなことになりますと、どうも私は、――先ほど同僚議員が言われた事務次官の栗山さんが発表されたあれというのは非常に意味を持つと。あそこの中に、日米安保条約の意義づけの中で第三番目に挙げられていたわけですけれども、日米安保条約というのはアジア・太平洋地域に米軍の存在を維持してもらうための支柱になる、こんな意義づけは今まで日米安保条約になかったんです。これは栗山さんの論文で初めて出された視点ですよ。そうすると、アジアに米軍がおってもらった方がいい、そのために安保条約は必要だという意義づけまでされた。それがやっぱりインド洋の態度の変化に出たんじゃないかというふうなことを私は考えるわけです。
 この点について、もう時間がありませんからこれで私は質問を終わりますが、その点についての私の考え方に大臣のコメントをいただいて、終わりたいと思います。いかがでしょうか。
○政府委員(赤尾信敏君) 先に私の方から、軍事費削減についての決議に日本がなぜ従来の賛成から棄権に回ったかということでございますけれども、これも私たちは、百五十数カ国ある国連加盟国のいろんな違う立場を日本としては一生懸命調整して、コンセンサス決議ができるようにということで努力してきたわけなんです。その結果過去十年ぐらいにわたってコンセンサスで決議が採択
されてきたわけでございますけれども、去年は特にルーマニア等一部の非同盟諸国が中心になりまして、また、我々の間で十分審議していなかったアネックスをくっつけて、それの強行採択に走った。そういう手続問題に特に我々は不満で棄権に回ったということがございます。
 ちなみに最近、特にことしの春、国連の軍縮委員会が開催されたばかりでございますけれども、ことしの雰囲気というのは非常に変わってきておりますし、最近ソ連との私たち二国間の協議におきましても、軍縮問題については強行採択したって仕方がないと。これは、あくまで関係国がコンセンサスを得るようなものをつくって、できるだけコンセンサスで決議を採択する必要があるということは、これは日本だけでなくソ連等も同じような意見を持っている、あるいはそのように変わってきているということを参考までに御説明したいと思います。
○国務大臣(中山太郎君) 栗山氏の論文の中にある日米安保のあり方について、私は考え方として、日本政府としてはこの日米安保条約の効果的な運用というものがアジア・太平洋地域の平和に大きく貢献しているということも、過去からの歴史的な経過を見て、それはそれなりの効果があったと思います。
 ヨーロッパにおいてもNATO、ワルシャワ条約機構との間にそういうものがなかった地域、すなわちルーマニアとかブルガリアにおいての混乱の方が、今般のヨーロッパの平和への模索の中でやはり混乱が大きかったということを実はゲンシャー外務大臣から直接聞いておりまして、私は東南アジア、アジア・太平洋というのはヨーロッパと違って日米安保もあれば、あるいは北朝鮮と中国、ソ連との間の軍事同盟もある。いろんな同盟が束のようになってございますけれども、そういう中でこれからやっぱり話し合いが行われていかないと、話し合いだけでは実際の結果が出にくいんじゃないか。そういうことで、日ソ間でもこの日米安保の存在というものを認めた上で日ソの平和条約作業グループがスタートしているという経過もございますので、私はやっぱり現実的な問題を処理しながら平和へ我々が努力をしていくということで、栗山論文というものはそれなりのことを主張したのであろうという認識を持っております。
○猪木寛至君 今まさに世界が和平へ向けて動き出している中で、ちょうど今アメリカでは米ソの首脳会談が行われています。
   〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕
また、中山大臣からも再三和平、平和という言葉が出ておりますが、その首脳会談の中で、冷戦の溝は消えつつある。偏見、不信、敵意は消えつつある。そして戦争のおそれをなくすことが両国の希望であり、両大統領の使命であるというような記事が載っておりましたが、ちょうど二、三日前だったでしょうか、新聞にパキスタンとインドの紛争ということで、非常にこれは核戦争にも発展するんじゃないかというような見出しも出ていたようですが、私もちょうど十五年ぐらい前にパキスタンからずっとあの一帯を、当時はレスラーとして試合で回ったもんですから、大変私も苦い思いがいたします。
 ルールがなかなか決まらず、結果的にはルールなしの戦いということでリングに上がりまして、七万人か十万人の観衆がいたと思いますが、大変な人気だったんですが、結局ルール決まらずでリングに上がって、相手を後遺症で殺してしまうというような結果になってしまいました。非常に人種的な誇りというかそういうものが強いところでもあるし、非常にあの記事を見たときに、私の体験からしてまかり間違えばそういう方向に行くんではないかと思いました。
 その後アフガン難民救済ということでずっと各地を転戦したんですが、そのときに、やはり小さな部族がありまして、大変これが戦いの好きな人種というか、みんなやはり十歳ぐらいの少年が鉄砲を持ちまして、もう銃口がぴかぴかに光って、命の次に、そのぐらい鉄砲が大事だという教えを受けているわけです。そういう人たちが今緊張しているところにいるんで大変私も危惧しているわけなんですが、その辺についての情報をちょっとお聞かせください。
○政府委員(谷野作太郎君) インドとパキスタンの点に絞ってお話を申し上げたいと思いますが、仰せのように確かに、けさほども本委員会で御議論がございましたけれども、インドとパキスタンの間におきましては、カシミール地域の帰属をめぐり従来より激しい対立がありましたんですが、ことしに入りまして一段と状況が悪化しておるというまことに心配される状況になっております。また、お話しのように、そういう状況でインドとパキスタンの間では何か核戦争の危険する生じつつあるのではないかという報道も、たしかイギリスの報道にあったというふうに記憶いたしております。
 政府といたしましては、こういった現地の状況を大変心配しながら見守っておるわけでございまして、インドとパキスタンが何とか自制と話し合いによってこの問題の平和的解決を図っていただければいいなと思っております。そういう意味におきまして、核拡散防止のためにインドとパキスタンの両国の協力を得ることもまた必要だというふうに考えておりまして、そういった私どもの考え方は折に触れているんなレベルで先方に伝えてきております。つい最近では、御案内のように海部総理が直接現地を御訪問なさいまして、その機会に総理から先方の最高首脳に対しまして話し合いによる解決ということを強く求められたという経緯がございます。また両国の首脳に対しましてNPT、これに早く加盟されるようにというふうに慫慂をされたという経緯もございます。
 いずれにしても、大きな関心を持って引き続き現地の状況をフォローしてまいりたいというふうに考えております。
○猪木寛至君 きょうの大臣のお言葉にもありましたが、予算の概要についての説明の中の三本柱ということで政府開発援助、国際交流の強化、平和への協力ということで、今まさに地球的な問題も多くあるわけなんです。
 地球的環境保全というので、必ず地球的という、今までは世界ということで表現されましたが、必ず最近は地球というものが出てくるんですが、人口の増加あるいは世界の食糧問題ということで、聞くところによると今世界の在庫量が百一日分あったのが、去年は四十九日分。そしてまたちょっと回復をして五十一日分ぐらいということも聞いておりますが、とにかく人口がふえていく。そして耕作地がだんだん小さくなっていくということで、ひとつ今後やはり地球的な公共事業というんでしょうか、そういうことから大量輸送あるいは高速化というようなことも含めて、地球上全体のそういう食糧あるいは物資の平均化というようなことも含めて、大量輸送ということが大事じゃないかということで、きょうは最近話題になってきておりますニカラグア運河ということでちょっとお聞きしたいと思うんです。
 この構想自体は大変古いということを聞いております。四百年ぐらい前にフランシスコという牧師さんが調査に入りましてそういう構想を練ったそうですが、その後にネルソン提督でしょうか、そういう非常に長い歴史があるんですが、パナマ運河との関係も含めてそういう話が消えたりまた浮上したりというようなことがあるんですが、今これから本当に、四百年前にそういう運河構想というのがあったわけですから、二十一世紀を迎えたときにどういう状況があるかということをある程度想定しなきゃいけない。あるいは五十年、百年という計画を立てなきゃいけないという気がいたします。
 そこでちょっとお聞きしたいんですが、ニカラグア運河という問題についての情報がどのくらい今政府に上がっているのかお聞かせください。
○政府委員(瀬木博基君) ただいま先生がおっしゃられましたとおり、ニカラグア運河自体の構想は非常に長い歴史を持っていると思います。その後、御存じのようにニカラグア運河にするのか
パナマ運河にするのかという議論がいろいろあった後パナマ運河がつくられ、現在はそのパナマ運河をどういう形で改修する必要があるのか、また場合によったら第二のパナマ運河をつくることもあり得るのかというような検討を行っているところでございます。そういう過程におきまして、ニカラグア運河という問題は現在のところ俎上に上がっておらないというのが現状でございます。
   〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕
 ニカラグアの国は御案内のとおりのような非常に困窮した状態でございまして、ニカラグア国としては遠い将来のことを考えるよりは、あしたの国民の生活を考えなくてはならないというのが最大の関心事でございまして、当面そういう問題については考える余裕がないということを申しております。
○猪木寛至君 この運河計画というのは恐らく一国の問題ではないと思いますし、まさに先ほど申し上げた世界、地球的環境、地球的な問題になってくるグローバルの問題なわけですが、これはあくまでも今後ECの統合という問題と当然これは世界のブロック化という部分で南米というものがこれ一体になっていく方向性があるんではないかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(瀬木博基君) パナマ運河をつくりましてからこれを最近に至って最も利用している国というのは、これはアメリカ、その次が日本でございます。このパナマ運河を利用するということは、要するに太平洋とカリブ海、または大西洋、さらには中南米というところとの間の交通、貿易を保つという趣旨でございます。
 そういう意味からしますと、ニカラグア運河ももし仮にできるということになりますと、全く同様の目的を達するということになると思うのでございますが、現在におきましてはパナマ運河ができました時代と違いまして、飛行機による運送が非常に盛んになってきたこと、また大陸を横断いたします鉄道が非常に高速になってきたこと、それからもちろん自動車ハイウエーを使いました自動車運送も盛んになってきたこと等がございまして、運河のあり方というものが現在非常に検討されているというところでございます。そういう趣旨で今パナマ運河についても検討を続けているというところでございます。
○猪木寛至君 第二パナマ運河というものがそのまま凍結されているような状態ですが、これは私の意見なんですが、一国に二つのそういう大きなものができるということはちょっと不自然じゃないか。そういう意味でニカラグアというもの、可能性があればこれは大変すばらしいんではないか。
 もう一つは、非常な世界の流れの中で今後中南米が安定していくために世界に向けての何か一つの貢献をする、そういう意味でこの運河計画というものがもし実行に移るのであれば日本にとっても将来大変、先ほど申し上げた食糧問題という問題も含めて大事な部分ではないかという気がいたします。一つは、既にこれはアメリカが相当肩入れした時期もあったと思うんですが、そういう資料については相当アメリカは調査をしたんでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(瀬木博基君) このニカラグア運河を推進した、アメリカの一部の方が推進した時代というのは非常に古い時代でございまして、まさにパナマ運河ができる以前のことでございます。パナマ運河にするのかニカラグア運河にするかということでかなりの議論があったと承知いたしておりますけれども、パナマ運河ができてからというもの、ニカラグア運河について特に新しい関心が生まれたというふうには承知いたしておりません。
○猪木寛至君 先ほど農業の増産ということでニカラグアに政府も支援をしたということを聞きましたが、実際にこの地域の人たちというのは、我々が米を食べないといけない、生きていけないというか、そのくらいに肉食人種というか、肉を食べないとと。この間ずっと見てまいりました中では、大変牧畜が当時一時盛んであったものが内戦やなんかで非常に国民がほとんど肉も食べれないような状況になっているということで、今後やはりこれは運河と同時に、あの辺も非常に肥沃な土地もあるということで、食糧増産地帯ということでぜひ政府の方も力をかしていただきたい、応援してあげたりしていただきたいと思うんです。
 それで、私が大変国会中御迷惑をかけてというか、四日の日からブラジルの方へ環境庁から招待をいただきまして行くようなことになりまして、一つは毎日新聞紙上に出ておるCO2の問題、これは各専門家がいろんな角度からやっておられると思うんですが、現実に私が前回アマゾンに行ってまいりましたときにもほとんど手をつけていられないというのが現状で、一つその中に大変膨大な資料を持った、あるいは専門家を抱えているINPAという、アマゾン国立研究所というんですが、これが非常に今資金難で十分機能していない。一方で地球を守っていかなきゃいけない。酸素を供給しているアマゾンという部分が全くその情報が把握されていないということについて、政府としてはどういう、INPAについてどのような考えを持っておられますか。
○政府委員(瀬木博基君) このアマゾンの国立研究所につきましては、先生からも御指摘がございましたので、つい最近出先の大使館からブラジルの環境の当局に問題提起をいたしまして、彼らとしてどういうふうに考えているのか、また、もし日本で何かお手伝いすることがあったらどんなことがあり得るだろうかということを聞かせました。そのところ、ブラジル側といたしましては、今全体の環境政策を整備している。その過程で、ぜひ日本にもいろいろ御相談したいこともあると。ただ、全体のブラジルの環境政策をどう持っていくかということを今考えているところなので、全体ができるまでちょっと待ってほしいと言われておりますので、そういうところでちょっと我々としても全体像の中で相談いたしていきたいと思います。
○猪木寛至君 私も今回行ってよく調べてまいりますけれども、できるだけこの貴重な資料が生かされるような形で。
 それで、一つはやはり今世界じゅうからINPAへ向けて研修生というのが相当入っているそうです。私はやはり今、日本がこれから、地球的規模ということが再三出ますが、その部分の中でアマゾンをぜひ、これはもっともっと認識を高めていこう。というのは、確かに娯楽番組で毎回テレビに出てきます。大変すばらしい自然が出てくるし、おもしろいなと。ただ、おもしろいだけでは困る。これは地球の裏側ですけれども、本当に地球の空気の三分の一あるいは四分の一を供給している場所ですよ。その破壊をしない、あるいは今後どうやったら守っていけるかということを、積極的に認識を持ってもらいたい。
 そういうことで私のこれはひとつ提案で、アマゾン環境大学をつくったらどうでしょうか。向こうの政府に提案をいたしまして、大変これはすばらしいということで、これは多くの人がやはり体験をしてもらう。その現場に入ってもらって、そういう公害を見てもらうというときに、恐らく考え方も違うでしょうし、より真剣に取り組んでもらえる。そういう人をいかにしてふやしていくかという構想の中で、アマゾン環境大学というものを今打ち出しているわけなんですが、この構想について、より具体化したときにまた申し上げますが、日本政府としてはそういうような構想についてどうお考えでしょうか。
○政府委員(瀬木博基君) この問題もアマゾン研究所も、いずれも同じことだと思うのでございますが、ブラジルが果たしてブラジルの環境政策の中でどういうふうに位置づけをしていくだろうかと。何が一番必要なんだろうかということにかかわってくると思います。
 ブラジルは御存じのようにアマゾンの環境問題もございますれば、リオとかサンパウロの都市の公害みたいな問題も抱えて、いろいろな問題を抱えておりますので、彼らとしてもどこに重点を置くのか、日本として協力すればどういうところだ
ろうかということをいろいろ考えているだろうと思いますので、その辺を考えながら、我々としてもやりたいと思います。
○猪木寛至君 この委員会でも一度申し上げたんですが、ライオンタマリン、大変かわいいお猿さんの話ですが、今回この前約束してきましたその火を消しますということで、真っ先に民間から協力がありまして、ブルドーザーとパワーシャベルと、それから何でしょうかね、メンテナンス、技術、それを全部あれしましょうということで大変ありがたい協力が得られました。政府の方も積極的ですが、一歩ちょっと遅いような気がいたしますけれどもね。やはりこれから国民一人一人が大変そういうことに対して理解を示してもらうということが一番大事じゃないか。一つは、アメリカの場合は国民が、個人献金というのが十四兆五千億と一年間あるそうです。日本の場合は一千三百億円程度ということを聞いておりますが、政府だけでもできない、やっぱり官民一体となった形のものであるべきだと思いますので、そういう広報をもっともっと積極的にやっていただきたいと思います。
 もう一つ、今、私も雑誌のインタビューを受けたりなんかしまして、青少年のいろんな問題に答えることをやっているんですが、その中で、たまたま二十四時間体制の交通機関ということで、なかなか夜遅くなると帰れなくなってしまうというようなことがあります。あるいは一つは非行少年の問題ということも起こるわけですが、私は基本的にはもう夜は寝るものだから早く帰れと思うんですが、ただやはり、深夜放送を含めて国際的ないろんなイベントも夜遅くなってきている、あるいは青少年が出てついうちに帰れないというような問題もあると思いますが、たまたまそれが、三日か四日前でしょうか、NHKが番組で放送しておりました。
 そういうことで、今後国際都市として、あるいは大阪の二十四時間体制、空港ですね、こういう問題の中で、東京に限らず大都市なんですが、そういう交通機関、深夜の交通機関というものについてどう考えているんでしょうか、運輸省ですかね。
○説明員(山下邦勝君) 運輸省の地域交通局でございますが、今委員から御指摘ございましたように、東京を中心といたします大都市の深夜化と申しますか、二十四時間化と申しますか、そういったことが非常に進んでおりまして、当然のことながら輸送需要が非常に大きくなってきておるわけでございます。
 これにつきましては、例えば鉄道につきましては列車の増発でございますとか、深夜の終発時刻の繰り下げでございますとか、バスにつきましても最近では深夜急行バスと申しておりますけれども、かなり長距離のバスを相当本数を出すようにしてきておりますし、また深夜の専門のタクシー、こういったものも計画的に配車するなどいろいろ対策に努めておるところでございます。ただ、何分にも急速にこういった深夜化と申しますか、二十四時間化が進んできておりますので、いろいろ問題が生じておることは事実でございまして、そういった点を踏まえながら、できるだけ総合的な対策が進むように努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
○猪木寛至君 ニューヨークなんかの場合だと非常に、朝まで一時間置きでしょうか、そういう地下鉄が走っているということで、日本の場合はお聞きしたところ複線というのでしょうか、そういうような、ニューヨークの場合は百年先を見てというか、そういう四本入っているわけなんでしょうかね、そういうことで一本は夜中の間に回送をするというかチェックするというようなことをお聞きしました。
 そういうことで、時間も大体なくなりましたから、最後に外国人労働者というのがここのところ大変問題になっております。私はブラジルと関係があるということから、ブラジルの労働者を頼みますということで大変いろいろなところから来るわけなんですが、今後外国人労働者という問題について、これは外務省で結構ですが、外務省としてはどういうことをやっていこうとしているんでしょうか。
○政府委員(久米邦貞君) 外国人労働者の導入問題につきましては、現在内閣を中心にいたしましていろいろな角度から鋭意検討をいたしております。
 導入につきましては、国内におきまして労働市場との関係あるいは社会的、行政的コスト負担の問題、それから生活習慣の違いからくるいろんな社会問題等、いろいろな複雑な問題がございますので、当面のところは、政府の方針としては専門的な技術、技能、知識を有する外国人については可能な限り受け入れるということで先般の、昨年の暮れに成立いたしまして本日から適用になります新しい入管法においてもそういう手当てがなされておりますけれども、いわゆる単純労働者につきましては先ほど申し上げたような多岐にわたる問題があることから現在慎重に検討しているわけでございますけれども、今後とも外務省といたしましても関係省庁と連絡を保ちつつ鋭意検討を進めていきたいと思っております。
○猪木寛至君 最後に、ブラジルに長期に参りますので大変御迷惑をかけますが御了承ください。
 ありがとうございました。
○中村鋭一君 万国博覧会条約を我が国が批准し国会で承認を受けたのは何年何月でございますか。
○政府委員(須藤隆也君) 至急チェックさせていただきたいと思います。
○中村鋭一君 結構です。これは質問通告していませんでしたので失礼いたしました。
 国際花と緑の博覧会、今開催中でございますが、これは博覧会条約に基づいての博覧会でありますが、今回この博覧会に外国から訪れた方々、あるいはこれからお見えになる予定の元首でありますとか要人でありますとか、こういう方々は何カ国、何人ぐらいになりましょうか。
○政府委員(須藤隆也君) お答え申し上げます。
 花と緑の博覧会には世界の八十カ国、それから国際機関五十五機関から出展参加しておりますが、政府といたしましては、これらの参加国あるいは参加機関のうち、花博の期間中にナショナルデーあるいはスペシャルデーと称しまして式典を行っておりまして、その式典のために出席する各国あるいは各国際機関の要人につきましては花博賓客という名称をつけまして賓客として招聘するという制度をとっておりまして、現在までのところ十九カ国、三国際機関から合計で三十四名の要人が花博会場を訪れております。それから今後につきましては五十四カ国、四国際機関から花博賓客が会場を訪れる予定と承知しております。
 それからこの花博賓客のほかに、花博の開催の機会に我が国を訪れる要人がたくさんございまして、そういう要人についても相応の待遇を行うこととしておりますが、現在までのところ四十一カ国から三百五名の要人が会場を訪れております。今後につきましても相当数の要人が訪れるものと期待されております。
○中村鋭一君 この賓客の接遇はどの部分が外務省の予算で賄われるものなんですか。
○政府委員(須藤隆也君) 花博の賓客につきましては外務省予算に予算が計上してございまして、主として滞在費を外務省が負担しております。日本における滞在費でございます。
○中村鋭一君 そうすると、往復の飛行機代はどうなりますか。
○政府委員(須藤隆也君) 飛行機代につきましては、通常は先方の負担ということになっております。
○中村鋭一君 これまでのところどうですか、外国の博覧会参加国の出展に対するお客さん方の反応といいますか、反響といいますか、評判といいますか、これはどういうものでしょうか。
○政府委員(須藤隆也君) 入場者等から特に外務省としてアンケート調査等を行っているわけでございませんので正確に申し上げることは難しいかと思いますけれども、入場者の状況から判断いた
しまして、外国が参加しております「水の館」とか「光の館」とか「大地の館」につきましては、現在までのところ入場者総数が七百三十万人程度でございますが、そのうちの約半数以上が外国の出展されている会場を訪れておりますので、そういうことから推察いたしましても高い評価を受けているのではないかと思っております。
 それから花と緑の会の国内の関係者あるいはコンパニオン等からの発言といたしましても、非常に評判がいいというふうに伺っております。
○中村鋭一君 評判がいいということなんですが、私関西の人間なんで花博ももう四回ばかりしっかりと拝見をさせていただいたんですが、一九七〇年のあの万博のときの熱気というものが会場からは率直に申し上げて感じられないようなんですね。まあ一言にして言いますと、どうでしょうかね、あの一九七〇年の万博に比べると今度は規模といい見ごたえといい十分の一ぐらいじゃないか、こう言っている人もあるわけなんですが、外務省としては今回は条約に基づいて行われた花博が、外国の出展参加国それから国内のお客さん方も含めて成功であった、こういう評価をされているわけですか。
○政府委員(須藤隆也君) 一九七〇年の万博は確かに大評判であったと思いますけれども、万博の性格から申しますと、万博につきましては大阪万博のような一般博とそれから今回のような特定の分野に限ったような特別博という二つの分野がございまして、今回の花と緑はその特別博の方でございまして、そういう性格からして一般博に比べますと若干規模とか入場者の数とかという面では見劣りはするということもやむを得ない面もあるかとは思いますけれども、特別博として見た場合には花と緑の博覧会はこれまでのところ順調に開催されているのではないか、成功するのではないかという感じは持っております。
○中村鋭一君 パキスタンでしたか、開会がおくれまして出展がおくれて、私が参りましたときにもまだ盛んに皆さん一生懸命工事中でございましたね。今はもう完成してその工事に携わった皆さんはお帰りになったようでございますけれども、あの節も工事をやっている皆さんが、気は焦る、気は焦るけれども、例えば宿舎の問題にしても食べ物にしてもなかなか合わなくて、結局地元の新聞に報道されたところによると、ボランティアの皆さんがお昼御飯とかそういうものを包んで工事現場に持っていって民間外交の実を上げた、こういうような報道もされていたんですが、その後外務省や花博の協会に、参加をしてくださった国の皆さんから、日本側の対応についてこういう点が不満だとか、こういう点をこういうふうに改善してもらいたいとか、そういう苦情は来ておりませんか。
○政府委員(須藤隆也君) 御指摘のとおり開会時におきましてはパキスタンとモロッコの庭園がいろんな事情で若干おくれて、モロッコにつきましては四月十六日に完成し、パキスタンの庭園につきましては五月六日に完成して、現在のところすべての参加国からの展示あるいは庭園がきちんとされておりますけれども、これまで外務省に対して特段の苦情等が寄せられたということは聞いておりませんけれども、直接運営の任に当たっております花博協会の方に対しましては、庭園の除草、草取りとか、水やり等の庭園の維持管理の問題とか、それからごみ処理だとか、場所によっては騒音がかなりうるさいというような若干の苦情あるいは不満が寄せられているというふうに聞いております。
 こういう協力要請あるいは苦情に対しましては、外務省としても花博協会が参加国の側と個別に折衝するとか、あるいは必要があれば参加国の代表から構成される運営委員会というものがございますので、運営委員会に諮って解決を図るというようなことによりまして、博覧会の円滑な運営に最善を期するようにいろいろとお願いし、あるいは指導しておるところでございます。
○中村鋭一君 ひとつよろしくお願いいたします。
 一九七〇年のあの万博がどれだけ日本という国や日本の国民を世界じゅうの人たちに理解していただくための手助けをしたかということを考えますと、特別博でありましても、今回外国からもたくさんのお客さんがお見えになっているわけですから、やっぱり花博に行ってよかったと皆さんに思っていただけるような、そういう方向をひとつ外務省としてもしていただきたいんです。お見えになる賓客の方々に対して失礼のないような第一級のサービスを提供する、これは当然のことなんですけれども、出展参加国で実際に働いている外国人の方がたくさんいらっしゃいますね。そういう皆さんが、ああ六カ月間花博に参加して日本の皆さんにも喜んでいただけた、こういって帰ってもらえるような、そういうような対応をひとつ外務省もきめ細かく吸い上げてやっていただくことをお願い申し上げておきたいと思います。
 次に、ODAなんですけれども、被援助国でありますとか被援助国の団体でありますとか、国民の皆さんあるいは被援助国においてプロジェクトが実行されております地域住民に皆さん等々からいろいろな形での苦情というもの、不満でありますとか反対運動でありますとか、こういうものがあることは外務省は承知をしていらっしゃると思いますが、例えばこれは堂本委員も御質問になったということでございますけれども、例のインドのナルマダ川のダム建設等も含めて、今現実に具体的にODA援助についてどのような形で苦情が寄せられているか、反対があるのかということについて、外務省が今把握しておられる限りで結構でございますから、その国名、件数、プロジェクト名、どういう内容の苦情であり不満であり反対運動であるか、それを簡単で結構でございますから御説明願えますか。
○政府委員(木幡昭七君) 御指摘のございましたナルマダ川のサルダル・サロバル・ダム建設の場合のように、住民による非常に大きな反対運動があるケースがあることはそのとおりでございますが、類似のケースについてあるのではないかという御指摘でございますが、私どもこれまでのところ、このような大きな住民の反対運動が我が国のODAプロジェクトについて寄せられているということは聞いておらないわけでございます。
 もとより、ODAの実施に際しましては、住民に及ぼす環境面あるいは移住による不便、諸困難等の問題についても配慮すべきであるということは、私ども十分心得て対処しなければいけないところでございますが、しかしながら住民の移転の問題等は、これは先生御案内のとおり、その国の国民を相手として当該国政府がやはりきちんと対処してもらいませんと、援助国側でいろいろ注文をつけてもなかなかそこのところは相手も主権国家でございますし、対等の立場で私どももお話をしなければいけないという問題もございますし、一義的に当該国政府が対処してもらうというこの点はやはり一つの原点になるわけでございます。
 そうした点を踏まえまして、私ども現地の大使館、JICA、OECFといった実施機関等、常に相手国政府との間で不断に情報交換を保って、必要な配慮を怠らないように、相手国政府に対する申し入れ等も十分留意していきたいと考えているところでございます。
○中村鋭一君 私がお尋ねしたのは、相手国の政府がどうこうじゃなくて、ナルマダ川流域のダム建設だけじゃなくて、被援助国の住民の方や国民の方や団体等で、具体的個々に不満や苦情や反対が寄せられていることを承知しておられますか、ナルマダ川以外にありますかと、こう聞いたんです。
 今あなたのお答えは、そういうものは一切ないと。一切ないと。だから、要するにあなたの説明によれば、ODA援助というものは当該被援助国は何にも不足を言わないし、国民も実に満足し切っていて何の問題もない。たまたまナルマダ川の問題はこうやって出てきたけれども、ほかには一切問題はありませんし、さらに言えば、我々は援助をする国に対して援助をして差し上げた、後はその国の政府の問題であるから何か反対運動が
あってもそれはその国の政府が対応すべきであって、我々が言及すべきことではないというふうな印象を私は受けたんですが、もう一遍お尋ねいたします。
○政府委員(木幡昭七君) 私の申し上げたことは、ちょっと言葉が足らなかったのかもしれませんが、私決して何も問題がないし、それから先方に対して申し入れる必要もないというようなところまで申し上げたつもりはございませんで、今いろいろ御質疑がございましたサルダル・サロバル・ダムのようなたぐいの大きな住民による反対運動、そういうものは承知しておりませんということを申し上げた次第でございまして、すべてうまくいっているから相手政府に何も言う必要はないというようなことを申し上げているつもりじゃ決してございませんので、いろいろまた御注文がありあるいは住民の意見等がありましたら、私ども意見はもちろん承ります。
 ただ、住民と直接私ども外国の、日本政府なり日本政府の当局のある者が交渉して何かやるというわけにはまいらない性質のものであるという、この点だけちょっと補足的に申し上げた次第でございます。
○中村鋭一君 例えば、サロバル・ダムについて言えば、これはOECFがわずか三人の人員を派遣して、そうして一回だけの調査なんです。その調査がずさんであったから今回このような大きな住民の反対運動が起きてきたということなんです。
 ですから、私が重ねてお尋ねしたいのは、外務省は、いろんな形の意見というものが出てくるだろうと思うんですね。例えば、政府開発援助について、日本の商社が現地にあります。商社にコンサルタントがいらっしゃいます。その方が当該被援助国の政府当局者といろいろ話をして、お手伝いをなさっている。そういうときに、その国の住民の皆さんには具体的でわかりやすい説明がなされていない。結果においてODA援助というものが、何というんですか、情の通う、心の通い合うものでなくて、金持ちの国の日本がお金を出しましょう。お金を出して、しかもそのお金を出すのは相手国の政府であって、国民の皆さんにはありがたみがわからないといいますか、真意が伝わっていないといいますか、情報が決定的に不足しているといいますか、そういうことでせっかくの援助が生きて使われている結果になっていない、そういうケースが相当あるんじゃないですかということをお尋ねしているんですが、外務省としてはそのようなことについて苦情とか不満が寄せられているということは承知をしておられないわけですね。
○政府委員(木幡昭七君) 総論的にそういう批判、苦情等があったかないかということで言われますと、私はいろいろケース・バイ・ケースで、それはあり得るだろうと存じます。そういう問題については、私どもいろいろ改めるべき点は改めるように努力してまいります。
 ただ、一つ申し上げておきたいことは、日本の援助の多くのものはやはり相手国の人たちに喜ばれ、役に立っているものが多いんだということ、この点もぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 私、よく例に挙げさせていただくのでございますが、例えばタイのキング・モンクット工科大学は今立派な工科大学になっております。しかし、二十年前はラジオの修理技術を教えるところから始まっているわけです。木造の本当に小さなタイにおける工業学校から始まって今は総合工科大学まできている、そういうようなものもあるわけでございます。ですから、私ども御批判があれば謙虚に拝聴し改めるべきは改めてまいりますが、またお役に立っているのがいっぱいあるんだということ、この面もぜひ見ていただきたい。
 あるいはもう一つ例を挙げますと、インドネシアのブランタス地域の総合開発計画、これはもう大変な成功例で、先方住民も挙げて感謝しているわけでございます。米も十分できるようになりましたし、洪水も防御できました。そういう積極的な面もぜひごらんいただきたい。もとより私ども、御批判は一切聞かない、こんなことは絶対申し上げておりません。改めるべきところは謙虚に拝聴し改めてまいりますが、両方をぜひごらんいただきたいということでございます。
○中村鋭一君 それはおっしゃるとおりです。私も、何も政府開発援助がせっかくの援助でありながらその国の皆さんに感謝もされていないと言っているつもりはありません。でも、百の援助をして、そのうち一つでも国民の皆さんに喜んでいただけないような援助であるならば、あとの九十九は全部その功績が消されてしまう場合もあるということ。私は、典型的な例が今回のインドのナルマダ川流域の供与であるということなんだと思うんです。
 時間がありませんので少し急ぎますけれども、例えばあなたと私とでもこういうふうに光の当て方が違うわけです。喜んでいただいている部分も評価してもらいたいという言い方と、批判されている部分についてそれを率直に謙虚に吸い上げて、国民の税金を使っているんですからその部分を決して過小評価してはいけないという見方は、これは表裏のものだ、こう思います。
 そこで、私はやはり当該被援助国もそうですけれども、日本の国民の皆さんにもODA援助の実態はこうなんだということをもっともっと正確に理解していただく必要がある、こう思うんです。それはあなたは、いやちゃんと我々は白書を出しております、あの分厚い白書を読んでいただいたらODAがどう評価されているか十分おわかりいただけるとおっしゃるかもしれませんが、私はやはりこのODAというのは、地球環境の問題とも絡めて、これから本当に我々政治家も含めて真剣に取り組んでいかなければいけない問題だ、こう思うんです。
 そこで外務大臣に一言お願いをしたいんですが、こういったODAについてあらゆる情報、調査資料、そういったものについてそのすべてを公開し、そしてそれを国会においてすべての情報を公開し、調査結果を報告する、こういうことについてどのようにお考えか、お答えをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(中山太郎君) いろいろODAに関して貴重な御意見をちょうだいしていることは、外務省としても大変ありがたいことだと考えております。
 私どもは、国会において各種の機会にODAの実施実績等について御説明もし、資料提出も行ってきておりますが、今後とも御理解をいただくように一層努力に努めたいと考えております。
 可能な限り情報を提供せよ、公開せよというお話でございますが、私どもとしては、出せる限りの情報は提供しなければならないと。ただし、相手国政府との約束事あるいは第三者間の私契約上の守秘義務、こういうものにつきましては、やはりこれは公開するわけにはまいらないという原則がございますから、それだけはひとつ御理解をいただきたいというふうにお願い申し上げます。
○委員長(山東昭子君) 以上をもちまして平成二年度一般会計予算、同時別会計予算、同政府関係機関予算中、外務省所管についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(山東昭子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(山東昭子君) 次に、向精神薬に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中山外務大臣。
○国務大臣(中山太郎君) ただいま議題となりました向精神薬に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この条約は、昭和四十六年二月二十一日に国連加盟国等の参加によりウィーンで開催された条約採択会議にて採択されたものであります。
 この条約は、向精神薬の乱用及び不正取引の防止を目的としており、向精神薬の製造、取引(輸出入を含む。)、使用等の規制について国際的な枠組みを定めております。
 我が国がこの条約を締結することは、我が国における向精神薬の乱用及び不正取引の防止の一層の強化並びに薬物問題についての国際協力の一層の推進の見地から有意義であると認められます。
 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(山東昭子君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会